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1982-07-29 第96回国会 参議院 法務委員会 13号 公式Web版

  1. 昭和五十七年七月二十九日(木曜日)    午前十時二十二分開会     ―――――――――――――    委員の異動  七月八日     辞任         補欠選任      山中 郁子君     宮本 顕治君  七月九日     辞任         補欠選任      宮本 顕治君     山中 郁子君     ―――――――――――――   出席者は左のとおり。     委員長         鈴木 一弘君     理 事                 平井 卓志君                 円山 雅也君                 寺田 熊雄君                 小平 芳平君     委 員                 臼井 莊一君                 戸塚 進也君                 増岡 康治君                 真鍋 賢二君                 八木 一郎君                 和田 静夫君                 山中 郁子君    国務大臣        法 務 大 臣  坂田 道太君    政府委員        法務大臣官房長  筧  榮一君        法務大臣官房司        法法制調査部長  千種 秀夫君        法務省刑事局長  前田  宏君        法務省入国管理        局長       大鷹  弘君    最高裁判所長官代理者        最高裁判所事務        総局総務局長   梅田 晴亮君    事務局側        常任委員会専門        員        奥村 俊光君    説明員        法務省大臣官房        審議官      當別當季正君        外務省アジア局        北東アジア課長  小倉 和夫君        外務省北米局北        米第一課長    苅田 吉夫君        通商産業省産業        政策国際企業        課長       矢部丈太郎君     ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○裁判所法等の一部を改正する法律案内閣提  出、衆議院送付) ○外国人登録法の一部を改正する法律案内閣提  出、衆議院送付) ○参考人の出席要求に関する件     ―――――――――――――
  2. 鈴木一弘

    ○委員長(鈴木一弘君) ただいまから法務委員会を開会いたします。  裁判所法等の一部を改正する法律案を議題といたします。  政府から趣旨説明を聴取いたします。坂田法務大臣
  3. 坂田道太

    国務大臣坂田道太君) 裁判所法等の一部を改正する法律案について、その趣旨を御説明いたします。  この法律案は、経済事情の変動及び民事訴訟の実情にかんがみ、簡易裁判所の取り扱う民事訴訟の範囲を改めるとともに、その管轄に属する訴訟のうち、複雑困難な一定の訴訟地方裁判所において処理することができるようにするために必要な措置を講じようとするものであります。  以下改正の要点を申し上げます。  第一に、簡易裁判所の取り扱う民事訴訟目的の価額の上限を引き上げようとするものであります。この上限は、昭和四十五年の改正によって三十万円に引き上げられ、今日に至っておりますが、その間、経済事情が大幅に変動し、統計によりますと、国民所得消費にも著しい増大があったほか、物価についてもかなりの程度の上昇を見たことが知られるのであります。そこで、かような経済事情の変動の状況を勘案して、簡易裁判所が取り扱う民事訴訟目的の価額の上限を九十万円に改めることとしたものであります。  第二に、訴訟目的の価額が九十万円以下の不動産に関する訴訟地方裁判所簡易裁判所の競合管轄とするとともに、簡易裁判所訴えが提起された右訴訟について、被告からの申し立てがあれば、地方裁判所移送しなければならないものとする制度を新設しようとするものであります。不動産に関する訴訟は、訴訟目的の価額が小さいものでも、一般的に複雑困難なものが多いため、訴え提起の段階で、少なくとも一方の当事者が地方裁判所における審理を望む場合には、必ず地方裁判所審理できるようにするのが相当であると考えられます。そこで、この競合管轄及び必要的移送の規定を置くこととしたものであります。  第三に、簡易裁判所審理中の訴訟について、当事者双方が地方裁判所への移送希望する場合に、これを地方裁判所移送しなければならないものとする制度を新設しようとするものであります。不動産に関する訴訟以外にも、時として、複雑困難な訴訟が起こり得ますが、これに対処するためには、民事訴訟法第三十条第二項の要請受理や同法第三十一条ノ二の裁量移送制度のみでは十分とは申せないと思われますので、この必要的移送の規定を置くこととしたものであります。  第四に、簡易裁判所の取り扱う民事訴訟目的の価額の上限の引き上げに伴いまして、民事訴訟法及び民事訴訟費用等に関する法律に所要の改正を加えることといたしております。  以上が、裁判所法等の一部を改正する法律案の趣旨であります。  何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決くださいますようお願いいたします。
  4. 鈴木一弘

    ○委員長(鈴木一弘君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。  本案に対する質疑は後日に譲ることといたします。     ―――――――――――――
  5. 鈴木一弘

    ○委員長(鈴木一弘君) 外国人登録法の一部を改正する法律案を議題といたします。  本案の趣旨説明は去る八日の委員会において聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  6. 寺田熊雄

    ○寺田熊雄君 最初に外務省の方にお伺いしたいと思います。  IBM事件については、アメリカ政府から日本政府に対する申し入れとか協力の要請とかいうようなことはどの程度参っておるのか、その点をちょっと御説明いただきたい。
  7. 苅田吉夫

    ○説明員(苅田吉夫君) お答えいたします。  米国政府から日本政府への要請といたしましては、去る七月の二十日に、日立関係の社員で本邦におりまして現在起訴されております九名に対します召喚状の送達を要請してまいりました。これはわが国の司法共助に関する法律に基づきまして、直ちにこれを最高裁判所の方に送りまして、最高裁判所から所管の地方裁判所を経て日立本社及び本人に送達されたと伺っております。  これ以外につきましては、米国政府からは現在までのところ日本政府に対する要請は参っておりません。
  8. 寺田熊雄

    ○寺田熊雄君 そうすると、司法共助以外にはオフィシャルな申し入れとか要請とかいうものは全くないわけですか、外交ルートを通じての。
  9. 苅田吉夫

    ○説明員(苅田吉夫君) そのとおりでございまして、司法共助の要請以外には、その他の協力要請は一切参っておりません。
  10. 寺田熊雄

    ○寺田熊雄君 この問題に関しては、外国のマスコミの報道と――外国といってもアメリカですが、それから日本のマスコミの報道との間には、若干日立、三菱電機のとった行動に関する評価といいますか法律的評価、それから、いわば社会道徳的な見地からする評価と違っておるように思いますね。外務省としてはどういうふうに把握しておられるのか。  日本の場合には、余り日立あるいは三菱電機のとった営業上の行為あるいは商業活動、そういったものに対する非難というものはそれほど顕著にうかがわれないけれども、アメリカにおけるマスコミの扱い方というのは、何か日本商業法人営業活動というものは合法と非合法とのすれすれというか、ともすればアメリカ会社の機密を入手してそれによって競争に打ちかつという余り公正ならざるものであって、それがたまたま暴露したにすぎないというふうな扱い方をしているように思われるんだけれども、外務省としてはこれはどういうふうに受けとめるなり認識しておられるか、その辺ちょっと説明してください。
  11. 苅田吉夫

    ○説明員(苅田吉夫君) 本件につきましての報道ぶりでございますけれども、確かに当初日本におきましては、むしろ本件の内容よりはアメリカ司法当局がとりました、いわゆるおとり捜査のやり方であるとか、そういった点が一体果たしていいのかどうかというような点がかなり中心になって報じられていたように思います。  他方、アメリカにおきましては、当初から現在に至るまでアメリカ司法当局がとった行動に対する批判、これは一、二ないことはありませんけれども、ほとんどそういうものはございませんで、やはりその事件自体を事実として大きく報道するということはございました。その後時間もたちますので、最近それほど多くの記事が出ているわけではありませんが、その中にはただいま先生が御指摘になりましたように、日本の非常に先端産業であるこういった会社が非合法な形で情報を入手して、これに基づいて競争力をつけていたのかというようなことをコメントするものも二、三はございます。  ただ、全体としてそれが非常に大きな世論の渦になっておるとかそういうふうには感じられませんで、基本的には裁判の一つでございますので、それを事実として報道する、あるいはそれが日本でどのように報道されているかということをまた向こうで報道すると、そういったものが主流になっているように思います。
  12. 寺田熊雄

    ○寺田熊雄君 外務省としては、日本の大企業の出資による外国法人の行動について、将来これを何らかの意味で外国の法制なり、あるいは外国の商慣習なり、そういうものにマッチさせるように指導するというような気持ちはないものかどうか。これは後で通産省に主としてお聞きしたいと思っているのだけれども、しかし、外務省もこれをやはり他人の領域に属することだと言って無関心でいていい問題ではないと思うから、その辺はどうなのか、ちょっとお聞きしたいと思います。
  13. 苅田吉夫

    ○説明員(苅田吉夫君) ただいま日本アメリカの間にはいわゆる経済摩擦というのがございまして、いろいろと貿易面でも問題が起こっておるわけですが、その中身を見ますと、一番のポイントは、日本アメリカと比べて何か不公正なことをやっているのではないか。たとえば貿易で申しますと、日本アメリカには自由貿易を盛んに標榜しながら、日本の方では必ずしも貿易自由でないというようなことを温存しておるのじゃないか、あるいは商慣行、貿易慣行とか、貿易のいろいろな仕組みにつきましても何か不公平なことをやっているのじゃないかという、これは事実に反しているとは思いますけれども、そういうふうな見方がかなりありまして、常々わが方の対米広報あるいは対米世論に対する働きかけにおきましては、そういった不当と申しますか、誤った日本に対する認識を何とか正していきたい。つまり不公平であるということ、アンフェアということはアメリカでは非常に悪い考え方のものでございますので、そういった印象を日本について持たないようにしていくべきであるというふうに基本的に考えまして、その方向でいろいろ努力しておるわけですけれども、本件につきましても同じような問題がありまして、やはりアメリカで本件を通じて日本企業が何か不公正なことをやっておるのじゃないかという印象が強まることは非常に望ましくないわけでございます。  したがいまして、そういった一般的な風潮が広まらないように全力を投じて努力しておりますけれども、それと同時に、先生が御指摘になりましたように、アメリカで商売をするときにはやはりアメリカの仕組み、アメリカ法制度、そういったものを十分に知った上で、その枠内で、それに反することのないようにということには恐らく細心の注意を払っておられるとは思いますけれども、ますますそういう点については細心の注意を払っていただく必要がある、そういう考え方で通産省とも御協力いたしまして商社あるいは会社の方と接触していきたいと、そういうふうに思っております。
  14. 寺田熊雄

    ○寺田熊雄君 まあ自然のことで、いま指導の問題になりましたので、この際一遍通産省の方にもお伺いしておきたいと思うんだけれども、外国における日本の商社の活動、これは私もいろんな情報を入手しておるわけです。たとえば、外国にいる日本商社の職員というのは、開発途上国などの場合は相手方の政府職員等に、賄賂と言っちゃなんだけれども、お金をつかませて情報を収集する。ことに日本商社間の競争が非常に激烈なものだから、たとえばAという商社が相手を籠絡すると、そのことを今度はBという商社が、さらによけいなお金を出してその情報をキャッチするというような商社間の競争というものがいかに激烈かということを、これはかなり確実な信頼できる筋から私聞いておるんですね。それから、外国商社の開発途上国やASEANの諸国における余りにも豪華な生活が、現地の人々のひんしゅくを買っておるというようなこともある。  今回のIBM事件はこれと多少違って、先端技術の情報の収集のやり方が公正でなかった。ことに、アメリカの法制や商業道徳といいますか、それと衝突をした。あちらの司法当局の、わなにかけるというか、トラッピングというか、そのことの是非はこれは法制の違いだから別として、そういう問題が起きまして、これがわりあいに、日本の商社なり日本の企業なりのイメージだけじゃなくして、何か日本人全体が異常な、公明正大な精神というものを欠いておるようなそういう誤解を生じたことも否定できないと思うんです。そうすると、これは国際信用の面で大変マイナスであったということが言えると思うんですね。軽く見ちゃいけない。  従来、通産省は、日本の商社なり企業の営業活動をできるだけ援助していく、サポートする、そういう立場に立っておられたですね。これはそういうお役目だからやむを得ないかもしれないけれども、やはりもうちょっと国民的な視野に立って国際信用を喪失しないように、そういう日本企業の営業活動というものを指導する義務があるのじゃないかと私は考えるんですね。これはひとりIBM事件に関してだけではありません。もうすべての全世界にわたる日本の企業の活動のあり方に関する問題だけれども、この点通産省としてはどんなふうにお考えだろうか、ちょっとお伺いしたい。
  15. 矢部丈太郎

    ○説明員(矢部丈太郎君) 最近のIBM事件その他につきましては、事実関係、全貌は必ずしも明らかでないわけでございまして、これから法廷で次第にその事実あるいはそれの環境というようなものが明らかになってくると思われるわけでございますが、その進展状況等を見まして、仮に何らかの商社等に注意すべきものがあるということでありましたら、その場合には適切に処理していきたい、こういうふうに考えておるわけでございます。  なお、三井物産の事件につきましては、去る二十二日に通産大臣から三井物産の方に対しまして口頭で注意するよう促しておるわけでございます。  それから、先ほど総合商社の点につきまして先生から御指摘がございましたけれども、確かに商売に熱心な余り、末端ではやや過当競争というようなことも起こりがちかと思いますが、日本の商社内部の限りではそれほど問題ないわけでございますが、やはり相手国にいろいろ影響を及ぼしていくということでございますと国際信用その他の点で問題がございますので、通産省といたしましては四十八年でございますが、日本貿易会を中心といたしまして商社の行動に関する行動規範というものをつくりまして、それにのっとって適正に事業活動を行っていくということを取り決めておりますので、通産省といたしましてもその行動規範が守られるよう常日ごろから監視しているところでございます。
  16. 寺田熊雄

    ○寺田熊雄君 いまのは日本の企業の活動の非を認めるようにも思えるし弁護するようにも思えるし、どうも余りはっきりしないわけですね。それと似たような問題だけれども、いま盛んに問題になっておる日本の中国に対する問題だとか、あるいは朝鮮の問題に対する教科書の扱い方とか、結局わが国の行動を弁護すれば足るということで、それが国際的などういう波紋を生ずるかとか、相手国にどういう影響を与えるかというようなことを全く考えずに、ひたすら日本人なり日本の企業を弁護するということぐらい次元の低い扱い方というのは私はないと思うのですね。やっぱりもっと高い立場で、本当に日本の国際信用を高めるにはどうしたらいいかというようなそういう視点で、あなた方お役人の方々がこういう問題を扱っていただかないと困るわけですね。  IBM事件でも、なるほどこれは一たん起訴になったけれども、裁判の結果、ひょっとすると無罪になるかもしれない。そういうことがあっても、法律的には解決しても、社会道徳的なあるいは商業道徳の面、国際信用の面、そういう面で日本が傷ついたということは否定できないでしょう。だから、もうちょっと高い次元から日本の外国における企業活動というものを見て、そして遺憾のないようにこれを指導していく、そういう高い立場のものがあっていいと思うのだけれども、これはあなたの御所管ですかね。それとも、ほかにはもうおられないわけですかね、そういう立場の人。
  17. 矢部丈太郎

    ○説明員(矢部丈太郎君) わが国企業海外活動に対します一般的な指導というような立場では私どもの所管でございます。  それで、いまもう少し高い立場でという御指摘でございますが、海外で事業活動をいたします場合には、やはりその国の法律に従ってやっていくということが当然のことでございまして、恐らく企業としてもそういうことは十分承知してはいるのだろうと思いますけれども、先ほど申し上げた過当競争であるとか、あるいは海外の他の競争者との関係におきまして若干摩擦的な問題としてこういう問題が生じているのじゃないかということでございますので、先ほど申しましたように事実関係その他もう少しはっきりした段階で今後の対策と申しますか、そういう方法につきましては検討していきたい、こういうように考えておるわけであります。
  18. 寺田熊雄

    ○寺田熊雄君 どうも必ずしも満足できる御答弁とは思えないけれども、きょうのところはそういうふうに聞いておきましょう。  法務省の方にお尋ねしたいと思うけれども、日立事件アメリカの起訴状、これを外務省から取り寄せて見てみますと、これは盗品を合衆国から日本に持ち運ぼうとするそういう共同謀議というのですか、「conspiracy to transport stolen property from the United States to Japan.」と書いてあります。これをずっと読んでいくと、「The undercover agent provided numerous items requested by the conspirators, which items had been given voluntarily to the agent by IBM.」という個所があるのですね。これはどういうふうに理解したらいいんだろうか。こういう書き方で、この物は盗品だということが言えるんだろうか。つまり、自発的に与えられたものというふうに直訳できるように思うのだけれども、こういう書き方でもこれが「stolen property」いうことになるのか。その点ちょっと説明していただきたいと思うのですが。
  19. 前田宏

    政府委員(前田宏君) 日立関係の起訴状の摘示でございますが、ただいま寺田委員が仰せになられましたように、まず一九八〇年の六月ごろから一九八二年の六月までの間に被告人たちが、連邦法典のタイトル十八の二千三百十四条に違反をして、窃取あるいは横領された五千ドル以上の物品を州外または国外へ移送することを共謀したと、こういうことがまず書いてございまして、その後に、いまおっしゃった点だろうと思いますが、その謀議の内容の一部として、IBMの書類及びその他の所有物を窃取または横領し、これらを国内、あるいは国内から日本移送するということが含まれると、こういう言い方でございまして、確かにその前段と後段のつながりをどう理解するかという問題があろうかと思います。  私ども、日本法ではこういう事前共謀といいますか、コンスピラシーという形での犯罪というものは余りないわけでございまして、アメリカでの理解がどうであるかということが十分わからない点もあるわけでございますが、要するに私どもの理解としては、事前の謀議ということが起訴主体であって、その後といいますか、謀議の後にいわゆる実行行為があったかどうかということは当面の問題ではないということであろうと思うわけでございます。  したがいまして、先ほどの前段と後段との関係になりますと、その前段の謀議の内容をやや具体的に摘示したということでありまして、やはりその謀議の内容の説明といいますか、そういうことであろうというふうに思うわけでございます。
  20. 寺田熊雄

    ○寺田熊雄君 そうすると、この物品というものはやっぱり何ぴとかによってIBMから盗み出された物ということが起訴状で分明なわけですか。それとも何か、IBMによって「voluntarily」に「had been given」というのをどういうふうに理解したらいいのか、そこのところがちょっとわからないからお尋ねしているんです。
  21. 前田宏

    政府委員(前田宏君) 率直に申しまして必ずしも十分明らかでないわけでございますけれども、要するにIBM関係の書類等を窃取し横領してそれを移送するという謀議と、これからのことといいますか、謀議後にはこういうことが行われるということが書いてあるのだろうと思うわけでございまして、いわば過去の事実として盗まれたとか、だれかが持ち出したとか、そういうことを言っているわけではないので、そういう意味では窃盗なり横領なりの内容が具体的に摘示されていない、これはまた、そういう意味でやむを得ないことじゃないかというふうに思うわけでございます。
  22. 寺田熊雄

    ○寺田熊雄君 ただ、これは「had been given」というから、過去完了の形になっているわね。だから、将来の問題じゃなくて、過去にIBMによってエージェント、代理人ですか、それに対して与えられたところの物品というふうに、直訳すればそうなると思うんだけれども、そこのところを局長にお伺いしているわけです。これは将来の問題ですか。それとも、共同謀議のこれは内容にすぎないという意味か。そこのところをちょっと説明してください。
  23. 前田宏

    政府委員(前田宏君) 先ほど申しましたように、その前段と後段といいますか、そういう関係、特に後段の言い回しといいますか、それが若干不分明なことは御指摘のとおりだろうと思います。  ただ、全体として、いわゆる共同謀議罪という形での起訴であるというふうに理解されるものでございますから、先ほど来のようにその謀議の内容としてということからも、今後のことというふうに全体としては理解すべきじゃなかろうかというふうに申したわけでございます。
  24. 寺田熊雄

    ○寺田熊雄君 それで、この起訴状に書いてある事実というものは、日本法令では犯罪にはならないというふうにいままで新聞報道がありますね。これは刑事局長としてもそういうふうに思っていらっしゃるわけですか。その点どうでしょう。
  25. 前田宏

    政府委員(前田宏君) 先ほどのお尋ねに若干補足して申し上げますが、寺田委員のいまお読み上げになりましたのは、どうも起訴状そのものというよりは、起訴状についてのプレスに対する説明といいますか、それが加わってのことじゃないかというふうに思うわけでございまして、私が申し上げたのは起訴状そのものについて申し上げたので、若干そこに差があるのじゃないかなという気がいたします。  それはそれといたしまして、通常のような形でとらえられている事実、つまり事前のいわゆる共謀罪ということでございますから、その形のままでは日本法令によって罰せられる行為には当たらないだろうということは、これまでも衆議院委員会等で申し上げたところでございます。  ただ、そういうことだけを申しますと、結論的に、仮に捜査の共助要請があっても応じないというふうにそこまで答えたようによくとられたりするものでございますから、そういう意味ではございませんで、起訴状に書かれているような事実では直ちにそういう捜査共助なり、あるいは犯罪人の引き渡しなりそういうものには乗りにくいということを申したわけでございまして、事実がまた違えば問題は別だと、こういうことでございます。
  26. 寺田熊雄

    ○寺田熊雄君 これは、外務省に起訴状をコピーして持ってきてくれといって外務省に頼んで持ってきてもらったそのものなんだけれども、これはそうすると起訴状そのものじゃなくして、新聞、マスコミに説明するそういう文書ですかね。ちょっとこれを見てもらいたい。
  27. 苅田吉夫

    ○説明員(苅田吉夫君) ただいま拝見したところによりますと、最初の二ページがプレスリリースでございます。その後に附属しておりますのが起訴状そのものでございます。起訴状のコピーでございます。
  28. 寺田熊雄

    ○寺田熊雄君 なるほど、最初の二、三と書いてあるのがこれはあれですか。それから四、五以下がこれは起訴状そのものだと、そういうふうに理解したらいいのか。なるほど、そっちの方では、「knowing that these goods, wares and merchandise had been stolen and converted」と書いてあるね。そうすると、これはもう完全なやっぱり盗品だというふうに理解していいわけですか。
  29. 前田宏

    政府委員(前田宏君) お尋ねの趣旨が、過去に盗まれ現に盗まれた物と、こういう意味でございますと、そういう意味ではどうもないと言わざるを得ないのじゃないかというふうに思うわけでございまして、と申しますのは、先ほど来申しておりますように、起訴されている事実そのものとしては、将来のことについて盗まれあるいは横領された物を州外あるいは国外へ移送しようと、こういうことでございますから、過去に窃盗あるいは横領罪成立しておって、現にそういうものがあって、それを運ぼうということではないように思うわけでございます。
  30. 寺田熊雄

    ○寺田熊雄君 この「INDICTMENT」の1というのがありますね。ちょっと見てください。そこにはやっぱりこれらの品物が盗まれ、そして移転させられたということを「Knowing」、知りながらというふうに書いてあるんじゃないかしら。
  31. 前田宏

    政府委員(前田宏君) ちょっと現物を持っていないので不正確なお答えになるかもしれませんけれども、私の理解しておりますのは、何回も申し上げますように、これからこういうことをしようというのが謀議罪でございますから、その将来のしょうという行為の内容として連邦法典の二千三百十四条に違反して窃取、横領される物品を移送しよう、こういう共謀と、こういう意味だろうと理解しておるわけでございます。  過去に、現実にそういうことがあったかどうかということはまた別問題でございまして、そういうことはまたいまの起訴事実とは別なことになるのじゃないかというふうに思うわけでございます。
  32. 寺田熊雄

    ○寺田熊雄君 それはあれですか、この第一項を直訳してもそうなるわけですか。
  33. 前田宏

    政府委員(前田宏君) 何回も同じような繰り返しでございますが、要するに結論としていわゆるコンスピラシー、つまり共謀罪、共同謀議罪でございますから、それはいわば実行行為の前の行為であるというふうに理解されるわけでございます。したがいまして、その謀議の内容を書いてある、こういうことを今後しょうということの謀議をしたと、こういう意味じゃないかということでございます。
  34. 寺田熊雄

    ○寺田熊雄君 われわれの日本的な犯罪概念ではちょっと理解できないような、つまり共謀というものの内容が過去において盗まれた物の運搬でなくてもいいんだ、将来において盗まれるであろう物について謀議してもいけない、局長の御説明だとそういうことになるわけですね。そうなるね。
  35. 前田宏

    政府委員(前田宏君) 過去の物も含んでもいいと思いますが、将来の物も除く意味ではないと、こういうことではないかということでございます。
  36. 寺田熊雄

    ○寺田熊雄君 IBM事件のこの物は、そうすると過去において盗んだ物、盗まれた物についての運搬を共同謀議したというのか。それとも、それは問わないんだ。要するに共同謀議の中で、過去に盗まれたか盗まれないか問わない、将来に盗まれるかもしれないような物の共同謀議を起訴しているんだと。どっちに理解したらいいのかしら。その点どうでしょうか。
  37. 前田宏

    政府委員(前田宏君) 確かに御指摘のような御疑問が起こるかと思うわけでございますが、これは日本の場合もそうかと思いますけれども、起訴状では非常に漠とした事実の摘示をしておるわけでございまして、その内容の詳しいことはいわゆる冒頭陳述とかあるいは立証とか、そういう段階で明らかになってくるのだろうと思います。  そういうことで、この起訴状から見ましても、期間も八〇年六月から八二年六月までという約二年間だというふうに書いてございますから、その間にいろんな行為が何回か行われただろうということが推測にかたくないわけでございまして、そういう中身といいますか、内容の具体的なことは今後の公判で明らかになるのだろうと思いますし、そういう意味で起訴状だけ見て、どうもどこまでのことが入っているかということは、直ちに申し上げかねるのじゃないかということでございます。
  38. 寺田熊雄

    ○寺田熊雄君 そうすると、われわれの日本刑法上のいろいろ犯罪類型、犯罪概念というものを飛び越えちゃっているので、もうこれは日本刑法の適用をされる範囲をはるかに超えていると、そういうふうに理解していいんですか。それとも、やっぱり何か将来その中に、日本刑法の適用に入らないやつも、いまあなたが言われた冒頭陳述とかなんとかいうことで入ってくるおそれもあるんだと、こういうふうに理解したらいいのか、その点どうでしょうか。
  39. 前田宏

    政府委員(前田宏君) 先ほども若干申し上げましたように、こういう事前の共同謀議という形で起訴がとらえられているわけでございまして、そういう形のままでは日本法令違反ということではとらえにくいだろうということでございます。  ただ、いま申しましたように、この起訴事実の中には具体的にどういうことが含まれているかということでございまして、その内容あるいはそれに関連する事実ということも当然考えられるわけでございまして、その中身はまだはっきりいたしませんけれども、そういう関連する事実あるいはこの起訴状に書かれている事実の裏にあるといいますか、中にある事実、そういうものが具体的に整理をされまして、それが場合によっては日本法令によって処罰し得る行為に当たるということも全くないとは言えないのじゃないか。ただ、それは今後の問題でございまして、いまの段階でははっきりしないということでございます。
  40. 寺田熊雄

    ○寺田熊雄君 非常に慎重なお見通しであるとは思うけれども、局長、何らかの実行行為がないと日本法令には当てはまりませんわね、共同謀議だけじゃ。だから、仮に現実に盗品だとしても、その窃盗行為そのものに関与するとかなんとかでないと、あるいは贓品を収受する、あるいは収受してそれを運搬する、そういう実行行為に関与するそういうおそれがあると、そういうことを考えてあなたおっしゃるわけですか。
  41. 前田宏

    政府委員(前田宏君) それほど具体的ではないわけでございまして、可能性は全くないかとおっしゃいますので、可能性としてはあり得るということを申したわけでございます。  先ほど来、御疑問といいますか御指摘ございますように、私どもの理解とは違ったような形での法制でございますから、なかなか十分な理解ができないのかもしれませんけれども、要するに関係者、この場合は十数名ということになりますが、その共謀ということで起訴をしておるということでございますが、それは物の流れといいますか、事の流れもいろいろあると思うのでございまして、共謀してさらに予備をして未遂既遂と、こうなるのだろうと思いますけれども、それをどこでとらえるかということは、いわば訴因の問題としてある程度自由というか、そういうことであろうと思います。  したがいまして、起訴されているのはこういう形であるけれども、その実体にどういうものがあるかということはよくわからない、その実体いかんによっては可能性があると、こういうことを申したわけでございます。
  42. 寺田熊雄

    ○寺田熊雄君 それじゃ、この問題は、また何らかの新しい情報が入ったときにもう一遍お伺いすることにします。それじゃ外務省や通産の方も結構ですから。  外務省アジア局の人は来ておられるかな。  覚せい剤の問題でちょっとお伺いをするけれども、韓国から大量の覚せい剤の密輸があるということはあなたも御存じだと思います。岡山県なども韓国との貿易はかなりあるわけで、たとえば韓国のお魚などは生きたお魚というようなものをかなり大量に従来輸入されておったわけですね。そういうものに便乗して覚せい剤が入ってくるのか、岡山県のようないわば中位の県で覚せい剤事件の検挙率というのは全国で三番目なんですね。その被害は、これは岡山県だけじゃありません。日本全国全体にこれはもう看過できない大きな被害を及ぼしているわけです。これは外務省としても、韓国からなぜこんなに大量の覚せい剤が密輸されるのか、これはお調べになっていると思うけれども、まず、なぜ韓国からこんなに大量の覚せい剤が密輸されるのか。その辺はどういうふうに調査していらっしゃるんですか、ちょっとお伺いいたします。
  43. 小倉和夫

    ○説明員(小倉和夫君) 率直に申し上げまして、この問題につきまして韓国政府日本政府との間、特に外交当局同士がこの問題を詳細に話したということはいままではほとんどございません。今回、七月に初めて日韓の麻薬、覚せい剤につきましての連絡会議を先般開きましたが、そういう状態でございまして、むしろこの問題は、具体的な取り締まり当局同士のお話し合いの中でいままで取り扱っておりますので、外交問題という形では取り上げておりませんし、また、日本政府外交ルートを使いまして特に調査したということは、いままで正式なやり方としてはやっておりません。  ただ、私どものいろいろ聞いておりますところでは、先生おっしゃいますように、日本密輸される覚せい剤のうち大体七割から七割五分ぐらいが韓国から来ておる。それからそのやり方につきましても、いわゆる通常の空港といいますか、普通の乗客が空港なり港に持ってくるということのほかに、漁船とか洋上の取引と申しますか、受け渡しと申しますか、そういうこともあり、いろいろやり方が複雑化、巧妙化しているといったことは日本側の警察当局なども聞いておりまして、私どももそういう問題の深刻性を踏まえて、この問題について何らかの日韓間の意思疎通をしていかなくちゃいけないというふうに考えております。
  44. 寺田熊雄

    ○寺田熊雄君 なるほど、これはやっぱり日本の司法当局と韓国の司法当局との間で論議すれば足るものであって、外交的な問題にはならないわけだね。    〔委員長退席、理事小平芳平君着席〕 というのは、韓国で何らかの意味でこれが生産されなければ日本密輸入されるということはないわけでしょう。その生産というのは、韓国においてもやはり違法視されているのか。つまり犯罪になっているのか、それとも、韓国では犯罪でないためにこんなに生産されているのか。その辺のことはあなたでおわかりかしら。おわかりでなかったら、これは刑事局長に伺った方がいいかな。
  45. 小倉和夫

    ○説明員(小倉和夫君) 先生おっしゃいますとおり、この間といいますか、一週間ばかり前、麻薬、覚せい剤についての連絡会議をソウルで開催いたしましたが、そのときもまさに先生がおっしゃったようなことが一つのポイントだということで、私どももどういう取り締まり体制、どういう法制を韓国がしいておるのか。非常に厳しい刑罰などを科しておるのか、そういった点にも非常に興味があるということで、法務省の方に出席いただきまして聞きました。たとえば八〇年に起こりました事例で、釜山の近くで起こった事例のようでございますが、密造事犯というのがございまして、それには懲役十五年、罰金三億五千万ウォン、日本金にいたしますと大体一億円強の刑を科したこともあると言っておりまして、韓国での取り締まり体制といいますか、韓国での刑罰は非常に厳しいものがございますし取り締まりも非常に厳しい。  ただ、日本と決定的に違いますのは、この問題が韓国では社会問題にはなっておらない。すなわち、覚せい剤の使用日本のように青少年や主婦にも広がるというような非常に大きな社会問題にはなっておりませんので、そういう意味では日本とこの問題の性質が違うということは事実であるけれども、取り締まり体制、あるいは法的な体制についてはきちんとしたものがあると、このように私どもは理解しております。
  46. 寺田熊雄

    ○寺田熊雄君 そうすると、これはあれですか、韓国でもこれがやっぱり犯罪なんだ、厳しく取り締まっているんだと。それが日本に大量に密輸入されるというのは、その厳しい取り締まりというのが余り実際上の効果を生じてないというふうに理解したらいいんだろうか。それとも、もうちょっとこの覚せい剤の密輸をないようにするためには、あなた方としたらどうしたらいいと思いますか。
  47. 小倉和夫

    ○説明員(小倉和夫君) これはなぜ密輸が行われているかということにつきましては、むしろ警察当局等のお考えによるべきだと思いますが、私どもの理解している、外務省として理解している点を申し上げますと、一つは、これは申し上げにくいことがありますが、日本側の暴力団と申しますか、私の理解するところでは、覚せい剤の取り締まりで日本側で検挙された事犯の大体半数は、五〇%は暴力団系統であるというふうに、いまだにそうであるということに理解しておりますし、韓国側の密造と連絡があるものはやはりそういったものである。したがいまして、そこにきわめていろいろなルートを通じての巧妙なやり方なり、ものがありまして、なかなか通常の取り締まりといってもその網がかからないという点が非常にある。そこが一つのネックであるというふうに私どもとしては理解しております。  もう一つは、密造そのものも非常に最近技術的に巧妙化と申しますか、非常に狭いところでできるようになったとかいろいろございまして、なかなかそういう技術的な面でも巧妙化しておって取り締まりが困難である、そういう面もあろうかと思います。  しかしながら、そうは言っても、確かに現実にいろいろ密輸が行われているわけでございまして、これをどうするか。日本として、確かに外務省と申しますか、国と国との関係としましてもどういうふうにこの問題を取り扱っていくか。  それでは何ができるのかという点でございますが、一つは、やはり情報交換と申しますか、日本側でこういう事例があったとか、こういう捜査結果が出たとか、そういうことについての韓国との連絡、情報交換体制、それから向こう側でこういう動きがある、こういう者が検挙されたといったものについてのこちら側への連絡、そういった情報交換体制の円滑化ということがやはり一つ非常に重要な点ではないかというふうに思っております。  それからもう一つは、具体的な取り締まり方々同士の、といいますのは、この問題は、もう一つそういった情報交換とか取り締まりの問題のほかに、啓発と申しますか、韓国の方々に日本におけるこの問題の深刻性について理解していただくと申しますか、そういう理解していただくもの、事態の深刻性というものについて認識していただくという面もあろうかと思います。  したがいまして、そういう面につきましては日韓両国の間の会議とかセミナーとか、あるいは担当官同士の交流とか、そういうことを広げまして、また深めまして、日本の現状についてこの問題の深刻性について韓国の方々、特に現場の方々により一層理解していただく、そういうようなこと。たとえば私どもとしましては、そのような形でこの問題について国際的な協力というのができるとすれば、そういうようなことではあるまいかというふうに考えております。
  48. 寺田熊雄

    ○寺田熊雄君 いろいろあなたのおっしゃることで事情はわかってきたんですが、どうしてもやっぱり理解できないのは、どうして韓国からそんなに大量のものが密輸されるんだろうという疑問ですね。あなたは、韓国では厳しく罰せられるんだけれども、ただ社会的にこの覚せい剤の危険性というか、それが余り認識されていないようですということを言われましたね。社会的に非常に危険なものだということが認識されておりませんと、どうしても製造に対する取り締まり、あるいは所持、運搬、輸出、譲渡、そういうものに対する取り締まりというものもやっぱり日本ほどは厳重に行われないのじゃないでしょうかね。  もっと厳重にやってくれ、日本輸出されないようにしてくれというようなことを韓国に要求するということは外務省としてはなさらないのか。あるいは、今回七月にあなた方が初めて会議を持ったと言われましたね、そういう席上でやはり要求をなさったのか、その点はどうなんでしょう。
  49. 小倉和夫

    ○説明員(小倉和夫君) 先生の御趣旨はよくわかるところでございまして、御趣旨に照らせば私どもはある程度その趣旨の、要求という言葉がいいかどうかは別といたしまして、趣旨としましては韓国側に日本側の意のあるところを伝えた、また今後も伝えるつもりでございますが、ただ、この問題をそういった形で直接外交ルートで要求といいますか、捜査、取り締まりを厳しくしろという要求をすることの是非、単純な形で要求することの是非につきましては、率直に申し上げまして、いろいろまた問題もあろうかと思います。  一つは、日本側のやはり一体その責任なり何なり本件の本当のところの原因がどこにあるかという問題に発展いたしますと、確かに物がつくられておる、密造されておるというところが韓国にあるというケースが多いということは事実でございますが、片や韓国内でそれを買っておる人はほとんどない、むしろ買い手は日本側におる。しかも、それは暴力団とかそういう方も多い。  それじゃ、その方の取り締まりをちゃんと日本がやればそういうことはなくなるじゃないかという見方もあるわけでございまして、これはなかなかむずかしい問題でございますので、私どもとしましてはこれはむしろどちらがどちらに要求するという問題ではなくて、テーブルを挟んで両方が言い合うという問題じゃなくて、むしろテーブルのこちら側に日本と韓国が座っておりまして、    〔理事小平芳平君退席、委員長着席〕 覚せい剤問題というのはテーブルの向こうにありまして、その問題に対して日韓両国がともに一致して手を携えながら問題解決に当たろうじゃないか、このような態度でいくのがよろしいかと思っておりまして、先生の御質問の御趣旨も実はそこら辺にあるのじゃないかというふうに理解さしていただきまして、要求、要請という言葉にとらわれることなく、先生の御趣旨を生かしまして私ども今後とも韓国に対しましてもいろいろな話し合いを進めていきたいというふうに思っております。
  50. 寺田熊雄

    ○寺田熊雄君 なるほど、あなたの御趣旨は私もよくわかりました。アヘンとかそういうようなものも、これは国際的な協議の結果、やはり世界各国がその製造を禁止輸出禁止するというふうになってきているわけですね。だから、あなたのおっしゃるように、日本も韓国もその害毒をいかにしてなくすかということで共同の歩調をとっていきたい。これは結構ですよ。そういうふうに精力的にやっていただけば目的は達するわけです。韓国の方も、やっぱりそれに応ずる姿勢を見せていますか。
  51. 小倉和夫

    ○説明員(小倉和夫君) 実は率直に申し上げますと、いままで韓国側に若干こういった会議を開くことにつきまして一体日本は何を考えているのだろうかというようなこともございました。それで、私どもは実は半年がかりでこういった連絡会議をやろうじゃないかと言って申し入れてきたわけでございまして、それがこの際七月に開かれたということ自体は、非常に韓国側としても協力する姿勢を示したということだろうと思います。  また第二に、会議全体を見渡しますと、最後の結論ということで、これは発表いたした発表文がございますが、その中で、日本側と韓国側は麻薬及び覚せい剤問題について相互に率直な意見交換を行い、この問題が有している重要性を勘案の上、今後とも継続的に協力していくべきであるという原則に意見の一致を見たということを発表しておるぐらいでございまして、韓国側もできるだけの協力を惜しまないという態度になってきつつあるというふうに私どもは考えております。
  52. 寺田熊雄

    ○寺田熊雄君 大分事情がわかってきたんですが、やっぱりあなた方の努力で韓国が前向きに態度を変えてきたというふうに、いまの御説明だとそういうことになりますね。  これは法務大臣も、結局日本の場合には犯罪になりますね。そして、これは非常な害悪を国民に及ぼしておる。何か覚せい剤取締本部なんというものを内閣で直属につくる、いろんないままで対応の仕方があったようですが、いま法務大臣もお聞きになったように、外務省、それから法務省警察ですか、そういう日本政府の方で韓国に働きかけて、韓国は次第に日本の要望するような姿勢に変わってきたということがわかってきたわけですね。法務大臣、やはりこれは大事なことでしょう。もとを断てば恐るべき害悪がなくなるわけですから、法務大臣としても閣内におかれて外務大臣協力して、韓国を日本の姿勢に近づけるようにやっぱり御努力なさるべきだと思いますが、いかがでしょう。
  53. 坂田道太

    国務大臣坂田道太君) 一般的に、日本犯罪率というのは、検挙率等も含めまして非常に少ないということは言えるわけでございますが、しかし最近青少年非行というのが非常に深刻になってきておる、そしてまた一面におきまして、いまいろいろお話がございましたように、覚せい剤による暴力事件あるいは殺人事件あるいは通り魔の事件等が頻発をしておる、こういうことでございまして、われわれ日本の立場から言うと、その覚せい剤が主として多くは韓国から輸入をされておるというわけでございますので、そのもとを正せばいいではないかという議論が出てくるのは当然だと思います。しかし、ただいま外務当局から御説明を申し上げましたとおりに向こうは向こうの言い分もございますし、したがいましてただいま外務当局から説明がございましたように、七月第一回こういうような意見の交換会を持ったということは、非常に意義のある第一歩ではないだろうかというふうに思います。  したがいまして、私、法務大臣といたしましても、そういうような犯罪防止等を考えました場合に、麻薬、覚せい剤のもとを絶つという何らかの法を日韓両国の間で考えていくということについては強い関心を私自身も持っておるわけでございまして、今後閣内におきまして外務大臣その他の閣僚とも相談をいたしまして、前向きに対処をしてまいりたいというふうに考えておるような次第でございます。
  54. 寺田熊雄

    ○寺田熊雄君 それじゃこの問題はこれで結構です。  外国人登録法の問題を考えますと、一体外国人というのは――数やその他いろいろ私どもに配付していただいた資料の中にありますね。この外国人がどの程度年間犯罪を犯すんだろうか、また外国人のうちでどの国籍の人が一番犯罪を犯すのが多いんだろうか、またその犯罪の種類はどういう犯罪が多いのかというようなこと、こういうことを知りたいと考えますが、これをちょっと御説明いただけますか。
  55. 當別當季正

    ○説明員(當別當季正君) お答えいたします。  昭和五十五年の検察統計年報によってみますと、外国人被疑者検察庁における通常受理人員は二万一千八百名ぐらいでございまして、これは全体の約四%ということになっております。  この犯罪の種類はどういう犯罪かということでございますが、二万一千八百名のうち、刑法犯検察庁送致された者が全体の四〇%程度の八千六百名ぐらい、それから特別法犯で検察庁送致された者が全体の六〇%の一万三千百名ぐらいということになっております。  国籍別の内訳でございますが、韓国、北朝鮮、これを含めて朝鮮と申し上げますと、この地域国籍を持っておる人が全体の八三・七%の一万八千二百名くらい、それから中国本土並びに台湾省を含めまして中国国籍を持つ人たちが全体の三・九%の八百五十名程度、それからアメリカ合衆国国籍を有する人が全体の六・五%の千四百人程度、残りの約六%はその他の国籍国の方々ということになっております。
  56. 寺田熊雄

    ○寺田熊雄君 これはちょっと表にして法務委員会へ出していただけますか。
  57. 當別當季正

    ○説明員(當別當季正君) 承知いたしました。
  58. 寺田熊雄

    ○寺田熊雄君 次に、密入国者というのは一体年間どのぐらいあるものでしょうか。
  59. 大鷹弘

    政府委員(大鷹弘君) 私どもの手元の資料に基づいて御説明いたします。  まず、最近五年間の密入国者の検挙された者の数字を申し上げます。  昭和五十一年には九百六十五名、昭和五十二年に八百五十八名、昭和五十三年七百三名、昭和五十四年七百六名、昭和五十五年五百九十七名、なお、昨年五十六年には五百七十七名と承知しております。  それで、これだけの数が不法入国者として摘発されているわけでございますけれども、不法入国者の数といたしますとこれがすべてではないのでございます。大体昭和五十六年に摘発されました三百四十名の不法入国者につきましてそれぞれ詳しい事情を調査いたしました。そのときにその人たちが同時に密入国した、私ども相乗り、相密入国者と言っておりますが、そういう者で検挙されていない者がどのくらいいるかということを調査いたしましたところ、大体検挙された者一人の五倍の人数がいるということがわかっております。したがいまして、はっきりした数はわかりませんけれども、摘発されました不法入国者の数倍に当たる者が日本に密入国して潜在している、こういうことであろうかと思います。
  60. 寺田熊雄

    ○寺田熊雄君 そうすると、これは過去に検挙された人間の五倍ずつがたまっていっているわけでしょう。結局、あなた方の推定によると、日本に現に滞在する密入国者というのはどのぐらいだと推定されるんでしょうか。
  61. 大鷹弘

    政府委員(大鷹弘君) この数字は、もちろん正確なところ私どもとしては全く把握しておりません。巷間何万人にもなるというようなことが言われておるようでございますけれども、私ども決して確かなことはわかりませんけれども相当な人数の人が潜在している、それはもう何千人というそういう単位のものではないのじゃないかというふうに考えているわけでございます。
  62. 寺田熊雄

    ○寺田熊雄君 私も交通事故被害者から頼まれて民事訴訟を提起して、そのとき加害者事故現場から逃走してしまった。そして、その加害者は衝突によって大変な傷害を受けているということがもうはっきりしているんだけれども逃走しちゃった。なぜそんな無理をしたのか調べてみたら、やっぱり密入国者なんですね。それで、おたくの方に行って御無理を言って調べてもらったところが、同姓同名の者が十三人おった。ところが、その年齢加害者に該当するものがないんですね。だから、やっぱり密入国だということがはっきりしたんだけれども。そこで、警察庁長官がたまたま当時知り合いだったものだから、何とかしてくれ、つかまえてくれと言ったところが、いやとってもそれは無理です、密入国者は大阪近辺だけで十万人ぐらいおりますということを警察庁長官が喜べて、つかまえろと言っても全然相手にしてくれないわけですね。これはもう十何年前のことだけれども。  ですから、あなたのおっしゃるように、それは何千人というような単位でないことは私どもにも想像はできるわけですけれども、これは結局そういう数がやはりいままで外国人登録法というような法律を必要とする一つの理由づけになったのでしょうかね。その点はどういうふうに考えたらいいんでしょうか。
  63. 大鷹弘

    政府委員(大鷹弘君) 外国人登録法目的は、在留外国人の公正な管理に資するため、身分関係、居住関係を明確にするということでございます。この在留外国人の公正な管理ということの非常に重要な一面といたしまして、私どもといたしましては不法入国者、それから不法残留者の摘発、発見、こういうことが入るものと考えております。
  64. 寺田熊雄

    ○寺田熊雄君 そして、これらの不法入国者というものは原則として強制退去をさせられる運命にあるわけでしょう。いままでに強制退去させられた者の数、それから国籍別、これをちょっと説明していただけますか。
  65. 大鷹弘

    政府委員(大鷹弘君) 現在、長い年月の通した統計というものを手元に持っておりませんけれども、五十六年、昨年退去強制になった者の数と、それから国籍がございます。それを御報告いたします。  五十六年に退去強制になりました総数は二千四百七十名でございます。このうち、朝鮮半島出身者が五百七十九名、中国が八百二十五名、フィリピン四百十七名、タイ三百八十三名等でございます。この強制退去される者は刑罰法令違反者と不法入国者、大別してそういうことになりますけれども、現在、刑罰法令違反者で退去強制できる数というのは非常に少ないわけでございます。したがいまして、朝鮮半島出身者五百七十九名、昨年強制退去になりました五百七十九名のほとんどすべてが不法入国者であったということが申し上げられるかと思います。
  66. 寺田熊雄

    ○寺田熊雄君 これは何かいただいた資料の中に入っておれば結構ですが、入ってなかったら、いま局長は五十六年をおっしゃいましたね。二千四百七十人、こんなにたくさんおるとは知らなかったんだけれども、過去五年間ぐらいの強制退去された者の数、これはおわかりになるようでしたら当委員会に資料として提出していただけますか。それから国籍別とか。
  67. 大鷹弘

    政府委員(大鷹弘君) ただいま寺田委員から御要請のありました資料は、できるだけ整えまして提出させていただきます。
  68. 寺田熊雄

    ○寺田熊雄君 これは私は朝鮮の人々が一番多いかと思ったら、中国が一番多いんですね、八百二十五人。これはどういう事情によるんですか。
  69. 大鷹弘

    政府委員(大鷹弘君) 現在、入管当局といたしまして非常に頭が痛い問題の一つ、これはもう当然不法入国者の発見、摘発でございますけれども、そのほかに、最近の非常に注目すべき現象といたしまして、資格外活動というものがあるわけでございます。  資格外活動と申しますのは、たとえば観光ビザで容易に日本に入国しました後、キャバレーのホステスをするとか、そういう風俗営業に従事している人たちでございます。こういう資格外活動に従事しているのは大部分が東南アジアから渡航してきている女性でございますけれども、なかんずく、その中でも中国フィリピン、それにタイ、こういうところの出身の女性が多いわけでございます。  したがいまして、この中国フィリピン、かなり人数が多いのでございますけれども、これはいずれもそういった資格外活動によって摘発されて強制退去された者が大部分であると御理解いただいて結構じゃないかと思います。
  70. 寺田熊雄

    ○寺田熊雄君 そうすると、ちょっとわからないのは、いま局長の言われた中国人というのは、中国本土の人ですか、それとも台湾でしょうか。
  71. 大鷹弘

    政府委員(大鷹弘君) 台湾出身者でございます。
  72. 寺田熊雄

    ○寺田熊雄君 台湾中国人というふうにおっしゃったのはまことに当然の適切な表現であったと思うんですが、ちょっとやっぱり中国本土というのはあり得ないだろうと思ってお尋ねしたわけです。  それから、現在大村収容所におる者、強制退去の運命にある者、これは一体どのぐらいおるんでしょう。それから国籍別に言ったらどうなのか。  私どもはこの大村収容所というものをやはり一度見る必要があるというふうに思っておりますが、今国会はちょっと日にちが少なくなってそれを見る余裕がないようでありますけれども、これをちょっと御説明いただきたいと思います。
  73. 大鷹弘

    政府委員(大鷹弘君) 現在、大村収容所に収容されております者は全部で五十三名でございます。これはちょうど一週間ほど前、七月の二十一日に韓国出身の不法入国者百二十九名を集団送還したちょうど後なもので人数がかなり減っております。この五十三名のうち韓国籍を有する者が四十五名、それから朝鮮籍を有する者が八名でございます。
  74. 寺田熊雄

    ○寺田熊雄君 それでは先ほどの資料と一緒にそれもやはり出してくださいね。よろしいですな。
  75. 大鷹弘

    政府委員(大鷹弘君) そのように取り計らいます。
  76. 寺田熊雄

    ○寺田熊雄君 いま難民の問題がときどき新聞紙上をにぎわし、私どももまた関心を持つわけですが、これがなかなか希望国に行けない、滞在が長くなる。三カ月以上過ぎますと外国人登録の対象になるということになりますね。一体、外国人登録をしておる難民というのはいまどのぐらいおりますか。
  77. 大鷹弘

    政府委員(大鷹弘君) いわゆる難民の中には二種類のものがございます。一つは、定住難民というものでございまして、これはインドシナ半島からわが国に定住する目的で入国している人たちです。この人たちは全部で大体千八百六十名今日までおりますけれども、それぞれ一年の査証をもらって入国しております。したがいまして、当然この方々はすべて登録の対象になっておりますし、また登録が行われているわけでございます。  もう一つの難民のソースは、いわゆるボートピープルでございます。きょう現在で二千三十一名の者がわが国に滞在しております。この人たちは、上陸いたしますときに百八十日間の上陸許可を得てわが国に入っているわけでございますけれども、九十日以上の滞在になる場合には当然登録の対象になります。非常に幸運な人たちは、その間第三国に出国できるわけでございますけれども、最近は非常に第三国への出国がむずかしくなっておりまして、大部分の人が九十日を超えてわが国に滞在していると、こういう状況でございます。  この二千三十一名のうち、すでに九十日を超えてわが国に滞在して、したがって登録を行った者は約千七百名から千七百五十名ぐらいと私ども承知いたしております。
  78. 寺田熊雄

    ○寺田熊雄君 外国人国民健康保険であるとか国民年金加入しておる者の数とか児童手当、これはやっぱり法務省じゃわかりませんね。これはもしわからなければ次回に厚生省の担当官を呼んでお尋ねすることになるが、それはやっぱり法務省ではちょっと無理でしょうね。どうでしょう。
  79. 大鷹弘

    政府委員(大鷹弘君) その問題につきましては、やはり厚生省の方々が御承知のことだと思います。
  80. 寺田熊雄

    ○寺田熊雄君 また、こういう社会保障の適用が外国人にも延長されたわけですね。そこで、いまの外国人登録の扱いというのは、個人単位になって世帯単位でないので非常に把握しにくいという批判があることは事実ですね。この点局長としては、どういうふうにこれに対処していけばいいとお考えですか。市町村が努力してやればいいんだというお考えか、何らかまたいい方法があるのか、この点どうでしょう。
  81. 大鷹弘

    政府委員(大鷹弘君) ただいま寺田委員がお触れになりました国民健康保険の受給でございますとか、あるいは児童手当を受ける、こういう手続、そのほかにも児童の就学であるとかあるいは就職、こういうときに外国人登録の登録証明書というものの提示が要求されております。ところが、外国人登録証明書というのは常時携帯しなくちゃいけないので、したがってそういうものを提出してしまうわけにいかない。したがいまして、これにかわる便法といたしまして、事実上の問題として登録済証明書というものが市区町村から発給されているわけでございます。  外国人登録は個人単位になっておりますので、こういう登録済証明書の発給なんかに際しましては世帯単位でやる場合が多いので、したがってそういう方向で外国人登録法を改正してもらうわけにいかないかという声があることは私どもも承知しております。しかし、やはり外国人登録というのは個人個人の記録を正確に保管するということが非常に重要でございます。そこで、実際にはその個人個人別になっております登録でも、世帯主であるとか世帯主との関係、そういうものは登録事項に入っておりますので、そういうものをたどっていけば家族全体の状況を把握できる、時間はかかりますけれども、そういうことは不可能ではないということでございます。事実、市区町村の相当な数のところでは、あらかじめそういうことで世帯票というものを作成して、外国人登録原票とは別に世帯ごとのそういうものを持っていらっしゃるようでございます。お手数のかかることではございますけれども、今後そういう方向でこの問題が解決されていくことを私どもは望んでいるわけでございます。
  82. 寺田熊雄

    ○寺田熊雄君 まあ、市町村事務にはそれほど同情がないというような感じですね。  この外国人登録法の運用に当たりまして、一番われわれがこの適用を受ける人々の不満というんですか、それに接するのは、指紋押捺の問題ですね。これについては、これも結局市町村の段階で、市町村職員のその扱い方、ときには言葉遣いというようなものも非常にそれが影響するんでしょうね。これについては、局長としてはどうしてもこの指紋押捺という点は譲れないというお考えなのか、何らか他に便法があれば、たとえば写真であるとかサインであるとか、その当該の外国人の個性というか個別的な特徴、そういうものを把握するに足る何らか他の方法があるのならば、指紋押捺の義務というものはこれは取り去ってもいい、制度的に廃止してもいいというふうにお考えなのか、その点どうでしょう。
  83. 大鷹弘

    政府委員(大鷹弘君) この指紋押捺というのは、登録の正確性を担保する方法としてとられているわけでございます。指紋のほかに写真ということをただいま寺田先生おっしゃいましたけれども、私どもは写真も登録原票の中に貼付しておりますし、登録証明書の中にも張ってあるわけです。しかし、写真というのは、すぐその場で本人と見比べてわかるというそういう利点はございますけれども、たとえば他人のそら似ということもございますし、それから顔かたちは年とともに変わっていくということもございますし、したがって写真は本人を識別するための決め手にはならない。他方におきまして、指紋の場合には万人不同で生涯不変ということで、これは科学的にも同一人性を確認するための確実な方法ということになっているわけでございます。したがいまして、この登録制度のもとにおいて指紋制度というものは私どもはこれは不可欠のものと考えておりまして、これを廃止することは考えておりません。  しかしながら、このたびお諮りいたしておりますこの改正案では、私どもはできるだけ外国人の負担を軽減したいという考えに立っていろいろと改めるべきところをお諮りしているわけでございますが、同時に、それは行政改革と申しますか、財政支出の効率化にもつながるわけでございますけれども、それから市区町村の負担の軽減ということも考えまして、指紋につきましても押捺回数を減らすということを御提案しているわけです。  たとえば、指紋押捺の義務は従来十四歳でございましたけれども、十四歳以上の人は指紋押捺しなくちゃいけなかったものを今後は十六歳以上の人に限る、こういうことも中に入っております。それから、新規の登録あるいは確認登録の場合に毎回四個の指紋を押すことになっております。それは登録原票と登録証明書とそれから登録原紙二枚でございます。これを、登録原紙二枚を一枚減らしまして一枚にするということもお諮りしております。さらに、この確認申請の回数でございますが、今日まで三年に一遍ということになっておりましたのを五年に一遍ということにこれを延ばします。  そういうことを全部合わせますと、この指紋押捺個数というものは非常にいままでに比べまして減ると、こういうことになっているわけでございます。こういう形で外国人、それから市区町村、そういうところの負担の軽減ということを私どもとしてもお図りしているわけでございます。
  84. 寺田熊雄

    ○寺田熊雄君 いま局長は他人のそら似と、こうおっしゃっていたんですけれども、確かにあれは「二都物語」を読むと、本当に似た者がおって、それで一人が他人にかわって、あれは革命のときに刑罰を受けてかわって死ぬというような、非常に何というかおもしろいストーリーでありますね。だから、局長の言うことが全く道理に合わないことだというふうには私は考えないので、そういうことも否定はできないと思います。  ただ、指紋というやつは生涯変わらないわけでしょう。それとも、子供のときの指紋と大きくなって指が大きくなったときの、大人になったときの指紋と変わりますか。もし変わらないものならば一回やったらもうそれでいいんじゃないか、切りかえるときにもう一遍させなくてもいいんじゃないかという、そういう論法もできますね。そういう点、どう考えたらいいんでしょう。
  85. 大鷹弘

    政府委員(大鷹弘君) 指紋はいわゆる登録原票に押していただくと同時に、登録証明書にも押していただくわけです。登録原票に対する指紋の押捺というのは、新規登録については確認申請のたびごとにやっていただくわけです。従来は三年でございましたけれども、今度五年に一回ということになります。このときには、やはり市区町村に出頭した外国人が、その市区町村の担当者の目の前でこの原票に一々押していただく、そして同時に登録証明書にも押していただく、こうすることによって登録の正確性というものが確保されるわけでございます。  登録原票に、ではなぜ毎回押さなくちゃいけないかというと、それはいわゆる登録にあらわれている人が毎回同じ人物であるということを確認するためであります。つまり、人の入れかわりといべものがその間に生じないようにしたい。それから、登録証明書は三年に一遍あるいは今後は五年に一遍になりますけれども、確認申請のたびごとに切りかえて新しいものが手交される、したがってそれも押していただく。  したがいまして、こういうことで確認申請のたびごとに登録原票と登録証明書の両方について市区町村の係官の前で指紋を押していただくということがどうしても必要と私ども考えておるわけでございます。
  86. 寺田熊雄

    ○寺田熊雄君 なるほど、こういう制度を実施なさる方のそういう御認識というか、それなりにやっぱり理論というものをお持ちになっていらっしゃるようで、きょうはそういうふうに承って、またさらにお尋ねをすることにしたいと思います。  これについては、いろいろ適用を受ける人々の団体、それから登録事務を担当しておる者の団体、それぞれにいろいろな希望があるようですね。これは時間がきょうはないので、またさらに次回の質問の際にいろいろお尋ねしたいと思うんだが、ただ登録事務全国連絡協議会ですか、そういうものが、これは年齢を、今度十六歳というふうになさったけれども、さらに十八ないし二十歳に引き上げてもいいんじゃないかというふうな意見を持っておるようですね。その点はどんなふうにお考えでしょうか。
  87. 大鷹弘

    政府委員(大鷹弘君) 登録事務全国協議会は、指紋に関しましては指紋押捺回数をできるだけ減らしてほしいという、そういうことを要請しておられます。それにつきましては、先ほど申し上げましたように、今度の改正案でかなり指紋押捺の個数は減るということになっておるわけでございます。  そのほかに、ただいま寺田委員がおっしゃいましたように、この協議会では、各種の義務年齢を十四歳から十八歳とか、そういうところに引き上げてはどうかということも提案しておられます。これにつきましては私どもも十分検討いたしたのでございますけれども、やはり十六歳が妥当ではないかという結論に達しました。  その理由は何であるかということでございますが、従来は十四歳でございました。これは刑事責任能力ということが一つの根拠になっておるわけでございますけれども、その後、登録制度も定着いたしましたし、できるだけ外国人の負担を軽減するということで、どのくらいまでこれを緩和できるかということについて検討したわけです。その結果、十六歳以下の人たちにつきましてはほとんどこれは親の監督、保護のもとに生活している。ちょうどこの年齢というのは、わが国におきましては義務教育年齢にも当たりますし、大体親の監督、保護のもとで暮らしている。ところが、十六歳を過ぎますと、ある程度独立した行動をとるようになる、その範囲が非常に広がる、独立した社会生活を営むようになる、こういうことが言えようかと思います。  そこで、その例といたしまして、いろんな法律でも十六歳を基準にして決めているものがございます。たとえば深夜業につきましては、十六歳以下についてはこれは労働基準法でも禁止されておりますけれども、十六歳になるとこれも認められる。それから二輪車でございますね、バイクでございますが、バイクの免許も十六歳ということが基準になっている。こういう国内的ないろんな制度がそういうことになっている面もございますけれども、さらに私どもとして非常に重く見ましたのは、国際的に一体どの年齢をもって独立した社会生活を営むと一般的に考えられているだろうかという点でございます。  それにつきまして各国の法制にわたってみましたところ、たとえば、一、二の例だけを申し上げますけれども、フランスでは十六歳になると登録義務、それから滞在許可証の所持義務、こういうものが課せられておりますし、それから西独でも十六歳を境にして、十六歳以上の人につきましては、氏名とかそれからその他身体的な特徴をあらわしました写真とか、そういうものを張った身分証明書というものが発給される。さらに国際条約について見ますと、国際民間航空条約――ICAOという条約がございます。一九八〇年七月にここが出しました勧告がございます。このICAOの条約の第九附属書の修正第八版というものだそうでございますけれども、ここでは十六歳以下の子女につきましては両親の旅券に併記してはどうかということが勧告されているわけでございます。  実際、国際的な人間の交流を見てみましても、十六歳になると単独で正規の出入国をする人も大分ふえてきておるようでございます。また、正規だけじゃなくて不法入国についてちょっと申し上げますと、不法入国者のいろんな統計を私ども調べてみましたところ、十六歳以上の人たちが全体の不法入国者の中で占める比率というのは相当高いものがございます。  そういうこともございまして、私どもといたしましては、十六歳という年齢がこの際引き上げの限度であるというふうに考えているわけでございます。
  88. 寺田熊雄

    ○寺田熊雄君 きょうはこの程度にします。
  89. 小平芳平

    ○小平芳平君 いま御質問のあった指紋の続きを若干質問したいと思います。  まず、指紋の保存の必要からすれば登録原票だけでやれるのではないか。いかがですか。
  90. 大鷹弘

    政府委員(大鷹弘君) 新規登録あるいは確認登録、いろいろな場合にも登録の場合には登録証明書というものが交付されます。この登録証明書は、これを所持する人間が本当に登録原票に登録されている人と同じ人物であるかということを確認する必要がございます。この正確さを担保する最後の決め手というのは指紋しかないということで、したがいまして登録証明書につきましてもやはり指紋の押捺は必要であると私ども考えております。  なお、指紋原紙につきましては、これは法務省で保管しているわけでございますけれども、ただいまの登録原票、こういうものは市区町村で保管されているわけです。ところが、いわゆる二重登録というものがあり得るわけです。ある市町村でも登録し、ほかのところでも登録しているというような場合でございます。こういうものは法務省に写票というものを持って、そうしてそれをチェックする。これは市区町村ではできないわけで、やはりこれは全体のデータを持っているところがやらなければならない。法務省でも最終的にそこの同一人性を確認するために、指紋というものをよりどころにしなくちゃならない場合がある。したがいまして、この原票だけじゃなくて登録証明書とそれから指紋原紙、これにも押していただかなければならないと、こういう仕組みになっているわけでございます。
  91. 小平芳平

    ○小平芳平君 その指紋原紙ですが、現行法では二葉つくることになっております。現実には一葉にして実施しているということでありますが、これはどこに保管されておりますか。
  92. 大鷹弘

    政府委員(大鷹弘君) 現在、指紋原紙は二葉ということになっておりますが、実際の運用、これは外国人に対する負担の軽減とかいろんなことから暫定的に一葉にしております。この一葉の分を、運用で実際とってないものにつきまして、今度の改正案で法律的にもこれはとらないことにしてはどうかということでお諮りしているわけです。  この分は、都道府県が保管している分でございます。都道府県は、主務大臣でございます法務大臣の指揮のもとで市区町村を中間者の立場で指揮監督することになっております。しかし、だんだん市区町村の登録事務に対するなれも深まってきましたので、したがって昨年、都道府県につきましては登録写票の保管をやめるということ等国会にお諮りして御承認をいただいております。これの一環といたしまして指紋原紙も都道府県はもう保管しなくていいというふうに考えて、現在運用で一枚減らしております分を法制的にもはっきり決めていただくと、こういうことになるわけでございます。
  93. 小平芳平

    ○小平芳平君 したがいまして、指紋原紙は法務省に保管されるということになりますか。
  94. 大鷹弘

    政府委員(大鷹弘君) そのとおりでございます。
  95. 小平芳平

    ○小平芳平君 そこで、県には何が今後保管されることになりますか。それから、その保管の期間はどのくらいの期間保管することになりますか。  それから、法務省には何と何が保管されることになりますか。その保管の期間はどのくらいの長さになりますか。  それから、市町村には何が保管されますか。その保管の期間はいかがでしょうか。
  96. 大鷹弘

    政府委員(大鷹弘君) まず、御質問都道府県が保管するものでございますけれども、先ほど申し上げましたとおり、従来は都道府県は登録写票、これは市区町村が持っております登録原票の写しでございますけれども、これを保管することになっておりました。ところが、昨年の五十六年の第九十五回の国会で、私どもはこの都道府県の登録写票を廃止するということをお諮りしてお認めいただいているわけです。それから、今度は指紋原紙も保管しないことになります。したがいまして、都道府県が保管しなくちゃいけないものは何もないわけでございます。  もちろん、たとえば変更登録でございますとか、いろんなそういう市区町村から法務大臣に報告されますものは、すべて都道府県を経由して来ます。経由でございますので、これは何も都道府県の方で写しをおとりになる必要はないのでございますけれども、実際の事務上、それのコピーを持っていた方がいいのじゃないかということで、事実上、都道府県でそういう写しをとっていらっしゃるところもあるようでございます。しかし、法制的には、都道府県が保管すべき資料は何もないわけでございます。  それから、法務省でございますけれども、法務省につきましては登録の写票を保管いたしております。それから、先ほど申しましたとおり指紋原紙、この二つを保管しております。この保管の期間でございますけれども、これは無期限ということで、ずっと保管するということになっているわけでございます。  市区町村について申し上げますと、登録原票、これが中核でございまして、これが市区町村が保管しなくてはいけない登録関係の資料でございます。これも保管の期限については定めがございません。無期限でございます。
  97. 小平芳平

    ○小平芳平君 ちょっといまはっきりしなかったんですが、法務省には写票と指紋原紙とおっしゃったですか。  もう一回お尋ねしたい点は、従来保管していたものが県にはあるわけですが、これからはいま御説明のように、何も保管しなくてよくなるという御説明があったわけですが、この従来保管していたものはそのまま持っていくわけでしょうか、永久に。  それから、法務省で永久にとおっしゃいますが、全国のものが法務省に保管されて、ふえこそすれ減ることはないわけですから、永久にとなりますと、そういうことが可能なんでしょうか、どうでしょうか。
  98. 大鷹弘

    政府委員(大鷹弘君) 都道府県が保管しておりました写票、これは今度保管が廃止になりましたので、したがって都道府県としてはこれを廃棄してもいいということになっております。ただし、実際問題としては、都道府県の方ではやはり市区町村を監督する立場にあるから、したがって持っていた方がいいのじゃないかということをお考えですぐには廃棄しない、そういうところもあるかもしれません。しかし、法律のたてまえといたしましては、もうそういうものはもはや廃棄してもいい、こういうことになっておりまして、都道府県にもそういうふうに通知してあるわけです。  それから、法務省で保管いたします写票、それからその他指紋原紙、こういうものも確かに相当な数になります。これはまた保管の期限というものがございません。しかし、たとえば登録の対象になっている人が日本を出国してもう帰ってこない、あるいはその人がもう亡くなったというときには、これは登録写票とかそういうものを持っている意味がなくなりますから、したがってこれはその場合にはもう保管をやめる、廃棄すると、こういうことになっているわけでございます。
  99. 小平芳平

    ○小平芳平君 法務省では整理がつくわけでしょうか。どういう方が亡くなった、したがってこのカードはもう必要ないと、整理が十分つくんでしょうね。  それから、そのためには何人の係の人がやっているんですか。
  100. 大鷹弘

    政府委員(大鷹弘君) 登録されている人が死んだとか、あるいは出国してしまったという場合には、当然市区町村から都道府県を経由して法務省に報告がございます。したがって、それは即座に私どもの方で把握できることになっております。  それから、確かに登録写票の数は非常に多いのでございまして、この事務を整理したり、それからそれに基づいて照会に答えたりする事務というものは非常に多いわけです。これに当たっております職員の数は三十名ほどでございます。しかし、これもなかなか大変なことでございますので、私どもといたしましてはできるだけ事務の合理化をやりたいというふうに考えております。  したがいまして、いわゆる電算化を進めております。登録事務の電算化は相当長い間にわたって準備を進めてきましたけれども、五十九年度からこれを本番稼働するということで、現在いろんなデータのインプット、入力をやっている最中でございます。これによって、相当そういう法務省における登録関係の事務が効率化されることを私どもは期待しているわけです。
  101. 小平芳平

    ○小平芳平君 電算化され、また現在スムーズにその事務が処理されていけばそれでよろしいかと思いますが、たとえば写票にしましても、従来は三年ごとに来るわけですね。特に永住している方の分なんかは、三年ごとにどんどん来るわけです。それは廃棄できないわけですね。要するに亡くなるか、永住権を持っていらっしゃる方が出ていくということはないでしょうから、出国するということはないでしょうからね。それで、今後は五年ごとにどんどんたまっていくわけです。ですから、そうまでしなくちゃならないのかというような感じもいたしますが、いかがですか。
  102. 大鷹弘

    政府委員(大鷹弘君) ただいまの御質問につきましては、三年ごとに確認申請を受け付けております。確認を行っております。それから、その他変更があればそのたびごとに届けてもらっているわけです。しかし、これはそのたびごとに写票とか、あるいは原票というものがふえるわけじゃなくて、原票の中に変更された部分を書き込む、確認の結果何も変わったことがなければそのままということでございまして、したがって書類の量がふえるということではないわけでございます。同じことが法務省の写票についても言えるわけでございます。  したがいまして、確認とかあるいは変更、こういうもののたびごとに原票あるいは写票の数がふえていって、そしてこれは非常に大変なことになるのじゃないかというような御心配でございますが、そういうことはないわけでございます。
  103. 小平芳平

    ○小平芳平君 よくわからないですが、登録原票は市町村で永久に保管いたしますですね。それから登録写票が、これは法務省にも保管されるわけですね。これも、登録写票というのは一回しか来ないわけですか。
  104. 大鷹弘

    政府委員(大鷹弘君) ただいま小平委員がお手持ちの登録原票、それから登録写票、まあ登録写票の方が登録原票よりは大分簡単なものになっております。この登録原票というのは、一枚法務省で保管されておりまして、あとは確認であるとか変更あるいは訂正、もうそのたびごとにこの登録写票の中を書きかえるわけでございまして、したがって登録写票自身はずっと長期間にわたってその同じものが法務省に保管される、こういうことになっているわけです。
  105. 小平芳平

    ○小平芳平君 そうしますと、三年ごとの確認をこれからは五年ごとにしようという改正ですが、そのときに出す書類は法務省へは来ないわけですか。
  106. 大鷹弘

    政府委員(大鷹弘君) 外国人は従来三年ごと、これから五年ごとに確認申請をするわけでございますけれども、その確認の申請がありましたら、市区町村では原票と照合いたします。多くの方々はその場で、特に従来と変わったことがないということで済むのだろうと思いますが、変更があった場合にはその場で登録原票の中に書き加えられるわけです。その事実が法務省に報告されてくるわけでございまして、その確認のたびごとに新しい書類ができてその書類の写しが法務省に来る、こういうことにはなってないわけです。
  107. 小平芳平

    ○小平芳平君 わかりました。  それから、三年を五年にした理由、それから十四歳を十六歳にした理由はさっき御説明がありましたんですが、これはどうなんでしょう。
  108. 大鷹弘

    政府委員(大鷹弘君) 私どもといたしましては、今度この改正案をお諮りするに際しまして、登録制度基本、基盤というものは維持しつつ、できるだけ外国人の負担の軽減を図りたいというふうに考えたわけです。その一環といたしまして、確認申請期間につきましてもこれを延ばすことができないかと、その可能性について検討いたしました。  ところが、わが国におります長期在留外国人、これは朝鮮半島出身者の方が八割以上を占めているわけですけれども、この方々の場合にはいろいろ変更登録も年間五十万件もございますし、それから変更だけじゃなくて訂正というものが、これは氏名から生年月日、こういうものにも関するものがあるのでございますけれども、年間二万五千件もございます。そういうことで非常にいろんな変動がある、そういう状況でございますので、どの程度これを延ばすことができるかということについては慎重に配慮いたしまして、結局三年から五年ぐらいに延ばしても登録の正確性について万全を期することができる、こういう判断に達したわけでございます。  同時に、確認申請をいたしますときには、登録証明書の切りかえ交付が行われるわけでございますけれども、この五年という期間を考えるに至りましたときには、登録証明書の耐用年数についても考えたわけです。登録証明書というのは写真が貼付してございますけれども、この写真も五年以上になりますと非常に古くなります。所持人の顔かたちも変わってくる可能性もありますし、それから登録証明書自身が非常に傷んでくる。登録証明書の耐用年数という視点から見ましても五年が限度ではないかという、そういうことで、したがって結局、確認申請期間につきましては三年から五年に延ばすのが限度と、こういう結論に達したわけでございます。
  109. 小平芳平

    ○小平芳平君 そこで、またひとつお尋ねしたいことは、日本で生まれた子供さんは、出生届から始まって十六歳に至るまでに何回届け出ることになりますか。十六歳になったら指紋原紙もつくり同じようにやらなくちゃいけませんでしょうが、生まれてから十六歳になるまではどういうふうになりますか。
  110. 大鷹弘

    政府委員(大鷹弘君) 従来は、生まれますと、生まれてから六十日以内に新規登録というものをいたします。そしてその後、三年に一遍、そういう方々につきましても確認申請というものをやってきたわけでございます。ところが、今度私どもの改正案では、十六歳以下の方につきましては新規登録の後、確認申請をしなくてもいいということにいたしました。したがいまして、従来は新規登録から三年ごとですから、十四歳になるまでには何回か登録の機会があったわけでございますけれども、今度は十六歳まで、新規登録以外には一切確認のための申請登録はもう必要なくなった、そういうことでございます。
  111. 小平芳平

    ○小平芳平君 それで、先ほど寺田理事から御質問があった、余りはっきりした御返事もなかったですが、指紋は変わらないわけですか。  それから、十六歳になったときに指紋を届ければいいということになりますでしょうが、その生まれた赤ちゃんが十六歳になって、といっても、先ほどの話のように、それは信用できないというようなことも起きてきませんですか。
  112. 大鷹弘

    政府委員(大鷹弘君) 先ほど寺田委員の御質問に直接お答えしなかったかもしれませんが、指紋につきましては万人不同、だれも皆違う、それから生涯不変ということで、赤ちゃんからその後指紋は一切変わらないというそういう特性があるわけでございます。  従来は、現行法では、十四歳になりますと指紋を押捺する義務が生ずる、こういうことになっておりますが、これからは十六歳になって初めて指紋の押捺義務が生ずる、こういうふうに改正したわけでございます。これも、先ほどの十六歳になるまでは確認申請をしなくてもいいということとあわせて、在留外国人の負担をできるだけ軽減したいという私どもの考えの一環でございます。
  113. 小平芳平

    ○小平芳平君 ですから、外国人登録をしている方の家庭赤ちゃんが生まれた場合、そういうこととは別に児童手当年金等の届けには必要であるかもしれませんが、とにかく十六歳までは一切書類は必要ない。それで、十六歳からは指紋写真もその他必要になりますということで大丈夫でしょうかねという、これは実際扱っている人の話ですがね。私がそう必ずしも考えておるわけでもないわけですが、いかがでしょうか。
  114. 大鷹弘

    政府委員(大鷹弘君) 外国人赤ちゃんが生まれたときには、これは当然その赤ちゃんにつきまして新規登録というものが行われます。したがって、私どもとしてはそういう赤ちゃん存在するということは把握できるわけです。ただ、その赤ちゃんにつきましては、現行法でも指紋をその際押捺する義務は課しておりませんし、十四歳になるまでは指紋を押さなくてもいいということになっていたわけです。現行法におきましても、赤ちゃんが生まれたときにはこれは新規登録してもらいますけれども、指紋の押捺は十六歳までやらなくていい、こういう関係になります。  なお、先ほども先生おっしゃいましたとおり、確認につきましては、従来赤ちゃんが新規登録した後三年ごとに、これは代理申請が認められておりますけれども、確認申請をしなくちゃいけなかったものを、今度の新しい改正案では十六歳までそれもしなくていいということにしているわけです。  それから、赤ちゃんにつきましては新規登録してもらいますけれども、その後確認申請、それから指紋について申し上げましたけれども、登録証明書の携帯義務につきましても、従来は十四歳までは携帯しなくてもいいということになっておりましたものを、今度は十六歳に引き上げる。これはいずれも生まれたときには登録してもらいますけれども、その赤ちゃんが十四歳なり十六歳――今度は十六歳でございますが、になるまでは大体親元に一緒に暮らして、独立した社会生活あるいは独立した行動をとるということはもうない、非常にまれであるということから、いま申し上げましたようなそういうふうな制度になっているわけでございます。
  115. 小平芳平

    ○小平芳平君 先ほども御質問がありましたが、生まれた赤ちゃんが外人登録をします。その外人登録が従来は三年ごとに確認されてきたが、これからはそれはなくなる、どうしてなくなるか、どうもその意味がよくわからないんですが、とにかく三年ごとの確認はなくなる。しかし国年、国保等の社会保障の関係が入ってきますから、家族単位の方がむしろ必要性が起きてくるわけです。そういう必要が起きてきたら、法務省とは関係なしに、法律とは関係なしに地方自治体で必要なことをやってくれればそれでいいんだというような先ほどの答弁でしたが、そういうことなんでしょうか。  それから、切りかえ確認を、たとえば生まれた月に統一してほしいというようなことですね、これも要望としては出ていることなんだというふうに伺いましたが、これについてはいかがでしょうか。
  116. 大鷹弘

    政府委員(大鷹弘君) 外国人が出生したしますと、その段階で登録をしてもらいますが、その後確認申請は十六歳になるまでは必要ないと、こういうことで大丈夫かというお話でございますけれども、私どもといたしましては、こういう人たちは両親の保護のもとに暮らしているので、その両親が確認申請をきちんきちんとやっていただいている限りは、そういう方々については特に確認申請をやっていただく必要はないということで、今度の改正案にもそういう趣旨を盛り込んだわけでございます。これは、その外国人である本人にとりましても、また市区町村にとりましても負担の軽減になるという、そういう面があるわけでございます。  それから、家族単位のことでございますけれども、登録というのは何と申しましても在留外国人の公正な管理に資するためで、これは外国人個人個人を単位としてやらざるを得ないわけです。しかし最近、外国人登録というものがいろんな給付行政に連なる面が出てきております。それは先ほど寺田委員が御指摘になりましたように、国民健康保険であるとかいろんなそういう社会保障、それから児童手当を含めましてそういう社会保障、それから証明事務でありますとか、あるいは就職、それから入学のときの手続、それから許認可事務、いろんな面で外国人登録というものが利用される範囲が広がってきている、こういう面もございます。  そこで、家族単位になっている方が把握しやすいという面はございますけれども、これはどこまでも登録制度の一面でございまして、私どもといたしましては、在留外国人の公正な管理のために登録制度があると。これはたとえば、先ほど来話題になっております不法入国者、不法残留者の摘発というそういう規制的な面もあるわけでございまして、したがいまして給付行政の面だけで家族単位にするということは、これはなかなかむずかしいことでございます。  赤ちゃんが生まれて、それが登録されている。その人は十六歳になるまで確認申請ございませんけれども、しかしその人の世帯主であるとか、いろんなそういうものは登録事項として入っておりますから、したがってそういう家族についてのトレースは、これは登録を通じてもできるわけでございます。これはやや時間のかかる、手間のかかることではあるかもしれませんけれども、家族単位になっていなくても一応それは突きとめることができると、こういうことになっております。  市区町村によりましてはあらかじめ、そういう必要が起きた場合にやっているのでは時間がかかるから、自分たちで自発的に世帯票というものをつくって準備していらっしゃるところがあるようでございますけれども、これは大変ありがたいことだと思っております。私どもといたしましては、そういうことで実際に対応していただくというのが一番いいのじゃないかというふうに考えているわけです。  それから、小平委員の最後の質問にお答え申し上げますと、確認申請を外国人の生年月日に合わせてやったらどうか、こういうことでございますけれども、従来は、いまから三十年前、たとえば昭和二十七年に初めて外国人登録法ができましたその当時はいわゆる一斉登録ということになっておりまして、ある決められた期間外国人が全部一斉に登録しなくちゃいけない、そういうことでございました。ところが、その後三十年の時間が経過したしまして、その間生まれた人というものは相当な数になっております。  したがって、非常に正確な統計は私どもの手持ちにございませんけれども、現在の長期在留外国人の約半分は昭和二十七年以降に生まれた人たちでございます。こういう人につきましては三年ごとの確認申請、出生のときに登録がされて、それからその後三年ごとに確認申請がございますけれども、実際上これは生年月日に合わせて確認申請が行われてきているわけです。したがって、現在の現状におきましては、約半分の人が事実上生年月日に合わせた確認申請ということになっているというふうに御理解いただきたいと思います。私どもといたしましては、年月がたつにつれましてだんだんそういう人もふえてくるわけでございますので、この段階で確認申請期間をすべて生年月日に合わせる必要はない、こういうふうに考えているわけでございます。
  117. 小平芳平

    ○小平芳平君 もう一度指紋のことで伺いたいですが、指紋原紙あるいは登録原票に指紋を押しておくということは、何の目的で押して、そして永久に保管をしておかれますか。考えられる目的を全部挙げてみていただきたい。
  118. 大鷹弘

    政府委員(大鷹弘君) 登録原票それから登録証明書になぜ指紋を押さなくちゃならないかということでございますが、これは登録の一貫性、正確性を確保するためである。  では、具体的にそれは何を意味するのかということでございますが、三十年前、終戦後平和条約が発効いたしますそのころはいわゆる戦後の混乱期でございまして、非常に多くの不法入国者もございましたし、それから登録証明書の不正発給、それから登録証明書の変造偽造、これはもう大変な数に上ったわけです。そういうものはすべて不法入国者に利用される、そういう面がございました。そこで、何とか正確な登録を維持したいということで、昭和二十二年に初めて登録令というものができて登録が始まったわけでございますけれども、二年後に一斉切りかえをやるというようなこともやりました。ところが、一斉切りかえをやった直後は正確になってそして登録の人員というものも大分減っているのですけれども、その後またすぐふえてしまう。非常に当時入管当局といたしましては頭を痛めまして、何とか正確な登録を確保するために方法はないかということで、結局指紋制度を導入したわけでございます。  この指紋が導入されますと、その直後は登録証明書の不正発給、偽造変造がぱたりとなくなりました。非常にまれでございます。現に私ども、最近、たとえば昨年摘発されました不法入国者について調べてみましたところ、少数の者が登録証明書を不正に所持しているわけですけれども、その中に指紋の入ったものは一つもございません。つまり、指紋の入っているものはもはや彼らにとっては偽造変造も不正所持もできない、そういうことになっているわけです。したがって、私どもといたしましては、そういうことで登録原票に指紋を押してもらうことによってその本人の同一人性を確認するとともに、登録証明書にも指紋を押していただいて、その人が登録原票に登録されている人と同じ人物であるということを確認する。この制度は結局、登録証明書の不正発給、それから変造偽造、こういうものを防止するためにはぜひ必要であると考えております。  この制度をなくしますと、恐らく、現在も不法入国者は後を絶っておりませんけれども、こういう不法入国者に悪用される現象がすぐに出てくるだろうと私どもは恐れているわけです。
  119. 小平芳平

    ○小平芳平君 したがいまして、犯罪捜査にこの指紋が活用されるようなことはないのか、またあり得るのかということですね。  それから、指紋は各人全部違っている、しかも永久に変わらないということが先ほど御答弁があったんですが、それにしても判別困難な指紋が出てきはしないか。一目で見て、ああこれは同一人だ、これは別人だというふうに一目で断定できるような例ばかりなのかどうか。また、そういう鑑識するような装置を入管はお持ちなのかどうか。いかがでしょうか。
  120. 當別當季正

    ○説明員(當別當季正君) ただいま御質問のありました事項のうち、前段の外国人登録に当たって市区町村窓口で採取する指紋犯罪捜査のために利用されるかどうかという点についてお答え申し上げます。  先ほど来政府委員の方から御答弁申し上げておりますとおり、外国人登録法上の指紋というのは、あくまでも、一言で言いますならば外国人の登録秩序を保持するために指紋を必要不可欠というふうに考えておるわけでございます。直接犯罪捜査目的としておるわけではございません。過般、衆議院法務委員会においても、外国人登録法上採取しておる指紋犯罪捜査への利用の有無という御質問があったわけでございますが、そのときにもお答え申し上げましたように、犯罪捜査目的外国人登録法上の指紋を採取するものではないということは明確に御答弁申し上げておるわけでございます。  ただ、ここで敷衍してお答え申し上げておきますと、犯罪捜査のために外国人登録法上の指紋を利用しないということは、平易な言葉で申さしていただきますと、捜査のために指紋が最も活用される犯人の割り出しのために登録法上の指紋使用しないという趣旨でございます。これはどういうことかといいますと、たとえば殺人の犯行現場あるいは窃盗の犯行現場から犯人の指紋が採取された、しかしそれ以外に証拠はない、この指紋によって犯人を捜したい、その場合に外国人登録法上市区町村が採取しております指紋が活用できないかということなのでございますが、そういう目的のために法務省入国管理局といたしましては指紋を活用することはしないという趣旨でございます。  また、現に外国人登録法十四条によりますと、「指紋について必要な事項は、政令で定める。」ということになっておりまして、この規定を受けて外国人登録法指紋に関する政令というのがあるわけでございますが、これによりまして指紋というのは左手の人さし指の指紋を採取すれば足りるのだということになっておるわけでございます。したがいまして、十指指紋を採取しておるのであれば格別、左手の人さし指の指紋だけを登録法上は採取しておるわけでございますから、事実上、指紋による犯人割り出しということには活用できないわけでございます。  現に私どもの運用といたしましても、指紋犯罪捜査のために活用するのであれば、私、指紋専門家でございませんので詳しいことはわかりませんが、指紋には甲種蹄状紋とか乙種蹄状紋とかいろいろな種類があるわけでございますが、その種類別に完全に指紋を分類しておきませんと指紋による犯人割り出しということはできないわけでございますが、私どもは一切そういうことはやっておりません。いま申し上げましたような趣旨を明確にするために、私どもといたしましては市区町村に通達を発しまして、特定の指紋に基づいてそれがだれの指紋であるかという照会に対しては回答しないでもらいたいということを徹底しておるわけでございます。  ただ、例外がございまして、それでは外国人登録法上の指紋は一切犯罪捜査のために使わないのかというと、例外がございます。それはどういうことかと申し上げますと、先ほど来申し上げておりますとおり、外国人登録法上の秩序保持のために指紋をとっておるわけでございますから、したがって登録法上の秩序を犯した者、例を挙げて申し上げますと、二重の登録をした者、あるいは他人の登録証明書を譲り受けて写真を張りかえて、刑法上で言いますと公文書偽造ということになるわけでございますが、あるいは自己の外国人登録証明書を密入国者に譲渡する、これも登録法上罰則があるわけでございますが、こういう登録法上の秩序をみずから乱した犯罪、これはこの登録法上採取した指紋を活用しませんと捜査もできませんし、また秩序保持のための指紋採取でございます。そういう際には指紋使用しておるわけでございます。  それからもう一点、刑事訴訟法百九十七条第二項という規定がございまして、この規定には、捜査機関は官公署に照会して必要な事項の報告を求めることができるという規定がございます。これに基づいて外国人登録法上の指紋に基づく各種の照会がなされるということが予測されますので、先ほど御説明申し上げました市区町村に対する通達によりまして、犯罪捜査機関からの照会であっても、犯罪捜査それ自体に用いられるものであっては回答しないように、ただ、犯人がもう特定できた、しかしその犯人の身分事項を特定するための生年月日はいつだとか、あるいは国籍はどこだという身分事項を特定するだけの照会であれば、指紋によらないその他の記載事項によって回答するようにというような措置をとっておるわけでございます。  以上が、外国人登録法上の指紋捜査との関係でございます。  後段で御質問いただきました、一見して判別容易な指紋を採取しておるかという点でございますが、この点は先ほど御説明申し上げました指紋に関する政令の第二条によりまして、第一関節を含む指頭掌側面――指の頭のたなごころの側面ということでございますが、指紋を回転しながら押さなければならないということで、鮮明に指紋が採取できるようにということを規定しておるわけでございますが、さらに外国人指紋押捺規則という法務省令があるわけでございますが、この法務省令によりまして指紋採取の器具は無色のスタンプを使用する、そして指紋押捺器は採取が非常に容易な押捺器を用いるという規定がございますので、こういう各般の法令上の規定によりまして、鮮明に指紋が押捺できるようにという措置をとっておるわけでございます。
  121. 大鷹弘

    政府委員(大鷹弘君) ただいま審議官がお答えしたとおりですけれども、若干小平先生の御質問の点補足して申し上げますと、いま審議官が言いましたとおり、鮮明に指紋押捺規則の上でやることになっております。一つの左の人さし指が不鮮明なときにはほかの指ということになっております。したがって、小平委員がおっしゃいましたように、指紋がはっきりしない場合もあるのじゃないかというような場合は、私どもとしては想定していないわけです。  それじゃ、押捺されました指紋を鑑識するためのいろいろな器械とか道具とか、そういうものを備えているのだろうかという御質問につきましては、そういうものは市区町村は持っておりませんし、それから私どもも使用しておりません。これは、肉眼でこの指紋の照合というものは大体できると私どもは理解しているわけでございます。
  122. 鈴木一弘

    ○委員長(鈴木一弘君) 本案に対する本日の質疑はこの程度にとどめます。     ―――――――――――――
  123. 鈴木一弘

    ○委員長(鈴木一弘君) 参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。  外国人登録法の一部を改正する法律案の審査のため、参考人の出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  124. 鈴木一弘

    ○委員長(鈴木一弘君) 御異議ないと認めます。  なお、その日時及び人選等につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  125. 鈴木一弘

    ○委員長(鈴木一弘君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後一時一分散会      ―――――・―――――