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1982-04-08 第96回国会 参議院 法務委員会 7号 公式Web版

  1. 昭和五十七年四月八日(木曜日)    午前十時四分開会     ―――――――――――――    委員の異動  四月七日     辞任         補欠選任      宮本 顕治君     山中 郁子君     ―――――――――――――   出席者は左のとおり。     委員長         鈴木 一弘君     理 事                 平井 卓志君                 円山 雅也君                 寺田 熊雄君                 小平 芳平君     委 員                 臼井 莊一君                 中西 一郎君                 真鍋 賢二君                 八木 一郎君                 安井  謙君                 小谷  守君                 山中 郁子君                 中山 千夏君    国務大臣        法 務 大 臣  坂田 道太君    政府委員        警察庁長官官房        審議官      鈴木 良一君        法務大臣官房長  筧  榮一君        法務省民事局長  中島 一郎君        法務省刑事局長  前田  宏君    最高裁判所長官代理者        最高裁判所事務        総局総務局長   梅田 晴亮君        最高裁判所事務        総局民事局長兼        最高裁判所事務        総局行政局長   川嵜 義徳君        最高裁判所事務        総局刑事局長   小野 幹雄君    事務局側        常任委員会専門        員        奥村 俊光君    説明員        警察庁刑事局捜        査第二課長    森廣 英一君        自治大臣官房企        画室長      吉住 俊彦君     ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○刑事補償法の一部を改正する法律案内閣提出  ) ○商業登記法の一部を改正する法律案内閣提出  、衆議院送付) ○証人等の被害についての給付に関する法律の一  部を改正する法律案内閣提出、衆議院送付) ○民事訴訟法及び民事調停法の一部を改正する法  律案(内閣提出)     ―――――――――――――
  2. 鈴木一弘

    ○委員長(鈴木一弘君) ただいまから法務委員会を開会いたします。  まず、委員の異動について御報告いたします。  昨七日、宮本顕治君が委員を辞任され、その補欠として山中郁子君が選任されました。     ―――――――――――――
  3. 鈴木一弘

    ○委員長(鈴木一弘君) 刑事補償法の一部を改正する法律案を議題といたします。  前回に引き続き質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  4. 寺田熊雄

    ○寺田熊雄君 最近新聞紙上で、裁判所における競売事件等をめぐる暴力団の活動あるいは暴力事件というようなものがしばしば報道せられるわけであります。現在、私がスクラップしておりますものだけで約五件ほどあるんですが、これは警察の方では、裁判所における競売事件等をめぐる暴力団の活動等についてはどの程度御調査になっておられるか、ちょっとお尋ねしたい。
  5. 森廣英一

    ○説明員(森廣英一君) お答えいたします。  裁判所にかかわりのある暴力団の活動というような形で特に調査をしたことはございませんので、統計的な確たるものがあるわけではございません。また、事件数もさほど多いというふうには認識しておりませんけれども、何せ事案が重要な事件であるということから、私どもといたしましてはこういった事案が許すべからざるものであるという見地から、裁判所当局等とも連絡をいたしまして、法廷で暴力団員が暴れるとか、あるいは競売場におきまして暴力団が関与して競売を妨害するというような情報がある場合には現場に張り込む尊いたしまして、現行犯逮捕を含めて厳重な取り締まりをすると、かような方針でやってまいっております。
  6. 寺田熊雄

    ○寺田熊雄君 これは私は四月三日の朝日新聞で見たんだけれども、横浜の地裁で四月二日に暴力団が暴力で入札を妨害したという事件があったようですが、これはあなた方把握しておられると思うけれども、いまどうなっているか、ちょっと説明していただきたいんです。
  7. 森廣英一

    ○説明員(森廣英一君) 御指摘の事件昭和五十七年四月二日の事案でございますが、横須賀市内の暴力団の組員が、横浜地方裁判所におきまして行われました競売の入札に参加をいたしました不動産業者に対しまして、入札を断念するように迫った上で、同人の肩をこづくなどの暴行を加えたという事案でございます。  かねて横浜地方裁判所で、そのようなたぐいの者が不法行為を働いておるということを裁判所当局からも御連絡をいただいておりました神奈川県警察の係官がすでに現場付近に張り込んでおりまして、即時、同場所で被疑者二名を現行犯として逮捕をいたしまして、目下取り調べ中のところでございます。
  8. 寺田熊雄

    ○寺田熊雄君 それから、昨年の九月四日、大阪高裁の法廷で、これは町の金融業者が原告に暴行を加えた、裁判官にも暴言を吐いたというようなことが報道せられておりますが、これは把握していらっしゃいますか。
  9. 森廣英一

    ○説明員(森廣英一君) この事案は、兵庫県下の暴力団組員が昭和五十六年九月三日、大阪高等裁判所の第九号法廷内において行われておりましたある民事訴訟事件に際しまして、訴訟の相手方のパチンコ店の経営者がかねてから公判になかなか出廷をしないで審理を引き延ばしてきたというふうに思い込みまして、大変憤激しまして、この方の顔を殴打するなどして七日間の傷害を与えたという事案でございます。  大阪府警におきましては、裁判所からの御連絡によりまして九月七日に事件被疑者一名を検挙をいたしておりまして、その後、この被疑者起訴になって、裁判では八万円の罰金という結果になっております。
  10. 寺田熊雄

    ○寺田熊雄君 これは裁判所においてもこういう問題を軽く見ないで、よく警察と連絡をとって、裁判所の構内でいやしくも暴力事件が起きるということのないようによく配意してもらいたいと思いますが、どうですか。
  11. 川嵜義徳

    最高裁判所長官代理者(川嵜義徳君) ただいまお話がありましたとおり、裁判所不動産競売暴力団が介入する事案は残念ながら後を絶ちません。先ほど五件ほどあるというお話でございましたけれども、私どもが承知しているだけでも五十五年で八件、五十六年で二件ございます。  非常に不動産競売、新しい法律ができまして、できる限り一般の人が参加できるような手当てをしているわけでありますけれども、そういうところへ暴力団の介入がありますと、せっかくの法の趣旨が生かされません。したがいまして私どもといたしましては、その暴力団排除の切り札とも言えるかと思いますけれども、新しい期間入札制度を取り入れまして、できる限りそういう暴力団が介入することを排除したいという方向で考えております。  なお、横浜の例でございますけれども、去年の十二月に新聞報道暴力団が介入しているということがわかりました。横浜地裁におきましても警察当局と連絡をとりまして、競売期日には警察のパトロールを依頼している。もちろん裁判所職員競売場の周辺を巡回して、厳重な監視をしているというような実情でございます。
  12. 寺田熊雄

    ○寺田熊雄君 次は、いわゆる警察拘禁法案というか警察留置法案というか、これの提出状況、これはどうなっているかお伺いしたいんだけれども、何か私どもの手元には警察拘禁施設法案というものにちゃんと条文の形式をとったものが届けられておる。この辺は一体どうなっているのか。何か聞くところによると、三月の十二日の閣議に上程されるという話だったのが、三月いっぱいに延びて、またさらに見通しがつかぬというようないろんな憶説が飛び交っているので、この点をひとつはっきりと答弁していただきたい。
  13. 鈴木良一

    政府委員(鈴木良一君) 警察拘禁施設法案という名前、現在私の方では留置施設法案という仮称で鋭意条文の作成作業に入っておるわけでございます。巷間、警察拘禁施設法案ということで言われております内容につきましては、先ほど申しましたように私どもまだ案という段階まで至ってないわけでございまして、私の方ではどういうことになっておるのかという感じでおるわけでございます。そういうことで、警察拘禁施設法案そのものの、これは先ほど申しましたように留置施設法案ということで現在準備を進めておるわけでございますけれども、最初三月の中旬ということで鋭意作業を進めておったわけでございますが、若干いろいろな形で手間取っておりまして予定がずれておるわけでございます。  なお、この法案につきましては、実は監獄法の改正に密接な関連を持っておるわけでございまして、そういうことで、法務省で現在検討されております刑事施設法案と同一歩調をとっていくという形で作業が進められておるわけでございまして、現在そういう意味で法務省と御一緒になりながら関係省庁と鋭意検討、調整を図っておるという段階でございます。
  14. 寺田熊雄

    ○寺田熊雄君 なかなか警察留置場の法的な地位監獄法との関連、これは非常に私どもにとってもむずかしい問題であるばかりでなく、財政的にも何かややこしいものがある。私どもの聞いているところでは、警視正以上の人件費は国が負担する。そこに至るまでの職員の人件費は都道府県が負担をする。それからそういう施設の維持管理、これは都道府県が負担をするが国からの補助金もある。そこに拘禁された者の食糧費は法務省から支給される。つまり国が負担をする。管理費もまたしかり。そういういろいろな経費の負担区分があるというようなことも聞いておるんですが、大体そう伺ってよろしいですか。
  15. 鈴木良一

    政府委員(鈴木良一君) 現在の留置施設に関します費用の関係でございますが、ただいまお話ございました大体そういう形でございますが、もう少し詳しく申しますと、まず人件費の問題につきましては、警察法では原則として警視正以上、地方警務官と申しておりますが、地方警務官の人件費は、都道府県警察に勤務しておる者でございますけれども、これは国が負担をするという形になっております。それから、その他の職員の中でも、現実に都道府県の仕事をしておりますが、たとえば通信職員というものはこれは国家公務員という形で国が負担する、こういったてまえになっておりまして、その他の職員につきましては原則として都道府県が負担する、こういう形で警察法上分けられておるものでございます。  それから、施設費でございますが、これは原則といたしまして都道府県が負担をいたしまして、そうしてその費用の二分の一につきまして国が補助をしておる、こういうふうな形になっておるわけでございます。留置場は主として警察本部あるいは警察署に設けられておりますので、その警察署等の建物と一緒になって留置場がつくられるわけでございますが、そのうちの二分の一が国が補助をしておると、こういったてまえになっております。  それから、食糧費その他の関係でございますけれども、これにつきましては、実は勾留前の被疑者勾留後の被疑者との負担が違っております。勾留前の被疑者につきましては、これは原則といたしまして都道府県が負担をいたしまして、その他がかる経費につきましては国が二分の一を補助するといったてまえになっております。それから、勾留後の者につきましては、これは先ほど先生おっしゃられましたとおり食糧費その他の管理費につきましては法務省から償還を受けておるという形になっておるわけでございます。
  16. 寺田熊雄

    ○寺田熊雄君 大体わかりましたが、これの法的な整備を図るということになりますと、その内容はともあれ、これは自治省大蔵省等との密接な連絡、意見の一致、こういうものが必要だけれども、自治省はやはり警察庁から協議を受けていらっしゃるのですか。どうですか。
  17. 吉住俊彦

    ○説明員(吉住俊彦君) お尋ねのいわゆる留置施設法案についてでございますけれども、現在までに法務省並びに警察庁の方から概括的な説明をちょうだいいたしまして、その後、私どもとしてどうもわからない点が幾つかございまして、その幾つかの項目につきまして御質問を申し上げているのが現在までの状況でございまして、近日中、その御回答につきまして、また法務省並びに警察庁の方から御説明をいただくことになっております。その結果を踏まえまして、自治省としての公式な意見を表明さしていただく、大体そういう手はずになっているわけでございます。
  18. 寺田熊雄

    ○寺田熊雄君 それじゃ警察の方にお伺いするけれども、その留置施設法案は大体いつごろをめどにこの法案を提出なさるおつもりですか。それで、今国会に間に合うかどうか、その辺はどうです。
  19. 鈴木良一

    政府委員(鈴木良一君) 現在、鋭意折衝中、検討中のところでございまして、ちょっと見通しについて申し上げられる段階ではないわけでございまして、この点、御了承いただきたいと思います。
  20. 寺田熊雄

    ○寺田熊雄君 ちょっと官房長にお伺いするけれども、いま留置施設法案のことをお伺いしたんだけれども、その大もとの法案とも言うべき刑事施設法案、この方は大体いつごろ御提案になるおつもりか、その辺ちょっとお伺いしたい。
  21. 筧榮一

    政府委員(筧榮一君) 監獄法の全面改正案でございます刑事施設法案、仮称でございますが、現在関係省庁と最終的な詰めを行っておるところでございます。なお、傍ら法制局の審査も相当進んでおります。三月中に提出いたしたかったわけでございますが、いろいろ問題がございまして今日まで延び延びになっておりますが、私ども現在の見通しといたしましては、早急に結論を得まして、今国会中と申しますよりは四月の下旬、二十日以降になるかと思いますが、その時点で提出いたしたいと、かように考えております。
  22. 寺田熊雄

    ○寺田熊雄君 商業登記法の問題でお尋ねをしたいけれども、商法の第二十条、二十一条の商号使用差しとめ請求権、これはどの程度法廷に出ているのか、その請求権の行使の状況というのはどの程度なのか、ちょっとこれを最高裁にお伺いしたい。
  23. 川嵜義徳

    最高裁判所長官代理者(川嵜義徳君) 私ども司法統計としていろいろな統計をとっておるのでございますけれども、この商法二十条、二十一条を特に取り出した正式の統計をとっておりませんので、正確なところは申し上げられません。たまたま五十六年度につきましてこの関係の調査をいたしましたことがございますので、その結果を申し上げます。  この商法二十条、二十一条に基づく商号使用差しとめ事件でございますが、地方裁判所訴えが提起されましたもの四件、仮処分申請されましたもの十二件、合計十六件、五十六年度中に訴え、あるいは仮処分の申請がなされております。そういう実情でございます。
  24. 鈴木一弘

    ○委員長(鈴木一弘君) 他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  25. 鈴木一弘

    ○委員長(鈴木一弘君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより討論に入ります。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。――別に御発言もないようですから、これより直ちに採決に入ります。  刑事補償法の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  26. 鈴木一弘

    ○委員長(鈴木一弘君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  27. 鈴木一弘

    ○委員長(鈴木一弘君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ―――――――――――――
  28. 鈴木一弘

    ○委員長(鈴木一弘君) 商業登記法の一部を改正する法律案を議題といたします。  本案の趣旨説明は去る三月三十日の委員会において聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  29. 寺田熊雄

    ○寺田熊雄君 商法第二十一条第二項の「利益ヲ書セラルル虞アル者」、これの範囲がどの程度に及ぶのか、法務省当局の御解釈をちょっと述べていただきたい。
  30. 中島一郎

    政府委員(中島一郎君) この点につきましては、自己の名称を使用されることによりまして利益を害されるおそれのある者というふうに理解をしておるわけでございまして、利益を害される者とは、あるいは収益の減少を招く、あるいは信用の失墜を招くというように、財産または人格について生ずる不利益をいうというふうに理解をいたしております。
  31. 寺田熊雄

    ○寺田熊雄君 この商法の二十条、二十一条の規定と不正競争防止法第一条の二との関連はどうなのか、これをちょっとわかりやすく説明してもらいたいと思います。
  32. 中島一郎

    政府委員(中島一郎君) まず、商法二十条でございますが、これはいわゆる登記商号についての規定であるというふうに言われております。登記商号についての排他的効力というものを規定しておるというふうに言われておるわけでありまして、商号登記をした者が不正の競争をもって自己の登記商号と同一または類似の商号使用している者に対してその使用の差しとめを請求することができるというのが二十条の一項でございます。  この二十条で使用の差しとめの対象となりますのは、同一または類似の商号でありまして、さらに使用の差しとめが認められるためには、自己の登記商号と同一または類似の商号使用しております相手方が不正の競争の目的、すなわち自己の営業をして他人の営業混同、誤認せしめる目的を有するということが必要であるということになっておるわけでございます。  それから、商号使用の差しとめ請求権を行使いたします者は、原則として相手方が不正の競争の目的商号使用しているということを立証しなければならないわけでありますが、同市町村内において同一営業のために他人の登記商号と同一の、または類似の商号使用する者は、不正の競争の目的をもってこれを使用するものと推定されるというのが、二十条の第二項の規定でございます。  次に、二十一条でございますが、二十一条は、営業主体の誤認、混同を生じさせるような商号の不正使用禁止する規定であるというふうに言われておるわけでございます。商号選定に関しましては、いわゆる商号選定自由の原則というものが認められておるわけでありますが、それに対する例外でありまして、この規定は適用範囲が非常に広い。と申しますのは、登記商号に限らないという点が一つございます。未登記商号についても、他人の使用を排斥する権利が認められているというところに特色があるわけでございます。  それから、使用差しとめの対象になりますのは、他人の商号の冒用のみに限らないわけでありまして、広く他人の氏名その他名称を自己の商号として冒用する場合を含むわけであります。  さらに、不正の目的とは、ある名称を自己の商号として使用することにより、世人をして自己の営業を他人の営業と誤認させようとする意図をいうというふうに理解されておるわけでございます。  それから次に、不正競争防止法でございますが、不正競争防止法は、商号登記の有無に関係がないという点では商法の二十一条の規定と同様でございますが、商法の二十条、二十一条と異なりまして、差しとめの相手方に不正競争の目的または不正の目的を有することを立証することが必要でないということになっております。しかし、故意または過失があるというときには損害賠償の対象となるというわけでございます。  以上でございます。
  33. 寺田熊雄

    ○寺田熊雄君 不正競争防止法による差しとめ、それから商法の規定による差しとめ、これは現実にはどっちが多いでしょう。こういう点の調査などなさったことがありますか。調査でなくてもあなた方の見間でよろしいけれども、現実の法規の運用というようなものはどうなっておるのでしょうか。もしおわかりならばお答え願います。
  34. 川嵜義徳

    最高裁判所長官代理者(川嵜義徳君) 先ほど商法二十条、二十一条の関係の事件数を申し上げました。  改めて申し上げますと、昭和五十六年度におきまして商法二十条、二十一条に基づく商号使用差しとめ請求事件は、訴えが四件、仮処分が十二件でございました。  不正競争防止法に基づく差しとめ請求事件、これについても特別の司法統計の調査をしておりませんので正確なところを申し上げられませんけれども、五十六年度中に不正競争防止法一条一項一号から六号まですべての件数込みでしかわからないのでありますが、訴訟が新受三十三件、仮処分が四十七件でございます。この中に、相当数の商号使用差しとめ請求が含まれているというふうに思われます。  以上でございます。
  35. 寺田熊雄

    ○寺田熊雄君 そうすると、これは商法よりもむしろ不正競争防止法の方が活用されている。これは民事局長の言われたように、片方は登記商号に関するし、片方は登記を必要としないということから生ずることかもしれないけれども、大体不正競争防止法の方が現実に活用せられておる度合いが多いと、こういうふうに見てよろしいですね。これは民事局長もそういうふうに理解しておられるでしょうか、どうでしょうか。
  36. 中島一郎

    政府委員(中島一郎君) 登記の方でそういう統計をとっておりませんので、具体的に確実なことは申し上げられないわけでありますが、私どもが裁判所事件を扱い、あるいは法律雑誌等で裁判例を見ます限りにおきましては、要件を満たす場合には、商法二十一条による請求不正競争防止法による請求とを併合して起こしてくるというケースが多いようでございます。  実際問題として、どちらかが適用されて判決がされるということの例が多いようでございますけれども、不正競争防止法の方が一面において範囲が広いというような点もございますので、あるいは御指摘のように、不正競争防止法で結論が出ておる事件の方が多いのではないかというような感じは持っております。
  37. 寺田熊雄

    ○寺田熊雄君 会社というのは、大体合名会社に始まり、合資会社株式会社有限会社、さまざまな形態があるわけですけれども、戦前は三井合名などといいものが日本経済を支配しておった。たしか三菱も、私の記憶では三菱は合資会社であったような記憶がある。これは私の記憶が余り鮮明でないのだけれども、いずれにせよ、ああいう大財閥が無限責任を負うという点で合名会社制度合資会社制度というものは戦前は大変な経済界における支配力というものを持っておった。そのウエートはすさまじかった。ところが、戦後株式会社制度がむしろ経済活動の中枢の組織となってしまった。  それじゃ、いま現在、合名会社制度というものはどの程度活用されているのだろうか、合資会社制度はどうかという疑問がありますね。この点ひとつ法務省、最高裁、もし御存じであれば御説明をいただきたいと思います。
  38. 中島一郎

    政府委員(中島一郎君) 確かに、戦前に比べまして最近、合名会社合資会社というものの利用状況が変わってきておるという点は私どもも常識として認識をしておるわけでございますけれども、その詳細ということにつきましては、私どもの知り得ますのは、商業登記にあらわれておる会社の件数がどうなっておるかという点に限られるわけでございます。  商業登記にあらわれているところから見てみますと、合名会社あるいは合資会社は、株式会社有限会社に比べましてもともと数も非常に少のうございます上に、次第に減少するという傾向が見られるわけでございます。  たとえば、昭和五十五年について見てみますと、全会社数が二百一万九千五百四十社でございます。そのうち合名会社は一万九千九百七十五社ということで約二万社、全会社の数に比べまして一%弱ということになります。合資会社は八万一千八百四十八社でありまして、全会社数の四・一%ということになっております。  さらに、昭和五十五年に設立をされました数と解散をした数というのを見てみますと、合名会社は設立が六十七社で解散は百二十三社でございます。合資会社は設立が二百五社で解散が四百三十四社ということになっておりまして、減少傾向がここにもあらわれておるわけでございます。
  39. 寺田熊雄

    ○寺田熊雄君 いま局長のおっしゃった設立とか解散とかいう数字を拝見しますと、合名会社合資会社などというものは次第に利用の度合いが少なくなっているということがうかがえるわけですね。恐らくいま経済界においてその実力というか支配力というか、これはもう戦前と比較すべくもないものになってきていると思いますが、しかし、それでも合名会社は一万九千もあり合資会社が八万一千もあるということになると、細々とやはり経済社会の中で生き続けておるということがうかがえるわけで、大変おもしろい数字をお聞きしたと思うんです。  ところで、合名会社については出資の総額を登記事項としなかったのはなぜだろうか。無限責任社員がいるから構わないのだ、無限責任社員の信用度合いさえ見ればもういいのだという趣旨なのか。しかし、会社というのは一体どのくらいの資本金があるのだろうか、どのくらいの出資があるのだろうかということをわれわれが直観的に見ることによって規模などをうかがうことができる。そういうことを考えますと、これを登記事項にした方がよかったのじゃないかというふうに考えられるんだけれども、これはどういうふうに理解しておられますか。
  40. 中島一郎

    政府委員(中島一郎君) 確かに、従前は――従前はと申しますのは、昭和三十七年の商法改正以前はという意味でございますが、従前は、商法六十四条の一項四号におきまして、「社員ノ出資ノ目的財産目的トスル出資ニ付テハソノ価格及履行ヲ為シタル部分」というものを登記事項としておったわけでございますが、昭和三十七年の商法改正によりまして登記事項から削除したわけでございます。  登記事項をなるべく少なくして、会社事務登記事務の合理化を図るということがその理由であったわけでありますが、なくしてもいいという理由は、ただいま御質問にもあったとおりでございまして、合名会社社員無限責任を負う、かつまた、利益がない場合でも配当禁止されていないというようなこともございますので、出資の目的あるいはその価格及び履行部分を登記して第三者公示する必要性がないということであったわけでございます。
  41. 寺田熊雄

    ○寺田熊雄君 次に、株式会社については、資本の額は登記事項になっているが、資本の総額を定款の記載事項としなかった理由は、これはちょっとどういうんでしょう。やはり払い込み資本額が資本の総額の四分の一以上でなきゃいかぬというような制度もあるように思いますけれども、なぜ資本の総額を定款の記載事項にしなかったのか、この辺のちょっと理由を説明していただきたい。
  42. 中島一郎

    政府委員(中島一郎君) この点も、昭和二十五年の商法改正以前におきましては、百六十六条の一項三号におきまして、資本の総額を定款の記載事項としておったわけでございますけれども、その変更をいたします場合には株主総会の特別決議が必要であるというようなこともありまして、会社の資金の調達が困難になるというような面もあったわけでございます。そのために、株式による資本調達の便宜を図るという必要から授権資本制度が導入され、さらには無額面株式というものが採用されたわけでありまして、資本の総額が定款の記載事項から削除されたといういきさつでございます。  現在の授権資本制度のもとにおきましては、新株の額面あるいは無額面の別、種類及び数というものは取締役会で定めるということになっておるわけでありまして、資本の総額を定款記載事項とするということは適当でないということになるわけでございます。
  43. 寺田熊雄

    ○寺田熊雄君 現在はほとんど取締役会あるいは時によると社長の裁量会社の運営が決まってしまうということだけれども、そういう傾向に法律が加担をして、株主に対してはもうほとんど会社の重要な決定事項から締め出してしまう。株主は、株式を将来売却して差益を得るという無責任な連中であるというふうに思いなす傾向が最近強いですね。  ですから、株式をしっかりと握って会社のすべての運営に参画するのは、もう関連の会社なり銀行だけになってしまう、あるいは生命保険会社というようなものになってしまった。これはもう非常に株式会社の実体が変化してきたことによるものだと思いますけれども、そういう傾向が果たして好ましいのかどうかということは非常に疑問だと思うんですね。  いまのところは、やはりこういう制度を変えろ、定款記載事項にした方がいいというようなそういう議論は余りないのですか。
  44. 中島一郎

    政府委員(中島一郎君) 会社が発行いたします株式の総数というものは定款記載事項になっておるわけでございまして、その授権の範囲内で取締役会が新株を発行するということが昭和二十五年以後行われているわけでございますが、これはむしろある一定の授権資本の範囲内において取締役会の決定によって資本を増加させる、資金調達の機動性を持たせるというところに意味があるというふうに言われておるわけでございます。  株主といたしましては、重要な事項については直接決定に関与いたしますけれども、必ずしもそうでないものにつきましては取締役会を信用して、取締役会を通じて会社運営をコントロールするということの一つのあらわれであろうかというふうに思うわけでありまして、それでは株主あるいは株主総会会社運営に対する関与の度合いが少なくなる、あるいは会社の運営についてのコントロールがきかなくなるという点につきましては、今回の商法改正においても問題になりましたように、あるいは計算・公開、いわゆるディスクロージャーというような方法を通じて、株主あるいは株主総会会社の運営をコントロールしていくということであろうかと思います。
  45. 寺田熊雄

    ○寺田熊雄君 いま局長のお話の中にあった無額面株式、これは一体どの程度活用されているのだろうか、アメリカでは多いということも聞いておるが日本ではどうか、あなた方が御調査になっておられたら、ちょっと御説明いただきたい。
  46. 中島一郎

    政府委員(中島一郎君) 私どもとしては特別に調査をしたことがないわけでございますが、会社法についての書物などを読んでみますと、無額面株の実態について記載をしておるものが若干あるようでございます。  たとえば、昭和五十四年に発行されました北沢正啓氏著の「会社法」という書物によりますと、昭和五十三年十二月現在の状況といたしまして報告されておるわけでございますが、上場会社では、三菱倉庫と住友金属工業と玉井商船と日立造船四社であるというふうに書いてございまして、額面株式になれてきたわが国では無額面株式を発行している会社はきわめて少ないということになっております。
  47. 小平芳平

    ○小平芳平君 提案説明の中にある「最近においては、商号専用権を悪用して、会社から不当の利得を得ようとする一部の者の動きもあるやに承知しております。」という辺を説明していただきたい。
  48. 中島一郎

    政府委員(中島一郎君) ただいま御質問にありましたような動きというものは、これは事柄の性質上、表に出てこないというのが通例でありまして、私どもなかなかその実態を把握することができないわけでございますけれども、たとえば、東北地方のある地域の開発を目的とするかなり大規模の会社がございまして、この会社を設立しようとして私どもの方のある登記所会社の設立の登記を申請したという事件がございます。ところが、その直前に、会社目的は同じで全く同一商号会社の設立登記がすでにされておった。そのために、その登記所では設立登記ができませんで、やむなく本店を他の市町村に持っていって設立登記をしたというような例を聞いております。
  49. 小平芳平

    ○小平芳平君 そのような商号専用権を悪用する者に対する、会社としては未然にそれを防止するための対応策をいろいろとっているというふうにもお聞きしておりますが、たとえば社員の個人名義で登記しておくとか、架空会社名を登記しておくとか、そういうような実態もございますですか。
  50. 中島一郎

    政府委員(中島一郎君) 現在、本店移転に備えて商号仮登記をするという制度は認められておるわけでありますが、商号を変更する場合あるいは目的を変更する場合、さらには会社設立しようとする場合等の場合には商号仮登記制度が設けられておりませんので、このような場合には、ただいま御質問にもございましたように、企業が自衛上いろいろな方法をとっておるようでございます。たとえば、個人商号登記をする、あるいはペーパーカンパニーをつくってその商号登記しておくというような例もあるように承知いたしております。
  51. 小平芳平

    ○小平芳平君 その自衛手段がまた度を過ぎると、その自衛の範囲内においては当然だと思いますけれども、余り度を過ぎるとまた逆に専用し過ぎるというようなことにもなりませんでしょうか。
  52. 中島一郎

    政府委員(中島一郎君) おっしゃるとおりでございまして、もともとただいま申しましたような個人商号登記あるいはペーパーカンパニーの登記というものは営業の実体を伴っておりませんので、本来は商号権の保護を受けないというものでございます。また、商号登記におきましては、営業の種類が制約を受けますので、会社商号変更等をしようとする場合に、あらかじめ商号登記をするということによって商号の確保を図ることは困難な場合があるわけでございます。  そういうふうに、もともとこの方法には欠陥がありますばかりでなく、ただいま御指摘のように商号登記なり、あるいはペーパーカンパニーの登記なりというものがされてしまいますと、それが第三者商号選択自由を害するというおそれもあるわけでございます。
  53. 小平芳平

    ○小平芳平君 法務省としてはそういうおそれもあるがやむを得ないということなのかということをひとつお伺いしたい点と、それから実体はよく承知しておらないんですが、会社破産したような場合は、これは当然に抹消されるものかどうか。  それから次に、全然活動していない会社、よく国会でも取り上げられるいろんな事件の背景に、架空会社の名前を使ってということが出てきますが、そういう架空会社は、登記を受け付ける方としては全然チェックするという体制はないわけでしょうか。
  54. 中島一郎

    政府委員(中島一郎君) 現在、商号仮登記制度が認められている場合が少ないものですから、その不足分を補うために、企業がいろいろ自衛手段をとっておるということは先ほど申し上げたとおりでございますが、その自衛手段をとりますと、商号登記個人商号登記ということになりますので、架空のものでありながら、それが無期限に形式としては登記として残るということになります。  これでは非常に困りますので、今回私どもとしては商号仮登記という制度を広げまして、そして商号仮登記によって商号をあらかじめ保全してもらう。この商号仮登記という制度を使いますためには供託金も積まなければならない、あるいは予定期間も一年以内ということで制限がございますから、これで商号をあらかじめ保全しようとする人と、そして商号自由に選択したいという第三者との利害を調整することができるのじゃないかというふうに考えておるわけでございます。  それから、その次の破産でございますが、破産宣告がありまして破産手続が進んで解散登記がされますと会社登記は抹消されますので、その商号は同一または類似のものが別に申請ができることになります。しかし、破産の場合には解散の手続まで待ちませんで、破産宣告の段階で他人がその商号使用して設立の登記の申請をしてきますと、これは受理されるということになります。  それから、実体のない会社ということでございましたが、御承知のように登記官の審査権というものは書面審査であり形式審査であるということになりますので、会社の実体についての審査はする権限もない、義務もないということになるわけでありまして、申請書が、記載事項が整っており、それに添付書面が整っておれば、申請を受理するということになります。
  55. 小平芳平

    ○小平芳平君 次にお伺いしたい点は、本店が移転する場合は本店移転に係る商号仮登記と、商号目的、または商号及び目的の変更に係る商号仮登記とを同時に申請することを認めてないということになりますか。本店が移転する場合、そういう機会に事業を拡張しようということになって、目的も変更になるというような場合が多いのじゃないかと思いますが、それは同時に申請ができるわけでしょうか。
  56. 中島一郎

    政府委員(中島一郎君) 今回の制度では、御質問にありましたようなケースでは商号の保全はできないということになっております。  商号変更の場合には、当該登記してある登記所で、変更後の商号を保全するということになります。それから、本店移転の場合には、その地域は変わりますが現在の商号を保全すると、こういうことになります。  その組み合わせといいましょうか、重ねて保全するということも理論的には考えられないことはないわけでありますけれども、手続も複雑になりますし、そこまでの必要は今回はないのじゃないかということで立案したわけでございます。
  57. 小平芳平

    ○小平芳平君 したがって、仮登記は、手続上は移転の仮登記をして、すぐまた同じところへ目的を変更する仮登記をするということはできないわけですね。
  58. 中島一郎

    政府委員(中島一郎君) そういう場合はできないということになります。
  59. 小平芳平

    ○小平芳平君 次に、合名、合資会社については、設立に係る商号仮登記を認めていないが、株式有限会社との均衡上どのように理解したらよろしいか、お伺いしたい。
  60. 中島一郎

    政府委員(中島一郎君) 先ほども寺田委員の御質問にお答えをいたしましたように、新設をされる会社の圧倒的多数は株式会社有限会社でありまして、合名会社合資会社はごく少数であるという事情が一つございます。  それから、その設立手続を比較いたしてみましても、合名会社あるいは合資会社は、二人以上の社員となろうとする者が協議をして定款を作成をする、そして設立登記をするということによって迅速に成立をするわけでありますが、株式会社の場合にありましては、定款作成のほかに株主の募集というような複雑な手続が必要であります。その結果、設立の登記までに相当の期間を必要とする。また設立計画が、大ぜいの人が関与いたしますから、世間に広く知れるというような可能性も多いわけであります。したがいまして、合名会社合資会社の場合とは違いまして、第三者から設立の妨害を受けるというようなおそれが大変大きい。この点は、有限会社の設立についても株式会社と全く同様であろうというふうに考えるわけであります。  こういうような事情を考えますと、株式会社及び有限会社を設立しようとする際にあらかじめ商号を保全する方法を認めるべき必要性が特に大きいということから、両会社に限って設立の場合の商号仮登記を認めることにしたわけでございます。
  61. 小平芳平

    ○小平芳平君 いまの問題とちょっと関連しますが、仮登記は一年を超えることができないというふうに今回なっておりますが、その点は一年あれば十分と見ておられるわけでしょうか。
  62. 中島一郎

    政府委員(中島一郎君) 今回新設を考えておりますのは、商号変更の場合の商号仮登記目的変更の場合の商号仮登記、それから会社設立の場合の商号仮登記でございまして、これらについては予定期間を一年以内ということにしておるわけであります。  会社商号または目的を変更するためには、株式会社にあっては株主総会有限会社にあっては社員総会の決議が必要でありますが、この株主総会あるいは社員総会というものは、一般的には毎年一回開かれるのが通常であるということがございます。また、株式会社または有限会社の設立に要する準備期間というものは大体一年以内におさまっておる。一年もあれば通常設立まで手続が進んでおるというようなことを考えますと、予定期間として一年というのが適当であろうというふうに考えたわけでございます。
  63. 小平芳平

    ○小平芳平君 本法律案施行期日は五十七年十月一日となっておりますが、法務省としての予定でこうなるかと思いますが、なるべく早く施行する方がいいのではないか、この点についてはいかがでしょうか。
  64. 中島一郎

    政府委員(中島一郎君) この法律成立をいたしますと、手続に必要な供託金等についての定めをさらにしなければならないというようなこともございます。あるいは登記所の現場の職員が、この手続は新設でございますので、この手続を理解するためにいろいろと準備をするというようなこともございますので、ある程度の猶予期間をいただきたいという点が一つございます。  それからもう一点は、昨年商法が改正をされまして、その改正商法が本年の十月一日から施行されるということになっておりまして、今回の改正も若干それと関係がございますので、施行期日を合わせて本年十月一日からということにいたしたいと考えております。
  65. 小平芳平

    ○小平芳平君 供託金の額ですが、供託金の額は政府がお決めになることなんですが、本店移転の場合、これは六カ月で五万円ということで、もっと複雑な制度になっておりますが、この点、本店移転の場合の供託金の額と、それから新しくできる仮登記供託金に対する考え方、こういうような点はいかがでしょうか。
  66. 中島一郎

    政府委員(中島一郎君) 現在の本店移転の場合の商号仮登記につきましては、ただいま。おっしゃいましたとおり予定期間六カ月以下の場合には五万円ということになっております。そして、これを超える場合には、六カ月までを増すごとに二万円を加えるということになっておるわけでございますが、これは昭和三十九年に商業登記法ができました際に定められた金額でありまして、その後の物価の上昇等を考えますと、現時点では若干低過ぎるのではないかというようにも思われますので、これをどうするかということについては現在検討中でございます。  それから、新設の商号仮登記につきましては、今回新たに供託金を定めなければならないわけでございますけれども、ただいま申しました本店移転の場合の商号仮登記の場合の供託金の額などともあわせて慎重に検討したいと考えております。
  67. 小平芳平

    ○小平芳平君 商号登記の効力が同じ市町村内に限られるという点でありますが、ずいぶん古い法律で、同じ市町村内においてというふうになっているこの趣旨は実情に合わない場合が出てきているんじゃないかと思いますが、かといって、それじゃ同一市町村というのをどう変えるかとなると、いろいろむずかしいんでしょうと思います。むずかしいことと思いますが、いずれにしても社会情勢、経済情勢は当時とは全く変わってきているんですが、こういう点はいかがでしょうか。
  68. 中島一郎

    政府委員(中島一郎君) 同一市町村内にすでにある商号登記されております場合には、同一日的の同一または類似の商号の申請があった場合には却下されるということになっておりまして、この商号の独占力というものは非常に強力な力を持っておるわけでございます。その独占力の地域的範囲というものをどういった範囲で認めるべきかという点につきましては、いろいろの面から考えなければならない問題であろうかというふうに考えるわけでございます。  まず、第三者がなるべく自由商号を選定することができるようにしておきたいという面から考えますと、登記商号の独占力の地域的な範囲というものは、これは狭い方がよいということになります。他方、商号商人営業の同一性を示すものであるという本来的な性質から考えますと、その商人営業が及ぶ限りにおいて広く登記商号の独占力が認められた方がよいと、こういうことになろうかと思います。  さらには、登記商号の効力に反するような同一または類似商号登記申請をチェックするという登記所事務処理体制から考えますと、登記商号の排他的な効力の地域的範囲が余りに広くなり過ぎるということでは、同一または類似商号のチェックは事実上実施不可能になってしまうというようなこともあるわけでございます。  以上、申し上げましたようないろいろな点を総合的に考慮して考えますと、登記商号の排他的効力の地域的範囲を同一の市町村内に限るということは、一般的に申しまして現在でもなお合理性があるというふうに考えておるわけでございます。
  69. 小平芳平

    ○小平芳平君 次に、病院とか学習塾等の名称についてはどういうふうになりますか。
  70. 中島一郎

    政府委員(中島一郎君) 商号ということになりますと、商人営業上自己をあらわすために用いる名称ということになりますので、商人でなければ商号を用いることはできないということになろうかと思います。したがいまして、医師の診療行為あるいは学習塾における教授行為というようなものは商行為に該当しないということになりますので、医師とか学習塾というものは商号登記をすることはできないということになろうかと思います。  しかしながら、その医院あるいは学習塾というものが、名前が周知性を有しておる、法律の規定で申しますと、本法施行地域において広く認識せられているという場合におきましては、不正競争防止法の規定に基づいて、混同、誤認を生じさせるような名称の使用の差しとめ請求をすることができる、あるいは損害賠償請求をすることができるということになろうかと思います。  それから、これは病院につきまして、厚生省の関係でございますけれども、病院診療所等の開設に当たっては都道府県知事の開設許可が必要であるということになっておりますが、この開設許可の際に、混同、誤認を生じさせるような名称については認めないという運用であるというふうに承知いたしております。
  71. 小平芳平

    ○小平芳平君 この改正によりまして、登記所においてどのくらい仕事がふえるか。現在でもいっぱいいっぱいの仕事をしているところへ、あるケースがふえるということは、職員にとっては大変重大な問題だと思いますが、これまた、仕事の量としてこういうふうにふえるというようなことは、なかなかむずかしいことだろうと思いますが、何かその辺は検討しておられますか。
  72. 中島一郎

    政府委員(中島一郎君) この制度によってどの程度の申請事件が出てくるかということを予測することは困難でございますけれども、私どもとしましては、千件単位の事件は新たに出てくるのではないかというふうに見ておるわけでございます。二、三千件から四、五千件、千件単位で考えていいのじゃないかというふうに考えております。  ただ、現在でもこういったものは、先ほども申し上げましたように、あるいは個人商号登記するというような方法もとられておる、ペーパーカンパニーをつくって登記するというような方法もとられておるわけでございますから、それがなくなって商号仮登記の申請が出てくるということになるわけでありまして、その差し引きは考えなきゃならぬということと、それから何分にも申請件数の総数というものは非常に大きいものでございますから、この程度の新しい事件というものは、処理にそれほどの負担になるものではないというふうに理解しております。
  73. 小平芳平

    ○小平芳平君 終わります。
  74. 山中郁子

    ○山中郁子君 すでにお話もありましたけれども、今回の改正が総会屋の活動を封じ込めるねらいを持つということが説明もされております。  初めに、ちょっとその総会屋の活動の実態、また今回の改正でどの程度の効果を期待できるのか。それからまた、昨年の商法改正でも総会屋対策が盛り込まれていたわけですけれども、このほかにも今後さらに、なかなか根絶できないという困難な状況があるわけですけれども、どのような対策を準備されておられるかどうか、あわせてお伺いをいたします。
  75. 森廣英一

    ○説明員(森廣英一君) まず、総会屋の実態の面につきまして私から御答弁いたしたいと思いますが、現在、警察で把握しております総会屋の団体数は全部で四百六団体、人員で六千三百人余りと、こういう数字を把握しております。
  76. 中島一郎

    政府委員(中島一郎君) いわゆる総会屋対策ということになりますと、それは企業自身の姿勢にもかかわる問題であろうかと思うわけでありまして、これに対する法律上の直接的な対策といたしましては、今回の商法改正でいわゆる株主権の行使に関する利益供与の禁止というものが設けられたわけでございます。総会屋対策ということになりますれば、むしろこの商法改正の方が基本であり中心であるということになるわけであります。その意味においては、今回の商業登記法の改正は、総会屋を含むいわゆる事件屋に対する対策の決め手というふうには考えておらないわけでございます。  ただ、総会屋を含むいわゆる事件屋などの者が入り込む余地を少しでも少なくしようという趣旨で今回の商業登記法の改正を考えたわけでありますが、そういう意味では、いわゆる総会屋対策の一部にはなり得るものであろうというふうに考えております。
  77. 山中郁子

    ○山中郁子君 余り多く期待できないという御見解なんですが、先ほどもちょっとお尋ねしましたけれども、今後の問題としてさらに検討されていらっしゃることがあればお尋ねをしておきたいと思います。
  78. 中島一郎

    政府委員(中島一郎君) いわゆる総会屋対策についての商法の改正というものは、初めて今回の改正において取り上げられたわけでありまして、まず私どもとしてはこれによってどういう実態の変化が起こってくるかということを見てみたいというふうに考えております。十月一日から施行になりますので、それに先立って若干の動きもあるように聞いておりますし、十月一日施行になりますれば、またもっとはっきりした形で何らかあらわれてくるというようなことも期待をしておるわけでございますので、それを見てまだ考えたいというふうに思うわけでありまして、現在のところ、具体的に新たな改正、別の改正を考えておるというわけではございません。
  79. 山中郁子

    ○山中郁子君 いまの御答弁とも関連をするわけですけれども、昨年の商法改正に基づいて営業報告書の記載事項などを定める省令案が十月に発表されましたけれども、企業内容のディスクロージャーというか公表を求める国民の要求、それからまた、国会その他で決議質問などでもたびたび議論していた方向からは、やはりかなり後退をしているということがその後も批判の対象になってきているわけですけれども、その後の作業でこれらの国民の声あるいは国会での意見などがどのように受けとめられて作業が進められているか、経過などについてお尋ねをしておきたいと思います。
  80. 中島一郎

    政府委員(中島一郎君) 法務省令につきましては、現在条文の内容等につきまして詰めを行っておるというような段階でございますけれども、その内容といたしましては、今回の商法改正の趣旨に即し、しかも国会附帯決議にもございましたように、法制審議会商法部会の御意見の大勢に従ったものになるというふうに考えております。
  81. 山中郁子

    ○山中郁子君 形式的なというか、形式的な御答弁だと思いますけれども、問題は、企業内容の公表を求める国民の声国会の審議、そうしたものを踏まえて詰めの作業の上で取り組んでいかなければいけないことであろうということを指摘をしておきます。  次に、きょう商業登記法の改正の審議の際に、ちょっとこうしたことを法務省の見解もお伺いし、それから問題点の指摘もし、取り組みを強めていただきたいという趣旨でお尋ねをいたします。  商法二百一条ですね、つまり仮設人、他人の名義による引受人の責任という関係の問題ですけれども、これは昭和十三年に改正されたようで、調べてみますと、その改正前は、仮設人の名義または他人名義で株式申し込みをした場合は、その株式引き受けは無効となっているという判決判例などもありますけれども、そのように理解をいたしますが、それはそのとおりでございますか。
  82. 中島一郎

    政府委員(中島一郎君) 昭和十三年の改正前の裁判例といたしましては、大審院判決が二つあるようでございます。明治四十四年の十一月九日と昭和九年の六月十一日、二件あるようでありまして、この判決は確かにただいまおっしゃいましたように、仮設人または許可なく他人名義を使用した株式の引き受けを無効としておったようでございます。  ただ、学説には、この判例の見解を支持するものもあったことはあったわけでありますけれども、この判決の立場に反対をして、株式の引き受けを認めよう、有効であるという見解も少なくなかったというふうに承知いたしております。
  83. 山中郁子

    ○山中郁子君 判例はそうであったということは、事実の問題としてはっきりしているわけです。  それで、私も専門家でないので余り詳しいことはわからないのですが、いまおっしゃったことがいわゆる形式説とか実質説とか言われている学説の問題との関連だと思いますけれども、いわゆる形式説によると、二百一条の一項は、要するに仮設人または承諾を得ない他人名義で株式を引き受けた場合、本来はそれらの行為無効であるというそういう考え方ですね。旧商法第百二十六条の思想を継承していると理解をいたしますけれども、それはそのとおりでございますか。
  84. 中島一郎

    政府委員(中島一郎君) 二百一条、必ずしもそういうふうに理解するとは限らないわけでありまして、いわゆる形式説によっても実質説によっても二百一条を理解することはできるというふうに考えるわけであります。  それじゃ、実質説では二百一条はどう読むのかということになりますと、「仮設人ノ名義ヲ以テ株式引受ケタル者ハ株式引受人タル責任ヲ負フ」、これは一般の私法の考え方といたしまして、名義と実質とがあった場合には、実質の人間責任を負うのだということを定めてあるわけであります。これはこれとして読み方が一つあろうかと思うのです。  形式説ではどう読むのかというふうに言いますと、仮説人でありますから、この仮説人に責任を負わせることはできないわけであります。形式説ですと仮説人ということになりますが、責任を負わせることができないからこれは無効になる。それでは会社資本が充実しませんので困りますので、これは特別の場合で、現に行為をした者が引受人たるの責任を負うのだと、こういうふうに読むわけでありまして、両方の立場で二百一条を解釈することが可能であろうかと思います。
  85. 山中郁子

    ○山中郁子君 いずれにしても、資本充実の要請という点の前提としても、仮設人または承諾を得ない他人名義ですね、これで株式を引き受けた場合は本来それらの行為無効である。したがって、だから法の精神としては、いま申し上げましたように、それらの行為が本来無効であるというそこに立脚をして、それを継承した二百一条の一項ですね、そういう理解を当然できることであるというふうに考えますけれども、その点はよろしいわけですか。細かい、細かいというか、学説のいろんなめんどうくさいことはともかくとしても、要するにそれは無効であるという法の精神ですね、それが継承されているというような理解が成り立つと考えますけれども、いかがでしょうか。
  86. 中島一郎

    政府委員(中島一郎君) 無効という考え方が改正前において必ずしも有力でなかったということは、先ほど申し上げておるとおりでございますので、それを前提にして二百一条の規定が設けられたというふうに断定することは困難であろうと思うわけでありまして、二百一条の新説ということになりますれば、それをどう解釈するかということは両方の立場から可能であろうということを申し上げておるわけでありまして、そうなりますと今度は二百一条の一項と二項とを全体としてどう読むかと、こういうことになろうかと思うわけであります。  この点についても、改正後におきましていわゆる形式説から解釈をする、あるいは実質説から解釈をするという両様の立場がありまして、必ずしもどちらが有力であるというふうにも言えなかったわけでありますけれども、昭和四十年代になりまして最高裁判所が具体的な事件についての判決をいたしまして実質説を採用をしております。最高裁判所の四十二年の十一月の十七日の判決であり、五十年の十一月の十四日にもございますが、それによりますと、実質上株式を引き受けた者が株式引受人としての権利義務主体となるのだと、こういうことを前提にした解釈を明らかにしております。
  87. 山中郁子

    ○山中郁子君 いまおっしゃったように、現在は実質説が有力だというようになっているそうでありますけれども、いまおっしゃいましたけれども、それはそうしますと二百一条二項については名義人たる他人、いわゆるこういうのを何かかかし株主とか、わら人形株主とかというふうに言っていることもあるらしいですね。そういういわゆるかかし株主も、払い込みの連帯債務者となる場合があるというように理解をされますけれども、その点はやはりそうなりますね。
  88. 中島一郎

    政府委員(中島一郎君) そのとおりでございます。
  89. 山中郁子

    ○山中郁子君 そうしますと、実質上の株式引受人が、いわゆるいま言ったようなかかし株主というのでしょうか、そうした株主を立てて株式会社を設立したり、あるいはそうした株主を立てて増資をするというような行為は、本来この商法第二百一条の精神に照らしてみれば好ましいことではない、最低そういうことは言えると思うんですけれども、その点はどうでしょうか。
  90. 中島一郎

    政府委員(中島一郎君) まず、引き受けの段階から考えますと、実際に実質株式を引き受けた者とそれからその名義とが違うということになりますと、引き受けはあったけれども払い込みがあるかどうかという点についても若干問題がありますし、それから会社との関係でも複雑な関係も生ずる可能性がありますので、それはないにこしたことがないという意味では、好ましくない事態であろうかと思います。
  91. 山中郁子

    ○山中郁子君 それで、好ましくない程度が、ないにこしたことはないということの程度であるか、その程度はいろいろ問題があってこれからちょっと議論にもなるわけですけれども、私は田中元総理大臣系のいろいろ世上を騒がしてきたペーパーカンパニー、幽霊会社の問題で、ぜひともそこに法務省の毅然とした姿勢をお示しをいただきたいという趣旨でいまこの問題を取り上げているわけですけれども、いま民事局長からお答えいただきました、結論的に言ってこれらのことは好ましくないと、その辺、まずちょっと大臣に確認をいただきたいと思うんです。
  92. 坂田道太

    国務大臣坂田道太君) ただいま民事局長がお答え申し上げたのは、そのとおりだというふうに思います。
  93. 山中郁子

    ○山中郁子君 それで、これは何年にもわたって、また現在もいろいろな部面で国会においてもいろいろな委員会その他で問題にもなって、マスコミもにぎわしているという一連のいわゆる田中角榮系の幽霊会社、ペーパーカンパニーの問題なんですけれども、たとえばわが党も一貫して調査もし、さまざまな機会に指摘もしてまいりましたが、パール産業株式会社にはいわゆるいろいろ新聞の話題にもなりました佐藤昭さんという方の娘さんだとか、あるいはお手伝いさんだとかが含まれておりましたし、この娘さんなんかは当時は未成年だったわけですよね、これは昭和四十九年の話ですけれども、問題になった時期は。それから、それぞれ百万を超える株式を払い込んだことになっていました。そしてまた、東京ニューハウスでは、これは四十七年の時点で会社と特別常識的に見ても関係がないというふうに思われた田中元総理の娘さんが、三百万円もの株式を払い込んでいるという訴えがありました。  それから次々、いろいろな会社が話題に、問題になってきたわけですけれども、関新観光開発株式会社、室町産業株式会社、こうしたところに至っては、私どもが党で調査をしたところでも、当人の承諾も得ないままに田中元総理の運転手さんだとか、それから新潟の人たち、越山会関係というふうに思われるかもしれませんけれども、そういう多数のそうした株主が立てられて、私ども直接伺ったりなんかしたケースもずいぶんあるんですけれども、本人がそんなことはちっとも知らなかったと、全然知らないという方たちもたくさんいらしたわけです、そういう中で。それが、三百万円から一千万円もの株式を払い込んだことになっているんですね。  こういう事態は、ずうっと伺ってきたように、商法二百一条の精神に照らしてみるならば好ましくないということになりますし、場合によっては株式払い込みをそうした株主連帯責任を負うという可能性も出てくるというふうに思います。  それで、もう一つ問題は、そういう事実がもうすでに明らかになっているということと同時に、こうした幽霊企業がいわゆる田中角榮式の蓄財方法の一つとして大きな問題にもなってきたということですけれども、私はいずれにしても、こうした法人を監督、指導すべき部署である大蔵大臣も務めて、そうして一国の総理たる地位までいった人物が、こういう形で幽霊会社あるいはかかし株主を立てて、ペーパーカンパニーを駆使して蓄財方法の一つにしていくということは大変問題だというふうに思います。そして、今日の日本株式会社制度を乱用して、商法商業登記法の網の目をくぐって、法の精神に反して行ってきている悪徳行為であるし、政治家としては許されざる行為であるというふうに思っておりますけれども、この点は法務大臣いかがお考えか、お尋ねをいたします。
  94. 坂田道太

    国務大臣坂田道太君) この具体的な事実関係については、まだわれわれの方といたしましては明らかになっておるわけではございませんので、私といたしましては意見を差し控えさせていただきたいというふうに思います。
  95. 山中郁子

    ○山中郁子君 明らかになっていることはたくさんあるんですよね。そういうことをいま私、坂田さんとここで押し問答をするだけの時間はいただいておりませんので、そこにやはり政治家としての、法務大臣としての姿勢があらわれるんだということだけを、この点いまの御答弁に関しては申し上げておくことにいたします。  少なくとも法務省としては、この田中関連の幽霊会社株主のありよう、これについて直ちに調査をし、全面的にかかし株主、つまりそうした幽霊会社、ペーパーカンパニー、そうしたものの株主の実態を調べて、実質的な株主株式引受人に名義変更させるというように指導すべきだと考えておりますけれども、その点はいかがでしょうか。
  96. 中島一郎

    政府委員(中島一郎君) 株主権財産の一つでございますから、その実態上の所有者と申しましょうか、権利者と、それから形式的な名義人とが一致しておるにこしたことはない、いろんな法律関係を複雑にしないためにも一致しておるにこしたことはないというふうに考えるわけであります。  これはもう法律全般について言えることでありまして、財産権全般について言えることでありますけれども、なかなか世の中の実態というのはそういうふうにはまいらない。親が子供の名義で財産を持つというようなことも世の中に広く行われておることでありまして、それを禁止するということは、われわれ民事上の立場としてはそういう立場にないわけでございます。法律は、そうでありますから、そういった場合を予定はいたしておりませんけれども、そういう場合が起こったときのことを考えて、いろいろと法律解釈によって法律問題を解決しておるということであります。  ただいま御質問にありました名義株主と実質株主とが異なっているという場合につきましても、これは世の中にこういうケースはもう非常に多かろうかというふうに思います。どうしてこういうことが起こっているかということにつきましても、あるいは株式の譲渡の名義書きかえが済んでいないというような場合もあろうし、あるいは初めから名義を借りて引き受けをしたというような場合もあろうかと思うわけでありまして、法務省としてはそういう場合にその実態を把握して、そして名義株主から実質株主への名義書きかえを指導するというような権限もないわけでございまして、この問題についてはどうするということをお答えできる立場にはないわけでございます。
  97. 山中郁子

    ○山中郁子君 そうすると、こういうものは野放しであって仕方ない、野放しになっていてしようがないということになってくるんですよね。というのは、じゃどこでそうしたものはどうするのかということになる。私は一般論をいま申し上げているのじゃないんです。あくまでも田中角榮系企業の、これだけ大問題になっている、そして政治腐敗の大きな問題として長年にわたって国民の批判を浴び、現に裁判は行われ、そして判決がもう有罪確実だみたいに多くの方たちによって判断されているようなそういう推移がある一方で、しかも幽霊会社、ペーパーカンパニー、そしてまた脱税、そうした悪徳行為が次々と明るみに出てくる。その問題について、じゃ野放しにしていいのかということになりますでしょう。そうしたことが一つ問題になるから、いたく反省をして、今後はそういうことはもう慎んでいるということなら話はまた別ですよ。そうじゃなくて、おくめんもなく繰り返しそうした問題が出てきて、そしてなおかつそれは野放しにせざるを得ないということだったら、一体法は何によって存在するのか、そう言わざるを得ないですね。  いま法務省は、それはちょっとどうしようもないと、こういう御見解でした。そうすると、田中関連企業、つまり幽霊会社の問題で常に一緒に問題になるのが脱税の問題ですね。脱税方法の一つとして使われてきた経緯が、これもまた明らかになっている。しかし、国税庁は、これは実質課税の原則に立って税を適法適切に捕捉することができればそれでよいという立場に立っているんですよね。だから、私どもは実質課税の原則によって課税すること自体はそれは当然のことであって、これに問題があると言っているわけではありません。しかし、そうすればよいのであって、それを生み出す幽霊企業などのそうした問題にいま手がつけられないということ、それからまた田中関連企業では宅建業法ですね、いわゆる宅地建物取引業法違反で業務の停止処分などを受けた企業もあるんです。しかし、これも建設大臣都道府県知事はそういう処分をすることにとどまっているんですね。つまり、それらのことをつくり出すいわゆる名義株主、幽霊会社、こうしたものについてのメスが入らない。  私どもは、それは宅建業法の面からも、あるいは税法の面からも、大蔵委員会また建設委員会あるいは予算委員会などでいろいろな面から取り上げてこれらの問題を追及してきましたけれども、こういう問題がどこからアプローチしても野放し状態にメスを入れられないという事態があっていいのかと、そういう問題なんです、私がいま申し上げたいのは。  先ごろ東京ニューハウス、これも関連企業で、もうよく御承知だと思いますけれども、東京ニューハウスと新潟遊園の合併問題がありましたね。大きく問題になっています。マスコミでも取り上げられましたし、今国会でも参議院予算委員会衆議院法務委員会などでも問題にされています。これに対しても法務省態度は、商法商業登記法の所定の形式的手続が整備されていれば、それ以上問題にできないといまおっしゃいましたね。どうしようもないと、こういうふうにおっしゃっている。そうしたら、こういうものは幾らでも悪知恵の働く人間が次々とトンネル会社、幽霊会社をつくって金を集めると、しかもそれが政治の舞台で腐敗の土台をつくり出すということが無制限に野放しに行われていても、これは何ら仕方がないと、こういう見解になるのですか。私は民事局長からお答えいただいてもいいんですけれども、これはぜひ大臣からも御見解をいただきたいと思っております。
  98. 坂田道太

    国務大臣坂田道太君) その点は、山中委員の御主張は御主張として承っておきたいと思いますけれども、ただいま民事局長がお答えいたしましたことも、そのとおりだというふうに私は思うわけでございます。
  99. 中島一郎

    政府委員(中島一郎君) 私は一切野放しというふうに申し上げたつもりはないわけでありまして、ただいま御質問の中にもありましたように、税金の問題が起これば税金の面で解決をしていただく、あるいは宅建業法その他の面で問題があればその面で解決をしていただく、あるいは犯罪行為があれば犯罪行為として対応するということは当然でありますけれども、商法の立場から、あるいは商業登記法の立場からということになりますと、よほどの場合でなければ、私どもとしては適切な対応方法がないということを申し上げたわけでございます。
  100. 山中郁子

    ○山中郁子君 法務大臣は、私の意見は意見として承るとおっしゃった。それはそれで聞いていただくのは結構なんですけれども、私が伺っているのは、そういうふうに野放しになるような状態でいいのか。田中角榮関連企業の問題一つとってみてもはっきりしているように、何回も繰り返して申し上げましたようなものに利用されて、そういう蓄財の方法として行われているわけでしょう。  それでいま民事局長は、それは税金の方からも宅建業法の方からもと、こういうお話だったけれども、税金の場合には、先ほど申し上げましたように、脱税があればそれは実質課税をするという原則に立って実際に税金を取ればいいんだと、それのいわゆる名義株主のありようですね、そういう問題についてまでメスは当然入らないわけですね。宅建業法も宅建業法の立場から言ってしているだけであって、だからいま民事局長が、よほどのことがなければとおっしゃいましたけれども、それじゃ、よほどのことがあればメスを入れると。田中角榮のこの関連企業の問題は、私は大変よほどのことだと思っておりますけれども、何をもってよほどのことでないのか、どういうことならよほどのことでメスを入れるという姿勢になるのか、ちょっとその辺お示しいただきたい。
  101. 中島一郎

    政府委員(中島一郎君) 法律の規定といたしましては商法の五十八条であると思いますが、解散命令という制度がございまして、これは裁判所に申し立てて解散命令を出してもらうということでありますけれども、会社の存続そのものが公益に反している、会社を存続させておくこと自体が許されないという非常に極端な場合に行われる手続であるという意味で、よほどのことということに申し上げたわけでございます。
  102. 山中郁子

    ○山中郁子君 だからそうすると、まさにあなたいまおっしゃったように、商法五十八条による会社解散命令を出すというような可能性というのは、こういう場合、つまり名義株主を駆使して幽霊会社、ペーパーカンパニーに関してはできないということになりますね。その範囲はないということになりますね。その点どうですか。
  103. 中島一郎

    政府委員(中島一郎君) 実は、この五十八条の解散命令の申し立てというのが前例がないということでありまして、それが、この手続が非常に極端な場合の手続であるということを物語っておるかと思うわけであります。  したがいまして、私どもどういう場合にこの規定の適用があるとかないとかということをあらかじめ申し上げることもできないわけでありますけれども、教科書などを見てみますと、これはホテル営業ということで会社を設立しておきながら実は賭博場を開設するということが目的であった、そして賭博場を開設しておる、あるいは貿易会社をするということで会社を設立しながら実は目的密輸出入をするということであったというような、会社存在自体が、会社の設立の目的自体が犯罪をするために会社を設立したというようなそういう場合であるというふうに言われておるわけでありまして、この五十八条が適用になりますのはむしろ株主債権者その他の利害関係人の請求によって解散命令を求めるということは、これは数はそんなに多くございませんけれども、幾つかあるわけでありまして、まず私どもとしては、その債権者なり利害関係人なり株主なりという者が、その会社存在についてどういう意向を持っておるのかということが重要であろうかと考えております。
  104. 山中郁子

    ○山中郁子君 争点というか、私が申し上げているその柱は、ぜひ受けとめてほしいと思っておりますけれども、あなた方は故意にそれを外そうとしていらっしゃるんだけれども、田中角榮関連のいろいろな次から次へ出てくる幽霊会社休眠会社、こうしたものは、あなた方がいままでおっしゃっているようなあれでは、商法五十八条の問題に照らしていっても何のメスも入れられないというようなことだったら、そういう企業が野放しになるじゃないかと、私はそういうことを言っている。  それは野放していいのかということを言っているんでありまして、いまの御答弁との関連もありますが、これは三月二十三日の衆議院法務委員会でわが党の安藤議院が、この商法五十八条に基づいて東京ニューハウスのような幽霊企業登記を許してよいのか、実態を十分調査して解散命令を出すようにしなさい、するべきであるという趣旨の質問をいたしました。これに対して民事局長は「関心を持って資料の収集等をやってみたいと思います。」と、こうお答えになっていらっしゃるんですけれども、早速どういうふうなアクションを起こされて、つまり調査を開始されていらっしゃるか、資料の収集を始められたか、その経過をお尋ねいたします。
  105. 中島一郎

    政府委員(中島一郎君) 商法五十八条の定める対象会社につきましてどういう調査をするかということにつきましては、特別の調査権限というものが認められていないわけであります。  したがって、私どもといたしましては特別の調査権限がない。そこで、手近に利用し得る資料ということになりますれば、私の方の登記所商業登記がございまして、登記簿あるいは謄抄本というものはこれは公開しておりますので、こういうものを集めて、問題になっております会社の概略について承知をするというようなことをやっております。それから、公開をされた資料というようなものも幾つかあるようでありますが、そういうようなものについても関心は持っておるということでございます。
  106. 山中郁子

    ○山中郁子君 法務大臣にお尋ねをしますけれども、先ほどの御答弁がありました。私の意見は法務大臣が聞いてくださらなきゃそれは困るんだけれども、それはそれとして承りましたと、こうおっしゃるだけではなくて、私が伺いたいのは、法務大臣として、いま申し上げましたように、そういう幽霊企業、ペーパーカンパニーが野放しにされていて、そしてまた民事局長の御答弁を伺っていると、それはどうしようもないんだと、こういうことですね。つまり、五十八条のたとえば解散命令というふうなことになれば、それは密輸目的とする会社ができていたとかいうふうなことなら別だけれども、名義人、幽霊株主の問題だけ、そういうことからはアプローチできないんだと、こういうお話があった。  私はそこに問題があろうと。そうしたことが、現に田中角榮元総理が行ってきたようなさまざまなそうした蓄財方法が政治腐敗の大きく土台になって大問題になってきているというそういうときですから、そういう問題ですから、そこのところは、やっぱり野放しにせざるを得ないような状態であってはならないのではないかというような点での法務大臣の見解をお伺いしたわけなので、これは再度お尋ねをしたいと思います。  それで、あわせて私はやはりもっと細かく、たとえば五十八条の問題のあり方その他についても、また法務省の姿勢に関してもいろいろありますけれども、たとえば商法あるいは商業登記法を、こうした幽霊会社を野放しにしないという立場からの法改正の検討なども考えていかなければならない問題ではないかと思っておりますけれども、その点もあわせて法務大臣の御見解をお伺いいたします。
  107. 坂田道太

    国務大臣坂田道太君) いまのお尋ねはそれなりにわかるのですけれども、ただいま民事局長からお答えいたしましたように、われわれの方としてはやはり法に照らしてしか調査もできないわけでございます。そういうわけでございまして、税法上の問題はこれは大蔵関係でございましょうし、また犯罪の事実がございますればそれはやはりわれわれの刑事局の問題であろうと思うのですけれども、その事実関係がそれに当てはまるかどうかということがまだはっきりしてない。この段階で私がとやかく申し上げることは差し控えたいというのが、私の言い分であるわけでございます。
  108. 山中郁子

    ○山中郁子君 それじゃ野放しになっているのも仕方がないというのが、やはり法務大臣の御見解になるわけですか。
  109. 坂田道太

    国務大臣坂田道太君) 私は、野放しになっておるとあなたは御主張になっておるわけですけれども、必ずしもそうだとは断定できないのではないかというふうに思うわけであります。
  110. 山中郁子

    ○山中郁子君 それは違うのですよ。民事局長も他人名義で、つまり名義株主というのはいっぱいあると、こうおっしゃっているわけですよね。それは実際問題としてある。それが法と現実との関係だと、こうおっしゃるわけですよね。私は、そういういっぱいある中の田中関連企業の現実にすでに明らかになっているたくさんの問題に即して、そうしたものが法網をくぐって蓄財に使われ、そしてそれが政治腐敗の土台をつくり出している、そこが問題だ。そういう点から、やはりその野放しになっている状況がそれでいいということでは、法の番人たる法務大臣としての姿勢に根本的な疑いを持たざるを得ないということを、私は先ほどから指摘しているわけであります。  それについては、やはりどうしても仕方がないということのような御答弁に終始されているようなので、これ以上、もう時間がありませんから重ねての御答弁はいただきませんけれども、私が申し上げましたことは、そうした点についてきちんとした、実態が仕方がないではなくて、政治腐敗、そしてそれをもたらす悪徳企業、悪徳政治家存在に対してメスを入れていくということこそが、いまたとえばこの商業登記法の問題、商法の問題の審議の立場からいっても国民の求めるところであるということを強く指摘をし要求もいたしまして、質問を終わります。
  111. 鈴木一弘

    ○委員長(鈴木一弘君) 本案に対する本日の質疑はこの程度にとどめます。     ―――――――――――――
  112. 鈴木一弘

    ○委員長(鈴木一弘君) 証人等の被害についての給付に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。  政府から趣旨説明を聴取いたします。坂田法務大臣
  113. 坂田道太

    国務大臣坂田道太君) 証人等の被害についての給付に関する法律の一部を改正する法律案について、その趣旨を御説明いたします。  この法律案は、今国会に別途提案されました、警察官の職務に協力援助した者の災害給付に関する法律の一部を改正する法律案において、協力援助者及びその遺族の保護の充実が図られることにかんがみ、証人等の被害についての給付制度においても、被害者及びその遺族の保護の充実を図ろうとするものであります。この法律案による改正点は、年金である傷病給付、障害給付または遺族給付の受給権者が一時的に資金を必要とする場合に、これらの給付を受ける権利担保として国民金融公庫または沖縄振興開発金融公庫から小口の資金の貸し付けが受けられるようにするものであります。  以上が証人等の被害についての給付に関する法律の一部を改正する法律案の趣旨であります。  何とぞ慎重に御審議の上、速やかに御可決くださいますようお願いいたします。
  114. 鈴木一弘

    ○委員長(鈴木一弘君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。  本案に対する質疑は後日に譲ることといたします。     ―――――――――――――
  115. 鈴木一弘

    ○委員長(鈴木一弘君) 民事訴訟法及び民事調停法の一部を改正する法律案を議題といたします。  政府から趣旨説明を聴取いたします。坂田法務大臣
  116. 坂田道太

    国務大臣坂田道太君) 民事訴訟法及び民事調停法の一部を改正する法律案について、その趣旨を御説明いたします。  この法律案は、民事訴訟手続等の適正、円滑な進行を図るため、民事訴訟法等の一部を改正しようとするものでありまして、その要点は次のとおりであります。  第一は、就業場所への送達手続を新設する等送達及び期日における呼び出しの手続の合理化を図るものであります。  すなわち、国民の生活状況の変化に伴ういわゆる昼間不在者の増加により、訴訟に関する書類を、送達を受けるべき者の住居所において送達をすることが困難となりつつある実情にかんがみ、当該住居所において送達をするについて支障があるようなときは、送達は、これを受けるべき者の就業場所においてもすることができることとしております。この場合、就業場所において送達を受けるべき者に出会わないときは、その者の使用者等またはその法定代理人事務員もしくは雇い人に書類を交付することができることとしております。  また、現行法におきましては、簡易裁判所以外の裁判所においては、期日の呼び出しは、呼び出し状を送達してすることを要するものとされていますが、最近における送達ないし呼び出しの実情にかんがみ、これを改めて、簡易裁判所以外の裁判所においても、最初の期日の呼び出しを除き、いわゆる簡易呼び出しができることとしております。  第二に、証人調書等の作成及び判決書の記載の簡素化を図ることとしております。現行法におきましては、証人の陳述や検証の結果は調書に明確にすることを要するものとされていますが、訴訟上の和解成立訴えの取り下げなどにより、訴訟裁判によらずに完結した場合においては、その訴訟に関する限り、証人調書等は不要となりますので、原則として、証人調書等の作成を省略することができることとしております。  また、現在、判決書のいわゆる事実摘示欄には、証拠に関する事項をも記載すべきものとされておりますが、その記載の簡素化を図る見地から、証拠に関する事項の記載は、訴訟記録中の調書の記載を引用してすることができることとしております。  第三に、経済情勢の変動にかんがみ、証人の不出頭に対する制裁としての過料及び罰金民事訴訟法及び民事調停法中の過料及び罰金の多額を相当額に改定することとしております。  以上がこの法律案の趣旨であります。  何とぞ慎重に御審議の上、速やかに御可決くださいますようお願いいたします。
  117. 鈴木一弘

    ○委員長(鈴木一弘君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。  本案に対する質疑は後日に譲ることといたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後零時六分散会      ―――――・―――――