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1981-03-14 第94回国会 参議院 予算委員会 9号 公式Web版

  1. 昭和五十六年三月十四日(土曜日)    午前十時一分開会     ―――――――――――――    委員の異動  三月十三日     辞任         補欠選任      山中 郁子君     上田耕一郎君      柄谷 道一君     伊藤 郁男君      山田  勇君     喜屋武眞榮君  三月十四日     辞任         補欠選任      玉置 和郎君     梶木 又三君      藤井 孝男君     斎藤 十朗君     ―――――――――――――   出席者は左のとおり。     委員長         木村 睦男君     理 事                 亀井 久興君                 古賀雷四郎君                 平井 卓志君                 宮田  輝君                 粕谷 照美君                 和田 静夫君                 渋谷 邦彦君                 沓脱タケ子君                 柳澤 錬造君     委 員                 岩動 道行君                 板垣  正君                 岩上 二郎君                 梶木 又三君                 藏内 修治君                 源田  実君                 斎藤 十朗君                 下条進一郎君                 関口 恵造君                 田代由紀男君                 竹内  潔君                 谷川 寛三君                 玉置 和郎君                 名尾 良孝君                 長谷川 信君                 林  寛子君                 堀江 正夫君                 増岡 康治君                 八木 一郎君                 山崎 竜男君                 小野  明君                 大木 正吾君                 志苫  裕君                 竹田 四郎君                 寺田 熊雄君                 村沢  牧君                 安恒 良一君                 大川 清幸君                 桑名 義治君                 田代富士男君                 中野  明君                 上田耕一郎君                 伊藤 郁男君                 前島英三郎君                 喜屋武眞榮君    国務大臣        内閣総理大臣   鈴木 善幸君        法 務 大 臣  奥野 誠亮君        外 務 大 臣  伊東 正義君        大 蔵 大 臣  渡辺美智雄君        文 部 大 臣  田中 龍夫君        厚 生 大 臣  園田  直君        農林水産大臣   亀岡 高夫君        通商産業大臣   田中 六助君        運 輸 大 臣  塩川正十郎君        郵 政 大 臣  山内 一郎君        労 働 大 臣  藤尾 正行君        建 設 大 臣  斉藤滋与史君        自 治 大 臣        国 務 大 臣        (国家公安委員        会委員長)    安孫子藤吉君        国 務 大 臣        (内閣官房長        官)       宮澤 喜一君        国 務 大 臣        (総理府総務長        官)        (沖繩開発庁長        官)       中山 太郎君        国 務 大 臣        (行政管理庁長        官)       中曽根康弘君        国 務 大 臣        (北海道開発庁        長官)        (国土庁長官)  原 健三郎君        国 務 大 臣        (防衛庁長官)  大村 襄治君        国 務 大 臣        (経済企画庁長        宮)       河本 敏夫君        国 務 大 臣        (科学技術庁長        官)       中川 一郎君        国 務 大 臣        (環境庁長官)  鯨岡 兵輔君    政府委員        内閣法制局長官  角田禮次郎君        内閣法制局第一        部長       味村  治君        人事院総裁    藤井 貞夫君        人事院事務総局        任用局長     斧 誠之助君        警察庁長官官房        長        金澤 昭雄君        警察庁刑事局長  中平 和水君        警察庁刑事局保        安部長      谷口 守正君        行政管理庁行政        管理局長     佐倉  尚君        行政管理庁行政        監察局長     中  庄二君        行政管理庁行政        監察局監察審議        官        佐々木晴夫君        防衛庁参事官   岡崎 久彦君        防衛庁長官官房        長        夏目 晴雄君        防衛庁防衛局長  塩田  章君        防衛庁衛生局長  本田  正君        防衛庁装備局長  和田  裕君        環境庁長官官房        長        北村 和男君        環境庁企画調整        局長       藤森 昭一君        国土庁長官官房        長        谷村 昭一君        国土庁水資源局        長        北野  章君        国土庁地方振興        局長       四柳  修君        法務省民事局長  中島 一郎君        法務省刑事局長  前田  宏君        法務省訟務局長  柳川 俊一君        外務省アジア局        長        木内 昭胤君        外務省北米局長  淺尾新一郎君        外務省中近東ア        フリカ局長    村田 良平君        外務省経済局次        長        羽澄 光彦君        外務省経済協力        局長       梁井 新一君        外務省条約局長  伊達 宗起君        外務省国際連合        局長       賀陽 治憲君        大蔵大臣官房審        議官       梅澤 節男君        大蔵大臣官房審        議官       吉田 正輝君        大蔵省主計局長  松下 康雄君        大蔵省理財局長  渡辺 喜一君        大蔵省理財局次        長        楢崎 泰昌君        大蔵省国際金融        局長       加藤 隆司君        国税庁長官    渡部 周治君        文部大臣官房長  鈴木  勲君        文部大臣官房会        計課長      植木  浩君        文部省初等中等        教育局長     三角 哲生君        文部省大学局長  宮地 貫一君        文部省社会教育        局長       高石 邦男君        文部省管理局長  吉田 壽雄君        文化庁次長    別府  哲君        厚生省公衆衛生        局長       大谷 藤郎君        厚生省環境衛生        局長       榊  孝悌君        厚生省医務局長  田中 明夫君        厚生省薬務局長  山崎  圭君        厚生省社会局長  山下 眞臣君        厚生省児童家庭        局長       金田 一郎君        農林水産大臣官        房長       渡邊 五郎君        農林水産大臣官        房予算課長    京谷 昭夫君        農林水産省構造        改善局長     杉山 克己君        農林水産省農蚕        園芸局長     二瓶  博君        林野庁長官    須藤 徹男君        通商産業大臣官        房審議官     柴田 益男君        通商産業省通商        政策局長     藤原 一郎君        通商産業省通商        政策局次長    真野  温君        通商産業省貿易        局長       古田 徳昌君        通商産業省産業        政策局長     宮本 四郎君        通商産業省機械        情報産業局長   栗原 昭平君        資源エネルギー        庁長官      森山 信吾君        運輸大臣官房長  角田 達郎君        運輸省鉄道監督        局長       杉浦 喬也君        運輸省自動車局        長        飯島  篤君        郵政省貯金局長  鴨 光一郎君        郵政省簡易保険        局長       小山 森也君        労働大臣官房長  谷口 隆志君        労働省婦人少年        局長       高橋 久子君        建設大臣官房長  丸山 良仁君        建設大臣官房会        計課長      杉岡  浩君        建設省計画局長  宮繁  護君        建設省都市局長  升本 達夫君        建設省住宅局長  豊蔵  一君        自治大臣官房審        議官       大嶋  孝君        自治省行政局長  砂子田 隆君        自治省行政局公        務員部長     宮尾  盤君        自治省財政局長  土屋 佳照君        自治省税務局長  石原 信雄君    事務局側        常任委員会専門        員        道正  友君    説明員        会計検査院事務        総局第二局長   堤  一清君        会計検査院事務        総局第三局長   肥後 昭一君    参考人        日本住宅公団総        裁        澤田  悌君        元甲南大学常務        理事       中村 忠一君     ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○参考人の出席要求に関する件 ○昭和五十六年度一般会計予算(内閣提出、衆議  院送付) ○昭和五十六年度特別会計予算(内閣提出、衆議  院送付) ○昭和五十六年度政府関係機関予算(内閣提出、  衆議院送付)     ―――――――――――――
  2. 木村睦男

    ○委員長(木村睦男君) 予算委員会を開会いたします。  昭和五十六年度一般会計予算、昭和五十六年度特別会計予算、昭和五十六年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題といたします。     ―――――――――――――
  3. 木村睦男

    ○委員長(木村睦男君) まず、参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。  昭和五十六年度総予算三案審査のため、本日の委員会に日本住宅公団総裁澤田悌君及び元甲南大学常務理事中村忠一君を参考人として出席を求めることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 木村睦男

    ○委員長(木村睦男君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  なお、出席時刻等につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 木村睦男

    ○委員長(木村睦男君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ―――――――――――――
  6. 木村睦男

    ○委員長(木村睦男君) これより桑名義治君の総括質疑を行います。桑名君。(拍手)
  7. 桑名義治

    ○桑名義治君 私は、本日はまず経済問題、それから財政問題、公団の問題、それから現在当面している種々の問題について質疑を続けていきたいと思います。  まず最初に、日米自動車摩擦の問題でございますが、自動車の対米輸出をめぐりまして日米両国間で論議が高まっているわけでございますが、政府としてはどういうふうに対応してきたのか、また問題の所在はどこにあるのか、どういうふうにこの点について認識をなさっておられるのか、伺っておきたいと思います。
  8. 田中六助

    ○国務大臣(田中六助君) 日米経済摩擦の中に含まれております自動車の問題などでございますけれども、現在アメリカ側はタスクフォースの結論も出ておりませんし、それからベンツェンなどの法律の審議の進展もはっきりしておりませんし、向こうの出方を待っておるわけでございますが、これも向こうの出方と申しましても、結論は、わが国の自動車業界とのコントロールというようなこともございますので、総理が訪米いたします前には一応この問題を片づけたいという基本方針を持って、いま私ども外務省、通産省一緒になって内々検討はしておりますけれども、具体的にどうという結論は出ておりません。
  9. 桑名義治

    ○桑名義治君 そこで、日本の自動車業界では、米国の政府や業界の姿勢が一昨年の暮れからいわゆる日米自動車摩擦の上で特別高姿勢に変じたとは見ていないようでございます。そこで、日本側で大騒ぎすることは迷惑であるという意見もあるようでございます。きょうの朝日新聞にも載っておりますが、川又日産自動車会長がやはり同じような事柄を言っているわけです。「首相訪米前に、などと決着を急ぐべきではない」と、こういう意見が述べられておるようでございますが、この点についてはどのようにお考えでございますか。
  10. 田中六助

    ○国務大臣(田中六助君) 私どもといたしましては、はっきり申しまして、総理の渡米前にということは考えておりましても、この問題を、向こう側もはっきりしない、それからこちら側もはっきりしないのがある中で、でっち上げ仕事みたいな簡単な結論を出してしまうというようなことは私どもも十分配慮して、向こうの出方を待ちつつ、向こうがウエーティングのような姿勢をとるならば、私どもも別にこれは何でもかんでも早急にということもあり得ませんので、ある程度の弾力性は持ってもいいとは思っております。
  11. 桑名義治

    ○桑名義治君 大河原駐米大使が帰国をされているようでございますが、その報告の中に自動車問題は含まれておりませんでしたでしょうか。
  12. 伊東正義

    ○国務大臣(伊東正義君) お答え申し上げます。  きのう帰ってきましたので、私きょう昼に会う予定をしているのでございますが、まだ直接本人から聞いておりませんが、いままで累次電報その他が来ております中では、やっぱりアメリカでは、失業の問題でございますとか、自動車産業が非常に重大視されているということは確かでございまして、議会等で輸入制限立法の動きがあるというようなことの報告が来ているわけでございます。  ただ、政府としましては、先ほど通産大臣からもお答え申し上げましたように、ルイス運輸長官が中心になりましてタスクフォースでいま自動車問題――外国の自動車というだけでなくて、国内の自動車問題全般、自動車労務者の賃金の問題等も含めて、自動車問題全般の総合対策の検討をするということが行われているわけでございまして、この報告が中旬に大統領のところに出るんじゃないかといわれていたのが若干おくれるというふうなことにいま相なっているわけでございますが、その議論の過程でも、仄聞しますと、輸入制限立法には反対だという動きもあり、いろんな意見が出ているということは確かでございますが、大使の意見も、いまこのルイス長官主宰のタスクフォースの結論が出るのを見守っておるべきじゃないか、日本側であわてていろんなことを言ったり、そういうことは慎んだ方がいい、これを見守って、その結論が出たところで考えた方がいいじゃないかという意味の報告がございます。
  13. 桑名義治

    ○桑名義治君 そこで、現在の米国の動きの中で基本的に考えられておることは、規制された日本車の対米輸出の台数が多過ぎるという意見があるわけでございます、これはダンフォース法案の中でですね。このような状況の中で米政府内では、日本政府の責任が明らかになるような措置が望ましいと、こういう意見が強まっていると。新聞紙上によりますと、昨日のアメリカの閣僚会議の中ではこの自動車問題が大きな議題になったわけでございますが、最終的にはおさまりがつかなかった、現在の米大統領は保守的な考え方で自由貿易主義のような方向、考え方を持っているけれども、しかし選挙の公約の中で日本車の問題を取り上げている関係上結論が出せ得なかったのではなかろうかというようなニュアンスのいわゆる記事が、報道が載っているわけでございます。そういった米国の動きを見ながら、政府としてはいわゆる法的措置ということを優先に考えるべきか、あるいは自主規制という方向を一応模索すべきか。その点については大体どういう方向を特に模索をされているわけでございますか。
  14. 田中六助

    ○国務大臣(田中六助君) 政府としてはどういうことを考えておるかということでございますけれども、この問題はそれぞれ利害得失があるわけでございまして、私どももただアメリカの言うことをのんべんだらりと聞いておくというわけにもまいりません。と申しますのは、向こうの方じゃ二十万から三十万のレイオフ、つまり失業者の輸入だというふうに言っておる部分もございますけれども、日本にとりましても自動車産業というのは基幹産業で非常に重大な産業でございますし、こちらの立場も十分分析検討しなければなりませんので、やはり両方に言い分があると思います。しかし、それでは事が成りませんので、それぞれの言い分というものをある程度コントロールしていくということが必要でございますし、向こうもいろいろ意見が分かれておるようでございますけれども、基本方針といたしましては、私どもはあくまで自由主義貿易をどうするか、そういう観点に立って結論は自由主義貿易を拡大するという方針でございますし、そういう方針のもとでこの問題を考えたいと思います。具体的には、それを法律にするのか自主規制にするのかとかいう問題も、まあ人間の考えること、方法論は三つか四つかあるでしょう。しかし現在のところ、どれにするというような取り決め方はしておりません。
  15. 桑名義治

    ○桑名義治君 大体政府の考え方は、いま田中通産大臣が言われましたように、自由貿易の拡大ということを基礎に置きながらどういう方向を模索するかということが基本だというお話でございますが、川又氏がやはりきのうの対談の中で言われている事柄は、これがいわゆる自動車業界の大体考え方ではなかろうか、こういうように思うわけでございますが、自粛は法的に根拠を持つ方法で行うことが望ましいがあくまでも緊急避難的な措置にすべきだと、概略申し上げますとこういうふうな考え方のようでございますが、この点についてはどのようにお考えですか。
  16. 田中六助

    ○国務大臣(田中六助君) 先ほども申し上げましたように、その方法論はいろいろあると思います。したがって、この方法論のどれを選ぶか、選択の順序もおのずからあろうとは思いますけれども、これをどういうふうにするというようなことはいま決まってはおりません。
  17. 桑名義治

    ○桑名義治君 そこでお尋ねしたいことは、日米の自動車交渉の窓口についてでございますが、この窓口が玉虫色というふうに言われているわけでございます。と申しますのは、宮澤官房長官によりますと、窓口は大来代表、天谷通産審議官ら各省の担当官はその下で協力する、しかし最終局面では業界との調整が必要となるから田中通産相に指揮をとってもらう、交渉の前半は外務省ベース、それから後半は通産省ベース、こういうふうになるわけでございますけれども、しかし、かつてのいわゆる繊維交渉のときにもこういう方法をとって、実際は窓口が余り明確にならないままに繊維交渉が非常に後手に回ったというようないきさつがあるわけでございますが、この点についてはどういうふうにお考えになりますか。どちらが現在の窓口ですか。
  18. 宮澤喜一

    ○国務大臣(宮澤喜一君) 繊維交渉のときには、当時外務大臣は愛知揆一さんでありまして、通産大臣は私でございました。二人してワシントンを訪問したこともございます。結局こういう交渉になりますと、先方の考え方こちらの考え方、基本的なラインで話をし合いますのはどうしてもやはり外交の仕事だと思います。しかし、今度はその基本的なラインの上でさあこれを国内でどういうふうに行政へはめていくかということになりますと、これはどうしても行政を持っております大臣でないとできません。自動車の場合も恐らく繊維と同じぐらい、あるいはそれよりもっと問題は大きゅうございますからそうであろうと思いますので、したがってあのようなことを申し上げておるわけでございます。
  19. 桑名義治

    ○桑名義治君 大臣の言われることはよくわかるのです。わかりますけれども、実際に完全な窓口というものはあくまでも一本化し、その窓口を通し交互の連絡をとりながら推進をしていくということが最もベターな方法ではなかろうか、そういう意味におきましては本当の意味の責任者、窓口というものを一体化することが私はむしろ好ましいのではないか、こういうふうに思いますが、総理どうでしょうか。
  20. 宮澤喜一

    ○国務大臣(宮澤喜一君) そこで、もう少し敷衍をして申し上げますと、先方と外交交渉をやっておりますと、どうしてもこれは実態に入ってまいります、実態抜きに交渉はできるわけじゃございませんので。したがって、繊維交渉の際にも外務省の事務当局と通産省の事務当局は常に情報交換をし合いながら、ここまでいけるかいけないか、向こうの言う意味はどういう意味かといったようなことをずっと共同でやってまいりましたわけで、その場合窓口がどっちであるかということは現実には余りどうこう申しても意味がないので、両方がうまく協力態勢をとっていけるかどうかということが問題なんだろうと思います。
  21. 桑名義治

    ○桑名義治君 この問題で余り議論すべき問題ではないかもしれませんが、しかしどう考えましても、国でもやはり総理が二人おったらおかしいわけですよ。太陽が二つあってもおかしいわけです、月が二つあってもおかしいわけです。同じことじゃないかと思う。一つの窓口というものは厳然としたものがなければならない。そこを中心にしながらいろいろな話し合いを詰めていくということが私はベターだろうと思います。総理どうですか。
  22. 鈴木善幸

    ○国務大臣(鈴木善幸君) 自動車の輸出問題につきまして、総括的に私から政府の方針を申し述べておきます。  私は、日米間における自動車の輸出問題、これは基本的には石油危機その他の諸情勢に対するアメリカの自動車企業の対応のおくれ、これが何といっても根本だと、こう思っております。したがって、全部を日本の自動車の輸入ということに責任を負わしてはいけない問題である。でありますから、アメリカにおきましても、ルイス運輸長官をヘッドにしたところのタスクフォースにおいていま総合的なアメリカの自動車産業の再建策を検討中であり、それをレーガン大統領が答申を受けて対策を具体的にお決めになる、こういうことに相なっておるようでございます。そういう中で日本の自動車の問題がどの程度のウエートを持つものであるかということもおのずから明らかになってこようかと思います。  私はそういう基本的な認識を持っておりますが、しかし現実にアメリカの自動車産業の経営が危機的状態にある、失業者もたくさん出ておるというようなそういう窮状にありますことはわれわれも理解をしてあげなければならないし、日本としてもどの程度のどういうような協力をすることが可能であるかどうかということもわれわれは考えなければならないと思います。私は、自由貿易主義をあくまで育てていかなければならないという観点に立ちまして、そういうために、アメリカの議会が自動車の輸入規制、法的な規制というようなことを立法によってやるというようなことは、これは世界の自由貿易の堅持という観点から避けなければならないし、そういう健全な世論というものがアメリカの中にもあるということを私は大変これはいいことだと、こう思っております。また、今度は私どもの立場からいたしましても、自動車に限りませんが、すべて集中豪雨的な輸出をし、そのために相手国にいろいろな混乱を引き起こすというようなことは、日本の自由貿易というものを、世界の自由貿易というものをあくまで育て堅持していくという観点からこれも避けなければならない点であろうかと、こう思います。そういうようなことを総合的に考えまして、私は、前段で申し上げましたように、日本として一体どういう考え方でこの問題に対応するか、日本としても協力できるものはしなければならない、こういう考えに立つものでございます。  そういうことからいたしまして、これから日米の間でこの問題がいろいろ話し合いをされるということになりますが、これは基本的には外交の問題でございますから、大来政府代表を中心に、それに天谷審議官等がこれのスタッフとしてやってまいります。その交渉の中で、いま申し上げたように、アメリカ側がどうしても立法措置によって日本の自動車の輸入規制をやろうという方法をとろうとするのか、日米で話し合いをしてもなおそういう方法をとろうとするのか、あるいはそういうことは避けたい、何とか日本側において協力してもらいたい、自粛をしてもらいたいというようなことになるのか、そういう方向に仮になったといたしますれば、今度は実態的な問題に移ってくる。どういう程度の規制を――規制といいますか、輸出の数量等をどの程度にやったらいいのか、それも緊急避難的に一定の期間を定めてやった方がいいのか。それから、日本におきましてもどういう行政指導なりあるいは法的な裏づけの上にそれをやるかというような今度は国内の問題になってくることは、これはよく桑名さんもお考えの及ぶところであろうかと、こう思います。最後の手続は別といたしまして、あるそういう具体的な段階になりますと、通産大臣が行って、そしてもう具体的にそこで折衝をして決めるという場合も私はあり得る。それを、また御用を承ってきてこっちの方の国内の方を固めてというようないろいろのことをするより、そういう場合もかえっていいかもしれない、いろんなことを考えておるわけでございます。  私は、要は官房長官も申し上げましたように、手際よくこの問題を処理して、この経済問題が政治問題に発展する等のことのないように、そして日米の友好関係の上に暗い影を将来に落とさないように、そういうことを図ることが私どもの賢明な対処の方法であろうと、こう思います。目的はそこにあるのでございますから、政府の方にお任せをいただきたいと思います。
  23. 桑名義治

    ○桑名義治君 総理の御意見を伺ったわけでございますが、実はきょうの新聞によりますと、けさ福田元総理と日米間の問題について話し合いをなさるという記事が載っておりますが、その中身の中にも恐らくこの自動車問題が含まれていたのではないかと思いますが、どういうお話し合いをなさったんですか。
  24. 伊東正義

    ○国務大臣(伊東正義君) けさは総理と官房長官と私と出まして福田元総理とお会いしたのでございますが、その席上、福田元総理から、国際情勢全般についての様子をひとつ話してくれということでございまして、私から福田元総理に国際情勢のお話をしたということでございまして、食事時間を入れて三十分ちょっとぐらいでございますので、日米間の防衛の問題だ、自動車の問題だとかいうそういう個別的なことは一切しなかった。福田さんの方からも一般的な国際情勢を聞かしてくれと、こういうことでございましたので、いま先生のような話題は出なかったわけでございます。
  25. 桑名義治

    ○桑名義治君 この自動車とまた対応して集積回路――ICが日米間の新たな経済摩擦として政治問題化するおそれがあると、こういうふうに言われておるわけでございますが、この点どのように認識をなさっておりますか。
  26. 田中六助

    ○国務大臣(田中六助君) IC問題、つまり半導体の問題でございますが、日本はアメリカにおくれて開発を始めたわけでございますけれども、非常にこの技術の向上あるいは研究が進みましてアメリカとどっこいどっこいになっておるわけでございます。したがって、次の摩擦はICをめぐってあるであろうというふうに世界的にも相互に考えられておったわけでございますけれども、これは日米間の非常に合理的な、あるいはまたそれ以上の考えが一致いたしまして、一ころのように競争というようなことはなくなってはいませんけれども、まあまあないに等しいような状態になっております。  これは具体的に申し上げますと、日本の東芝とかあるいは日立その他の工場が向こうに行っておりますし、向こうからも日本の企業の倍以上の企業が日本に来て合弁会社並びに単独会社をつくっておりまして、非常にICについてはうまくいっております。
  27. 桑名義治

    ○桑名義治君 米政府からわが国のIC関税――これは現行一〇%ですが、の大幅な引き下げが求められているということでありますけれども、政府としてはどういうふうに対応なさるおつもりですか。
  28. 田中六助

    ○国務大臣(田中六助君) 現在、実行税率を五十五年から八年間四・二%まで下げるということになっておりまして、その実行税率が着々と進んでおりまして、日本側は前倒しも含めましていま一〇・一までいっておりますけれども、そういうふうに四・二だったと思いますけれども、そのように下げようというふうに合意しておりまして、これは東京ラウンドでそういうように決まっておりますし、具体的にそれも両国で話し合いの上あるいはいろんな協議の上着々と進んでおりまして、いまのところトラブルはないような状況にございます。
  29. 桑名義治

    ○桑名義治君 この日米間の自動車貿易摩擦の問題を見る場合に、ECとの関連も看過できない問題でございます。そういった意味から申しますと、ECは七月にオタワで開かれるいわゆるサミット、このときに日本の輸出を議題にする姿勢を変えていない、こういうふうに言われておりますが、その焦点になるのがいわゆる日本の自動車の輸出問題だと、こういうふうに言われているわけでございますが、こういった立場からECとの自動車問題にも手を打つ必要がある、こういうふうに考えるわけでございますが、この点はどういうふうな対応をなさっておられますか。
  30. 田中六助

    ○国務大臣(田中六助君) 現在のところ、私どもの基本的な考えのベースといたしましては、日米間の自動車摩擦をなくする手段がはっきりし、また目的がそういうふうに達成されるようなころに、やはりECやカナダとも自動車問題がございますので、同時決着と申しますか、同時着陸と申しますか、そういうふうに持っていきたいと思っております。つまり、先ほど総理も言っておりましたけれども、特定の地域に集中豪雨的な輸出は避けようという基本的概念、それからもう一つは、あくまで自由主義貿易というようなことから考えを進めて、アメリカと解決できるころにはECあるいはその他の国々とも同時決着をしたいという気持ちでおります。
  31. 桑名義治

    ○桑名義治君 わが党の矢野書記長が現在ヨーロッパを回っているわけでございますが、三月十日ブリュッセルでECの副委員長と会談した際に、いわゆる貿易摩擦の解消は日本側の自主規制で行いたい、この意向を非常に強く打ち出したというふうに言われているわけでございますが、このECの考え方というものがアメリカと大体同一歩調をとるというような傾向が見られることは事実でございますが、この問題に対してどういうふうに対応なさろうと考えますか。
  32. 田中六助

    ○国務大臣(田中六助君) 矢野書記長の記事は私も読みました。非常に私どもにとってはありがたい線だというふうに考えておりますし、あくまで私ども自分のことは自分で決めるというような態度、つまり自主規制を含めてでございますけれども、そういうことになりますと、ベースは、自主規制をしなさいというような国々の心底の考えは、自由主義貿易、自由開放という、どちらかというと基本ベースだと思いますので、私どもは歓迎したいというふうに思います。
  33. 桑名義治

    ○桑名義治君 いずれにしましてもこの自動車の輸出、いわゆる貿易摩擦の問題は、ただ単に自動車にとどまらず、日本のいわゆる輸出問題に大きくかかわる問題でございますので、この問題は慎重に取り扱っていただきたいと同時に、明確な対応をしていただきたいことを希望しておきたいと思います。  次に、中国プラントの問題に移りたいと思いますが、日中間で懸案になっております大型プラント建設計画、この中止の問題は、現在民間レベルでいわゆる補償問題など打開策がいろいろと講じられておるわけでございます。とりわけ、昨日鄧小平氏が、いままで中止という段階から新しい提案をまた発表をしているわけでございますが、いわゆる日本側の政府の援助があるとするならば、日中友好の立場からも継続をしたいという発言をしておられるようでございますが、この問題についてはどういうふうに対応されようとお考えでございますか。
  34. 伊東正義

    ○国務大臣(伊東正義君) お答え申し上げます。  日中の問題につきまして、大型プラントの延期ということがございましたので、大来代表に行ってもらって話を聞き、向こうからも担当の副総経理が来まして、輸入公司の、いろいろ打ち合わせているところでございまして、日本政府としましては、その結果、日本の民間と向こうの話し合いで解決すべきものは解決する。問題が残れば、それをどういうふうに処理するかということにつきまして、これはいまおっしゃいましたように、日中の友好関係に傷の残らぬような方法で取り扱っていく必要がある問題だというふうに考えております。まだ最終的に、どこにどういう問題だというところまで詰まっておりませんので、それをもう少し見守っているということでございます。
  35. 桑名義治

    ○桑名義治君 十七日から土光氏がいわゆる訪中をされるわけでございますが、その前に、総理とたしか打ち合わせをなさっておられるのではないかと思います。両国政府間で交渉するという提案、これは向こうの方からいま打ち出しがあったわけでございます。昨日打ち出しが中国側から正式にあったわけでございますが、この土光氏と政府との間の話し合いというものは、政府間交渉に至る話し合いはなかったのでしょうか、どうでしょうか。
  36. 鈴木善幸

    ○国務大臣(鈴木善幸君) 私は先日土光さんとお目にかかったのでございますが、これは御高承のとおり、今度第二臨調の会長さんに御就任をいただきますので、御多用の中を曲げて御就任いただいたことに対して謝意を表すると同時に、今後この臨調の答申については全国民が注視をし、また期待もしておるということで、ぜひひとつりっぱな答申を出していただき、政府はこれを尊重して、できることなら中間答申の内容については五十七年度予算編成にも反映をさしたい、こういうようなことをお話しを申し上げました。それが主たる目的でございました。  ただ、桑名さんお話しのように、ちょうど翌日、中国に向けて御出発になると、こういうことでございまして、土光さんから中国へ行ってまいりますというお話がございまして、よく向こうの考え方やなにを聞いてきていただきたいということをお願いをしてお別れをしたと、これが実態でございます。
  37. 桑名義治

    ○桑名義治君 通産大臣、けさの新聞を見ますと、中国のこのプラント問題については二段構え、三段構えと、いろいろな方策を通産省側としては考えているような記事が日経新聞あたりには一面に大きく取り上げられておるわけでございますが、あの中身の問題についてと同等の事柄は通産省の内部では考えているわけでございますか。
  38. 田中六助

    ○国務大臣(田中六助君) 向こうから劉興華さんという人が二月の二十四日に参りまして、きょうですか、いずれにしても帰る、中国にまた帰るわけでございます。その間、日本の業者の人々と非常に小まめにお会いして帰るわけでございますけれども、この問題はあくまで民間ベース――まあ向こうはそういうことの体制がないわけでございますので日本とは違っておりますけれども、日本側はあくまで民間ベースでやっておることでございまして、劉興華さんも日本の政府の人々には会ってないんです。それで具体的にそれぞれの品目とか、いろいろなものを詰めてお帰りでしょうけれども、まあ劉興華さんには失礼でございますけれども、本当に責任を持ってそれが判断でき、結論を出していくというような立場にはないようだったわけでございます。したがって、私どもの業界の意見を聞くと、それから向こう側からもある程度述べるというような個別にわたってそれをやっただけで、それならこういうふうに話がついたからこうだという結論は何一つなかったと思います。  具体的にどういうふうにかということ、新聞に載っておることはどうかということでございますけれども、御承知のように第二期宝山の計画、それから勝利、それから南京、北京東、三つの石油プラントが具体的な問題でございますけれども、日本ではすでに船積みも終わって、八五%はもう向こうに持っていって形をつくればいいというような段階のところもございまして、その下の下請企業が全部それをもしもキャンセルされるようなことがあると非常に大変な、重大な問題になるわけでございます。したがって、私どもはその具体的な処置の問題、これから後、少しは何とかなるまいかというような問題がたくさんございまして、土光さんもそれを一部は申し述べるでしょうし、また向こうからもどなたか要人が来るかもわかりませんし、私どももこれは話を詰めていかなければならない両国間の問題でございますけれども、そう短兵急にこれをやると非常に無理がいくような気がしますし、どの品目をどう、どの工場をどうというような具体的なことは現在私どもも明確に考えておりませんし、民間の人々もいろんな方法論をいま一生懸命練っておるところだと思います。
  39. 桑名義治

    ○桑名義治君 この中国プラントの問題につきましては、政府は全然かかわり合いかないというわけでもございませんし、輸出保険の面から見ましても当然これは政府としては一枚かんでいると、こういうふうに言わざるを得ないわけでございます。それと同時に、やっぱり日中友好という立場、こういう外交上の立場から考えましても、これはおろそかにできない問題でもございます。そういった意味からも、昨日のいわゆる鄧小平氏と藤山愛一郎氏との会談の内容が出ていたわけでございますが、それにならっていわゆる中国の谷牧副首相が来日をしたいと、こういうふうに言われているわけでございますが、いつごろに大体政府としては予定をしているのか、あるいはまたこの問題を政府間交渉に持っていかれるおつもりなのかどうか、この点を伺っておきたいと思います。
  40. 伊東正義

    ○国務大臣(伊東正義君) いまの御質問の点で、谷牧さんが二十日ごろから行きたいがという連絡が北京の日本の大使館にございました。私どもは、いまこっちへ来ていろいろ事務的にプラントの問題話しておられる最中でございますし、さっき申し上げましたように、そこでいろんな問題が出てくるわけでございますから、その問題をどうするかということを相談する時間も必要でございましょうし、ちょうどまた国会の最中でもございまして、なかなかお会いするといっても時間がございませんので、四月の中旬ごろおいでになることは歓迎をしますが、四月の中旬ごろはどうでしょうかという意味のことを向こうへ連絡をいたしました。それでいいという返事はもらっておりませんが、恐らく四月、来られるとすれば早くても四月中旬ごろではなかろうかというふうに思っておるわけでございます。そのときにどういう問題が残って、それをどうするかということはいまここですぐに申し上げかねますが、おっしゃるように、日中のこれからの友好に傷がつかぬということはこれは外交上大切なことでございますので、国内でも十分その点は関係省で協議をこれから続けていきたいというふうに思います。
  41. 桑名義治

    ○桑名義治君 では外務大臣、政府間折衝を今後やるということですね。
  42. 伊東正義

    ○国務大臣(伊東正義君) お答え申し上げます。  いま問題の整理、これからやるわけでございますから、問題によりましてどういうことで片づけるか、あるいは政府間で話し合いになるか、その辺のところはいまのところははっきりしないわけでございます、まだ問題のどれがどうだということ決まっておりませんので。ただ、私が申し上げますのは、日本と中国の間の友好に傷がつかぬようにと、これはどうしても考える必要があるというふうに思っておりますので、いろんな場合が私は先生おっしゃるようなことが想定されるのじゃなかろうかと、こう思っております。
  43. 桑名義治

    ○桑名義治君 次の問題に移ります。  ゼロリストについて伺っておきたいと思いますが、ゼロリストと五十六年度予算の関係、この問題についてお伺いするわけでございますが、このゼロリストの問題がどういうふうに予算に生かされたかということをまずお尋ねをしておきたいと思いますが、いわゆるゼロリストに載っておる要求額の中で、五十六年度の予算計上額、予算化率。警察車両購入費、犯罪捜査費、それから私立大学経常費補助、これを御説明を願いたいと思います。
  44. 渡辺美智雄

    ○国務大臣(渡辺美智雄君) ゼロリストがどう生かされたかというのでありますが、これは心の問題なんです。要するに、五十六年度の自然増収は、幾らよけいに見ても四兆円か四兆五千億だろう、二兆円の国債減額をもしやればその財源に二兆円充てられるから、あと一兆五千億しか残らない、それを国債費と地方交付税を払えばもう全部なくなってしまう。そこで、来年の予算はこのままでは伸び率ゼロですと、こう言ったところが、伸び率ゼロということは、じゃ五十五年と同じ予算か、そうですねと、そのときの問題点は何かあるかと言うから、各省に頼んでどういう問題点が出るかということを出したわけであって、それは大変だ、大変ならば既定経費の中で切れるものはうんと切って、それで、当然ふえるものをそれの中でかばえないかという話になってきておって、各省庁が自分たちの予算を切るものは切ったり抑えたり、それでもどうしてもこれはもう抑え切れないというものだけが当然増という形で出てきた、したがって、予算の節約という点に大変に役立ったと思っております。
  45. 松下康雄

    ○政府委員(松下康雄君) 警察車両の購入費でございますが、要求額四十八億一千万円に対しまして、予算計上額は四十二億一千九百万円で八七・七%になっております。  犯罪捜査費は、要求額六十四億八千二百万円に対しまして、予算計上額は六十二億五千五百万円でございまして、九六・五%になっております。  私立大学等経常費補助金は、要求額二千九百十五億円に対しまして、予算計上額は二千八百三十五億円、予算化率は九七・三%になっております。
  46. 桑名義治

    ○桑名義治君 そうしますと、このゼロリストの中にはこう書いてあるわけですね。もし仮にこういう伸び率がゼロの場合には、「事件の解決・処理が遅れ、検挙率が低下する」と、この警察車両の購入の場合も犯罪捜査の場合も同じような事柄が書いてあるわけです。「捜査が長期化し、検挙率が低下することとなる」と、こういうふうに言われておるわけでございますが、そうなってまいりますと、いわゆる今回の予算化率は警察車両の購入費八七・七%、それから犯罪捜査費が九六・五%、こういうふうな実情になったわけでございますが、では、その捜査率はどのくらい落ちるんですか。
  47. 金澤昭雄

    ○政府委員(金澤昭雄君) お答えいたします。  車両の購入費と犯罪の検挙率の低下の状況でございますが、現在一一〇番を受けましてパトカーが現場に到着すみ時間、これはリスポンス・タイムというふうに呼んでおるわけですが、全国平均で現在約六分でございます。車の数が、単価のアップ等もありまして、もし予算の伸びがゼロということになりますと、車の数自体、パトカーの数自体が伸び悩むという状況になります。したがいまして、リスポンス・タイムが結果的に延びるということになりまして、犯罪の検挙率の方に悪い影響を及ぼすということでございますが、それでは何%程度低下するかということになりますと、具体的な計数の策定というものはちょっとむずかしいという状況でございます。  それから、捜査費との関係でございますが、犯罪の最近の都市化、広域化、巧妙化というようなことに伴いまして、非常に捜査が長期化しておる、こういう状況でございます。したがいまして、捜査費もよけいにかかるということになっております。これが伸び悩みますと、やはり犯罪捜査が長期化をして検挙率の方に影響をする、こういう状況でございます。
  48. 桑名義治

    ○桑名義治君 それは確かに、全然伸びない場合には多少の影響があるかもしれません。しかし、こういうふうに――これは完全なおどしですよ。だから私は、これは警察庁に聞くよりもむしろ大蔵省に聞きたいんです。大蔵省の積算ならどのくらい検挙率が落ちますか。
  49. 渡辺美智雄

    ○国務大臣(渡辺美智雄君) これは検挙率が幾ら、何%落ちるかといったって、それはわからないんですよ。そのときの失業者の問題もあるし、いろいろありますからね。ですけれども、要するに常識的に考えて、これはパトカーの数が減れば結局それだけ犯罪現場へ行くのが時間かかる、そうすれば検挙率が下がるということは、これはもう常識の問題なんですね。何%下がったか、何台で何%ということはわかりませんが、ただそういう問題点がある。これはこれはかりでなくて、たとえば小中学校の場合だって、生徒が三十万人ふえるときに予算が伸びないということになれば、先生の数はふえないということになりますから、そうすると結局すし詰め学級に逆戻りしちゃうとか、あるいは学校の先生が採用を予定されておった者が一万人失職するとか、そういう問題点が出ますという、要するに問題点が出るということを言ったのであって、その問題点が出ないためにはどうするかという足がかりのために、参考までにこしらえたということでございます。
  50. 桑名義治

    ○桑名義治君 これは大蔵大臣、そんなことはだれだってわかっているわけなんですよ。わざわざこんな説明書の中に、いわゆる予算がゼロになった場合、伸び率がゼロになった場合には事件の処理がおくれ、検挙率が低下するとかあるいは学力が低下するなんて、これはもう完全におどしですよ。だれが考えたってこんなことはわかる問題ですよ。わざわざこんな説明書の上に出して国会に提出するような項目じゃございませんよ。そこを私は問題にしているんです。こんなことはわかっていますよ、だれだって。教わらなくたってわかっていますよ、そんなのは。常識っていまあなたおっしゃったじゃないですか。常識だとおっしゃったことは、だれでもわかっているということじゃございませんか。私はそう思いますよ。  だから問題は、予算要求の五〇%から七〇%、これは要求の中で行政が停滞できないのにゼロリストでは一〇〇%認められないと国民生活は混乱起こりますよという宣伝ですよね、要するに。これはいわゆる財政再建を最優先の政策としている内閣の姿、これは一面から言うと熱心な姿は一応評価できるわけでございますけれども、しかし、国民の血の出るような税金のいわゆる分捕り、そのためのへ理屈の姿勢、批判、これは私は今後とるべき姿ではないと、こういうふうにきょうは大蔵大臣にも申し上げておきたかったわけでございます。どうですか。
  51. 渡辺美智雄

    ○国務大臣(渡辺美智雄君) そういうことじゃないんです。これは、要するに、普通伸び率がゼロだと言った場合、私は演説会なんか行ってみると、伸び率ゼロということは五十五年と同じ予算額ですねと、こう聞かれるわけです。五十五年と同じ予算額が、そうですよ、いいのじゃないか、五十五年と同じ予算なら、五十五年うまくやっているのだから五十六年も同じ額でできるのじゃないかという質問が一般の人からは多いんです。しかし、それはむずかしいのですという説明の材科としてこしらえたことは事実なんです。国会に出したのは進んで出したのじゃなくて、出してみろと、こう言われたものですから、それで御参考に出したというわけなんです。
  52. 桑名義治

    ○桑名義治君 いずれにしても、こんな中身を、説明書をのうのうと出すところに問題は私はあると思いますよ。今後こういった問題についてはもう少し慎重に構え、そして税金に対するいわゆる厳しい態度をもう少しとっていただきたいことを要望しておきたいと思います。  次の問題でございますが、昨年の夏ごろから、財政当局の財政再建にかける熱意は相当の力の入れ方であったわけでございます。「歳出百科」あるいは財政再建のパンフレット、それからいま申し上げましたようなゼロリスト、連続して一つの方向へ確かに駆けていったわけでございます。そして西ドイツ式の財政再建法の制定というものが感じられたわけでございますが、これはどういうふうになったんですか。
  53. 渡辺美智雄

    ○国務大臣(渡辺美智雄君) 委員のおっしゃることは、要するに西ドイツ式の何か政策を織り込んだような財政再建の――
  54. 桑名義治

    ○桑名義治君 財政再建法の制定。
  55. 渡辺美智雄

    ○国務大臣(渡辺美智雄君) 財政再建法――西ドイツの財政構造改善法ですか、そういうのを一九七五年に制定をされたということは聞いております。これにつきましては、一つの政策の変更というものを決定をされませんというとわからぬわけですね。こういうふうなことで、現行制度をこういうように直すと、法律制度もこういうふうに直すというふうなことが決まれば、それによって歳出の見通しができますが、そこまでまだ決まってなかった。そのために既定の歳出というものについて、極力ケース・バイ・ケースで抑え込んだりカットしたりというものをやったわけです。そのかわり公明党の矢野さんなんか一番熱心で、それで財政の中期展望みたいなものを出せということなものですから、財政再建法とか計画法とかというものは出せませんが、「財政の中期展望」というものを、現在の制度施策の中で後年度負担を推計すれば税収の伸びとの関係でこうなりますというものを出したわけでございまして、やはり今後第二次臨調等を通しまして、制度、施策に変更を加えるということになってまいりますと、全部ではありませんが、一部についてはまだ推計の仕方も違うものが出てぐるということになるだろうと思います。したがって、現在のところ財政再建法というものをいま出すという考えはまだ持っておりません。
  56. 桑名義治

    ○桑名義治君 現在の時点におきましては財政再建法は出すつもりはない、いますぐ出すつもりはないと、こういう御答弁でございますが、近い将来にわたって財政再建法的なものを制定する意思はおありなんですか。
  57. 渡辺美智雄

    ○国務大臣(渡辺美智雄君) これは実は非常にむずかしい問題なんです。結局政策を固定してしまいますと、非常に世界情勢が目まぐるしい、いろいろ変わってくるわけですね、いろんなことで。そのときに硬直しちゃって、法律として国会で制定すれば、そいつを直すのにはまた国会で議論をして直していかなければならぬということで、その場その場がうまくやれるかどうかわからないから、総合的な財政再建法というものはどういうものかいま研究中なんですが、なかなかむずかしいのではないか。  しかしながら、いずれにしても歳出カットというような点については、かなりいままでと違ったことをやらなければならぬということであります。したがって、そういう点で部分的には方角は必ず相当出てくるし、また、そうさせなければいけない。ただ、今回は、財政再建法にかわって財源の特別措置法案というものを今国会に提出をして、歳入面におきましては、臨時なものではございますが、電電公社納付金や競馬会、開発銀行、輸出入銀行、日本銀行等からの歳入の確保についての臨時立法を出したということは、その一部分であるというふうに考えていただいて結構でございます。
  58. 桑名義治

    ○桑名義治君 いずれにしましても、大平内閣当時に中期財政計画の作成の意向を言明をしておられたわけでございますが、このいわゆる中期財政計画なるものはどういうふうになったんですか。
  59. 渡辺美智雄

    ○国務大臣(渡辺美智雄君) 技術的な問題、主計局長から説明をさせます。
  60. 松下康雄

    ○政府委員(松下康雄君) 財政計画につきまして、国会におきましても数年にわたりまして御議論がございました。私どもも、それまでお出しをいたしておりました財政収支試算にかわりまして何らかの財政計画の検討をやり、これを提出を申し上げたい、ただ、財政計画にもいろいろ諸外国の例を見ましても種類がございますけれども、現状から考えまして、私どもいわゆる後年度負担型財政計画と申しますか、財政負担の後年度推計を財政計画として御提出を申し上げたいということを申し上げてまいりました。検討の結果がまとまりましたので、本年の二月に国会に御提出を申し上げましたいわゆる中期財政展望、この検討に基づきますところの後年度負担型推計の財政計画試算という面を持ったものでございます。さしあたり私どもはこれを基礎としまして、なお今後にわたって改善にも努めてまいりたいと思っております。
  61. 桑名義治

    ○桑名義治君 そうしますと、ここに私もその「財政の中期展望」というのを持っています。これを読ませていただきました。いずれにしましても、これがいわゆる中期財政計画に一応かわるべきものであるという御答弁が返ってくるだろうというふうに思っておりましたが、いわゆるこの中期財政計画というものは、将来にわたってこれを敷衍させてさらに固めていくという意向があるわけですか。
  62. 松下康雄

    ○政府委員(松下康雄君) 御提出をしました中期財政展望には、要調整額というものが残っておりますので、その点では歳入と歳出の内容にまだ今後現実の予算編成で解決をしてまいらなければならない問題を残してあるわけでございます。と申しますより、むしろそういう問題をお示しするために作成したものでございます。これに対しまして、この要調整額をこういうふうに処理をしていくんだという意味での計画は、現在のように非常に経済情勢の変動も激しゅうございますし、また、財政事情も困難な時期におきましては、その年その年の予算編成で解決をしていくということでやむを得ないのではないか。したがいまして、そういうものの将来数年にわたります解決策を含めた財政計画というわけには当面まいりませんけれども、お出しいたしました展望は、何分主計局として初めでつくったものでございますから、その基本に基づく内容につきましては、今後とも改善に努めてまいりたいと思っております。
  63. 桑名義治

    ○桑名義治君 いずれにしましても、大蔵省自身はわが国の財政のいわゆるかじ取りをしている、そういう責任は、あるいは心意気というものは非常に結構でございますけれども、いずれにしましても、この税金そのものが国民の血税によって賄われているというこの点については、やっぱり真摯な態度で真剣に取り組んでいただかなければならない、こういうふうに思うわけでございますが、その点の御決意をまず伺っておきたいと思います。
  64. 渡辺美智雄

    ○国務大臣(渡辺美智雄君) それは、国民の税金によって国の財政が賄われておるわけでありますから、当然に冗費と言われるようなものは絶対につくってはいけないし、あるいはこういうような苦しい財政事情で国民に租税負担の増加を求めなければならないという状態でございますから、今後は、いままでは政府が助成をして、こうこういうようなことをやったけれども、これからそういうものを続けるということは負担に耐え切れないというような問題になってくれば、それらについても見直しをするか、それとも負担を求めていくか、どっちかしかないわけであって、大きな政策判断の問題でございます。真剣にわれわれは常に取り組んでいきたいと考えております。
  65. 桑名義治

    ○桑名義治君 俗に言う財源確保法の概略について、説明を願いたいと思います。
  66. 松下康雄

    ○政府委員(松下康雄君) 財源特別措置法案でございますが、最近、国の財政収支が非常に不均衡な状態でございますので、当面の財政運営に必要な財源を確保いたしまして、もって国民生活、国民経済の安定に資するという趣旨から、税外収入の確保に関連する特別の措置を、税外収入その他の租税以外の歳入に係ります特別措置を定める内容の法案を御提出いたしておるところでございます。  主な内容を申し上げますと、まず五十六年度におきます特例公債の発行権限を与えていただきたいということがございます。予算をもって国会の議決を経た金額の範囲内で特例公債の発行ができる、これが第一点でございます。  第二は、中央競馬会の特別国庫納付金の納付に関する特則を設けております。  第三は、電電公社の臨時国庫納付金、四年間四千八百億円均等納付というこの措置を設けております。  次に、開発銀行、輸出入銀行の国庫納付金の計算につきまして、これは法定準備金の計算基準を改めますことで国庫納付をふやすという内容の規定がございます。  最後に、産業投資特別会計から一般会計へ五十九年度までの間でございますけれども、納付を行うことができるという規定を置いております。
  67. 桑名義治

    ○桑名義治君 いわゆる財源確保法に基づきましていろいろと国庫納付が行われておるわけでございますが、その中の開銀については法定準備率の引き下げと貸し倒れ準備金繰入率の引き下げによりまして、収入見込み額は百六十五億円が産投会計に繰り入れられておるわけでございますが、産投会計から一般会計へはそのうちの五十億円が繰り入れられておるにすぎないわけでございますが、これはどういう理由ですか。
  68. 松下康雄

    ○政府委員(松下康雄君) 御指摘のように、開銀納付金の来年度の予算額は百六十五億円でございまして、その中の九十五億円がこの特例法の規定によりまして増加をする分でございます。これらは一たん全額産投特別会計に納付をされるわけでございまして、その中から一般会計に納付をされておりますのは、この同じ法律に基づくわけでございますけれども、これも御指摘のように五十億でございます。  では、その差の四十五億というものはどうなったかということでございますけれども、実は、これは昨年度、五十五年度までは逆に一般会計から産投会計への繰り入れを行っていたわけでございます。そこで、もしこの開銀の納付金の増額がございませんければ、昭和五十六年度の産投会計の実態から見まして、四十五億円を一般会計から産投会計に繰り入れる必要があったわけでございます。ただ、別途九十五億円の歳入が増加いたしましたために、一般会計から四十五億円を繰り入れる必要はなくなりまして、逆に五十億円を産投会計から一般会計に繰り入れたと、そういう関係になっております。
  69. 桑名義治

    ○桑名義治君 そうしますと、産投会計に残される金の、いわゆる積算の根拠というものはどういうことになるわけですか。
  70. 松下康雄

    ○政府委員(松下康雄君) 産投会計からほかへ支出されるものは、いわゆる産業投資支出でございますけれども、この予算額は百八十九億円でございます。そのほか事務費あるいは国債整理基金会計への繰り入れ等の歳出要因がございます。これに対して歳入要因は、運用収入が二百二十五億円、前年度剰余金の受け入れが三十三億円というような収入がございまして、それらの差し引きをいたしまして、余裕の資金が五十億円出ますので、これを産投会計から一般会計へ繰り入れをしたものでございます。
  71. 桑名義治

    ○桑名義治君 いろいろと理屈はあるかもしれません。しかし、開銀の問題一つ取り上げてみましても、一般会計のいわゆる財政収支の不均衡是正が今回の本法の、財源確保法の趣旨だったと思うんです。これらの措置で生じた国庫納付金は産投会計にとどめずしてすべて一般会計に受け入れて改めて産投会計へ繰り入れる、これがいわゆる財政運営の明確化、財政収支の不均衡是正の趣旨からいっても本筋ではないかと、こういうふうに私たちは思うわけでございますがどうでしょうか。
  72. 松下康雄

    ○政府委員(松下康雄君) 産投特別会計の歳入歳出の現在の仕組みから申しまして、回収金等外部から入ってまいります資金は、産投会計で一たん全部受け入れを行う、そうして、一般会計との間で別途過不足額の調整をするといったてまえでございます。これは産投会計としてのいわば事業の収支をはっきりさせるという特別会計法上の趣旨でございますけれども、そのたてまえはたてまえといたしまして、ただいま御質問ございましたように、この出入りの関係は、たとえば今回の特例法のような措置を入れてみますと、ややわかりにくいのではないかと、私どもも感じる次第でございます。そのあたりを補足いたしますために、配付いたしております五十六年度の予算の説明の中では、その辺の出入りの状況を具体的に御説明をしているところでございます。
  73. 桑名義治

    ○桑名義治君 確かに結果としては同じだと思うんですよ。結果としては同じだと思います。しかし、いわゆる特別会計予算書で産投会計を見た場合、実は開銀の納付金がどれだけか、全く知りようがなかったわけでございますが、大蔵大臣も予算書だけではこのお金の出入りについてはおわかりにならないと思うんですが、どうですか。
  74. 渡辺美智雄

    ○国務大臣(渡辺美智雄君) 確かに予算書だけではわからない。わからないから予算説明書の中で詳しく書いてあるわけです。あなたのおっしゃることも一つの私は理論だと思います。ただ、予算編成上の技術、あるいは細かい法律上の手続でこういうふうに二つに分けるようになっておるんだと思います。委細は主計局長から聞いていただきたいと存じます。
  75. 松下康雄

    ○政府委員(松下康雄君) 先ほども申し述べましたように、産投会計として開銀に出資をいたしております関係で、開銀の納付金が出資の元である産投会計に入ってくるという技術的な仕組みにつきましては、これは制度上そうならざるを得ないと思っておりますが、私どもとしましては、それらの会計上の仕組みとはまた別途に、実態がどういう意味を持っているかという点につきましては、予算の説明でできるだけ具体的に詳しくこれからも御説明を申し上げてまいりたいと思っております。  なお、開銀から産投会計の納付金は、御指摘ございましたように、産投会計の方だけの歳入の項目を見ますとほかの回収金と一緒でございますから明らかでございませんが、これは予算参照書の中の開発銀行の貸借対照表の中に国庫納付金のいまの百九十五億円が記載をされているわけでございます。
  76. 桑名義治

    ○桑名義治君 その事柄もよくわかっているわけです。わかった上でなぜ私がこういうことを申し上げているかといいますと、先ほども大臣も言われましたように、いわゆる予算書だけではわからぬと。確かにわからないわけですよ。先ほど念を押しましたように、この税金というものは国民の血税なんですから、したがって国民の皆さん方も予算書を見た場合には一目瞭然にわかるような処置をとることが最も大事なことではなかろうか、これが財政民主主義の上できわめて重要な問題ではないか、こういう一つの例として私は提起をしたわけでございます。そういった意味で、現在の財政民主主義を貫くという、財政の国会の審議が形骸化されているのではないかというそういう危険さえも感じている者の一人でございますので、あえてこの問題を提起したわけでございます。今後こういった問題につきまして、十分な留意をしていただきたいことを要望しておきたいと思います。この件について御意見を。
  77. 松下康雄

    ○政府委員(松下康雄君) 予算書は、官庁で予算の実務を担当しております者にとりましても、これらの歳出の管理をする、経費のコントロールをするということに非常な重点を置いてああいう形式、体裁を整えてございますことと、非常に短期間に膨大な内容の項目を整理をせざるを得ないということから、この形式につきましてさらに御要望のような点をわかりやすく持っていくということには、なかなか困難があろうかと思います。ただ、私どもとしましては、でき得る限りこの予算書に合わせまして提出をいたします各種の説明、参考資料の中で、それらの問題点がはっきりわかっていくように、今後ともその点の改善をやってまいりたいと思います。
  78. 桑名義治

    ○桑名義治君 そこで、次の問題でございますが、わが党の田代議員から財政投融資のあり方について先日から質問がなされたわけでございますが、政府系の金融機関の占める地位が年々向上をしている、そのために融資先企業をめぐり民間金融機関との競合があちらこちらで起こっているわけでございますが、その一方で資金の使い残しが発生をしている等々の理由によりまして――高度経済成長より安定成長へ移行し、さらに五年になるわけでございますが、この際、政府系金融機関のあり方そのものを再検討する時期に来ているのではなかろうか、こういうふうに思うわけですが、御意見を伺いたいと思います。
  79. 渡辺美智雄

    ○国務大臣(渡辺美智雄君) これは二つの議論がございまして、たとえば商工中金とか中小公庫とか国民公庫とか、そういうような政府機関の貸出枠をもっと大きくしろとか、あなたのおっしゃるのと逆な要求もあるわけですよ。要するにもっとサービスしろというのと、いま言うように政府の機関がそんなにふくれ上がっていったらば自由主義経済なんだから民間の仕事がなくなっちゃうじゃないか、むしろ政府の機関は小さくしろ、こういう意見と二つあるわけです。これはどっちの意見も私は正しいんじゃないかという気がする。そこで、その中間的なことをやっているわけですね、実際は。したがって、国民公庫や中小公庫においても民間企業を圧迫しちゃいけませんから、幾らもっとふやせと言われましても、そんなにむちゃくちゃに大きくできない。そこで限度額というものを設けまして、そうして貸し付け等についてはいままでの取引の民間金融機関などと協調融資をさせるとか、抱き合わせ融資ですね、そういうようなことをやって円満にやれるように工夫をしておるわけでございます。ただ、年々物価の上昇等に伴ってその貸出枠等がふえておることも事実なんです、ふやしてくれという要望も非常に強いものですから。しかし、これにも限界があるということは、私もそう承知をいたしております。
  80. 桑名義治

    ○桑名義治君 具体的な例を挙げて少し話をしたいと思いますが、日本輸出入銀行の主な融資先は商社でありますが、近年商社自身が力をつけた、そのために資金の調達能力も飛躍的に高まった。輸銀の資金を以前ほどに必要としなくなった。昭和五十二年度の不用額は一千百五十億円、五十三年度は四千九百八十四億円、五十四年度は三千四百五十億円の不用額が見込まれているわけでございますが、五十五年度におきましては、七千五百二十億円の予算に対して、昨年の十一月末現在で千二百六十億円の使用で、使用率がわずか一七%、開銀の場合を見ましても、七千二百四十五億円の予算に対して十二月末で使用額は一千二百五十億円、同じように使用率が一七%、こういうような状況になっているわけでございます。  そういうことをいろいろと考えてみますと、いわゆる産業構造の変化、それから輸銀、開銀というものがつくられたその時点のいわゆる状況、こういうものをいろいろと勘案をしたときに、ここで双方の銀行のあり方というものが問われている時期が来ているのではなかろうか、これは私、やめろとかやめるなとかいう問題ではなくて、あり方について問われている時期が来ているのではないか、こういうふうに思うわけでございますが、この点の認識をどういうふうになさっておられますか。
  81. 渡辺美智雄

    ○国務大臣(渡辺美智雄君) マクロ的に見ますると、委員の御指摘のような御議論があることも事実でございます。現在のところは、この輸銀等が不用額がいっぱいできたという点については、これも御指摘のとおりでございますが、しかし景気の動向とか相手の国の対応の変化とか、中国でプラントをやめたなんと言うと、もう何千億という金が余っちゃうわけですから、日本の事情では予定できない、予測できないような問題がございますので、ある程度やむを得ないものもあります。しかしながら、年々同じようなところで余りができるということはいかぬわけでありますから、それについては五十六年度予算編成に当たっては、かなりその部門等についても厳しく査定をするようにしたわけでございます。  なお、十二月末で執行状況が非常に少ない。これは年々そうでございまして、開銀については、借りる方の企業の設備資金の決済というものが年度末に集中しているというようなことのために、一月から三月ごろどっと出る。年々それは同じようなパターンであって、これはまあある程度需要者がそういうふうなことなものですから、やむを得ないのじゃないかと考えております。いずれにいたしましても、部分的にそういうような毎年不用額が出るようなところがないように、今後も十分に注意をしてまいりたいと考えます。
  82. 桑名義治

    ○桑名義治君 この問題について、総理大臣はどのように認識されておられますか。
  83. 鈴木善幸

    ○国務大臣(鈴木善幸君) いま大蔵大臣から御答弁を申し上げたように、いろいろやむを得ない事情等があるわけでございますが、同じところに同じような不用額等の結果が出るということはこれは確かに検討を要する点でございますので、今後十分研究さしていただきます。
  84. 桑名義治

    ○桑名義治君 次の問題に移りたいと思いますが、公団の総裁は――どうも御苦労さんでございます。  公団の問題でございますが、会計検査院は住宅公団に対しまして昭和五十年度に特記事項として「用地の利用及び住宅の供用について」、また五十一年度は決算の検査報告の特記事項に「公的資金による住宅の建設及び管理について」報告をしているわけでございますが、その内容についてまず御説明を願いたいと思います。
  85. 澤田悌

    ○参考人(澤田悌君) お答えを申し上げます。  御指摘のように、五十年度及び五十一年度にわたりまして、公団の経営内容についての指摘があったわけでございます。五十年度におきましては、二十二地区に及ぶいわゆる長期未利用地の問題につきまして、それから十三団地に関係いたしますいわゆる保守管理住宅につきましての指摘があったわけでございまして、二十二地区約千六百ヘクタールの土地が長期未利用になっておる、十三団地で約九千八百戸の住宅が入居募集できないで保守管理になっているという問題でございます。それから、五十一年度の報告におきましては、いわゆる仕掛かり中の住宅、これが十二万五千余戸ある、この問題についての御指摘があったわけでございます。
  86. 桑名義治

    ○桑名義治君 会計検査院が特記事項として取り扱う以上、その問題について当然改善されることを強く要望している、こういうふうに理解をしてよろしいですね。
  87. 澤田悌

    ○参考人(澤田悌君) 当然、検査院といたしましても、住宅公団に対して厳正な対応策を要望したものと私どもも厳しく受け取って、直ちにそれに対する対応の姿勢をとり、努力を始めた次第でございます。
  88. 桑名義治

    ○桑名義治君 そこで、建設省並びに公団がこの特記事項そのものをどういうふうに認識しているかということが一つ大きな問題になるわけでございますが、この点について建設大臣並びに公団総裁の御意見を伺いたいと思います。
  89. 斉藤滋与史

    ○国務大臣(斉藤滋与史君) お答えいたします。  御指摘の五十一年度会計検査院の御指摘、その後建設省といたしましては直ちに次官を長として対策委員会を設け、その対策について細部にわたって公団に指示いたし、御指摘の向きについて早期に解決するような手段、方法を講じたところでございます。  ともあれ、公団は、先生御案内のように、日本の住宅事情を解決するために昭和三十年以来すでに百万戸の住宅建設を手がけてまいっております。当然その資金は、政府資金をお借りして、財投のとうとい資金をお借りしておるわけでありますので、その使用について格段の配意をもって十分に効率よい使い方をしなきゃなりませんので、先生の御指摘の面につきましては、その会計検査院の御指摘をまつまでもなく、今後も十分な配慮をもって指導してまいりたい、このように考えておるところでございます。
  90. 澤田悌

    ○参考人(澤田悌君) ただいま大臣から申し上げましたとおりでございますが、公団といたしましても建設省の指導、指示に即応いたしまして経営改善推進本部を設けまして、長期保有土地につきましてはその最も障害となっております市街化調整区域を市街化区域にいわゆる線引きのし直しができないか、あるいは関連公共施設についての促進を図らなければならない、こういうことについて、特に地方公共団体との協議に全力を挙げてその推進を図る。それから、保守管理住宅につきましては、需要の示すところに即応した各種の見直し、改造等を行いますとともに、各種の障害となっております点についても地方公共団体等と協議いたしまして、全力を挙げてその解消に邁進し、現在も続けておる次第でございます。
  91. 桑名義治

    ○桑名義治君 じゃ。建設省並びに公団が会計検査院の指摘に対して実際に具体的にはどのようないわゆる対応をしたのか、具体的な報告を求めたいと思います。
  92. 澤田悌

    ○参考人(澤田悌君) ただいま申し上げました三つの特記事項に関しまして、まず具体的に長期保有土地についての問題でございますが、二十二地区約千六百ヘクタールあるわけでございます。ただいま申しましたように、その最大の障害になっておる事項の解消のために、地方公共団体等と鋭意協議を進めまして、たとえば厚木市の中荻野地区、札幌市の篠路拓北地区など八地区につきましてすでに事業に着手いたしております。これは指摘以後の努力が実を結んだものと考えます。  また、学校用地等として処分が進んでおります地域もございます。それから、市街化区域に編入されたものもございまして、事業に着手するめどがつきましたものが、その八地区のほかに五地区ございまして、二十二地区のうち十三地区が大体着手できるか、ほぼ、めどがついた。地区の大きさにしまして七百八十ヘクタールほどでございますから、約半分近いものがめどがついたということでございます。  しかしながら、横浜市の長津田地区とか杉田町地区のようなものが九地区、まだ市街化調整区域のままでありますし、関連公共施設の整備等が思うに任せません。今後の努力にまつところでございまして、努力を重ねておるところでございます。  それから保守管理住宅、十三団地九千八百戸について具体的に申しますと、成田の成田ニュータウン、これは成田の開港がおくれておりましたので保守管理になっておったのでありますが、これは開港と同時に解決いたしまして、その地合わせまして十一団地、約七千戸がすでに募集済みと相なっております。ただ、これは新聞などにも出て私ども非常に恐縮しておるのでありますが、千葉市の朝日ケ丘団地を初め、残りの住宅約三千戸がいろんな支障が解決できずにおるのでありまして、これもできるだけ早く募集するよう努めてまいりたいと存じておるわけでございます。  それからもう一つ、五十一年度決算報告書の特記事項のうちに、五十一年度末仕掛かり中住宅が十二万五千二百戸ほど指摘されたわけでございます。これにつきましては、普通私ども、仕掛かり中のものというのは二年分ぐらいのものが常識的ではないか。十二万戸以上もあるというのは少し多過ぎることは、もう当然でございます。これを全面的な見直しに着手いたしまして、住宅の大型化あるいは駐車場の増設、専用庭の設置、あるいは需要に合うような設計のし直し等、徹底的な見直しをいたしまして、未入居住宅等の発生しないよう、この改善に努力をいたしまして、それで、この十二万戸のうち、次第に募集ができるようになりまして、この十二万戸の中で現在残っておりますのが二万四千六百戸ほどに減少いたしております。これは設計まで見直しいたしましたので、その後発注してまだ仕掛かり中に残っておるものでございます。その後新しく発注いたし、建築に着手しておりますものが年々ございます。それを加えますと、現在の仕掛かり中の残高は五万三千五百戸ということになってまいったのであります。なお努力すべき余地が十分ございますので、私ども気を緩めず努力を重ねてまいりたいと存じますが、対応いたしました具体的な数字を申し上げますと、大体以上のとおりでございます。
  93. 桑名義治

    ○桑名義治君 いま公団のいろいろ御説明があったわけでございますが、しかし現実は二十二地区のうちの約三分の二、十四地区が手つかずで残っておる。また十三団地についても、うち五団地は人が入っていない保守管理住宅というような実情になっているわけであります。しかも土地は、五十一年の三月に八地区については事業着手のめどがついたと言ってはおりますけれども、五年後の現在、半分の四地区がそのまま残っているということは事実でございます。また、検討を要するとした十三地区については、いわゆる土地区がそのままになっているというのが実情でございます。いまあなたが御説明になった中には、なるべくということで戸数でお話しになったようでございますけれども、しかし、地区別にずっとながめて見ますとそういうような状況になっているわけでございます。  建設大臣にお伺いするんですが、建設大臣はこの指摘があった時点においてどういうふうないわゆる方策を立てられたんですか。
  94. 斉藤滋与史

    ○国務大臣(斉藤滋与史君) お答えいたします。  先ほど申し上げましたように、直接所管は公団でございますが、監督官庁として、次官を中心にして政策目標を立てて委員会を設けて指示したところでございます。要は、根本的な問題として、財投の資金を借りてこの運営がなされているという基本的な認識を持って公団の運営をやっていただくということに尽きることと思います。したがって、具体的な問題、いま総裁からお答えいたしましたとおりでございますが、基本的には事業の促進をとにもかくにも早くやるということ、それから保守管理住宅の解消を目指すわけであります。ただなかなか――総裁はそこまで言いませんでしたけれども、五十年、五十一年、その後の取得した土地等々については、私たちはそれを使用するために一生懸命督励はいたしておりますけれども、関連の公益公共施設等々を整備する上において、地元の公共団体との話し合いの問題あるいは地域住民の方々との調整の困難さ等がありまして、確かに目覚ましく解決を図っていくというところにはまいっておりませんけれども、とにもかくにも努力しておるということにつきましてはぜひ御理解をいただきたいと思いますし、なお、今後につきましても厳しく公団の方を具体的に指導してまいる所存でございます。
  95. 桑名義治

    ○桑名義治君 では、次にお尋ねしたいことは、現在公団が所有しているいわゆる長期保有土地を含めた保有土地ですね、並びに保守管理住宅の数、それからさらにはその土地については、いつ事業着手をする予定なのか。また、住宅に関しては募集開始見通しはどうなっているか。具体的に説明願いたいと思います。
  96. 澤田悌

    ○参考人(澤田悌君) 長期保有土地を含めました公団保有の全体の保有地は、仕事の性質上どうしても土地が要りますので、公団は毎年土地の先買いをいたします。それで相当の土地の手持ちがあるのは当然でございますが、先ほど申しました長期保有土地のうち、現に着手してしまったもの二十二地区のうちからそれを除きますと、めどが立ったものでまだ着手しないものを含めると十四地区が残っておるわけでございます。これは御指摘のとおりです。八百七十三ヘクタールになります。それから、その他の保有土地、これは五十四地区で千七百六十八ヘクタールございます。したがいまして、長期保有として指摘されたもので残っておるものと合わせますと、六十八地区、二千六百四十一ヘクタールあるわけでございます。  それから、着手の予定というふうなお尋ねでございますが、宅地につきましては、用地の確保をいま申しましたように重点課題の一つと考えておりまして、絶えず先行取得に心がけておるわけでございますので、総保有の面積はただいま申したとおりでありますが、これにつきましては、先ほども申しましたように、五十六年度に着手できるのもありますし、五十七年度になるのもあり、あるいは五十八年度以降になるものもあると、いろいろ事情によって違ってまいりますが、しかし年次計画を立てましてできるだけ早く有効に事業に着手してまいりたいと考えておるわけでございます。  具体的に申しますと、十四地区の中で、横浜市の丸山台地区など五地区は事業着手のめどがすでについております。その他の九地区については、先ほど申しましたようになお幾多の問題がございまして、早急に着手というわけにはまだまいらないような状況でございます。  それから、保有土地全体について、指摘された土地以外に、それは昭和五十六年度においてどの程度着手できるかというのでありますが、八王子市の宇津木台地区など四土地区、約一千ヘクタールについて事業化を予定いたしておるのでございまして、五十七年度におきましては神戸市の小束山地区など十五地区、約四百ヘクタールにつきまして事業化を予定いたしておる次第でございます。  それから、保守管理住宅、これもいろいろと新聞等に出まして恐縮しておるところがあるのでありますが、たとえば塩浜四丁目団地、これは市川市でございます。五十団地、一万九千三百三十戸ほどあるのでございますが、これらは関連公共施設未整備のために入居できない。たとえば朝日ケ丘団地、これは千葉市でございますが、そういう三団地、二千九百戸ほどにつきましては、これはもう早急に募集ができるように、いまいろいろと手続を詰めておるところでございます。そのほかの団地、四十七団地ございますが、五十六年度までにいま申し上げました塩浜四丁目など四十四団地、約一万戸の募集を行いまして、残りの保守管理住宅についても極力その減少に努めてまいりたいと、具体的にはさように考えておる次第でございます。
  97. 桑名義治

    ○桑名義治君 いま、種々御説明があったわけですが、いまの認識は私は少し甘いのではないかと思います。たとえば大阪の南花台あるいは北九州の志徳、この両団地につきましては上下水道の見通しが全くついてない。あるいは福岡の四箇田団地、これは交通機関がバスしかない。そのために都心から通勤する時間が非常に、めどすら立たない。京都の保津川団地などは、バスもないために駅から歩いて三十分から四十分かかる、これがいわゆる保守管理住宅の実態であるわけです。これを全国的に、実際に私あるいは秘書と全部見て回ったわけでございます、全部。その立場に立って私は申し上げているわけでございます。非常に認識が甘い、こういうふうに言わなければならないのではないかと思います。  そこで、会計検査院にお尋ねをいたしますが、いま問題にしている、いわゆる土地で言うならば六十八地区、それから住宅で言うならば五十団地、これは五十年から五年たった現在の数字であるわけでございますが、昭和五十年には二十二地区あったのが現在には六十八地区にふえている。三・一倍の伸びなんですね、遊んでいる土地が。それから団地で言いますと十三団地、五十年に十三団地あった、空いた住宅が、アパートが。それが五十団地になって三・八倍にふくれ上がっている。しかもその内容たるや、お聞きのとおり非常なひどさでございます。この実態を見たときに、会計検査院として再調査する必要があるのではないかと、こういうふうに思うわけでございますが、この点はどういうふうにお考えでございますか。
  98. 肥後昭一

    ○説明員(肥後昭一君) 私ども、昭和五十年度の決算検査報告と五十一年度の決算検査報告におきまして特記事項を書いたときに、将来もこういう事態がふえるのではないかというようなことを記載しておりますが、その後ずっとその状況を見てきたわけでございますが、先ほど先生おっしゃいましたとおり、また、公団の総裁から話がありましたとおり、まだ十分には解決されていないものが多いということをわれわれも存じておりますので、ちょうど五年が一区切りでございますので、ここで先生も御指摘がございましたので、十分綿密に一度調査してみるつもりでございます。
  99. 桑名義治

    ○桑名義治君 会計検査院の方は私の指摘をお認めになって再調査を約束をされたわけでございますが、建設省も住宅公団もこの特記事項を軽視したと、こう言わなければならないのではないかと思います。このいわゆる責任の重大さというものは、これは大臣、総裁どういうふうにお考えになっておられますか。それと同時に、総理はこの公団の問題について、いままでのお話の中でどのようにお考えになられますか。
  100. 斉藤滋与史

    ○国務大臣(斉藤滋与史君) お答えいたします。  会計検査院の指摘、特記事項等々につきまして対処の仕方が甘かったというような御認識で御指摘をいただいたわけであります。  さらに、再度につきまして煩わせるというような状況につきましては、はなはだ遺憾に存ずるところでございます。厳しい情勢のもとで、環境のもとで住宅事情の解決を図るという責任を感じながら、あわせて貴重な財投からの借入金で賄う公団のあり方を考えたときに、十分な配慮をもって今後とも対処してまいる所存でございます。
  101. 澤田悌

    ○参考人(澤田悌君) ただいま大臣から申し上げたとおりの気持ちでございますが、公団といたしましても決して甘い気持ちで対応したわけではなく、冒頭申しましたように、非常に厳しく受けとめまして真剣に対応してまいりましたが、十分私自身としても満足できない部分がございます。後に残ったものほど難物が残っております。これはしかし、難物だからといって避けてはいけない、正面から取り組んで徹底的に改善するということが必要であると存じます。大臣の御答弁のとおり、厳しく厳しく受けとめて努力してまいりたいと存じます。
  102. 鈴木善幸

    ○国務大臣(鈴木善幸君) 住宅公団の長期未利用の土地並びに未入居の住宅、この活用、処分の問題につきましては、いま御指摘がございましたけれども、建設大臣等の指導のもとに逐次改善を見ております。  しかしながら、会計検査院からも指摘を受け、なお桑名さんからも強く御批判がございました点は私ども謙虚にこれを受けとめまして、今後とも建設大臣が公団等を督励をいたしまして、また、関係方面とも緊密な連絡をとりながら早期にこういう問題が解決されるように政府としても最善の努力をいたしたい、こう考えております。
  103. 桑名義治

    ○桑名義治君 次に、角度を変えて質問いたしますが、公団が所有している六十八地区、五十団地に要した金利負担の総額を示していただきたいと思います。
  104. 澤田悌

    ○参考人(澤田悌君) 公団が保有いたしております全用地、六十八地区と保守管理住宅五十団地に関する金利負担の問題でございますが、五十四年度末現在におきまして会計検査院から長期保有土地として指摘された二十二地区中のまだ事業に着手していないもの、これは十四地区ございますが、この土地にかかる金利負担の累計は約三百二十七億円でございます。それから、五十団地の保守管理住宅に関係いたします金利負担の累計は約百六十四億円、この両者合計いたしますと四百九十一億円になりますか、上るわけでございます。  このほかに、先ほども申しました長期保有として指摘されない公団の保有地がございますわけでございまして、それを合わせますと保有土地に関する金利は千百五十七億円、それに保守管理住宅のものを合計いたしますと千三百二十一億円になるわけでございます。
  105. 桑名義治

    ○桑名義治君 まあ、非常に莫大な金利負担をしているわけでございます。  そこで、六十八地区、それから五十団地というのは、いままでずっと指摘をしてきたもので全く使用されていない。この土地や団地に対していままでに、いまお話がございましたように、千三百二十一億円の利息をつぎ込んだということになっているわけでございますが、しかもこの利息は今後入居する人たちの家賃や分譲価格にすべて含まれるものなんです。ここにやっぱり私は大きな問題があると思います。  それから、住宅公団設立の目的から、ますますそういった意味から遠のいていくのではないか、こういうふうに思うわけでございますが、この点はどういうふうに大臣お考えになりますか。
  106. 斉藤滋与史

    ○国務大臣(斉藤滋与史君) お答えいたします。  相当の金利負担が生じておるわけでありますが、私たちといたしましては、何とかこの金利が家賃、分譲住宅の価格にはね返らないように、しかし、それには御理解をいただいてやっぱり長期的な計画で回収、返済ということを考えなければならないわけであります。したがって、未利用土地の利用促進を図ることはもとより、管理住宅の解消をも図っていくわけでありますが、常日ごろから総理からも言われておることは、魅力ある都市の中で快適な住宅を、特に過密都市における勤労者の方々についての配慮ということも伺っておりますので、その点につきましてこれからもとにもかくにも公団を督励いたしまして、努力によって家賃、分譲住宅にはね返らないような長期計画を立てて良好な住宅の供給を図ってまいりたい、このような所存でございます。
  107. 桑名義治

    ○桑名義治君 大臣ね、そう言われますけれども、現実にいまのいわゆる利子負担の総額は――いま現実に六十八地区、五十団地あいているわけでしょう。全く五十団地の団地は建っているけれども、全然入り手がないというような状況の中で放置されている。土地も購入したけれども、六十八地区については土地が放置されている。その金利がどんどんどんどんかさんでいるわけですよ。それまでも国民の皆さん方がいわゆる負担をしていかなければならないという状況に陥ってしまえば、公団本来の特性というものが全くなくなってしまう、こういうふうに言わなければならないわけでございまして、これをどういうふうに解決していくかという問題は、これは非常に大きな問題だと思うんです。大臣が簡単にそういうふうにおっしゃいますけれども、そう明快には解決する問題ではないわけですよ、これは真剣にやっぱり今後検討していかなきゃならない問題だろうと思います。  次に、これは会計検査院が検査した時点ですが、五十年以来年度別の利息支払い額をお示しを願いたいと思います。
  108. 澤田悌

    ○参考人(澤田悌君) 公団は財投資金等を借りましてそれで事業を営みますから、資産がふえると同時に借入金も増加いたすのはそういう仕組みになっております。それで、毎年事業がふえるに従って借入金もふえ金利もふえてまいるのでございますが、ただいまお尋ねの五十年度以来の金利の支払い総額は、各年度で申しますと、五十年度が二千百十億円、五十一年度は二千七百二十億円、五十二年度三千五百四十九億円、五十三年度三千九百四十三億円、五十四年度四千四百六十億円、このようになっております。
  109. 桑名義治

    ○桑名義治君 いま御報告がございましたように、五十年度以来年度別の利息の支払いをいま示していただいたわけでございますが、五十四年度は一年間で四千四百六十億円の利息の支払いになっておるわけです。五十年度と比較をしてみますと約二倍。一日に直しますと、五十四年度は一日に十二億二千万円を利子の支払いに充当しているというのが現実の姿になっているわけであります。それと同時に、ここで考えなければならない問題は宅地と住宅の管理費、これが五十四年度では三千七十七億円の管理費がかかっているわけであります。こうなってまいりますと、これは非常に重要な事態に陥っている、こう言っても決して過言ではないと思うわけでございますが、このままの状態でまいりますと五十年度の会計検査院の報告のように「今後も上記のような状態で推移すると建設工事費の金利負担や保守管理費が増大することになる。」と、こういうふうに指摘を五十年度にされているわけでございますが、その後今日まで具体的に何ら策が講ぜられていなかった、そのためにこういう結果になったのだと、こういうふうに思わざるを得ないわけでございますが、この責任を建設大臣、どのようにお考えでございますか。
  110. 斉藤滋与史

    ○国務大臣(斉藤滋与史君) お答えいたします。  五十年、五十一年の御指摘、その後の状況につきまして御指摘をいただいたわけであります。十分責任を感じ、なお公団等々を督励し何とか具体策をもってこれに対応してまいりたいと、このように考えておるところでございます。
  111. 桑名義治

    ○桑名義治君 次に、会計検査院にお尋ねしますが、公団の長期借入金の内訳を政府資金、民間資金に分けて御説明を願いたいと思います。
  112. 肥後昭一

    ○説明員(肥後昭一君) 五十四年度末でよろしゅうございますか。――五十四年度末現在の長期借入金、まず政府資金でございますが、資金運用部資金が四兆八千七百二十億、それから簡易保険の積立金が三千六百三十一億、合計五兆二千三百五十二億でございます。それから生命保険二十社からの借入金が五千百五十七億、それから信託銀行七行からの借り入れが三千八百七十九億円、それから農林中央金庫からの借入金が二百三十七億円。民間の三つの合計が九千二百七十四億円で、総計では六兆一千六百二十六億円でございます。
  113. 桑名義治

    ○桑名義治君 運輸大臣、現在国鉄の長期債務は幾らですか。
  114. 杉浦喬也

    ○政府委員(杉浦喬也君) お答えいたします。  昭和五十四年度末で数字を申し上げますと、長期債務残高が十二兆六千八百九十四億円になっております。
  115. 桑名義治

    ○桑名義治君 国鉄の長期債務が十二兆六千億と、こういうふうに言われているわけでございますが、借入金のみをとれば五兆五千億円ぐらいが大体国鉄の債務になるわけでございます。そういうふうに考えますと、借入金のみを比較をすると、国鉄の五兆五千億に対して公団が六兆一千六百二十六億円というような形になるわけでございまして、この借入金の部分を取り上げてみると国鉄を上回る負債額である、こういうふうに見られるわけでございます。このまま公団を放置をしてまいりますと、現在の国鉄の二の舞になるのではないか、それはもう時間の問題だと、こういうふうに私は大変に憂慮するわけでございます。そういった立場から、私はこの際、公団の設立当初の原点に立ち戻って、大勇断をもっていろいろな方策を講じていかなければならない、こういうふうに考えるわけでございます。特別家賃制度や、できるところから地方自治体や公共団体等に払い下げるとか、いろいろな方策があるかとも思いますが、総理あるいは大蔵大臣、この点についての見解をまず求めておきたいと思います。
  116. 渡辺美智雄

    ○国務大臣(渡辺美智雄君) 日ごろ私どもが心配をしておるようなことを御指摘をいただきまして、われわれもこのままではいけないと、御趣旨のようなことを実は考えておるのです。ですから、もう五十六年度の間には合いませんが、ことしは財政再建元年でありますから、五十七年に向けまして建設省ともよく相談をしながら、人から非難をされないように、むだにならないように、厳重に相談をして刷新をしていきたいと思っております。
  117. 鈴木善幸

    ○国務大臣(鈴木善幸君) 私も、この問題は深刻に事態を受けとめております。建設大臣も腹を据えてこの問題の処理に当たる、こう言っておりますが、大蔵大臣等にもこの際十分この問題の処理に力をかしてもらいまして、早急に具体的な解決策を見出すように最善を尽くしたいと、こう思います。
  118. 桑名義治

    ○桑名義治君 私は、こういう現在の公団の問題は、ただ単に金銭的に物を解決する問題ではないと思います。戦後の焼け跡の中から、住宅問題というものは非常に大きな政治的課題の一つであったわけでございますが、その住宅問題解決の中の一つの柱としてこれは公団の設立があったわけでございまして、その役目は十二分にいままで果たしてきたと私は思います。しかしながら、現在の住宅事情の変化、それから日本の国全体の変化、こういったあらゆる変化の中で住宅公団がこういうふうに浮き上がった形になってしまった。こういうふうに見ていかなければならないのではないかと思いますが、そういった意味から、現在の住宅公団に対する考え方を抜本的に変えていかなければならない時期がいま来ているのではないか、こういうふうに思うわけでございますが、その点についての建設大臣並びに総理大臣の御意見を伺っておきたいと思います。
  119. 斉藤滋与史

    ○国務大臣(斉藤滋与史君) お答えいたします。  先生御指摘のように、住宅公団ができたのが昭和三十年、鳩山内閣の折でございます。当時、日本の絶対不足数が四百万戸と言われました。それによって、国において公団ができたわけであります。先ほども申し上げましたように、すでに百万戸になんなんとする住宅需要に応じた住宅対策を立ててきておるわけであります。ただ、御指摘のように、国鉄以上の、六兆円以上の借入金によって運営されているこの公団のあり方ということについての今後の問題点が指摘されたわけであります。社会資本の充実を目指して、建設省としては鋭意努めているところであります。特に住宅事情につきましては、何とか質の向上、家族、世帯構造も変わってきておりますので、社会環境が変わろうとも、住宅だけはとにもかくにも需要に応じようというような心組みでやってまいっておるわけでありますが、何といたしましてもその元となるものはすべてが借入金で賄っておるということ。若干の家賃、分譲住宅等々で回収はあっても、それはなかなか焼け石に水というような状況である。この状況を考えたときに、やはり先生御指摘のような形で、もう一度基本に戻って考え直すときが来たのかもしれませんけれども、とにもかくにも住宅需要の旺盛なこの時期に、どのような方法、方途が一番いいかということは、財政事情の問題もありましょう。具体的な問題につきましては、鋭意これからの課題として早急に方法を講じてまいりたいと、このように考えているものでございます。
  120. 鈴木善幸

    ○国務大臣(鈴木善幸君) 住宅公団は、戦後今日まで、設立以来住宅を早急に国民の方々に提供をするということで、それなりの役割りを果たしてきたところでございますが、最近における社会経済情勢の変化、特に世帯構造その他社会的な事情から、国民の住宅に対するニーズなり要請というものが変わってきておるように思います。そういうところに十分配意して、国民の新しい住宅に対する要求、ニーズにこたえるというような対応が必要であると、そういうちょうど転換点に立っておるように思うわけでございます。  したがいまして、先ほど来御指摘がございましたように、未利用地あるいはいまだ入居者を見ていないようなそういう住宅、無入居の住宅の処理の問題、それから住宅公団の財政の改善、体質を改善する。そういう措置を講じながら、いま申し上げたような新しい住宅に対する社会の、国民の要請にこたえるように、住宅公団としても新しい確固たる方針を確立する時期に来ておる。政府におきましても、そういう立場に立ちまして指導してまいりたいと、こう思っています。
  121. 桑名義治

    ○桑名義治君 次に、国有地の問題についてお尋ねをしたいと思いますが、政府は不要国有地を売却して財政再建の一環とする方針というふうに聞いておりますが、これの具体的な計画について御説明を願いたいと思います。
  122. 楢崎泰昌

    ○政府委員(楢崎泰昌君) お答え申し上げます。  国有財産につきましては、現在処分可能な国有地、残り少なくなってきております。また、新たに公用、公共用の土地を取得することも困難になっているわけでございますが、これらの土地を公用、公共用に優先的に充当していくということを基本方針としつつ、なお財政再建という現在の財政事情から考えまして、これらの基本的な方針のもとに、民間企業等への貸し付け中の財産、これは将来とも公用、公共用に使えないだろうと、そういう財産、用途廃止されました法定外公共物、あるいは小規模の未利用国有地、物納等の有価証券、これらの処分を来年度促進をいたしまして、来年度の歳入としましては、去年に比べまして約二百六十億増の八百六十三億程度の財政収入を図ると、かような方針でございます。
  123. 桑名義治

    ○桑名義治君 そこで、国有地の管理状況についてお伺いをいたしたいんですが、国有地の所有権をめぐる民間とのトラブルが非常に多いというふうに聞いておりますが、この点で訴訟事件になっている件数がどのくらいか、法務省にお尋ねをしておきます。
  124. 柳川俊一

    ○政府委員(柳川俊一君) お答えいたします。  合計で七百七十九件ございます。
  125. 桑名義治

    ○桑名義治君 七百七十九件、こういうふうな大きな数になっているわけでございますが、原因はいろいろあると思いますけれども、結論すると国の管理がずさんであったと、こういうふうに思うわけでございますが、この点どうですか。
  126. 楢崎泰昌

    ○政府委員(楢崎泰昌君) 国有財産の多くは、戦争中旧軍が買収した土地等が大部分でございまして、それらの引き継ぎを受け、逐次処分を行っているわけでございますが、何分戦争中あるいは戦後の混乱時期を経ている財産でございますので、所有権の確認につきましていろいろ争いがある。あるいは境界について争いがある。あるいは戦争中の混乱のもとに国有財産の上に建物が建てられていた。それらのものを収去をお願いする。そのような原因で訴訟事件が起こっておるものと理解しております。
  127. 桑名義治

    ○桑名義治君 それでは、大蔵省の管理する土地について、具体例で少しお聞きしてみたいと思いますが、実はこの管理はしておりますけれども国有財産ではない、満州国の土地の話でございますが、東京都港区元麻布三丁目の旧満州国大使館跡地に大蔵省が管理している土地があるわけでございますが、今日までの経過と概況を御説明願いたいと思います。
  128. 楢崎泰昌

    ○政府委員(楢崎泰昌君) 御指摘の財産は、東京都港区元麻布三丁目三十番の一にある旧満州国武官跡地のことかと存じます。  本件は、昭和十七年旧満州国が買収して、いま申し上げましたように武官跡地――武官室を建設したわけでございますが、終戦後は連合国最高司令部が直接管理をいたしまして、昭和二十六年、同最高司令都から日本政府に管理が移管されたという財産でございまして、大蔵省は賠償庁から昭和二十七年、その管理を移管されまして現在に至っている土地でございます。
  129. 桑名義治

    ○桑名義治君 そうしますと、この土地は、謄本土は所有者はだれになっているんですか。
  130. 楢崎泰昌

    ○政府委員(楢崎泰昌君) 旧満州国政府でございます。
  131. 桑名義治

    ○桑名義治君 満州国は現在は存在しない国でございますけれども、管理だけを移管をされたと、こういうことになれば、日本国の財産ではないということは確認していいわけですね。
  132. 楢崎泰昌

    ○政府委員(楢崎泰昌君) 日本国財産ではございません。
  133. 桑名義治

    ○桑名義治君 そうしますと、主計局長にお伺いしますが、国の財産でないものをどうして日本の国が管理しているんですか、根拠は。
  134. 楢崎泰昌

    ○政府委員(楢崎泰昌君) 本財産は日本国政府のものではございませんが、一般的に財産の所有国が直接その国において権限を行使し得ないという事情がある場合に、当該財産の所在地国がその保全につきまして責に当たる立場にあることは申すまでもないわけでございます。  具体的には、先ほど申し上げましたように、戦後連合国最高司令部がこれを管理し、それを日本国が移管を受けたと、そういう形で管理の仕事をしているわけでございます。
  135. 桑名義治

    ○桑名義治君 そうすると、連合国から移管を受けたときの覚書か何かございますか。
  136. 楢崎泰昌

    ○政府委員(楢崎泰昌君) 最高司令部の覚書をもって移管を受けております。
  137. 桑名義治

    ○桑名義治君 では、読み上げてください。
  138. 伊達宗起

    ○政府委員(伊達宗起君) 申しわけございませんが全文を持っておりませんので、ただいま手元にございます関係部分だけを読み上げさせていただきます。  これは、昭和二十六年十二月十日に連合国最高司令部から出されました、ただいまお話しのスキャップイン二一八八号、パペット・ガバメント・プロパティ・イン・ジャパンというもののタイトルがついておりますものでございまして、これらのいわゆる協力政権と申しますか、協力政権の在日財産がこれらの政権の「支配下にあった地域の現政府の請求権の対象であるか、または今後そうなることがあること」を日本国政府に通告してまいりまして、これらの財産の法的所有権確定のため「日本政府は、……請求権者たる政府で日本政府が協力政権の後継政府と認めるものと個別的な交渉に入らなければならない」という内容を指令したものでございます。必ずしも原文を正確に訳したものではございませんが、趣旨はそういうものでございます。
  139. 桑名義治

    ○桑名義治君 それはこの土地に対する覚書にはならないと思うんですが、この土地に関する覚書を読み上げてください。――ないんでしょう。
  140. 伊達宗起

    ○政府委員(伊達宗起君) ただいま問題となっております満州国武官室の土地を個別にやったものではございませんで、それまで占領軍といたしまして連合国軍最高司令部が管理しておりましたそれらの土地を一括いたしまして、ただいまの御説明申し上げました指令によりまして、覚書によりまして日本国政府に移管されたものでございます。
  141. 桑名義治

    ○桑名義治君 いずれにしましても、実際はその覚書はなくなっているという話を聞いたんです、私は。それをはっきり言えばいいんですよ。  問題は、この国有財産でないものを、管理を任されていながらこれが転貸しされているというような事柄もありますし、あるいはまた、これが一部裁判ざたになっている、不法占拠のために。こういう話があるわけでございますが、事実ですか。
  142. 楢崎泰昌

    ○政府委員(楢崎泰昌君) 同土地の一部につきまして、終戦後不法な建築物が建造され、現在に至るまで正当な所有権原なくしてお住みになっておられるというぐあいに私ども理解をいたしております。私どもは、それにつきまして昭和四十九年、その所有者及び占有者に対しまして建物収去及び土地引き渡しの訴訟を提訴し、現在に至っているわけでございます。
  143. 伊達宗起

    ○政府委員(伊達宗起君) スキャップイン二一八八号の原文は、原文と申しますか、オリジナルではございませんが、書類、記録としてその内容はただいま外務省のもとに保管してありまして、外交史料館にも保存じでございます。
  144. 桑名義治

    ○桑名義治君 そうしますと、満州国というのは現実にないわけですが、現段階におきましてはこの土地はどの国に所属するようにお考えですか、まず外務省からお尋ねをしたいと思います。
  145. 伊達宗起

    ○政府委員(伊達宗起君) 国際法上、一国が消滅いたしますと、その在外財産、在外にある国有財産は、当然のことながらその消滅した国家を承継した国のものとなるわけでございまして、ただいまの御質問に対しましては、私どもは中国であると考えております。
  146. 桑名義治

    ○桑名義治君 法務省はどういう御見解でございますか。
  147. 柳川俊一

    ○政府委員(柳川俊一君) お答えいたします。  外務省と同じ見解でございます。
  148. 桑名義治

    ○桑名義治君 そうしますと、この土地はどういうふうに今後持っていこうとお考えになっておられますか。
  149. 楢崎泰昌

    ○政府委員(楢崎泰昌君) 現在のところ、大蔵省がこの土地を管理しているわけでございます。また現在のところ、中国政府から公式にその土地を返還してくれという正式の御要請はございません。また、建物が現在不法に建築されているという状況にございます。私どもとしては管理者としての責任を果たすべく、建物を収去し更地にしていきたいと、そういうぐあいに考えているわけでございます。
  150. 桑名義治

    ○桑名義治君 外国の財産を管理をしているにもかかわらず、それが不法占拠であるという、あるいは現在は係争中であるということは、非常に国際的にも不名誉なことだと私は思うのです。一日も早くこの問題は解決をしていただかなければならないと思いますが、これは外務、大蔵省の見解を伺いたいと思います。
  151. 木内昭胤

    ○政府委員(木内昭胤君) 被告側は自己取を重主張いたしておりますので、国としましては現在東京地裁に訴えておるわけでございます。第一審結審までまだかなりの時間を必要とするようでございますけれども、引き続き努力いたしておる状況でございます。
  152. 桑名義治

    ○桑名義治君 大蔵省はどうですか。
  153. 楢崎泰昌

    ○政府委員(楢崎泰昌君) 先ほども申し上げましたように、管理の適正を図り、建物収去等、十分な責任を果たしたいと考えております。
  154. 桑名義治

    ○桑名義治君 総理、お聞きのとおり、まだ戦後の終わってない部分が残っているわけです。外国の財産を国が管理をしている。ところが、それが現段階では不法占拠の事件にかかわっている。これは非常に国としては恥とすべき問題だろうと思います。一日も早く解決の方向へと努力をしていただきたいことをお願いをしておきたいと思いますが、総理に一言。
  155. 鈴木善幸

    ○国務大臣(鈴木善幸君) 私も初めてきょうそういう問題が存在するということを承知したわけでございますが、ただいま外務省並びに大蔵省から申し上げたとおり、そういう方向で最善を尽くしたい、こう思っております。
  156. 桑名義治

    ○桑名義治君 終わります。
  157. 木村睦男

    ○委員長(木村睦男君) 以上で桑名君の総括質疑は終了いたしました。  午前の質疑はこの程度にとどめます。  午後一時二十分まで休憩いたします。    午後零時十七分休憩      ―――――・―――――    午後一時二十二分開会
  158. 木村睦男

    ○委員長(木村睦男君) 予算委員会を再開いたします。  昭和五十六年度総予算三案を一括して議題とし、これより志苫裕君の総括質疑を行います。志苫君。
  159. 志苫裕

    ○志苫裕君 大蔵大臣、ここ十年間に会計検査院から指摘をされた不当件数及びその金額を報告してください。
  160. 松下康雄

    ○政府委員(松下康雄君) 昭和四十五年度百四十六件十二億六千六百万円。昭和四十六年度百九十九件十五億四千四百万円。昭和四十七年度百七十六件十四億四千六百万円。昭和四十八年度百五十二件十三億九千五百万円。昭和四十九年度八十六件十六億五千九百万円。昭和五十年度八十二件十八億七千二百万円。昭和五十一年度七十四件四十三億一千九百万円。昭和五十二年度九十三件六十四億五千三百万円。昭和五十三年度百六十四件四十五億五千六百万円。昭和五十四年度百五十七件二百三十億一千六百万円でございます。
  161. 志苫裕

    ○志苫裕君 合計幾らになります、十年間で。
  162. 松下康雄

    ○政府委員(松下康雄君) 千三百二十九件四百七十五億二千六百万円でございます。
  163. 志苫裕

    ○志苫裕君 とにかく決算規模は、この間に約四・八倍です。不当金額は十四倍ですね。この統計でいくと、ことしは幾ら出ますか。
  164. 松下康雄

    ○政府委員(松下康雄君) いまだ検査院の検査の結果、終了いたしておりませんので、私どもには金額的には把握できません。
  165. 志苫裕

    ○志苫裕君 まあ約〇・〇三%です、十年間は。ことしの予算規模に合わせますと、一番多かったのが五十四年ですから、そのでんでいきますと三百億円出る勘定になるわけです。しかもこれは検査院が八%という範囲でしか調べていない。しかもいま問題になっておりますように、その政策融資のそこから先のことは触れられていないわけであります。  こういう状況を踏まえて、そこで総理、この会計検査院の検査対象の範囲の拡大、あるいは機能の強化という問題については、これはもう個々の細かい議論は要らぬのでありまして、要は、再三にわたる国会の決議に行政府がどう対応するかという問題だと思うんです。本委員会でももういろいろとやりとりはありましたけれども、一口で言えば、政府の部内の対応は否定的であるというふうに私は受けとめざるを得ません。だから、私はかつて決算委員長としてこの院の決議の取りまとめに当たった者の一人でありますから、どうしてもこれはひとつこの際けじめをつけたい、こういう気持ちです。国権の最高機関が衆議院で四回、参議院で三回にわたって議決をしても、行政官庁のなわ張り争いごときで葬り去られるということであっては議会政治の根幹にかかわる、また、内閣も、この問題が提起をされた背景から見て、その政治姿勢が問われる、こういう問題だと思うのです。やっぱり総理のリーダーシップ、決断でこれは決める以外にない、かように考えますが、いかがですか。
  166. 鈴木善幸

    ○国務大臣(鈴木善幸君) 検査院法の改正問題、この問題は前内閣以来の懸案事項になっておりまして、現内閣になりましてからも宮澤官房長官を中心に、各省庁に強くこの改善についての同調、政府の方針について同調を求めて調整を進めておるところでございますが、残念ながらいまの段階ではいまだ結論が出ておりません。しかし、御指摘もございますように、国会の再三にわたる御決議もある次第でございますので、その御趣旨を踏まえて政府としてもさらに最善の努力を傾ける考えでございます。なお、その間におきましても会計検査の機能の充実ということは非常に大事な問題でございますので、その点につきましても十分な措置を議じてまいる所存でございます。
  167. 志苫裕

    ○志苫裕君 いまと同じような答弁は、私が去年のいわゆる九十一回国会で決算委員長として各派の了解を得て大平総理にただした。そして、今国会中には決まりをつけるというふうに大平さんはお答えになった。しかしそれは実現されないままになっちゃったんでありますが、それと同じことがやはりこの国会でも繰り返されるということでは納得ができない。どうしてもこれはやっぱりけじめをつけてもらう。いかがですか。
  168. 宮澤喜一

    ○国務大臣(宮澤喜一君) 大平総理大臣から当時そのようにお答えを申し上げまして、私の前任者、それから私と、内閣官房長官がこの問題の調整を図ってまいっております。申しわけないことでありますが、今日まで結論が出ておりません。  ただ、国会の御決議、ことに参議院の昨年の御決議は、会計検査院の機能強化ということを言っておられますが、法の改正ということには触れておられません。両方の問題があるわけでございますから、仮に、法の問題を調整を続けつつ、しかし同時に機能を強化するということは同じく院の求められておられるところでございますので、私どもも閣内だけでなく、実は自民党にもこの問題を検討をしてもらうことにいたしまして、今月の初め、政調会長を中心に集まりまして、機能強化ということについては党としてもそういう方針で進もうということになったわけでございますが、法律案の改正そのものにつきましては、なお私が引き続き調整に当たることでございます。  なお昨年来、最近までに多少の変化と申しますれば、新しく会計検査院長に就任されました大村さんが昨年の暮れ私のところへお訪ねになりまして、そして関係各省側の言い分ということについて、自分もかつてそちら側の行政経験もあるので、直接に自分が関係各省庁とも話し合ってみたいということを言われ、一月にもまたその経過について私にお話がございました。関係者力を合わせて閣内の調整を図りたいと考えております。
  169. 志苫裕

    ○志苫裕君 納得できませんよ、それは。だめですよ。
  170. 鈴木善幸

    ○国務大臣(鈴木善幸君) いま官房長官から経過等御説明を申し上げたとおり、現内閣になりましてからも引き続き努力を重ねておりますことはいま御報告申し上げたとおりでございます。私は、先ほど御答弁申し上げましたように、院の御決議の趣旨を踏まえて最善を尽くす所存でございますから、御了承を賜りたいと思います。
  171. 志苫裕

    ○志苫裕君 官房長官、あなた、いまそういう言いわけをしちゃだめですよ。  法の改正は国会の決議に含まれていない――冗談じゃありませんよ。去年の大平総理の答弁も、範囲を拡大をして政策金融にまで及ぶようにという国会の御意思は承知していますと答弁しているんだ、その法律と機能と分けて。そういうことだからまとまらないんですよ。  委員長、これは院の権威の問題ですから、私はそう簡単に引き下がるわけにはいかないです。
  172. 宮澤喜一

    ○国務大臣(宮澤喜一君) この問題につきましては両院で何度か御決議がございまして、法の改正の可否を含め、院の検査機能の強化という御決議の場合もございますし、昭和五十五年の参院議決のように、「会計検査院の検査機能の拡充強化について、なお一層十分な措置を講ずるよう」云々と、法改正ということに触れておられない場合もございます。これは、あるいは法の問題でございますから、院のお立場からこれはむしろ触れない方がいいという御判断であったかもしれないと思いますが、いずれにしましても、総合いたしますと、法の改正を含めて政府は検討しろと、こういうふうに長年の両院の御意思は受け取れる、そう受け取るべきであろうと、こう考えておることは間違いございません。
  173. 志苫裕

    ○志苫裕君 委員長、これはちょっと私は納得いかないですな。
  174. 木村睦男

    ○委員長(木村睦男君) 納得いかない点がございましたら、ひとつ質疑の中でしてください。
  175. 志苫裕

    ○志苫裕君 いや、質疑じゃないですよ。こんなものはやりとりの問題じゃないですよ。国会としてどうするかという問題ですよ。
  176. 木村睦男

    ○委員長(木村睦男君) 速記をとめて。    〔速記中止〕
  177. 木村睦男

    ○委員長(木村睦男君) 速記を起こして。  志苫委員に申し上げますが、ただいまの質疑の件につきましては、後で理事会に諮りまして、月曜日の総括の最終日までに善処するようにいたします。
  178. 志苫裕

    ○志苫裕君 それでは、外交の問題について幾らかお伺いします。  歴代内閣の外交は、アメリカとの友好協力関係を基軸にしつつも、そのときどきの国際情勢の認識や価値観によってそれぞれアクセントのつけ方が異なっていたと思うんです。たとえば、岸内閣の外交三原則であるとか、池田内閣の共産圏との友好増進であるとか、福田内閣の全方位であるとか、あるいは大平内閣の中ソ友好の推進、こういったことなんでありますが、鈴木内閣が、最近特に西側陣営との連帯、国際責任の分担というところにアクセントをつけておりますのはどのような国際情勢の認識に基づくものですか。
  179. 伊東正義

    ○国務大臣(伊東正義君) お答え申し上げます。  外交の基本方針としまして、いわゆる政治的、経済的に共同の理念を持った国々がひとつ協調してということで、日本は御承知のように日米関係の友好親善というものを基軸に、安保というものを基軸にしまして、ヨーロッパでございますとか、その他の地域の自由主義の国々あるいは民主主義の国々と協調をまずすることが大切だ、その上に立ちまして、どの地域でも、どんな政体、政権の国々とでもなるべく友好親善を図っていくというのが、これは外交の基軸でございまして、日本が資源その他いろんなことから考えまして、世界の相互依存でございますとか、そういうことが非常に緊密になっているときでございますので、いまのような考え方に立って外交を進めていこうということを考えておるわけでございます。  先生御承知のとおり、アフガンに対する軍事介入でございますとか、あるいはイラン、イラクの紛争でございますとか、あるいは東南アジアのカンボジアの問題でございますとか――イランの人質の問題は解決しましたが、方々で非常に国際的な緊張があり、なかなか厳しい状態であり、また経済的にも石油の価格の高騰ということをめぐって、インフレでございますとか、失業とか、景気後退とかいろいろございますので、政治面あるいは経済面でもなかなか困難な厳しい国際情勢にあるというふうに考えておるわけでございます。
  180. 志苫裕

    ○志苫裕君 中東の情勢に対するアメリカの対応が、やはり日本の外交に色濃く反映しておるというふうにただいまの答弁からも受け取れます。  そこで、日本の外交としては、現段階における中東問題についてどのような関心を――いわゆる中東問題というのはどう問題なのかという基本認識を伺いたい。
  181. 伊東正義

    ○国務大臣(伊東正義君) 中東のことの基本認識という御質問でございますが、これは十九世紀までもさかのぼりますか、パレスチナのところにユダヤの人々が祖国を求めて集まってきたということが、これはあるわけでございます。それで、今度第二次大戦後、あれは一九四八年でございますか、関係各国の思惑とかいろいろあったと思うのでございますが、十分話し合いのつかぬままに一九四八年にイスラエルが独立したということがございまして、その後、それをめぐってアラブとの間に、あるいは周辺国との間に紛争、戦争が起きた、特に一九六七年の戦争後、周辺国との間にしょっちゅう戦争が――特にエジプトとの間でございましたが、戦争があり、ということで、あそこに、中東に包括的な公正といいますか、永続的な和平がなかなか来ないということが私は中東問題の基本になると思うわけでございます。でございますので中東問題の永続的といいますか、包括的な解決をしていくということを考えますと、やはりパレスチナ人の将来を決める自決権というものの行使をすることを考えなければいけませんし、それと見合ったイスラエルの生存権というものをまた認めていくという両方が、これ解決した上でないとなかなか永続的なあるいは包括的な和平というのはむずかしいのじゃなかろうかというふうに考えておりますが、そういう中でまたイラン、イラクの戦争というのは、これは同じイスラムでございますが、民族は違いますけれども、そういう問題が起きるとか、いろんな複雑な要素が絡まっているということでございますが、基本はパレスチナ人の問題、自決権の問題、イスラエルの国としての生存、これが包括的和平の本当の基本じゃないかというふうに考えております。
  182. 志苫裕

    ○志苫裕君 外務大臣、おととしあたりまではそうだったんじゃないですかな。私はもう一度聞きますが、いま話があったように、やっぱりパレスチナ問題といういわば民族国家の問題なのか、あるいはイランの革命を端緒とするイスラム世界内部の緊張の問題なのか、あるいはアメリカの国際的影響力の後退に伴うソ連の伸長という東西問題なのか、このことを改めて聞きたい。
  183. 伊東正義

    ○国務大臣(伊東正義君) もともとは私は、やっぱりパレスチナ人の自決権の問題とイスラエルの国家としての生存権の問題だと思うのでございますが、そこへ、御承知のようにイラン、イラクの紛争が起きたわけでございます。これはまた中東の中を非常に複雑にしまして、どちらかというと同じアラブでイラク側に立つ国もありあるいはイラン側に同情を持った国もあるというような、中東の中で、アラブの中でそういうまた複雑な動きが出てきた、そういうことをめぐりまして、先生がおっしゃったようなソ連のアフガニスタンへの軍事介入に伴った――これは湾岸地域に非常に近い地帯でございますので、また東西関係というものがその上に覆いかぶさってきたというような複雑な様相を呈しているわけでございまして、これだということを決めつけるわけにはいきませんが、基本はやはりあそこにパレスチナ人の自決権の問題、イスラエルの国家としての生存を認めるということが解決されないといろんな糸はほぐれていかぬのじゃないかというふうに思っています。
  184. 志苫裕

    ○志苫裕君 私は、西側全体の安全保障とか役割り分担とかという、そういうものの背景にやっぱりあそこをだれが押さえるかという、そういう帝国主義的な、新植民地的な発想、東西問題としてとらえがちな潮流というものを非常に残念に思っているわけであります。これはやっぱりあくまでもイスラム世界、アラブの自立、それを助けるという、そして有無相通ずる国際関係をつくるということが基本でなければ、西側が押さえるか東側が押さえるかという視点では長い目で見て外交にならないということをしみじみ感じますが、どうですか。
  185. 伊東正義

    ○国務大臣(伊東正義君) お答え申し上げますが、基本はいま私申し上げましたように、やっぱりパレスチナ人の自決の問題、イスラエルの生存権の問題だということが基本であることは間違いありません。そこにいま先生のおっしゃったような複雑な様相がいろいろ加わってきた。特にイラン、イラクの紛争、ソ連のアフガニスタンに対する軍事介入というようないろんなことができて、色で言えば単一の色でなくて、複雑な色合いがそこに入ってきたということはこれ現実でございますので、そういう現実をやっぱり踏まえて外交は考えていくということが必要でなかろうかというふうに思っております。
  186. 志苫裕

    ○志苫裕君 外交問題最後でいいですが、日米首脳会談は、総理、こちらが言い出して会いに行くんですよね。向こうが来いと言って行くんじゃありませんよね。日本からはまさか何か御用ありませんかと行くわけじゃないんで、参勤交代でもないわけですから、日本は何を持っていかれるんですか。
  187. 鈴木善幸

    ○国務大臣(鈴木善幸君) 私は、こういう国際情勢、また相互依存関係が高まってきておる。特にわが国とアメリカは日米安保体制というような緊密な関係にもある。また、経済的には自由陣営の二大経済大国である。まあ、いろいろの関係からいたしまして、各段階の話し合い、情報の交換、意思の疎通を図る、こういうことは必要であり、特に首脳外交と言われる時代におきまして、日米の首脳がいずれも、レーガン政権にしても日本の鈴木内閣にしても新しく誕生した政権でございますから、そういう首脳間の話し合いをするということは、私はきわめて有意義であろう、このように考えるわけでございます。先般、レーガン大統領から直接私に電話がございまして、就任のごあいさつがあると同時に、ぜひお会いをして意見の交換をしたい、こういう御要請もあったわけでございます。そういうことを踏まえて、私は五月に訪米をして、そして大統領初め新政権の首脳と会談をしたい、このように考えておるわけでございまして、その際にどういうことを話し合うのか、こういうお尋ねと思うのでございます。
  188. 志苫裕

    ○志苫裕君 日本側から何か出すものがあるかどうか。
  189. 鈴木善幸

    ○国務大臣(鈴木善幸君) 出すとか出さぬとかいうことはございません。私は、いま申し上げたように、日米の二国間の関心のある問題、さらに国際情勢その他につきまして、相互に考えを出し合って今後の世界の平和と繁栄に協力をするように努力をしていくと、こういう考えでございます。
  190. 志苫裕

    ○志苫裕君 この時期という時期判断は何か意味がありますか。
  191. 鈴木善幸

    ○国務大臣(鈴木善幸君) 先ほど申し上げましたように、レーガン政権も新しく発足した、鈴木内閣も発足後七カ月と、こういう時期でもございます。これは日本に限ったことではございません。ヨーロッパの各国の先進国の首脳も機会をとらえて相互にお会いになっていることでございまして、私は今後活発にやるべきだと、こう思っています。
  192. 志苫裕

    ○志苫裕君 まあ、いずれまた、  次に、防衛問題で、最初に日米防衛協力についてですが、私もいろんなそういう国際的にかかわりのある文書を読むわけですから、正確に言いますから正確に答えてください。  第一点は、日米防衛協力の研究・協議では事前協議に関する諸問題は対象としないとしておるわけでありますが、それでは一体、重要な装備や配置の問題を全く抜きにして円滑な共同対処が確保されるとはちょっと考えにくい。そうなると、それにかかわる問題はイエスを予約してかからないと研究・協議ができないということになりますが、そう理解していいですか。
  193. 大村襄治

    ○国務大臣(大村襄治君) お答えします。「日米防衛協力のための指針」の策定に当たりましては、防衛協力小委員会はいまお尋ねのございました「事前協議に関する諸問題、日本の憲法上の制約に関する諸問題及び非核三原則は、研究・協議の対象としない。」、「研究・協議の結論は、日米安全保障協議委員会に報告し、その取扱いは、日米両国政府のそれぞれの判断に委ねられるものとする。この結論は、両国政府の立法、予算ないし行政上の措置を義務づけるものではない。」という前提条件をもとにしてできたものでございます。  また、現在日米間で行っている共同作戦計画の研究等の研究作業は、いま申し上げました指針に基づくものでありますから、当然いま読み上げました前提条件の枠内で行っているものでございます。
  194. 志苫裕

    ○志苫裕君 答弁になってない、全然。
  195. 塩田章

    ○政府委員(塩田章君) 事前協議は研究の対象にしないということは御指摘があったとおりでございますが、その際に、事前協議の中に大きな部隊の配置の問題がございます。これは御指摘のとおりでございますが、その前に、この作戦計画の研究に当たっては当然米軍部隊の来援ということがあり得るわけでございますから、その場合には事前協議の対象になるということもあるではないか、そうすると、それを前提にした計画の研究ということはイエスの予約ではないかという御趣旨のお尋ねであったと思いますが、なるほど、その点について申し上げますと、そういう事態の必要に応じて米軍部隊が来援に来る場合に、事前協議の対象になって初めて日本にやってくるということは当然あり得るわけでございます。したがいまして、この作戦計画の研究におきましては、そういう場合には、仮に日本政府がイエスを言ったとしたらこういう来援があり得るということを前提にした研究でありますので、その点は先生の御指摘のとおりでございます。
  196. 志苫裕

    ○志苫裕君 わかりました。  次は、憲法上の制約に関する諸問題及び非核三原則は指針に盛り込まなかったという意味なんですか、それとも指針に基づく作業においてもやらないということなんですか、いかがですか。
  197. 塩田章

    ○政府委員(塩田章君) 両方とにかくやらない、指針にも盛り込みませんし、指針に基づく作業においても取り上げないということでございます。
  198. 志苫裕

    ○志苫裕君 そうしますと、総理、いまの答弁でありますが、そうなりますと憲法の制約を厳守し、非核三原則は貫くということで確認していいですね。
  199. 鈴木善幸

    ○国務大臣(鈴木善幸君) そのとおりでございます。
  200. 志苫裕

    ○志苫裕君 三点目は、研究・協議の結論が政府の立法措置を義務づけないという意味は、指針の中にはそのようなものは盛り込まれておらないし、今後の作業においても現行法令の中で行って、新しい措置を要するものは含まない、こういう意味ですか。
  201. 塩田章

    ○政府委員(塩田章君) 私ども、その点は原則としてこの研究は現行法体系のもとでの研究であるというふうに考えておりますが、研究の結果、現行の法体系を仮に変えた方がいいという問題があっても、それは両国の政府をそれぞれ拘束するものではないと。したがって、日本の場合は日本で独自に判断をして措置をするということを言っておるわけでございますが、考え方の原則としましては、現行の法体系のもとでの研究であるということはそのとおりであります。
  202. 志苫裕

    ○志苫裕君 いや、そこがこの間も寺田委員との間に、研究が、協議か、計画かという話がありましたがね、あなた、研究、研究といっても研究委員会つくるんじゃないんですよ。  それなら、ちょっとそれに入る前に聞きますが、この指針の中には、研究を行う、研究し、準備しておく、あらかじめ定めておくという、三つの言葉の使い分けがあります。研究するというのと、研究し、準備しておくというのと、あらかじめ定めておくという使い分けがありますね。これはどういう意味を持ちますか。
  203. 塩田章

    ○政府委員(塩田章君) 三つの言葉をお挙げになりましたけれども、作業としましてはいずれも研究でございます。あらかじめ定めておくということも、準備をしておくということも、具体的な準備ということじゃなくて、そういう研究をしておくということでございます。
  204. 志苫裕

    ○志苫裕君 局長、それは答弁にならぬですね。たとえば、共同作戦計画は研究を行うとなっていますよ。だから、研究を行った次の段階が何になるのかいずれ聞きますが、その他の部分には、大部分は、あらかじめ定めておく、研究し、準備するとなっているでしょう。同じものじゃありませんよ。研究会じゃないんだから、これは。
  205. 塩田章

    ○政府委員(塩田章君) まず、作戦計画そのものについて申し上げますと、研究をするという意味は、この場合はある一定の設想を置いて研究しているわけですけれども、その研究をしておいて、そして言うなればエンドレスに研究を続けておいて、もしある時点で有事の事態が発生したという場合に、その時点におきます研究をベースにして作戦計画を確定する、それによって行動をとる、こういうことになります。そのための、作戦計画そのものではなくて、平素からそういう研究をしておく、そして、有事の場合のベースに、作戦計画そのもののベースになると、こういうことでありまして、いまの、たとえば準備についての段階区分でありますとか、そういうあらかじめ準備しておく、あらかじめ定めておくということもやはり同じような意味でございまして、いまの段階の研究段階において研究をしておいて、お互いにこういうふうに準備段階は考えましょうというようなことを研究しておいていくわけですから、そういう意味では、言葉はそういうふうに使い分けておりますが、実際に作業としましては私どもは研究をしておくということで、実体的には変わらないと思っております。
  206. 志苫裕

    ○志苫裕君 それは答弁になりませんね。しかし、これはいずれまた後にかかわりますから、先へいきましょう。  ガイドラインと、たとえば中央指揮システムの整備、防衛研究、それから奇襲対処の問題検討、有事法制等々が同時に、並行的に進められておりますが、これが相互無関係にばらばらに行われるとは考えにくい。どれがベースになりますか。
  207. 塩田章

    ○政府委員(塩田章君) ちょうど時期的に御指摘のようないろんな研究が同じ時期に出てきたものですから、そういう御疑問が起こるのは当然だと思いますが、私どもはどれがベースという形ではなくて、それぞれ違った目的を持って研究をしておるというふうに思います。ただ、それじゃ関係がないのかと言いますと、たとえば防衛研究の場合、これは自衛隊の運用についての研究ですが、その場合に、もし現行法令上、自衛隊を運用するに当たってふぐあいな点があるという場合には、有事法制の研究の方でそれを受けとめていくという関係に有事法制と防衛研究の間はあるわけでございます。そういうふうに、両者に関係がないということは言えませんが、もともと違った目的でもってそれぞれのテーマについて研究をしておると、こういうことでございます。
  208. 志苫裕

    ○志苫裕君 そんなあちこち向いてやるわけないですよ。やっぱりガイドラインがベースになるんじゃないですか、そうでなきゃ整合性とれませんもの。  次に、ペルシャ湾における事態が極東及び周辺地域の安全にかかわると想定をして研究・協議を行うことがありますか。
  209. 塩田章

    ○政府委員(塩田章君) 私ども、いまの日米の研究では、そういう事態は想定しておりません。
  210. 志苫裕

    ○志苫裕君 そうすると外務大臣、いまの答弁を受ければ、ペルシャ湾は極東の周辺ではないですね。
  211. 伊達宗起

    ○政府委員(伊達宗起君) お答え申し上げます。極東の周辺と申しますのは、安保条約上定められた概念ではございません。そういう用語はございません。ただ、安全保障条約の六〇年の審議の際に、極東の範囲ということで政府の統一見解が出たわけでございます。その場合、極東の範囲と申しますとフィリピン以北云々云々ということで、長くなるので省略させていただきますが、その場合に、しかし、この統一見解の中で、極東に対する武力攻撃が起こり、またはそのおそれが生じたような場合には、これに対処することのある米軍の行動はこの極東の範囲に限られるわけではない、というふうに統一見解で述べてございます。そのところから極東の周辺という言葉が出てきたわけでございまして、したがいまして、それは極東に及ぼす武力攻撃、極東に武力攻撃が起こったり、あるいは周辺地域に起こった事情のために極東に脅威が生ずるという相対的な概念でございまして、これは極東に対する武力攻撃の、ないしはそのおそれの性質いかんによるものでございまして、地理的に限定することができないものであると、こういうふうに当時からもずっと政府の答弁として申し上げているわけでございます。  ただ、ペルシャ湾ということにつきましては、昨年の国会の冒頭におきまして問題が提示されまして、そのときの政府の答弁といたしまては、ただいま申し上げましたように、極東の周辺という概念はそのような概念であるから、あらかじめ特定の地域を極東の周辺に入るか入らないかというふうに特定する、明示することはできないけれども、しかし、ペルシャ湾における事態が実際問題として極東に脅威を及ぼすというような事態は考えられないから、そのような意味ですればペルシャ湾は極東の周辺とは観念されない、という答弁を申し上げた次第でございます。
  212. 志苫裕

    ○志苫裕君 ですから、いま私はガイドラインのこの三項、「日本以外の極東における事態で」云々ということにかかわって、ペルシャ湾における事態が極東及びその周辺地域の安全にかかわると想定をして研究する気があるかと言ったら、そういうことをすることはないと、こう言っているのでしょう。そうすれば、論理的にいけばペルシャ湾は極東の周辺地域でないという答えにならざるを得ないでしょう。だからそのことを聞いたんですよ。
  213. 伊達宗起

    ○政府委員(伊達宗起君) 結論を申し上げますれば、地理的な距離も非常に離れておりますし、ペルシャ湾の事態が極東に直ちに武力攻撃が起こったり、あるいは極東の安全が脅かされるというような事態になることは考えられないということでございます。
  214. 志苫裕

    ○志苫裕君 防衛庁長官、共同作戦計画の研究について、本委員会では和田質問、寺田質問ともに、近々にまとまるという御答弁だった。ところが、三月三日の衆議院の予算委員会分科会では、ごく最近報告があったと言っている。これはどっちなんです。
  215. 大村襄治

    ○国務大臣(大村襄治君) お答えします。  衆議院では、作戦計画の研究について固まりつつある段階で中間的な報告を受けました、ということを申し上げたわけでございます。なお、一応まとまった段階でさらに報告を受けることにしておりますので、当委員会におきましては、お尋ねに対しましてそうお答えした次第でございます。
  216. 志苫裕

    ○志苫裕君 いや、どうして衆参別々のことを言うんだ。
  217. 大村襄治

    ○国務大臣(大村襄治君) 衆議院では、報告を受けたことがあるかと、こういう御質問でございましたので、中間的に報告を受けたことがあるとお答えしたわけです。
  218. 志苫裕

    ○志苫裕君 共同作戦計画の研究は設想を持ってやっていると言うが、特定の国からの侵攻を予想していないという答弁がしばしば行われております。しかし、侵略の規模の大小、空から来るか海から来るかというような、そういう態様の別は当然あると思います。  防衛庁にお伺いしますが、小はどの規模、大はどの規模を設想していますか。
  219. 塩田章

    ○政府委員(塩田章君) 現在の研究は一つの設想を設けてやっておりまして、大はどの規模、小はどの規模というふうに幾つかの設想ではございません。一つの設想を設けて研究をしておると、こういうことでございます。
  220. 志苫裕

    ○志苫裕君 一つの設想と言ったって、あんた、設想を設けるには大きいから小さいまであるでしょう。これ引用すると悪いけれども、皆さんの国会想定問答集というものが出回ってますが、これによれば、大小、空海、そういう設想を設けると言っているでしょう。だから聞いているんですよ。
  221. 塩田章

    ○政府委員(塩田章君) この研究がだんだん進んでいく間にいろんな設想を設けて研究していくことになると思います。いまやっておりますのは一つの設想である、こういうふうに申し上げたわけで、そういう大なり小なり、あるいは海空攻撃なり、いろんな形があることは、それは当然考えられるわけでございますが、現在のところは一つの設想を設けて研究を進めておる、こういうことでございます。
  222. 志苫裕

    ○志苫裕君 大中小で言うと、どの辺ですか。
  223. 塩田章

    ○政府委員(塩田章君) 設想の内容にわたることは控えさしていただきたいと思います。
  224. 志苫裕

    ○志苫裕君 共同作戦計画を研究するとなっている。研究の次は何になるんですか、これは。
  225. 塩田章

    ○政府委員(塩田章君) 先ほどもちょっと申し上げましたが、共同作戦計画の研究というのは、次というよりも、まさに研究でございますが、それはどういう意味を持つかと言いますと、先ほどちょっと申し上げましたように、もし将来、いつの時点がわかりませんけれども、有事の事態が発生したときに、今度は具体的に作戦計画をつくらにゃいけませんが、その計画のベースになるものであるというふうに考えられるわけであります。
  226. 志苫裕

    ○志苫裕君 ですから、研究の次は実戦計画でしょう。実戦計画と言うかどうか知りませんけれども、そうでしょう。
  227. 塩田章

    ○政府委員(塩田章君) そういうことでございます。
  228. 志苫裕

    ○志苫裕君 それは、研究と計画の周には何か手続があるんですか。
  229. 塩田章

    ○政府委員(塩田章君) 研究自体は、いま申し上げましたように、ずっと続いていくわけでございますが、その過程におきまして、その間におきまして有事の事態が発生して、いま申し上げました作戦計画に移るという場合には、ガイドライン上は「両国政府の合意によって」ということになっておりまして、それぞれの政府がどういう手続で合意をしていくかということはこれからの問題であります。
  230. 志苫裕

    ○志苫裕君 そうすれば、この間寺田質問で、計画がまとまりつつあるというアメリカの言い分が当たっているじゃないですか。そうじゃありませんか。研究したものは計画になるんだ。
  231. 塩田章

    ○政府委員(塩田章君) 研究が進みつつあると、このように御理解いただきたいと思います。
  232. 志苫裕

    ○志苫裕君 次は、有事の際に米軍部隊が核装備をするであろうということは予想しますか。
  233. 大村襄治

    ○国務大臣(大村襄治君) お答えします。  日本の周辺を行動する第七艦隊と米軍部隊が、いわゆる有事の際に核を装備するであろうことは考えられるところでありまして、これは米国の核抑止力の一部を構成するものであると考えます。
  234. 志苫裕

    ○志苫裕君 作戦構想によりますと、米軍は「自衛隊の能力の及ばない機能を補完するための作戦を実施する。」、こうなっています。この「能力の及ばない機能」には米軍の機動打撃部隊あるいは航空打撃部隊による打撃力が含まれますか。
  235. 塩田章

    ○政府委員(塩田章君) 含まれますというよりも、むしろそれが主体であるというふうに考えております。
  236. 志苫裕

    ○志苫裕君 そうしますと、当然その機動打撃部隊は核装備をしているわけであります。日本の領域及びその周辺海域において核装備をした米軍部隊と共同作戦を行う、これは非核三原則に抵触しませんか。
  237. 塩田章

    ○政府委員(塩田章君) わが国の非核三原則の持ち込ませずというところに、いまの機動打撃力を持った米軍部隊が日本の来援に来て共同作戦する場合でも、そこを堅持していくということによって、つまりわが国の領域内には核を持ち込ませないということを堅持することによって、私は非核三原則に反しないというふうに考えるわけであります。
  238. 志苫裕

    ○志苫裕君 そう言って言葉の上では言い切れましょうけれども、しかし皆さんの方の予想答弁によりますと、こう書いてあるでしょう。日本防衛のため、海上、航空作戦は日本の領海、領空及びその周辺海域において侵攻の初期から生起をされ、この作戦の当初から米海空部隊の支援が必要である。これが死命を制するとなっているでしょう。陸上はしばらくたって頼むから来てくれですわな。空と海の場合には侵攻の緒戦が大事なんだから、そのときすでに機動打撃部隊を有するアメリカの軍隊、米軍は、日本の領域、領空、領海、周辺海域においてその当初から作戦を支援するとなっているでしょう。どうしてそのときに核を抜いておるんですか。できないじゃないですか、そんなこと。
  239. 塩田章

    ○政府委員(塩田章君) 作戦の初期から米軍部隊が応援に来ることは考えられるわけで、その記述もあるわけでございますが、その際核装備を持った艦艇がもちろん含まれておるかもしれませんけれども、含まれておっても、その艦艇はわが国の領海内には入れないということでございますから、そういう意味で三原則は守れるというふうに考えておるわけであります。
  240. 志苫裕

    ○志苫裕君 一方では海域分担しないと言っているんでしょう。もっとも海域分担したら作戦になりはしませんわな。海域分担はしない、しかしおまえはここからここへ入っちゃだめ、こんなばかな話がありますかね。無理ですよ。非核三原則には触れないでおいたと言っても触れていますよ、このガイドラインは。そうじゃありませんかね。
  241. 塩田章

    ○政府委員(塩田章君) ガイドラインにおきましては、核そのものについてはアメリカの核抑止力によると書いてあるだけでございますが、いまの機動打撃部隊の中に確かに核装備をした艦艇が入ることはそれは考えられるわけです。それは私どもも否定をしていないわけですが、そのことと、わが国の非核三原則とは、先ほど申し上げましたように私どもは矛盾しないというふうに考えておるわけであります。
  242. 志苫裕

    ○志苫裕君 いや、それはあなたが考えていないと言ったって、それは考えているんだもの、このガイドラインによると。もうこれやっておってもしようがないからまたいずれこの問題――あなたむちゃですよ、ごまかしちゃだめですよ。いずれまた、これは息の長い話だからまたやりましょう。  防衛計画の大綱は未達成であり、五六中業もその範囲内のものであるということにしばしば説明をされておりますけれども、武器の質とか、あるいは性能とか、そういうものは一体、大綱の水準とこう一口に言われるもので、何が物差しになるんですか。
  243. 大村襄治

    ○国務大臣(大村襄治君) お答えします。  防衛計画の大綱におきましては、特に別表におきまして、兵力の主要なものは目標として掲げているわけでございます。  ところで、この質の方はどうかというお尋ねでございますが、防衛計画の大綱におきましては、防衛力の整備に当たりましては、諸外国の技術水準の動向に対応し得るよう、質的な充実向上に配意することとしておりまして、したがいまして、自衛隊の装備につきましては、諸外国の兵器の性能等に対応できるような性能を有するものを整備していかなければならないと考えている次第でございます。しかしながら、防衛力整備は言うまでもなく、憲法のもと自衛のため必要最小限度の範囲内で行うものでありますので、憲法上保持を許される自衛力の具体的な限度については、そのときの国際情勢、軍事情勢の水準その他の諸条件によって変わり得る相対的な面を有するものでありますが、性能上もっぱら他国の国土の壊滅的破壊のために用いる兵器は保持することはできない、そういう基本的な考え方に基づいて質の向上に努めているところでございます。
  244. 志苫裕

    ○志苫裕君 あなたが答えるとさっぱりわからないんだな。総理わかりましたか、いまのこと、何を言ったか。どうですか、わかりましたか。全然わからぬでしょう。あなたがわからなきゃ私はわからぬよ。
  245. 鈴木善幸

    ○国務大臣(鈴木善幸君) 文章をよく練った上で防衛庁長官は答弁しておりますから、きわめて正確に御答弁申し上げておると思います。
  246. 志苫裕

    ○志苫裕君 水準がわからないので、たとえば聞きますよ、長官、これならわかりますか。航空母艦は大綱の水準に触れますか。だんだん聞いていきましょう。
  247. 大村襄治

    ○国務大臣(大村襄治君) お尋ねに対してお答えいたします。  防衛庁といたしましては、空母については現在保有することを考えておりませんので、具体的には検討しておりません。しかし、かつて攻撃的空母はどうかという国会で御質問がございました。それに対しましては保有できないとお答えした事例がございます。
  248. 志苫裕

    ○志苫裕君 私言っているのはそうじゃないんですよ。航空母艦は持つ気があるかないかと言っているんじゃないんです。大綱の水準に触れるか触れぬかと聞いているんです。
  249. 大村襄治

    ○国務大臣(大村襄治君) 先ほど申し上げましたように、性能上もっぱら他国の国土の壊滅的破壊のために用いられるような兵器は、もともと持てないという考え方でございますので、大綱におきましてもそれを前提に考えておるわけでございます。
  250. 志苫裕

    ○志苫裕君 大綱は新たな対応に移行するという性格を持っているものなんだ。だから、いまの大綱のことで私は聞きますが、これは局長、航空母艦は大綱の水準に触れるのか、憲法に触れるのかどちらですか。
  251. 塩田章

    ○政府委員(塩田章君) 大綱では「対潜水上艦艇約六十隻」と書いてございまして、その六十隻というのはどういう船であるかということは書いてございません。要するに対潜水艦艦艇であればよろしいわけです。ですから、中身がどういうものであるかということはここからは出てまいりませんで、先ほど長官がお答えしましたように、軍事技術の水準等を、世界各国の情勢をにらみながら、その時点でどういうものを装備していくかということになるわけでございます。  具体的に航空母艦というお尋ねでございますが、先ほど長官からもお答えいたしましたように、攻撃型の航空母艦はこれは持てないと思いますけれども、航空母艦でも対潜水艦用の航空母艦であれば憲法上は持てないという問題ではない。そこで大綱の六十隻の中に入れるか入れないかという話に結局なるわけでございますが、私どもいまの時点でそういうものは考えておらないということで、検討したことはございませんので、どういう航空母艦ならこれに入るだろうとか、入らないだろうというふうに検討したことはございませんので、いまの時点で申し上げることはできないというふうに申し上げておるわけであります。ただ、憲法上航空母艦が入るか入らないかということであれば、対潜空母なんかは憲法上に触れる問題ではないだろうというふうに私どもは考えておるわけであります。
  252. 志苫裕

    ○志苫裕君 では、あなたこの防衛力の大綱の水準もだんだん伸び縮み自由みたいな水準になっちゃって、これは危ないですけれども、かって憲法上の制約のある兵器として、ICBM、あるいは戦略爆撃機、航空母艦とあったのが、いつの間にか航空母艦をもいでいますね。これはどういうわけですか。そのうちにICBMみんなもいでしまうんじゃないか。
  253. 塩田章

    ○政府委員(塩田章君) いま典型的なものとしてICBM、長距離爆撃機というものを挙げております。そういうものは持てない。かつて云々とおっしゃいましたが、いままでに国会答弁の中で出てきたものとして、ほかにもちろんIRBMなんかもあります。あるいは先ほど申し上げました攻撃型の航空母艦ということも出てまいったことがございます。そういうことを私どもはいま考え方を変えたわけではなくて、そういうものはやっぱり持てないということで、ただ例示的に申せば、いまICBMとか、長距離爆撃機なんかが典型的なものであるというふうに申し上げでおるわけでございますが、従前からの考え方を変えたわけではございません。
  254. 志苫裕

    ○志苫裕君 いずれにしても、大綱の水準というものと、武器の質というものとの間はあいまいであるということがわかりましたから、これはいずれ詰めます。  次に、防衛白書によりますと、陸上、航空自衛隊ともに後継ミサイル及びバッジシステムの調査研究を進めるということになっておりますが、これいまどうなっておりますか。  ついでに配備の目標、年次、展開数あるいは候補機種、性能諸元、この辺までお答えください。
  255. 塩田章

    ○政府委員(塩田章君) 後継のSAMにつきましては、航空自衛隊、陸上自衛隊の調査団が現在アメリカに行っております。いろいろなそういった選定作業をいまやっておるところでございます。  候補機種としましては、アメリカのパトリオット、それから日本の技術研究所でいま考えておりますナイキフェニックスの二種がいまのところ候補機種として考えられます。  いまお尋ねの今後の整備目標でありますとか、配備予定でありますとか、そういうことはいま申し上げたような段階でございますから、まだ何とも申し上げられる段階ではございません。  性能については装備局長からお答えいたします。
  256. 和田裕

    ○政府委員(和田裕君) 性能についてのお尋ねでございますが、まず、ポストナイキの方でございますけれども、現在調査中ということでもございますし、細かい諸元の公表は差し控えたいと思っておりますが、主な特徴を申し上げますと、パトリオットの方はTVM、これはミサイル経由目標追尾という方式でございまして、ミサイルが相手の位置を確定いたしまして、その確定した情報を地上のステーションの方に流す。そのステーションがその情報をコンピューターに入れまして、それでコンピューターで迎撃計算というのをやります。迎撃計算というのは簡単に言いますと、敵機の向かうべき予想地点の計算、それから自分の向いている方向、そういったものを、相関関係というのをコンピューターではじき出しまして、迎撃地点というのを出しまして、それに向かってどういうふうに飛べば最も速やかに行けるか、こういうような計算をするわけでございます。そういうことを特徴にいたしますところの複合誘導方式をとっております。それに対しまして、ナイキフェニックスの方はセミアクティブ及びアクティブのレーダーホーミングを特徴といたします。御存じかと思いますが、セミアクティブと申しますのは、地上からイルミネーターによりまして敵機を照射いたしまして、それの反射波をミサイルが受けまして、それで自分で一応演算をして、それで敵の方に向かっていく。アクティブの方は、これは最後の敵機に近づいた場合でございますけれども、みずから出しますところの電波によりまして、その反射波をとらまえまして計算していく、こういういずれも、これも複合誘導方式でございますが、こういったものを用いております。両者とも十分な有効射程を有しておりまして、ごくおおよそで申しますと百数十キロということで、大体似たり寄ったりの射程を有しております。それからかつ、両者とも多目標対処能力、ECCM能力、このECCMというのは電波妨害に対します対処能力でございますが、ECCM能力におきまして、現有のナイキに比べまして、相当にすぐれているものというふうに承知してございます。  なお、諸元の方の大きさ等におきましては、これは申し上げてもいいかと思いますが、もしなんでしたら申し上げますが、パトリオットにつきましては、寸法は約五・二メートル、それから太さと申しますか径でございますが、これが〇・四メートルということで、現行のナイキに比べるとかなり小型になっている、そういう特徴がございます。重さは約一トン程度ということでございます。  それからバッジについて申し上げますと、バッジにつきましては、さっき防衛局長が申し上げましたように、いま基本的な構想を作成中ということでございますので、およその方向という方向性しか申し上げられませんけれども、簡単に言いますと、一九九〇年代の著しい航空脅威の増大というものに対応いたしまして、自動探知、自動追尾能力それから電子戦対処能力、管制能力、そういったもの等におきまして現行のものにおきましては相当に性能上の不足ということが感ぜられておりますので、そういった点におきまして、最近非常に発達しておりますコンピューターというものの能力を十二分に活用いたしまして対応していきたい、そういう方向性を考えております。  以上でございます。
  257. 志苫裕

    ○志苫裕君 防衛局長でしたか、もう一度。  配備の目標を、たとえばいつごろまでに入れたいということで進めているのですか、数のことはあなたはまだわからないと言っているけれども。
  258. 塩田章

    ○政府委員(塩田章君) その配備の目標時期、つまり購入する時期がいまのところまだ確定的に申し上げられる段階ではございませんので、先ほども申し上げましたようにまだ何ともお答えできない状況であるということを申し上げたわけです。といいますのは、予定よりも若干おくれておりますので、ちょっといまのところ、いつごろになるというふうにはまだ見通しが立っておりません。
  259. 志苫裕

    ○志苫裕君 五六中業に盛り込みますか。
  260. 塩田章

    ○政府委員(塩田章君) 五六中業自体はいまからの作業でございますから、五六中業の中でどういうふうになるということをちょっとまだ申し上げにくいのですが、いまの調査団の帰った結果などを見まして、次の検討作業に入りたいと思っておりまして、いま五六中業でどういう形になるか、出るか出ないか、あるいは出るとしてもどういう形で出るか、ちょっとそこまで予定が立っておりません。
  261. 志苫裕

    ○志苫裕君 NATOでは武器の規格化というのが求められて、そのように進行しておるんですが、日本も日米防衛協力という観点でいけばそのような志向を持っていますか。
  262. 和田裕

    ○政府委員(和田裕君) NATOとアメリカとは、日本とアメリカの武器の共用化につきましては、基本的ないわばゆえんといいますか由来が違いまして、日本の自衛隊というのは、先生よく御存じのとおり、もともと無償援助で、アメリカから供与されました装備品というものを主体にして出発したということもございまして、かなり出発、生い立ちの当初から、アメリカの武器体系に非常になじんできているといいますか、そういったものを使ってきているという点がございます。むしろその後で、国産のいろいろウエポンシステムというものを開発する必要があるということで、わが国独自のものを開発してきたという感じだと思います。それに比べましてNATOにおきましては、西独はやや例外的な立場かと思いますが、イギリスにおきましても、その他の国におきましても、昔から独自の武器体系を持っておりまして、それはおのおのの国のいわば武器体系の特徴をなしているわけでございますが、そういったような一たん有事の場合には、余りその武器体系が区々に分かれておりますと、補給あるいは整備、それから共同使用、あるいは電波関係で言いますと電波干渉、こういったような問題が起こる、こういう観点からいま鋭意共用化に努めている、こういうことかと思います。しかしながら、アメリカは日本におきましてもさらに推進できる点につきましては、共用化を進めようということを言っておりまして、われわれもそれはもっともだというふうに考えておりまして、その方向でいろいろ検討しておりますし、まあ先生御存じのとおり、たとえば大砲等におきましては、あるいはその主要な装備、主力戦闘機であるとか、それからP3Cとか、そういったものはアメリカの武器を導入いたしまして、ライセンス生産しているといったようなことで、かなり共用化ができていると考えておりますが、なお共用化が推進できるような若干の分野、たとえば弾薬の一部であるとか、そういった問題だと思いますけれども、そういった点については、共用化の必要というものを十分勘案して、今後装備の選定に当たっていきたい、そういうように考えております。
  263. 志苫裕

    ○志苫裕君 なかなかあなた方というのはわかりにくく言うものだね。できればそうしたいならそうしたい、機種によってはそうしたいならそうしたいと言ってくれれば簡単なんですけれどもね。もちろんこれはめんどうでしょう。パトリオットとナイキフェニックスとどっちを選ぶかというときに、武器の規格化が求められていますのでそうしたいと言えば、一方の方が決まっちゃいますからね、なかなか答弁せぬことはわかりますけれども。  いずれにいたしましても、先ほどの性能を聞きますと射程距離で百数十キロ、普通百数十とか何百数十と言う場合には真ん中言いますから、百五十キロと見ていいでしょう。百五十キロの長さということになってまいりますと防衛計画の大綱に触れませんか。
  264. 塩田章

    ○政府委員(塩田章君) 先ほども御議論ございましたように、防衛計画の大綱では、部隊の数は書いてございますけれども、その性能等について別に書いてあるわけではございません。そういう目的を持ったSAM部隊を幾ら置くかということが書いてございまして、そういう意味で私は百数十キロあるからといって大網に触れるとは思っておりません。
  265. 志苫裕

    ○志苫裕君 局長それはね、防衛庁長官もよく聞いてくださいよ、そんなでたらめはだめですよ。そういうことを言っちゃだめですよ。防衛計画の大綱、陸上自衛隊、「(3)重要地域の低空域防空に当たり得る地対空誘導弾部隊を有していること。」それから航空自衛隊、「高空域防空用地対空誘導弾部隊を有していること。」と、これは大綱ですよ。  低空域の誘導弾部隊というのは、足の短かいものということなんです。高空域というのは足の長いものということなんです。だからいままでも陸は三十キロ程度のホークや改良ホークを使ったんでしょう。空は百三十キロのナイキJ使ったんでしょう。それをどちらも、陸も空も百五十キロの長いものを持とうということになれば、明らかに大綱に触れるじゃないですか。
  266. 塩田章

    ○政府委員(塩田章君) 現在の大綱に、陸の場合低空域、空の場合高空域と書いてございますことは御指摘のとおりでございます。  ただこれも理屈を言えば距離が書いてあるわけじゃございませんけれども、この点につきましては、今後の機種の選定に当たって、この問題は十分検討していきたいと思っておりますが、先ほども申し上げましたように、基本的に、具体的な性能を大綱で規定しているわけではございませんので、私たちは十分検討はいたしますけれども、直接この大綱に抵触するといったものではないというふうに考えておるわけであります。
  267. 志苫裕

    ○志苫裕君 それは答弁にならない。低空域防空に当たり得る誘導弾部隊を有していることというんだから、低空域防空に当たる誘導弾部隊ですから、だからいままでは足の短かいものが低空域ですよ。長いやり持っていれば近くも遠くも使えるという理屈じゃだめですよ、あんた。そんならあんた、戦略爆撃機持って日本の領空を守りますのと同じ理屈だ。そんなのだめですよ。当たりませんよ、これは。
  268. 塩田章

    ○政府委員(塩田章君) いずれにしましても、その問題は、現在機種を選定しておる段階でございまして、そのいまの段階で当たるとか当たらないとかいうよりも、機種の選定の過程でよく検討してまいりたいというふうに考えております。
  269. 志苫裕

    ○志苫裕君 いずれにいたしましても、現在は防衛大綱の範囲内であると、五六中業もその範囲内だと、早く達成するように努力したいということをしばしば申されておりますが、そのこととは別に、防衛庁では大綱の見直しを前提としない限り用いられない武器の選定という問題になっていくわけです。まあ制服からすればいいものがいいに決まってますよ。しかし、そういうことが現に制服によって行われて、現に調査へ行っているわけですから。こういう問題であるということを指摘をして、いずれ、調査の段階ですから、行っておるんですから、その段階でまた取り上げるということをいまから予告をいたしておきます。  少したくさん、もっと通告しておきましたが、防衛問題はこの辺でひとつやめまして、またこの次にやらしてもらいます。  次は行政改革について、ちょっと申しわけないんですが、中曽根長官、小さな政府という主張は、まあ財政再建の対症療法なんというけちな考えじゃなくて、たとえばヨーロッパで福祉国家体制の見直しが言われ、あるいはアメリカでニューディール時代の終えんが言われるような、大きい社会制度や哲学や経済理論の転換、そういうところまで立ち入るものですか。
  270. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) 恐らく基礎的にはそういう思想や哲学が論議されると思います。しかし、現象面で出てくるのは、言われているように効率的で精鋭主義の能率のある政府、そういう形で出てくるのではないかと思います。
  271. 志苫裕

    ○志苫裕君 長官は、その背景をたとえば――あれはどなたの質問でしたか、和田質問に、サッチャー政権、レーガン政権の登場に触れて説明をしました。しかし、そこから考えられることは、小さな政府というのは必然的に福祉や社会保障の分野を抑制的に考えるということになりますね。
  272. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) レーガン政権の例で見ますと、ジョンソン大統領が言った偉大な社会の終えんである、そういうことを言って、福祉の方まで手を突っ込んでおるようですから、恐らくそういう基礎哲学があって行われておるのだろうと思います。日本でどうするかということは、日本が独自に考えるべき問題であると思います。
  273. 志苫裕

    ○志苫裕君 ですから、あなたがレーガンやサッチャーを引いて説明をされたのは、そういう意味ですかと聞いているわけです。
  274. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) 私がそれを申し上げましたのは、世界の傾向がそういうふうになっております。日本の中にも、フリードマンその他の本も売れたりして、そういう思想がかなり入ってきております、そういう問題が第二臨調でいかに取り上げられるかは今後の課題でありますと、そういう意味で申し上げました。
  275. 志苫裕

    ○志苫裕君 もう少し基本的なことで、もう一つでいいですが、いわゆる巨大な政府、巨大な財政支出と言われるものの最たるものは軍事費であることは国際的な常識ですね。この問題は行革の中でどう位置づけますか。第二臨調では扱わないんですか。
  276. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) 第二臨調でどういうことをテーマにするかということは、臨調の委員の皆様方に自主的に決めていただくということでございます。臨調の委員の皆さんがどういうお考えをお持ちになっておりますか、それを見きわめていきたいと思っております。
  277. 志苫裕

    ○志苫裕君 いや、臨調は臨調の委員で考えますと言うなら、あなた何も臨調のことに物を言わなければいいんでね。それでいて臨調にはこうしたい、ああしたいということを言っているわけですから。それはやっぱり何がしかの影響力を持っているから聞いているんです。  あなたはそれでは臨調に、国家財政に占める軍事費の問題についても、小さな政府という主張の中の軍事費の扱いについても、それはやっぱり考えなければ全体の行政改革にならないということについて、何らかの意思表示をする気持ちはありませんか。
  278. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) 先ほど申し上げましたように、臨調の委員がみずからテーマをお決めになることでございます。ただ、本委員会におきましていろいろ御質問を受けたり、論議しましたのは、補助金の問題が出ました。この問題は御質問がありましたから、それに対していままでの経緯その他をお答えをいたしました。防衛費の問題についてはかなり思想的、哲学的な背景のある問題でございまして、これは臨調の委員が自分たちでそれこそ独自に判断をすべき問題であると思います。
  279. 志苫裕

    ○志苫裕君 総理、この軍事費の問題、防衛費といいますか、私は国際的に見ると非常にこれは大きい政府、大きい支出の重要な意味を占めるんですが、これを抜きにして行政改革全般考えられますか。これは別枠ですか。
  280. 鈴木善幸

    ○国務大臣(鈴木善幸君) 特にわが国の防衛計画、防衛努力ということは必要最小限度の専守防衛に必要な範囲でこれを整備をすると、こういうことで――また非核三原則もございます。いろんな制約と条件、枠がはまっておりますからよその軍事大国とはこれは問題にならない。わが国におきましてはそういう制約のもとでやるわけでございます。しかも私は、非常に厳しい財政状況下でございますから、特に防衛予算につきましては、むだなあるいは性能の低いもの等を多数買い込む、整備するというようなことは絶対にこれはやるべきでないと考えておるわけでございます。したがって、これを第二臨調のテーマにするということにつきましては考えておりません。
  281. 志苫裕

    ○志苫裕君 時間がなくなりましたが、私は行政改革の大きい柱に地方自治の原則を具体化をするということを主張したいと思うのですが、ところで総理、あなたは就任以来二度にわたって所信表明を行いましたが、地方自治の問題については一言も触れないのはこれはどういうわけですか。大平さんは、御存じのようにあの有名な地方の時代は文化の時代、文化の時代は地方の時代という認識を示して、地域の自主性、自発性の高揚を通じて多彩な個性豊かな地域をつくる、その手法として田園都市、それをやらぬうちにお亡くなりになりましたけれども、あなたは地方の地もないというのは、これはどういうことになるのですか。
  282. 鈴木善幸

    ○国務大臣(鈴木善幸君) 私も志苫さんと同じように一寒村、漁村の出身でございまして、地域の地域格差をなくする、国土の均衡ある開発、発展を図る、またそれぞれの地域の伝統と文化と特色を生かしたそういう地方を建設をしたい、こういう考え方を持っておるのでありまして、わが国の国政のいろんな分野に分かれておりますけれども、これはいずれも地方の発展と地域住民の福祉を願うものでございます。私が所信表明なり施政演説で述べておりますものはみんな地方の発展にかかわる、そういう観点で総合的に申し上げておるところでございます。
  283. 志苫裕

    ○志苫裕君 それはわかりましたが、中央の立場で地方を考えてもだめなんですね。地方の立場で地方のことを主張するようにならないと本当の意味での――ともかくそれはわかりました。あなたが地方の問題に先輩の大平さん以上におれは一生懸命なんだと、その熱意を多としますが、それなら、わずかでもその方向に向いた地方自治法の改正は今回おやりになりますね。
  284. 安孫子藤吉

    ○国務大臣(安孫子藤吉君) 地方自治法は、御承知のとおりに地方制度調査会の第十七次、第十八次の答申に基づき特に監査制度、時局柄この問題をやはり充実する必要があるだろうということ、それから地方団体の連合体にやはり地方の意思を正確に反映するために意見の具申権を確立をすること、あるいは県議会等におきましては議運の制度がございませんので、議運の制度を確立をするということを中心といたしまして地方自治法の改正をいたしたいと、目下自治省が中心となりまして関係各省との間に接触をとり、その作業を進めている段階でございまするので、この国会にはできるだけ出したいと、かように考えておるところでございます。
  285. 志苫裕

    ○志苫裕君 ということを三月十日にもお答えになったから、今国会に出しますねと聞いているわけです。
  286. 安孫子藤吉

    ○国務大臣(安孫子藤吉君) 出すつもりで目下鋭意調整をいたしております。
  287. 志苫裕

    ○志苫裕君 総理ね、なかなか中はごちゃごちゃしているそうですよ。地方がそんなに権限持たれたり、機関委任まで見せてくれなんていうのはよけいなお世話だと、地方六団体が意見具申権、国政におれにかかわる問題については意見を言わしてくれというのもよけいなお世話だということで中央の壁は厚いというのが私の認識なんです。だからこれは、これぐらいのことは、総理、あなた、ここで者ども何を言ってもやりますよと、こう言いなさい。
  288. 鈴木善幸

    ○国務大臣(鈴木善幸君) 私は独裁がきらいなんですが、いま自治大臣も申し述べたとおり、大体調整も大分進んできておりまして、何とかこの国会に提案をしたいということでやっております。
  289. 志苫裕

    ○志苫裕君 行革を進めておる中曽根長官、これは大いに賛成でしょうね。
  290. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) いまお取り上げになりました固有事務あるいは委任事務等に対する監査権の問題であるとかあるいはいわゆる認定団体の意見具申等々に関する問題は、中央と地方の事務配分の上からも非常に根本的な大事な問題でありまして、いまよく検討をさせております。まだ役所の方から最終結果を聞いておりませんが、行政管理庁としては余り先走ったことをするな、各省がみんな第一線で所掌事務を担当しておるから各省の意見もよく聞いて最終的に判定を出すようにと、そういうことを言ってあります。
  291. 志苫裕

    ○志苫裕君 総理ね、こういう答弁の仕方は賛成でないという種類の答弁なんですね。これなかなか――総理、いま本当にお答えいただきましたことを私は真っ正面に受け取っておきます。この種のものにはやっぱり中央官庁固有の抵抗があるんですね。それは補助金の問題でも何でもそうですけれども、そこをやっぱり乗り切るときには乗り切ってもらわなければいかぬという意味でもう一度決意を伺いたい。
  292. 鈴木善幸

    ○国務大臣(鈴木善幸君) この中央、地方の行政の問題をどう扱うかということの、行管長官はその最後の調整をする、詰めをする、まとめる立場にありますのであのような慎重な表現をおとりになったと、こう思いますが、私は、先ほど申し上げたとおりこれをぜひ今国会に提案をしたい、そういう熱意を持って取り組んでおります。
  293. 志苫裕

    ○志苫裕君 わかりました。  ちょっと時間がなくなりましたので、補助金の問題いろいろやりましたけれども、めんどうだと。大蔵大臣の答弁を聞いていますと、これは何というのかな、嘆きであったり、言いわけであったり、開き直りであったり、それはもういろいろなことを言っておるわけだ。結局、いろいろありますが、切れと言っても切りにくければ、私は、一番の弊害は官庁の縦割りのセクショナリズムなんだから、まず一まとめにできるものはするということになりますと次の段階に行きやすい。そうしますと地方分権にとっても非常にいいことなんで、私がしゃべると長くなるので、お手元に資料をやっておきましたが、まず農水省、一について答えてみてください。
  294. 二瓶博

    ○政府委員(二瓶博君) 一につきましてお答えを申し上げます。  四本の補助金につきましてこれを一本にできないかというお尋ねでございますが、このうち米消費拡大の交付金でございます。これは食糧管理特別会計の予算でございます。その他の三本が一般会計の予算ということでございます。したがいまして、この会計を異にしますものを一本化するというわけにはできないというのがまず第一点でございます。  そうしますと、残りが三本残るわけでございます。この三本が一つにできないかということに相なるわけでございます。その際に、イに書いてございます水田利用再編対策の指導推進費補助金でございますが、これは水田利用再編対策の実施のための都道府県なり市町村等の指導の事務費でございます。ところが、ロとハの方は、これは農業者団体等に交付いたします事業費でございます。したがいまして、事務費と事業費を一本にするというのはいかがかというふうに思っておるわけでございます。  そうしますと、次はロとハでございます。これを一本にできないかということに相なるわけでございますが、これにつきましては実は五十四年度に統合・メニュー化した地域農業生産総合振興推進費補助金という中にこの二つが入っておるわけでございます。その中で要するに小柱を立ててロとハというふうになっておるということです。それではこの小柱もなくしてはどうかということに相なるわけでございます。そういたしますと、ロの方は、これは転作促進特別対策の関係で、いわゆる転作の条件づくりといいますか、転作条件の整備のための事業費でございます。ハの方は、これは麦、大豆ということで出ておりますとおり、これは転作によりますいわゆる田作麦あるいは田作大豆も関係ございますが、そのほか畑麦、畑作大豆、こういうものも対象に含んだ生産振興の事業費でございます。したがいまして、大きな枠の中、生産総合という推進費補助金の中で小柱として分けた方が適当ではないかということで区分をいたしておると、こういう次第でございます。
  295. 志苫裕

    ○志苫裕君 結局だめということだろう。いろいろあったが、結局だめということだね。
  296. 二瓶博

    ○政府委員(二瓶博君) ただいま申し上げましたように、現段階におきましてはこれが一番至当であろうかと考えております。
  297. 志苫裕

    ○志苫裕君 では、もう一つ聞いて……。全部聞いたのではあれでしょうから、三項の「次の施設にかかわる補助金は総合補助金にできないか」。これは全部、断っておきますが、受ける方は一つなんですよ。よこす方は山ほどあっても受けるのは一つですから、じょうごの底は一つですから。そこで、この三のII類、集会施設、これどうですか。
  298. 杉山克己

    ○政府委員(杉山克己君) 私ども御指摘受けておりますのは、農村環境改善センター、集落センター、多目的研修集会施設、山村開発センター、そのほかのこの種のセンター、集会施設の統合化ということでございますが、私ども、それはそれぞれの地域、それからほかの事業との関連のもとにこれらの事業を行っているところでございます。  従来、農林水産省の農業基盤整備は主として田畑、土地の整備ということに主眼を置いてまいったわけでございますが、最近におきましては農村が混住化社会になってくる、非農家の方も多いというようなことになりますと、なかなか土地改良一つを行うにいたしましても、あるいは水田転換を行うにいたしましても合意形成が図りがたいというようなことがございます。そこで集会施設を設けてできるだけそういうソフトの事業も進めてまいる、合意形成に資するというようなことを考えてこれらの施設の整備を図ることとしているわけでございます。  ただ、それぞれ対象の地域が特殊な山村でありますとか、あるいは漁村でありますとか、それから数カ所の集落を対象にしたものでありますとか、あるいは全体の町村を対象にしたものでありますとか、それから公共事業としての大型の基盤整備等をリンクさせて行うものでありますとか、それぞれ事業の性格に応じて規模なり使用目的なり異にするところがあるわけでございます。ただ、先生おっしゃられるように、これらの集会施設がばらばらに、しかもむだがあるような形で設置されるというようなことでありますとこれは私どもとしても残念でございますので、既存の施設があるかないか、それから計画相互間の連絡ができているかどうか、そういったことをよく見ましてその間の調整は事実上問題として十分図っているところでございます。
  299. 志苫裕

    ○志苫裕君 大蔵大臣、もう個々の質問はやめます。みんなわけがあってこれはあるのですから、そのわけを説明すればああなる。これには全部課が違う。みんな人がいる。受け取る方は一つなんですからね。これだけまとまるだけでも、その分はかの仕事に振り向けるなり重点的にやれるわけ。これは考えなさいよ。どうですか。全部提言しましたから。
  300. 渡辺美智雄

    ○国務大臣(渡辺美智雄君) 私も志苫委員と同じでありまして、何とかこれはできるだけ一本化をしろと。それぞれ課ごとに理屈はみんなあるんですよ、これは。理屈はあるんだけれども、われわれ素人が見ておって、どうももう少し一本にできないか、地方単位ぐらいにということでやらしてはおるんですが、さらに御趣旨を体しまして極力二重、三重にならぬように交通整理を極端にやっていきたいと、そう思っております。
  301. 志苫裕

    ○志苫裕君 総理、この私の提言を見て感想はどうですか。よくもまあこんなものあるかと思いませんか。
  302. 鈴木善幸

    ○国務大臣(鈴木善幸君) 全く私も同感でございます。改善につきまして政府全体として取り上げて検討していきたいと、こう思っております。
  303. 志苫裕

    ○志苫裕君 時間の関係でこれ一々やれませんので、総理のいまの感想、これは素直に見ればそうだと思うんですね。しかし何か古い役所の縦割り、しがらみ、権限、なわ張り、これがもう諸悪の根源なんですよ。訴えておきます。  次に、時間がないからごく簡単にやりますが、さきに有毒農薬として禁止されておる砒酸鉛二・四・五TPなどが輸入をされて国内に出回ったということが明るみに出ましたが、これは一体関係当局はどうされましたか。一番心配なのは、全部物を、押収というんですか、回収されましたか。これ、どうです。
  304. 二瓶博

    ○政府委員(二瓶博君) 砒酸鉛の件でございますが、実はことしの二月の初めごろから無登録農薬でございます砒酸鉛が出回っておるというような情報がございましたので、農林水産省におきまして立入検査等を行ったわけでございます。その結果、有限会社九商農材、これは熊本にあるわけでございますが、この会社が昭和五十四年ころから五十五年にかけまして農薬登録のないただいま申し上げました砒酸鉛等を販売していたということが判明をいたしたわけでございます。  その結果、二月の二十六日、熊本県警察本部長に対しまして、元有限会社九商農材代表取締役田口広行を告発をいたした次第でございます。  さらに、無登録農薬の販売、使用等の実態を把握をいたしますために、ミカンの主産県等に対しまして二月十七日付で調査を行うよう指示したわけでございます。現在その調査結果の取りまとめをやっておる次第でございます。  以上でございます。
  305. 志苫裕

    ○志苫裕君 厚生省、ありませんか。
  306. 山崎圭

    ○政府委員(山崎圭君) お答えいたします。  砒酸鉛は、先生御承知のように農薬取締法上の農薬でありますとともに毒物及び劇物取締法上の毒物でもあるわけでございます。そういうことで、実は農林水産省からの情報も提供をされまして、大阪の業者につきまして毒物の無登録の輸入というような事実があったかどうか、これを調査をいたしました。大阪府の衛生部業務課に立ち入りをさせたところでございます。立入調査の結果、この業者につきましては無登録輸入の事実はございませんでした。不正表示品が若干発見されたということはございます。そういうようなことで、さらにその流通ルートを逆にたどったりというような調査も行っております。  なお、九州の販売業者につきましては、すでに解散してその実態が不明である、こういう関係の調査結果になっておるわけでございます。
  307. 志苫裕

    ○志苫裕君 これ、警察当局は。
  308. 谷口守正

    ○政府委員(谷口守正君) 本年二月初旬ごろでございますけれども、農薬取締法上農薬として登録されてない砒酸鉛が農薬として販売、使用されているという情報を得たわけでございます。その結果、関係県警察におきましては、農薬取締法、それから毒物及び劇物取締法違反といたしまして捜査に着手いたしました。で、現在までに無届け販売業者三名を逮捕、それから数十カ所につきまして捜索を実施、砒酸鉛数トンを押収し、関係者の取り調べを進めているところでございます。  先ほど農林水産省より御答弁がありましたように、告発もありまして、現在鋭意捜査を続けておるところでございます。これまでの捜査によりますと、かなり広範囲に販売されているようでございますので、今後販売実態、入手経路等につきまして鋭意捜査を進めていく所存でございます。
  309. 志苫裕

    ○志苫裕君 ただいまの報告では回収をされたということにならない。でありますから、これは鋭意回収、押収の努力をしてください。  今後の再発を防ぐために輸入のチェック、使用禁止の罰則等考えられますか。
  310. 二瓶博

    ○政府委員(二瓶博君) お答え申し上げます。  輸入の関係でございますが、現在農薬取締法におきましては、外国で生産されるものにつきましては輸入業者を責任者として農薬の登録を義務づけておるわけでございます。したがいまして、輸入いたしましても登録してない農薬については販売してはならないということに相なっております。  ただ、今回のように輸入したものが出回っておるということでございますので、輸入そのものを抑えないとどうかというような意見もございます。ただ、化学物質につきましては一般に多種の用途がございますために、単に農薬の原料となり得るというだけでその輸入を規制するということは必ずしも適切ではないのではないか、かように考えておるわけでございます。
  311. 志苫裕

    ○志苫裕君 いずれこれはやりますが、輸入バナナの九割以上を占めるフィリピン産にはいわゆるアルディカーブを有効成分とする農薬が使われています。これは砒酸鉛や二・四・五TPよりも三百ないし五百倍の毒性を持っています。これについての残留毒性その他の調査をしていますか。
  312. 榊孝悌

    ○政府委員(榊孝悌君) お答えします。  フィリピン産のバナナにつきましては、厚生大臣の指定いたしました検査機関で検査をいたしておりますが、これは国際的に現在FAOあるいはWHOが設定いたしております許容基準を現実には大幅に下回っているのが実態でございます。したがいまして、お話のものについての健康への影響というものは現在の段階ではないというふうに考えております。
  313. 志苫裕

    ○志苫裕君 いずれにしても、現地の労働者も日系企業の農園で働いているわけですから、これはひとつ十分配慮してください。いかがですか。
  314. 伊東正義

    ○国務大臣(伊東正義君) お答えします。  実態余りよくまだ調査を私の方ではしておりませんけれども、現地に出ている企業者は、これは農薬の使用規則もございましょうし、現地の法令に従ってやるわけでございますが、もしそういうことがあれば今後十分注意するように私どもとしてもやってまいりたいというふうに思っております。
  315. 志苫裕

    ○志苫裕君 最後に、最近宗教団体及びその周辺にしばしば問題が発生をいたしております。このことは宗教の根源あるいは宗教の人倫に果たす役割りから見て大変残念なことでありますが、宗教の自由にかかわる問題はもちろん慎重であるべきですが、その世俗的な側面、社会的な不公正が放置されることがあっては影響の及ぼすところは大きいものがあります。こうした問題について関係当局にそれぞれ報告ないし所見があればこの際伺いたい。あわせて総理からも所見を伺いたい。
  316. 田中龍夫

    ○国務大臣(田中龍夫君) 関係と仰せられましたので、文部省の宗務課がそれに該当すると思います。  御案内のとおりに、宗教法人の管理、運営につきましては、信教の自由の保障の趣旨を体しまして、宗教活動の介入にわたることのないように配慮をしながら適正に行われるように従来から努力をいたしておるところでございます。今後ともに宗教法人の関係者を対象といたします研究会とかあるいは講習会の実施、管理、運営の手引き等を刊行いたしまして、宗教法人関係者の自主的な管理、運営を特に慫慂いたしておりますが、この宗教法人の関係は、設立のときの規則の認証あるいは変更の認証、それから合併、解散のときの認証というだけでございまして、監督の権限も調査あるいは報告を求める権限も文部省にはございませんことをあわせて申し上げておきます。
  317. 志苫裕

    ○志苫裕君 ほかに所見はないですか。ほかに関係するところで所見はないですね。
  318. 渡辺美智雄

    ○国務大臣(渡辺美智雄君) まあ課税の問題だと思いますが、宗教法人とか公益法人、学校法人、いろいろ非課税団体がございます。しかし、それぞれがその目的を正しく遂行するためのいろいろな寄付、その他について非課税になっておるわけでございますが、それが営業行為に及び、事業収益を上げるというようなものも、その名のもとに非課税にされるということは困るわけでございまして、それらの区分については厳正に取り扱ってまいるつもりであります。
  319. 志苫裕

    ○志苫裕君 関係省庁、積極的に答えるもの答えてくださいよ。自治大臣、ないですか。法務当局ないですか。なければないでいいですよ。
  320. 奥野誠亮

    ○国務大臣(奥野誠亮君) 先般京都の宗教法人において争いがかなり続いておったわけでございますけれども、法秩序の維持の面につきましては、宗教団体といえども法秩序を守るために必要な検察活動は今後とも十分続けていくつもりでございます。
  321. 鈴木善幸

    ○国務大臣(鈴木善幸君) 先ほど田中文部大臣初め、大蔵大臣、法務大臣等からも申し上げたところでありますが、宗教法人の管理、運営の問題は、これは基本的に宗教法人の自主的な措置に期待をいたしておるところでございます。行政がこれに指導を加えるとか、あるいはいろいろ勧告をするとかいうようなことが、しばしば信教の自由の尊重というようなことに介入するのではないかという問題を起こしかねない。あくまでやはり、信教の自由というのは尊重しなければならないということで、慎重にいたしておるところでございますが、いろいろ報道機関等でも取り上げられるような事情が発生をしておるということにつきましては、私も大きな関心を持っておるところでございます。  今後一層宗教法人の管理者、指導者の方々に宗教法人の使命に照らして自粛自戒、その管理、運営を適正にしてもらいたい、このように考えておるところでございます。
  322. 志苫裕

    ○志苫裕君 終わります。
  323. 木村睦男

    ○委員長(木村睦男君) 時間が参りました。  以上で志苫裕君の総括質疑は終了いたしました。(拍手)     ―――――――――――――
  324. 木村睦男

    ○委員長(木村睦男君) 次に、粕谷照美君の総括質疑を行います。粕谷君。(拍手)
  325. 粕谷照美

    ○粕谷照美君 最初に、去る十一日の当委員会でわが党の寺田委員から、戦前の国家総動員法に規定されるような徴用の制度は憲法上許されるかどうかという質問がありまして、法制局長官は回答を保留されましたが、この際政府の御見解をお伺いしたいと思います。
  326. 角田禮次郎

    ○政府委員(角田禮次郎君) 寺田委員の御質問は、国家総動員法が定めていた国民徴用のような制度は現憲法下において認められるかということであったと思います。  そこで、国家総動員法に定める国民徴用制度はどういうものであったかと申しますと、第一には、きわめて広範な事項を勅令に委任するものででございました。それから第二には、当時の戦争遂行のため、人的資源を統制運用することを目的とするものでありました。第三には、徴用の要件が、「国家総動員上必要アルトキ」と定められているだけでございまして、きわめて抽象的かつ漠然としたものでありました。第四には、徴用の目的である業務の範囲、徴用の対象者の範囲及び徴用の期間が事実上無限定に近いものでありました。等々の性格を持つものであると理解されますので、現憲法下においてはこのような国民徴用制度をとることはできないと考えております。
  327. 木村睦男

    ○委員長(木村睦男君) 寺田熊雄君の関連質疑を許します。寺田君。
  328. 寺田熊雄

    ○寺田熊雄君 ただいま法制局長官は、このような制度は現在の憲法下においては許されないという御趣旨の答弁をなさったのでありますが、もしこのような制度がしかれて国民が徴用せられた場合に、それが憲法に違反するというようなことで訴訟上の問題になることも予想されるわけで、その場合との条文に違反するかということは当然争いになりましょう。したがって、現憲法下とることを得ないというのは、憲法の条文のどれに抵触すると言われるのか、その点を明らかにしていただきたい。
  329. 角田禮次郎

    ○政府委員(角田禮次郎君) 国家総動員法が定めていた国民徴用の制度が、ただいま申し上げましたような性格のものでありますと、現在の憲法に照らし合わしてみて問題がある、関係がある規定としては憲法四十一条、七十三条、九条、十三条、十八条などが考えられると思います。
  330. 寺田熊雄

    ○寺田熊雄君 きょう御答弁がありましたので、これらについてはまた詳細に私どもも検討いたしまして、さらにまたお尋ねをする機会があると思います。  私は、いまあえてこの問題を提起いたしましたのは、これは総理も御承知のように、かつて昭和四十年に三矢研究なるものが大きな政治問題となりました。その三矢研究なるものの中に、御承知のように、国家総動員体制に移行させるものという趣旨の法令の研究があったことは総理も記憶しておられると思います。当時の佐藤首相が最初は大変驚愕されたようでありますが、それからこのような規定と似通った規定が自衛隊法の百三条の二項にございます。それの最初の萌芽となりましたものは、これは昭和二十二年に制定せられました災害救助法の第二十四条でありますが、これらにつきましても治安立法的な非常事態法の志向を多分に持つとして指摘する学者もおるのであります。こういうようなことにかんがみて、あえて私問題を提起したわけでありますが、制服がこういうふうな研究をするということはやむを得ないかもしれません。しかし、それを厳に戒めて、そのとるべからざることをはっきりさせるものがやはり文官の政治の役割りであります。それがシビリアンコントロールとして最も大切なところであります。  この際、総理に、過去の国家総動員法に規定されたような国民徴用の制度はとることはないという決意をお伺いして私の質問を終わりたいと思います。
  331. 鈴木善幸

    ○国務大臣(鈴木善幸君) 現行憲法の基本的人権の尊重、私は非常にこれは大事な条項である、このように考えておりまして、そういう憲法の中の最も基本的な条項に抵触するようなことがあってはならないわけでございますから、十分慎重の上にも慎重に今後研究もし対処していきたいと、こう思います。
  332. 寺田熊雄

    ○寺田熊雄君 とることを得ないというわけですね。憲法違反のこういう制度はとらないと。
  333. 鈴木善幸

    ○国務大臣(鈴木善幸君) 憲法違反、特にいまの基本的人権の抑圧とか制限になるようなことはいたしません。
  334. 粕谷照美

    ○粕谷照美君 総理にお伺いをいたします。  予算は政府の顔と、こういうふうに言われますけれども、すでに五歳児のもう九割が幼稚園あるいは保育所を出て小学校に入学をしています。中学校卒業生の九四%が高等学校に入学をし、さらに高校を卒業する生徒の三人に一人は大学に進学をする。生涯教育の要求も非常に大きい。こういう国民の大変な教育要求に対する今回提案をされております予算について、それから総理の教育に関するお考えについて簡単な御見解をお伺いいたしたいと思います。
  335. 鈴木善幸

    ○国務大臣(鈴木善幸君) 教育は私は民族の将来にかかわる最も基本的な重要な問題だと、こう考えております。    〔委員長退席、理事古賀雷四郎君着席〕 五十六年度予算におきましても、厳しい財政の中でございましたけれども、全体の実質的な予算の伸びが四・三という中で文教予算関係は多分四・七ぐらいであったと思いますが、そういうぐあいに十分配慮をいたしておるところでございます。今後ともこの教育の施策は政府としては最重要の施策として進めてまいりたいと考えています。
  336. 粕谷照美

    ○粕谷照美君 いまの総理のお言葉が本当にそうだろうかという疑問を私は持っております。  文部省にお伺いいたしますけれども、ここ数年間の文教予算の増加率、国の予算に占める割合、一般歳出に占める割合、これを御報告ください。
  337. 田中龍夫

    ○国務大臣(田中龍夫君) ただいま御質問にお答えいたしましたごとく、五十六年度の文部省所管予算案は四・七%でございまして四兆四千六百八十七億となっております。この伸び率は近年にない非常に厳しい財政のもとにございますが、一般会計歳出から国債費と地方交付税交付金を除きました一般歳出の伸び率の四・三%をさらに高く評価していただいた次第でございます。のみならず、また鈴木内閣の本領といたしまして、この苦しい中におきましても、特に義務教育の無償供与の問題でありますとか、あるいは第五次の学級編制、教職員定数の改善でありますとか、あるいは私学の助成あるいは科学研究費の充実あるいは鳴門教育大学及び鹿屋の体育大学の創設、さらに教育、学術、文化の国際交流の促進等非常に重点的にこれを配分してございます。なお詳細な先生の御質問につきましては担当の局長からお答えいたします。
  338. 鈴木勲

    ○政府委員(鈴木勲君) 十年間のお尋ねでございますが、とりあえず三年間の文部省予算の伸び率並びにシェアにつきましてお答えいたします。  五十四年度におきましては文部省予算の伸び率は一一・六%でございます。五十五年度は五・七%、五十六年度はただいま大臣が申し上げましたように四・七%でございます。それから一般会計に占めます文部省の予算のシェアでございますけれども、これは五十四年度一〇・五%、五十五年度が一〇・〇%、五十六年度が九・六%でございます。それから一般会計のうちの国債費、地方交付税を除きました一般歳出と文部省予算とのシェアにつきましては一三・八%、五十四年度でございます。五十五年度が一三・九%、五十六年度が一三・九%、以上のとおりでございます。
  339. 粕谷照美

    ○粕谷照美君 いま御説明がありましたように、文部省所管の増加率がいままで三年前には一一・六%と二けた持っていたのが、去年五・七になり、今回また四・七になった。激減をしているわけであります。国の予算に占める割合というものもことし初めて一けたに落ち込んでいるわけです。これで総理がおっしゃるような教育を非常に重要視している予算であるというふうには私は考えられないのであります。大蔵大臣、あなたは本会議で精神分裂でない予算を提案したかった、こういうことを言っておられました。それでこの予算編成に当たりまして、ずいぶん大蔵省は教科書無償を有償にしたらいいというようなことをおっしゃっておられましたけれども、あれは最後に無償でよろしいと決意をされたものは一体何でありますか。
  340. 渡辺美智雄

    ○国務大臣(渡辺美智雄君) 私は決して文教予算は軽視はしていないんです。非常に日本のようなところは資源がありませんから、りっぱな人間をつくらなきゃならぬ。ともかく人が社会をつくって教育が人をつくるわけですから、その教育の充実というのは大事なことだ、したがっていままでもわが党政府は八年間において、たとえば税収は五十六年度まで入れましても昭和四十八年から二・四倍にしかなっていません。しかし文教予算は、文教と科学技術で約二・九倍になっています。特にその中でもいま御指摘があるような、文教の施設費なんというのはいま五千五百億円ですから、約五倍ぐらいにふえて、田舎へ行っても小中学校、本当によく建てかえましてね、大抵の山の中へ行ったってこんなりっぱな学校があるかと思われるぐらいよくなっておることも事実でございます。私立学校の経常経費などもいまや三千六百億ですから、七年前の約八・三倍ぐらいに力を入れきた。大体建物等については一段落したとは言いませんが、しかかっているというぐらいに整備をされてきたことも事実なんです。  そこで教科書の問題でございますが、これについてはいろいろ考えがございまして、私はこの財政窮乏の折であるから、一年にすれば二千数百円、中学校で三千円ぐらい、月にすれば二百円か三百円。みんな塾へ行かして五千円も一万円も使っている世の中なんだから、まあ二百円、三百円ぐらいのものは実際は父兄負担でもいいんじゃないかと私思った。ところが、いろいろこれ哲学があるそうでして、野党の反対も多いが自民党の中もまとまりがつかない、こういうようなことで私はことしはあきらめたんです、実際は。そういうのが率直な話でございます。
  341. 粕谷照美

    ○粕谷照美君 哲学であきらめたと、こうおっしゃいますけれども、私は文部大臣よくぞこの教科書無償を守り抜いてくださったと心から感謝をしているんです、珍しいことでありますけれども。大体教科書を先生が生徒に説明をするときに、これは国が、あなたたちはりっぱな人間になって、しっかり勉強してりっぱな人間にならなければならないと、こういうことを話をしていらっしゃる方々もいられるわけであります。そういうことから考えてみますと、私は文部省が本当にこのことについてはよく守り抜いた。逆に言いますと、文部大臣、これは憲法規定をきちっと理解をしてもらったというふうに考えてよろしいでしょうか。
  342. 田中龍夫

    ○国務大臣(田中龍夫君) ただいま先生のおっしゃったように、義務教育は無償という憲法の精神、これに対しまして大蔵大臣も深く理解をしていただきまして、大変いい結果になりましたことをともに喜ぶ次第でございます。
  343. 粕谷照美

    ○粕谷照美君 ことしはあきらめたと、こうおっしゃったんです。来年も文部大臣でいらっしゃるかどうかわかりませんけれども、来年も再来年も、憲法規定の問題でありますからきちんと守り抜いていただくように要望いたしまして、いま教科書の問題が出ましたのでちょっと触れてみたいと思います。  先日も教科書問題で水戸黄門を入れたらいいとかあるいは忠臣蔵を入れたらどうだろうなどという参考人の御意見もあったりいたしまして、私きちっと文教委員会で長い時間をかけてやらなければならないなと、こういうふうに思っていたんですが、きのうの夕方鹿児島から教科書が送られてきましたので緊急に質問をしてみたいと思います。  これは中教出版です。いままでは「日本の農林水産業」の項で四ページにわたりまして林業の記述がありました。ところが、この新教科書は農業と水産業だけなんです。これが新しいのですね。農業と水産業。林業が抜けているんです。こちらの方は大阪書籍ですが、これも「日本の森林と海洋」という項目でわざわざ括弧して「たいせつな森林」という見出しをつけて十二ページにわたっていままでの本は記述がありました。特にその中でも森林の役割りだとかあるいは白ろう病の問題などに触れているのですけれども、今回出されました本には全く林業のことが触れられておりません。そして、これはいま中教と大阪だけを申し上げましたけれども、各社共通になっているわけでありますから、新教育課程の方針で削除したと、こういうふうに理解をせざるを得ないのですけれども、文部省どうでしょう。
  344. 田中龍夫

    ○国務大臣(田中龍夫君) 御指摘の小学社会五年の上の大阪書籍の林業に関する記述が抹消されておる、こういう件でございますが、新しい小学校の学習指導要領におきまして、教科内容を精選する観点から、各種の産業をいままで網羅的にとっておりました分が減らされまして、食糧生産と工業生産に重点志向しておる、こういうことが御指摘のとおりございました。で、われわれといたしまして先生とも、前々から申し上げますようにあくまでもりっぱな教科書をつくらなきゃならないと、こういうことから申しましても、かような御指摘のような問題は大変重大な問題でもございますし、また農水省といたしましても林業というものがいかに重大であるかということを改めて本当に強く主張されておられると存じます。こういうふうな問題につきましても、先般来いろいろとお話し申し上げましたように、りっぱな教科書をつくっていかなきゃならない、こういうのはやはり後からでも訂正を要する問題であろうと、かように私は考えております。
  345. 粕谷照美

    ○粕谷照美君 そうすると、これはちょっとりっぱでなかった教科書と、こういうことになるわけでありますが、林野庁長官来ていらっしゃいますか。――林業が切り捨てられたわけですね。どう思いますか。
  346. 須藤徹男

    ○政府委員(須藤徹男君) いまお話ございましたように、最近、小学校五年生の学習指導要領におきまして産業としての林業の記述が外されたことにつきましては、森林、林業の果たすべき役割りについての理解を子供のうちから深めていく上でまことに残念なことであるというふうに考えておるわけでございます。しかしながら、現在相当数の教科書におきましては、地域の暮らしや国土の利用という面で山村あるいは森林、林業が取り上げられておりまして、当面これらの記述の拡充、充実を期待しておるところでございます。今後とも森林、林業の果たすべき役割り、それらを取り巻く諸情勢についてより一層国民的理解を得られるように、学習指導要領の問題を含めまして関係各方面へ強く働きかけていきたいというふうに考えておる次第でございます。
  347. 粕谷照美

    ○粕谷照美君 農林水産大臣、今度は「林」を取られて農水大臣にならざるを得ませんけれども、いかがですか。
  348. 亀岡高夫

    ○国務大臣(亀岡高夫君) 実は私が代議士になるときには教科書が二十六種類ありました。私は全部それ小学校と中学校のを読んでみました。今度農林水産大臣になったときには、教科書が六種類になっております。それは全部一応目を通してみました。そうしたら、御指摘のように林業関係がないのですね。非常に少ない。おかしいなと思って指導要領を見でみたんです。そうしたら小学校の分では農業と水産業、これはきちんと系統的に教えなさい、大変大事なことであるからと、こう書いてあるわけです。ところが、林業はどこへ行っちゃったのか。たしか前に読んだときあったような感じがしたのですが、ないので、早速、実は先ほど文部大臣からも御指摘のありましたように、文部大臣にお願いをしてできるだけ早くやはりこれを整備していただきたいということを申し入れをいたしてお願いをし、林野庁に対しては何でぼやぼやしていたんだと言って大分しかったわけでありますけれども、しかってみてもどういたすこともできません。幸いにも教科書会社が指導要領になくともやはり山の大事なこと、森林の大事なことをきちんと理解しておりまして、あるいは小学校の面において、あるいは中学校の面において盛り込んである教科書もございます。したがいまして、私どもは森林団体、林業団体等を通じまして、そういう教科書をできるだけ採用するようにというとりあえずの指導をいたしておるところでございます。
  349. 粕谷照美

    ○粕谷照美君 大変農林水産大臣、教科書に熱心で、研究をしていらっしゃることを私いまお伺いいたしまして非常に感動いたしました。  山の植林が非常に岩手県など進んでいるわけですね、総理の地元でありますけれども。しかも農水大臣をやられたその鈴木総理にお伺いしたいわけですけれども、森林国と言われてきました日本の産業を正しく教えて自然や鳥獣の保護、水資源確保の役割りや住宅、食生活などに果たす森林の役割りを教えて後継者育成の意識を持たせていく上でも、全面削除というのは非常に問題だというふうに考えます。総理のお考えをお伺いいたします。
  350. 鈴木善幸

    ○国務大臣(鈴木善幸君) 御指摘のように、この森林を育成をし山を大切にする、これを愛するということ、これは木材資源の確保というだけでなしに、この水資源の涵養という面からいたしましても、また自然の保護等の観点からいたしましても、私は非常に大事だと、こう考えております。私は農林水産業、これは第一次産業で、これに携わる国民も非常に多いわけでございますから、農林水産業全体について国民としての基礎的な知識、常識を持ってもらう。そういう意味で教科書の中に林だけを外さぬで農林漁業を取り上げてほしい、このように願っておるところでございます。どういういきさつで林が抜けたか、私研究してみたいと思いますが、こういう点は私は今後も見直しをすべきものだと、こう考えております。    〔理事古賀雷四郎君退席、委員長着席〕
  351. 粕谷照美

    ○粕谷照美君 それでは余り伸びなかった教育予算の中で非常に大きく伸びた私学助成の問題について入っていきます。  文部省にお伺いしますけれども、本年度の伸び率並びにこの五年間ぐらいの伸び率について御報告いだきたい。  あわせて私立大学生の納付金の傾向といいますか、伸び率、それからそれと物価水準との比較についてお伺いいたします。
  352. 田中龍夫

    ○国務大臣(田中龍夫君) ただいまの御指摘の私立大学の助成の過去の経緯あるいはまた納付金の問題等担当の局長からお答えいたします。
  353. 吉田壽雄

    ○政府委員(吉田壽雄君) お答えいたします。  私立大学に対します過去十年間の助成の金額、伸びでございますけれども、私立大学と経常費補助金の昭和四十五年における予算額は百三十二億円でございまして、あと各年度ごとのは時間の関係で省略させていただきますが、昭和五十年度では一千七億円ということで昭和四十五年度を一〇〇といたしますと七六二に相当いたします。さらに昭和五十五年度では二千六百五億円でございまして、昭和四十五年度の一〇〇に対しまして一九七一ということで、この十年間に約二十倍の金額になっている次第でございます。  で、次に、学生納付金の件でございますけれども、学生納付金と申しますのは、御案内のとおり授業料、入学科並びに施設設備費を合わせたものでございますけれども、この学生納付金は昭和四十七年度で二十三万円でございましたけれども、昭和五十六年度では七十六万五千円となっておりまして、この十年間に約三・三倍の上昇率となっているところでございます。で、この間の消費者物価指数でございますが、昭和四十七年を一〇〇といたしますと、昭和五十五年では、これは中間の報告でございますけれども、二一四・三ということで消費者物価指数はそのようになっているところでございます。
  354. 粕谷照美

    ○粕谷照美君 私学の助成金がふえていく、大変私どもは喜ばしいことだというふうに思っております。そのことは父母負担を軽減をしていくこと、教育の機会均等を保障すること、そのために国立、私立のこの格差をなくしていくこと、こういうことが前提になるわけであります。ところが、本当にこの助成がふえたから父母負担の軽減がなされたのだろうかという観点に立って見ますと、物価指数よりはこの納付金の方が大きくなっている。親のすねをかじるというのがもう両足がなくなりそうな状況になっているわけです。で、そういう中で残念なことにこの私学の乱脈経理が後を絶ちません。無責任な大学運営や研究、教育条件の荒廃も進んでいるわけで、私大の自主的改革もなかなか進まないということで、大変無力感を持っている関係者もいるわけであります。私は、そういう意味も込めまして、先日からいろいろとマスコミ紙上に出てまいりました大学について文部省が事情聴取をやった、こういうことを伺っておりますけれども、その報告をいただきたいと思います。
  355. 吉田壽雄

    ○政府委員(吉田壽雄君) 一部の私立医科大学等におきまして寄付金等の経理、不適正な事態を生じましたことはまことに遺憾でございます。文部省といたしましては、問題が明らかに表面化いたしました直後でございますけれども、日本私立医科大学協会に対しまして、入学者選抜の公正確保とともに、各医科大学の経理を適正に処理することを強く求めたところでございますが、学校法人の理事者が姿勢を正して適正な学校運営に当たることが一番重要なことであるというふうに考えていることでございます。  で、今後、入学試験が終了するのを待ちまして、全私立医科大学を対象に個別に事情聴取を行い、あるいは点検を行いまして、その結果を踏まえまして、さらに文書によりまして指導の徹底を図ってまいりたい、このように考えているところでございます。  なお、主な大学について申し上げますと、まず北里大学でございますけれども、同大学におきましては、入学者の父兄から申し込みを受けました寄付金及び学債のうち一定額を超える部分につきまして、正規の学校会計に受け入れませんで別途経理の形で管理いたしておりまして、なお、その募金の仕方等につきましても入学の公正に疑惑を抱かせるような、そういう節も見られました。こういうことに対しまして、私どもは厳しく注意を喚起したわけでございますけれども、同大学におきましては、この別途経理いたしておりました約三十二億円余りにつきましては、全額父兄に返還することを表明いたしているわけでございます。  さらに、五十六年度入学者選抜につきましては、疑惑を招くような、そういう募金の仕方等は一切やめておると、こういう実情でございます。  さらにもう一校、北陸大学でございますけれども、同大学におきましても、入学者の父兄から寄付金を収受いたしまして、これも別途経理をいたしておりました。また、入学者の選抜に当たりましては、合否の判定から入学者の確定までのプロセスにおきまして世間の疑惑を招きやすいようなそういう募金の仕方をいたしておりましたが、これにつきましても、先ほど北里大学につきまして申し上げたと同様の観点から、文部省としては厳しく指導し注意を喚起したところでございます。
  356. 粕谷照美

    ○粕谷照美君 会計検査院にお伺いをいたします。  一つは、私学の経常費補助金に対する指摘事項が報告をされておりますけれども、その態様と特徴についてお伺いいたします。  二つ目には、北里大学に検査に行ったようでありますけれども、その結果についての御報告をいただきたい。  三つ目には、会計検査院はこの私立学校に対して大体年間どのくらい検査し、一校は何年にどのくらいの割合で検査が行われるのか、それをお伺いいたします。
  357. 堤一清

    ○説明員(堤一清君) 五十二年度以降の不当事項の件数、金額について申しますと、五十二年度は福岡歯科学園ほか二学園で、指摘金額は三億三千三百十五万円でございます。五十三年度は福岡大学ほか三学園で、一千六百四十五万円でございます。それから五十四年度は川崎学園ほか二学園で、六千二百六十六万円でございます。  その主な態様としましては、五十二年度の福岡歯科学園につきましては、文部省から解散勧告を受けて清算を完了したとしていた後援会組織である冷泉会の残余財産のうち、学校法人会計に引き継ぐべきであるとされた寄付金三億二千百五十九万円をまだ同会の会長名義で別途に保管していた、こういう事例でございます。それからさらに、五十二年度の入学者にかかわる寄付金を父兄名義で出願手続後に定期預金させ、これを正当な学校法人会計に計上せずして理事長名義で別途口座に保管していた、その金額が十二億と、こういう事例でございます。  それから五十四年度の学校法人川崎学園が、財団に提出しました補助金算定のための資料に、川崎医科大学及び川崎医療短期大学にかかわる経常的支出のうちに、経常的経費とは認められない育英事業の基金を造成するために支出された負担金や、大学附属病院に設置した施設の建設のために支出された施設整備費を含めて計上したため補助金の交付額が過大になっていたものであるということでございます。  それから、北里大学に対する検査結果でございますけれども、この検査結果につきましてはただいま取りまとめ作業中でございますので詳細はちょっと申し上げられませんが、しかしながら、事実関係につきましては、先ほど文部省から説明がございましたとおり、あるいは新聞等に報道されたとおりでございます。  それから三番目の検査状況でございますが、大体において検査対象の学校法人が五百から五百三十ぐらい、学校数で七百、検査の割合は大体百校程度、一九%程度の検査をいたしております。
  358. 粕谷照美

    ○粕谷照美君 大変御苦労さまでございます。  文部大臣にお伺いいたしますけれども、いま報告がありました北陸大あるいは北里大ですね、疑惑が見られた、注意をした、もうこれからやらないようにするということでありますけれども、いままでももう繰り返し巻き返しこういうことがいろいろなところに起きている。この事実は国民はよく知っているわけでありまして、非常に私立大学に対する不信感、それからそういうところは、特に医科大学、歯科大学が多いわけですから、そういう医師に対する不信感というものを持ったという意味では重大な私は責任があるというふうに思います。特にこの北陸大学ですね、六年間もわからなかったということが非常に不思議なわけですけれども、調査をされましてこれからこのお金を返させるということになるのでしょうか、どうでしょう。
  359. 田中龍夫

    ○国務大臣(田中龍夫君) 御指摘のとおり、私立、特に医科大学におきましてはいろいろと問題が出ております。しかしながら、私立大学、特に医科におきましては非常に金のかかるという事実もこれまた現実の問題でございまして、われわれは本当にまじめな意味におきまして、皆様方と御一緒に私立大学の育成強化、またそのための予算をお願いしてちょうだいしたわけでございます。ところが、ただいまのような結果となりましたことは本当に残念な次第でございますが、同時に、このような結果になりましたことも、一面におきましては非常に安易な気持ちでこういう問題が取り扱われておったということであります。この点につきましては、ただいまちょうど試験をやっておりますさなかでございますので、これが受験が終わりましたらば直ちにわれわれは各大学を呼びまして、そうして厳しくこれに対しまする調査あるいはまた反省をしますと同時に、この問題に対しましての今後の入試の公正確保等に関しましては厳重にこれをいたしませんと、本当に社会的な大学に対する信用という問題を大きく傷つけたわけでございますから、学校に対しましても厳正に処断をいたします考えでございます。同時にまた、今後その大学がりっぱな大学に立ち直りますように全力を挙げて指導してまいる考えでございます。
  360. 粕谷照美

    ○粕谷照美君 文部大臣、厳正にということを私は信用したいと思っているんですけれども、たとえば五十二年度に私どもが取り上げましたいろいろな学校ですね、補助金の問題を見てみますと、直ってないのに出ているということが現実にあるわけです。非常に私は強く関心を持っています。たとえば、定数なんかも物すごいオーバーをしているのにことしはどうもお金が出そうだなどという学校があります。深い関心を持っておりますし、また医療系の短大あるいは専門学校などにも具体的にこういう問題がありまして私どもつかんでおりますので、いいかげんな調査ではなくてきちっとした態度をしていただきたいと思うのです。  しかしまた、一面に、いま大臣がおっしゃるように、医大は金がかかるかるしようがないんだという部分もあろうかと思います。私どもそう思うからこそこの助成の問題についてはもっとお金を出してというようなことも言ってまいりましたが、つい最近、いま参考人がそこに来ていらっしゃいますけれども、私立大学の学費は二五%を下げられると、こういう非常にショッキングなレポートを発表された方がいらっしゃいます。両方の御意見を伺わないとフェアではないというふうに思いますけれども、このことはぜひお伺いをして、いずれまた文教委員会できちんと討議をしてみたいと思いますので、ひとつ中村さんにお伺いをいたします。  まず、ここに「茨の道-教学条件の改善と財政の悪化」、こういうタイトルでもって日本私立大学連盟が国庫助成対策委員会財政部会の名前でもって発表したものがあります。財政が悪化しているというのであります。それに対して二五%も学納金を減らすことができるということは一体どういうことなんですか。
  361. 中村忠一

    ○参考人(中村忠一君) 学費は引き下げられる、二五%引き下げられるというレポートを書いたわけですが、先に吉田管理局長の方から学費と物価とそれから補助金の値上げを、ちょっと数を出されましたが、あれからいきますと実に四十五年に比べますと学費は二・三倍上がっております。学費というか、学校の、大学の帰属収入は寄付金とかその他を除いて二・三倍ふえている勘定になります。なぜならば、学生の納付金が三・三倍ふえたと、これと同じような対応をいたしますと、国庫助成金がその約半分ですから、両方の収入は五倍に伸びておる。しかるに物価の水準は二・一四倍だと、こうなりますと、大体二・三倍以上ふえたという、いまちょっと話を聞きながら概算をしたわけです。  私大白書によりますと、今年度の赤字は百七十四億円に達しておると、こういうふうに言います。ところが実際に本当にこれは赤字なんだろうかというと非常に疑問があるわけなんです。なぜかと申しますと、いわゆる帰属収入の中からまず基本金の組み入れ額を差し引いて消費収入を算出します。その消費収入を算出して、それに対して消費支出を比べまして、そして百七十四億の赤が出たと申します。ところが基本金への組み入れというのは何なのかと申しますと、これはちょっと簡単に言いますが、四つぐらいに分かれます。第一は過去の設備投資にかかる借金を返済したもの、それから当該年度に新たに土地を買ったり建物を買うために支出したもの、それから新規の研究あるいは教育施設の拡充計画のために準備金としてプールするもの、それから学園の基金としてたとえば有価証券を買ったり、あるいは定期預金をやってもこれに入ってくる場合があります。これは実を申しますと、こういったものを最初からぼんと引いておいて、そしてあとの消費収支が赤字だというのはこれはちょっとおかしいんじゃないか。まず、帰属収入の中から消費支出を引いてその剰余が幾らあるのかということをまず出すべきだ。こういたしますと、私大連盟所属加盟校で七百十二億の黒字が生まれます。これは一般の企業で申しますと利益金ですね。これをそのまま基本金に組み入れますと、これは利益積立金に相当するわけなんです。これが実に収入の二割を占めています。  また、白書では借金が百六十億ふえ、帰属収入の四二%の外部負債を抱えているというふうに言います。しかし、これは全く経営センスのない大学人が考えるほど非観的な数字ではございません。なぜかと申しますと、まず流動資産と負債を比較する場合に前受金を差し引きます。前受金といいますのは、たとえば五十六年度入学する新入生の入学金、施設費、それから前期授業料、これが前受金です。これを差し引いて計算いたしますと、流動負債は流動資産の三分の二しかないんです。しかも大学の流動資産はほとんどが直ちに現金化できるようなものなんです。預貯金とか有価証券とか、これをもし売却して流動負債を払いますと約五百億近い金が手元に残ります。それから次に固定負債と無形固定資産とを比較いたしますと、大体八五・六%ですね、無形の固定資産が固定負債の八五・六%です。ところが、大学の無形固定資産と申しましても、これは一部電話の施設設定権とかいろいろありますけれども、大半がこれまたすぐ現金にかえられるものが多いんです。こういたしますと、それを現金にかえて売っちゃいまして返済しますと約四百から五百億くらいの固定負債が残る勘定です。したがって、前の流動負債の残りをぽんとそれで戻してしまえば全く無借金経営はあすにでもできます。  ただ大学の連中の悪い点は、いつも金が手元にないとどうも気が済まぬということですね。そして預金を置きながら片一方で借金をしている。まあこれはもちろん一つには学費値上げの対象にしたいとかいろいろ理由はあるでしょうけれども、これじゃちょっとおかしいんじゃないでしょうか。したがって利益積立金分をそんなに取る必要はないじゃないか。学部によって違いますが、大体減価償却費の五%ぐらいです。これは消費支出の中に含まれています。皆さんがこの表を幾ら経理の公開によって見られても減価償却費がどれか、これはさっぱりわからぬ仕掛けになっています。これが約五%ありますので、収入の一〇%はこれは施設や設備に振り向けることができるので、利益積立金一五%分を学費引き下げに当てると、ちょうど学費は、たとえば帰属収入の六〇%を占めておれば二五%引き下げ得るということになるわけです。  一般に大学というのは、一方では教育は公共性があると主張しながら、経営の数字については一切神聖を主張して経理を明らかにしておりません。そこでこういった値下げを実現するためには、大学の経理を公開すること、それから学校会計基準を改めること、それから学費の値上げは市民の声を聞いて、いわゆる市民の代表を含めた審議の会場でやるべきじゃなかろうかというふうに私は考えます。
  362. 粕谷照美

    ○粕谷照美君 少し長いという御意見もありますけれども、あの教科書のとき私どもはずいぶんがんばって聞いていたわけですから、プラスマイナスゼロにしていただきたいと思います。  それでは二つ目にお伺いをいたしますのは、もう一つ先生、あの私立の医科大学、歯科大学、その裏口入学金はなくてもやっていけるというこういう論文も発表していらっしゃいますけれども、大体資料がなくてなぜ反論できるんですか。それからその反論の内容についてお伺いいたします。
  363. 木村睦男

    ○委員長(木村睦男君) できるだけ簡潔にお願いいたします。
  364. 中村忠一

    ○参考人(中村忠一君) これは私立大学では一切資料を公表しておりません。したがってこれはある特定のところからもらってきたものでやったわけなんですが、医学部全体を二十五の医科大学でモデルの平均値を取って計算いたしますと、大体学部の方は、いまの利益積立金相当分からいきますと四五%の利益積立金相当分が計上されています。附属病院につきますと約一八%のものが計上されております。このからくりはどうして――そうしますと、これを分けてこう附属病院分をやや小さくしたのは、これはこの二つをセットするよりも、見せかけの赤字をよけいつくれるだろう、といいますのは、消費収支の赤字を附属病院では七・八%組んでおります、帰属収入の組み入れ金を多くしていますから。それでも二十何%ですね。こういうことから見ていきますと、これを両方セットすれば大体二割程度の利益積立金相当分があるんじゃなかろうか。  さらに病院の今度は支出の内容を見ますと、教育研究投資が病院支出の約三六・八%を占めています。教育研究支出ってそれは病院で何をやるのだろうかと、こう思いますが、恐らくこれは半分以上は医療機械、高価な医療機器の購入に振り当てられたものじゃなかろうか。そういたしますと病院では三分の一、あるいは多かったら四割は設備投資に回されておるだろうと。もし三分の一回されておるとすれば、これは全体として見ますと大学部門では三分の一の利益積立金相当分が生まれておるんじゃないか。そういたしますと、寄付金が医科大学の三つのその附属病院も合わしたもの全部の収入からいきますと四・一%です。したがいまして四・一%は、三分の一の三二、三から四・一引いたら二九になります。二九%下げたらいいんじゃないか。  さらに、一人当たり学生の納付金は二百七十五万円です。したがって、もしも四分の一程度あるいは五分の一程度に利益積立金相当分を引き下げたならば、いまの学費は二百七十五万円じゃなくて百五十万円でもやっていけるのではなかろうかというふうに私は考えます。
  365. 粕谷照美

    ○粕谷照美君 中村参考人にお伺いしますけれども、私も調べてみましたが、私学には非常に非常勤が多い、それから、教官一人当たりの学生数も多いし給料も劣悪だと、こういうふうに考えているんですけれども、参考人の調査はいかがなものでしょうか。  あわせて、先ほどから御報告がありましたように、全国私立大学白書、これは国庫助成に関する全国私立大学教授会連合会が出しているものでありますが、これをまとめていらっしゃる尾形先生が新聞にいろいろなことを発表しておられますけれども、その表題がなんと「「哲学」なきムダ金配分先の再検討を」こういうのであります。大蔵大臣、あなたは、切るものがない、切るものがない、どこがどうだと言っておられますけれども、むだ金とまで言われて、ここのところを黙っていることはないというふうに思うのであります。それで、いまの私の質問に対してお答えをいただくと同時に、簡単に個条書き的に今後の改革をどのようにしたらいいというふうにお考えか、お伺いいたします。
  366. 中村忠一

    ○参考人(中村忠一君) まず私学の賃金につきましては、昨年の六月、本を書いて相当反響を呼びましたが、一般的に見ますと、私立大学の教員の給与は国立大学に比べて二〇%高いというふうに見ていただいて結構です。これは銘柄私学です、有名な私学では。ただし私学では非常にばらつきが多いですから。私は、日本の有名な私学について問題を提起しますと、そういうことです。  それから、職員の給与について見ますと、現在、そうですね、大卒の初任給が三百万を超えたところがぼくは十指以上あると思います。ひどいところになるともう四百万に手が届くんじゃないかというふうに思います。そういたしますと、大体において、平均しますと、銘柄私学と言われるところでは、各年代層で五十万から二百万程度同じたとえば国立大学の職員に比べれば高いというふうに思います。これはもちろん差がありまして、地方の大学、あるいはそうでないところは非常に低いところもございます。だから、したがって、白書で書いたのはばらつきの大きなところで、小さなところをたくさん、学生数千人以下というようなところをたくさん入れてますので、枚数の上では多いようですけれども、大勢としてはそういうことになっておるんではなかろうかと思うわけなんです。いわゆる若年層に手厚い高原型賃金体系というものが数多く見られるわけなんです。  それから非常勤講師の給与は、これは非常に劣悪です。たとえば、朝の九時から夜の九時まで働いて、大体いま大学で申しますと、新卒の高校生の年間給与ぐらいしかペイはもらえません、もし講師クラスの人であるならば。  そこで、改革案の提案といたしましては、私の考えでおるのは、まずやっぱりこういった賃金水準をひとつファクターの中に文部省としては入れてほしい。それによって、非常に劣悪な条件にあるところはより厚く、それから、すぐれたところはそれだけ下げるということが必要なんじゃないか。ただ学生実数とか教員数だとか、そういっただけでなくて、こういうレベルもひとつ考慮の中に入れてほしい。  それから第二は、非常に父兄の負担がふえております。いま言いましたように、父兄負担は実に三・三倍、消費者物価よりも五〇%ふえております。したがいまして、国庫助成と同時に、一定の所得制限はあるかもしれませんが、いわゆる学費に対する課税所得からの控除措置というものがとられてはどうか。もし私立大学から国立大学全部含めてこれを実施しますと、予算では大体いまの私学助成の額の四分の三ぐらいに相当するんじゃなかろうか、これはぼくの大ざっぱな試算です。もし私立学校だけで国立大学との差額だけを非課税対象としますと、これは大体半分ぐらいで済むだろうというふうに思います。これは大蔵省にでも伺わなきゃわからないんですが、そういうこと。  それともう一つは、人件費だけでなくて、いま一番困っておるのは、理学部とかなんとか、理科系統で設備の荒廃化が進んでおります。これは各大学でかなり苦しんでおると思います。だから、国立ては宇宙物理とかなんとかやってもいいが私学では生物ぐらいが一番いいだろうというふうなことも言われておりますので、理科系統に対する助成を厚くしてほしい。  それからもう一つは、これだけ学費も高くなったのですから、奨学金制度を私学独自のものを、もうあるかもしれませんが、どちらでもいいんですが、奨学金制度に対して拡大の措置をとられるのが一番いいのではなかろうかというふうに私は考えております。
  367. 粕谷照美

    ○粕谷照美君 参考人、これで結構でございます。
  368. 木村睦男

    ○委員長(木村睦男君) 中村参考人には、お忙しいところを御出席をいただいてありがとうございました。退席なさって結構でございます。
  369. 粕谷照美

    ○粕谷照美君 いまの参考人のお話を伺いまして、私も本を読んだだけで十分な貸借対照やってみておらないわけですけれども、非常にびっくりしているわけなんですね。それで、このような御意見もあろうかと思いますし、逆にまた中村参考人に対する反論も当然私学の方から出てくるだろうというふうに思います。しかし、私は、三千七百億円にもわたるこの私学助成金についてのこういう疑問を黙っているわけにはいかない。国民に納得をさせるようにしなければいけないと思います。文部大臣、大蔵大臣、そして総理大臣の御見解を伺います。
  370. 田中龍夫

    ○国務大臣(田中龍夫君) ただいま参考人の貴重なお話も承りました。しかしながら、それは一つの御見識でありまして、必ずしも私はそれに同調するものではございません。と申すことは、本当に私学というものに対してわれわれは大変な努力をして、その学校が健全な姿になるように一生懸命にやった者といたしましては、ただいまのお話のように、私学が莫大な実は経理の放漫な状態だというようなことを伺いますと、実際、裏切られたような、泣いても泣き切れないような気持ちで承っております。しかしながら、国の貴重な財源を使っておるのでございますから、この私学の関係者におかれましても、国費の経常費の問題ともあわせ考えまして、本当に、教育研究の条件の改善でありますとか、あるいは効率的な私学の経営に当たりますための問題、これらに対しましては、教育者として、また学校の経営者としてえりを正して今後改めてもらわなきゃならない。同時にまた、文部省といたしましても、厳しい態度で今後の処置をいたさなきゃならないと、思いを新たにいたしておる次第でございます。
  371. 渡辺美智雄

    ○国務大臣(渡辺美智雄君) 大変いい話を聞かしてもらいまして、私も意を強くしておるわけです。ともかく、私学側の言い分もあるでしょうが、非常に厳しい財政事情の中から、増税までお願いをして助成をするということでございますから、これは今後とも私学の実態というものについてはもっと科学的にちゃんと経理の面でも再検討をしてもらって、適切な措置を講じなければならないというように考えます。
  372. 鈴木善幸

    ○国務大臣(鈴木善幸君) この日本の私学の、私どもは、育成、そして教育の機会均等、いろんな観点から私学に対する助成を強化してまいったわけでございます。最初は、私学に直接助成をすることは憲法に照らしていかがかというような議論も当時ございました。それをいろいろ工夫をいたしまして、これならば憲法に違反するようなことには問われないだろうというような工夫の結果、三千六百億という、今日では相当大きな助成をしておるところでございます。この十年間に約二十倍になっておるということでございますが、いろいろのこれに対する問題点があるというようないまの御指摘、私ども本当に驚いておるところでございます。十分今後におきまして、なお経理の面その他掘り下げた研究をいたしまして、国民の税金が、そしてこういう厳しい財政の中で本当に適正に助成等がなされるように、効果的に使われるように、そういう点に十分注意をしてやってまいりたい、こう思っております。
  373. 粕谷照美

    ○粕谷照美君 私立学校法の附則十三項が今月末で期限切れになる、こういうことでありますけれども、この法律の果たしてきた役割り、期限切れになりますとこれからどういうふうになるかということについてお伺いいたします。
  374. 田中龍夫

    ○国務大臣(田中龍夫君) 昭和五十六年三月三十一日までの間は原則として私立大学等の新増設の認可をしない旨の私立学校法附則十三項、これはこの三月末で期限が切れるわけであります。この附則十三項の今後の取り扱いにつきましては目下検討中でございます。またいろいろと御相談も申し上げなけりゃならぬ、かように考えております。
  375. 粕谷照美

    ○粕谷照美君 なくなるわけですから、これから大都市に大学がどんどん建つかもしれないという条件を含んでいますね。そうしますと、大学が建ちますと当然私学助成法に基づいて大蔵大臣、どんどん法律に基づいてお金を出す、こういうことでよろしいですね。
  376. 田中龍夫

    ○国務大臣(田中龍夫君) なお、いろいろと問題もございますので、担当官から一言御説明をお聞きいただきとうございます。
  377. 吉田壽雄

    ○政府委員(吉田壽雄君) お答えいたします。  ただいま大臣から御答弁申し上げましたとおりでございまして、私学法の附則十三項につきましては本年の三月末で期限が到来することとなっております。いま、この後の措置をどうするか、鋭意関係方面と御相談を申し上げているところでございますが、いまの御質問でございますが、たてまえといたしましては新たに私立大学を認可する、あるいは学部、学科等の増設を認可するということになりますと、特にその大学に非違がない限り経常費補助の対象になります。
  378. 渡辺美智雄

    ○国務大臣(渡辺美智雄君) 私は細かい規則はわかりませんが、いずれにしても財政厳しき折でございますから、いいかげんなところへ助成するわけにいかないわけであって、これは中身をよく点検をして、そして厳しく査定をしなきゃならぬ、そう思っております。
  379. 粕谷照美

    ○粕谷照美君 いまののは、認可は非違がない限り認可するというのですから、そんな悪いのが建つわけはないし、学部が増設されるわけではありませんからその点は御心配ないわけです。  それでは、時間がありませんからベビーホテルの方に移ります。  厚生大臣、お伺いしますけれども、ベビーホテルの現状、それからこれはもう十分おわかりだと思いますけれども、これに対してとられた対策、いかがなものでしょう。
  380. 金田一郎

    ○政府委員(金田一郎君) ベビーホテルにつきましては、昨年十一月に初めて実態調査をしたわけでございます。その結果、ベビーホテルの数は全国で五百八十七カ所発見されたわけでございます。調査の詳細につきましては、もしお尋ねございましたらまたお答え申し上げたいと思います。  なお、ただいまベビーホテルにつきまして各都道府県を通じまして十人以上常時乳幼児を預かっているところにつきまして一斉点検を消防庁と共同いたしまして実施しているところでございます。
  381. 粕谷照美

    ○粕谷照美君 詳しい調査、数字、報告してください。
  382. 金田一郎

    ○政府委員(金田一郎君) 概略申し上げますと、まずベビーホテルの経営主体は個人立のものが八八%ということでございます。  次に、保育形態でございますが、二十四時間経営いたしておりますものが三六%でございます。朝から晩までやっておりますものは四〇%ということでございます。  次に、日曜、祭日の営業につきましては、判明いたしましたベビーホテル四百五十一のうち六〇%が日曜、祭日も営業いたしております。  次に、ベビーホテルの所在階数でございますが、判明いたしましたベビーホテル四百八十六のうち約四分の一が三階以上ということでございます。保育所につきましては、原則として一階、二階以上は認めておりません。  次に、児童数で見てみますと平均二十一名を預かっております。  次に、ベビーホテルの児童数及びその年齢別の内訳でございますが、零歳児が一八%、一、二歳児が四三%、三、四、五歳児が三八%、六歳以上が一%という状況でございます。  次に、保育担当者一人当たりの児童数でございますが、これは四・九人となっております。  それから保育担当者のうちの有資格、すなわち保母、看護婦、助産婦等の割合でございますが、保育担当者のうち五七%が資格のある人で占められております。  最後に、保育料でございますが、保育料につきましては、一カ月当たり、一日当たりあるいは一時間当たりの料金になっているわけでございますが、全国的に平均いたしてみますと、月決めで三万二千五百円、一日当たりで三千百円、一時間当たりで五百四十円となっております。
  383. 粕谷照美

    ○粕谷照美君 私は厚生省の調査そのものが非常に何といいますか、機械的な感じがしてならないのであります。たとえば厚生省のやった調査を見まして、私は新潟の出身ですけれども、そこに一としか書いてないわけです。一としか書いてありませんけれども、私自身がそういう事業をやっていらっしゃる方を四名知っているわけですから、ああいういいかげんな調査はない、こういうふうに思います。  ところで、練馬、名古屋、大変な連続乳児の死亡がベビーホテルで現実にありました。その一面で乳児院はがらがらだという報告もあるわけです。厚生大臣、この責任者としてどういうふうにお考えでありましょうか。
  384. 園田直

    ○国務大臣(園田直君) 相次ぐ悲劇はまことに遺憾でございまして、非常に胸を痛めております。なお、先般政府委員から報告いたしました実情の把握、これはとりあえずやったものでございますから、厚生省自体がこの調査は粗漏であることを自覚をいたしておりまして、ただいま消防庁その他の協力を得、各都道府県のお力添えを願って全国一斉に詳細な実態調査をやっております。そのために厚生省の中ではこの乳児その他の保育所に対する対策本部を設けて当面の対策、長期の対策等を検討したところでございますが、まず当面の対策は一斉点検をしていろいろ改善をするあるいはやむを得ざるものは閉鎖を命ずるというようなこともやっているわけでありますが、これは二番目でありまして、一番大事なことはそういう粗悪なベビーホテルに預けるような人がなくなるように政府自体がやっております。あるいは助成をしております、あるいは認可しておりまする保育所、乳幼児の施設を拡大をし、時間等も実情に応ずるごとくこれを変化をしておる。かつまた、長期にわたって子供さんを預けるのもあるわけでありますから、そういうのは乳児院に引き取るとか、その他の方法等を検討しておるところでございます。
  385. 粕谷照美

    ○粕谷照美君 大臣のおっしゃったそういうことを検討し、いざ実施をするということになりますと、保母の労働条件、こういうことも含まれてくるわけで大変なお金が必要になってくるわけであります。しかし、そのことをあえてやっていかなければ子供たちの保育というものは守られていかないわけですが、その他に特に考えていただかなければならないと思いますことは、一つには育児休業という制度をつくっていくというのがあると思います。この辺のところについて大臣いかがお考えですか。
  386. 園田直

    ○国務大臣(園田直君) ただいまの育児休暇は、私先般も申し上げましたが、やはりどのような状況においても、いろいろ高下はありますけれども、子供のかわいくない母親はいないわけでありまして、でき得れば母親は子供のそばにおって育てたい、またそれが最高であります。しかし、現状はなかなかそういうことは許されない。そこでまず第一にやらなきゃならぬことは、いまおっしゃいました、母親がなるべく子供のそばにおってやれるような、保育のためというか乳児のための休暇制というのは、これは将来の子供のためにぜひお願いをしてやらなきゃならぬ。幸い大蔵大臣からも先ほど子供だけは別であるという応援等もありましたから、これはそういう御相談を関係各省とやっていきたいと考えております。
  387. 粕谷照美

    ○粕谷照美君 労働大臣、この育児休業、どのようないま状況になっているか御存じでしょうか。
  388. 藤尾正行

    ○国務大臣(藤尾正行君) お答えをいたします。  育児休暇と申しますか、こういった制度を私どもはできるだけ広く御採用願いたいということでお願いをいたしておるわけでございますが、御案内のとおり、ただいま、教職にあられる方でありますとか、あるいは看護に当たっておられる方でありますとか、あるいは保母さんでありますとか、こういった国が直接関係をしておるそういった関連の方々に対しましては、一カ年間の育児休暇といいまするものがあるわけでございます。しかしながら、こういったことが民間各企業、事業所にそのまま適用されておるかということになりますと非常に貧困なわけでございまして、私どもといたしましては、それの制度を設けていただくようにお願いをいたしておりますと同時に、そういった制度を御採用になられた方に、事業者に対しましては、まあ非常に微々たるものでございまするけれども、そういう育児の休暇を設けていただきますための助成金、そういったものを差し上げて今後どんどんとひとつ広めていきたい、かように考えておるわけでございます。
  389. 粕谷照美

    ○粕谷照美君 自治大臣、各地域でこういう条件をとっているところがあると思いますが、いかがでしょう。
  390. 安孫子藤吉

    ○国務大臣(安孫子藤吉君) 育児休暇については、地方団体といたしまして医療、それから教育、社会福祉関係、施設関係でございますが、こういう方で実施されております。その実施の状況でございますが、大体いまのところ四〇%程度、対象人員の四〇%程度がそうなっております。これは年々の状況を見ますと、逐年増加の傾向をたどっておる、こういうことでございます。
  391. 粕谷照美

    ○粕谷照美君 それでは、先鞭を切った文部省、これはどのような状況になっていますか。
  392. 田中龍夫

    ○国務大臣(田中龍夫君) 各大臣ともに非常に御理解のある御答弁で、われわれの方も幸せとするのでありますけれども、現行の文部省といたしましては、育児休業法の適用は、学校の先生でありますとか、あるいは病院の看護婦さん、あるいは保母さん、あるいは助産婦さん、こういうふうなところに限定されております。そして一般の事務職員の方々にまで適用をいたしておりません。  なお、ちょっとちなみに申し上げますが、昭和五十三年度中の子供を出産いたされました教員の方が二万四千二百八十八人でありまして、このうち一万三千二百十人が育児休業の許可申請をなさいまして全員が許可をされております。なお、育児休業の率は五四・四%になっておりまして、年度別の推移を見ますと、五十一年度の利用率が二四%でございましたが、五十二年は四七%になり、五十三年度は五四・四%と次第に利用率が高まっておりますことはまことに結構なことと存じております。
  393. 粕谷照美

    ○粕谷照美君 地域によりましては、たとえば広島などは七八・八%、つまり百人が子供を産めば七十八人までが育児休業をとると、そういう状況に立ち至って非常に喜ばれているわけですね。ところが、同じ学校にいても、看護婦さんは確かに育児休業が適用されながら、養護学校の看護婦さんにはこれが適用されないという問題点があります。確かに、いま大臣がおっしゃったように、事務職員の方も適用されていません、これはやっぱり早く適用していく。保育所の条件がなかなか整わないんですから、そういうお考えはありませんでしょうか。
  394. 田中龍夫

    ○国務大臣(田中龍夫君) ただいま冒頭申し上げましたように、現在の法制の上から申しますと、限定――限定と申しますか、業種をきちんと指定されております。あるいは自治大臣なり、あるいは労働大臣なり、厚生大臣なりお話しのように、一般事務職員にまでもこれが広げてよろしいという法制の整備ができますれば、これは喜んで文部省も御一緒にさせていただきますが、現在のところでは法に従いまして適用いたしております。
  395. 粕谷照美

    ○粕谷照美君 やりたいというお考えを持っているのか、いまの法律でもうそれはしようがないという、こういうお考えなのかということを伺いたい。
  396. 田中龍夫

    ○国務大臣(田中龍夫君) もちろん、財政当局その他これに対しまして非常に協力をしていただければ、すべてこれは適用いたしたいと、かように考えます。
  397. 粕谷照美

    ○粕谷照美君 総理にお伺いをしますけれども、ベビーホテルに預けるような人たちの労働条件といいますか、そんなところに預けるような人が悪いんだというふうにお考えになっているのか、本当に働かなきゃならないからそういうところに預けざるを得ないという方が多いのか、その辺のところの認識をお伺いしたいと思います。
  398. 鈴木善幸

    ○国務大臣(鈴木善幸君) 全就業労働者といいますか、働いておられる方々の三分の一に御婦人方が働いていらっしゃるわけでございます。この傾向は今後さらに強まっていくであろう、こう思います。その全就労者の三分の一の約三分の二が既婚者であるということも聞いておるわけでございます。したがって、子供さんをお持ちになったお母さん方がたくさん働いていらっしゃるわけでございます。そういうようなことからいたしまして、私は、子供さんを持って働いている御婦人方の働く条件なり環境なり、家事とそれから育児と職業、就業ということが両立するようないろんな保育所の施設でありますとか、そういう施設の整備を図ることが必要であり、また、いまるる御指摘がございましたところの育児休業、休暇というようなものをこれを広げていく、こういうことが必要になってくると思います。乳児に対するベビーホテル等の施設を規制をし、公的なものを拡充をしていくと同時に、いま申し上げた働く婦人の立場というものを考えた諸施策を進める必要がある、こう考えております。
  399. 粕谷照美

    ○粕谷照美君 行政監察官にお伺いをいたしますけれども、行政監察に基づく勧告というのを行っていますね。その勧告を私は見まして、どうもこういう勧告であっては児童福祉法二十四条の精神をしっかり踏まえてない勧告ではないだろうか、こういうふうに思いますけれども、いかがでしょうか。
  400. 中庄二

    ○政府委員(中庄二君) お答え申し上げます。  先生の御指摘の監察、いま二回やっておりまして、前回の場合は保育所と幼稚園のいわば混淆と申しますか、それをねらいとしてやりまして、関連的に保育所の方を見たわけでございます。その後、今回は保育所の実態がどうなっているのか、相当事情が変わりましたので見ておりますが、先生の御指摘は、いわば要保育の児童がどのぐらいおって――児童だけじゃございません、幼児等を含めましてどのぐらいおって、そのうちどのぐらいが措置されて、未措置がどのくらい放置されておるか、こういう観点をもっとずばりと見ろと、こういう御指摘かと思いますが、これは全体をつかみますのがなかなかむずかしゅうございまして、厚生省の調査、文部省の調査がまず合っておりません。都道府県の調査も合っておりませんし、市町村も実態をつかんでおらない。その辺のところへ私どもは切り込みをいたしましたが、いままとめておりますものも見てまいりますと、たとえば無認可の保育所のできた理由、こういうものを調べてみますと、普通の保育所に入れてくれないというのが三分の一でございます。それから夜間の保育所をやってくれぬというのが一三%、こういうような理由で無認可の保育所ができておるというような実態もつかまえておりますし、現在やっております保育所から見ますと、三歳未満児を入れない、もう募集もしないというような方針を立てているところ等もございます。それから、申し込みをしてもはねるというようなものもありますので、私ども厚生省の方にお話し申し上げまして、まずは、これは市町村長が入所の認定をいたしますので市町村長の努力に期待したいと、こういうことで厚生省に前々からお願いしておりまして、相当改善の措置は講ぜられてはおりますが、なかなか実効が上がらないむずかしい問題ではないか。今後とも一生懸命やりたいと思っております。
  401. 粕谷照美

    ○粕谷照美君 私は、厚生大臣が本当にこのことについて緊急な問題を急いで対策をする、それから長期の問題について精力的に考えて次から次へと着実に行政の指導を強めていくというようなことを約束していただきたいと思いますけれども、いかがでしょうか。
  402. 園田直

    ○国務大臣(園田直君) 道のように悲劇は相次ぐし、その需要はどんどんふえてくるわけでありますから、全力を挙げて努力をいたします。
  403. 木村睦男

    ○委員長(木村睦男君) 粕谷君の残余の質疑は、明後十六日行うことといたします。     ―――――――――――――
  404. 木村睦男

    ○委員長(木村睦男君) 次に、上田耕一郎君の総括質疑を行います。上田耕一郎君。
  405. 上田耕一郎

    ○上田耕一郎君 私は、国際障害者年、日米会談、核政策などについて質問したいと思いますけれども、その前に、中野区の教育委員準公選制の問題、この問題についての経過と文部省の態度を御説明願います。
  406. 田中龍夫

    ○国務大臣(田中龍夫君) 文部省及び東京都教育委員会は、今度のいわゆる準公選の実施の基礎となっております条例は法律に違反をするものである、そうして教育行政の政治的な中立性の点におきましても問題があると存じておりますので、中野区に対しましては適切に対処いたしまするよう指導してまいったところでございます。  なお、同区におきまして、これまで再三の指導にもかかわらず準公選が実施されましたことはまことに遺憾でございます。
  407. 上田耕一郎

    ○上田耕一郎君 政府・自民党、そういう態度であったにもかかわらず、中野の住民自身が四三%の投票率、十万七千人の投票で、お子さんを持っている父母のかなりの部分が投票されて成功させました。新聞の社説もこぞって高く評価しておるわけであります。教育の荒廃を憂えたこういう区民自身の熱意と意思ですね、これを文部省は一つも考えないでいいとお思いなんですか。
  408. 田中龍夫

    ○国務大臣(田中龍夫君) 今回の区民投票の実施や投票率の動向等によりまして準公選条例に対します文部省の考え方は変える意思はございません。文部省といたしましては、あくまでも法治主義のルールにかんがみまして、この準公選条例が廃止されなければならないと考えておる次第でございまして、この公選の問題につきましては、過去において実施をいたしましたその結果がよろしくなかったということからいままでのような制度にいたしたものであります。
  409. 上田耕一郎

    ○上田耕一郎君 鈴木総理、中野の準公選制ですね、行きがかりにとらわれないで、あなたは和の政治と言われているわけだから、主権者の意思ですね、この意思表示、この貴重な実験をやっぱり育てようという考えは全くありませんか。
  410. 鈴木善幸

    ○国務大臣(鈴木善幸君) 私は、この教育委員会制度、教育委員の人選、これはやはり全国的な規模で全体としてどうあるべきかということを考えなければなるまいと、そういう意味合いからいたしまして、中野区におけるあの選挙によりますところのやり方につきましては、一つの試みとして注目はいたしておりますが、私は、これを全国に広げていくと、こういうことを、この制度を育てていくということは大変いろいろな面からいってそのようには私は踏み切れない面がございます。なお今後も研究をいたします。
  411. 上田耕一郎

    ○上田耕一郎君 やっぱり世論をくみ取るという政治姿勢が政治の一番基本なので、よく実態を本当に首相自身も文部省もまた世論をもぜひ調べられて、前向きな検討を要望したいと思います。  昨年三月十一日の当予算委員会で、私は公務員試験の点字受験の問題を取り上げました。そのとき大平首相は、「政府として篤と検討を進めて、希望の持てるようなものにすべく努力してみたい」、こう答弁されました。その後の検討と努力はどうなっているかを人事院にお伺いいたします。
  412. 藤井貞夫

    ○政府委員(藤井貞夫君) 昨年国家公務員試験について点字受験を認めるべきではないかという御提言がございました。これに対して当時私からも大体の御答弁は申し上げたつもりでございます。そのときにも申し上げましたように、現在行っておりまする国家公務員試験というのは、それぞれの非常に専門的な業種を対象とするものは別にいたしまして、いわゆる上級、中級、初級ということでやっておりまする試験の内容を見ますと、これはいずれも文書を起案する、あるいは文書の審査を行う、さらには文書の記録なり整理を行うという文書を媒介といたしまする仕事、こういう官職を対象にいたしておるのであります。したがいまして、これらに適する能力を持っているかどうかということを検証いたしまするために行うということでございますので、そこにおのずから限界がございます。御指摘の点字試験等につきましては、われわれも問題意識は前々から持っておりまして、それなりの検討は続けてきておるわけでございますけれども、やはりこの試験というものは、それぞれ役所の内部においてそういう職域が定着をしてまいるということが一つの前提要件としてございまして、こういう人を採りたいというようなことが従来の積み重ねによって出てくる、それに対して応募者がどんどん出てくる場合にその試験というものをやって能力の検定をやるということでございます。したがいまして、そこに限界ということもございますので、昨年も申し上げましたが、なお検討を続けてまいりたいということを申し上げたのでありまして、その点はいまの現在でも変わっておらないのでございます。  ただ、この点については視力障害者の方々の職域、雇用の拡大あるいは福祉の増進ということと大変大きなつながりがございます。したがいまして、そういう点から見ますと、各省庁におきましても精力的に、積極的にそういう方々に適した職域というものを開発していくという努力、研究も一方において必要ではないだろうかという考え方をいたしております。  それと、御承知のように、一般の試験ではございませんが、公務員を採用いたしまする場合には試験と選考というものがございます。この選考につきましては、それらの方々にも門戸は開放をいたしておりまして、現に選考によって職域にお迎えをいたしておる、そして事実働いていただいておるという者もかなりの数に上っておることは事実でございます。
  413. 上田耕一郎

    ○上田耕一郎君 私この問題を重視するのは、国際障害者年で「完全参加と平等」という旗を政府は振っているわけでしょう。ところが、政府自身の公務員試験ではこれはやれないというんだと、これどうやって旗を振るのか。政府自身が責任持っている場所だからこれは重視しているんですね。この点選考の門戸を開くというのはいいんですけれども、試験問題では依然として官僚主義、保守主義だと言わざるを得ない。厚生大臣、この問題についていかがお考えですか。
  414. 園田直

    ○国務大臣(園田直君) 障害者の方々に対する一番大事な問題は、社会参加ということが一番大事でございまして、そういう面について各種の試験を受けられるような制度、特に視覚障害者の点字の受験ということは非常に願わしいことでありまして、厚生省で所管しております六つぐらいの試験は点字の試験もいたしております。なおまた、聞きまするところによると、東京都の公務員の試験ではこの点字の受験を許しておる、こういうことも承っておりますが、いま人事院総裁が言われたようないろいろな問題で困難もあるようでありますけれども、今後とも全力を挙げて関係各省庁と相談を進めてまいります。
  415. 上田耕一郎

    ○上田耕一郎君 大平首相の後継者の鈴木総理に、望ましい方向、希望の持てる方向にという指導性を発揮していただきたいと思いますが、お願いいたします。
  416. 鈴木善幸

    ○国務大臣(鈴木善幸君) 今年は国連の障害者年でございまして、「参加と平等」、この精神を生かして障害者の皆さんが社会に出て公正に処遇をされ働いていく機会が与えられなければならない、これはもう御指摘のとおりでございます。その心構えで当たるつもりでございます。  さて、国家公務員の採用試験の問題でございますが、人事院の総裁等からもお話がございましたように、国家公務員の場合の大部分の仕事というのは、文書等を一つの媒体といいますか、媒体として職務をとっておると、こういう仕事が多いわけでございます。そういう観点からいたしますと、視覚に障害のある方々に対して、採用試験を一般の者と同じように機会を持つ、点字でもってやるというようなことは、一応これは考えられる問題でありますけれども、しかし実際問題としては、いまの国家公務員の仕事の性質その他を考えますと、実際上はなかなかむずかしい問題であると、このように思うわけでございます。  そこで、視覚障害者の方々には採用試験という形ではなしに選考という形で仕事につくように採用をいたしておるわけでありまして、たとえば盲学校の教師であるとか、あるいは病院、あるいは福祉施設、そういうところの職員でありますとか、そういうところに、選考という形ではございますけれども、職につき働いていただくと、そういう機会をつくっていこうと、こういうことで対処をしていくことがきわめて現実的ではないだろうか、実際的ではないだろうかと、このように考えておるわけでございます。
  417. 上田耕一郎

    ○上田耕一郎君 司法試験でさえ点字受験の道が開かれているのですね。あの膨大な法律を視覚障害者の方が勉強しているのですから、ぜひ大平首相のあの言葉をリップサービスにとどめないように要望しておきたいと思います。  共産党の国会議員団の国際障害者年推進委員会、実は私、責任者しているのですけれども、昨年八月、障害者団体と懇談をいたしました。そのとき最も要望が集中いたしましたのは、日本では国連決議と違って多くの内部障害が法律上いまだに障害者の中に入っておらず、そのために差別されているという訴えでした。この点、現状はどうなっているか厚生大臣にお伺いしたいと思います。
  418. 山下眞臣

    ○政府委員(山下眞臣君) 現在の身体障害者福祉法では、心臓及び腎臓の内部障害が取り入れられております。
  419. 上田耕一郎

    ○上田耕一郎君 呼吸器。
  420. 山下眞臣

    ○政府委員(山下眞臣君) 呼吸器と、その三つでございます。
  421. 上田耕一郎

    ○上田耕一郎君 その後は。
  422. 山下眞臣

    ○政府委員(山下眞臣君) なお、現在身体障害者の範囲につきましては、身体障害者福祉審議会に専門の部会を設けまして鋭意審議をいたしておるところでございます。大体この五月か六月には一応の取りまとめができるものと思っておりますが、片方で国際障害者年の関係の長期行動計画の特別委員会の審議もやっておりますので、それと並行して結論を出していくという形になっております。
  423. 園田直

    ○国務大臣(園田直君) いま政府委員が答えたとおりでありますが、審議会に対する諮問は、総合施策、等級、いま御指摘の範囲の問題等について諮問をいたしております。いまどのものをどうということは申し上げられませんけれども、私もこの範囲は拡大すべきであると考えておりますので、この答申ができましたら、内閣の特別委員会の提言とあわせてこれに対して善処したいと思います。
  424. 上田耕一郎

    ○上田耕一郎君 去年の臨時国会で、厚生省は、人工膀胱、人工肛門についてはぜひ対象にしたいという答弁があるんです。いつごろ結論が出ますか。五月ごろ出ますか、人工膀胱、人工肛門は。
  425. 山下眞臣

    ○政府委員(山下眞臣君) 身体障害者福祉審議会の一応の取りまとめは六月ごろにはできると思っております。
  426. 上田耕一郎

    ○上田耕一郎君 私ども聞きました要望は、そのほかにむち打ち症、血友病、膠原病、パーキンソン病、てんかんなど、非常に悩んでいる障害者の方の要望があるわけです。仕事、生活権すべてにわたりますので、これを機会にこういうものもぜひ検討対象にしていただきたいと思いますが、いかがでしょう。
  427. 山下眞臣

    ○政府委員(山下眞臣君) 身体障害者というものの範囲、これにつきまして非常に広範な検討をいたしておるんです、審議会で。非常にむずかしい問題も多うございます。たとえば自然の加齢に伴うものですね、年をとりますとだれでもやはり機能が落ちる。こういったものも身体障害者とするのか、あるいはそれは老人という分野で判断をするのか。  それから病気をいたしますと、これはみんな機能が落ちるわけでございます。そういう一般の医療、疾病というものと身体障害というものとの範囲をどこで線を引くか、大変むずかしい問題でございます。専門家の方々に鋭意御検討を願っていただいておりますので、その結論をお待ちしているという状態でございます。
  428. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 関連。
  429. 木村睦男

    ○委員長(木村睦男君) 沓脱君の関連質疑を許します。沓脱タケ子君。
  430. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 去る十日、十一日と続けて、ベビーホテルでのかわいい子供たちのいたいけな死亡事故が起こりました。こういうことは行政の立ちおくれが重大な社会問題を提起している証拠であります。したがって、次の時代を担う子供の安全、健全な育成というのは国政の中の重要な一つの柱だと思うわけでございます。  そこで、総務長官、ちょっとお伺いしたいんですが、二月の十七日に、婦人問題企画推進会議の「国連婦人の十年後半期に向けて」という意見書が提出をされております。この意見書では学童保育の問題について、保育の充実という項目のところで学童保育についてどういうふうに言っておるか。またその方向は、前向きに充実すべきだという立場だと思いますけれども、その点についての御見解を最初にお伺いをしておきたいと思います。
  431. 中山太郎

    ○国務大臣(中山太郎君) お答えをいたします。  二月十七日に、婦人問題企画推進会議から総理大臣あてに出されたその意見書の中に、お話しのような点が含まれておりますが、その趣旨は、その需要に応じて適当な処置をとるという前向きな姿勢を示しているものと理解をいたしております。
  432. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 先日も総理に「学童保育」という雑誌をお渡しをしてごらんいただいていると思いますが、あれを見ていただいたら、ずいぶん子供たち元気な姿が写っていると思いますが、それが学童保育なんです。ちょっと考えていただきますと、保育園を卒園して新しく一年生に入学するわけです。共働きの御家庭では、学童保育のないところでは、子供はさびしい、お母さんは新しく入学するのが喜びではなくて、悩みの種になっているわけです。たとえばどういうことが起こるかというと――きのうまで保育所でちゃんと保育されていた子供が卒園して、明くる日から一年生になったからといって一遍に成長しないわけです。ですから入学と同時に半日いわゆるかぎっ子になるわけでしょう。雨が降ったらこわい、雷が鳴ったらこわいといってお母さんの職場に何回でも電話をかけるという状態になっているわけです。だからこそ学童保育が必要なんですね。  ところが、いまこの学童保育の制度というのは、全国で約四千カ所ぐらいになっています。ところが厚生省の施策を私は非常に乏しいと思うのです。補助対象というのは、五十六年度の予算では百市、一クラブ一年間に四十七万七千円なんですね、予算総額一億五千六百万なんですよ。先日も私申し上げたけれども、自衛隊の飛行機を入れる防空壕は三億六千万でしょう。やっぱり次の子供たち、次代を担う子供たちを守るために、ぜひこれはこういった保育に欠ける子供たちの安全のためにこそ予算を思い切って投じて、抜本的に対策をするべきだと思うのですけれども、最初に厚生大臣にお願いをしたいと思います。
  433. 園田直

    ○国務大臣(園田直君) 子供の問題で乳幼児、それから保育児の問題は案外知られておりますが、学童に対する保育というのは案外忘れがちでございます。これについては皆さんが相当早くから熱心に主張されておって、努力をされておりまして、五十一年にようやく顔を出しました。それ以来努力をして逐次個所はふやしておりますものの、今度は一方、学童のための集会所とか施設だとか、母親と子供のあれだとかということは、需要に応じた伸びが非常におくれております。これはおっしゃるとおりに非常に大きな問題で、学校から帰ったらお父さんもいない、お母さんもいない、夕方までは一人というのは、将来の人間形成のためにきわめて重大な問題でありますから、いろいろ困難はありましょうとも今後全力を挙げてさらに努力をいたします。
  434. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 総理に一言だけ伺っておきたいのですが、推進会議の意見書というのは総理あてに来ているわけですね。ベビーホテルの二の舞を踏まないために、これは思い切った施策をやはり子供たちのためにおとりいただきたいと思うのですが、最後に総理の御見解を伺って終わりたいと思います。
  435. 鈴木善幸

    ○国務大臣(鈴木善幸君) 乳幼児の幼を含めまして、子供の健全育成ということは大変重要な問題だと私も心得ております。いまベビーホテルの問題が社会問題としても非常に論議を集めております。これにつきましても、先ほど申し上げたように、公的な施設を整備してそういう方面で預かるようなことをしたい。さらにいま御指摘になりましたかぎっ子の問題等につきましても、前々から保育所に行っておった子供が年齢的に今度は幼稚園に通うようになる。ところが、幼稚園だと早くもう終わってしまう。幼稚園から帰るとまだお母さんは帰っていない、こういうようなこともございます。  さらに、学童になりましても同様の問題がある。そのために非行化でありますとか、いろんなことが出てきております。そういうようなことを考えまして、乳幼児から学童に至るまでの一連のこれを大事に育て、健全育成をするという面についての施策を計画的に、組織的に体制をつくりながら進めていく必要があるわけでございます。  いまの学童の問題につきまして、かぎっ子として非行化等を防止いたしますために児童館の整備でありますとか、あるいは児童の育成のクラブ、最近はそういうものをつくっておりますが、そういうものに対する助成の措置を講ずるとかそういう点に力をいたしてまいりたいと、こう思っております。
  436. 上田耕一郎

    ○上田耕一郎君 さて、今度厚生大臣としてでなく、前外相としての園田さんにお伺いします。  十日の予算委員会でオーマンのマシーラ島問題をお伺いいたしまして、東京サミットではなかったとおっしゃいました。政治的立場は違いますけれども、園田さんはうそはつかれない方だと信じております、多少出しゃばりだということはこの委員会でお認めになったようですが。私は当日の講演を聞いた記者などにも確かめ、また中央公論論文の加瀬氏にも昨夜確かめました。加瀬さんは、園田さんの声のテープを全部速記で起こして中公に書いたので、全く事実であると言われました。この中公論文で引用された部分は、確かにあなたが講演されたところですね。
  437. 園田直

    ○国務大臣(園田直君) 相当前の話でありますが、呼ばれてそういう講演をした事実はございます。その際、誤解を受けるようなことがありましたので、その字句は削除を願って、関係方面にはそれぞれ、特に国々についても了解を得たことはございます。
  438. 上田耕一郎

    ○上田耕一郎君 確かに外務省発行のパンフからは全部削除されている。そのために加瀬さんはテープを起こされた。このテープ部分は、バンス長官にオーマンの「戦略上の要点に置けこと、「ここの島に置いたがよかろうといったら、目玉をパチクリきせながら聞いておった」と、これも事実ですね。このことは東京サミットじゃないとすれば、どこでバンス長官に言われたんですか。
  439. 園田直

    ○国務大臣(園田直君) いろいろ意見交換しておりますが、東京サミットではもちろんございませんが、その他の場所においてもオーマンの軍事基地の建設について意見を言ったり提言した事実は全くございません。
  440. 上田耕一郎

    ○上田耕一郎君 みごとに、否定される。そうしますと、これは事実なんでしょう、あなた先ほど事実と認められたのに、島に――じゃ、島に置いたがよかろうということは言ったわけですね。
  441. 園田直

    ○国務大臣(園田直君) そういう提言はございません。そこで演説したことは事実でございます。しかしそういう誤解を受けちゃいかぬと思ったから、私の言葉遣いが悪かったので訂正した事実はございます。  なお、ちょっと時間をいただいてその背景を描写いたしますと、私は上田さんと違って、世界観、日米関係については意見を異にするものでございます。しかし、人類の目的ということについては意見は変わってないと、こう思います。私はソ連でも申しましたが、アメリカにも申しました。日本は日米関係が外交の基軸であり、かつ日米安保は日本防衛の基軸である、こういうことをソ連とアメリカ両方へ言っております。そこで、私は特にそれを言いましたことは、日米首脳者会議というものがやられておる。その会談の際に、当初会議に先立ってアメリカの大統領と日本の総理大臣単独の会見がございました。ここでどういう会合をされているのかうかがい知るところではないが、われわれはやや不満がある。莫大な金と貴重な時間を費やしてわざわざアメリカに来て会談するのに、日米間に横たわる問題だけ議論されては困る。それよりも、世界平和のために日米がどうやって協力するかということのために、アメリカがその年あるいは全般的な世界に対する方略というか戦略というか、そういうものを説明されることが妥当であると思うけれども、一言も話がない。したがって、私の方から質問をいたしますと、こういうことで、第一には米ソの軍事力、これについて意見を述べました。質問をいたしました。第二番目には、アジアの平和は何といっても中国が中心である、そこで中国に対してアメリカはどうやるつもりか、特にソ連と中国の対立、こういうものをどう考えているのか、これが二番目でございます。三番目には、中東の問題についてこれが非常に大事な問題であると。当時はまだアフガニスタンにソ連が来なかったときであると思いますけれども、正直に言って、あの油田地帯というものを超二大国がいろんな意味でねらっていることは事実だと第三者は判断をする。ところが、中東に対するアメリカの政策は必ずしも巧妙ではなくて拙劣である、今日の困難の大部分はアメリカの方がやったんじゃないかと。そこで、正直に言うと、中東の諸国はこういうことを言っている。自分たちはフランス、イギリスから占領されておった。植民地にされておった。しかし、そのフランスやイギリスもいまはうまくわれわれと話し合っている。アメリカがわれわれと話し合い、われわれの立場を理解しないはずはない。しかるに、一方的にイスラエル等を支持をして、この中東の問題をアメリカが妨害しているとわれわれは思うと。特に大事なことは、ソ連の南下に対して非常に鋭敏に警戒をしている。そこで、われわれが有事の場合にこれに抵抗はできない。やはりアメリカというものの存在もわれわれは意識をする。反米言辞を弄しておる国々でさえも、アメリカの実情をよく知っておる。やっぱりソ連というものに対抗してアメリカがおるということが、これが平和のために大事であり自分たちも望む。しかしながら、いまアメリカが軍事基地などを持ってきて、直接この中東の問題を東西問題にされることは非常な迷惑であって、火花を散らすことはもってのほかである、こういうことであるから、力を持っていま中東に臨むとか、軍事基地をつくるということは、いまのような実情から真剣に中東諸国がアメリカに対して反発をするおそれがある、こういう意見は言ったことがあります。そのときに、どの国もそうだと、いまアメリカに近寄ってもらいたくない、ソ連も南下してもらいたくない、両方が遠くにおって、その間で自分たちは中東の問題をみずから解決したいんだ、こういうのが念願であると。ただ、オーマンだけは違う。オーマンだけはアメリカに軍事某地を貸してもいいと。湾岸諸国を初めとして、アメリカに軍事基地を提供すべきでないという決議をしたことがございます。ところが、オーマンだけはこれに反対だと直接私に言った。なぜかというと、公平にやってもらいたい。自分の国は国境を接して隣の国がある、隣の国にはソ連の軍隊とソ連の基地がある、このソ連の基地も引き揚げてアメリカも出てくるな、こういうなら賛成をするが、お隣のソ連の軍事基地と駐とん軍はそのままにしておいて、アメリカだけ出てくるなということは不公平である、だから私は湾岸諸国のほかの意見には賛成してない。こういうことは言っておるけれども、アメリカがいま力をもって軍事基地など進めることは適当でない、こういう話はしたことがございます。それが間違って誤解を受ける原因になったと思います。
  442. 上田耕一郎

    ○上田耕一郎君 結局、中東に米軍が軍事基地を置くのは一般的には反対だがオーマンだけは別だということを言われた、そういうことですね。結局あなたは、新聞記者に聞くと、四月の訪米のときに言ったと言われる。いまあなたは、この苦しい事態を逃れるために、具体的提案はしなかった、オーマンのあの島に基地を置けということは言わなかったと。しかし、演説はされたんだ。そうすると、出しゃばり過ぎて、演説では少し図に乗ってですね、演説ではうそととられる演説をされたということでこの窮地を逃れようとしているんじゃありませんか。
  443. 園田直

    ○国務大臣(園田直君) 私はその場逃れは考えておりません。いずれにいたしましても、私がいまのようなことで、逆なんです。ほかのところは反対しているがオーマンだけは賛成しているからと、こう言ったんじゃなくて、オーマンだけはアメリカの軍事基地に反対はしてないが他の国は全部反対しているんだ、こういう趣旨のことを言ったので、演説で私がそういうことを言って、いまその場逃れに言っているわけではなくて、そういう誤解を受けてはいかぬからと思ってこれは削除を頼んだわけであります。
  444. 上田耕一郎

    ○上田耕一郎君 誤解しようがないですよ。中東のことを触れて、バンス長官に基地はどこに置くかと、「戦略上の要点に置け、」「島に置いたがよかろう。その島は、ここの島に置いたがよかろうといったら、目玉をパチクリさせながら聞いておった」と。あなた認めたじゃないですか。これは加瀬さんが、あなたのテープを起こしてそれをそのまま載せたんだと、ゆうべ私に確認されました。うそですか、これ。
  445. 園田直

    ○国務大臣(園田直君) 加瀬さんがどういうことを書いておるか、言ったかわかりませんけれども、いま言ったような事実はありません。それはありません。誤解するところないとおっしゃいましたけれども。
  446. 上田耕一郎

    ○上田耕一郎君 これは私はとことん追い詰めるつもりは余りなかったんだけれども、そうやって否定されるんではしようがないですよ。あなたのテープを内外情勢調査会から借りて、加瀬さんが起こして、速記にとって中央公論に載せたんだ。それを、こういうことを言わなかったということは、全くけしからぬですよ。あなたはうそはつかない人だと私は思っていたけれども、どうもうそをつかれる方だと、この問題に関しては思います。私は改めてこの問題、事実の調査を求めます。
  447. 園田直

    ○国務大臣(園田直君) うそやごまかしは言っておりません。
  448. 上田耕一郎

    ○上田耕一郎君 だめだ、そんな、全然もう問題にならぬですよ。私は自分で調査して確かめたんだから。ちゃんとやってください。
  449. 木村睦男

    ○委員長(木村睦男君) ただいまの上田君の質問につきましては、後日、理事会で預かって善処をいたしたいと思います。
  450. 上田耕一郎

    ○上田耕一郎君 私、この事態を重視するのは、七月十一日の朝日新聞は、二面トップで「米は中東に基地を 園田外相が初めて“本音発言”」と、これだけ大ぜいの記者が聞いているんですからね。その基地にアメリカは来年度七千五百万ドル、百五十億円投入して軍事基地をつくろうとしている。園田さんが個人なり政府なりとしてアメリカに言ったところに、まさに先見の明のあったことで、来年からやるわけですよ。日米会談で出る危険があるわけです。  それで外務大臣いかがですか、今度あなた訪米されるんだが、訪米あるいは日米会談で中東・インド洋問題、オーマンも含めてですね、経済援助も含めて責任分担要求がアメリカから出た場合どういう方針で対処されますか。
  451. 伊東正義

    ○国務大臣(伊東正義君) お答え申し上げますが、いまオーマンという指定でお話が出た……
  452. 上田耕一郎

    ○上田耕一郎君 いや、オーマンだけじゃない、中東・インド洋。
  453. 伊東正義

    ○国務大臣(伊東正義君) わけでございますが、これは、一番そこで問題のあった、いま先生御質問のところでございますが、ここにつきましては、本当に従来から技術協力ということをやっている。この前も申し上げましたように、いまは水資源、農場をつくりたい、農地をつくりたいというんで、地下のダムができるかどうかという調査をやっているということでございまして、これはまだどうするか、調査の結果でございますが、これでおわかりのように、その国の社会経済開発といいますか、民生安定といいますか、そういう意味の経済協力ということをやっておるわけでございまして、オーマンの日本に対する石油の供給、相互依存関係とかそういうことを考えて、最終的には調査の結果、結論を出したいと思いますが、経済協力をやるということにしましても、これは衆議院の外務委員会の決議がございまして、軍用になるものとかそういうことにはしないということでやっておりますので、あくまで社会開発、経済開発、民生安定、福祉の向上というものに限定してやるつもりでございます。
  454. 上田耕一郎

    ○上田耕一郎君 中東・インド洋の責任分担要求、これも聞きました。
  455. 伊東正義

    ○国務大臣(伊東正義君) これは防衛の問題で、いま役割り分担といいますか、分担要求ということを言われたかもしれませんが、これはもうこの前もお答えをしましたが、憲法でちゃんと個別自衛権ということで限定があるわけでございます。専守防衛ということであるわけでございますので、制約がはっきりしております。そういうできることとできないことはもうはっきり向こうへ言うつもりでございます。
  456. 上田耕一郎

    ○上田耕一郎君 五月の日米会談の最大の問題は、ソ連の軍事脅威に対する認識を一致させて、それに対して西側としてどう対応するか、日本としてどう責任分担するかということで、軍事力増強問題が最大の問題になるということは明白です。アメリカ側は九・七%が七・六%に減ったというので、トリックにかかったと言ってもうかんかんだというので、私は皆さん方が予想されている以上に大規模な、強硬な軍事要求が出てくると思います。  二月二十日に在日米軍司令官のギン氏が、この日本の軍事予算問題について追加補正、これを希望するということを下院軍事委員会の公聴会で述べていますね。補正予算で軍事予算ふやせというような要求が出た場合、断固拒否すると言明できますか。
  457. 伊東正義

    ○国務大臣(伊東正義君) お答えしますが、そのギン司令官の証言というのは、防衛追加の、防衛力強化のための補正予算というようなことを私ら言ったんじゃないと思って見ているんですが、人件費のことで過去において補正予算を組まれたことがあるというようなことでそういうことを言ったんじゃないかと思いますが、いま日本政府に対しては全然そういうことを言われたこともございませんし、これは日本の自主的な判断でやるわけでございますから、いま国会で皆様方に御審議を願っているこの防衛予算で五十六年度はひとつ日本として自主的な防衛力の整備をやるということでございます。
  458. 上田耕一郎

    ○上田耕一郎君 同じく二月二十日ワインバーガー国防長官は、例の最大限の努力ということを述べた。これは具体的には、アメリカの政府筋によれば、日米会談までに八二年度以降の防衛計画を示せということだということなんですが、これは毎日新聞の二月二十一日に大きく出ている。そんなものを持っていくつもりですか。
  459. 伊東正義

    ○国務大臣(伊東正義君) 私、参りますときにそういうふうなものを持っていこうなんて夢にも考えておらぬのでございまして、抽象的に最大限の努力ということがあったことは私もよく知っております。着実、顕著という言葉が出たり、いろんなそういう抽象的な話は出ておりますが、そういうことは、いま八二年までにどうとかというようなことは全然考えておりません。
  460. 上田耕一郎

    ○上田耕一郎君 しかし、たとえば東京新聞の三月十一日付、こう書いてあります、これもトップです。鈴木首相と伊東外相は十日午後、国会内で会談し、アメリカ要望の防衛の役割り分担について協議したと、対応を。それで、来週早々外相は大村防衛庁長官と会談して、今後の防衛力整備に関する方向づけを固めて二十一日からの訪米に臨むということを書いてある。どんな方向づけを来週早々防衛庁長官と外務大臣は今後、つまり来年度以降考えているのですか。
  461. 伊東正義

    ○国務大臣(伊東正義君) その新聞は、これ全然内容が私は違うということをはっきり申し上げます。それは十分ぐらい総理にお会いしましたか、総理とお話ししたことを一々こちらに言わにゃならぬこともないわけでございますけれども、いま御質問でございますからお答えしますけれども、私がアメリカへ行くときの日程、総理の日程、ちょうど前の日マンスフィールドさんの記者会見がありましたのが出ておりましたので、そのことを十分ぐらい総理とお話ししただけでございます。  大村防衛庁長官とのお話、質問でございますが、これは私、向こうへ参りますときに、やはり常識としていろんなことを知っておく必要もございますので、大村防衛庁長官とはお話をしていこうと思っておりますが、そんないま上田さんおっしゃるような大それたことを考えているわけではございません。
  462. 上田耕一郎

    ○上田耕一郎君 これはきょうの東京新聞、これも一面トップです。いまのマンスフィールド大使の例の防空、対潜能力の向上に関連して、日本側原案の全容が明らかになったと書いてある。新システムのバッジXですね、数千億円の規模だと。これは五十七年度予算と直結すると、もう全容まで報道されている。これも事実じゃありませんか。
  463. 伊東正義

    ○国務大臣(伊東正義君) 私は全然知りませんので、軍事知識のことがいまそこに出ておりましたので、防衛庁長官にもお確かめ願えればなおいいと思いますが、私は全然わかりません。
  464. 大村襄治

    ○国務大臣(大村襄治君) お答えします。  バッジの問題は、防衛庁として調査、検討を始めておりますけど、いま御指摘のような具体的な結論が出ているわけではございません。
  465. 上田耕一郎

    ○上田耕一郎君 日本の新聞に、日本側の提案全容その他が規定されることも次々出始めた。  アメリカ側が日本側に何を考えているかということについてのそれを証言した論文が、中央公論のことしの四月号、出たばかりのものです。毎日新聞の前ワシントン特派員で現在カーネギー国際平和財団の上級研究員の古森義久さん、これに、アメリカの制服組から聞いたという、日米会談以後日本の防衛力増強のたたき台になるものだろうと書かれていますが、私言っておきましたが、これはどういうものか、またそれに対する防衛庁の見解をお伺いします。
  466. 大村襄治

    ○国務大臣(大村襄治君) 御指摘の試案なるものは、いまお話のありましたように、米国防省の制服の人が筆者の方に話したものを述べているようでございますが、防衛庁としましては、その真偽は明らかでもございませんし、また米政府の見解をあらわしたものではないから、これに対してコメントすることはこの際差し控えさせていただきたいと思います。
  467. 上田耕一郎

    ○上田耕一郎君 まあ私も自分が聞いたわけじゃありませんが、古森さんのこの論文には、アメリカ側制服組が考えているのは、日本の千六百キロ自主防衛軍建設構想で、千六百キロの範囲のものは数カ月間独力でこれでこたえられると。海軍、それから空軍ですね、海上自衛隊、航空自衛隊、これは二倍にする、現在の規模の。GNP一%から二%までと。憲法はいまのままでよろしいというような物すごいものを彼らは考えているわけですね。大体こういうものが、まあそのままかどうかわかりませんけれども、アメリカ側は相当大きな軍事力増強の計画を持って臨むであろうということは私は確実だと思います。  鈴木首相、何回もこの国会でも言われておりますが、あなたが予想しないような強硬な要求が出ても、憲法その他非核三原則、これを完全に守って自主的に、不当な要求、不当な内政干渉を拒否するということを再度言明してほしいと思います。
  468. 鈴木善幸

    ○国務大臣(鈴木善幸君) 先ほど伊東外務大臣からも申し上げましたように、わが国としてできることとできないことがございます。そういう点は明確にいたしたい、こう思っております。わが国の防衛力の整備の問題は、わが国が自主的に判断をし決める問題でございます。私はいつも繰り返し申し上げて国民の皆さんにも御理解を願っているのでありますが、わが国の防衛は専守防衛に徹する、必要最小限度の防衛力を整備する、近隣諸国に脅威を与えない、軍事大国にはならない、こういう一つの方針に基づきまして、現在、御承知のように、防衛計画の大綱に基づいて着実に防衛力の整備を進めておるということでございまして、私は、いずれの国からどういう申し出がございましても、この日本政府がとっておる方針、また国会を通じて国民の皆さんに明らかにしておるこの方針は堅持してまいる、こういう考えでございます。
  469. 上田耕一郎

    ○上田耕一郎君 核の問題が大きな問題になってくると思うんですが、いま私が言った古森論文にも、アメリカ側の提案には非核三原則のうちの核持ち込み禁止、これは変更してやっぱり持ち込めるようにしようというのが制服組の考えだと書いてあります。国連事務総長も、最近核軍拡、核脅威について膨大な報告を発表されましたけれども、核戦争の脅威ですね、地球全体を覆っている。首相、この脅威についてはどうお考えですか。
  470. 鈴木善幸

    ○国務大臣(鈴木善幸君) わが国は世界における唯一の被爆国でございます。日本国民はこの核の凄惨な本当に恐ろしい惨禍を受けております。したがいまして、国民は挙げて、核は持たない、つくらない、持ち込ませないという非核三原則を堅持していこう、こういう国民的な一つの誓いのもとに政府もこの政策を堅持しておるわけでございます。と同時に、そういう核の悲惨さということを一番よく体験もし、承知しておるわが国といたしましては、核軍縮、これを推進するということをあらゆる機会をとらえてこれを主張し、努力をしてきておるところでございます。私は、米ソの二大核保有国が、公平かつ――公平というのは均衡のとれたということでございますが、そういうバランスの上に立って、これを両国が一定の方向に向かってこの核軍縮というものを推進してもらう、そして世界全体がこの核軍縮の方向に進むということをこいねがい、またそういう国際世論を喚起することにわが国としても努力をしていきたい、こう思っています。
  471. 上田耕一郎

    ○上田耕一郎君 世界で唯一の被爆国の首相として、じゃ核兵器を使うことですね、これに対して賛成ですか、反対ですか。
  472. 鈴木善幸

    ○国務大臣(鈴木善幸君) 私は、核の抑止力ということは、これは現実の問題として、世界の現状から言って、核の抑止力ということは大きな戦争を防止する一つの力になっていると、こう思います。しかし、これが実際に使われるというようなことになれば、これは人類の破滅につながることでございまして、絶対にそういうことは避くべきものである、このように考えています。
  473. 上田耕一郎

    ○上田耕一郎君 レーガン政権の核政策、どう認識していますか。また、それを支持しますか。
  474. 伊東正義

    ○国務大臣(伊東正義君) アメリカの新政権は、ソ連が軍備を増強している、また、第三世界等に拡張、軍備の介入をしているということに対して、非常に危機感といいますか、不安感といいますか、そういうことをもって、まあ力の均衡といいますか、少なくとも力がバランスとれるようにしなけりゃいかぬということが一つの政策になって、恐らく核の抑止力の増強の問題でございますとか、あるいは核兵器の近代化というような問題とかいろいろ私は考えていられる、現実の問題としてあると思うわけでございます。  ただ一方、ソ連との関係につきましては、これはいつでも本当に核軍備の管理あるいは核軍縮ということについて、まじめに減らしていこうということであればテーブルに着くということをレーガン政権もこれは言っているわけでございまして、SALTの今後の交渉の問題その他につきまして一切そういうものはやらぬということじゃなくて、本当にソ連も減らしていくんだというようなことで、そういうまじめな態度で臨むのであればアメリカも臨むと、こういうことを言っているわけでございますから、私はその点はレーガン政権のその政策も支持するということを言っていいと思うのでございます。
  475. 上田耕一郎

    ○上田耕一郎君 ヘイグ国務長官は、米上院外交委員会の公聴会で、必要とあれば核兵器を含むあらゆる手段をとる用意があると言われた。アメリカが核兵器を先に使うことがあり得るという態度についてどう思いますか。
  476. 伊東正義

    ○国務大臣(伊東正義君) これは、先に使うかどうかという問題はそのときの対応になってみなければわからぬわけでございまして、総理がおっしゃったように、核の抑止力ということが、これがいま戦争ということにならぬ一つの抑止力で、まあ脅威の均衡といいますか、そういうことである程度の平和が保たれるということでございますので、先に使うか、それがいいか悪いかというようなことを論評する前に、私は核というものが抑止力になって働いている。それで、そういうものを使うというようなことが本当にないことを希望するということでございます。
  477. 上田耕一郎

    ○上田耕一郎君 しかしアメリカは、通常兵器による攻撃でも核兵器を使うことがあるということを表明していることを御存じですか。
  478. 伊東正義

    ○国務大臣(伊東正義君) お答えしますが、それはやっぱり抑止力としての働きを持っているという意味だと私は考えているわけでございまして、現実の問題としてそういうことが行われるというようなことは、総理のおっしゃるように、本当に人類の破滅にもつながることでございますので、私はそれは抑止力ということで考えているわけでございます。
  479. 上田耕一郎

    ○上田耕一郎君 七七年国連総会で、カーター大統領は、アメリカは自衛の場合以外に使わないと言った。しかしその意味は、アメリカ合衆国及び同盟諸国に核あるいは通常兵器による攻撃が実際に行われた場合以外は使わないと。ただ、アメリカ並びに同盟諸国に通常兵器の攻撃があってもその場合は核兵器を使うということを国連総会で演説したんだ。通常兵器による攻撃でも先に使うと、アメリカ及び同盟国は無制限に事実上使うというそういう政策表明を国連総会でやった。こういう政策支持しますか。
  480. 伊東正義

    ○国務大臣(伊東正義君) 先ほどから申し上げているように、それは核の抑止力としての働きをアメリカが言っただけであって、先にどこにおいてもそういう場合には核を現実の問題として使うというようなことは考えたくないし、あり得べからざることだと私は思うのでございまして、それは抑止力としてアメリカはこういう力、抑止力があるんだということを世界に示したというふうに私は考えるわけでございます。
  481. 上田耕一郎

    ○上田耕一郎君 それでは、外務大臣にお伺いします。  昨年末の国連総会で、日本政府は、核兵器を使わないと、核戦争防止、それを初めとする四つの決議に反対投票をしました。その決議の内容と、なぜ反対したのか、説明してください。
  482. 伊東正義

    ○国務大臣(伊東正義君) 詳細は政府委員から答えますが、去年だけ反対したわけじゃないんです。ずっとここ反対をし、一つは棄権をしたのが、アフガニスタンに対する軍事介入がありましたので反対に回ったのがございますが、大体いままでやっておりましたのは、その決議が特定の国に有利に働くじゃないかというようなことで反対し、あるいはある地域においては通常兵器と核兵器で総合点にバランスがとれていた、それを核兵器だけそこから抜き出して使わないということになると、その地域のバランスが崩れる、かえって不安定になるというようなものもあり、あるいは実現性のないことが出てもそれは賛成すべきものではない。あるいは、特に南アの決議に反対しましたが、それは南アに原子兵器があるという前提で出されたものでございますが、確認もしてないものもあるというようなことで、いろんな理由で反対をした、去年だけの現象じゃないわけでございまして、詳細は政府委員から申し上げますが、そうはいたしましたが、日本としては非核三原則とかいう立場あるいは核の軍縮、包括的な実験禁止の問題とか、そういう実験禁止の条約をつくろうというような具体的な問題から核の問題に入った方がいいじゃないかというような立場をとっているということは変わりないわけでございます。
  483. 賀陽治憲

    ○政府委員(賀陽治憲君) 大臣の御答弁ですでに尽きておりますので、特に申し上げることもないわけでございますが、わが国が反対いたしました四つの決議、そのうち主なもの二つについてやや繰り返しになりまするけれども申し上げますると、核不配備に対する決議というのがソ連提案で出ております。これは核を配備しないということでございまして、これは、核兵器の展開にやっぱり一定の予断を与え、制限を与えるということでございまして、核抑止力の観点から、これは賛成できないということは明白でございます。この点については非核三原則との問題、あるいは検証が大事である。ただソ連の提案の非常にわれわれが不満といたします点は、検証問題に全く触れておりませんで、核不配備の検証をどうするのかという点に触れてない等において欠陥があるわけでございまして、これは賛成をしておりません。反対をしておるわけでございます。  また、インド提案の核不使用に関する決議につきましては、先ほど大臣の御答弁のとおりでございまして、核を使わないということは核兵器の使用に対して一定の予断を与えるわけでございますから、核抑止力の見地からはこれに賛成することはできないということで反対をしておるわけでございます。これは昨年はアフガニスタン等の情勢も踏まえまして反対をしたわけでございます。  あとの二つはやや細かくなりますので、御希望があれば御説明をいたします。
  484. 上田耕一郎

    ○上田耕一郎君 外務大臣ね、ずっと反対していると言うけれども、そうじゃないですよ。いまの核を使わないという決議、これは二年前の七八年総会ではこれは棄権なんですよ。何で今度二年たって反対に変わりましたか。
  485. 伊東正義

    ○国務大臣(伊東正義君) 先ほど私お答えしましたが、一つは棄権だったのが反対したということを申し上げたのでございますが、それは反対に回りましたのは、ソ連がアフガニスタンに軍事介入をした、国際的な緊張がさらに強まったという年の決議でございましたので、それは従来は棄権をしておりましたがその年反対に回ったということで、あくまでそういう外の事情、国際的緊張が高まったということを原因にして反対したのでございます。
  486. 上田耕一郎

    ○上田耕一郎君 国連局長、いまのこの不使用決議ですね、これの賛成、反対、棄権の国の数、それから決議の宣言部分の中身、これを読み上げるか説明かしてください。
  487. 賀陽治憲

    ○政府委員(賀陽治憲君) お答えいたします。  核不使用の決議の投票の詳細でございますが、賛成が百十二票、反対が十九票、棄権が十四票でございます。  中身は、これは御承知と思いますけれども、核軍縮実現までの間核の使用もしくは核使用の威嚇は禁止さるべきであると。
  488. 上田耕一郎

    ○上田耕一郎君 AとB、ちゃんと読んでください。
  489. 賀陽治憲

    ○政府委員(賀陽治憲君) Aは、診兵器使用は国連憲章に対する侵犯であり、人類に対する犯罪であるというのがA項でございます。Bはいま申し上げた文言でございます。
  490. 上田耕一郎

    ○上田耕一郎君 先ほど首相は、核の使用には反対だと、人類の破滅だと言われた。この宣言どこに反対することがあるんですか。国連憲章に違反で、人類に対する犯罪だと。使用は核軍縮達成までの間禁止されるべきだと。なぜこれに反対するんですか。
  491. 伊東正義

    ○国務大臣(伊東正義君) 先ほどから申し上げましたように、日本は非核三原則あるいは核軍縮ということは賛成しているのでございますが、そういう決議はその地域地域によりまして、さっきから申し上げておりますように、通常兵器と核と総合バランスで平和の――
  492. 上田耕一郎

    ○上田耕一郎君 何も書いてないでしょう、そんなこと。
  493. 伊東正義

    ○国務大臣(伊東正義君) いやいや、それは関係の国があるわけでございますから、そういう国になるおそれが多分にありますので、これは日本は従来から反対をしているわけでございます。
  494. 上田耕一郎

    ○上田耕一郎君 従来棄権だったんだ。どうして今度反対になったんだ。
  495. 伊東正義

    ○国務大臣(伊東正義君) それはもう一つだけでございまして、ほかにたくさんあるわけでございます。ということで、棄権が反対に回りましたのは、先ほど言ったように、ソ連がいろいろそういうものは出しますけれども、現実にやっていることはアフガニスタンに対する軍事介入というようなことを実はやっているわけでございまして、そういう情勢のもとで棄権が反対に回ったということでございます。
  496. 上田耕一郎

    ○上田耕一郎君 それはアフガニスタン軍事介入はわれわれも絶対反対ですよ。しかし、核兵器を使わないと、これを禁止しろと、使用を、この決議に対する棄権を反対にするというのは大問題ですよ。核兵器使用に賛成だということになるわけだ。首相、どうですか。先ほどあなたは反対だと言われた、核使用には。
  497. 賀陽治憲

    ○政府委員(賀陽治憲君) お答えいたします。  上田委員のお言葉でございますけれども、この決議は核兵器を使用しないということを、その威嚇を禁ずるということでございますが、核抑止力を前提とする場合においては、核使用を一切の場合に禁止するということは、核抑止力とは両立いたさない概念でございますから、わが国を初め、地域的な防衛機構において国の安全を図っておるという国々にとっては、これは反対投票するのは自然の姿だと私どもは考えております。
  498. 上田耕一郎

    ○上田耕一郎君 私はこれは重大問題だと思うんです。  国会決議で核兵器使用に反対するという決議があると思いますが、どこにありますか。
  499. 賀陽治憲

    ○政府委員(賀陽治憲君) お答えいたします。  私の承知しております限りにおいては、そのような核兵器不使用をはっきりいたします決議というのは、私は寡聞にして承知しておりません。
  500. 上田耕一郎

    ○上田耕一郎君 じゃ核兵器の使用に反対しという言葉をはっきりうたってある決議は御存じですか。
  501. 賀陽治憲

    ○政府委員(賀陽治憲君) この点はひとつ明確に区別して考える必要があるわけでございまして、核を一切の場合に使用しないということと、核を使用しないことが望ましいということは、これは明確に区別していままでも御答弁が行われておるのではないかと思います。
  502. 上田耕一郎

    ○上田耕一郎君 一番新しい決議として、参議院で昭和四十九年五月二十七日、インドの地下核実験に抗議する決議、これは全党共同提案で満場一致です。この中の最後の部分、どういう内容ですか。
  503. 賀陽治憲

    ○政府委員(賀陽治憲君) これは、インドの核実験について私は手持ちがございませんので、早速私としては調べる必要があると思いますけれども、それは核実験に対する反対の意向を表明したものではないかと思いますが、いかがでございましょうか。
  504. 上田耕一郎

    ○上田耕一郎君 ちょっと調べてきなさいよ。国連で国会決議と違う行動をとられてはかなわないんだから。
  505. 賀陽治憲

    ○政府委員(賀陽治憲君) それは明らかに核実験に対する反対の決議でございましょうか。
  506. 上田耕一郎

    ○上田耕一郎君 だから、調べてすぐ取り寄せなさいよ。
  507. 賀陽治憲

    ○政府委員(賀陽治憲君) はい。
  508. 木村睦男

    ○委員長(木村睦男君) 上田君、質問を続けてください。
  509. 上田耕一郎

    ○上田耕一郎君 いや、だめですね。国会決議も知らないでよく国連局長やりますな。それであの決議に反対させているんだから、核兵器使用に。
  510. 木村睦男

    ○委員長(木村睦男君) 国会の決議でございますから調べればすぐわかることですから、その間質問は続行してください。
  511. 上田耕一郎

    ○上田耕一郎君 だからすぐやらせてください。この問題で質問しているんだからだめですよ。できない、できない。この問題で責任追及しているんだから、国会決議じゅうりんだと。国権の最高機関の院の決議ですよ。それを国連局長が知らない。それで国連大使が、核兵器を使わないという決議にこの間まで棄権だったのが今度は反対だと。とんでもないことですよ。ちゃんと早く取り寄せて、何と書いてあるか。重大問題ですよ。
  512. 賀陽治憲

    ○政府委員(賀陽治憲君) 決議の方はただいま早速調査いたしますが、上田委員にもう一回ひとつ御説明させていただきますけれども、核兵器の不使用ということと、核実験に対する反対とかあるいは核兵器が使用されることが望ましくないということは区別しておるわけでございまして、国連における投票におきましても、先ほども申し上げました投票数が示しますように、核抑止力に依存する地域的な取り決めに参加しておる国は全員これに反対をしておるわけでございます。それから、二年前の決議で棄権であったというお話でございますが、これは先ほど大臣が御説明いたしましたように、国際情勢ということもこれはやっぱり判断の材料になっておる、こう申し上げざるを得ないのではないかと思います。(「議事進行」と呼ぶ者あり)
  513. 木村睦男

    ○委員長(木村睦男君) 上田君、いま調べに行っておりますが、その間質疑を続行してください。
  514. 上田耕一郎

    ○上田耕一郎君 いや、だから、この問題で聞いているんだからちゃんと確認してください。
  515. 木村睦男

    ○委員長(木村睦男君) 速記をとめて。    〔速記中止〕
  516. 木村睦男

    ○委員長(木村睦男君) 速記を始めて。
  517. 上田耕一郎

    ○上田耕一郎君 御本人が核兵器使用問題について触れた決議がないとおっしゃるので、今度国連総会で核問題で四十四核関係の決議出たんですから、それを指導する局長が国会決議もよく知らないで、これを私は大問題と思って、私は持っているけれども、ぜひと言いましたが時間の問題がありますので読み上げます。  決議の最後のところ、「政府は、本院の主旨をたいし、すべての国の核兵器の製造、実験、貯蔵、使用に反対しことなっているんですね。「全面的な禁止協定が締結されるよう努めるとともにこというふうになっております。「使用に反対し、」なんですよ、核兵器使用に反対し、この「使用に反対しこという満場一致の国権の最高機関の国会決議に対するじゅうりんじゃありませんか。わが国が、国連総会で核兵器の使用を禁止すると、これに対して反対投票を、二年前棄権が今度は反対投票でしょう。禁止する必要ないと、使っていいという態度じゃありませんか。どうですか。私はこれは取り消すべきだと思うんです。国会決議じゅうりんですよ。
  518. 賀陽治憲

    ○政府委員(賀陽治憲君) 国連決議の中身を非常にしさいに吟味する必要があるわけでございます、これは……
  519. 上田耕一郎

    ○上田耕一郎君 しさいに吟味しました、私は。
  520. 賀陽治憲

    ○政府委員(賀陽治憲君) そこで核不使用に賛成しておりません国は、これは国連憲章で認められておりますところの地域的な安全保障の取り決めと、そういったものの参加国でございます。そういった国は全部いわゆる核の不使用には反対をしておるという実情でございます。日本も現在の状況においては……
  521. 上田耕一郎

    ○上田耕一郎君 ワルシャワ条約機構これ全部賛成ですよ。
  522. 賀陽治憲

    ○政府委員(賀陽治憲君) ええ。
  523. 上田耕一郎

    ○上田耕一郎君 非同盟諸国とワルシャワ条約機構。
  524. 賀陽治憲

    ○政府委員(賀陽治憲君) 非同盟諸国がなぜそれじゃ賛成するかということでございますが、これはきわめて簡明な理由でございまして、地域的な安全保障に加わっていないということでございます。
  525. 上田耕一郎

    ○上田耕一郎君 私は納得いきません。  首相は先ほど核兵器の使用は人類の破滅だと、反対だと言われた。国会も何回も決議している。それをいまのような三百代言で国連で唯一の被爆国が核兵器使用禁止の――核兵器の使用は国連憲章に対する違反及び人類に対する犯罪である、この決議に反対という態度、何事ですか。私はこれは納得いかない。明確な見解を出してください、統一見解を。
  526. 伊東正義

    ○国務大臣(伊東正義君) 先ほどから申し上げますように、いままではそれは棄権をしたことは御承知の……
  527. 上田耕一郎

    ○上田耕一郎君 アフガニスタンと関係がないんですよ、これ。
  528. 伊東正義

    ○国務大臣(伊東正義君) ですから棄権をしたわけです。それに賛成とは言っていなかったわけです。棄権ということで消極的な意思表示をしたことでございますが、しかし、これは国際情勢と非常に関係のあることでございますので、その後いまのアフガンの問題が出ましたので、日本としましては……
  529. 上田耕一郎

    ○上田耕一郎君 アフガンと関係ないんですよ、関係ない。
  530. 伊東正義

    ○国務大臣(伊東正義君) 反対に回ったのでございます。国際情勢と非常に関係があるわけでございます、これは。非常に関係のあることでございまして、東欧のワルシャワの方が賛成したり、NATOの方に入っている方が反対したりということで、国際情勢には非常に関係のある決議でございますので、そういう情勢が起きましたので、日本は反対に回ったということでございますので、これは事情はそういうことでございます。
  531. 鈴木善幸

    ○国務大臣(鈴木善幸君) 私は、世界全体が核を使用しない、核戦争は人類の破滅につながるということで、世界全体が、いずれの国もそうあるべきだということを私は主張しておるわけでございます。  ただ、上田さん、そこで私は申し上げるんですが、いろいろ自分の方に都合がいいとか、そういう計算づくでそういう提案をしたり、そういうようなことであると、私どもは、前段に申し上げたように、核の抑止力で世界の平和安定が保たれておるという現実、そういう面からいたしまして、この場面は使用禁止を唱えた方が自分らにとっては有利であるとか、そういう計算づくでやっているものに、一々こっちが乗っていったらえらいことになる。(拍手)私はそうだと思いますよ。だから、文書を見ればそのとおりであっても、その底流にあるものをやはり外交をやっている以上は読み取らにゃいかぬ、こういうことですよ。もうあなたも日本国の国民全体の幸せを願って、こうして一緒に日本の政治をやっているんですから、その辺のことはひとつ、眼光紙背に徹する上田さんとしてはよく読み取っていただきたい。
  532. 上田耕一郎

    ○上田耕一郎君 つまり、どこが提案するかということによって、じゃ政府は国連での投票をいろいろやるというんですか。  それで、今度調べてみますと、この四つの決議に対して、つまりNATO諸国、ANZUS諸国、これと日本なんですよ、十八、十九という数は。つまり、アメリカなど核兵器保有国と唯一の被爆国で非核三原則を持っている日本が、全く同じ投票を今度やったということなんですよ。アメリカ、先に核兵器使うと言っているようなアメリカと全く同じでやったと、私はこれは大問題で、日本の国民に対する挑戦だと思いますが、これ以上押し問答してもしようがないので、今後さらに重大問題として追及します。  さて、その次の問題ですけれども、わが党が今国会で追及し始めました岩国の核兵器の持ち込みの疑惑の問題ですね、コマー次官の。アメリカ側回答の内容を説明していただきたいと思います。
  533. 伊東正義

    ○国務大臣(伊東正義君) お答えしますが、岩国の問題につきましては照会がございましたので、アメリカ側にこちらもすぐ照会して、向こうから返事をもらっておりますので、返事につきましては政府委員から御答弁を申し上げます。
  534. 淺尾新一郎

    ○政府委員(淺尾新一郎君) お答えいたします。  先般、衆議院の方で御質問ございました一つの点、MWWU1、これはすでに回答が参りまして、衆議院の方で御説明申し上げたとおりでございます。その後、東中議員の方から岩国の「核兵器安全管理運用規定」について御質問がございました。それに対するアメリカ側の回答を申し上げます。まず、   標準運用手続が記載されているウィング・ブレティン五二一五は、如何なる指示書及び規則書が現に効力を有するかを航空団の中すべての部隊に熟知せしめるために第一海兵航空団司令官により六カ月毎に発出されているものである。   また、標準運用手続は、核兵器の取り扱いに当たって安全を確保する上で守るべき規準及び手続を定めている指示書である。何よりも安全が重要であるので、核兵器を取り扱う能力を有するすべての要員にとって、かかる手続を熟知していることは必須である。   しかしながら、これまで一貫して述べてきたとおり、能力を有することと実際に核兵器が存在することとは全く別個の問題である。 というのが回答であります。
  535. 上田耕一郎

    ○上田耕一郎君 この岩国についてのアメリカ側回答で、いかなる場所に核兵器が存在するかしないかとの点についての米国の立場、及び米国安保条約及び関連取り決めのもとにおける日本に対する誓約を忠実に守ってきているとのアメリカの声明、これはよく知られていると書いてあるんですが、このアメリカの立場並びにアメリカの声明というのはどうもわからぬのだが、説明してください。どういう意味ですか。
  536. 淺尾新一郎

    ○政府委員(淺尾新一郎君) まず核がどこに存在するか否か、これについてはアメリカは公にしておりません。なぜならば、それはアメリカの核抑止力に関する問題であるからでございます。  それから第二点の、それならばいわゆる安保条約のもとにおける事前協議の事項、すなわち核の問題についてアメリカは事前協議の事項を守るということについては、まず第一に岸・ハーターの声明の中にございます。第二には、沖縄返還の際にこの日本側の立場についてアメリカは背馳するものではないというのがございます。それからさらにフォード・三木その他歴代の内閣において、同じようにアメリカは安保条約に基づいている制約を忠実に守るというのが随時声明されております。
  537. 上田耕一郎

    ○上田耕一郎君 一つも核兵器は持ち込んでないということは書いてないじゃないですか。
  538. 淺尾新一郎

    ○政府委員(淺尾新一郎君) 御承知のとおり、安全保障条約及び地位協定に基づきまして米軍の重要なる装備の変更、これはその対象となるものは核弾頭さらに中長距離ミサイルの持ち込み、さらに建設ということが日米間で合意されております。それに基づいてアメリカ側はこの日米間の交換公文あるいは約束に基づく点を忠実に実施しているということでございまして、事前協議なくして日本に核を討ち込まないということからアメリカの立場というものはおのずから明らかになっておるものでございます。
  539. 上田耕一郎

    ○上田耕一郎君 ちょっと資料を配付させていただきたいのですが――資料の配付を許可を願いたい。
  540. 木村睦男

    ○委員長(木村睦男君) はい、わかりました。    〔資料配付〕
  541. 上田耕一郎

    ○上田耕一郎君 お配りした資料の(1)がわが党の訪米調査団が得たダニエル・エルズバーグ博士の証言です。下段の真ん中あたりに書いてありますけれども、岩国基地に五九年から六三年まで海兵隊パイロットとして勤務していたスペナード大尉、ファントムとスカイホークが核兵器を積んでいると、六一年五月のラオス危機の際、スペナード大尉みずから自分の飛行機に核兵器を積み込んだということを述べている。これはエルズバーグ博士がスペナード大尉からみずから聞いたことであります。こうした責任ある証言を否定できますか。
  542. 伊東正義

    ○国務大臣(伊東正義君) お答え申し上げますが、核の持ち込みの問題は、先ほどから御説明しましたように、事前協議のこれは対象になっておることはもうはっきりしているわけでございまして、アメリカと日本の関係の安保体制の運用というのは、これはお互いの信頼関係に基づいてやっておるわけでございまして、まだ一回も事前協議の対象として相談を受けたことはございませんので、私どもはアメリカのいままで事前協議がないということを信頼しているわけでございますので、先生せっかくでございますが、私どもはそういう考えでやっております。
  543. 上田耕一郎

    ○上田耕一郎君 核兵器の定義ですね、これは政府はどう考えておりますか。
  544. 岡崎久彦

    ○政府委員(岡崎久彦君) 人を殺傷する目的で核爆発を利用する兵器だと、さように心得ております。
  545. 上田耕一郎

    ○上田耕一郎君 じゃ、組み立てる前の核兵器の部品ですね、いわゆるコンポーネント、これも核兵器とみなしていいんですか。
  546. 岡崎久彦

    ○政府委員(岡崎久彦君) 部品だけでなく、核、非核両用の武器あるいは部品いろいろございますけれども、これは核兵器ではございません。
  547. 上田耕一郎

    ○上田耕一郎君 アメリカでは核兵器及びコンポーネントと言うんですけれども、核兵器のコンポーネント、これ、じゃあ持ち込み禁止の対象としていないんですか、核兵器とみなさないと言うのなら。
  548. 淺尾新一郎

    ○政府委員(淺尾新一郎君) 先ほど御答弁申し上げましたように、安保条約のもとで日米間に合意している米軍の重要な装備、その核については、先ほど申し上げましたように、核弾頭及び中長距離ミサイルの持ち込みとその建設と、こういってとでございます。
  549. 上田耕一郎

    ○上田耕一郎君 コンポーネントの持ち込みは禁止されていないんですか。
  550. 淺尾新一郎

    ○政府委員(淺尾新一郎君) ただいま申し上げましたように、核弾頭そのものでなければ、コンポーネントそれ自身は、防衛庁政府委員から御答弁がございましたように、非核両用ということもございますし、明らかになっているのは核弾頭そのものでございます。
  551. 上田耕一郎

    ○上田耕一郎君 非常に重大です。  ここに資料の(3)がありますが、「対公共活動の規則」、これはアメリカの海軍省の文書ですが、この四百十一ページにニュークリア・ウエポンズ・オア・コンポーネンツというところがあって、翻訳してあります。「核兵器又は構成部分」、「いかなる艦船、基地もしくは航空機にあるものでも、核兵器又は構成部分(コンポーネンツ)の存在を肯定も否定もしないことは、アメリカ政府の確固たる政策」。アメリカ政府が肯定も否定もしないのに、診兵器オア・コンポーネンツとはっきり言っている――日本政府は違って、コンポーネントは持ち込み禁止の対象にしていないんですね。重大問題。改めて外務大臣、どうですか。
  552. 伊東正義

    ○国務大臣(伊東正義君) 核兵器の非常に技術的な問題でございますので、政府委員の方から答弁します
  553. 岡崎久彦

    ○政府委員(岡崎久彦君) 沖縄及び岩国にございます米国の武器の中には、核、非核両用のものは幾らでもございます。たとえば八インチのハウザーであるとかあるいは百五十五ミリのハウザーであるとか、これは核、非核両用でございます。これはある意味ではそれはコンポーネントに該当すると思われますし、それからまたその在日米軍のものがそういう技術を持っているということは、これは技術あるいはそのための訓練を行っているということは、これは核の持ち込みとは関係ない話でございまして、いずれにしてもわが国には核はないわけでございますから、これがそういうものがあったからといって核があるということとは全く別な話でございます。
  554. 上田耕一郎

    ○上田耕一郎君 核、非核両用のことを言ってる、運搬手段その他を言っているのじゃなくて、核弾頭そのものをまだ組み立てる前の――組み立てれば核弾頭になる、核兵器になる――組み立てる前のコンポーネンツ、構成部分、これは持ち込み禁止の対象にしないんですか。
  555. 岡崎久彦

    ○政府委員(岡崎久彦君) 持ち込み禁止の問題は、これは外務省の問題でございますけれども、これは要するに核兵器であるかどうかの問題でございます。これは核弾頭を持っていない限り核兵器でございません。
  556. 上田耕一郎

    ○上田耕一郎君 お渡しした資料の(2)、これは岩国基地の反戦米兵の機関紙「センパー・ファイ」、七五年九月三十日付の手記で、私どもが初めて全文翻訳して皆様方にお渡ししました。全文翻訳は本邦初公開ですが、この六ページ、この六ページに、この兵士は岩国で試験を受けるわけです。それで核兵器――例の要員ですね、これに落第するわけだ。落第した兵士ですけれども、ここに書いてある。「MWWUで働いたことのある連中は私に、〔核兵器の〕部品(コンポネンツ)がそこに貯蔵されている、つまり〔核〕爆弾そのものはないが、核爆弾を組み立てることのできる部品(パーツ)は貯蔵されている、と私に教えてくれる。」ということになっている。MWWUはこの核兵器を組み立てる部隊だと思いますけれども、いかがですか。
  557. 淺尾新一郎

    ○政府委員(淺尾新一郎君) これは先般来御説明しておりますように、MWWUという部隊は核兵器及び化学兵器を整備する部隊でございまして、アメリカ側の回答の中に、さらにつけ加えて同部隊は核兵器の貯蔵及び搭載の責任を有しないという非常に明確な回答が来ております。
  558. 上田耕一郎

    ○上田耕一郎君 その整備能力には組み立てる、アセンブリー、これも入るんじゃないですか。
  559. 淺尾新一郎

    ○政府委員(淺尾新一郎君) もちろん整備の中にはそういうことも入ると思いますが、同時にアメリカ側の回答は、繰り返して恐縮になりますけれども、そういう整備をする能力を持っていることと、核そのものが存在するというのは別個であるというのもアメリカ側から明確に回答が来ております。
  560. 上田耕一郎

    ○上田耕一郎君 資料(4)を見てください。これがこの原文です。アメリカ海兵隊の教範、「兵站作戦と要員支援」という本で、これが七〇年版と七三年版があります。七三年版、新しいところは、ここに、下段にありますが、MWWUということを書いてあるんですけれども、七〇年版、三年前はちょっと名前が違っているんですね。海兵戦術支援組み立て班、アセンブリーチーム、そういう名前になっている。七〇年には組み立て班という名前だったのが、いまMWWUということになっているんですね。だから、この岩国にあるチームは整備能力の中に組み立て能力があるという程度じゃないんです。組み立てそのものが主な仕事になっているチームだと、そうわれわれは考えます。  もう一つ資料を挙げます。資料(5)を見てください。資料(5)には、このMWWUの海軍訓練課程それそのものがあります。英文はその次のページに挙がってありますけれども、ここに海兵兵器組み立て班、これがその課程の名前なんです。彼らの訓練の名称、名前は海兵兵器組み立て班、つまり核兵器のコンポーネントを岩国に持ち込んでおいていざというときに組み立てるんですよ。それで核兵器にするんですよ。スペナード大尉のように、いざというときに自分の飛行機に積み込んで飛び立つんですよ。否定する根拠がありますか。われわれは全部調べてこの資料を提供しました。
  561. 淺尾新一郎

    ○政府委員(淺尾新一郎君) 先ほどから御答弁しておりますように、アメリカ側も私たちの理解も同じでございますが、整備する能力と核の存在とは別個であるということと、それから岩国のMWWUについては貯蔵及び搭載の責務を有しないということを言っておりますんで、その点から非常に明確ではないかと思います。
  562. 上田耕一郎

    ○上田耕一郎君 こういうふうに否定しますので、やっぱり現場へ入って調査する以外にないんですよ、コンポーネントがあそこにあるかどうかを。それが岩国、山口の知事みんな非常に深刻な不安を持ってこの問題を見詰めている。外務省は先ほどから岸・ハーター交換公文その他のことを言いますけれども、じゃ核兵器のコンポーネントの持ち込み禁止の問題がですね、持ち込み問題が安保条約や関連取り決め、交換公文、藤山・マッカーサー口頭了解、どこに書いてありますか。コンポーネント持ち込み禁止、書いてないでしょう。
  563. 淺尾新一郎

    ○政府委員(淺尾新一郎君) コンポーネントについては安保条約及び交換公文には何ら規定ございません。先ほど私が申し上げましたように交換公文の対象はあくまでも米軍の重要な装備の変更、その内容は核弾頭及び中長距離ミサイルの持ち込み及び建設ということでございます。
  564. 上田耕一郎

    ○上田耕一郎君 時間がないので少し走りましたけれども、事の重大性を皆さん方もお気づきだと思います。「センパー・ファイ」という反戦米兵の機関紙で書かれているように、岩国の核基地には核兵器そのものではなくて組み立てれば核兵器になるようなコンポーネントが分かれてしまってあるんですよ。その疑惑がきわめて大きいんです。戦域核部隊というのは前戦配備で、実戦即応で、いざとなればすぐ使えるようじゃなければだめなわけです。遠くから運んできたんじゃ間に合わない。沖縄、岩国のF15だとかあるいはスカイホークだとかこういう核爆弾を積める飛行機のために、いざとなればすぐ組み立てられるようにコンポーネントが置いてあって、組み立てチームがいるんですよ、MWWUという。それで、しかも外務省の従来答弁によれば、コンポーネントというのは核兵器と認めていないと。藤山・マッカーサー口頭了解あるいは交換公文でもコンポーネントなんでいうことば書いてありませんと言うんだから。じゃ岩国に核兵器のコンポーネント、組み立てればすぐにも核兵器になるようなそういうものが配備されている疑惑はきわめて大きいじゃありませんか。それが入っていても安保条約違反にも何もならないと。コンポーネントもあそこにないと明確に証言できる根拠を政府はお持ちですか。
  565. 伊東正義

    ○国務大臣(伊東正義君) 核兵器については、いまもお述べになりますように藤山・マッカーサー間で交換公文があり、了解があって、中長距離のミサイルと核弾頭ということが核兵器だということで話してあるわけでございまして、私どもは前から申し上げますように、核兵器の持ち込みはないということでもう信じておるわけでございます。あり得ないということでやっております。  それで、あれは四月二十二日でございましたか、共産党からも岩国へ何か視察へおいでになるということで、これは外務省からアメリカ軍の方へも話して、視察においでになりますから、またそこでよくお話しになれば結構だと思いますが、われわれはもうないということでやっております。
  566. 木村睦男

    ○委員長(木村睦男君) 上田君時間が参りました。時間が参りました。
  567. 上田耕一郎

    ○上田耕一郎君 もうあと一、二問で終わりますけれども、この藤山・マッカーサー口頭了解だとか岸・ハーター交換公文というのはいまからもう二十年も前のものなんです。戦術核兵器なんて全然進歩していないときです。藤山さん自身がそんなことを余り考えてなかったと言っているわけです。コンポーネントのことも書いてない。トランジット機構の問題も書いてない。あるいは中継のことも書いてない。領空、領海通過一切書いてないでしょう。ところが、二十年の間にこれだけ大問題になっているんだから、アメリカとの間に藤山・マッカーサー口頭了解にかわる、その後二十年間の核兵器のこれだけの大きな発達……
  568. 木村睦男

    ○委員長(木村睦男君) 上田君、時間が参りましたからやめてください。
  569. 上田耕一郎

    ○上田耕一郎君 ヨーロッパには七千発、アジア、太平洋には三千五百発の戦術核兵器が置かれていると言われているんです。これに対応するような新しいアメリカ政府との取り決め、これを私はつくるべきだと思うんです。そうでなければ、非核三原則なんて言っていても持たず、つくらず、確かめず、そういうことになりかねないのですね。この問題について外務大臣並びに首相に、アメリカとの間で日米関係の取り決めを……
  570. 木村睦男

    ○委員長(木村睦男君) 上田君、時間が参りましたから……。
  571. 上田耕一郎

    ○上田耕一郎君 明確に相談するかどうか、この点について答弁を求めます。
  572. 伊東正義

    ○国務大臣(伊東正義君) 御意見はよく承りましたが、いま向こうへ行きましてそういうことを議題にして取り決めをするということは考えておりません。
  573. 木村睦男

    ○委員長(木村睦男君) 以上で上田君の総括質疑は終了いたしました。  本日の質疑はこの程度にとどめます。  明後十六日は午前十時から委員会を開会することとし、これにて散会いたします。    午後六時四十一分散会