運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1979-05-30 第87回国会 参議院 決算委員会 5号 公式Web版

  1. 昭和五十四年五月三十日(水曜日)    午後二時九分開会     ―――――――――――――    委員の異動  五月二十九日     辞任         補欠選任      野末 陳平君     森田 重郎君  五月三十日     辞任         補欠選任      河本嘉久蔵君     高平 公友君      藤川 一秋君     田代由紀男君      田代富士男君     塩出 啓典君      安武 洋子君     小巻 敏雄君     ―――――――――――――   出席者は左のとおり。     委員長         寺田 熊雄君     理 事                 岩崎 純三君                 楠  正俊君                 寺下 岩蔵君                 降矢 敬雄君                 野口 忠夫君                 和泉 照雄君     委 員                 伊江 朝雄君                 石本  茂君                 岩上 二郎君                 北  修二君                 世耕 政隆君                 田代由紀男君                 高平 公友君                 永野 嚴雄君                 長谷川 信君                 降矢 敬義君                 増岡 康治君                 穐山  篤君                 佐藤 三吾君                 丸谷 金保君                 安永 英雄君                 黒柳  明君                 塩出 啓典君                 田代富士男君                 沓脱タケ子君                 小巻 敏雄君                 三治 重信君                 喜屋武眞榮君                 森田 重郎君                 秦   豊君    国務大臣        内閣総理大臣   大平 正芳君        大 蔵 大 臣  金子 一平君        運 輸 大 臣  森山 欽司君        郵 政 大 臣  白浜 仁吉君        建 設 大 臣  渡海元三郎君        国 務 大 臣        (国家公安委員        会委員長)    澁谷 直藏君        国 務 大 臣        (内閣官房長        官)       田中 六助君        国 務 大 臣        (防衛庁長官)  山下 元利君        国 務 大 臣        (国土庁長官)  中野 四郎君         ―――――        会計検査院長   知野 虎雄君         ―――――    政府委員        内閣総理大臣官        房会計課長兼内        閣参事官     京須  実君        総理府人事局長  菅野 弘夫君        警察庁長官官房        長        山田 英雄君        警察庁長官官房        会計課長     城内 康光君        警察庁刑事局保        安部長      塩飽 得郎君        行政管理庁長官        官房会計課長   田代 文俊君        防衛庁経理局長  渡邊 伊助君        防衛庁装備局長  倉部 行雄君        防衛施設庁長官  玉木 清司君        経済企画庁長官        官房会計課長   及川 昭伍君        科学技術庁長官        官房会計課長   劒持 浩裕君        環境庁長官官房        会計課長     神戸 芳郎君        沖繩開発庁総務        局長       亀谷 礼次君        沖繩開発庁総務        局会計課長    宮島  茂君        国土庁長官官房        長        河野 正三君        国土庁長官官房        会計課長     佐藤 毅三君        国土庁地方振興        局長       佐藤 順一君        法務大臣官房会        計課長      石山  陽君        外務大臣官房会        計課長      後藤 利雄君        外務省アジア局        次長       三宅 和助君        外務省経済局次        長        羽澄 光彦君        外務省経済協力        局長       武藤 利昭君        大蔵大臣官房日        本専売公社監理        官        名本 公洲君        大蔵省主計局次        長        吉野 良彦君        大蔵省理財局次        長        吉本  宏君        大蔵省理財局次        長        迫田 泰章君        文部大臣官房会        計課長      西崎 清久君        厚生大臣官房会        計課長      加藤 陸美君        農林水産大臣官        房経理課長    江上 幸夫君        通商産業大臣官        房会計課長    安田 佳三君        運輸大臣官房会        計課長      熊代  健君        運輸省鉄道監督        局長       山上 孝史君        運輸省自動車局        長        梶原  清君        郵政大臣官房電        気通信監理官   寺島 角夫君        郵政大臣官房電        気通信監理官   神保 健二君        郵政省経理局長  河野  弘君        労働大臣官房会        計課長      増田 雅一君        建設大臣官房長  粟屋 敏信君        建設大臣官房会        計課長      永田 良雄君        建設省計画局長  丸山 良仁君        自治大臣官房会        計課長      大嶋  孝君    事務局側        常任委員会専門        員        道正  友君    説明員        警察庁警備局参        事官       柴田 善憲君        会計検査院事務        総局次長     東島 駿治君        会計検査院事務        総局第一局長   岩井  毅君        日本専売公社総        裁        泉 美之松君        日本国有鉄道総        裁        高木 文雄君        日本電信電話公        社総裁      秋草 篤二君     ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○昭和五十年度一般会計歳入歳出決算、昭和五十  年度特別会計歳入歳出決算、昭和五十年度国税  収納金整理資金受払計算書、昭和五十年度政府  関係機関決算書(第八十回国会内閣提出)(継  続案件) ○昭和五十年度国有財産増減及び現在額総計算書  (第八十回国会内閣提出)(継続案件) ○昭和五十年度国有財産無償貸付状況総計算書  (第八十回国会内閣提出)(継続案件) ○昭和五十二年度一般会計予備費使用総調書及び  各省各庁所管使用調書(その2)(内閣提出、  衆議院送付) ○昭和五十二年度特別会計予備費使用総調書及び  各省各庁所管使用調書(その2)(内閣提出、  衆議院送付) ○昭和五十二年度特別会計予算総則第十一条に基  づく経費増額総調書及び各省各庁所管経費増額  調書(その2)(内閣提出、衆議院送付) ○昭和五十三年度一般会計予備費使用総調書及び  各省各庁所管使用調書(その1)(内閣提出、  衆議院送付) ○昭和五十三年度特別会計予備費使用総調書及び  各省各庁所管使用調書(その1)(内閣提出、  衆議院送付) ○昭和五十三年度特別会計予算総則第十一条に基  づく経費増額総調書及び各省各庁所管経費増額  調書(その1)(内閣提出、衆議院送付) ○昭和五十二年度一般会計国庫債務負担行為総調  書(内閣提出) ○昭和五十二年度特別会計国庫債務負担行為総調  書(内閣提出) ○昭和五十三年度一般会計国庫債務負担行為総調  書(その1)(内閣提出) ○昭和五十一年度一般会計歳入歳出決算、昭和五  十一年度特別会計歳入歳出決算、昭和五十一年  度国税収納金整理資金受払計算書、昭和五十一  年度政府関係機関決算書(第八十四回国会内閣  提出) ○昭和五十一年度国有財産増減及び現在額総計算  書(第八十四回国会内閣提出) ○昭和五十一年度国有財産無償貸付状況総計算書  (第八十四回国会内閣提出)     ―――――――――――――
  2. 寺田熊雄

    ○委員長(寺田熊雄君) ただいまから決算委員会を開会いたします。  まず、委員の異動について御報告いたします。  昨二十九日、野末陳平君が委員を辞任され、その補欠として森田重郎君が選任せられました。     ―――――――――――――
  3. 寺田熊雄

    ○委員長(寺田熊雄君) 昭和五十年度決算外二件を議題といたします。  本日は、内閣総理大臣に対する質疑を行います。  総理に対する質疑時間等につきましては、理事会におきまして協議し、各質疑者に御通知申し上げたとおりでございます。大変窮屈な時間でございますが、質疑をされる方並びに答弁をされる総理大臣の御協力をお願いいたします。  それでは、これより質疑に入ります。  まず、私が、各会派の御了解を得て、委員会を代表し、総理に対し御質問いたします。  それは、会計検査院の権限強化についてであります。  申すまでもなく、会計検査院は憲法上の独立機関であり、各省各庁の決算に対する検査によって、予算や財政投融資等の国家資金の違法、不当の支出をやめさせるとともに、その効率的使用を確保せんとする機関であります。  ところが最近は、諸般の国民的要請から、国の財政規模はきわめて大きなものとなり、民間企業の育成、援助に関する支出も次第に多額なものとなってまいりました。それゆえ、このようにさまざまな形で政府に預託され、あるいは支払われた庶民の零細な資金より成る財政投融資資金が、政府関係機関を通じ民間へ投融資せられた場合、これらの資金が、投融資される目的に沿って効率的かつ適正に使用されているかどうかは、監督官庁のみの関心事ではなく、この点の検証は会計検査院に託された重大な任務の一つでもあろうと考えるのであります。  これらの任務を推進するため、会計検査院の権限強化につきましては、昭和五十二年及び五十三年に、衆議院において二回にわたり、また、昨年は参議院において同趣旨の内閣に対する警告が行われたのであります。それらの警告を受けて、会計検査院では、去る昭和五十三年七月二十五日、検査官会議において、会計検査院法の改正を行うことを決定し、以後、これをもって政府の関係省庁との調整に努めてまいったのでありますが、事務段階の折衝ではその調整が円滑にいかず、政治的決断にまつ段階に来ております。  右に述べた会計検査院の権限強化のための法改正につきましては、野党の多くが賛成しておりますが、自由民主党としてはいまなお検討中であると聞いております。  以上の経緯にかんがみ、会計検査院の権限強化のための法改正について、政府の代表者である総理の御見解をお伺いいたします。
  4. 大平正芳

    ○国務大臣(大平正芳君) 会計検査院の権限強化の問題につきましては、検査院自体が関係方面との調整に努めておられると承っておりますが、まだ十分な調整がついていない段階にあると聞いております。この問題は、内閣から独立した機関の権限をどうするかという問題でございまして、国会にとりましても、政府にとりましても、立法政策上重要な問題であると承知いたしております。したがって、慎重に検討されるべき問題であろうかと考えております。
  5. 寺田熊雄

    ○委員長(寺田熊雄君) 重ねて御質問いたしますが、総理におかれましても、会計検査院の権限強化については御異議がないことと存じますが、いかがでしょうか。
  6. 大平正芳

    ○国務大臣(大平正芳君) ただいまの現実の会計検査の状況、まあ現行制度の運用で事が十分足りるものなのかどうなのかというような検討がいろいろ行われておるのではないかと思うのでございまして、どうしても現行制度ではいけないということになりますならば、政府としても考えなければならぬことになろうかと思いますけれども、私のところにはまだそういった部内の検討の結果が参っておりませんので、いま委員長にお答えするだけの用意がございません。
  7. 寺田熊雄

    ○委員長(寺田熊雄君) この問題につきましては、当院におきまして、前内閣総理大臣の福田さんから、野口委員の御質問にお答えになりまして、会計検査院の御提案を待って慎重に検討するという御答弁がすでになされております。会計検査院の御提案はもうすでになされておるわけであります。また、国会の決議もすでになされておりますので、委員長といたしましては、この問題につきまして、速やかな御検討をなさった上でしかるべき御決定をせられるよう重ねて希望いたしますが、いかがでございましょうか。
  8. 大平正芳

    ○国務大臣(大平正芳君) 御提示がございます考え方、案につきましてはまた十分検討しなければならぬと存じまするし、その模様につきましては、また機会を見て国会に御報告しなければならぬと思います。
  9. 寺田熊雄

    ○委員長(寺田熊雄君) 以上で委員長としての質問は終わります。   〔委員長退席、理事野口忠夫君着席〕
  10. 野口忠夫

    ○理事(野口忠夫君) 続いて、質疑のある方は御発言を願います。
  11. 寺田熊雄

    ○寺田熊雄君 総理に対して、金大中問題についてお尋ねをいたします。  金大中問題は、御承知のように、わが国の主権が不当に侵害されたかどうかという疑惑が非常に濃い重大な問題でございますが、この問題は昭和四十八年の十一月二日、来日をいたしました金鍾泌総理と田中元総理との会談で、まず第一次のいわゆる外交的な決着がつきましたことは、これは総理も御存じのとおりであると思いますが、当時、総理は外務大臣でいらっしゃいましたですね。この会談には御同席なさったと思いますが、いかがでしょうか。
  12. 大平正芳

    ○国務大臣(大平正芳君) 同席いたしました。
  13. 寺田熊雄

    ○寺田熊雄君 この金鍾泌総理の来日につきましては、事前に外交ルートを通じて、すでにわが国と韓国との間に、この問題の外交的決着についての予備的な打ち合わせが済んでおって、それを待って金総理が来日されたのだと思いますが、念のためにお伺いいたします。
  14. 大平正芳

    ○国務大臣(大平正芳君) ともかく政治決着の際には、金鍾泌国務総理が来日されたわけでございますので、御来日につきまして事前に通報がございまして、これが、この来日が金大中事件にかかわるものであるという見当はついておったわけでございます。中身はこちらに到着の上、会談いたしました結果固まったものでございます。
  15. 寺田熊雄

    ○寺田熊雄君 重ねてお尋ねをしますが、この来日によってこの問題についての外交的決着をつけるということは、すでに両国の外務省当局間において大体の了解がついておって来日されたんでしょうか。それとも、そういう了解がつかぬ間に突然来日されて、ああいう外交的決着になったんでしょうか。ちょっと総理のいまの御回答がその点あいまいなものですから、重ねてお尋ねします。
  16. 大平正芳

    ○国務大臣(大平正芳君) 総理大臣が、一国の総理大臣が他国を訪問するということは重大な問題でございます。事柄の見当がつかないで漫然と出かけるわけにいかぬと思います。したがいまして、この問題は金大中事件についての政治的決着を図ろうという先方の趣旨を踏まえての御来日であるということはわれわれも承知してお迎えしたということでございます。
  17. 寺田熊雄

    ○寺田熊雄君 そういう大体の見当をつけてお迎えになったといたしましても、こちらに来日されることについては、当方としても了解を与えておかなければ、来日ということは実現しないと思います。そうといたしますと、来日を機にこの問題の外交的決着をつけるというこちらの国家的な意思は、もうすでに事前に固まっておったと理解してよろしゅうございましょうか。
  18. 大平正芳

    ○国務大臣(大平正芳君) 大体御想像のとおりでございます。
  19. 寺田熊雄

    ○寺田熊雄君 その時期におきましては、わが国の警察当局の捜査によりまして、金東雲一等書記官が現場に残した指絞、それから、警察当局の説明によりますと、何人かの日本人が金東雲一等書記官の犯行現場における存在を認識しているという事実、それから、金大中氏を拉致することに用いられました自動車が、横浜の総領事官の副領事であります劉永福、この副領事の所有の自動車であるということ、これらの事実は警察当局がこの国会で明らかに答弁しておる事実でございますけれども、それらの事実はこの外交的決着をつけた場合に、総理、当時の外相であられた総理並びに田中当時の総理、いずれも御存じの上で外交的決着をおつけになったんでしょうね。
  20. 大平正芳

    ○国務大臣(大平正芳君) これは私も承知いたしておりまして、金東雲氏の容疑が晴れたから決着をつけたんではなくて、そういう容疑があることはこちらも捜査の結果濃厚になっておりまするし、韓国側も金東雲氏の容疑は認めて、今後取り調べの結果は相応の通報をいたしますというように先方も約束をされたわけでございます。今後新しい事態が生じたらこの決着は見直しますという条件のもとで両国の外交関係というものの継続を支えたというのが、当時の決着をめぐる事情でございます。
  21. 寺田熊雄

    ○寺田熊雄君 いま総理のお答えによりますと、韓国側も金東雲一等書記官の容疑は認めておったというお答えでございました。それは、容疑を認めておったけれども公権力の関与がないということは、それが金東雲の個人的犯行であるという趣旨において容疑を認めていたというふうに理解をしてよろしゅうございますか。
  22. 大平正芳

    ○国務大臣(大平正芳君) そこのところは必ずしもはっきりしておりませんで、今後の究明にまたなければならぬことであったと思います。
  23. 寺田熊雄

    ○寺田熊雄君 いや、そうじゃございませんでね。いま総理は、韓国側も金東雲一等書記官の容疑を認めておったとおっしゃいましたね。ですから、容疑を認めたという点ならば、当然事件に関与していた容疑というんだろうと思うんです。事件に関係のない容疑ではないわけです。そうしますと、その関係というものは、公権力を行使する立場においての関与か、あるいは私人としての関与かということに帰すると思いますが、そのどちらであったのかということをお尋ねしているわけです。
  24. 大平正芳

    ○国務大臣(大平正芳君) 韓国側は公権力の介入であるということは言明いたしませんでした。しかし、この問題について捜査の方は今後も継続していくということ、その結果は通報するということになっております。
  25. 寺田熊雄

    ○寺田熊雄君 非常にあいまいのままに外交的決着をつけたような印象を、いまの御答弁で受けるのです。つまり、容疑というものは、もう一遍重ねて申し上げますが、金大中事件に関する容疑でしょう。その容疑というものの中身が、公権力の行使としての関与であるのか、それとも個人としての関与であるのかということもお確かめにならずに、ただ容疑があるということを向こうが承認したということで外交的決着をつけるということは、大変私は、何かこう軽率のような印象を受けるので、そうでは恐らくあるまいということでお尋ねをするわけです。これはありのままに総理、そのいずれであるかをお答えいただきたいと思います。
  26. 大平正芳

    ○国務大臣(大平正芳君) 先ほど申しましたように、韓国側は公権力の介入はございませんという態度は終始一貫いたしております。そういう前提でやったことでございまして、公権力の介入がございましたと言うたら、もうこの金大中事件は済んでおったはずでございますけれども、そういうことではなくて、金東雲氏について容疑があるということは認めますが、それは公権力の行使によるものではないと。なお、どういう容疑事実かということにつきましては、今後調査、捜査をいたしましょうと、そういう態度でございます。
  27. 寺田熊雄

    ○寺田熊雄君 これはくどいようですが、いろいろ事実関係で関係をいたしておりますので、重ねてお尋ねをするのですが、韓国側が、容疑はあるけれども公権力の行使ではないのですと言う、それを裏返せば、これは私人としての犯行でありますということを承認したものと理解していいんでしょうか。
  28. 大平正芳

    ○国務大臣(大平正芳君) 韓国側がおっしゃったことは、公権力が介入した覚えはいささかもないということは終始一貫いたしておるわけでございまして、金東雲という人につきまして、わが方はこういう容疑事実があるということを提示いたしたことに対しましては、今後それはよく調べてみるということでございますので、金東雲氏が完全に私的な立場から、もう完全にシロであるということをそのときに向こうが強弁されたということは残っておりません。
  29. 寺田熊雄

    ○寺田熊雄君 終始一貫総理の御答弁は端的にお答えになっていらっしゃらないのですね。  つまり、私人としての犯行という点でシロだということを向こうが主張したわけではないというのは、クロであることを承認したことになるわけでしょう。ですから、やはり国会のこういう質問というものをはっきりと実りのあるものにするために、私ははっきりとお答えいただきたいわけです。あくまでも灰色で済まさないで、個人的犯行であることを承認したものであるならば承認したと、それも承認してなかったものは承認してなかったと、いずれかはっきりお答えいただきたいと思いますが。
  30. 大平正芳

    ○国務大臣(大平正芳君) そういうことは明らかでなかったわけでございまして、明らかでありましたら明らかであったと申します。
  31. 寺田熊雄

    ○寺田熊雄君 そうすると、公権力の行使ではないと言ったけれども、それじゃしからば、私人としてやったのかどうかという点についても韓国側は明瞭な答えをわが方にしなかったと、こういうことでございますか。
  32. 大平正芳

    ○国務大臣(大平正芳君) 今後、取り調べを依然継続していくと、その捜査の結果は通報いたしますということです。
  33. 寺田熊雄

    ○寺田熊雄君 依然として多少あいまいさが残るのですが、いまの総理の御答弁を全体として私どももう一遍そしゃくしてみて、重ねてお尋ねをする機会があると思いますけれども、何かあいまいのまま外交的決着をつけたような印象を受けるのですが、きょう総理もお聞きになっておりましたでしょう。園田外務大臣が、大局的見地から外交的決着をつけたんだということをおっしゃいました。そういたしますと、この事件の真相の究明ということは一応犠牲にして、友好を重んじて真相究明は後回しにしてこの外交的決着をつけたというふうに理解していいんでしょうか。
  34. 大平正芳

    ○国務大臣(大平正芳君) 寺田委員が仰せのとおり、事柄はあいまいでございまするから今後も捜査を続けるということでございまして、もし新たな公権力が関与したという事実が出てまいりますならば、この政治的決着は見直しますよという条件のもとで、日本と韓国との間のおつき合いはともかくいたしましょうと、こういう了解を与えたわけでございまして、これが園田君の言う大局的見地からの措置であると御理解をいただきたいと思います。
  35. 寺田熊雄

    ○寺田熊雄君 真相の究明をしようという、そういう両国間にお気持ちがあるといたしますと、それは何らかの意味で外部ににじみ出ておってしかるべきものと思います。ところが、当時、金鍾泌総理が持ってまいりました朴正熙大統領からの田中総理あての親書、これは真相究明の気持ちなどは全然ございません。ただ、再びかかる事態が生じないよう最善の努力を払おう、という意思表示があるのであります。それから、朴正熙大統領あて田中総理の親書を見ましても、同じように、この事件の真相究明に努力するというようなことはおくびにも出ておりません。ただ、ひたすらに外交的な決着をつけ、日韓関係の公正かつ順調な発展という両国民共通の願いが達成されることを切に祈るというような趣旨でございまして、その間にこの両方の外交文書を拝見いたしますと、真相究明の努力というようなものはこれはむしろ放棄して、ひたすら無事に切り抜けようというようなニュアンスをかぎ取らざるを得ないのでありますが、いかがでしょうか。
  36. 大平正芳

    ○国務大臣(大平正芳君) 韓国政府といたしましては、いまの、大統領並びに国務総理からそういう意思表示がございましたわけで、最大限の遺憾の意を表明されたものと思います。わが方といたしましては、しかし、この問題について完全に決着がついておるとは言えない状況でございますので、新たな事実が出てまいりまして、公権力が介入したというようなことになりますると、この政治的決着は見直さざるを得ないということを先方に伝えて、先方もこれを了承されたという経緯になっております。
  37. 寺田熊雄

    ○寺田熊雄君 いまの総理のおっしゃったこの新たな事態が生じた場合には、あるいは新たな資料なり、証拠なり――つまり、それは公権力の関与の証拠という意味でしょうね、それが出てきた場合には見直しをいたしますというのは、これは口頭で申し入れて先方が了承したという、そういうことでございますか。
  38. 大平正芳

    ○国務大臣(大平正芳君) きょうでございます。
  39. 寺田熊雄

    ○寺田熊雄君 ところが、韓国側のこれに対する報告を見てみますと、そういうようなことは全く表明せられておらないわけであります。この韓国側のそうした外交的決着なるものに対する国民に対する意思表示というものは、これは国会に対してなされておるようであります。つまり、韓国国会に対して金鍾泌総理がなした報告――これは一九七三年十一月五日の韓国国会議事録、これに詳細に記録されておるわけでありますけれども、いまおっしゃったようなことはもう全く出ておりませんし、逆にわが国として看過し得ないような報告があるわけであります。  それは総理の御理解を得るために、くどいようですが、この詳細を読んでみたいと思います。「田中首相と私は金大中事件に関していろいろと協議し、また次のような結論に合意したので、」――「合意」とあります。「この事件に関する韓日間の外交的な問題については決着をつけることになった。つまり日本で嫌疑があるとされている金東雲書記官に関しては、わが方が引き続き捜査をし、その捜査結果に従いわが国内法によって処理する。だから今後この問題に関する限り、日本ではこれで捜査が終結し、これからはわが方でこの問題に対する捜査を続け、真相を究明することになった。」と、こういうくだりがあるわけであります。  これは外務省から私どもに資料として提供されました韓国国会の議事録にうたわれておることでございますけれども、この事実は総理もお認めになりましょうね。
  40. 大平正芳

    ○国務大臣(大平正芳君) そういうように承知しています。
  41. 寺田熊雄

    ○寺田熊雄君 このような合意というものは、もちろん現実には田中総理と金鍾泌総理との間にはなされておらなかったわけでしょうね。
  42. 大平正芳

    ○国務大臣(大平正芳君) 先方の国内における発表ぶりまで相談はいたしておりません。
  43. 寺田熊雄

    ○寺田熊雄君 いや、そういうことをお尋ねしたんじゃないんです。総理、やはり誠実にお答えいただきたいんですが、私がお尋ねしたのは、いまお読みいたしましたような、金鍾泌氏の、いわゆる田中・金鍾泌合意なるものは現実には存在しなかったんでしょうねとお尋ねしているわけです。
  44. 大平正芳

    ○国務大臣(大平正芳君) それは存在いたしております。
  45. 寺田熊雄

    ○寺田熊雄君 いたしておりませんとおっしゃったですか。
  46. 大平正芳

    ○国務大臣(大平正芳君) おります。
  47. 寺田熊雄

    ○寺田熊雄君 おりますということになりますと、そうすると、やはり金鍾泌総理が言ったように、わが国の捜査はもうこれで終結して、以後は一切この事件に関する捜査は韓国側のみで行うという、そういうことにな合意なさったわけですか。
  48. 大平正芳

    ○国務大臣(大平正芳君) そういうことは約束をいたしておりません。
  49. 寺田熊雄

    ○寺田熊雄君 ですから、私がお尋ねしたのは、金鍾泌氏がいま韓国国会で報告しているような合意は、田中さんと金鍾泌総理との間にはなかったんでしょうねとお尋ねしたわけです。もう一遍端的にお答えください。
  50. 大平正芳

    ○国務大臣(大平正芳君) ありませんでした。
  51. 寺田熊雄

    ○寺田熊雄君 これは総理、どういうふうに理解したらいいんでしょう。つまり、これ非常に大切な、大統領が親書をもって日本に謝罪をし、総理がまたそのことを受けて大統領に親書を送った、そしてあちらの総理がこちらに飛んで来て、そして田中総理との間に合意したというふうな重大事件に関して、その中身が現実に存在しなかったようなことを存在したように一国の首相が国会で報告するというような、そういう間違った事実があるのですが、これは総理としてはどんなふうに御理解になりますか。これは自分として知ったこっちゃないというふうな簡単なことでは済まされないことでしょう。いかがでしょう。
  52. 大平正芳

    ○国務大臣(大平正芳君) わが方の捜査当局も捜査を継続するし、韓国側も捜査を継続する、そして新しい事実が出てまいって、公権力が介入したということが明らかになってまいりますならば、この政治結着は見直すという了解になっておるわけでございまして、それ以上のものではありません。
  53. 寺田熊雄

    ○寺田熊雄君 いつも総理の御答弁に対して私が不満を述べるのも、いまも同じなんですが、私がお尋ねしたのは、いま総理がお答えになったようなことではないんです。つまり、そういう重大な外交的案件に関して、両国の首相の間に合意のなかったような事実をあたかも合意があったように国に帰って一国の総理が発表するというような事実がわれわれの常識で考えられるかどうか。どういうふうにわれわれがそれを理解したらいいのか、これは総理のそれについてのお答えをお願いしておるわけです。――ちょっと待て。もうすでに総理が答えられていることなんだから。
  54. 大平正芳

    ○国務大臣(大平正芳君) 外務省の方で補足説明したいと言うので……。
  55. 野口忠夫

    ○理事(野口忠夫君) いいですか。
  56. 寺田熊雄

    ○寺田熊雄君 私はやはり総理のお答えを求めていますから。
  57. 大平正芳

    ○国務大臣(大平正芳君) 寺田委員の御質問は、韓国の国務総理の国会における発言は了解と食い違っているじゃないかという御指摘だろう思うんでございますが、私どもは国務総理がおいでになりまして、いま申し上げましたような日韓間の了解をいたして政治的決着をつけたわけでございまして、この了解は日韓間の了解として厳粛なものであると心得ておるわけでございます。  これに対しまして、韓国側がどのように国内において処理されるか、それは私どもが関知したことではございませんけれども、両国間のこの了解はちゃんとした厳粛な了解であるという認識に立って私ども問題の処理に当たっておることについては御信頼をいただきたいと思います。
  58. 寺田熊雄

    ○寺田熊雄君 両国間に合意がないようなことを、田中総理との間に合意が成立したというような、これは虚偽でしょう。虚偽の事実を国会で堂々と報告をするような、そういう政治が行われておる韓国だと、これはわれわれは認識せざるを得ないわけですね。ですから、総理のように、それはほかの国だからおれの知ったこっちゃないと言いますけれども、そのほかの国とまさに誠実な協議を遂げ合意を遂げたとおっしゃるから、それじゃ誠実な協議なり合意というものがとうてい達成できないような性格を持っておられるその国との合意ということになってしまうじゃありませんか。われわれは他人、個人間の契約でも、それはやはりもうはっきりしたものであって、それと違うような発表を公式に行うというようなことは、とうていこれは考え得られないことですね。それは個人間でも信義がそこに支配するわけでしょう。ところが、まるきり虚偽なことを発表するというようなことでは、そこに一片の信義も誠実さもないわけでしょう。それを他国のことだからおれは知らないと言って澄ましておられるんでしょうか、そこを伺っておるわけです。
  59. 大平正芳

    ○国務大臣(大平正芳君) 私が御報告申し上げておるのは、日韓間の了解がこういうおぜん立てで、こういう内容において行われたということを御報告をいたしたわけでございます。で、その後韓国におかれていま御指摘のような経緯があったという御指摘でございます。そこまで両国総理の間で打ち合わせをいたしたわけではございませんで、多少のニュアンスの違いがあったのかもしれません。しかしその後の事実――ただこれだけのことは申し上げておきますが、その後両捜査当局は捜査を続行しておるということ、そして捜査報告も交換いたしておるという事実があるということだけは指摘しておきます。
  60. 寺田熊雄

    ○寺田熊雄君 いま総理のおっしゃったことも事実と必ずしも一致せぬのです。たとえば金東雲一等書記官の取り調べのために外交ルートを通じて出頭を求めることをわが国の警察はしたわけですが、それに応答がないわけですよ。また劉永福についての報告もないわけですね。それから、結局犯人が何びとであるか、その犯人が全くわからないという回答だけであって、こちらの満足するような回答は全くないんですよ。つまり捜査に対する協力というようなものはありません。この点、いかが御解明を願えますか。
  61. 大平正芳

    ○国務大臣(大平正芳君) こっちが要求いたしました人を送ってくるというようなことは残念ながらありませんでしたけれども、捜査報告の送付はあるわけでございますから、政治的決着を全然ほごにしておるというようなことはないと思います。
  62. 寺田熊雄

    ○寺田熊雄君 それが全然ほごにしてないというようなことでいいんでしょうか。お互いに信頼し合った仲なんでしょう、総理のお言葉では。誠実に対応したか、単に形式的にだけ報告をすればそれでいいという問題じゃないと思いますが、ことに大平総理が前に外務大臣でいらっしゃったときは、韓国側のこの報告に対して不満を述べられて、再度捜査をするようにこれは御要求になったんですね。これは記憶していらっしゃるでしょう。ところが、その後に先方から参りましたこの捜査結果、これは口上書という形で参っておりますが、それは、大平総理が不満を表明して再度の捜査をするように求めた報告よりもさらに簡単な、いろいろと犯罪の捜査をしたけれども全然犯人を見出すに至らなかったという、そんな簡単な報告なんですよ。それを今度は、総理の外務大臣当時の、後をお引き受けになった宮澤さんが、これはきわめて誠意のある、最善の手を尽くしたものだということで全部受け入れて、これで全部捜査は終わったというふうな第二次の外交的結着をつけていらっしゃるわけです。これはどんなふうにお考えになりますか。
  63. 大平正芳

    ○国務大臣(大平正芳君) 韓国側のとられた措置について、その誠意のほどが寺田委員にとりましては満足のいくものじゃないということでございます。韓国側といたしましてはその立場において最善を尽くしたのではないかと思いますけれども、寺田委員の満足するところになっていないということだろうと思うのであります。だからといって、日本はこういう約束をぞんざいにしてはいけないわけでございまして、日本側としては誠意をもって国際的な了解というものは尊重をしていくということに徹しなければならぬと私は思います。
  64. 寺田熊雄

    ○寺田熊雄君 そういたしますと、あなたがこの報告では満足できないとおっしゃった一九七四年八月十四日の韓国検察側の決定書というものがありますが、これは御記憶になっていらっしゃるんでしょうね。これでは不十分だからということで再度捜査を要求なさったことは御記憶になっていますか。
  65. 大平正芳

    ○国務大臣(大平正芳君) 何回か韓国側に要請をいたしたことは覚えておりますけれども、一々の案件につきまして詳しいことはいま承知いたしておりません。  ただ、私が言えることは、韓国側の対応があなたには不満足であるということでございますし、韓国側としては対日の対応というのは精いっぱいやりましたというように思っておられるのではないかと思うのでございまして、そこにギャップがあることは私も認めます。認めますが、私は、日本政府の立場といたしまして、日本政府はこういう了解を遂げたのでございますので、この了解の線に沿いましてこの問題の処理に当たっていかなければならぬ、そういう立場におるということを御了承をいただきたいと思います。
  66. 寺田熊雄

    ○寺田熊雄君 それでは総理、端的にお伺いしますが、結局、韓国側のこの口上書に述べられました捜査結果によりますと、この事件の犯人は一人も見出し得ないということなんですが、それで御満足になりますか。
  67. 大平正芳

    ○国務大臣(大平正芳君) 私は初めからこの事件に満足はいたしていないのであります。こういう国際的な刑事事件というものが非常にクリアカットに解決されて、わが国の主権侵犯の事実が明徴になることを欲しておるわけでございますけれども、遺憾ながら、今日までこれをそういう状態に証明するに足る証拠が出てきていないわけでございまして、きわめて不満でございます。不満でございますけれどもいたし方がないわけでございまして、私どもといたしましては、従来の約束を踏まえた上で、しんぼう強くこの問題の処理にかかっていかなければならぬのじゃないかと思っております。
  68. 寺田熊雄

    ○寺田熊雄君 いま総理は不満だとおっしゃったですね。不満とお感じになりながらこういう外交的な決着をおつけになったことは、これは早過ぎたと、真相が究明されて初めて外交決着をつけてよかったんじゃないか、という御感想はお持ちになりませんか。
  69. 大平正芳

    ○国務大臣(大平正芳君) 先方も最大限の措置をとられて、いまあなたが御指摘になったような措置もとられたわけでございます。日韓関係というものも大事であるということでございまして、この事件のためにいつまでも不正常な状態にあるということは別の意味において両国の幸せではないわけでございます。したがって、こういった問題についてどのように決着してまいるか、あなたがおっしゃるように事態が明らかになった上できちんと処理するということはまことにりっぱな措置でございまして、それは私はその措置が悪いとは決して考えていないわけでございますが、現実の政治におきまして私どもの政府が行いました政治的決着も、大局的に見まして間違いではなかったのではないかと思うわけでございまして、私どもといたしましては無条件にやっておるわけではないのでありまして、新たな事実が出てまいりますと見直すことあるべしという条件をつけた上でこの処置をいたしておるわけでございますので、十分のりっぱな措置であるとは言いかねまするけれども、こういう措置を講じたことが悪かったというように私は評価いたしておりません。
  70. 寺田熊雄

    ○寺田熊雄君 いま総理は、十分な解決方法だとは思わないけれども悪いとも思わぬとおっしゃいましたね。これは田中総理の朴正熙大統領あての親書の中に、「この事件の筋の通った、内外に納得の得られる解決を希求してまいりました」ということをおっしゃっておられるんですが、あなたもこの解決は筋の通った、内外に納得の得られる解決であったと思われますか。
  71. 大平正芳

    ○国務大臣(大平正芳君) 筋が通った解決は、あなたがおっしゃるように、事実の解明を待ってやってまいるということが筋が通ったことだと思うのであります。完全に、まだ公権力が主権を侵害したかどうかという事実が完全に掌握されないままで政治的決着をつけるということは、完全な解決、満足すべき解決とは私は思っておりません。しかし、そこに筋を外れても困ると思うのでありまして、したがって、これを解決するに当たりましては、いまはそういうことは明らかでないけれども、将来明らかになった場合にはこの決着は見直さざるを得ません、ということをベースにいたしまして政治的決着をつけたことは、あの当時の諸事情から考えまして私は悪かったとは考えておりません。
  72. 寺田熊雄

    ○寺田熊雄君 最後に、スナイダー公電についてお尋ねいたしますけれども、これは信用力といいますか、証明力といいますか、それについては総理はどういうふうにお考えなんでしょう。
  73. 大平正芳

    ○国務大臣(大平正芳君) スナイダー報告というものの評価でございますが、これは外務省の照会に対しまして、米側は一切コメントできないという立場をとっております。他方、韓国側は、スナイダー大使の電報にいう金東祚・スナイダー会談の記録は存在しないし、また金元外相に聞いてみたが記憶にないと述べたとしておるというのが、いま私が報告を受けておる経緯でございます。したがって、この問題について、まだ関係者がそういう状態にございまするので、この評価を断定的に決めるというのはまだ無理ではないかと考えております。
  74. 寺田熊雄

    ○寺田熊雄君 時間が参りましたので、これで。
  75. 田代富士男

    ○田代富士男君 じゃ私は、金大中事件から一転いたしまして、いま問題になっております松野元防衛庁長官の参議院における証言、また衆議院における証言等について   〔理事野口忠夫君退席、委員長着席〕 御質問をしたいと思いますが、御承知のとおりに、両院における証言と検察庁が公表した見解とは全く食い違った証言をされております。この検察庁の公表した内容というものは、どういう内容であるかと言えば、御承知のとおりに、四カ月間余り、検事二十二人、事務官四十二人、そういう人々を動員いたしまして、延べ約千六百人の人から事情聴取がされておりまして、四回にわたる捜索、そして三万五千点に上る証拠書類を押収した結果、結論として出されたのが公表された検察庁の見解でございます。こういうことから考えますれば、検察庁の公表というものは信憑性が高いと思っても間違いないのではないかと思うのでございますが、このように、松野元防衛庁長官の両院における証言と全く食い違うということは重大な問題である。総理としてどのように認識していらっしゃるか、見解を求めます。  また、問題になっております五億円というものは、御承知のとおりに、二百三十八万ドルのファントム購入の、言うなればやみコミッションと言われるもので賄われておるわけでございます。そうしますと、このコミッションというものはファントムの価格に何らかの形で影響していると思われても仕方がない。また影響されていると思うのでございますが、そのように考えてみますと、これは国民の税金がそのような姿として変わったと、このように受け取られても間違いないのではないかと思うのでございます。このような不明瞭な国民の税金を食うような金を受け取った、この政治的、道義的責任を、総理として、また自民党の総裁として、どのように受けとめ、どのように対処をされるのか、決意のほどを伺いたいと思います。
  76. 大平正芳

    ○国務大臣(大平正芳君) 今度の航空機輸入に絡む疑惑の発生につきまして、政府の立場におきましても、また一政治家といたしましても、大変遺憾な事実であると存じております。問題は、こういう疑惑が生まれてきた以上は、これにどのように対処するかがわれわれの任務であろうと思います。で、政府としては、これに対して、捜査当局が刑事責任を問うために公権力をもって捜査を進めたわけでございまして、関係省庁におきましては、この事件に政府が関与あるかどうかという点につきましては、いろいろ調べられたことと思うのであります。で、刑事責任の所在は、不幸、検察当局が調べた結果、明らかでなかったということでございます。  しかし私は、政治家とかあるいは公務員というようなものは、一般の国民と違いまして、刑事責任を問われなかったからそれでいいとは考えてはいけないと思うのでありまして、政治的、道義的責任というものにこたえるところがなければならぬと思います。それは、まず松野君御自身が真剣に考えられておることだと思いますけれども、政府としても党としても、こういう問題についてどのように対応していかなきゃならぬかを考えなきゃならぬと存じております。  政府は、従来再発防止につきましていろんな措置を講じてまいりましたけれども、いまも検討中のものがありますけれども、新たに協議会を設けまして、明日から各方面の御意見を虚心に承ることにいたしておりまして、何らかの有効な措置を早急に講ずることができないだろうかという点について検討を進めておるわけでございます。  国会におかれましては、それぞれの国政調査権の御発動がございまして、真相の究明に当たられておるようでございますが、これにつきましては、政府はその置かれた立場におきまして、法令の範囲内において最大限の協力をしなければならぬという立場におることはよく理解をいたしておるわけでございまして、こういう事件が起こりましたこと、大変遺憾に存じておりまして、これに対応いたしまして、なすべきことはちゃんとしなければならないということ、なすべきことをなして国民の政治不信に対しましてこたえるところがなければならぬと存じております。
  77. 田代富士男

    ○田代富士男君 ただいま総理が、この事件が起きて、疑惑が生まれたならば、その疑惑が生まれたことに対してどのように対処するかというのは任務であると、そして道義的、政治的責任を果たすためにもこの問題を解決していかなくちゃならないと、そういう決意を申し述べられまして、どのように対応するかというのは考えていると、このように申されました。  そこで、いま五億円が政治献金であるかどうか、まあこの政治献金というものの取り扱いですが、これが今回の国民の疑惑を招いております。いまも総理が申されたとおりに、正すべきことに対して、国民の政治不信を払拭をするようにやっていかねばならないと申された。そのために、再犯防止のために、政治資金規正法の手直しもこの際考えるべきではないかと思いますが、総理の結論はいかがでしょうか。ここに問題がありますから、いかがですか、検討されるということですか。
  78. 大平正芳

    ○国務大臣(大平正芳君) 確かに五億円が政治献金であるかあるいは賄賂性を持ったものであるかということは、つまるところは主観の問題として明らかになっておりません。ただ、五億円が動いたということは事実でございます。したがって、今後私どもが考えにやならぬことは、政府の行政のあり方といたしまして、対企業関係がどうあるべきかということにつきまして、これは一つの問題を提供しておるんじゃないかと思いまするし、また、いまの政治資金規正法が企業献金についての一つの節度を示した、一つの目安を示したものと思いますけれども、これでよろしいかどうかという点も、田代さんがおっしゃるように一つの問題点であろうかと思います。  で、政治資金規正法につきましては、この問題が起こる以前から、すでに御案内のように、五年ごとに見直すということになっておるわけでございまして、かねがね国会でも私は御報告を申し上げておるとおり、ほぼ三年間の実績が出たわけでございますから、そろそろ見直しにかからなけりゃならない材料が一応出てきたんじゃないかということを申し上げておるわけでございまして、この見直しという問題を真剣にやってみまして、政治資金規正法が現行法でいけるのかどうか、あるいは改めるべきものがあるのかどうか、そういう点について各方面の意見をひとつ聴取してみたいと考えております。
  79. 田代富士男

    ○田代富士男君 ぜひとも実行していただきたい、これはお願いしておきます。  時間がありませんから次に質問を移しますが、いまこのような疑惑が生じている最中に、このE2Cの問題につきまして山下防衛庁長官が凍結解除というような発言をされておりますし、大平総理自身も、去る二十三日には、凍結解除を要請する決意をお述べになられたような、そういう新聞記事等が報道されておりますけれども、今後、このような凍結解除の問題に対して、月内の凍結解除は断念したというような田中官房長官の発言等もありますけれども、私は、ここは国民の政治不信をぬぐうためにも対処していかなければならないと総理申されましたけれども、こういうことは解除すべきではないと思うし、総理はどのようにこの問題に対して決意なさっているのか、お聞かせいただきたいと思います。
  80. 大平正芳

    ○国務大臣(大平正芳君) 両院におかれてE2C予算の解除問題についてとられた措置は、両院の議長の意見を尊重してやれというお示しだったと思います。この趣旨は、政府の都合だけでやってはいけないと、今日政治不信がびまんしておるさなかにおいてこの措置がとられるにつきましては、両院議長の公正な判断を伺った上でやるべしという御趣旨であろうと存じております。したがって、私どもといたしましては、政府の両院議長の御判断を求めるにつきまして、諸般の状況を十分踏まえまして適時適切な時期と方法を考えなきゃいかぬのじゃないかと、いませっかく思っておるところでございます。
  81. 田代富士男

    ○田代富士男君 じゃ次は経済問題に移りたいと思いますが、最初に、現今の国際経済情勢とその対応策についてお尋ねをしたいと思いますが、御承知のとおりに、世界的な経済成長率の鈍化の中で経済的な摩擦が強まりまして、御承知のとおりに種々の問題が引き起こされておりますが、このような国際環境の中で、わが国もまた進むべき道を明確にいたしまして、国際社会での日本の位置づけを決定していかねばならないのではないか。言うなれば重要な岐路に差しかかっているわけでございます。先日も日米首脳会議の後共同声明が発表されております。その中にもるる説かれてありますが、具体的には国際収支黒字国として内需の拡大を図り、また国内市場を外国に開放するなどの責任を再度確認させられたわけであります。今後七%成長の公約のような国際約束の不履行といった失態が許されないとするならば、わが国の国際社会における責任というものは非常に大事になってまいります。この点につきまして総理がいかにお考えになっているのか、お聞かせいただきたいと思います。
  82. 大平正芳

    ○国務大臣(大平正芳君) わが国の経済はGNPベースで全世界の約一割のシェアを占めておるわけでございますし、貿易においてまあ一割近くのシェアを持っておるわけでございますから、日本の経済は世界の経済にとりまして決定的に大きな影響力を持っておるだけの規模と内容を持ったものだと承知いたしております。その上に石油危機が発生いたしまして、産油国から消費国は高い石油を買わなければならぬことになりまして、国際収支の黒字がOPEC諸国に集中するということになりましたが、この黒字はどこかの赤字に記録されているはずでございます。したがって、こういうことが続く間は、先進諸国といたしましては、なるべく黒字を出さぬように世界経済のバランスを維持する上において協調してくれという要求がアメリカその他から出されておることは決して無理でないと思うのでありまして、こういう時期における世界経済のバランスをとっていく上から、できるだけ黒字の巨大な蓄積は御遠慮いただいてしかるべきじゃないかということは、その声に屈するわけじゃなくて、そういう要請も私は理解できないことではないと考えておるわけでございます。そういう立場とそういう状況を踏まえて私どもは経済の運営を考えなければならぬわけでございます。  したがって、わが国のエゴイズムは許されないわけで、対外的には収支ができるだけ均衡状態にいくように、そしてわが国の一億一千万の市場もできるだけ広く世界の各国諸国民に開放される状態になるように持っていかなければならぬし、われわれ世界に対してまたそれを求めていく立場でございまして、そういうことを通じてわが国の経済の発展と世界経済の発展が調和のとれたように持っていかなければならぬと考えて、そういう方向に経済の運営の指導をいたしておるわけでございます。  そういうことはしかしながら、国内的には相当の摩擦と抵抗が生まれることも部門部門によりましてはあり得るわけでございまして、そういう点についてはそういう方面の理解と協力を求めながら、またそういうことに対する対策も講じながら、対内的な問題の処理をしてまいるというのがいまの私どもの立場であろうと思うのであります。一々皆順調に行っておるとは思いませんけれども、方向といたしましては国際バランスはだんだんバランスの方向に参ってきておりまするし、国内経済も内需を中心といたしまして比較的順調な足取りを示しておることは大変幸せと思っております。ただ、エネルギーの問題が大変不安定な局面を迎えておりますので、よほど緊張した姿勢で経済運営に当たらなければならない、そういう時期に来ておると思うんでございまして、その点に注意しながら慎重に物価安定の基調を維持しながら内外の期待にこたえていきたい、またそれはできない相談ではないと考えております。
  83. 田代富士男

    ○田代富士男君 ただいま総理が、日本の黒字に対して遠慮してもらいたいということは理解できないことではないと、その上に立った経済運営を考えていかなくちゃならないと御答弁されたんですけれども、その一環として牛肉やオレンジに始まりまして、電電公社の資材調達、また半導体や外銀差別などの種々の経済摩擦が起きておりますが、総理の言われるところの文化摩擦については、わが国もその解消のために努力するのは当然でございますけれども、その中で最も大事なことは、諸外国が日本に対して持っている不信感あるいは疑惑がきわめて根強いものがあるわけなんです。日本が何を考え、何をしようとしているのか掌握でき得ないのではないかと、こういう点の心配がありますから、日本に対する不信感をいかにぬぐい去っていくのかということに対する御所見を聞きたいと思います。  また、日本の対外経済摩擦の解消のために国内市場の開放は必要であります。そのためにわが国の輸入輸出構造の調整という中長期的な視野に立った経済戦略を欠いていたところに当初からの問題があったのではないかと思われますけれども、わが国の輸入というのは、御承知のとおりに、原材料輸入が大半を占めておりまして、反面、製品輸入は二〇%しかないというくらいのことでございますが、この高度の加工貿易構造になっておりますこの点についての反省と、中長期的な視野に立つ構造調整政策をあわせてどのようにやっていくのか、この点をお聞かせいただきたいと思います。
  84. 大平正芳

    ○国務大臣(大平正芳君) 第一の御質問は、対日理解をどのように進めていくかという問題でございます。  日本という国は、外国の方々に決して理解するにやさしい国でないと思います。非常に、なかなか理解に苦しむ国だと思うのでございまして、これを十分わかってもらうというようなことは容易ならぬ大事業だと思うのであります。したがって、田代さんの御質問に対する答えは、われわれがもう日々の活動を通じまして、全国民の力で、日本を理解していただくように努めなければならぬと考えておりまして、政府はその先頭に立って努力しなければならぬと考えております。  端的に申しまして、最近も私はアメリカへ参りましたゆえんの一つは、アメリカが、日本はいま何を考えているんだろうかということに対する一抹の不信があったと思うのでございまして、そういうことに対しまして端的に説明をいたしまして、そういう懸念というようなものを払拭してまいること、これは不断に努力しなきゃいかぬことだと思うのであります。したがって、第一の問題に対するお答えは、間断なく、不断にそういう努力を全国民的スケールにおいて、あらゆる機会をつかんでやらなければならないということ、これにはいろんな方策があるわけでございますけれども、短時間の御質疑でございますので、そういう方向だけをひとつ御答弁することでお許しをいただきたいと思います。  それから第二点は、そういう中で日本が諸外国の要請に応じて、国際経済とのバランスを考えながら経済運営をやるという場合には、当然貿易の構造、輸出の構造、産業の構造問題に触れざるを得なくなるんじゃないかということでございまして、仰せのとおりでございます。そういうことは、避けられない課題でございまするし、そういう過程を通じまして、水平分業をやっておるところの諸外国との競争のほかに、中進国からの追い上げがあるわけでございますし、先進発展途上国に対しまして相当の特恵を与えなけりゃならぬような立場におきまして、日本の貿易構造、輸出構造、産業構造というものはどういう方向をとるべきかということは大問題だと思うのでございますが、政府としては、七カ年計画をいま構想いたしておりまして、近く御審議をいただくことになると思いますけれども、これは方向といたしましては、これまでのように輸出と設備投資中心の、そこに軸を置いた経済から、内需といいますか、生活といいますか、生活環境と申しますか、そういうところの需要を軸にした経済に切りかえていくと。この切りかえは漸次行われておるわけでございますけれども、われわれは相当精力的にそういう方向に持っていくことによって輸入をふやしていくということで、諸外国の要請にこたえ、国内的には内需を同時にふやすことによって、生活関連の内需をふやすことによって、雇用を維持していくという方向で大きい経済政策の方向は決めていかなきゃいかぬのじゃないか。それ以外にどうも考えようがないじゃないかと。知識集約産業に持っていかなければならぬ、付加価値産業に持っていかなければいかぬとかいうような問題、それからまた、農業をどう保護するかという問題も、御指摘の産業構造との関連におきましてわれわれが直面する問題でございますけれども、それぞれの国にそれぞれの特色がございますので、そういう特色は特色として踏まえて、対応策を講じながら、方向としては漸次設備中心、輸出中心から輸入中心、内需中心、生活中心という方向に軸を持っていくと。野党の御主張も要約するにそういう点に私は集中しているように思うのです。ここで与野党の間に一つの調和ができるのじゃないかと期待いたしております。
  85. 田代富士男

    ○田代富士男君 時間が参りましたから、雇用問題、それから円安の傾向の問題、内政問題、国債管理の問題もお尋ねしたいと思いましたが、これは時間がありません。  最後に予算執行の責任の問題についてお尋ねをしたいと思いますが、御承知のとおりに、この数年、大型予算を組みまして景気回復のために政府は努力してきたわけでありますけれども、総理は予算執行の責任とその効果につきまして、最高責任者としてどのようにお考えになっているのか、御所見を聞きたいと思います。  一つの例を挙げますと、公共事業予算について見ますと、五十一年度が三兆八千億円、五十二年度が五兆円、五十三年度が五兆八千億円という莫大な予算が組まれまして景気刺激策がとられたのでありますが、これがまた大変な不用額を発生さしているのであります。一五十一年度二百二十億円、五十二年度二百六十八億円、このように会計検査院の指摘がされております。特に会計検査院の指摘では、新築の空き家の問題、あるいは着工目途のない発注をした住宅公団の問題や、あるいは住民のコンセンサスのないダム工事等、建設省関係でございますが、これ以外にも種々ございますが、予算執行上まことに大きな額のむだ遣いが行われておりますけれども、行政機関の最高責任者としての責任はどのようにお感じになっていらっしゃるのか、質問をして、私の質問を終わりたいと思います。
  86. 大平正芳

    ○国務大臣(大平正芳君) 予算の執行は効率的にやらなければなりませんし、時の経済政策と語調を保ちながらやってまいらなければならないことは御指摘のとおりでございますが、いま五十一年度に二百二十億円、五十二年度に二百六十億円という不用額が出ておるが、執行責任者として責任をどう感ずるかという御質疑でございましたが、これは、承りました不用額は、大半は公営住宅に関するものでございます。公共事業全体から申しまして、おおむね〇・五%程度でございまして、全体から見て大変効率の悪い執行であるとは言えないと思います。  ただ、住宅関係でございますが、こういう不用額を生じました原因は、田代さんも御承知のとおり、用地の取得難等によるものでございますが、五十三年度におきましては、この点に十分配意をいたしまして、用地取得について見通しをつけた上で予算措置を講ずる等の措置を講じました結果、不用額は著しく減少することになっていると考えております。今後とも、公共事業予算の執行に関しましては、効率的な執行に鋭意注意してまいるつもりでございます。
  87. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 私は総理に金大中事件についてお伺いをいたしたいと思います。  総理は、二月の八日の衆議院の予算委員会におきまして、金大中問題についての質問に対して、「私は主権侵害について、それに対する疑惑がないと言っているわけじゃないのです。そういう疑惑」つまり、KCIAによる主権侵害の「疑惑は広く深くあることは認めます」と答弁をしておられます。いまもこのお考えに変わりはないのでございましょうか。
  88. 大平正芳

    ○国務大臣(大平正芳君) この問題は解明がまだ尽くされていないわけでございまして、疑惑の存在は、私ばかりじゃございませんで、広くあるわはであることは承知いたしております。
  89. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 そうしますと、疑惑ありという御認識に立ちますならば、日本政府の総理・総裁としてとるべきお立場というのは、その疑惑を徹底解明をし、主権侵害をうやむやにしないことしかないんじゃないかというふうに思いますが、その点についてはどうでしょう。
  90. 大平正芳

    ○国務大臣(大平正芳君) 先ほど寺田委員長のお尋ねにもお答え申し上げましたように、疑惑を徹底的に解明いたしまして、そして真実を踏まえた上で処置するというのが最善の道だと思うのでございます。  ただ、政府といたしましては、そのほかに日韓関係全体というものも考えなければならぬ立場にあるわけでございまして、両者の要請をどのように調和して考えるかということが政府首脳のまた任務でもあったわけでございまして、あの時期にああいう形で政治的決着をやったことも私は間違いでなかったと存じております。
  91. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 私のお尋ねは、後段のことはいまお聞きをしようと思っていなかったんですね。  ところが、今回の米国務省の文書に関連をいたしまして、総理は、「韓国が認めていないんだから、日本だけではどうしようもない。国際的な問題だからな」ということを、これは五月十八日の新聞記事に、記者にお述べになったという記事が出ておりますが、そういうことになりますと、わが国が、客観的に見まして韓国政府の公権力の犯罪であると判断をしても、韓国政府が認めなければ政治決着を見直せないということになるのではないかと思うのです。本来、主権侵害かどうかということを認定いたしますのは、日本政府固有の権限ではないかと思うんですが、御見解をお伺いしたい。
  92. 大平正芳

    ○国務大臣(大平正芳君) 先ほどの御質問にもお答え申しましたように、アメリカ側はコメントできない、韓国側はそういう記録は存在しないと言っておるわけでございまして、日本以外の主権国家がそれぞれそういう態度をとっておられるという客観的事実を述べたわけでございまして、これを押さえつけて、こういうようにしろと言う力は日本にはないわけでございます。もちろん、日本の主権はわれわれの手にあるわけでございまして、この問題についてぎりぎり事実を認めた上で処理するという、最初のあなたの言われた一番ベストな方法をとることは論理上不可能じゃありません、主権国家でございますから。そういたしますと、日韓関係というものが大変不安定な状態に陥るという一方、また危険も冒さなければならぬわけでございまして、そのあたりは、また主権国家として考えにゃいかぬ政治問題であろうと考える。先ほど申しましたように、両者を勘案いたしましてこういう政治決着をすべきでないかと、当時の政府が篤と考えた上でやったことで、それは私は誤りでなかったんじゃないかと申し上げているんです。
  93. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 そうしますと、外国のいろいろな事情があろうとも、主権侵害か否かを認定をいたしますのは日本政府固有の権利であるし、独自の判断で行うんだという基本的な立場ですね。そういうふうに御理解を申し上げてよろしゅうございますね。論理上はあるとおっしゃったその点ですよ。だから、もう一遍言いますよ。主権侵害かどうかを認定するのは日本政府固有の権利、   〔委員長退席、理事野口忠夫君着席〕 固有の権限だと、独自の判断で行うのだということですねと、まあ念を押しているんですけどね。
  94. 大平正芳

    ○国務大臣(大平正芳君) 日本政府は主権国家としてみずからの手で解明したいのはやまやまでございます。ところが、この事件は国際間の事件になっておるわけでございまして、日本が調べるにいたしましてもいろんな制約があるということは承知しておかなけりゃならぬと思うのでありまして、主権があるということと主権の行使が、どの国もそうでございましょうけれども、完全に何らの制約なくできる状態にあるということと、また別なことでございまして、この事件につきましては、こういう国際刑事事件というものにつきまして、日本のなし得ることというのは十分やらなければなりませんけれども、また、日本の手の届かない問題もあるということは承知しておかなけりゃいかぬことかと思います。
  95. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 ちょっとはっきりしないんですけれどね。私は、日本が独立国として主権を持っているという立場から見まして、主権侵害かどうかを認定するというのは、当然日本政府の固有の権利だと思うんですよ。で、当然その主権侵害か否かを判断をするというのは、これは日本の政府独自の判断でやるということでしょうねということをお聞きしている。ごくあたりまえのことなんですね。いろいろあるのであるのでということは、これはいろいろな問題があるということが前提で言っておられるのですが、私は原則を聞いているんですが、原則論はどうなんですか。
  96. 大平正芳

    ○国務大臣(大平正芳君) 私も原則論を言っているわけでございます。日本がこの問題の主権侵害の事実があるかどうかを調べようと思いますれば、日本に来ていただいて調べなきゃいかぬ人もいろいろあるわけでございますけれども、そういう自由は日本だけでできないことでございまして、韓国側の了解を得なけりゃならぬことが多い。いままでにそういうことにつきまして再三要請いたしましたけれども、十分満たされていないということは、先ほど寺田さんにもお答えしたとおりでございます。つまり、主権があるということと、その行使が非常に自由であるということと、また主権の行使についていろいろ障害があるということは、   〔理事野口忠夫君退席、委員長着席〕  いずれの場合にもあり得ることではないかと私は思っております。
  97. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 時間をとりたくないんですが、主権を持っておるということと主権の行使ということと、その上に立って、その主権の行使の上に障害があるとかいうのは、たまたまある事件ではあるかもわからぬけれども、ないかもわからぬでしょう。しかし、原則として主権侵害をやられているかどうかという判断をするのは、他国の政府じゃなくて、日本の政府固有の権利でしょうが。そんなものはあたりまえのことですよ。当然、政府独自の判断で行うということにならなければおかしいんですよ。そういうことでしょう。金大中事件がどうだこうだということを聞いているんじゃないんですよ。原則としてそういうものでしょう。国際間の問題の場合にいろいろな困難な事情があろうとも、認定というのは当然日本政府の自主的な立場で御判断をなさるものですねと言って聞いているんです。
  98. 大平正芳

    ○国務大臣(大平正芳君) あなたの言われる趣旨はよくわかりました。そういうことです。判断は日本がします。しかし、その判断の材料というものは、必ずしも日本が全部直ちに整えられるという立場にないということだけを申し上げたわけです。
  99. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 それで、ちょっともう時間が非常に少ないものですから次に行きますが、ことしの五月二十八日、参議院の外務委員会で、米公電をめぐる論議の中で、園田外務大臣がこう言っておられるのですね。当事者が認めればこれ以上の証拠はないとお述べになっている。そして、そのことがはっきりすれば政治決着の見直しもあり得るという姿勢を示されたんですが、この点については総理も同じ御認識でございますか。
  100. 大平正芳

    ○国務大臣(大平正芳君) 私も園田外相の言われたことはそうだと思います。
  101. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 私はその点ではっきりしていかなければならないなと思っていますのは、韓国政府というのは、本来公権力介入をしたかどうかという点で見ますと、韓国政府は被疑者の立場ですね。それから、日本の捜査当局が犯人の一人として断定している金東雲でさえも、犯罪の容疑なしとして否定してくるような韓国政府ですね。これは過去の事実ですね。私は、そういう点から言いますならば、主権侵害の認定をするのが日本政府固有の権利だというお立場、これは基本原則ですから、そういうことだと言うなら、私は公電に関して、その公電を打ったスナイダー氏に確認をすれば足りると思うんですよね。先ほどからの御説明を聞いておりましても、韓国の金東作前外相は記憶がない、韓国政府は記録がないと言っている。それなら、公電の内容を確認する方法というのはスナイダー氏に確認する以外にはないのではないかと思うんですが、いかがでしょう。
  102. 大平正芳

    ○国務大臣(大平正芳君) そういうような点は捜査当局がどう判断しますか、そういう意見も、私、聴してみなければいかぬと思いますが、アメリカ側が一切コメントできないとしておるという、ただいままでの調べた事実を先ほど報告いたしたわけです。
  103. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 それで、これはノーコメントということでいま引き下がっておられるというふうに私もあっちこっちの委員会で伺っておりますけれども、引き下がるというんじゃなくて直接調査をするべきだと思うんですが、これを確認する手だてはないのでしょうか。
  104. 大平正芳

    ○国務大臣(大平正芳君) 外務省当局、捜査当局はそれぞれ努力しておることと思います。
  105. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 次に、金大中氏は五月の二十八日に、金東雲が犯行現場にいたということをお述べになって、犯人であることを断定すると同時に、写真を見れば二、三人はいまでも記憶があると語っておられるということが言われています。したがって、捜査当局は、この金大中氏からの事情聴取の必要性がいまこそ一層強く出てきたのではないかと思うのですけれども、その点はどうですか。捜査当局の方いらっしゃいますか、警備局長をお願いしていたんですが、いかがですか。
  106. 柴田善憲

    ○説明員(柴田善憲君) 金大中氏から事情を聞く件につきましては、何しろ相手国、韓国というものがあるわけでございまして、韓国側がどのような対応をいたしますか、それをよく判断をいたしましてから私どもとしては考えたい、このように考えております。
  107. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 いや、そうではなくて、被害者の本人がこういうふうなことを言っておられるということになりますと、捜査当局としては、当然、犯罪捜査の初歩的な立場としても、直ちに捜査をしていくということの必要性というのは一層強くなったんではありませんかと、必要か、必要でないかということだけ聞かしてください。
  108. 柴田善憲

    ○説明員(柴田善憲君) 被害者から事情をお聞きしますことは、これは犯罪捜査の第一歩でございまして当然必要なことでございます。ただ、言いますような事情があるわけでございます。それと、金東雲につきましては実は私どもはすでに確証を得ておるわけでございまして、新たなあれではないということも御了承おきいただきたいと思います。
  109. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 捜査当局は捜査の必要があるということを言われているんですが、総理、それならこの原状復帰をすることがいよいよ必要になると思うんですよね、いかがでしょう。
  110. 大平正芳

    ○国務大臣(大平正芳君) 先ほど寺田委員長の御質問にもお答え申し上げましたとおり、日韓間の政治的決着の了解は、新たな、公権力が日本の主権を侵したという証拠が出てまいりましたら見直すことはあるべしということになっておるわけでございますが、まだわれわれのところで韓国の公権力がわが国の主権を侵したという具体的な証拠、そういうものを掌握するには至っていないのであります。
  111. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 総理、私の質問にお答えになっていただけませんでしたが、時間がありませんので、一昨日、園田外務大臣は参議院の本委員会で、金大中氏の事情聴取のための来日要請はよく相談しますとおっしゃっている。ただいま捜査当局も、金大中氏の捜査が必要だとお認めになっている。これを、こういうように捜査当局も必要だと、外務大臣もよく相談しますと言っている。これを総理、あなたは、冒頭におっしゃったように、疑惑は徹底解明の立場をおとりになるということでございますから、どのように実現をするのか、この点についてお伺いをしたい。
  112. 大平正芳

    ○国務大臣(大平正芳君) 外務省並びに捜査当局は、本来この問題の、この事件に責任ある担当部局でございますから、仰せのような問題につきましては、御指摘を待つまでもなく検討を進めておることと思います。
  113. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 最後ですが、総理、外務大臣はよく相談しますと言っている。しかし、総理はわが国政府の最高責任者でしょう。その点で、外務大臣がおっしゃっておられるんだから、少なくともあなたは相談しなくても決断ができるはずですよ。外務大臣は総理に相談しなきゃならぬかもわからぬですよ。しかし総理は、決断をなさるおつもりになれば決断ができるはずだと思うんですが、いかがでしょう。
  114. 大平正芳

    ○国務大臣(大平正芳君) 私は外務大臣を任命しておるわけで、任命というのは任せると書いてあるんで、問題の処理は、まず第一次的には各省大臣にお任せしてベストを尽くしていただいているわけでございまして、御相談があれば当然私の責任において処理しなきゃならぬと思っております。
  115. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 もう時間がありませんので終わります。
  116. 三治重信

    ○三治重信君 総理にお伺いしますのは、先ほどの田代委員からの御質問と若干重なりますけれども、先日訪米されてナショナル・プレスクラブでの演説の中で、流通機構の整備と経済構造の転換というのが、四項目、五項目として演説の内容が新聞報道されているわけですが、この中で、ことに経済構造の転換ということをうたわれておりますが、その方向をどういうふうに意識されて、またここでこういう問題をアメリカが――まあこれはプレスクラブで発表するということは世界に日本の政策を発表することだろうと思うんですが、この構造転換というものをどういうふうにお考えになっておりますか、先に。
  117. 大平正芳

    ○国務大臣(大平正芳君) わが国の経済は世界の中で大変重要な地位と影響力を持ってきておるわけでございますから、世界経済との間の調和を図ってまいらなければならぬということで、その中には先進国もあれば中進国もある、発展途上国もあるし、油を出している国もあるし出していない国もあるわけでございまして、もろもろの対応があるわけでございますけれども、中進国の対応に対しましてはできるだけ知識集約的なものにしてまいらなければならぬわけでございますし、このようにエネルギーが不安になってまいりますと、省エネルギー的な産業に力点を置いていくというような工夫をこらしていかなければならぬわけでございますが、同時に、わが国におきましては、労働力人口の増加が大分低減してまいりましたとはいえ、将来増大するであろう労働力人口の吸収も考えていかなければならぬわけでございますから、内外の要請を踏まえながら幾つかの道標を構えて、それを実現する方向に漸次持っていかなきゃいかぬと思うわけでございまして、七カ年の新経済政策では、いま策定中でございますけれども、いろんな視点からいま模索を続けておることで、遠からずもっと正確な形で全容について御審議をいただくようなことになるんじゃないかと思っておりますが、問題性はいま私が御報告申し上げたとおりでございます。
  118. 三治重信

    ○三治重信君 日米関係から申し上げますと、アメリカへ貿易が非常に偏っていると。三分の一程度の輸出入の割合を占める。一国が、ことに非常に先進国化した日本が、一つのアメリカという国に三分の一の輸出入貿易を依存するということ、そのことがやはり日本の経済に非常に問題があるということで、われわれは、いわゆるアメリカへの輸出入の貿易依存が強過ぎるんじゃないかと、そういう意味において経済構造の転換ということを一時非常に政府に対して申し上げていたことがあるわけですが、その後、むしろアメリカ側からの輸入よりか、日本の国力、重工業化によって輸出が非常に伸びたために、アメリカからの輸入問題というものがどっちかというとウエートが少なくなったと、こういう問題で、問題のとらえ方が非常に変わってきたんじゃないかと。こういうことを背景に総理が経済構造の転換という問題を特にアメリカで言われたんではないかということですが、いまの総理のお考えだと、七カ年計画で非常に検討しているということの一般論のようですが、アメリカとの関係で、特に構造転換の上において一つの見通しというものをお持ちになっているかどうか、その点がちょっと聞きたかったわけです。  いままではむしろアメリカから原材料を輸入することによって日本の経済が支えられる、それがしかも一つの国に三分の一と偏っている。こういうことによって、輸入――石油なんか最たるものなんですが、非常に一つのところから原材料の輸入が偏っているということについて経済の構造転換をしなくちゃいかぬじゃないかと、こういうことだったんですが、いま石油の方がむしろ非常に日本の貿易構造から見ると大きな問題になってくると思うんで、具体的にアメリカとの問題点はそういう一般論だけではなかなか解決しない。何か一つの重点の置きどころを変えていかぬと、日米貿易の逆になった関係というものは直らぬではないかと思うんですが、その点はどういうふうにお考えですか。
  119. 大平正芳

    ○国務大臣(大平正芳君) ごもっともでございまして、その点につきましては日米共同声明に記されておると思うのでございますが、ここ二、三年大変対米出超が続きまして、三年間で二百数十億の経常収支の日本においては黒字、アメリカにおいては赤字が記録された。これは異常な事態でございまして、アメリカで朝野が挙げてこの問題を大きく取り上げたことは理解できないわけじゃございません。これに対しましてどう対応したかと申しますと、まず中長期にわたって日本は、先ほども御説明申し上げましたように、内需を中心にして生活並びに生活環境の整備、輸出や設備投資でなくて、そういう方向に日本の経済を持っていって輸入を拡大していく、そしてその黒字を圧縮していくという政策をとりますと。それからアメリカは、インフレ対策を徹底さしていきますと、エネルギーの輸入を抑制していくということを通じて国際収支の赤字を減らしていく。日本は黒字を減らす、向こうは赤字を減らすということでもって、日米間の緊張した問題になっておる経済上の摩擦を解消していこうという、そういう方向を示したわけでございます。  したがって、内需中心に、生活中心に経済を持っていくということは、当然のこととして、貿易構造ばかりでなく産業全体の構造につながってくるわけでございますので、先ほどからも御論議がありました、田代さんからも指摘されましたような構造問題ということになってくると思うのでございまして、それについての総体としての政府の姿勢は、近くお見せいたしまする七カ年計画でこたえたいと、こういう立場でございます。
  120. 三治重信

    ○三治重信君 次に、日米共同声明の中に、経済開発援助の問題で三カ年に倍増をすると、こういうふうになっているんですが、この中で特に私は、いままで、政府開発援助はやりたいけれども、実行上相手国との、ことに後進国との関係は、実行まで持っていくのが非常に手間がかかるのでうまくできないというような答弁を政府から何回となく聞いているわけなんですが、三カ年倍増計画というのは相当具体的に決まっているのか。その中で、特に学校とか病院というような文化施設というんですか、そういうものも含まれているのか。ことに農業開発みたいなのがその国のために非常に必要じゃないかと私は思うのですが、こういう計画が相当具体的に入っているのかどうか、お聞きします。
  121. 大平正芳

    ○国務大臣(大平正芳君) ODA三カ年倍増ということでございますが、一昨年ですか、十四億ドルでございましたのが、昨年は二十二億ドルになっているわけでございます。倍増するということでございますから、十四億ドルの倍ですから二十八億ドルに三年間にするということでございますから、もうことし一年で私はそれは達成できるんじゃないかと考えております。  ところが、いま御指摘の、それではその中で教育でございますとか農業開発でございますとか、われわれが力点を置こうとしておるものに対してどういうシェアを考えておるかということでございますが、従来のシェアは私も余り詳しいことは承知しておりませんけれども、報告によるとそのODAの約二割ぐらいがそういう方向に向けられておるんじゃないかと言われておりますが、私といたしましてはもう少しそれはふやしていかなきゃいかぬ、むしろ、それに力点を置く方向に漸次持っていきたいものと考えております。
  122. 三治重信

    ○三治重信君 一つだけ。じゃごく簡単に趣旨だけ御質問しますが、日米の学者の共同研究体制を発足させるとおっしゃっておりますが、その中で、経済問題から出たと思うのですが、経済問題以外にどんな問題を考えて、学者間の共同研究というものを……。
  123. 大平正芳

    ○国務大臣(大平正芳君) 日米間というのは幸いにいろいろな層での接触が行われておるようでございまして、学者は学者、ジャーナリストはジャーナリスト、経済人は経済人、政府は政府で、いろいろなことで共同の研究が行われて意思の疎通が図られておることは結構だと思っております。  今度も、私参りまして、高級政府代表との間の会合をもっと活力あるものにするとか、あるいは数名の賢人グループをつくって、政府の政策についてモニターした上でいろいろな勧告を期待しようというようなこともいたしておるわけでございまして、これは経済ばかりじゃございませんで、大きく言って文化一般を含めていろいろな共同研究をやっていこうということでございます。経済の問題といい、政治の問題といいますけれども、結局、皮をむいてまいりますと最後は文化の問題に帰着するような感じがしないわけでもございませんで、広く深くそういった問題での共同のアプローチというものをわれわれは精力的に考えていかにゃいかぬと考えております。
  124. 喜屋武眞榮

    ○喜屋武眞榮君 日中平和友好条約締結の過程においてすっきりしない問題が一つあったと思います。それは、日本の固有の領土であり、しかも沖繩県民からはさらに問題としておりました尖閣列島の問題であります。  この尖閣列島の実効支配ということで、去る五月二十八日までにはヘリポートも設置されて、琉球大学の学者を中心として実態調査が始まっておるわけなんです。ところが、これに対して中国側は文句を言い出しておる。このことに対して、けさの新聞も報じておりますが、尖閣の問題は平穏収拾策を政府においては検討中である、こう報ぜられておりますが、この問題をどのように認識しておられるか、また、いまの中国側の取り上げておる問題をどのように平穏に収拾しようとしておられるのであるか、それをまずお聞きしたいと思います。
  125. 大平正芳

    ○国務大臣(大平正芳君) 尖閣諸島がわが国の固有の領土であるということは、歴史的にも国際法上も明らかであると考えておりまするし、事実わが国は尖閣諸島を有効に支配をいたしておりますことは御案内のとおりであります。  今次の調査でございますが、同島の利用開発の可能性を調査することを目的として国内行政上の必要から行われたものであると承知いたしております。しかし、国内行政上の必要だからといって、尖閣諸島の領有権を対外的に誇示する等、刺激的、宣伝的なものであってはならないと私どもも考えております。いずれにいたしましても、今度のことにつきまして、日中間の友好関係を変わることなく発展さしていく方針に変わりはありません。
  126. 喜屋武眞榮

    ○喜屋武眞榮君 この問題は政府内においても異論があるやにいままでも聞かされておりますし、また、中国自体このように表面化しつつあるということでありますので、平穏裏に収拾していく、このことについては、非常にいち早く、そして慎重にこの問題を対処していただきたい、こういう要望を兼ねて、重ねて総理の御決意を承りたいと思います。
  127. 大平正芳

    ○国務大臣(大平正芳君) さように心得て、慎重に対処して、日中間の信頼関係に変わりがないようにいたしたいと思っております。
  128. 喜屋武眞榮

    ○喜屋武眞榮君 次に、歴代の総理、大平総理も含めて、日米友好関係の維持強化ということは絶えず強調しておられます。ところが、その結果として日米安保につながるわけでありますが、その安保の一面の経済の安定という面と、もう一つの一面、軍事同盟の一面、いわゆる生命の安全という、この二つの立場から考えた場合に、この軍事同盟の一面のいわゆる沖繩の基地が強化されている。特に最近演習が激しくなり、そうして砲弾の破片が民間にぼんぼん落ちてくる、そうして行軍も従来は基地の中でやっておったのが、基地の外に大っぴらにのさばり出てくると、こういうことになりますと、このしわ寄せは沖繩県民の生命、財産、人権にもろにかぶってくるわけであります。  そこで、県議会においても臨時議会を開きまして、与野党完全に一致して、全会一致での決議をちょうどきのう携えてきておるのであります。総理にはまだお会いしていないかもしれませんが、ちょっと読ましていただきます、結論だけ。  一 事故の原因を徹底的に究明し、その責任の所在を明らかにすること。  二 砲座の全面点検を行い、住民地域に被害を与えるおそれのある砲座を撤去し、それが実現するまで一切の実弾射撃演習を中止すること。  三 演習等により生ずる被害については完全に補償すること。 これはもう当然でありますが、このように全会一致で議会で決議をしている。こうなると、もう基地撤去もこれは辞さないと、こういうところにまで追い込まれておるのであります。そしてさらに爆音被害は、  一 住民地域での飛行訓練を中止すること。  二 深夜、早朝のエンジン調整をやめること。こういう具体的な生命に対するところの侵害、介入、不安、このように決議をしてきておるのであります。そのような状態を総理はどのように認識していらっしゃるか、そのことを聞きたいと思います。
  129. 大平正芳

    ○国務大臣(大平正芳君) 日米安保体制を堅持していくということはわが国の基本の国是でございます。その目的達成のため、必要な施設区域を維持して、そこで演習を行うというようなことも必要なことだと考えております。しかしながら、演習の実施に当たりましては、国民の生命の尊重、安全確保に万全を期することは当然でございます。政府としても必要な措置を講じておるところでございますが、なお一層気をつけていかなければならぬと考えております。  なお、沖繩でございますが、あの狭い地域に日本における米国の基地の約半分を負担していただいておるわけでございます。したがって、政府としては、沖繩の振興開発に配慮しながらその整理統合には一層努めていかなければならぬと考えております。
  130. 寺田熊雄

    ○委員長(寺田熊雄君) 喜屋武君、一問にお願いします。
  131. 喜屋武眞榮

    ○喜屋武眞榮君 じゃ最後にもう一点。  総理は八十七国会の中で所信表明を述べておられます。その所信表明の中に、沖繩に関することが触れられておりますが、十五ページに、「沖繩の振興開発についても、その実情に応じて、施策の充実を図ってまいりたい」と、このように明確にうたい上げておられますが、その内容はどのように考えていらっしゃるか、このことをお聞きしまして、時間が参りましたので私の質問を終わりたいと思います。
  132. 大平正芳

    ○国務大臣(大平正芳君) 沖繩の復帰に際しまして、振興開発十カ年計画を策定して、これによりまして各般の施策を積極的に進めてまいりましたことは御承知のとおりでございますが、復帰後七年を経た現在、社会資本の整備、県民所得の向上等の面で相当の前進があったのではないかと考えております。政府としては、今後とも平和で明るい豊かな沖繩県を実現することを目標といたしまして、本土との格差是正と自立的発展の基礎条件の整備のため、施策を推進してまいるつもりでございます。
  133. 秦豊

    ○秦豊君 私は十分というたっぷりした時間の中で、あえて松野頼三氏の問題と金大中氏問題をできるだけ取り上げてみたいと、こう思います。  総理、疑惑対策協議会ですね、略称。それも隠れみのではなくて、実効性ある具体策を打ち出すんだと、大変結構だと思う。しかあるべきだと思う。しかし、その前にもっと厳しく総理・総裁として決着をつけるべき目前の問題が私は横たわっていると思うんです。それがいわゆる松野問題ではないかと私は書いたいんです。衆参両院の審議を通じて、もどかしさを感じない国民の皆さんの方がむしろ少ないでしょう。政治資金規正法の壁、贈収賄については時効の壁、職務権限のなおさら厚い壁、そこのそういう状態を見聞きした、生でごらんになった有権者の皆さんは、ますます政治不信というか、欲求不満に陥っていらっしゃる。当然だと思いますね。しかし、松野氏自身が認めておられるように、松野氏といえども政治的、道義的な責任から逃れることはみずからできない、こう思うんです。そこで、この問題を調べている途中で、私は松野民の資産形成の問題も当委員会で追及をしておりますけれども、きょうは違った観点から、せっかく総理がいらしたんだから、総裁としての総理に伺ってみたいことが一つ二つあります。  自由民主党の党則をずっとこう拝見していまして、賞罰規程に突き当たったんですけれども、なかなかりっぱなことを書いてあるんです。たとえば前文を見ると、「清潔公明な政治を行ない、国民の信を政治につなぐことは、わが党に課せられた重大な使命である。このため信賞必罰を厳にし、党規律の確立をはかり」、そして以下、「常に国民と党が密着し、もって政治に対する国民の信頼を高めることが肝要である」というみごとな前文がありまして、以下は賞罰規程というのがずっと述べられている。党員として品位を汚す行為、汚職、選挙違反等の刑事事犯にかかわった行為、その他とこうなっているわけですが、こうしたものを踏まえながら、総理・総裁として、一体大平総理、大平総裁にとっては、松野頼三氏問題というのは自民党の党紀というものに照らせばどういうふうに位置づけられますか。
  134. 大平正芳

    ○国務大臣(大平正芳君) この問題につきましては、捜査当局の刑事責任の追及が一応終わりまして、政治責任の問題がいま問われておる段階であると思います。この経過を見ながら、どのように党として考えるべきかという点は今後の課題であろうと考えておりますけれども、問題は、何よりもまず松野君御自身がどのようにお考えになられますか、そういった問題が第一義的にあるのではないかと考えております。
  135. 秦豊

    ○秦豊君 総理がおっしゃったようなそういう図式でございますと、有権者の皆さんの御審判によって、万事が贖罪されたという図式は、かつて田中角榮ケースによっても明らかである。その他たくさんあります。そうじゃなくて、やっぱりせっかくこの疑惑対策協議会をおつくりになって、あすからにもスタートをされようとするその方向は是認するけれども、その前に、やはりこれだけの政治不信を解消し、緩和するために、総裁としてなすべきことがやはりありはしないだろうかと。たとえば明らかに党則に照らしても賞罰規程に照らしても、私はよもや松野氏の行動が党員としての品位を高めた、あるいは規律を厳正にした、あるいは党のイメージを高揚したとはお考えにならないでしょう。ならば、第一義的には松野頼三氏であっても、総裁として、たとえばしかるべき妥当な時期に、適切な時期に、総裁談話と綱紀粛正、えりを正せよというふうな意味の総裁談話ぐらいはあってもよろしいのではないですか。いかがです。
  136. 大平正芳

    ○国務大臣(大平正芳君) いま申しましたように、政治的責任の解明問題というのがいま始まっておるわけでございます。この過程を重大な関心を持って見ておるところでございまして、党として何をなすべきであるか、何をなすべきでないか、そういった問題は今後の経緯を見て慎重に判断したいと考えています。
  137. 秦豊

    ○秦豊君 総理、大変失礼かもしれませんがね、大平総理に対して有権者が抱くもどかしさはその辺にかかわるんですよ。待つ――待つことも確かに東洋的な知恵の一つかもしれない。しかし、これほどさんざっぱら衆参両院でやって、なおかつ大きなわだかまりができた、残った、あとは政治的、道義的な問題。もちろん国会はやりますよ、しつこくやりますよ。やりますけれども、その前に、総裁としてはやはりアクセントをつけた言葉をお述べになるべきではないか、めりはりが必要ではないか。区切りが必要ではないかと私は思うんです。重ねていかがでしょう。
  138. 大平正芳

    ○国務大臣(大平正芳君) 私に何かうまいことを言えいうても、なかなかそれは無理です。
  139. 秦豊

    ○秦豊君 うまいことは期待しない、率直なことを期待している。
  140. 大平正芳

    ○国務大臣(大平正芳君) 私は私の率直な感想をいま申し上げたわけでございまして、掛け値ないところでございます。
  141. 秦豊

    ○秦豊君 総理は総裁であるから同時に伺っているわけですが、そこで再発防止、方向は結構ですよ。しかし、御意見を有識者から伺っておもむろに、これも大平ばり待ちの政治と言えばそれこそ変哲はないけれども、そうじゃなくて、たとえば総理・総裁として、単にコーディネーターではなくてリーダーだという意味合いで、大体方向としてはどんなものを指向していらっしゃるのか。たとえば会計検査院法の強化という観点についてはすでに消極的であられるようだし、であるとすれば、選挙制度の抜本的な改正あるいは政治資金規正法の強化、あるいは政府と政治家あるいは公職を目指そうとする候補を拘束するいわゆる倫理法的な法制の実現、あるいは情報の公開、いろんなことが言われておりますね。少なくともこの段階で総理はまずどの辺のことを考えていらっしゃいますか。
  142. 大平正芳

    ○国務大臣(大平正芳君) 従来、再発防止のためにいろんな措置を国の内外にわたって講じてまいりましたことは秦さんも御承知のとおりでありまして、いま、きょうも参議院の本会議でお尋ねいただきました刑法の改正問題、懸案になっておりますが、あれも再発防止策の一つ、一環であったわけでございます。速やかに御審議をいただいて成立さしていただきたいと思っていますが、そういったことをやると並行いたしまして、私が今度協議会をつくりましたのは、もう少し時間をかけないで、ここ三、四カ月ぐらいの閥で、この際やるべきこと、そして実効性のあることを新たな視点からひとつ発掘していただけないものだろうかということで有識者をお願いいたしたわけでございます。  政治倫理の確立ということをうたっておりまするけれども、それは非常に広範な概念でございまして、どういった方面からどのように迫っていただきますか、これはあしたから始めるわけでございますので、初めからこういう問題について御審議をということではなくて、相当フランクに各委員から率直な御意見をいただくことがまず手順じゃなかろうかと考えておりますので、どういう問題かというと、政治倫理の確立一般ということだとお答えするよりいま仕方がないと思っておりますが、私の力点は、三、四カ月間の間にできたらひとつまとめ上げるぐらいの決意で当たりたいというんで、大平にいたしましては非常にスピーディーに考えておるつもりでございますが、この協議会におきましては、いろいろな方の自発的な御参加も、また協議会の御要請によりまして来ていただきたいと考えておりますので、あそこに名前を連ねた方だけじゃございませんで、もっと広く御意見も承って、できるだけ御期待に沿うような方向に何かしでかさなければ相済まぬのではないかと考えております。
  143. 秦豊

    ○秦豊君 委員長、最後に一問、よろしいでしょうか。
  144. 寺田熊雄

    ○委員長(寺田熊雄君) これ一問にしてください。
  145. 秦豊

    ○秦豊君 はい。  先ほどから各委員が引用していらっしゃいます、つまり、当事者が認めれば見直しをするという外相答弁は、実は私どもの楢崎が衆議院で、それをさらに追って田が再確認しまして、その二十八日、先日の夜、金大中氏と二十分以上電話をいたしました。その結果出てまいりましたのが、いままでになくきわめて明確に金大中氏が金東雲氏を犯人の一人であると断定をし、明らかにKCIA、公権力が介在した、機関とはKCIAだということを明言をしていらっしゃるのですね。このことは、大平総理初め政府側によれば、確かに見直すほどの大きな素材ではあり得ないとおっしゃるかもしれません。押し問答がずっと衆参両院で続いているのですね。しかし少なくとも、たとえばさっき捜査側の局長がちょっと述べておられたが、確かに金東雲はもう指紋が割れているわけです。そうすると外交ルートとして――この一問だけにしますけれども、いまソウル駐在の日本の外交機関、大使館にさまざまなスタッフがいらっしゃる、各省庁出向の。金大中氏に会って、そうして改めて、日本ではこのような報道と国会における質疑が行われているが、実態と真意はどうか、真相はどうかという聞き取りをするぐらいは外交上何の妨げもない。一気に見直しといっても、あなた方はガードを固くする一方だと思うので、そういう意味で、総理、まずソウル駐在の外交機関が、日本の公的機関が、金大中氏に何らかの方法で接触をして事態を確認することぐらいは、外交上、韓国外交の自主権も、韓国の司法当局の主体性も何ら妨げないものだと私は思うが、その点だけを伺っておきたいと思うのです。いかがでしょう。
  146. 大平正芳

    ○国務大臣(大平正芳君) いま秦委員から御提起がありました問題は検討してみたいと思いますので、お許しをいただきます。
  147. 寺田熊雄

    ○委員長(寺田熊雄君) 大平内閣総理大臣は御退席していただいて結構でございます。御苦労さまでした。     ―――――――――――――
  148. 寺田熊雄

    ○委員長(寺田熊雄君) この際、委員の異動について御報告いたします。  本日、田代富士男君及び安武洋子君が委員を辞任され、その補欠として塩出啓典君及び小巻敏雄君が選任されました。     ―――――――――――――
  149. 寺田熊雄

    ○委員長(寺田熊雄君) 他に御発言がなければ、昭和五十年度決算外二件に対する質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  150. 寺田熊雄

    ○委員長(寺田熊雄君) 御異議ないと認めます。     ―――――――――――――
  151. 寺田熊雄

    ○委員長(寺田熊雄君) それでは、昭和五十年度決算外二件につきましては、これを一時中断し、次に、昭和四十九年度決算につきまして、内閣に対し警告の議決を行いましたが、その警告に対し内閣のとった措置などにつきまして説明を聴取いたします。金子大蔵大臣。
  152. 金子一平

    ○国務大臣(金子一平君) 昭和四十九年度決算に関する参議院の審議議決について講じました措置の概要を申し上げます。  政府は、従来から決算に関する国会の審議議決、会計検査院の指摘等にかんがみ、国費の効率的使用、事務事業の運営の適正化、不当経理の発生の防止等について特に留意してまいったところでありますが、昭和四十九年度決算に関する参議院の審議議決について、各省各庁において講じております措置を取りまとめてその概要を御説明申し上げます。 (1) 会計検査院の実地検査の際の受検官署における接待につきましては、政府といたしましては、これを行わないこととし、会計検査院の新しい検査体制の整備と相まって、ともども国民の信頼の回復に努めているところであります。   また、会計検査機能の拡充強化につきましては、会計検査院の権限の拡大につき検討を行っているほか、昭和五十四年度予算におきまして、検査業務に従事する職員の増員並びに検査旅費及び会計検査活動賢の増額を行い、検査業務の強化を図るとともに、会計実地検査手当についても増額を行い、職員の処遇の改善を図っております。 (2) 郵政省の職員の不正行為の防止につきましては、従来から、防犯管理体制の整備強化、相互牽制の励行等を強調し、管理者及び一般職員の防犯意識の高揚を図り、犯罪の未然防止と早期発見に努めてきたところでありますが、高額、悪質な不詳事が後を絶たないことにかんがみ、昭和五十三年二月に郵政事業防犯対策本部を設置し、省を挙げて防犯体制を強化するとともに、全郵便局を対象とした防犯特別調査の実施、全特定郵便局長を対象とした特定郵便局長防犯対策打合会の開催その他業務取扱上必要な防犯対策の実施等の施策を講じたところであります。   今後とも、防犯について日常の努力を積み重ねるとともに、業務考査及び会計監査を厳重に実施し、不正行為の絶滅を期することとしております。 (3) 貸金業のうち、サラ金と通称される庶民金融の利用者の保護等につきましては、悪質事犯の重点的、継続的取り締まりの実施、困りごと相談の受理体制の整備、サラリーマン金融利用上の注意等、消費者の啓発、庶民金融業協会に対する定款金利引き下げ等の指導の強化、業者の行為規制に関する指導通達の発遣等、現行法令のもとでのできる限りの措置を講じてきているところであります。   また、関係省庁間においても、サラ金を含め貸金業問題に関し、今通常国会において立法措置が講ぜられ、その規制の強化が図られるよう鋭意検討が進められているところであります。   なお、各政党からも、御高承のとおり、すでに種々の御提案がなされている現状であります。 (4) 恩給制度につきましては、毎年度、その改善に努めてきているところでありますが、昭和五十四年度予算におきましても、恩給年額の増額、公務扶助料の改定等その改善を図っているところであります。   また、旧日本赤十字社の救護看護婦に対する救済措置につきましては、昭和五十四年度以降、日本赤十字社におきまして、毎年、慰労給付金を支給することとし、政府はこれに要する経費を補助するため、昭和五十四年度予算に所要の経費を計上しているところであります。 (5) 沖繩県における交通方法の変更の円滑な実施等につきましては、関係機関及び県民の協力のもとに、昭和五十三年七月三十日を期してその変更が実施されたところでありますが、実施に当たっては、交通安全の確保と県民の理解と協力を基本方針として、各般にわたって万全な準備のもとに円滑に交通方法の切りかえが行われ、変更実施後の交通事故の発生は、変更前に比べかなりの減少を見せているところであります。   また、交通方法の変更に伴い県民がこうむる有形、無形の損失に対する代償という趣旨でのいわゆる特別事業については、昭和五十四年度予算におきましても所要の経費を計上するとともに、また、個別対策として、事業の転換、店舗の移転等を希望する者に対しましては、長期低利の特別融資制度を創設し、その積極的な活用を推進したところであります。 (6) 輸入牛肉の利益の消費者への還元等につきましては、畜産振興事業団及び関係業界に対する指導監督につきまして、輸入牛肉の適正な流通を確保するため、同事業団の指定輸入牛肉販売店制度の的確な運用と指導の強化に努めるとともに、同事業団の冷蔵牛肉の売り渡し方法の改善を図る等の措置を講じたところでありますが、今後とも国産牛肉の流通改善とあわせてその一層の改善に努めてまいる所在であります。   また、肉用牛生産の振興につきましては、その基礎となる粗飼料の生産を計画的に増強するとともに、生産適地における生産から肥育、処理等に至る一貫した肉用牛の供給体制の確立を図るための肉用牛集約生産基地育成事業を実施すること等により、生産の合理化と経営の安定化に努めてまいる所存であります。   さらに、畜産振興事業団の輸入牛肉差益金の還元につきましては、昭和五十三年度に、子牛生産の振興対策、子牛価格の安定対策、畜産経営の安定対策等を推進することにより生産の振興を図るとともに、牛肉値下げルートの新設等、消費者により直接的に結びつく流通改善施策への活用を図ったところでありまして、今後ともその適切な活用を図り、消費者への還元に努めてまいる所存であります。 (7) 中高年齢者及び身体障害者の適職の確保等につきましては、従来からこれらの者を雇い入れた事業主に対し、雇用奨励金を支給する等施策の充実に努めているところでありますが、昭和五十四年度予算におきましては、各種雇用奨励措置等の拡充を図り、特に中高年齢者については、中高年齢者雇用開発給付金を大幅に改善し、また、身体障害者については、身体障害者雇用納付金に基づく助成措置の大幅な拡充を図っております。   また、身体障害者雇用卒及び高年齢者雇用率の達成指導につきましては、各種助成措置の大幅拡充のほか、雇用率未達成事業主について、雇い入れ計画及び達成計画制度の活用により、その達成のための行政指導の強化を図ることとしております。   また、婦人労働問題につきましては、雇用における男女平等に関する調査研究等を行うほか、男女同一労働同一賃金の原則の徹底を図るとともに、若年定年制、結婚退職制等の解消のため、強力な行政指導を行っているところであります。 (8) 公団住宅、公営住宅等の空き家問題につきましては、住宅立地の改善、住宅規模の拡大等種々対策を講じており、特に公団住宅につきましては、これらの対策のほか、住宅需要調査の充実、入居基準の緩和、広報活動の強化等を図るとともに、傾斜家賃制度の見直し及び昭和五十年度から昭和五十二年度までに管理を開始した住宅についての家賃引き下げ等の措置を講じたところであります。   また、未竣工住宅につきましても住宅の大型化、住宅の種別の変更、物置、駐車場の設置等により需要に適合するように改善を図っているところであります。   今後ともこれら諸対策を積極的に推進し、その解消及び発生防止により一層努力するよう日本住宅公団等を指導してまいる所存であります。   なお、昭和五十四年度予算におきましては、住宅立地の改善、住宅規模の拡大、住宅宅地関連公共施設整備促進事業枠の拡大、賃貸住宅団地の住環境施設用地に係る出資、特定住宅市街地総合整備促進事業の創設等、所要の措置を講じているところであります。     ―――――――――――――
  153. 寺田熊雄

    ○委員長(寺田熊雄君) この際、委員の異動について御報告いたします。  本日、河本嘉久蔵君及び藤川一秋君が委員を辞任され、その補欠として、高平公友君及び田代由紀男君が選任されました。     ―――――――――――――
  154. 寺田熊雄

    ○委員長(寺田熊雄君) 先ほど一時中断いたしました昭和五十年度決算外二件を再び議題といたします。  これより直ちに討論に入ります。  各党討論に入るに先立ち、理事会におきまして協議いたしました内閣に対する警告につきまして、お手元に配付いたしましたような案文とすることに意見が一致いたしました。  それでは警告案を朗読いたします。    内閣に対し、次の通り警告する。  (1) 国家公務員が、退職後、特殊法人等の役員として就職する件に関しては、先に、その適不適をめぐって、さまざまな論議がなされた結果、政府は、昭和五十二年十二月二十三日、閣議決定により、役員の選考に関する厳格な基準を定めるとともに、給与、退職金制度についても、抑制的措置を講ずるなど、その適正化に努めたところであるが、その後においても、依然として、この問題に関する論議が、跡を絶たず、閣議決定の厳守を求める世論も少なしとしないのである。    政府は、この間の事情に思いをいたし、なお一層、右閣議決定の趣旨の実現に努めるとともに、認可法人に関しても、特殊法人に準じ、その肥大化の防止と役員給与の是正について、遺憾なきを期すべきである。  (2) 近時、官公署に対し、団体等の職員と称する者により、市価に比して、著しく高価な物品の、執ような売り込みが行われる一方、当該官公署においては、十分な調査も行わず、責任の所在もあいまいなまま、これらの物品を購入するなど、物品調達に適切を欠く事例が、見受けられるのは遺憾である。    政府は、官公署における物品調達に際して、綱紀の維持に努め、このような事態の絶滅を期すべきである。  (3) 近時、銃砲の管理については、暴力団による不法所持及び発砲、あるいは猟銃の誤射・暴発等が跡を絶たず、加えて、先般大阪市で発生した、「銀行強盗殺人並びに人質立てこもり事件」においては、正規の所持許可を受けた猟銃が、人身の殺傷を伴う凶悪犯罪に使用されたものであって、看過できない。    政府は、正規の銃砲の所持者に対しても、監視を厳にし、違法な所持者に対しては、一層その摘発に努めるとともに、銃砲刀剣類の所持許可についての法令、あるいはその運用の基準等について見直しを行い、所持許可を与える場合には、その必要性や乱用の危険性等について、十分精査し、不祥事態発生の絶滅を期すべきである。  (4) 防衛庁が、アメリカ合衆国から、FMS方式(軍事有償援助)により、誘導武器等の装備品を購入する件に関し、代金の支払いが、完了しているにもかかわらず、昭和四十九年以降、現品の納入が遅延している事実が、指摘せられていることは、当委員会として看過しがたいところである。    政府は、今後、同方式による契約の執行に当たっては、予算の効率的使用に遺憾なきを期すべきである。  (5) 豪雪地帯に対しては、従来より、各般の助成措置が講ぜられ、逐次、諸施設の改善をみつつあるが、なお必ずしも十分とはいいがたく、とくに、道路交通網の確保、文教施設の整備、雪害に対する税法上の控除制度の周知方については、さらに一段の努力が、要望せられるところである。    政府は、積雪のとくにはなはだしい地域における、住民の生活上の困難を深く認識し、今後とも、関係行政機関の行う助成措置の充実と、その効果の浸透に努め、もって地域格差の解消を図るべきである。  (6) 運輸省では、地方バス路線が、地域住民の日常生活に、不可欠なものであることにかんがみ、都道府県が、事業主体となり、地方路線バス事業者に、運行を維持させるため実施している補助事業に対して、地方バス路線維持費補助金を交付し、逐年、その成果を上げているが、一部の府県では、財政事情等により、事業の縮小を余儀なくされている事例が、見受けられる。    政府は、地方路線バス事業者が、適切な運賃で路線の運行を維持できるよう、現行補助制度の充実に意を用い、もって地方における、公共交通機能の整備向上に努めるべきである。  (7) 近年、不動産取引に関し、誇大広告等により、宅地・建物購入者が被害を受けている事例が、数多く見られ、中でも、大和スキー開発株式会社のように、購入者に多大の損害を与えた末、倒産、廃業し、その後においても顧客を誘引し、新たな被害を発生せしめている旨が、論議せられるがごときは、看過できない。    政府は、地方公共団体と協力し、この種の悪質な行為の横行を阻止するため、これら業者に対する監督を厳重にし、不正事実が立証された場合は、遅滞なく、これを処分し、購入者の保護、啓発等に、遺漏のないよう配意するとともに、関係法令の見直しを行い、もって宅地、建物の取引の公正を確保するよう、所要の措置を講ずべきである。  以上であります。  なお、議決案はお手元に配付されているとおりであります。  それでは、討論をされる方は賛否を明らかにして御意見をお述べ願います。穐山篤君。
  155. 穐山篤

    ○穐山篤君 私は、日本社会党を代表して、昭和五十年度決算外二件に対し、これを是認することができないことを表明し、内閣に対する警告案につきましては、賛成するものであります。   〔委員長退席、理事野口忠夫君着席〕  以下、主なる反対の理由を申し上げます。  まず、財政経済運営について指摘をします。  昭和五十年度は、言うまでもなく、石油ショック以来低迷を続けた経済の二年目に当たったのであります。以来、不況からの脱出は非常に困難をきわめ、最近にしてようやく企業の一部に増収、増益の姿が見えてきましたが、構造的不況業種と言われる繊維、海運、造船業、あるいは多くの中小企業の例に見られるように、経営の立ち直りや深刻な雇用不安は解消されておりません。これは昭和五十年代における政府の財政運営が功を奏さなかったことに起因するものではないでしょうか。  確かに政府は、公共事業を柱とする景気対策を数次にわたり打ち出しました。これに対しわが党は、景気の回復には思い切った所得税減税による消費需要の喚起策を提唱しました。政府は、減税は内需喚起には効果がないとしておりましたが、われわれ野党の要求によって、わずかではありますが、所得税減税が実現をいたしました。しかし、その領はきわめて少なかったために効果も少なく、五十年の景気回復は一層おくれることとなったのであります。しかも、五十年度が最近になって初めての赤字公債を発行した年度でありまして、以後とめどもなく赤字公債が発行されてまいりました。今日の財政の肥満体質への道は、実に五十年度から急速に深まったのであります。これもすべて五十年度をはさんで、行政改革の失敗や財政の効率的運営を図らなかったためと言えましょう。  次に、地方財政について申し上げます。  五十年度の地方税収入は、前年度に比べ三・二%の減収となり、財源調達のため地方債が著しく増続され、地方財政硬直化に拍車をかけております。さらに五十年度の赤字団体は二百六十九団体であり、前年度に比べ、五十七団体の増加となっております。特に団体種類別に見ますと、都市における赤字団体の増加率は、大都市で六六・七%、中都市で二六・一%となっており、このことは、多様化する地域住民の福祉や、環境整備等の要望に即応するためには、不況で税収が減少したからといって、歳出規模を縮小することができないのが現状であり、地方独自の自主財源を大幅に増加させるとか、あるいは国税の一部を地方に移譲するとかの検討が前向きに行われる必要があると思われますが、政府は相変わらず国家財政中心主義を変えようとしていないのであります。  次に、雇用の問題について指摘をします。  政府の財政経済運営の失敗によります不況の長期化は、企業がみずから生き抜くために減量経営ということで大幅な人員整理を進めてまいりました。五十年は完全失業者百万人、有効求人倍率〇・六一となり、前年の完全失業者七十三万人、有効求人倍率一・二に比べ、不況の深刻化、雇用不安が一段と深められたのであります。いわば労働者の犠牲によって企業の存続を図ろうというわけで、この傾向は今日もなお是正されていないのであります。  次に、政府系金融機関の貸出金利について指摘をします。  政府は、五十年度の景気対策の一環として、数次にわたり公定歩合を引き下げてまいりました。これに伴い、民間金融機関も大部分の貸出金利を下げてまいりました。しかしながら、政府系金融機関は、一向にその傾向に連動しようとしないため、政府系金融機関を頼りとします中小企業や不況業種は、金利負担に苦しむ状況に置かれていたのであります。このことは、財政投融資を有効に活用させようという政策金融の目的に欠けるのではないかと思われるのであります。この点は今後も十分に見直す必要があろうと思います。  次に、不用額について指摘をいたします。  五十年度決算では、予算の不用額が大変大きく、一項目五億円以上のものだけでも四十九項目あり、総額で千九百五十六億六千万円余となっております。中でも住宅建設事業費二百四億八千六百万円余り、あるいは飼料需給安定費二百十七億円等は、国民が切望しております住宅対策や牛肉問題等に有効に執行さるべき予算でありながら、使われることなく終わってしまったことは、国の財政執行が内需喚起に大変有効な手段である面から考えてみましても、不適切きわまりないと言わなければなりません。  次に、会計検査院の権限強化の問題であります。  財政規模が多様化し、かつ複雑多岐にわたるので、会計検査院の権限を強化し、血税や財政投融資のむだ遣いをやめさせ、その効率的活用を図らなければなりません。  そのためには、検査院の検査が、いわゆる出資法人からの融資先の民間企業まで及ぶように権限を拡充するよう法改正をすべきでありますが、政府はいろいろな理由をつけまして、検査院の民間企業への関与を拒否しようとしています。こういう態度では、出資法人とその融資先の民間企業との間で、公正かつ健全な金融関係を保つことは困難となります。   〔理事野口忠夫君退席、委員長着席〕  最後に、政府の政治姿勢について申し上げたいと思います。  航空機の輸入に絡む問題は、国民注視の的でありますが、政府は積極的に真相の究明にどの程度熱意があるか、非常に疑うところであります。  昭和五十一年二月に、米国上院多国籍企業小委員会が明らかにしましたロッキード事件は、まさに昭和五十年度に火を噴いた事件であります。その後、連続した構造汚職といわゆる一連の不祥事件は、一応検察の努力によりまして事態が明らかになったものの、政治的、道義的責任の追及には、政府はもっぱら国会の問題として回避をし、真相解明に乗り出そうとした一部の良識派さえも抑えたことは事実であります。  また、金大中事件に関する、いわゆる第二次政治決着は、昭和五十年七月に行われておりますが、その後、内外から、韓国公権力の介入ではないか、主権の侵害であると断定できるような証拠も提供されており、独立国家として毅然たる態度を望む国民の声は大きいと指摘しなければなりません。  以上の理由をもって本件決算には反対をいたしますが、委員長提案の警告案には賛成し、政府は今後本委員会における論議を十分に尊重し、警告の趣意を体して財政執行の適正化、行政の効率化に遺憾のないよう対処されることを強く要求をして、私の反対討論を終わるものであります。
  156. 寺田熊雄

    ○委員長(寺田熊雄君) 楠正俊君。
  157. 楠正俊

    ○楠正俊君 私は、自由民主党・自由国民会議を代表いたしまして、昭和五十年度決算外二件に対しまして、これを是認するとともに、委員長提案の警告案に対し、賛成の意を表明するものであります。  昭和五十年度の財政経済運営の焦点は、冷え込んだ景気、そして雇用不安をどのように回復し、安定させるかにありました。  そのため政府は、四十九年度後半から実施した第一次、第二次の景気対策に次いで、五十年六月の第三次景気対策においては、国民が一番望んでいる住宅建設のための住宅金融公庫の貸付枠の増大等に踏み切りました。また、九月の第四次景気対策においては、公共事業を積極的に推進するなど、相次いで景気対策を講じたのであります。  金融面でも、五十年四月に九%であった公定歩合を、四回にわたって引き下げ、十月には六・五%にするなど金利負担の軽減を図り、財政面からの景気対策と歩調を合わせて緩和措置を実施したばかりでなく、苦しい財政事情にもかかわらず、約二千五百億円にも及ぶ所得税減税を行って、景気浮揚のための万全の措置を講じ、国民生活の安定を図ったのであります。  この結果、国民の消費活動はみごとに活気を取り戻したほか、物価は前年度に引き続き鎮静したまま、企業収益も逐次改善するなど、景気は着実に回復して、過去の二カ年続いた不況から脱出する曙光が見えてまいりました。この傾向は今日までますます助長され、安定成長への道を築いたことは言うまでもありません。  このように、昭和五十年度における政府の懸命の努力によって、その財政経済運営は、まことに時宜にかなったものとなったと言えるのであります。  しかし、当時の円高問題にみられるように、国際収支の大幅黒字による対外不均衡に対する外国の攻勢は執拗に日本を揺さぶり続けておりますし、今日また石油危機の再現という厳しい経済環境にはありますが、昭和五十年度に見せた政府の財政運営に対する努力によって、この危機も必ずや切り抜けられるものと信じて疑わないのであります。  なお、財政執行上、個々の細かい事項について見ますと、本委員会の審査の過程で明らかになった事項あるいは会計検査院から指摘された事項のように、留意反省すべき点があります。  政府は、この際、警告の趣旨を体して、今後一層財政運営の効率化と行政の適正化に努め、国民の信託にこたえられるよう要望いたしまして、賛成討論を終わります。
  158. 寺田熊雄

    ○委員長(寺田熊雄君) 和泉照雄君。
  159. 和泉照雄

    ○和泉照雄君 私は、公明党を代表して、昭和五十年度決算外二件に対して、是認できないことを表明し、委員長提案の内閣に対する警告に対しては、賛成の意を表するものであります。  以下、反対の理由について申し上げます。  その第一は財政経済運営の失敗であります。  昭和五十年度は、インフレの再燃を回避しつつ、戦後最大の不況からの脱出を図るため、政府の財政経済運営は、その重点をそれまでの抑制的な総需要管理から景気の浮揚に移したのでありますが、五十年中に四次にわたって実施された政府の景気対策は、公共事業の推進一辺倒であって、その効果は一向に上がらず、不況はいよいよ深刻の度を加え、国民はその後も長期にわたって生活を脅かされ、いまなお、倒産、失業の後遺症に苦しんでいることは、御承知のとおりであります。  さらに不況のために、五十年度は税収が激減して大幅な歳入不足となったため、政府は戦後初めての予算の減額補正を行いましたが、それでもまだ財源の手当てがつかず、ついに二兆円を超えるいわゆる赤字国債を発行して、ようやく切り抜けたのであります。この傾向は、その後もますます肥大化し、ついに五十四年度には公債依存率が三九・六%となってしまい、財政危機は依然として克服されないのであります。しかも、この財源難を理由に、福祉予算を抑えて、社会的に最も弱い立場の人たちにそのしわ寄せをしているのであります。これは昭和五十年度の政府の財政経済運営の失敗によるものであると断ぜざるを得ません。  その第二は、雇用と福祉政策の欠如であります。  わが党は身体障害者の雇用促進について、本委員会でもたびたび指摘しているところでありますが、法定雇用率を未達成の企業はまだ四七%もあり、その状況は遅々として改善されておりません。中でも、身障者を不当に低い賃金で雇用しているような事例は、政府の身体障害者対策が末端ではきめの細かい配慮に欠けているということのあらわれであると言わざるを得ません。  また、寝たきり老人のために必要な特別養護老人ホームはまだまだ不足しておりますが、こうした福祉施設建設に対して交付された補助金が、たとえば私が指摘した特別養護老人ホームヨロン園の場合のように、不正に流用されていたことは、財政資金の効率的使用の点から見ても許すことはできません。私は今後の福祉行政の姿勢を正すことを強く求めるものであります。  その第三は国民生活の安全確保に対する施策が不十分なことであります。  残留農薬が飲料水や食品を通じて人体に及ぼす被害は、国民の健康に長期にわたって影響する重大問題で、安全使用基準の厳守は申すまでもありませんが、農薬事故は一向に減少しておりません。農薬の安全使用の確保、火山の降灰による人体への被害防止など、人命尊重の点から一日もゆるがせにできない問題であります。  また検定の不備から、冷蔵庫の欠陥品が多く出回り、火災事故を起こした事例もあり、国民の健康を維持し、安全な日常生活を確保するための政府の施策は、まだ十分講ぜられているとは言えないのであります。  第四は、航空機輸入に絡む疑惑の解明についてであります。  米国証券取引委員会の報告書の公表に端を発した今回の航空機輸入疑惑事件は、自衛隊機の購入をめぐるものであるだけに、日本の保守政治と企業が癒着した構造的腐敗は、民間機売り込みのロッキード事件よりさらに根の深いものであります。  政府は、事件の発覚当初から、捜査当局に任せると言って言い逃れをし、本気で疑惑を解明しようとする姿勢に欠けているのは全く遺憾であります。これが国民の政治不信を招く結果となっていることの責任はまことに重大であります。  最後に、前にも述べましたように、借金財政下にありながら、相も変わらず税金のむだ遣いが後を絶たないことであります。五十年度も、会計検査院に指摘されただけでも、その金額は十八億七千万円にも上り、国費のむだ遣いは一向に減少しておりません。その中には毎年同じような指摘を繰り返し受けているものがあり、しかも会計検査院はわずか八%程度しか実地検査したにすぎないので、あくまで氷山の一角であって、政府の財務執行の姿勢は正されているとは認めがたく、強く政府の反省を求めるものであります。  以上、主な反対の理由を申し述べました。  委員長提案の警告に対しては、政府は十分その意を体して、速やかに改善に努めることを要望いたしまして、反対討論を終わります。
  160. 寺田熊雄

    ○委員長(寺田熊雄君) 沓脱タケ子君。
  161. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 私は、日本共産党を代表して、昭和五十年度決算について、これを是認できないとする反対討論を行います。  昭和五十年度予算は日本列島改造型の大型公共事業を復活させ、一方では福祉の切り詰め、酒、たばこ、国鉄運賃など、公共料金と国民の税負担を大幅に引き上げる国民生活犠牲、大企業本位の予算でした。したがって、その執行により、国民は激しい物価の騰貴と不況の一層の深刻化という二重の苦しみを押しつけられる結果となったのであります。  たとえば物価について見ますと、消費者物価は前年比一一・八%の上昇を示し、狂乱物価の年に次ぐ高い上昇率を記録しました。また、不況による倒産は増大し、十月以降三カ月間も連続して戦後最高件数を更新し、ついに年間二万二千六百四件にも達しました。また、政府が最重点として大宣伝した福祉関係費について見ても、その決算の伸び率は前年度と比べると八・五ポイントも低下しています。もう一つの最重点と宣伝された住宅関連予算は、もともと少ない予算を八百二十八億円、総額の一八%も使い残しています。この結果、公営・公団住宅は一万八千戸も当初の建設数を下回るというありさまでした。  その反面、防衛関係予算では、戦闘機や潜水艦などの購入のために予算をほぼ使い切った上に、数年先までの財政支出を一括して契約する国庫債務負担行為まで行っており、その金額は三千二百億円にも上っています。  特に五十年度に購入した軍用機の中には、いま疑惑の焦点になっているF4Eファントム十二機が含まれていることは重大であります。F4Eの売り込み工作と、成功報酬として五億円もの大金が日商岩井から松野頼三代議士に支払われていた事実が国会審議の中で確認されています。まさに、従来から云々されていた用事汚職が事実であったことを明白にしているのであります。田中金脈問題、そしてロッキード事件に始まった航空機疑惑と、次々に暴露される構造汚職のその根の深さと広さに国民は激怒するとともに、真相の徹底解明と再発防止を強く求めているのも至極当然のことであります。  次に、財政の健全な運営という点で幾つかの問題を指摘いたします。  第一に、租税特別措置の改廃など不公正税制の是正を見せかけだけにとどめ、逆に財政法第四条が禁止している赤字公債の発行に再び踏み切り、公債依存度も約三〇%まで引き上げるという放漫財政の口火を切ったことであります。  また、会計検査院の決算検査報告でも明瞭なように、税金のむだ遣いが依然として後を絶たないばかりか、その金額は年々増加しております。  以上のように、数々の重大な問題を含んでいる昭和五十年度決算はとうてい是認できません。  国有財産の増減及び現在額総計算書は、国民生活犠牲、大企業本位の五十年度予算の執行に伴い国が所有した国有財産に関する決算書の性格を有するものであり、是認できません。  また、国有財産無償貸付状況総計算書については、その用途が地方公共団体の公園、緑地などであり、その目的の限りにおいて賛成ですが、その実態を示す詳細な資料を提出するよう重ねて強く要求するものです。  最後に、決算警告決議に対する政府の対応について指摘をしておきます。  申すまでもなく、警告決議は、決算審査過程で明らかになった諸問題について、単に本委員会にとどまらず、本院全会一致の意思として政府に警告を発し、速やかな措置を求めるものであります。  ところが、従来の政府の対応は、口先だけにとどまり、実効の上がるものになっていないと言わざるを得ない面がありました。  たとえば四十九年度に警告した会計検査院に係る問題、サラ金問題など、政府が誠実に対処する決意があるならば、会計検査院法の改正案あるいはサラ金規制法を今国会に提出していなければなりません。  これらの問題は、五十年度審査の中でわが党も精力的に取り上げ、その必要性はますます明らかになりました。しかし、現実には、政府はそれをたなざらしにしていることはまことに遺憾であり、政府の猛省を促すものであります。  また、五十年度審査の中で取り上げられ、社会的にも大問題となった航空機疑惑問題あるいは国税幹部職員の顧問税理士天下り問題が、全会一致の賛成が得られず、警告に取り上げることができなかったことは大変遺憾であります。  最後に、委員長提案の警告決議案は、賛成を表明をいたしまして、私の討論を終わります。
  162. 寺田熊雄

    ○委員長(寺田熊雄君) 三治重信君。
  163. 三治重信

    ○三治重信君 私は、民社党を代表して、昭和五十年度決算外二件について是認することに反対し、委員長提出の警告決議案については賛成の態度を表明いたします。  五十年度予算案についてはきはめて不十分な面が多く、わが党は他の野党と共同して福祉年金の増額、介護手当の支給繰り上げ、公正取引委員会の強化など、数項目の歳出追加、航空機の購入費や予備費の減額などを内容とする修正案を提出し、また、五十年度予算執行に当たって配慮すべき点として、物価上昇を避けつつ総需要抑制策の一部手直しをすること、中小零細企業への金融措置等、あるいは雇用保険の全国的給付の早期実施等を主とする十六項目の附帯決議案を提出したのでありますが、いずれも委員会で否決されたのでありました。  しかしながら、否決されたとはいえ、政府はこれらの点について十分留意して財政執行を行うべきであり、このような観点から、私どもは本委員会において五十年度決算を審議してまいりました。  まず、経済協力について申し上げれば、五十年度実績が政府の正式発表で二十九億六千万円ドルであり、これは前年に比して二・四%の減となっております。日本が貿易収支で黒字の体質の経済構造になってきているのでありますから、このような貿易外の対外経済協力に一層力を入れて、国際収支の均衡を図る一助とすべきではなかったかと思うのであります。  政府は、五十年度百七十億ドルの経常収支赤字を見込んだのでありますが、一億五千万ドルの黒字を生じ、その後の黒字基調を決定的にし、その結果急激な円高を招き、今日、外国からは失業を輸出されると言われ、国内では、構造不況によって中小企業を中心に非常な摩擦を生じ、これらはすべてこの五十年度の経済運営に端を発していると言わざる得ないのであります。  また、本委員会で指摘した青年海外協力隊の処遇のあり方、新幹線建設の国鉄経営に及ぼす影響、過積みトラック規制の物価への波及、郵便配達業務の効率化、商工会議所の和裁実技試験の合格者への職業訓練法上の技能検定の免除、旧満州開拓青年義勇隊の恩給法適用問題など、政府の財政執行と行政の実態には問題点が少なくありません。以上申し上げた理由から、わが党は本件決算には賛成するわけにはまいりません。  政府は、ただいまの警告に指摘された問題について速やかに実効措置をとるとともに、私が申し上げた問題点について、一日も早く改善を行うことを期待いたします。この討論を終わります。
  164. 寺田熊雄

    ○委員長(寺田熊雄君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  165. 寺田熊雄

    ○委員長(寺田熊雄君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより順次採決に入ります。  まず、昭和五十年度一般会計歳入歳出決算、昭和五十年度特別会計歳入歳出決算、昭和五十年度国税収納金整理資金受払計算書、昭和五十年度政府関係機関決算書を問題に供します。  第一に、本件決算は、これを是認すると議決することに賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  166. 寺田熊雄

    ○委員長(寺田熊雄君) 多数と認めます。  第二に、内閣に対し、先刻朗読のとおり警告することに賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  167. 寺田熊雄

    ○委員長(寺田熊雄君) 全会一致と認めます。よって、昭和五十年度決算につきましては、多数をもってこれを是認することとし、内閣に対し、先刻朗読いたしましたとおり警告すべきものと議決されました。  次に、昭和五十年度国有財産増減及び現在額総計算書を問題に供します。  本件につきましては、異議がないと議決することに賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  168. 寺田熊雄

    ○委員長(寺田熊雄君) 多数と認めます。よって、本件は多数をもって異議がないと議決されました。  次に、昭和五十年度国有財産無償貸付状況総計算書を問題に供します。  本件につきましては、異議がないと議決することに賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  169. 寺田熊雄

    ○委員長(寺田熊雄君) 多数と認めます。よって、本件は多数をもって異議がないと議決されました。  なお、本院規則第七十二条により議長に提出すべきこれら案件の報告書につきましては、ただいまの本委員会の議決内容によりこれを作成することといたしまして、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  170. 寺田熊雄

    ○委員長(寺田熊雄君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  この際、関係大臣から発言を求められておりますので、順次これを許します。田中内閣官房長官。
  171. 田中六助

    ○国務大臣(田中六助君) ただいま御決議のありました当委員会の御警告に対しまして、一言申し上げます。  まず第一に、御指摘のありました特殊法人等の役員の件につきましては、御趣旨に沿って今後とも引き続いて努力してまいりたいと存じます。  次に、官公署の物品調達の件につきましては、御決議の趣意に沿い、政府部内にその徹底を図るとともに、今後とも適切な指導監督に努めてまいる所存であります。
  172. 寺田熊雄

    ○委員長(寺田熊雄君) 澁谷国家公安委員長。
  173. 澁谷直藏

    ○国務大臣(澁谷直藏君) ただいま御決議のありました銃砲の問題につきましては、御決議の趣旨を体し、所持許可について法令あるいはその運用について見直しを行うとともに、所持許可及び取り締まりを一層厳正にして、不祥事態発生防止に鋭意努力してまいる所存であります。
  174. 寺田熊雄

    ○委員長(寺田熊雄君) 山下防衛庁長官。
  175. 山下元利

    ○国務大臣(山下元利君) ただいま御決議のありました米国の有償援助による調達につきましては、今後一層その促進を図る等、最善の努力を払い、もって予算の効率的使用を期する所存であります。
  176. 寺田熊雄

    ○委員長(寺田熊雄君) 中野国土庁長官。
  177. 中野四郎

    ○国務大臣(中野四郎君) ただいま御決議のありました豪雪地帯対策につきましては、政府としても、その地域の厳しい自然条件等を十分認識し、豪雪地帯対策特別措置法の趣旨を体して、地域住民の生活水準の向上、産業の振興等に関する総合的な施策を講じてまいったととろでありますが、御趣旨に沿って今後とも関係各省庁間の連携を一層密にして、施策の充実に努めてまいりたいと存じます。
  178. 寺田熊雄

    ○委員長(寺田熊雄君) 森山運輸大臣。
  179. 森山欽司

    ○国務大臣(森山欽司君) ただいま御決議のありました地方バス路線維持費補助制度につきましては、これまでも関係機関の協力を得てその充実に努めてまいったところでありますが、御趣旨に沿って今後ともより一層努力してまいる所存でございます。
  180. 寺田熊雄

    ○委員長(寺田熊雄君) 渡海建設大臣。
  181. 渡海元三郎

    ○国務大臣(渡海元三郎君) ただいま御決議のありました宅地建物取引に関する問題につきましては、従来から地方公共団体とも協力して業者指導に努めているところでありますが、なお一層の強化を図るため、法律改正について住宅宅地審議会へ諮問しているところであり、また、業者の指導監督と購入者の保護についても御趣旨に沿って一層の努力をしてまいる所存であります。     ―――――――――――――
  182. 寺田熊雄

    ○委員長(寺田熊雄君) 次に、昭和五十二年度一般会計予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書(その2)外五件及び昭和五十二年度一般会計国庫債務負担行為総調書外二件、以上九件を一括議題といたします。  これら九件につきましては、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  183. 寺田熊雄

    ○委員長(寺田熊雄君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより討論に入ります。  御意見のある方は、賛否を明らかにしてお述べ願います。――別に御意見もないようですから、これより直ちに採決に入ります。  まず、昭和五十二年度一般会計予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書(その2)を問題に供します。  本件について承諾を与えるべきものと議決することに賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  184. 寺田熊雄

    ○委員長(寺田熊雄君) 多数と認めます。よって、本件は多数をもって承諾を与えるべきものと議決されました。  次に、昭和五十二年度特別会計予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書(その2)、昭和五十二年度特別会計予算総則第十一条に基づく経費増額総調書及び各省各庁所管経費増額調書(その2)、以上二件を一括して問題に供します。  これら二件について承諾を与えるべきものと議決することに賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  185. 寺田熊雄

    ○委員長(寺田熊雄君) 多数と認めます。よって、これら二件は多数をもって承諾を与えるべきものと議決されました。  次に、昭和五十三年度一般会計予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書(その1)、昭和五十三年度特別会計予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書(その1)、昭和五十三年度特別会計予算総則第十一条に基づく経費増額総調書及び各省各庁所管経費増額調書(その1)、以上三件を一括して問題に供します。  これら三件について承諾を与えるべきものと議決することに賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  186. 寺田熊雄

    ○委員長(寺田熊雄君) 多数と認めます。よって、これら三件は多数をもって承諾を与えるべきものと議決されました。  次に、昭和五十二年度一般会計国庫債務負担行為総調書、昭和五十二年度特別会計国庫債務負担行為総調書、昭和五十三年度一般会計国庫債務負担行為総調書(その1)、以上三件を一括して問題に供します。  これら三件について異議がないと議決することに賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  187. 寺田熊雄

    ○委員長(寺田熊雄君) 全会一致と認めます。よって、これら三件は全会一致をもって異議がないと議決されました。  なお、本院規則第七十二条により議長に提出すべきこれら案件の報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  188. 寺田熊雄

    ○委員長(寺田熊雄君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ―――――――――――――
  189. 寺田熊雄

    ○委員長(寺田熊雄君) 次に、昭和五十一年度決算外二件を議題といたします。  それでは、まず、昭和五十一年度決算、すなわち一般会計歳入歳出決算、特別会計歳入歳出決算、国税収納金整理資金受払計算書、政府関係機関決算書につきまして、これより概要説明を聴取いたします。金子大蔵大臣。
  190. 金子一平

    ○国務大臣(金子一平君) 昭和五十一年度の一般会計歳入歳出決算、特別会計歳入歳出決算、国税収納金整理資金受払計算書及び政府関係機関決算書を会計検査院の検査報告とともに国会に提出し、また、昭和五十一年度の国の債権の現在額並びに物品増減及び現在額についても国会に報告いたしましたので、その大要を御説明申し上げます。  昭和五十一年度予算は、昭和五十一年五月八日に成立いたしました。  この予算は、国民生活と経済の安定及び国民福祉の充実に配意しつつ、財政の改善合理化を図るとともに、景気の着実な回復に資するための施策を実施することとして編成されたものであります。  さらに、その後における経済情勢等にかんがみ、公共事業関係費の追加を行うほか、農業保険費等について所要の措置を講ずるため、補正予算が編成され、昭和五十二年二月二十二日その成立を見ました。  この補正によりまして、昭和五十一年度一般会計予算は、歳入歳出とも二十四兆六千五百二億三千四百六十一万九千円となりました。  以下、昭和五十一年度決算についてその内容を数字を挙げて御説明申し上げます。  まず、一般会計におきまして歳入の決算額は二十五兆七百六十億千六百六十万円余、歳出の決算額は二十四兆四千六百七十六億千二百四万円余でありまして、差し引き六千八十四億四百五十五万円余の剰余を生じました。  この剰余金は、財政法第四十一条の規定によりまして、一般会計の昭和五十二年度の歳入に繰り入れ済みであります。  なお、昭和五十一年度における財政法第六条の純剰余金は三千四十四億六千九百八十四万円余となりますが、この純剰余金については、昭和五十一年分所得税の特別減税の実施のための財政処理の特別措置に関する法律第一条の規定により、財政法第六条第一項の規定は適用されないこととなっております。  以上の決算額を予算額と比較いたしますと、歳入につきましては、予算額二十四兆六千五百二億三千四百六十一万円余に比べて四千二百五十七億八千百九十八万円余の増加となるのでありますが、この増加額には、前年度剰余金受け入れが予算額に比べて増加した額三千二百九十二億三百六十一万円余が含まれておりますので、これを差し引きますと、昭和五十一年度の歳入の純増加額は九百六十五億七千八百三十六万円余となるのであります。その内訳は租税及印紙収入における増加額千三百八十七億八千六百九十万円余、専売納付金における増加額三百七十五億七千二百七十四万円余、官業益金及び官業収入における増加額二十七億四百四十二万円余、政府資産整理収入における増加額百十億九千五百三十九万円余、雑収入における増加額八百三十二億五千百七万円余、公債金における減少額千七百六十八億三千二百十七万円余となっております。  一方、歳出につきましては、予算額二十四兆六千五百二億三千四百六十一万円余に、昭和五十年度からの繰り越し額二千五百九十三億千四百九十九万円余を加えました歳出予算現額二十四兆九千九十五億四千九百六十一万円余に対しまして、支出済み歳出額は二十四兆四千六百七十六億千二百四万円余でありまして、その差額四千四百十九億三千七百五十六万円余のうち、昭和五十二年度に繰り越しました額は二千二百十三億七千七百三十三万円余となっており、不用となりました額は二千二百五億六千二十三万円余となっております。  次に、公共事業等予備費でありますが、昭和五十一年度一般会計における公共事業等予備費の予算額は千三百五十億円であり、その使用額は千二百六十八億二十万円余であります。また、予備費の予算額は千五百五十億円であり、その使用額は八百三十六億八千百二十五万円余であります。これらの使用につきましては、すでに、国会において御承諾をいただきましたので、説明を省略させていただきます。  次に、一般会計の国庫債務負担行為について申し上げます。  財政法第十五条第一項の規定に基づき国が債務を負担することができる金額は八千九百九十四億千四百十一万円余でありますが、実際に負担いたしました債務額は八千三百十二億二千七百八十一万円余でありますので、これに既往年度からの繰り越し債務額七千九百八十億八百三十九万円余を加え、昭和五十一年度中に支出その他の理由によって債務が消滅いたしました額六千五百六億五千三百二十四万円余を差し引きました額九千七百八十五億八千二百九十六万円余が翌年度以降に繰り越された債務額になります。  財政法第十五条第二項の規定に基づき国が債務を負担することができる金額は八百億円でありますが、実際に負担いたしました債務額は三百十五億七千八百七十五万円余でありますので、これに既往年度からの繰り越し債務額二百七十七億九千五百七十七万円余を加え、昭和五十一年度中に支出その他の理由によって債務が消滅いたしました額二百八十億七千二百十七万円余を差し引きました額三百十三億二百三十五万円余が翌年度以降に繰り越された債務額になります。  次に、昭和五十一年度の特別会計の決算でありますが、同年度における特別会計の数は四十一でありまして、これらの決算の内容につきましては、特別会計歳入歳出決算によって御了承願いたいと存じます。  次に、昭和五十一年度における国税収納金整理資金の受け入れ及び支払いでありますが、同資金への収納済み額は十六兆二千八百七十五億二千五百四万円余でありまして、この資金からの一般会計等の歳入への組み入れ額等は十六兆二千四百十三億二千五百十万円余でありますので、差し引き四百六十一億九千九百九十四万円余が昭和五十一年度末の資金残額となります。これは、主として国税に係る還付金として支払い決定済みのもので、年度内に支払いを終わらなかったものであります。  次に、昭和五十一年度政府関係機関の決算の内容につきましては、それぞれの決算書によって御了承願いたいと存じます。  次に、国の債権の現在額でありますが、昭和五十一年度末における国の債権の総額は四十五兆八百四十八億四千九百九十五万円余でありまして、前年度末現在額三十八兆二千四百九十五億六百八十六万円余に比べて六兆八千三百五十三億四千三百九万円余の増加となります。  その内容の詳細につきましては、昭和五十一年度国の債権の現在額総報告によって御了承願いたいと存じます。  次に、物品増減及び現在額でありますが、昭和五十一年度中における純増加額は千七百四億八千五百七十二万円余でありますので、これに前年度末現在額一兆千七百四十八億三千四百三十四万円余を加えますと、昭和五十一年度末における物品の総額は一兆三千四百五十三億二千七万円余となります。その内訳の詳細につきましては、昭和五十一年度物品増減及び現在額総報告によって御了承願いたいと存じます。  以上、昭和五十一年度の一般会計歳入歳出決算、特別会計歳入歳出決算、国税収納金整理資金受払計算書、政府関係機関決算書等につきまして、その大要を御説明申し上げた次第であります。  なお、昭和五十一年度の予算の執行につきましては、予算の効率的な使用、経理の適正な運営に極力意を用いてまいったところでありますが、なお会計検査院から、七十四件に上る不当事項について指摘を受けましたことは、まことに遺憾にたえないところであります。  予算の執行につきましては、今後一層配慮をいたし、その適正な処理に努めてまいる所存であります。  何とぞ御審議のほどお願い申し上げます。
  191. 寺田熊雄

    ○委員長(寺田熊雄君) 次に、昭和五十一年度国有財産増減及び現在額総計算書並びに昭和五十一年度国有財産無償貸付状況総計算書につきまして、その概要説明を聴取いたします。金子大蔵大臣。
  192. 金子一平

    ○国務大臣(金子一平君) 昭和五十一年度国有財産増減及び現在額総計算書並びに昭和五十一年度国有財産無償貸付状況総計算書を、会計検査院の検査報告とともに第八十四回国会に報告いたしましたので、その概要を御説明申し上げます。  まず、昭和五十一年度国有財産増減及び現在額総計算書の概要について申し述べます。  昭和五十一年度中に増加しました国有財産は行政財産三兆千二百三十四億千二百七十六万円余、普通財産九千百四十五億九千六百五十四万円余、総額四兆三百八十億九百三十一万円余であり、また、同年度中に減少しました国有財産は、行政財産二千二百一億三百五十四万円余、普通財産二千三百七十一億四千三百十六万円余、総額四千五百七十二億四千六百七十万円余でありまして、差し引き三兆五千八百七億六千二百六十万円余の純増加となっております。これを昭和五十年度末現在額十九兆五千八百二十四億八千七百六十七万円余に加算いたしますと二十三兆千六百三十二億五千二十七万円余となり、これが昭和五十一年度末現在における国有財産の総額であります。  この総額の内訳を分類別及び種類別に申し上げますと、行政財産においては、公用財産七兆九千二百六十九億八千六百十九万円余、公共用財産二千八百八十二億四千八百七十一万円余、皇室用財産三千二百八十六億八千六百九十九万円余、企業用財産六兆四百五十四億二千四百十四万円余、合計十四兆五千八百九十三億四千六百五万円余となっており、普通財産においては八兆五千七百三十九億四百二十一万円余となっております。なお、この普通財産のうち、六兆六千五百十九億五千九百二十一万円余は政府出資等となっております。  また、国有財産の総額の内訳を区分別に申し上げますと、土地七兆五百十二億六千八百八十九万円余、立木竹三兆八千三百三十億七千八百十五万円余、建物二兆六千五十七億九千三百九十八万円余、工作物二兆二千二百三十八億千二百三十二万円余、機械器具九億二千七百六十五万円余、船舶三千九百二十一億七千四百四十四万円余、航空機四千三億六千二百六万円余、地上権等十二億三千七百二十七万円余、特許権等二十六億三千六百二十九万円余、政府出資等六兆六千五百十九億五千九百二十一万円余、合計二十三兆千六百三十二億五千二十七万円余となっております。  次に、国有財産の増減の内容について、その概要を申し上げます。  まず昭和五十一年度中における増加額を申し上げますと、前述のとおりその総額は四兆三百八十億九百三十一万円余であります。この内訳を申し上げますと、第一に、国と国以外の者との間の異動によって増加した財産は一兆四千八百六億三千十一万円余でありまして、このうち、購入、新営工事、政府出資等歳出を伴うものは一兆三千八百二十四億七千七百六十八万円余、現物出資、交換、寄付等歳出を伴わないものは九百八十一億五千二百四十三万円余となっております。  第二に、国の内部における異動によって増加した財産は二兆五千五百七十三億七千九百十九万円余でありまして、このうち、各省各庁または各省各庁の部局等の間における財産の移管等調整上の増加は二千六百六十七億二千九百四十九万円余、土地の実測、立木竹の実査等整理上の増加は二百六十七億五千七百五十四万円余、昭和五十一年四月一日現在において実施した国の企業に属する財産の価格改定による増加額は二兆二千六百三十八億九千二百十六万円余となっております。  次に、減少額について申し上げますと、その総額は四千五百七十二億四千六百七十万円余であります。この内訳を申し上げますと、第一に、国と国以外の者との間の異動によって減少した財産は千八百六十六億八千八百三十一万円余でありまして、このうち、売り払い、出資金回収等歳入を伴うものは五百七億五千九百三十八万円余、交換、譲与等歳入を伴わないものは千三百五十九億二千八百九十三万円余となっております。  第二に、国の内部における異動によって減少した財産は二千七百五億五千八百三十九万円余でありまして、このうち、各省各庁または各省各庁の部局等の間における財産の移管等調整上の減少は二千三百七十億七千五十七万円余、土地の実測、立木竹の実査等整理上の減少は三百二十二億五百二十二万円余、昭和五十一年四月一日現在において実施した国の企業に属する財産の価格改定による減少は十二億八千二百五十九万円余となっております。  以上が昭和五十一年度国有財産増減及び現在額総計算書の概要であります。  次に、昭和五十一年度国有財産無償資付状況総計算書の概要について申し述べます。  昭和五十一年度中に増加しました無償資付財産の総額は四百二十一億六千三百八万円余であり、また、同年度中に減少しました無償貸付財産の総額は二百四十九億四千五百二十八万円余でありまして、差し引き百七十二億千七百八十万円余の純増加となっております。これを昭和五十年度末現在額三千六百八億二千百七十五万円余に加算いたしますと三千七百八十億三千九百五十五万円余となり、これが昭和五十一年度末現在において無償貸し付けをしている国有財産の総額であります。  この増減の内訳を申し上げますと、増加額については、公園の用に供するもの四百十二億二千九百四十万円余、ため池の用に供するもの三億五千七百四十五万円余等であります。  次に、減少額について申し上げますと、公園の用に供するもの二百四十二億九千百六十五万円余、ため池の用に供するもの三億五百十五万円余等であります。  以上が、昭和五十一年度国有財産無償貸付状況総計算書の概要であります。  なお、これらの国有財産の各総計算書にはそれぞれ説明書が添付してありますので、それによって細部を御了承願いたいと思います。  何とぞ御審議のほどお願い申し上げます。
  193. 寺田熊雄

    ○委員長(寺田熊雄君) 次に、昭和五十一年度決算中、日本専売公社の決算につきまして概要説明を聴取いたします。金子大蔵大臣。
  194. 金子一平

    ○国務大臣(金子一平君) 昭和五十一年度日本専売公社収入支出決算につきまして、その概要を御説明いたします。  まず、事業の概況について申し述べます。  たばこ事業におきましては、製造たばこの販売は二千九百三十一億本余、金額にして一兆七千六百七十四億六千九十一万円余であり、予定に比較いたしますと、数量は百四億本余の減少となり、金額は三百四十四億七千五百九十一万円余の増加となっております。  また、葉たばこの購入は、二十七万トン余、金額にして三千二百七十五億四千二百五十六万円余であり、予定に比較いたしますと、一千トン余、金額にして五百九十二億三千四百二十七万円余の減少となっております。  塩事業におきましては、塩の販売は、七百二十八万三千トン余、金額にして六百四十四億七千百九十九万円余であり、予定に比較いたしますと、百二十二万七千トン余、金額にして百八十一億一千三百三十八万円余の減少となっております。  また、塩の購入は、国内塩百二万一千トン余、輸入塩六百二十万一千トン余、金額にして合計四百七十七億四十五万円余であり、予定に比較いたしますと、百四十万二千トン余、金額にして百四十六億八千六百二十五万円余の減少となっております。  次に、決算の内容について申し述べます。  まず、収入支出について御説明いたします。  昭和五十一年度における収入済み額は一兆八千三百五十三億五千六百十九万円余であり、収入予算額一兆八千百八十四億六千六百四十四万円余に比較いたしますと百六十八億八千九百七十五万円余の増加となっております。  また、支出予算現額は一兆三千四百八億九千九百五十六万円余でありまして、このうち支出済み額は一兆一千七百三十一億九千五百一万円余、翌年度に繰り越した額は二百二十九億二千四百五十一万円余でありまして、差し引き不用額は一千四百四十七億八千二万円余となっております。  次に、損益計算について御説明いたします。  総収益一兆八千三百八十二億九千五百四十四万円余から総損失一兆三百四十億四千三百二十三万円余を控除した純利益は八千四十二億五千二百二十万円余であります。これから日本専売公社法第四十三条の十三第三項の規定により積み立てる利益積立金一千四百七十一億四千百二十八万円余を控除した専売納付金は六千五百七十一億一千九十二万円余であり、予定額六千二百十一億一千七百八十一万円余に比較いたしますと三百五十九億九千三百十万円余の増加となっております。  以上が昭和五十一年度の日本専売公社の決算の概要であります。  最後に、会計検査院の昭和五十一年度決算検査報告におきまして、不当事項として指摘を受けたものがありますことは、まことに遺憾に存じております。指摘を受けた事項につきましては、直ちに適切な措置を講じましたが、今後、この種の事例の発生を未然に防止するため、より一層指導監督の徹底を図ってまいる所存であります。  何とぞよろしく御審議のほどお願い申し上げます。
  195. 寺田熊雄

    ○委員長(寺田熊雄君) 次に、昭和五十一年度決算中、日本国有鉄道の決算につきまして概要説明を聴取いたします。森山運輸大臣。
  196. 森山欽司

    ○国務大臣(森山欽司君) 昭和五十一年度日本国有鉄道決算書を国会に提出いたしましたので、その概要を御説明申し上げます。  昭和五十一年度における日本国有鉄道の運輸成績は、対前年度比、旅客輸送人員は約一%増、旅客輸送人キロは約三%減、貨物輸送トン数は約一%減、貨物輸送トンキロは約三%減となり、収入においては、旅客収入において約一六%、貨物収入において約一五%おのおの増加いたしました。  以下、収入支出の内容を勘定別に御説明申し上げます。  まず、損益勘定におきまして、収入済み額は二兆五千百四億四千百五十九万円余、支出済み額は二兆六千四百六億八千四十三万円余でありまして、支出が収入を超過すること一千三百二億三千八百八十三万円余でありますが、これは予算上の区分による収支決算の結果でありまして、いわゆる損益計算上では昭和五十一年度の純損失は九千百四十億五千五十万円余となっております。  この決算額を予算額と比較いたしますと、収入予算額二兆六千五百五十二億七千九百七十七万円余に対しまして一千四百四十八億三千八百十七万円余の減収となっております。これは雑収入百八十一億三千九百五十二万円余の増加に対し、運輸収入一千五百八十九億七千七百七十万円余及び資本勘定より受け入れ四十億円の減少によるものであります。  他方、支出は予算現額二兆七千五百七十八億二千八百四十三万円余に対しまして、支出済み額は一千百七十一億四千七百九十九万円余下回っておりますが、そのうち七百四十億一千七十九万円余は翌年度への繰越額であり、残額四百三十一億三千七百二十万円余は不用額となっております。  次に、資本勘定におきましては、収入済み額一兆五千九百二十一億五千六百三十七万円余、支出済み額は一兆五千九百十五億九千八十三万円余であります。  この決算額を予算額と比較いたしますと、収入は予算額一兆五千四百二十四億円に対しまして四百九十七億五千六百三十七万円余の増加となっております。  これは、鉄道債券及び借入金は四十億四千二百八十四万円余減少しましたが、資産充当が五百三十七億九千九百二十一万円余増加したことによるものであります。  他方、支出は予算現額一兆六千四百十四億七千五百八十六万円余に対しまして、支出済み額は四百九十八億八千五百二万円余下回っておりますが、そのうち、四百九十四億四千五百七十七万円余は翌年度への繰越額であり、残額四億三千九百二十四万円余は不用額となっております。  次に、工事勘定におきましては、収入済み額は七千八百七十億三百四十九万円余、支出済み額は七千五百十五億八千九十七万円余であります。  この決算額を予算額と比較いたしますと、収入は予算額七千三百三十五億二百二十三万円余に対しまして、五百三十五億百二十六万円余の増加となっております。これは資本勘定からの受け入れが多かったことによるものであります。  他方、支出は予算現額九千百七十七億四千七百七十万円余に対しまして、支出済み額は一千六百六十一億六千六百七十二万円余下回っておりますが、そのうち、一千六百十一億五百九万円余は翌年度への繰越額であり、残額五十億六千百六十三万円余は不用額となっております。  この工事勘定の内容に関連して主要施策の実績について申し上げますと、輸送力の増強、業務運営の能率化及び安全の確保等を図るため、昭和五十一年度におきましては、新幹線三千二十八億六千五百十三万円余、大都市圏輸送七百五十九億四千六百九十八万円余、幹線輸送九百七十四億三千六百九十四万円余、安全・公害対策、合理化等二千七百五十三億三千百九十一万円余、合計七千五百十五億八千九十七万円余を投資いたしました。  また、昭和五十一年度から新たに設けられました特定債務整理特別勘定におきましては、収入済み額は二千四百四十億七千五百九十八万円余、支出済み額は二千四百四十億七千五百九十八万円余でありまして、収入支出の差はございません。  この決算額に対しまして予算額は、収入予算額、支出予算現額とも二千四百四十億七千六百万円となっております。  最後に、昭和五十一年度の予算の執行につきまして、会計検査院から不当事項として指摘を受けた点がありましたことは、まことに遺憾にたえないところでありまして、今後、さらに予算の効率的運用に一段の努力をいたすよう指導監督してまいりたいと考えております。  以上をもちまして、昭和五十一年度日本国有鉄道の決算に関する御説明を終わります。  何とぞよろしく御審議のほどお願い申し上げます。
  197. 寺田熊雄

    ○委員長(寺田熊雄君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  198. 寺田熊雄

    ○委員長(寺田熊雄君) 速記を始めて。  次に、昭和五十一年度決算中、日本電信電話公社の決算につきまして概要説明を聴取いたします。白浜郵政大臣。
  199. 白浜仁吉

    ○国務大臣(白浜仁吉君) 昭和五十一年度日本電信電話公社決算について、その概要を御説明申し上げます。  昭和五十一年度における日本電信電話公社の決算は、損益計算上、一千四百二十五億九百八十四万余円の欠損を生ずるに至りました。昭和五十一年度におきましては、電信電話料金の改定が、当初予定していた六月一日から五カ月余りおくれて成立したことに伴い、補正予算においても欠損を見込むこととなっていたところであります。  収入支出決算の内容を勘定別に申し上げますと、まず、損益勘定におきましては、収入済み額は、二兆四千八百八億三百四十万余円で、予算額に比べ百四十九億八千八百四十万余円の増収となりました。一方、支出済み額は、二兆四千三百二十七億六千七百六十万余円でありまして、支出予算現額二兆四千七百億五千六百五十四万余円に比べ三百七十二億八千八百九十三万余円下回りました。  次に、資本勘定におきましては、収入済み額は二兆百五十六億四千七百二十八万余円、支出済み額は二兆八億二千百七十三万余円であり、また、建設勘定におきましては、支出済み額は、一兆三千六百十八億一千四百二十五万余円であり、これにより一般加入電話百九十九万五千加入の増設を初めとする建設工事を実施し、年度末の一般加入電話の積滞数は前年度末に比べ二十五万二千加入減少し、二十二万九千加入となりました。  最後に、昭和五十一年度の予算の執行につきましては、会計検査院から不当事項一件、是正改善の処置を要求された事項として一件、合わせて二件の指摘を受けましたことは、まことに遺憾に存じます。  今後、この種の事例の発生を未然に防止するよう日本電信電話公社を指導監督してまいる所存であります。  以上をもちまして、昭和五十一年度決算の概要についての説明を終わります。  何とぞよろしく御審議のほどをお願い申し上げます。
  200. 寺田熊雄

    ○委員長(寺田熊雄君) 次に、会計検査院より、昭和五十一年度決算検査報告及び昭和五十一年度国有財産検査報告に関する概要説明を聴取いたします。知野会計検査院長。
  201. 知野虎雄

    ○会計検査院長(知野虎雄君) 昭和五十一年度決算検査報告につきまして、その概要を説明いたします。  会計検査院は、五十二年十月十八日、内閣から昭和五十一年度歳入歳出決算の送付を受け、その検査を終えて、昭和五十一年度決算検査報告とともに五十二年十二月十四日内閣に回付いたしました。  昭和五十一年度の一般会計決算額は、歳入二十五兆七百六十億千六百六十万余円、歳出二十四兆四千六百七十六億千二百四万余円でありまして、前年度に比べますと、歳入において三兆六千二十六億五十四万余円、歳出において三兆六千六十七億三千三百四十四万余円の増加になっており、各特別会計の決算額の合計額は、歳入四十九兆二千八百九十一億三千三百六十万余円、歳出四十二兆七千五億七千五百十七万余円でありまして、前年度に比べますと、歳入において九兆七千八百七十七億千百七十五万余円、歳出において八兆八千二百四十三億七千六百五十一万余円の増加になっております。  また、国税収納金整理資金は、収納済み額十六兆二千八百七十五億二千五百四万余円、歳入組み入れ額十五兆六千七百八十億八千七百三十九万余円であります。  政府関係機関の昭和五十一年度の決算額の総計は、収入十四兆四千三百三億六千九百五十四万余円、支出十三兆七千八百六十四億七千二百十五万余円でありまして、前年度に比べますと、収入において一兆五千八百二億四千五百二十二万余円、支出において一兆千八百十九億六千三百六十二万余円の増加になっております。  昭和五十一年度の歳入、歳出等に関し、国及び政府関係機関等から提出された計算書二十三万余冊及び証拠書類六千三百三十六万余枚につきまして書面検査を行い、また、三千七百余の局所等につきまして四万五千余人日をもって実地検査を行いました。そして、これらの検査に伴い関係者に対して発しました質問は千五百余事項であります。  このようにして検査いたしました結果につき、その概要を説明いたします。  まず、不当事項について申し上げます。  不当事項として検査報告に掲記いたしましたものは、合計七十四件でありますが、これを収入、支出等の別に分類し、態様別の金額を概計いたしますと、次のとおりであります。  すなわち、収入に関するものは、三件、十五億五千三百万円でありまして、その内訳は、租税の徴収額に過不足があったものが、一件十四億三千七百万円、保険料の徴収額が不足していたものが二件一億千五百万円。  支出に関するものは、六十六件、二十六億九千七百万円でありまして、その内訳は、計画の策定や契約方法が適切でなかったため不経済になったものが二件千七百万円、予定価格の積算が適切でなかったため、契約額が割り高になったものが六件九千四百万円、監督、検査が適切でなかったなどのため、給付が完全でないものを支払い対象としていたものなどが三件一億二百万円、保険給付金の支給が適正でなかったものが二件一億六千四百万円、補助事業の実施及び経理が適切でなかったものが五十件二億七千三百万円、その他、補償金の支払いが適正でなかったなどのものが三件二十億四千五百万円であり、以上の収入、支出に関するもののほか、繰りかえ払い現金について職員の不正行為による損害を生じたものが五件六千九百万円ありまして、これらの合計は、七十四件、四十三億千九百万円になっております。これを前年度の八十二件、十八億七千二百万円に比べますと、件数において八件の減少、金額において二十四億四千七百万円の増加になっております。  次に、意見を表示しまたは処置を要求した事項について説明いたします。  五十二年中におきまして、会計検査院法第三十四条の規定により意見を表示し是正改善の処置を要求いたしましたものは十六件、また、同法第三十六条の規定により改善の意見を表示いたしましたものは一件であります。  このうち、会計検査院法第三十四条の規定により意見を表示し是正改善の処置を要求いたしましたものは、農林省の農用地造成工場における掘削運土費の積算に関するもの、国営印旛沼干拓事業の事業完了に関するもの、都道府県が行う市町村等への補助に対する国庫補助金の交付に関するもの、農地保有合理化促進特別事業費補助金の経理に関するもの、農業協同組合等が補助事業で実施する農業施設等の建設・製造請負契約における最低制限価格制に関するもの、補助事業により導入した施設等の利用に関するもの、農業改良資金の貸し付けに関するもの、運輸省の防波堤等築造工事におけるグラブ付自航運搬船による中詰め工費の積算に関するもの、建設省の排水樋門等の管理橋の予定価格の積算に関するもの、共同溝工事における掘削費の積算に関するもの、廃川敷地の管理に関するもの、日本国有鉄道の雨量警報器の配備等に関するもの、日本国有鉄道・日本鉄道建設公団の日本鉄道建設公団が日本国有鉄道に有償で貸し付けている鉄道施設のうち不用となっている用地に関するもの、日本電信電話公社の導入溝費の積算に関するもの、住宅金融公庫の賃貸住宅貸し付け等の適正化に関するもの、日本道路公団の土木工事積算システムによる高速道路等建設工事の予定価格の積算に関するものであります。  また、会計検査院法第三十六条の規定により改善の意見を表示いたしましたものは、農林省の製品生産事業の実施に関するものであります。  次に、本院の注意により当局において改善の処置を講じた事項について説明いたします。  これは、検査の過程で会計検査院法第三十四条または第三十六条の規定により意見を表示しまたは処置を要求すべく質問を発遣するなど検討しておりましたところ、当局において、これを契機として直ちに改善の処置をとったものでありまして、検査報告に掲記しましたものが八件ございます。その内訳は、建設省の一般国道等における道路の占用料に関するもの、下水道終末処理場等の新設等工事における機械、電気設備用機器費の積算に関するもの、日本国有鉄道の高圧配電線路の設計に関するもの、日本電信電話公社の電話局舎新増築に伴う通信機械室の空気調和機の設置に関するもの、日本住宅公団の住宅建設用地の除草費の積算に関するもの、住宅の保守管理委託業務の実施に関するもの、日本道路公団の橋梁工事等における現場打ち鉄筋コンクリートぐいの鉄筋工費の積算に関するもの、水資源開発公団の導水路の建設に伴う地上権の設定に関するものであります。  最後に、特に掲記を要すると認めた事項について説明いたします。  この事項は、事業効果等の見地から問題を提起して事態の進展を図り、または今後の事業運営、経理執行等の参考に資するために、昭和五十年度決算検査報告から新たに掲記しているものでありまして、昭和五十一年度決算検査報告には、次の八件を掲げてございます。すなわち、大蔵省の社会保険診療報酬の所得計算の特例に関するもの、農林省の国営干拓事業の施行に関するもの、建設省の国有財産(法定外公共物)の管理に関するもの、建設省・住宅金融公庫・日本住宅公団の公的資金による住宅の建設及び管理に関するもの、日本国有鉄道の日本国有鉄道の損益に関するもの、東海道線の混雑緩和を目的とする線路増設工事の一環としての横浜新貨物線の建設に関するもの、日本電信電話公社の電報事業の運営に関するもの、石油開発公団の石油等の探鉱開発を行う会社に対する投融資資産に関するものであります。  以上をもって概要の説明を終わります。  会計検査院といたしましては、機会あるごとに関係各省各庁などに対して、適正な会計経理の執行について努力を求めてまいりましたが、なお、ただいま申し述べましたような事例がありますので、関係各省各庁などにおいてもさらに特段の努力を払うよう望んでいる次第であります。また、特に掲記を要すると認めた事項につきましては、国家財政の健全化のために、速やかに打開策が講ぜられ、事態の進展が図られますことを切望するものであります。  次に、昭和五十一年度国有財産検査報告につきまして、その概要を説明いたします。  会計検査院は、五十二年十月二十八日、内閣から昭和五十一年度国有財産増減及び現在額総計算書並びに昭和五十一年度国有財産無償貸付状況総計算書の送付を受け、その検査を終えて、昭和五十一年度国有財産検査報告とともに五十二年十二月十四日内閣に回付いたしました。  五十年度末の国有財産現在額は十九兆五千八百二十四億八千七百六十七万余円でありましたが、五十一年度中の増が四兆三百八十億九百三十一万余円、同年度中の減が四千五百七十二億四千六百七十万余円ありましたので、差し引き五十一年度末の現在額は二十三兆千六百三十二億五千二十七万余円になり、前年度末に比べますと三兆五千八百七億六千二百六十万余円の増加になっております。  また、国有財産の無償貸付状況につきましては、五十年度末には、三千六百八億二千百七十五万余円でありましたが、五十一年度中の増が四百二十一億六千三百八万余円、同年度中の減が二百四十九億四千五百二十八万余円ありましたので、差し引き百七十二億千七百八十万余円の増加を見まして、五十一年度末の無償貸付財産の総額は三千七百八十億三千九百五十五万余円になっております。  検査の結果、昭和五十一年度国有財産増減及び現在額総計算書並びに昭和五十一年度国有財産無償貸付状況総計算書に掲載されている国有財産の管理及び処分に関しまして、昭和五十一年度決算検査報告に不当事項として掲記いたしましたものは、郵政省の通信衛星用地上アンテナ設置等工事の施行に当たり、アンテナ組み立て及び据えつけ調整費等の積算が適切でなかったため、契約額が割り高になったものの一件でございます。
  202. 寺田熊雄

    ○委員長(寺田熊雄君) 以上で、昭和五十一年度決算外二件に関する概要説明の聴取を終わります。  本日はこれにて散会いたします。    午後六時十分散会