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1979-03-14 第87回国会 参議院 予算委員会 7号 公式Web版

  1. 昭和五十四年三月十四日(水曜日)    午前十時二分開会     ―――――――――――――    委員の異動  三月十三日     辞任         補欠選任      井上  計君     中村 利次君  三月十四日     辞任         補欠選任      秋山 長造君     小柳  勇君      馬場  富君     太田 淳夫君      渡辺  武君     佐藤 昭夫君     ―――――――――――――   出席者は左のとおり。     委員長         町村 金五君     理 事                 井上 吉夫君                 岩動 道行君                 糸山英太郎君                 嶋崎  均君                 久保  亘君                 瀬谷 英行君                 多田 省吾君                 内藤  功君                 栗林 卓司君     委 員                 浅野  拡君                 石破 二朗君                 上田  稔君                 亀長 友義君                 熊谷  弘君                 下条進一郎君                 鈴木 正一君                 田代由紀男君                 玉置 和郎君                 夏目 忠雄君                 鍋島 直紹君                 成相 善十君                 秦野  章君                 林  ゆう君                 降矢 敬義君                 真鍋 賢二君                 八木 一郎君                 山本 富雄君                 秋山 長造君                 粕谷 照美君                 小柳  勇君                 野田  哲君                 広田 幸一君                 福間 知之君                 矢田部 理君                 吉田忠三郎君                 和田 静夫君                 相沢 武彦君                 太田 淳夫君                 矢追 秀彦君                 矢原 秀男君                 神谷信之助君                 佐藤 昭夫君                 山田  勇君                 柿沢 弘治君    国務大臣        内閣総理大臣   大平 正芳君        法 務 大 臣  古井 喜實君        外 務 大 臣  園田  直君        大 蔵 大 臣  金子 一平君        文 部 大 臣  内藤誉三郎君        厚 生 大 臣  橋本龍太郎君        農林水産大臣   渡辺美智雄君        通商産業大臣   江崎 真澄君        運 輸 大 臣  森山 欽司君        郵 政 大 臣  白浜 仁吉君        労 働 大 臣  栗原 祐幸君        建 設 大 臣  渡海元三郎君        自 治 大 臣        国 務 大 臣        (国家公安委員        会委員長)        (北海道開発庁        長官)      澁谷 直藏君        国 務 大 臣        (内閣官房長        官)       田中 六助君        国 務 大 臣        (総理府総務長        官)        (沖繩開発庁長        官)       三原 朝雄君        国 務 大 臣        (行政管理庁長        官)       金井 元彦君        国 務 大 臣        (防衛庁長官)  山下 元利君        国 務 大 臣        (経済企画庁長        官)       小坂徳三郎君        国 務 大 臣        (科学技術庁長        官)       金子 岩三君        国 務 大 臣        (環境庁長官)  上村千一郎君        国 務 大 臣        (国土庁長官)  中野 四郎君    政府委員        内閣法制局長官  真田 秀夫君        内閣総理大臣官        房総務審議官   大濱 忠志君        総理府人事局長  菅野 弘夫君        公正取引委員会        事務局長     戸田 嘉徳君        警察庁刑事局保        安部長      塩飽 得郎君        警察庁交通局長  杉原  正君        行政管理庁行政        管理局長     加地 夏雄君        北海道開発庁総        務監理官     吉岡 孝行君        北海道開発庁計        画監理官     大西 昭一君        防衛庁参事官   古賀 速雄君        防衛庁参事官   番匠 敦彦君        防衛庁長官官房        長        塩田  章君        防衛庁長官官房        防衛審議官    上野 隆史君        防衛庁防衛局長  原   徹君        防衛庁人事教育        局長       夏目 晴雄君        防衛庁衛生局長  野津  聖君        防衛庁経理局長  渡邊 伊助君        防衛庁装備局長  倉部 行雄君        経済企画庁調整        局長       宮崎  男君        経済企画庁物価        局長       藤井 直樹君        経済企画庁総合        計画局長     喜多村治雄君        国土庁計画・調        整局長      福島 量一君        国土庁大都市圏        整備局長     堺  徳吾君        法務省刑事局長  伊藤 榮樹君        法務省入国管理        局長       小杉 照夫君        外務大臣官房領        事移住部長    塚本 政雄君        外務省アジア局        長        柳谷 謙介君        外務省アメリカ        局長       中島敏次郎君        外務省中近東ア        フリカ局長    千葉 一夫君        外務省経済協力        局長       武藤 利昭君        外務省条約局長  伊達 宗起君        大蔵大臣官房審        議官       伊豫田敏雄君        大蔵大臣官房審        議官       天野 可人君        大蔵省主計局長  長岡  實君        大蔵省国際金融        局長       宮崎 知雄君        国税庁長官    磯邊 律男君        文部省初等中等        教育局長     諸澤 正道君        文部省大学局長  佐野文一郎君        文部省体育局長  柳川 覺治君        厚生大臣官房会        計課長      加藤 陸美君        厚生省医務局長  佐分利輝彦君        厚生省保険局長  石野 清治君        厚生省年金局長  木暮 保成君        社会保険庁医療        保険部長     此村 友一君        農林水産大臣官        房長       松本 作衛君        農林水産省経済        局長       今村 宣夫君        農林水産省構造        改善局長     大場 敏彦君        農林水産省農蚕        園芸局長     二瓶  博君        農林水産省畜産        局長       杉山 克己君        農林水産省食品        流通局長     犬伏 孝治君        農林水産技術会        議事務局長    堀川 春彦君        食糧庁長官    澤邊  守君        林野庁長官    藍原 義邦君        水産庁長官    森  整治君        通商産業省通商        政策局長     宮本 四郎君        通商産業省通商        政策局次長    高橋  清君        通商産業省産業        政策局長     矢野俊比古君        通商産業省機械        情報産業局長   森山 信吾君        資源エネルギー        庁長官      天谷 直弘君        中小企業庁長官  左近友三郎君        運輸省船舶局長  謝敷 宗登君        運輸省鉄道監督        局長       山上 孝史君        運輸省航空局長  松本  操君        郵政省郵務局長  江上 貞利君        郵政省人事局長  守住 有信君        労働省労政局長  桑原 敬一君        労働省労働基準        局長       岩崎 隆造君        労働省職業安定        局長       細野  正君        労働省職業訓練        局長       石井 甲二君        建設省道路局長  山根  孟君        自治大臣官房審        議官       石原 信雄君        自治省行政局選        挙部長      大橋茂二郎君        自治省財政局長  森岡  敞君        消防庁次長    鹿児島重治君    事務局側        常任委員会専門        員        菊地  拓君    参考人        海外経済協力基        金総裁      石原 周夫君        全日本農民組合        連合会書記長   谷本たかし君     ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○参考人の出席要求に関する件 ○昭和五十四年度一般会計予算(内閣提出、衆議  院送付) ○昭和五十四年度特別会計予算(内閣提出、衆議  院送付) ○昭和五十四年度政府関係機関予算(内閣提出、  衆議院送付)     ―――――――――――――
  2. 町村金五

    ○委員長(町村金五君) ただいまから予算委員会を開会いたします。  昭和五十四年度一般会計予算  昭和五十四年度特別会計予算  昭和五十四年度政府関係機関予算  以上三案を一括して議題といたします。
  3. 町村金五

    ○委員長(町村金五君) まず、参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。  昭和五十四年度総予算三案審査のため、本日の委員会に全日本農民組合連合会書記長谷本たかし君及び海外経済協力基金総裁石原周夫君を参考人として出席を求めることに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 町村金五

    ○委員長(町村金五君) 御異議ないと認めます。  なお、出席時刻等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 町村金五

    ○委員長(町村金五君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ―――――――――――――
  6. 町村金五

    ○委員長(町村金五君) それでは、吉田忠三郎君の総括質疑を行います。吉田君。
  7. 吉田忠三郎

    ○吉田忠三郎君 二十五分という短い時間でありますから、簡潔に質問してまいりますが、答弁される方はきょうは主に農林大臣でありますが、答えの方もわかりやすく簡潔に答えていただきたいと思います。  最初に、私、行革の問題で総理の考え方を二点ほど伺っておきたいと思うのです。  行政改革について、総理は、仕事はふえるけれども人はふやさない、人は抑えるんだと、こういうお答えがございましたが、私は、それは一つの面のとらえ方ではあるけれども、それだけでは行政改革というものは非常に疑問に思うんですね。確かに行政コストというものの軽減は、一つはそういうものの縮小というものが必要であるけれども、私はそんなものは常に為政者である総理は考えなければならないことでありまして、当然のことを申されていると思うんですね。私は、総理が本当にこの行革についてねらっているものは――これは私なりにこう理解するんですよ、ねらっているものは、根本的な組織の洗い直し、もとより仕事はふえるけれども人は抑える、こういうものもその中に入りますけれども、そういうものをねらっている。それから最終的には、やはり今日的な国家財政が困難になって、もう破綻寸前でしょう。ですから、それに対応するためにはやはり行革というものを考えてまいらなければならぬ。一面、あなたは一般消費税というものを国民にいま訴えていこうとしているわけですから、そういうことで総理は考えているんじゃないかと思う。だから、結論から申し上げますと、慢性的な国家財政というものを救うために行革をやろうとしているんじゃないかなというふうに、こう考えるんですがね、総理、どうなんですか。
  8. 大平正芳

    ○国務大臣(大平正芳君) 全くそのとおりでございます。  それで、なお申し上げれば、それは財政再建という問題は国民の負担を軽減する問題でございますので、簡素で効率的な政府を考えなければならぬことは当然の道行きと思っております。
  9. 吉田忠三郎

    ○吉田忠三郎君 そうしますと、私は、この問題で多く時間を使おうと思わないんですが、総理、前々から幾つか問題になっておりますがね、公社は御承知のように三公社、それから公庫が十公庫、公団が十六公団、事業団が二十事業団、大変なものですね。ここには各省庁の役人の天下りがどんどん行っております。私はきょうそういう問題を取り上げようとしているんじゃない。この中で幾つかは今日的な経済の状況の中では必要ないんじゃないか。あるいはこれは、通産大臣もうなずいておりますがね、中小企業の問題で幾つも整理統合してよいものがありますね。こういうものを含めまして、総理、抜本的に私は組織上整理統合して行政改革に資するものと、いま答えられた内容のものを複合的に総合的に行革というものを進めなければ、どんなにこれから、大蔵大臣がいろいろただいままでこの委員会で答えてまいりましたが、一般消費税なるものを国民に訴えても、私は説得力がない、国民に対する説明力というものがないと思うんですね、どうでしょうか。こういう中身、各省庁からどういう役人がどこに天下っているなどということは私は申し上げませんがね、どうでしょう。
  10. 大平正芳

    ○国務大臣(大平正芳君) 公社、公団、公庫、そういったものの数が大変多くなってまいりました。そこで、その整理統合、できれば廃止という方向を打ち出さなければならぬというので、過去十年間に約三つ、ようやくにして整理がついたということでございまして、いまなおこれは一層精力的に続けていかなければならない仕事だと考えておりまして、仰せの方向で一段と力を入れていかなければならぬと考えております。詳細のことは行管の長官から、もし必要があればお答えいたします。
  11. 吉田忠三郎

    ○吉田忠三郎君 農林大臣に伺いますが――農林大臣じゃない農水大臣ですかな、農水省というんですな、ちょっと言いづらいんですがね。渡辺さんと、こう申し上げますが、あなたの昭和五十四年の今国会で、幾つか農業あるいは林業、漁業問題を提起して所信表明が行われていますね。十分読ましていただきましたが、ちょっと私ども考えて、読んでみてわかりにくい点があるんですね。ですから、この点を教えていただきたいと思うんです。  その第一は、あなたは「民族の苗代である農村社会の安定をもたらすことが、」と、こう書いてあります。この「民族の苗代」というのは、これはどういう意味ですか。
  12. 渡辺美智雄

    ○国務大臣(渡辺美智雄君) 「民族の苗代」だと私が言いましたのは、いま都会に人が集まっておりますけれども、もとをただせば、何代か前には日本人はみんな農村におった、そういうような意味であります。そしてやはり日本の民族の魂というものが農村にはまだたくさん残っておるし、その中には非常に相互連帯、助け合いの気持ちとか、そういういいものもたくさん残っておる、墳墓の地でもある、なつかしいところだと。まあ大体それぐらいの意味に考えてもらえば結構であります。
  13. 吉田忠三郎

    ○吉田忠三郎君 それから四ページにまいりますが、「農林漁業者が誇りと生きがいを持って農林水産業にいそしめるよう」云々と、ずっとこう書いてありますが、このくだりをもうちょっとわかりやすく説明してくれませんか。
  14. 渡辺美智雄

    ○国務大臣(渡辺美智雄君) 農村におる人は民族の苗代であって、日本文化の継承地は農村でございますから、農村は、そればかりでなくて、非常に自然の生態系の循環の中でいろんな生産物が生産をされていく、したがって非常な大自然を相手にしておるところであります。しかしながら、その農村を栄えさせるといっても、農村に人がいなくなってしまったのでは農村は滅びてしまうわけです。したがって、やはり農村におることの生きがいを感じてもらわなきやならないし、そのためには都市と均衡のとれた所得、均衡のとれた文化的生活、こういうものも一緒に与えていかなければ、農村におってくださいと言ってもおる人がなくなります。したがって、そういうような面でのわれわれは助成をいたしますが、しかし、農村というのは、また、一億一千万の国民の生活を支える農産物を生産するという重大なる使命を持っておるわけであります。したがって、そういう使命感と生活の実態というものがちゃんと合っていくようにしなければなりません。意訳すると、そういう意味でございます。
  15. 吉田忠三郎

    ○吉田忠三郎君 では、大臣、六ページの「意欲的に農業に取り組む者を中核として、」と、こうありますが、ここでちょっと、私どもの認識では、ここだけ読んでまいりますと何か意欲的でない農家の方もいるような感じがするものですから、ここのところは何を意味しているか、これを教えてください。
  16. 渡辺美智雄

    ○国務大臣(渡辺美智雄君) 農業に取り組むにしても、意欲がなければ取り組めないわけですから、意欲を起こすためには、やはり農業をやってやりがいがあるというように思わなければ意欲が起きない。そこで、日本の農業というものを非常に悲観的に見る人がありますが、私はそう思いません。何といっても一億一千万という国民が日本にはおります。しかも、この人は非常に消費購買力の旺盛なお金を持っておる消費者がおるわけであって、日本は世界有数の農産物のマーケットであります、市場であります。しかもすぐ近間にそういう人たちがおるわけですから、つくり方によっては一番有利な立場に日本砂農村というものが生産地としてあります。  問題は、やり方であります。やり方を上手にどうしてやっていくか。日本では確かに土地が狭い。この一番むずかしい問題が一つ横たわっておるのです。おりますけれども、これもやり方次第によってはかなり単位当たりの生産性を高めるやり方もございます。したがって、そういうことを御認識いただければ、日本の農業というものは、やり方によって魅力ある農業としての産業につくり変えていくことができますと、そういうことを申し上げたつもりであります。
  17. 吉田忠三郎

    ○吉田忠三郎君 大臣、この所信の中身で、地域農業のことが言われていますね。これは地域農業というのはどんな形のものにするのか、これをひとつ聞かせてください。
  18. 渡辺美智雄

    ○国務大臣(渡辺美智雄君) 日本は、北から南に非常に細長い国でありまして、非常に寒いところもあれば沖繩のように亜熱帯のところもある。農産物というものは天然自然を利用してつくっておるのが普通。近ごろはビニールハウスとかいろいろありますが、普通は天然自然を相手にしてやっておる。したがって、それぞれの気候条件、風土の条件、そういうものを利用すれば異なった農産物ができるわけでありますから、北海道でパイナップルをつくるわけにはいかない、しかし沖繩ではパイナップルやカンショ等がとれる、北海道ではビートがとれるというように、北から南までずうっと緯度の違う国なので、それぞれの地域によって非常に違うわけです、気候が。したがって、それぞれの地域に適した産物を中心につくるようにしていく。そういうことが地域農業の振興ということであって、政府としても日本を十三ぐらいの大きなブロックに分けまして、そこでおおよその、この地域ではこんなものがいい、この地域ではこんなものがいいというものの一つのガイドラインを示しておるわけでありますから、そういうようなその地域地域に適した農作物をつくるように振興をしていかなきゃならぬ。また、やり方も、それぞれの地域によって、北海道の広いところと沖繩の狭いところと一戸当たりの面積が違うところがあるわけですから、したがってそれらについてもその地域地域に合ったような、その地域の自主性を生かした農業の振興策を図っていくことが必要だということをそこで申し上げたつもりでございます。
  19. 吉田忠三郎

    ○吉田忠三郎君 どうも、いまのお話を聞きましても、一三ブロックに分けて地域農業の振興を図る、こう言っているんですね。そういうことになりますれば、私は、あなたの考え方というのは、農業の再編成を考えているんだなと、こう受け取れるんですが、この点はどうかということですね。  それから、新農業構造改善事業を本格的に実施をするんだと、こう言っているんですね。ここでまた新しい何か農業構造改善事業というものをやるんだというような、ここでも大変あなたのこの所信表明の中では目玉のようなことを書いていますが、具体的にはちっとも書いていないんですね。この具体的なものを明らかにしてもらいたいと思うんですがね。
  20. 渡辺美智雄

    ○国務大臣(渡辺美智雄君) 十三ブロックに分けたのは、私のとき分けたのではなくて前からこれは分けてあるわけです。これは、しかし、十三ブロックといいましても、そこのブロックが違ったらまるっきり違うというものではなくして、その中でまあまあ大ざっぱな話をこう言っているわけです。  そこで、新構造改善事業というのは、いままでも構造改善事業をやっておるわけでございますが、一層構造政策というものを徹底して生産性の高い農業をつくるような方途を講じてまいりたいという意味でございます。
  21. 吉田忠三郎

    ○吉田忠三郎君 渡辺大臣ね、それから五番目に「農林漁業村落緊急対策事業を新たに行う」と、こう言っているわけです、ここでは。これも具体的なことを内容も何も明らかにしていない、この具体的なものは何ですか。
  22. 渡辺美智雄

    ○国務大臣(渡辺美智雄君) これはそれぞれの農村で、小っちゃなブロックで、小っちゃな旧市町村単位ぐらいのところで、大規模な施設というのでなくして、その地域だけでこういうような施設なり、こういうようなものをつくってもらえば非常に村の人が喜ぶとか、生産性が高くなるとか、お互いが仲よくなれるとか、健康管理にいいとか、いろいろな問題があるでしょう。それを国が画一的にこれこれをしなさいというのでなくて、それぞれのそういうような市町村で農村を住みよくするために必要な施設や助成が必要だと。しかも、いままでの圃場整備とかいろんな事業をやっておりますが、そういう事業の枠には入らない、余り小っちゃくて入らないけれども、その地域としては非常にそれをつくってもらえば、村として非常に住みよい村になるというような場合は、その村からの申し出によって特認事業として助成の対象にして認めていきたい、一事業六千万円ぐらいのものを考えてみたらどうかということであります。そのことの考え方の一部、骨組みになるものがそこに書いてあるわけでございます。
  23. 吉田忠三郎

    ○吉田忠三郎君 大臣、骨組みになるというのはここに書いてない。何にも書いてないんだよ。「行う」というだけですから。時間があんまりございませんから、こういう点、それから先ほど聞いた点、具体的なもの何にもございませんから、予算の裏づけを含めまして、この関係の資料を本委員会開会中に提出していただきたいと思います。いいですか。
  24. 渡辺美智雄

    ○国務大臣(渡辺美智雄君) それの骨組みになるものは予算書に全部書いてあります。それから農林予算の説明書というのがございまして、それにも詳しく書いてございますから、きょうにでもお届けをいたします。
  25. 吉田忠三郎

    ○吉田忠三郎君 参考人の谷本さんに二、三点伺いますが、第一点は、日本農業の現状は一体どうなっているか、この点を御意見承りたいと思います。
  26. 谷本たかし

    ○参考人(谷本たかし君) 日本農業の現状はどうなっておるかというお尋ねでございますが、日本農業の現状を見る場合に、日本の経済の高度成長と農業基本法が始まった昭和三十五年当時と最近はどうなのかというような点で対比される場合が多いのでありまして、私は、そういう立場から若干対比をしてみたいと思います。  まず、食糧の自給率で見てみますというと、昭和三十五年当時は自給率は八七%でございました。それが最近では七四%に落ちてきております。七四%というのは、これは価格換算の自給率でありまして、たとえば畜産の場合は、飼料などの原料次元までさかのぼったオリジナルカロリー換算方式で計算がえをしてまいりますと、今日の食糧自給率は四〇%を切るという状態になっております。こうした食糧自給率の低下の過程はそのまま日本農業が衰退をしてきたという過程であったと思います。その点を農業生産の基本的生産手段である土地と、それから労働力について見てみますというと、次のような状況変化が生まれておるわけであります。  まず、農地でございますが、農地は三十五年当時約六百万ヘクタールでございましたが、それは最近では五百五十万ヘクタールに減ってきております。問題は、耕地面積が減ったというだけではなしに、利用率がはなはだしく低下してきております。昭和三十五年当時の利用率は大体全国平均で見てまいりまして一・三回から一・四回の利用率でございました。それが最近では年一回そこそこというような状態になっております。  次に、労働力の点でございますが、農業就業者は昭和三十五年当時百十九万人でございました。それが最近では二分の一になってきております。問題は、二分の一になったというだけではなしに、中学、高校などを卒業して農業に就労をする者の数が減ってきておるという状態がございます。昭和三十五年当時は十三万人ほど就労する者があったのでありますが、今日ではその一割になってきております。一割と申しますと、大体、大学の医学部を出ましてお医者さんになる方の数と農業に新たに就労する者の数が同じになったという現状であります。  こうした事態は何を意味するか、どれは日本農業の未来が閉ざされるような状態になってきたと言わなければならないと思います。なぜなら、農業生産に従事いたしましても、たとえば製造業の賃金との対比で見てみますと、農民の一時間当たりの所得はその六割を切る状態でしかない、農業をやっても割りに合わない。いろいろな原因がございますが、一番大きいのはそうした原因があるわけでありまして、そうしたことで日本農業の未来が閉ざされるような状態になってきているというのが今日の実情ではないか、こんなぐあいに思います。
  27. 吉田忠三郎

    ○吉田忠三郎君 大変ありがとうございました。  二番目の問題といたしまして、いまの日本農業というのは農業基本法が中心になっていると思うのです。ですから、この農基法農政と一口に言っていますが、この農政が、いまもちょっと参考の御意見の中にもございましたが、私どもやはり農業の現状というのは大変破綻の状態にきているんじゃないか、こう感ずるものですから、この辺はどう受けとめていらっしゃいますか。
  28. 谷本たかし

    ○参考人(谷本たかし君) 農業基本法が日本の農業をどうしようとしたかというビジョンを改めて見直してみますというと、その基本には次のような考え方があったと思います。  日本の経済が重化学工業を中心に再編成されながら高度経済成長になってくる、そういう時代に入るならば、農業生産で引き合わない大多数の零細な農家は農地を手放して他産業に従事するであろう、そうした事態の中で残ったごく一部の農家がそうした農地を買い集めながらそこで大型機械農業を営めばよろしい。まあ大ざっぱに言いまして、農業基本法の考え方の基本にはそうしたものがあったと思います。  ところが、農業基本法農政が展開されまして以降、先ほども申し上げましたように、労働力は確かに他産業に流れてまいりました。ところが、大多数の農家が農業基本法が描いたそれとは違って、兼業農家として農業に滞留する、こういうふうな状態があらわれたわけであります。農業基本法が描いたものと全く逆な結果があらわれてきた。それはなぜなのかという問題が問われる必要があろうと思います。特に、最近、農業基本法の見直しということが言われておるわけでありますから、そういう意味合いからも、農業基本法が描いたものとあらわれた結果がまるで逆であったのはなぜなのかということをはっきりさせることが大切だと思います。そこで、私挙げたいと思いますのは、幾つかの事情があるのでありますが、そのうちとりわけ挙げておきたいと思うのは次の三点であります。  第一点として挙げたいと思いますのは、農基法農政の中での脱農政策は、低賃金労働力を確保するための脱農政策でしがなかったということが第一点であります。ですから、農業から他産業に労働力は流出したけれども、流出したその労働力の多くは労働者として一本立ちできるような賃金がもらえなかった。そういう雇用条件が確保されなかった。したがって家では奥さんが農業だけに従事するとか、あるいはじいちゃん、ばあちゃんが農業に従事するような形として、兼業農家として滞留せざるを得ない状況が生まれてきた、これが一つあったと思います。  それから二番目の問題として挙げなければならないのは社会保障の問題であります。社会保障の問題については、御承知のように、日本の社会保障は非常に経済の成長に比べて立ちおくれておりました。とりわけ農民に対する社会保障はゼロも同然と言われる状態が長く続いてきておるわけであります。したがって兼業農家の多くは、他産業に従事しながら、老後の生活保障の条件が確立されていない。したがって農地だけでも持って、それを私的な老後の生活手段にしていこう、こういうふうな対応が出てきたというのが二番目の問題として挙げてよいと思います。  それから三番目の問題は、土地の価格が急激に上昇してきたという点が挙げられてよかろうと思います。経済の高度成長は、日本列島改造論に象徴されるような、地方への工場進出というぐあいになってまいりました。そうした中で、農地価格は、農地の経済的効率性というものを基本にして形成されるというよりも、転用価格含みの農地価格形成となりまして、農地価格が年々上がるというような状態になってまいりました。しかも、そうした過程の中で、たとえば昭和四十年代の後半期に示されるように、大資本を中心とした土地投機といったような状態がさらに農地価格を引き上げていく上で大きな影響を持ちました。  こうした三つの要因が農業基本法が描いたものと逆な結果をもたらしたのではないかと思います。御承知のように、日本の経済の高度成長というのは、低賃金と低福祉、そして他方では土地投機といったものを要因としながら奇跡的成長と呼ばれるような高度成長が実現されたとされておりますが、そうした高度成長をもたらした要因が高度成長政策が描いた農業基本法農政自体を否定した、こんなぐあいな形のものであったのではないか、こう思っております。
  29. 吉田忠三郎

    ○吉田忠三郎君 もう一点、参考人の谷本さんにお伺いしますが、大変参考になったわけですが、そういう状況の中でも、いまお米が大変過剰だ、余っている、こういうことがしきりに言われるわけでございますが、なぜ米が余るようになったのか、これに対する御所見がございますればと、こう思っております。  それから、先ほど大臣にも伺ったのでありまするが、政府は、地域農業振興という形で、農業を明らかに、この所信表明を見ましても、再編成をしていくというようなものが出ているわけですね。こういう点につきまして、農業団体でございます、しかもそこの責任者でございますが、参考人はどのような御意見を持っておられますか、この点をお聞かせ願いたいと思います。
  30. 谷本たかし

    ○参考人(谷本たかし君) まず、米過剰の問題でありますが、なぜ米が余ったと言われるような状態になってきたかというような御指摘でございました。で、米が生産過剰に陥るような状態になってきた最も大きな要因として挙げられますのは、生産者米価が高いからだといった理由が挙げられております。果たして生産者米価は高かったのかどうかという点が私は疑問に思います。通常、資本主義経済社会の中での農産物の価格は、農業生産の限界生産値の生産費によって決定される、こういうぐあいに言われております。これは何も社会主義運動をしている者がそういうことを主張しているということではないのでありまして、たとえば自由主義経済学者のリカードなどもそうしたことを言っておるわけであります。  そうした立場でこれまでの米価を見てまいりますと、たとえば昭和四十五年の生産者米価で見てみますと、生産費所得補償方式で決定されたとはいえ、生産費方式でそれを引き直して見てみますというと、米販売農家のうちで生産費がカバーされたのは八三%でしかございませんでした。それから昨年の生産者米価について見てみますと、これまた生産費所得補償方式で決定されたと言われておりますが、生産費方式で引き直して見てみますというと、米販売農家の五三%の農家の生産費しかカバーされておりません。このような状態は何を意味するか。消費者が必要とする米の生産量の再生産を確保する水準までの米価になっていない、こんなぐあいに断じてよろしかろうと思います。してみるならば、資本制経済社会の中で、自由経済社会の中であるべき価格水準というものよりも生産者米価は低かったというぐあいに申し上げてよいのであります。にもかかわらず、多くの農家が米の生産に集中したのはなぜなのかということになってまいりますと、それは高米価だったからではなくて、他の農産物価格が米よりもさらに低く、かつ不安定であったというところに主たる要因があったと言わなければならないと思います。  今日、食糧の自給率は、先ほども申し上げましたように、実質四〇%を切る低水準になっていると私は申し上げました。そうした低水準になってきたのはなぜなのか。いろいろな原因がありますが、その最も大きな要因として挙げられてよいのは、農畜産物の外国からの輸入、そしてそうした事情などを背景としながらの需給緩和と農畜産物の買いたたきというようなところに自給率が引き下がってきた原因がある。そうした原因は、とりもなおさず他方で米のいわゆる相対的な過剰状態を生み、他方で穀類を中心とした食糧のはなはだしき自給率低下を現出するというような状態になってきたものと思います。  でありますから、そういう立場から見てみますというと、政府がいま行っております米の生産調整というのには私どもは反対であります。なぜかならば、米が余らなくとも済むような、そういうふうな農政が行われていない。そして米が過剰になってきた原因は、とりもなおさず食糧の自給率を引き下げるような、そういうふうな農政にあったわけでありまして、その農政のあり方は基本的に変えられていないわけでありますから、したがって多くの農民は米の生産調整には反対せざるを得ないというような状況が生まれてきているわけであります。  さて次に、第二に御指摘がございました、政府が進めようとしている地域農業の再編成についてどう考えるのかというお尋ねでございましたが、これについては次の点を申し上げておきたいと存じます。  先ほど、農林大臣は、地域農政とは地域の生産事情に見合ったそういう農業づくりをやるのだということを強調されました。最近政府が言っております地域農政には確かにそういう面もございますが、より基本的な問題としては、次の点が据えられておると思います。その第一は、米の生産を抑え込んで他作物に転換をさせていくという生産政策が第一点であります。それから二番目の問題は、効率的な日本農業をつくっていく、つまり構造政策を強化していくという点が二番目の柱として据えられておると思います。この二つの柱について私どもがどう考えるかについて申し述べたいと思います。  まず第一番目の、米から他作物への転換問題でありますが、政府が米から他作物への転換として進めようとしておるのは、米の生産調整政策の中で取り上げているいわゆる不足農産物への転換であります。その例をたとえば麦について見てみますというと、政府は米づくりをやめて麦に転換をしろというぐあいに言っておるのでありますが、これは私どもにとって非常に耐えがたい状態がございます。なぜかならば、生産者麦価が米価よりも低いという問題もございますが、それだけではありません。といいますのは、もともと日本の麦は米の裏作として営まれてきたものであります。農家が麦への転作を受け入れるかどうかという問題は、表作がどうなるのかという問題との関連でとらえていくわけであります。ところが、米の代替作物については補償がほとんどない。米の代替作物として最も有力なものは飼料用穀物でございますが、飼料用穀物については政府は今後も輸入にまつという態度でございます。してみるならば、米から麦への生産の転換を定着をさせていくためには、飼料用穀物をどうするのか、この問題が改めて問われなければならないと思います。ところが、飼料用穀物は外国に依存していくのだというのが政府の基本方向であります。  こうして見てみますと、米から麦への転作問題の障害になってくるのは、政府が相変わらず外国への食糧依存政策を進めておる、麦への価格保障がない、こういうところに問題があると言ってよろしいのであります。  あるいはまた、粗飼料への転作問題を見てまいりましても似たようなことが言えるわけであります。粗飼料への転作問題について言えば、畜産農業と結びつかなければ粗飼料への転作が進んでまいりませんし、定着もいたしません。ところが、政府は一方では牛肉の輸入は拡大をしてきております。またさらに、最近では乳製品の輸入がふえてきておりまして国内生産が圧迫されるというふうな状態が生まれてきております。そうした外国依存政策が進むという状態のもとでは、粗飼料への転作にしても困難であると言わなければなりますまい。  このようにして見ますと、地域農業の再編成というのは、国際化時代に見合った日本農業の再編成だということが一部で言われておるのでありますが、そうした国際化時代に見合った日本農業の再編成というのは、食糧の外国依存、輸入を進める、構造政策を進めていくというようなところにその考え方があるのでありますが、それ自体矛盾なのではないか。言いかえるならば、輸入を拡大する、生産性の高い農家をつくるための構造政策を進めていこうというぐあいにしておるのでありますが、そうした輸入依存政策というものであっては、あるいは低価格政策を強めるというようなことであっては、地域農業の再編成は進まないのではないかという点が第一に挙げられなければなりません。  それから二番目の問題として申し上げたいのは、構造政策の問題であります。この点は先ほども申し述べましたように、たとえば欧米型的な構造政策を政府が進めたいのだとするならば、その前提的な条件としては、零細な兼業農家が労働者となって一本立ちして食えるような賃金と雇用の条件あるいは社会保障の条件を整えるというようなことが行われなければならないでありましょう。また、生産手段である農地にいたしましても、価格を引き下げるための施策がもっと積極的に出されてしかるべきではないかと思います。土地の値段を下げることができないのだとするならば、高い地価のもとで借地農業をやっても引き合うような価格政策というのが裏打ちされていかなければなりません。賃金問題あるいは雇用問題というような問題等々は、これは農業の枠組み以外の問題だと言ってよいでありましょう。  構造政策を進めるにしても、その点はひとり農林省だけがどうこうするということではなしに、労働省がどう考えるかというような点やら、あるいはまた厚生省がどう考えるかという点やら、そういうふうな点を両々相合わせながらやらなければ、政府がお考えになっておるような構造政策というのは進み得ないのではないか。そこのところを無理して進めようとすれば当然あつれきが起こってくるし、そしてそうした無理は矛盾の拡大でしかないというぐあいに言わなければならないと思います。
  31. 町村金五

    ○委員長(町村金五君) 谷本参考人には御多忙中御出席をいただきまして、ありがとうございました。委員会を代表して厚く御礼を申し上げます。御退席くださって結構でございます。
  32. 吉田忠三郎

    ○吉田忠三郎君 渡辺大臣、私も率直に申し上げますが、率直に答えていただきたい。  このあなたの所信表明の本当のねらいは、米の生産調整、いいですか、それの定着をねらっているんじゃないかなというような感じがするんですよ、私は。ですから、そこから発想しますと、地域農業であるか何農業であるか別といたしまして、農業の再編成というものを、したがって、そこから関連さして発想したんじゃないかなと、こういうように受けとめるわけですが、どうですか。
  33. 渡辺美智雄

    ○国務大臣(渡辺美智雄君) 米の過剰なものを少なくして、不足のものをこしらえる、これは当然のことであります。したがいまして再編対策の中には大きな柱の一つとしてそれは入っております。  ただいまの参考人の御陳述、いろいろございましたが、私どもとは意見を非常に異にするところが多いわけであります。農業の生産性を上げろということはだれも賛成するわけです。生産性を上げるということは就労人口が減ることでございますから、面積が一定であって就労者がどんどんふえたのでは明治時代みたいになってしまいますから。ですから、面積が一定ならば、就労者が減る、一人当たりの生産性が高まる、こういうことで、昭和三十五年ごろは就労人口一六%ぐらいのものがいまは一〇%そこそこというようなところになって、一人当たりの農業生産性は非常に高くなってきた。しかしながら、もう少し生産性を高めることもできるというように考えておって、それにはいろいろな手法を講じていし必要がある。ですから、米の転作を定着させる、これはまことに私もそうしたいと思ってやっておりますから、この所信表明の中での大きな柱になっておる、それは間違いありません。  それからなお、先ほど、いろんなことを言っているけれども、一つも具体性がないという話でございますが、それを具体的にしかも抜き出して書いた重点施策の本がございますから、これをひとつ差し上げておきます。
  34. 吉田忠三郎

    ○吉田忠三郎君 これも後でよく読みますが、時間がありませんから、私は関係の委員会であなたといろいろもうちょっと深めた議論をしてみたい、こう思っていますが、しかし、政府そのものが十年後の一九八五年の穀物の自給率を三七%に下げていますね、いま四七%でしょう、一〇%も下げた見通しを立てているんですよ。ですから、あなた、たとえば米は余っているんだから、余ってない不足したものの穀物生産をやるんだと、私は大賛成です、結構です。だけれども、すでに政府、農林省みずからが十年後のいわゆる主要農産物の自給の見通しを三七%に下げているわけですよ、さらに一〇%。これはどういう意味ですか。
  35. 渡辺美智雄

    ○国務大臣(渡辺美智雄君) よくこの自給率論争が出るわけでございますが、先ほどもお話があったように、その自給率の中で特にえさのことを、穀物ですね、穀物の自給率が三七%に下がる。現在三八ぐらいでしょう、五十二年が四〇ぐらいですから。これは外国依存だ、外国依存だと言われますが、現実の問題として肉類の消費をふやさなければ自給率は上がるんですよ。それはもう先生御承知のとおりビーフ一切れ二百五十グラム食えばバケツ一杯の穀物が必要なわけですから、それを主食として食えば一カ月ぐらいは生きていける。しかし一食分ということになりますから、ですから牛肉の消費量をもっとふやしていく、豚肉の消費量をふやしていくということになれば加速度的に穀類が必要なわけです。その穀類の必要量というものを国内でできるだけつくります。つくりますが、これは現在仕入れている千四百万トンのえさ、穀物ですね、これを国内で生産するとすれば、現在の水田、畑面積と同じだけの面積がなければできないわけですから、それは言うべくして実は不可能な話なんです。ですから、要するに動物たん白をそうとらないんだ、昔のように余りとらないんだということになれば、穀物自給率というものはぐっと一遍に上がってくるわけです。  ですから、どちらがいいのかというのは、これは政治の選択の問題でありまして、外国依存をやめちゃって国内でえさをつくれる限度に鶏や豚や牛を飼うんだということになりますと、それはいまの何分の一という話になってきてしまうわけです、動物のたん白供給量というものは。どっちをとった方がいいのか、これは政治の選択の問題であって、国民からすれば、もう牛や豚や鶏はいまの半分以下に減らせというような要求はないですね、もっと食べさせろという要求はありますけれども。そうすると、やはりそれらのものを国内で全部生産できないわけですから、できないものはやはり海外から安定的に多角的に輸入をするという以外には方法がない。輸入をすれば統計の上では穀物の消費がふえたという形になるから、自給率が下がるという計算になるだけでございます。したがって現実可能な数字を政府は出しておるわけであります。できない数字を書いておるわけではありません。  ただ、豚や鶏は一年の国民一人当たりの消費量というものは昭和六十年の見通しをすでに昭和五十二年で達成してしまっておるというような点から、ここらのところはもうすでに目的を達成しているから、どういうふうにするか、再検討しなければならぬという問題が起きておるわけでございます。
  36. 吉田忠三郎

    ○吉田忠三郎君 大臣、あなたといま自給率の議論をここでする時間がありませんから、仮に私はあなたの意見に百歩下がって賛成したとしてみましょうか、私は賛成じゃないのだけれどもそう見ましょう。見た場合にどうですか、ではこれからの農地の拡大の展望というのは一体農林省はどういうふうに持っているんですか。  時間がありませんから次々申し上げます。それから耕地の利用計画、具体的なものないじゃないですか、農林省に。ありましたら、ここに示してください。  それから三番目、農家の人々の生産性向上ということについて農林省は私は努力が足らない、こう見ているんです。それが先ほど来の参考人の御意見にもございましたが、私は参考人の御意見をそのままうのみにするわけじゃございませんが、各種農畜産物の価格は安定していない、こんなことを何年も前から言われてきたわけですよ。わが国農業が安定しない、その最大の原因は価格問題にあるわけですよ、農畜産物の。このことを評価していないじゃないですか。農家の人々の生産費を賄うだけの価格になっていないでしょう。ですから、毎年毎年米価にしたって麦価にしたって、あるいはでん粉、バレイショ、近くは農畜産物の価格の問題として牛乳の問題もあるでしょう。こういうことが具体的になされていない、なされていませんね、どうですか。
  37. 渡辺美智雄

    ○国務大臣(渡辺美智雄君) 順次、お答えを簡潔に申し上げます。  農地の拡大につきましては、現実に農地の造成を新しくしていくということはなかなか大変なことであります。ありますが、昭和六十年までに五百八十五万ヘクタール程度にまで広げていきたい。大体、農地開発するといっても場所がないわけです。したがって国有林とかいろいろな雑木林とかを十年ぐらいのうちで何十万ヘクタールか開発する、そのために要するに農業開発の事業団等がどんどん土地造成をやっておる。北海道でも根釧原野付近をどんどんやっている、具体的に例を申しますと。これは先生御承知のとおりでありまして、極力、それには努力をいたしておるところであります。  生産性の向上の問題につきましては、これは米を見てもわかりますように、十アール当たり百三十時間とか四十時間とかかかった労働時間が、いまやもう十アール八十時間を割っておるということは一つの例だけれども、きわめて高い労働生産性がそこの中から生まれておる。  規模拡大の問題にしても、すでに酪農の北海道などは、欧州のドイツあたりが酪農家一戸平均十頭ぐらいの牛だけれども、北海道はすでに三十頭と、内地全体で十五頭というぐらいに、EECと比べて日本の酪農というものはかなり規模拡大が進んできておる。したがってかなりの競争力がつきかかっておるという現実はここ二十年ぐらいの間にそういうふうになってきたわけですから、農林省は何もやってなかった、やってなかった言われましても、これは農家の人と農林省と農協とみんな一緒になってそこまでやってきた。  ただ、価格の問題でございますが、価格が安いせいだとこう言われておりますが、これは幾らにしたらばいいのかという問題で、これは当然消費者からすれば安い価格がいいに決まっているわけです。農家からすれば高い価格がいいに決まっておる。そこでわれわれとしては生産費を償うような再生産の確保というものを旨として、ともかく酪農にしても豚にしても鶏にしても、やってきたわけでありまして、その結果は、鶏などはもう非常に国際価格水準にほとんど近いような卵価にいまなっておって、貿易自由化だけれども外国からどんどん入ってこないという状態だ。豚もこれは自由貿易になっておるわけですよ、しかし、これには要するに市場価格との差額関税というものが少しはございますから、それによって持ちこたえておって、これも自由化だけれども、どんどん入ってくる状態じゃないぐらいに生産性が実は上がっておる。しかも値段はそれで何とかもうやっていけるということにかなりの所得水準を示しておるわけです。  米にしても、それは外国のタイ米の五倍、それからカリフォルニア米の三倍というような価格水準を政府が補償をしてやっておるわけですから、これはもう安いと言われましても、なかなかそうは安いというふうには私は思っておらない。それぞれバックデータに基づいてそういうものを算出しておるのであって、私は高過ぎるとも申しませんが、まあまあ保護の限界であって適正な値段である、かように考えておる次第でございます。
  38. 吉田忠三郎

    ○吉田忠三郎君 農林大臣、私は農林省がそういうことについてやっていないと言うのは一あなた私の質問に正しく答えていないんですよ。たとえば農地拡大についてちょっと触れましたね。いままで一貫して流れて所信表明の中では地域農業に転換していくわけでしょう。その場合、いままでたとえば水田であったものを転作しますから、大豆なら大豆あるいは麦なら麦に変えていくわけでしょう。その場合の農地をどう具体的に利用するかという計画などないでしょう、それは。ありますか、具体的な計画。そういうことを聞いているんですよ、ぼくは。だから、その面をやってないと言う。
  39. 渡辺美智雄

    ○国務大臣(渡辺美智雄君) その農地を、水田にほかの作物をつくれと言われましても、湿地帯ではできないじゃないかというような問題ありますね。したがって……
  40. 吉田忠三郎

    ○吉田忠三郎君 耕地利用の計画がないでしょう。
  41. 渡辺美智雄

    ○国務大臣(渡辺美智雄君) それは年々拡大をする新しい産物をつくらせるために、そのために土地改良をやったりいろいろなことを――土地改良十カ年計画というようなものをこしらえて、それで特にことしからは排水事業を最重点にして、それでスピードを速めるとか、そういうような計画を持ちまして、それでその水田を畑に転用できるような土地改良計画を持ってどんどん進めておるんです。具体的数字その他がもし必要ならば事務当局からお答えをさせます。  それから、なおかつ専業農家をつくるために土地拡大をやってないじゃないかと、これは農地法の中で一番失敗した点じゃないかと、これは私も同感なんですよ。これは土地拡大というものについて一軒の農家に土地をうんと集めるといっても、土地の値段は高いですから、土地の値段が高くなったことは日本列島改造だ何だというせいだと言われますが、あるいはそうかもしらぬ、そうかもしれませんが、農家にしてみれば、土地の値段が上がって怒っている農家は余り聞いたことがない、実際は。農家自体は財産価値が上がったと思っているわけですから。私は、しかし、これ以上上がることは好ましくない。しかし、上がっちゃっているものは下げることはむずかしい。したがって、私どもとしては、土地を買収して農業規模の拡大を図るんじゃなくて、そうして利用権の集積、つまり生産性の低い農家が自分でつくるよりも、貸して自分は本当に別なことに専業した方がいいと、したがって生産性の高い農家にお貸ししましょうと、安心して貸したり、あるいは請負耕作をしてもらうことができるような仕組みが足りないといえば足りないんです。  農地法は、御承知のとおり、自作農主義、自分の土地は自分がつくるという形になっておりますから、こういうようなものが要するに利用権集積の規模拡大についての非常なネックになっておるのではないだろうかということは一つ考えられます。したがって、これらには真剣にこれから対応していかなきゃならぬ、こう思っておるわけでございます。全部よかったとは申しません。
  42. 吉田忠三郎

    ○吉田忠三郎君 大臣、時間ありませんから、次に当面の問題でございます乳価の問題、どのように考えていますか。
  43. 渡辺美智雄

    ○国務大臣(渡辺美智雄君) 乳価については、政府が直接関与しておるものは加工原料乳乳価でございます。これは再生産を確保することをまず旨とする。それから生産事情、経済事情、需給事情、こういうものを考慮して決めるということで法律で決まっておりますから、その趣旨にのっとって目下いろんな資料を作成中でございます。その数字の出たところによって今月中に決定をしてまいりたいと考えております。
  44. 吉田忠三郎

    ○吉田忠三郎君 牛乳の生産量はどのくらいになりましたか、今年度。
  45. 杉山克己

    ○政府委員(杉山克己君) 牛乳の生産量、五十三年度は三月末に締められるわけでございますが、現在のところ六百二十万トンから三十万トン程度というふうに見込まれております。  それから当面問題になりますのは、その中で加工原料乳の数量であろうかと思われます。これにつきましては、現在のところ私ども限度数量の百八十三万トンを約二十万トン程度上回って出てくるのではないかというふうに見通しております。
  46. 吉田忠三郎

    ○吉田忠三郎君 いま答えられたように、政府の限度枠というのは百八十三万トンなんですよ、で、もうすでにこれは概算でありますが限度枠をオーバーしているものが二十万トンくらいです。大臣、これに対して、オーバーした二十万トンをどういう扱いにいたすわけですか。
  47. 渡辺美智雄

    ○国務大臣(渡辺美智雄君) 一応、加工原料乳については、当然市乳を出しても余るものがございますから、いろんな政策上限度を設けまして、それを加工原料乳として補償をしておるわけであります。しかし、これは一応限度数量を設けておりますから、限度数量を突破をしてどんどんつくってもみんな政府が買い入れるという制度にはもともとなっておりません。したがいまして、この限度数量については、原則的には限度数量をオーバーしたものは、これは買わないというのが原則であります。
  48. 吉田忠三郎

    ○吉田忠三郎君 これは限度枠は決まっていますから、大臣、原則はわかるんですよ。しかし、農家の方々はこれは血と汗の結晶として、結果、牛乳が生産される。もうすでに二十万トンオーバーして納めているわけです。原則は枠をオーバーしたんだから認めませんと、こう言ったって、これでは大変なことになるんじゃないでしょうか。それこそ、そういうところに政府の光というものは与えるべきものじゃないですか、大臣、どうでしょう。  それともう一つは、輸入しておりまするものは二百五十万トンでしょう、生乳換算でありますけれども。国内で生産されるものは、これは加工原料の牛乳でありますけれども、百八十三万トン。もうちょっと私は、大臣、限度枠をやはり拡大していいんじゃないですか。
  49. 渡辺美智雄

    ○国務大臣(渡辺美智雄君) 御承知のとおり、その限度数量は不足払いの対象としておる数量でございます。先ほど「買い入れ」と言ったかもしれませんが、訂正をいたします。不足払いの対象としておる数量であります。  これにつきまして、この間も陳情団が来まして、ふえたのは非常にえさが安かった、それから不景気なために出稼ぎその他に行かない、そのために牛の手入れがよかった、気候がよかった、夏ばてしなかった、冬が暖かかった、牛がよく伸び伸びしておったというような点からことしはふえたのであって、というふうな話もあるわけですよ。したがって、これは恒例のものでなくて、五十三年という特殊な事情もあるんですよというお話もあって、そう言われると、そこの部分はもっともだなという点もございますから、そこらの点は多少考慮はしたい、かように考えておるわけであります。
  50. 吉田忠三郎

    ○吉田忠三郎君 それから、大臣、これに関連いたしまして、畜産経営改善資金というのがございますね。これが五十二年に貸したものでありまして、五十四年、今年の八月にこれは償還しなきゃならぬですね。こういうものがございますが、現在の酪農業の実情から見まして私は償還不可能だと思うんですよ。  たとえば、時間がございませんから、例を一つ申し上げますと、Aという方は三百万借りた、ずっと経営計算してまいりまして赤字が五百三十三万出ている、こういう農家は返せませんね。あるいはBという方は五百八十万借りた。ところが、赤字が一千万出ている、こういう状態です。それからCという方は九百万借りたけれども、赤字が千六百万出ている。これはもとより牛を買うとか、あるいは機械を買うとか、あるいは先ほど大臣が答えたように、これは農林水産省が農地を拡大しなさい、拡大経営をやりなさい、多頭化しなさいと。あなた二十頭とか三十頭、十五頭と言いますが、北海道は百頭酪農ですよ、五十頭酪農ってざらにあるわけですから。ですから、そういうことで資金が必要ですから、この資金を借り入れたんです。今度は償還しなきゃならない。実態はこういう実態ですが、後でこの資料を差し上げますから、私は不可能だと思うんです、実際に。さてこれをどうするかという問題、大臣。
  51. 渡辺美智雄

    ○国務大臣(渡辺美智雄君) 実情をよく調査の上、対処をしてまいりたいと存じます。
  52. 吉田忠三郎

    ○吉田忠三郎君 次は、大臣、漁業の問題について二、三伺っておきたいと思う。  第一は、日ソ漁業交渉が間近に迫っておりますね、代表団が派遣されましたね。私はやっぱり問題になるのは漁獲の割り当てですね。二番目には操業水域、三番目は、これはソビエトの場合は漁業の支払い金、こうなっていますね。これは他国に対しては入漁料なんですが、この三つの問題が大体大きな問題になると思う。それといままで懸案となってまいりました日ソの漁業共同事業の実施の問題、あるいは北海道の貝殻島のコンブの再開の問題等々があるんじゃないかと思うんですが、その点と、交渉の、非常にこれはむずかしいことであろうと思うけれども、見通しの問題をお聞かせ願いたいと思います。
  53. 渡辺美智雄

    ○国務大臣(渡辺美智雄君) この対ソ関係ではいまおっしゃったようなことが大きな問題点であることは間違いありません。交渉につきましては、日ソ漁業委員会の開催について一年間これは決まっておりながら進んでおらなかったわけでございますが、やっと今月の十九日から事務的交渉が行われる。それに続いてわれわれとしてはサケ・マス交渉の準備も進めていかなきゃならぬということで、鋭意、その既存権益を守るためにあらゆる努力を積み重ねていくつもりでございます。
  54. 吉田忠三郎

    ○吉田忠三郎君 二番目に、韓国船が大変北海道の太平洋岸、日本海ですね、これは日本海ほとんど全域にわたってでございますが、出てまいりまして、非常に大きな問題になっていますね。漁具を荒らしたり、あるいはもう日本の漁民とのトラブル等々がございますが、この対策――これはいまに始まったわけじゃないんですが、二百海里が設定されたのはおととしですから、三年前ですね、当時から問題になっているのですが、これに対して政府はどういう対策をとっていますか。
  55. 渡辺美智雄

    ○国務大臣(渡辺美智雄君) 特に韓国問題で一番問題になっているのは、北海道の沖合いにおけるオッタートロールの禁止区域、この区域で、日本船も入れないというところで韓国船が魚をとる、これはけしからぬということで非常な非難を受けておることは全くそのとおりであります。  これについて、われわれといたしましても、先月、水産庁同士の次長会談をやったわけでございますが、話が平行線で折り合わない。そこで、われわれもいろいろ陰からいろんな政府の要人等に対しては実情を訴えて、速やかに自主規制をするよう強く求めておるところでございますが、今月中に、あと二週間ぐらいしかありませんが、水産庁長官同士の会談を持って、それで円満解決の方向で話し合いをいま詰めようとしておるところであります。
  56. 吉田忠三郎

    ○吉田忠三郎君 大変結構なことでありますが、私はやはり政府間交渉の中でそういう問題を扱うことと同時に、韓国側に対してやっぱり二百海里設定をやるようにこれは強い交渉をせねばならぬ時期に来ているんじゃないでしょうか。大臣、どうですか。
  57. 渡辺美智雄

    ○国務大臣(渡辺美智雄君) 二百海里を引いてしまえば一番話は簡単なわけでありますが、これは日本の漁業は西部の方も漁業をたくさんしておって、韓国周辺でもやっておるわけでございますから、日本の漁業全体の問題として検討していかなきゃならない。そういうようなことを考えますと、軽々にすぐに簡単に二百海里を引いてしまうということがいいのかどうか、日本のためになるのかどうかも考えなければならぬ。お互いにいままで円満にやってきたことですから、円満に話がつけば一番いいので、最終的な場合でつかないということになれば、そのときはそのときしかないわけであります。しかし、われわれはつく見通しをいま持っておりますから、いますぐ二百海里を引くということは考えておりません。
  58. 吉田忠三郎

    ○吉田忠三郎君 大臣、すでに千四百二十件事件を起こしているんですよ。損害額は五億を超えているわけで、ですから、いま大臣も努力をしましょうということですから、これ以上、時間ありませんから、私申し上げませんが、いま直ちに引く考えはない、こう言っていますけれども、重大問題だと私は思うのですね。なぜ韓国だけに二百海里の問題を迫らないか、そのことからいろんな憶測をされますよ。ですから、大臣、これは積極的に取り上げてくださいよ。この問題はどうですか。
  59. 渡辺美智雄

    ○国務大臣(渡辺美智雄君) 積極、勇猛果敢に取り組んでまいるつもりであります。
  60. 吉田忠三郎

    ○吉田忠三郎君 もうあと時間三分ですから、林業の問題を伺いますが、大臣どうですか、大変これは安上がりの政府、大平さんもたびたびそういう言葉を使うのですが、林業においても安上がりの林業政策というものが過去ずっとこれはまいりまして、大変問題になっています。ですから、私は、いまもう荒れほうだい荒れているでしょう、山荒らしなどと一説には言われているんですが、この問題大臣どういうふうに認識されているんですか。
  61. 渡辺美智雄

    ○国務大臣(渡辺美智雄君) 林業は、木材を供給するというだけでなくて、日本の国土を保全し、水資源を守り、自然環境を守っていくという重大な公益的な機能を持っておるわけですから、これはただ単に私の事業というばかりでありません。したがって特に民有林の問題等については政府は本腰を入れていかなきゃならぬ、こういうことで、これもその本の中に書いてありますから、これはことし大平内閣になって本当に世界に冠たる二十年据え置き、四十五年の長期資金ですから、これは低利で、そういうような資金制度をこしらえて、林家の育成を図ったり、あるいは、いままでは植林の助成をやっておりましたが、これは雪起こしから、草刈りから間伐まで二十年間くらいの長い期間にわたってめんどうを見ていこう、これも私は世界に例のない話だと思います。したがってそういう制度を本格的に取り組んでいく。もうすでに予算にも計上してありますので、一刻も早く予算が通過して、仕事ができるようにお願いを申し上げる次第であります。
  62. 吉田忠三郎

    ○吉田忠三郎君 大臣、大変世界に冠たるものだということで胸を張ったんですがね、それにしては、大臣、国有林の造林についても大変な不良造林地というのがあるんじゃないですか、膨大な面積がございましょう。やっぱりこういうものをつくらないことですよ。これはどう考えています。
  63. 渡辺美智雄

    ○国務大臣(渡辺美智雄君) 国有林の問題については、その運営方法、活用の方法等については、一遍かなりメスを入れて調べなきゃならぬと私は思っております。国有林野の改善の計画というものは、十ヵ年計画ですか、新しくつくられておるわけでございますが、いずれにしても国有林について国民からいろいろな御批判のないように、鋭意、十分注意をしてまいる所存でございます。
  64. 吉田忠三郎

    ○吉田忠三郎君 大臣、それと、せっかく大変なお金をかけて造林していくんでありますが、これは当然のことであります。国の財産ですから、国民の財産ですから、いいんですが、つくり上げたものを育てていないんです。育てようとする政策が余りにも欠けているということなんです。ですから、この保育について手抜きをしていますね、この手抜きをどうしますか、これから。
  65. 藍原義邦

    ○政府委員(藍原義邦君) 御指摘がございましたように、国有林の造林事業につきましては、造林の保育を中心にいたしまして非常に手おくれがあるという御指摘も受けております。私どもも、その実態を十分調査いたしまして、早期にこの対策を講じ、できるだけ早く適格な造林地になるような努力をしようということで、目下、鋭意その林地の状況を調査いたしておりまして、一刻も早く国民の期待にこたえるような造林地になるような保育事業を進めてまいりたいというふうに考えております。
  66. 吉田忠三郎

    ○吉田忠三郎君 間伐の問題はどうしていますか。さっぱり進んでいないんじゃないですか。
  67. 藍原義邦

    ○政府委員(藍原義邦君) 間伐材につきましては、国有林、民有林を合わせまして間伐材の利用という問題で非常に問題が出ております。と申しますのは、間伐は昔は足場丸太等を中心に非常に利用されましたけれども、最近はそういうものが代替材に変わりまして非常に利用がないということで、間伐が国有林、民有林を含めまして進んでおりません。したがいましてこの利用開発を中心にいたしまして、目下、鋭意検討を進めておりますけれども、やはり間伐をしませんと造林地がいい造林地になりませんので、今後も利用開発の面を中心にし、間伐の利用を進めながら、間伐の促進を図ろうということで、国有林、民有林を通じまして努力してまいりたいというふうに考えております。
  68. 吉田忠三郎

    ○吉田忠三郎君 通産大臣、日本のパルプの生産量はどのくらいですか。
  69. 藍原義邦

    ○政府委員(藍原義邦君) パルプの生産量は通産省の管轄でございますけれども、私の方でお答えいたしますと、国内パルプの生産量は五十三年におきまして九百三十九万トンでございます。
  70. 吉田忠三郎

    ○吉田忠三郎君 その中で新聞関係に回っているトン数は何トンになりますか。
  71. 藍原義邦

    ○政府委員(藍原義邦君) パルプの生産量は、先ほど申し上げましたように、通産省でいろいろしておられますし、私の方で、その業種別にはちょっと林野庁ではつかんでおりませんので、後ほど調べましてお答え申し上げたいと思います。
  72. 江崎真澄

    ○国務大臣(江崎真澄君) ちょっと御通告いただいておりませんでしたので、数字をチェックしておりませんが、後で調査してお答えいたします。
  73. 吉田忠三郎

    ○吉田忠三郎君 大臣、そうしますと、雑誌の関係についても調べていただきたいと思うんです。新聞関係、私の調査では二百二十六万トンになっているんですよ。  それから、時間がなくなったんですが、各種雑誌等のことを聞きたいんですが、どこの所管ですかね、通産省ですか。
  74. 江崎真澄

    ○国務大臣(江崎真澄君) 紙の割り当て……。
  75. 吉田忠三郎

    ○吉田忠三郎君 どういう種類のものがつくられているか。
  76. 江崎真澄

    ○国務大臣(江崎真澄君) 製紙は通産省でありますから、私の方でございます。御要望の線に沿いまして、できるだけ資料でお出ししたいというふうに考えます。
  77. 吉田忠三郎

    ○吉田忠三郎君 具体的に伺っていきます。  各種の雑誌というものが幾つかございますね、どのくらい種類が出ていますか。そしてそこに使われている紙のトン数がどのくらいか。  私の方も時間ありませんから、なぜこういうことを聞いているかということは、ただ単に油の節約だけじゃなくて、わが国の大切な木材資源のいわゆる節約ということを私は考えなきゃならぬ時期に来ているんじゃないか。私の調べでは、雑誌がこれは大変な数になっているんですよ。これを仮に油のように五%なら五%、あるいは一〇%なら一〇%節約してまいりますと――これは紙は原料は木材ですから、今日六四%くらい外材を輸入しているわけですから、そしてパルプの生産状況を見ますと、国内で生産される、つまり木材が大体紙になっているんです、御承知のとおり。ですから、油の節約も大切だけれども、紙の節約だってそろそろ考えなくちゃならぬじゃないかという立場から、いまどのくらいの紙のトン数が雑誌に出て――新聞は結構ですよ、大変中身がきわめて俗悪な内容の雑誌から何からたくさん出ているわけですね、これは。これはどうですか、大臣、概算でありますが、われわれ日本人の人口の二十五倍が一年間に出ているんですよ、大ざっぱに申し上げますとね。
  78. 町村金五

    ○委員長(町村金五君) 吉田君、時間が参りました。
  79. 吉田忠三郎

    ○吉田忠三郎君 そういう意味意味はぜひひとつ細かな資料をちょうだいいたしたいと思うんです。後々別な委員会で私は私の風見を申し述べたいと思います。
  80. 江崎真澄

    ○国務大臣(江崎真澄君) いまお話のありました資料については早速お出ししたいと思います。  紙は、御承知のように、この間うちまできわめてだぶつきぎみで、不況業種に入っております。いまでも御承知の両更クラフトというのは不況カルテルの対象品目にしておるようなことでありまするし、それからお話しの雑誌などの紙は、私がいま聞いておりまするところでは、四〇%ぐらいまた製紙原料として回収されているんです。節約の意味はよくわかります。なお、資料は後刻お出しいたします。
  81. 町村金五

    ○委員長(町村金五君) 以上で吉田君の総括質疑は終了いたしました。(拍手)     ―――――――――――――
  82. 町村金五

    ○委員長(町村金五君) 次に、矢田部理君の総括質疑を行います。矢田部君。
  83. 矢田部理

    ○矢田部理君 冒頭に緊急にお尋ねをしたいと思いますのは、本日検察庁は日商岩井に強制捜査に入ったという話がありますが、法務大臣いかがでしょうか。
  84. 伊藤榮樹

    ○政府委員(伊藤榮樹君) ちょうどいまごろ日商岩井の東京本社を捜索しておるはずでございます。
  85. 矢田部理

    ○矢田部理君 被疑事実と強制捜査の概況について御説明をいただきたいと思います。
  86. 伊藤榮樹

    ○政府委員(伊藤榮樹君) 何分、つい先ほど着手したことでございますので詳細な報告をまだ得ておりませんが、とりあえず私が聴取しましたところを御報告申し上げますと、日商岩井の幹部職員数名にかかわる外為法違反及び私文書偽造、こういう罪名で現在日商岩井本社の捜索をやっておる、こういうことのようでございます。
  87. 矢田部理

    ○矢田部理君 幹部職員数名というのはどういう人たちでしょうか。
  88. 伊藤榮樹

    ○政府委員(伊藤榮樹君) 具体的にちょっとまだ名前を申し上げる段階ではないのでございますが、あと十数分いたしますと申し上げられる段階になるかもしれませんが、さしあたりただいま申し上げられますことは、マスコミ等で報道されています海部氏あるいは亡くなられた島田氏の直接の部下の方々でございます。
  89. 矢田部理

    ○矢田部理君 外為法違反と私文書偽造だというふうに述べられましたが、その内容のあらましをお話しいただきたいと思います。
  90. 伊藤榮樹

    ○政府委員(伊藤榮樹君) 外為違反の方は、例によって大変むずかしい構成要件になっておりますので、簡単に申し上げますと、日商岩井の東京本社がアメリカの某銀行に架空名義の預金を持っておりまして、その預金を米国日商に使わせたわけでございますが、期末に至りまして米国日商と東京日商との間で帳じり合わせの交互計算をいたします際に、その名目をボーイング社から受領した仲介手数料という名目で振り替えまして、外為法上で申します借記をした、こういう事実が外為法違反でございます。  それから、私文書偽造の方は事実がたくさんありますが、これは要するに、ただいま申し上げましたこのボーイングの関係あるいはダグラス社の偵察機RF4Eの購入の関係におきまして、たとえばダグラス社のRF4Eの購入、輸入に当たりましてダグラス社から若干の経費をもらっておるわけですが、これをダグラス社からもらったことにしないために、ダグラス社からもらったのではなくて、第三国の民間航空会社から民間航空機の売買手数料をもらったように仕立てたわけでございまして、その仕立てる段階で、それらの会社の役員名義の契約書などを偽造して備えつけた、こういうことでございます。
  91. 矢田部理

    ○矢田部理君 外為法違反の金額等はおおよそどの程度のものになっているのでしょうか。
  92. 伊藤榮樹

    ○政府委員(伊藤榮樹君) その前に、先ほど十数分というふうに申し上げましたが、もうすでに申し上げてもよろしくなりましたので申し上げます。  先ほど申し上げた被疑者となっております人は、日商岩井機械第三本部東京航空機部長山岡昭一氏及び同部次長今村雄二郎氏でございまして、時刻のほどはわかりませんが、東京地検におきまして逮捕したそうでございます。  押収、捜索は日商岩井東京本社のほか、この山岡、今村両氏の自宅の捜索を開始したと、こういうことでございます。  なお、先ほどお尋ねの外為違反に係る金額は三十万ドルでございます。
  93. 矢田部理

    ○矢田部理君 念のために伺いますが、被疑者は先ほど日商の幹部職員数名と言われましたが、お名前が出たのは海部、山岡、今村の三人のように承れますが、それだけでしょうか。そのほかにもあるのでしょうか。
  94. 伊藤榮樹

    ○政府委員(伊藤榮樹君) 複数でございますから数名と申し上げたわけでございますが、いま申し上げた二名でございます。
  95. 矢田部理

    ○矢田部理君 さっき海部と言いませんでしたか。
  96. 伊藤榮樹

    ○政府委員(伊藤榮樹君) 今回の容疑事実、すなわち外為法違反、私文書偽造につきましては海部氏は入っておりません。
  97. 矢田部理

    ○矢田部理君 捜査開始宣言以来二カ月をほぼ経過したわけであります。ここで急速に強制捜査という段階に入りました。いわば新段階を迎えたわけでありますが、これからの検察側における捜査の展開、方向などについて概括的にお伺いをしたいと思います。
  98. 伊藤榮樹

    ○政府委員(伊藤榮樹君) すでに再々御答弁申し上げておりますように、今回の航空機輸入をめぐる問題は、いろんな機種についていろんな金が動いておる。それが複雑に絡み合っておるということでございますので、検察当局としてもなるべく広い視点に立って多角的な検討をしてまいったわけでございます。本日、強制捜査に着手いたしましたのはその一つの観点からでございます。したがいまして、検察当局としては今回の問題のみに限らず、いろいろ疑惑とされております諸問題につきまして逐次解明をしていくことになると思います。どの程度の時間をかけてどの範囲までやるというようなことは現在考えておりませんので、犯罪の認められる限りは徹底的に究明をしたい、こういうことでございます。
  99. 矢田部理

    ○矢田部理君 それでは捜査の問題については、後ほどまた整理をしてお伺いをすることといたしまして、別のテーマに移りたいと思います。  大平総理に伺いたいと思いますが、総裁選を前にして福田前総理が有事立法問題を取り上げてきました。それに対応する形で、総理は「総合安全保障政策」というようなものを提唱されたようでありますけれども、「総合安全保障政策」というのはどういう内容のものか、お考えをお聞きしたいと思います。
  100. 大平正芳

    ○国務大臣(大平正芳君) 国の安全保障をいたします場合におきましては、防衛力だけでは足らないわけでございまして、われわれが国内におきまして秩序正しい民主政治を実行する、あるいは活力のある経済の運営を図る。外に向かいましては活発な政治、経済、文化にわたっての外交を展開してまいるというようなことが総合的に働いて、国の安全を保障することではなかろうかという考え方を申し上げたのであります。
  101. 矢田部理

    ○矢田部理君 総理が出された「政策要綱」によりますと、その「総合安全保障」の中で「集団安全保障体制」ということを言われ、その中身として日米安保条約と自衛力の組み合わせを指摘をされている。これを基本に据える。それを補完するものとして、内政の充実あるいは外交の努力等を挙げられておるようでありますけれども、そのとおりと承ってよろしいでしょうか。
  102. 大平正芳

    ○国務大臣(大平正芳君) 質の高い節度のある自衛力、これを補完するものとして、安保条約を誠意を持って運営してまいるということはもとより大事であるけれども、その他、政治、経済、教育、万般のことも大事である。いずれか優劣をつけた覚えはないのでありまして、みんな大事だと私は考えております。
  103. 矢田部理

    ○矢田部理君 総理のお話は、内政も外交も含めてみんな大事だというふうに伺ったのですが、この「政策要綱」で出されている内容、これは文書そのものがここにあるわけでありますが、集団安全保障体制を基軸にして、補完するものとして内政と外交、こういう位置づけをしているんですが、そうじゃないんですか。
  104. 大平正芳

    ○国務大臣(大平正芳君) それは政府が出したものではございませんので、私の在野時代の記録として、あるいはそう書いてあるかもしれませんが、私の考え方を改めてお尋ねいただくならば、私は、内政、外交、いずれが優先するというようなことは適当ではないと考えておりまして、そういう書き方をしたとすれば、余り適切でなかったのではないかと思っています。
  105. 矢田部理

    ○矢田部理君 私も同じ問題を実は指摘したかったんです。軍事問題を基軸に据えて、外交問題を補完するものという位置づけでは、本当の意味での外交の展開ができるのかどうか。日本中心あるいは軍事優先の発想ではないかということがこの文面から率直にうかがえるわけでありますので、その点を指摘したわけでありますが、もう一度改めてお伺いしたいと思います。
  106. 大平正芳

    ○国務大臣(大平正芳君) そういう表現の仕方は適切でなかったと思います。内政、外交、それから防衛、すべてやはり、どちらに優劣を置くというような考え方ではなく、みんな大事だと考えています。
  107. 矢田部理

    ○矢田部理君 そこで二番目に伺いたいのは、同時にこの「政策要綱」で環太平洋連帯構想というのを打ち出しておりますが、これはいかなる内容のものでしょうか。
  108. 大平正芳

    ○国務大臣(大平正芳君) まだ内容にまで踏み入るに至っておりませんで、太平洋という巨大な海をめぐって数々の友邦とわれわれは共存いたしておりますけれども、その国々は大変多様な状態にございまして、どういう取り組み方をすべきかということに問題を感じておったのでございまして、恐らくこれは緩やかな枠組みしかできないのではなかろうかという感じがいたしますが、このように技術が発達してまいりました段階では、太平洋といえどもよほど狭くなったと見なければならぬとすれば、もう少しこれまでよりは進んだ取り組み方ができるのではないかということを考えまして、その構想を追求してまいる、内容を勉強してまいる必要を感じましてそういうことを提唱いたしたのでございまして、現在も、私が官邸に入りました以後も、そういう問題についてはいま現に引き続き各方面の御協力を得て検討を進めておるわけでございます。
  109. 矢田部理

    ○矢田部理君 総理の政策には総論があって各論がない。田園都市構想もそうでありますが、総裁選を前にして構想だけは打ち上げたが、率直に言って中身と具体性がない。ついせんだっての各社の内閣支持率調査でも急速に支持率が落ちております。落ちた理由の重要な一つとして、政策面での支持が少ない。具体的政策で評価できないという評価が一つあるわけであります。支持率の低下も含めて、これを総理としてどう受けとめておられますか。
  110. 大平正芳

    ○国務大臣(大平正芳君) いま大変むずかしい時代でございますので、的確にこれに対応する政策を打ち出すということは容易ならぬ仕事であろうと思うのであります。私が申し上げていることは、あなたの言うように総論でございまして、私は各論を一々まだ申し上げる自信はないのでありますが、この時代に当たりまして、田園都市構想にいたしましても、環太平洋構想にいたしましても、そういう問題についてひとつ真剣なアプローチを考えなければならぬのではないかという問題意識を提言いたしたわけでございまして、各論を速成でつくり出すような手軽な仕事ではないと私は考えておるわけでございまして、これからこれをじみちに積み上げてまいりますれば支持はまただんだんふえてくるのではないかと思っております。
  111. 矢田部理

    ○矢田部理君 支持がふえるかどうかはともかくとして、環太平洋構想が出されたのはかなり前であります。昨年の日米財界人会、ここでも出ております。あるいは野村総研などが中心になっていろんなリポートなども出されておるわけでありますが、その中で一つ指摘をしておかなければならないのは、日米間の経済摩擦が非常に強くなってきた、この対応をどうするか、日米間だけで対立抗争をするのではなくて、それぞれが産業構造の改善に取り組みながら、同時にアジアの、あるいは環太平洋の広い市場に向かって出ていくことによって解決しようではないか、こういう発想があると言われているし、現に指摘をされておるわけでありますが、この点について総理はどう考えられますか。
  112. 大平正芳

    ○国務大臣(大平正芳君) そういうように私は考えないのであります。日米間の問題は平穏なときもあれば緊張を呼ぶときもございますが、しかし、バイラテラルな問題でいろんな問題が出てまいりまして、いつの時代でもそうでございますが、最近の日米関係というのはそればかりではございませんで、この両国が世界経済に対しましてどういう役割りを果たして世界経済の安定に寄与するかということが共通の課題になってきたと思うのでありまして、そういう視点から日米の問題というのは考えられて、バイラテラルな関係と並行して、そういう問題としてとらえられておるわけでございます。したがって、そのために環太平洋に対する接近を一つの手段として利用しようというような考えは日米両国ともないわけでございます。
  113. 矢田部理

    ○矢田部理君 そこで、環太平洋論を構想するに当たってもASEAN諸国というのが一つの柱になるだろうと思いますが、これらの国々を含めて、いわゆる発展途上国と言われる国々に対して総理はどういう現状認識を持っておられるか、それを伺っておきたいと思います。
  114. 園田直

    ○国務大臣(園田直君) ただいま御発言の環太平洋構想でありますが、国際情勢が多極化、多様化してまいりまして、極端に言えば地球は一つというように一つの問題が絡み合っております。そういう際に、日本の置かれた地位、環境から、太平洋諸国と広く緊密に連絡をするというのが総理の構想でありますが、またこれを実施するについては、総理が言われたとおり、積み重ねていく必要があります。それの一つは、世界経済ブロックにつながるものであるという疑惑を受けてはならぬこと。二つには、ASEANの諸国によく理解を願って、そしてASEANというものと日本とのいまの関係が薄くなって、広く太平洋諸国に日本が目を向けるんじゃなかろうか、援助その他についてもASEANを薄く見るんではなかろうかという点。もう一つは、太平洋圏といいましても、その国々は非常に発展をしておる国、あるいはまだ開発途上の国々は多様でありますから、どのような国とどのような方法で話を詰めていくかという点等がありますので、総理がおっしゃいましたように、一つずつ積み重ねていって、総理の構想を具体的に実現する必要があると存じます。第一、いま御発言のASEANの諸国については、直接こういう理解を求めまして、これについては理解を求めることができたと考えております。
  115. 矢田部理

    ○矢田部理君 一つ一つの積み上げ努力も大切でありますが、もう少しくやっぱり基本的認識が問題にされなければならぬと思うのです。  各論の展開をしたいと思うのでありますが、開発途上国等に対してはさまざまな援助なり経済協力をやってきました。従来二国間関係でやってきた。あるいは援助増額論で対応してきた。そのことだけでいいのか。その質がやっぱり問われてくると思うのでありますが、その重要な一つとして円借款問題があります。基金の総裁がおいでになっておりますので、円借款の概況と問題点についてお話をいただきたいと思います。
  116. 石原周夫

    ○参考人(石原周夫君) 私からお答えをいたしますのが適当でありますかどうか、政府側からお答えをいただくことになるかと思いますが、私ども円借款の実施面を担当いたしております者といたしまして、現状と申しまするか、円借款の現在の残高で申しますると一兆一千億ほどに相なっておるわけでありまして、最近におきましては三年倍増という政府の御方針もありましたり、相当顕著な増加を示しておる状況であります。昨年度の予算が三千百三十億でありましたが、今年度は三千七百億になっておるというような状況でございまして、現在の財政状況のもとでは相当大きな増加に相なっておるかと思います。  問題点とおっしゃいますると、これは実施機関としての問題点ということであろうかと思いますが、何と申しましても具体的な援助の支出がおくれているという問題がございまして、執行率ということを申すわけでありまするが、予算に対しましてどれだけ使い切ったかというと、五十年、五十一年あたりに著しく低下をいたしました。これは四囲の環境の問題があると思いまするし、相手側の問題もございます。これはこの三年ほどやや顕著な回復を示しておりますが、まだ目標に達しておりませんので、いかにしてその実施を円滑に、しかも予算を多く使い残すというととがないように努力をいたすという点が、まず一番私どもの問題であろうかというふうに考えたわけであります。
  117. 矢田部理

    ○矢田部理君 各国の個別問題に入りたいと思いますが、円借款の中で非常に多いウエートを占めますのがインドネシアであります。一兆円を越える円借款のうちASEAN諸国が実に五二%、さらにこのインドネシアだけで三千六百九十五億と、三七%の割合を占めておるのですが、異常にインドネシアが高いというのはどういう意味でしょうか。
  118. 武藤利昭

    ○政府委員(武藤利昭君) インドネシアは、ASEANの国では非常に日本といたしましては重視している地域でございますが、そのASEANの中でも特に国が大きい、人口も多いというようなことで、必然的に円借款の配分も多くなっているということであろうと存じます。
  119. 矢田部理

    ○矢田部理君 それだけですか。
  120. 武藤利昭

    ○政府委員(武藤利昭君) 若干細かい話になりますが、円借款を供与いたしますときの基準の一つになりますものが、相手国の貧富の度合いと申しますか、開発途上国の中でも特に経済の発達がおくれている国に重点的に配分するという要素があるわけでございまして、その点から申しましてもインドネシアはASEANの国の中では一人当たりの国民所得が低い国であるという要素もございます。
  121. 矢田部理

    ○矢田部理君 そういう指摘だけでは不十分なんであります。  インドネシアの借款は、商品借款を除きますと、大部分がLNG、石油、アルミ、ニッケルなどの資源開発に向けられたプロジェクト借款なんです。結局日本への原料供給を担わせられることが中心なんです。インドネシアの国際収支上の寄与はあり得ても、本当に貧困から民衆をどう解放するのか、自立にどう役立つのかという視点はきわめて薄い。そこが問題にされなければならぬと思うのですが、経企庁長官いかがでしょう。
  122. 小坂徳三郎

    ○国務大臣(小坂徳三郎君) 東南アジア地域に対する円借款の実績につきまして、ただいま委員の御指摘のような数字になっていると思いますが、全体として総額の四八%に達しておるわけでありまして、いま御指摘のインドネシアにわれわれの方の今日までの実績が六千九百九十五億円となっておりまして、これは確かに御指摘のように、フィリピンあるいはタイに比べて五倍程度になっております。  いまお話しのように、これが日本のエネルギー資源に対する開発協力というようなことに、きわめて重点的に指向されたのであろうということを予測いたしますが、今後われわれは、やはりそうした面を伸ばすと申しましょうか、いまの中近東情勢等を考えますと、やはり東南アジアにも重要であるが、同時にまた、中近東方面に対しても石油資源の確保という意味で、もしも先方が希望するならば円借款をさらに拡大していくという方向をとるべきであるというふうに私はいま考えておりますが、同時にまた、この円借款の使い道につきましては、やはりその国のそれぞれの国民の福祉が増大する、向上すると申しましょうか、あるいは小さなプロジェクトでもいいから、それがその相手国の国民生活に役立つということを、ぜひ今後は中心的課題としてまいりたいということを外務大臣とも話し合っておるところでございまして、今後の円借款につきましての方向は、一面においては、やはり資源確保ということはこれはやはり考えることになると思いますが、しかし従来ほどそれにウエートを置かない、もっと民生安定ということに重点を指向したい、そのように考えています。
  123. 園田直

    ○国務大臣(園田直君) 追加してお答えをいたします。  いま御指摘の点は真剣に考えなければならぬことだと存じます。円借款、経済援助の仕組みは、こちらから申し入れるのではなく七、相手国から自分の国の資源の開発その他を、あるいは基幹産業をと言ってくるわけでありますけれども、しかし、いまのように大型プロジェクトだけやっておりますと、地域住民の繁栄に必ずしも役立つかどうかということは非常に疑問でございます。そこで、事務的には非常にむずかしい点もありますけれども、それを克服をして、なるべく小型の、地域住民の繁栄に直接つながるものという方に重点を相手国と相談をしながらやっていかなければ、いまのように、あたかも日本が資源目当てに援助しているとか借款をしているとか、もっとひどく言うと企業の手先になってやっているというようなそしりを受け、またでき上がった後も必ずしもその地域住民が喜ぶことではなくて、プロジェクトの従業員の待遇その他から日本に対する悪い感情が芽生えてきて、いろんなトラブルが起こるおそれがありますから、いまの御指摘は経済援助並びに借款の問題として十分考慮をして検討しなければならぬと私も考えております。
  124. 矢田部理

    ○矢田部理君 園田外務大臣の御指摘は私もそのとおりだと思っております。しかも、そうして開発した資源は日本に輸入をする、その輸入にはどうも政治家が何らかの形で糸を引く、かかわっている事例が多いんです。こういうことでは本当の意味での連帯とか友好とかというのはむずかしいのじゃないか。疑惑の一々については指摘をしませんが、一点だけアサハン・アルミ計画について申し上げたいと思います。  当初の資金計画は二千五百億でした。最近これに千六百億を積み増しました。どうしてこんなずさんな計画だったんでしょうか。
  125. 宮本四郎

    ○政府委員(宮本四郎君) ただいま御指摘のように、当初の見積もりは二千五百億円でございました。この金額は関係調査機関、金融機関等の調査及び意見を踏まえて決定されたものではございますが、一九七四年五月の物価水準を基礎に見積もりを行ったものでございます。この時点では石油ショック以後の諸資材の高騰その他の諸問題を正確に見きわめることが困難でございました。また実際建設工事に伴いまして詳細調査をその後行いまして一部の設計変更などをやったわけでございます。その結果、御指摘のように千六百十億円の追加資金を必要とするに至ったわけでございます。その点はおっしゃるとおりでございますが、こういうプロジェクトは非常に大型なプロジェクトでございますが、当時の状況ないし長期にわたるというこのプロジェクトの性質から申しまして、私どもはやむを得なかった、こういうふうに思っております。
  126. 矢田部理

    ○矢田部理君 その程度の説明では説得力がない。ずさんな政治決定だと指摘せざるを得ないわけでありますが、その内容は別途また指摘をするとして、もう一点だけどうしても指摘しなければならぬのは、あそこにボーキサイトがあるからプロジェクトをつくるんだというのが最初の説明でした。ところが、最近ではそれの質が悪いからオーストラリアからアルミナを輸入する。大変インドネシアでは怒っております。どこのためのプロジェクトなのか。この点とうですか。
  127. 宮本四郎

    ○政府委員(宮本四郎君) お話のように、インドネシア政府はインドネシアにございますビンタン島のボーキサイトを利用しでこのプロジェクトのアルミナを生産したいという計画を持っております。ただこのアルミナの生産計画がアサハンアルミの操業開始の時期に間に合わない、やむを得ず、その際にはオーストラリアなどからボーキサイトを持ってくる。このような計画ということで承っております。
  128. 矢田部理

    ○矢田部理君 インドネシアのビンタン島のボーキサイトの開発は全然進んでいないじゃありませんか。
  129. 宮本四郎

    ○政府委員(宮本四郎君) お説のとおりでございます。
  130. 矢田部理

    ○矢田部理君 その他、公害や住民に対する補償の問題、雇用の問題、さまざまな問題を実はこのプロジェクトは含んでいるのです。心していただきたいと思う。  もう一点、スリランカの問題について伺います。  スリランカに円借款をしまして、大量にジープをスリランカは買い込んだわけであります。御承知のように、五千万円以上&買い付けについては入札をしなければならぬというふうになってるはずですが、基金総裁いかがですか。
  131. 石原周夫

    ○参考人(石原周夫君) お尋ねの点は、商品借款の中に含まれておりますジープの輸出のお話であろうかと思いますが、随意契約で行われております。
  132. 矢田部理

    ○矢田部理君 五千万円以上は入札じゃないか。
  133. 石原周夫

    ○参考人(石原周夫君) 五千万円以上は随意契約にいたしてはならないということになっておりませんが、原則は国際入札、公開の入札と限定の入札とございます。あるいは見積もり合わせというようなことになっておりまして、原則的におっしゃいますような競争入札の制度になっております。ただ事由がありまするときには随意契約でもやむを得ないということに相なっておるわけであります。
  134. 矢田部理

    ○矢田部理君 五千万円以上は国際入札をしなければならぬことになっているんです。けさそう回答したのです、あなたの担当者が。いずれにいたしましても、特殊な事情があるときはという特殊な事情がここには入っている。日本の、名前は出しませんが、国際ブローカーとも言われる人が実はかんでいるわけですね。そのお礼状がその人に届いています。中央銀行総裁テナコンという方から、大変日本から借款を受けることになってありがたく拝受しました。さらに、この援助資金は自動車に振り向けるべく当政府は三菱自動車を購入することに決定しました。――そういう事情があるからこそ入札が行われなかったのじゃありませんか。
  135. 石原周夫

    ○参考人(石原周夫君) ただいまお尋ねのありました件は、かねて世界銀行が関係をしております農業開発借款の実行に関するものであります。目的は農業開発でございますが、ジープが要るということでございまして、いまの問題に先立ちまして、世界銀行の借款で国際入札をいたしました。そのときに日本側のメーカーが落札をいたしておるわけであります。その落札をいたしましたメーカーに対しまして、同じ計画の実行といたしまして日本からの商品借款を利用いたしたわけでございまするから、その国際入札のありました事柄の引き続きでありまするので、随意契約をもってやりたいという申し出があったわけであります。
  136. 矢田部理

    ○矢田部理君 入札が公正に行われず、随意契約である。しかも入札の場合にも、これは幾つか私は事例を持っておりますが、談合が多いです。こういう実態を経企庁なり通産省はどう考えるわけですか。
  137. 江崎真澄

    ○国務大臣(江崎真澄君) 実態についてはよく調査をいたします。現地事情などもあると思いまするが、御指摘の点につきましてはよく調査します。
  138. 町村金五

    ○委員長(町村金五君) 石原参考人には御多忙中のところ御出席いただきまして、ありがとうございました。厚く御礼申し上げます。御退席いただいて結構でございます。  午前の質疑はこの程度にとどめます。  午後一時二十分から委員会を再開し、矢田部君の質疑を続行いたします。  これにて休憩いたします。    午後零時十七分休憩      ―――――・―――――    午後一時二十四分開会
  139. 町村金五

    ○委員長(町村金五君) 予算委員会を再開いたします。  昭和五十四年度総予算三案を一括して議題とし、矢田部君の質疑を続行いたします。矢田部君。
  140. 矢田部理

    ○矢田部理君 インドネシア、スリランカに続いてタイの問題をとらえたいと思いますが、タイに対しては新農村開発計画ということで二年にわたって合計百四十億の借款をしております。これはどういう計画、構想なのでしょうか。
  141. 園田直

    ○国務大臣(園田直君) 先ほどちょっと申し上げましたが、経済援助借款等を逐次地域住民の繁栄のために役立つように移行していきたいという考えの第一がタイの南、北部の農村地帯に対する援助になってきたわけであります。具体的な計画は事務当局から御報告をいたします。
  142. 武藤利昭

    ○政府委員(武藤利昭君) タイの農村開発計画に対する援助でございますけれども、これの特徴は、従来の農業開発計画が中央政府が計画をつくりまして、それを上から下におろすというパターンが多かったわけでございますけれども、このタイの農村開発計画につきましてはそれとちょっと趣を異にいたしまして、大体計画の大枠を中央政府が示しまして、それに基づいて各農村レベルでそれぞれの事情に適合した計画をつくりましてそれを中央政府に提出する、それに中央政府の方から必要な資機材等を供与するという計画でございまして、そして、わが国といたしましては、この計画に協力するためにその資機材を外国から輸入する場合のその輸入代金について円借款を供与する、こういうことになっているわけでございます。計画の対象地域は、タイの農村の中でも特に貧乏の度合いがひどいと言われております北部から東北部にかけての地域、それから南部の地域というのが対象地域になっております。
  143. 矢田部理

    ○矢田部理君 この新農村開発計画に入っている地域が非常に貧しい部分であるということは御指摘のとおりかもしれませんが、同時に、いずれも国境線沿いなんですね。ここは申し上げるまでもなく、いわゆる反政府武装勢力が活動をしている地区でもあります。したがって、そこに新農村という方針を持っていった場合に、どうも現地の人たちはベトナムの平定村と同じじゃないか、内戦にかかずり合うのではないか、軍用道路の問題もあります。道路建設をやっているわけですが、あれは軍用道路ではないか、こういう指摘がなされているように聞いておるんですが、その辺はいかがでしょうか。
  144. 園田直

    ○国務大臣(園田直君) タイを初めASEANの国々等に対する援助――軍事援助はいたしませんということでやっておりますけれども、しかし、ベトナムの援助にいたしましても、結局はそれは軍事援助になるかという意見もあるわけでありますから、特にこの点は相手国と相談をする際に軍事援助にならないように十分注意しておるところでございますが、今後ともその点は十分注意をしてやりたいと思います。なおまた、いま御指摘のようなこと以外に道路の買収とかその他でいろんなトラブルがあるようなこともありますので、その点は十分注意をしてやります。
  145. 矢田部理

    ○矢田部理君 軍事問題、治安問題に開発途上国援助の名をかりてかかわることはよろしくない、それは外務大臣も心してというふうに言われたからそう受けとめますが、同時に、たとえば一九七六年のASEAN首脳会議では、治安、防衛問題について加盟国の協力推進に合意をした、わが国がASEANと親密の度を増せば増すだけに当然わが国に対しても治安、防衛問題について何らかの寄与を求めてくるだろうということは、たとえば政府関係の機関であるアジア経済研究所の論文ですら指摘をされていることなのですが、この点どういうふうに受けとめておられますか。
  146. 園田直

    ○国務大臣(園田直君) ASEANの外相会議並びに前総理が行かれた場合のASEANの国々との間ではいまの問題はベトナムが中心でありまして、ベトナムに対する日本の経済援助というのはどのように理屈を言っても結局はそれはベトナムの力となってわれわれに脅威を与える、したがって十分注意されたいという意見があったわけであります。これについては十分注意してやるからということで理解を求めて、ベトナム経済援助になってきたことでありますが、ASEAN地域についてのいまのような発言はございませんでしたが、個々の二国間の話になってくると、やはりそういう点がよく出てまいりますので、その点は十分検討し、考慮をし、間違いのないようにやりたいと考えております。
  147. 矢田部理

    ○矢田部理君 大蔵大臣に伺いますが、今年度の予算で、海外経済協力基金法の改正案を裏づけ法案として出しながら、従来の長期短期の借入金の三倍の財政、財投資金をやっぱり投入するというような計画、予算になっておるようでありますが、これはどういう意味でしょうか。
  148. 金子一平

    ○国務大臣(金子一平君) 日本といたしましては、先進国並みの水準を目指して努力をしなければいかぬということで、ODAの大体GNP比率を見ますと〇・三一%くらいになっております。日本は一九七七年のディスバースベース――支払いベースで見ますと、日本が〇・二一、アメリカが〇・二二、西独が〇・二七というようなことで若干低くなっております。フランスあたりに比べると、これは宗主国を持っておるから高くなっているんですが、ぜひこのベースまで持っていきたいということで、ことしの予算でも厳しい財政事情でございますけれども、事業費で〇・三〇%から〇・三一%に引き上げたODA予算をお願いしておるような状況でございます。  なお、海外協力基金法の改正につきましては、所管の企画庁から説明をしていただきます。
  149. 小坂徳三郎

    ○国務大臣(小坂徳三郎君) 基金法の改正は、ただいま大蔵大臣から御説明した内容でございます。
  150. 矢田部理

    ○矢田部理君 パイを大きくすること、経済援助の資金を拡大することに私は反対するわけではありませんが、先ほどから指摘をしておりますように内容の問題、質の問題をやっぱり厳しく詰めなきゃならぬ。とりわけASEAN向けの外交あるいは開発途上国に向けた外交の展開については、三つの基準を持たなきゃならぬと私は思うのです。  一つは、いずれも開発途上国でありますけれども、経済的にはまだ自立をしていない。したがって、援助や協力はその国の経済の自立にどう役立つのか、この視点が第一に必要だろうと思うのです。  それから、もう一つのこれらの諸国の特徴は貧富の差が非常に激しい。とするならば、貧困の解放、福祉や農業や等々を含めて、医療も含めて貧困からの解放にどう役立つのかというのが二番目の視点でなければならぬと思います。  そして三番目に、援助や協力の金額が大きくなるとどうしても政治とのかかわりが強くなってまいります。ところが、これらの国々の政治は全部一律に律するわけにはいきませんが、軍事政権的色彩が強い、あるいは一部特権階級の利益を代表している政権で、ある意味で不安定な部分を相当程度内包している。したがって、人権と民主主義についても非常にやっぱり問題が残っているわけです。インドネシアの状況を見ても三万人以上の人たちがいまだ収容されています。政府が持ち切れなくなって一部を島流しにして自給自足させようというような議論まで展開されている条件のもとで、人権や民主主義とどうかかわっていくのか。この三つの視点が大事だと思いますが、総理大臣いかがでしょうか。
  151. 大平正芳

    ○国務大臣(大平正芳君) おおむねあなたの言われること私も理解できますし、賛成できるところでございます。ただ、先方の受益国の政治の形態はその国の国民が選ぶわけでございますので、それらについてとやかく言えないわけでございます。隔靴掻痒の感がございますけれども、できるだけいまお示しになりましたような趣旨を心得て仕事に当たらなければならないと思います。
  152. 矢田部理

    ○矢田部理君 次に、冒頭にお聞きをしたグラマン等の疑惑問題に移りたいと思います。  刑事局長にもう一度お尋ねをしたいのは、先ほどのニュースなどでもどうも正確に状況が、被疑事実などについて伝えられていないので、もう一度わかりやすく正確に話をしていただきたい。
  153. 伊藤榮樹

    ○政府委員(伊藤榮樹君) 先ほどは取り急いで被疑事実を申し上げましたので、実際に即して申し上げます。  被疑事実は大きく分けまして二つございます。第一はボーイング関係と申していいものでございます。第一の事実は二つに分かれておりまして、まず第一が外為法違反の事実でございます。昭和五十一年六月十六日ごろ日商岩井東京本社におきまして次のような経理操作をしたということでございます。すなわち、日商岩井がかねて大蔵大臣の許可を得ないで非居住者でありますカリフォルニア・ファーストバンク・ロサンゼルス支店にキヨシ・ニシヤマという名義で当座預金をしておりました三十万ドルを非居住者である日商岩井アメリカン・コーポレーション、いわゆる米国日商をして引き出させ、受領させたことによって生じておりました日商岩井の米国日商に対する三十万ドルの債券を期末におきます日商岩井と米国日商との間の交互計算勘定をするに際しまして、ボーイングとの約定に基づく仲介あっせん手数料という名目で借記させまして決済をした、これが外為法違反でございます。  次に、私文書偽造でございますが、このように交互計算の名目をボーイング社から日商岩井に支払われたように仮装いたしますために、昭和五十一年の三月末ごろ、やはり日商岩井東京本社におきましてタイプ用紙に所要の年月日あるいは合意内容を記載いたしまして文書を作成するわけでございますが、その合意内容はアンゴラ航空がボーイング737型機二機をボーイング社から購入した場合、同社は日商岩井に対し一機当たり十五万ドルを支払うという合意内容を書きまして、その署名欄にボーイング社の契約部長V・C・モア氏の署名を、たまたま日商岩井に存在しました真正に署名されたV・C・モア氏の署名を複写機で複写して切り取って張りつけまして、そうしてもう一回複写にかけるという作業をいたしまして、結局ボーイング社契約部長がアンゴラ航空に売り込んだ航空機の代理店手数料を日商岩井に払うことを約束した趣旨の契約書を一通偽造した、こういうことでございます。  それから、容疑事実の第二は、マクダネル・ダグラス社製のRF4E十四機の輸入に関連するものでございまして、これを輸入して防衛庁に売却したことに関しまして、マクダネル・ダグラス社と日商岩井との約定によりまして、ダグラス社から、一機当たり三万ドルの代理店手数料のほかに、事務所経費二百三十八万七千六百三十四ドルを受領することになっておったわけでございますが、この事務所経費をダグラス社から受領したことを隠蔽しようと企てまして、日商岩井ロンドン支店をしてダグラス社から代理受領させました当該経費の一部四十五万ドルにつきまして、ロンドン支店と本社との間で交互計算を行います際に、この四十五万ドルは、連合王国所在のブリティッシュ・カレドニアン・エアーウエーズから受領した民間航空機の売買あっせん手数料であるように仮装することにいたしまして、次のように所要の文書を偽造したわけでございます。  昭和五十一年の十二月ごろ、ブリティッシュ・カレドニアン航空会社の作成いたしました文書がたまたまありましたので、その文書の同社のマーク、社名の部分を複写機で複写しまして、タイプ用紙に張りつけまして、その下に所要の年月日、それから名あて人として日商岩井山岡航空機部長、表題をBAC111-500シーリトズ航空機の件、合意内容をブエノスアイレス所在アウストラル・リネアス・アエレアス社に対する航空機一機の販売が実現すれば、日商岩井の役務に対する報酬として販売価格の五%相当の金員を払うという旨を書きまして、その署名欄に特殊プロジェクト担当取締役D・H・ウォルターと英字でタイプをいたしまして、その署名欄に勝手にD・H・ウォルターと署名を偽造いたしまして、所要の約定書のごときものをつくりました上、これを複写機で複写して一体のもののようにこさえ上げました。これが私文書偽造でございまして、以下四通の文書につきまして同じようにいたしまして、D・H・ウォルター氏の名義の文書を作成いたしましたり、あるいは先ほど出ましたアウストラル航空会社とブリティッシュ・カレドニアン航空会社との間の契約書のようなものもつくりまして、それぞれそれらの会社の役員の署名を偽造して契約書等を作成した。合計このRF4Eの関係では四通の契約書あるいは約定書を偽造した、こういうものでございます。
  154. 矢田部理

    ○矢田部理君 おおむね理解できましたが、第一の被疑事実であるボーイング社の手数料について、それを受け取ったことのようにして云々とありますが、いままでボーイング社の代理店等をしておって相当額の手数料その他が入ってきておりますし、8Kレポート等では韓国問題にもお金が絡んでいると言われるわけでありますけれども、これらの金銭の支払いと先ほどの被疑事実は何らかのかかわりを持ちますか。
  155. 伊藤榮樹

    ○政府委員(伊藤榮樹君) 検察当局に細かく確認をいたしておりませんが、私の判断で申し上げますと、先般来国税御当局からお答えになっておりますことに関連をいたしておるように思います。すなわち、百五万ドルないしは五十五万ドルの使途不明金というようなお話が出ておりますが、その一部のもの、その一部の三十万ドル、これの問題であろうと思います。
  156. 矢田部理

    ○矢田部理君 使途不明金五十五万ドルの一部であると思われるということですね。
  157. 伊藤榮樹

    ○政府委員(伊藤榮樹君) 百五万ドルの一部でございまして、従来の御説明、私が承っておりました限りでは、ボーイング社から百五万ドルが入って、それが米国日商の手を通じて五十万ドルでしたか、日本へ参り云々と、こういうことになっておったと思いますが、もう少しこれは精査しないとわかりませんけれども、この被疑事実に関する限り、実はそのうちの少なくとも三十万ドルは、ボーイング社から来たのではなくて、日商岩井のアメリカにおける架空預金をたらい回ししたような感じのものであるということであろうと思います。
  158. 矢田部理

    ○矢田部理君 第二の被疑事実に関連をいたしますが、ダグラス社の関係では、8Kレポートに百八十万ドルの金額について指摘があります。さらに、私ども調査団が参りましたときに、毎年二十万ドル強を九年間にわたって支払ってきた、およそ百八十万ドルから二百万ドルと言われておりますが、そのお金がありますが、同時に8Kレポートでは、注のところに、ダグラス社の航空機の日本での製作所から受領された手数料や事務費、管理費の弁済、航空機以外の製品の販売に関する手数料は8Kレポートの百八十万ドルに含んでいないという記載がございます。この記載と、先ほど指摘をされた事務所経費二百三十八万ドルは何らかのかかわりがあるでしょうか。
  159. 伊藤榮樹

    ○政府委員(伊藤榮樹君) これも検察当局に細かく確認をしておりませんので、私の推測を交えた理解でございますが、8Kレポートで出ておりますダグラス社からの百八十万ドルのコミッション料というのは、従来の国税庁当局の御答弁等を参酌いたしますと、DC10等の分と、それからRF4Eの分とが含まれておって、そのうちRF4Eの分につきましては、四十三万ドル余りが日商岩井へ入っておる、こういうことであったろうと思います。そのほかに、先ほど御指摘の毎年二十万ドルという、合計二百万ドル近くの金だと言われておりますものは、これはF4ファントムのライセンス生産に関するもののようでございます。すなわち、先ほどお読み上げになりました8Kレポートの注にあります「マクダネル・ダグラス航空機の日本における製造からえられた代金にかかわる」云々というのに当たると思います。今回被疑事実の第二で指摘をいたしております事務所経費二百三十八万七千六百三十四ドルは、このいずれにも当たりませんで、従来国会での御質疑、答弁等では出ていなかったものでございます。これはやはり8Kレポートの注にございます「事務費、管理費の充当金」云々というものに当たりそうな感じがいたしております。
  160. 矢田部理

    ○矢田部理君 これは刑事局長に聞くのもなんでありますが、先ほど非常にわかりにくい言葉として、外為法の借記という言葉が出てきました。あるいはその前に「非居住者との勘定の貸記又は借記」という法文になっているわけでありますが、貸記とか借記というのはどういう意味なのか、御説明いただけますでしょうか。
  161. 伊藤榮樹

    ○政府委員(伊藤榮樹君) 私の簿記の専門家ではありませんから、常識的な御説明しかできませんが、外為法二十七条一項四号に、「政令で定める場合を除いては、何人も、本邦において左に掲げる行為をしてはならない。」としまして、「非居住者との勘定の貸記又は借記」となっております。要するに、銀行の本支店でございますとかあるいは商社の本支店、これが内国と外国にまたがる場合であると国内にある場合とにかかわらず、個々の債権債務関係につきましてその都度現金で決済をすることをいたしませんで、期末に相殺勘定をしまして帳じりを合わせて、マイナスあるいはプラスの分だけを決済をするということが行われておるわけでございます。そういう場合の精算のことを貸記または借記と、勘定の貸方に書くか借方に書くかによりまして、貸記または借記と、こう言っておるのだろうと思います。したがいまして、外為法では、国内居住者と国内に居住しない者との間で、個々の決済をすれば、当然支払い、あるいは支払いの受領になるわけですが、それをしないでおいて期末に一括して決済をします場合にも、やはり支払い、あるいは支払いの受領があったと同じような性格になりますので、その期末における振替決済の「貸記又は借記」を「支払」あるいは「支払の受領」と同じように規制しようと、こうしておるのであろうというのが私の常識でございます。
  162. 矢田部理

    ○矢田部理君 国税庁に伺いますが、今日までの航空機疑惑にかかわる税務調査の概況と結果について御説明をいただきたいと思います。
  163. 磯邊律男

    ○政府委員(磯邊律男君) 非常に広い御質問でございますので、私の御答弁で全部カバーできるかどうか若干疑問でございますけれども、いままでの問題について申し上げます。  いわゆるグラマン・ダグラス関係にかかわりますSECの報告等から、それがどういうふうに税務上で処理されておるかということを申し上げようと思いますが、まずグラマン社関係について問題になりましたのは、ガルフストリームII機関係であります。これは三十万ドルを超えるコミッション及びその他の利得を得たということでありますけれども、その関係する会社は住友商事であります。住友商事につきましては、これの関連で四十九年九月期に、日本円にいたしまして二千七百六万一千円の利益の計上がございます。この勘定科目は、仕入れ値引きということに相なっているわけであります。それから同時に、米国住友商事におきまして――それをまず最初に米国の住友商事が払っておりますので、それに対します立てかえ金利を計上しておりますが、これは日本の住商から送ったものであります。これが利益計上額と――この立てかえ金の計上額といたしまして十六万九千百二十三ドル。それから同時に手数料をそれぞれ日本の本社と米国の住商で分けておりますから、利益計上額として七万二千四ドルが計上になっておる。こういったことで、この日本住商と米国住商の合計をいたしますと、コミッション収入としてSECで報告になっております三十万ドルということになるわけであります。  それから、軍用機の部品にかかわる十四万ドルのリベート関係でありますけれども、これはリベート収益の計上額は未確認でありますけれども、大体その間の防衛庁の納入額の価額が全部で百四十四万ドルございます。したがいまして、その取引額の一〇%を米国住商と折半してそれぞれ五%ずつ計上しているというふうな型になっておりますので、これはこちらの住友商事の収益に計上になっておるということは間違いないと見ておるわけであります。  それからあと、防衛庁の余剰品の売り払いに関して談合が行われたという指摘がございますけれども、これは談合があったかどうかということはわかりませんけれども、少なくとも余剰部品に関する利益の計上というのは、それぞれ売り上げ並びに仕入れ、利益というふうに計上になっております。期は五十三年九月期であります。  それからダグラス社関係でありますけれども、SECで指摘いたしましたのは、昭和四十五年に約一万五千ドルの販売促進費、それから五万ドルのコンサルタント料、それからさらにまた五万ドルの独立した商業セールスに対するコンサルタント料というものが支払われたということになっておるわけでありますけれども、これはその後のいろいろな情報でおわかりのように、郷裕弘氏に支払われたということになっておるわけであります。この点につきましては、私たちもいまのところあるところまでは解明いたしておりますけれども、何分古い時期でありますし、いま一歩の解明ができていない、しかし、多分これはそれぞれの収入として申告されておるであろうという想定であります。  それからさらにダグラス社関係としては、航空機売り込みの手数料が昭和四十四年から現在まで百八十万ドルあるということでありますけれども、この百八十万ドルに関連いたしますのは日商岩井と三井物産であります。  日商岩井につきましては、これはRF4E十四機及びその部品にかかる手数料でありまして、これにつきましては、四十三万一千ドルというのが四十九年九月期から五十一年三月期まで計上されております。それからまたDC10、DC9にかかる二十一機分の手数料は三井物産に計上されておるわけでありますが、これは四十九年五月から五十三年四月にかけまして百四十万ドルの利益が計上になっておりますので、この百八十万ドルというのは、この四十三万一千ドルとそれから百四十万ドルの合計の金額を指すものであるというふうにわれわれは考えておるわけであります。  いままで申したのがSECの報告にかかる問題であります。
  164. 矢田部理

    ○矢田部理君 いまの答弁に関連して、衆議院の議事録を全部読めばまとまるのでありますが、せっかくお答えをいただいたので、しかも数字上の問題もありますので、できれば文書にして提出をしていただけませんでしょうか。
  165. 磯邊律男

    ○政府委員(磯邊律男君) いままで国会で御答弁申し上げましたことを整理いたしまして、そして提出さしていただきます。
  166. 久保亘

    ○久保亘君 関連。
  167. 町村金五

    ○委員長(町村金五君) 関連質疑を許します。久保亘君。
  168. 久保亘

    ○久保亘君 関連して二点ほど質問をいたします。  最初に、アメリカの銀行にあります架空名義キヨシ・ニシヤマの口座は、設定されたのはいつか、現在もこの口座は存在するのかどうか、それからこの架空名義預金の引き出し権はだれが持っているのか、それからこの引き出しを米国日商に指示したのはだれか、この点をわかっておりましたら御説明いただきたいと思います。
  169. 伊藤榮樹

    ○政府委員(伊藤榮樹君) 恐らく検察当局はおよそのことを承知しておると思いますが、申しわけございませんが、きょうのことでございまして報告を受けておりません。
  170. 久保亘

    ○久保亘君 その点については検察当局に御調査をいただいて報告をいただけますか。  なお、この三十万ドル、五十一年六月十六日に米国日商が引き出しました三十万ドルの使途については、検察庁としてはこれは把握されておるのかどうか。いまおわかりにならなければ、検察当局として把握されておるならば後ほど御報告をいただけるかどうか、その点をお答えいただきたいと思います。
  171. 伊藤榮樹

    ○政府委員(伊藤榮樹君) ただいまの諸点につきましては、検察当局から報告を受けました上で、捜査上秘匿すべきことかどうか判断させていただきまして対応させていただきたいと思います。
  172. 久保亘

    ○久保亘君 それでは後ほど御報告をいただきたいと思います。
  173. 矢田部理

    ○矢田部理君 国税庁長官の報告に関連して、ボーイングの韓国方面に対する支払いの問題点について幾つかお聞きをしたいと思います。  これは、日商岩井がコンサルタントとして売り込みをしたというふうにボーイングの会長は私どもに説明をしているわけでありますが、韓国方に対しては三百六十万ドル強のお金が行っているのに、実際に売り込みの役割りを果たしたと思われる日商は一銭も手数料その他はもらっていないのでしょうか。きわめて不思議な関係で理解しがたい状況なのですが、この点はどうなっているのでしょうか。
  174. 磯邊律男

    ○政府委員(磯邊律男君) いわゆる8Kレポートでこの問題が報告されておるわけでありますけれども、この8Kレポートを見ますと、韓国の民間航空会社に対する六千六百万ドルの航空機販売に関連して、当該航空会社の主要株主の一人の要請に応じてこれこれの三百六十万ドルの支払いをした、こういうふうになっておるわけでありまして、そこの中で私たちはこの三百六十万ドルは一体これはどういうものであるかということでその前に、一年ほど前にIRSからの情報並びに照会に関連いたしまして日商岩井を調査いたしたわけでありますが、そのときにわれわれが日商岩井の方から提出を求め、また調査いたしました結果におきましては、一応ここで言います三百六十万ドル、それは一つの通り抜け勘定であって、ボーイング社に頼まれてまさにこの8Kレポートに書いておるような方法で支払ったものであるというふうな説明を受けたわけであります。その説明の証拠といたしまして、一つにはコンサルタント契約書兼領収書というもの、これは昭和五十二年六月の下旬に作成されたものでありますが、両方の会社の責任者の署名による書面、それから同時に五十二年一月の上旬に作成されましたいわゆる確認書、それは何ら日商岩井に入ったものではないという両方の会社の方の確認書というもの。それからさらにその後の送金関係、そういったことを逐一調べました結果、これは日商岩井の方の収支に関係ないということをわれわれ確認して処理したわけであります。ただ、そういったときに、日商岩井というものは韓国に対するボーイング社の販売コンサルタントとなっとるかどうかということでありますけれども、これは日商岩井の方にわれわれは何度も確認をしたわけでありますが、国内においてのコンサルタントといいますか、代理店にはなっておるけれども、韓国あるいはそういった日本以外の国に対する販売についての代理店契約というものはないし、またそういった行為はしていないというふうなことでございますので、われわれとしてはこの手数料というものはまさに名前だけを貸したものであって、そして、これに関する日商岩井自身の手数料収入はないというふうに見たわけであります。
  175. 矢田部理

    ○矢田部理君 日商岩井の言い分がそうだからといってそう見るというのはちょっとおかしいのじゃありませんか、私ども調査団が行ったときにボーイングのウィルソン会長が、韓国向けの販売のコンサルタントであった。いつからいつまでかという私の問いに対して、期間については後ほど調べて正確に答える、のみならす台湾やフィリピンも同様の役割りを担ってもらっている。こういう明確な答えがあるわけであります。両方調べて初めて真相が究明されるのではないでしょうか。この問題はきわめて説明不十分、調査不十分だと言わざるを得ないと思いますが、いかがでしょうか。
  176. 磯邊律男

    ○政府委員(磯邊律男君) その点については私たちも基本的には疑問を持って滞るわけであります。しかしIRSからの照会に対しまして私たちの方で調査いたしました内容、先ほど御答弁申しましたような内容、それから証拠資料等をIRSの方に返送したわけでありますけれども、IRSの方からは、返送いたしまして約一年半近くになりますけれども、その事実が違っておるというふうなこともございません。ですから、恐らくIRSがボーイング社を調査するに当たってそういった問題が出てきた、それによって疑問が出てきたので日本に照会し、われわれはそれに対し回答し、それによってまたIRSそのものがボーイング社について調査をしただろうと思います。したがいまして、IRSからその後何ともわれわれに対する再調査なり、あるいは調査内容は違っておるというふうなことを言ってまいりませんので、それからさらにまた、同時にこの問題が出てきましたときに、われわれとしてはIRSに対しまして何らかわが国の課税に及ぶような事実があれば至急知らせてほしいということも照会いたしておりますけれども、新たな情報というのは入ってきておりません。ですから、私たちもこのボーイング社の言っておるのが正しいのか あるいは日商岩井の言っておるのが正しいのかということになりますけれども、これは私たちが事実を確認した立場において日商岩井の言っておることが正しいというふうに結論を出したわけでございます。
  177. 矢田部理

    ○矢田部理君 米国側から照会があったからそれに答える形で出し、その後米国側から何も言ってこないから日商の言い分が正しいと判断をしたというのは少し一面的であります。とりわけボーイングの責任ある発言として、日商岩井はコンサルタントだったという指摘があるわけでありますから、改めてアメリカの税務当局にその調査を依頼するなど、もう少し積極的な姿勢と態度が必要なんじゃないでしょうか。幾つかたくさんの疑問があります、時間がないからやりませんけれども。いかがでしょうか。
  178. 磯邊律男

    ○政府委員(磯邊律男君) ちょうど本日から東京地検の方も日商岩井に対して強制捜査に入ったようでありまして、そういった意味において、私たちの調査の行動もおのずから制約されるわけであります。いずれ検察庁の捜査が進展いたしましたらこういったもろもろの事実関係というのは明らかになってくるものと私たちは期待しておるわけでありますが、同時にこの問題に関連いたしまして課税権という問題を考えますと、すでに五年以上たっております。そういったことで、われわれがこれ以上突っ込んだ調査をするということの権限上の問題がございますので、まだそこまで突っ込んだ調査をするかどうかということについては、ここでお約束ができないようなわけでございます。
  179. 矢田部理

    ○矢田部理君 このお金が果たして韓国に払われたかどうかの確認も不十分です。仮に払われたとしても大変なお金でありますから、日本に還流してないという保証はどこにもないんであります。その行方まで含めて追うのが真相解明の基本的な姿勢だと思いますので、ひとつぜひ検討してほしいと思います。
  180. 磯邊律男

    ○政府委員(磯邊律男君) 私たちの調査の段階では、日商岩井の収支には関係がないという結論を出したわけでありまして、さらにその金の流れ、たとえば大韓航空から日本に還流したかどうかとなりますと、これはわれわれの調査権の及ばない問題になってまいります。
  181. 矢田部理

    ○矢田部理君 ボーイングの調査ぐらいするべきだ。
  182. 磯邊律男

    ○政府委員(磯邊律男君) ですから、われわれとしては、もし何かそういった国内の課税権に及ぶようなことがありましたら、もちろん課税権の及ぶ範囲内において五年以内の問題であれば、それを調査するというのは当然であります。
  183. 矢田部理

    ○矢田部理君 法務省に伺いますが、チータム氏がしばしば来日していると思いますが、いつごろ何度ぐらい日本に来ているでしょうか。
  184. 小杉照夫

    ○政府委員(小杉照夫君) お答え申し上げます。  チータム氏の来日歴についてのお尋ねでございますが、同氏のプライバシーにかかわる問題でもございますので、同氏の来日の事実というものを明らかにしなければならない具体的な理由、事情というものをいま少しく御指摘いただきまして、それを承ってから御答弁申し上げたいと考えておる次第でございます。
  185. 矢田部理

    ○矢田部理君 この問題の真相等を一番知っているのはチータムです。一番日本で動いているのもチータムです。改めて具体的に指摘するまでもないでしょう。  率直に伺いますが、七二年の三月に日本に来ているのじゃありませんか。七二年の前半、三回日本に来ているのじゃありませんか、お答えください。
  186. 町村金五

    ○委員長(町村金五君) 矢田部君、時間が参りました。
  187. 矢田部理

    ○矢田部理君 はい、もう一点で終わります。
  188. 小杉照夫

    ○政府委員(小杉照夫君) 具体的な御指摘がございましたのでお答え申し上げますが七二年、私どもが理解しておりますところによりますると、二回参っております。一回目は六月、二回目は九月の末でございます。具体的な日付を申し上げますと、六月は六月の三日に入りまして同月十日に出国しております。  それから九月につきましては二十九日に入国、翌月三日に出国いたしております。
  189. 矢田部理

    ○矢田部理君 防衛庁に伺いますが、私は一月二十四日に、亡くなられた日商の島田さんとお目にかかりました。私は、島田さんの最後の言葉で、このチータム氏は日本に来るたびごとに防衛庁を訪れた、必ず当時の防衛事務次官に会った、装備局長や防衛局長にも話をした、チータムはしつこいぐらいそのことを要求したので私が連れて参りましたという重要な証言といいますか、亡くなられた島田さんの発言を私は聞いておるわけでありますが、防衛庁、その事実関係、訪れた内容、日時等について明らかにしていただきたいし、そういう事務次官、その他に調査をしているかどうかも含めてお答えをしていただきたいと思います。
  190. 原徹

    ○政府委員(原徹君) どうも記録がなくて、そのような事実があったかどうかは明確でありません。表敬等についてはあるいはあったかもしれないという程度のことでございますが、はっきり明白にはわからないわけでございます。
  191. 町村金五

    ○委員長(町村金五君) 時間が参りました。
  192. 矢田部理

    ○矢田部理君 一点だけ。  内海さんや島田さんが当時これまた防衛庁の次官だったわけですが、直接当たりましたか。
  193. 山下元利

    ○国務大臣(山下元利君) お答え申し上げます。  ただいま政府委員から申し上げましたとおりに、いまの御指摘については私どもで承知いたしておりません。わかりません。
  194. 矢田部理

    ○矢田部理君 当たったのかと言うのです、直接。島田事務次官に聞きましたか、どうですか。
  195. 山下元利

    ○国務大臣(山下元利君) まだわかりません、いまのところ。
  196. 矢田部理

    ○矢田部理君 調査したと言っていながら、わからないというのはないでしょう。
  197. 山下元利

    ○国務大臣(山下元利君) いや、調査したと申しましたですか。
  198. 矢田部理

    ○矢田部理君 いままで防衛庁は防衛庁内部で調査をしましたということを盛んに強調しておったでしょう。
  199. 山下元利

    ○国務大臣(山下元利君) 私の方は、調査したことは主として内部において調査いたしたことでございます。
  200. 矢田部理

    ○矢田部理君 それじゃ、関係者に当たっていないということですか。――終わります。(拍手)
  201. 町村金五

    ○委員長(町村金五君) 以上で矢田部君の総括質疑は終了いたしました。     ―――――――――――――
  202. 町村金五

    ○委員長(町村金五君) 次に、相沢武彦君の総括質疑を行います。相沢君。
  203. 相沢武彦

    ○相沢武彦君 今国会では、雇用問題が重要な審議テーマの一つになっているわけですが、大平総理の雇用対策に対する基本理念をまずお伺いしたいと思います。
  204. 大平正芳

    ○国務大臣(大平正芳君) 雇用政策は、私どもの経済政策の基本でございます。雇用の機会の拡大を図ること、とりわけ雇用の機会にめぐり会いにくい中高年齢層の雇用機会の創造につきまして努力することが私どもの雇用政策の基本でありますし、同時に、私どもの経済政策の根幹であると心得ております。
  205. 相沢武彦

    ○相沢武彦君 自民党は、三月二日に、公明、民社両党に対して四項目から成る雇用対策強化について回答をされましたけれども、自民党総裁であり、内閣総理大臣であるあなたはどうこれに対処されようとしますか。
  206. 大平正芳

    ○国務大臣(大平正芳君) そのことは、文書で両党に自民党から御回答申し上げたことはよく承知いたしております。それを踏まえた上で、今後、適切に処理してまいります。
  207. 相沢武彦

    ○相沢武彦君 四番目の項目に、定年延長の推進についてお約束をされたのですが、この定年延長の推進について「立法化問題を含め」ということは、単に立法化の可否を審議するということばかりでなくて、法制化の内容、それから実施の時期などの具体的な内容について審議をする、このように受けとめてよろしいですか。
  208. 栗原祐幸

    ○国務大臣(栗原祐幸君) まだ具体的に詰めているわけじゃございませんが、そういうものも含めまして検討いたしたい、こう考えております。
  209. 相沢武彦

    ○相沢武彦君 労働大臣は衆議院でのこの問題に関する審議で、定年延長法制化については慎重に検討したいという答弁を繰り返されているわけなんですが、きわめて消極的な態度なんですね。しかし、与党や総理が約束されたことを労働省が実行しようという姿勢を見せないというのは非常に遺憾なんですが、積極的に受けて立つ、こういう姿勢をいま一度はっきり示していただきたい。
  210. 栗原祐幸

    ○国務大臣(栗原祐幸君) 衆議院の段階での私の答えの中に二つございまして、一番最初は、自民党と各党との間の話し合いというものについてまだ私が聞いていない段階でございまして、その段階におきましては慎重に検討いたしたいということでございますが、その後、各党との話し合いが決まりました段階におきましては、ただいま総理からお話がございましたとおり、私どもといたしましては、誠意を持って検討し、適切に対処いたしたい、こういうことでございます。
  211. 相沢武彦

    ○相沢武彦君 ただいま御答弁の、誠意を持って対処するというのは、今後、さらに法制化への具体的手法が煮詰まれば、労働省としてもそれを実施する意思はあるということだと受けとめておきたいと思います。  労働省がこれまで定年延長の法制化に消極的だった理由の一つは、年功序列型のこの賃金体系だということをしばしば挙げられているのですが、この年功序列型賃金体系というのは一体どういうことなのか、ひとり定義づけを説明していただきたいと思います。
  212. 岩崎隆造

    ○政府委員(岩崎隆造君) 一般的に年功序列賃金制度と言っておりますのは、年齢や勤続年数を主要な要素として決定される賃金を主体とする賃金体系であるというように言えると思います。
  213. 相沢武彦

    ○相沢武彦君 いま御答弁のあった、この従来言われてきた年功序列型賃金体系というのは、わが国においてはもうすでに内容が大きく変化してきていると思うんですね。  通産省の外郭団体である社団法人全日本能率連盟人間能力開発センター、ここが「高年齢化と賃金体系」という調査結果を発表されておりますが、その内容を御説明いただきたい。
  214. 矢野俊比古

    ○政府委員(矢野俊比古君) いま御指摘のございました人間能力開発センターの調査の内容でございます。これは昨年の大体九月十一日に調査時点を置きまして、資本金五千万円以上の製造業及び卸小売業二千社に対するアンケート調査をいたしました。その結果として、実は回答が大変少なくて三百十八社でございますが、それを取りまとめたものでございます。  内容で申し上げますと、まず、定年制の問題というものについて、今後定年年齢の延長予定があるかないか。これにつきましては、予定ありという答えが一丁三%、予定なしの回答が八八・七%でございます。それから現在の定年年齢はどのくらいかという点に対して、五十五歳と答えた企業が三一・一%、五十七歳というのが一二・六%、六十歳と言っておりますのが三八・四%ということで、一〇%台以上の率があったのが五十五、それから五十七、六十ということでございます。  それから賃金と年齢という関係におきまして、年齢上昇に伴う賃金の傾向は現在どうかという点につきまして、上昇し続けるであろうという見方をしておりますのが四四・七%ございまして、鈍化すると言っておるのが五五%、鈍化するというのが多いわけでございます、過半でございます。それから賃金の上昇が鈍化する年齢という点でございますが、これが四十五歳から五十歳未満三〇・三%、五十歳から五十五歳未満が三二%、両方合わして六二・三%でございます。なお、五十五歳以上と言っておりますのが一二.一%でございまして、さらに、今後将来として年齢上昇に伴う賃金の傾向はどうかという点につきまして、先ほど申し上げました、現在鈍化すると言った五五%の回答がさらに八七・四%というふうに増加しておる、こういう事情でございます。
  215. 相沢武彦

    ○相沢武彦君 いまの説明でもおわかりのように、わが国における賃金体系というのは、一定年齢が来た場合に、上昇し続けるよりも鈍化傾向の方が非常に高まってきているわけですね。ですから、もうすでに従来言われた年功序列型賃金体系というのは崩れつつあるということが明らかになっていると思うんです。この傾向はさらに将来とも一層強まるだろうと思います。  労働省としても、今後、定年延長による経費増、それと一定年齢で賃金が鈍化の傾向を見せてきている日本における新たな賃金体系の関連というものを、もっともっと状況把握し参考にされる必要があると思いますが、いかがでしょうか。
  216. 岩崎隆造

    ○政府委員(岩崎隆造君) 先生いま御指摘のは一つの調査でございますが、私ども労働省がやっております「賃金構造基本統計調査」で特に大企業について見ますと、昭和四十年代、五十年に至るまで二十歳ないし二十四歳を一〇〇といたしまして数を見ますと、四十年代には五十‐五十九歳あたりが二五〇ぐらいの指数でございましたが、昭和五十年には二一二ぐらいに落ちております。ただ、昭和五十年代に入りまして比較的さらに年功序列賃金制が鈍化しているというかっこうになってまいっておりません。そして先ほどお話がございました鈍化しているというのは、やはり年齢による上昇の傾向が鈍化していることでございまして、年齢が上昇しても横ばいないしむしろ下向きになっているというようなことを意味しているわけではございません。  したがいまして企業のマインドといたしまして、たとえば五十ないし五十五歳ぐらいの労働者一人を解雇いたしますと、若い労働者を二人ないし三人雇えるというような賃金コスト面での計算も成り立つわけでございまして、その辺のところが私ども今後労使ともに十分に御認識いただきながら、自主的に決めていただくべきことでございますけれども、御検討をいただく必要があるだろう。私どももまた今後の傾向についてはさらに十分見守って検討をしてまいりたい、このように考えております。
  217. 相沢武彦

    ○相沢武彦君 いま、あなたは五十年度の調査でおっしゃいましたけれども、低成長下に入ってきて今後さらにやはり低成長が続く場合に、賃金体系というものはおのずから変わってくるんじゃないでしょうか。そういう点で、いま私が申し上げた点はさらに調査を進めていただきたいと思います。  それから、労働大臣は、高齢化社会に向けて定年延長は当然としながらも、当面は行政指導を徹底していくのだ、こういうことをおっしゃっているんですが、しかし、政府の行政指導ではさっぱり効果が上がらないということはこれまでの実態の上に明らかなんです。しょせん企業は利潤追求を最大に考える集団ですし、企業に社会的責任を強く求めてもおのずと限界があると思うんです。先ほど人間能力開発センターの調査発表がありましたけれども、今後定年を延長する予定があるかどうかと一、二部上場企業三百十八社に対して設問を試みていますが、八八・七%の企業は定年延長の予定はない、こう回答しているわけでして、行政指導に企業が応じてくれると考えているのは少々甘過ぎるんじゃないかと思いますが、この点の御見解はいかがですか。
  218. 栗原祐幸

    ○国務大臣(栗原祐幸君) 定年延長を行政指導では甘くはないか、法的規制をしろという御意見だろうと思いますが、これは毎々言っておりますけれども、定年延長の一番ネックになりますのは年功序列型賃金、それから退職金の問題、人事管理、そういったものが一番のネックなんです。このネックを克服しない限りにおきましては、なかなかこれは法的に規制をするということでいけるかどうかというのが問題だろうと思っているのであります。  しかも、何か定年延長については、お調べによりますと、余り各企業が熱心でないというようなことでございますが、労働省の調査によりますと、やはり定年延長につきまして企業として意欲を持っておりまするし、現に関西の方で労使が実質的な定年延長ということで合意を見ております。また、われわれも財界の首脳部に通産大臣と一緒になってお会いをいたしましたが、その際にも、定年延長の問題についてはわれわれも高齢化社会に面してむしろこれは積極的に取り組まなければならないと、そういうことでございますので、きめ細かな定年延長の行政指導をさらに進めていくべきである。  なお、先ほど来お話のございました自民党と各党とのお話し合いの件につきましては、それはそれとして誠意を持って検討し、これに対処してまいりたい、こういうことでございます。
  219. 相沢武彦

    ○相沢武彦君 不況に便乗した企業の減量経営というのは、業績が回復しながらも肩たたきどころか、最近は肩殴りだなんて言われるぐらい労働者をいびり出している実情があるわけですね。定年制がありながら定年に達しないうちに高齢者が職場を追い出されるという実情については十分労働省としても承知しているはずなんですから、ぜひいまの御答弁のように法制化への内容、手順、時期、こういったものをできる限り早く公党間で煮詰めて実施へ踏み切っていただきたいと思います。  それで次に、定年制と厚生年金受給開始のリンクの問題でお尋ねしたいんですが、現行の厚生年金の支給は六十歳ですが、高齢者にとっては非常にお気の毒だと思うんです。たとえば定年を五十五歳で迎えたとして再就職はきわめて困難な現状ですし、運よく就職できたとしても賃金は最近大幅にダウンしているようです。そして年金支給まで五年間も空白期間があるということは大変老後の生活が不安に脅かされているわけです。定年退職した翌月から厚生年金が支給されるように、この定年制と年金制度とリンクさせることが今後重要な課題になってくると思うんですが、これについて総理の御見解をお聞きしたいと思います。
  220. 栗原祐幸

    ○国務大臣(栗原祐幸君) 厚生年金との関係でございますが、私の方にも関係がございまするし、厚生大臣の方にも厚生年金の方ではウエートがかかるわけでございますが、労働省といたしましては、六十歳定年、それを目途といたしましていま行政指導を進めているわけでございますが、厚生年金と定年というものが結びつくようにぜひいたしたいものだ、そういうふうに考えております。
  221. 橋本龍太郎

    ○国務大臣(橋本龍太郎君) いま労働大臣から労働大臣としてのお立場の御答弁がありましたけれども、私どもそれはできればそうしたいという気持ちはございます。ただ、前小沢厚生大臣もたしか御答弁をされたことがあると私記憶をしておりますけれども、現在、厚生年金そのものについて、御承知のように、支給開始年齢を引き上げろという問題も一部からは提起をされておるような状態でありまして、私どもは、そういった声を受けながら、今後、どう処理をしていくべきか、対処していくべきかについて現在苦心をしておるところであります。
  222. 相沢武彦

    ○相沢武彦君 総理から。
  223. 大平正芳

    ○国務大臣(大平正芳君) 老齢年金は、一定の年齢に到達して労働から引退して稼得能力を喪失した者の老後の所得保障を目的としたものであると承知いたしております。  そこで、わが国の場合、定年年齢は一般的に厚生年金の支給開始年齢である六十歳より早期に定められておる例が多いことは御承知のとおりでございます。勤労者は、通常、定年以後も就業を継続しており、定年年齢をもって労働からの引退年齢と直ちに考えることは必ずしも適当ではないのではないかといまは考えております。
  224. 相沢武彦

    ○相沢武彦君 厚生大臣、ただいま答弁でおっしゃった前小沢厚生大臣が、将来六十五歳給付開始という事態を迎えるだろうと述べておられたことについては、その意向を引き継いで何らかの検討をされているんでしょうか。また実施するとすれば、いつぐらいという見通しに立っているんでしょうか。
  225. 橋本龍太郎

    ○国務大臣(橋本龍太郎君) 現在の厚生年金保険制度におきまして、老齢年金の受給者一人を十七人の被保険者で支えている計算になります。ところが、これが昭和八十五年になりますと、老齢年金受給者一人を、このままでいけば三・五人で支えなければならないという状態になることが見込まれておりまして、支給開始年齢の引き上げの問題というものは、費用負担に限界があるということを前提に考える限り、今後の人口の老齢化、同時に、年金制度の成熟化に際して避けては通れない課題の一つだと私どもも考えております。ことに最近の平均寿命の延びが非常に著しいことは御承知のとおりでありまして、年金受給者も増加しておりますし、同時に、年金を受給する期間が長くなっておるわけでありますから、それに要する費用も年々大きくなっておりまして、このままでいけば後世代負担というものが非常に大きくならざるを得ません。そういう状態を頭に置いて考えてまいりますと、やはり今後の人口の老齢化、また年金制度の成熟化に際して、真に年金が必要な時期に必要な給付を受けられる体制をつくってまいりますためには、やはりこの支給開始年齢の引き上げという課題は一定の時期において検討せざるを得ない問題でございます。  前小沢大臣から引き続きまして、現在、年金制度基本構想懇談会におきまして、年金制度の今後のあり方の一つの大きな問題点として御検討願っておるところでありまして、近い将来においてこの回答をいただき次第、私どもとしても今後の考え方を取りまとめたいと考えております。ただ、支給開始年齢を引き上げる場合におきましても、これは個人の老後の生活設計、同時に、雇用政策との関連というものは絶対に考えなければならぬポイントでありますから、段階的な実施が絶対に不可欠の条件であるとも考えております。
  226. 相沢武彦

    ○相沢武彦君 厚生年金保険収支見通しという資料をいただいておりますが、昭和八十五年の収支差し引きが一兆三千百七十六億円の赤字になる、こういうように予測が出ておるんですが、支給開始をたとえば一年延ばせばどれぐらいの波及効果が生まれ、五年延ばした場合は財政にどれぐらいゆとりが出てくるものなのか、数字で御説明いただきたい。
  227. 橋本龍太郎

    ○国務大臣(橋本龍太郎君) いま申し上げましたような前提の条件の中で今後給付費は急増してまいりますから、現在の給付水準をそのままで維持していく場合におきましても、将来の保険料は大体現行の二倍以上にならざるを得ないと見込んでおります。ですから、この面からも御指摘のように長期的には支給開始年齢の引き上げというものを考えなければならぬわけでありまして、仮に支給開始年齢を引き上げることによって受給期間が短縮され、給付費が減少する場合の計算をはじいてみますと、老齢年金の給付は、支給開始年齢を一歳引き上げますごとに、大体四%程度減少すると見込まれております。ですから、五歳引き上げました場合には二〇%程度は現行より減少をする、そのような試算が成り立っております。
  228. 相沢武彦

    ○相沢武彦君 現行のまま推移すると、被保険者の保険料負担というのは相当重くなると思うんですが、国民は不況、それから賃金上昇が余り望めない今日、これ以上の保険料負担には耐えられないという声も上がってきておりますが、厚生省としては、耐えられるとすれば、収入に対して何%が限界だと、こういうように見込まれているんでしょうか。
  229. 橋本龍太郎

    ○国務大臣(橋本龍太郎君) 負担の限界を考えると申しましても、年金制度の保険料だけでは問題はないわけでありまして、他の社会保険料でありますとか租税等の負担も考えていかなければなりませんから、一概に年金についての負担がこの程度ということを申し上げることは非常に困難なお尋ねでございます。  ただ、強いて保険料負担の限界というものを、日本の場合というよりも、ほかの国の場合を参考にしながら参酌してみますと、制度の仕組みが厚生年金に比較的よく似ておる、しかも制度の成熟が相当程度進んでおるという国として西ドイツがございます。西ドイツの年金制度におきまして近年財政状態が非常に悪化をし、現在一八%である保険料率を引き上げることが問題となっておるようでありますが、しかし、この一八%を超えるということに対しては非常に何か実際に困難が伴っておるようである、実施が困難だというようなことも聞いておりまして、そういう意味からいけば一八%というものが他の国の制度を参考にした場合の一つの目安ということは言えるかもしれません。しかし、いずれにしましても、わが国の場合、他の保険料、また租税の仕組み、負担等が西ドイツとは非常に違うわけでありますから、これはあくまでも一つの参考例として申し上げられるだけでありまして、年金についてどこまでという限界をこの時点においてお示しをすることは非常に困難である、そのように思います。
  230. 相沢武彦

    ○相沢武彦君 ヨーロッパでは退職年金と年金支給開始年齢とが同時になっている、いわゆる退職年金制度というのが確立されているんですが、日本では一部にこうした例はありますが、厳密な意味からまだ退職年金制度が確立されていないと思うんですが、将来の青写真は厚生省としても描いていると思いますが、わが国も近い将来退職年金制度というものを確立する必要があると思うんですが、厚生大臣のお考えはどうですか。
  231. 橋本龍太郎

    ○国務大臣(橋本龍太郎君) 被用者年金制度における老齢年金というものが、本来老齢のためかせぐ能力がなくなった被用者に対しての所得を保障するということを目的としておることは御承知のとおりであります。ただ、稼得能力の喪失の時点というのには個人差があるわけでありますけれども、一般的に年金制度の上からいきますと、一定の年齢をもって支給開始年齢とこれは定めざるを得ません。仕組みの上の問題としてそういう点がございます。  わが国の被用者年金の中核である厚生年金におきましても、老齢年金の支給要件として原則的に六十歳という一定の年齢に到達をしていること及び被保険者資格の喪失、すなわち一般的には労働生活からの引退というものを条件としておるということもこれは事実でございます。ただ、日本の場合に、一般的に民間企業における平均的な定年というものが六十歳未満でありまして、定年年齢と厚生年金の支給開始年齢の六十歳とが必ずしもこれは接続しているとは申せません。しかし、同時に中高年齢者の就業の実態を見てみますと、定年後も勤務延長あるいは再雇用といった形態で就業しておる方々も少なくないわけでありまして、一方、厚生年金の方から考えてみますと、老齢年金の平均的な受給開始年齢というものが大体六十二歳前後でございます。そういうことから考えていきますと、労働生活からの引退というものと年金の受給開始との間には一応の連係が保たれているのではないだろうか、そのようにも私どもは考えておるわけであります。  なお、欧米諸国の場合には、雇用慣行そのものが日本とは大きく異なっておるわけでございまして、一律にこれは議論をするわけにはいかないと思いますが、やはり年金制度における老齢年金の支給開始要件としては、一般的には退職すなわち年金支給という仕組みではなくて、一定年齢への到達というものもその要件に入っておるように私どもは承知をいたしております。
  232. 相沢武彦

    ○相沢武彦君 定年制は現状のまま推移するうちに、もし厚生年金の給付開始が六十五歳に延長されたとすると、五十五歳の退職者の場合は十年間も厚生年金を受けられないでしまう、まさに残酷物語になってしまうわけですが、年金給付開始の延長に対しては強い反対の声があるのも当然だと思うのです。  そこで、総理、厚生年金支給開始の年齢、これを延長させる以前に、定年制の延長の方を確固としたものにしておくということが重要だと思うのですけれども、いかがでしょうか。アメリカでは七十歳定年に踏み切ったし、年金の支給開始は六十五歳で完全に年金と定年制はリンクする仕組みになっているのです。いかがですか。
  233. 大平正芳

    ○国務大臣(大平正芳君) 定年制の法制化を確立しておく必要があるんじゃないかという御説でございますが、問題は、定年の延長の実効をどのようにしてわが国の現状の中で上げていくかということだと思うのでございまして、私は法制化が直ちに実効を上げる有効な手だてになるとは考えていないわけでございまして、しかし、この問題は検討しなければならぬ課題であるということで、審議会等で十分御論議をいただかなければいかぬことと思っておるわけでございます。  いまの段階で、直ちにそれを確立するのだということをここでお約束するということは、少し私まだそこまでは熟していないことを御了承いただきたいと思います。
  234. 相沢武彦

    ○相沢武彦君 総理、図を見ていただきたいのですが、人一倍細い目でいらっしゃるのでわかるように大きく色刷りで書いてきましたが、一番上が現行法でありますのでおわかりいただけると思います。それから次が、これは自民党の案なんですが、現行法のまま厚生年金をリンクさせようとすると、昭和五十七、八年の間に五十八歳定年を一般化する、こういうふうに設定されていますから、そうなったとしても受給まで約二年半ぐらいのブランクが出てきます。また、支給開始が、もし年金財政が苦しいということで六十五歳まで延長されることになりますと、受給までに七、八年の空白期間が出てしまう。また、たとえ六十歳に定年延長になったとしても、現在と同じだけ受給まで五年間の空白のままに終わってしまう。  それから、公民両党案では、定年制を五十七年四月一日から六十歳で法制化した場合、現行の厚生年金とリンクされますし、さらに支給開始を現行のままにして六十五歳まで定年延長がされるとし、それから在職年金ですね、これをそのまま生かせば最も理想的な状態になると思うのです。  当面の問題としては、厚生年金支給年齢が六十歳の間に定年制とリンクされるようにするのが一番必要なことだと思うのですけれども、昭和二十五年、厚生年金を五十五歳から六十歳支給に延長した際、社会保障制度に関する勧告の中で、定年を延長する必要があると言われながら空手形に終わってしまいました。定年延長は単なる行政指導では実現できないということがもう明らかだから、わかり切っていることなんですよ。  そこで、老後生活の安定という観点、それから年金財政の事情という視点から考えても非常にむずかしい問題であるけれども、やはり総理は定年制の延長の法制化というものには勇断をふるって踏み切っていただきたいと思うのですが、総理の御決意を承ってこの問題を締めくくりたいと思います。
  235. 大平正芳

    ○国務大臣(大平正芳君) 相沢さんの大変御熱心な御提言、御主張は理解できないわけじゃございません。けれども、お考えいただきたいのは、あなたの立論は定年の延長を法制化したら問題が皆片づくという、つまり定年の延長を効果あらしめる手段として法制化が非常に有力である、適確であるという御判断のようでございますが、私は、その点ちょっと意見が違うわけでございまして、そういうことをやることで果たして本当の意味の定年延長が実現できるのだったら、これは法制化なんということはそんなに私はむずかしいことではないと思います、各党が一致すればできることでございますから。だけれども、そういうことで果たしていまの日本の実情におきまして定年延長が実質的に進展していくかということになると、やや疑問を持つわけでございます。  だから、私が先ほど申しましたように、いま直ちに法制化に賛成でございますというお約束はできませんと。ただ、しかし、せっかくあなたが言われることにもいろいろ根拠がおありになって御主張になっておられることでございましょうし、公明党の方の御主張も、そういういろいろ根拠を踏まえての御提言でございましょうから、われわれは、それはそれとして、その問題に真正面から取り組んで、所定の手続を踏んで検討を進めてまいることはお約束いたしますが、いまここで直ちに自民党を含めて政府が踏み切りますということをお約束するわけにはまいりません。そのことは御了承いただきます。
  236. 相沢武彦

    ○相沢武彦君 次に、雇用促進、失業者救済についての具体的な面で質問したいと思いますが、最初に運輸省。  造船業界では不況業種の中でも最悪の状態と言われておりまして、今後、大胆な転換策を実施しないともう起死回生はないと言われていますが、合理化によって相当の離職者数を出していますが、最近の造船業界からの離職者数の累計は下請企業も含めてどれぐらいになっていましょうか。
  237. 謝敷宗登

    ○政府委員(謝敷宗登君) お答え申し上げます。  造船業の場合には、先生御指摘のように、五十三年度、五十四年度で全般的な過剰設備の処理あるいは操業調整による過当競争の防止に努めて何とか不況を脱却したい、こう考えておるわけでございますが、その意味で、まだ工事量が減っている現状でございます。  それに対応いたしまして、下請企業を含めた造船業の従業員の推移でございますが、全国の約六百社――これは月々によりまして統計対象会社数が違いますが、約六百社からの従業員統計を見ますと、五十二年の九月は二十三万四千人、五十三年の三月が二十一万人、この間二万四千人でございます。それからさらに五十三年の九月が十八万二千人。この五十三年三月から五十三年九月までの六カ月間に約二万八千人でございます。ただ、これは造船業従事員数でございますので、これが直ちに失業者ということには直接つながらない数字でございます。
  238. 相沢武彦

    ○相沢武彦君 労働省にお聞きしますが、求人倍率は全国平均は幾らでしょう。それから一番倍率の高い県、それから反対に一番低い県はどこで、何倍になりますか。それから就職率についても同様に述べていただきたい。
  239. 細野正

    ○政府委員(細野正君) お尋ねのございました求人倍率、就職率でございますが、まず、全国平均で申し上げますと、五十四年一月の有効求人倍率、これは季節調整をしない原数値で申し上げます。全国平均が〇・五倍でございます。それで都道府県の中で一番倍率の高いのが愛知県で、これが一・四六倍、つまり求人の方が多いわけであります。それから最低は青森県の〇・〇六倍でございます。それから、なお全国平均値を季節修正しますと、先ほどの生で〇・五のものが〇・六五まで上がるわけであります。その次に就職率でございますが、全国平均では四・六%でございます。都道府県のうち、最高なのが栃木県で一〇・一%、最低は北海道の一・四%、こういう状況でございます。
  240. 相沢武彦

    ○相沢武彦君 済みません、北海道の求人倍率。
  241. 細野正

    ○政府委員(細野正君) 北海道の有効求人倍率は、五十四年一月で〇・一五倍でございます。
  242. 相沢武彦

    ○相沢武彦君 全体の図を見ましても、やはり東北、北海道が求人倍率、それから、就職率とも全国でも一番低い方になっております。特に就職率では、いま発表のように一・四%で、全国最低になっているわけですが、自治省にお尋ねしたいんですが、特定不況地域振興総合対策の中で、具体的対象地域というのはどの都道府県が一番多いんでしょう。
  243. 森岡敞

    ○政府委員(森岡敞君) 私どもで特定不況地域として府県と協議をいたしまして指定しましたものは、造船等の不況業種のほか、北洋漁業関係あるいは非鉄金属鉱山、窯業、鉱業、木工業等がございますが、その中で地域数が一番多いのは北海道でございまして、十一地域でございます。
  244. 相沢武彦

    ○相沢武彦君 自治大臣に伺いますが、この総合対策要綱は、不況二法補完の意味をもって地域対策を進める自治体に財政面から支援をするもので、公共事業の優先発注あるいは重点配分するものと承知していますが、よろしいですか。
  245. 澁谷直藏

    ○国務大臣(澁谷直藏君) 御指摘のとおりでございます。
  246. 相沢武彦

    ○相沢武彦君 特定不況地域における具体的な雇用促進という観点から、私は具体例を挙げて質問したいんですが、北海道の室蘭市の白鳥大橋の建設についてお伺いします。  昭和四十九年度から調査費が計上されて、一連の基礎調査は五十四年度中に完了すると聞いています。今後、工事着工に残された課題は何があるんでしょうか。
  247. 澁谷直藏

    ○国務大臣(澁谷直藏君) 御指摘のように、四十九年から国と道路公団と共同で調査を進めてきておりまして、大体基礎的な調査は完了して、これから具体的に橋の構造をどうするかというような、いよいよ実施に向かっての調査に入っていく、こういう段階に来ておるわけであります。
  248. 相沢武彦

    ○相沢武彦君 運輸大臣、この白鳥大橋建設事業は造船不況打開のために重要なプロジェクトだと思うのですが、ことしの一月には、社団法人海難防止協会内に、室蘭港白鳥大橋航行安全調査委員会というものが組織されております。六月までに報告が提出されますが、その後、どういう取り組みをされるんでしょうか。
  249. 森山欽司

    ○国務大臣(森山欽司君) ただいまの報告について私はまだ聞いておりませんのですが、ただ室蘭市の白鳥大橋の建設の問題で造船技術者活用の問題ということでは耳にいたしております。  造船不況に対処するため、仕事量を確保することはきわめて重要でありますが、また、政府としましても、造船業の需要の確保のために官公庁船の建造促進とか、計画造船制度の改善とか、船舶解撤事業の促進とかを図っておりますが、しかし、これらの需要創出のみで当面の需給ギャップは解消されない、まあ一般論でございますが。御指摘の白鳥大橋のように、この造船技術が活用される分野につきましても、造船所としては積極的に事業転換を図ることが望まれるわけであります。運輸省といたしましても、地方海運局ごとに地方公共団体との連絡会を設けて、この種公共事業への転換について協議をいたしておりますので、今後とも関係省庁の協力をお願いしたいと考えておる次第であります。
  250. 相沢武彦

    ○相沢武彦君 私は、この白鳥大橋の建設による雇用面での効果、これを調査してきたんですが、関連道路と合わせますと、推定就労人員は延べ百八十万人見込めることになっております。  そこで、雇用対策の責任大臣である労働大臣、早期着工のために積極的な取り組みが必要だと思いますが、いかがでしょうか。
  251. 栗原祐幸

    ○国務大臣(栗原祐幸君) こういう大きなプロジェクトが行われるということは、地元経済に対して非常に大きな影響を与えますし、雇用の面でも好影響があると思います。  ただ、私は施行担当の大臣ではございません。ただいま大臣からもお話がございましたが、それぞれ各省でいま御連絡をいただいているようでございます。私といたしましては、そういうものを見守りながら、そういうことができ得ますように期待をしております。
  252. 相沢武彦

    ○相沢武彦君 期待をされていると。  これは建設大臣なんですけれども、大型橋梁建設事業は本四連絡架橋が見本として経済的効果のデータが示されておりますが、白鳥大橋についての着工のめど、これはどのようになっていましょうか。
  253. 渡海元三郎

    ○国務大臣(渡海元三郎君) 白鳥大橋が室蘭を中心とする地域の経済に及ぼす影響、雇用に及ぼす影響、これは大いなるものがあると考えております。また、地元のこの白鳥大橋に対する要望、御期待等も十分承知いたしております。いま国と日本道路公団とで鋭意調査中であるということは開発庁長官からお述べになられたとおりでございますが、今後、一層この調査を進捗し、早期着工ができますよう努力いたしてまいりたい、このように考えております。
  254. 相沢武彦

    ○相沢武彦君 次に、石油備蓄基地建設でお伺いしますが、わが国は五十四年度末に九十日備蓄を目標にしているんですが、この増強計画スケジュールにおける苫小牧市に計画されている苫東石油共同備蓄の役割り、特徴について御説明いただきたいと思います。
  255. 江崎真澄

    ○国務大臣(江崎真澄君) これは新潟それから長崎県に続くものでありまして、その規模も五百万キロリットル。これはたまたまいま御承知の国家備蓄の分に相当する約七日分の備蓄量を擁する大規模な備蓄設備でございます。
  256. 相沢武彦

    ○相沢武彦君 通産省は、五十二年の十二月六日に道知事にあてて、この苫東工業基地における石油備蓄の協力要請をされておりますが、特にその中で、安全環境対策上遺漏のないように関係者を十分指導し、また、民生用の石油製品の安定供給に十分配慮するということを約束されております。これを受けて、道初め関係市町村で構成している苫東連絡協議会では、防災面など五十七項目の要望実施を条件に同意することを正式に決定したわけですが、通産大臣に御確認したいんですが、安全確保については、地域住民に絶対に迷惑をかけることがないということを断言できますでしょうか。
  257. 江崎真澄

    ○国務大臣(江崎真澄君) もとより安全確保がままず地元への一番重要な課題だというふうに考えておりまするので、この上とも安全確保には十分配慮をしてまいりたいというふうに思います。
  258. 相沢武彦

    ○相沢武彦君 万一不測の事故が起きて地域住民に被害を与えた場合は、一体、だれが責任をとるのか、明確にしていただきたいと思います。
  259. 江崎真澄

    ○国務大臣(江崎真澄君) たまたまきょう共同備蓄会社が発足をしたわけであります。もし迷惑をかける、そういうことがあってはなりませんが、迷惑をかけた場合には、会社が責任を直接的には負う、こういうことになります。
  260. 相沢武彦

    ○相沢武彦君 当然、直接的には会社が負うんですが、国には間接的な責任がおありになると思っているんですか。
  261. 江崎真澄

    ○国務大臣(江崎真澄君) 行政面で責任を分担しなければならぬことはよく自覚しております。
  262. 相沢武彦

    ○相沢武彦君 この防災面で一番気がかりなのは、大型地震に見舞われたときのことなんですが、耐震構造では震度幾らで計画をされているんでしょう。また、地震による構造物の受ける力の加速度の大きさをあらわす単位、ガルといいますが、何ガルを基準にされていましょうか。
  263. 鹿児島重治

    ○政府委員(鹿児島重治君) 北海道庁から私どもが受けております報告によりますと、二百ガルを基準といたしまして、自然地盤におきまして二百ガルということで報告を受けております。
  264. 相沢武彦

    ○相沢武彦君 タンクの設置許可が申請された場合、安全確保のために消防法第十六条の十を適用して、危険物保安技術協会の審査を必ず通すようにすべきだと思いますが、いかがでしょうか。
  265. 鹿児島重治

    ○政府委員(鹿児島重治君) 昭和五十一年に危険物保安技術協会ができまして、以来、各地に設置されますタンクにつきましては、大型のタンクにつきましては、危険物保安技術協会がほとんどすべてを審査いたしております。苫東基地の石油タンクにつきましても、危険物技術協会におきまして技術援助あるいは審査をいたすべく、私ども指導をいたしております。
  266. 相沢武彦

    ○相沢武彦君 この共同備蓄基地建設は総事業費一千三百億円という大プロジェクトですが、経済的効果はどのようにごらんになっているんでしょうか。
  267. 澁谷直藏

    ○国務大臣(澁谷直藏君) とにかく千三百億にも達する大きなプロジェクトでございますから、まず第一に、この建設過程においで雇用効果を初め経済的の効果があることは当然であります。それから、これが完成いたしますると、税制面において固定資産税あるいはその他の、石油対策交付金ですか、こういった面で地方財政面においてかなり大きなプラスが出てまいります。さらにまた、これが完成いたしますると、石油関連の企業の誘致ということも当然促進されるわけでございまして、以上いろいろなことを全部総合して、地元に対しては大きな好影響をもたらすものである、このように考えております。
  268. 相沢武彦

    ○相沢武彦君 私は、雇用の面でも非常に波及効果は大きいと思っております。私が調査した資料でも、雇用予測について申し上げますと、工事区分と延べ人員で、タンク建設四十五基で延べ五十四万人目、橋梁設備で二万六千人目、原油輸送導管で五万三千人目、付帯設備で九万人目、合計七十万九千人目、こういうふうになっております。  それから、地元関係者がこの安全確保の防災対策と並んで大変深い関心を寄せ、注文をつけているのは、この備蓄基地建設の際、地元発注がどの程度になるかということなんです。当然、技術面の問題はございますが、できる限り地元発注をふやして地場産業の活用について開発庁としても積極的な姿勢で臨む必要があると思いますが、いかがですか。
  269. 澁谷直藏

    ○国務大臣(澁谷直藏君) できるだけ地元の業者を活用していくということは当然のことだと考えております。
  270. 相沢武彦

    ○相沢武彦君 通産大臣にお伺いしますが、民間による共同備蓄といっても、石油公団を通して政府が深いかかわり合いを持っている大型プロジェクトでありますし、民間に任せっきりにするのではなくて、通産省としても地元企業活用を推進する立場で指導性を大いに発揮していただきたいと思いますが、地元発注はどの程度と考えられておりますか。
  271. 江崎真澄

    ○国務大臣(江崎真澄君) どの程度地元に任せるかということは、これはもうきょう発足しました共同備蓄会社みずからが決めることでありますが、今日まで設立について通産省としても相談に乗っておりまするが、極力地元の企業を活用したい、こういう報告があるというふうに私にも事務当局から報告しております。
  272. 相沢武彦

    ○相沢武彦君 第一期工事本格着工が五十五年度で、タンク十五基ということになっていますが、北海道には、函館ドック、それから室蘭楢崎造船など不況業種に指定された造船会社もありますし、室蘭は特に特定不況地域に指定されているわけなんで、こういった地域の陸上部門をすでに扱って、技術もありますから、こうした地域の造船、鉄鋼技術者の活用というものは大いに図る方向で取り組んでいただきたいと思いますが、運輸大臣、通産大臣からそれぞれお答えいただきたいと思います。
  273. 江崎真澄

    ○国務大臣(江崎真澄君) 経験者を使用するということは雇用対策の上から言っても重要な問題でありますし、御要望の線はしかと承りました。
  274. 森山欽司

    ○国務大臣(森山欽司君) 先ほど白鳥大橋でお話を申し上げたように、造船技術が活用できる分野でありますから、造船所で大いに工事をとられて、当面の経営の安定を図れるようにと思っております。運輸省といたしましても、関係各省と十分連絡をいたして協力いたしてまいる所存であります。
  275. 相沢武彦

    ○相沢武彦君 昭和四十一年の七月に、運輸省、防衛庁それから道開発庁の三者で、千歳飛行場を防衛関係と民間関係に分離するために北海道国際空港連絡会を設置して新千歳空港建設に向けてスタートを切りましたが、その後十三年間経過したんですが、いまだに新千歳空港は供用開始になっていないわけです。建設促進がおくれている原因はどこにあるんでしょうか。また、新千歳空港の第二次空整、第三次空整の中でどういう変遷をたどってきたのか御説明いただきたいと思います。
  276. 松本操

    ○政府委員(松本操君) お答え申し上げます。  新千歳空港の航空法上の設置の告示が出ましたのは、先生おっしゃいました四十一年からおくれまして、四十八年でございました。その後、四十九年から実際に予算を計上し、五十三年度末までにすでに五十数億円を投入しておるわけでございます。当初は第二次の空整計画、つまり四十六年から始まりました五カ年計画の中ではとてもそれはできないだろう、工事が大きいからできないだろう、三次の空整を五十一年からスタートさせておりますが、三次空整の中で何とかできないだろうかというふうな見通しもないわけではございませんでした。  ところが、二つばかりの外的な理由がございました。一つは、当初、全国で昭和六十年に一億二千万人程度の旅客が動くのではないかというふうなことを前提に各空港の整備計画を見ておったのでございますが、その後、第三次の空港整備計画をつくる段階で大幅に下方修正をせざるを得なくなりました。六千五百万人程度かと、こうなってまいりました。そういたしますと、現空港でもかなりの期間はさばいていける。現に、現在六百数十万人さばいておるわけでございますが、現空港でともかくやっていけるということもございまして、その急ぐという点について多少ペースが落ちたということがございます。  それから、もう一つは、これは北海道の中にまだまだジェット化しなければならない空港が新空港のほかにもございまして、どちらかと申しますと新千歳の場合には、現千歳空港が一応ジェット空港として機能いたしておりますので、そういったような今後ジェット化すべき空港にいささか重点を置かざるを得なかったというふうなこともあって、予算の創り振りその他に多少当初のもくろみと違う点もあった、このようなことで、現在、仰せのとおり新千歳空港の進捗状況はいささか当初の計画よりはおくれた状態になっておるわけでございます。
  277. 相沢武彦

    ○相沢武彦君 第三次空整における工事の進捗率は五十三年度、五十四年度それぞれ何%になるのかお尋ねしたいと思います。
  278. 松本操

    ○政府委員(松本操君) 予算の数字だけで申し上げますと、五十三年度までの段階で一二%、いま御審議願っております五十四年度予算案を入れまして一八%程度でございますが、ただ、最も根幹となります用地の買収につきましては、七百四ヘクタールのうちの六百五十四ヘクタールまでの取得をほぼ終わっておりますので、その点については一応の目標に近づいておると申し上げられるかと思います。
  279. 相沢武彦

    ○相沢武彦君 新千歳空港建設予定地の用地買収計画なんですが、七百四ヘクタール、このうち未買収地五十四ヘクタールが取り残されて問題となっているわけですが、今後の用地買収がさらにおくれるようですと非常に工事の進捗が阻害されるわけですが、運輸省としてはこの積極的解決策にはどのように取り組まれるお考えでしょうか。
  280. 松本操

    ○政府委員(松本操君) 空港用地七百四ヘクタールのうち、先生いま五十四とおっしゃったかと思いますが、五十ヘクタールのところまでいま未買収地を詰めてきております。   〔委員長退席、理事岩動道行君着席〕 用地の取得が空港建設にとって最も根幹でございますので、今後、取得交渉を鋭意進めるとともに、さらにいろいろ用地交渉を促進していきますための手段方法もあろうかと思いますので、そういった各種の手段方法を講じながら、早期取得という点について一層の努力をしてまいりたい、このように考えております。
  281. 相沢武彦

    ○相沢武彦君 第三次空整の中で継続事業と新規事業がありまして、新千歳空港と同じ三千メートル滑走路を持つ空港整備事業が行われているこの三千メートルグラスの千歳以外の空港では、その工事の進捗状況と供用開始時期、これはどうなっているんでしょうか。
  282. 松本操

    ○政府委員(松本操君) 三次空整の中では千歳を含めまして七空港ございますが、新千歳を除きましたものについて申し上げますと、練習空港、訓練空港という特殊性がございますが、下地が五十四年、それから長崎、熊本、鹿児島の三空港が五十五年、那覇空港が五十六年、こういうふうなことを目途としておりまして、大分及びいまお話しの新千歳につきましては、第四次になってからというふうなことになろうかと考えております。第四次と申しますのは、五十五年以降というふうに考えております。
  283. 相沢武彦

    ○相沢武彦君 いろいろの事情はあると思うんですが、空港整備を全国の中で比較しますと、どうも西高北低の状況だと思うんですが、運輸大臣、千歳空港は東京‐千歳間の単一路線として、利用客が何人で、世界第何位になっているか御存じでしょうか。
  284. 森山欽司

    ○国務大臣(森山欽司君) そういう御質問があるということでありましたので調べてみましたが、世界で第何番目かというところまではわかりませんでした。しかし、昭和五十二年度の実績で三百八十一万人、国内の単一路線としては最も多い路線であるというように考えられますし、輸送量が多いと言われるボストン‐ニューヨーク、ワシントン‐ニューヨーク、ニューヨーク‐シカゴ等の路線とほぼ肩を並べるような線になっている。そういう意味で千歳空港はきわめて重要であると考えております。
  285. 相沢武彦

    ○相沢武彦君 現千歳空港を利用される乗客数は年々七十万人以上の増加を示しておりまして、そのためにターミナルビルも大変手狭になって、利用客へのサービスが低下する一方なんですが、今後、この一連の航空審議会や施設部会、これを踏んまえて、第四次空整の中で供用開始になるように大臣としても特段の努力をいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  286. 森山欽司

    ○国務大臣(森山欽司君) そのようにいたすつもりであります。
  287. 相沢武彦

    ○相沢武彦君 続いて国際航空貨物問題についてお尋ねしますが、現在、国際貨物については全体の九七%が東京、大阪に集中しているわけです。しかも昭和六十年ごろを推計した場合に、地方分散を考えないと、国際貨物の航空ネットワークもそれから物流がスムーズにいかなくなるという議論もあるようです。産業構造上からも将来は機能分担で地方空港のエア・カーゴー・ターミナル計画も検討しなければならない、このように思われますが、いかがでしょうか。
  288. 松本操

    ○政府委員(松本操君) 先生いま仰せられましたように、現在のところ国際航空貨物というものは約九七、八%が東京、大阪に集中をしておるわけでございますが、ただ、これは現時点で私ども考えまするに、航空貨物になじむ貨物の種類というものはわりあいに限られておりまして、高度の工業製品あるいは雑貨の中でもそうかさばらないもの、こういったようなものが、どちらかというと、航空貨物になじんでまいってきておるようでございます。  そこで、今後の問題といたしまして、やはり従来の形でございますと工業生産力の強い後背地を持っているというような空港に、どちらかといえば集中する傾向があったわけでございますが、ただ航空貨物というものは今後少し形を変えていくのではないだろうか、たとえば農畜産物といったようなものにも航空貨物へのなじみが出てくるのではないかというふうなことは十分に予測されると思います。そういたしますと、すべてのローカル空港がということではないと思いますけれども、いま話題に供せられております新千歳のような場合には、農畜産物というものについて見ます場合に、かなり可能性なしとしないということが言えるかと思いますので、そういうふうな点は今後の問題であろうかと思いますけれども、今後、計画を進めていく過程におきまして十分に配慮をしていく必要があろうかと、このように考えております。
  289. 相沢武彦

    ○相沢武彦君 大臣、新千歳空港エア・カーゴー・ターミナル計画調査委員会というのがありまして、この千歳へつくろうという構想が具体的に検討されていることを御存じでしょうか。
  290. 森山欽司

    ○国務大臣(森山欽司君) 私はまだ具体的には承知しておりません。
  291. 相沢武彦

    ○相沢武彦君 五十三年二月に閣議決定された北海道総合開発計画におきまして、北海道の空港関係施設の整備拡充というものが重要な施策として位置づけられております。さらに北海道にとって重要な産業である畜産業についても、現在、外国から種畜導入の実績も大きいのですから、千歳空港周辺に種畜受け入れや畜肉貯蔵などの機能を持たせると、かなり国内外の墓地になって重要な役割りを果たすことになると思うんです。そこで、大臣はまだよく聞いてないというんですが、ひとつしっかり事務当局からお聞きになって、この新千歳空港建設とエア・カーゴー・ターミナル建設、この促進についてひとつ積極的な取り組みを期待したいと思いますが、いかがでしょうか。
  292. 森山欽司

    ○国務大臣(森山欽司君) 北海道における千歳が拠点としての地位という点を考えますと、エアターミナルについては北海道産業構造に及ぼす影響、将来の航空貨物需要等の動向、ただいまいろいろ御示唆ございましたので、検討してみたいと思っております。
  293. 相沢武彦

    ○相沢武彦君 総理にお尋ねしますが、私は、今回の質問で雇用対策を中心テーマにして取り上げてきたんですが、具体的な問題についてはいまお聞きいただいたとおりでして、北海道は求人倍率、それから就職率にしても非常に厳しい環境に置かれております。その対策として、私は、具体的に苫小牧の共同備蓄、   〔理事岩動道行君退席、委員長着席〕 室蘭の白鳥大橋、そして千歳の新空港建設の早期着工並びに完成を訴えたわけですが、このテーマはいずれも大変経済的にも波及効果が大きいですし、それから雇用の創出の場として考えるならば、新たに雇用創出というのは非常になかなかこれは時間がかかるし、むずかしいことと思うので、現在計画されているこういった各種の有益なプロジェクトですね、こういうものについては、より積極的に内閣の最高責任者としてお考えになり、この実現を目指して御努力いただきたいと思うのですが、いかがでしょうか。
  294. 大平正芳

    ○国務大臣(大平正芳君) 北海道の開発の上からも、また仰せの雇用創出の上からも、せっかく手を染めておりまするビッグプロジェクトにつきましては、極力推進してまいるつもりでございます。
  295. 相沢武彦

    ○相沢武彦君 私は、最後の問題として、中小企業の事業活動の機会確保法、いわゆる分野調整法と呼びましたが、この問題についてお尋ねします。  五十二年の九月から施行されたのですが、最近、巧妙なダミー隠しが行われて、分野法の網をくぐった大企業の進出が見られているとか、また、この法律に対する行政当局の対応に非常にばらつきがあって、消極的な対応が目立つなど、運用の面でも問題が多いようでございます。このまま放置しておくと、実質的には分野法のしり抜けになるんじゃないかという声も上がってきているんで、二、三点ただしておきたいと思います。  まず、ダミーの規定についての抜け穴なんですが、現行法の規定では、省令によって特定の親会社が四分の一以上の株主であることが要件となっております。最近の具体例としてですが、大手銀行、住宅メーカーなど約四十社が中古住宅の仲介、あっせんをねらいに共同出資で設立したある会社があるんですが、資本金が三億五千万にもかかわらず、大企業の範疇に入っておりません。これは同社の場合は出資比率が各社平均が原則になっておって、発行済み株式の四分の一以上持つ筆頭株主がいないことから、同法で規定するダミーに当たらないということになっておりまして、実質的な活動は大企業集団のダミーでありながら、法の網をかぶせることができないでいるということなんです。したがいまして、今後、このダミー規定について再検討が必要と思われるのですが、いかがですか。
  296. 左近友三郎

    ○政府委員(左近友三郎君) 御指摘の分野調整法のダミー規定の件でございますが、現在、法律では、この大企業の定義を定め、それから中小企業の形態をとっておりましても実質的に大企業の支配を受けておるというものにつきましては省令で規定をするという形になっておりますが、このダミーをどのような範囲で規定するかということは大変実はむずかしい問題がございまして、法的な安定性ということを考えますと、やはり外形基準ではっきり決めなければいけないわけでございますが、そのはっきり決めなければいけないという点と、それからまた実質の支配関係という両方の間を調和をして現在の規定ができ上がっておるわけでございます。したがいまして、われわれといたしましては、現実の姿をよく見ながら、この省令の規定というものについて絶えず検討いたしておるわけでございますが、現在の時点では、現実の省令の運用でやってまいりたいと思っておりますけれども、将来の事態に備えまして、絶えず検討はいたしたいというふうに考えております。
  297. 相沢武彦

    ○相沢武彦君 現行法では、製造業の場合なんですが、資本金一億円、それから従業員三百人以上でないと大企業にならないのですが、たとえば、豆腐製造業の場合は、従業員十人であっても業界ではかなり大手になってその影響は大きいわけなんです。アメリカでは中小企業の範疇は業種ごとに決められていますが、日本も中小企業の範囲を業種ごとに決める必要があると思うのですが、その点いかがですか。
  298. 左近友三郎

    ○政府委員(左近友三郎君) この分好調整法の規定は、非常な多種多様な業種がございますが、それの大企業と中小企業の分野を調整するといういわば一般法の性格を持っております。そして、中小企業と大企業の調整が必要だというのは、要するに大企業と中小企業の間に生産性等の非常な競争力の格差があるということでございます。  そこで、中小企業基本法を初めとする中小企業の各法律にございます中小企業の定義というのは、実はやはり中小企業と大企業の格差に注目をして、そして中小企業に対して特別の対策を講ずるという観点にでき上がっております。したがいまして、一般法であります分野調整法で業種ごとに細かくやるということについては現実としても非常にむずかしい点もございますので、われわれといたしましては、業種ごとでなくて一般的な定義で処置をいたしたいというふうに考えております。しかしながら、御指摘のようにいろいろな問題もございますので、適用その他について十分考慮はいたしてまいりたいというふうに考えております。
  299. 相沢武彦

    ○相沢武彦君 業種、地域によって実態は多様ですからむずかしいと思いますが、定義を見直さない限り法のスムーズな運用はむずかしいのじゃないかと思います。  それから次に、法四条の自主的解決の努力と法五条調査の申し出の関係について伺いますが、調査の申し出の窓口官庁によっては、分野調整は四条の当事者の自主的解決の努力が中心なんだと、こう言いまして、五条による調査の申し出の受付をどうしても渋りがちだと聞いております。四条の前置主義をとることは法の趣旨に合わないと思うのですけれども、いかがでしょうか。
  300. 町村金五

    ○委員長(町村金五君) 相沢君、時間が参りました。
  301. 左近友三郎

    ○政府委員(左近友三郎君) 御指摘のとおり、法律上の規定では四条は五条の前提になっておりません。いわゆる前置主義ではございません。したがいまして、四条の要するに自主的解決の努力がなければ調査の申し出ができないということにはならないと思います。したがいまして、もしそういうふうな運用がなされておるとすれば、それはやはり遺憾なことでございますので、よく連絡をとってそういうことのないようにいたしたいと思います。ただし、この分野調整という問題につきまして、当事者間がよく話し合う必要があるということは、四条でも掲げておりますように一般的に必要でございますので、この調査の申し出の前後にかかわらず、両者の調整努力というものは十分やっていただかなければいけないということは法の考えておるところでございますが、繰り返して申し上げますが、前置主義ではございません。
  302. 相沢武彦

    ○相沢武彦君 自主的解決が困難な状況だから調査の申し出をする場合が多いわけで、ひとつもっと明確にしていただきたいと思うのです。これは課題にしてください。  最後に、総理に伺いますが、中小企業の関係法律に不備がある場合は、直ちに労働者あるいは雇用の面に影響が大きいわけです。そこで、この中小企業分野法に改善の必要が出た場合、速やかに法の強化を図って、中小企業の経営基盤の確保と雇用の安定、これを図るべきだと思いますが、いかがでしょうか。
  303. 江崎真澄

    ○国務大臣(江崎真澄君) 私の所管ですから私からお答えしたいと思いまするが、従来といえども構造不況業種対策、円高対策等々きめ細かに対処をしてきたところでありまするが、御指摘の点等を十分考慮に入れまして今後とも万全を期していきたいと考えます。
  304. 大平正芳

    ○国務大臣(大平正芳君) 通産大臣がお答えいたしましたようなラインで対処していきます。
  305. 町村金五

    ○委員長(町村金五君) 以上で相沢君の総括質疑は終了いたしました。(拍手)
  306. 町村金五

    ○委員長(町村金五君) 次に、広田幸一君の総括質疑を行います。広田君。
  307. 広田幸一

    ○広田幸一君 厚生大臣にお尋ねをしますが、日本医師会との関係が余りスムーズにいっていない、そうかと思いますと国民の知らない間に日本医師会との間に密約のような約束事がされて事がどんどん運ばれておる、どうも厚生省は日本医師会にすべて牛耳られておると、悪い言い方ですが、そういうことを言う国民がだんだんふえてきておるように思うわけですが、そこで、昔のことは別として、この一年間を振り返ってみて、厚生省と日本医師会との間にどのようなことがあったのか、国民にひとつよくわかるように御説明を願いたい。
  308. 橋本龍太郎

    ○国務大臣(橋本龍太郎君) この一年と言われますと、私の就任する以前からでございますね。――昨年の八月の二十九日に、医薬品に関する資料の発表及び高額所得医師の報道を理由として、当分の間厚生行政に対する協力を停止するという決定を日本医師会はされたようでありまして、今日に至っております。
  309. 広田幸一

    ○広田幸一君 いまの答弁は、橋本厚生大臣になってからといっても、これは去年の八月の末のことですからね。私は一年間と言っておるわけですから、それじゃ、私の方が具体的に問題を提起して御質問申し上げたいと思いますが、昨年の通常国会が終わりましたときに健康保険法の改正案が継続審議決定をいたしました。そのときに、日本医師会は、厚生省に対して非協力と、それから与党の自民党に対しては支援をしないと、こういうようなことを決定したと思います。そこで、その後自由民主党の方では、そういった日本医師会の態度にどういうふうに考えられたか、早速健康保険法の改正案をさらに検討すると、こういう意味合いで小委員会を設置された。ところが、そこで日本医師会の方はもとどおりの正常化に返ったと、こういうふうな経過が当時あったわけですけれども、一体、当時、日本医師会というのはどのような意味でそうした態度というか、とられたのか、そのときの事情をお聞かせいただきたいと思います。
  310. 橋本龍太郎

    ○国務大臣(橋本龍太郎君) 昨年六月二十日から第八十四国会におきまして健康保険法改正案が継続審議とされたということを理由としまして厚生省と断絶状態に入りまして、その状態は七月二十五日まで続いております。また、八月二十九日からは先ほど申し上げましたような状態がまた続いておるわけであります。  健康保険についての医師会の態度というものにということでありますが、私どもが存じております限りにおきましては、日本医師会の主張としては、医療保険制度の体系について再編成を行い、全国民を対象とする地域保険に一本化することを主眼にしているというふうに理解をいたしております。  一方、政府といたしましては一御承知のように、現在国会に御審議をお願いいたしております健康保険法の内容が示しますとおり、現行の被用者保険制度の沿革、また国民世論の動向等に照らしまして、一本化というものには相当の問題があるという認識のもとに、むしろ医療保険制度全般にわたっての平等な給付、公平な負担等を実現する方向で改革を図っていきたいということを考え、そうしたことに基づく案を国会に提出をしておるという状態でございます。
  311. 広田幸一

    ○広田幸一君 私の言っておることに大臣は答えていないと思うんですよ。私が言ったのは、なぜそういうふうなことを日本医師会がとったかと、どういうところにねらいがあったかということを聞いておるわけでございまして、いまおっしゃった当時、日本医師会としては、現在の医療保険制度というものを三本立てにしようと、そういうふうな考え方が出ておったと思いますね。私はそういう考え方が一つの理想ですから決して反対をするというわけではないわけです。ただ、あのような時点でなぜそういった医師会の方針が入れられないと一切厚生省の仕事に対して非協力な態度をとると、そういうところに私はわからないものがあるわけですよ。私は、当時橋本厚生大臣はいわゆる衆議院の社会労働委員会の委員長でもありますし、こういった問題についてはかなり精通した人であったわけですから、十分その辺の事情というものはよく御承知になっておったと、こういうふうに思いますがゆえにその点をお尋ねしておるわけです。もう一回答弁してください。
  312. 橋本龍太郎

    ○国務大臣(橋本龍太郎君) 私は、一昨年衆議院の社会労働委員長でありまして、昨年は社会労働委員長を務めておりません。
  313. 広田幸一

    ○広田幸一君 それでは質問しますが、当時、日本医師会の意向として橋本私案のようなものが出たというふうに仄聞しておりますが、そのようなことはなかったですか。
  314. 橋本龍太郎

    ○国務大臣(橋本龍太郎君) 昨年、通常国会に健康保険法改正案を提出いたしますまでの間に、審議会等の時間がかかりましたために、自由民主党としては健康保険法改正案の提出を認める、ただし法案の内容については党内において政策決定機関で論議をいたしませんでしたために、その後においても検討を続ける、場合によってはその修正あり得べしという状態のまま国会に健康保険法改正案を政府が提出する事態になったと、これは御承知のとおりの状況でございます。そこで、党の中で政務調査会の一つの機関としての医療基本問題調査会が党としての考え方を整理する過程におきまして、その当時日本医師会から出されておりました医師会の考え方というものを要約をする役割りを私が仰せつかりまして、そういう作業をいたしました。俗に橋本私案ということでそれが呼ばれておることも事実でございます。ただし、同時に小委員会はその後作業を停止いたしておりまして、その時点においてはそれ以上の進展はございませんでした。
  315. 広田幸一

    ○広田幸一君 その辺のところが非常に微妙なわけですけれども、私の言いたいのは、何かこうありますと、日本医師会がもう厚生省の仕事には協力しないとか、いろいろな圧力をかけるというそういう姿勢に対して、私はこれはもう政治の責任だというふうに思っておるわけですよね。いろいろ言われましたけれども、私は当時のいろいろな材料を見まして感じておりますのは、ねらいというのは、当時、問題の診療報酬の課税の特例の是正の問題、いわゆる医師優遇税制の問題に対して、日本医師会としては非常に反発をしたと、そういうことがあって、ただ、非協力というその精神ですね、そういうところに私は問題があると思うのです。総理大臣は当時幹事長をしておられたわけですが、当時、党としては小委員会を設置するというようなこともありまして、そこなんかの事情というのは党として何かこうごたごたしておったような経過があるのじゃないですか。そこなんかのところをひとつ御報告願えませんか。
  316. 大平正芳

    ○国務大臣(大平正芳君) 大変むずかしい問題でございますので、党内のコンセンサスを容易に得ようとしてもなかなか得られない問題であることは広田さんも御了解いただけると思うのでございまして、私どもといたしましては、医師会の協力を得ないと医療行政はなかなかはかどりませんし、といって医師会の御要求どおりこれをうのみにするわけにもまいりませんし、そこらあたりをかれこれ思案いたしましていろいろな手順を踏んで検討いたしておった経緯はございますが、一つ一つのデテールにつきまして私はいまちょっと記憶をいたしておりませんが、いずれにいたしましても、また、それは党内のことでございまして、国会に提案するまでの過程の問題でございますので、さよう御承知願います。
  317. 広田幸一

    ○広田幸一君 大蔵大臣にお尋ねしますが、総理大臣の諮問機関であります税制調査会が毎年答申を出すわけですわね。その答申が法制化するために国会に提案されなかったというような例がいままでありますか。
  318. 金子一平

    ○国務大臣(金子一平君) 医師税制を除いてはいままで大体立法化されているように考えております。
  319. 広田幸一

    ○広田幸一君 大臣、この診療報酬の課税特例の是正という答申が今日まで二十数年間にわたって法制化のために国会に出なかったというのは、どういうところに理由があるのでしょうか。
  320. 金子一平

    ○国務大臣(金子一平君) これはもう広田さん篤と御承知のとおり、二十五年間この制度が続きまして、続きますについてはそれだけのやはり理由があったと思うのでございます。一方においては、医師会側といたしましては、診療報酬自体の是正の問題、診療を取り巻くいろいろな環境整備をしっかりやれというような主張もございましたわけでございます。しかし、私どもとしましては、それはそれとして進めていただくことにいたしましても、課税の問題はこれと切り離して片づけなければ世間の納得を得られない、こういう意味で、ここ数年前からこの問題を取り上げて、やっとまあ今回提案いたす運びにいたした次第でございます。
  321. 広田幸一

    ○広田幸一君 大臣のおっしゃることは私は筋が通らないと思うんですよ。やっぱり大蔵省というのは所得に応じて課税をするというのがあなたの方の仕事であって、医者というのが、医療機関というのが、公共性があるとか、あるいは特殊性があるとか、そういう社会性の問題は別の場で検討されることであって、私は明らかにこれは二十数年間にわたって日本医師会というものの圧力に屈したと、そういうことが言えると思うんですよ。  大臣、これは余分なことですけれども、余分といっても大変な問題ですけれども、一般消費税の導入に大臣はきわめて積極的でありますけれども、国民の大半が反対をしておるというのは、一体どこにあるとあなたはお考えになりますか。
  322. 金子一平

    ○国務大臣(金子一平君) これは、一つは、消費課税と申しますか、間接税の実施につきまして日本は風土的に慣れていないんです。そういう新しい税制を取り上げることになったわけですけれども、これは中身はわかりませんで、特に戦後の取引高税の苦い経験が中小企業の人の脳裏に残りておりますから、またあんなことをやられるのかいという反発がやはり一つあると思います。  それからもう一つは、この国会でもいろいろ御論議いただいておるのでございまするが、政策税制、私どもはすべての特別措置が不公正だとは思っておりませんが、そういうものの整理をもっとしっかりやれよと、特に医師税制は何だと、こういうことでございましょうけれども、この点は相当思い切って毎年メスを入れて、医師税制につきましても、私どもとしては、全体を総合して、何と言うか、切りかえのときのクッションを置いたわけでございます。まあ相当の前進と考えておる次第でございます。
  323. 広田幸一

    ○広田幸一君 私は、いま国民の感情として、こういう安定成長時代になったわけですから、一定の負担というものは負わなければならないという気持ちはあると思うんですよ。問題は、世の中の不公平というものを直してもらいたい、そこに国民の一般消費税等に対する反対の非常に強いものがあると思うんですよ。その中に医師優遇税制というものが今日何年間も放置されておったということがそういうふうな国民の感情になっておるということを大蔵大臣は本当に肝に銘して今後対処してもらいたいと思います。総理大臣、その点私の考えていることは間違いでしょうか。
  324. 大平正芳

    ○国務大臣(大平正芳君) あなたのおっしゃることはよく理解できます。
  325. 広田幸一

    ○広田幸一君 厚生大臣に質問をいたしますが、ひとつ正直に答弁をしてください。別に私は前段申し上げたように厚生省と日本医師会がそう癒着をしているという意味で言っておるわけじゃありませんから、あなたも並み並みならぬ苦労をされておるということは私もわかっておるわけですから、ひとつ素直に答えてもらいたいと思うのですけれども、昨年の八月の二十九日でございますか、日本医師会が厚生省の綱紀紊乱ということを理由にいたしまして非協力の宣言をいたしまして、しかも今日に至っておるということでございますが、当時どういうようなことがあったのか、ひとつ事情をお話し願いたいと思います。
  326. 橋本龍太郎

    ○国務大臣(橋本龍太郎君) 先ほどからもきわめて素直にお答えをいたしております。先刻も申し上げましたとおりに、医薬品に関する資料の発表及び高額所得医師の報道を理由として断絶状態に至ったと、そのように聞いております。
  327. 広田幸一

    ○広田幸一君 これは当時厚生大臣じゃなかったから私は知らないと言えば、局長もおられるわけですから、ひとつ答弁をしていただきたいと思うのですが、どういうことがあったのですか、綱紀素乱ということは。
  328. 石野清治

    ○政府委員(石野清治君) 長者番付の問題に端を発したわけでございますが、その経緯を若干申し上げますと、実は昨年の二月の一日に診療報酬の改定をいたしました。その際に、中医協の支払い者側の委員から、医療費のむだ排除について厚生省と協議をしたいということで覚書が取り交わされまして、それに従いまして数回会合を持ったわけでございます。その際に、八月のたしか九日だと思いましたけれども、中医協の支払い者側の委員に対しまして――求めがございましたので、全国の高額所得の医療費の状況について調査してほしいと、こういう申し出がございました。しかしながら、これは全国の調査をするのはなかなかむずかしゅうございますし、短期間ではできませんでしたので、私の方は、一部の医療機関であるならば、しかも外へ出さないという前提で調べてみますと、こういうことで御答え申し上げまして、約一ヵ月かかりましてでき上がりましたのが八月九日に資料として配ったものでございます。その内容は、あくまでもほんの一部の高額所得の医療機関について調べたものでございまして、全国の医者がそうだと、こういう内容ではございませんでございましたけれども、たまたまそれがたしか八月の二十一日か二日の読売新聞の記事になりまして、いかにも全部の医療機関が非常に高額の診療をやっておると、こういうふうなことで、いわば非常識の診療をやっているのではないかというような報道をされました。それがいわば今度の綱紀素乱という形できめつけられまして、厚生行政非協力というふうになったように理解されます。
  329. 広田幸一

    ○広田幸一君 それで、そういうような日本医師会の態度に対して、厚生省としては御無理ごもっともだと、われわれが悪かったというふうにお感じになったわけですか。
  330. 石野清治

    ○政府委員(石野清治君) 私の方は、先ほど申しましたように、あくまでも一部の高額医療の問題について調べたものでございますので、それがいかにも全国すべて行われているというふうな形で報道されたというような印象を与えましたものですから、その点については確かにこれは余りいいことではないと、こういうふうに判断をいたしておりました。
  331. 広田幸一

    ○広田幸一君 私は、常識として、いずれにしても一部にしてもそういう診療報酬の不正請求、水増しがあったわけですから、日本医師会としては、国民に対してまことに申しわけないと、今後医師会としても十分切磋琢磨をして国民の皆さんの期待にこたえると、そういうことがあってしかるべきでしょう。そういうことがなしに、すぐ厚生省とのもう出入りは禁止すると、そういう状態が今日続いておるでしょう。私はそういうところにいまの政治というものがもう日本医師会に牛耳られておると、一部には厚生省はかいらいであるというふうなことを言われておるという、そういう声がだんだんと高まってきておるという現実についてわれわれは本当に反省しなければならない。一昨日も、この医療費が増高して五十四年度の予算では三兆三千億円だと、何とかしなければならない、見直さなければならないということを総理大臣が答弁されているわけでしょう。私はこういうところに国民がいまの医療行政に対して非常な不信感を持っておると思うんですよ。  厚生大臣、そこで昨年国民に向かって約束されておると思うのですけれども、乱診乱療、そういった医療費を節約するための一つの方策をとるというふうにお約束になったわけですけれども、どういうふうなことがやられてこられたか、御説明願いたい。
  332. 橋本龍太郎

    ○国務大臣(橋本龍太郎君) 正確な日にちは一月二十五日付だったと私は記憶いたしておりますが、保険局長通知をもちまして社会保険診療報酬の審査、監査の強化についての通知を出しました。そして、その内容は、従来現実に不正請求のチェックのみに終わっておりましたこの業務に対しまして、たとえば、常識から見て異常に高い診療点数を付しておるケース、あるいは必要もないのにだらだらと長い医療を続けているようなケース、あるいは特に最近非常に問題を起こしております腎透析のようなもの、これにつきましては財務監査、経理監査までをあわせて指導、監査を行う。同時に、これに対して、都道府県でまだ全部技官の配置のできておらないところもあるわけでありますから、本省に専任の担当者を置き、プロジェクトとして随時必要な場所に出向くことができるような体制をつくっております。
  333. 広田幸一

    ○広田幸一君 昨年問題になりました大阪の川合病院、あれが国会で問題になって、当時の小沢厚生大臣は、ごもっともだと、調査をして監査をしますというふうにお約束になったが、その後どうなっておりますか。
  334. 石野清治

    ○政府委員(石野清治君) 川合病院の問題は、まさにいま大臣が申し上げましたような当・不当の問題でございます。不正の問題じゃございませんで、当・不当の問題でございますので、一月二十五日の通知によって初めて医師会と協力してこれについて指導、監査ができると、こういうふうになったわけでございます。昨年の十月以来、川合病院につきましてのデータはそろえておりますけれども、現在いろいろなむずかしい技術的な問題がございまして、どういう観点からこれをやるべきかについて内部で検討いたしておるところでございます。
  335. 広田幸一

    ○広田幸一君 私は、そういう通知が一月何日かに出たということについては、内容を見まして一歩前進であるというふうに理解します。しかしながら、問題は、川合病院、それからこの間これも国会で問題になっておりました京都の十全病院、いろいろなことがあったわけです。しかし、それに対して厚生省がわかっておってもなかなか入れない。それは要するにここに申し合わせ事項がすでにあるわけですね。申し合わせ事項があるということは、調査をし監査をしようとするときには地元の医師会が立ち会いをしなければならないという申し合わせ事項があるわけですね。この問題が残念ながら通知は出ておりますけれども残っておるわけです。ですから、悪い考え方の医師会の場合は、そういう問題が出ましても、いや、おれはそういう問題には立ち会わないということになればいけないと思うんですね。ですから、私は、いま大臣がおっしゃったような通知が一月に出ておりましても、もとのこれを何とかしなければ、やっぱりどこかでそういう問題が起きてくる可能性はあると思うのですが、大臣、どうでございますか。
  336. 橋本龍太郎

    ○国務大臣(橋本龍太郎君) これはそれこそ私がまだ国会に出ますはるか昔の話でありますけれども、当時監査、指導のために自殺者等を出したということから、国会が間に入れられてそうした合意をしたという過去の経過があることを私も承知をいたしております。ただし、同時に、この一月二十五日の通知をごらんいただきますとおわかりのように、こういう指導、監査の強化の方針につきましては、断絶状態の中とはいいながら日本医師会そのものも合意し、合意した上でこれに対する協力をお約束をされております。ですから、私どもは、本予算の成立を一日も早く声願いをすると同時に、それによって定められております要員の確保等を大至急行い、準備を整えて順次これに対処していきたいと、そのように考えております。
  337. 広田幸一

    ○広田幸一君 時間がありませんからこの辺でこの問題は打ち切りたいと思いますが、総理大臣、私も時間の関係で急いだ質問になりましたけれども、とにかく残念ながらいままでの医師会の姿勢というものは何か気に食わないことがあればすぐ断絶、あとは文句なしについてこいという、そういうやり方が多かったように思います。総理大臣は、いわゆる権力指導型というものは戒めなければならないと。私はあなたのそういった考え方が総裁になられたというふうにも聞いておるわけですが、もう今日の情勢としてそういうような考え方は国民が許さない。日医がそういうふうな姿勢をとるならば、みずからが墓穴を掘るというようなことになると思うのですが、私は、そういう状態を今日まで認めたということにはなるでしょうけれども、やっぱり放置してきた政治の責任というものは反省をしなければならないと思いますけれども、今後の問題として、日本医師会の代表を呼んでよく話し合いをして、反省を求めながらいわゆる国民皆保険としての再出発をするというそういう緊急な措置をされるべきである、健康保険法の問題は急がなければならないわけですから。総理大臣の見解をお聞きします。
  338. 大平正芳

    ○国務大臣(大平正芳君) 問題は二つあると思います。  一つは、医師会のやられておることに対する御批判があったと思いますが、医師会も名誉ある開業医の集団でございまして、それのやられておることについての評価は医師会自身が受けてそれに対処されることと思うので、私はあえてここで申し上げません。  ただ、広田さんが御心配になっている問題は、医師会と政府との関係が正しくなければならぬということであろうと思うのでありまして、それは仰せのとおりだと思うのでございます。医師会と政府の関係は公正でなければならぬと存じます。ただ、従来の経緯がございまして、いろいろのいきさつを厚生省としては無視できない立場にあろうかと思いますけれども、公正なものにしなければならぬことは当然でございますので、その点につきましては一層努めて公正を期していく、国民の納得がいくような関係にしなければならぬと思います。
  339. 広田幸一

    ○広田幸一君 次は、問題の財政調整の経過はどういうふうになっておりますか、大臣。
  340. 橋本龍太郎

    ○国務大臣(橋本龍太郎君) 五十二年の十一月に本院におきまして政府は十四項目にわたる医療保険制度改正の基本的な方向づけを御説明を申し上げました。そうして、それを受けまして現在継続審議になっております健康保険法を提出した次第でありますが、この基本には、将来において共済までを含めた財政調整というものを考えることを前提に、制度間の格差の是正、また累積赤字の処理等、そういう状態に至るまでの間、組合管掌健康保険内部における財政調整というものを内容として御提案申し上げているわけであります。  昨年の十二月、自由民主党の齋藤幹事長と武見日本医師会長との間におきまして二項目の合意が行われ、そのメモにおきまして、一つはプライマリーケアの重視ということ、一つは制度間の政府管掌健康保険及び組合管掌健康保険の中における給付の公平、負担の公平、すなわち社会的な公正の確保ということを前提にした合意がなされ、これが財政調整を意味するものであるという御説明を受けました。そういう事態があったことは私どもよく承知をいたしております。ただし同時に、その時点におきまして、日本医師会長に対しましても自由民主党齋藤幹事長に対しましても、その財政調整というものは政府としては責任は持てないということも申し上げ、党としては五十四年度予算に影響を及ぼすような事態にはなさらぬという結論をお出しいただいておるところであります。
  341. 広田幸一

    ○広田幸一君 これは党のことですから大臣はそこまで入ってはわからないということですけれども、これはだれに質問したらいいですか。総裁であります総理大臣にこの財政調整のその後の経過をお聞きしますが、お答え願えますか。どうなっておりますか。
  342. 大平正芳

    ○国務大臣(大平正芳君) 日本医師会長と自民党幹事長の間でそういう話し合いがありましたということは聞いておりますけれども、その後どういたしておりますかは、自民党内で検討しておると思うのでございますけれども、そのことにつきましてはまだ報告を受けておりません。
  343. 広田幸一

    ○広田幸一君 大臣、この問題は健康保険法の問題と無関係ではないと思います。あなたもこの問題が健康保険法と関係がある、党が決定したならば連絡をしてくれるだろうということをどこかで答弁をされておるようでありますが、したがって、この問題は無関係ではないわけですから、あなたの方としてもその成り行きがどうなるかということについては重大な関心を持っておられるはずでありますが、どうですか。
  344. 橋本龍太郎

    ○国務大臣(橋本龍太郎君) 衆議院における予算審議の過程におきましても同様の御質問をちょうだいいたしました。齋藤幹事長と武見日本医師会長の合意事項の一つであります政府管掌健康保険と組合管掌健康保険の負担、給付の不公正是正の問題につきましては、自由民主党において検討をされるということであり、党案をまとめるに当たっては党が責任を持って内容が昭和五十四年度予算の修正につながることのないようにするという確認を幹事長から得ております。
  345. 広田幸一

    ○広田幸一君 私は、この幹事長と武見会長との約束の前提はいわゆる医師優遇税制を認めている。認めるからこの財政調整をやってくれと、こういう約束になっておるように私は聞いておるわけでありますが、日医のニュースなんかを見ましてもそのことをはっきりと会長がおっしゃっておる。そうしますと、これは予算案では医師税制によるところの増収入が七百三十億円あるわけですね。ですから、予算と、確かにこの健康保険法の方の改正による、五十四年度の方には影響させないということですけれども、七百三十億円については影響が出てくるということになるのではないですか。どうですか、この点は。
  346. 橋本龍太郎

    ○国務大臣(橋本龍太郎君) 租税特別措置の問題とこの二項目の合意事項が関係があるというお話は、私は幹事長から受けておりません。
  347. 広田幸一

    ○広田幸一君 それじゃ別の視点から質問をいたします。  武見メモというのがありますね、大臣。これまで知らぬと言いますか。武見メモというのがありますね。これは党の財政調査会の顧問である中山代議士が武見会長に十二月の二十二日に会ったときに示された武見メモでありますが、この内容はどういう内容になっておりますか、主なところを説明してください。
  348. 橋本龍太郎

    ○国務大臣(橋本龍太郎君) 財政調査会ではなく税制調査会であります。また、中山代議士ではなく、山中代議士だろうと思います。  そこで、山中貞則先生に武見さんからメモを渡されたという話は聞いておりますし、その内容について、健康保険組合を徴収組合にするという問題が一つ、それから健保組合の事業等についての課税の問題が一つ、そうしたところが大きな柱であるというふうに伺っております。
  349. 広田幸一

    ○広田幸一君 大臣、これは、武見メモの中にある、いわゆる健保組合というものを将来は保険料の徴収組合にする、いわば解体をするという内容になっておるわけですね。私は、そういうことになると、財政調整ということは健康保険法の問題と非常に大きな関連が出てくると思うのですが、どうでございますか。
  350. 橋本龍太郎

    ○国務大臣(橋本龍太郎君) どなたでありましても御自分の御見解を御発表になることについて私どもが意見を申す立場ではございません。ただ、政府は、先ほどから申し上げておりますとおり、共済までを含めた将来財政調整ができるまでの基盤をつくっていけるまでの間を組合管掌健康保険内部における財政調整を行うというたてまえの健康保険法改正案を国会に昨年提出をし、現在もその御審議をお願いしておるところでございます。
  351. 広田幸一

    ○広田幸一君 保険局長は、この健康保険法の体制からして財政調整をして健康保険組合を解体するということには反対であるということをはっきり述べていますね。その点はどうですか。
  352. 石野清治

    ○政府委員(石野清治君) 私が衆議院の社労委員会で御答弁したのは趣旨が違いまして、御質問の趣旨が、いま山中先生に渡された健保メモによりますと、武見会長は健康保険組合を単なる保険料徴収機構にするという考え方についてどうかと、こういう御質問でございました。したがいまして、私は、それにつきましては、単なる保険料徴収機構にするということは健康保険組合を保険者としての地位を外すことになりますので、それについては妥当ではないと、そういうふうにお答えをしたわけでございます。
  353. 広田幸一

    ○広田幸一君 これはやっぱり総裁である総理大臣にお尋ねをしなければならないわけですけれども、こういう重要な問題が健康保険組合には何ら相談がされていない。健康保険組合には家族を入れまして二千八百万人の人間がおるわけですね。それを解体に持っていくというような考え方になるわけですから、武見メモはですね、そういうことを健康保険組合に何も相談をせずに、日医の話し合いの中で、しかも医師優遇税制を認めてもらわなければならない、追い込まれたかもしれないけれども、そういうことを約束して、肝心な健康保険組合に何ら相談をしていないというようなことは、これはけしからないではないですか。ですから、現在は、健康保険組合、これが挙げて反対をしておるというのも私はむべなるかなと思うのですが、総裁としての総理はどうお考えになりますか。
  354. 橋本龍太郎

    ○国務大臣(橋本龍太郎君) 総理がお答えになる前に事実を正確にしておきたいと思います。  私どもは政府として財政調整を行うということを何も申しておりません。将来においてその給付の格差でありますとか累積赤字の問題でありますとかが処理された時点においては、これは私どもも共済を含めて一本化していくことが望ましいと考えております。そして、それを前提にして、先ほどから申し上げますように、現在健康保険法の御審議を願いたいと申しておりますのは、組合管掌健康保険の内部における財政調整であります。ですから、政府として健康保険組合に対して財政調整を御相談をするもしないも、政府は何もそのようなことを申しておらぬわけであります。
  355. 広田幸一

    ○広田幸一君 私は総裁に聞いておるんだよ。総裁に聞いておる。
  356. 橋本龍太郎

    ○国務大臣(橋本龍太郎君) いや、いまの、ですから事実をはっきりさせておきたいと思いますと申し上げて私は申し上げておるわけであります。
  357. 大平正芳

    ○国務大臣(大平正芳君) 広田さん、あなたと私とがまだ議論するのは早いと思うのです。また、自民党の中でそういうやりとりがあったようでございますが、自民党の中でいま検討しておるようでございまして、自民党が健康保険組合の方とどのような御連絡をしますか、それは自民党が考えることでございましょうが、この国会の場におきましては政府が責任を持てる案件につきまして国会に対して責任を負う政府が答えるわけでございますので、まだ政府案というものができていないので、あなたと私がいまやりとりをするのは時期尚早じゃないかと思います。
  358. 広田幸一

    ○広田幸一君 そういう禅問答のような言い方では国民にはわからないですよ、実際わからないですよ。健康保険組合の人たちはですね。  委員長、ちょっとこの資料を回してください。これを総理大臣とそれから厚生大臣に渡してください。これは恐らく厚生大臣は御承知だと思いますね。知っておられませんか。一年生の私がわかるのに、十年選手のあなたがこういうものが出ておるということをわからないというのはおかしいですよ。いいですか、この内容は、これは日本医師会が年次計画として出しているものであります。そして、これによりますと、五十四年は政管健保と組合健保の財政調整を準備する、そして五十五年はこれを実施すると、それから五十六年、五十七年は組合健保解体に持っていくと、そういう案が出ておるわけですよ。こういう案に沿って政府・自由民主党は事をどんどん運んでおるということにならないでしょうか。現実にそうなっておるわけですよ。どうです、総裁の総理大臣として。
  359. 橋本龍太郎

    ○国務大臣(橋本龍太郎君) これは総理に御答弁をいただくまでもなく私がお答えをすべきことだと思います。  ですから、先ほどから申し上げておりますように、政府は、組合管掌健康保険内部における財政調整を行う健康保険法改正案をいま御審議を願いたいとお願いをいたしておるわけでありまして、日本医師会が日本医師会としてのお立場で議論をなさること、また健保連も健保連としてのお立場で議論をなさること、これについて私ども別に否やを申すつもりはありませんけれども、政府はあくまでも組合管掌健康保険内部の財政調整を行う健康保険法改正案をただいま御審議を願いたいとお願いをしておるところでございます。
  360. 広田幸一

    ○広田幸一君 まあ政府と政党との関係が別個だと言われれば追及の質問の仕方も実際戸惑うわけですけれども、これは中身は一緒なんですよ。それは十二月の二十五日の日に武見会長とそれから齋藤幹事長が会ったときに橋本厚生大臣も会っておるわけです。しかし、そのときは十分間会って私は内容は知らない、そのことは非常にむずかしいことであるというふうに言っておるわけですよ。そういうことは責任が持てないというふうに言っておると。まあ事実は知りませんよ、そう言っておるわけですよね。しかも、一方においてはどんどんやられておるわけでしょう、こういうことが。ですから、党のことは知らないというふうにおっしゃるけれども、私は、健康保険法の改正案は改正案として認めてくれ、片一方の方はこういう財政調整は今度議員立法として出しますというふうなことを言われても、私たちは健康保険法の改正案に本当に真剣に取り組んでいいかどうかという疑問を持たざるを得ないんですよ。どうですか。
  361. 大平正芳

    ○国務大臣(大平正芳君) 医師会と自民党の間にいろいろなやりとりがありましたこと、これは私も承知いたしております。そして、そのことは非常に重大なことであるということも私わかります。それで、もしそういうことでどんどん事が運んでそれを政府が取り上げて成案になりまして国会に出すということになると事柄は容易でないということも、あなたがおっしゃるとおりだと思うんですよ。私が申し上げているのは、そういう問題につきましては自民党内で検討いたしておるところでございまして、そこまで私は聞いておるわけで、こういう政府としてどうでしょうかということでいままだ御相談をいただいていないわけなんでございます。ですから、私ども、あなたの御心配の点はよく理解いたしますけれども、物事の手順といたしまして自民党の中にまだ問題があるわけでございますので、あなたと私とここで議論するのは少し早いと思います。
  362. 広田幸一

    ○広田幸一君 私は去年からこういう実態をずっと見ておりまして、昨年この健康保険法の改正案が出る。当時は橋本厚生大臣は反対だったわけでしょう。今度、大臣になると、これが賛成。しかも、大臣に就任したときは、いや、これは修正されても仕方がないということをあるところで言っておるわけですよね。私は一貫したものがないと思うんですよ。何かにずうっとこう左右されながらやっておる。くどいようですけれども、今日、健康保険法の改正というものは急がなければならない重要な問題でしょう。きちんとした政府の方針、与党である党の方針というものもしっかりしていなきゃならないと思うんですよ。医師会の方がこう言えば、すぐ小委員会をつくってそしてごきげんを取るようなことをやる。一貫していないわけですよ。そして、国民は、健康保険法の改正案によって政管健保はどういうふうになりますか、五十四年と五十五年の収支の見込みを報告してください。
  363. 此村友一

    ○政府委員(此村友一君) 政管健保の五十四年度と五十五年度の財政収支につきましては、まず五十四年度におきましては、法改正が八月に実施されるものとして予算を編成しておりまして、単年度で四百六十三億円の黒字、四十九年度以降の累積収支では千百七十八億円の赤字となる見込みでございます。さらに、五十五年度におきましては、制度改正の効果が満年度化するために、単年度におきまして千三百九十四億円の黒字、四十九年度以降の累積収支におきましては二百十六億円の黒字となる見込みでございます。
  364. 広田幸一

    ○広田幸一君 いま報告がありましたように、政管健保の赤字は五十三年度末の累積赤字として千六百四十一億円。これが健康保険法の改正によって、五十四年度は四百六十三億円の黒字になり、五十五年度は千三百九十四億円の黒字。千六百四十一億円の赤字というものを解消して、さらに五十五年度は二百十六億円の黒字になるわけですよ。これはどうなるんですか。給付は抑えて、そして保険料を取るわけでしょう。国民の生活がいま困っておるときに、さらに負担を追い上げていくような内容でしょう。そういうことが片一方においてなされながら、何ですか、一つの団体だけの意向をくんで右往左往するというようなことで本当に国民のための皆保険としての医療健保体制ができますか。どうですか、答弁してください。
  365. 橋本龍太郎

    ○国務大臣(橋本龍太郎君) 先ほども申し上げましたように、昨年国会にこの健康保険法改正案を提出いたします時点におきましては、確かに党内で検討の時間がありませんでしたので、提出手続だけを認めて、内容の審議は後で譲るという過程があったことは御報告を申し上げたとおりでございます。ただし、同時に、五十四年度予算編成に際しまして、私は党に対して、現在継続審議中になっております健康保険法を継続にし、それを踏まえて予算編成を行うと、すなわち、これを了承してもらいたいということを申し、党の了承を得て、それによって予算編成をしてきたわけであります。その過程におきまして、この健康保険法は党の関係部会の御審議もいただいたわけでありますし、党としてこれについての意思は決定されておると私は考えております。  また、今回の健康保険法等の一部改正案の作成に当たりましては、もちろん関係団体の意見も聞いてまいったわけでありますし、関係審議会の答申及びその御審議の過程で示された御意見を十分に検討し、できる限りこれを尊重する方向で努力をしてきたところでありまして、今後においても厚生省として同じような態度をとっていくことは当然であると考えております。
  366. 広田幸一

    ○広田幸一君 厚生大臣、こういう財政調整というような重要な問題は、社会保険審議会等にやはり相談すべき事項と違いますか。
  367. 橋本龍太郎

    ○国務大臣(橋本龍太郎君) ですから、財政調整をもしやると私どもが仮定すれば……
  368. 広田幸一

    ○広田幸一君 いや、それはあなたに聞いておるんです。
  369. 橋本龍太郎

    ○国務大臣(橋本龍太郎君) いや、ですから、私どもがそれをやるとすれば、仮定の問題でありますけれども、やるとすれば当然社会保険審議会等の議を経なければならないものであるとはもちろん思います。
  370. 広田幸一

    ○広田幸一君 大臣は私なんかと違って十年選手であって、何もかにも知っておるわけですよ。いまのようなことも、自民党の中で、社会保険審議会に諮らなければならないような問題を、党がやっておることだからおれは知らないというような、そういうことは言えないでしょう。そこなんかのところが私はちぐはぐだと思います。時間がありませんから……。  そこで総理大臣、私は政管健保と組合健保の調整、いわゆる黒字のところが赤字を助けてやるということは、私は将来の方向として悪いことではないと思っておるわけです。ただ、その前に前提があると思うんです。健康保険組合は健康保険組合としての特徴があるし、政管健保は政管健保としての赤字になる体質があるわけです。そういうものをまず直して、是正をして、それから話し合いをしていくというならわかるのです。そういうこともしないで、ただ黒字でもって、黒字のところが赤字を埋めてやれというようなことでは、私は二年、三年もすればまた赤字になってくる、目に見えておるわけです。そのもとをまず正しなさいということを言っておるわけです。われわれ社会党としても考え方があります。二千八百万人の政管健保の組合員の人たちを一括しておるわけですから、十分な管理ができないわけですよ。ですから、こういうのは社会保険事務所の単位に分割をしていくというふうなことも、党の方針としても決めておるわけです。しかし、そのことがすぐできるわけではないわけです。そのことを私たちは言っておるわけではありません。ただ、現実問題として処理をするときに、組合健保の解体を前提にしたようなそういうものに、党がいまやろうとしておるようなことが、これは一体国会に通ると思いますか、私は通らないと思いますよ。まあ、総裁に物を言うというようなことはめったにありませんから、私はそういうふうな意見を申し上げておきたいと思います。  さて、最後に私は、やっぱりこういうような重要なことは国民のコンセンサスを得られなければならないわけですから、もっとみんなと話し合いをしていくという、それがあなたの政治姿勢でしょう。各団体、各政党とも十分に話し合いをして、コンセンサスを得てやりますということをあなたはお約束になっておる。どうもこの医療行政についてはそういう点が非常に欠けておると思いますが、今後の問題として総理大臣はどのようにお考えになりますか。最後にあなたの御意見を承って、私の質問を終わります。
  371. 町村金五

    ○委員長(町村金五君) 広田君、時間が参りました。
  372. 大平正芳

    ○国務大臣(大平正芳君) いずれにいたしましても、その案件ばかりでなく、どの案件にいたしましても、やっぱり国会に御提案申し上げて、各党の御理解を得て成立せしめなければいけないわけでございまして、広田さんがおっしゃるとおり、成案を得ましたら十分お話し合いをお願いいたしまして、御理解の上、できるだけ円滑に処理していくように努めたいと思います。
  373. 町村金五

    ○委員長(町村金五君) 以上で広田君の総括質疑は終了いたしました。(拍手)     ―――――――――――――
  374. 町村金五

    ○委員長(町村金五君) 次に、瀬谷英行君の総括質疑を行います。瀬谷君。
  375. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 総理に最初にお伺いいたしますが、元号法制化の問題はいままでしばしば御答弁を伺ったのですが、なぜ急ぐのかという、急がなければならない理由は何かということをまずお伺いしたいと思うのです。
  376. 三原朝雄

    ○国務大臣(三原朝雄君) 総理がお答えになります前に、一言主管大臣としてお答えをいたしますが、再三申し上げておりますように、元号法制化の問題につきましては、国民の大多数の方がただいまこれを使用し、生活にも定着いたしておりますし、ぜひ存続をいたしたいという願望を持っておられるわけでございまして、また政府におきましても、かねてからこの問題と取り組んでまいっておったのでございまして、実は私は前臨時国会のときには国対担当をいたしておったのでございます。その際にぜひ臨時国会で出してほしいという要請もございましたが、各党の国対委員長さんとも御相談をして、短期間の臨時国会で審議することは適当でなかろうというような御意見も拝聴いたしましたので、実はこの国会に出したわけでございまするが、そういうことで、当時の前内閣におきましてもそうしたことを一時御提案なさったという経過もあるわけでございます。そういう点を踏まえまして、私どもといたしましては、そうした国民の御要請にこたえて今国会に提案をさしていただいたということでございます。そういう経過をまず御報告を申し上げさしていただき、総理からの御答弁を願いたいと思うのでございます。
  377. 大平正芳

    ○国務大臣(大平正芳君) いま総務長官が申し上げたような経緯でございまするし、現在四十六都道府県、千を超える市町村が法制化の決議を行いまして、その速やかな法制化を望んでおられる状況でございます。したがいまして、政府としてはこの事実を尊重いたしまして、今国会でこの法制化を図らしていただきたいと願っておるわけでございます。
  378. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 元号法制化を急がなければならない理由、急がなければ困ることがあるのかどうか、困ることはないと思うのです。その点どうですか。
  379. 三原朝雄

    ○国務大臣(三原朝雄君) 先ほどからるる申し上げておりますように、大多数の国民の方の願望にこたえなければならないという事態、そこで国民の方々の考え方と申しまするか、御意向といたしましては、大体、いつだれがこの元号を改元をするものであろうかというのが、一つの私は国民の希望でもあるわけであり、また不安な点でもあると思うのでございます。それに先ほど申されましたように、各都道府県あるいは全国の市町村会等におきましても、絶えずそういう点について論議がなされて、法制化促進についての御要請も受けておるわけでございます。  そこで、国民の意向といたしましては、今上陛下御在世中にこの改元をする方針、制度的な方針を明確にしておくことが国民のそうした要請に対して御安心を願う、明確に制度的にしておくということは、私ども政府としてはやるべきことであろうということでございまするので、主権在民の今日におきまする国民の代表でございまする国会に御提案を申し上げて、私どもこの国会でぜひ御審議を願って、制度手続だけでございまするが、だれがいつやるかというその手続の御決定を願っておくことが国民の願望にこたえるゆえんでもあろう、そういうことでございます。
  380. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 これは、戦前の東條内閣だって近衛内閣だってやらなかったことですよ、戦後の吉田内閣だってやらなかったことです。それを、大平内閣がここに来てなぜ急がなければならないのかというのがわからない。急がなければ困るという具体的な問題がありますかということ、まずその点をお伺いしたいんです。
  381. 三原朝雄

    ○国務大臣(三原朝雄君) 急ぐということにつきましては、時期がいつが適当であるかということにもなろうかと思うわけでございまするけれども、国民全体の意向とともに各都道府県の、沖繩を除きます四十六都道府県が早くやってほしい、速やかにやってほしいという、しかも全国の市町村のもう半数にいまなんなんとするわけでございまするが、そうした市町村もひとつ速やかにやってほしいという御要請が議会において出てまいるという事態は、私ども政府といたしましては、そうした現時点における要請にはこたえなければならぬということが、いま言われる急ぐということに御解釈なさるかもしれませんが、私どもは急ぐとかいうことでなくて、この時期にやるべきであろうということを考えておるわけでございます。
  382. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 都道府県や市町村で決議したからといったって、そんなものはどうだと諮問をして、そして催促をするから決議をしたわけなんで、じゃ、前の内閣のときにそんな話があったかというと、なかったと思うのですよ。最近になってでしょう。元号が変わるというのは、天皇陛下が亡くなったときでなければ変わらないわけですよ。したがって、元号の法制化を急ぐということは、考えようによっちゃ大変ぶしつけで、あるいは失礼なことになりゃしないかという気がするんですが、その点どうですか。
  383. 三原朝雄

    ○国務大臣(三原朝雄君) そうした御意見をなされる方のあることも承知をいたしておりまするが、しかし私は、国民の願望にこたえて、その願望に沿った処置をすることにつきましては、決して私は失礼になるものではない。しかも、そういう制度としての手続を法律によって整備をするということが、そうした失礼に通ずるとは思っておりません。素直にそうした点については御理解願えるものと思っておるところでございます。  なおまた、前内閣でということでございますが、前内閣で、実は各県の状態なり市町村の状態等を受けられて、ぜひ臨時国会でもできないかというようなことが言われたことも事実で、いま申し上げましたように、私は各党の国対委員長さんに率直にその事情を申し上げてまいり御了承を得たいと思いましたが、この時期は適当でなかろうということであったわけでございます。そういうことで、政治の責任を引き継いで大平内閣に参ったという経過もあるわけでございます。
  384. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 国民の願望だ願望だということをしきりに強調されますけれども、だれがそういうことを願望しているかということを言いたいと思うんですよ。生きているうちに戒名の相談をするようなことを国民は願望していないと思うんですな。だから私は急ぐ必要はない。ほうっておいたって適当にわれわれは使い分けをしていますよ。田舎のおばさんに手紙を書くときは昭和何年と書きます。外国へ手紙を出すときは千九百何十何年と書きます。そこのところは、法制化しなくたってみんなが適当に使い分けをしてちっとも支障はないと思っているんです。だから、だれも困る人はいないでしょうということを言っているんですよ。困る人が具体的にいるんですかということを聞きたいんです。
  385. 真田秀夫

    ○政府委員(真田秀夫君) 元号法案がもし成立しなかった場合に一体だれが困るかという、だれだというような名前を言うわけにはもちろんいきませんが、とにかく元号制度を存続したいという希望が圧倒的に多いことは確かなんですね。ただ法制化について言えば、先ほど来、何か地方の議会からの意見の具申なんというのはそんなに重きを置く必要がないのだというような御趣旨のように承りましたけれども、しかしそうばかりは言えないので、ちゃんと地方自治法にそういう制度が法律上書いてあるわけですから、それを受けて政府が法制化の方法を講ずるということは少しもおかしいことではないので、むしろ国民の八〇%、まあ正確に言えば七九%のようですけれども、八〇%近い国民が元号制度を存続したいと言っている。これは非常に政治上重みのあることだと思うのです。ですから、これはやはり存続させるのが政治なのであって、その方法としてそれじゃ法制化するか、あるいは別の方法、たとえば内閣の告示でいいのじゃないかとか、いろんな意見があったことも確かなんです。確かなんですが、しかしやはり事の性質上、日本国憲法の原則のもとにおいては、国権の最高機関がそういう元号を存続させることのその根拠を法律の形でお決めいただくというのが、やはり一番憲法の趣旨に合うというふうに考えるわけでございます。  それから、なぜ急ぐのかとおっしゃいますけれども、これはいつかはしなきゃならぬことなんですね。元号制度を存続させ、かつそれを法制化するという前提に立つ以上はいつかはしなければならないので、それがたまたま機が熟したというだけのことであって、それが非常に考えようによってはぶしつけだ、不敬に当たるというようなことをおっしゃいますが、そういう御議論は、実はことしであろうと昭和二十一年であろうと全く同じことになるわけなので、決して不敬になるとは思いませんし、また、生きている間に戒名を相談するようなものではないかとおっしゃいますけれども、そういうことを考えているのじゃなくて、元号制度を存続させる新しい元号の決め方はこういう手続で決めるという、そこまでを法律で書いていただくわけでございまして、決して、現在の陛下が崩御されることを予定しているとか、そういうようなことを考えて法案を御提出したわけでは毛頭ございませんので、その辺は御理解の上速やかに御審議願いたいと思います。
  386. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 総理以上の御答弁をいただきまして大変恐縮なんですけれども、元号の存続という問題と法制化という問題は別だと思うのですよ。存続をさせるならさせるでいいけれども、何も法制化しなきゃ存続させられないものじゃないでしょう。その点どうなんですか。(「総務長官が手を挙げておるのに、何で真田さん、あんたが出てくる」と呼ぶ者あり)
  387. 真田秀夫

    ○政府委員(真田秀夫君) 委員長の御指名がございましたので私から御答弁を申し上げますが、純粋に理論的に申しますと、それは存続させることと、その存続の方法として法制化することとはこれは別でございます。ただ、存続させるということについて国民の八〇%の願望があれば、これは政治上取り上げるべきである。その方法として、そのときそのときの内閣が告示で決めるというのが憲法の趣旨に合うか、あるいは国権の最高機関である国会の御審議を経て法律の形で改元の手続を決める方が憲法の趣旨に合うかということになれば、これは当然後者の方が憲法の趣旨に合うことである。しかもそれは、先ほど申しましたように、地方自治法に基づく地方の議会の建議がもうわんさわんさとたくさん来ているということも考えますれば、これは法律で決めるのが妥当である、そういうことでございます。
  388. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 存続させることに対する国民の支持率と、法制化の可否に対する国民の支持率は違うと思うのですよ。その点ごまかしちゃいけないと思うのですが、どうですか。
  389. 三原朝雄

    ○国務大臣(三原朝雄君) 御指摘のように、存続の願望と法制化に対する支持というようなものは別であろうという御指摘は私もそうだと思います。この点につきましても、私ども慎重に取り扱って検討を進めてまいった上での処置でございますが、最近のNHKの、これはちょうど一月前になりますか、最近の世論調査で一番新しい、先月の九日、十日、十一日、NHKでアンケートをとっていただいた結果を見ましても、六〇%近い五七、八%の法制化の御支持をいただいておるわけでございます。そういうようなことでございまするから、法制化につきましても大多数の国民の方方が願望しておられるということは、先ほど来私は大事な、都道府県あるいは市町村の議会の決議というのは、やはり国政の場においては重要な結果だと思います。その上に、いま申し上げましたようなNHK等のアンケート等を見てまいりましても、そういう結果が出ておる現況でございます。
  390. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 それでは次に進みますが、郵政の労使の紛争の問題についてお伺いしたいと思います。  この問題で郵政大臣は組合と会ってお話しになったことがございますか。
  391. 白浜仁吉

    ○国務大臣(白浜仁吉君) 二月の十日にお会いしました。
  392. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 どのような話し合いが持たれて、どういう結論が出ておりますか。
  393. 白浜仁吉

    ○国務大臣(白浜仁吉君) お互いにいろいろな経緯はあっても、国民に対する社会的な責任も考えて話し合おうではないかというふうなことで、いま話し合いを進めているところであります。
  394. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 労使の紛争で、結果的に郵便物が滞留をするとか遅延をするということになりますと、その責任は大臣の責任だと思うのですよ。これは組合がやっているんだからおれは知らないということでは済まないですよ。最高責任者としては、当然紛争を解決しなければならないという責任があると思うのです。その点はどうですか。
  395. 白浜仁吉

    ○国務大臣(白浜仁吉君) 御指摘のとおり行政の責任は私にあるのでありますから、当然責任を感じております。
  396. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 余り責任を感じているような答弁じゃないですがね。具体的にどういう話し合いが持たれて、どういうことが合意になっているのか、お答え願いたいと思うのです。
  397. 守住有信

    ○政府委員(守住有信君) お答え申し上げます。  先ほど大臣がお答え申し上げましたとおり、一つの糸口として大臣会見を持ったわけでございまして、その後におきまして、幸い三月中、全国的に時間外労働協定が締結できますし、いろいろむずかしい問題秘めておるわけでございますけれども、時期的に切迫しておるような問題だとか、入りやすい問題、そこから団体交渉、話し合いに入ろう、こういうことで、三月中精力的に話し合いに入りました。差し迫っておる問題と申しますのは、たとえて申しますと重要項目としての十二項目というのがございますけれども、四月から新規採用職員が入ってくるわけでございますが、そういう問題に対する職場訓練の問題、これも一つの大きなポイントでございましたが、その他四月からの合理化の問題、事前協議協約に基づきましてのいろんな交渉、話し合い、それからまた経済問題もございます、通勤手当とか、その他いろいろ経済問題がございます。こういうことにつきまして、一定の整理がこの間の土曜日でございますができまして、なおまた継続する問題は引き続き話し合っていこう、こういう合意を見ておる次第でございます。
  398. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 郵政の職場に私は年末にも行ってみました。私自身、昔郵便局の職場で働いたことがあるのでありますが、比較をしてみますと、昔は年末年始の忙しいときば、局長も課長もみんなねじりはち巻きで、もっともはち巻きは必ずしも締めたわけじゃないけれども、そういう姿勢でもって、一丸となって郵便物の処理に励んだものです。偉い人が一生懸命仕事をしているのに下の者が遊んでサボるということは人間の心理としてできないものです。ところが最近の郵政の職場はそうじゃない。局長とか課長とかいう管理者はストップウォッチか何か持っちゃって、後ろ手を組んで働いている人間を監視しておる。つまり、職場でもって監視する人間と働く人間と二通りできちゃっている。こういうような体制が果たして意欲を持って働く気を起こさせるかどうか、その点を反省すべきじゃないかと思うのですが、どうですか。
  399. 守住有信

    ○政府委員(守住有信君) お答え申し上げます。  労使間の問題、実は大きな流れといたしましては、ここ一、二年安定した方向に行きつつあるというふうに私ども認識しておったわけでございます。特にまた、一昨年の年末あたりは二十年ぶりというふうな早期解決を見たわけでございますが、昨年末はいろいろな面から国民の皆様にも御迷惑をおかけしまして、非常に残念に申しわけなく思っておる次第でございますけれども、その紛争の場の中でのいろんな態様がございましたので、やむなく業務の運行、郵便物の配送に積極的に取り組みますとともに、いろいろな違法行為等に対してはそれなりの対応をせざるを得なかったというのが実態でございます。
  400. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 いろんな資料があるのですけれども、その共通したものは、組合に対する切り崩しの工作を管理者がやっておるということなんですね。そして配置転換をしたい、つまり転勤をしたいという者に対して、転勤をさせるかわりに組合を脱退しろということを要望する、強く要請するといいますか、それで転勤をすると同時に組合の脱退届を出す、こんなようなケースがある。ていのいい不当労働行為です。こういうことが一カ所や二ヵ所で行われているんなら別だけれども、きわめて多岐にわたって行われている。これは郵政省当局がそういう指導をしているというふうに見ざるを得ない。大臣は実情をよく知らないかもしれないけれども、これは数が多いということはそういう指導をしているという証拠なんです。だから、ここに不当労働行為に対する反発が起きてくるのですね。この種の問題は、労働大臣、公務員あるいは地方公務員の中で、この種のトラブルのある省庁あるいは営団、そういうものがほかにありますか。
  401. 栗原祐幸

    ○国務大臣(栗原祐幸君) 最近においてはそういうものがあるとは聞いておりません。
  402. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 そうすると郵政だけだということになる。こういう不当労働行為的な処置で内部の紛争を巻き起こすということはこれは否定できないと思う。やっぱり労働行政として、労働省としても考えなきゃならぬのじゃないですが。実情をよく知っておられるか、聞いておられるか、あるいは労働省としての考え方があるのかどうか、その点お伺いしたい。
  403. 栗原祐幸

    ○国務大臣(栗原祐幸君) 労使関係におきまして、本来不当労働行為というようなものはあり得べきものではないと思いますし、郵政省といたしましても、そういうことのないように努力をしていると私どもは考えております。
  404. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 郵政省としても努力をしているということなんですが、大臣、努力をしている形跡をあなたは大臣に就任されてから感じとられましたか、あるいはあなた自身がそういう努力をしようという気持ちがおありになりますか。
  405. 白浜仁吉

    ○国務大臣(白浜仁吉君) いろいろ委員会におきましても、何千件とかそれに類似するような行為があるというふうな、非常に膨大な数字のお話がございます。また組合と会ったときにもそういうような話が出ました。そこで、それならばそういうふうなものを出してみたらどうだろうと、そういうふうなものを話し合うような場をつくった方が早いのではないかということを私は話をしておるわけであります。  いま労働大臣からお話もございましたが、不当労働行為だということで公労委に提訴されている件数が五十数件ですかあるというふうに承っておりますが、何千件という、そういうふうなことが行われるということになると、これは言葉どおりとすると穏やかでない、私もそういうふうに考えます。したがいまして、そういうふうにお互いに不信を持てば、どうも疑いがあるというふうなことを話し合いの場で解決をしていくようにした方がいいのではないかということを考えまして、双方ともに私はやはり社会的な責任を感じて、反省すべきものは反省して、そうして解決していかなければ、いつまでたっても解決できないではないこということを考えて、私は組合の幹部の諸君とも会ったときにそのことを申し出、そうしてこの幹部の諸君にも十分そういうふうなことを心得て話し合うようにということでいま進めておるわけでありまして、先ほど局長から話のとおり、少しずつ解決の途についてまいりました。まあ三月期の三六協定もようやく締結されたということで、私もいささかほっとしているところであります。
  406. 栗原祐幸

    ○国務大臣(栗原祐幸君) いま不当労働行為という話がありまして、私は一般論としてそういう話をしたわけでございますが、郵政大臣から、不当労働行為として全逓が公労委に審査を申し立てているというお話がございましたから、この具体的な問題につきましては、公労委の審査の推移をわれわれとしては見守りたい、こう考えております。
  407. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 次に運輸大臣にお伺いしますが、まず国鉄の財政再建策と赤字ローカル線対策、一体これをどうするのか。これは非常に難問だろうとは思いますけれども、何とかしなければならぬ問題だと思うので、大臣としての考え方をお聞かせ願いたいと思います。
  408. 森山欽司

    ○国務大臣(森山欽司君) 国鉄の財政の現状は、助成前の赤字は一兆二千億円、助成を入れまして七、八千億円ということになっております。国民一人頭一万円程度の租税負担等の負担を負っておる、こういうことになっておりまして、ほうっておけない状況であると思います。したがって、これの再建はどうしてもやらなきやならないことであることはもう申すまでもございません。すでに一昨年の十二月国鉄再建の基本方針が閣議了解で決められております。この閣議了解は、共産党を除く各党でいろいろ御相談された結果に基づいて作案されたものであります。その内容は、すでに御承知のとおり、国鉄が徹底した経営改善の努力をする、それを前提にして適時適切な運賃値上げをやり、それに対して国が行財政上の援助を行っていくという三本柱の上に立ってやっていく、こういうことであります。そして昭和五十年代中には、収支相償うようにするために、昭和五十五年度から本格的にこれに取り組んでいく、それがためには昭和五十四年度中にこのための再建策を確立する。私どもは国鉄当局がその線に沿って対策を出してくる、おおよそ六月ごろをめどにその概要が出てくることを期待いたしておる次第でございます。それから概算要求が八月の終わりにありますし、この五十四年年内には予算を決める、そのときにはこれに対応するような再建策を確立するということでこれに臨んでおります。  その中で、国鉄が徹底した経営の改善努力をしても、なおかつ活路を開くことがむずかしい問題があるのではないか、それが構造的欠損と言われておるわけでありまして、その中には、たとえば年金の問題あるいは退職金の問題、そういうものをどうするかとか、あるいは高額の割引運賃の問題をいままでのようなことでやっていけるかどうか、これも構造的欠損じゃないかという意見もあるわけでございますし、いまお話がありましたローカル線の問題の措置もその種の問題に属するであろう、こういうふうに言われております。  現にこの問題につきましては、先般運輸政策審議会の委員より成る小委員会で一案が出されたわけであります。その一案を私ども承りました。本来であれば、答申を尊重して、あすにでもやるようなふうな表現をするのが通常でありますが、そう私ども簡単なことだと思っておりませんから、答申の線に沿って検討してみよう、こういうことで目下検討中であります。口で言うのは簡単でありますけど、また総論的には御異議ない向きが多いのでありますが、各論的になりますと、いろいろ御意見もございますものですから、私どもはこの問題に慎重に対処をしておるというのが現状でございます。
  409. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 たとえば、具体的な話をしますと、大臣の選挙区で東北線は収支償っておる。ところがローカル線である烏山線は三億円の赤字を出しておる、こういう具体例がありますね。その場合に、こういう例が各地であると思うのですが、赤字路線をじゃ外してしまう、やめてしまう、そして黒字路線の方に投資をして、そっちでよけいかせぐようにする、こういうふうにすれば財政的には問題がないわけですよ、極端な言い方をすればね。そういう方針を、じゃこれから全国的に進めていくのかどうかということなんです、基本方針として。それはどうですか。
  410. 森山欽司

    ○国務大臣(森山欽司君) これがなかなかむずかしいところでございまして、いま東北本線は幹線で大丈夫のようなお話ですが、これでも東北新幹線ができますれば、従来の東海道線とか山陽本線がいずれも赤字に転落しているのです。だから、いまは大丈夫な東北線も新幹線ができれば恐らく赤字になりましょう、通常の場合には。そうなれば、これも先生のおっしゃるように、しかく簡単にこれは大丈夫だと言えますかと、すぐでございますよ、昭和五十五年に開通と言っているんですから。いろんな都合で少しはおくれるにいたしましても、そう簡単に物は言えません。  また、いま私の選挙区のある線の名前を出しましたね。国鉄労働組合などは労働組合で計算して、この線は大丈夫だ、この線はだめだというようなことで、そしてだめだと彼らが考えるところを先般ローカル線反対でストライキをやるというような、これだけの赤字を出しておきながらストライキなんていうことを、そんな言う資格はないんですけれども真顔でやっていますね、さすが私鉄はこのことは反対だということで、全交運はスローガンには掲げましたけれども、経済要求を片づければやらないですからね。ところが国労及び動労はぬけぬけとやった。私はこういう気構えは非常に問題だと思っているんです。本論からちょっと離れましたけれども、したがって、個々の線についてどういうふうに考えるべきかということは、私は東北本線だっていろいろ問題があると思っているのでございますから、したがって、烏山線とか何線なんというところまで、現在は確たる考え方をあらわに出して対処はいたしておらない現状でございます。
  411. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 極端な言い方をすれば、じゃ赤字線はやめてしまうという方針を出すのなら、大臣自身の選挙区の赤字路線をやめてしまう、あるいは大臣自身の選挙区の、たとえば建設しようとしている赤字になるであろう野岩線といったようなものを、工事はやめてしまうという勇断がふるえるのならば、ほかの人にも勧めることはできると思うのです。ところが、自分のところの選挙区の線路はとっといて、そしてほかのところの赤字はやめちまえということは、これはやっぱりできないだろうと思うのですよ。そこのところを考えたならば、一体これからどうするのかということは基本的に考えなきゃいかぬのです、基本的に。その点をお伺いしたいと思うのです。
  412. 森山欽司

    ○国務大臣(森山欽司君) 私は、自分の選挙区の路線のことを考えて国鉄の再建問題を考えるということは一切ありません。いささかもそんな考え方はありません。いかにして国鉄の再建に寄与することができるかという観点から物を考えておるので、自分の選挙区の路線がどうなるかこうなるかでこの天下の大問題を扱おうなんという気はいささかもございませんから、その点はひとつそういう御心配はしないでいただきたい。  私はそれよりも、当面のこの事態の打開のためにもつと広範な見地から、経営者の方ももちろんそうでありますし、組合の方もそうでありますが、とにかく国鉄の経営に関係している当事者が全部力を合わせてこの危機を乗り切っていかなければ、再建をすることは非常にむずかしいいま状況にあるということを私は痛感をいたしております。どうか何か自分の選挙区でできないようなことを人の選挙区までやろうったってできまいというような御趣旨の御発言があったように思いますが、そういう気持ちはいささかもありません。
  413. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 それならば、これは思い切ってやるべきことをやらなきゃならぬということを私は言いたかった。  そこで、総理にお伺いしたいのですが、いまの問題と関連があるのです。本四架橋の問題であります。四国と本州の間に橋を三つかけようという話がある。それは、四国の人にとってみればこれはなかなか切実な問題かもしれないけれども、四国から離れているわれわれから見れば、何も四国に三つも橋をかけることはないだろう、常識的にこういう答えが出てくる。本四架橋に対する投資というものの効果というのは果たしてどういうものか、どのようにお考えになっておられるのか、お伺いしたいと思うのですが。
  414. 中野四郎

    ○国務大臣(中野四郎君) 基本方針について私からお答え申し上げて、また経過は建設大臣から。  本州と四国の連絡橋につきましては、将来の国土利用の均衡を図るということ、それから全国幹線交通体系を再構築する観点から、長期的に三ルートが必要であると考えておる次第でございます。しかしながら、現下の経済社会情勢にかんがみまして、当面は児島それから坂出ルート及び地域開発三橋、たとえば大鳴門橋、大三島橋、因島大橋の建設を進めているところでございます。今後における本四架橋の建設の進め方及び新幹線の整備の進め方につきましては、経済社会情勢の推移を十分検討いたしながら対処していきたいと、かように考えておる次第であります。
  415. 渡海元三郎

    ○国務大臣(渡海元三郎君) 本四連絡橋のことにつきましては、ただいま国土庁長官が答弁されたとおりでございまして、一ルート三橋という線で現在進めております。三橋を全部ルートにするかどうかということは、長期展望の上に立って今後の経済社会の状態をながめながら決定させていただきたい、かように考えております。
  416. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 一ルート三橋というのはどうもよくわからないんですがね。
  417. 渡海元三郎

    ○国務大臣(渡海元三郎君) 本四架橋で四国と本州を結ぶのは児島-坂出の一ルートでありまして、大鳴門、因島、大三島橋、この三つはその地区の地域開発のための三橋、一ルー上三橋と、こういうふうに言われております。
  418. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 いや、一ルート三橋というのはいま初めてお伺いしたのですがね。三橋なら三ルートじゃないかと思うのです。じゃあこの費用は一体どのくらいかかりますか。
  419. 山根孟

    ○政府委員(山根孟君) お答え申し上げます。  一ルート三橋と申しますのは、先ほど建設大臣が申し上げましたとおりでございまして、当面、完成を図る本州と四国を連絡をするルートといたしましては児島-坂出ルートでございます。それから他の三橋は、いずれも島嶼間を、四国と淡路島を結ぶ大鳴門の橋、それから尾道-今治ルートの中に点在をいたしております瀬戸内海の島の相互を結ぶいわば地域振興のための橋梁でございます。  したがいまして、一ルート三橋に要する事業費は、道路、鉄道を合わせまして約一兆二千四百八十億円というぐあいに見込まれております。
  420. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 一兆二千億の金をかけて四国に要するに三つ橋をかけるということですよね、三橋というのだから。そうすると隅田川にかける橋とわけが違って大変なものです。この橋、歩いて渡るわけにいかないと思うから、勢い自動車か鉄道か通すということになるでしょう。そうすると、ここにまた鉄道を建設しなきゃならぬ、こういう問題になってくるわけです。運輸大臣として、四県で人口が四百万の四国に橋をかけて鉄道を通すということは、一体採算上妥当だと思われるのかどうか、こういう問題については一体どのように処置をされるおつもりなのか、お伺いしたい。
  421. 森山欽司

    ○国務大臣(森山欽司君) この鉄道でも道路でもそうでありますが、結局地域的な格差というものを極力少なくする、国土の均衡ある発展ということを常に考えていかなけりゃならない。ある一カ所だけが非常によくて、ある一カ所は非常に開発が落ちるというようなことでは、これは私は困るであろうというふうに思います。ですから、ローカル線の問題なんかもそういう観点からの見直しというものもこれは私は必要だと思っておりますが、先ほどそこまでは申し上げませんでした。  それから、たとえば新幹線の問題で申し上げますと、整備五線という問題がございますが、整備五線はいまは財源がないからなかなか手をつけるのはむずかしいのであります。また新しい財源を見つけることもなかなか容易でない財政状態であります。けれども、たとえば青函トンネルができたときに、あそこに鉄道を敷かなきゃならぬというときに、在来線を通すことで済むだろうかということになりますと、常識はあそこにもし青函トンネルができて鉄道を通せば、これは新幹線ということになるんじゃないかと思うんですね。そうすると、整備五線のうちの二つは、もうすでに新幹線の方向にいやでもおうでもその時点では一歩でも二歩でも進めていかなけりゃならないということになってまいります。それからそうなれば、裏日本の方も赤字だ赤字だというけれども、この資金が後で利子のつく借金でないならば、国費で道路をつくるみたいに建ててやるならば、これも大体鉄道を敷くことはむずかしくないのではないか。そうなれば、残るところは九州二線でありまして、九州二線だけほうっておけるかという時期が必ず参りましょう。そうなると、今度は四国に、世の中がもうみんな新幹線が通っているときに四国だけは通らないで済みますか、という問題が出てまいりまして、それは、四国に何百万の人間が住んでいるかという物の考え方ではなくて、地域的格差の是正、国土の均衡ある発展という、そういう物の考え方の上においてやっていくべきことであります。  私は、鉄道でも新幹線でも、何といいますか、余りにも地域的な差の多いことをそのまま容認するような、ここはもうかるからいい、ここはもうからないから――物は程度問題だと思っておりまして、その意味で私は、いま四国に投資しております一ルート三橋というのも十分意味があると考えておる次第であります。これは初めからやるなら別でございますよ、昔からいろいろな計画があって、その計画を現時点に合うように考えていくということになれば、やはり現在のやり方がまずまず、最善でなくても次善の方策であると考えておる次第であります。
  422. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 赤字線といえども、これは必要なものは建設しなきゃならぬ。大臣の地元にだって赤字線はあるわけだ。これもやっぱり必要とあれば、その選挙区であろうがなかろうが認めなきゃならぬと思うのですよ。四国の橋の場合でもそうですがね。  ここで問題は、これを国鉄の負担でやらなければならないような処置をすれば、国鉄の借金はふえるばっかりなんだ。ここのところが一体どうなるかによって国鉄の財政再建が可能かどうか決まってくるんですが、この点はどうですか。
  423. 森山欽司

    ○国務大臣(森山欽司君) ですから、なかなか大変な問題でありますから、いろいろな点を勘案しながら目下検討中であると申し上げております。いずれにしましても、六月ごろには概貌をはっきりさして、年内にはけりをつけたい、こう思っています。なかなかそれは実際問題となれば容易な問題ではないと思っております。しかし私は、自分の選挙区のことを考えてこの天下の大問題に取り組もうなんという気はいささかもありませんから、その点はどうかお間違いのないようにお願いします。  それと同時に、ぜひとも皆様方の御協力もお願いしたいと思うんです。これはみんなで力を合わせなきゃとてもこの難問題は乗り越えることはできないですよ。そういう意味で、またいずれ改めてお願いにも上がりたいと思っておる次第であります。どうぞよろしく。
  424. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 次へ進みます。  教育問題についてお伺いしますが、青少年の非行化対策といったようなことをどのようにお考えになっておるか。先ほどの質問でもって、小学生の自殺者、中学生の自殺者がこれだけある、といったような話がありましたね。昔は、われわれの記憶しておる範囲では、小学生の自殺なんというのは聞いたことがない。ところが最近になって、中学生、小学生が自殺をする、非行を働くということがざらにあるわけです。一体これは教育方針と何らかのかかわり合いがあるのかどうか、いまの教育に欠陥があるのか、反省すべき点があるのかないのか、その点をお伺いしたいと思います。
  425. 内藤誉三郎

    ○国務大臣(内藤誉三郎君) いま御指摘のように、昔は小中学生が自殺をするなんということは私も聞かなかったのですが、最近はおっしゃるように小中学生の自殺、特に高等学校の生徒の自殺が非常に多いので私も非常に心配しておるんですが、これはいろいろ問題点がありますけれども、一つは、学歴社会、生命軽視の社会的風潮だと思うんです。いま一つは、学校教育、家庭教育にも私は責任があると思って、そういう意味から、このたび指導要領の全面的改定を行いまして、人間性豊かな教育をしてきたい。そして、そのためには、もっと基礎的、基本的なものをしっかり勉強さして、人間性豊かな教育をしていきたいというのが第一です。  それからいま一つは、先生の指導力を強化しようというので、先生の研修を強化すると同時に、昨年は愛知教育大学に、ことしは横浜大学の教育学部に大学院を設ける。そのほかに新構想の教員養成大学院大学を上越と神戸に設けることにしたわけなんです。先生の資質を向上するために。  第三は、やっぱり入試ですね。この入試問題で一番悩まされるのですから、何とか入試を改善しなきゃならぬというので、ことしから共通一次テスト、二次テストをやって、まあおおむね妥当な評価を得ておりますが、これも関係者の意見を聞いて入試改善に真剣に取り組んでいきたいと思います。  それから最後は家庭教育ですが、やっぱり家庭がしっかりしていなければいけないので、そういう意味で文部省では家庭教育学級とか家庭学級の総合セミナーとかいうものをやって、また放送を通じて母親を指導していきたい。そして、何とかおっしゃるように非行少年とか自殺は教育界から追放できるように最善の努力をいたしたいと考えております。
  426. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 やっぱり教育の責任というのは、文部大臣、文部省にあると思うのです。学校の先生に責任を転嫁しちゃいけないと思うのです。  そこで、特にいま入学試験でもって塾というのができて、小学校から中学校ぐらい、みんな塾へ通うということがあるわけですね。これもやっぱり昔は、われわれ小学住、中学生のころは、塾に通う仲間の話を聞いたごとがなかったのですが、最近は塾に通うのがあたりまえになってしまった。これは一体どういうものだろうか、塾がなければいけないものだろうか。むしろ塾なんというものをなくしてしまって、小学生や中学生なんかは思い切り遊ばした方がいいんじゃないかという気もするくらいなんですが、その点はどうなんですか、塾に対する考え方。
  427. 内藤誉三郎

    ○国務大臣(内藤誉三郎君) まことに瀬谷先生がおっしゃるとおり、昔は塾なんかないんですよ。いま聞いてみたらこれが五万もあるそうですね。それはどこに原因があるかというと、学校の教科内容がむずかし過ぎるんです。私でも孫の教科書を見てわかりませんね。ですから、やっぱりもっと基礎的、基本的なものを精選して、そして子供たちの特質を伸ばすようにしないといかぬと思うので、私はやっぱり教育内容にも一つ問題があったと思うんですがね。それから同時に先生の指導力の問題や入試問題、これが絡み合ってこういう塾というものができたと思うので、こういうものは、学校教育法にないものがいま日本の教育に出ておるのは私も非常に情けないのです。そこで指導要領の改定を行いまして、もう少し人間性豊かな、ゆとりのある人間にしようというので、小・中・高等学校について全面的にことしから改正をしましたので、しばらく私はこの経過を見守りたいと思っておるのでございます。  それから、先ほどの教員の資質の向上や入試制度のあり方、これもみんな絡んでおりますから、こういう問題を一緒に解決して、もう塾へ行かなくていいように、あなたのおっしゃるように、もっと子供は伸び伸びと、そして楽しい学校生活になるように、私も一生懸命努力をしてみたいと思います。
  428. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 私も塾なんというものはない方がいいんじゃないかという気がするんですよ。いまお聞きすると内容がむずかし過ぎる。それじゃ文部大臣がせめて自分の孫に教えられる程度に、この教育の内容をもう改めなければいかぬだろうと思うのですね。そういう内容について改めるということと、塾というものはなくてもいいようにするということで御努力をいただかなければいかぬと思います。  それから、お医者さんが足りないということで医療問題がいろいろ出てまいりますけれども、国立の医科大学が足りないんじゃないか、こういう気がいたしますが、国立の医科大学をもっと増設をするということについての考え方はどうですか。これは医師会等の反対があってむずかしいという事情があるのかどうか、その点もあわせてお伺いしたいと思います。
  429. 内藤誉三郎

    ○国務大臣(内藤誉三郎君) 医科大学につきましては、先ほどあなたのおっしゃるように、なかなか経費がかかるんですけれども、私立の医科歯科大学に対して、文部省は普通の経常費の補助よりも特別に、医科歯科には特別補助をやっているんです。しかし、いまお話しの無医大県解消ということ、これは昭和四十八年から無医大県解消計画を進めまして、大体今日まで十五の国立大学を地方に増設することにしたんです。それから、さらにことしは沖繩に医科大学をつくることにしましたので、これで一応無医大県の解消は終わりまして、昭和六十年をまたないで――大体十万人に百五十人が目標なんですよ、これは確実に達成できると思っておりますが、もう国立大学については  一応これで整備は終わったというふうに考えておるのでございます。
  430. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 埼玉県なんか国立の医科大学はないですよ、私立の医科大学だけで。だから、やっぱり国立の医科大学も含めて各県に無医大はないというふうにいかなければ本当じゃないと思うのです。  それから、総理にお伺いしますが、総理自身も昔は塾だとかそういうところへ行かれましたか、そういう経験はございますか。
  431. 大平正芳

    ○国務大臣(大平正芳君) ございません。
  432. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 そんなところへ行かなくたってちゃんと総理大臣になっています。それを考えたならば、やはり塾はなくす。少なくとも低学年の者が塾に通うということはないようにするということを一つの方向として考えていいのではないかと思うのですが、どうですか。
  433. 内藤誉三郎

    ○国務大臣(内藤誉三郎君) お答えします。  先ほど申しましたように、いまの教育内容がむずかし過ぎる、これが一つ。いま一つは試験地獄ですよ。何とかしていい学校へ行かせたいという親の願い、そういうものが絡み合っていますから、私はやっぱり基礎的、基本的なものでもっと子供たちが楽しい学校生活が送れるように、同時に、これはどうしても入試問題を解決しないとだめですね。ですから、こういうことを改善して、塾がなくていいように、塾へ行かなくてもいいような、そういうゆとりのある伸び伸びとした学校生活が送れるように私も最善の努力をいたす覚悟でおります。
  434. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 警察庁の関係をちょっとお伺いしますが、この間大阪で銀行強盗がありましたが、あれは殺人の前歴のある者が銃砲を持っておったということなんですが、殺人の前歴のある者に銃砲の携行を許可するなどということはちょっと問題じゃないかと思うのでありますが、これらの許可基準は一体どうなっておるのか、果たしてあれでいいのかどうかお伺いしたい。
  435. 塩飽得郎

    ○政府委員(塩飽得郎君) 猟銃等の許可基準の問題につきましては、御承知のとおり銃刀法の五条でいろいろと欠格事項が決められておりまして、その五条一項六号の中で、人の生命あるいは財産また公共の安全を害する者については許可してはならないという規定がございまして、それに殺人を犯した者が入るかどうかという点が問題になるわけでございます。ただ、その問題につきまして、果たして、たとえば大阪の梅川のようなああいった者に対して許可を与えたことがどうであろうかというふうなことになろうかと思いますが、この場合、殺人強盗の前歴があるというだけで果たしてどこまでその許可をしないということができるかという運用上の問題もございますし、その他、そういった点を勘案し、特に大阪の場合につきましては、当時実情を調査したところ、過去の前歴以外、その後十年間これといった犯罪歴もないというふうなことから許可をしたというふうなことで、現在その後の問題についてこれからどうすべきかという点を鋭意検討している最中でございます。
  436. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 もう一つ警察の問題ですが、この間電気自転車に乗っていて、メーカーの言い分を聞いたらこれは許可は要らないということで乗っておったが、実際にはつかまってしまった。警察ではやっぱり無認可というわけにいかないと、こういう話があった。一体こういう問題は今後の問題としてどうするのか、電気自転車あるいは電気自動車というものが発達してきた場合の許可といいますか、免許といいますか、こういうものを一体どう考えるのか。これは通産大臣にもあわせてお伺いしたいと思います。
  437. 杉原正

    ○政府委員(杉原正君) お答えをいたします。  御質問の件は、例の自転車に電機をつけて電池でもって運転をして、これが無免許運転ということになった事案だと思いますが、道路交通法の体系では、自転車と原動機付自転車というものがございまして、自転車というのはもっぱら人の、いわゆる人力で運転する車、それから原動機付自転車といいますのは、総排気量が五十cc以下、それから定格出力で言いますと〇・六キロワット以下、この原動機をつけて運転をする車は原動機付自転車でございます。自転車につきましては免許は要りませんけれども、原動機付自転車ということになりますと運転免許、原付免許というのが必要でございます。したがいまして、現在は総排気量が、あるいは定格出力が先ほど言った以下のものはゼロのところまで全部含まれますので、これはあくまでも原動機付自転車ということと認定をせざるを得ないということで、本人につきまして無免許運転ということで検挙された、こういう事案でございまして、これはあくまでも原動機付自転車という現行法では判断をせざるを得ないということでございます。
  438. 江崎真澄

    ○国務大臣(江崎真澄君) 電動自転車、これは私も本当はよく知らなかったので、いまこの目録を取り寄せて、御質問の通告がありましたのでいろいろ調べてみたんですが、これは三輪車ですね、それで電池で老人が快適そうに乗っておる。それで減速機がついているのですね。で、この間福間さんが御質問になりまして私も関心を払っておったわけでありまするが、自転車が非常にこのごろ盛んに使われます。これはまあ考えようによっては省エネルギーの面からも、それから無公害ということですね、オートバイとはちょっと性格が違うと思うんです。ですから、なるほど電動機付ということで従来の取り締まりの基準でやられるかどうか、これはひとつ警察庁側で十分御検討いただくとしましても、われわれ通産省の立場から言いまするならば、マイカー通勤を電動機付の、しかも減速機もついておるし、こういう特に軽快な三輪は、安全というようなことであるならば、これはまた別途考えていいものではなかろうか。特に、もとより人の安全、人命尊重、これはもう最前提ですね、安全を損なうようなことがあってはなりません。もし安全が確保されるということであるならば、私は無公害、省エネルギーなどなどの立場からいって十分考慮の余地のあるものではないかというふうに考えます。
  439. 町村金五

    ○委員長(町村金五君) 瀬谷君の残余の質疑は明日行うことといたします。  明日は午前十時から委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後五時三十八分散会