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1979-02-20 第87回国会 参議院 法務委員会 3号 公式Web版

  1. 昭和五十四年二月二十日(火曜日)    午後一時七分開会     ―――――――――――――    委員の異動  二月十四日     辞任         補欠選任      山中 郁子君     宮本 顕治君  二月二十日     辞任         補欠選任      宮本 顕治君     下田 京子君     ―――――――――――――   出席者は左のとおり。     委員長         峯山 昭範君     理 事                 上田  稔君                 平井 卓志君                 宮崎 正義君     委 員                 大石 武一君                 熊谷太三郎君                 宮田  輝君                 八木 一郎君                 阿具根 登君                 秋山 長造君                 寺田 熊雄君                 下田 京子君                 橋本  敦君                 円山 雅也君    国務大臣        法 務 大 臣  古井 喜實君    政府委員        内閣法制局長官  真田 秀夫君        法務政務次官   最上  進君        法務大臣官房長  前田  宏君        法務省民事局長  香川 保一君        法務省刑事局長  伊藤 榮樹君    最高裁判所長官代理者        最高裁判所事務        総局民事局長   西山 俊彦君        最高裁判所事務        総局刑事局長   岡垣  勲君        最高裁判所事務        総局家庭局長   原田 直郎君    事務局側        常任委員会専門        員        奥村 俊光君    説明員        警察庁刑事局捜        査第一課長    加藤  晶君        警察庁刑事局調        査統計官     小池 康雄君        警察庁刑事局保        安部保安課長   佐野 国臣君     ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○検察及び裁判の運営等に関する調査  (銃砲の所持の許可等に関する件)  (最近の理由なき殺人事件に関する件)  (犯罪被害者補償に関する件)  (金大中事件についての法務大臣の発言に関す  る件)  (グラマン・ダグラス事件に関する件) ○民事執行法案(第八十四回国会内閣提出、衆議  院送付)(継続案件)     ―――――――――――――
  2. 峯山昭範

    ○委員長(峯山昭範君) ただいまから法務委員会を開会いたします。  まず、委員の異動について御報告いたします。  去る二月十四日、山中郁子君が委員を辞任され、その補欠として宮本顕治君が選任されました。  また、本日宮本顕治君が委員を辞任され、その補欠として下田京子君が選任されました。     ―――――――――――――
  3. 峯山昭範

    ○委員長(峯山昭範君) 検察及び裁判の運営等に関する調査を議題といたします。  質疑のある方は順次御発言願います。
  4. 寺田熊雄

    ○寺田熊雄君 最初に、先般の大阪の三菱銀行強盗殺人事件の際に問題になりました銃刀法の運用の問題でお尋ねをしたいと思いますが、この問題は警察当局が、法律的には公安委員会になりましょうが、なぜ梅川に対して猟銃の使用許可を与えたかという点に世論の批判が集中したようであります。それに対しまして新聞紙の報道するところによりますると、大阪府の保安課の幹部が「前歴はあったが、それだけでは欠格事由にも当たらず、不許可の客観的、合理的材料にならなかった。与えないことに対して行政訴訟を起こされたら、敗訴になる」というような弁明をしたことが報ぜられておるわけであります。しかし健全な常識から申しますと、少年時代に犯した犯罪が強盗殺人というような異常な、恐らく刑法犯では最も重き凶悪犯である、そういう前歴がある者に対してなぜ猟銃使用の許可を与えたんだろうかという疑問を当然に抱くわけであります。その是非はひとまずおくとして、その後国家公安委員長が一月三十日の閣議でこの問題に関して法改正を含めて検討したい、当面は運用の問題として凶悪犯歴のある者に対しては許可を与えない方向で厳しく運用したいと考えると述べたと報ぜられておるわけでありますが、そこで、まず警察当局にこの許可を与えたことについて何らかの反省をしておるのかどうか、それともいささかも反省する余地はないという見解をお持ちなのか。なお、その後公安委員長が全国の警察等に対してこういう許可についての何らかの指針を与えておるのかどうか、そういうことについてまずお尋ねしたいと思います。
  5. 佐野国臣

    ○説明員(佐野国臣君) ただいま御質問がございました、梅川のような者に許可をしたことに関する反省なり教訓というものがあったのかという、まず第一点についてお答えいたしたいと思います。  大阪府警は、申請を受けました際に、直ちに、身元調査を初め、あるいは保管の状況等のあり方がどういうふうになるのかと、いわば一般的に、調査のチェック項目が決まっておりますが、その範囲におきまして調査を続けた次第でございます。その調査の結果、いわゆる前歴といたしまして強盗殺人事件という前歴が出ましたので、特に調調査は慎重にやらなきゃならぬという判断から、さらに調査を重ねたようでございます。ただ、その調査の過程におきましても、前歴はそういう凶悪なものが認知されたわけでございますが、それ以外の平素の行状ないしは情状と申しますか、そういったものとしましては、道交法のスピード違反が一件あったというふうなことしか見当たらず、他には格別の情状というものが認知されなかったという次第でございました。さはさりながら、事犯そのものが非常に凶悪な前歴でございましたので、窓口といたしましては、取り下げたらどうだというふうな、取り下げの指導を数回やったやに聞いております。と申しますのは、彼はまだ当時アパート住まいでございまして、内縁の妻というものがおりましたのですが、商売柄比較的一人でおるような場面もあったやに聞いておりますので、そういった場合の保管の状況などについてはいささか危惧の念もあったというふうなことで、取り下げの指導などをしたように聞いております。ただ、御承知のとおり、これは法令上の根拠があるものではございませんので、最終的に、いずれにいたしましても、彼の情状がはっきりと調査し得なかった――もちろん、当時大阪府警といたしましては通常行うべき調査は一応すべてやったという前提ではございますが、いま結果から考えとみますと、十五歳当時の、少年時代とはいえ、非常に凶悪な犯罪でございましたので、十年後の許可申請の段階でもっとあるいは見方を変えていろいろなやり方をやってみたらば、あるいはそういった危険な状況というものがつかみ得たかもしれないという問題は、結果論としては申し上げられるかと思います。  したがいまして、あの事件が起きた以降のわれわれの対処の方針といたしましては、やはり調査をどう徹底するかという問題、それから、銃の所持というものは本来目的用途が決まっておりますが、その目的用途以外の銃砲、こういったものを所持させるということにつきましてはもっと厳格に考えていかなきゃならぬというふうな反省をも込めまして、先般国家公安委員長の御示唆もございまして、あの当時、二十七日時点で許可申請が出ているもの、その中で暴力的な不法行為の前歴がある者については一応許可処分を保留しなさいという指示をいたしてございます。保留いたしたものにつきましては府県警察におきましては現在鋭意調査中ということになってございます。それともう一点は、すでに与えている許可者の中にあるであろう不法行為の前歴者、これについて再チェックを行いなさいということ、それからさらに、全般的には許可の審査をもっとより一般と厳しくするというふうな趣旨を各都道府県警察の方に指示してございます。  とりあえず以上御報告申し上げます。
  6. 寺田熊雄

    ○寺田熊雄君 結局、警察当局としては、梅川に対して猟銃の使用許可を与えたことが失敗だったと認めているのか、それともやむを得なかったと弁明するのか、結論としてはどちらなんでしょう。
  7. 佐野国臣

    ○説明員(佐野国臣君) いわゆる前歴者についての危険性の評価というふうなものは、社会実態的に見ますと、前歴があるとは言いながら平穏な、あるいは正常な生活をしておる方の方が社会実態的には多いというふうな状況でもございます。ただ、梅川の事案を見てみますと、その犯罪の内容など勘案してみますと確かに相当凶悪性がございましたので、さらに徹底して調査をすべきであったのではないか、これは結果論でございますが、そういう点については深く反省をいたしておる次第でございます。
  8. 寺田熊雄

    ○寺田熊雄君 そうしますと、あなたの御答弁をそのまますんなり受けとめますと、調査が非常に不十分だったと、その点は反省していると、こういうことになりますね。
  9. 佐野国臣

    ○説明員(佐野国臣君) 前歴者の梅川の場合に、その許可した時点に彼がああいう形で銃砲を使用するであろうかという予測の問題でございますが、過去にあの種の事例というものがそう頻々とあったわけではございませんし、当時の判断としては一応何と申しましょうか、法令上の範囲内では容認される範囲の調査であったのではないか。ただ、あの種のものが出てみますと、今後これからああいうものの発生というふうなものを当然われわれとしても予期いたさなければならないという観点から、今後の問題としては、さらに調査を十分徹底してまいる、あるいはその申請者の性格テストであるとかというふうな問題についての検討もしなければならぬ、あるいは抜本的に運用全体を見直してみて、どこかに欠陥がありはしないか、その辺の洗い直しもやってみる必要がある。その過程におきまして、法律改正とかあるいは法律論の問題が壁になるというふうな場面が出てまいりますれば、それはそれなりにまた法改正の必要性というふうな問題も含めて調査なり検討をしていくというふうな姿勢でございます。
  10. 寺田熊雄

    ○寺田熊雄君 また答弁が後退したような印象を受けますがね。結局あれかね、いささかも措置に誤りはなかったと、少しも反省すべきものはないというのかどちらなのか、あなたの御答弁が行きつ戻りつしてはっきりしないから……。
  11. 佐野国臣

    ○説明員(佐野国臣君) 結果的にはあのような重大な犯人に許可を与えたということは、非常に反省いたしている次第でございます。
  12. 寺田熊雄

    ○寺田熊雄君 それから、少年時代の犯罪は少年法の精神に照らして考慮することが間違いだと、むしろ考慮しない方が当然だというような、そういう考えはなかったですか。
  13. 佐野国臣

    ○説明員(佐野国臣君) 私ども許可の基準を運営する上におきましては、やはり少年法の考え方というふうなものは当然しんしゃくないしは参酌されるべきものだという判断に立っております。
  14. 寺田熊雄

    ○寺田熊雄君 これは最高裁の家庭局長がおられたらお尋ねしたいんだけれども、少年時代の犯罪は、これは十六歳未満の場合は検察庁送致もできないし、家庭裁判所で重い場合といえども少年院送致になりますね。したがって、それは前科にはならない。そういう経歴を持つ者が成人になって銃砲等の許可申請をした場合に、家庭局長としては少年保護の立場からそれを警察当局が猟銃使用許可の際に重く見ることが妥当だと考えますか、それとも少年時代の犯罪については不問に付すると同様な考え方で処置してもらいたいと考えますか、どちらですか。
  15. 原田直郎

    ○最高裁判所長官代理者(原田直郎君) お答え申し上げます。  この当面問題になっております銃刀法の五条六号の規定につきましては、これは刑に処せられたこと自体を欠格事由とするものではございません。むしろ公益的な観点から許可することが相当かどうかという判断をなさるべき筋合いのものだと、このように考えます。そのようにいたしますと、その判断につきましては、少年時代に犯罪があったという事実もしんしゃくすべき一つの事情に入ってくるであろうと、このように考えております。ただ、御存じのとおり、少年法の理念と申しますものは、少年の健全育成ということを一番大きな目的にしております。したがって、少年時代に非行があった、そのことだけが長く尾を引いて将来の成人になった場合の不当な不利益にならないように特段の配慮をいたすべきことであろうと考えますけれども、いま申しましたような当面の問題に対してのお答えといたしましては、先ほど申し上げたとおりの考えを持っております。
  16. 寺田熊雄

    ○寺田熊雄君 まあ私も現役の裁判官の意見も徴してみたのですが、また過去に家庭局長をして、いま弁護士をしておる人などの意見も徴してみたのですが、多少意見が違うようですね。たとえばやはり常識的に見て強盗殺人というような最も重い刑法犯を犯した者に許可をするのは、それはもうだれが見てもおかしいという意見と、それからまあそれを重く見て不許可にすることによってその少年が差別を受けたということを考えて更生ができないようなことになっては困るというような考え方もあるというようなことを言う人もあるんですね。しかし、考えてみると、そのことのゆえに自暴自棄になるような者ならば他に原因があったって当然自暴自棄になることが予想されるので、そういうことを重く見て許可をするというようなことはどうもおかしいじゃないかと考えるわけですね。  ここでひとつ法制局長官にお伺いしたいんだけれども、長官としてはこの銃刀法の第五条第一項第六号、「他人の生命芳しくは財産又は公共の安全を害するおそれがあると認めるに足りる相当な理由があるもの」、これを公安委員会がこれに該当するかどうかを判断する場合に、少年時代の犯歴を考慮に入れるということは毫も私はこの法律の適用上差し支えないと、つまり少年時代の犯罪といえども当然考慮をして差し支えないと考えるんですが、法制局長官としてはどうですか。
  17. 真田秀夫

    ○政府委員(真田秀夫君) お答えを申し上げます。  ただいま御指摘の銃砲刀剣類所持等取締法第五条にその許可基準が列挙してございますが、その第一号から第六号までございまして、第一号から第五号まではまあわりに一義的に結論が出るような不許可条件といいますか、欠格条項になっておりますが、第六号につきましては、ただいまお読みになりましたように、「他人の生命若しくは財産又は公共の安全を害するおそれがあると認めるに足りる相当な理由がある」場合というふうになっておりまして、かなり裁量の働く欠格条項になっておりますので、この規定の適用といたしまして、どういう材料といいますか、経歴といいますか、要素といいますか、どういう事情のもとにおいてこういう「他人の生命若しくは財産又は公共の安全を害するおそれがあると認めるに足りる相当な理由がある」という判断をすべきかという、その判断の材料になる事項については限定がございません。ございませんから、したがいまして、少年のときに犯した非行といいますか、それを理由にして、それを一要素にして、そしてその第六号を適用して不許可処分にするということは、当然これは適法であると私は思います。ただ、およそ少年のときに非行があったということだけですぐこれに該当するとはもちろん私は思いませんので、少年のときに犯したその非行、まあ犯罪になる場合もありましょう。その場合のその罪質なりあるいはその犯罪に用いた手段なり、そういうことをいろいろ総合考覈して、そして第六号に該当するという判断をすることはもちろん適法であるというふうに考える次第でございます。
  18. 寺田熊雄

    ○寺田熊雄君 いま法制局長官の法令解釈が述べられたわけですが、ですから少年時代の犯歴、非行のその罪状であるとかその罪の重さであるとか、あるいはその際の犯罪後の情状であるとか、まあ取り調べをした警察官に言わせますと、犯行後もふてぶてしく、余り犯罪を認めなかったと、で、非常に凶悪な性格をうかがわしめるものがあったというようなことも新聞紙上では出ているんだけど、そういうものを理由として不許可にしても毫も差し支えない、合理的裁量の範囲内だというふうに思われるんだけれども、それも大阪府警の担当官は、新聞紙上に報ぜられるところによると、行政訴訟を提起されたら敗訴するからというようなことを理由にして弁明しているようだけれども、大変あの法令の解釈、運用を誤ったと考えざるを得ないですね。この点は十分反省してもらいたい。保安課長いかがです。
  19. 真田秀夫

    ○政府委員(真田秀夫君) 先ほどお答えしました際に一言申し落とした点がございますので、つけ加えさしていただきたいと思うのですが、具体的な事案のこれは処理の当否について私は実は判断をすべき立場ではございませんので、先ほど申しましたのは法令解釈としての一般論を御説明申し上げた次第でございますので、その点は誤解なさらないようにお願いしたいと思います。
  20. 寺田熊雄

    ○寺田熊雄君 それで結構です。
  21. 佐野国臣

    ○説明員(佐野国臣君) 新聞に報道されていることがそのまま当人の話した内容かどうかにつきましては、私どもの方で確認した結果ではもう少し非常に調子のやわらかい調子でお話ししたような報告を受けておりますので、直ちにそのような実態ではなかったように確信いたしております。ただ今後の問題といたしましては、いずれにいたしましても大阪で十五歳当時で、しかも十年前の犯歴という問題、そういう素質のある方でもやはりこういう問題を起こすということは、非常に銃刀法の許可をやる上での大きな参考ないしは一つの手がかりとでも申しますか、そういうことになりましたというように私どもは受けとめております。したがいまして、今後の問題といたしましては、梅川のようなああいった凶悪な者に関しては、法解釈を最大限活用いたしまして、銃砲許可の範疇から除外していくということで鋭意努めてまいりたいと思います。しかもその過程におきまして法令上の問題その他にひっかかるものあるいは障害があるというふうな問題が出てまいりますれば、それはそれなりでまたしかるべき措置をとってまいるというふうな決心でおります。
  22. 寺田熊雄

    ○寺田熊雄君 いまのあなたの御答弁ですと、結局こういう凶悪犯を犯した者は、今後の運用に関しては許可の範囲から除外していくように運用したいと、こういうことですね。
  23. 佐野国臣

    ○説明員(佐野国臣君) 御指摘のとおりでございます。
  24. 寺田熊雄

    ○寺田熊雄君 それから、これは純粋な法律問題になりますけれども、何かいま大阪地裁で昭和四十八年に起きた沢田隆志という者に対する殺人事件がありましたね。それがやはりたくさんの人を猟銃で射殺したので、その猟銃の使用許可を与えた、その行政処分が違法であったということを理由に、大阪府を相手取った国家賠償事件が大阪地裁に係属しているようですが、その答弁書で大阪の府警は、この猟銃を所持するという国民の基本的人権、あるいは市民的自由というか、それは最大限度尊重されるべきであるというようなことを答弁しているということが新聞紙上で報道されているんだけれども、それは事実ですか。
  25. 佐野国臣

    ○説明員(佐野国臣君) ちょっと詳細にそこまで聞いておりません。
  26. 寺田熊雄

    ○寺田熊雄君 それはあなたが御存じなければ……。これについても聞くよということは政府委員にお話ししておったんだけれども、準備がなければそれはしようがないけれども。一体そんな猟銃の所持をするというような基本的人権なんというのはちょっと考えられないと思うのだけれどもね、憲法上。これはついでだから法制局長官にお伺いするけれども、そんな基本的人権なんというのはないでしょう。
  27. 真田秀夫

    ○政府委員(真田秀夫君) 突然の御質問でございまして、ちょっとお答えするに困惑を感ずるわけでございますが、しかし、猟銃なり銃砲をやっぱり所持するということは本来的には自由であるはずだと思います。これは、職業上あるいは業務上持つという必要もある場合もございましょうし、あるいは趣味として、あるいはスポーツとして、レクリエーションとして銃砲を使うという自由は本来的にはあるのだろうと思うのです。ただ、物が物でございますから、公共の安全とか、あるいは他人の生命あるいは財産に対する危害を加えるという危険性が非常に大きいものでございますから、そういう方面からする制約というのはかなり強く働いてもいいものだろうと思います。ただ、基本的には、本来やはり――基本的人権とまで言えるかどうか、私も言葉の選択に困るわけでございますけれども、自由であることは確かだと思います。憲法で言えば幸福追求の自由ということになりましょうか。公共の福祉からする制約を超えて、もう絶対持ってはいかぬとか、あるいは非常に厳しくしてしまうというようなことは、やはり憲法の性格から言っておかしいのじゃないかというような感じがいたします。本日は突然の御質問でございますので、この程度の答弁で御勘弁を願います。
  28. 寺田熊雄

    ○寺田熊雄君 これは本題ではありませんからそんなに深く追及する必要はないんですが、ただ、歴史的に見て、たとえば民主主義の基本原理としての表現の自由であるとか、法律によらずして課税されることはないとか、あるいは裁判官の令状によらずして逮捕、監禁されることはないとか、そういう意味の基本的人権なり自由権とは重みが違いますね。歴史的にまたわれわれが取り上げて論じてきたものでもないし、だからそれを基本的人権として最大限に尊重さるべきものだなんということはちょっとやはりおかしいと私は考えるんだね。余り本題に入らぬ、時間がたつからこの程度で私はこの論議を終えたいと思います。法制局長官、結構です。  いまの問題、法務大臣はどんなふうにお考えですか。大臣のお考えもちょっと伺いたい。梅川に対する猟銃の使用許可を与えた問題ですけれども、法務大臣としてはどんなふうに考えていらっしゃいますか。
  29. 古井喜實

    ○国務大臣(古井喜實君) この問題は直接の扱いをなさっておる警察庁で最善に処理されたものだと思っておるんでありますが、私どもはその横に座っておるような立場でありますけれども、何しろ、結果論でありましょうけれども、あの事件を振り返ってみて、やっぱり猟銃の許可を与えたところに一番問題があったんじゃないかと、こう思うんですね。その適否の問題になってくるわけでありましょうが、法令的には認めないこともできるという解釈を言っておられた、それは多分そうでしょう、法令の上では。そこでむずかしいことになってしまうのでありまして、まあ私どもの方のかかわり合いから言いますと、申し上げるまでもなしに、少年時代に犯罪を犯した人間でもまともな人間になるのもたくさんおるんですし、そうさしたいわけですな、できるだけ。更生、社会復帰ということをできることならさせたいわけでありますね、一面においては。それがありますけれども、さらばといってこんなことが起こっても困る、むずかしいところになるわけであります。しょせんケース・バイ・ケースで、両方はかり合って扱いの当局が良心的に決めるほかない、判定するほかないだろうと思うんであります。だからはっきりせぬということにもなるんで、結果論、後から見るというと、ああだった、こうだったということにもなってくるわけでもあるんであります。非常にむずかしいところだと思いますが、なるべくなら社会復帰をさしたいものだと、こういう気持ちを私ども持っておりますが、どうにもならぬというときはこれは仕方がない、警察の方で断ってもらう。どうもこれはきっぱりしたことはちょっと申しかねるような気が正直にいたすわけであります。当局によく判断してもらうということになってしまうように思うんであります。
  30. 寺田熊雄

    ○寺田熊雄君 最近、私ども理由なき殺人が頻発しているような印象を持っております。いろいろな例を申し上げる必要はないと思いますが、いまお話しした猟銃による殺人もその一つであります。この間大阪では、トイレで洗面をしておった女性がいきなり後ろから突き刺されたというようなことも報道せられておるわけであります。そのほか、最近起きた事件ではありますけれども、何か女性に絡んだ男性をちょっと制止した銀行員がいきなり刺し殺されたというようなことも報道せられておるわけであります。こういう理由なき殺人でとうとい生命が犠牲にされてしまうというようなことに関して、私どもはもう少し何か法務当局として当然打つべき手はないんだろうかと考えるのでありますけれども、ちょっと漠然とした質問で恐縮ですけれども、法務大臣なり刑事局長なり、何かこういうものに対してあなた方の職務権限の範囲内で打つべき手がないでしょうか。いかがでしょう。
  31. 伊藤榮樹

    ○政府委員(伊藤榮樹君) 最近、いま御指摘のように、理由なき殺人というようなものが頻繁にマスコミで報道されるようでございまして、そのことは私どももよく承知をしておるわけでございます。いわゆる理由なき殺人というものがどういうものであるかいろいろ考えてみますのですが、二つのカテゴリーがあるのじゃないか。一つは精神障害あるいは薬物中毒の結果、常人とは全く発想を異にしたような理由から犯罪に出るものがございます。そのほかに、ただいまお挙げになりました中の大部分がそれに当たると思いますが、かつての常識では考えられないようなささいな動機あるいはちょっと理解の困難な動機、こういうもので犯罪に出るというものが目につくようでございます。  前者の精神障害あるいは薬物中毒の関係で罪を犯します者につきましては、これはもう申し上げるまでもなく刑罰による特別予防の効果というものが比較的期待し得ないものでございますので、それをまた保安処分の問題等として現在検討しておるわけでございます。  後者のちょっと常識で理解できないような動機に基づく犯罪、これにつきましては一見理由がない犯行のようではございますが、必ず掘り下げればそこに何らかの動機が見出せるわけでございます。  捜査機関としては、従来の勘とか経験の積み重ねだけによらないで、心理学あるいは精神医学その他の周辺諸科学の知識も吸収いたしまして、また場合によってはそういう専門家の方のお力も得まして、あくまでやはり本当の動機というものを捜査の過程で追求していく。そしてそれに見合った処遇ができるような措置をとる。そして検察あるいは裁判を取り巻くいろんな機関がございます。そういうものと協力をしてその動機の発見、これに見合った処遇ということで特別予防を期していくと、こういうことが必要であろうかと思います。  なお、一般予防の見地から言いますと、そういうまことに不可解な、何の理由もないのに人を殺すというような者については、やはり相当程度厳しく処罰をしていくということによって一般予防的な効果を上げる、こういうことも必要であろうかと思います。
  32. 寺田熊雄

    ○寺田熊雄君 私はそういう理由なき殺人を許すいわば国家の法的責任といいますか、国家の法的責任を一応おくとしましても、国民全体としてそういう被害者に対して何らかの救済措置を与える、いわば国民全部の負担による保険といいますか、そういうものについても触れていただきたかったんだけれども、それはひとまずおきまして、刑事局長がいま言われた一般予防の見地から厳しくその責任を追及していくという問題につきまして、どうも私ども自分がいままで弁護士としての業務を取り扱って、殺人犯を弁護する立場に何回か立ったのにそういうことを言うとおかしいんだけれども、裁判が殺人という大変重い法益の侵害に対して著しく軽いと考えられる場合がありますね。それから求刑が、われわれ弁護人があっと驚くような軽い求刑がある。たとえば殺人罪に対して懲役四年を求刑しますというようなことを私実際に経験したんですが、これは何か求刑の基準というようなものがあるんでしょうか。それとも全く検事正なり担当の検察官にゆだねられているのでしょうか、その点いかがです。
  33. 伊藤榮樹

    ○政府委員(伊藤榮樹君) 端的に申し上げますと、殺人事件一つとってみましても、非常に動機、態様、その他被告人の環境、資質、千差万別でございますから、画一的な求刑基準というものは立てにくいわけでございます。しかしながら、事柄が非常に重大な犯罪でありますから、たとえば東京地検等におきまして、従来の科刑の実情、あるいはこれに見合う求刑の実情などを体系的に収集いたしまして一つの目安をつくると、あるいは法務総合研究所等におきましても、そういう研究をすると。その研究成果を折に触れて全国に流すというようなことで、一応の何といいますか、腰だめ的な基準と言えば言えるようなものを流しておるわけでございます。それらを決裁官が踏まえながら個々の検察官の求刑意見等を調整をしておると、こういうのが実情でございます。
  34. 寺田熊雄

    ○寺田熊雄君 腰だめ的な標準といいますか、それはあるのだということでしたけれども、まあ刑事局長は一般予防の見地から殺人犯に対してはもっと重く処罰する必要があるという意見も述べられたわけですね。そうしますと、これは刑事局長と法務大臣とお二方にお尋ねするわけですが、その求刑の基準なりあるいは指導なりについて、将来にわたってもう少し求刑を重くするというか、生命の尊重に対する何らかの配慮を求刑の面ですべきではないかと私は考えるんですが、その点いかがですか。
  35. 伊藤榮樹

    ○政府委員(伊藤榮樹君) ただいまの御指摘は、現在の求刑の実情をより厳しくやるべきではないかというお考えが根底におありになるように思うのでございますが、そういう観点から過去二十年ぐらいの殺人罪に対する科刑、求刑の状況をずっと見てみますと、大体同じ程度の刑の重さで来ておるように思います。ただ一つだけ顕著に目につきますのは、死刑というようなものは顕著に減ってきておると。結局、殺人罪における求刑あるいは科刑が上限が少し下がってきておる。そして真ん中辺にずっと固まってきておると、こういうことは言えると思います。しかしながら、先ほど来仰せのような、いわゆる理由なき殺人につきましても、徹底的に本当の動機、理由というものを追求して、それに見合った適正な刑量を持っていくということがまず必要でございますし、それからやはり一遍に何割増しの求刑をするというようなことも適当でありません。徐々にそういった犯罪現象をにらみながら是正をしていきたいと、かように思っております。
  36. 寺田熊雄

    ○寺田熊雄君 法務大臣いかがでしょうか。
  37. 古井喜實

    ○国務大臣(古井喜實君) ただいま刑事局長がお答え申し上げましたが、私も長い経験は持ちませんけれども、大体いま局長が申しましたそういう考え方でいくべきものではなかろうかと、こういうふうに思っておる状況でございます。
  38. 寺田熊雄

    ○寺田熊雄君 裁判官の裁判に対して、これはどうすべきだというような指示を最高裁が与えるというようなことは、これはすべきじゃないでしょう。ただ、私ども新聞紙で報道せられる殺人罪に関する判決を新聞紙上で読んだ場合に、どうも生命の尊重に対する配慮が少し足りないのじゃないだろうかという印象を受けることがしばしばありますね。これは去年の十二月二十八日「障害児殺しに懲役」と、これは懲役三年の判決を父親にしたわけでありますが、これは親が子を殺した場合に執行猶予の判決も情状によってかなり多いようですけれども、これなどは法定刑の最下限に下げた判決でしたが、それから五十三年のこれは十二月十八日ですか、十八日に報道された「老マダム殺しに懲役七年」という見出しの判決、これは交際を求めた女性に交際を断られ、かっとなって頭を殴ってさらに首を絞めて殺したと。これ懲役七年と。情状酌量をした結果だとは思いますけれども、人一人の生命を奪った場合の判決としては非常に軽いというような印象を受ける場合があります。で、どうでしょうか。裁判官に対して、生命を奪った犯罪に関しては生命の尊重ということをよく考えて判決をしてほしいというような指導をすると。これはまあ具体的な個々の裁判に対する指示ということは許されないにしましても、生命の尊重のそういう配慮を求めるということはいささかも差し支えないように思いますが、刑事局長としてはどうでしょう、最高裁の刑事局長。
  39. 岡垣勲

    ○最高裁判所長官代理者(岡垣勲君) いま御質問になりました点に関連しまして、多少私ども調べてまいったことをお話ししたいと思いますけれども、個々具体的な事件につきましては御指摘のとおりに、私どもどうこうということは言えないわけでありまして、それで統計的な数字をこちらへ伺う前にいろいろと見てまいったわけでありますけれども、殺人という罪名のもとに上がっております刑の状況を見てみますと、たとえば五十二年、一番最近ではっきりしているところでは、たとえば死刑が五名、それから無期が十五名と、その他二十年以下が十六名、以下ずっとありますが、総数千六十八名の者に対して刑が決められておるというわけであります。いろいろあるその刑につきまして、死刑や無期が一体どういう流れを持ってきているのだろうかということを見てみますと、たとえば死刑は二十年前にさかのぼって見まして、三十三年に三名、三十四年に六名、三十五年ゼロというふうな経過、大体三名から五名ぐらいで、こうきている。最近のところを見ましても四十九年三名、五十年二名、五十一年三名、五十二年五名ということが出てきております。それから無期懲役も大体似たような数字があるということでありまして、一番トップのところをとってみまして、どうという結論を直ちに出しがたい状況にあります。それから死刑、無期というものは、これちょっと通常の有期懲役に比べましてはかりようがございませんので、仮に死刑を五十年として、それで無期を三十年としまして、その他二十年以下、十五年以下と区切りまして、その平均値はどうなるであろうかということを、これは本当に仮の数字でありますけれども、やってみますと、そうすると三十二年には平均五・六年、四十二年では六・二年、五十二年では六・四年ということになっているわけであります。それで二十年ぐらい前からいままでに一体低くなってきたのか高くなってきたのか、これも全体を通じて見た場合には必ずしも私どもとしては確言できないという状況にございます。したがいまして、先ほど仰せになりましたように、ここで改めて生命の重要性について云々ということをさらに言うきっかけというものはちょっとありませんし、方法もなかなか司法研修所で裁判官の研さんでもありましたときにいろいろな問題として出てくれば出てくるということでありまして、さしあたり委員のおっしゃいましたようなことに対して、的確にこうするというふうなことは申し上げかねるわけであります。ただ、刑の重さということに一体じゃあ幾らがいいのか、本当に刑というものは幾らがいいのかという絶対的な、いままで出たのは過去との比較の問題で、そうどうもどう変わっているということも二十年思えないということでございますけれども、じゃ絶対的にどうなるのかという問題があると思うのです。この問題は、これはまあ私事を申し上げて恐縮でございますけれども、私なんかが地方裁判所の裁判長をやっておりましたときに、田舎の、郷里の母に、どの裁判所は刑が軽過ぎるからなってないと言ってしかられて往生したことがございます。ですから、じゃそこのところをどういうふうに説明したらいいか、また自分としてもあるいは裁判官としても刑の絶対的な重さというものはどういうものであるかということ、これは非常にむずかしい問題でありまして、恐らく一生かかって考えてみなきゃならぬ問題だと思いますし、私も興味――自分も個人的に持っておりますし、裁判所の制度としても考えなきゃいかぬことだと思いますが、きわめて困難な、そしてなかなか一義的に一刀両断にこうだというふうに言えないものであるという点をひとつ御了解いただきたいと思います。
  40. 寺田熊雄

    ○寺田熊雄君 いまの局長のお答えでも、大体、死刑を五十年、無期を三十年とするのが妥当かどうかは別として、その計算によると平均して五・六年とか六・二年とかいう懲役刑になるんだという、まあ著しく軽いような印象を受けますね。しかし、また、裁判官としてはこういう重い犯罪についてどういう判決が妥当なんだろうかということは、裁判官としては深くやはり研究する価値のある問題ですね。だから、ちょっときょうは時間がないので、これ以上の論議はできにくいんだけれども、もう少し司法研修所あるいは裁判官の研修の時点でこの問題を取り上げてみてもらいたいと、こういうふうに思います。  またこれは将来にわたって論議することにして、きょうはこれをしませんけれども、なおその次に、犯罪被害補償法については、もういままで衆参の法務委員会でもしばしば論議されて、刑事局長もいろいろと苦心をしていらっしゃるようだけれども、これはどうなっているのか。もう薬害救済法案も出るということですね。そういうところから見ると、ちょっとおくれているんじゃないかと思いますが、これは法務省とそれから警察庁の所管の方と両方の御答弁を求めたいと思います。
  41. 伊藤榮樹

    ○政府委員(伊藤榮樹君) 先ほどもお答えの際につけ加えるべきでございましたけれども、特に理由のない殺人の被害者の方のことなど考えますと、国民全体で何とかしてあげたいと、こういう気持ちがわくのは当然でございまして、そういう考えを基本といたしまして、私ども法務省におきまして被害者補償の問題について鋭意研究、検討を進めてきたわけでございます。だんだん検討をいたしまして、その結果、最後にじゃ補償の実施機関をどうするかということが技術的な一つの問題となりまして、いろいろ関係省庁と御相談いたしました結果、新たな行政機構をつくるということ、これが現在の行政簡素化の方向にも逆行するような点もございまして、やはり地域に密着した地方自治体の長の方に実際の補償実施の事務をお願いをした方がよろしいのではないかという結論に達しまして、そういう観点から、特に警察庁といろいろ御相談しておりました結果、警察の方でひとつ中心になっておやりいただいて、私ども法務省刑事局が全面的にこれに御協力していく、いずれにしても早期に実施を見ると、こういう方向へ持っていきたいということで警察の方へ形式的にはバトンタッチをしたというようなことでございます。
  42. 小池康雄

    ○説明員(小池康雄君) ただいまの伊藤刑事局長のお話と若干重複する点があると思いますけれども、警察庁の立場から御説明申し上げたいと思います。  この犯罪被害補償制度につきましては、法務省と私どもと従来から協力して検討を進めてきたところでございますけれども、現在私どもの方が中心になりまして、わが国の実情に合った実現可能な制度を目指して、制度の理論づけあるいは補償の対象、実施機関等の制度の内容につきまして検討を続けているという段階でございます。  いままでの検討の過程で一つの問題になりましたのは、先ほども出ましたが、補償の実施機関をどこにするかというような問題が一つの大きな問題でございました。それにつきまして、都道府県の部局にお願いするというような考え方も一つの有力な考え方でございまして、そうなりますと、この実施機関のあり方によりまして、地方行政と関係の深い警察庁の方が中心になって検討した方がよいのではないかというような両省庁の話し合いの結果、現在では私どもが中心になって検討を進めておるということでございます。いずれにしても、できる限り早い機会に実現をしたいというのが私どもの考えでございます。
  43. 寺田熊雄

    ○寺田熊雄君 これは所管のバトンタッチがあったということでしょうがないかもしれぬけれども、いまにも提出されるような雲行きだったやつが、何か急に所管のバトンタッチで延びたような気がしますが、それじゃ警察庁としては、いつの国会ぐらいには間に合わせたいという気持ちなのか、もっと具体的にその点をちょっと。
  44. 小池康雄

    ○説明員(小池康雄君) 先ほども申し上げましたが、私どもはできる限り早くと考えておりますけれども、具体的には五十五年度には実施したいということで、具体的な準備――私どもの立場では具体的な準備を進めておるわけでございます。  ただ、御承知のようにいろいろ財源の問題等もございます。それで、財政当局含めて、関係機関とのいろいろな詰め合わせということがあるわけでございますが、実はスケジュール的には五十四年度予算の問題が片づきまして早急にそれに入りたいということでございますので、そういうように間に合うような形で、できるだけ早い機会に提出さしていただきたいということを考えているということを申し上げます。
  45. 寺田熊雄

    ○寺田熊雄君 これは法務大臣にお尋ねする問題なんですが、金大中事件について、この間衆議院の予算委員会で、私テレビで法務大臣の御答弁を伺っておったんです。それは民社党の塚本書記長の質問のときでありましたが、塚本さんは、何か朝鮮民主主義人民共和国の代表の入国の許可の問題で質問しておった。それともう一つは、韓国にサービスし過ぎているというその法務大臣の御発言をとらえて、ちょっと法務大臣を追及しておられるようでありましたが、私はまた、その法務大臣の御発言というのは非常に正鵠を得たものじゃないか、法務大臣が何であんな遠慮して御答弁になるのか、法務大臣のお人柄を私存じ上げているだけに、ちょっとむしろ奇異の感に打たれたんですけれども、それはまあひとまずおくとして、そのときに法務大臣が、田中内閣時代になされた金大中事件の政治決著は尊重するけれども、その経過措置には釈然としておらないという御発言をなさったですね。これは法務大臣だけではなくして、その後大平総理大臣も深い疑惑を持つということをおっしゃって、しかし、疑惑はあるんだけれども、政治決着しちゃったんだという、だれが見ても了解しがたいような答弁をしておるわけであります。法務大臣が釈然としないのは、もうわれわれ、法務大臣に限らず、日本国民がほとんど全員が釈然としてないんだと思うんですけれども、これについて法務大臣の本当のお気持ちをちょっと聞かしてください。
  46. 古井喜實

    ○国務大臣(古井喜實君) 大変厄介な問題を御質問になりましたので、ちょっと当惑しておるわけでありますが、まああの節、衆議院の予算委員会で申しましたように、とにもかくにも政治的、外交的な決着をつけたんだから、国際信義の上から言って、これ尊重しなきゃなるまいと、こういうのが結論であります。直接関係はしておりませんし、当時ね。いろんな感想はあったと、これはうそをつくわけにはいきませんわと。であったけれども、とにかくああいう決着をしたんだから、これはそれを尊重すると、こういうことが要するに経過でありますんで、まあその辺で御了承願っておきたいと思います。
  47. 寺田熊雄

    ○寺田熊雄君 まあ法務大臣としては、余り御発言になって、内閣の不統一を表面に出すということを顧慮していらっしゃると思います。私もまた、法務大臣を困らす気持ちはさらにないんで、法務大臣のような方が法務大臣としてはきわめて適任だというふうに私どもは見ているんだけれども、しかし、あの予算委員会で釈然としないとおっしゃったことは間違いないんでね、私ども伺っているわけですよ。だから結局、何か、あなたを困らすわけじゃないんだけれども、釈然としないというのは、つまり、ああいう政治的な配慮から外交的な措置をしちゃったけれども、しかし国民感情としては納得しがたいものがあると、そういうことなんでしょう。どうですか。
  48. 古井喜實

    ○国務大臣(古井喜實君) まあ、その節にも申しましたんですけれども、私だけでもあるまいと、あの経過、あの処理ですね、当時、に対して割り切れぬ気持ちを持った者はあっただろうと、私も当時そうだったんだと――うそを言うことはできませんものでな、そう思っておったんだから。ですけれども、とにかく政治的なこういう決着をつけた後のきょうとしましては、さっき申しましたように、外交的な信義の上から言ってもこれを尊重をしなきゃなるまいと、尊重をしますよと、こういうことを申したわけであります。
  49. 寺田熊雄

    ○寺田熊雄君 時間が来ましたので、もっといろいろとお尋ねしたいんですが、これはやめます、それだけで。割り切れないという気持ちを持ったことは事実だというんですから、それで結構です。  最後に、グラマン事件ですね。これはロッキード事件が布施という非常に剛直な、私も彼の人柄よく知っていますが、非常に公私の別を厳しくする剛直な男が検事総長であったということも、非常にあの事件の適正な解決がなし得たという、あずかって力があったと思います、そのことに。それからもう一つは、やっぱり三木さんが独自でフォード大統領に親書を送ったというような、ああいう内閣の姿勢も検察当局が自由に腕をふるう、非常な気魂で取り組むということを可能ならしめた一つの原因だというふうに思います。それから、法務大臣であった稻葉さんがまた、非常に三木さんと呼吸が合って、何らの干渉を検察当局にしなかったということも、総理大臣の犯罪を明らかにしたやっぱり一つの理由であったとも思います。そこで、私は、法務大臣の御決意を最後に伺いたいんです。やはり、たとえ内閣の首班からどのような働きかけがあろうと、自由民主党の、つまり三木さんをはしゃぎ過ぎだと言ったようなああいうブレーキをかけるような一派があろうと、検察当局を激励して政界の浄化を図るために縦横に検察当局に腕をふるわせると、そういう決意を私は法務大臣に持っていただきたいと思います。  いかがでしょうか。
  50. 古井喜實

    ○国務大臣(古井喜實君) この前のロッキードのときには、お話のようなわけで三木総理も非常な意気込みだし、法務大臣もあのとおりにおやりになったわけであります。  いまわれわれはダグラス・グラマン問題にぶつかっておるわけでありますが、これにつきまして人それぞれ流儀があるものでありまして、私自身は、この種のことを大仰に騒ぎ立ててはしゃぎ過ぎるということは気が進まぬのです。愉快なことでもなけりゃだれの名誉になることでもないし、情けないことが起こったというわけでありまして、やけにはやし立てるような気持ちは正直に実は起こらぬのです。  しかしながら、それはそれですけれども、これほど国民に大きな疑惑を引き起こしているわけでもありまして、それが個々の政治家ということ以上に、政治全体に対する不信感にもつながるわけでもありますので、やはり本当にわれわれの職責でやるべきことはもうやるだけのことはやり、そうして、どういうことが出るにせよ出ないにせよ、もうやるだけのことはやったと、それでこういうことであったということを国民に認めてもらうように最善を尽くしたいというそういう考えでおります。  それから、ことさら検察当局に鞭撻を加えませんでも、まあ見ておりますと、ちゃんと検察はやることをやってくれておると、私はそう思っております。でありますから、わからず屋の子供でもあるまいし、ちゃんと見てはおりますけれども、よけいなことは余り言わぬで、信頼してやることをやってもらってみようと、こう思っております。  もう一つ、まあ総理などから何か注文をつけられたり圧力をかけられたりというようなことでもあったらどうするんだという意味のこともありましたが、これはどうも何と言われても、こっちの任せられた仕事はこっちにやらせてもらわなきゃ困るのですから、これは就任しました当初からの何で、こっちに任してくれたことはこっちに責任を持たしてくれと、こういうことを当初から総理には申しておりますし、まあ言われても、そうやたらなことを聞くほどわかりのいい人間でも私ありませんし、これはその辺は御心配なくしばらくお任せ願って、やっておる間はやらせていただきたいと、こういうふうに思っております。
  51. 寺田熊雄

    ○寺田熊雄君 終わります。
  52. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 私は法務委員会における古井法務大臣の所信表明のことに最初お伺いをいたしたいと思います。  期せずして寺田委員と私と同じような質問が重なったような結果でございますが、また、私は私なりの大臣にいろいろなお考えを伺わなきゃならないと思うわけであります。  大臣のこの所信表明の中に、「国の行政の任に当たる者は、国民一人一人の生きるための苦労と努力に十分な理解を持ち、愛情を持って事に当たらなければならないと考えておりますが、反面、社会の平穏を保持し、善良な国民を守っていくためには、心を鬼にしなければならぬこともあると思うのであります。内外の諸情勢がきわめて厳しいこの時期において、私は、国民の期待にこたえるよう、誠心誠意、みずからの良心に問いつつ、職責を尽くしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。」というこの一節がございますが、国民の一人一人の生きるための労苦を努力に十分な理解を持つと、こういうお話がございます。  ただいま寺田委員の方からもいろいろ御質問があり、それぞれの答弁もございましたけれども、犯罪被害補償のこの制度の問題につきましては、大臣の言われているこの内容に直接に当てはまるかどうかわかりませんけれども、広い意味で言えば当然国民の一人一人の生活を守らなきゃならないと、特にこういう被害に遭っている方々の点については十分にやらなきゃならないというふうなお考えと私は解釈しておるんですが、いかがですか。
  53. 古井喜實

    ○国務大臣(古井喜實君) 具体の犯罪被害者の補償問題につきましては、先ほど来お尋ねがあったり関係当局で申し上げましたと同じように、これは要するに社会全体として責任を負うのが至当でないかと、至当であろうと、私はそういうふうに思いますもので、できるだけ速やかに、と言っても先ほどお話しのように五十五年度目標にといういま状況でありますけれども、実現をしたいものだと、そういうふうにあの問題については思っております。  なお、所信表明の中にありますことについてでありますけれども、お触れになりましたわけですが、とにかくぎりぎりの問題ですから、法はもう厳粛に守らなきゃならぬと、これはそのためにはつらくても心を鬼にしなきゃならぬ役目だと、そう一方では思っております。  またそれについて、裁判は全く独立でありますが、検察にいたしましても、できるだけ私どもの立場としては中立性を尊重しまして、政治的な勢力の介入影響を与えたりしないように公正な立場で検察も職務をやってもらうようにわれわれが心がけなきゃならぬと、一つの政治勢力とかというようなものが検察の段階でやたらにくちばしを入れたり影響を与えることはよくないと、中立性を尊重していくと。同時にそうすると今度は警察の方が官僚的、権力的、独善的な働きをするということになっても困ると、ありがちなことです。これは検察だけじゃありませんけれども、役所はそういう傾向に陥りやすいものです、上からながめてですね。それでやはり一面においては、あんなに苦労してみんなが生きていくために一生懸命働いたり汗を流しておるじゃないかと、これが一番大切じゃないかと、そのことを十分に心に置いて仕事をやっていくということをしなければいけないと、このことを私は強く感じますもので、法務省のいろんな会合がありますときには、えてしていわば官僚的な権力的なことにお役所というのはなりがちなものです。ことさら権力に携わっている者はそうあっちゃいけないと思いますので、そういうことを強調したりなぞしておると、こういうことを率直に所信表明の中に誓いてもらったと、こういうことでございますので御了承願いたいと思います。
  54. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 そのお心で終始一貫し、その精神が将来の法務当局の中にもずうっと浸透できればということを期待しておりますが、先ほど申し上げました犯罪被害補償制度の問題につきましては、五十三年の十月十九日、当委員会におきまして瀬戸山前法務大臣は、「五十四年度の予算要求をしたいと思っておりましたけれども、その準備が間に合いませんで、残念ながら。しかし何とか施行の期日を多少ずらしてでも法案を次の通常国会に出したいと、こういうことで精力的にいま準備を進めさしております。」と、こういうはっきり答弁をなさっておられるわけです。それからそのときに刑事局長も、その事犯の内容をるる説明をなさいまして、そして制度のやり方についても具体的な、「現在私どもが腹のうちで考えております芽を出す程度の案で見ますと、全額補償して差し上げるべきであると思われる方が亡くなられた方のうちの二百五十六名、二〇・一%、」とか、具体的な数字まで挙げられて非常に意欲的な御答弁をなさって意欲的にこれをやっていかれるということで、どれほどかこういう被害を受けた方々が大きな期待をしておりました。ところが、残念ながらさっきの御答弁によりますと、伊藤局長がどういうことをおっしゃったかと思いますと、警察庁との話し合いで現在どうなっているかと私は心配しておりましたが、バトンタッチしたと、警察庁の方にバトンタッチをしたというふうに言われている。警察庁の方では、現在制度の内容を検討しておる、補償の実施機関については都道府県との問題があるからこれはまた自治省との関係があるという、こういったようなニュアンスで、それから、そうかと思いますと、今度は具体的に実施期間とすれば五十五年度に実施したいと言いながら、また財源の問題があるとか、詰め合わせがまだどうだとかこうだとかという話なんですが、私は当然、昨年の十月の十九日にこれだけのことを御答弁なさっている以上は、今日の段階であっちへやりこっちへやりみたいな、バトンタッチだ、バトンタッチだというようなボールを投げっこしているような形では、これはいま大臣のおっしゃられました「国民一人一人の生きるための苦労と努力に十分な理解を持ち、」というこのことが私はちょっとさみしい気がするんですが、したがいまして、こういう点に一本私はくぎを刺しておきたいと思いまして念のために質問をし、そしていつの時期、いつの時点ということは、先ほど警察庁の方が五十五年度だとおっしゃいますけれども、この詰め合わせの状態というものは現在どの程度まで進んで、どういうふうな、自治省の関係があるなら自治省と法務省とどういうふうな点が行き詰まってどうなっているんだということをひとつ具体的に説明を願いたいと思います。
  55. 小池康雄

    ○説明員(小池康雄君) 先ほど御答弁申し上げましたけれども、私どもいまの段階では、法務省との間の検討というのはほとんど問題点についての検討を遂げてきたように承知しております。ただ、それ以外の関係機関との詰め合わせという問題が実はあるわけでございまして、先ほど申し上げましたように、五十四年度予算の問題が片づいた時点と申しますか、できるだけ早く私ども考えておりますけれども、そういう点から詰め合わせに入りまして、それで実施としてはできるだけ早くというのが、私どもの立場では五十五年度ということを何とかしたいということでございますので、そういう詰め合わせができますれば、直ちにその具体的な形として法案の詰めあるいは予算要求というふうなことが五十四年中に終わりまして、具体的には次の通常国会には何とか法案を提出さしていただきたいと、こういうようなことで準備を進めておるということでございます。
  56. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 各関係省庁と言いますけれども、どことどことどういうふうに詰めるのかということ、その点ひとつはっきりおっしゃっていただきたいと思うんです。
  57. 小池康雄

    ○説明員(小池康雄君) 一番問題になりますのはやはり財源の問題だと思いますので、大蔵省。それから自治省は、私どもいま考えておる一つの有力な考えとして先ほど申し上げましたように都道府県の部局に実施の事務をお願いするというような考え方を前提といたしますと、これは自治省と相当な詰め合わせをしなければいけない。それからこの制度の性格というのがやはり一般的な保障、社会保障的な性格もございますので、厚生省というようなところとも、他の制度との何と申しますか調整というような観点からの詰め合わせをしなきゃいけないと、かように考えております。
  58. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 伊藤刑事局長は、大臣もお聞きのとおりでございますが、せっかく一生懸命にこの問題については本当にお考えをいただいて、もう前向きに前向きにという方向で続けられておられた事情はよく存じておりますし、そして瀬戸山法務大臣にいたしましても、古井法務大臣におきましても、先ほどの御答弁がありましたように、いま警察庁の方の言い分をむしろ今日までの実績に照らし合わせて督促をするような方向でひとつやっていただきたいということを要請をいたしたいと思います。  それと、この問題につきましては、やはり自賠法だとかいろんな補償法のいろんな今日の社会情勢の流れがございます。そういうふうな問題とか、あるいは遡及の問題をいつの時点からどんなふうにやっていくか、そういったようなことも明確に一つ一つの俎上に上せながら勘案を願いたいと思います。幸いにして公明党ではこの犯罪被害補償制度の制度案を提案をいたしておりますので、それらも御参考になればと思いますので、その点も御留意いただきたいということを要請をいたしておきたいと思います。  それから、先ほど銃砲刀剣類の所持取締法につきましては、寺田委員から、なぜ梅川に許可をしたとかという法律上の、法令上の中からの質問がやりとりをされておりまして、そして、その許可した者に対する性格といいますか、そういう者になぜ許可したのかというふうな応答がございました。それで大臣が、そのことにつきましては直接警視庁がやり、横に座っている立場であるんだと。そして、猟銃を許可したことはこれは悪かった、少年時代の犯罪を犯した者を社会的に更生したいと思うとむずかしい問題があると。これはこのとおりだと思います。それから、扱う者の立場もあり、大変むずかしい。社会復帰させたい、そういうような面から考えるときっぱりしたことが言いがたいというような御答弁がございました。それも私は否めないと思うのです。  そこで、警察庁の方に、裁判所が決定した「強盗致死、窃盗保護事件」というこの裁判所の決定をはっきり承知なさっていることなのですかどうか、お伺いすること自体がおかしいことなんですけれども、これはよく御検討なさったのでしょうか。これをしっかり、裁判の決定を一つ一つ条文をしっかりとお調べになったんだということは私は疑わないんですが、いかがですか。
  59. 加藤晶

    ○説明員(加藤晶君) この御質問、当面のあれであります保安課長がちょっとあれでございますが、私が聞いております範囲内では、この前歴の事件につきましても十分検討したということでございます。
  60. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 失礼ですが、あなたはこれを、決定文をお読みでございますか。
  61. 加藤晶

    ○説明員(加藤晶君) 私自身は捜査一課という立場でございますので、この事案が起こりましてから、犯人がこういう前科、前歴を持っておるということがわかりましたので、当時この事件を取り扱いました捜査主任官からいろいろ事情を聞いております。ただ、この決定文自体は私どもの手元にございませんでしたので、私は見ておりません。
  62. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 私は、少なくともきょう法務委員会があり、それらの内容をある程度までは御存じでおいでになっておるのじゃなかろうかと思うのです。じゃなかったのでしょうか。それであるのならば、当然こういうお二方いらっしゃるのですから、お二方のいずれかの方が内容を熟知なさって、そして、どういう少年であったかという、先ほどの私は答弁のやりとりをなさって、聞いておりまして、許可したという、法制上の範囲内であったとかいうような報告が、そう厳しいものでなかったみたいなような御答弁で、非常に不愉快に思いましたので、それであえてこの三十九年ですか、これ、三十九年一月十七日の決定した内容を見ているわけです。これをごらんになりますと、将来にわたっていることまで出ているわけなんです。こういう、だから将来も警戒しなきゃいけないんだという――お読みしましょうか、これ。これはあれですよ、私の持っているのはこれ、間違いないものであればいいんですけれどもね。「本件強盗殺人罪に対する所見」というのがございますが、この中の一部分を読んでまいりますと時間がないんですよ。大臣に対する所感は三十分しか時間がないんです。したがって、あともう少ししかないんです。まだほかにやりたいのがあるので、まことにくやしいのですが、一つ一つ将来に対する精神分析だとか、「精神医学的診断」だとか、「脳波所見」とか、「精神 知能」だとか「性格」だとかというものが詳しく出ているわけなんです。これをごらんになればどういうことかということがわかると思うのです。ですから、大臣は確かに――私も思います、少年ですから、将来がありますから、社会的復帰をさせていきたい、少年法の上から言ってもこれは当然考えてあげなければならないということは十分わかりますけれども、この所見なんかを拝読しますと、まことに許されるような状態じゃなかったんじゃないかと思うのです。それで、あえて私はこれを俎上にしたわけですが、どうかひとつ、お帰りになりましてから、将来のために、犯罪というものはこれから起こしちゃならないために、いまあるものを、一つの参考と言っては大変申しわけない話でありますけれども、犯罪は未然に防がなければならない、そういう立場の上からこのいろんな分析もなされ、そして、その取り調べをなさっていっているわけですから、将来のために私はこのことを一言申し添えておきたいと思うのです。よろしゅうございましょうか。
  63. 加藤晶

    ○説明員(加藤晶君) 私自身がその決定文を読んでないということでございまして、保安の方でそれは十分見ておったんじゃないかと、こう申し上げたわけです。ただ、先生のおっしゃいましたこと、よくわかりましたので、十分それらも今後のために検討さしていただきたいと思っております。
  64. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 大臣いかがですかね、いま私がこう話し合ったやりとりでどういうふうにお感じになりましたでしょうか。
  65. 古井喜實

    ○国務大臣(古井喜實君) 私は余り専門的な知識もありませんし、どうだこうだというほどのことはありませんが、まあ謹んで傾聴しておったというのが実情でありますので、きょうの段階ではそういうことに御了承願いたいと思います。
  66. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 犯罪被害補償制度のことにつきましては、先ほど申し上げましたように、特に御配慮のほどを要請をいたしたいと思います。  それから、グラマンの方のことにつきましてちょっと触れたいと思います。  これも大臣の所信表明に「次に、いわゆるダグラス、グラマン問題につきましては、すでに東京地方検察庁がこの問題に関して捜査を開始し、法務省も、同地検の要請を受けて、去る一月十九日の閣議決定に基づき、米国司法省と折衝を行った結果、同月二十三日同省との間で米国側非公開資料の交付に関するいわゆる司法取り決めを締結するに至り、近くこれらの資料が入手できる見込みとなっております。これにより、検察当局のこの問題に関する捜査はさらに進展するものと考えますが、私は検察当局を信頼し、事態の速やかな解明を期待しております。」こういうふうにこの問題についてはおっしゃっております。これは、まだちょうど派遣はなさって、それで開始をしていると。もういま戻られて、原田検事がその報告書を持って、いま翻訳やらやって、その内容の分析をおやりになっているということはわかりますけれども、それで、これの見通しといいますか、いつごろその捜査の段階に入れるようになってくるのか。その米国からお持ち帰りになりましたその資料がいつごろ翻訳が完了するのかというようなことを差し支えなかったならばひとつお知らせを願いたいと思います。
  67. 伊藤榮樹

    ○政府委員(伊藤榮樹君) ただいま御指摘のような経緯で米側の非公開資料の入手を現在やっておりまして、グラマン社関係につきましては先週金曜日の夜、東京地方検察庁に資料が到着いたしました。ダグラス関係につきましては今月末ごろ入手ができるのではないかと期待をしておるわけでございます。  現在までの捜査の状況と申しましても、具体的なことを申し上げるわけにまいりませんけれども、米資料の到着までの間に検察といたしましては国内におきまして非常に多角的な捜査を展開しておりまして、いわば基礎固め的な捜査をやってまいってきております。  金曜日の夜、グラマン関係の資料が到着いたしましたが、何分相当の分量もございまして、土曜の半休、日曜日、これを返上いたしまして、いわゆる英語の読める検事を動員いたしまして鋭意検討分析をしておるようでございますが、私出てまいります時点ではまだ検討の過程にあると、こういうふうに聞いております。  なお、続いてダグラスの資料も参りますので、それらも総合勘案いたしました上で次の捜査方針が立てられるのだろうと思っております。いまあいにく過渡的な時点でございまして、その程度の御報告しかできませんけれども、検察としてはあらゆる資料を分析いたしまして、何とかこの所信表明にもございますように、早期に解明にこぎつけたいと、こういう決意でやっておるようでございます。
  68. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 これは衆議院のわが党の坂井議員が質問をした点でございますが、これは国会正常化に対する衆参両院議長の裁定という面の第四項の項目から、「国会は、ロッキード問題に関し、本件にかかわる政治的道義的責任の有無について調査するものとし、国会の国政調査権の行使に当たっては、政府は、事態の推移をみて、刑事訴訟法の立法趣旨をも踏まえた上で事件の解明に最善の協力を行うものとする。」という、ここで総理に四十七条のただし書きのことについてやりとりがございまして、そのやりとりで総理は四十七条のただし書きについてはそのとおりに思いますと、こう言われておりましたんですが、法務大臣はこんなふうにもおっしゃっておられますね。人権問題をお取り上げになりまして、灰色高官等についてのいろんな論議をされた過程の中の一部分ですよ。ですから、この私がこれから申し上げることが大臣のそのお考えのものと違うかもわかりませんけれども、念のためにお伺いをしているわけでございますが、御答弁の中に「やはり国政調査は重大だし、目的を達せなければなりませんけれども、われわれの憲法が大原則にしておる人権尊重という問題を踏み越えて、踏みにじって、何やってもいいとはいかぬと私は思う。そういうことをやったら、われわれは憲法は守れません。ですから、」と、ずんずんと、ずっとこうお述べになっておられます。  それからほかの委員の方々の御質問の中でも、たとえば人権問題があるのでよく考えなきゃならないという、この種の名前を出すような出さないような御答弁もあるように私は私なりに見たわけですが、大臣は灰色高官等のことを明らかに発表なさるかどうか、そういったようなことを、その事態の推移によるでありましょうけれども、覚悟がおありであるかどうか、その点を伺っておきたいと思うんです。
  69. 古井喜實

    ○国務大臣(古井喜實君) 灰色高官の問題でありますが、衆議院の委員会では何回かその点に触れて私どもの考えも申し上げてお聞き願ったわけでありますが、言うところの灰色高官というものがあるのかないのか、今度ですね。いまの段階では――ずっと進んでしまった後はとにかくとして、いまの段階であるのかないのかわからないんで、きょうの段階で。ですからないかもしらぬ、あるかもしらぬということをきょう議論するのは早いように思うと。ただし、お読みいただいたと思いますけれども、具体的にだれだかれだ、ちらほら名前が出たり、そういう時期より何もないときに、そういうことと無関係に、純理としてこの問題はむしろ論じておく方が公正な論議ができるかもしらぬと。その意味では早いと思うけれども、この段階でもその問題について見解を述べることは私はいいと思うと。そこで――そこでですね、申しました意味は言葉が足っておるのか足らぬのか知りませんが、申しました真意ですね。いまの刑事訴訟法にいたしましても、四十七条、ただし書きもありますが、本文。本文は多分この二つのことがもとになっていると思うんです。それは犯罪の捜査とか訴訟の追行とか、そういうことに資料を出しますために支障が起こったり悪い影響が起こっては困ると、こういう考慮が一つあると思うんですね、出さないと、こういう原則は。  もう一つは、関係者の人権、どうなるかわからぬものを、まだ捜査の段階というような人のを、やってみたらシロであるかもしらぬ。そういう人の名前をやたらに出すということは、その人の人権にもかかわってくる、名誉、人権にも――という一面があると。そういうことがこれは根拠になっているんじゃないだろうかと。その点は憲法の大原則にもかかわってくる問題であると。われわれの憲法で人権のことをあれだけ重要に掲げておる。これは憲法が掲げておるより、むしろ人権宣言以来、人権の尊重ということが大体私は民主的な諸制度や社会が発展したむしろ原点かもしらぬと思うんです、人権を尊重するというところが。そこで非常に大事な原則なんだと、これは。捜査の方から申しますと、捜査をするときには犯罪というぎりぎりの問題だから強制権まで用いることを認めてあるんですね、強制権まで。ところが、それは犯罪だからそうなんですな、捜査だから。犯罪以外のことに強制権を用いて材料を集めるということは、私は非常にこれは問題があるんじゃないかと、結局。そんなことは認めてないんじゃないか。犯罪だから認めている。そこで他に用いるということは慎重に考えてみなきゃならぬ点があるんじゃないだろうかと。  それから大体捜査段階においてある人を調べたと、調べられた人は本当に迷惑しているんです。シロになった場合などは迷惑のかけっ放しになるんですね。いわんやその人の名前が公にされる。その人はシロであったという場合ですから犯罪にならない。迷惑かけたわけなんです、実を言うと。で、世間だってあの人が調べられたというのは決してその人の名誉にならぬです、これは、御承知のとおりに。公にしてシロであったと、そういう人の人権というものを考えるということをやっぱりしなきゃならぬのじゃないでしょうかと、これは憲法の大原則とも関係してくるんじゃないだろうかと。そこで、国政調査権は大切である。また、今回のような場合に大いに国政調査されることはいいけれども、望ましいけれども、憲法の原則というものはやっぱり一つあると、ここはよく考慮していかなきゃならぬのじゃないだろうかと、そういう意味でシロになった人ですね、つまり、灰色といったって犯罪にならなかった人の名前を公にするという問題については、そういう一面もよく考慮して慎重に――簡単に出したらよかろうと、そう言ってしまうわけにいかぬのじゃないかと、こういうことを私は申し上げたし、これはどなたがお考えになっても考慮しなきゃならぬ一面ではないかと、私きょうもそう実は思っておるのでありまして、国政調査に協力せぬ、したくないとか、そんなのじゃないんです。こういうことであるのであります。
  70. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 時間が大分過ぎましたので御迷惑をかけますので、これでやめますけれども、いずれにしましても、残念ですが、時間がないものですから、いまの大臣の御答弁についてもまたお伺いしたがったんですが、それから捜査の段階でございますし、これ以上いくこともある点においてはもうこれ以上答弁できないと言われればそれっきりになりますので、私も残念であります。時間がないので、またの機会にいろいろとお伺いいたしたいと思います。
  71. 峯山昭範

    ○委員長(峯山昭範君) 本日の調査はこの程度にとどめます。     ―――――――――――――
  72. 峯山昭範

    ○委員長(峯山昭範君) 次に、民事執行法案を議題といたします。本案は第八十四国会において趣旨説明を聴取しておりますので、これを省略し、これより順次質疑に入ります。質疑のある方は順次御発言願います。
  73. 寺田熊雄

    ○寺田熊雄君 民事局長にお尋ねをしますが、まず本法案の第五十五条についてお尋ねをいたしたいと思います。債務会社が企業倒産のような事態のもとで労働組合に会社の工場、倉庫などを管理保管させている状況も見られるわけでありますが、こういう債務会社の行為が労使の共同による価格減少行為、この五十五条にいう価格減少行為にはならないと存じますけれども、これについて明確なお答えをいただきたいと思います。
  74. 香川保一

    ○政府委員(香川保一君) 倒産したあるいは倒産しかけておる会社でございましても、その所有の工場施設のうちの不動産を労働組合に協定によって自主生産あるいは自主管理のために占有をゆだねるというふうなことは、これはもう当然適法な行為としてできるわけでございまして、この五十五条で申します「不動産の価格を著しく減少する行為」というものはもっぱら当該不動産の物理的な損耗による価格減少を考えておるわけでございまして、ただいま御指摘のようなことが仮に債務会社と労働組合の共同でなされましても、五十五条のこの不動産の価格の減少行為には絶対に当たらない、かように解しております。
  75. 寺田熊雄

    ○寺田熊雄君 同様に債務会社が労働組合との協定などによりまして会社の不動産を労働組合に賃貸し、あるいは使用貸借により使用させること、これも同じように「不動産の価格を著しく減少する行為」には該当するものと解されるおそれは全くないと存じますが、これはいかがでしょうか。
  76. 香川保一

    ○政府委員(香川保一君) そのとおりでございます。
  77. 寺田熊雄

    ○寺田熊雄君 次に、第八十三条についてお尋ねをするわけでありますが、労働組合が会社再建、自主生産あるいは未払い労働賃金確保のために不動産を使用、占有している関係につきましては、その占有、使用に及びました経緯、占有者の主張が民事執行法案の第八十三条の事件の記録上明らかにされる必要があると考えられるのでありますが、これはいかがでしょうか。
  78. 香川保一

    ○政府委員(香川保一君) 不動産が強制競売のために差し押さえられまして、執行裁判所が執行官にその不動産の現況調査を命ずるわけでございますが、この執行官の現況調査におきましては、当然占有者がだれであるか、いま御指摘の例で申しますれば労働組合が自主生産のために占有しておれば、組合がそういう自主生産のために占有しておるということ、それからその占有開始の時期がいつであるか、さらにはその占有の権限があるのかないのか、あるとすればどういう法律関係に基づく権限なのかというふうなことは当然これは調査するわけでございまして、これがまさにいろいろ他の手続におきましても重要な意味を持ってまいりますので、この執行官による現況調査につきましてはさらに詳細最高裁判所規則においてできれば明らかにしていただきまして、遺憾なきを期したいというふうに考えておるわけであります。そういうことで、ただいま申し上げましたような事情、事実関係、法律関係が執行官によって調査されました場合には、それを報告書の形で執行裁判所に提出するわけでございまして、この報告書は当然事件の記録の一部になるわけでございますので、御指摘の問題も事件の記録上明らかになるというふうに考えるわけであります。さらに、念には念を入れる必要がございますし、執行官の現況調査における一極の法律的な判断というものをやはりレビューする必要もございますので、八十三条の関係におきましては、引き渡し命令を出す際にその占有者を必ず審尋しなきゃならないということにいたしておりまして、この規定によりまして最高裁判所が審尋いたしまして十分な法律的な判断を取り入れる。その経過ないし結果は当然調書として事件の記録の一部になるわけでございますので、先ほど申しました執行官の現況調書、現況報告書及び執行裁判所の審尋調書という両面から御指摘のような関係は全部事件の記録によって明らかになってくるというふうに考えております。
  79. 寺田熊雄

    ○寺田熊雄君 ただいまの民事局長の御答弁によりますと、五十七条の規定によりまして執行裁判所が執行官に対して現況調査を命ずる。その現況調査を命じ、現況調査報告書に記載すべき事項というようなものは最高裁判所規則で明らかにせられる御方針ですか、いかがでしょうか。
  80. 香川保一

    ○政府委員(香川保一君) この現況調査の結果というものが、先ほども申し上げましたように、この民事執行手続においては非常に重要な意味を持ちますので、その調査に過誤がないようにあるいは遺漏がないというふうなことは当然配慮しなきゃならぬわけでございまして、さような観点から私どもとしては、最高裁判所がお定めになる規則の中でこういう点、こういう点を必ず調査して、それを明らかにすべきだということを明定していただくようにお願いしておるわけでございます。恐らくは事柄の性質上当然そういうふうに規則で明らかにされるものというふうに確信いたしております。
  81. 寺田熊雄

    ○寺田熊雄君 本件につきましては、御承知のように、労働組合などがさまざまな合理的な理由によりまして会社の施設を占有する場合が多いわけであります。それを執行官が調査せられます場合に、労働組合がどのような経緯で占有するに至ったかと、その占有の経過並びにその占有権原などについて当然労働組合の主張があると思うわけでありますが、そういう主張を十分執行裁判所が考慮いたしませんと、その運用を過つおそれも生ずるわけでありますので、私どもといたしましては、いま局長がおっしゃった最高裁判所規則で調査事項を特定せられます場合に、占有者の占有するに至った経過並びに占有者の主張なども調査するような必要的調査事項として御規定を願うことが最善だというふうに考えておりますが、この点いかがでしょうか。
  82. 香川保一

    ○政府委員(香川保一君) この法案の五十七条の二項の方から申し上げますと、むしろ執行官は占有しておる労働組合に対しまして「質問をし、」あるいは「文書の提示を求める」権限があるわけでありまして、したがいまして、その質問あるいは文書の提示の請求に対しまして労働組合が、まあ協力されると申しますか、そこでいろいろその不動産を占有するに至った経緯、権原の元の法律関係等を十分答えていただくことになるわけでありまして、ただいまの最高裁判所規則の面から申し上げますと、法律の上では執行官が調査をするに必要な質問をしたり文書の提示を求めるということを書いてございますが、これだけでは必ずしも、どういう点について質問をし、あるいはどういう点を明らかにするためのいかなる文書の提示を求めるかということが執行官によって過誤がありあるいは粗漏があってはなりませんので、したがって最高裁判所規則でただいま御指摘のような事項につきまして、こういうことを明らかにするために質問をし、あるいは文書の提示を求めるべきだという、そういったまあ指針と申しますか、そういったことを規則上明らかにしていただくということをお願いするわけでございますが、これも当然のことだろうと私ども考えますので、さような点が十分規則上明らかにされるというふうに確信いたしております。
  83. 寺田熊雄

    ○寺田熊雄君 最高裁判所のこの規則は民事局長の御所管でしょうか、それとも総務局長の御所管でしょうか、これはいかがでしょうか。
  84. 西山俊彦

    ○最高裁判所長官代理者(西山俊彦君) 最高裁判所規則につきましては、民事、刑事、家庭、一般、各規則制定諮問委員会というのがございまして、最終的には最高裁判所の裁判官会議で決定するということになっておりますが、その事務的な主管としては総務局が担当することになると思われますが、民事関係の規則につきましてはその文案は民事局の方で担当をするということになっております。
  85. 寺田熊雄

    ○寺田熊雄君 ただいまこの民事執行法案の第八十三条並びに五十七条関係につきまして法務省の民事局長にお尋ねをしたわけですが、何分にもこの法案の運用で労働組合が非常に大きな影響を受けますので、労働組合が占有する場合に、その工場の施設を占有するに至った経過並びに占有権原についての労働組合の主張などを執行官がこの現況調査報告書に記載すべき必要事項として規則で明らかにしていただきたいという趣旨を法務省民事局長にお願いしたわけですね。法務省民事局長も規則制定委員会のメンバーの一人になっていらっしゃるので、立案当局でもありますし、その御答弁というのは非常に重きをなすわけでありますけれども、何分にも一応主管者は最高裁判所の民事局長のようにも当然思われますので、いまの法務省民事局長の御答弁をやはりあなたの方でもうけがっていただかなきゃいけません。その点についてお答えをいただきたいと思います。
  86. 西山俊彦

    ○最高裁判所長官代理者(西山俊彦君) 現在の段階におきましては、民事執行法の施行に伴います民事執行規則につきまして事務総局の民事局の担当者限りで検討を進めておる段階でございまして、まだその具体的な内容というものを外部にお示しできる段階には至っておらないわけでございますが、ただいま寺田委員の御質問、それから並びにそれに対して法務省民事局長がお答えになりました事項、特に現況調査について占有者である、いま問題になっております労働組合の人の陳述、その内容、そういうものを現況調査報告書に掲げるべきかどうかということにつきましては、先ほど民事局長がお答えになりました趣旨に沿いまして規則の上で明らかにしていきたいと、そういうことになるであろうというふうにお答え申し上げます。
  87. 寺田熊雄

    ○寺田熊雄君 次に、この第五十七条によって執行官が作成いたします現況調査報告書、これは占有者である労働組合にとって重大な事項でございますので、それについて労働組合は利害関係人として閲覧を許されるべきであるというふうに考えるのですが、この点いかがでしょう。
  88. 香川保一

    ○政府委員(香川保一君) この案の十七条の規定によりまして事件の記録の閲覧は利害関係人が当然できるわけでございます。ただいまの労働組合が当該不動産を占有しておるという場合には当然利害関係人になりますので閲覧は当然できると、かように解釈いたしております。
  89. 寺田熊雄

    ○寺田熊雄君 先ほど第七十七条関係についてちょっとお答えを求めることを忘れたのですが、法案の第七十七条の解釈としまして、   〔委員長退席、理事上田稔君着席〕 債務会社が労働組合に不動産を賃貸いたしましたり、あるいは使用貸借により占有させたりいたしますことは、この七十七条にいわゆる「引渡しを困難にする行為をし、又はこれらの行為をするおそれがある」ことには該当しないと私は解釈をいたしておりますが、この点いかがでしょうか。
  90. 香川保一

    ○政府委員(香川保一君) さような解釈で当然のことだと思います。
  91. 寺田熊雄

    ○寺田熊雄君 そういたしますと、この法案第七十七条の「引渡しを困難にする行為」、これは具体的にはどういうものが予想せられますか、ちょっと御説明いただきたいと思います。
  92. 香川保一

    ○政府委員(香川保一君) 買い受け人が代金を納付いたしましたときに、執行裁判所に申し立てて引き渡し命令をもらうわけでありますが、その引き渡し命令の名あて人というのが固定するわけでございます。したがって、その点から逆にこの七十七条の「引渡しを困難にする行為」というのを例示いたしますと、転々とその占有者をかえる、したがってだれを名あてにしていいか、甲なら甲を名あてにして引き渡し命令をもらっても、また明くる口は乙になっているというふうな転々占有者をかえるというふうなことをするのがまさにここで言う「引渡しを困難にする行為」の典型的な例だと思います。
  93. 寺田熊雄

    ○寺田熊雄君 第八十三条の「事件の記録上」とある文言ですけれども、これは先ほど御質問いたしました第五十七条の執行官作成による現況調査報告書、それから執行裁判所が作成するこれは明細書ですかね、並びに第八十三条により執行裁判所が債務者あるいは占有者などを審尋して作成いたします審尋調書、こういうものをすべて包含した概念であると、これらを全部包含したものがこの「事件の記録」であると、かように解釈すべきものであると考えておりますが、その点いかがでしょうか。
  94. 香川保一

    ○政府委員(香川保一君) お示しの書面は全部ここで言う「事件の記録」の一部として当然包含されております。
  95. 寺田熊雄

    ○寺田熊雄君 先ほど第五十五条、七十七条につきまして、労働組合が債務会社の工場等の施設をその所有者から賃貸を受け、あるいは使用貸借による使用権を得て占有する場合をお尋ねしたわけですね。これはしかし、しばしば私どもが見受ける事態に、債務会社の代表者あるいは個人経営の場合はその経営者である個人が強硬な債権者の追及を避けるために行方をくらます場合がありますね。   〔理事上田稔君退席、委員長着席〕 その場合、労働者といたしましては手をつかねて賃金の不払いに甘んずるというわけにもいきませんし、あるいは会社が倒産に瀕したといたしましても退職金等の請求をしないと直ちに生活に困窮を来すわけでありますので、事務管理の法理を適用いたしまして、そして工場を占有し、生産を続行するというような場合があります。そのような事務管理による会社の占有をやはりこの五十五条による私は会社の資産を減少せしめる行為には当たらない、また七十七条による引き渡しを困難にする行為なるものにも当たらない、あるいはそれらの行為をするおそれがある場合にも該当しないと考えるのでありますが、この点いかがでしょうか。
  96. 香川保一

    ○政府委員(香川保一君) その本来の債務者、つまり不動産の所有者が行方知れずになって当該不動産が事実上の管理者、占有者がないままに放置されるということはむしろ不動産の価格を減少させる行為でありまして、それではいかぬということで労働組合が事務管理として当該不動産を管理すると、あるいは自主生産するということは、むしろその減少する行為よりも逆でございまして、決して五十五条あるいは七十七条等に規定されておる不動産の価格を減少する行為とか、あるいは引き渡しを困難にする行為というものには絶対該当いたしません。
  97. 寺田熊雄

    ○寺田熊雄君 なお、第八十三条に関しましては、これは将来の問題ではございますけれども、われわれが皆様方の御同意を得て修正を発議いたしたいと考えておるわけでありますが、その八十三条に関しましては、これは差し押さえがありました後の占有者につきましては、これは民事訴訟法の大原則で、私どもはこれをしも引き渡し命令の範囲の外に出そうとしておるのではございませんけれども、差し押さえの効力発生前から、たとえば使用者から賃借を受けておると。つまりその会社の社長なり個人の経営者から賃借を受けておる、あるいは使用貸借によって、たとえば組合事務所の使用権を得ておると、あるいは先ほど局長がおっしゃったように経営者が行方をくらました場合に、事務管理によって占有しておる、そういうものは、これは先ほどの事件記録上認められるもの、これは引き渡し命令のらち外に当然置かるべきものであると考えておるわけであります。その場合に、われわれがこれをどのようにそれを表現すべきかいろいろ考えまして、債務者または差し押さえの効力発生前から権原によって占有しているものでないことが、事件の記録上認められる不動産の占有者、つまり権原によって占有しておる、それも差し押さえの以前から。そういうものは引き渡し命令のらち外に置く。したがって、無権原の占拠者、つまり不法占拠者、これを引き渡し命令の対象とすべきであるというふうに考えておるわけでありますが、この表現を「権原により」といたしました場合には当然賃貸借、使用貸借のみでなくして、事務管理による占有者もこの表現の中に包含せられると私は考えておるのですが、この点は民事局長いかがでしょうか。
  98. 香川保一

    ○政府委員(香川保一君) 修正案の関係の御質問でございますので、直ちに的確な御返事できないかもしれませんが、いま読み上げられましたような規定が仮に設けられるといたしますと、お説のような賃貸借、使用貸借あるいは事務管理による占有、これらはいずれもやはりその規定の解釈上は権原により占有しておるというふうに解釈すべきものだと思います。政府原案では「買受人に対抗することができる権原により」となっておりますので、いま申し上げました賃貸借、使用貸借、事務管理のうちで賃貸措について登記がされておれば対抗できる権原ということになりますが、それ以外は対抗はできませんので、政府原案の場合には引き渡し命令の対象になると、こういう関係になるわけでございます。
  99. 寺田熊雄

    ○寺田熊雄君 もうすでに、私もそれから同僚の江田委員から質問があったことでありますけれども、民事局長も一定のお答えはなさっておられるのでありますけれども、仮差し押さえ、仮処分ですね、この裁判手続の規定を当然これは民事執行法案の際に整備すべきであった。これは整備すべきであったけれども、いろいろな理由で今回はそこまで処置するに至らなかったという民事局長の御答弁が過去にあったわけですね。私が特にこの問題をこの際取り上げたいと思いますのは、これは労働事件だけに限りません。一般事件でもそうでありますけれども、裁判官によりましては債務者の審尋を経ないで非常に重大な断行の、いわゆる断行の仮処分をなさることがあるわけであります。私どもそれを覆すために大変苦労をいたしますし、債権者の署名を裁判官がこれは十分だというふうに御認定になった上での御決定であるとは考えるのでありますけれども、しばしば結果的に適正を欠く場合がございます。事実それが口頭弁論を経ないで私どもそれを覆した例が二、三にとどまらないわけでありまして、そういう場合にはやはり債務者の審尋を必要とするのではないだろうかと考えておるわけであります。それから労働事件の場合には、逆に審尋は一応必ず使用者についても行いますけれども、十分な疎明を提示して一見して明らかな不当労働行為であると考える場合でさえも、裁判官が対審構造というようなことに拘泥をいたしまして何年もかかるような口頭弁論を経ないと結論を出さないというような場合があります。ところが非常に労働問題に通暁して、すぐに決定手続で結論を出される裁判官もある。これは裁判官の素質なり決断力なり、あるいは労働事件に関する理解の程度なり、そういうことによることはもちろんでありますけれども、そういういろんな経験にかんがみまして、これはやはり早く整備していただかないと国民の権利擁護にいろんな支障を生ずると思います。ですから、早く結論を出してほしいと。これは法体系の整備をわれわれが期待するということよりも、むしろそういう現実の権利擁護の必要性からわれわれはそれをこいねがっておるわけでありますが、もう一つは今回の民事執行法案が難航いたしました原因は、この民事執行法案がやはり資本主義の法律で債権と抵当権を擁護する、それを実効あらしめるためのいろんな手だてを講ずるということに急であったわけであります。そして、その実体法である民法を労働法がいろいろ修正しているというようなことは余り配慮なさらなかった。そのために労働組合などの意見を聞くというような、その手続を怠っておった。それがやはり原因であったように思います。そうといたしますと、これから仮差し押さえ、仮処分の裁判手続についての規定を整備なさる際に、私どもはこの立法者、つまり事務担当者である民事局におかれて、十分各方面の、とりわけ労働団体の意見を十分に聞いていただいて、そうして立案をせられることを期待いたしたいのですが、この点はいかがでしょうか。
  100. 香川保一

    ○政府委員(香川保一君) 前段の仮差し押さえ、仮処分のいわば実体法規の改正も法制審議会におきまして検討されたのでございますけれども、御案内のとおり、非常にこれは実態的にむずかしい問題を多数抱えておりまして、率直に申し上げまして、寺田委員いま御指摘の事例、つまり現行の、特に仮処分の制度は、実体法規はきわめてわずかでございますので、非常に両様の行き過ぎがあるというふうな感じもするのでありますが、これはしかし現実の裁判が行き過ぎということではなくて、やはり仮処分の実体規定が不備だということに帰着することだろうと思うのであります。さような意味におきまして、私どもとしては、その改正が今回間に合わなかったことにつきましては、非常に責任を感じておるわけでございます。ただ、民事執行法案の中には、これはあくまでも実体法の分野ではなくて、でき上がったものの執行の関係を規定すべき法律だろうと思うのでありまして、さような意味から、民事執行法案自身に仮差し押さえ、仮処分の実体規定を盛り込むことは、この法案の性質上無理だと思うのであります。そういうことから法制審議会の最終的な結論と申しますか、まず当面急を要する執行手続の民事執行法案を早期に成立さして、その上で仮差し押さえ、仮処分の実体法規についても検討しようというふうなことに相なりましたので、この法案が成立いたしますれば、引き続いて法制審議会におきまして、仮処分、仮差し押さえの実体法規、あるいはさらに後段で申されました民法との関連における仮差し押さえ、仮処分の関係の調整と申しますか、そういった面も含めて法制審議会で検討していただくことを期待いたしております。
  101. 寺田熊雄

    ○寺田熊雄君 いまの労働団体の意見聴取について。
  102. 香川保一

    ○政府委員(香川保一君) それぞれ関係のある部分につきまして関係団体に意見を聴取すると、むしろ法案が固まる前の段階におきましてこれを公表してあらゆる関係方面からの意見を聴取して、その上で法案を決めるというふうに持ってまいりたいと、かように考えております。
  103. 寺田熊雄

    ○寺田熊雄君 今回民事局長は、この法案が労働者の権利擁護を決して考えなかったわけではないという一つの例証として労働賃金、これは債務名義のない場合でも配当要求を認めるということを特筆しておられるわけですね。これは民法三百六条、商法二百九十五条、この両規定があるわけでありますけれども、これは江田委員もすでに質問をされて、この労働賃金の中には退職金が入るかという質問が過去においてございました。そして、民事局長は退職金は入ると思いますというお答えをなさっておられる。続いて江田委員が社内預金はどうだろうか、倒産した場合に社内預金の返還を求め得ないということになると、大変労働者困るじゃないか。非常な巨額になる場合もあるわけでありますので、この点は民事局長として消極に考えるという答弁をしておられる。これも大変問題ではあると思うけれども、現行法の解釈としてこれが期待できないということになりますと、雇用関係から生ずる債権、商法二百九十五条の拡大解釈の余地はないだろうか。もしなければ何らか立法的な配慮をする必要はありはしないかと私は考えておるのですけれども、もう一つ現実の事例をわれわれは非常に相談を受ける場合があります。これは余り大きくない企業体の場合で、使用者が労働者の賃金の中から社会保険料を差っ引いて、それを自己の手元に置いて、当然その国の機関にこれを支払うべきであるのに支払わずに他に流用してまったという場合があります。それでは困るので、それを発見した労働組合なり労働者がそれを自己が立てかえて支払う。そうすると立てかえ金返還請求権が生ずるわけでありますけれども、これなどはどうか。あるいは非常に経営が十分でない企業体の場合に、ほかの企業では労働者がボーナスの支払いを受けておる。しかし、この企業ではボーナスはとてもことしは払えないと、機械関係などの工場に現実に例があったわけでありますけれども、それから非常に経営が左前になっておる交通関係の産業などで使用者と労働組合とが協定をいたしまして、労働組合が労働金庫から資金を借り受ける。その資金を組合員である従業員のボーナスの一部として支払う。これは使用者も了解いたしておりまして、使用者が連帯保証人になっておる。使用者もいずれお返しいたしますと、経営がよくなれば、そういう約束をいたしておる。ところがその約束を果たす前に倒産の危険にさらされてしまったというような場合には、そういう賃金の立てかえ金返還請求権といいますか、そういうようなものは当然労働関係から生ずる債権としてこれは先取特権の範囲内に入るというそういう取り扱いを受けるべきものであると私どもは考えるのですが、そういう場合はどういうふうにお考えですか。
  104. 香川保一

    ○政府委員(香川保一君) 先ほど最初に申されましたボーナスあるいは退職慰労金というふうなものは、いわば賃金の一部だというふうに解した方が実態に合うだろう。そういう意味では、一般の先取り特権によって保護される債権というふうに考えていいと思うのであります。  それから社内預金でございますが、これは賃金を受け取って、そして他の銀行等に預金するのと同じように当該会社に預けておくというふうなものでございますから、したがって、通常の預金と何ら変わりない性質のものではなかろうか。もともと民法の三百八条なり商法の二百九十五条で先取り特権によって保護する趣旨は、やはり労働者の生活の糧である賃金債権を一般の債権よりも優先して弁済を受けられるという形において保護しておるわけでありまして、したがって、その趣旨から考えますと、やはり社内預金というふうなものは生活の糧というふうな観念からは相当遠ざかることになろうかと思いまして、これも学説によりますれば先取り特権によって保護される債権だという説もございますけれども、私の考えといたしましては、むしろ消極に解すべきものだろうというふうに考えておるわけであります。もともとこの社内預金というのがいいのか悪いのかという根本的な問題もあろうかと思うのでありまして、御指摘のような社内預金も保護しなければならぬというふうなことに仮に立法上考慮するといたしますと、本質的に社内預金というふうな形で現在行われている寄託というものが果たして妥当なものかどうかということも根本的に考えてみなければならないという問題もあろうかと思うのであります。  それから、その次に挙げられました保険金等の立てかえ払いでございますが、これもやはりその立てかえ金の返還請求権というものは、実質を考えますと、労働者の生活の糧という意味での賃金というふうにはどうも解しがたいように思うわけでありますし、また最後に挙げられました組合が労働者の賃金あるいは退職金をかわって支払うために組合が金融機関等から借り入れる、そういった場合、借り入れたその金でもって個々の労働者には賃金あるいは退職金という形ですでに支払われておるわけでございまして、その場合に会社の方が倒産したというふうなことで、後に残るその組合の借り入れ債務というふうなもの、これは当然会社に対しては立てかえ金請求権という形で請求できる性質のものでございますが、これもどうも法律的に考えますと、先取り特権で保護する生活の糧としての賃金というふうには容易に解しがたいのではないかというふうに考えております。
  105. 寺田熊雄

    ○寺田熊雄君 率直に言って民事局長、社会学的実態というか、現実を御存じなくて理論だけで割り切っていらっしゃるような印象を私は受けるのですよ、いまの御答弁で。社内預金の問題を一つつかまえてみましても、局長はこれが妥当なものかどうか、疑問だというふうにおっしゃたんですね。私もそう思います。つまり、この社内預金の場合は、労働者が賃金が非常に巨額であって生活を賄うに足る額をはるかに上回るから、その上回るものを社内に預金するという場合も私は事例としてないことはないと思いますよ。しかし、私どもが憂えるのは、会社が左前であって実際上賃金が支払えないから、しかし支払わないということになると、これは労働賃金の不払いは基準法上犯罪になるわけですね。これは労働基準局からしかられちゃう。そこで払った形にして、そして支払いを現実に受けなかった部分を社内預金として預からしてもらう、それにはかなり利子をつけますよというようなえさも与えるわけでありますが、そういうふうにした社内預金もあるわけですね。それは明らかに賃金部分なんですよ。ただ、名儀が社内預金となっているだけなんです。それからまた、労働賃金を、十分ではないけれども、一たんあなたにボーナスなり労働賃金出しましょうと、しかしそいつは預金してくれと、会社も苦しいんだから、という経営権をいわばかさに着て事実上強制にわたる場合がありますね。それは労働者としては預金したくない、したくないけれども、経営者が圧力を加えるから、経営者に対して不協力だと見られたくないというので、その賃金部分を預金する。だから、それは労働賃金そのものなんですね。だから、それをしもこれは賃金、生活の糧でありませんと一概に言い切れないんですね。それがある。  それからまた、社会保険料なども、たとえば十万円という賃金の中から、これは法に規定せられる労働者の負担となる社会保険料が差っ引かれて、そして経営者がそれを預かって単に支払いを委託されている関係に立っているだけで、それは賃金部分であることは間違いないんですね。それが社会保険料に転嫁しただけであって、だから賃金なり生活の糧と無関係なものだというふうにとても断定はできません。そういうことを考えると、ちょっと一概にそれは生活の糧でありませんと言い切れるものかどうか、非常に疑問だと思いますね。  それからもう一つは、労働者と経営者とが協定をして、労働組合がお金を借りて、そして支払う。それは実質は経営者が借りるんです。経営者が借りて支払うんだけれども、労働金庫は組合員でないとお金を貸しませんからね。それで、労働組合が借り手になって、経営者が連帯保証人になる、そういうことでボーナスの支払いを現実に受ける、それはまさに会社の支払うボーナスと実態的に少しも変わりはない。そういうことを考えますと、局長が賃金部分や生活の糧と関連がないものだと断定することは、現実にそぐわないと私は思います。もう一遍その点は再考願いたいんですが、どうでしょう。
  106. 香川保一

    ○政府委員(香川保一君) その実態をよく御存じの寺田委員の御感触からは、そういうものが先ほど私が申し上げたような解釈になるということが実情にそぐわないというのであれば、これは私は立法上検討しなければならない問題かもしれないと思いますけれども、ただ、お言葉を返して失礼でございますけれども、例示されました例は、たとえば労働組合が金庫から金を借りて立てかえ払いするというふうな場合、それがもしも先取り特権によって保護されるということに相なりますと、たとえば会社が銀行から金を借りて賃金を払う、あるいは退職金を払うというのにかえまして、銀行が直接会社にかわって賃金なり退職金を立てかえ払いしたということになりますと、実質は会社に銀行が金を貸して会社が直接払うよりも、銀行が立てかえ払いした場合には、銀行の会社に対する返還請求権というのは先取特権で保護されるということになって、かような事例を考えますと、やはりどうも実態的に考えましてそれが一般の先取り特権で保護されるということは、むしろ実情に合わないという感じが私は逆にするわけでありまして、つまり民法の先取り特権なり、あるいは商法の先取り特権というのは、これはいわば社会政策的に弱者保護等の見地から、ぎりぎりのところ他の債権者よりも優遇するという措置を講じておるわけでありまして、そういう立法趣旨から考えますと、やはりその解釈を余りに広げるということは、私は現行法の解釈としては相当無理だというふうに思うわけであります。したがいまして、先ほど御例示のようないろいろの事態というものが今後一般的に必要になってくる、それがしかも立てかえ金返還請求権というふうなものが一般の先取り特権で保護しなければ実質的に労働者がきわめて不利な立場に立つというふうなことが一般的な傾向として出てまいりますれば、立法上検討しなきゃならぬ問題かもしれないと思いますけれども、現行法のもとでの解釈を云々する場合には、やはりそこは余り範囲を広げて解釈するのはいかがなものだろうかという感じがするわけでございます。
  107. 寺田熊雄

    ○寺田熊雄君 民事局長はいま労働組合が労働金庫から借りてボーナスを支払うというその一事例をとらえて、銀行が、じゃ立てかえた場合どうでしょうかと切り返してこられたね。それは当事者が違うからなるほどあなたのような立論ができるかもしれないけれども、しかし、社会保険料を使用者が国家機関に支払わないから労働者が個々に、かわって支払ったんだということになりますと、それはまさに賃金部分を――その賃金部分についての返還請求権と少しも変わりないわけですね。当事者も労働者であって銀行じゃない、労働組合でもない。それから社内預金も、いまの労働者が賃金の支払いを現実に受けないのに受けたことにしてそれを預金した形にしておりますと、それはまさにその賃金部分だと。債権者も労働者であるその本人なんですね。これはやはり私は賃金請求権そのものだと、実態的に少しも変わりないと思いますよ。これはどうでしょう。それから、この点については民事局長だけじゃなくして、最高裁の民事局長の御意見も伺いたい。
  108. 香川保一

    ○政府委員(香川保一君) くどいようでございますが、つまり生活の糧にしなきゃならない賃金債権を労働者が持っておると、その債権を支払ってもらわないと生活に困るわけでございますから、そういう生活に困るそういったものを救済するために一般の先取り特権の制度があるわけでございます。したがって、労働者でない者が、つまり賃金債権の主体でない第三者がどこからか金を借りてきて、そしてかわりに払ってやったということになりました場合に、一般の先取り特権で保護すべきかどうかというのは、その債権の主体つまり立てかえ金の返還請求権を持っておる第三者の主体に着目して考えなきゃならぬことになると思うのであります。したがって、本来直接それを払ってもらわないと生活に困るという、そういった地位にある労働者というもののその主体に着目して民法はあるいは商法は先取り特権で保護しようと、こうしているわけでありますから、したがって、会社が払うべきそういった賃金を第三者が立てかえて払った場合に、その第三者の主体のいかんを問わずその実質は賃金だから……
  109. 寺田熊雄

    ○寺田熊雄君 その第三者は除外して。私はそれは問題にしないと言っていまお答えを求めた。
  110. 香川保一

    ○政府委員(香川保一君) そういうことに相なるように思うのでありまして、そういうものを先取り特権で保護すると、それが仮に労働組合がそのいわば立てかえ金返還請求権の主体である場合にも物の考え方としては同じでなかろうかというふうに私は思うのであります。
  111. 寺田熊雄

    ○寺田熊雄君 だから民事局長ね、よく私の質問を聞いてお答えいただきたいんです。その第三者の場合は除外して、これはまあ一応局長のお答えをそれをよしとして、私が最後に念を押したのは、そうじゃなくて、労働者そのものが賃金がたとえば十五万円支払われるべかりしものを、そのうち一万円なり二万円は現実に会社が支払えないから社内預金にしておいてくれと言われて十三万なり十四万しか受け取らずに、一万ないし二万は社内預金の形で債権に転化している場合、そういう場合は主体も労働者だし、それからその債権も賃金そのものと、賃金請求権そのものと実態的に変わりはないではないかと言ってお尋ねしたわけですね。それからまたこの社会保険料も、賃金のうちにたとえば三千円というものを差っ引かれて、その三千円を経営者が社会保険機関に納むべかりしものを納めなかったので、すると社会保険もらえないから、失業保険もらえなくなっちゃ大変だというので労働者が自分がかわって支払った、それはまさに賃金から差っ引かれたそのものの返還を求めるのと少しも変わりないのでね。だから、あなたがいまおっしゃったこの第三者が銀行から借り受けて、そうしてかわって払ってやったということはこれじゃないのです。それはひとまずおきまして、当事者も労働者、その返還請求権もまさに賃金部分そのものであるという場合、それは当然この先取特権の対象になるべきものではないかと言って念を押してお尋ねしたわけです。
  112. 香川保一

    ○政府委員(香川保一君) 賃金の、これは社内預金を素直に考えますと、賃金が全額支払えたことになって、そしてその一部が社内預金としてまた会社に戻されると、こういうことになるのが通例でございますが、いまおっしゃったように、その十五万円なら十五万円の賃金債権のうち二万円が支払いできない、だから社内預金にしておいてくれというふうな場合には実質むしろそれは賃金の未払い部分があるというふうに考えるべきだろうと思うのであります。したがって、これはまさに賃金債権でございますから、一般の先取り特権によって保護されるという解釈はこれは素直に出てくるだろうと思うのであります。その後で申された保険金でございますが、これを立てかえるというのは、これは賃金の一部から支払われる保険金ではございますけれども、その場合の立てかえて支払うというのは、まさに賃金は受け取った形になって、そして保険金の会社の支払い債務をかわって弁済するという構成になるわけでございますから、したがってこれは先ほどの特殊な場合のその社内預金とちょっと同じように解釈するのは無理ではなかろうかというふうにまだ思いますけれども、これはさらに勉強してみなければ、あるいは間違っているのかもしれません。
  113. 寺田熊雄

    ○寺田熊雄君 最高裁の方はいかがでしょうか。
  114. 西山俊彦

    ○最高裁判所長官代理者(西山俊彦君) ただいまの問題につきましては、裁判所としては理論的な面についての意見は差し控えさしていただきたいと思いますが、会社更生事件あるいは整理の事件、整理というか――会社更生事件におきましては、退職金それから社内預金が優先債権になるかどうかということが常に争われておりまして、退職金の関係はこれは商法の規定によって優先債権になると、しかしながら社内預金につきましては優先債権としての取り扱いをしていないというのが実務の実情であろうかと思われます。
  115. 寺田熊雄

    ○寺田熊雄君 どうもあなた方は形式上だけを考えて答弁されるから――民事局長は最後に、たとえば十五万円のうち支払えないから社内預金の形にしたものはまさに賃金請求権そのものですというふうにそれは認められたからね、私はやっぱりそれが正しいと思うんですよ。だから、社内預金という形だけで判定すべきものじゃないので、その社内預金というものがどういう経緯で起きたとか、それが賃金からもう強制的に差っ引かれて社内預金に転化したのか、あるいは支払えないから社内預金に転化したものなのか、それが実態的に賃金請求権にほかならないかどうかというような実態をよく調べてから結論を出していただかないと、社内預金は社内預金でありまして賃金請求権とは別のものでありますという形式論でやられてはかなわぬと思うのですね。その点は最高裁の民事局長もよくそれは考えていただかなきゃいけないんで、ああいう形式論一点張りの答弁をしておられちゃ困る。まあ、裁判官の場合はそういうことせぬと思うけど。まあ、余りこれを論ずることが私の本旨ではないので、一つの問題点として提求してあなた方に考えていただこうとするわけですから、余りこだわらずに、また形式論でなくこの法の運用ということをお考えいただきたいと思うのです。さっき法務大臣は、とかく官僚は官僚主義に陥りやすいという反省の弁がありましたけれども、いまの私、質疑応答を見て、やっぱりどうしてもそういう感じをぬぐい切れない、私自身も感じましたので、あえてそのことを申し上げておく。  それから、この法案の第十三条「民事訴訟法第七十九条第一項の規定により訴訟代理人となることができる者以外の者は、執行裁判所でする手続については、訴え又は執行抗告に係る手続を除き、執行裁判所の許可を受けて代理人となることができる。」、こういう規定がありますね。この代理人というのは、まあ、よく競売ブローカーが立会人となって執行の手続の中に登場してきます。ところが、この代理人というのはそういう競売ブローカーなどを立会人の位置から代理人に高めるという思想なのか、この点はどうなのかちょっとお伺いしたいと思います。
  116. 香川保一

    ○政府委員(香川保一君) ただいまの競売ブローカー等の立会人をその代理人の地位に高めて、そしてこの十三条の規定によって執行裁判所が許可するというふうなことは毛頭考えてないわけでございまして、これは申し立てをして手続を進めていく上においての代理人でございます。
  117. 寺田熊雄

    ○寺田熊雄君 そういたしますと、具体的にはどういう人になりましょうか。その具体例をちょっと二、三説明していただきたいと思います。
  118. 香川保一

    ○政府委員(香川保一君) たとえば会社が債権者の場合に、その会社の当該債権を管理している職員がおるといたしますと、その職員を代理人にして申し立てをするというふうなことが一つの例だと思います。
  119. 寺田熊雄

    ○寺田熊雄君 それはどういう行為について代理人となるのでしょう。
  120. 香川保一

    ○政府委員(香川保一君) この十三条の一項で除いております訴えの提起、訴え、訴訟追行、またはその執行抗告の申し立てから始まる手続の代行、そういったものを除きまして、そのほかは一切許可を得て代理人になれると、こういう趣旨でございます。
  121. 寺田熊雄

    ○寺田熊雄君 そうすると、会社の使用人のことはよくわかりますが、動産の執行なんかの場合は実際上競売ブローカーしか立会しませんね。実際上競売ブローカーが代理人になりゃしませんか。不動産の場合は弁護士でない者、それから会社が申し立て人でなくて個人が申し立て人の場合、遠方だから代理人がほしいという場合に考えられるのは司法書士。やっぱし俗に言う三百代言などが入っていく余地はないでしょうか。
  122. 香川保一

    ○政府委員(香川保一君) この十三条で「執行裁判所の許可を受けて代理人となる」というのは、これは執行裁判所でする手続に関する限りでございまして、したがって動産執行には関係がございません。ただ、動産執行の場合でも、たとえば異議を裁判所に申し立てるというふうなときには、執行裁判所でする手続ということになってまいりますから、この規定の適用があるとなるわけでございます。  それから司法書士でございますが、これはこの十三条の規定では排除しているわけではないわけでありまして、したがって、その際、執行裁判所が当該司法書士という職業に着目してというよりは、その個人に着目して許可をするということは可能だと思います。  それから、三百代言が横行するのじゃないかという御心配でございますけれども、三百代言というのは今日はどういうものを言うのかあれでございますけれども、これはやっぱり執行裁判所がケースごとに適当な代理人であるかどうか、あるいは何回も繰り返して業としてやっているような状態にあるかどうかというふうなことをやはり具体的事件ごとに審査していただいて、許可すべきかどうかを判断していただくという運用の問題で解決していただく以外にはないだろうというふうに考えております。
  123. 寺田熊雄

    ○寺田熊雄君 次に、この法案の三十九条の第一項八号、強制執行の停止の問題でありますが、この第一項八号の問題ですね、「債権者が、債務名義の成立後に、弁済を受け、又は弁済の猶予を承諾した旨を記載した文書」、これが提示された場合には強制執行を停止することになっておりますが、ただこの場合に第二項で、「前項第八号に掲げる文書のうち弁済を受けた旨を記載した文書の提出による強制執行の停止は、四週間に限る」と、こういうことになっておりますが、この全部弁済の場合に債権者は当然申し立ての取り下げをすべきものであります。これを四週間の停止として、これによって競売手続の取り消しをしない理由ですね、これを御説明いただきたいと思います。
  124. 香川保一

    ○政府委員(香川保一君) もともと債務名義が成立いたしまして、それによって強制執行が開始されるということになりますと、当該強制執行を停止するのは、請求異議の訴えを提起しまして、そして停止を求めるというのが本筋であるわけであります。しかし、実際債務名義が成立した後に弁済が、全部弁済されておるのに債権者の方が、本来ならば取り下げるべきものを取り下げないと。したがって、手続が進行いたしますと弁済した債務者にとっては非常に酷な結果になるわけであります。そういうことも考えられますので、そこで請求異議の訴えの提起にかえまして、さしあたりは弁済をしたことを証する書面を提出してまいりますと、裁判所は一時停止すると。この場合に、通常はそれが本物でありますれば債権者が合理的に動くなら取り下げがされるでありましょうし、債権者がどうしても取り下げをしないという場合には、債務者の方で先ほど申しました本筋の請求異議の訴えを提起して停止を求めてくる、あるいは取り消しを求めるということになるわけであります。その辺のところが、すべてうそを言わずに合理的にすべての人が活動されるならば、ここまでのいろいろの配慮は必要ないのかもしれませんけれども、いろいろのケースが経験上あるものでございますから、そこでそういった弁済証書を提出すれば一時停止しておいてそれを四週間と、四週間あれば万一取り下げてくれない場合には請求異議の訴えを提起して停止をもらうことができるだろうと、こういうふうなことを考えておるわけでございます。したがって、四週間内にその請求異議の訴えを提起してその停止をとってこない場合には、期間が切れますれば執行がまた改めて始まることになるわけでございます。始まりましても、請求異議の訴えがどの段階でか通りまして、勝訴の判決を得ますれば、これは当然当該強制執行はそれによって取り消されると、こういうことになるわけでございます。そういうつなぎ的な意味で三十九条の八号、それから二項を設けておるわけでございます。ところが、この弁済の猶予を証する書面の方でございますが、これはまだ弁済されてないわけでございますから、したがって、債権者の方が強制執行を続けることは当然のことであります。しかし、債権者の方が弁済猶予しておるならば何も裁判所は急いで売っちまわなきゃならぬことはないわけでございますから、したがって、これもやはり一応停止はすると。しかし経験上申しますと、この弁済の猶予を債権者が承諾しておるということの書面が出てまいりまして停止されるというのは、その債権者がいわばその強制執行をどこまでもやるぞということで、ぼつぼつ回収すると申しますか、そういうことが多いわけでございます。そうなりますと執行手続が進みませんので、その申し立て、つまり差し押さえ債権者はそれでいいかもしれませんけれども、配当要求をする他の債権者が非常に困るわけでございます。そういうことで、非常にこの弁済猶予を証する書面というのは執行停止の面では乱用されておるというふうな経験がございますので、それを何とかチェックしなきゃならないということで、この三十九条の三項は猶予を証した書面の提出による強制執行の停止は二回限り、しかも、通じて六月を超えることはできないと、こういうことにしまして、執行停止の乱用を防止するというふうなことを配慮しておるわけでございます。
  125. 寺田熊雄

    ○寺田熊雄君 民事局長にあんまり苦言を呈して私も本意じゃありませんが、四週間に限って、その間に債権者の方から競売申し立ての取り下げの申請書が出なければ債務者の方で請求異議の訴えを起こしなさいと。そうして停止の決定もとって、そうして持ってこいというのは、どうも理屈はそのとおりですよ、あなたがおっしゃるとおり。ただ、請求異議の訴えを起こすというのでも素人にはなかなかむずかしいので、弁護士を頼むとかあるいは司法書士に書いてもらって、まあ司法書士もこのごろなかなか費用がそう安くないわけで、そういうことを考えますと、四週間というのを一応の区切りとすることはよろしい。しかし、四週間たったらすぐ手続を進行しちゃうんだというのも何か少ししゃくし定規のような気がします。だから私どもがこういう場合に実際に遭遇したら、四週間たって債権者が競売申し立ての取り下げ書を持ってこなかった場合といえども、現実には書記官のところへ行って、もうちょっと待ってくれと、われわれが債権者に交渉するからということで、その四週間の期限の延期を求めるという手続をとらざるを得ないと思います。実際問題としてね。だから、これは執行裁判所がその四週間の期限を状況によって更新できるとかいうような規定を置くか、あるいはそういう扱いにしていただくことが必要な場合が起きてくると思います。しゅくし定規にやると、債務者が一々訴えを起こすような手間と費用をかけなきゃいかぬ。それは全部弁済が真実であった場合には非常な負担を債務者にかけざるを得ないことになりますので、私は適当でないと思いますが、この点どうでしょう。
  126. 香川保一

    ○政府委員(香川保一君) 実際問題といたしまして、四週間が経過した時点から自動的に手続が進行するということはまずなかろうと思うのであります。そうかと申しまして、これを、まあ従来の経験に徴してのことでございますけれども、伸長できるということにしました場合に、やはりどうしても執行裁判所としては、伸長の申し立てが出てまいりますとそれに応ずることになって、そしていわば執行停止されておるわけでございますから、他の債権者にとっては非常な迷惑でございますが、ずるずる長くなるというふうな傾向は否めないわけでございまして、そういうことから、まあこれはおっしゃるとおり、債務者の状況によっては、こう一律にというのは知恵のない話だということはよくわかりますですけれども、一応しかし何回も伸長されて他の債権者が迷惑するというふうな関係等、債務者の窮状といいますか、そういったものを比較考量しまして、やはり法律的には四週間に限ることにしておいて、あとは事案に応じて裁判所がどのようなテンポで四週間経過後に手続を進めていくかということは、やはりこれは法律上の問題じゃなくて、運用上配慮してもらえればいいのじゃなかろうかと、こういうふうな考えで、非常に形式張ったような規定になっておりますけれども、この方がかえって運用よろしきを得るのではなかろうかと、全体としまして運用がうまくいくのじゃなかろうかと、こういうふうに考えておるわけでございます。
  127. 寺田熊雄

    ○寺田熊雄君 これは、やはり先ほど冒頭に私が申し上げたように、資本主義の法制下にありますので、債権並びに抵当権の尊重ということが基本のたてまえになっておりますね。ですから、それを実効あらしめるためにあんまり延びたらいけないと、迅速な手続ということがこの法案の立法趣旨の一つに掲げられておる。それから、そのほかの利害関係人にもあんまり延びたら困るから四週間と区切りましたというのはまことに理論としては筋が立つのですが、これは最高裁の民事局長にお尋ねをしますが、いま法務省の民事局長は、現実の運用面においては四週間たったからすぐ手続が復活するというのが適当でない場合もありましょうと、それは運用によって、たとえばもう少し時間的な余裕を置いてやって、そうして債権者に競売申し立ての取り下げ書を出させる余地を与えてやると、したがって、期間が多少おくれても債務者が一々請求異議の訴えをすぐ起こせということを余儀なくさせるわけではないと、そういう場合もありましょうということでありましたが、あなたはどうお考えでありますか。
  128. 西山俊彦

    ○最高裁判所長官代理者(西山俊彦君) 仮に全部弁済があったといたしますと、普通の場合ですと弁済の受領証と同時に競売の取り下げ書なんかを引きかえにもらうというのが実情ではなかろうかというふうに思われます。現にそういうことで取り下げ書を債務者の方から持ってきて競売手続が終了するというのが多いわけでございますが、そうでない場合には、やはり裁判所の方としては、すぐそれでもっていつまでも期日を延ばしておくというのができない。むしろ従前はそういうことによるかえって弊害があったわけでございますので、むしろそれはやめるようにしたいというのが最近の実務の運用であったわけでございます。  そういうことで、四週間程度あれば、先ほどの本当に弁済が全部終了したものであれば取下書が出るであろうし、そうでないにしても、本当に弁済ということであれば終局的な停止決定としての請求異議の訴えが出せる余裕があるのではなかろうかというふうに見ておるわけでございます。  それから実務の運用といたしましては、そうは申しましても実際には、仮にその書面が全額弁済であるということになった場合には、書記官の方から債務者に事情を打診してみるということはしておるのではなかろうかというふうに思われます。すると、また仮に四週間に限るとしたところで、次の手続を進める場合に、次の期日の決め方に多少のふくらみというものは考えられなくはないというふうに考えておるわけでございます。
  129. 寺田熊雄

    ○寺田熊雄君 わからないではないけれども、やはりあなた方は御自分が非常に法律関係に精通していらっしゃる合理的な市民であられるから、すべて人間は合理的に活動するというふうに、これを前提にしてすべて考えられるわけで、それは私どもとしてはわかるけれども、われわれが現実の市民の訴えを受ける場合には、驚くほどとんまな人間があるわけですよ。中には金を払っても受取を取ってこないやつもあるし、それからいまあなたの言ったように、金を全額払えば同時に競売申立取下書も一緒に持ってくるだろうなんて言うけれども、そんなことをする一般の市民なんというのは、まあ私どもから言えば絶無です。それは法律家か何かならそれをやるでしょう。しかしね、一般の人間はせいぜい受取書を持ってくる程度なんです。私どもはそういうものをやったときに、これに「これにて完済」というのを書いてもらえ、これを書かせることがまず第一段階。それから競売申立取下書も一緒に取ってこれればなおさらベターであって、だからあなた方が立法なり運用を考えられる場合に、市民、一般国民というものは法律に通暁した合理的な振る舞いをするものだというふうに考えて立案したり、運用されたりするのじゃ困る場合があるのですよね。それをわれわれは言うのです。一般の人間は驚くほどとんまであり、間が抜けており、そしてミスがあるのです。それをわれわれがずいぶん補ったり、叱咤激励したりして、そうして権利の救済に当たっている現実がある。だから私は、裁判官というのは、一度弁護士をやった人であることが望ましいというのはそういうところからくるわけで、あなた方大宮人はどうもそういう現実を無視して純理論だけで行動する、そういう傾向があるから困る。だからそういう点をよく考えていただきたい。  いまの場合でも、書記官が債権者に照会をする。それは大いに結構で、それは最高裁民事局長のおっしゃるようにぜひそうしてもらいたいし、それからすぐ進行させるというような鬼頭判事みたいなああいうやり方をしないで、そこのところは寛大に処置してもらいたいというのが私の質問の趣旨であります。  それから第四十九条、「強制競売の開始決定に係る差押えの効力が生じた場合(その開始決定前に強制競売又は競売の開始決定がある場合を除く。)においては、執行裁判所は、物件明細書の作成までの手続に要する期間を考慮して、配当要求の終期を定めなければならない。」  これはずいぶん長い条文で全部読むと時間がかかる。  「配当要求の終期が定められたときは、裁判所書記官は、開始決定がされた旨及び配当要求の終期を公倍し、かつ、次に掲げるものに対し、債権(利息その他の附帯の債権を含む。)の存否並びにその原因及び額を配当要求の終期までに執行裁判所に届け出るべき旨を催告しなければならない。」   一、二、三号を省略して、第三項として、  「執行裁判所は、特に必要があると認めるときは、配当要求の終期を延期することができる。」と、こうありますね。  それから第四項、「前項の規定により配当要求の終期が延期されたときは、裁判所書記官は、延期後の終期を公告しなければならない。」この終期が、いろいろ裁判所の定める期間というものが私どもの実務では現実に即応しない場合が多いわけであります。これはどういう具体的な事例があるかということは、またおいおいに御説明することとして、一応配当要求の終期、これをどの程度の目安を置いていらっしゃるのか、まずこれをお伺いしたいと思います。
  130. 香川保一

    ○政府委員(香川保一君) これは事案によって区々だと思いますけれども、早くいきまして、大体開始決定がなされましてから三カ月ないし四カ月ぐらいの時点ではなかろうかというふうに考えております。
  131. 寺田熊雄

    ○寺田熊雄君 なお、第二項の「催告」ですね、これが不到達の場合はどうなりますか。
  132. 香川保一

    ○政府委員(香川保一君) 四十九条の二項によります「催告」は、これは裁判所が登記簿謄本等によってその債権者を確知するわけでございますが、これらの権利者は催告が不到達で、したがって届け出をしないということになりましても、権利には何らの影響を来たさないわけでございまして、仮に届け出なくても、裁判所は職権によって登記簿謄本から抵当権者であるならばその者に配当するという手続をせざるを得ないと、そういう関係になるわけでございまして、不到達だからといってその権利者が権利を害されるという関係はないと思います。
  133. 寺田熊雄

    ○寺田熊雄君 これは全部が登記簿に記載のある者とは限らないのでしょう。その点いかがですか。
  134. 香川保一

    ○政府委員(香川保一君) 四十九条の二項一号、これは仮差押えでございますし、登記はしてあるわけでございます。それから二号は担保権でございますから登記はされておる。三号はこれは登記にはあらわれてまいりませんけれども、当該債務者に対応する租税債権の権利者、つまり官庁公署というのはわかりますので、それに催告すると、こういうことになるわけでございます。
  135. 寺田熊雄

    ○寺田熊雄君 それから公告の方法でありますね、これは第四項、「延期後の終期を公告しなければならない。」、この公告の方法をやはりこれは最高裁判所規則で定めるわけになりますかな。
  136. 香川保一

    ○政府委員(香川保一君) そのとおりでございます。
  137. 寺田熊雄

    ○寺田熊雄君 それではその公告の方法をどのようにする御予定なのか、これは一応両民事局長にお尋ねをいたしたいと思います。
  138. 香川保一

    ○政府委員(香川保一君) これは原則的には裁判所の掲示板が考えられると思うのでありますが、しかし事案によりまして、非常に高額の不動産を売却するというふうな場合になりますと、それだけでは十分でないという面がありますので、新聞紙で公告するというふうなことも考えていいのではないかというふうに私どもとしては考えております。
  139. 西山俊彦

    ○最高裁判所長官代理者(西山俊彦君) いま法務省の民事局長が答えられたのと同じことを裁判所の民事局の方でも規則案として考えておるわけでございます。
  140. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 ずっと担当の方々も大分お疲れのようでございますので、ただ一点だけきょうはお伺いしておきたいと思います。  競売上の何か管理執行事務といいますか、そういうものが規定されてあるかどうか。裁判所の庁舎等の管理に関する規程、その中に含有されているものだと思われるわけでございますが、何か競売場の施行規程といいますか、細則みたいなものが、取り扱い規程とか、そういったようなものがあるんでしょうか。
  141. 西山俊彦

    ○最高裁判所長官代理者(西山俊彦君) いま御質問のような競売についての処理規程というものは一般的なものとしてはつくっておりません。ただ各庁におきまして、たとえば東京地方裁判所の例をとりますと、不動産入札事件処理要領というふうなものをつくって処理をしているので、各庁においてそういうふうな取り扱いをしていることと思われますが、実情は把握しておりませんでございます。
  142. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 なぜこういうことを申し上げますかといいますと、いまお話がありましたように、その地裁ごとによってそれぞれ違っている。東京地裁では、競売の問題についての規則みたいなものがあるというふうなことだけで、非常に競売場が地裁によっても地方――東京地裁もそうでありますが、地方各都市の実態というものがさまざまなんですね。たとえば富山の方に行きますと、その取り扱っておる競売場というものは九坪の中に執行官の事務所もあり、そして入札をする場所もその場所であり、そのつい立てを境にして、執行官と事務所の間をつい立てをして、そしてその前を入札場にしているとか、あるいは金沢の方面になりますと、富山より少しスペースが広くなっているようでありますし、そうかと思いますと、東京地裁の競売場に行ってみますと、息が詰まるような場所の中に大ぜいの人が詰めかけておるというようなこともありますし、それから札幌地裁のようになりますと、今度は控え室と閲覧所と入札する場所とこのようにはっきりして取り扱い事務が行われておるわけでありますが、これに対する総括的な考え方というのは、この辺で競売場のあり方というものも明らかにしていかなきゃいけないんじゃないかと思われるわけであります。そして保安上の問題におきましても、これは二十三日に私ども地裁の方に視察に行かしてもらいますけれども、警備、保安上の問題におきましても、これは非常に私は心配される面があるわけです。と申し上げますのには、売買になりますと、御案内のように現金を扱うわけでございます。いままで競売場における事件、紛失事件だとか盗難事件だとか、そういうものがあったかどうか、そういうことも伺っておきたいわけですが、なお、もし強奪するようなけしからぬ者が東京地裁なんかにあらわれて各自や買い受け人の持っている金を一挙に持ち出そうとする場合に、どんなふうな警備上の手を打たれているかどうか、防衛上の問題がどんなふうに各競売場の中でされているのか、そういうようなことを考えますと、買い物によってはいまほとんど額が大きいわけですから、何十億、何百億、何千万というものの売買が行われておる。それに見合う一割の納付金あるいは全額納付する場合も、また納付の全額はその期日を決めて納付させるというふうにもいろいろあるようであります。一人の人が何億というような現金を持って、しかも三人、四人の警備をつけて中に入っていくわけですから、そうしますと、狭いところはごった返すのがよけいごった返すというようなことになるので、こういうふうなことをおのおの買い受け人の方々が自分の護身、護衛のために警備をつけていくということになりますと、これは実際に私はそうじゃなかろうかというものを見てきたわけでありますが、ですから、非常に保安、警備、その施行方法ということがこの際取り上げられていいんじゃないか、こう思っているわけであります。この点どうなんでしょうか。いま私の三点ばかり質問申し上げました点についての御所見を伺っておきたいんです。
  143. 西山俊彦

    ○最高裁判所長官代理者(西山俊彦君) 各裁判所の競売場の実態がさまざまであるという御指摘はまことにそのとおりでございまして、大都市の裁判所、それから小都市の裁判所で格差がございます。それからまた本庁と支部との間でも格差があるという実情にございます。それから競売場に専用できる部屋を持っているところと、そうでない他のたとえば道路交通法違反事件の裁判をする部屋と競売場とを一緒にしているとか、公衆の待合室と競売場を一緒にしているとかという共用の形をとっているところもございますし、むしろ支部なり小さい裁判所ではそういう共用の形をとっているところが多いのが実情でございます。いま宮崎委員が御指摘になられましたように、非常によくない環境でやらざるを得ない状況にはなっておるわけでございますが、少しでも競売の適正、それから一般の人がその競売に参加しやすい、競売なり入札なりですが、そういうものに参加しやすい状況を整える必要があるということは常々感じておるわけで、そのためにいろいろ部屋の問題、それから設備の問題について考えてきておるわけでございますし、それから、執行官の指導とか教育の点についても努めてまいったわけでございます。そういう意味では、今後とも環境をよくしていかなければならないというふうに考えております。  ただいま御指摘になりました次の現金、最近は大がかりな、大規模な事件が多くなりましたものですから、それについての保証金が多額のものが動いて、それが紛失あるいは強奪されるような事件がありはじまいかという御懸念でございますが、そういう御懸念もごもっともとは存じますけれども、現在までのところではそういう事件が起こったことはございません。ただ、その点も十分考えておかなければならない問題でありますので、今後は十分気をつけさしていただきますが、実際問題といたしまして、現在の執行官の競売のやり方から言いますと、そういう事件が仮に起こったといたしました場合に警備の面でははなはだ心もとないというのが実情でございます。  御審議いただいております執行法案でも競売場の秩序維持の面では執行官に権限が与えられております。それを規則の上で具体化するようにいま考えておりますけれども、それはあくまでも競売場の秩序を維持するという面の問題でありまして、いま御指摘になられましたような保安上の問題、警備の問題という点については規則で果たしてそれができるかどうかということは多分に疑問ではありますけれども、放置しておかれない問題で検討してまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
  144. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 非常ベルなんかの装置なんかも一つの考え方だと思うんですけれども、金融関係を襲った最近の事例を見ましても、郵便局まで九件も襲われておりますね、未遂、それから実際の犯罪に至った件。それから金融関係ですと十二件ぐらいですか、最近に至っては。非常に不安定な社会情勢の中にあって、一番もとになるところでもしそういうくだらぬことでもあるようでありますと、非常に心配なわけです。そうじゃなくても私先ほど申し上げましたように、一人の方の現金がお持ちになるので三人ぐらいの力の強そうな人が一緒に警備についているんじゃなかろうかと思われるような姿を同じ競りの場所で、競売場で見受けたものですから、その保安状態というものが完全になされておれば私はそんな警備なんか要らないはずだし、途中おっかないから、途中不安定だからそういう人たちをつけておいでになったかどうかわかりませんけれども、いずれにしましても、いま御答弁がございましたように、灯台もと暗しとか、あるいはくだらない例を引いてまことに恐縮でございますけれども、紺屋の白ばかまだとか、そんなようなことがあってはならないのじゃなかろうかという心配が一つ。  いまお話がありましたように、この各地方都市、大都市、大都市でもまだ完備されているようなところ少ないんじゃなかろうかと思うんです。非常に競売場というところが軽視されているきらいが今日まであったと思うのです。それを執行官に責任を任していくというようなことではならないと思うわけです。そういうふうなことを考えてみますと、この際しっかりした方針なり処置なりというものを明確にしていかなければならないんじゃないかと思います。その競売をされる方々は、自分の財産を――一生かかってつくり上げたものが不幸にしてある事犯によって、いろいろな事犯によって差し押さえされ競売をされるようになった。その悲しい人生の最悪のドラマの中の自分の、そこで財産の競売されていくその行き先を見ようとしているその人たちの心情等を推しはかって見ていきましても言うに言われないものが私はあるんじゃなかろうかと思います。競りをやっている方々の状態を見ていきましても、競っている方々がその問題についての本当に自分の身内の者なのか、あるいはその関係の深い人なのかという方々が競っていけば、今度は競り上げていく人は、上げる競り上げた金額だけをぽっぽぽっぽと相手が出せばさらにその上積みをしたものをどんどんつり上げていく。非常にそういうこといいと思いますけれども、ところが、その事犯に関係している人の出す金額というものが限定額というものしかないわけであります。それ以上はどうしても買えない、それ以上は金がないから買えないというような人たちの姿を見ておりますと、その余りにも人生模様の終末が哀れだなというふうに感じた面も私はありましたのですが、そういうふうなことはよけいなことかもわかりませんけれども、ともあれ少なくともそういう人たちが控えをする控えの間だとか、あるいは閲覧の間だとか、そして入札する場所とかというようなことは建て分けをして競売場の整備というものを、はっきり設備というものを考え直していかなければいけないんじゃないか。こういうふうに私は思うわけですがね。  これは政務次官もおいでになるわけでありますが、もう一度裁判所の方の民事局長にお考えを伺いながら、また法務省を代表しておられる、担当責任者であられる法務次官にも所見を伺っておきたいと思います。
  145. 西山俊彦

    ○最高裁判所長官代理者(西山俊彦君) ただいま御指摘の点につきましては十分これから心がけてまいりたいというふうに考えております。  なお、先ほど申し落としましたが、警備装置、非常ベルの関係はかなりの庁に備えつけるようにしてございまして、最近では富山の裁判所にも備えつけるように手配をしておるわけでございます。  それから、保管庫あるいは金庫といったようなものは現金を扱います関係で執行官室に配備するように努めております。  それから、実際の競売の実施に当たりましては、競売の適正な実行という面で執行官の監督官であります裁判官とか、監督補佐官であります書記官、そういったような人が競売場に立ち会うことは、最近では努めてそうした方がいいという指導をしております。そういうことによって、競売場の中に不穏な事態が起こらないように、あらかじめ防ぐという手段を講じているわけでございます。  なお、最近の売却の状況といたしましては、競売場というふうに言いましても、競売よりはむしろ入札による売却の方法が多くとられておるわけでございまして、その方が一般の人も買いやすくなる、それから値段も高く売れるというメリットがございますので、そういう方法をとっているというのが実情でございます。  それから、保証金の関係は、現在は入札をする場合にも、入札袋の中に一緒に金を入れるというやり方をとっておりますけれども、御指摘のようなことを考えますと、あるいはそれは相当でなくて、むしろ裁判所の会計の方の窓口に入れるようにすべきものではないかなというふうにも考えますので、そういう点についても検討をさしていただきたいというふうに思っております。  以上でございます。
  146. 最上進

    ○政府委員(最上進君) 実務につきましては最高裁の方の所管でございますので、ただいまお答えをいただいたわけでありますが、ただいまの宮崎先生の御意見に対しまして、私も政治家の末席を汚す者といたしまして、大変感銘深く御意見を拝聴させていただいたわけでございます。  従来、競売場に対するイメージというものが、やはり暗いということは否めないというふうに私は感じております。  保安警備上の問題につきましても、幸いにもいままで事件らしいものがなかったという報告があったわけでございますけれども、これからやはり警備上、保安上の問題はもとより、先ほど来宮崎先生御主張になりましたような、好きこのんで競売に供されるということでなくて、大変不幸な事態の中で、いろいろな人生模様の結末がそこにあらわれるというようなことも当然考えられるわけでございまして、そのためにもやはり明るいイメージを持った競売場をつくり上げるということのために、五十五年度の予算におきましても私ども何とか努力をしてまいりたいと考えているわけでございます。
  147. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 入札でおやりになるという御答弁がありました。これは非常にいいと思うのです。ですから札幌の方は入札が主体であります。ほとんど入札でやっています。非常にいい傾向だと思うのです。それなんかは、非常にだれでもがやりやすいところだと思うのですね。行きやすいと思うのです。そういう傾向のことを御案内でございますので、そういう面等を含めて今後の処置のあり方等を御研究していただいて、できるだけ速やかにそれぞれの手を打って御配慮を願いたいと思います。また、二十三日には実際に地裁の方に私ども視察に行かしていただきますので、なおまたいろんなことを教えていただければありがたいと思っております。きょうはこれで質問を終わりたいと思います。
  148. 峯山昭範

    ○委員長(峯山昭範君) 本案に対する本日の審査はこの程度といたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時五十五分散会      ―――――・―――――