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1978-10-20 第85回国会 参議院 公害対策及び環境保全特別委員会 2号 公式Web版

  1. 昭和五十三年十月二十日(金曜日)    午前十時十二分開会     ―――――――――――――    委員の異動  十月二日     辞任         補欠選任      原 文兵衛君     秦野  章君  十月三日     辞任         補欠選任      菅野 儀作君     原 文兵衛君  十月九日     辞任         補欠選任     久次米健太郎君     塩見 俊二君 十月十三日     辞任         補欠選任      塩見 俊二君    久次米健太郎君  十月二十日     辞任         補欠選任      三善 信二君     増岡 康治君      原 文兵衛君     竹内  潔君      藤井 丙午君     熊谷  弘君     ―――――――――――――   出席者は左のとおり。     委員長         田中寿美子君     理 事                 秦野  章君                 森下  泰君                 坂倉 藤吾君                 馬場  富君     委 員                久次米健太郎君                 熊谷  弘君                 佐々木 満君                 竹内  潔君                 田代由紀男君                 林  寛子君                 藤井 丙午君                 増岡 康治君                 原 文兵衛君                 山内 一郎君                 粕谷 照美君                 広田 幸一君                 矢田部 理君                 小平 芳平君                 中野  明君                 沓脱タケ子君                 柳澤 錬造君    衆議院議員        発  議  者  池田 行彦君        発  議  者  福島 譲二君        修正案提出者   島本 虎三君    国務大臣        国 務 大 臣        (環境庁長        官)       山田 久就君    政府委員        環境庁企画調整        局長       上村  一君        環境庁企画調整        局環境保健部長  本田  正君        環境庁水質保全        局長       馬場 道夫君    事務局側        常任委員会専門        員        今藤 省三君     ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○理事補欠選任の件 ○水俣病の認定業務の促進に関する臨時措置法案  (衆議院提出) ○二酸化窒素(NO2)に係る新環境基準の撤回  等に関する請願(第一〇三三号外三三件) ○継続調査要求に関する件     ―――――――――――――
  2. 田中寿美子

    ○委員長(田中寿美子君) ただいまから公害対策及び環境保全特別委員会を開会いたします。  委員の異動について御報告いたします。  去る二日、原文兵衛君が委員を辞任され、その補欠として秦野章君が選任されました。  また、去る三日、菅野儀作君が委員を辞任され、その補欠として原文兵衛君が選任されました。     ―――――――――――――
  3. 田中寿美子

    ○委員長(田中寿美子君) 理事の補欠選任についてお諮りいたします。  久次米健太郎君及び原文兵衛君の委員異動に伴い、理事に二名の欠員が生じております。  理事の選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 田中寿美子

    ○委員長(田中寿美子君) 御異議ないと認めます。  それでは、理事秦野章君及び森下泰君を指名いたします。     ―――――――――――――
  5. 田中寿美子

    ○委員長(田中寿美子君) 水俣病の認定業務の促進に関する臨時措置法案を議題といたします。  まず、発議者衆議院議員福島譲二君から趣旨説明を聴取いたします。福島譲二君。
  6. 福島譲二

    衆議院議員福島譲二君) ただいま議題となりました水俣病の認定業務の促進に関する臨時措置法案につきまして、その提案の理由及び内容を御説明申し上げます。  御承知のように水俣病は、わが国において他に類例を見ないほど大きい水質汚濁による公害であり、水俣病患者の迅速かつ公正な保護を図ることは、今日当面している最大の環境問題の一つであると言えるのであります。  水俣病被害者救済のためには、水俣病の認定業務を促進することが一日もゆるがせにできない重要な課題であります。しかしながら、熊本県における認定業務の状況を見ますと、昨年十月以来の検診審査体制の充実等により認定事務は格段の進捗を見せているとはいえ、いまなお未処分の認定申請者が本年八月末現在なお四千九百件を超えている状況にあります。  特に旧公害に係る健康被害の救済に関する特別措置法、いわゆる旧救済法に基づき昭和四十九年八月までに行われた認定申請については、すでに四年以上を経過しているにもかかわらず、答申保留や未審査という形で約一千六百件がなお未処分のまま残されております。  そこで熊本県等におけるこれら旧救済法による申請者については、環境庁長官がみずから認定に関する処分を行うことができることとする道を臨時に設けることにより、申請滞留者の解消を図り、もって水俣病認定業務の一層の促進を図ることが必要であると考えます。  このため、今回この法律案を提出した次第であります。  以下、法律案の内容を御説明申し上げます。  第一に認定に関する処分を行う機関の特例でございます。旧公害に係る健康被害の救済に関する特別措置法により水俣病に係る認定の申請をしていた者でいまだ認定に関する処分を受けていない者は、県知事等に公害被害者認定審査会の意見がすでに示されている場合を除き、環境庁長官に対して、当該水俣病が当該指定地域に係る水質の汚濁の影響によるものである旨の認定を申請できるものとしております。この申請をすることができる期間は、旧救済法による認定の申請の日の属する区分期間に応じて政令で定める日から五年としております。  第二に臨時水俣病認定審査会についてでございます。いま述べました環境庁長官に対する申請に基づき認定に関する処分を行うに当たっては、環境庁長官は臨時水俣病認定審査会の意見を聞くこととしております。この審査会は、環境庁に付属機関として置かれ、医学に関する学識経験者十人以内の委員で構成されることとしております。  以上のほか、この法律に基づく認定の効力その他所要の事項について規定しております。  最後に、この法律施行期日でございますが、公布の日から起算して三カ月を超えない範囲内において政令で定める日から施行することとしております。  以上がこの法律案の提案の理由及び内容であります。  なお、本案につきまして衆議院における修正の趣旨を御説明申し上げます。  修正の第一点は、第一条の本法の目的に、水俣病にかかった者の迅速かつ公正確実な救済のための趣旨を加えたことであります。  修正の第二点は、第四条の臨時水俣病認定審査会の委員の要件を、水俣病に係る高度の学識と豊富な経験を有する者であることと明確化したことであります。  修正の第三点は、第六条として、環境庁長官は、認定に関する処分についての異議申し立ての審理をする場合において公害健康被害補償不服審査会の委員及び当該患者の主治の医師の鑑定を求め、これを尊重するよう努めなければならない旨の規定を加えたことであります。  以上であります。  何とぞ速やかに御賛同あらんことをお願い申し上げます。
  7. 田中寿美子

    ○委員長(田中寿美子君) これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  8. 広田幸一

    ○広田幸一君 いま提案の理由を聞いたんですけれども、一部修正になって衆議院の方が通過をして本委員会に提案されたわけですけれども、私もけさ新聞で見まして大変なことになったなと、こういうふうに思っておるわけです。  そこで、まず私は長官にお尋ねをしますが、現在水俣病救済をめぐってこの七月に出されました次官通知、それをめぐって非常に状況が混乱をしておるというふうに私は見ておるわけでありますが、現在のそういった周囲の状況はどういうふうになっておるのか、まず長官の方から御説明を願いたいと思います。
  9. 山田久就

    国務大臣山田久就君) 次官通知に関しましていろいろ疑問、疑義等が出ている点、私ども非常に残念だと思っております。これについては、特に次官通知というものが患者の切り捨てということを目標としているんじゃないかというふうに考えられている点、私はそれは全くそうでないということについてこれまでるる説明をしてまいりました。  この件につきましては今回の衆議院の公環特におきましてもこの趣旨を重ねて明らかにいたしたわけでございます。つまり一人でも水俣患者が見落とされるというようなことがあってはならないんだ、患者はすべて要するに病む人はこれは救済されなければいけないんだという趣旨はわれわれもそう考えている点でございまして、今後ともこの点については誤解のないようひとつ全力を尽くしたい、こう考えております。
  10. 広田幸一

    ○広田幸一君 委員長にお願いしますけれども、私は大変恐縮ですけれども左の耳が聞こえないんです。これは戦傷ですけれども。もう少し大きな声をしてもらわないと的確な質問もできませんから。長官も声が低いと思います。私は高いんですが、ひとつよろしくお願いします。非常に大切な質疑になると思いますので。  聞くところによると、熊本の県庁の前ではあの通達が出ましてから患者の人たちが座り込みをして、そしてあの通達が撤回されるまでは命をかけて最後までわれわれは座り込みをやるんだと、こういうような状況が続いておるようでありますが、長官、いまおっしゃったですけれども、なぜ患者の人たちがそのように思い詰めて撤回を求めて座り込みをしておるか、自分の悪い体を押して県庁の前であの暑い夏の日もずっと続けてきた、そういう心境に患者の皆さんがなっておるというのはどういうところにあるのか、長官はどのようにそういう事態を認識をされておるのか、お聞きをしたいのであります。
  11. 山田久就

    国務大臣山田久就君) この次官通牒の趣旨は、無論この水俣病の範囲ということにつきまして従来幾たびか今日まで最初の次官通牒以来あるいは課長からの通達部長通知というような形でこれが出ておることは御承知のとおりでございます。またこの点についてやはり疑わしきは救済するという意味は、その趣旨は国会等において先般私が衆議院の公環特でも申し上げましたとおり、大石長官と繰り返しこの点についての見解を述べております。  したがいまして、私はいままでそういう範囲についてもいろいろ疑義等があった点をすべてまとめて明らかにしたということ、さらにまた水俣病を適用するに当たってその判断条件等その後の現地のお医者さんの経験その他を踏まえてはっきりしてきたものを、これを参考にしてやるようにということでございましたけれども、しかしながらこれを促進するためにはひとつこれにのっとってやるようにということで判断条件をはっきりした位置づけをやったという点でございます。  第三点には、いわゆるそのままペンディングになっているようなものについて、われわれが、無論前の委員会でも私申し上げましたけれども、この点についてはあらゆる資料を十分とるということについては持に注意をして全力を尽くしたい、しかしながらどうしてもわからないということであるならば、不明確な地位に置いておかないでその権利というものをちゃんと行使できるようなふうにしたらいいという意味でその点を明らかにした点、主としてこの点にこれが切り捨てじゃないかという誤解ということじゃないかと、こう考えているわけであります。したがってこの点についてはわれわれの説明、努力が足りなかったかとも思います。  しかしながら、昨日も私が委員会で申し上げましたように、当通知の「処分にあたって留意すべき事項」の中で「新たな資料を得ることが見込めない場合には、」云々、「所要の処分を行う」と、こうあるのは、主治医のカルテなど、あるいは昭和五十三年十月十二日、衆議院委員会において馬場委員が例示された資料なども検討して、さらに生活史、疫学等の面も留意して万全な検討をして、法の精神にのっとって処分を行うということは当然だ、さらに棄却の処分理由を説明して、患者あるいは家族の不安を解消するように十分努力すべきことは当然であるということを申し上げて説明しているんでございまするけれども、この点についての十分説明をするについてさらに努力しなきゃいかぬというふうに今日考えておりまして、それらの点については今日まで努力の足りなかった点を反省して、ひとつ一段とこういう点について誤解を解くようなふうに善処したい、こう考えている次第でございます。
  12. 広田幸一

    ○広田幸一君 いま長官の方から新通知に対する患者の人たちが考えておることに対する環境庁としての考え方を、食い違いといいますか、あなたは誤解と言われたですけれども、私は誤解というのはおかしいと思うんだけれども、それは後で論議するとして、私はやっぱり環境庁のこの被害者に対する精神的における受け答えですね。そういうものが大きく影響しておると思うんです。どんなにりっぱな通知を出したところで、それがすなおに患者の人たちにこたえてこない。そういうところに私は問題があると思うんですね。  そこで、私も公害対策特別委員になってわずか数カ月間でございまして、二十年もかかったそういう長い歴史をそうすぐに理解するということはむずかしいと思うんですけれども、いろんな文献を見まして、本当に大変なことだと。言われておるように、この公害問題を処理せずして二十一世紀は来ないと言った人がありますけれども、まさにそのとおりだと思うんですよ。そういうような重大な責任ある問題を国がどこまで誠意を持ってやっていくか。私はその気持ちが患者の皆さんにいま通じてない。そこに通知に対するいろんな疑念が起きておると思うんですね。  ですから、私はそういう事実をひとつ長官とここで過去についてどういうふうな反省を環境庁が国がしておるのか、私はそのことをまず話し合ってみなければ、言葉の上で衆議院委員会でそういうふうにしました、誠意を持ってやります。修正はこういうふうにしましたというようなことでは、本当にこの問題は解決をしない。そういうふうに思うわけです。  そこで、二十年間を振り返ってみまして、昭和三十一年に水俣の病院、チッソ附属病院から水俣の保健所に対して奇病が発生をしておるという報告があっておりますね。それがどうも私が調べましたところしょっぱなのようでありますが、それから今日まで行政としてどのような取り組みをしてこられたのか。年次別にひとつ経過を御報告願いたい。
  13. 上村一

    政府委員(上村一君) まず国と県がとりました措置を関連させながら御説明申し上げたいと思います。  いまお話になりましたように、昭和三十一年五月、チッソの付属病院から水俣の保健所に奇病の発生の報告がありまして、それを受けました熊本県衛生部が厚生省に通告をいたしまして、それで一方熊本県は熊本大学に依頼をいたしまして水俣病の研究班というものを組織し、さらに翌年三月には県の中に熊本県水俣病対策連絡会というものを設置いたしまして、いろいろその対策を検討されたわけでございます。  そして三十三年の八月には、水俣湾の海域で魚をとらないように県漁連で指導する通達を出されたというふうに承知しておるわけでございます。  三十四年の二月になりまして、厚生省では食品衛生調査会の中に水俣食中毒――当時食中毒と考えられたようでございますが、食中毒特別部会というものを設置されました。その年の七月になりまして熊本大学が有機水銀説というものを発表し、さらにその年の十一月、三十四年の十一月でございますが、先ほど申し上げました食品衛生調査会が有機水銀説というのを厚生大臣に答申をしたのでございます。そして水俣病の補償調停委員会というものが発足をいたしました。  そして、三十五年の一月には経済企画庁が音頭をとりまして、厚生省通産省経済企画庁から成ります水俣病総合調査研究連絡協議会というものが設置されたのでございます。  そして、三十八年の二月に、熊本大学が統一見解として水俣病の原因というのは有機水銀化合物であるというふうな発表がされたのでございます。  四十三年の八月に厚生省において水銀による環境汚染暫定対策要領というものを作定され、その年の九月に政府の統一見解として水俣病の原因というのはチッソ水俣工場の排水中の有機水銀であるということが発表されたのでございます。そのころから厚生大臣あていろいろ陳情がございました。  そして、四十四年四月になりまして、いわゆる千種委員会と申しますか、水俣病補償処理委員会というものが発足をされたのでございます。  四十六年になりまして、その年に環境庁が発足をしたわけでございますが、熊本県知事の認定処分に対して不服であるということで審査請求がありましたものを厚生省から環境庁が受け継ぎまして、これは四十六年の八月に環境庁が裁決をして再審査するように熊本県知事あて指示をしました。それに基づきますものが四十六年九月の認定についての事務次官通知でございます。先ほど来、大石長官のお話と関連されまして論議されましたこの通知でございます。さらにこの通知についての公害保健課長通知というものも出されたのでございます。  四十八年になりまして三月でございますが、熊本県地方裁判所原告が勝つという判決をし、四十八年の七月にチッソと水俣病患者との間に補償協定成立をしたのでございます。  こういうふうに推移してまいりまして、こういった協定成立あるいは裁判の確定等々から、どう申しますか、認定を申請されました患者さんが相当たくさんになってまいりました。そういうことから、四十九年の後半になりまして知事の処分がないのが不作為であるということを環境庁にあて審査請求がされ、さらにそういった不作為の審査請求に対して認容あるいは棄却をされたことと絡みまして、四十九年の十二月に不作為の違法確認の訴えというのが熊本地方裁判所あて提出をされたわけでございます。  そのころから申請者の一定の人に対する医療救済措置というものが決定をされ、同時に五十年度予算水俣病センターというものをつくることにいたしまして土地購入費等が計上されたのでございます。  一方、先ほど申し上げましたように、熊本地裁に不作為の違法確認の訴えがなされましたのが、五十一年十二月になりまして熊本地裁で原告勝訴の判決があったわけでございます。五十一年十二月でございます。  で、この熊本地裁の判決は確定をいたしましたので、五十二年三月になりまして水俣病に関する関係閣僚会議というのを文部、大蔵、厚生、通産、自治、内閣官房それから環境庁をもって組織をしたわけでございます。要するに水俣病の認定申請があった者についてその認定を促進するというのが大きな目的でございます。そして数回その閣僚会議等開催いたしました。  その間、熊本県では熊本県だけでこの問題を処理するのはとってもやり切れないというふうなこともございまして、県議会の方で水俣病の認定業務を国に返上するというふうな決議がなされ、あるいはその検診認定業務に必要な県の予算を減額修正するというふうな措置がとられたりしたわけでございます。  そして、五十二年の六月に、先ほど申し上げましたような閣僚会議が水俣病対策の推進について申し合わせをいたしまして、認定業務を促進するためにいろいろな措置をとる、一つは、水俣病の判断条件というものを明らかにするんだ、それからもう一つは、判断がむずかしい事例について研究をして認定業務を進めるために症例研究班というものを設けるんだ、それから毎月百五十人の検診、百二十人の審査を行うことを目的にいたしまして、検診に必要な機器の整備あるいは集中検診方式の採用あるいは各大学国立病院等の協力というものを得ることを決めたのでございます。  同時に、認定申請者の治療研究事業につきましてもその改善方を検討すると同時に総合的な研究についても推進することにいたしまして、その一環といたしまして昭和五十三年度水俣病研究センターというものが落成をしたわけでございます。一方……
  14. 広田幸一

    ○広田幸一君 その辺でいいです。
  15. 上村一

    ○政府委員(上村一君) それから一つだけ数字を間違えましたので訂正さしていただきますが、先ほど申し上げました四十六年の事務次官通知、九月と申し上げましたのはこれは八月の誤りでございます。初めの方に申し上げた個所でございますが、訂正さしていただきます。
  16. 広田幸一

    ○広田幸一君 いま詳細に県や国がとってきた措置の経過の報告があったわけですけれど、いずれにいたしましても三十一年に保健所に報告があってから今日まで全体的な解決は見ていないわけです。  そこで、いまの報告の中で三十八年の二月に熊大が有機水銀化合物であるという統一見解を発表しておるわけですね。それから厚生省が四十二年九月に水俣病の原因はチッソの水俣工場の排水の中にある有機水銀である、そういう発表しておるわけですね。ずいぶんと日にちはかかっておるわけですが、これは私も現地に行ってみないので一方的に聞いちゃいけませんけれども、かなりこの期間において大学に対する圧力があったとか、いろんなことが言われておるわけです。私もここにあれがあった、これがあったということはここに記録しております。記録しておりますが、私も両方の意見を聞いていないので、ここでこうだということは言えませんけれども、そううその報告ではないと思うんです。  とすると、一部で言われているような行政とそしてチッソの会社とがぐるになって、本当に真剣にこの水俣病を研究をして、そしてそれに対する対応の処置を故意におくらしておったと、こういうふうに言われておるわけです。私はそういうような気持ちが解けない以上、誤解を受けるとさっき長官がおっしゃったけれども、疑わしくとられるようなそういう通知を出せば、患者の諸君や関係者の皆さんはそういうふうに思うだろうと、こういうふうに思いますが、これは長官、あなたも長官になられてまだ一年になられぬわけですけれども、いろんな事情は聞いておられると思うんですけれども、本当にこういう事態が起きて、二十年間行政とチッソの会社がぐるになってやったというような、そういう批判についてどうお感じになりますか。私はそういうことが、そういうことは絶対ありません、それはどこかの間違いですと、そういうことが自信を持って被害者の皆さんに言えるような状態にならなければ、私はどんなりっぱな法律をつくったって、この問題解消しない、そういうふうに思うわけですが、長官どうでしょう。
  17. 本田正

    ○政府委員(本田正君) 水俣病の原因究明にかかわる非常に重大な御意見だと思います。  御指摘のように昭和三十一年にいわゆる当時は何が原因かわからない奇病ということ、珍しい病気だ、変わった病気だということで報告がされたわけでございます。いまになってみますとメチル水銀ということがわかっております。明らかにわかっておりますが、その過程におきまして、まず奇病ということから発して、その間にまた伝染病じゃなかろうか、あるいはウイルス、細菌によるところの人から人に伝わっていく伝染病じゃなかろうか、そういう説も出ました。さらにいろいろ熊本大学を中心に原因を究明していくさなかに、有機水銀というものが浮かび上がったのはずいぶん後でございました、水銀説が浮かび上がったのは。その間にはマンガン説とか、タリウム説とか、いろいろな説があったわけでございます。特定のその病因物質を突き詰めるために、熊本大学を中心にいたしましていろんな研究がもうこれは数多くなされたのは事実でございます。だんだん原因が追い詰められまして、そして有機水銀だということがようやくわかりかけて、まずこれに間違いないであろうというのが三十四年でございます。  ところが有機水銀といってもたくさんあるわけでございまして、その中に原因を突き詰めるには、有機化合物が、たくさん水銀の化合物がある、その中の何だろうということをいろいろまた研究の過程で研究がされまして、そして有機水銀ということがわかった。そこで四十三年に厚生省の統一見解が出たわけです。その間におきますいろんな手探りでいろんな研究を手広くなさった。当時は現在と違いまして、ごく微量の有機水銀その他の物質の分析の技術というものもきわめて低い。そういう技術も開発しながら手探りで探っていったという経緯があるわけです。その間に御指摘のようないろんな説が出るさなかに、データを隠したとか隠さぬとか、あるいはいやあえて異説を唱えたとかいうようなものがあったのも事実でございます。  現在の水俣病の複雑ないろんな要因を含んだ対策のむずかしさということの要因の一つに、その当時におけるそういったいろんな研究の過程における経緯が今日の水俣病の要因の一つになったこともこれは否定できない事実だろうと思います。しかしながら事実そういったたくさんの物質の中から一つのものを突き詰めていく検査技術も低いそういった時代の血みどろな努力というものがあって、それがいろんな誤解を生じた原因の一つであろうということは否定できないと存じます。
  18. 広田幸一

    ○広田幸一君 私は専門でないですから、お医者さんの出身である局長の方からいろいろ言われればそれにどうだという判断はできぬわけですけれども、長官、これは最近のことですけれども、今月の十二日に熊本地裁で当時チッソの社長であった吉岡喜三、それから当時水俣の工場長であった西田栄一、これに対する論告求刑が出ておりますが、長官はこの内容を見られましたか。見てどういうふうな感じを持たれましたか。
  19. 山田久就

    ○国務大臣(山田久就君) 私この論告求刑の内容を読ましていただきました。私はむろん結論というわけじゃありませんけれども、しかしながらやはり非常に患者が苦しんでこられたその状態が非常に激しいだけに、そして非常な年月をかけておるという背景があるだけに、患者の立場に立ってみまするというと、私はやはりこの会社の責任者というものがこの間において、まあネコの死骸を隠したとか、いろんなこと、そういう過程を考えてみまするというと私はよほど責任問題についてはまともに考えられなければならない点がある。と同時に顧みてわれわれにももう確かに非常な努力はしてきておるんだと思います。  また、私も科学者じゃございませんのでよくわかりませんけれども、もう少し顧みて対応の仕方があったんじゃないかというそんな立場に立って、そしてこの問題の対処というものを考えていく、そういう気持ちが十分患者の中に反映されるようなそんな気持ちでやらなきゃいけないという先ほどの御指摘、われわれもその点については不徳と申しますか、足らざることを改めて反省して、常にそこを心にとめておいてそして対処しなきゃならぬというのが率直な感想でございます。
  20. 広田幸一

    ○広田幸一君 当時長官はどこにおられたか知りませんが、いまの言葉を聞く限りにおいて、改めて当時のことを反省をしなければならない、こういうふうにおっしゃったわけですけれども、私はこれを新聞で見まして、本当にそうだなと、さっき行政と企業がぐるになってやったではないかということを言われておるということを私は申し上げたんですけれども、この論告求刑の当時の社長がいわゆる陳述する内容を見ますときに本当にそうだなという感じをしました。  これはこういうことが新聞で書いてあるわけです。私は後でそういう論告をもらってよく詳しく見たいと思っておるわけですけれども、「企業利潤の追求に意を用い、被害拡大防止措置を取らなかった」と、こういうふうに社長は当時のことを供述をしておる、間違いないということを検事は論告をしておるわけですよ。私はやっぱりここに今日のこのような事態が起こったいわゆる行政の無責任さがあると思うんですよ。そしてさらにこう言っておるわけです。チッソの会社の「幹部の過失は偶発的なものではなく、長期間の企業活動の中で起きた「構造型公害犯罪」と」して、危害発生を食いとめ得なかった責任は重い、これは検事がそのように陳述をしておるわけですけれども、まさにここに私は問題があると思うんですよ。  そして、ここにこの吉岡と西田の両被告に対して禁錮三年間を求刑しておりますが、それに対して弁護士も当然――当然とは言わないけれども、やむを得ない、予想されたところの求刑であると言っておるわけです。弁護士もやはりいま申し上げたようなことを認めておるわけですね。  私はここに今日の水俣病の悲劇があると思うんですよ。このことを行政が責任を持って、誠意を持って解決をするという、そういうものが出てこない以上、どんなにこういう自民党案を修正を加えたからといって、私はきょうの日は済むかもしれないけれども、ますます事態は悪化していく、そういうことを私は先々心配するわけです。  これは見ますと、患者の方はこの事件は殺人傷害罪として告訴しておるわけですね、検事の方はそういうふうにとっていないようですけれども。きょうのテレビでも出ておりましたけれども、茨城県の中学校の生徒が、何の罪もない中学校の生徒が殺された。これは締め殺されたわけですよ。麻酔薬によって殺されたわけです。直接これは殺しておるわけですよ。これは間接殺害ですよ、これは。自分の企業がもうかりさえすれば、住民が、国民が、地域の人たちが死のうがそんなことは関係ないという、そういう思想が今日の二十年間をおくらしてきた。先ほど局長が専門的におっしゃった、そういう事務的にやられたでしょう。しかしながら別のところではいろんなやり方がされておるではありませんか。  当時の知事が四十万円の補償金をやる、がまんしろ、今後チッソの方からの原因がわかったとしても、もうそれは言うなと。そういうようなことを当時やられておるということは事実でしょう。それからネコを使って実験をやった。そういうことも公にされていない。隠して隠して何とかこの事態を収拾しようとしてきたところに私は今日の悲劇があると思うんですよ。  そのことが本当に悪かった、どんな償いでもするんだという声が、そういう答えが私は被害者の皆さんに返ってこない限りにおいて、きょうの委員会でこの議案を修正可決したって、私は問題が解決をしない。もっともっとひどい状態になる。私はそう思いますが、長官どうでしょうか。そういう責任についてあなたはどうお感じになっておられるか、御答弁願いたい。
  21. 山田久就

    ○国務大臣(山田久就君) この問題に対処する基本的な態度についての反省、そういう点についてのわれわれの心情と申しますか、先ほど申し上げたようなとおりでございます。なかなかいろんな意味においての努力の不足、力の不足というようなことが、この問題の重さというものを十分に見ていくようなところへ行っていないという点については、やはりわれわれがまだ一段とひとつ情熱と努力を傾けなきゃいけないんだという感を深くいたしておるのが現在の気持ちでございまして、半歩でも前進をひとつ皆様の力も借りながら進んでいきたい。  なお、いろいろなこれを取り巻く全般の問題については、それなりにどう展開していったらいいかということについてもひとつぜひ取っ組んでいくようなふうにやってまいりたい、こういう心境でございます。
  22. 広田幸一

    ○広田幸一君 結局長官は今日の事態になったということについては行政の責任がある、こういうふうに思っていらっしゃるというふうに確認をいたします。そうですね。長官、どうですか。
  23. 山田久就

    ○国務大臣(山田久就君) もう私がすでに申し上げているとおり、行政にも責任があると。そのとおりでございます。
  24. 広田幸一

    ○広田幸一君 そこで、もう私はこれ以上質問をしなくてもいいような感じがするわけですけれども、若干具体的にちょっと質問をしてみたいと思うんですが、四十六年の通知と五十三年の通知が食い違っておるわけですね。食い違っておる。先ほど長官のお話ではよく私も聞き取れなかったわけですよね。  まず、五十三年の七月の問題の通知をどういう目的で出したかということ。長官も患者の代表の皆さんとお話しになって、出してくれるなと、そういうふうに言ったわけですね。ところが、環境庁はそういう意見を聞かないで、まあ交渉を持たれたでしょうけれども、最終的には出してしまった。出したことがよけいエスカレートしておるわけですね。どういう目的で出したんですか、これは。
  25. 山田久就

    ○国務大臣(山田久就君) 先ほどもちょっと申し上げましたけれども、四十六年の次官通知以来、その次官通知の趣旨ということについてはいろいろなこれについて議論が出されておりました。したがいまして、先ほども申し上げたように、国会の答弁その他の機会を通じてこの水俣病の範囲に関する基本的な考え方、こういうものを明らかにしてまいったところでありまするけれども、過去のそういういきさつにもかんがみまして、この際次官通知でこの点を再度これまでの説明等統合整理いたしまして、考え方を再確認するという措置をとった、これが第一点でございます。  それから第二の点は、昨年七月以降のいろいろな経験をも踏まえまして、この範囲につきましては環境保健部長名で示した「後天性水俣病の判断条件について」というものを示しておるわけでございまするけれども、これを参考にしてやれというのを、やはりその後の経験を踏まえてはっきりしたこの条件にのっとってやれということで、この点をはっきりしたということでございます。  第三の点は、これが先ほど申し上げましたように議論を生んだ点でございまするけれども、水俣病の認定に関する処分を行うためには、認定審査会の意見を聞いて、水俣病の範囲に含まれていると判断される場合にはひとつ速やかに認定しろ、もう認定漏れがないように速やかに認定をしなさいと。ただ、しかしながら審査会の結論が得られない、どうしても得られない、しかも先ほど申し上げましたようにどうしても資料を得る見込みがないというような場合に、それをただ保留というようなことで法的に不安定な状態に置いておくんじゃなくて、そういうことであるならばやはりちゃんと再申請あるいは不服、まあいろいろな措置をとり得るような状態にしなきゃいかぬということを示したのが第三の点でございます。  先ほど申し上げましたように、この点が要するに切り捨てというようなことになっていることを大いに反省しなきゃいかぬのですけれども、私がこの間申し上げましたように、水俣病は一人でも認定漏れがあっちゃいけない、そういう立場でやるというのがわれわれの本意でございまして、趣旨はいま申し上げたようなことで実は出したような点であったわけでございます。
  26. 広田幸一

    ○広田幸一君 いま長官がおっしゃった三つ、まあ四つになりますか、国会の答弁とか委員会の答弁とか、そういうところでいろいろ発言なさっておるけれども、そういうものを統合、整理をしたということですね。  それからもう一つ、最後のいわゆるどうしても資料が得られないものを処分をする、こういうようなぐあいにおっしゃったわけですけれども、四十六年の通知と五十三年の通知は本質的にどうなんですか、違っておるか違ってないんですか、どこが違っておるか。
  27. 本田正

    ○政府委員(本田正君) 四十六年の通知におきまして、水俣病の範囲というものを四十六年の通知では示しております。それとこのたびの新しい事務次官通知においては、水俣病の範囲に関します基本的な考え方につきましては全く変わりがございません。ただ通知でございますので、いろいろ当時留意すべき事項等を水俣病の範囲以外のことがやっぱり書いてございます。そういったところはもう文章上整理をいたしておりますが、一番肝心な水俣病の範囲の基本的な考え方については全く同じでございます。
  28. 広田幸一

    ○広田幸一君 その範囲というのが、結局四十六年のときは問題の「蓋然性」という言葉はないわけですね。今度のこの五十三年七月の分には「蓋然性」という言葉があるわけですね。どうもそこらが問題になっておるようですが、蓋然性という字句の解釈といいますか、簡単に環境庁の見解を聞かしてください。
  29. 本田正

    ○政府委員(本田正君) 蓋然性という言葉そのものは物の確からしさ、端的に申し上げますと。
  30. 広田幸一

    ○広田幸一君 何ですか、正しく。
  31. 本田正

    ○政府委員(本田正君) 確からしさでございます。  ですから、これは数字で端的にこれをあらわすというものではございませんで、この水俣病の判断の場合には蓋然性という言葉がどういう意味で使われているかといいますと、いろいろ患者さん方のそれぞれの症状、これは患者によってそれぞれ違います。いろんな症状の、症候と言った方がよろしいかと思いますが、の組み合わせがございます。それと、メチル水銀を経口的に多量に摂取したという暴露歴――疫学でございますが、そういったものとの関係において、この水俣病というものを判断しなくちゃいけないというわけなんです。で、その判断の根拠になるものがその「蓋然性」、「蓋然性が高い」と医学的に判断されたときに水俣病と認定される、こういう意味で蓋然性というのを使わせていただいております。
  32. 広田幸一

    ○広田幸一君 そこで、いま局長の答弁によると、いわゆる蓋然性というのは可能性ですわね、一般の可能性が高いと。要するに水俣病として認定をするということでしょう。認定をするという場合に蓋然性があるというのは確実にこれは水俣病だと判定ができる、大体そういう状態を「蓋然性が高い」と、こう言うわけでしょう。  それから、そこで四十六年の通知のときには「蓋然性」というのは載ってないわけですね。そこで大石長官でいろいろ問題があったわけですけれども、問題は、はっきりしておるものは問題がないわけですね。認定しがたい場合のそういうものをどうするかということなんです。  そうすると、私の解釈によりますと、いわゆる蓋然性というのはもうはっきりしておるわけです。そうでない、これは一般可能性の中に蓋然性というのと普通の可能性というのがあると思うんですね。可能性の私は高い方の確実性の方のことを蓋然性と言っておると思うんですね。四十六年のときは疑わしいというか、認定しがたい、そういうものが残っておるわけでしょう。ところが、今回の新しい通知についてはそういうことがない。「蓋然性が高い」ということですから、きちんとしたもうはっきりしたものでなければいけない、あとのものはだめだというふうに、これは四十六年と五十三年の通知を比較するときには、私は該当者であった場合はそういうふうにとりますよ。ですから、そこのところをもう少し説明してください。
  33. 本田正

    ○政府委員(本田正君) 蓋然性という言葉は、繰り返し申し上げますと、あることが実際に起こるかどうかということの、起こるか否かの確実さの度合いでございます。したがって、可能性ということとは違うわけでございます。可能性があるということと蓋然性が高いというのは違います。  そこで、四十六年の通知ではいま御指摘の「否定し得ない」という言葉が使われております。疫学的条件等勘案して「否定し得ない場合」は認定しなさいと、こうなっているわけです。それが「否定し得ない」という言葉をめぐりまして、いろいろこれが医学的な解釈、通俗的に言う解釈というのが世の中で議論されまして、あるいは疑わしきは認定と言うんだ、いやそうじゃないんだということがありまして、先ほど長官も申し上げましたように、その後、当時の公害保健課長通知というものを出しまして、「否定し得ない」という言葉は高度の医学と豊富な経験に基づきまして医学的に判断さるべきことだという解釈通知を出したわけです。  その後に御指摘の大石長官あるいは国会におきますところの政府委員のいろんな答弁がございまして、それは「否定し得ない」ということは、医学的に言えば、つまり端的に言えば「蓋然性が高い」ということなんだということをるるずっと説明してきた、そういう経緯があるわけで、非常にややこしいので、長官もさっき申し上げましたように、今回それらを再度明確化して一本化する、新しい次官通知によって明確化するのがその次官通知の目的だと、こういう経緯でございます。
  34. 広田幸一

    ○広田幸一君 医学上の言葉は私はわからないわけですけども、四十六年と五十三年の違いというものはあるのかないのか、もう一遍。
  35. 本田正

    ○政府委員(本田正君) 水俣病の範囲に関します基本的な考え方においては変わりはございません。
  36. 広田幸一

    ○広田幸一君 そういうふうに変わりがない、調整をしたけれども一番肝心なところには変わりがないということになれば、何もあえて私はそういうふうに患者の人たちが神経がぴりっとくるような、これ大変なことだ、これはもう患者の首切りだと、そういう深刻に受けとめるような、そういう印象を与えるような通知を出すから問題が起きるわけでしょう。どう思います。これは。  ですから、私は「蓋然性」という言葉は別にしましても、四十六年のときは要するにはっきりしておるものはこれは認定とする、認定しがたいという疑わしいものもあるわけですわ、いわゆる疑わしい。それも含めて対象にする。こういうふうに四十六年の通知は受け取るわけです。五十三年のは前段でもう「蓋然性が高い」と、こういうふうになっておるから四十六年のそれとは違うというふうに言っておるわけですから、あなたがおっしゃったように四十六年と今回のと違わないということになれば、四十六年でみんなが解釈しておったようなそういうふうな理解をしていいわけでしょう。
  37. 本田正

    ○政府委員(本田正君) 疑わしいということは医学的に疑わしいという意味であるということでございます。それは大石長官その他の御答弁でも繰り返し言われていることでございまして、そういう意味におきまして医学的に疑わしいということは「蓋然性が高い」ということに一致するわけでございます。
  38. 粕谷照美

    ○粕谷照美君 関連して。  よく私は説明を聞くたびに頭が混乱をしてくるんですけれども、四十六年のその「否定し得ない」という通達の内容をめぐって患者団体からもいろいろな意見があった、それに対して環境庁が説明をした、その説明はある程度皆さんは納得をしていらしたわけでしょう。四十六年の「否定し得ない」をめぐっていろいろと疑問が出てきた。国会の中でもそれについて疑問が出てきた。そうしてそれに対する答弁については大体皆さん内容としては納得をされたわけですね。その辺はどうですか。
  39. 本田正

    政府委員(本田正君) 「否定し得ない」という言葉をいろんな機会を通じて説明してきたわけでございます。あらかた御納得はいただいていると思います。  ただ、そのときどきのたとえば「否定し得ない」ということから疑わしきは救済とか、あるいは「否定し得ない」という言葉はその課長通知でも言っておりますが、「高度の学識と豊富な経験」によって判定する医学的なことなんだということを言い、その後に大石長官が「否定し得ない」という言葉は医学的には五〇%、六〇%、七〇%以上のものを言うんで、ただ可能性があるということだけじゃないんだと、そういうことをるる説明があったわけでございます。あらかたそういったことにつきましては御了解を得ていると思っております。
  40. 粕谷照美

    ○粕谷照美君 それで御了解をいただいているわけですから、新しい通知を出すということは本当に皆さんがよくわかるという形で言葉が選ばれるべきであろうと、こう国民は考える。それが蓋然性、確からしさ――私も生徒にいろんな言葉を教えますけれども、確からしさなんという言葉を教えた覚えはないわけですよ。どうやって説明したらいいか、自分自身に説明がつかぬのですけれども、蓋然性という言葉でごまかそうとされているんではないかと患者の人たちが思うというのは、それはいままでの歴史的な重みがそういうものを与えるのではないだろうか、こう考えるものですから、その辺についての環境庁の姿勢というものを長官おっしゃっていただきたいと思います。
  41. 山田久就

    国務大臣山田久就君) その点についてはいろいろ御批判を受けるような点もあろうかと思いまするけれども、われわれとしては医学上あるいは常識的に言われている点、そういうようなことを取りまぜて言った点が、いまそれじゃどこが違うんだというように相なったわけで、したがいまして、われわれとしては少しでも専門家あるいは巷間に言われている点を総合してみて、こういうような行き方でいけばわかったんじゃないかということで示したつもりであったわけでして、そういう姿勢であったわけでございます。
  42. 本田正

    政府委員(本田正君) 「蓋然性」という言葉を使わなくちゃいけない理由は、水俣病というものはその患者さん一人一人によって実は違うわけでございます。  四十六年の通知にも今回の通知にも示されておりますように、水俣病というのは「魚介類に蓄積された有機水銀を経口摂取することにより起る神経系疾患であって、次のような症状を呈する」、つまり「次のような症状」というところに「四肢末端の感覚障害に始まり、運動失調、平衡機能障害、求心性視野狭窄、歩行障害」云々ということが書いてございます。このいろんな症候が実はあるわけです。患者さんによりまして、これが一つで来るということはありませんけれども、二つ組み合わさったり、三つ組み合わさったり、四つ組み合わさったり、いろいろあるわけでございます。  たとえば手足がしびれるという患者さんがございます。そういう患者さんを一人想定しまして、手足がしびれるということと片やメチル水銀を多量に含んだ魚を食べたという、この暴露歴というものを見たときに、単に手足がしびれるというだけでは蓋然性が非常に低いわけです。あるかどうかということも言えないわけです。ただ、もう少し手足のしびれというのが、水俣病の特徴として先の方から始まってくるというのがしびれの特徴でございまして、しかも両側性だと。したがって片方にしびれがあって、全体に体幹に近いところからしびれてくるというのは、これは違うんじゃなかろうか、そういうこと。それからまた、そのしびれに今度は歩行障害が加わるということになりますと、疫学歴と伴いまして非常に蓋然性が高くなるんじゃなかろうか。そういう水俣病というのは症候の組み合わせでございます。  そういったことを判断するのはだれが一体判断するのかということで、去年の七月に出しました「後天性水俣病の判断条件について」というのが示されているわけでございます。そこにはそんな暴露歴といろんな症候の組み合わせ、それによって蓋然性を医学的に判断をするんだということでございます。したがって基準ではございません。水俣病につきましては残念ながら水俣病認定基準というものができないわけです。申し上げましたように一人一人によってそういう症候の組み合わせが違いますから、したがって判断条件ということになるわけでございます。  その判断条件の組み合わせを見ます場合に、高度の学識と豊富な経験を持った審査会の方々が判断するに当たりまして、その判断すること自体が蓋然性が高いものを判断する、そういう意味でございますのでここでは「蓋然性」という言葉を使わざるを得ないということでございます。
  43. 粕谷照美

    ○粕谷照美君 私はそれでもやっぱり「否定し得ない」と言っている方の言葉の方がはっきりしている。「蓋然性が高い」なんていうことは、やっぱり何かごまかすような感じがしてならないのですよ。これは意見ですけれどもね。
  44. 本田正

    政府委員(本田正君) 四十六年通知で「否定し得ない」という言葉が使われております。これはその一カ月余り後に出されました当時の公害保健課長通知と実は四十六年通知はペアで見ていただきたいと思います。  四十六年の九月に出しました公害保健課長通知でそのことを実は解釈しているわけです。「否定し得ない」というのは高度の学識と豊富な経験によって判断されるべきことであって、一般的な言葉で言う否定し得ない、可能性がある、そういうことじゃないんだ、医学的に判断さるべきこと、したがって医学的に言う「否定し得ない」ということと俗に言う「否定し得ない」ということは違うんだと。四十六年の事務次官通知課長通知をペアでひとつ御運解いただきたいと存じます。
  45. 粕谷照美

    ○粕谷照美君 そうしますと、医学的にという言葉が四十六年の通知のところに入っている。ここのところに、その蓋然性は医学的な蓋然性というものと一般的な蓋然性というものとのこのあれが入っているんですか。
  46. 本田正

    政府委員(本田正君) 四十六年当時は蓋然性という言葉を使っておりません。この蓋然性という言葉が出てまいりましたのは、国会の御審議のさなかに、それをめぐって現在行われておりますようないろんな議論の中で蓋然性という言葉が昭和五十年に出てきたと存じております。
  47. 坂倉藤吾

    ○坂倉藤吾君 私は後で私の時間をいただいておるわけですが、いまの問題に関連をして質問をしておきたいと思います。  四十六年八月の事務次官通知とそれから五十三年七月の事務次官通知は軌を一にするものであって同一だという、これが答弁ですね。  そこで伺いますが、まず四十六年八月の事務次官通知は、後天性水俣病について、判断条件についての通知の部分ですが、これは個別の症状がずっと並べられてますね。そしてそのうちの(イ)に書かれておるわけですが、その掲げられた症状の一つが証明をされれば、なおその疑いがあれば、これは水俣病として認定をしろ、それは間違いじゃないと。これが四十六年八月の事務次官通知ですね。しかもその後六年たった後で、五十二年七月、これがセットだと言う。最近の世の中で六年たって何がどう変化するんですか。セットだと、こんなばかな話がありますか。  同時に、仮にセットにいたしましたら、五十二年七月の判断条件の中で、ここでは明らかに実質的に症状は二つ以上組み合わせがないとこれは水俣病として認定ができない、こういう内容になっているんじゃないですか。初めは一つ、そして五十二年の七月にはそれが二つになっている。さらにことしの事務次官通知では、明らかに総合的に二つ以上さらにふくそうをして症状があらわれないと水俣病として判断ができないような、こういう内容になっているじゃないですか。読み上げましょうか。それが読み上げて相違があるものがなぜ同一の問題になるんですか。  さらにまたもう一つ具体例を申し上げますと、一番最初の四十六年八月の事務次官通知の中では「胎児性または先天性水俣病」ということで、これは(イ)の項じゃなくて(ロ)の項にありますね。ところがこれが新次官通知の中では明らかに「小児水俣病」として「(胎児水俣病を含む。)」と、こうなっている。さらにその前の五十二年七月の「条件」の中ではこれはもう明らかにランクが変わっているのですね、分類が。これらの変化は一体どう同一だといって説明するのですか。明確にしてください。
  48. 本田正

    政府委員(本田正君) 四十六年通知でいまお読み上げいただきました、御指摘がありましたこれは、第1の(1)の水俣病のいろんな症候を示されたことが一つだと存じます。水俣病というのはいろんな症候があるということは、これは今回の通知とこの第1の(1)の(イ)にかかわることについてはございません。たとえば用語が変わったものはもちろんございます。感覚障害を知覚障害というふうに変えた、そういったことはございます。  いま御指摘の、当時は一つでも水俣病の症候があれば、いま申し上げました症候群の中の症候があれば水俣病と認定したじゃないか、こういうことでございますけれども、それは(2)のところに「いずれかの症状がある場合において、」という言葉で表現されております。この「いずれかの症状」というのは一つという意味じゃないということでございます。症候の組み合わせだということでございます。それは四十六年九月の通知をもちましてこう書かせていただいております。要約して申し上げますと、一つというのじゃなしに症候というのはたくさんあり得るわけですから、それの一部という意味である、一つじゃない、つまり複数であるということ、そういう意味で四十六年九月の課長通知とペアでごらんいただきたいと思うわけでございます。
  49. 坂倉藤吾

    ○坂倉藤吾君 それはあなた口弁ですよ、明らかに。  いいですか。本来水俣病が幾つかの症状を持っていることははっきりしているんです。はっきりしているんだが、たとえそのうちの一つであっても、それが水俣病でないんだというふうに否定のできないものは、一つの症状であっても認めるというのがこの四十六年八月の次官通知じゃないですか。そのときにこれは複数でなければならぬというのはどこに入っているんですか、複数でなければならぬというのは。全部読み上げましょうか。あなた自身読んでくださいよ。どこに複数という字があるか。ずっと読んでください。
  50. 本田正

    政府委員(本田正君) 四十六年八月七日の事務次官通知の後に四十六年九月二十九日付の……
  51. 坂倉藤吾

    ○坂倉藤吾君 そんなこと聞いているんじゃない。通知を聞いているんだよ、通知を。
  52. 本田正

    政府委員(本田正君) 四十六年の通知で言う「いずれか」の……
  53. 坂倉藤吾

    ○坂倉藤吾君 通知を勝手に解釈したら困るじゃないか。
  54. 本田正

    政府委員(本田正君) 「いずれか」の解釈をしたのがその後の課長通知でございます。それには「一部」のという言葉が使われております。これは医学的に「一部」のという意味であるということでございます。そういう意味でペアでごらんいただきたいと存じます。
  55. 坂倉藤吾

    ○坂倉藤吾君 環境庁の仕組みというのはどうなっているんですか。課長より次官の方が低いんですか。次官通知を勝手に課長が変えられるんですか。説明してください。
  56. 本田正

    政府委員(本田正君) その「いずれか」という言葉の意味を解説したものでございます。「いずれか」というのは一つじゃないということを言っているわけでございます。
  57. 坂倉藤吾

    ○坂倉藤吾君 私の質問に答えてください。
  58. 本田正

    政府委員(本田正君) 事務次官通知課長通知とどっちが重いのか、当然これは事務次官通知の方が格が高うございます。しかしその中で言葉、用語の解説あるいは意味というものについてはこの課長通知で出したということにおいては、通知の重みから言えばおっしゃるとおり事務次官通知が上でございますけれども、用語の解説ということにつきましては課長通知でできると存じます。
  59. 坂倉藤吾

    ○坂倉藤吾君 長官にお尋ねをしますが、長官、この国会の場は法律をつくるところでありまして、そうして法律は幾つか審議をされてきているのですが、法律の用語の中には大変むずかしい言葉がある。その法律の用語の解説はこれはきわめて重要なことですね。そういう場合に範疇にあるのかないのかというのは大変な課題になると思うのです。  それを勝手に、決裁はあるとはいうものの、対外的に、しかも人の命に、健康にかかわるような問題について、わざわざ通知の中で細かく病名も挙げ、そして疑わしきはこれは救済をするのだという精神まで明確に規定をしておきながら、その裏の中で、たとえ一つの症候でも出てくればこれは水俣病と認定をせざるを得ない、そこに社会的な関係があったわけであります。ところがそれを複数でなければ水俣病と認定ができないという、そういう拡大したもし裏打ちの文書があるとするなら、これは大変なことだと思うのですが、私はそういう文書を存じておりません。そういうことが通常状態としてできるのかできないのか。これはひとつ明らかに長官としての説明をいただきたい。
  60. 山田久就

    国務大臣山田久就君) いま御指摘がございましたように、次官通牒はあくまでも次官通牒でございます。
  61. 坂倉藤吾

    ○坂倉藤吾君 大きい声で言ってくださいよ。
  62. 山田久就

    国務大臣山田久就君) 次官通牒というものがこれは申すまでもなく課長あたりの通知よりも優先ということはそれは当然だと思います。ですから、したがって繰り返し言っておりますように、次官通牒のほかに部長課長、まあいろいろなものが出ておっても、この点については今度の次官通牒も従来と変わりがないということを繰り返し申し上げているわけです。  この点については当時のいきさつをいろいろ説明しているのでございまするけれども、ただ解釈問題について、課長が上部の決裁を得ましてそういう解釈であるということを説明的に申し上げたというステータスというふうに御理解いただけないものかと、こう思うわけであります。
  63. 広田幸一

    ○広田幸一君 いや、私もわからぬですわ、実際。これじゃ実際困ると思うんです。「蓋然性」というものの解釈をよくわかるように改めてこれ通知を出すというようなことは考えられませんか。  さっきおしゃったように、四十六年と今度の通知とは、問題点については、一番問題になっておるところについては、表現はいろいろあるけれどももとになる基調――基調といいますか、それは変わっていないというふうにおっしゃっておるわけでしょう。そうでしょう。それならば出す必要もないと思いますね。ですから、もう少しこの点ははっきりしないといけない。そういう疑義を生むような点について新しく通達を、通知を出すというような用意ありませんか。
  64. 本田正

    政府委員(本田正君) 今回の通知で「蓋然性」ということを言っておりますその中身は、今回の通知の「後天性水俣病の判断について」というところに、先ほどこれ長官から申し上げましたように、去年の七月に出しました判断条件――「後天性水俣病の判断条件について」で示したところである、今後それにのっとってやりなさいということがこの2のところに書いてございます。その「のっとり」というところ、つまり判断条件でございますが、五十二年七月一日に出されたもの、ここの中に蓋然性という言葉は使われておりませんけれども、蓋然性の内容そのものを実はここに示しているつもりでございます。示されているわけであります。  つまり五十二年七月に出されました環境保健部長通知の判断条件の2のところにこういうことが書いてございます。これは略して申し上げますが、いろいろな症候の組み合わせがあるんだけれども、一つ一つをとれば単独には非特異疾患である、そこで「水俣病であることを判断するに当たっては、」、つまり蓋然性が高いか低いかということを知るに当たってはという意味でございます。「判断するに当っては、高度の学識と豊富な経験に基づき総合的に検討する必要があるが、」、その際、暴露歴を有するものにあっては、次に「掲げる症候」と書いてありますが、いろんな症候の組み合わせをあわせてみて、そして判断していただきたい、こういうことを書いてある。したがって、「蓋然性」ということは、まさにこの判断条件の2で言っておりますこういったことが蓋然性が高いんだということを例示しているわけでございまして、これで私どもはこれをよく理解していただくことによって「蓋然性」の説明は足りると思っております。  「蓋然性」とは何かということを出しますならば、先ほどもお答え申し上げましたように、端的に言えばものの確からしさでありますという通知しか出ないわけでございます。で、一つ一つの水俣病患者さんの症候、組み合わせが違う以上は、判断条件に示したような、例示いたしましたようなこういったものが高いんだ、そういったことを勘案して蓋然性が高いと医学的に判断してくださいと、こういうことを言っておるわけでございますから、「蓋然性」だけの通知を出すことは必要ないと存じております。
  65. 広田幸一

    ○広田幸一君 もとは大石長官の国会の委員会における答弁がどうももとになっておるようでありますから、さかのぼってその大石長官の当時の答弁を私は尋ねてみたいと思います。  これは大石長官のあの言っておる答弁と変わりはないんですか、変わりは。あれは四十六年の通達に基づいて大石長官が答弁しておるわけですからね。ですから今度、五十二年七月の通知との食い違いがあるわけでしょう。食い違いがあるというふうに言われておるわけですが、しかし大石長官の言っておったあの言葉と変わりはない、こういうふうに確認できますか。
  66. 本田正

    ○政府委員(本田正君) 大石長官の答弁と申しますのは、四十六年の事務次官通知の中で「否定し得ない」という言葉についての解釈だと存じます。で、「否定し得ない」ということが当時は一般的には疑わしきは救済と、こういう言葉に置きかえてまります。通知にはそんなことは書いてございませんが。その「否定し得ない」という言葉の解釈をめぐっての御答弁でございます。  御答弁を読み上げると長くなりますので要約申し上げますと、御答弁の要約は「否定し得ない」ということには俗に一般的に使う「否定し得ない」という言葉と、つまり疑わしいという言葉と、それから「否定し得ない」を疑わしいに置きかえて御答弁なさっておりますが、疑わしいというのは一般的に言う疑わしいと、それから医学的に言う疑わしいというのがあるんだと。この場合言っているのは医学的に疑わしいという意味であって、三%とか一〇%疑わしいというものは入らないんだ、少なくとも五〇%、六〇%、七〇%以上の疑わしさ、それがここで言う「否定し得ない」という言葉であるんだ、こういう解釈を御答弁なさっております。
  67. 広田幸一

    ○広田幸一君 四十六年の通知は「有機水銀の影響によるものであることを否定し得ない場合においては、」「その者の水俣病は、当該影響によるものであると認め、すみやかに認定を行うこと。」と、こういうふうになっておるわけですね。そこで「否定し得ない」という中身の解釈はいまあなたがおっしゃったように、長官が言っておるいわゆる五〇%、六〇%だと。大分高いわけですわね。そういうものを指すんだ、こういう意味ですか。
  68. 本田正

    ○政府委員(本田正君) そのおっしゃるとおりでございます。先ほど申し上げましたように「否定し得ない」という意味は、医学的にあえて言えば五〇、六〇、七〇%以上の疑わしさ、そういうものを言うのであるということでございます。これが今日使わせていただいている「蓋然性」という言葉と同じでございます。
  69. 広田幸一

    ○広田幸一君 これはいま衆議院の方に環境庁の方が示した見解の中の第三項にこういうことが書いてあるわけですね。「「水俣病について蓋然性が高い」とあるのは、昭和四十七年三月十日、当委員会で大石長官が答弁した「まず五〇%、六〇%、七〇%も大体こうであろうけれども、まだいわゆる定型的な症状が出ておらぬとかなんとかいうような、そういうものが疑わしいという医学用語になるわけでございます」と、こう言っておるわけでしょう。そうすると、先ほど言うた「五〇%、六〇%、七〇%」というのはそれでいいんですよ。それ以外の分をここに言ってあるんじゃないですか、これは。それ以外のもっと低いものであったとしても典型的な症状が出ておるとかおらぬとかというようなものがいわゆる医学用語として疑わしいということですからね。二つに分けて私は解釈できますよ、これは。「蓋然性」というのははっきりしているわけです。水俣病であるという、はっきりしておる。そこまでいかないまだもっと低い層があるわけでしょう、低い層というか、もっと低い可能性のものが。それも含まれるというふうに私は理解しますよ。  四十六年の通知は一般そういうふうに理解しておるんじゃないですか。だからさっきから局長がおっしゃるように、今度は蓋然性だ蓋然性だ、高いものでなければいけないと言うから、結局これは患者の首切りになるんだ、処分になるんだと、こういうふうに理解しておるんですよ。
  70. 上村一

    ○政府委員(上村一君) 本来環境保健部長からお答え申し上げるべき筋合いのものでございますが、私からお答えさしていただきます。  いまの御質問は、五〇%、六〇%、七〇%あたりまえなんで、それ以下のものがその「否定し得ない」のに入るというふうに大石長官は答弁されたのではないかという御趣旨の御質問だと了解するわけでございますが、大石長官の答弁を読んでまいりますと、そのちょっと前になるわけでございますが、お話の前の方でございますが、「疑わしきは救済せよということは、疑わしということは、これは御承知かと思いますが、医学的な用語と普通俗に世間で使うことばとは内容が違います。疑わしいというよりも、まず八〇%怪しいとか九〇%そうらしいとか、あるいは二、三%しか怪しくはないけれどもあいつは怪しいんだというように、ピンからキリまでございます。しかし、医学的には、そういうものは」例示に挙げれば「三%とか一〇%というものは疑わしいという範囲には入りません。まず五〇%、六〇%、七〇%も大体こうであろうけれども、まだいわゆる定型的な症状が出ておらぬとかなんとかいうような、そういうものが疑わしいという医学用語になるわけでございます。」ということでございますから、そのやはり五〇、六〇、七〇大体こうだろうけれども、まだ定型的な症状が出ておらないのも疑わしいというふうに入るというふうに御答弁になったものだと御理解いただきたいと思います。
  71. 広田幸一

    ○広田幸一君 そういうふうにぼくは理解しておるんですよ、四十六年の通知については。はっきりしておるものははっきり認定ができるわけですね。しかし、何とかかんとかって、こう書いてありますからね。そういうものもやっぱり疑わしい、こういうふうに言ってるわけですからね。そのものも含まれている、こういうふうに理解しているわけですよ。  ところが、同じことを繰り返しますけれども、新しい通知というのは「蓋然性が高い」と、それだけに限定をしてあるから、そこで四十六年と今回のと違う、こういうふうに理解されるんじゃないですか。
  72. 上村一

    ○政府委員(上村一君) 完全にはっきりしておるというものは否定し得ないとか否定し得るという話とは別でございますね。話題はその「否定し得ない」とは何だということになりまして、一〇〇%ではないけれども五〇、六〇、七〇というふうなところが「否定し得ない」範疇に入るんだ、そういうふうなお話であることはもう答弁の文字の上からでも私は明らかではなかろうかというふうに思うわけでございます。
  73. 粕谷照美

    ○粕谷照美君 関連して。  その「蓋然性」というのは確からしさ、すると「高い」というのは五〇%以上と、こういうことになりますね。まあ八〇、九〇になればこれはもう確実。そうじゃないんですか。これはもう疑う余地なし、水俣病だというのはこれは一〇〇%。八〇%はどっちに入るんですか。
  74. 本田正

    ○政府委員(本田正君) 「蓋然性が高い」という範疇に入ると思います。だれが見ても明らかに水俣病だというものはこれはもう蓋然性云々せずに認定できると存じます。
  75. 粕谷照美

    ○粕谷照美君 その疑わしさが五〇%、六〇%、七〇%、これが「蓋然性が高い」と、こうなるんですか。
  76. 本田正

    ○政府委員(本田正君) 端的に申し上げますと、おっしゃったとおりでございます。医学的に五〇、六〇、七〇以上の何といいますか、確からしさがあるという場合を「蓋然性」と言うんだと解していただきたいと思います。
  77. 粕谷照美

    ○粕谷照美君 以上じゃないですよ。これ明確に読んでください。「五〇%、六〇%、七〇%も大体こうであろうけれども、」と。以上でないでしょう。
  78. 本田正

    政府委員(本田正君) この五〇、六〇、七〇というのはそこを境目としての御発言だと思います。以上というんじゃなしに、五〇以上あるいは六〇以上あるいは七〇以上と、こういう意味でございます。
  79. 粕谷照美

    ○粕谷照美君 だからわからぬのですよ、そんなこと言うと。五〇%と七〇%以上というのは違いがあるじゃないですか、二〇%も、数字で言えば。
  80. 本田正

    政府委員(本田正君) 「否定し得ない」というのを医学的に言って三%とか一〇%という低いものを言うんじゃないだ、たとえば数字で言えばということでございます。たとえば数字で言えば、五〇あるいは六〇とか七〇、そういう高いものを言うんだと、こういうことをおっしゃっていると思います。
  81. 粕谷照美

    ○粕谷照美君 ちょっと違うな。何となしに怪しいんだな、これは。(「審議にならないんだよ。」と呼ぶ者あり)
  82. 田中寿美子

    ○委員長(田中寿美子君) 環境庁、はっきりわかるように説明してください。こうしようとしているということを。
  83. 上村一

    政府委員(上村一君) 私医師ではございませんけれども、医学的に判断をします場合に数字を使うというのは、ことに水俣病のような場合に本来的にむずかしいんだというふうに聞いておるわけでございます。たとえば内蔵の病気なんかを調べるときに、肝機能検査なんかをして数値が出て、その数値である程度判断をするというふうなことにはなかなかまいらないというふうに聞いておるわけでございますが、四十七年三月に国会でいろいろ御質疑がありましたときには、先ほどから申し上げておりますように「疑わしい」というのは何だ、大石長官自身あるいは事務次官通知自身が「疑わしい」という言葉を使っておりませんで「否定し得ない」という言葉でございましたけれども、そこでその「否定し得ない」とは何だというのが話になりまして、そこで「まず五〇%、六〇%、七〇%も大体こうであろうけれども、」と、つまり五〇%というものも一つ、六〇%――ですから私自身この御答弁読んで感じますのは、五〇、六〇、七〇というふうに数字を例に挙げられながら御説明になっているんで、五〇、六〇、七〇も大体そうであろうけれども残りがまだはっきりしないということでございますから、単純に数字で計算いたしますと、残りが五〇、四〇、三〇というのがまだはっきりしないということになるんじゃなかろうかというふうに思うわけでございます。  ただ、冒頭申し上げましたように、水俣病の症状について学問的には数字をもってあてはめて議論をするというのはなかなかむずかしかったので、便宜、当時大石長官が五〇、六〇、七〇というふうな数字をお使いになりながら御説明されたものであるというふうにいま解釈するわけでございます。
  84. 広田幸一

    ○広田幸一君 同じことになるけれども、いま局長がおっしゃったそういう数字、五〇、六〇、七〇、そういうものは大体認定できる、それ以下の部分がいわゆる否定しがたい、疑わしい、こういうことになるというふうにいまおっしゃったでしょう。
  85. 上村一

    政府委員(上村一君) そうじゃございませんで、いまお話しになったのが「否定し得ない」範疇に入るんだというふうに申し上げたわけでございます。  もう少し後の方まで答弁を続けますと「私の使っております水俣病の場合の疑わしいというのは、そのような医学的な根拠を土台としたわけでございますが、それが一般にはどうも誤解されまして、何でもかんでも片っ端から患者と見てしまえというようなうわさが流れたのは残念でございますが、私の判断はそのような判断でございます。」というふうにお話しになっておりますので、繰り返しになりますけれども、「否定し得ない」というのを仮に数字に置き直してみれば、五〇、六〇、七〇は大体そうであろうけれども、まだ残りについてもう少し定型的な症状が出ておるとは言えない、だから残った部分について疑わしいのでというふうなことになるんであろうというふうに考えるわけでございます。
  86. 広田幸一

    ○広田幸一君 この問題がはっきりしないと、ちょっと次に進めないんでね。
  87. 田中寿美子

    ○委員長(田中寿美子君) 環境庁、はっきりとそれじゃどういうふうにしようとしているということを説明してください、こういうことと離れてでもいいですから。
  88. 上村一

    政府委員(上村一君) そこで、環境庁としていろいろ議論があったことは確かでございます。先ほど来御指摘になっておりますように、文字の上から見ますと違う文字が使われておるわけでございますので、いろいろ疑義があったことは確かでございますので、先般衆議院の方での各委員の御質問について庁としての見解をまとめて御答弁申し上げたわけでございます。  それでは、この五十三年七月三日の通知というのは、「昭和四十七年三月十日、当委員会で、当時の大石環境庁長官が答弁をした「一人でも公害患者が見落されることのないように、全部が正しく救われるようにいたしたい」との精神にのっとっており、昭和四十六年八月七日次官通知昭和四十六年九月二十九日公害保健課長通知昭和五十二年七月一日の「後天性水俣病の判断条件について」の環境保健部長通知を変更するものでなく、水俣病の範囲については、当通知に、上記三通知は、完全に含まれるものであります。」と。その次の項目でございますが、当通知に「水俣病について蓋然性が高い」とあるのは、昭和四十七年三月十日、当委員会」――これは衆議院の公環特委員会でございますが、「当委員会で大石長官が答弁した「まず五〇%、六〇%、七〇%も大体こうであろうけれども、まだいわゆる定型的な症状が出ておらぬとかなんとかいうような、そういうものが疑わしいという医学用語になるわけでございます。」」と、「五〇%、六〇%、七〇%も大体こうであろうけれども、まだいわゆる定型的な症状が出ておらぬとかなんとかいうような、そういうものが疑わしいという医学用語になるわけでございます」とありますが、これは同じ内容のものであります。」というふうにお答え申し上げたわけでございます。
  89. 坂倉藤吾

    ○坂倉藤吾君 いま広田委員の方がこの次官通知につきまして具体的にただそうとしておることは、きょう提案をいただきましたこの法律を見ましたけれども、いずれにしてもこの次官通知がこれからの患者の認定の基準になるわけですから、したがってその基準があいまいで疑問なうちに促進法が出されたんでは、これはもう基礎がないうちに促進だけ進むわけでありますから、これは大変だという前提でこの新次官通知の内容を克明にただそうとしておるわけです。  それについて質問者も十分に納得がいかないようでありますし、私自身もお聞きをいたしておりましてさっぱりわからないんです。したがって、こういう状況の中では、質問をする方の側ももう一度いままでの経過を振り返って整理をしなければなりませんし、同時に、環境庁の皆さんも、先ほど私自身が質問をしましたような観点も含めまして、もう少し明確に答弁ができるように整理をしてもらいたい。  したがって、そういう意味合いで委員長に申し上げますが、暫時このまま休憩をひとつ提案をいたしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
  90. 田中寿美子

    ○委員長(田中寿美子君) ちょっと速記とめてください。   〔速記中止〕
  91. 田中寿美子

    ○委員長(田中寿美子君) それじゃ、速記を起こして。  それでは暫時休憩しまして、三十分後にまた再開したいと思います。    午前十一時五十三分休憩      ―――――・―――――    午後零時四十二分開会
  92. 田中寿美子

    ○委員長(田中寿美子君) ただいまから公害対策及び環境保全特別委員会を再開いたします。  午前に引き続き、水俣病の認定業務の促進に関する臨時措置法案を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。  ちょっと速記をとめてください。   〔速記中止〕
  93. 田中寿美子

    ○委員長(田中寿美子君) 速記を起こしてください。  それでは、午前中御要望のありました環境庁側の御説明を最初にお願いしたいと思います。上村企画調整局長
  94. 上村一

    政府委員(上村一君) ことし七月の環境庁事務次官通知におきます「蓋然性」云々と言われる観念につきまして、舌足らずな点がございましたので、この際、もう一度説明さしていただきます。  つまり私どもが考えておりますのはハンター・ラッセル症候群が認められるような明らかに水俣病であると判断されるものはこれは申すまでもございませんが、さらに専門家が見まして水俣病である確からしさが高いと言われるのがその「蓋然性」の趣旨でございます。四十六年の事務次官通知におきます「否定し得ない」というものと同じ範囲に入るものでございまして、したがいまして昭和四十六年の次官通知によりまして認定される患者というのは当然この新しい通知におきましても認定されることになるわけでございます。
  95. 田中寿美子

    ○委員長(田中寿美子君) それでは、広田君、続けてください。
  96. 広田幸一

    ○広田幸一君 私はいま休憩中にもいろいろ私なりに勉強したんですけれども、本来ならば四十六年の通知に「有機水銀の影響によるものであることを否定し得ない場合においては、」「その者の水俣病は、当該影響によるものであると認め、すみやかに認定を行うこと。」と、こういうふうにやればよりわかりやすいと思っておったんですけれども、いま環境庁の方から出された案でも大体意は通じますので了承いたしたいと思います。  問題の「蓋然性」の解釈はそういうことでありますが、次に、この新しい通達の中でもっと詰めてみたいと思いますことは、「処分にあたって留意すべき事項」、この中にこういうふうにうたってあるわけですね。「認定審査会の結論が得られない旨の意見が出され、かつ、今後も認定に資する新たな資料を得ることが見込めない場合には、」「申請者を法的に不安定な状態におき、行政庁に対する不服申立のみちをとざすがごときことのないよう所要の処分を行うこと。」、こうなっているわけですが、この文書からくる「所要の処分」とはどういうことを意味するのか、御答弁を願いたい。
  97. 本田正

    政府委員(本田正君) いま御指摘の点は、今回の事務次官通知の4のところにございます「処分にあたって留意すべき事項」の(2)のところを御指摘になっていると思います。この(2)の意味といいますものは、患者が認定申請を出しまして、そしてその審査を受けるまでに不幸にして死亡してしまった場合のことを言っております。そうやって認定審査会の審査を受けるに当たりまして、もうすでに死亡なさっている、こういうときには事前にいろいろ検診のデータとか、あるいは死亡後の解剖のデータとか、いろいろ見て、そして認定をしなさいと、こういう趣旨が前段に書いてあるわけでございます。  死亡なさった方々でも生前の資料というものをできるだけ集めて、そして暴露歴も参酌しながら認定しなさい、こういうことを前段で言っておりまして、しかしそうやったいろんな努力をやって資料を集めてみましても、どうしても新たな資料が見込めないという者が申請者で途中で不幸にして死亡なさった者の中にあるわけでございます。そういったことはそういうふうに判定が出てまいりましたときにはわからないわけでございます。それをいつまでも従来みたいに保留というような状態で放置しておりますと、認定もできなければ棄却もできない、こういう状態にあるわけでございますから、できるだけの努力をして資料をそれでも集めて、なおかつその資料が得られない、判断がつかないという場合においては、これは棄却処分にしなさい、こういうことを、棄却という言葉は書いてございませんが、棄却という意味でございます。
  98. 広田幸一

    ○広田幸一君 これはいま答弁がありましたように「所要の処分」というのは、これは死亡に限定してあるわけですか、いま局長がおっしゃった。
  99. 本田正

    政府委員(本田正君) 死亡に限定して結構だと存じます。
  100. 広田幸一

    ○広田幸一君 私は、資料がない者は切り捨てるんだ、そういうような指導をしながら、資料がなくなった者がさらに不服申請ができるだろうか、こういうふうな感じがするわけです。確かに文書としては、不服申請をする機会を失うから早く処理しなければならない、そのことが本人にとっては不幸なことなんだと、まことに文書としてはきれいに映るわけですけれども、本当にそういうような内容であろうかというふうに心配される面もあるんですけれども、その点についてはどうでございますか。
  101. 本田正

    政府委員(本田正君) これはこういう扱いが従来どうなるかといいますと、判断がつかないわけでございます。資料の申請の結果というものは認定か棄却であるわけでございまして、データのもとにいろんな検診をやったり死亡後の剖検例を見たりあるいは暴露歴をさらに洗い直してみたりして棄却か認定かに本来はなるべきであります。ところが、データがどうしてもないという場合には、これは宙ぶらりんの状態にいつまでも未来永劫になるわけでございます。  そういった場合は、これは五十一年十二月に熊本県が不作為違法判決を受けましたその趣旨にも述べられておりますように、いつまでも不安定な状態に置くということは――保留のままという意味でございますが、したがって不服審査の道を閉ざすことになるので棄却をする、こういうことでございますが、不服審査が出てまいりましたならば、別な角度からやはりデータを集める努力というものをやらなくちゃいけないと存じますが、そういう角度からの審査に当たるだろうと思います。
  102. 広田幸一

    ○広田幸一君 これは私はたしか八月でございますか、委員会でも質問をしたように記憶しておるわけですけれども、現在死亡に限定したわけですが、現在死亡者は旧法によるとたしか六十六名か六十七名で、なお今日この認定の審査が決着ついてないわけですね。  それはどういうところに原因があるのか。いろいろ勉強してみますと、三年も四年も申請をした、その間一回も審査がされなかった、検査がされなかった、こういうようなこともあるようです。人によっては。しかもそういうことですから、死んだ後、解剖するというようなこともいろいろ事情があって解剖されてない。こういうのは資料を集めようと思っても現実には全く集まらないではないかというようなことが心配されるんですけれども、そういうようなものがあってなおかつ今日六十六名の者が確認をされていない。こういう事情でございますか。なぜこういうふうに今日まだ死亡の審査が決着がついていないのかという点について御答弁願いたい。
  103. 本田正

    政府委員(本田正君) ただいま御指摘のとおり死亡者六十六名でございます。これにつきまして熊本県がいわゆる判断に迷うわけでございます。  そこで、不幸にして死亡なさるぐらいですと、家庭で黙って亡くなられるということはそうないと思います。医療機関にかかってあるいは往診を受けたり入院したりするようなことがあると思います。そういったそのときのカルテ等の資料があるかもしれません。そういったものを県においても努力いただいているんですけれども、たとえば水俣病の検診センターの職員とかあるいは熊本県の県の本庁の職員が現地に参りまして、そういうカルテとかいろんな資料をいま集めているさなかでございます。カルテはそういう方では見れませんが、いろいろ疫学的な事項を新たに調査しているということと、それからまた主治医等がおられるでありましょうから、そういった医療機関からのカルテ等の資料、そういったものもあわせていま熊本県においては資料を集めている、こういう現状だと聞き及んでおります。
  104. 広田幸一

    ○広田幸一君 いままであそこの審査会でやる検査が三つか四つかありますね。あれを経ないと一般の主治医なんかのカルテというものは審査の対象になっていなかったというふうに聞くんですけれども、いま局長はそういう主治医のカルテも将来は考えて資料として参考にしていく、こういうことですか。
  105. 本田正

    政府委員(本田正君) 申請に当たりましてはまず主治医の診断書がつくわけでございます。そしてそれには症状、経過等が書かれるわけでございます。そして出てきましたものを審査会において認定審査を行うわけでございます。  その間に、いま御指摘の熊本県におきましては熊本県検診センターというのが水俣にございます。そこで検診を受けまして、そして客観的なデータを、幾つかの検診とおっしゃいましたが、たとえば耳とか目とかあるいは神経内科的な検査をいたしまして、そのデータを添えて審査会に上がってくるわけでございます。そういう手順になっているわけでございます。  そこで審査会がそれだけで判断が困難なものが保留として審査会で保留される場合がたくさんございます。それはもう一度検査をし直してみたらどうだ、検査項目にこれを追加したらどうだ、あるいはもう少し患者の症状の経過を見たらどうであろうかというような判断で審査会の中で保留される。こういったことでありまして、新たな検査を一切しないとか、そういうことではございません。検査の追加はあり得るわけでございます。
  106. 広田幸一

    ○広田幸一君 心配されるようなことがありますので、いま言ったような万般の資料を集めて最終的な結論を出す、こういうふうにしてもらいたいと思うわけです。  次は、今回の問題でどうもいろいろ私なりに研究してみますと、今度の問題のこの通知といろんな意味で政治的な絡みがあるように思うわけです。その点で関係閣僚会議というようなものも開かれていろんなことが決められておりますが、まず今回の通知はどういうような動機でいつごろこういうものが考えられたかということをお尋ねをします。
  107. 上村一

    政府委員(上村一君) 御案内のように、五十一年十二月に熊本地裁で水俣病の認定について不作為が違法であるという確認訴訟がございまして、原告が勝訴されたわけでございます。それ以来水俣病の認定業務の促進につきまして関係閣僚会議等を開き、あるいは去年の七月には水俣病対策を推進するための通知というものを熊本県知事あてに出し、検診体制、審査体制の充実に努めてまいったわけでございますけれども、熊本県の方におかれまして、何と申しますか、熊本県だけで水俣病の認定の仕事をかぶるのは大変だというふうなこともございまして、ある時期にはこの認定業務を返上するような決議等がされたわけでございます。  そういうふうな背景を踏まえまして、ことしの春ごろ、三月のころから五月ごろにかけまして熊本県当局とそれから環境庁においてこの認定業務を促進するための対策を種々協議してまいったわけでございます。その協議する過程の中で、これまでの通知等を整理するための通知を出そうということになりまして出しましたのがこの七月の事務次官通知であるわけでございます。いろいろ話し合いを進めてまいっておりましたのは大体ことしの春ごろであるというふうに御理解いただきたいと思います。
  108. 広田幸一

    ○広田幸一君 時間が私どもの勘違いであと六分しかないようでありますから、次は同僚の坂倉委員ですからちょっと待っていただくとして、ちょっと時間が延長になるかもしれませんが、前段の質疑で私の方もちょっと混乱をしておりましたので。  結局こういう通知に対する問題の「蓋然性」の問題はさっきで一応決着がついたわけですけど、でもわれわれはやっぱりもっと底意というものがあるように思うわけですわ。  そういう意味で私は今度の通知というものと、いわゆる熊本県の県債の発行の問題にしても、それから自由民主党の皆さんが出しておられる今回のこういう案にしても関連があるようにどうしても思われて仕方がないわけです。ですから、いま局長がおっしゃったように、熊本県の方では未審査のものがたくさんある、国の方からも援助してもらいたい、そういうふうなものがあってこういうふうなことになったというような概要の説明であったわけですけれども、私はこの通知というものと、それからいわゆるチッソに対する援助、それから今度のこの特別立法、そういうものはどうしても関係があるように思われて仕方がないわけです。  長官どうですか。あなたも閣僚会議に出席をされておるわけですから、全くそういうチッソ等とは関係がない、あくまでも環境庁主体性においてこの被害者救済するという立場に立ってこういう通知を出しておる、こういうことなんですか。
  109. 山田久就

    国務大臣山田久就君) これは全く関係がございません。このことは改めて確認さしていただきたいと思います。
  110. 広田幸一

    ○広田幸一君 関係がないと言えばそういうことになるでしょうけれども、大体私が今回のそういったセットに当然なるだろうと、こういうふうに思いますことは、まず政府としてはこの不作為行為に対して何らかの処置をしなければならない、そういう責任というものが国としては問われておったと思うんですね。  そこで、この閣僚了解にも書いてありますように、チッソの会社が経営不振によって倒産をするかもしれない、そういうふうな事態に今日来ておるわけです。もしも倒産をしてしまうということになるとその責任を国がかぶらなければならない。そういうことになるといろいろ金融機関とかいろんなところに波及するところが多い。そういうことを非常に国としては心配をした、そういうふうにどうしても考えざるを得ない。  それから、問題の県債の償還ができなかった場合にはこれはどうなるか。結局国において所要の措置を講じなければならない。そのときには国は所要のことをやるというふうに書いてありますけれども、これにも限界がある。PPPの原則に照らしてみても、また国の予算会計の処理等から考えてみましても簡単にそうできるものではない。  そうなってくると、結局はどこにしわ寄せを持っていくかというと、早く患者の処理をしなければならない。そういう意味で私は今回の通知というものを出すようなことが仕組まれたんではないか、こういうふうに思わざるを得ないんですが、私のそういう想定というものは間違いでありますと、こういうふうに言えましょうか。
  111. 上村一

    政府委員(上村一君) 全く間違いでございます。
  112. 広田幸一

    ○広田幸一君 長官局長も全く間違いだというふうに言われるわけですけれども、流れから言うとそう来るわけですよ、それは。  結局いまも言ったんですけれども、いわゆる不作為行為で要するにその責任を問われておる、政府は何とかしなければならない、そういう責任を負わされておるわけですね。ですからそのためには水俣のチッソの会社、これが補償するわけですから、それに対して何らかの援助をしていかなければならない。もしもその場合にチッソの会社がつぶれるようなことになったならば、そのしわ寄せは国に来る。国に来るから、そこで国に来るにしてもそこには限界がある。こういうことで、結局回り回って最終的には早く審査をやって、そしてできるものならば早く処分をして金のかからぬようにしようと、こういうふうになってくるわけですから、どうしてもそういうふうに関連をして考えざるを得ませんよ、これは。素人が考えてもそういうふうに考えざるを得ないんです。
  113. 上村一

    政府委員(上村一君) 認定業務の促進の事務次官通知、それから御審議いただく臨時措置法、それから県債の発行は論理的には全然関係がないわけでございます。  ただ実態問題として申し上げますと、補償金の支払い等の額が相当かさんでまいりますし、チッソ自身は経営が相当苦しい。それが一つ。それから認定が促進されるに従いまして補償金の支払い額がふえてまいることは確かでございます。そういった補償金の支払いがチッソの大きな負担になって、仮にもしチッソがお金が支払えないということになりますと、一つは患者さんに一番被害がいくわけでございます。同時に、水俣市というのは御案内のようにチッソが基幹産業のような形の町でございます。したがいましてチッソに万一のことがあれば水俣という地域自身が疲弊をする心配がある。したがいまして、県債の発行というのは患者救済地域の振興を目的にしましたやむを得ない余り例のない措置でございますけれども、県が県債を発行してチッソを救援するということにしたわけでございまして、論理的にはつながりがございません。あくまでも患者救済地域の振興というのが県債発行のねらいでございます。  というのは、結局認定の促進がされるに従いまして補償金の支払いもふえてくるということと関連してまいる。その逆の関係ではございません。県債を発行するために認定をきつくするんだというふうなことは毛頭関係のない話であるというふうに御理解いただきたいと思うのでございます。
  114. 広田幸一

    ○広田幸一君 あなたは関係がないとおっしゃる。こういう法案が通れば一番喜ぶものはだれか。これはチッソの会社ですよ。それは先ほど私が十二日の熊本の地裁の検事の論告求刑を話したことによってもわかると思うんですけれども、それはいま環境庁の方がそういうものとして関連をしておるというふうには私は言わないと思いますけれども、県債を発行するといったって、こういうことはこれは自治法の精神からいっても、この場合には国は「所要の措置を講ずる」というふうに書いておりますけれども、そんなに無限にできるものじゃないんですよ、これは、実際問題として。ですからどこかで国は整理をしなきゃならぬ時期が来るわけですよ。  そうなってくると、これは早くこの被害者をできれば少なく処理していこうという考え方があってこういうふうな通知を出し、こういうふうな審査会をつくる。しかも一方においてはその「蓋然性」の問題ではありませんけれども、早く処分をしていこう、こういう考え方が、底意がある、そういうふうに言わなければなりません。  時間が来ましたから、長官局長もそういうことはないと言うんだが、私はそういうことが確かにある、こういうふうに思うんです。ただ問題は、私の心配するのは、ここで論争しても、これ以上やってもあれですけれども、結局患者被害者の諸君が素直にそういうふうに考えてくれればいいんですけれども、結局はこういうふうな案が通ると、被害者を早く処分をしていわゆるその患者の切り捨てという方向に行くんだという、そういう心配を持つだろうと私は思うんですよ。そういう点について、私はこれで質問を終わりますけれども、けさからずっと言っておりますように、二十年間にわたる行政の不正なやり方がそういうふうな被害者の皆さんに感じを与えておる、与えさしておる、その責任は国にある、こういうことを私は申し上げて、私の質問を終わりたいと思います。
  115. 粕谷照美

    ○粕谷照美君 ちょっとその前に関連。  一言なんですけれども、いまの広田委員の質問に対して死亡者だけだ、こういう御答弁があったと思います。私もちょっとおやっと思ったんですけれども、小平委員からいま議事録をいただきましてなるほどなと思っているんですが、小平委員がやっぱりそのときに死亡された方だけのケースを山本部長が答えているんですと、こうおっしゃりながら、それで環境庁次官通知には死亡された例だけを出しているんです。ところが長官の答弁は、これは広田委員にもそうだったんですが、それは生きている人にも通用するんだ、認定するかもしくは棄却か早く結論を出すために資料を早く努力しろということを通知しているんだと、こういう議事録があるんですね、議事録が。したがって、答えが食い違っておりますので、そこも明確にしていただくために長官の御答弁をいただきたい。
  116. 山田久就

    国務大臣山田久就君) 処分の点は死亡者のみでございます。私が一般論を申し上げた点があるいは誤解を招いたかと思いますが、その旨御了解をお願いいたしたいと思います。  なお、ただいまの広田委員のお話、われわれも今日までの水俣病の経過というようなものに深く思いをいたしまして、今後とも各方面に対しての誤解をぬぐうようにみずからを鞭撻いたしまして十分努力をいたしたいと思います。
  117. 福島譲二

    衆議院議員福島譲二君) いまの広田委員の御質問の中に、この臨時措置法をつくれば切り捨てにつながり、そしてそれは会社が喜ぶのではないかというような意味での御質問がありましたので、これは提案者として一言弁明をさしていただかなければならないかと思う次第であります。  この法案は、あくまでも不作為違法の状態というものを解消するために、そのために県だけではなかなか手が回りかねる、県としてもそういう面においてもっと応分の協力を国にぜひやってほしいということから出発した次第でありまして、これが切り捨てにつながるものというようなことは毛頭考えておらないということをひとつ御了解をいただきたいと思います。  また、会社が喜ぶというような御発言でありますけれども、そういう意味におきましてはむしろ認定を促進して、結果的には会社としては補償金の負担がふえるという意味では、むしろ会社の経営上大変大きな問題は生ずることがあっても、決して何か切り捨てる、そういう角度で会社が喜ばれる、そういう性格のものでは毛頭ないであろうと思う次第であります。
  118. 広田幸一

    ○広田幸一君 それならいいですよ。
  119. 坂倉藤吾

    ○坂倉藤吾君 私の質問時間が二十分に短縮をしてしまいました。  先ほど「蓋然性」の問題については一応の態度表明がありました。それはそれとして、新次官通達の問題につきましては、具体的にどう適応していくかという課題の中で幾つかの疑惑を晴らさなければならぬ、こういう事態があるわけでありまして、まだまだ全体として次官通達を納得をすることができません。そういう立場が一つありますし、いまわざわざおいでいただいております福島先生の方から患者との関係についての御説明をいただいたわけでありますが、私自身といたしましても、一つは最近の環境庁の姿勢そのものからいきましてきわめて問題が多いというふうに感じておるわけであります。  それは、たとえば早くから準備をされておりまして提案をするんだといって幾たびか約束をしておりました地盤沈下法の問題、あるいはアセスメント法の提出の問題、こうしたものがいまだに提出をされないでいる。同時に片や問題があって当委員会でも指摘をしてまいりましたいわゆる生活汚水と工場排水とを混合して処理をいたします流域下水道その他のかかわりについても、いま全国をながめてみますと幾つかトラブルが発生をしている、こういう事情にあります。さらにNO2の課題につきましては、私ども今日国会の力の関係からいきましても、国民の総意をおおむね二分をするだけの形になっております野党が、そろって新基準についてはこれはもとのままでいいんじゃないのかという立場で意見を申し上げておりましたのに、あえて強行をされるという立場というようなことで、環境庁の姿勢がきわめて後退をしておる段階の中で新次官通達が出されておるわけでありまして、したがって患者が大変不信感を抱くのは、具体的に自分たちの身の問題と同時にそうした環境行政全体の国民からの不信感というものが大きく積み重なって今日かたまりになってきている、こういう事態であろうというふうに私は思うのであります。これはきわめて深刻に与党の皆さん同時に環境庁長官並びに関係の方々が受けとめていただかなければならぬ、こういう課題であろうというふうに思います。  そういう状況であるがゆえに、私自身としてもきわめて気がかりになっておったんですが、本法案の提案に当たって新次官通達とのかかわりについて、衆議院の段階では関係がないんだということを明らかにされたようでありますが、本委員会の中でも今日の状況を見まして、新次官通達のいわゆる切り捨てだというふうな、私どももそういうふうな受けとめ方が幾つかあるわけでありますから、それらとは全然関係なくこの法案が提出をされたんだという、この辺の課題につきまして明確にひとつ先に御説明なりあるいは長官からも御答弁をいただきたい、こういうふうに思います。  先に福島先生お願いします。
  120. 福島譲二

    衆議院議員福島譲二君) 私どもの提出いたしましたこの臨時措置法案につきまして、衆議院で格別に議論になりましたのは、この新次官通達に関連があるという角度では余り議論がなかったかと思うのです。むしろチッソに対する金融支援策との関連においてこの臨時措置法が考えられたものではないかというような意味での議論はございました。  私どもといたしましては、御質問の新次官通達との関連で認定に関する臨時措置法案を考えたということは全然ございません。あくまでも不作為違法状態というものを解消するために少しでもお役に立てるという意味合いから考えたものでありまして、そういう意味合いで、新次官通達の有無にかかわらず、あるいはチッソに対する金融支援措置の有無にかかわらず、当然に必要なものとして提案をいたした次第であります。むしろ率直に言ってたまたま時期を一にして新次官通達というものが出されました。新次官通達そのものについて切り捨てにつながるものではないかという御疑念が、ひいては私ども提出した法案に混線して入ってきたということにむしろ多少迷惑を感じておるような次第であります。  臨時措置法は臨時措置法として当然に認定促進の角度から必要なものという意味で御審議をいただいている次第であります。
  121. 山田久就

    国務大臣山田久就君) 新次官通牒につきましていろいろ御懸念のような点はわれわれも大変残念に、遺憾に思っておる点でございまするけれども、主としてこれが切り捨てにつながるんじゃないかということがその焦点ではないかというふうに考えられまするが、この点については、繰り返し申し上げましたように全くそういうようなことを意図するものではないと補足の弁明もいたさしていただいたようなわけでございまして、ひとつこの点については何とぞ御了承をお願いいたしたいと思うわけでございます。
  122. 坂倉藤吾

    ○坂倉藤吾君 先ほども指摘をいたしましたように、私は単なる水俣病の取り扱いをめぐって、あるいは認定をめぐってということだけではなくて、不信感の原因はきわめて環境行政全般にかかわる問題がある、こういうふうに申し上げておるわけでありまして、少なくとも重ねて御答弁をいただこうとは思いませんが、私もたびたび当委員会の中でもその姿勢の問題をただしてきたわけでありまして、さらに一層私は期待にこたえていただくように願いたい。  これは義務があると思うんです。そのことをひとつさらに腹を固めて毅然たる態度で、よく長官胸を張ってお答えにはなっているんですが、具体的にやはり後退後退を続けておる現象面が幾つか出ているわけでありますから、ぜひ胸を張ってそれらの問題を前向きに、住民の立場に立ってひとつ解決をいただくようにお願いしたいと思います。  本旨に入りますが、水俣病をめぐります当面する問題点というのはおおよそ私は五つの点にあろうと思います。  まず第一は、水俣病の被害の全貌がいまだに解明をされていない、明らかにされていない、こういう状況にあろうというふうに思います。同時にこれは沿岸地域住民の健康調査すら今日行われていないという実態が何よりも私は政府のきわめて怠慢な姿勢だというふうに指摘をせざるを得ません。やはり全貌を明らかにしていくための幾つかの努力というものを具体的に実行してもらう、こういう姿勢が必要なんではないかというふうに思います。詳しくはまたあと時間見て御質問をいたします。  二つ目の問題は、新旧ありますけれども補償法による申請の認定問題、この認定問題の中では認定業務が著しく遅延をしておる、こういう傾向の中で結果として棄却あるいは未処分、いわゆる保留、こうしたものが数の上からいきましても増加の傾向にあるわけであります。そういう立場からやはり申請者の不信感というのを生じてきている、こういう一つの要因になっていると思います。これを明確にやはり説明できる一つの立場というのを、しかもだれが聞きましても具体的に一人一人が申請者でありますから、そういう立場で申請者でない方も含めてなるほどなと、こういうふうにわかるような説明ができなければ私は不親切だというふうに言わざるを得ません。  それから認定問題の第二の課題ですが、認定の範囲につきまして、たとえば水俣第二次訴訟等で証明をされておりますように、症状の程度あるいは原因あるいは因果関係、こうしたものをめぐって明らかに今日争点があるわけであります。本来人の健康を守り命を保障してそして平和な形をつくっていこうという場合に、国を治める方の側もあるいは治められる方の側もそういうことで争点があること自体が問題であります。それは具体的な話し合いをしながらやはり詰めていかなけりゃならぬというのが基本であろうと思いますね。それが一つの機関を通じてお互いの立場を強調しながら争わなきゃならぬというのはきわめて不幸な私は事態であろうというふうに思います。そういう意味を踏まえて私はいまの二点目の問題点があると思うのであります。  三点目の観点は、申請に至るまでの地域社会あるいは環境上、こうした立場で実質的に弊害を乗り越えていくという勇気がないと実は被害者の申請というのはできないという事情ですね。これはいわゆる後世に与える影響、こうしたものから見て、今日の手続に基づいて本人が病気水俣病であるという認定を求めていく申請に踏み切るだけでも社会的に大変な今日制約があるわけであります。勇気が必要であります。そういう立場の中で私はそれらの問題を十分に勘案をしていく、そうして解決をしていく、こういう積極的な問題というのが出されてこないと根本的な解決になっていかない、こういうふうに思うんであります。  さらに大きな課題の三つ目でありますけれども、当然健康が損われてそしていま大変な苦しい思いをされておる方々等については、これは先ほどの不作為の論議ではありませんけれども、具体的に治療を適確に行っていく、こういう体制は私はきちっととるべきであろうというふうに思います。残念ながら水俣病のむしろ解明の方に力点があり、あるいは申請をされたものをどういうふうに判定をするかというところに力点が置かれて、今日まで治療体制というのはきわめて弱い状況にあるわけであります。これは私は大変な問題だと思いますね。そういう意味合いで、この治療の問題についての私はきちっとした取り組みを求めていかなければならぬというふうに思います。  四つ目の問題は環境の復元問題であります。御承知のように、水中にたまったいわゆる毒がどうして取り除かれていくのかというこの課題に最後は挑戦をせざるを得ません。これは熊本県の方で幾つか検討され計画をされておるわけであります。しかし現実には着手をいたしますとむしろ攪拌をされて被害が広範囲に広がって大変なことになるからという、この問題があるわけであります。この環境の復元問題等も含めて私は早急に原因を取り除くということについて、今日の科学の進歩でありますから、科学の粋を集めながら住民が納得をし、そして処理ができるような道筋というものを早く明らかにしていかなければならぬというふうに思います。  五つ目の問題は、これは漁業の問題なんかでも現実に影響があらわれましたように、そこに問題がありということになりますと、そこでとれた魚はもちろんの話いかないわけでありまして、地域全体が今日この水俣病のために大変な迷惑をこうむっておるわけでありますから、この地域に対するところの将来に向かっての振興対策というものがこれが国のあるいはその地域に住む方々の総意を十分集めて行われていかなければならぬ。  おおむねいま申し上げましたように五つの問題点が水俣病に関しては存在をするんじゃないかと、こういうふうに考えるわけですが、それらに対する基本的な環境庁としての考え方、これをひとつ明らかにしてもらいたい、こういうふうに思います。
  123. 山田久就

    国務大臣山田久就君) ただいま坂倉委員から御指摘いただきました点、私はいずれもこの問題を広い立場で、また長い目で取っ組んでいく非常に重要な問題点の御指摘であったと思います。われわれもそういう観点でこれに取り組んでいく必要があるという点の基本的認識においては及ばずながらその考えを等しくするように考えております。  その中で、ただ専門的な知識の医者の時間と能力を使わなければできないという問題と、それと認定というものに精力を使っていただいて少しでもそれを促進していくという面の物理的競合の問題をどうするかという点は、これが非常に大事な、しかし実際的な取り組まなければならない点であろうかと思いまするけれども、いま基本的な点については、ただいま申し上げたような私は同感の立場で考えてまいりたいというふうに思っておることを申し上げたいと思います。
  124. 坂倉藤吾

    ○坂倉藤吾君 たとえば全貌を明らかにする問題等からいきますと、不知火湾沿岸あるいはその島嶼の中でネコが狂い死にをしている、そういうことが確認をされた地点が幾つかございますね。かなりまた魚が浮上いたしまして岸に流れついたり、川に浮かんだりという、こういう地域もずっと広範囲にわたっていますね。そういう状況からして、人の健康に大きく影響する地域というのは、これは確認をほとんどされているはずであります。しかしその広範囲にわたっておる地域あるいは島の中で今日申請のされております地域を区分をしていきますと、おおむねまだ三分の一程度ですね。しかも町によって大変大きな格差があります。こういう状況からながめていきますと、今日の申請件数は氷山の一角であって、まだまだ隠れた部分というのが先ほど言いましたような要素も含めて大きく存在しているということは、これはもうだれの目から見ても明らかなんです。  そういう状況の中で、今日たとえば認定の業務の状況をながめていきますと、たとえば熊本県で一カ月に検診が百五十人、審査が百二十人、こういう状況なわけですね。これが一体将来どういう形になるんでしょうか。もうこれが限界だと県の方では言っているわけでしょう。そういう状況になりますと、それは幾ら促進法ができまして旧法の関係を早めたと言いましても、私はこれ大変な課題、これ一つとりましても問題があると思う。したがって私はまだまだずっとあるわけですが、少なくとも地域住民の健康のいわゆる診断、健康調査、こうしたことは早急に行うべきであろうと思いますし、同時に認定機能、具体的なものを法律でつくればよろしいという形ではなくて、具体的に認定機能をどうふやしていくのかということが提起をされてこなければならぬと思うんですが、その辺のお考え方をひとつ明らかにしてください。
  125. 本田正

    ○政府委員(本田正君) ただいまるる御指摘ございましたように、まず認定申請につきましては、いつでもどこでもという体制には一応なっておりますけれども、いろんな水俣病をめぐります社会的な要件等々によりまして、まだ申請も出しづらいというような方々がおられるかもしれないということは承知いたしております。そういった方々に対しましては、ひとつ申請の方法なり道なりをできるだけの機会を通じましてPRをしていく必要があろうということを痛感いたしております。  それから認定機能の問題でございます。これもいま御指摘がございましたように、熊本県におきましては現在百五十人毎月検診をいたしまして百二十人審査を行うという体制にあるわけでございます。この体制は私どもも熊本県とおいおい相談いたしておりますけれども、できるだけ早い時期にこの体制をもう少しふやせないかという方向で検討いたしております。検診を行いますためには何といいましても検診に従事してくれる医師の確保というのがきわめて重要であると存じます。そのために従来も県は県の立場で、また私どもは私どもの立場で、たとえば国の立場におきましては国立病院等に常駐医の派遣をお願いするという方式で努力はいたしておりますものの、なかなかパート以外には常駐医が確保できないという苦しい現状にあるのも事実でございます。しかしこれはやはり積極的にもっともっといろんな条件等も勘案しながらお願いをしていかなくちゃいけないと思います。  ともあれ検診体制を充実していくこと、また数をふやしていくということが当面重要な課題の一つであろう、ひいてはそれによりましてまた認定業務も進むわけでございますから、そういうことを第一の重要な観点にして鋭意取り組んでいきたいと存じております。
  126. 坂倉藤吾

    ○坂倉藤吾君 まだ具体的に私は幾つかの課題を先ほど言いました五つの問題に分かれて持っているわけでありますが、残念ながら持ち時間がございませんから、これはまた当委員会の公式発表でなくても幾つか詰めていきたいというふうに考えています。それについてはひとつ協力をいただきたいことと、それからまた再びこれはそれらの状況も判断をしながら明確な御答弁をいただこうと、こういうふうに思いますので、協力いただけますか。それだけ回答を得て終わりたいと思います。
  127. 山田久就

    ○国務大臣(山田久就君) われわれともに非常に心を使っている点、同じ目的でございます。できるだけ目的のためには協力できる点はひとつ協力さしていただきたい、こういうことを申し上げておきたいと思います。
  128. 小平芳平

    ○小平芳平君 先ほどの広田委員に対する御答弁に対し、粕谷委員からの関連質問に対して答弁がありました。   〔委員長退席、理事坂倉藤吾君着席〕 それは五十三年七月三日の次官通知の中の四項「処分にあたって留意すべき事項」、その(1)と(2)の両方に私は問題を持っているわけでありますが、先ほど答弁のあった(2)の方をまず申し上げますと、去る七月六日のこの公環特の委員会においては当時の山本部長からも環境庁長官からも繰り返し繰り返し説明のあったことは、死亡者の例を掲げておりますけれども、この中には生存者も含むのですということを繰り返し繰り返し答弁しているんです。  私としてはそれはまことに奇怪なことではないか、文章の上では死亡された方だけのことを述べている、その通知を次官の通知として渡しておきながら、実は死亡者の例は例として挙げてあるだけであって、生存者を含んでいるんだということを繰り返し答弁している。そのことは先ほどの広田委員にも答弁しておられますし、民社党の柳澤委員にも同じことを答弁しているんです。そういうふうに繰り返して会議録でいって四ページにもわたる個所にそういうことを繰り返しておきながら、先ほどの粕谷委員の質問に対しては、いとも簡単に死亡者だけです。生存者は含みませんと、こういうふうに言っているのです。  したがいまして、これほど問題にされている次官通知というものがそんなに簡単に含みますと言ったり、含んでおりませんと言ったり、そんなふうに簡単にくるくる変わるのであるならば、何の信頼もなくなるのが当然じゃないですか。  したがって私がお尋ねしたいのは、どういう手続を経てそういうふうに会議録四ページにもわたって訂正するようなことをお決めになったか、その手続を伺いたい。
  129. 本田正

    ○政府委員(本田正君) これ新しい次官通知の4の(2)に当たるところの御指摘でございまして、これは変えたということではございませんで、現時点においては死亡者が対象になっておりますということ、それからそれと同等の事例があるかもしれないということを想定して「等」を入れているんだという答弁を前部長がいたしていると思います。  先生御指摘の生存者ということは、これはほとんどが保留の事例に当たると思います。保留の事例というのは熊本県におきましても千六百余あるわけでございます。それらをここで言っているんじゃないということを前回の委員会で御答弁しているというふうに私は解しておりまして、保留全部を対象にして、すべてをこの項に当たって切っていくんだ、そういうことじゃないということをこの前の委員会で御答弁を申し上げている、こういうふうに解しております。
  130. 小平芳平

    ○小平芳平君 当時の山本部長も、それから山田長官もそういうふうに答弁してないんです。この答弁したのを読みますと、死亡者だけではない、生存者も含むんだということを繰り返して答弁しているんですが、どういうことですか。
  131. 本田正

    ○政府委員(本田正君) 説明が当時足りなかった点だと私は現在思いますけれども、生存者も含み得るという、まあ生存者とは言っておりませんけれども、この事例に相当するようなきわめてレアケースを含み得るんだと、そういう意味で「等」を入れているんであって、たくさんおられます生存者につきましては(2)の方の前段で明らかなように、いろんな検診なりデータを集める機会があるわけでございます。したがいまして、直ちにこの(2)の最終のところに書かせていただいているような事例にはなり得ないわけでございます。  したがって生存者を含むのか含まぬのかと言われますと、いまそういう事例はないけれども、あるいはそういう死亡者に相当するような事例があるかもしれない、こういう意味だというふうに私は解しております。
  132. 小平芳平

    ○小平芳平君 繰り返し、それでは生存者も該当しますということは間違いだったということですね。そういう生存者も含んではいない。  ごくわかりやすく言ってください。じゃ、この死亡者のほかに含まれる方はどういう方ですか。
  133. 本田正

    ○政府委員(本田正君) 現在そういう事例はないけれども、これに当たる生存者であってあり得るかもしれないということだけでございます。したがって死亡者とお考えいただいて結構でございます。  なぜならば、生存者につきましては(2)のところの前段にるる書かせていただいておりますように、いろいろな検診なりあるいはデータをという機会があるわけでございますから、一番最後の段のところに至るまでにまだまだそういうチャンスがあるわけでありますから、(2)の最後に書かせていただいております「所要の処分を行うこと。」、ここにたどりつくものは死亡者とお考えいただいて結構でございます。
  134. 小平芳平

    ○小平芳平君 したがいまして、いまは生存者でこの4の(2)に該当する人はおりません、将来4の(2)に該当する生存者があり得るかもしれないというお話でしょう。どういう場合かということを要領よく説明をしてください。
  135. 本田正

    ○政府委員(本田正君) そういう事例というのはなかなか現に想定できないわけでございますけれども、どうしてもデータが得られないという事例があるかもしれないということでございます。その後に新しいデータが得ることができないという事例があるかもしれないということでございまして、具体的にどういう事例かとおっしゃっていただきましても、ちょっと想定できません。そういうことがあり得るかもしれない。先生おっしゃるあるいは御指摘の意味が、たくさんいま審査会保留としてたまっております熊本県で言う千六百数十名、こういう方々をもろに対象にしたものではないということははっきり言えると存じます。
  136. 小平芳平

    ○小平芳平君 現在の保留者の中にはそういう人に該当する例は見当たらないということでありますし、このような例が将来起こり得ることが考えにくいといまおっしゃるけれども、そんな例が起きるわけがないでしょう。いま生きていらっしゃる方でその後の資料が全く入手できないというのは起きるわけないでしょう。そうすれば、この(2)項はまさしく死亡された方だけなんでしょう。
  137. 本田正

    ○政府委員(本田正君) そのように解していただいて結構でございます。裏から申し上げますならば、生存者をこの項にあえてひっかけまして、そして審査を進めていく、認定を進めていくというようなことは一切考えておりません。
  138. 小平芳平

    ○小平芳平君 山田長官、そういうわけで長官ずいぶんこれよけいな答弁しているんですよ、前回は。
  139. 山田久就

    ○国務大臣(山田久就君) いま部長が説明したとおりでございまして、いろいろ誤解を与えるような答弁あったとするならば、それは間違いであったと思います。
  140. 小平芳平

    ○小平芳平君 誤解じゃなくて間違った答弁しているんですよ。ですから、何か方針変化があったかと思うじゃないですか。表面には死亡者と書いてあってこの裏には生存者も含んでいるんだということを繰り返して答弁しているんだから。  それからもう一点は、4の(1)の方、速やかにその「認定を行う」という、速やかにその「認定を行う」という意味には棄却も含んでいるんだ、速やかに棄却も行えという意味だ、こういうふうに答弁しているんですが、この点はどうですか。
  141. 本田正

    ○政府委員(本田正君) 従来審査会にかかりますその結果とすれば、認定か棄却であるわけです。水俣病と判断されるのは認定であります。そうでないと判断されるのは棄却、これはそういう結末であるのは当然だと思います。  そこで、そういうものは認定せよということは、でないものは棄却せよということになると思います。ただ、実際上保留というのがもう少しデータが欲しいとか、あるいは経過を見たいという保留があって、幾つかの意味での保留というのはございますけれども、それがあるのも事実でございますけれども、水俣病と認定できないものは棄却ということをこれでもあらわしていると思います。
  142. 小平芳平

    ○小平芳平君 したがいまして、午前中の「蓋然性」のことといい、今回の速やかな処分を行うべきであるという趣旨といい、全く通知を出す意味がなかったですね。何もこの通知に新しく盛り込まれている問題点というのは何一つないわけですね。そうでしょう。
  143. 本田正

    ○政府委員(本田正君) 今回の事務次官通知は、先ほども長官等からお答え申し上げましたように、従来の四十六年に事務次官通知が出ました後にいろいろな機会に解釈を、水俣病の範囲をめぐりまして疑問があったものにお答えしているいろんな経緯があるわけでございます。そういったものを集約し、かつ明確化するという意味におきまして、今回事務次官通知が必要であった理由のそれが一つであろうと存じます。
  144. 小平芳平

    ○小平芳平君 それじゃ、いま申し上げたようなこの4の(1)にしましても「水俣病の範囲に含まれると判断される場合には、速やかにその者について水俣病である旨の認定を行うものであること。」、逆の場合は速やかに棄却を行うべきものであることと、こういう趣旨だと説明されるわけでしょう。そういうことがいままで行われていなかったんですか。
  145. 本田正

    ○政府委員(本田正君) 四十六年の通知もそうでございますけれども、認定に当てはまるという要件を書いているわけでございます。ですからその(1)の項をいま御指摘でございますけれども、認定をする、これの結果は認定か棄却でございます。最終的な結果は。そういう意味でございますので、従来とこの点も変わらないと存じております。
  146. 坂倉藤吾

    ○理事(坂倉藤吾君) わかるように答弁してくださいよ。
  147. 上村一

    ○政府委員(上村一君) 私からお答えいたしますが、水俣病の範囲に含まれるものについて認定し、そうでないものについて棄却をするということは、四十六年以来変わりのない、まあ認定する場合の当然の措置であるわけでございます。   〔理事坂倉藤吾君退席、委員長着席〕  それで、四十六年の通知を出したにもかかわらず、この七月の通知でまたそれに触れたのはどういうことかというのが御指摘ではないかというふうに思うわけでございますが、この4の(1)の部分というのは、四十六年の場合には、何と申しますか、前の救済法の時代の通知でございます。それで、こういうことを申しますのもいかがかと思うんでございますが、その四十六年の旧法時代に次官通達を出しまして、それからその後現在の補償法ができた、新法ができたわけでございますが、新法が施行されましたときにこの関係の通知について何も触れないで従前のまま流してしまった。まあ流してしまったというのは妙な言い方でございますけれども。そこで今回の通知というのは、新法の運用とのつながりというのをはっきりさせておいたということであるわけでございます。したがいまして、実体的には新法旧法の違いはございますけれども変わりはないと、ただ書かざるを得なかったということになるわけでございます。
  148. 小平芳平

    ○小平芳平君 上村さんはその後局長になられたから、それでそういうふうな説明をされるけれども、とにかく4の(1)は全く意味のないことが書かれているということ、それは新しい法律ができたんだから改めて次官通知も全く同じことを出し直す必要があるんだ、それが役所の通例だとおっしゃるならそれも一つの説明になりますけれどもね。そんなに法律ができるたびに次官通知から局長通知から全部出し直しているとも思えません。したがって4の(1)は全く要らないことを通知したために混乱を起こした。  それから4の(2)は、初めから死亡された方だけを対象にして早く結論出そうという趣旨じゃなかったんでしょうが、初めのねらいは。初めはどういうねらいだったんですか。
  149. 本田正

    ○政府委員(本田正君) これは先ほどから申し上げておりますように、非常に判断が現時点困難な者につきましてどういう状態でこれが残っていくかと言いますと、いつまでも保留という状態で残っていくわけでございます。認定もできない、棄却もできないという事態がずっと続くわけでございます。しかもその中で、資料が得られる者については将来はその資料に基づいて判断することができますけれども、不幸にして死亡なさったような方々については、判断材料がその後の努力をしてもないというような場合も、これを書きませんと、示しませんと、いつまでもいつまでもこの保留という状態で残るわけでございます。そういったものは五十一年十二月に熊本県が不作為の違法判決を受けました中にも、そういう状態でいつまでも保留しておくのはいけないことだという趣旨もございます。そういったことでこの項を設けたわけでございます。
  150. 小平芳平

    ○小平芳平君 死亡者の場合はよくわかります。それは。で、死亡者の場合、いま説明されたようなケースはそのままにしておいていいと言っているんではありません。  ただ当時、七月三日のこの通知が出た当時、各新聞一斉に出たでしょう。その段階で恐らく環境庁はこの切り捨てがねらいじゃないか、まあこの切り捨てがねらいだということには、死亡者はこれこれしかじかの場合はということがこの4の(2)に書かれておりますが、そのねらいは保留中の方をそういうふうにしようというねらいがあったんだというふうなこともあったわけです。解説的に。ですからそういう患者切り捨ては相ならぬという、そういう意見に対して環境庁の方は、いや死亡例だけですと言って通知が出た。しかし委員会では、いや生存者も含むんですと答弁する。そこに混乱が起きたわけですよ。  ですから、全く従来どおり患者切り捨てもやりませんし、そして強いて処分を急がせるために患者を切り捨てていくというようなことは全く考えてないと言うなら、わざわざこういう4の(1)、4の(2)は必要のないことでしょう。
  151. 本田正

    ○政府委員(本田正君) たくさんいる保留者を対象にしたこの項目じゃないということは断言できます。ただ保留者の中に、繰り返し申し上げますけれども、いつまでもいつまでもその保留の状態にあり得る者があるわけでございます。そういったものをここで対象にしているわけでございます。決して先生御疑念いただいておりますような、生存者をすべてを対象にいたしまして、それをどんどん認定か棄却でさばいていこう、そういう趣旨でないことだけは言明申し上げることができると存じます。
  152. 小平芳平

    ○小平芳平君 いま私が疑念を抱いているようなことはないと部長は言っているわけですが、山田長官は前の委員会のときは、私の抱いている疑念そのとおりだというふうに繰り返して答弁していたわけですよ。ですから、そういうことはないということをはっきりしておいてください。
  153. 山田久就

    国務大臣山田久就君) その答弁がどういうふうになっておったかと思いまするけれども……
  154. 小平芳平

    ○小平芳平君 それはだめですよ、そんなことだめですよ。じゃ、ちゃんと調べてからやってください。
  155. 山田久就

    国務大臣山田久就君) ここに……
  156. 小平芳平

    ○小平芳平君 そんなことだめですよ、そんな。どうやったか、どう言ったか覚えないなんてことで。
  157. 山田久就

    国務大臣山田久就君) いや、私の申し上げようということは、ここに書いてございますように、この死亡者の事例ですね。これを中心としておるというその考え方には私もその立場に立っておりました。そのほかの点についていま御指摘がございました。そこで、それの答弁のあれにかかわらず、これがもうほとんど中心だと、先ほど部長から答弁がございましたそういうラインで申し上げたつもりでございます。今後においてもそのような点に立って処理してまいりたいというのがわれわれの考えでございます。
  158. 小平芳平

    ○小平芳平君 田中委員長のこの委員会で、しかもそんなに前のことじゃない。七月六日の委員会であれだけ山田長官は答弁しておきながら、どういうことを言ったか、言っているか知らないがというようなことで、とてもこの水俣病の認定審査の問題はけりがつく問題じゃない。もっと重大なんだということを注意していただきたいことと、それから前回何を言ったか覚えてないんだったらちゃんと調べて答えてください。
  159. 山田久就

    国務大臣山田久就君) 私が申し上げたのは、この前の答弁にかかわらず私の申し上げるのは、この死亡者というものを中心にしての考えであったという点については、いまも当時も間違いなくそういうつもりで申し上げたつもりであったということを申し上げておったわけでございます。
  160. 田中寿美子

    ○委員長(田中寿美子君) 山田長官は小平委員の御発言を十分心していただきたいと思います。議事録を見てください。
  161. 小平芳平

    ○小平芳平君 死亡者を中心なんて言ってませんから、よく調べてください。
  162. 田中寿美子

    ○委員長(田中寿美子君) じゃ、後からでもすぐに見ていただきまして、質問の方は続けて。
  163. 小平芳平

    ○小平芳平君 調べてください。
  164. 本田正

    政府委員(本田正君) 私は七月の答弁、この議論を読ませていただいておりますが、そういう趣旨ではないと私は思っております。先生御心配のように保留者全体をこの対象に取り上げて、そして決定を急ぐというような趣旨ではない、生存者が――生存者という言葉はございませんけれども、あり得るかもしれぬけれども、それにきわめて類似したような例があるかもしれない、そういうことを想定しているだけであるということを山本部長も答弁しているというふうに読ませていただきました。
  165. 田中寿美子

    ○委員長(田中寿美子君) おわかりになったでしょうか。
  166. 上村一

    政府委員(上村一君) よろしゅうございますか。
  167. 田中寿美子

    ○委員長(田中寿美子君) 長官御自身でしょう、小平委員の要求していらっしゃいますのは。先お答えになりますか。
  168. 上村一

    政府委員(上村一君) いま七月六日の本委員会におきます御質問に対して長官からお答え申し上げた速記を読んでおるわけでございますが、事務次官通知の四項について「処分にあたって留意すべき事項」というのが書いてある、それについての大臣の答弁では、認定するとか認定しないというほかに保留というものが非常に多い、「この保留について一体どうするかという問題」云々とございまして、ここで言う「保留」というのは四項に関する保留であるというふうに私ども理解し、大臣もその趣旨に従って答弁されたものであるというふうに解釈しておるわけでございますが、いま速記に当たりまして、私ども、いま御指摘になりましたようにごく最近の話でございますから、記憶からなくなっておる項目じゃございませんけれども、そういうふうに四項についての答弁であるというふうにお考えいただきたいと思うんでございます。
  169. 小平芳平

    ○小平芳平君 山田長官、ちゃんと答弁してください。  それは二十六ページです。会議録の。二十六ページの下から二段目の真ん中辺に「申請があったと、この申請のあった方につきましては、認定か、棄却か、保留か」、こういうふうに私が質問したのに対して、長官の答弁は、いつまでも保留にしておくと「本来の自分の権利をそのまま眠らされる以外に方法のないような地位に放てきしておかないように」と言ってるる説明していることは、死亡者について説明しているんじゃないでしょう。
  170. 山田久就

    国務大臣山田久就君) ずっとその前から、ちょうどお尋ねのあれが四項についての話でやりとりが行われておりますので、われわれも四項の(2)についてのお話というつもりで答弁申し上げていたというのが私の真意でございましたわけで、その点はひとつ御了解いただきたいと思うんですが。
  171. 小平芳平

    ○小平芳平君 委員長、やっぱりわかりませんから、もう少しはっきりさせていただきたいんです。  四項の(2)について答弁しているに決まっているんですよ、そのことを質問しているんですから。そのことに対して、死亡の例は言わなくて生存者、要するに保留の人が大ぜいいらっしゃる、大ぜい保留しておくことは権利を失わせる結果になるから早くけりつけなくちゃいけないんだということを強調しておりますので。
  172. 田中寿美子

    ○委員長(田中寿美子君) 長官、小平委員の御趣旨わかりますね。
  173. 山田久就

    国務大臣山田久就君) これは保留になって死亡しておる方のつもりで申し上げたつもりであったわけですけれども、いろいろ誤解を与えたとすれば私の答弁が行き届かなかったことかと思いまするけれども、四項の(2)についてのことで御答弁申し上げているつもりでございました。
  174. 小平芳平

    ○小平芳平君 誤解はしていませんが、どうですかね。
  175. 田中寿美子

    ○委員長(田中寿美子君) 小平さん、答弁の趣旨どうですか。いまのでよろしいですか。
  176. 小平芳平

    ○小平芳平君 全然誤解してません。
  177. 田中寿美子

    ○委員長(田中寿美子君) まだ明確でないようですから、もう少しはっきりとしてくださいませんか。
  178. 山田久就

    国務大臣山田久就君) その前の、余り詳細にわたるあれかとも思いますけれども、事務次官通牒の四項に「処分にあたって留意すべき事項について」ということが出ているという先生のお話で、それの流れでずっと答弁しておりまして、私の方としてはこの四項(2)の死亡をした者というつもりで答弁しておったつもりでございます。しかしながらその点がいろいろ誤解を与えたとすれば、やはり不行き届きな点があったかと思いまするけれども、この点は先ほど来この(2)というのは「死亡」ということが明記されてあるわけでございまして、ひとつ御理解いただきたいと思います。
  179. 田中寿美子

    ○委員長(田中寿美子君) 小平委員、よろしいですか、いまのあれで。明確になっていますか。――じゃ、もう少しわかるようにちゃんと解説してください。
  180. 上村一

    ○政府委員(上村一君) いま通知から申し上げますと、四項の「処分にあたって留意すべき事項について」の答弁の中で、長官から申し上げました。いま御指摘になりました個所は「あらゆる努力を払って認定できるものは認定をするようにしてくれと、しかしながら幾ら努力しても追加資料も得られなくて、そしてどうも判定ができないという者については、それは言うまでもないことだけれども、いつまでもそれを保留というような形においておかないで、そしてやっぱり、認定をできないのなら認定をできないという処分をして、そしてこの人が、本来の自分の権利をそのまま眠らされる以外に方法のないような地位に放てきしておかないようにと、これは申すまでもないことでございまするけれども、実際は、こうやって眠らしているということのために、それが引っかかっているので、後からの申請者が、そこが突っかい棒になっちゃって前に行けないというようなことが現状であると、こういう実情でもあるようでございまするので、言うまでもないことであるけれども、その点についての注意をひとつ地元に喚起したと、こういうことでございます。」というふうに大臣から答弁いたしたわけでございます。  そこで書いてあります項目というのは、当然のことでございますが、次官通知の(2)に関することでございまして、ここに言います「保留」とか、いつまでも「権利をそのまま眠らされる以外に方法のないような地位に」おいでおいではいけないというふうなことは「認定申請後検診が未了のうち死亡し剖検も実施されなかった事例」についての話でございます。長官から申し上げました内容も、この次官通知の4の(2)に書かれました文言というのを、その趣旨を中心に御説明申し上げたわけでございまして、あくまでも「保留について」云々と申し上げておりますのは「認定申請後検診が未了のうち死亡し剖検も実施されなかった事例」、そういうものであるというふうにお考えいただきたいと思います。
  181. 田中寿美子

    ○委員長(田中寿美子君) ちょっと速記とめてください。   〔速記中止〕
  182. 田中寿美子

    ○委員長(田中寿美子君) それじゃ、速記を起こして。
  183. 中野明

    ○中野明君 けさほど来、当委員会でのやりとりを聞いておりまして、環境庁、特に長官の水俣病に対する取り組み、これが非常にいいかげんだと、こういう感じを受けてなりません。  まず、私最初にお尋ねをしたいわけですけれども、すでに長官もたびたび当委員会で指摘をされて御承知のとおり、わが国の環境行政が非常に後退をしている、そういう厳しい世論の批判を受けておることはもうたびたび当委員会で指摘をしたところでございますが、こういう状況の中で、特に今回の法案の審議に当たりまして、水俣病で苦しんでおられる方々に対して過去から環境庁がとってきた態度というもの、私どもも非常に遺憾に思うわけでありますが、ことしの国会で環境庁長官は一度現地に行って、そして少しでも理解と認識、そして対策の飛躍に寄与するように努力したい、このようなことをお述べになっております。また歴代長官も、これは環境行政としてはもう一番の取り組み事項として現地の水俣に飛んで行って、そしてじかにはだ身でこの悲惨さというものを感じてその後の処置を考えておられるようですが、最初に山田長官、本年の四月にそういう答弁をなさっております。行きたい、本当にその気がおありならば今日まで行けたはずのように私も思うわけですが、どうですか、現地へ行って本当にはだ身でこの水俣病の事実というものを突きとめるといいますか、感じてこよう、認識をし直してこよう、こういうお考えがおありですかどうですか。
  184. 山田久就

    ○国務大臣(山田久就君) 申し上げておりましたその点の私の希望や認識は変わりがございません。この間において環境庁におけるいろいろないざこざの事件等がございまして、そのような環境上、訪問の十分の意義を達成するというような意味においての見通し等の判断の問題がございましたので、まだ実現してないのは大変残念ですけれども、もともとからの希望と考え方には変わりがございません。
  185. 中野明

    ○中野明君 けさほど来の問題になっております事務次官の通達にいたしましても、お話を伺っておりますと、全然内容は変わっておらない。内容が変わっておらないということならば出される必要はさらさらなくて、そういうものを出されるがために患者の皆さん方が大変な不安と混乱を持っておられる。こういうことを考えていきましたとき、これは結局現在の環境行政に対する患者の皆さん方の不信ということが根底にあることはもう否めません。  ですから、この委員会でも御答弁になっております。おりますけれども、そのようなことで患者の皆さん方が納得するわけがございませんので、これはそういう意思を長官がお持ちになっておるのならば、もう速やかに現地に行かれまして、そしてこの今回出した次官通達とそして前回の通達、何らこれは変わりはない、心配ございません、前向きになって患者の救済に当たりますと、そういうことをやはり現地に行って弁明をなさるのが、これが私は環境行政の本当の姿だろう、このように思うわけであります。  長官も、行政責任は認める、けさほどもはっきりその席で御答弁になっておりました。二度と再びこのような事件を起こさせないという、こういう姿勢から出発をなさるならば、当然この通達も本来ならば私ども撤回をなさった方が患者の皆さん方も釈然とするんじゃないだろうか。疑わしきは切り捨てる、このようにまで騒がれ、そしてまた不安を持たれているこの通達というものを撤回するということから私は不信がなくなっていくんではないか、こういうふうにも思う一人でございます。  いずれにしても、この公害をなくしていく、二度とこのような不幸な事件を起こさせないという大前提に立てば、やはり疑わしいそういう人たちも認定をしていくという姿勢が本当の環境を守ろうという行政の姿勢だろうと思うわけです。しかし住民、関係者の人に少しでも疑わしきは切り捨てるんだ、こういう気持ちを起こさせる環境行政というのは、これはもう大変な姿勢の上から見て過ちを犯していると言わなければなりません。  こういう意味で、近々に環境庁長官が行くといまおっしゃっておりますが、改めてこの通達の意味の説明も含めて、現地の住民の皆さん方にどうかひとつ安心ください、私が全責任を持ってこの問題と取り組み、そして御心配のないように守ってまいりますという、こういう決意を披瀝しに現地へ行かれる気持ち、しかも言われてからもう半年以上たっているわけです。いつごろお行きになるつもりでございますか。もう一度御答弁お願いします。
  186. 山田久就

    ○国務大臣(山田久就君) 水俣病というものの早くそうして公正な解決をもたらす、このために寄与するようなことのためには、非常にわれわれも力は足りませんけれども全力を尽くして当たりたい、こう考えている次第でございます。したがいましていま御指摘の訪問の点、これも含めてひとつ目的達成に資することのためにはひとつあらゆる力を使ってやりたい、こう考えておるということをここで言明いたしておきたいと思います。
  187. 中野明

    ○中野明君 本臨時国会はあした終わるわけですが、国会が終わったらすぐ行くという、こういうお考えですか。
  188. 山田久就

    ○国務大臣(山田久就君) いろいろこれについて行く以上は私はそれが促進に資するということに役立つように、こういう希望を持っておりまするので、それらの点も勘案して、できるだけ早い機会にそのことの実現に当たりたいと考えております。
  189. 中野明

    ○中野明君 とにかく長官がやはりこういう通達を出されて国会でいろいろ議論をして、一つ一つ説明を求められて、そして持って回った言い方をされて、結論として前回の通達の趣旨と何ら変わりませんと、こういうふうなことになってきておるわけでありますが、本当に長い間苦しんでおられる一人一人の身になって考えたら、通達一つによってどれほどショックを受け、そしてまた不安を持っているかということを考えたときに、本当に私どもは環境庁の不用意な通達の出し方といいますか、あるいはそれとも議論が出ておりますように、新たに切り捨てるための意図をこの通達の裏に秘めてお出しになったかという勘ぐりもずいぶん心配の面で出ておるわけですが、そういう点、これだけでも現地へ行って本当に関係の人に、けさほど来ここで議論が出ておるように、一切そういうことは関係ありません、ずいぶん紛らわしい通達になって誤解を与えたことは申しわけないと、その弁明をなさりに行くだけでも私はこの問題の解決に大きな前進を与える、このように考えておる一人でありますので、今後可及的速やかに言われたことを実行されるように強く要望をしておきます。  それで、次に少しく中身に入りたいと思いますが、まずそれでは最初に、認定申請の処理状況、改めて未処分の申請者の状況についてもちょっと県別にお知らせをいただきたいと思います。
  190. 本田正

    政府委員(本田正君) まず三県一市のトータルで申し上げたいと存じますけれども、現在までに認定申請者が九千九百三十三名でございます。この中で取り下げが百二十一名ございますので、要処理件数は九千八百十二名になるかと存じます。それから認定棄却の処理が済んだものが三千八百十名でございまして、未処理件数、いまおっしゃいました未処理件数は六千二名でございます。その中で保留が一千四百七十二名、それから未審査が四千五百三十名でございます。  県別にずっと申し上げてよろしゅうございましょうか。
  191. 中野明

    ○中野明君 いいです。県別はよろしい。  その中で、いま保留になっているのが千四百七十二、このようにおっしゃいましたが、この保留の理由の主なものは何ですか。
  192. 本田正

    政府委員(本田正君) 審査会に審査をかけまして、その時点で認定か棄却か判断がつかないというものが保留でございまして、それをさらに審査するためにさらに症状の経過を見たいという保留もございます。それから一定の検査をこれに加えまして、その検査の成績がわかって、従来の検査とあわせてさらに判断をいたしたいというもの、この二つが大部分でございます。
  193. 中野明

    ○中野明君 それでは、現在水俣病の認定審査会が棄却処分されたものに対して患者行政不服審査法に基づいて環境庁に不服審査請求を出しております。この提出された件数、これが過去にどの程度不服審査の請求がございましたか、まず件数からお伺いしたい。
  194. 本田正

    政府委員(本田正君) 不服審査法に基づきますところの環境庁に出されました申請件数は、ことしの九月末現在で三百十一件でございます。
  195. 中野明

    ○中野明君 その請求に対しまして裁決がおくれているということをよく聞くわけですが、最高何年ぐらい審査にかかっておるか。そうしてまたその審査をしてもらっている間に請求者が死亡してしまった、不幸にして。このような具体例はございますか。
  196. 本田正

    政府委員(本田正君) 先ほど三百十一件と申し上げました。この中で取り下げ件数が七件ございますが、一番古いのは昭和四十八年度に出されましたもの二十五件でございます。  それから、この中で死亡したものがどれだけかというと、ちょっといま手元に資料ございませんので後刻調べて申し上げたいと思います。
  197. 中野明

    ○中野明君 ありますか、死亡された人。
  198. 本田正

    政府委員(本田正君) 不服審査に申請したもので死亡された件数は実はキャッチしておりません。これは報告がないとキャッチできませんので、私どもではわからないのが現状でございます。
  199. 中野明

    ○中野明君 いまお答えになりました長いのが昭和四十八年からといいますから、そうすると大方足かけ五年ですか。五年以上長期にわたって回答もない、裁決もない、申請者は現在でも痛みと苦しみに耐えながら結果を待っている、こういう状況であります。なぜこんなに時間をかけなきゃならぬかということ、これひとつ私も余りにも無責任じゃないかという気がいたします。早くできないかという問題。そしてまた本人たちが本当にそこまで不服申請を出すということは、やはりそれなりの理由があると思います。  この不服審査の請求があって、環境庁として県の決定を覆す裁決をされたことがおありですかどうですか、その辺。
  200. 本田正

    政府委員(本田正君) 従来までに二十件ございます。その中で認容いたしたもの十一件、それから棄却八件、却下が一件と相なっております。
  201. 中野明

    ○中野明君 県の決定を結局覆して、そして認定をされたというのが十一件ですか。
  202. 本田正

    政府委員(本田正君) これは原処分を取り消したという意味でございます。したがってそれが持ち帰られまして、県におきます審査会にまたかかりまして認められたものが十一件と解していただいて結構です。
  203. 中野明

    ○中野明君 そういうふうに十一件、いまの十一件に限って申し上げますと、裁断をされたその主な理由というものは、どういう理由で裁断をされたんですか。
  204. 本田正

    政府委員(本田正君) この不服審査を私ども受けますと、本人からのもちろん資料、それから本人の申し立てに対しますところの県からの弁明書、そういったものをとって審査をいたしますと同時に、現地に出かけてまいりまして、これを現地審尋といっておりますが、疫学的調査の確認、それから主治医等にお会いいたしまして、それからまた本人の申し立て等をやります現地審尋というのがございます。そういったことで資料を集めまして、それを総合的に判断いたしましてこういう結果を出すわけでございます。
  205. 中野明

    ○中野明君 これは県が決定をして、その県の決定に対して不服だ、こういうことですから、だからそれを覆すといいますか、その根拠というのは環境庁としてはいまおっしゃったようなそういうやり方ですか。何か別に機関を持って、そしてお調べになって県の決定にこれは誤りがあるかもしれぬからもう一度やり直せと、こういうやり方をなさっているのか。その辺もう少し具体的におっしゃっていただきたいと思います。
  206. 本田正

    政府委員(本田正君) 判断そのものは環境庁長官が判断を下すわけでございます。ただその間におきまして、申し上げましたようないろんな資料を私どものところで見るわけでございます。そういったものにつきまして私どもで判断ができないというものがあり得ます。これは。そういったものにつきましては専門家の意見を必要に応じて聞くことがございます。しかしながら最終的な判断は環境庁長官がいたします。
  207. 中野明

    ○中野明君 それで不服審査の請求棄却された、県の決定ももちろん棄却ですね。それに対して不服で環境庁のところへ行政の不服審査が出てきた。それを棄却された。そのときの一番基本になる資料といいますか、環境庁のそれを判断される基準といいますか、それはどこにあるのですか。
  208. 本田正

    政府委員(本田正君) これはそういうふうにやって資料を集めまして、そしていろんな専門家の意見を聞いて判断するわけでございますが、これは棄却という場合にはその時点におきますところの水俣病の判断条件に合致しない、こういう理由から棄却いたすわけでございます。
  209. 中野明

    ○中野明君 それは環境庁にそういう体制があるのですか。
  210. 本田正

    政府委員(本田正君) 多分御指摘は何々検討委員会とかあるいは審査会とかということをもし御想定だといたしますならば、そういう意味においてはございません。環境庁長官が判断するわけでございます。いま申し上げましたように必要に応じて専門家の意見を徴することはございます。
  211. 中野明

    ○中野明君 これは今回出されている法案とも少し関係がありますのでお尋ねをしているわけですが、いまのようなこういう患者の方々の環境行政に対する不信という状況の中で私ども一番心配しますのは、やはり最も身近な実情をよく知っている県、ここで認定をしてもらいたいという気持ちが非常に強いだろうと思います。そのとき、今回環境庁もそれを窓口を開いてやりましょうということのようですが、私が先ほど長官に現地へ行ってそして真情を吐露されたらどうですかというのもその辺にあるのでございまして、やはり行政の不信ということになりますと、せっかくの早く認定をしてあげて推進をしようというこの法の趣旨、精神というものが、患者の皆さん方が環境庁に対する不信を持っているということになりますと、やはり従前と同じように県の方に集中して、環境庁のそういう窓口を開いて早く認定をしてあげたいという気持ちでこの法の精神はあると思いますが、活用されないんじゃないか。そういう心配をするわけなんです。  長官、先ほどからお聞きいただいていると思いますが、そういう面で長官はどうでしょう。今回この法律成立されたとして、患者の方が県の方の審査もさることながら、大挙して環境庁の開いた窓口にも審査を求めに来られるとお思いですか。
  212. 山田久就

    国務大臣山田久就君) 問題は検診の窓口を少しでも広げるということ、これが問題になっておる認定というものがおくれているということに対応する一つの措置であるということを考えて、したがって今日の措置をわれわれも支持して考えておるわけです。  したがいまして、事柄は申請者の選択ということでございまするので、一概にどうということをまだ申し上げるわけにもいかないかもしれませんけれども、これについてはわれわれが熱意と公正を持ってこの運営をやっていこうという気持ちがわかっていただける限り、この方面にもおいでいただける、それによって窓口が開けるような結果になるであろうと、またそうなることを期待しておる次第でございます。
  213. 中野明

    ○中野明君 最後になりますが、結局環境庁という役所環境庁というものができたその当時、もうたびたびこの委員会で議論になっておりますけれども、この環境庁ができて本当に日本の国の公害行政のためによかったと私どもも喜んだ一人でございますけれども、その後の状況を見ておりますと、非常に不安を禁じ得ないきょう今日の状況になっておりますが、たびたび長官もきょうもこの席で御発言になっておりますように、これ以上このような悲惨なこういう事件を二度と起こさないという、この大前提に立ちますならば、今回のこの取り扱いに当たっても次官通達の説明でも大体前と変わらないということをおっしゃっておりますけれども、問題になっておりますのは、やはりはっきりしている人はこれは問題ありませんし、だれが見てもこれは水俣病でないというふうにはっきりした人もこれは問題にならぬと思います。そうしますと、いま中間におる疑わしきというこの人たちの取り扱いというのが、これがやはりこれからの環境行政を占う一つのポイントになってくるんじゃないか。  ですから、二度と再びこういう悲惨な事件を起さないという、起こさせないという強い環境行政の姿勢からいきますと、こういう次官通達のようなちょっと読んでもわからないような紛らわしい通達をお出しになるよりは、もうはっきりと明快に、水俣病の症状がたとえ一〇%でも出ておれば全部それは対象として救ってまいりましょうと、それぐらい強い姿勢が出て当然だろうと私は思うんですが、その点の長官の御見解をお伺いして終わりたいと思います。
  214. 山田久就

    国務大臣山田久就君) 水俣病患者の身になってできるだけこれに温かい支援の手を伸べなきゃいかぬというただいまの御指摘の点は、全くわれわれもそのとおりに考えております。  ただ、そこで水俣病の範囲というものを明確にして、したがって水俣病というものの本来認定を受ける人が一人でもその漏れがあっちゃいかぬという点も、われわれはそういうことで運営されなければならないと思っております。  ただ、今度の認定の通牒の中には、そういう意味でいままでいろいろ論争があったり、疑義が出ていたようなこと、そういう点を整理統合してはっきりしようということと、それから判断条件というものが、より参考ということじゃなくて、はっきりした形にそれをされるということによって、いま御指摘のようなちゃんと認定されるべきものは認定されるということで、判断条件というもののきちっとした格づけをしてやろうというのも、そういう考え方からであったと考えるのであります。  まあいろいろ第三の点について疑念を与えるような点があったことは遺憾でございまするけれども、せいぜいわれわれも自戒いたしまして、できるだけ御趣旨に沿うようなことでひとつ目的達成のために少しでも前進するように努力するというふうにいたしたいと思います。どうか御理解いただきたいと思います。
  215. 田中寿美子

    ○委員長(田中寿美子君) それでは、先ほどの小平委員の疑義に対して御説明を長官からいただきます。
  216. 山田久就

    国務大臣山田久就君) 小平委員との質問応答におきまして、いろいろ私の方の不十分な点から、先生御指摘のとおり、七月六日の当委員会における私の答弁につきまして誤解をいただくようなあいまいさがございまして、その点小平委員から、長官死亡事例だけを言っているのではないんですよとの御指摘を、いま見てみまするというと、そういう点の御指摘をいただいたようであります。  私がその時点でただいまおしかりをいただいたような点をすぐ訂正しておりますればよかったかと存じます。ちょうど時間がないのでほかの問題に移るということを先生がここで言われまして、ただその部分については山本説明員から、いまのお尋ねの通知は「4の(2)につきましては、現在までの時点で」と、また(2)の点についての補足説明をいたして、その趣旨を申し述べておりまするけれども、私自身がそこで立ってこの点についての御疑念を晴らすということをとらなかった点は大変行き届かなかった点かと思います。  当日の答弁は、次官通知四項につきましてのお尋ねでございましたので、死亡事例を中心にしてお答えするという点を、重ねてその点を明らかにしなかった点は誤解を招いたような結果になったことで、この点はひとつあしからずおわび申し上げたいと思います。
  217. 小平芳平

    ○小平芳平君 余りよろしいというわけじゃないんですが、要は先ほど来各委員の御指摘の不信感をどう取り除くかという、現状不信感のあることは間違いなくあるわけですから、不信感をどう解消するかということが一つ。これはもう早急の課題であろうと思います。それからもう一つは、いまの長官の御説明あるいは保健部長の御説明がこれからどう運営されていくかにあるというふうに思います。したがいまして、いま現在においての環境庁の判断はいま述べられた点にあろうというふうに了解いたしますゆえに、これからどういうふうな行政を進めていかれるかを注目し、また意見も述べていきたいと、このように考えます。  いま中野委員から質問のあった点ですが、認定促進のためには五名以上の常駐医を確保してほしいということ、それからまた審査会を熊本県に二班設置してほしいという御意見が出ていることも御承知のとおりと思いますが、この点についてはいかがですか。
  218. 本田正

    政府委員(本田正君) 認定業務を促進するに当たりまして、いま御指摘の認定の前提となりますいろんな検査、耳鼻科、眼科、神経内科その他の検査が必要でございます。そういった方々の検診を進めますために現在熊本では検診センターが県立であるわけでございます。市立病院の中にその検診センターを置いて、今度それをさらに拡充強化いたしますために建てかえをやる計画を熊本県が持っております。これについて私ども国庫補助で援助しているところでございます。ともあれ検診を進めますためには、やはり御指摘のようにどうしても常駐の医師の確保ということが大事だと思います。  現在どうやっているかといいますと、大学とかあるいは国立病院、市立病院、そういったところからのパートの援護によりまして、したがいまして実はウイークデーにその検診を実施するということがなかなかむずかしくて、土曜日曜に検診がかかる、あとのウイークデーはもっぱら予診あるいはデータ整理、そういったことに使わざるを得ないというのがいま熊本県の現状でございます。御指摘のように、できるだけいまセンターの所長が医師とすれば常駐でいるわけでございますけれども、あらゆる努力を私どもも県とともにいたしまして、相手がお医者さんのことですからなかなか水俣の地に常駐ということがむずかしいとは思いますけれども、いろんな条件をもあわせ考えながら常駐医の確保ということは、県と私どもともどもに努力していく必要があろうと痛感いたしております。  それから熊本県における審査の今度は二班制はどうだということでございます。水俣病といいましても熊本大学を中心に実は専門医といいますか、専門医制度はございませんけれども、水俣病に関する専門の医師というものは、実は非常にむずかしいわけです。審査会を編成しますには、やはり高度の学識と豊富な経験を持っている方々をもって充てるわけです。熊本県も実は不作為の五十一年の違法判決以来何とか二班制が敷けないか、二コースで審査が進められないかということをずいぶんと御努力なさったみたいですけれども、現状において直ちにこれを二班設ける人的な余裕がないということで苦慮いたされております。しかしながら審査促進という観点からは熊本県とおいおいと協議をいたしておりますけれども、そういうできるだけ早い機会にできますならば二班制を敷きたい、こういうことも表明いたしておりますので、その努力を私どもあわせて今後続けていく必要があろうかと存じます。
  219. 小平芳平

    ○小平芳平君 それから臨時審査会ができた場合にどういうふうな進め方をなさるのか、書類を熊本県から取り寄せてやるのか、それから大体御本人が申し立てるかどうかということでしょうが、先ほど中野委員からもお話がありましたように、患者が申請を希望しなくて全く希望がなければ何にもならないわけですね、実際問題。したがってどういうメンバーの先生方がどういう手続でどういうような審査をして決定をなさるのか、いかがでしょうか。
  220. 本田正

    ○政府委員(本田正君) これはいま自民党御提案の法案が通ったとしたときの臨時の審査会ということであろうと存じます。  実は具体的にどういう方々にお願いするかということは、現時点では一切私どもまだ検討いたしておりません。したがって運営の方法も通りますならば直ちに検討する必要があろうかと思います。しかしながら認定審査でございますので、熊本県が現在なさっている方法と変わってはおかしいと存じます。そういう方向で検討いたしたいと存じております。
  221. 小平芳平

    ○小平芳平君 したがって、どういうことになりますか。
  222. 本田正

    ○政府委員(本田正君) 熊本県におきましては、認定審査会というのは高度な学識と豊富な経験のある方々にお願いいたしまして、そしてそこで審査を行う場合にいわゆる患者さん方からの申請がございます。この申請というのは医師の診断書をつけましてそして申請してきてもらうわけです。その申請に基づいて先ほど申し上げました水俣の市立病院の中にございます検診センターにおいて必要な検診をいたします。そのデータが出ましたところで審査会にかかるわけです。そういう手順でやられております。
  223. 小平芳平

    ○小平芳平君 したがいまして、この臨時審査会ができた場合、それは自民党提案ですけれども、環境庁としてそういう手続上のことは当然環境庁の方で説明もするし、立案もするし、相談にもあずかるし、運営もしなきゃならない立場なんですから、したがいましてこの審査会ができた場合、熊本でやっている説明はいまありましたが、具体的にどうなるわけです。これからは、行き方は。
  224. 福島譲二

    ○衆議院議員(福島譲二君) 御質問、法案の内容に関連いたしておりましたので、まず私の方から法案としての御説明をいたしますが、今回御審議いただいておりますこの臨時措置法では、第二条の四項でその県にありますところの資料というものが環境庁長官に県知事から送付されますし、また環境庁長官として別途必要な資料があると考えられますときには、同条の第五項で県知事にその提出を「求めることができる。」という形において必要な資料は環境庁の方に集められることができるかと考えております。
  225. 小平芳平

    ○小平芳平君 検診は。
  226. 上村一

    政府委員(上村一君) いま御説明ございましたように、臨時審査会の対象になりますのはすでに熊本県知事に旧法の認定の申請をしておる人に限られておるわけでございます。したがいまして資料というのは熊本県知事が持っておる、それを御本人の希望環境庁長官の方で認定してもらいたいということになるわけでございますから、熊本県知事が環境庁の方に送り届けてまいる、基本資料はそういうことになるわけでございます。  同時に熊本県知事の方にも環境庁長官の方から私の方で認定いたしますよということを申し上げ、同時にその資料だけでは足らない場合に改めて県知事の方に、あるいは県知事だけではございませんで「県知事等」と書いてございますから、申請者本人についても要求する場合があると思いますけれども、そういった資料の要求をいたしましてそこで審査をする。  審査のやり方につきましては熊本県の審査会で行われるのと同じでございますが、どういう段取りで進めていくかにつきましては、この法律が制定されました際に必要な通知というものを熊本県、まあ法律上は関係県みんな対象になっておるわけでございますので、そういうところに通知いたしまして周知徹底を図るようにしてまいりたいというふうに考えておるわけでございます。  委員の人選等につきましては、いま部長から申し上げましたように、水俣病について高度の学識と豊かな経験がある人を日本じゅうからお願い申し上げて、熊本県の認定業務の妨げにならないようにしながらこちら自身でやってまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
  227. 田中寿美子

    ○委員長(田中寿美子君) ちょっと速記をとめてください。   〔速記中止〕
  228. 田中寿美子

    ○委員長(田中寿美子君) それでは速記を起こしてください。
  229. 小平芳平

    ○小平芳平君 上村局長からいま説明がありましたが、時間を早める意味においてまとめてひとつ質問をいたしますから。  臨時審査会についての質問ですが、まず熊本県に二班つくることは無理があるということですが、それは専門家熊本県にそれほど集まっていないということですが、それならば東京で臨時審査会をつくる場合に、熊本県と同じ、まあ同じというか要するに専門家東京なら集まるのかどうか、それが一つです。  それから、そういう専門家が集まった場合に、判断ですね。判断は熊本県の審査会と東京環境庁の臨時審査会と全く同じ信頼性のある、患者さんから信頼されるそういう同じ判断というものが期待されるわけですが、そういうことが可能かどうか。  それから、局長から先ほど説明のあったように、書類が熊本県知事から環境庁へ送られてくる。その書類も大分昔の書類だろうと思いますから、そういう昔の書類の場合は新たに検診が必要じゃないかどうか。新たな検診が必要な場合に少なくとも患者さんが東京へ呼ばれるということはなかろうと思いますが、そういう点はどうかということ。  それから、患者さんが東京へ呼ばれるということはまずないということならば、反対に今度は不安もあるわけです。要するに申請を希望されたその患者さんにとっては、自分の知らないうちに熊本県から環境庁に書類が送られ、それでそこで何ら自分の知らないうちに審査をされ決定をされるということは不安になろうかというふうに考えられるんです。  それから、この点についてはいろいろ衆議院で検討されたようですが、行政不服申し立ての道をどうするか。  そういうような点についてお答えいただきたい。
  230. 本田正

    政府委員(本田正君) 初めの三点を私から申し上げます。  熊本県でも非常に二班制が、新しい班が編成できない現状にあるのに東京でできるのかということでございますが、これも非常に私どもそうなりましたときにお願いするのにずいぶんと難航するだろうとは思いますが、できます以上は全力を挙げて審査会のメンバーの確保にまた御同意を得るべく全力を挙げぬといかぬと思います。  これらの人々の対象になるのは高度の学識と豊富な経験を持った方でないと困りますから、熊本県からそれを抜きますと熊本県自体がまた困るわけでございますので、なるべく熊本のメンバーを外しまして、鹿児島あるいは新潟の先生方、あるいはかつて各県の審査会に入っておられた先生方でいま入っておられないような方々もいらっしゃいます。そういった方々等を含めて鋭意お願いをしてみたいと思います。なかなか御同意いただけないような先生方もあろうかと思いますけれども、こういう事情でございますので、誠心誠意ひとつお願いしてみたい、こういうふうに思っております。  それから二番目の、判断はどうなるのかということでございます。審査会におきます判断は、かつて五十年から過去二年間にわたりまして専門家によって御審査いただきました後天性水俣病の判断条件、それをもとに熊本県でも現在行われておりますので、新しくできる審査会におきましてもそれによるものと思われます。したがいまして熊本県の中での審査会の御判断と新しい審査会の御判断には大きな差はないと存じております。  それから三番目の、もし県知事から送られてくる資料でまだ必要なものがあるときには患者を呼ぶのかということでございますが、それはいたしませんで、知事に対しましてこういう検査が必要だということをお願いいたしまして、知事の方からその検査データをもらうという道を講じていく、こういうふうに考えております。
  231. 福島譲二

    衆議院議員福島譲二君) 御質問の最後の二点は法案に関連いたしますので私からお答えさせていただきます。  第四点の、患者さんが知らぬうちに環境庁に書類やなんかが回ってきてやられるんではなかろうかという御不安でありますが、そもそもこの臨時措置法のまずスタートラインは、第二条によって患者さんが希望されるときには、いま県知事段階で滞留しているこの不作為違法状態を解消するために早く認定審査をしてほしい、そのためには患者さんが環境庁長官の方に持っていってほしいという希望がまずスタートでありまして、そういう意味で患者さんが知らないうちにいつのまにか県から国の段階に上がってしまうということはまず絶対にあり得ないということを御理解いただきたいと思います。  それから、異議申し立ての制度でありますが、これは行政不服審査に関する基本原則に戻りまして、従来でありますとこの旧法適用者につきましてはまず不服があるときには処分庁、すなわち処分庁である熊本県知事の処分に対して不満がありますときには上級庁がございますので、その上級庁であるところの環境庁長官に対して審査請求という形がなされるわけでありますが、今回は上級庁がございません。いきなり環境庁長官に持ってこられるわけでありますので、その裁定に対する不服がありますときには行政不服審査の基本原則に戻りまして同じ上級庁、この場合の環境庁に対しまして異議申し立てという形におきましてその裁定に対する反省を求めるという形に戻るわけであります。  衆議院の段階におきましてこの点について大変議論が展開されました。従来はいわば第一審である熊本県知事の判定に対して不満であれば環境庁長官という別途の人格を持つ者が判断をする、それが今回は同じ人間が判断するんで大変問題ではないかということについて御議論がございました。そういう意味で衆議院で第六条を新たに追加いたしました。「異議申し立ての場合における鑑定」という制度と申しますか、運営において異議申し立ての際にそういう患者さん方の不安を解消するために格別権威のある方々の意見を聞くんだということについての修正がなされた次第でございます。
  232. 小平芳平

    ○小平芳平君 次に、別の問題になりますが、水俣病研究センターについてですが、この研究センターの現状はどういうことになっているか。それで時間の関係でいろんな過去のいきさつについての御説明はもう省略していただいて結構ですが、現時点でどうか、将来どうかということをお答えいただきたい。
  233. 本田正

    政府委員(本田正君) ことしの三月に建物が完成いたしまして、現在はその周辺整備を行いつつございます。この十月一日から組織として水俣病研究センターが発足したわけでございますが、現在所長が決まりました段階でございます。もっともこれから整備を進めていくわけでございますが、今年度中に上から下に向かって人の面で整備していく方式をとっておりますので、所長を決めまして、それから人につきましては二人の部長、さらには二人の研究室長ということをお願いしていきたい、このように思っております。ことしの定数は事務系統を入れまして八名でございます。  それから、十月一日に発足いたしたばかりでございますが、これから機械器具等の購入もございます。一切建物だけで現状ほとんど備品らしいものも入っておりませんが、所長がようやく決まりましたので、その所長の御意見を聞きながら整備を図っていきたい、このように存じております。
  234. 小平芳平

    ○小平芳平君 この研究センターは何を研究するのか、水俣病治療をする研究をするということになるのかどうか。  それから、患者さん方の治療研究となれば、患者さん方の信頼の上にこそ成り立つのであって、将来果たしてそういう信頼を得られるかどうか。そういう点についてどう考えますか。
  235. 本田正

    政府委員(本田正君) 現在の組織臨床部というのを整備することにいたしております。一つ。それから基礎研究部、いわゆる神経内科、神経系統の疾病でございますので、それに対する基礎的な研究をやるということが今年度の組織でございます。  それで、臨床部におきましては、眼科とか耳鼻科あるいは理学療法、そういった水俣病臨床にわたるものの部門を研究してもらいますけれども、これは治療研究ともちろん治療方法の開発ということがきわめて重要でございます。しかも神経系の疾病となりますと、治療方法はその他の疾病もそうでございますけれども、非常にむずかしゅうございます。しかしながら何とかこれは治療研究をやらないと、これは患者さん方にとっては治らない治らないと言っているだけじゃだめでございます。そういった部門を強化していく必要があろうということで臨床部を設けているわけでございます。  それから、患者さんの信頼関係でございますけれども、これはあくまでも研究センターでございます。そういう患者さん方の期待にこたえるためにもぜひ一刻も早く臨床部、それから当面は基礎研究部、将来はこれに疫学部というものも加えたいと存じておりますけれども、そういった整備に最大限の力を私どもも注いでいくべきだと存じております。
  236. 小平芳平

    ○小平芳平君 いまの部長の説明は役人としての計画的な説明がずっとあるわけですが、環境庁長官としまして、果たしていま説明されるような信頼をおいていただける治療研究のセンターとしての機能がこれから充実していけるかどうか、そのためにはどういうことが必要か。それはいかがでしょう。
  237. 山田久就

    国務大臣山田久就君) 水俣病の根本は、やっぱり患者治療ということに本当にまず専念していかなければ、私は本当の意味の救済ということの第一歩は解決しない、こう考えております。ただし残念ながらいままでのところは有効治療という道がまだ見つからない。したがってこの有効治療の道を発見するためにふさわしい力を持った知識経験豊富なひとつ人材をこの研究所に集めて、そうしてそういう意味で患者の期待、信頼にもこたえられるように、力そしてまた人柄、そんなことで、先ほど部長からも説明がありましたけれども、ひとつこの充実を図るようにしてまいりたい。  この問題の持つ私は非常な国家的な重要性、ある意味では世界的とも言えるかと思いまするけれども、そういう自覚に立ってこたえてくれるように説得もいろいろ努めておりますけれども、これには同時に各方面の認識と協力というものを待たなければなかなかできないとも思います。そういう意味での広い、広範な説得力、協力を仰ぐというような力と相まってひとつこの充実を図っていきたい、こういうふうに考えております。
  238. 小平芳平

    ○小平芳平君 次に、前の石原長官のときに水俣病患者の方の就職をあっせんしましょうというような話があって、この点についてもいろいろかえって不信を増幅するような経過もあったように感じておりますが、どうなっておりますか。
  239. 本田正

    政府委員(本田正君) 私どもも先ほど申し上げましたように、センターが実は発足したばかりで、所長が一人、総務課長が一人現在張りついたにすぎません。これからおいおいと研究部門を強化し、それから事務部門も強化したいと、こういうふうに考えております。  そのさなかで水俣病患者がそのセンターの中での働き場所を得る、こういう御趣旨のことだと存じますが、できるだけそういう方向で私は考えたいと存じますが、しかし一方患者さん方にとりましては健康管理が十分できるような配意もまた必要であろうと思います。そういったことで現時点において直ちに、まあ適切なやっぱり働きの場所というものもあろうかと思いますが、ただ単に漫然と勤めていただくんじゃなしに、やはり働く目的を持って勤めていただきたいと思います。しかしながら現時点でどういう働き場所が提供できるかというところまでまだいっておりませんので、的確に将来どれくらいの方々をどういう場所で御協力いただくということが言えないのはまことに残念でございますが、そういう考えを持っております。
  240. 小平芳平

    ○小平芳平君 終わります。
  241. 上村一

    政府委員(上村一君) 恐縮でございますが、先ほどの答弁の中で臨時措置法案の解釈で一カ所だけ私誤解に基づくお答えをいたしましたので、修正さしていただきたいと思います。  環境庁長官が臨時審査会で審査をする場合に、必要があれば患者さんからもその資料を求めるということは当然でございますが、その答弁をいたしました際に、条文として引用いたしました「県知事等」とあるので、その患者さんからもというふうに申し上げましたのは私の全くの誤解でございまして、この法案で「県知事等」と申します「等」は、政令市の市長さんで、県知事と市長をくくりまして「県知事等」と申しておりましたので、その点だけは修正さしていただきたいと思います。申しわけございませんでした。
  242. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 それでは、限られた時間でございますので端的にお伺いをしていきたいと思うわけでございます。  大体チッソ株式会社がこれはもう利潤追求のためにたれ流した有機水銀によって起こった水俣病、これはもう私がここで改めて申し上げるまでもなく世界に全く類例を見ない大規模な公害でございます。この水俣病患者さんが公式に認められてからすでに二十二年なんです。政府が認定をしてからでさえも十年。ところがいまなお申請者の中で滞留者がことしの八月現在で四千九百九十二名。この人たちの処分終了までどのくらいかかるかということについては、これは熊本県で言っておりますように、いまのテンポでいけば二十年以上かかるということが言われておるわけでございます。こういう状況で、これは裁判でも明確に断定をされたように不作為の違法行為というのが解決の道を進んでいるんではなくて、ますますそれが拡大をされていっているというのが今日の姿でございます。  今回のこの臨時措置法については、本来ならば二十年以上も待ち望んでいる患者さんたちでございますから、法的措置をして何とか早くやってくれということでその法律案が審議をされるということが患者に喜ばれ、待ち望まれておるということであれば、これは私ども非常に結構だと思うのでございますが、今回は残念ながら被害者の皆さん方はこれは全く患者の切り捨てでチッソ救済だということで非常に大きく反対の御意見が上がってきている、こういう状況になっておるわけでございます。  そこで、まず最初に長官に聞きたいと思うんですが、法的にも不作為の違法だということを断定をされているわけですね。ですから当然この責めというのは環境庁長官が負わねばならないわけですが、今回の立法に関してその責めを負って法案を提出されたというのなら、またちょっと話はわかるんですが、その責めをみずから負うのではなくて、議員立法という形で提案をされてきているというのは非常に不可解でございます。その点で私は、長官は明らかに問われている責任を明確にするという点では無責任きわまりないというふうに思うわけでございますが、まずその点について長官の御見解をお聞きをしておきたい。
  243. 山田久就

    国務大臣山田久就君) われわれといたしましてはこの認定業務の促進、これを図るということがわれわれの大きな責任の一つである、こういう自覚に立っております。したがいまして今回の措置によりまして認定の面を広げるというこの目標を目指しまして、ただこれを本来ならばわれわれの政府の提案としても考えていって差し支えない、こういうわれわれは認識に立っておりますけれども、全般の情勢から言いまして議員提案という形をとることが、少なくともこの臨時国会において成立を期するならば、むしろそれを達する有効な手段であろうというような判断に立ちまして、党の皆様方の措置に対して、これに側面から協力するというたてまえで目的の達成を図っている、こういうふうに御理解いただきたいと思います。
  244. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 私時間がありませんから、これでちょうちょうやってられないんですけれども、本来長官の責務が不作為の違法だということを断定されているわけですから、その責めにこたえるという立場であれば当然みずからその解決のために必要な手だてを講ずるというのが当然だと思うので、諸般の事情か何か知りませんけれども、議員立法としてやっていきたいので側面的援助などと言える立場ではなかろうということは重ねて申し上げておきます。  もう一つこれは長官に伺いたいと思いますけれども、かねてから熊本県当局から再々にわたって要請がされてきておりました。熊本県だけではどうにも認定業務を促進させられない、何とかして政府でも手助けをしてくださいということは再三にわたって言われてきている。ところが、そういった熊本県の要請に対して、国からは明確に昨年七月一日付のこれは事務次官の熊本県知事あての回答という形でこういうふうに言われているんですね。  これによりますと、その環境庁の回答によりますと「国が直接認定業務を行うことについて」という点ですが、「その認定業務が地域住民の福祉に深くかかわるものであることから、住民と身近な立場にある地方公共団体の長の行うものとして制度が組み立てられているものである。水俣病に係る認定業務については、さらに認定申請者の大半が県内在住者であること、水俣病に関する専門家が主として現地に集中していること等の実態をも考慮すると、国が直接これを行うことは適当なものとは考え難い。」、さらに「国の上級審査機関の設置について」という項でも「国が審査機関を設置して自ら認定業務を行うことが適当でないことは、1に述べたとおりであるが、このことは特定の事例に限定した場合であっても同様であると考える。」、こういう御回答がなされているわけでございます。実に明確なんですね、昨年の七月の御回答は。  これはことしの三月、水俣病被害者との交渉の中でも同様のことを明確に言っておられるわけですね。で、むしろ国でつくるんではなしに現地で二班制のことについては検討していきたいというところまで話があったというふうに私ども承知いたしております。  そこで、昨年の七月に明確にそのようにお答えになり、ことしの五月にはまだその方針を堅持しておられた環境庁が、今回の臨時措置法の案によりますと、その方針が全部変わって国に臨時審査会を置くということになるわけですが、これ全く従来の環境庁の方針と全然違うんですね。これはまあくるくる変わる環境庁という印象をきょうは朝からの審議の中では痛感をいたしましたが、これもそういうふうにくるくる変わったのかどうか知りませんが、大体全く違うことが今度やられようとしているわけですが、大体いつどんな理由でこれは変わったんですか。これは衆議院でも質疑の中では聞いているわけですけれども、明確に答えられてない。だからその辺ははっきりしておいてほしいんです。  これはわが党の東中議員も追及したはずですよ。おかしいんですよ。理解しにくい。さっき小平先生も言うておられたでしょう。ついこの間七月に言うたことときょうの答弁とはまた違う、理解できないじゃないかと言って、すったもんだ起こったんですよ。同じことなんだ、やっぱり。全く違うことを、自分ではそういうことはできないんだと言うて回答をしていたことを、みずからできないと言うていたことを今度はやると言うんでしょう。これは全くこうですよ。手の平、裏と表と変わるほど違うんです。だからそういうふうに全く違うことが今度はやられようとしておるということは、これは一体その御見解というのはいつどういう理由で変わったのか、それ簡潔に明確にしてください。
  245. 上村一

    ○政府委員(上村一君) 去年の七月、いま御指摘になりましたように熊本県知事が機関委任事務を返上するというふうなことを言ってまいりました場合に、先ほど挙げましたような理由で「国が直接これを行うことは適当なものとは考え難い。」――できないとは申しておりません。「適当なものとは考え難い。」というふうに答えたわけでございます。  それで、去年の七月以来患者の認定の促進を進めてまいったわけでございますが、先ほど来各委員からも御指摘になっておりますように、なかなかはかどらない。いわゆる保留、滞留といいますか、そういう状況である。そこで熊本県側から国も片棒を担いでくれというふうな話があったわけでございます。  大原則は去年の七月と変わりないわけでございますけれども、今回の臨時措置法案を拝見いたしますと、旧法の患者に限られているということ、それから臨時措置法の名のとおりに一定の年数を限ってのことでございますので、むしろこの際大事なことは患者の認定業務を促進することであるという点に一番大きなウエートを置きまして協力をするということにしたわけでございます。ひたすら患者さんの救済のためというふうにお考えいただきたいと思います。
  246. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 いつ変わったんですか。
  247. 上村一

    ○政府委員(上村一君) ことしの六月二十日の閣議了解で、「旧法時の申請者でいまだ知事の処分が行われていない者は環境庁長官に認定処分を求めることができることとする立法措置が円滑に行われるよう、政府としても所要の準備を行う。」というふうにされましたのがことしの六月二十日でございます。
  248. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 そうすると、さっき局長が答弁の中で言っていた旧法に基づく云々の問題の点は、去年の七月のあなたの方の回答では「特定の事例に限定した場合であっても同様であると考える。」ということで、「特定の事例」というのは恐らく旧法の問題を指しているんではないかと思いますけれどもね。そういうことなので、結局変わったというのは六月二十日の閣議了解で変わったということになるわけですね。  そうしますと、この六月二十日の閣議了解では「認定業務の促進」、それから「チッソ株式会社に対する金融支援措置」というのが一、二と並んでおるんですが、それでその「認定業務の促進」というところで「環境庁から関係知事及び市長へ認定業務の促進に係る通知を発する。」と、一が。二は「旧法時の申請者で」云々ということで「立法措置が円滑に行われるよう、政府としても所要の準備を行う。」と。だから閣議了解で決定をされた認定業務に関する中身では「認定業務の促進に係る通知」を出すということと、そして旧法の処分について「所要の準備を行う。」と、こう二つになっているんですな。ですから、そうするところの従来環境庁が言うておった態度が変わったというのは六月二十日の閣議了解で変わったということですな、いまの御答弁。  で、次官通達、いわゆる新次官通知というて問題になりましたけれども、全く同じものなら撤回したらいいと思っていたけれども、撤回をしない理由は閣議了解で新たに「認定促進に係る通知」を出すと言うて決められたものであるから撤回できないということですか。
  249. 上村一

    ○政府委員(上村一君) まずいつ決まったのかと言われましたので閣議了解の日付を申し上げたわけでございますが、当然その役所内部の事務の進め方としましては、閣議了解に至るまでにその前相当の時間があるわけでございます。そういう時間をかけて審議して六月二十日にそういうふうな了解になったということでございます。  先ほど御質問の中にございました「特定の事例に限定した場合であっても同様」だというふうなお話がございますが、これは国が上級審査機関を設ける場合のことでございまして、今回の臨時措置法というのは国の審査会と県の審査会というものは並列的なものでございます。したがってその去年七月の「特定の事例に限定した場合であっても同様」ということはこの際は当てはまらないというふうに思うわけでございます。  それから、ことしの七月の事務次官通知について閣議了解があるから撤回しないのかというふうなお話でございますが、そうじゃございませんで、そういった次官通知を出すべくその準備をしておりましたので、閣議了解にその趣旨も明記したということもございますし、同時に先ほど来お答えがございますように、ことし七月の事務次官通知というのは四十六年の事務次官通知の趣旨と変わりがない、したがいまして昭和四十六年の事務次官通知で認定さるべきものはその新しい事務次官通知でも認定されるということにおいて変わりはございませんので、特にその撤回をする必要はないというふうに考えるわけでございます。
  250. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 ちょっと撤回の話は別にしまして、閣議了解の中に「認定業務の促進に係る通知を発する。」ということがあって出たんだということは事実ですよね。それははっきりしておきましょう。書いてあるんやから、そない言うて、閣議了解に。新次官通知ですよ。
  251. 上村一

    ○政府委員(上村一君) 閣議了解にありますその認定業務促進の一環として、いま御指摘になりましたような「認定業務の促進に係る通知を発する。」、そのとおりでございます。
  252. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 それで、朝から大分この新次官通知なるものが論議をされてまいりました。朝からの論議を聞きましても、またこういうことでございますという見解を午後の冒頭に出されましたが、若干この辺は私どもも理解に苦しむ点が多々ありますので、幾つかの点だけをはっきりしておきたいと思います。  その一つは、すでに論議になっておりますように、四十六年の次官通知にはいわゆる「否定し得ない場合」、または病状の軽重の問題でなくというふうに書かれているんですね。これは項目言いましょうか。で、新通知では「蓋然性が高い」ということになっているんですね。「蓋然性が高い」ということが基準になっているわけですね。これがいろいろと質疑の中で丸められて、結局四十六年の次官通知によって認定される患者は当然この通知においても認定されることになりますということで、まとめて見解を発表をされたわけですね、先ほど。  私は新次官通知というのが、被害者の皆さん方から非常にこういうものを撤回しろ、これは患者切り捨てだということが言われているという中で出てきた、そしてそれは生きているという点ではやはり言葉だけではだめだと思うんですよ。なぜ切り捨てだというふうに言われているかという点もあわせてこれはつかまないと、この新次官通知というのは、いや言葉では四十六年と一緒でございますとか、いや蓋然性の理解はどうでございましてというようなことになるわけですよね、繰り返しませんけれども。「蓋然性が高い」といったら私ども常識的には確率が高いという程度の概念を持ちますよね。「否定し得ない場合」ということと確率が高いということが一緒だというふうに言われると、これは日本語というのは非常に微妙なニュアンスを持っておりますけれども、同一だというふうには理解しがたい。そのことをまとめて、いや四十六年の次官通知によって認定されるという患者は当然この通知によって認定されることになりますというふうに丸められた。  それからもう一つは、四十六年の水俣症状の中のいずれかの一つでもあれば認めよということですね。いずれか一つでもということと、新通知では最低二つ以上となっている。これはやっぱり違うと思うんですよ。――三点ちょっと言いますね。そういう問題。  それから四十六年通知では、水俣病の判断というのは疫学を重視するという点が明記されているんですね。新通知ではこれはその文言というのは出ていないわけですね。  こうなりますと、しかしそれは丸めて一緒なんだというふうにおっしゃる。ところが患者さんの方が切り捨てのための通知だということをおっしゃる。非常に違いがあるわけです。それは不安がっておるからそういうふうに言っているんだということではないという、現実は一体どうなのかということと無関係ではないと思う。  といいますのは、たとえば「蓋然性」の問題に該当すると思いますけれども、五〇%以上の可能性、確率があるということが蓋然性だという話が出ていましたね。それは違わないでしょう、そのとおりでしょう。その五〇%などという数値というのは、私は非常に問題だということを先ほどもちょっと申し上げておったのですが、雑談でも。  なぜ問題かというと、たとえば二つの症状を持っている方で一つの症状、しびれ感、知覚障害がたとえば九〇%明らかだ、ところが運動失調は三〇%程度しか出ていないという場合はこれは一体どうするのか。こんな場合どんなふうに判断するのか。五〇%以上の確かさがあるということを蓋然性というんだというような論議というのは非常に具体性を欠くと思うんですが、それはどうですか。
  253. 本田正

    ○政府委員(本田正君) 私が蓋然性を説明しますと、どうもなかなか説明が下手で、まことに申しわけございませんが、蓋然性というのは一つ一つの症状について今回の次官通知で言っているんじゃなしに、全体の各症候の組み合わせ、それから暴露歴、それをあわせて判断して蓋然性が高い低いを判断する、こういうことに相なるわけでございます。  たとえばいま例に出されました手がしびれているというだけではその蓋然性が高いも低いもこれはないと思います。ただそのしびれ方が先の方からしびれるか、手前からしびれていくかによって、水俣病の場合は手足のしびれは先からが多いということがわかっておりますので、しかも両側性であるとなりますと、それに暴露歴というものが合わさって、そして蓋然性が初めて出てくる。それだけでは蓋然性は低いわけでございます。それにさらにたとえば歩行障害とかあるいは求心性の視野狭窄、そういったものが重なりますならば蓋然性はうんと高くなるわけです。もちろん暴露歴もあわせて見た場合。さりとて胃が痛いとか、頭が痛いとかという症状がそれに加わったからといって蓋然性は高くならない。  しからば蓋然性というのはだれが一体どうやって判断するのかといいますと、判断条件、それから事務次官通知で示しておりますように高度の学識と豊富な経験のある方々が判断するんだ、こういうふうに相なるわけでございます。
  254. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 いろんな実例はたくさんありますが、たとえば蓋然性というふうなことを言われて、実際に現地の患者がどういうふうになっているかという点、新通知が出てきてからどういうふうになってきているか、それが一つは問題点なんです。  たとえばこういう例もあるでしょう。手足のしびれ、この症状を全部ばらばらにして何かで説明できたら水俣病でないという判断が下されつつある。幾つかそういう例がありますが、たとえば手足がしびれている。これは変形性脊椎症で説明がつく。ところが口の回りのしびれ、これは変形性脊椎症では説明がつかない。しかしこの人は棄却されている。こういう問題が起こる。とにかく手足のしびれだったら変形性脊椎症で説明ができるということで除外されている。  視野狭窄だって、老人性白内障があるから、これは老人性白内障で説明がつくということで棄却されている人があります。しかしこれは眼科の専門医がすでにこれは公開の席上で明らかにしている点を挙げるならば、第二次訴訟の証言の中で渥美先生という眼科の専門医の方は白内障では視野狭窄はこない、これは医者仲間では常識だと思いますがね。しかし公式にはそういうふうに言明されている。あるいは難聴が伴うという場合に、その難聴は老人性難聴としてあるいは騒音性難聴として理解できるというかっこうになってきておるわけですね。  こういう状況ですから、蓋然性というようなことで、言葉の中では、言葉では意は変わりませんね変わりませんねとおっしゃるけれども、実際にはそういう形になって棄却処分の人が非常に多いわけです。だからこういう中で蓋然性などと言うて四十六年当時の通知とははるかに後退するかっこうの通知が出される、しかも閣議了解の中で決定をされた通知という形で出されるということは、明確にこれは切り捨てを意図しているものだということを患者さんは受け取らざるを得ないわけです。  これは私ども独断で言っているんじゃないんですよ。たとえば新潟大の椿教授が、新潟でしたかね、これは新潟の県議会でも発言をして、答弁をしておられますけれども、これはいままでは行政が疑わしきは救済せよと言われていた、だからそういうふうにしてきたけれども、これには医学的に見るといろいろ問題がある、だからいまではそうはやっていないというふうに言っておられるわけですね。  ですから、そういう点では言葉のやりとりではいや違いません、全く同じでございますというふうに言っておられますけれども、具体的に出ている現象を見ますと、他の疾病で説明のつくということで一つずつ症状をばらばらにして総合的に判断するというふうにされないで棄却をされている方々というのはたくさん出ている。だからこそ今度の新通知というものについて非常に大きな危惧を抱いておられるわけですね。  この辺のところを、これはたとえばさっきも午前中やられましたけれども、四十六年のときに並べられている症状のうちいずれか一つ、いずれかという形の表現、それと新通知あるいは判断条件ですか、あれによると二つ以上というふうになっておるという場合には、これはやはりこの私出しておる問題点で、総合的にとらえないと、いずれか一つではわかりませんという説明を午前中しておられましたよ、部長ね。しかしそれは疫学的な生活史的な状況を把握し、そうして軽重ではなくて疑わしきはということでの「否定し得ない場合」ですね。そういう状況というものがあれば、そういうバックグラウンドがある人であれば、これはいずれかの症状が明確であればこんなものは認めるのは当然だと思うんです。それをわざわざ二つ以上というふうに書くということは、同じだと幾ら言われてもこんなもの、あんた、詭弁だとしか思えませんよ、その点は。明らかに表現も事実も違っているわけですからね。その辺どうですか。
  255. 本田正

    ○政府委員(本田正君) それほどにやはり水俣病の症候の組み合わせというのはむずかしいかと存じます。それで先ほども申し上げましたように、水俣病に関します基準、いわゆる医学的な基準というのができないのはそこに実はあるわけだと聞き及んでおります。  そこで、四十六年の通知の第1の(2)に、先ほど御指摘になりました一つ一つの症候について他に原因があるんじゃないかということに関連いたしまして、第1の(2)にこういうことが書いてございます。「いずれかの症状がある場合において、当該症状のすべてが明らかに他の原因によるものであると認められる場合には水俣病の範囲に含まないが、」と、「含まないが、」と。これは四十六年通知からももちろん医学的にはそうでございます。しかしながら疫学的な条件がこれに加わったときには、その疫学条件を加味して総合的に判断して決めるということが、これ四十六年の通知でもそうなっているわけです。  いま今回の通知におきましても疫学のところは書いてないというような御指摘でございますけれども、今回の通知の「記」のところの2の「後天性水俣病の判断について」という中に「後天性水俣病の判断条件について」と言って、この中には書いておりませんけれども、」判断条件にのっとり」これをやるということなんで、のっとる以上は判断条件が出てくるわけです。その判断条件の中に疫学的事項がきわめて詳しく、四十六年よりも詳しく書いてございます。  たとえば体内の有機水銀濃度、汚染時の頭髪とか血液、尿、腰帯などにおける濃度、さらには有機水銀に汚染された魚介類の摂取状況、たとえば種類とか量とか摂取の時期。さらには患者の居住歴ですね。それから家族歴、職業歴、発病の時期及び経過、そういった疫学条件を加味して、そして先生おっしゃるように総合的に判断するということでございます。総合的に判断して、そして蓋然性が高い場合にはこれを認定する、こういうふうに相なっておりまして、四十六年の通知はそういう意味におきまして水俣病の範囲に関します基本的な考え方は変わりがないと申し上げているわけでございます。     ―――――――――――――
  256. 田中寿美子

    ○委員長(田中寿美子君) 委員の異動について御報告いたします。  本日、原文兵衛君及び三善信二君が委員を辞任され、その補欠として竹内潔君及び増岡康治君が選任されました。     ―――――――――――――
  257. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 これはるる説明をされ、あるいは文書でまとめられて全く一緒だということを盛んにおっしゃるわけで、しかし現実にはその危惧というのは患者さんの中に払拭されない。これは事実です。それは現実にそういう一つ一つの具体例があるから払拭されないんですから、全く同じなら私は撤回をするべきだと思うんです。これはどうですか。そうでなければまさに詭弁ですよ。言葉だけそう言うているけれども、やっていることは違うんだということになれば、これは違いますよ。だから言葉どおりやるんだということになるんなら、これはもう撤回するべきですよ。長官、どうですか。
  258. 山田久就

    ○国務大臣(山田久就君) この次官通知を出した理由ということについてはるる御説明申し上げました。従来の解釈の疑義のある点、それをはっきりさせる、あるいは参考にすべきという判断条件というもの、これをそれにのっとるということにしまして、したがって水俣病にあてはまるもの、それに該当するのは的確に水俣病というふうにこれを持っていく。第三の点についてはいろいろ議論があったという点ございまするけれども、この点については誤解を招く、つまりその点で切り捨てということを考えているんじゃないということを明確にしたわけでございまして、その一、二の点はそれなりの措置が、つまり認定を的確にし、促進する、こういう効果があるという判断でやっておりまするので、これについていま撤回というようなことは考えておりません。
  259. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 これは言葉だけではなしにそれに基づく裏づけがあるから不安が払拭されないんです。そこが問題なんです。最大の問題点は。だから患者の不安を取り除くために必要だということであれば、全く同じなら新たにつくる必要はもうさらさらないんですから。そうでしょう。  きょうの統一された御見解として発表されたのは、四十六年の次官通知によって認定される患者は当然この通知によっても認定されることになるというふうにまとめ上げているんですね。だから全く同じだということをまた違う表現でしておられるんですが、それなら撤回して不安を解消するべきだと言うんですよ。そこがはっきりしない限り、これは患者の不安というのは払拭されないですよ。  というのは、さっきたまたま質問の中で出たように、ことしの六月二十日の閣議了解の中でこの新次官通知とそして立法措置という形が出てきているわけですから、セットで出てきている。だから問題になっているんですよ。そのことが実際に現状を理解されて私どもの質問についてお答えをいただきませんと、すれ違いのような話ばかり聞いておってもしようがないんですよ。そこをはっきりしてほしいと思うんです。撤回する意思ありやなしやだけです。重ねて。
  260. 山田久就

    ○国務大臣(山田久就君) いろいろ疑義がある点、これを解くためにはさらに努力はいたします。しかしながら、申し上げましたように、水俣病の範囲についての疑義あるいは判断条件というものの適用、それを明確化するという点は、つまり前のあれを統一しまして、その点の前進があったというふうに考えております。  また、こういうふうにしたことについては、それぞれ判定に当たる実は地元の方の御意見等、いろいろこういう点も参酌して決めた、その結果においてそれなりの効果があると判断いたしておるわけでございまして、撤回という点は、はなはだ申しわけありませんけれども考えておりません。
  261. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 時間がありませんから法案提案者にお伺いをしたいんですが、まず最初に、この法案で水俣の被害者の救済ができる、促進できるというふうにお考えになっているんでしょうね。
  262. 福島譲二

    ○衆議院議員(福島譲二君) 従来であれば県だけでしか認定審査できなかったわけであります。患者さんの希望によっては国の方に門戸を開放した、いわばバイパスをつくったわけでありまして、そういう意味でいささかでも不作為違法の状態の改善に寄与することができると確信をいたしております。
  263. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 提案者は午前中から大変御熱心に審議に御参加をいただいておりますので、私どもの追及をした点もおわかりだと思いますけれども、この法案の運用というのは、問題になっております新次官通知とセットでやるんでしょうね。
  264. 福島譲二

    衆議院議員福島譲二君) これはもうあくまでも認定審査に係る特例でありまして、その患者さん方の申請の方式についての特例でありまして、新次官通達の意図する対象とは全然別個の形で問題の処理を考えておる法案でありますので、新次官通達について患者切り捨てその他の問題がきょうも終始議論になっておったわけでありますけれども、全く独立のものとして御理解をいただきたいと思います。
  265. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 それで、被害者の皆さん方はこの法案についての危惧の最大の点が新次官通知にあらわれている諸点だ、で、心配だということになっておりますよ。  せっかく水俣病の認定促進に寄与したいということで取り組んでおられるという立場であれば、私は提案者の自民党として新次官通達をひとつ撤回をさせるという措置をおとりいただけないか。そのことをちょっとお伺いしたいと思います。
  266. 福島譲二

    衆議院議員福島譲二君) 私どもあくまでも国も応分の協力をするという意味におきまして認定審査についての特例をお願いをいたした次第であります。新次官通達は今回の臨時措置法だけの問題でなく、また旧法新法全般に通じての考え方を環境庁としてお示しになったものでありまして、これはあくまでも行政庁の立場においてなされた措置でありますので、自民党としてその通達についての撤回を求めるということはいささか越権かと考える次第であります。
  267. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 そういう点で私は患者の最大の不安の問題というふうに指摘をして、そのことをお尋ねしたんですが、事柄の性格上セットでやらざるを得ないということでございますね。  引き続きお伺いをしたいんですが、臨時審査会を東京でつくるという点ですね。これは従来から水俣に関する専門医師というのはきわめて少ない、水俣病に関する専門的なしかも経験豊富な先生が限定されているということで、論議の中でも明らかにされたように、常駐医の確保さえもいまだにできていない。所長一人です。私どもはかねがねせめて五人の常駐医を確保しなさいと言って要請をしたのはきのうやおとといじゃないです。数年来要求をしている。要請をしている。いまだに片がつかない。  それで、環境庁に聞きたいんですよ。現地の二班制の認定審査会も、これは人が得られないからやれないんだ、やる気がないんだということを小平先生にはお答えになっておられる。環境庁、そういう長い経過を知っている私どもにとって、それでは従来からこういう困難であった諸問題、特に常駐医の確保、それから審査会のメンバーの確保、そういったことは、これは自民党提案の今度の臨時措置法ができたら一挙に解決できるのかどうか。私はこの点は非常に大きく疑問を感じております。法律ができなくても、いままで不作為の違法だとまで断定をされていても依然としてできなかった。臨時措置法ができたら一遍に片づくんですか。どうですか。
  268. 本田正

    政府委員(本田正君) 審査会のメンバーとそれから常駐医、これは検診をやる方々ですが、これは全然また別でございまして、審査会のメンバーは高度な学識と豊富な経験のある方が現に熊本県でも審査会のメンバー、そういう編成になっております。熊本県も従来から大変努力されたということは聞き及んでおりますけれども、なかなか現状そういったもう一つの審査会というのは成立しないということで苦慮なさっていると聞いております。  今度臨時審査会が国の方にできるということに相なりますれば、熊本県からそういった熊本県が集めにくいと言っておられる審査会の委員を引っこ抜いてくるということは、これは当地の認定業務に支障を来たすと思われますので、最小限にしなくちゃいけないと存じますが、全国的に見ますならば、鹿児島とか新潟とか、あるいはかつてそれぞれの県で審査に携わっていただいた先生方もあるわけでございます。かといってそうやすやすと全員お集まりいただけるというわけにはなかなかむずかしいだろうと思います。  しかしながら、私どもはできますならば、またできます以上は、鋭意お願い申し上げまして、そしてその方が機関に属される方であればその機関の長の承認さえも要るわけでございますから、なかなかむずかしいと思いますけれども、鋭意努力して、何とか全国的に御協力を得なくちゃいけない、こういうふうに思っております。  それからまた常駐医につきましては、これは耳鼻科とか眼科とか歯……
  269. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 そこはよろしいです。時間の関係がありますから。  それで、私は全国的な観点で熊本県に対してもっと政府として積極的に援助するべきだということは、これはもう何回も私本委員会でも要請していますよ。ところが、それがむずかしかったんでしょう。それで、政府の臨時審査会をつくったら、人が急にできるなどということは、本当にできるのだったら、なぜいままでそれじゃ熊本県に対して積極的な援助をしなかったか、その点が一つです。  すぐできるなどとおっしゃるけれども、あなたのところから去年の七月に熊本県に回答しているように、水俣病に対する学識と豊富な経験を有する先生というのは非常に少ないんだ、熊本以外には少ないんだということをあなたの方から言っておられるんですよ、回答書に、公文書に書いてある。それがなかなか得られない得られないと言っていて、今度東京でやったら得られるというたら、水俣病権威者で果たしてあるのかないのか。これは患者にとってはきわめて大きな不安です。もう長い経験を持つ権威者がお集まりになってもなかなか認定審査が困難な状況でしょう。それを経験がない人たち、十分な経験もないという方々で臨時審査会がやられるということになれば、これは切り捨てられるというおそれをだれだって被害者は感じますよ。  だから、その辺のところでは私はむしろ従来の努力が怠られていて、それで臨時措置法ができたからやりますねんというような話は、これは国民からいうたら信用できませんよ。その点どうですか。
  270. 本田正

    政府委員(本田正君) 過去におきましても、熊本県と相談しながら何とか熊本県に申請ができないかということで、熊本県中心に私ども鋭意努力したことは事実でございます。しかしながらそれは熊本という場所もあるかと存じます。で、なかなかできない。熊本県も一県の能力を超えるというようなことにもつながってくるわけでございますが、私どもは容易にこれが集められるとは、集まっていただけるとは私は臨時認定審査会の場合にも思っておりません。相当のやっぱり努力をせぬといかぬと思います。  しかしながら、できます場所が東京でありますし、たとえば研究者にとりましては東京で学会あるいは研究会等がある機会も多かろうと、そういう地の利もあろうかと思います。そういったことで、容易に全員集まっていただけるとは思いませんけれども、誠意を尽くして私どもは東京という地の利も申し上げまして御協力をいただくべく全力を挙げたいと存じております。
  271. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 東京だったら集められるけれども、熊本だったら地の利からいうて集められないと言うけど、大体東京から熊本まで飛行機で何時間かかりますか。ついせんだっても私行ってきたけど、あれ一時間三十分か三十五分で行けますよ、熊本空港へ。そんなことは理由にならぬ。東京で御協力いただけるような先生がおるんなら、なぜいままで熊本県に対してもっと積極的な協力環境庁はやらなかったか。  裁判で不作為の違法とまで断定をされていても、ようやらなかったんでしょうが。法律ができたら一遍にぺろりと人ができるなぞと言われたら、それはもう整理するため、カットするためにとにかく段取りをつけるということにしかならぬというふうに患者さんが理解をしたって無理はないですよ。信頼できないということになりますよ。そこなんです。問題は。  時間の都合がありますから、もう一つお聞きをしておきたいのは、これは修正案のところの不服審査会の不服申し立ての問題ですね。これは何とかして道を開こうということで御努力をいただいたということを承っておりますが、行政不服審査をすべき上級がないということで、異議申し立てというかっこうになるんですね。異議申し立てでさらに却下をされたら、これは不服審査請求の道はないわけですね。やっぱり不服審査請求の道というのが閉ざされているという点では変わりはないわけですね。この点はどうでしょう。  私は、何とかやっぱり患者さんたちというのは一遍審査の中でアウトになっても、いや、わしはそうなんじゃ、何とかきちんとしてもらいたいという願望を強く持っていますよね。だから当然異議申請はもちろんのこと、不服審査請求等幾つかの道が講ぜられているということは非常に大事だと思うんです。  たとえば最近私どもが耳にした例でも、鹿児島県の認定審査会で却下になった、それで公害不服審査会に審査請求をして、そしてそこでも却下になったというんですね。もう一遍今度鹿児島の審査会へ出したら、今度は認められた。こういうふうな事例さえ出ている。  こういうことから考えますと、やはり被害者は何段階かのそういう審査が受けられる道筋というものを強く期待していると思うんです。その点でちょっと御見解を伺っておきたいと思います。
  272. 島本虎三

    衆議院議員島本虎三君) 野党四党で修正案を出したうちの三番目に当たったのがいまの質問になるわけであります。  この六条として入れたんでありますけど、本法によるこの異議申し立て、これはやはり最終判断者である長官になるわけでありまして、そういうふうなことになりますから当然最上級官庁であって、そうなりますとこれはその効果は反省を求める程度以外にはないわけであって、これをいまおっしゃったように、他のいろいろな行政機関、たとえば行政不服審査を通じて不服審査会にこれを持ち出して、その意見を付して、そうしてはっきりいい結論を出して患者のために道を開こうとする、こういうふうな努力もいたしました。しかし現在の法体制の中でそれはできないということで、これは現行のこの体制の中では不可能だ、行政不服審査の根幹に触れるんだという法制当局の見解も表明されたわけであります。  しかしながら、やはりこの臨時審査会は上級審査会の立場になるということになればこれは困るのでありまして、したがってそのおそれを取り除きたいための道はないか、こういうようなことでいろいろ試行いたしました。その結果として、やはり法的に明確ではないけれどもそういうような趣旨を明確にさしてそれを尊重させる、こういうことも必要じゃないかと、こう思いまして、修正点第三点としてそれを入れたわけでありまして、「異議申立て審理をする場合においては、」「公害健康被害補償不服審査会の委員及び当該」「患者の主治の医師の鑑定を求め、」て、その結果「を尊重するよう」環境庁長官は「努めなければならない。」と。  これは義務規定ではないじゃないか、拘束しなければできないじゃないかと。もし山田長官がそんなのがあってもそんなこと知っちゃいないと言えば、これはやっても別にあれはないじゃないか、こういうふうなおそれがあるのであります。しかしながらやはり健全な常識を備えている長官であるならば、それを決してそでにするようなことはあってはならない、こう思って道を開くためにせめてこれをつけたのでありまして、私どもとしては、つくってしまえば法律はひとり歩きするものでありますから、その際の歯どめは、不十分ながらも歯どめはかけたと、こう思っているのでありまして、いまおっしゃるその線に近いようにして努力は全部したんであります。その一点だけがだめなんで共産党は提案者からおりた、こういうようなことでありまして、この苦衷をお察し願いたいと思うんであります。
  273. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 その御意向のところはよくわかっております。特にいまの項目のところで主治医の鑑定――「主治の医師であった者)の鑑定を求め、これを尊重するよう努めなければならない。」、これは私非常に大切な項目だと実は私も医者の一人として思うわけです。  ところが、これは大変大事な点なんですけれども、事水俣の場合には若干事情が違うんですね。といいますのは、いわゆる水俣市というのはチッソ王国ですよね。地域支配の特殊性というのが非常にやっぱり強い。そういう中で、ごく一部の民間の医師あるいは開業医の先生方で非常に熱意を持っている先生方もおられますけれども、民間医療機関の大部分はいまや水俣病の疑いという診断書を堂々と書けないというところまできているというのが実態のようでございます。  そういう点で、これは将来こうあらねばならないし、こういうことが非常に大事だと思うんですけれども、いま直ちにこの主治医の意見というものがどれだけプラスになるかなという点で少し心配の向きを感じているわけです。このことは御了承いただいてるんだと思いますけれども、その点ひとつお含みをいただきたいのと、その点について御意見があればごく簡単に伺いたいと思います。
  274. 島本虎三

    衆議院議員島本虎三君) これはやはり親と子のように、患者の場合は頼るのは主治医である、しかしそれもいろいろとそういうような人を鑑定から外すということは正確な鑑定をする上にもこれは困るのじゃないか。ことに一歩進めて公害健康被害補償不服審査会そのものに諮って決めるならばこれはいいんでありますけれども、あくまでもこれはもう行政不服審査会制度の根幹に触れるということで、これができないから、個々の人に対してぜひこれを入れなければならない。こう言ったのは先生と同様な立場にある医師の委員の人二人からの強力な発言によってこれは認められたのでありまして、若干意見が異るようでありますが医師の立場としてこれは重要だという認識の上に立ったものであります。
  275. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 そういうことで、提案者の説明等はもう一応結構なんですけれども、私はこの臨時措置法は一体何だろうかというふうに思うんですよ。何のためかわからないのですよ、大体。  というのは、一つはセットで出される新次官通達という問題は患者側が強く反対をしているし、国会の中で意思統一をしてもなかなか理解がいかぬようなわかりにくい問題だ。それが指針になって運営されるというふうな問題。それから臨時審査会の構成についても非常に大きく不安が感じられる。しかも不服審査請求の道も一応努力はされていただいたけれども、閉ざされている。こういうことになってきますと、これは一体何のためにつくったのかと思うんです。  大体この種の問題を解決していくためには行政と医療機関と、そうして患者本人とがお互いに信頼関係に立ってこそ本当に実効の上がる道筋というものができるわけでございますが、全く患者の方はこれは患者切り捨てだ、チッソ救済だということで信頼をしていないというふうな中で、これは何のためのものかわからないという点を強く感じます。  少なくとも私審議の中で申し上げたように、従来からわれわれが申し上げてきたように、臨時措置法をつくるというのではなくても、現行法の中でもこれは従来もっと環境庁が努力をしてきて検診センターに常駐医をきちんと五名置き、あるいは審査会を二班制にするように援助をし、いま一緒だ一緒だと言われておりますけれども、四十六年次官通知、これを厳守するという立場でやっていくならば、不作為の違法を解消していくというところに道は開けた。それをさぼっておったということが、今日このように大変な事態に来ていると思うわけです。  私は最後にひとつ長官に要請をしたいのですが、不作為の違法をやらかしたらその責めを負うためにも明確にやはり責任をとらなければならぬと思うんですよ。そのためにはせめて未処分状態で凍結されている請求者、これに対して緊急救済対策を打つべきだと思うんです。  その一点は、請求者に対しては全額医療費の一部負担金、これを公費で負担をする。申請をして一年以上の患者さんについては、これは医療費は当然のこと、生活費の補給としてでも、これは公害健康被害補償法に基づく補償費、補償給付、この程度のことは政府の責任でやるべきだと思うんです。その点をあわせて要請をしたいのですが、長官、最後に一言。
  276. 山田久就

    ○国務大臣(山田久就君) 認定業務の促進のことについて全力を尽くさなければならない、そのためには法の窓口を開き、その他のことでとにかく努力しなければいかぬというつもりでやっておるわけでございます。いま御指摘になりましたような点、これは私は患者の立場というようなことを考えていろいろ考慮されなければならない問題を含んでおると思います。他のいろいろかかわり合いを持つ点も多いことでございます。全般としていろいろ考えさしていただきたいと思います。
  277. 柳澤錬造

    ○柳澤錬造君 時間が大分遅くなりまして、私の持ち時間使っていると後の本会議に差しさわりますので、二つだけにしておきます。  環境保健部長の方に最初に一つお聞きするのですが、先ほどからいろいろ問題になっている七月三日付の事務次官通知、あれをお出しになりました後、具体的にどういう点で効果があらわれたのかということをお聞きをしたいのです。第一に。
  278. 本田正

    ○政府委員(本田正君) これを出したのは七月でございます。で、八月、九月と二カ月たっているわけでございますが、この通知の主な――主なと申しますか、重要な事、項の一つに判断条件、先ほどからもお答え申し上げているのでありますが、去年の七月に出した「後天性水俣病の判断条件について」というのがございます。こういったものを今回の通知に盛り込んだわけでございまして、これを通知の後どういうふうに変化したかということについてはまだ日が浅うございますので、変化はこの通知以降はまだ見るところまで至っていないと存じております。
  279. 柳澤錬造

    ○柳澤錬造君 次に、じゃ環境庁長官の方にお聞きしてまいります。  きょうここでもって議論をされたようなことは七月六日の本委員会で議論をしてきたんですね、次官通知をめぐって。私はこれきのう議事録も全部読んだんです。そして端的に言いたいことは、きょうここでもってこういうふうな提案が出てくるということならば、何であの七月六日の特別委員会であれだけ皆さん方から出された議論のときに、環境庁としてはこう考えています。こういうことをやりたいんですということを言われなかったのかと思うんです。  私はいろいろ不十分さがあっても自民党サイドの方からこういうかっこうで提案があって、一歩でも二歩でも前進をして、それで水俣病の患者の人たちが少しでも救済が進むというならば、そういう点を評価をしてこの提案には賛成をしてまいりたいと思うんです。しかしながら環境庁自体としてはその辺のところをよく私は特に長官お考えをいただきたいと思うんです。  で、この参議院の特別委員会でいろいろと疑問というか、不信を出されておったのは、衆議院の方でも昨日のこの法案を採択するに当たって附帯決議をしているわけなんです。――長官聞いておいてください。それでこの衆議院ですらも附帯決議をした八番目に、「昭和五十三年七月三日付環境事務次官通知「水俣病の認定に係る業務の促進について」のうち、4、処分にあたって留意すべき事項中(2)の「所要の処分を行うこと」の対象となる者に対しては、法の救済の精神を尊重し、単なる患者の切捨てにならないよう今後とも配慮の手段を見い出すべく努力すること。」と附帯決議をつけられている。言うなら、この附帯決議というものは環境庁皆さん方が衆議院の特別委員会から不信任といってはいかぬけれども、おまえらの言っていることは信用ならぬということが決議として織り込まれたことなんです。  ですから、そういう点で先ほどから言っているように一歩でも二歩でも前進していくんですから、そういう点についての評価もしてこれに賛成はしたいと思いますけれども、この法律ができ上がって、先ほども法律ができ上がったら一人歩きすると言っているんですけれども、そういう言葉も私提案のサイドとして不用意にお使いにならない方がいいと思う。  ですから少なくともでき上がったらこれは環境庁担当するのですから、長官がこれを公正に扱っていって、それで本当にいろいろこの委員会でもって論議をされ提起をされたようなことについて認定業務を促進し、そして前向きにいい成果が上がるようにやりますという、そういう点について最後の締めくくりでもってそういう決意のほどをお聞きをして私は終わりたいと思います。
  280. 山田久就

    ○国務大臣(山田久就君) ただいまの柳澤委員の御指摘の点、ありがたく拝聴いたしておった次第でございます。  目的は患者を救済し、そしてまた当然水俣病である患者の中に判定漏れがない、そして認定業務の促進にとにかく少しでも寄与するというその目的を達する上において遺憾のなきを期するというところにございます。したがいまして本委員会におきましていろいろ御指摘、御教示にあずかりましたような点、十分これを踏まえてわれわれとしては目的達成のために十分努力してまいりたい、またやらねばならぬという決意を申し上げまして御了承を得たいと思います。
  281. 柳澤錬造

    ○柳澤錬造君 終わります。     ―――――――――――――
  282. 田中寿美子

    ○委員長(田中寿美子君) 委員の異動について御報告いたします。  本日、藤井丙午君が委員を辞任され、その補欠として熊谷弘君が選任されました。     ―――――――――――――
  283. 田中寿美子

    ○委員長(田中寿美子君) ほかに御発言もなければ、本案に対する質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  284. 田中寿美子

    ○委員長(田中寿美子君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより本案の討論に入ります。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べを願います。
  285. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 私は、日本共産党を代表して、自民党提出、衆議院送付の水俣病の認定業務の促進に関する臨時措置法案に対して反対の討論を行います。  本法案は、県が実施する認定審査と並行して、国においても認定審査を行おうとするものでありますが、これは認定促進に名をかりた患者切り捨て促進策であるということは明らかであります。  その理由の第一は、従来環境庁が認定業務の促進は現行制度の枠内で実施すると言明していた基本方針を覆して出されたことによります。すなわち、環境庁は昨年七月一日の熊本県知事への回答の中で、住民と身近な立場にある地方公共団体の長の行うものとして制度が組み立てられている、認定申請者の大半が県内在住者である、水俣病に関する専門家が主として現地に集中していることなどの実態から、国が直接これを行うことは適当なものとは考えがたいとはっきり述べており、またことし五月の被害者との話し合いにおいても現行制度で行うことを重ねて約束をいたしております。環境庁のこの基本方針は、六月十六日の水俣病関係閣僚会議、六月二十日の閣議了解を境にして大幅に変更され、国に臨時認定審査会を設置することを基本とした今回の自民党提案に至ったものでありまして、これは断じて認めがたいのであります。  第二は、この法案が新事務次官通知と一体のものとして提出されていることによります。ことし七月三日に出された新事務次官通知は、昭和四十六年八月七日の事務次官通知と比べて明らかに異なるものであります。すなわち、その一つは、水俣病の判断に病状の軽重は関係がない、あるいは疑わしきはということを事実上否定して、蓋然性の高いものに限定をしたこと。二つ目は、いずれか一つでも症状のあるものは認めると明記されているものを二つ以上の症状の組み合わせとしたことなどであります。したがって新事務次官通知は前の事務次官通知と比べて明らかに大幅に後退であり、水俣病の範囲をきわめて狭いものに限定してきております。  環境庁は新通知と旧通知は同じであるなどと盛んに言っておられますが、こういう欺瞞に満ちた答弁を繰り返しておるようではありますが、このように重大な問題点を持つ新事務次官通知が撤回されない限り、これとセットになっている自民党提出法案が決して真の被害者救済とはなり得ず、認定促進に名をかりた患者切り捨てとなることはもう明らかであります。  第三は、本法案による限り依然として行政不服審査の道が閉ざされていることであります。すなわち、本法案においては環境庁長官が棄却の処分を行った場合、原処分庁たる環境庁長官に対して異議申し立てを行い、これが却下された後には行政不服審査の道が完全に閉ざされていることは明白であります。衆議院における社会党などわが党を除く他の野党の共同修正案は、異議申し立てに当たって環境庁長官は公害健康被害補償不服審査会の委員及び主治医の医師の意見を尊重するよう努めるとの努力規定を入れることになっておりますが、この一部修正によってもなお異議申し立て棄却後の行政不服審査請求の道が閉ざされていることは変わりはないものであります。  以上の理由によって、本法案が一層の患者切り捨てに道を開く危険性を持っていることは明らかです。  真の認定促進、患者救済の道というのは、新事務次官通知を撤回し、現在の認定基準を事実上失われている旧事務次官通知の趣旨に沿ったものとするとともに、自治体の常駐検診医の確保、それから審査会の二班制を行うことなどのこと以外に道はありません。問題は政府がこれらの施策を実際にやる意思があるかどうがということにかかっているのです。  自民党は臨時措置法を成立させなければチッソ救済の県債発行ができないなどという主張などもしておられるようですが、本来これは全く異質の問題であり、熊本県知事も県議会で確認しているところであります。にもかかわらず、ことさらにこれを強調することは、県債発行によるチッソ救済と患者切り捨てで二重にチッソを喜ばせるような結果になると思います。  水俣病公式発見以来二十二年、いまなお悲惨な被害に苦しみ続けている患者の切実な願いを踏みにじり、あまつさえ患者不在のままで患者切り捨て策を強行しようとすることに対しては、私は心からの怒りを禁じ得ないものであります。このことを表明いたしまして反対討論を終わります。
  286. 田中寿美子

    ○委員長(田中寿美子君) ほかに御意見もないようでございますので、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  287. 田中寿美子

    ○委員長(田中寿美子君) 御異議ないと認めます。  それではこれより採決に入ります。  水俣病の認定業務の促進に関する臨時措置法案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  288. 田中寿美子

    ○委員長(田中寿美子君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  坂倉君から発言を求められておりますので、これを許します。坂倉君。
  289. 坂倉藤吾

    ○坂倉藤吾君 私は、ただいま可決されました水俣病の認定業務の促進に関する臨時措置法案に対し、自由民主党・自由国民会議、日本社会党、公明党、民社党各派共同提案による附帯決議案を提出をいたします。  案文を朗読いたします。    水俣病の認定業務の促進に関する臨時措置法案に対する附帯決議(案)   政府は、次の事項について適切な措置を講ずべきである。  一、認定業務の不作為違法状態を速やかに解消する措置を講ずるとともに、認定業務に関し法の救済の精神を尊重して、患者との信頼回復に努めること。  二、国及び地方公共団体は、水俣病の検診業務に従事する常駐医を拡充強化するとともに、認定業務の促進のために施設充実等諸般の施策を講ずること。  三、認定業務については、各県、市認定審査会、当該地方公共団体の長、患者代表の意見を十分に聴取し、今後とも一層改善に努めること。  四、臨時審査会は、県、市の認定審査会と並列的なものであり、従つて、そのような趣旨の運営を図るとともに、委員の任命にあたつては、患者の声を汲みとる等その信頼を得るよう十分に配慮すること。  五、本法の異議申立てについて、環境庁長官は、不服審査会委員及び主治医の意見を十分尊重すること。  六、昭和五十三年七月三日付環境事務次官通知「水俣病の認定に係る業務の促進について」のうち4、処分にあたつて留意すべき事項中(2)の取扱いについては、患者の切捨てにならないよう資料を十分に集めるとともに、患者の生活史、疫学面も重視する等万全の策を講ずること。  七、水俣病の医学的病像、治療法等今なお未解明の部分が少なくないことにかんがみ、国立水俣病研究センターの治療研究体制の充実強化に努めること。   右決議する。  以上でありますが、委員各位の御賛同をお願いいたします。
  290. 田中寿美子

    ○委員長(田中寿美子君) ただいま坂倉君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  291. 田中寿美子

    ○委員長(田中寿美子君) 全会一致と認めます。よって、坂倉君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し山田環境庁長官から発言を求められておりますので、この際、これを許します。山田長官。
  292. 山田久就

    ○国務大臣(山田久就君) ただいまの御決議につきましては、その趣旨を体しまして努力いたします。
  293. 田中寿美子

    ○委員長(田中寿美子君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  294. 田中寿美子

    ○委員長(田中寿美子君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ―――――――――――――
  295. 田中寿美子

    ○委員長(田中寿美子君) 次に、請願の審査を行います。第一〇三三号二酸化窒素(NO2)に係る新環境基準の撤回等に関する請願外三十三件の請願を議題といたします。  本国会中、本委員会に付託されました請願は、お手元に配付の付託請願一覧表のとおりでございます。  理事会で協議の結果、第一〇三三号二酸化窒素(NO2)に係る新環境基準の撤回等に関する請願外三十三件は保留とすることに決定いたしました。  理事会のとおり決定することに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  296. 田中寿美子

    ○委員長(田中寿美子君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ―――――――――――――
  297. 田中寿美子

    ○委員長(田中寿美子君) 次に、継続調査要求に関する件についてお諮りいたします。  公害及び環境保全対策樹立に関する調査につきましては、閉会中もなお調査を継続することとし、本件の継続調査要求書を議長に提出したいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  298. 田中寿美子

    ○委員長(田中寿美子君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  なお、要求書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  299. 田中寿美子

    ○委員長(田中寿美子君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時四十四分散会      ―――――・―――――