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1978-03-22 第84回国会 参議院 公害対策及び環境保全特別委員会 6号 公式Web版

  1. 昭和五十三年三月二十二日(水曜日)    午前十時二分開会     ―――――――――――――   出席者は左のとおり。     委員長         田中寿美子君     理 事                久次米健太郎君                 原 文兵衛君                 矢田部 理君                 小平 芳平君     委 員                 佐々木 満君                 田代由紀男君                 三善 信二君                 森下  泰君                 山内 一郎君                 粕谷 照美君                 坂倉 藤吾君                 広田 幸一君                 内田 善利君                 中野  明君                 沓脱タケ子君                 柳澤 錬造君    事務局側        常任委員会専門        員        今藤 省三君    参考人        日本下水道事業        団副理事長    久保  赳君        毛管浄化研究会        研究部長     新見  正君        自治労公営企業        評議会下水道部        会部会長     有元 章博君        東京大学工学部        助手       中西 準子君        国立公衆衛生院        衛生工学部長   南部よう一君     ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○参考人の出席要求に関する件 ○公害及び環境保全対策樹立に関する調査  (下水道問題に関する件) ○連合審査会に関する件     ―――――――――――――
  2. 田中寿美子

    ○委員長(田中寿美子君) ただいまから公害対策及び環境保全特別委員会を開会いたします。  参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。  お手元の参考人名簿にございます五名の方を、本日の委員会に参考人として出席を求め、下水道問題について御意見を聴取することに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 田中寿美子

    ○委員長(田中寿美子君) 御異議ないと認めます。  なお、手続等につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 田中寿美子

    ○委員長(田中寿美子君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ―――――――――――――
  5. 田中寿美子

    ○委員長(田中寿美子君) 本日は、委員会の運営上、参考人の皆さんには午前お二人、午後三人においでを願うことにいたしております。  この際、久保、新見の両参考人の方に一言ごあいさつ申し上げます。  本日は、御多忙中のところ、当委員会に御出席を賜りまして、まことにありがとうございました。  本日は、下水道問題につきましてそれぞれの御専門の立場から忌憚のない御意見をお伺いいたしまして、今後の当委員会の調査の参考にさせていただきたいと存じます。何とぞよろしくお願い申し上げます。  それでは、これより御意見をお述べいただきますが、あらかじめ議事の順序について申し上げます。  御意見をお述べ願う時間は、議事の都合上、お一人二十分から二十五分以内でお願いいたします。お述べ願う順序は、久保さん、新見さんの順でお願いいたします。  なお、参考人の方々の御意見の開陳が一応済みました後で、委員からお尋ね等がございましたら、お答えを願いたいと存じます。  それでは、公害及び環境保全対策樹立に関する調査中、下水道問題に関する件を議題とし、まず久保参考人から御意見をお述べ願います。久保参考人。
  6. 久保赳

    ○参考人(久保赳君) ただいま御紹介をいただきました久保でございます。  本日の、水質汚濁防止の観点からする下水処理の問題点というテーマは、きわめて範囲の広いものと考えます。したがいまして、その全般を詳細にわたって述べることは、限られた時間内では無理でありますので、問題点を次の点にしぼって私の意見を述べさせていただきたいと思います。  問題点の第一は、水質汚濁にかかわる環境基準と下水道整備計画との関係でございます。  第二は、果たして具体の下水道整備が水質汚濁防止に役立つかどうかの問題であります。  第三番目は、下水処理計画の問題点として考えられるもののうち、四つを挙げたいと思います。一つは下水処理と工場排水の問題であります。二つ目は三次処理の考え方の問題であります。三つ目は広域的下水処理の問題でございます。四つ目は、時間があれば申し上げたいと思いますが、下水処理場とその周辺の環境対策の問題についてであります。  それでは、第一の、水質汚濁にかかわる環境基準と下水道整備計画との関係でありますが、現行下水道法第一条にも明示されておりますように、下水道整備の目的は、都市の健全な発達及び公衆衛生の向上に寄与して、あわせて公共用水域の水質の保全に資するためと、こうありますので、現行の下水道整備計画もこの趣旨に沿って進行しているものと考えられるものであります。すなわち、水質環境基準が定められている公共水域に対しましては、都道府県がその達成を目途に流域別下水道整備総合計画を定めて、その計画に従って個別の事業計画であるところの流域下水道であるとかあるいは公共下水道事業が地方公共団体の手によって実施されるという制度になっておりますし、すでに現在進行中の総額七兆五千億円にわたる第四次下水道整備五カ年計画におきましても、環境基準の達成をするための、それを目途にした公害防止計画の地域や、さらに水質対策が重要である地域について、下水道事業に重点が置かれていると聞いているからであります。また、建設をされてでき上がった下水処理場からの排出基準は、下水道法及びその政令で定める技術上の基準に従っておりまして、いわゆる一般排水基準よりも厳しい基準となっております。したがいまして、下水道整備計画は公共用水域の水質環境基準の達成及びその維持について、きわめて重要な関係にあるわけであります。ただ、下水道施設のストックが現状では不足しているために、国全体から見まして、水質汚濁防止の観点から下水道整備の現状では満足すべき状態にあるとは言えないかと思います。  住民の生活には水が必ず必要でございます。都市生活にももちろん水は絶対に必要でありますので、上水道は都市部ではわが国でもほぼ普及をしております。その普及率は国の総人口に対して八八・六%、これは昭和五十二年度末の数字でございますが、八八・六%といいますので、ほぼ九〇%に達しようとしております。それに対しまして下水道の普及率は、同じく国の総人口に対して二四%であります。西欧諸国では上水道の普及率と下水道の普及率がほぼつり合っておるのが普通でございます。たとえば英国の下水道の普及率は、総人口に対して九四%、オランダは九〇%、アメリカは七一%と、わが国に比べて高い普及率を示しておりますが、これはそれぞれその国でそれらの普及率に見合う上水道が普及をしているわけでございます。あるいはそれよりも若干上回る普及率であるわけでありますが、ほぼつり合っておるわけであります。すなわち、上水道によって住民に必要な水が供給され、供給された後、使用後に下水となって出てくるわけでございますが、その下水となった水は、下水道によって始末をされていると、こういう形態になっておるわけであります。わが国の上水道の普及率が九割にも達しようとしているのに下水道の普及率が二四%と、かなりな差があるわけでございますが、その差は現実にたれ流しとなって公共用水域に水質上の影響を与えているということになるわけであります。  しかしながら、わが国の地方公共団体は現状では下水道整備に対してきわめて意欲的でありまして、全国の市町村数が三千二百五十七のうち、公共下水道に着手しているのは現在ではわずかに一八%、五百七十一でございますが、それらの公共団体の下水道整備に対する意欲はきわめて前向きでございます。と申しますのは、昭和五十三年度の予算が現在国会で審議中でございますが、その政府予算案の中で下水道対策にかなりな予算を振り向けたと聞いておりますが、それらの振り向けた、増額された予算案に対しましても、地方公共団体の要望はそれを上回るものがございまして、案に対して約六割程度しか充足されないと、かように聞いておるわけでございます。地方公共団体がこのようにきわめて意欲的に下水道整備をしようとしておりますので、下水道に対する予算の確保がなされることによって、下水道整備による水質環境基準の達成、維持も十分期待され得るのではないかと、かように思うわけでございます。  それから第二の問題は、果たして下水道整備が水質汚濁防止に役立つかどうか、こういう問題であります。この問題に対しましては、私はわが国の現状でも事実がこれを証明していると思うのであります。もともと公共下水道計画は、主として市街地の汚水を集めて処理をする事業であります。市街地の汚水は、原則としてすべて下水管に収容されまして、その地域から遮断をされて、市街地内を流れる河川に汚水がそのままの形では入らないと、こういう状態になるわけであります。したがいまして、下水道整備が進めば進むほど河川は清浄になるというのが物の道理であろうかと思います。その例として、仙台市の広瀬川や福岡市の市内河川を見ることができるかと思います。  仙台市の広瀬川は、かってアユが生息した清流河川として知られておったわけでございますが、家庭下水の流入によって汚濁が進行し、やがて魚も次第に姿を消したのであります。しかしながら、仙台市当局の下水道整備の努力が実って、昭和三十九年に南蒲生下水処理場の運転が開始をされまして、広瀬川への家庭排水の流入が閉鎖されまして、汚水の流入がなくなったわけであります。その結果、昭和三十八年当時の広瀬川の河川水のBODが一五ppmでございましたが、昭和四十八年には、環境基準値である三ppmまでBODが下がりまして、すでにアユやヤマメ等の魚もすめるように水質の回復がなされたのであります。  また、福岡市内の河川も、下水道整備以前の状態ではきわめて汚濁された河川でございまして、夏などには下水臭がすると、こういう状態になったわけでございますが、下水道整備の進行と同時に汚水の流入がなくなりまして、次第に河床にはきれいな砂が戻って、見違えるように回復されたのであります。  さらにまた、主として都市下水によって汚濁した河川、これはわが国にたくさんございますが、それが下水処理の進行によって次第にその水質が回復された例も多いのであります。  身近な例といたしましては、たとえば最近の報告では隅田川がございます。隅田川では、流域の下水道整備の進行によって、昭和四十六年当時と比較して、上流側に小台橋という橋がありますが、その付近ではBODが四十六年当時二二・三ppmでございましたが、昭和五十一年にはそれが九・八ppmというふうに下がっております。さらにまた、その下流側の両国橋付近では、BODが四十六年当時一四・三ppmでございましたが、五十一年では六・六ppmと、非常に水質が回復しております。このまま進めば水質環境基準の達成もあと一歩と、こういう状態になってきておるわけであります。  さらにまた多摩川でも、東京都及び川崎市の下水道整備の進行とともに、上流側の田園調布取り入れ口の取水ぜきの付近では、昭和四十七年当時のBODが一一ppmでありましたが、昭和五十一年には九・八、さらに下流の大師橋付近では、昭和三十八年当時が一九ppmのBODであったものが、昭和五十一年には四・二ppmと、大幅に改善されてきております。  また、西の方に参りまして、大阪府当局によって積極的に流域下水道事業が進められている寝屋川、神崎川、それから兵庫県との県境にある猪名川、それから安威川の各河川の水質も、下水道事業の進行と歩調を合わせたように水質が回復してきておるのであります。  また、阪神諸都市の上水道水源となっております淀川を見ますと、枚方大橋地点で昭和四十八年当時のBODが五・七ppmでございました。それが昭和五十一年には三・二ppmと、著しい水質改善がなされたわけでございますが、その間におきまして、上流側では京都市当局の下水道整備の努力がかなり進行したわけでございます。  これらの諸河川の汚濁源の大部分が都市下水であった状況から見ますと、下水道整備が公共用水域の水質汚濁防止に役立つことを事実が具体的に証明したと言えるのではないかと思うのであります。西欧諸国における水質汚濁防止対策の基本に下水処理場の強化策がとられているという現実や、たとえばロンドンの下水処理場の充実に伴ってテムズ川の水質改善が図られて、海のマスがロンドン地域のテムズ川に遡上してきたということが報ぜられましたが、これらの事実も下水処理がいかに公共用水域の水質改善に役立つかを証明しているものと思うのであります。  第三番目の問題といたしまして、下水処理計画の問題点の項に入りたいと思います。  問題点の項の一つ目でありますが、下水処理計画と工場排水の問題であります。家庭下水と工場排水とを混合して下水処理場で処理するという方法に対して反対をする議論があります。その論拠の主要点は、有機性の成分を中心とする家庭下水を、それを処理するために発達してきた活性汚泥法等の生物処理による下水処理技術に対して、多種多様な成分を持つ工場排水を合併すれば、本来処理できたはずの家庭下水の処理機能さえ不十分にしてしまうと、こういうことであります。またさらに、仮にそれらの工場排水成分が下水処理水から除かれて浄化できたとしても、その工場排水の成分が汚泥の方に移行して、下水汚泥の処理、処分に新たな問題を提起するので、最初から工場排水は家庭下水と分離して、工場排水と名のつくものは下水道には一切入れてはいけないと、こういう議論でございます。私は、この種の議論は、水質汚濁防止全体の体系を見て、部分を見て全体を見ないと、こういう極端な部分的な議論であろうかと思うのであります。  下水道施設の持つ役割りは、都市域全体から発生する汚濁総量をいかにして低減し、水質環境基準を達成するため最も合理的な方法を、社会全体として総体的に対応できる計画でなければならないと思うのであります。都市の市街地には、市民の生活があり、消費があり、生産があり、各種の活動があるわけでありまして、その過程で汚濁物質が市街地からその地域内に発生してくるわけであります。住宅もあれば商店もあり、飲食店もあり、病院があり、研究所があり、学校もあり、事業所があり、工場等がありまして都市の市街地を構成しておるわけでございまして、それらの市民活動から汚濁物質が出てくるわけであります。下水道はそれらすべてを対象として受け入れて処理する公共施設であります。工場から排出される汚水であるという理由だけで、頭から工場排水一般を公共下水道に受け入れるべきでないと、こういう考え方は、公共施設としての下水道施設のあり方からいっても妥当な考え方ではなく、現実的でもないと思うのであります。  ただし、私は工場排水をすべて無差別にそのまま下水道に受け入れるべきであるという議論をしようとするものではありません。現行下水道法に明示されているように、有害物質に対しては除害施設の設置を工場に義務づけるほか、下水道使用料という形で汚染者負担の原則に従って、その要する費用を工場負担とする制度を明らかにした上で、下水道に受け入れるべきものであると思うのであります。人の健康に害を与えるような、たとえば水銀とかあるいはカドミウムとか、いわゆる健康項目と言われているような物質は、そもそも工場の敷地外の環境にそのままの形で排出してはならない性質のものでありまして、工場排水の排水先が公共用水域であろうと下水道であろうと同様の規制がなされるべきものであって、現状でも水質汚濁防止法及び下水道法で同様の措置がとられているとおりであろうかと思います。したがいまして、下水道計画は工場排水を頭からきめつけて受け入れを拒否をすると、こういうものではなくて、工場排水の多様な成分を種類によって分別して対応することになるわけであります。  たとえば、食品工場からの排水などは、そのまま家庭下水と混合して下水処理場で処理可能なことが多いわけであります。そうする方が社会全体として経済的になる場合が多いわけであります。何となれば、食品工場排水は一般に下水処理法と同様の生物処理で単独処理する場合があるわけでありますが、その場合に、その食品工場排水の水質に足りない栄養塩類として、窒素分や燐分をその工場排水に相当量添加して処理をするわけでございます。もしも家庭下水と一緒に食品工場排水を混合するならば、家庭下水中には窒素分も燐分も含まれておりますので、その添加をするという必要性がなくなるわけであります。したがって、この場合の混合処理というのは、工場側でも経済的になるばかりではなくて、社会全体としても、窒素分や燐分について不要な生産と販売をなくして、資源的に言ってもエネルギー的に言っても浪費もなくて、環境全体として望ましい姿と言えるわけであります。  したがいまして、下水道計画と工場排水の問題の結論としては、一般的には、下水道計画では都市下水の処理に適した処理施設を公共施設として築造して、処理可能な工場排水はそのまま受け入れ、処理不能の有害物質を含む工場排水は工場側でその成分を除外した上で受け入れて合併処理をするということが適当だと考えるわけであります。ただし、その際、工場排水を下水処理場で処理するのに要する経費は、汚染者負担の原則に従って、下水道に流入する工場排水の汚濁負荷量に応じて工場側で下水道使用料の形で負担してもらうことが必要であります。工場側は、支払うべき下水道使用料の低減を図るために、下水道に流入させる工場排水の汚濁負荷量を下げる工夫を当然するでありましょう。そのことは何よりも水質汚濁防止の観点から望ましく、汚濁負荷量を下げて環境基準を達成していく、水質汚濁防止を進めていくと、こういう方向にインセンティブが働くことが期待されるわけであります。  その次に、下水の三次処理の問題について述べてみたいと思います。  最近は、下水の三次処理に関する議論が盛んであります。三次処理の要請は、BOD等の水質環境基準を達成するためには、現行の二次処理の処理水がBODで二〇ppmでございますので、二〇ppm程度では環境基準が達成できないと、こういう水域で、さらにBODを二〇ppm以下にする要請のある場合とか、さらには、閉鎖性水域の富栄養化防止のために、下水処理に対して下水中の窒素分や燐分を二次処理では約二割から三割程度しか除去できませんので、さらに三次処理によって窒素分、燐分を除く必要があるという場合であるとか、さらには、また水資源として下水の処理水を再利用するという場合などに三次処理の要請が起こるものであろうかと思います。BODを下げるための、二次処理よりもさらに下げるための三次処理は、すでに流域下水道では多摩川の地区あるいは霞ケ浦の地域で、公共下水道につきましては東京、大阪の一部地域で実施の段階に入っております。閉鎖性水域の富栄養化対策といたしまして、瀬戸内海その他の閉鎖性水域では、窒素、燐分の除去を目的とした三次処理が問題とされるわけであります。  しかしながら、特にこの富栄養化対策のためには、下水道対策を含めて私は総合対策が必要であると思うのであります。何となれば、富栄養化現象の原因と言われております窒素あるいは燐分というものは、その発生源はいろいろさまざまであります。大ざっぱに言えば屎尿がそうでありますし、合成洗剤がそうでありますし、さらにはまた農地に施用される肥料が発生源になるわけであります。したがいまして、都市下水、工場排水、家畜排水、屎尿処理場、それからさらに農地からもそれらの成分が出てくるわけでございます。多岐にわたっております。下水処理場を三次処理にしても、必ずしも全体の解決にはならない。一部の解決になりますけれども全体の解決にはならないのであります。現在は水質環境基準や排出基準の中には、窒素、燐分も否まれていない状況であります。窒素と燐を除去する三次処理について、現在建設省、下水道事業団等で技術開発が進められまして、燐除去については技術的にはおおむね実用化の目途がついている段階であります。しかし、これを実用化するには、窒素や燐に関する環境基準や排出基準の設定はもとより、総合的対策の一環として、下水の三次処理対策を実施することが必要であるほか、三次処理施設の建設費や維持管理費も増大いたしますので、その財源対策を明確にすることが前提になるかと思うのであります。しかし、特定な閉鎖性水域は別といたしまして、全国で普及率が二四%という低い下水道普及率の現状では、とりあえず三次処理よりも二次処理の区域拡大が先決であって、またそれにより相当の効果が期待できるものと考えるものであります。  次は、広域的下水処理の方法の問題であります。  ごく一部の論者に、下水道施設の巨大化とか、その代表例としての流域下水道計画に反対する意見を聞くことがあります。しかし、この議論は考えてみれば、下水道計画論の一部のみに着目しました意見で、近視眼的議論にほかならないと私は思うのであります。といいますのは、下水道計画そのものは、本来、仮に市街地を離れた独立家屋であれば、その排水処理対策はその地域に合った浄化槽となるでありましょうし、それから複数の戸数を対象とする排水処理計画であれば、その地域に合った共同の浄化槽となるわけでありましょうし、小集落が対象となる場合でありまするならば、コミュニティープラントというような形の態様もあるでありましょう。しかしながら、密集した市街地が対象であれば、当然公共下水道計画となり、さらに、市街地が市町村の行政区域を越えて連檐している、あるいは近接している状況であれば、流域下水道計画というように、その地域の状況に応じて最も適切な計画を立案するのが下水道計画の基本であります。ただし、その場合、下水道計画も一つの排水計画でありますので、人為的にあるいは歴史的に定められた市町村の行政区域というよりは、むしろ地形や地勢に応じた排水区域をして、流域区界によって考える方が合理的であることと、さらにはまた、水質環境基準を達成する、あるいはそれを維持するという上から、下水処理場の位置とか、あるいは吐き口の位置を定めることが必要になるわけであります。  下水処理場の規模は、いわゆる集積のメリットと集積のデメリットとを十分に勘案して比較検討し、地理的条件を考慮した比較設計による検討案をもとにして定められるものであります。これらは流域別下水道整備総合計画でその基本が検討をされることになるわけでございまして、たとえば東京都周辺でも、二十三区では区ごとに下水処理場があるわけではなくて、地形による処理区域ごとに下水処理場があって、数区の下水を処理する広域的下水処理であります。さらにまた、この近くの埼玉県下でも、川口、戸田、浦和というような、あるいは大宮に至るような八市は、いわば一体の市街地でありまして、行政区域単位に下水処理場を設置するよりも、流域下水道によって一つの下水処理場で流域幹線に対応することの方が適当であります。これらはそれぞれ個別の下水道計画を比較検討した上で、そのような態様、広域的処理が最もその地域に合った処理方法であるということで採用され、実施に移されているわけでございまして、その計画が現在の荒川の水質汚濁防止に役立っているのであります。  多摩川上流におきましても同様でございます。府中市、小平市とかあるいは小金井市、これらを一体にした流域下水道が計画実施されて現在適切に処理されていると思うものであります。  現在、主要な河川流域で三十三の都道府県で六十カ所で流域下水道事業が実施され、そのうちすでに十八カ所が下水処理場として運転開始されまして、それぞれその地域の水質汚濁防止に寄与をしているかと思うのであります。  最初に私は、時間があれば四番目に終末処理場及びその周辺の環境整備の問題に触れたいということを申し上げましたが、時間が来たようでございますので、以上をもって私の本日のテーマに対する意見にさしていただきたいと思う次第でございます。  以上でございます。
  7. 田中寿美子

    ○委員長(田中寿美子君) どうもありがとうございました。  次に、新見参考人にお願いいたします。毛管浄化研究会研究部長新見正君。
  8. 新見正

    ○参考人(新見正君) 新見参考人でございます。  話の進め方を、あらかじめ予想しましたテーマでお話ししたらと思いましたけれども、久保参考人からのお話に従って進めた方がおわかりやすいんではないかというように考えましたものですから、久保さんのお話に沿って私の意見を述べさしていただきたいと思います。  私が述べます立場をあらかじめ申し上げておきますと、ことしから農林省で農村集落下水道という計画が実施されております。つい数カ月前にその第一号が山形県で動き始めました。その農村集落下水道をどのように考えたら一番理想的なものができるかということを数年農林省では研究なさいました。その研究に参画いたしました経験をもとにして、いま久保さんがお話しになりましたような都市型の下水道が歩んでいる歩み方に、もう少し考え直してみられる必要があるのではないかというようなことを感じた点がありますので、そこらに焦点を置きましてお話を申し上げたい、こんなふうに考えております。これが参考人のお話をする立場でございます。  そこで、順序としまして、テーマが下水道の問題点ということでございますので、久保さんがお話しなさろうとしました四つの問題に重点を置いてお話を申し上げたいと思います。  まず、工場の排水を入れていいか悪いかという議論が最初に出てまいりました。私たちが農村の問題を議論する、検討しました場合にも当然に出てまいりましたことです。で、結論として入れない方がいいだろうということになりましたが、その理由は二つあります。  一つは、非常に高くつく。入れますとお値段が高くつく。どう考えても安いようにいきそうにないという感じが一つの理由です。まあこれは私全部の公共下水道に当たったことはありませんが、ある研究者の論文によりますと、BODの除去、一日に一トンのBODを除去する施設に幾らお金をかけておるかを考えてみますと、都市型の公共下水道では七十億前後かかるというような数字をある人が出しておられます。ところが、工場単位に一日一トンのBODの処理をする施設は、その十分の一ぐらいで大体上がるんではないだろうかという理由です。安い、これが一つの根拠、反対の根拠です。  二番目は、先ほど、重金属を入れないようになさるということでございますが、実際、農業側でその汚水の処理水を使うとかあるいは余剰汚泥を肥料に使うとかという場合に、一番農家から抵抗されて実現性がなくなるのは、その重金属の問題でございます。ですから、処理したものを入れればいいじゃないかという考え方も一つの意見でございますけれども、その場合、どんな形で入るかもわからないということを心配をしますと、あらかじめ入れないと、その危険性が皆無な条件をつくっておくことの方が適当ではないかという判断でございます。  その二つの判断で、農村における下水道は、生活排水に限ってはどうかという考えです。  その次の問題で、第三次処理というお話が出ました。現にどこどこの施設にこれこれのことをやっていらっしゃるようでございますが、いま言われる第三次処理というのは、せいぜいBODを一〇以下にする急速ろ過法であるとかいう程度のものです。また、燐の処理につきまして、ある程度技術上の見通しがついたというお話でございますが、これは、薬品を使いまして凝集処理して沈でん分離をするということが中心の技術です。あるいは、もうちょっと高級になりますと、活性炭を用いて処理するというようなことがたくさん研究をされておりまして、そこらの組み合わせを第三次処理というふうにお考えではないかというふうに私たちは理解をしておりますが、農村というものを対象に考える場合には、そんなむだなことはやめようではないか。広い自然の空間がある。農地もある、山林もある、河川敷もある。そういう広い空間のあるところをなぜ利用しては悪いんだろうか。そういうやり方の三次処理を検討してみるべきであろうというのが三次処理に対する提案。  都市側ですから農地がない、場所がないというお考えもありますが、私たちは可能なる限り自然をお使いになってはどうかと――可能なる限りです。そういう形で農村で調べてみますとたくさんあるんです。都市側にもたくさんあるんです。たとえば簡単に工場用水の例を申し上げてみますと、現在工場で三次処理して海に流しておりますが、そのすぐそばに、工場の敷地の中に、工場緑化法という法律をつくって緑地を二〇%以上義務づけておりますが、なぜこれが使えないんだろうか。これに灌漑排水の施設をして、処理された汚水、窒素と燐を含むものを入れますと、非常に簡単に処理ができるわけです。それがやられていない。これこそ、発想の転換をすることだけで可能です。お金はそんなにたくさんかかりません。工場の用水量と工場の敷地との比例関係をとってみますと、ほぼその敷地の中でやれそうな水量なんです。特別なことをやる必要はないんです。そんなような、すぐできることもあるじゃないか。都市の近くだからできない、工場が狭いからできないというものではなさそうだ。どこか努力が足りないのではないかということで三次処理を理解をしております。  そういう立場に立って、第三の問題である広域化がいいか悪いかという議論をします場合、この広域化につきまして、隣にいらっしゃいます久保さんが、日本で最初にお書きになった本をここへ一冊持ってきたんです。下水道協会誌の、いまから十数年前の論文でございます。久保さん自身のお考えとすれば、これは非常に合理的なことが書いてある。  流域全体を大きくながめてみて、それに最も適応した方法を考えてみようじゃないか、自治体だけで考えているような考え方では考えが不足しますよと、そこまでは結構だと思います。ところが、実際にいま動いている流域下水道というやり方は、川の一番上流から下流まで一本の水路を持ってきて、そこに全部突っ込んで、汚さのすべてをある一カ所に集中して流そうではないかという考えなんです。久保さんのこの論文をよく見ますと、本当にもう水利用が合理化されていくと、途中で何遍も何遍も水というものは循環利用されて結局川へ、海へ行くのが至当だと、そういうふうな流域下水道計画を考えようじゃないかと。この提案がされたときには、私は非常にバラ色の夢のような楽園ができるというふうに感ぜられましたが、実際に行われていることはそうではないんです。汚い物はとにかく一番下流に持っていって流せと、そして、それでもしお金がたくさんかかるようだったら、それはもう国がお金出しなさい――極端な例です、そういう広域化というものは相当問題があるんではないだろうか。  先ほど第三次処理の問題も出ました、また広域の問題も出ましたが、私たちが最終的に有機物を処理する考え方の基礎、これはとにかく自然に返そうではないか、これが基礎です。処理して流すなんというのは、どうしてもできないときにそうしなさい、しかしできるところは自然に返そう。自然とは何だ、たくさんあります。山林もあります、あるいは河川敷もあります、あるいはそんなに大きなことを考えなくとも、すぐそばに庭がある。家庭雑排水の排水は、すぐそばに庭がある。本当に一人一平方メートルの土地があれば、人間のおなかから出てくる汚さというものはほとんど解決をします。一平方メートル、なぜそれを使うような勉強をしないんであろうか。これは私は下水道の研究者に欠けておった本当の盲点ではなかったろうかと感じられます。  日本の下水道の技術はほとんどアメリカへ行ってお習いになった技術だと思います。その大先生のアメリカが、活性汚泥中心にあれだけのものをやってみて、結局は、やってみたけれどもうまくいかなかったということをはっきりと理解をして、いまからでも遅くはない、汚水の全量を山に持っていって土の中で処理をしようじゃないか、こういうふうに考えなきゃならなかった経過をもう少しまじめに検討してみたらどうかというのが私の提案です。アメリカから習ってきたこと、それは、アメリカさんが方向転換しつつある、その経過の内幕には、いろんないいことは言います、あるいは政府の責任者、下水道の責任者として、この方法が悪いとは言えない。しかし、一歩考え方が足りない点がありはしないかということを考えていただきたいと思います。アメリカの経過あたりは、もう五年も前にああいう方向転換したわけですから、この議会でも十分資料はお持ちであろうかと思います。実際にアメリカの議会で証言なさいましたある政府の責任者が、もう活性汚泥法やっておきさえすれば海や川がきれいになると言って、これ以上国民をだますわけにはいきませんと言って証言をした経過あたりは、この委員会でも本当にお調べになったらどうかと思います。そうして、結果として土に返そうじゃないか、有機物は土に返す、土で処理しよう、これが基本です。できないところはやむを得ません、別のことを考える。そういう基本の発想法の転換に立っていただきたい。幸いに農村はそういう区域を持っている、広い空間を持っている。農林省がそれでいこう、こういうことでことし第一号をつくっております。さて、価格でどう、維持管理の費用でどう、技術はどんなに要る、放流水質はどうなる、公害対策はどう完全にできるか、そういう技術が小規模ではできないというのがいままでの下水道の研究者の指摘なんです。小規模ではできない、大規模になるほどお値段も安くなる、維持管理も楽になる、周りの付近に迷惑かけることも少なくなる、そういう主張をしてこられましたけれども、小さい単位でも、いま下水道技術がやっていられる以上のものが簡単にできるんだということを頭に入れて御勉強なさいましたら、よほどの発想の転換があると思います。  一例を家庭雑排水について申し上げます。いまは塩ビ管を使いまして一刻も早く自分の敷地から外に出そうという技術が中心です。それを昔と同じように陶管を使っておきましたら、陶管の継ぎ目からじわじわ水が土の中に出てきます。その周りにはミミズがおりまして、有機物を食べてくれます。この経験は皆さんどなたでもお持ちです。そういう簡単なことからやりかえていけば、私の見当ですけれども、陶管にして、その排水先まで、側溝までの長さの土を利用して家庭雑排水を処理するだけで、少なくとも三分の二ぐらいの汚染物質は取れます。燐についてはほとんど取れるかもしれません。九九%は取れるでしょう。窒素については七〇か九〇ぐらいにとどまるかもしれません。本当にそういう簡単なことからおやりになるようなことを検討なさる必要がある。  たくさんのお金をおかけになっても、できる部分はほんの一部分、また遅々として対策は進みません。ことし何千億か国民にお金をお返しになったようですけれども、その程度の金額でできるかもしれません。そんなようなことをお考えになるのが一番適確で、早道で、瀬戸内海の汚濁を解決でき得るんではないか、閉鎖性水域もそんなにむずかしくない。しかし、一番むずかしいのは何かというと、広域で、流域下水道で集めてきた、さあ集めた後にどうしようというのは非常にむずかしいです。小さい単位、小さい単位でつくっておきますと、いつでももとの自然に返し得る。そういう意味で広域化には反対をしておるんです。広域化の計画というのは非常によろしい。計画だけはよろしいが、実際に今度自然に返そう、アメリカのようにいろいろ研究した結果、これは自然に返さなきゃだめだ。海や川に直接放流してはいけない。こう気がついたときに、大きくしてあると返せません。そこを政治家の皆さんお考えになる必要があるのではないかというふうに感じております。  時間も参りましたので、この程度で私の所見を終わります。
  9. 田中寿美子

    ○委員長(田中寿美子君) どうもありがとうございました。  以上で、お二人の参考人の意見開陳が終わりました。  ちょっと速記をとめていただきます。   〔速記中止〕
  10. 田中寿美子

    ○委員長(田中寿美子君) 速記を起こしてください。  参考人に対して御質疑のある方は順次御発言を願います。
  11. 矢田部理

    ○矢田部理君 社会党の矢田部です。新見参考人にお尋ねを何点かしたいと思っております。  新見参考人が問題提起をされております、従来の活性汚泥法に対して土壌浄化法とでも言うんでしょうか、非常に新しい指摘といいますか、重要な指摘だと思いますので、その点について幾つかの問題点めいたものを私の方からお尋ねをしていきたいと思います。  幾つかまとめて御質問をしますが、全体的に土壌による汚染浄化の有効性については理解できないわけではないのですが、小規模な処理等々には適しているようにも思われるのですが、やっぱり大規模な排水処理について、土壌浄化というようなことが全体的に可能なのかどうかということがその一つです。  それから二番目には、経験的な面では私どもも十分理解をできるわけですが、定量的なデータがまだ不十分なのではないか。その点で全体的な処理といいますか、大規模な処理についてまだ実験的な段階ではないのかというような議論が一部になされているようでありますが、どのようにお考えになるか。  それから三番目にアメリカのように土地が非常に広いところでは可能だけれども、国土が狭い、地理的な条件その他がいろいろふくそうしている条件下では、土壌が長期的に耐えられないのではないかというような指摘も、これは私じゃなくて他の研究者の中から、指摘をされておりますので、その点をどのようにお考えになるか。  それから、四点目になりましょうか、小さい面積に多量の汚水を投入した場合に、たとえば降雨などに誘発をされて地下水の汚染の危険はないのか。あるいはまた微生物の増殖等により通気等を妨げて、いわゆる目詰まりというような状態が出てくるおそれはどうなのかというようなことで、幾つかの問題点が指摘されておるわけです。そこら辺について参考人としてどのようにお考えになるか、まずお伺いしたいと思います。
  12. 新見正

    ○参考人(新見正君) 私が土壌浄化法を研究を始めまして十八年になるでしょうか。データがないのではないかという御指摘に対しまして、データはないのではなくって、実験しかやらさない。日本はそういう実際的な規模のものをつくらさないような行政を現に行っているんです。ですから、データをたくさん必要とすれば、土壌処理を現にやっている外国に行かなければならない、そういう残念さが日本にあるんです。それでも相当の大きな抵抗をしまして、いままでやりましたものは百ぐらいはあるんです、百例ぐらい。ですから、これは法律でやらさぬと決めているわけじゃないんでして、行政指導でやらさないわけですから、その点は、日本の汚水処理行政、これは下水道法と建築基準法と二つあるわけですが、その両者の行政担当者はよほど考えていただきたい。まずこれです。  で、大規模にはどうかという点の御指摘なんですが、土壌浄化法というのは、いわゆる家庭で小さいことやっている程度のものでとどまっておるんじゃありません。日本でも現に、荒川の下水処理水を河川敷土壌で処理しようという計画は、日量三十六万トンのものでございますから、日本でも相当大規模なものです。それを少なくとも身近に、すぐそばにある土壌を使ってこしてでもいいから出せばいいじゃないかというような検討が現に日本でも行われておりますし、あるいは広島学園都市の計画を流域下水道から切り離しまして、一番上流で山林散布しようという計画も五万人規模でございます。ですから、大規模、小規模というお話の疑問については、その二つがすでに実行されつつありますし、小規模しかできないんではないかという疑問については、そこらの計画の細部を煮詰めていただければおわかりになるかと思います。  その次に、申されました四つの点は、どこの国でも議論されている問題なんです。まず、目詰まりをする。長期的な云々というのは、目詰まりだと思います。その次に、地下水汚染がどうか。もう一つは、一人当たりの面積が非常にたくさん要るのではないか。この三点がどこの国でも議論になっている。  日本の科学技術庁がこの汚水処理の検討をしました報告書が出ておりますが、その中に、一人四十平方メートルという値が出ております。これらあたりは、アメリカでやりました実施例のものをそのままもらってきたので、日本でやったものではない。ところが、私たちがいま検討しております一番合理的、一番実用性のある値というのは、一人当たり大体その十分の一ぐらい、四平米ぐらいのものであると理想的な処置ができる、そういうところまではいっております。しかし、今度は四平米よりどんどん小さくしていきますと、土壌の持っている利点というものはどんどん小さくなっていく。そういうふうに御理解になっていただきたい。面積はそんなものです。  その次に、地下水汚染の問題についてでございますけれども、地下水汚染につきまして一番これが日本の行政で障害になっておりますのは、立て穴で井戸をつくりまして、雑排水をそこに入れることから起こってくる目詰まりが一番大きな問題点として指摘されておるんです。実際に有機物が分解する地球上の場所はどこであるかといいますと、空気中でもない、水中でもないんです。土の中の、地表面ほんの数十センチの位置しか有機物を分解する能力を持っているところはないんです。ここの数十センチのところというところが植物の根が生えるところです。土壌の微生物が非常に多いところ。と同時に、土壌動物はそこしかいないんです。地表面三十センチぐらいしかいないんです。それは酸素が要るからです。そのちょうど地表面三十センチぐらいのところに汚水を通し、あるいは有機物を入れまして、その土壌動物の力をもって目詰まりを解消しようという技術を考え、目詰まりと地下水汚染防止と一緒に考えていこうという技術を勉強していけば、その二つの問題が同時に解決するんです。ところが、いままでは、立て穴を掘って重力で地下水に汚水を入れる、そうすると自然地下水汚染にもつながる、あるいは目詰まりもする、その二つが同時に起こっているんです。それを全国どの行政庁もやっておいて、なるべくこういうことはやめなさいというふうに指摘をするにかかわらず、それがやめるわけにいかない、いまでも続いております。そういうことを申し上げる。本当の地表面近いところを上手に汚水を通す技術さえ開発すればうまくいきますよ。これはアメリカでもまだやっていないんです。この技術を本当に勉強された人は、私の先生で秋葉という農業土木の大先輩がおりまして、この先生が昭和十一年、アメリカから帰ってきたときの学位論文なんです、この論は。そこを勉強なさったらおもしろいことができそうだ。これは日本だけのものでなくて、アメリカ、欧州もちろんですけれども、いまから後進国の都市等には非常にお役に立つ問題であろうと、こう考えております。  地下水汚染は、あるいは目詰まりはそういう方法で解決することができるんだということでございます。
  13. 矢田部理

    ○矢田部理君 時間の関係もありますので、久保参考人にお尋ねをしたいと思います。  下水処理に工場排水を入れるなという議論は、木を見て森を見ないと言われましたか、部分を見て全体を見ない議論だというふうに、非常にまあ痛烈な批判をされているわけですが、それはそれとして、非常に重要な問題でありますので、少しく時間をかけて議論をしなきゃなりませんが、その中で一、二点お尋ねをしておきたいと思いますのは、もともと公害対策を考えるに当たっては、できるだけ発生源で処理をするというのが一つの基本に置かれてきたわけです。下水道を受けざらにして処理をするということになりますと、発生源処理論とはちょっとやっぱり違ったニュアンスになってくる。PPPの原則から、費用負担で最終的に賄えばいいのだという議論でもあるようでありますが、このPPPの原則とあわせて、発生源でこれを処理するということもやっぱり内容的に重要な問題だと思うんですが、この点をどう考えるのか。とりわけ、下水道に流れてしまいますと、監視の体制が非常にむずかしいという指摘が各方面からなされているわけですね。いまも水濁法等の関係でいろいろパトロール等をやっておるようでありますが、各自治体の現状を見ておりますと、年間に一ないし二回程度、ある自治体の例などでは一・七回程度しか実際は監視ができない。これが下水道に入るということになりますと、いろいろ、下水道法の改正等で直罰方式その他の採用をしたにしても、やっぱり常時監視の体制、住民なり自治体が日常的に監視をする体制がますます弱くなりはしまいかという指摘もなされているわけでありますが、この点をどういうふうにお考えになるのか、これが第一点です。  それから二番目には、膨大な汚泥が出るわけですね。家庭排水の場合の汚泥と、それから工場排水を受け入れた場合の汚泥というのは、かなり質が違ってくる可能性、危険性を持っていると思うんです。先ほど新見参考人も御指摘がありましたように、いわば重金属、有害性の物質が混入する可能性が非常に強い。そうなりますと、今日まででも実際はやっぱり汚泥の処理というのは各自治体とも非常に頭を痛めているところなんですが、たとえば新見さんの言われるように土壌に還元するにしましても、有害物質等が混入をされておりますと、これは非常に抵抗もあるし、問題が大きいわけですね。この点で汚泥の処理問題をやっぱりどのように考えておられるのか、とりわけ工場排水を受け入れた場合の汚泥の処理ということについて伺っておきたいと思います。  以上二点です。
  14. 久保赳

    ○参考人(久保赳君) ただいま先生の御質問、二つのうち一つは、工場排水の発生源対策、工場排水といいますか、公害対策全般が発生源対策が至当ではないか。しかし、下水道について言えば、その点が発生源対策からちょっと離れるんじゃないか、こういう問題点と、それから、それに関連して監視の問題、これが一つであったと思います。  おっしゃるように、公害対策は発生源対策が望ましいと考えます。ただし、下水道について発生源対策をするということは、個別の家庭が発生源になりますから、個別の家庭に戻るわけでございます。しかしながら、それらをまとめて始末をするということが都市の中ではこれはやむを得ないことであろうと思いまするし、その方が地域全体から考えれば合理的であり、しかも経済的であり、適当だと、こういうように考えるわけでございます。  で、工場についてどうかと、こういうことでございますが、当然工場に対しても発生源対策が望ましいわけでございますから、先生御指摘のように、これは別途な方法で発生源対策を工場側に求める方法がとられております。それは先生も御指摘のように、いわゆるPPPの問題であります。これは先ほど私も御説明いたしましたように、一つは有害物質を除害施設で除去をすると、こういうことは発生源対策になるわけでございまするし、それから汚濁負荷量に応じて下水道使用料を徴収をするというやり方は、工場側で汚濁負荷量を減らすことによって下水道使用料を低減しようとする方向で努力するわけでございますから、これはまさしく発生源対策になると思うわけでございます。  それから次の監視の問題でございますが、この監視の問題につきましては、工場排水なりあるいは下水道も同じでございますが、いかに監視をするかということは、非常にこれからの大きな問題であろうかと思います。ただし、これは、下水道に排出するために特に監視がむずかしくなり、公共水域に出す場合には監視が容易だと、こういうことは私はないと思います。いずれの場合も、どの場合も、いかに常時監視をしていくか、あるいは常時監視の方法をどういうふうにしていくかということがこれからの公害対策の大きな問題であって、下水道に入れるから特に監視がむずかしいとよくいろんな方が言われますけれども、私はそういうことはないというふうに考えるわけであります。  それから、その次の汚泥の問題でございます。  これは、おっしゃるように、汚泥の処理、処分ということは、今後の下水道あるいは工場排水処理対策の中で非常に大きな問題でございます。下水の汚泥の処理も問題でございますが、処分の仕方が非常に問題でございます。現在いろいろな方向でこの処分の問題を考えておりますが、先ほど新見先生の御指摘のように、やはり自然の土壌に戻すということが一つの有力なる方法であろうかと思います。したがいまして、それは当該処理場の位置によって、その位置から発生した汚泥を土壌に戻す、あるいは農地に戻す、あるいは山林に戻す、あるいはゴルフ場、公園、いろいろなところがございましょうが、そういうところに戻す方法を探求をしていかなければならないと思うわけでございます。そういう方法が一つと、それからさらに、汚泥からいろいろな資源をとっていくという方向がこれからの問題であろうと思います。農地あるいは山林あるいはゴルフ場あるいは公園というように、対植物に戻る汚泥につきましては、御指摘のようにその中にいろんな毒性の物質が入ることは適当ではもちろんございません。したがいまして、まず除害施設でもって徹底的に、工場側に責任を持ってもらって、下水道にはそういう有害物質は入れないという体制をとるわけでございますが、もしも実際の下水処理場で発生する汚泥の中にそういうものが含まれているという場合の汚泥の処分方法としましては、現在もいろんな技術開発がなされようとしておりますが、たとえば汚泥からいろいろな建築資材をつくるという方法もありましょうし、あるいは汚泥の中に含まれている重金属が再び溶出してこないような、いわゆるペレット化をして処分をするというような方法もありましょうし、それらの方法を用いて、その地域の実情に合う汚泥の処理処分方法を考えていかねばならないと、かように考えるところでございます。
  15. 坂倉藤吾

    ○坂倉藤吾君 久保参考人にお尋ねをいたしたいと思いますが、いまの矢田部先生の御質疑の中に関連をするわけでありますが、お聞きをいたしておりまして、先生の御説明の趣旨、流れですかね、この流れは、前提としては、全部工場排水あるいは生活排水それぞれもとの段階ではやはり区分をされる、このことが前提になって、ただ最終処理の段階で一つのものに含まれていって、その中で助け合えるものといいますか、そういう形で処理をしていく方が効率的ではないのかと、こういう流れにお受けとめをしたわけであります。たとえば先ほどの燐、窒素等のかかわりですね、食品の関係含めまして。  ところが、私どもが心配をいたしますのは、環境の保全あるいは公害対策という観点からいきますと、きわめてこう現実的な処理になるわけであります。したがって、これから、たとえば工場なら工場排水がきちっと汚染者負担の原則に基づいて――この汚染者負担という立場は汚染票経費的に負担をするということではなくて、汚染者が明らかにそこで処理をするということが前提になって進められていかなければならぬ、そういう立場がこれは原則だろうと私は判断をするわけであります。そうしますけれども、完全処理ができないから結果的に一部がはみ出してくる、それを受けとめるというのが現実的な今日の流れになっておることが一つであります。もう一つは、そういうたてまえがありながら、結果的には幾つかの規制措置、制限措置というものが行われつつも、その監視体制なりあるいは実行の体制なりが、現実の形としては幾つかの違反事項を生んでいるというのが今日の明らかな現体制であります。  そうしますと、今日の状況の中では、完全な監視体制というのは今後の問題である、こういうふうに一つの前提がございます。言うなればチェック機能というものがこれからの課題だというふうにして提起をされておって、そうしてその間にも現に世の中こう動いておるわけでありますから、そこで今日の汚水対策というものが現行の課題としては一つ出てまいります。したがって、久保参考人がお述べになられました一つのこれからの理想像という形で、工場なら工場の責任者が自分のところで処理をしていくという原則を持ち、もしそれが仮に一時的にしろ処理不十分になった場合には、それらについての処理の経費あるいは被害を救済をしていく経費、こういう形では処理ができるわけでありますが、その関係の前提というのは今日崩れるわけでありますから、崩れたときに、なおかつ崩れないことを前提にして処理をしていくということについて、今日段階としては一体その辺をどう整理をされてお考えになっておるのか、この点を少し突っ込んでお答えをいただければというふうに思うわけであります。
  16. 久保赳

    ○参考人(久保赳君) 先生の御意見を完全には私理解できてないで、ちょっと見当違いの答弁になるかもしれませんが、一つは、矢田部先生の御質問に関連をしたことかと思いますが、工場排水と家庭下水を合併する仕方の問題で、先ほど私の申し述べた食品工場排水の処理のことを頭に置いて言われたかと思いますが、それぞれ持たざる点、足らざる点を補い合うことによって処理することがベターだと、こういう場合には、一番末端において一緒にするまでの過程では、生活の排水と工場の排水とを分離しておくべきではないかと、こういうような御意見だったと思いますが、これは私はそういう方法もあり得ると思います。ただし、都市の実態、すでに既成市街地があって都市が構成されておって下水道がないと、それで汚水はいろんなところから出ていると、こういうものを集めて処理をするにはどういうやり方がその状態に一番合うかという問題でございまして、比較の問題でございます。もしも生活排水と工場排水とを別にして一つの処理場まで持ってくるということになりますと、町の中に配管が二重になるとか、いろいろな計画上、設計上、施工上そういう問題が出てまいりまして、恐らく両案を比較をすればそれの建設費なり維持費なりに非常に大きな差が出てくるのではないかと、こういうことが考えられます。  それからもう一つは、集めてくる中で考えられますことは、流量の均等化ということを考えなければいけないわけであります。工場によって違うと思いますけれども、恐らくは操業時間の間に全排水量が出てくる。一日の操業時間が八時間だとすれば、八時間の間に一日分が出てくる、こういう状態になると思います。家庭排水も同様でございます。もちろん一日の時間帯で波があるわけでございますが、それらの波を下水として集める過程で均等化するという作用を下水の配管、管網というものは持っているわけでございます。したがいまして、現在やっている方法は、工場で除害施設をつくって有害物質を除去した残りをそのまま、除害施設を通した工場排水を下水管に入れるということは、その下水管網の中でかなりな流量のコントロールがなされるという利点もあるわけでございますから、そういう利点と欠点やらデメリットその他を総合化して一つの下水道計画案というものが出てくるべき問題であろうと思います。  観念的に言えば、先生おっしゃるように一番末端で調合して、両者補ってそれを処理した方がいいんじゃないかと、こういうことが言われるかと思うわけでございますが、現実の問題としてはなかなかそういうことはし得ないと、かように思うわけでございます。ただ、そういうことをしている例は、わが国の中でもあるいは世界の中でも若干例はございます。  それから、その次の問題は、私ちょっと先生の御意見、大事なところをフォローできなかったと思うのでありますが、もう一度、恐れ入りますけれども、要点をちょっとお願いできればと思うわけであります。
  17. 坂倉藤吾

    ○坂倉藤吾君 じゃ簡単に、もう時間がございませんので。  今日幾つか社会的に守らなけりゃならぬ事項というものがずっと前提としてあるわけであります。ところが、現実社会というのは、その守られなけりゃならぬことが幾つか守られていないわけですね。それに対して、私どもとしては、それぞれの住民にかかわりのある一番もう密接な問題でありますから、この下水道の問題あるいは汚染の問題は。したがって、それを監視をするのは、生活をしているそれぞれの人々がきちっと監視をしていく体制というのが確立をされないと、基本的にはこれは処理はできないだろうと、こういう前提に立つわけですね。そうしますと、先生のお話の場合は、それらがそれぞれ仕組まれた一つの、法律がきちっきちっと一つ一つの分野で守られておるということが前提になって組み立てられたのが先生のお説であろうと私はお聞きをしたわけであります。したがって、そういう形になりますと、それは理想ではありましても現実社会というのはそうではない。この辺の開きを、今日のいわゆる技術の問題その他から言って、どう処理をされていこうというお考えなのか、この辺にお考え方があればお伺いをいたしたい、こういうふうに申し上げたのです。
  18. 久保赳

    ○参考人(久保赳君) これは非常にむずかしい問題であろうかと思います。と申しますのは、先生おっしゃるように、一つのルールといいますか、あるいは法律もあれば規則もあると思いますけれども、それを守れなかった場合、それに対する安全性あるいはそれに対する一つの安全度というものをどういうふうに見るかと、こういう問題であろうと思います。  仮にその一つの例として、現在でも工場排水を下水道に受け入れる場合には、除害施設でもって特定の成分は除去した上で下水道に受け入れる。もしもそのとおり行われているならば下水処理の方に何の心配もないわけでございますが、先ほど来御指摘のように、監視も必ずしも十分じゃないという状態では、それの担保がどこにあるかと、あるいはそういうものが入ってきた場合にどうするのかと、こういう問題でございますが、これに対しましては、やはり繰り返すようですが、それの徹底的な監視をする体系をとっていく、あるいは下水道管理者側と工場側とが本当にいい信頼関係というものを確立していくことが私は大事だと思うんです。  これは何もそういうやり方をしているのはわが国だけの問題ではございません。世界のどの国でも関係者が非常に苦心をしているところでありますが、仮にそういう機会があったら御調査いただければありがたいと思うのでありますが、よくあることですが、ヨーロッパなりアメリカなりの処理場長さんの部屋の中に、監視をすべき工場が一つの掲示板のようにリストアップされておりまして、いつ幾日その工場を訪れて、どういう状態であったか、オーケーなら丸をつける、あるいは注意したなら注意したというマークをするというようなことを繰り返しながらずっとやっておるわけでございまして、そういう中で、工場側が努力をしようと思っておるけれどもこの点がどうしたらいいだろうかというような質問が出る場合もある。それにはこういうふうにすることがどうかというような助言も与えるとか、いろいろそういう長い慣行の中から両者の信頼関係が生まれ、その中で、常に監視をしていないと何やるかわからぬというような変な両者の関係は取り除いていくというやり方が一般に行われているところであります。  わが国では、公害対策そのものあるいは下水道対策そのものも必ずしも経験は十分ではないと思うんです。したがって、私どもはこれからはやはりそういう両者のいい慣行をつくっていくということとあわせて、常時監視を進めていくというやり方をとるのが、そういう体系に対する安全性ではなかろうかと思う次第でございます。
  19. 内田善利

    ○内田善利君 時間がありませんので端的に質問していきたいと思います。  まず第一にお聞きしたいことは、両参考人からお聞きしまして、日本の上水道の普及率は西欧並みであるのに、下水道の方が普及率二四%で非常に差があると、   〔委員長退席、理事矢田部理君着席〕 私のお聞きしたところでは、ベルサイユ宮殿などはおまるを使っていた、そのころ日本ではちゃんと便所ができておったという、衛生思想においては日本が相当昔からその点は関心を持ち処理してきたと思うんですけれども、いまだに二四%であるその理由を、端的に両参考人にお聞かせ願いたいと思います。
  20. 久保赳

    ○参考人(久保赳君) 下水道の普及がなぜおくれたのかと、こういう理由でございますが、これは私見でございますからいわゆる通説というようなものではないと思いますが、私はこういうふうに考えます。  一つは、やはりさかのぼりまして徳川幕府体系から明治政府に切りかわって、わが国のその当時の国の方針というのは、やはり早く西欧水準に追いつけと、あるいは追い越せというようなことで、国全体として近代国家への体系を非常に急いだと思うのであります。その急いだ過程で、どちらかといえば、国全体のまあ中央集権といいますか、そういう姿に合うような、たとえば鉄道を早くつくるとかあるいは郵便制度を確立をするとか、あるいは学校教育、普通教育を高めるとか、あるいはまた当時の状況では軍備に力を入れるとかいうことで、どちらかといえば、地方自治になじむ個人の生活あるいは環境を整備していくというものよりも、むしろただいま申し上げたような方向に重点が置かれ、いわゆる富国強兵というような国の方針に沿ってずっときたと思うんです。したがって、個人生活を犠牲にしてでもそういう方面に力を入れようということになってきて、下水道のような個人生活あるいは市民生活の環境を守るということが二義的に考えられておったというのがまず先に考えられると思うんです。   〔理事矢田部理君退席、委員長着席〕  それから、その次には、下水道整備をするには、何といっても非常に大きなお金がかかるわけでございますし、下水道を整備する責任者は市長さんあるいは町村長さんであったわけでございますが、その市長さん、町村長さんが自分の任期の中に整備をし、仕事を進めるには、金額的にも非常に膨大過ぎて手がなかなか届かなかったということがあったと思うわけであります。  それから、三番目には、やはりわが国の農業が戦前においては、肥料の大部分は屎尿が使われておったと思うわけであります。したがって、屎尿は家の中で貯えられて、たとえば昔の話でございますが、屎尿は宝でありますから、農村に持っていって肥料にする宝でありますから、盗まれないように便所にかぎをしておったというようなこともよく聞くわけでございます。そのように大事に保管をされて、それを農家の方々が来てくみ取って持っていく。その代償として大根を置いていくとかあるいは農産物を置いていくとかというように、肥料として買うというような仕組みがずっと続いてきておりました。したがいまして、くみ取り便所に屎尿を貯えておくという習慣がずっと続いたということも一つの大きな原因ではなかったろうかと思うわけであります。  それから、戦後そのような状況が急に変わってまいりましたけれども、戦後の経済の復興の過程では、どちらかといいますと、まず輸出をして国民の生活の基盤のために生産をまず高めようということから、生産基盤投資の方にはかなりなお金が流れましたけれども、生活基盤投資はどちらかというと後回しにされる期間がかなり続いたのではないかと思うわけでございまして、それらの諸事情が種々重なって下水道整備がおくれたと、かように言えるのではないかと思う次第でございます。
  21. 新見正

    ○参考人(新見正君) 肥料にふんと尿を両方とも使いましたのは、世界でも日本だけのような感じでございます。長年これ使っておりましたので、もしよそに流すとすれば生活排水の問題だけだと。ところがその生活排水も、敷地内を陶管でつないでおる限り、あるいはまた道路に出まして、道路の施設が土の中を通るような素掘りの側溝が多かった時代には、ほとんどそこらで処理されておりました。ですから環境汚染という問題は起こらなかった。起こるとすれば東京の下町のような、江戸時代の下町のようなところだけが環境汚染の問題があったわけです。ところが、戦後日本では――塩ビパイプなんというのは石油の代表生産物です、こういうものが陶管に置きかわった。全部土で処理されることがなくなる。道路の側溝はきれいに整備される。すると、結局道路建設にしましてもあるいは家庭用のパイプの建設にしましても、すべて一日も早く公共の施設、水域に流そうということを主目的にやっていたところに問題があるのではないか。昔の人の知恵の方が偉かったのではないかというように考えております。そういう点の方がむしろ大きい。  で、何でこれが建設がおくれたか、こういう理由が御質問の焦点かと思いますが、それはお金がたくさんかかり過ぎる。また、維持管理費がいまからもうどんどん上がってきますと、環境対策あるいは三次処理、覆蓋化政策なんというようなことを入れますと、それこそ幾らお金がかかるかもしれぬという不安があります。そういう不安に対して、いまの計画がいつ完成するか、非常に私は心細いのではないかというように考えておりますので、下水道が二十数%にとどまっている、計画はいろいろあるけれども、三次処理だ何だというようなことを要求されてきますと、これはどんどん実施のパーセントは計画どおり進まないのではないかというように考えております。  以上です。
  22. 内田善利

    ○内田善利君 次に、窒素、燐対策ですが、瀬戸内海等は閉鎖水域でありますし、窒素、燐が赤潮の原因になると言われておりますけれども、第三次処理で窒素、燐をわずかであるが除くことができても、まだ十分でないという現状でありますが、結局窒素、燐に対しては現在は手がないと、こういう状況でございますか。
  23. 久保赳

    ○参考人(久保赳君) 窒素、燐対策に手がないということではございません。私が先ほど御説明いたしましたのは、窒素、燐の発生源を見ますと、非常に広範多岐にわたっておりますので、下水の処理場の中に入ってくる窒素、燐だけを除いてもこれは十分ではないと、こういう意味で申し上げたわけでございます。  窒素、燐の発生源を見ますると、最近の状況では合成洗剤等も大分改善されてきてはおりますけれども、合成洗剤による燐等も非常にまだ多いわけでございます。したがいまして、合成洗剤の改善等については、国会でもいろんな御議論をいただき、その方向で進んでいると思いますので、合成洗剤対策を従来どおり進めていくということも一つの方法でありましょうし、さらにはまた、発生源の中で、たとえば屎尿の処理場であるとかあるいは家畜の排水処理、これらにつきましても、最近家畜が、養豚場なりあるいは養鶏場なり、かなり集団的に飼われているところがございます。それらに対する対策を立てるとか、その対策としては、新見先生おっしゃるように、農村地域においてはその地域に合った処理法の一つとして土壌法をとることも一つの方法でございましょうし、いろいろそういう方法をきめ細かく考えることによって、この窒素、燐対策というものを進めていかなければならないのではないだろうかということを申し上げたわけでございます。決してこれはギブアップで何も手はないと、こういう意味ではございません。
  24. 内田善利

    ○内田善利君 久保参考人にお聞きしたいと思いますが、工場排水の中で、重金属ですね。先ほど議論があっておりましたのは、工場の排水に対しては水質汚濁防止法による規制があるわけですが、下水道に入っていく場合には水質汚濁防止法は適用されないのかどうか。それと、下水道法ですが、下水道法の規制が下水道に入る前にかかっておると思うんですが、このチェックはどういうふうになされておるのか、具体的に。この水質汚濁防止法と下水道法との関係性ですね。  それから、新見参考人にお聞きしたいことは、工場緑化があるじゃないかと、ここを利用して処理する方法があるじゃないかと、発想の転換ということでお聞きしたわけですが、具体的にはこれはどういうふうにしようとしているのか。  この二点、お聞きしたいと思います。
  25. 久保赳

    ○参考人(久保赳君) 下水道法と水質汚濁防止法の水質にかかわる関係の御質問だと思いますが、公共用水域の水質に関しましては、水質汚濁防止法が一つの親法みたいな形になっておりまして、下水道から公共用水域に出る場合には、水質汚濁防止法並びにそれと同じ基準で下水道法がかかるということになっております。したがって、もしも水質汚濁防止法で国の一律基準、いわゆる全国の基準があり、それからさらに府県のその地域の実情に応じて上乗せ基準がかかるというような場合には、その上乗せ基準は、下水道から公共用水域に出す場合には当然かかるわけであります。  それから、ある工場がストレートに公共用水域に出す場合には、これは水質汚濁防止法が当然かかるわけです。ただし、すそ切りがありまして、小規模の、一日五十立方メートルでしたか、それ以上のものにかかることになるわけであります。  それから、その工場が下水道に流入する場合には、これは下水道法で、たとえば重金属等の除害すべき水質項目がありといたしますと、それは下水道法によって、その工場が公共用水域に出す場合に水質汚濁防止法がかかると同じ基準が下水道法によってかかってくるわけでございます。なお、すそ切りはございませんので、五十トン以下の工場排水でも下水道法によって所定の規制がかかると、こういうふうになっております。  以上です。
  26. 内田善利

    ○内田善利君 その場合、下水道に入ったそれを公共用水域に出す場合に、各工場から出た場合、その場合に、たとえば相当大きな重金属が入ってきたというような場合ですね、どの工場から出てきたかということはわかりますか。
  27. 久保赳

    ○参考人(久保赳君) 監視のことを説明するのを忘れましたが、そのように法制的には、下水道に入る場合には下水道法によってその工場に対して水質汚濁防止法と同レベルの基準がかかるわけでございますが、これは下水道法の政令に基づいて各公共団体の条例で決めることになっております。その条例に基づいて除害施設をつくって、あるレベルまで、つまりあるレベルというのは先ほど申し上げました公共用水域に出す水質汚濁防止法と同じレベルでございますが、そのレベルまで落として下水道に入れるというふうになっております。それに対する監視でございますが、これは当然その公共団体がその工場に対して基準どおりにして下水道に入れているかどうかの監視になるわけでございます。  それで、もしも基準違反があった場合に、どこから出てくるか、それはどこでわかるのかということでございますが、それはこの監視を常時する体系をとることによってわかろうとしているわけでございます。それを明らかにしようとしているわけでございます。
  28. 新見正

    ○参考人(新見正君) 工場の緑化と汚水処理の関係をお尋ねのようでございますが、工場の敷地というのは、木を育てるには不適当な場合が多いんです。内陸では盛り土と切り土といいまして、地表面を切ったり盛ったりしてつくるわけです。沿岸ではヘドロで埋め立てる。で、どちらの条件も地表の一番いい土壌というものがなくなっておりますので、そこで木を育てるというのは非常にむずかしい。そこで緑化のマニュアルには、木を植えて、それに水をかけたり肥料やったり排水したりする施設をつくりなさいと書いてあるんです。で、灌漑する施設と排水する施設は、これは農業土木の技術の中にありますから、いまさら研究する必要ない、簡単なテクニックはあるわけです。それがついておるのですから、その灌漑する施設と排水する施設の間がちょうど一メートルぐらいの土壌がありまして、この一メートルぐらいの土壌を使って下水の処理水をそこの中に入れなさい、灌漑する方の分に入れなさい、こういうことなんです。しかも、排水管から出して海にお捨てになれば、それをやるだけで燐は九九%は取れるでしょう、窒素は七〇か、うまくやって九〇ぐらいは取れるはずですよというのが――データのお話が先ほどありましたが、このデータについては外国にたくさんあります。日本にも現にいろいろなところでやりつつありますから、データが御必要であれば御提供するのにやぶさかではありません。そういうことです。もうできておる。あるいは、できていなければ、法律でうまく木を育てなさいと書いてあるんだから、それと、この排水の三次処理とを組み合わせられれば、非常に安くうまくいきますよと、そういう提案でございます。
  29. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 それでは、時間の制約がございますので、簡単に、最初に質問事項をお二人の参考人に一遍に申し上げておきます。ひとつ簡潔にお述べをいただきたいと思います。  一つは、流域下水道等の大規模下水道の建設についてのデメリットというのがずいぶんいろいろと論議をされてきております。そこで、これはまあ久保参考人はお立場上、基本的に大規模流域下水道をお進めになっておられる立場の方でございますし、この機会に、流域下水道等大規模にしていくことでのメリットは一体何なのか、それをひとつお述べをいただいておきたいと思います。  もう一つは、それに関連をいたしまして、混合処理についての弊害、これはずいぶんいろいろ論議になっております。きょうもいろいろと質疑応答の中でも、陳述の中でも出てきておりますが、こういう混合処理についての弊害が言われておりますが、具体的に、現在の施設等でトラブルが起こっている具体例があるかどうか、これをひとつ伺っておきたい。  それから三つ目は、私ども下水道といいますと、私は大阪ですから、下水道建設の問題を経過的に見てまいりますと、戦後特に浸水対策で発足をし、それからさらには屎尿処理にいき、そしていまや環境対策、特に水管理というふうな状況まで視野が変わってきているというふうに思うわけです。私はそういう中で思いますことは、いま日本は、全国的には非常に下水道の普及率が低い。大阪のように――大阪市内でございますと非常に高いわけですが、そういうふうな状況の中で、これから外国並みに、先進諸国並みに日本も広げようというわけですが、それじゃ下水道建設が整備をされますと環境問題というのはすべて片がつくのかどうかという点が一つのやっぱり問題点だと思うのですよ。いまのやり方をどんどん進めていくということで、環境問題というのはすべて片がつくのだろうかという点をひとつ聞きたい。特に、先進諸外国で九〇%以上の普及率を持つ国々等で、そういう環境上の問題点がどうなっているのか、そういうことについて簡潔にお伺いをしたい。  で、新見参考人にお伺いをさしていただきたいと思いますのは、これはまあ先ほども陳述の中でおっしゃっておられましたが、土壌浄化法というやり方というのがわが国でも農林省等でお始めになっておられるということのようですが、外国ではアメリカその他の国で、すでに研究段階ではなくて実用化しているというお話でございましたが、そういう実態がどうなっているのか。それから、研究の方向というのが、どういうふうに下水道事業というものが向いているのかというふうなあたりを、むずかしいと思いますが簡単に伺いたい。  それからもう一点は、わが国では制度上の問題で大規模なものがいままではやられていないということのようでございますけれども、すでに日本でも幾つかの成功例があるやに伺っておりますので、現在成功しておられる具体例で、小規模、あるいはいまやられている規模で比較的大規模なところはどういうところがあるか。これは私ども研究の対象にもいたしたいと思いますので、具体例をお示しをいただきたい。  お願いいたします。
  30. 久保赳

    ○参考人(久保赳君) ただいまの先生の私に対する御意見、三つあったかと思います。  その一つは、流域下水道の建設のメリットを申し述べろと、こういうことであったかと思います。それを申し述べる前に、先生のお言葉にございましたが、私自身は流域下水道を進める側の人間じゃないかと、こういう趣旨の御意見ございましたが、私は先ほどの御説明にも、私の意見にも申し述べましたように、下水道計画というのは、その地域の実態に合うような計画をするのがたてまえでございまして、何でもかんでも流域下水道に進めていこうと、こういうことではないので、その辺は御理解をいただきたいと思います。  流域下水道のメリットは何かということを例で申し上げますと、先ほどの私の説明の中にも、埼玉県の川口から始まりまして戸田とか蕨とか与野市とかあるいは大宮、浦和というような一帯の市街地がございます。あの市街地は行政区域がたまたまそういうふうに分かれておるわけでございまして、行政区域単位に浦和市に下水処理場を設けろと、あるいは与野市に下水処理場を設けろといってもなかなか困難な問題であろうかと思います。仮にそれを流域下水道以外の方法でやるといたしますると、恐らくは幾つもの処理場をあの過密地帯の中につくり、それには莫大な経費がそれぞれかかり、その周辺地域の方々といろいろなトラブルを起こして、計画としてはなかなかまとまり得ないんじゃないかと思うわけでありますが、幸いにして、現在戸田市にありますが、あそこに終末処理場の適地を得て、一つの処理場で八市の下水を処理するということが可能になっているわけでございますが、その方が全体の建設費としては安いということが言い得るわけでございます。建設費が安いということはその地域全体の方々にかかる負担が軽くなる、こういう点があろうかと思います。それがまず一つでございます。  それから、その次には、維持管理費の問題と、それから維持管理に要する維持管理要員の問題でございます。一般には集積のデメリットもありますけれども、集積のメリットがあるわけでございます。一つの処理場で、小規模の処理場で処理する場合よりも、それらをまとめて共同化する方が安いという場合が多いわけでございます。その逆の場合もあります。したがって、それが多い場合には当然流域下水道計画が成り立つわけでございます。  それから、さらには流域下水道の管渠の中で、流量の均等化、調節化ということがなされます。都市下水、工場排水を含めまして、一日に流れる流量の時間的変化というものは非常に多いわけであります。列車で言えば、ラッシュアワーのピーク時は満員だけれども昼間はがらがらだと、こういうようなのと同じようなことが、下水道管網の中で黙っておけば行われるわけでございますが、広域化する利点の一つは、その下水道管網の中で相当程度の流量の均等化が行われると、こういうこともメリットであります。  さらにはまた、先ほど私の説明の中にも申し上げましたように、工場排水の成分の中には含まれていない、たとえば窒素、燐分というようなものも家庭下水の中に含まれておりますので、それらが相補うということの可能性が多くなるのもやはり広域処理の一つの利点であろうかと思います。  それからその次の、混合処理のデメリット、具体にトラブルが起こっているか、その例を挙げよと、こういう御意見でございましたが、混合処理を行っているのは流域下水道だけではなくて、一般の公共下水道も行っております。したがって、現在そのトラブルというのは、これは一つの例を挙げますと、除害施設が完全に徹底していないために下水の汚泥の中にある程度の重金属が入ってくると、こういう場合が現在ある地域ではございます。その場合には、その汚泥処理について特別なる注意が必要だと、こういうのも一つのトラブルでございます。  それからその次には、先生は大阪だそうでございますが、下水道が完全に整備されると、建設も進んで整備されると、そういう段階になったならば環境問題はすべて片づくのかと、こういう御質問でございますが、これは片づくはずがございません。何となれば、先ほどの三次処理のところでも申し上げましたように、下水の処理場で窒素、燐が除去される、あるいは下水道が完全に整備されましても、それ以外の地域からいろいろなものが出てくることは十分考えられるわけでございまして、下水道整備は、環境問題の相当部分の解決にはなりますけれども、それができさえすれば環境問題はすべて解決されると、そういうことはございません。  それから、その次の問題で、西欧諸国が非常に下水道の普及率が高くて、そういう西欧諸国においては環境問題はどうなっているかと、こういう趣旨の御意見でございましたが、これは水の問題に関して、西欧諸国は下水道整備がかなり進んでおりますけれども、いまアメリカでもあるいは英国でもヨーロッパ諸国でも、重点を置いている問題は処理場の機能の向上の問題であります。従来、二次処理あるいは一次処理もまだたくさんございます。ヨーロッパ、アメリカ、たくさんございます。下水道のパイプの方は非常に普及しているけれども、処理の程度は必ずしも全部二次処理になっているわけではございません。したがって、当面二次処理を進めるという大きな計画が現にアメリカでも進行しておる状況でございまして、下水道整備が、普及率が高いそれらの諸国では、下水処理の質の向上ということが現在非常に大きなテーマになっている状況でございます。  以上であります。
  31. 新見正

    ○参考人(新見正君) 三点ありますので、順を追って説明いたします。  土壌浄化法の外国の実態はどうかということですが、まず、水洗便所と雑排水を、小規模になればなるほど一緒に処理している。各家庭というのは全部土壌で処理しております。日本はそれとまるっきり違いまして、小さい規模では雑排水と水洗便所の処理とを一緒にさすことを禁じているんです。これは皆さん初めての方がおられるかと思いますが、特別の申請を建設大臣にいたしましても、受けつけてさえくれない。いいの悪いのという判断をしないのが日本の制度ですが、まるっきり外国と違う点です。ここらは理由がたくさんありますが、この席上では省略をいたします。  で、大規模の装置になりまして、ずっと昔はほとんど土壌処理だったようですが、土壌処理では先ほど来疑問に出てきましたような、面積が広く要るとか、あるいは外国ではスプリンクラーでまくものですから、そういう環境問題が起こるとかというようなことで、逐次いま御説明のような活性汚泥方式という処理場方式に変わりつつありますが、それでもまだ欧州でも米国でも相当大多数のものが土壌に期待をしておるというような状況でございます。それがつい数年ぐらい前から急速に土壌処理でなければうまくいかぬぞという勉強が徹底してきまして、最近では土壌処理の方向で最終処理をしよう、これが理想だというふうに行きつつあります。外国の方はほとんど畑地ですから、日本と条件が違います。  もし日本で理想的なことを考えるとすればどういうことかと言いますと、下水処理水を水田で処理するのが一番理想です。畑では窒素が処理できません。燐は処理できます。窒素の除去率は非常に低いんです。ところが水田では両方できる。しかも、灌漑排水施設というのは全部整備されておりますから、特別パイプで山まで持っていく必要がない。もうこの研究を始めるべきです。日本の将来の理想像といえば、水田に肥料をやるのをやめて下水処理水を使うことですよ。この研究はもうすぐ始めるべきです。実用性はどこまでいくか。これはまだ私たちやっておりませんが、すでに日本でも幾つかの大学がその研究を始めておる。そういうことに関心を持ってもらいたいと思います。  で、研究の方向はどういうことか。その重点は、私は、水田に下水処理水を利用しなさい、それには重金属が入っていちゃ困る、また大規模になるほどむずかしくなるよと。小さい発生源ごとにそういう装置をつくっておけば簡単にいくんではないかというようなことを、現政府の人たちに勉強していただきたいということを研究の方向としては望みます。  で、外国の土壌浄化法への批判論文の一番大きなのは、二つありまして、その一つは地下水汚染です。もう一つは環境対策です。病原菌が飛ぶということです。で、地下水汚染につきましては、残念ながら外国にはいい手がないです。やっぱり上からまいている。そうするとこれ、水の道を通ってどんどんどんどん地下へ入っていく、そういう欠点が指摘されまして、外国で土壌浄化法に反対する人たちの最有力な根拠というのは、その地下水汚染なんです。そうすると、すぐ、じゃきれいにして地下に入れればいいじゃないかというふうに短絡するんです。発想法が短絡するんですが、外国の一番最新の研究は、一次処理水のままで、いわばBODは非常に高くって、そういう水を上手に土の中へ入れることが、一番地下水汚染を防ぐ対策だと言われておる。この理屈をきょう申し上げると時間がかかりますから言いませんけれども、問題は窒素を処理する場合にどうしても炭素源が要るんです。ところが、下水処理水というのは炭素源を除いてあれきれいにしているんですから、窒素だけあったんではだめなんです。ですから、メタノールなり何なりとわざわざ入れるのを入れずに、BODの高濃度のままで土に入れるというのが一番進んだ研究でございます。ですから、研究の方向とすればその二つを頭に入れておかれたらいいんではないかというように考えております。  で、制度上の問題と日本の動向ということでございますが、原則的に土壌浄化法に向くような制度になっておりません。ですから、これは制度をお直しになる必要がある。下水道法もしかり、また建築基準法もしかりでございます。  で、日本で実際こういうことをやっているのがどこか、また実際に着手していて、これこれをごらんなさいというような事例は余りないんですけれども、でもこっそりつくったのはあります。計画のものから言いますと、先ほどお話ししましたような、荒川の下水処理水を河川敷を利用して第三次処理をしよう、これが一番大きなものです。その次に、広島学園都市の五万人規模のものを山林散布をしようと、こういうところが政府段階レベルで一番具体的に動いておるところですが、農村集落下道水につきましては、なるべくならばその方向ですべてを処理しよう。それから、現在やられている前処理装置はそういう土の中に還元しやすいような形での前処理装置を考えておるんです。先ほど久保さんのお話では、流量の変動に対しては対応する技術というものは非常にないんだというようなことですけれども、農村下水道では変動する流量に対して対応するような前処理装置を考えていこうということですから、いわゆる沈でん分離だとかいうふうに期待するような技術ではないんです。いまのは活性汚泥法というのが沈でん分離に最後期待しているからうまくいかない。流量変動しますとすぐ出ていく。ところが、土壌処理法なりあるいはそれに準ずるような前処理法は、流量の変動があった方がいいんです。わざわざためて、間断的に土の中に入れる、こういうことが土壌処理法の原則ですから、いまおやりになっておる都市型の技術よりかよほど発想が転換されているものだというふうに理解をしていただきたいんです。  以上で終わります。
  32. 柳澤錬造

    ○柳澤錬造君 委員長、時間があれだから取りやめます。
  33. 田中寿美子

    ○委員長(田中寿美子君) 以上をもちまして、午前の参考人に対する質疑を終わります。  久保、新見の両参考人に一言お礼を申し上げます。  本日は御多忙中のところ、当委員会においでいただき、貴重な御意見をお述べくださいまして、まことにありがとうございました。お述べいただきました御意見は、今後の当委員会の調査に大いに参考になることと存じます。委員会を代表いたしまして厚くお礼申し上げます。ありがとうございました。  午前の調査はこの程度にとどめ、午後一時まで休憩いたします。    午後零時十分休憩      ―――――・―――――    午後一時九分開会
  34. 田中寿美子

    ○委員長(田中寿美子君) 公害対策及び環境保全特別委員会を再開いたします。  公害及び環境保全対策樹立に関する調査中、下水道問題に関する件を議題とし、午前に引き続き三人の参考人の方から御意見を聴取することにいたします。  最初に、有元、中西、南部の各参考人の方々に一言ごあいさつ申し上げます。  本日は、御多忙中のところ当委員会に御出席を賜りまして、まことにありがとうございました。  本日は、下水道問題についてそれぞれ御専門の立場から忌憚のない御意見をお伺いいたしまして、当委員会の今後の調査の参考にさせていただきたいと存じます。どうぞよろしくお願い申し上げます。  それでは、これより御意見をお述べいただきますが、あらかじめ議事の順序について申し上げます。  御意見をお述べ願う時間は、議事の都合上、お一人二十分から二十五分以内でお願いいたします。なお、お述べ願う順序は、有元、中西、南部の各参考人の順でお願いいたします。  参考人の皆さんの御意見開陳が一応済みました後で、委員からのお尋ねにお答えを願いたいと存じます。  それでは、まず有元参考人にお願いいたします。  自治労公営企業評議会下水道部会部会長有元章博君。
  35. 有元章博

    ○参考人(有元章博君) 有元です。  私は、自治体の下水道の職場に働く労働者といたしまして、各地の下水道の労働者と日ごろから話し合い、みんなで考えておりますこと、また日常の労働を通じて経験しておりますことを踏まえて、特に大阪、東京、名古屋などのすでに下水道施設ができているところの実態を踏まえて、環境問題と下水道との関係にしぼって、今日の下水道行政の問題点について意見を述べさせていただきたいと思います。特に、御承知のとおり現在まだ日本の下水道普及率が二四%というふうな状況で、これから下水道が整備されていくところが多いわけですけれども、今後の下水道を建設をする重大な参考といたしまして、すでにできておる都市の実態というものを十分御参考にしていただきたいというふうに考えるわけです。  まず初めに、工場排水を下水道へ取り入れていることによって生じている問題について、現状を報告しながら述べてみたいと思います。  御承知のとおり、下水処理場では、汚水の中の汚濁物質を、微生物による分解と滞留による沈でんという自然界の力を応用することによって汚濁物質を取り除く作業を行っております。したがって、こうした処理場の原理に合わないものが大量に入ってきますと、汚水の処理ができなくなることはごく当然のことであります。東京、大阪、名古屋などの場合、下水道へ工場排水を取り入れておりますために、重金属や難分解性の化学物質が大量に入ってきております。これらの物質は、微生物の活動に障害を与えたりして汚水の処理効率を低下させることはあっても、こうした難分解物質なり重金属を取り除くことはできないわけであります。現にデータでも明らかになっておりますように、大量の重金属などが処理水の中に含まれたまま公共用水域へ放流されたり、汚泥中に濃縮されたりしております。  お手元に簡単な資料を配付させていただいておりますが、この資料にも見られますように、データとして数字に挙がっておりますだけでも、東京の場合、処理水に含まれて年間九百九十トン、汚泥中に含まれて九十一トン、環境の中へ出ていっております。この場合、汚泥中の重金属は、銅、亜鉛、マンガンなどが――数字として挙がっておりませんけれども、これを含めますと、恐らく汚泥中の重金属は千数百トンになるだろうというふうに考えます。ちなみに、人間の屎尿中の重金属を人口一千万人で計算をしますと、年間約六十トンということになりまして、東京の処理水や汚泥中の重金属の量の〇・〇二から三%程度の量になるわけであります。名古屋の場合も、汚泥、処理水合わせて五百トン以上、大阪の場合も千三百トン以上の重金属が環境中へ放出をされているわけであります。なお、この数字の中に鉄分を含んでおりませんが、鉄分を含めますとこの量は一けた上がりまして、三都市のトータル、この数字だけで見ましても三万トン以上になるだろうというふうに考えられるわけです。  大阪では、こうした工場排水が入ってきておりますことによって、処理場で十分な処理が行われないために、四十七年の会計検査の際に、処理場の処理水の重金属濃度などを、基準値以上であったものを基準値以内に書きかえるというふうなこともございまして、大変大きな問題になったこともあります。  さらに、これらの重金属類以外に難分解性の物質が大量に放流されておりまして、大阪の場合を例にとりますと、処理場から放流された五十年度のCOD負荷量は二十八万トンにもなります。こうした化学物質は、当然のことでありますけれども、ほとんどが工場から排出されておるものであります。これらの物質の中には、染料に使われるアニリンなど、発がん性のある大変有害なものが多量に含まれていることは言うまでもありません。  さらに、処理場の運転、管理といいますのは、生物を利用しておりますために大変微妙なものでありまして、入ってくる水質の変化によりまして、いろんなトラブルが日常茶飯に発生をしております。現場ではそういった点で大変苦労をしておるところであります。  また、これまでつくられました都市の下水道は、ほとんどが合流式下水道でありまして、降雨時には処理場の能力以上の汚水が流入してくるため、未処理のまま放流されている汚水量が膨大で、この分を含めますと、先ほど申し上げました重金属などの数字は少なくともさらに二、三割はふえるものと考えられます。  次に、工場排水の除害施設の監視、指導状況について触れてみたいと思います。  御承知のとおり、現行の下水道行政のもとでは、工場排水について、下水道施設の機能を妨げ、もしくは施設を損傷するおそれのある排水、または処理場からの放流水の水質を、下水道法第八条の技術上の基準に適合させることを困難にするおそれのある排水については、個々の発生源で一定の基準まで処理させた上で公共下水道に受け入れることを原則としております。しかし、現実の除害施設監視、指導状況は、各自治体の担当職員の全力を挙げての努力にもかかわらず、資料の数字にも明らかにしておりますように、監視、指導の必要な工場に対し、立入検査を行う回数は、一工場当たり一年間に〇・七回から一・七回程度であります。そして、水質検査の結果は、基準に適合しているものと適合していないものとが大体半々、すなわち約半数が基準に違反しているという結果が出ております。  下水道施設の特徴として、下水管渠が地下に埋設されており、これに直結された工場排水を一年三百六十五日、一日二十四時間常時監視を行うことは不可能なことであろうというふうに考えます。確かに下水道法も監視、指導の強化の方向で改正されておりますし、自治体の努力で除害施設を設置させることによって、全くの野放し状態と比較しますと、一定の効果が上がっていることは事実でありますが、現状が示すとおり、その努力にはおのずと限界があります。すなわち、工場排水は、一たん下水道へつなぐ限り事実上監視不可能であるということであります。そうしたことから、むしろ工場排水を下水道へつなぐことによって工場側の公害規制の努力が怠られがちになったり、環境行政がしり抜けになったりする危険が多分にあるだろうというふうに思います。  下水道で働く立場からついでに申し上げておきますと、下水管渠内の汚泥のしゅんせつや修繕作業を行う際に、工場排水中の有害物質や有毒ガスなどによって身体に危険が及ぶ場合が多く、現にこれまでにも痛ましい事故も起こっております。そのために、マンホールへ入る前に、小鳥を入れたかごをマンホールの中へおろし、しばらくして引っ張り上げてみて、小鳥が生きておれば入って作業をするというふうな綱渡りのようなことをする場合もあるほどでございます。  なお、ここで三次処理施設のことにつきまして少し触れておきたいと思いますが、御承知のとおり、三次処理施設と申しますのは、二次処理施設で対象としたBODやSSの除去を目的とするものや、窒素、燐といった富栄養化の原因となる物質を取り除く施設ということであります。もちろん、重金属を取り除くというようなことではありません。この施設は、まだ技術的にも十分開発されているとは言えない状況でありますが、この施設を建設するためには莫大な費用が必要であり、二次処理施設までの費用と同額ないしは三倍ぐらいかかると言われております。ところで、窒素の排出源の多くは工場排水と言われ、燐はその多くが家庭で使用される合成洗剤に起因すると言われております。したがって、三次処理施設に莫大な費用を投資する前に、こうした発生源をなくすことに真剣で具体的な方策がまず考えられてしかるべきものと考えます。また、浮遊物質の除去を考える場合、合流式下水道で、降雨時に大量の未処理水を放流しているところなどは、むしろまずこのことの対策を立てるべきだと考えます。大阪の例でも、SSの年間総負荷量のうち、処理場で除去しておりますのは三割だけで、あとの七割は河川などへ放流をされているという状況であります。  次に、下水汚泥の処理、処分問題と環境問題の関連について申し上げます。  さきに述べましたように、工場排水の影響によりまして、下水汚泥の中には大量の重金属が含まれております。下水汚泥中の重金属濃度は、カドミウム、鉛、クロム、銅、亜鉛などを見ますと、一般土壌中の重金属濃度と比較すると五倍から十倍、最大値をとりますと十倍から二十倍にも達しております。このため下水汚泥の自然還元ができず、大方のところが海面埋め立てや陸上埋め立てに頼っております。ところが、この埋め立てによりまして二次公害が発生するおそれがあるところから、埋立地そのものの確保ができなくなっているところが多くなっております。現在、東京で一日約三千トン、名古屋、大阪ではそれぞれ約六百トンの脱水ケーキが発生しており、全国では、含水率七〇%といたしましても年間約百七十万トンにも達していると言われております。  今後、下水道普及率が高まり、処理の高級化が進むにつれて、膨大な汚泥量が発生することは必然であります。どこの自治体でも汚泥の処分地確保に血眼になっておりますが、全くのお手上げ状態になってきております。東京では荒川河川敷へ焼却灰を捨てていて大きな問題になりましたし、名古屋でもつい先日荒子川河口へ、住民にひた隠しにして汚泥を捨てていることが露見いたしまして、大騒ぎになっております。こうしたことは、上水道の取水口近くへ汚泥を捨てて問題になったところや、池を埋め立てて周囲の井戸水が汚染してしまったというふうなことなど、各地で起こっている実情でございます。まさに汚泥戦争の勃発ということが言えるというふうに考えます。  重金属などの有害、有毒物質がこれほど大量に含まれていなければ、下水汚泥は屎尿などの濃縮したものでありますから、肥効成分に富んだものでありまして、このことは国とか自治体の実験でもすでに明らかにされておるところであります。自然界と人間の生活の調和を図るためにも、工場排水などの有害物質を下水道へ取り入れないという厳密な条件を前提として、汚泥の緑地や農地への還元を図りたいものでありますし、ぜひそのようにしなければならないと考えております。  東京、大阪、名古屋の場合でも、処理場ごとに具体的に水や汚泥の分析をしてみますと、主として家庭下水だけ流入しているような処理区の処理場の汚泥は、工場排水が大量に入っているところと比較して、はっきりとした質の違いが出ておりまして、かなり良好な汚泥の質になっているところもあります。したがって、有害物資の流入を防ぐための具体的努力が払われるならば、汚泥の質はよくなるという事実も立証されているわけであります。一昨日、建設省の井前下水道部長に、建設省としても各自治体にそのような努力を払うよう強力に指導してはいかがでしょうかと申し上げましたが、そういう考えはないというお答えを聞きまして、大変驚いている次第でございます。  また、汚泥の処分地が確保できないため、汚泥量を減量するために、各自治体とも莫大な費用をかけまして焼却炉を建設して汚泥を燃やしておりますが、これも汚泥中の重金属が大気中へ出ていくなど多くの問題を持っております。  以上、述べてまいりましたように、今日の下水道行政の最も重大な問題点は、工場排水を取り入れていることを前提にして進められているところにありまして、このことはすでに下水道の整備が進んだ都市の実態が余すところなく示していると言えます。今後建設される下水道は、こうした実証を十分教訓にし、大都市がすでに抱えてしまった同じわだちを踏まないように、工場排水は工場内において十分に処理し、下水道へは入れないで公共用水域へ返す、そういうことを前提に、家庭排水のみを対象としたものにすべきであるというふうに、現場から見ておりまして痛切に考える次第です。このことはまた、景気変動等によって排出量に大きな変動のある工場排水のために、多額の投資をむだにする危険をなくすためにも必要ではないかというふうに考えております。  なお、下水道は、住民の総意に基づき建設し、その責任と義務におきまして管理すべきものでありますし、技術的な観点からも、できる限り市町村ごとに小規模なものを早急に整備すべきであるというふうに考えます。現在全国各地で進められております流域下水道計画のごときは、こうした今後進むべき下水道行政の方向に逆行し、大量の工場排水を取り入れることを前提とした広域的で大規模なものでありまして、ぜひともこの際再検討が必要であるということを強く訴えたいと思います。何でも水に流すという発想や、大規模に集中して処理するという発想はもう時代おくれになっております。家庭の屎尿や雑排水も、発生源にできるだけ近いところで、それぞれの地域の住民の責任におきましてリサイクルさせる。工場内の水あるいはいろいろな重金属などの物質も工場内でリサイクルさせる。こういう立場こそが環境対策や資源問題を考えるとき欠くことのできない姿勢であろうかというふうに考えます。  なお、すでに建設されました都市の下水道につきましても、さきに述べました問題点を持っておりますので、大変困難な事情もありますが、一定期間内に工場排水を切り離していく、そういうことを前提にして具体的な検討が行われるよう訴えたいと思います。一度にすべての工場排水を切り離すということが困難でありましても、それぞれの地域の実態やいろいろな事情を判断をし、計画的に進めるならば、このことも不可能ではないというふうに考えているわけです。  私が述べました大都市の下水道の実態とその問題点はほんの概要でありまして、まだまだ明らかにされていない事実が、もしかするともっと多くあるかと考えます。いずれにいたしましても、下水道が住民の生活環境を守り、改善する基幹的な施設であり、とりわけ水質汚濁の解消という重大な社会的使命と深くかかわっております今日、私たち下水道施設の現場に働いております労働者としても、この使命を果たすために全力を挙げたいと決意をしておりますが、行政の基本方針が基本のところで改革されない限り、その努力は大変困難であります。飲み水の水源汚染の問題を初めとして、専管水域二百海里問題に見られますような沿岸漁業の見直しの問題、あるいは化学肥料の使い過ぎによる農地の疲弊の問題、こういった対策が強く叫ばれておりますときに、これらの問題とも下水道行政は深くかかわっておるという、こういう使命がますます重大になってきておりますことを十分に踏まえていきたいというふうに考えます。それだけに、どうか下水道行政のあり方が正しい方向に向かいますよう、先生方の一層の御努力をお願いいたしまして、私の意見の表明にかえたいと思います。
  36. 田中寿美子

    ○委員長(田中寿美子君) どうもありがとうございました。  次に、中西参考人にお願いいたします。東京大学工学部助手中西準子君。
  37. 中西準子

    ○参考人(中西準子君) 中西です。  環境対策として、現在進められている下水道が、どういう問題点を持っているのかということについてお話をしたいと思います。  すでに、いま有元さんの方から述べられておりますように、環境対策としての下水道の持っている最大の問題点は、工場排水と家庭下水との混合処理を原則として現在の下水道の建設が進められているという点にあるというふうに思います。いま、大阪とか東京とか、そういうすでに下水道のある区域で、工場排水によるさまざまなトラブルについて議論されましたけれども、東京の場合ですと工場排水は八・二%にすぎない。しかし、現在進められている流域下水道計画というのは、工場排水を多いところは七五%も含むというような問題であって、流域下水道が抱えている工場排水の問題は、現在の大都市が抱えている問題以上の深刻な大きな問題であるということをまず強調したいと思います。その工場排水がどのくらい含まれているかについては、資料の「流域下水道における工場排水の割合」というところに載せられております。これは反対運動があるところだけの数字ですので、これの最高値は五九%ということになっておりますが、七五%にも及ぶところができております。この資料は私どもが出しております「流域下水道反対運動全国集会資料集」というのから抜粋をいたしました。そして私どもは、工場排水との混合処理をするような下水道をつくる限り、かえって下水道をつくることが日本の河川を汚濁させ、海を汚濁させることになるんだということを最初に強調したいと思います。  なぜ工場排水と家庭下水との混合処理をしてはいけないかということについて一応順を追って説明いたします。  一番目は、有元さんも言っておりますように、基本的に、工場排水を混合するということによって処理能率が下がるという問題です。そして、現在家庭下水の処理で用意されている活性汚泥法では、処理が基本的にできないものがほとんどである。しかし、違った種類の工場排水が混合することによって、濃度だけは低下して、見かけ上非常によくなって外へ出されるので、あたかも問題がないかのごとくにされる場合が非常に多いということです。ここでは詳しくは述べません。  二番目に、汚泥が汚れ、汚泥処分を困難にするという問題であります。午前中に久保参考人から、汚泥が汚れればペレット化などをすればいいんだというような非常に非現実的なお話がありました。しかし、ペレット化をするというようなことは非常にコストがかかることであり、エネルギー的に考えても非常にむだなことです。しかも、それに伴う大気汚染の問題その他は全く解決されておりません。  私どもは、普通の汚泥の焼却場においても、下水処理場の焼却場において、重金属による大気汚染があるということを証明しております。これは東京都の小台処理場の調査データをここの図表の(2)と書いてあるところに示してあります。これは汚泥の中に含まれていた重金属が、焼却の過程で飛んでしまい、残った灰の中にどのぐらい残っているかということを示した図でございます。たとえば、水銀については五%ぐらいしか残らない、九五%ぐらいが飛んでしまう。――ここのこの図です。それから、砒素については二五%ぐらいしか残らない。カドミウムについても三五%ぐらいしか残らない。これは私どもが初めて見つけたわけです。そして、それ以外は結局大気中に出てしまうということなんです。  これを実証するかのように、京都の鳥羽という下水処理場の周辺の土壌をずっと放射状に調べましたところ、下水処理場に近くになるに従って土壌のカドミウムの濃度が上がっていくということを、京都大学の学生たちの研究によって明らかにしております。これはここに書いてある(3)という資料に示されております。処理場の近くになると土壌がカドミウムで汚染されている実態が示されております。  このように、汚泥が汚れますと処理、処分が困難になり、しかも、その過程でさまざまな公害を出すということがすでに立証されております。  こういうような状態に音を上げました自治体当局者が、汚泥処分地をつくれというような要求を現在国に対してしております。そうして、東京湾や大阪湾に埋立地をつくって大量に処分をしていくというような案がつくられております。しかし、これはきわめて危険なことです。それは、埋め立てによる被害だけではなくて、今度は、汚れた汚泥がどんどん生産され、どんどん捨てられていくということに道をあけることであり、これは環境対策として全く逆行であるということが言えると思うんです。私どもは、家庭下水だけの処理場にすることによって汚泥をずっときれいにすることができ、そうすることによって農地還元をしていくという方向があるわけです。なぜこういう合理的な方法を追求せずに、一方で汚泥をどんどん汚しながら、どこか捨て場はないか捨て場はないかというような形で求めていくのか、非常に遺憾であります。  さらに危険なことは、現在捨て場がないものですから、工場排水を入れたままの汚泥を農地に還元するというような動きが各地で見られます。これは言語道断です。  三番目に、工場には除害施設を設置するから大丈夫だという意見があります。先ほど有元さんの方から、除害施設の設置状況、それからさらにそれの監視の状況が非常におかしいということが報告されました。ですから、そのことについては私は述べません。ただし、午前中に久保参考人が、ヨーロッパでは非常に除害施設の管理その他がうまくいっているというようなことを報告いたしましたが、これは私は間違いであるというふうに思います。私どもは、ヨーロッパの下水処理場の汚泥を持ち帰り、重金属を分析をし、日本の下水処理場よりも汚れており、工場排水が無制限に入っているという事実をつかんでおります。このことについてはここで詳しくお話はできませんけれども、私どもの方でライン川の実態について報告書を出しておりますので、また参考にしていただきたいというふうに思います。  さらに、除害施設の場合に非常に重要なことは、除害施設が一〇〇%機能しても、企業が全部基準を守り、除害施設がそのとおりに動いたとしても、現在の汚泥が汚れるという問題は全く解決しないということであります。それからさらに、処理できない有機物や無機物がそのまま出ていくという状況も変わらないということなんです。そのことをぜひ注意していただきたいというふうに思います。  しかし、この問題の一番深刻なのは、下水処理場へ工場排水を受け入れると、排水処理の責任が企業から自治体に移ってしまうために、企業が安心して汚れた水を出すようになるという実態です。しかも、下水道は暗渠であるために見つかりにくいわけです。常時監視とか自動監視とかいうようなことが言われておりますが、全く実態に合っておりません。公共用水域へ放流している工場は、代表的な工場については基準値の百分の一以下で出すというような実態があります。それは多くの人の目に触れ、被害が出たときに、自己の工場が責任を負わざるを得ないという責任感から、このように工場がお金をかけた処理をしているのです。私たちは、やはりこういうようなシステムを基本的に採用していくべきであるというふうに思います。  下水道のある区域と下水道のない区域について、排水がどういうふうに処理されているのかということについて、愛知県が調査したデータを私どもが入手し、グラフにしたのがここの参考資料の(4)というところに示されております。これを見ていただきますと、下水道のない区域では八四・三%がきちんとした処理をしているにもかかわらず、下水道の完備している市内では、同じメッキ業者について、そういう処理をしているのは三七・一%にすぎないというデータが挙がっております。これを見ましても、いかに下水道の暗渠へ水を流すということが企業にとっては非常に楽なことかということがわかっていただけると思います。  四番目の問題点に入ります。  企業が水質基準に違反すれば、水濁法に従って操業停止に追い込まれるにもかかわらず、下水処理場が数年にわたって水質基準に違反しても、操業停止を受けるどころか、その実態すら、役所間のなれ合いの中で隠されているという実態を見ていただきたいと思います。  その一例として、愛知県の尾西特水の例を挙げたいと思います。一九七四年の四月から八月にかけて五回採水調査をいたしましたが、放流水のBODの値は、一番高いときに一一五〇ppm、一番低いときでも四三ppmで、基準値の二〇ppmを常に上回っております。この実態については参考資料に渡しました表の一、表の2に書かれておりますので詳しくデータを見ていただきたいと思います。これはBODだけではなくて、重金属のクロムなどの値についても非常に大きな問題があります。二、三年かかってこの施設が改善された後のことしの一月の調査でも、私どもの調査ですが、BODの値が九二ppmを示しています。一体どうしてこういうことが許されるのか。下水処理場が企業のためのたれ流しの装置となっていることは歴然だと思うんです。  しかも、これは尾西特水だけの特殊例ではなく、一宮市西部の公共下水道、福井県鯖江市の終末処理場もしかりであり、例を挙げれば枚挙にいとまがありません。環境に汚水を流すということは犯罪のはずであります。国と自治体がこの犯罪を助け、隠すために金を出して下水道をつくるというようなことが許されるのでしょうか。本日午前中の参考人の久保赳さんも、この尾西特水の設計にかかわった方です。こういう方が、御自分のなさった設計が設計どおりに動かないという事実に目を覆ったまま、さらにそれを日本じゅうに拡大していくというようなことを続けることは、私は許されないというふうに思います。  第五番目に、私どもが各地で工場排水を下水道に入れるなという運動を続けております。そういう中で、自治体の関係者の人たちが住民の人たちから突きつけられる質問に答えられず、どんどん工場排水の量を減らしていくということをしております。たとえば、愛知県刈谷の境川流域下水道では、当初四十五万トン見込んだ工場排水が、住民の追及に会った途端に十八万トンに減ったという実態があります。これは富山県の小矢部川の流域下水道、さらには静岡県の西遠流域下水道でもほぼ三分の一に減っていっております。これは、三分の一に減ったから解決するということではないんですが、このように根拠のない数字が並べられているという実態を知っていただきたいと思うわけです。  このように工場排水のことを問題にいたしますと、じゃ、下水道から外せばいいという問題ではないかという質問を必ず受けます。私どもは、神奈川県藤沢市の公共下水道計画において、二年間にわたってすべての工場の調査をすることにより、下水道から外した場合にどうすべきか。そして、下水道から外した場合の方がずっと処理効率が上がるということを立証いたしておりますので、ぜひそのことを参考にしていただきたいというふうに考えます。  それから、やはり神奈川県の藤沢市の公共下水道の計画なんですが、私どもが工場排水を完全にカットして、中規模の下水処理場の計画を立てました。そのことについては、住民の皆さんも当初下水道は絶対にいやだということだったんですが、私の案ならいいということで、一年かかって住民の方々が納得してくださいました。そして、市の当局もそれを認め、工場排水を完全にカットするという計画で進めようという住民との間に基本協定書が結ばれました。ところが、この計画に対して建設省が、工場排水を完全にカットしたら予算をつけないというようなおどしを藤沢市当局にかけているというふうに私どもは説明をされております。一昨日、私ども住民団体、二十八の団体の代表は、建設省の下水道部長を訪れまして、こういうようなことを絶対やめてほしいということを要望いたしました。その席で、井前下水道部長は、工場排水を完全カットするからといって予算をつけないというようなことは、そんなばかなことはいたしませんという約束をしてくださいました。私どもは、全国の自治体の人たちが工場排水をカットすると予算をもらえないんじゃないかという恐怖を非常に抱いております。その点はまず下水道法上からも問題がないんだということを、井前部長の言葉をかりてここで強調しておきたいというふうに思います。  それから、さらに愛知県刈谷市の境川流域下水道計画の場合なんですが、住民の人たちと私どもで、入ってくる工場の排水の水質を調べましたところ、そのうちの九割が、現在下水処理場から出てくる放流水BOD二〇ppmよりもずっときれいな水であるということがわかりました。BODが五ppmとか三ppmとかいうような水でありました。重金属その他については別の問題がありますが、BODについてはそういう水であることがわかりました。なぜ下水処理場の放流水よりもきれいな水を下水処理場に入れなければならないのかということについて住民が質問したところ、愛知県当局は答えることができず、計画だけ工場排水を見込ませてほしい、しかし、実際のときにはなるべく入れないようにするからわかってほしいということを言っております。神奈川県藤沢市についても全く同じようで、工場排水を実際のときには入れないけれども、計画としては工場排水を入れた計画で申請をさせてくれということを住民に申し入れております。  私どもは、こういうようなことは、下水道というものが、環境対策というよりはむしろやたらと事業量をふやす、あるいは建設省が自己の扱う予算の枠を大きくするために、やたらと水増しの施設をつくらせているというふうにしか思えてなりません。一体こういう面の会計検査というのはどういうふうに行われているのかということを非常に疑問に思います。そして、こういうようにやたらと大きくした施設をつくれば、今度は赤字を補うためにやむを得ず工場排水を入れざるを得なくなるわけで、そういう点でも、それは単なる赤字だけではなく環境対策として非常に大きな問題が残るんだということを強調しておきたいと思います。  以上が工場排水を入れることの問題点であります。  第二に、現在の下水処理場が環境対策として持っている二番目の大きな問題は、その規模が巨大に過ぎるというところにあります。巨大の処理場をつくる一つの理由として、維持管理が容易であるということが言われております。しかし、これはやはりはっきりと間違いであります。むしろ維持管理というのは、どういう水がどのぐらい入ってくるかというところの流入の管理ができて初めて下水処理場の管理はできるのであって、私どもは中規模の下水処理場が都市には一番向いているというふうに考えております。さまざまな費用や何かを計算した結果、日量二十万トンが私たちがつくれる一番最大の規模の処理場であり、日量五万トンから十万トンぐらいが市街地においては適正な規模であるというのが私どもの結論であります。  それから、下水処理場は大きくすれば大きくするほど安くなるということが建設省から出されておりますが、私どもはこの費用関数について、全国百十九の自治体のアンケートをもとに検討したところ、こういうことは全くなく、日量五万トンを超えれば維持管理費についてほとんど変わらないというデータを得ました。建設省の費用関数を算出する根拠になっている統計的な処理に大きな誤りがあるものと私どもは考えております。このことは別の論文に発表しておりますのでぜひ参照していただきたいというふうに思います。  さらに、巨大な処理場がどういう問題を引き起こすかという例として、私は現在群馬県の玉村町というところに建設されようとしている利根川上流流域下水道県央処理場というものについて例を挙げたいというふうに思います。  玉村町は人口一万五千人の町です。この町に、日量百万トンの下水処理場をつくろうという計画です。この百万トンの下水というのは、ほぼ二百万人の下水量に当たります。こういうような、人口一万五千人の町に二百万人分の下水を集めるということの異常さをまず知っていただきたいと思うのです。こういうことは住民感情としても許せないものであり、そして、そのことは自然環境とも調和いたしません。逆に河川の自浄作用を奪ってしまい、非常に不経済で、逆に下水処理場が環境破壊の元凶になってしまうという非常に恐ろしい計画です。私どもは、こういうものを適正な規模に戻して、自然の環境と調和をするような下水処理場をつくるべきだというふうに考えております。  下水処理場というのは人間の生活と自然とのかけ橋のはずであり、片方の自然を無視したような巨大な処理場をつくるということは、非常な間違いであるというふうに考えます。しかし、もう一方でやたらと小規模のもの、たとえば学校の運動場に小規模の下水処理場がつくれるとか、そういうようなさまざまなサゼスチョンがなされておりますが、市街地に限って言いますれば、そういうようなものは汚泥処理についてのきちっとした見通しがなく、汚泥処理についての見通しのない下水処理は、環境対策としてはやはりかたわの、中途半端なものであるというふうに考えます。  三番目に、このように環境対策としても住民にとっても、非常に大きな問題である、下水処理場の基本的な計画である、流域別下水道整備総合計画基本調査報告書という内容のものが、ほとんどのところで住民に公開されておりません。本当に環境対策として自信の持てるものであるならば、なぜこういうデータをきちんと公表して、多くの人が環境対策としての下水道の最適界を求めるという議論に参加できるようにこういうようなデータが公表されないのか、不思議でなりません。ことに、自分の隣に、五十ヘクタールから百ヘクタールのところに処理場がつくられようとする住民の人たちにとって、全くこういうデータが公開されないということは、これが民主主義日本の姿であろうかと目を疑うばかりであります。こういう点についてぜひとも国の方でデータの公開を義務づけるように指導していただきたいというふうに考えます。  四番目に、現在、全国で流域下水道反対運動、工場排水を下水道に入れるなという運動が非常に広く展開されております。こういうような住民運動について、行政当局は、それが地域エゴであるというような切り捨て方をしておりますが、もちろん出発点は自分のところに処理場が来るというところから目が覚めた人たちでありますが、長いこと勉強していく中で、本当の下水処理場はどうあるべきかという問題を提起している運動でありまして、一昨日もその集会がありましたが、家庭下水だけの小規模の下水処理場をつくれと、市町村単独の処理場をつくれというのがその要求であります。そういうような住民も納得する下水処理場をつくれば、建設そのものも早くつくれるわけです。住民の合意が得られてつくれるわけです。環境対策として急ぐものであるならば、ぜひともそういう住民の総意を得られるような下水道の建設計画に切りかえることを心から要望したいと思います。  以上です。
  38. 田中寿美子

    ○委員長(田中寿美子君) どうもありがとうございました。  次に、国立公衆衛生院衛生工学部長南部よう一君。
  39. 南部よう一

    ○参考人(南部よう一君) 南部でございます。  私は、下水道、排水処理、三次処理、あるいは水質保全といった一連の問題は、わが国の場合、水管理総合システムといった一つのトータルシステムの中でとらえるべきだというふうに考えております。その理由は、申すまでもなくわが国は国土が非常に狭小である、人口密度が高い、さらに加えて、これは非常に大事なことだろうと思いますけれども、水というものがわが国の唯一の貴重な資源であるということでございます。  そこで、一体わが国はどれぐらいの水資源を使っているかということでございますけれども、建設省が予測しました結果を引用させていただきたいと思います。六十年の予測でございますけれども、水道用水として約二百億立方メーター一年間、それから工業用水として三百六十四億立方メーター一年間ということでございます。さらに農業用水が五百八十六億立方メーター一年間ということになっております。こういう数字を申し上げてもちょっと御理解願いにくいかとも思いますので、一例といたしまして、石油の輸入量と比較してみたいと思います。石油の輸入量、これ五十一年の実績のようでございますけれども、それが二・七億立方メーター一年間というふうな数字が挙がっております。したがいまして、ただいま申し上げました六十年度の水道用水と比較してみますと、一年間石油として輸入している量の約百倍ぐらいの水を水道として一年間に使っている。水道と工業用水を加えまして二百倍の量になるわけでございます。このような大変な量の水を使っているわけでございまして、これ以外、考えてみますと日本に非常に資源が乏しいわけでございますから、この水資源の保全というのは非常に大事なことになるわけでございます。  申すまでもなく、このような水の使用というのは、都市において非常に需要が高いわけでございますけれども、都市が水を使うということを考えた場合に、非常にむずかしい問題がございます。ある河川の横に都市があるということを考えてみますと、都市が活動するためには、まずその川から水を取らなければいけないわけでございます。したがって、都市活動が活発になればなるだけ、その河川から取り出す水の量が多くなるわけでございます。川の中に水の量が多ければ、たとえば汚い汚水がそこに入ったとしましても、河川の流量が大きい場合は、希釈というようなことである程度のそういう環境に対するインパクトを緩和することができるわけでございますけれども、都市の水需要がふえて河川から水を取り出せば、そういう河川が持っている自浄作用というようなものも減っていくわけでございます。かつ、その都市が使った水はまたその川に戻されるわけでございます。都市の活動が大きいと排出する水の量も多くなってくるわけでございますから、排出量が多くなる。一方では河川の持っておる自浄作用が少なくなるということでございますから、都市の活動が活発になればなるだけその河川に与えるインパクトは強くなる。二重のインパクトがかかるようになるというふうに見ることができると思います。  で、東京が一番水をたくさん使っているわけでございますけれども、ちょっと資料が古くて恐縮でございますが、昭和四十四年の資料を使わせていただきますと、東京都の二十三区で淡水の使用量が二十一億立方メーター一年間という数字が出ております。淡水を使ってこれを上水道とか工業用水道に回しているわけでございます。これは実は大変な量でございますけれども、これと比較するために、東京都に運び込まれる物資、いろいろな物資が東京都に運び込まれております。それは鉄道とかあるいは自動車とか船舶輸送という非常に近代化されたシステムでもって持ち込まれてくる、その物資の量を見てみますと、それが三億トン一年間という数字でございます。いま仮にこの物資の比重を一といたしますと、東京都の中で回っております淡水の量が二十一億立方メーター一年間、物資の量が三億トン一年間ということでございますから、鉄道、自動車といった近代的なシステムで持ち込まれる物資の量の約七倍の量の水が東京都の中を――淡水だけでございますけれども、回っているんだということになるわけでございます。したがって、都市でこういう水を扱うということは、非常に膨大な量のものを能率よく使っていかなければいけない、非常にむずかしい問題があるわけでございます。  次に、下水道は申すまでもなく水質保全のための重要な役割りを果たしているわけでございます。先ほど来、工場排水受け入れの問題と絡めて、重金属あるいは難分解性有機物というのが問題になっておりますけれども、水質汚濁という問題を考える場合に、原因物質としてどういうものがあるかということをちょっと整理さしていただきますと、原因物質としていろいろございますけれども、簡単に理解するためには、四つに分けて考えることができるのではなかろうかと思います。  その一つは病原細菌、病気のもとになる病原細菌というものが一つの重要な原因物質として考えることができるのではなかろうかと思います。次いで重金属等の毒性物質、それが二番目でございます。それから三番目に、いろいろ水を使う場合に、毒性というところまではいかないけれども、水利用を阻害する、たとえば色をつけているとか、においを出す、そういうもとになる原因物質というものも重要だろうと思います。そういうものを一緒にいたしまして利用阻害物質というふうに名づけることができるのではなかろうかと思います。四番目が栄養物質、栄養になる物質でございます。この栄養物質というふうなものがもう一つ重要なものとして挙げることができると思います。  さて、水質が汚濁して人間がいろいろな被害を受けたということ、これは古くからあるわけでございまして、その一番古い事例はやはり最初に申し上げました病原細菌に基づく水系伝染病であろう。そして、これによってかつて人類というのは悲惨な影響を受けたわけでございます。そのため、都市においては、この対策としてどうすればよいかということがいろいろ考えられたんだろう。その結果として上水道あるいは下水道というふうな都市施設がつくられてきたというふうに理解してよろしいんではなかろうかと思います。  それから、毒性物質あるいは利用阻害物質の問題でございますが、これは先ほど来のお話にございますように、発生源は大体工場でございます。特定の発生源でございます。ですから、こういったものに対しては、私も基本的に発生源対策として対応をしていくべきだというふうに考えております。  次に、栄養物質でございますが、栄養物質というものは、これは毒性物質、利用阻害物質とは非常に性格の違うものでございます。栄養物質の代表的なものとしましては、腐敗性の有機物、それから窒素、燐というようなものでございます。こういうものは実は自然界に要必なものでございます。古いことわざにもございますように、余りそういう栄養物までもない、非常にきれいな水のところには魚もすまないわけでございます。「水清ければ魚棲まず」ということわざがそれを示していると思います。したがって、それぞれの水域にそれなりの生物というものが生存していくためには、それに見合った栄養物質というものが必要になってくるというふうに考えてよろしいと思います。  発生源の関係で考えてみますと、毒性物質、利用阻害物質は、これは特定の発生源――工場で代表されると思います。しかし、病原細菌の関係あるいは栄養物質の関係におきましては、もちろんその工場絡みという問題もありますけれども、われわれの生活から出てきます生活排水が相当大きなウエートを示しているわけでございます。したがって、病原細菌の問題あるいは栄養物質の問題に対応していくためには、われわれの生活汚水をどうするんだということも一つ重要なポイントとして頭の中に入れておく必要があると存じます。栄養物質というのは、先ほど申しましたようにこれ、もともと自然界にあるべきものでございますけれども、それじゃなぜこの栄養物質というものが汚濁原因物質になるのかということでございますが、水域の持っております受け入れ能力以上に栄養物質が排出されますと、そこで不均衡が生じまして水質汚濁の障害が出てくるわけでございます。その代表的な障害が、水の中の酸素がなくなりまして水が腐る、水の腐敗という現象でございます。水が腐敗しますと水の色は黒くなる。そして悪臭を発するようになるわけでございます。この主要な原因物質といいますか、水質指標はBODというものになっておりまして、これが一〇ppm以上になりますと水の腐敗のおそれが出てくるということになるわけでございます。それから、もう一つの典型的な汚濁のパターンというのが富栄養化ということでございまして、この場合は、窒素とか燐というようなものが原因物質になってくるわけでございます。そこで、生活排水の対応ということを考えてみますと、生活排水をコントロールしていくためには、病原細菌の問題とそれから栄養物質の問題とがあるわけでございます。  そこで、次に生活排水と水質汚濁の関係、あるいはその中で下水道がどういうふうな役割りを果たすかというところを端的に示しております事例を御紹介さしていただきたいと思います。  例に取り出させていただきますのは、資源調査会水資源部会水質小委員会が昭和五十年に出しております報告書でございます。タイトルは、「水資源の利用における水質問題と水質制御に関する調査報告」というものでございまして、資源調査所資料第三十七号として出されております。ここでは、この近くの多摩川流域を対象にいたしまして、非常に簡単な計算でございますが、やっております。それは、まず前提としまして、生活のために必要な水として一人一日三百八十リッター必要だ。そして、これからいろいろ必要な水というものはすべて雨に基づくということでございます。ですから、たとえば一人の人が一日三百八十リッター要るとなれば、それに必要な水は雨から三百八十リッターを持ってこようという仮定のもとの計算でございます。で、三百八十リッターの雨を得るためには、それなりの面積、広さが要るわけでございますから、それじゃどれぐらいの広さが要るんだろうかという広さを計算しているわけでございます。この場合に、雨でございますが、これは一年じゅう変動がございます。そこで、一月の最も降雨量の少ないところの数字を取り出しております。それは降雨量として三十六ミリメーター一カ月ということでございます。その雨が一〇〇%流れ出して、その水をいろいな目的に使える、そういう前提のもとの計算でございます。  で、まず一番目は、いま申し上げました一人一日三百八十リッターという水を確保するには一体どれぐらいの土地が要るんだろうか。それに対してその土地に対応する人口密度というものを計算してみているわけです。その結果、人口密度として一平方キロメーターに三千人と、これぐらいであれば、降った雨によって生活に必要な水は確保できるという、一つの粗い計算でございますが、そういう結果が出てきております。この人口密度一平方キロメーター当たり三千人でございますが、神奈川県が五十年度の国勢調査の結果で大体二千六百七十六人でございます。ですから、神奈川県程度の人口密度であれば、県内に降った雨で大体生活用水は確保できる。東京、大阪はこれをオーバーしております。東京は五千四百人になっておりますから、東京では、もう東京都に降った雨では生活用水を賄えないのだという結果になるわけでございます。  次が排水絡みの関係でございますけれども、生活排水は、われわれの使った後汚水として流れ出るわけでございます。その流れ出た水が河川に入って薄められるわけでございますが、薄められて、かつ現在の環境基準C、すなわちBOD五ppm、ここまで薄めるに必要な希釈水量を確保する、それもまた雨による、こういう計算をやってみているわけでございます。そういたしますと、未処理で、河川の希釈だけに頼るということでやってみますと、人口密度一平方キロメーター九十人どまりだという結果になるわけでございます。これぐらいの人口密度なら未処理で放流しても環境基準Cは保持できるということでございます。一平方キロメーター当たり九十人というのを県別で当たってみますと、北海道が六十四人でございます。ですから、北海道は全部ならして道全体を見た場合は、未処理で流しても問題が起こらないぐらいの人口密度である。岩手県が九十二人でございます。それ以外の県は全部これをオーバーしております。ですから、こういうところでは下水道をつくって環境整備をしなきゃいけないと、こういうことになるわけでございます。  次に、現在の下水道を整備いたしますと、終末処理場の処理法は活性汚泥法でございますが、これによってBODが九〇%除去されるという前提に立ちますと、許される人口密度が十倍になりまして、一平方キロメーター当たり九百人であっても環境基準Cは守れるという計算になります。人口密度一平方キロメーター当たり九百人をオーバーする県が、埼玉、東京、神奈川、愛知、大阪というところになるわけでございまして、これらの都府県におきましては、県を平均にならしましてもう二次処理ではだめだということになるわけでございます。これ大ざっぱな数字でございますけれども、生活排水が環境に与えるインパクトの問題、それに下水道をどう絡めるかということを大づかみにつかむためには御参考になろうかとも思うわけでございます。  後ほど、御質問がございましたらその点については追加的に御説明さしていただければと思うわけでございますが、ただいまお示ししましたような、非常に簡単な計算結果でございますけれども、ほとんどの県におきまして未処理のままで環境に流すことは問題があるという実態がございます。したがって、全国広くこの下水道の恩恵というものにあずかるということが必要かとも思うわけでございますので、そのためには、現在普及率が二四%というのは非常に問題がございます。したがって、まず下水道整備を図りまして、広くこの下水道の恩恵を全国に広めていくことが必要だろうと思います。また三次処理につきましても、それなりに必要なところが出てくるわけでございまして、全国的な問題あるいはそういう特殊地域の問題、その辺のバランスをとりながら総合的に下水道建設が進められることが期待されるわけでございます。  大体予定された時間になりましたので、一応これで終わらしていただきたいと思います。
  40. 田中寿美子

    ○委員長(田中寿美子君) どうもありがとうございました。  以上で、三人の参考人の方の意見開陳は終わりました。  参考人に対して御質疑のある方は順次御発言を願います。
  41. 粕谷照美

    ○粕谷照美君 最初に、土壌への還元方式に対する態度について、有元さんと中西さんにお願いをしたいと思いますが、午前中新見さんの方からもいろいろと御発表がありまして、なるほどそういう新しい発想があるものかというふうに感心をして伺っておりましたけれども、そのデータなどについて私もちょっと調べてみたんですけれども、どうも大きいところ、大都市などでは余り実験がされていないようですね。そして、されている実験の結果というのは、まあわりと小さなところですけれども、非常に効果があったという結論になっているわけです。有元さん自身も、土壌還元そのものについては、一切の有害物質をなくしていけばそれについてはいいというふうにおっしゃっているようですし、中西さんもそういうふうにお考えのようないまの御発表ですが、いま一番の問題は大都市の下水だというふうに思いますので、それでこの問題点が解決できるのかどうなのかということと、新見さんの方からは、工場自体でもその方式がやれるということのお話がありましたので、その点に関するお考えをお伺いしたい。  それから、お二人ともおっしゃったことで、非常にこれは許せないことだというふうに思うのですが、水質汚濁防止法違反ということについて自治体は目をつぶるとかあるいは会計検査が来たときにそのデータを書き直したというふうなお話がありました。まさにこれは犯罪行為だというふうに思っておりますけれども、具体的にそういうことについての例とか、あるいは尾西処理場の問題についての説明などでもちょっと私わからなかったのですけれども、その辺のところが論判できるかどうかについてお伺いをします。  次に、有元さんの方から、工場への立入検査が非常に数が少ないと。それは人員の問題もあるだろうというふうに思いますし、水道局自体が赤字であるというようなこととも絡まっているというふうに思いますが、半分以上オーバーをしているということは、非常にびっくりするのです。これが広域になりまして下水道に入ってきますと、工場への立入検査というものはどのような体制になるのかということについてお伺いしたい。  あわせて、非常に労働安全の点からも問題があるという御報告が有元さんからございました。この労働安全について、具体的にはどんなようなことが起きているのか、数字としてはどのようになっているのかということについて最初にお聞かせください。
  42. 有元章博

    ○参考人(有元章博君) 私、現場の労働者の立場ですので、余り専門的あるいは学問的な立場でのお答えができないと思いますが、私たちが知り得るデータによりまして、土壌還元の問題につきまして、現在の都市の汚泥は、先ほども申し上げましたが、一般の土壌中に含まれている重金属量の、多い場合には二十倍ぐらいになっておるということが具体的なデータとして明らかになっております。都市におきましても、これの農地への還元の問題について実験をしております。これまでの実験データでは、具体的な形で作物に重金属が移行したというふうな形の報告は、当局側の実験では出ておりませんが、しかし、これはきわめて短期間しか見ておらないというふうなこともありまして、長期にわたってこれを土壌へ還元するということについては、大都市の自治体当局自身も危険性があるということで踏み切れない状況になっておるわけです。したがって、現状のままでいきますと土壌還元は不可能だというふうに考えます。これが良質化した場合にも――これは中西先生の方が御専門ですけれども、相当高濃度の重金属が含まれる場合もあるということで、相当慎重な対応が必要だと思いますが、たとえば都市の公園事業に使うとか団地の緑化に使うとか、そういうふうに直接作物に利用しないというふうな方法であれば、良質のものであれば可能ではないかというふうに考えております。  それから、水濁法違反の問題で、これは先ほども申し上げましたように、都市の場合、大体いま一年当たり一工場へ巡回する回数が一回ないし多くて二回というふうな現状でありまして、これを完全にするということは事実上不可能かと思います。建設省の資料によりましても、五十年度末の除害施設の監視指導の当該担当者の数が大体七百数十名というふうに言われておりますけれども、これを一年に百回工場立ち入りということになりますと、現在一回とした場合には百倍の人員が要りますし、二回の場合ですと五十倍というふうなことにもなってくるわけでして、これほど大量の自治体職員を採用するということが事実上可能かどうか。さらに、それほどにいたしましても二十四時間常時監視ということはできないわけでありまして、現に土曜日の午後とか日曜日とかというふうなときに処理場の水質が非常に悪化するというふうな現状がございまして、職員が事実上立入検査ができないというふうな時間帯に相当高濃度の排水が流されているということは経験的に言えるかというふうに思います。  また、当局の方の問題でありますが、これは先ほど申し上げましたのは、四十七年のときの大阪市の会計検査の際に、決められた基準以上に処理場の水質が悪かったということで、これを基準値内に書きかえて提示するというふうな事態をわれわれが追及をしたという事実がございまして、報告をした次第です。  それから、労働安全の問題につきましてですが、残念ながら具体的な数字として持ち合わせておりません。また、自治体の当局側の資料としても、こうした問題についてはどうもきちんとした資料が整備されておらないというのが現状でありまして、私が知っております限りでも、工場排水から明確に出された有毒ガスによって数名の人たちが亡くなったというふうな事実もございますが、そのてんまつについてはほとんど公表されないというふうな事態になりまして、こういった点につきましてはもう少し今後の調査が必要かというふうに考えます。  不十分ですが……。
  43. 中西準子

    ○参考人(中西準子君) お答えします。  農地還元のことについては、私どもは下水処理場の汚泥を徹底的にきれいにすることによって農地還元をしていきたいということを申し上げました。そのことは、午前中の新見参考人の言っている土壌還元方式というのとは、水処理そのものを土壌でやっていくという方式とは、やはり基本的に違っていると思います。いまの粕谷先生の御質問は、その新見方式についての評価ということで問われているというふうに考えますので、そのことについて私の意見を述べさせていただきます。  新見方式の評価ということにつきましては、私どもはやはり茨城県の鹿島町というところで、ここは五千ヘクタールぐらいのところに四万ぐらいの人口密度のところでありまして、純農村地帯にコンビナートが進出したところですが、そこでやはり処理水を森林なり農地なりに直接まいていくということが計画できないかということを実際に調査をしたことがありますが、やはり非常にむずかしいというのが現状のところでの私どもの結論でございます。それはさまざまな理由がありますけれども、農地を使える時期が非常に短いとか、もう一回散水するのにたくさんの設備がかかるとか、それからやはり地主さんのさまざまな意向とかいう点で非常にむずかしいというのが私どもの現状での判断でございます。したがって、私どもの評価する限り、新見方式というのは、問題提起の新らしさというものは認めるんですけれども、現実に大規模の、五千ヘクタール、四万人というぐらいの人口規模のところであってもかなりむずかしいというふうに私は考えております。したがって、新見方式の提起する問題というのは、やはりかなり純農村に限られた、わりあいマイナーな、日本全体とすれば環境対策としてマイナーな問題であるというふうに私は評価しております。  それから、残念ながら、新見方式のキャッチフレーズというのはよくわかるんですが、さまざまなところに、こうすればよくなる、ああすればよくなるというようなことが書かれているんですが、それがよくいったというデータが、本当に人を納得させるだけの、マスバランスが十分とられた上でのそういうデータがないということが、私どもこれに一種の危惧を持って見ざるを得ない点でありまして、そういう点で私は早急に科学的、総合的な検討されたデータが、実際の結果が示される必要があるというふうに考えております。  二番目の、水濁法違反のことなんですが、この尾西特水の例、その他一宮の公共下水道の例については、染色廃水の工場排水が、尾西特水は全部ですが一宮については家庭下水との混合という形で入ってきている。長年にわたって違反を続けながら全くこのままにされていると、摘発もされないという事態について、むしろ私の方から環境庁や建設省は一体何をしているのかということを聞きたいわけです。それで、こういうように染色廃水というものをまとめて処理しても処理できないという実態が積み重ねられているにもかかわらず、これをまたあちらこちらの流域下水道で全部のみ込んでいこうという計画を立てるのは、一体何を根拠にしてやろうとしているのかと、むしろ家庭の下水で薄めれば水質基準は満足できるんだというような安易な考えではないかというふうに考えますので、その点についてはむしろ当委員会あたりできちんとした自後の調査をしていただきたいというふうに私は考えます。  それから、広域化をすると立入調査の件はどうなるのかということについてなんですが、東京、大阪、名古屋という、最高のスタッフをそろえ、人員をそろえてなおかつ非常に工場の密度が高い、わりあいやりやすいところであるわけです。その点で、そういうところでこれだけの問題があるものを、地方へどんどん拡大をしていったときには、これはもう本当に手薄になってしまうんではないかというふうに私どもは考えております。  それから、労働安全の点ですけれども、ちょっとデータは古いんですが、東京都の浮間という下水処理場がやはり工場排水と家庭下水半々の処理場でつくられたときに、浮間幹線という管渠の中のガスの測定値がございます。たとえばある地点におきましてはトリクロルエチレンというのが五〇ppm、アセトンが二〇〇ppm、塩化ビニールが一〇〇〇ppmという、これは東京都自身によって検出されたものですが、そういうデータが検出されております。この浮間処理場の幹線の中には、危険だということで組合が一切立ち入りを拒否した。そして排水によって管渠が溶けてしまって道路が陥没するというような事故が起きても管渠の中に入れないというような事態がありました。それから、茨城県の鹿島コンビナートにつくられております共同処理場についても、やはりマンホールが火を噴くというような事態がありました。そういう点で危険ということははっきりわかるんではないかと思います。  以上です。
  44. 粕谷照美

    ○粕谷照美君 それでは、有元さんにもう一つお願いをしたいと思うんですが、先ほどお話しになりました、会計検査が来てデータを書きかえたという話がありましたけれども、会計検査の方は、その書きかえたということがわかったのかわからなかったのか。書きかえたことでそのまますんなり見つけることができなくて通っていったのかどうなのか、その辺をお伺いします。  それから、中西参考人には、巨大にした方が安くなるというこのことについて、建設省の方針について自治体にアンケートをとられたと、非常にその努力というのは大変だったというふうに私は思いますが、そのアンケートそのものがやっぱりそれを否定的な方向だとおっしゃいましたけれども、その内容についてもう少しお知らせ下さい。  それから、藤沢市などというのは革新首長なわけですけれども、その革新首長のところでは工場排水を入れないというふうになった。しかし、計画の上では入れるようにしてくれと、こういうことは一体どこから出てくるのかという問題点ですね。その分析をお聞かせ下さい。  それから、建設省の方針は、ヨーロッパでそういうふうに成功しているからということで、わが日本にも先進国でありますヨーロッパの状況を広めていきたいというふうに考えているんだというふうに思いますが、先ほどヨーロッパは参考にならないと、こうおっしゃったわけですけれども、データなどお持ちだというふうにも思いますのでお聞かせいただきたいと思います。
  45. 有元章博

    ○参考人(有元章博君) 先ほど申し上げました会計検査の件ですが、会計検査の際にはその事実がわからないままに検査を終了したというふうに見ております。これは後ほど私たちが問題にいたしましたし、それからマスコミでも相当大きく報道されまして、その際に会計検査院の方へは明確にその事実が伝わっておるはずですけれども、その後検査を自治体当局に対してやり直すとか、あるいはそのことについての追及を行うとか、そういう事実はなかったように私たちは聞いております。
  46. 中西準子

    ○参考人(中西準子君) お答えいたします。  規模のメリットについて建設省が費用関数を出しておりまして、規模が大きくなればなるほど維持管理費も建設費も安くなると、割り安になると、そういう式をつくりまして、その式に従うと大規模の処理場が経済的であるということを建設省が言っているわけです。この費用関数の問題に入る前に、そういうような建設省の出している費用関数を使っても、たとえばある区域で四カ所の処理場をつくるというのと十五カ所の処理場をつくるという計算をしますと、一割も変わらないんですね。さまざまな仮定をつくってこれは計算をしますので、現実には変わらないんじゃないかということが、私どものまず第一の主張であります。  それから次に、建設省が出している費用関数がおかしいというのを、維持管理費とそれから建設費の両方についてお話ししたいと思います。  維持管理費について私どもがわかったことは、実は、規模が大きいから安いというふうにして出されている実例のところは、いずれもオーバーロードでやって、水質が非常に悪いということ。そして、そういうふうに予定よりも大量に入ってくる水量でもって維持管理費を割るものですから割り安に計算されてしまっているという実態であります。これは統計操作上非常に間違いです。それから、規模が小さいから高いというふうに出されているところが、実は、規模を大きくつくりまして現在のところ水量がまだほんの少ししか入っていないために、その水量で割ると維持管理費がべらぼうにかかっているというところがほとんどであるわけです。こういうふうに、それは規模の大きなものをつくっていまだに水が入ってこないから、現在の水量が少ないから高いにもかかわらず、むしろ規模が小さいために高いというふうに計算されてしまっている。この維持管理費というものはそういう点で非常におかしい。私どもが、そういうものをならして――完全にならすことはちょっとできないんです。というのは、計画水量と現在入ってきている水量とが同じ処理場というのがほとんどなくて、そういう点で非常にむずかしかったんですが、日量五万トンを超えるとほぼ変わらないというデータを得ております、維持管理費について。  それから、建設費についてなんですが、これについては詳しい調査が余りできなかったんですけれども、ただ言えることは、同じ規模だというところでの建設費について、四倍からの開きがあるわけです。たとえば同じ日量五万トンなり十万トンなりというところの建設費がですね。一体この四倍の開きは何かということを検討していきますと、それがほとんどが地盤の費用なんですね。下水処理場の基礎工事費です。そして、私どもが調べたところ、たとえば東京都の砂町という下水処理場は、総建設費の半分をこの基礎工事費にかけており、藤沢市の南部下水処理場というのは基礎工事費が一銭もかからないという状態なんです。そういうような自然の条件を無視したところで幾ら規模のことを論じても、建設費については意味がないというのが私どもの結論です。そして、あれだけのばらつきのあるものを一つの数式にして有効数字二けたも三けたも出すというようなことは、まず統計的な取り扱いとしてもおかしいということです。  それから、二番目ですが、藤沢市の例について、工場排水をカットすると言いながら、もう一方で計画だけは工場排水を入れさせてくれということを藤沢市が言うというのは一体どういうことなのかということですが、私どもが聞いている限りでは、建設省がそのようにしないと予算をつけないと、だから何とかしてほしいというのが藤沢市の方が住民に言っている説明です。そして、実際には下水処理場をつくっても工場排水を入れないから、まあ何とか協力してほしいと、予算をつけるためだけ、ここだけはうそを言わせてほしいというような言い方を市の方はいたしております。しかし、もちろん住民はそういうことでは納得せず、そういうことは合意に達してはおりません。ですから、建設省が表向き言っておることと、現実の行政指導でやられていることとが違うのではないかという疑いを私どもは持っております。  それから、さらにライン川の例についてですが、これは私、きょうここにデータを持ってきておりませんけれども、ドイツとフランスについて、汚泥を持ってきまして、そして私どもが重金属の分析をいたしました。それで、その限りにおいては非常に汚泥が汚れておりまして、先ほど言うように、工場の規制がきちんときいて、重金属が下水道に入ってきていないというようなことは全く違っているということです。  それから、日本がモデルにしておりますドイツのライン川の流域下水道についても、むしろ、工場がきちんとした処理をしないための後始末として、河川の末端で川の水を処理するというような非常にむちゃくちゃな計画であって、これを何で日本の流域下水道計画のモデルにするのかということを私どもは非常に不思議に思いました。  以上です。
  47. 矢田部理

    ○矢田部理君 幾つかお聞きしたいことがあるんですが、一つ一つお尋ねをしたいと思います。  その一つは、工場排水を受け入れるべきでないということが強調されておるし、その根拠づけを幾つかの点で出されておるわけでありますが、もう少し説明をいただきたいと思いますのは、工場排水を受け入れた場合に、いろんな工場排水に含まれている有害物質等々があるわけですが、その中で、処理施設で処理できるものと、それから排水は受け入れても処理できないもの、これはどんなものがあるのかということをまずお答えいただきたいと思います。中西参考人にお願いします。
  48. 中西準子

    ○参考人(中西準子君) お答えいたします。  私どもは、工場排水の分類ということをやっております。それは、こういう工場排水を下水道へ受け入れるという観点から、どういうふうに分類をし、それぞれの性質の工場排水についてそれをどうすればいいのか、あるいはなぜこの工場排水を下水道へ入れてはならないのかというような分類というものをやっております。そして、工場排水を入れたら非常に害になる物質と、それからわりあい処理できる物質と、それからあとは何も入っていなくて全く下水処理場に入れる必要のない水というのが工場排水にはあるわけです、大きく分けて。そして、この何も入りていなくて処理しなくて済むという工場排水が、実は工場排水の八割ぐらいを占めているのでありまして、こういうものまでも入れて工場排水の計画をするということが非常にむだだということは先ほど申し上げたとおりなんです。それは一応別にいたしまして、できるものとできないものという分け方をさせていただきます。  できないものというのは、先ほども述べましたように、重金属とか、さまざまなそういういわゆる毒物というものがあるわけです。しかし、下水処理場で処理できるものというのがあるのではないかというふうにあれですが、有機、無機という分け方ですが、大体無機の物質は基本的に下水処理場で処理できないというふうに私どもは考えております。  それから、有機の物質についてですが、それを私どもは大体いま四つぐらいに分けております。それは――これは毒物を含まないという前提です、さまざまな毒物を含む水と処理できる水とが一緒になっているものは別ですが、一応毒物が全然入ってこないという前提で有機物を分けさせていただきますと、まず最初に、基本的には家庭下水と類似で、生物が代謝できるような有機性の排水というものがあるであろう。これはどういうものかといいますと、基本的には、特殊な物質を含まない食品工場と、クリーニングのような場合、クリーニングも合成洗剤とか合成ののりを使わない場合というような、そういう場合は基本的に家庭下水と類似で、こういうようなものは下水処理場で基本的に処理できるであろうと考えております。  それから次に、生物代謝が非常にむずかしい物質を含んだ有機性の排水があります。たとえば染色工場の染料とか、それから鉱物油とか、それからポリビニールアルコールとか、酢酸ビニールとか、そういうようなものを含んだようなもの、これは基本的に工場排水を入れていくべきではないということで考えております。  それから、生物代謝はできるんですけれども、揮発性の有機物を含む排水というのが化学工場、石油化学なんかで非常に多いんです。ベンゼンとか、アルコールとか、クロロホルムとか、そういうものは活性汚泥で曝気しますとほとんど大気中に飛んでしまって悪臭の原因になってしまう。そういう点でこういうものはやはりまずい。  それから、あともう一つは油なんですが、この油分というのは、一定程度下水処理場で処理することができるんですけれども、汚泥が浮いてしまうんですね、あんまり油を入れてしまうと。そういうようなものについてはやはり入れてはならないんだというふうに考えております。  さらにもう一つ、五番目になるんですけれども、要するに成分が確認できない水というのがあります。たとえばそれは放射性物質を扱う工場とか、それから麻薬をつくっている工場とか、そういうようなものは、基本的に何だかわからないというものは入れないということであるというふうに、一応五種類ぐらいに分けておって、私どもとしては最初に申し上げたものだけが一応下水処理場で処理で奉る性質のものであると。  しかし、じゃそういうものを全部下水処理場へ受け入れるのかということについては、質としては当面問題はないけれども、たとえばこういうような工場が一社で一万人分ぐらいの負荷を出したりするわけです。そうすると、小さな自治体一つぐらいに当たってしまう。そういうようなことは、やはり土地が十分あるかとか、そういうようなことを十分考慮した上で、地元の納得が得られれば入れてもいいだろうが、そういうものが非常な大きなものになってしまうような場合には、やはり除くということの方がいいのではないか。  それから、さらに計画論としては、そういうようなものが来るかもしれないということで大規模のものをつくっておくということは非常にむだであると、入れるとしても現在あるものに限るというようなことでないとやはりおかしいのではないかというふうに考えております。  以上です。
  49. 矢田部理

    ○矢田部理君 いまのお話を伺ってかなりはっきりしたわけですが、そうしますと、工場排水の中で、仮に受け入れるとしても実質的な意味があるものはごく限られたものになりますね。
  50. 中西準子

    ○参考人(中西準子君) そういうことです。
  51. 矢田部理

    ○矢田部理君 加えて、下水道法の一部が改正をされました。御承知のように、水濁法と同じ基準で、発生源段階で処理をしなければならぬ、あるいは除害施設等で処理をしなきゃならぬということになりますと、工場の側から見てもそうメリットが大きくない。ましてこの受けざらである下水道側から見れば、処理しなくていい水が八割、それから現実に処理できる部分が先ほど指摘があったごく小部分。あとはむしろ有害、有毒あるいは問題の多い排水。こういうものをわざわざ下水道で受け入れなきゃならぬ理由というのですかね、これはむしろ建設省側に聞いた方がいいのかもしれませんが、それはどういうところを彼らは考えているんでしょうか。なるほど下水道法には、それは家庭の排水であれ工場の排水であれ、公共用施設である限りは全体を受けなきゃならぬのだみたいなたてまえ上の規定はありますけれども、そうメリットが全体的に大きくないのに、なおかつ工場排水を受けるべきだということを非常に強く主張しているのは、どういうところに根拠づけを求めているのでしょうか。――中西参考人に。
  52. 中西準子

    ○参考人(中西準子君) まさに建設省や環境庁に私は聞きたいと思うことでありまして、私がお答えするのも本当におかしな話なんですけれども、私どもがうかがい知る限りは、やはり下水処理というものが、下水道というものが処理をするという感じが非常に少ないんではないかというふうに考えております。要するに、ヨーロッパや何かでずっと発達してきたように、下水道というのは排除をすると、どこかへ持っていって捨てればいいという考え方が基本的にある。そのことがいまでも踏襲されていて、ともかく何でもかんでも集めてどこか遠くへ持っていってしまえという、そういう基本的な性質で下水道計画がつくられている。そういう意味でいえば、早急に処理をするというところへ立ち返って、下水道の計画を見直すことが必要なのではないかというふうに考えます。  もう一つは、国会などで議論をされていって、現在の下水道整備が進む過程の中で、やはり通産省との申し合わせ事項として産業排水を受け入れていくという方針がきちんと出されております。したがって下水道がやはりそういう意味の生産関連施設として位置づけられていったという行政の中での動きがあるんではないかというふうに私どもは考えております。  矢田部先生がおっしゃいましたように、企業にとっても、たとえばメッキ工場なんかにとってみれば、企業にとってもてメリットがないにもかかわらず下水道をつくるということがあるわけです。しかし、現実には、企業にとってメリットがないかというと、法的にきちっとしたことを守ればメリットがないのですが、守らなくて済むということでメリットが出てくるということなんです。で、私どもが企業に、なぜ下水道に入れるのですかと、あなたはこのままでただで川に捨てられるのですよと、下水道に入れたら一トン百円くらい取られてしまうのですよということを言っても、いざというときのためにとか、そういうようなことで下水道へ入れるのだと言う企業は多いわけで、むしろ法律が守られないという前提で下水道の建設なり下水道に入れるということが私は意思決定されているというふうに思います。
  53. 矢田部理

    ○矢田部理君 本来的なメリットがない、つまり、法をきちっと守ればデメリットの方が多くなるというにもかかわらず推進をしていくということになれば、それは工場側にとっても問題だし、まして公害対策として見れば、それはなおさら深刻な問題をそこにはらんでいるというふうに思われるわけですが……。  もう一つ中西参考人に伺いたいのは、先ほどのお話の中で、いま法律が予定をしているいろいろな基準がありますね、除害施設をつくるとか、監視体制を強化するとか――強化するとまでは言っておりませんが、監視体制をとるとかあるいは直罰方式を採用したとか。こういうことが全部守られてもなおかつ問題がたくさん残っているという、その残っている問題というのはどんなことなのか、具体的に指摘をしていただきたい。
  54. 中西準子

    ○参考人(中西準子君) お答えいたします。  まず第一に、汚泥が重金属で汚れていくという実態ですね、それから農地還元できないような汚泥ができるという実態は、現在、一〇〇%基準が守られたとしてもそういう事態を免れることはできない、これが第一点です。たとえば、クロムについて二ppmという基準が、現在工場が下水道に入れるときの基準です。もしも二ppmですべての企業が放流したとしますと、工場排水が半分くらい入っているとしますと、下水処理場の中の汚泥のクロムの濃度は二〇〇〇ppmぐらいになるというふうに考えられます。現在家庭下水だけの処理場の汚泥のクロムは四〇ppmぐらいです。明らかに違うわけです。そういう意味で、守られたとしても問題であるという点が汚泥の点でまず言えます。  それから次に、カドミウムとか水銀とかいうものについての基準値があります。そういうものは、公共用水域へ出される場合には、現在の基準値の百分の一とか千分の一とかいう濃度で出されております。なぜならば、いまの基準で出したんでは必ず被害が出てしまうからなんです。そして、むしろ企業はカドミウムとか水銀を使わないという方向で対策を立てていっているわけです。したがって、現在の基準値よりはずっと少ないものしか河川には出されていない。しかし、下水道へ受け入れて、現在の基準でいいんだということにすれば、カドミウムのメッキはもう一回可能であり、さらに何倍ものカドミウムが河川に放流されていくということになるというふうに考えます。  それから、そういうようなふうに現在のところ厳しい基準がある項目は、有害物質九項目と言われるものとその他の項目七項目、合わせて十六項目であります。ところが、下水処理場で処理されないものとか非常に害のあるものは無数にあり、そういうものについて一々基準をつくっていくという作業も、それを検出するという作業も非常に大変なんです。むしろやはりそういうものを河川に出させて、企業に、被害が出たら大変だということであらかじめ使わないようにするとか、あらかじめ減らすという努力をさせる方がずっといい意味の公害対策になるだろうと、そういう三点で、除害施設をつけて一〇〇%基準が守られたとしても、下水道へ取り込む施設は非常に大きな問題があるというふうに私は考えております。  以上です。
  55. 矢田部理

    ○矢田部理君 第三次処理の問題についてちょっと伺っておきたいんですが、霞ケ浦の湖北流域下水道について、中西参考人もいろいろ調査をされ、意見書等も出されているようでありますが、地元では――地元といっても県当局でありますが、この第三次処理施設をつくって、いままで問題になっておった燐などの処理が今後可能になるというようなことを非常に強調してその設置の意味づけをしているわけですが、この第三次処理施設の持っている問題点といいましょうか、果たしてこの燐などの処理が可能なのかどうか。あるいは、可能だとしてもそれに伴う問題点はないのかどうかというようなことについて、霞ケ浦の経験など、ほかにも幾つか問題点があろうかと思いますが、述べていただければありがたいと思います。
  56. 中西準子

    ○参考人(中西準子君) お答えいたします。  霞ケ浦については、私どもは水質の調査を六年にわたって続けてきておりまして、それに基づきまして、霞ケ浦湖北流域下水道計画というものが非常に大きな問題点があるということで、意見書を茨城県当局に提出しております。その内容について、簡単にお話をしたいというふうに思います。  霞ケ浦の湖北流域下水道計画の特徴は、いま矢田部先生がおっしゃいましたように、燐についての三次処理をするという点です。それは、ほかの下水処理場にはない計画がつけられています。それは、霞ケ浦という湖が非常に栄養がたっぷりあって、いつでもアオコが大量発生をして、魚が死ぬというような事態が起きかねない。そういう非常に富栄養化した湖でありますために、それを防ぐためにという意味でこの燐の除去装置がつけられているわけです。この燐の除去をするシステムというのは、石灰を入れて燐を除去するというシステムなんです。ところが、石灰を入れて燐を除去するというシステムは、維持管理上非常に大きな問題がありまして、この点につていは南部先生もよく御存じのことだと思うんですが、その方式を下水道に実験的に取り入れております横須賀市の下町処理場というところでも、ハンドリングの点で非常に問題ですね。濃厚な石灰が処理場の中を行ったり来たりするという点で非常に問題であるということが言われております。さらに、アメリカのカリフォルニアのタホ湖でこの方式は試験的に使われていたんですが、最終的には湖に流れる石灰の量が多過ぎるということで、石灰処理をされた水は、せっかく燐を取ったにもかかわらず、湖に放流されずに湖の外側を通って川の方に放流されるというようなシステムがとられたというふうに私どもは聞いております。したがって、石灰で燐を取るというシステム自体は、実用化に耐える方法だというふうには私は考えておりません。しかも、このような日量五十万トンにも及ぶような下水処理場にこういうような方法が可能だというふうにはとても考えられないということです。  では、燐というものの除去をどういうふうにすればいいのかということなんですが、もちろん霞ケ浦へ出る燐とか窒素とかいうのをできるだけ減らしていくということは望ましいことであって、私どもも何とかそういう意味の処理をしたいというふうな立場で検討を加えております。それについて、私どもは、燐については全く新しい処理の方式を提案しております。それはどういう方式かといいますと、いまのように二次処理をした水に薬品なり何なりを入れて燐を除去するという方法ではなくて、下水処理に使われている汚泥の処理の仕方を変えることによって燐を除去することができるんだという主張であります。これは、私どもが「汚泥処理による三次処理」という題をつけた論文の中で提案している方法であります。  まず、下水道へ入ってくる燐の由来を考えますと、半分は洗剤――少し減ってきていま三分の一近くなりかけておりますが、半分が洗剤からくる燐です。そのほかが屎尿、食品からくる燐なわけです。この洗剤の中の燐をゼロに近づけますと、残りの燐だけですと、現在の活性汚泥のシステムの中で燐は十分に除去することができます。水処理で十分燐を除くことができるわけです。しかし、現在のところ燐の処理ができていないのは、実は汚泥処理が悪いために、汚泥処理の過程でもう一回燐が水の方に戻ってしまうという、非常に奇妙なシステムによって燐が除去されないでいるわけです。したがって、私どもはこの汚泥処理の方を、燐が溶出しない処理方式をすることによって、燐については三次処理が不要になり、なおかつ燐を除くことができるという提案をいたしております。こういう経済的な方法をぜひ私どもは検討していただきたいというふうに考えているわけです。  それから、窒素については、残念ながら、現在の下水処理場のシステムの中で有効に、窒素を五〇%以上除くということが非常にむずかしい。私は技術者ですから、個人的には何とか下水処理の中で窒素を除く技術を開発したいという欲望を持っておりまして、何とかやりたいというふうに思っておるんですが、現在のところは活性汚泥の処理の中でこの窒素の処理がなかなかうまくいっておりません。  そういう意味で、霞ケ浦の計画にももちろん窒素を除去するというプロセスは入っておりません。これについて、こういうように十分に窒素を除去することができないときに、湖に与える影響として一体どういう下水道のシステムがいいかということを考えますと、やはりある程度分散するということしかないというふうに考えます。このように窒素が十分処理できないにもかかわらず、いろんなところから水を集めてきて一カ所で放流するということは、湖に与える影響が非常にひどいんです。私どもは霞ケ浦の調査をしていていつも思いますのは、ともかくある場所から異常なアオコの発生が起きて、それが次々とほかの場所のアオコの発生を誘発していくという現象を見ております。そういう点でいきますと、こういうふうに窒素の除去が非常に不十分であるという時点で、大規模な処理をして一カ所から放流するということは、非常に間違ったやり方であるというふうに考えており、この点についても茨城県に反省を求め、もう少し分割するようにということを私どもは求めております。  以上です。
  57. 矢田部理

    ○矢田部理君 それから、南部さんにお聞きをしたいんですが、先ほどから、午前中もそうだったんでありますが、建設省等が進めている工場排水を含めた混合処理について、多くの疑問と問題点が実は提起をされているわけですが、南部さんはこの点についてはどうお考えですか。
  58. 南部よう一

    ○参考人(南部よう一君) 混合処理の議論は、私、非常にむずかしいと思っております。それで、先ほど申し上げましたように、原則はやはり発生源対策で対応していくべきだと思います。  ただ、下水道の議論をするとき、もう一つ、やはり先ほど申し上げました生活排水をどうするのか。それで、工場排水にかかわりなく、生活排水関係で下水道整備を望んでいるところも非常にあると思うわけでございます。ですから、その辺の議論を整理しておきませんと、終末処理場をつくるとみんな有害な終末処理場という印象を受けるおそれがあるのじゃないか。その辺が実は非常に気になっている点でございまして、きちっと発生源対策をやっている、あるいはそういう工場なんかの立地していない、生活中心のところの下水道整備というのであれば、これ全然問題がない。むしろ早くそういうところはやっていくべきではなかろうかということでございます。  それから、共同処理の議論でございますけれども、私も衛生工学関係の技術者の意見として言わせていただきますならば、都市の中の下水道という非常に大きな施設でございます。先ほども事例を申し上げたようなことでございますが、あれだけ巨大な施設を完全に割り切ってつくられるのかどうか。先ほど非常に規制を厳しくしても一つ一つチェックするのが大変だというふうな議論も出ておりました。もし個別のそういう危険な――危険なという言い方もまたいろいろ問題があるかとも思いますけれども、それを一番効率的に、経済的にどうやるかという形で物は考えていくべきではなかろうかというふうな立場でいろいろ物を考えております。
  59. 矢田部理

    ○矢田部理君 ちょっとわかりにくいんですが、それは発生源対策をきちっとやるべきだということはだれもそのとおりなんですが、その発生源対策がうまくいっていない。むしろ現に監視の状況も有元さんから御指摘があったようにもう非常に弱いし、それから直罰方式をとってもほとんど刑事事件になったという例を実は聞かないわけです。しかし、現実には、回ってみれば、年に一回か二回程度のパトロールでも半数以上が違反をしていると、まして地下で排水を結ぶということになれば、ますますそれが後退をする危険性、可能性を下水道受け皿論はやっぱり持っているという指摘があるわけですが、発生源対策がうまくいかないという現状を踏まえて、やっぱり工場排水は入れるべきじゃないんじゃないかということが多くの方々から指摘をされているんですが、その議論には賛同の方向なんですか。それとも、そうじゃなくて、工場排水も受け入れるべきだという議論なんですか。その辺はいかがでしょうか。
  60. 南部よう一

    ○参考人(南部よう一君) 発生源対策はうまくいかないという議論をするのは、非常にむずかしい点があるわけでございます。と申しますのが、公共用水域に排水を出す場合でも、発生源はたくさんあるわけでございますね。ですから、そういうことを踏まえて、やる気ならやれるんじゃなかろうかという気が一つするわけでございます。ですから、それなりの体制なりシステムなりつくれば、きちっと望むような方向に持っていけないということは、一概には言えないんじゃなかろうかという感じがするわけでございます。
  61. 矢田部理

    ○矢田部理君 あなたと余り議論するつもりはないんですがね。それは発生源対策をやりなさいと、やるべきだというのは、むしろ環境問題、公害問題の中心的な課題として、われわれも今日まで追求してきたわけです。また自治体や住民もそのために大変な努力をしてきたにもかかわらず、現実にはそういっていない。しかも、そこへ今度は下水道が受け皿になるということになると、ますますやみからやみに葬られる危険度を高めていくという指摘があったわけですよ。だから、やれないはずはないという前提で問題を出されても、ちょっと私どもはそうですかと言うわけにはいきにくいんですが、まああなたと議論をするのがきょうは中心ではありませんから、御意見として承っておきたいと思います。  そこで、時間も来ましたので、最後の質問になりますが、このままでいくと、当委員会等が中心的に進めてきた、また環境庁もそう考えて努力をしてきたこれまでの発生源対策が非常に後退をすると、これをやっぱり許してはならないということで、根本的な提案としては、混合処理ではなくて分離すべきだという御意見があるわけですが、有元さんに最後の締めくくりの質問をしたいと思いますが、監視体制を強化するために、今後自治体なり住民の側から見て、どういう手法、どういうやり方ならばそれが強化されるのか。これは単に下水道に流すか流さないかにかかわりませず、年に一、二回程度ではどうにもならないし、それから現に、にもかかわらず、半数以上の違反が出ている。この監視体制強化の施策をどうしたらいいのかということが一つ。  それから、現に出ている違反等について、もともとは罰則もあれば操業停止という処分も制度としてはあったわけですが、それらがどのように運用されてきたのか、その持っている問題点は一体何であったのかというようなことについて質問をして、私の質問を終わりたいと思います。
  62. 有元章博

    ○参考人(有元章博君) 大変むずかしい問題でありますが、私は努力をすれば可能であるというふうに考えるわけです。といいますのは、工場排水の問題は、まずだれの目にも触れるという客観的な条件を確立するということが非常に重要であろうというふうに考えるわけです。現在のシステムでは、先ほど先生の方からおっしゃいましたように、まさにやみからやみへというふうなシステムになっておりまして、専門家が排水口の位置を知り、そして採水をするというふうな方法しかとれないというところがほとんどであります。したがって、住民でもだれでもが採水もでき、目でも見れるというふうなシステムをつくるということが重要じゃないかというふうに考えるわけです。しかも、監視体制は自治体が大量の職員を採用して、警察の権力のようにやるというふうな方向を考えるよりも、やはり住民の協力を得て日常的に監視するという、そういうシステムがぜひとも必要じゃないかというふうに考えるわけです。もちろん、自治体の監視のための職員の確保という点は、最低限十分な措置がされるべきだと思いますが、それにはおのずから限界があるわけでありまして、必ず住民の協力を得る、したがって、地元に自治体と協力する監視委員会のようなものをつくって、そこが日常的に目的意識的に監視をするというふうなシステムをぜひとも考えるべきではないかというふうに考えるわけです。  それと、もう一つは、やはり生物に頼るということが必要なんではないかというふうに思います。けさほどのテレビでも、横浜の方で工場排水の監視のために魚を飼うというふうなことをやっていくんだということが報道されておりましたけれども、やはり生物の反応に頼るという方法が自然を守る方法で一番適切な方法ではないかというふうに考えるわけです。  で、私は、先ほどから申し上げておりますように、工場排水は下水道へ入れてはならないという立場にあるわけですけれども、河川へ直接放流される場合でもやはり監視が必要なわけですけれども、その場合には、いま申し上げましたように、私たちも経験的に知っておりますが、河川に非常に汚れた氷が出てくる、色のついた水が出てくる、いろんなことによりまして、目で見て一目瞭然、ここの工場であるということがわかりますし、またそこに生物が生息をする場合には、その生物がいち早く反応を示すというふうなこともあります。そういうふうなことを考えますと、やはり公共用水域へ放流をして、そういった監視体制を確立することによって一層公害規制を強めることができる。逆に下水道へ入れることによって公害規制の努力を怠らしてしまうというふうな結果になるんではないかというふうに考えているわけです。  では、これまでの監視体制が一体どういうふうになっておったのかということでありますけれども、自治体の現場から見ますと、本当に担当の職員は日夜を分かたず努力をしているわけです。もちろんその規制の基本的な条件は、現行法ということが前提になっておりまして、除害施設を何とかつくらしたい、その運転管理を十分にやらしたいということでありますけれども、工場の側にとりますと、この除害施設の運転管理というのは利潤に結びつかない、経費だけがかかって利潤に結びつかないというふうな施設でありまして、どうしても、企業の立場からしても、できるだけその部分に経費を割きたくないというのが、これは企業側の当然の考え方になってくるわけでありまして、そういうことを防止するためにも、先ほど申し上げましたような、いろんな住民や生物その他の条件によって、そういう工場側の利潤の論理といいますか、それを規制する方法が最も望ましいというふうに考える次第です。
  63. 小平芳平

    ○小平芳平君 初めに、南部先生に二点お伺いしたいのですが、第一には、第三次処理が必要になるというお話で、時間の関係で終わられましたが、この第三次処理ということがどうも私もはっきりつかみ取れないでいるわけです。まあ燐は取れる技術があるが窒素は無理とか、そういうことも先ほどお話がありますのですが、この第三次処理を技術的な観点からごらんになって、現段階でどういうことが言えるかということを伺いたいのが第一点であります。  それから、次に、閉鎖性水域、特に先ほどお話が出ましたアメリカのタホ湖の場合なんかでも、ずいぶん日本からいろんな研究者が何年も前から次々と行って、話を聞きに来ているんだということを現地の方がおっしゃっておられましたが、南部先生は、日本の国内でもそうした閉鎖性水域についての御研究を積んでこられたと思いますので、これらの点についてのお考えを承りたい。
  64. 南部よう一

    ○参考人(南部よう一君) 先ほど、人口密度の点から、通常の活性汚泥法までこれを二次処理というふうに称しておりますけれども、でございますと、平均にならしまして一平方キロメーター当たり九百人ぐらいのところぐらいだと、それをオーバーしておりますのが、県としては埼玉、東京、神奈川、愛知、大阪というところがある。そういうところでは、数字の上からは必要性が出てくるのではなかろうか。この場合の必要性というのは、先ほど申し上げました環境基準C、BOD五という水準でございます。BODが五ございますと、そこには魚がすめるぐらいの環境ができるわけでございます。大体BOD五ということは、さらに、その水域には酸素が五〇%以上残る、だから魚がすめる、こういう議論になるわけでございますが、これより人口密度がふえてきますと、もう環境基準BOD五が守れない、したがって酸素が少なくなる、したがって魚もすめなくなる、こういうことになるわけでございます。で、現在東京で申しますと、隅田川あたりがそういう状態になってきているわけでございますが、そういう隅田川に魚をよみがえらせるという観点に立てば、これはBODをさらに落としてやらなきゃいけない。普通の活性汚泥法ですとBODが二〇ぐらいまでしか落ちませんので、さらにそれを一〇まで落とす、あるいは五まで落とす。で、BODと一緒に浮遊物質、特に有機性の浮遊物質まで落とす、これが一つの三次処理でございます。  もう一つの三次処理議論は、先ほども出ておりましたけれども、富栄養化防止の絡みで、窒素、燐あるいは富栄養化の刺激物質というようなものまで取るという目的を前提にしますと、そういうものを取るための三次処理と、こういう議論が出てくるわけでございます。で、BOD、SS除去絡みの三次処理というのは、これは技術的にもそれほどむずかしいものではございませんで、従来の技術でそれは対応できる。ただ、次の富栄養化防止の、窒素、燐、それから刺激物質等の問題でございますけれども、特に窒素、燐については、いままでそういう技術がなかったわけでございます。世の中になかったわけでございます。新しくそういう技術を開発する努力が現在続けられているというふうに理解すべきではなかろうか。で、燐の場合は、先ほど中西参考人も言っておられましたけれども、これは水の中にある燐を分離するという技術でございます。それを中心にした技術でございます。分離するのに石炭を使うとかその他凝集剤を使う。いずれにしても水の中から分離するということでございます。分離した場合は、操作上の問題点、先ほど中西参考人御指摘になった問題もございますけれども、分離した汚泥をどう処理するかという汚泥の処理がまた出てくるわけでございます。しかし、技術的に比較しますと、燐の除去と窒素の除去というものは、燐の除去の方が技術的には進んできているというふうに理解してよろしいんではなかろうかと思います。ただ、窒素除去も最近非常に研究が活発になってきておりまして、相当のところまでやれるんじゃないかという見通しが現在立ってきております。ただ、これを実用化するについては、土地の問題があるわけでございます。窒素を経済的に取るためには、どうしてもかなりの土地が要りそうだという問題があります。したがって、技術的には見通しが立ったといっても、それを実用化するには処理場の施設の用地の問題が出てくるわけでございます。いずれにしましても、三次処理をやりますと二次処理プラスコストがかかるということは申すまでもないことでございます。  それから閉鎖水域の問題でございますが、閉鎖水域になりますと窒素、燐の問題が出てまいりますが、富栄養化の議論をする場合にもう一つ重要なのが刺激物質の問題があるわけでございます。これは昨年瀬戸内海で赤潮が発生しまして大量のハマチが死んだというときにも議論になりましたように、天候の条件、何かの条件で、急に問題になるようなプランクトンが異常発生する。窒素、燐のレベルはそれほど急激に変わってないのにそういうものが出てくる。その原因としましては、天候、水温の問題とかあるいは日射量の問題、それから刺激物質の問題等々あるわけでございます。そうしますと、二次処理ではそれほど窒素、燐は取れないといっても、ある程度二次処理で窒素、燐は二〇%から三〇%取れるわけでございますが、刺激物質も相当まで取れているかもわからないという議論がある。そうしますと、閉鎖水域の対応として、いきなり三次処理まで行くという前に、まず二次処理できちっとやるということもかなり効果があるのではないかという期待が一つあるわけでございます。  で、さらに効果を上げるためには、窒素、燐まで取ることに進んでいくわけでございますけれども、いろいろ私自身も富栄養化の勉強さしていただいておりますけれども、まだその富栄養化のメカニズムというものはよくわかっていないわけでございます。ですから、何を優先してどう取るかというのは、先ほど中西参考人も御指摘になっておりましたけれども、私も、まだわからない点があるのじゃなかろうか。ただ、こういう三次処理対応の実際の技術というのはまだまだいろいろ研究の段階にあるので、いろいろパイロット的にやる必要はあるのではなかろうかと私は思っているわけでございます。そして、それがいいか悪いかというのは、やはり実際やってみて、そこでいろいろ科学的なデータをとって判断すべきではなかろうか、その後、十分な情報なり知識を得た後で、それを全国的にどうするかという問題に持っていくべきではなかろうかと、このように私は考えております。
  65. 小平芳平

    ○小平芳平君 ありがとうございました。  もう少し南部先生に、関連いたしまして。  いまお話しのように、まあ研究段階といいますか、実験段階といいますか、そういう段階と承りましたが、実際問題この赤潮の原因、それから――私の生まれたところは諏訪湖の近くですが、諏訪湖に大量発生するアオコ、こういうのはちょっといまのところまだ原因がはっきりつかめないし、防止対策も根本的なものはまだつかんでおられないと思いますが、これからの見通し、あるいはどういうふうな研究が必要か。特にこの政治の場で、こういう点に力を入れるべきだと、赤潮とかアオコとか、そうしたものの究明のためにはこういう点に力を入れるべきだというような点がありましたら御指摘いただけば幸いだと思います。
  66. 南部よう一

    ○参考人(南部よう一君) まずBODの除去に関しましては、テムズ川で古い歴史があるわけでございます。現在下水道に非常に幅広く取り上げられております活性汚泥法というのも、テムズ川における水質汚濁の問題からスタートしたというふうに、私、文献で読ましてもらっておりますけれども、テムズ川の問題は、酸素不足に基づく水の腐敗ということで、夏場になりますと大変な悪臭をテムズ川で発したんだろう。で、ああいう水質汚濁の現象を取り扱うのにどういう水質指標で取り扱ったらいいのかというのがまず第一番目に問題になったんだろうと。いろいろなそういう自然界の現象を取り扱うのにまずその現象を解析するための指標というものが要るわけでございます。ちょうどテムズの場合は酸素不足の問題絡みでございますから、ああいう問題を取り扱うにはBODという指標が非常にいいと、BODという指標を用いればああいうテムズ川の水の腐敗のメカニズムが定量的に取り扱えると。一方対応する下水道サイドでもBODというものを前提にしていろいろ処理施設の設計ができる、維持管理もできるということで、汚濁の被害というものと対応策というのが一つのBODという指標で全体が統一されていったんじゃなかろうか。そういう状態にまで持っていかなければ本当のそういう汚濁の問題への対応ができないのではなかろうか。富栄養化の場合も同じでございまして、富栄養化の問題を取り扱う場合は、その現象論の解明と対応の方のシステムというものを、やっぱり同一の指標なり要素なりで検討できるような形に調査研究を持っていかなければいけないのではなかろうか。ただ、富栄養化の場合は、先ほどの水の腐敗に比較しまして影響している因子がまことに多うございます。プランクトンの発生、水温、日照、窒素、燐、それから刺激物質等々の問題がございます。したがって、今後そういう観点に立った研究が総合的に有機的に進められるべきではなかろうか。で、それに応じてやはり処理技術もそういうところからこういうふうに対応を考えろということが出てくればそれなりの対応ができるのではなかろうかと思っております。
  67. 小平芳平

    ○小平芳平君 時間の関係もありますので、長い時間になりますので、中西参考人に次にお伺いいたしたい点は、水をきれいにしなければならないという点で非常に御熱心な闘いをしていらっしゃる。したがって、下水道を充実しなければならないという、それは当然の出発点でもあると思います。ただ、ここに混合処理というような問題が起きてきて、本来の水をきれいにするという、そういう公害防止という運動に、まあ付随的といいますか、行政の方からよけいな問題を発生させてきたみたいに考えます。で、この混合処理の非常に問題のあることはるるお話がありましたし、質問に対するお答えもありましたので、その混合処理の問題は、こういう重大な問題があるということを前提といたしまして、なおかつ下水道はつくらなければならないし、また国、地方公共団体も下水道を建設するという、非常にスピードを出して建設するという動きになっております。こういう点で、先ほどのお話では、余り巨大なものはかえって問題があるし、かといって学校の校庭へちょっとためておくようなものでもどうかと思うと、で、五万から二十万というふうにお話しくださったわけでありますが、そのほかにも、そういう点を踏まえて、全体的に現在大変なスピードを出して建設されようとしている日本の下水道に対しまして、一つは混合処理の問題、そのほか御指摘される点がありましたらこの機会に指摘をしていただきたいということをお願いしたいわけです。  それから、時間の関係もありますので、有元参考人に伺いたいことは、いま申し上げるような趣旨で、やはり下水道が全国的にもうどんどん建設されつつあるし、また、よりスピードを出してされようとしておりますので、実際働いていらっしゃる皆さんといたしまして、そのためにはぜひともここに注意してほしいと、特に先ほどの労働安全の点からのお話もちょっとございましたんですが、とにかくそういうふうに拡大されていけば労働者も急速にふえていかなくちゃならないわけでありますし、そしてこの混合処理は課題としてまだ残っておりますが、特にこうした安全衛生の点から、あるいは現場で働いている皆さんの御意見として、この点だけはぜひとも注意してほしいということがおありでしたら述べていただけば幸いです。
  68. 中西準子

    ○参考人(中西準子君) お答えいたします。  工場排水の問題は、一応混合処理の問題は解決されたとして、その後に残る下水道の問題は何かという御質問についてお答えをしていきたいというふうに思います。  まず最初に、私どもは家庭下水だけの処理場ということに限って言えば、やはり下水道をつくらねばならないという立場でありまして、下水道をつくって家庭下水を処理していくという立場を貫いております。それで、私はよく知っていただきたいんですが、全国の流域下水道の反対運動の人たちは、自分の敷地を下水処理場に取られるというところから反対を始めたにもかかわらず、私どもの話を聞いていく中で、家庭下水だけの、自分たちのところだけの処理場ならつくろうじゃないかと、このあたりの要求の中にも、家庭下水だけの市町村単独の下水処理場をつくれという要求を出すと、自分の土地を取られるにもかかわらずつくれという要求を出すまでに成長していっているという、この事実をぜひ見てやっていただきたいというふうに思うんです。そして、住民の人たちが参加をし、自分たちの手でつくり上げ、納得できる下水処理場ならいいんだという、こういうものをなぜ行政はくみ取らないのかというところをぜひわかっていただきたいというふうに思います。  それから、家庭下水だけのそういう処理場になった場合の問題点として、私どもは、一応市街地の場合に五万から二十万という、非常にわかりやすいという意味でガイドラインを出しておりますが、これはやはり市町村の単位とか、それから流域の大きさとか、そういうものによって非常に違うということ、やはり基本的に下水道は流域変更をしないで、使ったところの水をできるだけそこへ戻していくという立場で、やはり規模も考えていかなければならないんではないか。  次に、家庭下水だけになったとしても、汚泥が必ずしもすぐに農地還元、ことにたんぼなんかの場合には非常に、たんぼに戻せるかどうかという危惧がまだあります。そういう点で、家庭下水だけになったとしても、まだそのものを減らしていかなければならない。たとえば、いま全国的に使われている亜鉛引きの管とか、そういうようなものを使わなくしていくというような、非常にまだ努力をしなければならないようなところがあるかというふうに思いますので、汚泥処理についてはそれでもなおまだ残された問題があるであろうというふうに考えております。  それから、まだ下水処理の技術が確立していないという点から、画一的なパターンをいろんなところに押しつけていくことは非常に危険であると、したがって、そういうもののパターンに従って補助金の率を変えるというような、行政が誘導するようなやり方は正しくなく、むしろ均一に補助金をつけながらいろんなシステムを試験的につくって、みんながやっていく中で本当にいいものを選んでいくというような点が非常に大事ではないか。ヨーロッパが百年なり二百年かかってきた下水道を、一挙につくってしまおうとするところに日本の問題のもう一つの、まあヨーロッパの問題もありますし、日本独自のもう一つの問題が私はあると思うんです。そういう点で、下水処理場というのは、先ほども言いましたように、自然とのかけ橋だということを忘れずに、自然と合ったものを一つ一つつくり上げるんだという、手づくりでつくっていくんだという、そこのところをぜひ大事にして、補助金をつけることは非常に結構ですけれども、それによってある一つのパターンを、技術的なパターンを押しつけていくというようなことはぜひしないでいただきたい。  以上です。
  69. 有元章博

    ○参考人(有元章博君) まず第一点は、いま中西さんの方からも言われましたけれども、これから下水道をつくるところにつきましては、まず最初に汚泥をどうするかということから考えを始めていただきたい。ともすると施設をつくって水が流れてきれいになる方は考えがちですが、最後に出てくるものをどうするかということが考え方の中から欠落をしてしまうという場合がこれまでの経験からあるわけです。ですから、まず第一番目に汚泥をどうするか、出てくるものをどうするかということについて十分な検討をした上で下水道の計画が立てられるべきだろうというふうに考えます。  それからもう一つは、最近特に顕著になっておりますが、建設は進めるわけですが、その施設の管理をどうするかという問題がいつも欠落いたします。特に下水道の施設の場合、まあ道路の場合ですと、一たんつくりますと後は勝手に自動車が通ったり人が歩いたりするわけですが、下水道の場合は、そこへ毎日毎日水が入り、泥が発生しというふうな形で、この施設をだれかがきちっと運転管理しなければ使えない。放置をしておったんでは何の役にも立たないということがありまして、建設の段階から、まずそれを運転管理することについての体制を十分考えるという必要性があるんではないかというふうに思うわけです。特に、悪い水質が入った場合の監視、悪い汚泥が出てきた場合の問題、そういうことも十分管理体制ができ上がっておりませんとわかりません。処理場は、先ほども申し上げましたように生物を利用して処理をしております関係で、大変微妙な運転管理が必要とされます。ですから、特にこの管理体制の問題をまず考える必要があるかと思うんです。  それからもう一つは、これも最近特徴的ですが、下水道建設は急がれる、しかし自治体に技術者がおらないというふうなこと、それからお金がないというふうなことがありまして、市町村の主体性を放棄して県にすべてを委ねてしまう、あるいは下水道事業団へすべて委ねてしまうというふうなことで、住民や自治体の人がほとんど内容を知らないままに下水道の計画や設計が進んでしまうというふうな実態があります。これでは決してまともな下水道はできないというふうに考えるわけです。確かに技術者が不足しておりますと各自治体でやる上では大変むずかしい問題もありますが、しかし、その困難を避けないで、初めは少しむずかしくても、いろんな民主的な学者や専門家の協力を得ながら各自治体がまず努力をするという必要があろうか思うんですが、最近特にそういう傾向が見られますので、計画設計も、できる限りそれぞれの自治体が主体性をもって考える、いろんな人の協力を得てやっていく、こういう姿勢がどうしても必要ではないかと思うんです。こういったことが十分やられないで、とにかく下水道を何が何でもつくるというふうなことでやられた下水道の職場では、一番最初にも申し上げました、いろんな問題が結局は現場の労働者にしわ寄せされまして、現場で幾ら努力しても、初めの計画が間違っておる、方針が間違っておりますと、現場で幾ら努力をいたしましてもそこには限界が出てくるという問題でありまして、そういう点を、今後建設されるところにつきましてはぜひともよろしくお願いしたいというふうに考えているわけです。
  70. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 それじゃ、限られた時間ですし、相当長時間にわたって御意見を拝聴いたしましたので、ごく限られた問題についてだけお伺いをしたいと思います。   〔委員長退席、理事矢田部理君着席〕  その一つは、有元参考人にお伺いをしたいんですが、私も大阪なので、大阪の実情、また大阪の職場の中で御苦労いただいておる実情というのは非常によくわかるわけですが、そこで一つお尋ねをしたいと思いますのは、その混合処理の問題は、いよいよ実際におおむね下水道ができ上がったという段階で問題が集中的に出てきているという立場でのいろいろ御見解が開陳をされたと思いますけれども、そこで、たとえば大阪市のように、一定のでき上がった段階で、そして相当な重金属あるいは処理の困難物質などが混在をしているという段階で、しかも公共用水域に対しては相当な汚染寄与率であると、こういうものに対して、解決あるいは改善をしていくという場合に、どういうふうに考えるべきかということなんですね。特に大阪市の市域全体を見てみますと、工場の仕組みから言いましても、中小企業あるいは零細企業の非常に多い地域で、いわゆる住工混在地域というのが非常にたくさん含まれているという大阪の特殊性というんですかね、そういうふうな状況の場合にどういうふうに考えていくべきかというふうなことを、ひとつ現場でお仕事をしておられる立場での御見解を承っておきたいと思います。  といいますのは、特に大阪市の場合でもそうなんですが、戦後、下水道についての住民の要求というのは、当初は浸水対策としての要求であった。それがさらに屎尿処理に発展をし、いまや環境保全、水管理というところへ発展をしてきているわけですけれども、水質保全を確保していくという環境保全も、住民の生活環境を守っていくという点で共通の課題なんですが、そういう過去の歴史的な積み上げの中ででき上がってきているという時点で、どういうふうに考えていくべきなんだろうか。これはやっぱり一つの重要な問題点だと思うんですね。今後の課題ということといまの到達点での改善の方途というふうな点ですね、そういうことについてちょっとお伺いをしたいと思います。  それから、中西参考人にもお伺いをしたいのはその点なんですね。混合処理についてのいろんな論議というのは、実は午前中からもずっと引き続き伺ってきておりましてよく理解をしたつもりでおります。そういうふうな中で、日本の非常に地域的な条件というのはいろいろあると思うんですが、そういった点では、日本の産業構造の状況から言って、中小企業とかあるいは密集地帯における住工混合地帯とか、そういったところは避けられないというふうな状況の中で、そういった点についてはどういうふうに考えていくべきかというふうなあたりもあわせてお伺いをしておきたいと思います。
  71. 有元章博

    ○参考人(有元章博君) すでにできております大都市の場合、大変むずかしい問題があるわけですが、いまもおっしゃいましたように、歴史的な経過として今日の姿になったというやむを得ない面もありますが、私の考えでは、雨水も汚水もすべて下水が引き受けようというふうな形で事業が進められてきたというところに一つの問題があるのではないかというふうに考えております。たとえば、浸水を解消するのにこれは下水道ですべて賄うんだというふうなことがやられてきたわけですが、都市計画の上でたとえば貯水池を――都市の場合も公園事業との絡み合いの中で、雨水を一気に流してしまうだけではなくてどこかに貯留をする、そして徐々に流していくというふうなことも公園行政との絡み合いの中で考えられてしかるべきではなかったかというふうに思いますし、それから、水路が腐敗をしてくると直ちに埋めてしまって下水にしてしまうというふうな単純な発想でやってきたというふうな面もあっただろうと思うんです。   〔理事矢田部理君退席、委員長着席〕  で、住工混合地帯で、工場排水を切り離す上で一番問題だと言われておりますのは、すでに水路も埋まり下水になってしまったようなところで、もし下水から工場排水を切り離した場合、一体どこへ放流すればよいのかというふうにいつも返されるわけですが、しかも、午前中の議論にもあったようですが、もう一本工場用の管を入れるとこれは都市の場合大変だというふうなことも久保さんの方からおっしゃったようですけれども、そういうことを目的意識的に考えないで、企業が放流できる水路をきちんと確保するといいますか、そういうことなしに、汚水が河川を腐敗させるということだけでこれを埋めてしまったというふうな問題があろうかと思うんです。したがって、都市にそういう自然の水を取り返すためにも、直接放流できる水路とか、そういうふうなことも考えるべきではないかというふうに思いますし、それから都市計画上も工場をできるだけ誘致をして集めるような方法も具体的に考えられるべきではないかというふうにも思いますし、それから高層ビルが一棟建ちますと小さな町が一つでき上がるような、そういうことになるわけですが、そういうことを行う場合にも、ほとんど下水道のことを考えないで大きなビルをつくってしまうというふうな問題で、下水道がパンクをしてしまうということも現実に起こっております。  そういうふうに下水道がすべての問題を受け入れるという形で進められてきたにもかかわらず、別の方では下水道のことはほとんど考えないでどんどん事業を進められる、こういう矛盾した考えで都市のつくり方がされていっている。大都市の場合、どことも同じようなことのようですけれども。したがって、もう一度、都市から廃棄される廃棄物やあるいは下水のような汚水とか、そういうふうなものを基本に据えた都市の構造のあり方というものをやはり考えていくべきではないか。そのための具体的な手だてを、それぞれの自治体の実態をもう少し具体的に把握をすることによって検討を進めるという必要があろうかと思うんですが、そういう目的意識を持って都市の現状を分析し把握するという努力すら全くやられておらないというのが現状ではないかと思うんです。したがって、いま具体的にこうすれば解決するという、そういういい案を私の方で提起することはもちろんできませんが、まず一番初めの姿勢として、もう一度いま申し上げたような観点から都市の分析を始める、目的意識的にやる、部分的であっても解決できるところかあら、たとえば工場排水を切り離せるところ、まだ水路の残っているところ、公共用水域に面しているところ、あるいはかなり質がよくなっている工場、そういうふうなものから順次切り離すとか、そういう方法は具体的に検討すれば可能ではないか。あと、零細企業などでほとんど家内工業的にやられている企業の場合、用地もなければ金もないというふうなところにつきましては、技術的な援助とか財政的な援助を自治体が十分持ちながら具体的な指導を行うべきではないかというふうに考えるわけです。  少し抽象的ですけれども……。
  72. 中西準子

    ○参考人(中西準子君) お答えいたします。沓脱先生の御質問は非常に重要なことであるというふうに思うんですけれども、一応事態を非常にきちんと分けて議論をしないと誤解を招く点があると思うので、その点についてきちっと分けて議論をさせていただきたいと思います。なぜならば、私どもが東京都とか横浜市などとこの工場排水の問題を議論している中で、既設のものがもう管を外せない外せないというふうに言いながら、新しくつくるところでどんどん工場排水を入れているわけですね。そういうような言い逃れに使われているという現実があるという点をまず注意していただいて、この議論はそういう言い逃れのための議論では決してないということをまず注意をしていただかなければならないんじゃないかという気がいたします。  それで、まず、既設のものを外すということは非常にむずかしいということです。これはかなりむずかしい。むずかしいからこそ私たちは二十年の計を考えて下水道をつくっていかなければならないんだということをまず強調したいと思います。  それから、既設のものというものの中に、合流式でつくられたものと分流式でつくられたものがあります。この分流式でつくられてあるものは、工場排水を外していくということは非常に容易です。というのは、雨水管に当面入れていくという処置ができるわけです。ですからこれは非常に容易である。しかし、合流式でつくられてなお川を全部つぶしてしまったようなところで、実際上外していくというところは非常にむずかしい点もあります。ただし、私どもが川崎市について幾つかそういう事例を検討してもらった結果、川崎市の場合にはそういうことはほとんどないという答えをもらっております。したがって外していけると、そういう意味の小さな水路は残っているという答えをいただいております。したがって、全部可能だということではないんですが、努力次第でやはり私どもは外していくということができるんではないかというふうに考えております。  それから、中小企業、密集地帯は、いまのような下水道整備のやり方が避けられないんではないかという御質問ですけれども、これについては、私どもはそういうふうには思っておりません。それは、既設のもので中小企業とか密集地帯で、水路が全然ないものをどう外していくか方法がわからないという点であればある程度わかるんですが、これから新しくつくるというところであれば、中小企業であれ密集地帯であれ、工場排水を外していくという方策は十分あるというふうに考えます。  で、中小企業だから認めろという意見は非常にたくさんいろんなところで聞かされるんですが、これはアメリカでもすでに実証済みなんですが、中小企業だけを下水処理場で受け入れていくということになった途端に、そういうようなことになりますとすぐカドミウムの汚染とかメッキとか、そういうものが全部中小企業におろされてきてしまうと。結局、日本の中小企業というのは大企業のためにあるわけですから、全部しり抜けになってしまうわけです。ですから、私どもはこれ、中小企業だから認めろという言い方はできない。中小企業が財政的に苦しいから自己処理のための援助をということならわかるけれども、基本的に下水道のシステムを変えるということは非常に危険であるということを指摘しておきたいというふうに思います。  やはり都市をつくっていくときに、川をつぶしていくというようなことをすると、後でいろんな技術的に改変しようとしたときに非常に困ってくる。やはり川というものは残していくというところの中で都市計画を考えることによって、これから将来のさまざまな変化に対応していけるんではないかというふうに私どもは基本的に考えておりまして、川を残す都市計画というものを中心にしてずっとこれからも考えていきたいというふうに思っております。  以上です。
  73. 柳澤錬造

    ○柳澤錬造君 時間がないですから、簡潔にお聞きいたしまして、簡単にお答えいただきたいと思います。一問ずつそれぞれ参考人にお聞きしたいと思います。  有元参考人にお聞きしたいのは、きょうは午前も午後も話が出てこなかったんですが、水質汚濁という点に立って、私は家庭が使っている洗剤というものが、川を見ましてもかなり汚しているんじゃないか。ですから、その辺の、家庭用の洗剤がどの程度の影響を及ぼしているのかどうか。大して影響がないのかどうか。私は何かあるような気がするので、何かそういうことは規制をする方向にいかなくてはいけないんじゃないかと思うんですが、その点についての御意見をお聞きしたいんです。  それから、中西参考人には、先ほど建設省が、処理場が大きくなればなるほど安くいくと言うけれどもそれは間違いですと、日量で五万トンから二十万トンぐらいが一番いいんだというお話を聞かされましたんですが、これ、計算してみて、そうすると人口で言えば十二万ぐらいから五十万ぐらいの都市に一つということになると思うんです。そうしてくると、東京のような場合だと、いまちょうどごみ焼却場を各行政区に一つずつつくって始末をしなさいと言われているんですけれども、それと同じように、中規模の処理場を各地につくってそしてやっていく方がいろいろの面でいいということになるのかどうか、その点でお聞きしたいと思います。  それから、南部参考人にお聞きしたいのは、こういう下水というか、汚水ですね、こういう汚れたものの処理というものは、ちょっと言い方よくわからぬですけれども、たとえば、水をそこへぶち込んで、倍の量にしちゃって処理するのも、汚いのを濃いままで処理をするのも、処理をするには変わりがないのかどうなのかというところです。ちょっとおわかりにくいかと思うんですが、いわゆる濃度の濃いので処理するよりか、むしろ水をそこへ入れて、倍ぐらいに薄くしてやった方が手っ取り早いというか、処理がしやすいというような感じもするんで、その辺はそういう関係があるものやらないものやらお聞きしたい。  以上です。
  74. 有元章博

    ○参考人(有元章博君) 家庭の排水に含まれる洗剤の下水道へ及ぼす影響についてお答えしたいと思うんですが、いま、特にCODの規制といいますか、化学的酸素要求量の総量規制というような問題が、特に瀬戸内あたりの問題と関連して出ておりますが、家庭のCODはほとんど九〇%ぐらいは処理場の二次処理で除去できるというふうに言われておりますが、特にCOD問題では工場排水が問題なんですけれども、しかし、家庭の中に含まれる化学性の物質によって水が汚染されるという問題はあるわけです。で、特に洗剤の場合、界面活性剤ABSとか、そういうふうなものが下水の処理に影響を与えるということは事実です。で、最近いろいろ騒がれまして、このABSもハードな状態からかなりソフト化してきておりまして、界面活性剤の面で処理が以前と比べてはよくなってきているという面がありますが、なお問題もあるわけです。さらに下水処理場でも大変問題になっておりますが、洗剤によるあわ立ちという問題があるわけです。活性汚泥を活躍させるために空気を吹き込んで曝気をいたしますけれども、その過程で大変なあわ立ちがあるわけです。これが風などによって周辺の家屋などへ飛んでいっていろいろ迷惑をかけるというふうな問題もありまして、これが大変厄介なものになっておるわけです。さらに、もちろん先ほどから言われておりますように、この洗剤中に含まれる燐が除去できないという問題で富栄養化の非常に大きな問題になっておるわけですから、燐の問題は、特にこの洗剤中に含まれるものが下水の中に含まれるもののうち非常に大きな割合になっておりまして、前々から私たち合成洗剤をやめていわゆる植物性の石けんとかそういうふうなものにかえるべきであるということを主張しておりますが、これはさらに今後ともこの合成洗剤をやめていくと、燐を規制していくというふうな具体的な努力がもっともっと払われないといけないんではないかというふうに考えている次第です。
  75. 中西準子

    ○参考人(中西準子君) お答えいたします。  私どもが日量五万トンぐらいから日量二十万トンぐらいまでが密集した市街地での下水処理場の適正規模であるという結論を出した一つの根拠は、現在のところまだ直接すぐに汚泥を農地還元するということはちょっと危険な面が残っている、したがって、当面は焼却をして安全な場所に置くと。森林とかそういうところは構わないと思っているんですが、そういうことを前提にした上での規模です。したがって、もしもこれを直ちに農地還元できるという条件が出てくれば、もう少し規模の小さい処理場もずっと経済的になる。そういう外的な条件によってその規模の議論は非常に違ってくるということをまず一つ御注意させていただきたいというふうに思います。  それで、東京都区内で言えば、それでは自区内処理をするということかということの御質問ですけれども、私どもは原則として区の中に一つ下水処理場をつくるという原則を立てたいというふうに考えております。しかし、東京というすでに非常に大きな都市ですから、それを機械的に当てはめられるというふうには思っておりませんが、原則としてはそういうふうにしていきたいという考えでございます。  以上です。
  76. 南部よう一

    ○参考人(南部よう一君) いま下水処理の関係でございますけれども、問題点二つにしぼらしていただきたいと思います。重金属関係を汚染物質として考えた場合、あるいはBODを対象に考えた場合。重金属等を考える場合は、これは高濃度の方が処理は楽でございます。薄めれば薄めるほど処理がやりにくくなります。それから、BODの場合は、先ほど来出ておりますように、下水処理は生物処理、生物の力を使った処理をしております。ですから、広い面積があれば、ほとんど人工的な手を加えなくても自然に処理ができるわけでございます。したがって、用地を狭くすればするだけエネルギーも必要になってまいりますし、管理技術の水準も高く要求されてまいります。したがって、BODに係る場合は、狭い場合でもこれは処理ができます。その場合は、用地建設費は少なくて済みますけれども、エネルギー消費が大になるし管理の技術水準が高くなる。大きければそれだけ広くなりますが、エネルギー消費は少なくて、維持管理水準も少なくて済むということだろうと思います。
  77. 柳澤錬造

    ○柳澤錬造君 終わります。
  78. 田中寿美子

    ○委員長(田中寿美子君) 以上をもちまして、本日予定いたしました五名の参考人からの意見聴取並びに同参考人に対する質疑は終了いたしました。  参考人の方々に一言お礼申し上げます。  本日は、皆さま御多忙中のところ、長時間にわたり貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。  お聞きいたしました御意見は、当委員会の今後の調査に大いに参考になることと存じます。委員会を代表いたしまして厚くお礼を申し上げます。ありがとうございました。     ―――――――――――――
  79. 田中寿美子

    ○委員長(田中寿美子君) 連合審査会に関する件についてお諮りいたします。  特定空港周辺航空機騒音対策特別措置法案(第八十二回国会閣法第八号)について、運輸委員会に対し連合審査会の開会を申し入れることに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  80. 田中寿美子

    ○委員長(田中寿美子君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  なお、連合審査会開会の日時につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  81. 田中寿美子

    ○委員長(田中寿美子君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。  他に御発言もなければ、本日はこれにて散会いたします。    午後三時五十五分散会      ―――――・―――――