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1978-03-30 第84回国会 参議院 予算委員会第一分科会 2号 公式Web版

  1. 昭和五十三年三月三十日(木曜日)    午前十時一分開会     ―――――――――――――    分科担当委員の異動  三月三十日     辞任         補欠選任      野口 忠夫君     大塚  喬君      大塚  喬君     瀬谷 英行君     ―――――――――――――   出席者は左のとおり。     主 査         宮田  輝君     副主査         矢原 秀男君     分科担当委員                 糸山英太郎君                 亀井 久興君                 鍋島 直紹君                 林  ゆう君                 大塚  喬君                 瀬谷 英行君                 秦   豊君    国務大臣        外 務 大 臣  園田  直君        国 務 大 臣        (防衛庁長官)  金丸  信君    政府委員        防衛庁参事官   夏目 晴雄君        防衛庁参事官   番匠 敦彦君        防衛庁参事官   古賀 速雄君        防衛庁長官官房        長        竹岡 勝美君        防衛庁長官官房        防衛審議官    上野 隆史君        防衛庁防衛局長  伊藤 圭一君        防衛庁人事教育        局長       渡邊 伊助君        防衛庁衛生局長  野津  聖君        防衛庁経理局長  原   徹君        防衛庁装備局長  間淵 直三君        防衛施設庁長官  亘理  彰君        防衛施設庁総務        部長       奥山 正也君        外務大臣官房会        計課長      後藤 利雄君        外務省アジア局        長        中江 要介君        外務省アメリカ        局長       中島敏次郎君        外務省欧亜局長  宮澤  泰君        運輸省航空局次        長        松本  操君    説明員        外務省欧亜局外        務参事官     加藤 吉弥君        運輸省航空局監        理部国際課長   山田 隆英君     ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○昭和五十三年度一般会計予算(内閣提出、衆議  院送付) ○昭和五十三年度特別会計予算(内閣提出、衆議  院送付) ○昭和五十三年度政府関係機関予算(内閣提出、  衆議院送付)     ―――――――――――――
  2. 宮田輝

    ○主査(宮田輝君) ただいまから予算委員会第一分科会を開会いたします。  まず、分科担当委員の異動について御報告いたします。  本日、野口忠夫君が分科担当委員を辞任され、その補欠として大塚喬君が分科担当委員に選任されました。     ―――――――――――――
  3. 宮田輝

    ○主査(宮田輝君) それでは、昭和五十三年度総予算中、外務省所管を議題といたします。  政府からの説明はこれを省略し、本日の会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 宮田輝

    ○主査(宮田輝君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  これより質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  5. 大塚喬

    ○大塚喬君 本日、私は外務省関係について外務大臣の所見をお伺いしたいと考えておるところでありますが、園田外務大臣が就任以来、日中国交回復、友好条約の締結に自分の進退をかけておられる、このことに関しては日ごろ大変力強く、そして心からの敬意を表しておるものであります。本日は、この友好条約締結促進のための幾つかの質問をいたしたいと思うわけでありますが、その前に一、二の問題について外務大臣から直接お考えをお聞かせいただきたいと願っておるところであります。  覇権の問題に入る前に、七二年と思いますが、当時外務大臣であった福田さんの創作にかかわると言われております「水かき外交」、「アヒルの水かき」、こういう言葉が一時流行語になったことがあります。しかし、福田水かきは田中水かきに破れて、田中内閣の成立という事態になったわけであります。ところが、この隠密を主体にする角榮水かきの一部が一昨年のあるマスコミにその一部が暴露されたわけであります。この内容が余りにも常識を逸した、また余りにも膨大な金額のためか、まゆつばものとして余り世間の関心は引かなかったようであります。しかし、その真偽のほどを調査してまいりますと、各方面から事実であるということが次第に明らかになってきておるわけであります。この問題は、三木内閣時代に内調国際部を通じ調査確認をした、また、警視庁にも同様の書類があるということも明らかになってまいりました。事は国際信義にも関する問題でありますので、私も慎重に発言をいたしたいと存じます。  その内容は、七二年、日中国交回復正常化のちょうど一ヵ月前、財界から、財界の巨頭五人を中心とした稲山ミッションが北京に送られておるわけであります。その中に、三井物産の水上達三氏が、田中総理と十分相談の上だと、こういうことでこのミッションに参加をいたしております。水上氏は北京に着くと、早速日本から携えてきた会談要旨を述べた周総理あての手紙を中国側に託しております。しかし、この水上氏の行動はミッションの他の方々と全く無関係であったことは事実のようでありますし、稲山さんやその他の方々の名誉のためにこのことははっきりさせておきたいと思います。  ところで、これが水上氏の周総理にあてた中国文の手紙の写しであります、そちらにありますが。これがその封書であります。それから、これがその手紙の内容の写しであります。で、これは私なりの要約でありますが、こういう手紙の内容であります。   周恩来総理閣下   中国が、日本のために六〇〇億ドルの物的な損害、三〇〇〇万人もの死者を出すといった、不幸な、痛ましい過去がありました。しかし、両国の国交正常化のため、田中総理は一ヶ月の後には北京に参ります。田中総理と三井物産、また特に私とは個人的にも非常に親しい関係にあります。そこで、田中総理は、日中両国の今後の経済協力について、閣下と、とくと相談する様にと、私を派遣して参りました。   私は曽て、三井の支店長として、七年間中国で過し、日中友好の気持は人一倍強く、また中国のために、長江に巨大なダムと発電所を建設し、中国の工業の発展に尽したいと、長い間夢みて来ました。何年か前、高碕達之助氏や木川田一隆氏が、閣下に長江ダムの話を持ち出したのも、私の意を受けてのことでした。   日本は今三〇〇億ドルの――これは当時の金額でありますが――外貨を保有し、その使途で政財界の意見はいろいろに分れています。私はこの金で、長江に巨大なダムと発電所を建設し、中国に贈与すべきだと、主張し続けて来ました。国交正常化の暁に、中国は対日賠償請求権を放棄する様に聞いています。とすれば、日本は尚更、道義的にも、一〇〇億ドルを目安に、長江に大ダムを建設し贈与すべきだと一層強く主張しています。私達三井物産が田中内閣の成立に多大の尽力を憎まなかったのも、ダムの建設と将来の日中友好を願ってに外ありません。   田中総理は、私の計画に全面的に賛意を表し、工事の請負はすべて、三井物産に一任すると、私と堅い約束を交しています。真に利益をうけるのは貴国です。残るは閣下のご裁可をいただくだけです。以下云々ということで、   一九七二年八月一五日                水上達三  手紙はこのような内容であります。  で、質問の進行上、このような手紙があったかなかったか、初めに外務大臣からひとつ率直にお聞かせをいただきたいと思います。
  6. 園田直

    ○国務大臣(園田直君) いまの大塚先生の発言の件は一昨年の月刊雑誌で報道されたところで、事実無根であると承知しておりましたが、いまお話を承り、コピー等拝見したわけであります。事はきわめて重大で、この取り扱いは慎重でございますので、いままでのところ外務大臣は一切承知しておりませんが、十分各方面とも調査をしてみたいと考えます。
  7. 大塚喬

    ○大塚喬君 外務大臣はさきに官房長官をお務めになって、現在外務大臣であります。内閣調査室、これは官房長官の所管の機構ではございませんでしょうか。
  8. 園田直

    ○国務大臣(園田直君) そのとおりでございます。
  9. 大塚喬

    ○大塚喬君 具体的に逐次申し上げることにいたしまして、内閣調査室が官房長官の所管の機関である、こういうことになりますと、内閣調査室でだれがどうやったかということも私なりに承知をいたしておるところでございますが、特に私はそういうことで、官房長官を経験された外務大臣、こういうことでお尋ねをいたすわけであります。  で、この当時の官房長官は井出一太郎氏、また内調の室長は渡部正郎氏、調査した調査官の名前もわかっておるわけでありますが、至急にひとつ、これはそういう事実関係でそうむずかしい問題でありませんから、内調でこの事実を調査確認をした、そういう事実の有無について、この会議の間にひとつ至急に、その有無だけで結構でございますから、ぜひお答えをいただきたいと思います。よろしゅうございますか。
  10. 園田直

    ○国務大臣(園田直君) 直ちに問い合わせてみます。――ちょっといまのやつを先生お借りできますか。
  11. 大塚喬

    ○大塚喬君 三井物産の水上書簡、こういうことで、調査室長、それから内閣調査官の押田さんという方は、現在は……
  12. 園田直

    ○国務大臣(園田直君) ちょっと覚えておりませんが。
  13. 大塚喬

    ○大塚喬君 押田さんの後任の方にお尋ねいただけば、あるいは押田さんにどこにいまおいでになっているかお尋ねをいただけば、その事実関係は明白になるだろうと思います。
  14. 園田直

    ○国務大臣(園田直君) それじゃ、そのようにいたします。
  15. 大塚喬

    ○大塚喬君 この当時の経過を調べてまいりますと、稲山訪中団の北京到着後、水上氏の手紙が渡されまして、数日の後、周総理と訪中団との会見が行われ、その席で周総理は、わが国は自力更生が国是なのでと、水上氏には恥をかかせないようえんきょくに断っておる事実があります。  この水上書簡は、日本が中国に与えたいわゆる惨禍と申しますか、損害と申しますか、中国が賠償を放棄しようとも、少なくとも百億ドルぐらいは無償経済援助をして贈与すべきであるという国民感情、これを先取りして、この三井物産の水上氏がやったものと、こう考えられるわけでありますが、これらは生き馬の目を抜くような商社、こういうものの実態を国民の前にもわれわれの前にも明らかにさらけ出したものと驚くと一緒に、驚嘆の意を深くするものであります。  しかし、三井物産のこの周総理に対する手紙、提案、これは表向きのことで、その本音は、いまの書簡の内容にありましたように、日本国民の贖罪という善意、誠意を表に立てて、その美名の陰に、全国民の血と汗の税金をおのれの私利私欲を肥やすためにそのえじきにしよう、こういう深いたくらみがあることはこれは疑いを入れないところであろうと思います。  三井物産と田中の、いや財界と自民党との私は大変恥ずかしい関係、その姿がそこからちらりのぞかれておると、こういう感じを持つものでありますが、園田外務大臣にこの点でお尋ねをいたしますが、若い時分漢文、孟子をおやりになって、これらの問題について勉強されたことがあろうかと思いますが、「力をもって仁に仮る者は覇たり。覇は大国たるを要す。」と、こういう文章がございますが、いま日中間でこじれておる覇権の原典、この問題が私はここにある、こう断言をし、これらの問題についてさらに論議を進めたいと思うわけであります。  この孟子の中に出ておりますように、覇権という問題は昔もいまも国際間では使用されておる用語であることを私は考えるわけであります。特に現在の中国では、俗語でも個人間や社会的な内部の問題でも、この覇権という問題が使われておるわけでありますが、水上氏のこの書簡の内容はやはりこれらの問題に重大なかかわり合いを持つものと、こう考えるわけであります。つまり表面では国民の意思とか善意とかいうにしきの御旗を掲げながら、その実は政治権力や財力で無理無体に反対意思を封じ込め、私利私欲をむさぼるもの、こういうものを覇と言うというその言葉の中に、やっぱり手紙のそういう意思がにじみ出しておる、こういうことになるだろうと思うわけであります。  この三井物産の覇権の問題、覇権というかこの手紙の内容の問題についてひとつお尋ねをいたしますが、ちょっときょうは警察関係を呼んでおりませんが、いまの問題は至急に、私の時間が三十分までなものですから、大丈夫でしょうか。
  16. 園田直

    ○国務大臣(園田直君) ちょっと三十分じゃ無理かもわかりませんが、そうおくれないように、事実かどうかわかると思いますが。
  17. 大塚喬

    ○大塚喬君 じゃ、それはひとつ参りましてから続けさしていただくことにして、先ほども申し上げましたように、外務大臣が日中友好条約の締結に大変力を尽くしておるということは私も承知をいたしておるわけでございますが、国会などでの福田総理の発言、これらの内容、それから交渉の経過、こういうふうなものは事実と全く相反すると申しますか、言葉だけであって実を伴わないものである、こういう感じがいたして、これらの問題について少し外務大臣にただしたいと思います。  福田総理は、この一年間、議会でまた新聞紙上で、日中関係は順調に動いておる、スムーズに動いておる、こういう認識だということを何度か述べられております。この文面の上からは、日中当局者の条約締結のための下交渉が精力的に続けられているように一般国民には受け取られておるわけでありますが、事実はそうではないのではないですか。福田内閣が成立以来、東京においても北京においても、ことしになって佐藤・韓念竜の二回の会談以外に、当局者による条約に関する話し合い、これが行われた事実がございますか。
  18. 園田直

    ○国務大臣(園田直君) 政府間交渉に入ったのは佐藤・廖承志氏の会談が初めてであります。しかし、非公式に総理はいろいろ努力してこられたことは間違いございません。
  19. 大塚喬

    ○大塚喬君 小川前中国大使、この辞任に伴う送別の宴で中国の当局者と話を交わした以外に、会談など一回もしていない、こういう報道がございますが、この点については外務大臣としてどう受けとめておられますか。
  20. 園田直

    ○国務大臣(園田直君) 正式会談は御指摘のとおりでありますが、しかしその他の会合、会談等では、そういう問題を話題にしていろいろ打診その他を続けてきたことは事実でございます。
  21. 大塚喬

    ○大塚喬君 大筋では私の申し上げたことがそのとおりだと、日中国交回復については、当者の間では、宣伝とは違ってそう精力的に交渉の継続ということはなかった、こういうことになるわけですか。
  22. 園田直

    ○国務大臣(園田直君) 御承知のとおりに、日中友好条約の交渉は一時中断をしたわけであります。そこで、その中断が再開されるように、正式の交渉再開についての会談は御指摘のとおりでありますが、その間、中断が再開されるようにいろいろ努力してきたこともまた事実でございます。
  23. 大塚喬

    ○大塚喬君 いま外務大臣からお答えがありましたように、また私の指摘したように、佐藤・韓念竜会談、これ以外に条約を促進する、締結するというための日中当局者の交渉はなかった、こういう事実がはっきりいたしたわけであります。  そこで、福田総理の、一年前から何度か国会でも述べております日中関係はスムーズに動いている、こういう言葉はうそだということが明らかになったわけでありますね。もちろん福田総理が詭弁を弄しておるものと、私はひねくってとるつもりはありません。しかし、民間の交流や日中両当事者が条約交渉をしていることが、これが福田さんの言う動いておるという、こういう言葉にはならないのではないかと、私はそういうふうに理解をするわけでありますが、外務大臣はいかがでございますか。
  24. 園田直

    ○国務大臣(園田直君) ま、御理解でございますから、これは私の方でとかく言うべき筋合いではありませんけれども、佐藤それから廖承志会談から正式の話が始まったわけでありますが、そういう段取りあるいは瀬踏み等をするためにはいろいろ努力をしてきたということだけは事実でございます。
  25. 大塚喬

    ○大塚喬君 この問題で外務大臣が条約締結を促進しようと努力をされておることでありますので、このことについてやゆをしたりなんかする考えは毛頭ございませんが、事実関係はともかく福田さんの言っておることと相違をしておる、こういうことを私はここで指摘をしておきたいと思うわけであります。  日中間の条約交渉、その大半はいわゆる覇権条項に尽きると思うわけでありますが、外務大臣もこの点については異論ございませんか。
  26. 園田直

    ○国務大臣(園田直君) 佐藤大使と廖承志、それから佐藤・韓念竜の会談は、交渉再開についての段取りが主でございまして、条約の内容については入っておりません。おりませんが、問題になる大きな問題はいま言われた問題であることはこれはもうみんなが認めるところでございます。
  27. 大塚喬

    ○大塚喬君 この件に関して福田総理の発言は、日中条約交渉の経過あるいは将来を意識してか、覇権問題について、覇権反対は普遍的な原則であり特定の国を指したり日中の共同行動を意味しない、こういった表現に福田総理の説明の内容がなってきておるようであります。  今回の公明党の矢野訪中団に依頼した中国側への伝言、「いずれの国とも平和友好を進める日本外交の基本的立場」とか、あるいは日本の主張である「日中条約は第三国に対するものではない」、こういう条文表現は、さきの覇権反対の普遍的な原則云々の発言の延長線上にあるとか、こういうふうな言葉が矢野訪中団の伝言の中に見られるわけでありますが、外務大臣はこの点についてはどうお考えでございますか。
  28. 園田直

    ○国務大臣(園田直君) 矢野訪中団に中国から福田総理に伝言されたと言われるところのいまの四項目というものは、中国の考え方を整理して言われたことであって、中国の方針は一貫しておると、こういうふうに見ております。
  29. 大塚喬

    ○大塚喬君 二年半前、一九七五年九月にニューヨークで日中外相、宮澤・喬冠華会談が開かれたわけであります。日本側から、覇権問題に関し、いわゆる宮澤四原則の提案が中国側になされました。その内容は、一、第三国に対するものではない、二、日中の共同行動を意味しない、三、アジア太平洋地域のみならず世界のどの地域にも適用し得るものだ、四、国連憲章の精神に合致するとのこの四条件であります。で、中国側からは、白馬は馬でない、この公孫竜の述べた、何といいますか、詭弁と申しますか、そういうことで、この宮澤理論に対する反応、大変ひんしゅくを買ったということを聞いておるわけでありますが、この点は外務大臣としてその当時の状況をどのよう報告を受け、理解をされておりますか、お尋ねをいたします。
  30. 園田直

    ○国務大臣(園田直君) いわゆる宮澤四原則なるものは、現職の外務大臣が言われたことでありますから、大臣がかわりましてもこれを否定するわけにはまいりません。しかし、今度の日中交渉再開の前提にはならない、こういうふうに解釈をいたします。
  31. 大塚喬

    ○大塚喬君 時間がなくなりまして、これが最後になろうかと思いますが、この宮澤四条件、これが日中条約早期締結、このための条約交渉が長期にわたって中断をした、こういう原因になったことは否めませんですね。いかがですか。
  32. 園田直

    ○国務大臣(園田直君) それが口実になったことは御指摘のとおりであります。したがいまして、今度再開するについては、現職大臣の発言でありますからこれを取り消すわけでもありませんが、交渉再開の前提とはしてはおりません。
  33. 大塚喬

    ○大塚喬君 この問題について福田総理は、この宮澤四条件、これは原則でも条件でもない、宮澤個人の考えにすぎないと、こう否定をされておりますが、現在の園田外務大臣としてもそのように御理解を願っておるところでありますか。いかがですか。
  34. 園田直

    ○国務大臣(園田直君) 総理の言われたとおりでございます。
  35. 大塚喬

    ○大塚喬君 じゃ、時間ですので、質問を終わります。
  36. 宮田輝

    ○主査(宮田輝君) 以上をもって大塚喬君の質疑は終了いたしました。     ―――――――――――――
  37. 宮田輝

    ○主査(宮田輝君) この際、分科担当委員の異動について御報告いたします。  本日、大塚喬君が分科担当委員を辞任され、その補欠として瀬谷英行君が分科担当委員に選任されました。     ―――――――――――――
  38. 宮田輝

    ○主査(宮田輝君) 次に、瀬谷英行君の質疑を行います。  速記をとめてください。   〔速記中止〕
  39. 宮田輝

    ○主査(宮田輝君) 速記を起こして。
  40. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 いま外務大臣が陳情があるということなので一分ほど時間を欲しいと、こういうことでありますので、その間御猶予をいただきたいと思います。
  41. 宮田輝

    ○主査(宮田輝君) 速記をとめてください。   〔速記中止〕
  42. 宮田輝

    ○主査(宮田輝君) 速記を起こしてください。
  43. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 いま大塚さんから日中の問題についていろいろ御質問がありましたが、私は、今度は日ソの問題でお伺いしたいと思います。  限られた時間でございますので端的にお伺いいたしますが、日ソ善隣友好条約の取り扱いについて、政府としてはどう考えておるのか。これを全然俎上に上げないお考えなのかどうか。あるいは打診をする、交渉するということ、やられるという考えがあるのかどうか。その点をお伺いしたいと思います。
  44. 園田直

    ○国務大臣(園田直君) まず、お許しをいただて、先ほどの大塚先生から命じられたことのお答えをしてから瀬谷先生にお答えをしたいと思います。  いま早々でございますから、さっそく内閣調査室に申し入れをして調査をしろと言ってきた返事でございますから、まだ詳細な調査ではございませんけれども、来ました電話をそのまま読みますと、内閣調査室がそのような調査をしたか否か不明、押田調査官は昨年七月退官、該当するような件について調査したとの記録はありませんと、こういう返答でございますが、これはまあ早急に短時間で調べさしたわけでありますから、もう一遍よく聞いてみたいと思います。     ―――――――――――――  次に、――大変失礼いたしました、瀬谷先生の御質問にお答えをいたします。  私は絶えず、日本政府の方針として、日ソは日ソ、日中は日中と、こう言っておるわけでありますが、御発言のとおりに、そのように申しましても重要なる隣国ソ連でありますから、影響なしにはこれは進むはずはございません。したがいまして、日中友好条約を結ぶについては、ソ連との友好関係にも深甚な考慮を払いつつ、またソ連から出されました善隣協力条約等については、日本はいま四島返還を解決をして平和条約を結ぶという前提条件であって、その話がついてから、あとの相談はいたしますと、こういう方針をとっておるわけでございます。
  45. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 平和条約を締結することができれば、少なくとも歯舞、色丹は返ってくるという可能性はあるというふうにわれわれは認識しておるんでありますが、その点はどうですか。
  46. 宮澤泰

    ○政府委員(宮澤泰君) その点は一九五六年の日ソ共同宣言におきまして明示されておりますので、私どももそのように解しております。
  47. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 四島でなければだめだということを主張すれば、そのうちの二島も返ってこないと、こういう結果になってしまうわけです、いままでの経緯から言うと。これはどのようにこれから話を持っていくつもりなのか、その点をお伺いしたいと思います。
  48. 宮澤泰

    ○政府委員(宮澤泰君) 先ほどおっしゃいました歯舞群島、色丹島の二島につきましては、すでにソ連側と合意に達しておるわけでございますが、私ども日本政府といたしましては、失うべきでない国後、択捉の二島をもあわせてソ連から当然返還を受くべきものと考えておりますので、この点がまだ合意が達成されておりませんから、共同宣言以来一貫してソ連側の再考を促しておるわけでございまして、今後ともその点を鋭意努力する所存でございます。
  49. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 外務省がソ連政府に対して口上書を発表して、その中で「日本は」――これは新聞でいろいろな伝え方がありますが、その中で読売新聞によれば、「日本はサンフランシスコ平和条約で千島列島に対する権利、請求権を放棄したが、千島列島には歯舞、色丹、国後、択捉島が含まれていないことは歴史的、法的文献でも明らかである。」と、こういうふうに書かれております。このことは事実ですか。
  50. 宮澤泰

    ○政府委員(宮澤泰君) そのことは事実でございます。すなわち、一八五五年に日本が帝政ロシアと結びました日魯通好条約及び一八七五年に同じく帝政ロシアとの間に結ばれましたいわゆる千島樺太交換条約、この中に、いわゆるクリルと言われている群島という定義でございままして、その二つの条約から、ただいまおっしゃいましたあるいは日本政府が口頭声明の中に述べましたその定義がはっきりと書かれておるわけでございます。
  51. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 問題はその千島列島の定義なんですがね。千島列島とはどの島かということなんです。これは、下田条約を初め要するに十九世紀の話はわかりますよ。二十世紀になってから、特に終戦前の日本の行政区域でもって、この島々が、四島が千島列島に所属していたのかいないのかということが問題だろうと思うんです。その点で、千島列島の中に国後、択捉は入っていないということになっておったのかどうか。その点はどうです。
  52. 宮澤泰

    ○政府委員(宮澤泰君) 国際法的な概念といたしましては、千島列島というものはただいま私が御説明いたしました二つの条約に定義されたとおりでございまして、この定義は今日まで変えられたことがない。したがって、変わっておらないわけでございます。  お尋ねの日本においてどうであったかと、こういうことでございますが、元来これは発生論的に、千島列島がその後――当初は千島列島と択捉島との境が日露の国境でございましたが、その後交換条約で日本のものに千島列島全部がなりましたので、概念の混同がある程度あったかと思いますが、千島列島という名称は確かに千島、北千島、南千島、中千島というような名称が使われておったこともあるようでございますが、これらは決して法的な概念ではなくて、地理上あるいは交通の便宜上呼ばれておったように解しております。  ただいまおっしゃいました国後、択捉、色丹島は、大正十二年から北海道は旧町村制がしかれておりまして、それぞれ五部六ヵ村に分かれておりまして、それぞれの名称を付与されておりますが、さらに昭和十八年六月以来北海道町村制が実施されたわけでございます。したがいまして、千島という名前が正式に行政区画として用いられていたということは、私はそのように承知しておりません。
  53. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 千島列島の行政区画では、歯舞諸島が北海道根室支所の管轄下にあって、これは根室支所ということは全島同じなんでありますけれども、歯舞諸島が根室の国になっておるわけです。それから色丹島が千島の国になっておるわけです。国後、択捉を初め、ウルップ、シムシル、シュムシュ島に至るまで、色丹島から北の方は全部千島の国と、こういうことになっている。これは行政区画でそうなっておるわけです。そうなると、千島列島というのは戦前の日本の行政区画からいうと色丹島からシュムシュ島に至るまでの島が千島列島ということになってしまうわけでありますが、その点はどうですか。
  54. 宮澤泰

    ○政府委員(宮澤泰君) 私どもが対外的に千島列島というものは放棄し、それに属さない四島は日本固有の領土であると申しております場合は、やはり国際法的なあるいは対外的な概念の千島列島というものが当然第一義的に使用さるべきものと思いますので、日本が放棄いたしました千島列島の中には国後、択捉、歯舞、色丹のいわゆる北方四島は入っておらない、このように主張しておるわけでございます。
  55. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 日本の国定地理教科書によりますと、択捉島を初めとする島々は千島列島に入っておるわけですよ。  これは大変古いものなんですけれども、文部省の尋常小学地理教科書というのがあるんです。これを見ますと、「千島列島とは擇捉島以下三十餘の島をいふ。其の東北端の占守島は千島海峡を隔ててシベリヤのカムチャッカ半島と相對してみる。」、こういうふうに書いてある。そこでこういうのを見ましたので、さらに、じゃ教科書には一体どのように記述してあるのかと調べてみましたら、明治から大正にかけての教科書には、「千島は根室の東北にあり。クナシリ、シコタン、エトロフ、ウルップ、パラムシルなどの諸島いちじるし、これ等の島島には、火山、ことに、多く、硫黄の産地、少からず。中にも、クナシリ、エトロフの二島には、産額、もっとも、多し。シュムシュ島は東北端にあり、わが國の東端なり。千島の近海には、膃肭獣、獵虎などの海獣多し。」、こういうふうに書いてあるわけです。これが明治から大正にかけて。それからこの教科書は大正の教科書です。  こういう記述がずっと続いておりまして、昭和十七年から十八年にかけての記述等を見ますと、やはり「千島列島は北海道本島とロシア領のカムチャッカ半島との間に連なり、擇捉島その他、多数の島々から成立ってみる。」、こう書いてあります。この昭和十七年ごろの教科書には、いままでと違って、「国防上重要な庭である。」というのがつけ加えられています。昭和十八年から二十年までの教科書には、さらに「国防上非常に大切なところです。」、こうあるわけです。要するに、日本では、千島列島というのは択捉島以下、国後、色丹、ウルップ、パラムシル、これらの島々全部が千島列島というと、こういうことになっているんです。  で、国際法上というふうに言われましたけれども、国内では、千島列島とは国後島、択捉島を初めこれらの島々、こういうふうになっているんであって、それが国際的には国後、択捉だけが除外されているということは論理的に通用するのかどうか、ちょっと疑問に思われるんです。その点はどうでしょう。
  56. 宮澤泰

    ○政府委員(宮澤泰君) ただいまおっしゃいました千島列島の定義につきましては、私自身も調べておりまして、百科辞典等にも、多少古いものには大体ただいま御指摘のような記述がございます。国際法的にこれを主張いたします場合には、やはりそのもとになっております国際的な権威ある文書、これがもとになるべきものと考えておりますので、先ほど冒頭に私が引用いたしました日本国と帝政ロシアとの間に結ばれました二つの条約の中に判然とクリル諸島という定義で示されておりますが、その中には、クリル群島と日本国との境が択捉島とウルップの間にある、このように書かれております。したがいまして、国際法的にはその二つの条約が権威あるものと考えております。
  57. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 帝政ロシア当時に、つまり十九世紀時代に日本とロシアの間に結ばれた条約には確かにそうなっているだろうが、問題は、千島列島が日本の主権から離れてしまったのは一九四五年を境にしているわけですね。そうすると、その一九四五年までの千島列島の概念というのは、国際的にもこれは通用することになるんじゃないか。そうすれば、千島列島、これはどこへ帰属するかということについては確かに問題はあるでありましょうけれども、千島列島を放棄したということになれば、その中に国後、択捉が含まれないというのは理屈としては通らないんじゃないか、こういう気がするわけであります。その点はいささか下田条約までさかのぼるというのは詭弁になってくるという気がするわけです。外務省が対外的に折衝する場合に「昔の名前で出ています」という歌がありますけれども、そういう昔のことを持ち出して、肝心かなめの昭和に入ってからの事実というものを否定してかかるということは果たしていかがなものであるか。説得力があるかどうかということが私は問題になってくると思うんです。  そこで、外務大臣にお伺いしますけれども、そういう論法でいままで来て、果たしてソビエトが納得をしているのかどうか。北方領土の問題についていろいろといままで御苦労されたということはわれわれもよく承知しておりますけれども、やはり理屈が通らないとこの種の問題はむずかしいと思うんです。その点はどのように御解釈になっておりますか。
  58. 園田直

    ○国務大臣(園田直君) ソ連と私の方の話は、いまの地域の問題ではなくて、私の方では一括して返還と言うし、ソ連の方では一括をして解決済みだと、こう言うわけで、地域よりも、問題点が一方は解決済み、一方は未解決と、こういうことでいま論争している段階でございます。
  59. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 ソ連は千島列島というのを二十世紀に入っての千島列島の概念でもって解釈をしている。それから四島返還の根拠というのは、これはその前の段階、歴史的な事実に基づいて言っているということになるんで、そこに食い違いが出てくると思うんです。その食い違いは幾らやり合っておっても解けないと思う、ただこれを繰り返すだけでは。したがって、その間、日ソ間にこの北方領土の返還について具体的に話を詰めようと思うならば、ともかく平和条約を締結するといったことに一歩踏み出さなければならぬと思うんであります。それがなされないということでは、ただ声を高くして主張しているだけであって、永久に戻ってこないということもあり得るわけです。その点はどのようにお考えになりますか。
  60. 園田直

    ○国務大臣(園田直君) 平和条約の締結はきわめて重要でありまして、領土の問題では意見が食い違っておるわけでありますが、幸いに平和条約交渉継続ということについては両方合意しているわけでありますから、いまの御意見も踏まえまして交渉を続けたいと考えております。
  61. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 歴史的に択捉、国後以南の島々が日本の領土であったということは、これはわれわれも認めていいと思うんです。ただそれを、だからといって、その一九四五年の第二次大戦の終わったという時点において、択促、国後も北海道に属するのであって千島列島じゃないなどということは、論理的には非常にこれは無理がある。そういう無理な主張を続けておったのでは事は進まないんじゃないかという気がするわけです。特に、前に政府の方は、吉田内閣の当時に放棄した千島列島の中には当然南千島も含まれるという政府答弁をやっておるという事実があれば、後になってそれをひっくり返してみてもこれは通らないという気がするんですが、その点はどうですか。
  62. 宮澤泰

    ○政府委員(宮澤泰君) ただいま瀬谷委員御指摘の政府答弁とおっしゃいますものは、桑港平和条約の国会審議におきまして西村条約局長が答弁された内容であろうと思います。事実は、昭和二十六年の十月十九日、衆議院でございますが、この中で西村条約局長が申しましたことは、「條約にある千島列島の範囲については、北千島と南千島の両者を含むと考えております。しかし南千島と北千島は、歴史的に見てまったくその立場が違うことは、すでに全権がサンフランシスコ会議の演説において明らかにされた通りでございます。あの見解を日本政府としてもまた今後とも堅持して行く方針であるということは、たびたびこの国会において総理から御答弁があった通りであります。」と、以上が西村条約局長の答弁でございますが、参考までに私どもの考えを申しますと、この答弁は、桑港条約発効前の大変微妙な事態を反映して、わが国の立場のみを強く表面に出すことを避けるという意味もあったためと思います。このような答弁が行われました後に、多少の時日を経過いたしましてから、昭和三十一年二月十一日の衆議院外務委員会におきまして、政府の統一見解が公式に表明されたわけでございまして、ただいま申しました外務委員会で森下政務次官が「ここにはっきりと一つ声明をいたします。」とされまして、「この南千島、すなわち国後、択捉の両島は常に日本の領土であったもので、この点についてかつていささかも疑念を差しはさまれたことがなく、返還は当然である」云々と、このように述べられております。
  63. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 十年ぐらいたってから統一見解を出してみても、これはちょっと無理があると思うんですよ。その辺に今日の四島返還要求というものがはかばかしくいかないという一番根本があると思うんです。  そこで、とってつけたようなへ理屈というふうに解釈をされるおそれがあるわけです、この千島列島の定義については。ともかく終戦までの千島列島というのは、これは明らかに国定教科書、小学校の教科書、中学校の教科書――中学校の教科書も私は見てみたんですがね、小学校も中学校も、ともかく全部千島列島という中には国後、択捉というのは入っているわけですよ。それから、軍隊の文献を見ましても、千島守備隊ということになって国後、択捉には派遣されておるわけです。だから、学校でも軍隊でも国後、択捉というのは千島列島という中に入れておるんですよ。それを戦後しばらくたってから、いや国後、択捉はそうじゃないんだと、こういうことを言ったってこれは通る話じゃないんですね、国際的には。  そこで、この問題を解決しようと思えば、やはりこの千島列島という解釈は、解釈の差というものはこれはあるんだから、だからやはりわれわれの方とすれば、日本の国益の点から考えてみて、特に歯舞、色丹と国後、択捉というのは日本に帰属させてもらいたい、歴史的な事実があるんだからひとつ日本に帰属させてもらいたいという話を友好的な立場に立って主張する以外に方法はないでしょう。これはけんか腰になって、返せ、返さなきゃ平和条約結ばないとけんか腰になっていたんじゃ、これは永遠に戻らない。これは武力でもって戻そうという思想に立てば別ですよ。だけれども、日露戦争の繰り返しをこれからやるわけにはいかぬでしょう。そうすれば、やはりお互いに友好関係を結ぼうという前提に立った上で話を持っていくことでないと、戻るものも戻ってこない、可能性がなくなるというふうに思われるわけです。その点は、これは政治の問題であって、大臣のこれは考え方というのが大事になってくるわけです。大臣というよりも政府の考え方が大事になってくる。だから、その点はどのような態度で臨むかということはこれからの問題なんですが、善隣協力友好条約の問題にしても、こんなものは領土問題が入ってないからけっ飛ばすといってけっ飛ばしっ放しにしておけば、これは平和条約に対するステップにもならぬわけです。声を高くして叫ぶだけで終わってしまうと思うんですが、その点はどうでしょう。
  64. 園田直

    ○国務大臣(園田直君) 四島返還について、ただわめくだけ、あるいは反ソ感情をあおるだけ、あるいは力むだけでは返ってこぬことは御指摘のとおりでありまして、ソ連との友好関係を深め、相互理解を深めつつこの問題について相談をするという立場が、瀬谷先生のおっしゃるとおり、一番効果のある方法であろうと考えます。そういう意味において、その方針を貫きますし、ただいまの御発言は十分参考として今後善処していきたいと考えます。
  65. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 私は日ソ間の問題に問題をしぼりましたけれども、日ソ間の問題についてやはり無理な解釈をするということは問題の進展を阻むことになる。いま外務省の局長の方からは、歴史的な事実というもので歯舞、色丹、国後、択捉は千島列島に入ってないというふうに答弁をされましたけれども、これは現実には国際的には説得力を持たないと思う。日本の国内で、千島列島の定義の中に、明治以前はともかくとして、明治以降の教科書の中には、もうはっきりとこの千島列島の中に国後、択捉は入っているわけだし、行政区域でもそうなっているわけだし、それから軍隊の名称でもそうなっているわけです。これだけの事実があるということになれば、それは、千島列島を放棄したということになれば国後、択捉を含めて放棄したという解釈をとられるのはあたりまえなんですよ、これは。そういう解釈をとるまいとする方に無理がある。私は、無理な解釈をこれからも推し進めるということになると問題がデッドロックに乗り上げるだけだと、こういう気がいたしますから、これをあえて申し上げた次第でございます。  時間が参りましたので、以上で終わります。
  66. 宮田輝

    ○主査(宮田輝君) 以上をもって瀬谷英行君の質疑は終了いたしました。  次に、秦豊君の質疑を行います。
  67. 秦豊

    ○秦豊君 外務大臣、きのうの予算の一般質問でも少し確かめてみたんですが、先般結ばれた民間の日中長期経済協定ですね、二百億ドル、八年。このポイントは、中国の一千五百万トンの重質油の導入受け入れ、その全うですね。それから、精製プラントに対する基本投資、もう一つ大きいネックになりそうなのが例のOECDで縛られている長期プラントの金利カルテル――もちろん河本さんはお立場上かなり意欲的である、当然です。ところが村山大蔵大臣になると、金利カルテルは特別のプロジェクトを審査して特例をというわけにはなかなかいかぬと、ガードはかたいんですけれども、もしこれが開けないと、私は長期協定が現実化しないという認識を持っているわけですよ。  それで、ひとつ園田外務大臣としては、平和友好条約の締結はもとより第一義であるが、それと両々相まつような形の長期経済協定を前向きに進めるというお立場は当然おありだと思うが、そのためには、通産あたりと、つまり外務・通産連合あたりで大蔵省を大いに説いて、OECD金利カルテルはわかるけれども、日中間の経済交流の重要性にかんがみて特段の措置をとられたいというふうなアプローチ、推進、これをなさるお気持ちがあるかどうか、ちょっと伺っておきたい。
  68. 園田直

    ○国務大臣(園田直君) 先般結ばれた長期の貿易協定というのは、単に日中だけではなくて、その周辺地域、ASEANの繁栄に非常に貢献するものであります。これを日中両国がどのように足場として進めていくかという今後の努力は、これは双方がやらなければならぬ問題だと、そういう意味で高く評価することは秦先生の御発言のとおりで、同意見でございます。  そこで、大慶原油の受け入れ体制、こういうものは通産省とも連絡をして非常な努力をして進めておるわけであります。問題はやはり金利の問題でありますが、これも御指摘のとおりでございます。私は通産大臣と同じ意見でございますが、しかしまた一方、国際協定というか紳士協定でこの金利は縛られておるわけであります。この協定を私がこの公開の席上でこれは何とかごまかしますと言うわけにはまいりませんけれども、これは守らなければなりませんけれども、支払いの方法その他の方法で両方が満足すべき手段はあると存じますので、通産大臣、大蔵大臣ともよく相談をして、これがうまくいきますように最善を尽くす覚悟でおります。
  69. 秦豊

    ○秦豊君 中川農林大臣とは、たとえばサケ・マスであろうが協力協定であろうが、中川さんはモスクワへいらっしゃる、あなたはXデーに北京へいらしゃる。両面、全面外交の展開の季節に入るんだが、中川農林大臣とはかなり詰めたお話はもうなさっているわけですか。
  70. 園田直

    ○国務大臣(園田直君) 二、三日前に中川農林大臣と二人きりで相談をいたしました。この相談は、当然松浦代表が帰国をして、ソ連から出された条件、見通し、交渉等についての報告があり、今後どのように対応していくかと、こういう話し合いがあり、農林大臣は自分の意思を申し述べ、私は当面の日中問題に支障がないようにやりたいという意向を述べて、双方連絡をしながらやろうという会談をしたことは事実でございます。
  71. 秦豊

    ○秦豊君 外務大臣、中川農林大臣にしてみると、あの方がモスクワにいる間に園田外務大臣が北京にいるという形は、一種の高い、鳥瞰図的に見ると、二元外交のような、双方のバランスにどうも微妙な影響を与えかねない。だから、やっぱり一種の違った時点で、いわゆるずらして園田外相は北京、中川農相はモスクワというふうな形をとらないと、向こうの方に間隙を突かれるというふうなことも考えられるから――ところが、サケ・マスは待ってくれない、魚は待たないとなると、常識的に中川農相訪ソ、次いで園田外相訪中と、だから四月上旬早々が中川さんのモスクワ入りで、続いて外務大臣の順番だというふうに私は考えているんですが、どんなものでしょうかね。
  72. 園田直

    ○国務大臣(園田直君) 漁業の問題が多数の漁民の方々、その家族の方々、伝統的な感情、こういうものから非常に重要な問題で、何とかうまくやりたいということは当然であります。しかし、私の方はそれから行ってもいいかというと、これもまた、五年間もやって苦労をしてきてようやく潮どきが出てきたわけでありますから、必ずしも私の方もそう長引いていいかどうか、こういうことはとかく、秦先生御承知のとおりに、長引けばいろいろ問題が出てくるわけでありますからなかなかむずかしいのでありますが、ここは両方よく連絡をとりまして何とかうまくいくようにしたい。これ以上のことは御勘弁を願います。
  73. 秦豊

    ○秦豊君 私、少し心配していることがあるんですがね、一つ。たとえば福田総理、園田外相の周辺から聞こえてくる一種の声なんですけれども、雰囲気なんだが、最初は党内説得に自信ありと、それから社会党の安井吉典さんに対して、みごとな御推理というのである時間が出てきた、九日から十五日。ところが、私、その間にうまくあなたが北京を訪れられるかどうか、ちょっと、心もとない情勢が党内的に、ないしその周辺に出てき始めたのではないか。ややもたつきを感ずる。ところが、その後のあなたの日程を見ると、後はなかなかハードなスケジュールだから、あの間を除くとなるとかなりおくれるというふうな懸念を持つんですけれども、どうでしょう、見当違いでしょうかね。
  74. 園田直

    ○国務大臣(園田直君) ただいま、与党の理解を求めることを手始めとしてだんだんと手順を進めておりますが、いまのところは、大体だんだん進んでおるということで御理解を願いたいと思います。
  75. 秦豊

    ○秦豊君 もちろん、進めていただきたいという大前提で申し上げているんですけれども、かなりおくれるというふうなことはあり得ないという理解でもよろしゅうございますか。
  76. 園田直

    ○国務大臣(園田直君) おくれないように最善の努力をいたしておるところでございます。
  77. 秦豊

    ○秦豊君 それはまあ結果を待ちましょう。  そこで、あと一つだけ日中間の問題に触れておきたいと思うんですが、党内と話し合う場合の会話というのは、わりと粉飾なくお話をされていますよね。だから、党内と外務省側がどういうアプローチをしているかとなると、案外実態がよくわかってくるんだが、覇権条項の表現の場合、やはり文体でいえば間接叙法と直接叙法があると思うんですよ。で、もうこの段階で間接叙法、つまり私によれば、たとえば国際的な通念や公理のようなもの、国連憲章的な表現で代置する、仮託するという方法が間接叙法なんです。ところが、直接叙法は、言うまでもなく、ずばり核心を表現するということなんで、この段階で間接叙法ということはもはやあり得ないというのが私の基本認識なんだが、外務大臣いかがですか。
  78. 園田直

    ○国務大臣(園田直君) いまの問題が一番交渉を始めると第一に出てくる問題だと思いますので、交渉の内容に立ち至ることは両国のために有利ではございませんので、これはお答えを勘弁をしていただきたいと思います。
  79. 秦豊

    ○秦豊君 きのうの一般でも、外務大臣、言葉を選んで答えておられたが、私の質問に対して。確かに公明党をチャンネルにして伝えられた四つの幅がある、四項目がある。そうすると、日本的なあるいは中国的な中に、やっぱり去年行かれた二階堂氏の二階堂私案というものはやがてかなりなリアリティーを持って浮かび上がってくるというのが私の認識だが、これはもう答弁は要りません。答弁の範囲でない。これは控えます。そうなると思いますよ。  航空協定の話に進みたいと思うのですが、外務省の高島審議官は、今回は今回として、ことしの秋にも交渉を再開したいとおっしゃっているんだけれども、交渉がすんなり再開できるような情勢なのかどうか、これをまず伺っておきたいんだが、どうでしょう。
  80. 中島敏次郎

    ○政府委員(中島敏次郎君) 交渉はことしの秋に再開するということで合意がついております。具体的な日にちにつきましては今後外交チャンネルを通じまして取り決めると、こういう次第になっております。
  81. 秦豊

    ○秦豊君 うまくその合意が実現されればいいんですけれども、ただ問題は、うまくという言葉はちょっとあいまいなんで、こういう状態の中で、果たして合意したからやはり再開しなければならないと、ねばならないという路線は、余り私、まさに不平等是正にはつながらないと思うんですよ。ということは、アメリカ側というのは相当姿勢がかたいわけだ。で、中間選挙の結末も見たい、航空議員のプレッシャーもうるさいとなりますと、秋の交渉というと、その間の少なくとも四ヵ月くらいの間にワシントンから東京への圧力というのは次々にプレッシャーがかかってくると私は思っているんですよ。フライング・タイガーは一応了解ということになったのと、例の、あれは五九年の日米合意ですか、あの議事録は凍結という解釈で日米が合意しているんですね。凍結というのは、ゼロにしてやる、ゼロアワーにしているということなんだが、凍結はしていても合意したという歴史的な事実は残っているということを背景にしますと、たとえばユナイテッドやブラニフの日本への乗り入れ、これはどうだといって迫ってくる。それから、パン・アメリカンのヒューストンやシカゴからの乗り入れは一体どうしてくれると、最後は、大西洋路線に適用している例の低運賃制、これをドル箱太平洋にもぜひというふうに、とめどもないと思うんですよ。秋の交渉再開は合意されていても、交渉は交渉だと、それまでにうんとあなたがたを追い詰めるというのがカーター航空政策の基本路線じゃないんですか。違いますか。
  82. 山田隆英

    ○説明員(山田隆英君) お答えします。  いま先生おっしゃいましたように、秋の交渉までの間に米国からいろいろな要求が出てくるかと思います。ただ、私どもといたしましては、現行の航空協定上当然拒否し得るものはまあ拒否することもできると思います。ただ、実際問題としてそれをどう扱うかということは、今回の交渉が終わって代表団が帰りましてから、代表団の報告も聞いた上でいろいろ今後の対応策を検討していきたいと、こういうふうに考えております。
  83. 秦豊

    ○秦豊君 あなたが認められたように、矢継ぎ早に、かなりテンポ速く要求が来ますよ。拒否すりゃいいじゃないかというふうな包括的な方針だと、間隙を縫われて押し込まれるというふうになる。だから、これはカーター政権の航空政策というのは、たとえばチャーター便に対する能動的な態度とか、大西洋路線で味をしめた実績とかありますと、しかも、やはりホワイトハウスを動かしているアメリカの巨大エアライナーの圧力というのはなかなかどうして一方ではない。おまけに中間選挙は投票が終わるまでは押せ押せムードであるというのは、これまた常識ですよね。それを今回また暫定協定も結べなかった日本側の対応が、ああいうしたたかなアメリカ側のプレッシャーをかわし切れるかどうか、私は非常に心もとないと思う。自信はあなた、おありなんですかな。
  84. 山田隆英

    ○説明員(山田隆英君) ただいまの先生の御質問ですけれども、私どもとしてはあくまでも日米間の不均衡の是正ということを目標にして、今回の日米航空協定交渉並びに今後の交渉を進めてまいりたいと考えておるわけでございます。実際にどういうふうになるかということは、外務省とも今後十分御相談してやってまいりたいと、こういうふうに考えております。
  85. 秦豊

    ○秦豊君 あのね、不平等の格差是正はできない、逆に押し込まれて、高島さん、終わってみたらフライング・タイガーはシンガポールへ行くと、こういう状態だとね、失ったものの方が多いんですよ。イギリス・スタイルで、まさかバーミューダ精神で破棄するというふうなことは、日米関係の現状からはあり得ないわけでしょう、どうなんですか。
  86. 中島敏次郎

    ○政府委員(中島敏次郎君) 先ほど来御説明申し上げておりますように、この不均衡の是正ということで交渉を続けるということで、この点はアメリカ側もそのつもりでやっておりますので、いまその段階で交渉を破棄するというようなことを云々するのはどうかと思います。いずれにせよ、不均衡の是正のためにいま粘り強い交渉を続けていきたいということでございます。  そこで、先生の御指摘のように、アメリカ側の航空政策が、この運賃の問題にしても、チャーターの自由化の問題にしても、相当強いものであるということは私どもも感じ取っております。こういう事態に対してそれをどうさばき、そして、その不均衡の是正を少しでも実現するかということが私どもの課題になるわけでございます。その点につきましては、先ほど国際課長からもお話がありましたように、代表団の帰着を待ちまして十分協議を遂げた上で、今後どういうふうに対処していくかということを考えていきたいというふうに考えております。
  87. 秦豊

    ○秦豊君 まあそれは、中島さんのあれは高島さんともよく詰めて、運輸側とも詰めてというのはわかるんだけれども、下手をしますと、仮に九月に再開されるかあるいは十月かはわかりませんが、交渉を開くまでもなく、アメリカ側は一定の取るべきものは取ってしまったと、あとはプラスアルファなんだというふうなことになりかねない、そういう状態から、合意したんだから事務レベルで交渉が始まると、こうなりますと踏んだりけったりになるわけですよ。ぼくはね、そういうためであれば交渉を再開する必要はない、何ら日本の国益は実現されない、不平等はますます――凍結ならいいが拡大するんですよ、いまのあなたがたの方針のままで交渉に応じた場合は。そうはお考えになりませんか。
  88. 中島敏次郎

    ○政府委員(中島敏次郎君) いま申し上げましたチャーターの自由化の問題にいたしましても、低運賃の問題にいたしましても、まずわが方として基本的な政策をどうするかという、基本的な対応の問題があるかと思います。他方、今度は物理的に、成田に移りました後に成田におけるところの航空機の発着枠がどの程度余裕ができるのかという点は、これはある程度開いてみないとわからないという物理的な制約がございます。そういうことをも勘案しながら、基本的な政策をどう考えるかということも含め、またアメリカ側の出方も見ながら、わが方としてどうこの事態を処理するかということを考えるということでございまして、まあ細目につきましては、いま申し上げましたように、代表団が帰りますのを待ちまして、十分今回の交渉の様子を聞いた上でいろいろ考えていきたいというふうに考えております。
  89. 秦豊

    ○秦豊君 あのね、事態は中島アメリカ局長の考えていらっしゃるより深刻でね。つまり、チャーター便の完全自由化とか大西洋路線的低運賃というのは、これは向こうの二大原則なんですよ。これは絶対に譲りませんよ。そのこと自体、ぼくは大変でたらめな不当な要求という認識を持っている、日本人の一人としてね。これはでたらめなんですよ。本当にもうごね得のような感じがする。ところが、この原則というのはカーター政権も外せないんですよ。そうなってくると、あなた方にはどういう原則があるか。不平等是正だ、これは国際的な通念だと言っても、向こうの原則の壁はこんなに厚いから、なかなかドリルでも穴があかない。そうなったら、秋までに取るべきものは全部取られてしまう。向こうは原則を譲らない。こっちは何も通せない。そんなときに交渉を再開する意味がない。私はうんと長く、ロングレンジでとらえ直して、秋の再開なんていうのは視野のすみにも入れないで、とにかくアメリカ側からいつどういう交渉をすれば取れるものが取れるかというこのバーゲニングを考えて交渉をする高等な戦略を練るべきで、再開を急いではならないというぼくは主張を持っているんだけども、その点どうですか。
  90. 中島敏次郎

    ○政府委員(中島敏次郎君) 御意見はそれなりに貴重な御意見として私どもも参考にさしていただきたいと存じます。他方、今回の交渉で成果を得ませんで秋に持ち越されたということは、日米間の民間航空につきましてルールがなくなったということではないわけでございまして、依然として日米航空協定は存続しておるわけでございます。それのもとにおけるルールがありますので、あながち、たとえばチャーターの問題でも、幾らでも向こう側が勝手に入ってこれるとか、低運賃の問題も勝手にやれるとかいう事態では実はないわけでございます。そういう点も踏まえながら考えていかなければならぬというふうに思っております。
  91. 秦豊

    ○秦豊君 あと一分半ほどありますから。  大臣、まあこうなると、成田ショックで、総理の出発が羽田からなのか成田なのかさえ微妙な段階ですから、推測の範囲を超えるが、いまの航空協定の問題というのをみだりにトップ会談、福田・カーター会談に持ち込んではならないと思うんです、私は。持ち込む議題もまだ確定してないようだが、向こうは黒字対策をおっかぶしてくる、こちらから一種のバーゲニングとして日米航空問題を出して、それで若干の取引をして、本当は事務レベルではこんなに隔たりが大きいのに、政治決着を何らかの形でつけるというふうな安易な道はとらないでいただきたいと私は思うんです。もしそういう場を選べば大幅に譲歩を強いられると私は思うので、カーター・福田会談には日米航空協定問題はオミットしてもらいたい、頭から考えていただきたくないという私の意見なんですが、大臣としてはどうですか。
  92. 園田直

    ○国務大臣(園田直君) 航空協定の現状、見通しについては、秦さんの御意見は当たらずとも遠からずというところで、今度中断するに際しましても、アメリカは再三再四結論をつけようじゃないかと迫ってきたわけであります。そういうことからしても、あなたの御意見は大体的を射ているというわけでありまして、その後の見通しについてもなかなか厳しいものがあると考えております。  そこで、十月再開ということは、向こうは急いでおりますから、急いで十月にやろうとくるでありましょう。こちらとしては、いま言われた御意見も重要な意見として善処すべく考えておりますが、さて、日米首脳者会議にこの航空協定を持ち出すことは絶対にこちらはいたしません。また、これが首脳者会談になるべき筋合いのものでもない。仮に向こうから出てきましても、成田空港その他の問題で、これに対処する余地はないわけでありますから、これはもうおっしゃったような御意見の方向でいきたいと私は考えております。
  93. 秦豊

    ○秦豊君 終わります。
  94. 宮田輝

    ○主査(宮田輝君) 以上をもって秦賢君の質疑は終了いたしました。  次に、矢原秀男君の質疑を行います。
  95. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 私は、日中問題について質問したいと思います。  まず、外務大臣、非常に日中国交回復を前にして御心労、一生懸命努力をされていらっしゃることに心から敬意を表するものでございます。ひとつ体を大事にされまして、成果を得るまでがんばっていただきたいと思います。  まず、最近の新聞報道を見ておりますと、私、機会があるごとに総理並びに外務大臣に質問いたしましたときに、この日中問題については国内には一切障害はありませんと、こういう御報告を伺っておりまして、対中国、相手方の方だけの動きというものを私もいろいろと考えておりましたが、最近の新聞報道によりますと、予測はしておりましたけれども、自民党党内、長老、いろんな幹部、そういうふうな方々の意見が非常に大きな障害になっている、早く言えば園田さんの足を強力に引っ張っている、福田総理の足も引っ張っている感じを受けるわけでございます。ところが、党内にはいままで全然関係ないと、こういうふうな、障害はございませんという御答弁をいただいておりましたので、非常に私もぎくしゃくしたものを持っているわけでございますが、ここで、質問の第一点は、田中総理のときにいわゆる日中国交の一つの大きな障害がとれた。それから五年を過ぎているわけでございます。その五年間の間に、いま党内の調整が行われているような問題が五年前からなぜ段階的に、徐々に一つ一つの話し合い、理解というものが党内で行われなかったのか。これは園田さんが当時外務大臣ではございませんので、あなたに言うのは酷かもわかりませんけれども、いま所管大臣でございますので、その点をまずお伺いしたいと思います。
  96. 園田直

    ○国務大臣(園田直君) まず、日中友好条約締結の交渉再開がだんだん機が熟してきて、あなたの党の方々の御尽力等もこれあり、だんだんと進んできたわけでありますが、そこでこの手順、段取り等について進めておる一環として、与党の御理解を求めることもその一つでございますけれども、これは一昨二十八日から総理が正式に党の方に交渉再開についての理解を求める、党内の意見をまとめてくれと、こういうことが手始めでありまして、連日、党の方ではいろいろ議論をされておるわけでありまして、議論をされるのは当然でありまして、だんだんとこれが進んでおるということは御理解を願いたいと思います。
  97. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 で、私は、なぜこれが五年前から行われなかったのかという点でございますが、その点はいかがでございますか。
  98. 園田直

    ○国務大臣(園田直君) これは、先般五年前の共同声明のときも同様な意見が、賛否両論あったわけでありまして、それぞれ信念に基づいて、交渉再開に反対というわけではなくて、慎重に事をとり行うべきだという各角度からの意見が出ておったところで、その御意見も承りつつだんだんと御理解を得る方向に前進しておることで御了承を得たいと思います。
  99. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 党内のことを伺って非常に申しわけないわけですけれども、慎重派という言葉と反対派という言葉とあるわけでございますが、こういう点の大臣が受けとめていらっしゃる分析というのは、これは比重はどういうふうなかっこうでございますか。
  100. 園田直

    ○国務大臣(園田直君) これは党内のことでございますから、こういう公開の席上で私具体的に申し上げることははばかりたいわけでありますけれども、いろいろ意見を言われる方の大多数は、たとえばソ連を敵に回してはならぬとか等々、一般国民の方が不安に思われる点、あるいははっきりさしたい点等を言っておられるわけでありまして、反対という方はそう数多くはないと私は推察をいたしております。
  101. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 率直に申し上げまして、園田さんは公の席上におきましても非常に日中国交に積極的で、私たちも歓迎をしておりましたんですが、一部の方向から見ておりますと、総理大臣は園田訪中に消極的ではないかという面もしきりに伝えられているわけでございますが、その点はいかがでございましょうか。
  102. 園田直

    ○国務大臣(園田直君) これはきわめて大事な問題でありまして、総理と外務大臣の間に意見の食い違いがある、方針に違いがあるということは、これは国民はもとより与党も野党も、特に相手の国には非常な不安を与えるわけでありまして、これは明確にいたしておきますが、私は総理大臣から指名された部下である外務大臣でございます。したがって、総理を助ける輔弼の任において、自分の信ずるところを意見具申をし、あるいは総理に強くいろいろ報告をするというのは外務大臣の責任であると考えますから、その点で、中途においてはあるかもわかりませんが、その結論においては、私は外務大臣でありますから、総理の裁決された方針に従って忠実にこれを守ることが当然の責任であります。また、日中友好条約について私がどのように熱情を持ちましても、総理と私が一体でなければこれは国としての交渉はできないことでございますので、私が熱心な余り総理に意見を具申申し上げたり、いろいろ申し上げると、ついそういうことを言われるわけでありますけれども、総理と私との間においては一点のすき間もない、私は総理の指示に従ってやっておりまするし、総理の意見より一歩先にも一歩後にも私は下がらぬ、出ないということはよく考えてやっておる所存でありまするし、総理もまた私を任命され、私を信頼されておるものと考えておりますので、御了承を得たいと思います。
  103. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 もしよろしければ、きょうただいまの時点でお伺いをしておるわけでございますが、訪中の時期等のプログラムですね。なかなか交渉の前でございますので、大変なこともあろうかと思いますが、明示できるところまでで結構でございますので、お伺いをしたいと思います。
  104. 園田直

    ○国務大臣(園田直君) よく手順、段取り、手順、段取りで過ごしてきたわけでありますが、具体的に言いましても、こちらの側から言っても、与党の理解を受ける、受けたら、こういう大事な問題でありますから、各野党の方々の御意見も政府としては伺い、御注意等も受ける必要があるわけでありまして、そういう手順、段取りがいよいよ動くとなるともろもろございますので、したがって私がいつごろできるか、あるいは訪中をするのか、こういうことも含めて御理解を願い、野党の方の御意見も伺った後、手段、方法等については検討すべきことでございまして、いまいつということは具体的に決めておりません。ただし、これはまたやるといろいろ問題もありますから、諸準備だけはいつでも整えておると、こういうことでございます。
  105. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 佐藤・韓念竜会談の再開の見通し、こういう日時は大体いつごろになるわけですか。
  106. 園田直

    ○国務大臣(園田直君) 佐藤・韓念竜会談は、一時、両方からやまっているわけでありますが、これまでは交渉再開についての段取りというか、打診を進めてきたわけでありまして、いよいよ交渉を再開する時期であると判断をし、それぞれに相談をし、やっておるわけであります。したがいまして、今度はこちらの手順が全部終わりましてから、いよいよ動くという時期に、再び三たび佐藤・韓念竜会談が開かれると、こういうことになるわけでありまして、これも私としてはなるべく早くやりたいとは考えておりますが、そういう手続等が終わらなければ、これまた見当がつかない問題でございます。
  107. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 二十七日に、自民党・政府の首脳会議に福田総理大臣が提示した文書、そういうものが報道されておるわけでございますが、その内容等はどういうものなのか、一部は報道でもされておりますけれども、よろしかったら克明にお伺いしたいと思います。
  108. 園田直

    ○国務大臣(園田直君) これは口頭で総理がまず党の五役、続いて党の長老に対して総理みずから申し入れをされたものでございます。その要旨を文書にいたして五役並びに長老の方々には申し入れをいたしました。同じ趣旨でございますので要旨だけ申し上げますと、第一は、友好条約は共同声明八項において交渉締結が約束されておるということを見出しに、第二項では、いままでの経過、中断された実情及び福田内閣成立以来これに検討を重ね、本年に入ってから佐藤・韓念竜会談を行ってきたと、そこで、中国側との接触等すべての状況を総合的に分析した結果、いまや意見交換を続けるだけではなくて、具体的な条約交渉に入ることが適当と判断するに至りましたと、こういう決心を述べられ、次に、今度の友好条約は講和条約ではない、将来に向かっての日中関係を長期に安定せしめんとするものであって、この条約の締結によって日中関係が安定した基礎を持つことは、イデオロギーや体制の相違を超えて、世界の平和と繁栄を求めていこうとする国際社会の現状に沿うものであるという、この条約締結のための目的というか、考え方を申し述べ、そしてこれがアジア平和安定の基礎であるという結びのもとに、最後に、政府としては具体的な条約交渉に際しては、内容を言うわけにはいかぬけれども、いずれの国とも平和友好関係の維持に努めるというわが国の基本的外交政策を堅持し、あくまで日本国憲法に基づいて国益を守るとの冷静な態度で臨む方針でありますと、こういうことを申して、最後に、以上申し上げたような政府の考え方及び方針によって日中平和友好条約の交渉に入りたいと思います、御理解と御協力をと、こういうことで、なおこのほかに、党の幹部でありますから、党内の意見をなるべく速やかにまとめてもらいたいと、こういう追加があったことでありまして、この案文は大体新聞にも出たとおりでございます。
  109. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 やはり東京調印の場合には、北京での批准書交換、こういうふうないろいろな問題が出てくると思うのですけれども、先のことになろうかと思いますけれども、こういうような点についてのお考えを伺いたいと思います。
  110. 園田直

    ○国務大臣(園田直君) 社会党の訪中団に対して鄧小平副主席が、この交渉に福田総理が決断をすれば、華国鋒主席か、時間がないときは自分訪日してもよろしいということを言われたということについては歓迎の意を私は表明しておるわけで、そういう事態がくれば日本国民も大多数は喜ぶであろう、こういうことは、先般、秦先生の質問にも答えたとおりでございます。  実はこれは私も内々、条約がうまくまいりましたならば調印は東京でやっていただいて、中国から首脳者がおいで願ったらいかがでしょうかとうことを内々に、まあ冗談ではありませんけれども、軽く話をしておったところでありますが、これに対して、向こうからは、それは結ばれた条約の内容次第であるというきわめて巧妙な返事があったわけでありますが、いつおいでになるかわかりませんが、条約調印においでになるということになれば、これはわれわれ日本国民としては非常に結構なことじゃないかと、こう思っております。
  111. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 日中条約についての野党との調整、これは重ねての調整も必要かと思いますけれども、大体いつごろになるのか、お伺いします。
  112. 園田直

    ○国務大臣(園田直君) 与党の方の御理解が得られたら直ちに野党の方々の御意見を承り、御注意をいただく、そして御協力を願う、こういう手はずにしたいと考えておるわけでありまして、いろいろ手順がありますけれども、国内的な手順はなるべく早く終わった方がいろいろな点で有利だと考えております。
  113. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 私、昨日の読売の朝刊を見ておりまして、非常に感激をいたしておったわけでございますが、参議院の外務委員会で答弁に立たれた園田さんが、結論として国民または各党が納得できるようにしたい、納得するものができないならば私が職を辞するか、罷免されるかのどちらかだと、こういうふうにして日中に進退をかける外務大臣の姿勢が報道されておりますけれども、こういう決意ということに対して非常に感銘を受けておるわけでございますが、この点、もう一度外相の決意をお伺いしたいと思います。
  114. 園田直

    ○国務大臣(園田直君) 特別力んだわけでもなければ、決意というものを四角張って表明したわけでもございません。一国と一国の外交を担当する外務大臣としての当然の心構えであろうと思って私は申し上げただけでありまして、交渉再開を与党にお願いしておるわけでありますけれども、その後外務大臣がいつ行くとか、やれどうするとかというような意見もございますので、私は外交を任された外務大臣としては総理の命令、指示を受けたならば、後の出処進退、どのようにやるか、あるいはどのような折衝をするかということは、一に任された外務大臣の私は仕事である。そのかわりに外務大臣は、それが国民の方やそれぞれ御満足がいかないようなことであれば、当然みずから辞職するなり罷免されることが当然の姿であると、こういうことを申し上げただけでありまして、特別に決意の表明などという力んだものではございませんので、御了解を願いたいと思います。
  115. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 最後に、私も昨年中国に渡りまして、政府の要人、そうして中国人民のいろんな階層の方々といろいろと日中問題について話をしてまいりました。一貫して私が感じますことは、中国の古代の歴史を考えますときに、日本人の感覚と非常に似ているところがある。非常に礼儀正しい、長幼の序もきちっとしている、そういう中で相手の意見を尊重していこう、よいものは取り入れていこう、こういう謙虚な姿、進取の気象、こういうふうないろんな形が、社会主義と自由主義の国という違いはございますけれども、その根底にある人間の命というものに相通ずるものを私も非常に感じて帰ったわけでございます。  そういう観点からこの日中国交を考えますときに、平和友好、世界の平和、そうして隣国との人間と人間のつき合い、そういう真心の政治、そういうものが技巧的ないろんなものをはるかに超越する中で、私は非常に大変これは必要である、こういうふうに非常に感じております。  日米関係のときにも、秦委員ともおととし御一緒に行きまして、アメリカの首脳陣とも日ソの問題、日中の問題、そうして地球上の人類の平和について、アメリカの役割り、日本の役割り、いろんな議論を重ねてまいりましたけれども、やはり私は、この結論から申し上げまして、日中国交のためには平和の哲学、そういうものをどうか外務大臣も総理大臣も――そうして自民党内の中のいろいろ異論は私はあろうかと思います。国民の方々にもいろんな是非の声があろうかと思いますけれども、私は日中国交の時期は本当に満ちておる、そうして日本の国民の将来のためにもプラスである、世界の人類のためにもプラスである、こういうふうに感じております。いま外務大臣からもいろいろとお話を伺いましたけれども、そういう路線の中で折衝されておるように感じるわけでございますが、重ねて日中国交にかける外務大臣の御意見を最後に承りたいと思います。
  116. 園田直

    ○国務大臣(園田直君) 御激励を賜り心から御礼を申し上げます。  私は、一政治家としての信条は、今度の友好条約の締結は単に日中二国間の問題ではないと考えております。力ある者は滅びる。力のない者が生き延びていくか、力のある者がみずから死を選ぶか、これまさに日本憲法の第九条が人類の先覚者であるかあるいはこれが間違いであったかという挑戦が私はこれから始まろうとしているときであると思います。  なおまた、自由主義社会の末端である日本、共産主義の国である中国、この二国が共存共栄の姿でいけるということは、これまさに世界の平和に向かってのとびらを開くことでありますから、そういう歴史的重大な問題にわれわれはいどんでいる、こういうことで、これは一政党、一内閣の問題ではなくて、みんながそういう政党とか立場とかを捨てた、一致をした、世界人類の平和というところで解決すべき問題であるという政治信条はかたく私の持するところでございます。心から御礼を申し上げます。
  117. 宮田輝

    ○主査(宮田輝君) 以上をもって矢原秀男君の質疑は終了いたしました。  他に御発言もないようですので、外務省所管の質疑はこれをもって終了したものと認めます。  午後一時から分科会を再開することにし、これにて休憩いたします。    午前十一時四十六分休憩      ―――――・―――――    午後一時開会
  118. 宮田輝

    ○主査(宮田輝君) 予算委員会第一分科会を再開いたします。  昭和五十三年度総予算中、防衛庁所管を議題といたします。  それでは、これより質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  119. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 まず最初にお伺いしたいのは、F15あるいはP3Cといったような飛行機の購入をめぐりまして、いままで予算委員会でいろんなやりとりがありました。そこで、いままでの議事録を拝見しますと、ロッキードから買うということがいいか悪いか、あの飛行機の性能はどうか、また、かつてのロッキード特別委員会では、なぜ、あれを国産で用意しておったのにもかかわらず、またアメリカから買うことにしたのかといったような、購入をめぐるいろいろな疑惑だとか、やりとりについて論議をされてきているわけなんです。  そこで、私は、多少観点を変えまして、値段が幾らだとか、あるいは購入の方法がどうだとかという以前に、何がゆえにP3Cを必要とするのか、こういう問題に触れなきゃいかぬというふうに考えました。そこで、そのP3Cを必要とする理由というものをまず具体的にお伺いをしたいと、こういうふうに考えるわけです。
  120. 伊藤圭一

    ○政府委員(伊藤圭一君) 御承知のように、このP3Cの必要性というものにつきましては、私どもいろいろな機会に御説明いたしておりますが、まず重要な点といいますのは、P2Jというのが耐用命数が参りまして、現在保有しております八十機が減ってまいります。したがいまして、わが国周辺海域におきます対潜作戦をやるのに八十機程度、すなわち防衛計画の大綱でお決めいただいております機数というものを維持してまいりたいというのが一点でございます。  もう一つは、潜水艦、いわゆる原子力潜水艦の出現、あるいは在来型の潜水艦そのものも非常に性能が向上してまいりました。したがいまして、対潜水艦作戦の様相というものがいままでとまるっきり変わってこなければ有効な対処ができないということになってまいっているわけでございます。  すなわち、従来でございますと、在来の潜水艦というものは電池によって走るわけでございますが、そのために蓄電をするために一昼夜のうち何回かは浮上しなければならないという問題がございます。したがいまして、その浮上するときに発見し、それを捕捉し撃滅するという作戦が可能でございますが、原子力潜水艦は海上に浮上することなく航行することが可能になってまいりました。したがいまして、これに対処する方法というものが一つあるわけでございます。  もう一つは、水中におけるスピードの問題がございます。従来の潜水艦は、いま申し上げましたように、電池を使って航行いたしますので、水中におきまして高速を出しますと、たちまち電池を消耗いたします。したがいまして、水中におきまして隠密性を確保するためには、徐行しながら行動するというのが通例でございます。ところが、原子力潜水艦は、御承知のように、水中におきまして三十ノットあるいは三十五ノット以上の速力で、しかもほとんど無期限に行動できるということになってまいりますと、潜水艦を探知する方法からして変わってまいるわけでございます。潜水艦を探すのに音を出し、その音がはね返ってきたのを聞きながらその潜水艦を追っていくという方法が従来でございましたけれども、今後は、その潜水艦が発します音を聞き分けながら、その進行する方向、その方向を計算機で刻々とはじき出しながら進んでいかなければ捕捉もむずかしくなるというような状況になってまいりました。  こういったこの二つの機能を満たすために、私どもは防衛上の見地からいろいろ検討を重ねたわけでございます。  先生がいま御指摘になりましたように、ある時期は、こういったものを研究開発によって国産しようとする時期もございました。しかしながら、P3Cの、現在私どもが採用を予定いたしておりますUPDATEIIという機種は、きわめてこの性能が高うございます。したがいまして、私どもはこのP3Cの採用をお願いしたいと思いまして、国防会議で御決定をいただき、ただいま予算に計上さしているわけでございます。
  121. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 そうすると、要するに、P3Cの必要性は対潜水艦作戦であると、こういうことになるわけですね。その潜水艦を相手にして、この飛行機の性能を有効に発揮してもらうんだということでありますから、そうすると、潜水艦を持っている国でないと警戒の必要がないわけでしょう。そうすると、日本の近海で潜水艦を持っている国はどことどこであるかということも当然わかっていると思うのでありますが、その点はどうですか。
  122. 伊藤圭一

    ○政府委員(伊藤圭一君) まず、これはすでに御承知のように、ソ連という国が圧倒的に多くの潜水艦を持っております。極東方面におきましても、すでに百二十五隻程度の潜水艦を配備いたしております。それから北朝鮮が潜水艦を数隻持っております。それから中国が潜水艦をたしか六十隻か七十隻持っていると思いますが、そのうちに原子力潜水艦を一隻持っているというのが現状でございます。
  123. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 この前の国会討論会で大臣のお話を聞きましたが、そのときのお話の中で、軍備の必要性は戸締まりの必要性ということと同じだという意味のことをおっしゃったんです。そこで私は、戸締まりと軍備の違うところは、どろぼうというのは、どこにどういう人間がいるかわからないわけです。だから戸締まりしておかなければならないという理屈にもなるかもしらぬけれども、国というのは住所不定というのはいないわけで、身元のわからない国なんというのはないわけですよね。だから、戦争を想定をして軍備を整えるといったようなことは、国と国との戦争ということが問題になってくるわけです。アフリカだとか、あるいは南米あたりの国と事を構えるという可能性は間違ってもないわけでしょう。いやおうなしに近隣の国しかない。しかも、いまお聞きすると、潜水艦を持っている国はソビエトである。北朝鮮がちょっと持っているかもしれない。それから中国が持っていると。それ以外は、潜水艦を持っているという国はあるかもしれないけれども、日本の防衛のために配慮を払う必要はないというふうに解釈をされるわけです、いまの御答弁でね。そうすると、中国と北朝鮮とソビエトがこのP3Cを必要とする対象国である、こういうふうに理解をしてよろしいのかどうか、どうでしょうか。
  124. 伊藤圭一

    ○政府委員(伊藤圭一君) 現実にこの潜水艦というものを持っている国を対象としているということではございませんで、まず私どもの置かれております日本というのは周辺を海で囲まれているということでございます。したがいまして、現在におきまして、この潜水艦、水中からの攻撃というものを、やはりある脅威であるというふうに私どもはとらえているわけでございまして、海上自衛隊が発足以来、この対潜水艦の作戦というものを重視してまいりまして、御承知のように、P2Jというものを装備してこの対潜作戦をやってきておるわけでございますが、その延長上にあるものとして性能の高いP3Cというふうに私どもは考えているわけでございます。
  125. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 P3Cについて、私どももロッキード委員会からいろいろとこの問題を取り上げてまいりましたけれども、参考のために、一機当たりの価格、これはちょっと委員会で聞いた覚えがありますが、もう一度念のためにお聞きしたいと思うのでありますが、一機当たりの価格はどのくらいなものか。
  126. 間淵直三

    ○政府委員(間淵直三君) P3Cの一機当たりの平均価格でございますが、五十三年度予算で、いま御審議願っている予算案におきまする平均価格というのが、一機当たり七十五億円でございます。
  127. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 これの全部で何機をどういうところに配備をするのかという点についてもお伺いをしたいと思うんです。
  128. 伊藤圭一

    ○政府委員(伊藤圭一君) 現在私どもが持っております対潜哨戒機は、P2V、P2J、それからS2Fという小型のを持っております。合わせて約百二十機持っているわけでございますが、防衛計画の大綱に従いまして、十個飛行隊、約八十機の対潜哨戒機を今後維持してまいりたいと思っておるわけでございます。この配備の場所といいますのは、海上自衛隊の基地で北から申し上げますと、八戸、それから厚木、それから鹿屋でございます。で、主としてその基地に配備をいたしますと同時に、そのほかに訓練の基地等で、たとえば下総、そういうところに数機配備するということになろうかと思いますが、いま申し上げました三つの基地が主基地になるわけでございます。
  129. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 F15は北海道の千歳にも配備をされる、九州にも配備をされる、こういう答弁が、昨日でしたか、予算委員会であったのでありますが、このF15にしても、P3Cにしても、これは架空の相手に対して備える――どろぼうよけとはわけが違うんですからね。架空の相手に対して備えるというわけじゃなくて、特定の国に対して備えるということになろうかと思うんであります。そういう点をあいまいにするわけにいかぬと思うんでありますが、国際的な影響があってそれは言わないけれども、しかし、実際にはソビエトならソビエトの極東海軍というものを考慮に入れているんだということになるんですか、率直に言って。
  130. 伊藤圭一

    ○政府委員(伊藤圭一君) これは、ソビエトというふうに私どもは特定していないわけでございますが、現在の軍事技術の趨勢というものは、ある国が開発いたしましたその技術というものはやはり世界的に採用されまいるわけでございます。そういった意味では、何といいましても、世界的に見ましてアメリカとソビエトの軍事技術というものがきわめてすぐれているわけでございます。そしてその最もすぐれております軍事技術を持っておりますソ連という国が日本の隣国にあるということもまた事実でございます。したがいまして、そういった軍事技術というものがこれから一九八〇年代から九〇年代にかけて世界的な一つの軍事技術の水準になるであろう、そういう判断のもとに、そういったもの、軍事的な脅威から日本を守るために必要な装備であるというふうに私どもは考えているわけでございます。
  131. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 それならば、潜水艦を持っている国と事を構えなければこういうものは要らないということになるわけですよ、簡単に言えば。だから、たとえば日本の近辺の国々の海軍力あるいは空軍力を考慮に入れて、そのためにそれに対抗できるための飛行機を、こういう飛行機をこれだけそろえなきゃならぬということは、それは防衛庁内部の問題かもしれない。しかし、そういう飛行機を必要としない方策はないだろうかということを考えるのは、これは政治家の仕事になってくる、大臣の仕事になってくるわけです。したがって、まず実際に戦争が始まれば、P3CだろうがF15だろうが、こんなものが幾らあったって足りるものじゃないという気がするわけですな。したがって、戦争をやらないで済む算段をしなきゃならぬ。それにはやっぱり国と国との友好関係というものを固めておくということの方が手っ取り早いわけなんです。その意味で、防衛庁長官は、単に技術的に自分のところの戦力というもの――戦力という言葉にはいろいろ問題がありますけれども、戦力というものをそろえるということと同時に、それを必要としなくて済むような政治的な考え方を持たなきゃいかぬ、こういう気がするわけですよ。したがって、対ソあるいは対中、あるいは対朝鮮民主主義人民共和国、これらの国交関係に対してどういう配慮を持って臨んだらいいかということは、当然考えなきゃいかぬところでありますね。その点について長官はどのようにお考えになっておられるのか。
  132. 金丸信

    ○国務大臣(金丸信君) 先ほど来からいろいろお話もあったわけですが、日本の防衛というものは、あくまでも必要最小限であるということは当然でありますし、絶対また戦争というようなものをこちらからやるというような考え方は毛頭持ってはならない。また、第二次世界大戦で日本は敗戦をした、こういうことを考えてみますと、私は、五・一五事件あるいは二・二六事件、そしてだんだんエスカレートして第二次世界大戦で負けたというような姿を見ますと、戦争は絶対やってはいけないというけれども、しかし、いろいろ向こうから、どこからどのような姿で日本の国土に上陸してくるかわからぬということも、いまの世界情勢から見ると絶対それはないとは言い切れない。だから必要最小限の防衛力は持つということは必要だと。しかし、日本一国できょうの日本を守ることはできないというところに、いわゆる日米安全保障条約というものがあるわけであります。そういう意味で、私は、軍備がエスカレートして、順次、たとえて言えば、極端なことを言うと、向こうが戦闘機を二千機持つんだったらこっちも二千機、あるいは三千機持ったらいいじゃないかというような考え方には私は同調するわけにはいかない。そういう意味で平和外交というものを、少なくも近隣諸国に対しては共存共栄のできるような平和外交、あるいはまた経済協力、そうしていくことも私は大きな防衛だという感じもいたすわけでありまして、政治的にも、いわゆる平和外交の問題については外務省に担当していただかなくちゃならぬけれども、私は、防衛費をふやすより、その経済協力にも多大の金を使うことも本当に日本を守る一つの私は基盤だと、こうも考えておるわけであります。
  133. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 日本の防衛を考える場合に、どれだけの金を使ったらいいか、どれだけの戦力を持ったらいいかということになると、相手と戦争をするということを考えたならば、これはちょっと計算できないという気がするんですよ。日本はもういろいろ苦い経験をしてきているわけです。特にソビエトとの戦闘は、終戦の際に北方の島々でやっておりますし、それから満州でもやっておりますし、それからそれ以前にはノモンハンでこれまた苦い経験をしているわけですよ。あの経験に基づいて、再び事を構えるということはしないということの方がはるかに利口だと思うんですよ。構えてみたところで、これはその気になってかかってこられればもう勝負にならぬわけですな。その点を考えたならば、むしろ外交面の努力を払うということの方が利口じゃないかという気がいたします。  そこで、午前中私が質問しましたことは、北方領土の問題なんです。北方領土の問題で外務省がソ連政府に見解を伝達をして、北方四島は不法占拠であると、こういうふうな口上書を提出をしているわけですね。その点について質問をしたんでありますけれども、特に歯舞、色丹、国後、択捉、この四つの島は千島列島には含まれていないんだという解釈をして、そして、したがって今日ソビエトがこれらの島々を占拠しているのは不法である、こういう解釈をしているわけですね。だから、この辺非常に問題があると思ったから、私は午前中このことについて質問したわけです。  外務省お見えになりましたか。――再度ここでお尋ねをしたいと思うんでありますけれども、不法であるという根拠、これは一体何かという点をお伺いしたいと思うんです。
  134. 加藤吉弥

    ○説明員(加藤吉弥君) 国後、択捉、歯舞、色丹の四島は、歴史的にも法的にもわが国の固有の領土でございます。その固有の領土を何ら法的な理由なしにソ連が現実に占拠している、この事態は当然不法であると私どもは考えております。かような理由をもって、現在の北方四島の現状はソ連による不法占拠であると私どもは考えている次第でございます。
  135. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 午前中、大臣ね、こういうやりとりがあったんです。それで私は、じゃ歴史的に国後、択捉が千島列島なのかということを聞いたんです。これは教科書の、国定地理教科書の抜粋なんですけれども、それには、「千島は根室の東北にあり。クナシリ、シコタン、エトロフ、ウルップ、パラムシルなどの諸島いちじるし、」と、こう書いてある。要するに、この国定教科書には、千島列島の中に択捉、国後が入っておるんです、これは。それから行政区域等についても、この区分はどうなっているかというと、歯舞諸島だけが根室の国になっている。色丹島、国後島、択捉島、得撫島といったような島々はすべて千島の国になっております。だから、千島列島の定義というのは、戦前の千島列島の定義というのは、明らかにこれは択捉も国後も色丹も全部千島列島ということになっている。しかもその解釈は戦後しばらくの間そのまま続いておって、吉田内閣のときにもその種の答弁をしておって、それから何年か、十年ぐらいたった後で統一解釈として、これらの北方の領土は千島列島じゃないんだという見解を下しているわけです。非常にここに無理があるんですよ、だれが考えてみても。  そこで、再度外務省に――これはあなたの立場は、統一解釈をそのまま繰り返すという立場だろうと思うんですけれども、一九四五年、終戦のときを一つの時期とすれば、それは明らかに社会通念上これらの島々は千島列島であったということは否定できないんだけれども、何でこの島々が千島列島じゃないんだということが言えるのか、その理論的根拠というものはどこにあるのか、答えていただきたいと思うんです。
  136. 加藤吉弥

    ○説明員(加藤吉弥君) 終戦の直後のどさくさのときに、千島列島の地理的な範囲について若干不明確な回答が国会において行われたときがございます。その点は、ただいま先生の御示唆になったとおりでございます。しかし、その後、昭和三十一年二月十五日、政府統一見解ということで、北方四島はいわゆる千島列島には属さないということを明らかにした次第でございます。その根拠につきましては、歴史的にさかのぼりますが、一八五五年の日本国とロシア国との通好条約、さらにその後、一八七五年に行われました樺太千島交換条約、この二つの国際条約におきまして、ソ連領と日本領との境界線を得撫島と択捉島の間に設けるということがはっきり書かれているわけでございます。かような根拠から、私どもは、いわゆる北方四島は千島列島には属さないと、これは歴史的にも正当化される議論であると考える次第でございます。
  137. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 歴史的にという話がありましたがね、つまり、千八百何年、十九世紀、ちょんまげ時代です。ちょんまげ時代に確かにこれらの島々は日本の領土だということになりました。それはいいんですよ。しかし、日清戦争、日露戦争があり、近代日本に変わってきて、二十世紀になって、この一九四五年の第二次大戦で日本がポツダム宣言を受諾をして無条件降伏をするまで、その直前までの千島列島の概念というのは択捉、国後を含まないという解釈はどこにもないんですよ。これは小学校の地理の教科書を何代かにわたって調べてみた結果がそうなんです。明治から大正にわたる間全部そうなんですよ。その一つの具体的な例として、これ、小学校の地理の教科書なんです。この教科書にも、千島列島の定義として択捉島を初めとする三十有余の島と、こう書いてある。これだけの事実があれば、どっちが正しいかということになれば、新しい方の解釈の方が優先をするというのが理屈じゃないかという気がする。昔は昔ですよ。昔の歴史的事実を否定するものじゃない。  これは学校だけの話じゃないんですよ。軍隊の区分というものも調べてみました。敗戦までの軍の北方軍と第五方面軍隷下部隊といったようなものを調べてみましたが、千島第一集団とか、要するに千島集団というかっこうになっている。軍隊区分でも、択捉島に第二十七軍司令部というのがありまして、その千島という名前はこの択捉と国後島を含めた解釈になっておるわけですよ、軍隊区分でも。それから行政区画でもそうなんです。したがって、これらの択捉、国後という島が千島じゃないというのは、国際的に通用させようとしてもずいぶん無理があるんじゃないか。それも終戦当時から一貫をした解釈じゃない。終戦後十年もたってから、実はあれは千島じゃないんだと。千島じゃなければどこだというんです。その辺どうも私は答えがむずかしいんじゃないかという気がするんです。  だから、これもう一度外務省にお尋ねするけども、千島列島じゃないということになると北海道本島であったと、こういうことになるのかどうか、その点はどうですか。
  138. 加藤吉弥

    ○説明員(加藤吉弥君) 戦争中の教科書その他でどういう記述があったか、私よく存じませんし、あるいは外務省の立場からお答えすべきことかどうかわかりませんが、その当時におきましては、千島列島全域及び北方四島を含めてわが国の施政権が及び、かつわが国の領土であったと、したがって、領土問題というものはその当時に存在しなかったということを踏まえて、行政区画あるいは地理の面であるいは便宜的に千島列島の一環として加えたことはあり得たことであろうと考えております。  先生の最後の御質問は……。
  139. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 あのね、択捉、国後が千島列島じゃないと言われるんならば、これらの島はどこに属していたわけですか。北海道だったというのかどうか。まさか青森県というんじゃないでしょう。
  140. 加藤吉弥

    ○説明員(加藤吉弥君) 戦前のわが国の行政区画の上では、これら北方四島は大体北海道に属しておったと承知しております。歯舞群島は戦前北海道花咲郡歯舞村の一部として記入されておりまして、昭和三十四年に歯舞村が根室市に編入された際に根室市の一部となっております。国後、択捉、色丹の三島は、おのおの町村制が施行され――国後島は全島をもって国後郡、択捉島は蘂取、紗那、振別、択捉の四郡から成り、色丹島は本島及びこれに付属する諸島とともに色丹島を形成し、これらはいずれも北海道の管轄下に戦前置かれていたと、かように承知しております。
  141. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 北海道の管轄にあったのは、根室支庁の管轄にあったのは、そうするとシュムシュ島に至るまでの全島なんですよ。それは北海道の管轄にあったということであれば全島となる。その中で、あなたいま言わなかったけれども、根室の国と千島の国と分かれているでしょう。それで歯舞諸島が根室の国だけれども、色丹島、国後島、択捉島は千島の国になっているんですよ。歯舞島がその根室の国であると、したがって北海道であるということをいまおっしゃるのならば、色丹と国後、択捉は千島の国になるんだと。じゃ北海道じゃないということになる、そうじゃないですか。
  142. 加藤吉弥

    ○説明員(加藤吉弥君) 先生の御質問の意味、私必ずしもよく了解できなかったかもしれませんが、いずれにいたしましても、この北方四島は経済的にも行政的にも、あるいは住民の感情というような面からも北海道の一部をなしておったと、かように申し上げることができるのではないかと思います。
  143. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 そういういいかげんなことを言っちゃいけませんよ、住民の感情の一部からも北海道だなんてね。それ、世界的に通用すると思いますか、国際的に、あなたのおっしゃるようなことが。私が言っているのは、千島列島であったのかどうかと言っているんですよ。千島列島じゃないんだとおっしゃるんなら、北海道本島だということになるのかどうか、これは。北海道本島ということになると、終戦のときの平和条約――サンフランシスコ条約その他でもって北海道と千島列島というものは区別されているわけですね。それで、そうすると、この住民の感情ということから考えて北海道だと、そういうことなら、戦前の教科書は間違っていたということになる。いま戦時中の教科書とおっしゃったけれども、私が調べてまいりましたのは戦前だけじゃないです。明治から大正、全部の教科書、国定教科書の千島列島の中に択捉島というのは入っているわけですよ、これは。その教科書が間違っているとおっしゃるんですか。
  144. 加藤吉弥

    ○説明員(加藤吉弥君) 先ほども申し上げましたとおり、戦争中には領土問題というのが存在いたしませんで、国内的な措置として地理上あるいは千島列島の一部として扱われたことはあったかもしれません。しかし、繰り返して申し上げますとおり、私どもは、先生はちょんまげ時代とおっしゃいますが、国際条約によってはっきり日ソ間で認定された国境線もありますことですし、北方四島はあくまでも日本の固有の領土であると、かように了解しております。
  145. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 ちょんまげ時代には日ソ間ということはなかったわけです。日露だ。これは外務省の答弁にもある、帝政ロシアと。帝政ロシアはソビエトと言わなかった。だからね、まあ余り苦しめてもしょうがないからね、苦し紛れのせつなっぺみたいな答弁を繰り返してもこれはしょうがないと思うんだけれども、あなたの解釈は苦しいんですよ、本当はね。明らかに文献で、あるいは行政区画でもそうなんです。行政区画でも、教科書でも、軍隊の区分でも、これらの島々は千島列島に属しているわけですよ、これは。したがって、終戦の処理の際に、千島列島の帰属が決まるという場合に、これは客観的にそのちょんまげ時代の概念でもって決められるか、終戦当時の概念で決められるかということになると、終戦当時の概念で決められたって文句は言えないです、これは。  したがって、今度はじゃ外務省の見解として北方四島は不法占拠であると、こういうことになる。もし不法占拠であったならば、自衛隊というのは不法に占領された場合には黙っていてはいけないことになっている。そうでしょう。不法に占拠されたようなことがあれば自衛隊が乗り出していってこれを排除しなければならぬ義務が自衛隊法にはあるんじゃないですか。その点はいかなる解釈で自衛隊というものは行動をすることになっているのか、その点はどうなんですか。
  146. 伊藤圭一

    ○政府委員(伊藤圭一君) 御承知のように、不法に占拠されております北方四島には現在わが国の施政が及んでいないわけでございます。したがいまして、あそこにはわが国の領土でございますから自衛権はございますけれども、現在自衛権は行使していないというのが実態でございます。  それならばどういう場合にその自衛権を行使するのかということでございますが、自衛権を行使するに当たりましては三つの原則がございまして、一つは、急迫不正の侵害に対処するということ、二つには、ほかに手段のないときにやるということ、もう一つは、必要最小の範囲でやるという原則があるわけでございます。いまこの北方四島につきましては、外交問題として外務省がこの返還について外交的に解決する努力をいたしておるところでございます。したがいまして、現在のところは自衛権を行使していない場所であるわけでございます。
  147. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 外務省の解釈でもって国際的に通用させるということは私は非常に無理があると思うんです。ともかく、終戦からサンフランシスコ条約、あの終戦後のしばらくの間、これは千島列島というのは戦前の日本の常識に基づいて択捉も国後も千島列島に属すると、したがって、千島列島を放棄するということになると、これらの島々も放棄するということになっちまう。それをソビエトが占領するのが国際法的に正しいかどうかは別として、日本が放棄をするという千島列島の中に、十年も後になって、実は放棄したけれども、あの中に択捉や国後は入ってないんだということを、これは池田内閣ぐらいになってから言い出したわけだけれども、これは国際的には通らないわけですよね。無理があるわけです。しかし、そういう無理を承知の上でこの島々の返還を要求するということは、私はきわめて困難である、こう思います。だから、北方領土の問題を解決をするためには、まず平和的な友好関係を結ぶということ、相互にこれらの島々が軍事基地として相手を脅威しないという約束というか、保証というものがないと、領土の返還要求なんかやったって、これはうまくいきっこないと思うんですよ。その点は大臣としても御理解できるんじゃないですか。
  148. 金丸信

    ○国務大臣(金丸信君) 現状の四島返還という問題については、なかなか困難な問題があるようでございます。この四島の問題について、私は、田中元総理がソ連に行ってブレジネフ書記長とこの問題を話し合ったときの状況をつまびらかにはしてはおらないわけでありますが、何かここのところにも一つネックがあるというような感じを私はいたしておるわけでありますが、どちらにしても平和的な手段によってこの問題を解決するより方法はないだろうという私は感じはいたしております。
  149. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 そこで、北方領土の問題でありますけれども、この四島の軍事的な価値判断をどうするか、経済的な価値判断をどうするか、いろんな面でもって考えてみなければいかぬと思うんです。そこで、経済的な価値から言うと、まあ大したことはないと思うんです。その点は教科書の中の千島列島の中にも経済的な価値は評価していないんですよ。「硫黄の産地」なんて書いてあるんですね。それで「近海には、おっとせい、らっこなどの海獣多し。」なんて書いてある。したがって、戦前から経済的価値というものは評価されていない。ただし、やはり戦前の教科書の中で注目をしなければならないのは、明治から大正までの国定教科書の中には軍事的な価値ということに触れておりませんでしたが、昭和の十三年以降十七年までの教科書、十八年から二十年までの教科書の中には、千島列島は「ロシヤ及びアメリカ合衆国の領地に近いので、国防上重要な處である。」、こういうように書いてあります。ただし、その経済的な点は、「地勢がけはしく、地味もやせ、冬の寒さもはげしいから、住民も少く、陸上の産物も極めて少い。」と、こういうふうに書いてある。それが昭和二十年になりますと、「気候が寒く、住民も少く、農業に適してゐませんが、近海にさけ・ます・たら・かになどがたくさん取れますから、漁業はなかなか盛んです。」と。「その位置が、北太平洋におけるロシヤ及びアメリカ合衆国の領土に近いので、国防上非常に大切なところです。」と、こう書いてあります。  そこで、ソビエトと日本との間に領土問題についていろいろと折衝をする場合に考えられることは、いわゆる国防上の価値が高いということになると、そう簡単にソビエトが、じゃ日本に譲りましょうということにはならないんじゃないかということが常識的にこれまた考えられる。そこで、一体今日のこの国後、択捉といったような島々は、軍事的にどういう価値を持っているというふうに見ていらっしゃるのか。わかっていなければいないで仕方がありませんけれども、もしわかっているとすれば、ソビエトの陸海軍の基地になっているのかどうか、どのぐらいの兵力がここに常駐をしているのか、陸上兵力、海上兵力あるいは空軍といったようなもの、わかっていたらひとつ御報告をいただきたいと思うんですが。
  150. 金丸信

    ○国務大臣(金丸信君) 国後、択捉に飛行場が一つずつあり、色丹に港と飛行場があるというような状況を私は承知いたしております。
  151. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 あとわかりませんか。
  152. 金丸信

    ○国務大臣(金丸信君) 詳細は政府委員から。
  153. 伊藤圭一

    ○政府委員(伊藤圭一君) 現在配備されておりますソ連の軍事力でございますが、いま大臣から申し上げましたように、国後島には東沸飛行場と古釜布飛行場というのがございます。ここに配備されておりますのは、はっきり機数はわかりませんけれども、輸送機とヘリコプターが数機配備されているようでございます。それから択捉島には天寧という飛行場がございまして、ここには戦闘機が約二個飛行隊配備されているようでございます。正確な機数はわかりません。色丹島には斜古丹港と、それから色丹飛行場がございます。ここには配備されている飛行機は現実にはないようでございますが、警備艇が十数隻配備されているようでございます。
  154. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 すでに択捉島には飛行場があって、それから兵力が配備されているということが想像されるわけですね、これは。実際に行って見たわけじゃないでしょうが、いろんな資料でもってわかっているわけでしょう。そうすると、択捉島の軍事的な価値というものはかなり高いと、こう判断していいんじゃないかという気がするんです。なぜかというと、戦前の、というより戦争中のこの島には北方軍の第二十七軍司令部というものがあったわけですね。この防衛庁の戦史室の本を見てもそれがあるわけです。私自身も択捉島にある軍司令部からの電報をもらって、その地名がわからないで閉口したことがあるんですね。中国のことだか、千島ということは夢にも思わなかった。特に天寧なんという言葉は中国に似ていますから、これはてっきり中国だろうと思ったけれども、幾ら中国の地図を探しても見つからない、それで往生したことがあるんですよ。後々調べてみますと、ここに軍司令部があった。それから単冠湾には連合艦隊があそこに入って、ハワイの奇襲攻撃をする艦隊はあそこから出て行ったということもはっきりしているわけです。そうすると、空軍にとっても陸軍にとっても、あるいは海軍にとっても、この島はきわめて重要な価値を持っているということが推測をされるわけです。したがって、この島を日本が返せということは、言いなりに日本へ返せば、それは今度はそのまま米軍の基地に化けるということもあり得るわけですよ。それをソビエトがおいそれと応ずるかどちかということは、これまた常識で考えてみてもあり得ないことなんです。だから、もしも北方領土の問題で平和的に話し合いでもって日本に返してもらいたい、このように考えるなら、当然そういう軍事上の配慮をしなければならなくなってくるというふうに思うんでありますが、その点はどうでしょうか。大臣の見解を伺いたいと思うんですが。
  155. 伊藤圭一

    ○政府委員(伊藤圭一君) 最初に私から御説明申し上げたいと思いますが、いま先生がおっしゃいました中で、日本の旧陸海軍がこれを重視しておったというのは事実だろうと思います。これは戦史にも出ておりまして、その理由は、やはりあの時点におきましてはアメリカを敵としておりましたので、いわゆるアリューシャン列島から千島列島沿いに日本に進攻してくる可能性があるということで、きわめて重視しておったということは事実だろうと思います。それからまた、ロシアの時代からソ連になりましても、やはりこのウラジオ等を中心といたしまして太平洋岸に自由に出たいという気持ちは、ソ連には当然あるわけでございます。しかしながら、いま先生がおっしゃいましたように、あれが返ってきて直ちにアメリカの基地ができるというようなことは、これは、私どもの防衛構想といいますか、そういう点からすると、ちょっと考えられないような気がするわけでございます。しかしながら、戦時中日本の陸海軍がこれを重視しておったというのも事実でございますし、歴史的に見ますと、ソ連が、文献等によりまして、重視しているということもあるようでございます。
  156. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 そこで最初の質問にちょっと戻るんですがね、P3Cの問題。P3Cというのは、はっきりとは言わないけれども、明らかにこれは潜水艦を対象にしたものであります。潜水艦を対象にするということになると、これはソビエトということになるわけです。まあ中国もあるし北朝鮮もあるかもしれないけれども、言っちゃ悪いけれども大したことは――ないかどうかわかりませんがね、まあソビエトに比べれば大したことないんでしょう。これは比較をするのはむずかしいかもしらぬ、率直に言って。そうすると、やはり問題はソビエトの極東海軍ということになるわけです。ソビエトの極東海軍を対象にしてP3Cというものも、これは必要だということに結論としてなってきていると思うんですね。そうすると、この択捉島の基地というものは、P3Cの問題あるいは日ソの軍事的な一つの接点としてきわめて重要な意義を持ってくるということになってくると思うんであります。私はどういうわけでこういうことを言うかというと、やはり北方領土の問題を平和的に解決をしようという場合には、軍事的な脅威というものは日本はソビエトに与えない、こういう約束を前提にしないと、これは返すということにはならぬじゃないかという気がするんです。ところが、軍事的な脅威というもの、脅威までいくかどうかはわからぬけれども、軍事的な対抗措置というものが、P3C、F15といったような戦闘機でもって行われている限りにおいては、これらの北方領土の返還問題についても、おいそれとは応じないのではないか、こういう心配があるわけです。だから、その点、今後の日ソ間の懸案問題の解決を図るということのためには、防衛庁としても、ソビエトを仮想敵国とするといったような考え方を捨てなければ、問題はこれは前進しないのではないかなと、こういうふうになってくるわけですね。その点を大臣の見解をただしておきたいと、こう思うわけなんです。
  157. 金丸信

    ○国務大臣(金丸信君) 脅威という問題、この問題につきましては、私はいまの日本のP3C、これを導入することによってソ連が脅威を感ずるというようなことはないだろうと私は思うわけであります。ここに防衛庁の記者諸君もおるんですが、先般、ソ連の軍事情勢等の映画を見せていただいた、その後パーティーがあったというような中から、記者諸君のうちからお話を私は承ったんですが、もし日本を攻略するにはどのくらいかかるかと言ったら、数時間で、日本なんか問題じゃないということを言っているところから見まして、全くそうだと思うんですよ。日本の戦闘機が四百機、向こうは二千機。P3Cなんか、これ戦闘機じゃないんですから。まあそういうことから言えば、向こうに脅威を与えるというようなことはないと思います。  また、まあたとえて言えば、日中友好条約を促進するということについてソ連はどのような出方をするだろうというような考え方、私は、日中友好条約も必要であろう、しかし、日ソ友好条約も一日も早く締結するというようなことに、これは対等の考え方で進めていくべきだと思うのです。実は、この間、ソ連にも武官を一週間ばかり派遣し、あるいは中国にも武官を派遣いたしたわけでありますが、防衛庁はそのようにいろいろの配慮もしておるわけでありまして、ソ連にP3Cをもって仮想敵国なんていうような考え方だって、日本はいま周囲が海に囲まれておるというような状況の中で、これだけの防衛を必要最小限で持って、これが果たして抑止力になるか知らぬけれども、私は抑止力ということになってくれれば非常に大きな日本の防衛の上に安全な面が出てくるんじゃないか、日本の力でいまソ連に立ち向かってどうなるということを考えてみたって、これは機関銃に竹やりだという、法制局長官の答弁のようなものだと私は考えておるわけであります。
  158. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 まあ、私はいまの大臣の見解はきわめて率直でいいと思うんです。私もそう思うんですよ。幾らP3Cをそろえてみたところで、F15をそろえてみたところで、ソビエトとまともに戦争をしようということを考えたって、これははかない話ですよね。もう、さんざっぱら日本は苦い目に遭っておるわけですから。  そこで改めて言いたいのは、持っていたところで役に立たないものを、何でしこたま買い込まなきゃならないのかと、こういうことを申し上げているわけですね。P3Cにしても、これだけ国会ででもってさんざっぱら、ロッキードを初めとする各委員会で、怪しいんじゃないか、臭いんじゃないかと、こう言われながら、無理にこれを買わなきゃならぬ、これは一体なぜか。これを持つことによってソビエトに対する圧力になるとか、あるいは北方領土返還についての背景になるとかというんなら、話はまた別ですよ、よしあしは別として。そういう圧力になるわけでも何でもない。にもかかわらず、何でP3C、特にそれは潜水艦を対象にしたという飛行機を買わなきゃならないのか、そろえなきゃならないのか。これは黒字減らしのために必要だと、全く純経済的にそういうことになってくるんならなってくるで、また理解のしようがあるんですけれども、その点は防衛庁としては飾りということを考えているのか、あるいは黒字減らしということを考えているのか。実際に戦うということになると、まるっきり中途半端になっちゃって役に立たないということは、大臣自身が言明しておられる。一体どういう観点でもってこれらの飛行機を整備しなければならないのかということを改めてお伺いしたいと思うんです。
  159. 金丸信

    ○国務大臣(金丸信君) 日本の防衛という問題は、いまの国際社会の中で、一国で自分の国を守るということはでき得ない、それは当然だと私は思う。やれるのはアメリカとソ連だけだと私は思うんですが、幸い日本は日米安全保障条約というものが締結されておる。これは、日本の安全のためには、まことに私は不可欠のものであるという強い考え方を持っておるわけであります。そういう意味で、一朝有事の際は、いわゆる、せめて座して死を待つということでなくて、一週間でも二週間でもこれに抵抗して、そして日米安全保障条約の中から、アメリカの強力な抑止力によってこれを食いとめるというようなことをするということも、これは日本防衛の一つの考え方でなければならぬ、このようにも考えておるわけであります。
  160. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 私は、この一朝有事の場合はという時代的な感覚でもって、これらの、役に立つには余りにも中途半端な飛行機をそろえるということはむだなことであると、こういうふうに思います。だからやはり、これらの潜水艦を対象にした飛行機を使わなくても済むような外交政策というものを考えていくということの方が利口だろうと思うんです。その方が大金を使わなくて済むんですから。しかし、防衛庁長官の所管ではなくて、外務大臣の所管であるとおっしゃるかもしれまませんけれども、これはお役所の考えることではなくて、政治の問題であるというふうに考えますので、その点について、大臣は、やはりこれらの飛行機を必要としないで済むということが最善の政治であるという認識に立っていただきたいということを申し上げまして、私の質問、時間も参り出したので、終わります。
  161. 金丸信

    ○国務大臣(金丸信君) ありがとうございました。
  162. 宮田輝

    ○主査(宮田輝君) 以上をもって瀬谷英行君の質疑は終了いたしました。  次に、矢原秀男君の質疑を行います。
  163. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 今国会でも防衛問題が非常に議題になっておりまして、憲法から見た核問題、そうしてまた憲法第九条と自衛力の問題、こういうことでいろいろと質疑が交わされておりますが、私は、まず日本の将来にとって、世界の趨勢もそうだろうと思いますけれども、シビリアンコントロールの問題、これについてまず質問をしたいと思います。  まず、国防会議の位置づけでございますけれども、長官から一言お伺いしたいと思います。
  164. 金丸信

    ○国務大臣(金丸信君) 私は、先ほどお話がありましたように、シビリアンコントロールという問題は、本当にこれを強力なものにしていかなきゃならぬという考え方であります。それは、昔の軍国時代の日本には絶対してはならぬ。これはたびたび私は予算委員会で申し上げておるわけでありますが、骨の髄まで、絶対あのような日本にしてはならぬという考え方の中に立って、この防衛の問題につきまして、シビリアンコントロールという問題は、やはり政治優先だということでありますから、政治家がこれをタブー視して、これを論じないとか、あるいはそれに対して責任を持たないということじゃなくて、政治が優先する以上、いわゆる最高権限であるこの衆参両院の国会というものが、このシビリアンコントロールというものに対して一つの姿勢というものがあってしかるべきだ、そういう意味で、私は衆議院の議運の委員長のころからこの問題を、各党、そして国民の声、そしてまたここで律せられることが国民に十分にわかっていただけるような、いわゆる委員会というもの、あるいは特別委員会でもいい、何でもいいから、お互いにコンセンサスを得られるような場をつくってもらいたいという考え方を持っておるわけであります。そういう中で、国防会議という問題につきましては、これもシビリアンコントロールの一つの場所であろうと思うわけでありますが、この問題につきましても、時代とともに、この内容、体質改善等もやってしかるべきだと、こういうようなことを考えまして、いま国防会議事務局ではそういう問題についていろいろ検討しておるというようなことを私は聞いておるわけであります。
  165. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 国防会議の法的な根拠、これについてお伺いいたします。
  166. 伊藤圭一

    ○政府委員(伊藤圭一君) 国防会議は、防衛庁設置法の第六十二条で決めてございまして、「国防に関する重要事項を審議する機関として、内閣に、国防会議を置く。」というふうになっております。
  167. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 では、ここで端的に伺いますけれども、国防会議が国防に関する重要事項を審議する意義というものはどういうものなのかということをお伺いします。
  168. 伊藤圭一

    ○政府委員(伊藤圭一君) これは、国防の問題というのは、わが国の安全保障にかかわる基本的な問題であるわけでございまして、この問題について、いわゆる政府の立場として、防衛庁だけの考え方ではなく、政府全体としての考え方を打ち出すというために国防会議が置かれているというふうに考えます。したがいまして、国防会議におきまして一番最初に決められましたのは、昭和三十二年に「国防の基本方針」というのが決められております。この「国防の基本方針」におきましては、まず国連を中心とした平和外交、その次に民生の安定、国民生活の向上、それから二番目に、必要な自衛力というものを漸増する努力をするということ、そして最後に、国連が世界の安全保障を実際に行えるような状況になるまでの間は、日米安保体制によって日本の安全保障を考えていくという御方針の決定をいただいたわけでございます。
  169. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 私、ここで長官にちょっとお伺いをするわけですが、このシビリアンコントロールの問題といたしまして、アメリカの政治学者であるルイス・スミスが文民統制の五つの条件というものを挙げております。それで私も一つ一つをお伺いしてみたいと思いますが、わが国の制度との対照、こういうことでございますが、一つは、「政府の長が文民であり、国民の大多数を代表する者であること」、こういうふうに挙げております。この点は長官、どうでしょう。
  170. 金丸信

    ○国務大臣(金丸信君) そのとおりだと思います。
  171. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 第二番目には、「職業軍人たる軍の長が、政府文民の統率下にあること」、これについては。
  172. 金丸信

    ○国務大臣(金丸信君) そのとおりだと思います。
  173. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 第三点目には、「軍事機構の運営が、軍の計画を総合調査する文民の指示の下に行なわれること」。
  174. 金丸信

    ○国務大臣(金丸信君) そのとおりだと思います。
  175. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 第四点は、「国民によって選ばれた代表者が、戦争の決定、軍事用の資金、人的資源の決定を行ない、政策を策定し、その実施を監督すること」、これはどうでしょう。
  176. 金丸信

    ○国務大臣(金丸信君) そのとおりだと思います。
  177. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 第五点目は、「裁判所が、国民の権利を保護する立場にあること」、この点はいかがでしょう。
  178. 金丸信

    ○国務大臣(金丸信君) 裁判所と言われると、私もちょっと裁判に苦しむんですが、そうでもあると思うような気もしますし、法律家でないからわかりませんが、おっしゃることは私もわからぬわけじゃないと、こういうことで御理解いただきたいと思います。
  179. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 当局、だれか。
  180. 竹岡勝美

    ○政府委員(竹岡勝美君) いま日本の憲法では三権分立で、裁判所が行政機関あるいは立法機関から独立しておるわけでございます。恐らく、かつては軍事部門の中に軍事裁判所等を設けられた例もありますけれども、いまの憲法のもとにおいて、そういう軍事専門の裁判所は設けられてございませんで、あくまでもいまの憲法の三権分立のたてまえで行われる現行制度であるべきだと、このように思っております。
  181. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 一応、長官の御意見もこれと同じようでございますけれども、日本の現在の国防会議、これはロッキード問題のときからいろいろと欠点が明らかになったわけですけれども、運用の面に少し問題点があるのではないか、こういうふうに考えるわけですけれども、この点はいかがでございましょうか。
  182. 伊藤圭一

    ○政府委員(伊藤圭一君) 過去におきまして、この運用の点につきましていろいろな御反省もあっったと思いますけれども、今回のF15、それからP3Cの御決定に当たりましては、国防会議を構成しております所管大臣、お忙しい中にもかかわりませず、八月以来五回にわたって会議を開いていただきました。そして防衛庁の方から、国防会議の参事官会議等を通じまして事務的にいろいろ御検討をしていただきました結果の御報告をいたし、また、国防会議の議員の方々が政治的な観点からの御審議もいただきまして御決定をいただいたわけでございます。したがいまして、F15とP3Cの審議につきましては、私どもの知る限りにおきましては、過去の国防会議よりは活発に御議論がなされ、運営なされたというふうに理解いたしておるわけでございます。
  183. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 国防会議が、確かに文民統制の一翼を担う形式の中で、まあ総理が諮問機関の中心に位するわけですけれども、まあいずれにしてもこの文民統制というのは最終的には国権の最高機関である国会に求めなければならないと思うんですけれども、この点はいかがでございますか。
  184. 竹岡勝美

    ○政府委員(竹岡勝美君) 全くそのとおりであります。
  185. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 ところが、どうも私感じておりますのは、現在の日本の国においては、国防会議、コール文民統制、こういう感をするわけでございますけれども、やはり現況ではこういうのは少し問題点があるのではないか、こういうふうに私一、二感じるわけなんですが、そういう点はどうですか。
  186. 竹岡勝美

    ○政府委員(竹岡勝美君) 先ほど先生がアメリカの学者の例を引かれまして五つのシビリアンコントロール、基本的な問題を伺いました。その中でもやっぱり基本的なものは、たとえばわれわれの自衛隊の予算あるいはそれに関する法律、そういった基本的なものは最終的には国民の代表である国会で議決されることになっております。また、自衛隊の最高指揮官であります内閣総理大臣、先ほど文民の代表と言われましたが、防衛出動という最も大事な命令を出しますときには国会の承認を得なければならぬというように、シビリアンコントロールが十分にできておると思います。そこへ至りますまでの過程としまして、内閣、いわゆる閣議とかあるいは国防会議というようなもので、二重にも三重にもシビリアンコントロールしてある現在のわが国の防衛制度というものは、私は非常にりっぱだと思っております。  先ほど先生からお話がございました、たとえば国防会議をもっと高めるために、いまの防衛庁設置法におけるよりも特別の法律を設けて格を上げるべきではないだろうか、あるいは国防会議の審議事項をもっと大きな基本的なものに、さらにそれに重点を置いてしかるべきではないだろうか等々の御意見がございますけれども、先ほど防衛局長が答えましたとおり、私は、現在国防会議そのものも十分に国民を代表する政府の重要な機関としてシビリアンコントロールの機能を果たしておる、このように考えております。しかし、最終的な先ほど申し上げました基本的なものは、すべて国民の代表である国会で決定されておる現行の制度を評価していただきたい、このように考えております。
  187. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 欧米における国防会議、そういうようなことをいろいろと調査もしておりますけれども、当局で把握をしていらっしゃる長所、欠点、こういうふうなことを、まずアメリカの場合はどういうふうに皆さん方は感じていらっしゃるんですか、その点をお伺いします。
  188. 竹岡勝美

    ○政府委員(竹岡勝美君) アメリカにも大体日本の国防会議に準じた国家安全保障委員会というものが設置されておりまして、それの構成員等は大体日本の国防会議に準じたいわゆる大臣クラス、いわゆる向こうで言う長官ですか、行政の責任者、そういう者が入って運営されておる、このように聞いております。
  189. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 日本の国防会議と少し変わっている点ですね。そういうような点、ちょっと述べてください。
  190. 竹岡勝美

    ○政府委員(竹岡勝美君) 向こうの国家安全保障委員会の方が権限が強いように思います。私の方の国防会議は一応単なる諮問機関でございます。その点の差があろうかと、このように考えております。
  191. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 確かにアメリカの国家安全保障会議というものは、事務局の構成、いろんな形の中で非常に充実をしたものを持っておりますね。そういう意味では、やはり少し内容を検討する必要があるのではないか、こういうふうに感じるわけでございます。  イギリスにおいてはどうですか。
  192. 竹岡勝美

    ○政府委員(竹岡勝美君) いま急の御質問でございましたので、まだ十分資料をそろえておりませんので、後日資料をそろえまして御返答申し上げます。
  193. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 アメリカは国家安全保障会議という形になっておりますし、またイギリスは国防・海外政策委員会。フランスの最高国防会議、この内容はどういうふうに把握されておりますか。
  194. 竹岡勝美

    ○政府委員(竹岡勝美君) 先生、まことに申しわけございませんが、急な質問でございましたので、資料をいま手元に用意しておりませんので、不勉強で申しわけございませんが、勉強させていただいて、後刻御報告したいと思います。
  195. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 日本の国防会議が、先ほど申し上げたロッキード問題のいろいろの形の中で、参画する代表の方々が、特に文民というのか、大臣の代表、審議期間も、出席日数も非常にだめである、こういうふうな感じの中で、改定問題等々も論じられてきたわけですけれども、やはり外国の長所というものは取り入れて改定をしていく、こういうふうな形でなくてはならないと思うわけです。そういう意味で、私は、国防会議の今日におけるロッキード問題以後の実績、先ほどは四回ぐらいの審議、まじめに出ていただいているというふうな話もございましたけれども、国防会議の実態、もう一度御報告をお願いしたいと思います。
  196. 伊藤圭一

    ○政府委員(伊藤圭一君) いま私は八月から五回と申し上げましたけれども、国防会議というのは、これは私も長い間国防会議の参事官などをいたしておりましたけれども、過去、長期計画を決めますときには、まず防衛庁が、防衛力整備についての考え方というものを一年ほどかけまして、五年計画というものをつくります。それを、国防会議の事務局が中心になりまして、国防会議を構成いたします各省から出ております参事官によって事務的な検討を始めるわけでございます。これは通常、一つの計画の審議をやりますのに二ヵ月程度の期間をかけてやるわけでございます。その間、常にその審議の状況というものは国防会議の幹事でございます各省の次官に詳しく報告がいくわけでありまして、その中で特に重要なものにつきましては、大臣の方にも御報告がいっているわけでございます。そして、その審議の結果を踏まえまして、各省それぞれの意見を持ち合いまして国防会議において最終的に御決定をいただいているというのがいままでのやり方でございます。  で、F15につきましても、P3Cにつきましても、いずれも同じような経過をたどっておりますが、特にP3Cにつきましては、十月九日の議員懇談会の申し合わせ事項に従いまして、国防会議の事務局に専門家会議を設けまして、さらに二年間にわたってこれを検討いたしたという経緯もあるわけでございます。したがいまして、いわゆる国防会議の議員の方々が何ヵ月もかけてこの議論をするというお時間をなかなかいただけないわけでございますが、その前提となります各省間の審議あるいは御疑問に対する御説明等につきましては、数ヵ月にわたって検討してまいっているのが実態でございます。
  197. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 国防問題というものも、長官、いま見えている秦委員と私、ちょうどアメリカへ行って、国防省、そうしてコロンビア大学、そうしてニューヨークタイムズとかワシントンポスト、もうあらゆる階層とお話をしましたときに、確かにアメリカとソ連の軍備、そうしてアメリカとソ連との間に置かれた日本の位置づけ、そういうあれの軍備の技術問題、量の問題、質の問題、そういうことが非常に盛んに論じられておりました。で、私は、やはりその国の生命、財産を守る立場、そういう立場からいけば、やはり国の防衛というもの、これは大事だと思います。しかし私は、コロンビア大学に行って大学の教授や生徒さんの代表といろんな議論を重ねたときにも同じような議論が非常に沸騰していた。で、私は、いまこの国防会議の中にも、そういう軍備の技術、質の問題とあわせて、平和の哲学をどうすれば最大の軍備に置きかえていくことができるか、そういうことが日本の国でもアメリカでもソ連の国でも行われなくちゃいけない。そういう意味で、私は、コロンビア大学の教授の方に、いま大学こそ、そういう、ソ連よりもアメリカが世界で一番の軍備というものを持たなくちゃいけない、逆にそれが逆転をしそうになっている、こういう形の理論の中から展開されるのではなしに、世界の防衛というものが本当に人間と人間の命の中でお互いが生存していく、そういう平和の哲学をなぜ大学が説いてくれないのか、ソ連が受け付けなければ、アメリカの大学が中心としてそういうものも最大の防衛力であると、そういう形でなぜ説かれていかないのかということを主張したわけでございますけれども、この国会、そうしてずっといままでの国会を見ておりましても、しきりに防衛と言えば、防衛庁と言えば、常に軍事優先のいろんな形のものが論議される。私は、それは結構だと思います。しかし一面、こういう国防会議の中で、やはり平和の哲学というものはかくあるべきなんだということが、日本より、ソ連やアメリカに受け入れられなくても常に主張していく、そういう一面の分野も私はあっていいだろうと思うわけです。そういう点、長官いかがでございますか。
  198. 金丸信

    ○国務大臣(金丸信君) 私は、ただいまのお話を承りまして、いわゆる軍備をエスカレートしていくというようなことでなくて、先ほど瀬谷さんにもお話ししたのですが、いわゆる少なくも近隣諸国と共存共栄のできるような姿に持っていくことは、これは平和外交を進める上に、また、われわれは絶対戦争してはならぬという一つの哲学を国民が持っておるわけでありますから、この戦争をしてはならないという問題について、いわゆる軍備だけ、防衛力だけふやせばいいという考え方は、これは非常に間違っていると私は思うわけであります。そういう意味で、この平和という問題につきましては、なかなか困難な問題とはいえ、これと取っ組んで、いわゆる日本の努力、そうしてそれが各国に認められるような、あるいは軍縮問題にしてもしかり、核兵器を使わないというような問題についても、われわれはこの洗礼を受けた国民として声を大にして訴えるようなこともしなくちゃならない。私は、ただいまのお説を承りまして、いわゆる国防会議にも参りまして、あるいは閣議等にも参って、ひとつそういう考え方も十二分に披瀝してみたいと、こう考えております。
  199. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 私も昨年はまた中国で政府要人と防衛問題の話の意見交換をしました。そのときに、中国では、北極のクマというのは大変恐ろしいところである、そういうことを考えると、中国でも日本でもやはり軍備というものは防衛のために持たなくてはいかぬのではないか、そういう意味では、平和平和と唱えておっても、ちょっと矛盾するのではないかという意見もありました。しかし、それも一理でありましょう。しかし、私たちは、日本の国は資源もない国である、そういうふうなことで世界のいずれの国とも平和外交をしていかなくちゃいけない、そういう意味ではやはり防衛というものにも限界がある、あわせて平和外交に一生懸命やらなくちゃいけない、これが日本の立場であると強くわれわれも主張して帰ったところでございます。そういう意味で、私は、この国防会議に所轄の大臣の代表の方々が出ていらっしゃいますが、やはりそれ相当のしっかりした勉強をしている中で、四回や五回説明を受ける、そういうふうなことでイエスやノーという形でなしに、本当に国防会議の文民代表として選ばれた大臣クラスであれば、しっかり勉強して、そうしてかつての忌まわしいあの事件のときのような状態ではなしに、真剣にやはりやっていかなくちゃいけない、そういうふうに感じております。  そこで、当局にお願いしたいわけでございますが、私が調査をした段階では、日本の形式よりもアメリカの国家安全保障会議の方がより位置づけが非常に高かった、こういうふうに感じるわけです。そうして、そのほかにも、イギリスやフランスの最高国防会議、ドイツの連邦安全保障会議、こういうもの等も研究されていらっしゃると思いますけれども、もう一度つぶさに日本の立場から検討して、そうしてこれをチェックをする立場の中から、こういう形式は予算が要るけれども、日本の将来にとって必ずこの部門というものはさらに人数をふやしていかなくちゃいけないとか、そうしていろいろの機関を経て討議をしていかなくちゃいけないとか、そういう面をやはり総点検をしていただきたい、こういうふうに思うわけです。長官、いかがでございましょうか。
  200. 金丸信

    ○国務大臣(金丸信君) いま先生のおっしゃられたこと、まことにごもっともだと思うわけでありますから、そういう意味で、今後国防会議等にも注文をつけたり、あるいは閣議でもそういうお話を申し上げて、ひとつ――まあ、一ところより二ところ、二ところより三ところ、大いにチェックするところがあった方がこれは一番ベターだという私は考え方を持っておりますが、十分ひとつ検討させていただきたいと思います。
  201. 竹岡勝美

    ○政府委員(竹岡勝美君) いま、国防会議事務局、ここの事務局長に元防衛次官の久保さんという非常に有能な方がおられまして、現在、先ほど長官からお話がありましたとおり、今後の国防会議、先生の言われるような方向でいかに改善していくかということを真剣に勉強を進めておられます。われわれもそれに合うように協力を申し上げておりますけれども、恐らく国防会議は、そういった方向での改善と申しますか、充実がなされていくであろう、このように思っております。
  202. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 じゃ、最後に長官に質問いたしますけれども、何回も口に出しておりますけれども、あのロッキード問題が起きました後で、私、国防会議の問題を質疑を交わしたわけでございますけれども、確かに実態としては国防会議に参画をする所轄の大臣、もう全く不勉強というのか、それは長官の前で申しわけないですけれども、大半が――一部はそうじゃなかったと思いますけれども、本当にやはりこれでいいのかなという感じを、私たちも調査をして感じたわけでございます。どうか国防会議の大きなバックボーンといたしましては、長官も最初にお話がございましたが、シビリアンコントロールの、文民統制の強化というものは、本当に人類の平和のために、まず日本がやり遂げていかなくちゃいけない、そういう一里塚でなくてはならないと思うわけでございます。その点、もう一度お伺いしたいと思います。
  203. 金丸信

    ○国務大臣(金丸信君) 文民統制の問題につきましては、ここが崩れたら日本の防衛問題も、また平和の問題も、あるいは国民に及ぼす影響も、いろいろ問題が派生してくるということでありますから、私は、この文民統制につきましては、ひとり防衛庁長官が考えるということでなくて、いわゆる国会すべて、あるいは国民すべての人がこういう問題に重大な関心を持っていただく。そういう意味で、この国会の中にそういうような問題をお互いに話し合える場というものをつくっていただいて、そして本当に監視を、何でもかんでもわからぬようにさっさと防衛をどんどんエスカレートさせるというようなことのないようなことにしなければならぬと、私は骨の髄まで感じておるわけであります。金丸自身が防衛庁長官をやりまして、ことしの暮れあたりになればぼつぼつ首になると、それだからだめだと……。私はやりたいわけじゃないんだが、防衛庁長官をやらせるには、五、六年ずっと、この男には国民が任せておいてもいいというような、ひとつ防衛庁長官も、あるいは総理大臣の考え方もそういうところへ持っていかなくちゃならぬと、こうも考えておるわけであります。
  204. 宮田輝

    ○主査(宮田輝君) 以上をもって矢原秀男君の質疑は終了いたしました。  次に、秦豊君の質疑を行います。
  205. 秦豊

    ○秦豊君 最初に、伊藤防衛局長、あなたはきのう幾つか大事な答弁をした。ところどころ本音がちらついていた。大変結構です。  そこで、最初にあなたに確認しておきたいんだが、速記録がまだでき上がっていませんので、デテールは把握できないんだけれども、FXについての答弁の中で、あなたはたしか百機でも十分かどうかを懸念しているという言葉を使われたと思うんだが、間違いありませんかな。
  206. 伊藤圭一

    ○政府委員(伊藤圭一君) 私はそういった意識は全くないわけでございまして、あのときの先生の御質問は、百機で脅威を感ずるのではないかというお話でございました。したがって、私は百機程度のもので脅威を感ずるとは思いませんというふうにお答えしたつもりでございます。したがいまして、百機で足りるかどうかというようなことは全く言及した記憶はないわけでございます。
  207. 秦豊

    ○秦豊君 俄然興味半減のような再答弁でありました。とにかく、あなたが空幕の意向に忠実であれば――忠実という言い方はおかしいけれども、百機では足りませんよというのが一種の常識です。いま予算がシビアだし、野党がうるさいし、いまはとにかく百機です、十全の運用と言えば百二十三機、それはあなた方の常識。国会で通用しないだけなんです。さすがにあなたはきわどい線は危うく回避されて答弁されたわけだが、じゃ、方針の変更でも何でもないんだと、予算は四日に上がる、時間を置いて、ほとぼりを冷まして、やがて要求すべきものを要求し始める、庁内の強い合意を背景にして。そんなつもりは長官全くないんでしょうな。
  208. 金丸信

    ○国務大臣(金丸信君) これは十年計画という計画でございますから、十年先のことはわかりませんが、現状においてはそういう考え方は持っておりません。
  209. 秦豊

    ○秦豊君 それから、本論に入る前に二、三確認しておきたいことがありますから、少し細かいけれども。  あなたはこの前の、委員会で、たしか私の質問に対し、チーム・スピリット78については観戦武官も出してないのか、何にもしてないのかと。横田は通り過ぎる、横須賀は動いている、岩国はあわただしい、神奈川はなおさらという中で何にもしていないのかと聞いたら、何にもいたしておりませんと、あれ間違いないんでしょうな。
  210. 伊藤圭一

    ○政府委員(伊藤圭一君) 自衛隊は何にもいたしておりません。
  211. 秦豊

    ○秦豊君 じゃ、仮に各幕の方で、図上作戦という名前をつけるかどうかは別として、訓練をしたという事実はないんですか、図上作戦。
  212. 伊藤圭一

    ○政府委員(伊藤圭一君) チーム・スピリットに関して図上作戦をやったということは聞いておりません。
  213. 秦豊

    ○秦豊君 チーム・スピリット78に伴って図上作戦をした事実はないのかと聞いているんです。
  214. 伊藤圭一

    ○政府委員(伊藤圭一君) 「伴って」とおっしゃる意味がよくわかりませんけれども、チーム・スピリットとの関連において図上作戦ということは聞いておりません。
  215. 秦豊

    ○秦豊君 つまり、たとえば情報、後方支援とか、通信とか、こういう問題を中心にして図上演習をしてみるということは、各幕の優秀な幕僚たちにとっては魅力のある一つのトレーニングなんだ。あれほど大きな兵力が動いたというのは北東アジアで初めてなんだ、たとえ訓練とは、言え。しかも、すべて半島有事の想定に立って、例の九日戦争のパターンをそのまま踏襲している。幾つか見逃せない点もあるが、それは委員会の中で、予算委員会で聞いたところなんだけれども、ぼくたちの常識では、図上演習くらいをするというのは、これはもう本当に各幕にとっては当然の仕事の範囲だと思う。それをしもあなたは否定されるんだが、その程度の答弁では納得できないし、現実に私どもの仲間のリポートによると、沖繩列島沖では特に哨戒行動についていつもより活発な訓練行動が確認された。佐世保では自衛隊員が外出禁止、一種のスタンバイ態勢に訓練として入ったという通報が私どもの本部に来ているわけであって、あなたはないないと言い張るかもしれぬが、よく調べて私自身が納得できるようなあなた方のデータを出していただけますか。
  216. 伊藤圭一

    ○政府委員(伊藤圭一君) いま先生がおっしゃいました中で、実はこのチーム・スピリットの内容というのは詳しく自衛隊には知らされてきておりません。したがいまして、いまおっしゃいました哨戒が多くなったということは、チーム・スピリットに伴いましていわゆる艦艇の行動が激しくなったのは事実でございます。したがいまして、私どもは従来監視体制のもとにおきまして、艦艇の動きについては哨戒機によりましてこれを監視する行動はやっておりますが、そういった船の動きが多いということに伴って監視活動というものをやったということはあると思いますけれども、これがチーム・スピリットに協力するとか、そういった意味では全くないわけでございまして、自衛隊の本来の仕事としてやっていたものでございます。
  217. 秦豊

    ○秦豊君 ならば、私に回答してもらうデータの中にもう一つ空をつけ加えてもらいたいんだが、つまり、伴ってとか、あなた方の官僚人の守り方というのは、絶えずピンポイントでぐさっと、ある法案なら法案、極秘文書なら極秘文書のタイトルが一字でも違っていると、さようなものは存在しませんで、うまくするっと逃げるわけだ。ピンポイントでなくとも、チーム・スピリットという大きな軍事行動を想定した演習の中で、自際隊の各幕僚が、三幕が何にもしないでふだんよりゆっくりしてましたということはあり得ないんで、それはあなたも認めたように、哨戒活動の一部は艦船の往来が激しくなったから当然それに対応したものでしょうということ、それはあり得るでしょうね。  それからもう一つは、航空自衛隊の場合などは、特に新しく、あなた方によれば、たまたまそうなったのかもしれないが、迷彩色に塗りかえた実用機を、飛行機の離発着訓練がいつもより頻度が多いというふうなリポートも来ていますからね。あなた方は各隊からリポートが来なければ、なかった、存在しない出来事になるわけだ。ぼくたちは、やはり全国の町々に仲間がいて、絶えず注意深く基地の動きを見ている。そういうリポートというのは、やはりあながち無視できない。だから、いま申し上げたところは、私はいまここで話し合っても突き詰めが効かないから、よく調べて御回答いただけるように改めて約束をしてもらいたい。
  218. 伊藤圭一

    ○政府委員(伊藤圭一君) いま先生がおっしゃいますのは、どうもためにするような表現をなさるので、私一言申し上げさしていただきたいと思うんですが、迷彩色に塗った飛行機というのはF1のことでございます。F1というのはいままさに配備直後でございまして、転換教育等も熱心にやっている時期でございます。したがいまして、天候のよいときには当然飛ぶということはあり得るわけでございますが、チーム・スピリットとの関連においてそういうことがあったということは全くないわけでございまして、これは通常のパイロットの養成教育あるいは日常の訓練ということで飛んだものだと考えております。
  219. 秦豊

    ○秦豊君 「ためにする」部分だけは削りなさい。不穏当です。いいですか。
  220. 伊藤圭一

    ○政府委員(伊藤圭一君) 大変失礼いたしました。その点は削らせていただきます。
  221. 秦豊

    ○秦豊君 長官ね、さっきまでそこに外務大臣が座っておられたんですよ、日中問題ですが。それで、これはよく論議はされるんだが、一向にはっきりしないことは、日中平和友好条約の締結に絡んで、俗にソビエトの報復というのが――こんなことはバランス上あり得ないんですよ。あり得ないんだけれども、防衛庁としてはやはりソビエトがどの程度の示威行動に出てくるだろうかとか、あるいは漁船に対する臨検体制を、まあ一種広範な意味合いで申し上げて、報復の意味合いを込めて、強化活発化するのではないかとか、世上に言われているのは憶測です。しかし、防衛庁は所轄が国の安全保障だから、やはりそういうことはかなり綿密に見積もりをされ、あるいは想定をされ、対応を練ったと。――練ったとしても責めてるんじゃないですよ。練るのが、対応を策するのがあなた方の大きな仕事の一つだから当然だと思う。責める立場じゃなくて、当然ソビエトのいわゆる反応というものをどの程度に見積もっておられ、どのようなことを見込んでおられるのか、伺っておきたい。
  222. 金丸信

    ○国務大臣(金丸信君) 日中友好条約を促進するにつきまして、そういう問題につきまして防衛庁としても全然等閑視しておることはできないわけでありますし、また、近年、ことに最近アジアにソ連のいわゆる増強というような問題が著しい状況になっておるということでございますから、これに注意を怠りなく情勢判断というものはしておかなければならぬ、こういうような考え方の中でいろんな状況の判断をしておるわけでございますが、詳細につきましては政府委員から説明をさせます。
  223. 伊藤圭一

    ○政府委員(伊藤圭一君) 私ども、御承知のように、情報部門におきまして、いわゆる日本周辺の艦艇あるいは航空機の軍事行動というものは、できるだけ実態をつかむ努力をいたしているわけでございます。  御承知のように、この十年間の極東ソ連軍の増強ぶりというのは著しいものがございます。そしてまた、特に海軍におきましては、能力的に非常に変貌いたしております。十年前は沿岸警備というものが中心でありましたのが、いわゆる外洋艦隊に変貌いたしております。したがいまして、七〇年代に入りましてから、三つの海峡を通りまして太平洋に出ましての訓練、演習というものが徐々に多くなっているというのは事実でございます。しかしながら、この日中友好条約との関連において、特にそういった行動が顕著になるとかいうようなふうには考えていないわけでございます。ただ、三月十七日に、御承知のように、TU95が二機対馬海峡を通っていきますときに領空侵犯をいたしました。これは、東シナ海の方に飛んでまいりまして、三時間後ぐらいにまた返ってまいりましたけれども、返るときには公海上を通ってまいりました。したがいまして、六回目になります領空侵犯というのがあったわけでございますが、これも意図的になされたものではないというふうに私どもとしては判断いたしておるわけでございます。
  224. 秦豊

    ○秦豊君 この間、私、防衛大学の卒業式にあえて行ってみたわけです。かねがね内閣委員会の視察にといってみえながらいつも外される、それは近過ぎるから。練馬の第一師団と横須賀、なかなか行けない。で、あえて行ってみたんですが、一番私印象に残りましたのは、確かに現代っ子らしい側面もあるんだが、同窓会長のあいさつ、長官や総幕議長や来賓や各国武官の前あるいは後輩の前で言ったあいさつが、なかなかずばっとしてるんですね。すでに一万の大機関ネットワークを形成するあの若者たちの影響力とパンチ力はこれから無視できない。あと二年もすれば旧軍の出身者はすべてリタイアして、ほとんど彼らがいわゆる第一線を担う。だから彼らの動向というのは、絶えずわれわれ国会のチェック機能の対象としても、調査の対象としても、あるいは興味関心の対象としても無視できない大きな部分です。その中で、私の記憶では、たとえば専守防衛について、こういう問題について、やはりいま国会で論議されているような論議をすべて彼らが肯定しているわけではない。やはり彼らは、あなた方の与党を含めて、自民党に対してすら必ずしも絶対の信頼感を持っていない。――私の印象ですよ、これは。もちろん野党はなおさらである。こういうことをちらちら感じる。専守防衛というふうなことで、一朝有事に対して十全の備えができるのかどうかなどについても、われわれは十分に考えねばならぬ。もちろん、四年間の教育がしからしめた発言として、彼らの日常会話の一部ですから、とりたてて問題にする意味で言っているのではありません。ただ、一万、昔で言えば連隊長クラス、これがすでに一佐になっている。この事実は非常に重いと思う。あなた方の職員構成もそうだ。やがて陸士、海兵ではなくて、プロパー採用がもう課長以上にどんどん輩出をする。こうしてやはり新しい転換期を防衛庁は迎えると思う。  そこで、これはとっさの質問だから、あなた方に用意がなくとも仕方がないんだが、防衛大学のあの資料、ちょっと持って帰って見ると、大学校の性質上、カリキュラムの編成がどうしても一般大学と違うのは当然としても、社会科学の担当教授、助教授、講師を含めて、いかにも層が薄い。失礼だが、もっとレベルを高めて、社会科学の教育のカリキュラムを濃密にする。それでもっといい人をと言っちゃ失礼だが、いまいる人もごりっぱなんだろうと思うが、さらにりっぱな方々を導入して、徹底的な民主主義教育、有権者の多くの人々が選んだ政体はもちろん市民の一人として尊重する、これを絶対に踏み外さないという教育はなお徹底する必要があると思うので、社会科学のカリキュラムをもっと濃密にする、高める、こういうおつもりがないかどうかを、この機会だから伺っておきたい。
  225. 伊藤圭一

    ○政府委員(伊藤圭一君) 教育担当参事官からその点についてお答えするのが適当だと思いますが、その前に、私はちょうど防衛大学校が創立されましたときに部員でこれを担当いたしておりましたので、どういう考え方であのカリキュラムができたかということを最初に御説明申し上げまして、教育担当参事官からお答え申し上げるのがよいのかと思います。  御承知のように、私どもが防衛大学校を創設いたしましたときに一番考えましたことは、旧陸海軍の士官学校、兵学校、ここを経た人々のいわゆる一般教養といいますか、そういった点が余りにも軍事優先の教育ではなかったかという反省がございました。で、われわれが予備士官として彼らと交わっておりますときに、やはり彼らが感じておったのは、学問の面でわれわれは大学教育を受けなかったというような感じが出ておったわけでございます。したがいまして、少なくとも新制大学におきます学力というものを、まず与えたいということを考えたわけでございます。そしてまた、これからの軍事技術というものはきわめて高度になってまいりますので、理工科系統の学問を中心にした方がよいのではないかという判断がございました。したがいまして、当時東京工業大学のカリキュラムに従いまして一般大学の課程というものを全部履修いたしまして、それにいわゆる職業教育としての訓練と防衛学、これをプラスしたものをカリキュラムとして組んだわけでございます。その後、いま先生がおっしゃいましたような点が反省されまして、いま徐々にその方向についての検討が加えられているというふうに承知いたしておりますが、その点は教育担当参事官から御説明してもらいたいと思います。
  226. 秦豊

    ○秦豊君 大分足りませんわ、やっぱりそれでも。
  227. 夏目晴雄

    ○政府委員(夏目晴雄君) ただいま御指摘のとおり、最近の複雑化する防衛問題というものを担当する自衛官といたしまして、国際問題あるいは管理学、そういった社会科学に造詣の深い幹部自衛官が必要であるというふうな必要性が痛感されまして、去る四十八年から、従来の防衛大学校というのは、いまお話がありましたとおり工科系の大学に準じたカリキュラムで編成しておりましたが、それに加えまして、国際関係論と管理学という二つのコースを設定しまして、七十人ばかりの学生を毎年入れております。  さらに、それとは別に、理工系の学生に対しても、この人文社会学科のニュースを設定したのに伴いまして、そういった社会科学系の時間数、そういったものを鋭意ふやすような方向で徐々に改善されると思いますが、何せ、まだ発足間もない社会科学系でございますので、教官その他の面において若干手薄な面があることは否めないと思います。なお今後十分教官の層を厚くする等、措置を講じていきたい、このように考えております。
  228. 秦豊

    ○秦豊君 専任教授を張りつけなくていいから、だれもが、ああ、あのプロフェッサーかと、ぜひ聞いてみたいやというふうな集中講義などを考えてやってください。それで、検討検討は聞き飽きている答弁だから、繰り返さないで、この委員会では。いつからやるというふうなきっぱりした答弁もあわせてね。その方が防大を見る目が変わってくる。
  229. 夏目晴雄

    ○政府委員(夏目晴雄君) 確かに、専任の教官を置くことも大事ですけれども、内外にいる学者の方々に集中講義その他で来てもらうというふうなこともあわせていま実施しておりますが、そういった回数をより高くしたいというふうなことを十分……
  230. 秦豊

    ○秦豊君 いつから。
  231. 夏目晴雄

    ○政府委員(夏目晴雄君) これは徐々にやっておりますが、これは来ていただく先生の都合もございますので、猪木校長以下、非常な努力をされておるというふうに聞いております。
  232. 秦豊

    ○秦豊君 FXで血眼にならないで、こういうことはどんどんやりなさいよ、こういうことは。順逆が違うの、あなた方の発想は。だから、猪木さんからミスター土田になるそうだから、ちゃんと引き継いでちゃんとやっていかれるように、これは要望をしておきたい。  それから、装備局長、これ、確認しておきたいんですが、あなた方が待ちに待っているF15これ、導入、FMSのルートに従いますよね。そうすると、覚書というのか、あなた方は何と言っているのか、テクニカルタームはレターと言ってるのかしらないが、いま三月、もうすぐ四月だが、五月にでもなれば日米間でF15導入に関して最初の何かレターは交換せぬと、あなた方の日程に間に合わないんじゃないですか、どうなんですか。
  233. 間淵直三

    ○政府委員(間淵直三君) 私どもの方の言葉でMOU――メモランダム・オブ・アンダスタンディングと申しておるわけでございますけれども、予算の通過を待ちまして急いでやるようにいたしたいと、こう思っております。
  234. 秦豊

    ○秦豊君 だから、五月ごろになるのか。  それから、もしそれが正文ができたら、国会の当該委員会の委員にも当然、長官、見せてもらえるんでしょうな。
  235. 間淵直三

    ○政府委員(間淵直三君) アメリカにおきましても、この文章の交換が終わりましてから国会の手続その他がございますものでございますから、かなりの、五、六十日間その手続に要するというようなことでございますから、これは予算が通過いたしましたら至急にやりたいと、こう思っておるわけでございますが、その内容につきましては、概略などは御説明申し上げてもいいと思うわけでございますが、いろいろ仕様その他、機密にわたる部分が非常に多いわけでございまして、そのままお出しするということは差し控えさしていただきたいと思います。
  236. 秦豊

    ○秦豊君 ある程度わかるが、そこから向こうはわからない。大前提は、与野党ともこれからシビリアンコントロールの機能を強める、専門的なテクニカルタームがあると幻惑されてわからない、ついめんどうになる。そうじゃなくて、あらかたどんなものかということを国会が絶えずチェックする、承知すると、だから提出をしてもらいたい。これは約束していただけますね。
  237. 間淵直三

    ○政府委員(間淵直三君) 概略については御説明申し上げたいと思っております。
  238. 秦豊

    ○秦豊君 それから、これは伊藤さんの範囲であろうかなと思うんですが、いまずっとあなた方の正面装備充実計画を見ると、迷彩色のF1を含めて、F4でしょう、それからF1でしょう、F15イーグルでしょう、それが千九百八十X年代から総合運用に入りますよね、当然トリプルになって。それはいつごろなんですか。
  239. 伊藤圭一

    ○政府委員(伊藤圭一君) 現在F4はもうすでに入っておりまして、F1も入っております。五十七年からこの三つの飛行機を運用するようになると思います。
  240. 秦豊

    ○秦豊君 そのころにはどの程度の防空能力を備えるようになるのか。とっさにここで全部は答えられないから、おいおい協議の対象としてお答え願いたいと思う。大体五十七年からというと、あと四ヵ年ですね。そうすると八〇年代に入ってしまう。いわゆる対象戦闘機は第四世代に向かっていくという時代で、あなた方としてもかなり確信を持った総合運用ができるというのが、じゃ五十七年ごろからというふうに理解していいんですね。
  241. 伊藤圭一

    ○政府委員(伊藤圭一君) いわゆる現在持っております防空能力、これを落とすことなく新しい機種に変えていくことによりまして、総合的に見ますると、いわゆる相手の技術の進歩によります劣勢部分というものを補って現在のような運用というものは可能だというふうに判断いたしておるわけでございます。
  242. 秦豊

    ○秦豊君 これは糸山氏がいつかどこかの委員会で聞いておられたと思うんだが、防衛協力小委員会の問題点としては、三部会どんなのがあると言うと、申し上げられません。私が聞いたら、何か外務省の中島さんも言わなかったし、どんな問題を、項目を並べてくれと言ったら、色よい返事はなかったんですよ。それで、たとえば作戦部会ではどんなもの、情報部会では、後方補給支援ではと、三部会それぞれ並べてどんな問題を日米いま出し合って討議しているのかを明らかにできますか。
  243. 伊藤圭一

    ○政府委員(伊藤圭一君) 作戦部会におきましては、いわゆるその指揮及び調整の問題、それから作戦準備の問題、それから陸上作戦、海上作戦、航空作戦、それから通信電子の問題、こういったものを研究いたしております。それから情報部会におきましては、情報交換、それから情報活動及びその協力体制、それから保全の問題、こういうものを研究いたしております。さらに、後方支援部会におきましては、後方補給活動の全般事項あるいは後方補給活動の各機能、それから平時からの後方補給面における協力に関する事項、こういったものについてそれぞれ研究をいたしているわけでございます。
  244. 秦豊

    ○秦豊君 それで、ずっと三部会でやりますね。そうすると、日米間に当然合意が形成される。その場合でも、何がどう決まったかはいかなる場合にでも国会には明らかにされないものなんでしょうか。
  245. 伊藤圭一

    ○政府委員(伊藤圭一君) 私どもは、この作戦部会といいますか、それぞれの部会におきまして研究しました結果が防衛協力小委員会に報告されます、そうして防衛協力小委員会におきましては、協力をやるに当たって、作戦の機能あるいは情報の機能あるいは後方支援機能におきまして、いわゆるガイドラインと申しますか、こういう指針のもとに日米双方が計画を立てなさいということになろうかと思いますが、その指針につきましては、国会にもできるだけ御報告をし、御理解をいただきたいというふうに考えておるわけでございます。
  246. 秦豊

    ○秦豊君 結構です。当然しかあるべきだと思いますね。それはいわば中間報告のような形になるわけですね。違いますか。
  247. 伊藤圭一

    ○政府委員(伊藤圭一君) 中間報告という形になりますか、あるいは一応終わったところで御報告することになるか、まだ決めておりませんけれども、いずれにいたしましても、この防衛協力をやるに当たっての方針といいますか、指針、そういったものははっきり国会にも御報告申し上げたいというふうに考えているわけでございます。
  248. 秦豊

    ○秦豊君 大体あなた方の作業というのは、絶えずタイムスケジュールというのが作戦的にぴしっと決まっていますからね、そのうちでいいやということは許されない世界だから。いつごろが目標になっているんですか。
  249. 伊藤圭一

    ○政府委員(伊藤圭一君) 御承知のように、この部会につきましては、昨年来研究を進めておるところでございますが、実はなかなかこう困難な問題もあるわけでございます。で、私どもは、当初は、もうことしの春にもその研究の結果が出るというふうに予想いたしておりましたが、実はこの指揮系統を別にして調整をやるという問題、これは御承知のようにアメリカも余り経験のないことでございますし、また、日本にとりましても経験のない分野でございます。したがいまして、一つは言葉の問題なんかもございまして、通常の辞書に書いてあるような内容じゃなくて、実際にこの運用をやる場合にどういう形になるのかというような検討などにかなり時間を要しておるのが実態でございます。したがいまして、私どもといたしましては、できるだけ夏ごろまでと思っておりますが、あるいは秋ごろになるんではないか、その結果を踏まえた指針をつくるのが秋ごろまではかかるんではないかというような感じを持っておるわけでございます。
  250. 秦豊

    ○秦豊君 そこまでできますと、じゃ、日米間の次の段階というのは、たとえばいまあなたが言ったコマンドのところですね、調整するために日当作戦調整所とか、あるいはオペレーションズセンターとか、名前はどうでもいいじゃありませんか、それ的なものは常時持っているようにするのか、あらゆるケースに備えて。あるいは、きわどくなったらと、信号が黄色になったというふうな有事のちょっと事前段階で、かねがね決まっている手はずに従って急設するのか、あるいは常設なのか、これはどうなんですか。
  251. 伊藤圭一

    ○政府委員(伊藤圭一君) これは、作戦面といいますのは、安保条約の五条に従いまして共同対処をやるわけでございますが、そのためのいわゆる指揮調整の機能を果たす機関というものは、私どもはやはり必要だと思っておりますけれども、、これは常時必要だというふうには考えておりません。したがいまして、いま先生がおっしゃいましたように、その必要になった時期に開設するというようなことになろうかと考えております。
  252. 秦豊

    ○秦豊君 あなたは前段を飛ばされたが、当然私が聞いた日米作戦調整所的なものになるわけですね。
  253. 伊藤圭一

    ○政府委員(伊藤圭一君) そのようなものも含めまして調整機関が必要だろうというふうに申し上げたわけでございます。
  254. 秦豊

    ○秦豊君 おととしからこのFXの問題に取り組み始めて、私はもとの政党にいるころからですから――いま全然違った、もっとすばらしい政党にいるんだけれども(笑声)ただ瀬谷先生は別、尊敬する大先輩です――あのころから、いわゆるたてまえでない防衛論議、デジタルな防衛論議、実態論を目指してきた。今後ともそうします。だから、防衛特別委員会は一日も早くそうあるべきだと、この点はまさに長官とぴったり一致するんだが、あとは大分違っているんです。絶えず私はFXの問題でも、なぜかなぜかを連発してきた。それで、あなた方は相当努力されて――ぼく一人がやったわけじゃないけれども、いろんな方がやられて、ついに「FX選定の経緯と問題点」、あれは大きな進歩だと思う。それから、さっきからちらついているように、できるだけいろんな文書は出しましょう、日米間を含めて。これも大変いいと思う。  そこで、FX論議を特にことしから切ってあなた方とやり合ったのを整理してみると、たとえば、対地攻撃能力は確かにイーグルの方がファントムより大きい、機密のことは言えませんと、これは間淵さんの発言。それから、足はどうかと言うと、行動半径もやっぱり長いと、イーグルの方が。じゃ燃料消費率はどうかと言うと、イーグルの方が少ないと言われる。燃料搭載量はどうか、一〇%多いらしいと。それで、実戦装備をした場合はどうかと言うと、その点だけ食い違っている。あなた方はF4よりイーグルの方が小さいと言っているんだが、それは、ECMポッドとECCMを両方を装着して飛び立った場合には、逆にイーグルの方が多いんです。六発、五百ポンドで。六発なんだ。予算委員会だと、すぐ時計があってあわただしいから、なかなかこんなこと言えないけれども、幸いなるかな時間がかなりあるから。  この前の、レバノン南部に進攻したのは、イスラエルがいま一スコードロンしか持っていないF15の主力だったわけです。そこで、はでにレバノン南部で五百ポンド爆弾の雨を降らした。実に的確に、強力に。対地進攻用に使っている。日本のようにCAPをして空中給油――いまからやります、その問題は。あなたの答弁大変その点抜けているんだけれども。そういう問題を含めて、あなた方とぼくが煮詰まらないのは、いわゆるそのポイントね、すべて強力なんだということについて一点だけ、搭載量じゃなくて爆弾搭載量だけがあなた方と私どもを隔てる距離なんです。あとはすべて大きいと。そうしますと、どうなるかというと、あなた方が二月十四日や三月に補強されたあの政府統一見解というものを見ると、たとえば付随的な対地攻撃能力なんということがだんだん言えなくなる時期がやがて訪れる。これを一つ一つ実態的にやっていきたいんだが、その中で、きょうはきのう煮詰まらなかった空中給油だけに限定して伊藤さんともう少し議論してみたいんだけれども、伊藤さんは、いま嘉手納にKC135が何機ぐらいいるとお考えですか。
  255. 間淵直三

    ○政府委員(間淵直三君) KC135は、嘉手納に十五機と聞いております。
  256. 秦豊

    ○秦豊君 じゃ、そのKC135一機で、何機ぐらいの戦闘機に空中給油できるんですか。
  257. 間淵直三

    ○政府委員(間淵直三君) まあ何機ぐらいと申しましても、いろいろその態様によって非常に変わってくるとは思うわけでございますが、それからその燃料の搭載量、燃料の消費といったようなものも機密に属する部分が多くて、明快にお答えできないというのは非常に恐縮でございますが、通常の戦闘機に給油するというような場合でございますと、二十機弱ぐらいできるというような感じでございます。
  258. 秦豊

    ○秦豊君 一般的な運用は、KC135一機で大体三機の戦闘爆撃機に給油が可能だと思います。仮に、伊藤さんのきのうの答弁を下敷きにすると、あの部分は非常に正確で正直で結構です。新田原ワンスコードロン、千歳ワンスコードロン――多くの方は新田原はナンセンスと、あり得ないと思ったらしいが、あれはあり得るんですよね。そうすると、一飛行隊ずつ配備したとしますね、八十X年にね。そうしますと、嘉手納のKC135がうんと増強されるならともかく、現行の十五機でもって日本の航空自衛隊のためにだけサービスするとはとても思えないのですよ。そう思う方が常識でしょう。違いますか。
  259. 伊藤圭一

    ○政府委員(伊藤圭一君) 本来嘉手納に配備しておりますのは、日本の航空自衛隊に給油するために置いているわけではございませんので、先生のおっしゃるとおりだと思います。したがいまして、私どもがこの空中給油というものが必要になった場合には、いわゆる作戦計画といいますか、その計画の中で米側に期待するというようなものをはっきりさせ、米側がこれを了承して準備をするというようなことになるだろうと思います。
  260. 秦豊

    ○秦豊君 それは全くおかしな答弁になりますよ。そういうものこそ日米防衛協力小委員会の作戦部会のテーマになるんですよ、あるいは補給支援の。そんなあいまいなことで、日本列島は縦深性はないが長いですね、CAPが要りますね。こういう答弁をあなたは繰り返している。それはそうかもしれないんだけれどもね、アメリカの運用にしたって、これからだんだん北東アジアから手を抜いていく。まあ同盟国との協力のためのあれはなるべく存置する方針にしたって、限度がある。あなた方が正直に、自衛隊は給油母機を持ちたいのだと、必要な機数をはじいて、と言うならまだ百歩を譲って話がわかるんだけれども、アメリカのKC135に頼りますと言ってて、アメリカ側とそれじゃ話しているのかと言ったら、していません、協力小委員会はやっていません。将来やるのか、わかりません。こんなことでね。しかもF15は予算が通るんですよ。しかも前提は空中待機、CAPのための空中給油装置は残すと言っている。だからあなたと私の議論は縮まらないのです。私の言っていることが常識論でしょう。どうですか。
  261. 伊藤圭一

    ○政府委員(伊藤圭一君) まだその問題を具体的には話し合っていないということでございまして、昨日も私たしか御答弁申し上げたと思いますけれども、将来日米防衛協力小委員会等におきまして、そういった問題、協力でわが方が期待するものはこういうものであるというようなことは、当然話し合っていくというふうには考えているわけでございます。
  262. 秦豊

    ○秦豊君 だから、ぼくが在来言っているように、非常に細かく――オペレーションに関係するのだからね。日米空中給油規定というふうなものは当然なければ動かないでしょう。それはどうなんですか。
  263. 伊藤圭一

    ○政府委員(伊藤圭一君) それは、私は必ずしもそういうふうには考えていないわけでございます。指揮調整機能というもので調整をやるわけでございまして、きのうも申し上げましたように、嘉手納あるいは横田なら横田に、緊急な事態になると配備されるかと思いますけれども、そういった飛行機に対して、日本のF15に給油せよという命令をもらってまいります。こちらの方は給油を受けろという命令をもらっておきますと、約束した地点において給油を受けるということは、そう協定を結ばなければできないというようなものではないというふうに考えております。それは日米安保条約の第五条によって、共同対処をするという中で十分カバーされるというふうに私どもは考えているわけでございます。
  264. 秦豊

    ○秦豊君 伊藤さん、操縦桿を持った体験があるからね、だからかなり実感的な答弁ができるかと思うんだけれども、しかし、空中給油というのはそんな簡単じゃないそうですね、いろんな人に聞いてみても。いろいろトラブルが多いんだそうですね。それで、あなたと私の議論の中では、そういう場合の指揮権はどうなると言ったら、両方が持つんだとおっしゃいましたね。その答弁は変わっていないとすれば、両方が指揮権を持って、一方は油を受ける方、一方は油を補給する方、注ぐ方、運用がうまくいくんですかね。
  265. 伊藤圭一

    ○政府委員(伊藤圭一君) それは、先生のむずかしいとおっしゃいました中に、給油のやり方が二つあるわけでございます。アメリカのいわゆるKC135による給油のやり方というのは、これは私どもの調査団が行きましたときにも実際に体験しておるわけでございますけれども、KC135から受ける給油の仕方というものはそうむずかしいものじゃないそうでございます。ところが、海軍が行っております給油の仕方というのは、給油を受ける方の飛行機が給油機の方に近寄っていって、そして受けなければならぬという問題があるものでございますから、これは非常に練度が要るというふうに聞いております。したがいまして、そのKC135から受けるやり方というものは、そう困難なものではないというふうに聞いているわけでございます。
  266. 秦豊

    ○秦豊君 あのね、じゃ非常に具体的に一つだけケースを引こうか。こういうものは特別委員会向けでね、余り分科会に向かないと思うんだけれども、一つだけ、はっきりさせたいのは、たとえば、新田原に配備されたF15がスクランブルで上がりますよね。で、背振のレーダーの上空に、大体三万五千フィートぐらいにスタンバイされる。一つのケースはそれ。今度は千歳から上がる。あれは奥尻の、例のミグ25ゆかりのね、奥尻のレーダーサイトの上空三万五千フィート。両方そういうような位置をとる。そうしたら、その空域にそれぞれのF15が到達できる時間はわかりますわね。どれぐらいかかるんですか。一方は新田原から、一方は千歳から、いまぼくの特定した空域に、三万五千に到達するのはどれぐらいかかりますか。
  267. 伊藤圭一

    ○政府委員(伊藤圭一君) これは、いま先生がおっしゃいましたのは、両方で上がっておって、その特定された地点までということでございましょうか。
  268. 秦豊

    ○秦豊君 ええ、奥尻上空、背振上空。
  269. 伊藤圭一

    ○政府委員(伊藤圭一君) 三万五千フィートでございますか。
  270. 秦豊

    ○秦豊君 はい。
  271. 伊藤圭一

    ○政府委員(伊藤圭一君) これは、実はその正確な数字というのは秘密になっているわけでございます。しかし、現在のファントムあるいは104、こういった例から見ますると、数分で上がっていくわけでございまして、実はF104のときには、最初一万メートルまで三分というようなことでありましたけれども、実際はもっと時間がかかったようでございますが、今度の飛行機は、御承知のように、推力十一トンのエンジンを二つ持っております。そして、重さはファントム程度でございますので、はるかに能力は高いというふうに考えております。
  272. 秦豊

    ○秦豊君 まああなた方が秘密、秘密というふうに言うのはいいんだけどね、やはりかなり情報がもう公開されているわけで、これは計算すればすぐ出るようになっているわけですよね。それをしもあなた方は秘密でくくるわけ。試算をしてみると、奥尻上空も背振上空も、いずれも滑走を開始して十二分で到達して、油は四千八百ポンドなくなっているんです。だから、ぼくはあえてこんなことを聞いたのは、あなた方が知らないのはおかしいなんという言い方はしたくないんです。そうじゃなくて、空中給油というのはいかに運用がむずかしいかという一つの例証としてこれを言っている。だから、そういう四千八百ポンドを、十二分かかってなくなる油ね、じゃどういう時点で――CAP、CAPとあなたすぐ繰り返すんだけれども、どういう時点でどういうふうにKC135と遭遇して、どういう状態のときに油をどれぐらい注ぎ入れるのかというのは、実は大変にむずかしいんですよ。あなたがすぱーんと言ったように、簡単な、イージーなものじゃないんですよ。大変むずかしいの。しかも同時に、KC135も、日本の航空自衛隊のスクランブル体制に対応した行動をとってくれないとあり得ないんですよ、こういうことは。そうでしょう。
  273. 伊藤圭一

    ○政府委員(伊藤圭一君) これは、いわゆる給油をしてもらうというのは、一番大事なのがいわゆる会合点だと思います。そこに何時何分に、高度何メートルで、スピードどのぐらいで行くということが重要なことだと思います。しかしながら、先生もすでによく御承知のように、このレーダーによる誘導の範囲の中にいるわけでございますから、これを誘導していくということは、実は会敵ということすらレーダーでやっておるわけでございますから、給油機とのいわゆる会合というのはそれほどむずかしいというふうには私は考えていないわけでございます。
  274. 秦豊

    ○秦豊君 公開された資料を少し使って計算してみると、イーグルは十二分でその空域――長官、これ非常に具体的なんですよね。だから、具体的なところを突き詰めていくと、あなた方の言っていることのあいまいさがわかってくるんですが、KC135のスピードは御存じですよね、公表されているから。そうすると、仮にKC135が嘉手納にいるとして、さっきの二機の15が待機している空域、そのあたりに到達するのは、背振上空には一時間十九分かかるんです。大体そうでしょう。それから奥尻、これはちょっと遠い。大体二時間と五十九分、三時間ぐらいしないと行けない。大変なことなんです、これ。横田から仮に離陸しても一時間六分後でなければそのところへ着いてくれないわけですよね。そういうふうなことがある。だからきのう聞いたら、実際に嘉手納におったんじゃ、なるほどおっしゃるように役に立ちませんなあという点だけは意見が一致しましたね。  だから、運用を具体的に考えた場合、ぼくは非常にむずかしく、伊藤さんが言われるように簡単なものじゃないんです。たった一つを指してもむずかしい。そういう非常にむずかしい空中給油の体制について詰めもせず、しかもあらゆる戦力がF4ファントムを上回るF15の空中給油装置を、いや第四世代用だからこれはいいんです、こんなものを百機ぐらい備えても脅威でもなければ戦力でもないというふうな、ずさんな統一見解を出すあなた方の態度が私は納得できないと、こういう考え方なんですよ。いまの部分についてどうですか。
  275. 伊藤圭一

    ○政府委員(伊藤圭一君) それは、F15という飛行機はきわめて優秀な飛行機でございますし、スピードも速いわけでございます。そして、これを運用するというのがそう簡単なものだとは私どもも思っていないわけでございます。しかしながら、同時にまた、これからの飛行機というものは、高高度におきます運用と同時に、低高度におきます運用というものを当然考えていかなければなりません。そうしますと、飛行機といいますか、それを運用いたしております。パイロットにとりましては、燃料消費との戦いというものが、いわゆる要撃戦闘のほかに非常に大きな問題になってくるわけでございます。したがいまして、そういったむずかしさというものを全然否定するわけではございませんけれども、やはりその最後の手段としての、そういった空中給油の可能性というものを残しておくということが、私はこれからの優秀な飛行機を運用する上では非常に重要なことではないかというふうに考えているわけでございます。
  276. 秦豊

    ○秦豊君 それから、ひとつ確認をしたいんだけれども、あなたのきのうの答弁は、たしか空中給油を防空用に使おうという、これは大変希有な例なんですよ。ほかは進攻作戦用なの。ぼくもきのう帰ってまた調べてみた。あなたの答弁には、何か実用しているところは何とかかんとか言ったけれども、たとえばフランスのミラージュにはありませんしね、給油装置なんかも。それで、結局アメリカ、ソビエト、イギリス、フランス、イスラエル、イラン、サウジアラビアの七ヵ国が使っているんだが、戦闘機で使っている国は一つもない。みんな攻撃機なんだ。攻撃機の足を伸ばす進攻作戦用なんですよ。使って悪いという国際法はどこにもないからね。CAPで使って悪いという法律はないんだけれども、非常に非現実であるということと、それから確認したいポイントは、空中給油をもし日本式に防空CAP用に使うとすれば、専用の給油母機をやはり戦闘機の運用と同じように緊急体制に連動させておかなければならないのではないかという点を確認しておきたいんだが、そうなると必要な母機の数はもう膨大なものになりますよ、経費も。それでもなおかつこういう運用に固執するのかどうか。
  277. 伊藤圭一

    ○政府委員(伊藤圭一君) まず、給油装置がミラージュにないというのは、実は私どもが七機種について調査をしました段階におきましては、スウェーデンのビゲンを除いては全部給油器がついておったという報告を受けております。したがいまして……
  278. 秦豊

    ○秦豊君 ミラージュはついてない。ついていません。
  279. 伊藤圭一

    ○政府委員(伊藤圭一君) ミラージュのF1、私どもが調査いたしましたのはついているという報告を受けております。  そこで、現実に使っていないではないかということでございますが、いわゆる要撃戦闘というものは現実に行っていないわけでございますから、使っていないというのは当然だと思います。  それからまた、ヨーロッパにおきますように、あれだけの国々がお互いに情報を交換しながらやる場合と、あるいは日本のように単独の島国が防空運用をやる、しかも機数の少ない戦闘機によって運用をやる場合というものは、やはり違いはあると思います。そして、そういった足を伸ばすということがいわゆるCAP運用上好ましいことであるということは、すでにファントムの時代から防衛庁としては考えておったことであるわけでございます。
  280. 秦豊

    ○秦豊君 そうすると、あなた方は統一見解なるもので述べたかったのも、結局、第四世代対策用にはもう必須不可欠のものだから15の給油装置は何としても残しておくんだと、これが一番大きな論拠、理由。
  281. 伊藤圭一

    ○政府委員(伊藤圭一君) 一つには、数少ない飛行機を運用するのには、そういった給油装置なんかを使うということも有利であろうという判断もございます。それから、また同時に、非常に要撃戦闘を繰り返さなければならないようなときには、地上に降りまして給油を受けますのには、着陸をして給油を受けて飛び立つというのには少なくとも一時間程度かかるわけでございます。これが空中におきます給油でございますと、十分程度で給油を終わってまた出ていくということが可能でございます。しかし同時に、きのうも御説明いたしましたように、何回も給油を繰り返してそのまま戦闘を続けられるということは、これはパイロットが肉体的に全く不可能でございます。したがいまして、帰ってこなきゃならぬ時間を多少でも延ばさなきゃならぬというようなときには、きわめて有効にこの給油機能というものを使用できるのではないかというふうに考えているわけでございます。
  282. 秦豊

    ○秦豊君 あなた方、政府の統一見解お持ちですね、三月四日の。ちょっと見てください。二番目のところの「F-15も、ある程度の対地攻撃機能を付随的に併有しているが、空対地誘導弾や核爆撃のための装置」などは搭載していないと、この個所をちょっと見ていただきたいんですがね。私どもの調査をしたところでは、F15の爆撃装置にはGWのモードがあって、誘導爆弾の使用が可能である。それから、空対地ミサイルもすでにAGM65アーベリックというパターンの実験を終えているんです。そうすると、新型ミサイルの搭載が可能になるんだが、日本がFMSで導入する時期は別として、どんどん入っってくる百機分のある段階からは明らかにもう誘導爆弾も使える、新型ミサイルも使えるF15がずっと日本にやってくることになる。その場合は、そんなものは外して、それこそまた国会でうるさいから。外して、もとのパターンのものをどんどん入れ続けるんですか、あなた方は。どうなんですか。
  283. 間淵直三

    ○政府委員(間淵直三君) 空対地ミサイルというお話でございますが、私どもとしては、その点に関しては聞いておりませんです。
  284. 秦豊

    ○秦豊君 それはだめなの。いま改良要求がたくさん実施部隊から出ている、アメリカの。その中に入っている。だから、テストやったんです。メーカーはただでやりませんよ、損することを。幾らペンタゴンが後で全部金を出したって。だけども、実戦配備になってから、各実施部隊からこういう要求が出ている。だから、テストをやって成功している。そういうどんどん増強されたF15イーグルが日本にやってくるんですよ。そのときにはまた質問しますけどもね。だけども、そういうものは外して、えらく昔のパターンのやつをおとなしく日本に入れるおつもりなんですか、あなた方は。どんどん新しいモードを入れるんじゃないの。
  285. 伊藤圭一

    ○政府委員(伊藤圭一君) これは、何度も御説明申し上げておりますように、この要撃機の、すなわち高高度におけるあるいは低高度における要撃機の要撃戦闘機能、それから飛行性能等に着目して私どもはこれを選定をいたし、国防会議の御決定をいただいたわけでございます。したがいまして、そういった空対地のミサイルというようなものは、いわゆる要撃戦闘としては私どもは必要ではないと思っております。したがいまして、そういったいわゆる空対地の協力関係というものは、F1という飛行機によって私どもは従来からやるつもりでございますので、私どもはいまそういったことがあるということも聞いておりませんし、また、そういったものをその途中において改装してつけなきゃならぬという必要性も、実は考えていないわけでございます。
  286. 秦豊

    ○秦豊君 いまF1で思い出したけどね、わが楢崎弥之助が衆議院で質問をしたときに、――いま私、手元に資料がないが、いまのあなたの話で触発されたから。どの防衛庁長官だったかな、よくかわるから――技術研究本部の予算の追及をしたときに、空対地ミサイルの研究予算みたいなものがどこかに載っかってましたな。そうすると、楢崎弥之助が鋭く見つけて、これは何だと、長官の答弁がいろいろ変わったんだが、結論は、わが国におきましては空対地ミサイルなどは研究開発をしないと言ったのかどうか、あるいは装備しないと言ったのか、大事な点だけれども。調べますけれどもね。これは。これはしないといった答弁でそのまま月日がたっているんですよね。それで、F1はもうどんどん実射テストも大成功裏に、あなた方によれば喜ばしくも高い技術水準になるんだけれども、終わっている。いつの間に政府見解が変わったのかな。楢崎に答弁した後、政府見解が変わったんですか。いつ変わったのか伺っておきたいんだが。
  287. 伊藤圭一

    ○政府委員(伊藤圭一君) 私は、空対地のミサイルの研究開発をしないというふうに御答弁申し上げた大臣があったというふうには記憶いたしておりません。これは、楢崎先生が御指摘になりましたのは、技術研究開発本部の、たしか三次防か四次防期間の研究計画の中に、核を予想した研究をやっているのではないかという御質問があったわけでございます。それで、当時これは楢崎先生が新聞記者にも説明をいたしまして、そして国会で取り上げられたことがございますが、それは、核兵器などというものは研究いたしておりませんしいうことは明確に申し上げたと思いますけれども、空対地のミサイルを研究開発しないということは申し上げたことはないというふうに記憶いたしております。現にF1のミサイルを研究いたしておるわけでございますから。
  288. 秦豊

    ○秦豊君 それは、私は楢崎からは、ASMそのものを含めて、核能力ではない、ASMの研究というふうにして、そのときの長官が否定的な答弁、いたしませんで切っているんだが、この見解どうなっているかなというのはぼくらの研究会でちょっと出たんですよ。だから、それはぼくも確認するが、ちょっと調べてください。  で、時間が来つつあるようですが、いまの空中給油の問題とか付随的な対地爆撃機能とかいうことは、もっと別な場でまたやりましょう。  最後に、この前の前の委員会で、丸山さんがホノルルに行ったときの話ですが、例の、ある練度以上のパイロットのアメリカでの訓練をぼくが聞いたら、そうしたら、議題にはならなかったと、それは議題になるかって聞いたわけではないので、アメリカ側が内諾を与えたのではないかと言ったら、それも否定されたんだが、ちょっとアングルを変えて聞いておきたいんだが、じゃ、いま日本でF4とかその他の戦技訓練ですね、一〇〇%全部日本で完全実施ができているのですか。
  289. 夏目晴雄

    ○政府委員(夏目晴雄君) 御承知のように、現在航空自衛隊のジェット機の飛行訓練というのは、運輸省との間に協議して設定された訓練空域において実施しております。御承知のように、この訓練空域の幾つかは非常に面積的にも小そうございますし、それからまた大部分が航空路と隔離して設置するというふうなことで、基地から遠いところにあるというふうなことから、訓練効率の面からはいろいろ制約といいますか、必ずしも満足すべきものではございませんけれども、従来ファントムにしましても104にしましても、その中で所要の訓練を実施していると、こういうことでございます。
  290. 秦豊

    ○秦豊君 じゃ、将来ともアメリカなんかへわざわざ行って対空ミサイル訓練みたいにパイロットの訓練をする必要は全くないわけですね。
  291. 夏目晴雄

    ○政府委員(夏目晴雄君) ただいま申し上げたように、訓練空域というのはございますけれども、まず広さの点から、たとえば超音速の訓練をやる場合の訓練空域というものは、具体的に申し上げますれば、小松西方にあるいわゆるゴルフの空域、これが一番大きいわけで、ここではいかなる訓練といえども十分できますが、そのほかブラボー、これは三沢の東方だと思います。それからチャーリーという秋田県の西の方にあります空域、それから九州西方にありますパパ、それから四国南方にありますリマでございますか、こういった空域はいずれも超音速の訓練もできるわけでございますが、この航空自衛隊の訓練というのはきわめていろんな種類の訓練がございまして、最も広い空域を要するようないわゆるプロファイル訓練というふうなものは、いま言ったような限られた空域でしかできないものでございますから、部隊の移動その他非常に不便をしのいでやっているということでございますので、そういった不便さを改善するためには、訓練空域をさらに増設するとか、まあわれわれいま事務的に検討しておりますけれども、あるいはアメリカでやることも一つの方法として検討を開始しているということでございまして、まあ全然行く必要がないという――われわれいまある現状の中で不便をしのぎながらやっているというふうに御理解いただきたいと思います。
  292. 秦豊

    ○秦豊君 あと若干残っているが……。じゃ、朝日の某氏が書いた記事、丸山事務次官がアメリカで……。あれは誤報じゃなかったわけですね。検討に入ったわけですね。あり得べきケースとしては、これからしかるべきときには実現するようにプランニングをいましていると、航空自衛隊のパイロットの訓練。そういうことになってきたわけですね。この前と大分違っているんだが。
  293. 夏目晴雄

    ○政府委員(夏目晴雄君) この前御説明したのは、いま先生から御指摘がありましたように、一月の十六、十七日のハワイ会談において正式の議題になったかというふうなお尋ねでございましたので、そういうことはなかったように聞いておりますというふうにお答えしたわけですが、それ以前から、実は私ども事務的に、アメリカにおけるパイロットの戦技訓練の実施が可能かどうかというふうなことを検討していることは事実でございます。
  294. 秦豊

    ○秦豊君 もうこれで終わりますが、アメリカからは応諾の連絡はあったわけでしょう。実施するとすればいつごろから可能なんですか。
  295. 夏目晴雄

    ○政府委員(夏目晴雄君) まだアメリカからよろしいとかなんとかということでなくて、われわれとしては一体アメリカでそういうことを受け入れてくれるかどうか、もし受け入れてくれるとすればどういう条件なのか、そういったことについてもっと詳しく知らなければ、私どもの方の計画も立たない状況でございますので、まだアメリカからこの点についてオーケーというふうな返事が来たということはございません。
  296. 秦豊

    ○秦豊君 終わりましょう。
  297. 宮田輝

    ○主査(宮田輝君) 以上をもって秦賢君の質疑は終了いたしました。  他に御発言もないようですので、防衛庁所管の質疑はこれをもって終了したものと認めます。  明日は、午前十時から分科会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後三時三十一分散会      ―――――・―――――