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1978-08-18 第84回国会 参議院 運輸委員会 閉2号 公式Web版

  1. 昭和五十三年八月十八日(金曜日)    午前十時三十一分開会     ―――――――――――――    委員の異動  八月十六日     辞任         補欠選任      内藤  功君     橋本  敦君     ―――――――――――――   出席者は左のとおり。     委員長         三木 忠雄君     理 事                 安田 隆明君                 青木 薪次君                 太田 淳夫君     委 員                 井上 吉夫君                 江藤  智君                 高平 公友君                茜ケ久保重光君                 瀬谷 英行君                目黒今朝次郎君                 橋本  敦君                 柳澤 錬造君                 山田  勇君    国務大臣        運 輸 大 臣  福永 健司君    事務局側        常任委員会専門        員        村上  登君    説明員        運輸大臣官房審        議官       杉浦 喬也君        運輸省海運局長  真島  健君        運輸省船舶局長  謝敷 宗登君        運輸省鉄道監督        局長       山上 孝史君        運輸省航空局長  松本  操君        海上保安庁長官  高橋 寿夫君        気象庁長官    有住 直介君        日本国有鉄道総        裁        高木 文雄君        日本国有鉄道常        務理事      高橋 浩二君    参考人        日本航空株式会        社社長      朝田 静夫君     ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○参考人の出席要求に関する件 ○運輸事情等に関する調査  (浮上式鉄道の実用化に関する件)  (測候所設置に関する件)  (私鉄運賃値上げに関する件)  (総合交通政策に関する件)  (造船不況対策等に関する件)     ―――――――――――――
  2. 三木忠雄

    ○委員長(三木忠雄君) ただいまから運輸委員会を開会いたします。  まず、委員の異動について御報告いたします。  去る十六日、内藤功君が委員を辞任され、その補欠として橋本敦君が選任されました。     ―――――――――――――
  3. 三木忠雄

    ○委員長(三木忠雄君) 参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。  運輸事情等に関する調査のため、本日の委員会に日本航空株式会社社長朝田静夫君を参考人として出席を求めることに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 三木忠雄

    ○委員長(三木忠雄君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ―――――――――――――
  5. 三木忠雄

    ○委員長(三木忠雄君) 運輸事情等に関する調査を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  6. 青木薪次

    ○青木薪次君 今日、成田空港が開港されて三カ月有余たったわけでありますが、憂慮されたような安全上の大事故が発生していないのは喜ぶべきことだと思います。いま国民は、東京都心や羽田空港からの距離が非常に遠いと、いまさらのように驚いているのが実態だと思うのであります。成田へ行きますとボデーチェックを受けるなり、手荷物チェックを受けるなり、車の渋滞などで、このごろの久方ぶりの猛暑も手伝って、都心から約六十五キロ、世界一遠い空港に実はうんざりしているというのが実態だというように言われているわけであります。  そこで、日本航空でかつてHSSTの導入計画が新しい交通アクセスとして発表されました。遠くて安全でしかも安くて大量輸送が可能であると日本航空では言っておられるのでありますけれども、この点について、単なる成田空港の足ではなくて、さらに羽田から、しかも都心に向かって、しかも成田空港から果ては九十九里浜を結ぶ路線を考えているということと、それから北海道の千歳空港もついでに考えたいというようなことを考えておられるわけであります。で、この近辺では東京湾岸道路への導入も考えている。日本航空が日本国有鉄道に取ってかわるという時代も間もないのじゃないかと思わせるような宣伝がなされているわけでありますが、この点について朝田参考人にその考えにいまも変わりはないのかどうなのか、ちょっと説明をしていただきたい、こう思います。
  7. 朝田静夫

    ○参考人(朝田静夫君) 朝田でございます。  ただいまお話がございました私どもの方のHSSTの開発の基本的な考え方といたしましては、ただいま御指摘にございましたように、成田の新空港が閣議決定をされまして十二年余経過いたしておりますが、つとに私ども航空事業の面から見ますというと、空港から空港へ航空輸送の使命を果たしておればいいということではなくして、利用される旅客の方々の便益、空港と都心のアクセス、そういったものに私どもは重大な関心を持って今日までいろいろと研究開発に努めねばならぬということで、当初いろいろな方式を考えておったわけでありますが、フランスのアエロトラン――空気浮上方式のような地上高速輸送機関、あるいは西独におきまする磁気浮上型、そういったものをいろいろ検討いたしておりまして、私どもはこのアクセスの問題を航空輸送の、単に空港から空港へという空中輸送ということではなくて、トータルシステムとして考えてまいらねばならぬということで、四十八年以来、社内に総合開発委員会というものを設けまして、ただいま御指摘がございましたような、低公害で高速地上大量輸送機関というものによって、成田と都心、あるいは羽田を結ぶということの可能性を検討いたしておったわけでございます。ただいま申し上げましたように、四十八年の初めごろから具体的な技術検討を開始いたしておりました。  その結果、いろいろな方式がございますけれども、われわれのいま申し上げました目的にかないますところの方式というのは、常電導の吸引式磁気浮上リニアモーター推進方式のHSSTというものか最も適しておるというふうに考えて、今日まで研究開発に携わってまいったわけでございます。で、現在、川崎市の東扇島の地点、一・三キロ――千三百メーターのテストコースにおきまして、一号機はロケットの加速補助を用いたわけでございますけれども、この二月十四日に三百七・八キロメーターという時速を記録いたしておるようなわけでございます。今日まで空気力学を利用いたしましたわが社の整備の技術陣の技術を活用いたしまして、いままでの実験機も、飛行機の機体の経験がございますので、そういうようなものを製作いたして今日まで開発いたしてまいったということでございます。  ただ、今後さらにプロトタイプの製作、あるいはさらに長い実験ルートというものの建設には膨大な経費がかかりますので、これはひとつ、日本航空という一つの企業の限界を越えておるというふうに私ども判断いたしまして、これを何とか、ここまで開発をいたしてまいりましたものをナショナルプロジェクトとしてお取り上げ願えないものだろうかということで、いま政府御当局にこのことについて御相談を申し上げておる、こういうような段階でございます。
  8. 青木薪次

    ○青木薪次君 いま日本航空の朝田社長からお話があったわけでありますが、私は、この第二世代に入ったHSSTの開発について、日本航空の各技術陣の中心的な皆さんの座談会のこの内容も見せていただきました。日本航空としては、まさにこのために技術者の血が沸いたというくらい、このことについて相当画期的な活力を持ってこの問題に取り組んでおられるということは、これは大変結構なことだと思うんです。ただ、日本航空のパンフレットをいろいろ読ませてもらったのでありますけれども、羽田空港と成田空港間を二十分で運転する、しかも一九八〇年にこれを実現すると、こう言っているわけです。そうしますと、いま朝田参考人から言われましたが、一つの車両で一・三キロこれを走って三百八キロですか、出された。こういう単体で走ってできたということをもって一九八〇年に成田と羽田の間を二十分で走ってしまうよということは、これはいまの話の続きになるわけでありますけれども、本当にやられるのかどうなのか、この点について全国民が注視いたしておりますので、この宣伝の文章に偽りがあるのかないのか、実行できるのかどうなのか、その点についてちょっと教えていただきたいと思います。
  9. 朝田静夫

    ○参考人(朝田静夫君) いままでの私どもの研究開発の理論的な見通し、考え方、そういったものを基礎にして一応の資料として掲げておるわけでございまして、ただいま御指摘のとおり、いろいろな問題がまだ技術的に残されておる、詰めなければならぬ問題はそう簡単なものじゃないと私は思いますし、実用段階に入りました際にもいろいろな技術的な問題で詰めていかなきゃならぬ問題があると存じます。とりあえず、そういうようなことは実験段階が今後進められるに従っていろいろな問題を解決してまいらなきゃなりませんし、このとおりでうそはないかと御質問をいただきますと、私自身も技術的な専門家じゃございませんが、いろいろ問題は残されておるので検討をして詰めていかなきゃならぬ問題があるということだと私は思います。
  10. 青木薪次

    ○青木薪次君 まあ地表面からわずか十ミリ――一センチ浮き上った車両が時速三百キロで走る、いわゆる猛スピードで、しかも騒音も振動も排ガスもないのだということになれば、これはいま朝田参考人のお話を待つまでもなくいろいろな問題点が出るんじゃないかということを私どもは実は心配をいたしておるわけであります。もはや国際空港を持つ日本の代表的な各都市、東京、大阪そして札幌、福岡というようなところについては、もう交通アクセスの問題については根本的に片づいたというように私どもはおたくの文章を見て考えたわけです。この点については若干言い過ぎじゃないかと思うのでありますけれども、その点いかがですか。
  11. 朝田静夫

    ○参考人(朝田静夫君) 少し言い過ぎの点もあるかと存じますが、私は率直に申し上げて、そういう将来の技術開発をやっていくときに一つの夢を持っておる専門家のそういう考え方が随所にあらわれているんじゃないかと私も思いますが、しかし、そういう研究開発に携わっておる人は、やはり一つの根拠を持って、こういうことがたとえ夢であっても将来の技術開発として追求をしていかなきゃならぬという気持ちでおると思うわけでございます。したがいまして、今後実験路線の延長あるいはプロトタイプの建設、そういったものあるいは地盤の問題、いま東扇島でやっておりますが、埋立地でございますから地盤の非常に弱いところで、沈下をするようなところでございますが、いま先生の御指摘になりました浮上する十センチというようなものがでこぼこがありますけれども、それがわりあいにスムーズに動いておるということも私は聞いておるわけでございます。しかし、かといってそう簡単ではございませんし、プロトタイプで実際に実用段階に入った、そして有人のHSSTのプロトタイプの製作をやって、そして長い延長された実験路線でいろいろな問題を詰めていく必要があろう、こういうふうに考えておるわけでございます。
  12. 青木薪次

    ○青木薪次君 運輸省にお伺いしたいと思うのでありますが、いまいろいろ問題があるという御指摘もありましたし、若干の行き過ぎだということも言われているのでありますが、夢と現実ということがありますが、このことだけはロマンだけじゃ片づかないですね。ということで考えてまいりますと、けさの新聞によりますと、日本航空は二年後に完成したい、運輸省は三年後といっても無理だと、こう言っているのでありますけれども、この辺、審議官はどう考えておりますか。
  13. 杉浦喬也

    ○説明員(杉浦喬也君) ただいまのHSSTの将来の技術的な問題につきましては、当省といたしましてまだ十分に日航から詳しく話を聞いておりません。将来夢のあるものが本当に現実化されるということにつきましては、私どもといたしまして内容を明確に把握をいたしまして、早急に関係の学識経験者などによりまして技術評価を行いたいというふうに思っております。こうした技術評価の結果を待ちまして、その実用化というものがどういう見通しがあるかということを当省として把握していきたいというふうに考えております。
  14. 青木薪次

    ○青木薪次君 ちょっと見にくいかもわかりませんけれども、こちらが超電導ですね、それから真ん中がいわゆる運輸省の開発に取り組んでいる常電導、こちらが日本航空の常電導方式という三つの方式があるけれども、国鉄のはこれは超電導ですから、あとの日本航空とそして運輸省のは常電導でこれは親戚だという、いわゆる吸引式でやっているということでありますけれども、運輸省は百二十キロと言っている、それから日本航空は三百キロと言っている。この点の違いというものは一体どうなんですか。
  15. 杉浦喬也

    ○説明員(杉浦喬也君) ただいま御質問の運輸省の従来の研究対象、それとHSSTとの関係でございますが、運輸省が従来開発を進めてまいりました、昭和四十九年以来検討しております、この対象になりますものは、都市内の通勤輸送、これを目的といたしました低公害、中速――中程度のスピード、ただいま先生おっしゃいます百二十キロ程度、こういうスピードの大量輸送機関、これを目指しまして研究をしたものでございます。  一方、HSSTの方は、当面空港アクセスを目的といたしまして高速、まあ日航の話によりますと三百キロ以上、高速の中量輸送機関ということでございまして、両者におきまして目的がやや異なるものがございます。ただ、どちらも技術的に中身を比較いたしますと、原理は全く同一の常電導吸引式の磁気浮上のリニアモーターによりまする鉄道でございますので、今後両者は原理的に同じものをやっておるわけでございますので、おのおの開発しました技術を一体化いたしまして完成をさせるように、そのように配慮してまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
  16. 青木薪次

    ○青木薪次君 そこで私は、原則的な問題ですけれども、いま言われました、超電導方式であろうと常電導方式であろうと磁気浮上のリニアモーターでいくんだということについては同じことなのでありますけれども、これは飛行機なのか鉄道なのかという点について、日本航空では飛行機だと言う。しかし国鉄では鉄道だと言う。運輸省は、これについてどういうように考えておられますか。
  17. 福永健司

    ○国務大臣(福永健司君) これは余り専門家の答えよりも、率直な私の意見も聞いていただきたい。  これは別に、飛行機だとか鉄道だとか、どっちと言うか、どっちでも私はあると思うのです。私は、九州の実験等も見まして、私の目の前で世界記録を出した現実も見ているのでありますが、確かに、ちょっと見たところ鉄道の上を走りますから鉄道という感がありますが、しかし直接レールに車輪が接触して回転していくという何でなくて、すき間があって走っていくのですから、高い低いは別にして、飛行機であるというようなところがあると思うのです。ですから、いま青木さん何らかの御意図があって、どっちだとお聞きになるのだと思いますが、それはそれといたしまして、ある意味において飛行機でもあり、ある意味において鉄道でもある。ただ、現実に私どもが見た目で感じますのは、やっぱり鉄路の上を走りますので鉄道かなという感じは受けますが、いまの御質問を伺いつつ考えてみるとそういうようなことである、こう思うわけでございます。
  18. 青木薪次

    ○青木薪次君 大臣、それは飛行鉄道なんていうものはありませんよ。それで、私は車両屋の片割れなものですから、何か条鋼というのですか、鉄のようなものでガイドされて走るものはすべて鉄道だというふうに思っておったのですが、この辺は違うのですか。
  19. 福永健司

    ○国務大臣(福永健司君) 青木さんがおっしゃるような意味においては、私も常識的に鉄道という感じを持ちます。ただ、直接線路の上を回転する車輪によって動いている鉄道でなくて、確かにすき間があるままで走っていきますからさっきのようなことを申し上げたわけでございますが、私の素人的な見方をしますと、原理はともあれ、見た目には鉄道のような感じがするということは率直な感じでございます。
  20. 青木薪次

    青木薪次君 けさの新聞によりますと、八月の概算要求の中で意思統一いたしましたのは、運輸省日本航空は常電導式のいわゆる磁気浮上のリニアモーターカーということでこれはなじむと。先ほどの杉浦審議官のお話によりますると、日本航空空港へのアクセスとしてこれを低公害として使う。運輸省のは大量通勤輸送だということでありますけれども、両方とも国のナショナルプロジェクトとして採用するということになれば、私は技術的なことはよくわからぬけれども、何かデータがなければ、ただ単に足して二で割るというようなことを言ったのでは国民のひんしゅくを買うと思うのでありますが、そのデータについてはちゃんと検討されたのですか。
  21. 杉浦喬也

    ○説明員(杉浦喬也君) 運輸省が従来やっております研究の開発の成果はデータつきでちゃんとあります。ただ、先ほども申し上げましたように、日航からまだ詳しいお話を聞いておりません。したがいまして、早急に日航から詳しいデータをお伺いいたしまして、明確な技術評価をやりたいというふうに考えておるところでございます。
  22. 青木薪次

    ○青木薪次君 ナショナルプロジェクトとして国が指定してやるということになれば、大量の国費が投入されなければならぬということになるわけでありますが、朝田参考人、その辺については、運輸省の方にデータとして出して、そうしていわゆる技術屋さんを含めた公正な第三者で検討しなければならぬと思うのでありますが、その点の用意はおありですか。
  23. 朝田静夫

    ○参考人(朝田静夫君) 御指摘のとおり、ナショナルプロジェクトとして開発をお進めいただくわけでございますから、私どものその技術評価という問題については私どもの必要な資料を出すという用意はございます。また、その評価をどうするかということでいま運輸省でお考えいただいておりますのは、技術懇談会というような構成の問題、一方に偏ったような構成のあり方についてはわれわれも意見を申し上げておるわけでございまして、十分私どもの意見をひとつ尊重をお願いしたい、そういう仕組みでこれから進めてまいりたいというふうに考えております。
  24. 青木薪次

    ○青木薪次君 そこで、問題は、日本航空には土木技術はないですよね、空を舞っていて、空に土木技術は要らないのですから。その場合に、二年後を目指すという先ほどの考え方、これも若干の問題点はあるということを言われました。そういう点から運賃だって羽田と成田間を千五百円から二千円で輸送するよと。私はこれを読ましていただいたのでありますけれども、タクシーは一万三、四千円かかるのじゃないですか。そうすると、その一割にも満たないようなお金でもって、十分試算をしてみて採算に合うというように言われているのでありますけれども、この点も若干私は問題があるような気がするのですが、この点いかがですか。
  25. 朝田静夫

    ○参考人(朝田静夫君) 今後実用段階の研究開発がどのくらいの費用がかかるか、あるいは国費の助成額はどういう規模になるか、あるいは、いま先ほど申し上げましたような技術的に解明しなければならぬ問題また、ただいま御指摘のありましたわれわれにとって未経験の土木工学の問題もございますので、運賃がいま千五百円とかそういうようなことを申し上げるのは、これは余り的確な見解を表明したとは私は申しかねるわけでございます。どれだけの研究開発費がかかってコストがどのくらいになるか、土地の買収その他いろいろな問題がございますので、その辺、私は運賃の問題はまだまだ決定ができない要素であろうと思います。
  26. 青木薪次

    ○青木薪次君 私が若干問題にしておりますのは、おたくのいろんな宣伝文書を見せてもらい、国鉄のも見ましたときに――国鉄のは後で申し上げたいと思うのでありますけれども、たとえばガイドウエーがあるでしょう、地上設備、これらの建設だって相当なものだ。もちろん用地費はまずかかる。単体じゃないですから、大量輸送するというのですから所定の両数がかかる。車体当たりの製作費もかかっていくわけです。それから、どれくらい輸送するのか、輸送量もかかってくる。それから、その場合に乗車効率が大体何%だろうかというような点もかかるし、じゃ運行回数は一体何回運送するのだ。駅は、羽田を出て浜松町を一つの駅にするのか、大井にもつくるのか、あるいは東京駅をつくるのか、駅の数をどういうふうにするんだと、それから運営費については幾らかかるのか、それから資本費はどれくらいかかるんだと、それからその場合のいろいろな収支試算をしてみてどうだということでなければ、そういうものを出して、そうして運賃を羽田-成田間を千五百円から二千円にしますよというなら、これはわかりますよ。ただ、そういうことでバラ色の夢をばっとまいちゃったでしょう。私どもも研究さしてもらって、端的に言って、一体これはどういうわけだというように非常に不審に思っているわけです。この点、投資金額、輸送計画、そして収支の計算はどうなんだという点についてもう一度お聞かせいただきたい、こう思います。
  27. 朝田静夫

    ○参考人(朝田静夫君) いままで研究開発を進めてまいりましたときにも、ただいま先生御指摘のような要素を一応の計算をいたしまして、まあしかしとことん徹底的にやったということではございませんが、一応の見通しというものを持って数字を挙げたそうでございますが、しかしそこまでまだ段階として立ち至っておりませんので、これから第二段階の実用段階としての研究開発が進められるわけでございますから、これがその実用段階に入ったときの運営形態の問題もございましょうし、ただいまこれは御指摘のように、都心でもどこを拠点にするのかというような問題、乗車効率の問題、いろいろございますから、この点は一応の試算はございますけれども、これは非常に私どもが絶対自信があるというようなものではございません。したがいまして、今後なお検討をし、勉強を続けてまいりたいと、こう考えておるわけでございます。
  28. 青木薪次

    ○青木薪次君 地上の先ほど言いました誘導条鋼ですね、そこと車上の電磁石との関係のこの十ミリ、こういうこのすき間が十ミリということなんでありますけれども、これで高速運行させるということについては、たとえばレールだってそうなんでありますけれども、何か少しは波が立つものなんですね。そういうような問題について、凹凸の精度といいますか、全く真っ平らというような状態を保たなければ駅へ行けないと思うのでありまするけれども、この点については実は心配しているんですけれども、どういうふうにお考えになっておられますか。
  29. 朝田静夫

    ○参考人(朝田静夫君) 非常に短い実験路線での問題でございますが、先ほどちょっと申し上げましたように、東扇島でやっております埋立地は、非常に地盤沈下の激しいところで、凹凸がございます。いま、先ほど十センチと言ったのは間違いで、十ミリでございますが、十ミリの間隔というものが一体どういうふうになったという実験を重ねてまいったのでございますが、これは凹凸であってもスムーズに運行をしておるということでございます。したがって、これがすべて実験路線をもっと延長して、それからまた実用段階になったときに制御装置その他いろいろ技術的な問題がございましょうから、そういうもので――だから大丈夫ということを申し上げるわけにはまいりませんけれども、今日までの実験段階においてはそれがスムーズに運行されておるというふうに私は聞いておるわけでございます。
  30. 青木薪次

    ○青木薪次君 問題は、いま単体で、一両で走っている。それで、一・三キロという場合における実情と、そしてこれが各車両を幾つも連結して走る場合、しかも、これが曲線を走る場合ですね。それともう一つは、たくさん乗った車両とそれから乗らない車両とにおける、連結して走るんだからカップラーが必要だ。これはその場合におけるすき間が十ミリということであるならば、この間の重りによって相当な各車両間の凹凸はできるんですよ。その辺についてどういうようにお考えになっておられるのか、安全上問題がありますのでお聞きしておきます。
  31. 朝田静夫

    ○参考人(朝田静夫君) ただいま御指摘のような問題点が技術的にございますし、したがって今後ナショナルプロジェクトとしてお進めをいただいて、そういう方面の問題も詰めてまいりたいというふうに私どもは考えておるわけでございます。
  32. 青木薪次

    ○青木薪次君 それから、新幹線が二百十キロで走るときにパンダグラフを離れるでしょう。離れたときに、いわゆる集電の方法について言っているんですけれども、絶対離れないということが言われているわけでありますけれども、三百キロの速度で、しかも地上から電気をとるということが常電導なんですから、その場合には常にすって走らなきゃならぬですから、三百キロもあったらこれは必ず離れてスパークするというように考えているんですけれども、この点はどうなんでしょうか。
  33. 朝田静夫

    ○参考人(朝田静夫君) 技術的にいままで研究を進めてまいったり実験をいたしました結果は、そういうところの心配は今日までのところはございません。
  34. 青木薪次

    ○青木薪次君 これは今日までのところ心配ないと言っても、心配は出るんですよ。これは出ます。  それで、地震があったときに、わずか十ミリ離れておって、地震があって、何ガルか知りませんけれども、大体新幹線あたり四十ガル以上出ればこれはとめなければならぬということになっているんですけれども、東北の宮城沖地震のときには、あるところは調べてみましたら二百四十ガルぐらい出ているんですね。そういたしますと必ずこれは問題が出てくるというように考えるのでありますけれども、これはさっき言われましたように、飛行機で空を飛んでいくなら地震に関係ありません。しかし、誘導条綱というものは地上にあるわけですから、その上を十ミリ離れて走るわけですから、これは必ず問題が出てくると思うのですけれども、問題ないと言い切れるのかどうなのか、その点いかがですか。
  35. 朝田静夫

    ○参考人(朝田静夫君) そういう点もいままでいろいろと検討してまいりまして、安全性の問題、あるいは今日までの実験の過程におきましては、いろいろな安全性の問題について、特に設計上あるいはいま言われましたような非常災害時の問題についても検討を進めております。今日までのところは、まだきわめて短い実験路線でございますけれども、そういう点も一応の究明を終えておる。ただ、実験段階に入りまして、先ほども申し上げておりますように、いろいろな技術的な問題が起こってまいりますから、その辺の究明を十分いたしましてプロトタイプの製作をし、しかも長い実験路線でいろいろ実験をやってみないと、またわれわれが予想もしなかったような問題も起こってまいりましょうし、これをこれからのナショナルプロジェクトとしてお詰め願いたい。われわれが今日まで研究開発に従事いたしてまいりました技術者が中心になって、その問題は引き続き努力してまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
  36. 青木薪次

    ○青木薪次君 私は、先ほど申し上げましたように、車両屋の一番片割れのすみにおったんですけれども、やっぱり新幹線のようにCTCの装置とかあるいはまたATCのような装置、いわゆる閉塞区間をどうするか、さっき言った運行回数をどれくらいにするかによって決まるわけですけれども、これがなければぶつかってしまうわけですからね。だから、中央制御の装置のところにどこをいま走っているという現示がなされなければならぬ。人が大ぜい乗っているところと乗っていないところというようなところを中心といたしまして、それにことごとく指示を与えなきゃならぬということになるわけですね。そういうような問題についていま考えおられるのかどうなのか。おたくの宣伝文書は全部片づいたというように書いてあるものですから、これを見ましたら、私も、若干そういう関係者の全く違う角度ですけれども、問題があり過ぎると思うものだからいま質問しているんですけれども、いかがですか。
  37. 朝田静夫

    ○参考人(朝田静夫君) 全部問題が片づいたというのは私は言い過ぎだろうと思いますし、先ほど来申し上げておりますような、そういう技術的な諸問題というものをこれから詰めて解決をしていかなきゃならないというふうに考えておりまして、私どもの経験で、先ほど申し上げましたような未経験の分野も確かに存在するわけでございますから、この辺も大方のお知恵も拝借をし、研究の開発を完成をしていきたいと、一応の研究開発は今日までのところ御指摘のようなところにまで、ことごとくではありませんが、一応その研究は今日までのところ成功いたしておりますので、ぜひともこれを軸にしてナショナルプロジェクトとして発展をさせてまいりたいと、こういうふうに考えておるわけであります。
  38. 青木薪次

    ○青木薪次君 このことは、いずれにしても、近い将来において保安上の問題、安全上の問題というような問題が出てくるわけでありますから、国としてナショナルプロジェクトとして取り上げるということについては大変結構なことでありますから、それらの点を責任を持って解明されると、しかもデータを出して、国としても多額の金を出すわけですから、その辺については、学者や専門家の意見も入れて大きな検討委員会のようなものをつくっておやりになるということについて、大臣いかがですか。
  39. 福永健司

    国務大臣(福永健司君) 先刻来いろいろ青木さんのお話を伺いつつ、いま御質問になりました点につきましては、国として重々注意をして、せっかくの今日までの研究成果を、先ほどから青木さんの言葉にもありましたように、夢と現実、これをよく考えまして、ぜひ速やかに夢のリニアモーターカーでなくて、現実のリニアモーターカーにせしめなきゃならぬ、こういうように強く感じておりまするし、今次予算折衝に当たりましてわれわれが考えておりますことの一つもまさにそこにあると、こういうように考えておる次第でございます。
  40. 青木薪次

    ○青木薪次君 国鉄にお伺いしたいと思うのでありますが、いま四・七キロですか、四・七キロの実験線でやっておられて、しかもいま三百三十七キロ――大臣の行かれたときも私どもも行きましたけれども、三百三十七キロまで出した。しかし、今日あの宮崎の実験場というのはそれ以上延ばされるんじゃないか。しかも超電導方式ですから、ヘリウムを極限に近いぐらいに冷やして、そしていわゆる未来永久に消えない火として、一度電気を入れたらもうそれで永久に回転すると、充電しなくてもいいんだというようなことというのは画期的だと思うのでありますけれども、問題は、何か鉄のかたまりが走っているような感じがするんですね。この点について、これは乗り物なんですから、その点についてはどういうように――実験線を延ばすということと、それから延ばすにはトンネルのところもあるだろうし、雪のところもあるだろうし、あるいはまたいろんな地勢の悪いところもあるだろうけれども、そういうものを検討しなければ、先ほど日本航空にもお伺いしたのでありますけれども、安全上百ミリ以上地上から離れているから安全だと、その点は安全だと思いますけれども、それだけでは済まされぬのじゃないのか。それからウインドーがついてない、これはまあ先ほど言った冷蔵システムとの関係があると思うのでありますけれども、それらの点についてはどういうようにお考えになっているのか、お伺いしたいと思います。
  41. 高橋浩二

    ○説明員(高橋浩二君) 私どもは超電導磁気浮上ということで、十年以上ほど前から技術研究所の中でいろんな研究をしてまいりました。ようやく昨年の七月に宮崎でほぼ二分の一の大きさの車体をつくりまして、ただいまのところ、先生のおっしゃるとおり、四・七キロの長さの中で、ほぼ二分の一の車体を、とにかくどこまで理論的に考えていたことと実際とが合うかどうかという研究をただいまのところやったわけでございます。で、いま申されるように、ことしの七月でございますか、ようやく三百三十七キロの速度は出てまいりました。ここでわかりましたことは、確かに速度は理論どおりに出てくるということは確実にわかりました。それからもう一つ確実にわかりましたことは、騒音、振動がほぼ予想どおりの大きさである、したがって将来これを仮にもう少し速度を上げるにいたしましても、騒音、振動等は従来の鉄道に比べてはるかに小さなものであろうというこの二点につきましては、二分の一の模型の実験で確認ができたわけでございます。当初私の方で予想いたしておりましたのは、これを四・七キロから七キロまで実は延ばしますれば、一応その中で速度としては最高速度――瞬間でございますけれども――五百キロぐらいのところまではできるだろうということで、七キロというものを頭に置いておりました。そこで確認したかったことは、まず最高速度が五百キロである、したがって定常の安定速度は三百五十キロ程度のものを頭に置きました。なおかつただいまやっておりますのは、理論的にいくかどうかということを中心にやりましたので、先生のおっしゃいますように、人が乗るようなスタイルになっておりませんし、将来、車として、人を運ぶ輸送機関としてはただいまの形状は適当ではございませんというふうに考えております。ただ、実験でございましたので、一番エネルギーも少なくて、なおかつ最初の実験としては確実ということをねらいましてあのようなスタイルにいたしましたけれども、この七キロの実験線がございますと、この中で地上設備等も改造することによって、実際に人が乗って、なおかつ将来の車体の形のものに改造いたしまして、七キロの中では三百キロ程度までの繰り返し実験ができるのではないかというふうに考えております。しかし、これから先問題は、まず曲線部で一体どういうことになるか、それから先ほどお話がありましたように、連結車両の場合にどういうふうになるか、あるいは本当にエネルギーを少なくするためにはなおどういう方式がすぐれたものとしてあるかといったようなものをもうこの一、二年の間繰り返し実験をいたしまして、そこまで確認いたしますればもう少し長い、ほぼ実物に近い実験線の設計ができるための資料が手に入るというつもりでいまのところ実験をいたしております。いま先生の御指摘のように、トンネルだとかあるいはその他の問題等ございますので、本格的な実験線、もう少し長い距離の実験線の場合には、そういうものを十分考えた設計――しかしいまやっております実験をもう少し進めてまいりませんと、どういう幅の、どういう高さの、トンネルの断面の大きさはどうするかということの実験をもうちょっと進めた上で、そこまでの資料を得た上でもう少し長い本格的な実験線で取り組んでいきたいというふうに考えております。
  42. 青木薪次

    ○青木薪次君 最後に大臣に。  いまのこのリニアモーターの実験については、用地の取得から地上設備をつくることやら車両をつくることやら、いろんな関係で莫大な金が実はかかると思うのでありますが、このことについて、大臣も前向きに積極的にこのことを評価していらっしゃるわけでありますけれども、国として相当な予算を出してこの問題に取り組んでいくということについての決意のほどをお伺いしたいと思います。
  43. 福永健司

    ○国務大臣(福永健司君) いずれにしても、いままで研究に携わってきた諸君はそれなりにやってきている点を私は多とするものでありますが、もうこれからは、先生もいまお触れになりましたように、これを現実のものとするために国はそれなりの予算措置等をしてかからなければならぬ、とてもいままでのようなことを考えておったんじゃ大した進歩はない、こう思うわけでございます。  そこで私は、まだこれはそういうことに政府でも決まったわけでも何でもございませんけれども、いまお話しのような多額の経費を使って対処するということになりますと、いままでのようなことではとうてい望みを達することはできませんので、場合によっては――場合によってはというのじゃない、われわれはもうぜひそうしたいと思っているのでございますが、将来のことでございますから場合によってと申し上げたのでございますが、ぜひこういうことについていままでなかった特別会計、特定の財源を充てるようにしないと、まあ率直な話、国鉄は赤字を出す赤字を出すといってしかられて、またこれ、ある程度しかられてあたりまえだと私は思うのでございますけれども、こういう中でいまお話があったようなことを思い切ってやるということはなかなか容易ではないと思います。また、先ほど日航の方でもその種の意見が開陳されましたが、こういうことをぜひ国が責任を持って、これはまさに持っていきようによっては国民全体のために大変いいことになる、国民ばかりではない、やがて世界の人々に感謝されることになるということ、これを私は望んでいるのであります。そういうようなことをぜひやれば、国鉄もさんざん赤字を積んできたがいいこともやったなと、こういうことに、高木君そばにおりますけれども、国民の皆さんから深い理解を持っていただけることになろうと思います。  実は、いまぼつぼつ始まりかけておりますが、来年度予算の編成につきまして、運輸省としてはまさに最も大きな目玉と考えておる、恐らく政府全体としても目玉の一つになるであろう、そういうことで、まあ私も素人でございますので十分認識していない点ももちろんあろうと思いますけれども、いまの日本で必要な政治の一つの行き方である、こういうようにかたく信じておるわけでございます。いいかげんなことで余りのぼせ返ってはいけませんけれども、私は、これはもうまさにのぼせるくらいに熱意を持って臨むべき問題である、こういうように考えております。そこで、これから皆さんにもいろいろお知恵を拝借しながら対処する必要もございましょうが、強い強い熱意を持って今後に臨みたい、こういう次第でございます。
  44. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 青木委員の質問にちょっと関連した質問もしたいと思うのですけれども、いまリニアモーターカーの話が出ましたけどね、ちょうどいまお盆は終わったんですけれども、先般のお盆の際に鉄道と道路と両方を私見まして、なかなか大変だなあと思ったんです。というのは、私のところは埼玉県の熊谷なんですけれども、朝七時に国道十七号線を自動車がもう切れ日なしに並んでいるというわけです。それで、朝七時にあの辺を走っている人は何時ごろ出てきたのかと思うと、前の晩に東京を出ているんですよね。千葉ナンバー、東京ナンバーの車が前の晩に出て、翌朝ようやく埼玉県、まだ出外れていない。それで、これじゃ終点まで何時間かかるんだろうと人ごとながら気の毒に思ったんです。私の親戚で同じ日に大宮から信州の小諸まで行った人が八時間かかったという。朝五時に起きて、朝早いうちならすいているだろうと思って行った。ところが、国道がそのとおりでのろのろ運転だ。そうすると汽車の方はまた超満員、立ち詰めで三時間で汽車に乗って行った方がいいのか、車でもって十時間かかって行った方がいいのかと、こういう選択の問題になってくる。どっちにしても楽じゃないですよ。これはお盆なんというのは年に一回だからというわけでありますけれども、しかしこういう状態はお盆と年末年始にまた繰り返されるわけです。つまり都心から地方へ出ていくという、最近そういうルールみたいなものができてしまって、お盆と年末年始にはいつもそういう状態を繰り返す。  そこで私は感じたんですが、やっぱりこれは公共輸送機関というものがもう少し整備されなきゃいかぬ。埼玉県、長野県、群馬県、この辺じゃ飛行機で行くというわけにいかないんですよ、飛行場がないですからね。いやおうなしに自動車で行くか、マイカーで行くか、鉄道を利用するか以外にないんです。そうすると、やはり問題を解決するためには、これはお盆だけじゃない、年がら年じゅう混んでいるわけですから、やはり新幹線というものも整備しなきゃならないし、その新幹線を考えてみると、今度は東海道新幹線が東京-大阪間では今日もはや飽和状態になっている。こういうことがあれば、このリニアモーターカーのような新しい鉄道ですね――さっき鉄道か飛行機かという話が出ましたが、飛行鉄道かというような話も出ましたけれども、まあ何でもいいんですよ、それは飛行鉄道でも何でも構わないですが、とにかく人を運ぶ道具を考えなきゃいかぬ。それはレールから多少浮き上がっているから飛行機かどうかという定義の問題はあるかもしれませんが、飛行機というのはどこだって飛べるから飛行機なんで、あれは十センチ浮き上がろうと二十センチ浮き上がろうと、一つの設備の上を通らなきゃならないのはやっぱり鉄道の範疇に入るんじゃないかなと思いましたけれども、それは別にその定義はむずかしく考える必要はないと思う。国鉄がやるにしても私鉄がやるにしても、とにかく人なり物を運ぶ機関を整備するという点で、私はやはり単なる研究機関だけに終わっちゃいかぬと思うのですね。せっかく研究しているんですから、これは実用にしなきゃいかぬ。実用にするためには、具体的に考えられるのはすでに飽和状態になっている東海道新幹線に新しい新幹線のようなものをこさえて、それをせっかく研究しているんですから時速三百キロのやつを使うと、何も時速三百キロでなくたって、時速二百五十キロだったとしても東京-大阪間は二時間でつなげるわけです。そのぐらいなら私はたくさんだと思うんですよ。この狭い国土だから余り欲張ってそんなに急ぐことはないんですよ。だから、そういうものをいつまでも欲張って研究期間を長くするよりも、実用的に使えるものはさっさと実用に使うということを私はやるべきだと思うんですよ。だから、そういう意味では、具体的な問題として、新幹線でもう補いのつかなくなった面についてはその種の新しい交通機関というものを積極的に政府として――これは国鉄にやれといったって、貧乏世帯でもって首が回らないところにやれといったってなかなかやらぬと思うんです。これはやはり政府としてそういう開発、研究、投資というものをやる必要があると思うんです。これは運輸大臣の責任でやらなきゃならぬことだと思うのでありますが、その点を大臣にちょっと見解をお伺いしたい。
  45. 福永健司

    ○国務大臣(福永健司君) ただいま瀬谷さんお話しの点は私も同感でございまして、瀬谷さんがそんなに急ぐことはないと言われた部分につきましては、私ももうだんだん年をとりまして早くやらないとこれはもういかぬと思っておりますので、瀬谷さんよりは幾らかより早くというぐらいなことについては多少の差異があるかもしれませんが、こういうようなことにつきましては、どうしても国が大きく力を入れてやらなきゃならないということはもう当然でございます。そこで、私もこれからどうなるかはわかりませんが、現在工事をしておりまする新幹線は、これは大体従来の列車を走らせるという考え方でやってきておるわけでございます。これはこれといたしまして、先ほどから話が出ておりまする実用化のための実験等を急ぐことによりまして、場合によってはそれに続くものについてはリニアを走らせるというようなことができれば、これは非常にいいんじゃないかと思っております。しかし、まだ現段階においてそれは可能であるかどうかはもとより問題がございます。問題はございますが、心構えとしてはできるだけ速やかにそういう新しい手段も実用に供するというようなこと、したがって、新幹線につきましてはものによってはそうで、先ほど話が出ておりました四十キロの実験線等につきましても、四十キロというようなものを単なる実験に使って後はそれで用済みだということでは大変――七キロぐらいのはまだいいとしまして、四十キロというようなことになりますとそれではもったいないような気もいたしますが、そこで、私は場合によっては、後新幹線を敷設する場所にそういう実験線をうまくつくって用が済んだらそれは新幹線――必ずしも新幹線でなくても結構だと思いますけれども、後そういうような用途に向けるというようなこと、これも考えたらどうかというようなことを、私九州へ行って実験状況を見たときにそういうことも考えて、自来そういうことを口にしておるわけでございます。そういうことを口にいたしますゆえんのものは、どうしても急いでやらなきゃいかぬ。急いでやり損なってはいかぬことはもちろんでございますけれども、そういうことから申しておる次第でございます。ただいまの瀬谷さんのお考えに合うような措置を、私も責任を持って構じていかなきゃならない。そういうように考えております。
  46. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 私がそんなに急ぐ必要はないというのは時速のことなんです。二百五十キロ、三百キロとあんまり欲張ったって、たとえばそれは東海道の場合は三百何十キロでもいいかもしれないけれども、これは上越の方へ行って三百キロも出せば発車した途端に海のところまで行ってしまう。そういう面では二百五十キロぐらいでもいいんじゃないのか。大阪だったら二百五十キロで二時間で行くという計算になるからそのくらいで、時速の点ではそんなに欲張って三百キロ、五百キロと飛行機の向こうを張る必要はなかろう、こういう意味です。  ただ研究や調査、こういったような面については、これはけちけちすることはないということが言いたいわけです。いまの交通事情を考えてみると、お盆なんていうのは特別かもしれませんけれども、やっぱりまあうんざりしたような顔で、東京から七時間も八時間もかかって埼玉県をうろうろしている。こういう状態では交通事故の危険もあるし、乗っている人だってこの暑いのに大変だと思うんです。だからなるべく公共輸送機関というものを整備、強化するということに目標を置いて、運輸省としても心がけてほしいということが言いたいわけであります。リニアモーターカー等について、これをたとえば東海道新幹線の補助機関として利用するといったような考え方はあるのかないのか、その点ちょっとお伺いしたいと思うのですが。
  47. 福永健司

    ○国務大臣(福永健司君) まあいろいろこれから急速に研究をして対策を講じていきますと、いまお話のありましたようなことが可能かどうかも明らかになっていくと思うのでございますが、いずれにいたしましても改良、改善を速やかに加えつつ将来に対処するということについては大いに熱意を持っていかなければならぬ、そういうように思っております。
  48. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 それではちょっと気象台の問題でお伺いしたいと思うのでありますけれども、埼玉県の場合は熊谷に地方気象台があるのでありますけれども、県庁所在地の浦和には何もないわけです。それで県北と県南では気象条件が相当違う。これはどこの県でもそういうことは言えると思うんでありますが、県庁所在地に測候所がないというのはどうもぐあいが悪いという要望が県側でありました。その事情を聞いてみるともっともな点もあると思うのでありますけれども、行政機構の改革ということで、人間をなるべく減らすという努力が続けられているようでありますけれども、要らないものは、要らない人間はそれはもう減らすということは、これはやむを得ないと思うのですけれども、必要なものはやはりけちけちすることはないと思うので、県庁所在地に測候所がない、そのためにどうもいろいろな面、防災の面でもあるいは住民に対するサービスの面でもどうも思わしくないということであれば、やはり県庁所在地にも測候所を置いていいんじゃないかという気がするのでありますけれども、この点をお伺いいたしたいと思うのであります。
  49. 有住直介

    ○説明員(有住直介君) お答え申し上げます。  この測候所の仕事にいろいろあるわけでございますけれども、私ども特に観測等につきましては鋭意科学技術の粋を尽くしまして、たとえば気象衛星を上げましたり、またレーダーを設備いたしましたり、あるいはアメダスと申しております地域気象観測網というものを全国に千点以上自動観測所というものを置いて、毎正時ごとのデータを十分で集めて十分で配るというようなことをやりまして、防災その他の役に立てておるわけでございます。  そういうことで、埼玉県につきましても、埼玉県内で自動観測所というのが十数点つくってございます。また県の周辺にあります観測所十点、合わせて二十数点というのが自動的に熊谷の地方気象台に集められるようになっているわけでございます。そういうことで県の北部あるいは県の南部というような気象の状態というものについては、即時的に把握するというシステムで進めているわけでございます。しかしながら、いま先生のおっしゃいましたように、県南地区の都市化も進みましたし、人口もいろいろ増加しているというような現状にかんがみますと、やはり地方気象台が熊谷にございまして、浦和との、県庁との連絡が、それなりにやっておるわけでございますけれども、やはり県庁からのさらに一層連絡をというような御要望がございまして、私どもも埼玉県の方と一層連絡を密にする必要があると考えまして、現在埼玉県の庁内に職員を常駐させていただいて、情報の伝達、それから指導、それから県側の防災活動に協力いたしまして、また連絡調整とか、技術の連絡とか、資料の整備とか、そういうものに当たらせる考えでございまして、現在県庁の方と打ち合わせしておる段階でございまして、さらによくしたいというふうに私ども考えておるわけでございます。
  50. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 県庁所在地で測候所がないのは、埼玉県と県側の要望によれば二カ所しかないということだったのでありますが、どことどこなんですか。
  51. 有住直介

    ○説明員(有住直介君) 千葉県は、地方気象台が銚子にございます。それから滋賀県の場合に地方気象台が彦根にございます。それから山口県では下関に地方気象台がございます。
  52. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 たとえば、千葉県とかあるいは滋賀県等は、県庁所在地に測候所をつくってほしいという要請はあるのかないのか、どうなんですか。滋賀県なんかの場合は、あっても歯牙にもかけないのか、その点はどうなっているのですか。
  53. 有住直介

    ○説明員(有住直介君) 千葉県におきましては、千葉市に測候所がつくられております。それから山口県の場合は、山口市にやはり測候所を、防府というところにありました測候所を県庁のそばにある必要があるということで山口に移したという経緯がございます。それから滋賀県に関しては、いままでにそういう強い御要望というものが出ていないように聞いております。
  54. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 県の広さとか地形とかによっていろいろ問題は違ってくると思います。滋賀県のことはちょっと私にも見当つきませんが、たまたま滋賀県と埼玉県と、こういうことになっているようでありますが、埼玉県の場合は、やはり浦和と熊谷ではかなり距離がありますし、気象状態は違っております。千葉県でも、たとえば館山の方と銚子の方と我孫子の方じゃかなり違っているわけですから、こういう気象上の差異というものはあって当然だろうと思いますし、やはり県庁所在地に測候所がないということになると、これは何かにつけて不便であるという県側の要望も無理からぬ点があると思うので、いまお聞きをしますと、とりあえず県庁の内部に職員を配置をするといったようなことでありますが、そのくらいならばいっそのこと県庁所在地に測候所というものを設置をして、そしてその常勤体制をとるということを進めていったならば、これは県の方でも協力をするんじゃないかという気がするのでありますが、これは将来構想として測候所を設置をするということができるかどうか、もし障害があるとすればどういう点が障害になっているのか、その点をお伺いしたいと思うんですが。
  55. 有住直介

    ○説明員(有住直介君) この測候所をつくるということは、実は非常にいろんな意味でむずかしいわけでございますけれども、むずかしいからということだけじゃなくて、私どもの考え方といたしまして、先ほども地域気象観測網のことをお話し申し上げたのですが、たとえば埼玉県の場合に、南部と申しますと、越谷、浦和、鳩山、飯能、所沢、つまり南部と申しましても東半分の南部でございますが、そういうところには先ほど申しました自動気象観測所というのがございます。たとえば浦和の場合でも、浦和の浄水場のところに自動の観測器が置いてあるわけでございます。それを毎正時に、十分たちますとデータがだっと東京に集まって、正時の二十分、たとえば九時、十時の観測というのは九時二十分、十時二十分には熊谷の地方気象台にデータが集まってしまうわけでございます。ですからそういうシステムで、しかも防災ということになりますと、ただ観測しただけでは役にたちませんで、観測してデータを即時に集めて、しかもそれを即時に処理して予報に使わなきゃいけない。そういうことで、そういうシステムを進めて五十三年度、今年度に大体できて、あと雪が残っておりますので雪についてはお願いしている最中なんでございます。そういうシステムでやりますので、浦和のたとえば浄水場の値というのは電話を公社線を使ってやっておりますから、必要であるとすぐわかるわけでございます。ですからそういう意味で、つまり気象、われわれのサイドとして防災上予報あるいは警報を出すためにどうしても必要な観測というものについては、ある程度これでカバーしながらやっているということなんでございます。もちろんそれじゃ浦和の県庁で観測していけないとかそんなことはございませんし、そういう観測するということが必要であれば、それはもちろんやっていただきます。それからまた気象庁以外でも、ほかの省庁でもやはり気象が関連したところでお仕事に関係する必要上、観測所を置いて観測されているところもあるわけでございます。そういうものは私どももできるだけ利用する。これはたしか災害対策委員会でも御決議がありまして、そういうよその観測値だって気象庁は大いに利用しろ、利用の仕方を十分に考えろというような御指導もいただいて、それに沿ってそういう観測も集めてやっているというようなことでございますので、測候所を将来設置するかどうかというようなことになりますと、そういうような私どもの考え方、そういうものを踏まえてやはり検討していかないといけないというふうに私ども考えているわけでございます。
  56. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 大臣にお伺いいたしますけれども、やはり今後の問題として、防災センターとしてそういう性格のものを各県に一カ所は持たなきゃならぬだろうと、それで関東大地震といったような昔の経験があるわけですけれども、どうもまた関東に大地震があるのじゃないかなんていう話があるわけです。これは予知ができるかどうか、現代の科学技術の水準で可能かどうか、われわれにはよくわかりません。わかりませんけれども、できるものならばそういう地震の予知を含めて、防災センターといったような機構を県庁所在地に置くという必要が出てくるのじゃないか。これはあくまでも仮定の問題であるので、いつ地震が起きるかなんていうことはわかりませんけれども、そういう場合の措置としては、県庁所在地にその防災センター的な機能を持った機関というものがあることが望ましいのではないかという気がいたしますので、それらを含めてこの測候所の問題も検討をされる必要がありはしないかという気がいたしますが、これは埼玉県だけの問題ではないと思いますので、大臣の所見をお伺いしたいと思います。
  57. 福永健司

    ○国務大臣(福永健司君) 御質問の中にもありますように、そういうことが望ましいのではないかと、こういうことでございます。私も望ましいと思います。ただ、現実にどういうようなことにするか等につきましては、まだまだ研究も必要かと思いますが、そういう御指摘もございましたので、急いで検討をすることにいたしたいと思います。
  58. 三木忠雄

    ○委員長(三木忠雄君) 午後一時まで休憩いたします。    午前十一時五十分休憩      ―――――・―――――    午後一時四分開会
  59. 三木忠雄

    ○委員長(三木忠雄君) ただいまから運輸委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き運輸事情等に関する調査を議題とし質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  60. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 それではかわりまして質問さしていただきますが、私鉄運賃の値上げの問題につきまして最初にお尋ねしたいと思うのですが、去る十二日に大手私鉄の十三社が平均二〇・五%の運賃値上げを運輸省に申請したわけです。この申請の内容につきましては、初乗り運賃を現行の六十円から八十円に上げる、そのほかいろいろ各社まちまちでありますし、また値上げ率は普通運賃が一七・一%、定期運賃が二五・二%、そのうちの通勤は二四・七%、通学が二九%、これが平均の率でございますが、この私鉄の値上げは七月からの国鉄の値上げ、そしてまた今後引き続いて特急あるいは急行料金、通学定期あるいは都営交通の運賃値上げ、そういうものが引き続いて行われる現状でありますし、国民の生活にこれは影響を与えてくると、このように考えられるわけです。したがいまして、運輸当局としても、国民生活を守る立場で、慎重に値上げについては対処していかなきゃならないと私は思うわけですが、そこで二、三質問をしてみたいと思うのですが、最初は私鉄の各社は値上げ申請の理由としまして鉄道部門の収支が五十二年度に十三社合計で百六十六億円の赤字になった、このようにしております。これは一つの理由ですけれども、五十年度の値上げのときには西鉄を含んだ十四社の四十九年度の収支率が八四・二%、合計の収入不足額が六百十三億円であったわけです。それに比べますと、五十二年度の収支率は九六・七%、合計の収入不足額は百六十六億円で、収支状況としては今回の方がよいと言えるわけですが、それでも値上げを申請をしたということになりますと、これは国鉄運賃値上げに便乗したものじゃないか、このように言われても仕方ないと思いますが、その点はいかがでしょうか。
  61. 山上孝史

    ○説明員(山上孝史君) 今回の民営鉄道の運賃改定申請に関しましては、申請を受理して以来、各社からその理由あるいは内容につきまして、民営鉄道部の方で目下事情聴取を行っております。基本的には運賃というものは能率的な経営のもとにおける適正な原価及び利潤を償う水準に定められるべきであると、こう考えておりまして、先生御指摘のように、単に国鉄運賃に便乗した値上げとなるような値上げ、こういうものは認める考えはございません。五十二年度の収支率は、いまも先生御指摘のように平均で九六・七%ということになっております。ただ、五十三年度以降の収支の悪化とか、あるいは投資による資本費の増大等の事情も考えられますので、健全経営の確保という見地から、今後申請内容を十分に審査してまいりたいと思っております。
  62. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 いま御答弁もありましたけれども、五十二年度の収支率で見ますと近鉄が一〇二・九%、阪神が九九・九%、小田急は九九・六%、京王が九九・一%とはほぼ収支が均衡をしているわけです。このような場合は、いま五十三年度以降というお話もありましたけれども、こういう収支率で均衡がとれている場合には申請の必要がないんじゃないかと私たちとして考えるわけですが、その点どうでしょうか。
  63. 山上孝史

    ○説明員(山上孝史君) いま先生御指摘のように、昭和五十二年度の鉄道部門の収支におきまして、いま御指摘のような会社におきまして収支率が一〇〇に近いとか、一〇〇を若干上回っているという事実があったことは確かでございます。しかし、今回の申請は、先ほども申し上げましたけれども、五十四年度というものを平年度にいたしまして、それで五十三、五十四両年度の収入の不足を償うための運賃改定を申請者としては目的としております。したがいまして、五十三、五十四年度におきまして人件費、経費の増加あるいは輸送力増強あるいは安全対策の強化あるいはサービス向上のためのいろいろな部門に対します投資、これに伴う資本費の増大によりまして企業収支が悪化することを申請側としては理由といたしております。したがいまして、先生御指摘のように、単に昭和五十二年度、これの決算だけを見まして収支がやっと均衡しておったとか、あるいは均衡に若干足らないという程度の理由だけで直ちにこの運賃改定を認めるべきではないというような結論を出すことは、これはいろいろ問題ありまして、先ほど申し上げましたように、今後よく事情を調べまして慎重に検討してまいりたいと思います。
  64. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 前回は西鉄を含んでいました。今回は西鉄は除いて十三社になっておりますが、西鉄が今回申請をしなかった理由はどのような理由ですか。
  65. 山上孝史

    ○説明員(山上孝史君) この運賃の改定につきましては、申請主義でありまして、申請者側から申請が出てくれば適法なものはそれを受理して審査をすると、こういう制度になっております。今回の申請につきましては、西鉄はその中に入っておりませんでした。これは西鉄側の判断によって申請を出さなかったと、そのように承知しております。
  66. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 先ほどちょっと申しましたように、収支率で私鉄の企業間格差というのは大きくいま開きつつあるわけですけれども、そういう状況の中でやはり一斉に値上げを申請するというのは適切じゃないというふうに国民的な感情としてあるわけですが、その点どうお考えでしょうか。
  67. 山上孝史

    ○説明員(山上孝史君) 従来実績といたしまして、いわゆる大手の民鉄が一斉に申請をするということが多かったわけでありますが、これにつきましては、一斉の申請であろうとあるいは個別的な申請であろうと、これは申請側の判断によってそうなったと、こう考えております。私どもといたしましては、申請を受理した以上、これを慎重に検討し、運輸審議会にもお諮りして、それで適切な結論を得たいと、こう考えております。
  68. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 今回の私鉄の運賃値上げは五十年十二月以来の申請でありますし、その間に国鉄は一昨年十二月に一挙に五〇%の大幅値上げをしました。また、七月の二〇%近い値上げによりまして、国鉄と私鉄の並行路線では特に運賃格差が目立ってきているわけですね。しかし、この格差是正ということを考えてみると、私鉄運賃も見直しの時期とも考えられるわけですけれども、今度の値上げは五十四年度分のコスト上昇分を織り込んだものであると、このように考えられるわけです。そうしますと、コスト上昇分というのは不確定なものですけれども、各社ともそれを利用者にかぶせるような意識がそこにあるのではないかと、このように私は考えるわけです。これはやはり私鉄の経営者が大幅な運賃値上げが認められるような条件下にあるという、そういう認識を持っているからじゃないかと私としては思うわけですが、こういった経営者の認識というのは非常にこれは問題であります。それぞれ合理化等もやってきていると思いますけれども、しかし、この合理化というものを怠って赤字がふえた企業が大幅な値上げを認められると、そういう認識を持っていたのでは、何のための経営努力をしているかということになりかねないわけですが、このような場合には、これから審査も行われるわけですけれども、運輸省としてはそういうような問題が明らかになった場合にはどのように対処する方針でしょうか。
  69. 山上孝史

    ○説明員(山上孝史君) 先ほどもお答え申し上げましたように、この運賃の審査におきましては、能率的な経営のもとにおける適正な原価、それから適正な利潤を償う水準に定めるべきだと、こう考えております。したがいまして、単に国鉄との並行区間でたまたま民鉄の運賃が低いからそれを引き上げるということだけが理由であるというようなことは認めたくないと、こう思っております。  なお、先生御指摘のように、企業努力によって差があるではないかということにつきましては、これも現在審査中でありますので、この審査の段階においていろいろ検討いたしたいと思いますが、今後の審査査定を通じまして、何らかのかっこうで各社の企業努力を評価するということを検討いたしたいと考えております。
  70. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 また、利用者側の声としましても、この私鉄の場合、兼業部門が大分多いわけです。その兼業部門もこれは鉄道とのつながりで利益を上げている場合が多いわけですけれども、その利益で鉄道部門の赤字を補うべきでないかという声もいままでもたくさんあったわけですが、その点もやはり考慮をされるでしょうか。
  71. 山上孝史

    ○説明員(山上孝史君) 兼業部門との関係につきましては、先般の運賃改定におきましてもいろいろ論議があったところでございますが、たとえば不動産部門等の兼業部門を含めました収支、これで企業単位の収入支出によりまして運賃を検討するということにつきましては、非常に不合理があるということであります。たとえば不動産部門の収益が悪化した場合に運賃値上げを行う必要があるということに逆になるわけであります。それから、兼業部門の収支状況によりまして運賃水準そのものが左右されてしまうというまた不合理があります。そういうことで、鉄道経営の基盤がきわめて不安定となるような弊害がいろいろありますので、これはやはり妥当ではないと考えております。したがいまして、鉄道運賃につきましては、鉄軌道部門の収支を均衡させ、それによって健全な経営を確保すると、こういう見地から定めていきたいということで、前回の運賃改定以来、兼業部門と鉄軌道部門とは、会社の計算におきましても、決算におきましても、区分するように指導してまいっております。
  72. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 次に、通学定期の割引率についてちょっとお尋ねしますけれども、この通学定期の割引率の引き下げの問題で、申請では割引率を八二・八%から八一・六%に下げているわけです。この結果、通学定期の値上げは普通運賃の値上げ分のはね返りと合わせて二九%という大きな数字になります。個別的に見ましても、これは京成か二八・六、京浜では三一・一%と利用者の負担が大きくなっているわけですけれども、この点はどのようにお考えでしょうか。
  73. 山上孝史

    ○説明員(山上孝史君) 今回の申請内容によりますと、御指摘のように、一般の定期外の運賃の値上げ幅よりも通学定期の運賃の方が大きいということになっております。その理由といたしましては、申請者側は、通学定期運賃の割引率が、先生も御指摘のように、八〇%を相当に上回っているということを考慮いたしまして、何らかの割引率の引き下げを図りたいというように言っております。現在各社からヒヤリングをいろいろやっておりますので、その検討の過程におきまして、これにつきましても十分にいろんな角度から検討してまいりたいと思いますが、通学定期運賃の割引率の問題につきましては、それがきわめて高い場合、割引率がきわめて高い場合にはいろいろ問題もありますので、たとえば先般の国鉄の運賃改定の際に、運輸審議会の答申の中でも指摘がされておりましたような趣旨をも踏まえまして、この是正問題については今後慎重に検討してまいりたいと考えております。
  74. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 この通学定期の政策的な割引の部分につきましては、前回の委員会でも問題があったわけです。これは国が文教政策の見地から補償するのが筋じゃないかと私たちはそのように主張してきたわけですが、先回六月に関係閣僚会議が開かれてこの公共負担の問題が討議されたようですが、その後どのようになっておりましょうか。
  75. 福永健司

    ○国務大臣(福永健司君) いまお尋ねの点につきましては、閣僚会議を開きまして、いまもお挙げになったようなことについて、文部省は文部省なりに負担を考えてはどうかというようなことは私からも申しました。類似の問題がほかにもあるわけでございますが、最大の問題は文部省との関係のものでございます。まあ割引はしてもらいたいし、文部省の方でそれを負担するについて考えるということについては勘弁願いたいというのが文部省の率直な考えのように私は思います、そういう言葉はもちろん使っておりませんけれども。  そこで、引き続き検討しようということに実はなっておりますが、その後どうかというお話でございますが、まだその後続いての閣僚協議会をいたしておりません。またやりたいと、実は私は思っているのでございます。どうも先ほど申しましたような私の主張に対して返ってくる関係閣僚の返事が、大いに変化することが期待できるようなところまで実はまだいっておりません。で、私としては何とかそういうことになるかと思っておりますが、さしあたりはまだ従前どおりの考えでいくほかはないと。しかし、だからもうあきらめてそういうことにしていいかということになりましょうが、なお引き続き努力をいたしたいと考えております。率直に申しまして、あのときも相手閣僚に対しては私もかなり強いことを実は言ってあるのでございます。ではあるが、まだいまも申し上げましたような次第でございます。なおできるだけ早くまたその次をやらなきゃならないと、そういうふうに考えております。
  76. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 引き続きがんばっていただきたいと思うのです。  そこで、考えますには、この通学定期の割引の問題につきましてはやはり文教政策の面からの対応策として、これは一体として打ち立てられていかなきゃならない問題じゃないかと思うんです。したがいまして、そういった面の解決されないうちは、やはり今回のこの通学定期の割引については据え置きをするか、あるいはもっと圧縮をするか、そういった指導が必要ではないかと思うのですが、その点どうでしょうか。
  77. 福永健司

    ○国務大臣(福永健司君) いまお話しのようなことも私は私なりにわかるわけではございますが、審議会等でもいろいろ考えを進めてもらったりしまして対処いたしたいと思います。現段階で、太田さんのおっしゃるように、当分はそのままにということを申し上げるところまではちょっと御容赦をいただきたいのでありますが、一面において日本の通学定期の割引というものは、もうよく御承知のように、ほかの国々よりもかなり多いということでございますので、幾らかでも修正したいというのが申請者等の考え方でもあろうかと思います。しかし、よく審議会などの意見も参考にして今後に対処したいと思います。一言で、いまお話しのようなことが決まるまではそのままでということに対しましては、ちょっとなかなかそうはいかないというような感じがいたします。
  78. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 この運賃の問題についてまだありますが、時間もありませんので次へ進みたいと思います。  次は、せんだって成田空港に国際線が移転をしたわけでございます。私ども早速利用させていただいているわけですが、この羽田空港の国内線の増便計画というのを運輸省は発表しましたけども、これはどういう観点からされたんでしょうか。
  79. 松本操

    ○説明員(松本操君) 成田空港に国際線が移転しましたので、前々から地方空港等の整備もございまして、東京を中心とする地方への路線の充実ということが特に地方の方から強い御要望があったわけでございますが、移転するまではなかなか羽田空港に増便の枠が取れないというふうなこともございまして、長いこと据え置きになっておったわけでございます。それが五月の二十日に成田空港が開港いたしまして、予定どおり国際線が移行いたしました。この枠というものが具体的に活用可能になる。ただし、今後当分の間、羽田空港というものはやはり現位置におきまして空港周辺と仲よくおつき合いをしながら運営されていかなければなりませんので、一気にこれをふやすということには非常に問題がある。大事な財産として使わねばならぬ。さらにまた、いろいろと当時御議論がございまして、航空輸送というものと鉄道輸送というもの、特に長距離、中長距離にかかります部分についての航空輸送と鉄道輸送との整合性をとるというふうな点についても御意見がございました。そういう点を踏まえまして、かねてから非常にロードファクターと申しますか、鉄道でいえば乗車効率でございますが、これが非常に高いところでございますとか、あるいは脊梁山脈を越えていく路線、あるいは海峡を渡る路線というふうなところで、長大路線の性格を有し、航空機の特性、つまり時間、距離の短縮というものが非常に大きな効果を示すというふうなものを特に選びまして、これらのものにつきまして七月の時点で何がしかの増枠をしたわけでございます。今後増便をしていきます場合には、やはり航空輸送の特性が十分生かされるということを念頭に置き、かつ地方との交通交流の中において航空機を使うということに特段の意義があるというふうな面に重点を志向しつつ対処していくべきではないか、このように考えております。
  80. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 いま航空局のお考えはお聞きしたわけですが、確かにこの計画に対しまして、国鉄側からも、やはり総合交通体系の視点からもっと整合性を持った交通政策というものをというような要望も出ているようではありますが、その点につきまして、やはり運輸省としても、いままでにない新しい総合交通政策へ向かってのスタートを切らなきゃならない時期に来ていると思うのです。その点でこの概算要求の段階で何か目玉を用意しているというようなお話もお聞きしたんですが、その点どうでしょうか。大臣の方から。
  81. 福永健司

    ○国務大臣(福永健司君) まだ概算要求は確定的なところへいったとは必ずしも申せないのでありますが、総合交通対策を念頭に置いても若干の要求をすることにいたしております。と同時に、この種の対策を進めていくにつきましては、どうもいままでのようなことでは、これならばと十分言えるようなことになかなかならないものでございますから、そこで特別会計等も考えたり、また必要に応じての財源措置を特に考慮するというようなこともしなければならぬということで、ただいま検討もし、また関係方面の皆さんからも意見等を聞いたりいたしております。いずれにいたしましても、ことしは従来よりは前進した行き方をしなければならない、そういうように考えておる次第でございます。
  82. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 航空局にお聞きしますけれども、先ほど瀬谷さんからもこのお盆を中心とした交通事情のお話がありましたけれども、やはり新幹線もお盆のときには相当込むわけですけれども、ふだんは大阪までですと、ほとんど飛行機に取られてしまっているような状況ですね。ジャンボ機も相当満員の状況で切符がとれないという状況もありました。そこで年度内に国内航空運賃の値上げというものが予定されておりますけれども、この国内航空運賃の値上げの際に、いわゆる言われておりますところの近距離逓増、遠距離逓減制というものをそこに導入されるお考えがあるのかないのか、ちょっとお聞きしたいと思います。
  83. 松本操

    ○説明員(松本操君) 航空運賃につきましては、昨年の八月及びこの九月からでございますが、空港使用料等の値上げを連続して行うことといたしました関係上、企業の側といたしましては、収支だんだんと相償わなくなるので、運賃を値上げしたいという意向があるやには聞いておりますけれども、現在のところいずれの社からもそのような申請はなされておりませんので、現在私どもとしてこの値上げに対する方策云々ということを申し上げる段階ではなかろうかと思いますが、しかし航空運賃のありように関しましての一般論的な考え方といたしましては、いままでの先生の御質問を通じてもございましたように、やはり関係交通機関との整合性というふうなものもそれは当然配慮されてしかるべきでございましょう。しかしやはり何にも増しまして適正な原価に対応すべき適正利潤というふうなことをもとにして運賃が計算されていかなければならないという原則は、これは航空運賃の場合にも当然適用をさるべきものかと存じますので、そうは言いながらも航空輸送としての独自の対応の仕方というものもあるいはあろうかと思います。したがって、先ほどもお答え申し上げましたとおり、申請が出ておりませんので、具体的にとやかく言う段階ではございませんけれども、一般論的な考え方といたしましては、航空運賃のありようというふうなものも十分踏まえた上で、そういったような点は申請のありました時点以降において慎重に検討いたしたいと、このように考えております。
  84. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 次の問題に移りますけれども、きょうの報道によりますと、運輸大臣は十七日に、四十八年度以降、事実上凍結状態にある新幹線整備五線を、来年度着工する意向を固め、今月末にまとめる運輸省の五十四年度予算概算要求に建設費四百億円を計上する云々と報道されておりまして、新幹線整備五線について、運輸大臣が来年度着工の意向を固められたということが報道されておりますが、どうでしょうか。
  85. 福永健司

    ○国務大臣(福永健司君) 着工の意味なんでございますけれども、現実的に工事に着手してという意味ではその記事は少し違うと思います。まあ従来言うなれば凍結のような状態にありましたものを、全国民の皆さんから強い要望もあり、しまして、新幹線については私は当然もうここいらあたりで考え直さなければならぬと、こういうように考えております。そこで、来月中に、この新幹線整備五線等につきましてはいまもお話がありましたような前進する姿勢でどうするかということを私から具体的に示してくれというのが関係閣僚会議等でも約束でございます。そこで、私どもそのつもりでおりまして、そのように措置をするつもりでありますが、まだどれもこれも、着工するというその活字からいたしますと、一般が受ける印象はいよいよ工事が五つとも始まるのかなと、こういうことでございますが、私はそれはなかなか容易ではないと、こういうように思っております。そういうわけでございますから、要するに凍結状態が解除されて、いよいよ前進するという措置はとるべきであると、こう思っております。それはまさに来年度からと、こういうように考えておりますが、着工の工の字にちょっとこだわって申しますと、なかなかそれは容易じゃないと、こういうことでございます。
  86. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 その御構想の中に、先ほども青木委員の質問にお答えになられまして、陸上交通特別会計の創設のお話も承りました。確かに新幹線の建設でもこの整備五線、あるいはまだまだ基本計画十二線というのがあるわけですが、従来の新幹線と同じような建設とかあるいは運営の方法でいきましたら、これはもう当然現在の国鉄財政の破綻をますます大きくするばかりでございますし、その点で国鉄に財政負担をかけないような別途の財政措置をお考えになるのは、これは当然だと思うのですが、大臣としては、陸上交通特別会計の対象としてはどのようなことをお考えになっておりますか。
  87. 福永健司

    ○国務大臣(福永健司君) ぜひそういうように金が要るから特別財源を何とかしてくれるようにということは、運輸大臣ないし運輸省の者の考えとしては、私は本当はそこまででいいんじゃないのか。運輸省が自分で金をつくってそれでやるというようなことに直ちに行くべきではないと。それが政府の各部門を担当する大臣にしてもいろいろその仕事があるし権限があるのでありますから、余り私はここにこういう金があるからこれをどうしてくれというような、それについては運輸省がどれだけどういうように努力しましょう――現実から見ましてもある種の税金、自動車に関係するようなものでも、正直な話、それを徴収するについて運輸省が一生懸命にやっている部門等もございます。ございますが、その税金がどこへ行くかというと、運輸省としては運輸省よりも別のところへ行くのが圧倒的に多いというような現実等からいたしましても、運輸省は運輸省なりに多少希望があることはあるのでございます。正直な話、どういう金を取ってこっちへ回してくださいというのはむしろ私は越権じゃないかと、こう思うのです。それを準備してくれるために大蔵省などがあるのである、こういうふうに私は思っております。思っておりますが、いま太田さんが何かめどがあるのかとおっしゃるので、全然ないわけではございませんが、いまここでこういう税金をとかこういう財源をと言ってしまいますとなかなかこれから後がめんどうなことになると思います――もう正直に申し上げます。そこで、私どもは多くの国民の皆さんとともに、こういうことについてはこういう必要があるということをまず主張いたしまして、そしてそれについては適切なる財源措置を講じてもらいたいということでございます。これからいろいろやっていく上について、ついては、運輸省から考えると何かいい方法があるかとでも言われれば、これもうっかり言うべきではないと私は思っておりますが、よく考えた上で適切な答えもしなきゃならないと、こう思っております。どうぞひとつきょうのところは何をどういうようにしたら金がどうという、正直な話そのぐらいのことはしてくれてもいいじゃないかと思う方法はわれわれには実はあることはありますが、どうぞ今日はその程度で御勘弁をいただきたいと思います。
  88. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 大いにがんばっていただきたいと思いますが、それでは時間もあれですので、最後に一点だけちょっとただします。  これは私どもによく陳情に見える点なんですが、先ほどの通勤割引と同じような公共負担に関連してちょっとお聞きしたいのです。これは身体障害者の割引の問題なんですが、身体障害者の方々の割引ですね。これは特急料金等の料金については割引制度がないわけですし、また単独乗車の場合は百キロ以上でないと割引がないという、こういう身体障害者の方々の側から見ますと実情に見合わないと、こういう点がよく陳情をされてまいるわけでございます。また同じお体の不自由な方々の中でも、日本には約六万ないし八万人おいでになると言われます内部疾患の方々です。心臓とかあるいは腎臓患者の方々、こういう方々にはもうこれは割引がございませんし、またこういう方々は特に介護者も含んでこの割引のことも考えていただかなければならない問題じゃないかと思うのです。これは国の福祉対策としても何らかの処置が必要であろうかと思うわけですが、その点につきまして大臣の所見を伺って質問を終わりたいと思います。
  89. 山上孝史

    ○説明員(山上孝史君) 国鉄の割引問題だと思いますが、いわゆる国鉄の公共割引につきましては、割引の性格を十分検討いたしました上、公共的な見地から、実施すべきものにつきましては、所要の割引率の是正とあわせまして国鉄の経営上の負担につきまして今後とも引き続き関係省庁と協議をいたしましてその軽減を図るように努力してまいりたいと思いますが、先ほど大臣も御答弁申し上げましたような関係の閣僚会議の問題でもありますし、今後ともその論議をしていただき、また事務当局間でもこの問題の検討をさらに続けてまいりたいと思います。
  90. 福永健司

    ○国務大臣(福永健司君) いまも山上局長がお答えを申し上げましたが、こういうようなことにつきましても先般の閣僚会議で私が申しましたことは、いろいろ公共割引等をしなければならぬということについては幾つかの事例、事情がありますが、そういうようなこと等についてはそれぞれ所管の、ただいまおっしゃいましたような設例は、あるいは厚生省か何かと思いますが、それぞれ所管するところの者がいろいろ責任を持って対処する必要があろうということを申しましたが、割引はぜひというわりには、それじゃおれの方で心配して所管してということにはなかなかいきそうにないのが先般の閣僚会議における実情でございました。しかし、いまもお答え申し上げましたようなことでいろいろ考えなけりゃならぬこと等がございますが、これは正直な話、運輸省のみで考える、国鉄のみで考えるというようなことではいけないと思うのです。こういうことに関しましても広く政治全体の中でどうすべきかという方向へ持っていく必要があろうと思いますので、今後も努力いたしたいと思っております。
  91. 橋本敦

    ○橋本敦君 八月十二日に、私鉄十三社の運賃値上げ申請がありまして、国鉄運賃の値上げに続きましてこの問題が国民生活全体にとって非常に重要な大きな問題言ってみれば政治的な課題、そういうことで大問題になってきているわけですが、この問題についてきょうはお伺いしたいと思いますが、まず今度の申請で平均一七・一%という値上げ率の申請をしておる、この一七・一%という値上げ率が国民生活全体にとって一体いまの時点でどういう大きなウエートを持つものであるか、そこらあたりを運輸省はどうお考えかということからまず話を進めさしていただきたい。それを考える指標として、ことしの春闘での民間労働者の賃上げ率が一体幾らであったか、仲裁裁定は何%のアップであったか、人勧は何%のアップであったか、ここらあたり十分御承知と思いますが、その数字は幾らだったでしょうか。
  92. 山上孝史

    ○説明員(山上孝史君) ただいま先生御指摘の今回の民営鉄道の運賃の改定申請、その申請そのものが仮に実現した場合にどれだけ国民生活に影響があるか、こういう御指摘だと思います。実は多分それは消費者物価への影響等だと思いますが、これは政府部内では経済企画庁が専門的に担当しております。この作業の時期といたしましては、申請そのものではなくて申請に対しまして目下まず運輸省におきましていろいろ審査を加えておりますが、その結果所定の手続を経て、結論が出る段階におきまして消費者物価への影響度というものを経済企画庁が作業の上策定すると、こういう手順でございますので、この段階で申請に対してCPIへの影響が何ぼであるかということを残念ながらお答えできないわけでございます。
  93. 橋本敦

    ○橋本敦君 実際、政府の責任ある数字の指摘はいま言った順序でしょうけれども、一七・一%という申請自体がどういうウエートを持つかということを検討する視点として私は運輸省も検討しておくべきだと思うのですね。  ことしの春闘は私の方から申しますとわずか五・四%です。仲裁裁定は三公社五現業三・一三%、人勧はこの間出て国会にも報告がありましたが三・八四%であります。だから、まさに労働者の賃上げは五%以下三%台に抑えられているという実情にある。では一般消費者物価指数の最近の値上がりが一体どれくらいかと言いますと、これも私の方から数字を申し上げますと六・七%という数字である。だから、こういう現状から見ますと、一七・一%の平均値上げというのが、率にして現在の国民生活全体の状況から見て実に大きなウエートを持っているということがこの数字からもわかるわけですね。だから、この点からも物価へのはね返りがどうかということはいずれ指数が出るとして、現状においてこの申請自体が国民生活を圧迫する大変大きなウエートを持っていることはこの数字からも明白ですね。  そこで、私は運輸大臣にまず最初に基本的な考えをお伺いしたいのですが、さきに国鉄運賃値上げが続きました。私鉄はいまの経営収支状況は従前の値上げ申請時のように悪化状況ではないけれども、国鉄運賃が十二月に上がり、七月に上がったと、こういうことを運輸省が認可したという状況の中で、今回の運賃値上げ、これを通すには環境的には非常によい環境にある。悪い言葉で言いますと、運輸省は国鉄の運賃の値上げを認可をしたという状況の中で、それとパラレルな関係で平行路線もありましょうし、申請したこの私鉄運賃十三社の値上げについては強い態度でチェックできないだろう、だからしたがって、十一月にはほぼ申請どおり運輸省は認可するだろうという見込みを持っているという報道もされている状況である。運輸大臣は今度の申請に対してそういう見解もある中でどういう基本的な考えで対処されようとしておられるのか、まずその点をお聞かせいただきたいのです。
  94. 福永健司

    国務大臣(福永健司君) 私といたしますと、国民全体に対して大きな影響を持つ乗車賃等でございますから、それなりによく考えて対処する必要は当然あると思います。同時にまた、国鉄にいたしましてもまた私鉄の従業員にいたしましても、これに従事する労働者諸君の立場もこれも考えてやらなければならぬということは当然であると、こういうように考えます。まあ、乗車賃等につきましては申すまでもなく、毎年値上げというような事情では昨今ございません。やっぱり何年かたってというようなこと等もございますだけに、これはそのことについての考慮も必要であろうかと思いますが、いまお尋ねの十一月には申請どおりになるであろうというようなそういう話もあるというお話でございますが、それはまあそうでございましょうが、運輸大臣は大体そういうことについてそんなような考え方でいるのかという御質問でございますが、まあいま申請されてすぐでございますし、いろいろ検討しておりますところでございますからちょっと申し上げにくいのではございますが、いずれにいたしましても、私は相当厳しく対処していくというつもりでおります。その中身をまだちょっと申し上げられませんが、いずれにいたしましてもそういうつもりで対処したいと思っております。
  95. 橋本敦

    ○橋本敦君 わかりました。  厳しく対処していただくという大臣の所見を伺って、私はそのとおりやっていただきたいと考える幾つかの問題点をこれから指摘をしたいと思うのです。  まず第一に、今回申請された概要、大手民鉄運賃改定申請概要というのを社団法人日本民営鉄道協会から運輸省にも提出しておるはずですが、これによって見ますと、先ほども指摘されたように、現在の経常収支の不足額、これが百六十六億円、そして収支率が九六・七%ということで申請をしておるわけであります。  そこで、これの具体的な内訳の問題になるわけですが、この鉄軌道部門の収支実績、これについて局長から御答弁をいただきたいと思うのですが、まずこの収支実績について見ますと、ここにあります民鉄が出した五十二年度大手民鉄鉄軌道部門の収支実績、これはきのう運輸省で問い合わした、運輸省がつかんでおられた数字と全く同じですからこれによりますけれども、この中で十三社が配当所要額を一体どれくらい出しているだろうかということを検討してみたいと思います。これの総額、配当所要額がこの表によってすぐ答えが出るんですが、これは運輸省、どれくらいか、いますぐ御答弁できますか。
  96. 山上孝史

    ○説明員(山上孝史君) 御指摘の五十二年度の収支の実績によります配当所要額は、西鉄――今回申請しておりませんが、西鉄を含めました数字になっておりますので、含めましてお答えいたしますと、九十五億六千四百万円であります。
  97. 橋本敦

    ○橋本敦君 西鉄を除きますと十三社の配当所要額は九十二億三千八百万円と、こういうことになるはずであります。  それからさらに、法人税の支払いがこの計数でも出ておりますが、法人税を十三社が五十二年度幾ら払ったかという数字を総合計いたしますと幾らぐらいになりましょうか。
  98. 山上孝史

    ○説明員(山上孝史君) 西鉄を含みますと七十九億七千八百万円でありますが、西鉄を除きますとそれから三億一千四百万円控除した残額になります。
  99. 橋本敦

    ○橋本敦君 つまり七十六億六千四百万円ということであります。  そこで、いま十三社の中で黒字であるのは近鉄だけで、あとは全部収支不足、つまり赤字ということになっておりますが、仮にこの配当所要額、つまりこの配当した金額を差し引きますと収支不足ということで赤字になる会社は何社になるか検討なさっておられますか。
  100. 山上孝史

    ○説明員(山上孝史君) いま私はこの収支実績に基づいてのそういう計算の結果は承知しておりませんが、そういう先生御指摘の作業を含めまして、今回の申請につきましてのいろんな角度からのいま会社からヒヤリングをし、検討している最中でございます。
  101. 橋本敦

    ○橋本敦君 検討していただきたい。  私の方から答えを申し上げますと、いまの申請は、黒字は近鉄だけで、あとは収支不足ということで赤字になっておりますが、仮にいまの配当所得、法人税、これを差し引きますと十三社のうちで黒字になるのは京王、小田急、近鉄、京阪、阪急、阪神、こういった会社が実は収支不足でなくて黒字になる、こういう計算になるのであります。特にこの配当所得について、私は前回の運賃値上げ申請のときに運輸省は適正八%というように査定されたということでありますが、これについて今回の民鉄のこの資料から見て私は非常に問題だと思いますのは、各社によってこの配当額が大変な違いがあるわけであります。たとえば南海電鉄をとってみますと、南海電鉄は収支不足額が四十七億九千八百万というそういう数字が出ております。四十七億九千八百万の収支不足であるのに、配当所得は実に四億五千二百万円の支払いをしておるのです。四億五千二百万円。  それから、たとえば阪急電鉄をとってみますと、収支不足は十一億五千四百万という申請書の数字が出ておりますが、この十一億五千四百万不足だという阪急が支払った配当所得は十二億九千万円。十二億も支払っております。  たとえば京浜電鉄の場合は、阪急と同じように十一億九千七百万円の収支不足と、こういうことですが、ここの配当額は三億九千百万円。阪急のまあ言ってみれば四分の一であります。  だから、こう考えてみますと、各社が配当額をどれだけ出しておるかという問題は厳密に審査しませんと、これが多くなればなるほど収支不足額が不足額として大きく出てくるというこのきわめて大きなアンバランスが今度の申請書でも出てくるんですね。通常の場合は、こういった会社の場合には利益が上がればそこから配当し、利益が上がれば法人税を支払う。だから赤字であれば配当もしないし法人税も支払わなくてよいと、こういう決算が出てくるわけですが、この私鉄の場合は、長年問題になっておりますように、配当額は支払う、法人税も支払う。それでそういうものを支払って不足額が幾ら出てくるか、こういう計算ですから、ここで申請書で出されている経常収支率九六・七というのも不足額百六十六億円というのも実際のいわゆる企業経営のあり方としてはきわめて余裕のある、問題のある数字が出ている、これが実相であります。  で、いま言ったように仮にこれを差し引きますと、今度の場合は十三社のうちで何と七ないし八社が収支不足はない、いわゆる黒字だと、こういう状況で申請がされているという事態、これは大臣がおっしゃったように慎重にかつ厳格に審査をしなきゃならない一つの事情だと思いますが、いかがですか。
  102. 山上孝史

    ○説明員(山上孝史君) 運賃の改定申請に対する事務的な審査、それの方針といたしましては、これは当然のことでございますが、能率的な経営のもとにおける適正な原価を償いかつ適正な利潤を償う、こういう水準に決まるべきであると、このように考えておりますが、現在十二日に申請を受理したばかりでございまして、いろんな角度から調査中でございますが、いずれにいたしましても、私企業が事業を行っていくためにはやはり適正利潤は必要ではないかと存じます。ただ問題は、今回の運賃改定に際しまして具体的に幾らの配当率がよろしいか、適切であるかということにつきましては今後慎重に検討してまいりたいと、かように存じます。
  103. 橋本敦

    ○橋本敦君 だから端的に言えば、いま私が指摘したようなものは、厳格に審査をした上で適正な利益も見ていくというお話で、前回の八%配当額を適正と審査をされたその八%をそのまま今回の場合も適正とされるか、いま私が指摘したような問題も考えて国民生活全体の状況も考えてもっともっと低く査定していいんじゃないかという問題が私は一つあると思うのですよ。この問題について局長いま何%ぐらいが適正かという大まかな考えありますか。前回は八%と査定された。
  104. 山上孝史

    ○説明員(山上孝史君) 先生御指摘のように、前回配当率を八%に査定したということは事実であります。今回の申請の中身で直接配当率幾らにするということはありませんが、租税、特に事業税ですね、それから法人税、これの計算上配当率というものを使っております。それによりますと一〇%を計上していると、このように承知しております。いずれにいたしましてもいまお答え申し上げたとおり、適正な利潤というのをどこに求めるべきであるか、これは慎重に検討してまいりたいと思います。
  105. 橋本敦

    ○橋本敦君 慎重に検討していただきたい。私は八%でも経営実態から見て鉄道部門としては高過ぎると思うのですよ。  それからさらに、いま私が指摘した配当所要額ですね、配当に要した所要額、法人税額、これを全部控除してべたに本当にこれをのけた収支実績ということを考えてみますと、十三社でこれを含めますと百六十六億円の収支赤字だと、こういうことですが、これ全部のけますと十三社では赤字ではありません。この数字からいきますと二億二千万円の黒字になります。だから、いわゆる配当所得や法人税といったものをのけて本当に経営が赤字かどうかという観点からいくと、今度の申請は申請書自体で十三社合計二億二千万の黒字だとも言えるという状況があるということであります。  そこで、過去の四十九年、五十年、こういったときの私鉄の運賃値上げ申請の状況と比べまして、今度の申請時の特徴の一つは、いま言ったような観点で数字的には赤字幅が百六十六億円にすぎない。これは配当所得、法人税含めますよ。過去は、四十九年の場合は三百四十二億。五十年は六百十三億でありました。百六十六億。非常に少ない。収支率も、四十九年の場合は八四・二。五十年の場合は実績九二・一ありました。そして、今度の場合は九六・七。当然のことですが、収支率が非常によくなっている。したがって、民鉄の計算によるその計算でも、赤字幅が百六十六億というように非常に少なくなっている。今回の申請の特徴は過去に比べてまさにこの点にあります。端的に言うならば、この時点でなぜ一七%もの申請を私鉄がしたのであろうかということになりますと、いま経営が赤字で火がついているというのじゃなくて、さっき局長がおっしゃったように、五十四年度を目指した将来の投資、人件費、これで経常収支がこのままだと悪化すると、こういうことであります。だから、言ってみれば今度の値上げの特徴は、まさにいま火がついているからというのではなくて、たとえば朝日新聞はこの点について、まさに先取り値上げの感が強いというように指摘をいたしましたが、前回と違って、まさにそういう意味での先取り値上げという、そういう特徴がある。この点については、運輸省としてはこういうことを許すかどうかについて厳格な審査をしてもらわねばならぬ。仮に運賃値上げを認めなかったら五十四年度収支率はどうなりますか。
  106. 山上孝史

    ○説明員(山上孝史君) 再三同じようなことをお答えして恐縮でございますが……
  107. 橋本敦

    ○橋本敦君 収支率だけで結構ですよ。
  108. 山上孝史

    ○説明員(山上孝史君) いまの問題をも含めまして申請についてのいろんな角度からの検討をいま作業を進めている最中でございますので、先生のいろんな御指摘につきましても、それを十二分に参考にして作業をさらに進めたいと、こう考えております。
  109. 橋本敦

    ○橋本敦君 私の質問を申しますと、この十三社が出している資料によりましても、現行運賃のまま据え置けば収支率は八四・九に下がると、こう出ておりますね。これは間違いありませんね。
  110. 山上孝史

    ○説明員(山上孝史君) 申請書並びにその参考書類としてそのように記載されてあるようであります。
  111. 橋本敦

    ○橋本敦君 私がここで指摘したいのは、四十九年、赤字で火がつくように言われたときの収支率が八四・二。このときに運賃値上げを大臣認めました。仮に現行の運賃のままで値上げを認めないで五十四年までいきますと、四十九年値上げを認めたときよりも、わずかでありますけれども、収支率はまだいいんです。八四・九にとどまるんです。そこで、今度の値上げについては根本的に運輸省がどう対処するかということで非常に重要な問題を検討しなきゃならぬということがおわかり願えると思うのですが、将来の計画として、前から言われておりますが、通勤混雑の緩和あるいは冷房化率、これを高めるという問題があります。こういうことをやっていくためにも将来投資が必要なので値上げをしてもらいたいという理由にもなっております。  そこで次に、現状はその程度に置いて、冷房化率の問題に話を移してまいりたいと思いますが、この冷房化率ということについて、いままでの四十九年度値上げのときに幾らを目標にしたか、五十年度値上げのときに幾らを目標にしたか、実績はどうであったか、まずこれを明らかにしていただきたい。
  112. 山上孝史

    ○説明員(山上孝史君) 冷房化率につきましては、前回のときの計画は五十一年度で四一・七%にしたいということでありました。  なお、御参考までに申し上げますと、五十年度の実績は三三・九%でありました。それに対しまして五十一年度の実績は三九・三%、このように計画に対しまして若干下回っております。ただ、これも御参考までに申し上げますと、次の五十二年度の実績を見ますと四三・六%ということでありまして、一年ずれましたけれども計画よりは上回ったということでございます。
  113. 橋本敦

    橋本敦君 しかし、局長、いまおっしゃった答弁には一つの問題があるんですね。民鉄協会の四十八年十月に出した資料があります。これによりますと、民鉄協会は四十九年、値上げを申請する直前ですが、快適なサービスということで、冷房化率の目標をこのときには四九%という目標に置いていた。これは資料がありますから御存じでしょう。四九%を目標にした。ところが、四十九年値上げがされた後、五十年になりますと、この同じ民鉄協会の「大手民鉄の素顔」というパンフレットによりますと、この四九%という目標は、これは四一・六%に下げられているんです。だから、民鉄はそもそも自分で四十九年運賃申請をする前に五十一年には四九%まで達成しますよと、こう言っていた。ところが、四十九年の運賃値上げが終わって五十年になりますと、みずから立てた四九%という目標を、いま御答弁になったように、五十一年度、目標を四一・六%に下げた。自分で下げた目標が実績としては三九・三%というように達成されなかった、こういう現状なんであります。だから、運輸省が期待したように、民鉄が言っているように冷房化率が進むであろうという期待はみごとに裏切られているし、民鉄協会は値上げの前には大きな数字を出しておきながら、四十九年値上げが済んだら、後でその数字を下げて、しかもその数字さえ達成していないと、こういう現状がある。  そこで伺いますが、今度の申請に伴って五十三年度、五十四年度、五十六年度ではどれくらいの冷房化率を民鉄協会は言っておりますか。
  114. 山上孝史

    ○説明員(山上孝史君) 先生御指摘の四十八年の問題につきましては、私具体的に承知しておりませんが、ちょっと推理が入りますが、それは申請時における民鉄協会側の計画だったかと思います。と申しますのは、五十年度の前回の運賃改定は、これは先生御承知のように、二九・九%の増収を図りたいという申請に対しまして、結論は、認可の中身は二四・八%であったわけであります。そういう修正査定をしておりますので、これと関係があるのではないかと、これは私の推理でありますが。  それからなお、先生のいまの御質問でございますが、今度の申請におきましては、冷房化の計画は五十四年度は五四・五%にしたい、五十六年度は六三・七%にしたいと、こういう計画になっております。
  115. 橋本敦

    ○橋本敦君 そこで、私はいままでの実績との関係で局長に意見を求めたいのですが、要するにいままで私鉄が申請時に言っておった冷房化率が実際達成されなかったという事実は、これは明らかになりました。そこで、五十三年度は四八・五、五十四年度は五四・五、こういう目標を立てております。過去の達成率の実績をとってみますと、四十九年度から五十年度にかけては二・七%達成をしております。五十年、五十一年にかけては五・四%達成、五十一年、五十二年は三・七%達成。では、五十三年そのとおり四八・五になるとしますと、四・九%の達成。五十三年から五十四年にかけて六%アップの達成であります。そこで私が指摘したいのは、いままで私鉄が言っておった達成率は、これはみずから達成されていない、低いんですが、平均しますと、運賃値上げ以後でも三・数%ずつしか冷房化率は向上さしていないんです。ところが、今度の値上げ申請に絡んで、五十三年度には四八・五というんですから、四・九%達成しますよという絵をかいている。五十四年度になりますと、六%も達成しますという絵をかいている。五十六年度になりますと、五十四年に比べて九・二%も冷房化率を達成しますという絵をかいている。これ信用できますか。過去の実績は、年度当たり三・数%の冷房化率アップしかやっていないんです。ところが、今度の値上げに関しては五%、六%、九%と、こうやっていきますと言うんです。運輸省いままでだまされてきた。これ信用できますか。私は、これは値上げのための絵をかいているという一面を指摘せざるを得ないんですが、どう思われますか。
  116. 山上孝史

    ○説明員(山上孝史君) ただいま先生御指摘のような問題、これにつきましても、いろんな角度からの申請に対する審査の一環として、当然取り上げて大いに検討いたしたいと思いますし、また審査の過程におきましては、運輸審議会に諮問を申し上げ、その答申を得てまいるわけでありますので、その審査の過程の一環として検討さしていただきたいと思います。
  117. 橋本敦

    ○橋本敦君 十分検討していただきたい。  ラッシュ時の混雑緩和も重大な課題ですが、この達成率も、これはまた値上げ申請のたびに出される達成目標率より実績は低いという実態にあることは間違いない。そこで運輸大臣に伺いますが、値上げを申請するときに、住民サービスあるいは乗客サービスとして冷房化をこれだけやりますよと言うんです。実際いままでやらなかった。混雑緩和率もこれだけやりますよと言うんですが、実際やらなかった。ところが、そういうことも含めて審査して、値上げ認可はもう済んじゃっている。認可が済んじゃった後で、実際こういうように民鉄は達成してないという、こういう問題について、一体だれが責任を負うんでしょうか。国民は期待して値上げをやむなしと認めたとしたら、国民はえらい迷惑ですね。こういう過去の実態に照らして、今度の申請について私はよっぽど厳密にやらなくちゃだめだと、運輸省の徹底的な指導と、そして厳格な注意を喚起した上でなければ、私はこれは容易に改善されない。資材が上がったとかなんとか結果的にはいろんな理由をつけるんですよ。しかし、それでは政治の筋が通りませんね。こういう過去の実態を見て、運輸大臣、一体運輸省の責任はなしと言えるだろうかどうか、どうお考えでしょうか。
  118. 福永健司

    ○国務大臣(福永健司君) 先刻私は厳しくという言葉を使いましたのでございますが、いま御指摘のようなことについても、まさに厳しくあるべきだと、そういうように思います。値上げ申請のときには、しかるべき数字を挙げておいて、その後の実績はこれと同じにはいかないということは、そういうことであっては非常に残念に思います。そういうことを念頭に置いていかなければいかぬと思いますし、まあ申請をした者が申請をしたようにするという責任もありましょうが、同時にこれを監督する立場にある運輸省としては、こういう点についても国民の期待にこたえるようにしなければならない、さように考えております。
  119. 橋本敦

    ○橋本敦君 まさにそうですが、最近の通勤ラッシュの混雑というのは本当に大変なもので、国民の緩和に対する要求か強いわけです。で、今度民鉄協会から出された資料でも、大臣、「混雑度の実績及び計画」を見ますと、私はこれもけしからぬと思っているんですが、こういうことなんですよ。混雑度の緩和は、五十一年は一九九、五十二年は一九六、わずか三ポイント下がりましたね。ところがね、今度の値上げ申請するについて、五十三年度は一九三ですから、これも混雑度の緩和はわずか三ポイントしか下がらぬというのです。いいですか。五十四年度は一九一、五十三年度に比べてわずか二ポイントしか下がらぬというのです。だから今度の申請自体を見ても、運賃値上げをこれは厳密に審査するということですが、混雑度の緩和ということから見ると、きわめてテンポが遅いんです。もっともっとこれやらなくちゃならない。ところが運賃値上げを認めてもらった暁に、五十四年度以降五十六年度になりますとね、民鉄協会は一七七だという見込みを出しているんですよ。一七七ですよ。毎年二ポイントずつしかようせぬのです――一九六、一九三、一九一。ところが突然一七七、二〇もポイントが下がるという、そんなはずないじゃないですか、過去の実績から見て。こんなずさんな申請書を、値上げしてほしいばっかりか知らないけれども、将来こうなるというずさんな絵をかいて、けしからぬと私は思うのですね。そしてこれでこのとおりならなかった責任はだれがとるかというと、いま大臣もお答えになったように、これはむずかしい問題で、だれが責任とるか問題ですね。だから運輸省がこの認可ということについて負う責任は、過去の実績から見てきわめて今回は重い、収支率の向上という状態から見てもきわめて重いと私は思う。そういう点で、運輸審議会の審議も、局長おっしゃったように、私か指摘した問題も伝えて慎重に審議するとおっしゃるが、運輸省自体か今度の申請についてはきわめて厳格な態度で臨むということを、私は大臣の立場として、もう一遍明言してもらいたいと思うのですが、いかがですか。
  120. 福永健司

    ○国務大臣(福永健司君) 先刻も申しましたとおりでございますが、いろいろ考えれば考えるほど、この事態に処して厳しくあるべきだと、こう思います。そういうことにいたしたいと思います。
  121. 橋本敦

    ○橋本敦君 私は値上げによって収支率があるいはそう簡単に改善されるかどうかについてさえ疑問を持っているんです。たとえば、大臣お読みになったでしょう、読売新聞が大きく出していますが、「それでも赤字 国鉄〃夏の陣〃逃げた客、月に六十万人」、つまり国鉄は七月の値上げによって、この夏こそがまさに正念場だと、赤字に歯どめをかけるという意気込みでかかった。ところが何とこの七月一カ月で前年に比べて六十万人も乗客か減っているというのですね。まさに国鉄離れがまた進んでいるわけです。これは国民生活がいま非常に苦しい状況にあることを考えれば、レジャーの倹約その他当然のことでしょう。だからそういう意味からいっても、私は値上げが経営改善に役立つという短絡した考え方は、そう簡単にいまの国民生活状況ではとるべきでない、またとれないという実情にあると思います。たとえば同じ新聞の報道ではありますが、新聞の調査によりますと、同じ去年のいまごろと比べて生活が楽になったあるいは苦しくなったかという調査に対して、一年前に比べて暮らし向きがどうかという点に対して、少々もしくは非常に苦しくなったと答えた人が三四%、四割近い国民がやっぱり苦しくなったと、こう言っているんですね。こういうときの私鉄運賃の値上げというのは、私はいま言った私鉄自体の経営状態プラス国民生活全体の立場から見て厳格に考えなきゃならぬと思うのです。  そこでもう一つ伺いますが、この私鉄十三社は、それぞれ大蔵省に有価証券報告書を提出をして、経営状態を明らかにしております。私どもがこの中で、この大蔵省有価証券報告書によって、各社が退職引当金あるいはその他資本準備金等で内部留保している金が一体どれくらいあるかということを推計いたしてみますと、三千六百億円に達しておる。こういう状況は、これはわかりやすいわけですが、局長も知っておられますか。
  122. 山上孝史

    ○説明員(山上孝史君) 承知しております。
  123. 橋本敦

    ○橋本敦君 私はこういう内部留保の金が、退職引当金、資本準備金等、経営上必要だという一面がありますから、全部吐き出せとは言いません。しかし、私鉄十四社で何と三千六百億円に上る内部留保金が現在あるというじゃありませんか。そして私が指摘をした経常収支、あるいは実際上黒字だという会社が一社にとどまらない、七社もあるという状態。こう考えますと、国民感情からしても今回の値上げというのはそう認められるものではないと思う。  さらに私が指摘したいのは、自治省に届け出た私鉄大手の政治献金が四十九年、五十一年、五十二年、これを総合計いたしますと五億六千二百八十万円に及んでいる。赤字だ赤字だと言いながら十分な配当、一〇%の配当を行う。政治献金は三年間で五億六千万円も行う。内部留保金は合わせて三千六百億円から内部留保している。こういう中で今度の私鉄運賃、値上げは私は認めるべきじゃない。ましてやいままで私鉄は冷房化率、混雑緩和率、これを向上しますと、こう言って実績はそれを達成してこなかったんだから、私は今回の値上げはこれは認めない。そして、冷房化率、混雑率、これは本当に言うとおりやりなさい、値上げをしなくったって五十四年度には経常収支は八四・九%、四十九年値上げのときよりもまだいい状況にとどまるんだから経営努力をしてやってみなさい、その実績を見た上で運輸省は考える、これぐらい私は英断を持って、いま国民生活防衛が大事なときには運賃値上げは認めないという、これぐらい大臣がおっしゃった厳格な立場をもっと進めて、今回の申請は認めないというぐらいの英断を持って対処してもらいたい、私はこう思うのですが、重ねて大臣の所見を承って私の質問を終わります。
  124. 福永健司

    ○国務大臣(福永健司君) 厳しく対処する所存でございます。そういう態度を持しつつ対処するのでありますが、先ほどから局長も答えておりますように、いまどうするかという具体的な措置につきまして検討中でもあり、われわれの検討と相まって、さらにその後運輸審議会にもいろいろお考えをいただくわけでございます。したがって、現段階で橋本さんおっしゃるように、ことしはもう値上げやめたと、そうはなかなか簡単にはまいらないので、この点につきましては先ほどからのお話もございますこと等も念頭に置きつつ対処したいと思いますが、ずばりことしは上げなくてもいいじゃないかという御質問に対しましては、直ちにもってさようでございますとはちょっと申し上げにくいことを御了承いただきたいと思います。
  125. 橋本敦

    ○橋本敦君 大臣ね、これはまあ大変なむずかしいことを私は御答弁求めたこと、私もわかっているんですよ。しかし私はいま言った状況からして、今回運賃値上げを認めなくたっていけるという考えなんです。  そこで大臣、厳しく対処するとおっしゃったが、運輸審議会がこれからあり、それから運輸省の判断があるわけですから、いつになるかわかりませんよ。しかし私は少なくとも申し上げたいのは、厳しく対処するというその運輸省の方針を、国会としても国民生活を守る立場で議論する必要がある。そこで、最低限これだけのことはできないでしょうか、と申しますのは、臨時国会があるかどうかわかりませんが、恐らくあるでしょう。臨時国会があるならば十一月に値上げを認めるという状況であるならば臨時国会でそのことをはっきりして、国会で論議する、そして臨時国会が終わった後、次の通常国会まで国会がない間に運輸省が認可してしまうというようなことはしないで、仮に臨時国会中に議論するという場が間に合わなければ次の通常国会、国会が開かれている間に運輸委員会等で十分意見を再び大臣は徴されて認可をする、つまり、国会の論議を抜きに、閉会中に認可してしまうというようなことはやらないと、これぐらいのことは大臣お約束願えないでしょうか。
  126. 福永健司

    ○国務大臣(福永健司君) 先ほどからも申し上げておりますように、いろいろの作業が今後進行していくわけでございます。どの時点でどうなるかまだわかりませんが、いずれにしてもなかなか簡単にいかぬように思います。ということは余り早くないということにつながると思うのでございます。まあしかし、そうではございますが、いまおっしゃったとおりにということになりますと、審議会もまた大臣の権限も、どうもそれじゃ決めてあることとずいぶん違うということにもなります。だから意地になってというつもりはございません。いずれにいたしましても納得のいく措置をとるということにはせいぜい努めたい、こういうように考えます。
  127. 山上孝史

    ○説明員(山上孝史君) 先ほど先生御指摘の三千六百億の内部留保につきまして、事実問題でございますので申し上げますが、これは一部の新聞に報道されたという意味で私承知しておりますが、それによりますと退職給与の引当金、それから資本準備金などを称して内部留保と、このような記事でございますが、これらにつきましては、いまさら申し上げることもございませんが、商法、税法、企業会計原則によりまして認められているものでございまして、企業経営の安定性を確保するために必要なものと考えております。特に退職手当の引当金は退職者に対してその支払い能力を確保するものでございます。したがいまして、これらの引当金等の取り崩しによって、先生御指摘のように経常収支の赤字を補てんするというお考えにつきましては、まことに恐縮でございますけれども、非常に問題があるのではないかと、こう存じます。
  128. 柳澤錬造

    ○柳澤錬造君 大臣、造船の問題でお聞きしてまいりたいと思うのです。  運輸省は何といっても国鉄と造船という大変厄介なのを抱えているので、恐らく大臣も夏休みはなかったと思います。いろいろ御苦労もあったと思いますし、それに敬意を表して、これから幾つかの点お聞きをしてまいりたい。特に国鉄の方は多少時間的にずれていってもつぶれるということはないんですけれども、造船の方は民間企業でそうまいりません。これはもう大臣も御承知のとおりに、かなりのところがつぶれてきておって、さらに来月、九月ごろに入ると急速に悪化していくと思うのです。その辺も御承知だと思うのです。これはこの前も取り上げたことなんですけれども、あのときはまだ海運造船合理化審議会の答申が出て間もなくだったんですが、大体一カ月たちましたので、この答申が出て一カ月たった今日の状況で、その後どういうふうに推移をしているんだろうか。あの答申の柱は、何といっても設備の削減を三五%やれということなんです。ところが三五%の削減をやることができたとしても、じゃ残った方にそれなりの施設が動くだけの仕事量がなければこれは何にもならないので、また元の木阿弥になってしまうわけなんですから、そういう点でもって三五%削減したらそれで解決だということになりませんので、これはもう大臣十分御承知だと思いますから、それらを含めて現在の状況をどう把握をされて、今後の見通しについてどうお考えになっているかという点からまずお聞きしたい。
  129. 福永健司

    ○国務大臣(福永健司君) 御質問の点につきましては、私どもも答申の当時よりも強く憂えをさらに一層つのらせつつ、現在対処している次第でございますが、答申は出ましたが、答申に盛られているようなことをそうばたばたとやれるような状況でもなかなかないわけでございまして、そこいらに悩みは非常に深いわけではございますが、それはそれといたしまして、各部署部署においてある程度の対策を講じておりますし、思ったように進まないところも現にございます。はなはだ残念には思いますが、そうばっかり言っていられないわけでございまして、対策につきましての諸般の具体的措置を急ぎたいというように存じております。多少その事実につきましては局長等からお答えさせていただきます。
  130. 謝敷宗登

    ○説明員(謝敷宗登君) 先生御指摘の海造審の答申をいただきましてから、これの中に盛られております設備処理をいかに円滑に推進していくかということ、それから需要創出措置、それから雇用対策金融対策等が盛られておりますが、私どもとしましては答申の趣旨を十分に生かして、まず手続的には特定不況産業安定臨時措置法に基づきます政令の指定をするわけでございまして、この政令指定のいま手続をしておるわけでございます。これの要件といたしましては、答申で言われております五千総トン以上の船舶を製造し得る事業者が六十一社ということでございまして、これの大部分、すなわち三分の二以上の社、それからシェアで三分の二以上の社が申し出をしなければならないことですが、現在までのところ、六十一社中五十三社が申し出をしておりますので、すでに要件は整ったわけでございまして、現在、今月末を目標に政令指定の準備をしております。政令指定をいたしますと、後また海運造船合理化審議会を開きまして、設備処理の具体的方法を内容といたします安定基本計画をつくるということになるかと存じます。  なお、その他の需要の創出等の措置につきましては、現在関係各省と鋭意来年度予算も含めましてお願いをし、要請をしながら需要の確保を具体化するための努力をしているところでございます。
  131. 柳澤錬造

    ○柳澤錬造君 これは局長でいいですけれども、いまの最後の需要確保の点で、補正予算との関係でもって恐らくお取り組みになっている点があると思うのですけれども、その辺でお話のできる範囲のところを聞かしてくれませんか。
  132. 謝敷宗登

    ○説明員(謝敷宗登君) 私どもとしましては、五十三年度から設備処理を行いました後でも需給のギャップが出てまいるわけです。したがいまして、この需給ギャップをとにかく五十三年度から具体化し得る需要をつくり上げていくということとあわせて、その高に応じて操業調整をやるわけでございますが、したがいまして、いま先生からお話しのございました五十三年度補正ということも含めまして、五十三年度、五十四年度ということを頭に置いてできるものは前倒しが可能かどうか、その量はどのくらいかということを関係省庁と協議をしているところでございます。
  133. 柳澤錬造

    ○柳澤錬造君 じゃ、これも大臣の方にお聞きしますが、ドル減らしの問題で、これはもう私が言うまでもなくて、先進国首脳会議でも五十三年度は黒字を六十億ドルにするんだと言って、総理がお約束をして帰ってきた。ところが、とてもじゃないけれども、もうまだ三分の一しかたっていないのにその六十億ドルが達成をしてしまって、いまの状態では来年三月は二百億ドルぐらいの黒字になってしまうんではないか、これは大変だというんで、政府の中でも本気になっていま黒字減らしをやらなければえらいことになるということになって、その中の大きな目玉で仕組み船の買い戻し、いろいろ関係の組合の方からもそういうことについての陳情が前にも行われたはずなんですが、なかなかむずかしい面があったのが、最近はむしろドル減らしのそういう大きな目玉としてこの問題が取り上げられて、政府の中でも取り組まれることを聞いておるわけなんです。その辺について、現在の状況でお考えになっていること、今後の見通しで、どういうふうにそれが発展をしていくような状況にあるのかということを、構想をお聞かせください。
  134. 福永健司

    ○国務大臣(福永健司君) 仕組み船やあるいは古い船の解撤その他につきまして、ここまで参りました情勢下ではどうしても進めることが必要であろうという政府なんかの考え方、これとともに、関係業者等の間でも、より深刻化しつつある事態のもとでこの種のことを、いままでももちろん考えてきたのではあるが、ここで本当にさらに厳しい考え方のもとで推進しなければならぬという考え方は、これはかなり強化されつつあります。また、本来なればこういうことが望ましいというように考えられてきたある種の数字的な限界点等につきましても、もとはそこまではというような考えでなかったのを、もうここまで来れば、さらにみんなが歯を食いしばってもこの程度はというようなことで前進をしているようでございます。その種のこと等が歩調を合わせる、ないし相補い合いつつこの仕組み船その他のものももうわずかで本当に実現の域に行くというところに近づいているように私は思っておりますし、将来的展望においてどう考えるかといういま御質問でございますが、ぜひそういうことを進行せしめたい、実現せしめたいと、こういうことが私どもの考えているところでございまして、この仕組み船等にいたしましても、やりようによりましてはかなりの額のドル減らしになると、こう思います。私は、単にドル減らしということのみでなくして、わが国の海運業だとかあるいは造船業、これをいかにあらしむべきかというような見地から特にこのことについては考えていかなければならない、それがたまたま同時にドル減らしになるということになれば、これはさらに幸いであると、こういうように考えております。
  135. 柳澤錬造

    ○柳澤錬造君 いまの大臣のお話の中からも、仕組み船と関連して解撤のことも出てきましたんで、そちらの方もずっとお聞きをしてまいりたいと思うのです。これもドル減らしの一環として取り上げてほしいという陳情が出されているはずですけれども、外国船のいわゆる中古船を大量に買い込んで、国内でもって造船の仕事がないから、かわりに解撤の仕事をやって何とか雇用を確保したいということになるわけなんですけれども、これなんかもいろいろとむずかしい問題があったんですが、最近は、かなりもうそこまで手を出さなきゃどうにもならぬじゃないかという気持ちにみんななってきていると思うんです。ただ、何とかかんとか言っても、これだけ賃金水準の高い日本ですから、そういう点でもって、かなり政府の方からの助成がないとやっていけない状態になっているので、それらについてどうお考えになっているか。そして、これもいろいろ計算のしようもあると思うのですけれども、年間で七百五十万トンぐらいの解撤、いわゆる船をつぶす工事をやっていくと、一万人からの雇用量がそこに生み出されてくるわけです。そうすると、それだけの船を買うということになると、それなりのドルも要るわけですけれども、いまの造船産業の現状を考えると、その程度のこと、ドルがある状態の中でやってやれないことでもないし、それがかなりいまの造船産業の危機を救う上についても大きく役に立つということも言えるのでありますし、その辺なんかについてどうお考えになっているか、お聞きしたいと思います。
  136. 福永健司

    ○国務大臣(福永健司君) この問題についての認識につきましては、私も柳澤さんと同じでございます。それなるがゆえに、これに鋭意対処しなければならぬという強い考えももちろん持っておる次第でございます。いまお触れになりました点についての従来の予算措置等では、私はこれだけではいかぬというように思っております。そこで、それに対する適切な措置を講じていきたいと考えておるわけでございます。いずれにいたしましても、その種のことを進めてまいりたいと思います。  若干、具体的なことにつきまして、局長から答えさせたいと思います。
  137. 謝敷宗登

    ○説明員(謝敷宗登君) 国内船、外国船の老朽船を解撤して、一つは過剰船腹の解消に役立たせるとともに、直接的には造船の仕事量の確保につなげるという構想につきましては、これは基本的にはきわめて適切な構想であるわけでございまして、ことしの四月に造船工業会から大臣のところに要請がありまして、雇用事情のために外国船を購入して解撤するという構想を持ってきたわけでございまして、この場合に、外国船の購入資金について緊急外貨貸し制度の対象にしてほしいという話を受けまして、四月二十一日の経済対策閣僚会議で、老朽船の解体事業を行う場合の外国船購入の円滑化のための措置を検討するということが決まったわけです。これが現在のところ足踏みをしておりますのは、先生御指摘のように、中古船の解撤に当たりまして採算の問題が一つあるわけでございます。この点につきましては、五十二年度の予算で、運輸省として総トン当たり六百五十円の補助金を出すことによって、この場合には下請事業者の解撤の技術改善を行いまして、コストを引き下げて解撤に習熟させて、これが定着化するということをねらったんですが、やはり中古船の購入とか、あるいはここから出てきますスクラップの売却等を考えますと、下請事業者の組合だけでは力不足の感がございますのと、やはり若干の赤字について、どうしても、かなりの努力をいたしましても若干の赤字を避け得ないということが判明いたしまして、極力努力をしたんですが、三分の一しか消化できなかったという事態があったわけです。その後昨今のような造船事情でございますので、造船事業者も下請事業者もともに挙げて仕事量の確保の一助として解体に取り組みたいと、こういうことでございますので、その合理化努力の結果も十分参照しながら具体的に残ります赤字の解消をどういうふうにして、場合によっては助成の措置等を講ずることも検討しながら解撤の促進をするための方策を検討しているところでございます。  ただ量的には、確かに世界の総船腹量の中で二千万トンぐらいの老朽船があるというお話は、統計上そういう数字は事実でございます。ただ問題は、壊しました解撤船からのスクラップの言うなれば消化能力といいますか、その点からいいまして全部日本でそれを解撤するというようなことは実際的にはなかなか困難でございまして、私どもとしては国内船も入れて百万トン程度の解撤を年間やれるにはどういう方法を講じたらいいかという規模で検討をしているところでございます。
  138. 柳澤錬造

    ○柳澤錬造君 局長、いま最後のところの日本では年間で百万トン、それはどういうことなんですか。
  139. 謝敷宗登

    ○説明員(謝敷宗登君) これは世界全体でいま記憶しているところでは、年間解体量というのは船にしまして四、五百万トンであろうと思います。そこでそれが日本一国だけで七百五十万トンを解体するということになりますと、これは一つはいわゆる発生しますスクラップをどうやって国内でうまく消化できるかということになるわけですが、そのうまくという中に二つありまして、量的にどのくらい引き取れるだろうかということと、それから余りに大量に一時にスクラップが出ますと極端に値下がりして、先ほど私が御説明申し上げました収支に大きな狂いを生ずると、この二つから百万総トンつぶしましてスクラップ量にしまして大体四十万トン強というのが年間で処理し、あるいはスクラップ価格が著しく下がらないで処理し得る量ではなかろうかという見当をつけているところでございます。
  140. 柳澤錬造

    ○柳澤錬造君 年間百万トン、そこのところ局長ね、昔のように造船所が繁忙で、言うならそんなスクラップなんてやってられないときは別ですね、これは新造船であるのだから。いまいよいよ新造船の仕事がなくなった、背に腹はかえられない、こういうことでもってやろうという気持ちになってきているわけです。で、先ほど世界でということで、私の手元のこれで見れば、五十二年は一千百万トン解撤やっているんですね。五十一年でも一千九十五万トン、五十年から後は大体一千万トンからの解撤をやっておって、それからもう一つこのくず鉄の輸入、これも全部やめてしまうわけにもこれはいかぬし、なんだけれども、これを見たって過去は大体もう三百万トン以上も輸入をしておって、五十一年は百八十万トン、五十二年も百四十四万トン、このところにきてぐっとくず鉄の方も鉄鋼がなにしてきているから輸入も減ってきているのだけれども、消費そのものからいけば五十一年もくず鉄は三千八百二十二万トンも使っているし、五十二年でも三千四百六十一万トンというふうに上がっているので、需要があることも間違いないし、それから、もちろん私も世界で一千万トンも解撤やっているんだから、その大部分を日本でなんてことは考えないし、そんなこともできることではないんですけれども、しかし局長が言われる百万トンというのは幾ら何でも少ないです、労働力もあり施設もあり、いろいろなことをやれる条件があるので。そのむずかしいのは、先ほどから出ているように私は思うのでありますが、採算の問題であります。ほとんどいま解撤の半分は台湾でやっているというのは、もう賃金がはるかに安いからあそこは成り立っているんです。ただ、採算の面でいま日本が成り立たないような状態に来ている。だからやめちゃったと言う。だけど量的なことや何かはかなりの条件があるんで、その辺のところは先ほど言った、何というんですか、百万トンやってくず鉄でせいぜい四十万トンと言って、輸入だけだって膨大な輸入をしているんですから、その辺はもうちょっと改めて、そしてもう少しスケールを広げて御判断といいますか、お取り組みをいただきたいと思いますですね。その辺について……。
  141. 謝敷宗登

    ○説明員(謝敷宗登君) 私も基本的には、解撤の量は実現可能な量をできるだけ多くやっていきたいという気持ちにおいては先生と同じ考え方だと思います。ただ、私が先ほど申し上げましたくず鉄の需要の中で、基本的に台湾それからスペイン等と違っておりますのは、船をつぶしますと、まず伸鉄用のスクラップ――これはかなり高く売れるわけでございます。それからもう一つは、溶解用の溶鉱炉に入れるスクラップあるいは転炉に入れるスクラップと、こういうものはかなり平均よりも低いわけでして、この収支の採算をとりますときに、伸鉄用のスクラップがかなり取れるということでないとなかなか収支がむずかしいということで、台湾とかスペイン等では比較的国内の需要で伸鉄を伸ばしまして、棒鋼とかそういったものをつくるわけですが、その需要がかなりすぐあるということで、それと先生御指摘の人件費という問題で、この二つが主に解撤国と言われておるわけですが、日本の場合には一つは棒鋼その他は御承知のような平電炉との問題もありまして、なかなか量がそれほど出ないであろうということが一つございます。  そこでもう一つ問題は、溶解用のスクラップというのは、これは全体で先生先ほど御指摘のありました三千数百万トンという量でございます。これは大体私の聞いておりますところでは、製鉄所の構内から出てくるのが半分と、市中から出てくるのが半分ということでございまして、従来から製鉄所の構内から発生するくずは大体たまっておりまして、なかなかこれがはけないというような状況がありまして、これはいろいろ検討さしていただいたんですが、少なくとも、とりあえずスタートとしてはできる、できてかつ企業に赤字をしょい込ませれば、またこれ問題になるわけでございますので、とりあえず私どもとしては、年間百万総トンぐらいをベースにしまして仕事をやらしていただいて、それが順次うまくいくようであれば、これは決して――決してといいますか、雇用のために、あるいは企業にとっての仕事量ということでも適切なことでありますので、ふやすということで、とりあえず当面は私どものいろいろ検討の上で百万トンぐらいのベースから始めさせていただきまして、それがますますうまくいくようであれば、そういう事態に対応をさせていただきたい、こういうふうに考えております。
  142. 柳澤錬造

    ○柳澤錬造君 よくわかりました。  それで、大臣いまいろいろ造船の政策で申し上げてきたんだけれども、私大事な点は数年前と全く条件が違うということですね。数年前にはこんなことを皆さん方の方でも考えたり、関係の業界なり労働組合がこんな問題に取り組むなんて夢にも思わなかった。そういう点から全く環境というか条件が変わってきているということと、それからもう一つ大事な点は、そういういろいろ政策をおやりになるのに私タイミングが大事だと思うのです。ちょっとしたことでずれてしまえば、せっかくいい政策というものがもう死んでしまって役に立たない。それで、これが今後古今永久にこういう状態だというならば、またこれはいろいろやり方もあるわけだけれど、少なくともいまここ二、三年がかなり落ち込んで、昔のような状態には戻らぬけれども、また言うならば、三年ほど過ぎたらやや回復するということの見通しもあるわけなんですが、そういう点でいろいろ政策をお取り組みになるについてタイミングの失しないようにやっていただきたいということを御要望申し上げて、そういう意味で、先ほど局長言われたその趣旨はわかりますから、特にくず鉄の問題は何というんですか、輸入の価格もかなりこれは変動する方なんですから、そういうのも見合わせて当然これやる以上は備蓄の問題も含めてお考えいただかなきゃならないので、そういう点で取り組んでいただきたいと思うのです。  次に、海運局長の方にこれは聞いていった方がいいと思うのですけれども、海運の国際収支の問題、私が端的に言いたいのは、もう少し日本船の優先使用ということを考えなきゃいけないんじゃないだろうか。いまはドルが余っているから、海運の国際収支もかなりの赤を出しておってもそれほど大した騒ぎにならぬと思うのですよ。しかし、三国間貿易でも大体ここのところ、これももうもっとふやさにゃいかぬことだと思うのだけれども、年間十億ドルから三国間貿易で海運産業がかせいでおって、それで結果的には大体ここもう三年前ぐらいは十五億ドルが、いまもう十八億ドルからの赤になるわけでしょう。ドル減らし、ドル減らしと言っているんだからいいんだけれど、長い将来見たときに、こういう状態でいいだろうか。それでもう積み取り比率が急速に下がってきて、少なくとももう戦前ならば輸出が三分の二、輸入ももう少なくても三分の二というものは日本船で運ばれておったのが、いまはもう一番新しいところで言えば輸出が二〇・九%、輸入においても四四・三%、もちろん外国用船もありますですよ。ありますけれども、やっぱりもうちっと日本の旗を立てた日本の船で物を運ぶということを確立をしておかなければ、いざになったときに私は大変困ることがあるんじゃないだろうか。そういう点も含めまして、当面はドルが余って、どうやって減らそうかといって政府が苦労しているくらいですからいいですけれども、長い将来考えていったときに、日本船を五〇%使用するというような政策をお立てになって、そういう立場からの御指導をなさることが必要だと思うのですけれども、海運の方といいますか、国際収支の関係と絡めてその辺の御見解をお聞きしたいんです。
  143. 真島健

    ○説明員(真島健君) 先生がいま御指摘になりました海運国際収支、五十二年度の数字はおっしゃるとおりの数字になっております。確かに先生のおっしゃるように、長い目で見た場合、私はやはり日本船の貿易関係における比率、これは高めるのがいいと思っております。ただ、御承知のように、現在非常に海運全体不況の状況でございまして、最近に出ました海造審の報告でございますけれども、日本船の外国用船をも含めた最低規模約一億一千万重量トン、そのうちで現在ほとんど半分が日本船、半分が外国用船、こういう形になっておりまして、報告では、五十五年ぐらいまでを見通した場合に、これはいままでのように船腹拡充という状況はとても考えられない、むしろこれだけの外国用船も含めた日本商船隊を守り抜かなきゃならない、そのためにいろんな施策を考えたらいいだろうと、こういう報告になっております。そして、特に純粋と申しますか、日本の旗を立てた純粋な日本船の国際競争力が非常に落ちておるということが船員費その他の問題と絡めて指摘をされております。私どもこの報告は、われわれは当然日本船を主体にした日本商船隊を考えなきゃならないのでありますけれども、現在のこの不況という状況、石油ショック以来の不況という状況が、ほとんど半分近くの外国用船をいろんなやり方をいたしまして、日本船社の支配下には置くけれども、外国用船という形をとらざるを得ない、こういう状況があるのを確認したような報告ではないだろうか。そういう意味では、私、将来長い目で見ました場合に、こういう不況を乗り越えまして順調に安定成長が望まれる時代におきましては、先生御指摘のように、日本船による輸送のシェアをふやしていかなきゃならない、このように考えております。  ただ五〇%がいいのかどうかという問題につきましては、御承知のような定期船同盟憲章条約、これは批准は日本はしておりませんけれども、約四年前にUNCTADにおきまして条約として成立をいたしまして、この中で二国間の貿易について当事国同士が四〇、四〇、第三国が二〇ぐらいの比率というのを一つのガイドラインとして考えたらいいんじゃないだろうかという趣旨の規定がございます。これは定期船だけでございますから、トランパーその他はまた別でございますけれども、そういうようなのもありまして、たとえばそのコードによりますと、定期船関係では四〇というようなこともございます。したがって、全体をながめながらわが国にとって最も適切な比率を目指しながら政策を立てる必要がある、このように考えております。
  144. 柳澤錬造

    ○柳澤錬造君 局長、いま外国用船の関係は石油ショックというか、これは石油ショックの少し前ですね、その辺のところは余り掘り下げたってしようがないけれども、このまま放置をしておけば予想もしなかったような状態になってくる。それで日本の海運というものがアメリカみたいになってしまうと私は思うのですよ。そうなってしまってからこれは大変だと言ってももうそれは戻らないでしょう。だから、いまのうちにそういう長い将来を見て考えていかなきゃいけないし、そういう関係からさっき言った仕組み船も思い切って大量に買ってきて、そして走れるのは旗の立てかえをやった方がいいでしょうと言っているわけなんですから、そういう点でお考えいただきたいと思うのです。  時間もなくなったんで、海上保安庁の方の長官にわざわざおいでになっていただいたんで、これもいまのいわゆる外国用船との関係に絡んで、私は災害の方なんですけれども、ことしの三月の十六日にフランスのブルターニュ半島沖でリベリア籍のアモコ・カディス号という、これは二十三万トンタンカー、これも便宜置籍船のはずです。あれが座礁して油を大量にあそこに流して、ともかく延々と二百数十キロにわたって油があそこの英仏海峡のところを汚したわけなんです。軍隊が数千人出動し、軍艦だけでも二十四隻が出動したけれども、どうにもならなかったということを聞いているわけなんです。それで、この事故を大変重大視をしたフランスの政府でも、もうこれからは領海に入る際には航路及び積み荷を通報しろと言っている、それからまた、沿岸五十海里以内で発生したすべての事故は通報しろと言っている。で、これに違反したらフランスの裁判所で召喚をするということまで決めて、世界じゅうの国に通知をしているんですから、私は日本政府に来ていると思うのです。かなり厳しい態度を決めているわけなんですね。  そういう点から関係していって私が心配するのは、あのような事故が日本の沿岸――日本の沿岸といっても特に私心配するのは、東京湾なりそれから伊勢湾、大阪湾、それから一番大事なところは瀬戸内海なんです。あの瀬戸内海の中も水島のなにがありますから、あそこにかなり大きなタンカーが油を積んで入っていくんです。明石海峡を通る船だけでも一日に約千二百隻あるというんですね。それだけのものが毎日あそこの海峡の狭いところを通って出入りして、普通の貨物を積んでいる船は私の方は何も大して心配することないけれども、何といったって油を積んだタンカーなんです。そんな二十万トンからのタンカーがあの辺の明石海峡を越えて瀬戸内に入っちゃってから、何かの拍子に、過去においても衝突もしているんですし、なにもやっているわけなんですから、そういうことを起こしたならばどうなるかといったら、私は恐らく瀬戸内海全部が油で埋まっちゃうと思う。で、これは水島の事故でみんな気がついたんですけれども、油というとすぐ私たちは石油かなんかのような感じがするけれども、あの積んでいる重油というのはそうじゃないのであって、これは保安庁でも何というんですか、油回収船いまお持ちだけれども、私もこの前なにのときにも見せていただいたんだが、あの程度の回収船なんか私はそのときになったら、あれは演習だからああやって見せておられただけであって、本当に油の流出した海になったらあの回収船は使いものにならぬと思うのです。ですから、そういう点を考えたときにどういうことをお考えになっているんだろうか。私は、ですからそういう点でもって水島港のようなところにそういう大きなタンカーが油を積んで入っていくということ自体、認めていていいかどうかということが第一の問題点です。それから、東京湾、大阪湾、伊勢湾もそうですけれども、特に瀬戸内海のような閉鎖性水域の中に出入りするタンカーに対しての事故防止の手は何か打っているのかどうだろうか。  それからもう一つは、私に言わせるならば、いま言った非常に閉鎖されたような東京湾、大阪湾、伊勢湾、それから瀬戸内海のようなところは、もう二重底をしていない船は入れないとか、あるいは先ほども言ったフランスの沖で事故を起こしたようなああいう便宜置籍船のタンカーはもうこの中には入ってこさせないとか、そういうかなり厳しい措置をいまのうちにおとりにならなきゃいけないんじゃないだろうか。事故が起きてしまってからさあ大変と言ってもこれは取り返しがつかないので、その辺について、これは保安庁の関係になると思うので、どういうお考えを持っているか、これを最後にお聞きして終わります。
  145. 高橋寿夫

    ○説明員(高橋寿夫君) 先生御指摘のように、瀬戸内海の主要航路では一日大体平均しまして千隻以上の船が出入りいたしております。そのうち、タンカーは大小取りまぜて百数十隻でございます。もっとも巨大タンカーといわれる二百メートルを超えるタンカーは実は十隻ございませんけれども、しかしいずれにせよ、大小取りまぜて百数十隻のタンカーが主要海峡を出入りしているわけでございます。これらは御承知のように、水島等の臨海工業地帯に油を供給するための船舶でございますが、一たん海難を起こしますと瀬戸内海全域にわたって大変な影響を及ぼすということは御指摘のとおりでございます。これは東京湾でも瀬戸内海でもどこでもそうでございますが、できればそういうところへ油を積んだ船が入ることを本当は制限、禁止すれば一番いいわけでありますけれども、やはり臨海工業地帯の維持という点から考えますと、それもなかなか一方的に海上の安全ということだけで割り切るわけにいかない、そういうことがございまして、御指摘のように大変大きな危険も伴いますので、すでに海上交通安全法をつくっていただきまして、その交通安全法の中に事細かにルールを決めまして、特に十一の指定海峡、指定航路につきましては航路ごとに事細かに通航方法を決めてやっているわけであります。瀬戸内につきましても、明石あるいは水島、備讃瀬戸、宇高航路等々、特定の航路を指定いたしまして、それぞれの航路に応じた船舶の航行の方法、特に船同士の行き会いの仕方、あるいは特に巨大船などとすれ違う場合の航法等につきましてルールをつくって指導いたしております。また、これを監視するために巡視船等を常時配置いたしております。また、これらのルールが守りやすいように各種の信号所を設けまして航行管制がしやすいようにしているわけでございますが、私も先日これらの狭水道を見てまいりました。お天気のいいときはいいわけでありますが、やはり春先から夏にかけて霧の深いときでございますとか、あるいは季節風の強いとき等につきましてはなかなか問題があるということを感じてまいりました。今後とも私どもといたしましては、あらゆる手段を講じましてこれらの海域での事故を予防するということに全力を挙げたいと思います。  やはり基本的な方法としては、いま御指摘のようなタンカーの分離バラストタンクあるいは二重底のようなものをやっていただくということはベターであると思います。これらはすでに国際的にも議論が進められているわけでございますけれども、これらにつきまして私どもの立場からするならば、わが国におきましてもそういった関係の方向になっていくことが望ましいと思いますが、また、これは船舶安全法に基づく船舶構造規制の問題でございますから、船舶局等で御検討いただいていると思います。これらを進めていくことがやはり基本的にこういった事故を防止する方法であると思います。  ただし、このようにあらゆる船に対しまして一つの規制をかけるということはよいと思いますけれども、船の所有形態、たとえば便宜置籍であるかどうかというふうな所有形態、保有形態等によりましてこの特定の海域への入港を禁止、制限するということにつきましては、なかなかやはりむずかしいのではないかという気がいたします。これはむずかしいと申しますのは、わが国だけでやることはなかなかむずかしいと思います。しかしながら先ほどお示しくださいましたブルターニュ海岸での事故等契機といたしまして、こういうことに対してやはり各国とも関心を払おうという機運が高まってまいっておりますので、やはり国際的な場に持ち出しまして、特に便宜置籍船のようななかなか監督のしにくいような船につきましてどういうふうにしたら一番いいのかということにつきましては、国際的なやはりルールなり方向づけをしていただきまして、そういった中でわれわれも対処していきたい、こう考えているわけでございます。  なお、不幸にして事故が起こった後の問題につきましては、各種の油防除船、回収船あるいは回収装置等の配備をいたして、これは船の所有者が義務づけられるものと、それからコンビナートの方で義務づけられるものと両方ございますが、しかし、これらにつきましても先生御指摘のように、一たん事故が起こってしまいまするならば、なかなかこういったもので対応するということはむずかしゅうございますし、時間がかかります。何よりも事故を起こさないということが主眼でございますので、そういったことについてこれからもなお検討を進めてまいりたい、こう思っておるところであります。
  146. 柳澤錬造

    ○柳澤錬造君 大臣、時間があれですから、いま長官が言われたこの船の形の、私はいわゆる便宜置籍船と言って、そういういわゆる所有形態で規制するのはむずかしいし、日本だけで云々、国際的な場に持ち込みたい、この点ももうそちらの方でもおわかりのことだから私言わなかったのだけれども、ことしの三月にももう北欧のスウェーデンや全部が、北欧八カ国ですか、それが一緒になって、そうして言うならばこういう便宜置籍船に対してかなり厳しい態度を決めて、一緒になってそういう国際基準にそぐわないものに対してはびしっとやろうじゃないかとやっているんですから、むしろそういう点で日本の方が私はおくれている、そういう意味でなにしていますので、いろいろ先ほど申し上げましたそういうことも含めて今後の課題として重きを置いて取り上げていただきたいと申し上げて終わります。
  147. 三木忠雄

    ○委員長(三木忠雄君) 本日の質疑はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後三時十五分散会