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1978-06-05 第84回国会 参議院 商工委員会 19号 公式Web版

  1. 昭和五十三年六月五日(月曜日)    午後一時五分開会     ―――――――――――――    委員の異動  六月二日     辞任         補欠選任      遠藤 政夫君     真鍋 賢二君      浜本 万三君     大塚  喬君  六月五日     辞任         補欠選任      大塚  喬君     森下 昭司君     ―――――――――――――   出席者は左のとおり。     委員長         楠  正俊君     理 事                 大谷藤之助君                 福岡日出麿君                 対馬 孝且君                 安武 洋子君     委 員                 岩崎 純三君                 下条進一郎君                 中村 啓一君                 長谷川 信君                 真鍋 賢二君                 前田 勲男君                 増岡 康治君                 穐山  篤君                 小柳  勇君                 矢田部 理君                 馬場  富君                 峯山 昭範君                 市川 正一君                 藤井 恒男君                 柿沢 弘治君    事務局側        常任委員会専門        員        町田 正利君    参考人        海洋法・海洋問        題研究家     麓  多禎君        東京教育大学名        誉教授      橋本  亘君        評  論  家  北沢 洋子君        慶応義塾大学教        授        栗林 忠男君        日本石油開発株        式会社常務取締        役        伊藤 治郎君        明治大学教授   吉田 忠雄君     ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○日本国と大韓民国との間の両国に隣接する大陸  棚の南部の共同開発に関する協定の実施に伴う  石油及び可燃性天然ガス資源の開発に関する特  別措置法案(第八十回国会内閣提出、第八十四  回国会衆議院送付)     ―――――――――――――
  2. 楠正俊

    ○委員長(楠正俊君) ただいまから商工委員会を開会いたします。  委員の異動について御報告いたします。  去る六月二日、浜本万三君及び遠藤政夫君が委員を辞任され、その補欠として大塚喬君及び真鍋賢二君が、また本日、大塚喬君が委員を辞任され、その補欠として森下昭司君がそれぞれ委員に選任されました。     ―――――――――――――
  3. 楠正俊

    ○委員長(楠正俊君) 日本国と大韓民国との間の両国に隣接する大陸棚の南部の共同開発に関する協定の実施に伴う石油及び可燃性天然ガス資源の開発に関する特別措置法案を議題といたします。  本案審査のため、本日、参考人として海洋法・海洋問題研究家麓多禎君、東京教育大学名誉教授橋本亘君、評論家北沢洋子君、慶応大学教授栗林忠男君、日本石油開発株式会社常務取締役伊藤治郎君及び明治大学教授吉田忠雄君の六名の方々に御出席願っております。  この際、参考人の方々に一言ごあいさつを申し上げます。  本日は、皆様には御多忙中のところ本委員会に御出席いただきましてまことにありがとうございます。  本案に対する皆様の忌憚のない御意見を承りまして、今後の本委員会における審査の参考にいたしたいと存じておりますので、何とぞよろしくお願いを申し上げます。  なお、参考人の方々には、それぞれ二十分以内で順次御意見をお述べ願い、その後各委員からの質問にお答え願いたいと存じますので、よろしくお願いいたします。  それでは、まず麓参考人にお願いいたします。
  4. 麓多禎

    参考人(麓多禎君) 麓でございます。  大変失礼なんでございますが、お手元に差し上げましたこの英文は、実は私が昨年の十一月にハワイのホノルルでアメリカの海洋法の学会がございまして、それへ持っていきましたものでございますが、この中には別に政治的なことは何も書いてございませんで、ただ皆様方に御説明するのに図が非常に見やすいと思ったものですから、こちらへ持ってまいりました。  それで、一応最初に私の結論的なものを申し上げますと、この日韓大陸だな協定がいいとか悪いとか、私はそういう次元ではこの問題は考えたくない。結論的に申しますれば、私はこの前新聞で拝見しました通産大臣の御発言あたりが一番妥当ではないかというふうに現状の時点では思うわけです。ただ、いろいろの事情を御説明しますので、一応このお手元に差し上げました英文パンフレットのページ数を申しますので、ちょっとお話し申し上げる順序に開いていただきたいと思います。  最初に十ページの図を開いていただきたいんですが、これはもともと問題点としては、実は石油があるかないかということが一番大きな問題でございますが、その論争の基本になったのが一九六八年エカフェから発表されましたこの図であります。そこに差し上げてあるのには入っておりませんけれども、この図が一応国会あたりで審議される場合の基礎になる図ではないかというふうに私も考えますのは、ただ石油があるとかないとかというようなことで一応物を言う場合には、やはりこれは古いんですけれども、一番大事な図で、これが出てから一度にわあっと騒ぎ出したわけですから、一応御説明申し上げますと、そこの図の左下の方の部分の、ここに書きました紫色のところが地質上石油が一番ありそうだという堆積層の深い場所でございます。  そして第一の問題点として、石油が私はないとは申し上げない、ないとは申し上げませんけれども、これで見ますとおりに非常にこの場所は外れておる。それでいろいろむずかしい問題が資源の上からあるんじゃないか、これが一つの問題点でございます。それでこの後から出ました図が実はこれです。これは日本の地質調査所などでつくりましたのをエカフェで出してあるので、この紫の部分が修正された堆積層の部分でございます。ほとんど変わりございませんけれども、この二種類が国連の委員会で出しました一応の論拠になる資料でございます。そのほかの細かいものにつきましては、私はそれの専門家じゃございませんものですから、いろいろおやりになった方もあると思うのですけれども持っておりません。  それで基本的な問題点の一つが、つまり大陸だな協定の橙色のこの場所というものは大きな資源から外れておるのだと――ないとは申しません。ここにも一応食い込んでおるわけです。ここは深いですけれども、一応は堆積があることになっておる。ここが一応五島の沖、これは掘ったときは私も西日本石油開発の仕事をしておりましたからすぐ見ました。確かに出ましたけれども、それは何かドラムかん何本とかいうことだったと思いますが、そういうことで資源というものについては大変外れにあるのだということでございます。なお、ここに持ってまいりませんでしたけれども、北海の場合を考えますと、北海は大体北に向かって深くなりまして、そして落ち込むわけですが、専門の方もおられるわけですが、深い方にだんだん石油が集まるという理論でいきますと、現在北海のブレントというのがスコットランドからかなりシェトランドの東にございます。そこに一番大きな油田があるわけですが、そういう論理がここに当てはまるかどうかは別といたしまして、素人の推理でいきますと、やはりその意味では問題の尖閣諸島のこの付近がやはり一番あるんじゃないか、そういうことでございます。  次の問題点は、海洋法の問題から境界をどう考えるかということでございます。それで一応十一ページを開いていただきたい。ここには概略御説明申しますと、一応各国、と申しますのは台湾、朝鮮、日本がどういうふうに主張し合ったかという概略図でございますが、私はどこの会社がどことったなどということは一切知りません、大体私はそういうことには興味はございませんので。ですけれど、一応その意味におきまして大変複雑な交差点になっておる。そして一番右下の図でございますが、黒く塗りつぶしたところの下に点々が右に張り出した、その部分がいわゆる尖閣諸島として、それの帰属によって仮に中間線をとりますと、そこに書いてあります点々の部分が、中国が領有した場合には中間線は点々の部分まで下がっていくということで、ここに非常な係争問題があるということがおわかりになると思います。  海洋法の問題は栗林先生もお見えになっておりますので、私は率直に言って海洋法の学会には出ましたけれども、これを報告したわけでもなければ、具体的に先生の方がよほどしっかりした御意見をお持ちと思いますが、ただ、かねがね私が主張しておりました一つの点は、外務省が主として主張しておられますところの、中国との関係においてどう考えるかということにつきましては、これは英文でございますのでページは申し上げませんけれども、ここに掲げました中に、一応合意をとるということにならないとその線が定義づけられない。もちろんこれは海上に線を引きますので、合意そのものにつきましてもいろいろな条件があるので、たとえば九州の横っちょに韓国と一緒に線を引くのに中国合意は要りませんでしょう。ただ、一応中国が大陸だな――ここでは一応十二ページをあけていただきます。十二ページの横線がいわゆる中国が主張している地形の延長でございます。  この場合に一応地形的に見ますと、この横線を引いたところが大体中国地形上の延長である。地形上と申しますのは、海の浅い深いをここでは申します。その場合に、これをずっと非常に精密に調べていきますと、やっぱりここにくぼみがある。そうして問題のこの済州島の付近もちょっと問題がありまして、そうしてこれがいわゆる大陸だなというものでここにでき上がっております。そこで中国のここに主権的権利が及ぶかどうかということは、これはいろいろむずかしい論争になる点でございますが、少なくとも地形上こういうところに大陸だなの線が伸びておるということで、しかもこの中に入っておるということになりますと、やはりこの点を決める、特にこれは中間点です。日中間の中間点がここにあります。それを日韓で合意するということは、中国合意をとらなければ国際法としてははなはだ非常識なことになることはもう御存じだろうと思います。  そういう意味において、この境界線というものは実質的に問題がございますので、したがってこれはまあ慎重に御審議をされてしかるべきでないかということは、昨年の衆議院参議院でも私が申しましたとおりでございますが、まあ率直に申しまして、いま仮に一番いいところを掘りたいと思えば、やっぱり中国の近くになってしまう。そこで日中関係というものは非常にデリケートでございまして、特にアメリカが入りますので簡単に   私はもちろん日韓の友好ということに対して反対しているわけでもなければ、石油を掘るなとも言っているわけでもないのです。ただよほど慎重にやりませんと、国家千年の計にかかわることであるということは十分言い得ると思うんですが、その点につきましてこの私のレポートの非常に大事な図がございますので、まず二ページを見ていただきます。  これは二ページの図は一応中国の石油が十分出た場合の日本を中心とした世界の石油輸送の経路の変わり方です。これは拡大してございますので一応認めていただいて、最も大事なのはこの五ページです。  五ページの図は、一応右も左も大事でして、左のはさいころを転がしましたようになっていますその青い部分が、つまり中国の油というものは現在石油の生産につきましても世界統計にはっきり出ておらないわけですけれども、私は一応皆様の御注意を引くためにこういうものが、全然この図に載らないものがあるのだということを申し上げまして、さらに右の左下の方の、これは原価でございます。原価で、左下の方は一番上が大慶、それから二番目の丸いのは渤海、それから次は黄海、次はトンハイ、すなわち東海です。現在、ことしから掘っておりますのは南海です。中国はいま見えませんが、ずっと南を掘っております。  それで結局こう見ますとわかるように、非常にコスト高になるということで、中国がここに出資することはまずあり得ない。そこでこの油田の取り扱い方が基本的に大事になってくるわけです。どれだけ石油があるかにつきましては、私は専門家でございませんので、ただ漠然とした数字ではございますが、たしかこの前、衆議院で五十七億キロリットルですかと申し上げましたのは、一応専門家の出した数字に私が北海の伸びを、つまり発見から生産にいきます過程の中で埋蔵量が、見かけの埋蔵がふえた伸びを書きましたものがたしかそのくらいになったのですが、私はそんなものは余り検討の対象にはならぬと思います。一応そういうものは私の方からも出した覚えがございます。  そこでいかにこの石油というものが大事かということがおわかりになったと思いますが、次に時間もございませんので、この協定の性格上、何か海洋環境との間に問題点はあるかないかということを一つだけ最後に申し上げましょう。それは一応八ページの図をごらんになっていただきます。八ページの図をごらんになっていただきますと、ここに下が黒潮の流れが書いてございます。その左側が、要するに黄海にいつも冷たい水がたまっていまして、それが下がってきて、したがって、そこの下がるところで産卵場になるということで、この付近は実際申しまして非常に海洋環境が不安定なところでございます。したがって、いま尖閣諸島の海面と比較いたしますと、尖閣諸島の方は、海は非常に荒うございますけれども、流れは一応大体において安定している場所になるわけです。  したがって大きな海面を、日本の最高指導部にあられる方が御指定されて、開発はどうか悪いかということをお決めになる場合には、やはり海洋環境、そしてこの海面は何に最も適しているかということを御審議にならなきゃならぬと思いますけれど、そういう点から申し上げますと、最初に申しましたとおりに、石油の地層もはっきりしない、しかもこの海面は一番複雑で、何か事故が起こったら非常に大きな影響を及ぼすと、私は石油を掘るにつきましては、波の専門家でございまして、そのために各社に大分御用回りもしたこともあるんですが、その場合に、ごく最近、昨年の衆議院の審議のあります前にそちらの西日本に行きまして、シェルですけれども、ここの重役と、これはたしかフランス人ですか話したときに、私はここに協定がございませんが、協定の中で数字を挙げていわゆる安全保障の限界を示した油圧があるところがございますけれども、ちょっと私ここにございませんが、その油圧の標準が、危険性の問題ですね、シェルが現在北海でやっているものに比べるとかなり低いんじゃないかということを言っておりました。それで、十分に予防措置がしてあるということでございますけれども、ただ、北海のようなベテランの国がベテランの人を全部そろえてやっても――それだけ慎重にやっておる。  ですから、仮に東シナ海に手をつける場合には、やはりもうちょっと慎重におやりになるのがいいんじゃないか。当然のこととして、いわゆる鉱山法というものが非常に古いものをそのまま使って、これで差し支えないという御意見になっておりますけれども、やはりその辺は北海の例を見ますと、掘る前に六年がかりでいずれも法律を全部整備してやっておる。ところが日本のこの協定は、ただ昔の協定をそのまま使いますという御説明だけです。これでは率直に言って、安全であるということにわれわれは納得いかないんです。そういう点を締めていただくのがこの委員会の最大の目的ではないかと思います。  以上簡単に申し上げましたとおりで、ただ繰り返しますようですけれども、最後に一つ申しますと、尖閣諸島の問題です。尖閣諸島の問題につきましては竹島と並んで、私の意見は、朝日の論説委員の方に集まっていただいて一回お話ししたことがある。それは非常に大事なことで、実は前の参議院でも衆議院でも申し上げようかと思ったんですけれども、あえて言いませんでしたのは、この尖閣諸島の問題は歴史的な犬牙で、今後紛争はほとんど解決するということは簡単にはいかない。竹島も同じであります。その場合に、私はあえて一言申し上げたいのは、やはり日本は明治以来のいわゆる帝国主義の侵略という過程の中において、竹島も尖閣諸島も日本の領土にしたということについては、われわれがよほど歴史的に反省いたしませんと、少なくとも国家百年の計を決める上においては、そう軽々に領有権は主張できない。私は竹島につきましては、これは明らかにいまの国際法におきましては先占の理由は立ちますけれども、ただあれを日本の領有にしましたときには、すでにがんじがらめに朝鮮の王国の政府は手を縛られて、そしてしてしまった。その決定は、将軍綱吉の時代にいわゆる鎖国を強化いたしまして一応放棄した、放棄したのを、明治の政府はそのまま竹島を日本領土でないと思って受け継いだんです、徳川から。そういういきさつがございます。  それから尖閣諸島につきましては、これはもうすでに講和の問題がロンドンで話が始まった時点において領有の問題が形式的に起こったということで、この尖閣諸島という名前の島からいきますと、やはり古くは中国の固有領土ということが言えると私は立論いたします。  それで現在問題点は、どうしてこの石油を有利に掘るかということが問題でございまして、これは何も特別に領有権をがむしゃらに否定する、主張するということだけではないと思います。率直に言うならば、もうこの際尖閣諸島を半分にしよう、魚釣島をひとつ中国と一諸に使おうじゃないか、一緒に基地をつくりましょうと、だから線をこう引いてくださいと言えば、竹島を返しちゃう、尖閣諸島もそういう意味で折半しちゃうというと、この線が一応決まるわけです、こちらに大体。でないと韓国の場合も必ず竹島の問題後を引く、最悪の場合にはここまで押し返されます、国際法の問題からいきますと。また尖閣諸島の場合もこっちに押し返されます。いまのうちならば日本の国民を納得させ、また議会の所見が十分に御配慮されるならば、そういう線がいまなら引き得る、その条件に該当して、やはり一番有利な開発条件がそろうというふうに私は思いますので、この秋までに論文をまとめて出しますけれども、そういう歴史的な時点において尖閣諸島の問題、日韓大陸だなの問題というものが論議されていることを私は強く認識しているわけでございます。  まあまた御質問にお答えいたしますけれども、至りませんでしたが、一応これで御説明を終わります。
  5. 楠正俊

    ○委員長(楠正俊君) ありがとうございました。  次に、橋本参考人お願いいたします。――どうぞお座りください。
  6. 橋本亘

    ○参考人(橋本亘君) 失礼して腰かけさしていただきます。  私も法律には素人でございまして、専門は石油地質屋でございます。その専門的な見地からここを掘る必要性のあることを申し上げたいと思いまして、法案の逐一については、一々読んだりなどいたしましても私どもにはとうていわかりかねまして、たとえば大陸だなという一つの定義にいたしましても、こんなものは一八八八年にミルという人が、当時のその海底地形のことを海図の上から調べまして、そしてその百ファズムのところへ行くと傾斜の変換点があるんだと、そこのところまでを――百ファズムといっても場所によっては百五十ファズムのところもありますが、平均的にそこのところを大陸だなのマージンにしようと言ったのは私の生まれる二十年も前の話でございまして、そしてすでにそういう大陸だなという言葉を、当時は大陸棚としてぼくらは中学のときに習って、二百メーターということを聞いておるのでありまして、そういうものがどうしたことか二百メーターは開発の限度の深さで決まったというように言われますと、もう私どもはとてもそういう法律論的なことには何とも申し上げられないので、ただ私といたしましては、こういうような、残されたこんなりっぱなものがあるのに、それも手をつけないで置いていいものか、できるだけ早くこれを手をつけていただいて、いよいよ石油の需給バランスが崩れてくる、一九八五年から九〇年にかけてのところで少しでも足しになるようなことになればと、こういうふうに思っておるのでありまして、それで石油があるかないかというような議論、つまり石油がペイするだけ集まっているかどうか、こういう問題がそう簡単に見通しがつけられるものならば地質屋は全部会持ちになっております。そういうようなことで非常にむずかしいものでございます。  それで、私はいまいろんなここの価値の判断を皆様がなさるときの御参考になることをひとつ、もうすでにドレークがアパラチアにおいて第一号井、近代的な石油業の足跡を示してから一世紀以上たちまして、その間において歴史的にどういうふうにその石油の探鉱法が変わってきたのかと、こういうことを申し上げて、その条件がどういうふうにここにあるのかということを申し上げてみたいと思います。  石油の探査法、近代的な詳しいことは石油開発公団で出しておりますそのジャーナルに出ておりますから、それをごらんいただけばよろしいんですが、一番初めに申し上げることは、石油のその探鉱の初期というものは全く油兆地に油がしみ出ているというような、流れ出ておるというようなところを対象にして行ったのであります。そしてその石油というものは粗っぽい貯留岩の構成粒子の間にこうたまっているんだ、そして、それがその貯留岩という粗っぽい岩石の外に逃げていかないように液体を通さないようなふたがいるんだと。これをキャップロック、蓋岩というふうに言っておるのでありまして、そしてこういうものがあって初めて油田が形成されるので、しかもそれの特別な地質構造をしているところに非常に大きな油田ができてくる、こういうことも経験的に次第にわかってきたのであります。  そうやっているうちに、そういういい構造のあるようなところとかそういう場所はどんどんどんどん調べられまして、それでとうとうどうにも処置のつかない、地表地質調査のできないようなたとえば平原であるとか、こういうようなところを調べていくことに移るわけであります。そしてその段階で物理探鉱というものが非常な大きな威力を発揮してくるので、もう石油業界におきましては十九世紀の終わりにエオトベスが見つけた重力計というものを改良いたしまして一九二〇年代の初期にはこれを自由に駆使しておるのでありまして、そしてもう私がメキシコにいて石油を掘っているころには大型トーションバランスからZ型及びX型までいくという状態になっております。そういうふうなこと。それから弾性波はもちろん一番重要なものでありまして、こういうものがどんどん駆使されてくる。それから磁力探査というようなこと。これは特に戦争中において潜水艦を発見するために開発していった技術がそっくり石油技術に伝わってくるのでありまして、これを改良いたしまして、これで入れ物の深さをまず決めてしまうという非常に手っ取り早く大ざっぱな価値判断をする役に立つものが一つ手に入ったのであります。こんなふうにして平原から海岸地帯、そして海の中、もっと深いところと、こういうふうに開発が進んでいくように、ほとんどこれはと思うところは大概試していったと、こういう状態なわけであります。  そして現在ほとんどのものが海の中の石油を相手にすると、こういう状態になってきているのであります。そしてその探鉱のいろいろな物の考え方を決めるために、石油成因論的な研究であるとかあるいは堆積学的な研究というもの、石油のできるのはどんなような環境かとか、こういうようないろんなことが進んでまいりますと、意外にもういままでわれわれが考えた以上に広い範囲に石油はあるものだ、つまり特別な停滞水域というようなものに限られるのではなくて、どんどんどんどん堆積が行われてくる、こういうところにおいては還元環境という石油のできる環境はわずかに三十センチの堆積物があればその下にできてくると、こういうような状態があったんです。それでそこに根源物質がたくさん供給されるようなところならば、どこにでも石油はできてくる。ここで初めて大きな問題に突き当たっております。それは堆積物の厚いところであれば構わないんだろうと、まず調べるべきだと、こういうふうに物の考え方が変わってくるわけであります。そうしてそういう根源物質の多い堆積の厚いところというもの、こういうのを調べるには、さっき言ったように、生物学的なことは別としても、入れ物の底の深さを調べていけばその中に入っている堆積物の厚さというものもおおよその見当がついてくるのであります。それでそうやっているうちに、石油の成因論からのアプローチをしていきますと、大体埋没深度が二千五百メーターぐらいのところになりますと、ですから海底では上の水のあれが積もりますけれども、二千五百メーターぐらいの深度に入りませんと石油はうまくできてこないみたいなようであります。そして六千メーター以上になりますと非常にガスが多くなってしまう。こういうようなこともだんだんわかってきました。そうすると、まあまあ埋没深度において二千五百メーターから五、六千メーターまでのところの地層ならばこれはもう堆積岩である限り絶対に確かめなければいけないんだと、こういうような物の考え方に変わってくるのであります。そして大きな堆積盆地の中を今度調べてまいりますと、石油は堆積物の厚い方で非常に多くできてきます。これはその中に含まれているものが厚さに比例するとすればそういうことになる。そしてそういうものが中央部における圧密作用が大きいので周囲の地層の薄い方へ向かって移動していっているんだと。決して厚い方にたまるんじゃないんです。薄い方へ向かって移動していっているのであります。そしてそういうところには、また薄い方にはえてして石油をためるのにふさわしい砂岩であるとかそういう粗粒なものがあります。それが適当に細かい水を通さないようなものと――そういう水を通さないようなものがまたこれは石油の母層になるのでありまして、こういうものが適当に入りまじっている。そういうところに適当な石油をためる構造が石油が移動するよりも前にできているならば、そこに石油はたまるわけであります。それですからどっちが早いかということは、これは地質学の総決算をしております地史学という学問があります、この地史学的な物の考え方に立って判断をするわけであります。  こんなふうにしてやっていくわけでありますが、さて次に海洋と陸上との違いを一つ申し上げます。それは、われわれは地表ですと地表地質調査を行うことができます。そして肉眼をもってその石を見ることができます。ところが海の底では深いところをもぐって見ることもできません。そしてそこにまた上に浅い方の海底の堆積物がたまっております。それですから、地表ではできるだけこの目で見ましてよほどのところへボーリングを入れてみて、いろんな層状調査をいたしますが、ここでは層状試掘ということはもう石油を探すことと一体不可分でございます。一本でも経済にしようとすれば両方兼ね備わったところを調査していかなければならないのでありまして、この点で、とにかくそうやって掘っていってみなければまず地質もよくわかりません。そして石油というものは掘ってみなければその最終的な価値がわかりません。特にこういう海洋のような金のかかるものになりますと、小量の石油があったのではペイしなくなります。それで大量のものをねらうことになりますから、よけい構造ということは非常に大事なことになるのであります。  それで今度は問題の地域を、それではいまの条件のうちどういうことが当てはまるのであるか、こういうふうにしてながめてみましょう。そうすると、ここは南部のところには通産省でお出しになったいい資料がございます。それでその資料を拝見しておりますと、ここのところで五千メーターの厚さの地層がどういうかっこうに分布するかということを見ますと、ただ大きさだけ申し上げますが、東北-西南方向みたいな方に延びておりますが、五千メーターに限れば、これは長さ三百キロの幅五十キロぐらいの五千メーター層厚線、コンターラインの幅を認めます。ところがこれを五千メーターを三千メーターに拡大してながめてみますと、そうするとその三千メーターの範囲は、幅百キロ、長さにして六百キロぐらいになります。そうすると六百キロというこの長さの中には、日本で言いますと青森県の一番南部及び秋田の北部のこの辺からの油田から、つまり能代油田から始まりましてはあっと山形、新潟、それから長野の善光寺平のあたり、いまもう油は出ておりませんが、その辺までのところを包括してもようやく六百キロあるかなしか、こういうものなのでありまして、いま一つわかっている部分、そのもっと南もありますけれども、でもこれだけのものがあるんです。  その中を、さていまのように調べていくにもいろんなことをやっていかなきゃならぬ。ところがこの紡錘形に分布しているところのちょうど東北の延び先のところに、実はさっき麓参考人の言われました井戸が一本あります。この西日本で掘った福江の一号という井戸にはドラムかんで二百本ほどのものをとっております。さっき言ったように、油兆といって地面にこぼれているだけでも価値のあるものが岩の中からボーリングでドラムかんに二百本とれるほどあったということは、これは実に貴重な資料でございます。それでこういうものでございますので、この地域というものは何というか探鉱に値する地域として世界の中で残されている数少ないものの一つであるだろうということは十分に考えられるのであります。  それでわれわれは、そこで時間がかかるということは、一本の井戸をできるだけ油のありそうなところへ掘るわけです、物理探鉱のいろんなものを駆使して。しかしそこで油が出なくても、そこにある、とったいろんな資料というものを総合的に判断して、全体の価値判断をしながらどこへ掘っていくというふうにだんだんだんだん手を詰めていく。そういうことのために非常な時間がかかるので、先ほど申し上げたようにできるだけ早く、需給のバランスが崩れてからそう遠くない時期までには何とか油田を開発できればいいもんだというふうに希望するのでありまして、油田の開発というのはそんなに簡単に、ここ掘れと言って、掘ったらすぐ出るという式のものではございません。非常に苦心惨たんしてやっていくのでありまして、それでまずは北海の例を、皆さんは御存じでしょうから申しませんけれども、戦前のものまで勘定に入れたらずいぶん一生懸命やっていたわけでありまして、それでいまの近代的な知識をすべて総動員いたしましても十年やそこらは楽にかかってしまうと、こういうふうに思っているのであります。それですからこういう残された非常に有望な地域というものをおやりになることは大切なことだ。  しかも今日の常識といたしましては、こういう広い地域の探鉱、しかも危険性の多い探鉱というのはジョイントベンチャーでやるというのはこれはもう普通の常識のように私は思います。ですから韓国と共用でおやりになろうと、とにかくそういう場合であるならば、日本国家も大韓民国の方も損がいかないようにうまく仕事のできるようなふうに、皆さんは専用家でございますから十分御審議の上おやりいただければありがたい。ただ言うことは、少しでも早い時間に手をつけられるようにしていただくことが大事だというふうに申し上げておきます。
  7. 楠正俊

    ○委員長(楠正俊君) ありがとうございました。  次に、北沢参考人お願いいたします。
  8. 北沢洋子

    ○参考人(北沢洋子君) 私は、昨年の国会におきまして衆議院、参議院ともこの大陸だな協定の審議が行われました際に参考人として発言をいたしましたので、今回はそれに加えまして、新しく現時点におきまして東アジアをめぐるところの国際政治のコンテクストの中で、この問題を取り上げて発言したいと思います。  最初に私の意見を述べさせていただきますと、一口に言いまして私は昨年の国会において協定そのものが批准されたということは非常に残念なことであったと思うわけです。そして今年に入って東アジアの新しい国際政治の情勢のもとで新しい動きが見えてきた中で、この協定の発効が、ペンディングされるべきであるというふうに私は考えます。そのためにはいま審議中の特別措置法の成立をできるだけ避けなければならないというふうに思います。  まず最初に特別措置法の前提となっているところの大陸だな協定そのものの本質について述べ、それから次に協定文が書かれた、つまり協定文が制定された時点までに至るところの政治的なさまざまな動きについて、それから協定文そのものが持っているところのもろもろの問題点、それから現時点における東アジアの国際政治とそれから日韓大陸だなの石油開発という問題点について述べたいと思います。  最初の問題は大陸だな協定の本質なんですが、第一に言えることは、この協定が作成される以前に日本、韓国それぞれが、政府ともが鉱区権を設定し、そしてある地域が重複していた。その重複していた地域が現在の共同開発地域として規定されているわけで、両国政府は鉱区権を確定したばかりではなく、すでに鉱区権を、特に韓国政府に至ってはアメリカ系石油会社に開発権を譲渡しているのであり、日本の場合にはそれぞれの石油会社が開発権の申請をすでに行っているという状況のもとで、すでにあるところの事実というものを両国間の協定という形でまとめたものであって、したがって協定として作成するためには非常に無理があった。それからその結果として二国間協定としてはさまざまな点において不備な点があるということを私はまず指摘しておきたいと思います。  それから第二点については、石油開発公団を通じてこの石油開発に政府資金が供与されるということがこの協定の、石油開発についての一つのメリットになっているのであります。それについてはさまざまなところの傍証を固めていきたいと思いますが、五十年にわたって発効されるところの協定に日本の政府資金が使われるということについていささか慎重に審議をすべきであり、そして私は私自身の見解を述べさせていただければ、これは合法的に日韓の間の癒着というものを構造化していくということを指摘したいと思います。そういう危険があるということを指摘したいと思います。それから、これは本質について簡単に述べたわけですけれども、まず第一にエカフェ調査が行われた一九六八年からそれ以後協定文が作成された七三年の時点に至るまでの日本と韓国の間、それから日本と中国との間のさまざまな動きについて私は幾らかの問題点を指摘したいと思います。  まず、この日韓大陸だなの共同開発区域の問題というのが、あたかも初めから存在したかのように考えられておりますが、実はこれはエカフェの調査でありまして、エカフェの調査というのは実は日、韓、台、米の科学者によって行われたものであることは調査の中にはっきりと書かれているわけですけれども、非常にこのエカフェ調査そのものが私は政治的な意味を持っていたと言わざるを得ないわけです。というのは、六八年という段階にはベトナム戦争の真っ最中でありまして、ベトナムのテト攻勢がその年の一月に行われ、そしてアメリカが何らかの形で撤退せざるを得ないということが米国のトップのところで考えられていた時代であります。それで軍事的な撤退の後に問題となってきたのが石油の開発の問題でありまして、そこのコンテクスト中からエカフェ調査というものが行われたわけであります。  エカフェ調査というものが非常に政治的なことであったというばかりじゃなく、エカフェ調査の真髄というのは、麓参考人が指摘されましたように、それはこの日韓大陸だなの共同開発地域にあったのではなくて、尖閣列島付近の大陸だなの石油資源について、これは世界的な石油の埋蔵があると考えられるというふうに結論さてれているわけです。そこに問題点がありましたので、最初に問題が起こったのは、日本と台湾との間の鉱区権争いであったわけです。それで尖閣列島に関しましては、私は最後のところで現時点のところから考えるということで申し上げたいというので少しおきますが、とにかく日本と台湾との間の鉱区権争いというものがいつの間にか横にずれ込んで、日本と韓国との間の鉱区権争いということにすりかえられていったわけです。それで、七二年の四月の段際に至るまで日本外務省、日本政府と韓国政府はそれぞれ大陸だなの、韓国側は自然延長論、日本は中間線論をもってそれぞれ共同開発区域の領有権の主張をしていたわけですけれども、それが七二年九月の第六回日韓閣僚会議においてこれを共同開発するということで領有権のたな上げが行われたわけで、この辺の事情に関しては恐らく国会において十分審議がされることだと思いますけれども、私はこの協定の成立の前提となるところのこの石油の開発というのは、単に経済的な利益を追求するということではなくて、特にこれは公海上の問題でありますし、それから現在の国際政治の中における資源開発の持っている意味が刻々と変わっている、第三世界の要求によって刻々と変わっていくという流動的な世界情勢の中で、単に経済的な利益ということ、目先の利益ということだけでこの問題を論議するのは非常に危険だと思わざるを得ない。その意味から言ってもこの協定文が作成された過程というものをもう少し政治的に検討する必要があると思います。  それでとにもかくにも七二年の九月に第六回日韓閣僚会議において領有権のたな上げが決まり、共同開発が決まったわけですが、その七二年の時点というのは東アジアをめぐる国際情勢が非常に動いた時点でありまして、それで同じ年には日中国交回復が行われておりますし、それからその年には非常に米中関係が動いた年でありました。それでこの中でどのような政治的な取引が行われたかということは審議を必要とするわけです。この点に至っては非常に不明朗であったと私は指摘せざるを得ません。この点については前の国会において十分述べましたのでこの程度の指摘にとどめます。とにかく協定文の仕上がったのが七三年の七月であります。この年の翌月の八月金大中事件が起こり、そして政治的な解決を経た後で七四年の一月三十日に両国政府間における協定の署名が行われております。  このような日韓の間の黒い癒着というものが金大中事件を頂点として火を噴いたさなかに、このような底流において国会でさまざまな質問が行われたにもかかわらずこの協定の成文というものが何ら発表されることなく、しかもマスコミにも発表されることなく非常に秘密裏にこの協定の署名、両国間の署名というものまでが運ばれたということの経過そのものも、つまり、七二年の九月に共同開発が決まって領有権のたな上げが決まって、それからその後協定の署名に至るところの七四年の一月に至るところの期間の間の不明朗さというものも私は指摘せざるを得ないわけです。それで韓国側が批准したのが七四年の十二月、この間には文世光事件というものをはさんでいたわけです。  時間がありませんのでこの程度にとどめまして、その協定文そのものの問題点、つまり協定文そのものの審議というものが、これまでのところ国会審議の中で余り慎重にやられたというふうには私は思えないのです。で、幾つかの点について協定文そのものがはらんでいるところの政治的、経済的な問題点というものを私は指摘したいと思います。  第二条に共同開発区域が画定されているわけですが、この画定に関しましても、その領海が十二海里になったときに、共同開発区域の中に、つまり大陸だなの中に日本の領海が入り込むという事態が生じました。これを日本政府は外交上の公文書なるものを韓国政府と取り交わして、それでもってこの協定が修正されたというふうに解釈をしておりますが、公文書をもって二国間の協定が修正されたということはできないわけで、依然としてこの第二条の画定の問題というのは領海十二海里を軸として問題をはらんでいるのであります。  それから問題の中心は第六条にあると私は考えます。これこそ最初に私が指摘しましたように、この協定そのものが両国間のすでにデファクトとして、あった事実をそのまま認めた上でそれを二国間協定という形で強引に取りまとめたというところからも出てくるところの問題点だと思うのですが、第六条で、実際にこの共同開発区域の中で石油開発を行うところのオペレーターをどう選ぶかということが規定されています。簡単に言えば、これは業者間の協定、業者間の合意に基づくということがうたわれているのです。確かに日本も韓国も自由経済のたてまえから独自の業者間によるところの合意というものが尊重されるべきであると言うかもしれませんが、これは二国間の共同開発であって、二国の業者の共同開発ではないということを、そのために国会において審議され、批准されなければならない問題であるということを考えに及んだときに、この協定に書かれたところの第六条は非常に妙なものであるというふうに私は指摘したいと思います。  それで、特にその業者が日本と韓国の業者ではなくて第三国、すなわちアメリカのメジャーが入ってくる。つまり韓国の場合には開発権を得ているのはアメリカ系メジャーでありまして、日本の場合も、業者はそれはそれぞれが開発に関、ましては業務協定をメジャーと結んでいて、その中にどうしてもメジャーというものが介入せざるを得ない。そういうものを二国間の協定でもってこのような業者間の合意にまたまとめるということは非常に問題を残すことであると思います。できれば私は、この協定に書かれるとすれば両国間の政府代表並びに何らかの共同会議というもの、共同委員会というものが設置されて、それの管理のもとに行われるということが必要であると同時に、このような国家的な行事すなわち外務省の発表によれば五千億の探査費がかかるということが言われておりますが、そのような膨大な国家資金を使う場合には、この開発に関する業者というものは私は国営化した形で行うのが順当だと思います。  それから第九条にはとれた石油の分配の問題が書いてあります。それで、確かにこれは二国間の共同開発でありますので、お互いに等分の分配を受ける権利を有するわけですが、その分配は業者の間の分配であって、それがどのような形で正確に五〇%、五〇%日本と韓国の間に入ってくるかということについてははなはだ疑問なのであります。何となれば、韓国においてはすでに七〇年に海底鉱物資源開発法というものが策定されておりまして、それに基づいて開発権が譲渡されて、売り渡されております。その意味で二つのメジャーというものが、二つのアメリカの石油会社がその利権を、開発権を獲得しております。その間の韓国政府とそれから米系石油会社との間の開発協定が、どのようなものであるかということを日本側が知ることなくして、このような分配の問題というものを単に数量的に決めるということは非常に危険なことだと私は考えます。余りにも簡単過ぎて、その場合のたとえば価格の問題だとか、それから正確にその韓国側の開発協定がどのような形で、たとえばそのロイアルティーがどのような形で支払われるのか。それで、韓国政府にメジャーが支払う場合に、それは日本との関係においてそのロイアルティーはどうなるかという、ロイアルティー分の石油というものがどうなるかということがいかなるところにも書かれていない、そういうことに関しては私はもう少し詳しい、もう少し協定が完璧になるということが、将来その後の五十年間にわたってこの協定が発効し、石油開発が行われ、そしてその石油が両国政府にとって、東アジアの政治にとって、それから日本の民衆にとってもエネルギーという非常に重要な資源であるということにおいて、それからまた、東アジアの政治の上において非常に石油というものが重要な地位を占めるということにおいて、私はもう少し協定が明文化される、詳細になるということが必要だと私は考えます。  それで、次に問題になるのは、私はこれは第七条と第十八条との絡みにおきまして、特に日本と韓国との間のこれまでの国会審議なんかに見られましたように、黒い癒着ということが非常に不明朗な事態というものがまだ明らかにされてない段階において、日本と韓国との間の石油開発であるということにおいて私は指摘したいのですが、第七条においては、この開発に膨大な施設がこの膨大な地域の中に持ち込まれることになるのであります。この点については、さまざまな方が石油は掘ってみなくてはわからない、まるで山師のようだということを言われておりますが、その意味においては、私たちにとってはどれほどの施設が、どれほどの資金がここへつぎ込まれるかわからない。それは第七条によれば、その施設はそれぞれの国から領海を越えて公海上のこの地域に持ち込まれ、そしてそれが正常に動いているか、正常な形で使われているかというチェックをしなければならないわけですが、それが第十八条においては、その持ち込まれた際には輸出入というふうには認めないというふうに書いてあるわけです。輸出入でないならば、当然のことながらその持ち込まれる資材の管理というものが行われる機関というものがなければならないのでありまして、これについてもし第十八条を書き直すとすれば、何らかの形で政府によるところのそのチェックということが明確にされなければならないのであります。  そうでなければ、このままでいきますと、開発に必要な資材というものがそれぞれの国からフリーパスで持ち込まれ、そして、フリーパスでそれがまた使用済みのものとして他国に、相手側のところに送り出された場合に、それが関税をかけられず、そこで何が行われているかがわれわれのチェックする機関がないとしたら、そのことでは、私は言いたくはないのですが、これは密輸ということが考えられるのではないかと指摘したいと思います。それで、そのような事態というものを防ぐためには、当然のことながら地方自治体なり何なり、政府なり地方自治体によってこの共同開発地域におけるところの業者の業務というものがチェックされなければならない。それは税金という形でチェックされるとか、法人税の徴収という形でチェックされるか、何らかの形でそれの規制がされなければならないわけですが、それは第十七条においては地方自治体はここの地域で活動している、事業を行っているところの業者に対する税金というものを免除するということを書いてあるわけで、その意味においては、たとえば長崎県というものがたとえどのような自治体の構成になろうとも、ここのところで行われている、この地域で行われているところの業務活動というものをチェックすることができない。のみならず、その石油の開発に関する税金というものはどこの国においても非常に大きな比重を占めており、それで、ペルシャ湾については言うまでもないわけですが、歴史的にそれは石油資本とそれから産油国の政府との間の抗争の種になってきたわけでして、そして、現在北海で行われているところのイギリス、オランダの例を見ましても、石油に関する輸入税というものが国庫収入の大きな部分を占めている。その意味においては特別措置法もその点について何らかの規定がしていないということは、私は非常に不備だというふうに考えます。  それで、時間がありませんので、この協定そのものがはらんでいる、協定全体がはらんでいる問題点について一つだけ指摘したいと思います。  御承知のように、この共同開発区域というのは大陸だなのみにあるもので、大陸だなというのは領海の外にあるところであります。それは公海上にある地域をいうのであって、その意味において大陸だながどこの国に所属するかということが明確にされない限り、その大陸だなの領有権というものがはっきりしていない限り、その国が石油を開発し、そのとれた石油を所有するということは不可能なのであります。それはトルーマンの四五年の宣言以来そのことが問題になってきたのでありまして、その意味においてこの二国間協定、日韓大陸だな協定というものは規定がない。それは最初に申しましたように、この協定が領有権のたな上げというところの上に成り立っているという、そういう不備があるということを私は指摘をしていきたいのです。  第九条においてはみなし権利ということが言われておりまして、そして、そのとれた石油の半分を日本なら日本が所有する権利というものは、この大陸だなに、この地域に日本が領有権を所有しているという、そういう立場に立つ、そういうものをみなした、みなすということの上において石油を日本のものにすることができるということが書かれてあるにもかかわらず、二十八条においては、これは両国間の大陸だなの領有権に関しては何ら規定するものではないということを明確化しているわけです。  そうすると問題は、日本と韓国との間に、世界の中で日本と韓国しかなくて、そして日本と韓国とで平等に分け合うというならば、それは了解のもとに分け合うというのはよいのでありますが、これは大陸だなは公海上であり、そして、そのところに中国の大陸だなの領有権の主張というものが現実として存在する限り、この二国間協定というものが果たして第三国あるいは国際的に通用するのかどうかということは疑問になってくるのであります。私ははっきり言って、これは国際的には通用しないというふうに言わざるを得ません。  それはそもそものところ、領有権のたな上げということが、単に日本と韓国の間の七二年の共同開発を決めた時点までの非常に不明朗な政治的な遺物というものをこの協定というものは象徴的にあらわしていると私は言わざるを得ないのです。その意味においてこの協定が第三国あるいは国際的に通用するためには、もう一度東アジアの国際政治のコンテクストの中において、つまりそれは日本、それから二つの朝鮮、それから中国という、そして、全体にこれに絡んでくるところのアメリカという、そういう国際政治の中でもう一度検討すべき問題だと私は思います。  次に、最後にここで私は、一九七八年の今日という時点において、この協定文、それから協定文そのものが持っている問題点、それから日韓で共同開発することの問題点、それから日本の国内措置法を制定するに際しての問題点ということを述べたいと思います。  御承知のように、去年とことしとでは非常に国際情勢がこの地域においては変わっている。それは福田内閣の日中友好条約締結へのスタートということが大きく、われわれの目には大きいのですが、それ以上に大きく底流として流れているのは米中の国交回復化への動きであります。問題は、常に日本の場合には、日本の外交というものは目先のことによって覆われている。それで、たとえば、日中国交回復の時点において言いましても、ピンポン外交というドラスチックな国際情勢の変化に引きずられた形で急いでやらざるを得なかったということで、国連の中におきましても、日本がさまざまなところで中国の国連加盟だとか、カンボジアのロン・ノル政権の支持の問題に関してもさまざまなところで――私が言うに及びません、言う必要はないのですが、目先の、つまり自分が、日本が当面関係しているところのバイラテラルな外交でしか物を見ない。そして、世界的な視野に立って、あるいはその地域の全体の長期的な展望の上に立って日本外交というものが設定される時期にそろそろ来ているのではないかというふうに私は思います。  日中平和条約のことに関しましても、この大陸だな協定とは絡みはないというふうに解釈されているきらいがありますし、ましてや尖閣列島のいわゆる領海侵犯、中国船によるところの領海侵犯船の問題に関しても、日中平和条約交渉のコンテクストの中でしか考えられていない。それが偶発的なものであるという中国側の説明によって、それは日中においては問題ないのだというふうにみずから納得しているきらいがあると思うのです。これはそうではなくて世界的な情勢、つまりヨーロッパ、アフリカにおいて、ソ連の攻勢に対抗するために、アメリカが非常に大きなフリーハンドをアジアで持ちたいという、それから、カーター政権が、二年近くにおいて中間選挙をはらんでいる時期において、さまざまな外交的な手詰まりの打開をねらっているというふうな全体的な像の中で、この東アジアにおける石油開発の問題というものがにわかにクローズアップされているというふうに私は考えざるを得ないわけです。  アメリカにおいては、さまざまな識者というものが議会において公聴会で発言をしたり、さまざまな論文を発表したり、論評が行われて、その意味においては、米中問題というものは、これまで七二年にニクソンが上海コミュニケを発表して以来凍結されてきたような状態になっているところの情勢から、一歩新しい情勢が生まれているというふうに私は感ぜざるを得ないわけですが、ここの中でアメリカは、中国側が出しているところの米中国交回復における三条件、すなわち米台条約の破棄、それから米軍撤退、それから台湾政府の非承認という問題について、その三条件というものを、これまでのところ政治的な問題としてだけ考えてきた。その場合に、アメリカがその三条件をのめば、それは全面的に中国の前に屈服したことになるというふうな保守派の考え方によって、いままで米中関係というものは凍結されてきたきらいがあるわけですが、これをオール・オア・ナッシング、すなわち三条件を受け入れるか受け入れないかという政治的なコンテクストの中で考えるべきではないというふうな意見が出始めてきたのです。ここのところで石油という問題が登場してくるわけで、それは麓参考人が言われましたように、そしてエカフェが指摘しましたように、尖閣付近の石油開発の問題なのです。  アメリカは、いままでのところ、台湾政府というものを中国大陸に主権が及ぶところの正統政府だというふうに認めているわけですが、その意味において、米中国交回復というものは一つの桎梏になっているわけですが、東シナ海に延びているところの大陸だなというものは、台湾の政府がエカフェ以後主張していたように、それは台湾のものであったわけだし、したがって、台湾の政府からアメリカ石油資本が利権を獲得していたという歴史的な事実があるのですが、これを簡単に言えば、スイッチを変えることによって、デファクトとして、すなわちアメリカが東シナ海の大陸だなを中国政府のものである、北京政府のものであるというふうに認めることによって、いままでのそのさまざまな外交的な困難さというものを乗り切ることができるのではないかというふうなことを言う識者が出てきているのでありまして、そのような態勢に従えば、アメリカの石油資本がベトナム戦争以来、東シナ海、南シナ海において石油の利権の確保ということをねらってきたということを私は最初に申し上げましたが、そのエカフェ調査以来の脈々として流れているところの利益というものが合致することになるというふうに考えられるわけで、その点において尖閣列島の問題にしろ、日中国交回復にしろ、それから大陸だな石油の問題にしろ、尖閣の石油がらみで考えなければならない。この尖閣の石油がらみというものが単にアメリカの石油会社の問題ではなくて、それは非常に米中国交回復、それからアメリカの世界戦略、それは中国の世界戦略でもあるわけですけれども、その意味の中で問題が出されてきているということであって、単にそれがフィージブルであるかないかというようなところでもって、そしてそれが経済的にどういうふうなものであるというコンテクストのもとに考えるべきではないと私はそういうふうに考えるわけです。  台湾の問題も、その点では台湾をどう残すかということについてのさまざまな考え方があり、その中の一つとしては、石油製油所から石油化学工場の、そのアメリカが持っているところの施設というものを尖閣の石油によって利用するということまでも提案されているわけで、そのような全体像が進みつつあるところで、そしてまた新しい大国によるところの世界戦略が進みつつある中で、そして、それからなおそれ以上に――国際法の専門の方がいらっしゃいますので私は詳しいことは述べませんが、海洋法を中心として国連の動きなどを見ますと、資源というものが単に、いままでは北の工業先進国の技術と、お金のある工業先進国の意のままに使われてきた、意のままに収奪されてきたというところから第三世界が、低開発国、それから植民地から独立したばかりの国が資源というものを自分のものにするという風潮から、最近では資源というものは人類共通のものである。それは持てるもの、持たざるものの間に共通に平等にシェアすべきであるという時代にきているわけで、そのような思想というものが見えていて、非常に国際法も、かつて日本政府が尖閣列島の領有権の主張の根拠としたように、無主地の先占論という、十九世紀の国際法によるところの植民地分割というようなものがすでに否定されている時代において、資源を平等に分割するという思想、分け合いの思想というものが生まれてきているこの中において、単に日本のいまの石油の事情から考えて、そして日本と現時点の韓国との外交関係において、朴政権が現在どのような状態に置かれていて、それを日本が強力に支援しなければならないといったような現時点の、一九七四年の短い時点において考えるということが非常に危険なものであるかということを私は指摘したいのです。  このような意味において、国会では日韓という絡みでこの問題を考えるのではなくて、そしてまた石油を日本がどういうふうに物にするかということを考えるのではなくて、それよりもまず私は、政治的に東アジアの平和の実現というものにどのように日本が貢献できるのか、そのような姿勢をどのように日本が打ち立てていくのか、見せていくのかということを、それが大きな時間のスパンにおいて考えられなければならない、十年、二十年の歴史的なスパンにおいて考えられなければならないという意味において、いますぐ韓国に対する国際信義ということだけを問題にして、特別措置法を成立させるということの危険性を私は指摘せざるを得ないわけです。その意味において、私はこの問題をしばらく凍結し、そして日本国政府が、日本国国民を挙げて東アジアの平和の問題というものを考え、そして台湾、それから南北朝鮮の分断という問題について日本がどのような貢献をできるかということを明らかに明示した上において、その努力を示した上においてこの問題を再度将来に取り上げるということ、そしてそれは単に日韓大陸だなの共同開発地域という問題ではなくて、尖閣を含めたところの東シナ海の大陸だなの石油開発という問題の全体像の中で考えらるべきだと私は考えます。  以上です。
  9. 楠正俊

    ○委員長(楠正俊君) ありがとうございました。  次に栗林参考人お願いいたします。
  10. 栗林忠男

    ○参考人(栗林忠男君) 慶応大学の栗林でございます。  私の専攻の関係からしまして日韓大陸だな協定、特に南部の共同開発に関する協定の、国際法上の若干の側面について御報告したいと思います。  初めに申し述べておきたいことは、海洋をめぐる国際法というのは最近非常に急激な変革期を迎えておりまして、すでに一九七三年末から国連では第三次海洋法会議を開催しておりまして、つい先月の十九日に終了いたしました第七会期を含めまして現在に至るまで七つの会期を催し、なお継続中であるということは委員の皆様もよく御存じのとおりであります。現在に至るまでこの会議は、将来の新しい海洋法秩序の各問題につきまして会議参加国の大勢を集約したと言われるものを条文化しました非公式な文書を一九七五年の非公式単一交渉草案、続いて一九七六年のその改訂版である改訂単一交渉草案、さらに最近では一九七七年、昨年でございますが、非公式統合交渉草案というふうに次第に各国の対立点の妥協を図りながら作成してまいっております。したがいまして、海の国際法の多くの問題について、この世界的な規模で進められてきております立法作業の内容とか動向というものを抜きにしましては現在語れないという状況にあります。御報告の中で私がしばしば海洋法会議に触れなければならないのは、現在がそういった特殊な状況にあるからであります。  日韓大陸だな問題は、国際法上の問題といたしましては日韓の間の大陸だなの境界線の画定ということが最大の焦点になっているわけでありますが、これはもし非常に単純化することが許されるとすれば、日本がそれをいわば一つの大陸だなとして中間線をもって画定すべきであるという立場をとり、韓国側が琉球列島の西北に位しております沖繩海溝の存在を重要視しまして、いわば二つの大陸だなとして自然延長論をもって対してきた。そういったあつれきの中で韓国側の主張と日本側の主張とが重なり合う南部地域の部分を共同開発という方式によって解決を試みた。これは一体日本の政策としても法的根拠の問題としても譲り過ぎなのか、あるいはそうではないのかという議論であるように思われます。その際しばしば聞かれますのは、これも単純化することが許されるとすれば、わが国が二百海里の経済水域を設定すれば大陸だなの法制度はそれに吸収されるだろう、複数の経済水域同士の間では境界線は中間線であるということが原則となっているから、日韓の場合にわが国の主張は貫けるのではないか、こういう議論をしばしば聞きますが、果たしてそのように言えるのかどうか私は疑問であると考えます。  大陸だな制度は、一九四五年のトルーマン宣言以来、各国の実行の中に取り入れられてきたものでありまして、沿岸国はその領海を超えて広がる大陸だなに対してその天然資源を探査、開発するための主権的権利を持つというのが骨子でございます。これに対しまして、経済水域制度というのは一九七〇年ごろから主張され始めまして、これは急速に数多くの国の原則的な賛同を得るようになったものでございますが、沿岸国は距岸二百海里の水域において生物資源であると鉱物資源であるとを問わず、海底及び上部水域における天然資源の探査、開発、保存、管理のための主権的権利、そのほか水、潮流、風からのエネルギーの生産のようなその水域の経済的開発活動に関する主権的権利、さらに人工島などの設置及び利用、科学調査、海洋環境の保護といったものに関する管轄権など沿岸国に与えている点が骨子となっております。この点からいたしますと、経済水域は、その上部の水域にまでは及ばないけれども、少なくとも水域と海底に関していわば海洋を立体的にとらえましてかなり広範な権能を沿岸国に与えるものだというふうに言えます。  このように経済水域内の海底部分の探査、開発に関する沿岸国の権能というのは実質的には大陸だなに対するそれと異ならないところから、当初海洋法会議におきましても経済水域制度と大陸だな制度との関係につきましてかなりの議論がございました。それらの議論は要約すれば、経済水域制度の中に大陸だな制度を包摂してしまえという考え方、それから経済水域制度を大陸だな制度で一部補完してみたらどうかという考え方、それから両制度を全く別個のものとして扱っていこうという考え方の大体三通りぐらいの議論に分けられたかと思います。  しかし、会議の進行に伴いまして、いわばこの第三の別個の法制度とする考え方が大変だと見られるようになったと思われます。それは先ほど述べましたこの会議がこれまで作成してまいりました非公式な文書である単一草案、改訂単一草案そして統合草案のいずれにおきましても、経済水域と大陸だなとがそれぞれ別の章として、チャプターとして規定されるという条文上の構成からもわかりますけれども、なお直接的には、たとえば統合草案の五十六条三項に見られるように、経済水域の海底とその下に関する沿岸国の権利は、大陸だなに関する規定に従って行使されなければならないという明文の規定が置かれておりまして、このことからも大陸だな制度の独立制が認められるわけであります。  その際大陸だなというのはどういうふうに定義されているかといいますと、「領海をこえてその領土の自然の延長に及ぶ」云々という定義をくだされているわけでありまして、沿岸国の領海を超えたところから大陸だなというのは存在し開始し始めるわけでございます。したがいまして、経済水域に吸収されて、一たん吸収されそしてまた経済水域からはみ出して広がっているものについてのみ大陸だな制度が問題とされているのではないということがわかります。これを要するに、日韓の間の大陸だな問題は経済水域制度で処理すべきだという議論は現在の海洋法の動向からしますときわめて疑問のあるところであるというふうに考えざるを得ないわけでございます。したがって、大陸だな制度がこのようにひとり歩きをするのである以上、日韓の間の海底問題については大陸だなの法理が最重要のものとなるというふうに考えるわけでございます。  そこで大陸だなにおける自然延長の考え方というのがどのように評価されるかという問題になるわけでございますが、先ほどもちょっと触れましたように、沿岸国の大陸だなというのは、「領海をこえその領土の自然の延長に及ぶコンチネンタル・マージンの外縁まで、又は、コンチネンタル・マージンの外縁が領海の幅の測定の起点となる基線から二〇〇海里に達しない場合には、」二百海里までの海底区域の海底とその下から成る、こういう定義を与えられておりまして、ここに明瞭に自然の延長論が盛り込まれているわけであります。これは御存じのとおり、一九六九年の北海における西ドイツとオランダ、デンマークを当事国といたします北海大陸だな事件の判決内容が反映したものであることは間違いございませんが、自然の延長論というのは大陸だなの外側の限界がどこまで延びて深い海の底に接続するかという問題でもありまして、相対する国家同士の大陸だなの境界画定には全く関係がないという議論もしばしば耳にするところでございます。しかし、果たしてそうであるかどうか、私自身若干疑問を感じております。  東シナ海のように比較的狭い区域におきましては、自然延長論そのものが境界画定の基準になるなどというふうに私は思いませんけれども、自然延長の考え方の背後にある根拠というのは、これは境界画定の問題と無関係だとは思われないからであります。北海大陸だな事件におきまして国際司法裁判所は、大陸だなというものを一貫して陸地領土の自然の延長としまして、つまり大陸だなというのは、たな状の形で沿岸国の領土が地形的に拡大した区域としてとらえておりまして、そのことから当然に、かつ陸地領土に対する主権に基づいて始源的に大陸だなを保有するものだという立場をとったわけでございます。そして、これが海洋法会議におきましては大勢として文書に盛り込まれるようになっているというのが現状でございます。  ところが、複数の国が大陸だなを分界しようというときは、かつて一九五八年の第一次海洋法会議の結果採択されました大陸だなに関する条約におきましては、次のような規定が設けられておりまして、それは当事者間に合意があればそれにより、合意がなければ特別の事情により他の境界線が認められない限り、境界は等距離中間線とするという六条一項及び二項の規定がそれでございますが、第三次海洋法会議におきましては、統合草案の八十三条におきまして、隣接または相対する各国間の大陸だなの境界画定は「衡平」――エクイティーの原則に従って、適当な場合には、中間線または等距離線をとり、すべての関連状況を考慮して、合意により決定される。そういう考え方が前述いたしました会議の文書にずっと盛り込まれてきたわけでございます。したがいまして、ここでは適当な場合にはという制約が付されているのでありまして、原則となっているのではございません。また、第一次海洋法会議の結果から見れば、このような中間線基準の後退というのは、単に隣接する大陸だなだけの問題ではなくて、相対する大陸だなの境界画定にまでも認められようとしているわけでございます。この「衡平の原則に従って」、関連状況を考慮に入れつつ行うということが結局前面に出ているわけでございまして、こうした場合の考慮として国際司法裁判所は、その大陸だな区域の自然的、地質的構造あるいは天然資源なども考慮の中に入るというふうに言っております。このように考えますと、自然の延長という事実は、相対する国同士の間の境界画定におきましても考慮されない要素であるということは言い切れないように思われるわけでございます。  最後に、そうした二国の法的根拠が互いに衝突した場合の解決策として、現在考えられております共同開発方式というものに対する私の若干の感想を述べまして、御報告を終わらせていただこうと思います。   〔委員長退席、理事福岡日出麿君着席〕  新しい海洋法におきましては、その国家に付与される管轄権が非常に広いということと相まちまして、国家間の境界線の問題が非常に多発してくるということが十分予想されるわけであります。果たしてそれが領域的なものにせよ、あるいは管轄権的なものにいたしましても、その境界の画定ということがなかなか困難な場合が多いのでございます。現実に日本の周辺を見ましても、竹島、北方領土、尖閣列島というような問題を見れば、このことはおわかりになるだろうと思います。それを調整する第三者的な紛争解決機構の役割りというのは、今日の国際社会においては十分整備されておりませんし、その解決機構の確立というものも早急には望めない、そういう状態にございます。もちろんそういったものの確立に日本は大いに努力すべきだとは思いますけれども、そうした場合に、国益の判断といたしまして、海洋の利用に着手するための具体的な方策を考えるのか、あるいは境界線の延々と続く交渉を先行させていくのかという選択が恐らくあり得るだろうと思われるわけでございます。  海洋法の問題は、現在におきましては、一般的な原則が海洋法会議において定律されようとしているわけでございまして、必ずしも国際法体系として完全なものとして細部に至って具体的な規則が設けられているというわけではございません。恐らく国際法自体が解釈の余地を生むわけでございますから、なかなかオール・オア・ナッシング的に割り切れないことが多くあるかと思います。そういった場合に、厳格な権利の帰属問題を争うよりも、将来への方向性を踏まえてではありますが、現実的な解決策を模索するということが要請されてくると見られるわけでございます。私は共同開発方式というのは、そういった一つの試みとして評価してもよいのではないかというふうに考えております。事実国際司法裁判所も、北海大陸だな事件におきまして、両国間の紛争というものがなかなか合意に至らない場合には、こういった共同開発方式というものも考えてみたらいいのではないかという示唆を与えております。  これからの海洋問題というものは、法的側面のみならず非常に多方面的に検討していかなければならない様相をますます帯びてきているだけに、委員の皆様方の十分な審議をお願いいたしまして、私の御報告を終わらせていただきたいと思います。  どうもありがとうございました。
  11. 福岡日出麿

    ○理事(福岡日出麿君) ありがとうございました。  次に伊藤参考人お願いいたします。
  12. 伊藤治郎

    ○参考人(伊藤治郎君) 日本石油開発の伊藤でございます。こういう晴れがましい席に出ますのが初めてでございますので、いろいろ不なれなことがございますが、あらかじめ御容赦いただきたいと思います。  最初に、日本石油開発という会社はどういう会社であるかということから申し上げたいと思います。  日本石油開発という会社は、昭和四十三年の暮れに、この問題になっております西九州沖合いの大陸だなの海底油田の開発を目的に、日本石油株式会社が一〇〇%の子会社としてつくりました会社でございます。  親会社でございます日本石油と申します会社は、御承知のように明治二十一年に新潟県下で海底油田の開発をもって誕生した会社でございます。自来、油田の開発、それに伴いまして出てまいります原油の精製、販売ということで全国的な組織をつくり上げてまいりまして、戦前には日本の国内の石油鉱区の八割とほとんどの技術陣を擁しておりました。ところが戦中になりまして、昭和十六年に国策によりまして日本石油の鉱山部門を帝国石油さんに全部譲る、同時に、人員、必要な技術者もそちらに移譲するという形で、それ以来精製、販売専門の会社になりました。戦後になりまして経済力集中排除によりまして日本石油の持っておりました帝国石油の株を全部手放すということで、以来精製、販売中心の会社となってまいりました。  当時日本石油といたしましては、太平洋岸の戦災を受けた製油所の再開に当たりまして一番気にいたしましたのは、製油所でございますから、原料である原油をいかに長期的に安定的に確保するかということでございます。そこで、その当時世界最大の油田に発展しつつありますサウジアラビア、これを大部分支配しておりますのがアラムコという会社でございますが、そのアラムコの主要な株を持っておりますテキサコ、スタンダード・カリフォルニア、通称シェブロンと申しておりますが、その両者がつくっておりますカルテックスという会社がございます。このカルテックスという会社は同時にインドネシアにおきましても最大の利権を持っております。これはローサルファの原油であることは御承知かと思いますが、最大の産油国であるサウジアラビアとそれからインドネシアに絶大な利権を持っておりますこのカルテックスというものと結ぶことによりまして、われわれの大事な原料である原油の長期安定確保ということと同時に、製油所の近代化に必要な資金と技術とを獲得していくということで、戦後になりまして、昭和二十三年からの提携が始まりまして、昭和二十六年には精製部門につきましては、これは合弁会社をつくろうということで日本石油精製という会社ができました。日本石油は一〇〇%民族資本のままでございますが、精製部門につきましては合弁でいこうということになりまして、それによりまして製油所の拡張、近代化というものが行われたわけでございます。  御承知のように、戦争をはさみまして気がついてみますと精製技術は大体十年ぐらいアメリカにおくれていたわけでございます。それで、その資金と技術を活用すると同時に、非常に豊富に原油のソースを持っておりますそのカルテックスと提携して合弁会社をつくったわけでございます。同時に、石油業と申しますものは、ほとんどが輸送業とも申すべきものでございます。御承知のように、アラビア湾から日本に向けましてはほとんど原油のタンカーが踵を接して並んでいると、タンカーの橋がかかっているようなものでございます。そこでタンカー部門の合理化と強化を図るということから東京タンカーという会社をつくりました。これは現在大体タンカー部門におきましては世界最大級の五十万トン級のタンカーを数隻擁しておりまして、その部門では日本で一かと思います。  それから、さらに石油成分の有効利用を図りまして日本石油化学という会社をつくりまして、ペトロケミカルの部門においても相当な成績を上げてまいっております。  さらに、とにかくサウジアラビアという遠いところから油を運んでくると、これは大型化すればするほどタンカーの運賃は安くなるわけでございますので、最前申し上げましたように五十万トンタンカーをいろいろつくるということでございますが、五十万トン級のタンカーになりますと各製油所が必ずしも受け入れる岸壁がない、水深が足りないということから発しまして、昭和四十二年には日本石油基地と申します原油の輸入中継備蓄基地をつくりまして、目下第三期に取りかかるところでございますが、現在すでに鹿児島県の喜入におきまして六百六十万キロリットルの貯蔵能力を擁する世界一の基地を持っているわけでございます。  このように日本石油はあらゆる部面に合理化を図ってまいったのでございますが、一つ欠けておりましたのは原油部門でございます。戦前は日本の原油部門の八割を持っておりましたが、戦後におきましては国内陸上油田というものは非常に貧弱でございます。しかも、相当赤字経営になるというようなことから、容易に再び鉱山部門に復帰するという勇気が出なかったわけでございます。一面、製油所の近代化、拡張と、御承知のような昭和二十年代の末から起きましたエネルギー革命、特に昭和三十年代相次いで起きましたエネルギー革命におきまして、石油の豊富低廉なる供給によって日本経済の高速度の成長ができたわけでございます。そちらの方に追われておりましてなかなか原油部門に手が出せないという状態でございました。  しかるに、御承知のように昭和五十年代の末、特に一九六〇年代の初め、なかんずく中庸に至りまして北海油田というものが急速に脚光を浴びてまいりました。それによりましていままで、たとえばアメリカのガルフコーストのような浅いところ、マラカイボ湖のような浅い湖、あるいはアラビア湾のような浅いところでだけ行われておりました海底油田の開発というものが、非常に深いところまで可能になるというような技術の日進月歩の発達がございました。同時に、北海油田の発展に伴いまして、世界的に大陸だなというものが見直されてまいりました。自来、技術の進歩に伴いまして、現在すでに海底油田からの石油の産出は全原油の生産量の二〇%に達しておると思いますが、近い将来は三〇%以上に達するだろうと言われております。特に海底油田は、技術の進歩、発展によりまして非常に探査するのにはやさしい、山の上に測量機械を担ぎ上げる必要もないし、船が海上を走って音波を出して、その反射波をとらえてくることによりまして海底下数千メーターの地質までわかるという状態になってまいっております。  それで私どもも実は世界全体の大陸だなが見直される中で私どもの周辺、足元の日本の大陸だなというものはどうであろうかというふうに考え出したわけでございます。  ちょうどそのころ、昭和四十一年でございますが、まず出光興産さんが領海を越えまして日本海の大陸だなに広範な鉱区の試掘権の設定申請をいたしました。それに続きまして昭和四十二年には、シェル興産さんですが、現在は三菱グループと一緒で合弁で西日本石油、現在名前はさらに新西日本石油となっておりますが、この西日本石油さんが同じく山陰沖におきまして領海を越えて大陸だなに広範な鉱区の申請をいたしました。それは五島列島の沖合いのあたりまで及んでおりました。そこで私どももよく考えてみますと、西日本石油さんの先の方に、南の方にどうも広がっている大陸だなというものがまだあいているというふうに考えまして、これをどうかできないものだろうかと考え出したわけでございます。すでにこの地域につきましては昭和四十年代の初めごろから、いまは亡くなられました東京水産大学の新野弘博士あたりが東シナ海の海底は水成岩であるということを盛んに唱えておられました。それで、私がちょうど責任者でありましたので、石油連盟に新野先生をお呼びして講義を一日伺ったこともございます。そしてこれは東シナ海の海底油田は早急に日本が手をつけなければいけないものだと考えていたわけでございます。  そこへちょうど、いま申し上げましたように出光興産さんとか西日本石油さんがどんどん領海を越えた鉱区申請をやっていかれるという時点でございまして、こちらも東シナ海にどうしようかと思っていたわけでございます。そこへちょうど私どもがその当時すでに二十年にわたって非常に友好かつ緊密な提携を結んでおりましたカルテックスの親会社である、アメリカのメジャーでございますがテキサコとそれからシェブロン――スタンダード・カリフォルニアでございますが、から東シナ海の海底は非常に有望だから、したがってもし日本石油がやる気があるならばわれわれは協力しましょうという申し出がございました。   〔理事福岡日出麿君退席、委員長着席〕 そういう申し入れを受けまして、私どもとしてはこれはちょうどタイミングがいいというふうに考えまして、その申し入れを受け入れまして西九州沖合いに鉱区申請をいたしたわけでございます。  これは昭和四十三年の十二月のことでございます。さっきエカフェの話が出ましたが、ちょうどエカフェの調査船が走っておりましたのは昭和四十三年の十月から十一月にかけてでございます。その時点におきましては私どもはすでに鉱区申請の準備作業に没頭していたわけでございまして、エカフェの調査船が調査を終わりまして長崎港へ帰ってきましたころにはすでに申請の準備を終えて、十二月の中ごろに福岡通産局に鉱区申請をいたしたわけでございます。これがそのまま福岡通産局に受理されました。そこで私どもは鉱業法上の先願権者という地位に立ちまして、昭和四十六年の秋にはあのわれわれの申請鉱区につきまして広範な音波探査を実施いたしました。これは、エカフェの調査報告は学術的な報告でございますが、私どもの方はもっと精密なさらに高度なより深い海底もわかる商業的な調査でございます。その調査の結果、解析結果によりまして私どもはますますあの海域に自信を深めてまいりました。非常に地質学的に見ても大変おもしろいということによりまして、私どもはますます自信を持ってまいった次第でございます。  しかるに、折から私どもが日本の中間線までを申請していたわけでございますが、幸か不幸か韓国サイドがあそこに第五区と第七区というのを鉱区を認めたために重複指定いたしました。そこで、日韓間で紛争が起きましたので、私どもは第一回の調査はそのまま実施いたしましたが、第二回目の調査につきましては、紛争が落ちつくまではしばらく投資を見合わせようと、これ以上投資をしてもどうなるかわからないということで、自来今日まで至っているわけでございます。  そういうことでございますので、私どもはさっき麓先生のお話がございましたけれど、見解を異にいたしまして、麓先生はエカフェの報告だけを中心にお話しになっておられると思うのですが、私どもはその後に最前申し上げました三千キロメートルにわたる音波探査を精密に実施いたしまして、その実績に基づきまして私どもは物を考えている次第でございます。  そこで、最後にお願いいたしたいことがございますが、これはすでに先生方も御承知のように、たとえばきのうの日本経済新聞に出ておりましたけれど、七月のボンの先進国首脳会議に出されるためのエネルギー報告というものが昨日の日本経済新聞に載っておりましたが、それによりましても、大体当面は目下世界経済が停滞いたしておりますし、それから各国の省エネルギーが進んでおります関係で、石油は供給がやや需要をオーバーしているという状況でございますが、これがやがて需要と供給が並行してしまう、一九八〇年代後半になると需要が供給をオーバーするということが書かれております。これは各方面で大体言われている専門家たちの一致した見解であろうと思います。  一方でいろいろ代替エネルギーということが問題になっておりますが、これはなかなかはかばかしく進みませんし、進んだところで量的にはそれほどの大きなエネルギーの部門を占めるのはむずかしいと思います。したがいまして、少なくとも二十世紀じゅうは依然として石油に依存しなければならないという事態でございます。その石油がやがて供給が需要に追いつかなくなるということになりますと、これは非常に重大、深刻な問題でございます。金を出して買えるという品物ではございませんで、政治的な商品になっておりますので、金さえ出せば買えるんだということではなくなってまいります。しかも、それで供給が需要に追いつかなくなるといった場合には、日本は大変なことになろうかと思います。  さらにもう一つ考えますと、これは卑近な話になって恐縮でございますが、御承知のように、日本の石油の輸入先、七割でございますかを輸入しておるサウジアラビアのあすこの湾の入り口にはホルムズ海峡という狭い海峡がございます。この海峡は南半分はほとんど岩礁地帯でタンカーが通れません。北の狭いところをタンカーが通るということでございまして、堺屋太一さんのお書きになった「油断」というような小説に出てまいりますような事態がいつ起きるかもしれないということもわれわれは考えておかなければなりませんし、さらにはこれもまた人の話を例に出して恐縮でございますが、ポールアードマンという人の書きましたものに「一九七九年の大破局」という小説がございます。これはフィクションでございますが、まことにそら恐ろしくなるようなフィクションでございまして、ああいう事態がいつ起きるかもわからないということも覚悟しておかなければなりません。  そういう時点を前にいたしまして、私どもの庭先であるつい近所の海底に大油田の可能性がある、これは掘ってみなければわかりませんが、大油田の可能性があるということであるならば、われわれは万難を排してもこれを早急に開発しなければならないと考えております。なかなか油田の開発はリードタイムが必要でございます。いまから始めて一九八五年以降のいわゆるエネルギー需給ギャップという事態に間に合うかどうかわかりませんが、われわれはなるべく早く間に合わせたいというふうに考えております。  さらにもう一つには、石油はだんだん世界の全体にとって重要なエネルギーでございます。そこで、われわれといたしましては世界の一割の消費をいまいたしております。しかも、石油は無資源国でございます。そうなりますと、この一割を日本がただぬくぬくと利用して高度成長を楽しんでいるということでは、もはや産油国側からも指弾されるという状態になる可能性がございます。われわれといたしましては応分の努力をいたしまして、人類の石油資源のパイを大きくするということが非常に大事なことではなかろうかと思います。特に石油資源は御承知のように、いわば在庫の食いつぶしでございますので、在庫の積み増しということを絶えずやらなければなりません。在庫の積み増しということは新しい資源、石油資源を発見することでございます。それによって人類の石油のパイを大きくしていく、あるいは次の代替エネルギー燃料へのつなぎをやっていくということが、非常に喫緊のことではなかろうかと存じておりますので、この共同開発というものにつきましては、十分御審議の上一刻も早く共同事業が出発できるようにお願いいたしたいと思います。  以上でございます。
  13. 楠正俊

    ○委員長(楠正俊君) ありがとうございました。  次に吉田参考人お願いいたします。
  14. 吉田忠雄

    ○参考人(吉田忠雄君) 明治大学の吉田でございます。  五人の参考人の方が御発言なさいまして私の発言は最後でありまして、かなりの部分で私が申し上げようと思う点と共通でございます。したがって、違う視点から私の意見を申し上げたいと存じます。  日本の全エネルギーの七五%は石油でありまして、その石油の七五%は中東諸国に依存しております。しかし、御承知のとおり中東諸国はきわめて不安定でございます。イランは一九八五年に石油の禁輸を考えておりますし、サウジアラビアもまた、もしできることならば現在の輸出量を半減したいという意見を表明しております。もしこのような事態が起こりますと、日本の産業は大きな混乱をもたらすのは必至であります。しかし、それだけではなしに中東諸国は政治的にきわめて不安定であります。昨年の十一月エジプトのサダト大統領はエルサレムを訪問し、歴史的な大事件をつくり出したのであります。私はサダト大統領の勇気に敬意を表しますし、それを迎え入れたイスラエルの声もまた支持したいと思うのであります。  しかし、中東和平が今回かなり急速に和平に向かうかと思うような状況の中で、すさまじい逆流の事件が起こっているのであります。特に中東の急進派はサダト大統領の暗殺を豪語しておりますし、あるいはまた現にアラブの穏健派を暗殺しております。そしてそれらの暗殺を実施しているグループはPFLPだといわれているのであります。このPFLPは御承知のとおり、ことしの三月末の成田空港のあの暴挙、破壊しました暴挙に対して連帯の声明を送っております。このようなことを考えますと、中東と日本とは無関係ではありませんが、しかし、中東の和平を私は心底願ってはおりますけれども、今日多くの地域でテロを企画しあるいはテロを訓練している地域があると報道されているのであります。私がいろいろな資料を集めまして知る限りではアルジェリア、リビア、イラク、南イエメン、最近ではブルガリアと朝鮮民主主義人民共和国の名前も挙げる報道もあるのであります。  このような中東の不安な状態の中で日本の国益を守りますために、すぐ近くにある石油の開発にできる限り速やかに私は着手することが日本のみならず世界の和平に大きく貢献することだと考えます。  こういう状態の中で、いまこの法案の審議が進められているわけでありますが、私はそうした状況の中で中国もまた今回のこの大陸だなの問題をめぐりまして私たち日本とは全く異にする見解を持っているという点に着目しなければならないと思うのであります。多くの参考人の方々が触れていらっしゃいましたが、この大陸だなの問題につきましては二つの相反する見解がございます。アメリカ、ソ連あるいは中国、韓国もまた大陸だなの自然延長の見解をとっているのであります。しかし、私は日本の立場からこれにたやすく応じてはならないと思うのであります。  たとえば、ことしの四月十二日から十六日にかけまして中国は尖閣諸島周辺で領海侵犯事件を引き起こしたのであります。私はこの尖閣諸島の問題に、日本の領土かあるいは中国の領土かというふうな点がありましょうが、私は尖閣諸島もあるいは韓国とのかかわりがあります竹島も日本の領土であろうと思います。そのことはさておきまして、中国の恥副首相はあの事件を偶発的なものと説明しておりました。しかし、私は事実とは違うと思うのであります。特に統制のとれている共産主義諸国で偶発的なことは起こり得ないと考えます。何らかの政治的な意図でなされたと思いますが、たとえばその政治的な意図は別にいたしましても、四月十二日、日本の巡視船「やえやま」が何回か退去警告を繰り返したのに対して十六隻の中国漁船は、あの島は中国の領土と書いた黒板を示して拒否したのであります。あるいはこの四月十三日、東京で外務省の田島中国課長が中国大使館の宋文一等書記官を呼びまして抗議した際、宋文氏は、尖閣諸島は一九七一年十二月三十日の中国外交部声明に述べているとおり中国の領土であると述べ、事実上拒否したのであります。  わが国の沖繩県に踵を接するような海上に位置している尖閣諸島を、中国は自国の領土だと主張しているのでありますが、恐らくその論拠となっているものは大陸だな自然延長説であろうと思います。もし、この自然延長説を文字どおりとったならば、わが国のように海溝に囲まれている国の水域はきわめて狭いものになり、すべてを他国に譲り渡さなきゃならないと思うのであります。こういう状態を考えますと、中国も韓国もまたこの大陸だな自然延長説を唱えているわけでありますが、日本といたしましては、この相接する部分については十分に協議をし、論議をし、共同で設定することが最も妥当な方法だろうと思います。そうした意味で、今回この問題の多い地域を日本と大韓民国との間で共同開発をするということは、私は公平に見まして痛み分けというふうな状態であって、特にどちらがどちらというふうなことを深く突っ込むことはかなり無理なことであろうと思うのであります。今日、アメリカやソ連あるいは中国、韓国いずれも自然延長説を唱えておりますし、先ほど栗林参考人がお述べになりましたとおり、国連の海洋法会議もこの説に傾きつつあるようであります。  ただこのような状況の中で、私は日本と大韓民国との間にこの共同開発区域を設定し、そして特に共同で開発をしようというこの主張は、中国の唱えている地域とは抵触しない、つまり日本の中間線の内部であり、同時にまた韓国の主張しているものとぶつかり合う。しかし、日本と大韓民国との問題であって、中国の問題はまた別途論議し、あるいは協議する必要がある問題だろうと考えます。  さて、このような共同開発区域、何人かの方々が御発言なさいましたとおり、私もまたこの地域は新第三紀層に属しており、石油賦存の可能性はかなり高いものと考えるものであります。事実地震探鉱の結果、この地域の地質条件も安定しており、石油はかなり有望視されているのであります。少なくともこれまでのところ探査地域だけでも七億キロリットルは埋蔵しているものと推定されているのであります。今日、私たち日本がいわば石油戦略に大きく左右されないためにも、日本ができる限り代替エネルギーを開発するとともに、すぐ近くにあるこのような原油の開発に積極的に乗り出すことは、経済の合理性あるいは日本の産業の発展のみならず、世界の石油を合理的な適正な価格に安定させるためにもこのことは必要であろうと考えます。  こういう日本と大韓民国との間の共同開発に対しまして、たとえば一部の中でそのことは現在の大韓民国の力を強化し、ひいては二つの朝鮮を固定化するという批判が間々見られているのであります。私は日本といたしまして、世界のどの国とも友好関係を結ぶことを願っておりますし、まして日本と最も近い距離にあり、長い歴史的な関係があり、しかも不幸なことに反目の少なくなかった大韓民国とこの共同開発が契機となって両国の友好関係が深まることを心から願うものであります。しかし、大韓民国を強化することは朝鮮民主主義人民共和国を敵視するのではないかという見解もないではありません。私は日本といたしまして朝鮮民主主義人民共和国を敵視するような見方をとるものではありませんし、できる限り朝鮮民主主義人民共和国も日本人を含む外国人に広く門戸を開放しまして、自由にまず見聞させてほしいものと思うのであります。  この朝鮮半島の二つの国の問題に対しまして日本がイニシアチブをとったり、あるいはまた政治的に大きく暗躍することは従来のいきさつからかえって疑いを持たれる可能性が強いのであります。私はこの二つの国の問題につきましては、たとえばソ連と中国によって大韓民国を承認し、米国がまた朝鮮民主主義人民共和国を承認するという、いわゆるクロス承認によりまして、やがて二つの国が国連に加盟し、そしてやがて二つの国が自主的にすべてのことを決定するような、そのような一助にするためにも、大韓民国の経済的な安定を進めることが日本にとっても、あるいは世界の平和にとっても重要なことであろうと考えます。ましてお隣の大韓民国は自由主義陣営の一員でもあります。その同じ自由主義陣営の一員である大韓民国と共同開発することは当然のことであり、ただし、そのような当然のことを推進するに当たりまして、いやしくも不正なことがないよう十分配慮することが重要なことは言うまでもありません。  もし他の国々との開発が一切いけないというならば、ソ連はかつて中国の開発に協力いたしましたし、中国は現在ビルマの開発に協力しようとしております。私は、大韓民国が日本との基準において政治的な諸問題をとやかく言うべきではないと考えるのであります。しかし、そのような状況の中ですべて欠陥があるから開発を取りやめよというならば、そのことは相手の国に対する内政干渉にもなりましょうし、あるいはソルジェニツィンを追放し、サハロフを圧迫している日ソの経済協力も不可能という論理になろうかと思います。  こうして日本と大韓民国との間にありますこの共同開発をいまから進めていきましても、私は石油危機が本格化する一九八〇年代の後半においてようやく間に合うような状況だと考えます。両国の間で合意を得ましたこの共同開発を速やかに進めていただきますよう、本委員会で良識ある御審議をいただき、ぜひとも速やかに成立させていただきたい。  以上、私の意見としたいと思います。
  15. 楠正俊

    ○委員長(楠正俊君) ありがとうございました。  以上で参考人の方々の意見の陳述は終わりました。  五分間休憩いたします。    午後三時十二分休憩      ―――――・―――――    午後三時二十分開会
  16. 楠正俊

    ○委員長(楠正俊君) これより委員会を再開し、参考人に対する質疑を行います。  なお、吉田参考人は都合により午後五時三十分に退席いたしたい旨の申し出がございますので、まず吉田参考人に対する質疑を行うことといたします。  質疑のある方は順次御発言願います。
  17. 穐山篤

    ○穐山篤君 どうもきょうはありがとうございます。  委員長、いま吉田参考人からというふうにお話ありましたが、状況を十分に段取りをつける立場からお許しをいただきたいと思いますが、最初、伊藤参考人にお伺いをします。  伊藤参考人の立場上、なかなか言える問題と言えない問題が多分あろうというふうに思いますが、鉱区権を設定をいたしますと、理屈の上から言えば私有財産あるいは財産権ということになりますので、なかなかそれぞれの企業の企業秘密というものは明らかにすることがむずかしいだろうというふうには一応私は理解をいたした上で、なおかつ若干の質問を申し上げたいと思います。  御案内のとおり、この共同開発区域が設定をされた際は、先ほどもお話がありましたように、韓国が設定をした鉱区と日本の業者が設定をした鉱区が重複をしたところを多少調整をして共同開発区域にしたと、こういう形になっているわけですが、日本政府と韓国政府との間にこの協定が署名をされた、いまは国内法の審議を行っているわけですが、署名をされました当時、西日本石油あるいは日本石油、帝石という日本側の業界の態度あるいは御意見というものもそれぞれあると思うんです。あるいは共同でお話し合いをしたことがあったかどうかわかりませんけれども、その当時の率直な御感想をまず最初にお伺いをしたいと思います。  それから二つ目には、専門家でございますのでなおお伺いするわけですが、韓国側は御案内のとおり海底鉱物資源開発法を直ちに公布をして、それに基づきK1からK7まで設定をしたわけです。それぞれメジャーと契約を結びまして鉱区の探査、試掘、採掘ということに多分なったわけですが、まあ情報によりますと、K1を含めましてK2、K3、K4というところ、まあK5の一部ですか、そういうところではメジャーは撤収をしたと、韓国政府も採掘について断念をしたと、こういうふうに言われているわけですが、日本側に入っております説明としては、技術的及び経済的理由というごく簡単な理由になっているわけですが、専門家の立場からお考えになりまして、なぜK1からそれぞれ撤収をされたのか、まあ商業的な立場を踏まえてその点をお伺いをしたいというふうに考えるところであります。それから、先ほどのお話では昭和四十三年ですか、エカフェの調査よりもあなたの所属されております企業の方が調査範囲としてもあるいは調査の精度、進度から言ってみても相当比重が高いものだ、こういうふうにお話を承りました。  そこで冒頭私が申し上げたことを十分承知をしながらもお伺いをするわけですが、一言で申し上げまして、共同開発区域のどこの部分が予想される天然資源の堆積層になっているかどうか、あるいはそれから少し南に下がりますとちょうど台湾になるわけですが、その中間地点に尖閣列島があります。日本企業もここではおおむね三つの企業が採掘権といいますか、鉱区を所有をしております。それからアメリカの企業も一つ鉱区を持っているわけです。まあ持っているということはある意味では将来性を楽しみにしているわけでありますが、ここの部分の探査、調査についても、もし知り得る範囲でその天然資源の状況というものについてお伺いをしたいというふうに思います。  それから橋本参考人に、これまた専門的な立場からお伺いをするわけですが、いまもお話し申し上げておりますように、鉱区権が設定をされますとなかなか情報というのはつまびらかではないわけですが、先生のところには、鉱区を設定した企業なり、あるいは独自の研究の立場から共同開発区域なり、あるいは共同開発区域よりもさらに下りました南部、それからさらに下りました尖閣列島付近の地質学的な状況というものについて、素人がわかり得るような立場からひとつ御説明をいただきたい、とりあえずその四問から逐次入っていきたいと思います。よろしくどうぞ。
  18. 伊藤治郎

    ○参考人(伊藤治郎君) お答えいたします。  先生の御質問の第一点は、共同開発ということになったことに対して関係の民間企業としてはどういうふうに感じたかということであったかと思います。私どもは実を申せば意外ではあったわけでございます。と申しますのは、私どもが鉱区をあそこに申請いたしましたのは、一つには、最前申し上げましたように、西日本石油さんが大体中間線のちょっと内側ぐらいのところでやっているわけでございます。さらに私どもは、あの東シナ海、黄海を含めまして、大体沖繩を含めまして日本列島がアジア大陸の陸海のはじである、したがいまして東シナ海その他のあの辺の海域は沿海としてむしろ瀬戸内海のようなものであろうと、沖繩海溝というものがございますけれども、これはただのくぼみである、そこで全体が一つの内海のようなものであるので、朝鮮半島、日本列島、中国大陸にはさまれてでき上がっている内海だから、したがってあそこは大体等距離中間線でいけるところだろう、そういうふうには考えたわけでございます。特に北海と同じ状況であろうということでございました。特に北海の場合にはノルウェーの沖合いにノルウェー海溝というものがございますが、それを飛び越えまして英国とノルウェーとの間に中間線の協定ができているわけでございますので、そういうのを勉強いたしまして、私どもとしては等距離中間線で分けられるものだろうということで鉱区出願いたしたわけでございます。  これはどなたに相談したわけでもなくて私どもが独自に判断いたしました。特にいままでの鉱業法は先願主義でございますので、うちがねらっているとわかりますとほかの人に突然何されるかわかりませんので、これはもう全然私どもだけの秘密の事項として検討して、そういうふうにしたわけでございます。それで十分いけると思っておりましたのが突然七鉱区というものが飛び出してまいりまして、私どもも実はびっくりしたわけでございます。ただそれが共同開発という形になりましたことにつきましては、私ども非常に残念だとは思いましたけれども、どうもいろいろ伺いますと、両方の主張はそれぞれに根拠があって百年河清を待つがごときものである、その解決を待っていたのではいつになるかわからぬというような感じに私どももなりましたので、これは共同開発はやむを得ない、むしろそうなるならば、一刻も早く共同開発ということによりましてこの地域に有望な油田を発見できるならばその方がむしろ日本経済のためにもなる、そういうふうに考えました。  それから第二点の韓国での一区から六区にわたる区域につきまして韓国から利権契約をもらっておりますメジャーズがそれぞれ撤退したということでございます。これは一区はまだ一部分撤退しておりません。それから五区についても撤退しておりませんが、私どもは他国のことなのでよくわかりません。わかりませんが、伝え聞くところによりますと、それぞれに調査をした結果どうも陸寄りの方はさっき橋本先生のおっしゃった石油の貯留岩になる砂岩層の発達が非常に乏しい。沖合いへ行くほど厚くなる。そういうことで現実にも第四区にはガルフが井戸を掘ったと思います。それから第六区ではシェルが井戸を掘ったと思います。いずれも同じような状況でございまして、逆に彼らの感触からは沖合いへ行くほど砂岩層が発達している。それは鉱区の外に出てしまっているのでそれで商業的な価値がないという判断で撤退したのだというふうに、これは外国のことでございますので正確かどうかわかりませんが、私どもはそういうふうに理解いたしております。  それから第三点、共同開発区域の地質状況でございます。これはエカフェの調査報告にも、南の方が有望だというふうには書いていないと承知いたしております。東シナ海全体としての話と承知いたしておりますが、私ども南の方は直接調査をいたしておりませんので何とも申し上げられません。堆積層は厚いのかもしれません。しかし、堆積層が厚いだけではだめであるということはさっき橋本先生がおっしゃったとおりだと思います。そこで、私どもの実施いたしました調査の結果によりますと、大体あそこに東北東から西南西に向かいまして台湾宍道ボールデッドゾーン、褶曲帯と申す隆起帯がございます。その隆起帯の内側に厚い堆積層が発達し、外側にも非常に厚い堆積層が発達している、内側の方は三千メーター以上の堆積層である。それから、そのボールデッドゾーンの東側の方は六千メートルを超える堆積層が発達している。しかも、この厚い母岩の周辺には非常に石油をためやすい構造が、さっきの台湾宍道ボールデッドゾーンというものの隆起帯のために石油をためやすい構造ができやすい状況でございまして、現実に私どもの調査でも相当な規模の構造と推定されるものを見つけております。  それ以上のことはちょっと企業の機密になりますので遠慮さしていただきたいと思いますが、そういう状況でございますので、私どもとしてはこれはリスキーな投資を継続するに十分値するということであります。私どもの方の地質屋に言わせますと興味しんしんである、全くよだれがたれそうだということでございます。まあそこまでで勘弁さしていただきたいと思います。  それから第四点の尖閣列島周辺につきましては、私どもは関係ございませんのでここでお答え申し上げられるような資格がございませんので、残念ながらそれで御勘弁さしていただきたいと思います。
  19. 橋本亘

    ○参考人(橋本亘君) お答え申し上げます。  一つずっというよりもまず全体のいろいろの問題になっておりますエカフェのCCOPの報告書のことからまいります。これはあの調査は非常に貧弱な機械を使っておりまして、そして非常な多重反射をしております。そのために非常に深いところが読みにくいのであります。普通の人があれを判読いたしますと千メートル、千五百メートルぐらいがようやくでございましょう。亡くなられた新野教授は言っておりましたが、エメリーだからあれをあそこまで読んだ、こういうふうに申しておりました。それはまだあれが発表になる前にまだ新野教授上陸したばかりのころにそういう話を聞いておりました。それで多くの人があのエメリーたちの調査報告というものについて非常に誤った考えをしておるということを申し上げます。  それはエメリーがあそこで二つに地層を分けまして、変形しておらない地層と変形しておる地層に分けております。この意味について何も理解しておらないのであります。それでどちらの方向に油が動いているかといいますと、変形していない地層におきましては変形しておるいわゆる台湾宍道の褶曲帯の方へ向かってそこに高まりがありますから、自然的にその何といいますか、われわれ初生傾斜と申しますが、傾斜上方の方へ動きます。それが一つはその台湾宍道の褶曲帯の方へ、一つは中国大陸の方へ、そしてもう一つは朝鮮半島の方に向かって動いてくるわけなんです。そうするとちょうどここに図があるからあれですが、ここのところに二つの高まりがあります。そしてあの中では若い方の堆積物はこの中は非常に価値の少ないことはっきり申しております。それで私が知り得ているのは何鉱区だか何か知りませんが、この辺で掘ったのは公表されておりますので、それを見ますとちょうど物探をかけまして、地層のさっき申しました一番石油をためやすい背斜構造の頂部と思われるところへ掘りましたこの下にすぐ基盤がついていたんです。基盤の花崗岩のところへくっつけちゃった。それでもって、そこでここのリッジの様子を見当をつけまして、それでそれからこっちはとにかくだめだと、こういう解釈をしたんだろうというふうに推測いたします。  それで南の方に関してはさっき申しましたように通産省で公表されました資料以外は私はひそかに聞いていて、さっき福江一号などということを申しましたが、実はわれわれの立場として知っている秘密を勝手にしゃべるということは、これはもう非常に不道徳なことでありますが、こういうところだからきっと会社も許してくれるだろうと思って申し上げておりますが、しかし、この南の方に関しては先ほどそちらでも言われましたように非常によろしいのですが、この尖閣群島のここからこっちの台湾よりの方にかけまして、このあたりに行きますと私が戦後十数回の台湾の石油地質、中国石油の援助のもとにやりましたのが何回か、そのほか向こうの鉱業試験所みたいなところがありますMRSOというところとやっております調査の結果、それを総合してエメリーのあれを見ますと、それからその後の改訂版を見ますといろいろな地層をごちゃごちゃにしておると、こういうふうにしか思えないのであります。  そして一番頼りになるものは、尖閣群島付近に日本側において施行いたしましたこの調査が三回ございます。この三回の結果を見ておりますと、これも一番最後のものの使っております出力がよろしいのでこれの解釈は非常によくできていると思います。それを見ているとその調べられたところ自体に関しては石油をためるのにほれぼれとする構造は残念ながらないようでございますが、そうでなくてほかの二次的なものを使うならば、何かあるように思います。とにかくエメリーたちもはっきり言っているのは、この台湾宍道摺曲帯の中の第三紀層の問題なのでありましてそれが非常に有望だと言っております。そのときに通産省の出されました資料を拝見している限り北の方が非常によろしいと、こういうふうに結論せざるを得ないのであります。そうするとそれはこの鉱区にすぐ隣接しているところかダブっているのかどうか私にはよくわかりません。そちらでお尋ねくださればその部分が重複しているかどうかわかるだろうと思います。そんな状態で、まあこんなことが私の知っていることでございます。
  20. 穐山篤

    ○穐山篤君 伊藤参考人にさらにお伺いするわけですが、国会の議論というのは業界誌、あるいは新聞、テレビでおわかりだと思うんですが、この共同開発区域については中国との間に争いがあるということで、政府は日本の企業に対して石油開発公団によるところの投融資は行わないと、こういうことが大臣から明らかにされているわけです。そのことは業界も十分御承知だと思うんですが、そういたしますと、西日本石油、あるいは日石、帝石、いずれも自前の経費、あるいは自前の技術で、技術は当然ですけれども行うということに国会の審議上なるわけですけれども、かなりリスキー伴う開発でありますので膨大な金がかかるわけですね。争いがなければ国内の場合には五〇%、海外の場合には七〇%の投融資の対象になるわけですが、全然投融資の対象にならない。その場合でもこの三つの企業は単独で、まあ何千億かの金を十分出し得る財政的な基盤はあるんだというふうに考えてよろしいかどうか、その点を一つ。  それから日本石油さんの場合は、小鉱区に分けますと四から七までが従来鉱区になっておりましたね、小鉱区になっておりました。どちらかと言えば中間線よりも日本側であることは間違いないと思いますけれども、地理的に言えば八、九よりも遠いわけですね、九州に対して遠いわけですが、これも企業秘密だと言われればしようがないんですけれども、仮に天然ガスなり石油が採掘をされた場合に、どういう計画で日本本土に輸送するかというふうなことはあらかじめ研究をされていると思うんですが、これも最終的には開発権者とのかかわり合いがあっていまは言えないというなら、それも一つのお答えでしょうけれども、何らかの構想は当然お持ちになっていたと思いますが、そのことについてごく抽象的でもやむを得ませんけれどもお伺いをしたいと思います。  それから栗林参考人にお伺いするわけですが、海洋法の変遷が目まぐるしいということは十分にわかります。ところが、先ほど伊藤参考人からもお話がありましたように、中間線という立場に立って出願をした、鉱区の設定をする、これはごく常識的な立場、だれしも考える措置であるわけですが、先ほどのお話を聞いておりますと、こういうふうに目まぐるしい状況にあるので、たてまえはたてまえとしても、現実的な解決を図るべきだと、こういうふうなお話を私は承ったと理解をしているわけです。例として北方領土なりあるいは竹島、さらには尖閣のお話を出されておりましたが、議論になるから申し上げませんけれども、私はそれぞれの島について多少次元、性格が違うと、こう思いますけれども、本来の国際法の立場から考えてみて、非常に恐縮な話ですけれども、座標一から座標六までですね。それから座標六、七、八というのは少なくとも中国と日本との中間線になっているわけですが、一から六は日本と韓国との中間線ということになっているわけですが、国際法的に考えてみても、仮にですね、日本が韓国との関係で中間線の議論を国際司法裁判所に持ち込む、こうなった場合の先行きの見通し、それから、座標六、七、八というのはいま申し上げましたように中国と境を接するところでありますが、この中間線をもっていった日本側が中間線議論を主張した場合に、いわゆる大陸からの自然延長論というものとどういうふうにかかわって、司法裁判所に出た場合に、いまの趨勢から言えばどんなような答えになるかどうかということについて引き続きお伺いをしておきたいというふうに思います。  それから吉田参考人にお伺いするわけですが、先生の御意見は政治論として十分によくわかります。政治論としてよくわかりますけれども、国会の審議は政治論も入るし、あるいは国益論も入ります。いろんな立場から議論をしているわけでありますが、先ほどのお話の中で冒頭では、自然延長論というものが韓国からも、中国からも出ている。これを全部はねつけろというふうに主張されながら、最後に日韓だけまとめた方がいいぞというお話があったわけですが、どこでそれを切りかえられたのか、どういう政治的な判断から取りまとめをされたのか、その点をひとつお伺いをしたいというふうに思います。  以上です。
  21. 伊藤治郎

    ○参考人(伊藤治郎君) お答えいたします。  公団資金をどうするかというお話だったと思います。  そこで最初に御理解いただきたいことは、膨大な資金を要するというお話でございますが、これは試掘段階と開発段階と分けて考えなければならない問題でございまして、試掘段階にかかる費用と、それから本格的に開発段階、油が見つかって開発に入った場合の所要資金というのはけた違いのものでございます。それを最初に申し上げまして次に申し上げますと、他社さんのことを申し上げるとあれですが、帝国石油さんの鉱区は水深三百メーターよりも深いところが大部分でございます。西日本石油さんの鉱区はさらにそれより深いところでございますので、これは協定によりましても、さしあたっての投資義務というものが免除されていると心得ております。私どもの方の鉱区は、水深三百メーター以下でありまして、大部分が二百メーター以下、平均水深は多分八十メーターぐらいになるかと思います。そういう浅いところでございますので、日本よりは遠くなりますが、これは沖繩海溝を隔てて向こう側でございますので、遠くなりますが、水深的には非常にやさしい場所であるということになります。  そこで私どもの方の関係しておりますのは、四区から五区と七区ということになりますが、そこにおきましては、これはまだ、私ども鉱業法上の先願権者であるにすぎませんで、まだ、特定鉱業権者でございませんので、これから申し上げるのは越権かとも思いますけれど、あえて先願権者の立場で申し上げますと、大体あの鉱区は私どもの物理探鉱の結果から判定いたしますと、三年間に試掘義務としては一本ずつ、五区に一本、七区に一本、あとは四区はゼロのはずでございますが、協定上は一本ずつになっておりますが、とにかく特定鉱業権者に指定を受けましたならばさっき申し上げましたようなエネルギー情勢を背景にいたしまして、早急に仕事を始めたい、やっていきたいというふうに考えておりまして、その際の考え方といたしましては、あそこに試掘井を五本ないし七本掘れば大体の見当がつくのではなかろうかというふうに考えております。  そうなりますと、あの辺の水深でございますと、大体井戸一本二十億円ないしは二十五億円、その場所によりまして、それから地層のいかんによりまして変わりはございますが、大体その辺のところと考えております。そういたしますと一本ないし七本掘りましてもトータルで二百億円足らずということになろうかと思います。そうしますと御承知のように、その地域は日韓費用折半でございます。それでこちら側の負担は半分でございます。さらに私どもは、米国の私どもと三十年来のつき合いのある気心の知れたテキサコ、シェブロンと共同事業契約を結んでおりまして、アメリカ側と私どもとではまた費用折半ということになりますので、全体に要する作業量及び資金の四分の一を私どもの会社が特定鉱業権者になった場合には負担すれば済むということになりますので、試掘段階におきましてはわりあい僅少な金額で事が進んでまいると思います。したがいまして、日本石油の自己資金で十分賄っていけるというふうに考えておりまして、現在の時点では特定鉱業権者になりました暁でも公団さんの御迷惑をおかけしなくも済むだろう、こういうふうに考えております。  なお、帝石さん、それから西日本石油さんにつきましては、他社のことでございますので、私には申し上げる資格がございません。  それから第二点でございます。試掘段階はその程度のことといたしまして、仮に、もし幸いにこちらのねらいをつけました構造から油が出たということになってまいりますと、これは相当な金がかかることになろうかと思います。しかし開発をどういうふうにしてするかは、油の当たった井戸の周辺で構造はどこまで広がりがあるか、どこまで油が入っているか、それからどういう油田の特質を持っているか、どのぐらいの埋蔵量があるかということを、全部探査井というのを掘りまして調査いたしまして、それを総合いたしましてフィージビリティースタディーをやった上で、これはどういう方法で、何年かけて、どういう形でとっていくのがいいかということが初めて決まるわけでございますので、これはまだ先のことでございますが、現在先生方の御承知のように、北海油田の発展に伴いまして、海底油田の開発段階における技術は日進月歩でございまして、たとえばいままでのように新潟県の阿賀沖のようにプラットホームをつくってパイプを引くとかいう方法もあれば、そうでなくて海底で仕上げてしまう、そして浮きタンクのようなものを持っておいて、現地からタンカーで運ぶとか、いろいろ方法ございます。それは幸いにして油田が見つかりました暁に、その時点において一番進歩していて、安全でかつ効率のいい、同時に安上がりにできる開発の設備をするということが一番いいのではないかと考えております。
  22. 栗林忠男

    ○参考人(栗林忠男君) お答え申し上げます。  私に尋ねられました御質問は、海洋法の問題を解決する際に、たてまえ論を捨てて現実論をとるのかという点が第一点でございまして、まず、そのことから。  先ほどの私のお話を若干敷衍させていただきますと、かつてと違いまして、これは北沢参考人も指摘された点でございますが、非常に数多くの国家が海に対して多様な利害関係を持ち始めてきているわけでございます。まさに日本とか、あるいは少数の国だけが海洋問題に関して深い利害を持っているのではなくて、極端に言いますと、世界百五十カ国の国がそれぞれの立場から海洋に対して非常に深い関心を持ち始めてきているということがございます。その場合、それぞれの国はそれぞれの立場で自国の人口問題、食糧問題等に対処するための議論を展開してくるわけでありまして、それぞれの立場というものがちょうど一つの緊張関係を保ったところで現在の海洋秩序というものが徐々に形成されつつある。そういう意味では非常に政治的な色彩の強い会議であるというふうに私自身は思っているわけであります。  そういった場合に、国際法と言われるものの中でも、非常に多くの国のコンセンサスを得ている部分と、そうでなくて、まださらに煮詰めたり、あるいは国家の統一的な実行が必要とされるような規則が幾つかあるわけでございます。で、ほとんど各国に異存のない規則に関しましては、それはもちろん国際法というものの優位性を信じて、そしてそれにのっとった行動を起こすべきでございましょうが、不幸なことに利害が対立する問題、そしてまた法解釈も二通りに分かれるような問題に関しまして、いつまでもその問題にこだわっているのがいいかどうか、これが一つの政治的な法定の問題になってくるのじゃなかろうかと思います。そういう意味で、私は決して将来の秩序、新しい海洋法秩序というものに対する諸国の願望なりあるいは主張なりというものを無視してまで、日本の現実的な立場のために何が何でも妥協しろということは言っているわけでございませんで、そういった将来の一つの意図というものをはっきりとつかまえた上で個々の問題に対処していく、そういう立場が必要であるという意味で申し上げたわけでございます。  それから第二の、座標一から六、そしてまた座標六から八まで、仮にICJ、国際司法裁判所に紛争が付託された場合どうなるのかという御質問でございますが、これは仮定の問題でございまして、その前提としてお話しいたすわけでございますが、御承知のように、日本が国際司法裁判所の判決を仰ごうという提案をしたにもかかわらず、韓国側が国際司法裁判所の選択条項を受諾しておらないために、これは実現しなかったわけでございますが、私自身の考え方を言わしていただければ、境界画定の問題に関しては中間線をとる、そしてコンチネンタルマージンの外縁決定に関しては二百海里という距離基準が最もよかろうという考え方を持っておりますので、ひとつICJの判断いかんということではなくて、私の立場がそういうことであるということでお答えにかえさせていただきます。
  23. 吉田忠雄

    ○参考人(吉田忠雄君) お答え申し上げます。  私は、日本が海に囲まれ、また世界の海にいろいろ活躍しております状況の中で、いまだきちっとした定説にはなっておりません自然延長説を日本がイニシアチブをみずからとるべきではないと考えます。  私の基本的な考え方は、日本は等距離中間線分割、これでどの国に対しても交渉することが望ましいと考えます。ただ、そのような状況の中にもかかわらず、世界の趨勢は徐々に日本のこの立場を困難にさせている現実を私は否定いたしません。本来の主張と現実の動きとの間に大きなそごがある場合に、そこで何らかの政治的な判断が必要になってくるわけであります。政治的と申しますと、非常に悪い意味を持ちがちでありますが、私は最も多くの人々が納得できる合理的な線でお互いに譲歩するということではないかと思います。そこで、それらの点を考えまして、私はどこで妥協するかという問題、どの国に対しましても、単に韓国のみならず、どの国に対しましても、こういう根本的な利害が対立し、基本的な意見が対立しますときには、お互いに譲歩するという線が両国の間を平和的に友好関係を推進する最も賢明な方法だと考えます。  その意味で、中間線でまず距離を引き、そしてなお相手国側がこちらの中間線以内についていろいろな主張をしてきたときに、いわば痛み分けという形でこの共同開発案ということを考えたのは、私は両方ともに言い分があり、両方ともに不満はあるけれども、両者の友好関係を結ぶ上で最も妥当な妥協案だと考えます。したがいまして、基本的に等距離中間線分割案というものを私は決して譲ってはならないと考えます。  以上、お答え申し上げたいと思います。
  24. 対馬孝且

    ○対馬孝且君 参考人の方々より貴重な御意見を拝聴いたしましてありがとうございました。  二、三、私からひとつお伺いをいたしたいと思います。  まず、麓先生とそれから北沢先生に、海洋法と南北問題に関連をいたしまして端的にお伺いをいたします。  いまもちょっと出ておりますけれども、まさしく海洋法の問題では、世界の趨勢としては二百海里経済水域ということが世界の大勢の方向に進んでいる。むしろ端的に言って、私の判断では、国際的に二百海里をはみ出した部分は、国際還元論としてむしろ提供すべきであるという、こういう趨勢に海の上の資源も海の下の資源もその二百海里範囲内はその国の領有に属するものである、こういう考え方を持っているわけであります。したがって、これからの海洋法の見通し、それから南北問題におけるこれからの推移等判断いたした場合にどういう方向を求めるべきなのかという点につきまして、お二人の先生からお伺いをしたいと、こう思います。  それから第二の問題でありますが、この間も総理大臣とここでやりとりいたしましたが、率直に申し上げまして、竹島問題の解決なくして今回の大陸だなの開発の問題には、むしろこの際二国間の国家間の信頼関係、あえて敵が竹島の問題にああいう不法な占拠をして、こういう二国間におけるきわめて不正常な状態が続く限り、大陸だな問題などについてはこの際停止をするかあるいは凍結をするかという態度に処すべきであるということを詰め寄ってまいりましたが、これは外交ルートを通じて解決をしたいということだけであります。  私は、そういう意味では、北沢先生と麓先生と、それから栗林先生にお伺いしたいのでありますが、こういった国家間の信頼関係ということが領土問題にいたしましても、たとえば共同開発の問題にいたしましても最大の基本的な条件ではないか、この基本条件が満たされずして経済的な問題を解決しようと言っても、それはしょせん本末転倒しているんではないかというわれわれの考え方が率直にあるわけであります。この点について、ひとつ麓先生、北沢先生、栗林先生の考え方をお伺いしたい。  それから国際学的な立場から栗林先生にお伺いしたいんでありますが、この五十年の協定の根拠というのは一体どこから出てきているのか。これは一国の協定が五十年間も拘束をされるということは、これは世界、われわれ民族的にとっても許しがたい、誤りを繰り返してはならない重大な問題でありますから、こういう面、もし先生方の感じておる点で結構でございますけれども、この五十年間協定の根拠というものは一体何を示しているのか、それをひとつお伺いしたい。  最後に、信頼関係ということを盛んに、この間も当委員会を通じましても国際信義を裏切ってはならないんだという意味のことを政府は言うわけでありますが、信義を裏切っているのはむしろ韓国側ではないのかと私は言いたいわけであります。それを盛んに国際信義――ベルサイユ条約を結んだ際にも、アメリカでは逆にこれが上院で否決をされた例もたくさんあります。あるいはフランスでもあります。しかし問題は、大事なことは、その国際信義という問題の基本は一体何に求めるべきことなのかということになれば、私はやっぱり相互信頼、ましてや国家の最高機関である国会の機関の権威というものを基本的にまず宣揚をされるべきものである、こういう考え方に立っておるわけでありますが、この点もひとつ三方の先生に御意見をお伺いをしたい、こう思うわけです。  以上であります。
  25. 麓多禎

    ○参考人(麓多禎君) お答え申し上げましょう。  最初は海洋法と南北問題ということでございますが、私はこれに関連さして結論を出したいと思うのでありますが、基本的な海洋法の問題点が一つあります。これはアメリカとソ連の海軍力を自由に世界を横行させようという、そういうものがある。それで、アメラシンゲ議長が、何年前でしたか、ローマの漁業委員会において、非常に間接的にシビアなそういう批判をされたわけです。その直後会議が進みましてカラカスになったんですけれども、私はアメラシンゲ議長の本当の気持ちというものはよくわかるんであります、彼はスリランカですから。それで、南北問題ということを基本的に考えますと、南には海軍力がないんです、全然。日本はとにかく持っておりますけれども、アフリカなんかは何にもない。そこにソ連の潜水艦が来る、アメリカの航空母艦が来てもどうにもならない。そういう状況で、何とかして主権的権利をどこまで海へ持っていこうかというのを一応考えた結果こういうことが出ているんでございます。  実は、二百海里の問題は根が深くて、すでに私は、一応一九三〇年のハーグの最初の海洋法の会議のときから、こういう流れはあったと見ておりました。一九三六年にケンブリッジでたしか国際法の研修があったんです。そのときにイタリーの代表がある程度そういうことを話を出して、さらに第二次大戦の直前に南米三カ国が一応戦争というものを仮定いたしまして、結局、自分の領海の幅ということで広げることについて話を出したわけです。そのときの南米というものはアメリカとの関係におきまして非常に遠慮がちに決定を出しまして、そうして一応二百海里の問題は第二次大戦を飛び越えて出ましたが、サント・ドミンゴで宣言された二百海里というものは根は非常に深い。ラテンアメリカは一応はおとなしくしておるようでも、二百海里というものを全面的に押し出してきたのはやはりラテンアメリカでございます。アジア、アフリカの海洋法そのものは、学問そのものが非常に若くて、そして大体海洋法の進展の状況としての中における南北問題というのはラテンアメリカの論調が主導しております。これは無理もないんです。  そういうことで、一応立ち返りまして、先ほどお話がありましたような等距離線というものと二百海里というもの、そういうものをここで考えてみました場合に、南北問題と日中間のこの境界争いとはどういう関係になってくるかということです。それで、中国の基本的な国際法の物の考え方は、一九六〇年までは完全にソ連の国際法を踏襲しておりました。私はソ連の国際法が専攻でございまして、したがって、資本主義諸国の国際法とはかなり基本的に論理の根拠が違います。しかし、この中国の大陸だなを話す場合におきましては、われわれがどういう立場で考えるかということになってきますと、先ほどもこちらの先生方のお話にもありましたけれども、この中間線というものが浮かび上がってくるんです。  私はこの問題で四回大使館に行って話しました。それで、最後のときに、去年の参議院の外務委員会の直前でございましたが、揚振亜という一等書記官と話しておった。そのときに彼は何と言ったか。麓さん、こういう話が中国にありますよ。川が流れておる。川上から大きなスイカとゴマが流れてくる。そうしていまあなた方がやろうとしていることはゴマをとろうとしているのではないですか。大きなスイカはぽっかりぽっかりと行ってしまう。そういう話を私にしてくれたんです。それで私はそれをどう解釈するかと思いまして、そしてやはり中国としてはここに大きな石油の資源があるということをやはり気持ちの中に持っている。それでこれを有利に自分たちの方も開発することについては何かやっぱり相当しっかりしたものを、エネルギーの問題について中国は持っています。  多少脱線いたしましたけれども、この中間線を考える場合に、いま日本が中間線というものをどこで守り得るかということについては非常に疑問もございますが、そこで私が最初申し上げましたように、尖閣諸島の問題につきまして中間線を考えてみて、そして現実問題として日本に最小限の有利な条件というものを考えた上で、そこを根拠にして論陣を進めていくべきだというふうに私はこの問題については考えておるわけです。いささか脱線しましたので、後ほどまた御質問がありましたら補足いたします。  次は、竹島の問題でございます。私は、竹島を先ほど韓国に返せと申し上げた。これは国際法上、現行の国際法で私は竹島に日本の領有権がないということは絶対申しません。しっかり領有権を確保した上において、日本が、わかったからここを何とかしようじゃないかという意味において竹島の問題は解決すべきだと私は思います。  これをただ、日本に領有権があるということを申しましたならば、つまり私がソ連の海洋法を勉強したという意味はそこにありますので、要するに資本主義諸国が植民地主義のもとに領有したものは、先占という言葉がございますけれども、一体それ何ものか。略奪であります。あらゆる太平洋の島を全部略奪していったんだ。そして日本は、竹島はどうかといえば、これは多少話は違いますけれども、先ほど申しましたように、綱吉がすでに日本海も放棄する決意を正月の閣議でやったということです。これは非常に大きな歴史的な事実でございまして、したがってその時点において日本は国家として一応竹島の領有も放棄していると見ざるを得ない。それを維新の日本政府は受け継いだわけです。したがって、現在の国際法の論拠になっております竹島の先占の論理につきましては、私は日本の国民として当然とは思いますけれども、なおこれを日本に有利に解決するためにはさらにもう一歩食い込んだわれわれの努力が必要である。  そこで私が先ほど申しましたような論理も出てくるわけですが、無論私がそう申しますと、皆さん非常に意外にお思いになるかもしれませんけれども、竹島にかかわらず、たとえ金日成が出てきて朝鮮を統一しても、この韓国の南の、要するに共同開発区域に対する朝鮮の潜在的の主権というものは放棄しないと私は思う。もちろん金日成が出てきたって竹島を返すわけがない。われわれは朝鮮そのものに対してもうちょっとやはりしっかりした底力のある見解というものを持っておかなければいかぬ。  朝鮮に何をしたかということは時間がありませんので申し上げませんけれども、実に朝鮮が一番最初に困ったのは、日本の漁船が領海に入って――明治の初年ですよ――魚をとり始めた、そのときに朝鮮の零細漁民が本当に困ったんですよ。日本人はいまごろそういうことを反省している人はないと思います。そういう問題を兼ねまして、つまり北朝鮮があえて南の資源に対して、われわれ民族の大事な資源が横へ流れていくということを申しましたのは、やはりそこに同じように、朴大統領と同じような民族としての朝鮮半島と対日問題というものにそういう流れが一つあるというふうに思うわけです。したがって、竹島の問題はもう少し高い立場から考えなきゃならないと思います。  それからその次の問題で、最後に移りまして、国際信義の問題もそれと同じようなことになります。国際信義の問題につきまして要するに一つの問題点は、韓国の国会が批准したものを日本が何もたもたしているか、こういうことでございます。それは、私が一番最初に用意しましたこの資料に載せてあるように、実は韓国の国会がこれを批准しますときには、この法案だけではございませんけれども、八件ありまして、いきなり議長が立って強行採決をやった。したがって、もうてんやわんやの採決をやったわけです。それが批准の実態でありまして、いまごろ日本がぐずぐずしているというのは、それは物の考え方でございますけれども、そういう実情も考えなければいけないし、第一、日本が当時の国会並びに内閣が、どういう形でこの協定というものを出したのかといいますれば、ますます奇々怪々、これは当時閣僚といえども、自民党の首脳部といえども知らなかったということがある国会議員からも言われております。  そういう状況のもとにおけるいわゆる日韓関係における国際信義というものは、われわれ日本人としていささか根底から考え直す必要がある。それで、まあ日韓汚職の問題とかいろいろございますが、あれはまあ大した問題じゃないと私は思うんです。大体あんなことをやらすのは、やらすアメリカも悪いし、日本も悪い。  それで、一つだけ大きな歴史的事実を申し上げたい。金玉均という人がおりました。明治の初年、この人が結局日清戦争の火つけ役となったというふうに言われておりますが、金玉均は日本派として朝鮮王国の再興を図って、日本に何回かやってきまして、そうして結局は日本に亡命して、上海におびき出されて殺された。旅費は大阪の財閥から出ておる。そして、殺された死体を渡すというときに、外務省がタッチした。そして、外務省が領事館に命じて、これを結局向こうに渡してしまった。その死体が要するに京城の外の港にさらされまして、そして日本では、それがいわゆる中国に対する第一回日清戦争の非常に大きな、国民的な感情問題として取り上げられましたけれども、現実にはそういうことで何か裏でごそごそ悪いことをやっておるところは金大中氏の事件と全然同じです、これは。  そういうことで、最後の問題の国際信義というものにつきましては、私は特に国会の皆様方に、やはりもう少し何か落ち着いた論議をしてくださるのではないかと期待しておるわけでございます。  まあ一応私は長くおしゃべりが過ぎましたので、これで勘弁していただきまして、後からまた重ねて御質問があればお答えさしていただきたいんですが、よろしゅうございましょうか。
  26. 楠正俊

    ○委員長(楠正俊君) 参考人の方々にお願いを申し上げます。  質疑に対する答弁は、簡潔にお願いを申し上げます。
  27. 北沢洋子

    ○参考人(北沢洋子君) 対馬議員の御質問は、三点ないし四点ございますが、きわめて実質的な協定文そのものとか特措法の問題そのものというよりか、それからまた日韓大陸だな協定に即した問題というよりか、むしろ思想的な問題についていろいろとお聞きになっていらっしゃると思うので、簡潔にといいますけれども、そのような意味において、もう少し詳しく展開させていただきます。  最初の二百海里経済水域論ですが、海洋法の見通しですが、海洋法会議そのものを、海洋法というものを、一体海の国際法というものをわれわれはどう考えるべきかということをまず明らかにしなければならないと思うんです。  海洋法がそもそも完成されたのは十九世紀で、その十九世紀の時代というのは、大英帝国が七つの海を支配していたときで、そのときに彼らの利害に奉仕するような形でもって海洋法というものが設定され、驚くべきことにその十九世紀の海洋法というのが第二次世界大戦後に至るまで世界の海の国際法として通用してきたわけです。その裏返しとして、そこから、この期間というのは植民地――現在の南の国というのはほとんど植民地、従属国であったわけで、ほとんど国際的に発言する機会を持たなかった。その結果として、多くの富が南から北へ奪われていった。それを何とかして取り返す、取り返すというか奪われたものを奪い返す時代に来たんだということを現在第三世界の人々は考えているわけでして、このような意味において、いわゆる過去一世紀にわたるところの植民地支配という問題を抜きにして海洋法会議というものを純国際法理論として考えるというのは私は非常に危険だと思うんです。特に大陸だな協定との絡みで言えばこれが五十年間支配する、有効である。つまり、二十一世紀に入ってもこの協定というものがもし有効――私は実際それは無理だと思うんですが、協定に従えばそれは五十年間有効であるということになれば、その長いタイムスパンにおいて考えなければいけないのじゃないかと思います。  それで、現在問題になっているのは、五八年の国際海洋法会議における大陸だな条約と、それから現在の七〇年代とそれから将来にわたっての問題でして、その意味から言いますと、私も二百海里経済水域論もまたこれも過渡的なものではないかと思います。確かに現時点においては二百海里経済水域論というものが、特に国連の中で多数を占めております南の考え方として定着しつつあるわけでして、私はこの意味において、大陸だなの条項というものが二百海里経済水域の中に含まれるというふうに私は考えます。その点と、それからこれは日本の政府の言い方によれば海の分捕り合戦だということですが、分捕り合戦に終わらないわけで、世界では、私も前に申しましたけれども、はっきりと人類共通の財産であるという考え方のもとに立って資源を分け合うという考え方が趨勢を占めていくと思います。二十一世紀の長い時間において考えていくと、やがてはそういうことになる、そういうふうな状態において、たとえば現在でもはっきりとその端緒が見えておりますが、深海のマンガンとかそういう海底資源の開発に関して言えば、国際機関をつくって、そしてその国際機関でもってどのように業者に委託するかというようなこと。それから、その国際機関というのは、当然のことながら富のある者が、つまり世界銀行の例に見ますように、いままでは出資率の多いところがそれが発言権を持つというような思想だったわけですが、そうではないということが主張され始めているところでもって、現実に言えば海のない、または海が非常に少ない国というものが五十数カ国あるわけですが、その国を含めたところの資源の共有ということが、将来の見通しとして考えられると思います。  ですから、現在の時点においては二百海里経済水域論であり、それは過去においては固定的でなかったように、将来においても固定的ではない。その将来の動きというのは、それはその資源分け合いの時代であり、そして結果としては、私は将来の方向としては最も貧しき者にも分け合い、そしてそれがそういう分け合いの中で、人類全体が発展していくという方向に国際政治が動いていくというふうに私は信じざるを得ないわけです。大国の支配の時代は終わりつつあるし、それから、ある点においては終わっている。  それで、そういうことにおいては南北問題にもかかわってくるわけでして、これは海の問題には限らず経済協力の問題にしても、それから人口の問題にしてもすべて資源を力と富と技術のある者がとっていい、自己のものにしていい、所有してもいい、それを使ってもいいという、そういう考え方というものはもう終わりにきているということを、私は主張したいと思うんです。特にそのことでは、重要な資源であるところのエネルギー、そしてその中心であるところの石油というものがその中心になると思います。  領土問題ですが、これは私の考え方は竹島問題という特殊な問題と、それから一般的な領土問題というものと二つに分けて考えますと、まず御質問の全体の趣旨から言いますと、それは一般的な領土問題の考え方をお聞きになっていると思うんですが、私は領土問題というのは、一つはその植民地主義の、現在起こっている領土紛争というものをどう解決していくかということの考え方の根底に領土問題が起こっているのは、全体的な世界の動きから見ますと、大体第三世界の新興独立国の間に起こっているのであって、これは植民地時代の遺物である場合が非常に大きいわけです。はっきり言って、その領土というものが、皆さんおっしゃったように十九世紀の末にヨーロッパが無主地の先占論をもって、そこに人間がいながら、アフリカのように人々が住んでいながらそれが有効な統治をしていない、それを実効的な統治権を確立した者の所有権になるという無主地の先占論というものが横行したわけで、それによっていま国連の大勢を占めているほとんどの国が植民地従属国になったわけです。それが現在のところ、六〇年の植民地廃止宣言で見られるように、その無主地の先占論というものが国際法としては死文化している。その無主地の先占論というものを、日本政府が現在時点においても尖閣列島の領有に関して持ち出してきたようなそういう時代おくれというものは通用しないというふうに私は考えざるを得ないわけです。  それからもう一つ、日本の領土問題に関して言えば、これはポツダム宣言と非常に関係がある。その考え方、その問題というものも日本の領土問題については考えに入れなければならない。ポツダム宣言はカイロ宣言に従っているわけです。カイロ宣言に明記されているわけですが、その個々の条文をどう解釈するか、たとえば澎湖諸島と台湾は、一体どのところのどの時点でもって日本のものになったかならないかというよりか、むしろカイロ宣言に盛られた精神というものは、日本が明治以来対外侵略の中で奪ってきたところの領土は返すべきであるということの中身においてカイロ宣言というのはあって、これを日本政府のように下関条約のところで切ってしまって、そこでもってあたかも平和的に日本に台湾や何か割譲されたというふうに考えるのは私は間違いだと思うのです。その中で、たとえば尖閣列島の場合でも日本が無主地の先占論でもって主張するということもできないですし、それからまた、カイロ宣言に基づいて考えた場合にも、尖閣列島を日本がいわゆる無主地の先占論でもって日本領土の中に通人をした時点というものが一体どういう時点であったかということ、つまり、それは日清戦争のまっただ中であったということを私は考えざるを得ないわけです。そういう意味において日本は、一般の領土問題、つまり、植民地の遺物を引きずっていてそれを解決できないでいる新興独立国からの領土問題とは、また一つ違ったところの日本固有の領土問題というものを抱えていると私は思うんです。  そのような意味において、私はそれをどこに全面的に差し出すべきであるとか、それは民族的屈辱であるかというようなそういう低次元の問題で考えるのでなくして、日本がこれからどのような姿勢でもって国際的に臨むかということ、つまり東アジアの政治に対して、それから世界政治に対して日本がどのような態度で臨むかということを明らかにした上で、それがいままでの帝国主義時代に日本が迷惑をかけてきた諸国の中で十分受け入れられるところのそういう状態のもとにおいてこの問題が解決されるべきだと私は考えます。  それから最後の国際信義の問題ですが、これは二つあると思うのです。  一つは、大きく言いたいのはこの協定文の作成過程のところで、私も最初述べましたけれども、これは秘密外交であったと、それはその意味においては韓国にも迷惑をかけたのではないかということは言えると思うのです。というのは、日本の国会のいままでの議事録を見ておりますと、これが署名された七四年の一月の段階に至るまで一切この協定文の内容というものは国会に明らかにされていない。もし三権分立の民主主義が日本にあるとしたならば、それは当然国会がこれを知っているべきであって、日本政府が署名して後に知るというのは、これは全く間違いであると私は思います。特にこれがエネルギーということ、つまり、いままでの参考人の方が繰り返しアピールしていらっしゃるように、このエネルギーというものが日本のこれからの生き方にとって、われわれの国民生活にとって非常に重要なものであるとするならばなおさらのこと、これは国会において十分審議され、そして国民的なコンセンサスのもとに日本政府は署名すべきであった。秘密外交でもって署名した後で、そして三年間のブランクがあって、国会が批准しないからそれは国際信義に反するというのは、これは事実を逆に言っているというふうに私は思います。その意味において私は、逆説的な言い方ですけれども、国際信義に反している、つまり、韓国に対しても失礼であったというのは日本政府ではないかというふうに私は思います。
  28. 栗林忠男

    ○参考人(栗林忠男君) お答え申し上げます。  私に直接お尋ねになられた点は、本協定の五十年間の有効期限の根拠ということと、それから信頼関係のいわば必要性といいますかそういう問題、特に竹島との関係ということでございますので、その点に限定してお答え申し上げますと、五十年間の協定の有効期限を定めることについて私自身余りつまびらかにしておりませんが、採鉱権の存続期間三十年にプラスして二回ほどの延長ということを認めることで約五十年といったようなものになる計算になるんじゃないかというような推測をいたしております。  それから二番目の、先ほど来お話にあります竹島をめぐる先占の法理といったような問題につきまして若干お答えしますと、確かに先占の法理は国際法における過去の遺物ということが言えるだろうと思います。しかしながら、現在それでは先占の法理が全く国際法上援用されないかといいますと、それはすべての領土的紛争におきましては歴史的なタイトル、歴史的な権限ということが常に問題となってきているわけでありまして、戦後の国際司法裁判所の判決でもそのような先占の法理を援用しているわけであります。そして、事実国際社会におきましてはもはや先占すべき場所が少なくなってきたので、一つには歴史的な意義を失ってきているということも言えるわけですけれども、これが全く法理としてあり得ない、もう捨てられたということはないと思われます。  信頼関係の必要性ということでございますが、これはまさしく国連の精神、国連憲章の精神にもなっているわけで、実際この信頼ということがどういうことを意味するか、和自身ちょっとある特殊な意味にしか解せられませんが、友好協力といった問題に換言されるのであるとすれば、それは国際社会におけるすべての国がそれに努めなければならないモットーであろうというふうに考えます。ただ、最近におきましては国際社会がますます緊密化してまいりましたので、たとえ承認していない相手の国の間でも国際協力という観点からさまざまな約束事がなされ、交流が行われてきているという、そういう状況にあることは確かでございます。  お答えになったかどうかわかりませんが、一応これで。  以上でございます。
  29. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 本日は、大変貴重な御意見をお聞かせいただきましてありがとうございました。  初めに、麓参考人にお伺いをいたします。  一つは、実際問題として今回の共同開発区域から石油が出るのかどうか、この点いままで委員会でも相当いろんな議論をやったわけですけれども、完璧な答弁はないわけです。それで、麓参考人、どの程度調査されていらっしゃるかわかりませんが、これはいずれにしましても私たちはいわゆるこの尖閣列島を中心にしたそちらの方がうんと多いんじゃないか、量的にもですね。そういうような点からいきますと、やはり参考人が先ほどおっしゃいましたように拙速にはやらないで、中国の理解を得てからこの開発を進めても遅くないんじゃないかと、こういうふうに思っているわけです。この点についてどういうふうにお考えか、この点再度お伺いをしたいと思います。  それから竹島の問題は結構ですけれども、どうも参考人の御意見と私たちの意見と、この点は食い違っているようでありますので、この点は結構です。その点、私たちの意見とは違うということだけ申し上げておきたいと思います。  それから次に、北沢参考人の御意見の中に、先ほどもありましたけれども、日韓癒着という問題ですね。これは私たち参考人がおっしゃったように考えているわけであります。それで、日韓確かに大韓民国はわれわれの一番近い友人でございますから、友好関係は当然続けていかなければならないと思います。しかし現在の、先般より問題になっております金大中事件あるいは経済援助の問題等を含めまして、ますますこの日韓癒着という問題が拡大されるんではないか。しかもこの問題については共同開発にかかわる四千億、五千億というような大量な資金が流れる、これはやはり私たち遺憾であると、こういうように思っておるわけです。この点についてどういうふうにお考えか、再度お伺いをしたいと思います。  それから橋本参考人にお伺いをいたします。先生はこういう方面の専門家でございますから、実際問題として陸上での石油の探査、探鉱というのはもうほとんど終わっているということで、これからは海底の油田あるいはそういう資源を開発しなければならない、そういうふうになってきている、これは当然であろうと私は思います。そこで、今回の共同開発区域でこういう事業を始める場合に、私は先生おっしゃるように、地質学上いろいろな問題から見ても石油がある可能性も十分あるし、油田の開発というものは非常に長期間かかる、ですから当然急いでやるべきだという先生の御意見もわかるわけです。しかしながら、いわば公海上で掘らなければいかぬわけですね、探鉱しなくちゃいけない。そうしますと、共同開発区域を含めまして、この辺の海というものはやっぱり中国とはもう密接な関係があるわけですね。そういうような意味で、日本は先生御存じのとおり、海上自衛隊にしましても海上保安庁にしましても、余りささやかな、いわゆる軍隊なんてないわけですから、もう海上警備艇にしましても非常にささやかなものしかないわけです。そういうふうな、中国からけちをつけられて文句を言われながら実際問題こういうようなことができるかどうか。私たちはやはりこの問題については中国とのいわゆる関係というのは、現在日中平和友好条約もこれから締結されようとしておりますし、友好関係がますます増進されようといましているわけです。そういうふうな意味からいくと、これは先生の専門ではないわけですけれども、そういうふうな友好関係が進められている、そういう中で中国の理解を得て、これは決してそんなに長くかからないと私は思うのです。実際問題としてこの一、二年の問題だろうと思うのですが、そういうことが終わってから、今後この一、二年というよりも、実際に石油が出てくるのはやっぱり五、六年ないしあるいは十年近くかかるのでしょうから、そういうような意味からいきますと、遠い将来ということから考えてみますと、私は中国の理解を得てからでも十分間に合うのではないか、こういう意見を現実に持っておるわけです。先生のいわゆる専門的な立場から、これはもうどうしてもそういうことはさておきこの開発に取り組むべきであるということなのか、その点あわせてお伺いをしたいと思います。あとの三人の方には馬場委員の方から質問いたします。
  30. 麓多禎

    参考人(麓多禎君) 大事な問題でございますが、石油があるかないかということは、私は一番最初に申しましたように、ここで参議院の委員会としてそういう判断をされるのはやはり一番権威のある資料でもって判断をしていただきたいという意味でエカフェの報告を申し上げたわけです。したがって、橋本さんなんかもよく御存じでございますが、私も実際タッチしたことですからわかります。いまあそこをどこか掘れば何がしかのものが出る。ただドラムかんに何百本と申しましても、これはコマーシャルにならないということを考えますと、やはり先ほど先生がおっしゃったように、この問題は中国との関係をちゃんとした後でしっかりやるということが基本になると思います。  それで、日中関係とこの協定に関しますつまり中国との関係をしっかりしないでこれを急いではいけないということは、私が昨年二回ともそういうことを申し上げたわけでございますが、私が率直に中国大使館に行って感ずる触感としては、私は中国の大陸だなというものを、純粋に彼らの理論のように大陸だなの淵源まで主権権利を認めるとは思っておりません。したがって、話し合いによっては、特に尖閣諸島につきましてはわれわれに何がしの有利な条件が必ずくるというふうに期待しておりますけれども、これが先ほどのスイカのお話のように、余りにもこの日韓協定に固執して中国をないがしろにしたようなことにしますと、つまりスイカが流れていってしまうというのは、尖閣諸島の問題を解決するというのが非常に不利になってくるということでございます。したがって、この辺につきまして先生のおっしゃるとおりでございまして、これは重大な日本国家の将来を決める投資でございますから、急いで投資するよりか、目標を定めて投資をしなきゃならぬ。私は特にここでアメリカとの関係を強調したいのは、これだけの規模のところを掘削するについてはアメリカの資本並びに技術というものは欠くべからざる存在なんです。何かといいますとすぐアメリカのそういうやり方に批判する風潮もありますけれども、私は現実問題としてやはりこの点をよく考えてやらなきゃならないという点につきましては、アメリカ政府はきわめて慎重に今日までやってきたということで考えますと、はなはだこの協定は軽率であると、中国に対して。前の政権のとき以来アメリカの政権は歴代はっきりとこの問題につきまして非常に慎重な態度をしております。  一応それだけでよろしゅうございますか。
  31. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 結構です。
  32. 北沢洋子

    ○参考人(北沢洋子君) 私への御質問は、日韓癒着というところですが、協定に絡まる日韓癒着から申しますと、二つのカテゴリーに分けられると思うんです。一つは協定成立へ至るところの、仮に古い癒着と呼ばしていただければ古い癒着と、それから協定がもし成立した暁に発生するであろうところの新しい癒着ということに、二つに分けられると思うんです。  で、古い癒着に関しましては、私は残念ながら国会においては十分審議がされなかったと思うんですが、さっき申し添えましたように、秘密外交であったというところから審議がされなかったと思うのですが、私が申し上げたいのは、たとえば矢次一夫という人が「わが浪人外交を語る」という本の中で、二百六十一ページのところで発言しているわけですけれども、それを読んでいただければわかりますが、この彼の言葉に言わせれば、エカフェの報告によって両地域、二つの地域に、この東シナ海全体に石油の埋蔵があることがわかり、そしてそこで日韓と日台の間で領有権争いが起こったと。実は本当は日台の間で共同開発をやりたかったんだけれども、それは中共がうるさいのでひとまず置くことにして、まず日韓の間で共同開発をしようではないかということを考えたと。これは一九六〇年の段階。それをやるのにマスコミやなんかにかぎつかれないように秘密にやったために、このような忍者外交でもって韓国との間に話し合いをやったから成功したということが書いてある。これが真実かどうかということは別にしまして、実際的には一九七〇年の九月にフィリップス石油というのが韓国政府といまの日韓大陸だな協定の共同開発区域の大部分のところに当たるところの第七鉱区の申請を行い、探鉱契約を結んでいます。  このときにフィリップス石油に韓国への仲介の労をとったのは日本の韓国ロビーの人たちであったということが、そのときのさまざまなマスコミの資料によって明らかなわけですけれども、その中でこのフィリップス石油が、ウェンデル・フィリップスという人ですが、その人が第七鉱区を申請した段階で、これは経済的に非常にフィージブルでない地域である。これをうまく日韓の共同開発にしていこうという、――当然その段階では鉱区権の争いというものが起こっていたわけですから、すでにこの一九七〇年の段階に共同開発ということがあるグループにおいては言われていた。ですから、その共同開発というのは純粋に法理論的において、自然延長論とそれから中間線論とを長期的な国際法上の立場から両国政府が話し合って決めたわけでもなく、それからお互いに政府の信頼関係のもとにおいて譲るべきものは譲ったわけでもなくて、このような一部の韓国ロビーがそれまでに秘密裏に工作をしてきたその結果であったと。それを国家的に両国政府が追認したにすぎないのではないかということを私は言いたいわけです。  そのところではっきりわかっていることは、日本政府は七二年の四月までこれを中間線において領有権を主張していたのであって、それが何ゆえにたった数カ月の間で同じ年の九月に共同開発に変わったのかということがいまだにはっきりしていない。その過程でもって、その中間に一九七二年の七月にいわゆる矢次一夫氏が言うところの日韓経済協力委員会がソウルで開かれていて、恐らくここにおいて日韓両国の間のロビイストの間でこの問題が話し合われ、共同開発の下準備がなされたんではないかというふうに私は思います。その過程においてどのような黒い癒着があったか、どのような利益、利権が動いていたかということは国会でも審議されず、そしてわれわれの中にも明らかでないということにおいて、私はそれは過去の癒着かもしれないけれども、いまだに明らかにしなければならない問題だと思います。  現在の新しい癒着に関して言えば、癒着という言葉は余りいい言葉でないんですけれども、便宜的に使わせていただきますと、これはその構造的な汚職の危険性をはらんでいると。で、先ほど申しましたように協定そのものの中に、各条の中に、たとえば日本政府と、それからその日本政府あるいは何か公的な機関がこの開発に介入し、それをチェックする、それが膨大な資金を要し、それで国家投資がなければできないということになれば、そのチェックをする機関が必要なのに、何ら設定されていないと。  それからもう一つ大きく言えるのは、石油会社にとってはこれは非常に重要な地域であるかもしれないけれども、消費者の立場に立って言えば、この石油というものは民族的なものであったにしても何にしても、それは経済的に安いものでなければならない。それは安いというよりか、むしろペルシャ湾からタンカー料をプラスして運んできたものと同じか、もしくは安くなければいけない。そういう価格というものの保障がない限り、これは日韓両国間の共同開発というのは非常に危険ではないかというふうに私は思うわけです。その意味で、この協定の中には全く価格ということが言われていないわけで、価格のチェックというものがなされてないところで一体どのようなコストの石油がとれるのか。しかもその石油というものは日韓両国間でしか分け合うことができないわけで、これは日韓両方で分けるということにおいては非常に積極的なように聞こえますけれども、裏を返して言えば、価格が決まってないところで日韓両国間で分け合わなければならないとしたら、それで、それを第三国に輸出できないとしたら、それは業者にとって見れば非常に業者寄りではないか。価格に関係なく生産できて、それを、引き取り手というものははっきりしているわけで、すでに決まっているわけで、それはほかのいままでリスクをかけ、そして単独で石油会社の責任において開発してきたこれまでの歴史からいって、余りにも不備ではないかというふうに私は思うわけです。その意味においても、もう少し政府並びに公的な機関の監視あるいはチェックないしは介入あるいは政府あるいは公的機関によるところの開発ということが考えられるべきであるというふうに私は思います。  そのほか、この協定の中で先ほど述べましたから繰り返しませんけれども、資材が持ち運ばれてそれが持ち出されて、非常に広い公海上のところで行われる。それをチェックする、監査指導するところの機関というものはあいまいになっているということにおいては、その協定の最大の不備の  一つであるというふうに私は思いますけれども、このようなところに日韓癒着の、日韓の汚職の構造というものの危険性が含まれているというふうに思います。それにプラスするところの私はこれは石油開発公団法そのものの問題でして、ここの日韓大陸だな協定並びに特措法の問題と余り関係ないかもしれないけれども、開発公団法そのものの持っているところの融資条件の甘さと、それからいままでの過去の実績からして、多くの融資された資金というものが焦げつきになっているという事態からして、何らかの抜本的な対策なしにこのまま、まあ大臣の公約はあってもそれがいかほどの期間において有効かどうか。それからまた両国間の紛争というものをどのように解釈するかということにおいて非常にフレキシブルであるというふうに私は思いますので、それが何ら五十年間の協定の保障にはならないとすれば、もう少し具体的にもっと公的な力を持ったところのクリーンな監査機関というものがつくられるべきだと私は思います。
  33. 橋本亘

    ○参考人(橋本亘君) お答えいたします。  この御質問は一つの大きな前提条件がありまして、共同開発鉱区は公海上で行うので、そこの公海については中国と関係がある、そうすると、中国からいやがらせをやられてもいますぐ掘るかという、こういう御質問のように受け取りましたが、それでよろしいんでございますか。それをはっきりしていただいた上で――それでよろしゅうございますか。何か軍艦がどうのこうのと言われましたので。そうすると、中国は軍艦をもって攻めてくるという前提条件でございますか。
  34. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 それじゃちょっと補足しますと、要するに今回の大陸だな協定につきましては、中国側としては現在抗議声明が出ておるわけですね。このたなの協定の国内法に対しましてもいわゆる抗議声明が出ているわけです、今回の法案について。これはもう御存じでございますね。そうしますと、そういう中で開発をするということは、いろんな問題が出てくる可能性が現実のものとしてあるわけですね。
  35. 橋本亘

    ○参考人(橋本亘君) 可能性があると、こういうことでございますね。
  36. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 そうですね。ですから、そういう場合、中国のいわゆる理解を求めるということについて、理解を求めてからでも遅くないんじゃないかと、こういう……。
  37. 橋本亘

    ○参考人(橋本亘君) わかりました。お答えいたします。  そういう可能性があるかと、こういう前提条件でございますので、その可能性がある、ないの判断は私の専門外でございます。それですから、ここではもうこれ以上のお答えはできません。
  38. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 専門外ですけれども、要するに今回の、先生がおっしゃったエネルギー問題から考えて、石油の開発という問題は非常に重要であり、急ぐと、こう先生おっしゃっているわけですね。急ぐのは、確かに私たちも急ぐと思っているわけです。けれども、実際問題、日本のエネルギーの状態から考えて、このエネルギーそのもの、日本近海のいまの共同開発区域の石油が、私はそんなに急に逃げていくものでもないだろう、少なくともこの一、二年おくれたからといってどうっていうことないんじゃないか、先生の専門のエネルギー問題から考えてそんなに急ぐものなのかということです。そうなってくると先生の専門ですから、そういうふうな点はどういうふうにお考えかということなんですよね。
  39. 橋本亘

    ○参考人(橋本亘君) お答えいたします。  私は、急ぐ方がよろしいというふうに何遍でも申し上げます。それは、実際において、すでに日本の中にそんなに石油があるならば、石油がなくなってからここにへそくりがあるから掘ったらどうだということが、文書になって流れています。そういう式に受け取れる言葉、と訂正しておきます、そういうふうに受け取れる文書が出ております。これをもし産油国であるサウジアラビアが聞きましたら、一体、おれたちがもとの砂漠と太陽の国に戻ったころにこちょこちょと掘る気かと、こういうことがどういう国際的な影響があるのでしょうか。われわれもできるだけ早く、その石油の消費を食いとめると同時に、早く、その近間にあってだれも手をつけないでいるところを一生懸命開発していくということは、早いほどそういう国際感覚――それが有名な人がお書きになっていらっしゃるだけに、日本語であるからといって油断はできない。こういうふうによくお考えいただくと、後は皆さま方が情勢を御判断になって、すぐやれと言っているわけではないので、なるたけ早くおやりくださることをお願いしておきたいと思います。
  40. 馬場富

    ○馬場富君 最初に、吉田参考人からお願いいたします。  先生は、エネルギー資源の立場から共同開発による石油の必要性を強調されましたが、これは私も同感でございますが、この共同開発は、問題は位置が、日韓の関係だけでなくて、やはり中国の主権に関係する、そういう地域が含まれておると、こういう立場の中で、日韓の理解だけでは解決ができない、特に中国はいまなお強い反対をしておると、こういう立場から考えまして、まあ特に先生は、中東和平が非常にむずかしい中にあって、中東依存ということが石油はむずかしいという立場から、それに関連いたしまして、中国関係もその点で非常に微妙だと。その例として、尖閣列島の先日の事件を取り上げられましたけれども、まあ偶発的な事件については非常に疑問があるというお話でございました。私は、中国と日本との関係というのは、やはり長年の争いの歴史から、いまや両国民が願った平和友好条約がいままさにそれに到達せんとする、そういう歴史的なときを迎えておる。そういう中で、私はよしんば尖閣列島のあの偶発的問題があったとしても、それを乗り越えても、いまこそ両国がその真相を理解しながらやはりこの友好を進めながら、中国との石油の問題についても取り組むべきだと、こういうふうに私どもは考えるわけでございますが、先生の御意見をいただきたいという点が一点でございます。  次は、この共同開発の点では、韓国、中国は別に考えるべきだという先生の意見がございましたが、果たして中国の理解なしに共同開発の平和的な開発ができるかどうかという先生の御見解をお聞きしたいと思います。  それから三点が、先生は世界のどの国とも仲よくやる上において、日韓友好の立場から共同開発をなすべきだという考えを主張されましたけれども、その点につきまして、中国の反対があってもよいか、どうかという点。  四点が、私は中国の反対の解決を先に行うべきだということを主張するものでございますが、これに対して先生の御意見をお聞かせいただきたいと思います。  それから特に、尖閣列島の偶発問題につきましてはいろんな問題がいま出ておりますし、最近中国に行った方々やあるいは識者の考え方の中から、中国の偶発に対する考え方に二つあるんだと。一つは、中国がやはり国内で偶発的に起きたという問題と、もう一つは、中国政府以外の第三者の誘発によって起こった問題もやはり偶発と考えられると。そういう中で、識者の考え方が後者にあることをかなり強くいま指摘しておる点がずいぶん強くなってきております。この点につきまして、先生はその偶発問題をどのように御理解されておるか。  それから次が、中国の、ソビエトの開発等の例をとられまして、他国にこのような技術開発等があって、効果を上げた例を指摘されまして、そして日韓共同開発も当然であるという、こういう考え方をされましたが、私は、この日韓共同開発というのは世界で初めての二国間の共同事業であります。こういう点について、いままでの技術開発等とは全然趣を異にしておると、こう思いますが、これに対する先生の御意見をお伺いしたいと思います。  以上ですが、先生の方……。
  41. 吉田忠雄

    ○参考人(吉田忠雄君) 六点にわたって私の意見の開陳を求められましたので、一項目ずつ申し上げたいと存じます。  なお、それぞれ連関しているように思いますが、まず第一点で、中国の主権を損なうようなことはないのかどうかということでありますが、現在の線引きは中間等距離路線を私は支持しておりますし、日本としてもそうすべきだろうと思います。その線は、日本と大韓民国との中間路線、それから大陸だなにつきましては、中国とこの朝鮮半島の問題との中間路線の線、それから日本と中国との中間路線、これらの線引きの上で現在の第七鉱区が成り立っておりますので、私はそうした点で中国の主権を害するようなことはないと考えます。基本的な路線は等距離中間路線が日本の主張であると、こういう立点からであります。  第二点は、大韓民国と中国とでは別途で交渉すべきかどうかというふうな問題でありますが、不幸なことに二つの国の間には正式な外交上の交渉はございません。私は一日も早くこの両国が友好関係を結ぶことを願います。そのためにクロス承認ということを申し上げたのであります。しかし、これは大変微妙でありまして、できることならば、たとえば米、中、ソの間でこれらクロス承認を実現させてほしいと、こう願うものであります。しかし、日本が万一クロス承認のイニシアチブをとりました場合には、私はたとえば大韓民国も、朝鮮民主主義人民共和国も、日本はまた朝鮮半島に対して犯罪的なことをやるのかということで反論あるいは反発を食うことは必至でありますので、日本はこれら両国の自主的な話し合い、中国と大韓民国との自主的な話し合いの条件づくりに寄与することが妥当だろうと考えます。  第三点につきましては、中国の反対があってもなお押し切る緊急性あるいは必要があるのかというふうな御質問でありますが、これは第一の点で私お答え申し上げましたとおり、中国の主権を害することはない、日本が自主的に判断することができるし、そして大韓民国側で合意を得た場合にはどちらとも痛み分けである、このように考えるものであります。  そうした中で、第四点は、日本と中国の側がまず解決を先にすべきではないかということでありますが、私はできるところから進めていくことが、今日の日本で望ましいと考えます。そうした場合に、尖閣諸島の問題で第三者の力によってあの偶発的な事件は起こったのではなかろうかということでありますが、残念ながら私お答え申し上げるだけの資料も持っておりませんし、こういう国会の重要な場で軽々な発言は慎みたいと存じます。  なお最後に、この日韓の共同開発は史上最初のものであって、これらについてはどう思うかというふうなことでありますけれども、これまで数カ国の石油の開発というものは実際に起こっておりました。たとえば北海油田の開発につきましても日本は誘いを受けたわけでありまして、それを日本側は拒否したわけであります。そのほかにもそういう話はありまして、今回日本と大韓民国側とで、まず日本として非常に石油につきましてはおじけづき、はにかみ屋で何ら大胆な石油戦略を練ってこなかった日本においては、大変私はすばらしいことの一つであり、単に共同開発は日韓だけではなしに他の諸国とも共同して大いに進むべきである、このように考えております。  以上、お答え申し上げたいと存じます。
  42. 楠正俊

    ○委員長(楠正俊君) 速記ちょっととめて。   〔速記中止〕
  43. 楠正俊

    ○委員長(楠正俊君) 速記を起こして。
  44. 馬場富

    ○馬場富君 栗林参考人にお尋ねいたします。  先生の御意見からいきますと、国際法上の最近の発展の中で、大陸だなによる自然延長論にほとんど傾いてきておるというような御意見でございました。そういう点について、現実日韓共同開発につきまして、この共同開発区域は大陸だな条約により、そういう観点に立ちまして韓国の大陸だなになるかどうかという点が第一点です。  それから協定書の座標六は中国、日本、韓国のいわゆる等距離にある地点でございます。この点、中国の関係なしによいかどうかという点。  それから座標九は水深千メートル以上の深海でありますので、この点が二百メーター水深主義から言ってどのようにお考えかという点です。  それから四点が、東シナ海の大半の大陸だなは、地質あるいは地形、歴史より見まして中国大陸の大陸だなであると見る方向の意見がかなり出ておりますけれども、これに対しましてこの共同開発区域もその一部であると、こういう考え方の説がございますけれども、先生はこの点についてどのようにお考えになるか。  それから先生が最後に、海洋法会議は完全ではないが、全部が割り切れない現実的な解決の考えとして、そのための円満解決の方法として共同開発も可であるという先生の御意見でございますけれども、やはりこれに対しまして、中国の理解を先行するのがやはりこの先生の趣旨に沿っておるんじゃないかということ。  以上でございますが。
  45. 栗林忠男

    ○参考人(栗林忠男君) お答え申し上げます。全部で五点ございますが、それぞれ簡潔に申し上げさしていただきます。  韓国の大陸だなになってしまうのかどうかということは、私先ほどある委員の先生にお答え申し上げましたとおり、私自身は自然の延長あるいは地形的な広がりということで大陸だな問題に対処した場合には、国際社会に不公平を残すであろうという観点から中間線議論というものを私自身はとりたいと思いますので、そのような立場には反対でございます。  それから二番目の、中国の承認というものを得ることなしに座標軸を定めたという点でございますけれども、聞くところによれば、日本政府は中国に理解を求めるためのアプローチをしていたというふうに聞いておりまして、現に中国が話し合いに応ずる姿勢があるならば、いつでもそれに対してオープンであるという態度をとっているというふうに伺っております。今日の国際関係のもとでの現実の中では、こういった話し合いによって解決していくということはもちろん重要なことでございますが、現実の前にある程度の妥協といいますか、一つの政治的決断を下したというふうに伺っておりまして、その意味で法的な観点からすればその政治的決断というものの当否は私は判断しかねるのでございます。  それから三番目の水深二百メートルの問題でございますけれども、大陸だな条約の第一条の大陸だなの定義に関しまして新しい海洋法会議では種々の改定作業が行われているわけでありまして、かつての大陸だな条約では水深二百メートルまでのところ、あるいはその先開発可能性のあるところまでを大陸だなの定義としていたわけでございますけれども、これが水深二百メートルということではなくて自然の延長論ということがかなり有力になってきている状況のもとでございまして、水深の二百メーター議論ということにはかなりの国がまだ反対を表明しているのが現状でございます。  それから四番目の中国の地質の延長ではなかろうかという議論でございますが、国際法上の大陸だなというものの法的な性質はこれは決して地質という観点で議論されてきたのではございませんで、一つの、先ほど来申し上げておりますように、沿岸国の領海に接して広がっているというその事実、そしてそれは単なる沿岸国のそばにあるからというだけじゃなくて、陸地、領土の自然に広がっているという事実だけが問題とされて、その主権的権利の所在というものが議論されているわけでございまして、地質の延長によって定めているわけではございません。  それから五番目の現実的な解決としては、中国の理解を求めるべきではないか、これは先ほど述べました二番目のお答えと関連しておりますので、二番目のお答えをもってかえさしていただきたいと思います。
  46. 長谷川信

    ○長谷川信君 お疲れでございますので簡単に御質問申し上げますので、簡潔にお答え願いたいと思います。  当委員会ですでにもう三十時間近い審議をしているわけでありますから、そろそろ私どもの考え方を取りまとめなければならない時間的な時期に来ているわけであります。  そこで、先ほどからいろいろ先生方から御教示をいただいている中ではっきりしていることは、日本はエネルギー資源が全く枯渇をしておりますということが一つ。それから、いま中東にそれを求めておるけれども、距離が非常に遠いのと、もう一つは政局が必ずしも安定をしておらないので、できるだけエネルギーを自国でもって、国の中であるいは国の近いところでこれを求めなければならないというのはわが国の政策の根幹である、あるいは政府の基本的な政策のもとであるということをいろいろ御教示をいただいたわけであります。そういう点をいろいろ私ども教えていただいたのでありますが、いま問題になっております日韓大陸だなはまさにわが国の最も近接したところであり、また何といいますか、先ほどもお話ございましたが、全世界の石油の中の約三〇%は大陸だなにそれを求めておる。だから、これからの石油資源あるいはエネルギー資源を世界の国あるいは日本が求める場合、好むと好まざるとにかかわらず大陸だなの開発をやらなければならないということに相なると私どもは思っておるわけであります。  で、その大陸だなの開発をどうしてもやらなければならない一つの運命と宿命を日本は持っておる。そうなりますと、どうしてもこれは二国間になる、あるいは多国間の開発になる可能性が非常に出るわけであります。長いこれからの将来の展望に立った場合、むしろ共同開発ということが世界の定則になり、通則になり、あるいは俗の言葉で言えばあたりまえのことになるような私どもは感じがしているわけであります。また、それをやらなければエネルギー資源を求めるわけにはいかない。そういう日本国の事情あるいは世界のエネルギー資源の関係等いろいろ御教示をいただいたわけでございますが、そういう中で、いま日韓大陸だながいろいろ三十時間も議論をしているわけでございますが、各参考人お一人ずつごく簡単に、この日韓大陸だなの開発はやはりできるだけ可及的速やかにやるべきであるか、あるいは慎重に構えるか、あるいはやらなくてもよろしいか、そちらの吉田先生の方から端的に一人ずつ御教示をいただきたいと思うわけであります。
  47. 吉田忠雄

    ○参考人(吉田忠雄君) 可及的速やかに着手して、日本の危機に備えるべきだと考えます。
  48. 伊藤治郎

    ○参考人(伊藤治郎君) 私どもは十年来この開発を着手したいと思っておりまして、現在一日も早く開発に着手できるようにしていただきたいと思っております。
  49. 栗林忠男

    ○参考人(栗林忠男君) 現在ほかによりべターな方法がないという段階におきまして、この開発方式は一つの評価できる試みだろうと思います。
  50. 北沢洋子

    ○参考人(北沢洋子君) 最初に申し上げましたように、私はこの協定の審議のときから、さきの国会のときから反対の意思を表明いたしましたし、現在特措法の審議においても協定自体の発効を防ぐような形の目的において特別措置法の成立はすべきじゃないというふうに申し上げました。私の意見は、イエスかノーかで言えば開発に反対です。
  51. 橋本亘

    ○参考人(橋本亘君) 私は先ほどから何遍もお答えしております。できるだけ早いときに着手して、早い結果を見たいものだと思っております。
  52. 麓多禎

    ○参考人(麓多禎君) この協定は日本のエネルギー問題に何ら貢献するものではありません。この英文の報告の九ページを見てください。海底の状況もございます。海洋開発というのはそう簡単にできるものじゃないです。
  53. 長谷川信

    ○長谷川信君 各参考人のお考えを一応承ったわけでありますが、大方の皆さんはできるだけ可及的速やかに開発をすべきであるというような御指導をいただいたような感じがいたすわけであります。  そこで、ちょっと方向を変えてもう一回お聞きをいたしますが、私は新潟県の地方区から選出をされております。先ほどもどなたの先生からか、阿賀沖でもって新潟県は海底油田を開発をしている。これは私ども現場でもっていろんな形でいろんな角度で議論もし、またその結果につきましても十分現場でありますのである程度は承知をいたしておるわけであります。この間エネルギー庁のどなたかにお聞きをしましたら、日韓大陸だなのこれから開発をするものは、簡単に言えばあの阿賀沖をちょっと大きくした程度のものを、数を五つか六つか七つくらい、五年十年の間に開発をする程度というか、そんなものでありますという簡単な御説明であります。私は現場におりまして、しかも日本海の荒海の中で、阿賀沖で大陸だなからいま海底油田を噴出をしているわけでありますが、私どもの知る範囲におきましては公害は一切起きておらない。漁業問題も私どもの知る範囲におきましては全く起きておらない。なおまた、各いろいろ政党を含めました識者の間の議論もほとんど表に出たものはさして反対意見――まあ賛成意見もそれほどでないか知りませんが、反対の意見は全く私ども聞いたことがございません。  で、これからもまたなお探査をして、日本海の海底油田の開発を進めようということに県の方針、国の方針も相なっておるようでありますが、私ども知る範囲ではきわめて公害のない、しかもその意義のあるというか、エネルギー政策に十二分に貢献できるところのものだと私は現場をずっと見ておりまして自分でそういうふうに思っておるのであります。ただ、きょうは専門の先生方でありますので、いまこれから日韓大陸だなを開発した場合、漁業それから公害あるいはその他万般の点につきまして、新潟県の阿賀沖と大陸だなは違うんだ、これはこういう面で漁業に問題がある、こういう面でいろいろ若干公害的な心配もあるんだというような点がもしございましたら私どもに御指摘を、御教示を賜りたいと思いますが、御専門でない方はよろしゅうございますが、御存じの範囲におきまして御教示を賜りたいと思うわけであります。  吉田先生からどうぞ。
  54. 吉田忠雄

    ○参考人(吉田忠雄君) 私は専門が違いますので述べる資格はございません。公害問題あるいはそうした漁業問題を特にやっておるわけではございません。
  55. 伊藤治郎

    ○参考人(伊藤治郎君) お答えいたします。  阿賀沖と全く同様でありまして、さらに技術が進歩しておりまして、暴噴防止装置その他さらに今回の特別措置法を通じまして、通産省の指導も非常に強化されてきております。私はまだ特定鉱業権者でございませんから、いま先願人、先願権者としての立場で申し上げますが、阿賀沖と全く同様でございます。ただ、問題は非常に沖合いの方でございますので、関係する水産関係の方が沿岸の方と違いまして、底びき、以西底びきとかまき網とかいうような企業体の漁業関係の方と十分納得づくのいくお話をし、安全の確認をした上で事が運ばれるだろうと思います。
  56. 楠正俊

    ○委員長(楠正俊君) ほかに御専門の方いらっしゃいますか、橋本参考人。
  57. 橋本亘

    参考人橋本亘君) お答え申し上げます。  私は阿賀沖も見ておりますし、そのほかにもこっちから話は、資料は、土崎沖その他みんな聞いております。いままでのところ確かに日本近海において日本技術をもってしたのには一つも事故は起こしておりません。しかし、人間のやることです。何かの間違いというものはどこにでも起こり得ることです。それで事故が起きれば損失は会社そのものがまず第一に大変なことなんです。それですから、大いにやぐら下の連中にいろんな想定される事故というものに対して訓練をして、何分間で次の切りかえる準備ができるかということを非常に強調しておきたい。そういうことがあれば取りかえに手間取った、やれ何に手間食ったとかいろんなことはずいぶん防げるんじゃないかと。いままでが大丈夫だったから今後も大丈夫だとは言えないから、十分注意してほしい。これだけは日本技術の名誉のためにもやっていただきたい。
  58. 長谷川信

    ○長谷川信君 それじゃちょっともう一つあります。いろいろ御質問がありますのであと五分くらいでやめます。  いろいろ先生方からお話ございましたが、中国から日韓大陸だなについてすでに何回か外交部を通じて日本政府抗議を申し入れてきておることは先ほど先生方のお話のとおりであります。しかし先ほどいろいろお話がございますように、また私も若干意見を申し上げましたように、これから世界のエネルギーというものは、やっぱり二国間もしくは多国間の共同開発によらなければならないような時代がいずれ来るような私は感じと感触を持っておるわけであります。したがって中間線だとか自然延長だとかいろんな、海の中のことでありますから、それぞれの国がそれぞれの立場で議論をしているわけでございますが、しかしそれらの議論を整理した時点においては、これはやはりいまエネルギーがもう十年だか二十年だかしりませんが、アラブエネルギーもなくなる、カナダもなくなる、アメリカもなくなると言われているくらいでありますから、まさにこれは海洋開発はやらなければならない。海洋開発をどうしてもやらなければならないということになると、どうしてもこれは二国間もしくは多国間にまたがらざるを得ないと思うんですよ。  そうなった場合、いまそこに地図がございますが、これはいま韓国と日本との共同開発、そういう話が出ているわけでありますが、いずれ将来の時点というか、きわめて近い将来の時点において、日中大陸だなの共同開発というようなことがこれからの政治情勢あるいは日本の経済情勢――中国石油が内陸で出るからというふうな説明もあるやに聞いておりますが、しかし先ほどの御説明では、尖閣列島周辺に世界的優秀な石油資源があるというお話でございますから、日本技術中国のいろいろのものをあわせて、そして共同開発をやって世界の資源に協力をする、あるいはそれを踏まえてそれこそ世界の平和に大いに貢献ができるというように私ども思うのでありますが、日中共同開発というような将来の展望に立って先生方の御見解と御教示をいただきたいと思いますが、御意見を拝聴いたしたいと思います。
  59. 吉田忠雄

    参考人(吉田忠雄君) 私は原則といたしまして、日韓の共同開発と同じ論理で日中間の共同開発にも着手することが妥当だろうと思います。ただし、日中間には大変大きな問題が横たわっております。たとえば尖閣諸島の所属の問題につきまして第一の問題でありますし、いま一つはこの中国大陸と、それから中華民国つまり台湾の問題であります。恐らく台湾側もまた尖閣列島所有権を主張することは当然であろうかと思います。日本はこうした中で、大陸といま友好関係をさらに強めようとしております。その場合に台湾の問題をどうするのか。このことはいまなお米中間においても大変深刻な問題であります。私はこうした中でどれが一番日本として賢明な政策か、いろいろ考えられるわけでありますが、そうした諸問題を乗り越えて、条件さえ熟するならば速やかに日中の共同開発に取り組むことが望ましいと考えます。
  60. 長谷川信

    ○長谷川信君 御関係の先生方、伊藤先生……時間ないですか。
  61. 楠正俊

    ○委員長(楠正俊君) ちょっと後でまた時間が余ったらひとつ。
  62. 長谷川信

    ○長谷川信君 それじゃ御迷惑でありますから、大体こういうふうにお答えなさるだろうということもある程度推察もつきますのでなにでありますが、きょうは非常に勉強させていただきまして、私どもも大体かくあるべきだという腹構えもそろそろでき始めているわけであります。  まことに、心からありがとうございました。
  63. 市川正一

    ○市川正一君 参考人の皆さん遅くまで御苦労さまでございます。  今度のこの法案は非常に重要でありますので、なお私はきょう出された問題は腹が決まったどころか、ますます重大な問題として審議を深める必要があると、かように私は結論づけるものでありますが、参考人の皆さん方は決して多数決で決められるものではなくて、あえて私ども今回日石開発の伊藤さんを、賛否は別として、この重大な問題に関していわば審議を深めていくという見地から御推薦を申し上げお越しをいただいたわけでありますが、もともと瀧口日石社長をお願いしておりましたのですが、御都合で伊藤さんがお越しいただいてまことにお忙しいところありがとうございますが、やはりいろいろ立ち入った参考の御意見とかあるいは参考の資料とか、そういうことを御教示願って、私どものこれからの審議にぜひ率直な御見解あるいはその他を伺いたいというふうに思うわけです。  他の参考人の方々にはまことに失礼でございますが、そういうことから質問の多くが伊藤さんのところに参りますことを、ちょっと時間が制約されておりますので、御了承願いたいと思うのであります。  まず伊藤さん、ことし日本石油は去る五月十日に創立九十周年を迎えたように伺っておりますが、そうでございますね。
  64. 伊藤治郎

    参考人(伊藤治郎君) お答えいたします。  さようでございます。
  65. 市川正一

    ○市川正一君 立ったままで失礼でございますが、そしてたしか記念式典が本社の八階ホールで盛大に行われまして、その席で瀧口社長が社員へのごあいさつの中で、政府の腰抜け外交と一部野党のわけのわからぬ反対のために日韓大陸だな協定批准されずにいると、こういうことをおっしゃったというふうに伺っておりますのですが、私ども一部野党というのは、野党多くございますが、国の主権にかかわる問題として真剣に議論をいたしておりますが、まことにこういう御発言というのは心外でありますが、一部野党のわけのわからぬ反対というのはどういうことを意味するのか、伊藤さん、いかがでございましょうか。
  66. 伊藤治郎

    参考人(伊藤治郎君) お答えいたします。  私はその席におりませんでしたので、いま初めてその話はお伺いするわけでございます。ただ、推測いたしまするのに、とにかく私どもの会社は十年前にここの地域に目をつけて、そのために会社をつくって早く掘ろうと一生懸命やってきたのが、すでにじりじりと十年たってしまったと、もうほとんどとっくに油田になっていたろうと思うのが、それができずにいたということに対しまして、大変気の短い社長でございますので、いら立っているということからそういう発言になったのではなかろうかと推測いたします。しかし、これはあくまで私の推測でございます。その発言を私自身は聞いておりません。
  67. 市川正一

    ○市川正一君 いらっしゃらなかったのはまことに残念でございますが、伊藤さん、こういう話がもし事実だとすれば、いら立ちから一部野党のわけのわからぬ反対というようなことは、私ども一般国民の方々がいろいろ政党のあり方や国会の運営について御意見を言われることは、これは率直に耳を傾けるんですが、事開発の当事者なんですね。だから、第三者ではないわけですよ。純粋な意味での国民の発言というよりも、いわば利害当事者としてこういう発言をなさるということは、幾ら気が短い、あるいはいら立ちといいましても、これは私は非常に不穏当だというふうに率直に言わざるを得ないので、こういった点は社長おっしゃったかどうか、こういうことを含めてぜひ伊藤参考人の方から、お帰りになってお確かめをいただき、私がこういうことを申したということをぜひお伝え願いたいと思うのであります。  まあ、言葉じりをつかまえるわけじゃありませんが、伊藤さんもそういう点では野党の連中とか、いろいろこう活字にまでなすっておりますので、私は後でお聞きすることと関連して、野党の一人として問題をいろいろ本当のところをお聞きしたいというふうに思う次第であります。  さて、次の問題でありますが、先ほど伊藤さんが御発言の中で、日石が昭和四十八年の十二月に東シナ海の方への大陸だな鉱区の出願をなすったというふうにおっしゃったんですが、私どもの調査では一九六八年、昭和四十三年だと思うんですが、いかがですか。
  68. 伊藤治郎

    参考人(伊藤治郎君) お答えいたします。  四十三年と申し上げました。
  69. 市川正一

    ○市川正一君 ああそうですか、失礼しました。  ですから一番早く、そういう意味では大陸だなへの鉱区権の出願をなすったわけですが、この動機になったものですね。先ほどもちょっとお触れになったんですが、日石独自の判断ということよりも日石と非常に緊密な関係を持っているメジャー、カルテックスが日石に話を持ちかけ、その意向に沿って日石開発をつくり鉱区権の出願をしたというのが実態ではないんですか。
  70. 伊藤治郎

    参考人(伊藤治郎君) お答え申し上げます。  最前申し上げましたとおり、一九六〇年代中葉以降の北海油田の開発、それに伴いまして世界的な大陸だなの見直しということが一つございました。それから最前申し上げましたように、水産大学の新野教授のような説も出てまいっております。石油会社と申しますものは原料の原油が一番大事でございまして、私どもはカルテックスを通じてサウジアラビア及びインドネシアと太い原油のパイプを持っておりますが、先行きを考えますと、さらにもっと原油のパイプを太くできる方法、しかもこれはリスキーな事業でございますので、会社をつぶすようなことまでは考えない、会社をつぶさないでいい方法があれば何とか原油のパイプを太くしたいと考えていたところへちょうどテキサコ、シェブロンから、協力するから、あそこは非常に有望だから協力するから一緒にやらないかということになったのでございます。
  71. 市川正一

    ○市川正一君 渡りに船というかっこうになっているんですが、「石油春秋」という業界誌がございますが、伊藤さんもたびたび登場なすって野党の連中をいろいろなで切りなすっているようですが、ですから御承知だと思いますが、この一九七二年の十月号で日石の会長の上村英輔さんが次のように語っておられるんです。要するに、質問は「東シナ海の場合は、最初、カルテックスとの話はどういうことだったんですか。」という質問に対して、上村会長が「むこうから持ってきた。むこうから、こういうところがいいと思う、井戸掘りたいが、日石もいっしょにやってくれないかと。ということは、あそこで鉱区がとれるのは日本人でなきゃとれませんから。」と言うて、はっきり言うてはるんですよ。要するにカルテックスやりたいんだけれども、日本人やないとでけへぬから、あんたとこやりなはれと、こういう話になってんのが本当でっしゃろう。
  72. 伊藤治郎

    参考人(伊藤治郎君) お答えいたします。  手をたたいた場合にどちらが鳴ったかというのにお近い御質問なので大変答えにくうございます。
  73. 市川正一

    ○市川正一君 ですから、要するにこの上村会長が言うてはるようなことですわな、そうでしょう。
  74. 伊藤治郎

    参考人(伊藤治郎君) お答えいたします。  必ずしも正確ではございません。こういう問題につきましては、各人が各人の立場からいろいろ主観的な判断をしていることが多うございまして、それがたまたま新聞記者などとの対談で出たときにいろいろと違ったニュアンスが出てくることがときどきあることは先生も十分御存じだろうと思います。
  75. 市川正一

    ○市川正一君 つまり鉱業法で、伊藤さんもまあその方面のなんでしょうが、鉱業権者がその資格を日本国民または日本国法人に限定しておりますですね。そこから直接カルテックスが鉱業権を取得できない。そこで日石開発をつくって鉱業権を出願した。というカルテックスの意向で鉱区出願の動機になったという点はこれは大体客観的に見て事実だし、それから先ほど伊藤さんが最初述べられたお話も、そういうことを立証するものだというふうに承知しておりますが、そういうふうに理解してよろしゅうございますか。
  76. 伊藤治郎

    参考人(伊藤治郎君) 私の申し上げたのを少し誤解していらっしゃるように思われます。先生の御理解なさったような形では、私は申し上げなかったと思っております。
  77. 市川正一

    ○市川正一君 実際、実態を見てみますと、こういうことになっているんですよ。これは通産省が当委員会に提出した資料なんですが、日本側から出願している企業の技術者の数を見ますと、三社あるんですが、そのうち帝国石油は百三十七人、それから西日本石油は十七人、おたくの日石開発は三人。いいですか、この三人で石油開発やるったってできるはずおまへんわ。だから必要な技術者を、これを三人でやっていけぬとなればどないするおつもりなんですか。
  78. 伊藤治郎

    ○参考人(伊藤治郎君) お答えいたします。  これは各石油開発会社に大体共通したことだろうと思います。と申しますのは、皆共同事業でやるのが大体原則でございます。油田の開発と申しますものはそもそも非常にリスキーなものでございますので、世界じゅうどこを見ましても、大体メジャー同士でも共同開発でやっております。たとえば北海のブレント油田はシェルとエッソという世界一の石油会社相互で共同事業でやっております。  そこで日本の石油開発会社も大部分が共同事業ということでやるか、さもなければ株主ということで投資だけするという形でやっておりまして、それほどの技術者を要しないと。帝石さんやSKさんは本来の開発会社でございますので技術者はたくさんお持ちなのは当然でございますが、新しく開発に進出する会社はごく少数の技術者でも、これが大体共同事業の相手方はほとんど外国の石油企業、あるいはメジャーでございまして、それらの持つグローバルな、日本人には経験の不足な非常にグローバルなソフトウェアを活用していく、日本の技術者はそれを監督しておれば十分でございますし、それで、私どもの方は人数が少のうございますが、その体制でそのままで事業開始をするという考えではございません。その出願した当時においての人数はそれだけでございますが、もしも特定鉱業権者の指定を受けましたならば速急に技術体制をも整備するというつもりでおります。
  79. 市川正一

    ○市川正一君 実態をお聞きすることですから、いろいろやりとりは避けますが、この点も上村会長おっしゃっておるんですよ。「日本石油には技術ないですもの。」アメリカの技術持ってこなくちゃ掘れないと、だからこれは単なる提携というものじゃないんですよ。いわば看板は貸して実態はあちゃらさんということなんですね。また私どもの調査によると日石開発はテキサコとシェブロンですね、先ほどもお話出ましたが。この共同開発契約の中の付属書で技術調整グループというものがあって、そうして技術調整グループの調整はテキサコ、シェブロンで一〇〇%を構成することになっているわけです。日石は出てこぬです。さらに伊藤さん御自身も一九七七年七月のこの「石油春秋」で、シェブロンなりテキサコからの応援の技術屋の受け入れ体制をつぐらなくちゃならぬというふうにおっしゃっている。だから私がお伺いしているのは、技術については全面的にメジャーであるシェブロン、テキサコに依存して、そして看板は日石でやっていくと、こういうことになっているわけでしょうね。
  80. 伊藤治郎

    ○参考人(伊藤治郎君) お答えいたします。  先生のおっしゃるのは多分一九七〇年の共同事業契約のことだろうと思いますが、そこにおける技術調整グループと申しますのは、その時点におきましては、ほとんどテキサコ及びシェブロンの技術陣をもって構成する、それはその当時まだ日本石油側に開発技術陣が十分そろっていない。したがいまして、その七〇年度時点においてはそういうことになっております。しかし、契約をよくお読みいただければわかりますように、日本石油開発の技術陣が養成されるにつれて、それはアメリカの技術者と交代していく、いずれは日本の技術者で調整グループができ上がっていくということでございます。  もう一点ございましたですね、何でしたか。
  81. 市川正一

    ○市川正一君 それでいいです。またいろいろ数が多いものですから。  私どもの調査によりますと、日本石油及び日石開発が、これはちょうど一九七二年、昭和四十七年ごろですが、日韓両国の実務者レベルで大陸だな協定の案文について交渉をしていた当時に、通産省あるいは外務省に対して協定内容やあるいは国内法案の内容についてあなた方の要求といいますか、要求書をお出しになりましたですね。
  82. 伊藤治郎

    ○参考人(伊藤治郎君) お答えいたします。  そういう要求書は出した記憶は私にはございません。
  83. 楠正俊

    ○委員長(楠正俊君) 市川君もうそろそろ。
  84. 市川正一

    ○市川正一君 いやまだ十五分しかたってしません。
  85. 楠正俊

    ○委員長(楠正俊君) まだ二人……。
  86. 市川正一

    ○市川正一君 三十二分というお約束で話を進めているのです。できるだけ早くやります。御安心ください。  私がということよりも、私は日石ないしは日石開発がということで聞いているんですが。
  87. 伊藤治郎

    参考人(伊藤治郎君) 先生の御質問の意味がちょっとわからなかったのですが。
  88. 市川正一

    ○市川正一君 もう一度言います。  ちょうど一九七二年ごろですが、日韓大陸だな協定の案文について、日韓両国の実務レベルでいろいろ交渉をしていたころに、こういうふうにやってほしいというような要望をお出しになったということです。
  89. 伊藤治郎

    参考人(伊藤治郎君) お答えいたします。  そういう要望書を出した記憶はございません。
  90. 市川正一

    ○市川正一君 そういうことがないということ、あるいは記憶がございませんですね。
  91. 伊藤治郎

    参考人(伊藤治郎君) 記憶がございません。
  92. 市川正一

    ○市川正一君 日石開発とテキサコ、シェブロンが一九七〇年の十二月に、先ほど出ました共同開発契約の締結が行われたわけですね。そして、これは現在改定交渉中というふうに聞いておりますが、その内容について、どういうような改定のお話が進められているのか、先ほどもちょっと出ましたから、改善しているんだというたんかをお切りになったんだから、ちょっと聞かしてくれませんか。
  93. 伊藤治郎

    参考人(伊藤治郎君) お答えいたします。  実は、先生が私どもの私企業の内容を御存じなのでびっくりしている次第でございますが、そういうわけで、簡単に申しますと、一九七〇年当時に比べまして、すでに七八年でございますので事態がいろいろ変わっております。したがいまして、もし今度は特別措置法が通りました暁には、その新事態に対応することがいろいろ出てまいろうと思います。もちろん特別措置法成立しなければ意味ないわけで、私どもが特定鉱業権者にならなければ意味ないわけですが、そういう意味での改定の交渉はいたしておりますが、内容についてはこの際申し上げることをはばからしていただきます。
  94. 市川正一

    ○市川正一君 いま進めているということですね。  伊藤さんは、いろいろ業界誌などを拝見しますと、日韓関係についてもなかなかお詳しいので、この際私どもの審議の上から一言お聞きしたいんですが、韓国がこの協定批准を非常に急ぐという一つの理由に、大統領選挙を控えて、大陸だな開発を朴大統領がいわば目玉商品の一つにしているという事情があるんじゃないでしょうか。
  95. 伊藤治郎

    参考人(伊藤治郎君) 私、外交問題の専門家でもございませんし、ただ一ビジネスマンにすぎませんので、そういうむずかしいことについての意見を申し上げるのは、こういう席では差し控えさせていただきたいと思います。
  96. 市川正一

    ○市川正一君 参考人の御意見を伺うわけですから、余り何といいますか、引き続きお話を追及するということは避けますけれども、しかし伊藤さん、あなた、「石油春秋」でこうおっしゃっているじゃないですか。「しかも、韓国の大統領予備選が六月にある。朴大統領にとっては、あそこの大陸棚の開発というのは一つの大きな目玉商品でもあるという関係があるんで、」というふうにはっきり言うてはるんですよ。活字にもなってるんですよ。野党のわけのわからぬ反対とかいうことを言うている他方では、こういうことをしゃあしゃあ流して、そしていろいろやっておられるというのは、私は非常に残念ですね。  こういうところで、いろいろ御意見を伺い、私どもの審議を深めていくという点になお御協力をいただきたいんでありますが、伊藤さんは日中中間線あるいは韓中中間線は将来動く可能性があるというふうに見ておられるようで、いろいろそういう点で特定鉱業権者になった場合はこういうことを考慮して、探査とかあるいは採掘についても、中間線に近いところではできるだけ避けるように配慮する意向だということを述べておられますが、なぜ日中中間線が動く可能性があると見ておられるのですか。
  97. 伊藤治郎

    参考人(伊藤治郎君) お答えを申し上げます。  私は外交の専門家ではございませんけれど、この日韓協定成立の過程を見てまいりまして、その利害関係の当事者として考えましたことは、これは私だけの私見でございますが、中間線というものは大体両方の国で話し合って起点を決めていくというということになろうかと私は思っておりますものですから、その起点について、つまり中間線を引く起点について日中間にまだ話し合いがないんじゃなかろうか、そういう意味でもし起点についての取り方が両国の間で違いが出た場合には、それは動くのではなかろうかというふうに私自身は考えている、そういう意味で申し上げているわけでございます。
  98. 市川正一

    ○市川正一君 ほかにもいろいろございますのですが、もう時間も迫ってまいりましたので、最後に栗林先生に一言お聞きさしていただきたいんですが、従来、外務省などの説明の中では、海洋法会議の動向について自然延長論が優勢であって、日本にとって不利になるばかりだというふうに受け取れる説明があったんですが、これは私は正しくないというふうに思うんです。先ほど先生もおっしゃったわけですが、第三次海洋法会議での非公式統合交渉草案を見ましても、二百海里まではいわゆる距離基準論によって無条件に大陸だなとして認めるというのが国際的な大勢になっているんじゃないか。問題は、この二百海里以遠について自然延長を認めるかどうかということが議論になって、そしてその範囲では自然延長論が優勢だというふうに言えるにすぎないのであって、だからこういう点で、いずれにしても朝鮮半島日本の間にはさまれた大陸だなはまさに一つの大陸だなであって、先ほども同僚委員の質問に栗林先生、等距離中間論が私としては正しいというふうにおっしゃったわけですが、この海洋法の「境界の画定」の「衡平の原則」その他の読み方のところでありますが、私が申し上げたような見解、すなわち日本の見解、日本の立場というものが決して不利になっていないというように私理解しておりますが、そういう読み方でよろしゅうございましょうか。
  99. 栗林忠男

    参考人(栗林忠男君) お答え申し上げます。  第三次海洋法会議において大陸だなの外縁が距離基準において優勢を占めておるんではないかというのは、私はそうは思えないとしかお答えできないわけでございます。確かに距離基準ではかるか、あるいは水深基準ではかるか、あるいは自然延長論でいくかというこの三つの考え方がかなり争われていることは事実でございますが、先ほども申し上げましたように、一九七五年の単一草案、七六年の改訂単一草案、七七年の統合草案、このいずれを見ましても自然延長という線が貫かれておりまして、まだ討議は終わってないわけでございますけれども、その限りにおいて見る限りは自然延長論というものが強いわけでございます。  それから、中間線を引くということの私の意見を引用されたわけでございますが、私は大陸だなが相対している場合で、かつ、それが東シナ海のように一つの閉鎖的な海を構成している場合において、私は中間線というのが一番「衡平の原則」にのっとった方法であろうという立場はいまもって変えておらないわけでございまして、お答えにかえさせていただきます。
  100. 市川正一

    ○市川正一君 海洋法の今度の第三次会議の結論の部分についての議論はまた私どもで深めますが、そこで、最後の問題に入りますが、先ほど伊藤さん、北沢参考人も触れられましたけれども、もともと韓国も中間線論者であったわけですね。ところが、ウェンデル・フィリップスが、これは国際的な石油利権屋ですが、これが朴大統領に持ち込んで、この自然延長論でいわば巻き返してくると、こういう経緯は瀧口社長も語っておられるわけですが、このウェンデル・フィリップスが当初小分割をしないでいわば単一の合弁方式というのを主張をし、韓国政府も同様の主張をしたというこれは歴史的経緯があるわけですね。その際に、日石開発はそれに反対されたというふうに伺っておりますが、先ほど名前も出ました、北沢参考人のお話の中にも出ました矢次さん、それから岸信介さん、こういう方がフィリップスと同様に単一の合弁会社で共同開発するという考え方を持っていたというふうに伝えていますが、これ御存じですか。
  101. 伊藤治郎

    参考人(伊藤治郎君) お答え申し上げます。  私はそれを「エコノミスト」という雑誌で初めて読みました。それだけでございます。
  102. 市川正一

    ○市川正一君 これで最後であります。  伊藤さんとそれから北沢さんに最後にちょっとお伺いしたいのですが、この日石本社の社内に岸信介さんの事務所があるというふうに聞いておりますが、率直なところ、この岸さんと日石との間には何か特別の関係というのはございましょうかという点と、それから、先ほどのウェンデル・フィリップスの問題で、そういう動きが矢次氏その他あった問題に関して、北沢さんが先ほどお触れになりましたが、北沢さん、これについて何か補足する御意見がございましたら伺いたいということで、私の質問を終わります。
  103. 伊藤治郎

    参考人(伊藤治郎君) お答えを申し上げます。  岸先生と私どもの会社とは何にも関係がございません。たまたま私どもの新橋の事務所が新築されますときに、その新築に当たりましたのは当時の栗田と申します副社長でございます。その後社長になりましたが、この人が山口県の出身で岸先生のすぐ同郷でございまして、昔から仲がよかったと。その時点で岸先生が事務所をお探しになっているということ、ところが、うちの事務所も新しくつくりましたのでテナントを募集しておりました。そこで副社長が、じゃ、ちょうどいいからということで、たまたまあそこにお入りになられただけでございまして、私どもの会社とは関係ございません。
  104. 北沢洋子

    ○参考人(北沢洋子君) 先ほど述べましたところの余り補足はないんですが、現在は一万ドルの資本金でもってコアム――コリアン・アメリカン・オイルという形になっております。それで、フィリップス石油が持ち株をユニバース・オイルとハミルトン・ブラザーズとL・G・ウイークスの三社に売り渡して、現在は、私の知っているところでは五〇%の株を持っているわけです。問題の御指摘のところのウェンデルフィリップスとその委託の関係ですが、一番疑問な点は、なぜあそこの第七鉱区という、石油の埋蔵から言っても地質学的に言っても非常に不利なところを、それで広いところをなぜわざわざ韓国政府に申請して開発権を取ったかという疑問でして、この点は御指摘のとおりその癒着の問題があります。それから日韓ロビーとの絡み合いがあります。  それからちょっと補足ですけれども、先ほど発言をとめられましたので申し上げますけれども、去年北海で石油事故を起こしたのはフィリップス石油です。その点ちょっと補足します。
  105. 市川正一

    ○市川正一君 どうも長時間……。
  106. 藤井恒男

    ○藤井恒男君 およそ時間も参っておりますので、私は栗林参考人に一問だけお伺いいたします。  実は、けさの新聞にも一部報ぜられておるところでございますが、中国との関係ですね、外務省がしばしば当委員会においても述べておられるところですけど、東シナ海の大陸だなの境界については日、韓、中、三国で話し合うことが最もいいんだと。しかし現実の問題として韓国と中国との間には国交がない、これはもうどうしようもないことだと。したがって、日韓両国間にまたがる部分については共同開発にした、この地域は日中中間線の日本側であって、国際法上も問題がない、こういう見解をしばしばお述べになっておられる。同時に、このことについて再三中国に理解を求めておる、そして話し合いについてもオープンだと言っておるけど中国は乗ってこぬのだ、これからもその努力は続けます、こういうことなんです。  私は、この点について理解するものなんですが、きょうの新聞でも報じておりますように、当委員会でもしばしば問題になるのは、このことについて日韓間では韓国の自然延長論に一定の理を認めながら、中国に対して一方的にこれを退けるということについてはいかがなものかと、こういう論があるわけです。この点について、これはマスコミもそのようにきょうは報じて、当委員会における審議の問題点の一つとして掲げておるわけでございますが、栗林参考人として、この論についてどのようにお考えか、見解を一遍お述べいただきたいと思います。
  107. 栗林忠男

    ○参考人(栗林忠男君) お答えいたします。  外交交渉の経過につきまして、私余りつまびらかでございませんけれども、そういった答弁が本委員会でなされていたとすれば、私は一般的にそのような感覚でよろしいかと思っております。先ほど来も申し上げておりますように、こういった相対する国の間で、しかも、ほかの外洋に向かって広がっている大陸だなじゃないような狭い海底におきましては、やはり中間線というものが認められるであろうし、事実北海大陸だな事件におきましても、そういった相対している場合の中間線原則というものは認められているわけでございます。  ただ、あの北海大陸だな事件の場合には、隣接する国の間の問題点でございまして、若干その点の説得力は弱いかと思いますけれども、しかし、それ以後、自然延長論という考え方がますます海洋法の会議の場で強くなってきておりまして、そういった状況におきましては、紛争というものがなかなか解決できない状況にあるという段階において、共同開発方式というものを一応考案していくということ自体に、私は、先ほどもイエス、ノーで答えろという御質問でございましたので、一つの評価できる試みであるというふうに申し上げたわけであります。もちろん境界画定の問題というのは、関係諸国がなるべく話し合いによって決めていくということが、海洋法会議の公式文書の中にもやはり第一義的にもうたわれておりますし、その方が望ましいわけでございますけれども、しかし、先ほど来申し上げておりますように、日本の中間線路線、私も支持する法理でございますけれども、それをもって反対する国があった場合に、やはり今後も絶えず接触を重ねて、お互いの理解に努めていくように努力すべきだろうというふうに考えております。
  108. 柿澤弘治

    ○柿沢弘治君 もう参考人の皆さん長い間お引きとめをしておりますので、私も一問だけ伊藤参考人に質問をしたいと思います。  いまの栗林参考人にも御質問したかったのですが、この点については、後ほど法案審議で質問をする機会があると思いますので、外務省とやりたいと思います。  この問題でしばしば話題になるのは日韓癒着、ここでまた、共同開発でお金が韓国に流れるんじゃないか、こういういろいろ議論、疑惑があるわけですが、過去はともかく――これは解明をしなければいけないと思いますが、これから未来にわたってそういうことは絶対にあり得ない、ないよう、疑惑を招かないようにするという点について何か具体的なお約束は、開発を担当される企業としてできないものだろうか。たとえば経理については完全に公開する、一点のやましいところもないように約束をいたしますというようなことがおっしゃっていただけるのかどうか。それから、共同開発相手の韓国企業についても同じようなことをできる限り要求してやってまいります、こういうことが言えないものかと思うのですが、その点について伊藤参考人の御意見を伺いたい。
  109. 伊藤治郎

    ○参考人(伊藤治郎君) お答えいたします。  まず最初に、皆さん、先生方の中にあるいはジャーナリズムの中に誤解があるように思います。すなわち、あの地域に五千億円という巨額の金を投じるということから出発して、それが韓国へ流れるとかなんとかかんとかという、癒着につながるというような論旨が非常に多うございますが、先ほど私が申し上げておりますように、私どもは公団融資を受けなくとも、当面試掘段階では少なくとも自力でやっていけると思っております。したがって、私の企業の、会社の金でございますから、これがどう使われようと勝手ではございますけれども、しかしこれは勝手と申しましても、私どもは商業会社でございます、コマーシャルベースですべていかなければなりませんし、原油の世界は非常に競争社会でございますので、よけいなコストは一銭たりとも使いたくない、コストミニマムでいきたいということで考えております。それで、とにかく公のあるいは国民の血税というようなお金は私どもの方は使いません。したがいまして、私の私企業といたしましては、経理の公開というわけにはまいらないと思います。  ただし、この問題につきましては特定鉱業権者が指定されますと、多分その上に日韓の政府代表が委員会をおつくりになられる、そこがいろいろの監督をなされると思いますが、会社ベースといたしましては、経理の公開ということはちょっと不可能でございますと思います。
  110. 柿澤弘治

    ○柿沢弘治君 すべての企業について経理の公開が必要だというふうには思いません。ただ、やはりこうした問題について企業の社会的責任、公共性という面からの一つの判断というのがあっていいのではないだろうか。それがある意味では、全体の私企業としての全面的な企業の経理の公開というものを防ぐためにも、必要なものについて国家的な、国民的な関心のあるものについては、みずからの意思と判断で公開をしていくというのも私は一つの考え方だと思います。その点について、できないというお話でございますから、きょうは参考人としての御意見を伺ったわけでございますが、もう少し前向きの姿勢があっていいのではないかという感想だけ申し述べておきます。
  111. 楠正俊

    ○委員長(楠正俊君) 他に御発言もなければ、本日の参考人の方々に対する質疑はこれにて終了いたします。  一言御礼のごあいさつを申し上げます。  参考人の方々には、御多忙中のところ長時間にわたり御出席をいただき、また貴重な御意見を拝聴させていただきまして大変ありがとうございました。委員会を代表いたしまして厚く御礼を申し上げます。  本日はこれにて散会いたします。    午後六時六分散会      ―――――・―――――