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1978-06-15 第84回国会 参議院 農林水産委員会 22号 公式Web版

  1. 昭和五十三年六月十五日(木曜日)    午前十時十九分開会     ―――――――――――――   出席者は左のとおり。     委員長         鈴木 省吾君     理 事                 青井 政美君                 大島 友治君                 山内 一郎君                 川村 清一君                 相沢 武彦君     委 員                 片山 正英君                 北  修二君                久次米健太郎君                 小林 国司君                 坂元 親男君                 田代由紀男君                 野呂田芳成君                 降矢 敬雄君                 坂倉 藤吾君                 丸谷 金保君                 吉田 正雄君                 原田  立君                 下田 京子君                 三治 重信君    国務大臣        農 林 大 臣  中川 一郎君    政府委員        内閣法制局第四        部長       別府 正夫君        農林政務次官   初村滝一郎君        農林大臣官房長  松本 作衛君        農林省農蚕園芸        局長       野崎 博之君        農林省畜産局長  杉山 克己君        農林水産技術会        議事務局長    堀川 春彦君        特許庁長官    熊谷 善二君        特許庁特許技監  城下 武文君        特許庁総務部長  勝谷  保君    事務局側        常任委員会専門        員        竹中  譲君    説明員        外務省国際連合        局外務参事官   小林 俊二君        大蔵省主計局主        計官       岡崎  洋君        文部省大学局技        術教育課長    福田 昭昌君        農林大臣官房審        議官       小島 和義君        農林省農蚕園芸        局参事官     赤保谷明正君        水産庁研究開発        部長       山内 静夫君    参考人        全国農業協同組        合中央会農畜産        部長       小口 芳昭君        日本種苗協会会        長        瀧井 利彌君        ぶどう品種改良        家        沢登 晴雄君     ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○農産種苗法の一部を改正する法律案(内閣提  出、衆議院送付)     ―――――――――――――
  2. 鈴木省吾

    ○委員長(鈴木省吾君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。  農産種苗法の一部を改正する法律案を議題といたします。  前回に引き続き質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  3. 相沢武彦

    ○相沢武彦君 農産種苗法の一部改正案に対する質疑を行いたいと思いますが、最初にこの法律案が提出されるに至った経緯についてお尋ねをいたしたいと思います。  今回のように、農産種苗法を全面的に改正すべきであるという要請や運動、これが起きましたのはもう昭和四十年代からずっと続いてきたわけなんですが、それが法案として審議される今日まで、かなりな時間がかかっております。そして、その一番の原因は、先日のこの委員会での丸谷委員の質疑でも明らかなように、特許制度との調整問題であったということになっております。そこで、この法案提出までの主要な経緯と、それから特許庁が五十年の十一月に植物新品種に関する審査基準、これを公表しておりますので、この特許制度との調整を最終的に農林省としてはどういうふうに結論づけられたのか、わかりやすくひとつ御説明をいただきたいと思います。
  4. 野崎博之

    ○政府委員(野崎博之君) 今回の改正につきましては、農林省では昭和四十七年度から学識経験者をメンバーといたしまして、新品種保護制度研究会というものを発足させて、そこでいろいろ御議論を願ってきたわけでございます。その条約との関係、それから諸外国のいろんな保護の態様、そういう点等も勘案しながら一層検討いただきまして、結論をいただいたわけであります。さらに五十一年度に植物新品種保護制度検討会というものを設けまして、一応その四十七年度からの分は五十年度で終わっておりますので、五十一年度にまた新品種保護制度検討会というものを設けまして、そのあり方等について検討をしてまいったわけでございますが、その間特許との関係をどうするかということが、いま先生おっしゃいましたようにまさに問題になったわけでございます。  われわれといたしまして、特許庁といろいろ調整を図ってまいったわけでございますが、特許庁の植物審査基準、これにつきましては理論的にはあり得るので、強いてわれわれとしてもこれをやめろというような言い方はしてはいないのでございますが、いろいろその後特許庁と調整を図りまして、やはり植物新品種それ自体と特許の内容というものは相当これは異なる。  特許は、自然法則を利用しました技術的思想の創作と、そういうものが対象になるわけでございますし、片や植物の場合は、新品種それ自体ということになりますので、保護の対象あるいは保護の態様、権利法であるとか、あるいは許諾方式であるとか、そういうことで対象なり保護の態様が異なる。また、現実に従来見ましても、特許として出願されたものはまれにはありますが、特許されたものは皆無であった、そういう事実もございますし、また、品種登録の場合は非常に緩やかな条件で出願ができる。既存のものでない、区別性があればそれで出願ができる。   〔委員長退席、理事青井政美君着席〕 そういうような非常に緩やかな条件でできることになりますので、品種それ自体が特許発明の対象になることは事実上まずない、そういうようなことで特許庁とも調整をいたしまして、今回の種苗法のかっこうで提出をいたした次第でございます。
  5. 相沢武彦

    ○相沢武彦君 特許庁にお尋ねしたいんですけれども、昭和五十年に公表された植物新品種に関する審査基準、これを公表したねらいはどこにあったんでしょうか。また、法案の形でなくて、審査基準ということで公表されているわけなんですが、今後の種苗法との運用の調整、この点をどういうように特許庁としては考えておられるのか、この点をひとつ明確にしてください。
  6. 勝谷保

    ○政府委員(勝谷保君) 植物特許につきましての審査基準の公表でございますが、実は当時、ただいまのような調整が農林省との間でできておりませんし、このような植物保護の新しい立法が十分煮詰まっておりません状態でございまして、育種業者の方々から、早く国際的水準まで高い保護を与えてもらいたいという強い要望が出てまいりまして、国会におきましても、特許庁の現行特許法でできる範囲でどこまでできるのかという御質問がございまして、その範囲でやれるだけをやれということがございました。それを受けまして特許庁といたしましては、審査基準を五十年の末に発表したのが審査基準を発表した背景でございます。  その審査基準でございますが、実はそれぞれの主要業種ごとに審査基準を発表いたしております。これは別に法律の明定があるわけでございませんで、特許法の対象となりますそれぞれの業種につきまして、個々の審査官が審査するに当たって必要な一定の基準を内部的に定めまして公表しておるものでございます。従来、植物特許につきましては、方法の特許はございましたけれども、物自体の特許がございませんでしたので実は基準を発表しておりませんでしたけれども、そういう御要請もございましたので、従来の例にならって基準を発表したというのが実情でございます。  さらに、農林省との調整の問題につきましては、ただいま局長御答弁のとおりでございますが、私どもといたしましても、今後は従来に比べれば技術の進歩等によりまして物自体の発明もあり得る可能性も出てまいりましたけれども、一方でこのような非常に保護の態様が従来よりも高まりまして、特許よりも比較的緩い基準で保護が高まります新法が出ますれば、その方向でほとんどカバーされるのではないかということでございます。ただ、理論的にはあり得るわけでございますから、十分農林省と連絡をとりまして、その面のトラブルが起こらないようにいたしたいと考えておるわけでございます。  以上でございます。
  7. 相沢武彦

    ○相沢武彦君 さらに特許庁にお伺いするのですが、特許は特に技術過程というものを主体にされると思うのですけれども、公開された技術を他の人が読んで、同じようにそれに取り組めば同じ結果が得られるということが必要なんだというように聞いているのですけれども、これを反復性というように呼んでおるようなんですけれども、この、反復性については十三日の当委員会での審議で、特許庁としては新品種については増殖の後に同じものが出てくれば特許されるのだというような御答弁だったと思うのですけれども、この反復性というのは増殖後についても必要なことは当然だと思いますけれども、特許制度から見ますと、新品種の育成の過程についても同じように反復性が必要になるのじゃないかと思うんですけれども、この点、どのようにお考えでございますか。
  8. 勝谷保

    ○政府委員(勝谷保君) 先生の御指摘のとおり、育種過程におきましても理論的な反復性がなければいかぬと私ども考えております。
  9. 相沢武彦

    ○相沢武彦君 それで、この特許庁と農林省との調整問題なんですが、農林省は、品種登録されれば技術過程がどうあろうとも登録された順で保護をしていくと、こういうこと。それから特許庁の方は、たてまえ上特許の受け付けはしても農林水産物の特許について技術的に非常にむずかしいのでその部門は農林省に任せる、制度的に特許申請をされれば受け付けはしても特許を許可するということは事実上ないんだと、それは農林省の方の品種登録で保護する方に任せていくんだと、こういうように役割りを分担して両庁の合意メモに書かれているのだろうと思うんですけれども、公表はできないけれども役割りはそうなんだということなんでしょうか。一応両方から答えてください。
  10. 野崎博之

    ○政府委員(野崎博之君) いまおっしゃられたとおりでございまして、新品種それ自体についての特許発明というのは事実上まずない。方法に関しましてはこれは従来からもございましたし、育成方法に関しますのはやはり種類も比較的多うございますので、そういうものについては従来の農産種苗法の中でも調整規定がございましたので、今回も同様な規定を入れているわけでございます。
  11. 勝谷保

    ○政府委員(勝谷保君) 局長の御答弁と同じでございますけれども、補足させていただきますと、表現の差かもしれませんが、方法の特許については調整規定を入れております。それから、物自体につきましては、過去もそういう物自体の特許はございませんし、今後も技術の進歩によって理論的可能性は残されておりますが、一方でこのように保護の態様を強めて、登録基準は比較的特許より緩い新法が出ましたので、国際的水準の保護が与えられる状態では、今後の物自体の特許は、理論的には残されているけれども、大部分がこちらに流れていくと。したがって、従来と同じようにやっていけるのではないかと、こういうふうに考えておる次第でございます。  もし、そういうものが仮に出たときは、両省の間で十分話し合いをしてトラブルの起こらないようにいたしたい、こういうことでございます。同じことでございますけれども、表現は若干逢いますけれども、そういう認識で進めてまいりたいと思っております。
  12. 相沢武彦

    ○相沢武彦君 まあこれ以上はもうお尋ねしませんけれども、どうかトラブルが起きないように運用上でしっかりしてほしいし、また、何か起きたときには、両庁間の連絡協議というものをひとつしっかりやっていただきたい、と思います。  それから、農林大臣にお尋ねしますが、この種苗法を日本の農政上どのように位置づけられているのか、これをひとつ明確にしてください。
  13. 中川一郎

    ○国務大臣(中川一郎君) わが国農業はいま非常に厳しいところに立っておりまして、あらゆるものを見直してしっかりしたものにしなければならぬと、その中におきまして品種がしっかりしたものであるということがわが国の農業を支える大きな柱の一つであったと、こう言ってもいいぐらい世界じゅうが学ぶべきところが多いと言われるわが国の過去の実態ではございますが、今後ともさらにこれをしっかりしたものにして育種者を保護する、そして、登録制度をしっかりし、さらに表示制度、過去のありますものと合わせてさらによりよきものをつくっていく体制を強化したい、そのことがわが国農業にさらに一段と大きな貢献をなすであろう、こういう気持ちで今回いろいろと検討いたしまして御提案申し上げた次第でございます。
  14. 相沢武彦

    ○相沢武彦君 法改正の重要な要因となっております種苗の国際交流の問題なんですけれども、わが国生産農家の立場から見た場合に、世界の種苗の中から一体どういうような植物新品種を必要としているのか。また、その新品種は実際の農業生産に一体どういうような効果を発揮するものかどうかですね。この生産農家が享受できるメリットといいますか、こういうものをひとつ具体的にこの際明らかにしていただきたいと思います。
  15. 野崎博之

    ○政府委員(野崎博之君) 従来、外国の制度並みの保護が国内で与えられてなかったというようなことで、なかなか海外のいい品種が入りにくかったという事情があったわけでございます。今回の改正によりまして、優良な新品種を外国から導入することも比較的容易になりますし、また、わが方から輸出をしたり、わが方の育成者が外国でも同じような保護が与えられる、そういうようなことになりますし、そういう海外から優秀な新品種を導入いたしまして、それをわが国の気候風土、あるいは土壌なりの条件に合ったものに育てて生産を上げていく、そういうような面で非常に農家自体にもメリットがあるのではないか。  具体的に海外から入っておりますのは、インゲン、レタス、それからバラ、カーネーション等でございまして、特に飼料作物が非常にわが国に入ってくる量が多いわけでございます。レタス等はちょうど採種期が梅雨期に当たりますので、なかなか日本ではちょっといい品種が育たない、そういう点もございますし、それからトウモロコシはF1が主体になるわけですが、それの新品種がなかなか国内では入手できない、そういうようなこともございますし、いま申し上げましたインゲン、レタス、それからバラ、カーネーション、そういうものを含めまして、これからそういうものが入ってくるのではないかというふうに考えられるわけでございます。
  16. 相沢武彦

    ○相沢武彦君 国際条約との関連についてなんですが、一九六一年にヨーロッパを中心に植物新品種の保護に関する国際条約、UPOV条約が制定されたわけなんですけれども、日本は現在まだ加盟をいたしておりません。条約への加盟の見通し、それから今日まで未加盟だったことについてこういうような弊害があったのだということがあれば、具体的にひとつ御説明をいただきたいと思うんです。
  17. 野崎博之

    ○政府委員(野崎博之君) いま先生おっしゃいましたように、一九六一年にこの条約が制定されたわけでございますが、わが国のいまの制度ではなかなか入りにくいというようなことで、入りやすいように改正をいたしておるわけでございますが、この条約自体についてもいろいろ改正の動きがあるようでございますので、われわれといたしましてもその条約改正の動きを見ながら、関係各省と相談をしながら、できるだけ早い機会にこれに加入をいたしたいと思っておるわけでございます。  いままで加入できなかったためにどういうデメリットといいますか、これは先ほどの答弁の裏返しになりますけれども、やはり優秀な育種素材の導入が不円滑であった、それから海外でわが国の育成者の保護が十分でなかった、そういうような点があったと思うわけでございます。
  18. 相沢武彦

    ○相沢武彦君 外務省来ていらっしゃると思いますのでお尋ねしますけれども、この法律案が成立することによって国内法が整備された形になりまして国際条約加盟へ進んでいくわけなんですけれども、条約加盟の具体的な日程、これは外務省としてはどう考えておられるのか、これが一点。  それからもう一つは、この法律施行後条約加盟までの空白期間ができるわけなんですが、この空白期間中は相互主義の原則に従って運用するのかどうか、この二点についてお答えいただきたい。
  19. 小林俊二

    ○説明員(小林俊二君) この条約につきましては、私どもの承知しておるところによりますと、本年秋さらに改正の会議が開催されて、その上で全体の姿がはっきりすることになるというふうにも伺っております。したがいまして、私どもの承知しておるところでは、この条約に参加するのは、もちろんただいま御審議いただいておる法律の改正案成立後が前提でございますけれども、その後にこのUPOV条約そのものの改正を見込んでおるということでございますので、その改正が成立した後になるというふうに仄聞いたしております。  まだ農林省の方から、この条約への加盟につきまして、締結につきまして正式に御協議をいただいておりませんので、まだその手続の面におきまして私どもとしても見通しを得る段階に至っておりませんし、また条約に加盟するということになりますれば、今回御審議いただいております改正された法律と、それから今後改正が予定されておる改正されてからのUPOV条約との整合性の問題につきまして、法制局を含めて検討を必要とするということになるわけでございますので、そうした見通しを得てから、初めて締約ということになるということでございます。
  20. 相沢武彦

    ○相沢武彦君 相互主義について。
  21. 小林俊二

    ○説明員(小林俊二君) 断定適用の問題につきましては、これもまだ農林省側からお話を私ども承っておりませんので、もしそういう御予定がおありなのであれば、それは農林省側から御説明いただきたいと思います。
  22. 野崎博之

    ○政府委員(野崎博之君) 今回の改正では、相互互恵の観点から外国人の品種登録を認めることといたしておるわけでございますが、このような規定は、一般的に品種保護制度を設けている国の国内法にも設けられているので、この規定によって外国との間で相互に保護を行ってまいると。したがいまして、先ほど先生おっしゃいましたとおり、そういう国内法の設けられておる国同士で相互に育種者の保護を行っていきたいというふうに考えているわけでございます。
  23. 相沢武彦

    ○相沢武彦君 外務省の方は、これまで農林省からの協議を正式にまだ受けてないということなんですけれども、この条約加盟について農林省としてはかなり意欲を持って作業を進めてこられたんですけれども、外務省としてはこれから協議を受け、それから法制局との協議をして整合性を調べていくようですが、かなり先になるんじゃないかと思いますので、この空白期間中の運営については、またひとつ取りこぼしのないようにしっかりやっていただきたいと思います。  外務省と特許庁の方は結構でございます。  それから、現在アメリカも未加盟なんですが、その理由がどういうことなのか、これが一点。  それから二番目として、種苗の国際交流について尋ねたんですけれども、日本が今後特に取引をしていきたいという対象国ですね、これはどういう国々を考えているのか。  それから三点目として、細かい話になりますけれども、政府が直接交流を望んでいる対象種苗は一体何なのか。また、民間が強く望んでいる対象種苗があれば、それはどういう種類のものなのか。  以上、三点についてお答えください。
  24. 野崎博之

    ○政府委員(野崎博之君) アメリカがUPOV条約に加盟してない理由につきましては、これはアメリカの新品種に関する保護制度が、やはり現行の条約の規定と一致しない点があるわけでございます。  たとえて申し上げますと、保護品種は、条約は一代雑種も保護対象にいたしておりますが、アメリカの方ではこれを対象にしていない。あるいは保護の対象は付表にいろいろ出てまいるわけでございますが、条約はバレイショも保護の対象にいたしておりますが、アメリカではこれは除いている。それから、名称も単に数字だけの名称では登録できないことになっておるわけですが、アメリカでは数字だけの登録もある。条約ではその数字だけの登録は禁止をしておる。そういうようなことで条約と抵触をいたしますので、いまのところ加盟をいたしてないということでございます。  それから、わが国の種苗の輸出もそうでございますし輸入もそうでございますが、やはりアメリカが一番多うございますので、われわれといたしましては、やはり両国間の種苗の円滑な交流が一番望ましいと、そういうふうに思っておりますし、UPOVの主要な加盟国では、西独、それからイギリス、オランダ、南アフリカでございますが、これはアメリカと二国間協定を結んでおる。わが国では、いまのところ現行の農産種苗法の制度ではちょっとアメリカの制度と違いますので、なかなかその二国間協定を結ぶということができがたいという状況にあるわけでございます。今回、これから入ってくる品種、先ほど申し上げましたように、野菜とか、それから果樹、花卉類、それから飼料作物、そういうものの品種導入が盛んになるのではなかろうかというふうに考えておるわけでございます。
  25. 相沢武彦

    ○相沢武彦君 日本が条約加盟する際、保護対象とする植物の種類、これは加盟時に五種類以上と、それから加盟してから八年目には二十八種類以上にするということが義務づけられるわけですけれども、日本側の条約加盟後の対象となる種類は一体どういうふうなことを考えているのでしょうか。内容についてひとつ明らかにしていただきたい。
  26. 赤保谷明正

    ○説明員(赤保谷明正君) お答えいたします。  条約に加盟をするときには、現行法の条約でございますと、作物というか、植物の種類を特定をいたしまして十三種類、八年以内だったと思いますが、保護の対象にしなければいけないということになっておるのですが、近々というか、条約の改正の動きもありまして、それによりますと、八年以内にいま先生おっしゃいましたように二十四種類だったと思いますが、それは作物の種類を特定いたしておりません。二十四種類、八年以内にやりなさいということになっておりまして、私の方で考えておりますのは、この制度発足当初からかなり数多く品種登録の対象にしようと思っておるわけでございます。いまのところ具体的には決めておりませんけれども、おおむね四、五百種類程度やっていきたいと思いますので、その条約との関係では支障がないかと思います。  御質問の御趣旨、そういうことでございましたでしょうか。
  27. 相沢武彦

    ○相沢武彦君 相当数加盟保護対象にする準備のようなんですけれども、これは農林省で決めたら、どういう手順で皆さん方に、関係者にわかるように発表されるのですか。
  28. 野崎博之

    ○政府委員(野崎博之君) 大枠は政令で決めまして、細かいものは、細かいものといいますか、稲だとか大豆だとかトマトだとかリンゴだとか、具体的な名前は省令で決めていきたいと思います。先ほど御答弁いたしましたように、当初はおおよそ四百ないし五百というふうになる予定でございます。
  29. 相沢武彦

    ○相沢武彦君 指定種苗についてなんですが、法改正後、大臣が指定する指定種苗の内容は一体どういうものなんでしょうか。  それから、主要農作物種子法と林業種苗法、この対象になるとされていた種苗を指定種苗から除外しているのですけれども、この除外理由は一体どういうことなんですか。
  30. 野崎博之

    ○政府委員(野崎博之君) 指定種苗につきましては、現行の制度でも同じような制度があるわけでございますが、現行法では保証種苗と言っておるわけでございまして、現在、野菜が二十八、それから果樹が十四、それから花卉が十四、そういう全部で五十六作物について指定をいたしておるわけでございますが、これを急にふやすという予定はいまのところございませんが、最近飼料作物等の流通が非常に多くなってまいりましたので、飼料作物あるいはシイタケの種菌といいますか、シイタケの種菌の需要が非常に多くなってまいっておりますので、こういうものを追加したらどうかということで、いま検討をいたしておるところでございます。  それから、米麦、それから林業種苗、これを除いておりますのは、米麦等につきましては主要農作物種子法という法律がございまして、この法律の中で優良な種子の生産、それからそれに対する圃場、いろいろな検査、そういうようなことについての補助措置がございまして、末端で優良な種苗が流れるような、そういうねらいですでにそういう法律ができているわけでございます。それから林業種苗、林業用樹木に対する苗木、これも対象外といたしましたのは、林業種苗法というものがございまして、この林業種苗法の中で優良な種苗の供給を確保するための優良採取源の指定、それから生産業者の登録、配布の際の表示、こういう規定がございまして、ここで優良な種苗が末端に流れるように林業種苗法でもそういう趣旨の規定がございまして、そういうふうに運用されておりますので、あえてここで指定種苗の中に入れなかったという趣旨でございます。
  31. 相沢武彦

    ○相沢武彦君 それから、第五条の指定種苗の生産等に関する基準のうち、品質保全基準については特に万全を期していただきたいと思います。  そこで、法律改正によって――この採種事業というものを底辺から支えているのは言うまでもなく生産農家の人たちなんですが、この生産農家の人にまで過酷な責任を負わせることになるんじゃないかというどうしても心配が出てくるわけでして、採種事業というのは人間の手でやることですからなかなか一〇〇%完全というようにはいかないわけでして、この生産農家に今後過重な負担がかからないように十分な配慮をしてもらいたいと思うんです。この点についてはひとつ農林大臣から、生産農家には決して過重な負担をかけさせないということを御確約いただきたいと思います。
  32. 中川一郎

    ○国務大臣(中川一郎君) 優良な品質の種苗の流通を確保するため、農林水産大臣が種苗の生産業者及び種蒔業者が守るべき基準を定めて公表し、その基準を守らない場合は勧告、公表の制度、これは衆議院で修正されたものでございますが、発動されることとなっております。種子を生産される御指摘の農家も、種子の生産を業とする限り、法律上この基準の対象となり得るものであることは当然でございます。  しかし、一般的に採種農家は、種苗業者から栽培条件を指定されて採種の委託を受けて生産しているのが実態でございます。それが、その農家が調整、包装をされ、さらに品種名等の表示が付されて商品として流通するということになります。このような実態であり、また立法の目的は、優良な品質の種苗の流通を確保するということにありますから、第一次的には商品としての種子生産全般についてコントロールしております種苗業者に対して、この基準を守らせるための指導、勧告等をするのが実態的にも適当でありますが、そのように運用してまいりますが、採種農家には特段過重な負担をかけるというようなことはないと思っておりますし、またそういう指導はしてまいりませんが、しかし守るべきことはやっぱり守っていただかなきゃいかぬと、法の趣旨を体してやっていただかなきゃいかぬと。過酷なことはしないつもりでございます。
  33. 相沢武彦

    ○相沢武彦君 それで、指定種苗以外にも重要だと思われる種苗というのはたくさんあると思うんですが、この指定種苗制度に準じた取り締まり体制といいますか、こういう体制をやっぱり考えておいた方が、後々のために問題を起こさずによいのじゃないかという気がするんですが、これはいかがでしょうか。そういった意味から、指定種苗に入らない種苗について何らかの適正な表示、これを行わせることが必要じゃないかと思います。その場合、一体政府としてはどういうような指導なり体制づくりをしようとされるのか。そこまで準備が進んでいましたら、この際ひとつ明らかにしてください。
  34. 野崎博之

    ○政府委員(野崎博之君) 指定種苗は、先ほども申し上げました五十六種類、これにある程度追加をする予定で検討しているものがございますが、全体見ますと、桑の苗等につきましては、これまた蚕糸業法で優良な種苗の供給を確保するという、いろいろな体系的にそういう規定もございますし、あるいはバレイショ、茶、サトウキビ、そういうものは国が原原種農場を持っておりまして、そこで優良な種子を供給するということにいたしております。  それから、米麦、大豆は、これは先ほど申し上げましたように初めから除いておりまして、そういう体制にいたしておらないわけでありますが、そのほかいろいろ作付地が非常に局限されていて種苗としての流通が非常に少ない作物もあるわけでございます、コンニャク等とか。そういうものについては、あんまり指導する必要がないのじゃないかと、こう思っておるわけでございますが、先ほど申し上げましたように、飼料作物やシイタケ、こういうものは指定種苗の中に入れて、やはりそういう適正表示をさせるようにいたしたいと思っておりますし、先生いまおっしゃいましたように、こういう追加指定以外のものについても、関係団体を通じまして表示の指導を今後とも進めていくように、ひとつこれから前向きに検討いたしたいというふうに考えております。
  35. 相沢武彦

    ○相沢武彦君 やはりどうしても後から問題が起きがちですから、最初が肝心ですから、ひとつ最初から業界の人たちとよく話し合って、これに準じた制度をやっぱりつくった方がいいと思いますので、お進めいただきたいと思います。  それから、法改正によって、これまでの保護要件とされていた優秀性、それからまた優良性について今回削除されることになったんですが、国際条約でも優秀性というのは要件とはなってはいませんけれども、日本の場合は法案作成の検討段階においては優秀性ないし優良性というものを認めるか、あるいは認めないかということが大きな論点になった、こういう経緯がございますし、国内的に優秀な新品種というものを育成していくんだということを、やはり国がリーダーシップを発揮して各種の普及奨励のための措置は講ずべきだと思うんですね。  たとえば、各種の品評会等に総理大臣賞の贈呈、あるいは具体的にこういった賞といいますか、みんながひとつ誇りと希望を持って競い合っていくというようなことをやった方がいいと思うんですが、このための予算措置の拡充についてぜひやるべきだと思いますが、これについては当局としてはどうお考えでしょうか。
  36. 野崎博之

    ○政府委員(野崎博之君) 確かに先生おっしゃいますように、品種というのはこれは優秀であるにこしたことはもちろんないわけでございます。ただ、登録の要件としてそうするかどうかということになりますと、やはりその優秀性というものが時代の推移とともに考え方が変わってくる。といいますのは、栽培技術や利用技術の変化等によりましてやはりいろいろな見方もございまして、優秀性の見方についていろいろ変わってくる。従来は優秀性というものを要件といたしておりましたために、資材審議会等の意見を聞いたりして決めておったわけでございますが、その中ではやはり時代の先取りをした方がかえって後でその資材審議会に諮らないでお気の毒な目に遭った、そういう例もあるわけでございます。  したがいまして、その優秀性というものは個人の趣向にもよりますし、やはりそういう点は個人の評価に任せた方がいいのではないかと、そういうようなことで、今回の法改正では優秀性というものを登録の要件から削除をいたしておるわけでございますが、実際問題としては、現実に出願されてくるものは優秀性あるいは優良性のないものはほとんど出てこないのではないかというふうにわれわれとしてはいま考えておるわけでございます。  先生がおっしゃいましたように、そういう優秀な、あるいは優良な品種の普及ということはこれは非常に大事なことでございますので、いろんな作物につきまして各都道府県ではその気候風土、土壌に適した品種を奨励品種としていろいろ指定してこれを奨励をいたしておりますし、先ほど申し上げましたように、国ではバレイショ、サトウキビ、茶等については、原原種農場をつくってそこから優良な種苗を配布する、あるいは米麦、大豆等につきましては、都道府県の原原種圃、それから原種圃に助成をすると、そういうようなことで優良な品種の普及を図っている。それから野菜等につきましても、そういういろんな協会等を通じまして、優良な品種がいくような指導を行っておりますし、いま先生言われました大臣賞とかそういうものが、すでに全日本蔬菜原種審査会――これは野菜ですが、それから全日本花卉種苗審査会――これは花で言いますが、そういうものに対して農林大臣賞というものを毎年出しているわけでございます。そういう点については、今後とも続けてまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
  37. 相沢武彦

    ○相沢武彦君 今回、品種登録制度に改正されることになりましたんで、保護対象になる植物の範囲が林産物、それから水産物まで拡大されたわけですね。それから、出願した場合の審査要件というものが緩和をされております。これまで保護制度がないんで出願を見合わせていた人たちが、一斉に出願をするのじゃないかということが予測されるわけなんですが、法律の施行の初期段階で出願数というのは相当数に上ると思いますけれども、農林省としては一体どれぐらい数が出てくるというふうに見積もられておりますか。
  38. 野崎博之

    ○政府委員(野崎博之君) いま先生おっしゃいましたように、確かに優秀性を排除したということで件数はふえると思いますが、どれくらいふえるかというはっきりしためどはちょっとつきかねますが、現在では年間三十ないし四十件の出願があるわけでございますが、これがまあおおよそのめどでございますが、百件程度ぐらいになるのではなかろうかと予想をいたしておるわけでございます。
  39. 相沢武彦

    ○相沢武彦君 その出願品種の審査方法なんですが、原則としては現地調査や栽培試験というものが中心になると思います。この審査のための審査官の確保、こういった人的問題、それから予算措置、体制強化といいますか、一体こういうものはどういうように準備されているでしょうか。たとえば具体的に、この審査官の場合は何人増員するというようなこと、それから事務関係職員は何名にふやす、こういうようなところは準備されておりますか。
  40. 野崎博之

    ○政府委員(野崎博之君) 品種についての審査、先生いまおっしゃいましたように書類審査、それから現地調査、それから栽培試験とあるわけでございますが、栽培試験については必要な場合にこれを行うということで、現地調査あるいは栽培試験についても都道府県の試験場に委託をしたり、大学等、そういうところへも委託をするというふうに考えております。  原則は、もちろん農蚕園芸局の職員が当たることになるわけでございますが、そういう委託の道も考えておりまして、現在、農蚕園芸局の職員がその種苗対策関係で十一名、それから種苗検査室というのが筑波と大阪、それから久留米にございまして、ここに種苗検査官が十四名、それに補助員が七名、計二十一名がいるわけでございます。で、予算といたしまして、一応種苗対策関係として約六千万組んであるわけでございますが、われわれといたしまして、発足当初としてはこの程度でまあ間に合うのではないかと思っておるわけでございますが、将来のそういう件数の増加を見込みまして、当然人員なり、それから予算の拡充を今後図っていきたい。何名にするかという具体的なところまではちょっとまだ検討いたしておりませんが、当然ふやすという前提で考えておる次第でございます。
  41. 相沢武彦

    ○相沢武彦君 アメリカでコンピューターを使って書類審査の迅速化を図っているようなんですが、日本も将来はアメリカ並みにコンピューターを使っての書類審査の迅速化、これを整備すべきだと思いますけれども、これはお考えに入っているかどうか。  それから、そのためには品種データの蓄積ですね、これが余り十分これまでできてなかったということなんですが、こういった品種データの蓄積などのあらかじめの資料整備ということが非常に必要になると思うんですが、一体この整備のためにはどれぐらいの時間を考えておけば完全に整えることができるのかどうか、この辺の目安はどうなっていますか。
  42. 野崎博之

    ○政府委員(野崎博之君) 先生のおっしゃいましたように、アメリカ並みのコンピューター審査、われわれとしまして近い将来コンピューター化する予定で準備を進めているわけでございます。五十一年度から情報集収整備システム開発ということで予算をとりまして進めてまいっておるわけでございますが、この法律改正案が成立すれば、早急にコンピューター化できるように、また一層この事務を進めたいというふうに考えておるわけでございます。  それから、過去の品種データの蓄積、これもおっしゃるとおり蓄積が必要でございますので、これも現行予算でいろんなそういう品種の収集の委託をいたしておりますし、それから種苗対策室自体でもそういう収集を行っております。これも当然先生おっしゃいましたように、そういうデータの収集ということについては今後拡充をしてまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
  43. 相沢武彦

    ○相沢武彦君 それから、登録業務の民間委託なんですが、審査業務の迅速化のために民間団体に審査業務を今後委託するんだとなっておりますが、現在どこまで具体的に話し合いというのは煮詰まっているんでしょうか。  それから、委託するに当たって、この審査機関の負担軽減というものを十分配慮しなきゃならないと思いますが、これについてどういうふうに考えておるのか。  それからもう一点は、民間で審査するに当たって、審査基準の励行によって誤認というようなことが起きてトラブルが発生しないように、この審査の適正化の徹底ということを十分配慮しなきゃならないと思いますが、これについてどのようにお考えでしょうか。
  44. 野崎博之

    ○政府委員(野崎博之君) 審査業務といたしましては、品種についての重要な形質を定めること、それから審査基準を定めるということ、それから出願の受理、出願品種の特性の審査に関すること、この四つがあるわけでございますが、最後の中に書類審査、それから現地調査、栽培試験があるわけでございます。先ほどちょっと出ましたが、民間団体には既存品種の特性の収集整理という調査事務を委託いたしておりますが、現地調査に当たりまして、あるいは栽培試験に当たりましては、民間である種の植物について非常に造詣が深いそういう方にもひとつお願いをいたしたいと。まあそういう方たちについては十分旅費等の手当てをいたして、その人個人の負担増にならないように、十分ひとつ工夫をいたしてまいりたいというふうに考えておるわけでございます。  それから、現地調査、栽培試験についても、これは先ほどもちょっと申し上げましたように、各都道府県の試験場に委託をするつもりでございますので、比較的信頼ができるというふうにわれわれは考えておるわけでございますし、審査基準を厳正に守るということは、これまた先生のおっしゃるとおり、当然必要なことになってまいりますので、民間の方に頼む場合にも、非常にそういう基準を熟知した方にひとつお願いをする。それから、場合によっては、委託をした場合でも農林省の人も一緒に行ってもらうとか、これは、委託をして農林省の人も一緒に行くというのはよけいな負担がかかるかもしれませんが、よく民間の方にもそういう基準を熟知していただくように、これからいろいろな方法を通じて十分周知徹底方について努力をいたしたいというふうに考えております。
  45. 相沢武彦

    ○相沢武彦君 地域によって審査が厳しいとか甘いとか、そういうような批判とかが出てこないように、きちんとひとつしっかりやっていただきたいと思います。  それから、新品種育成機関の陣容なんですが、日本の場合、育種体制の規模については一体どうなっているのかということ。それから、民間の規模は現在どのようになっているのか、あわせてひとつ御説明いただきたいと思います。
  46. 堀川春彦

    ○政府委員(堀川春彦君) 全体の育種体制の規模の問題でございますが、ものによって違いますけれども、まず農作物でございますが、農作物につきましては、昭和五十年六月に、農林水産技術会議におきまして、作物関係の育種基本計画を設定いたしまして、これに基づいて育種の推進をやっておるわけでございまして、現在、六十三種目の作物を取り上げております。これは、農業の現状なり動向から見まして重要性のある農作物、並びに地域的にかなり重要性のある作物も一部含まれるわけでございます。およそ重要と思われる作物は、この六十三種類で全体カバーしておるというふうに存じますが、これにつきまして、国、県の育種研究の分担関係を明確にして進めております。研究体制の整備もこの計画に即してやっておるわけでございまして、国の育種体制といたしましては、国立の研究所に九十六の研究室がございます。研究員は、本年度の場合、定数が三百十二名でございます。  それから、国から県に委託をいたしまして道県等で実施しておる分に、育種の試験としての指定試験がございます。現在、四十二単位でございます。そのほかに、品種の特性を検定するための特性検定試験、これは八十カ所、それから系統適応性の検定試験、地域の気象条件や土壌条件その他に合うかどうかということを検定する試験でございますが、これが百七十一カ所ということで、国、県で分担関係を決めて推進をするという体制をとっておるわけでございます。  それから、林木の関係でございますが、この育種研究の関係では、林業試験場が基礎的な部分を担当するということになっておりまして、これにつきましては、本場に十三名、北海道支場に五名ということで配置をしております。それから、林木につきましては、育種の実践的な技術の開発、それから優良な品種の増殖、配布、こういったことが非常に重要になりますが、この面の事業的な面は、育種事業といたしまして林木育種場が担当いたしておるわけでございまして、これは五つの本場がございまして百二十名、それから支場が三つございまして四十二名でございます。  それから、林産関係ですが、キノコの関係につきましては、林業試験場で、本場において三人おりまして研究を進めておるほか、九州支場にも三人配置をしておるわけでございます。こういったところで育種の研究を進めております。  水産植物はノリ中心でございます。東北区水研に二名の研究員を置きまして、ノリの研究の基礎的なものを担当しておる。そのほか増養殖関係で、今回増養殖のための研究機関を新設をすることになっております。ここにおきましても育種の体制整備が図られるということになっておるわけでございますが、そのほか、道県の試験場あるいは大学等と連携をとって育種の仕事をやっております。藻類、ノリ等が中心でございます。  それから、あわせまして民間につきましても便宜私から申し上げますが、民間の育種につきましては、野菜でございますとか、花でございますとか、そういったものが中心になろうというふうに思っておりまして、こういったものを中心に育種が行われているわけでございますが、これは御提出をしてあります資料の中にもございますように、五十年度の調査でございますが、法人形態の種苗会社と一応言われているものといたしましては、おおむね四十五社、ここにおきまして育種の関係に携わっております技術者は大体四百六十名程度というふうに把握をしておるわけでございます。
  47. 相沢武彦

    ○相沢武彦君 それから日本の場合、大学研究機関でも農学部など中心に種苗の研究が行われているというふうに思うんですが、その実態が一体どうなっているのか、文部省の方来ていらっしゃると思いますので、ひとつ御説明いただきたいと思います。この大学の研究機関は、国や民間の研究陣との間でどういうような連携を保っているのか、その辺もあわせてひとつ御説明いただきたいと思います。
  48. 福田昭昌

    ○説明員(福田昭昌君) 大学におきましての種苗関係の研究でございますが、大学には御承知のように農学部の中に農学科とか園芸学科、あるいは草地学科、あるいは林学科等がございます。そういう学科におきまして、種苗関係の研究というのは基本的に重要でございますので、たとえば育種関係の講座、たとえば作物育種だとか、植物育種だとか、そういう育種関係の講座だとか、そういうものを中心に、そのほか作物学講座だとか、あるいは果樹蔬菜園芸講座、あるいは林木育種学講座といったような講座が置かれておりまして、そういうところにおきまして、作物あるいは果樹、蔬菜、森林等の育種の研究が行われておるわけでございます。そのほか、若干でございますが、研究所がまた刑に大学の中にございます。そういうところで実施されておるところでございます。  研究者の数となりますと、大学の場合、御承知のようにたとえば作物学とこう言いましても、育種関係の講座ということになりますと対象が非常にはっきりするわけでございますが、作物学と、こうなりますと、大学におけるその作物講座の研究者がどういう点に研究テーマを定めてやるかというのは研究者の自由に任せられておりまして、作物学講座でもほぼ大体種苗関係の研究はなされているというふうに推定はできるわけでございますが、的確な人数、数字というものをデータとして把握はまだいたしておりません。  で、いま農学部としまして、たとえば水産とか獣医とかを除きまして純粋な意味の農学部になりますと、国立大学でほぼ三十三ほどの農学部がございます。したがいまして、そういう農学部には必ず一つ以上の講座がそういう種苗関係の研究を行っているということが言えようかと思います。  なお、国の機関その他民間等の大学との連携でございますが、事実上の問題として、一つは、それぞれ地域におきましていろんな研究会なり検討会なりが行われる場合には大学の方へ要請があり、大学の研究者がその御要請に応じて参画していく、あるいは個別な相談に応じていくというようなこともあるわけでございますが、大学としての制度的なものとしましては、一つは受託研究員という制度を設けておりまして、農学関係のいろんな研究をするという場合に、国の機関なり、あるいは民間の人なりを研究員として大学に受け入れて、そして大学の先生の御指導なり、あるいは一緒に研究をしていただくというような受託研究員制度というものを活用しております。それからもう一つは、研究そのもののことにつきましても受託研究の制度がございまして、依頼に応じて特定のテーマについての研究をやるというような制度がございまして、そういう点を活用しながら大学自体としては対応しておるところでございます。
  49. 相沢武彦

    ○相沢武彦君 今回のこの新しい法改正によって、大学研究に携わる排さん方が自分のところ独自で、受託研究でなくて独自の研究で新品種をつくって登録へというような意欲を持って、そういった方の研究部門へ進む人が多くなるということについては、文部省当局としては奨励する側になるんですか、それとも余り偏っちゃ困る、これまでの範囲を超えないようにというような考え方でしょうか、その辺はどうですか。
  50. 福田昭昌

    ○説明員(福田昭昌君) 具体的には、最終的には研究者の姿勢の問題にもなろうかとも思いますけれども、率直に言いまして、いままでの大学におきます研究といいますのは、どちらかといいますと、たとえば育種学について申し上げますと、普通作物なり、あるいは園芸作物などを対象としまして、遺伝学、細胞学、生理単といったようなものを基礎として品種育成の技術を考究するといったような、どちらかといいますと、基礎的研究というものに重点が置かれているのではないかというふうに思います。  もちろん、その成果は、いろんな学会がございますが、そういう学会等で発表されて公表されておるわけでございますが、農学といいますのは、何と申しましても生きた学問でなければならないわけで、実社会に役立つ学問でなければならないというのが基本的なことでございますので、基礎的研究というのは、これはもちろん大学に課せられた重要な任務でございますけれども、さらに実用的な面についても関心を持ってこれに関係をしていくということは非常に大事であろうと思います。先般、農学部長会議等がありましたが、その際にも、やはり農学部がこの日本の社会の中でより活用されていくためには、たとえば国の試験研究機関等との連携というものが非常に大事であるというような議論も行われておったわけでございまして、そういう姿勢で今後ともいくべきであろうというふうに思っております。
  51. 相沢武彦

    ○相沢武彦君 欧米諸国で、保護制度の確立によって民間の研究体制というものが飛躍的に活発化したというように伝えられております。日本の民間育種研究における技術水準とか、それから潜在能力というものも注目すべきものがあるんじゃないかと思いますが、そこで、今後日本の農業技術のあり方として、官庁の研究機関と民間の研究機関、これが相互に協力あるいは分担することによって画期的な成果も上がるんじゃないかと思っておりますが、官民の協力、それから育種振興策、これについて農林省としては今後どういうふうに具体的にお進めになる方針でしょうか。
  52. 野崎博之

    ○政府委員(野崎博之君) 御承知のように、品種の育成につきましては非常に長い年月を要しますし、それに伴って多額の経費、高い技術と、そういうものも必要になってくるわけでございます。したがいまして、現在も野菜それから果樹、キノコ類、そういうごく一部の作物を除いてはほとんど国なり都道府県の試験研究機関というところが主体となって行われておるわけでございます。今後、仮にこの法律が制定されましても、この傾向はほとんど変わりがないのではないかというふうに思っておるわけでございます。  国及び都道府県の試験研究機関ではそれぞれその公共的性格というものがございますので、非常にその技術の基礎的な分野、それから育種素材の導入と、そういう基礎的な分野の研究を行う、それから米麦等の非常に国民生活上主要な農作物についての試験研究というものは、やはり国なり都道府県の試験研究機関で行われるものというふうに考えておりますし、それから民間育種に対しましては、これは先ほど申し上げましたように、野菜とかそういうものが比較的多うございますが、民間の育種に対しましては、国からはその育種素材の提供とか、あるいは情報提供、あるいは民間の育種者の技術研修、そういう面で民間育種に対してお手伝いをしてまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
  53. 相沢武彦

    ○相沢武彦君 農林省の試験研究機関についてお尋ねをしておきたいと思いますが、農林省の機関で育成された新品種につきましては、現行法の農産種苗法とは別に農林省育成農作物新品種命名登録規定というものを定めて、これによって今日まで命名されてきたというふうに聞いておりますが、新法との関連性や取り扱いについては一体今後どうなるんでしょうか。
  54. 堀川春彦

    ○政府委員(堀川春彦君) 現在、農林省の技術会議におきまして、新品種の命名登録制度というものを設けて運用しておるわけでございます。これは、四十三年にきちっとした制度にしてやっておるわけでございますが、実はこれにつきましては沿革がございまして、それ以前には明確なその規定というものを設けなかったわけでございますけれども、小麦、水稲等昭和の初年から優秀なものを育成し、これをそのまま普及をしたいという場合におきましてこの命名登録ということをやってきた、それを四十三年に整理をいたしまして、現在この規定によって登録をされておりますのが九百二十種類ございますわけでございます。で、これはまさに目的は優秀な種苗、農作物の生産をそれによって大いに増大していこうという趣旨でございます。他方、今回の農産種苗法の改正によります新しい品種の保護制度では、まあ登録の要件が法一条の二の要件ということで設定をされておりまして、命名登録制度の方で運用をしておりますものとはまあ趣旨が違うといいますか、優秀なものが現実には新しい改正種苗法でも登録をされる場合が多かろうとは思いますけれども、趣旨が違うということもございます。  したがいまして、私どもとしてはこの新法によって適切な新品種の保護が図られると同時に、私どものやっております命名登録制度は、これはこれとして継続をしていく必要があるであろうと、またそのことが適切であるというふうに考えておるわけでございます。  なお、新法の運用等との関係につきましては、十分関心を払い注意を払いまして、両制度が適切に連携をして動くように配慮をしてまいりたいというふうに思っております。
  55. 相沢武彦

    ○相沢武彦君 そうすると、二本立てで行かれるわけなんですが、それによって新たに起きる何か問題点というものはあらかじめその検討段階で論議されたんでしょうか。もしあったら、この際ちょっと御説明願いたいと思います。
  56. 堀川春彦

    ○政府委員(堀川春彦君) 格別、両制度の運用にこの二つの制度が並んでおるということにおいて、非常に支障があるというようなことはないだろうという結論に達しておるわけでございます。
  57. 相沢武彦

    ○相沢武彦君 それから、同じく国などの地方公共団体も含めて、公共の研究機関の職員の待遇改善についてこの際お尋ねしていきたいと思いますが、   〔理事青井政美君退席、委員長着席〕 公共の育種研究機関で長い間じみな研究部門にこつこつと携わって、まあ縁の下の力持ちという立場で育種に携わっている人の場合は、概して恵まれない立場にいるのだということをよく聞かされるんですが、そのためにかつて育種公団構想というものも出されたことがあったというふうに聞いておりますけれども、今回のこの種苗法によって新品種育種者、これは明確に権利保護をされることになったわけですけれども、それとは別個にこの育種促進という立場から職員の待遇改善というものを考えるべきじゃないかというように思うんですが、これについてはどのような方針で取り組むんですか。
  58. 堀川春彦

    ○政府委員(堀川春彦君) 先生御指摘のとおり、新品種の育成には相当その成果の上がるまでに長い期間がかかるという特殊な性格を持っておるわけでございます。まあ恵まれないとかいうようなお話もときどき耳にはするわけでございますが、そういう業務の特殊性格から他の研究部門で比較的短期に成果が出て、場合によれば華やかなフットライトを浴びるというようなことがなかなかできにくいという意味で言われておるのではなかろうかというふうに思うわけでございます。しかし、こういったじみで根気の要る仕事でございます。しかも、大変重要な仕事でございますので、私どもといたしましては、こういった業務の特殊性というものを十分理解をした上で、これに携わる公務員に対しまして励まし、あるいは処遇をしていくということが必要だと思います。  そこで、処遇の面でどうかということでございますが、まず第一に、私ども現状で見てまいりまして、育種に携わっている方々が国の研究機関の中で具体的に検討してみますと、処遇面で他の研究に携わっておる方と比べて遜色がある、不遇であるというようなことは絶対にないというふうに確信をしておるわけでございます。  多少具体的な例を挙げて申し上げますと、農業関係の育種に携わる方、研究員の比率は全体の約一二%ということになっておるわけでございますが、たとえば、これは一等級の研究員の農業関係全体の研究員に占める育種関係者の割合を見てまいりますと、これは一七%余りということになっておりますから、平均的な比率よりも一等級という等級の高い方の研究員は育種の関係の方が比率としては多いということになるわけでございます。そのほか、職員に対します励ましの意味におきまして、農林省では優良職員を表彰する制度がございます。特にすぐれた成果を上げました育種関係者の方々には、重点を置いて功績を顕彰してきておるというような感じがいたすわけでございまして、過去十年間でこういった表彰制度におい顕彰されました農業関係の被顕彰者は三十七名おるわけでございますが、そのうち育種の関係者は九人ということで、大体四分の一程度ということでございますから、かなり重点を置いた顕彰をやっておる。こういう表彰を受けられますと、特別昇給がこれに伴うというような運用をしております。  こういったことは一例でございますが、そういった制度の活用、あるいは先ほど申し上げましたような成果のなかなか出にくい研究分野ではございますが、十分その途中のプロセスの研究の進みぐあいというものも十分把握をいたしまして、私ども処遇上片手落ちになるということがないように配慮をしておるところでございます。今後ともそういうつもりでやってまいりたいと思っております。
  59. 相沢武彦

    ○相沢武彦君 この種苗法と二本立てでやることによって、公共の育種研究機関でじみちな研究を続ける皆さん方が研究意欲が少しでも阻害されることのないように、一層今後とも研究機関に携わる人たちの処遇については配慮を払っていただきたいと思います。  法案の十二条の四なんですが、品種登録の規定がございます。「この法律及びこの法律に基づく命令に規定する要件を満たすものであると認めたときは、品種登録をしなければならない。」とありますけれども、育成者保護のためには大事な規定でありますから、この「規定する要件を満たすもの」というのは、一体具体的に言いますと何を指しているのか、わかりやすくひとつお示しいただきたい。
  60. 野崎博之

    ○政府委員(野崎博之君) これにつきましては、まず品種、それから出願者自体、それから出願手続と三つに分かれるわけでございますが、この要件といたしまして、まず出願品種につきましては、出願品種が第一条の二に定義がございますが、この定義の中でいろいろ書かれております品種としての要件を満たしているということが一つございます。それから、出願前にこれが売られていない、このような植物体の全部あるいは一部が日本国内で売られていないということ、これは第十条の第二項でございますが、そういうことがございます。それから、出願品種の名称が出願品種について誤認を生じたり、その識別に関し混同を生ずるおそれがないものであること、これは十条一項でございますが、たとえば、わせでないものを何々わせと、そういうような名前でいかにもわせであるような誤認を生ずるようなことがないようにする。そういうようなことが必要であります。これが、品種に関しての要件でございます。  二番目は、出願者についての要件でございますが、これは第七条で育成者というのが出てまいりまして、その人が品種の育成をした者または承継人であるということ。それから二番目が、同一品種については最先、一番先の出願者であること――十一条に出てまいりますが、そういう点。それから、出願者が日本に住所及び居所を有しない外国人の場合であっては、相互主義の立場――十二条でございますが、そういう十二条に書いてあります要件を満たしているということ、出願者に関しましてはそういう点が要件の内容になってくるわけでございます。  それから、出願手続に関しましては、これも第七条に出てきますけれども、「育成をした者又はその承継人が二人以上あるときは、」「共同して出願」することということになっておりまして、手続に関してはそういうようなことでございます。それから、これも第七条でございますが、「農林水産省令で定める事項を記載した願書及び説明書並びに出願に係る品種の植物体の全部若しくは一部又はその写真を」提出すること、七条の二項でございますが、そういう規定がございます。  大体、いま申し上げました品種と、それから出願者、それから出願手続、この三つについての要件が満たされているということが大体の条件でございます。
  61. 相沢武彦

    ○相沢武彦君 いまの御説明の中の品種登録の出願についてなんですけれども、   〔委員長退席、理事山内一郎君着席〕 現行法では第七条で、共同で新品種または新系統の種苗を育成した場合は、協議によって決定した代表者一名が登録されることになっています。今回の改正案では共同出願方式を規定しているのですけれども、その辺の理由はどういうことなんでしょうか。
  62. 野崎博之

    ○政府委員(野崎博之君) 従来は、先生のおっしゃいますとおり、一人にお互いに協議をしてしぼる、そういうことにしておったわけでございますが、やはり共同で育成した人については共同で育成した人全体が保護されるという制度の方が、全体的に保護制度としては拡充になるのではないかというふうなことで、共同出願主義ということにいたしたわけでございます。
  63. 相沢武彦

    ○相沢武彦君 種苗業者の方たちが品種登録者から販売権を得る場合、その契約の内容や手続については一体どういうような内容になるんでしょうか。それが一点。  それから二点目は、許諾料の水準についてなんですが、民間ベースに任せて一切の行政的指導はしないつもりなのか、あるいはするのか、その辺ですね。  それから三点目として、制度改正による種苗価格の値上がり、これが心配されるのですけれども、許諾料値上げが結果として種苗価格にはね返ってくると、それは結局農家の生産費負担の増大につながるんじゃないかと思いますけれども、この辺のところはどういうような方針で臨まれるんでしょうか。
  64. 野崎博之

    ○政府委員(野崎博之君) まず、第一点の種苗業者が登録者から販売権を得る場合どういう契約の内容かという点でございますが、これは別に法律上規定があるわけではございませんが、業者とそれから登録者の間で契約が結ばれるということになろうかと思います。  一般的に考えられますのは、種苗の生産販売か、あるいは輸入販売かという許諾の中身の待遇といいますか、そういうことについての点が一つ。それから許諾の有効期間、それが二つ目。それから三番目は、許諾によって生産販売ができる種苗の数量でございます。それから四番目といたしまして、許諾の対価の額、それから支払いの方法、こういうものが契約によって定められるであろうというふうに考えられるわけでございます。  それから二番目に、許諾料の水準でございますが、許諾料の水準につきましては、他の品種に比べて非常に高いものであっては、これは許諾を得る人は非常に困る。ひいては農林水産業全体に影響を及ぼす、そういうようなことで不当に高くないこと。これは非常に抽象的な話でございますが、不当に高くないこと。それからまた、品種登録者にとってはこれは向ければ高いほどいいわけでございますが、品種登録者にとってはさらにその品種育成の意欲を生じさせるような値段、そういう意欲を生じさせるような利益が得られるような値段、これらが調和をした値段でおさまるのが、これが一番理想的だろうというふうに考えておるわけでございます。  まあ、抽象的な話になるわけでございますが、価格につきましては、許諾料を含めた価格につきましても大体種と種との間、その種の中の品種と品種との間にも代替性がございますし、それから実際問題としては、使う経済効果、高ければほかのものを使う。ほかの品種を使うというようなこともございまして、そういう代替性もございますので、許諾料も含めた種苗の価格は急にそう値上がりするものではないのではないかというふうに考えておるわけでございます。したがいまして、許諾料の水準につきましては、従来も別に基準というものをわれわれとしても定めてございませんし、それから特に許諾料についてどうしろという指導も、現在も別にいたしてはいないわけでございます。今後も、そういうことから考えますと、別に基準を定めたり、特に許諾料はこういうふうにやれというような指導は特に必要ではないのではないかというふうに一応は考えておるわけでございますが、いま先生御指摘がありましたように、もし今後許諾料の水準としてどこかでいろいろ問題が起きるようなことがあれば、当然われわれとしてもひとつ必要な指導はしてまいりたいというふうに考えております。  それから、先ほどちょっと触れたわけでございますが、登録料や許諾料が種苗の価格に影響して農家も非常に困りはしないかというお話でございますが、これもいま申し上げましたように、やはり種苗の価格としてはそういう種と種との間、あるいは品種と品種との間に代替性がある。それと同時に、そういう使う場合の経済効果、そういうものによって決まるものでございますので、品種登録制度ができたから直ちに急に種苗が値上がりするというようなおそれはないであろうというふうにわれわれは考えておるわけでございます。生産費におきましても、種苗代は麦については約四・六%、野菜等につきましては一%ないし二%程度のものでございますので、そういう面から見ても、さほど農家の生産には影響は与えないというふうに考えておるわけでございます。
  65. 相沢武彦

    ○相沢武彦君 許諾料の水準、これは特に定めない、それから行政指導についても特にいまのところやる必要はないと思うけれども、もし問題が起きたならば指導しなければならぬ、こういう御答弁なんですが、やはり監督的な立場といいますか、余りこれに介入してもまたあれだけれども、できるだけ問題が起きないうちにちょっと意見交換というか、大体先ほど言った四種類の条件ですね、他品種とのバランス、あるいは不当に高くないかどうか、また育成者の意欲をそがないように、またさらに意欲を燃やさせる、いろいろな条件はあると思いますが、大体農林省としてこの辺が妥当だと思うような示唆を、ときにはやっぱり与えなければならない場合も出てくると思いますが、その辺はひとつ連携を密にしながら、余り大きな問題が起きないうちに手が打てるように、ひとつ注意を払っておいていただきたいと思います。  それから、改正法案の十二条の五第二項の第二号、その規定の問題なんですけれども、この規定は、本法の主題であります育種者の保護を後退させるものじゃないか、こういう意見もあるんですが、そこでこの点はひとつ明瞭にしておきたいと思う点がございますのでお尋ねします。  登録品種と同一の品種の育成をした人との関係で、前なのか後なのかという判定は、一体だれが、どういった基準で判定を下すのでしょうか。まず、これを最初に一点聞きます。
  66. 野崎博之

    ○政府委員(野崎博之君) 育成者であるかどうかについて当事者間に争いがある場合には、農林省としてもそういう先に育成したというような主張をする人があれば、その品種登録者のほかに関係者からよく事情を聞くと同時に、必要があれば現地調査やそういうことをやりまして、慎重に対処をするつもりでございますが、品種登録後において先に育成したのだということを主張する者が出てきた場合には、その主張をする人はやはり先に育成したという証拠がなければいかぬわけでございますし、その証明をすることが必要でありますので、そういう点十分検討はいたしますが、最終的には、やはりこれは民事裁判で決まるような形になるというふうに考えておるわけでございます。
  67. 相沢武彦

    ○相沢武彦君 どうも何かはっきりしないですね。そうすると、結局いまのところ、無防備体制みたいな感じがするのですよね。どんどんこういうことが起きて、裁判がずいぶん行われなければならぬというようなことになりかねないと思うのですが、この点一番問題になると思うのですね。  それから、外国でもこういうような事例はあったと思うのですけれども、外国での事例研究というものを、事前に農林省としてはなさらなかったのでしょうか。
  68. 野崎博之

    ○政府委員(野崎博之君) 外国の事情については、詳しいことは実はわかってないわけでございまして、品種の育成というのは非常に長い年月を要する、そういういろいろな数世代にわたる選抜の過程を経て出てくるわけでございますので、それぞれ別個独立に二人の人が同じものを育成するというような例はまずないのじゃないかと考えられますが、われわれとしては、実は外国の例でそういう例があったということは聞いてないわけでございます。
  69. 相沢武彦

    ○相沢武彦君 よく調べてなかったのか、それともよく調べたんだけれども事例がなかったのか、どうもその辺あいまいだと思うんですね。今度、法を改正して、条件を緩和して登録をしやすくした。ところが、いや、おれの方が先につくったんだというようなことで、なかなか証拠がわからぬ、裁判しなきゃ問題は解決しないというふうなことで、せっかくこの法律をつくっても、そういういろんな裁判の騒ぎの種をまき散らすみたいなことになったんじゃ、この法律案の趣旨も阻害されるのじゃないかと思うんですけれども、その辺どうなんですか。
  70. 野崎博之

    ○政府委員(野崎博之君) こういう規定は現行法にもあるわけでございますけれども、国内的にも別にそういう問題はいままでそうありませんでしたし、外国の方も、先ほど御指摘がありました、特にこのためにいろいろ調査をいたしたわけではございませんが、そういう事例は別に聞こえてこないといいますか、聞いていない、そういうようなことでございます。
  71. 相沢武彦

    ○相沢武彦君 今後、幸い一件も起きなきゃいいですけれども、起きることも考えられるわけですから、そのとき大いに参考にするために、いまからでも遅くないわけですから、外国の事例なんかも積極的にひとつ調査して備えておいていただきたいと思います。  それから、同じく十二条の規定で、裁定に関する条文が十二条の八にございますけれども、この中で、「二年以上適当にされていないとき、」の「適当」というのは一体どういった内容なんでしょう。具体的に何と何かと、こういうふうに明確にしていただきたいと思うんです。  それから、この裁定は大臣が下されるんですけれども、その方法や内容について詳しく知りたいので、ひとつ明らかにしてください。
  72. 野崎博之

    ○政府委員(野崎博之君) この規定は、農家等の強い需要があるにもかかわらず、非常に高い許諾料を要求してなかなかその品種を販売しない、そういう場合には、それの品種の普及がないという点から農林水産業にも影響するということから、双方の調和ということを考えて入れた規定でございますが、裁定の手続内容を具体的に言えば、登録品種の種苗の販売等が継続して二年以上適当にされていない場合、これはいま申し上げましたように、非常に商い許諾料を要求してなかなか買わせないようにする。しかも、みずからもほかに一切生産も販売もしない、そういうような場合でございます。  それから二番目に、登録品種の種苗の生産等の行為が公共の利益のために特に必要な場合、そういういずれかに該当する場合、こういう場合に品種登録者に対して許諾につき協議を求めることができる、欲しい人が協議を求めることができる、それが調わない場合に農林水産大臣が裁定をするというような場合でございます。公共の利益のためというのは、これは具体的な事例としてあんまり考えつかないわけでございますが、非常に病害虫が蔓延してそれに効く農薬もない。ところが、その病害虫に非常に強い品種を持っていた人がたまたまいる、そういう場合に、その品種についての裁定で一般に普及をさせる、そういうような場合しか余り考えつかないわけでございまして、この裁定の規定そのものが動くかどうか、これは特許にもそういう規定があるわけでございますけれども、実際問題としては余り動かない規定ではないかというふうにわれわれは考えておるわけでございます。  裁定の申請をした場合には、これを受けまして農林水産省では、本人の意見も十分聞きますし資材審議会の意見も聞いて、どういうふうにすべきかということを判定をいたしまして、許諾をする場合には許諾すべき旨の裁定をする、そういうふうにいたしておるわけでございますが、許諾をすべき旨の裁定をする場合には、裁定申請者にその裁定申請者ができる行為の中身、それから対価の支払い、その支払い方法を定めて裁定をするというふうにしているわけでございます。   〔理事山内一郎君退席、委員長着席〕
  73. 相沢武彦

    ○相沢武彦君 種苗業者の届け出に関する規定なんですけれども、対象は種苗の卸売業者のみで、小売業者に対する指導や監督、これは不明確なままなんですけれども、今後種苗に関して小売業者と生産農家との間にトラブルが発生した場合を仮定しまして、最終的に一体だれがこの責任を負担するのか。  それから、調停工作することも考えられるのですが、その場合、一体だれが調停の役割りを果たすのか。国も最終的にはこの調停に乗り出す用意があるのかどうか。これはぜひとも聞いておかなければならない点だろうと思いますので、明らかにしていただきたいと思います。
  74. 野崎博之

    ○政府委員(野崎博之君) これは法律改正になったからということとは余り関係はございませんが、現在でもそういうことはあり得るわけでございますけれども、だれが責任を負うかということになりますと、現在、見てみますと、大部分が卸売業者が包装されたものを小売業者はそのまま売っている、そういうような状態で流通いたしておるわけでございます。元詰め種子と言いますが、結局、やはりそういう元詰め種子を販売した卸売業者が責任を負うものではないかというふうに考えておるわけでございます。  このようなトラブルが生じて補償問題とかそういうようなことが起きた場合、基本的には、われれとしてはその卸売業者と買った人との間で、小売業者も当然中に入るんでしょうけれども、そういう当事者間で十分ひとつ話し合いを願いたいというふうに考えておるわけでございますが、具体的にそういう問題が起きて農林省の方へそういうふうな話が出てきた場合には、われわれとしてまた適宜その事態に合った指導はしてまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
  75. 相沢武彦

    ○相沢武彦君 ちょっと最後がはっきりしなかったのですが、国も最終的には調停に乗り出すことも考えられるんですか。
  76. 野崎博之

    ○政府委員(野崎博之君) 基本的には、その卸、小売、それから買った人、その当事者間の協議が十分できることをわれわれとしては願っておるわけでございますが、実際問題として、そういうトラブルが生じた場合には、適宜その実態を農林水産省に報告があれば、その際には農林水産省はその実態を聞いて、ひとつ適切な指導を図ってまいりたい。だから、ケース・バイ・ケースといいますか、そういう事件が起きて農林水産省の耳に入った場合には、それなりのひとつ適切な指導を行ってまいりたいというふうに考えております。
  77. 相沢武彦

    ○相沢武彦君 水産庁にお尋ねしておきたいんですが、水産植物のうち、ノリとコンブは種苗法に組み入れられましたけれども、そのほか何か考えておられるのかどうか。  それから、二百海里時代に対応した沿岸漁業の振興策として、水産動物、主なものとして沿岸でとれる魚介類になると思うんですが、この水産動物種苗の研究開発について現在一体どういう体制になっているのか。  それから、今後法律体系整備のために検討会なども持たれているのかどうか、この点についてひとつお尋ねしておきます。
  78. 山内静夫

    ○説明員(山内静夫君) 水産植物につきましては、現在、今後の問題といたしまして、アマノリ、ワカメ、コンブの指定が考えられるわけでございます。しかし、現在これらの品種は識別する技術が非常に種類によって複雑で、必ずしも確立されてない。こういう方面から考えまして、これらの技術開発を図って徐々に指定していきたい、こう考えているわけでございます。  それから、水産の動物の関係でございます。増養殖の振興のためには優良な種苗の安定的な供給、こういうことがぜひ必要であることは当然でございます。水産動物につきましても、優良品種の作出であるとか普及、こういうことが急がれておりまして、近年こういう技術がようやく開発されつつある、こういう現状でございます。今後、遺伝育種の研究等が民間においても十分盛んになる、こういうようなことも想定されますので、その段階においてこの指定等の問題については検討をしたいと、こう考えておるわけでございます。
  79. 相沢武彦

    ○相沢武彦君 大臣、最後に。  農産物、それから林産物の方はいままでも数多くあったと思うんですけれども、今後やはりわが国の漁業を考えた場合に、沿岸漁業の振興ということを非常に重要視しなければならないと思いますし、特にせっかく今回種苗法が改正されて水産物も入るわけですから、この水産物に対する種苗の研究開発、こういったことに対して予算面からも相当力を入れて伸ばしていく部門じゃないかと思いますが、これについて大臣の見解を承っておきたいと思います。
  80. 中川一郎

    ○国務大臣(中川一郎君) 魚におきましても新しい時代を迎え、特に資源の保護、培養ということが痛切に言われる時代でございますので、そういった新品種、種苗というようなものはやはりしっかり育てていくという意味で、現在まではまだなじんでおりませんけれども、今後鋭意この問題と取り組んでいきたいと、こう思っておる次第でございます。
  81. 鈴木省吾

    ○委員長(鈴木省吾君) 本案に対する午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時再開することとし、休憩いたします。    午後零時三分休憩      ―――――・―――――    午後一時五分開会
  82. 鈴木省吾

    ○委員長(鈴木省吾君) ただいまから農林水産委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、農産種苗法の一部を改正する法律案を議題といたします。  本日は、参考人として全国農業協同組合中央会農畜産部長 小口芳昭君、日本種苗協会会長 瀧井利彌君、ブドウ品種改良家 沢登晴雄君の御出席を願っております。  この際、一言ごあいさつ申し上げます。  参考人の方々には御多忙のところ、当委員会に御出席いただきまして厚く御礼申し上げます。参考人におかれましては、どうか忌憚のない御意見をお述べいただくようお願い申し上げます。  これからの議事の進め方でございますけれども、まず小口参考人、瀧井参考人、沢登参考人の順でお一人十五分程度御意見をお述べいただきまして、その後委員からの質問にお答えいただくような方法で進めてまいりたいと思います。どうぞひとつよろしくお願いを申し上げます。  それでは、小口参考人にお願いいたします。
  83. 小口芳昭

    ○参考人(小口芳昭君) 全国農協中央会の小口であります。  委員長初め先生方には、常日ごろ農政問題について格別の御配慮と御推進を賜り衷心より感謝申し上げるとともに、本日は農業生産にとって基本的に重要な農産種苗法の改正について農協側の意見を聞いていただく機会を与えていただきまして、重ねてお礼を申し上げる次第であります。  まず最初に、私たち農協の立場を申し上げたいと存じます。  農業者にとって農業生産を増強を図る、あるいは生産物の品質が優秀でかつ均一なものを生産し、このことによって経営の改善に役立てるということのためには、何よりも優良な種苗が育成開発されること、それからこの種が安心して生産者の手元で加工されるということが必要だと存じますし、このことは言うまでもないことだと存ずるわけであります。  かかる視点から、系統農協といたしましては、本件について基本的に賛意を表し、今国会での成立を願っている次第であります。  系統農協は、以上の基本的立場に立って、今国会に提出された案件につきまして一部の点についてなお解明しておくべき点や、さらに改善すべき点についてこれを指摘しつつ今日まで対応してまいったわけであります。幸い国会の各先生方が私どもの意見を十分にしんしゃくしてくださいまして、衆議院段階では系統農協として改善すべき点として指摘いたしました二つの点につきましては、法案の修正という形で衆議院段階で可決され、あるいは解明すべき点として四点ほど指摘をしてまいったわけでありますけれども、この点につきましても十分に審査され、かつは衆議院農水段階で附帯決議を付するなどの措置を講じていただいてまいっておったわけであります。したがいまして、系統農協といたしましては、当初申し上げたとおり、本案件について今国会での成立を念願申し上げている次第であります。  次に、本案件について意見を申し上げるわけでありますが、植物新品種の特許法適用について、当初問題になった当初の経過を踏まえて全国中央会が対応してきた経過があり、かつこの対応した経過が後で申し上げます問題点とかかわりがありますので、まずこの点について述べさしていただきたいと思うのであります。  昭和五十年十一月の十四日でありましたが、特許庁は植物新品種に関する審査基準を作成し、植物特許を積極的に認めていく旨の方針を打ち出し、新聞等を通じて報道されたわけであります。このことについて、本会は、組織内の意向をまとめるなどして検討をいたした結果、主として次のような問題があるという立場に立って、直ちに特許法の適用をすべきでないとする態度を明らかにし、政府にそのことを申し述べてまいった次第であります。  その問題点というのは、新品種の育成者に対して独占的、排他的な特許権を付与するということになりますと、まず第一に、農家がかなり広範に、かつ農協等も行っているわけでありますが、自家採種とか共同採種といった段階にまでそれぞれ特許権が及び、このことの処理をめぐっていろいろ問題が起こるのではないだろうかというふうに第一考えました。  第二の問題につきましては、特許法では発明にかかわる物の生産、販売の行為に及ぶというふうになっておりますので、新品種たる種苗のことはもとよりでありますけれども、その種で生産をいたしました生産物の販売にまでその特許権が及ぶということになるわけでありまして、言ってみれば種はもとより、その生産物の販売に及ぶということになりますと、農産物の流通あるいは生産段階に非常な混乱あるいは秩序を乱すむずかしい点が出てくるのではないだろうかというのが第二の問題点であります。  第三の指摘事項は、ともあれ国民食糧の問題であります。したがって、主要食糧なり国民生活にきわめて重要な関連のある農作物にこの排他的独占権が及ぶということになってまいりますと、これが及ぼす影響は相当広範囲になるのではなかろうかという考え方に立って、先ほど申し上げたとおり、新品種に対する特許法の適用はすべきではないと、そういう態度をとり、政府に要請をした次第でありました。と同時に、新しい品種が育成、開発されることは、農家の経営にとって大変プラスであります。したがって、新品種に対する特許法の適用については行うべきではないと申し上げましたけれども、植物の特性なり、あるいは農政展開の視点に立った新しい制度について別途検討すべきではないかとし、そのことを申し上げてまいったわけであります。  その後、本会は、農林省が設置いたしました植物新品種保護制度検討会に参画いたしまして、農業生産者の立場から意見を述べてまいったわけであります。このような経過を踏まえ今日に至っているわけでありますが、私どもといたしましては、先ほど申し上げたとおりに、基本的にはいろんな問題を指摘した結果が、植物新品種の保護案件というふうになったので、この点については基本的に賛成をするということで、今日までまいっているわけであります。  次に、私どもがいままで本案件について問題点として指摘したり、あるいは解明すべき点ということで申し上げてきた点を申し上げ、参考に資したいというふうに考えるわけであります。  本案件は、われわれが当初問題にいたしましたとおり、自家採種あるいは共同採種というような農家の段階でいろんな種の生産をいたすわけでありますけれども、それには種を業として生産し、販売をする者にだけ及ぶわけでありますから、自家採種なり共同採種には及ばないということになって、この点は大いに進歩したというふうに考えているわけであります。  ただ、私どもがその後法案ができた以降について問題にいたした点を申し上げますと、まず一つは、近代的な農業発展の基礎として、あるいは農業技術の改良発達の中で品種改良の果たした役割りはきわめて大きいことは言うまでもないわけであります。その品種改良について、国なり、あるいは県の農事試験研究機関が大きな役割りを果たしてきたことも言うまでもありません。したがって、本制度が制定されることによって、政府は品種改良なり、あるいはその普及について、民間育種重点に移行してしまって、国自身が新しい品種の開発をするとか、あるいはその普及をするという努力を後退させるようなことがあっては絶対ならないというふうに考えましたし、安易に外国品種に依存するがごとき姿勢を結果的にとることになっても困るというふうに思いまして、従来にも増して国は、品種の改良なり、普及に大きな努力を払うべきであることを第一点お願いしたわけでございます。  第二の問題は、新品種の登録なり、あるいはその登録された品種を業としてやる場合に、許諾料を払ってそして種を生産し販売するということになっているわけでありますけれども、その登録及び許諾を通じて種苗価格が不当につり上げられるようなことにはならないだろうか。その結果、生産物価格への影響はないだろうかという立場に立って生産者としては一生懸命に心配をし、かつ当局に対して質問をしてまいったわけであります。  その結果、現在の種苗価格にも当然技術開発費が含まれているわけであります。  それから第二は、生産費の中に占める種苗費の比重というのは、いろんな作物について当たってみましても小麦で四・六%、キュウリで一%から二・五%程度であるということ。  第三に、不当に高い場合には品種選択に当たって代替性があるわけでして、この品種でなければならないということはない。同じ作物について幾つか品種があるわけでございますから、その代替性によって選択することになろうということで、われわれとしてはこのことによって大きな影響はあるまいと判断をいたしておりますけれども、ともあれ新しい制度の発足により登録、許諾というような経過がございますので、この点について農家がいまでも強い関心を持っているであろうというふうに考えているわけであります。  第三の問題については、国、地方公共団体における公共育種と登録の関係であります。  このことは、特に主要食糧の品種改良が主として国、県等で行われ、これまでは公開の原則に基づきまして、農業者はその開発された品種のメリットを全面的に受け取っていたわけであります。また、今後も公開の原則に即して、開発された品種のメリットを農家が受け取っていきたいという気持ちは、切なるものがあるわけであります。  したがって、この制度の発足に当たって、いろんなことが今後考えられると思います。特に病害虫に強い品種ができたとか、あるいは冷害にきわめて強い品種ができたとかいうように、植物界における生命現象でありますし、技術開発は日進月歩今後とも進むものと考えます。したがいまして、法律でも書いてございますけれども、公共の利益のため必要とする場合はどうするということで、農林大臣に申請をし、農林大臣がそれを裁定することによって品種の普及が図られるというふうに考えているわけでありますけれども、特に農業政策とのかかわりにおいて国民食糧にかかわりがある、あるいは国民生活に直結する食糧であると、野菜であるというようなものについては、当初申し上げたとおり、公開の原則に基づいてこれが普及されていくことが、何よりも重要であろうというふうに考えているわけでございます。  第四の問題は、新品種の育種なり、あるいは枝変わりなどの発見にかかわる登録についていろいろ勉強してみました。農林省の調査によりますと、四十一年から五十年まで現在の種苗法に基づいて登録された件数は百四あると聞いております。そのうち個人が五十六、法人が三十五、公共団体が十三と聞いております。いずれにいたしましても、熱心な農家が品種の開発なり、あるいは枝変わりを発見をいたしまして、それを登録するという経過があるわけでありまして、その過半が個人なり個人の農業者であります。したがって、これらの育成者が真に保護されるようにするためには、今度制定されるであろうこの制度の趣旨の徹底、あるいはそのための手続などについて相当簡易なものにしてもらいたいと思いますし、手続の便宜供与について普及所なり農協が熟知していて、そういう熱心な篤農家、あるいは熱心な青年というようなものが発見あるいは開発した育種が登録されるような、心温かい行政の措置をとっていただきたいというのが四点目であります。  次に、本案件が当初国会に提出された段階で、われわれが大変気にいたしましたのが二点ございました。できれば改善していただきたいということを申し述べてきた経過がございます。  その第一は、第五条の関係であります。この条項では、優良な種苗の生産、流通確保のための措置が定められておりまして、種苗生産者の生産過程上のミスによって品種の特性どおりの結実が得られなかったなどの例に対応するものと見られますけれども、要すれば、今度の当初の法案によりますと、「種苗業者が遵守することが望ましい基準を定め、これを公表する」ということになっていて、それ以上ではないという点を、当初私ども問題にいたしたわけでございます。この点については、遵守することが望ましい基準を公表するだけにとどまっておりまして、これを守らせるというような趣旨の施策が、法文上整備されていなかったわけでございます。したがって、遵守すべき基準を公表してこれを守らせるような措置をとることが何よりも重要であろうということを、当初指摘したわけでございます。  これは、衆議院段階で、法案の修正という形で全会一致修正されたことは、非常に望ましいことだとわれわれは考えております。この際、遵守することが望ましい基準という場合には、相当、完全に近い形での基準が公表されるでありましょうし、一方、遵守すべき基準ということになると、それよりも低い水準でみんなが守られる基準、しかも安心して農家が種を確保することができる基準として設定されるというふうに解されます。したがって、今後、遵守すべき基準の策定につきましては、適切な措置により策定されることを心から念願をするわけであります。  第二に、問題とし、かつ改正について検討していただきたい点として申し上げたのは、検査の問題であります。ともあれ、農業生産のもとである種苗について、検査の根拠条項を失うということになりますと、安心して種苗を確保するということが困難になるんではなかろうかというふうに思いますし、長期的には検査体制の弱体化をもたらす原因になるのではないかということを危惧したのであります。この点についても衆議院段階で修正をしていただきましたので、大変喜んでいるわけでございます。ときどき新聞紙上などで、間々、期待どおりの生産物が確保されないという場合がございます。したがって、生産者が安心して種を確保し、信頼してその種によって農業生産経営ができ得るような条件をつくるためには、検査体制の整備が必要だと思いますし、今後、本案件が国会で成立された以降も、十分にその点の措置が必要であろうというふうに考えたわけでございます。  以上、私の意見を述べたわけでありますが、十分に御審議の上、本案件の今国会での成立をお願いする次第であります。  終わります。
  84. 鈴木省吾

    ○委員長(鈴木省吾君) ありがとうございました。  次に、瀧井参考人にお願いいたします。
  85. 瀧井利彌

    ○参考人(瀧井利彌君) ただいま御紹介をいただきました瀧井でございます。社団法人日本種苗協会の会長をいたしております。  本日は、農産種苗法の一部を改正する法律案につきまして御審議をいただいております当委員会におきまして参考人として意見を述べさしていただきますことは、まことに光栄至極に存じております。私は、技術者ではございませんが、長年の間、長年月をかけ、しかも巨額の費用を払って育種事業をしております諸先生方、並びに弊社の技術員によく接しておりますし、また、それらを生産し宣伝し販売をしておりますことにつきましても、直接、間接的にそれらの仕事に携わって今日まで来ておる者でございます。  昭和五十一年でございましたか、農林省に植物新品種保護制度の検討会が開催されましたときに、私、全国の協会員を代表いたしまして委員の末席を汚さしていただき、また同業者の中では、育種家であり、また技術者であります千葉県のみかど育種農場の船串氏とともに二人も委員を出していただきまして、ともども勉強さしていただき、今日に及んでおります。委員のメンバーのことにつきましては、すでに御承知と存じますが、学識経験者の先生方が特に中心になられまして、農林省御当局の担当官、また、幅広い農林水産諸団体の代表者の方々が熱心に回を重ねて御研究くださいましたその席に出まして、これまたいろいろと勉強さしていただき、この本日の法案に取り組んできた者でございます。  しかし、私たち業界は、当初この法案につきましては無関心の協会員が多々ございましたが、私、船串さんが出さしていただくようになりまして、業界の者が会合を持つたんびに検討会の資料を持ち寄りまして、そうして知らぬ者同士が熱心にこれまた研究し勉強させていただくチャンスを与えていただきましたことも、これもあわせてお礼を申し上げねばならないと存じております。  最初に、全国の種苗業界の実態を簡単に御説明をいたしたいと存じます。全国には二千四百商社の協会員がございますが、その中には、会社の規模、設備、いろいろの面で大中小と非常にバラエティーに富んだ協会員でございまして、それらの協会員は何代も続いてお互いに仲よく家族ぐるみのおつき合いをしておりまして、それがために常に共存共栄をモットーとして強く団結して、私たちの使命であります優良種苗の安定供給に励んでまいりましたことは、他に誇り得るりっぱな公益法人であるとお互いが自負いたしておりますのが、私たちの協会の実態でございます。  もう一つ諸先生方に、私の個人的な意見かもわかりませんが、われわれ業界は常識的な経済の原則の当てはまらない業種でございます。多くの資本を有し、そうして従業員を抱え、また幅広く量産体制をとりまして生産コストを下げて、宣伝普及して、どんどん売れば売れる商品であるかということになりますと、そうではありません。害があって、そうして益がないという実態でございます。  これは、商品の特異性によりましていろいろと研究をされ、熱心な、しかも信頼を持ったいわゆる同業者が全国に都合よく散在しておるということが、われわれの業界の発展につながる基礎的な物の考えであるということを、本日御報告いたしておきたいと存じます。あらゆる企業におきましても、今日ほど、現在ほど技術者、また発明家というものの必要な時代はないと存じております。特に、テンポの遅い、気象条件に左右され、そうして大変な苦労と時間のかかります農林水産にかかわるこの育種というものは、非常に技術者また育成者を大切に優待しなくちゃならない時代が来ておるものと私は確信をいたしておるものでございます。  官公機関のことは私は余り詳しく知りませんが、しかし民間育種、特に篤農家あるいは育成者の方々は、最近非常に高齢化されてきたんじゃなかろうか。しかも、後継者がだんだん少なく、しかも民間にはそれらの技術者の就職する方がほとんどございません。ここ十年もたてば、民間の育種の技術陣はほとんど皆無に近い状態になるんじゃなかろうかということでございまして、だれしもこのような仕事を好まないと、希望がないと、成果が上がらないと、世間に認められないというようなことも一点は原因しているのではなかろうかと、かく私は個人的に感じておる一人でございます。  この法案が立法化して、一口でも早く施行していただき、そうして沈滞ぎみの育種技術者に希望を持たせ、また数多くの技術者が全国的に続出いたしまして、またそれに個人の育種家または育成者もそれぞれ後を続いて数多く出てきていただくことが、これが非常に食糧増産につながる基本的な最も重要な人の関係であろうかと私は存じております。  種子の例を一言この機会に申し上げます。先ほど小口参考人のおっしゃいましたように、十アール、いわゆる一反で固定種と申しますか、昔の自家受粉でできます単品の種子では、約一反で五百円からたかだか高い種で千円ぐらいのものでございます。そうして、手間のかかる一代雑種、一代交配と申しますか、そのような種子でも最低千円から二千円、高い種子で四千円ぐらいが種子代でございます。この種子をまきましてから芽が出、そうして成長するにつれまして肥料を施し、あるいは薬剤散布をし、労力を費やして収穫ができますほとんど平均の金額は二十万から五十万ぐらいの見当じゃなかろうかと思っておりますが、しかし、果菜類でございますトマト、キュウリ、ナスビとか、ああいうふうな施設園芸、農業資材を投資するようなものにおきましては、先ほどの種代には変わりございませんが、やはり収穫物は百万、二百万、三百万というような非常に多額な生産物ができます。このようなことから見ますと、種の価格と生産物の価格とは相当な開きがあります。  と同時に、いかに種がむずかしく、また責任の重大であるかということを物語っておるものだと存じますし、われわれ業界といたしましても、そういうふうな生産流通段階に携わっております者は、常に重大な責任を痛感して毎日過ごしておるのが実情でございます。  次に、そのような重大な、重要と申しますか、その種子、いわゆる優良種苗は常に遺伝的にすぐれた特性を持っておらねばなりませんし、またその特性が均一性、永続性を兼ね備えねばならないことになっております。それがために、育種という仕事につきましては、経費と時間と熟練と、長年月にわたって精力を要します。そうして、ようやく新品種の育成が成功しました暁にも、次の段階は増殖しなくてはならないという、これまた大変な仕事が残されております。ですから、育成者は社会的に公正な保護を与えるべきことは当然でございまして、現在日本におきましては遅きに失した感があるのではなかろうかと、私は個人的にかく信じております。希望を持って安心して育種活動ができますよう、この機会をかりまして、特にお願いを申し上げたいと存じております。  次に、UPOVの問題でございますが、国際植物の新品種の保護同盟にわが国も一年でも早く加盟していただきたいと存じます。これは官公民の育種陣のみならず、個人的な育種家、育成家も個人個人に欧米諸外国あるいは台湾、韓国の育種者の方々と非常に密接な技術交流をされておられます。先ほど小口参考人がおっしゃいましたように、この育種の成果は個人育種者が三分の一、そうして法人組織が約三分の一、あと残りが官公の機関というふうに、ほぼ個人、法人、官公機関というのが成果に挙がっておりまして、ほとんど足並みをそろえた率で今日まで育種に成果を挙げている事実はそのとおりでございます。  また、このUPOVの問題でございますが、これはそういうふうな観点におきまして、すぐさまでも、従来外国との間で増殖やあるいは販売をやってきましたが、取り決めにくいために、外国から品種の導入や、あるいはわが国でつくったものを輸出するということが困難なことが多々今日までございました。  また、採種面におきましても、海外で行った方が立地条件の上で適当であっても、両親系統の苦労をしたその系統の散逸や、また重要な遺伝子の流出が懸念されて、実行しにくかったことが多々ございました。しかし、この際新種苗法が施行されるに当たりまして、品種専有権が保証されるようになりましたならば、これらのものがすべて解決していただけるのではなかろうかと存じております。  また、育種素材の導入でございます。この育種素材と申しますのはもとになる素材でございまして、利用が容易になろうと思います。これまで中間母本的な品種は流通面で認知が得られませんでして利用ができませんでしたが、この制度に基づいて商品として対価が支払われることになりましたならば、これらは不完成品、いわゆる半製品的な品種でも非常に利用価値が認められてくるものと存じております。特にこの半製品的な品種におきましては、全国の個人の篤農家、育種家にとても役に立つことだろうと、皆々かく確信を抱いております。  また、現在、われわれ業界及ばず、すべての育種方が特に考えられますのは、多額な費用を払い長年月かかった物を、市場に出せば二、三年間で取り返しがきいて、そうしてすぐにもうつくられてしまう、いわゆる盗まれてしまうということで、ことさらに必要以外の一代雑種をつくる。これは、非常にロスの多いむだなことだと私は存じております。そのために大きなむだな設備をし、そうして技術陣を置き、そうして設備をしてそういうふうなF1をつくるよりも、むしろ単品でそのまま出して売っていくということにつきましては、この法案ができますれば保護をされるということにつきまして、すべてがこういうふうな問題に解決ができるんじゃないかと、かく存じております。  また、固定種のことなんでございますが、よく畑に大根がありますと、売れ残った大根からとうが立ち花が咲き種ができると、親と同じような物ができる種ができますが、これは単品でございますが、ごく十年前後まではこれを人の手で選抜淘汰をして、そうして耐病性あるいは収穫性のいい物にしておりましたのですが、しかしそういうふうな物が命名されて市場に出ますと、すぐ第三者の方々が同じようにされまして、生産者の方々に、当初出た〇〇大根は三年、四年たてばほかの業者が皆つくって売っている。しかし、品質の相違は相当出てきておるというのがこの単品の欠点でございます。  このような事情におきまして、本法案がもし成立し施行されますならば、この単品が保護される、それをつくり出した育成者が保護されるということもこれはまことに合理的な法案ではなかろうかと、こう私は存じております。  最後に、国際的な流通面を見ましても、すでにアメリカではUPOVに加盟しておられます。日本もこれに立ちおくれませんように、特にお願いをいたしたいと存じます。まことに不適な例かもわかりませんが、ここに弊社のこの法案に関係があろうと思われる一例を、この際、御披露さしていただきたいと存じます。  岡山サラダ菜と申しまして、カンランと白菜のちょうど中間の味がする白菜がございます。その育成者は、岡山の光田さんという方がつくり出されまして、ずいぶん投資をし、長年研究されて農林省名称登録を昭和四十年に受けられました。ところが、登録期間が五年間でございます。そうして約四十年から二年間、育成者自身が増殖にずいぶん努力をされましたのですが、増殖がどうしてもうまいこといかない。それで、二年後の四十二年に弊社へ来られまして、そうしてこれはとてもいいサラダ菜だから何とか増産して国民の方々の生活を潤してほしいという切な希望から引き受けましたところが、やはり弊社におきましても、北海道から鹿児島までその増殖に努めましたのが、全部不可能になりました。それがために、それを頼みました生産者には反別の補償をし、あるいは見舞い金を出した等がございまして、この育成者の光田さんには何らそれに報いるような結果が出なかったわけでございます。  ところが、先ほどUPOVの例を申しましたように、偶然に欧米から、ある国の気候条件によったのでしょうが、だんだんとたくさんとれるようになりまして、とれるようになるまで約七年間これは経過いたしました。最近になってやっと光田さんに、それのお礼と申しますか、供託料を払うようになったような次第でございますが、そのときにはすでに欧米から逆輸入をされてきておるというような実態でございます。  これは、個人の育成者を保護すると同時に、しかも植物新品種の登録をされ、登録の品種ができましたならば、私はそれだけでOKというのではなく、増殖の面まで何らか国でいろいろな方策はないだろうかと、かく存じておりますし、これがまた、日本の気象条件に不適なときは、各国のところにやはりそれを国の何かの御指導で紹介し、さらに成果の上がるような方法はなかろうか。しかも、国際的にいろいろ加盟国との間で互恵精神に基づけば、このような無料で逆輸入するということも起こらなかったと思います。今日、この法案が施行され、そうしてUPOVの同盟に加盟していただきましたならば、いま申しましたことがすべて解決することと存じております。  時間の都合もございまして不十分でございましたのですが、本日私の思っておりますことを申し上げまして、参考人の話にかえさしていただきたいと思います。どうもありがとうございました。
  86. 鈴木省吾

    ○委員長(鈴木省吾君) ありがとうございました。  次に、沢登参考人にお願いいたします。
  87. 沢登晴雄

    ○参考人(沢登晴雄君) 沢登でございます。  東京の郊外の、ブドウとしては最も条件の悪いところでブドウの品種改良をさせていただいておりまして、鈴木委員長先生にはもう七、八年前からこの問題についていろいろ御指導をしていただいております。どうもありがとうございます。  本日は、こういう委員長先生をいただいた農林水産委員会の中で私が述べさせていただくことは非常にありがとうございますと、まず申し上げたいと思います。また実は、にもかかわらず、私、声がかれております。そうして疲れております。で、数字とか日付とかその他のことについて間違いもかなりあると思いますので、これだけはひとつ御容赦願いたいと思います。  同じ私は農民でございます。このごりっぱな瀧井先生とかそれから小口先生と違いまして、私はけさも、ここ十日ばかりは実はブドウの仕事が朝できない、電話に追われて困っておると、そういう中で出てきております。昨晩もほとんど眠っておりません。というのは、この御苦心いただいたりっぱな法案に対して、私どもの知っておる、先ほど瀧井先生がいみじくも御指摘いただきました民間育種家、篤農家はこれで滅んでいくのではないか。私自身も滅んでいくのかもしれません。ところが、私の後には、新しくやっぱり日本をしょって立つ一つの育種をしようという者が、いまここで血をたぎらせて待っております。本日は随行者としてあえて来ていただきました。ところが、それができるかできないかというところが勝負どころだと思います。それで本日は、その点について皆さんのひとつ御審議をお願いし、私の知っておる問題点を申し上げたいと思います。  まず第一に、私は両先生のお話を聞いておりまして感じましたのは、実に種屋さんという、種ということ、この関係については至れり尽くせりの法律ができたのではないかということで、両先生実に御満足だと思いますし、この点は実に敬意を表します。ところが私は、これは有性繁殖の部面であって、無性繁殖の部面、特にわれわれの同志や先輩が血と油と汗を流して、時には侮辱され、時には気違い扱いをされて出してきた品種は、これによって全然滅びます。その方々は続けられません。その点についてひとつ申し上げたいと思います。  私は、実は山梨の海抜七百メートルのところに生まれましたので、父に従って山に秋はまぐさ取りにまいりました。そこにある山ブドウを一日食べて暮らしました。それから醸したワインを飲んで育ちました。これの夢は一生忘れません。そのことが、私が山ブドウによって日本のワインの方向を決めようということを決意した幼き日の夢であり、私のこれは一生の命がけのことだと思っております。いま一つは、私は師範学校へ入ったときに、大井上康先生の「葡萄の研究」という世界的な厚い本を見せていただきました。鈴木先生も泣いておられます。これに感激して、すぐ伊豆の山の中まで飛んでまいりました。そして、先生の卓越なる世界的な学説を聞いて感激して、これまた巨峰をさらに改善すること、または先生の跡を継ぐことを、及ばずながら一つの私どもの夢としてまいりました。  いま一つは、川上善兵衛先生が山梨の地に来られたことがあるんです。いまのサントリーのところに来られたことがあるんです。そのときに私ども行ったことがございます。いまはりっぱなサントリーの農場になりましたが、当時は、私が学生のころはこれが廃墟というものかと、ドイツのハムサンが来てやられた後ですが、そういうところでございました。で、これに至って、山梨がブドウの国であり、その中でこれがあるということのいろいろの矛盾、意味を考えさせられました。若きまだ二十歳前でございます。そうしてそういう中で、私どもはブドウというもの、ある意味では嗜好品でございます。しかし、そのものをひっ提げて私自身が一つは生きていけたら、意義のある生活ができるならこれはありがたいことだということで、ついに私はその時点、その幾つかの契機、先輩の手引きによって、ついにこの道に入っていったんでございます。  いま私のところには、七十年の記念で日本に来られておるブラジルの太田さんという方がおられます。この方はキウイのことで来られて私どものところにおりましたが、日本に滞在中、私どものところで草取りのやり方を研究生に教えたり、実にその生き方を教えてくださいました。さらに、あのヒマラヤに名誉ある世界一の最初の登山をされたヒラリー卿を案内されたシェルパのテンジンさんの子供さんがおります。この方は、日本の海外協力隊の先生として来られて六カ国語に通じられた方。この方が、二週間私どものところで一生懸命やってくださいました。農業をやったことのない方だそうです。それで、その中で私どもはいろんなことを教えられました。それは真摯でございました。ブドウに対するわれわれの生活態度でございました。これを持っていってやろうということを言ってくださいました。  これが、私どもは何よりのことでございまして、新種というものは、そういう中から生まれるものだと思っております。努力し苦労し汗し涙した中で神が与えてくれると。言わざるを神とは何ぞやということもございますが、神が与えてくれると私どもは言わなくてはならぬ。というのは、新種はある意味では現在を否定します。現在と同じ形質を持ってはだめなんですよ。新たなる世界を開いていくこと、創造でございます。その創造をつくっていくのが新種でございます。その新種によって、農業そのものが希望がわいてきます。私の周囲には、全国に何百人という希望を持って、夢を持って、あすを担いつつやろうと、あすの日本をしょおうと、いやそれが世界の平和につながるんだということを、信念を持って生きている方が何人かございます。  私は、今日ここで訴えたいのは、そういうことをこの席でお考えの上でひとつ御審議をいただき、この法案をやっていただきたいということでございます。これは釈迦に説法かと思います。申しわけないかと思いますが、ここで私はいま一つの事実を申し上げなくちゃならぬです。たとえば、瀧井先生が、アメリカはUPOVへ入っておられると言ったんですが、私のところに随行しておられる池谷先生は入っておらないと断言された、入れる体制でないということです。世界は、アメリカ体制の一つの新種なり特許なりの方向があると、いま一つは欧州体制の方向なり特許なりの方向があるということです。それの選択を日本人がどこをするかということが、私はいま課せられた一つの、特にこの最高の判断者の皆々様の一つのお考えだと思います。どうぞ、その点ひとつじっくりとお願いいたしたいと思います。  それから、先ほど私は、関東農政局の生産流通部の部長さんの松延さんという方にお会いいたしました。この方は当初この仕事を手がけられた方で、鈴木先生よく御存じの方でございます。そのときは植物特許ということ、そしてそれは苗木品種ではないということ、苗木プラス新品種という一つの文化的所有権というんでしょうか、無体財産権というんですか、それの価値評価なんだと、それをつくった人を守ることなんだと、それによって世の中をよくすることなんだということだったと思っております。そのことは鈴木先生いまも重々、私どもに時にはじゅんじゅんと説いてくださった先生ですから、お忘れないと思っております。  ところが、悲しいことがございました。それを鈴木先生と御一緒にやってくださった、参議院の迫水会長先生がお亡くなりになりました。それで、亡くなる面前に先生の言われたことが私は印象的でございます。自民党が負けました、何人か落選しましたと、この植物特許をやろうという先生方が弱くなりましたと、農林議員の発言が弱くなりましたと、どうもこれはうまくいきそうもありませんということを言っておりました。  しかし、そのころまた、私も実はかつて農協の専務理事をやった者でございます。二十代でやりました。それの私もある意味では友人でございます小口先生が先ほどいみじくも申されているように、農協からああいうあれが特許で出ております。ところが、これについて私はびっくりすることですが、これは特許をいま少し勉強すれば全部雲散霧消することです。これをわれわれの組織である農協中央会があえてやったということに、私どもはいま農民が行く先を考えなくちゃならぬ問題があると思っておるのでございます。先生方いかがでございましょうか。  私は、きのう、長いある意味での何人かの私の友人を通じてのまた友人でございますから、お会いいたしました。そして、前と同じことを申されると言われました。そのとおりでございます。不満足でございますと、そういうことだと思います。私はこれは考えられません。私どもは、先ほど言われました生命現象をやっておるときは、時々刻々変わるものをやっていきますよ。きのうの発言ときょうの発言と違ってよろしいと、私どもはあえて思っております。政党内部の締めつけはどうかわかりませんが、私どもはそのことが育種にもつながるいき方だと思っております。そういうことからすると、私どもは何としても納得いかない一つのものでございます。  それで私は、先生方が言われたことは、全部ある意味では各個々の問題は正しいと思いますし、それから衆議院のこと、全部の発言ございますから、あえて言わないで、私はその先生方が申されないことを申すのが私のいまの使命かと思いますので申し上げます。  ただいまのお話は、全部ほとんどそれを要約すれば、学問的に言いますと有性繁殖につながる問題でございます。種でございます。で、いま一つは、私どもは無性繁殖でつながる問題を考えなくちゃならない。ほとんどお考えになっておらないように、あの発言内容からお伺いいたしました。  それで私は考えたいのは、アメリカは有性繁殖のものは特許法でやっておるという事実がございます。そのことが、UPOVへアメリカが入れない理由でもあるということを、私どもは銘記しております。そして、そのためにあえて時にはアメリカの法律も変え、時にはUPOVの内容も変えていま合体を考えておると、その観点の一つを日本が握っておるということです。日本の一つのキーポイントは、それに対して物すごい発言権があるということです。さて皆さんは、そのときにどの道を選択し、発言権をとられるでしょうか。日本民族の一つの国際場裏の中で試されるときだと思いますから、皆さんのひとつ本当の御奮闘をお願いいたします。  そういう観点からしますと、私どもはこの法案はもっともっと練りに練ってくださいということをお願いする。あえて賛否を言う前に、まずそのことはお願いいたさなくてはならないことだと思っております。  それから、幾つかの中で私が申し上げたいのは、十二条五の二項八号というところでございます。これは丸谷先生がるる申されたからおわかりと思いますが、これでやりますと、私はこれで眠れなかったんです。というのは、これが入っておらなかった。で、この先生方は五十年、五十一年かかわりを持ったと、それから勉強されたと申されました。私どもはそれを七年ほど前から、やらざるを得なくてやっておった勉強のこの道でございました。本当にありがたいことです、この先生方は。私どもはそうせざるを得なかったからやったわけです。要請があったんですよ、アメリカからも。日本はだめじゃないかと、海賊版やっているじゃないかと、しかも経済大国じゃないかと、何が経済成長だということをその場で言われたんです。恥ずかしいことでしたから、一生懸命やりました。  そういう中で、私は一番一つの問題になるのは、この処置だと思います。他の処置は、私は言われるとおりだと思います。それは、これがあると安くなる、高くなるの問題じゃなくて、種苗の流通の過程が物すごく混乱しますということですよ。松延先生もそう言っておられます、何で入ったんだろうかと。  私ども、これはことしの三月までは知らなかったのが、突如として入ったんです。しかも、わからない形で入ったんです。しかも、時には私どもが石田先生を通じて職務育種を強引に押して、中川先生を説き伏せて、通りましたよという喜びを聞いた後にこういうのが入ってしまって、われわれが、ここにございますが、四月二十八日にこのものをいただきまして、われわれの特許促進の内部、これは全部金を出している団体ですよ。農林省からは金を出していただいておりません。労働者の方が集まってやった、その中の常任理事会で、私も常任理事の一員でございますが、検討したときにあっと言ってしまったあれです。  それで、それ以来私は眠れないのです。私はきのう、あえて丸谷先生が私にこれに出るようにと言われたときに、ある意味じゃ迷惑だと言ったんです、ときには弾圧されますから。というのは、何人か私どもの関係者は、このことを一生懸命やってこれで飛ばされた人があると言われておりますよ。私もそうくるのじゃないかと思っています。それから、あるときには実は涙ながらに先生行かないでくださいと、命が危ないですよと私に言われたことがあるんです。冗談じゃないと、こんなことで命が危ないで何が民主国だと言ったらば、いま花の業界というのは物すごくブローカーがやっていると、十万円で買ったものを二、三百万円で売るなんということはあたりまえだと、それも大きいものほどそれができるという組織になっておると。あるランの問題に言及するとあなたは殺されるのじゃないかと、そんな社会ですよということまで言われるような問題がこれでは引き起こるというのです。苗木転がしが平気でできるんです。  これは前になかった法律ですよ。前は許諾されなければ、業としてはどんな小売人でもできなかったのですよ。私が持っていれば、許可されなければ。ところが、いまは正当に入ったものは業として幾らでもできます。たらい回しができるんです、幾らでも幾らでも。そして、私が計算すると、単純計算ですが、百本の苗木を切ってふやすと三十本ぐらいになります。これは鈴木先生御存じですね。三十本ぐらいになりますが、それを三年繰り返すと、単純計算で何と二百七十万という計算になります、成長しますから、グローワーですからね。五百万にもなるんじゃないかと計算されるので、びっくりしちゃった。それが、その中でわあっと入ったらば、チェックできませんよ。あの衆議院の方が御心配いただいて、増加させることなくということをやってくださいましたね。ところが、チェックできないんです。それだけやったやつを、一生懸命私がどんなに飛んで歩いたってチェックできないですよ。それこそ、その途中でのたれ死にか殺されるかどちらかでしょう。  そういう前にはできないのが、今度は大手を振って法に保護されているという形でできるということは、私はどうかと思っている。そしてこれが、この立法の理由の中に「植物の品種の育成者を保護する制度を整備する」と、こういうことがあるその中で、これがあえて言われているんです。このことが私は、ある意味では問題点があるのかもしれません。特許法との問題があるのかもしれません。  そのことについて、私は昨日お伺いしておったときに、特許庁長官と農林省の園芸局長さんが交換した合意文書がある、これを詳細にわたって国民の中にひとつ示してくださることが、まず民主的な手続の官庁の責任ではないかと思います。月給をとっておられるのですね、国民の税金による信託を受けている方々ですから、民主的な手続であるこのことを、皆さん、先生方でひとつ御公開願いたい。というのは、一つは私の友人で何人か特許庁へ申請しているんですよ。それがだめになるのかもしらぬ。人権抑圧でございます。ところが、特許庁は、特許をやりますと、きのう言い切っておりません。わかりません。どうなっておるんでしょう。いまどうしようかと、出たり入ったり気持ちはしております。  ここにおられる倉方先生も、困ると言っております。そして、先生の御郷里の大石俊雄先生も困ると言っております。もう二度とこれには出さないと。三勝四敗だと言っていましたよね。七つ出して三つだけは通ったが、四つは通らなかった。ところが、それでも仲よくしなくちゃいかぬと、先ほどの素材を提供してくださるかと思って仲よくしておったが、もうこれではあえて戦わなくちゃならぬと。  私の具体的な例を言いましょう。オリンピアという品種がございます。これは、私が二十五年前に、昭和二十八年につくった品種です。そして、私どもの日本ぶどう愛好会という組織の中で、絶対に試作ですよと、よそへ出さないでくださいと言ってやっておったのに、種苗業者がいっぱい書いてある。それは、いま一反歩一千万円以上かけて温室でつくるマスカット・オブ・アレキサンドリアが一キロ千円にならないときに、それは外でつくっても二千円以上の平均になるんですよ。東北の鈴木常七さんという方もそうやっております。これは湯野町の方です。同じ鈴木姓でございます。どうぞお調べください。ブラック・オリンピアというのは千五百円以上になりました。巨峰が五百円です。デラウェアは三百円以下です。キャンベルは百五十円です。ペリーAは二百円前後でございます。多少の数字のあれはございますが、大体そのくらいのところ、暗算でも言えるということです。  それで、いま一つ私は申し上げますが、巨峰をつくったときにこれを登録されなかったですね、農林省は。いまそれを奨励品種にしているところがいっぱいでございます。そして、私のブラック・オリンピアも、これは何と全国の日園連のぶどう部長をしておられて、黄綬褒章をもらった古賀純さんという方が、自分及び自分の周囲につくっております。ところが、そうしては補助金がもらえませんから、巨峰だということになって、課長さんとそういうことでまあまあいいじゃないかということになっちゃったというぐらいのいま体制がございます。私は、品種を選ぶものはつくる農民でございます。権利を持っておるのは、あくまでもそれをつくった方々です。  ブラジルの方が涙を流して言いました。日本でできなかったビワの三十何年前にできたあの瑞穂という種類を、これは三井の戸越農園がつくったものです。おいしいんですよ。だけど日本じゃうまくないんですよ、大きくて。大きいんです。うまくないというのは、ぼつぼつが出たりしてつくりにくいんですが、苦労してブラジルの方々はつくりましたと、隠して種を持っていったり本を持っていって。そして、いまは五百町歩という、ブラジルの日本人がつくっておる幾つかのビワの園があります。そのうちの新しくなるものは、全部瑞穂でございますと言っていました。これだけ私は、ある意味では古い言葉でございますが、国威を発揚できたものはないと思います。民族の誇りだと思います。  日本は、土地は狭うございます。ところが、亜寒帯から亜熱帯までございます。そして、真ん中に脊梁山脈が通っております。大陸性でもあります。海洋性でもあります。この中での育種は、すばらしいものができます。日本人はその中でもまれてすばらしゅうございますので、私は日本の生きる大きな道は農民が育種をすることである、そしてそれを世界の中へ出して、平和の先兵としての農民になってもらうということです。  時間というあれが来たようでございますから、もう差しさわりございますからこれで勘弁さしていただきます。非常に足りないところがございました。二十年以上かかるのでございます、どんなことをしても。そして、私も品種登録に出さなかったのは、はっきりした道が、二十年たっても特性がわからないからです。その意味では、植物特許はすばらしいですよ。それだけに、選択は農民がし権利はやった人が持つということを、せめて農民の味方の皆さんにやっていただくとありがたいことです。お願いいたします。このことで私は命をかけてもよいと思っておるのでございますので、どうぞひとつよろしくお願いいたします。ありがとうございました。失礼申し上げました。
  88. 鈴木省吾

    ○委員長(鈴木省吾君) ありがとうございました。
  89. 瀧井利彌

    ○参考人(瀧井利彌君) 先ほどUPOVに加盟したというふうに聞き取られたようですが、私の言い間違いでございまして、UPOVに加盟しようとしているというふうに御訂正いただきます。
  90. 鈴木省吾

    ○委員長(鈴木省吾君) それでは、参考人の方々に対する質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言をお願い申し上げます。
  91. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 最初に、中央会の小口さんにお聞きいたしたいと思います。  実は、いまのお話聞いていて、大変育種者の保護をすべきだということをおっしゃっているんで、意を強うしたわけでございます。   〔委員長退席、理事青井政美君着席〕 で、私ここに昭和五十二年の十月に全国農業協同組合中央会と日本種苗協会が共同して要望書を出しているのを持っておりますが、くしくもそれぞれの代表さんがお二人来ているわけです。ここで皆さん方は「新品種育成者の権利保護を図るため諸外国においては、特許法とは別に植物新品種保護法を次々と制定しつつあるが、」「わが国においても諸外国と同様、新品種育成者の権利保護を通じて育種の振興を図り、」云々ということで要請しております。そしていまも同じようなことが実は言われておるわけでございますけれど、この法律が当初は無体財産権的なことで育種者の権利を保護するということで、文字どおり皆さんの要望どおりに三月時点まで検討会ではなっていたのが、突如としていまもお話ありましたように、四月に一項入ったことによって守られなくなってきたということについては、御存じでございましょうか。
  92. 小口芳昭

    ○参考人(小口芳昭君) 当初申し上げましたとおり、われわれとしては農家の立場からいたしますと、優良な品種が育成、開発されることや、安全に種が農家で確保されるということが何よりも大切である、そういう立場で対応してきたわけであります。で、そういう観点に立って、先ほど申し上げたような問題点の指摘や、あるいは改善についての検討を先生方にお願いをしてまいったというのが基本的な立場であります。特に特許法とのかかわりで申し上げた点につきましては、一つはかなり広範囲に、あるいは多くの農家が自家採種、あるいは農協において共同採種をするということとのかかわりにおいて、その共同採種、あるいは自家採種にまで特許権が及ぶというようなことがあっては混乱をするのではないか、あるいは種だけではなくて、その生産物にまで及ぶというたてまえから言っても問題があろうという趣旨に即して、その問題を述べてまいったわけであります。  で、いまの御質問につきましても、農家の、あるいは生産者の立場からいたしますと、農家の自家採種、あるいは農協による共同採種というところまでいろんな排他的独占権が及ぶというようなことがないようにされるべきであるというふうに考えておりますし、一方、育種者の権利、あるいは育種者の多年にわたる心労に報いられるような措置というのは現在の法案でもあるんではなかろうかというふうに考えておって、もし専門的な立場からやや問題があるという点になるならば、それは行政措置等を通じて法の趣旨が貫徹されるよなう措置をとっていただくことが必要であろうというふうに考えるわけであります。
  93. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 諸外国と同様に育種者の権利が保護されるよう上要望すると、こういうふうに要望書はなっておったんです。今回も、育種者の保護をやっぱり念頭に置いてやってくれということを言われた。で、今度の改正案が諸外国の法制とは同様でないと。中にはデンマークなどのようなところもあります。しかし、これは種の方はいいんです。有性繁殖ですから、何代もまいていけばまたこれ変わっていきますからね。だから、これはやはり新しい種というふうなものを共同採種でも何でもしながらつくっていかなきゃならぬ。しかし、苗木の方は一本植えれば何万本にもなるんですから、苗木と種と一緒にして、有性繁殖も無性繁殖も一緒にして両方の育種者を守るということが法律の方でできないわけなんです。そして、諸外国の例を見ますと、アメリカなどのようにやっぱりこれを分けて保護する。種の方はですから農家なり何なりがどんどんどんどん自分だちで増殖していいですよというような、それぞれが守られるような法律になっているのですが、要望書のような法律になってないということについてはお気づきだったでしょうか。諸外国のようになってないということ。前はなっていたのですよ、皆さん検討したときは。
  94. 小口芳昭

    ○参考人(小口芳昭君) UPOVへの加入を通じて国内及び外国において育種者の権利が保護されるということが必要であるし、また、それを通じて海外の優秀な遺伝子が国内に入ってくるということが必要であろうというふうに考えております。その点で、UPOVへの加入が現在のわが国の制度では加入しにくいということを十分検討会などを通じて知りまして、ぜひ入るべきであろうというふうに考えておりました。  いま御指摘の点で言えば、そういう趣旨に即して国際的な権利保護を図ることにより、国際交易の円滑を図ることが強く要請される段階に来ているんではないかという趣旨に即して要望書を作成し、お願いをしてきたという経過であります。
  95. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 結局、UPOVに早く入ってほしいし、そうするためにはこの法律を通すべきだと、そうして国際交流したい、こういうことですね。こういうことがこの要望書の中にうたわれた。
  96. 小口芳昭

    ○参考人(小口芳昭君) そのように考えております。
  97. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 そうすると、この法律でUPOVに入ることにいろいろ問題が出てきたらまたお考え変わりますね。そう理解してよろしゅうございますか。
  98. 小口芳昭

    ○参考人(小口芳昭君) いまわれわれの理解では、現在の法案でそれで十分ではなかろうかというふうに考え、もし専門的な立場で問題があるならば、行政措置によってフォローする必要があろうという考えに立っておりますので、現在の法案が成立することを通じてUPOVへの加入はできるであろうというふうに考えております。それ以上ではございません。   〔理事青井政美君退席、委員長着席〕
  99. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 それらは、われわれが今後国会の論議を通じて明らかにしていきたいと思うところの一つでございますので、御注目いただきたいと思います。大変どうもありがとうございました。  瀧井さん、種というのはなかなかもうからないものだというお話をいまなさいまして、反当でもって二十万から四、五十万と、なかなか御苦労なさることだろうし、その中のいい種をまけばそれがまた百万以上も上げる農民も出てくるという種屋さんの御苦労のお話がございましたですね。よろしゅうございますか、そうですね。
  100. 瀧井利彌

    ○参考人(瀧井利彌君) ちょっと聞き落としました。
  101. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 種を栽培するということが反当二十万から四、五十万ぐらいにしかならなくて、なかなか大変なものだ。ところが、そこでいい種ができれば、それをまいた農民の人の中には百万以上上げる人も出てくる、そういうことがある。こういうお話をいま伺ったと思ったのですが、そのとおりでございますね。
  102. 瀧井利彌

    ○参考人(瀧井利彌君) それ相当の投資なり、また労力なり、それから肥料なり、薬剤散布をしまして、そうして生産者の方々はこれぐらいの収穫が上がるだろうということを目安をつけて、そして生産をされておられるわけであります。当然、いま先生のおっしゃったようなことでなくてはならない、こう存じております。
  103. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 先日の衆議院の論議の記録を読みますと、あなたが社長をしていらっしゃるタキイ種苗ですが、百億以上何か売り上げを上げるということですが、おたくは種をとる畑をどれくらいお持ちになっておりますか。
  104. 瀧井利彌

    ○参考人(瀧井利彌君) ただいま先生からおっしゃいましたことは、種苗ということにつきましての設備投資ということの御質問と、それに対する売り上げ、あるいは利益等を説明せよということでございましょうか。
  105. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 種をとるのがなかなか大変だというのに、百億、もっとも資材もあると思いますが、それくらいの種苗の御商売をなすっているんですから、おたく自身の会社が持っている種をとる畑はどれくらいあるんですか。
  106. 瀧井利彌

    ○参考人(瀧井利彌君) お答えいたします。  約七十ヘクタールほどでございます。
  107. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 七十ヘクタールというと、自分のところの畑で二十万から五十万くらい上げていたんじゃ、何十億ということにはとてもなりませんね。そうすると、あとはどうするんでございますか。
  108. 瀧井利彌

    ○参考人(瀧井利彌君) その他の種を採種する土地、圃場はすべて委託をしております。その委託先はとんどが系統機関を通じてお世話になっております。また、同業者同士でいろいろと委託をしていただいておりますし、また相互の取引もいたしております。たくさんの品種を全部ほとんど一社ないし一業者で手がけるということは不可能でございますので、大根でありましたならば百種類あると、その中で五種類か十種類は育種と、そして生産の方は委託でしましても、そのほかの大根種子はその土地土地のいわゆる種苗業者にお願いするか、あるいは種苗業者を通じて購入するかというのが、大体われわれ業者の慣習のように存じております。
  109. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 そうしますと、二十万から五十万くらいで種はもうからないし大変なものだというのは、おたくから委託を受けている農家が大変だということに理解もできると思うのですが、どうなんですか。おたくが大変なよりも、おたくから委託を受けている農家が大変だというふうにも受け取れるのですが。
  110. 瀧井利彌

    ○参考人(瀧井利彌君) お答えいたします。  なかなか採種事業と申しますと一言で御説明しづらい点がございますが、育種事業はなるほど大変でございます。それを委託をいたします場合には、農協へ行きまして、そして土地なり適地適作のことについて御指導いただく。そういうふうな場合には、種が生産から刈り取って調整されて、そして各商社の倉庫に入りますまでは、お互い手伝い合って、そうしてむしろ八割ぐらいまではその企業が負担し、すべての点を賄っておるのが普通かと存じます。
  111. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 私のお聞きいたしましたのは、ですからおたくから大変だという話あったんで、それはおたくから委託している農家もやはり大変だということをおっしゃっているのですねと聞いているのです。おたくが特別に百万だの二百万だのというふうに出しているわけじゃないのですねと、このことを簡単にひとつ。
  112. 瀧井利彌

    ○参考人(瀧井利彌君) そのとおりでございます。
  113. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 そういう非常に大変な御苦労する農家の方々と共同しながら百億以上の売り上げを上げていると、こういうことでございますね。
  114. 瀧井利彌

    ○参考人(瀧井利彌君) お答えいたします。  そのとおりでございます。
  115. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 UPOVの問題につきましては、どうせ国会の中で論議するので御質問いたすことはやめておきますが、なかなか大変だというふうなことの状況をこれからひとつわれわれ十分研究しなきゃならぬと思います。  それから沢登先生、大変お話がむずかしくてわからない点がところどころあるのですが、二千円も千五百円もするようなブドウが、オリンピアでとれて売られている。おたくがつくられた、そしてそれはおたくが何にもそのことでもって反対の利益を受けないで普及したオリンピアというブドウからとったブドウが、一キロ当たり二千円というのですか、一房二千円というのですか、そこら辺をひとつ。
  116. 沢登晴雄

    ○参考人(沢登晴雄君) 申し上げます。  一キロ当たりでございます。
  117. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 それじゃ、もう時間がございませんので、お三方大変御多忙の中、おいでいただいて貴重な御発言をいただきまして、私たちもできるだけ皆さんの御意思を体してこの法案をよりよいものにするために、そして本当に育種者の権利が、皆さん方が三人とも口をそろえて言われたように守られるようなものにするために、がんばりたいと思います。  私の質問をこれで終わります。
  118. 相沢武彦

    ○相沢武彦君 参考人の皆さん、大変本日は御苦労さまでございました。時間がございませんので、簡単にお尋ねしたいと思います。  小口参考人にお尋ねしますけれども、先ほど沢登参考人からの御発言で、この改正法案のままでは無性繁殖の方の部門はほとんどなくなってしまうんだと、こういうお訴えがありましたけれども、全国農協中央会としては、その無性繁殖の方の分について、この法案とのかかわり合いについてはどういうような御検討をされたのでしょうか。それからいま現時点で、沢登参考人のお話を聞いて、このままでは無性繁殖が滅んでしまうということについての御見解はいかがでしょうか。  それから、沢登参考人にもひとつお尋ねしておきますが、先ほど十二条の処置をめぐっていろいろお話ございましたが、この改正案のままでは種苗の流通過程が非常に混乱するのだ、こういう御主張でございますけれども、もう少し具体的にわかりやすく事例を引かれてひとつ御説明を加えていただきたいと思います。よろしくお願いします。
  119. 小口芳昭

    ○参考人(小口芳昭君) 沢登参考人の御指摘につきまして、無性繁殖についてどうかということでありますが、業として行う場合には、今度の法案によってそれぞれ適切に処置されるものというふうに理解あるいは了解をいたしておりまして、もし専門的な立場で問題ありとするならば、その点を指摘し、行政措置によってフォローする必要があろうという感触をいま持っております。
  120. 沢登晴雄

    ○参考人(沢登晴雄君) 申し上げます。  これは先ほど申し上げましたように、私はこれがあるから反対でございます。命をかけて反対いたします。遺憾ながらせざるを得ません。鈴木先生の委員会でございますが、さびしいことです。私、何人かの知っている方がこの中におられるのです。  なぜかと言いますと、具体的に申し上げます。瀧井さんがりっぱな品種を持っておられます。私が買いたいのですが、私よりは選択して小口さんに売るということがございます。しかし、小口さんと私は仲がよいから、小口さんから私は買うことができます。そして、私が今度はそれをまたどこへでも売ることもできます。小口さんと契約を結べは、広告もできるのですよ。新しいりっぱな品種だ、売りますよと言える。今度は私もまたそれを売れます。私から買った方も売れます。どんどんどんどん幾らでも売れるのです、これは。というのがこの法律の趣旨だと、私どもはどう考えても解釈しております。  小口先生は、そういうふうに解釈されておられないのではないかと私は思うのです。文が実にりっぱですが、私どもはりっぱだけに、これはどうも驚いたのです。そういうことに気がついた。何人かで論議しました。農林省は、丸山さんおられますが、丸山さんはほかに手がないと言うのです、そうなってしまうと。私は三年間命がけでやったが、こんなことになったんじゃくやしいのだと、涙ながらに言っておられました。私は三日、四日前けんかしたのですよ、丸山さんと本当に。丸山さんが、余りでっかい声をするなと言ったぐらいです。本当です。  私もそれで、これは何らか防止策をしなければならぬというので、われわれの関係者がやったのは、裁定があるから取り下げるところまでいっているのです。そうしたら、仕方がない、ほかに手はないと発案者の、発議者の丸山さん自身が言っておられるので、これはこれくらい確かなことはないと思う。私も――これは私だけじゃございません。全部関係者が討議しました。さきの特許制度をずっと推進してきた学者も何も、実際家も、おられる方々が全部討議した中で、ああ、そうだ、そうだと。これがあるから、関係者が本当にそういうことを言ってくる。それで私はこの五日、六日眠れぬで、きのう丸谷さんのところに行ったら、園芸局長さんとそれから小島審議官がおられて、あした御苦労さんですと言うから、いや冗談じゃない、迷惑しておるのですと言ったが、まいっちゃった、本当に個人的には。しかし、やらなくちゃならぬということでやっております。そういうことでございますが、よろしゅうございますか。
  121. 下田京子

    ○下田京子君 参考人の皆さん、御苦労さまです。  まず、個人育種家で大変御苦労されております沢登参考人にお尋ねしたいのですが、この法案が本当に育種家の保護とか、あるいはまた苗木また種苗という点から見て、いろいろと混乱を招くのじゃないかというお話でしたが、苗木で販売されているブドウのような場合に、無断増殖や、あるいはブローカーが介入して苗転がしが大変行われているというお話が先ほどちょっと出たかと思うんですが、その実態をもう少し詳しくお話ししていただければというふうに思います。  それから、二つ一緒に聞きますが、もう一つは、いま参考人としてお話しになったようなことも含めて、いろいろとそうした民間個人育種者の意見というものが反映できるような場というのはおありだというふうに感じておりますかどうか、この二点。
  122. 沢登晴雄

    ○参考人(沢登晴雄君) 申し上げます。  苗転がしは現実にいまは余り、少しは行われておりますが、それはいまならやみです。というのは、現行法は一人一人許諾しなくては苗は売れませんから、だからいまはできないんです。ただし、やみではいっぱいやっておりますが、それはそうでございます。そしてチェックもできます。許諾しない人が売っていれば、すぐ行って差しとめもできますが、今度のことは大変だと、こういうことなんです。今度のことなら、許諾されない人が、どこのだれか知らない人が、苗屋でなく種屋さんという看板をかければ全部できるんです。これは届け出制ですから、私がいまでもできます。もうブローカーをやるつもりならこんないいことない、いいものならば一本を百万円にもしてみせます、手品じゃございませんが。本当にそういうことができるという仕組みを法のもとに保護するというんですから、私もこれは驚いているということです。これで何人かの関係者が全部手を引くと、これは利用しないと言っております。よろしゅうございましょうか。  それからその次、意見反映の場というんですが、私どもはある意味じゃ一匹オオカミでございます。それからある意味のプライドを持っております。極端に言えば、保護されたくないのでございます。権利があれば権利を主張すればよいです。われわれはやっぱりちゃんとした新品種で新しい世の中を創造するんだと。保護なんてされたくないんですよ。それを当然の権利として持っていたら結構です。そんなもの要らんです。法でいまさら保護するなんてばかなことをされるよりは、ちゃんとしたことをやってくださいということなんですよ。それだけです。  で、それは、やっぱりこの中が命がけでやって、私、先ほど神ということを申し上げましたが、自然法則が何か新しいものをそこに加えてこられる、それの一つの私どもは行者だと思いますから、やっぱりつまらぬ発言はしたくないということも実は一つあるんです。これは民主主義の時代にはかなり問題があると思いますが、また逆に言うと、民主主義の発してくる人間の尊厳性の基本ではないかと思いますし、育種というものはそういうものであるがゆえに無体財産権だと、あえて主張したいのでございます。ありがとうございました。
  123. 下田京子

    ○下田京子君 ありがとうございます。  次に、瀧井参考人に二点ほどお尋ねいたしたいんですが、一点は、種苗会社とそれから採種農家との間に契約をいろいろ持たれていると思うんです。その採種のあり方について、契約の中身についてはいろいろあると思うんですが、一つは面積でもって契約する、それからもう一つは生産量で行うものと、二つあるということを聞いておるんですが、採種農家の方のお話では、ひとつその契約面積を安定してほしいというふうなお話がございます。さらに生産量の場合ですと、これは全量買い上げということを保証していただきたい、こういう採種農家の皆さんとの間に取り交わされている契約上のことについての声をどういうふうに受けとめられているか。  それからもう一点は、今度の法案の改正に当たりまして職務育種というものが入るわけですけれども、このことについての職務育種に対する対価の請求ができるわけですね。この点、使用者側として、瀧井さんのような方がどういうふうに動くかということで業界全体に大きな影響を与えると思うのです。どのようにまずお考えになっているか。  二点お尋ねします。
  124. 瀧井利彌

    ○参考人(瀧井利彌君) お答えさしていただきます。  全国の種苗業者が種を採取いたしますときに、生産者とどういうふうな契約を結んでおるか、その契約の内容が面積で契約を結んでいるのか、あるいはたくさん取れても少なく取れても、大体量で契約を結んでおるのかという一点についてお答えいたします。弊社におきましては、面積で約束をいたしております。しかし、たくさんの同業者の中ではいろいろの契約がございましょうし、また品種によっても違いますでしょうし、また何年間のいろいろの実績淘汰統計などによりましても、両方が納得いく安定性の契約を結んでおるんじゃなかろうか、こういうふうに存じております。  二番目の職務育種のことでございますが、われわれ、業界の全般的な傾向についてはよく存じませんが、私の方の会社もしくは二十社、三十社ぐらいの方は、ずいぶん以前から育種者またそれに匹敵するような方には、職務規定を織り込みまして、そうして表彰制度を採用いたしまして、そうして実行しております。
  125. 下田京子

    ○下田京子君 ありがとうございます。  次に、小口参考人にお尋ねいたします。  やはり二点なんですけれども、一つは、品質のいい種子をということで、これは農家にとっても、また育種者にとっても、それぞれ願い、また努力があると思うんですね。そういう中で、お聞きだと思うんですけれども、最近、海外採種ということで、韓国あるいは台湾、そうしたところから安い労働力を利用するというふうなかっこうでもって、こういうふうな海外採種の動きが非常に強くなってきているわけなんです。国内における種子の自給であるとか、あるいは国内においての新品種の育種だとか、そんな立場からも考えて、農協としてはどのようなお考えをお持ちなのか。それが一つでございます。  もう一点は、先ほどの沢登参考人とのお話の中にもありましたが、今度の法案によって、ブローカーの横行というふうなかっこうで、大変流通過程に支障が広がるんではないかというお考えについて、先ほど他の委員からも同じような趣旨の御質問があったようですが、あえて具体的にもう一度お尋ねしたいと思います。
  126. 小口芳昭

    ○参考人(小口芳昭君) いい種が安心して確保されることや、品質のいい種が育成、開発されること、これは農家にとって心からの願いであることは言うまでもありません。  御指摘のございました海外で採種をする、あるいは海外の安い労働力を利用して採種をして、国内でそれを供給をするというふうに御指摘がございましたが、われわれの聞いているのは、安い労働力だけではなくて、品種の交雑を避けるためとか、あるいは効率よく採種をするために、日本の四季折々の季節に応じて生産するんではなくて、それを暖かいところへ持っていってやるとか、その採種の期間を短くするとか、いろいろ植物の特性に応じて採種をし、そうして国内へ持ってくるというふうに聞いておるわけであります。その中に、一つ、安い労働力というのを当てにしているというのも全然ないということではないというふうに思うわけです。  国内の種子の確保の問題につきましては、農協では、主として主要食糧、米麦などを中心に、そしてまた、それらの種の確保ということに特に重点が置かれておりまして、種場の農協があり、種場の農協では採種の施設を持つ、あるいは系統的には三年ごとに新しい種に更新をするというような種子の更新計画に即して種の需給調整をやるというような事業が行われていることは、御存じのとおりだと思うわけであります。したがって、野菜の種とか、その他果樹の苗等々について全国段階で調整し、あるいはどうするというようなことについてはまだまだ十分まいっておりませんで、あるいは単協で、あるいは県連段階で調整しているものが多いのではなかろうかというふうに考えております。  次に、種の流通段階、あるいはブローカーの暗躍という御指摘がございましたけれども、われわれとしては種の安全なものが流通することが何よりも大切であるというふうに考えます。それにしても、公示されたとおりの生産物が種を買ったけれども出なかったとか、発芽率が非常に低かったとかというような事故が間々聞かれるわけでございます。したがって、その原因というのが生産過程にあったり、あるいは調整段階にあったり、あるいは包装する段階にあるというような、いろんな段階でそういうアクシデントが起きてくるんではなかろうかというふうに思います。  したがって、種子の生産、流通段階で遵守すべき基準というようなものを国で示し、それが流通段階で守られるというふうなことや、あるいはそういう種子が安全に生産者に流通するという意味では、やはり行政的には検査体制が整備されるということが必要なことではなかろうかというふうに考えておるわけであります。したがって、そういった点を十分制度的にも、あるいは行政指導措置の面でも強化あるいは整備していくことが必要ではなかろうかというふうに考えております。  終わります。
  127. 三治重信

    ○三治重信君 瀧井参考人にお伺いいたしますが、今度のこういう改正法によって新品種の登録なり何かというものが非常に多くなっていった場合に、やはり役所がいわゆる官業で専属的にやるより、団体ですね、こういうふうな一つの指定団体をつくって、そこに統一して、民間のそういう専門家も入れてそこでやった方が、能率的といいますか、いいような気がしないでもないんですが、外国なんかでそういうことをやっていないか、これはどこでも全部役所が品種の登録というものをやっているものかどうか。一定の資格や基準をつくれば、そういう特殊な団体なりそういう目的団体をつくって、そして民間も入ってそれを相互に守った方がこの振興に役立つんではないか、こういうことを考えているわけなんですが、それに対してひとつ御意見を伺いたい。その点、農協の方も、ひとつそういう点について御意見を伺いたいと思います。
  128. 瀧井利彌

    ○参考人(瀧井利彌君) お答えいたします。  非常にむずかしい御質問だと思いますが、まず私個人では、個人的には、一つに集中してセンターのようなものをつくって、そこで何もかも、生産から流通段階、そうして栽培の指導というものを一括するということは、私はできれば非常に結構だと思うのですが、なかなか現在日本でそういうふうな品種が数多く出てきた場合、また全国的にすべて立地条件から気象条件、いろいろな面で非常に複雑でございますので、やはりきめ細かい、その土地土地のいわゆる農協の指導の方、あるいは商系の方、あるいは篤農家、あるいは経験ある生産者、または種苗業者がそういうふうな面にタッチして、やはり分散して、そうしてこの新品種の活用と申しますか、そういうようなものを優良種苗として大いに使って成果を上げていくという方が、現在までの実態にはその方が即しているんじゃなかろうか。  結局、現在までやってきておりますいろいろな流通段階は、やはり長年いろいろと改良され積み重ねられて今日まで来ている形態でございます。先生のおっしゃるように、今後種苗法に基づいていろいろな優良な種苗が出てきた場合には、やはり品種に応じ、あるいはケース・バイ・ケースで処置していった方がいいんじゃなかろうかと。そうでなければ、現在のままの方が適当でありまた適切であろうかと、こういうふうに感じております。
  129. 小口芳昭

    ○参考人(小口芳昭君) 外国の事例等については、私は承知しておりません。しかし、今後品種登録にかかわる多くのデータを管理するとか、あるいはそれに基づいて登録業務をやる、さらには種子の流通なり、あるいは種子を管理をしていく、品質を管理していくというような視点に立って考えてまいりますと、民間団体といいましても非常に強い公益団体でなければ、とても管理することは困難であると思いますし、私のいまの考えでは、やはり行政の中でこれらのデータの管理あるいは種子の管理、全体の生産、流通段階の指導といったようなものをやることが適切ではなかろうかという考えを持っております。
  130. 三治重信

    ○三治重信君 沢登参考人に。  無性繁殖の方の種苗についての保護は、今度の種苗法ではむしろ逆に保護が悪くなって、どうも先ほどの御説明のときには、沢登さんの方のこの無性繁殖の皆さん方は、むしろ特許法の適用を受けて新品種の特許をやろうというふうにこの準備をして、ずっと多年努力をされていたと、それが今度はできなくなったというふうな感じを受けたわけなんですが、そういうふうに理解していいものか。  何か農林省と特許庁との協定が、その文書そのものは正確に出さぬそうで、大体の趣旨が国会へ出されるそうですが、この審議を通じてだと、大体において特許法による特許は、特許庁もこれができてもとめてしまうわけではない、特許はあるんだと、植物の方にも必要があればやるんだと、こういうふうな説明になっていると思うんですが、もしもそうであるならば、無性繁殖の方で皆さん方がいままで特許法でその無体財産を保護したい、これでやりたいと、こういうことで努力されたものが、今度の新法でどういうふうに妨げになるんだろうか。特許庁そのものは、申請を受けてこの登録をやれるというふうに私は審議を通じて理解しているわけなんですが、その関係をちょっと御説明していただきたいと思います。
  131. 沢登晴雄

    ○参考人(沢登晴雄君) 理論的には、二本立てというのが可能だということになるかと思います。ただし、幾つかの発言の中に、かなり遠慮されておられまして、実質的にやらないんだと、またできないんだと。やろうとしてもいまの陣容ではできないんだということを言ったり、ときには農林省に開き直られて、やってみろと言ったら、もうできませんというようなことを言ったんだというようなことが巷間流れてくるわけでございます。その辺のところに問題があるかと思います。  それから、国際条約の中で、たとえば私がブドウを特許庁へも出す――理論的にはできるわけですから、出す。それから、これはもう行政としては動いているはずですからできるはずなんで、できぬということは言えないはずなんです、もう審査基準を出しておるわけですから。できないということは裁判条項になります、憲法条項に係りますということまで言ってがんばっている方もいっぱいあるわけですよ。で、それはできるということなんですが、同じものになると、同じ品種を農林省のいまのこの方へ出したらば、これは国際条約に入れないんだそうです。この点はよく皆さん御審議いただきたいと思います。国際条約では、一つのものを両方へ出すことはできないという一つのあれがあるんだそうです。  この点についてはまた確かめたいと思いますが、そういうことをはっきり言っておられるようですし、そういう方向になっているようですから、かなりその辺は微妙な段階があって、日本国政府というものはどういうふうにおとりになっているのかわかりませんが、しかし、その段階となれば、大臣取り決めでなくてはできないことだろうと、私どもは承知しなくてはならぬと思います。一局長、一長官が国民の主権を縛るということ――審議官は受け付けを審議しなくちゃならないという義務がございますね。それで、審議官の独得の審議権というのがございます。それを、特許庁長官と農林省の局長さんが縛るということが私どもは民主主義の原則の中で許されるかと、このことは国際的に恥ずかしくないかと、私どもは育種というものは誇りを持っていく、関係者は全部誇りを持っているわけで、日本はやっぱりこの道では誇り得る、世界の第一線に立てると思っているんです、育種というものは、日本の風土といい、人間といい、事実できておるものはそうなんです。ここに瀧井さんもおられるが、大自信を持っておられる。本当ですよ。それだけに、制度上、国内の特殊な事情でそれをやられては困るということですね。  そういう意味で、私どもは理論的にはできるんだが、実際にはできないと。やってみろ、できないぞということが事実だということを申し上げなくちゃならぬし、いやがらせをやられるということも承知してやらなければならぬということで、私どもは実は困って五、六年たちました、実際は。それで今日になってきていると。それで、いまになって最後残ったのは、たしか種苗関係は、いわゆる種関係は結構でございますですが、そういう誇りを持っている民間の育種家というのは全然できないようになっておって、ところがこの法律には、そういうものを保護するのだとうたっておる。保護されなくともよいものを保護するのだとうたっておる。何とも私どもは理解できない法律だから、あえて反対せざるを得ないのでございまして、先生もぜひとも御反対願いたいと思います。
  132. 三治重信

    ○三治重信君 終わります。
  133. 鈴木省吾

    ○委員長(鈴木省吾君) 以上をもちまして、参考人の方々に対する質疑は終わります。  参考人の方々に一言お礼を申し上げます。本日は、長町間にわたりまして貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。委員会を代表して厚く御礼を申し上げます。  議事の都合により、暫時休憩いたします。    午後二時五十三分休憩      ―――――・―――――    午後三時十八分開会
  134. 鈴木省吾

    ○委員長(鈴木省吾君) ただいまから農林水産委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、農産種苗法の一部を改正する法律案を議題とし質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  135. 下田京子

    ○下田京子君 今回の農産種苗法の一部を改正する法律案の提案の理由の説明を見ますと、主に三つ掲げられておりまして、その中には三つとも特に種苗の品質の向上と同時に、育種者の保護という問題が、それぞれの期間であるとか名称が、あるいは今度は品種にとかいろいろありますけれども、基本的にはその二つのことが中心になっているかというふうに思うんです。  そういう点でお尋ねしたいんですけれども、第一に、全国に個人の育種者というのはどの程度おられるとつかんでいらっしゃいますでしょうか。
  136. 赤保谷明正

    ○説明員(赤保谷明正君) お答えいたします。  全国に個人の育種者がどのくらいおられるかという御質問ですが、そういう個人の育種者の方々が集まってその会をつくっておられるというようなお話も聞いておりますけれども、花だとかそういうものにつきましては、それぞれいろいろな趣味の会のようなものがございまして、いろんな団体がございます。それはただ盆栽のようなものをつくっておられるようなそういう会もありますし、また育種を皆と励みながらやっているという形のものもございまして、個人の育種者が何人いるかという数字を役所の方としてはつかみ切っておりませんといいますか、つかんでいないというのが実態でございます。
  137. 下田京子

    ○下田京子君 次に、農産種苗法に基づいての種苗名称登録のいままでの出願件数とそれから登録件数ですね、それを昭和二十二年から五十二年まで含めまして野菜、果樹、花卉、それぞれ国、県、市町村等とあると思うんですけれども、個人とその他の出願件数トータルと、それから登録件数では個人とその他がどういう割合になっているか、件数と率をちょっとお知らせください。
  138. 野崎博之

    ○政府委員(野崎博之君) 出願件数では総体で千百十七件、それから登録件数が三百二十四件となっております。  その中で、まず出願件数について申し上げますが、野菜が四百四十四件、これはその中で国、県、市町村別ずっとですか、個人だけでございますか。
  139. 下田京子

    ○下田京子君 個人とその他の分数で結構です。
  140. 野崎博之

    ○政府委員(野崎博之君) 個人が野菜の場合は五九%でございます。したがって残り四一%ですか、これが国、県、その他会社等でございます。それから果樹が二百八十五件、そのうち個人が二百五十五件で八九%、残りの一一%がその他でございます。それから花卉が三百八十八件で、個人が三百五十九件、六六%。三四%が残りでございます。  それから、登録件数で申し上げますと、野菜が百三十二件で、そのうち個人が七十七件、五八%。それから果樹が七十四件で個人が六十二件、八四%。それから花卉では百十八件、そのうち個人が七十三件、六一%ということになっております。総計で見ますと、個人が六六%、三四%がその他ということになっております。
  141. 下田京子

    ○下田京子君 かなりいまの数字をお聞きしましても、出願件数についても登録件数についても個人の出願、登録が非常に多いと、トータルで見ても出願件数は個人が六九%で登録件数も六六%というふうな数字になると思いますけれども、個人の育種家の方々がこうした形でおやりになっていて、あと国、県、市町村、学術研究所や農協、会社等いろいろあると思うんですけれども、このように個人の育種家に頼るところが非常に大きいと思うんです。一方、国や県のそういう体制と個人とでは非常に差があると思うんですが、一つのものを出願し、また登録まで至るということには大変御苦労が多いかと思うんですが、その点での御認識はどのような状況だか、ひとつお聞かせをいただきたいと思います。
  142. 野崎博之

    ○政府委員(野崎博之君) 野菜、果樹、花卉等商業ベースに乗るものは非常に民間で多いわけでございます。先ほどからもいろいろお話出ましたように、何世代にもわたって非常な選抜とか、そういうようなものがございますので、個人の育種者の御苦労というものは大変だろうと思います。国の機関あるいは地方の機関では米麦等を主といたしましたものを主体にいたしておるわけでございますが、これも非常に多額の費用とそれから高度な技術、それからいろんな施設等を必要といたしますので、やはりそういう点では米麦等重要農産物については国、県でやっておりますが、比較的商業ベースに乗りやすいということで、いま申し上げましたように野菜、果樹、花卉というのが民間では非常に多いことになっていると思います。確かにおっしゃいますように、非常に御苦労の多い仕事だろうと思っております。
  143. 下田京子

    ○下田京子君 一言で御苦労の多いことだろうというお話ですが、これはまたなかなか大変長い期間にわたり、しかもまた、それなりの資材だとか研究など大変目に見えない苦労があるかと思うわけですね。片や国、県というものはそれなりの財政的な保障とか体制とか、いろいろまだ十分でない面、私たちから見てもたくさんあるわけなんですが、そうした点から比較しても個人が圧倒的にこうして出願件数も多いし登録件数も多いというところで、この育種者の権利といいますか、育種者のこういう新品種登録をどういうふうにしていくかという点が一つの大きな法案の目的でもあるかと思うんです。そういう点で、新品種を登録するかしないかというのは、全く育種者の自由意思になると思うんですけれども、その点で第一に、すでにいままで出願件数のうち登録されている件数は数字的に見るとおよそ三分の一程度になるかと思うんですが、これは主にどういうところに理由があってそうなったか。
  144. 赤保谷明正

    ○説明員(赤保谷明正君) ただいまの制度のもとにおきます出願件数と登録件数の割合を見ますと、おおむね三分の一が登録をされておるわけでございますが、現行法ですと新品種の新しく、かつ優秀な種苗を育成した者が登録を受けられることになっております。それで新規性というか、従来なかった品種であるということが、そういう場合が多いようでございますが、ただ優秀であるかどうかというところの判断で既存の品種とそれほど違わないというような形で三分の二ぐらいが落ちている。実態は、そのすべてを拾ったわけでございませんけれども、区別性がある、従来の品種とは違う、新しいということは言えることが多いのでしょうけれども、優秀であるかどうかということで落ちているのが多いのではないかと考えております。
  145. 下田京子

    ○下田京子君 となりますと、今度の法改正によって出願した人たちが登録という点ではほぼ今度は登録可能というふうな状況になるでしょうか。
  146. 野崎博之

    ○政府委員(野崎博之君) 優秀性の要件を問いませんので、既存の品種と区別ができれば登録の対象になるということになります。
  147. 下田京子

    ○下田京子君 ところで、育種者の中には先ほどの沢登参考人のお話を初めとして何人かの方々、先ほども私言いましたように、これは本人の自由意思で出願される内密のものですから、どうせこれは出してもなかなか保護されないというか、あるいはいろいろ見て、どうも出願者の意に反すると思われると、なかなか出願にも踏み切らない人たちもあるかと思うんですね。しかし、出願はしないけれどもすぐれた品種を生み出されている例というのもかなりあるんじゃないかと思うんですね。そういう点で、出願しなかった人たちの意見をどういうふうに組み入れていこうというふうに思っておいででしょうか。
  148. 野崎博之

    ○政府委員(野崎博之君) いますぐどういう制度でというようなことは考えておりませんが、出願しなかった人たちについて、役所へ来られたりいろいろそういうことで意見を述べられる方もございます。そういう機会を通じて聞いたり、あるいは種苗業界等のそういう雑誌等にもそういうようなことが載っているわけでございますので、そういう点を見ていくと。いま制度的にどういうものをつくってそういう意見を聞くかということについてはちょっとお答えしかねますが、そういうようなあらゆる機会を通じて、ひとつそういう声をいろいろ聞いていきたいというふうに考えております。
  149. 下田京子

    ○下田京子君 実は、今度の法案の審議の過程でもって、この法案が通ったらば、もうわれわれ個人育種者として出願するどころか登録なんかは考えられないということで、先ほど沢登さんは反対の態度からの参考人としての意見を述べられたわけですね。もうここですでに法律の第十二条の五の第二項の第八号ですか、その絡み等の中でいろいろ疑問をお持ちになっているわけなんですね。ですから、もしこのまま法が通ったという仮定を前提にするわけですが、となれば、いろいろともうすでに御不満をお持ちの方がおるわけですから、そういう人たちの問題等も含めて、一体どういうことになるんだろうか、こう思うわけなんです。いかがですか。
  150. 野崎博之

    ○政府委員(野崎博之君) 昭和四十七年から新品種制度研究会、そういうものを開きまして五十年までいろいろな学識経験者の御意見を聞いてつくっておるわけでございまして、また五十一年度に新品種保護制度の検討会というものをまたつくりまして、そこでまたいろんな御意見が出まして、それらを中心にしましてわれわれとしては意見をまとめたものでございますので、単に農林省だけの意見というよりも、そういうふうないろんな方の御意見を聞いて今回そうしたというふうに考えておるわけでございます。
  151. 下田京子

    ○下田京子君 いまの答弁を聞いただけではなかなか納得できないと思うんですね。特にまた具体的に私もお話をお聞きしたんですけれども、福島県の大石さんという方なんですが、これはすでにかつて大石プラムだとか、あるいはイチゴなんかで、大石四季成りということで出願もし登録もされているという方のお話なんですが、この方も実は先ほど言った十二条の五の二の八との関係からいって、極端に言わせていただければということで、こう言っていました。これはもう品種を保護するとかという立場じゃなくって、種苗という取り上げ方を言っているけれども、苗木屋さん奉公になるようなものだと、そんなお話までおっしゃっておりました。とても安心して私たちこの法律が通ると出願あるいは登録ということにならないだろうと、こう言うんですね。  この点で、一体大臣、どういうふうに納得していただくかという点なんですが、一番大きな問題になっているのは、いわゆる苗転がしだとか、流通段階で大きな問題を起こしてかえって混乱を招くというふうな御指摘なんですよ、どうですか。
  152. 中川一郎

    ○国務大臣(中川一郎君) 質問されている趣旨がよく私わかりませんが、転売することが問題だということですか。せっかくつくったものが転売されたのでは意味ないと。たとえば百円の登録料を払って持ってきたと、その人が百二十円で買いたい人があったから百二十円で売ってやったと、その人は二十円もうけたと。それを納得して百円で売ったならば、それを売っても登録者の権限を侵害したことに私はならぬだろうと思うんです、それだけの値打ちのあるものを百二十円で売るまた能力のある人ですから。ただ、百円で買ってきたものを、千本つくったり二千本つくったりしてそれを千二百万で売ったとか何百万で売ったと、登録料はわずか百円納めて何百万ももうけたと――こういうことを保護するための法律が今度の保護の法律であって、それを増殖するとかいうことでやったようなものに対しては、これは登録料を千本売ったならば千本分納めてもらわにゃいかぬと、こういう趣旨だろうと思うので、決して苗木業者をはんらんさせるようなことには私はならぬと思うんですが、どういう意味でそれがはんらんするのか、私にはちょっとわからないわけです。  一本の苗を一本売る、百本買ってきたら百本売る、千本買ってきたら千本に十円とか何とかの手数料を乗っけて売る分ははんらんにはならないのではないかと、その分百円が千本分なり一万本分なり登録者に行くという、払って買ってきたものを売ったんでは何ではんらんになるのか私にはわからぬ、こういうわけでわからぬところがありますから、答弁になっておらぬかもしれませんが、間違っておれば御指摘願います。
  153. 下田京子

    ○下田京子君 はんらんにならないというお話なんですが、衆議院の修正段階でもって、この十二条に該当する問題のところでは無断増殖販売を禁止するということになりましたから、数の上では一定歯どめがきくわけですが、苗木転がしということは、いろいろ、不当な価格つり上げというふうなかっこうになるんじゃないかという心配がすでに出ているわけです。むしろこの法案によってそれが大きく広がると、こう御指摘になっているわけなんです。こういうことについて決してそうじゃありませんと、あるいはこういう不安に対して、この法律については何ら不安がありませんと言い切れるかというと、言い切れないことが出てきているわけなんですよ。  それで、特にその絡みでいけば、特許庁と農林省との話し合いの過程でいろいろと論議された、その論議された中身について速やかに明らかにしてほしいというお話があるんだけれども、要点は私もさっきいただきましたが、あとは詳しく報告できないと、こうなるものですから、じゃ、全部どうして明らかにできないのか、あるいは本当に苗木転がしという不安は消えるのかということは、私素人ですから逆にわからない。ですから、本当に不安がないかどうかという御説明をいただきたい。
  154. 中川一郎

    ○国務大臣(中川一郎君) 私もその方面では素人の方ですが、何で苗木転がしになるという、言うだけの話じゃないかと私は思うのです。千本の苗木を買ってきて千本分登録料を払ってきて、それに何ぼか手数料を乗っけて売る、これでもって新しい苗木をつくった登録者を保護できるのであって、それを売る場合、何で了解しなければいけないのか、特許だとそう思うんです。特許でつくったものをそのまま売ると、特許料払ってきてそれを売っていく、その結果販売した人がもうかる。ただ、特許を一つ買ってきたやつを、それをまねてたくさんつくって売ったと、一台分の特許料、百台分の特許料しか払わぬのに一万台、百万台売ったら、これは特許した人も損するでしょうが、その人が特許で使ったものを千台特許料を払ってきて、それに値打ちを販売能力を持って一万台売ったと、その結果売った人ももうかったと、何でそれがはんらんになるのかおわかりで御質問でございますか。その辺、私は納得しているのですが、私の説明のどこが納得いかなくてはんらんになるのか、御説明願えればありがたいと存じます。
  155. 下田京子

    ○下田京子君 百円で買ったものが百二十円で一定の手数料で売られるということならまあまあとしても、そうじゃなくて、今度の場合には許諾を得て、その出し方によるでしょうけれども、もう不当な値段で売られても、それはどうもできないという危険が一方ではあるという御指摘ですよね。
  156. 中川一郎

    ○国務大臣(中川一郎君) 仮に百円で買ってきたものを一万円で売りましたと、値打ちがあったらその次の日からその人も九千九百円か八百円で次に売るときはやれば、その人の権利は守られるのじゃないですか。値上げすることを拒んでいるわけじゃないんでしょう。一万円の値打ちで売れるものを二百円で売ったと、そうか、そんなに高く売れる値打ちのあったものかと、次のときには、どうもありがとうございました、あなたのおかげで一万円で売れることが発見されまして、わずか安く売って本当に結構でしたと、この次からはひとつ一万円で売れるものでしたら九千円で売らしていただきますと、こういうことも、そんな極端なことはないでしょうけれども、そういう思想であって、育成者からしかるべき妥協のいく値段でもってそれを転売して悪いということは、私には何で苗木がはんらんしたり種子がはんらんするのか、わからないわけなんです。
  157. 野崎博之

    ○政府委員(野崎博之君) 従来の名称登録にかかわる点についても明文の規定がなくて、先ほど先生のおっしゃった十二条の五の二項八号ですね、実際はその解釈上の問題としてゆだねられていたわけです。したがいまして、その登録者の許諾を得て名称をつけた種苗がそのまま転売されるという実態が、暗黙の了解のもとに行われていたという解釈も成り立つわけでございます。  それで、いまお話ありましたように、ふやさないでそのまま転売をするわけでございますし、苗木転がしといいますよりも、そういういろんな種なり苗木につきましても代替性があるわけでございますから、非常に種類が豊富でございますし、いろいろその面での価格の不当なつり上げ、値上がりと、そういうものは実態上はほとんどないのじゃないかと。まあ苗木の流通というのはわりと単純な流通形態でございますし、われわれとしてはそういうふうな不当なつり上げで値段がどんどん上がっていくというような実態は聞いておりませんし、いろんなそういう代替性もあるわけでございますから、そういう御心配はないのではないかというふうに考えております。
  158. 下田京子

    ○下田京子君 大臣がいみじくも開き直りというかっこうで、指摘してはどうかと思うんですが、お話いただきましたが、一万円もの価値があるものが仮に二百円とか千円ぐらいでしか売られなかったということになりますと、苦労して育ててきた個人育種家の権利そのものも低くなってきているし、同時にまた、いいものを安く使いたいという農家の意向にも反するということを言っているわけです。そういう心配がすでに出されていることについて、どういうふうに対応するんですかということを言っているわけなんです。ですから、その過程で大事なことは、契約の内容であるとか、あるいはその後起きたときのトラブルの問題処理の仕方であるだとか、あるいはそういうことが起きないような歯どめであるとかが必要ではないだろうかと。
  159. 中川一郎

    ○国務大臣(中川一郎君) 日本の農家の人も私はばかじゃないと思うので、そこのところへ行けば二百円で売っている登録者からだれでも買えるわけですから、それを千円、一万円で売っているものを買うようなばかもないのじゃないかと私は思うのですよ。そこに何も決めごとをしなくても育種者がつくったと、そして品種登録をして二百円の登録料を、登録料というのですか何というのですか、許諾料ですか、許諾料を払って買っていったと、納得を得たものを、それをまたその人がふやして売ったらこれは大変ですが、ふやして売るところをキャッチしようというのがこのねらいであって、できたものをそのまま転売していって日本全国たくさんいって、ああずいぶんいいものができたなと、元祖はどこなんだろうと、福島県で下田先生の近くらしいと言ったら、またどんどんふえてきて宣伝効果もあって非常にいいのじゃないかと私は思うので、何でそれに疑問を持たれるのか、私には全くわからぬというわけでございます。
  160. 下田京子

    ○下田京子君 大臣が全くわからぬって、逆に皆さん心配しているわけですよ。なぜならば、現在はやみというかっこうではあっただろうけれども、今度は逆に苗転がしというものが大手を振って通るんじゃないかということで、この十二条の先ほど指摘した項目については、特許庁との兼ね合いで、三月ごろまでは入ってなかったのに入ってきたとかという、そういう話も先ほど参考人からあったわけです。  そのことを即いま聞こうとは思いませんけれども、その絡みでもってもう一つ私言っていますけれども、特許庁との話し合いのその合意文書なるものを全部明らかになぜできないんですかということなんです。  それから、農林省は、不安はないですよ、心配ないですよ、大体苗木転がしなんて起きませんよ、聞いていませんよとおっしゃっても、皆さんは現にやみでいま出ているし、それからその不安はまだあるんだというふうにこう一方で指摘しているわけですね。ですからどうなんだと、こう聞いているわけです。
  161. 中川一郎

    ○国務大臣(中川一郎君) それは水かけ論で、ないと言うものをあると言うみたいなのにはお答えできません。それは私たちは心配ありませんと言うのに、こういうわけであるからだめだと言うのならわかりますけれども――ありません。心配ございませんから、どうぞ御納得ください。
  162. 野崎博之

    ○政府委員(野崎博之君) 改正法では、登録品種の有償譲渡について許諾が必要であるということにしたのですが、この規定がないと流通上小売もまた改めて登録者の許諾を必要とするというようなことになりまして、その流通が非常に渋滞をするのじゃないかと、そういう心配もあるということも片や一面にあるわけでございます。  それから、特許庁との関係では、この関係はもう全然関係ない話でございまして、従来からもそういうような実態にあったというように御理解を願いたいと思うわけでございます。
  163. 下田京子

    ○下田京子君 最初の大臣の話については、心配ないんだから心配ないんだと、それじゃさっぱり何だか一つもわかりませんけれども、いまの特許庁の話になると、これまた意味がわからないですよね。どうして明らかにできないんですか。理由は何なんですかということです。
  164. 中川一郎

    ○国務大臣(中川一郎君) 下田委員に申し上げますけれども、あなたがあるのだからあるのだと言えば、ないのだからないのだと言うより方法はありませんと、こう言っただけのことです。
  165. 野崎博之

    ○政府委員(野崎博之君) 後の御質問は、特許庁の覚書の問題だと思いますが、これは役所間の文書でございまして、普通役所間の文書をこういう席上に出したことはいままでございませんし、そういう意味で要旨として皆さんに、衆議院でも御要求がございまして、それで要旨としてお渡しした次第でございます。
  166. 下田京子

    ○下田京子君 だから、要旨しか出せなかった理由は何なんでしょうかということです。
  167. 野崎博之

    ○政府委員(野崎博之君) 普通役所間のそういう覚書なりというものを、まあ何といいますか、正式にそういうことを出した例はございませんし、要旨でとにかくその中の意味はもう十分わかるようになっておるわけでございますので、そういう意味で要旨でお出しをいたしたわけでございます。
  168. 下田京子

    ○下田京子君 要旨で意味がわかると思うから出したということなら、逆に要旨でなくて全部出せと言ったらお出しになれると、何ら理由はないということでしょうか。
  169. 野崎博之

    ○政府委員(野崎博之君) お渡ししました要旨で、もうわれわれの覚書の中身は十分わかっていただけると思って出したわけでございます。
  170. 下田京子

    ○下田京子君 十分判断できるかどうかということは、それは皆さんの判断ですけれども、となれば、私が伺っていますのは、要旨以外のこともお出しいただきたいというお話があったと思うんですよ。ですから、あえて要旨だけじゃなくて全文お出しいただきたいということになれば、それは差し支えないんでしょうかということです。
  171. 野崎博之

    ○政府委員(野崎博之君) 何度も繰り返すようでございますが、従来も役所間のそういう文書というものは公式にこういう席にお出ししたことはございませんし、要旨でわれわれ十分御理解願えるということで出したのでございます。
  172. 下田京子

    ○下田京子君 また水かけ論ですけれども、言っていることに答えていただきたいんですよ。いままで公式な席には要旨しか出してなかったから、それで十分だと思ったのでそれしか出さなかったという答弁を繰り返されているんですが、全文お出しいただけないのかということなんです。何ら差し支えなければお出しいただけるんでしょうかと、こう聞いているんです。
  173. 野崎博之

    ○政府委員(野崎博之君) 従来もどの役所の慣例を見ましても、そういうようなことになっておりますので、そういう要旨で御容赦を願っているわけでございます。(「出せるのか出せないのかと言うのだから、出せないなら出せない、出せるなら出せるとはっきり言えばいい、そんなことじゃ答弁にならない」と呼ぶ者あり)
  174. 下田京子

    ○下田京子君 出せるか出せないかだけです、本当に。いま大臣一生懸命言っているようですけれども、出せるならお出しいただきたい。慣例がどうこうじゃないんですよ。全文お出しいただけないということで、先ほど理事会の中でも、どうしてなのかと、私もお伺いしましていろいろと疑問に思っているところなんです。ですから、全文お出しになれるんならばどうぞお出しいただけませんかと。出るのか出ないのかということです。
  175. 小島和義

    ○説明員(小島和義君) これは役所間の話し合いをメモにいたしましたものでございますから、事柄が秘密でありますとか、あるいは法律に触れる内容を書いておるというものではございませんが、国会にお出しするという性格のものではないと、こう思っております。
  176. 下田京子

    ○下田京子君 ただ、しかし国会で資料要求したわけですよね。それでも出せないのかということを聞いているわけです。性格であるかどうかは別としてね。
  177. 小島和義

    ○説明員(小島和義君) まあ国会の議決というかっこうでございますれば、それは確かに一つの拘束性を持っていることは否定するつもりはございませんが、事柄といたしましては役所の内部のメモでございますから、それをすべて国会にお出しするという性格のものではない、私どもはそう思います。
  178. 下田京子

    ○下田京子君 性格上はそうだということではいまわかりましたけれども、国会が理事会を開き、そして正式にお出しいただきたいと言ったものなんだけれども、それを出せない理由が何か特段あるのかという問題なんですよ。
  179. 中川一郎

    ○国務大臣(中川一郎君) 出せば出して結構でございますけれども、一々役所でやりましたメモを全部出さなきゃならぬ仕組みでは困りますから、御決議になりましたら一生懸命あるものは出しますが、委員一人一人から言われたからといって、詳細ありますメモの交渉経緯を全部出すほど役所も暇ではございません。
  180. 下田京子

    ○下田京子君 大臣、暇であるか忙しいかというふうなことはまたこの法案と面接関係のないことですから、まじめにお答えいただきたいんですけれども、私一人の個人が要求したんじゃないんです、大臣。
  181. 中川一郎

    ○国務大臣(中川一郎君) いまのところ個人でしょう。
  182. 下田京子

    ○下田京子君 それは違うんです。理事会でちゃんと諮りまして、皆さん要求したことなんです。それが、要旨しか出てこないのは何なのかということなんです。(「理事会で要求してないよ」と呼ぶ者あり)そうすると、理事会で正式にお話になれば、それは逆に言えば大臣お出しいただけるんですか。
  183. 中川一郎

    ○国務大臣(中川一郎君) 当委員会で決議をされまして、これが審議上どうしても必要であるから出せということならば出します。しかし、一人の人がそうやってふんぞり返って出せと言われても出せません。
  184. 下田京子

    ○下田京子君 理事会で皆さんが……
  185. 中川一郎

    ○国務大臣(中川一郎君) ちょっと申し上げますが、国会も大変ならばわれわれ役所も忙しくて大変ですから、大変な長い間議論したものを全部出せと言われても、なかなか出せる仕組みではありません。当委員会でも、そんなものは全部出せなんという決議があろうはずもありません。しかし、ありました以上は、大事な国会でありますから出します。
  186. 下田京子

    ○下田京子君 もし正式な要求があればお出しいただけるというふうな御答弁だったかと思うんです。  次に、登録料の問題なんですけれども、登録料が今回大変上がりました。この値上がりになったのは、非常に時間がたっているという一つの御説明かとも思うんですけれども、これは農家にやっぱりはね返る問題でもありますし、必ずしも登録料を取って登録するというふうなものでもないような性格にも思うんですけれども、この点いかがでしょうか。
  187. 野崎博之

    ○政府委員(野崎博之君) 登録料は五万円を上限として決めているわけでございますが、省令で段階的に最初の年は安く、それからだんだん上げるというようなことで決めておるつもりでございます。この場合、品種の育種者を保護するための制度であると同時に、国の立場から見ても余り高いものであっては困ると。御承知のように、出願審査に要する経費というものは相当かかるわけでございます。われわれ計算をいたしますと、品種登録の件数、それから必要な経費、審査官の人件費ですね、あるいはその審査に必要な経費として栽培試験とか、あるいは現地調査とか、いろいろかかるわけでございます。そういうようなものを想定をいたしまして約五割程度は国で持つと、あとの五割足らずを登録料で賄うと。同時に、特許制度における審査料といいますか、その水準も十分考慮して決めたというわけでございます。
  188. 下田京子

    ○下田京子君 現地調査に行ったりして費用がかかることはよくわかります。ただ、一番最初にお尋ねしましたけれども、出願する件数にしても、登録件数にしても、約七割近くが個人であるというふうなところをよく考えたときには、やはりこれは今後政令等で段階的に高めていくという話もございましたけれども、十分やっぱり個人負担というふうなかっこうにならないように、御注意をいただきたいというふうに要望しておきたいと思います。いかがでしょうか。
  189. 野崎博之

    ○政府委員(野崎博之君) そういう点も考えまして、最初の年は低く、それから順次上げていくということにもいたしておるわけでございます。
  190. 下田京子

    ○下田京子君 次に、種苗の国際交流との関係で二、三お尋ねしたいわけなんですけれども、その第一に、植物の新品種の保護に関する国際条約等々の加盟問題も絡んでいまいろいろ議論があるところですが、種苗の国際交流という場で、大手種苗会社の、あるいは種子業界ですか、そういったところの進出が非常にいまお話に出ているというふうに伺っているわけなんですけれども、その中で、決して中小の育種家、こうした人たちが逆に被害をこうむらないように、保護されるようなそういう立場でもって、国並びに公立機関等で集められた海外のいろいろな種苗に関する情報を提供いただけないかというふうに思うわけなんですが、この点いかがですか。
  191. 野崎博之

    ○政府委員(野崎博之君) 国内における種苗業者といいますか、これは一般の農家にしてみますと、種苗業者との信頼関係というものは何代も続くわけでございますね。したがって、海外交流が盛んになってすぐ大手商社が入ってきてどうという話にはなかなかならないと思いますし、それから中小業者の問題いま出たわけでございますが、やはりこういう育種につきましては、個人の経験や勘によるそういうものが相当多うございますし、中小業者でも特殊な部門におきまして大手業者と堂々と渡り合っている会社が現在もあるわけでございます。したがいまして、そういうようなことで大手業者が独占あるいは大手商社が急にいろんなそういうところへ進出してくるという心配はまずないのではないかと思われます。  それから、育種素材等につきましては、国も民間の育種振興という点から国の試験研究機関でもその育種素材の提供あるいは情報の提供、あるいは民間の育種機関の人たちの研修、そういうことには十分意を用いてやってまいりたいというふうに考えております。
  192. 下田京子

    ○下田京子君 いまのお話で大筋はわかりますけれども、外国の登録者から許諾を得るということになりますと、国際的な信用力であるとか資本だとかという点でこれまたやっぱり大変だと思うんですね。そういう点で独占するというふうな状況が生まれる可能性も非常に大きいわけですので、そういったときにはきちっとした行政指導等はお願いいただけるでしょうか。
  193. 野崎博之

    ○政府委員(野崎博之君) さっきも申し上げましたように、従来の例から見ますと、やはりそういう中小業者でも堂々と渡り合って特殊な部門のあれをやっているわけでございますので、そういう心配はないと思いますが、大手商社等のそういう寡占傾向、そういうものが見えてきた場合には、われわれとしてもそれは十分注意、指導はいたしたいと思います。
  194. 下田京子

    ○下田京子君 次にお尋ねしたいのは、実際にいま畜産振興であるとか、あるいは大豆や小麦などの振興ということでもって、稲作転換にかわる農産物の奨励ということでもっていま推進事業を進めておると思うんですが、その点で、ひとつ日本の畜産にかかわる重要な飼料の自給率の問題でお尋ねしたいんですけれども、現在の種子の輸入状況はどうなっていますでしょう。
  195. 杉山克己

    ○政府委員(杉山克己君) 昭和五十一年の実績で見ますというと、飼料作物の作付面積は八十五万二千五百ヘクタールとなっております。これに要する種子は牧草類で約八千四百トン、それから青刈りトウモロコシで三千五百トン、その他の青刈り作物のものが若干ございまして、合計一万四千百トンということになっております。この供給につきましては、牧草類は残念ながらそのほとんどを海外に依存いたしております。それから、青刈りトウモロコシについては約その半量弱、半分弱を海外の育成生産した種子に依存いたしております。  このように、牧草類の種子の供給がほとんど海外の生産されたものに依存せざるを得ないのは、これは自然条件、経営条件、その他の事情から、まとまった優良な種子を国内で安定的に確保するということが困難なためでございます。しかしながら、このような中で、最近わが国におきましても国内の自然条件あるいは経営条件等に適した優良な品種の育成ということが必要なことは当然でございますので、その育成に努めてまいっているところでございます。  そこで、徐々にではありますが、その改善も見られるところでございまして、牧草類については増殖用の元種、つまり原原種あるいは原種につきまして、これは国が直接その栽培を行ってそれを国内で生産する、そしてそれをもとにいたしまして、一般流通用の種子についてはその元種によるところの採種された種子、これを国内に入れるという形での事業を実施しているところでございます。  今後、逐次このような形で、実質的に国内の生産条件に適した種子をできるだけ割合を高めていくということを考えておるわけでございます。
  196. 下田京子

    ○下田京子君 九十数%を牧草の種子に関しては輸入に頼っているというふうなお話と、それからこういう状況が生まれてきたお話がありましたけれども、今後相当力を入れてこれらを改善していかなければならないんではないかというふうに考えるわけです。その点でいまもお話でございましたけれども、今後の改善のためにさらに努力を積み重ねていかなきゃならないし、育種という仕事を重視していかなければならないということを、ここではっきり物語っているんじゃないかと思います。  同じようなことなんですけれども、野菜の方になりますけれども、お米と同じように、野菜の場合には自給率九八%というふうな状況になっているけれども、その種子に関してはやはりこれまた輸入が多いと思うんですが、野菜の輸入の方は牧草の種子ほどではないと思うんですが、おおよそ二〇%程度かと思うんですが、よろしいでしょうか。
  197. 野崎博之

    ○政府委員(野崎博之君) 大体先生のおっしゃるとおり、二〇%ぐらいです。野菜種子は、輸入額で申し上げますと十四億でございます。
  198. 下田京子

    ○下田京子君 額じゃなくて輸入率のことで、二〇%程度かしらということで確認の意味で申し上げたんですが、いかがですか。
  199. 野崎博之

    ○政府委員(野崎博之君) 二〇%程度でございます。
  200. 下田京子

    ○下田京子君 二〇%程度の野菜の種子を輸入しているというお話なんですが、野菜全体としてはもう一〇〇%にも近いというふうな形での自給が高まっておるにもかかわらず、こういうかっこうでやはり種子については外国の輸入に頼らざるを得ないということは、逆に問題だと思うわけなんです。  そういう問題の中で、最近韓国だとか台湾から非常に開発輸入というかっこうでの種子の輸入が目立っているわけなんですけれども、まあ野菜の種子の輸入先、一番多いのはアメリカですね。金額でいくと次が韓国、そして台湾というふうになるかと思うのですけれども、こういうふうな状況、本来、大臣も常日ごろ言われていると思うのですけれども、国内で自給できるものは自給できるように、もっと努力をしていかなければならないというふうな立場でいろいろ御論議があったかと思うのですが、現実的にいまこういう状況がある中で、韓国や台湾からのこの種子の輸入をこれから拡大するというんじゃなくて、むしろ国内の種子の自給を高めていくという方向で御努力いただきたいわけなんですが、その御覚悟のほどをお聞かせいただければと思います。
  201. 野崎博之

    ○政府委員(野崎博之君) われわれといたしましても、先生おっしゃいましたように、野菜等につきましてもできるだけ国内で自給のできるように持っていきたいと思っているわけでございます。ただ、レタスとかそういうものにつきましては、日本の梅雨期にかかりまして、なかなか日本国内で採種ができないという種類のものがございますので、そういうものは牧草と同じように、やはり輸入に頼らざるを得ないと思いますが、われわれとしては極力国内で自給できるように、今後も進めてまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
  202. 下田京子

    ○下田京子君 先ほど実は輸入との問題で、大手の商社なり、あるいは大手の種苗会社なりが独占というようなかっこうでもって、中小、個人育種家、種苗者に対して不安のないようにという話をしたわけなんですが、実は具体的に申しますと、これは昨年の「週刊ダイヤモンド」という雑誌に出ていたわけなんですが、三井東圧化学というところ、それからその他の商社等が非常に種子産業ということについて今後将来性がある、成長性と収益性ということで大変目を向けられているという報道があるわけなんですよね。これ、御承知でしょうか。
  203. 野崎博之

    ○政府委員(野崎博之君) 五十一年の秋ごろ、「週刊ダイヤモンド」に三井東圧について出たということは、私たちも承知いたしております。
  204. 下田京子

    ○下田京子君 そういう動きに対しては、先ほど御答弁はすでにいただいているわけなんですが、具体的なものになってきた際には、やはり国内における育種者保護あるいは農産物の保護というふうな立場から、それなりの指導はいただけるということは、再度確認ですけれども、よろしいですね。
  205. 野崎博之

    ○政府委員(野崎博之君) 五十一年の秋ごろ、そういう「ダイヤモンド」に出たわけですが、その後聞いてみますと、現在のところはそういう米麦について進出するというような動きは全くないということでございます。われわれといたしましては、米麦は何といっても国の主要食糧でございますので、従来どおり、国なり都道府県の試験研究機関で行われておりますし、今後ともそういうところで行うと、またそれを利用する経費も都道府県等にも援助をいたして、積極的に国、都道府県でそういうものについてはやりたいというふうに考えております。
  206. 下田京子

    ○下田京子君 国際交流の問題で、最後に大臣にお尋ねしたい点は、いい品種を外国から入れたいということもありますし、また出していくとか、それなりの交流というものはこれは否めない必要な問題であると思うのですけれども、同時にやっぱり大事な点は、いま言ったような基本的な産業の点で、牧草あるいは野菜などの種子の確保という点で、国際交流が云々だからということじゃなくて、自給というような方向でもって国内的にも研究体制も含めて非常に努力が必要であろうというふうな御認識がいただけたと思うんですが、そういう立場で御努力はいただけると思うんですが、いかがでしょう。
  207. 中川一郎

    ○国務大臣(中川一郎君) 食糧が自給ということを考えなければいけないのと同じように、種苗についても国内自給ということを優先をする。しかし、わが国ではなかなかできないものとか、あるいは季節その他から言って、どうしても外国のものがいいというようなもの等については、これは海外からも入れなければなりませんけれども、すべて種苗が外国に依存する、あるいは商社が独占でやる、こういうようなことは非常によくないことでございますので、その点は十分監視をして、できるだけ自給率を高める、そうしていいものは、どうしてもというものは、そういう今度の国際交流、こういう線にも沿って入れて、国内生産のために役立たしていきたい、こう思っております。
  208. 下田京子

    ○下田京子君 次に、いまの絡みもありますけれども、具体的なことでまた二、三お尋ねしたいんですが、京都あるいは長野だとか、その他の府県もありますけれども、いまの野菜採種状況といいますと、かなりある一定の都府県に偏っているかと思うんですね。その点で京都につきまして言いますと、たとえば大根とかキャベツであるとか、白菜であるとか、ナスであるとか、こういう点で相当丹後地方では古くからやられてきているというふうなことが言えると思うんですが、その点間違いないですね。
  209. 野崎博之

    ○政府委員(野崎博之君) 先生おっしゃるとおりでございます。
  210. 下田京子

    ○下田京子君 こうしたいわゆる採種農家というのは、全国にいまどのぐらいあるものでしょうか。
  211. 野崎博之

    ○政府委員(野崎博之君) 野菜種子について見ますと、採種農家数が六万一千二百戸という数字になっております。
  212. 下田京子

    ○下田京子君 こういうふうな民間の採種の実態について、農林省では具体的な資料等あるいは分析等お持ちでしょうか。
  213. 野崎博之

    ○政府委員(野崎博之君) 非常に詳細なというわけにはいきませんが、若干のそういう資料は農林省でも持っております。
  214. 下田京子

    ○下田京子君 せんだって私どもの方でお尋ねしましたらば、農林省としていま幾つかやっているけれども、まとまったものとしては社団法人の日本種苗協会の方にいま委託費を出して調査をお願いしているというお話だったわけなんですが、とすれば、この日本種苗協会でお出しになっている資料そのものが農林省の資料であるというふうにも考えていいかどうか。
  215. 野崎博之

    ○政府委員(野崎博之君) 私どもの方で委託をいたしておりますので、いま先生のおっしゃったようにお考えになって結構でございます。
  216. 下田京子

    ○下田京子君 そうしますと、農林省では委託をしていろいろ調査もなさっているということなんですけれども、全国の野菜に関してだけ言っても六万一千二百戸からある採種農家等々についてのいろいろな御意見、御要望お持ちかと思うんですね。そういったことについては農林省でもよく調査して、意見を聞いていただけると思うんですけれども、その点いかがでしょう。
  217. 野崎博之

    ○政府委員(野崎博之君) まあ非常に多いわけでございますので、個別にどうだというような意見としてはなかなか聞きがたいと思いますが、日本種苗協会へ委託していろいろこういう調査もやってもらっておりますので、そういうところ等を通じて、そういう御意見を拝聴するという機会はもちろんあると思います。
  218. 下田京子

    ○下田京子君 それで具体的なお話なんですけれども、実は京都で、これは先ほど参考人にもお尋ねしたんですが、種苗会社と採種農家の方が契約をなさっているわけですよね。その契約の中には面積とそれから数量と二つあるということなんですが、京都では採種栽培面積が年ごと変わる、そういう事態が起きているんで、年ごとの変動を少なくしてほしい、こういうふうにおっしゃっているわけなんです。それから、島根県では農民の種子の出荷数量、これは会社の受け入れ数量との間に大変ギャップが出て困るときがある、全量買い上げというふうな形でもって安心して採種ができるようなことをしていただけないものだろうかと、こう訴えられているわけなんですが、こういったことについて御相談に乗り、そしてまた採種農家が泣くことがないように、問題の解決に当たっていただきたいと思うわけなんですが、その点はいかがでしょうか。
  219. 野崎博之

    ○政府委員(野崎博之君) 民間の一般的な事情でございますので、一々こちらから口をはさむということはいたしておりませんが、私どもの聞いておるところによりますと、面積で契約しているところにつきましては、これは委託者が全量を買い取っているというふうに聞いております。ただ、この場合、種子としてその品質が不良で、販売に供することができないというような場合には買い取らないこともある、原則としては契約栽培のときは全部買い取っているというふうに聞いております。
  220. 下田京子

    ○下田京子君 そうしますと、具体的な指導も含めてまた御要望があれば聞くという点で理解してよろしいでしょうか。
  221. 野崎博之

    ○政府委員(野崎博之君) 原則としては、先ほど申し上げましたように、民間の商売のことでございますので、一々指図はしませんが、具体的な特異な例としてケース・バイ・ケースで、そういうことがわれわれの方へ伝わってくればそれなりの指導はいたしたいというふうに考えております。
  222. 下田京子

    ○下田京子君 次に、大豆の問題なんですが、今後十年間にわたって水田利用再編をやるというふうなかっこうで大豆の作付を非常に奨励しましたが、この大豆の種子の確保はいまどういう状況になっていますでしょうか。
  223. 野崎博之

    ○政府委員(野崎博之君) まあ本年から転作等もありまして非常に種子の量がふえる、そういうようなこともございますし、麦とか大豆につきましては、採種圃等でとれるもの、もちろん原種圃もございますが、原種圃、採種圃等でとれる種子、それから不足する場合には展示圃等、準種子と言っていますが、そういうものを充てて、特に大豆の場合には、全農なり全集連で集めます全国の集荷団体の保有大豆から足りない部分は充てる、ちなみに本年の需要量を見てみますと、必要種子量が六千二十七トン、これに対しまして採種圃産が四百五十四トン、原原種農場産が二十六トン、それから調整販売大豆、これが先ほど申し上げました全農、全集連等での集荷したものでございますが、これが千六百三十九トン、あと自家採種で三千九百八トンということで、大豆種子に対して大体確保できる見込みでございます。
  224. 下田京子

    ○下田京子君 いま御説明ありましたけれども、大体確保できるというお話なんですが、これも私たちの調査によるんですが、京都の場合ですと、種子用の大豆がなかなか手に入らないということでもって、食用の一、二等品を岡山の方から購入してきて、そしてその二十三トンを手で選別している。それで次々に発芽試験をしてから異種混入あるかないか、発芽率七〇%以上確保するのにいろいろ苦労をしたということなんですが、聞いておりませんか。
  225. 野崎博之

    ○政府委員(野崎博之君) 事実問題としては、私どもまだ聞いておりません。
  226. 下田京子

    ○下田京子君 聞いておらないということなんですが、大変苦労をされておりまして、こういう状況が私どもの調査でもわかりますし、また訴えられてもおるわけでして、完全なやっぱり種子の確保という点では相当やっぱり努力が必要だと思うんですね。今回のように種苗法の改正というふうなことも出されているわけですから、これは根本的な点で今後大豆の種子の育種と、それからそのための生産体制を根本的に見直していく必要があるかと思うんですが、その点ではどういうふうな状況でしょうか。
  227. 野崎博之

    ○政府委員(野崎博之君) 米麦、大豆につきましては、例の主要農作物種子法というのがございまして、そこで原原種圃あるいは原種圃に対する助成をやっておりますし、そこで生産されたものに対する検査等を通じて優良な種苗が流れていくように行政上配慮をいたしておるところでございますし、その予算も年々拡充をいたしておりますし、今後ますます転作等によってそういう必要性が出てくると思いますので、十分その点は予算的にも拡充いたすように努めたいというふうに考えております。
  228. 下田京子

    ○下田京子君 十分な体制として今後やりたいということなんですが、ただ、先ほどのお話の中に大豆、麦等については国も力を入れてやっているということなんですが、種子用と食用というのは全然違うということは、皆さんの方が専門家ですから十分御存じだと思います。そして、しかも、種子用を確保するためには原原種、原種とかなり時間を要しまして、少なくとも三年、四年かかるわけですね。ですから、十分な体制ということが、これは言葉だけでなくて、非常に重要な問題であるという点は重ねて指摘しておきたいわけなんです。  その絡みでなんですが、麦のお話なんです。これは北海道の場合なんですけれども、やはり春まきの小麦が非常に足りないということで、このことについては農林省としてもかなり足りなくなるだろうから種子の確保に留意されたいという指導文書を出されているし、それからまた、これは昨年十月の十八日に、農蚕園芸局長名で出されているわけですけれども、ただ、出されている中で非常に問題なのは、いろいろ種不足ということが生じている場合には、政府所有の麦の種子転用というものをもって充てるもよしと、しかし、この場合に播種の適期を失わないようにしなければならないということで、「適切かつ迅速に所定の手続きを行うよう」云々と指導の文書が流れているわけですね。  それでもなかなか間に合わないで、たとえば、これは北海道の峰延農協の場合ですけれども、ことしの一月十八日付でもって食用の検査を受けた政府の払い下げを受けたもので、数に限度がありますから、発芽率だとかその他については責任を負いかねるという、そういう文書を出して農家に言っているんですよ。こうなりますと、種は足りないんですよ、足りないんだからいろいろ発芽率なんかにも問題があるけれども責任は負いませんよというふうなことが、堂々と何というかまかり通っている状況になっているわけなんですね。  ですから、こうなりますと、一方ではもう転作作物、奨励作物としてやっているんですが、絶対的に種子の確保が十分でないというふうな状況を物語っているわけですし、こういう状況の中で、これは別な話になりますけれども、転作を強行するといってもなかなかこれはできない問題だろう、条件が備わってないということはこれからも言えるのではないかというふうに指摘せざるを得ないわけなんです。それにしましても、こうした問題についてやっぱり根本的に早急に対応策をとらなければならないということでは改めて御認識いただけると思うんですが、いかがでしょう。
  229. 野崎博之

    ○政府委員(野崎博之君) おっしゃられますとおり、転作等に対します種子の需要というものはふえてまいりますので、そういう意味で原原種圃なり原種圃を通ずる種子の増産ということも必要になってくるわけでございます。それからまた、水田利用特別対策事業の中でも緊急増殖圃というものをつくれることにいたしておりますので、そういうところ等も通じまして麦や大豆の種子の確保、あわせてそういうものの確保に努めたいというふうに考えているわけでございます。
  230. 下田京子

    ○下田京子君 緊急増殖の増設圃設置事業ですか、やられたという話ですけれども、それにしても、年次計画を立ててきちっとした根本的な体制をとり直さなければならないということについては、御確認いただきたいと思うわけです。  次に移りますけれども、これまた具体的なお話で、福島県の話なんですが、新聞等で御承知かと思いますが、異品種混入の問題なんです。いわゆる種子の事故の問題、これらにどういうふうな対応をするかということなんです。今回の法改正の第五条の中にも、指定種苗の生産においては、遵守すべき基準を設けて公表するというふうなこともうたっているわけなんですけれども、たとえば、この遵守すべき基準の中に、異品種混入、いわゆる福島県の例で言えば、キュウリのあれなんですが、違う品種が入っていとたいう問題、こういう場合どういうふうに対応されるんでしょうか。
  231. 野崎博之

    ○政府委員(野崎博之君) 第五条で今回の基準を定めますときに、そういう異品種の混入が起こらないようにひとつそういう基準を定めたい、こう思っておるわけでございます。  福島県で起きました場合には、これは最近、昨年の六月下旬でございますが、事故のあった種子につきましては、播種されていないものは直ちに回収して別の種子と交換をする、それから播種済みの畑については、残り苗の補植とか、その後仕立て本数の増加等ということで業者がすぐ手当てをいたしまして、余りそう予想したよりも大きな被害にはならなかったというふうに聞いております。  興品種の混入を防止する先ほどの第五条の基準でございますが、これにつきましては、採種する品種の数をできるだけ少なくして単純化をする。一つの種類については、種の中では一つの品種しか採種をしない。これは一つの例でございますが、そういうような基準を定めたいというふうに思っておるわけでございます。
  232. 下田京子

    ○下田京子君 ちょっとよくわからなかったんですが、異品種混入を防ぐという点でどういうふうな具体的な基準を設けるのか、この点御答弁願いたい。
  233. 野崎博之

    ○政府委員(野崎博之君) 最後に申し上げたわけですが、採種する品種の数をできるだけ少なくいたしまして単純化をする。だから、一つの種類については一つの品種だけにする、そういうような基準をつくりたいというふうに考えております。
  234. 赤保谷明正

    ○説明員(赤保谷明正君) ちょっと補足させていただきますが、今度のは衆議院の段階で、従来は生産を業とする農家だとか、あるいは種苗業者が遵守することが望ましい基準でございましたけれども、今度衆議院で修正をされました条文は、遵守すべき基準を定めて公表しまして、その基準を守っていない人がいたときには勧告、公表、こういうことになるわけでございます。  そこで、いま局長申し上げました、たとえば同じ種類の品種、二つの品種を同じ農家で採種をしておりますとまざりやすい、そういうチャンスが多いわけでございます。そのときに基準として、一戸の農家が一つの品種しかつくってはいかぬという基準をつくるかどうか。二品種以上の採種をしちゃいかぬという基準をつくりますと、二つ以上の品種の採種をしているときには勧告をされるということになるわけでございますから、一農家一品種というのが一番理想的ではございまするけれども、特別な事情があればそういうことでなくてもいいかと思いますので、そういう望ましい基準としては一農家一品種だと思いますが、今度は「すべき基準」になりましたので、その辺は採種の実態あるいは特別な措置があるような場合には、一農家一品種でなくてもいいかと思います。局長は理想的な基準というようなことで御答弁申し上げたかもしれませんけれども、それは今後もう少し詰めて、個々の採種農家に余り過重な負担を課すことになってもいけませんから、その辺は十分検討してまいりたいと考えております。
  235. 下田京子

    ○下田京子君 そうしますと、指定の種苗の生産については、生産農家に対して過重にならないという点は前提でありますが、異品種の混入を防ぐという点でのそれに合った基準というものは、今度出てくるという理解ですね。  ただしかし、事故があった場合には一体どうするのかというふうなことになりまして、現に起きている事故については、局長のお話ですと大した被害にはならなかった、こう言っているわけなんですが、何が大した被害でなかったかという点については、いろいろ判断の基準がありまして、立場もあって違うと思うのです。  具体的に、これはうちの党でやはり調査してきた結果なんですけれども、「ときわ北星」といってこのキュウリなんですね。これは四葉系の品種が――四葉系というのは加工用なんですが、それが入ってしまったという事故なんです。これは福島県だけじゃなくて、福島、それから長野、岩手県、およそ百ヘクタールに及ぶ大変な被害になったわけですね。新聞にも出ておりますし、また具体的にお伺いしてお話をお聞きしてきたんですけれども、当初こうした被害の出た時点でいろいろなお話しをしていった段階、その最初の段階では五千万円ぐらいの補償金は支払うというふうな話も出ていた。しかし、結果としては、二百万円程度に終わったわけなんですが、その経過というのは、農家がたとえば二十%程度の異品種を抜き取りしたり、いろいろと手を打たれたわけですね。  その結果、幸い収穫量もそう落ちなかったというふうなことがあったんですが、実は実際に被害を受けた岩瀬郡の天栄村の広戸農協というところの組合長さんのお話なんですけれども、この十アール当たり抜き取り作業にどのぐらいかかるかというと、実に四人でまる一日かかるというのです。日当一人当たり約四千円とすると、これだけでも一万六千円かかるわけですね。そういうふうな状況の中で、この農協ですと約十町歩の被害が出たんだけれども、見舞い金としてもらったのは三十万四千八百二十五円だった、こういうわけなんです。結局、泣き寝入りせざるを得なかったということでもって、こういうことがあちこちでトラブルが起きると、安心して農家の皆さんやっていけない状態が存在しているということは、事実が物語っているわけですね。そういった場合の何らかの補償というか、問題の解決というものがあってしかるべきであろうということを皆さんおっしゃっているわけなんです。この点で、被害が少なかったからまあまあよかったというんではなくて、農林省としてはこういうトラブル、事故等について根本的にどういうふうに対応するおつもりなのか、その点いかがですか。
  236. 野崎博之

    ○政府委員(野崎博之君) 一つは、今回法改正によりまして、第五条でそういう種苗業者の遵守すべき基準というものを設けまして、そこでそういう異品種がまじらないような基準をひとつつくりたいというふうに考えておるわけでございます。万が一、しかしながら、種子に原因するような事故が起こった場合には、農家の損害を極力少なくするというように、補償も含めて適宜適切な措置がとられるように、これは種子を販売した種苗業者、そういう種苗業者によってそういう措置がとられることが望ましいわけでございますし、現在も大体そういう場合には種苗業者が責任を持ってそういうことをやっているようでございますし、われわれとしてもそういう場合には種苗業者によってやられることが望ましいと思っておりますが、事故の状況等につきましては十分こちらも把握をいたしまして、必要があればその処置につきましてその業者を指導する等、所要の措置は講じてまいりたいというふうに考えます。
  237. 下田京子

    ○下田京子君 必要に応じて業者の指導をしていきたいということなんですが、実は大臣もこれをごらんになっていただきたいのですが、この袋一つどのくらいするか御存じですか。これで二千円ぐらいするのですよ。  それで、実はいまの指導の中身とかかわるのでわざわざごらんいただいたわけなんですが、ここにこういうふうに書いているのです。表の方には、「全日本胡瓜原種審査会農林大臣賞受賞」。ですから、いつ受けられたのか、これは皆さんにお聞きすればわかると思うのですが、「農林大臣賞受賞」ですから、これはもう安心して使えると皆さんまずお感じになります。これが第一ですね。  第二番目には、「種子と責任」なんですが、ところが「種子の本質上播種後の結果については如何なる場合でもお買上げ代金以上の補償には一切応じません。」というふうに書かれているわけですね。また、こちらにもいろいろ書いてありまして、「最近同名または紛らわしい品種名のニセ種子が出廻っております。ご注意下さい」。丁寧にいろいろ書かれてあるんですけれども、こういうふうに大臣賞受賞したものであって事故が起きたということになると、一方では何らその責任は負いませんというふうな表示ですか、出されているということで、どうも納得できないということで、せめてこの表示を改めてもらえないものだろうか。あるいは、いま御指摘があればそれなりに会社等とも話し合いをして対応したいということなんですけれども、それにしても、具体的な基準がないと指導のしようがないと思うのですね。  いずれにしても、今度の福島県、長野県、岩手県の場合ですと、そう被害が大きくならないで済んだと一般的には言えるわけですが、その陰には大変な労力と大変な個人的な出費もし、常平生では考えられないような汗を流しているということが出ているわけですから、少なくともこういったものがきちんと正しく表示されて正しく売られるようにということを願うわけなんですが、そういう点でのより具体的な御指導をいただければと思うのですが、いかがですか。
  238. 野崎博之

    ○政府委員(野崎博之君) その表示の点につきましては、十分われわれとしても今後いろいろな面で指導してまいりたいと思っておりますが、いま先生が例に挙げられましたその種子代以上は補償しないというこの点でございますが、そういう事故が生じた場合には、現実にはその種子業者、種苗業者が実際の、何といいますか、被害に対する補償をやっているわけでございます。私どもの方といたしましても、必ずしもそういう表示が好ましいとも思っておりませんので、関係団体といま話をいたしまして、表示の改善等についてこれから指導してまいりたいというふうに考えておるところでございます。
  239. 下田京子

    ○下田京子君 表示については、今後関係者と相談の上改善をしていきたいというお話でしたが、今後ともこういうふうなトラブルが起きないとも限りません。一番問題になったのは、こうしたトラブルに対しての処理をしていく上での相談ですね。この相談、行政の窓口といいますか、それがストレートに農林省の方と担当の方といろいろ連絡がとれると皆さんの方も速やかに調査がさらに進むというふうなことで、各地域にそういう行政相談窓口のようなもののお考えはありませんか。これはいまのことに限らず、この法そのものについてのいろいろなトラブルについての御意見等についてもしかるべき措置が必要ではないかという声が出ているわけなんですが、この点は大臣にお伺いしたいんですが。
  240. 野崎博之

    ○政府委員(野崎博之君) 県もございますし、それから末端へいけば改良事務所、そういうところもございますし、行政機関としては省庁もございますし、特別の機構をつくってどうということはございませんが、そういうような担当のところへ御相談願えば、またわれわれの方で耳に入れば、その具体的な事例につきまして農林省としてもそういう点で仲介、あっせんといいますか、そういう労はとりたいというふうに考えておるわけでございます。
  241. 中川一郎

    ○国務大臣(中川一郎君) いま局長答弁のありましたように、事故の発生しないように、また事故が発生した場合には十分の対応ができるように、最善を尽くしたいと存じます。
  242. 三治重信

    ○三治重信君 種苗法の今度の一部改正は大改正で、なかなか専門的にわたることが多くて、本当の専門家でないと細部にわたってよくわからないわけなんですが、基本方向とすれば、この種苗の国際交流あるいは新しくいろいろ種苗の発明、発見者に対して保護をしていこう、こういう方向は非常に前進だと、こう受けとめて、わが党はこの農産種苗法の一部を改正する法律案については賛成の態度をとっているものであります。したがって、今国会で、最後になりましたけれども、成立をすることを願うものでございます。  いろいろ専門的な部面で問題もあるようでございますが、そういう問題については、ひとつ謙虚に今後法の運用や、また実際の部面でこういう問題は、本当の財産権の権利義務に関する基本的な裁判関係に属するようなものについてはあるいは運用の妙というわけにもいかぬかもわかりませんが、実際の種苗の生産者並びにそれを業とする人たちの保護の趣旨は相当達成されるんじゃないかと思うわけなんです。そういう意味において、ひとつ新しいものをつくると、その間に何らかのまた被害を受ける人あるいは利害調整上問題が出てくる場合も相当あるかと思いますが、その点については、ひとつ特に気をつけて法の運用には当たっていただきたいと思います。  いただいたこの資料の中で「育種の概況」というのがありますが、農業技術研究所あるいは農業試験場指定試験、こういうことでありますが、この表にいろいろたくさんの従事者の人数も書いてあるわけなんですが、この中で働いておられる方たちは長年育種に当たっておられる。そうすると、いろんな品種や新しい発見をされるわけなんですが、こういう人たちは、職務上月給をもらってちゃんと一定の指導によって品種改良に当たっているのだから、何と申しますか、新しいものができてもそれは当然のことで、その本人に対して特別の保護とか栄誉を与えることもないじゃないかと、こういうふうに法の体系ではなっているかと思うんですけれども、こういう品種改良とかこういうものは、やはり普通のただ月給をもらって勉強しているだけではなかなかうまくいくものでない。  やはりそこに、非常に刺激というものが私は必要だ。その刺激というのは、金銭よりも名誉に関することだ。名誉に関することになってくると、こういうような種苗法もいろいろの新品種の登録、こういう制度によって一つは金銭的な、財産的な保護も与えるけれども、こういう登録制度、新しい品種が残る、名前が残るということはやはり名誉なことで、そういうものが発明、発見者に私は必要だと思うんですが、国や県のこういう育種をやって発明、発見にかかわる人たちがこの種苗法によって新品種の登録の場合に、その発明、発見した人の名前が登録されないか。  また、今度は、ことにいままで単独のやつが、A、B、Cとか、共同でやったものも共同で君前が登録ができるんだ、こういうようなことになっているわけなんですが、これは国でやっているから別にそういう人たちは、もう新品種のやつについてはいろいろ予算から試験制度から、当然そうなっているんだからいいんだというふうなことか。私は、せっかくこの種苗法をやっていく場合に、こういう国や地方公共団体の従事者にも、この種苗法による新品種や何かの登録もやり、そうしてその名前が残るようにしてやりたい。経済的な利益の調整はまた別の問題として、考え方としてそういうふうなことがあってしかるべきだと思うんですが、その取り扱いの法的な問題と実際上の問題をひとつ解明していただきたいと思います。
  243. 野崎博之

    ○政府委員(野崎博之君) 今回の品種登録制度につきましては、育種の振興奨励ということで育成者の保護ということに重点を置いておるわけでございますが、これは先生おっしゃいますように、民間であろうと、それから国、地方公共団体の試験研究機関の職員であろうと、取り扱いに差はないわけでございます。  実際問題として、国、都道府県の試験研究機関におきましては、従来も、育成者自身が登録を求めるというようなことは実際問題としては余りなかったわけでございます。今回の新品種の育成、種苗法の改正ということでいろんな職務育成の規定を設けておるわけでございますが、こういう今回の法改正によって実際の事情にはそう大した変化はないのではないかと、こう思っておるわけでございますが、当然、その保護の対象としては、法的には一般の方々と全く同じ取り扱いをしていくつもりでございますし、また、国なり県ではいろんな表彰制度なり、あるいは特昇制度等、そういうものも活用いたしまして、そういう人たちの励みになるような方法を、また従来もやっておりますけれども、さらにそういうことについて意を用いたいというふうに考えております。
  244. 三治重信

    ○三治重信君 それともう一つ、ここにいろいろ研究の主な対象作物の名前も出ておりますが、こういうものの国でやっているのと、それから民間のこういう育種のいろいろ研究担当者、それから個人業者、こういうようなものの研究の分担関係というようなものを考えておられるのかどうか。この法律では、何と申しますか、指定種苗というものの中に、稲、大麦、裸麦、小麦、大豆及び林業の用に供される樹木の種苗を指定種苗から除くと。これはどういうことかというと、何か主要農作物種子法によって特別指導体制がとられているから、一般の民間ではちょっと競争というわけにはならぬから、指定種苗として種苗業者の対象にはならぬだろうと、こういう趣旨で強制的に除かれていると思うんですが、それと、それ以外のものもこの試験研究機関で研究するようになっているわけです。そういうことになると、このように指定種苗から除かれた種苗については国が全責任を持って全部やるんだ、この姿勢は大体わかるわけです。  そのほかの種苗について、後でも聞こうと思うんですが、私は日本農業の転換のためには畑作物の種苗についてやはり相当転換をしていかなければいけない。この中で、畑作物でひとつ麦と大豆が入っているわけなんだけれども、こういうふうに非常に少数の特定な品種だけを国が重点的にやるという法律上のこういう構成であるがために、いわゆる畑作物の一般的な適地生産や品種改良について、いわゆる試験研究機関も十分一生懸命にならぬといいますか、実際予算上からも、あらゆることもそこに非常に差別がついて現実に今日まで来ているんじゃないか、こう思うわけなんですが、そういうふうなことで、ひとつ単刀直入に育種について、国の研究機関とその他について、この種苗法を新しくやるについて国の研究機関は従来とそう変わらぬ態度なのか、または試験研究機関の研究態度がこの種苗法の改正によって何か変わるところがあるのかどうか、ひとつ御説明願いたいと思います。
  245. 堀川春彦

    ○政府委員(堀川春彦君) 国の試験研究機関におきます育種についての基本的な進め方でございますが、作物につきまして、現下の厳しい農業情勢のもとで新しい優良な品種の開発というものがいろいろの作目について求められているわけでございます。特に畑作物について求められておることは御案内のとおりでございまして、私どもこういった現状を踏まえ、かつまた今回このように農産種苗法の改正をし、種苗法という形で優良な種苗の開発、普及を図るための体制を整備するという措置をとろうとしているわけでございますので、私ども、従来からもやっておるわけでございますが、今後とも計画的、組織的に、おっしゃるような作目についての育種の強化を図っていきたいというふうに思います。  そこで、これは水稲も入るわけではございますが、それらを含み、全体として六十三品目につきまして国として育種の基本的な計画的、組織的な進め方についての計画を持っておるわけでございます。これを作物関係育種基本計画と呼んでおるわけでございますが、五十年の六月に策定し、自来それに基づきまして、たとえば研究体制整備につきましては、その後におきまして、水稲関係を除きまして七研究室が増設をされておるわけでございます。  その中には、御指摘の大豆の関係とか、あるいは飼料作物の関係とか、そういうものが入っておるわけでございますが、そこでそれぞれの作目に即して育種の目標というものがございます。麦でございますれば、たとえばわせ麦、収穫時期の早い、せめて一週間程度現状の麦よりも早く収穫できるものができないか、あるいはまた、特に西の方では問題は深刻でございますが、赤カビ病の病害に非常にやられる。こういった病気に強い麦ができないか、たとえて言えばそういうことでございますが、作物別に育種の目標を明確にいたしまして、それを研究する体制を、国の技術研究所、農事試験場あるいはまた地域の農業試験場、それからさらには県の試験研究機関にもお願いをいたしまして、こういうところに育種の試験地というものを設けるというような形で分担関係を明確にし、そして育種の試験、それからそのために必要な研究、また育種をサポートする素材の導入でございますとか、その他いろいろなことがございますが、そういったものを三位一体組み合わせまして計画的な推進を図るということでございまして、先生御指摘のように、今後ともこういったことについて重点を入れて、特に今回こういう法律が改正されるわけでもございますので、そういう情勢を踏まえて強力に進めてまいりたいというふうに考えております。
  246. 三治重信

    ○三治重信君 主要農作物種子法には、圃場とかいろいろなことを書いてあるわけなんですが、今度のこの登録関係の仕事をやっていく、特定品種を非常にふやしていくと、そういう場合にもこの試験研究機関というものはどういう役割りを果たすんですか。それは登録関係とこの試験研究機関関係とは関係がないのか、やはりこの試験研究機関を使って登録するか登録しないのか、ある程度判定に試験研究機関の方の労を相当わずらわすことがあるわけですか。
  247. 堀川春彦

    ○政府委員(堀川春彦君) 主要農作物種子法は、米麦、大豆というような主要食糧についての優良な種の普及の助長ということに主眼が置かれているわけでございます。私どもとしては、こういった米麦、大豆というような主要作物につきまして、先ほど申しました育種基本計画の中でこれを計画的に育種の推進を図るということにしておりますから、その結果といたしまして、優良な品種ができてまいった場合におきまして、私どもとしてはこれを主要農作物種子法の普及、助長の体系にうまくつないで普及を図るということが重要であるというふうに考えておるわけでございます。  そこで、今回の法律による登録制度もさることながら、私どもこれと別途に、今回の法律改正によります登録は、主要な、重要な特徴のあるものを登録をするということが一つの登録要件になっておるわけでございます。私どもとしては、それに優秀性、普及すべきものという観点を加味した制度といたしまして、技術会議が持っております命名登録制度というものがあるわけでございます。これに乗せてまいって普及を図る。そういたしますと、ここで命名登録されましたものにつきましては、各県々では、それを県の奨励品種として採用をするという手だてになってまいります。県の奨励品種として採用するについてのいろいろ諸調査等は、この主要農作物種子法等の系列における助成制度が入ってくるわけでございます。そのほか原原種圃の設置、原種圃の設置、採種、こういった関係の品種の普及の助長の制度が主要農作物種子法に規定をしてある。これの運用と私どもの品種改良とがドッキングをする、こういう関係になっていることを御理解賜りたいと思うわけでございます。
  248. 三治重信

    ○三治重信君 今度の法律のもう一つの目標に国際条約、UPOV条約の加盟が必要であるということが説明されているんですが、しかし、国際的二国間でいろいろ種苗の交換で一番多いのはアメリカと聞いているわけです。そのアメリカは、この国際条約に入ってない。そうすると、今度新しく法律をつくっても、アメリカとの関係では国際条約というんですか、国際的な種苗の交換にはプラスマイナスはゼロ、こう考えていいのか。また、何かアメリカとの二国間協定をやるためには、今度新しく改正すると、種苗の保護が今度は徹底するから、アメリカの方との種苗の交流が特段とうまくいくというメリットが何か特別にあるのかどうか。アメリカとの関係。
  249. 野崎博之

    ○政府委員(野崎博之君) 実際問題として、アメリカからの輸出入というのは現在も行われているわけでございます。御案内のように、アメリカはUPOVに入っておりませんが、わが方も今回の法改正によりまして入ろうといたしておるわけでございまして、アメリカの制度、国内保護法のような立場と、いまのわが方の現在ある農産種苗法の立場と違いますので、二国間協定を結ぶということはなかなかむずかしゅうございます。まあ、アメリカの方もUPOVに入ろうといたしておるわけでございますし、そのUPOV条約も改正の動きもありますので、アメリカも入りわが方も入り、そういうことを通じて円滑な交流をしていきたいというふうな考え方でいまおるわけでございます。
  250. 三治重信

    ○三治重信君 そうすると、あくまで国際条約への加盟目的が主要な原因として法改正をやったんだと。それはまあアメリカもこの条約に多分入るであろうと、こういう御答弁なんですけれども、現在、じゃいままでの説明のように、国際条約に入ってないために国際的な種子の交流に非常に不便を感じておったと、だから入るんだと、そのために法改正をするんだと、こういうこととアメリカとの関係、一般の経済の輸出入貿易では、何といいますか、二五%も日本は去年より伸びている。こういうような経済関係と種子の関係とは直接には結びつかぬですけれども、そういうアメリカと日本との種子の交流には、そういう国際条約に加盟しているヨーロッパの諸国みたいには支障は何も現在のところないと、こう判断していいわけですか。
  251. 野崎博之

    ○政府委員(野崎博之君) わが国の現行制度では、アメリカと育成者の保護という点でちょっと欠けますので、アメリカとの二国間協定を結ぶということはいまのところは不可能でございますが、実際問題として、輸出入は行われておりますけれども、こういう二国間協定を結べるような段階といいますか、UPOV条約に同時に入れば、いまよりもますますお互いに育成者が相互互恵主義で保護されるわけでございますので、そういう意味で、今回の法改正ができてUPOV条約に入ればもっと交流が盛んになるであろうと、そういうふうに考えているわけでございます。
  252. 三治重信

    ○三治重信君 いまの御説明だと、アメリカとの関係で種苗の交流には現実にはそう支障はないみたいなようですが、非常に何と申しますか、種苗の国際交流というものが自由に行われるようになること、また外国の信用を得ることによって、こちらの品種改良者、種苗業者あるいは政府、地方の研究機関がいろいろの資料、データによって、こういう品種を一遍輸入してこちらの方と交配して研究してみたいと、いろいろのサンプルをとりたいと、こういう場合に、アメリカとの関係の交流が私は一番頻繁ではないかと、こう思って御質問したわけなんですが、現実にはそれほどでもなさそうなんですが、そういう問題が今後起きるか起きないか、まあ起きないように今度の改正をやるわけなんですから、アメリカとの関係もひとつぜひ前進をさしていただきたいと思います。  それで、今度は具体的な問題に追加をして御質問いたします。と申しますのは、私は日本の畜産関係と申しますか、日本の農業を転換していく場合に、畜産の発展というものが非常に必要だと思うわけです。その場合に、現在のように全部飼料は外国から入れると、幾ら自給率向上と言っておっても、畜産、動物の食糧は全部輸入に頼っている。この中でも濃厚飼料はある程度しようがないとしても、やはり飼料作物や、ことに牧草関係というような問題については、相当まだ未開発地やあるいは畑作物、水田の裏作として、また、水田の転換作物として相当品種改良をしていかないと、飼料作物にしても牧草にしても、とてもじゃないが生産性が低くてその用に耐えぬと、こういう実情だと思います。  これについて試験研究機関でも、この報告には、牧草、飼料作物を研究している施設として、農事試験場で北海道、東北、それから九州、それから飼料作物だと北陸でやっているようなんですけれども、各試験場で特別こういう牧草、飼料作物について新品種がつくられているか、あるいはこういう問題について、いままでに何と申しますか、日本では在来種で優秀なものがなかったわけですから、諸外国のものを入れて日本の在来種と交配するか、あるいは在来種の中で日本の風土にどれが適しているかという試験研究が行われるのじゃないかと思うのですが、そういう問題について、この飼料作物と牧草について、試験場と指定試験機関でどのような目的で品種改良が行われ、また若干の成果が得られているか、これをちょっと御説明願いたいと思うのです。今後この関係について、私はよほど畜産を日本に定着させるためには、新しい栽培ができる品種ができることを非常に望むものなんですが、その目標はどういうことですか。
  253. 堀川春彦

    ○政府委員(堀川春彦君) 牧草、飼料作物の優良なものをつくり出すことの重要性は、畜産の発展のために非常に重要でございますし、ひいて農業の発展、あるいは水田から畑作への転換というようなことを考える上におきましても大変重要でございまして、私ども牧草、飼料作物の育種の目標といたしましては、先生の御指摘のとおり、できるだけ増収できる品種を日本でつくり出したい。日本の気候風土に合った形のものをつくりたい。そういう面から見ますと、稠度の高い、しかも病気に強い、たとえば北の方でございますと雪腐れ病というような病気がございます、そういうものに強い品種でありますとか、南の方へいきますとこれは牧草の中で暑さに弱いものがございますから、耐暑性、暑さに耐える性格を持ったようなもの、しかもまた、家畜に食わせる飼料でございますので、栄養分が高い、嗜好性も高いというようなことで飼料価値として優秀なもの、こういったものをつくり出すというのが総体の飼料作物、牧草についての考え方でございます。  そういうことで、国立場所では、先生いまいろいろおっしゃいましたけれども、六場所で十四研究室、四十四名という陣容でやっておるわけでございまして、国立の方では牧草類については主としてオチャードグラス、トールフェスク、メドーフェスク、イタリアンライグラス、ダリスグラス、赤クローバー、アルファルファといったようなものをやっておるわけでございます。牧草以外の飼料作物としてはトウモロコシ、燕麦、グレインソルガム、こういうようなことになります。  それから、県の関係でございますが、指定試験で県には十県、十一単位お願いをしておりまして、三十五名がこれに携わっておるわけでございます。この場合の牧草類ではチモシーとかペレニアルライグラス、イタリアンライグラス、バヒアグラス、こういったもの、牧草以外の飼料作物ではトウモロコシ、ソルガム、こういったものを研究をし試験をやりまして育種に努めておるところでございます。  先ほど申し上げました農林省技術会議でやっておりますところの優良な品種の命名登録制度におきまして育成された品種は、飼料作物関係二十九、青刈りのトウモロコシを入れますと三十九ということになっております。この関係の育種は、米などと違って若干歴史が浅いということは否めない事実でございます。近年、力を非常に入れてまいってきておるわけでございます。国、県等の機能分担というものを適切に作物別に設定いたしまして進めてまいりまして、できるだけ早く優良な牧草なり、あるいは飼料作物ができ、農家に利用していただけるように持っていきたいというのが私どもの念願でございます。  なお、飼料作物関係は、全体のさっき申し上げました六十三の品目の中で、研究室の数にいたしましても、またこれに従事する研究員の比率からいたしますれば、非常に重点を置いておる作目ということにしておるわけでございます。
  254. 三治重信

    ○三治重信君 しつこいようですが、水田につくる何と申しますか飼料作物あるいは牧草で湿気に強くてしかも動物が好む品種ができつつあるのか、できているのかという問題――いまのは、水田のいわば湿地に適する飼料作物あるいは牧草に適品種ができたかどうか。  それからもう一つは、畑作物に私は豆類の栽培でこれのいい品種ができると非常に畑作の奨励になると思うんです。大豆だけは非常に政府が力を入れているんですが、まだ小豆やインゲンその他そういうものが、大豆だけになっているんですけれども、むしろ豆類はそういう大豆だけでなくて、それに類似した豆類の中に畑作物に適したものが出てくるんじゃないかと、こう思うわけなんですが、こういう畑作物について、豆類の日本の新しい品種のものができるかどうか。  その二点について質問をして、私の質問を終わります。
  255. 堀川春彦

    ○政府委員(堀川春彦君) 転作の飼料作物でございますが、これはどうしても水田を畑地に転換するわけでございますと、やはり耐湿性といいますか、湿気に強いという性格が要求をされるわけでございまして、ただいまそういったものがつくれないかということで一生懸命開発中でございます。まだ発表しておりませんが、青刈りトウモロコシ等ではかなりよさそうなものができそうだというところでございます。  それから、なお豆類でございますが、豆類につきましては、これは実は大豆を考えけみれば一番典型的でございますが、これは緯度の差によりまして適品種が非常に違う、バラエティーが非常に多いという特徴がございますが、そういう適地適産の大豆をどうして育成するかということが大事でございまして、私ども一生懸命努力をしておるわけでございます。これにつきましても、研究室を新たにつくる等のことをやりまして真剣に取り組んでおるわけでございますが、最近五年間でも大豆ではデワムスメ等四品種のものが開発をされております。  何と申しましても、水田から相当大規模に大豆に転作をするということになりますと、線虫の関係、それから鳥害の関係等いろいろの関係が出てまいります。だから、品種だけで対応はできませんけれども、たとえば耐線虫性の強い品種をつくるというようなことは非常に大きな育種目標でございまして、私どもそういう新しい時代の動向というものを十分踏まえて、研究の推進に努めておるところでございます。
  256. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 昨日の質問の中で保留されているもの、なおまだ質問ができないで解明をぜひしなければならない問題等について、御質問申し上げたいと思います。  特許庁長官、お見えになっていますか。――実は、一昨日の私の質問に対する答弁の中で、城下技監が植物特許の書類を預かってロッカーの中に三カ月間入れておいたと、このときに長官は、これは公開前なのでまだ審査が始まっていなかった、だから審査そのものには影響ないんだという意味の答弁をされたと思います。されましたね。それで、私さっそくきのう調べてみたんです。ところが、どうもちょっときのうの答弁はおかしいんでないか。というのは、この出願公開、これは六十五条の二で「特許庁長官は、特許出願の日から一年六月を経過したときは、出願公告をしたものを除き、その特許出願について出願公開をしなければならない。」、こうあるわけなんです。だから、そうしますと、何か一年半たたないと全部公開をしないような一昨日は答弁でしたけれども、これを私読んでみますと、出願公告をしたものを除き、残りのものは一年半たったらしなければならないというふうなことだと思うんですが、いかがなんですか。
  257. 城下武文

    ○政府委員(城下武文君) お答えいたします。  実は、本件につきまして、私一昨日先生の……
  258. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 本件を聞いているんじゃないんだよ、いまは。この法律を聞いているんだよ。
  259. 城下武文

    ○政府委員(城下武文君) 一昨日私が申し上げた内容は、プラクティスといたしまして一年半たてば公開になりますけれども、公開になりましてから審査を始めていますと、こういうことを申し上げました。  確かに先生御指摘のとおり、特許法第六十五条二におきましては、一年半経過したときは公告をしたものを除き公開しますと、こういうことになっております。
  260. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 そうすると、「公告をしたものを除き、」というんですから、公告する場合はあるわけですね。それはどういうものをするんですか。
  261. 城下武文

    ○政府委員(城下武文君) 現存私ども特許庁の滞貨が相当ございまして、実は実務上は、たとえば一年半以内に公告できるような状態に至っておりません。したがいまして、私ども現在特許庁内のプラクティスといたしましては、一年半前に審査に入るというような状態になっておりませんので、現状ではそのようなことはまだ起きておりません。  ただ、私ども特許庁の滞貨がずっと減ってまいりまして、たとえば一年半前に、審査できるという状態になりました暁には、御指摘のような、この条文のとおり一年半経過前に公告することができるものが出てくる、こういうことに私どもは理解しております。
  262. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 一昨日の答弁ではそういう答弁でないんです、あなた。いいですか。まだ一年半たってないので公開前だから審査には影響なかったんだ、こういう言い方なんです。いいですか。しかし、法律から言えば、公開前だって審査することはできるんでしょう。そのことをそうは言わないで、いかにも三カ月置いといたけど実害はないんだと、それはなぜかというと、一年六カ月たって公開してないんだからと。われわれ素人はそれでごまかされるんです、ああいう答弁の仕方をすると。で、読んでみたら違うでしょう。
  263. 城下武文

    ○政府委員(城下武文君) いまの御質問でございますが、私昨日申し上げましたのは、先ほど御説明いたしましたように、私ども特許庁内のプラクティスといたしまして、現在の滞貨の状況その他を勘案いたしまして、私どもとしては公開後で審査を始めるという、こういうことになっております。ただ、先生御指摘のとおり、確かに条文上は一年半前に審査をして悪いということにはなっておりません。ただ、私どもは当然これは出願に係ることでございますので、たとえば請求順で審査をやっております。したがって、そういったものの審査をするべき対象が、当然所定の一年半以内に食い込んできたような場合には、御指摘のようなことで一年半以前に公開をする、公告をするということが当然起こってくるわけでございます。
  264. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 この法律を見ると、要するに公開をするという問題と審査をするという問題とは別だということを書いてあるんでしょう。それをあなたたちおととい、いかにも公開前だからまだ審査してないんだと言ったじゃないの。そしたら速記を調べてみようか。そして、きょうになったら、そういうごまかしの答弁をまたやっているんですよ。前の答弁が間違っていたら間違っていたって言いなさいよ。あんたらそういうことで答弁をごまかすんだから。
  265. 熊谷善二

    ○政府委員(熊谷善二君) 一昨日申し上げましたのは、ただいま城下技監が申しましたことと私は矛盾はしないので、説明が十分ではなかった点はおわび申し上げたいと思います。先ほど来申し上げておりますように、特許庁の現在のいわゆる滞貨といいますか、一件当たり要処理期間というのが現在平均いたしまして逐次短縮はしてまいりましたが、現在なお平均いたしまして二年三カ月ございます。そういうわけでございますので、まだいわゆる一年半前に実際に審査に着手して処理を行う体制には、現在のプラクティスとしてはなっていないわけでございまして、公開後審査請求がありました順に従って審査をいたしているというのが、実際の実務のやり方でございます。  それで、そういう考え方で一昨日申し上げたわけでございまして、先生の方でお聞き取りの際に間違ったようにもしお聞き取りいただきました場合には、私どもの説明の仕方が悪かったのであろうと、こういうふうにいま反省しているわけでございますが、趣旨はただいま申し上げましたことで同じでございます。
  266. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 この間は、三カ月ロッカーの中に入れておいたやつは実害ないんだということの上手な裏づけのように、われわれ素人がごまかされるような立場で、公開前だから審査は始まってないんですと言われた。一年六カ月、公開に関係ないでしょう、公開ということと審査ということは。どうなんですか。たとえば一年六カ月で公開したって三年後でなければ審査できぬこともあるだろうし、一年六カ月たって長官が公開してもその次の日でもできることもあるだろうし、それは公開という制度と審査という制度とは違うということでないんですか。それをくっつけた答弁をおとといするから、ぼくら素人は、ああそんなものかと。後から見たら違うんだよ。何だこれ違うじゃないかと。何も関係ないじゃないか、公開は。  私は、おとといは公開のことを聞いたんじゃないんだよ。審査の問題を聞いたのに、一年六カ月たたないから公開前だから審査に影響ないんですって、あなたたちの方から公開という言葉を入れて、いかにも公開を一年六カ月やって、それから法的に審査という期間が始まるんだというふうにわれわれが思うような答弁をしたんだよ。そうでしょう。公開の問題は、ぼくの方から言ったんじゃないんだよ。ぼくだって、今度初めてこれを見てわかったんだよ。そういうふうなごまかしの答弁をしたら困ると言うの。いいですか。
  267. 熊谷善二

    ○政府委員(熊谷善二君) 繰り返しになるかと思いますが、城下技監が包袋を借用いたしまして実態を勉強しましたその時点におきましては、農林水産担当の審査の部におきましては、その案件の審査に着手する段階には至っていなかったわけでございます。これは法律の問題よりは、むしろ実務上の特許庁の中におきますプラクティスの取り決めと申しますか、プラクティスといたしましてその段階にはまだなかったと、こういうことを申し上げたわけでございます。先生がいま御指摘になっておりますように、公開の問題と審査の問題は法律上一応別じゃないかといった御指摘は、そのとおりでございます。
  268. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 私がおととい聞いたのも、いわゆる世間で心配している、きょうの参考人からも話があったように、特許の方に出しても、植物のこの新しい法案ができるこういう過程の中で、合意メモとかいろんなことで特許庁の方は審査をやらないんじゃないかという心配の問題点があるから聞いたんですよ。いいですか。そうしたら、それに対しては一年半、公開前だからいいんだということになったわけだ。  じゃ、いま特許の申請は何件出ているの、植物特許の。それは全体としては二十万から三十万あるのはわかりますよ。しかし、植物特許を審査する審査官の手元にはどれくらいあるんです。そんなにたくさんあるんですか。
  269. 城下武文

    ○政府委員(城下武文君) お答え申し上げます。  実は、一昨日お答えしましたように、植物特許関係では現在十三件が審査案件として残っておりますけれども、実は私ども特許庁の方では、審査官それぞれいろいろ専門がございまして、この該植物特許を担当する審査官は、特許分数でいきますと二類という類がございますが、そこで園芸というのがございます。園芸を実は担当している審査官が、その園芸の枠内で植物特許の問題を一緒に審査するということになっております。したがって、つまり植物特許を担当しております審査官と申しますのは、いま申しました植物特許関係の十三件を含めて約三百件程度のものを現在未済と申しますか、処理する案件として持っております。
  270. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 それは、園芸関係も含めて方法特許というふうなものは入るわけですか。
  271. 城下武文

    ○政府委員(城下武文君) お答えします。  植物に関する方法特許及びその他一般の園芸に関することも入っております。
  272. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 そこで、いま新しい法律ということで、特許法との関係ということをきょうの参考人も非常に心配しておりました。実際私たちの方の友達も三件も出していると。それから取り下げている人たちもいるんです。おりますわね。なかなか進まないということのほかにいろんなファクター、いずれそれはまた解明いたしますけれども、二、三人取り下げたんです。そして、それの順序というのは、植物特許だけが特別に後回しになるということはないんでしょうね。順番というのは、きちんと受け付け順なんでしょう。
  273. 城下武文

    ○政府委員(城下武文君) お答えいたします。  私ども特許庁内の審査実務のやり方といたしましては、その審査官が幾つかの専門を仮に担当いたしますと、その分野分野におきましてそれぞれ順番どおりやっております。したがいまして、たとえばいま御指摘ございました植物の特許に関する発明につきましては、これは特許の分類、いろいろ細かいそういう技術的な分類がございますけれども、その中でたしか園芸だと思いましたけれども、園芸の分野に入れておりますので、その園芸の分野のものについて順番に審査をしております。
  274. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 そうしますと、フランスのバラのメーアンさんのような問題も、確実に順番どおりにいっているというふうに理解してよろしゅうございますね。
  275. 城下武文

    ○政府委員(城下武文君) いま先生御指摘のフランスのメーアンさんのバラの件でございますが、実はまだ現在、私ども公開になったものの中には、先生御指摘のバラは入っておりません。したがいまして、恐らく公開以前のもの、特異のものでございますので、その辺の存在につきましてもはっきり私この場で申し上げるわけにまいりませんけれども、公開以前のものでございますと、当然でございますが大分順番としては後の方になります。したがいまして、順番を追って審査していくということになりますので、いずれ現在公開されているものの後に審査されると、こういうことになると思います。
  276. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 そこで、審査官の問題なんですが、これも法律を昨日調べてみました。そうしますと、「特許庁長官は、審査官に特許出願及び特許異議の申立を審査させなければならない。」、すると、審査官の手元にも書類が行っていたんでしょう。公開をしてから審査官の方に行くんでなくて、出願があって審査官のところへ書類はもう回っていたんですね、この場合。
  277. 城下武文

    ○政府委員(城下武文君) お答えいたします。  いま先生の御質問は、たとえば一年半たちまして、私実際の審査のプラクティスでは審査に入っておりますと申し上げたことに関連しまして、大体公開の前後に審査官のところに行くのではないか。としますと、公開よりずっと前に審査官の手元に書類というものは回っておるのじゃないかという、こういうことだと理解いたしますが、それで実は一昨日の件でございますけれども、たとえばハクランでございましょうか、あの件は、実は一昨年の七月五日にたしか出願されたものでございまして、私が審査官からその内容について出願書類を調べましたのが去年の春ごろでございますので、出願してから一年未満でございます。  このケースは、実は私一昨日、同様に申し上げましたけれども、五十年の暮れに審査基準を特許庁が発表いたしまして、それでその後一年有余たった段階で植物特許関係の出願状況はどうなっておるだろうかという、こういう調査をしたことはございます。これは一昨日も御説明したとおりでございますが、そのときに、そういったまだ公式には審査官としての審査ルートに上ってないものを、調査のために該当審査官の方でそういう出願書類を一応整理いたしまして、それで審査官の手元にその書類が存在したと、こういうことでございます。
  278. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 実はこの問題、合意メモの問題、それから新しい法案との関連の中で非常に育種者が心配している問題なんです、特許庁ではもう扱わないんでないかと。いろんな国会の論議も読んでみましたし、それからまた、その中に書いてあるごとで、書類もまたきのうも取り寄せてみました。昭和五十年にやっぱり審査官の独立性ということで、一昨日答弁にあったこれの判決主文を全部実は取り寄せて読んでみましたが、そうしますと、これはそういう植物特許の審査官の手元に渡ったものを、技監が理由はどうあれ借用書も出さないで持っていくということについては、これはおとといよりもきょうはもっと大変なことなんだなと。  手元にあったら、これはどういうふうに審査していくということについては、これは審査官の独立した専決事項でしょう。それを、ハクランという植物特許の問題は、問題が新聞にも出たからちょっと貸せと言って三カ月も持っていく。実はおとといあれして、きのういろいろこうやって調べてみますと、そういうことをやっているから、結局きょうの参考人のお話のような、非常に深い心配が町の中に広がっていくという大きな原因を特許庁自身がつくっているんじゃないですか。そうして、そういうものの不安の上に合意メモがあるんです。そうでないんですか。
  279. 城下武文

    ○政府委員(城下武文君) いま先生が、一昨日の例の私がこの植物特許関係の審査書類を閲覧した件につきましてお尋ねがございましたのは、その件に関していろいろ、当然六十五条でございましたか、六十五条の二によって審査してもいい時期なのだから問題ではないかと、こういうお尋ねかと思います。
  280. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 いや、そうでないの。審査期間というのはあるんだから審査してもいいんでないかと言うのでなくて、いいですか、審査宮の権限にもう属しちゃっているんだよ、独立性のある審査官の手元に行っていれば。そうすると、それをちょっと研究するからということで、受取も置かないで持っていくということが仕事の関係上大変なことだという認識について、これはぼくは長官にちょっと答弁していただきたいと思う。どうなんですか、一体。
  281. 熊谷善二

    ○政府委員(熊谷善二君) 私が一昨日この問題でお話を申し上げましたのですが、本件の場合には、審査第二部長という立場でその部下である審査官の手元にある包袋につきまして、いま問題になっております植物の新しい案件の申請ということで、実態を勉強したいということで資料を借用したわけでございますが、これはいわば上司と部下の関係でございます。同じ部の中での部長と審査官の間の書類の移動でございます。確かにいま御指摘のように、個々の審査官の判断、最終的には審査官が判断するわけでございますが、書類の保管責任という問題は、いまの場合、たとえば審査官が負うと同時に、監督をしております部長の責任でもあるわけでございます。  この部長が、部内の審査の状況につきまして実態を常時把握するということは、これまた当然の任務かと思うわけでございます。そういう場合に、一々借用書を書くべしという決めを庁内ではいたしていないわけでございまして、たとえば他部との関係あるいは庁内の書類の流れを管理するということは、これはもう当然厳正にチェックをいたしているわけでございますが、同じ部内におきまして、上司との関係におきましての書類の貸し借りという問題は、これは業務上間々あることでございます。一々その場合に、借用書を書かなければいけないということを内部で取り決めてはおりません。私は、そういうことは許されるのではないかというふうに考えておるわけでございます。この書類を他の部のしかるべき担当者に移す場合には、これははっきりとその間の授受につきましての確認をするようになっておるわけでございます。  そういう意味で、いま先生から御懸念のありましたように、本件があたかも一定の目的のもとに行われたやのごとく民間の方で不安げに見守っていた一つの原因ではないか、こういったことになったことにつきましては、私大変遺憾なことだと実は思っておるわけでございますが、借用書を部長がこの審査官に出さないで一町勉強のために借りたということは、これは上司として、部内の業務の運営上必要のある場合にはそれを行うことは許されてしかるべきでないかと私は考えておるわけでございます。先生がおっしゃいましたように、その場合でも一々全部借用書を出してやれと、こういうお考えももちろんあると存じますけれども、通常私どもの部内としては、そこまでのことは要求いたしていないわけでございます。
  282. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 それは、ちょっとそこを見たいから貸してくれと、こういうときに一々借用書というふうなことにならない場合もあるかもしれませんよ。しかし、これはもう非常に個人の権利を保護しなければならない大事な書類ですわね。これを三カ月も借りといて、それで何でもなくて、そういうことが常時行われているんですか、特許庁というのは。たまたまこれは植物の問題だったから頭に来て、ちょうどこの法案との関連もあるので、町の中で育種者が騒いだんですよ。やっぱりそういうことをやっているのかと騒いでいたんですがね。そういうことはいつも三カ月も四カ月も、おいちょっと貸せと、そして自分のロッカーに入れておくというようなことがどこでもここでも特許庁の中で行われているんですか、そうするとああいう大事な書類が。
  283. 熊谷善二

    ○政府委員(熊谷善二君) 三カ月の長きにわたってそういった形になることは異例のことかと思います。中身がなかなかむずかしいという問題と、それからまた、実際にいま審査実務上それが審査官の手元になければ困るという状況ではまだなかったわけでございますので、期間が長きにわたったということに結果としてはなったのかもしれないと思いますが、ただ、いま申しましたように、そのことが外部等に不安を与えたと、こういうことでございますれば、それは私の方で大変遺憾に存じ、おわびをしなければならぬ問題だというふうに反省をいたしております。
  284. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 たまたま植物特許の問題がエキサイトしてきたときだっただけに、よけい問題になったのかもしれません、それはね。しかし、常時そういうふうなことで、審査官の独立権限に属して審査官は領収書を出して受け取っている書類ですわね。それを、おいちょっと貸せと何カ月もあっちこっちへ上司が持っていって自分のところであれしている。審査官はそういうことについて何にも言わないで、いつもそんなことが行われているとすれば、このことも大変だと思いますけれども、そのことはまた本論から外れますからね。私たちがそういうふうに勘ぐらなきゃならないのは、きょうは通産の主計官おいでいただいているんで、そっちの方を先にやってしまいたいと思うんですが、これだけではないんですよ。きょう資料要求して資料を出していただきました五十二年度の植物特許その他にかかる研修のあれですね。  それで、主計官にお尋ねいたしますが、五十二年度は幾ら植物特許にかかわる予算として、正確な数字をひとつお教え願いたい。
  285. 熊谷善二

    ○政府委員(熊谷善二君) 私の方から先にお答えさしていただきたいと思います。私どもは現実にこの予算を執行いたしておりますので、御了承賜りたいと思います。  五十二年度の予算は、当初の予算は一千九十五万一千円でございます。で、節約等ありまして、実際の実行ベースは一千四十万三千円、この資料をお届けをいたしたわけでございます。
  286. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 それで、私はこの金を何に使ったんだかということで聞いたけれども、すぐには出ないというので、きょう資料をいただいたわけなんです。  で、主計官お考えいただきたいんですが、私のところに出てきた資料、買った木の名前だけしか入ってなかったんです。これも私はずいぶんひどい話だと思うんですよね。その予算がどう使われたかというのに、出してくれたのはそれはありがたいかもしれませんけれども、本の名前だけなんです。それで、仕方がないから私の方でこの本の値段を全部入れてみました、特許庁の方でわからないんでしょうから。細かく入れたからひとつ後で写してください。  たとえば、一番最初に書いてあるのが一万九千円、あるいはこれは一番高いので十万四千七百円というのがあります。バイオケミカルジャーナル何とかというふうなのもありますけれども、雑誌「農耕と園芸」なんという私たちが原稿を書いている雑誌もございます、四百五十円。これは雑誌ですから十二カ月分足してみました、掛け算をして。全部大体資料を集計をしてみましたら、洋書類が六十三万九百十円、雑誌類が七万八千百二十円、その他日本の国内の「育種学最近の進歩」とか、「現代生物学」、いろいろなのを入れて一万六千八百円、合わせて七十二万五千八百三十円なんです。  一千四十万三千円の否定をした中で、それは節の流用は違法ではないと思いますよ。しかし、こういうところにも私は町の人たちが心配する、特許庁はもう植物特許をやめるんだと言われる原因が、一千万も要求しておいて七十二万五千八百三十円しか使ってないんです。主計官の方は一体どういう査定をしているのです、これ。一銭一厘といえどもなんて大蔵の主計官、この間も林野でもってずいぶん厳しいことを言っていたけれど、一体主計官、これは何なんですか。
  287. 熊谷善二

    ○政府委員(熊谷善二君) ちょっとその前に、私ども実行の問題でいま先生お挙げいただきました数字は、実は私ども主なものをということで雑誌、それから単行本その他の資料を先生のお手元にお出ししたわけでございますが、金額等は入っていないわけでございまして、いま先生からおしかりを受けたわけでございますが、従来ともこの種のものにつきましてはこのようなフォームでお出しをしてまいっておりますので、何とぞ御了承賜りたいというふうに思うわけでございますが、いま先生がおっしゃいましたように、これらの件数を集計したところ七十数万というお話でございますが、後ほどまたあるいは細かい話があるのかもしれませんが、私どもの了解しております金額とは大分離れておりますので、その数字自体の問題は私どもの理解とはちょっと違っているかと存じますので、一つだけ補足さしていただきます。
  288. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 たとえば、洋書の場合、私のは船便で送ってきたときの価格ならこれくらいだろうという計算をしたんです。ですから、違うと思いますよ。ただ、違ったって一千万と九百万というような違いじゃないんですよ、これはね。多少違うというのは、おたくの方の数字も出してもらわなければ、本当はこれは本の名前だけでなくて、おたくの方が金額ぐらい入れて出してくれる、これが国会に対するぼくは礼儀だと思うんですよ。急いできょう入れさせましたからいいですけれども、おおよそのところはわかりました。金額はうちの方の推定ですから多少は違ったとしたって、当たらずといえども遠からずですよ、恐らく。節の流用はできるから流用したんだろうと思います。それは違法じゃないと思いますがね。しかし植物の研修費ということで取ったものが、七十万か百万か知りませんが、こういう本代だけになってしまうということ、こういうことについて、主計官、もしもっと別にあるんだとすれば、国会軽視もはなはだしいですよ、これが出てきてないんなら。どうなんですか。恐らく違ったってそんなに違いはしませんよ、これは。
  289. 岡崎洋

    ○説明員(岡崎洋君) ただいま先生お話しの約一千万の数字、先日も御答弁いたしましたように、植物特許にかかわるいろいろな勉強代の一項目であろうというふうに私どもも考えておりますし、そのようなものとして特許庁にも予算を査定いたしますときにお話を承りまして、そういう金が必要であろうということでつけたわけでございまして、それがいかなる内容のものに使われておるかということにつきましては、これは先生もただいまおっしゃいましたように、これは予算の中の庁費の中の一項目の使い方でございますので、それが本代になりますか送り代になりますか、いろいろあろうと思います。ただ、私どもといたしましては、予算のときにお話を承り、予算のときにこれが一番いいだろうという形のものに使われることが一番望ましいわけでございまして、もし執行の段階で事情が変わりまして、同じ目的のためにほかの形で使うということが、それはあり得るかとも思いますけれども、それは大きな事情の変化等があった場合でございまして、できる限り予算のときにお話いただいた形で使われるということが理想だと思います。  それで、その後どのようにこれが執行されたかということは、当然庁費の中のお話でございますので、私ども一つ一つについて承っているわけではございませんけれども、先生御指摘のようなお話で、その内容が非常におかしな形で使われておりますればそれは問題でございますけれども、その後この執行につきましてどういう形のものに実際に使われたかということは今後お話を承ってみたい、こう思っております。
  290. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 実はそれは、その流用を必ずしも悪いとも言えませんし、いろんな物価の問題等もあると思うんです。しかし、一千万のうち九百万、ここへ出てきている数字から見ると大体流用ですよ。これはちょっと――それだから、特許庁がもう植物の特許は投げたんだというふうなうわさが流れる原因になるんです。ですから、合意メモはますますおかしい、あの中に何かあるんでないかと、こういうことになってくるわけなんです。  そこで、主計官にぼくは注意したいのは、こういう状態でいながら五十三年もまた三百万ほど出しているんでしょう。そういう査定は一体あなたたちどうやっているの。去年のやつはどうなっているというのは聞かないんですか。恐らく聞くはずだと思うんだけれども、どんな話を聞いてことしまたつけたんですか。
  291. 岡崎洋

    ○説明員(岡崎洋君) 十年度の予算を査定あるいは御相談申し上げますときには、去年の予算の執行の状態を聞きますケースもございますし、あるいは聞かないようなケースもございます。それは個々の担当官の判断でございますけれども、植物特許にかかわる所要の経費につきまして、図書購入でありますとかいろんな勉強代につきましては、きっと査定官は、翌年度のことを考えます際に、実際の執行につきましておよそどうやっているかということは聞いておると思います。  しかし、聞いておりますけれども、それが目的に即さないで使われておるというようなお話でありますればそれはおかしな話でございますけれども、そうでなくて、植物特許にかかわる費用として必要であるということであれば、それを背景にいたしまして翌年度どういうものが新たに必要であるかということは、よくそれも承ってつけるということでございまして、先生申されました三百万と申しますのは、私が聞いておりますところでは、三百万は三百万なりに、五十三年度にいろいろな外国の文献を整理する費用として必要であるというお話でございまして、それは適当なものであるということで認めた次第でございます。
  292. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 私、これは本に何ぼかかったか聞いたんじゃないんですよ。いま問題になっている植物特許のこういうことの研修費が一千万もついたんなら何に使ったんですかというのに、これだけしか出てこないところを見ると、私、本を聞いたんでないのですよ。もう出納は閉鎖しているんです。出納閉鎖期終わっているんですから、数字は出ているんですよ。こんなのわからないはずないんです。  そういうことで、私はさすが通産省というのはおおようだなと、外国からがばがばと、ドルも余っているし――農林省の査定なんかといったら、本当にもう鉛筆なめるようにして厳しいのに、これはずいぶん通産省というのは裕福な査定をするところだなと思って実は半ば感心をし、半ば、こういう金がちゃんと使われないようなことじゃ、この法案の問題の中でこれはもう大変なことだなという感じがしましたので、ひとつ主計官、そういう点は、新しい年のをつけるんなら、前の年はどうだったというふうなことはやっぱりきちんと整理して、待ってましたとばかりに、一千万のうちの少なくとも八百万なり七百万、これは予算要求したところに使ったんだという、こういうことにひとつ御注意いただきたいと思います。このことについては、もう主計官これで結構でございますので、どうぞ。  それで、先ほどの問題、それからこういうこと、やっぱり私たちは合意メモというのは何なんだ――いや、受け付けて審査をするしちゃんとやるんですと国会でも答弁しています。しかし実際は、やはり先ほどの参考人が言ったように、それはたてまえであって、実際はやらないんだろうということに事実が帰納していくんじゃないのですか。どうなんです。
  293. 熊谷善二

    ○政府委員(熊谷善二君) 一昨日も申し上げましたが、私どもは、植物特許につきましての審査基準を発表いたしておりまして、その審査基準に従いましての審査は今後もいたすつもりでございます。ただ、従来たびたび申しておりますように、植物の特性がございますので、実際にそれ自体についての特許があり得るかどうかということにつきましては、従来はございません。今後につきましてもまれであろうと、こういうふうには考えておるわけでございますが、だからと申しまして、審査をやめて、もうこれでやらなくなったということではございませんで、審査基準に従いましての審査は今後ともやっていくつもりでございます。  それから、大変恐縮でございますが、先ほどちょっと先生に申し上げますのを説明不足でございまして申しわけないのでございますが、重ねてちょっと補足さしていただきたいと思いますのは、いま先生のお手元に出しましたこの資料整備に関します要求資料でございますが、名義的に出せます雑誌、書類、刊行物につきまして主なものということでここに出しておるものでございます。しかしながら、実際には、たとえばUPOVから送られてきます報告書あるいはアジェンダ等の翻訳、コピーといったもの、あるいはその他外国の資料のコピー、複写、こういう経費が相当かかるわけでございまして、これは一々ここに特掲するようなことはできないものでございますので、相当の部分が複写関係費に使われておると。私ども、この植物特許についての審査のために必要な書類の整備という観点で、雑誌その他、あるいは複写その他使うわけでございますが、大きく考えましてこの目的に沿った資料をやっているつもりでございますので、その点御了承賜りたいというふうに思うわけでございます。
  294. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 だんだんどうも話が――ぼくは雑誌代を、何の雑誌にかかっているか出してくれと言ったんでないんですよ。あの予算をどういうふうに使っているのか聞かせてくれと言ったんですよ。最初から資料要求したんでないんですからね、あのときも。そうしたら、本だとかいろいろ使っていますと、本のほか何だと言ったら、おとといは答弁しなかったでしょう。それじゃ資料を出してくださいとぼくは言ったんだよ。それできょうになったら、コピーだとかいろいろなものに使っていると。それなら、おとといだって言えるはずでしょう。それから、こんなに一々書かなくたって、外国からの本幾ら、雑誌代幾らだけでもよかったんですよね。私の方で言っているのは、一千万が一体どれだけ実際の研究費に使われているのだということを聞いたんだから、何ぼこんな細かい四百五十円まで出したって、本まで雑誌まで出したって、総体の金額のわからないような資料の要求を私たちはしたはずでなかったんですよ。  それをまた今度コピーしたら、コピー代だったらまとめて幾らだとやればいいので、やはり一千万のうち大半は流用したのだなと思わざるを得ないんですよ。恐らく、予算をこんなにがばっと残して国庫の方に、いやこれだけ倹約して残しましたからことしは返しますなんということは通常行われていないだろうと私は思いますので、そうすると流用したんではないかなと、何に化けたか知らぬけれども、とにかく予算要求した実際のこういうことには使われなかったんじゃないかということ。こういうことが非常な不安となって、いまのこの法案を審議する大きな実はネックの一つにもなっているんです、あなたたちがもう少しぴたっぴたっとはっきり言わないから。そういう点につきまして、コピー代幾らということまでいま長官がおわかりにもならぬかもしれませんが、おわかりになる範囲で何か御答弁ありましたら承ります。
  295. 熊谷善二

    ○政府委員(熊谷善二君) 細目につきまして御説明申し上げることはできないのはまことに申しわけないのでございますが、予算の執行につきましては、私ども今後とも十分注意をいたしまして執行してまいりたいというふうに考えております。
  296. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 こんなに細かく四百五十円まで出さぬでもいいから、雑誌代幾ら、コピー代幾ら、実際に植物研修に使ったのは何ぼだというだけ、ひとつあしたまでに出してくださいよ。これじゃ何ぼたてまえだけ言って、特許庁で植物特許を扱うんです、扱うんですと言ったって、皆さん信用しませんよ。どうですか。それをひとつ出せないことないんですから、もう出納閉鎖できているんです。あしたまでに出せますね。三行か五行でいいんです、何に幾ら、何に幾らと、節の中だけで結構ですから。
  297. 熊谷善二

    ○政府委員(熊谷善二君) たとえば複写費等につきましては、庁全体の庁費と一括してやっておるわけでございますので、この部分について幾ら幾らということの明細が非常にむずかしいわけでございます。おおよその見当ということであれば出せないことはないかとは思いますが、これは精細に一々チェックをいたしましてやったということは、なかなか裏づけをもって御説明をすることがむずかしいので、その点、お許しを賜れればありがたいというふうに思っております。
  298. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 この問題やってられないのだけれども、そういうことを言われると、そうすると結局研修費として予算要求して植物特許の勉強させますと言ったけれども、それで共通管理費の電話料だとか電気料だとか、そういうところの経費に足りないところへごそごそと回したということ、それだったらそれでもいいのですよ。はっきり言いなさいよ、そうすると皆さん安心するの。
  299. 熊谷善二

    ○政府委員(熊谷善二君) たとえば複写関係は、これは審査に必要な複写資料をいろいろ複写しているわけでございますが、これはたとえば当庁の場合には約一億円審査関係で使っておるわけでございます。そのうちのたとえば植物に関します部分が、個々の複写につきまして積み上げて合計幾らというのをはっきり出すというのとは、一括契約をいたしておる関係上なかなか積算がむずかしいということを申し上げておるわけでございまして、かなりの部分がこの一千万の中で使われておるということを申し上げることができると存ずるわけでございます。それ以上細目はむずかしいのでお許しを賜りたいと、このように思います。
  300. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 こういうことをひとつ注意してくださいね。それでないと、やっぱり特許出願した人は心配しているのですよ。ですから、国会の答弁の中で何ぼたてまえだけ言っても皆さん本気にしないで、余りへたなことを言うとかたき取られるから、まあわしもいやだ、わしも出るのいやだなんというようなことになって、悪口言う方には回らないことになってしまうんです。陰では皆、腹で心配していながら。  そこで、実は先ほどの参考人のお話の中で、こもごも言われていたことの中で、外国からもいい種をもらいたいと、そしてそのためにはひとつ早くこの法律を上げて、その上で植物の国際協定に入ってくれということを盛んに言われておりました。で、私もその点につきまして、詳しく実は調べてみた結果、大変いろいろな問題をその中で逆に考える事態になってまいった次第でございます。と申しますのは、アメリカの特許の問題等も出ておりましたが、アメリカの特許法、先ほども参考人はちらっと言っておりました。しかし、これを条文を読んでみますと、アメリカの場合には両方に、有性繁殖と無性繁殖を分けております。そして、「植物特許の場合には、特許の付与は、他人がその植物を無性繁殖させることまたはその無性繁殖させた植物を販売もしくは使用することを排除する権利を与える。」ということで、植物特許で与えているのは無性繁殖だけです。そして、これはもう明らかに権利として与えております。  それから、中央会の小口さんが言っておられましたUPOVの関係につきましては、植物特許の関係につきましてこの条約の第一条は、「この条約は、新規の植物変種の育成者又はその権利承継人の権利であって、その内容及び行使の態様が以下に定められるものを承認し、かつ、その者のために当該権利を確保することを目的とする。」ということで、明らかにこれはもうその人の権利だということをこの条文は言っております。それから、第五条で「新規の植物変種の育成者又はその権利承継人以外の何人も当該新規の変種を有性生殖的又は無性生殖的増殖材料として商業取引のために生産し又は当該材料について販売その他の取引の申込をするときは、当該育成者」云々というふうなことで、ここでも育成者の権利というものを非常に強く守っております。  さらにまた、そのことについては、先ほどの参考人も昭和五十二年十月に、植物新品種保護制度制定推進協議会として、偶然にも全国農業協同組合中央会と日本種苗協会の二者の連名で要請書が出ております。そして、きょうおいでになった参考人お二人は、それぞれの代表として参りました。そして、その代表の方にも確認いたしました、ここに書いてあることを。これは農林省の皆さんが、これらの方々もやってくれと言っているから早くやらなきゃならないんだということを、国会の答弁の中で、そして十分相談をしてやったんだということを言っております。ですから、私はこの書類でもって確認しました、きょう。  そうしますと、ここの中には「新品種育成者の権利保護を図るため諸外国においては、特許法とは別に植物新品種保護法を次々と制定しつつあるが、種苗の国際交易の拡大に伴い、わが国もこれらの諸国との間で新品種育成者の国際的な権利保護を図ることにより、新品種種苗の国際交易の円滑化を推進することが強く要請されている。このような情勢にかんがみ、わが国においても諸外国と同様、新品種育成者の権利保護を通じて育種の振興を図り、」――こういう要請が出ているんです。本日確認しましたら、まさにそのとおりだということです。そうすると、農林省の皆さん方が再三にわたって御説明をいただいておるこれらの各種諸団体の強い要請もあり、さらにこれらの方々ともよく相談したというのは、きょうの参考人の御意見等を聞いても、こういうものをつくってくれということでなかったんですか、どうですか。
  301. 小島和義

    ○説明員(小島和義君) お話ございましたように、新品種の育成者の権利保護ということが通常の私どもの命題として言われておるわけでございまして、私どもも口頭では育成者保護あるいは権利保護、こういうふうなことを随所に申し上げております。要請者もまたそういうふうなことで、権利保護ということを農林省に要請をしてきておるわけでございます。  お尋ねがありますのは、しからばそういうものを受けましてこの改正法の中にこれを権利保護という文言を入れるか、あるいは権利法として仕組むかという問題は、これはおのずから別な問題でございまして、要請がありますような育成者の実質的なその権利を保護すると、こういう目的という点におきましては、今回の法律の内容というのは条約の中身に照らしましても十分なものであると、こういうふうに私どもは考えておるわけでございます。
  302. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 本当ですか。条約の中身に照らして、その条約、いまこの私の読んだ訳がいいのか悪いのかわからないけれど、そちら側の訳したのがあるんでしょう、農林省に。
  303. 小島和義

    ○説明員(小島和義君) まあ条約は、私どもの翻訳いたしましたものを手元に持っておりまして、これを申し上げますと大変長くなるのでございますが、さわりだけ申し上げますと……
  304. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 一条はよろしゅうございますか、それで私のは。
  305. 小島和義

    ○説明員(小島和義君) 一条は、これは翻訳で横文字を日本語にいたしますので、多少ニュアンスが変わっている点はございますが、大体そういうふうな意味でございまして、一条におきましては、「育成者又はそれの承継人の権利を承認し、」……
  306. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 いいです、それは読んだから。二条はどうなんです。
  307. 小島和義

    ○説明員(小島和義君) 二条は、「(保護の方式)」でございます。三条は「(内国人待遇)」……
  308. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 ちょっと二条を読んでみてください。
  309. 小島和義

    ○説明員(小島和義君) 「すべての同盟国は、」……
  310. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 それをもらいましょうか、私の方で。一々読んでいると時間かかりますから、私の方の訳が違ったら因るんで、そちらと照らし合わせて。
  311. 小島和義

    ○説明員(小島和義君) これは横文字を縦文字にいたします場合に、いろんな翻訳が出てくる。しかし、趣旨は恐らく語学力が違ってない限りは、そう変わってないものと考えておりますから……
  312. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 それじゃ二条だけ、ちょっとひとつお願いします。
  313. 小島和義

    ○説明員(小島和義君) まず一項に「すべての同盟国は、この条約に定められた育成者の権利を特別な保護権または特許権によって承認することができる。ただし、国内法においてこの二つの方式による保護を認める同盟国は一つの植物の種類についてはその中の一つの方式だけを適用することができる。(2) 項 この条約において「品種」とは、栽培でき、かつ、第6条(1)項の(c)及び(d)に規定する要件を満たすすべての品種、栄養系、系統、ストック又は雑種をいう。」、以上でございます。
  314. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 「同一の植物の属又は種のためにそのうちの一個の」、ちょっと違いますけれども、大体同じですか、それと。「一個の形式のみでの保護を規定することができる。」という訳と同じでございますか。
  315. 小島和義

    ○説明員(小島和義君) 後ほど確認させていただきますが、いま聞き取りました限りでは、大体同じような意味だと思います。
  316. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 きょうはこの問題をあれしようと思っているんですが、実はこれは恐らく農林省がそういうふうな訳をやったので、大体似たような訳が流れているんだと思うんです。ところが、その訳は何からとりました、訳の本文は。
  317. 小島和義

    ○説明員(小島和義君) UPOVで発行いたしております「インターナショナル・コンベンション・フォア・プロテクション・オブ・ニュー・バラエティーズ・オブ・プラント」という書物を、日本語に翻訳をいたしたわけでございます。
  318. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 そうすると、原文は何語でございますか。
  319. 小島和義

    ○説明員(小島和義君) 英文でございます。
  320. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 そこで、農林省がそういう訳をするので、日本の国内ではUPOVの条約というのはこういうものだと思っているんです。いいですか。  外務省おいでになっておりますね。――実は、この条約はフランス語が本文ですね。フランス語が本文で、それから後、加盟各国の原文に直しているということで、これは条約の冒頭にありますね、ちょっと読んでいただけませんか。
  321. 小林俊二

    ○説明員(小林俊二君) 仰せのとおり、この条約はフランス語が正本でございまして、公式の翻訳といたしまして、オランダ語、ドイツ語、英語、イタリア語、スペイン語が作成されることになっております。
  322. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 そこで、この二条、フランス語の方から実は翻訳してみたんです、フランス語が本文ですから。そうすると、これちょっとニュアンスが全然違うんです。「ヌ・ドア・プレボアール」というのは否定語ですね。私の発音が悪かったら、これ、原文を持っていってください。その原文であるフランス語からそういう訳が引き出せますか、肯定的な。いま、農林省で英語から訳したというのは、「同一の植物の属又は種のためにそのうちの一個の形式のみでの保護を規定することができる。」というのは肯定語です。ところが、フランス語から訳しますと、そこは、「ただし国内法がこの二つの形式の下での保護を認める締約国は、その両者で同一属の植物あるいは同一種の植物を保護してはならない。」という否定語でしょう。でないですか、どうですか。
  323. 小林俊二

    ○説明員(小林俊二君) フランス語の場合の「ヌ」は否定語でございますけれども、ここにございますのは、「ヌ・ドア・プレボアール・ク」とございまして、「ヌ――ク」というのは、英語のオンリーに当たりますから、何々のみが何々されるということでございまして、肯定文に翻訳することも可能でございます。
  324. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 しかし、それを肯定文に翻訳される、することも可能だというのも、その場合もそれは否定の肯定ですわね。たとえば英語のあれを見ますと、日本語にこれは訳してありますから日本語に訳しますと、フランス語の原文を訳すと、「同一種の植物を保護してはならない。」ということなんですよね。ところが、これを英語から日本語に訳した方を見ますと、「同一の植物の属又は種のためにそのうちの一個の形式のみでの保護を規定することができる。」という場合には、一個の形式のみでできるという肯定は、二個を否定していないんですよ。ここで、フランスの本文からとったのと、英文からとったことのこのUPOVの条約の解釈の違いというのは、日本に入ってきて日本語に訳しますとこんなに違っていくんです。  しかし、幸いなことに、日本にはフランス語の本文のUPOVの条約書、農林省にないでしょう。ありますか。――大体日本の国内に入ってきているのはこれ一つだと思うんです。いいですか。これがUPOVのフランス語の本文なんです。ありますか、農林省に。ある、あったらそれはひどい。どうして本文から訳さないのですか、英語から訳して。ぼくはないからだと思っていた。あったとすれば、当然フランス語から訳すべきですよ。
  325. 小島和義

    ○説明員(小島和義君) これは私どもの利用できます語学力の制約もございますものですから、英語から翻訳をして使っておるわけでございますが、誤解があるといけませんので申し上げますが、私どもがその翻訳をつくりました時点というのは、最初の翻訳書ができましたのは昭和四十七年の時点でございまして、当時におきましては、先生が御心配になっておられるような特許法と植物の新品種に関する保護制度の重複という問題は、当時といたしましては特許法の適用除外というふうな形で、いわば特許法に穴をあけるという前提で物事を考えておりました時期でございますから、翻訳を行うに当たりまして何らかのそこに作為があったという事実は全くございませんで、もし翻訳の適正を欠いておるとすれば、私どもの利用できます語学力の貧困ということになるのかと思います。
  326. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 実は、私は非常にこういう点で疑問に思うのは、正本が私ないと思ってまだ善意に解釈していたんです。あるなら、フランス語が正本だということは条約に書いてあるのですから、英語から訳さなくて、当然フランスの正文、正本から訳すのが常識ですよ。いいですか。それをわざわざ英語の方に一遍フランス語から訳したやつを、もう一遍日本語に直すとずいぶんニュアンスが変わってくる。そういう訳し方をして、UPOVの条約はこういう条約ですよということを皆さんたちが何となく流すと、日本の国内では否定のフランス語の正文よりも、逆に言うと、いまのように適用することができるという、そういう方向に行ってしまうんですよ。いいですか。  そこで、私はこう思った、ははあ合意メモの内容はこれだな、国内ではこういうことでこれで行けるのだと、だからこの法律で大丈夫なんだと、こういう説明しますわね。そうして、今度はUPOVの方に向けては、いや国内の法律では不十分なところは両庁間の合意メモがございますと言って、われわれに出せないメモが外国に行くんじゃないですか。そういう勘ぐりをするのです。なぜなら、合意メモの内容、この法律の持っている欠陥、特許法の審査官の独立権その他、非常に微妙なところで違法性を持った面があるからなんです。いいですか。そういう使い分けをするんじゃないかという、私は非常に疑点を持つんです。ですから、この問題については農林大臣にひとつお願いいたします。  実はその前にひとつお願いいたしますが、大臣がおらないときの政務次官の答弁というのは、大臣にかわっての答弁というふうに御理解してよろしゅうございますか。
  327. 中川一郎

    ○国務大臣(中川一郎君) 結構でございます。
  328. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 そうしますと、さっきの合意メモなんですが、これは昭和五十三年の五月三十日、今井政務次官が野坂委員の質問に対して、これは全部読みますが、衆議院の農水の委員会で、「メモと申しますのは、両省が法案を提出します際にいろいろ話し合ったものの確認事項的なものでございまして、まあ言って見れば役人同士の覚書みたいなものでございますから、秘密事項でも何でもございませんが、その内容については、どうしても出せとおっしゃるならいたしますが、」ここ出すということを承知しているんですね、「いたしますが、あけてびっくりというものでございまして、何もないものでございますから、御了承賜ればと思っております。」と、こういうことで、ゴリ押しで抄訳が出てきたんです。  しかし、「どうしても出せとおっしゃるならいたしますが、」ということは、これは肯定しているんですよね、日本語で。大臣が「どうしても出せとおっしゃるならいたしますが」と、国会で約束したということです。私はきょう最後にこのことを、どうしても出してください。
  329. 中川一郎

    ○国務大臣(中川一郎君) 政務次官の言ったのはまさにそのとおりでございまして、どうしても出せということであるならば、どうぞ院の決議によって国会の御決定がありまして出せというなら出しますが、あなたが出せと言ったからといって、出す資格のものではございません。
  330. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 ここは、そういうことを言ってないんですよ。院の決議で――どうしても出せと言ったら、出しますと言っているんですよ。衆議院でどうしても出せと言ったら出せるものが、参議院でどうして――ただ、衆議院の野坂さんは大変おとなしい人だと見えて、どうしてもと言わないんです。私はこういう問題があるので、これからの審議の上でどうしても必要だと思うんです。ですから、どうしても出してください。
  331. 中川一郎

    ○国務大臣(中川一郎君) どうしても出せという意味は、いろいろあるでしょうが、私どもはどうしても出せというなら、どうぞ国会の審議権において必要だからということであれば出しますが、ただ申し上げておきますけれども、これは本当に何もないのです。特称庁が審査も受け付けれるし、審査もできます。そして、特許の許可もできます。しかし、現実は過去もなかったし、今後もありませんでしょうから、ひとつ農林省でやっておきましょうと、こう言っただけなんです。そこが怪しい怪しいと言いますけれども、申請もできるのだし、受け付けもできるのだし、受け付けたら審査官という独自の権限を持った人が権限あるのですから、それを疑う私は気持ちがわからない。  これをどこの段階で押さえられるのか、もし怪しいことがあって、だれかのところへ行って申請書は出さないように出さないように、そしてまた審査官に、それが来たら審査しないように、意地悪するようにだれか指示するようなものがあったら、たちまち国会の御指摘を受けてやられることは明らかなことを、何でそんな疑われるような約束を文書にしなきゃならぬかということは明らかだと存じますので、どうかひとつ疑わないように、決して中身はそんな怪しいものはありません。現実は申請もできます。申請をすれば審査もできます。そして許可もできますが、過去はなかったし、今後もないであろうから、ひとつその部面はわが方でやりましょう、こういうことでございますので、どうかひとつ私の方から御理解をいただきたいと存じます。
  332. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 ちょっと大臣、私のさっきの質問、よくお聞きいただかなかったんじゃないか。私は、いいですか。フランス語の正本では、一つの、同一植物属または種について両形式のうち一つしか適用してはならないというUPOVの条約の条文があるんです。ですから、いま大臣のおっしゃったように、両方でできるんだということになったら、これに加盟できないのですよ。いいですか。だから、それはこの法律で、いやその両方あるから本当はできないけれども、それは両省庁間で覚書をしているということで、UPOVの方に向いては、法律案に覚書をくっつけて出して参加するという苦肉の策を考えたんでないか。だから、出してくださいと言うのです。何も疑っているんじゃないのですよ。
  333. 川村清一

    ○川村清一君 ちょっと議事進行について発言いたします。  いま丸谷委員から要求されている資料は、本法案を審議していく過程できわめて重要な資料だと私も判断いたしますので、この取り扱いについては理事会でひとつ決めていただきたい、委員長に要請いたします。
  334. 鈴木省吾

    ○委員長(鈴木省吾君) 理事会で協議をいたします。  本案に対する本日の質疑はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後六時三十一分散会      ―――――・―――――