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1978-04-13 第84回国会 参議院 外務委員会 13号 公式Web版

  1. 昭和五十三年四月十三日(木曜日)    午前十時十五分開会     ―――――――――――――    委員の異動  四月十二日     辞任         補欠選任      田渕 哲也君     和田 春生君  四月十三日     辞任         補欠選任      和田 春生君     三治 重信君     ―――――――――――――   出席者は左のとおり。     委員長         安孫子藤吉君     理 事                 稲嶺 一郎君                 鳩山威一郎君                 戸叶  武君                 渋谷 邦彦君     委 員                 亀井 久興君                 秦野  章君                 町村 金五君                 三善 信二君                 上田  哲君                 小野  明君                 田中寿美子君                 矢追 秀彦君                 立木  洋君                 三治 重信君    国務大臣        外 務 大 臣  園田  直君    政府委員        防衛庁長官官房        防衛審議官    上野 隆史君        外務省アジア局        長        中江 要介君        外務省経済協力        局長       武藤 利昭君        外務省国際連合        局長       大川 美雄君        海上保安庁次長  向井  清君    事務局側        常任委員会専門        員        山本 義彰君    説明員        外務大臣官房領        事移住部長    賀陽 治憲君        外務省経済局外        務参事官     羽澄 光彦君        運輸省船舶局検        査測度課長    辻  栄一君        運輸省港湾局港        政課長      勝野 良平君        運輸省港湾局計        画課長      小池  力君        労働省職業安定        局特別雇用対策        課長       清水 傳雄君    参考人        国際協力事業団        総裁       法眼 晋作君     ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○参考人の出席要求に関する件 ○国際協力事業団法の一部を改正する法律案(内  閣提出、衆議院送付) ○安全コンテナーに関する国際条約(CSC)の  締結について承認を求めるの件(内閣提出)     ―――――――――――――
  2. 安孫子藤吉

    ○委員長(安孫子藤吉君) ただいまから外務委員会を開会いたします。  委員の異動について御報告いたします。  昨四月十二日、川渕哲也君が委員を辞任され、その補欠として和田春生君が選任されました。     ―――――――――――――
  3. 安孫子藤吉

    ○委員長(安孫子藤吉君) この際、参考人の出席要求についてお諮りいたします。  国際協力事業団法の一部を改正する法律案審査のため、本日、参考人として国際協力事業団総裁法眼晋作君の出席を求めたいと存じますか、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 安孫子藤吉

    ○委員長(安孫子藤吉君) 御異議ないと認め、さ  よう決定をいたします。     ―――――――――――――
  5. 安孫子藤吉

    ○委員長(安孫子藤吉君) 国際協力事業団法の一部を改正する法律案を議題といたします。  本案につきましては、すでに趣旨説明を聴取しておりまするので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  6. 戸叶武

    ○戸叶武君 法眠総裁も出て来ておりますし、国際協力事業団法に関してはきわめて重要な、法の一部改正とは言いながら今後における具体的な施策の方向づけを行うものでありまして、質問をいたしたいと思いますが、その前に、一夜明くれば年じゅう事件が起きるのが福田内閣の特徴でありますが、きょうは尖閣列島の問題がやはり新聞で伝えられております。きわめて緊急を要するもので、後でじっくりこれは論議されることと思いますが、とりあえず尖閣列島の問題に対して政府は緊急にどう対処するか、それを承りたいのであります。  ソ連からも中国からもアメリカからも、集中豪雨のように、とにかく福田内閣は揺すぶれば揺れて動きがとれなくなってしまうというのを見定めた上で、そういう集中攻撃が加えられているのであります。先ほど行われた高等学校の選抜野球でもそうでありますが、やはり弱いと見たら集中安打が続けられて、そして逆転するのが通例になっておりますけれども、福田内閣も列国からそのように見られてきたんじゃないかと思うんですが、その辺は、外務大臣、どう受けとめておりますか。
  7. 園田直

    ○国務大臣(園田直君) まず、お答えをする前に、事実関係を事務当局から報告させます。
  8. 中江要介

    ○政府委員(中江要介君) 正確な事実関係は、海上保安庁で昨日の昼過ぎからけさの段階までのをいま改めてつくっておりますの外、その作成の結果を待って御報告できると思いますが、大体の動きは、御承知のように、昨日、中国漁船と大体間違いないと思われるものか百隻前後尖閣諸島の十二海里のわが方領海にまたがって漂泊したり、停錨したり、あるいは操業したりということかございまして、海上保安庁でその領海内に入っております船舶についてこれに警告して退去を要請するという手段をとって、一時だんだんその操業している漁船の数が減って、昨日の午後七時現在では一たん全中国漁船と思われた船か領海外に退出したんでございますけれども、その後、また改めて数隻ずつ領海内に入ってきたということでございまして、昨日の夜中にまた領海外に全部退出いたしましたが、けさからまた領海内に入ってきているというようなことで、事態が刻々出たり入ったりというようなことが繰り返されておりまして、いま、ただいま現在、どの程度の船か操業しているかというのは、冒頭に申し上げましたように、海上保安庁の正確な報告を待って御報告いたしたい、こう存じております。
  9. 戸叶武

    ○戸叶武君 事実報告は、現段階では、その程度で結構と思いますが、問題は、こういう緊急に突発とも思われるような、あらかじめいろいろな問題は内在するが、それか起きたときはどう対処するかという心構えはすでに外務省でもできておったものと私は思いますが、これに対しては外務省では応急の措置はどういうふうに現在とっておりますか。
  10. 園田直

    ○国務大臣(園田直君) ただいまこれに対する措置を命じてきたところでありますか、その措置は、中国側にこちらの申し入れが終わると同時にでなければ内容は発表できません慣例がございますから、本委員会が続行中に申し入れを終わったという報告を受ければ、その内容については御報告をいたします。
  11. 戸叶武

    ○戸叶武君 私が外務大臣に数回にわたって警告を促しているのは、激動変革の時代にどういう問題が起きるかわからないような状態のときに、外務省はしっかりとした情報網を持って、それか何が真実か、どういう原因でそういう動きがあったか、そういうことだけでもやはりキャッチして、そしてそれに対処する姿勢をいつも持ってもらいたいということを要望しておいたのですが、尖閣列島の問題に関しては潜在的なこれは一つの問題点でありましたんで、十分これに対処するあの場へこの場合という処置方法は考えておったと思いますが、その政府側であの場合この場合を考慮しての対処方法はどういうことを考えておりましたか。
  12. 園田直

    ○国務大臣(園田直君) 尖閣列島の問題については、終始一貫言っておりますとおり、わが国の固有の領土で、サンフランシスコ条約のときにもどこの国からも異議なく、沖繩返還の際にもどこからも異議なく、その後、尖閣列島周辺に石油の埋蔵量が大きいという情報が出てから台湾の方から抗議が出、中国の方から抗議が出たわけでありますが、その後、これに対する正式な抗議はないわけでありまして、したがって、わが方がこれの主権を行使しておりますから、わが国のものではあるけれども、横やりを入れられているわけでありますから、いつの日にかこれは話し合いで平和的な方法で解決をしなきゃならぬとひそかに準備をしておったところでありますが、今度、集団した漁船か尖閣列島沖並びに一部か領海に入っていることは予期せざるところでございました。
  13. 戸叶武

    ○戸叶武君 尖閣列島の問題は一つの事例でありますが、このようなことに対していままで中国側はきわめて冷静にして慎重な態度を持しておったのですが、最近の自民党内の野放しの一つの論争において、尖閣列島の問題でも何でもあらゆる問題を持ち出して、日中平和友好条約をぶち壊しさえすればいいというような動きが露呈してきたので、このままじっとして座視していると、中国側は、どっちを向いて走っているのかわからない福田内閣と外交交渉をやる上においてきわめて不利と察知して、こういう一部の行動も起きたのではないかとすら思われる節もあるのであります。  禍乱は内から生まれておるのです。そういう点において私はこのままじんぜんとして時を過ごしておくと、ソ連からも無理難題か北からも起きるし、南からもこういうような突き上げがあり、朝鮮からも問題が起きて、東西南北から無性格な日本の主体性のない外交に対しての袋だたきが始まることを憂えるのでありますが、外務大臣はいつも楽観的に物を見ているようですが、この辺はどうでしょうか。
  14. 園田直

    ○国務大臣(園田直君) 私は決して楽観的に物を見ているわけではございません。しかし、このような問題が起きてはならぬので、友好条約をなるべく早く締結をして、その上でこういう問題の話し合いをすべきであると考えておったわけでありますが、その重要な時期にこういう事件が起きたことはまことに遺憾でありまして、事はきわめて重大であり、重大な関心を持ってこれを見ているわけでありますが、いずれにいたしましても冷静に事実をまず把握することが大事でありますから、事実の把握ということを重点にいま事を進めているわけであります。その結果によってそれぞれ判断をいたし、行動したいと考えております。
  15. 戸叶武

    ○戸叶武君 その外務大臣の意見には賛成です。やはり第一に事実の把握と、もう一つ一番大切なことは、どんな激浪にさらされても、みずからの主体性を崩さないで、外交には一貫性が必要であるということ。いまのように福田さんの聡明にして柔軟な策というものはわれわれでははかり知れないものがありますが、このごろの柳のように右に揺れ左に揺れていれば折れっこはないかもしれないか、頼りげがない。こういうバックボーンのない外交というのは、これは福田内閣以前においては世界でも余り類例のない外交です。柳に風と受けとめられるような時勢よりはもっと厳しい時勢にわれわれが置かれているということを認識しなければ、日本の外交を福田内閣にゆだねることはできないという国民的な義憤も私はそろそろ生まれてきていると思うのでありまして、その辺は万事心得ての宮仕えと思いますが、園田さん、これはしっかりやらないと日本は袋だたきになりますから、答弁は要りませんが。  それと次は、おとといも問題になったソ連の国連における事務次長というのは、ソ連における外交官の中においてエリート中のエリートです。その男か酒のためとか女のためとかというのでぐらつくようなことは俗人の見ることであって、少なくとも私は出光国連における重要なポストを持っている外交官が、苦脳の限りを尽くしてソ連から離脱していかなけりゃならないというような思い詰めた事態が生まれてきているのは、ソ連がこのままの状態でいくならば国際社会から孤立して外交ができなくなってしまうんじゃないかということを憂惧しての私は彼は彼なりのやはり一つのソ連の外交方針のマキャベリズムに対する一個の最後の抵抗かとも思われる節々もあるのです。私が断定することは今日において奇異になりますが、政府にはこの方に関する情報をキャッチしてくれ、正確な情報をキャッチしてくれと私はいち早く頼んでおりますが、どの程度まで各国はこの問題に対して一つの批判を行っていますか、見方を行っていますか。それを大臣の意見としては発表できないでしょうが、出先外交機関における情報収集において、このようないろいろな取りざたがされているというだけでも二、三の点紹介してもらいたいと思います。
  16. 園田直

    ○国務大臣(園田直君) 日本の外交で、特に注意しろと仰せられましたことは全くそのとおりでありまして、どこの国に対しても主体性を維持し、日本の外交方針を堅持をしてこれに当たる覚悟であります。  次に、いま御質問のシェフチェンコ事件でございますが、この事実はすでに新聞で発表されたとおりでありますから、国連事務総長スポークスマンの発表はこれは省略をいたします。  そこで、発表文は亡命の語句を使ってはおりませんが、そのような含みのある発表でありまして、わが方としては、現在、国連並びに各国のこれに対する反応の情報を収集している段階でありますが、各国ともなおこの事実の認識に努めておるところであって、いまなおこれに対するコメントは発表いたしておりません。
  17. 戸叶武

    ○戸叶武君 これは国連機関における要人の行動に関する生命にもかかわる問題でありますから、国連の機関からも慎重な発表がなされたのだと思いますが、ジャーナリズムの一部がいろんな放送によってつくり上げられているような単なる酒、アル中だとか恋愛問題だとか酔っぱらいの演じたんだとか、そういうものよりは私は深刻な受けとめ方をしなければ、複雑怪奇の今日の外交舞台における各国の出先の要人というものがどれだけ苦悩しているか、本国と世界の流れとの間のギャップに立って、自分の身を処することもできないような苦悩の限りを尽くしていることは、私はこの一事においても想像することができるのであります。  やはり物事に対して冷酷な皮肉な見方よりも、もっとおのおのの人々のこの苦悩の限りを尽くしている苦悶の姿をくみ取っていかなければ真相というものは把握できないのじゃないかと思うんです。推理小説的な物の見方でなくて、国際外交の舞台において第一線において闘っている人が世界の潮流と自国における主張との流れの間にはさまれてどうやって苦悩しているか。日本においても佐分利公使の自殺事件というのもシナ事変の前に起きております。そういうこともうやむやの中にすべては過去においては興り去られておりますが、今日激動変革の中において、複雑怪奇をきわめるこの国連を舞台とした中においても、この一事というものは単なる三面記事的な推理小説的な取り扱いで処理すべきものではないと思いますので、後日、改めて外務省においては正確な事実を知るための資料を提出してもらいたいと考えておりますが、外務大臣よろしゅうございますか。
  18. 園田直

    ○国務大臣(園田直君) 国連並びに各国からの情報が集まりましたならば、整理をして御報告をいたします。
  19. 戸叶武

    ○戸叶武君 それでは、この問題は緊急を要する問題ですから簡単に二、三の点を質問したのでありますが、転じて、さらに、外務大臣と農林大臣の間には右と左の考え方の違いがあるんじゃないかと新聞では報じておりますか、前の質問においてさようなことはない、漁業の問題は漁業の問題で農林大臣が国民の利害に関する問題で一生懸命やっているんだということを聞きましたか、この生産漁民、漁業に従事する労働者の苦悩というものはイシコフが一番知っているはずであります。彼が本当に日本の沿岸漁業の漁民の苦悩というものを理解したならば、いままでのソ連がとっているような態度とは変わった結論を下さないとも限らないと私は彼には期待しておるのでありますが、いままでの情報においては、外務大臣、どういうふうな見通しがついておりますか。
  20. 園田直

    ○国務大臣(園田直君) ただいまちょうど交渉中でございますから内容をつまびらかにするわけにはまいりませんか、日本とソ連側の代表との話し合いはだんだんと進んでいるようでありまして、厳しい中ではありますが、一歩一歩、農林大臣は努力をしてその成果を上げているようでございます。
  21. 戸叶武

    ○戸叶武君 真実を語り合って、そうして物を煮詰めて問題解決に当たる、この相互理解が不足しているところにもろもろの悲劇の根源はあるのでありまして、その相互理解の欠ける原因というものは、前に外務大臣か言ったように、何が正しいかというものに対する明快な回答と外交当局の主体性を失っているところに問題の紛雑の原因が私はいつもあると思うのであります。そういう意味において、いやなことでもむずかしいことでも進んで外交に携わる人たちが身を挺して事に当たるという姿勢ができないと、いまのような、経済においてもそうだが、外交においても福田内閣のもとにおいてはぐずついてばかりいて八方ふさがりだというような状態が私は醸し出されているのは、福田さんは自分の不徳であるでそれで済むかもしれませんが、国民として私は黙視することができないものがあると思います。そういうことを福田首相並びに園田さんに私は警告しておきます。  そこで、今度は一転して、国際協力事業団法の一部改正に関する法律案の政府提案の理由説明は前に承っておりますから、本日は、法眼総裁も出ておりますので、外務大臣と法眼総裁から、「政府は開発途上地域の経済及び社会の発展に寄与する見地から、無償資金協力の一層効率的な実施を確保するため、今般新たに国際協力事業団に、技術協力と密接に関連する無償資金協力の促進に必要な業務を行わせる」ことである。その新規事業の手始めは、国際的約束に基づいて技術協力またはこれに密接な関連性を有する事業のための施設の整備を目的として行われる無償資金協力の実施の促進のため、調査、あっせん、連絡その他の業務から出発するものであるというふうな説明がありましたが、現に、そのようなこれに要する調査、あっせん、連絡、その他の業務においてはどれほどの実績を積んでまいっておりましょうか、今度この法案が通ることによって電光石火のようにそれを行うんだという意味でしょうか、その辺のことを大臣並びに総裁から承りたいと思います。
  22. 武藤利昭

    ○政府委員(武藤利昭君) 無償援助の具体例というようなことからまず御説明いたしたいと思うのでございますか、従来、わが国といたしましては、開発途上国に対します無償援助というものを重点的に行ってきたわけでございます。  無償資金協力と申しますのは、これは非常に援助の効果が高いということもございまして、開発途上国の住民の福祉向上あるいは民生の安定に寄与する面が多いわけでございますので、そのような対象分野、すなわち医療とか保健とか教育とかいうものを重点分野と指向いたしまして行ってきたわけでございますが、その実際の実行に当たりまして、たとえば最近行いましたタイに対します無償資金協力といたしまして東北タイに技能開発学校というものを設立したわけでございますが、この資金協力のやり方について簡単に御説明いたしますと、このような無償資金協力を行うに先立ちまして事業団の方から調査団を派遣いたしまして、技術協力の一環として技能開発学校を設立するに当たってどのような計画でどのような学校を建てたらいいかという調査を行いまして、そのような事業団で行いました調査の結果に基づきまして、無償資金協力といたしまして十億円を供与して、それで学校の校舎だとか寄宿舎だとか、あるいはその教育に必要な器材の購入等に必要な資金に充てるということをしたわけでございます。そして一たんこのような学校ができました暁には、今度はさらにまた事業団の方から専門家が参りまして、日本の無償資金協力で建てましたこの学校に日本の専門家を配置いたしまして、現地の人たちの教育に当たるというようなのか典型的な例でございます。  このように従来から無償資金協力と技術協力とは密接に関連性があったわけでございますが、従来は、この無償資金協力の部分につきましては外務省がこれを直接行っておりまして、ただいまお示しのございましたような「調査、あっせん、連絡」等というような事務は外務省が直接これを行っていたわけでございますが、ただいま申し上げましたようなことで、無償資金協力と技術協力とは非常にお互いに関連し合っているということに着目いたしまして、ただいま申し上げましたような「調査、あっせん、連絡」等の促進業務につきましては、これは外務省が行うよりも、むしろその前段階の調査を行い、またその学校の例で申しますと学校ができた後、その場所で技術協力を行う事業団の方にお願いする方か効率が上がるというような判断からこの改正法の御審議をお願いしているわけでございます。
  23. 戸叶武

    ○戸叶武君 技術協力なり無償協力なりは事業団の方で行う方が問題処理に当たってスムーズに問題を処理していくことができるという趣旨と思いますが、事業団法の第二十一条において「第一条の目的を達成するため、次の業務を行う。」というそのところに「条約その他の国際約束に基づき開発途上地域の政府に対して行われる無償の資金供与による協力の実施の促進に必要な次の業務を行うこと。」ということか書かれてありますが、いま学校の事例を挙げましたが、その他二、三具体的な事例について、このような効果があるんだということをわれわれか認めることができるような事例を挙げて説明を願いたいと思います。
  24. 武藤利昭

    ○政府委員(武藤利昭君) 従来行っておりました無償援助は、ただいまタイの例を申し上げましたけれども、そのようないわゆるプロジェクト援助という形をとるものが大部分でございまして、たとえば昭和五十二年度の実績について申し上げますと、金額の多いものから若干御披露いたしますが、いま申し上げましたタイの例のほかに、たとえばビルマでは生物医学研究センター、バングラデシュの食糧倉庫、あるいはスリランカの教育病院、パキスタンの電気通信研究センター。それから中近東、アフリカにまいりますと金額の大きいものとしてはガーナにガーナ大学の医学部基礎医学研究所。それから中南米にまいりますとパラグアイの職業訓練センター、ボリビアの消化器疾患研究センター等の例が金額の大きいものとしてあるわけでございますが、ただいま申し上げました例はいずれもこのような、私どもセンター方式による技術協力と申しておりますか、そのようなものでございまして、冒頭申し上げましたタイの例とほぼ似通ったような仕組みになっているということでございます。
  25. 戸叶武

    ○戸叶武君 センター方式の技術協力は、各国の事情によってきわめて現実的でありバラエティーに富んでおりますが、その援助の基金に至るや非常に少ないものでありまして、果たしてこういうふうにばらまかれても現実的な効果というものをそれほどおさめることができるであろうかどうかという疑念がまずわれわれにわくのであります。やるならば、やはり重点的にして、現実的な効果があるような、ただばらまくというような供与方式でなくて、そこに責任を持ってモデルをつくり上げるというような、成果が上がるような方式の方が――いわゆるややもすれば役所仕事というのは八方美人的な方式がいつもとられやすくって、内容的にはそれほどの成果が上がってないというような後からは批判も出てくるんですが、その辺のことはどう受けとめておりますか。
  26. 武藤利昭

    ○政府委員(武藤利昭君) ただいま私か申し上げました幾つかの例でございますが、これは大体いずれも一件十億円程度のかなり規模の大きいものでございまして、それぞれにつきまして日本の無償資金協力によりまして学校とかセンターとかいうものかできている。それで現地の人たちは、これは日本がつくってくれた学校だ、日本がつくってくれたセンターだということで大変喜んでいるということもあるわけでございます。  ただいま御指摘のとおり、私どもといたしましても、むやみにばらまくというよりは、十億円とかいうようなことを目途といたしまして、かなり大きな金額を重点的に配付する。そこは単に資金を供与するというだけではございませんで、先ほど申し上げましたように、まず、その計画自身につきまして技術協力でおぜん立てをしてあげるし、またその建物ができた、その器ができました後は、その中身におきましても日本側の技術協力を継続することによりましてその技術協力の実を上げる、そのようなことを重点的に実施いたしているわけでございます。
  27. 戸叶武

    ○戸叶武君 次に、外務大臣にお願いします。  GNPの〇・一%というような発展途上国に対する援助、これをアメリカの〇・二六%、フランスの〇・六三%あるいは西独の〇・三六%、イギリスの〇・三一%というものと見ると、えらく日本の発展途上国に対する無償援助というものは少ないような感に打たれるんですが、これはどのように受けとめておりますか。
  28. 園田直

    ○国務大臣(園田直君) 経済援助の無償、有償、特に無償の方もそうでありますが、質的に改善する点が多々ございますが、まず、量的に言って、御指摘のとおり日本はDAC加盟諸国のうちの十三位でありまして、ASEANの諸国その他の国々におきましても、近い日本が援助が少なくてヨーロッパの国々か援助が多いのはどういうわけかと、こういうことを聞かされるわけであります。  したがいまして、いろいろ問題がありますが、まず、開発援助の積極的拡大、第一は量を飛躍的にふやす必要があると考えます。特に、今日、世界各国から日本のただ乗り論を言われる折でありますが、そのただ乗り論とは、単に防衛をただ乗りしているというだけではなくて、日本が国際に対する貢献の率が少ない、世界に貢献すべきものをしないで自分だけが得をしている、こういう批判もあるところでございますから、そういう意味においても、早急にまず量的な拡大を図ることが必要でありまして、ただいま、そういう意味におきましても、次に補正予算が組まれるとすれば、補正予算の中でこの問題も考慮し、増額をしてもらいたいと努力をしているところでございます。
  29. 戸叶武

    ○戸叶武君 いままで平均〇・三三%というような教字もあらわれておりますが、日本は少なくともやはり二〇%以上、三〇%程度までは、具体的に補正の問題に外務大臣は触れておりますが、補正の段階において、そのくらいまで伸ばし得るという想定の上に立っての発言でしょうか。
  30. 園田直

    ○国務大臣(園田直君) だんだんそのような方向に持っていきたいと考えております。
  31. 戸叶武

    ○戸叶武君 わが国は援助実施を五年間に倍増したいというふうに、福田首相は東南アジア訪問の際にも発言し、鳩山前外務大臣もそれと同じような趣旨を発言しておりますが、いまの園田さんの発言を数字に整えると、とても倍増ではやはりだめなんだ、もっとふやさなけりゃならぬというような意味にもとれるのですが、その辺は、どこいらが福田さん、鳩山さんが言ったのとあなたが現在受けとめているのとの違いはどういう点にありますか。
  32. 武藤利昭

    ○政府委員(武藤利昭君) 昨年の国際経済協力会議等で日本が申しましたのは、五年間に政府開発援助を倍増以上にするということでございまして、少なくとも倍増、できるだけ倍増以上に高めるということを目標としているわけでございます。私どもといたしましては、その「以上」というところに着目いたしまして、先ほど御指摘がございましたような国際的なGNPの比率に近づけるようにできるだけ拡充したいと考えている次第でございます。
  33. 戸叶武

    ○戸叶武君 そこで、法眼総裁にお尋ねします。  これは名実ともにもっと充実した無償経済援助の体制かできなければ、事業団というものができても名ばかりで実のないものになってしまう危険性がありますが、見通しとして政府からどのくらいを奮発してもらえると想定しておりますか。
  34. 法眼晋作

    参考人法眼晋作君) 昨年の無償援助の総額は百八十億でございましたけれども、今回は、予算案におきまして三百九十億という金額をいただいております。したがいまして倍額以上でございますけれども、これは今後われわれが制度を充実し、具体的にディスバースメントを高めるという観点から逐次これが増額されるものと考えておりますが、それは一にかかって今後の私ども事業団の実績によると思います。したがいまして従来の事業団全体のディスバースメントというものは確かに少なかったんでございますけれども、五十二年度におきましては五十一年度と比べて飛躍的に増大するものというふうに見ております。まだ集計はいたしておりませんけれども、恐らく九〇%前後に達すると思っておりますので、そういう立場から今後における無償援助の増額を政府にお願いしたいというのが考えでございます。
  35. 戸叶武

    ○戸叶武君 いま日本の黒字減らしの問題についてアメリカだけでなくEC諸国からも日本が袋だたきに遭って四面楚歌の状態である一つの原因は、日本は繁栄しているけれども、黒字を誇っているけれども、事実上において東南アジア隣接諸国の貧窮に対しては、発展途上国の向上に対しては積極的な協力をしないじゃないか、打算的で冷酷非情であって、言うことだけは一人前のことを言っているが、やってることは何にもやらぬじゃないかというこの憤りがその言葉の底には私はひそんでいるような気がするのであります。アメリカからの批判あるいはEC諸国からの批判、あるいはソ連からの非難は別といたしまして、必ずこれが私は東南アジア諸国や近接諸国からもはね返ってくると思うので、この一つの増額の問題はきわめて緊急を要すると思うんですが、外務大臣はこれをどう受けとめておりますか。
  36. 園田直

    ○国務大臣(園田直君) 御指摘のとおりでありますから、そのように全力を尽くします。
  37. 戸叶武

    ○戸叶武君 次に、法眼さん、先ほど「ホウガン」と言ってどうも失礼しました。名字というのはむずかしいもので、私のも「トカノ」が本当ですが、「トカノ」じゃ通じないんで、ワイフが外国じゃ「トガノウ」と言ったんで、あんたの名字は「トガノウ」と「トカノ」と二つあるのかといってずいぶん皮肉を言われましたが、私も放言居士なんで「ホウゲン」と言っちゃ失礼に当たるんじゃないかと思って「ホウガン」さんと言いましたが、「ホウガン」の方か本当だといいますが、法眼さんの本当に放言でもいいですから、真音を言うとどの程度本当は満足するので、多々ますます弁ずでしょうが、やはり欲しいと思っていますか。
  38. 法眼晋作

    ○参考人(法眼晋作君) これはやはり事業団のスタッフの規模等にも非常に依存している問題でございまして、われわれはまず自分の姿勢を非常に正しくいたしまして、いろいろの世間の批判にもこたえながら、まず実績を上げていくということから、その基礎において要求すべきものは要求したいというふうな考えでございます。
  39. 戸叶武

    ○戸叶武君 いま法眼さんが言われたように、私は金の問題もさることながら、もう少し海外において現地の人々と第一線で接触する外交官なり、技術協力なり経済協力の活動家のすそ野をもう少し広げないと、人材を確保しないと、私はどんな施策も今後においてはできないと思うんです。そういう意味において、いままでどうも外務省、大蔵省、日銀なんてのは天下の秀才わればかりというようなエリートだけでつくっておって、俗人が寄りつけないような組み立てになっておるので、そういう点が、非常に秀才だが、季才というのは元来線が細いから秀才と言うので、そういう骨太でない秀才だけで発展途上国の荒々しいあらしの中に行って果たして幾人か耐えられるかということに私は非常に疑問の面もあるのであります。  やはりそういう点から人材確保のためには成績かどうのこうのって、余り悪いのでも困るでしょうが、成績ばかりよくてノイローゼになっちゃって、そして問題を起こすような、ソ連でも始まっておりますが、日本の外交官だってこういうことは始まらないとは限らないんですから、そういう点においてもう少しやはり、中国の問題で東亜同文書院の学生たちがやはり四百余州を経めぐりながら一つの夢を託して、功罪半ばする点はありましたけれども、日中の問題に奔走したというような、現地の人々の言葉にも通じ、それから現地の事情にも通ずるような、そこに骨を埋められるような人物を外務省においても、この国際協力事業団においても養成しなけりゃならないと思っていますが、外務大臣並びに総裁から、このことに対しても、人間が一番の根底であるんで、それをどういうふうに今後確保していくかを承りたいと思います。まず外務大臣から。
  40. 園田直

    ○国務大臣(園田直君) 先般も御答弁申し上げたとおりでありますが、開発途上国の援助、技術協力すべてを含んで、まず第一に人間の養成、人間と人間の交際か基礎であることは御指摘のとおりであります。  そこで、経済協力、技術協力のその前に、文化交流というもの、人間と人間の交流というものをその先頭に押し立てて、そして近ごろの若い人は、特に外務省に入るにしても事業団に入るにしても、自分がどこの国に行ってそこの国の役に立ちたい、そしてそこの国の人と一緒になって骨を埋めたいという純粋な人は非常に多いわけでございますから、そういう人々の気持ちを素直に育てながら、これに特別な技術あるいは事業団あるいは外交官としての知識を授けるように努力をし、研修所あるいはその他の研修部位、こういうところに対する方針等もそういう方針でやっていきたいと考えております。
  41. 法眼晋作

    ○参考人(法眼晋作君) 私は、園田大臣の御発言に使われたかどうかわかりませんけれども、私どもの事業団に関する限りは、極力、人材の養成に力をいたしております。たとえば本年も二十三名の人を採りましたけれども、私は全部その各人の入ってくる動機に関する書面を読みました。そして非常にいい人が入ってきたと思って喜んでおりますけれども、いい人が入ってきても、これを養成する方法にして誤りかありますならば意味をなさぬわけでございまするから、われわれは厳格に、しかも温情を持って語学その他につきましても十二分にこちらの考えを相手にたたき込め得る人を養成したいということでありまして、われわれは、事業団に関する限りは、これは将来はできるだけの外務大臣の指示にも従いまして養成に努めたいという覚悟でございます。
  42. 戸叶武

    ○戸叶武君 最近は、業界から、外務省に入る資格を持った者、あるいは事業団において試験にパスした者、そういう者をもっと待遇をよくしておれの方に迎えたいからというような形の誘いも大分あるということですが、外務省の試験並びに事業団の試験後におけるそういう数字はどういうふうに出ておりますか。
  43. 園田直

    ○国務大臣(園田直君) いま仰せのとおりに、各民間あるいは銀行その他の方から外務省に入ってきて、そして自分の過去の特別な技術を生かすということに努力しておりますが、いま関係の局長がおりませんので、数字その他については即答はできませんので、後でお答えをいたします。
  44. 法眼晋作

    ○参考人(法眼晋作君) 事業団について、少しお答えしたいと思います。  私どもは、現在、定員が約千名でございますけれども、事業団は外務省のみならず関係各省の監督を受けておりますし、いろいろな関係で現在はまだ人材が不足でございますので、現状におきましては約八十名ばかり各省の各位の出向を願っております。だんだん事業団の諸君がそれにかわり得る力をつけるということは大変大事なことでございますので、先ほど申し上げましたことにつけ加えまして、そういう一つの考えを持って養成にこれ努めておる次第でございます。
  45. 戸叶武

    ○戸叶武君 私は五、六回世界をめぐるたびに、いろいろなところで働いている外交官の若い人とできるだけ接触に努めておりますが、外務省の待遇というものは世間で想像するよりはみみっちくて、若い人たちが伸び伸びと伸びられないような仕組みにいままではなっていたようです。これでは私は国際的な活動というものは、うまくいかないのじゃないかということを憂えているんです。  幸いに園田外務大臣は苦労人であるし、法眼さんも外務官僚出身としては骨太の方であるし、やはりこういう人たちがこれではいかぬというふうに腹を決めて、もう少しアンビシャスな夢を現実の地上に生かし得るような、エンジンが回るような、活動ができるような仕組みに外交官をしないと、国際社会において活動する者が萎縮してしまった青なりひょうたんではやはり私はそこには活気が出てこないと思うんですが、そういう面において、あなたたちも一番手近にそれを感ずるのだから憂慮している点はあると思うんですが、現実的にそれをどういう形において打開しようと考えておりますか。
  46. 園田直

    ○国務大臣(園田直君) いま御指摘のことはきわめて大事でありまして、外務省の外交官もそうでありますが、特に現地に行った技術協力、それから現地とお互いに文化の交流をする、こういう者が自分が都会に育っておって、そして現地の人々に書面や電話で指図するようなことではなくて、中東に行けば砂漠の中に入り、アジア開発途上国に行けばともに田の中にどろにまみれる、そういう人々を養成することが必要であって、高度の外交官――高度の技術も必要でありますが、また一面、そのようにみずから現地の人々と一緒になって働く中堅の幹部を養成することがきわめて大事であると考えておるわけでございます。
  47. 戸叶武

    ○戸叶武君 外交官は各国の事情を理解すると同時に、やはり各国の人と触れ合うということが大切なことであり、その国の民族の現在抱いている一番の苦悩はどこにあるかということを把握していかなければならないと思います。  日露戦争においてポーツマス条約に臨むのに当たって、帝政ロシアのウィッテ伯は日本を知る前に、まず中国のアジアの外交官としての李鴻章を研究するためにずいぶん詳細な研究をやっております。そこで学んだものをポーツマス条約においては、硬直した外交姿勢を持っている小村寿太郎に対処して融通無碍な態度でまずアメリカの人心を把握しなけれりゃならぬという形において、自分の講和条約に臨む前の民心把握の方式を彼は打ち出しております。富に外交官は外交技術だけでなく人心の把握なしに外交はできないということを心得て外交はやっているように見受けられます。  また日中戦争のさなかに、周恩来と王大楨君が対日政策の重慶における中心的な指導者でありましたが、王大楨君なんかも小村寿太郎よりも日本の治外法権の撤廃、不平等条約撤廃のために苦心したところの陸奥宗光という者の外交というものを詳細に研究することによって、孫文以来の治外法権撤廃、不平等条約を撤廃していく方向づけを行っているのか事実であります。そういう意味において語学と外交技術だけでなくて、やはり各国の民心の動く動向を把握するだけのゆとりのある一つの物の見方、対処の仕方というものを十分私は身につけさせてもらいたいと思うんですが、こういう点を外務大臣はどういうふうに受けとめていますか。
  48. 園田直

    ○国務大臣(園田直君) 全く御意見のとおりでありまして、私も特にその点に重点を置きまして、外務省の情報収集というのは各国の権謀術策の情報を集めるのではなくて、真にその国々の人々が何に苦しみ何に悩み何を求めているかということが情報収集の第一である、こう考えるわけでありまして、そのためには機能や機関も必要でありますが、第一は、それぞれ出先に行く人々がその国の現地の人々と一緒に人間的な交わりをすること、これが始まりだ、それから交際するうちにだんだんと実情がわかり、これに対する情報収集等のまじめな手段等も出てくる、こういうことを考えて検討しているところでございます。
  49. 戸叶武

    ○戸叶武君 いま日本は東西南北からのあらしを受けております。特にソ連から、アメリカから、中国から、きわめて厳しい一つの試練を受けて、これに耐えなければなりません。しかし、アジア全体の歴史を見ても、権謀術策におごる者は権謀術策によって倒れているんです。日本の軍部しかりです。ソ連といえども、レーニンの外交は、他国の領土を侵さないというのが革命外交の基本でありました。ウッドロー・ウィルソンのベルサイユ講和条約に示した基本姿勢というものをいち早く先取りしてソ連の平和外交は出発したのでありますが、第一次世界戦争後における厳しいヨーロッパのナチスの権謀術策の外交に翻弄せられ、日本の松岡さんのような権謀術策派に、日本の軍部に痛めつけられ、それが一つの習性となってこのごろレーニンの革命外交を忘れて、そうして権謀術策の外交に変わりつつあるような模様すらあるのであります。こういうのに対して、日本みずからが、権謀術策はわれわれも失敗した、松岡も失敗した、日本の軍部も失敗した、あんなことによって何も得ることはできないという過去の自己批判の信念のしに立って真っすぐに外交はいかなければ、私は日本の外交の基本的姿勢というものは整えられないと思うのです。  そういう点、私たちが憂えをそこに寄せるときに感じさせられるのは、他党のことには干渉しません、しかしながら、いまのような外交の基本的な理念を忘れ、手前勝手な放言をやって――法眼さんのホウゲンとは違いますけれども、そうして国際的に自由になっている日本の福田内閣というものは何を考えているのかわからないというような印象を与党みずから外国に印象つけるようなことは、外交上において非常に不利な条件をいまわざわざ自民党の内部から私は生んでいると思うのです。討論なり議論は十分尽くすべきであるという福田さんなりあるいは園田さんの構えもわかりまするが、こんなアナーキーな状態における政党のあり方、こんな無性格な内閣のあり方、こういう政党やこういう内閣に、人民主権の国民が責任を持たなければならない国において、内閣は外交権を持つと言いながらも魂の入っていない内閣に外交をゆだねることができるかという憤りは私は底辺にはみなぎっていると思うのであります。こういうふざけた一つの状態に末期的な政治現象が生まれているのですが、これはこの前にも園田さんに迫りましたが、園田さんは何かかまのふたでも頭に伏せられているんでしょうが、余りさえた答弁ができてないようですが、これでいいんでしょうか。  私たちは、このことは必ず絶望的な一つの抵抗運動の発火点になるのじゃないか。あの若き少壮将校が浜口を倒しあるいは井上準之助、団琢磨を倒し、犬養を、高橋是清を倒したような悪気流か底辺に発生してこないとも限らないことを憂慮して、私はあえて、予言者でなくて、非常な危機の深刻さを知らないこの上層部の狂喜乱舞の姿に対して一言一つの警告を大臣を通じて私は行っているのですが、福田さんに幾ら言っても直らないようですが、どうでしょうか、これは、このざまは。亡国の民になりたくないんです、われわれは。こんなにすきだらけだから、よしおれの方でも一押ししようというので、ソ連の方でも中国の方でも、あたり構わずに腰の弱いやつのふらふら腰をつっつくと、その弱い腰がふらふらとして、調子者はそこで狂喜乱舞する。亡国の現象ですよ、どこに祖国を守る気魄がありますか。口だけは愛国を口にしながら、みずから亡国の民としての道化役的な役割りを演じているのが今日の政界の現状じゃありませんか。民の声が出たときは、もう行動にあらわれてくるからだめなんです。その前にこれを食いとめるだけの見識が躍動しないと内からの禍乱というものは防ぎとめられないと私は感ずるから、毎日でも、国会を舞台として、私は――戸叶武は毒舌を言っていると、毒じゃないんです、良薬は口に苦しで少し苦いけれども、本当にこんな状態ではわれわれは外交を論議していてもはかなさを感ずるのです。足もとから土砂が崩れて生き埋めに民族がなってしまうのじゃないかとすら私は感ずるのですが、これは私の思い過ごしでしょうか。  私は、園田さん、あなたを悲劇の政治家にはさしたくない。政治にはタイミングか必要です。いいかげんにしろと言って国民が暴発したときにはもう間に合いません。話せばわかると言っても、撃たれて犬養さんはそのまま息を引きとめてしまったじゃないか。話せばわかるという言葉を発する途端に息が御臨終ですと引きとめられたんじゃ何にもならないじゃないですか。この悲劇を私は目の当たり見てきたんです。歴史の証言者として国会の中でわれわれがこれを、言わなければ、だれが言うやつがあるかと思って、本当に私は毎日毎日起きてくる不可思議と思われるような出来事を前にして、政府に向かってまず警告を発しているのですが、答弁ははね返ってくるけれども現実的な、受けとめ方がさらにないのにいら立っておるのです。あとは国民の流れ行きにゆだねようとすら、私たちは絶望的な気持ちを持っております。答えてください。  私が言っているのはばり雑言じゃないんです。危機感の受けとめ方が余りにも悠長であって、毎日毎日さらに深刻さが倍加している現状を見て、ああ中国もそうか、ああソ連もそうか、ああアメリカもそうかそうかで、草加の先まで行ってしまえば私のくにの方へ近くはなりますが(笑声)、これでは困ったものだと思います。余り無理難題は言わないで黙して語らぬというところに腹にしみ渡ると思いますが、どうぞ達磨さんじゃなくて自由の世界から出てきて手も足も出せるんですから、忙しそうに年じゅういろいろなパーティーや選挙なんかに駆けずり回るよりも、面壁八年じゃないが、達磨のまねをしてもいいから、壁に向かって物を言って壁の向こうにまで自分の心が通ずるような一つの外交を、ぱりっとしたやつをやってもらわなけりゃ、日本の今後の外交官は勤まらないということを遺言として、やっぱりあなた、園田さんあたりが言うんならわれわれが言うのと違って効果がありますから、身をもってそういうことをたたきつけてやってください。場合によっちゃ福田さんの面にたたきつけるぐらいの勇気がなけりゃ目は覚めませんよ。  まあこれで時間も参りましたから、この辺で終わりといたします。
  50. 小野明

    ○小野明君 私も二、三当面する問題について大臣にお尋ねをいたしたいと思うんであります。  毎日、報道を見ますごとに、日中の問題も論じられておりますが、それだけこの日中平和友好条約というものか果たして早期に締結されるのかどうか、この点に危惧を持つのは当然ではないかと思うんです。  そこで、改めてお尋ねをいたしたいと思うんでありますが、政府の日中平和友好条約を早期に締結をするという政府方針、これには変わりはないんですが、お尋ねいたします。
  51. 園田直

    ○国務大臣(園田直君) 日中友好条約を締結をする、そのために交渉を始めるという方針は変わりはございません。
  52. 小野明

    ○小野明君 次に、五月の三日には日米首脳会談があるわけですが、先般の報道によりますと、大平幹事長が対米交渉といいますが、首脳会談前には完了をするというめどを発表されたようであります。で問題は自民党内部の調整、御案内のとおりであります。その中心に外務大臣はおられるわけでありますが、この日米首脳会談前に党内調整を完了する、この点については、大臣は直接当たられておるわけでありますが、感触というのはいかがですか。
  53. 園田直

    ○国務大臣(園田直君) いま与党の御理解を求めておる段階で、だんだんと進んでいるわけであります。総理・総裁、幹事長も非常に努力をしておられるわけでありまして、幹事長もいま言われたようなことで誠心努力をしておられるようであります。私がこれについて見通しを申し上げることは、この理解を早める上においてかえって障害になると思いますので、私がいつごろという見当をつけるわけにはまいりません。
  54. 小野明

    ○小野明君 非常にデリケートな問題もあるようでありますけれども、幹事長がそういうふうに言われておるわけですね。そういたしますと、党内調整の中心にあられる大臣が一つのめどを持たれる。これは首脳会談よりも後になる、あるいは前になるというめどぐらいはもちろんお持ちであろうと思いますが、お述べいただけませんか。
  55. 園田直

    ○国務大臣(園田直君) おっしゃることはよくわかりますが、それを私が口に出すことはかえっておくれることになると思いますので、お答えはいたしません。
  56. 小野明

    ○小野明君 日米首脳会談が行われるわけですが、当然、外務大臣もこれには行かれるわけですか、出席をなさるわけですね。
  57. 園田直

    ○国務大臣(園田直君) そうです。
  58. 小野明

    ○小野明君 そうですね。この日米首脳会談の主たるテーマはどういうものですか。
  59. 園田直

    ○国務大臣(園田直君) 日米首脳者会談の議題については、日米両国の外交チャネルでいまだんだんと詰めているところでございますが、いずれにいたしましても、第一に、世界経済問題及びこれに対する日米の責任、それから国際情勢、アジア問題それから日本と米国二国間の関係の経済問題等が主なる議題になるだろうと推察をいたしております。
  60. 小野明

    ○小野明君 福田総理のたびたびの御答弁でも明らかになように、今日の円高というのは円高ではなくて、ドルに原因がある、ドル安であると、これはきのうの参議院本会議でもそういう御見解を述べられたところであります。また、そのとおりだと思います。  ところで、カーター大統領がこのドル下落の一番原因であるインフレ対策といいますか、それについてドル防衛に対する積極的な対策というのがなかった、ありませんでしたですね。基軸通貨国としてアメリカにはこのドル安に対する大きな責任があると思うんですが、日本として、総理、外務大臣として、アメリカに対しまして、首脳会談におきましてドル防衛を要請する断固たる決意あるいは確約をとる自信がおありになるのかどうか、御見解を承りたい。
  61. 園田直

    ○国務大臣(園田直君) 率直な意見交換を行うわけでありますが、当然、その中には通貨の問題、通商問題、エネルギー問題等を通じて、日米両国か保護主義の防遏と世界経済の安定拡大に貢献する観点から、こういうもろもろの問題を率直に話し合うことになると思いまするし、また話し合わなければならぬと思っております。
  62. 小野明

    ○小野明君 率直に、言って、これはアメリカにはアメリカの事情があるでしょうし、カーター大統領には大統領の方針もあるでしょうが、ドル防衛に対する、ドル安に対するわれわれの期待外れ、こう言っても差し支えないと思うんですが、この点に対しては大臣はどうお考えですか。
  63. 園田直

    ○国務大臣(園田直君) 米国には米国の困難な問題がいろいろあるようでありますが、先般、カーター大統領が御承知のとおりのようなインフレ対策あるいはドルの問題等で発表したわけでありますが、発表された後でもまだドルが下がっているというような実情を見ますると、なかなか大変だと思いますので、率直に意見を交換したいと考えております。
  64. 小野明

    ○小野明君 そうすると、ドル防衛について強硬に申し入れをする、こういうふうに受け取ってよろしいですか。
  65. 園田直

    ○国務大臣(園田直君) 大事な問題でありますから、率直に意見を申し述べるつもりで総理はおられるようでございます。
  66. 小野明

    ○小野明君 これは先般も渋谷さんがちょっとお触れになったんですが、四月五日にマンスフィールド大使が演説をされましたですね。で、これは大使なりに率直に米国内の情勢を述べられたと思うんですね。この一月十三日に牛場・ストラウスの共同声明というものが出されておるわけですが、多少のこれに対する配慮もなされてはおるようです。しかしながら、この共同声明の精神といいますか、率直に言えば日本の努力というものを非常に軽く見ておるといいますか、この共同声明の精神をなおざりにしておるんではないかというような点が、あるいはうやむやにしようとしておるんではないかという演説内容があるわけですが、大臣、このマンスフィールド演説についての御見解はどうですか。
  67. 園田直

    国務大臣園田直君) 先般も申し上げましたが、マンスフィールド大使は歴代大使の中でも有能な大使であるし特に議会出身でありますから、よく話がわかるわけでありまして、用件で帰国された場合には、絶えず日本の日米通商問題に対する困難さや苦悩を理解せしめるような演説をしばしばやっておるわけでありまして、今度の大使演説というのは、西方とも共同声明によって努力をしておるが、必ずしもアメリカの現状というものはそういうものではない、これでおさまってない。議会においては州選出の産業との関連で保護主義立法への関心が根強いから、十分その動向に注意をしてやる必要があるという注意的な警告を与えられたものだと判断をしております。
  68. 小野明

    ○小野明君 そのとおりだと思いますが、現に聞くところによりますと、鉄鋼の輸入数量規制案等四十件ぐらいの保護立法が提案されておるらしいですね。この中でわが国の輸出に関係のあります立法案の実情を簡単にひとつ説明をしていただきたい。
  69. 羽澄光彦

    ○説明員(羽澄光彦君) 現在、日本の関係で議会に出ておりますのは、鉄鋼関係輸入制限法関係で十件、バイアメリカン法改正法案が約二件、通商法の改正、これは輸入救済産業調整援助等のものでございますが、それが十件、それから関税法改正関係、これらは大体不公正貿易等に関するものでございますが四件、計二十六件ございます。  このうちで特に重要なのは鉄鋼関係輸入制限法案かと思いますが、先生御存じのように、本年二月二十一日米国政府はトリガー価格制度を実施いたしましたので、議会におきましてはこういった法案は出ておりますけれども、このトリガー価格制度が今度どのように運用されていくかということをいましばらく注目したいということで、法案自体に関してはまた実質的な措置はとられておりません。結局、全体といたしましても、米国におきましてはこのトリガーシステムを中心とした日米貿易関係の動きをいましばらく見たいということで注視している段階かと思います。
  70. 小野明

    ○小野明君 大臣、マンスフィールドさんが言われておるのは、とにかく共同声明はあるけれども、日米の経常収支が一番影響をしておりますが、非常にこの経済機会か不平等であると率直に演説されておりますが、日本の大使が各国に対して派遣されておりますが、こういった国内事情を率直に、あるいは日本の実情を率直に、それぞれの国において、あるいはアメリカにおいて見解を述べておられましょうか。
  71. 園田直

    ○国務大臣(園田直君) そのように指示をし、激励をしているところであります。なお、いままではとかく行政府だけを相手にしてそういう努力をしておりますから、アメリカの議会の変化等も考えて、議会の情勢をしさいに分析をして、そして議会にそれぞれ専門官を担当さして、議会に対する努力もやれということでせっかく努力はしているところであります。  なおまた、いま言われました鉄鋼関係、これは日本だけではなくて全世界を対象にするものであり、また一方、トリガー価格制度を実施したために、米議会はこれの実効を見るために、法案提出はしておるが、いまのところ動きはない。しかし、だからといって甘く見てはならぬぞ、根底には根強いものがあるぞと、こういうのがマンスフィールド大使の演説だと心得ております。
  72. 小野明

    ○小野明君 外交ルートというのは総理、外相、大使と、こういうルートになっておるんですから、園田外務大臣も現地の大使を督励して、日本の国内事情を十分率直に表明するような、ひとつ大使の人事といいますか、監督といいますか、その点に御配慮いただきたいと思うんです。これは要望です。  次に移りますか、これはマンスフィールド大使も触れておられるんですが、この四月十日ジュネーブで行われました日・米・ECの閣僚会談で東京ラウンド七月決着という合意を見たようですが、これは米国もECもともに日本の農産物、牛肉等の輸入規制に非常に強い不満を表明されておる、さらに日本の譲歩を迫ってくる、こういう報道がされておるんでありますが、大臣、これに対してはどう対応されるおつもりですか。
  73. 羽澄光彦

    ○説明員(羽澄光彦君) 四月十日にジュネーブにおきまして、牛場対外経済大臣及びストラウス代表、ハフェルカンブの間に二国間及び三者合同の非公式な会合かございました。それで日米二国間の話し合い、あるいはECとの二国間の話し合い、あるいはその三者間の合同の話し合い、いずれにおきましても今後の国際ラウンドの進め方について話し合いが行われまして、その関連といたしまして、特に日本の農産物に対する要求というのか繰り返しなされたことは先生のおっしゃるとおりでございます。  それに対しましては、わが方といたしまして、わが国の現在の農業が置かれている事情等を詳しく説明したところでございますが、わが方からもこの農業問題に関する国際ラウンドの枠内における進め方というものについていろいろ意見を述べて、その促進の図り方について理解を求めたところでございます。この話はやはり先生がおっしゃいましたとおりに七月中ごろまで、少なくとも七月の終わりまでには大綱について合意に達するということでこの三者間の意見が一致しておりまして、今回も、その点につきましては再確認されたわけでございます。したがいまして今後その目標に向かってさらに事務的に話を詰めていかなければならない。その間、また必要に応じまして一、二回閣僚レベルの非公式会合が持たれることになろう、こう考えております。
  74. 小野明

    ○小野明君 会議の模様はわかるわけです、それはわかる。しかしながら、この東京ラウンドが七月に成功するかどうかというのはきわめて国際経済上重大な問題である。その中で一番隘路になっておる問題点か日本の農産物、牛肉、これの輸入規制にあるという米国、ECの要求、これにどう対処するかということが一つの大きなキーポイントになっていると私は見ておる。だから、この日本の輸入規制、強く迫ってこられるこの輸入規制に対してどう対処をされるのか、どう対応されるのか、こうお尋ねをしておるわけです。
  75. 園田直

    ○国務大臣(園田直君) 七月末までの各国の御判断、実質妥結をするということはいま申し上げたとおりでありますが、それについては農産物を中心にして非常に厳しい困難な情勢にあることは御指摘のとおりであります。特に、その中でも、わが国の背後にある農業の実態というものが非常にむずかしいものでございますので、いまありとあらゆる手段を通じて、農産物の交渉においてはわが国の農業の困難な実情等を各国にも理解を求めつつ、これを配慮しながら粘り強く交渉を行って、円満な妥結を図りたいと考えております。
  76. 小野明

    ○小野明君 わが国の経済協力については、先ほども御質問がありましたが、質量ともにきわめて貧弱であるというのは大臣の御答弁でも明らかであります。そこで、今後五年間に倍増以上にするということを昨年の国際会議で表明をされた。これはいわば国際公約ですね。日本の今年度七%成長というのも国際公約だと私は思いますが、この五年間に倍増以上にするという点もこれはきわめて大きな国際公約です。これをどのように実現をされていくつもりであるのか、それを説明いただきたい。
  77. 武藤利昭

    ○政府委員(武藤利昭君) 援助を増大いたしますためには、予算を拡大するということと、先ほどもちょっとお話が出ました予算の執行率を高めるということと二つあるわけでございますが、まず予算につきましては、昭和五十三年度予算におきまして政府開発援助事業予算の規模を前年度に比しまして一五・八%増大いたしたわけでございます。五年間で倍にするためには、これは一種の複利計算になりますので、毎年二五%ずつふやせば五年間で倍になるということになるわけでございますが、倍増以上という目標がございますので、一五・八%増ということにしたわけでございます。片や予算の執行につきましても、ここ二、三年来格段の努力をいたしまして、執行率はかなり改善しているわけでございます。  このような予算の拡大、執行率の改善という両様の手段を確実に実行いたしまして、今後、五年間にODAを倍増以上するという、先ほど申し上げましたように、その以上ということで、倍増にとどまらず、それよりもさらに大きな規模にまで日本の援助を持っていきたいと考えている次第でございます。
  78. 小野明

    ○小野明君 おっしゃるように一五・八%アップになっておりますが、その内容が贈与が四五%、借款が五五%。これは贈与の方、DACの諸国の政府開発援助ですね、これが主たるものですが、これが日本が最低ですね、贈与の比率が。これはやはり借款の比率が大きくて贈与が低い。それはしかも日本が最低である。こういう比率の問題については少なくともDACの平均ぐらいまでは持っていくべきだ、こう思いますが、この点についてはどうですか。
  79. 武藤利昭

    ○政府委員(武藤利昭君) ただいまの問題、まさに御指摘のとおりでございます。日本の援助の質が悪いと言われているわけでございますが、援助の質を改善しますためには、借款の条件をよくすることと同時に、贈与の比率を高めるということか非常に大事なわけでございます。  この点につきましては、私どもといたしましても、鋭意努力をいたしました。昭和五十三年度政府開発援助事業予算、総額で一五・八%の伸びということを申し上げましたが、贈与のうちでも大きな部分を占めます無償援助につきましては、昨年に比しまして八九・二%という非常に大きな伸びを図ったわけでございまして、今後とも、このような努力を続けまして贈与の比率を高めるということに努力いたしたいと思っております。
  80. 小野明

    ○小野明君 贈与は予算で見ますときに二九・八%のようであります。ところがDACの平均が御案内のように七〇である、日本が四八。ですから二九・八%程度の伸びではこれは不足をしておると私は思います。これをさらに伸ばしていくべきだと思いますが、いかがですか。
  81. 武藤利昭

    ○政府委員(武藤利昭君) 御指摘のとおりでございます。今後とも、さらに努力いたしたいと存じております。
  82. 小野明

    ○小野明君 次に、お話がありましたように、予算の執行率が非常に悪い。これは暦年と日本の年度との違いはあるでしょうけれども、五十一年の場合を見てみますと、予算は〇・二七であるけれども、執行率で見ると〇・二〇にしかならぬ。この点は、この執行率が従来非常に悪いと言うのはどこに原因がありますか。
  83. 武藤利昭

    ○政府委員(武藤利昭君) 執行率が必ずしも十分上がらなかった原因といたしましては、日本側の内部の問題と相手国側の問題と二つあるわけでございます。相手国側と申しますと、相手国側において計画の変更がございましたり、あるいは合意いたしましたプロジェクトに対する予算の手当がおくれたりという、いろいろの問題があるわけでございますが、それはそれといたしまして、少なくとも日本側の事情につきましては、これをできるだけ改善すべきであるということは御指摘のとおりでございまして、過去二、三年来いろいろ努力をしてまいりました。  たとえばその努力の一環として御披露いたしますと、技術協力について例をとりますが、技術協力では専門家の派遣、研修員の受け入れという面では余り問題がございませんで、機材の供与の執行がおくれるということが問題だったわけでございます。これは予算をいただきましてから、その予算に見合うように各国に機材供与の計画を割り振るわけでございますが、その年度半ば、あるいは年度の終わり近くになりまして、相手国側の方の事情で予定した機材の供与か行えなくなるというようなことがございまして、それを翌年度に繰り越さざるを得ないというようなことがあったわけでございます。そこで、一年ほど前から、この機材供与につきましては、年度の初めに予算額の一三〇%ぐらいまでを見まして執行の準備を行う。つまり従来の経験に徴しまして、予算額の一三〇%ぐらいまでの計画をつくっておきましても、それで非常に大きくはみ出すということはないということを経験的に認識いたしましたので、そのようにいたしまして三〇%増の計画を用意するということによりまして執行率を高めるということを工夫いたしました。その結果、機材供与、技術協力につきましては前年度の執行率は七七%ぐらいであったわけでございますが、五十二年度では九〇%以上まで改善されたというようなことがございます。  それから無償資金協力につきましては、これにつきましても年度の半ばごろになりまして相手国と相談をするというようなことではとても年度内に執行が図られませんので、予算が成立する前に内々には調査をすべて完了しておきまして、予算が成立すると同時に、相手国と早速相談に入るというような体制を導入いたしまして、その結果、無償資金協力につきましても、過去二、三年来かなり大幅の執行率の改善か見られております。このような執行率の改善につきましては、少なくとも日本側の事情によるものについては今後ともさらに改善の努力をしたいと存じますし、それから相手国側との関係で生じます問題についても、できるだけ相手国側との協議を密接にする等の手段を講じまして、改善を図りたいと考えておる次策でございます。
  84. 小野明

    ○小野明君 相手国と日本側の体制、この両面があるというお話、それはそのとおりだと思います。途上国の場合はわりあい一元化された体制にあるのではないかと私は思います。  ところが、昨夜も、私、総理とそれから三井物産の池田社長の対談のテレビを見ておりますと、池田さんがアメリカに行って帰られてきてのいろんな話、あるいは日本の援助行政の話にも触れられたようですが、問題は日本側の体制にあるんだと。法眼さん、おられますね、この事業団にしても関係各省から監督を受けていわば縦割り行政である、そういうお話があって、これはかなり問題があるなと私は思ったんですが、やはり有効な金、人材や資材を途上国に投入するためには、大臣、援助行政の一元化、この点をつくり上げていかないことには、私は、今後、執行率の問題、有効な援助行政にはならぬと思うのですね。日本の場合は全くこれは縦割り行政です。援助にしても各省にまたがっておる。したがって実施機関をさらに整理統合して援助行政を一元化していくべきだと思いますが、この点はひとつ大臣の御見解を承りたい。
  85. 園田直

    ○国務大臣(園田直君) いま援助行政で一番おくれておる理由はそこにあるわけでございます。特に経済援助、有償・無償等の制度ができたときのいろんな経緯かありまして、たとえば、ある種の協力については経済企画庁が主管であり、ある種のものは外務省が主管であり、ある種のものは通産省というふうに分かれておるわけです。そこへまた大蔵省という財政の権限を持った省のあれがあるわけで、これが非常におくれておるわけでありまして、これを何か一元化をしたいと努力をしておるわけでありますが、正直に言ってなかなか困難でありまして、これをやるために何かまず過渡期の方法としてもこれを一つにまとめて一ヵ所で相談するものがないかといっていま検討しておるところでございます。
  86. 小野明

    ○小野明君 やっぱり日本側の縦割り行政、これを改めるというのはなかなか言うべくして困難な問題であろうと思います。しかし、せっかく予算をつけて執行ができない、あるいは有効な援助ができないという点で、いま日本の黒字ということで世界じゅうの批判を受けておるわけですから、これはいい機会だと思いますよ。この機会に援助行政を能率的にするようにさらに格段の努力をひとつお願いをしたいと思います。  次に、ことしの三月六日から十一日まで国連貿易開発会議、UNCTADの閣僚級会議ですか、が開催されましたですね。そこで貧困国の累積債務の返済条件を緩和する、これは大筋が合意された、こう報道されておるのですが、この累積債務の返済条件の緩和という点でもうすでにたな上げという国か四ヵ国ほどある。一番強硬派であった西ドイツと英国も態度をやわらげておる。ところが、この会議ではアメリカと日本のみが累積債務の返済を緩和する、こういう点にきわめて不熱心である、こういう報道がされておるのでありますが、貧乏国の債務たな上げという問題について大臣の御見解はいかがですか。
  87. 大川美雄

    ○政府委員(大川美雄君) 債務国におきましてもいろいろ事情が違いましたり、考え方が違いますと同じように、債権国の方でも事情とか考え方とか異なる面があるわけでございますので、横に比較して特定の国か不熱心であるとかということは必ずしも言えるわけではないと実は存じておりますけれども、わが国の場合には、従来から、開発途上国の累積債務問題につきましては、それぞれの国の外貨事情が非常に悪くなっているといったような十分な理由があると認められる場合に、あるいは国際的な要請がある場合には、ほかの主な債権国と一緒に協調しながら積極的に現に債務救済を実施してきております。  で、おっしゃいました三月のジュネーブにおきます会議は国連貿易開発会議の理事会でございまして、まさにこの累積債務の問題を取り上げたわけでございますけれども、即存の二国間政府借款の条件を調整すること、あるいはそれを同等のその他の措置をとるということが合意された次第でございます。わが国としても、既存債務の救済と同等の措置につきまして今後具体的にそれを実施してまいるわけでございまして、その検討をこれから進めてまいることになります。また、将来の債務の救済のための基準、ガイドラインというようなものをいろいろ策定する議論がございますけれども、この問題につきましても南北の間に何らかの協調点を見出すべく、できる限り努力を払ってまいりたい、こういうふうに考えている次第でございます。
  88. 小野明

    ○小野明君 そういたしますと、アメリカと日本だけが大筋合意された緩和という問題に不熱心である、あるいは、反対であるという報道は、これは誤りであって、日本も債務たな上げについては積極的に協力といいますか、努力をしていくんだと、こういうふうに受け取ってよろしいですか。
  89. 大川美雄

    ○政府委員(大川美雄君) 先ほど申しましたように、必ずしも報道されたようなことが言えないのではないかと私ども思います。日本としましては、いろいろのアプローチがございますけれども、少なくともただいま御説明しましたような大筋につきましては、ほかの国と一緒に賛成をいたした次第でございまして、決して日本がほかの足を引っ張ったとか、消極的であったということは必ずしも当たらないと思います。
  90. 小野明

    ○小野明君 次に、この法律案の問題でありますが、まず改正点につきまして私の感じましたのは、これは外務省、事業団と業務かかえって繁雑になるのではないか。外務省は一番むずかしい点を事業団にやらして、そうして大企業が中小企業に下請に回すようなそういう仕事をこの事業団にやらせ、一部重要なところだけは外務省が握っておる、こういう感じを受けたわけです。そこで、この法改正について法眼総裁の率直な御意見を承りたいと思います。
  91. 法眼晋作

    ○参考人(法眼晋作君) ただいまのお話でございますが、これは明らかな業務の分担でございまして、われわれはこれはまだ未経験のことでありまするから、先ほど来お話しいたしましたように、実績を積み重ねていきたい。現在、これは抽象的にはなかなか論じがたい問題でございまして、やってみて私は業績の上がる方向に進みたいというのが考えでございます。
  92. 小野明

    ○小野明君 これはやってみなければわからぬと、それはそうでありましょうが、ここに法律案の説明かありますが、大部分は外務省が握っておる。そして実施の一番下手間暇かかるところだけ事業団に移管をして、あと契約の認証あるいは支出の事務、こういう点だけを外務省はさらに握って放さない、こういう改正でありまして、かえってこれは援助業務が遅滞をするんではないか、こういう印象を受けますが、この点はどうですか。
  93. 武藤利昭

    ○政府委員(武藤利昭君) わが国が行っております無償資金協力は、すでにそのほとんどの部分が技術協力と密接に結びついているわけでございまして、先ほどタイに無償資金協力で設置いたしましたセンターの例を申し上げましたが、まず、そのセンターをつくるまでの過程で事業団の方から調査団を派遣していただいて、いろいろの計画をつくるということで、その計画の中には、そのつくりますセンターにどういうような機材を入れるかというようなことまで含まれるわけでございます。それで無償資金協力によりまして、実際のこのセンターの建物、それから機材等のいわば器をつくるわけでございますが、そのようにできましたセンターの中にまた事業団の方から派遣されます専門家等が参りまして、実際の相手国の若い人たちの訓練に当たるという仕組みになるわけでございまして、現地におきましてどのような資材、機材等が必要とされるのか。それからまた実際に技術協力が始められました後で、どのような追加的な資材が要るのかというようなことにつきましては、事業団の方にむしろ専門的技術的な知識があるというような事情か生じてくるわけでございます。  技術協力と関係かございます機材等は、これはきわめて簡単なものというわけにはなかなかまいりませんで、スペックと申しますか仕様か複雑なものもいろいろあるわけでございますが、その複雑な仕様のものなどにつきましては、これはむしろ外務省の素人よりも実際に調査に当たられた事業団の調査団の方、あるいは実際にその現地のセンターで技術訓練に当たっておられます日本人の専門家の方などの方かむしろよく御存じというような事情もあるわけでございますので、外務省といたしましてはむしろその辺の細かい仕事につきましては外務省自身が行うよりはむしろ事業団の方でやっていただいた方が能率が上かるというふうに判断している次第でございます。
  94. 小野明

    ○小野明君 各案件ごとに、これは事業団に移管すべきものかどうかという判断をされると思うんですが、これはどこでやるわけですか。
  95. 武藤利昭

    ○政府委員(武藤利昭君) これは外務省で判断いたします。この基準というのは、先ほど申し上げましたとおり、その特定の無償資金協力が法律に書いてございますように、技術協力あるいは技術協力に密接な関連性を有する事業のためのものであるかどうかということが判断の基準になるわけでございます。
  96. 小野明

    ○小野明君 そこで、この技術協力に関係のある無償資金協力業務ですね、これを私は全部事業団に移管した方がむしろ効果的だと思うのです。一部だけこうやって、非常に官僚らしい作文をやったもんだと思うのですが、この無償資金協力業務だけは全部事業団にやる、そういう改正といいますか、方向はできないものかどうか、ひとつその点はどうですか。
  97. 武藤利昭

    ○政府委員(武藤利昭君) この法律の改正をお願いいたしました動機は、先ほど申し上げましたようなことで、技術協力と密接に結びついている無償資金協力については、これはむしろ事業団でやっていただいた方が能率が上がるということから、このような法律の改正を考えたわけでございまして、技術協力と結びついていない無償協力というようなものにつきましては、ただいま申し上げましたようなことが当てはまらないということもございまして、これはむしろ事業団の方に下請的に出すよりは外務省自身が従来どおり行うということの方が合理的であろうと判断した次第でございます。
  98. 小野明

    ○小野明君 大臣、どうですか。これは無償資金協力業務の全部を事業団に渡してしまう、そこで一元化するということはできないものですか。
  99. 園田直

    ○国務大臣(園田直君) 全部無償の協力について事業団に出すということも一つの方法ではあると思って検討はいたしますが、無償資金協力をもっとどんどん量をふやさなきゃならぬし、それから外交についてアフリカ、中東、ASEAN等を考えてみても、この無償協力というものは非常に外交上の一つのきずなになっているわけでありまして、これをどこにどう使うか、どこの国の要望にどう応ずるかということは、これは外交上の非常に大事な問題でありますから、これは外務省でやった方がよいのではないか。しかし、そうやれば、これは二つに分かれて手っとり早くいかぬ、こういうこともありますので、その点は十分注意をして、二つに分かれた欠点がなくなるように努力をしていきたいと考えております。
  100. 小野明

    ○小野明君 大臣のお話のように、こういう改正をやったために、かえって手続というものが繁雑になって執行率が非常に低くなったような実施の遅延を招く、こういう結果を招かないように十分ひとつ配慮をいただきたいと思います。よろしいですか。
  101. 園田直

    国務大臣(園田直君) 一番大事なところで、この事業団法改正をお願いをして、いい結果が出るか悪い結果が出るかは一にそこにあると思いますので、十分御注意を守って努力をいたします。
  102. 小野明

    ○小野明君 終わります
  103. 安孫子藤吉

    ○委員長(安孫子藤吉君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時まで休憩いたします。    午後零時七分休憩      ―――――・―――――    午後一時二分開会
  104. 安孫子藤吉

    ○委員長(安孫子藤吉君) ただいまから外務委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、国際協力事業団法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  105. 渋谷邦彦

    ○渋谷邦彦君 ただいま議題となっております国際協力事業団法の一部を改正する法律案について若干お伺いしたいと思います。  もとより先進国の重要な役割りといいますのは、経済協力であり文化協力であろう、また、同時に、それが平和外交への基軸にならなければならないということは、これは常識だろうと思います。国際協力事業団の果たさなければならない責務というもの、使命というものは非常に大きいものかこれからもあろうかと存じます。法眼さんという大変外交のベテランと申しますか、幅の広い見識をお持ちになった方が総裁に就任されて四年、その事業団の内部の機構、また適正な人事の配置、それから、これからなさなければならない抱負経綸というものをさまざまな角度に立ってお持ちになっているんではあるまいか。きょうは、まず概括的にそうした展望を通して、総裁としてのお考えを最初に伺っておきたいと思います。
  106. 法眼晋作

    ○参考人(法眼晋作君) ただいま先生の仰せになったことは、ことごとく賛成でございます。  私は、国際協力事業団の活動というものはまさに時代の要請にこたえていく、そのことが日本の大きい国策を助けることになるということは十分わきまえておるつもりでございます。したがいまして、過去、正確に申せば三年八ヵ月たっておりますけれども、その間、内部においては機構の整備――と申しますのは、私は、重要な移住も担当しておりますけれども、これもより国際協力と申しますか、技術協力の面から見ることを強化いたしまして、そういう面から関係国に対する技術協力を通ずる協力を強化することによって、また、そこに出ておられる日本出身の方々も大変なベネフィットを受けるということをきわめて重視するものでございます。これがために、今回の予算におきましても、従来項が二つに分かれておりましたものを外務当局にもお願いをいたしまして、これが一つの項になりました。そのことによっていろんな経費の彼此流用も可能になります。それから、いま言ったような技術協力をあらゆる面に反映さしていくという観点から、部内の機構の整備もいたしました。そういうことの基礎において、私は、技術協力を通ずる国際協力を強化する一方、特に邦人のたくさんおられる、日本出身の者がおるところに対しても、従来以上にそういうことを進めていきたいと思うのでございます。  したがいまして、これは今回も御審議をいただいておりまする団法の一部改正も、これはやはり技術協力と資金協力、なかんずく無償の資金協力というものを統一してこれを実行した方がより効果かあろうという面があることはもう先生重々御承知のとおりでございますので、そういうことをやりながら、しかし、われわれは、これを実行する事業団の団員一人一人がその資質を向上いたしまして、事業団全体の仕事をのみ込みながら部分的な仕事を強化するということにも重点を置いているわけでございますが、そういったわれわれの努力を十分御理解いただきまして、この上とも御支持をいただきたいと思います。  まだ御質問があろうと思いますけれども、概括的にお答えすればそういうことになると思います。
  107. 渋谷邦彦

    ○渋谷邦彦君 確かに事業団それ自体を考えてみますと、歴史的にも新しい。古巣の外務省と違いまして、さまざまな人がおられる。しかも寄り合い世帯である。そういった背景を考えた場合に、いまお述べになったむしろ御抱負と申し上げた方がよろしいと思うんですけれども、それを強力に今後推進するというためにはやはり内部の整備というものが緊急の課題ではなかろうか。午前中の若干のやりとりの中でも人の問題ということが出ておったようであります。今回は、さらに無償資金の協力という新しい画期的な事業の一翼を事業団が行うということになりますと、これまた相当責任ある業務の遂行ということが要求されることは言うまでもないと私は思うんですね。果たしていま人材の育成というようなことも踏まえておっしゃられましたけれども、歴史が新しい寄り合い世帯だということを一般的にこう考えてみた場合に、果たして円滑な運営というものが今後において望まれるかなという不安感がないではない。もちろんそのためにはそれなりの御努力もなされていらっしゃるとは思うんですけれども、その点についての心配が本当にないものかどうなのか。  たとえば、その人材の育成につきましてもこれは簡単にはいきませんですね。いま新卒を採用した、やはりその人たちが思う存分に本部においてもあるいは海外の駐在員としても力を発揮して働ける、活動ができるというためには相当の期間が必要だろうと私は思うんですね。合同のこうした新しい事業か一つ加わったと一いうこと、伺いますと九名のスタッフでおやりになるということだそうでございますが、果たしてそれでもって十分な効果を上げ得られるものかどうなのか、そうした内部的な機構上の問題、いまお伺いしているさなかでございますので、そういった点について現状、それからさらにその点の心配がないという将来にわたる総裁としての御確信、この両面から重ねてまたお述べをいただければと、こう思うわけでございます。
  108. 法眼晋作

    ○参考人(法眼晋作君) まず、無償資金協力の部面から御説明をいたしますと、私どもは大体このことあるを予期いたしまして、すでに久しく外務省に団員を派遣いたしまして、これを外務省員と同じように働く訓練を受けました。それから部内のすぐれた者を簡抜いたしまして、この仕事に従事させることに陣立てを整えております。  御指摘の、いろんな寄り合い世帯であるという点でございますけれども、確かにそのとおりでありまして、これは団法も示しますごとく、主務管庁は外務省でございますけれども、しかし、農林に関する事業は外務、農林の共管である、あるいは通産に関する事業は外務、通産の共管である、こういうことはこれは事物自然の私は趨勢だろうと思います。  問題は、官庁間の御協力を十分されているわけでございまするから、われわれはそれを体して、先ほども申しましたけれども、現在、八十人の出向者がございますけれども、そういう諸君を十分適正に配置いたしまして、十七部ございますけれども、その各部の連絡を緊密にいたしまして、事項に従ってそれぞれ委員会をつくるというようなことで意思の疎通と仕事の関連性の重視という点に事業団員をならしてきておるわけでございますので、確かに先生の言われる危惧はございますけれども、これは日本の現状から踏まえましてわれわれは全力を尽くすほかないのでありまして、その全力についてはしばし時間をおかし願って、ひとつ適切なる御提言なり御忠告をいただきまして、われわれはわれわれの努力がより効果的に行い得ますようにしたい。  われわれは事業団法というものによって仕事をしているわけでございますので、さればこそ関係当局におかれては事業団法の一部改正を御審議を願っておるわけでございますけれども、これはわれわれ事業団全体の努力をひとつ温かく、それからまた警告その他を十分いただきまして、やっていくほかないというのが私どもの考えでございます。大きいことを申し上げてもこれは抱負倒れになっても困りますので、あくまでも現実の事実に即しまして、即物的にやっていくというほかはないというのが私の考えでございます。
  109. 渋谷邦彦

    ○渋谷邦彦君 いままで国際協力事業団と一口に言われましても、何となく影が薄い、その仕事の内容が十分に理解されてない、あるいは国民的な関心の的にもならない等々のいろいろな側面があったんだろうと思うわけでございます。しかし、そうは言っておれない。いまおっしゃるように、これからの事業そのものを考えても、また仕事の中身そのものをいろいろと考えましても、非常に大きいんですね、やることか。ですから、それだけやる仕事の量に比例いたしまして、現在の状況で本当に対応し得る能力があるかということを心配する余りにいまそうしたことを申し上げたわけなんでございます。  たとえば、いま国際協力事業団か海外駐在員として設置している国が幾つかございますね、こうした状況を考えますと非常に偏っているわけですね。偏っているということを私があえて申し上げるのは、事業団法の第一条に発展途上国に対する技術協力等々と大体四項目にわたってその目的というものが述べられておりますね。そうすると、この発展途上国、発展途上地域に対する協力ということがうたわれている以上、非常に偏り過ぎた力の入れ方じゃないのかなあということを感じないわけではない。  で、これはおたくからの資料だと思うんですが、いま新しい脚光を浴びようとしている地域に中東が抜けているんですね。全くこれは抜けていると言ってもいいんじゃないかと私は思うんです。主として中南米、それから東南アジア地域の一部、こういうところに海外駐在員を置いて窓口になさっている。これだけで果たして十分な措置というものがとり得るんだろうか。もっとも午前中の答弁の中で、海外協力というものはやはり重点的に行うべきではないかというやりとりが外務大臣からの答弁としてもあったことに思いをいたしますと、そういう点は十分整理をされて、とりあえず重点地域と思われるところへこういう海外駐在員を置いたのかなあと、こう思うんですけれども、今後、こうしたバランスをとると言っても一概になかなかわれわれが考えているようなぐあいにいかない。要請国のいろんな事情もあろうということもございますけれども、こうした点については将来計画の中にどんな考え方をお持ちになっていらっしゃるんでしょうか。
  110. 法眼晋作

    ○参考人(法眼晋作君) 現在、事業団といたしましては、中南米におけるもの以外の地域につきましては十五の出張所を持っております。駐在員がおるわけでありますが、御指摘の中東地域にはエジプト、サウジアラビア、イラン三カ所にわれわれは事業団の事務所を持っております。  もとより、御指摘のように、大変大事な地域でございまするから、だんだんとこれを整備していこうと思っておりますけれども、これは一度にそうたくさんは出せませんし、また人員の訓練もいかぬというわけでありますけれども、これは逐次ふやしていくということを考えております。段階的にしかやる方法はないと思います。しかし、交通も便利でございますので、われわれは、中東地域につきましては、この三ヵ所の駐在所からやはりなるべく周辺はカバーするということを心がけているわけでございます。
  111. 渋谷邦彦

    ○渋谷邦彦君 先般も、在外公館にかかわる法律を改正する場合に、私は述べたんでありますが、外務省自体も大変定員が少のうございますね。その少ない中で大変厳しいいろいろな要求にこたえていかなきゃならぬ。と同時に、この国際協力事業団についても約千名、そのうち約四割が海外駐在員というふうに伺っておりますね。それを国別に大体割り振っていくと、これまた非常に数のしでは少ない。少ないところへもって果たして専門家と言われる人たちが何人ぐらいいるのか。実際、これからのいろんな専門的な知識というものを要求される場合に、その海外駐在員がやはり窓口になる場合が非常に多かろうと私は思うんですね。そうした場合の対応というものは、必ずしも私は万全であろうとは思いません。先ほども総裁がお述べになった言々の中に、そうした体制強化についてはこれからも時間をかげながらという趣旨のことをお述べになっておられますので、だからといって、もう待てない場合がございますね。そうした調整というものはこれからどんなふうに図られていかなければならないのか。  必ずしも技術協力とか資金供与という面だけではなくて、あるいは海外移住というような問題も重なっていろいろと多岐にわたる要求なり、また推進というものがこれから考えられていくと思うんですね。そうした部門を分担する場合に、現状においては、とうていさばき切れるんだろうかというまた新しい一つの別な面からの心配が実はあるわけでございます。したがって、そういう心配を解消するためには、いろいろと事業団としても短期、中期等にわたる展望をお持ちになっていらっしゃるんではあるまいか。その辺はどういうふうにこれからの時代の流れとともに整備が果たされていくのか。一朝にしてなかなか大変だろうと私は思うんです。
  112. 法眼晋作

    ○参考人(法眼晋作君) ただいまの御指摘でございますけれども、事業団といたしましては、現在のところ、年間、大体八百名前後の専門家を各地に派遣をいたしております。で、これは単に駐在事務所などに限りません。僻陬の地にも行っておるわけであります。そのほかいろいろの調査事業のために年間千数百名にわたる専門家を派遣しておるわけでございまして、それらが逐一やはりその国との関係その他についての報告をいたしてまいります。そういうものに大いに依拠いたしまして、当分の間は、十分な網が張り得るまでは、現地のこういう少ないけれども、その事務所との関連において穴を埋めていきたい。のみならず、われわれのところでは本部から出張を相当さしておりますので、そういうものによってカバーしていきたいというのが事業団としての考えでございます。
  113. 渋谷邦彦

    ○渋谷邦彦君 それからもう一つ、先ほど私触れましたけれども、寄り合い世帯によって生ずるいろんな弊害の中で、特に若い世代の職員は確かに新しい天地を求めてというその希望もあるでしょうし、またそれなりの決意というものを込めて仕事をなさっておられると思うんですね。すでに衆議院の外務委員会におきましても附帯決議として幾つかの項目がつけられた過去の経過がございますね、御存じのとおり。その中にも、給与であるとかあるいは待遇あるいは労働条件、そういった面についての格差があってはならない、これは当然だろうと私は思うんです。そういった待遇改善の面についてはバランスがとれているんでしょうか。
  114. 法眼晋作

    ○参考人(法眼晋作君) 実態は、事業団の給与体系から申しまして、その初期の時期においては恐らく公務員よりも幾らか早く上がっているんじゃないかと思います。ただ、後に至って、その進み方が緩やかになるということのカーブが明確に示しておりますとおり、だんだん上部に昇進するに従いまして公務員の方々の方がいいという、そういう状況であります。しかし、われわれは何とかそういうもののカーブをよりなだらかなものにしたいという努力をいたしております。  他方、問題は事業団の団員だけではなくて、専門家の待遇でございますけれども、これもあるいは語学手当とかあるいは住宅手当とかあるいは僻陬地手当とか、そういういろんな種類の手当がありまして、こういうものを合算いたしますと、恐らく事業団の仕事に従事していただいておる専門家の方々の給与というものもそうほかの国に劣っているわけではないと私は思っています。言うまでもなく非常に財政困難な時期でございますので、特定の事業団だけがより大きい給与を出すということはこれは大変問題が起こりますけれども、御指摘の御趣旨のごとく、われわれは団員の福祉厚生というものを非常に心がけていくつもりでありますので、今後は、この退職年金の改善とかいろんなことを含めて、事業団におられる諸君がひとつ安心をして働いていただけるということをいま具体的に研究中でございます。
  115. 渋谷邦彦

    ○渋谷邦彦君 それはもうぜひお願いを申し上げたいと思うんですね。私、こうしてお話し申し上げているからには、いままでの経過というものを知らずに申し上げているわけじゃないんです。実際に私も中南米を訪問したこともございますし、そこに立ち働く事業団の職員の市も聞いてきた一人であります、まあちょっと古い話になりますけれども。ですから、もう大分前の話と現時点ということではそれは状態も変わっておりましょう。その格差の解消ということもいまおっしゃったような方向に向かって是正されているかと存じます。ただ、一ころやはりそういう格差で大分苦しんだという一時期があるということはお認めいただけるだろうと私は思うんです、余りにもひど過ぎると。  それでは、やはりこれから新たに入って、外務省に行きたいんだけれども、外務省じゃなかなか自分は行きにくいけれども、ひとつまた海外に視野を求めて、新しい天地を求めて国際協力事業団に奉職をしながら十分自分の力を試してみたいなんという若者が大ぜいいるであろうと私は思うんですね。それだけにそういった具体的な裏づけというものがない限り、上の方でいろんな計画を立てましても、実際やるのは中堅幹部だとか出先の人たちかやるわけでございますので、その労に十分報いられるというような改善の方法というものは当然過ぎるほど当然なんでありまして、それの改善がなされていないとするならば、むしろ遅きに失していると言わざるを得ない。これはいま私はここに細かい資料を持っておりません。ですから、どこの国じゃどうだ、ここの国じゃこうだということをあえて言いたくもありません。ただし、いままでのずっと流れの中で私が記憶に残っていることをもとにしていま申し上げているわけです。ですから、国際協力事業団に改組されてからも果たしてという冒頭に申し上げた心配がいろんなところに息づいているんではあるまいかということも感じられるわけです。その点は、ぜひ、いま申された御決意に従って、もしその辺のアンバランスな点があるならば早急に是正されて、事業団本来の総裁以下きわめて呼吸の合った体制の中で強力なこれからの新しい事業の展開ができるような方向へぜひ向けていただきたいなと、こういうふうにわれわれとしては願望するわけなんです。  で、意外と、やはり偉い方というのは中間あるいは下部職員のいろんな苦情、不満というものは吸収されない場合がある。これは企業体にしても同じようなことが言えると思うんですが、企業体にしても非常にスムーズに業務の運営がなされているというところは、やはり指揮官先頭でもって絶えず下部のそうした心情というものを吸収しているところに企業が拡大されていくでありましょうし、それなりの実効というものが上がっている。これはもう私があえて釈迦に説法みたいなことを申し上げなくても総裁は十分理解されている問題であります。しかし、残念ながら、一つの機構というものを考えた場合に、言うべくしてそうしたことがなかなか行われない。ただ、私は、国際協力事業団といういわゆる特異な存在と言ってもいいと思うんですね、日本を代表する、むしろ平和外交展開への強力な推進母体になるであろうと評価をしておりますだけに、そういった内部の整備というものか私は何としても緊急の課題であろうというふうに思えてならないわけであります。  いろんな今日までの経過についても、事業団にまつわることは聞きもし知ってもいるつもりです。あるいは表面的なものかもしれない、うわさ程度かもしれないものももちろん含まれておりますけれども、あながちにいままでのその経過を振り返ってみた場合に――きわめて抽象論です、いま申し上げていることは。あえて具体論を、ここに事実関係を明らかにしてどうこう申し上げたくもありません。これから新しいいま展望に立ってやろうとしているやさきでございますから、過去は過去として、今後、いま私が申し上げたような趣旨をどうかお受けとめいただきながら、国際協力事業団の果たすその使命というものが、なるほどわが国の利益をまた一方において確保する上からきわめて重要なセクションであるというふうにひとつ御判断をいただきながら進めていただきたいなと、こう思うわけでございます。  それから、次に、いま申し上げた問題の中で、特にこれから総裁御自身の頭の中に描いておられることで、人材の育成ということがおありになろうと思うんですね。これは非常に大事なことだと思うんです。先ほど来から触れておりますように、機能的な働きというものが十二分に発揮できるためにはこれは当然の措置だろうと思うんです。要請される人材というものは多岐にわたると私は思うんですね、あるいは農林関係に精通する者あるいは通産関係に精通する者というようなぐあいに、しかし、それも、これからただ人数さえふやしていけばいいという問題じゃもちろんないだろうと思いますね。これから二千人になるのか三千人になるのか、これからおやりになる事業計画の規模に応じてまた人員の整備というものが当然行われていくだろうと思うんですが、ただ、発展途上国の地域に対する技術協力あるいは資金供与ということになってきますと、これからも持続性があるだろうし、そしてまた、それだけの規模と人材というものを適切に配置をしなけりゃならぬ、こうなった場合を将来に向けて考えた場合に、いまからやはり人材の育成ということに手がけなきゃならぬ、そういった点についてはいろんな研修所に入れるとかいろんな方途がおありになるとも思うのですか、現在、いま考えられているやり方、それから法眼さん御自身としてこうあることが一番これから望ましいなと思う点があったら、ひとつ御披露いただければ大変ありがたいと思うのですね。
  116. 法眼晋作

    ○参考人(法眼晋作君) お答えいたします。  現在の人材養成のやり方はいろいろございまするし、特に専門家につきましては派遣する前に三週間の事前研修というものをやりまして、任地の状況その他について十分な知識を得てもらって赴任をいたしてもらっております。そのほかに、われわれは年に十数名の者を限って海外に二年間研修をさせまして、海外の日本よりもやや進んでおるところのそういう開発戦略、そういうものを研究させておるわけでございます。これはしかし事業団だけの者を派遣するには少し不十分でありますので、将来そういった開発業務に携わると思われる各省の諸君あるいはほかの団体の諸君に来てもらいまして、十数名の者をこの数年間養成し続けました。そのほか年に二回を限りまして専門家の中期研修というのをやっております。これはそれぞれ三ヵ月間でございまして、主として語学、それから技術協力をする場合の心得等々につきまして、三ヵ月間、これをたたき込むということにしておりまするし、現在、そのうちから海外に専門家として出ておる諸君が相当おります。  そのほか、現在の職員の語学の研修等をやっておりまして、大体、私の希望するところでは、いやしくも事業団から派遣される諸君が現地の諸君と交わって十分つき合えるという形の基礎を十分身につけさせていきたいというのが念願でございます。たとえば中南米方向におきましても移住をやっておりますけれども、移住事業に従事する職員というものは現地における先方の地方官憲と十分つき合って、その考えるところを十分くみ上げる体制というものをこの上とも強化したいというのが私どもの考えでございます。だんだん着手しているわけでございます。かくのごとくいたしまして、われわれ職員は常に新しくそのときの状況を修めて、国際的な協力というものの重要な点を十分身に体するという形で、協力をするための基礎を訓練していくということをやっておるわけでございます。
  117. 渋谷邦彦

    ○渋谷邦彦君 確かにいまおっしゃられたとおりだと思います。ただ、非常に気になりますことは、やはり相手国と折衝する場合に、相手国のその実情というものがどう理解されるかということ、それは言葉の問題だと思いますね。  先ほど、私、中南米だとか、あるいは東南アジアの一部、それから中東もサウジアラビアを含めたごく限られた地域を申し上げました。こうした国々を見ますと、大体、英語、スペイン語、ポルトガル語というのが代表的な言葉になるのだろうと思うのですが、この中にはそれ以外にやはり特殊な言葉を要請される場合がございましよう。これは何かインドネシアの場合なんかでも、英語じゃなくて土地の言葉というのですか、でなければなかなか通じないというような折衝の場面も過去においてあったというようなことを伺っておりますし、考えてみますと、そういう語学の訓練なんてものは一番これは基礎になると思いますね。  いまお述べになったとおりだとは思うのですけれども、そういったものがばらばらの状態で一体習得できるものだろうかどうなのかということもここでまた不安材料の一つとして、特に日本人は語学が下手だなんていう定評か過去においても伝説的に言われているような経過があったくらいでございますので、よほど相手の考え方というものを理解するためにはこの言葉の障害というものを除去しなければならぬということを含めまして、またそれにプラスするものとしては技術関係の専門知識、農業関係の専門知識というものがアルファとして要求されてくる、そうなると非常に高度の人材というものが必要になってくると思うのですね。  これかやはり期間か経過すれば先輩はだんだん古くなっていきますし、人事の交流というものも当然行われていかなくちゃならぬということになると、新しいところに人材を求めようとする場合に、当然いまのうちから十分将来性というものを見据えながら人材の育成というものに取り組んでいかなければならないし、それには思いつきみたいに、そしてまたきわめて短い期間で何もかも一つの枠の中にはめ込むような教え方ということでは弾力性のある行動というものか果たしてできるのだろうかという面を私は私なりに感じますがゆえに、特に人材の育成というものについては、現在の学校教育それ自体も問題がございましょうし、いまの学校教育に果たして期待できるだろうかというと、これは大変むずかしい問題でございます。  そうしたむずかしいとばかり言っていたんじゃ、いつまでたっても解決の方途かありませんので、たとえば協力事業団として東京外語だとか大阪外語あたりにむしろこちらからこういう人たちがぜひ必要なんだという要請に基づきながら、そういう学校で具体的に訓練してもらう、教育してもらう、これは当然文部省という役所も介在しなければ解決のできない問題かもしれませんけれども、そういう考え方はございませんか。やっぱりいろいろバラエティーに富んだ、そうしてこうだという、その中でも整理をしながら一つの基本方針というものを定めていきませんと、言うべくして人材は集まらぬだろうと思います。
  118. 法眼晋作

    ○参考人(法眼晋作君) ただいま大変りっぱな御示唆をいただきまして、われわれはその趣旨を体していきたいと思いますが、現在、国内でやっておりまする語学の研修は主として英語とスペイン語並びにポルトガル語でございます。こういうものにつきましては語学手当というものの制度をつくりまして、特にこれを奨励しているという現状でございます。  そのはかに、御案内のような青年海外協力隊というのがございまして、これはそれぞれ非常な地域に行って働くわけでございますけれども、したがってこの諸君は語学につきましては大変すぐれた知識を持ってまいります。事業団といたしましては、そういう諸君を、帰ってきた後で、単に協力隊だけで使うのではなくて、事業団全体のために役立つ者を簡抜いたしまして、相当な数を登用いたしております。さようなわけで、事業団といたしましては、あらゆる意味で先方との意思の疎通のメディアであるところの語学を振興しているわけでございます。先生の御示唆は大変私は結構な御示唆だと思いますので、そういうことも含めてひとつ語学の習得に遺漏なきを期したいと思います。
  119. 渋谷邦彦

    ○渋谷邦彦君 それからもう一つ、つけ加えて申し上げたいのですが、いま事業団の役員の体制を拝見いたしますと、どういう方が理事におなりになっているかわかりませんけれども、非常勤の理事の中には銀行関係や何かの専門家の方もおられるようであります。これは外務大臣にもちょっと考えていただきたいというふうに思うのですが、外務省には顧問制度、参与制度というものかございましょう。働きそのものはここでとやかく申し上げるつもりはありません。やはり事業団が総裁を中心にして強力にこれからの事業展開ができる一つのよりどころといいますかを考えた場合、顧問に田村さんだとか、社会党の参議院議員をやられた森元治郎さんとか外交のベテランか据えられているわけですけれども、もう少しくその幅を広くして、場合によっては有給にしてもいいのじゃないかと思うのですが、必要に応じて外務省のベテランの方をそこに据えられても結構、あるいは農林省でも結構、やはり総合的な見地に立って事業を推進するということのためには、別に補佐機関というよりも、あるいは意見をどんどん言えるような、そういうお方を配置していただいていいんじゃないかなと。なるほど田村さんは長いことブラジルの大使をやられた方ですから、特に中南米に明るい方かもしれません。しかし田村さんに限らず、もっともっとその辺を、それこそバラエティーに富まして機能発揮ができるようなこともお考えの中に入れておいた方かやりやすいんじゃないかというふうに、私素人目かもしれませんけれども、この点は園田さんからもひとつ抱負の一端などをあわせてお伺いしたいものだなあと思うわけです。
  120. 法眼晋作

    ○参考人(法眼晋作君) 裏業団の現状を申しますというと、ただいま御指摘の点以外に技術参与というものを設けまして、これはたとえば林業について非常に明るい方に来ていただきまして、これは積極的に働いていただいております、われわれはあらゆる知識と技術を吸収しなきゃいかぬと思っておりますので、大変有益な御示唆をいただいたと思います。
  121. 渋谷邦彦

    ○渋谷邦彦君 外務大臣、いかがでしょうか。
  122. 園田直

    ○国務大臣(園田直君) この件についても、この前の委員会で私申し述べたところでありますが、経済協力外交の面で非常に範囲が広くなってきております。それから経験が特殊な経験を必要としてきております。そういう意味で外務省の顧問制度、参与制度、こういうものを活用をして、本当に、単なる外務省の先輩ばかりでなくって、各方面からそういう方々に参画をしていただいてやるということは、これは広く大所から検討しなければならぬと思います。御趣旨をよく胸に受けとめて努力をいたします。
  123. 渋谷邦彦

    ○渋谷邦彦君 やはり事業団強化の一環として、その点は、御考慮だけじゃなくて、具体化の方向へぜひこの機会に持っていっていただきたいものだなというふうに、これは提言しておきます。
  124. 法眼晋作

    ○参考人(法眼晋作君) ただいま私申しおくれたんでございますけれども、事業団としましては、そのほかに、たとえば医療の部門におきましては特別諮問委員会を設けまして、学界の有力な大家その他の学識経験者を交えまして医療協力に関する万般の御意見をちょうだいいたしております。これは相当頻繁に開いております。そのほか事業団の団法にもある御承知のとおりの運営審議会というのがありまして、これは日本の最も有力な方々に参加をしていただきまして、そこに社会開発委員会であるとか、あるいは農林業、鉱工業、移住というふうに群を分かってそれぞれ審議をしていただいておりますので、私は、その意味では、すでに先生御指摘の点も一応は実行しているわけでございますが、なおこの上とも外務大臣のおっしゃったような形で、われわれは万遺漏なきを期したいというのか事業団の考え方でございます。
  125. 渋谷邦彦

    ○渋谷邦彦君 次に、いま発展途上国の地域の国々から最も強く要請のある技術協力の種類でございますが、どういうものが主にございますか。  たとえば灌漑事業であるとか、あるいは病院の建設であるとか、またその他の産業開発に伴う施設整備のためのひとつ協力をしてくれないかとか、あるいは場合によってはそれに伴う人的な援助もしてくれないかとか、いろんなそういう種類がぼくはあると思うんですね。どういう地域から――これは国別に別に挙げる必要はございません、たとえば中南米が多いのか、あるいはアジア地域が多いのか、アフリカ地域が多いのか、その内容を分析してみた場合、建設関係が多いのか通産関係が多いのか農業関係か多いのか、こういうことをまず最初にお尋ねしておきたいと思うんです。
  126. 武藤利昭

    ○政府委員(武藤利昭君) ただいまの御質問、まず分野別に申し上げますと、これは一九五四年から七六年までの累計の実績でございますが、技術協力には研修員の、受け入れと専門家調査団の派遣、その他いろいろあるわけでございますけれども、まず分野別ということで、研修員の受け入れについて申しますと、多いものといたしましては農林水産業、これがやはり一番多うございまして、農林水産業関係が全体のほぼ四分の一ぐらい、二四・六%ぐらいが農林水産業ということになっております。そのほか、多いものを拾いますと、行政関係が一三・八%、鉱工業が一二・三%、郵政一〇・二%、あと運輸関係、厚生関係、建設関係等となるわけでございます。  それから地域別に申しますと、やはり一番多いのはアジアでございまして、これも研修員の受け入れについてでございますが、全体の七二・五%がアジアということになっておりまして、それに引き続きまして中南米、中近東が大体一一%程度、アフリカが四・五%というような数値がございます。  それから、片やわが方からの専門家調査団の派遣について申しますと、比率は大体先ほど申し上げたのと似たような順番でございまして、農林水産をトップにいたしまして、建設、鉱工業、運輸というような順番になっております。それから地域別に見ますと、この専門家調査団の派遣についてでございますが、やはりこの分野におきましても一番多いのはアジアでございまして、全体の六五%ぐらいがアジアに行っております。それから中南米か一二%、それから専門家調査団派遣ではアフリカの比率が大分上がりまして、一〇%強というものがアフリカ、中近東九%、大体このような比率になっております。
  127. 渋谷邦彦

    ○渋谷邦彦君 今回、技術協力に要する予算の枠が三百九十億、たしか午前中の御答弁でそうだったと思いますね。そうしたものが、せっかく三百九十億という予算が組み込まれて、これが円滑に消化されるものかどうなのか。そしてまた、その三百九十億というものを消化するために具体的にいまどういう要請が起こっているか。また起こるであろうと思われるようなものは一体何かということについてはわかりませんか、まだ。
  128. 武藤利昭

    ○政府委員(武藤利昭君) けさお話が出ました三百九十億円というのは、これは外務省が所管しております無償資金協力の予算でございまして、技術協力につきましては、これは政府全部を通じて、外務省以外の各省が持っております技術協力予算も含めてでございますが、これは五百一三億円ということになっております。  それから、その消化の問題についてでございますか、技術協力につきまして、執行率は、これは最近非常に改善されておりまして、けさほども法眼総裁の方から御指摘があったかと思いますが、九〇%以上の執行率というものを見込んでおります。技術協力につきましては、これは非常に細かい話がたくさんございまして、こういう専門分野の研修員を受け入れてほしいとか、こういう分野での専門家が欲しいとか、こういう分野での調査団の派遣をしてほしいとかというさまざまな要望が相手国からございまして、いまの段階で相手国側からの要望を全部総括的に申し上げるということは困難でございますが、いずれにいたしましても、非常に相手国側から日本の技術協力に対する要請は多い。私どもの方といたしましても、けさほど申し上げましたように、できるだけ敏速にそのような相手国の要請に即応していくというふうに努力しているわけでございまして、この執行の面につきましては、先ほど申し上げました五十二年度九〇%以上というものを、またさらに高めるように努力したいと考えておる次第でございます。
  129. 渋谷邦彦

    ○渋谷邦彦君 確かにいま局長かお述べになったように、ぜひその方向へ取り組んでいただきたいというふうに思いますね。  と申しますのは、せっかく要請があった、あるいは約束をしたいままでの政府間ベースにおける借款供与にいたしましても、交換公文が締結された後において果たしていまどの程度執行されているかということ、概括でありますけれども、半分ぐらいしかまだ、特にASEAN地域においては、前回も問題にしたわけでありますけれども、執行されていない。そういうところからせっかく期待が持たれても何だということになって、信頼を裏切るようなことになったんでは非常にまずいということは、あえて申し上げずとも重々その辺は受けとめておられるんだろうと思います。  で四十九年度については、これは海外技術協力事業の特に予算だけを見た場合でも、執行率の割合が四十九年度で七四・七%、昭和五十年度では八二・五%、昭和五十一年度では八四%と逐年上がってはいるものの、必ずしもできれば満額達成というところまでいっていない、これは何か事情があったんでしょうか。
  130. 武藤利昭

    ○政府委員(武藤利昭君) 執行率が一〇〇%までいかない理由といたしましては、けさほどもちょっと申し述べましたが、日本側の事情と同時に相手国側の事情がございまして、特にたとえばこちらの方で調査団の派遣を年度末ごろに予定していたときに、急に相手国がその時期は悪いので四月以降にしてくれというような要請がありますと、その分についてはその年度内に執行できないという事情もあるわけでございますので、一〇〇%ぎりぎりということはなかなか困難ではないかと思いますが、執行率の改善ということは私どもとしてもその重要性を十分認識しているところでございますので、何とかその執行率を上げるように今後とも努力したいと考えている次第でございます。
  131. 渋谷邦彦

    ○渋谷邦彦君 確かにいろんな事情が介在する場合かあって、残念ながら執行率か余り思わしくないということはわからぬわけではございませんけれども、やはり予算を立てる以上はそれだけの目安というものか当然あって、またいろんな試算が積算された上に出てくるんであろうというふうに私どもは考えるわけです。したがって、できることならば、一〇〇%というのはなかなかこれまた技術的に非常に無理な場合もないではないけれども、やはり願うことならばいま局長がいみじくも言われた九〇%台はぜひこれからも確保するというような方向でいきませんと、国際信用度というものがそういう場合においてもかかわり合いを持ってきて大変信用失墜につながらないとも限らないというようなことを考えますので、特にこれから頻繁にいろんな技術協力の面、資金供与の面で日本に要請するそういうものというものが大変多くなってくるだけに、よほどその辺を敏感に対応していきませんと、いま四十九年から五十一年度まで申し上げたような割合にとどまってしまう、そういったところにいろんな事情はあっても、その事情が十分理解されないままに、結局、結果論だけでもって評価をされるということの方がやはり強く表面に出てくる可能性の方が強いと思うんですね。だから、その辺も十分心得ていらっしゃるはずだと思いますので、今後十分その辺についての問題点も解消の方向へ取り組んでいただきたいなと。  まだまだお尋ねしたいんですけれども、限られた時間もあとわずかでございますので、今後、海外移住の問題について若干触れさせていただきたいと思うんです。  この海外移住については、どうなんでしょうか、これから強力に推進する立場をとるのか、現状維持をとるのか、あるいは撤収の方向へ向かうのか、これはむしろ国全体としての一つの計画の一環として事業団でもいろんな御計画がおありになるんではなかろうか。これは領事移住部長にお伺いした方がいいんですかな。
  132. 賀陽治憲

    ○説明員(賀陽治憲君) 海外移住につきましては、御承知のように客観条件の変化というものの影響を免れないわけでございまして、戦後生活水準の向上というものに伴いまして、やはり海外移住の量的な面におきましては、従来に比しまして、従来ほどのペースでは進んでおらないということは事実でございますけれども、同時に、日本人がこれだけの頭脳と識見を持ってこの人材海外に供与するという観点からの必要性、さらに海外雄飛の精神というものは依然失われていないというふうに判断をすべきだろうと存ずるわけでございます。  そういう意味で、量的面に着目いたしますよりも、たとえば戦前に比しまして移住者の学歴がはるかに高くなっておるというような状況から、若干語弊がございますが、量的移住から質的移住への転換ということで技術移住が最近脚光を浴びていることは御承知のとおりでございます。そういった見地から、先ほど法眼総裁からも御説明があったところでございますけれども、経済協力というものとの接点をさらに探求をするというようないろんな問題点を抱えておるわけでございまして、総じて申し上げれば、やはり海外移住は今後とも新しい観点から推進すべきであるというのが外務省の立場であると存じます。
  133. 渋谷邦彦

    ○渋谷邦彦君 確かにかつてのように量的なだれでもかれでもという、あるいは極端な言い方をしますと、食い詰めた者が移住をすることによって何とか人間らしい生活への方向転換ができるんじゃないかというようなことから行った時代もあったろうと私は思うんです。しかし、それはもう過去の大分昔のことでありまして、戦後の海外移住の統計を拝見いたしましても、北米はともかくとして、特に移民協定の結ばれている中南米を中心にして考えましても、ブラジルを筆頭に相当数の方々が向こうに移り住まわれている現状ですね。そうした経過を踏まえて、いま賀陽さんかおっしゃったように、最近ではむしろ農業移住ということよりも技術を中心とした移住というものに要請も大変高まっているし、また日本としてもそういう対応を示すことの方がより友好親善のきずなにもなっていくだろうと、これはよくわかります、そのとおりだと思うんです。  ただ、一面から考えますと、これはこういう公の委員会で申し上げていいかどうか私もちょっとためらう気持ちがあるんですけれども、この日本の狭い山岳列島に一体あと何人住めるかという問題があるんですよ。これは政府の統計では全然示されてないんです。それは人口統計学者は理想的な日本に住める人間の割合というのは六千万なら六千万ということを発表したこともあります。あながち学者の言った言い分というものはそのままストレートに受けとめられるかどうかは別問題といたしましても、やはり住まう面積なんかはもう三分の一しかない平地面積に住まわなければならぬ。それで二十一世紀までの間に一億五千万になり、大体その辺でふえもしなければ減りもしないという――人口がふえることは間違いないんですね。ただ、人口がふえることによって人口分散というようなそういう甘い、何か日本のエゴむき出しのそういうことを考えるのではなくして、そうした中に非常にすぐれた若い世代の人たちが大ぜいいるはずだということなんですね。また、そういうすぐれた日本人の知識なり技術なりというものを吸収したい、むしろ中南米あたりでは門戸を広げて大いに来てくださいという国々もあるわけです、実際考えてみると。だから、そういったものに対する敬発というものはどう一体あらねばならないのか、また、そういう点についてのこれからの解決策というものはどう考えていったらいいのか、これは本当に大事な問題だと思うんですね。  単に移住なんというと何となくひけ目を感ずるようなこの表現自体が悪いのかもしれませんけれども、やはり技術協力の一環という立場に立って移住それ自体も包含されたものとして考えるならば、相手国にも大変プライドを傷つけないで済むであろうし、日本としてもすぐれた文化あるいはすぐれた技術を提供することによって、日本という国は大事であると、これがどれほど世界平和に強いくさびを打ち込んでいくかはかり知れないものがあるんではなかろうか。少しくその辺を見詰めて考えればだれしもが思い浮かぶ問題点ではなかろうかという見地から、もっとその辺を政府は政府として今後の方策というものをお立てになることかぼくは必要ではあるまいかと考えるわけです。何も中南米と限りませんよ。オーストラリアあたりの場合もございましょう。そういう点でもう少しくその辺を洗い直して、いまの日本などはいろんな国内経済情勢もあります、社会情勢もあります、人口問題もございましょう。それに伴う食糧問題、エネルギー問題ということを考えたら、もう目の前に来ているわけでございますので、やはりそうした面については、せっかくこういう問題が討議される際に、国の将来の方向としてどうあらねばならないかという基本的な考え方というものをお持ちになっていただいてもよろしいんであるまいか。その辺から発想が展開されていきませんと、思いつきみたいなそういうことで終わってしまうと私は言わざるを得ないんです。  たとえば、これはちょっと古い話になってしまうんですが、昨年ですか、国際協力事業団アルゼンチンの、何というところですかね、パタゴニア水域の調査をおやりになったでしょう。その調査をおやりになった後で、日本の記者の方々が大統領と会見した際の一問一答があるんですね。それはさることながら、その水域については大変な漁場であって、ぜひ日本のすぐれた水産技術者というものに来てもらいたい、むしろ移住という形で来てもらいたい。約一万六千、これは世帯なのか人数なのかはっきりしておりませんけれども、大変な数でございますね、考えようによっては。二百海里水域の問題これあり、やはり新しいそういう方向転換を迫られる時点をいま考えた場合に、こういったせっかくのそういう要請があるということについてはわれわれとしても十分考えの中に入れて、むしろ推進する方向へ取り組んでいく必要があるんじゃないか。事業団の方としては、いま申し上げた話は去年の十月の話だったと思いますので、ことしの四月には調査団を何か正式にこちらから派遣をする、その派遣という形が移住という形になるのかどうなのか、それを決めたいという表明がなされたやに伝えられているんですけれども、この点は事実関係だけ確認しておきたいと思うんですが、どうなっておりましょうか。
  134. 賀陽治憲

    ○説明員(賀陽治憲君) アルゼンチンの漁業移住の点でございますが、先生御指摘のとおりに、いわば国際協力と移住との接点を探求する場合の一つの非常に野心的な例であるというふうに認識をいたしまして、その後対処しているわけでございますが、ただいまの御質問につきましては、昨年九月に、国際協力事業団が現地の移住候補地の一般概況等の調査をいたしまして、それを現在取りまとめておるわけでございます。  一方、魚がとれるのかどうかというところがやはり最大のポイントでございますので、この点はじかに確かめるということが必要でございまして、私どもの了承しておりますところでは五社の漁業協力というのがございまして、民間の漁業協力の調査船が近く現地の海域を訪れて、いわば本当に魚がとれるかどうかということを確めてまいる、これがやはり一つの大きなターニングポイントになるかと思うわけでございます。  同時に、いま御指摘ございましたように、本年度予算で現地調査費として約千三百万円を認めていただいておりますので、調査団をできるだけ早い機会に派遣するということでございまして、なお、さらに一歩進めて申し上げますならば、事業団の融資枠のうちの相当部分を、もし漁業移住の話が本当の現実性を帯びてまいります場合には、それに充てる配慮もすでにしていただいておるというのが現状でございますので、もちろん野心的提案でございますので、詰めるべき点はまことに少なくないわけでございますけれども、逐次、対処の措置を進めてまいるという考えでございます。
  135. 渋谷邦彦

    ○渋谷邦彦君 大変慎重なことは結構だと私は思うんですけれどもね、大体、この話が出てから半年ぐらいたっているんじゃないかということが一つ。ぼくは一つの例として挙げただけでありまして、ブラジルあたりを考えてみても、ウジミナスの製鉄所あるいは造船所、あるいはチリのサンチアゴを中心として考えた場合には、北部は鉱業地帯、南部は農業地帯、しかも人口は非常に少ない、労働人口が。加えて、やはり日本の企業の進出を求めている。と同時に、それに伴う従業員も必要になってくる、そういう多面的にいろんなことがいま考えられるとぼくは思うんですね。ですから、そういうことをもう少しく整理をされて、海外移住をやるならやるように、技術協力の一環として本気になって取り組んでもらいたい。  また、いま都道府県にそれぞれの支部が設けられているにもかかわらず、これはほとんどもう停滞状態で海外移住なんかについては何らの啓発宣伝等も行われていない言った方かむしろいいくらいの仮眠状態でございましょう。そういうことも考えあわせますと、事業団としての業務内容の目的の一環として掲げられております海外移住についても、どちらかというと、いま技術協力にウエートか置かれちゃって、移住の方が吹っ飛んでしまったみたいな、やはりその辺を総合的に考えていきながら、その中にも経済交流というものは考えられるのだというこの基本概念に立った取り組み方がなければ、事業団としてはやはりしりすぼみの仕事しかできないということになりはしまいかということを心配するわけです。  もう限られた時間が若干経過しておりますので、もう少しこれは言いたかったのですけれども、ただ、いま申し上げた私の意のあるところをひとつくんでいただきまして、その辺の問題を包括的に最後に総裁と外務大臣にそれぞれ意のある御答弁をいただいて、ぼくの質問を終わりにしたいと思うんです。
  136. 園田直

    ○国務大臣(園田直君) 事業団の仕事からいたしましても、経済協力の面から言いましても、突き詰めていきますと、二国間で日本の方が金を出して向こうの開発を助けてやる、こういう考え方はだんだん通用しなくなってきておりまして、向こうへ行って向こうの人と一緒にそこへ住んで、そこの国民になって、そしてそこの開発をやるというのがこれが本当の姿でございます。そういうことから海外移住というのは、これは経済協力の最高の私は方針だと思うわけでありますが、しかし、現在、人口問題等で別個に各国は相当深刻に考えておりますから、この移住問題というのはなかなか複雑なものであるわけでありますが、そういう状態において、向こうから話が九月にあった、それから調査した、そうしてことしになってわずかに調査費か千三百万ついた、それで今度調査に行って、また一年たって来年の予算でこれをどうこうやる、こういうことが時期を失し、そして、結局は、頼んでも頼りにならぬということになってくるわけであります。  そういうわけでありますから、これをどうやってもっと総合的な見地から、単なる経済協力、そのうちのちょっと上の海外移住ということではなくて、人口問題から国際協力から一切のことから考えて、海外移住というものをもう一遍ここで深刻に検討して、これを進めていくということが特に日本にとっては重要であると考えておるわけでありますが、いまから二十何年前、私が政務次官をやったときに初めて海外移住株式会社というのをつくって、今度大臣になってみますと、この事業団の中の一部に入っているわけでありますが、これはもう一遍深刻に検討してみる必要があると考えております。
  137. 法眼晋作

    ○参考人(法眼晋作君) 外務大臣のおっしゃったことに私はつけ加えることはございません。そのとおりだと思います。
  138. 立木洋

    ○立木洋君 大臣、今日の情勢の中で対外経済技術協力というのが非常に重要な意味を持っていると思うんですね。これは今後の情勢の発展の中でこの重要性というのはますます強まりこそすれ、弱まることはないだろうというふうに考えられるわけです。だからこそ、この対外経済協力というのを公正適正に行うかどうか、あるいはそれを過つかどうかという問題は、世界経済の新しい秩序に貢献するという観点から見るならば、非常に重要な問題だろうと思うんです。  そういう点で、海外技術協力の額をふやしていく、同時に質の問題も含めて、まず最初に大臣の基本的なお考えをお聞きしておきたいと思います。
  139. 園田直

    ○国務大臣(園田直君) 私は、ときどき武力のない日本外交としては経済協力だけが手段でございますと、こう言っておるわけでありますが、この言葉は誤解を生ずることがありますので、この点はっきり申し上げておきたいと思うわけでありますが、経済協力、技術協力が二国の間で、一方、協力する方は自国の便宜のために、あるいは外交上の利益のために他方の開発に協力するという考え方、これは通用しなくなってきた。ましていわんや企業が進出をする、そこへプロジェクトをつくる、そしてその地域を市場にするなどということは、結局は利潤のために経済協力ということになるわけであります。開発途上国の地域住民もそういうことに目覚めてきたわけでありまして、海外経済協力の本当の目的というものは、その地域の経済、社会の開発に積極的に貢献をして、その地域に住む人々、いわゆる地域住民の所得の向上及び人間の基本的要求の充足という目的でもってやらなければならぬ。そのためには二国間だけで考える問題ではなくて、将来はやはり世界的にこれは協力してやるべき筋合いのものであるというふうに考えております。
  140. 立木洋

    ○立木洋君 いま大臣も言われましたけれども、一九六四年ですね、第一回UNCTAD会議が開かれまして、南北問題というのが国際的にも重要な脚光を帯びてきた。日本の国内的な事情から言えば、他の先進国に比較して、いわゆる開発途上国との経済関係というのは非常に輸出輸入あるいは原材料の依存度が非常に高いわけです。そういう点から見ると、開発途上国の見解あるいは考え方に相当日本としても十分に、耳を傾けて、よくやっぱり意見を聞く必要があるだろうと思うんです。いまおっしゃったように、正しい意味での協力というのは、これは押しつけではないわけですから、相手に本当に喜んでもらえるような状態になるということが最も望ましいわけですから、そういうことから考えるならば、この意見をよく聞き、状況をよく理解するということが経済協力を進めていく上で非常に重要なことだろうと思うんです。  そういう点で、去る七六年の八月に非同盟諸国首脳会議が開かれました。あそこで経済宣言が採択されておりますが、あの中でも新しい国際経済の秩序について見解が述べられておりますけれども、これらの点について大臣の御所見をお伺いしたいと思います。
  141. 園田直

    ○国務大臣(園田直君) ただいまの御発言は、世界の国々が協力をして新しい経済秩序というか、新しく生存するための新秩序をつくろうというところから発足してきたことで、私は経済協力の将来の姿というものはそういう方向に行くべきではなかろうかと考えているところでございます。
  142. 立木洋

    ○立木洋君 それじゃ、あそこの開発途上国で述べられている、いわゆる非同盟諸国の経済宣言については、基本的には賛成できるというふうに理解していいんですか。
  143. 園田直

    ○国務大臣(園田直君) 方向はそういう方向だと存じます。
  144. 立木洋

    ○立木洋君 いままで日本の対外経済協力については外国からいろいろな批判もありましたし、問題もあっただろうと思うんです。そういう点で、いままでの日本の対外経済協力を振り返ってみて、どういう点が反省されなければならないというふうにお考えになるのか、また、いままでの経済協力の面から特に改めなければならない今日の重要な点というものについてはどのようにお考えになっておられるか、その点お伺いしたい。
  145. 園田直

    ○国務大臣(園田直君) 経済協力もだんだん変化してきて、いい方向に進んでおるとは存じますけれども、日本の経済協力の過去を反省してみますと、一つは、日本の経済のためということから、次は国益のためという言葉に変わってきて、次には経済安全保障という言葉がよくはやるわけでありますが、このようなことにだんだんと変わってきておりますが、そういう一国の国益、利益あるいは経済の自立のためにやるという協力であってはならない、こういう点が日本が批判を受けた第一の原因じゃないかと思います。  それからもう一つは、量が少ない点も確かに批判を受けておりますが、その金額も、単に目に見えた開発だけではなくて、それぞれ南北問題あるいはその他の問題で世界の各国が力を合わして援助をし開発していこうということに対する国際協力、国際機関に対する日本の努力というか、金の出し方か非常に少ないという点も非難を受ける点ではないか。逆に言えば、こういうことに注意しながら今後の経済協力を進めていくべきである、こう考えております。
  146. 立木洋

    ○立木洋君 法眼総裁、いま基本的な点を大臣にお尋ねしたんですけれども、以上のような問題点について総裁自身のお考えがあればお聞かせいただきたいんですが。
  147. 法眼晋作

    ○参考人(法眼晋作君) 私は、大臣のおっしゃったようなことを基本にしまして、大事なことは、具体的にいかにすれば途上国がより発展をするか、より発展の基礎を得るかということをいわゆる即物的に考えてみなければいかぬと思っております。でありまするから、これは抽象論ではなくて、具体的にいかにすることが発展途上諸国の国民各位の生活の向上であるとか、あるいは文化の発展ということにつながるかということに私は思いをいたす必要があるというふうに思っておるんです。  したがいまして、これは国際の場でいわゆる発展途上国群といわゆる先進国群が相争うというんじゃなくて、やっぱり実行可能なところにひとつ妥協を求めていくということが私の心からの願いでございます。むろんどこの国にも外交方針はありましょうし、それぞれいろんな国内事情もありましょうけれども、しかし、要は、途上国自身の国民各位の発展にどうつながるかということにそれぞれ思いをいたしていただいて、可能な限り妥協を求めていただきたいというのかわれわれの執行機関としての者の願いでございます。     ―――――――――――――
  148. 安孫子藤吉

    ○委員長(安孫子藤吉君) この際、委員の異動について御報告いたします。  本日、和田春生君が委員を辞任され、その補欠として三治重信君が選任されました。     ―――――――――――――
  149. 立木洋

    ○立木洋君 そこで、最近、いろいろ新聞でも報道されておりますけれども、たとえば経済協力費をいわゆる防衛費と合わせて安全保障費として考えるという考え方ですね、こういう総合セキュリティーコストとしてこの負担をふやすべきだというふうなことで、たとえばGNPの三・五%程度にしたらどうかというふうな考え方が新聞紙上等々で出されておりますけれども、こういう問題について大臣はどのようにお考えでしょうか。
  150. 園田直

    ○国務大臣(園田直君) 経済安全保障という言葉がどういう意味で使われているかわかりませんが、私が先ほどちょっと触れたところでありますけれども、それが単に自分の国の経済の安全あるいは国家としての国益を守るという点からやられることは決して実際の効果は上がらない、やっぱり先ほど法眼総裁が言ったように、相手の国の開発のために、そしてもっと極端に言うと、この経済協力によって、非常におくれた国あるいは貧しい国、病気のある国、こういうものからそういうものを追放していく、南北問題を解決していく、こういうことでなければならぬと存じております。
  151. 立木洋

    ○立木洋君 つまり防衛費と経済協力費を合わせて安全保障費とする考え方には賛成されないということで、それでは次に、いろいろ問題になっておりますけれども、対外経済協力の何といいますか、地域配分といいますか、また地域別援助政策といいますか、つまり、どういうところに援助の重点を置くかというふうな考え方で、いろいろな国はそれぞれの国なりに問題があるだろうと思うんですけれども、こういう地域配分だとか、援助の地域別政策だとかいう点についてはどのようにお考えでしょうか。
  152. 武藤利昭

    ○政府委員(武藤利昭君) 従来の地域別配分について申しますと、やはり近隣諸国でございますところのアジアに重点が行っておりまして、七六年の実績でございますが、東南アジアが一番大きく、五六・五%という比率が東南アジアに向けられております。アジア全体としては七七・二%という数字になっているわけでございまして、そのほかの地域といたしましては、中南米が六・六%、中近東か七・九%、アフリカが六・一%というような比率が七六年の実績として出ているわけでございます。今後、わが国といたしましては五年間に政府開発援助を倍増以上にするという方針を立てているわけでございますが、その過程におきまして、今後とも、やはりアジア、特に東南アジアを中心とするアジアかが重点地域としてとどまるということにはなると思いますが、倍増以上にするということは、つまり全体の計画額と申しますか、金額的にもふえる、そのふえる分につきましては、できるだけアジア地域以外の地域にも漸次回していく。具体的に申しますとアフリカでございますが、アフリカの日本に対します援助希望というものが最近特に高まっているというようなこともございまして、今後ともアジア重点ということには変わりはないといたしましても、アジア以外の地域にも漸次拡充してまいりたいというふうに考ているわけでございます。  それから援助の質についてでございますが、援助の質は、やはりこの開発途上国の中にもいろいろ段階かあるわけでございまして、開発途上国の中でも比較的一人当たり国民所得の高いところには、援助も比較的、何と申しますか、条件が余りよくないものと申しますか、借款で申しますと若干利率が高いものが行くというようなことかあるわけでございますが、今後アフリカに漸次援助を拡大するといたしますと、アフリカは何分最貧国と申しますか、開発途上国の中でも特に経済発展の度合いが低い国が多いわけでございますので、たとえば借款であれば非常に条件のいい借款、むしろ無償援助というようなものを重点的にアフリカ地域に対して考えていくというようなことを一般的に考えている次第でございます。
  153. 立木洋

    ○立木洋君 先ほど抽象的な意味で、世界経済の新しい秩序ですが、これは一つはどこの地域に重点的に援助を行っていくかということにあらわれてくると思うんですね。世界の幾つかの国の動向を見てみましても、たとえばアメリカなんかの場合ですと、いわゆるそのときそのときのアメリカの基本戦略によってその地域の重点が変わってくるというふうなこともありますし、フランスの場合なんかですと大体フランの圏内において重点が行われておる。あるいは西ドイツなんかの場合ですと、またこれはドイツ自身の経済的な関係の強いところ、あるいはスウェーデンなんかですと貧困国に重点か置かれておるというふうなことがあると思うんですね。だから、この問題というのは非常にやはり重要だろうと思うんですよ。  先ほど大臣が、いままでの反省の点でも、指摘はありませんけれども、その内容だろうと思うんですが、たとえば中東なんかの問題でも、一時期エネルギー危機が起こったからといって油外交だみたいなことで指摘されるというふうな欠陥もあったわけですし、いまのアジアに七七%、特に東南アジアには五六%ですか、非常に集中しておるというふうな事態は今後これは改められるべきことというふうにお考えなのか、それともやはりアジアは近隣諸国だからそこの開発途上国に重点を置くというふうなお考えなのか、その点についてはどうでしょうか。
  154. 武藤利昭

    ○政府委員(武藤利昭君) 先ほど申し上げましたとおり、アジア、特に東南アジアが今後ともわが国の重点地域としてとどまるということはやはり申し上げたいと思いますが、その全体の中に占める構成比等について見ました場合に、それか今後どういうふうに変化していくかということにつきましては、今後いろいろ検討の余地はあろうと考えているわけでございます。
  155. 立木洋

    ○立木洋君 それで、先ほど大臣が基本的にはそういう方向でと言れた非同盟諸国首脳会議の経済宣言の中で「新国際経済秩序」という条項の5の(d)項の中でこういう指摘があるんですがね。「持続的、安定的で確実な基盤のうえに、各国の独自性の基準を考慮し発展途上国間に分裂をもたらさない無差別の方法によって、開発むけ資源の十分な移転を保障すること。」という指摘があるわけです。  つまり、私が先ほど述べたのは、たとえばアメリカのように、そのときそのときのアメリカの基本戦略によってこれが一つの手段として使われていく、海外経済協力というのが。これは私は非常に好ましくないやり方だった。そうではなくて、先ほど最初に大臣自身が言われたように、いままでの反省の立場に立つならば、本当におくれた国を引き上げて、そして世界が本当に経済的な格差をなくしていく、それに貢献していくというふうな立場でなければならないわけですけれども、前回の衆議院の外務委員会での大臣の御発言を聞きますと、アフリカ等においても今後特に重視していかなければならないというふうな御発言もあったように私は記録で見たわけですけれども、ですから、やはりアジアがそういうふうに近いというふうなことがあっても、もう少しその地域配分等については考えるべき余地があるのではないかという問題と、それから先ほど言われたように、それはただ単に二国間という問題だけではなくして、もっとやはり世界的な規模でこの問題を考える必要があるだろうということであるならば、いわゆる非同盟諸国等々との意見の交換なんかももっと積極的に重視する必要があるんではないだろうかというふうに考えるんですが、その点はいかがでしょうか。
  156. 園田直

    ○国務大臣(園田直君) 御意見のとおりでありまして、私もそのように考えるわけでありますが、やはり二国間でやっていると、どうしても自分の国の都合によって経済協力を武器にしてやろうという傾向が出てくるわけでございます。そこで、私は、国際的な話し合いで、国際的なもので、みんなが力を合わして、二国間だけではなくて、いわゆる一番貧乏な国、困っている国、一番悩んでいる国、こういうことからやるのが当然だと思いますけれども、現実の間はそれだけに徹するわけにもなかなか現実としてはいかないわけであります。しかし、やはり日本の経済協力もそういう理想に向かって少しでも前進するように、第一の重点は非常に困っている国、最貧国、それから次には、やはり地域の問題も考慮の中に入るわけでありますから、同じ仲間のASEAN、アフリカ、中東等も含めた国々と、こういうことになってくると存じます。
  157. 立木洋

    ○立木洋君 その問題と関連して、宮澤さんが外務大臣の時代にお尋ねしたことかあるんですけれども、つまりチリとの経済協力の問題ですね。それからもう一つは南アフリカとの経済関係の問題。  この問題を私お尋ねしたことがあって、そのときチリの問題に関しては、結局、ああいうような事実上アメリカの介入した形で行われたクーデターですね、それについて当時宮澤大臣は、それははなはだ好ましくないことであったというふうにその当時の答弁がありました。で経済協力なんかの問題に関しても、やっぱりもっとよく考えるべきではないか、人道的な問題でも国際的な非難を浴びておるチリとの関係を検討すべきではないかというお話もしたことがあるわけですし、それから南アフリカはもう大臣御承知のようにああいう国連でも大きな問題になっておるところで、依然としてジェトロがあそこに日本のあれが存在しておるというふうなことでは、日本としては新しい経済秩序を考えていく場合に、こういうあり方というのは反省していく必要があるんではないかというふうに考えるんですけれども、その点は大臣はどのようにお考えでしょうか。
  158. 園田直

    ○国務大臣(園田直君) 南アフリカについてはいま御存じのとおりであります。チリについては、借款は出しておりませんが、経済協力は若干しておるというのが現実のようでございます。しかし、国際的な非難を受け、あるいは人種差別をし、あるいは特別の目的で国際的な非難を受けておる国に対する援助というものは、やはり国際的な意向に足並みをそろえてやる必要があると考えております。
  159. 立木洋

    ○立木洋君 その点は、大臣、やはり正しい経済協力を発展させるという点からも、いま大臣か述べられたように、今後よく検討していただいて、そういう意味で日本が非難を浴びるというようなことはこれはまずいわけですから、十分に御検討いただきたいと思います。  それから、話は若干変わりますけれども、この対外経済協力を政府が行う場合の法的な根拠というのは、基本的にはどこに求められるわけですか。ちょっともう時間がないから、外務省の設置法の三条三項や、それから四条十七項に私は述べられていると思うんですけれども、それは間違いないですか。
  160. 武藤利昭

    ○政府委員(武藤利昭君) そのとおりでございます。たとえば外務省設置法の、三条三項に「外交政策上の経済協力の推進」云々とございます。それから第四条の第十七項でございますか、「外交政策上の経済協力を推進し」云々というのがございます。
  161. 立木洋

    ○立木洋君 ところが、やはり先ほどこれが適正、公平に行われるかどうかという問題が私は一番重要な点だろうと思うんですね。ところが、日本の場合、法的に対外経済協力が公正、適正に行われることを保障する法的な措置、あるいはそれをチェックするような法律があるんでしょうか。
  162. 武藤利昭

    ○政府委員(武藤利昭君) 技術協力につきましては、これは日本政府側で技術協力の場合の資材供与の資材等は調達をするわけでございますけれども、これにつきましては国際協力事業団の方で調達されるわけでございますが、これは国際協力事業団も政府に準ずる機関ということでございますので、その調達に当たりましては政府機関に準じて厳正に行っておられると理解いたしております。  それから無償協力につきましては、これは無償協力の仕組みからいたしまして、日本が調達して相手国政府に送るということにはなっておりませんで、日本が相手国の政府に資金を供与いたしまして、相手国政府かその資金をもって日本の国内から調達するという形になりますので、その調達につきましては相手国それぞれの調達の手続に従って行われる。これは国によって違うわけでございますが、大まかに申しますと、たとえば一定金額以上のものについては公開入礼に付するだとか、それからあるものについては随意契約で行うだとか、いろいろあるようでございますか、仕組みといたしましてはそういうことになっているわけでございます。
  163. 立木洋

    ○立木洋君 いや行政的にどうしておるかというふうな問題ではなくて、また、事業団がいわゆる不正を働いているか、厳正にしているかしていないかということを問題にしているんじゃないんですよ。つまり、そういうことを法的にいわゆる公平、適正に行われるということを保障する法律というのはないわけでしょう、外国なんかでよく言われている対外援助法とかいうふうなものが。
  164. 園田直

    国務大臣園田直君) 法律の内容に対するあれは別として、抽象的に申し上げますと、いまの日本海外経済協力に対する法体系というのは、出すまでは非常に綿密に調査をして、それで検討して出すが、出した後は在外公館でこの成り行きを検討するとか、あるいは相手の政府の信頼に責任を置くとかということであって、出した後、それが果たしてそのときの交換公文に基づいて適正に利用されておるか、あるいは不正はないか、あるいは間違った行為はないか、その場合に、これを中止したり相手にこちらが調査を申し入れるとかという後のチェックの権限がないのがいまの欠点だと存じます。
  165. 立木洋

    ○立木洋君 だから、結局、外国なんかの例をちょっと見てみますと、会計検査院の支局などを外国に設置して、そこで事実上適正、公正に行われておるかどうかというふうなことがチェックされるというふうなこともあるようですし、あるいは無償援助等でそれに関与する商社、業者が品物を売る場合等に対する厳しいチェック等々なんかに関する法的な体系なんかも、外国の例なんかを見ると、できているように思うんですけれども、こういうことが日本でできていないという点について大臣としてはどのようにお考えですか。
  166. 園田直

    ○国務大臣(園田直君) ただいまのところでは、とりあえず交換公文を取り交わすときに、その公文の中にそのような協力を始めた後のことについての義務づけをするとか、約束をするとかということをやるべきだと思います。なおまた、しかし、それだけでは足らぬので、将来速やかに法体系の見直しというか検討というか、そういうことをやるべきときではないかと思います。
  167. 立木洋

    ○立木洋君 いままで交換公文にそういうふうな公正、適正の確保というふうなことを入れたような例はございます。
  168. 武藤利昭

    ○政府委員(武藤利昭君) 無償資金協力の交換公文にはございます。これは一種のパターンになっておりまして、まず交換公文の中に援助の目的とか援助の額とか援助の具体的内容等を明記するわけでございますが、そのほかに相手国政府に対する義務といたしまして、わが国の贈与に基づいて購入される生産物か開発計画実施のために適正かつ効果的に維持され及び使用されることを確保するというのは、これは一種のパターンといたしまして無償資金協力の交換公文には入っております。
  169. 立木洋

    ○立木洋君 それで会計検査院の方のお話を聞きますと、なかなか会計検査院としてその後のことをチェックするような権限が現在ない。方法としては、交換公文の中に、それは無償有償を問わず、そういうことを含めてもらいたいというふうな要望がなされておりますし、このことはやはり国民の税金を使うわけですから、これが国内の場合ですと厳しくチェックでき得る法的な体系もあるけれども、しかし、対外的に行われた場合、それが出したら出した後実際にどうなっているのかということも全くわからない。あるいはそれにかかわる業者、商社の問題等々も考えてみると、いわゆるいろいろ問題にされておる最近の日韓癒着の問題等々を考えてみても、これはやはり法的な体系にも問題があるんではないかということは当然指摘せざるを得ないだろうと思うですよ。  そういう点から考えてみて、今後、この交換公文にはやはりきちっと明記するという方向で努力していただくという点については、大臣、よろしいですか。
  170. 園田直

    ○国務大臣(園田直君) いまおっしゃいましたことは、法体系を整備する以前においても、当然相手国とこちらと契約するわけでありますから、その契約に相談で載せることはできると存じますので、そういう方向で検討したいと存じます。
  171. 立木洋

    ○立木洋君 それで、さっき法体系の、不備があるというふうに言われた点も大臣努力されるというお話でしたけれども、これはやはりどこが音頭を取ってやるかということが一番問題だろうと思うんですよ、いろいろ関係省庁があるわけですけれども。で、それは外務省として外務大臣が音頭を取って積極的にそういう努力をしていくと、先ほど一番最初お話を聞いたら、大臣はきわめて的確な御答弁を最初の基本的な考え方の中ではいただいているわけですから、外務大臣がそういう趣旨に沿った対外経済技術協力を進めていくという立場で、この対外援助法をよく検討して、大臣自身が音頭を取って進めるという御決意をぜひお聞きしたいんですが。
  172. 園田直

    ○国務大臣(園田直君) 各省とよく相談をして、そういう方向に進めるよう検討いたします。
  173. 立木洋

    ○立木洋君 最後に、私は、この経済協力に関して言えば、これが正しくやはり行われるということが最も重要だし、それから正しく行われる上に立ってその量をふやすということだと思うんですね。そういう点で言えば、先ほど言われましたように、幾つかの欠陥がある。それから私たち自身の考え方で言えば、いままでの経過だけでなくして、やっぱり日韓関係のああいう癒着の問題、ああいう腐敗か生じるような経済関係のあり方というのは全く一掃しなければならない。それから先ほど言いましたチリの問題にしても南アフリカとの経済関係についても、なぜ日本が国際的にあれほど批判を受けながらも経済関係を保っていかなければならないのかというふうな点についても、これはそういう戦略だとか手段だとかいうふうな関係では、大臣はそういうふうに経済協力はしたくない、そういうふうになってはならないということを述べられましたけれども、なかなか現実には、私たちの見るところでは、どうもそういうふうになっている問題を感ぜざるを得ない。  だから、そういう点から言うならば、日本の対外経済協力というもののあり方というのは、大臣自身が前回衆議院の外務委員会でも述べられました、いまやっぱり転換すべき時期だという発言をされたと思うんです。この転換ということの意味をぜひお尋ねしておきたいわけですけれども、と同時に、私の方の考え方をもう少し述べますと、いわゆる経済技術協力の問題については、何といっても、それは第一に民主的公開の原則で、いわゆるだれから見られても公平、非の打ちどころのない、つまり民主的に行われなければならないだろうと思うんです。それから同時に、やはりこれは自主的にやるべきことだろうと思うんですね。ある外国の意向に従うだとかいうふうなことで、外国の意向におもねて対外経済協力をやられるというようなことであってはならないし、また、先ほど言われましたように、援助を行う相手国の自主性ももちろん尊重されなければならない。  いままで問題にされました植民地主義的な対外経済協力、いわゆるひもつきですね、これももちろんあってはならないでしょうし、世界の平和、人類の向上という考え方に当然貢献されなければならないでしょうし、両国関係だけではなく、世界の新しい経済秩序、そして同時に、国際的な友好連帯の関係が一層発展できるようなそういう経済協力になっていかなければならないだろうというふうに私たちは考えているわけですけれども、残念ながら、なかなかそういうふうにはなっていないということを私としては現在の状態を指摘せざるを得ないんですか、大臣が述べられた転換という観点を、いま私か述べた意見ともあわせて最後に大臣の御所見と、それから総裁の御所見もあわせてお伺いして、私の質問を終わりたいと思います。
  174. 園田直

    ○国務大臣(園田直君) 私が先ほど申し上げました方向で逐次改善していきたいと思いますが、南アフリカの問題は、民間の契約であそこに資源がある問題。それからチリは、クーデター後は、政府は直接の協力は円借款はやっていないわけでありますが、若干残っておるわけでありますが、そういう惰性等は逐次改善できるように努力をいたします。
  175. 法眼晋作

    ○参考人(法眼晋作君) 私も大臣のおっしゃるとおりだと思います。
  176. 安孫子藤吉

    ○委員長(安孫子藤吉君) 他に御発言もないようでありますから、質疑は終局したものと認めます。  これより討論に入ります。御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べを願います。――別に御発言もないようでありますから、これから直ちに採決に入ります。  国際協力事業団法の一部を改正する法律案を問題に供します。  本案に賛成の方は挙手をお願いいたします。   〔賛成者挙手〕
  177. 安孫子藤吉

    ○委員長(安孫子藤吉君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  178. 安孫子藤吉

    ○委員長(安孫子藤吉君) 御異議ないと認め、さように決定をいたします。  速記をとめてください。   〔午後二時四十五分速記中止〕   〔午後三時二分速記開始〕
  179. 安孫子藤吉

    ○委員長(安孫子藤吉君) 速記を起こしてください。  次に、安全なコンテナーに関する国際条約の締結について承認を求めるの件を議題といたします。  本件につきましては、すでに趣旨説明を聴取しておりまするので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  180. 園田直

    ○国務大臣(園田直君) その前に、ちょっと発言をさしていただきたいと思います。  午前中に戸叶先生から御質問がありまして、向こうに申し入れが終わるまではお答えをお許しをいただいたわけでありますが、それについて大臣から御報告をいたします。  御承知の中国漁船による尖閣諸島領海侵犯事件について、東京及び北京の両地において中国側に申し入れることとしておりましたが、本日午後、東京においては申し入れを行いました。北京においてはまだ行っておりませんので、両方の結果を見てから、これに対する判断、対応等をいたしたいと存じまするが、東京において申し入れました内容の骨子を御報告いたします。  海上保安庁の報告に基づき、きのう米発生した事件の概要を向こうに伝え、尖閣諸島はわが国の領土であるとの立場を述べるとともに、わが国領海における中国漁船の不法な操業や漂泊行為に対し遺憾の意を表明しました。また、中国漁船のわが国領海からの退去及び再びかかる行為を繰り返さないことを要請をいたしました。  これに対して、東京側の先方は、一九七一年十二月三十日の中国外交部声明に述べているとおり、尖閣諸島は中国の領土であるという態度でございました。  以上、報告を終わります。
  181. 稲嶺一郎

    ○稲嶺一郎君 私は、尖閣列島の中国による領土侵犯につきまして、海上保安庁、防衛庁それから外務省の三者に対して御質問をいたしたいと存じます。  実は、私は、沖繩の出身でございまして、この問題については、過去三十年ほど重大なる関心を持って今日まできたのでございますが、本日の新聞記事を見まして大変ショックを受けた次第でございます。  まず、新聞に出ておる記事を一応読み上げまして、それが本当に正しいかどうかについて海上保安庁のお答えをいただきたい、その後で、また私の意見を申し述べたいと存ずる次第でございます。  「沖繩の尖閣列島・魚釣島付近で十二日午前、中国の漁船が大挙して日本領海内外に出漁、うち十六隻は第十一管区海上保安本部巡視船による退去命令を無視して領海内で操業を続けた。」それから「「やえやま」はスピーカーと中国語の垂れ幕で中国漁船に対し領海外への退去を命令したが、領海内でなお操業や漂泊を続けた。」それから「中国漁船は底びき網漁船で、百トンから百五十トンぐらいの中型漁船。「やえやま」の退去命令に対し、中国漁船はブリッジに「ここは中国の領海である。作業や操業の権利がある」と中国語で白く大書した」「那覇からビーチクラフト機で現地へ飛んだ同保安本部の本多飛行長によると、同機が接近すると中国の漁船員は甲板上から手を振ったといわれ、漁船の約四分の一は機銃を備えていたようだという。」それから「海上保安庁に入った連絡によると、領海内にいた十六隻の中国漁船団は午後五時半ごろ動き始め、同七時までにいったん領海外へ出たが、同八時半すぎ再び十四隻が領海内に侵入し、残る漁船団も依然領海線付近にとどまっている。」  こういうふうな記事が載っておりますが、これはきのうのことでございますので、若干の変化がきょうはあったと察するのでございますが、これに間違いありませんか。
  182. 向井清

    ○政府委員(向井清君) お答え申し上げます。  ただいま申されました内容につきましては、細かい点は除きまして大要そのとおりであろうと思います。念のために私どもの調査結果の概要を申し上げますというと、当初、尖閣諸島を警備中の巡視船「やえやま」三百五十トン型の巡視船でございますが、これが十二日の朝七時三十分に、レーダーによりまして約百隻の国籍不明船を視認いたしました。これが発端でございます。  引き続きまして、同八時三十分、「やえやま」は同船団に接近いたしました結果、同船団――これは漁船でございますが、一部漁船の掲げた国旗及び船名等によりまして中国漁船と認めたという報告が参っております。位置は魚釣島の北西八・五ないし十六海里の海域でございまして、わが国領海の内外にわたりますところの水域、そこに約百隻ばかりの船が漂泊、航走または操業中であるということをこの時点で確認をいたしました。  早速「やえやま」より、マイク、たれ幕、無線電話等によりまして領海外への退去を命令いたしました。いろいろないきさつがあったわけでございますが、十二日の十九時に、領海内におりました十四隻――十四隻がおったわけでございますが、これ全船が一たん領海外に退去いたしました。その後も侵入退去が繰り返されたという経緯があるわけでございますが、十三日の十時現在、最近の情報によりますというと、三十二隻が領海に入っておるということでございまして、巡視船三隻、航空機二機というものがいま現場におりますが、これが監視、警告及び退去命令を繰り返しておるというのが現状でございます。  それからお話の中にございました、相手方の船にチョークでもって書いてあるわけでございますが、ここは中国の領海であり、われわれの航行、操業の権利があるというような意味のことを書いてあるという点、あるいは機銃の点でございますが、これは中国船一般に式装しておるというのが情報としてもわれわれは把握いたしておりますけれども、これらの漁船につきましても、かなりのものが機銃を装備しておるということを確認をいたしております。
  183. 稲嶺一郎

    ○稲嶺一郎君 私は、今日まで、アメリカ統治時代から尖閣列島については興味を持っておりました。その間、アメリカ統治時代におきましても、尖閣列島に対して台湾船が今日まで幾たびか領海を侵犯したことがございます。ところが、これは警告をいたしますとすぐ立ち去ったのでございまして、今度の場合は、実に理解しにくい面が多いのでございます。  それで、そのときと今度の場合と違うところは、大量の漁船をもって侵犯しておるということ。向こうは魚をとるのにそんなにたくさん漁船は要りませんので、これは何かほかに意図があるんじゃないか。それから武装をしているということ。それから退去を命じてもなかなか退去しない。それから、はっきりと中国の領海であるという意思表示をしておる。この四点は、われわれが経験した今日までのこととは全然違うのでございます。  それから、私が非常にまたこの点気になるところは、たまたまモスコーにおいて漁業問題についてわが代表が向こうで交渉を行っている。こういうときに、なぜ、われわれが全然夢想だにもしないような形において領海侵犯をやるかということについて、まことにいろいろと疑問を生ぜざるを得ない。これは単なる漁業の問題じゃなしに、他に目的があるんじゃないかというふうに考えます。  ある人は、あるいはこれはいまの問題になっておりまする日中平和友好条約を促進するための方法じゃないかということも言われておりますが、これに対する大臣の御所見をお伺いいたしたいと存じます。
  184. 園田直

    ○国務大臣(園田直君) 尖閣諸島はわが国固有の領土であることに何らの疑いもなく、その周囲十二海里はわが国の領海でございます。サンフランシスコ条約の直後、それから沖繩返還の直後に至っても、どこの国からもこのことに対する抗議はございません。その後、一九七一年に至ってから中国から抗議があったものでございます。しかし、その後、正式の抗議はなかったわけであります。  国際法上、外国船舶の領海内漂泊等は、遭難等の正当な理由がなければ認められないところであり、また領海内操業についても沿岸国の許可が必要でございます。わが国は、御承知のとおり、外国漁船の領海内操業を禁止しております。しかるに、今般、相当数の中国漁船と見られる外国漁船がわが国の領海内で操業したり、正当な理由もなく漂白したりしている事態が発生しておりますが、かかるわが国の領海内における不法な操業ないし漂泊行為はまことに遺憾であると存じております。
  185. 稲嶺一郎

    ○稲嶺一郎君 私は、今回の尖閣列島に対する中国の行き方というものは、大臣が言われるように、まことに遺憾でございまして、これは私は覇権主義の一つのあらわれでないかというふうに考えております。南シナ海の西沙群島におきましては、ベトナムの方と中国の方、両方が争っております。そういうふうに考えますと、私は、わが尖閣列島の問題はきわめて将来に大きな問題を残す問題である、これの対策を一歩誤った場合においては取り返しがつかないことになるんじゃないかというふうに考えます。  それからもう一つ、私が懸念いたしますのは、現在の現象から見ますと、単なる脅迫じゃないかということも考えられますが、竹島の問題もありますし、西沙群島の問題もありますし、あるいはこれがエスカレートして尖閣列島の方に上陸するという事態もあるいはあらわれないということは言えないのじゃないか。こういった場合において、一体、海上保安庁はどういうふうな対処策を講ずるか承りたいと存じます。
  186. 向井清

    ○政府委員(向井清君) お答え申し上げます。  現在、行っております海上保安庁の措置といたしましては、先ほど概要を申し上げましたが、実際行っております警告、退去命令等は、先ほども申し上げましたが、マイクを通じて呼びかける、これはテープレコーダーでの呼びかけもございますし、また通訳が到着いたしておりますので、中国語で呼びかけるということをいたしております。それからさらに巡視船にたれ幕を設けまして、中国語で警告、退去の趣旨を書いて示すということもいたしておりますし、それから無線電話をもって何回も注意をしておる。さらに航空機からは通信筒を投下いたしまして警告、退去命令を伝えるというようなことをいたしておるわけでございますが、現在のところ、現場水域において行動いたしております巡視船は三隻、航空機二機でございますが、十一管区以外の他の管区からも応援派遣をすでに行っておりまして、これらの船が一両日中には到着をするということで、いまのところ船艇、巡視船六隻、航空機三機という体制整備を行うべく準備は整っております。これが体制が整いました際には、さらに強力な退去命令を発する体制になりますので、それによっていろいろ心配されますような事態あるいは退去に関します効果を上げるということについて十分の対処かできるのではないかというふうに考えておりまして、こういう対処措置を十分講じました上で、その後の推移について慎重に見守ってまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
  187. 稲嶺一郎

    ○稲嶺一郎君 私は、この尖閣列島の問題についてエスカレートした場合においては、海上保安庁だけの力でこれが対処できるかというふうに非常な懸念を持つのでございますが、この点についての防衛庁の考え方をお伺いいたしたいと思います。
  188. 上野隆史

    ○政府委員(上野隆史君) 海上におきます人命及び財産の保護並びに法律の違反の予防、捜査、鎮圧という仕事は、これは御案内のとおり海上保安庁の第一義的な任務でございまして、自衛隊がこういう件にかかわりますといたしますれば、海上保安庁の力の及ばざる場合、自衛隊法の八十二条の規定にございますように「海上における人命若しくは財産の保護又は治安の維持のため特別の必要がある場合」という場合に当たるときに、自衛隊がいかが対処するかということに相なろうかと存じます。昨日来の、ただいま懸案になっております事案につきましては、いまだ自衛隊法八十二条「(海上における警備行動)」を云々するような事態にはまだ至っていないというふうに私どもは判断いたしております。
  189. 稲嶺一郎

    ○稲嶺一郎君 ただいま大臣、それから海上保安庁、防衛庁の皆さんからお答えをいただきましたが、私はこの問題がそこまで発展しないことを希望いたしますし、また、賢明なる外務大臣はこれに十分な善処をされるということを期待いたしておるのでございますが、私が一番心配いたしますのは、現在のわが日本はどうも外国に対して筋を立てて交渉するという点において少しどうも足りないところがあるんじゃないか。あるいはハイジャックの問題を見ましても簡単に妥協をする、こういうふうな姿勢が私は海外の侮りを招いているんじゃないかという感がいたします。で、今度の尖閣列島の問題につきましては、これはわが国の領土であるということは大臣がおっしゃるとおりでございまして、これについては一歩も私は後に引いてはならないということを信ずるものでございます。  それで大臣にぜひ申し上げたいのは、私は中国の問題については約五十年の経験を持っていまして、中国というものも知っておるつもりでございますが、今度の場合においては、いろんな駆け引きもあるんじゃないかと思われます。しかし、現実は領海の侵犯という重大なる事実でございますので、この事実を前提といたしまして、まず、これの解決を図るということか大事じゃないか、これにおいていささかも私は妥協は許されないんじゃないかというふうに考えております。いままでどうもおどされたら何かへなへなになるというところがございますが、大臣にはそういうことがないというふうに私は確信しておりますが、いかがでございますか。
  190. 園田直

    ○国務大臣(園田直君) まことに遺憾な事件が起きたわけでありまして、この事件がどのように発展していくか重大な関心を持っているものであります。しかしながら、また一面、こういう事件が起きたときには冷静に事実を確かめ沈着にこれに対応する必要がある。もし一歩誤るならば、これは大変なことになると存じます。韓国、ソ連、中国、隣接の国でありますから、これの友好関係を進めていくことは当然でありますけれども、また、われわれの家庭と同じように、隣国であればあるほどとかく紛争というものは起こるものであります。したがいまして今度の問題については、第一に事実を確かめ、さらに中国の真意を認識し、これに対して対応すべきだと考えておりますが、私としては、重要な隣国たる中国との平和友好関係を維持発展さしていくことが重要であると考え今日までやってまいりました。かかる方針は、今回の事件によっても、何ら変更されるものではございません。しかしながら、いずれの国に対しても、いま御発言のとおり、節度のある是々非々の態度で臨むことかわが国としての主体性のある外交を確保するゆえんでございますから、事実をさらに把握をし、向こうの真意を確かめた上、中国の誤解を解き、この問題が解決されるよう全力を尽くす覚悟でございます。
  191. 稲嶺一郎

    ○稲嶺一郎君 ただいまの大臣のお答えに対して意を強うするものでございますが、私が中国との話し合いについてひとつ申し上げたいことは、口頭による話し合いじゃなしに、文書による話し合いをするということが大事じゃないか。なかなかああいうところとの話し合いというものは口でやる場合にはどういうふうにも理解されますし、また、結果がわれわれの相反するような結果が出てきても、これに対する何らの保証にもならないということもございますので、こういう本当に日本の領土でございますので、この問題についてあいまいさを残さないような態度でもって相対する必要があるんじゃないかというふうに考えますが、その点いかがでございますか。
  192. 園田直

    ○国務大臣(園田直君) 本件の処理については、今後それぞれ進展と交渉の過程に応じて、あるいは口頭であるいは文書で間違いないようにやりたいと考えます。
  193. 稲嶺一郎

    ○稲嶺一郎君 私、日中の問題につきましても感じるんですが、これはアジア太平洋の平和という問題が大きな骨になるというふうに考えております。その点からあるいは韓国との問題を考え、台湾の問題を考え、また尖閣列島の問題を考え、あるいはその他の関係の国々の方との問題も考えていく、こういう総合的な面からこの問題をとらえながら解決していくということが大事でございまして、しかしながら、その中においても筋を通すべきものは通す、絶対に譲ってはならぬことは譲らぬということが私は一番大事じゃないか。その点について私がそういうことを申し述べるということはあるいはどうかと思いますが、ひとつその点を十分筋を通すべきところは筋を通すということでぜひ臨んでいただきたい。  それからあと一点でございますが、尖閣列島の問題につきましては、実は、昭和四十五年の五月九日に――アメリカの統治時代でございますが、行政管轄標識というのが尖閣列島に立っております。そういうことでございまして、アメリカもこの点についてははっきりした態度でもって臨んできたのでございます。だから、私は、今後尖閣列島の問題を解決するためには、政府の施設を尖閣列島に設置し、そこに人員も配置するぐらいの決意を持って臨むべきでないかというふうに考えますか、その点はいかかでございますか。
  194. 園田直

    ○国務大臣(園田直君) 御説ごもっともでありますが、これは内閣、政府としてなされることであって、外務大臣としてはあくまで共同声明の線に従い、ありとあらゆる日中両国間の問題は話し合いで平和的に解決しようというその線に従ってこれを善処する覚悟でございます。ただし、節度ある、筋を通したことをやれとおっしゃることは同意見でございます。
  195. 稲嶺一郎

    ○稲嶺一郎君 ただいま私が申し上げました日本の施設を尖閣列島に置きここに人員を配置するという面につきましては、大臣が非常に有力な閣僚でございますので、ぜひこれが実現を図るように御配慮を賜りたいというふうに考えまして、私の質問を終わることにいたします。
  196. 戸叶武

    ○戸叶武君 私の外務大臣に対する質問の一点は報告によって了承できたのでありますが、それは大臣が言われるように、まず、事案がどうであったかということを正確に把握して、それは報告しますというので報告は受けたのですが、これに対してどう対処するかを簡単に――まだ言い切れない面もあると思いますけれども、野党側の声明を各党のを見ると、いずれも日中平和友好条約とごっちゃにしないで、これと切り離して、この問題はこの問題として冷静に処理してもらいたいという意向をすべて表明しております。  しかるに、同僚の稲嶺君のような慎重な方でもやはりこの問題に対しては文書でと言っておりますが、文書でという外交は必ずしも近代外交の要諦ではありません。やはり真実をお互いに語り合って、その上で煮詰められて文書化すということも一つの方法でありますが、自民党の方はこの問題で党内において激論を闘わす、それは結構ですけれども、それによって日中平和友好条約の促進をぶち壊そうとしているんじゃないかという感じを内外に印象づけているのも事実であります。  また、稲嶺さんが言っているように、これによって中国日中平和友好条約の促進を図ろうとしているんではないかという見方も一つはあると思いますが、この尖閣列島の問題は竹島問題とともに重要であります。しかし、韓国とのトラブルの竹島問題に対しては、韓国側でいろいろ武装した人間があそこを占領しても日本ではそれに手を出さないで、あくまでも話し合いによってこの問題を解決しようという政府側は慎重な態度で考慮しているのに、いきなり尖閣列島にはしかるべき措置をしようというようなこういう考え方においては、尖閣列島にしろ竹島問題にしろ、日本政府のとっている態度に一貫性がないと物笑いの種になります。いまの自民党は何を考えているのか。韓国に対してはまさに寛容であり、中国に対しては厳しいという印象を受けないとも限りませんから、その点は重々外務大臣が慎重を旨とし、真実を語り合って、問題を話し合いで解決しようという努力をしておられるようでありますし、日本外交の自主性を失うまいというふうな考慮もされております。  なかなか自民党の方もにぎやかですから、自分のやっているにぎやかさがほかの国にどういう影響を与えるかということも配慮しながら心して、やはり外交的な論争というものは、日本は非常にオープンで結構ですが、ぼろが出ても結構ですが、その辺は、他を疑う前に、みずからの姿勢を正しゅうしなければ、国民代表外交を正しく論議しているとはほかの国において見られないんです。そのことを私は憂えていままで言うんですが、言ったとおりに問題が起きてくるじゃありませんか。起きてからじゃこのように間に合わないで、そのときにはそのときどきの勝手な議論が出てくるというのでは、政府に任してあった外交権というものは一体どこへ吹っ飛んじゃったのかわからないが、これに対してはどういう態度で対処するか。  野党の声明もすでに発表されて足並みがそろっておりますが、自民党はこの野党の声明に反して、いまのような、自民党の一部分には槙重派と称しながら日中平和友好条約の阻止に傾いている勢力が盤踞しております。これで一つのいまの自民党内閣という形における福田内閣が、外交権は扱っていると言うけれども、主権者である国民の大多数の意向に反して、とにかくこの問題を阻止の材料に使おうというようなのはもってのほかだと私たちは思うんですが、慎重審議はよろしいけれども、度を過ぎて激動変革の時代にタイミングと平仄の合わないようなちょんまげ外交だけは国民は御免こうむろうとしておるのですが、大臣からひとつこの点は明らかにしてもらいたい。
  197. 園田直

    ○国務大臣(園田直君) 私の方針は先ほど申し上げたとおりでございます。いままでの方針に従い、本件は本件として、誠意を持って、共同声明に盛られたいかなる紛争も平和裏に話し合いで解決するということで誠意を持って中国の誤解を一掃したいと存じます。
  198. 田中寿美子

    ○田中寿美子君 私は、コンテナー安全条約のことを御質問するわけなんですけれども、いま大変尖閣列島の問題でみんな心配な状況になっておりますが、先ほど大臣から、この問題を話し合いで解決し、このことで日中平和友好関係を維持発展させていく方針を変わらせるようなことがないようにするというお話がありました。私もそのようにぜひ、このことのために、いま日中平和友好条約が結ばれようとしている大事な時期に、それが阻害することにならないような解決ができますことを念じまして、私は要望だけにしておきます。  それでは、コンテナー安全条約の質問に入りたいと思いますが、私はコンテナーの問題については全くの素人でございますので、いろいろと政府に御説明をお願いしたいことがたくさんございます。  で、運輸省の船舶局から出していただいた説明書によりますと、この条約は七二年にジュネーブで国連及び政府間海事協議機関の合同国際コンテナー輸送会議というのでこれを決めた。そしてその目的とするところは、コンテナー輸送に関連して人命の安全を守るというところに一番の目的があるということでございます。ところが、これは十カ国が批准を終えてしまったらそれから一年後に発効するということで、七二年から昨一年の九月までの間にもうすでに十カ国が批准をしてしまった。批准をしてしまって去年の九月にもう発効したんですね。そういう状況になっているので、日本は大変急いでこれを今回批准をしなきゃならないということになったようでございます。  私は、この条約を勉強しながら、どうしてコンテナーの先進国であるところのイギリスとか、それからアメリカとかフランスなどがしり込みしていたか――ようやくもう急いで米国とイギリスは批准したようです。フランスも最近したとかいうふうに伺っておりますが、日本もおくれていた。つまりコンテナーの先進国であるものが批准をしないで、コンテナーの余り先進国でない国々、社会主義国も含めて、十カ国がわりあいと早く、予想以上に早く批准をしてしまった。これは非常に不思議に思いましたので、いろいろ少し調べてみたわけなんです。なぜ先進国か批准をおくらせていたのかということの理由は、どういうふうに御説明いただけますでしょうか。
  199. 大川美雄

    ○政府委員(大川美雄君) ただいま川中先生がおっしゃいましたとおり、この条約が発効したのは昨年の九月の六日でございますが、フランスとドイツにつきましては、実は、それぞれ一九七四年とそれから七六年に批准を了しております。その次に大きなコンテナー国ではアメリカがことしの一月に批准し、イギリスが先月、ことしの三月に批准をいたしております。  そのアメリカとイギリスがなぜことしまで批准を延ばしていたかということになりますと、私はつまびらかにはいたしておりませんけれども、フランス、ドイツとでコンテナー所有数を見ますと、この両国で合計世界のコンテナー数の約一三%強になるようでございます。でアメリカとイギリスは、これは非常に大きなコンテナー保有国でございまして、この両国だけで四三%近くになるわけでございます。したがいましてアメリカとイギリスの批准でもっていよいよこの条約に書かれているような安全基準がコンテナーの面で世界的に通用する、確立されたということになるのではないかと思うんでございます。  日本はコンテナーの保有数では第三位になりますけれども、他方、コンテナーを製造する国としましては世界第一でございます。したがいまして日本としてはあるいはもう少し早く批准した方がよかったかもしれないということもあろうかと思いますけれども、イギリス、アメリカも批准に踏み切って、それぞれあと一年後にはイギリスとアメリカにとっても条約が発効することになりますので、いよいよそろそろ日本としても批准に踏み切るべき時期であるというふうに判断して、今回、日本としてはできれば批准いたしたい、こういうふうに考えた次第でございます。
  200. 田中寿美子

    ○田中寿美子君 いよいよそろそろ批准しなきゃならないというのではなくて、急いで批准をしないと困る状況にあるというふうに私は理解しております。というのは、コンテナー条約が発効してから五年間ぐらいの間に全部これで取り決められている条件を満たしていかなければ、国際的にコンテナーが港に入るときにちゃんとした扱いを受けないようなことになっているというふうに私は理解しております。  ですから、日本は、いまおっしゃったように、いまコンテナーの数、十五万個ぐらい持っております。そしてその十五万個のコンテナーを、早く批准することによって国際水準のところのマークをとらなきゃいけないわけですから、それをし終わるのには、十五万個のコンテナーは世界各地に置いてあるわけですから、それを回収して承認板という判を押していく、つまり一種のパスポートみたいなものですが、それを押していくのには三年以上かかるだろうということを考えているようですから、やっぱり急がなきゃならないだろうと思います。  このコンテナー条約の中身なんですけれども、一つは、この国際条約で決めたその基準に従ってコンテナーの試験、検査、承認及び保守のための手続を各国が定める、その条約に入った国はそういうことを定めるということが一つ。もう一つは、その締約国が与える承認はよその締約国でも容認される、お互いに認め合うということになっておりますね。それからもう一つは、締約国がよその国のコンテナーを監督するその限度というのは、そこに張られた安全承認板といいますか、その安全承認板がよその締約国が張ったものならそれでもう結構ですと、ちゃんと認めることですね、中まで立ち入らない、張ってさえあればこれはもう結構だというふうにして通用するということですね。それから、コンテナーの所有者は、コンテナーを安全な状況に保持するため、自分が持っているところの、自分の国の定める手続に従って承認を受けたコンテナーに定期的な保守検査をする。定期的な保守検査とは、最初に承認板を張ってから五年間に一回ですか、あと二年ごとに一回というふうに検査をしていく。これはオーナーに任せられている仕事でございますね。  それで、私は、この条約を見ておりますと、政府がとるところの責任というのはわりに少ないわけですね。つまり法規をつくる、そして国内法規に従ってそのコンテナーの試験、検査、承認、保守ということを定める規約をつくる。そしてそれに従って自分の国のコンテナーのオーナーが自分で検査をして判を押す、つけるわけですね。よその国のコンテナーがその国で決めた手続に従って判を押して持ってきた場合には、ああ押してあるなということを見るだけですね。ですから、政府が立ち入る部分というのは非常に少ない。むしろそれぞれのコンテナーの所有者、締約国のコンテナーの所有者に責任が任せられている、こういう感じがいたします。で、そういうことで、一体、大丈夫なのかなというふうに思うんでございます。  そこで、私が調べているるうちにISOという言葉がたくさん出てくる。ISOというのは国際基準規格というものだと思いますけれども、これまで日本もイギリスもアメリカも、フランスなんかもそうだと思いますが、コンテナーの先進国というのはそういう国際基準規格に沿ってお互いにコンテナーを規制していたんではないかというふうに思うわけなんですがね。それでISOというものの説明をしていただきたい。つまり、それがあるから何もこんな新たにコンテナー条約なんかに入る必要はないというふうに考えていたんじゃないかと私は想像するわけなんです。そこでISOというものがどんなものであって、どういう国々がどういう基準規格を持っていたかということを御説明願いたいと思っているわけです。
  201. 辻栄一

    ○説明員(辻栄一君) 御説明申し上げます。  ISO――国際標準化機構と訳しておりますが、ISOは一九二五年に設立されまして、一国一団体の加入が認められている、これは政府間機関ではございませんで非政府間の機関でございます。加盟国は昭和五十二年八月現在で六十四カ国に及んでおります。わが国は工業技術院の付属機関でございまする日本工業標準調査会、これが一員としてISOに加わっているという状況でございます。  その活動内容について申し上げますと、一般工業製品につきまして各国の標準を統一化する。そして国際的な標準を作成し研究をして、そしてこれを勧告することによりまして製品及びサービスの国際的な交換を容易ならしめる。そして科学的経済的な分野におきまするところの国際間の協力を助長させるというのがこのISOの活動の趣旨でございます。ISOの規格は国際標準として最も権威あるものでございまして、わが国のJIS規格――日本工業規格もこのISOを取り入れている部分がたくさんあるわけでございます。対象といたします品目は工作機械、昇降機、自転車、時計、その他あらゆる工業製品にわたっておりまして、これまでに定められた種目も約三千三百というように多岐にわたっておりまして、これらのISO規格は国際的に実質的に広く採用されておりまして、その目的を達しているような状況でございます。  コンテナーについて申し上げますれば、コンテナーの規格はISOで十三種類ほど定められておりまして、現在、国際的に流通しておりまするところのコンテナーもその大部分はこのISO規格によって製造されているというふうに承知しております。しかしながら、このISO規格と申しますのは、ただいまも御説明申し上げましたような標準をつくる、そしてこれを勧告をするという程度にとどまるものでございまして、いわゆる国際的な規制といたしましては非常に軽微な規制でございます。こういう趣旨から今度のコンテナー条約が制定されまして、これはむしろ強制的な要素が多分に含まれているという点と、それからこのISOがねらいとしています標準化、互換性を持たせるというようなこととは別途、コンテナー条約におきましてはむしろ安全に主眼を置いて、これをできるだけ強制的な形で安全規制を実施していくというところにねらいがあるものである、このように存じております。
  202. 田中寿美子

    ○田中寿美子君 国内にはJISマークというのがありますね、あれの国際版みたいなものだというふうに私はいま理解いたしましたが、その場合に、国際標準規格のISOではコンテナーに関しては十三種類の項目が設けられているとおっしゃいました。ところが、今回のCSC、つまりコンテナー安全条約の中身というのはコンテナーの強度に関するものであって、これはコンテナーを扱う者の人命の安全を図るという大きな目的を持っているのにしては強度に関することしかないという点で、私は非常にISOの方がもっとたくさんの内容を持っていたのではないかというふうに疑っているわけでございます。  と申しますのは、私は「コンテナリゼーション」という雑誌を幾つか見て、その中に今度のコンテナー安全条約についての批判を寄せているものがありましたものですから、ちょっと引用してみますけれども、これが載っておりましたのは七七年の二月号ですから、七六年の暮れごろのことではないかと思いますが、ロンドンでカーゴーシステム・コンテナー技術国際会議というのが開かれて、そこでこのコンテナー安全条約の問題が議論された。そのときに、その議長を務めていたフランスのフォンサルトという人、これはISOの会議にもたびたび出席していた人ですが、この人が一九七二年のこのコンテナー会議で採択したコンテナー安全条約のその採択の経緯を説明して、そしてこういうことを言っているんですね。「同氏は同条約がISOのスペックを無視する規則を盛り込んだことは大いに遺憾とするところであると述べた。そのためにISOのスペックのあるものはそのまま適用されているのに対して、ISOの安全試験の規準のある部分は無視され、または修正されて業界に著しい混乱をまねくに至った。」lSOのスペックというのはちょっと私はわからなかったんですが、ISOの中にあったどういう部分を無視して今度の安全条約はつくられたものであるかということを説明していただきたいんですが。
  203. 辻栄一

    ○説明員(辻栄一君) ICHCHにおきまするところのそういう議論につきましては、私実は先生に御指摘いただくまでは存じ上げなかったわけでございますが、このICHCHは純粋の民間の機関でございまして、港湾荷役の問題とか合理化について意見の交換を図り研究調査をするという団体でございます。  御指摘のとおり、一九七六年の同協会におきまする議論におきましては、CSC条約の発効に当たりまして、コンテナーの基準がISOと多少違っているということについて言及されて多少議論があったというようなことではございます。しかし、その後のICHCHの活動及び意見等を察しますと、実は、昨年もこのICHCHの会合がございまして、わが国からもコンテナー協会の一員が参加しているわけでございますが、最近におきましては、このICHCHの中におきましても、このコンテナー条約がISOの基準より低いということでは必ずしもないということが理解が深まってきた模様でございまして、特に、そういった種類の意見とか議論とかは出ておらないというような状況だそうでございます。  そこで、もうちょっと詳しく、なぜそんな議論が出てきたかということについて御説明をさせていただきたいと思います。  先ほど申し上げましたように、ISOと申しますのは主として寸法規格が主なねらいでございまして、こういったものを統一しようということなんでございますけれども、このコンテナーの規格につきましては、それの試験方法についての基準も入っているわけでございます。そこでISOの試験のやり方というものが実は今度のコンテナー条約における試験方法のもととなったものでございます。言いかえれば、今度の条約の試験方法というのはISO規格に今度の条約の趣旨にかんがみまして若干の修正を加えたということになっており、その修正を加えられた部分が先ほどのような議論を生んだポイントであろうかというふうに考えております。  その問題の中の主なものを申し上げますと、一つは、コンテナーを何段かに積み上げる、積み上げるために、その上に積み上がる荷重に耐えられるような強さでなければならないという観点から、天井におもりをつけまして、そしてそれが耐えられるかどうかを試験をするという試験がございます。これにつきましては、ISOでは六段積みの試験を課している。つまりそのコンテナーの上に五個のコンテナーが載っているという想定のもとにその荷重試験をやる。そしてISOの規格製品はどの製品についてもこの五個上載せできるという強さを持ったものでなければならぬ、これがISOの規格でございます。ところが、実際問題になりますと、コンテナーというのはこの積み段数というのは必ずしも一様ではございません。ある限定された狭い区域で扱われるもの、比較的小さい船舶によって輸送されるものにつきましては三段積みぐらいでしか使われないものがある。これに対して、最近の大型の、たとえば五万トンクラスの専用コンテナー船になりますと逆に九段も積み上げるというケースが出てきているわけでございまして、そこで、使用状態によって、たとえばISOの規格でつくっていただけでは九段積まれると六段積みの試験しかやっておりませんからこれは安全上若干足りないというところも出てくるわけでございまして、この条約では、そういった実際にコンテナーの使用される方法等を考慮した方法をとろうじゃないかということで、その点を修正しております。  そのやり方は、試験としては必ずしも何段積みということは決めない。それはもう申請者の自由にいたしまして、私は三段でやります、私は六段でやります、九段でやりますという申請があればそれでやらせる。しかし、その試験の結果は最大積み重ね荷重として安全承認板にその荷重を明記させることにしております。そういたしますと、その最大積み重ね荷重を見ることによって、このコンテナーはこの上に何段積んでいいということがわかるわけでございます。コンテナヤードの方での操作を申し上げますと、こういうデータがコンテナヤードのコンピューターに組み込まれておりまして、そういったコンテナーの試験荷重に応じまして船のどういう位置にコンテナーを持っていくかというようなことを計算で出しまして積み入れ作業をする、かような方法をとるわけでございます。  lSOの規格は、とにかく品物として統一的なものにしようという方法に対しまして、安全条約の方は、むしろ安全性を比較的平等にしようという観点から、こういったような修正が行われたわけでございまして、そういう意味から言いまして、どちらが試験が甘いとか厳しいとかという問題ではなかろうというふうに理解しているわけでございまして、この点が先ほどのICHCHの会議におきましても次第に理解か深まってきているというふうに存じております。
  204. 田中寿美子

    ○田中寿美子君 私はそういう技術的なことを知りませんので、文書やら、それからそういうことに詳しい方の話を聞いたりしました限りで、いまのように今度のコンテナー安全条約で修正されてよくなったということであれば安全の立場から見て幸いだと思うのですけれども、いまさっき引用しましたフォンサルトという人はこういうことを言っているんですね。  「特に危険があると思われる両者の喰い違いの例として、F氏はコンテナのレイティングを挙げている。」レイティングというのは重量でしょうね、総重量。で「CSCの下ではレイティングに関してはなんらの拘束も制限も考慮されていない。」いまの御説明ですと、それぞれ自由な重量であって、そしてそれが承認板には総重量が書いてある――最大積載量ですか許容量ですか、それが書いてあるからわかるとおっしゃったけれども、その締約国がこれはよろしいとして承認板を与えてくれたら、それを見るだけであって、ほかの国はそれに何ら干渉する権限は持っておりませんね。向こうでパスしてきたものはこれでよろしいということになっているわけなんですが、「それに対してISOはコンテナの六段積みを定めている。」今度は九段積みにもなるかもしれない、大型化すると、そのようにいまもおっしゃいました。それでコンテナー安全条約によれば「コンテナの積み重ねに適当でないコンテナが出現する可能性がある。」ということを言っているわけですね。「またISOではコンテナの上部が十五トンの圧力に耐え得ることを規定しているがCSCではなんらの規定もない。同じような両者間の違いかコンテナ側壁に関してもある。このような有様ではコンテナの外見はISO規格と全く同一でありながら、CSCに準拠して製造されたものはコンテナの総重量が著しく増大し、しかも側壁の強度不充分で積み重ねに適さないものかこれから出現することになるとF氏は恐れている。」いまの御説明のようにうまくいけばいいけれども、そうでないこともあり得るということ。それぞれの国の自主性に任しているわけですし、オーナーの自主的な管理に任しているわけですから、その点が心配ではないかということが指摘されております。  その問題に関しては、それぞれの政府が良心を持って、コンテナーの強度も大事だし、積み荷の仕方なんかについてもそれぞれ指導すると思いますが、日本の場合は、海事検定協会ですか、これを監督するのは。いかがですか。
  205. 辻栄一

    ○説明員(辻栄一君) 先ほど御指摘の最大総重量の問題、あるいは横手方向ラッキング試験の問題につきましても、先ほど私が長々と御説明しましたものと全く共通の事項でございます。こういった、この条約ではむしろこういうものは比較的所有者、メーカーの自由にしておく、そのかわり安全承認板にその数値を書く。それによって合理的な強度の配分といいますか、それを図ろうということをねらいにしているわけでございます。その前提といたしましては、その積み方については若干工夫を要するということが出てくるわけでございます。  二番目の御質問の点につきましては、コンテナーの最初の検査の問題にかかわるわけでございますが、検査のやり方といたしましては、一応、すべて国がやるというのが一番のたてまえになっておりまして、国がコンテナーの設計等をチェックいたしまして型式承認というのを与えます。そしてその設計に個々のコンテナーが合っているかどうかについては検定という検査をするわけでございます。この検定という作業をする部分につきまして、国は代行機関を認めておりまして、日本舶用品検定協会を代行機関として指定して代行させておる。実際は一〇〇%近くのコンテナーがこの代行機関である舶用品検定協会において行われているということでございます。
  206. 田中寿美子

    ○田中寿美子君 日本の検定協会というのは相当の専門家がいられると聞いていますし、日本はわりあいにそういう点では技術も進んでいる国ですし、それからコンテナーというのは、私はこの前は船員の労災の問題をやったんですけれども、日本の海運業界か非常に不況だというので、船籍を外国に置いて走り回ることで採算を上げているということについて大分質問しましたけれども、コンテナーに関する限りは大変もうかっているようで、全部日本籍で走っているわけですね。  コンテナーにたくさんの貨物を入れて海を回すのに、これか崩れてしまったりしたんでは自分たちの損になりますから、それは私は船主たちも一生懸命に見るはすだと思いますし、コンテナーの検定協会も厳重に見るはずだと思うのでございますけれども、このISOの方にもっといろいろの基準があって、それに従ってやっていた国々から見れば、それよりも緩やかなコンテナー安全条約ができて、むしろ程度を下げるというようなことが起こり得るんではないかという危惧があったんじゃないかなというふうに私は思っているわけです。特に開発途上国などではコンテナー先進国のようにがっちりしたものはとてもできないというようなこともあって、コンテナー安全条約がどちらかと言えばISOの基準よりも緩いものになったんではないかと思いますが、そのような事情はありませんでしたでしょうか。
  207. 辻栄一

    ○説明員(辻栄一君) CSC条約の方かISO条約の一般的画一的な規格と違ってやや弾力性をつけた規格であるということとの関連につきまして、先生御指摘のように、やはりその運用については若干複雑になるのはこれは免れないわけでございます。非常に進歩したコンピューターで操作されるようなコンテナヤードを持っているところでは、これは適確に行われると思いますけれども、やはり後進国等におきましては、あるいは先生御心配のような点か起こらないということは保証できないと思います。  しかし、実態的にコンテナーかどういうぐあいに製造されているかと申しますと、実は、このISOの規格によってほとんど製造されているわけでございまして、別にこのCSC条約とISOとはそういう意味で相矛盾すると、ISOO合格すればCSCに合格しないというような話はございませんので、実際問題としては、このISO規格に準拠したコンテナーが製造されるコンテナーの大部分を占めているという実態でございます。ただ、規制の仕方がそういうように若干弾力的になってきたというところでございまして、その弾力化を利用するところは、たとえばアメリカの五大湖でありますとか、そういったような特殊な地域で使われることになると思います。そういうことから余り実質問題としてはそのような心配はないのではないかというふうに思っております。
  208. 田中寿美子

    ○田中寿美子君 それではコンテナーの事故の状況なんですけれども、初めちょっと私が運輸省の方に聞いたとき、コンテナーの事故というのはほとんどありませんということでしたけれども、海事検定協会の出しているもので見ますと、損傷コンテナーは毎年増加の一途で――もっともこれちょっと私の持っているのは古いんです、七三年ですから、五年くらい前です。でコンテナリゼーションというのは日本なんかは特にここ十年間に物すごい勢いでコンテナーがふえていったわけなんで、コンテナー関係の日本の事故の状況はどんなふうですか、数とか、どんな種類の事故が起こっているかとか、もし新しいデータかあったら。
  209. 辻栄一

    ○説明員(辻栄一君) コンテナーの事故というのは御指摘のように余り多くはございません。コンテナリゼーションの初期におきましては、アメリカを中心に発展してきたわけでございますが、米国等におきましては幾つかの人身事故などもあったようでございますが、近年におきましては非常に少なくなってきております。これは恐らくISOの規格かかなり広く普及しているということが実質的に効果があったんであろうというふうに存じております。  人身事故につきましては、最近の五年間をとってみましても皆無でございます。それ以前の資料についてはちょっと手元にございませんので、つまびらかではございません。そのほかの事故といたしましては、荒天遭遇によるコンテナーが流失したという事故、これは船のデッキの上にコンテナーを置いておくわけですが、それをとめておくラッシングの金物に損傷か起こって流れ出してしまった。あるいは港湾における荷役機械、それを誤操作をして事故を起こしたというようなコンテナーを壊した事故というものか幾つかございます。この数は、延べ航海総数が昭和五十一年で四千八百六十九という数字でございますが、これのうち約五十件、比率にいたしまして一・〇三%という数字が挙がっておりますが、こういう状況でございまして、全体の通送個数に対する破損個数はかなり低いものであると思います。
  210. 田中寿美子

    ○田中寿美子君 私が持っております資料は、一九六八年から七一年までの三年間の件数で二百二十一件、いま年間五十件余とおっしゃったので、そんなものかもしれませんですが、コンテナーというものは大きいものが非常に多いと思いますが、その事故の発生した一番多いのは航海中で、荒天で波が甲板を洗ったとか、それから荒天でコンテナーが動いて押しつぶされるようなことがあったとか、そういったことが一番多くて、その次が荷役中コンテナーを揚げたりおろしたり積んだりしているときに起こっている事故、その他の中にはいろんなものが入っておりますけれども、実際にコンテナーの荷役をしている人たちに聞きますと、小事故はずいぶんあろということなんですね。そんなのは、だけれども、ちょっとした事故はもうすぐその現場でおさめてしまって報告もしないで出してしまうというようなことを申しておりますが、今回、強度を非常に強めることになる、その分積み荷を高めるんじゃないかということを言っておりますので、さっきISOで六段、しかし、今度は段について何にも規制がないことや総重量の規制がないということで高くなっていくだろう、そういうことに対する対策というのをしなけりゃならないけれども、これは積み荷をするときには、別に監督というのはないんでしょう、会社の監督の人がいるわけですね。
  211. 辻栄一

    ○説明員(辻栄一君) 御案内のとおり、積み荷のやり方につきましては、この条約では特に規定はございません。
  212. 田中寿美子

    ○田中寿美子君 それからコンテナーについては内容の検査というのはないわけですね。今度つける承認板でも製造年月、総重量、それから四項目ほどありますが、内容の検査というのはどこで一体するんだろう、中身の表示というのはないわけですね。ISOの場合は中身の表示があったんじゃないかと思うんですけれども、危険物を積み荷しているようなときに、どういう表示が、これは今度の条約では要求されていないのかどうか、ISOの方ではあったんじゃないかと思います。
  213. 辻栄一

    ○説明員(辻栄一君) 一般貨物の内容物のチェックというのは、安全上の観点からは特段必要なことではなかろうかと思いますが、危険物については若干問題があろうかと思います。  危険物の輸送につきましては、IMCOという政府間海事協議機関という国連の専門機関がございまして、危険物の海上運送について諸般の規制についての国際的な統一基準を定めておるわけでございます。ここで定められました品目、それから包装の仕方、そういうものが世界各国で使われているわけでございまして、わが国におきましては、船舶安全法の付属省令でございまする危険物船舶運送及び貯蔵規則という規則の中にこのIMCOのコードが引用されておるわけでございます。そういうことで、品目によりまして、その危険の度合いに応じましてコンテナーの中への収納を禁止するとか、あるいはほかの貨物との混載を禁止するとか、あるいはコンテナーに入れてもいいけれども、その場合には特別なこういう包装をしなさいということが品目別に詳細に定められております。したがいましてコンテナーによる危険物輸送は、この条約によるコンテナーの構造上の一般の規定のほかに、別の規則によりまするところの危険物のコンテナー包装への基準によってやらなければならない、こういうことになっております。そうして危険物を収納したコンテナーはその上に表示をする。この内容物は爆発物が入っているとか、あるいは毒物が入っているとか、そういったような表示をするというようなぐあいに一般的なコンテナーの基準に上乗せ基準が決められておりますので、それによって安全を担保されているということでございます。  この危険物の収納につきましては、これもやはり先はどの危険物運送規則によりまして、国がその積みつけ方法等について検査をするということになっております。これも危険物の量等に応じて多少違うんですけれども、そしてその代行機関として日本海事検定協会という団体が代行検査機関に指定されておりまして、この協会によって積みつけ検査が行われております。
  214. 田中寿美子

    ○田中寿美子君 つまり、その危険物、たとえばケミカルなんかで危険なものを積むときには、国連の方のIMCOの危険物表示をもう一つつける、それに関しては政府が監督すると、日本の場合。ほかの国もそうですか。
  215. 辻栄一

    ○説明員(辻栄一君) はい、さようでございます。
  216. 田中寿美子

    ○田中寿美子君 そして日本の場合は、海事検定協会が実際にその場で、コンテナーに貨物を積むときにチェックするわけですか。
  217. 辻栄一

    ○説明員(辻栄一君) さようでございます。
  218. 田中寿美子

    ○田中寿美子君 つまり、それは国から依頼されて海事検定協会がそれをチェックするという形でございますか。
  219. 辻栄一

    ○説明員(辻栄一君) はい、そうでございます。
  220. 田中寿美子

    ○田中寿美子君 そうしますと、こういうことになりますね。今度のコンテナー安全条約に加盟した国、批准した国は、その例の安全承認板を一つ張る、それからもう一つ危険物の場合には、そのほかにもう一つ張られているということですね。ですから、港に外国のコンテナー船が入ってきたときには、その国の政府はこの安全承認板を見、そしてもう一つの表示があることを確認する、こういうことになりますか。
  221. 辻栄一

    ○説明員(辻栄一君) さようでございます。
  222. 田中寿美子

    ○田中寿美子君 実は、コンテナーの中身に関しては、いまのような危険物の場合には危険物表示をする。ISOの基準でもっとはかにあるのかなと私思うのですけれども、たとえば、これは港湾の荷役をやっている人か、日本に入ってくる生の皮ですね、動物の皮、オーストラリアとかアメリカから入ってくる皮が塩づけで入ってくる、それはコンテナーの中に密閉されてくる。それをあけると窒息しそうになるというように、ちょっとある種の危険を伴うわけですかね、そういうことに対してはどういう安全を目的とした処置がされているんでしょうか。
  223. 辻栄一

    ○説明員(辻栄一君) ただいま先生御指摘の、いわゆるハイドコンテナーというものでございますが、これにつきましては、特に生皮でございますが、危険物としては先ほどのIMCOの危険物コードでは危険物には指定されてはおりません。しかし、実態的にそういう問題が過去に起こったことがあるようでございまして、これに対する対策といたしましては、ハイドコンテナーには通風装置を設けるということが一般化しております。ほとんどハイドコンテナーには通風装置を持っている。その換気が適当に行われることによって、多少の窒息のような現象、あるいは中に入っていってふらふらするというようなことは今日ではほとんどないということでございます。
  224. 田中寿美子

    ○田中寿美子君 事実、そういうことがあったことは御存じで、そしてそれは相手国には、そういう場合には、そういうことがあればやっぱり通報する責任があると思います。  今回のコンテナー安全条約によって、それに加盟した国が十センチ・二十センチ四方以上の安全承認板というのを張って歩くわけですが、そして、それはさっきも申しましたように、それぞれの国が自分でこれでよろしいということで、一種のパスポートみたいたもので、外国に入ってきた場合にも、それはそのままその国の政府の押した承認板を認めるわけで、それ以上に立ち入ることはできないという条約でございますね、今度のは。それで、その承認板には製造年月と場所、メーカーの識別番号、それから最大許容重量ですか、それからそのコンテナーが二年以上海上輸送の経験があるかないかということを書いておくということですね。で、私、これは何回も言っていることで、それを全面的に信頼しなければならないということでございますので、その辺に関しては、今後、この種の会議か開かれると思いますが、国によって程度が違うところもありますので、コンテナーの輸送、荷役などで働く人の安全を目標としている条約ですから、ぜひその辺が担保できるような方向に努力していただきたいと思いますが、いかがですか。
  225. 辻栄一

    ○説明員(辻栄一君) 御指摘の点につきましては、おっしゃるとおりでございまして、私どももそれに向けて努力したいと思います。  このコンテナー条約開催の事務局をやりましたIMCO、政府間海事協議機関におきましては、このコンテナーの積み方等に関する委員会がすでにできておりまして、毎年二回ほど会議を開いておりまして、今後この条約で想定しているところの積み方等につきましての国際的な統一基準を設けようということで作業を進めているところでございます。また、わが国といたしましても、この作業に積極的に協力して、統一基準を守っていくというような方向で進んでまいりたいと思っております。
  226. 田中寿美子

    ○田中寿美子君 国内のコンテナーのオーナーにも、ぜひそういう行政指導をしていただきたいと思います。  じゃ最後に、私は、港湾に働いている労働者、特に荷役をする人たち、コンテナーに関係のある人たちの雇用の問題を伺いたいと思うんです。  昭和四十八年に、いまから五年前ですが、港湾労働法の改正案が出ましたとき、私はちょうど社会労働委員でございまして、この港湾労働法の改正に反対して、大変たくさんの議論をしたものでございます。あの当時、コンテナー化がどんどん進んでいく中で、港湾の労働者の雇用が不安になっていくという状況の中で、労働省が港湾に設けている公共職業安庁所を港湾業者の方の手に移して、そして共同雇用の形式をとるというような形で港湾労働法を改正しようとしました。  このことについては、もうよく御承知のように、港湾業者の中にはどちらかといえば大変荒々しい勢力もおりまして、働いている港湾労働者と対等の立場で労使の交渉に応じるという状況にない。ある意味じゃボス組織もいた。私は港湾に出かけていって、手配師が朝労働者をピックアップしていく状況を見ておりましたものですから、こういうことで港湾労働者の職業の紹介の仕事を業者の手に移してしまうということは、港湾労働者が求めているような共同雇用の制度じゃないというふうに思ったわけで反対したのですが、港湾労働法の改正は、それから後そのままになっていると思いますか、その後どういう状況にあるかということと、それからコンテナリゼイションが進んでいる過程で、港湾の荷役労働者は数が減っていっているのか、雇用不安の状況に置かれているのか、どういう状況にあるのか、御説明いただきたいと思います。
  227. 清水傳雄

    ○説明員(清水傳雄君) まず、最近の港湾労働の状況につきまして御説明を申し上げたいと思うわけでございますけれども、先生御承知のように、中心は常用労働者によって荷役作業が行われ、それから港湾に必然的に伴います波動性に対処するためにどうしても必要な日雇い港湾労働者を登録制度によりまして登録をいたしまして、それを公共職業安定所が紹介をして波動性に対処していく、こういうシステムによって運営をいたしておるわけでございます。  全体といたしましての港湾労働者の数というのは、これは発足当初に比べまして、常用労働者につきましては大体横ばいかちょっと減少ぎみというふうな形で推移しておりますけれども、登録日雇い港湾労働者の数は相当数減少してまいっております。これは非常に日雇いへの依存率そのものが減ってきているということが言えると思います。これは常用化の進展ということもございますし、また輸送革新の進展というふうなこともございますし、いろんな事情がございまして減少してきてまいっておるわけでございます。ただ、そういう場合におきましても、登録を取り消すとか抹消するとか、いわゆるそういう解雇に類するような形での減少というふうな形は一切とってきてはおりませんで、必要な労働力を登録する、そういった場合に、自然のリタイア等によっての現在人員に準拠いたしました登録数というふうな形で処理をしてきてまいっておるわけでございます。  そういう四十八年以降の状況という点について申し上げますならば、そういった輸送革新の進展等によりまして港湾の荷役の態様というのは非常に大きく変化をしてきているということが一つございました。それからまた、例のオイルショック時期を中心といたしまして非常に就労状況が一時期悪くなりまして、非常に関係労使とも苦慮をして、それに伴ういろんな対策等の措置も講じてまいっておるわけでございますけれども、非常に高齢化が進むというふうな状況がございます。それから、やはりそういう制度的な保障というものがありますと、それに依存を安易にするというふうな傾向がどうしても人情的に生まれてきているというふうな状況もございます。就労意欲の低下というふうな問題も、高齢化ということとともに、起こってまいっておりまして、そういうこともございまして、日雇いへの依存度合いということも低下しているという面も一つの問題点として現在非常に課題としてあるわけでございます。  そういったことで、かなりその後曲がり角にきているということは私ども十分認識をいたしておりまして、実は、一昨年、総理府に設けられております港湾調整審議会におきまして、そういった曲がり角にきている港湾労働、いろんな諸問題につきまして勉強を始めていただいておりまして、そういった問題点の整理検討に入っていただいておるというのが現在の状況でございます。
  228. 田中寿美子

    ○田中寿美子君 あの当時から、湾湾労働者は五万四千人いまいるようですが、二万四千ぐらい減っているわけですが、いまおっしゃったようないろんな事情があると思うのですけれども、あの当時から近代化された業者の組織と、それから組織された港湾労働者とが交渉できるような体制をつくってほしいというのか要求でございましたね。なかなかそれができない。本当の意味の共同雇用ならやはり労働者も望んでいるところなんですね。ですけど、あの当時は、私も職安に朝行ったら、横浜の港でしたけれども、あの職安の中に、すぐそばでは手配師がいるし、中にはボスの人たちが入っているというような状況だったわけです。ああいうのは望ましい共同雇用への制度移行の仕方ではないと思いますが、共同雇用の方向に進みつつあるのかどうかということ。  それから、四十八年のときに、ちょうどILOで港湾労働者条約締結されましたね、日本も採択して帰ってきたわけなんです。ですから、世界じゅうの港はみんな近代化されつつあって、コンテナーが入れられていく、荷役はだんだん減っていくのがこれは情勢だろうと思いますが、そういう場合に、自分の責任というよりは機械化、近代化の波のために職を失うところの労働者に対しては、その人たちがちゃんと生活できていくような仕事への転換、あるいはその人たちが生涯生きられるような生活の保障の道を開かなければいけないというようなのが港湾労働条約の骨子だったと私は記憶しておりますけれども、そういう方向に向かって港湾の労使が動いていけるように私は政府行政指導をするべきだというふうに思っているのですが、これは労働省の問題だけじゃない、これは運輸省港湾関係の労働者を抱えている省であって、しかもこのコンテナ安全条約というのは、そこで働いている人命の安全というものを目的にしているわけなんですが、そういう点で、そういう意味の行政指導というのをしていただきたいと思うのですが、その辺はどういうふうになっておりますでしょうか。
  229. 清水傳雄

    ○説明員(清水傳雄君) 共同雇用のあり方ということにつきましては、現在の港湾労働法自体も理念的には共同雇用の理念というものに立脚したものだというふうに私ども考えているわけでございます。先生おっしゃるような労使の近代的な話し合いの場というような――これはずっと見ておりますと、やはり徐々にそういった慣行というふうなものが定着しつつあるのではなかろうかというふうに考えております。  共同雇用のあり方ということ、これは外国によってもいろんな形があると思いますし、それぞれ国あるいは港によっても事情の相違というようなものがあろうかと思います。どれでなきゃならないかというのは、これは非常にむつかしい問題だろうと思います。その辺につきましては、先ほど申し上げましたような関係の審議会で御議論をいただいておりまして、私どももそれに積極的に御協力を申し上げながら、これからの新しい港湾労務のあり方というふうなものの模索をしていくというふうにやっていきたいというふうに思っているわけでございます。
  230. 田中寿美子

    ○田中寿美子君 運輸省の方もやっぱり知らぬ顔はしていられない。
  231. 勝野良平

    ○説明員(勝野良平君) 質量両面にわたりまして適正な荷役機能を確保することは、港湾機能を向上するために不可欠な要素だと思っております。  で港湾運送事業というのは、きわめて労働集約性の高い事業でございますので、健全な労使関係が確立されることが業務の近代化のために必要だ、こういう観点から、いま労働省の方から御説明がありましたように、共同雇用の問題その他につきましても港湾調整審議会で審議されるということでございますので、その審議の状況を十分見守っていきたい、かように考えております。
  232. 田中寿美子

    ○田中寿美子君 以上です。
  233. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 最初に、わが国はコンテナーの製造が大変多いわけですが、まずコンテナー輸出の実態についてお伺いをしたいと思います。  現在、どういうふうなところに輸出されておりますか、その比率と数字をお示しいただきたいと思います。
  234. 辻栄一

    ○説明員(辻栄一君) わが国は世界一のコンテナーの製造国でございまして、昭和五十一年には約九万四千個、これは一個二十フィートのコンテナーということに換算してございますが、九万四千個のコンテナーを製造いたしまして、これは世界総製造量の約六〇%程度に達するものと見られておるわけでございます。このわが国で製造された大量のコンテナーはその大部分が外国向けのものでございまして、昭和五十一年の実績を見ますと、約八〇%か輸出用ということになっておりまして、その仕向け先は主たるところはアメリカ、それからあと後進諸国が入っております。
  235. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 対米輸出だけが圧倒的に多くて七四・三%ということになるわけです。そのほかの国は、イギリスはこの一年間で三%近く減り、スイスはやはりこれも四%近く減っておる状況で、この二つの国がどうして減っておるのか。依然として対米輸出に依存しておるということは、現在の厳しい用高、特に対米輸出が大変日本が多いということで反発が来ているわけですが、コンテナーも同じようなことになっておるわけでして、この点も含めまして、もっと他の国に――かなり昨年からことしにかけて新しく輸出ができた国もありますけれども、ほかの国がふやせないのか、また今後ふやせる見込みというのはあるのか、その点はいかがですか。
  236. 辻栄一

    ○説明員(辻栄一君) 輸出先はアメリカが圧倒的に多いわけでございますが、その他の先進諸国につきましては、それぞれ自国でコンテナー生産を行っている諸国でございまして、最近の円高情勢等も考慮いたしますと、この地域へのコンテナーにつきましては輸出はなかなか困難であるという状況であろうかと思います。なお、最近におきましては、韓国あたりでコンテナーの製造が盛んになってきておる模様でございまして、ここからの逆輸入というような現象も出かけておるわけでございます。
  237. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 そうしますと、現在は非常にコンテナーかわが国は強いわけですが、今後を考えますと、いま言われたように、円筒の問題、それからもう一つは韓国等が追い上げてくる、そういう状況の中で、見通しといいますか、その点はどうなのか、あるいはまた今後の技術革新というものか現在の状況を将来とも維持できるような水準まで上げ得るのかどうか、その点はいかかですか。
  238. 辻栄一

    ○説明員(辻栄一君) これらの今後の動向につきましては、なかなか予測することは困難でございまして、私、いまの段階では何とも申し上げられないのが実態でございます。ただ、最近におきましては、比較的コンテナーの受注があるようでございまして、昨年の製造実績、これは正確な統計がまだ出ておりませんので数字ははっきり申し上げられませんが、十万個を超えるというような製造実績が出てきておるようでございます。  コンテナリゼーションの動向につきましては、コンテナー製造業界ではまだかなり強気の見通しを持っておるようでございまして、現在、世界で約百六十万価ぐらいの保有量でございますが、恐らく二百万個には達するんではないかというような予測も行われておるわけでございます。
  239. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 コンテナーの種類はいろいろございますけれども、今後、日本がいま私が申し上げたような技術革新によってさらにいいものをつくって、現在の輸出をさらにふやしていく、アメリカだけでなくてほかの国へもふやすという見込みのあるものといえば、どういうものが考えられますか。
  240. 辻栄一

    ○説明員(辻栄一君) コンテナーの種類はいろいろあるわけでございますが、何といいましてもコンテナーの主体は一般の通常コンテナーが主力でございます。先ほどちょっと説明を落としましたけれども、コンテナーのリース業というのが最近非常に発達してきておるわけでございますが、リース会社の主力がこれまたアメリカでございまして、逆にそういったこれからの受注量、お客さんの量でございますが、これはやはりアメリカの方に需要がどんどんふえてくるというのが今後の動向ではないかというふうに考えております。  それからもう一つあれなのは、アラブ諸国向けのコンテナーというのが意外に多くなるようでございます。しかし、これはアラブがどうもコンテナーを輸入いたしましてそのコンテナーを捨ててしまうようでございまして、むしろコンテナーをコンテナーとして使うよりは包装の一種と見てしまうというような考え方を持っているようでございます。これ向けの消費、一たんアラブの国に入ると、そこらの砂漠に捨てられて回収されてこないというようなところがかなり需要の動向に大きい影響を与えているというようなことも聞いております。
  241. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 いま言われたリースですけれども、アメリカが大変発達したのは税の優遇措置がある、こういうふうに聞いておりますが、日本としてはこういうふうなことは考えにないわけですか、その点はいかがですか。
  242. 辻栄一

    ○説明員(辻栄一君) 現在のところ、コンテナーに対しまするところの特別な税制上の優遇対策というのはないようでございます。
  243. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 いま言ったアメリカがそういうことをやっているのがいまアメリカが相当リースをやっておるバックになっておると思うんですけれども、考えもないわけですね、これは役所が違いますからあれですけれども。
  244. 辻栄一

    ○説明員(辻栄一君) 私、その面については担当でございませんので、明確な答えはまた後ほどさせていただきたいと思います。
  245. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 今後の方向として、もちろんこれはコンテナーですから、輸出の製品を持っていったものがまた輸入製品を持って帰るわけですけれども、御承知のように日本は製品輸入か大変少ない。そういったことでEC諸国あるいはアメリカ等が日本に対して厳しい態度に出てきた結果、円高になってきておるわけですけれども、そういう面でも私はコンテナーというものが発達することが望ましい、今後まだまだ日本として、と思うわけでして、もちろんアメリカが発達したことは相互ですから日本ばっかりが保有すればいいとは私は申し上げませんけれども、輸出の方ばかり力が入って、わが国のコンテナー保有というものはまだまだ少ないように思うわけですけれども、これはやはりわが国として保有をした方が有利なのか、経済ベースだけ考えるとアメリカのリースに任してむしろそっちへどんどん売って、そうして動かすのも向こうにやらしておいた方がいいのか、その点はどういう御見解ですか。
  246. 辻栄一

    ○説明員(辻栄一君) これはコンテナーの航路と申しますか、それと深いかかわり合いがかかってくるものと存じますが、いま現在のところ、一航海に対しましてたとえば二千個なら二千個というコンテナー船があるとしますと、それに対してそれの三・一八倍のコンテナー保有というのが一応の船一隻に対しまするところのスタンダードの保有量になっておるようでございまして、やはりコンテナー航路の拡大ということがありませんと、わが国保有コンテナーの増加というのは必ずしも直接的には望めないという感じになっております。なお、リース会社につきましては、わが国には日本コンテナリースという会社がありまして、そこが漸次コンテナー保有量をふやしつつあるという現状でございます。
  247. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 いま言われた航路の問題は確かにありますが、もう一つのネックとしては、まだまだ日本の港がコンテナー船が着くだけの設備のあるところが非常に少ない。しかし、また、港湾をすべてこういうようにしていくということについてはいろんな問題があると思うんですが、いわゆる港湾のコンテナリゼーションといいますか、これの将来の見通しあるいはまた計画、そういったものがございましたらお示しいただきたいと思います。
  248. 小池力

    ○説明員(小池力君) 外航海運のコンテナー化に対応いたしますコンテナー埠頭の整備等のお尋ねでございます。  御承知のとおり、昭和四十年代から国際的な海上コンテナー化か進んでまいりまして、それに対応いたしますコンテナー埠頭の整備というものの緊急性が高まったわけでございます。それに対応いたしまして、運輸省といたしましては、特定重要港湾、これは外国貿易上特に重要な港湾ということになっておるわけでございますが、特定重要港湾の中で東京、横浜、大阪、神戸、名古屋、四日市――簡単に申しまして東京湾、伊勢湾、大阪湾におきます特定重要港湾におきましてコンテナー専用埠頭の整備を図ることにいたしました。東京湾の東京並びに横浜港につきましては京浜外貿埠頭公団によりまして、また大阪湾におきます大阪港及び神戸港につきましては阪神外貿埠頭公団、いずれも四十二年に設立してございます。なお、伊勢湾地区の四日市、名古屋のコンテナー埠頭整備につきましては、公益法人でございますコンテナー埠頭株式会社を設立いたしまして鋭意コンテナー埠頭の整備を進めてまいったところでございます。現在供用中のコンテナー船専用の埠頭は全部で二十九バースに及んでございますし、現在建設いたしておりますコンテナー埠頭は八バースございまして、現在の外航海運のコンテナー化には十分対応してまいりましたし、また対応できるものというふうに思っております。
  249. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 今後の問題として、やっぱり交通網体系というものをもう少し確立をしないと、ただやたらにふやすわけにもいかぬと思いますし、トラック輸送、鉄道輸送それから海運、この三本の柱をどううまく組み合わして、その中にコンテナリゼーションというものが出てくると思うのですけれども、そういった上の整備と関連した上で将来の計画というのはどうなっているか、その点はいかがですか。
  250. 小池力

    ○説明員(小池力君) いまの先生の御指摘は、私は先ほど外航海運のコンテナー化に対する埠頭整備をお答え申し上げたところでございますが、先生の御指摘は、さらに内航海運まで含めましてのコンテナー貨物等の流動に対応する港湾整備というお話でございました。  国内の輸送におきます港湾の整備につきましては、先ほど先生御指摘のとおり、やはり今後海運貨物の増大ということが十分予測されますので、総合交通というような視点からのその意味での港湾整備が必要になっております。現在、港湾整備につきましては第五次港湾整備五カ年計画ということでそれぞれの施設整備を進めているところでございますが、特に輸送需要の問題といたしましては流通拠点港湾というものの全国的な配置を考えまして、それらの埠頭整備に鋭意努力しているところでございます。
  251. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 この埠頭整備もなかなか景気との関係でうまくいっていない。また仮に埠頭整備ができても、果たしてその中に新しい地域の開発の場合は企業が来るかどうかわからない。いろんな問題があって私は必ずしもスムーズにいっていない、こう思っておるわけですけれども、そういう意味でより積極的にやっていただきたい、こう思うわけです。  今回の条約、これは外務省にお聞きをいたしますが、もう少し早くできなかった理由、これはどこにありますか。
  252. 大川美雄

    ○政府委員(大川美雄君) この条約は、前文にも書いてございますけれども、コンテナーの国際運送における人命の安全を図るということ、それからコンテナーによる国際輸送を円滑化することを目的としているわけでございまして、その目的に照らしまして、できるだけ多くの国がこの条約に定めてある制度を取り入れることが条約の実効性を図る上で、あるいは高める上でいいわけでございますから、わが国としても、各国がこれに入っていく状況、特にコンテナーをたくさん保有している国々がこれを締結していく状況を見きわめてきたわけでございます。  昨年の九月に、条約の規定に従いましてこの条約が発効いたしたわけでございまして、その後に、ことしに入りましてからイギリスとかアメリカという、こういうコンテナー大国も次々に批准いたしましたので、わが国としても早急にこの条約を締結することが必要だということを考えるに至った次第でございます。
  253. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 いままでは何かフランスの看板ですか、いつも出して、大変いままで業界は苦労していたようですけれども、そういった意味を考えますと、この条約自身そう問題がないし、むしろ日本にとっては決して不利でない条約ですから、私はもう少しどうして早くできなかったのかなと素朴な疑問を感じたので、いまお伺いしたわけです。  次に、検査の問題ですが、先ほどもちょっと出ておりましたが、この検査は今後あくまでも自主的に行われていくのかどうか、この点はいかがですか。
  254. 辻栄一

    ○説明員(辻栄一君) この条約に定めるところの検査につきましては、この条約の対象は国際コンテナーということになっておりますことと、それから、わが国が島国でございまして、わが国の国際コンテナーは一〇〇%海上コンテナーであるということから、この検査は、船舶安全法の設備ということでとらえまして、船舶安全法による検査を実施するということにしておるわけでございます。  船舶安全法の二条一項から、命令の定めるところによりまして船舶の設備として検査を行っていくということで国の検査を行い、さらに、それの代行機関としまして舶用品検定協会に検査をやらせるということで、これはわが国の場合は強制検査にしているわけでございます。  それから、その国の検査はコンテナーを新しくつくる場合の検査でございまして、コンテナー製造後五年以降たちますと、今度は民間の自主検査ということに切りかえられるわけでございますが、これにつきましては、やはり船舶安全法の二十八条という規定がございます。その規定に基づきまする省令におきましてコンテナー所有者に定期的な検査を義務づけるということで法制上の手当てをいたしておるわけでございます。
  255. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 検査料は幾らで、その値段は適当なのかどうか、世界的に見まして、その点はいかかですか。
  256. 辻栄一

    ○説明員(辻栄一君) 検査手数料は、先ほどの船舶安全法の施行規則でコンテナー一個について幾らというぐあいに定められておりまして、代行機関で行います検査もこの国と同額の検査手数料でやっております。大体、一個当たりで二千九百円という手数料になっておりますが、これは国際的なレベルから見れば、かなり安い手数料でございます。
  257. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 その規制ですね、いろいろな規制がありますけれども、この条約を結ぶことによって、現在より厳しくなるのか、甘くなるのか、そのままであるのか、その点はいかかですか。
  258. 辻栄一

    ○説明員(辻栄一君) 先ほど御説明申し上げました船舶安全法による検査は、実は、昨年の秋からこれは実施しているところでございます。この検査の内容は、この条約と全く同様の内容をいたしておりますので、今回の条約批准によりまして今後のこの国の検査が厳しくなることはございません。全く同じ基準で行っております。  ただ、違ってまいりますのは、これまで検査の後にコンテナーにとりつけまするところの安全承認板、これが国際安全承認板ということになりまして、この条約を批准すれば、わが国の検査標、こういうものでございますが、これが国際的に通用するという状況になるところが違ってまいるわけでございます。
  259. 安孫子藤吉

    ○委員長(安孫子藤吉君) 本件に対する本日の質疑はこの程度にとどめます。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時五十五分散会