運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1978-06-15 第84回国会 参議院 法務委員会 16号 公式Web版

  1. 昭和五十三年六月十五日(木曜日)    午前十時五分開会     ―――――――――――――    委員の異動  六月十五日     辞任         補欠選任      塩見 俊二君     伊江 朝雄君      小谷  守君     矢田部 理君     ―――――――――――――   出席者は左のとおり。     委員長         中尾 辰義君     理 事                 八木 一郎君                 山本 富雄君                 寺田 熊雄君                 宮崎 正義君     委 員                 伊江 朝雄君                 上田  稔君                 大石 武一君                 上條 勝久君                 初村滝一郎君                 藤川 一秋君                 阿具根 登君                 秋山 長造君                 橋本  敦君                 円山 雅也君                 江田 五月君    国務大臣        法 務 大 臣  瀬戸山三男君    政府委員        法務政務次官   青木 正久君        法務大臣官房長  前田  宏君        法務省民事局長  香川 保一君   事務局側        常任委員会専門        員        奥村 俊光君     ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○民事執行法案(内閣提出、衆議院送付) ○司法書士法の一部を改正する法律案(内閣提  出、衆議院送付)     ―――――――――――――
  2. 中尾辰義

    ○委員長(中尾辰義君) ただいまから法務委員会を開会いたします。  委員の異動について御報告をいたします。  本日、小谷守君が委員を辞任され、その補欠として矢田部理君が選任をされました。     ―――――――――――――
  3. 中尾辰義

    ○委員長(中尾辰義君) 民事執行法案及び司法書士法の一部を改正する法律案を便宜一括して議題といたします。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  4. 寺田熊雄

    ○寺田熊雄君 法務大臣にお尋ねをいたしたいと思います。  きわめて原則的なことでございますけれども、この際確認をいたしておきたいと存じます。  民事訴訟法は、わが国の法体系の中で憲法、民法、刑法などいわゆる六法の中の一つであること、国民生活に至大の関係を持つ法律であること、したがって国会におけるその審議はきわめて慎重を要すること、この点は法務大臣、お認めいただけますか。
  5. 瀬戸山三男

    ○国務大臣(瀬戸山三男君) 民事訴訟法関係ばかりでなくて、提案いたしました法律案等については、もちろん国会では慎重に御審議をいただくものと考えております。
  6. 寺田熊雄

    ○寺田熊雄君 民事訴訟法明治二十三年に生まれた法律であることは御承知のとおりであります。競売法明治三十一年の法律であります。前者の強制執行関係の規定は、第六編にありますね。仮差し押さえ、仮処分の規定も含めまして、四百九十七条から七百六十三条まで、合計して二百六十七条の条文を持っております。競売法は、単行法でございますが、五十一条の条文を持っております。それらの規定は、法的技術の結晶とも言うべく、非常に高度に技術的のものでありまして、法律家といえども初心者には非常になじみにくいものであります。そして、きわめて難解の法律であります。この点も法務大臣は御認識になっていらっしゃると思いますが、いかがでしょう。
  7. 瀬戸山三男

    ○国務大臣(瀬戸山三男君) 私も一裁判官の端くれをしておりましたが、なかなか、強制執行法、競売法などというのは、専門的といいますか、非常に技術的な問題がありますから、いわゆる法律家といえども、この点を詳細に織識しておられる方は非常に少ないのじゃないか、かように考えております。
  8. 寺田熊雄

    ○寺田熊雄君 その法がわが国民事法秩序の中で民事訴訟法の一部門として強制執行の部門を担当するもの、つまり強制執行法ですね、強制執行法は、民事訴訟法の中の一部門として強制執行の部門を担当いたします。ですから、民法、商法などいわゆる実体法を基礎とするのは当然といたしまして、最も関連を有するものは民事訴訟法第一編の総則、第二編の第一審ノ訴訟手続、第三編上訴、第四編再審、第五編督促手続、第七編公示催告手続、第八編仲裁手続など、民事訴訟法中の他の規定との関連がきわめて密接であることは当然であります。しかし、そのほかにも、破産法、和議法、会社更生法などと密接に関連を持っております。したがって、その改正に当たりましては民事訴訟法中の他の規定や破産法、和議法、会社更生法などとの関連を十分考慮せざるを得ないのでございますけれども、この点も法務大臣はやはりお認めいただけるでしょうか。
  9. 瀬戸山三男

    ○国務大臣(瀬戸山三男君) 不敏にして私もそういう関係法律のことを詳細に存じませんが、当然その関係している法律等の関連はもちろん検討しなきゃならない。今度民事執行法を提案いたしますについても、御承知だと思いますが、いまおっしゃったように明治のしかも早い時期にできた法律でありますし、民事訴訟法強制執行部門、それから破産法競売法こういうものを統合して一本の法律にするについては、相当長期にわたって専門家、実務家、学者といろいろそういう問題を詳細に検討して、まず現代の事態に対応するにはこれだということで御提案をしておるわけでございますから、今日に至るまでにはそういう方々の周到な検討を願っておる、かように考えております。
  10. 寺田熊雄

    ○寺田熊雄君 この法律の改正に着手されたのはいつでしょうか。
  11. 香川保一

    ○政府委員(香川保一君) 法制審議会民事訴訟部会におきましては昭和四十三年の暮れからでございます。
  12. 寺田熊雄

    ○寺田熊雄君 今回御提出になりました法案の成案を得られたのはいつでしょうか。
  13. 香川保一

    ○政府委員(香川保一君) 昨年の昭和五十二年の二月に法制審議会から法務大臣に要綱案を答申されまして、それに基づきまして法案作成作業に入りまして、法務省の案としまして昨年中に成案を得たのでありますが、その後内閣法制局の審査を受けまして、本年の四月に提案した次第でございます。
  14. 寺田熊雄

    ○寺田熊雄君 法政審の執行制度部会の審議、法制審の全体会議の審議の期間、回数等について御説明いただきたいと思います。
  15. 香川保一

    ○政府委員(香川保一君) 法制審議会は御承知のとおり強制執行法部会その中にそれぞれの部門を担当する小委員会が設けられておりまして、強制執行部会といたしましては合計二十三回総会が開かれております。小委員会は月に二回ないし一回毎月やっていただきまして、したがいまして何回ぐらいになりましょうか、相当の回数を重ねておるわけでございます。
  16. 寺田熊雄

    ○寺田熊雄君 全体会議は。
  17. 香川保一

    ○政府委員(香川保一君) 強制執行法部会の全体会議は二十三回開催されております。
  18. 寺田熊雄

    ○寺田熊雄君 法制審議会全体ではどうなんでしょうか。
  19. 香川保一

    ○政府委員(香川保一君) 法制審議会の総会は一回でございます。
  20. 寺田熊雄

    ○寺田熊雄君 執行制度部会の委員の人数や顔ぶれ、職業等についてちょっと御説明いただきたいと思います。
  21. 香川保一

    ○政府委員(香川保一君) まことに申しわけございませんが、ただいま名簿を手元に持っておりませんので、具体的な御氏名等申し上げることができませんが、最初は部会長は最高裁判所裁判官をしておられました岩松さんが部会長になっておられまして、その後、東京高裁の裁判官をおやめになったやはり民訴の専門家であられる村松先生が部会長になられました。そのほかは裁判官、それから主として民事訴訟法の学者、これは全国的に御専門の先生方を委嘱いたしまして、全体で委員は約三十名ぐらいでございます。その下に大学の先生方あるいは最高裁判所の課長等あるいは私どもの課長、参事官、幹事でおりまして、これは約二十名ぐらいおろうかと思います。そういう構成で審議を進めてまいったわけでございます。
  22. 寺田熊雄

    ○寺田熊雄君 執行制度部会、強制執行法部会といいますか、執行制度部会といいますか、担当の部会ですね、その中にはいわゆる実業家といいますか、財界の人、これは何人入っておりますか。
  23. 香川保一

    ○政府委員(香川保一君) 強制執行法部会には経済界の方は入っておりませんが、御承知のとおり強制執行法部会におきまして小委員会案も含めて取りまとめた第一次試案、第二次試案二回公表いたしまして、それぞれの案について各界から広く御意見を承りまして、その御意見を参考にしてさらに審議を進めてきたという経緯でございますので、経済界その他関係の方面の御意見は十分審議の中に取り入れられておるものと、かように考えております。
  24. 寺田熊雄

    ○寺田熊雄君 それではできるだけ早い機会にこの法制審の強制執行法部会ですか、あるいは執行制度部会といいますか、その委員の顔ぶれ、それから職業についての一覧表を御提示いただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  25. 香川保一

    ○政府委員(香川保一君) ただいま取り寄せておりますので、間もなく持参いたすと思います。
  26. 寺田熊雄

    ○寺田熊雄君 本法が成立した場合、その施行に必要な細則は最高裁判所規則をもって定められるというようになっておるようですが、それは間違いございませんね。
  27. 香川保一

    ○政府委員(香川保一君) そのとおりでございます。
  28. 寺田熊雄

    ○寺田熊雄君 その民事執行規則案要綱案というものが、これは昭和五十三年五月八日付の最高裁民事局長の方からこれはやっぱり法務省を経由していただきたいのだと思いますが、私どもの手元に参っております。第一が総則、これは「申立ての方式等(法二条)」、二番目が「通知、催告又は公告の方法」、三番目が「執行抗告の理由の記載(法一〇条)」、四「弁護士以外の代理人の許可(法一三条)」、五として「担保の提供の方法等(法一五条)」、六が「調書の作成及び記載事項」、七が「執行当事者等又は補助機関に対する通知」、以上が「第一総則」ですね。  それから「第二強制執行」として、「一不動産に対する強制執行」、それから「(一)強制競売」、それから「1差押不動産の価値保全のための措置(法五五条、五六条」、「2現況調査の充実(法五七条、一九六条、一九七条)」、「3物件明細書の作成のための審尋(法五条、六二条、一九六条、一九七条)」、それから「4物件明細書の記載事項の補充等(法六二条)」、「5売却の手続(法六四条)」、「6売却の方法(法六四条)」、「7買受けの申出の保証(法六六条)」、「8配当等の実施(法八四条)」。それから「(二)強制管理」、「1強制管理手続における通知及び届出(法九四条、九九条)」、「2建物使用の許可等(法九七条、九八条)」それから「二船舶に対する強制執行」、「1船舶国籍証書等の取上げ(法一一四条)」、それから「三動産に対する強制執行」、「1手形等の差押え(法一二二条、一三六条、一三八条)」、「2事件併合の方法(法一二五条)」、「3売却の手続(法一三四条)」、「4売却の方法(法一三四条)」、「5売却基準価額(法一三四条)」、「6配当等の実施(法一三九条)」、それから「四債権及びその他の財産権に対する強制執行」、「1第三債務者が陳述すべき事項(法一四七条)」、「2第三債務者の支払届等(法一五五条、一五六条)」、それから「3供託判決の執行(法一五七条)」、「4債権の評価(法一六一条)」、「5その他の財産権に関する特則(法一六七条)」。  それから第三として「仮差押え及び仮処分の執行並びに担保権の実行としての競売等」、「1準用規定の整備」。  それから「第四その他の諸規定」。  「第五改廃を要する主な規則」、「1執行規則」、それから「2電話加入権強制執行規則」、「3自動車及び建設機械強制執行規則、自動車及び建設機械競売規則、航空機強制執行規則並びに航空機競売規則」、大体こういう見出しがつきまして、私どもの方にプリントが来ておりますが、これは間違いないでしょうか。
  29. 香川保一

    ○政府委員(香川保一君) 間違いございません。これは法案作成の過程におきまして法律で規定する事項と、最高裁規則で規定していただく事項の振り分けをいたしまして、大体いまお読みいただきましたような事項を最高裁規則でつくると、こういう予定にいたしております。
  30. 寺田熊雄

    ○寺田熊雄君 これが、最高裁判所がこれらの項目の規定を整備するのに要する日時はどのぐらいと予定しておりますか。
  31. 香川保一

    ○政府委員(香川保一君) 最高裁判所から承っているところによりますと、この法案が成立いたしました場合に一応最高裁の事務総局の方で規則案のたたき台と申しますか、そういうものを作成して、それを各裁判所等にも提示いたしまして、もちろん弁護士会等にも諮ると思いますが、いろいろ意見を聞いた上でそういう意見をそれぞれ整理いたしまして、その上で最高裁判所に設けられる規則制定委員会にかけて、そこで御審議を願うと、そういう大まかな段取りのようでございまして、約一年半は少なくともかかるであろうと、こういうお見込みのようでございます。
  32. 寺田熊雄

    ○寺田熊雄君 この法律が成立した場合、何日をもってこれを施行されるという御予定でしょうか。
  33. 香川保一

    ○政府委員(香川保一君) この法律の附則に規定を設けておりますように、昭和五十五年の十月一日から施行するということに予定いたしております。
  34. 寺田熊雄

    ○寺田熊雄君 この本法ですね、強制執行法案を成案を得るまで、それから成案を得た後日弁連との協議はどうなっておりましょうか。
  35. 香川保一

    ○政府委員(香川保一君) もちろん先ほど申しました強制執行法部会小委員会、法制審議会の総会にも日弁連から数名の、三名の弁護士さん関与していただいておりますし、幹事の中にも数名入っていただきまして、さらにそこでいろいろ、いわば弁護士会からの御意見も承って審議を進めるほかに、先ほど申しました第一次試案、第二次試案も各弁護士会に御提示いたしまして意見を承るというふうなことをやっておりますので、いろいろ過程におきまして御議論がございましたが、ただいま御提案申し上げておる民事執行法案については、弁護士連合会はこれで結構だというふうに公式に回答をちょうだいしております。
  36. 寺田熊雄

    ○寺田熊雄君 日弁連との正式協議というのは、それいつ行われたのでしょうか。
  37. 香川保一

    ○政府委員(香川保一君) 結局その法制審議会の執行法部会に参加していただいておる委員、幹事の方が、何と申しますかパイプ役といってはあれでございますが、いろいろ問題ごとに審議が進められる過程におきまして、それぞれさような委員、幹事から日弁連の方の調査委員会等に諮られまして、そして次の機会に意見述べるというふうな、さような形で日弁連の意見が審議の中に表明されておると。正式にと申しますか、第一次試案、第二次試案につきましてそれぞれ日弁連の名前でその意見が、いままで議論されたものを集約したようなものでございますけれども、正式の書面としての意見書が出されまして、そしてそれもいろいろ議論の対象にして審議を進めまして、最後にこれは、まあ非常に形式的なことでございますけれども、日弁連に法制審議会の場を離れた、今度は法務省の案というものを、法律案そのものをお示しいたしまして、それについて意見を求めましたが、全面的に賛成であるという回答をちょうだいいたしております。
  38. 寺田熊雄

    ○寺田熊雄君 それは書面によったものですか、口頭ですか。
  39. 香川保一

    ○政府委員(香川保一君) 先ほど申しましたような経過で、十分もう実質的には協議が成立いたしておりますので、日弁連からは口頭で回答をいただいております。
  40. 寺田熊雄

    ○寺田熊雄君 それは、くどいようですが、いつどなたがどなたになさったものですか。
  41. 香川保一

    ○政府委員(香川保一君) 法務省原案を作成しまして内閣法制局の第一次的な審査を経た結果を私どもの担当の浦野参事官が日弁連に提示して御説明して、そしてその席でこれで結構ですというふうな御返事をいただいている、かような経緯でございます。
  42. 寺田熊雄

    ○寺田熊雄君 ちょっと私も正確なお答えを得たいので、いつ、だれからそういう意見が述べられたのでしょうか。
  43. 香川保一

    ○政府委員(香川保一君) これは慣例と申しますか、もともと日弁連の場合には、反対の御意見あるいは一部修正すべきだというふうな御意見のときには文書で参るわけでございますけれども、賛成の場合には賛成だということのそういう書面は出していらっしゃらない。さような慣例になっておるわけでありまして、正式に御返事いただいたのは、たしかことしの二月初めごろじゃなかったかというふうに記憶いたしております。
  44. 寺田熊雄

    ○寺田熊雄君 ですから、だれが。
  45. 香川保一

    ○政府委員(香川保一君) 使いということかもしれませんが、当時の事務次長の馬場弁護士から私どもの浦野参事官に返事をいただいたわけでございます。
  46. 寺田熊雄

    ○寺田熊雄君 大臣、お聞きのとおりなんですが、大臣御自身もお認めになりましたし、いま民事局長のお答えによっても明らかなんですが、この法律は国民生活に非常な関係を持っておりますし、国会の審議もきわめて慎重を要するということ、これは大臣もお認めになりましたし、この法案の内容が高度の技術性を持っており、きわめて難解であること、関連の法規も破産法、和議法、会社更生法など多岐にわたること、これは大臣もお認めになったところであります。そして、この法案の立案に至るまで法務当局が要した日数は十年に及ぶことも、いま民事局長のお答えで明らかになりました。この法律の実施に伴って細目を規定する最高裁判所規則の整備にも一年六月を要することなども明らかになりました。したがって、私たち立法機関とせられる国会の審議も、とうてい一日、二日の短期間にはこれが困難であるということは大臣もお認めになると思いますが、いかがでしょうか。
  47. 瀬戸山三男

    ○国務大臣(瀬戸山三男君) この法律案に限らず、一つの法律案をつくり、あるいは制度を立てます場合には、それまで至る間には周到な慎重な専門家の検討をして、各方面の意見も調整をして、そして国会の御審議を願うのが常例でございます。そういう面に長くかかったから国会も同じようにということになると、なかなか物は決まらないのじゃないかと私は思います。実は、先ほど日弁連の話がありましたが、これはこの問題で見えたのじゃありませんが、昨日、ほかのことで私のところへ日弁連会長や、あるいは副会長の方がおられましたが、相談に見えましたときに、たまたまこの民事執行法案の話が出まして、実は日弁連として何も問題ないと思ったのだが、このごろ一部から異論が出ておってとまどっておるのだというような話もあったぐらいでございまして、日弁連の関係は従来から、いま民事局長からお答えしたとおりだと思います。いかに扱うかということは、もとより国会の委員会等で決められることでありますから、私からとやかく申し上げることを差し控えますが、先ほども申し上げましたように、きわめて技術的な法律案でありますので、やっぱり専門家を信頼する以外には私どもとしてはないのじゃないか。これをみずからの法律知識でやっておったら、これは五年、十年では私どももなかなかそう簡単には理解しかねるところがある、こういう性質のものじゃないかと考えております。
  48. 寺田熊雄

    ○寺田熊雄君 そうしますと、大臣は、われわれ国会議員は専門家でないのだから専門家を信頼して任せればいいじゃないか、こういう御趣旨にいまおっしゃったのでしょうか。
  49. 瀬戸山三男

    ○国務大臣(瀬戸山三男君) いや、そういう意味じゃありませんが、こういう法案というものはそういう性質のものであろうということでございまして、これをどう国会で審議されるかは、最初に申し上げましたように、国会の御決定でやってもらうよりほかにない、こういうことでございます。
  50. 寺田熊雄

    ○寺田熊雄君 これは私たち立法機関に携わるものとしまして、これだけ重要な法案を、内容を審議する期間を奪ってめくら判を押せと言われても、これは良心に抵触して、とうていできることではないのですね。大臣の御発言が――私はそれをつかまえて大臣を攻撃するというような気持ちはありませんよ。しかし、いまの大臣のお言葉は突き詰めて申しますと、結局私が申し上げたように、あなた方は専門家でないのだと。高度の技術性を持った法案だから専門家にお任せなさい、そう長く審議することはないじゃありませんかというに帰するのです。それはわれわれにわれわれの職責を放棄せよというのと一緒なんですよ。見方を変えれば、われわれを非常に侮辱したような意味ともとれないことはないのです。私どもも非常に不敏な者ではありますけれども、人並みに法律学も修めましたし、実務にも携わったわけです。ある程度強制執行法の内容とか強制執行の実態というのは知っております。それでもなおかつ問題点の整理には――私は法制審の審議が十年かかったから十年を必要とするというようなことは申しておりませんよ。それから最高裁の規則制定に一年半かかるからわれわれも一年半を要するなどということは少しも言っておりません。しかし、これを短期間に理解して審議しろとか、あるいは質問をしろとか、審議してしまえとかいうようなことができ得べきものかどうかということは、これは専門家の法務大臣にはよくおわかりいただけると思うのです。これの質問の準備であるとか、あるいは審議にある程度の日数が必要だということ、これは法務大臣といえどもお認めにならざるを得ないのじゃないかと思いますが、いかがでしょう。
  51. 瀬戸山三男

    ○国務大臣(瀬戸山三男君) 繰り返して申すようでございますが、私はこれをどうしなさいこうしなさいということを申し上げておるわけじゃありません。先ほど民事局長から申し上げましたように、国会には四月上旬に提案いたしておるわけでございまして、その扱いを国会にお願いしておる、こういう状況でございますから、この法律案が、できれば早く実行に移せるようにしてもらうことがこういう関係の処理に適切である、かような期待を持っておることは事実でございますが、さればといって、いつまでどうしなさいなんということをこちらで申し上げているわけじゃございません。
  52. 寺田熊雄

    ○寺田熊雄君 四月上旬と大臣はおっしゃったけれども、私の記憶に誤りがなければ、四月の下旬ではなかったかと思います。四月下旬に衆議院の方にお出しになりました。これは私の方にお出しになったわけではないので、同じ国会だといってもそれはやはり若干状況が違います。しかも、その間われわれはじんぜんと手をつかねていたのではございません。法務省から御提案になりましたさまざまな法案、刑事補償法の改正案もそうですし、それから航空機関係の犯罪の取り締まりに関する法案もそうですし、あるいは仮登記担保法の法案もそうですし、法務省からお出しになりました法案を何件かこの委員会で鋭意審議をして、そしてこれを可決しておるわけですね。それから、各委員は法務委員会だけではございません。それぞれ所管の委員会をまた別に持っております。そういうときでありますので、四月の二十一日に提案したので十分準備期間があるじゃないかというのは、私どもそれまで何も手をつかねてこの法案を待っておったということを前提には考え得るかもしれませんが、そうじやないのです、前提は。ですからこの点をよくお考えをいただきたいと思います。まだまだこの法案の立法――法案の内容ではございません、そういう立法に関連したさまざまな問題についてお尋ねをしたいと思うのですが、時間の関係もありますので、あと二、三点にとどめて司法書士法の方に移りたいと思います。  先ほど民事局長が、法制審の中には財界や企業関係の人は委員としては入っていないけれども、経済界の意見は十分に求めて参考にしたということをおっしゃいましたね。それは私は妥当な御処置であったと思います。しかし同時に、やはり私どもは労働界、労働組合の代表等の意見も求めてほしかったと考えるのですけれども、それはなさいましたか。
  53. 香川保一

    政府委員(香川保一君) 労働団体それ自体に名指しで御意見をちょうだいするようにお願いしたことはございませんけれども、関係方面と申しましてもいろいろあるわけでございまして、主なところには書面でいついつまでに意見をちょうだいしたいというような形でもお願いするわけでございますが、そのほかは法律雑誌等に皆公表掲載していただきまして、そういうことから私ども直接名指しで御意見をお求めした以外のところからもいろいろ意見が寄せられておりましたし、またこれはこの席で申し上げるのはいかがかと思いますけれども、日弁連の方にはしょっちゅう協議をしておりましたから、日弁連の方は、私ども承っているところによりますと、そういった総評弁護団等の方々の意見も徴して日弁連としての意見をお決めになったように聞いております。
  54. 寺田熊雄

    ○寺田熊雄君 結局、私もこの法案を一べつはいたしました。深くまだ検討する時間がありませんので本当に一べつをした程度でありますけれども、結局いまの現在の資本主義体制の中で、その法制の中にありまして、民法上といいますか、民事関係の権利の中核を占めておりますのは、言うまでもなく所有権であり、それから債権であり、債権を担保するための抵当権でありますが、結局所有権、債権、抵当権、これらを守って、これらの権利をして実効あらしめるためにはどうしたらよいかということに中心点があることは間違いない事実だと考えますが、いかがでしょう。
  55. 香川保一

    ○政府委員(香川保一君) 御答弁、御質問にちょっと直接お答えしたことになるかどうかあれでございますが、私ども法制審議会の審議もそうでございますし、法案の作成の段階でも、いまおっしゃいましたような強制執行あるいは担保権の実行手続におきましては、債権者、債務者あるいは所有権者等々利害関係人が多数出てくるわけでございます。債権者の債権回収の手段としての強制執行でございますから、その債権回収が適正迅速に行われるということはもちろん考えなきゃなりませんし、他方また執行される方の債務者のやはり利益というものも十分配慮しなきゃならないと。あるいはまた、債権者と申しましても抵当権つきの債権あるいは少額の、たとえば売り掛け代金の少額のものとか、あるいは賃金債権とか、いろいろ社会政策的にと申しますか、債権者と申しましてもやはりいろいろの形態のものがあるわけでございまして、それのやはり債権に応じまして、どの程度のやはり保護を与えればいいかというふうなこと、この辺のところの調整と申しますか、さようなところに、口幅ったい言い方でございますけれども、一番苦心したところでございまして、私どもとしては現行よりもさような点についてはきめ細かい配慮がされておるというふうに自負しているわけでございます。
  56. 寺田熊雄

    ○寺田熊雄君 べっ見した程度にすぎませんが、債務者には動産や債権差し押さえ禁止の範囲を若干広げておられましたりしておられるので、ある程度の情けはかけていらっしゃるけれども、また一面いま局長のおっしゃったように、不服申し立ての機会あるいはこれを法的に争っていく手続など、この機会はむしろ現行法より少なくなっております。重点はやはり債権者の保護にあるということは、これは否定し得ないのじゃないのでしょうか。いかがですか。
  57. 香川保一

    ○政府委員(香川保一君) 確かに現行法はもうすべての執行処分、執行行為について不服申し立てができるわけでございまして、そのために引き延ばしと申しますか、競売の遅延を図るためにそういった不服申し立て権というものが乱用されておる事実も、寺田委員十分御承知だろうと思うのであります。さればと言って、ただ競売手続を急ぐ余りその不服申し立てを一切認めないというふうなことは、これは当然許されることじゃございませんでして、やはりその節々と申しますか、競売手続の進行の過程におきまして、この段階ではやはり十分な不服申し立て等、裁判所の慎重な判断が要るというふうな、さようなけじめと申しますか、節々について債務者等の利害関係人からの不服申し立てを十分言えるようにするというふうなことで、結局競売手続の迅速化ということも長年要請されておることでございますし、さればといって急ぐ余り不服申し立ての機会を失する、失わせるというふうなことは妥当でない。その辺の調整と申しますか、やはり現在の競売の実態も考え、あるいは理論的な面の検討も不服申し立ては私どもとしては十分これで足りる、さようなつもりでこの法案ができておるわけでございまして、決して債権者の方にウエートを置き過ぎて債務者等の不服申し立てを不当に制限しているというふうなことは全くないというふうに考えております。
  58. 寺田熊雄

    ○寺田熊雄君 それは民事局長の御答弁だけれども、それが実際は違うのですね。われわれは、ですからそういう点を時間をかけて堀り下げていく必要というものを認めておるわけです。しかし、いまはまだ質問の出だしで問題点の単純なる指摘にすぎませんから、それ以上の論争は避けまして次に移りたいと思います。  私どもの見方では、いま私が申し上げたような見解にならざるを得ないのですが、とりわけ企業の中で働き、会社財産に対する強制執行のそばづえを食う労働者の保護、こういうようなものは審議過程で全く考慮しておられないようですが、いかがでしょう。
  59. 香川保一

    ○政府委員(香川保一君) 現在の強制執行におきましては大きな問題としては顕現化していないと思いますけれども、やはり先ほど御指摘のような関連の会社更生法とか、あるいは商法の会社整理とか、破産とか、和議とかというふうな手続におきまして一番端的にその労働組合等、それからそういった手続の円滑な進行、適正な実施ということがやはり大きな問題に現実にはなっておるということは百も承知いたしておるわけでございまして、そういった関係を両方の手続が適正、迅速に行われるということを担保する必要はもちろんあるわけでございますけれども、他方そういった労働者の権利擁護と申しますか、やはり企業それ自体を考えましてもそういった手続によってつぶしてしまうことが目的ではないわけでございまして、この点は労働組合も十分理解されておるわけでありまして、そういった関係をできるだけうまく調整して、まあ両方が立つと申しますか、やはり企業を維持しながら労働者の権利擁護も図るというふうなことは、私ども民事執行法案、これは関係する部門が実を申しますと、あるいは認識不足かもしれないのでありますけれども、さほどたくさんな面で出てくることではございませんけれども、そういうことも十分考えながら議論をしたわけでございまして、そういう点も私どもはむしろ端的に一つの例を申し上げますと、労働者の賃金債権の保護をどういう形で図るかというふうなことが実に一つの大きな問題でございまして、まあ一般の先取り特権の中で賃金債権の保護ということは相当苦心したつもりでございますけれども、いろいろこれはまあ御意見も見方もあることだと思いますが、その辺のところも十分審議を通じて御意見と申しますか、審議を尽くしていただければありがたいというふうに考えております。
  60. 寺田熊雄

    ○寺田熊雄君 いま民事局長がおっしゃったように、賃金債権は債務名義得なくても強制執行に参加できるという面である程度の配慮をしておることは、これは事実のようですね。ただ、労働組合の方もこの法案を見て実は大変びっくりし、大変なことだといういま意識を深めておるわけです。局長がおっしゃったように労働組合が満足しておるとかいうようなことは全くありません。むしろ反対なんですね。そういうことがありますから一層この法案の審議というものは慎重を要するわけです。またそういう人々の意見も十分この委員会に参考意見として取り入れていかなければならないと私は考えておるわけです。むしろこの法案によりますと、企業の倒産あるいは会社財産に対する強制執行がなされるような場合にその企業の中で生きていた労働者諸君というものは、これは一も二もなく放逐されてしまう、そういうことが現実に起こり得るのであります。私は民事局長以外にもたくさんこの法案にタッチした人の意見も聞いておるのですけれども、おっしゃるような労働組合の立場であるというようなことは全く考えもいたしませんでしたという正直な御報告も実は受けておるわけですね。それから新聞に投稿される、最近各大新聞にいろいろな方の意見が投稿をされておりますけれども、それらの人々の意見を見ましても、そういう労働組合の保護というものは別個の法律に待つべきであるという意見さえもあるわけで、この法案が労働組合の権利というものを全く意識していなかったということはほぼ疑いがないと思います。  私は、この法案を一べつして、ノーベル文学賞を受けましたアメリカのスタインベックの「怒りの葡萄」という本がありますね。あの本の中で、金融資本が個々の農場主から担保にとりました畑を、その金が返せられなかった場合にブルドーザーで容赦なく踏みならしてしまうのですね。そこで耕作をしておりました農民を遠慮なく追い立ててしまう。そして農民は流転の生活を送り、大変な艱難辛苦をなめるという事実の描写がありますけれども、それを思い浮かべたのですね。  この法律というのは立法事務に携わった人々の精神は非常に善良なものであり、そういう階級的な役割りというようなものは全く意識しておられなかったということは、これはもう間違いないと思います。皆学者の方々でも、それから主管の局長でも非常に善意で何とかしていい法律をつくりたいという、そういうお気持ちでこれに携わられたことはこれはもう疑いない。しかし、現実の社会に及ぼすこの法の機能とか効果、個人の企業者、日本の場合は個人の企業者や中小企業をけ散らかして大企業の独占過程に奉仕する、そういう階級的な役割りというものを非常に担うものであるという一面は、これは否定すべくもないのですね。ですから、われわれは労働者であるとか、あるいは中小企業であるとか、個人の企業者であるとか、そういうものが大企業や大商社やあるいは銀行や、そういう人々から生活を脅かされた場合にどうしたらいいのかということを、この法案の審議で十分考える必要があるのですよ。その点は局長お認めになりませんか。また大臣はいかがお考えですか。
  61. 香川保一

    ○政府委員(香川保一君) まあ、もともと金銭債権等の取り立てでございますので、それが任意に弁済されないときに発動される、そういった制度でございますので、一面強制執行――強制ということがつきまとうのはこれはやむを得ないことだと思うのであります。ただ債権者と申しましても、先ほども申し上げましたように大銀行等でありますればよほどのことがない限りは、そう早急に取り立てなくても銀行がつぶれるというふうなことはございませんでしょうけれども、やはりあしたの手形を落とすためにきょう金が要るというそういう小企業もたくさんあるわけでございまして、債権者といえども債務者がまあ弁済できるのにしてくれない場合、あるいは本当に金がないというふうなときでもそのためにその債権者が逆につぶされるということも非常に多いわけでございます。だから、さようないろいろの実態があるわけでございまして、その辺のところをあれこれ考えながら調整するということが私は非常に大事なことだと思うのでありまして、そのときに配慮する際のおっしゃる債務者の窮迫という問題もあるわけでございまして、生活問題もあるわけでございまして、これと債権者側の今度は債権が取り立てられないことによる生活の窮迫という問題もやはり同じレベル、ウエートであるわけでございまして、その辺の調整がこの強制執行に常につきまとうむずかしい問題だろうというふうに私は考えておるわけでございます。
  62. 寺田熊雄

    ○寺田熊雄君 大臣いかがでしょうか。
  63. 瀬戸山三男

    ○国務大臣(瀬戸山三男君) いま民事局長がお答えしたようなことだと思いますが、申し上げるまでもなく権利義務の関係が、債権債務等の関係がいわゆる実体法で決められておるわけでございまして、それが怠った場合にどういう措置をとるかというその権利義務の関係を実現する、こういう性質の法律でございますから、もちろんその中でも社会生活上の調整ということは考えられなけりゃならないし、また考えておるわけでございますけれども、それ以外の問題が生ずる場合にこの法案だけで処理するということは、これは法案の性質上必ずしも適切でない。でありますから、そういう問題については他の政策あるいは立法が必要な場合もあるかもしれませんが、この民事執行法の性質上はもちろん配慮はしておりますけれども、そのほかにもいろいろ国民間の生活といいますか、調整が必要な場合にはまた別途の方法を考えなきゃならない、そういう性質のこれは立法じゃないかと、かように考えております。
  64. 寺田熊雄

    ○寺田熊雄君 きょうは民事執行法の問題は本案に入るだけの時間的余裕はございませんので、ほんの立法過程や法の精神について一べつしただけでありますので、自余の質問、法案の内部に入った検討、これは次回以後に譲りたいと思います。  そこで、次に司法書士法の問題について質問をいたしたいと思います。現行法上司法書士は、法務局長または地方法務局長の選考によってする認可を受けなければ司法書士になれないことになっております。これは現行法の四条であります。その選考というのは従来どうであったのか。試験を意味したのか、あるいは普通の意味の学科試験を前提にしたものか、あるいは何らか他の方法によっていたのか、そういうふうなことをちょっと御説明いただきたいと思います。
  65. 香川保一

    ○政府委員(香川保一君) ただいま御指摘の認可制度、認可によって司法書士の資格を与える、かような制度は戦前からあったわけでございまして、当時は地方裁判所長が認可しておったわけでございます。その当時は選考というふうなことはどこにも出てなかったわけでありまして、戦後司法書士の品位の向上、あるいは能力の増進、業務の改善というふうないろいろの要請からやはり実質、試験をして知識もやはりためさなきゃいけないというふうなことから、選考して認可するというふうな改正が司法書士法の施行規則でなされたと記憶いたしております。したがって、この場合の選考というのはそういう意図で入ったことでございますので、実施といたしまして筆記試験もやり、口述試験もやるということでやってまいりました。ただ、地方法務局長のばらばらの試験ではやはり不均衡な面もございますので、そこで筆記試験につきましては全国の統一の筆記試験をやるということで、具体的に申し上げますれば本省におきまして問題を作成してその問題によって各地方局長が選考試験をやる、こういうふうに運用してまいったわけでございます。
  66. 寺田熊雄

    ○寺田熊雄君 その場合、五年以上裁判所事務官、法務事務官、裁判所書記官、検察事務官などをいたした者はそれ以外の者と選考方法を異にしたのでしょうか、その点いかがでしょう。
  67. 香川保一

    ○政府委員(香川保一君) この選考試験、先ほど申し上げました全国統一的に筆記試験をやるというときにばらばらに一般的に認可申請が来ました都度やるというふうなことは技術的にはとてもできませんので、毎年一回大体時期を決めまして一般的には先ほど申しました統一試験をやっておるわけであります。ところが、裁判所書記官あるいは事務官、法務事務官等につきましてはやはり退職の問題があるわけでございまして、退職して司法書士になりたいというふうな要望があるわけでございまして、したがって、これは大体役人のやめる時期というのは四月かあるいは十二月というふうなそれぞれの組織によって若干違いますけれども、まとまっておやめになるわけでございます。したがって、そういう時期に先ほど申しましたような選考試験をある程度まとめてやるというふうな運用をしておるわけであります。もちろんそういう方がやめる時期が一般の試験実施のときにあれいたしますれば、その試験を受けてもらうということができるわけでございますけれども、やはり年に一回しか統一試験を行いませんので、それまでやめてから数ヵ月待たすということもいかがかということでそういった先ほど申しましたような随時人がある程度まとまればそこで適宜の試験をするというやり方をしてまいったわけでございます。
  68. 寺田熊雄

    ○寺田熊雄君 そうしますと、いまのまあいわゆる特認というような言葉を使っておるようですが、法務事務官、それから裁判所書記官をした人々、その方の扱いというものが一般の司法書士ではございませんが、司法書士会の中の若干の諸君の非常に不服があるようなものだったのですけれども、この改正法ではその点はどういうふうに扱おうとするのか、法案は私どもよく読んでおりますけれども、民事局長がこの法案を審議するに当たって片や司法書士会の面の要望というものも取り入れなければいかぬ、それから登記事務に携わっているかわいい局長の部下の方々、組合の方々の意見も取り入れなければいかぬ、大変御苦心が要ったと思うのですよ。どういうふうにするのが最善だと考えられたのでしょうか、いかがですか。
  69. 香川保一

    ○政府委員(香川保一君) この国家試験制を導入しました趣旨は、御承知のとおりやはり司法書士の資質をもっと高めなければならない、非常に国民生活に密着した重要な仕事をしておるわけでございますので、国民に御迷惑のかかることのないようにしなきゃならぬと、そういうことのあらわれの一つとして国家試験制の導入ということがあるわけでございます。  したがいまして、ただいま仰せのその裁判所書記官、法務事務官等のいわゆる特認の制度をどうするかという問題、この国家試験制の導入で、それがどういうふうな調整と申しますか、考え方を持たなきゃならぬかという点が一つ大きな問題であったわけでございますが、やはり国家試験制を導入する以上は、その趣旨に沿うものとして特認制を残すにしても、現行法のように裁判所書記官あるいは法務事務官五年ということではいかがなものだろうかというふうに考えまして、形の上では五年を倍にして十年以上ということにしてその調整を考えたわけでございます。  さらに、まあ率直にこれは申し上げまして、私どもの努力が足りないというか、力がないということだと思いますけれども、裁判所の――あるいは私から申し上げるのはあれでございますけれども、実際長年法務局におきまして忙しい仕事をしてきた職員の――大体六十前、五十五、六から六十前ぐらいで退職していただくわけでございますが、その人たちの退職後の職場というものを私ども十分準備する力もない、努力が足りないと思っておりますけれども、まあ唯一司法書士というふうなものがその退職後の職場としてあるわけでございます。したがって、やはり長年法務局であるいは裁判所であるいは検察庁で苦労された職員が司法書士としての能力、知識を備えているならば、やはりそれ自体特認とも申しますか、さような一般の国家試験を受ければいいじゃないかというふうなことではなしに、やはりそこに一種のやめた後の希望といいますか、そういうことがやはり在職中の士気にも影響することでございますし、さようなことをいろいろ考えまして、御提案申し上げているような国家試験と、それから一定のそういった裁判所書記官、法務事務官で十年以上たった方について、法務大臣がこの人なら司法書士としての能力、知識を持っておるというふうに認定された者についてやはり国家試験と同様の資格を与えるという制度を取り入れておるわけでございます。  御参考までに申し上げますと、十年ということにしておりましても、これは一部誤解があるようでございますけれども、十年たったら当然なれるのだというふうなものではもちろんないわけでございまして、しかも、実際十年というのは最低の法律上要求されておる資格でございまして、実際の運用は大体二十年前後経験された方についてこの法務大臣の認定試験をするというふうなことを考えておるわけでございまして、決して身内について不公平なと申しますか、有利な扱いをするというふうな考えは毛頭ないことだけはひとつ御了解賜りたいと、こういうふうに思います。
  70. 寺田熊雄

    ○寺田熊雄君 確かに司法書士試験という名称の国家試験を法務大臣が行うというふうに改められたことは、これはよかったと思います。が、ただもう一つ、いまの局長が後でお触れになりました裁判所事務官、書記官、法務事務官、検察事務官などの職務に従事した者が「司法書士の業務を行うのに必要な知識及び能力を有すると認めたもの」という条文になっておりますが、そういうふうに認めるに当たりましては何らかのやはり判定の基準というようなものが必要だろうと思うのですが、これは何かあるのでしょうか。
  71. 香川保一

    ○政府委員(香川保一君) これは法務事務官と申しましても、極端な例を申しますと、庶務、会計的な仕事ばかりしてきたという人もないとは言えないわけでございまして、あるいは登記だけやってきたというふうな職員もおるわけであります。まあ司法書士の業務は登記、供託あるいは裁判所、検察庁に書類を提出するようなそういう仕事でございまして、範囲が広いわけでございます。したがって、そういう職歴も考えながらやはり適宜の試験をいたしまして、そしてそれによって、具体的に申しますと、まあ何点以上とらなきゃだめだというふうな基準で、大臣の選考といいますか、認定ということをやってまいりたいと、かように考えておるわけでございます。
  72. 寺田熊雄

    ○寺田熊雄君 なるほどそれは試験とおっしゃるのは法務大臣がもちろんやるのでしょうが、たとえば年に一回とかあるいは随時行うとか、あるいはどういう学科について行うとか、いや学科でなくては口頭試問だとか、いろいろあると思うのですが、いまの大体局長の、お決めになったのか、あるいは頭で考えていらっしゃるのか、どちらでもよろしいから、その大綱をちょっといま御説明いただきたいと思いますが。
  73. 香川保一

    ○政府委員(香川保一君) 現行の特認制度のもとでもある問題であることは先ほど申し上げましたが、やはり年に一回だけではちょっと足りないだろうと思うのであります。やはり年に少なくとも二回ぐらいは一まとめにして先ほど申しましたような試験等を行う、この試験は法務大臣が行う試験でございますけれども、実際は法務大臣から一応法務局長に委任してやらせるというふうなことを考えておるわけでございます。ただ、現在も同じでございますが、ばらばらにやったのでは不公平になりますので、したがって、本省で問題をつくって、それで、各実施は地方法務局でやってもらうというふうなことを考えておるわけでございまして、この場合の試験委員というものをどうするかという問題があるわけでございまして、これはまだ具体的には考えておりませんが、一般的な国家試験の試験委員というのがあるわけでございますから、その方々にはお気の毒ではありますけれども、全員というわけにはまいらぬと思いますけれども、毎年一回行う正規のというか、一般的な国家試験の試験委員の方から何人かお願いしてやってもらうというふうなことも考えておるわけでございます。
  74. 寺田熊雄

    ○寺田熊雄君 余り一つの問題で深くいきますと時間がこれなくなってしまうので……。  司法書士の人数ですが、これは四十三年から五十二年までの十年間に、局長の方からいただいた資料によりますと、一万二千百三十人から一万四千五百十二人にふえております。ふえた人数は二千三百八十二人ですから、増加率を計算してみると一九%、これは資料の二ページにあるわけですね。ところが取扱事件数というものを見てみますと、これは大変ふえておるわけですね。四十三年と五十二年のいまの十カ年を見てみますと、事件数で五千四百三十八件ふえておる、三四%の増加、乙号登記事務に至っては十三万四千六百三十六件の増加、先に申し上げたのはあれは甲号事件についてお話しした。乙号事件の方は十三万四千六百三十六件の増加でこれは八八%の増加です。いまの十カ年の職員増をとると一万四百四十七人が一万一千七百四十人にふえて千二百九十三人の増加ですから、わずか一二%。なるほどこの件数の増加に比べて職員の増加というものが大変違いますね。職員の増加も非常に少ない。それから、さっき申し上げた司法書士の増加は、職員の増加の一二%と比べますと、一九%ですから、やや増加率は高いということが言える。いま職員の増加と司法書士の増加とは同じ水準で比べることはちょっと無理かもしれませんが、どちらも事件数の増加と比べると、はるかに低いわけですが、もっと司法書士をふやす必要はないのでしょうかね。これはどう考えられますか。これは局長もよく御存じでしょうが、われわれ裁判官それから弁護士、主として弁護士についてよく言われますね、法曹人口の増加の問題というのが。これは、最高裁が最初、司法試験の合格率を、昔は、戦前などは大体三百人ぐらいだったものですがね、毎年。最高裁判所はそういう法曹人口の全体をとらえてみて、最近は五百名以上にふやしていますね。そういう配慮を考えますと、司法書士の問題も、司法書士人口と言うとおかしいけれども、何か配慮を要するようにも思えますが、どうでしょうかね。
  75. 香川保一

    ○政府委員(香川保一君) 結論的に申しますと、国家試験を導入いたしました場合に、これは御案内のとおり資格試験でございますので、司法書士の業務量との調整を図るというふうなことが入る余地がない問題なんでございます。やはり国家試験を導入いたしました場合に、いま仰せのように、司法書士をふやすか、あるいはある程度限定するか、その辺がやはり業務量との関係で非常に問題があると思うのであります。その辺のところが、実際現在、結論的に申しますと、寺田委員は少しふやした方がいいのじゃないかということでございますけれども、登記事件の増加分というのは、これは主として公共嘱託登記事件が大幅にふえてまいりましたので、これは現在は司法書士の手を経ていないわけでございます。官公署にそれぞれそういった関係の従事職員がおられまして、その人たちがそういう仕事を直接やっておるわけでございまして、この問題は、そういったことを司法書士の業務の中にだんだん取り入れていくという問題が一方にあることは間違いないということでございますけれども現在そういう状況のもとで、私は、司法書士の数というのは、特に大都市におきましてはもう飽和状態になっておる、したがって、これ以上ふえてくると、ますます過当競争と申しますか、そういった品位の保持に欠けるようないろいろの問題が出てくるのじゃないかということを実は心配いたしておるわけであります。  他方また、地方に参りますと、極端な場合には、過疎地帯におきましては司法書士が一人もいない、そこで地域住民は非常に御不便されるというふうな問題があるわけであります。  今日のような、地方法務局長の選考、認可ということでありますれば、その辺のところは弾力的に運営できることではございますけれども、国家試験制を導入した場合に、そういった点をどうするかということがこれからの一工夫要る非常に大事な問題だというふうに考えておるわけであります。したがいまして、まだ具体的にどうすればいいか、私も自信のある案はございませんけれども、やはり業務量の増加あるいは減少に応じて何らかの調整をしないと、かえって過当競争等々の非行の結果、国民に御迷惑をかけるようなことにもなりかねないということで、その辺のところはいろいろ工夫してみなきゃならぬというふうに考えておるわけでございます。
  76. 寺田熊雄

    ○寺田熊雄君 局長、非常に純粋理論的なお答えをなさったわけだけれども、弁護士なんかの法曹人口、まあ裁判官も含めて、検察官ももちろん含めて考えて、日本は法曹人口が西ドイツあるいはアメリカ合衆国などと比べて非常に少ないということで、戦後、あれは二十年代の終わりからだったですかね、あるいは三十年代に入ってからでしたか、司法試験の合格者の数を従来の三百人程度から五百人以上にふやしたのはそういう政策的な配慮があったわけで、一遍に成績がよくなったというのじゃないのですよね。だから、これは医者の制度でも同じことで、医者が少ないからといってやたらにふやすことはできないという、これは純理論ももちろんあるわけで、それも非常にもっともな意見だけれども、余り試験をむずかしくて、社会的需要に応じられないということでも困るので、その辺の調節がむずかしいと思うのですよ。局長はいまはむしろ――これは私は決してふやした方がいいという意見を局長に押しつけているわけじゃないので、足りないとすれば試験を多少やさしくしてもふやすべきではないだろうかということなんです。ところが、局長は、いやむしろいま過当競争の状況ですと言われるから、そういう実態ならまた話は別になりますね。しかし、それはやはり司法書士会とか司法書士会連合会とかあるいは消費者と言っちゃなんだけれども、一般の需要者、そういうものの意見を十分慎重に聞いて出した結論でなければいけませんわね。そういう調査は現実になさっておられるのですか。
  77. 香川保一

    ○政府委員(香川保一君) この問題が端的にあらわれてまいりますのは、司法書士の手数料を幾らにするかという問題の際に出てくる一つの大きな問題なんであります。御承知のとおり、現在各司法書士会におきまして司法書士の手数料を、所有権保存登記は幾らというふうなことを決めるわけでございますが、これが法務大臣の認可制になっておるわけであります。で、ある程度全国統一的に手数料を決めなければなりませんので、その際、地域ごとに一体司法書士がどれくらいの事件数を扱っておるか、その現在なら現在の手数料で一体どれくらいの収入があるか、あるいは必要経費がどれくらいかかるかというふうなことを相当詳細に調査しまして、そして手数料の改定をすべきときはするというふうなことを積み重ねてきておるわけであります。最近やはり同じように司法書士会からは手数料の引き上げと申しますか、その要請が参っておるのでありますけれども、私どもそれに対処するためには、先ほど申しましたいろいろのデータを集めまして、引き上げるべきかどうするかということを考えなきゃならぬ。その際のいろいろな調査の結果を見ますと、地域的には若干の差はございますけれども、相当、司法書士の平均的な報酬というのは、事件数が若干減っております関係から、落ちこぼれておるというふうに見ておるわけでございます。そうかと申しましても、これ結局手数料は、引き上げますと、その負担は国民がするわけでございますから、したがって、やはりこういう公共的な仕事であり、しかも司法書士法という法律によってほかの人ができない独占的ないわば企業でございますので、余り司法書士の方ばかり考えて手数料を上げるということもやはり問題があるわけでございます。そういうことからやはり手数料の額を基準にしまして、それを軸にして片や業務量、片や司法書士数というふうなことを常にてんびんにかけて考えなきゃならぬという問題であるわけでございます。そういったことからも相当きめの細かい調査はいたしておるわけでございます。
  78. 寺田熊雄

    ○寺田熊雄君 この改正法の第六条の二の第二項の第三号を見ますと、「司法書士の信用又は品位を害するおそれがあるときその他司法書士の職責に照らし司法書士としての適格性を欠くとき。」、こういう場合には第二項は登録を拒否しなければならないということになっておりますね。これは法務局長に登録拒否を義務づけているわけです。この第三号というのは具体的に言うと、これは一般的な規定としてはよくわかるのだけれども、多少その運用をする人のその人柄のいかんや政策によっては乱用の危険もありますね。これは何かしぼりが必要なようにも思うのだけれども、運用に当たってはどういうふうな配慮をするおつもりなんでしょうか。
  79. 香川保一

    ○政府委員(香川保一君) この六条の二の二項三号は、たとえば司法書士の国家試験に合格したと。この合否を決めるのは単なる筆記試験だけの結果でございまして、たとえばその人が現に刑事事件で刑事公判が係属中だとかいうふうなことは、これは国家試験の合否に影響は何らしないわけでございます。そういう人が試験に合格したときに登録申請が出てまいりますと、やはり現に刑事犯罪事件で刑事公判が係属中のものを司法書士に登録するということはいかがなものかというふうに考えられますので、そういったことを念頭に置いて設けた規定でございます。もちろん非常に抽象的でございますので、各法務局長、地方法務局長の運用いかんによっては不均衡になろう点もございますので、この法律が施行になりますれば一つの運用基準としての通達を出すことも考えておりますし、しかも内部的なそういうことだけではやはり公正が担保されない、公正らしさというものが担保されないわけでございますので、この法律案の六条の五の規定をごらんいただきますとわかりますように、司法書士会の意見も聞くというふうなことにいたしておるわけでございます。
  80. 寺田熊雄

    ○寺田熊雄君 次に、司法書士と並んで登記事務に携わる職種として土地家屋調査士というのがおりますね。この土地家屋調査士についての法律は土地家屋調査士法というのがあります。これは大体司法書士と同じような趣旨で制定されておるわけであります。本法の改正に当たってはこの土地家屋調査士法も大体同趣旨の改正をなすべきではないかというふうに考えるのですが、この点いかかでしょうか。
  81. 香川保一

    ○政府委員(香川保一君) 今回御審議いただいておりますこの司法書士法の中身としまして、やはり同種の規定を土地家屋調査士法に横並びとして設けた方がいいというふうに考えられる規定が多々あるわけでございます。したがって、私どもも司法書士法、調査士法両法の同趣旨の改正をしたいというふうに考えておったわけでございます。御参考までに申しますと、土地家屋調査士法は制定以来国家試験制をとっておるわけであります。その点はすでに司法書士法よりも先行しておるわけでございますが、そのほかの点については、大体いままで司法書士法と調査士法は横並びを考えて同時に改正をしてきておる経緯もございますので、今回もさようにいたしたいというふうに考えたわけでございます。あからさまに申し上げますと、司法書士法との横並びから申しまして、現在の土地家屋調査士法に特認の制度がないわけでございます。これはちょっと細かなことで恐縮でございますが、戦後土地台帳、家屋台帳が税務署から登記所に移管になりまして、土地台帳、家屋台帳において不動産登記制度の基礎としての不動産の現況を明確にするというふうなことになったわけでございます。その土地台帳、家屋台帳の登録事務、登録の申請手続等をやるものとして土地家屋調査士法というのが制定されたわけでございます。したがって、その当時は法務局の職員でもそういった測量とか現場の調査というふうなことは何もしてなかったわけでございますので、そういうことを考えた場合に、特認の制度を設けるのはいささか実力が伴わないことになるわけでございます。しかし、今日はもうさような制度ができて三十年近くなるわけでございまして、法務局のその面の仕事を担当しておる職員も相当そういった測量等の技術も身につけておりますし、全体的にはまだまだレベルは低うございますけれども、そういった職員も徐々にふえてきておる状況にあるわけであります。したがって、そういった職員の士気を鼓舞する意味から申しましても、調査士法の中にやはり特認制度を設けた方がいいと。つまり、そういった仕事をしておる職員は土地家屋調査士が現場を測量調査して、その結果を登記申請という形で提出してまいりました場合に、その適否を判断することになっておるわけであります。だから、たてまえから申し上げますと、調査士よりもそういった担当職員はそういった知識が上でなけりゃならない仕組みであるわけでありますが、なかなかしかし実際問題としてそこまでの力が全部の職員についてるというわけじゃございませんけれども、そういった力をつけていく上におきましても、やはり司法書士法の方が特認制度があるのと対比して、調査士法にはないことから、職員のそういった対応業務についての研さんがどうしても鈍りがちということも否定できないわけでございますので、そういった面の職員の能力をさらに充実させていくというふうな意味からも、ぜひとも特認制度を調査士法に設けたいというふうに考えたわけでありますけれども、調査士連合会等からそれは反対だというふうな意向表明がございまして、いろいろ検討しまして、私としてはそこのところはなかなか了解が得られないならほかの部分だけでも横並びの問題はやはり改正したいというふうに考えておったのでありますけれども、いろいろの事情で提案できないような結果になりまして、できるだけ早くびっこな状態は解消しなければならぬというふうに考えておるわけでございます。
  82. 寺田熊雄

    ○寺田熊雄君 いまは土地家屋調査士会もその特認制度を取り入れるということは了承しておるようですね。どうでしょうか。そして、もしその点の障害が最も困難な障害であったということになりますと、いまは了承しているということになりますと、土地家屋調査士法の改正というものはきわめて容易であり、かつまた必要であるということになりますが、その見通しですね、たとえば次の国会までには提出できるというような見通しがありますか。それはまだ無理ですか。
  83. 香川保一

    ○政府委員(香川保一君) 特認の制度の問題について、私は十分勉強された調査士の人たちは賛成していただいていると思うのであります。しかし、私どもの不徳のいたすところと申しますか、連合会としては   〔委員長退席、理事八木一郎君着席〕 表面的には反対ということをまだ崩していないわけでございまして、これからいろいろ接触いたしまして理解を得た上で対処したいと、したがって、ここで次の通常国会に提案できるかどうか、まだその辺のところが関連してまいりますので何とも申し上げかねる次第でございます。
  84. 寺田熊雄

    ○寺田熊雄君 民事局長としては特認制度をやはり土地家屋調査士についても認めた方がいいとお考えなんでしょうね。これは法務局職員で構成されている全法務労働組合ですか、これは希望しているようですね。それから土地家屋調査士会の役員の方の御意見を伺いましても、その点については反対はあったのだけれども、いまは非常に緩和してきた、したがって、その点に固執してその余の規定を土地家屋調査士法に入れないと、何か司法書士と比べて若干不利益をこうむるのではないかという、そういう意見を持っておるように、私の誤解でなければそういうふうに聞いたのだけれども。だから局長としてはやはり特認制度を入れて、そして司法書士並みの法改正をした方がいいという、そういうお考えなんでしょう、あなたとしては。その点、いかがです。
  85. 香川保一

    ○政府委員(香川保一君) 私といたしましては、特認制度も取り入れた司法書士法と横並びの同じような趣旨の改正をした方がいいというふうに思っておるのでありますが、しかし、いまおっしゃいましたように、特認制度がなかなか容易に了解、理解を得られない。そうだといたしましても、やはりほかの点については改正した方がいいことは間違いないわけでございますから、特認は少しおくれるにしましても、ほかのところはやはり横並び、同じような改正をしたいというふうに考えておったのでございますけれども、いろいろの事情がございまして少し待てというふうなことになっておるわけでありまして、だから確かに司法書士法と調査士法を比べますと、まあこの司法書士法が可決成立させていただきますれば、ちょっとびっこになりまして、何かちょっとこう特認制度に反対したためにまま子扱いしているような感じを受けるわけでございまして、これは私としては非常に心外な限りでございまして、そういう状態というのはなるべく早く解消したいというふうに考えておるわけでございますが、他方、法務局の職員から見ました場合に、これだけ一生懸命やっているのだから司法書士法と同じように調査士法についても特認制度は設けてほしいというのが長年の願望でございますから、   〔理事八木一郎君退席、委員長着席〕 何とか努力してそこのところも調査士会の了解を得て特認制度も取り入れた法案をできるだけ早く出したいと、こういうふうに考えておるわけでございます。
  86. 中尾辰義

    ○委員長(中尾辰義君) 午前の質疑はこの程度といたします。  午後一時三十分まで休憩いたします。    午前十一時四十五分休憩      ―――――・―――――    午後二時四十五分開会
  87. 中尾辰義

    ○委員長(中尾辰義君) ただいまから法務委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き質疑を行います。質疑のある方は順次御発言願います。
  88. 寺田熊雄

    ○寺田熊雄君 午前中に引き続きまして、司法書士法一部改正法案について若干の御質問をして、その後またもとに戻りまして、民事執行法案について若干の御質問を申し上げたいと思います。  まず、司法書士法案の問題ですが、司法書士の登録制度、これは弁護士の場合と同様に司法書士会連合会にその事務をゆだねるべきであるという議論がありますね。で、今回はやはり法務省がこれを担当する。登録は各法務局、あるいは地方法務局に登録するということになっておるようですが、その是非について、将来においてこれを司法書士会連合会にゆだねる意図がおありかどうか、そういう点若干御説明いただきたいと思います。
  89. 香川保一

    ○政府委員(香川保一君) 司法書士の登録の制度は今回の改正によりまして国家試験に合格した者、あるいは法務大臣の認定によりまして司法書士の資格を付与された者が法律上司法書士になったということの一つの手続でございます。司法書士法におきまして、いわばこの人が正規の司法書士であるということを国民に公表いたしまして、登記手続等の依頼をされるならこの人に頼まれれば心配ありませんと、こういうことを国がいわば公表するという側面があるわけでございます。したがって、この登録の制度は、いわば国の行政事務であるわけであります。したがって、本来ならば当然国がみずからやるべき性質のものであるわけであります。いまお説のように弁護士法あるいは税理士法に、弁護士連合会あるいは税理士の連合会において登録をやるという立法があるわけでございますから、さような国の事務をそういった民間の団体に委任してやらせるということが法律的におかしいとは私ども申し上げるわけにいかないわけでございますけれども、実質を考えますと、立法政策としていずれがベターかという問題でございますので、本来特別の事情があればともかくといたしまして、国の事務でございますので、国が責任を持ってやるのが本筋だろうと、こういう考えであるわけであります。ちなみに申し上げますと、税理士につきまして連合会で登録をしておるわけでございますが、これは連合会だけができる性質のものでもなくて、結局各単位会と申しますか、地方の会を経由して連合会に手続をするというふうなことにならざるを得ない。その地方会の手数費用は別といたしまして、連合会において登録のための費用をいろいろ調査いたしますと、大体年額二千万から二千五百万円ぐらいかかっておる。それだけの費用を連合会が負担して国の事務をかわってやっておるわけでありますから、本来言えば国からその費用を補助金というような形で出すのが筋かもしれないのですけれども、これは非常にむずかしい問題で、現に出していないわけであります。したがって、連合会におきましては、そういう費用を賄うために登録免許税のほかに登録手数料を連合会の会則で決めまして徴収しているわけでございまして、これは登録を受ける者の立場から考えますと、国の事務であるからこそ登録免許税を納める、それが民間団体に委任されている結果、さらにプラスして登録手数料を払わなけりゃならないというのは憲法上どうかということで現に訴訟も起こっておるわけでございます。また一方、司法書士連合会の現実の問題といたしまして、これはいろいろの見方があろうかと思いますけれども、私どもの立場から申し上げますと、今回の国家試験の導入も司法書士の品位の向上なり、あるいは資質の向上というふうなこと、あるいは業務の改善というふうなこと、さよなことをねらっておる一環の施策であるわけでありまして、連合会の存在理由と申しますのもその線に沿った、つまり司法書士をそういう方向に指導していくということが連合会の使命であることは司法書士法にも明記されているわけであります。むしろそういった方向の仕事を連合会が、これは費用のかかることでございますけれども、より力を入れてもらいたいと、たとえば司法書士の研修の問題等につきましても一層力を入れていただきたいというふうにお願いするわけでございますが、それには相当の費用がかかるわけでございます。したがって、そういうところからむしろ司法書士制度の充実を図ることをやるべきであって、いまの段階で国の事務をなぜみずからの費用を負担しながら司法書士連合会がやらせられるのかという合理的な理由は私どもには見当たらないように思うのであります。だから現段階におきましては、やはり国の事務の本質に沿って役所で登録事務を行うということにするのが現在の立法政策としては最も妥当ではなかろうか、かような考えでこの法案を提出しているわけでございます。
  90. 寺田熊雄

    ○寺田熊雄君 結局、弁護士あるいは税理士、司法書士、そういう職務を持った階層の人々が自分たちの団体をつくって、自分たちに関連する事柄は自分たちが処理をする、いわば自治の精神といいますか、それがやはりとうといわけでしょうね。だからなるほど局長の言われるように経費もかかるでしょう。しかし、その経費はそれぞれの会員が負担をする、実際には入会者が負担するようなことになりますが、そういう精神的な要素が強いのじゃないでしょうかね。だから経費面その他の、あるいは国家的な見地から国家の行政事務を担当する人々がその面からのみ考えるのとちょっとやっぱりそれは違うかもしれませんよ。ですから、果たしてその階層の人々自身がそれを欲するかどうか、そしてそれを欲した場合に、それをゆだねることが適当かどうか、またゆだね得るかどうかという点の考慮、これがやはり必要じゃないかと思いますが、その点どうでしょう。
  91. 香川保一

    ○政府委員(香川保一君) 現実の問題といたしまして、これは全国各地の司法書士会には失礼かもしれませんけれども、まだまだ単位会としては十分な組織が確立しているとは私ども見てないわけでございます。事務所にいたしましてもまだまだ設置をしていないところがたくさんあるわけでございます。現実に連合会が登録するといたしますれば、全国の司法書士となる資格を有する人が一々東京へ来て登録の申請をするわけにもまいりませんから、単位会を経由せざるを得ない。単位会の事務としても相当煩瑣になるだろうという感じがするわけであります。これは御承知のとおり、司法書士試験に合格いたしましても欠格事由があれば登録を拒否しなければならぬわけでございますから、そういった欠格事由の調査だけでも相当のやっぱり手数料がかかるだろうと思うのであります。それやこれや考えますと、率直に申しまして、国のそういう事務を間違いなくやるというにはまだ若干ほど遠いのではないかという感じがするわけでございます。さらにこれは、現にある法律の批判になって恐縮でございますけれども、やはり登録免許税の徴収というのも国の事務でございますし、登録そのものも国の事務であることから、国が委任しております場合に、税理士法にすでに規定がございますように非常に強い監督権を持っておるわけでございます。税理士法をごらんいただきますとわかりますように、監査をやる、それから連合会の決議について国税庁長官が取り消し権を行使できるというふうな、国の事務を委任している以上国民に対してはやはりそういった形で国が責任を持たなきゃならぬというふうな考え方だろうと思うのでありますが、そういった監査とか報告を求めるとか、あるいは決議の取り消し権というふうなものが官側に与えられておって、そして国の事務を連合会がやるというふうなことにいたしました場合に、これは率直に申し上げまして、かえっていろいろの問題が起こるのじゃなかろうか。そういう例は税理士法にあるわけじゃございませんけれども、使い方によっては相当干渉がましいことができることになるわけでございます。  そういうこと等比較いたしていろいろ考量してみますと、私はむしろそういう国の事務というのは、やはり国がみずからやって連合会がタッチすべきものではないのじゃないか。その方がかえって政策的にはいいのじゃないか。ただ、いまおっしゃいましたように、連合会で確かに登録事務を自分たちでやりたいという強い御希望のあったことは承知いたしておりますが、その趣旨とするところは、やはり会員を十分把握しておきたいということに尽きると思うのであります。したがってこの法案におきましては、本来登録事務は法務局、地方法務局の長がやるわけでございますけれども、その登録の申請は所属すべき司法書士会の入会手続と合わせて会を経由して法務局長に申請をする、こういうふうなテクニックを使っておるわけでございまして、それによって会の方ではその司法書士の登録を受けようとする者についていろいろ法務局長に意見を申し出る機会もございますし、入会手続と同時にやるわけでございますから、経由の際に十分会員の把握ができるということで、この程度で、その趣旨の全部じゃございませんけれども、大半は満足されることになるのじゃないかというふうな手当てをしておるつもりでございます。
  92. 寺田熊雄

    ○寺田熊雄君 若干のまだ質問をしたい面がありますけれども、時間が参りましたので、最後に民事執行法の問題について一問だけお尋ねをして終わりたいと思います。  この民事執行法案ができまして、衆議院の審議の段階に至りまして、この法案の五十五条及び七十七条につきまして、それが多分に不況産業、とりわけ倒産する企業、強制執行を受ける会社、資産の中で苦闘している労働組合の現実的な権利を奪うものである。その企業設備から闘っている労働組合をたやすく放逐するに等しいという批判がありまして、その批判を受けまして衆議院の段階で五十五条の削除、それから七十七条の削除ないし修正につきまして、衆議院の法務委員長の御発言があり、法務大臣がそれを受けて検討する、慎重に検討してできるだけその趣旨に沿うようにしたいという趣旨の御発言があったようであります。これは私どもとしましては、この法案に伴うきわめて大切な課題であって、それはこの法案が本国会で通過するかどうかということに関連づけられるべき問題ではないのであって、これは当然のことであるというふうに考えております。しかし、また一面それはこの法案を今国会で上げるための便法としてそうした事柄がなされたのであると。したがって、今国会でこの法案が成立せず継続審議になった場合には、このいまの政府のいわば政治的な約束と申しますか、そういうことの実現を危ぶむ人もないではないわけですね。したがって、それが政治的な便法にすぎなかったのか、真実それを実現する意図があるのかどうか。これは八十三条にも関連をいたしますけれども、八十三条についてはそのときは触れていらっしゃらなかった。ただ、五十五条と七十七条についてそういう御発言があったわけであります。そういうことを衆議院の段階で法務大臣が御発言になった趣旨、現時点におけるそれを実現する誠意をお持ちなのかどうか、八十三条についてはどうか、最後にその点だけ法務大臣にお伺いをして私の質問終わりたいと思います。
  93. 瀬戸山三男

    ○国務大臣(瀬戸山三男君) 衆議院の法務委員会での審議の段階で、おっしゃるように五十五条、それと七十七条、これがどうも労働運動といいますか、あるいは労働組合の立場といいますか、そういう面からそういう労働組合の立場を阻害するような懸念があると、こういうお話でありました。それをめぐっていろいろ質疑応答があったわけでございますが、委員会としては大多数の皆さんがほかには問題がないと思うから、その点を考えるということであればこの法案は取り上げていこうと、こういうことでございました。  御承知のとおりに、この法案ごらんになってわかるわけでございますが、五十五条、担保物件等のいわゆる財物の価値を減殺するといいますか、それを破壊するというような行為をこれは当然に防がなければならないわけでありますから、債権の確保のためにこそ担保物件等は入っておるわけでございます。そういう意味で、そういう行為はこれは防がなければならない、こういう趣旨で、七十七条も大体それと同じようなことでございますけれども、実際の社会といいますか、特に経営不如意の会社、工場等においては、この法律の適用のために労働者等の立場が非常に阻害されるおそれがある、こういう懸念を持たれるということでございますから、この法律そのものはそういうことを目的としておりませんけれども、しかし、そういう懸念があるということであれば、この立法の根幹といいますか、大きな柱を阻害するということになる以上、それは削除することにやぶさかでございません。  七十七条も同様でございます。八十三条問題になっておりませんでしたけれども、七十七条についてももうちょっと考える、そういう懸念を防ぐための考え方をする必要がありはしないか、こういうことでございましたから、私どもとしてはまだまだこの法を執行するのに時間があります。なお、これを執行するのについて別な立法も必要であろうと思いますから、そういう際にできるだけ早い機会にいま委員会の御趣旨に沿うような措置をいたしたい、こういうことをお答えしております。そういう態度についてはいまも変わっておりません。これだけ申し上げておきます。
  94. 香川保一

    ○政府委員(香川保一君) 衆議院段階では八十三条は委員長提案の中には含まれていませんでしたので、その点についての大臣の御答弁はございませんでした。
  95. 寺田熊雄

    ○寺田熊雄君 いや、その八十三条についてはどう考えておられるのかということを伺っているわけです。
  96. 香川保一

    ○政府委員(香川保一君) 私は個人的に非公式に八十三条も同じような問題があるということは承っておりますけれども、したがって五十五条、七十七条とあわせてそういう御懸念があるなら民事局長としてはやはり同じレベルで再検討はしなきゃならぬと、こういうふうに考えておりますけれども、公式にはまだその問題は提起されていないわけでございますので、大臣答弁等は一切ございません。
  97. 山本富雄

    ○山本富雄君 一時間の範囲でやりたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。  寺田委員からいろいろ専門的な立場でお触れになっておいでになりますが、まず私の方から民事執行法案につきまして若干お尋ねをいたしまして、それから同時に提案されております司法書士法につきましても質問さしていただきたいと、こういうふうに考えております。問題が寺田委員と重複をする部分もかなりあるかと思いますけれども、私どもの角度も違いますので、ひとつ重複も含めて質疑をさしていただきたい、答弁もお願いをいたしたい、こういうふうに考えておるわけであります。  まず民事執行法案でございますが、非常に大部なものであります。この間の提案理由の説明、大臣の説明によりますと、法案の要点の第一は執行手続の迅速化であると、第二は債権者の権利行使の実効性を確保するのだ、それから第三は買受人の地位の安定と強化、第四は債務者の保護に関する規定を整備したことだと、こういうふうに大臣が法案の提案理由の説明の中で言っておいででございますけれども、この執行手続の改正の目的、それから主な改正点、主要点と申しましょうか、これにつきまして少し詳細に御答弁を賜りたいと、こう思うわけでございます。
  98. 香川保一

    ○政府委員(香川保一君) 今回の民事執行法案を提案いたしました趣旨、その内容を御説明申し上げますが、現行法におきましては債務名儀による債権の強制執行は民事訴訟法第六編に規定があり、担保権の実行手続につきましては競売法に規定があるわけでございますが、現在の実務におきましてあるいは学者の御議論でもその間の調整がとられていないと、こういうふうな批判があるわけであります。たとえば競売法におきましては、民事訴訟法の強制執行にありますような配当手続に関する規定が一切ないとか、あるいは競売の申し立ての要件等も必ずしも明確でない等々の問題があるわけであります。しかも、担保権の実行に際しまして、競売まで済んで競落人が所有権を取得したと思っておっても、その担保権が実は不存在であったり消滅しておったということになれば一切ひっくり返ってしまう、この後仕末が相当大変なわけですけれども、それらの規定は一切ないとか、いろいろ御批判があるわけであります。そういうことからやはり民事執行法案におきましては、この二つの強制執行と担保権の実行手続を統合いたしまして、その間の調整を図るということが大きな一つのねらいでございます。実質的な問題といたしましては、現在の競売手続、これは強制執行であれ、担保権の実行であれ非常に時間がかかるという非難があるわけでございます。その時間のかかる大きな理由が現行法におきましては、不服だといえば理由を示さなくてもすぐ上級裁判所に不服申し立て事件が係属いたしまして、その間一審での競売手続はとまってしまうというふうなこと、そしてけさほども申し上げましたように、あらゆる執行処分につきましてそういった不服申し立てができるようになっておるわけであります。これが実は競売の引き延ばしに乱用されておりまして、競売の迅速化を阻害しておる最たる理由はここにあると思うのであります。したがって、これを合理化する必要があるということから、やはり利害関係人、債務者を初めとする利害関係について、ある段階ではぜひとも不服申し立てに訴えなければ取り返しがつかないというふうな点が幾つかあるわけでございまして、そういうところで執行抗告という制度を設けまして、しかもただ不服だというだけで執行手続がとまってしまうということでは困りますので、どういう点が間違いなのか、不服なのかという、そういう理由を明確にしてもらうというふうな手続の改善を考えておるわけでございます。  それからもう一つは、不動産にいたしましても、時価相当の適正な価格でなかなか売却できない、非常に安い価格でしか競落されないということが、これは債務者にとりましてもあるいは債権者にとりましても不利益なことであるわけであります。このなぜ適正な価格で売却できないかという点が、そういった要因がいろいろあるわけでございますが、一つはやはり売り方が競り売りとか入札というふうなことになっておる、やはり物によってはいろいろの適当な売り方というのがあるわけでございますが、そういった売り方が硬直しておるという面が一つ、その点につきましては、裁判所がいろいろの事案に応じて適切な売却ができるようにするために弾力性を持たせる、随意売却等も取り入れまして、そういった売却方法を最高裁判所規則で定めるというふうなことにいたしまして、弾力的な運営を期待したい、そういうふうに考えておるわけでございます。  それからもう一つは、債務者の保護と申しますか、現在の債務者の生活を保護する差し押さえ禁止財産の範囲というのが若干時代おくれではないかというふうに考えるわけであります。しかも、これも債務者の生活を保護すると申しましても、生活、家族数が違ったり職業が違うというふうないろいろの場合があるわけでございまして、やはり事案に応じてその差し押さえ禁止の範囲を縮めたりあるいは拡張したりすることがぜひとも必要なわけでございまして、そういう制度が現在はないものですから、そういった拡張、減縮の運用によって具体的な事案ごとの債務者の保護を考えるということが必要だろう、そういう措置を講じておるわけであります。  それからもう一つは、先ほども申し上げました安くしかなかなか売れないという点に大きな関係があるわけでございますが、現在、競落人が競落価額決定を受けて代金を納付いたしましても、いつか知らぬ間に債務者の占有から、極端な場合は暴力団が占有しておって引き渡しをしないと、暴力団が占有しておるとなりますと、これは容易に引き渡しを受けられないのはもう事実上の問題としてはあるわけであります。そういうことがございますので、なかなか買い手もよほど慎重でないとうっかり買えない、あるいはまた、そういった引き渡しを受けることの手数費用というものを考えて競落代価を支払うことにしないととんでもない損をするというふうなこともあるわけでありまして、つまり競落人が裁判所の競売手続で買ったその不動産の引き渡しが容易に受けられないということはこれはきわやて不合理な話でございますので、その面の手当てをして引き渡し命令について強制執行ができるということにするというふうな点があるわけであります。  そのほか、できるだけ高く売れる、あるいは迅速に競売が完結するというふうなことで、細かな点いろいろ手当ていたしておりますが、要は結局競売手続の迅速化ということと、買受不動産を適正な価格で売る、そういうこと、それから債務者を初めとして利害関係人の利害の調整を十分図る、こういうふうなことがこの法案の現行法と違う特色と申しますか、主に配慮しておる大きな柱でございます。
  99. 山本富雄

    ○山本富雄君 いまお話がございましたけれども、この強制執行法の改正作業ですね、寺田委員も触れられましたけれども、大変長期にわたっておやりになったと、十年かかっているというふうなことでございます。その理由、それからこの立案に至るまでのさまざまな御苦心もあったと思うのですけれども、それらについてもお話を承りたい。  それから日弁連との関係、これも寺田委員がお触れになりましたけれども、先ほどの局長の答弁によれば、第一次試案、第二次試案を含めて提示をして、そして最終的には浦野参事官が馬場事務次長さんですか、等とお話しなすって日弁連は賛成だと、こういうふうなお話もあったようでございます。この日弁連との関係。  それから、裁判所とはどういうかっこうで協議を続けられたか、その点についてもお答えを願いたいと思います。
  100. 香川保一

    政府委員(香川保一君) 法制審議会の執行法部会が実質的に審議をこの問題について始めていただきましたのが、けさほどお答え申しましたように昭和四十三年の十一月からでございます。非常に十年という期間をかけておるわけでございますが、何分にも現行の民事訴訟法強制執行編というのは明治二十三年の制定にかかる古い法律でございますし、片や競売法明治三十一年の古い法律であるわけであります。しかも、そういったことからこれを改正するについてやはり実態の把握もしなければなりませんし、また外国立法例の検討もしなければならぬというふうなことに相当時間がかかっておったようであります。  それからさらに、何と申しましても大事な法案でございますので、やはり関係方面の意見を十分承って衆知を集めていい法律をつくる、当然のことでございますけれども、そういった意味から第一次試案を公表して各方面から意見をちょうだし、それをまたもとにいたしまして執行部会でさらに御議論を願って、そして第二次試案をつくってこれをまた公表いたしまして、さらに意見を求めて慎重に作業を進めるというふうなことで、きわめて慎重な、入念な審議をしていただいた結果十年もかかったということになるわけでございまして、さほど丁寧に審議をしていただいて、私どもとしては大臣に対する答申はすべての問題を網羅したりっぱな答申をいただいたというふうに考えておるわけでございます。  裁判所との関係は先ほど申しましたように、一線裁判所での実務の経験に徴しての意見は第一次試案、第二次試案に次いでそれぞれちょうだいいたしまして十分くみ取っておるわけでございますし、またいろいろの細部につきましても最高裁判所と協議をいたしまして十分御意見は取り入れておるつもりでございます。  それから、日弁連との関係はこれは法制審議会の場におきましては執行部会に三名の弁護士の委員、それから数名の幹事が入っていただいて、そこで最後の部会決定についても全員一致で賛成していただいておるわけでありますし、そういう部会の場は別といたしまして会議を重ねる間に私ども事務的に日弁連の事務当局といろいろ御相談もいたしましていろいろの意見も討議してこういうことでよかろうというふうなことで協議が成立した経緯もあるわけでございます。ただ、正式に寺田委員からも御質問ございましたが、大体慣行的なものでございますけれども、日弁連は賛成のときには正式の書面でそういう意見を出されるということはなさらないわけであります。これは役所の方としましても政府が責任を持って法案を出すわけでございますから、それについて過程においてのいろいろの協議は重ねるにいたしましても、最終的なそういった書面による賛成だというものをいただくというのはやはりちょっと問題があるというふうなことで、私どももそういう書面で下さいということは申し上げないわけでございます。そういうこともあって慣例上反対の御意見がある場合には必ず書面で参りますけれども、賛成のときにはいままで一度も書面はいただいてないのですけれども、それぞれのやはり担当のところから理事会でこれは賛成というふうに決まったというふうなこととか、あるいは会長みずからお越しになりまして賛成だというふうなことで実質的には賛成の場合も意見をはっきりとちょうだいしているわけであります。この法案につきましては、もっぱらそういう関係の窓口は事務総局の次長が担当していただいておったようでありますし、次長はその前から幹事になっておられましたので、次長から正式にそういう賛成だということの意思表明をちょうだいしているわけであります。全く問題はないというふうに考えております。
  101. 山本富雄

    ○山本富雄君 非常に慎重に年月もかけ、そして各部に分かれて作業をなさった。裁判所あるいは日弁連の意向等も十分徴したと、こういうお話で、当然と言えば当然だと思うのですけれども、先ほど来の議論によると十年も専門家がかかって論議をした、それほど大事なものなんですから、そして新しく変えていく、こういうボリュームのあるものを立法府へ持ってきて原案を出して幾日かで通せと、こういうのはむちゃじゃないかと、あるいは立法府に対する軽視じゃないかと、ばかにしているのじゃないかと、こういうたぐいの発言もあるわけなんで、私は法律に関しては御承知のとおり素人でございますけれども、政治家の端くれでもございます。あらゆる問題について、これは神様じゃないのですから政治家といえども衆知を聞くということですね。それから、法律についても技術上の問題とか実行的な問題とか、そういう細部にわたってはこれは専門家に大いに詰めていただいて、どこからも落ちがないというふうに詰めていただく必要はあろうと、そうして大局的な判断につきましては、柱については私どもなりにそこをがっちり論議をする、こういう政治家態度であってちっとも差し支えないというふうに私どもは考えておるわけなんです。大いに慎重審議もいたしましょうし、しかし、時間をかけたからそれでもっていいというものでもないというふうに考えておるわけでございます。  先般、委員長のお肝いりで実は勉強会がございまして、ここにおいでの浦野参事官から種々この内容につきまして先ほど局長が触れられた柱をさらに細分化した形でお話があった。私ども素人にもそれなりにわかったわけでございます。この条項一つ一つ読んでいくと大変なんですけれども、あの勉強会での私の判断は、従来のものが余りにも古い、明治二十三年ですか、四年ですか、とにかく漢文調のところが対照表を見ましても随所にございますし、法律というのはこんなものかなという感じもいたしますけれども、それらを直す部分がかなりある、まあ文言その他を直す部分がかなりある。私の聞き違いでなければ、あのときに八割方はそういうものだと、そして二割がこれが中心なんだと。ですから、ボリューム、ボリュームというふうにおっしゃいますけれども、ボリュームの中身の中で十のうち二割ぐらいが一番大事なところであって、八割方は自動的にといいますか、機械的にといいましょうか、現代風にといいましょうか、そういうふうに直したものなんだと、こういうお話があったように記憶をしておりますけれども、そこらについて局長どういうふうにお考えでしょうか。
  102. 香川保一

    政府委員(香川保一君) 私ども事務屋といたしましては、提案いたしました以上できるだけ早く成立さしていただきたいということをお願い申し上げるだけでございまして、ただ率直に申し上げさせていただきますと、やはりこういう強制執行とか担保権の実行というのは、なるほど現行法は非常に古うございますけれども、一つのやはり型といいますか、パターンというのは決まっておりまして、一つのルールがあると申し上げていいかと思うのであります。そういう土台のもとで今日的にその問題になっている点あるいは時勢の変化によって対応していないそういう面というふうなものをそれぞれ改めるというふうな、簡単に言えばそういうふうなものだと思うのであります。したがって、すぐれて技術的な大半の規定というのはもうきわめて技術的なものでございまして、その一つの型というものから外す別の型というふうなものはなかなかこれは容易に見つかりもいたしませんし、またやはり長年の知恵で一つのこういうパターンができておるわけでございますから、さような規定が大部分じゃなかろうかというふうに率直に担当の者としては感ずるわけでございます。  ただ、やはり先ほどかいつまんで柱的なことを申しましたが、こういう点はやはりそういう技術的なことというよりは一つの立法政策として相当むずかしい問題があるわけでございまして、そういう点はやはり立法府において慎重に御検討願っていろいろ御意見をちょうだいするということが大切なことだというふうに思うわけであります。従来、こういう基本法といいますか、一遍できますといろいろの事情で改正がなかなか容易になされないという慣例になっておるわけでございますけれども、私どもは個人的な意見といたしましては今回御提案申し上げているこの法案は、現段階では私どもこれが一番いいというもちろん自負をいたしておるわけでございますけれども、いろいろ施行いたしてみまして果たして裁判所の運用上さらに問題がないかどうか、あるいはまた運用を踏まえたあるいは理論的な面での各方面の意見というものもおのずから出てまいるわけでありまして、そういうものを十分鋭敏にとらえて、そう改正をちゅうちょするということがない方が、少しでも時代にマッチしない面があればどんどん部分改正をやるということも考えなければいけないのじゃないかというふうに考えておるわけでございます。
  103. 山本富雄

    ○山本富雄君 そこで、今度の改正の主要点の一つであります競売の問題につきまして、若干お尋ねをしたいのです。  競売というのは、本来どうも、一般のわれわれが聞きますと余り響きのよくない言葉なのですよ。競売そのものはよくないわけじゃないのですけれども、従来の競売にまつわる、競売される場所とか、あるいは競売に至る経緯、あるいはそこに介在する方々、競売ブローカー、都合によっては「暴力団」というふうなこともあるわけですけれども、そういうことでずいぶんいろんな秘話があるわけなんです。そこで、今回の場合、私どもが読む限りでは、競売に関しましてはずいぶん工夫をされておる。売り手あるいは買い手の問題それから特に競売ブローカー。とにかく、玄人でないと絶対にいままではできない。そして、その玄人である競売ブローカーがいいかっこうで競売をやってくれればいいのですけれども、都合によりますと、お互いがいわゆる談合をいたしまして、声を出さない、それによってだんだんだんだん価格を下げていくというふうなことをやっていたのが実情じゃなかったか、そういう実情が随所にあったというふうに私は考えるわけなんです。競売場というのは私は行ったことがありませんけれども、とってもいやな場所で、暗い場所で、そこへ競売ブローカーがたむろして、そしていつも同じ顔ぶれがどこへ行っても出てきてやっておるというふうなこと等も伺っておるわけでございます。  そこで、競売関係につきまして、いま私が申し上げた点、改正点について御苦心なすったわけですけれども、どういうふうに改善をされておるか。特に、価格がべらぼうに安く落札をしているというふうな状況なども十分御承知だと思うのですけれども、そういうこと等を含めまして、この是正が改正法案の中でどういうかっこうで具体的になされておるか、その点についてお答えを願いたいと思います。
  104. 香川保一

    ○政府委員(香川保一君) 法律上の問題と事実上の問題、二つあるように思うのであります。  ただいま御指摘の競売場というのは、私も何回か行ってまいりましたけれども、確かに、一般の国民が競売に参加するという空気にはちょっと無理があるような施設でございます。そういった施設を改善して、オープンな、できるだけ明るい競売場と申しますか、そういうふうに施設を改善する必要があろうかと思うのであります。これは一挙にできるものではございませんで、最高裁判所にもお願いいたしておるわけでございますけれども、予算措置を講じてできるだけ早くいま言った競売場の施設の改善をやる必要があろうという点が一つでございます。  それから、法律的な問題としまして、これは事実上の問題とも関連する面がございますが、一つは、不動産の競売等のように非常に権利関係が錯雑しておる物件を競売いたします場合に、買い受けた場合に法律関係がどうなるのか、たとえば用益権がついてくるのかついてこないのかとかいうふうなことは、一般の国民ではちょっと調査がしにくいわけでございます。競売裁判所には一件記録がございますけれども、この記録を見ましても、玄人筋は別としまして、素人にはなかなか権利関係を把握することが困難だという面があるわけであります。買おうとするものの、権利関係はどうなっているかというととを知った上でなければ買えないのは当然でございまして、そういうことから、今回の改正案におきましては、現況の調査のほかに、そういった、権利関係はどうなるかということをできるだけ詳しく明らかにした物件明細書というものをつくりまして、それを一般の閲覧に供してそれによってわかってもらうという措置を講じておる点が一つであります。  それから、現在なかなか安くしか売れないというのは、お説のようにいわゆる競売ブローカーの独壇場みたいになっておるわけでございまして、そこには、これは断定をしてはあれでございますけれども、やはり談合的なことが相当行われているやに聞いておるわけでございます。そういった悪質ブローカーを排除しないことには競売場の秩序維持も図れないわけでございますので、そういった悪質ブローカーを排除する措置を講ぜられるようにいたしておるわけであります。  それから、さらに、先ほどもちょっと申し上げましたように、悪質ブローカーが暗躍するというのもその売却方法が入札、競り売りという二つしかないものでございますから、おわかり願えますように、素人向きな売り方ではないわけでございます。だからやはり、たとえば動産にいたしましても、百貨店のある一部を借りてそこへ展示して随意売却するというふうなこともした方がよろしゅうございますでしょうし、また、不動産につきましては、市町村にそういった不動産の競売の公告も素人向きのものを出しまして、そして、ぜひとも買い受けたいという人があれば、それが適正な評価の評価額を上回るものであるならば裁判所は随意売却をしてもいいのじゃなかろうか。そういうことで、売り方をもっと弾力性のあるものにするということも配慮したつもりでございます。  それから、現在非常に安くしか売れない、つまり、ブローカーが入りまして、一たんは落札するわけでございますけれども、代金を払わないということになりますと、再競売ということになるわけであります。そうしますと、どうしても最低競売価格がまた下がっていく。それを何回か繰り返されますと、どんどん下がる一方ということになるわけであります。そういうことが一つの弊害でもございますので、今回の改正におきましては、買い受け申し出をする際にはその代金の一部に相当する相当の保証金を納付させることにいたしまして、そして、流せばそれは取り上げてしまうということにし、さらに第二の、次順位の競買い申し出人というふうな者も、そういう地位も認めまして、第一の競買い申し出人が残りの代金を払わないときには次順位の者について決定をするということ、そういったことで、一種の談合的な値下げのそういった余地がないような配慮もしたつもりでございます。  以上申し述べましたような点で、いろいろ実際の執行の経験者の意見も徴しまして、こういうふうにすれば相当成果が上がるであろうというふうなふうに評価していただいているわけでございますが、これは実際私どもやってみなければまだ自信の持てない点もあるわけでございますが、できるだけの配慮はしたつもりでございます。
  105. 山本富雄

    ○山本富雄君 競売の関係だけずっと私見たのですけれども、いままでよりは非常によく工夫されているなと、そういう感じが強くしたわけでございます。  それから、罰則ですね、そういうものもあるわけでしょう。いかがですか。
  106. 香川保一

    ○政府委員(香川保一君) 今回、たとえば執行官が現況調査をして、さっき申しました物件明細書上それを明らかにして買いやすいようにするという点、権利関係の調査等いろいろ公権力を使って調査をする面があるわけであります。そういうときに虚偽の陳述をしたり、あるいはそういった調査に理由もなく応じないということ等がございました場合の過料の制裁規定を設けておるわけであります。これは、実は私どもの気持ちといたしましては、もう少し過料の額が、少なくともこの御提案申し上げている額よりも倍ぐらいのところがいいのじゃないかというふうに考えておるわけでございますが、これは私どもの怠慢というか、他の法律にいろいろこの過料の規定があるわけでございます。そのための横並びの問題でございまして、できるだけ早く一般的にいままでの現行法の過料の規定を見直しまして、それの引き上げと申しますか、調整をやはりやる必要がある、その機会にはこの執行法の法案におけるこの過料の額もいま少し上げるべきだろうというふうに考えているわけでございます。
  107. 山本富雄

    ○山本富雄君 先ほど債務名義の話が出ましたけれども、いわゆる無名義の配当要求を今度は原則として認めないのだと、こういうことになっておりますけれども、この理由についてお尋ねをいたしたいと思います。
  108. 香川保一

    ○政府委員(香川保一君) 現行法におきましては、強制執行において債務名義のない債権者の配当要求も認めておるわけであります。競売が非常におくれますのはここにも一つ原因があるわけでございまして、何らその債務名義がないわけでございますから、いわば債権の存在が確定しているということでない、したがってその配当の手続の中でそういった債権の存否、数、額等が争われるというふうなことで非常に手数がかかるわけでございます。そういう意味から、やはり債務名義を持っておる者が強制執行の主導権を持って推進しておるわけでございますから、その競売申し立てをして主導権を持って競売を進めているその債権者の立場から考えますと、全く債務名義がないのに人のそういう手続に便乗してきて、しかも債権が必ずしも画一なものでないために争いになって競売がおくれるというふうなことになりますと、せっかく債務名義を持っておる債権者にとってはきわめて不都合なことになるわけでございます。そういうことから、今回の法案におきましては原則として債務名義がなければ配当要求も認めない、ただ、それでは若干硬直化するおそれもございますので、裁判所の一度レビューした、仮差し押さえ債権者については配当要求を認めることにいたしておりますほか、もう一つは一般先取り特権によって担保される賃金債権があるわけでございます。賃金債権につきまして一々債務名義が必要だということになりますと、これは大体そう高額のものでもない労働者等のそういった賃金債権の保護に欠けるうらみがございますので、これは特別の配慮をいたしまして、一般先取り特権で担保されるそういう債権については、債務名義がなくても配当要求を認める、ただ、その場合、裁判所は入口においてその審査をするような手続をあわせて設けながら例外を認めておるわけであります。
  109. 山本富雄

    ○山本富雄君 施行期日が五十五年十月一日になっておりますね。これは二年四ヵ月ですか、先のわけですね。これはいろいろ準備があると思うのですけれども、いかにも長い、なぜこれだけかかるのか。それからまた、その十年の準備の事前の問題と絡んでくるわけなんですけれども、これについてお尋ねをいたしたいと思います。
  110. 香川保一

    ○政府委員(香川保一君) 成立いたしますればできるだけ早く施行するのが本筋だと思うのでありますけれども、民事執行法が成立いたしましたときにまず問題になりますのが、この法律では御承知のとおり細かな点について最高裁規則に譲っておるわけであります。この最高裁規則を、これは事務当局だけでつくれないことになっておりまして、最高裁判所の規則制定委員会というものがございまして、そこで学者、弁護士等々、集まっていただいて審議を重ねていただく、こういう構造になっておるわけでございまして、最高裁判所のお見込みでは、どんなに少なくとも一年半はかかるであろうというふうに言っておられます。  それから、先ほど申しましたような競売施設の改善につきましても、これはこの法案が今国会で成立いたしました場合には、五十四年度の予算要求に乗っかるわけだろうと思うのでありますけれども、しかしいろいろの工事もしなければなりませんので、これも若干日時を要する。それからこの法案では執行官の職務範囲が相当拡大されておるわけであります。いままでやったことのない、裁判所がやっておったようなこと等も執行官の職務の中に入ってきておる面もございますし、そういう執行官の仕事の範囲が広がっておる、それから執行裁判所の裁判書記官の地位、権限が相当強化されておるわけでございまして、そういった関係から裁判書記官の仕事、それから執行官の仕事に、この新しい立法に沿った間違いのない仕事をしていただくためには、相当なやはり研修とか研究期間が要るわけでございまして、そういったことを含めまして最高裁判所としましてはどうしても五十五年の十月一日がぎりぎりだ、こういう御意見でございまして、私どももそれくらいの準備期間は要するというふうなこと、さらに相当変わっておる点もございますので、一般のPRも考えなきゃならないというふうなこともあって、まあ五十五年の十月一日というのはぎりぎりの線だろうというふうに考えております。
  111. 山本富雄

    ○山本富雄君 いまのようないろいろな準備が必要なわけですね。予算の話が出ましたけれども、予算はどのくらいいま考えておられるのか。そういうこと等考えると、やっぱりおくれればおくれるほどさらにもっと延び方が先に延びていくわけですからね、そういう点につきましては、どういうふうにお考えになっておりますか。
  112. 香川保一

    ○政府委員(香川保一君) この法案の施行に必要な準備も含めましての予算は、これは最高裁判所の方から要求していただくことになるわけでございまして、その明細はただいまのところまだ承知いたしておりません。ただ、私どもとしてはできるだけ御協力申し上げてこの法律の円滑な施行に差し支えないように財政当局にもお願いしたいと思っておりますが、まあざっくばらんに申し上げまして法律が成立していないのに予算要求いたしましても、これは財政当局としても予算措置の講じようがないわけでございまして、だから、もしもこの法案の成立がおくれますれば結局予算のことでございますので、一年先になってしまう。五十五年の予算要求になりますと、五十五年の十月一日施行という関係では非常に無理がくるというふうなことを危惧いたしておるわけでございます。
  113. 山本富雄

    ○山本富雄君 例の五十五条の関係ですね、これは五十三年六月三日の毎日新聞に何か投書があったのを受けたかっこうで、法務省民事局が民事執行法案第五十五条の適用範囲についてということの見解を出しておられる。先ほど寺田先生もこれに触れられましたが、この五十五条あるいは七十七条、八十三条、こういう関係ですね、一般に言われておることはどうもこれらの条項というのは労働者の正当な権利、労働運動などを弾圧するおそれがある、こういうことを盛んに労働組合の一部の方々が心配をされて大変問題にされておるというふうに聞いておるわけなんで、これを受けて民事局の見解というものが出ていると思うのですけれども、その後六月十三日の毎日新聞の「編集者への手紙」というのにも出ておりますし、それからけさ、私これ切り抜いてまいりましたが、きょうの読売の「気流」というのにも載っております。それから朝日の「論壇」というのにも載っております。これはもちろん局長御承知でしょうけれども、関係された大学の先生方ですね、大変権威のある、私どもでも名前を知っているたとえば東大の三カ月教授だとか、あるいは一橋大の竹下教授だとか、あるいはまた石川教授ですか、こういう方々の民事執行法案への言うなれば誤解だと、労働組合の声というものは。こういうのが載っているわけです。この中で私ども見ておりまして、こういう指摘をしているわけですね。たとえば三カ月先生の中で「さきの記事は、この法案五五条の規定により「ビラはりや赤旗を立てていれば、強制退去をつきつけてくるし、これに反対すれば、不退去罪で逮捕される」などと書いているが、この条文を読み、そのような解釈をする「法律家」はまずないであろう。」と、こういうふうに書いておいでになる。それからまた、さらに「これは虚心に読めばまことに明らかなように、心なき物理的破壊によって、債権者への引き当てとなるべき財産の財産価値が減少することを防止するための対策にすぎず、何もヤケくそのぶちこわしをするなどのことのない組合員をたたき出すことなど考えてもいない」はずであると、こういうふうに出しておる。それから、これも先ほど局長からちょっと触れられましたが、たとえば「気流」によると、石川教授の「民事執行法の早期制定を切望」すると、こういうこの中に「起草にあたり、労働者の権利も十分に配慮された。一例をあげれば、執行参加に債務名義を必要とする原則を、労働者の賃金」云々と書いてありますけれども、そういう面で学者の先生方というのは本当の純粋な学問的な立場でお考えになり、そしてこの法案に対しても直接、間接参加をされ、あるいは関心を持たれておやりになったと。恐らく最近やにわに労働者に対する断圧法の一部だというふうな声が高いものですから、矢も盾もたまらずに、いやわれわれが見たところでは、あるいはわれわれがいままでの経緯を知っている限りでは、あるいはわれわれがお手伝いした範囲では、全くそういう意図はないと、むしろ逆に労働者の立場というものは十分配意をされておると、そして改善をされておると、こういうふうに私は出しておるわけだというふうに解釈をしておるわけなんです。労働者にしても、あるいは農民にしても、あるいは企業家にしても、みんな債権者になるし債務者になるわけですから、だれが債権者でだれが債務者だということはないわけなんでして、そういう意味で法のもとに平等だと。そしてきのうの債権者はきょうの債務者できょうの債務者はあしたまた債権者になるわけですから、そういう考え方を持ってすれば、私ども見た限りでは、この五十五条それから七十七条、八十三条と、夕べからけさ私は何度も何度もこれ読みました。それから、新聞と見比べて考えてみて、少なくとも一部労働組合の方々が心配されるようなものでは絶対にないはずだと、そういうふうにはどう考えてもどう見ても考えられないし、読みとれないと、こういうふうに思うのですけれども、この点についてひとつ所見をもう一遍お聞かせを願いたい。
  114. 香川保一

    ○政府委員(香川保一君) 私どもといたしましてもいま山本委員の御説のとおりでございまして、この五十五条の規定一つとりましても、御心配になっているような労働運動の弾圧とかというふうなことはどういうところからそういうふうに読み取れるのか、私ども幾ら頭をひねりまわしても実はよくわからないのであります。あるいはその労働組合が自主管理をする、生産管理をするようなときには、御承知のとおり、工場の建物とかいうふうなものにビラを張ったり赤旗を立てたりすることがあるわけでございますが、そういうことをした場合にこの規定に当たるのじゃないかというふうに読んでおられるのではなかろうかと、これは推察でございますが、しかしそういう生産管理というのは、これはそれなりの法律的な評価もされておる今日でございますし、そのために赤旗を工場に立てておるとかいうふうなことが不動産の価額を著しく減少する行為ということにはならないというのは、これは法律専門家でなくても常識としてわかっていただけることだろうと思うのであります。  それから、さらに七十七条に至りましては、これはそういうことを申し上げては失礼かもしれませんけれども、現行法と対比していただけばすぐわかることでございまして、現行法のこれに相当する規定というのが民事訴訟法の六百八十七条なんでございますが、この規定はこれよりももっと強いわけでございます。むしろ現行法はもっと強権的になってくる、これがやはり適当でないということで要件を加重したりいろいろの緩和を図ってこの七十七条の規定ができておるわけでございまして、したがって少なくとも七十七条についても実質心配されるようなところは条文上はどこからも出てこないのみならず、それならば現行法でいいのですかというふうに反問したいくらいの気持ちなんでございまして、現行法よりもさらにそういう関係者の利益を図っておる、決して改悪でなくて改正されておる規定だと思うのであります。そういうふうなことだと思うのでありますけれども、現にそういうやはり懸念があることはこれは事実でございまして、その意図がどういうことか私にはつまびらかにできませんけれども、私どもとしては、そういった懸念が持たれる向きがあるとするならば、その懸念は懸念としてやっぱり謙虚に受けとめて、そういう懸念が全然ないようなことになることができるならばそういうことを検討してみようというふうな気持ちは先ほど申し上げたとおりあるわけでございますけれども、これはやはりこの条文についての冷静にお互い議論しますればわかっていただけることではないかというふうに私は思っておりますけれども、ただやはりそういった懸念が出てくるのも、こういった手続、まあ現行の強制執行なりあるいは関連する会社更生の手続等においてそういう労働者側からの不信感がやはりある、それが基本的にこういう条文についても、いわば私どもから申し上げれば誤解としか考えられない読み方をされる素地ではなかろうかというふうに受けとめておるわけでございます。
  115. 山本富雄

    ○山本富雄君 局長と全く同じなんですけれども、この各先生方の投稿の最後に全部同じようにこう書いてある。「国会での冷静にして良識的な討論を通じ、日本の法制の近代化の最後の課題である強制執行制度の脱皮が、本法案の速やかな成立により、一日も早く実現することを、専門の一学究として重ねて期待するものである。」。これは石川先生あるいは竹下先生、皆さんそういうふうに書いてある。私どもは一日も早い成立を、もちろん慎重審議はいたしますけれども、先ほど来の私が質問してきました経過等によって、一日も早くこれが実を結んで、まさに本法案が速やかに成立することによって日本の法制の近代化の最後の課題が、とびらが開かれるというふうになるように念願をするわけでございます。  時間があと少ししかございませんので、民事執行法のことはもうこれは専門家も大変だそうでございますから、本当に粗筋だけこちらから申し上げて、あと今度は司法書士法の方につきまして若干お尋ねをいたしたいと、こう考えております。  司法書士法でございますが、先ほど寺田先生がいろいろな角度で御質問なさいましたけれども、私どもこれは今度の改正も大賛成でございます。それこそ一刻も早く成立をさせたいというふうに政府・与党として考えておるわけでございますけれども、担当の第三課長がお見えでございますが、この司法書士制度の目的、司法書士の職責が法文上明記をされたということが一つの大きな今度の改正点だと思うのですけれども、その趣旨につきましてごく簡単で結構でございますからお話を願いたいと思います。
  116. 香川保一

    ○政府委員(香川保一君) 司法書士法の制定は相当、戦前からある法律でございまして、昔の法律はこういった法律の目的とかあるいは職責というふうなものを明確に規定するようなことは余りやっていない、そういうことでございますが、やはり司法書士制度の根幹と申しますか、そういう面から考えますと、法文上制度の目的というものを明確に打ち出しておくと、さらにまた、その制度を担う司法書士の職員というものをかくあらねばならぬということを法律上明確に規定するということがやはり司法書士制度の充実発展のためにも役立つことであろうと、こういうふうな趣旨で明記した次第でございます。
  117. 山本富雄

    ○山本富雄君 日本司法書士会連合会ですか、これが、私どもの仄聞をしている限りで、登録制度そのものを司法書士会でやらせてほしいと、日弁連などもそういうかっこうがあるわけなんですけれども、これを非常に強く最初希望したということ等も伺っておりまして、それらの経緯についてもう一遍ちょっとお話しを願いたいと思います。それがどういうふうに落ちついたかということでございます。
  118. 香川保一

    ○政府委員(香川保一君) 司法書士会連合会から司法書士の登録、これは国民に対してこの人は司法書士であるということを公証するものでございますが、そういう登録をぜひ連合会においてやりたいと、こういう強い御希望があったことは事実でございます。ただ、先ほども寺田委員の御質問についてお答えもしましたように、本来は国家事務でございますので国がみずからの責任においてみずからの負担でやるべき筋のものであろうと思うのであります。それを民間である司法書士会連合会に委託してやらせるというには、それなりのやはり合理的な理由がなきやならぬ。さらにまあ考えてみますれば、国の事務を民間に委託するについては、その費用はやはり国で負担すべき性質のものだろうというふうにわれわれは思うわけであります。しかし、そういうことがなかなか容易でもございませんし、またこの登録を単に右から左へ簡単にできるようなものというふうに考える向きがあるかもしれませんけれども、登録します場合には当然その司法書士の試験に合格した者についての欠格事由の調査もしなきゃなりませんわけですし、また登録を間違えばそれについて行政訴訟というふうなことにもなりかねないわけでありまして、そういうときにそういった面の訴訟追行というふうなことをやはり連合会がやらなきゃならぬというふうな、いろいろの費用もかかれば手数もかかるめんどうな仕事であるわけであります。司法書士会連合会がそういった費用も手数もかかる仕事をなぜ積極的にやりたいと、こういう要望なのか、まあ要するに司法書士の全国の会員を把握しておきたい、それによって自主的ないろいろの運営ができる基盤になると、こういうふうなお考えから要望されておることだと思うのでありますが、そういうことであるならば、何もそういった莫大な費用あるいは手数をかけてめんどうなことをやらなくてもほかに幾らでも方法があるわけでございます。したがって、それだけの手数、費用をかけるなら、この法改正を機縁にして国家試験が導入されたことでもございますので、司法書士の資質の向上といいますか、業務の改善にもっと力を入れていただくのが本筋じゃなかろうかというふうに考えるわけでありますが、ただ、そういった会員の把握というふうなことを別の方法で、つまりこの法案におきましては、登録の申請を法務局長にするに際して所属すべき司法書士会を経由して申請するというふうなことによりまして把握ということが十分できる、経由でありますればこれはそれこそ右から左にあれすればいいわけでございますので特に手数も費用も原則的にはかからぬであろう、そういうふうなことで、いわば要望の実質的な理由を、私どもは大部分と思いますけれども、あるいは半分かもしれませんが、満たしながら、しかし合理的な理由がない限り本筋どおり国でやるというふうなことに落ち着きまして、司法書士会連合会も私どものそういった趣旨を十分理解していただいて円満に話がついているわけでございます。
  119. 山本富雄

    ○山本富雄君 いまの局長のお話しの第六条の二ですね、「経由して、」というのがございますけれども、実質はそういうことで、それから筋は国の方で、こういうかっこうで十分理解をしていただいたと、こういうことでよろしゅうございますね。
  120. 香川保一

    ○政府委員(香川保一君) そのとおりでございます。
  121. 山本富雄

    ○山本富雄君 それから、先ほどもちょっと出ておりましたけれども、この法務事務官等あるいは裁判所事務官ですか、そういう多年おやりになった方々、十年ということになっておりますけれども、この方々に対しては資格を付与する、こういうのがございますね。それから一方では国家試験をやるということになりまして、需要と供給の関係があります。過当競争という話が出ましたけれども、そういう点につきまして、ぼくらの方は山間地、田舎ですから余りそう問題もないのじゃないかと思いますけれども、都市の方に集中化しまして過当競争の弊害というものが出てこやしないかと、そういう声も一部にあるわけでございますけれども、その点についてはどういうお考えをお持ちでしょうか。
  122. 香川保一

    ○政府委員(香川保一君) 国家試験を導入しました場合の一番この実質的なと申しますか問題はそこだろうと思うのであります。やはり国家試験であります以上は資格試験でございますから、司法書士の全国的な業務量を勘案してどうのこうのというわけにはまいらない問題でありますし、国家試験でございますから全国一律のいわば資格ということになるわけでございますから、御本人はきょうは東京で仕事をして、まあ横浜の方がいいということになれば事務所を横浜に移して横浜の司法書士会に入会してやるというようなことも自由にできることになるわけでございます。そういうことになりますので、この需給の調整というのがやはり相当実質的には問題になろうと思うのであります。これはやはりただいまのところそれをどのようにしたら法の趣旨に沿ってうまくいくかということをいろいろ検討いたしておりますけれども、ここでこれで大丈夫だというふうな案をお示しすることができないのはまことに申しわけないわけでございますけれども、やはりこれは司法書士会連合会ともいろいろ協議をいたしまして、各単位会においてもその問題をやはり真剣に考えていただいて役所と司法書士会との協力でいろいろのできる範囲のことをやっていかなきゃならぬ、しかもまた特認の制度につきましてもその面からの運用を十分配慮しなきゃならぬというふうに考えておるわけでございまして、いろいろの現在寄り寄り話はしておりますけれども、いましばらくひとつ時間をかしていただきたいというふうに思うわけでございます。
  123. 山本富雄

    ○山本富雄君 具体的にはそこが非常に実際にこれ運用されて問題になるだろうと私どもも思っておるのです。どうかせっかく御工夫を願いたいというふうに考えております。時間でございますので終わりにいたします。
  124. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 私はこの司法書士法の一部を改正する法律案をきょうは主体といたしましてお伺いしますが、寺田委員からも、また山本委員からも多少触れられておいでになります点もありますので、ちょっと重複するかもわかりませんけれども、御了承願いたいと思います。私は私の立場でお伺いするようになると思いますから。  そこで、目的と今回の法改正によります一条、それから一条の二という目的とか職責については質問をされましたので省略いたしますが、まず日本司法書士会連合会の陳情書が出ております。この陳情書の中で寺田委員も山本委員も、一、二とありまして、二番目の「三点を付加されるようにお願いいたします。」ということが出ております。この二番目の登録の件につきましてはいま二人の委員の方々に局長は答弁なさっておられますが、本来なら私は、きょうは時間的なあれがありますれば参考人の方として日司連の方々に来ていただいて、先ほど局長が円満な話し合いをなさったということで、この法案をおつくりになったということでございますが、私はその局長の言葉を信じないわけでもございませんけれども、本当は来ていただいて、どういう立場かということを詳細にお伺いしたかったわけです。そういうことが時間的にできませんので、残念ですがこちらの方においでになっておられるようなことでもございますので、やりとりのうちで今後の課題として申し上げたいこともございますので質問をいたしますが、この陳情書の二番目に「別紙法務省民事局大網案に左記三点を附加されるようお願いいたします。」と。この第一の、「現行法案第一条第二項の削除」ということがうたわれております。これはこの新しい今回の法律案の中の第二条の二項のところにあるものと同じだと私は思うわけですが、これをどういうふうなお考えで日司連の方のお考えを取り入れられなかったのか、こういう点についてまずお伺いをいたしたいと思います。
  125. 香川保一

    ○政府委員(香川保一君) 現行の司法書士法一条二項のような規定は各業法に設けられておるのが通例でございます。そういう線に沿った規定でございますが、実質的にこの二項が必要な理由を申し上げますと、まず一番端的に出てまいりますのが不動産の表示に関する登記手続を行っておる調査士というのがあるわけでございます。司法書士法の現行法で一条でございますが、法務局、地方法務局に提出する書類というのは、これはその限りにおきましては権利関係の登記の申請書のみならず、不動産の表示に関する登記申請書類も当然入るわけでございます。したがって、もしも一条二項を削除いたしますと、この一項からは不動産の表示に関する登記申請書類を作成するという業務、改正案で申しますれば二条・一項の一号の登記に関する手続について代理すること、この中に調査士の業務は全部司法書士ができることになるわけでございます。ところが、不動産の表示に関する登記手続というのは、これはなぜ司法書士の業務から外して調査士の業務にしておるかと申しますと、これは法律的な判断を加えるということにむしろウエートがあるのではなくて、調査測量の技能、さようなことで、土地の測量をするとか、あるいは建物の床面積は幾らあるかの調査をするというふうな、もっぱら技術的な面にウエートのある仕事であるわけであります。したがって、司法書士がそういう仕事をするというふうなことを考えて司法書士の認可もいたしておりませんし、また今回の改正法の施行後におきましても、そういった調査士の仕事もする前提での国家試験は考えていないわけであります。したがって、二条二項の規定をやはり現行の一条二項と同じような趣旨で設けておく必要が、端的には調査士との関係についてもあるということが言えるかと思うのであります。  さらにまたこれは、二条の二項、現行法で言う一条二項の規定というのは、実は、非常にこれは失礼になるかもしれませんけれども、日弁連が非常に気にされる規定でございまして、この規定を外しますと要らざる誤解を生ずるおそれがあろうかと、こういうふうな配慮もいたしまして、二項をそのまま現行法どおり改正案についても設けることにしたわけでございます。
  126. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 一応はわかるようでありますけれども、実際問題とすれば、都市は別といたしまして、過疎地なんかも、午前中にも局長の方からいろいろお話があったようですけれども、過疎地帯におきますと弁護士の人は少ないわけですよ。で、司法書士のところへ来る方々っていうのは、いろいろな問題を持ってくるわけですね。そこで、いろいろな相談を受けるわけです。そうなりますと、その調査士の方の分野にも、それから弁護士の方の問題についても、弁護士がやらなきゃならないような諸般のものにつきましても、調査士がやらなければならないような諸般のものにつきましても、行政士の方は行政士という者が大概おりますけれども、諸問題っていうものは窓口になってくるのはどうしても司法書士になってくる。  ちなみに、私はこの「法学セミナー」というのに出ております司法書士数と弁護士数と人口の現況というのを見ております。これは、弁護士数というのは昭和五十二年六月十五日現在、正会員のみ準会員その他を含まずとなっている。それから二番目は、司法書士数は昭和五十二年十月現在だと。それから三番目は、人口は一九七六年度の推計によるというふうな備考欄がございますが、いま私の申し上げた都市と郡部との司法書士の比率っていうものもここに出ております。そうしますと、私は北海道の方ですから、札幌の方、都市の方を見ますと〇・六五ぐらいで、それから、函館の方へ行きますと〇・三一、旭川に行きますと〇・二二、釧路へ行きますと〇・一二、平均しますと〇・四二、これは都市しか出てないと私は思うのです。この函館とか旭川とか釧路と限定されている地名ですから。そうしますと郡部に行きますと二条の業務の関係なんかもいろいろな問題が相談されてくるというようなことになってきます。そうしますといまの税理士法の二条ですか、税理士の業務、三項に相談業務とか規定されておる。あるいは弁護士法の七十二条に(非弁護士の法律事務の取扱等の禁止)というような条文がございますけれども、聞く側の国民の一人として見ればそんなことわからないのですよ。だから、いろいろなことを聞きに行くわけです。それにこたえるために、その司法書士の資質の向上とかあるいは品位の問題とかというようなこの司法書士のあり方というものが出ております。また、法律的にも諸問題がわかっていませんと、これは弁護士の方、これは調査士の方、これは公証人の方、こう分類するのにわからなけりゃなかなか分類できないわけです。そういうふうなことから考えていきまして、この事項が果たして削除の中に入るか入らないか私はお伺いするわけですがね、こういったようなことを考えられませんでしょうか。
  127. 香川保一

    ○政府委員(香川保一君) 宮崎委員の御質問の御趣旨は、つまり改正法案で申しますれば二条二項の規定を削除して、そしてその弁護士の本来の業務範囲にある法律相談が司法書士もできるようにという御趣旨でございましょうか。
  128. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 できるようにじゃなくて、現実的には知らない人が行くのですから何にもわからない人が。郡部へ行きますと、司法書士のところはみんな窓口のようになっていくわけです。そうしますと、いろいろな問題が出てくるわけですね。だからあらゆるものに精通しなきゃならない、法律に精通しなきゃならないという立場の上から考えていってみてどうなのでしょうかということを言っているわけです。
  129. 香川保一

    ○政府委員(香川保一君) 実際問題として田舎に参りますと、何か法律上のトラブルがあれば司法書士さんのところへ相談に行くというふうなことはこれはあり得ることでございますけれども、しかしそれを法律的にはっきりと公認するというふうなことはやはり弁護士制度との関係から申しても相当問題ではなかろうか。つまり、本来の司法書士の業務に関連してのいろいろの法律問題と申しますか、それを嘱託人の趣旨に沿うように法律的に整序するというふうなことはこれは司法書士としてできることでもあり、またしなきゃならぬことだと思うのでありますけれども、それとは一切関係がない、つまり登記にも何にも関係ないような、たとえば借地借家事件の法律相談に応ずるということになりました場合に、それは平素その面の勉強をしておられる司法書士さんもたくさんおられることとは思いますけれども、やはり国の法律でそういうものが法律問題、それがやはり間違いのないように相談に応ずるといいますか、あるいは指導するにしましても間違いなきを期さなきゃいけないわけでありまして、そういうことをやはり間違いなくやるためには現行法はそれが弁護士の仕事なんだというふうになっているわけであります。だから、司法書士がそういうふうな仕事もできるというふうにするためにはやはり司法書士制度のあり方を根本的に検討し直すということになるわけでございまして、率直に申しまして、私は弁護士でなくても――まあ弁護士でも結構なんでありますけれども、国民の法律生活についてのよき相談相手と申しますか、そういうものがぜひともなければならぬというふうに思うわけでございますけれども、今日の司法書士についてそういうことを業務範囲に入れるということは実際上非常に問題がございますのみならず、全国の司法書士がそういうことにたえるかどうかということをやはり十分考えなければならぬわけでございます。そういうことにするならば国家試験等もやはりその線に沿ったやり方をしなければならぬということになってくるわけであります。ちなみに申し上げますと、たとえば簡易裁判所の裁判官は現在裁判官として簡易裁判所の事件について判決をするわけでございます。その簡易裁判所の裁判官が裁判官をやめましてもこれは弁護士になれないわけでございます。弁護士法の中でそういう簡易裁判所の裁判をやってきた人たちすら弁護士の資格を与えないようなことになっておるわけでございますから、それとの均衡から申しましても司法書士について田舎といえどもそういった弁護士の仕事はやれるようにするということはやはり体系上相当問題ではなかろうか、だからやはり全体的にこの制度はさっき申しましたような国民のよき法律相談相手というふうな観点からやはり弁護士法も含めて見直すべき問題ではなかろうか、かように考えるわけでございます。
  130. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 国民のよき相談相手ということになりますれば、むしろ業務の二条の方の中に相談ということを一項目入れたらいかがですか、そういうよき相談相手となれる相談権といいますか、そういったようなことを考えてあげなければならないのじゃないでしょうか。後でまた報酬のことなんかも言うつもりでおりましたけれども、ついでに相談ということについて相談料というものを設けましたよと、それは一歩前進しておりますよという答弁があるのじゃなかろうかと思うのですけれども、いずれにしましても、このわからないで来る問題を処理していくという立場の上からいきますと、確かにいま局長の言われますことわかるのです、私にも。わかりますけれども、国家試験をまたそういうふうな方向にもっていかなければならないだろうというふうなお話もございましたけれども、それならそのように行き方も将来はこうしていくのだ、相談というものを相談権というものをこれは一応業務の中に織り入れたらどうなのか。この日司連の方々ですか、やりとりをずっと改正のことについて三段階の出ておりますね、これなんかにも修正要綱として第二の司法書士の職務となって三番目の問題はさっきに触れる問題ですけれども、「登記に関する原因証書の作成」、これになりますと公証人法の法律の第一条に決めてありますけれども、四の「前各号に規定する事項に関する相談」となっております。こういうふうに修正要綱として出されているというのはやはり相談を受けなければ何もできないわけです、どっちにどうやるんだかわからない。したがって少なくとも相談ということにつきましては弁護士法はまた別にしましてあるいは税理士法も別にしまして、修正要綱にありますようなことぐらいやっぱり一つの業務として明記してやるのが私は本当じゃなかろうかと思うのですがね、いかがでしょうか。
  131. 香川保一

    ○政府委員(香川保一君) 税理士のお話が出ましたが、税理士の相談に応ずるというのはこれは税務についての相談ということでございます。私ども司法書士のこの業務に関する相談というのは規定がなくても当然にこれはできることだと。つまり現行法で申しましても、書類を作成するといったって嘱託人が言うことを右から左に書くだけのことであれば、これはタイプライターと同じでございますから、そんなタイプライターのかわりをするようなものについて国が業法制定するなんてばかな話はないわけでございますから、当然やはりそこには法律的に整序して、嘱託人の所期する目的が十分かなえられるように法律的に整理すると、そういうことは当然司法書士としてできることであると。したがって、そういった登記なら登記に関係しまして法律相談を受けるということは、これは一向構わないことだと、明文の規定を待たずしてそういうことは当然できることだというふうに解釈いたしておるわけでありまして、それが証拠にと言ってはあれでございますが、お示しの報酬規定の中にもいま申しました解釈を前提にして相談料というものを設けておるわけでございます。その業務に関しないで一般的に法律相談に応ずるというふうなことを書くことは、先ほど申しました弁護士法との関係の調整があるわけでございますが、ちなみに申し上げますと、今回の改正法案の中でこの二条一項三号に規定しております「登記又は供託に関する審査請求の手続について代理すること。」と、これが新しく加わっておるわけでありますが、この規定すら日弁連は反対だというふうにおっしゃっておるわけであります。これはいろいろ御説明して、事実上は納得していただいておりますけれども、これは日弁連会長の正式の文書で法務大臣あてに反対だという書類が来ておるくらいでございますから、ここへ法律相談なんていうことになりますと、これはなかなか大変な問題になってくるわけでございまして、その辺の事情もひとつ御賢察賜りたいというふうに思うわけでございます。
  132. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 私は、ごく何にも知らない国民の一人として訪ねていっていろいろなこと聞くわけですよ。税金のことは税理士のところへ行け、それから法律相談は弁護士へ行け、その金を取らない、取るとかという問題じゃなくて、窓口がそうなっているのですよ、父祖代々。したがいまして、窓口でやるのにはやっぱり相談ということは含めていいのじゃないのかと、何にも知らない人いるのですよ。そういう人いないよということはないのです、いるのですよ。わからないのですよ。それはもう過疎地の方へ行きますとそうなるのです。それでさっき申し上げましたこの資料を参考にして、その比率の問題なんかこう考えてみましても、なぜ比率の問題を私は申し上げたかといいますと、そういう事情を申し上げるために言っただけであって、相談の相談料を含めてそういうものをやりましたよと、こうおっしゃられました。報酬の、あれですね、司法書士報酬規定、ちゃんとその相談料、一回千円なりでありますよ。これは「申請手続又は書類作成の受託に至らなかった場合に限る」こういうふうにわざわざ御丁寧に書いてありますが、これは、じゃこれで十分かどうかということも問題ですけれども、ついでにこの報酬規定というものが出ましたから申し上げますと、「裁判所等に提出する書類の作成」「1.文案を要するもの」これ実際取り扱っている方々は、原因証書を本当の意味の原因証書のようにつくっておられるのは一万四千人の司法書士の方々がやっておられるわけですよ、現実には、実際には。これ正本一枚ですか、一枚が千八百円。一枚千八百円落着じゃなくて、いま映画でやっていますわ、大岡裁判で。一件落着ならいいけれども、一枚落着という。この一枚ということだって相当込み入ったもの、簡単なものいろいろあるだろうと思うのですけれども、私は司法書士じゃございませんでわかりませんけれども、一枚幾らというより一件落着の方がよろしいのじゃないでしょうか。一枚落着より一件落着の方がよくわかるのじゃないでしょうかね。先ほど言いましたように登記に関する原因証書の作成、これだって本来ならば条文に入れるべきだと私は思うわけなんですが、こういう点なんかのお考えいかがでございましょうか。
  133. 香川保一

    ○政府委員(香川保一君) 現行報酬規定の御指摘の部分は、訴訟関係の書類の作成のところでございますか……。
  134. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 そうです。
  135. 香川保一

    ○政府委員(香川保一君) これは全般的に報酬規定がどういう体系がいいか、どういう仕組みにすればいいか、これはいろいろ問題がございまして、たとえばいまお取り上げになりました訴訟関係の書類は、最近大分そこのところはお考えも変わってきたと思いますけれども、やはりどうしても余りこれを高くするとなかなか何と申しますか、かえって困るのだというふうな御意見も強く出ておったときもあると思うのであります。確かに一枚幾らというよりは一件落着式に、一件幾らというふうにした方が司法書士の仕事らしい感じは私もいたしますけれども、この辺のところはやはり訴訟関係の書類というのは一件一律に幾らというふうにすると、実質的にはどうも不均衡を生ずるのじゃないかというふうな配慮から、こういうふうなことになっておることだろうと思うのであります。訴状が十枚の場合でもあるいは五枚の場合でもあるいは準備書面が一枚でも十枚でも同じ価格だというわけにもまいらぬことではなかろうかと。事案の複雑さというものが複雑であればあるほど枚数は多くなってくるというふうなことを配慮して、むしろ一枚幾らと決めた方が合理的じゃなかろうかと、こういう考え方だろうと思うのであります。ただ先ほど申しましたように、全般的に常に業務の需給関係も含めて、報酬体系がいかようにあるのが一番合理的かということは十分検討いたしたいと考えます。  それから登記原因証書の作成の問題は、これは法文上そういうことができるのだということを明らかにすればいいじゃないかと、こういうお話でございましたが、私どもは登記原因証書は登記所つまり法務局、地方法務局に提出する書類でございます。登記申請書とあわせて提出する書類でございますので、改正案で申しますれば二条一項二号の「書類を作成」ということの中に当然含まれておるというふうに解釈しているわけでございます。
  136. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 確かに相談料の値上げをするというのは、これは一般の立場から国民の一人の立場から言えばそれは安い方がいいのです。要するに生活権というのがかかってまいりますから、生活権というものがかかってくるということで、報酬のことでまた別な角度から局長に御一考願いたいことがあるのです。と申し上げますのは、かつて北海道の方は報酬が違っておりました。それは局長が第三課長おやりになった時分は一生懸命に力を注いで、北海道価格に相応するような報酬額を一割または二割の額を上げておられました。あれはたしか三十四年、三十七年、四十二年でございましたかあれは、廃止になったのは。何年でございましたかね、その点は私ちょっと覚えていませんけれども、いずれにしましても全国一律に報酬がなってしまいました。いま北海道の雪の話をしましても寒風の話をしてもこんな暖かい部屋じゃ感じませんけれども、三十四年、三十七年、四十年ごろといまとは天候はひとつも寒いということは変わらないでずっと来ているわけです。そういう面から考えましても、衆議院の方の附帯決議の中にも適正なる報酬ということが出ておりますが、適正なる報酬という面から考えまして、先ほど局長は毎年手数料については考えてやっているというふうなお話でございますが、こういうふうな面から、報酬全体についての考えと、いま私が申し上げました地域差というもの、地域価格というもの、そうじゃなくても北海道価格というのは本州よりすべてが高いので、道民にしてみれば高くなるのはいやなことでございますけれども、それはそれでまた寒冷地手当等で補っていくような法律的な行き方というものがまた考えられるわけでありますから、こういうふうなことをどういうふうに受けとめられておられますか。報酬というもの全体の問題とそして地域的な問題、この料金の問題の体系について御説明願いたいと思います。
  137. 香川保一

    ○政府委員(香川保一君) 最初の、地域差を設けると申しますか、特に北海道について配慮すべきじゃないかということでございますが、古い話で私詳細いま記憶いたしておりませんが、私が三課長当時、北海道地域について本土よりも若干、当時で二割が限度だったと思いますが高い手数料を大臣の認可をしていただいたときの理由は、北海道は非常に寒い期間が長うございますので、司法書士の事務所においてお客さんのためにも暖房費が相当本土よりはかかるということが一つ。それからもう一つは、一つの登記所の管轄区域が非常に広うございまして、司法書士があちこちの登記所に申請書類を出す場合の手数、時間、交通費というふうなものがとても本土並みではないというふうな実態にもございましたので、そういうふうな差を設けることにいたしたわけであります。それが今日は全国一律になっておりますのはどういうことか、恐らくは司法書士連合会がやはり地域差があるのは好ましくないというふうなお考えから、北海道の各司法書士会もそういう趣旨を納得されて一律になっておるのじゃなかろうかと思いますけれども、私は本質的に、かつては暖房ということを考えれば今日は九州においてはあるいは冷房料が高くつくというふうなことが出てくるかもしれませんけれども、やはりその辺のところは何も全国一律でなくても地域差があっても本質的には差し支えないことだと思うのでありますけれども、いまの司法書士の仕事は、必ずしも事務所の所在地の登記所に書類を提出するというだけではなくて全国をまたにかけておる司法書士もないとは言えないわけでありまして、やはりそういうときの手数料がどのように調整されなきゃいかぬかというふうな技術的にむずかしい問題もございますので、それらを含めてやはり先ほど申し上げましたように司法書士法の手数料体系というものを、報酬体系というものを十分再検討しなきゃならぬというふうに思っておるわけであります。
  138. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 話をまたもとへ戻しますけれども、先ほどの相談の問題で、昭和四十六年に最高裁の第三小法廷判決の件がございましたけれども、この件についての御所見はいかがでございますか。司法秩序の適正な保持という問題についての判決がありましたときの趣旨といいますか、そういう問題についての相談あるいは相談権というものに対する局長のお考えを伺いたいと思います。
  139. 香川保一

    ○政府委員(香川保一君) 現行法の解釈あるいは運用も含めた問題としては、私は御指摘の最高裁の判決は当然のことだろうというふうに思っております。ただ、先ほどもいろいろ御指摘ございましたように、田舎の方における住民の利便というふうなことを考えれば、やはり制度全体をいろいろの面から再検討してみなきやならぬのじゃないかというふうには考えております。
  140. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 報酬の問題等と相談権の問題等は今後の課題としていま局長が答弁なさいましたので、実行をしていただきたいと思います。  それから、衆議院の方で司法書士法の一部を改正する法律案に対する附帯決議がなされておりますが、この条項につきまして、先ほど私は報酬制度のことはお伺いしましたけれども、そのほかのことはまだ伺っておりませんので、これに対する、恐らく附帯決議をなさったときには大臣が御答弁をなさっておられると思うのでありますが、この附帯決議に対する一つ一つのお考え、今後はどういうふうにするという考え方、または新しく法を考えていくとか、よく連合会の方と相談をしてやるとか、いろいろな内容があると思うのですが、御説明願いたいと思います。
  141. 香川保一

    ○政府委員(香川保一君) 衆議院での附帯決議の第一点は、登記制度の適正な運用を図るための登記従事職員の充実とか、あるいは登記所の施設ないし環境の整備という点が第一点でございますが、これは従来から私ども努力いたしておることでございまして、何と申しましても現在の事務量に比しますと法務局の職員の絶対数が不足しておることは否定できないわけでございまして、増員に努めていかなきゃならないというふうに考えておりますし、また登記所の施設あるいは執務環境の整備につきましても、忙しければ忙しいだけさような周辺の物的条件の充足を図る必要があるわけでございますから、これも極力努力してまいりたいというふうに考えております。  それから一の(二)の不動産登記法十七条の地図の整備でございますが、これは登記制度の基本であるわけでありまして、登記簿におきまして当該不動産の権利関係をいかように明確にいたしましても、その権利の客体である土地建物自体の状況が明確に把握されてなければ絵にかいたモチと言われても仕方がないわけで、その土地の形状なりあるいは隣地との関係等を明確にするものとして、この不動産登記法十七条の規定による地図が登記所に整備されなきゃならぬということになっておるわけでございますが、遺憾ながらこれは莫大な金がかかることでございますので、今日まで満足のいく程度の地図の整備はできていないわけでありまして、御承知の国土調査法による地籍図が登記所に送付されてくるわけでありますし、また土地区画整理事業の換地確定地というふうなものも登記所に送付されてくるわけでありまして、かようなものは相当正確なものでございますので、この十七条の地図として取り扱うようになってまいっておりますが、法務局、登記所みずから自分の手で地図を作製するという段階にはまだまだ至っていないわけでありまして、ここ数年来予算措置を講じまして、モデル的に地図の作製作業を実施いたしておりますが、何分にも莫大な金のかかることでございますので、今日までの法務局は登記事件の急増と事務量の増大に対処することで精いっぱいであった関係もございまして、御指摘のとおり確かに地図の整備はおくれておるわけでありますが、しかし、先ほど申しましたその機能、重要性から申しましてぜひとも、まあ少しずつでも整備できるように努力していかなきゃならないというふうに考えております。  それから、「不鮮明な登記簿謄抄本の解消」と、これはまことに申しわけないわけでありますが、現在複写機を利用して謄抄本を交付いたしておるわけでありますが、登記簿の中には明治時代につくられた和紙による登記用紙もまだあるわけでございまして、あるいはまた戦争中のいわゆる仙花紙という粗悪な用紙を用いて登記用紙がつくられているのもあるわけでありまして、そのような用紙につきましてはなかなか技術的にいろいろ工夫はいたしておりますけれども、物理的に鮮明な謄本がなかなか出ない。そういうものは複写にかけないでということに相なりますと、職員が手書きをしなきゃならぬということになりますが、膨大な登記簿謄本の交付事務の現状から申しまして、手書きで謄本を作製し、交付するということは、言うべくして全く不可能なことだろうと思うのであります。したがいまして、私どもはさようなコピーに載りにくい不鮮明な謄写しかできない、そういった用紙につきましては予算措置を講じまして、いわゆるその書きかえ作業を傍ら賃金予算で進める等の努力をいたしておるわけでありますが、さらに若干金がかかりましても高性能の複写機を導入いたしまして、さような粗悪用紙でも鮮明に謄本が作製できるような措置も徐々に講じておるわけでありまして、これもやはり金のかかる仕事でございますので、一挙にはなかなかまいりませんが、その御趣旨の方向に沿って従来から努力をいたしておりますし、今後とも努力いたしてまいりたいというふうに考えます。  それから附帯決議の二でございますが、これは司法書士会が司法書士の研修をおやりになるというときには、私どもとしてはもうできるだけの協力はいたすというつもりでおります。  三番目の「司法書士会の自主的な内部規律により司法書士に対する国民の信頼を高め、社会的地位が向上するまう、司法書士会の指導に努めること。」と、これは今回の改正法案におきましても、各司法書士会が自主的に会員に非違があるような場合には注意勧告をするというふうなことも法律上明らかにしておりますし、何といっても自主的に会員の指導育成を図る――司法書士会というのはまさに法律もうたっておりますように、その点に存在価値が、存在理由があるわけでございますから、さような方向での司法書士会の活動に対しましては、私どもとしてはまあ「指導に努める」というふうになっておりますが、そういうことが司法書士会ができやすいようにできるだけの協力なりあるいは御相談に応じたいと考えております。  それから四番目の、国家試験制の導入に当たっての、いわゆる先ほど問題になりました需給の関係の問題でございますが、これは先ほども御答弁申しましたように一つの大きな問題でございますので、この線に沿って十分配慮をいたしたいと考えております。  それから五番目の、司法書士に対する公共登記の嘱託の推進、これは従来からやってきておるわけでございますけれども、なかなか成果がまだ十分上がっていないということはまことにそのとおりだと思うわけでありまして、これは相手のある話でございますので、十分さような協議を重ねて御趣旨に沿うようにしてまいりたいと考えております。  それからコンピューターの関係は、これはまあ現在私どもは実験段階と申しますか、まだまだいつから実施に移せるかのめども立たない、どれだけ金がかかるか、そういうこともまだ見当がつかないような段階でございまして、理論的には可能であることは言うまでもないわけでございますけれども、相当の金がかかることでございますので、いつごろから実施するかというふうなめども全然立っておりません。まあ五年ぐらいたってできるような性質のものではないだろうと、相当の期間かかるであろうというふうに考えておりますが、御指摘のとおりの関係者の意見も十分尊重しながら国民に迷惑をかけることのないように慎重に検討するということは当然のことでございます。  以上でございます。
  142. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 いま局長の御答弁も、私はもう何よりも実施をすることが先決だと思います。私どもこの法案を審議した後には、またそれぞれの希望、期待等というものも当然考えなければならないのじゃなかろうかと思いますが、それはまあそれとして登記所の問題というもの、これはもうこの前もお話しをいたしました、私どもが視察に行きまして。その後お行きになったかどうかわかりませんけれども、いずれにしましても整備することがよりその司法書士の方々の作業に大きな影響がくるということは、この第一の問題。それから第二の問題におきましては、司法書士会が行う研修事業に積極的に協力する。先ほど局長御答弁の中には、研修は日司連の方で一生懸命やればいいのだみたいな答弁があったように思うのですが、そうじゃないのでございますか。お金が大体連合会の運営費用として二千万から二千五百万かかるようだという、それはこれと違ったのでございますか。ちょっと私再確認のためにお伺いするわけですが。
  143. 香川保一

    ○政府委員(香川保一君) そのくだりを申し上げましたのは、日司連が御要望になっておりました、その登録事務を日司連がやるといたしますと、現在税理士会連合会がやっておるその登録事務の費用が二千万から二千五百万かかっておると、そういう趣旨でございまして、だから日司連の方もそういうところに金をかけるならば研修制度にもっと力を入れていただいた方がいいのじゃないかと、その研修制度の実施については私どもはできるだけ協力は申し上げると、こういう趣旨でございます。どうも役所がその研修をやるというふうなことはちょっと民間のそういう業者でございますから、役所が主権者としてやるということは余り好ましい姿でないから日司連が中心になってやっていただいて、私どもはできるだけの協力はすると、こういう形でまいりたいということでございます。
  144. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 この問題は私がちょっと聞き違っておりまして、聞き損なっておりまして、いまの御答弁でわかりましたけれども、この登記の手数料の問題もいろいろ私聞きたいことがあるのですがね、もう時間だってきたのです、あと十分ぐらいしかないということで。これに入っていきますと、ちょっとまた長くなりますのでやめますけれども、最後のコンピューターの話ございましたけれども、これはいま慎重な御答弁のように、あくまでもこれ人間関係でありましてね、そううまく機械を使えばというわけにもまいりませんしね。戸籍謄本の事務機械、あれなんかでも機械のいいのと悪いのとではずいぶん差があるようで、あれが全部またうまくいっているかというとうまくいっていませんし、そういうような一つの事例から考えていきましても、コンピューター問題というのはこれは全く慎重に、人間対の問題ということを常にお考えの上でこれは処理しなきゃいけないと思うのですけれども、いずれにしましてもこの附帯決議ということは国民の声と、こういうふうに私どもは申し上げて、対策を十分に練っていただきたいと思うのです。  それから最後に、補助者の問題につきましてお伺いしますが、この補助者というものの方々の中には相当実務に精通された方がいるのです。その方々が試験に行きましても、試験と実務と大分違うようで、法律の文章を書いたりなんかするのに非常にどぎまぎして試験に合格しない方々もずいぶん出ているというふうに思うわけですが、この補助者に対するこの業界の方は、二十年たった方々、優秀な方々を補助者表彰受賞者として発表しているわけです。恐らく私は、これに発表されている方々というのは相当優秀な業務に対する実力をお持ちの方々ばっかりだと思うのです。札幌の人なんか、これは私も存じておりますけれども、試験を受けてもなかなか受からないわけです。何とかこの人たちの育成、助成といいますか、便宜を与える考え方、こういうものに局長はどういうお考えを寄せておられるか伺っておきたいと思うのですがね。
  145. 香川保一

    ○政府委員(香川保一君) 先ほど来問題になりました試験の合格者のほかの、いわゆる特認の制度、この規定を、改正案では三条二号でございますが、お読みいただきますと、わかりますように、裁判所事務官、法務事務官等で「期間が通算して十年以上になる者又はこれと同等以上の法律に関する知識及び実務の経験を有する者であって、」云々という規定を設けておるわけでありまして、御指摘のような場合はこの後段の同等以上の知識と実務の経験がある者ということに該当しはせぬかと思いますけれども、国家試験を受けても皆落ちるということになりますと、これはちょっと具合い悪いのでございまして、むしろ試験を受けないで法務大臣の認定の方で配慮しなきゃならぬ問題だろうというふうに考えております。
  146. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 私はその答弁を待っていたのですが、試験に落ちる者全部という極端な行き方じゃございませんで、どうも苦手な人がいるわけです。そこでいま局長の答弁がございまして、法務大臣が認定するということですからひとつ大臣の所感を伺っておきたいと思うのですがね。
  147. 瀬戸山三男

    ○国務大臣(瀬戸山三男君) いま宮崎さんからお話しのことは実社会にたくさんあるのじゃないかと思います。十分検討しなきゃならないと、かように考えております。
  148. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 いずれにいたしましても、この司法書士法の一部改正する法律というこの法律が、局長も御答弁になりましたように、これから大きな問題も抱えられて変えていかなきゃならない諸問題等もあるわけであります。そういう観点の上から立って、附帯決議なりあるいは各委員の質問等を通じられまして今後のあり方というものが当然方向づけられてくると思うのでありますが、いずれにしましても日司連の方々とよく会合、合議をなさって、よりよい、国民が安心して相談が受けられるような方々が、定数の問題もあるでありましょう、お考えの頭の中の定数もあるでありましょうけれども、これらの国民の立場に立って、過疎の郡部、町村の人たちのためにどういうふうに処していくかということを重点的に頭の切りかえをしていただくことを要請をいたしておきたいと思います。これは局長並びに大臣の所見を伺ってこの司法書士法の一部を改正する法律案については質問を終わります。
  149. 香川保一

    政府委員(香川保一君) 御趣旨まことにごもっともでございますので、できるだけ日司連が自主的にそういった業務の改善等に努められまして国民の期待にこたえられるように私どももできる限りの協力なり指導はしてまいりたいというふうに考えます。
  150. 瀬戸山三男

    ○国務大臣(瀬戸山三男君) たびたび局長からも答弁しておりますが、この改正は司法書士法の改正としては相当画期的なものだと思います。そういう意味で、せっかくの改正が成立いたしましたらばそのねらいを生かすために努力をしたい、かように考えております。
  151. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 あとまだほんのちょっと残っておりますので、民事執行法案のことにつきまして一言だけ、これは私の質問の一環としてお伺いをするわけでございますので……。  先ほど来からこの民事執行法案の入り口といいますか、経緯といいますか、歴史的なものにつきましてるる御説明がございました。したがいまして重複することを避けようとしておりましたけれども、やはり大事な、法案のもとになりました基本的な考え方というのはやはり私は私なりに聞いておきませんとなりませんのでお伺いをするわけでありますが、この四十三年の十一月から実質的な審議に入られたという、で今日に至っているという、そういう提出経緯から考えまして、実務界が非常にこれを注目しているということであります。そのいろいろな懸案になっている諸問題というものから立法されたということでありますが、担保の取引とかあるいは債権回収等々、実務にも相当影響の大きい法案であろうというふうに思います。その実務者、実務界の受けとめというものに対する実務界との話し合いというもの、あるいはそういう人の声というものを今日どのように受けとめておられるか、伺っておきたいと思いますが。
  152. 香川保一

    政府委員(香川保一君) 経済界のみならず、いろいろの取引界、実務界ということかもしれませんが、実体法としてはいろいろの手当てがあるわけでありますけれども、そういう実体法による権利実現の方法としての今日の強制執行制度なりあるいは競売制度というものがいろいろ問題があるということで、実は実体関係が、実体法がいかに整備されてもそれの究極的な権利実現の法律が、法制度が十分整備されなければはなはだしり切れトンボになってしまう、こういうふうな御批判がずいぶんあったわけでございますが、そういう観点から今回の強制執行部会における改正作業におきまして、先ほど申し上げましたように第一次試案、あるいは第二次試案、最終案の、そういったことを公表しての実務界からの反響と申しますか、意見を寄せられる点は、大筋においては非常に私は歓迎されておるというふうに思うのでありまして、結局まあ究極の法案におきましては実務会、裁判所弁護士会含めまして、実務あるいは金融機関あるいはその他の経済界等の御意見は全部賛成というふうに承っておりますので、さような意味からこの法案のできるだけ早い成立施行を期待されておるというふうに考えております。
  153. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 先ほど申し上げましたように、この問題についてはまだ慎重審議を続けなきゃならないという立場の上から一つだけ伺っておきますが、本法案は債務者の利益保護を重点に置いておるというそういうことでありますが、現行法とどういう点が大きな問題点として取り上げられてあるか、それだけきょうは伺って質問を終わりたいと思います。  債務者の利益ですね、債務者の利益保護ですね。利益保護にも重点を置いていると言われておりますが、現行法に比べてどういうふうな点を大きく置かれたか、その点だけ伺って終わりたいと思います。
  154. 香川保一

    政府委員(香川保一君) その大きな点を申し上げますと、一つは、現在債務者の生活の保護という観点から差し押さえ禁止財産というものを法定しておるわけでございます。これが果たして現状にマッチしておるかどうかということから再検討いたしまして、この点のやはり保護を厚くする意味でそれぞれ差し押さえ禁止財産の範囲の拡大と申しますか、基本的にはそういう方向でありますが、ただそれをもってしましても、一律的なそういう禁止規定だけでは事案に応じては足りない面もございますので、裁判所が事案に応じてはその差し押さえ禁止の範囲をさらに拡大すると、場合によればまた減縮するということも裏表として規定いたしておりますが、そういう裁判所の事案に応じた配慮によりまして債務者の生活の保護を図るということが一点でございます。  それから、強制管理におきましても現在はそういう規定ないのでございますけれども、たとえば建物の強制管理をするというふうなときには、管理人は第三者にそれを貸すというふうなことになるわけでございますけれども、やはり生活の本拠という面もございますので、場合によりましては事案に応じてその建物の一部の使用を認めるというふうなこともやっておりますし、あるいはたとえば借家ばかり持っておられる人が借家の家賃の上がりで生活しておるというふうな場合を考えました場合に、その建物が強制管理になったというときには、その収受される家賃というのは現行法におきましては全部債権者のところに配当されることになるわけであります。そういうときにもやはり債務者として最低の生活を維持するためには、どうしてもその上がってくる家賃の一部の分与を受けなければ困るわけでございますので、そういう一部分与の制度も新しく設けることにいたしております。そういう点が大きな一つの債務者の生活保護という観点から見た改正点だろうというふうに考えております。
  155. 江田五月

    ○江田五月君 先に、司法書士法の一部を改正する法律案から伺います。  現行の司法書士法には、この改正法律案の一条とか一条の二とかというような規定がありませんが、しかし、いまでももちろん司法書士の制度はあるわけで、その司法書士の制度がその業務の適正な実行によって、「登記、供託及び訴訟等に関する手続の円滑な実施に資し、もつて国民の権利の保全に寄与する」と、そういう制度であることはこれは間違いないし、さらに一条の二のような司法書士の義務があることもまた間違いのないところだと思いますが、いかがですか。
  156. 香川保一

    ○政府委員(香川保一君) 現行法におきましても趣旨は同じだというふうに考えております。
  157. 江田五月

    ○江田五月君 この司法書士法の改正法を立案するに当たりいろいろ聞いてみますと、司法書士会の意見はいろいろとお聞きのようでありますが、司法書士会も見方によれば一部のある業者の団体であって、それに対するやはり消費者の側の意見というものも十分に聞かなければならないところがあろうかと思います。消費者というのはその場合司法書士のお客さんであると思いますが。で、司法書士と国民とのつながりということになりますと、特定の司法書士を自分のところの顧問司法書士のように使っている企業等もあるかと思いますが、一般の国民にとってはやっぱり司法書士の事務所に行って書類を作成していただくというのは一生に何回かしか、何回もあるかどうかということではないかと思います。そういう一般の国民に対するサービスが十分に果たされているのかどうか、司法書士会の意見だけでなくて、もっと違った角度から、たとえば苦情の処理を受けつけるとか、いろいろなアンケートをとるとかいろいろありましょうが、国会の審議もその一つではあるかもしれませんけれども、そうしたことをいままでおやりになったことがおありかどうか、伺います。
  158. 香川保一

    ○政府委員(香川保一君) 一般の国民からの司法書士制度全体についての意見というのは、苦情といいますか、そういうものは今日まで出たことはございませんが、個々の司法書士の業務ぶりにつきましてはいろいろ批判も法務局の方には届いております。  そういうことの中で一番大きいのは業務の処理が迅速でないというふうなこと、あるいは報酬規定に違反しておるというふうなことが非常に多いわけでございまして、そういう都度会の方にも連絡して、そして極端な場合といいますか、責めるべき場合には懲戒処分を活用して懲戒処分をやっておると、こういうようなことで、国民の声は十分その業務の運用については反映されておるというふうに考えております。
  159. 江田五月

    ○江田五月君 その懲戒ですが、これは現行の十二条に基づく懲戒であろうと思いますが、たとえばいま一番最新の年度でわかっている年度というどいつの年度になりましょうか。それをどういう内容の懲戒が行われたか教えていただけますか。
  160. 香川保一

    ○政府委員(香川保一君) 一番新しい五十二年の四月一日から五十三年の、本年の三月三十一日まで一年間の懲戒処分を申し上げますと、一番重い認可の取り消しというのが三件ございます。それから業務停止、これは現行法のもとでのことでございますので、六カ月以上の業務停止が一件、それから三カ月以上六カ月未満の業務停止が二件、一ヵ月以上三カ月未満の業務停止が三件、一カ月未満の業務停止が二件、それから戒告でございますが、これが八件、計十九件の懲戒処分例がございます。
  161. 江田五月

    ○江田五月君 そういう懲戒の事例は、たとえば現行法では十二条の場合に、この法律に違反したときということになりますが、仮に、品位を保持し、業務に関する法令、業務に精通し、公正かつ誠実に業務を行うという、こういう抽象的な規範に著しく違反しているような場合は、これは現行法では懲戒の対象にならないわけですか。
  162. 香川保一

    ○政府委員(香川保一君) 各会則では品位保持の規定を現在設けておりまして、会則違反に当たる場合もございますし、それからこの司法書士法の委任に基づく司法書士法施行細則、これは法務省令でございますが、これにもやはりそういった業務の適正な運用ということについていろいろ規制を設けておりまして、それらの規定に違反するということが考えられます。
  163. 江田五月

    ○江田五月君 そうした一般的抽象的な公正とか誠実とかというようなことに著しく違反しているような理由でこの懲戒を受けているような事例がどのくらいあるかというのはおわかりになりますか。
  164. 香川保一

    ○政府委員(香川保一君) 詳細、懲戒処分例の内容、いま具体的に持ち合わせていませんのであれでございますが、たとえば先ほど申しました業務停止の中で処理遅滞というふうな理由で二件業務停止がなされております。これなんかがいまお示しのようなあれになるのじゃなかろうかと思います。
  165. 江田五月

    ○江田五月君 今度の改正法では、一条の二に違反するというのは十二条にはっきりとひっかかってくることになると理解してよろしいですか。
  166. 香川保一

    ○政府委員(香川保一君) そのとおりでございます。
  167. 江田五月

    ○江田五月君 この監督ということをやはり相当に真剣にやっていただく必要がある例もあるのではないかと思いますが、先ほどの宮崎委員のお話の一枚落着ということでしょうか、訴訟関係の書類を作成する場合に読みにくい非常に大きな字で紙に書きなぐって一枚終わりと、次に二枚目といってどんどんお金をとるというような例もあるように聞いておりますし、あるいは裁判所に出すいろいろな書類の場合に、たとえば手形に関する訴状なり仮差し押さえ申請書なりはできても、それが小切手に変わるともうできないというようなケースもあるわけでありまして、十分な監督をお願いをしておきたいと思いますが、決意のほど伺っておきます。
  168. 香川保一

    ○政府委員(香川保一君) 法務局長、地方法務局長には懲戒処分という権限があるわけでございまして、事案に応じてこの懲戒制度の趣旨に沿うように運用に努めなきゃならぬことは申すまでもありませんが、まあ私どもとしては一般監督権というふうなものはないわけでございます。したがって、できるだけ司法書士会あるいは連合会が自主的にそういった会員の非行のないように業務改善なりあるいは品位保持指導に努めていただくようには十分お願いして、ともども御指摘のようなことのないように努めてまいりたいというふうに考えております。
  169. 江田五月

    ○江田五月君 いまの懲戒に関してもう一点。  現行法では十二条三号認可の取消という処分になるわけですが、これが登録の取り消しに変わるわけです。登録の取り消しということと資格を失うということは、これは別になるわけですが、登録が取り消されたら資格はすぐになくなるというのが四条の五号の趣旨であると考えていいわけでしょうか。
  170. 香川保一

    ○政府委員(香川保一君) 登録の取り消しを受けますと司法書士ではなくなるわけでございますが、司法書士となる資格は登録の取り消しだけではなくならないわけでございます。したがって四条の五号は登録の取り消しを受けますと、その処分の日から三年を経過しない者は登録ができませんから司法書士にはなれない、こういうことになるわけでございます。つまり国家試験に合格した者は司法書士となる資格が付与される、それが登録によって司法書士となるわけでございますから、そういう関係でございます。
  171. 江田五月

    ○江田五月君 わかりました。  いまの資格のことですが、改正法の三条の一号が資格試験、二号の方は特認ということですが、特認に関してはいろいろな検討すべき事項があろうと思いますが、あるいはこの国民の一部からは一生懸命自分たちは司法書士試験に合格するために勉強をしてやっとその資格を取得するのだ、それなのにある特定の人たちは一定の経験があるというだけで司法書士になる資格を与えられる、これが本当に法のもとの平等に合致すると言えるのかというような疑問を持つ向きもないわけではないのでありまして、この三条の二号の方が論功行賞的な運用あるいは天下り的な運用になっては、これは非常に困るわけでありまして、司法書士の制度の本来の姿を逸脱しないような運用をぜひともお願いをしておかなければいけないと思いますが、その点はいかがでしょうか。
  172. 香川保一

    ○政府委員(香川保一君) 御趣旨ごもっともでございますので、そういう御懸念のないように十分運用は注意いたしたいと考えます。
  173. 江田五月

    ○江田五月君 次に、民事執行法について伺います。  民事執行法案は、これは昭和二十九年の法務大臣諮問第十二号に対する法制審議会の答申に基づいて立案されたものという理解でよろしいですか。
  174. 香川保一

    ○政府委員(香川保一君) そのとおりでございます。
  175. 江田五月

    ○江田五月君 その諮問第十二号に対する答申というのはいろいろな部門に分かれて、たとえば昭和三十二年の滞納処分と強制執行等との手続の調整とか、昭和三十九年の手形訴訟制度の改正とか、昭和四十一年執行官法の制定とかというぐあいにさまざまな部門に分かれているようでありますが、これで、この強制執行、民事執行関係のこの諮問に関する制度の整理が一応終わったといいますか、総仕上げになったというふうにお考えになっているわけでしょうか。
  176. 香川保一

    ○政府委員(香川保一君) 手続法的な問題としては、今回の民事執行法案で終わりでございますが、一つ、これは直接関連――論理的に関連があるという意味ではございませんが、滞納処分との調整の関係はいま一度再検討する必要があろうかと思いますのと、それからもう一つ、この諮問の強制執行というのは、これは広義の意味でございまして、したがって仮差し押さえ、仮処分の関係の実態的な側面の検討がなお残ると、これは引き続き検討してまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
  177. 江田五月

    ○江田五月君 そうしますと、多少保全の関係で残るところはあったとしても、執行に関してはこれが基本法になると、法制の近代化の最後の課題としての執行法の近代化をなし遂げた、いわば何といいますか、時代を画するものであるというような御理解をなさっていると理解してよろしいですか。
  178. 香川保一

    ○政府委員(香川保一君) 長年の懸案であった強制執行競売の法律改正ができ上がるということでございまして、私ども画期的だとか、そういうふうな評価は、別にそう大それたことを考えておるわけではございません。
  179. 江田五月

    ○江田五月君 民事執行法については、それは将来の運用からいろいろまた問題が出てくれば別ですが、いま考えられる範囲では、一時的な手直しとか手当とかというのでは、なくて、一つの単行法をつくったものだというお考えであることは間違いないのだと思いますが、いかがですか。
  180. 香川保一

    ○政府委員(香川保一君) そのとおりでございます。
  181. 江田五月

    ○江田五月君 そういうものであろうという私も理解をするわけですが、それにしては、どうも多少中途はんぱなところが幾つかあるのでは云いかという気がするのですが、たとえば配当要求ですが、配当要求が債務名義等を持っている者、それと仮差し押さえ債権者、これは強制執行の差し押さえの登記後の仮差し押さえ債権者、それと一般先取り特権を書面によって証明した者というようなことでありますけれども、もともと仮差し押さえというのは、これは配当要求をするための制度ではない。将来の執行を保全する制度でありまして、こういう仮差し押さえをこういった配当要求の資格に流用するということになると、果たして本来の仮差し押さえの審理のときに保全の必要がないというような結論に達した場合でも、なお配当要求のために必要だというようなことまで保全の必要に入ってくるのかどうか、どうも制度をむやみに流用してきて本当の、正面からこの配当要求のことを根本的に考えている対応とは言えないのじゃないかという気がちょっとするのですが、いかがでしょうか。
  182. 香川保一

    ○政府委員(香川保一君) 法案御説明申し上げますと、仮差し押さえをしただけで配当要求はできることにいたしておりますけれども、さようにいたしました趣旨は、本来の仮差し押さえの趣旨で財産の逸脱を防ぐということで、仮差し押さえをしておる、そういう仮差し押さえ債権者というのは、一方で債務名義を得るための手続、本訴を起こしておるわけでございます。そうしますと、せっかく仮差し押さえをしておきましても本訴での判決が確定する前に配当が終わってしまいますと、仮差し押さえ債権者は何のためにあれしたのかわからぬという結果になりますので、したがって仮差し押さえ債権者はその段階では債務名義がないけれども、配当要求だけは認めると。そうしまして配当の段階になりました場合には仮差し押さえ債権者のために、その充てるべき配当金額を供託しておきまして、そして債務名義ができたときに現実に施行する、こういうふうな仕組みにしておるわけでございまして、したがって、これは現行法のようにだれでも配当要求ができるということならともかくといたしまして、先ほど申しましたような趣旨で配当要求あるいは配当手続の合理化を図るとしました場合に、仮差し押さえ債権者を全く配当から除外するということはかえって仮差し押さえ債権者の保護には欠けるという非難があろうかと思うのであります。そういうことで配当要求は仮差し押さえの段階だけで認めると。しかし、実際の配当は債務名義を得てなければ交付しない、こういうふうな立て方にしたわけでございます。
  183. 江田五月

    ○江田五月君 そうすると、この九十一条一項の二号によって、供託された配当金については仮差し押さえ債権者が債務名義まで取得しなければ実際に配当金を受領することはできないということになるわけですね。
  184. 香川保一

    ○政府委員(香川保一君) そのとおりでございます。
  185. 江田五月

    ○江田五月君 そうすると、これまでの強制執行法の根本にある平等主義というものは果たして一体どういうことになるのか。一方で平等主義をとりながら、どうも手続上、非常にその平等主義を完全に変えてしまうような結果になるのではないかとちょっと思いますけれども、どういうことになりますか。
  186. 香川保一

    ○政府委員(香川保一君) 確かに強制執行につきまして現行法のような徹底した平等主義をとるか、あるいはドイツ法のように優先主義をとるか、この辺のところは一つの大きな政策問題だと思うのであります。わが国の実情から申しますと、また関係の法体系の違うドイツのようないわゆる差し押さえ債権者を最優先にする、そういった優先主義というのは実情に合わないだろうと。しかし、さればといいまして、現行法のように債務名義を得て強制執行に着手する債権者と、債務名義が何もなくて配当要求する者と全く平等だという徹底した平等主義というものも、かえって不都合な結果になるのではなかろうかというふうに考えまして、したがって、いわばこの法案の今回のその面の改正は半分ぐらい平等主義を修正したというふうな見方が実質的ではなかろうか、こういうふうに考えております。
  187. 江田五月

    ○江田五月君 仮差し押さえがあれば一応裁判所の、先ほどの局長のお言葉ですとレビューを経ているということでしたが、それだけでは本当に債権の満足を得られず、やはり債務名義までとらなければいけないという、それでよくわかるわけですが、仮差し押さえで配当要求の資格があるということになりましても、やはり、レビューはしていたとしても、無名義の場合よりは程度の差はあるかもしれませんが、仮装は不可能ではない。しかも仮差し押さえ決定を得る段階で担保は提供していたとしても、これは債務者に生ずべき損害であって、第三者に生ずる損害の担保ではないわけでありますから、どうも根本的な見直しということになると、もっと何か大きな見直しが必要なんではないかという気がしているわけです。  それからもう一つ、一般先取り特権ですが、これは民法三百六条のほか、商法二百九十五条の先取特権も含まれると考えてよろしいわけですね。
  188. 香川保一

    ○政府委員(香川保一君) 商法の先取特権も含まれます。
  189. 江田五月

    ○江田五月君 雇い主が会社の場合と個人の場合とで非常に差ができるということになるわけですが、その点はいかがお考えなんですか。
  190. 香川保一

    ○政府委員(香川保一君) その点につきましても、現行の民法、商法における先取り特権の制度というのは私はやはり再検討すべき時期に来ておると思うのでありまして、法制審議会の民法部会におきまして、近いうちに担保制度全般についてもう一度見直しをしていただく。そちらの方の実体法の改正まで今回一緒にやるべきだという御意見ももちろんあろうかと思うのでありますけれども、やはりなかなかそこまで広げますといつの日にでき上がるか、かえっておくれるおそれもございます。先ほど御指摘の仮差し押さえの問題も、確かに御指摘の問題は執行の問題ではなくて、むしろ先ほど申し上げました作業として残っておる仮差押さえの実体法の面を再検討しなければならない問題であるわけでありまして、その辺のところが今後の大きな課題として残されておるというわけでございます。
  191. 江田五月

    ○江田五月君 ついでにいまの点で伺っておきますと、民法三百六条の方は退職金は含まれるというふうにお考えでしょうか。それから、商法二百九十五条に社内預金は含むというふうにお考えでしょうか、どうでしょうか。すぐにお答えなれなければちょっと後で結構です。
  192. 香川保一

    ○政府委員(香川保一君) その辺についての有権的な解釈はまだなかなか確立してないわけでございますけれども、私は退職金は入っていいのじゃないかと。社内預金はちょっとむしろ消極的に考えるわけでございます、ただ、まだ自信のある答弁ではございませんが……。
  193. 江田五月

    ○江田五月君 次に進めますが、いまの点やなんかもまだまだこれから根本的な見直し、執行だけでなくて実体法との絡みで見直していかなきゃならぬ点だと思いますが、もう一つ、最近公害の訴訟とかあるいは環境に関する訴訟とかで不作為命令が出されるケースというのが次第に多くなりつつあると思います。これからもだんだん多くなってくると思います。たとえばつい最近、ちょっと前ですが、非常に大きな問題になったケースで言えば、大阪高裁の昭和五十年十一月二十七日の判決、大阪国際空港公害訴訟、これが主文第一項の(一)は、「被告は」ある「原告らのために、大阪国際空港を毎日午後九時から翌日午前七時までの間、緊急やむをえない場合を除き、航空機の離着陸に使用させてはならない。」という、そういう主文でありますけれども、こうした不作為命令の執行について、一体いままでの給付命令は給付の内容が非常に厳密に特定をされていて、何の判断もなくそれを実現するということができなければ給付命令としてなかなか強制履行はむずかしいのだというような考え方で果たしてやっていけるのかどうか。その強制執行のあり方がこれからのこの複雑な時代にいままでの考え方どおりでいいのかどうかというような点も根本的な検討をしていかなければならないと思います。  これは法務省民事局参事官室でこの強制執行法、これは強制執行法案要綱案というふうになっておりますけれども、第二次試案では不作為義務の代替執行のことも触れておいでですね。こうした不作為義務の代替執行というような考え方がこの成案を得る段階では完全に消えてしまったということは一体どういう事情なのか、御説明をお願いします。
  194. 香川保一

    ○政府委員(香川保一君) この第二次案に盛られておった規定につきましては、理論的にはこういう方向が私は正しいとは思うのであります。ただ、これを実際運用していただくのは裁判所であるわけでありまして、最高裁判所初め一線裁判所の裁判官の御意見もいろいろ承ったのでございますけれども、とても裁判所としてはこういった規定の運用は責任が負えぬと、こういう――確かに理想過ぎる面もございますので、運用となりますと確かに裁判所としてはむずかしい問題だろうと思うのでありますが、そういうことでございましたので、余り理想に走り過ぎてもというふうなことでこれをやめにしたのでございますが、私は先ほど申しましたように、仮処分の実体的な面の改正を考えなきゃならぬわけでございまして、やはりあの問題と一緒にしてここのところはやはり考えないと法体系としてはきわめてちぐはぐなものになってしまうというふうな感じがしておるわけでありまして、なかなか理想的にはこの二次試案のような形が理論的にも正しかろうと私は思いますけれども、運用の問題としてはまだまだむずかしい。それよりは仮処分制度の実体的な面のひとつ十分な検討をして、成案を得ていずれ国会に提出申し上げるわけでありますが、その際にやはりこの問題もあわせて検討をしなきゃならぬかなというふうに考えております。
  195. 江田五月

    ○江田五月君 いまの点は、不作為命令だけじゃなくて、作為の給付命令の場合でも、たとえば相隣関係の場合とかあるいは所有権に基づく妨害予防というような場合に、工事を実際は命ずる権利があっても現実にどういう工事をするかというようなことが特定をすることは非常にむずかしいわけで、したがって、あらかじめ工事をして後に費用を要求するというようなことにならざるを得ないというのがいまの実情になっているわけで、そういう場合に、執行する方法がはっきりしないものだから、権利があってもその実現ができないということがいまあるわけでありまして、裁判所の苦労はもちろんわかるわけですけれども、非訟的な観点を執行の中にも次第に取り入れていかなければいけない分野が広がってきていることだと思います。  さらにまた、このいまの第二次試案だと、保全についても仮差し押さえ、仮処分ということで、保全の命令と執行と両方合わせて一つの考え方をお出しになっている。そして、その中では、保全の命令と本執行への移行の点までもきちんとした整理をされているわけですが、こういう点も落ちているので、この民事執行法案、まだまだこれから検討しなければならない問題がたくさんあるのだというふうに思います。そうしたことについてこれからさらに一層の御検討をお願いをしておきたいと思います。  その決意を伺って質問を終わります。
  196. 香川保一

    ○政府委員(香川保一君) 仮差し押さえ仮処分の実体的な規定は、今回の法案に落しておりますのは、やはり民事執行法案ということの法律の中にさような実体規定が入ってくるのはいかがかという法律の体裁の問題があるわけでございます。しかし、さればといって、仮差し押さえ、仮処分、保全訴訟の実体的な整備と申しますか、検討もやはり早急にしなければならぬということで努力してまいりたいと思います。  それから、そのほか先ほどの作為、不作為義務の履行の関係でございますが、これも何もかも後に置いてきたような感じでございますけれども、これはやはり民法自身の実体法の問題を何とかしていただかぬことにはなかなか強制執行の面で現在起こっておる諸問題を解決するというのはちょっと私は限界を超えているというふうに思うわけでございまして、当然いわば執行法の関連の実体規定というものを、先ほどの先取り特権も含めまして、やはり早急に再検討すべきだということで努力してまいりたいと思います。
  197. 中尾辰義

    ○委員長(中尾辰義君) 両案に対する本日の審査はこの程度といたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後五時四十八分散会      ―――――・―――――