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1978-04-13 第84回国会 参議院 法務委員会 7号 公式Web版

  1. 昭和五十三年四月十三日(木曜日)    午前十時一分開会     ―――――――――――――    委員の異動  四月十二日     辞任         補欠選任      熊谷太三郎君     玉置 和郎君      下田 京子君     内藤  功君     ―――――――――――――   出席者は左のとおり。     委員長         中尾 辰義君     理 事                 八木 一郎君                 山本 富雄君                 寺田 熊雄君                 宮崎 正義君     委 員                 大石 武一君                 上條 勝久君                 玉置 和郎君                 初村滝一郎君                 丸茂 重貞君                 阿具根 登君                 秋山 長造君                 小谷  守君                 内藤  功君                 橋本  敦君                 円山 雅也君                 江田 五月君    国務大臣        法 務 大 臣  瀬戸山三男君    政府委員        内閣法制局第二        部長       味村  治君        防衛庁防衛局長  伊藤 圭一君        法務政務次官   青木 正久君        法務大臣官房司        法法制調査部長  枇杷田泰助君        法務省刑事局長  伊藤 榮樹君        公安調査庁次長  鎌田 好夫君        外務省アジア局        長        中江 要介君        文部省大学局長  佐野文一郎君        海上保安庁次長  向井  清君    最高裁判所長官代理者        最高裁判所事務        総局刑事局長   岡垣  勲君    事務局側        常任委員会専門        員        奧村 俊光君    法制局側        法 制 局 長  杉山恵一郎君    説明員        警察庁警備局参        事官       近藤 恭二君    参考人        新東京国際空港        公団総裁     大塚  茂君        東京電力株式会        社常務取締役   門田 正三君     ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○刑事補償法の一部を改正する法律案(内閣提出、  衆議院送付) ○検察及び裁判の運営等に関する調査  (尖閣列島領海侵犯事件に関する件)  (新東京国際空港周辺の治安に関する件)  (弁護士に関する件)  (政治献金問題に関する件) ○参考人の出席要求に関する件     ―――――――――――――
  2. 中尾辰義

    ○委員長(中尾辰義君) ただいまから法務委員会を開会いたします。  委員の異動について御報告いたします。  昨十二日、熊谷太三郎君及び下田京子君が委員を辞任され、その補欠として玉置和郎君及び内藤功君が選任されました。     ―――――――――――――
  3. 中尾辰義

    ○委員長(中尾辰義君) 刑事補償法の一部を改正する法律案を議題といたします。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  4. 寺田熊雄

    ○寺田熊雄君 これは法務大臣なり刑事局長から御答弁をいただければ結構ですが、刑事補償法の第三条第二号の問題ですが、第三条第二号の場合、勾留の理由が主として無罪部分の事実にかかっている場合、この部分についての起訴がもしなかったとしますと、恐らくは勾留せられなかったであろうと考えられる場合が実務上ありますね。たとえば、有罪部分については、逮捕せられ捜査官から取り調べを受けた場合に、きれいに自白している、それから住居も一定しておる、これは勾留の理由あるいは逮捕の理由がありませんから身柄を不拘束のままで起訴するということは考えられますね。ところが、他人の犯罪をかぶせられて、そのゆえにその人間が強硬に否認する。そこで捜査官がこれを逮捕、勾留してしまう。ところが、その否認部分が捜査段階で、あるいは自白があるかもしれませんし、否認のままでいく場合があるかもしれませんが、その部分は裁判で無罪になり、そしてそれが確定したというような場合には、やはりその勾留の理由というのは、その誤った起訴にあるということが大体明らかなように思いますが、そういう場合は、やはりこの刑事補償法による補償は受けられるわけでしょうね。どうでしょうか。
  5. 伊藤榮樹

    ○政府委員(伊藤榮樹君) 御指摘の刑事補償法第三条の第二号の規定があるわけでございますが、この第三条第二号が趣旨としておりますところは、この拘束が無罪となった罪を理由としたものではなく、かつその罪の捜査、審判に利用されていないと認められる場合には補償の全部を行わなくてもよろしい、そうでなくて拘束が無罪となった罪を理由としたものであるとき、あるいはその罪の捜査、審判に利用されたと認められる場合には補償の全部または少なくとも一部について補償すべきであると、こういう趣旨になると思います。  そこで、ちょっとおわかりにくいかもしれませんので例を用いますと、たとえばAという窃盗の事実によって逮捕、勾留されました者が、追起訴などを含めてA、B、C、D等々の多数回にわたり窃盗の事実で審判を受けたと、そのうち、A以外のBの事実、たとえばBの事実だけが有罪となって他の事実はすべて無罪となったと、こういうような場合を想定いたしまして、これは御指摘のケースと似ているわけですが、Bの事実については本来逮捕、勾留の必要はなかったのだというような場合には、先ほど申し上げました、第三条第二号の趣旨から言いまして、この第三条第二号の規定を適用しないで、本則に従って全額の補償をするのが相当であろうというふうに思われます。もっとも、こういった判断は、具体的な事案に応じて裁判所が健全な裁量でやることでございますけれども、ちなみに、法曹時報という雑誌のことし二月に出ましたものに、最高裁判所事務総局刑事局の調査結果が出ておりますが、刑事補償法が施行されましてから最高裁刑事局が承知しておる限りでは、未決の抑留または拘禁がもっぱら無罪部分の審理に利用された事案について決定がなされた事例を挙げております。これが合計七件ございます。そのうち六件は第三条二号を適用しないで全額補償しておると、こういうことでございまして、先ほど御指摘のようなケースについては、ただいま申し上げましたように、実務上も三条二号を適用しないで全額補償するという運用が一般のようでございます。
  6. 寺田熊雄

    ○寺田熊雄君 次に、私がこれは実際に扱った事件なんですが、少年の刑事事件なんです。  少年が逮捕せられ、勾留せられた後、家裁に送られて鑑別所で観護処分を受けますね。それから審判になる。そして、窃盗を三年間にわたって二十何件も犯したと、そういうことで、その少年はたしか五人であったと思いますが、そのうち四人が保護監察処分になりまして、それから一人が前歴があるというので少年院送致になって、もう鑑別所から釈放されないまますぐ少年院に送られてしまった。  ところが、その処分が終わって保護処分になりました少年が、私のところに来て一致して無罪を訴える。で、なおよく調べてみますと、確かに無罪だという心証が得られるわけですね。それから、物を買った古物商も呼んで聞いてみますと、古物商も、買った覚えはないのだけれども、警察官が来て、おまえのところに売ったと子供たちが言っているのだから買ったに違いないと、いやそんなことありませんと言うと、それじゃ警察に来てもらうというので、もうしようがないから認めてしまったと、こういうことでますますわれわれが心証を深めまして、高等裁判所に抗告をいたしました。高等裁判所の方がよく調べて少年の言い分が正しいというので家庭裁判所の審判を取り消しまして、家庭裁判所もその高等裁判所の裁判の結果を受けて取り消して、結局、四人の少年は不処分、それから少年院に送致された子供はそれを取り消されて保護観察処分になる。そういう実例があったわけです。  警察の方は、もうどうしてもなかなかまいったと言わず、これは私どもはやはり有罪だということを信じておると言ってがんばる。人権擁護委員会もやはりこれは間違いなく人権侵犯事件だというので警察に勧告をするという処分があったわけですが、そういう場合は、これは当然刑事補償、一般の刑事訴訟法によった無罪の処分と同じように扱って――その間相当長い間拘禁されているわけですからね、子供たちは。だからやはりこれも刑事補償の対象にすべきではないかと私どもは確信するのですが、どうでしょう。これは刑事局長の専門的立場と大臣の両方のお考えを承りたいのですが。
  7. 伊藤榮樹

    ○政府委員(伊藤榮樹君) まず私から御説明を申し上げます。  いまさら申し上げるまでもないところでございますが、現行の少年法と申しますのは、たてまえといたしまして少年については保護をしていく、そうして健全育成を図るという観点からできておるわけでございます。したがいまして、犯罪を犯した少年で家庭裁判所を経由して、また検察官の方へ逆送になって刑事手続に移りました場合には、当然「無罪の裁判」があれば鑑別所へ入っておった期間とかそういうものも刑事補償の対象になるわけでございますが、これに対しまして保護処分を行いました場合には、裁判所としては、いわゆる俗な言葉でいうシロ、クロをはっきりさせること必ずしもなく、要するにその少年が仮に具体的な犯罪を犯していなくても虞犯少年というようなカテゴリーもあって、要するに非行に陥った少年あるいは陥ろうとしておる少年を健全に保護育成しようという観点から保護処分をやるという、そういうたてまえをしておりますので、保護処分の関係につきましてはたてまえとして有罪、無罪の判定がなされないということでございますために刑事補償の対象にならないと、こういうシステムに現在なっておるわけでございます。  ところで、このような少年法の現在のあり方につきましては少年の権利保護に欠けるところが一面においてあるのではないかと、こういう御議論があるわけでございまして、そういう点を踏まえまして昨年六月に法制審議会が法務大臣に対して中間的に答申いたしましたその答申の中に、第一項として「少年の権利保障の強化」に関する措置が書かれておりまして、そのさらに中に「非行事実が認められない場合に行うべき決定」を設けると、こういうことになっております。すなわち罪とならないのだという場合にはそういう決定を行ってはっきりさせてやるという手続を設けるべきであるという答申がなされておるわけでございます。したがいまして、この線に沿って少年法の改正が行われます際には、当然刑事補償法の手直しをいたしまして、そういった非行事実が存在しなかったという決定があったような場合には、これに先立ちますすべての抑留、拘禁を補償の対象とするというような改正が行われてしかるべきではないかと、かように考えております。  しかしながら、先ほど申し上げましたように、現行少年法は国が少年の保護のためにいろいろなことをやってやるのだと、少年院送致もまた保護処分の一つの態様であるというような考え方でございますので、これに対しては、現在のたてまえをとっている以上はちょっと補償の対象とすることが困難である、かように考えております。
  8. 瀬戸山三男

    ○国務大臣(瀬戸山三男君) ただいま刑事局長からお答えいたしましたと同趣旨でございますが、これは寺田委員十分御承知でありますけれども、刑事事件とは別に少年法で保護処分をする、こういうことにしております。現在も御承知のように二十七条の二で保護処分を取り消す場合があるわけでございます。この中で実質的には刑事事件で無罪になったと同じケースがあるわけでございますから、御指摘の点は実質的に同じような考えをしなきゃならぬのじゃないかと、かように考えております。でありますから、いまお答えいたしましたように少年法でせっかくいま検討中でございますので、それと見合って刑事補償法も符節を合わせるようにしなきゃならないと、こういう検討をしたいと思っております。
  9. 寺田熊雄

    ○寺田熊雄君 なるほど刑事局長から承りますと、確かに現行の少年法は理非曲直を裁いて責任を負わしめるというのじゃなくて、保護して、その人格の開花を待つという立場ですから、なるほど法理論的には局長のおっしゃるとおりだと思いますね。ただ現実に悪いことをしたのだといって警察がつかまえたという事実は、これは否定すべくもありませんし、そして警察が相当の期間勾留して調べて、そして家裁に送る、家裁は保護的立場に立つということで鑑別所に入れる、あるいはそれから少年院に送る。現実に肉体的な苦痛を与え、そして経済的な損失を与え、精神上の苦痛を与えるという点では、名目は保護ですけれども、実際は刑事処分の場合と変わりませんね。ですから、いま大臣もおっしゃり、刑事局長もおっしゃったように、現在改正を考えておるのだと、その改正が実現した暁には刑事補償法も改正するとおっしゃるのだからそれでいいようなものですけれども、もう一つ法理論的な問題点としましては、局長がおっしゃった、いまの高等裁判所の抗告に対する裁判ですね、家裁のそれを受けたまた再度の審判ですか、これは確かに無罪の判決とか罪とならずというような、そういうことを主文ではうたいませんけれども、この理由を見てみますと、やっぱりやってないのだということが書いてありますね。ですから、現実に「無罪の裁判」と変わりませんし、それを法務省の方で、あるいは現実に補償の裁判をする裁判所の方で、実際罪があったかないかということは理由を見ればわかりますね。ですから、局長がおっしゃったように、いずれ少年法を改正して、家庭裁判所の審判の中に無罪と同じような主文の判断ができるものを入れるというのと、いま現実に運用でも同じ結果が得られると思うのですね。ですから、せっかく改正するつもりだとおっしゃるから、私は追及する意味で言っているのじゃないのです。現行法上は無理だろうというのが、何とか解釈上有効にならないだろうかという点で、もう一度それが不可能かどうか、刑事局長のお考えを承りたい。  それからもう一つは、憲法第四十条に言う「無罪の裁判」というのがありますね。これを受けて刑事補償法の方もできておるのでしょうが、憲法第四十条の「無罪の裁判」の中には、犯罪がなかったことを明らかにした家庭裁判所の審判も含む趣旨であるというふうに解釈すべきではないかと私は考えるのですが、この点もまた局長と法務大臣のお考え承りたいのです。  いま局長がおっしゃったように、そういうことを宣明する主文がうたえるように少年法改正をいま考えていますとおっしゃったでしょう。それだったらストレートにこの条文に当てはまるけれども、仮にそれがないにしても、その理由の中でそれが明らかに認められれば、主文で無罪をうたったのと同じことではないかというふうにも考えるのですが、いかがでしょう。
  10. 伊藤榮樹

    ○政府委員(伊藤榮樹君) もともと裁判というのは、もう申し上げるまでもなく、主文が最も重要な部分でございまして、その理由というのは主文のよって来るゆえんを説明する部分でございますので、やはり裁判の効力というものは主文がまさにその効力を発揮するわけでございます。したがって、理由をよく読めば無罪と似た場合であるという場合も中にはあるかもしれませんけれども、現在の裁判所の行います判断を受けとめる根拠としては、やはりどうも主文を見ざるを得ないのじゃないか。ことに少年の場合には、やや技術的な問題でございますが、少年審判規則の第二条あたりを見ますと、少年審判の決定書きには必ずしも理由を付さなくてもいいような規定もございまして、仮に理由を一々見ても理由が書いてないという決定もあるわけでございまして、その辺の技術的な点から言いましても、やはりそういう無罪なら無罪に当たる場合であるという主文をひとっこさえないと、実際問題として運用がきわめて困難であろうと、こういうふうに思うわけでございます。  なお、憲法で申します「無罪の裁判」と申しますのは、まさに「無罪の裁判」でございまして、少年法における審判手続の過程で行われます判断と申しますのは、一種の保護措置に係るものでございますので、私どもとしては憲法四十条から直ちに、ただいま御指摘のような少年の保護処分に関する審判について、この刑事補償をなすべきであるという憲法上の要請があると、こういうふうには考えておらない次第でございます。
  11. 瀬戸山三男

    ○国務大臣(瀬戸山三男君) 同じことになるわけでございますから、よろしいでしょう。
  12. 寺田熊雄

    ○寺田熊雄君 刑事局長の御答弁は、法理論的に言うと何か理路整然として正しいように思うのですが、ただこの憲法四十条いうのは国民の人権を最大限に尊重して、それを守っていくということが主眼です。ですから、合理的な理由がなく身柄を拘束され、拘禁され、そして人権が非常に侵害されたという、それをどういうふうにして救うかという、そういう立場からの合目的な解釈をしませんと、何か理屈には合っているようですが、そういう憲法の根本的な趣旨が失われてしまうような気がしますね。だから、やはりこの規定がどういう趣旨からあるのか。人権を守るのだ。少年がつかまって、全く理由なく拘禁された、それを裁判によって取り消されたのだという結果がありますと、それはやっぱり認めていいのじゃないのでしょうかね。  それからもう一つは、局長がおっしゃった少年法を改正して、罪とならないということをうたえるようにいたしますと、こういうのでしょう。それは今度憲法四十条の「無罪の裁判」に入りますか。入らないと、局長がそういうふうにして刑事補償法の対象にいたしますというのが生きてこないのじゃないでしょうか。
  13. 伊藤榮樹

    ○政府委員(伊藤榮樹君) 法理論的にはおまえの言うことはこうこうだというようなお言葉がございまして、考え方を少し角度を変えてきわめて常識的に考えてみますと、少年が逮捕、勾留されまして、検察官の手元で調べておりますうちに無実だということがわかってきたと、こういう場合には、検察官はその少年を家庭裁判所へ送ることなく不起訴処分にいたします。その場合には、現在私どもで運用しております被疑者補償規定によって刑事補償に準ずる補償が受けられます。しかるに、検察官から家庭裁判所へ送って家庭裁判所の保護処分がなされると、それが全部もらえないことになっておるということは、確かに常識的に見て若干私自身も妥当でない面があるのではないかという気がするわけでございます。  そこで、どうしたらいいかということで考えてみますと、やはり家庭裁判所でこれはシロならシロだという判断をしてもらうような仕組みをして、そういう判断があった場合には、機械的にと申しますか、直ちに刑事補償またはこれに準ずる補償ができるようにすると、こういうのが立法的な最も合理的なアプローチであろうというふうに思っておるわけでございます。で、家庭裁判所が行いますこういった非行事実が存在しなかったということを認める決定、この性格は今後どういうふうに性格づけていくか、これは改正の過程でいま検討しておるわけでございますが、従来の家庭裁判所の判断のやり方、こういうことからいたしますと、憲法四十条に言う「無罪の裁判」には当たらない、こういうことになると思いますけれども、先ほど来申し上げておりますような、そういう新たな決定主文を設けました場合には、憲法四十条そのものを踏まえた決定になるか、あるいはそうでないとしても、これに準ずるような決定の性格を持ってくると、こういうふうに考えております。その辺は少年法の全体系を、現行少年法の基本構造を崩さないで改めようと現在やっておりますので、もう少し理論的に詰める必要があろうと、こういうふうに考えております。
  14. 寺田熊雄

    ○寺田熊雄君 何か局長がおっしゃるのは、結局憲法四十条の「無罪の裁判」の中には、今度少年法を改正して罪とならないということを主文でうたえるようにしたものも入らないという、その立場を一貫されていまおっしゃったですね。しかし、それにもかかわらず、刑事補償法の中には入れるのだということになりますと、その刑事補償法の中に、憲法四十条の趣旨を受けた人権擁護の立場からする補償と、憲法四十条――まあ局長は、準ずると言ってうまく逃げられたけれども、それによらない部分とが併存することになっておかしいでしょう。やっぱり憲法四十条の「無罪の裁判」という中には、その家庭裁判所が、結局少年が罪にならないと、罪を犯していないということを明らかにした、そういう審判も入るのだという解釈をとらないと首尾一貫しないと思います。これはまあ法理論上の相違だけれども、私はやっぱり私の解釈が正しいと思いますね。だから、局長がそういう理論を持たれることに対してどうこうと言うわけじゃない。これは局長がそういう考えをお持ちになるのも御自由だから、それは私はあえてとがめないけれども、私は私の解釈が正しいように思いますが、これは大臣としてはいかがでしょうか。
  15. 瀬戸山三男

    ○国務大臣(瀬戸山三男君) 局長はそれこそ純粋な法律家ですから、法律の文言をいろいろとらえて申し上げておると思いますが、しかし、その趣旨は私は同じだと解釈しておるのです。問題は、憲法四十条の裁判によって無罪と、こうなっておりますが、この趣旨は、もう寺田さんおっしゃるとおりに、国家の公権力が結果的に間違って人を拘束したと、それに対しては国家は補償の責任をとるべきだと、こういう趣旨だと思いますから、少年関係でも事実上同じことでございます。判決であるとか決定であるとかいうことを、その文言によって異なるべきものじゃないと思いますが、しかし、その調和を少年法の改正のとき図ろうと、こういう趣旨でございますので、これは御理解いただけると思います。
  16. 寺田熊雄

    ○寺田熊雄君 それから大臣にも局長にもお願いしたいと思いますのは、いま大変そういう見地から少年法を改正し、刑事補償法の包摂する範囲を拡充するとおっしゃいますから、これは非常にうれしいことなんですが、いつもやりますように、少年法の改正については非常に在野法曹が反対している部分と賛成している部分とがあるように思うのです。ですから、それをミックスして出されますと、せっかくいいものも、悪いものと一緒に討ち死にしてしまうということがよくありますので、できればそういう総合的な改正の中にちょこっと入れるというのじゃなくって、そういういいものはそれだけ切り離して改正することによって早く実現させてほしいと思うのですが、そういう立法技術的な問題についてぜひ考慮を煩わしたいと思いますが、いかがでしょうか。
  17. 伊藤榮樹

    ○政府委員(伊藤榮樹君) お言葉を返すようで申しわけないのですけれども、少年法改正に関する中間答申は私どもとしては全部がいいものだと思っておりまして、一刻も早く首尾一貫したものとして立法化したいと考えておりますので、そういう方向でなるべく早く作業を進めたいと思っております。
  18. 寺田熊雄

    ○寺田熊雄君 局長、余りそうがんこに自説を固持しないで、やっぱり現実の国会の状況というものを踏まえて立法していただかないと、おれはいいと思うからあくまでおれの立場でがんばるのだというのじゃなくって、やっぱりそのことのために少年法の改正というのが延び延びになっていることも事実ですから、だから、何人が考えてもこれは正しいのだと、これが国民の人権を擁護する憲法の趣旨にかなうのだというのは、それだけやっぱりいち早く実現していいのじゃないのでしょうか。治安立法なんというのは、逆にもうやたらに個別に立案して提出なさるわけでしょう。だからそうじゃなくて、いいものもやっぱりどんどん個別に出すという、そういう態度をとっていただきたいと思いますが、これは大臣いかがでしょう、多分に政治的な問題になりますからね。
  19. 瀬戸山三男

    ○国務大臣(瀬戸山三男君) 少年法についてはいろいろな議論がありますけれども、せっかくまだ作業中でございますから、いまどうこうするということは差し控えたいと思います。
  20. 寺田熊雄

    ○寺田熊雄君 次に、この刑事補償法の第一条及び第七条の問題ですが、この第一条の第一項中に昭和二十七年に廃止されました経済調査庁法の規定がまだ残っておりますね。これを依然として残している理由について御説明いただきたいと思います。
  21. 伊藤榮樹

    ○政府委員(伊藤榮樹君) 御指摘のすでに廃止になっております経済調査庁法の第二十四条というところに、経済調査官に対しまして、経済法令に関する違反事件の調査のために、裁判官の許可状を受けて警察官または警察吏員と同行して、その者に違反嫌疑者の逮捕を求める権限等が定められておったのでございます。この法律は昭和二十七年に廃止になっておるのでございますが、この経済調査庁法の施行期間、これは昭和二十三年八月一日から昭和二十七年八月一日まででございますが、この四年間に同法による身柄の拘束を受けて有罪の裁判を受けました者が将来再審などによって無罪になる可能性がないとは言えませんので、現在でもこの再審の可能性があるという限りにおいては刑事補償の対象から除くことはできないと、こういう理由でこの文言が残っておるわけでございます。ただ、逆に今度はその経済調査庁法の規定で身体の拘束を受けたことがある者が存在しなければ削除できるわけでございますが、その身体の拘束を受けた者があるかどうかは法務省としては不明でございまして、経済調査庁からその残務を引き継ぎました行政管理庁においても経済調査庁当時の資料がないということでございますので、希有な例であろうと思いますが、同法によって身体の拘束を受けて裁判を受けた人がおるかもしれないと、その人が再審請求をされて、再審の結果無罪になるという場合もあるかもしれないと、まあ非常にわずかな蓋然性かと思いますが、そういうことを考慮してあえて置いておるわけでございます。
  22. 寺田熊雄

    ○寺田熊雄君 そうしますと、それは逮捕期間だけについてですか、勾留は刑事訴訟法によったわけですか。
  23. 伊藤榮樹

    ○政府委員(伊藤榮樹君) 逮捕した後の手続につきましては刑事訴訟法の規定を準用すると、こうなっておりますので、刑事訴訟法による拘束でなく経済調査庁法による逮捕、同法による勾留と、こういうものが存在したと思われるわけでございます。
  24. 寺田熊雄

    ○寺田熊雄君 そうすると、同法の七条が、これは時効を宣明したものか除斥期間について言ったものかということを余りせんさくする必要性というものはないわけですね、このいまの問題については。
  25. 伊藤榮樹

    ○政府委員(伊藤榮樹君) 先ほど申しましたように、再審の結果無罪になった場合だけが考えられますので、七条が時効期間か除斥期間かという問題は余り意味がございません。なお、七条は私どもといたしましては除斥期間であると、こういうふうに考えております。
  26. 寺田熊雄

    ○寺田熊雄君 終わります。
  27. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 刊事補償法の一部を改正する今回の法律案についての引き上げの理由と、そしてまたその根拠、基準のあり方等について御説明を願いたいと思います。
  28. 伊藤榮樹

    ○政府委員(伊藤榮樹君) 刑事補償法におきましては、身体の拘束を受けました方が裁判の結果無罪等になりました場合には、国が定型的な形での損害賠償ということで一定の金額の範囲内で裁判所の決定により補償をすることになっておるわけでございますが、この補償金額につきましては、当初制定されました金額を一応の基準といたしまして、これに賃金、物価の上昇等の経済変動による修正を加えつつ累次にわたって改正をして、今日に至っておる、簡単に申し上げると、こういうことでございます。
  29. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 旧法の昭和六年から、それから昭和二十五年の現在の刑事補償法ということになりました、その五円から二百円になった当時の経緯といいますか、その当時の事情について若干御説明を願いたいと思います。
  30. 伊藤榮樹

    ○政府委員(伊藤榮樹君) 戦前この刑事補償の金額の上限が一日五円ということになっておった理由は必ずしもつまびらかでないわけでございますが、戦後昭和二十五年にただいまの刑事補償法が施行されました場合には、戦前におきますこの五円というものに対して、その後の昭和二十五年に至ります間の賃金水準の変動、それから物価の上昇率等を勘案し、さらには裁判所の証人に対する日当等を勘案して、一応この程度の額であれば定型的な補償として合理性があるのではないかということで最終的には、何といいますか、そういった点を考慮した上での大局的判断、こういうもので二百円以上四百円以下という金額が定められたというふうに承知いたしております。
  31. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 なぜ上限と下限とか決められたのですか。
  32. 伊藤榮樹

    ○政府委員(伊藤榮樹君) まず、刑事補償をいたします以上、下限を設けないでどこまででも下げることができるということでは適当でございませんので、そういう意味で、いやしくも補償をする場合には最小限これだけは補償をするという意味で下限を定めるということがまず必要であろうと思います。  それから刑事補償を行います場合にも、この補償法にいろいろ規定がございますように、その補償を受けられる方の受けました物的それから精神的損失というようなものを考慮して金額を定めなければならないわけでございますし、また、裁判の過程におけるその補償を受けることになりました方のいろいろな態度とか、そういうもので補償金額が上下するということもまた合理性があるわけでございまして、そういう意味で、裁判所に決定に当たって金額の点につきまして裁量の幅を持たせるということが必要であろう、こういうことから上限を定め、その上限と下限の間で裁判所の健全な裁量をしていただくと、こういうことで上限と下限が設けられておるわけでございます。
  33. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 法改正されてから今日まで、この論議はずいぶんされたと思うのです。私は極端な言い方をすれば、上限の方はいま刑事局長がおっしゃったような裁判所の裁量ということから考えて、上限は私は少し流動的なもので、極端な言い方をすれば、なくてもいいのじゃないか、こういうふうにも考えるわけです。  と申し上げますのは、いろいろな事犯がありました、その事犯の内容等の過去の諸問題を考え合わせてみて、どうも普通の物品みたいに上限、下限を決めてその中で判断すると、物品の場合余った場合、じゃ政府が補償するというようなこともあるわけなんですが、いずれにしましても、物的な問題というその物的な問題というものよりも、先ほどからお話があります憲法の四十条で言われている人権尊重という意味の上においての裁量ということから考えれば、私は上限という幅というものは相当考慮しなきゃいけないのじゃないか、こう思うわけですが。
  34. 伊藤榮樹

    ○政府委員(伊藤榮樹君) 先ほども申し上げましたように刑事補償に関しますわが国の制度は、国が抑留、拘禁いたしました方が無罪になった、こういうことに対して損害賠償の意味で差し上げるお金のことを規定しておるわけでございますが、刑事補償法の特色は、国の、あるいは国の機関の故意過失を問わないというかわりに、定型的な形で補償を差し上げるということによって手続きの迅速化を図っておるわけでございまして、実損害が上限を上回るというような場合におきましては、たとえば国家賠償というような手続きによりまして御請求いただくというような仕組みになっておるわけでございます。  確かに諸外国の例を見ますと、大変少のうはございますが、たとえば西ドイツのように上限を設けていない国もございます。しかしながら、そういうことにいたしますと、諸求をされます方が、自分が身柄の拘束を受けたことによってこうむった物質的精神的な損害についての詳細な立証をしなければならないし、裁判所もその点を細かく判断をしていかなければならないということになりますと、迅速に補償をとりあえず差し上げるという現在の考え方からは――反するという言葉を使いますと強過ぎますけれども、迅速化の目的には沿わない面が出てくる。そういう意味におきまして、わが国の現在とっておりますこの方法は、とにかく「無罪の裁判」が確定しましたら、もう速やかにとりあえずの補償をして差し上げるという点から考えますと、運用の点から申しましても合理性が十分あるのじゃないか、こういうふうに考えております。
  35. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 お話の、確かに国家賠償法の請求する時点というものもまた考えられますけれども、その迅速化を目的にするというお話もありましたけれども、青森の弘前の殺人容疑として無罪になりましたあの那須さんの件のことにつきましても、これなんかは妥当だとお思いでございますか。
  36. 伊藤榮樹

    ○政府委員(伊藤榮樹君) 物質的損害はともかく、精神的な損害というものはなかなか金額では評価し切れないものでございまして、いまおっしゃっておりますのは那須さんのことであろうと思いますが、那須さんの場合にこうむられました精神的な苦痛、損害、こういうものに対しましては、それこそ何億円積んでも不十分といえば不十分でございましょう。そういう点を考えますと、あの金額で完全に十分だと思うかとおっしゃられますと、思うとお答えするわけにもいかぬわけでございますが、そういう個々具体的な事例におきましていろいろな状況が出てくるわけでございますが、それをともかく定型化して、一定の基準で速やかに補償金をお支払いする、こういうことをやっておるわけでございまして、現に那須さんの場合は国家賠償の請求をしておられるように聞いておりますが、私どもといたしましては、やはり特殊なケースを取り上げますとそういう感じを受ける場合もあると思いますけれども、多くの無罪事件について迅速にいま補償決定がなされておるという実情を踏まえますと、一応現行法の考え方は合理性がある、こういうふうに考えておる次第でございます。
  37. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 無罪ということは、もう大なり小なり、それが大きな事件であろうが小さな事件であろうが、これは無罪は変わらないと思うのです。この裁量ということにつきましても刑事補償法の三条で「補償をしないことができる場合」というところに、「裁判所の健全な裁量により、補償の一部又は全部をしないことができる。」といって、一項、二項とありますけれども、この私の言う――定型化、とおっしゃいますが、その形の中で物を決めようということじゃなくて、先ほどもお話がありましたけれども、一つの型の中にはめてしまってから、それを固持をしていくという考え方というものを私は改めていかなきゃいけないのじゃないかということを申し上げているわけなんですが、この点についてひとつ刑事局長も大臣も御答弁を願いたいと思います。
  38. 伊藤榮樹

    ○政府委員(伊藤榮樹君) 確かに御指摘の点は一つの考え方でございまして、先ほども申し上げましたように、西ドイツでは上限を設けないという制度をとっておるのでございまして、私どもも将来の問題としてそういった点も研究していかなければならぬ問題であろうと、こういうふうに考えております。
  39. 瀬戸山三男

    ○国務大臣(瀬戸山三男君) 補償の上限、下限を決めております考え方の基礎は先ほど来申し上げておるとおりであります。  国家が犯罪を防圧し、あるいは犯罪があれば処断をする、こういう権力を法律によって与えられておるわけでありまして、でありますから、それが全部間違っておるのだという立場では物を考えておらないわけでございます。たまたま間違ったときには先ほど来申し上げておりますように、さしあたりといいますか、大体この程度のことは速やかに補償をしなきゃならないという一つの基準を決めておく方が実際に適すると、しかしそれだけで賄えない場合があるわけでございます。もし、故意、過失等によってそういう損害を与えたと、こういう事態がありますれば別の国家賠償法で処理をする、こういうことが必ずしも私は不合理ではない。これは先ほど来申し上げておりますように、いろいろな事態を一つずつ細かに検討してやるということになりますと速やかな補償が簡単にはできない、こういうことを考慮してかようにしてある、こういうたてまえであろうと思います。
  40. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 一つの例を申し上げてみますと、四十六年の六月の十七日に逮捕されて七月の十四日までの二十八日間未決の勾留、拘禁を受けた人がいたわけなんです。この人が無罪となりまして刑事補償の決定がなされたのが四十八年七月で、当時の最高日額というものが千三百円、したがいまして、合計しますと三万六千四百円ということになりまして、それを交付されておりますが、この今回の改正もそうでありますが、引き上げの年度が旧法から、昭和六年から二十五年、三十九年、四十三年、四十八年、五十年、そして今回の改正ということになっておりますが、この無罪となった方はちょうど四十八年の六月の二十二日に、一ヵ月ちょうど前に四十八年の六百円から二千二百円というふうに変わってきているわけなんです。こういうふうな二千二百円に引き上げられたということについて、ちょうどわずか一ヵ月足らずで法改正になっていきますね。その間はどうかといいますと、四十三年から四十八年の五年の間法改正がなかった。これを見てみますと、いままでの経緯を見てみますと、二十五年から三十九年に法改正になった。それから四十三年、それで四十八年、そうすると、この間の改正されて引き上げられてない期間、しかもわずか一ヵ月にもならないうちに、一ヵ月もたたないその先に法改正になった人とならない人との差というものも、私が申し上げることもなく非常に定型化した、しゃくし定規だということがどうも納得できないわけなんです。ほかの例をとってみましても、急傾斜地問題にしましても、三十度その前後といっても一度、二十九度というものはどういうふうにするのかというような、この制定されたものを一つの型にしてそれを決めようとするところに私は問題があるのであって、ですから、先ほど刑事局長もせっかく御答弁になりまして、裁量によってということをおっしゃっておられるのですから、そういう面なんかも考えていけば、当然私の申し上げていることがおわかりじゃなかろうかと思うのです。この方はわずかな金額でございますよ。最初四十八年の七月に当時の最高日額が千三百円ですから、先ほど言いましたように三万六千四百円、それから私のいま申し上げましたその一ヵ月後には六万一千六百円ということになるわけです。そういうのを、じゃあその方々の生活状態というものはその定型型で決められたものの中で、精神的なものは刑事局長もおっしゃっておられるようにそれはもう先ほどの那須さんの問題でも推しばかることはできないというふうな御答弁もありました。これは額が小さいから、期日が少なかったからという問題じゃなくて、やはり憲法四十条の精神というものはどういう場合であろうと私は生かされていかなければならないのじゃないかと、こう思うわけです。この事犯のことなんか御存じでございましょうか。
  41. 伊藤榮樹

    ○政府委員(伊藤榮樹君) 確かに、この刑事補償法の改正施行の前後におきますいわゆるボーダーラインケースにつきましては御指摘のような問題が起こり得るわけでございます。そこで、かって昭和四十三年から四十八年まで刑事補償法の改正が行われなかった理由については必ずしもつまびらかにいたしませんけれども、やはり私どもといたしましては社会情勢、経済情勢の変動をよく見守りまして、なるべくこまめに、言葉は悪うございますが、こまめに実情に即した法改正を行っていかなければならないと最近つくづく痛感しておるわけでございまして、今後ともなるべくそういう点で努力をさせていただきたいと思っております。
  42. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 確かに、今回は五十年から五十三年、この三年の間には、相当物事の開きというものは大きな変動期があります。御案内のように円高の問題にいたしましても、昨年からきゅっ、きゅっ、きゅっと今日になって、世界経済というものもぐっと変わってきておりますし、日本経済も特に変わってきております。そういう事案の中で、いつまでもそういう定型化を決められた、いままでの法律というものの決めてきた法律の考え方の基本の問題点につきましては十分に御考慮を願わなければならないと、私は重ねて申し上げておきたいわけなんです。  死刑執行の場合なんていうことなんかはなかなかあってはならないことであります。今回はこれに対する考え方は空白でございます。これはもう死刑ということがなければ結構なことでございます。あったらこれはおかしげな問題、いろいろな事件の当時のことからそのときに至るまでの経緯なんていうのは大変な膨大な事犯の内容になってくると思いますから、大変なことだと思いますが、いずれにしましても、死刑の場合でも五十年には一千五百万というものを限度額にしておる、こういうようなところにも私は考え直していかなければならない点が十分あるのだということを御指摘をしたいと思うのです。と同時に、附則の2について、衆議院の法務委員会におきます私どもの党の飯田委員の質問によって、刑事局長とるるお話、論議をされました。この論議をされました経緯を私はずっと拝見さしていただきました。この飯田委員の質問の心といいますか、精神といいますか、それは私も同一でございます。同じ考え方でございます。これは恐らく委員の先輩の諸先生方もそのように私は考えられるのじゃなかろうかと思うのですが、この附則の2項についてのお考えはどんなふうにお持ちになっているか。いまの場合と将来をどうしていかなければならないか。このことについて御答弁を願いたいと思います。
  43. 伊藤榮樹

    ○政府委員(伊藤榮樹君) 実際の補償を差し上げます場合に、どの時点の補償金額で補償を差し上げるべきかという問題についての規定を置いておりますのがただいま御指摘の附則の第2項でございます。で、いろいろな考え方があり得ると思います。たとえば補償を請求した時点の法律によるべきであるという考え方、あるいは抑留、拘禁を受けた時点の法律によるべきであるという考え方、こういう考え方も考えればあり得るわけでございますが、請求する時点での法律で補償をするということになりますと、請求が早かった場合、遅かった場合、こういうことで補償の金額の基準が変わってくるということは必ずしも適当でないと思いますので、この考え方は合理性という点から言うと一番離れた考え方だろうと思います。また抑留、拘禁された時点の法律でやるという考え方も一つの考え方ではございますが、「無罪の裁判」が確定したということが刑事補償の請求権を発生させるわけでございますので、やはり刑事補償というものを「無罪の裁判」等をお受けになった方の権利を実現する関係の法律だと、こういう点に着目いたしますと、権利発生の時点、ここで法律の適用関係を定めるのが最も合理性があるのではないか、こういうふうに考えるわけでございまして、したがいまして、この附則に書きましたように、裁判がなされたときと申しますのは、要するに裁判が確定した時点を言っておるわけでございますが、無罪等の裁判の確定の時点、すなわち刑事補償を受ける権利が発生した時点、この時点の法律で対処するということが最も合理的であろうと、こういうことで対処をしておるわけでございまして、一応この考え方は他に特段の事情あるいは理由がない限りは、今後もこんな考え方で行くのが妥当ではないかと、こう思っております。
  44. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 その問題については飯田委員とずいぶん御論議をやられておりますので、私は重複を避けますけれども、いま刑事局長おっしゃったような請求権の権利がそこで発生した、それが一番いいのだという考え方ですね。それが問題なんですから、一番最後に「なお従前の例による。」というふうになっております。そのことを私は納得できないということを、飯田委員もそうだと思うのですよ、ですから、先ほど例を挙げたのは、その判決になったときと考えてみますと、事件が起きたときとその判決があったときと二年以上たっているという、その間の違いというものはあるわけで、特に今日のような先ほど申し上げました激動期における状態というものは、精神的なものは、やはり激動期におけるだけの精神状態というものに私はなっていくのじゃないかと思うのです。したがいまして、いまの刑事局長のお話だと、これもそのままいまの考え方というのを将来ずっと持っていくとおっしゃられているのはどうも納得できないのですが、大臣お聞きになりましていかがなものでしょうか。
  45. 瀬戸山三男

    ○国務大臣(瀬戸山三男君) 宮崎委員のお考えも、無理なことをおっしゃっているとも思わないのですけれども、こればかりでなくて、いろいろな法律を改正いたしますが、改正いたします場合でも、その内容が異なってくるときには従前の法律に従う、次期のときには「従前の例による。」こういうふうにするのは、どこかにけじめをつけなければいけませんからやっておるわけでございます。たとえばこの法律も何回か改正をしておりますが、改正のたびごとに、やはり適用の時期については附則によって同じ附則の規定がなされておる。毎回そういうふうになっておるわけでございまして、今回だけの問題ではございません。あらゆる法律でも、改正しますときには改正前の事件については「従前の例による。」と、これが一応理論的じゃないかと、かように考えております。
  46. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 先ほど言いましたこの事案の方はやはり国家賠償請求をいたしまして、これはお金もちゃんと補償してもらえるようになったのです。その中でも、その方の負担をした、裁判を起こすまで、その費用というものは、金額があれはたしか判決が百万ということで、これは認められたわけですが、ところがそれ以上、裁判の訴訟を起こしていくまでの費用がかかっているわけです。そういうような事案等も考えてみていきまして、先ほどの御答弁になりました国家賠償法によるもので、さらに補っていけるようなお話ですけれども、それ自体でも弁護士の費用の問題なんかは出てこないみたいな形になっておりますし、そう考えていきますと、無罪でありながら、わずかな補償によって、そして納得しろというのは、これは私はもう酷なものだと、こんなふうに思うわけです。これはひとついま御答弁がせっかくございましたけれども、将来の問題として私は考えていくべきじゃなかろうかということだけを要請をいたして、この件については終わりたいと思います。  そこで、次には刑事補償の今日の実態につきまして若干お伺いしたいと思います。  これは、私はある方の資料を発表なさっていることで承知したわけですが、昭和四十二年から四十六年までの五年間における無罪確定者の総数は二千五百十四名で、うち補償請求をした方が五百八名で二〇・二%の請求率となっている。しかし無罪確定者のうちの身柄拘束を受けた者の数がどうも明白になっていないといわれることが発表されております。その点についても、どういうわけかということをお伺いしたいのですが、これは四十二年から四十六年のことでございますので、もしこれが明らかであれば御発表願うということで、それから特に四十八年から五十二年までのいまメモをいただいたのですが、五十二年度はまだお調べにならないということなんですが、この件についてひとつ御説明をお願いいたしたいと思います。
  47. 岡垣勲

    ○最高裁判所長官代理者(岡垣勲君) それでは御説明申し上げます。  「無罪の裁判」が確定した人員、これは毎年集計をとっておりまして、それで先ほども御指摘がありましたように、五十二年分についてはまだ集計してできておりませんけれども、一番近いところでは五十一年で言いますと、「無罪の裁判」が確定した者は三百十八名、その前にさかのぼって五十年が三百三十五名、四十九年が四百三十名というふうな数字になっておるわけでございます。  それで御指摘の点は、じゃこういう「無罪の裁判」が確定した者の中から刑事補償を請求される人は少ないではないか、またその数がはっきりしてないのじゃないかという御指摘だったと存じますけれども、この「無罪の裁判」が確定した人の中で刑事補償が請求できる人員、計算の上での分母に当たる人数でございますけれども、これは身体を拘束された人が拘禁補償を受けることができるわけでございますので、この無罪の確定をした人の中で、計算上分母として出すべき身体を拘束されておった方々の数が幾らであるかということ、それをぴしゃりと出す統計がございませんが、非常に近い数字、非常に近似値の数字はあるわけでございます。それは第一審限りで「無罪の裁判」が確定した事件の、その事件を受理したときに拘束されていたかどうかということをとりますと、そうすると広い範囲で拘束されておった人たちの人数というものは出るわけでございますので、それで昭和四十九年、五十年とそれから五十一年の三ヵ年で通常第一審限りで「無罪の裁判」が確定した事件の受理時の身体拘束率というふうなものを考えてみますと、そうすると、この三年間平均で地裁では五六・七%、簡裁では二・五%の方が受理時に身体を拘束されておったということになるわけであります。そこで、その地裁及び簡裁で言い渡されて確定した無罪の判決の人員に対しまして、ただいま申し上げました地裁での五六・七%、簡裁での二・五%という数字を、パーセンテージを掛けますと、そうするとこれが一応無罪判決を受けて拘禁された人で請求できる人というふうに考えてよいのではないかと存じます。そういうふうにいたしますと、その請求可能人員が果たして補償請求されたかどうかということで、その補償請求した者との割合を見ますと、地裁では三六・七%の方が補償請求しておられる、簡裁では六六・七%の人が請求しておられる、地・簡裁平均では三七・六%という数字になるわけでございます。  以上、請求可能な方々のうち何%ぐらい請求しておるかということを最近の数字に基づいて御説明申し上げました。
  48. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 個々の方が請求するのですから、請求しないあとの方々のことを推しはかっていくわけにはまいりませんけれども、私ども国民の一人としての考え方は、請求しなければだめなんだと。請求するのに裁判所というのは非常に入りづらいところだし、書類を持っていってもつんとしているし、そっぽを向いているし、無愛想だし、入ること自体でも足がふるえるなんという気の弱い人もおいでになるのですね。ぼくはそういうことから考えてみますと、請求しない人という、その心理状態というのを推しはかって、しなけりゃこっちがしてやるみたいな、そういうところまで考えていって、初めて憲法第四十条の基本精神というものが守られるのじゃなかろうかと、こう飛躍した考え方なんですがね。私は飛躍していないと思うのですけれども、従来そんなことを言った方もおりませんので、私の考えがいいものか悪いものかひとつ御判断を願いたいと思うのです。
  49. 岡垣勲

    ○最高裁判所長官代理者(岡垣勲君) 請求できる人が請求権をなぜ行使されないかということにつきまして、実は私どもも個々の人について追跡調査をしておりませんので、正確な理由はわからないわけでございまして、あるいは無罪の判決になった、裁判所は言うことを聞いてくれたと、自分たちの言うことがわかってくれたということで満足されたのか、あるいは期間が短いのでまああれくらいなのかなということなのか、そこらの事情はわからないわけでございます。おっしゃるとおりに、そういう権利があればそれを行使された方がいいであろうというふうに私も思いますが、しかし行便されない場合に強制するわけにはまいりません。そこで問題は、先ほどちょっと御指摘ありましたように、裁判所は行きにくいというふうに――行きにくいことはないと思いますけれども、しかしそうお考えになる方がおられることも事実だろうと思います。そうしますと、そういう場合に気やすく請求できるような体制をとるということが一つと、それから無罪の判決を言い渡すときに、これが確定すれば請求できますよというふうなことを教えてあげるということ、これぐらいのことは考えていいであろうというふうに思うわけでございます。それで、大体無罪で争われるような事件につきましては弁護人がついておられるのがほとんどでございますから、ですから弁護人が十分教えておられると思いますけれども、なおその上、私どもとしましては、無罪の判決を言い渡すときには、これが確定すれば刑事補償の請求ができますよということを説示した方がベターであるというふうに考えられますというふうなことを、裁判官の会同などがございますので、その協議会なり会同などの場合に、最高裁の係官が立ち会った場合にそういうふうなことを皆さんに申し上げておるということをいたしております。これが一つ。  それから、制度的には請求自体は厳格な方式を要するものでもございませんし、口頭でも申し立てられるものでございますので、その点ではそう障害になるものではないというふうに考えております。  以上でございます。
  50. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 一昨昨日ですか、私のところに電話がありました。それでいま申し上げたわけなんです。  遺産相続のことで参りましたら、その係の上司の人がいないからと言って、それ一言で、中身の話をしようとしても振り向こうともしなかった。そして、もじもじしていたら戸をばたんと閉められちゃったというものだから、そういうところですかといって電話が来たわけなんです。それで私は、そんなところじゃありませんよと、事務官の方もおいでになるのだから、事情をよく話して――そこは出張所だったそうです。ですから、今度はちゃんとしたところに、こういうところにお行きなさいと場所を申し上げて、それでよくお話をしなさいと言いましたら、裁判官が出られて、そこで初めて親切な応答を受けたと、こういうわけなんですが、そういう電話がありましたので参考に、最近二、三日前のことがちょうどありましたので、ひょっといま思いついて取り上げたわけなんですが、全部が全部だと私は申し上げているわけじゃありませんが、いずれにいたしましても、非常に何か行くことによって自分の意が国民の一人として、すうっと素直に溶け込めるようなところではないというのが一般の考え方じゃなかろうかと思う。それがゆえにいま私は、特に請求権のある人が請求しないというような、そういうふうな心理状態というのもあるのじゃなかろうかというふうに私の想像で申し上げたわけですが、いま御答弁がありましたように、手を差し伸べられているようでございますので、この件については今後もまたひとつ頭の中に入れていただいて御配慮を願えれば幸いだと思いますので、この点よろしゅうございましょうか。――時間がございませんので、一時間という時間なものですから、被拘禁補償のことについてもいろいろな問題を取り上げてお伺いをしようと思ったのですが、その前に責任無能者の刑事補償につきまして、現行の刑事補償法では、心神喪失等の責任無能力の理由によって犯罪が不成立とされ、無罪の判決を受けた者に対しても補償金が支払われることになっており、このことにつきましては数多くの事例もございますが、私の承知しているので三十七件ぐらいあるのじゃなかろうかと思いますが、事例のほとんどが精神分裂症によるものだとか、資料もいただいておりますが、この資料の中を見ていきましてもずいぶん多い人がございますが、アルコール中毒、ヒロポン中毒、覚せい剤の中毒など本人のふしだらな生活態度が原因となっている者も相当おると思いますが、こういう方から被害を受けたその被害者の立場から考えてみましても、また国民の感情からいきましても、なぜそんな人方に無罪になった上に刑事補償をしなきゃならないかというふうなことも私は伺ったことがあるものですから、その人なんかもどうも釈然としないなということがございました。この点につきましては、御案内のように昭和四十三年の東京地裁の刑事補償金の決定文の中で次のように指摘しているとございます。   精神障害者による犯罪予防対策が十分でなく、また、被害者の救済が国から何らなされな い状況であるにもかかわらず、加害者が補償を受けることについて社会感情の上で釈然とせず、反対する向きもある。しかし、これは、既に感情論として無視できない。 このような事件を機会に、現行補償法の当否について論議がなされ、立法の上で解決がなされるよう期待する。というようなこともあるというふうに私は承知しているわけでありますが、先ほどの衆議院の法務委員会でやはり飯田議員が専門的な法律の展開をしたということを私知ってはおりますが、この刑事補償の本来の目的、犯罪行為を犯していない者に対する補償を行おうとするもので、現に犯罪を犯しながら責任無能力で処罰されない者までも補償するものではないと考えるという私どもの考えでございますが、したがって責任無能者の刑事補償については、憲法の精神を尊重しながら、かつ法解釈の混乱をただす観点から、裁判所の健全な裁量によってその一部または全部を補償しないという法のあり方というものを検討なさっていられるかどうか、この点についてお伺いいたしたいと思います。
  51. 伊藤榮樹

    ○政府委員(伊藤榮樹君) 御指摘のとおり、心神喪失という理由で無罪になる人に対して刑事補償を差し上げるということについては何だか割り切れないものを感ずるというのが偽らざる感じでございます。したがいまして、被疑者補償の関係では、そういう場合には補償をしないことができるようにしておるわけでございます。しかしながら、憲法四十条にいいます「無罪の裁判」、これはやはり現在の刑事訴訟制度から考えますと、犯罪の構成要件に該当したという事実、それから違法性があるという事実、それから責任があるという事実、この三つの要件が備わって初めて犯罪が成立すると、こういう基本的な観念で刑罰法令及び刑事手続法令が全部つくられておるわけでございまして、そういう点からいたしますと、違法性を欠く場合の無罪、構成要件該当性が欠ける場合の無罪、責任能力が欠ける場合の無罪、どれもやはり無罪であるということには変わりはないということになるわけでありまして、こういった現在の刑罰あるいは刑事手続に関する基本的な考え方を前提として憲法第四十条の規定を読みますときには、やはり「無罪の裁判」という中には責任無能力のゆえに無罪になった場合をも含めて読まざるを得ないというふうに考えられるわけでございまして、そういう意味で憲法第四十条の明文の存在を前提といたしまして立法いたします限り、やはり責任無能力の場合だけは補償をしないというような立法をとることはいかがなものかと、こういうことで現在も、一般の常識にはやや触れるようなところがあるかとは思いますけれども、そのような規定を、刑事補償法でそういった場合も補償するというたてまえをとっておるわけでございます。
  52. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 将来もそういうお考えですか。
  53. 伊藤榮樹

    ○政府委員(伊藤榮樹君) 憲法解釈はそう軽々に変えるべきものではないと思いますので、将来もそういうことでやっていくより仕方がないのじゃないかと思っております。
  54. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 憲法解釈の問題に今度はなってくるわけですが、時間がありませんので、またこのことについては飯田委員もずいぶん論議をされてきておりますし、また時間があれば私もその復習をしながら後の問題としてこれは残しておきたいと思うのですが、これはいろいろな問題がからみ合うものですから、ちょっとやそっとで私の意思もまた刑事局長の最終的なお考えもなかなか決められないのじゃないかと思いますので、また次回にでも機会があれば質問をして、この問題についてはただしていきたいと思います。  それから最後に、先ほどちょっと言いましたけれども、被拘禁補償について今日までいろいろ論議をされてまいりましたけれども、そのお考えについて、どんなふうにお考えになっておられるか、将来またどういうふうにしてこれを考えていこうとされているのか、その点について御説明を願って私の質問を終わりたいと思います。
  55. 伊藤榮樹

    ○政府委員(伊藤榮樹君) およそ刑事裁判を受けました人が身柄の拘束を受けなかった場合でありましても、「無罪の裁判」を得るまでに払いました物質的あるいは精神的な御苦労というものは相当なものがあることは事実であろうと思います。そういう方に対しても何らかの補償をすべきではないかというお考えでございます。ところで、考えてみますと、国の権力の行使の結果、それが後に客観的にその権力の行使が誤っておったということが明らかになりました場合に、それによって有形無形の損害を受けました国民の方に対して国はどういうふうに対処すべきかと、こういう一般的な問題がまずあるわけでございますが、いずれにいたしましても、刑事裁判を受けるに当たりまして、身体の拘束を受けるというようなことは、まさに最も人権の中で重要な部分、これの制約を受けられたわけでありますから、その身体の拘束というような一番強い公権力の行使を受けられた方について、その身体拘束による損害を補償しようと、この身体の拘束ということは他の何物にも増して質的に非常に重い事柄であるという観点から、現在刑事補償法におきましては、身体の拘束を受けた方に対して補償すると、こういうことにしておるわけでございます。  さて、そこで先ほどの一般論に戻るわけでございますが、国の公権力の行使によって有形無形の損害を受けられるという場合は、ひとり刑事裁判だけではございませんで、たとえば国の何らかの行政処分によりまして、これが客観的に後に誤っておったことがわかったその行政処分によりまして物的精神的損害を受けられる方もおられますでしょうし、また裁判類似の問題といたしましては、たとえば特許の審決でありますとか海難審判とか、そういうようなもので不利益をこうむられる方もあるわけでございまして、国としてただいま御提案の被拘禁者である刑事被告人について補償を考えるといたしますと、国の行政行為によって誤って損害を受けられたすべての方をやはり考えていかなければならないのではないかと。まあそういうことを考えますと、将来に向かってもっとひとり刑事裁判手続の分野だけでなく、広い立場から検討を要する事柄ではないかというふうにいま考えておるわけでございます。現に公明党から御提案になっております被害者補償の問題もあるわけでございまして、そういった問題とも兼ね合わせながら、広い視野でなお検討を続けていきたいと、こう思っております。
  56. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 ぜひそれは検討をしていただくことを要請をいたしておきます。  お話の中にありましたように、身体の拘束が一番重んじられて考えられるとおっしゃっておられますけれども、お話の中にも、有形無形という精神的な問題というものは、これは訴追されただけで公務員の場合なんかは非常に大きな身分の影響があるわけであります。そういうことから、国家公務員だとか地方公務員だとかあるいは公共企業体の職員というのは、いま申し上げましたように刑事訴追をされたということで、もう休職だとかあるいは給与を支給されないとかというような面も多々あるようでありますし、いずれにしましても、この被拘禁の補償については十二分に御配慮の上、作業を進めていただきたいことを強く要請をしておきたいと思います。  このことにつきまして法務大臣から御答弁を、ひとつ御決意のほどを伺って終わりにいたします。
  57. 瀬戸山三男

    ○国務大臣(瀬戸山三男君) この問題についての考え方は、いま刑事局長からお答えしたとおりであります。各般の問題にかかわりがあるように思いますから十分検討してみたいと思います。
  58. 中尾辰義

    ○委員長(中尾辰義君) 本案に対する質疑は本日はこの程度といたします。     ―――――――――――――
  59. 中尾辰義

    ○委員長(中尾辰義君) 検察及び裁判の運営等に関する調査を議題といたします。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  60. 寺田熊雄

    ○寺田熊雄君 私の質問は検察及び裁判の運営に関する問題ということでありますが、ただ、いまもうすでに委員長から刑事補償法の問題に対する質疑はこれで終わりますというお言葉がございましたので、ちょっと差しさわりがあるようなので申しわけないのですけれども、ちょっとお許しをいただきますと、いま宮崎委員と刑事局長のいろいろ質疑応答を伺っておりますと、刑事局長は憲法第四十条の「無罪の裁判」という点で、これは先ほど私の質問に対してもお答えがありましたけれども、これはもう純粋にいわゆる刑法学上の「無罪の裁判」だという主文が大事なんだというお話がありました。これはいろいろ考えますと、やはり検察官として裁判の執行に当たられるお立場もありましたでしょうし、そういう立場からことに明確なものがどうしても求められなけりゃいけない。そこでやはりそういう結論になるのではないかと思うのですけれども、したがって、責任無能力者について無罪の裁判があった場合でも、やはり憲法第四十条の「無罪の裁判」だから補償するという結論になってしまう。その解釈はなかなか軽々には変えられないと、そういう信念を明らかになさったわけです。それなりの理由はあるのですけれども、ただ、私がさっきお話ししたように、この規定は国民が人権を侵害されたと。人権を侵害された者に対して補償をして、人権を守るのだという、そういう憲法の根本的な思想から言いますと、私がさっき申し上げたように必ずしも「無罪の裁判」という刑法学上の概念の中に入らないものでも、たとえば家庭裁判所の審判もやはり入っていいのだと。その主文だけでなくて、やはり判決理由というか、裁判の中では判決理由になりますが、家庭裁判、審判でもその決定に理由があればそれはやはり理由を重く見るべきであるという私の立場を申し上げたわけですが、飯田委員との間で、衆議院で非常におもしろい法律論争を闘わしていらっしゃる。それは私も会議録で拝見したけれども、刑事局長も常識論としては割り切れない面があるというお言葉がありましたね。  それでお酒をたくさんに飲む、それが常習である。酒を飲んで心神喪失の状況に陥って判罪を犯したと、しかし、それはやっぱり無罪になったと。それが結局、憲法の人権を侵害された者に対して人権を守るという趣旨からいって、果たしてそういう者を保護するに値するかという問題がやっぱりあると思うのですね。だから文字解釈だけじゃなくして、憲法の精神からいえばどうかと、人権を守るに値するかと、そういう観点からのやはり検討が必要なんじゃないでしょうかね。それどうでしょうか。
  61. 伊藤榮樹

    ○政府委員(伊藤榮樹君) 重ねてお尋ねでございますから申し上げるわけでありますが、責任無能力の場合でも、国は何ら刑罰を加えるというようなこともなく、構成要件該当性がない場合と同じような扱い、すなわち何らの不利益処分をこうむらせないと、こういう扱いをしておるわけでございまして、その中から責任無能力の場合だけを取り出して別に扱うことはなかなかむずかしいのじゃないかと思っておるわけでございます。  ただ、重ねてのお尋ねですから、私自身が多少悩んでおる問題点を一つだけ申し上げますと、現在、改正刑法草案で御提案申し上げておる保安処分というようなものが制度化されました場合に、責任無能力なるがゆえに刑罰は科せられないが、保安処分の言い渡しを受けるというようなことになりました場合に、その憲法四十条の「無罪の裁判」に、責任無能力のゆえに刑罰でなく保安処分の形になった人たちが入ってくるのかどうかという一つの問題があるわけでございまして、その点あれやこれやと現在考えておるところでございます。
  62. 寺田熊雄

    ○寺田熊雄君 刑事局長、わが田に水を引いてしまって保安処分なんということを急に言い出されるので、これははなはだ不本意で、そういうことを言われちゃ困る。これはまた改めてお尋ねをし、局長のお考えはこれは変えていただかなきゃいけ、ない。そういう意味でさらに質問を続けたいと思いますが、きょうはその時期でないのでこの程度にとどめておきます。  きょうは成田問題の、とりわけいま新聞報道によりますと、自由民主党が新立法の骨子を提示したと。これは衆議院で与党の国対委員長が野党の方に提示したということなんですが、これはもうすでに自由民主党の方から法務省なりに検討を求めておられるのでしょうか。そこまでいっておりますか。
  63. 伊藤榮樹

    ○政府委員(伊藤榮樹君) このいわゆる新立法をめぐる作業につきましては、二つの流れがあるように私は拝見しております。  一つは、自由民主党内部においてお考えになっておる一つの案があるように拝聴しております。それからもう一つは、内閣を中心といたしまして去る三月二十六日の事態にかんがみまして、現行法の範囲内で極左過激分子のあのような無法な行動に対処するためにどの範囲までのことができるかと。現行法の運用をもってしてできない分野があるとすればそれは何かということを詰めようということが内閣で発議されまして、関係省庁が集まってその現行法の限界について議論をすると、こういうことになったわけでございます。  当面、法務省、特に刑事局といたしましては、私どもの所管分野におきましては現行法及びただいま国会へ御提案申し上げております関連法案、これの成立を待って、これらを活用すれば十分であって、この際新たに立法する必要はないということでございましたけれども、内閣の方から法律専門家として関係省庁会議に加われという御指示がございましたので、関係省庁の詰めの作業に参加させていただいておるわけでございます。  そこで詰めました結論といたしましては、おおむね現行法の枠内で処理ができるが、ただ一つだけ新空港の安全及び新空港に離着陸する航空機の安全の観点から処置をしなければならないことであるけれども、現行法の枠内でできないことが一つだけある。それはいわゆる団結小屋と言われておるようなもの、その中には過激派によって要塞と呼ばれておるものも入るわけでございますが、こういうものの使用を制限したりあるいは撤去したりすることだけが現行法の枠内ではどうもできないという一応の結論に達しまして、その対処策について一応の進むべき方向と申しますか、大綱の骨子というようなものをその作業班で取りまとめて党の方にお見せをしたということでございます。  したがいまして、自由民主党の中でおつくりになりましたものと、政府の作業班がつくりましたものとを党においていろいろ彼此考覈されまして、それに基づいた大綱の骨子を野党の方々にお知らせをしたと、こういうことではないかと思っております。
  64. 寺田熊雄

    ○寺田熊雄君 内閣の新立法作業班というのはどこの省庁で構成されていますか。
  65. 伊藤榮樹

    ○政府委員(伊藤榮樹君) 内閣官房が中心でございますが、内閣官房以外の省庁といたしましては、作業の過程において若干出入りがございましたけれども、現在の段階では運輸省、建設省、警察庁、それに法務省と、こういうメンバーでございます。
  66. 寺田熊雄

    ○寺田熊雄君 団結小屋とか要塞とかいうことになりますと、これはまあ通常の住居と異なるから、まあまあ多少の理由がそこにないでもないとは思いますが、新聞報道によりますと、「暴力主義的破壊・阻害活動を行い、または行うおそれがあると認められる者の活動の拠点となる建築物、その他の工作物」と、こういう表現をとっているので、これはまあ局長が言われたように、団結小屋とか要塞とかいうことならば、ある程度そこに合理性が認められないでもないけれども、たとえばよく新聞紙上をにぎわす戸村一作さんと言われる方がありますね。ああいう方の家が仮に拠点となる。それは明らかに戸村一作氏の所有である。そしてそれは住居に使用しておる。それをしもここに言う建築物の中に入れちゃうのでしょうかね。そういうようなおそれがあるとすると、多分にいろいろな問題にひっかかってくる。だからその点はきわめて慎重を要するし、ことに戸村一作氏にあらざる他の農民の家庭もやはりこういう敷地がありまして、そこに母屋がある、そこに離れがある、その離れに局長のおっしゃるような過激分子と言われる学生なり労働者の諸君が寝泊まりをしておる。だから、そいつを行って壊しちゃうのだというような問題になりますと、いろいろな問題が、これは所有権の問題もありますね。ですから憲法二十九条との関連が出てきます。それから三十一条の法定手続の保障の問題も出てくる。刑法十九条との比較権衡の問題も出てくる。いろいろなもう複雑な問題が出てきますのできわめて慎重を要する。  そこであるいは法務省のあなた方に入ってほしいと言ったのかもしれないけれども、こういう問題になりますと、ともかく飛行場をつくろうという諸君は馬車馬のようにそれだけを考えて、ほかのさまざまな憲法上の規定、ことに人権を保障しようとする規定などというものを一切顧慮しないで暴走する危険というものがあるわけです。われわれはそれを非常に恐れているわけですが、いまのような点は局長どういうふうに考えておられます。
  67. 伊藤榮樹

    ○政府委員(伊藤榮樹君) これから具体的な法律の形を詰めていく段階でございますから、現段階でどんな手当てになっておるかということをお答えするわけにまいりませんが、基本的な考え方としては、ただいま御指摘になりましたような問題が起きては困るわけでございますので、まず限られた範囲に区域を限ると、すなわち新空港の安全、航空の安全に影響のある最小限度の区域に限ります。それから、対象のいわゆる団結小屋、要塞に限って適用されるような形にしぼって立案をするという方向で作業をしておるわけでございます。そうでありませんと、たとえば過激分子がそば屋の二階で勢ぞろいをして出かけたということで、これはけしからぬというので壊すというようなことはまことに非常識な話でございますので、そういうことにはならないような方向で詰めるということで作業をしておるわけでございまして、内閣の御指示の真意はわかりませんが、法務省が名指されまして加わっておるというのは、御指摘の点をよく考える多少の知識を持っておるからということであろうというふうに考えておりますので、その点は十分配慮していきたいと思っております。
  68. 瀬戸山三男

    ○国務大臣(瀬戸山三男君) 私からも考え方をこの際申し上げておきますが、実は三月二十六日、ああいう事態がありまして、これは国民全体から見てもああいうことが許されてはならないと考えておられると思います。私どももそのとおりでありますが、ああいう暴力によって空港あるいは航空の安全を阻害する、こういうことは絶対に防がなけりゃならないが、現に起こったわけでございますから、そこで現行法でこれに対応することができるのかできないのか、そういうことであらゆる法律をしさいに検討いたしまして、その上で現行法をフルに活用して、できるものなら新しい立法は要らないわけでございますから、もとより考えの基本は憲法の諸原則に反しない範囲でやらなければならない。そういうことを検討いたしまして、先ほど来刑事局長が申し上げておりますように関係省庁、航空の安全と空港の安全を図ると、こういう目的でつぶさに精査をいたしまして、先ほど申し上げたように、あの団結小屋であるとかあるいは要塞と言われておるようなもの、これはまさに空港の安全を阻害するために構築したものであるわけでございますから、そういうものに限って何かの措置をとらなければならない、こういう考え方をしておりますので、いま寺田委員がおっしゃったような、もしさような考えでやりますと、どこにおっても仮にああいうことが出てくるということになりますと、そこまで手を伸ばすなんということは、これはとても考えられることでないし、またさような法律をつくってはならないと、こういう基本的な考えで進んでおりますことを私は申し上げておきます。
  69. 寺田熊雄

    ○寺田熊雄君 大臣も局長も慎重に人権の問題や憲法秩序、他の法律との調和の問題などを十分お考えいただいているとは思いますけれども、私は、先般岡山から東京へ来ますときに、列車の中で毎日グラフというのを見ますと、その毎日グラフの中に書いてあったことなんですが、いま成田空港周辺で警察官の検問が非常に行われておると。身分証明書を見せろというようなことをマスコミの方に言われると。それで、ちょっとその態度などが非常に強圧的であるというような記述がありました。それから、そういうような場合になぐられだ人間、まあ何か数限りなくあるような記述もあったわけです。とかくそういう場合には実力部隊というものの行き過ぎというものがどうしても伴いますね。私どもはそれもやはり非常に警戒する必要があると思いますし、それから、そもそも大臣にも十分御理解を得たいと思いますのは、ああいう政府の空港建設のやり方では空港ができない、あるいは多分に障害があるということはもう当然なんですね。  なぜかと言いますと、これは私の直接の経験で申し上げるのですが、私が岡山市長時代に、やっぱり岡山県も小さなYS11の離着陸の飛行場なんですが、それをつくったわけです。ところが、農民が非常に反対する。だから、とてもできない。そこで県の職員が行っても話し合いができないというので市の方へ頼んできた。私は当時市長でしたが、直接その現場に乗り込んで、恐らく最小限度二、三十回は農民と話し合いをしたと思います。しかもそれは徹夜で公会堂の寒いところへ座り込んだりして二、三十回も話し合いをして、そしてやっと話し合いまして……。それから、農民ですからね、土地を売ってしまっちゃしょうがないので、大体引き渡すと同じ程度の農地を渡したわけです。それは、たまたま裏に刑務所の農場がありましたから、それをこちらに譲っていただいて、刑務所を移転する場所を市がお世話をするといういろいろな契約をして、その農場の跡地を差し上げますよということで話し合いがついたのです。ですから、いまその農民はやはり同じように農業を、たとえば盆栽などですか、喫茶店に行くとたくさんゴムの木なんかありますが、ああいうようなものを栽培する事業とかあるいは養鶏場をやるとか、農業そのものを継続して、しかも集団的に、わりあいにいまいい現金収入があっておるのですが、そういう経験にかんがみても、成田の場合は市長も直接一回も行ってないというのでしょう、みずからは。助役が行ったという、一回。県知事も一回も行ってないというのでしょう。それから空港公団の総裁も行ってない。部下がちょこちょこと行ったと。そういうことでは、とてもそれは農民の心をとらえることはできませんよ。あたりまえです、それは。話し合いができないのはあたりまえなんです。だから、そういう政府側のやるべきことをやらなかった失態がいまの事態を招いているわけでしょう。それを、何か農民が悪いのだ、過激分子が悪いのだと言っているのでね、根本から間違っているわけですよ、いまのやり方が。ですから、いまの新立法の問題でも、これは先ほど大臣も局長も非常に慎重に決意をお述べになったので、私はまあ大体了承はいたしますけれども、そういうものは本来私はない方がいいと思いますよ。いいと思いますが、どうしても強くそういう新立法を求める人々があって、そして大臣も局長もそれを法律的にチェックする限度が精いっぱいだと言われるならばやむを得ませんが、願くば、できるだけその幅を狭めて、行き過ぎがないように、現行の憲法秩序を守り、他の法律との権衡を十分考えてやってくださると、そういう態度をとっていただきたいと思うのです。重ねて大臣の御決意を伺います。
  70. 瀬戸山三男

    ○国務大臣(瀬戸山三男君) 大体の考え方は先ほど申し上げたわけでありますが、まあ、いつの時代でもそうでありますけれども、ああいう事件が起こりますと、いろいろな硬軟両様、各種の意見が出るわけでございます。しかし、私どもとしては、妙な言い方でありますけれども、きわめて冷静にこういうときには対応しなけりゃならない、こういう立場でおるわけでございます。先ほど刑事局長からお答えいたしましたようなことも、まあ、自民党の方から政府側の見解、意見を求められるについて先ほど申し上げたような作業をしたわけでございます。それをもとにして当局ではいろいろ検討し、また各党とも御相談をしようと、こういうふうになっておるように承っております。  おっしゃるように、一つの何かが起こりますと、えてして急激に、こう言っちゃ失礼でありますが、感情的に走るおそれがありますから、さようなことはあってはならない、こういう立場で、慎重といいますか、将来に禍根を残すような制度をつくってはならない、かように考えておるわけでございます。
  71. 寺田熊雄

    ○寺田熊雄君 終わります。
  72. 中尾辰義

    ○委員長(中尾辰義君) 午前の質疑はこの程度といたします。     ―――――――――――――
  73. 中尾辰義

    ○委員長(中尾辰義君) この際、参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。  検察及び裁判の運営等に関する調査のため、本日、参考人として新東京国際空港公団総裁大塚茂君及び東京電力株式会社常務取締役門田正三君の出席を求めることに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  74. 中尾辰義

    ○委員長(中尾辰義君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  午後一時まで休憩をいたします。    午後零時二分休憩      ―――――・―――――    午後一時四分開会
  75. 中尾辰義

    ○委員長(中尾辰義君) ただいまから法務委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き本調査に関する質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  76. 玉置和郎

    ○玉置和郎君 きょうは成田問題を中心にしていろいろとお話を聞いていただけるということでありますが、きのう尖閣列島の問題が突然起きてきております。私は、こういった問題に対する対処は、日本の法秩序をいままで国内においてもないがしろにしておったのじゃないかというものが背景に考えられるのじゃないかということを思いまして、実は成田問題に入る前に尖閣列島の問題に触れてみたいと、こう思います。  委員長、恐縮ですけれども、ぼくは運動し過ぎて肉離れになっておるので、座ってやっていいですか。
  77. 中尾辰義

    ○委員長(中尾辰義君) どうぞ。
  78. 玉置和郎

    ○玉置和郎君 尖閣列島ですが、登記上どうなっていますか。
  79. 向井清

    ○政府委員(向井清君) いまお話しございました尖閣諸島の周辺問題につきまして大体の経緯を概要を……
  80. 玉置和郎

    ○玉置和郎君 いや、そうじゃないんだよ。ぼくが聞いておるのは登記上どうなっておるかということなんだよ。
  81. 伊藤榮樹

    ○政府委員(伊藤榮樹君) ただいまその点を知っておる者が来ておりませんので、至急調べて御報告します。
  82. 玉置和郎

    ○玉置和郎君 大臣ね、そういうことはおかしいんでね。これだけ問題になっている尖閣列島だから、沖繩県の石垣市の何々だということは当然これは明らかになっておるはずです。それは政府の方でだれでもいいから答えてください。
  83. 中江要介

    ○政府委員(中江要介君) 登記上という御質問の趣旨がはっきり専門的に把握できませんでしたのですが、地籍ということですと、尖閣諸島の地籍は石垣市字登野城に属していると、こういうふうに了解しております。
  84. 玉置和郎

    ○玉置和郎君 さきの予算委員会でぼくは尖閣列島の問題についていろいろと問題を提起しました。そのときに、外務大臣の方から、この問題についてはひとつどこかで話をする、中国とですね、そういう話がありましたが、われわれはこの問題はそういうことでいいのかなということで、内閣に対して私の名前で質問主意書を出しました。それに対して、内閣の方から、「内閣参質八四第一五号」ということで、三月二十二日付の、内閣総理大臣福田赳夫さんから参議院議長安井謙殿で答弁書が来ています。これは中江さん知っておるでしょうな。
  85. 中江要介

    ○政府委員(中江要介君) 存じております。
  86. 玉置和郎

    ○玉置和郎君 そこで、私は、かがみをまくって二枚目のところですが、「御指摘の文献(「釣魚台事件真相」)は、香港の民間出版社により出版されたものであり、中華人民共和国政府の公的見解とは直接関係のあるものではない。」と、こういうように書かれていますが、これは御存じですか。
  87. 中江要介

    ○政府委員(中江要介君) 存じております。
  88. 玉置和郎

    ○玉置和郎君 この本は確かに香港の新華印刷から出たんですね。ところが、この「釣魚台事件真相」の中で取り上げておるいわゆる原点になるものですね、原点になるものはこれです、人民日報。これも人民日報。どっちも社説です。これは私がとったのじゃない。あんたのところからもらった。外務省から資料として出してこいと。ずいぶんかかったが持ってきてくれた。人民日報というのは、これはどこの新聞なんですか。
  89. 中江要介

    ○政府委員(中江要介君) 中華人民共和国で発行されておる新聞でございます。
  90. 玉置和郎

    ○玉置和郎君 どういう性格を持つ新聞なんですか。
  91. 中江要介

    ○政府委員(中江要介君) 性格は、いわゆる新聞でございまして、中国の場合には人民日報に中国政府の考え方というものがしばしば正確に報道されたり、論評が加えられたりしていると、そういうものだと受けとめております。
  92. 玉置和郎

    ○玉置和郎君 これはもう中江君、はっきり言った方がいいよ。人民日報は中華人民共和国の党並びに政府の機関紙ですよ。どうですか。
  93. 中江要介

    ○政府委員(中江要介君) 私どもは、先ほど私が申し上げたように受けとめておるわけでございます。
  94. 玉置和郎

    ○玉置和郎君 そうすると、人民日報の社説というものは、あなたが言うようにしばしば政府の正式見解が述べられておるといういまの話でしたが、ここに盛られた社説なるものは政府の正式見解と見ていいですか。
  95. 中江要介

    ○政府委員(中江要介君) 私どもは、人民日報の社説に述べられたものがその後中国外交部声明として出されたことが一度ございまして、それによって正式に中国政府の見解として確認されたと、こういうふうに受けとめております。
  96. 玉置和郎

    ○玉置和郎君 非常に重大な発言なんで、中江さんもう一回聞きます。これは今日のような事件が起こらなかったら、私は外務省との約束もあったし聞かなかった。しかし、ここまでばかにされて領海を侵犯されて、けさ七時四十五分に二十九隻また入ってきた。こういうふうに日本の領海を侵犯されながら、そうしてまだどうにもならぬという、こういうふしだらな姿を見ておると、よって来る背景は何かということをはっきりさせたい。それは、やっぱりいまあなたが言うように、人民日報で社説でうたい上げたものが中華人民共和国の外務省に当たる外交部の正式見解として認めておるということについては間違いありませんね。
  97. 中江要介

    ○政府委員(中江要介君) 先ほど私の申し上げました一九七一年十二月三十日付の中華人民共和国政府外交部声明というものによってはっきりと述べられておることは私どもも承知しております。
  98. 玉置和郎

    ○玉置和郎君 それは尖閣列島はわが領土ということですね。
  99. 中江要介

    ○政府委員(中江要介君) 該当の部分は、「中華人民共和国外交部は厳かに次のように声明するものである。」といいまして、尖閣諸島の島々を列挙しました上で、「これらの島嶼は台湾の附属島嶼である。これらの島嶼は台湾と同様、昔から中国領土の不可分の一部である。」と、こういうふうに述べております。
  100. 玉置和郎

    ○玉置和郎君 これではっきりしたことは、これはむしろ私は与野党の議員に聞いてもらいたいんだが、これで中国というか中華人民共和国ははっきりと尖閣列島はわが領土だということをもう内外に向かって声明しておる。その帰属を明らかにしないで日中条約に入っていくなんというのはこれはナンセンスですよ。そこでこういう問題が起こったのであって、その背景というものをしっかり踏まえた上で事実関係について聞きたい。事実関係はどうですか。
  101. 向井清

    ○政府委員(向井清君) 経過の概要を御報告申し上げますと、巡視船の「やえやま」という船がございますが、三百五十トン型の巡視船でございますけれども、これが尖閣諸島周辺を警備中、十二日の七時三十分にレーダーで約百隻の国籍不明の船を視認したというのが発端でございます。続きまして同八時三十分この船団に接近しましたところ、同船団は、漁船でございますが、一部の漁船の掲げた国旗及び船名等によりまして、中国漁船であると認められました。位置としましては、魚釣島の北西八・五ないし十六海里の水域でございました。わが国の領海の内外にわたりまして約百隻の船が漂泊、航走または操業中であるということを確認いたした次第でございます。引き続きまして巡視船「やえやま」は、マイク、たれ幕等によりまして領海外への退去を命令したということでございまして、いろいろ経過はございますが、同日の十九時に一たん領海内におりました、十四隻おったわけでございますが、十四隻全船が領海外に退去したという経緯がございます。その後、侵入、退去の繰り返しが何回かございまして、最新の情報によりますと、本日の十時現在約三十二隻が領海に入っております。これに対しまして、巡視船三隻、航空機二機によりまして監視、警告及び退去命令を続行しておるというのが現状でございます。
  102. 玉置和郎

    ○玉置和郎君 中江君に聞くのはおかしいかもわからぬが、これは外務大臣に聞かにゃいけませんが、どういう意図なんだろう、中国は。どういうふうに分析するんですか。
  103. 中江要介

    ○政府委員(中江要介君) 中国政府がどういう考えであるかということはまだ私どもの知るところでございませんし、いま起きております事実といいますのは、いま海上保安庁から御説明がありましたように、恐らく中国漁船と認定して間違いがなかろう漁船が日本の固有の領土である尖閣諸島の領海を侵犯したという事実がはっきりしてきたということでございますので、その事実の背景にあるものあるいはそれの意味するものというものについては、中国の正式な政府の考え方というものがまだ明らかにされておりませんので推測するほかはないわけですが、私どもはいまの段階で余り軽率に推測を述べるということはこれは差し控えなければならないと、こう思っておりまして、事実に即してとるべき措置をとっていくということで様子を見ていきたいと、こういう態度でございます。
  104. 玉置和郎

    ○玉置和郎君 事実に即してと言うけれども、きのう退去しろと言って、入ってきて退去までにどのぐらい時間がかかったんですか。
  105. 向井清

    ○政府委員(向井清君) 先ほど申し上げましたような状況でございまして、はっきりと確認いたしましたのが朝の八時三十分ごろと、それから全船退去を一応確認いたしましたのが同日の十九時ということでございまして、かなり時間はかかりました。
  106. 玉置和郎

    ○玉置和郎君 それだけ聞いておるのじゃない。あなたもっと丁寧に答えてもらわなきゃ困る。八時三十何分から入って、出て行った時間、小学生だってわかるじゃないか、それが何時間かというのは。それで、また入ってきたのはどれだけか、何時間おったのかというんだ。
  107. 向井清

    ○政府委員(向井清君) 十九時までの間約十時間ちょっとおったわけでございまして、その後一たん退去いたしました船がまた入ってまいりまして、それからさらに昨日の真夜中の零時ごろまた全船退去したという事実がございます。その後またぼつぼつと入ってまいりまして、けさになりましてからかなりの隻数が入ってきたという経緯がございます。
  108. 玉置和郎

    ○玉置和郎君 けさ七時四十五分に何杯入っておったですか。
  109. 向井清

    ○政府委員(向井清君) 二十九隻でございます。
  110. 玉置和郎

    ○玉置和郎君 現在は。
  111. 向井清

    ○政府委員(向井清君) 先ほど申しましたように、最新の情報として入手いたしておりますのが十時現在の三十二隻という情報でございます。
  112. 玉置和郎

    ○玉置和郎君 それで、いまの侵犯している漁船の上に機関砲を積んどるじゃろうが。どうなの。
  113. 向井清

    ○政府委員(向井清君) 中国の船舶は一般に武装をしておるという話があるわけでございまして、それの確認をいたしたこともございますが、今回入ってまいりました漁船団につきましては、かなりの船がやはり機銃を装備しておるというふうに視認いたしております。
  114. 玉置和郎

    ○玉置和郎君 中江君、いまお聞きのとおりですよ。出ていけと言ったってなかなか出ていかぬで十時間がんばっておる。出ていってわきにいたのがまた入ってくる。そして夜中までがさがさやる。夜が明けてみたら、もうきのう入っておったよりよけい入ってくる。出ていけと言ったらまたふえる。これはどういうことなんだ、どう判断するか。
  115. 中江要介

    ○政府委員(中江要介君) 一口で言いますとはなはだ遺憾なことでございまして、政府といたしましては、いま海上保安庁の御説明になりましたような事実を踏まえまして、しかるべき申し入れを近く中国側にいたすということにしております。
  116. 玉置和郎

    ○玉置和郎君 海上保安庁、日本の船は北方領土の近くへ寄っただけで拿捕されるだろうが。ニュージーランドでも領海侵犯したらすぐ拿捕されるだろう。それはどうだ。
  117. 向井清

    ○政府委員(向井清君) いまお話しございましたように、外国の領海におきまして拿捕された例は若干ございます。
  118. 玉置和郎

    ○玉置和郎君 若干じゃないじゃないか。ソ連に拿捕されたのを言ってみろ、いままで。戦後拿捕された数を言ってみろ。そんななまぬるいことを言っておるからだめなんだ。世界の七つの海で拿捕されたのを言ってみろ、罰金取られたのを。ブラジルでもあるじゃないか。
  119. 向井清

    ○政府委員(向井清君) 昨年五十二年にソ連に拿捕されました隻数が合計十五隻という……
  120. 玉置和郎

    ○玉置和郎君 去年じゃないんだよ、いままでのやつだ。戦後全部言ってみろ。
  121. 向井清

    ○政府委員(向井清君) 歴年累計で申し上げますと、対ソ連関係でございますが、二十一年から五十二年までの統計数字がございますが、全部累計いたしますと千五百五十隻という数字がございます。
  122. 玉置和郎

    ○玉置和郎君 そうだろうが。世界各国の海で拿捕されたのを言ってみろ。わしはまじめに言えばこんなに大きな声は出しゃせぬのだよ。資料として出せや。
  123. 向井清

    ○政府委員(向井清君) 承知いたしました。
  124. 玉置和郎

    ○玉置和郎君 私はなぜこんなことを言うかといったら、これだけ領海を侵犯されながら、なぜ拿捕しないか、その理由。
  125. 向井清

    ○政府委員(向井清君) 先ほど申し上げましたように、現在領海内に入っております中国漁船に対しまして巡視船並びに航空機から再々にわたりまして警告を行っておるわけでございまして、方法といたしましては、拡声機を用いる方法と、それから無線電話を用いております。それからたれ幕にそれを中国語で書いた警告文を掲示しておる、それから航空機から通信筒を投下しておるということを繰り返しておりまして、保安庁といたしましては、そのような警告手段を粘り強く積み重ねまして、その効果を待つということをただいまいたしておるわけでございます。
  126. 玉置和郎

    ○玉置和郎君 それでも領海を出なかったらどうするんだ。
  127. 向井清

    ○政府委員(向井清君) 今後の問題といたしましては、現在他の管区本部からも応援の巡視船あるいは航空機の派遣ということを実施いたしておりますので、わが方の警備体制を一層充実いたしまして、いま申しましたような警告、退去命令というものを強化いたし、その効果の上がるのを待ちたいというふうに考えております。
  128. 玉置和郎

    ○玉置和郎君 そんなことで出るもんじゃないじゃないか。一たん出たやつがまた入ってきたんじゃないか。それで、これだけ出ていけ出ていけ言っておるのに、まだがんばっておるんだろう。船がふえてきたんだろう。なぜ拿捕しないんだよ。拿捕できない理由を言ってみろ。
  129. 向井清

    ○政府委員(向井清君) ただいまも申し上げましたようなことで、現在の時点といたしましては、体制の整備を図りつつ退去命令を強化していくということで対処いたしまして、その効果を勘案しながら、あるいは四囲の情勢、相手方の出方というのを見ながら、次の段階に対してどうするかを考えていきたいというふうに考えております。
  130. 玉置和郎

    ○玉置和郎君 次長、これはあなたは政治家ではないから、運輸大臣に聞くべきかもわからぬが、あなたはその責任者の一人として政治家に判断を仰いだことはあるのか、こういうことについて。どうなんだ。
  131. 向井清

    ○政府委員(向井清君) このような警備体制そのものにつきましては、海上保安庁としても、いままでの経験、それからそれなりの装備を持っておりますので、われわれの判断としての対処方針ということでいままで推移いたしております。先ほどから申し上げておりますように、体制の整備を一段と図りましてその実施についてさらに推進していきたいと考えておる次第でございます。
  132. 玉置和郎

    ○玉置和郎君 拿捕しないということか。拿捕するのかしないのか、はっきりせい。
  133. 向井清

    ○政府委員(向井清君) お答え申し上げますが、繰り返しになって恐縮でございますけれども、巡視船並びに航空機の体制整備と、それから退去命令の強化ということで、客観情勢の推移を見ながら、相手方の出方を見きわめました上で対処措置というものを積極的に考えていきたいと考えておりまして、ただいまのところ、いま巡視船並びに航空機の体制整備中でございますので、それの結果を見たいというふうに考えておる次第でございます。
  134. 玉置和郎

    ○玉置和郎君 ぼくはそんなことを聞いておるのじゃないんですよ。拿捕するのかしないのかと聞いている。いまあんた整備中と言っているけれども、整備中だと幾らやったって出ないじゃないか、だんだんふえていくじゃないか。これは国民が納得しますか。自分の家の中へ入ってきて、しかも武器を持って入ってきて、いつでも発射できるように、恐らくカバーはかぶせておったって皆あれは装てんしていますよ。いつでも発砲できるような状態で入ってきたそういう連中に対して、出ていってください、出ていってください、お願いします、お願いします、だれが出ていくか。また入ってくる、これは。どこに法治国家の体面があるんだ。何の海上保安庁だ。どうなんだ、はっきり言え。
  135. 向井清

    ○政府委員(向井清君) いままでの経緯を見ますというと、先ほど概略申し上げましたように、相手の漁船も一たん領海を出、あるいはまた入ってくるということで、確かに御指摘のように隻数は若干ふえておりますけれども、いろいろの経緯があるわけでございまして、こちらもいろいろな方法をまた考え出しまして、相手方に対する警告命令を徹底するということについて現場でも知恵をしぼっておりますので、そのような効果が上がるような方途というものはやはりやり得るだろうというふうにわれわれとしても考えております。
  136. 玉置和郎

    ○玉置和郎君 出ていったからといって効果があったというわけにいかぬよ、これは。一たん侵犯された事実はどうするんだい。それはなぜ拿捕できないんだ。将来とも拿捕しないのか。  それで、一つ聞くけれども、外務省とそれはどういうふうに打ち合わせたのか。外務省は拿捕したらいかぬと言ったのか。
  137. 中江要介

    ○政府委員(中江要介君) 私どもまだ拿捕するしないについての御相談を受けるところまでいっておりませんけれども、先ほど来先生御指摘のように、これは一般論でございますけれども、不法操業漁船というのは今回に限らずいままで過去にもあったわけでございまして、そのときには海上保安庁の御説明のように、通常ですと警告等必要な措置をとって領海外に退去させるということで対処してまいったわけですが、これが、一般論でございますけれども、悪質なものが出てまいりますと、これは外国人漁業の規制に関する法律という法律があるわけでございますので、その法律に基づいて検挙するということも、これは法律の命ずるところとしてあるわけでございます。したがいまして、そういうことに値する悪質なものかどうかということについては、最終的には政策的判断を仰ぐときが来るというふうに一般論としては考えております。
  138. 玉置和郎

    ○玉置和郎君 それでいいんです。そんなら、これは悪質と見ないのか、これはまだ善玉と見ているのか、どっちだい。
  139. 向井清

    ○政府委員(向井清君) 若干の時日の経過を見たわけでございますが、先ほどから申しておりますいろいろな経緯もございますので、やはりそのような情勢判断につきましてはしばらく時間をかしてこれを見きわめていきたいというふうに考えておる次第でございます。
  140. 玉置和郎

    ○玉置和郎君 自分のところのあんたの家だったらいいだろう、例を挙げて言えば、あなたの家の庭先に機関銃を持ってきたのが入ってきて何するかわからぬというときに、あなた出ていってください、お願いします、出ていってください、そんなことでじっとしておるか。できぬじゃろうが。どうなんだ、先にそれを聞こう。
  141. 向井清

    ○政府委員(向井清君) 例としてはいろいろな例があると思うのでございますが、先ほど外務省からもお答えがありましたように、いままでやはりこういうような方法で事件の解決が図られた例もございますし、先ほどから申しておりますようなこれからの推移というものもございますので、いま一段の努力をしてみたいということで、その効果の上がることを期待しているというふうに申し上げたいと思います。
  142. 玉置和郎

    ○玉置和郎君 それは国民は納得しませんぜ。尖閣列島はわが領土だ、領海十二海里はわが領海だと、こうしておるときに、出ていけと言って、まあ出ていってくれた。その出ていく仕方も非常に国民は遺憾だと思っていますよ。出ていってください、出ていってくださいと言って十時間も粘られて、出ていったらまた入ってきて、夜が明けてみたら今度ますますふえてまだがんばっておるというんですよ。この国会をやっている最中にもがんばっているというんでしょう。どこに法治国家の体面があるんだよ。海上保安庁、何で検挙できないのだ。その国民の気持ちに対して、あなたはどう答えるか、はっきり言ってくれ。国民の気持ちに対してどう答えるか。
  143. 向井清

    ○政府委員(向井清君) 海上保安庁といたしましては、海上の治安の維持につきましては全責任を負っておるわけでございまして、このような領海侵犯に対してはもちろん厳正な態度をもって対処するわけでございますが、いままでの経緯からいたしまして、先ほどから繰り返して申し上げて恐縮でございますが、やはりこのような退去命令をさらに強化し繰り返すということをしばらく続けまして、その後の経緯を見守りたい、それによって次の対処方針につきまして慎重に考えてまいりたいというふうに考えている次第でございます。
  144. 玉置和郎

    ○玉置和郎君 はなはだ遺憾です。検挙するということについてはここで言明できないんだな。はっきり言え、言明できるのか言明できないのか。法に従ってやれる措置をなぜとらないのか。いま中江君の見解、私はそれで結構だと思う。そこまで言い切れないのか、海上保安庁というのは。
  145. 向井清

    ○政府委員(向井清君) 一般論といたしましては、もちろん外務省からお答えになりましたように検挙という考え方が出てくるわけでございますが、やはりそれにはいろいろな経緯というものを踏まえました上での一つの判断というものがあるわけでございまして、われわれといたしましては、いままでの推移から勘案いたしまして、いまの時点でそれを直ちに考えるという段階にはまだ至っていない、もうちょっと先ほどから申しておりますような体制の整備も含めまして情勢の推移というものを見ていきたいというふうに考えている次第でございます。
  146. 玉置和郎

    ○玉置和郎君 これは上級のいわゆる政治家だな、運輸大臣の判断として受けとめていいのか、内閣の態度として受けとめていいのか、どうなんだ。
  147. 向井清

    ○政府委員(向井清君) ただいまのところ、先ほどちょっと申し上げましたように、海上保安庁といたしまして、いままで多年にわたりましていろいろの経験を積んできておりますので、それの現場的な対処としてこれを処理しつつあるということでございまして、これに対して本庁といたしましても現場をいわば技術的な問題等を中心といたしましていろいろ指示なり相談に乗っておるという段階でございます。
  148. 玉置和郎

    ○玉置和郎君 中江君ね、非常に残念なことは、こういう姿勢でおって尖閣列島が日本のものだと、有効支配をしておるのだということが言えるか、どうなんです。
  149. 中江要介

    ○政府委員(中江要介君) 有効支配をしておるところに、それに背いてそれに反する行為を外国が行ったときに、これを排除する方法というのはいろいろあるわけでございますが、それを排除し切って初めて有効支配が確立しているということは言えるのだと、こういうふうに思います。
  150. 玉置和郎

    ○玉置和郎君 外務省の方がしっかりしている。外務省はこのごろ頼りないと思ったけど、外務省が一番しっかりしている。海上保安庁、何だよ、非常に不満だ。運輸大臣に進言して内閣の意思決定をしてもらえ。関係閣僚会議をなぜ開かぬか。  政務次官ね、青木さん、あなた御苦労さん、本当に。政治家として、いま私のやりとりを聞かれてどう思います。率直に言ってください。法務省だとか何だとかそんなのにこだわることはない。政治家として……。
  151. 青木正久

    ○政府委員(青木正久君) 今回の事件はまことに遺憾な問題でございまして、私も詳しくは経過を知りませんけれども、遺憾のきわみだと存じます。  ただ、この前のダッカのハイ・ジャック事件によってああいう法律の問題がいろいろ問題ができまして、今回またこういう領海侵犯という問題が起こって、こういうことが放置されますと、国民の法に対する尊敬といいますか、そういう気分がだんだん失われていってしまう。したがいまして、やはり法律は断固守る、法治国家のちゃんとやるという点につきまして断固たる措置をとるべきだと、こう考えております。ただ、外国との関連もございますし、技術的ないろいろな問題も、影響もあると思いますので、やり方は別にいたしましても、原則としては一歩も譲らず断固たる措置をとるという姿勢でなければならないと思います。
  152. 玉置和郎

    ○玉置和郎君 防衛局長ね、私は今度の問題について防衛庁は連絡がなかなかなかったということを新聞できょう見たんですが、私はびっくりしております。事実関係はどうですか。
  153. 伊藤圭一

    ○政府委員(伊藤圭一君) 昨日の二時ごろだったと思いますが、大臣が総理のところに行かれましてF15とP3Cの生産の関係について御報告いたしました。そのときにこのお話があったようでございます。ちょうど私ども二時ごろ会議をいたしておりますところへ尖閣列島に領海侵犯があったようだという連絡が内庁の方から参ったわけでございます。ただ、私どもといたしましてはその状況がわかりませんでしたものですから、直ちに私が海上保安庁の長官に電話をいたしました。そうしましたら、いま次長の方からお話があったような内容のことがございました。そこで、私は、保安庁の長官に、今後海上自衛隊あるいは私の方にその状況を刻々御連絡いただきたいということをお願いいたしました。  一方、その状況を踏まえまして海上自衛隊と協議をいたしまして、私どもがやはり一番心配いたしましたのは、中国が軍事的な行動をとっているかどうかということでございました。その点につきましては、従来からいわゆる軍隊の動きというものに対してはいろいろな方面から情報をとっておりますけれども、いわゆる艦艇、航空機による軍事的な行動を起こしているような徴候はございませんでした。そこで、一部の漁船が機銃を持っているということはそのとき伺いましたけれども、海上保安庁の巡視艇も武装をいたしております。付近にも民間の日本の船はいないようでございましたので、八十二条の警備行動を直ちにとるような状況ではないという判断をいたしました。しかしながら、情報収集というものは的確にやらなければならないと思いましたし、また私どもには偵察機あるいは対潜哨戒機等を持っておりますので、海上保安庁の方から御要請があれば直ちに出られるような体制をとっておきたいということで、このことは指示をいたしました。現地におきまして、沖繩におきましては、海上保安庁の十一管区保安本部と私どもの方と情報は密にとっていたようでございますが、その中で、私どもはちょうど訓練飛行でP2Jが飛んでおりましたので、その飛行機を回しまして現実に軍事的な行動あるいは艦艇なんかもまじっているかどうかということを視認させたいと思いまして、飛行機を回しまして帰ってまいりました。その結果、漁船だというようなことでございましたので、一応情報収集という体制を強化しながら待機しているという状況でございます。
  154. 玉置和郎

    ○玉置和郎君 これはある筋の情報で、参考になるかならぬか、これはあなた方のとり方で自由ですけれども、中国の今度の漁船というのは皆鉄船なんです。それでかなり武装されております。そして、あの機関砲は単なる小さな機関銃じゃない、あの大きさから見ても。それだけに、あれだけの隻数が来て、あれだけの機関砲を搭載しておるということになれは、海上自衛隊のいまの戦力――戦備か、戦う能力だな、戦力と言うたらいかぬらしいから、戦う能力では、とても太刀打ちできぬというのが私に忠告をしてくれた人です。どう考える。
  155. 伊藤圭一

    ○政府委員(伊藤圭一君) 海上自衛隊の護衛艦等は、装備につきましては、私どもが知り得ております現在来ております船の武装などに比べますと、はるかに強力だというふうに確信いたしております。
  156. 玉置和郎

    ○玉置和郎君 どうだい、次長、あんたのところの船で、向こうが全部機関砲を積んだやつがかかってきたら勝てるか。――いや、これは笑い話じゃないですよ、これは事実あり得ることですよ。
  157. 向井清

    ○政府委員(向井清君) 勝てるか負けるかということで装備の点で申しますと、わが方の巡視船も機関銃を装備いたしておりまして、三百五十トンクラスでございますと二十ミリ機関銃を装備してございます。その他自動小銃等の装備は備えておるということでございます。
  158. 玉置和郎

    ○玉置和郎君 海上保安庁は弾を撃ったことがあるのか、相手に向かって。
  159. 向井清

    ○政府委員(向井清君) はっきり記憶いたしておりませんが、もちろん訓練等は十分積んでおりますし、いままでの実績というのは絶無ではないというふうに言っております。
  160. 玉置和郎

    ○玉置和郎君 どこに撃ったんだい。訓練じゃない、実際に撃ったやつだよ。実際に撃って拿捕したの。
  161. 向井清

    ○政府委員(向井清君) 実績につきましてはちょっとはっきりした記憶がございませんので、調べまして返事いたしたいと思います。
  162. 玉置和郎

    ○玉置和郎君 尖閣列島問題は、このように非常に疑問が多うございます。特に遺憾なのは、いま防衛局長が言われたように、こういう自分の国の領海を侵犯されながら、海上保安庁が、どういう事態に発展するかわからぬですよ、それを防衛庁に連絡をしない。総理大臣から防衛庁長官が聞いて初めて知るなんということは、これはナンセンスです。それで今日のこの状態についてどういうふうに処理するかということについて外務省とも防衛庁とも合い議をしていないなんということは、これはあんた方だけじゃない、内閣の責任です。統治能力の問われることです。こんなものを国民が黙って見ておるはずはない。そう思わないか。次長、どうだ。
  163. 向井清

    ○政府委員(向井清君) 先ほどからも話が出ておりますように、われわれといたしましては、得ました情報は所要のところにもちろん御連絡申し上げておりますし、情勢の推移というのがかなりいま流動的でございまして、時日の経過も若干たっておりますけれども、さらにわれわれの体制の整備という先ほどから申しております問題もありますし、今後の情勢の見きわめということにつきまして不確定要素もございますので、その辺のところを踏まえました上で、また一段と突っ込んだ御相談なり協議をいたしたいというふうに考えている次第でございます。
  164. 玉置和郎

    ○玉置和郎君 それはだめ。私は国会議員として言っておきますけれども、この重大時期になってまだそういうことを言っておったらどういうことになるかわからぬですよ。だから、速やかにあんたの上司である運輸大臣に、政治家ですわ、閣議のメンバーだ、きょうの意見をはっきり申し上げて、法務委員会で与党の代表である玉置和郎がこう言っておったと、そうして早速関係閣僚会議を開いてこの善後措置をするということ、これは当然じゃないか、それを大臣に申し上げるか申し上げないか、それを答えてみなさい。
  165. 向井清

    ○政府委員(向井清君) いろいろお話に出ました内容につきましては、しかるべく御相談をいたしたいと思っております。
  166. 玉置和郎

    ○玉置和郎君 中江さん、この問題、きょうの話を外務大臣ともされて、ぼくもきょう夕方いろいろ相談しますけれども、やっぱり大事なことです。こんな頼りない海上保安庁に任しておいたら国はどうなるかわからぬ。だから、あんたのところと防衛庁と相談されて、それで各大臣に相談される。これは地籍の問題とかいろいろありますから、青木さんね、あんたの方もやっぱり法務大臣も入って、法秩序の問題ですよ、これは。だから、関係閣僚会議を開いて、それで早急に善後措置を講ずるということ、これをひとつあんたからも根回ししてください、お願いしておきます。  私、なぜこれだけの時間をとったかというと、成田問題もやっぱりこういうのが根っこにあるんです。成田問題もそうだし、学園紛争もそうだし、こういう非常に甘い、国民から見たらどこに法治国家の体面があるのか、どこに独立したところの独立国家の体面があるのかということであって、それだけにこの時間をとったわけです。どうか、外務省、防衛局長、それからあんたもいいです、お帰りください。  次に警察庁、成田の新空港の問題で大変な事件が起きたわけですが、そのときに警備の最高指揮官である浅沼警察庁長官の当日の行動についていろいろとうわさされておる。もうすでにある週刊誌なんかに「浅沼長官の一日」というようなことでいろいろ書かれておる。非常に遺憾です。私は恐らくそんなことはないと、こう確信をしておるんですよ。だから、これからも週刊誌のたねになったり、あるいはまたどこかのマスコミにことさらに取り上げられるようなことがあってはならぬと、こう思いまして、あんたにわざわざ来てもらったんです。どうですか、当日の……。
  167. 近藤恭二

    ○説明員(近藤恭二君) 三月二十六日の開港日の大事な警備の当日でございますが、浅沼長官は、週刊誌等に最近出ておりますような、たとえばゴルフへ行っているというふうなことは全くございませんで、現地からも、現地へ派遣しております警備課長や多重無線車から長官に直接報告をし、指示を受けて行動しているという状況でございます。終始私ども長官に報告をし、その指揮を受けて行動しておるという当日の状況でございます。
  168. 玉置和郎

    ○玉置和郎君 ここで、それで尽きておるかもわかりませんが、もう少しはっきりしておいた方が乗ぜられぬためにもいいかもわからぬから聞きますが、管制塔占拠のあの時期、彼はどこにおったですか。
  169. 近藤恭二

    ○説明員(近藤恭二君) 長官は公舎におりまして、私どもの報告、刻々情勢が変わってまいりましたので刻々変わります情勢を間断なく私どもは報告を入れて指示を受けたという状況でございました。
  170. 玉置和郎

    ○玉置和郎君 公舎と警察庁とどう違うのですか、長官室とどう違うのですか。
  171. 近藤恭二

    ○説明員(近藤恭二君) 警察庁におきましては、こうした非常に大事な警備の場合に対策室をつくりまして、警備局長が室長でございますが、私どもずっと詰めて刻々の情勢に対応しておるわけでございますが、現事象的な場面について私ども掌握しているものを刻々公舎に、この場合は長官がおりましたので長官に報告をしておるということでございまして、長官はどこにおりましても私どもは組織は一体でございますので、警察の判断なり措置というものにそごを来さないように十分配慮をしながら事を進めていくということになっております。
  172. 玉置和郎

    ○玉置和郎君 国民は、公舎といったら、これはやっぱり自宅みたいなものですよ。ファミリーもおるんでしょう。どうなんですか。
  173. 近藤恭二

    ○説明員(近藤恭二君) 公舎はもちろん家族もおり、自宅という形でありますけれども、特に警察官の場合、長官におきましてはなおさらでございますけれども、公舎というのは常に警察の責務に基づいて指揮をし、あるいは必要な報告を受け、それに基づいて指示をするという場所でございまして、公舎におりましても十分に責任を果たすことができるというふうに思っております。
  174. 玉置和郎

    ○玉置和郎君 おかしいよ、そんなことを言うと。公舎にはおふろがあるんですよ、冷蔵庫があるんですよ、ビールは冷えておるんですよ。そんなことも言いたくないけれども、あんたがそういうこと言うからいかぬ。つまみ食いビールを飲みながら電話で指揮して、一線警官は死の恐怖を前にしてやっておるんだよ。それで長官と言えるかね、どうなんだ。
  175. 近藤恭二

    ○説明員(近藤恭二君) 長官は、現場の事態が生じましたときに、すぐに登庁する体制を指示いたしております。車等もすぐ待たしたわけでありますけれども、私どもの報告を間断なく電話で入れておりますので、官舎から出る状態にならなかったということでありますが、十分に私ども指示を受けて……
  176. 玉置和郎

    ○玉置和郎君 そういうばかなことを言うな。わしはお巡りさん感謝運動の会長じゃ。だれよりもだれよりもお巡りさんを愛しておるんだ。四十年に当選して今日まで、お巡りさんの待遇改善と装備の強化を公約でうたい続けた男だ。何を言っているか、おまえは。  官舎におって、ふろのついた、冷蔵庫のついた、ビールの冷えた、つまみのあるところで、ゆかたがけでおまえらの報告を聞いておって、仮に彼が制服に着がえておったとしても国民が信用するか。なぜ長官室に来ないか。なぜ対策室に来ないか。何時に来たんだ。
  177. 近藤恭二

    ○説明員(近藤恭二君) 状況が一段落というわけではありませんけれども、ちょっと報告がとだえたその時期に長官はすぐに登庁いたしまして、対策室にも参りましたし、また、会議もし、あるいは記者会見等もし、事態をさらに掌握してもらってその次の事態に備えていただいております。
  178. 玉置和郎

    ○玉置和郎君 官舎はどこにあるんだ。
  179. 近藤恭二

    ○説明員(近藤恭二君) 荻窪でございます。
  180. 玉置和郎

    ○玉置和郎君 荻窪からサイレン鳴らして走ったらどのぐらいかかるんだ、警察庁まで。
  181. 近藤恭二

    ○説明員(近藤恭二君) サイレン鳴らして走ってまいりましたら、約三、四十分であろうかと思いますが、そのときの状況でいろいろ変わるだろうと思います。
  182. 玉置和郎

    ○玉置和郎君 日曜日で荻窪でサイレン鳴らして三、四十分もかかるか。日曜日で三、四十分もかかるかどうかテストしようか。どうなんだ。おまえの言うておることが間違いか、わしの言うておることが間違っておるか、どっちか。自信あるか。
  183. 近藤恭二

    ○説明員(近藤恭二君) 私、テストいたしておりませんのでわかりませんが、長官が……
  184. 玉置和郎

    ○玉置和郎君 いや、テストしようかと言っているんだ。自信あるかと言っているんだ。
  185. 近藤恭二

    ○説明員(近藤恭二君) 事態の報告の切れ目を見て早急に登庁して指揮体制に入る気持ちがありましたのは間違いのないところでございます。
  186. 玉置和郎

    ○玉置和郎君 警察で、車の中で指示できるような通信のなにはできていないのか、機械はないのか。
  187. 近藤恭二

    ○説明員(近藤恭二君) 一応無線機がございますけれども、これは申してもなにですけれども、盗聴その他の配慮もありまして、なるべく有線電話で私ども大事なことは応答をするということにいたしております。
  188. 玉置和郎

    ○玉置和郎君 それは言いわけにすぎませんよ、そんなことは。三、四十分もあんたはかかるとするわな。私はサイレン鳴らして走ったら三、四十分もかかると思わない、荻窪から。十五分ぐらいで来ますよ、フルスピードで走れば。十五分ぐらいの間がなぜあけられぬのか。また、それがあけられぬとしたら、十五分間の報告、応答は無線でなぜできないんだ、十五分間ぐらいのやつは。機密に関するものは十五分間後でいいじゃないか。それはおまえさんの言いわけにすぎない。  いつ登庁したんだ、それで。何時に登庁した。
  189. 近藤恭二

    ○説明員(近藤恭二君) 五時ごろでございます。
  190. 玉置和郎

    ○玉置和郎君 五時何分だ。
  191. 近藤恭二

    ○説明員(近藤恭二君) 五時二、三分であろうかと思います。
  192. 玉置和郎

    ○玉置和郎君 記者会見したのは何時だ。
  193. 近藤恭二

    ○説明員(近藤恭二君) ちょっとあれかと思いますが、二十時ころであろう、八時ごろであろうと思います。
  194. 玉置和郎

    ○玉置和郎君 私はあの記者会見の模様を知って驚いたのは、現場の中村千葉本部長にしても、三井警備局長にしても、まことに遺憾であると、それで警察の警備の責任だということでおわびをしておった。その現場の中村君にしても三井君にしてもそういうふうにしておわびをしておるときに、警備の最高指揮官である警察庁長官が夕方のこのこやってきて、それで記者会見して、そういう警備の責任だというようなことは一言もない。どういうことなの。
  195. 近藤恭二

    ○説明員(近藤恭二君) 先ほど失礼いたしました。記者会見をいたしましたのは七時過ぎでございます。  長官は、現場の警備責任者であります中村本部長なりあるいは三井局長が言明いたしましたことを踏まえて、十分にそういう気持ちの上で記者会見したというふうに私ども承知いたしております。
  196. 玉置和郎

    ○玉置和郎君 これは浅沼君は責任をとるんだろうな、どうなんだ。
  197. 近藤恭二

    ○説明員(近藤恭二君) 私どもそういうことにつきましては何とも申し上げることはできないと思いますけれども、長官は長官なりにそれぞれの御判断をされているというふうに思っております。
  198. 玉置和郎

    ○玉置和郎君 ぼくはなぜこのことに執拗に食い下がるかといったら、騒擾罪の適用がなぜできなかったのかということなんだよ。本会議でも私言いましたが、騒擾罪の適用がなぜできなかったか。浅沼君は、自民党の治安対策委員会へ来て、騒擾罪の適用がなぜできなかったかということについてはおわびをしたじゃないか。新宿騒乱事件のときに、いまの参議院議員の秦野君が騒擾罪適用に踏み切った。彼は警視総監だった。そうして検事と相談して騒擾罪適用ということで現場の警官がふるい立って一網打尽にした。  そのとき、現場の中村君にしても皆さんにしても恐らくそういうことを考えたと思うんだ、ぼくは。最高判断を仰ぐ浅沼君の所在についてとやかく言われても仕方がないような状態であったということ、私はそこから類推しているんですよ。それだけに、こういう国民の疑惑を残しながら、依然として警察庁長官におるということは、私はどうかと思う。友人としても、私は、浅沼君に、この際責任をとるべきだ、それで一線警察官に対して士気を鼓舞するような責任のとり方をしてもらいたい。このままで一線警察官に対してしっかり守れとかしっかり進めと言ったって、だれがやるか。官舎と縛するファミリーのおるところで、しかも冷暖房のきいたところで、着流しかもわからない、そういうふうに類推されても仕方ない、そういうところにおって、夕方やっと出てきて、そうして七時に記者会見するなんというのは不届きだ。私は、予算委員会で緊急質問に立ったときも、運輸大臣の所在はどうしたんだ、国家公安委員長のアリバイはどうだと聞いたゆえんのものはそこにある。安倍官房長官もいかぬ。これわしの友人だけどいかぬ。さっき安倍君から電話がかかってきたから勘弁したけどいかぬです。そういう政治の姿勢、これがすべてこういう事態を引き起こしておるんですよ。法秩序の乱れ、政治家の姿勢。亡くなったケネディさんが言ったんだ、姿勢は政策に優先すると言った。姿勢は政策に優先する。それだけに、少なくとも大臣になったり、あるいは警察の長官になったり、それぞれのポストに座った人は、全身全霊を挙げてその問題に取り組まなきゃならぬ。その日にたまたまゴルフしに行ったり、問題を聞いてもまだゴルフする。長官は管制塔が占領されながら依然として自宅で着流しでおる。わからないよ、着流しでおったか、ゆかたでおったか、さるまた一枚でおったかわからぬ。しかし、そういう疑惑を持たせながら一線警察官にやれやれと言ったって、だれがやるか。だれが国民的支持をするか。速やかに責任をとるべきだ。私は友人として言っておくからよく伝えなさい。  それから新東京国際空港の安全確保に関する緊急措置法案についてちょっとお伺いしますが、この提案者はだれになるのですか。
  199. 伊藤榮樹

    ○政府委員(伊藤榮樹君) 政府部内におきましては、現在運輸省が一応の事務方を務めておりますけれども、最終的に所管省庁をどこにするかということはまだ決められておりません。  なお、提案されます場合に、自由民主党の方で御提案になるか、あるいは政府提案になるか、この辺もまだ詰めが終わっていない段階でございます。
  200. 玉置和郎

    ○玉置和郎君 大臣ね、この法案の扱いですけれども、私なんかはやっぱり今度の問題は政府の統治能力の問題、これを問われておるということは本会議で申し上げたんです。だれよりも好きな福田総理ですけれども、統治能力の問題を問われておると私はこう見ておるんです。だから、議員立法でなけりゃいかぬという理由は成り立たない。政府のどこかが所管をしてそうして政府提案でやるという姿勢を貫いてほしいと思いますが、どうですか。
  201. 瀬戸山三男

    ○国務大臣(瀬戸山三男君) この法案の取り扱いをどうすべきかということは、まだ率直に申し上げて結論を出しておりません。といいますのは、あの三月二十六日の事態について、ああいうきわめて遺憾な結果が出たわけでございますから、現行法で、あるいは警備のやり方で、どこかに手違いがあったのかどうか、現行法を十分に適用して措置をとっておるかどうか、こういうところを詰めてみなければならない、これは大前提でございます。それを政府部内で各関係省庁がつぶさに検討いたしまして、そして現行法でどうしても間に合わないところがある――間に合わないというのは、例の成田空港の安全、将来の航空の安全上、現行法だけでは足りないところがあると、こういう結論を出したわけでございます。わが自民党の方から政府のこの問題に対する意見を問われましたから、そういう内容の要綱を出しておるわけでございます。それは、周辺にあるいわゆる要塞といわれるもの、あるいは団結小屋といわれるもの、これはまさに空港破壊の準備のためにやっておるわけでございますから、現行刑法その他関係し得るような法律がたくさんありますが、これを撤去する等のことには現行法では賄い切れない、こういう問題があると見ますから、そういう措置がとれるように、空港の安全、運航の安全のためには措置をとるべきである、絶対再びかようなことがあってはならない、これは当然のことでございますから、そういう意見を求められましたから意見を出して、現在のところ私その作業にタッチしておりませんからわかりませんが、党の方で各党と協議をしてこの取り扱いをどう進めるかということを検討しておられると、こういう状況でありまして、これは統治能力のお話がありましたが政府提案を逃げるとかなんとかいう問題ではなくて、こういうことはできるだけ国家の大問題でございますから各党とお話し合いをされるということはきわめて適切である、こういうことで意見を出しておる、これが現状でございます。
  202. 玉置和郎

    ○玉置和郎君 この成田問題なんかを考えていきますと、大臣、過激派の裁判、これはわれわれ国民サイドから見ておりますと、一体何をやっておるんだと、あれだけのことをして国民に多大の迷惑をかげながら、これは一体裁判は何をやっておるのだろうという不信感がたくさん出ていますよ。これはどうですか。
  203. 瀬戸山三男

    ○国務大臣(瀬戸山三男君) おっしゃるまでもないことでございますが、裁判は可能な限り速やかに結論を出して法治国家の実を上げる。言うまでもないことでございますけれども、法律は、それを実行に移してその結論が出て初めて法律の効果が上がるわけであります。でありますから、これはよけいなことかもしれませんが、民事にしろ刑事にしろ裁判ができるだけ速やかになるようにということで政府は行政的立場でいろいろ御協力をしておると、こういう状況でありますが、特にいま御指摘のようないわゆる過激派に関連する刑事事件、これはたとえば昭和四十七年にありました浅間山山荘事件、その後連続して起こりました爆弾闘争によるいわゆる連続企業爆破事件、こういう一連の過激派の裁判は非常におくれております。昭和四十七年に起訴いたしました浅間山山荘事件がまだ一審がいつ結論が出るかわからないと、こういう状況で、これはまあ事件もいろいろ複雑なところもありますが、これはいわゆる法廷闘争という名のもとに審理の妨害、審理の進捗を妨げるということがもう公判期日当初からずっと行われております。  その中で、現在の憲法あるいは法律で示されておるところの、どうしてもこれを改めるためには一つの法律をつくらなければならないと、こういうことで特例法をすでに三月初旬に国会に提出をして御審議をいただいておるわけでございますが、そのいわれはどういうことかというと、彼らの法廷闘争の主張をかいつまんで簡単に申し上げますと、国家権力に対して抵抗するのは人民の権利である、こういう立場でございます。でありますから、裁判といえども闘ってこれを打ち破るのがわれわれの権利であるという立場でございます。そこで、これに同調する、これは少数でございますけれども、いわゆる弁護士の弁護人がおられる。御承知だと思いますが、憲法三十七条には、必ず被告人は資格のある弁護人を選任する権利があると規定しております。また、それを受けて、刑事訴訟法の二百八十九条でございますか、死刑、無期または三年を超えるいわゆる重いと思われる犯罪の刑事事件については弁護人を付する権利がある、付さなければならない、かようになっております。これはまあ弁護人といいますか被告人の立場を擁護し、正当な権利の主張、正当な裁判を求めるためには当然なことでございます。この規定を盾にとって、被告人と通じて、あるいは期日に出頭しない、あるいは法廷闘争の名のもとに退席をする、こういうことが繰り返されておりまして、期日が開けない、あるいは開いても審理が進行しない、こういう種類のものにはこれが繰り返されておるという状況がずっと続いております。  そこで、私どもとしては、さっき申し上げましたように、法治国家というものは法律の実効を速やかに上げるというのが憲法及び刑事訴訟法のねらいであります。憲法にも、公正迅速な裁判を受ける権利があると、こう書いてある。また、人権を擁護し、公正迅速な裁判をするための刑事訴訟法ができておる、こうなっておるわけであります。当然なことであります。でありますから、この憲法及び刑事訴訟法の趣旨に従って、いまのようなことは、特定の条件の場合には、弁護人を排除するというのじゃなくて、そういう戦略のために出てこない場合は、特定の場合には審理が進められると、こういう措置を講じようという提案をいたしておるわけでございます。私は、率直に申し上げて、これは国民の大多数の期待であろう、また憲法、刑事訴訟法の望むところであると確信をして提案いたしておりますので、ぜひ御協力を願いたいと思います。
  204. 玉置和郎

    ○玉置和郎君 私たちは、与党という立場だけでなしに、今度のこういう問題を考えていったら、いま法務大臣が言われたその御趣旨というものは全面賛成です。  そこで、そういうことを考えていくときに、その背景になるもの、これをちょっとお聞きしますが、日本弁護士連合会の性格です。これは私たちおかしいなと思っておりますのは、公認会計士が大蔵大臣、医師会は厚生大臣の所管、ところがこの弁護士会というのは何省の所管ですか。
  205. 伊藤榮樹

    ○政府委員(伊藤榮樹君) 日本弁護士連合会は、全国の弁護士及び弁護士会を加入メンバーといたしますいわゆる強制加入の団体でございまして、弁護士の資格審査、登録、懲戒、こういった一種の行政処分のようなことをやっておりまして、その関係の役員の方はみなす公務員になっておったりするわけでございますが、いかなる国の機関の監督も全く受けないというまあ世界的にも例がない完全な自治機能を有しておると、そういう団体でございます。
  206. 玉置和郎

    ○玉置和郎君 これは昭和二十四年に弁護士法が法務省の反対を押し切って成立したときからここに問題があったと、私はこういうふうに認識しておるんです。つまり、憲法上行政権に属すべき弁護士の登録や取り消しの権限を同業者の団体たる弁護士会に付与したことに問題がある、どう思いますか。
  207. 伊藤榮樹

    ○政府委員(伊藤榮樹君) 当時、議員立法として弁護士法ができたわけでございますが、したがいまして、私どもとしてその立法当時のお考えを詳細に知ることができないわけでございますけれども、思いますのに、およそ弁護士というような人たちは社会的にも地位が高いし、法律家としての十分な素養を身につけておられる。したがいまして、そういうりっぱな方々のお集まりであれば自治に任せておいても十分国民の期待にこたえられるというようなお考えがあってそのような性格のものになっておるのではないかと推測いたしておるわけでございます。
  208. 瀬戸山三男

    ○国務大臣(瀬戸山三男君) 弁護士法の性格はいま刑事局長からお答え申し上げたとおりだと思いますが、昭和二十四年に弁護士法ができたとき、これは従来は御承知のように弁護士は裁判所の監督下にありました。諸外国もそういうところはたくさんありますが、そうでありましたが、戦後のいわゆる民主主義ということだと思いますが、議員立法がされる場合に、いまも話が出ましたが、弁護士は高度の教養を持っておられる、また法律家である。また、弁護士法にもそういうことが書いてあります、人権を擁護し社会正義を守るのが弁護士だというふうに書いてあります。でありますから、そういう教養の高いと思われる、また高度の法律家である、こういう人々はいわゆる自主的に自律機能を持たして間違いないと、こういう意味でそういう立法になっておると思いますが、こんなことを言うとおしかりを受ける場合もあるかもしれませんが、現在の機能はそういうふうに機能しておらない、そこに問題があるというふうに思います。
  209. 玉置和郎

    ○玉置和郎君 三十四分までしか時間がないというから、最後に共産党の問題をやりたいんで、お呼びした参考人の方にはまことに恐縮です。本当にあなた方に及ぶ時間がございませんで、せっかくお待ちをいただいたんですが、また日を改めてやりたいと思いますので、公団総裁それから東京電力、それから文部省――文部省はもう一回よく調査しておいてくださいよ。文部省は、京大教授の川口是さん、これは国家公務員法違反であると。私は、きょうは、田中伊三次先生からも聞きましたから、だから事実関係はもうはっきりしてきておるから、これはまた改めてやります。もう一回よく資料を調べて、それであなたがとれたら私のところに出してください。それから東京電力も、私の方でもう一回質問書を出しますから、公団総裁にも私の方で出しますから、それに御返答願って、きょうはどうかお引き取りください。ありがとうございました。  共産党の問題に入りたいと思いますが、過激派のすべてが共産主義者と名のっておりますが、このルーツはどうですか。
  210. 鎌田好夫

    ○政府委員(鎌田好夫君) 今回の事件に関連のある過激派にしぼって申し上げたいと思いますけれども、今回の事件に関係のある過激派は、御承知のように、日本革命的共産主義者同盟第四インターナショナル日本支部、いわゆる第四インター、その傘下の共青同、それから共産主義者同盟戦旗派、いわゆる戦旗派、共産同の戦旗派でございますが、それとプロレタリア青年同盟、革命的共産主義者同盟の中核派などでございますが、ルーツと言われる意味がどういうことを言っておられるかは必ずしも明らかでございませんけれども、その生成の経過におきましては、昭和三十二年から三十六年ごろにかけまして日本共産党から脱党した人あるいは除名になった人が中心になってできたものがその後離合集散を重ねまして今日に至っておるということでございます。
  211. 玉置和郎

    ○玉置和郎君 生成の過程をいま触れていただきましたけれども、ずっとこうたどっていくと根源は日本共産党の中である程度大きくなってきたというか、培養されてきたというか、それが大きくなって分かれていったと、こう見ていいのかどうか。
  212. 鎌田好夫

    ○政府委員(鎌田好夫君) そういったふうには必ずしも申せませんので、先ほど言いましたように、脱党した人あるいは除名された人が中心になっておるということは、日本共産党とは立場あるいは戦略その他が違っているということでございますので、ルーツが日本共産党であるという言い方は不正確ではなかろうかというふうに考えます。
  213. 玉置和郎

    ○玉置和郎君 国民はこういうことを余り知らないですよね。だから、私は、いまから申し上げることは、日本共産党を頭から誹謗したり宮本委員長という公党の委員長を頭ごなしにやっつけるというそんなことではないんです。これはきょうは参議院の共産党の方の最高の論客である橋本議員も来ておるし、内藤さんも来ておりますから、どうせ反論なさると思いますから、私のいまからお話し申し上げることは、やっぱり法秩序の問題、そういう中で宮本さんの問題あるいは袴田さんの問題をどういうふうにとらまえていったらいいのかということについていろいろと議論をしてみたいと、こう考えておるわけです。  そこで、参議院の法制局長、参議院規則第十五章資格争訟、これについてちょっとわかりやすく簡単に説明してください。
  214. 杉山恵一郎

    ○法制局長(杉山恵一郎君) これは憲法から筋を引いているのでございますけれども、議員の資格に問題があるというふうにお考えになる議員さんがおられました場合には議員の資格に関する争訟を起こすことができるということになっておりまして、これが国会法から参議院規則へ通じまして細かい規定があるわけでございます。その場合に、手続としまして、まあ原告議員と申してありますが、原告議員は提訴をしようとするときには訴状を議長に出しなさいと。議長に出した場合には当然に資格争訟特別委員会という委員会が設けられると。その委員の数は十人だと。それでこれは当然に設けられることになりましてそこにその訴状が付託されて審査が始まると。議長はその訴状の副本を被告議員に送付して答弁書を出させる。そして、答弁書が出てきたら、それを委員会に送付して、委員会はその訴状と答弁書をもとにして審査を始める。必要があれば被告議員あるいは原告議員を委員会に呼んで審査をする。あるいは原告議員あるいは被告議員の方から議長を経て出席を求めて意見を述べることができる。こういう形で審査が終わって、委員会は過半数で資格があるかないかということを決めて議長に提出する。議長はそれを印刷して配付する。本会議でもし三分の二以上で資格がないと決定されれば、議員はその時点で身分を失うという、そういう手続になっておるわけでございます。
  215. 玉置和郎

    ○玉置和郎君 これはなぜそういうことを言うかといいますと、宮本顕治議員の復権は、法務大臣、あれは当時の占領軍の指示によるものだという稻葉元法務大臣の答弁がございましたね。それは間違いございませんか。
  216. 伊藤榮樹

    ○政府委員(伊藤榮樹君) 連合国軍からの特別の指示によって復権したものと、こういうふうに考えております。
  217. 玉置和郎

    ○玉置和郎君 それだけに、法制局長ね、私たちはこう考えておるんです。宮本さんが占領軍の特別の措置によって復権なさったと。しかし、その復権の仕方についてはいまだいろいろの疑惑があるんです。宮本さんはあのときは病気を理由にしてそうして網走から出られた。そのときにこの復権の問題について傷害致死の問題にどうだこうだといういろいろ議論がありましたね。ところが、その宮本さんが今度国会議員に御当選になった。御当選になる前に、参議院選挙前でございますが、私はたまたま国分寺の市長選挙に応援に行って、駅前で宮本さんたちのやられたと言われる、これは確定裁判ですから、その判決書に基づいて、宮本さんは小畑達夫さんをこういうふうにして首を締めましたよという演説したんです。袴田さんがどこを押さえたよという話をしたんです。それが六月の何日だったか忘れましたが、あ五日だ、五日の正午ごろです。そしたら、宮本さんの方から、宮本顕治氏個人で玉置和郎個人を東京地検に六月八日に名誉棄損で告訴した。ぼくはそれを受けて誣告罪と公職選挙法違反で、というのは当選せしめない行為ということで、邪魔になるということで、私はそれを秋山という弁護士を入れて誣告罪で逆告訴した。いま係争中なんです。その起訴されるかどうかということ、これは地検に当然任すべきで、われわれが言及すべきことじゃないと思いますが、議員の資格の問題です、これは。私が名誉棄損ということになれば当然議員の資格を失うことになる。宮本さんが私に言いがかりをつけて名誉棄損で選挙妨害しようとした。ところが、私も当選した、宮本さんも当選した。そういうことであるならば、憲法第五十五条に基づくところの議員の資格を国会で問うことができる。私は当然これは問うべきだと思う。そこに憲法第五十五条の趣旨があると思っておるんですが、この憲法五十五条の趣旨についてはあなたはどう考えますか。これは内閣法制局は来ておりますか。内閣法制局だ、憲法だから。
  218. 味村治

    ○政府委員(味村治君) 憲法第五十五条は、両議院に、その議院に属します各議員さんの資格に関する争訟の裁判権を与えたものであると、このように理解しております。
  219. 玉置和郎

    ○玉置和郎君 私はここに宮澤博士の「日本国憲法」を持ってきておるんですが、これをちょっと読みますと、これで私は正しいと思っておるんですが、「国会は、その議員の選挙および資格に関する唯一の裁断者である、と定めた。これは、おそらく、その議員の選挙および資格については、国会の判断をもつて最終的なものとし、裁判所の審理権はそれに及ばないものとする趣旨(すなわち、その問題を「政治問題」とする趣旨)だと考えられる」と、こういう解釈をしていますが、法制局の解釈はそれと同じでございますか。そういう解釈をとられるのですか。内閣法制局だな、これは憲法だから。
  220. 味村治

    ○政府委員(味村治君) そのように考えます。
  221. 玉置和郎

    ○玉置和郎君 それなら、法制局長、これは院の問題ですからあなたにお聞きしますが、いまあなたの説明で尽きておりますが、私がもう一回わかりやすく言いますと、私と宮本さんの間でいろいろやりとりしておる。きのう私は名誉棄損でまたやられた、宮本さんに。まあよくやってくれるなと思って、感心しておるんですが、私は、ここで、私もさることながら、宮本顕治というこれは私は政治家として一流の政治家だと思っています。しかも、公党の委員長です。それだけに、宮本さんがここで憲法五十五条の定めるところによってみずからの資格についてみずから名のり出て――名のり出なかったら私がどうせやるんですからね。私が原告になって彼が被告になるんだから。私はここにもうちゃんと訴状の写し、コピーを持ってきた。これは全部書いておる。いよいよこれをやりたいと思いますが、あなたは私のやることについてはこれは合法であるか合法でないか、これはどうですか。
  222. 杉山恵一郎

    ○法制局長(杉山恵一郎君) これは参議院で言えば参議院議員の先生が同僚の議員さんについて、つまり選挙法で定める選挙資格がないというふうにお考えになるのなら、そういう訴状を提出することは可能であると思います。
  223. 玉置和郎

    ○玉置和郎君 参議院規則第十五章の資格争訟のこの条項をずっと調べてみますと、私がこれを出しますと、直ちに安井議長は十人から成る特別委員会を構成せにゃいけませんな。
  224. 杉山恵一郎

    ○法制局長(杉山恵一郎君) 構成するというか、提出によって当然に委員会は設置されることになります。
  225. 玉置和郎

    ○玉置和郎君 そういうことですね。設置されると、この私の争訟理由によっていろいろ審査が始まるわけですね。
  226. 杉山恵一郎

    ○法制局長(杉山恵一郎君) そうでございます。
  227. 玉置和郎

    ○玉置和郎君 審査の結果は過半数ですね。
  228. 杉山恵一郎

    ○法制局長(杉山恵一郎君) 委員会では過半数でいいと思います。
  229. 玉置和郎

    ○玉置和郎君 過半数でこれが本会議に送付されたときに、仮に反対者がどうであろうがこうであろうが、それは単なる報告であって、政治決着は政治判断は本会議でするというふうに理解していいですね。
  230. 杉山恵一郎

    ○法制局長(杉山恵一郎君) 趣旨がよくわかりませんが、その委員会の報告に対して本会議がどう考えるかということだと思いますが、三分の二以上あれば議員の資格がないという議決が有効に成立するということになります。
  231. 玉置和郎

    ○玉置和郎君 ぼくは、共産党の所属の議員さんがきょう二人お見えになっていますから、これはもう当然私の言うことが耳に入ると思いますので、黙っておれば耳に入るんですから、私はやっぱり重大な問題だと思っておるんです。おもしろおかしくやっておるのじゃないです、これは。法務大臣、私は法秩序の乱れというもの――こういう法治国家の中で法律が制定された、そういうことになると、その法を適確に運用していくということが法秩序を守っていく私は根本だと思っておるんです。だから、宮本委員長という公党の委員長は、こういうことがあるならば、そのよって来る背景というものは一体何かと言ったら、宮本さんが小畑達夫という者をリンチを加えて殺したのか殺さないのかというその復権の仕方はどうであったのかということ、そういうことが問題になってくるんですね。私なんかも党の特別委員会のメンバーとしてやっておって、宮本さんの確定判決をずうっと読ましてもらいました。そうして、あの確定判決は間違いないと、こういうふうに思っておりましたら、宮本さんの方は、あれは暗黒裁判でやったんだからあんなものは無効だと、あんなものはないんだと、でっち上げだと、こう言う。日本が戦前戦後を通じて法治国家であるということの実体は変わりはない。そうして、袴田さんが除名されたら、すぐに小畑達夫氏を殺したのは宮本委員長だと言い切った。それだけに、私は、堂々とこの法務委員会に出てきて、そうしてその問題についてむしろ証人にみずから立って、袴田さんも証人に立って、そうして黒白を弁ずべきじゃないか、国民の前に明らかにすべきじゃないかというふうに考えております。それだけに、今日、もうあと一分でございますので私からお願いしますが、この法務委員会に宮本顕治議員、それからその真実はおれしか知らないと言われておる袴田前副委員長、この二人をぜひ証人喚問してもらいたい。これは委員長にお願いします。それだけを要求しまして、私の質問を終わります。
  232. 中尾辰義

    ○委員長(中尾辰義君) ただいまの玉置君の証人喚問の要求につきましては理事会で検討いたします。
  233. 橋本敦

    ○橋本敦君 私は、まずきょうの一般調査でロッキード問題についてお尋ねをしたいと思っておるわけです。といいますのは、けさの朝日新聞でも皆さん御承知だと思いますが、四十七年の十月三十日に問題の丸紅からきわめて多額の政治献金が自民党を主体に八千五百万円集中的になされたという記事が出ているわけであります。この出所が、この新聞記事によりますと、これは検察庁がいま進行中の公判に関して立証のために提出をされた証拠の一部だというように書いてあるわけですが、まずこの点について立証の一部としてこのような献金一覧表のような丸紅の献金寄付勘定一覧が出されているのは事実かどうか、この点お伺いしたいと思います。
  234. 伊藤榮樹

    ○政府委員(伊藤榮樹君) 現在、それらしいものが裁判所の方へ提出されておりまして、この朝日新聞に掲載されました写真がまさにそのものの写真であるかどうかちょっと確認ができませんが、いずれにいたしましても昭和四十六年四月から四十七年三月にかけての金銭の収支が記載されました経費台帳という証拠物が検察官から裁判所に提出されておる、その一部が証拠調べをなされておるということがございます。
  235. 橋本敦

    ○橋本敦君 ほぼ否定をなさらないわけですが、この新聞の報道によりますと、この台帳に記載されているのは、四十七年十月三十日というこの特定の日に集中して二十九件、二千七百四十万円の大量献金が丸紅から、たとえば田中派の越山会五百万、福田派の千代田経済懇話会、大平派の新産業政策研究会それぞれ三百万、それからまた橋本登美三郎元幹事長の政治団体に二百万、こういったように出されているということが出ておりまして、いずれにしても丸紅の秘書課長であった副島氏の認印が新聞の写真でも見ることができますが、こういった状況にある。こういう事実は、これは検察官としては立証のために証拠として裁判所にお出しになったということの中に含まれている事実として、間違いない事実として理解してよいと思うのですが、いかがですか。
  236. 伊藤榮樹

    ○政府委員(伊藤榮樹君) この経費台帳と言われます証拠物を裁判所に提出した際の立証趣旨は、田中角榮氏の秘書の榎本氏と伊藤宏らが料亭木の下で会合した、その会合の経費が交際費として処理されているということを立証するために提出いたしたわけでございます。そうしまして、副島氏を証人として尋問いたします際に、この経費台帳のうち若干の部分を示して証言を求めておりますが、それは、丸紅は組合諸会費と特別会費という二つの名目で政治団体に政治献金をしておったこと、組合諸会費は不定期に銀行振り込みで行い、特別会費は毎年二回時期を決めて小切手で行っていたこと、西湖会に対する四回にわたる組合諸会費の支出が記載されていること、特別会費については西湖会に対して四回、越山会に対して三回の支出が記載されていること、さらに昭和四十七年十二月二十日の欄に木の下に対する六万四千九百七十九円の支払いが計上されていること、以上の事柄について証言を求めておると、こういう経緯でございます。
  237. 橋本敦

    ○橋本敦君 検察官の立証趣旨はわかりましたが、要するに丸紅の特別会費名目あるいは政治献金の実態が、丸紅の通常のルートとして、あり方としてどういうことであったかということとの関連もあるわけですね。  この四十七年十月三十日というのは、まさに人も知るとおり、全日空がトライスターを決めた日であり、問題の三十ユニットの金が丸紅、クラッターから三千万円持ち込まれたという問題の日であるということは、これはもう国民周知の事実でありますが、この十月三十日に、この台帳によれば、いま私が指摘したように三千万円近い金が一挙に特別会費名目にしろ実質政治献金としてばらまかれておるという状況について、これは検察庁としてはどういう趣旨でこの日に集中的に三千万円が出されたのか、ロッキード疑獄のさなかでは当然に究明されたと思うのです。そういう意味で、この三十日にこの金が集中したという点についてはどう判断なさっておられますか。
  238. 伊藤榮樹

    ○政府委員(伊藤榮樹君) 朝日新聞の記事に基づいてのお尋ねでございますが、先ほども申し上げましたように、この経費台帳につきましては現在裁判所に押収されておるわけでございますが、先ほど私が御説明しました限度において法廷に展示され証拠調べがなされておるわけでございまして、そのような部分については公開の法廷でも明らかにされていないことでございますので、これを前提としてのお尋ねにはちょっとお答えいたすことができない、こういう事情でございます。
  239. 橋本敦

    ○橋本敦君 現在の政治資金規正法が改正をされました関係で、特定会費名目にしろ、あるいはその他の名目にしろ、こういった金銭の受け渡しというのは、これは当然届け出の義務がある。それに違反しますと五年以下の禁錮もしくは罰金という刑に処せられる。ところが、この当時はそういった政治資金規正法の規定がございませんから、特定会費、会費名目ということでは事実上自治省の選管に届け出ないという形で処理されていった。これがいわゆるわれわれがいう裏政治献金というやつですね。このほとんどはそういう当時の法網をくぐってなされた状態にあるわけですけれども、私は、ロッキードを集中的に捜査をする中で、十月三十日という日にいかにも特定して主要な政治団体にこれだけの金がばらまかれたということは、検察庁としては当然捜査の目を光らすという観点からその実情を詰めて丸紅側を捜査なさったという経緯があってもおかしくないのじゃないか、こう思っているわけなんですよ、当然の捜査の論理の過程として。そういう点で捜査をしたのかしなかったのか、内容の判断はともかくとして。その点はどうなんですか。
  240. 伊藤榮樹

    ○政府委員(伊藤榮樹君) 十月三十日に多額の金が集中しておるという点については、この新聞記事に基づいてのお尋ねでございますが、法廷で顕出されていない問題を多々含みますのでお答えはできないわけでありますが、仮定の問題といたしましてお答えするとすれば、仮に朝日新聞に掲載されたような事項が細かく書かれたような資料があるとすれば、検察当局としては当然これに注目してこれについての一定の判断を加えておるということであろうと思います。
  241. 橋本敦

    ○橋本敦君 実際に捜査のプロセスではそうでなければならぬと思うのですね。  ところで、もう一つの問題で、ロッキード委員会では丸紅の政治献金がしばしば問題になりました。そして自治省に丸紅の政治献金の一覧を全部わかる限りお出しなさいと、こう言った。自治省から出てきたのもあるのですが、とてもじゃないが、こういった数字よりはるかに少ない事実しか実際は出てきていなかった、こういうことですね。そういたしますと、私はもう一つロッキードの徹底調査という観点で検察庁に確かめたいのは、この台帳を検察庁が入手なさった時点はいっか、これをひとつはっきり聞きたいのです。
  242. 伊藤榮樹

    ○政府委員(伊藤榮樹君) これは客観的に明らかな事実でございますので申し上げますが、一等最初この証拠物を入手したのは警視庁でございます。私、記憶で申し上げますので間違っておれば別の機会に訂正いたしますが、三月の初めごろではないかと思います。
  243. 橋本敦

    ○橋本敦君 五十年三月の初めごろということですから、二月六日にアメリカのチャーチ委員会からの報道が飛び込んできて大きく問題になっていったその後ですね。こういった証拠を入手されたということで、当時ロッキード委員会から自治省に要求したけれども、ほとんど資料が出てこなかった。検察庁は捜査の秘密、密行性ということがありますから、入手した資料を全部出すということにはならないかもしれないが、私が法務大臣に姿勢として伺いたいのは、これは当時検討したけれども、違法な政治献金あるいは政治資金規正法違反ということで立件するに至らなかった、これは事実ですね、まだ立件していないわけですから。しかし、ロッキードの捜査の過程でこれは一応捜査の観点から判断になった材料になる。しかし、その判断した結果、いわゆる刑事上の違法があるということでこの問題は立件にならなかったわけですから、こういう状況はロッキード特別委員会から要求があれば、これは直接刑事訴追しなかった部分ですから、ロッキード特別委員会の政治責任究明のために資料として要求すればお出しいただいてしかるべき資料であったのではないか、こういう感じがするのです。ロッキード委員会からはこれからもこの問題についてはまだまだ究明してまいります。そういう関係から、これは裁判所に提出済みということですが、これは裁判所へは原本を提出されても、それの写しは検察庁に当然残っているでしょうし、いま伊藤刑事局長がおっしゃった立証趣旨、これに限定されないその他の部分にこれがたくさんあるわけですから、ロッキード特別委員会の要求に協力をしてこれを提出していただくということに踏み切っていただけませんか。
  244. 瀬戸山三男

    ○国務大臣(瀬戸山三男君) 私もいま初めてこれは見たのですが、伊藤刑事局長からの報告によりますと、この種の資料といいますか、証拠物件といいましょうか、これは裁判所に保管されておる、こういうことだそうでありますから、私の方で出すとか出さないとかいうお答えをするわけにはまいりません。と同時に、もう一つは、犯罪を捜査します場合に、これは私の想像でございます、一般論でございますが、たとえば丸紅の三十ユニット云々と出ておるわけでございますが、捜査する場合にいろいろなものが出てくると思います。それには、調べてみたらこれは普通の政治献金であったとか、あるいは政治団体に対する会費であったとか、いろいろなものが出てくる、その一部じゃないかと思いますが、捜査の段階で出てきた犯罪事実として起訴されるそのものに関係しないものを全部公に出すということは、橋本さんも言われましたが、捜査の秘密といいますか、これを全部後で公開するとなりますと、将来の捜査にも関係がありますから、そう簡単にいかないのじゃないか。これはいま突然お尋ねになって、突然私が私の判断で考えたことでございますが、そういうものじゃないかと思います。こういう場合、いろいろなものがあらわれますから、それを全部犯罪に関係ない資料を、実は調べ中にこういうのがありました、ああいうのもありましたでは、これは世の中はなかなかおさまらないのじゃないか、かように考えますが、いかがでしょうか。
  245. 橋本敦

    ○橋本敦君 出していただけないという結論なんですね。私は、密行性というのは捜査の段階にあることは認めておりますが、しかし、稻葉法務大臣も、ロッキードの国会における調査と検察庁の調査は車の両輪のごとくにやっていくのだとかねがねおっしゃった。私はそれでいいと思うのですよ。裁判所は公開の法廷で証拠調べをするわけですから、そこで裁判所に提出されたということは、ある意味では捜査の段階、密行性は終わって、半ば公開的に出されたという状況にいまなっているわけです。だから、そういう状態と、ロッキード調査の重要性ということから見て、お出しいただくことを検討してもらいたい。これは裁判所は現物を押収されているわけですから、検察庁には当然それの写しはあるわけだから、ロッキード調査に協力するという観点でさらに検討してもらえないかと、こういう意味なんです。その点はいかがですか。
  246. 伊藤榮樹

    ○政府委員(伊藤榮樹君) 先ほども申し上げましたように、特定の立証趣旨で提出した証拠物でありまして、その特定部分を証人に示して尋問をしておる、こういう経緯でございますので、国政調査権の御発動ということで検察官の活動に対する御調査という観点から御要求がありますれば、公判廷において取り調べられた範囲内につきまして公判立会検事から報告を聴取いたしましてなるべく詳しく報告をいたすということは可能でございますが、証拠物として押収されております台帳の中身全部をお出しするということは、法廷で証人に示してもおらない部分、そういう部分が多々あるわけでございまして、この点については裁判所にお聞きいただく以外に私どもとしてはいかんともなしがたい事柄でございます。
  247. 橋本敦

    ○橋本敦君 それでは、いま局長がおっしゃった第一段階、法廷で提示をし、証拠調べをし、立証趣旨の範囲に限ってなした部分についての説明報告をお願いしておきたいと思います。  法務大臣、一言聞きたいのですが、だれが考えましても、三十ユニットがばらまかれた日、そして全日空がトライスター採用を決定したこの十月三十日に、一挙にして三千万円の金が多額にこうして裏政治献金としてばらまかれたということは、丸紅という会社の政界との金権体質的癒着ということ、これを究明するという意味では非常に重要な事実だと私は思うのです。そういう中で問題の三十日の三十ユニットという事件が起こっているわけです。こういう三十ユニット事件を包むベースグラウンドとして、背景として、丸紅がなぜこの日にこれだけ多額の金を裏政治献金としてばらまいたかという事実、これはロッキードの究明という観点で国会がまさに政財界の癒着なりロッキードをめぐる政治責任、その背景なりを究明する上で当然問題にしていくべき事件に値すると私は思うのです。法務大臣としては、捜査の責任ということがありますけれども、この三十日にこれだけの金が集中的にまかれたというそれが事実とすれば、それはロッキード事件との絡みでどういう意味を持つのだろうか、どうお考えになりますか。
  248. 瀬戸山三男

    ○国務大臣(瀬戸山三男君) これはいま見たばかりですからわかりませんが、一般論としてさっきも申し上げたとおりでありますが、犯罪を捜査するときにいろいろな証拠物件等を押収することがございますね。その中で、問題は、例のロッキード社と、あるいは全日空、丸紅との関連でございますから、その資金がどういうふうに流れたか、どういうところにどういう金が行っておるか、これを捜査する段階でいろいろな帳簿その他を調べると、ほかの金を記載したものもある、こういうことだと思いますから、必ずしも私はロッキードそのものの問題と密着していると――捜査の方では入っておりますけれども、事件そのもののものとは密着はしておらぬのじゃないかと、かように考えておるわけでございます。これ自体よくわかりませんけれども、一般的にそういうことがあるわけでございます。
  249. 橋本敦

    ○橋本敦君 法務大臣、もっと真剣に私は検討していただきたい。全く関係がないということなら、検察庁は、立証趣旨の範囲ということはあったにしても、この台帳を裁判所に証拠提出するということは、そう簡単に関係ないものは検察庁はお出しにならぬわけです。  一つ伊藤刑事局長に伺いますが、これらの政治献金は、これは小切手で切って行われたと。ところが、問題の三十ユニットは、たとえば田中角榮一千方、橋本登美三郎あるいは二階堂さん五百万といったような金は、これはキャッシュで領収証なしで出された。この対比を検察官が立証して、いいですか、こちらの方は大臣が言われる通常の政治献金ということでとらえても、あちらの方は、つまりユニット関係は、これは丸紅の通常の政治資金提供方法と違うから、だから三十ユニットについてはいわゆる検察官の立証としての賄賂性、これが認められる、こういう状況証拠として立証趣旨としてお出しになったものだろうと私は思うのですが、立証趣旨について、伊藤局長、そうですか。
  250. 伊藤榮樹

    ○政府委員(伊藤榮樹君) まず最初にお断りしておきますが、橋本委員は朝日新聞をお手にされまして、これについてはというようなお話でございますが、私どもはそのことについてそうだと申し上げておるわけではございませんので、それをまずお断りしておきます。  検察官が経費台帳を証人に示しました趣旨は、一つには木の下の会合の日を特定させるということ、それからもう一つには、ただいま御指摘のあったことに似通っておるわけですが、いわゆる政治献金と公訴事実に掲げております現金と扱いが大変違っておるということについて副島証人に尋問をしたと、こういうことでございます。  なお、一つおわびを申し上げなければなりませんが、実はけさの朝日新聞を私ども読みましてからずっと国会関係に詰めておりましたために、この関係の詳細について大臣にはまだ御報告がしてございませんので、大臣のお答えに御不満な点があるいはあったかもしれませんけれども、御容赦いただきたいと思います。
  251. 橋本敦

    ○橋本敦君 いま局長が大変穏やかな言葉で謙虚におっしゃった立証趣旨の第二点、つまりこのあり方が通常の政治献金と違うというキャッシュで渡されたという状況、私はこれがやっぱり問題だということがロッキード事件の立証の核心としてある。つまり、逆に、丸紅の一般の政治献金は通常年二回。たまたまこの日は三十日に集中した。これは問題があるが、しかし小切手で支払われている。特別会費という名目である。ところが、他方はそうではない。ここにいわゆる三十ユニット関係の金銭の授受に関してその金の性格が通常の政治献金と違う、いわば賄賂性を持った金だというそういう観点が検察官の立証趣旨にあると、こう理解するのは私はいまのお言葉からも当然だと思うのですよ。そうだとすれば、あの三十ユニットは、この検察官の立証によって、賄賂性ということについては検察官は立証上確信を持ったと、私はこう見ていいのじゃないかと思うのですが、その点は局長いかがなんですか。
  252. 伊藤榮樹

    ○政府委員(伊藤榮樹君) 検察といたしましては、常に公訴事実の立証について万全の確信を持って現在鋭意やっておるわけでございます。  なお、事柄を混乱させるといけませんので申し上げておきますが、経費台帳を証拠物として申請いたしました趣旨は、木の下の期日の特定及びその経費の支出関係を立証するということでありましたが、副島証人の記憶を喚起し、一般の政治献金の扱い方と三十ユニット関係の扱い方とが大変異なっておるということについての副島証人の証言を得るためにこの経費台帳を提示したと、こういうことでございますので、お断りしておきます。
  253. 橋本敦

    ○橋本敦君 大臣、詳しい内容は聞きませんが、政治献金を会社、企業からもらうということについてはやめるべきだというのがわが党の意見ですが、これはまあわが党の意見といたしまして、政治献金を特別会費という名目で受け取るにしても、あの四十七年十月三十日というこの日に集中的に受け取ったというこういう状況はロッキードの絡みでやっぱり疑惑を招くということがいまから見て思われてくるわけですね。そういう点で、大臣は、その時期は問わず、一般の政治献金ということならそれ自体そうでしょうというような御答弁ですが、私はやっぱりそれでは国民はロッキード事件についての疑惑ということについて納得しがたいものが残ると思うのです。だから、そういう意味で私はこの点に関してロッキード委員会でももっと究明すべきだと、こう考えておるわけです。大臣は、この資料提供は別として、十月三十日というこの問題の日に一挙にこれだけの多額の政治献金がなされたということ、受け取られたということ、このことについて、私のいままでの質問をお聞きになっても、なお問題は政治的にもあるいは道義的にもロッキードとの絡みでも何にもないと、こう確言し得ますか。
  254. 瀬戸山三男

    ○国務大臣(瀬戸山三男君) 私は、率直に申し上げてこのプリントをいまもらったわけです。けさ国会の都合で早く出ましたので新聞もよう見ておりませんが、それはそれとして、こういう会社、どこから出たのでしょうか、会社か何か知りませんが、そういう人たちがどういうような金を出して、たとえば政治家を応援する出し方をしているのか私は詳細はわからないものだから、ぼつぼつやるよりもいろいろ計算をして、この方には幾ら、この方には幾らとして一挙にやるのじゃないかと、これも想像でございます。でありますが、それ自体をとらえていかにも不思議だということにはちょっといまのところ考えられない。
  255. 橋本敦

    ○橋本敦君 じゃ、この問題はこれ以上やっても押し問答になりますからやめることにいたしますけれども、私はやっぱりもっとロッキード究明という立場での広い立場での視野から問題意識を大臣は今後お持ちいただきたいということをお願いしておきたいと思います。  それから成田問題の新立法問題について大臣の答弁がございましたが、大臣はいまの現行法でぎりぎり煮詰めて、それでどうしても残るのが小屋だとか団結小屋、要塞、これの撤去が強制できないのだと、ここに新立法の問題というのが起き上がってくると、こういうふうにお話がありました。ぎりぎりできないというのは、たとえば他人の土地に不法に建てたというようなそういうような小屋も含むのですか。それは建築基準法あるいはその他不動産侵奪罪、こういった問題で処理できるのだが、私有地にその土地の所有者の承諾を得てそして建築基準法も問題がない範囲で建てられてそれが要塞もしくは拠点に使われている、そういうものができないと、こういう意味ですか。その点大臣のお話がちょっとわからないのですが。
  256. 伊藤榮樹

    ○政府委員(伊藤榮樹君) まず、たとえば公団の所有地に勝手に建てましたもの、これは建てた当時でございますれば自力救済的に公団の力で取り壊すということができたかもしれないと思うのでございますが、何分、公団の方でそういう措置をとらないままで長年そういう状態が続いてきておりますから、仮に不動産侵奪罪を適用してできますことと申しますと、刑事手続で犯罪供用物件あるいは組成物件ということで差し押さえるということはできますが、これを取り壊しますにはやはり仮処分の決定を得ないとにわかには取り壊せないのじゃないかと、こういう状況に長年放置したためになってしまっておる、こういうことであろうと思います。それからいわんや私有地にその許しを得て建てたようなものにつきましては撤去は不可能なわけでございます。  一般論といたしまして、建築基準法ということをいま仰せになりましたけれども、あの地帯は市街地ではございませんので、木造二階建てのような建物は建築確認も何も要らない地域でございます。そういう意味で、既存の法規を総動員いたしましても、そういう団結小屋あるいは要塞というようなものの使用を差しとめたり、これを極端な場合には撤去をするというような措置だけはどうも現行法でできないと、こういうことでございます。
  257. 橋本敦

    ○橋本敦君 わかりました。  いまの局長の御答弁で一つ明らかになったことは、これはかねてわれわれも言っておりますが、公団が自分の土地の上に不法に占拠された物件に対して速やかな処置をとらなかったというそのことが一つはあるわけですね。だから、こういった問題は今後断固とした処置を国の責任で国の機関がやるならばそのことは防げる。もう一歩、私有地に木造で建てられたというような問題は、これはやっかいだということはわかるのです。その場合、いわゆる警職法の事前制止という観点から、それが過激集団のアジトあるいは拠点に使われて破壊活動の謀略基地になっているという状況が感知された場合に、いわゆる事前の制止活動ということで警察官が事実上それを拠点として使用できないような制止行為をするということも私はあり得ると思うのですが、この点についてはいかがお考えですか。
  258. 伊藤榮樹

    ○政府委員(伊藤榮樹君) 警職法の所管当局でございませんので、一応の刑事関係の法律を扱っている者の常識という程度にお聞きいただきたいと思いますが、警職法でできる範囲といいますと、やはり犯罪がまさに行われようとするという場合にこれを制止するわけでございますから、実際のやり方としてはそれらの数ある団結小屋の周りを機動隊等で取り囲みましてそこの中へ入らせないようにする、たとえば火炎びんを持ったり危ない物を持ったりした連中を立ち入らせないようにする、これはできると思いますが、ただ、こういう方法をやりますと、現在三十三ヵ所ある団結小屋の周りを相当な兵力で常時囲んでいなければならぬと、こういうことでございまして、私ども現在考えておりますのは、その団結小屋等があって困りますのは、開港前よりむしろ開港後の問題だろうと。開港までは一万何千という警察力を投入いたしますことによりまして完全に制圧できると思いますが、開港後もそんな人数を置いておくわけにいきません。次第に縮小せざるを得ない、そういうことになりますと、そういう限られた兵力でもって団結小屋を常時見張るということはほとんど不可能でございますので、そういう観点から考えておるというのがいまの状況でございます。
  259. 橋本敦

    ○橋本敦君 開港後の問題は私も実は心配をしているんです。法務大臣、私はこういう心配をするのです。彼らは巧妙に擬装しますから、だから、したがって航空法に違反するようなああいう鉄塔を今後建てるかどうかということもわかりません。それよりも、いわゆる潜行し、ゲリラ化して、その周辺にある通常民家あるいはアパートのように見えるそこのところへひそかにもぐり込んでそこを武器庫にしていくとかアジトにしていくとかいうことをひそかにやって、ある日突然集団的に行動を起こすというようにしていって、なかなか容易につかめないし、また、どこにあるかもわからないし、一つ新しい新立法ができて撤去しても、また小さなとりで、そういったものをいろいろなところに擬装してつくるという、まあゲリラごっこのようなことに私はなりゃせぬかという心配を実はしています。彼らのいままでの活動を見ますと、そういう状況は十分心配されますよね。だから、撤去ということだけに眼点を置いて新立法をつくるということだけで完全に安全が確保できるかどうかということに一つ問題があるのじゃなかろうか。法務大臣はこの点どうお考えになるだろうか。  それからもう一つの問題は、特定地域という限定にしまして、そこでいわゆる不法占拠については、これは暴力集団のつくったものとなればそれなりに撤去ということができますが、私人のアパートを合法的に賃料を払って借りているとかそういうような場合、それの使用禁止ということをやる、あるいは思い切って撤去ということができると、こうしますと、重大な私権の侵害という問題が起こるわけですね。この私権の侵害という問題は、一方憲法二十九条との関係でわれわれはやっぱり観点に置いていかなくちゃならない。そこらあたりこの立法について責任のある法務大臣として第二点はどうお考えになるだろうか、これを聞いておきたいのです。
  260. 瀬戸山三男

    ○国務大臣(瀬戸山三男君) 第一点と申しますか、最初にお話がありましたゲリラというものは、およそ橋本さんがおっしゃったようなことだろうと思います。そういうことを頭に入れて空港施設及び運航の安全を図るということは当然のことでございます。ただ、空港周辺の一定の区域がいまのような形ではそういうゲリラ活動が非常にしやすくなる、それを目の前にしておいて空港の安全、航空の安全ということは不適当じゃないかと、こういう意味でそういうものには措置をしなければならない、こういう考え方でやっておるわけでございます。その他のどこにおるかわからぬ、これはそこまで手を広げたらということになると大変な法律になりますし、また人権問題等いろいろ憲法上の問題が起こると思いますから、そういうことは現在考えるのは適当でないと、こういう考えでございます。  それから第二点の問題は、いま申し上げましたような観点でありますから、そういうよその家に入っておってやったと、こういうときにはやはり警察力とか法律だけではいけないと私ども思っておるのです。そこで、空港の設備そのものに簡単にこの間みたいに入ったり、襲撃をして壊されたりと、そういうことのないように、厳重と申しますか、それを簡単に破れないような施設を周囲にする、これにいま全力を挙げておるわけでございます。とてもじゃないが、ゲリラを追いかけ回すなんといっても、さっき刑事局長が言いましたように警察力だってそう続くものじゃありませんから、まず施設そのものに防御措置を講じて、いま仮にゲリラ等がありましたら、簡単には施設そのものが壊されたり入られたりしないように、そしてそういうことが起こったら警察力でこれを防除すると、こういうことではないかと、かように考えておるわけでございます。
  261. 橋本敦

    ○橋本敦君 ですから、大臣のお話を伺っても、今度の新立法で完全に安全が確保されるということの確定的な保証というのはむしろこの新立法だけからはないので、空港の安全警備、空港施設の防衛ということがやっぱり警備の私は基本になっていくだろうと、こう思います。  それからもう一つ、私は私権の問題で言ったのですけれども、大臣もこれは大問題だから各党の合意を得たいという方向で進めるのだというお話ですけれども、各党の合意を得るという御努力をなさるのは結構ですけれども、問題は地域住民ですね。私が言った私権の制限なりあるいは特定地域のそれが撤去されるということが一定の物議を醸しますから、平穏なりいろいろな意味で地域住民に関係の深い新たな事態が生まれるわけです。憲法では、特定の地域にだけ適用する法律については、その特定地域住民の住民投票という形で民意を問うという方向があるわけですね。この点について、この成田地域ということで私はそういう投票制度をやるというお考えになっているのかそこまではまだお考えになっていないのか知りませんが、そこらあたり住民との絡みでどうお考えですか。
  262. 瀬戸山三男

    ○国務大臣(瀬戸山三男君) まず一つの私権の話、さっき落としたかもしれませんが、私は、私権というものはもちろん憲法上尊重しなけりゃならない、当然でございますが、しかし、憲法が保護しようという私権は、橋本先生専門家でありますから申し上げるまでもないことでございますが、やっぱり社会公共の福祉に適するように権利を行使しなけりゃならない。この中での私権、あらゆる人権もそうだと思います。でありますから、重ねて申し上げますが、空港の安全や航空の安全を阻害するようなものに対して私権ということはそう重きを置く必要はないと、かように考えております。  それからもう一つ、地域住民、これは非常に大事なことだと思っております。法律をつくったり一定の地域を決めてそういう立法をいたしましても、やはり地域住民の理解を求めなければ、まあいつの場合でもそうでございますが、必ずしも満足にいかない。これには政府としてもあるいは地方公共団体の千葉県としても全力を挙げて御理解を得て、そして何かのときには御協力をいただくと、こういう措置をとるために全力を挙げつつあるし、また挙げる方針でございます。
  263. 伊藤榮樹

    ○政府委員(伊藤榮樹君) 先ほどお尋ねの中にありました住民投票の問題でございますが、これは内閣法制局が中心に研究したテーマでございますが、ただいまのところ住民投票を要しない立法形式を考えておるのでございます。と申しますのは、住民投票を要します場合と申しますのは、憲法上認められております地方公共団体の固有の仕事、これについて国が一定の地域を限って介入していくということになりますと住民投票の問題が起こるというふうに考えられるわけでございまして、そういう観点からではなく、国固有の事務という観点から一定の区域を限っていきたいと、こういうことで、地域住民の方々の投票を要しないという方向で立案をいまやっておるところでございます。  ただ、そうは申しましても、いま大臣も仰せになりましたように、ゲリラの問題等は、団結小屋を取っ払いましても、やはり地域住民と過激派との間に心情的あるいは経済的な共通のものがあります限り、なかなか根絶やしにすることはむずかしいわけであります。したがいまして、今後は、政府の関係者が一致協力しまして、地域の農民を中心とする住民の方々ともっと話し合って、そしていわゆる過激派とそういう方々との立場の違いというものを浮き彫りにさせていくと、そして御協力を願う体制に持っていくと、これが一番大事なことじゃないかと、こういうふうに考えております。
  264. 橋本敦

    ○橋本敦君 いずれにしても、こういった凶暴な過激派集団というのを根絶する方向に向けて国が断固たる政治姿勢で臨むということが基本だということは、かねて大臣もおっしゃったし、われわれも主張しているところですね。こういう過激暴力集団ということについて、われわれはかねてからその徹底的な取り締まりを要求してまいりました。私どもの言葉で言えば、政府が断固取り締まらないのは、共産党対策上こういうものをやらしておいた方がいいのじゃないかというような泳がし政策があるのじゃないかということまで申し上げてかねてから私どもはこの過激派の取り締まりを強く要求してまいりました。玉置さんの御指摘にもあってお答えがありましたが、彼らは共産主義者何とか戦旗派とか、いろいろ私ども共産党と紛らわしい名前を使っておりますのでわれわれもはなはだ迷惑ですが、勝手に名前をつけるものですからこれはこっちからとめに行くことも何ともならぬわけですよ。ルーツ論も出ましたけれども、彼らと私どもは何のかかわりもないということを私は確言をもって申し上げるのですが、一つ刑事局長に伺っておきますが、これまで過激派集団で逮捕、取り調べた者の中に共産党員であったというものは一人でもありますか。共産党員であるもの。過去除名された、それはもう昔のことで。
  265. 伊藤榮樹

    ○政府委員(伊藤榮樹君) 私が報告を受けております限りではございませんようです。
  266. 橋本敦

    ○橋本敦君 それで、宮本委員長の資格争訟という問題が玉置委員から御指摘になりました。これは資格争訟するしないは議員それぞれの持っておる権利と自由に属する問題ですから私はとやかく言いませんが、宮本委員長の資格ということについて言いますと、法務省もかねてから御答弁なさっておりますように、例の治安維持法事件の判決原本に、この判決につきましては、これは将来にわたってその言い渡しなかりしものとみなすという付記がわざわざなされておるわけですね。私はこの付記というのは非常に重大だと思うのです。つまり、恩赦の場合は、あるいはその他大赦の場合は、判決奥書というものについては、書き方としては、言い渡した刑はその効力を失うと、こういう形に普通はなっていくわけですが、判決の言い渡しがなかりしものとみなすというこういう言い方は、まさに特別の場合ということですね。つまり、何が特別かと言えば、私はこれはやっぱり例の希代の悪法と言われた治安維持法が、ポツダム宣言なり、二十年十月四日に占領軍が出されましたSCAPIN93号と呼ばれる政治犯の自由の回復に関する特別の指令、こういったものに基づいて、戦前の不法な弾圧を受けた政治犯、これを全面的に釈放、復権させる方向に向かうと同時に、治安維持法を全面的に廃止していく。そういう意味で、治安維持法の弾圧ということを、国家的見地から新しい日本の民主化ということが進む中で、国の立場でそれはやっぱり反省をしていくという、そういう方向が占領軍の民主化指示の中にあったという重大な結果から出ている問題だと私は思うのです。きょうは時間がありませんから長く述べませんけれども、そういったことで、その判決は将来に向かって言い渡しがないこととみなすということになって、そして検察庁としても、宮本氏の資格に関しては、御存じと思いますけれども、昭和二十二年五月二十九日付で東京地方検察庁検事正木内さんから宮本顕治氏あてに証明書というものが出されまして、これは勅令七百三十号により「刑ノ言渡ヲ受ケザリシモノト看做ス」という、そういう第一条によって資格を回復したことを証明すという公権的証明書が出されている。だから、こういう事実に基づいて、宮本委員長の資格回復という問題、つまり完全な権利の復権という問題、これについては国会でも論議をされて、安原刑事局長、稻葉法務大臣も、残刑を執行するという余地は全く現在ないし、公民権その他でも完全に資格を回復している、そういう意味では法的に決着済みだという御答弁をなさっているわけですね。これは記録を調べていただければたくさんございます。そういう法的に決着がついた問題であるという点は、資格争訟の問題とは関係なしに法務大臣としては間違いないということを現法務大臣も確認されますか。
  267. 瀬戸山三男

    ○国務大臣(瀬戸山三男君) 申し上げるまでもないことですが、その当時かかわっておるわけではございません。後で法務省等を中心に調査した結果によって判断をしておるわけでございますが、終戦直後といいますか、昭和二十二年ごろであったと思いますが、いまおっしゃったような措置が講じられておる。その講じられた細かいいきさつはいまでもわからないようでございます。それ以上は私の判断でございますが、やはりあの戦争の結果大きな変革が行われた。これは占領軍の政策として行われたわけでございます。  そこで、宮本さんの場合は治安維持法違反その他に罪名があるわけでございます、御承知のとおり。でありますから、そこにやや疑義があるということでいろいろ話題になりましたけれども、しかし、いわゆる政治犯と言われておる治安維持法違反関係の人々は全部占領軍の民主化政策によって解放された。それはまあ日時がやや前後しておる方々はたくさんありますが、いずれにしてもそれで解放された。そういう関係で治安維持法に関連のある被告人の刑に対しては、判決言い渡しに対しては、事後これは効力のないものとすると、こういうことが占領軍の指示か何かわかりませんけれども行われて、それが明記されておる、こういうことであろうと思いますから、私どもの考え方としてはもうそれによって将来にわたっては判決の効果はないものだと、判決自体は事実としてはあるわけでございますが、判決から出てくる効果というものはそれで消されておる、こういうように判断をしておるわけでございます。
  268. 橋本敦

    ○橋本敦君 したがって、私が指摘した権利問題については法的に決着がついているという立場だと思うのですね。現に宮本氏は戦後何度も選挙に立候補したし、今回参議院選挙にも立候補し、自治省というところでも選挙の資格について問題になったことは一度もない。十月九日に釈放されたときに、これは十月四日の93号指令に基づくわけですが、執行停止という形で刑務所を出た。この問題については、安原刑事局長は、当時の政治犯釈放、十月十日までに出された事実をお調べになって、釈放の形式は全部執行停止ということでやっておりますということを国会で御答弁になっておりますが、刑事局長、この点は間違いございませんか。
  269. 伊藤榮樹

    ○政府委員(伊藤榮樹君) とりあえずの措置としてはそういうことであったようでございます。
  270. 橋本敦

    ○橋本敦君 だから宮本氏に限らない、全部執行停止という形で出ているということは歴史的に事実として明らかですね。  ところで、もう時間もまいりましたけれども、玉置委員のお話によりますと、結局、証人喚問という形で要求されたその立証趣旨、ねらいということになりますと、玉置委員自身も、問題は根源にあるのだから、その根源をやっぱりはっきりさせるということがいま必要なんだという御意見。この根源というのは、玉置委員もおっしゃったように、袴田は、殺したと、こう言っている。宮本氏は、断じてそういうことはないと、こう言っている。そういう問題をめぐって根源という言葉をお使いになって、そこのところをはっきりさせるというこれがいま政治的法秩序の問題にもなっているのじゃないかと、こういう御指摘。私はこの点でそういうことでその根源にさかのぼるということになりますと、われわれはあの戦前の天皇制時代の暗黒裁判という言葉で呼んでおりますが、あの裁判を決して認めるわけじゃないわけですが、要するに法務委員会としては、あの当時裁判が行われて判決が確定した確定判決、この確定判決の当否を結局は法務委員会が国政調査という形でやるということに結論的にやっぱりなってしまうということになる。それはかねて昭和二十四年の浦和充子事件について法務委員会が関係者を呼び、判決の当否並びに事実認定そのものの当否を論じようとしたときに、憲法上の三権分立に違反するということで厳重な抗議を最高裁がお出しになったという事実も法務大臣は御存じと思うのですね。この点については、稻葉法務大臣自身も、国会の答弁で、「国会が国政調査権に基づいて確定判決の当否についていろいろ論議するということはどうかと思うし、また行政機関が裁判所の下した確定判決についてその内容に立ち至って当否を論ずることはいけない。それは結局三権分立の憲法の精神に反するのではないか、こういうふうに考えるわけです。」と、こう言っておられますし、また吉国当時の法制局長官もそういう趣旨をおっしゃっているし、最高裁の寺田最高裁長官代理も「具体的裁判の内容の当否を調査するために、いろいろな審理その他をやるということは行き過ぎておる、かようなことになろうと思います。」と、こう言っておられる。そういう意味で三権分立という憲法上の原則を踏まえますと、確定判決の事実認定の当否にかかわるような問題の国政調査というのはできないというのが一致した見解ではないかと思うのですが、法務大臣はいかがお考えですか。
  271. 瀬戸山三男

    ○国務大臣(瀬戸山三男君) 国政調査によって、確定した判決あるいは現に裁判中の事件、こういうものの内容の当否、こういうものを論議するということは、私は適当でないと思います。これはまさに三権分立の域を脱すると、こういうふうに思いますが、ただ、ここで論議される趣旨が全然私わかりませんが、その判決があったかなかったかということはそれ自体が事実関係でございますからとやかく言うことないと思いますが、判決の内容にわたってこれが適当な判決であったかあるいは不適当な判決であったかということは、これはよけいなことじゃないかと思います。
  272. 橋本敦

    ○橋本敦君 玉置委員からの証人喚問については、いずれ理事会で協議をなされるであろうと思いますので、またその際に意見は私なりに申し上げるつもりでおります。  一応私の質問はきょうはこの程度で終わりたいと思います。
  273. 中尾辰義

    ○委員長(中尾辰義君) 本日の調査はこの程度にとどめます。  本日はこれにて散会いたします。    午後三時二十八分散会