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1978-04-12 第84回国会 参議院 本会議 15号 公式Web版

  1. 昭和五十三年四月十二日(水曜日)    午後一時三十八分開議     ━━━━━━━━━━━━━ ○議事日程 第十五号   昭和五十三年四月十二日    午後一時三十分開議  第一 日本国とイラク共和国との間の文化協定   の締結について承認を求めるの件  第二 船員の職業上の災害の防止に関する条約   (第百三十四号)の締結について承認を求め   るの件  第三 在外公館の名称及び位置並びに在外公館   に勤務する外務公務員給与に関する法律の   一部を改正する法律案内閣提出、衆議院送   付)  第四 特定空港周辺航空機騒音対策特別措置法   案(第八十二回国会内閣提出、第八十四回国   会衆議院送付)  第五 石油法案内閣提出、衆議院送付)  第六 住宅金融公庫法の一部を改正する法律案   (内閣提出、衆議院送付)     ━━━━━━━━━━━━━ ○本日の会議に付した案件  一、請暇の件  一、酒税法及び清酒製造業の安定に関する特別   措置法の一部を改正する法律案(趣旨説明)  以下 議事日程のとおり      ―――――・―――――
  2. 安井謙

    議長(安井謙君) これより会議を開きます。  この際、お諮りいたします。  内田善利君から、病気のため二十日間請暇の申し出がございました。  これを許可することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 安井謙

    議長(安井謙君) 御異議ないと認めます。よって、許可することに決しました。      ―――――・―――――
  4. 安井謙

    議長(安井謙君) この際、日程に追加して、  酒税法及び清酒製造業の安定に関する特別措置法の一部を改正する法律案について提出者の趣旨説明を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 安井謙

    議長(安井謙君) 御異議ないと認めます。村上大蔵大臣。    〔国務大臣村山達雄君登壇、拍手〕
  6. 村山達雄

    ○国務大臣(村山達雄君) 酒税法及び清酒製造業の安定に関する特別措置法の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。  わが国の財政は、大量の公債、特に特例公債への依存から脱却し、財政の健全化を図りつつ、同時に、速やかに景気を回復させるというきわめて困難な問題に直面しております。このため、昭和五十三年度の税制改正においては、当面の経済運営の方向と背馳しない範囲でできる限りの増収措置を講ずることとし、その一環として、酒税について税負担の増加を求めることといたしたものであります。  また、清酒製造業の経営基盤の安定に資するため、日本酒造組合中央会の事業範囲の拡大を図る必要があります。  以上の状況に顧み、ここに酒税法及び清酒製造業の安定に関する特別措置法の一部を改正する法律案を提出した次第であります。  初めに、酒税法の一部改正につきましてその大要を申し上げます。  第一に、酒税の従量税率の引き上げを図ることといたしております。  すなわち、ビール、果実酒類、ウイスキー類、スピリッツ類、リキュール類及び雑酒について二四・三彩程度、清酒特級について一七・五%、清酒一級について六・九%、しょうちゅう甲類について九・九%、みりん本直しについて四・九%その税率を引き上げることといたしております。  他方、清酒二級、合成清酒、しょうちゅう乙類及び本みりんについては消費の態様等を考慮して税率を据え置くことといたしております。  第二に、こうじの製造または販売業の開廃等に係る申告制度を廃止する等、酒税制度の整備合理化を行うこととしております。  次に、清酒製造業の安定に関する特別措置法の一部改正についてその大要を申し上げます。  清酒製造業におきましては、現在、昭和五十六年度を目標年度とする第三次近代化計画を実施し、経営基盤の一層の安定に努めているところでありますが、今回、このような清酒製造業の自助努力を実効あらしめるため、日本酒造組合中央会の事業の範囲を拡大することといたしております。  第一に、この法律の施行の日から昭和五十六年十一月三十日までの間に清酒製造業を廃止する者に対し、給付金を給付するとともに、これに係る納付金を清酒製造業者から徴収することができるよう措置することといたしております。  第二に、経営の改善その他清酒製造業の近代化を図るための事業を行うことができるよう措置することといたしております。  以上、酒税法及び清酒製造業の安定に関する特別措置法の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げた次第でございます。(拍手)
  7. 安井謙

    ○議長(安井謙君) ただいまの説明に対し、質疑の通告がございます。順次発言を許します。矢田部理君。    〔矢田部理君登壇、拍手〕
  8. 矢田部理

    ○矢田部理君 私は、日本社会党を代表し、酒税法等の一部を改正する法律案について、反対の立場を明らかにした上で、総理初め関係大臣に対し質問をいたします。  最初に、福田内閣の経済失政について問いたいと思います。  いま日本経済はかつてない苦境に立たされています。不況、円高、雇用不安など、いずれも容易ならざる事態と言わなければなりません。しかるに、福田内閣は、状況追随の糊塗策に精いっぱい、危機の本質を見きわめる目を欠き、不況打開の展望を見失い、経済破綻をますます拡大するインフレ予算を組んで暴走しようとしています。その姿は荒波のまにまに揺れる枯れ葉のごとくで、経済政策の失敗と動揺、政治力量の低下と衰弱はだれの目にも明らかです。これでは、国民はもとより、企業にすらコンフィデンスを獲得するわけにはいかないのではないでしょうか。  総理、あなたはかねてより経済の専門家を自称してきました。しかし、その中身は、第一に状況追随型の対応でしかありませんでした。六〇年代の高度成長期のインフレも、狂乱物価となるまでこれを放置し、事態を深刻なものにしてしまいました。そして、そのインフレを抑えるために総需要の抑制を求め、引き締めで今日的不況の原型をつくり出しました。その不況が長期かつ重大な局面に立ち至るや、今度は膨大な赤字公債を発行して、あの悪名高い列島改造型のインフレ予算を組み、一、二年後には確実に危険なインフレ再発過程への道を歩もうとしています。  第二の特徴は、総理、あなたの経済見通しは、ことごとく誤診を重ねてきたことです。かつてあなたは、日本経済は全治三年だと診断しました。しかし、三年たっても病気は治りませんでした。また、昨年夏には、不況の梅雨明け宣言が可能だと予報を出しましたが、いまなお梅雨は明けず、晴れ間すら見えない長雨が続いています。  それだけではありません。昨年のでたらめな国際収支と経済成長の見通しは、内外にその信を厳しく問われることになってしまいました。その上、ことしは経常収支六十億ドルの黒字、経済成長七%の数値を示しましたが、そのいずれもが実現しないだろうと各方面から冷ややかな反応と疑問が出されています。  特徴の第三は、誤診を重ね、治療を誤った責任を総理みずからとろうとせず、その口実を外的要因に求めていることであります。狂乱物価をオイルショックに、長期不況を円高ショックに求めるなどはその象徴的な事例で、まさに責任転嫁の名手と言わなければなりません。  加えて、総理の、先進国を含めて国際的に不況が深化している中で日本はまだよい方であるなどと開き直った態度は、失業、倒産、構造不況に痛む人々の心を逆なでし、危機の深刻さに目をつぶった自己弁護で、許すことのできない言動であります。  そこで、総理、経済政策の失敗を率直に認めるべきであります。同時に、その責任を厳しく問いたいと考えています。特にあなたは、高度成長期も政府の経済運営の中枢に位置してきました。それだけに、今日の地位と相まって、経済失政の責任はだれよりも重かつ大であると思いますが、いかがでしょうか。  また、国民の切実な所得減税の叫びを振り切って強行する公共投資重点の景気対策が功を奏さなかったとき、さらには、今回改めて掲げた国際収支を含む経済見通しの達成ができなかったとき、いつ、いかなる責任をとるのか、この際明確にしておいてほしいと思います。  ここで、酒税の値上げについて若干の問題を提起し、答弁を求めたいと存じます。  政府は、酒税の従量税率を平均二四%値上げして、平年度一千九百七十億の増収を図りたいとし、その理由を、公債依存財政を脱却し、財政健全化を図るためだと説明していますが、理解に苦しみます。なぜならば、今日の財政破綻の根源は、酒税が低かったことにあるのではなく、歴代自民党政府が、長年にわたり膨大な借金をしてまで日本の財政を大企業中心の経済政策を遂行するために利用し、他面、大企業等の税負担を軽減させつつ、大量の国家資金を大企業本位の政策に投入してきたことにあるからであります。したがって、真に公債に抱かれた財政の根源的な危機の克服を目指すとすれば、破綻の原因と責任を明確にしなければならないと思いますので、総理、大蔵大臣の厳しい自己批判を求めたいと思います。また、その上に立って、今後の財政のあり方、財政危機克服の施策を含む財政再建計画を示すべきだと考えますが、いかがでしょうか。  そこで、財政再建の柱と問題点を指摘しておきたいと思いますが、まず第一に、さきの大企業擁護の財政構造を根本的に転換することを基本の姿勢として、公債の解消に全力を尽くすべきだと思います。五十三年末でも四十三兆を超える膨大な赤字公債を抱えることとなり、その始末をつける作業は容易なことではないはずでありますが、公債発行は四十年に福田総理自身が始めたわけでありますし、その後の成長期にも火種だけは残しておきたいと言ったものが、いまや大火となったのでありますから、総理、あなた自身に火消しの責任があるはずです。政府も、さきに発表した評判の悪い財政収支試算でも、五十七年度に特例公債を解消するための試算を出していますが、今後の公債依存財政克服の見通しと方策を、償還のための具体的な財源計画も含めて、試算ではなく、財政再建計画を出すべきだと考えますが、いかがでしょうか。  第二の問題は、財政再建の基本策を示さないまま、五十四年度より本格的な増税路線をとる、とりわけ間接税増徴の方向をとろうとしている点であります。特に、国会が終わり次第、政府は税制調査会を再開し、五十四年度導入を前提に一般消費税の具体案づくりに着手する方針と伝えられておりますが、そのとおりでしょうか。総理、大蔵大臣の見解を伺います。  一般消費税は、窮極的には消費者に税負担を転嫁し、中小企業に犠牲を強いるもので、断じて認めるわけにはまいりませんが、経済企画庁長官並びに通産大臣がこの点をどう考えておられるのか、答弁を求めたいと思います。  あわせて、不吉な増税キャンペーンの前兆と非難されておるさきの試算では、五十七年には特例公債を解消するためにこれを税金で賄うとすれば、五十四年度以降、合計十兆三千三百億という巨額の増税が必要だとしておりますが、いかなる税で、どの階層にどれだけ負担させようとしているのか。試算ではなく、少なくとも中期的な財政再建計画を提起して国民にその是非を問うべきものと考えますが、総理並びに関係大臣の考えを伺っておきたいと思います。  第三に、酒税の値上げをもっぱら財源難に求めておりますが、税制の不公平構造に照明を当てずに、間接税、大衆課税に求めるのは、さきの財政再建論の基本から逸脱するだけではなく、不公正税制をますます拡大することになり、本末転倒であります。特に、すでに成立した土地税制の緩和や投資減税を大企業の求めに応じて実施するに至っては、税負担の公正はさらに損なわれることになります。そこで、不公正税制の是正のためにも、本格的な財政危機突破のためにも、まずもって不公正税制の改廃に取り組む決意を披瀝し、その内容と具体的日程を明らかにしてほしいと思いますが、総理並びに大蔵大臣、いかがでしょうか。  とりわけ、一つには、大企業や高額所得者に対する各般の優遇措置を撤廃すること、二つ目には、利子配当分離課税をやめ、総合課税にすること、そして三番目には、医師優遇税制を廃止すること、以上三点に分けて答弁をいただきたいと思います。  しかし、総理らは、不公正税制を改廃しても、なおかつ財源不足であると答弁するでありましょう。そこで、それならば、間接税、大衆課税を強化するのではなく、大企業、高額所得者に対して累進税制を強化する考えはないのか。社会党が提案をしております会社臨時特別税の復活、広告費、プレミアム課税等の新設、あるいは土地増価税の導入等を改めて検討する考えはないのかを問いただしたいのです。  以上の数点を財政再建についての基本的な方針、課題として提起をいたしましたが、これらはいずれも総理の基本姿勢そのものが根底から問われるものと受けとめ、心情を吐露した所信を披瀝してほしいと思います。  ところで、今年の財源捻出の特徴を探りますと、財政再建について中長期にわたる見通しを明らかにせず、基本方針も示さないまま――いや、景気動向や収支見通しが立たないために、示すことができないまま、その場しのぎのやりくりや、つまみ食い増税、野方図な借金の積み上げなど、福田財政行き詰まりの苦悩を噴出させております。酒税の引き上げは、まさにその象徴でもあります。  公債を三七%にも水増ししているのに、他方では公債依存財政の脱却だと大げさに叫びつつ、政府にとって、その割合からすれば九牛の一毛程度の財源を、酒は嗜好品だという口実で庶民のふところから捻出させようとしているのです。これを選択的増税と称するようですが、言いかえれば、取りやすいところから取る、弱いところから取るという方式であり、しかも、今後の間接税増徴の露払い的役割りを担わせようとしています。しかし、間接税の増徴は言うまでもなく逆進性の高い大衆課税で、酒を例にとってみましても、実収入に対する負担割合は、大別して、所得四百万を超える層にはせいぜい〇・二六%程度でありますが、二百万以下では〇・四五%にも及びます。その意味で、税の所得再配分機能を減殺することはもとよりでありますが、同時に、消費性向の高い低所得者層に負担を加重し、消費抑制の効果を心理的にもますます拡大させていく結果となります。これは、個人消費の伸長を通して景気浮揚をという施策に逆効果を求める結果となり、趣旨説明の、「当面の経済運営の方向と背馳しない範囲」の増税ではないはずでありますが、政府はこれをどう説明するのでしょうか。  次に、酒税は、たばこと同様、五十年末に国民の怨嗟の声の中で値上げを強行しました。それからわずか二年です。税収は毎年一割程度確実に伸びてきて、五十二年度は実に一兆一千億を超えるに至っています。小売価格に占める酒税の負担率も下がっておりません。したがって、いかに財源難とはいえ、値上げは理由に乏しく、認めるわけにはまいりません。  三点目に、政府は、酒税を値上げしても小売価格はその枠内での値上げにとどめ、便乗値上げは許さないから物価に与える影響は些少であると説明しますが、過去の事例に徴しても、遠からず小売価格の値上げを誘発することは必定であります。したがって、これらの点も含めて、物価及び家計に与える影響について問題に供すべきものと考えますが、いかがでしょうか。  また、物価は今日、政府の施策によってではなく、長期の不況、消費の落ち込みによって一時的に鎮静したかのように見えますが、国鉄運賃を初め、医療費、授業料、公団家賃など一連の公共料金の値上げが、現にまた近い将来行われようとしています。しかも、公共投資を引き金に、セメントを初めとする建設関連資材の高騰、土地税制の緩和による土地の値上がりが、すでに始まっております。こうした物価動向に対して経済企画庁長官はどのような認識と見通し、また対策を持っておられるのか、伺いたいのであります。  最後に、総理、物価の動向とあわせて、インフレ再燃の危険について警告をしておきたいと思います。  政府は、五十年以降膨大な公債発行により、インフレの素地をつくってきました。しかし、底知れぬ不況のため、インフレへの転化が抑えられてきましたが、政府の景気刺激政策によって期待されるような民間の資金需要が出てくれば、市中金融機関の公債引き受けが限界に達し、中小企業を中心にした民間資金需要の締め出しが行われ、これを日銀による買いオペで回避しようとすれば、市場に大量の流動性を放出することになります。あわせて、円高対策として日銀が買い支えたドルは百億ドル、円にして二兆五千億、これが市中にすでに放出をされておりますから、景気の回復過程でインフレに火が点じられる危険が多分に予想をされるのであります。少なくとも、すでにインフレの病根が拡大をしつつあるわけでありますから、これらの点について総理の見解と対策を含めた答弁を求めて、私の質問を終わります。(拍手)    〔国務大臣福田赳夫君登壇、拍手〕
  9. 福田赳夫

    ○国務大臣(福田赳夫君) お答えを申し上げます。  いま、経済情勢が非常に深刻である、その情勢をもたらしたゆえんのものは、これは自民党内閣の失政である、福田、おまえは責任をどうとるか、このようなお話でございます。私は、くどいようでございますが、この五年間、つまり石油ショック以後の経済運営、それにつきましては、私はとにかく責任のある地位にずうっとあったわけでありますが、その間、私がしたこと、もとより時の総理の指揮のもとでしたわけでありますが、これは私は、失敗であったというようなそしりを受けるような状態のものじゃない、そのように確信をいたしております。  世界じゅうがショックで大変な混乱です。その中でわが日本のショックからの立ち上がり、これは実にみごとなものであったと、こういうような世界的な評価を得ているわけでありまして、私がそれについて、あるいは自由民主党政府がそれにつきまして責任をとってどうこうしなければならぬというような状態ではない。この点は繰り返しになりますが、はっきり申し上げさしていただきます。  また、全治三カ年と言ったが、そのとおりになっておらぬじゃないか、また、六・七%成長と言ったが、五・三%成長にとどまるではないかと、こういうような具体的な点についての御指摘でございますが、石油ショックは四十八年の暮れに起こったわけであります。そこで、四十九年――四十九年という年は惨たんたる年であります。狂乱物価だ、国際収支は百三十億ドルの大赤字である、経済成長は初めてマイナスを記録する、そういうような状態でありましたが、五十年、五十一年と逐次これらが改善されまして、五十一年には狂乱物価というような状態は全然ない。また、国際収支は均衡を取り戻し、四十七億ドルの経常黒字を出すというような状態になり、また、経済成長は五・八%、世界第一の成長を記録するような状態になったんでありまして、このショックからの立ち上がりの基本的な態勢はでき上がったわけでありまして、私が全治三カ年と申し上げましたが、まあ細かいことを言いますれば、生きた経済ですから、いろいろありまするけれども、大方の処置は私は三カ年でなし遂げ得られたと、このように考えております。しかし、現在の状態を見ますると、まだ日本の経済状態、これは国民が期待するような状態ではない、そういうようなことを考えまするときに、政府といたしましては、国民の期待にこたえるべく、また世界の期待にこたえるべく、経済成長を着実にやっていかなきゃならぬ、このように考えております。  昨年を顧みますと、六・七%成長を目指しました。私はてっきりこれはいけると、こういうふうに思っておりましたが、しかし、急激な円高現象、これを予見し得なかったことは不明の至りであるということはかねて申し上げておりますが、とにかく、そういう状態で五・三%成長にとどまらざるを得なくなったんですが、そういう状態はわが日本だけじゃないんです、これは。アメリカはどうです。西ドイツはどうです。西ドイツのごときは、展望したその成長の半分にも達しない、こういうような状態です。そういうことを考えますと、五・三%でも先進諸国の中で第一の成長でありますから、その点もまたひとつお忘れなくと、このようにお願いをいたしたいのであります。  また、ことしの七%成長はこれは実現できるのか、こういうお話でございます。その詳しいことは企画庁長官が申し上げますが、これはもう実現をいたしたいと考えております。ただ、七・〇〇%というようなわけにはいきません。七%程度の成長でありまして、内外の期待にこたえてこれは責任を持って実現するということを明確に申し上げます。    〔国務大臣村山達雄君登壇、拍手〕
  10. 村山達雄

    国務大臣村山達雄君) 矢田部委員は、いま、税制は大企業優遇、それから財政資金も大企業によけい配分しているんじゃないかというお話でございますが、実は、租税特別措置の減収額のうち一番大きいのは、何と申しましても、個人に対する少額預金の非課税であるとか、あるいは中小企業に対する特別償却であるとか、こういった個人並びに中小企業の方が大部分であるのでございます。また、ことしの財政資金についても、財政投融資資金を見てみますと、住宅とか中小企業とか、生活関連、これが七〇%までいっているのでございます。かつては海運であるとか電力等にやっておりましたのは、昭和二十八年ごろはたしか三〇%ぐらいだと思いますが、現在企業に融資しておるのは二・七%でございますから、全くいまは違う様子になっておるということを御理解願いたいのでございます。  第二点は、先般お示し申し上げました財政収支試算、試算ではなくて実行性のある計画を示せ、こういうお話でございます。試算は、今後財政の健全化を図るために、五十七年に特例公債を脱却するような方向をとりながら、しかも中期経済計画と整合性があるかどうかということを試算いたしまして、それは大丈夫だということを確かめたわけでございます。したがいまして、この方向で考えるわけでございますけれども、毎年の計画を示せと、こういうことでございます。これはなかなか、今後何年間の中期にわたる財政経済状況を全部見通さぬとわからぬわけでございます。非常にむずかしいのでございますが、われわれも努力いたしまして、何とか御希望にこたえるように勉強してまいりたいと、かように思っているところでございます。  それから第三番目に、一般消費税が財政健全化のために言われているが、これは一体どういうことになるのか、逆進的ではないか、こういう御指摘でございます。確かに、税制調査会は、いまの日本の租税構造からいたしまして、将来財政健全化のために一般消費税の問題は避けては通れないということを答申しております。ただし、それをいついかなる形で、どんな仕組みでやるかという問題については、これはやはり税制調査会でいわばたたき台をつくって、そして国民にいろいろお示しし、そのいろいろな反響を聞いた方がよろしいと、こういうことでございますので、いま政府もそれと対応して検討を進めておるところでございます。ただ、逆進性という問題につきましては、これは租税体系全体として逆進的であるかということを論ずべき問題でございまして、一つ一つの税目で言うのは私は当たらないと思っているのでございます。  第四番目に、増税の前提として不公平税制の是正が先決ではないか――ごもっともだと思うわけでございます。そして三つの例を挙げられましたが、そのうちの医師診療報酬に対する課税につきましては、わが自由民主党におきまして、この制度は五十三年度限りの制度とし、それに対応する諸般の措置を講じますと、こう言っておりますので、政府の方もそれと呼応して、同時に検討を進めてまいるつもりでございます。  それから、利子配当の総合課税あるいは有価証券の譲渡所得益に対する課税、これはどうなるのか、こういうお話でございます。われわれも、この問題を実現したいと考えておるのでございますが、何分にもこれの実務は非常にむずかしい話でございます。いろいろな、コンピューターを使う問題、あるいは、要するにその本人であるかをいかにして確認し総合できるか、その実効性のある――用意なくしてやりますと、かえって税収は減るだけでなくて、逆の意味の不公平を来すおそれが十分にございます。そういうことでございますので、私たちは着実に、しかし実効のある方法でいま検討を進めておるところでございます。  最後に、酒税の増税、これはどうも景気浮揚との関係でおかしいじゃないか、特に逆進性の関係はどうだ、こういうお話でございます。ことしは、御案内のように、できるだけ経営経費を節減しながら、景気浮揚をやるために大型の予算を組んだわけでございますが、しかし、可能な限り財政を健全にすることは財政当局の任務であるわけでございます。そういう意味におきまして、致酔飲料、嗜好品、しかもまた財政物資として国際的にも認められております酒税につきまして、細かい配慮をしながら、若干の負担をお願いしたいというのが今度出しました酒税法の案でございまして、第一に、比例税率の部分につきましては、これは値段が上がれば自然に税収は上がりますので、これは避けたわけでございます。また、従量税率の中でもいわゆる大衆品と言われるものはそのまま据え置いたのでございます。残りました酒類の中でも、現在の酒類の態様あるいは原料の値上がり等勘案いたしまして、基本は二四・三%にいたしましたけれども、それぞれの立場を考えまして、適当な税率で、低い税率で据え置くような措置を講じたところでございます。  なお、家計消費に占める酒の消費の割合は大体一・三%程度でございます。どうかひとつ政府の意のあるところをくんでいただいて、何とかごしんぼう願って財政に御協力願いたいというのが私たちの願いでございます。  以上でございます。(拍手)    〔国務大臣宮澤喜一君登壇、拍手〕
  11. 宮澤喜一

    ○国務大臣(宮澤喜一君) 七%程度の成長が五十三年度に可能であるかということのお尋ねでございました。  まず、その土台になりました五十二年度の成長を私ども昨年の暮れに五・三%程度と見込んだわけでございますが、当時四%も無理ではないかという批評が多うございました。しかし、いま五十三年の一-三月の統計がまだ出ておりませんで、あと二カ月近くかかると思いますけれども、もう年度は過ぎておりまして、私の感じでは、まず政府の見通し程度、五%に乗せるということはほぼ間違いないのではないかと考えておりますので、したがいまして、七%のいわゆる発射台、土台になりました五十二年度の見通しでは、ほぼ間違っていなかったということになろうかと思います。  それからもう一つの問題は、いわゆる在庫の調整が果たしてできるかできないかということも御議論であったわけでございますけれども、私は春ごろにはほぼ一巡するのではないかと申し上げてまいりました。ただいまの段階になりまして、一部のものを除きましてはほぼ在庫調整は一巡したと判断されますので、総じて申しまして、昨年の暮れに七%と考えました環境よりはかなり私は環境が、予想どおりと申しますか、よくなりつつあると考えておりまして、すでに御可決いただきました予算等々の執行に誤りなきを期して、達成をいたしたいと考えておるわけでございます。  それから、一般消費税についてどう考えるかというお尋ねでございました。一般消費税をいつからということを決定しておりますわけではございませんが、御承知のような諸般の情勢から申して、ある段階から増税が必要であるということでありますれば、一般消費税のようなものがまあ考えられる。これは課税対象、課税方法等慎重に考える必要がございますけれども、やむを得ないのではないかと私としては考えております。  それから物価動向について述べよというお尋ねでございまして、ただいま卸売物価は、二月あたりでマイナス一・七%、やや異常でございますが、マイナスが続いております。それから消費者物価の方は、このところ四%台に一、二カ月ずっととどまっておりますので、五十二年度はまずまず落ちついた情勢で終わったと申し上げることができると思います。  五十三年度の問題でございますけれども、このような卸売物価の鎮静傾向が多少の時間のおくれを伴って消費者物価にはね返ってまいりますので、その点では、消費者物価は五十三年度かなりいい環境の中にあると見ておるわけでございます。  公共料金はしかしいろいろあるではないかということでございまして、五十三年度は、授業料、道路公団等の通行料金、住宅公団の家賃、それから内容未定でございますが、国鉄運賃のある程度の上昇を私ども見込んでおりますが、総じて五十二年度におけると同程度の寄与率、その程度の公共料金の値上げであろうと考えておりますので、例年に比べましてそんなに公共料金のウエートが大きい年ではございません。したがいまして、年度平均で六・八%程度というのが政府の見通しでございますが、ほぼそこに落ちついていくというふうに、ただいま動向を見通しておるわけでございます。(拍手)    〔国務大臣河本敏夫君登壇、拍手〕
  12. 河本敏夫

    ○国務大臣(河本敏夫君) 私に対するお尋ねは、一般消費税の導入を含む増税についてどう考えるかと、こういうお話でございますが、現在の財政事情から考えまして、中長期的に見ました場合に、やはりある程度の増税は必要であろうと、このように私どもは理解をいたしております。しかしながら、その時期の判断が大変むずかしいわけでございまして、景気動向を十分判断をしながら、その時期を決定するということが大事だと考えております。  それから同時に、中小企業に対する影響、産業、貿易に対する影響はもちろんでございますが、特に中小企業に対する影響、これを十分慎重に配慮することが必要であると、このように理解をしております。(拍手)
  13. 安井謙

    ○議長(安井謙君) 答弁の補足があります。福田内閣総理大臣。    〔国務大臣福田赳夫君登壇、拍手〕
  14. 福田赳夫

    ○国務大臣(福田赳夫君) 矢田部さんから、インフレの危険があるが、どういうふうに考えるか、どういうふうに対処するかというお話でございましたが、警告しておくんだと、こういうことでありますので、先ほどお答え申し上げませんでしたが、それに関連いたしましてお答えを申し上げます。  インフレにつきましては、私はしばしば申し上げておるわけでありますが、これは政治の敵である、社会の敵である、最も政治はインフレに対して敏感でなければならぬ、このようにかたく考えておるわけであります。  これからのわが国の社会、経済の前途を考えてみますると、これはなかなか容易なものじゃありません。いまは不況打開不況打開と言っておりまするけれども、不況が打開されたと、その暁におきましては、これはインフレという問題もまた心していかなければならぬ問題になってくる。これからの行く道は、われわれはもう本当に、インフレとデフレといいますか、不況とのこの合間を本当に巧みに、しかも精力的に縫っていくというような気持ちで進んでいかなけりゃならぬだろうと、こういうふうに思いますが、特にインフレにつきましては、これはもう絶対に日本社会をインフレにするというようなことはいたさない、もし経済運営の過程におきましてインフレ化の危険が出てきたというようなことがありますれば、これは何物を犠牲にいたしましても、このインフレの阻止をいたすということをはっきり申し上げます。(拍手)     ―――――――――――――
  15. 安井謙

    ○議長(安井謙君) 多田省吾君。    〔多田省吾君登壇、拍手〕
  16. 多田省吾

    ○多田省吾君 私は、公明党を代表して、ただいま提案されました酒税法及び清酒製造業の安定に関する特別措置法の一部を改正する法律案について、総理並びに関係大臣に質問をいたします。  わが国経済と国民生活は、急騰を続ける円高と不況の悪循環によって大変な苦境に立たされ、倒産、失業等もかつてない厳しさを示しております。    〔議長退席、副議長着席〕  今回の酒税引き上げは、悪評高い不公平税制を放置したままで庶民を苦しめる増税であり、全く納得のいかないものであります。酒やビールは大衆嗜好品であり、酒税引き上げは大衆課税の強化となり、低所得者ほど税負担が重くなる逆進性を拡大することになります。逆進性については、大蔵省提出の資料でも明らかであります。すなわち、実収入に占める酒税の負担割合を収入階層別に見てみますと、昭和五十年分で、実収入が二百万円以下では〇・四三%、二百万以上三百万円以下では〇・三七%、三百万円以上では〇・二七%の負担となっております。したがって、低所得者ほど重税となる税制改正はやめて、数多くの不公平税制を早急に改正し、好況の大企業や有資産者や高額所得者など負担能力のあるところから取るという、政策の優先順位を明確にする必要があると考えますが、総理の御見解を伺いたいと思います。  酒税の引き上げは、昭和五十一年一月に平均二二・四%引き上げられたばかりなのに、わずか二年後の今日、平均二四・三%も引き上げられ、酒税の占める割合は、ビールで四七・四%、清酒特級で三七・六%、ウイスキー特級で五〇・九%に達し、半分は税金を飲む姿となりますが、それによって、初年度一千七百七十億円、平年度一千九百七十億円の増税を見込んでおります。かくして、庶民のささやかな楽しみは、またまた奪われようとしているのであります。  酒税には従量税と従価税がありますが、税制調査会では、高級、高価なものにかける従価税への移行が望ましいと言っているのに、今回は従量税率の引き上げを図っているのはなぜですか。国際環境の面からのみの説明では納得できませんので、その理由を明確に示していただきたいと思います。  また、ビールは近年ますます大衆飲料となっているのに、二四・三%の税率引き上げとなり、税負担は四二・一%から四七・四%にはね上がり、大びん一本で二十円程度の値上がりとなり、まさに高級品並みの大幅引き上げとなりますが、ビールが外国と比べても極端な高値であることから見ても、全く理解できないところであります。大衆品であるビールまでも大幅引き上げする理由を説明していただきたいと思います。  ともかく、現行の酒税法そのものが国民の意思と大きくかけ離れており、酒税法そのものを、国民的、大衆的立場から、現実の国民生活の感覚にマッチしたものに改めるべきであると思いますが、見解をお聞きしたいと思います。  政府は、今後公団住宅家賃、国鉄運賃、授業料など、一連の公共料金の値上げを予定しており、その上に酒税の増税では、不況下で苦しむ国民生活をますます圧迫することとなり、過剰流動性も加わって、インフレの再燃も大きく懸念されている今日、この酒税引き上げは撤回すべきであると思います。  また、以前よりわが党は、間接税の所得階層別負担割合の実態調査をすべきであると主張してまいりましたが、政府の姿勢は不十分であり、私は、間接税の逆進性について政府はどう対処するか、あわせて御答弁いただきたいと思います。  次に、酒税の引き上げに優先して行うべき多くの不公平税制が温存されたままになっておりますので、代表的な不公平税制の是正について具体的にお伺いしたいと思います。  まず、各種引当金のうち、退職給与引当金についてであります。これは実態が明らかに不公平であるにもかかわらず、政府は、税制の問題ではなく企業会計の問題であると、論旨をすりかえて是正を放置しているところの法人税中の優遇税制であります。この退職給与引当金は、不況下にもかかわらず、期末残高が四十八年の二兆九千億円から、四十九年三兆七千三百億円、五十年四兆二千億円、五十一年四兆九千九百億円とウナギ登りに増加しております。その利用状況も、全法人数の約一%の、資本金一億円以上の法人が金額では八四%も占めており、大企業ほど課税逃れに利用している優遇税制であると言わざるを得ません。この退職給与引当金の繰り入れ限度額を現行の二分の一に縮小することによって、約一千三百五十億円の税収が可能となります。これでもなお政府は、この是正は必要ではないと言われるのか、今後永久に見直しを行わないつもりなのか、明確な御答弁をお願いします。  同じく、この他にも不公平税制の是正として、利子配当課税の総合課税、給与所得控除を年収八百五十万円で頭打ちにすること、また、交際費の超過限度額に対する一〇〇%課税、価格変動準備金の三〇%縮小等を合わせますと、増収額はさらに千四百十億円の追加となり、酒税引き上げの増収額をはるかに上回るのでありますが、今後の不公平税制の是正について具体的見解をお聞きしたいと思います。  さらに、富裕税について伺います。  政府の税制調査会は、富裕税について、執行面の問題について引き続き検討を重ねた上で結論を出すべきであるとしておりますが、今日のような長期の不況やインフレは国民の資産保有に大きな影響をもたらし、社会的不公正をますます拡大させることが懸念されますが、酒税など大衆増税に先がけて富裕税創設を実施すべきだと思いますが、これに取り組む姿勢を伺いたいと思います。  また、税調が、先ほども述べられましたが、五月中旬ごろ再開すると言われております。その手順、日程、審議内容がどうなのかお伺いしたいと思います。われわれは、一般消費税は逆進性の強い大衆課税であり、インフレをもたらし中小企業を苦しめますので、強く反対しているものであります。再開する税制調査会では、むしろ不公平税制の是正について早急に審議すべきだと思いますが、あわせてお伺いしたいと思います。  最後に、国民生活を守るための所得減税及び当面の財政経済政策について若干お尋ねいたします。  いまや経常収支の黒字が年度百四十億ドルに達し、アメリカ、EC等の対日圧力がいよいよ強まっておりますが、政府は、関税貿易一般協定東京ラウンド追加オファーをどうされるか、また、カーター大統領は相変わらずドル防衛策を少しも示しておりませんけれども、間近に迫った日米首脳会談に臨む総理の御決意と会談の予定内容をお伺いしたいと思います。  次に、公定歩合のたび重なる引き下げによって預金金利はまたまた引き下げられ、郵便貯金金利も郵政審議会で審議されておりますが、郵政大臣は、庶民生活を守るため、預貯金金利目減り対策の追加といたしまして、退職金一千五百万円まで利子を非課税にすることを主張され、民間金融機関にも適用するために、大蔵省、国税庁と協議するよう指示されたと言われておりますが、その真意を郵政大臣にお伺いし、さらに大蔵大臣にもあわせてお伺いしたいと思います。  次に、円高は昨年の二百六十円台から二百十円台へと、予想をはるかに上回る勢いでございまして、円高差益はまさに莫大なものとなっております。円高メリットの消費者還元を経企庁長官はどのように考えておられるか、また、通産大臣はその監視強化と行政指導をどのように行うつもりか、特に石油製品、電力、ガス料金は据え置きにとどまらず、引き下げるように強く指導すべきだと思いますが、どう対処いたしますか、お聞きしたいと思います。  終わりに、昨日わが党が政府に円急騰緊急対策七項目を申し入れましたように、国民生活を守り、内需を拡大し、この経済危機を乗り切るため、再び対策が後手に回らないように早急に補正予算を組み、当面、老齢福祉年金二万円の実現、またあわせて一兆円の所得減税、公共事業の適正な推進、住宅建設の促進、雇用対策、中小企業対策の強化、円高メリットの消費者還元、通貨安定策の強化等を直ちに実行すべきであると思いますが、総理の明確な御答弁を要望いたしまして、私の質問を終わります。(拍手)    〔国務大臣福田赳夫君登壇、拍手〕
  17. 福田赳夫

    ○国務大臣(福田赳夫君) お答え申し上げます。  税は負担能力のあるところから徴収せよ、そういう政策の優先順位を明確にする必要があるが、どういうふうに思うかと、このような御質問でありますが、税負担の公平ということは税制の最も重要な基本原則であります。それは制度ばかりじゃなくて、その制度を実行する上におきましても、公平の原則というものは非常に貴重な原則であると、そのように考えておるわけでありまして、従来から、税制を論ずるに当たりましては、いわゆる水平的公正、つまり同一レベルの所得者間の公正を期するこの公平面、これに着目をいたしてきておることは、これはもちろんでありまするが、さらに、いま御指摘のありましたように、能力に応じた適切な税負担を求めるという、これは世に垂直的公平というふうに言われておりますが、その実現にも努力をいたしておるわけでありまして、今後ともこの二つの公平、これを両々実現できるように努力をしてまいりたいと、かように考えておる次第でございます。  さらに、当面の経済運営に触れられまして、ガットの東京ラウンドの追加オファーをどういうふうにするかと、こういうようなお話でございますが、ガットにつきましては、御承知のように、いまこれを何とか成功さしたい。つまり、世界経済情勢が非常に深刻な情勢でありまして、これをほうっておきますると保護貿易主義が台頭しかねないという状態である。これに対していろいろ備えをなさなければなりません。その中の最も大事な施策が、これはガット東京ラウンド交渉を成功させることというふうに国際社会では認識をされておるわけでありまして、そのような見地から、いま国際社会におきましては、相互の間に精力的にこの問題成功のための努力が続けられておるのでありまして、大体七月ごろにはその内容の大筋についての合意にこぎつけたいというところまで来ておるわけであります。わが国といたしましては、この自由貿易体制、これをとにかく先頭に立って主張しておる国であります。この自由貿易体制の支えであるところの東京ラウンド交渉、これは何が何でも成功させなけりゃならぬ、このように考えますが、そういう最後の締めくくりの段階におきまして、各国ともそのオファーを出しておる。その出しておるオファーにつきまして、さらにそれを改善するという努力も行われておるわけでありますが、その傾向がどういうふうになっていきますか、その世界の流れの中でわが国は恥ずかしくない態度をとっていかなければならない、かように考えておるのであります。  次に、日米首脳会談に臨んでどういう方針でやるのかというお尋ねでございますが、日米首脳会談は、これも申し上げておるところでございまするけれども、日米両国というのは、これは日本から見ますると本当に特殊な大事な関係でございます。その大事な関係の相手方であるアメリカの首脳と年に一回ぐらい会って意見の調整をしておくということはどうしても必要である、そういうことで、私の提唱に基づいて行われる会談でございます。日米間でとりわけ交渉しなければならないと、そういう案件はございません。広く世界の政治、世界の経済、それらを論じまして、そうして意見の調整を、また、相互の理解を深めておくということが必要であろうと、このように考えておるのであります。  特に、アメリカはいま世界経済の第一の大国である。わが国はアメリカに次いで自由社会では第二の工業力を持っておる国であります。深刻な世界経済の情勢の中で、この第一の立場にあるアメリカ、第二の立場にある日本、その両首脳が意見の交換をして、そして七月に予定されるところの首脳会談に臨むという道筋をとるということは、これは私は非常に大事なことであると、このように考えておるわけであります。そういう角度における世界経済の問題、まあもとよりその中には通貨の安定という問題も入りまするけれども、経済問題ばかりじゃなくて、あるいはアジアの政治の情勢、あるいは中東の問題、それらの問題につきましても、篤と両首脳で話し合ってみたいと、このように考えておる次第でございます。(拍手)    〔国務大臣村山達雄君登壇、拍手〕
  18. 村山達雄

    ○国務大臣(村山達雄君) 多田さんにお答え申し上げます。  非常に広範にわたりましたが、逐次申し上げます。  不公平税制を放置しながら酒税の増税を行うのは適当じゃないじゃないかと、こういうお話でございます。実は、企業課税を中心にいたしまして、ここ三年間、われわれは鋭意不公平税制の是正に努めたつもりでございます。今年度も、平年度四百九十億の増収を見ているところでございます。今後ともこの問題はやっていきたいと思っておるのでございます。  酒税の方は、先ほど申しましたように、健全財政の立場から若干の負担をぜひお願い申し上げたいと、こういうことでやっているのでございます。  それから、従価税率をなぜ据え置いたのか――これは一つは、従価税率でございますから、小売価格が上がりますれば自然に負担が上がります。従量税は、値段が上がりますと自然減税が行われるのでございます。それから、わが国の従価税率は一五〇とか二二〇とか、かなり高率でございます。それから、諸外国では非関税障壁であるという非難もあるわけでございます。いろんなことを考えまして、従価税率は今度据え置かしていただいたということでございます。  ビールがばかに高いじゃないかというお話でございます。ヨーロッパの方は、御承知のように、ビールは、水が悪うございますから、水がわりに飲んでおる。ところが、わが国のビールというのは、何と申しましても、ちょっと消費の態様が違いまして、どんな高級な料理屋さんに、レストランに行っても、ビールのないところはないというわけで、どんなところにもある、そのかわり若い人も飲むという特殊な態様にあるわけでございますので、普通の負担だけはひとつお願いいたしたいという気持ちで出しております。  それから間接税の逆進性でございますけれども、これは先ほども申しましたように、間接税だけで見るべきものではなくて、税体系全体として見ていただきたいということを申し上げているわけでございます。  それからなお、所得階層別に負担を出せと、こういうことでございまして、先般家計調査を中心にいたしまして、間接税の税目別、それから直接税の税目別総合負担税率をお示ししたいところでございます。  それから、不公平税制を直せということで、いろんな例を挙げられまして、一つは退職給与引当金を出されたのでございます。これはもう御承知のように、商法におきましても、企業会計原則におきましても、当然退職したときに支給すべき金額、これは損金性が認められておるということは御存じのとおりでございます。ただ、税法はいまそれを二分の一にちょん切っているわけでございますが、これは今後の予定、どれぐらいたって平均マクロ的に退職するのか、そして将来払われるわけでございますから、その金額を現在価値で資本還元いたしておるのでございます。まあそれをさらに二分の一にせいと、こういうことでございますが、これ以上は無理じゃないかとわれわれは思っているところでございます。  それから、富裕税の話でございますが、これは以前やりまして大変苦労がかかりまして、ある意味でまた逆の不公平も出たわけでございますけれども、しかし、税制調査会の方でも可否両論ございます。ただ、一般消費税を起こす場合には一遍検討に値するんじゃないかという御意見もありますので、この問題も検討さしていただきたいと思っております。  それから利子・配当の総合課税、これはもういま検討しておりますけれども、時間がかかるということだけ申し上げておきます。  交際費課税の強化でございますが、もう資本金基準は千分の〇・二五しか残っておりません。あとは四百万円の一律控除でございますから、そして八五形否認でございますから、これ以上強化するということになりますと、四百万円に手をつけなくちゃいかぬのじゃないか。そこまで覚悟しないとこの問題はなかなか増収にはつながってこないような感じがいたします。  それから価格変動準備金、これはもう毎年毎年縮小してまいりまして、ことしも縮小いたしたところでございます。今後も検討さしていただきます。  税調の再開日程でございますが、まだ具体案は決まっておりません。しかし、国会等済みましたら早急にやりたいと思っております。そして、財政試算に示しましたような方向でいろいろな問題を御討議願いたい、かようなつもりでおるわけでございます。  それから、退職金の千五百万円までのその預金に対する利子の非課税というお話でございます。私も新聞紙上で見たところで、まだ正式の連絡を受けていないのでございますが、退職金につきましては、もう御承知のように千万円まで退職所得金控除がありまして、二分の一にして分離課税にしておりますから、退職金に対する税の軽減としては十分ではなかろうかという感じがしております。その預金関係でございますけれども、現在は、郵便貯金、マル優、国債を入れますと大体九百万円まで金融資産は非課税になるわけでございます。一方、一世帯当たりの金融資産等を見ますと、それよりはるかに低位にあるということでございます。そういう実情にあることだけ申し述べておきます。  それから最後に、いま円高不況で補正予算を組むつもりがないかと、こういうお話でございます。私たちは、七%成長、七%前後の成長ということはなまやさしいことではないと思いますが、また、達成不可能だとも考えていないのでございまして、幸い、先般早々に予算を成立さしていただきましたので、われわれはこれを着実に実行し、そしてまた公定歩合も引き下げたのでございますので、今後の景気効果が期待されるところでございまして、まずは、できましたものを着実に実行いたしまして、そして所期の目的を達成したいと考えておるところでございます。したがって、現在補正予算を組む考えは持っていないことを申し添えます。  以上でございます。(拍手)    〔国務大臣河本敏夫君登壇、拍手〕
  19. 河本敏夫

    国務大臣河本敏夫君) 私に対するお尋ねは、為替差益を消費者に還元すべしと、こういう趣旨のお話でございます。  まず、電力料金について申し上げますが、電力料金は昭和五十一年に現行のレートを設定をいたしました。電気事業法に基づきまして原価計算をした上で設定をしたわけでございますが、これは二年間ということでスタートをしたわけでございます。ことしは三年目になるわけでございまして、その間、資本費、修理費、人件費等の相当な負担増が出ておりますけれども、為替差益も相当出ておりますので、とりあえずは少なくとも一年間は現行料金を据え置く、こういう形で消費者に還元をすると、そういう考え方でございます。それからなお、とりあえずは一年間でございますが、できるだけ長くこの据え置き期間を続けたいと、このように考えておるところでございます。  ガスにつきましても、同じような趣旨で現行料金の据え置きと、こういう方向で指導してまいります。  それから石油につきましては、これは為替差益だけから見ますと非常に大きな利益が出ております。ただしかし、需給関係等もございまして、一般的に値下がりの傾向にございますが、なお一般的な値下がり傾向だけでは不十分でありますから、十二月には灯油の引き下げの行政指導をいたしました。さらにまた、ナフサの引き下げの行政指導もいたしましたが、ナフサなどは依然として国際価格から見ますと非常に高い水準にあります。したがいまして、一部の油種で国際水準から見て非常に割り高になっておるものにつきましては、引き続きましてこの値下げを強力指導してまいりたいと考えております。  なお、全般的に申しますと、六月にOPECの総会がございますので、その動向を見る必要があろうかと思います。それからなお、この六月には石油税が計画どおりいきますと課税されることになりますので、それに対する負担増も加わってまいりますし、それから防災関係、この備蓄関係の経費の負担も相当な金額になっております。それからさらに、石油業界は非常に成績のいい企業と非常に成績の依然として悪い企業、この二つのグループに分かれておりまして、これらに対する判断をどうするかと、こういう問題等も残っております。そういう幾つかの問題がございますので、もう一、二カ月の間様子を見た上で、最終的に全体としてどのような方向に行政指導すべきかということを決めたいと、かように考えておるところでございます。(拍手)    〔国務大臣服部安司君登壇、拍手〕
  20. 服部安司

    国務大臣(服部安司君) ただいま御指摘のありました退職金一千五百万まで利子を非課税にする構想につきましては、勤労者の退職金がもっぱら退職者のその後の生活資金に充てられているという性格にかんがみまして、少しでも優遇策を講じたいという見地から、これらの所得郵便貯金に預入される際には、一般の郵便貯金の総額制限額の別枠を設けることとして、また、民間金融機関でも同様の措置をとることとしたらいかがかと考えている次第であります。この構想につきましては問題が多々あり、関係方面との折衝も要するものでありますので、目下郵政事務当局に検討を指示したところでございます。(拍手)    〔国務大臣宮澤喜一君登壇、拍手〕
  21. 宮澤喜一

    国務大臣(宮澤喜一君) 円高の差益を消費者に還元するということは、御指摘のように、きわめて大切なことであると考えております。したがいまして、先般も幾つかの品物につきまして輸入価格から最終価格までの追跡調査をいたしまして、これを公表いたしたわけでございます。これを見ておりますと、やはり自由化が行われ、自由競争が行われている物資につきましては差益の還元というものが比較的円滑に行われておるわけでございますけれども、中には、水産物の一部のように、輸入価格が下がっておりますのに末端価格が上がっておるというものもございました。これは、一つには、消費者の方でいわゆる二百海里というようなことから、迷わされておったという点もあったのではないかと思います。これは発表をいたしましたので、その辺は消費者にわかってもらえたと思いますが、なお水産庁から行政指導もしてもらっておりますわけであります。  次に、政府が直接間接に関係しております物資、サービス等は、いわゆる自由競争の体制でございませんから、やはりここも考えてみなければならない分野でありますので、先般来、関係閣僚にもお願いをして検討しておるところでございます。その結果、下げられる物があればよし、もし何かの理由で還元ができないということであれば、これはその理由をやはり国民に知ってもらう必要があると思いますので、そういうふうにしてまいりたいと思っております。  なお、民間の物資につきましては、過去にいたしました追跡調査を近いうちにもう一遍やりたいと考えておりまして、ただいま準備を始めたところでございます。(拍手)
  22. 加瀬完

    副議長(加瀬完君) これにて質疑は終了いたしました。      ―――――・―――――
  23. 加瀬完

    副議長(加瀬完君) 日程第一 日本国とイラク共和国との間の文化協定締結について承認を求めるの件  日程第二 船員の職業上の災害の防止に関する条約(第百三十四号)の締結について承認を求めるの件  日程第三 在外公館の名称及び位置並びに在外公館に勤務する外務公務員の給与に関する法律の一部を改正する法律案内閣提出、衆議院送付)  以上三件を一括して議題といたします。  まず、委員長の報告を求めます。外務委員会理事稲嶺一郎君。    〔三木忠雄君登壇、拍手〕
  24. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 ただいま議題となりました特定空港周辺航空機騒音対策特別措置法案について、運輸委員会における審査の経過及び結果を御報告いたします。  本案は、航空機騒音問題が深刻化している現状にかんがみ、空港周辺について、航空機の騒音により生ずる障害を防止し、あわせて合理的な土地利用を図ろうとするものでありまして、その主な内容は、第一に、航空機騒音により生ずる障害を防止し、合理的な土地利用を図る必要があると認められる空港を政令で特定空港に指定することとし、指定を受けた特定空港の設置者は、都道府県知事に対し、航空機騒音対策基本方針の策定を要請しなければならないこととしております。  第二に、要請を受けた都道府県知事は、航空機騒音障害防止地区及び航空機騒音障害防止特別地区の位置及び区域、空港周辺の土地利用、施設整備等に関する基本的事項を内容とする航空機騒音対策基本方針を、関係市町村長、関係住民等の意見を聞いた上、運輸大臣及び建設大臣の同意を得て策定することとしております。  第三に、都道府県知事は、特定空港周辺の都市計画区域内の地域について、航空機騒音対策基本方針に基づき、都市計画に航空機騒音障害防止地区及び航空機騒音障害防止特別地区を定めることができることとしております。  第四に、航空機騒音障害防止地区内に住宅等を建築する場合には防音構造としなければならないこと、及び航空機騒音障害防止特別地区内では、都道府県知事が許可した場合を除き、住宅等の建築をしてはならないこととしております。  第五に、特定空港の設置者は、住宅等の建築の禁止により通常生ずべき損失を補償するとともに、土地の買い入れを行い、また、移転希望者に対し補償等を行うことができることとしております。  第六に、特定空港の設置者は、買い入れた土地を地方公共団体に無償で使用させ、また、防止施設の整備に要する経費の一部を補助する等ができることとしております。  委員会におきましては、建設委員会並びに公害対策及び環境保全特別委員会との連合審査会を開くなど、熱心な審議が行われましたが、その詳細は会議録により御承知願いたいと存じます。  質疑を終了し、討論に入りましたところ、日本社会党を代表して青木委員、日本共産党を代表して内藤委員より、それぞれ本案に対し反対する旨の意見が述べられました。  次いで、採決の結果、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、本案に対し、青木委員より、五会派共同提案に係る附帯決議案が提出され、全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  以上御報告申し上げます。(拍手)
  25. 加瀬完

    ○副議長(加瀬完君) 本案に対し、討論の通告がございます。発言を許します。赤桐操君。    〔赤桐操君登壇、拍手〕
  26. 赤桐操

    ○赤桐操君 私は、日本社会党を代表して、ただいま議題となりました特定空港周辺航空機騒音対策特別措置法案に対し、反対の立場から討論を行うものであります。  本法案は、特定空港における航空機騒音対策として、空港周辺地区の土地利用に厳しい規制を定め、本法案の成立をまって成田空港周辺地区にこれを適用しようとするものであります。  まず、国際空港には、その安全上、完全なる機能と高度の整合性が強く求められるところであり、空港の機能を制するものは、滑走路、航空保安施設、燃料輸送、騒音対策、運航時間、そして空域、気象条件等であると存じます。  成田空港についていまこれらの諸条件を見ると、滑走路を初め、いずれの場合においても開港後に多くの問題を残し、きわめて不完全な状態にあるのであります。とりわけ騒音問題は、空港用地内において吸収解決は不可能であり、騒音被害を広く周辺に及ぼそうとしております。そこで本法案は、これら周辺地区の住宅の土地利用に、罰則を含む厳しい規制を設けようとするものであります。  本法案による規制区域については、当面の対象面積は二千六百ヘクタールを超え、対象戸数は二千戸に及ぶものであります。やがて将来、この空港が当初計画どおりの機能を全面的に発揮する活動段階に入る場合は、その対象面積は拡大され、対象戸数、対象人口は一層倍増し、被害者はさらに増大するものと思われます。  しかして、本法案においては、これらの被害者に対する加害者側の責任が不明確であり、住民福祉、国民の基本的権利をじゅうりんするものと言わなければなりません。  空港の建設は、それ自体の公益上の必要性に関して仮に疑義がないといたしましても、そのことが直ちに環境破壊を容認する論拠とはならないのであり、環境破壊を起こさない限りにおいて空港の公共性が認められるのであります。このことは、大阪国際空港の騒音公害訴訟における控訴審判決によっても明らかであるし、ニューヨーク・ケネディ空港の拡張計画の中止、ロンドン第三空港の中止にも明らかなよう尺世界的な世論であります。すなわち、空港の公共性は、それだけを切り離すのではなく、騒音対策、公害対策等々と一体としての要件が整えられていなければならないと思うのであります。  本空港と相前後して空港建設が始められたダラス・フォートワース空港を初めといたしまして、世界の大規模な空港は、騒音被害の起こる可能性のある地域は空港敷地として取り入れることとしているのが最近の世界的傾向であります。本法案の適用が想定される成田空港の場合には、当初計画でも千七十ヘクタール、この用地が確保できたといたしましても、騒音被害は空港の周辺に広く及び、騒音面から見ても、そもそもの初めから空港として欠陥を持つものであり、空港自体の公共性が疑われるものであるということであります。空港自体の公共性に疑義があるとすれば、その周辺地域の土地利用規制にどうして公共性を認めることができましょうか。  本法案は、まさに内陸空港の欠陥を露呈したものであり、特に世界的にも数少ない六千三百万坪に上る臨海・内陸工業地帯に二千社を超える企業が集中し、かつ、首都圏における人口集中地域としての千葉県の内陸部に国際空港を設置するという矛盾した空港計画の欠陥をびほうしようとするものであり、とうていその公共性を認めることはできません。  また、この法案が都市計画の手続を準用することには重大な疑義があるのであります。都市計画法による土地利用規制は、市民生活の相互依存関係を基礎として、市民が相互の権利を調整しつつ、総体として最適な土地利用形態の実現を図るものであります。この場合の土地利用規制は、健康で文化的な市民生活を保障するものでなければならず、国民の財産権を傷つけるものであってはならないと思うのであります。土地利用規制によって利益を受けるのは住民自身であり、それゆえに、都市計画法による土地規制には、一般に損失補償を要しないとされております。しかるに、本法案による土地利用規制は、市民相互の権利調整によって行われるものではなく、もともと欠陥空港のびほう策として強権的に押しつけられたものであって、この規制によって利益を受ける市民は存在しないのであります。そのような規制を都市計画法の名のもとに行おうとするのは、都市計画法の理念を著しく逸脱したものと言わなければなりません。  また、本法案の想定する補償が憲法に言う正当な補償に相当するか否かについても、大きな疑義を持つものであります。正当な補償とは、国民の生活権を補償するものでなければならないはずであります。だとすれば、騒音障害防止特別地区内の居住者に対する補償は、完全なる生活の再建でなければなりません。公共用地の取得に関する特別措置法を初めとして、土地の提供者に対する生活再建を規定した法律は少なくないのでありますが、本法案がそのような条項を欠いていることは、本法案のねらいが住民の追い出しにあって、国民の権利の擁護にないことを端的に示しているものと言わなければならないのであります。  以上を要するに、本法案は憲法に保障されている財産権を制限するための要件たる公共性と補償の正当性のいずれにおいても重大な疑義を含むものであり、その意味で憲法違反の疑いを持つものと言わなければなりません。  最後に、この十二年間にわたって政府が一貫してとり続けてきた、成田地域を中心とする地元農民、地権者、周辺住民に対する政治姿勢については、断じて納得できるものではありません。これらの人々が納得する十分な諸対策を終わらずして成田空港の開港はあり得ないことを重ねて強調いたし、反対討論を終わるものであります。(拍手)
  27. 加瀬完

    ○副議長(加瀬完君) これにて討論は終局いたしました。  これより採決をいたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立〕
  28. 加瀬完

    副議長(加瀬完君) 過半数と認めます。よって、本案は可決されました。      ―――――・―――――
  29. 加瀬完

    副議長(加瀬完君) 日程第五 石油法案内閣提出、衆議院送付)を議題といたします。  まず、委員長の報告を求めます。大蔵委員長嶋崎均君。     ―――――――――――――    〔嶋崎均君登壇、拍手〕
  30. 嶋崎均

    ○嶋崎均君 ただいま議題となりました石油税法案につきまして、委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。  本案は、今後予想される石油対策に係る財政需要に配意して、新たに原油等に対して石油税を課することとしようとするものであります。  その主な内容を申し上げますと、まず、石油税は、原油及び輸入石油製品を課税物件とし、国産原油については採取者、輸入原油及び輸入石油製品については保税地域から引き取る者を納税義務者としております。  第二に、課税標準及び税率でありますが、国産原油については採取場からの移出価格、輸入原油につきましては保税地域からの引き取り価格、輸入石油製品については保税地域からの引き取り価格に所要の調整を加えた金額とすることとし、その税率は三・五%としております。  第三に、申告及び納付につきましては、採取者については移出した月の翌月末日までに申告納付することとし、保税地域から引き取る者については引き取りの際に申告納付することとしております。  以上のほか、納期限の延長、納税地等について所要の規定を設けております。  この法律の施行期日公布の日とし、昭和五十三年六月一日以後、採取場から移出される原油及び保税地域から引き取られる原油等について適用することとしております。  なお、石油税の収入額に相当する額は、別途提案されております石炭及び石油対策特別会計法に基づき、予算の定めるところにより、一般会計から同特別会計の石油勘定に繰り入れることとしております。  委員会におきましては、石油税創設の理由、石油備蓄計画と財源対策、今後の総合エネルギー対策、為替差益と消費者への還元問題、石油税の物価に及ぼす影響、石油税と原重油関税との関係、石油業界に対する行政指導のあり方等について質疑が行われましたが、その詳細は会議録に譲りたいと存じます。  質疑を終了し、討論なく、採決の結果、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、本案に対し、自由民主党・自由国民会議、日本社会党公明党民社党第二院クラブ及び新自由クラブの各派共同提案により、総合エネルギー対策とその財源のあり方について検討すること等の附帯決議案が提出され、全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  以上御報告申し上げます。(拍手)
  31. 加瀬完

    ○副議長(加瀬完君) これより採決をいたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  32. 加瀬完

    ○副議長(加瀬完君) 過半数と認めます。よって、本案は可決されました。      ―――――・―――――
  33. 加瀬完

    ○副議長(加瀬完君) 日程第六 住宅金融公庫法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)を議題といたします。  まず、委員長の報告を求めます。建設委員長安永英雄君。    〔安永英雄君登壇、拍手〕
  34. 安永英雄

    ○安永英雄君 ただいま議題となりました住宅金融公庫法の一部を改正する法律案につきまして、建設委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。  本案は、現下の住宅事情及び経済情勢にかんがみ、住宅建設の促進に資するため、住宅金融公庫からの個人住宅貸し付け、災害復興住宅貸し付け等に係る償還期間の延長、個人住宅貸し付け、住宅改良貸し付け等で、みずから居住することを目的とし、昭和五十三年度内に貸し付けの申し込みを受理したものに係る据え置き期間の設置等、貸付条件の改善措置を講じようとするものであります。  委員会におきましては、公定歩合の引き下げ等に伴う金利の引き下げの見通し、貸付限度額の引き上げ、土地融資の拡充、中古住宅についての諸税の軽減と流通対策、公営・公団住宅の建設のおくれと供給促進、住宅融資保証のあり方、ミニ開発についての対策、宅地開発についての関連公共公益施設の整備等について熱心な質疑が行われましたが、詳細は会議録に譲ることにいたします。  質疑を終了し、別に討論もなく、採決の結果、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  続いて、赤桐委員より、自由民主党・自由国民会議、日本社会党、公明党、日本共産党及び民社党の各派共同提案に係る、公庫融資についての金利、貸付限度額、据え置き期間等の改善、土地融資の拡大等を求める七項目から成る附帯決議案が提出され、全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  以上御報告申し上げます。(拍手)
  35. 加瀬完

    ○副議長(加瀬完君) これより採決をいたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立〕
  36. 加瀬完

    ○副議長(加瀬完君) 総員起立と認めます。よって、本案は全会一致をもって可決されました。  本日は、これにて散会いたします。    午後三時十五分散会