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1975-03-18 第75回国会 参議院 予算委員会 11号 公式Web版

  1. 昭和五十年三月十八日(火曜日)    午前十時三分開会     ―――――――――――――    委員の異動  三月十八日     辞任         補欠選任      坂野 重信君     八木 一郎君      松永 忠二君     青木 薪次君      野口 忠夫君     案納  勝君      上田  哲君     久保  亘君      和田 静夫君     杉山善太郎君      辻  一彦君     片岡 勝治君      相沢 武彦君     柏原 ヤス君      河田 賢治君     小笠原貞子君     ―――――――――――――   出席者は左のとおり。     委員長         大谷藤之助君     理 事                 岩動 道行君                 矢野  登君                 柳田桃太郎君                 藤田  進君                 宮之原貞光君                 矢追 秀彦君                 渡辺  武君                 向井 長年君     委 員                 安孫子藤吉君                 井上 吉夫君                 石破 二朗君                 亀井 久興君                 黒住 忠行君                 玉置 和郎君                 徳永 正利君                 中村 太郎君                 夏目 忠雄君                 秦野  章君                 鳩山威一郎君                 最上  進君                 八木 一郎君                 吉田  実君                 青木 薪次君                 案納  勝君                 片岡 勝治君                 久保  亘君                 工藤 良平君                 小柳  勇君                 杉山善太郎君                 寺田 熊雄君                 田  英夫君                 相沢 武彦君                 柏原 ヤス君                 桑名 義治君                 三木 忠雄君                 小笠原貞子君                 須藤 五郎君                 市川 房枝君    国務大臣        国 務 大 臣        (経済企画庁長        官)       福田 赳夫君        法 務 大 臣  稻葉  修君        大 蔵 大 臣  大平 正芳君        文 部 大 臣  永井 道雄君        厚 生 大 臣  田中 正巳君        農 林 大 臣  安倍晋太郎君        通商産業大臣   河本 敏夫君        運 輸 大 臣  木村 睦男君        郵 政 大 臣  村上  勇君        労 働 大 臣  長谷川 峻君        国 務 大 臣        (総理府総務長        官)        (沖繩開発庁長        官)       植木 光教君        国 務 大 臣        (科学技術庁長        官)       佐々木義武君    政府委員        人  事  官  島田  巽君        人事院事務総局        職員局長     中村  博君        内閣総理大臣官        房広報室長兼内        閣官房内閣広報        室長       関  忠雄君        総理府人事局長  秋富 公正君        公正取引委員会        委員長      高橋 俊英君        公正取引委員会        事務局長     熊田淳一郎君        公正取引委員会        事務局経済部長  野上 正人君        公正取引委員会        事務局取引部長  後藤 英輔君        経済企画庁調整        局長       青木 慎三君        経済企画庁国民        生活局長     岩田 幸基君        経済企画庁物価        局長       喜多村治雄君        経済企画庁調査        局長       宮崎  勇君        科学技術庁原子        力局次長     福永  博君        法務省民事局長  川島 一郎君        大蔵大臣官房日        本専売公社監理        官        西沢 公慶君        大蔵大臣官房審        議官       岩瀬 義郎君        大蔵大臣官房審        議官       後藤 達太君        大蔵省主計局長  竹内 道雄君        大蔵省関税局長  吉田冨士雄君        大蔵省証券局長  田辺 博通君        大蔵省銀行局長  高橋 英明君        大蔵省国際金融        局長       大倉 眞隆君        文部省初等中等        教育局長     安嶋  彌君        文部省大学局長  井内慶次郎君        文部省学術国際        局長       木田  宏君        厚生省公衆衛生        局長       佐分利輝彦君        厚生省環境衛生        局長       石丸 隆治君        厚生省環境衛生        局水道環境部長  福田  勉君        厚生省医務局長  滝沢  正君        厚生省薬務局長  宮嶋  剛君        厚生省社会局長  翁 久次郎君        厚生省児童家庭        局長       上村  一君        厚生省年金局長  曾根田郁夫君        社会保険庁年金        保険部長     河野 義男君        農林大臣官房長 大河原太一郎君        農林大臣官房予        算課長      渡邉 文雄君        農林省畜産局長  澤邊  守君        農林省食品流通        局長       森  整治君        通商産業審議官  天谷 直弘君        通商産業大臣官        房審議官     宮本 四郎君        通商産業省産業        政策局長     和田 敏信君        資源エネルギー        庁長官      増田  実君        資源エネルギー        庁公益事業部長  大永 勇作君         中小企業庁長官 齋藤 太一君         運輸省船舶局長 内田  守君         運輸省船員局長 山上 孝史君         運輸省港湾局長 竹内 良夫君         運輸省鉄道監督         局長      後藤 茂也君         運輸省自動車局         長       高橋 寿夫君         海上保安庁長官 寺井 久美君         郵政省電波監理         局長      石川 晃夫君         郵政省人事局長 神山 文男君         労働省労働基準         局長      東村金之助君         労働省労働基準         局賃金福祉部長 水谷 剛蔵君         労働省婦人少年         局長      森山 眞弓君         労働省職業安定         局長      遠藤 政夫君         建設大臣官房長 高橋 弘篤君         建設省計画局長 大塩洋一郎君         建設省河川局長 増岡 康治君         建設省道路局長 井上  孝君    事務局側         常任委員会専門         員       山本 正雄君    説明員         行政管理庁行政         管理局審議官  加地 夏雄君         日本国有鉄道理         事       加賀谷徳治君    参考人         日本銀行総裁  森永貞一郎君     ―――――――――――――    本日の会議に付した案件 ○昭和五十年度一般会計予算(内閣提出、衆議院  送付) ○昭和五十年度特別会計予算(内閣提出、衆議院  送付) ○昭和五十年度政府関係機関予算(内閣提出、衆  議院送付) ○参考人の出席要求に関する件      ―――――・―――――
  2. 大谷藤之助

    ○委員長(大谷藤之助君) ただいまから予算委員会を開会いたします。  昭和五十年度一般会計予算  昭和五十年度特別会計予算  昭和五十年度政府関係機関予算  以上三案を一括して議題といたします。  参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。  三案審査のため、本日、日本銀行総裁を参考人として出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 大谷藤之助

    ○委員長(大谷藤之助君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
  4. 大谷藤之助

    ○委員長(大谷藤之助君) 前回に引き続き、質疑を行います。小柳勇君。
  5. 小柳勇

    ○小柳勇君 私は、独禁法を中心に質問いたします。  社会党、わが党案もきょう提出されておりまするので、これを背景にしながら政府の見解をただしていきたいと思います。  日銀総裁が、午前中所用があるようでありますから、冒頭に質問いたします。少し話がちぐはぐになるかと存じますが、冒頭に質問を一括してお願いをいたしたいと思います。  まず最初に、昨年日銀総裁に御就任以来今日までの日本の経済動向に対する、金融の責任者としての御見解を聞きたいと存じます。
  6. 森永貞一郎

    ○参考人(森永貞一郎君) お答えいたします。  昨年の十二月に就任いたしましたわけでございますが、その当時は、一-三月には在庫調整もある程度進行するのではないかと思っておりましたが、現実の推移は少しおくれておるようでございまして、十二月、一月と企業における大幅な減産にもかかわりませず、在庫調整のほうはあまり進捗を見ていない。一月には一年ぶりに在庫が少し下がりまして、その事実をどう評価するかという問題がございますが、減産の度合いは大変厳しいのでございまして、そのために各般にわたりまして雇用調整なども広く行われておる。そういうようなことから、企業の不況感がにわかに深刻化してまいりましたことは御承知のとおりでございます。その裏には、個人消費が引き続き低迷をいたしておるということ、あるいは輸出の先行きについて若干の陰りが出てきているのではないかというようなこともあったようでございます。  そういう情勢下におきまして、需給関係は緩和した状態が引き続いておるわけでございまして、そのような需給関係の緩和を背景に、物価の方はこのところ鎮静のきざしを明らかにしつつあることは、これまた御承知のとおりでございます。卸売り物価につきましては、一月、二月と、微落ではございますが、二ヵ月連続低落いたしております。消費者物価の方の動きも大変穏やかでございまして、〇・何%といったような状態が続いておることは御承知のとおりでございます。  ただし、私はこの物価の鎮静が、本当に安定したのかどうかという点につきましては、にわかに判断ができない不安定な要素がまだ幾つか残っておるのではないか。現にこの一月の末から二月の初めにかけまして、金融緩和のかけ声が出ましただけで、一部の市況商品等につきましては反騰したものが数少なくございませんし、また、基礎的な資材その他、コストプッシュの要因を大きく潜在させておるものも大変に多いのでございまして、そういう部門におきましては、もしこの辺で需要が少しでも振起されれば、コストプッシュの価格転嫁が手広く行われかねないような情勢がひそんでおると思うのでございまして、本当の意味の物価の鎮静化がすでに到達されたかどうかということについては、自信がございません。私どものいまの心境といたしましては、できるだけこの安定を本物とし、企業並びに国民のインフレ的心理を除き去りまして、本当に安定した経済の軌道に日本経済を乗せていくということが現在の任務であると心得まして、政策運営に当たっておる次第でございます。  とりあえず、以上御答弁いたします。
  7. 小柳勇

    ○小柳勇君 いま、在庫調整についてはまだ十分の調整ができていないということ、それから消費支出の方が押えられているということ、コストプッシュによりまして、なお物価上昇の不安があるということでありますが、今日までとられました総需要抑制政策の効果が、どういうところで卸売り物価や消費物価に影響しておると御判断ですか。
  8. 森永貞一郎

    ○参考人(森永貞一郎君) 石油ショックを契機に大変強い姿勢でとられました総需要政策並びにその一環としての金融引き締めが、需給関係に大きく影響をいたしまして、今日の卸売物価の鎮静化並びにそれが、時間的なギャップがございますが、そろそろ消費者物価のほうにも浸透し始めておる、そういう現状だと存じます。総需要抑制策の効果がいま大いに上がりつつある、その最後の仕上げの段階がいまだというふうに考えておるわけでございます。
  9. 小柳勇

    ○小柳勇君 たとえば大企業とか中小企業に分けまして、総需要抑制政策をとられましたその効果が物価に影響しておるという、どういう面で影響しておりましょうか。
  10. 森永貞一郎

    ○参考人(森永貞一郎君) 石油ショックの前後には、いわゆる仮需、実需、両方ございましたと思いますが、この需要がにわかに膨大なものにふくれ上がりまして、いわゆるデマンドプル型のインフレーション現象を現出したわけでございます。狂乱物価とも呼ばれましたが、まさにその名に値する混乱であったと存じます。そのデマンドプルのデマンドの方が総需要抑制策によりまして厳しく抑えられまして、企業の方面における仮需、実需も相当鎮静いたしましたし、また一般国民の間にも、政府の総需要抑制政策によって物価は落ち着くのだという期待感が芽生えてまいりまして、消費の動向にも大変落ち着いた傾向があらわれてきつつある。一つには、この先どうなるかわからないから、それに備えて消費を手控えていこうということもあったかと存じますが、消費の動向が大変落ちついてきておりまして、場合によりましては低迷とも言うべき状態が続いておるわけでございます。それらの企業、国民、全般に対する需要管理の効果があらわれつつあるのが現状だと思うのでございます。
  11. 小柳勇

    ○小柳勇君 総裁は専門家ですけれども、消費支出など需要の方の影響で物価が下がるようだったら、この独禁法は余り強引に言う必要はないわけなんですけれども、それでなくていま物価が下がっておる。大企業と中小企業に分けて、どちらの物価が下がっておると御判断ですか。
  12. 森永貞一郎

    ○参考人(森永貞一郎君) いま種類別の資料をちょっと手元に持っておりませんが、そのときどきによっていろいろでございます。おしなべて申しますと、素材価格等の関係、あるいは外国との輸出入関係のものの値下がりが最近は顕著でございます。食料品等につきましては、これは季節的な関係もございまして、そのときどきの動きがまちまちでございますが、それらのものにつきましても需要管理の効果は逐次あらわれ、浸透しつつあるのではないかと考えております。  大企業、中小企業に分けた工業製品についての資料が手元にございますので、一例として申し上げますが、二月の下旬、実はこれはまだ発表いたさない数字でございますけれども、工業製品全体としてはマイナスの一%でございますが、大企業製品、中小企業製品、それぞれ寄与率はほぼ同じというふうにお考えいただいてよろしいようでございます。
  13. 小柳勇

    ○小柳勇君 総需要抑制政策で物価を下げようとされておりますが、じゃ、いま、これから先どういうところに一番重点を置いて需要を抑制されますか。
  14. 森永貞一郎

    ○参考人(森永貞一郎君) 総需要抑制策をいままで一年余り、あるいは場合によっては二年と申しましょうか、継続されてきたわけでございますが、いまのところ、これ以上総需要抑制を強化するような経済の段階ではもちろんないというふうに考えております。
  15. 小柳勇

    ○小柳勇君 経済企画庁の統計によりますと、生産指数も大企業の方では上がっているわけです。それから物価によりますと、大企業のほうは物価は余り下がっていません。中小企業の製品物価がうんと下がりまして、いま物価を下げているわけですから。私、統計を持っています、ここに。  そこで、それでは金融面として、これから総需要抑制政策をこのまま堅持されるのか、あるいはどこかで手直しされるのか、お聞きいたします。
  16. 森永貞一郎

    ○参考人(森永貞一郎君) 先ほども申し上げましたように総需要抑制政策、特にその中の重要な一翼としての金融引き締めをさらに強化することはむろん考えておりません。いまのような段階で推移してよろしいのではないか。お尋ねの趣旨はいつ緩めるかということだと存じますが、先ほど申し上げましたように、いまが物価鎮静を本物にし、インフレ心理を除き去るのには最後の仕上げの段階だと存じまして、いまはその時期ではない。しかし、いずれ緩和の時期が参るかと存じますが、その時期につきましては、遅からず早からざる適当な時期をということで、諸般の経済の情勢の推移を冷静に見守ってまいりたいと存じておる次第でございまして、いつとも申し上げかねることを御了承いただきたいと存じます。
  17. 小柳勇

    ○小柳勇君 公定歩合の引き下げ及び預金準備率の引き下げについては、いかがですか。
  18. 森永貞一郎

    ○参考人(森永貞一郎君) 公定歩合の引き下げ並びに預金準備率の引き下げにつきましても、ただいま申し上げましたとおり、いまはその引き下げを考えておりません。しかし、そういつまでも無限に続けられるものではございませんので、いつの日か公定歩合を引き下げる等の時期が参ると存じますが、その時期につきましては、ただいまお答え申し上げましたとおり、今後の経済情勢の推移を冷静に見守りまして、遅からず早からず適当な時期にと存じておる次第でございます。  ちなみに預金準備率でございますが、これは諸外国に比べて日本の準備率はむしろ低いほうの一つに属するわけでございまして、実効率で比較いたしましても格段に日本の預金準備率は低いのでございます。そういう情勢も頭に入れながら、引き下げの時期につきましては慎重を期したいと思っておる次第でございます。
  19. 小柳勇

    ○小柳勇君 都市銀行などの金融についてはいかがですか。
  20. 森永貞一郎

    ○参考人(森永貞一郎君) 都市銀行を初め、各種金融機関につきましては、御承知のように窓口指導ということで、貸出額の増加が適正な限度を超えないようにという指導をいたしておるわけでございます。いまの一-三月につきましては、引き締めの厳しさにつきましては前期と同じ程度ということで、九千百億円の枠を設けまして、それに従って各都市銀行が貸し出しを実行しつつあるわけでございますが、銅、カバーの滞貨資金等政府の要請によって輸出を控えましたことによる滞貨資金等の需要という問題が予期以外に発生いたしましたので、そういった面についての手当てなどをいたしました結果、結果的には、この九千百億円の枠を若干上回るようなことで一-三月を終わるのではないかと思っております。  その貸し出しの状況を概観いたしますと、素材関係等の業種につきましては、在庫調整のおくれもございまして、後ろ向きの資金の需要が大変強い。そういう方面の貸し出し需要は依然として強いのでございますが、在庫調整が曲がりなりにもある程度進捗したというような業種も中には見受けられるのでございまして、そういう業種におきましては若干資金需要の増勢が鈍っておる。特に中小企業でございますが、政府の三機関における資金手当ての効果もあったと存じますし、また、私ども各金融機関に対しましては特に中小企業向けの融資に配慮するようにという指導を加えておるのでございますが、各金融機関とも中小企業向けには大変熱心に配慮しておるようでございまして、その反面、ここへまいりまして、資金需要がある程度鈍化しつつあるような形勢でございます。  大観いたしますと、資金需給逼迫の峠は、どうやらこの辺じゃないかというような感じで見ておる次第でございます。
  21. 小柳勇

    ○小柳勇君 通産省関係では、いま実需関係を喚起して、特に金融面で手当てしなければ中小企業など大変だという見解ですが、いかがですか。
  22. 森永貞一郎

    ○参考人(森永貞一郎君) 業種によりましていろいろ差はあろうかと存じます。概観して申し上げますと、金融面に対する需資、資金需要の強さは、各金融機関、特に中小企業関係の専門金融機関等の情勢を見ますと、少し一時の増勢が鈍っておるようなことが統計上にもあらわれておるようでございます。中小企業が多いのでございますが、一時千百件以上になりました企業倒産の件数も、一月、二月と八百件台に落ちております。また、倒産の場合の債務の金額も、二月は一月に比し、格段に減少したというようなことがございます。私ども、それだからといって決して安心しているわけじゃございません。三月の数字がどうなりますか、あるいは少しふえそうな形勢もございますが、そういう意味で、中小企業の動向につきましては、今後も慎重な配慮を加え、機動的に弾力的に処理していくことの必要性は十分認めるものでございますが、大観いたしますと、一時よりは資金需要が鈍っておるということではないかと思っております。
  23. 小柳勇

    ○小柳勇君 政府は、近くまた第二次の不況対策を考えておられるようです。政府にはあとで聞きますけれども、それに対する金融面ではいかがですか。
  24. 森永貞一郎

    ○参考人(森永貞一郎君) 先ほど来申し上げておりますように、貸し出しの窓口指導をいたしておりまして、その場合に、たとえば、銅の例を申し上げたわけでございますが、業種により、あるいは企業により非常に困った事情が起こって、それが経済全体の運営に波及をするというような場合には、実情を細かく調査いたしました上で適切な措置を講じてまいっておるわけでございますが、いわゆる不況対策でございましょうか、金融面における不況対策、その面につきましては、今後といえども一層配慮してまいらなければならない。政府の今度おまとめになりまする事柄がどういうものになりますか、私まだ存じませんですが、金融面といたしましては、いわゆる不況対策につきましては、今後といえども適切な手を打ってまいりたい。ただし、この段階で、いわゆる景気を振興するということは、振興策にわたるような手を打ちますということは、これは再びインフレーションの危機を招くことにもなりかねないのでございまして、景気の振興策までに及ぶということにつきましては、私どもよほどこれは慎重に考えていかなければならぬのではないかと。しかし、不況対策に関する限りは十分な手を打ってまいりたいと存じております。
  25. 小柳勇

    ○小柳勇君 最後の問題は、いま総合商社、特に六大総合商社が、金融面でも日本の経済を支配して、今後非常に脅威的な支配勢力になるという見解でありますが、総裁としてはいかが見解ですか。
  26. 森永貞一郎

    ○参考人(森永貞一郎君) 商社の活動に一時好ましくない面がございまして、いろいろ世間を騒がせましたことにつきましては、私も、当時何も仕事をいたしておりませんでしたけれども、やはり反省すべき点があるのではないかというふうに考えておりました。しかし、その後のしぶりを見ておりますと、大分その辺では社会的責任の自覚も進んでおるようでございまして、ことに金融面に関する限りは、撹乱的な活動はこのところ余り目立たないようでございます。
  27. 小柳勇

    ○小柳勇君 いまの問題を中心に、これから独禁法を私は質問をしていくんですが、これは見解でありますけれども、総裁の見解ですが、現在政府素案なるものを、独禁法改正が提案されようといたしておりますが、金融面の責任者としてはどうお考えですか。
  28. 森永貞一郎

    ○参考人(森永貞一郎君) 直接私ども担当しておりまする業務には関係がございませんので、余り立ち入ったことを申し上げることは控えたいと存じますが、たとえば、持ち株の制限等につきましては、私前に証券取引所におりました当時の経験などからいたしますと、ある程度現状を強化されるようなことがあってもしかるべきではないかと思っております。自余の点につきましては、余り勉強もいたしておりませんので、立ち入ったことを申し上げることは控えたいと存じます。
  29. 小柳勇

    ○小柳勇君 どうもありがとうございました。お引き取りください。  総務長官に質問いたしますが、結局、この独禁法改正案というのは、どういう姿で国会に出てきますか。
  30. 植木光教

    ○国務大臣(植木光教君) 御承知のように、政府素案を五日に了承を受けまして、自由民主党の調査会におきまして、ただいま政府素案と党側の意見との調整が進められているという状況でございます。調査会におきまして結論が出ましたならば、所要の手続が党内において行われるわけでございまして、それを受けまして政府案を作成するわけでございますが、その間、法制局とのいろいろな作業もあるわけでございます。私どもといたしましては、この国会に提案をし、そしてまた改正案が成立いたしますことを希望しているわけでございまして、それに向かってただいま努力をしているというのが現状でございます。
  31. 小柳勇

    ○小柳勇君 総理は今月中に出したいと言っておられたようですが、今月中に出ますか。
  32. 植木光教

    ○国務大臣(植木光教君) 今月中に提案をいたしたいという目途には変わりございません。鋭意そのために努力をしているのでございます。
  33. 小柳勇

    ○小柳勇君 新聞報道ですけれども、椎名副総裁や幹事長が相当抵抗しておるそうでありますが、いかがですか。
  34. 植木光教

    ○国務大臣(植木光教君) ただいまは調査会において審議中でございます。私どもといたしましては、ただいまお話しのようなことは承知いたしておりませんで、調査会との間に政府素案についての調整をはかっているというのが現状でございます。
  35. 小柳勇

    ○小柳勇君 公取試案から相当後退した素案ですが、これがなお後退するような印象ですけれども、いかがですか。
  36. 植木光教

    ○国務大臣(植木光教君) 五日の関係閣僚会議におきまして、これが関係閣僚によって了承せられたわけでございまして、政府といたしましては、ただいまの段階では、この案がただいま考え得る最善の案だと、このように考えております。
  37. 小柳勇

    ○小柳勇君 経済企画庁長官に聞きますが、いまの日本の経済の動向の現状と、それから六月、十二月、来年三月の経済見通しについての御見解を聞きます。
  38. 福田赳夫

    ○国務大臣(福田赳夫君) 経済の現状については、いま日銀総裁が御報告申し上げたと同じような判断をしております。  それから、四半期別に分けまして、五十年度の経済がどんなふうに成長していくか、その四半期別の成長率というものは私どもは計算しておりません。おりませんが、まあ大体夏ごろからと見ておるんですが、しり上がりに景気は回復していくと、こういう見解です。年度間を通じまして四・三%の実質成長と、こういうことでございます。
  39. 小柳勇

    ○小柳勇君 物価はどうですか。
  40. 福田赳夫

    ○国務大臣(福田赳夫君) 物価は、先ほど日銀総裁から申し上げたとおり、ただいまは非常に鎮静してきたと。しかし、この先この鎮静が続くかというと、若干の危惧があるんです。企業の方で製品価格を上げようというような動きもある。それから、いわゆる春闘問題の帰趨、こういう問題も抱えております。そういうことを考えますと、これは楽観はできない。楽観はできませんけれども、万難を排しまして五十年度中には一けた台を実現したい、実現できると、かように確信しております。
  41. 小柳勇

    ○小柳勇君 国際収支についてはいかがですか。
  42. 福田赳夫

    ○国務大臣(福田赳夫君) 国際収支は、四十九年度は五十億程度の総合赤字になりそうです。これは、前年度が百三十億ドルの赤字だというのに比べますと、赤字ではありまするけれども、非常な改善であります。それから、五十年度におきましてはこれをやや改善したい、十億ドル程度はぜひ改善をしたいものだと、こういうふうに考えておりますが、これも実現できるというふうに考えております。
  43. 小柳勇

    ○小柳勇君 総需要抑制政策による物価鎮静とうものについて私も若干の不満を持っているんですけれども、いままでの政策で、どういうところで卸売り物価が鎮静したと御判断ですか。
  44. 福田赳夫

    ○国務大臣(福田赳夫君) いろいろありますが、一番大きな原因は、やはり総需要抑制政策ですね。つまり、需要が減退した。あの狂乱状態、あの状態は、仮需要が発生しまして、需要が非常にふくらんだわけです。総需要を抑制した結果、需要が減退いたしまして、むしろ需要不足であるというような状態が出現いたしまして、そしてそういう需給の面からの物価引き上げの要素というものは、もうほとんどないんです。あとは、去年の上半期で言いますれば、海外の原材料購入費、これが値上がりになったと、こういうような関係がある。それからまた、下半期になりますると、四月の春闘、そういうような影響もぽつぽつ出てきておる。こういうコストの面が、いま物価を、わずかではありまするけれども、押し上げておると、こういう状態。まあ鎮静化の最大の要因は総需要抑制政策であると、こういうふうに見ております。
  45. 小柳勇

    ○小柳勇君 卸売り物価の下がったのは、私の資料によりますと、中小企業製品などの物価がうんと下がっている。大企業は余り下がってない。生産も大企業が上がりまして、中小企業の方はうんと落ちています。そこで、これからどうされますか。
  46. 福田赳夫

    ○国務大臣(福田赳夫君) これからの経済の先々は、これはいまが大体底に来ておる。そこで、底がV字型に上がるかというと、そういう状態でたくて、なべ底状態が続くんじゃないか、こういうふうな見方です。そのなべ底からいつ脱却できるかと、こう言うと、まあ夏ごろじゃないか、そんなふうな感触でございますが、一方、中小企業、これはやはり、経済の変動がありますると、その打撃を一番受けます。ですから、御指摘のように、まず中小企業物価というものが下がってきた。しかし、大企業もまたその影響を受けざるを得ないんです。そこで、最近におきましては、中小企業物価よりは大企業物価の方が、よりよけい下がるという傾向が出てきておる、こういう状態ですが、中小企業につきましては、とにかく弱い小さい立場でございますから、政策的に相当これを助けてやらなきやならぬ、そういうふうに存じまして、財政というか、金融ですね。金融の面におきましては三公庫その他を通じまして金融手当をする。それから財政支出に当たりましては、中小企業になるべくこれが均てんされるように配意をいたしておると、そういうふうに考えております。
  47. 小柳勇

    ○小柳勇君 通産大臣に、いまの同じような質問ですけれども、いかがですか。
  48. 河本敏夫

    ○国務大臣(河本敏夫君) やはり最近は、大企業の製品の方が中小企業の製品よりも下がっておると思います。一時的には中小企業の製品の方が下がった時期もございます。しかし、ずっとおしなべて見てみますと、やはり大企業製品の方が下がっておると、こういう状態だと思います。  それから景気の動向、経済の現状等につきましては、いま副総理がお述べになったとおりでございます。
  49. 小柳勇

    ○小柳勇君 新聞の報道ですけれども、通産局長会議などで実需の喚起を促す、特に金融面など、ということで考えておられるようですが、総需要抑制政策に対する今後の堅持の方向はいかがですか。
  50. 河本敏夫

    ○国務大臣(河本敏夫君) 先般来、各産業界の実情の掌握に努めておるわけでございますが、昨日で大体調査が終わったわけでございますけれども、先ほど副総理もお述べになりましたように、大体底入れである、こういう感じもいたします。ただしかし、基幹産業のうち特に鉄鋼などは最近は非常に悪くなっておるという状態でございますので、全部が全部底入れしたかというと、それは私はなお言い切れぬのではないかと、こういう感じもいたすわけでございますが、いま昨日までの調査を総合整理中でございますので、その総合整理ができました段階におきまして、今後の対策を、企画庁、大蔵省等関係の官庁と相談をいたしまして対策を立てる予定にいたしております。
  51. 小柳勇

    ○小柳勇君 自動車産業や電力産業はいかがですか。
  52. 河本敏夫

    ○国務大臣(河本敏夫君) 電力の方は、産業の状態が非常に悪い関係で、需要はずっと減っております。それから自動車の方も輸出の状態が悪い関係で、全体としてよくないと、こういうことが言えるのではないかと思います。
  53. 小柳勇

    ○小柳勇君 抽象論でなくて、私数字を持って言ってるんですけれども、電力産業も自動車産業も純益は上がっておるわけです。需要は減ってますけどもですね。そこに後の価格の問題が出てくるわけですけれども、そういたしますと、通産大臣も、現在の総需要抑制政策はなお堅持するという、それでよろしいと、こういう見解ですか。
  54. 河本敏夫

    ○国務大臣(河本敏夫君) 先ほどもいろいろお話がございましたように、物価は一応小康状態といいますか、鎮静化の方向に向かっていることは事実でございます。ただしかし、ほとんど全部の産業におきまして経営が赤字になっておる、こういう状態でございますので、ややもすると製品価格の引き上げが行われる、そういう気配等もございますので、現状ではなお安心し切れるという状態ではないと思います。そういうことでございますから、やはり総需要の抑制という枠の中でいろんな対策を考えていくべきであると、こういうふうに考えております。
  55. 小柳勇

    ○小柳勇君 鉄鋼や石油化学などが、五月以降また価格の値上げをやるような気配があるんですけれども、いかがですか。
  56. 河本敏夫

    ○国務大臣(河本敏夫君) 鉄鋼の状態は昨年の年末までは比較的よかったわけでございますが、この一月以降非常に急激に悪くなっております。ただしかし、年末までの状態が非常によかった関係で、この三月期の決算はさほど悪くない総合的な決算ができると思います。ただしかし、一月以降急激に悪くなっておりまして、生産も一時は年率に直しまして一億二千万トンぐらいまで行っておりましたが、いまでは大体一億トンでございまして、大体昭和四十六年の段階になっておる。したがいまして、コストも、生産が減っておりますので非常に高くなっておる、こういうことの関係で、急激に企業の収益というものは悪くなっておると思うんです。  ただしかし、悪くなったからと言いましても、なお鉄の値段の問題等につきましては、基礎的な物資でございますし、物価に影響するところが非常に大きいということで、その動向をどうするのか、その動向をいま監視をしておると、こういう状態でございます。
  57. 小柳勇

    ○小柳勇君 大蔵大臣、いまの景気の動向について、どう御判断ですか。
  58. 大平正芳

    ○国務大臣(大平正芳君) いままでお話がございました方々と特別違った見解を持っているわけではございません。ようやく在庫調整に手がついたということでございますので、景気も底をついたのではないかという感じがいたすわけでございますが、しかし、消費が一向にまだ活発になってきておりませんし、投資も上向いてまいりませんし、非常に経済は腰が重いという感じをいたしておるわけでございまするし、また、物価の動向につきましても、お三方からいまお話がございましたように、なおまだ警戒を要する段階であるという感じを持っております。
  59. 小柳勇

    ○小柳勇君 経済企画庁長官、公共事業の繰り上げとか、あるいは密度を濃くするとか、あるいは凍結いたしました公共事業をやるとか、それについて御説明願います。
  60. 福田赳夫

    ○国務大臣(福田赳夫君) この前の経済対策閣僚会議で、四十九年度の公共事業、これにつきまして、それの消化を促進しようという決定をいたしたわけです。いま政府は全力を挙げてその消化促進に取り組んでおるわけでありますが、かなりもう反響というか、反応が出てきております。そういうようなものを、よくいま通産大臣なんかもつぶさに見ておるわけです。建設省の方でもその影響というものをよく見ておりますがね。そういう結果を見て、さらにどういう財政上の手を打つ必要があるかということを検討しなけりゃならぬが、ただ、こういうことがあるんです。五十年度に繰り延べになっておる公共事業を繰り上げる、こういう点につきましては、繰り上げいたしましても、年度ももう余すところ余日はない。しかるに、四十九年度の公共事業ですね、これを消化するというか、これが大変な、手いっぱいの仕事なんで、いまこの段階で繰り上げということを決めましても、何がしかの心理的なというか、そういうモラルな影響はありましょうが、実質的な影響というものはそうはなかろうと、こういうふうに考えておりますが、いずれにいたしましても、景気対策としては財政は非常に重要な役割りを演ずるわけでございますので、それをどういうふうに処置するか、これから検討に入らなけりゃならぬ、こういう段階でございます。  いずれにいたしましても、二十四日に再び景気対策のための閣僚会議をやりますので、その辺で、公共事業を今後の分をどういうふうにするか、五十年度の公共事業をどういうふうに扱うかというような問題もありましょう。そういう問題をつぶさに検討してみたいと、こういうふうに考えております。
  61. 小柳勇

    ○小柳勇君 これは皆そうだと思うのですけれども、春闘を契機にして、その後公共料金の引き上げなり、あるいは、いままとまりました公共事業の発注などで、また六月から八月ごろインフレ傾向に出るのではないかという心配がありますが、こういうものについてはいかがですか。
  62. 福田赳夫

    ○国務大臣(福田赳夫君) よく政府の物価対策は春闘前だと、その後は野放しだというような印象の話を聞くんですがね。さように考えていないのです。むしろ私どもは、五十年度、来年度の物価というものを非常に重視しておるわけでありまして、四十九年度の物価はその五十年度の物価を固める上の足がかりにするという意味において重要だと。私どもはさらに、来年五十一年になりましたら、なるべく早く物価水準というものを、これを定期預金の金利以下にしたいということを考えておるわけでありまして、春闘後というか、五十年四月以降の物価につきまして非常なアクセントを置いた考え方をしておるんです。それで、そういう見地から、総需要抑制政策、これはもう中身は固定したものではありません。その経済の情勢に応じまして機動的、弾力的なかじ取りはしますけれども、姿勢としての総需要抑制政策は、これは堅持する、こういうふうに考えておるんです。  それから個別物資の需給ですね、これには特に配意をしていきたい。需給のみならず、その価格につきましても、先ほど通産大臣からもお話がありましたが、その価格動向につきましても個別的に十分配慮いたしていく。あらゆる手段を用いまして五十年度の物価水準というものはこれは一けたにおさめる、こういうことをぜひやってみたいと、こういうふうに考えております。
  63. 小柳勇

    ○小柳勇君 次に、国際的なものですが、きのう通告したのは、米国、英国、ドイツの現在の物価動向と独禁政策ということですが、独禁政策は公取委員長に聞きますが、いま申し上げましたような欧米の経済動向はいかがですか。
  64. 福田赳夫

    ○国務大臣(福田赳夫君) 非常に大局的に申しますと、物価の方はある程度鎮静化の方向です。まあ西ドイツは飛び抜けてよろしゅうございますが、その他の国々は、これはさほどじゃありません。また、日本ほどでもございません。しかし、いままでのような非常な暴騰状態からやや鎮静化の方向に向かっておる。ただイギリスだけは、これは非常に困難な状態にあるようです。  まあそういう状態でございますが、ちょうどつい数日前OECDの政策委員会が開かれまして、企画庁の富崎調査局長がそれに出席してまいりまして、つぶさに諸外国の状態を調べてきておりますので、必要がありますれば調査局長から詳細に報告いたさせます。いかがでしょうか。
  65. 小柳勇

    ○小柳勇君 どうぞ。
  66. 宮崎勇

    ○政府委員(宮崎勇君) お答えいたします。  最近の欧米経済は、需要の抑制効果もありまして大変鎮静しております。その間に物価も、昨年の春ごろまでは大変上昇しておりましたが、ただいま副総理から御説明がありましたように、秋以降、イギリスを除いて大変鎮静しております。  数字を申し上げますと、アメリカでは、消費者物価は十一月以降月々の上がり方が一%を切っておりまして、ごく最近の五十年の一月は前月比〇・六%で、前年同月比一一・七%になっております。卸売物価も去年の十二月から前月比はマイナスになっておりまして、最近の二月の前年同月比は一四・六%になっております。西ドイツは一番成績がいい国でございますが、このところ、卸売物価、消費者物価ともに月々の上昇率は一%を下回っておりまして、消費者物価の前年同月比は、この一月が六・一%、卸売物価の方は、十二月の数字でございますが、一二・四%になっております。なお、イギリスは、この中にありまして引き続き物価の騰勢が見られる国でございますが、消費者物価は、五十年の一月も前月に比べて二・六%上昇しておりまして、前年同月比で一九・九%、約二〇%高い状況でございます。卸売物価の方も引き続き月々二%前後上昇しておりまして、最近の二月の前年同月比は二六・二%ということでございます。  以上のように、イギリスを除きまして大体鎮静化の方向をたどっております。
  67. 小柳勇

    ○小柳勇君 物価論争が主体ではありませんから、話を先へ持って行きますが、公正取引委員長に、いま申し上げました三つの国の独禁政策についてお話しを願います。
  68. 高橋俊英

    ○政府委員(高橋俊英君) アメリカ、西ドイツ、イギリスの最近の独禁政策の動向を申し上げます。  アメリカでは、すでに御承知かと思いますが、フォード大統領になりましてから罰則を著しく強化いたしまして、シャーマン法第一条、第二条、これはカルテル違反、やみカルテルの問題と、それから独占禁止に触れる問題、これは従来は軽罪ということでやっておったのを、今度は重罪という言葉になっております。これはアメリカ独特の言葉の用い方でございます。それで、禁錮刑は従来は一年でありましたのを、これを三年にする。それから罰金の最高額五万ドルは、個人の場合には十万ドルでございますが、法人には百万ドルまで引き上げる。これは昨年の十二月に国会を通過しております。  なお、つけたりに申しますと、従来も五万ドルということは、それで天井を打つんじゃないんです。一つの案件が――アメリカ式の犯罪構成は犯罪を積み重ねるんです。ですから、カウントすると言うんですが、五万ドルはその何倍にもなることがある。おそらく、その方式は今度の場合にも適用されると思いますから、百万ドルはその何倍かになるということもあります。  また、これは別の問題でございますけれども、構造規制に関する法律改正案が議員提出で出ておることをあるいは御承知と思いますが、ハリス法案というのは一九七一年に、それから七二年にはハート法案――八一ト氏は上院の独占禁止対策小委員会の委員長でございまして、なかなかの有力者でございますが、これは非常に抜本的なものでございますので、ハート法案について申しますれば、七業種について市場占拠率を著しく制限するというふうなものでございまして、まあ当分は通らないであろう、しかし、いずれ問題になるであろうと言われております。  西ドイツの場合には、一九七三年八月でございますが、競争制限法というものを改正しまして、市場支配的企業というものが従来もございまして、そういうものの乱用行為に対しては価格引き下げ命令が出せるという規定があったけれども、実際にはなかなか推定するのがむずかしいというので、今度は、新しくそのときに、一九七三年でございますが、推定規定を設けまして、一社の市場占拠率三分の一、三社で二分の一、五社で三分の二のものは、これは市場支配的地位にあるものと推定する、したがって、その乱用行為と見られるような行為、価格引き上げがあった場合には引き下げ命令が出せるということになりまして、それ以上に容易になったわけでございます。それから、市場支配的地位が生じたり、強化されると予想される企業の結合は禁止するということになっております。  イギリスの場合には、公正取引法をやっぱり七三年の七月に制定いたしまして、独占及び合併の場合の基準を引き下げたわけでございます。従来は三分の一でございましたが、これを四分の一に切り下げまして、これを超えるものは合併としては許さぬ、それから直ちに独占とみなす。実際には四分の一に近いものが独占扱いされることはないようでありますが、基準としてはそうなっております。それから、競争政策運用の中心機関が従来は少しはっきりしていないところがありましたが、公正取引庁というものを新たに設けまして、それが中心となって独禁法の運用を行う、こういうふうになっております。
  69. 小柳勇

    ○小柳勇君 いろいろまた外国のことも聞きとうございますが、時間がございませんので、またの機会にいたしたいと存じます。  これは植木総務長官に、いま政府でつくられている独禁法の素案というものが成立した場合、いま早速適用するような企業、商社、その他どういうものがあるでしょうか。
  70. 植木光教

    ○国務大臣(植木光教君) 今回の素案の柱は、御承知のとおり、カルテル対策、高度寡占対策、経済力集中対策及び消費者対策と、これが主な柱であろうかと思うのでございます。カルテル対策につきましては、御承知のように、いわゆる違法カルテルの排除措置を行うわけでございまして、課徴金の新設、あるいは罰則の強化、さらにまた、所要の排除措置を考えているわけであります。高度寡占対策につきましては、営業の一部譲渡を、独占的な状態があります場合には行うということにしているのでございまして、この点につきましては、ただいまさしあたり対象となる企業はございません。それから、経済力集中対策といたしましては、株式の保有制限等を考えているわけでございます。消費者対策といたしましては、公正取引委員会に対しまして独禁法の違反事実を報告いたしましたのに対しまして、従来は、それに対しまして調査の結果を報告する義務を持っておりませんでしたものを、公取委員会に報告義務を課する、こういうようなことを考えているわけでございます。
  71. 小柳勇

    ○小柳勇君 公正取引委員長にお聞きいたしますが、いま法案改正が提案されまして、これからまた各委員会で論議していくわけですけれども、二十八年改正以来の日本の産業構造の変革、あるいはこれからの経済の伸展に伴ってこの法律を改正しなければならぬと決意されたものと理解いたしますが、法律が、たとえば公取案が成立した場合に、一体どういう産業、どういう企業が適用をされていくのだろうか。これは質問いたしますのは、この法律が通れば何もかにも全部ひっかかっていくような、そういうような素朴な感じもあるわけです。したがって、公取委員長の頭の中に、いまの日本の産業構造、経済体制と、この公取試案なるものが通った場合に一体どうなるかということについて御意見を聞きたいと思います。
  72. 高橋俊英

    ○政府委員(高橋俊英君) 私は、構造問題に触れるといいましても、それはごくまれな場合であって、構造全体をどうこうするというところにはこの改正案はいっていない。たとえば企業分割と申しましても、そういうものはそう容易に発動されるものではありません。ただし、戦後相当の期間を経て、ただいまの現状は全体として寡占体制が進んだ結果、それによる弊害も一部に出てきている。しかし、寡占体制そのものが直ちに悪いわけではございません。ですから、その場合において独占禁止政策上好ましくない行為を規制しようというわけでございまして、カルテルが比較的容易に行われるというような状態は、これは何業といわず関係あるわけでございます。しかしこれは、カルテルを厳格に排除したからといって、産業構造に何のかかわりがあるわけじゃございません。これは別の問題でございます。  また高度寡占対策のうちの、私の方で最初は原価公表などと申しましたが、今度は理由を報告をしてもらうというふうな点ですね、こういう点については、高度寡占なるがゆえによくないのだと言っておるのではなくて、その中で価格の同調的な引き上げを行うもの、同調的引き上げを行う、そこでカルテル類似行為を行うものについて、証拠の挙がらぬものについては何らかの対策を打つべきであるというふうなことでございます。  しかしただ、もう一つの、構造的なところまで私は突っ込んでおると思いませんが、商社問題については、私の方でいろいろ調査を行いました結果、過度の経済力集中という点についてやはり問題がある。しかし、直ちに企業集団とかというものについて手をつけるのじゃなくて、まず、その持ち株が急速にふえている、他社の持ち株を急速にふやしているという点に日を向けまして、それを規制することが独禁政策上必要ではないかというので、持ち株の保有制限を設ける、総量制限を設けるというふうな点で、これは構造といいますか、構造という点までいかない、明らかに行き過ぎと思われるようなものを規制する。こういうことでございますから、日本の経済が独禁法改正によって非常に大きく変動するというふうなものとは私は思っておりません。
  73. 小柳勇

    ○小柳勇君 いま総合商社の話が出ましたが、私はここに公正取引委員会が調べられました第二回調査の報告を持っています。私も、この独禁法がいま成立いたしましても、すぐこれが日本の産業構造を変え得るものとは思いませんが、問題は六大総合商社を中心にして産業のグループができている。企業グループができている。こういうものを、この際にこそ考えておかなければならぬだろうと思うわけでありまして、公取委員長、この調査された目的、それから問題点の二、三をお話し願いたいと思うんです。
  74. 高橋俊英

    ○政府委員(高橋俊英君) かなり実は深い調査をしたのでありますが、まとめたものは簡潔になっております。私もいまここであまり長たらしく話をいたさない方がいいと思いますが、かいつまんで申しますと、要するに、商社のいまの企業活動というものが一種独特のものである。しかもそれは、年ごとに発達しつつある。ちょうど星雲状態が何だか一つの目に見えたようなかたまりになってきて、それでそれらが、主な集団を申し上げますればこれは六個でございます。十社を調査いたしましたが、六つの代表的な企業集団といわれるものが存在していることもほぼ確実であろう。それらがだんだんに巨大化の歩みを続ける間において、日本経済に好ましい影響を与えている面と、しからざる面とがございます。しからざる面は、その集団は第一には、やはり集団の形成によってそれぞれ競争をしながら、何といいますか、利益の追求とは私は申しませんが、非常な力の企業支配力を強化するような傾向にある。これは見方によるわけでございますけれども、私どもはそのような感じを受けておる。  その中核になっているのは商社と銀行であるというふうな感じを持っておりますし、その結果、早く言えば経済面における不平等、非常な格差が広がりつつある。ということは、その一面で系列化支配というようなことで大企業とそれらの一般の企業との間、特に中小企業との間において不対等な取引が行なわれる形跡が非常に強いという感じを持つのでございまして、まあ、いろいろ取引関係を拡大しようという意欲はわかるんですが、このような巨大なものが銀行の融資によって支えられ、融資がほとんど自由気ままに変えられてきたというのが過去の実績だろうと思うんです。そうでなければ、こんな小さな資本でこんな巨大な事業を営めるということはあり得ないわけです。そういうことが日本経済の中で、社会的不公正というのじゃなくて、経済的な不公正といいますか、アンバランスをいよいよ拡大する方向にいくということは、私は好ましい民主的な発展とは反対の方向へいっているのじゃないかというふうな感じを持つわけでございまして、そういう点、大まかでございますが、私どもの注意を要するのじゃないかという点がございます。
  75. 小柳勇

    ○小柳勇君 公取委員長は、この報告の最後のほうに三つの結論を出しておられます。一つは、持ち株制限を何とか考えなきゃならぬ。あとは大口融資の規制、もう一つはいまの不公正取引に関する問題でありますが、なぜ、今度の改正で公取試案にもこのいわゆる企業グループの問題は触れていないのですか。
  76. 高橋俊英

    ○政府委員(高橋俊英君) どうも、私ども調査しましたけれども、確かに実態的には企業集団というふうなものがあることは認められるけれども、さて、いまここでそれを直ちに企業集団としていかに定義づけるか。いま六つと申しましたけれども、それ以外のものは企業集団と見ないのかどうか、どの辺が一体限度なのかということも、これはむずかしい問題です。つまり早く言えば、企業集団の実態をそれほど法律的に的確に把握するということはむずかしい問題であるということだけでありまして、やっぱりその方向に対しての何らかの、悪い方向へいくことに対してはブレーキをかける必要があるということは感じましたけれども、いま独禁法上、企業集団としてどうするかしいう点については私どもの研究が及ばなかった。まだ私はその時期が少し時期尚早ではないかというふうに感じたわけでございまして、とりあえずいまの措置を、株式の総量制限を行おうというところに落ちついたわけでございます。
  77. 小柳勇

    ○小柳勇君 この数字を見ましても、動きを見ましても、旧財閥、四大財閥以上の力があるんですね。しかし、これがただ企業グループでありましていわゆるサロンといたしますと、この法律の事業者団体というわけにまいらぬ。しかし、いつかは何とかしなければならぬと思うが、公取委員長はこれが純寡占状態、純独占状態にまでなっておると考えられるか、あるいはその成立過程と考えられるか、どちらですか。
  78. 高橋俊英

    ○政府委員(高橋俊英君) たいへんむずかしい御質問ですが、私としてはいわゆる戦前における持ち株会社、それほど統制の行き届いたものではない。しかし、グループ間の株式持ち合い等を通じて、あるいは、サロン的と言われますけれども必ずしもそうではない、お互いに言ってみれば相互援助体制にあるわけですから、他の者と違ったものがそこに力として加わってきているという点は争えない。したがって、将来の展望も考えますと、だんだんに企業集団がどういう形になるか、本当に数がもっと減りまして、十社とかじゃなくてもう少ししぼられてきて、そこに加わらない者は明らかに不対等な取り扱いを受ける、不公正な取り扱いを受けるような結果になりはしないかと、私はこれはよけいな心配かもしれませんがね、そういうふうな感じがいたします。こうなると、戦前における持ち株会社による統制の効いた企業集団というものと余り実害は変わらないというふうな感じになってくるものですから、そうなる前に徐々に規制をしていった方がいいのじゃないかという感じでございます。
  79. 小柳勇

    ○小柳勇君 その徐々の規制というのは、どういうことですか。
  80. 高橋俊英

    政府委員(高橋俊英君) 今回はとにかく先ほど申し上げた程度の問題にとどまった。しかし将来、これはまだ私は融資の方も自己資本の二割と金融機関の二割が原則と、例外はございますけれども、そういうことで融資の面も締めていかれるということであれば、株式の保有も、非常になまくらでありましても、とにかく頭を打っていくということであれば、余りこれ以上ただ無意味に大きくなるというだけの発展はないのではないか。しかし結果はわかりません、それはもういろいろ裏道がございますから。そういうことで、本当にまた悪い方向へ進めば別の手段を考えなければならない。しかし、別の手段を考えるにしては、われわれの現状の認識とわれわれの知恵がそこに及んでいない、こう申し上げるほかないと思います。
  81. 小柳勇

    ○小柳勇君 公取委員長、しばらくじゃあ向こうの方で……。  今度は総務長官、いまのような総合商社の問題が、政府の素案討論の中で話が出たか出ないか、お聞きいたします。
  82. 植木光教

    ○国務大臣(植木光教君) 懇談会におきましては、各界からお集まりいただきましたのでいろいろな議論が出まして、その中の一つといたしまして、ただいまお話のございます株式の持ち合いという問題について、あるいはまた企業の系列化、グループ化の問題についていろいろ御意見が出たのでございます。株式の持ち合いにつきましては、一定の取引分野において競争を実質的に制限することとなる場合には、現行独禁法第十条によりまして規制が可能であるというふうに考えます。さらにまた、企業集団というものが強化されていくというようなことにつきましては、十分注意をしていかなければならないのでございます。したがいまして、素案の中におきましては、大規模な会社の株式保有の増大を規制し、また金融機関の株式保有制限の強化を図るということによりまして、この問題については対処してまいる、こういう考え方をとっているのでございます。
  83. 小柳勇

    ○小柳勇君 通産大臣、いまお話のありました六大総合商社を中心にする企業グループというものについては、どういうふうに御認識ですか。
  84. 河本敏夫

    ○国務大臣(河本敏夫君) 先ほど来、いろいろお話を承っておったわけでございますが、私は日本の経済にはいろいろな特殊な条件があると思います。一つは資源がないということ、それから人口が非常に多いということ、そういうことから、おのずから資源の多い人口の少ない国々との経済活動と異なるものがなければいけない、こう思うわけでございます。そういう意味におきまして、企業のスケールメリットというもの等も当然考えなければいけませんし、外国と貿易上激しい競争をする場合には、やはり企業のスケールメリットからその競争力を持たなければならぬ、こういうことも考えられると思いますし、さらにまた新しい商品の開発、技術の開発、そういう面にも巨大な資本が要ると思うわけでございます。したがいまして、一概に企業が大きくなるということが悪だ、そういう考え方は私はよくない。日本の経済の実情に沿わない。やはり、大きいものはいけないのだ、こういう考え方は私は間違っておる、こう思うわけでございます。  ただ、この総合商社の場合なども、経済活動には一つのやはりルールが必要だと思います。一定のルールに従いまして、めちゃくちゃなことはしない。そういうルールは必要だと思いますが、それは最近商社の方でも自覚せられまして、一つの行動基準をつくられたようでありますし、さらにまた最近は、その行動基準をフォローアップしていくという、そういう組織もつくっておられるようでございますから、一定のルールは必要である。ただし、大きいものは一概に悪い、そういう考え方は私は間違っていると、こう思います。
  85. 小柳勇

    ○小柳勇君 大きいものが悪いという議論ではないわけです。ここにも表がありますように、六つのグループがもう縦横に株を持ち合って、ほかのグループが立ち入るすきがないような網の目があるわけです。そして、このグループでない横の方にだんだんシェアを広げていくという、これは権威ある調査ですから、そういうことを言っているわけです。一つの企業としては大したことはないかもしれません。しかし六大商社は相当の力ですけれども、それを中心にし、その系列の銀行を中心にしてグループができるわけです。そして六つのグループは、かつての四大財閥以上の力がある。それをそのままにして、これから五年、十年たったならば、その六グループがもうほとんど日本の経済を支配することになりはせぬか、こういうことをいま懸念しながら、幸い独禁法の改正のときであるから、十分これにメスを入れておかなければならぬであろうという議論をしているわけです。経済企画庁長官、いかがでしょう。
  86. 福田赳夫

    ○国務大臣(福田赳夫君) まあ私は、ほどの問題だと、こういうふうに考えるのです。いま通産大臣が申し上げたように、わが国とすると、ある程度とにかくほかの国と違った経済構造を持たなければならぬだろう。潜在的な力は非常に弱い。その弱い力が国際競争に打ち勝たなければならぬということを考えますと、やはりスケールメリットというか、これを度外視してわが国の発展は考えられない、こういうふうに思うのです。問題は、そういう場合においてその行状の問題だろう、こういうふうに思うわけです。自由にして公正な競争を阻害するというような、そういう行状をとるというようなことになれば、これはその規制をしなければならぬ。  今度の政府素案におきまして、企業の分割というか、営業譲渡と言ったほうがいいですね、そういう問題に手をつける、またあるいは持ち株の制限をするということをやるわけでありますが、私はその程度のことは、この際、法制を整備しておく必要があるだろう、こういうふうに思いますが、先ほどお話がありましたように大きいからというだけの一点で問題を処理するということになりますると、わが国の発展、また国民生活の向上、こういうことにつきましてもまた考えなければならぬ点が出てくるのじゃないか、そういうふうに思います。政府素案のこの辺がまずまずというところじゃあるまいか、そういう感想でございます。
  87. 小柳勇

    ○小柳勇君 いま、大きいから悪いというような議論にすりかえますと本当の議論にならぬのです。衆議院でも多賀谷代議士が予算委員会で問題にしたようでありますけれども、一つの商社、たとえば新日鉄が大きいから鉄鋼の方ではもうどうもならぬという話じゃないわけですね。商社を中心にして関係銀行など、もう私が言わぬでもわかっておられる。わかった上でそういう議論をすることは、経済の責任者として私は不満です。  大蔵大臣、けさの新聞を見ますと、きのう証券取引審議会が個人株主増大策でいろいろ検討されたようですが、このようなお互いに商社があるいは会社が株を持ち合う、こういうような現象についてどうお考えですか。
  88. 大平正芳

    ○国務大臣(大平正芳君) 株を多く持ち合う状況にありますことは御指摘のとおりでございますが、それが言うところの企業支配なのかどうなのか、その原因、動機という実態をよく見きわめなければならぬと思うのであります。それから、わが国のように資本市場がまだ発達が未成熟でありまして、銀行を中心にいたしました金融機関に資本が集まりまして、間接投資という方式が支配的である場合におきまして、個人の健全な投資がまず銀行に行って、銀行を通じて法人の持ち株という姿、形態をとる傾向が強いことは御案内のとおりでございまして、これにはわが国の経済の発達の経緯から見ましてそういう構造になってきておるわけでございますので、これも一気に直してかかることはなかなかむずかしいと思うのでございます。  問題は、いままでもお話がございましたように、わが国の経済の特質というようなものから、わが国の経済組織というものは、内外の状況から見ましてどういうものであるべきかという展望を持ちまして、あるべき姿はこういう姿でなかろうかという展望に立って、そして現状を見直してみる必要があるのではないかと思います。独禁法改正が是か非かという議論に直接入る前に、いまお尋ねのような周辺の事情を、もう少し将来の展望に立って見直してみながら、基本法である以上は広く深く検討をしてみておく必要があるんじゃないかという感じがいたします。
  89. 小柳勇

    ○小柳勇君 一グループの社長会で、たとえば二十人いらっしゃる、その社長会がオーケーしなければ一単位の会社の社長になれぬようなグループが、いまおっしゃったような――話にならぬのです。私はいま、資本主義社会の矛盾とかあるいは自民党の体質とかという言葉をいろいろ言っていますけれども、そういうものをしみじみ感じます。私は、これは独禁法の法律をどうつくるかより以上の、日本の今後の経済政策、産業政策、それを論ずる上に大きな問題だと思うのです。このようにがんじがらめに、しかも個人の株じゃございませんでしょう、企業が、一会社が他の会社の株を縦横に、しかも銀行を中心にし商社を中心にして持ち合って、その企業グループがまた今度はそれらのグループでない人をずっとグループに入れていくという、あるいはそれでシェアを広げていくというような体制、それはかつてはあの財閥が、社長がいてその傘下でありましたでしょうけれども、今度は横のつながりと、その下にまた傘下、子会社がありましょう。大変な勢力です。これをもう少し分析をして日本の産業政策をどうするかということを考えなきゃならぬと思うのですが、その点については、通産大臣、いかがですか。
  90. 河本敏夫

    ○国務大臣(河本敏夫君) 先ほど来申し上げますように、違法なカルテル、仮にそういう行為があった場合には、これは断固として排撃しなければならぬと思いますし、それから独占というものが非常に悪い影響を及ぼしておる、こういう場合にも当然改革しなければならぬと思います。ただしかし、自由主義経済というものはある程度自由に競争させるというところに一つの大きな特色があるわけでございますから、その自由競争の過程を通じて一つのスケールメリットを発揮していく、そういう形の企業に対してまで、法律違反がないというのにもかかわらず余り制約を加えるというのはよくない。ただしかし、先ほど来いろいろ議論がございますように、一つの行動基準をつくりまして、やはり行き過ぎがないように考えなければならぬことは当然だと思います。
  91. 小柳勇

    ○小柳勇君 法務大臣に質問いたしますが、いままでの話の続きですけれども、衆議院で法務大臣の答弁もありましたが、あれを読んでみましても満足できませんが、その後けさの新聞でも、個人の株主をふやすために商法の改正でもひとつお願いしようではないか、こういう論議になったようですが、いままでの論議及び衆議院の論議をお聞きになって、法務大臣としての見解、いかがですか。
  92. 稻葉修

    ○国務大臣(稻葉修君) どういう点について法務大臣の所見を求められているんですか。たとえば持ち株の制限というものを……
  93. 小柳勇

    ○小柳勇君 持ち株の制限。
  94. 稻葉修

    ○国務大臣(稻葉修君) 商法の改正によってやったらどうかというような意味合いで御質問になるのでしたら、法務省としての見解を申し上げられます。  それは株式の持ち合いについては、会社法の基本原則である資本の充実、この原理を害するおそれがある、そういう種々の問題が指摘されていることは私どもの方でもあるんです。たとえば法制審議会の商法部会。そういう点で法務省としては、この点については商法の面から十分に研究し、何らかの対策を講ずる必要があるかどうか、それを検討したいと考えております。現に、法制審議会商法部会においても、御説のような議論が二、三の委員会から提案されていると聞いております。まだその審議が進んでおりませんから、将来はそういうことを法務省としては考えているんだという断言はできませんけれども、そういう議論のあることだけは聞いております。
  95. 小柳勇

    ○小柳勇君 いまの企業集団の問題につきましては、数字を挙げてもう少し、せっかく調査がりっぱにできていますから、論議してみまして、この十年来のものである、将来これがどうなるかということも検討しなきゃならぬと思いますが、時間の都合もありますから先に問題を進めてまいります。  そこで、いまの問題ではありませんが、独占、寡占体制についての会社分割については一体どう考えるか。わが党案では一部譲渡ではなくて、一つの会社を、Aという会社をB、Cにして、そういう会社の分割も考えなきゃならぬと、こういう案を出しておるわけでありますが、総務長官にお伺いいたしますが、一部譲渡ということはどういう形態になるのか、御答弁を求めます。
  96. 植木光教

    ○国務大臣(植木光教君) お答えいたします。   〔委員長退席、理事柳田桃太郎君着席〕  社会党が党案を出されておりますことは私も承知いたしておりますが、今回の改正素案を作成するに当たりましては、私どもとしましては、商法等との関係がございますので、したがいまして、会社の分割を行いますためには、商法にその規定がございませんので、商法との関係でこれを取り入れることを私どもとしては避けたのでございまして、営業の一部譲渡命令につきましては、申すまでもなく、ただいま第七条におきまして違反行為の排除措置として定められているのと同じ考え方をとりまして、この独占的状態の排除措置といたしまして、私どもは私法上の手続の特例に入ることは避けながら、これを行うことができるということにしたのでございます。
  97. 小柳勇

    ○小柳勇君 営業の一部譲渡が結果的に会社二分割になるようなことでも、その一部譲渡という言葉の中で含まっておると理解していいですか。
  98. 植木光教

    ○国務大臣(植木光教君) 営業の一部譲渡の中には重要な譲渡があるわけでございます。現行法におきましても、第七条に「一部の譲渡」とございますけれども、重要な部分の譲渡が含まれているわけでございまして、したがって、株主総会の特別決議を必要としております商法二百四十五条に規定いたしておりますものは、この重要な一部譲渡に相当するものでございます。したがいまして、私どもは独占的状態の排除のためには、先ほど来申し上げておりますように、営業の譲渡という考え方をとったわけでございます。
  99. 小柳勇

    ○小柳勇君 その場合に、主管大臣との協議ということが素案の中に入っておりますが、協議というのは一体どういうことですか。もし公取委員会の見解と違う場合には、一体どちらが優先するのですか。
  100. 植木光教

    ○国務大臣(植木光教君) 政府素案の中に、独占的状態がある場合の排除措置を命ずる場合には「公正取引委員会は」「主務大臣と協議することを要する。」と、こういう考え方を盛り込んでおります。一般に協議を要すると定めがあります場合には、これは現行法にもあるわけでございますけれども、合意に達することを目的といたしまして徹底的に話し合うというものだと私どもは考えておりまして、通常の場合には合意を得られるということを期待しているのでございます。しかし、どうしても合意が得られない、合意に達しないという場合には、法的に詰めましたならば、最終的には権限を持つ官庁の判断にゆだねられると解されるのでございます。
  101. 小柳勇

    ○小柳勇君 現在の第十一条の三項に「公正取引委員会は、前二項の認可をしようとするときは、あらかじめ大蔵大臣に協議しなければならない。」という項がございますが、これは「金融会社の株式保有の制限」のところです。公正取引委員会、こういう事実がございますかということと、協議が調わなかったことがございますか。
  102. 高橋俊英

    ○政府委員(高橋俊英君) 大蔵大臣との協議になっております金融機関の株式保有の特例でございます、あるいは特例の延長というような点につきましては、これは協議が調わなかったという事例は、私寡聞にして知りません。ありません。これは申します、昭和四十七年度に八件、四十八年度八件、四十九年度、これは途中まででございますが、十二件ございまして、全部異議なしということでございます。
  103. 小柳勇

    ○小柳勇君 いまの総務長官の見解と公取委員長の見解で、この問題はわかりました。  次は原価の公表ですが、これを代替措置で措置するようになっております。寡占業種で一定期間におおむね同額、同率の値上げがあった場合というような非常に広い制限が使われておりまして、これではとても価格の値上げの理由の報告命令などは出ないのではないかと思うが、まず総務長官、お聞きいたします。   〔理事柳田桃太郎君退席、委員長着席〕
  104. 植木光教

    ○国務大臣(植木光教君) 原価の公表につきましては、独占禁止法懇談会におきましていろいろな御意見が出たところでございまして、原価は競争の最大の要素であって、秘密を公開させるということはかえって競争を阻害するとか、あるいはまた、同調的引き上げの場合には原価を公表さしても抑止力にならないとか、あるいは国際的にもわが国のみが原価公表を行うのには問題があるというようなことがいろいろ御意見として出たわけでございまして、政府素案のように、同調的引き上げがありながらカルテルとして規制できないものにつきましては、競争政策の立場から「価格等引き上げの理由の報告を求める」ということにしたのでございまして、したがって、私どもといたしましては、このような措置をとることによりまして同調的な値上げに対する規制はできる、また、それについて相当の理由がありますならばこれはやむを得ないものであると、このように考えているのでございます。
  105. 小柳勇

    ○小柳勇君 わが党案でもありますように、管理価格を下げるということが、一番いま日本の物価政策では中心ではないかと思うのです。それには原価の公表というものを、条件はいろいろつけていますけれども、わが党案としては出しておりますが、この代替措置でどういうような見解であるか、公取委員長から意見を聞きます。
  106. 高橋俊英

    ○政府委員(高橋俊英君) 実を申しますと、この管理価格に対していかなる方策が適当かということは、私の方の独占禁止改正案、研究会ではなくて、その前の段階において懇談会がございますが、そこで数回実は論議したわけです。そのときの結論は、やっぱり一つは極限状態に近い状態になった場合、つまり独占的状態になった場合ですね、これは一社だけがたとえば非常にシェアが大きくなり過ぎて、他社は非常にびっこな形をとって極度に傾斜した寡占というふうになった場合には、これは競争なき状態ですから、これは企業分割という方法だけしかないだろう。それからもう一つは、そこまでいかない場合の段階においては、いわゆる高度の寡占の並行行為というものに対しては値上げの理由を何らかの方法で開示させるということだったんです、はっきり申し上げて。その後、いろいろ研究会で練っておりまするうちに、原価公表というふうになりまして、それをいきなり生で出して説明をちょっと省略しちゃったために、その理由がはっきりしないというので結局、むしろ値上げを認めるような、容認するような結果さえ予想されるというところから反対論もあったわけです。  そういうことですから、今度政府の素案で値上げ理由を開示させる、実際には開示になるわけです、国会に報告しますから。それは非常に抽象的な文言だけで言うのでは意味ありません。それですから、単品原価に触れるということはおそらくしないと思います、これは当然否定されたわけですから、それはしませんが、ある程度他人が納得する程度の数字を使用してやらなきゃならぬ。そういうことが全くの並行行為、同調的な値上げを抑止するには効果があるのではないか。これはやってみなきゃわかりませんよ、私は効果があるであろうと思いますけれども、しかしやった結果が、実は値上げをする理由ですね、ことに原価の非常に高い、シェアの低い会社ほど原価が高くなります。これは御承知のとおりですが、そうすると、それを理由に全部、高利潤を上げているものまでが同じ価格にしなきゃならぬというふうな理由になりますので、そういう点について十分問題は残っていると思います。しかし、それはやっぱりある程度私はやってみた方がいいと思っております。幾らかでも抑止的効果になるのではないか、公表されると同じですから。そういうことで、値上げ理由ということでやってみても一つの策であろうと思います。
  107. 小柳勇

    ○小柳勇君 総務長官、失礼ですけれども、さっきの問題で最後の方に、協議が調わなかった場合には主務官庁の意見が結論ですとおっしゃったが、それは公取委員長の方の判断が結論だと判断していいですか。協議の最後です。
  108. 植木光教

    ○国務大臣(植木光教君) 先ほどの場合の営業の一部譲渡に関連をいたしましての御質問だと思いますが、この際問題となります場合には、申すまでもなく公取委員会ということでございます。
  109. 小柳勇

    ○小柳勇君 わかりました。  次はカルテル対策の問題ですが、価格の原状回復命令など、わが党としては、不当に上がった、たとえば石油ショックなどで消費者がずいぶん怒りました便乗値上げがあった、その場合にはもとの価格に下げるべきだと、そういう見解で、われわれは価格の原状回復命令というものを考えておるのでありますが、まず政府素案の方からのこれに対する代案の説明を求めます。
  110. 植木光教

    ○国務大臣(植木光教君) 原状回復命令につきましては、懇談会におきましても種々御意見がございまして、カルテル破棄後の価格には需給関係、コスト関係等の変化が織り込まれているので、時日が経過した以前に単純に戻せるものではないとか、あるいは据え置き期間中に売り惜しみ買い占め、下請等へのしわ寄せ等の弊害が起こるおそれがあるとか、あるいはまた、生産者に原状回復命令が出されても、流通段階にはその効果は及ばないので価格介入を広げざるを得なくなるというような点が指摘せられました。これらの御意見を勘案をいたしました結果、素案ではこの原状回復命令を採用いたしませんで、カルテル排除措置の徹底という見地から、事業者に対しましてカルテル排除後にとるべき具体的措置とその実施状況の報告等をさせることができるようにしているのでございまして、これによりまして、いわゆる違法カルテル、やみカルテルのやり得というものは避け得る一つの手段になり得るというふうに考えているのでございます。
  111. 小柳勇

    ○小柳勇君 カルテルについてはいままでの法律の用語よりも拡大してありますが、原則的にカルテル行為は禁止するんだという、そういう思想であることは確認していいですか。
  112. 植木光教

    ○国務大臣(植木光教君) 違法カルテルというものをこの際規制するという考え方で、カルテル対策を一つの大きな柱として政府素案の作成に当たったのでございます。
  113. 小柳勇

    ○小柳勇君 次に、課徴金の問題でございますけれども、課徴金につきましてはもちろん被害者の方に返ってまいる、還元する、こういうような話はございませんか。
  114. 植木光教

    ○国務大臣(植木光教君) 課徴金を徴収するという制度を素案の中には取り入れているわけでございますが、これは言うまでもなく違法カルテル禁止規定の実効性を確保するための措置でございまして、経済上の利得を違法カルテルによって得ました場合に、公取委員会がこれを納付させるように命ずることができるということにしているわけでございますが、消費者あるいは被害者の損害に必ず結びつくものだという考え方は取り入れておりません。もちろんそういう御意見もあったわけでございますが、しかし、損害額の個々の算定というものは大変困難であるという御意見、あるいは無過失損害賠償請求権とも関連するわけでございますので、これを制度化するということは今回は見送っているのでございます。
  115. 小柳勇

    ○小柳勇君 いまの点に対する公取委員長の見解、いかがですか。
  116. 高橋俊英

    ○政府委員(高橋俊英君) 私は、課徴金というものの性格、これはるる申し上げる必要はありませんが、それは損害を補うための制度であるということではない、その点ははっきりしておかなきゃいかぬと思います。これはあくまで国が徴収することによって、それが違法カルテルの抑止力となって働くということを期待するための措置でございます。
  117. 小柳勇

    ○小柳勇君 基本的に自由経済、自由競争経済及び自由企業制というものは寡占、独占になるのは、これは結果的に必然ではないか。それを経済民主主義あるいは公共の利益、個人の利益というような面で別途この独禁法というものができてまいる。したがって、いまの経済関係の大臣、政府の見解を聞きますというと、産業政策、自由にどんどん、自由経済ですから余り抑制しないほうがいいんだという思想が優先している。そういうような日本の現状では独禁法をつくりましても、それは本当の九牛の一毛、氷山の一角しか手当てができぬのではないかと思う。だから、そういうときに無過失賠償請求権などをもう少し消費者に何らかの形で与える。同時に、いまの課徴金なども消費者に何らかの形で還元する。こうしないと、公取委員会だけでは何ともならぬのではないかというのが私の持論です。で、もう少し、たとえばこの独禁法の改正というものが、物価上昇によって、狂乱物価によって出発してきました。だから公取委員会は独禁法の改正に重点を置かないで、もっと国民あるいは消費者、そういうところに重点を置いた法改正をすべきではないかと思うが、公取委員長どうですか。
  118. 高橋俊英

    ○政府委員(高橋俊英君) いずれの国を見ましても、私は独禁法というものは、やっぱり違法なカルテル等を中心にしまして、それから合併の規制とか独占の排除というふうなことをやる。それがいまおっしゃいました、ほうっておけば自由競争の結果、非常に偏ったへんぱな経済が起こる。そのことによる弊害、それは国家的なロスにもつながる場合もございますし、時に消費者に対して、これは直接ではなくても間接的に相当な害をもたらす場合が多い。そういうことをさせないために独禁法が存在すると私は思いまして、なるほど九牛の一毛ということかもしれませんけれども、私どもはさほど無力なものではないと思います。有効に働けば、この独禁法というものはいま申したような自由競争、完全な自由競争というものから生まれてくる弊害を最小限にとどめるためのものであると、こう思いますので、消費者保護をダイレクトに直接的に目的としますと大変むずかしいことになる。課徴金の分配につきましても、一体損害額をだれがどうやって認定するかというふうになりますと、直接のものはともかく、間接のまた間接というような一般消費者ということになると、これは消費者自身が損害額をはじいてもらわないといかぬような場合が多うございまして、裁判所には現在でも訴えることはできます、民法によることもできるし、それから審決が確定した場合にはそれを援用する。したがって、援用すれば挙証責任は損害額だけでいいわけですね。そういう点については私どもの方も、従来の陣容ではとてもできませんが、だんだんに充実しまして、裁判所からの問い合わせ等があったときに、ぴたりと損害額を出すということは大変むずかしいと思いますが、ある程度の推定の基礎となるようなものについては資料をできるだけ差し上げて、訴えた人の側を有利にするということは必要であるというふうに思っております。
  119. 小柳勇

    ○小柳勇君 総務長官に質問しますけれども、いまの二十五条の無過失賠償請求、審決前にも告発できるようにしてくれという消費者団体から、あるいは委員の意見、なかったですか。
  120. 植木光教

    ○国務大臣(植木光教君) そういう御意見がございました。しかし、訴訟手続等いろいろな問題がございまして、これは今回見送ることにしたわけです。
  121. 小柳勇

    ○小柳勇君 次は持ち株制限の問題ですけれども、今回の政府素案を見ますとずいぶん条件が厳しくて、最終的にはもう放出する株などはなくなってしまう。猶予期間が十年もありますから、その間に商社はどうなるかわかりませんし、あるいは会社の株というものはどう操作されるかわかりませんし、ほとんどこれは有名無実になるんじゃないかと思うのですけれども、総務長官いかがですか。
  122. 植木光教

    ○国務大臣(植木光教君) 先ほど来お答えいたしておりますように、経済力の過度の集中が行われます場合、弊害が起こるということを考えまして、したがって、株式保有制限という制度を総量規制として取り入れることにしたわけでございまして、これによりまして私どもはその弊害は避け得るというふうに考えているのでございます。また今回の基準は、公取の試案とは違ったものもとっておりますけれども、しかしながら、現在の段階では妥当な基準ではないかというふうに考えております。
  123. 小柳勇

    ○小柳勇君 公正取引委員長から見解を聞きます。
  124. 高橋俊英

    ○政府委員(高橋俊英君) その総量規制、株式の保有総量規制については、もちろん御承知のとおり私の方の当初の考え方よりは緩やかなものになっておる、寛大なものになっておりますが、まあしかし、こういう点は一挙に私どもの考えが政策にそのまま出てくるということはなかなかむずかしいことでありまして、私どもいかにこれはがんばってみても、そこはやっぱり現実と合わしていかにゃいかぬという考え方でございまして、これはいままでなかったことでありますから、たとえそのひっかかる会社がたった十五社ないし十六社程度だと思いますけれども、それでもこれで抑止するということが全くなくなったわけじゃないんです。それは残るわけでございますから、つまり無制限にどこまでもふえてきたというのをチェックする、歯どめをかけるということにおいては、やっぱりその意義を認めておいていただいていいんじゃないかと、こう思うのでございますが、それは確かに不十分と言えば不十分でございますが、まあ何にも効果がないわけじゃない、ある程度効果が十分期待できるというふうに私も思っております。
  125. 小柳勇

    ○小柳勇君 公取委員長には最後の質問でありますが、法改正ができましても、いまの組織人員なり機構運用ではとうてい十分活動できないのではないかと思います。わが党としては、公取委員会の組織の拡充及び人員の増員などを要求しているのでありますが、見解をお聞きいたします。
  126. 高橋俊英

    ○政府委員(高橋俊英君) 大変私はいまおっしゃってくださった公取委員会の機構の充実というふうな問題について御関心を寄せていただくのに感謝いたしたいのでありますが、いまのところ、少なくとも機構の問題になりますと国家行政組織法というものになりまして、委員会は庁と同じ扱いになっている。庁には、そのための官房と部を置くことができるというふうになっておりまして、その範囲を出られないような形になっております。ですから、委員会というものは省に比べれば格落ちになっておりますが、そういった部の問題、部で終わってしまう。これ、実際上待遇も部長並みなんです。ですから、名前はともかく局長並みというのもありますが、私の方はそうではなくて、職員が委員になれば別ですが、大体部長で終わってしまう。大変私はこの点、職員に本当のやりがいを感じさせるためには、いつの日か何とかこれをせめて局長になる希望を持てるようにしてやりたいというのが心情でございますが、いまのところ国家行政組織法でそう規定されておりまして、なかなか簡単に要求もできないし、実現することもそう簡単でないと思いますが、私の気持ちを申し上げれば、どこの官庁へ入るにしても部長で終わりだぞ、局長になれるのはたった一人だ、こういうことでは優秀な職員が集まってこないのじゃないかという感じがしますので、こういう点について将来どうしても考えていただく必要があるというふうに思っております。
  127. 小柳勇

    ○小柳勇君 最後に通産大臣に質問いたします。  カルテル行為については、公取委員会の権限もですけれども、やはり産業政策、行政指導も大変これは必要だと思うんですけれども、カルテル行為に対する今後の通産省としての行政指導の面、いかがですか。
  128. 河本敏夫

    ○国務大臣(河本敏夫君) やはり、ある程度行政指導が必要かと思います。
  129. 小柳勇

    ○小柳勇君 いま一つは、先般から私、下請代金支払遅延防止法をもう少し、職種といいますか、企業を拡大すべきだという意見をここで述べているわけです。現在製造業、建設業は適用されていますけれども、運送事業などは適用されていません。この際ですから、下請代金支払遅延防止法をもう少し拡充して、大企業と下請企業、中小企業との親子関係などをもう少し正常化すべきであろう、そういう見解を持っています。通産大臣の見解を聞いておきたいのです。
  130. 河本敏夫

    ○国務大臣(河本敏夫君) 私も同意見でございます。
  131. 小柳勇

    ○小柳勇君 それでは、以上で独禁法の質問を終わりまして、運輸大臣に質問いたします。  運輸大臣、原子力船「むつ」のその後の扱い、どうするんですか。
  132. 佐々木義武

    ○国務大臣(佐々木義武君) 「むつ」の問題は三つございまして、一つは、漁業対策とかあるいは体育館とか、予算的に現地の皆さんの要望にこたえまして、あの取り交わした文書の中にあるものですから、その方は予定どおり予算が全部つきまして、ただいま実行しております。  それから二番目の舶用炉、原子炉を動かさない対策と申しますか、キャスク、ふたでございますけれども、燃料棒を乗っけるキャスクは東海の原子力研究所の方へ移管いたしまして、それからクレーンのかぎ等は青森県で保管いたしまして、そして燃料棒を抜いた後に冷却しますポンドにつきましては土のうでもってこれを埋めまして、燃料棒が抜かれぬようなお約束の措置は全部完了いたしております。  三番目は、第二定係港、母港をどうするかという問題でございまして、この方は御承知かと存じますけれども、半年後までに定係港を決めて、そして遅くとも二年半までに「むつ」を第二定係港に行かせるという申し合わせになってございます。要は、二年半後までには「むつ」本体を確実に移転しますというのが主眼でありまして、それまでに第二定係港を決めにゃいかぬというお話で、ことしの一月の末でございましたか、科学技術庁と、それから運輸省と原子力船開発事業団と、三者で対策本部をつくりまして、科学技術庁の政務次官が本部長になりまして、片手間でなしに、それに従事する皆さんはもう専心それにかかるということで、ただいま作業の最中でございます。  その作業の進捗状況でございますけれども、おおむね二十四、五の予定地がございまして、港湾のことでございますからいろんな条件がございまして、その条件を羅列いたしまして、それに適格性があるやいなやということでそれぞれ吟味をして、ただいま大分ここが候補地として望ましいという点をしぼって、ほぼしぼり方といたしましては終末点に近づいているというふうに解釈してございます。
  133. 小柳勇

    ○小柳勇君 来月の十四日までには新しい港を決めよと約束してありますね。それをなされたかどうか。
  134. 佐々木義武

    ○国務大臣(佐々木義武君) 来月の十四日までに決めたいということで、ただいま申し上げましたように全力を注いで作業中でございます。
  135. 小柳勇

    ○小柳勇君 どちらの方面に行くのですか。
  136. 佐々木義武

    ○国務大臣(佐々木義武君) 実は私、先般むつにも参り、したがって青森県にも参りまして、それから帰りに福島、茨城県を、それぞれ発電所あるいは研究所を回って帰ったのですけれども、各県の行く先々で新聞の皆様がお集まりになって、わが県には予定地があるかとみんな聞くわけでございまして、ひとつ、あなたのところはあるなしということになりますと、これは全国の人が来てみんな聞かれるとどうにもならぬかっこうになるものですから、予定地はしばらく勘弁願いたいと存じます。
  137. 小柳勇

    ○小柳勇君 船員も、近くもう引き揚げようかなあという話もあるようでして、それから五十二年の四月までには係留を変えなきゃならぬ。それから、全然検査をやってないようです。もう建造されてから今日まで検査をやってないそうですけれども、運輸大臣、この船の保守はいかがですか。
  138. 木村睦男

    ○国務大臣(木村睦男君) 船舶につきましては一般的に、検査をいたしまして、船舶検査証書というものを交付して、そして運航に供するわけでございますが、この「むつ」の場合は、現在ではまだ船舶検査証書というものは交付をいたしておらないのでございます。  そのいきさつはと申し上げますというと、実は昭和四十三年、四十四年に、船舶安全法に基づく製造検査、それから第一回の定期検査の申請が行われ、それから検査は開始をいたしておるわけでございます。検査の個所はいろいろたくさんございまして、それぞれについて検査をいままでやってまいりましたけれども、性能検査としての出力の上昇試験、それから海上試運転等がまだ終わっておりませんので、最終的に検査が終了した後に交付する船舶検査証書というものは交付しておりません。ちなみに申し上げますと、先般の放射線の漏れはこの性能検査の初期に生じたものでございまして、現在はまだ検査証書は交付していないということでございます。
  139. 小柳勇

    ○小柳勇君 この「むつ」が、あれだけの大きな損害を国に与え、かつ廃船同様ですが、科学技術庁と運輸省の責任の所在が明らかでない。これを明らかにするようにという要請をしてきたのですが、その後どうなったんでしょうか。
  140. 佐々木義武

    ○国務大臣(佐々木義武君) お話の趣旨は、おそらく安全の問題に関しまして特に審査、検査等がまちまちと申しましょうか、分かれておるのではないか、原子力委員会は基本設計、方針等を審査し、運輸省の方は詳細設計あるいは現物の検査等を分担しておりますので、実際に故障等が起きた場合に、どこの部面にミスがあったのか、責任があったのかという点になりますと、結論を得るまではなかなか時間がかかりまして、責任が明確になりません。たとえば「むつ」の例で申しますと、内閣に「むつ」の放射線漏れに関する調査委員会をつくりまして、ただいま内閣で、一生懸命その道の大家の人たちが集まりまして検討中でございます。結論が出ますと、どこに責任があるかということが明確になりますけれども、それまではいまのところはっきりいたさぬのが現状でございまして、お話しのようにそういうことでは困るじゃないかといいますと、そのとおりでございます。  ただ、その典拠法規は、原子力委員会の方は原子炉等規制法という法律をもとにしてやり、船舶の方は船舶法でございますか、を基礎にして検査するわけでございますので、この法律を改正の要あればどう改正していくかといったような問題まで含めて、今度、きょう午後二時から内閣で開きますけれども、原子力行政懇談会というものをつくりまして、一番高いサイドで、原子力委員会のあり方等も含めて、いま申しました責任の所在も明確にするという意味ももちろんその中に包含いたしまして、これから検討に入ることになっておりますので、その結論を待ちまして、いままでの不備な点がありますればそれを是正していくという考えでございます。
  141. 小柳勇

    ○小柳勇君 そういうふうなマンマンデーの行政だものですから、うまくいかぬのですよ。あれだけの大きな事故が起こりまして、今日もうすでにそういうことは決まっていなければならぬと思います。  最後に、原子力船開発事業団が来年の三月で終わるのだということになっておりますが、その後どういたしますかということと、あれだけの大きな事故を出したときの事業団の事故発生の責任者、担当者は今日どうされたのか、あるいは事業団をどのように発展解消していくのか、お聞きいたします。
  142. 佐々木義武

    ○国務大臣(佐々木義武君) 事業団法は、御承知のとおりあと一年くらいで時限になるわけでございますが、いま考えておりますのは、将来の日本の原子力船というのはどうあるべきか、第二船をどうしたらよろしいか、また、それを受けまして現在の「むつ」そのものをどういうふうにしたらよろしいか、こういう大きいサイドからいま原子力委員会でせっかく検討中でございます。おそらくは、少なくとも時限法は延長いたしまして継続しなければならぬというふうに考えておりますけれども、最終的には委員会の結論を待ちまして善処したいと思っております。  それからもう一つは責任の問題でございますけれども、実は事業団の副理事長あるいは専務等は交代いたしまして、理事長も再三辞意を漏らして、私自体は実際辞表をもらっておりますけれども、実は後任難でございまして、なかなか思うように後任に、私がやりましょうという人が出てこないものですから、大変実は難渋いたしまして、近くそれでも恐らく決まると思いますので、理事長さんにも、そのときには御苦労を謝して御引退いただくというふうに実は考えてございます。  それから役所の方でございますけれども、これは御承知のように、いろいろ変動がございまして、ただいままで当時の責任者と思われる事務次官がまだ残っておりますけども、この人も近く恐らくかわるようになるんじゃないかというように思いますので、大変遅まきではございますけれども、しかし、一応役所あるいは事業団としての責任ははっきりする。ただ、その人事の責任だけでなくて、故障を起こしたその原因が一体どこにあるんだと、設計にあるのかメーカーにあるのか、あるいは検査自体が不備だったのか、いろんな考え方がございますので、これは先ほど申しましたように、内閣でただいましています放射線漏れの調査会で結論が出ますれば、おのずから問題がはっきりしてくると思いますので、そのときはそのときでそれに対処いたしたいと存じます。
  143. 小柳勇

    ○小柳勇君 あれだけの大きな問題でありますし、原子炉を抱えた船で、船員も海員組合としては引き揚げたいと言っているような情勢でありますから、早急にひとつ結論、対策――りっぱな結論を出してもらうように希望いたします。
  144. 佐々木義武

    ○国務大臣(佐々木義武君) いま間違えまして、原子力船事業団、先ほど副理事長と言いましたけれども、専務理事でございますので、訂正しておきます。
  145. 小柳勇

    ○小柳勇君 次の問題は、原子力発電所の付属私立の港の話で質問いたします。  現在運転中、建設中の原子力発電所で、付属港湾を設備し、あるいは建設中のものはどんなところがありますか、技術庁長官にお伺いいたします。
  146. 佐々木義武

    ○国務大臣(佐々木義武君) 現在運転中あるいは建設中の原子力発電所に付属いたしております港湾は、ただいま敷地内にあるのは、運転中の発電所の中で、日本原子力発電は敦賀の発電所に港湾がございます。それから関西電力では美浜発電所、それから高浜発電所、東京電力では福島第一原子力発電所、中国電力では島根原子力発電所、大体その五つでございまして、建設中の原子力発電所に付属しているのも、大体五つございまして、それは東京電力の福島第二と関西電力の大飯発電所でございます。それから九州電力の玄海発電所、それから日本原子力発電の東海第二発電所、それから四国電力の伊方発電所にそれぞれ港湾が付属してございます。
  147. 小柳勇

    ○小柳勇君 運輸大臣、いまの付属の港湾について、運輸省としては港湾と認めておるのかどうか。
  148. 木村睦男

    ○国務大臣(木村睦男君) ただいまお話しのような付属港湾というのは、いわゆる運輸省で言っております公共港湾とは認めておりません。したがいまして、港湾法の全面的な適用はございませんですけれども、四十八年に港湾法を一部改正いたしまして、こういういわゆる公共の港湾でない港湾でも、技術上の基準その他の適用はあるというふうに扱うようになりましたので、そういう方面の適用はございます。
  149. 小柳勇

    ○小柳勇君 たとえば、東京電力福島発電所の大熊港、これから使用済みの核燃料が搬出されておる。しかも、それを海上保安庁の巡視艇がちゃんと見守っておるという話でありますが、運輸大臣御存じですか。
  150. 木村睦男

    ○国務大臣(木村睦男君) 知っておりまして、海上保安庁の方で監視をいたしております。
  151. 小柳勇

    ○小柳勇君 港湾法の完全な施行、施行といいましょうか、適用で、その上で海上保安庁なり運輸省がちゃんと港を守るのと、いま言われたように、私立の港の建設だけは認めておる、あとは運輸省には何にもこれを取り締まる権限はないのではないかと思うが、いかがですか。
  152. 木村睦男

    ○国務大臣(木村睦男君) 先ほど申し上げましたように、港湾法が全面的に適用されて監督ができますのは、港湾管理者を置いておりますいわゆる公共の港湾でございます。御指摘のような付属港湾でありますとか、あるいは一企業が私的につくっておる港、そういったものにつきましては、全面的な適用はないんでございますけれども、現状では、そういった港湾をつくります場合に、設置者がその計画をつくり、それから所轄の都道府県知事の方から必要に応じて公有水面の埋め立ての免許等を得てつくるわけでございますが、このままでは安全上いろいろ問題がございますので、先ほど申し上げましたように、四十八年港湾法の一部改正をいたしまして、港湾の施設に関する技術上の基準というものを定めまして、この法律改正によりまして、港湾管理者の管理しない港湾、つまり港湾管理者の管理する港湾の区域以外のものにつきましても、都道府県知事への届け出義務を課しておるわけでございます。そうすると、届け出を受けました知事の方で、この港湾法改正によります技術上の基準に適合しておるかどうかということを判断いたしまして、届け出られましたこの施設に対する建設、改良の禁止もできます、制限もできますし、また必要な措置を命ずることができる、こういうふうになっております。したがって、四十八年以降は、専用港でございましても、いま申し上げたような法の適用を県知事がいたすことによりまして、安全上所要の措置を講ずることができるということになっておるのでございます。
  153. 小柳勇

    ○小柳勇君 核廃棄物を扱うというのは、港で皆住民が反対するから、したがって、その原子力率電所が便宜上港をつくって、自分の港から何千トンの船を使って米国などに核燃料の廃棄物を運搬しているわけです。そのときに、作業のときに巡視艇が見ているというわけですね。港湾法の港でない、港長もいないところで、どうして海上保安庁の船がその作業を監視しなければなりませんのか、そんな安全基準なんかつくってあるんですか。
  154. 木村睦男

    ○国務大臣(木村睦男君) 海上保安庁の任務といたしましては、港湾に限らず海上の人命、貨物の保護、治安あるいは安全の確保、そういう任務がありますので、できるわけでございます。
  155. 小柳勇

    ○小柳勇君 それじゃ運輸大臣は、港湾法上の港ではないけれども、もう県知事に任してあるからそれでいいと。今後も原子力発電所はできるんですが、今後もそういう私立の港が方々にできていってよろしいのですか。
  156. 木村睦男

    ○国務大臣(木村睦男君) 港湾の設置そのものにつきましては、いま御説明申し上げたような手続きで都道府県知事が港湾法の適用をいたしまして、届け出の際にいろいろ命令もでき、また変更も命ずることができるんでございますが、いまお話の中にありましたように、そこの港を使って必要な船舶が出入りする、その中に使用済みの核燃料のかすも運搬するというようなことが、今度はその港湾内の船舶の運航上いろんな危険を起こしはしないかという心配は確かにあるわけでございます。それで、これには御承知のように港則法というものをそこに適用さすようにいたしますというと、港則法の適用を受けまして、航行上の秩序がそこに成り立つわけでございます。現在のところは出入りいたします船舶の隻数がきわめて少ないのでございまして、港則法を適用をするまでの必要もないという判断をいたしておりますので、これがその必要があるということになりますというと、港則法の適用をさすようにいたしまして、航行上の港湾内の航行の秩序をきちんといたしまして、安全確保ができるように措置をしなければいけない、こういうことになっております。
  157. 小柳勇

    ○小柳勇君 公有水面の埋め立てをやる場合には県知事に許可取りますね。だから港も一緒にそれは許可を取ったでしょうけれども、それから先、港ができたら運輸省がちゃんと港湾として監督しなければ、船員なんか乗れないでしょう。そんな私立のところに行って、安全基準などもない、しかも原子核の廃棄物を、原子力の廃棄物を積むような船ですから。もう少し法的にも――いま私初めて聞きましたからその法律を見てみますけれども、一応じゃ問題を保留しておきたいと思うのです。  最後の問題は、先般カーフェリー台風を避けるために遠海に出まして、近海を離れまして、そして無線電話が通じなくて漂流した事件がございました。その問題につきまして、地図がありますが、現在この赤のところは、これは無線電話が通じないところ、それからこの斜線のところはもうほとんどわからないところですね。そういうようなことで、そんな状態で無線電話だけでカーフェリー、あれだけの人間と貨物を積んだ船が運航しているわけです。それで、その問題について、電波の問題のようです。要するに、電波無線通信士の問題のようですから、郵政大臣並びに運輸大臣の見解を聞いておきたいと思うんです。
  158. 木村睦男

    ○国務大臣(木村睦男君) 二月二十日の深夜に東京湾を出帆いたしまして、苫小牧に向かいました「しれとこ丸」が、金華山の沖合いで行方不明になったという事件でございますが、これと電波との関係で、運輸省の立場といたしまして御答弁を申し上げたいと思うんですが、実は船舶安全法によりまして、船舶には無線電信設備を備えつけることに強制をいたしております。ただし沿岸を、沿海区域を航行する船舶は、無線電信設備でなくて無線電話設備でもよろしいということになっております。沿海区域を航行するといいますのは、岸から二十海里、つまり三十七キロになると思いますが、三十七キロぐらいな幅をずっと航行するのは、これは無線電話でよろしい。無線電話を現在つけておりますのはVHFの無線電話でございまして、これの到達距離は大体五十海里、つまり九十キロぐらいの距離は用をなすわけでございます。沿岸三十七キロの幅の間を航行するフェリーでございますので、多少しけその他で沿岸から外洋に出るといたしましても、そう百キロも百五十キロも出るということはまず考えられませんし、またいままで実際なかったわけでございます。したがって、せいぜい九十キロぐらいまで出ることもありませんが、そこまで出ても大丈夫だということで、無線電話で用が足りるということで無線電話をつけておったんでございますが、今回の「しれとこ丸」は、あのような気象条件のもとで、船体と船客の安全のためにずうっと離れまして、実は二百キロぐらい出たということで、備えつけておりました無線電話の効果がなくなった。そこでどこに行ったかわからぬということになったわけでございます。  そこで、まあ千に一つ、万に一つというふうにも考えられますが、しかし、一回そういう事故が起きたわけでございますから、二度起きないという保証もございませんので、あの事故以後、直ちに運輸省といたしましては、沿海で外洋を走るしかも長距離のフェリー、これにつきましては無線電信設備をつけるようにという指導をいたしまして、大体六月ぐらいをめどに全部取りつけるように現在指導をいたしてまいっておるわけでございます。
  159. 小柳勇

    ○小柳勇君 通達が出まして、二月二十七日に海運局から通達が出ておるようでありますが、無線電信の設置は無線通信士を乗ぜるということですか。
  160. 木村睦男

    ○国務大臣(木村睦男君) そのとおりでございまして、沿海区域を走ります船舶に無線電信設備をつけますと、通信士が一名つかなければいけないことになっております。
  161. 小柳勇

    ○小柳勇君 郵政大臣、いまの話で、電波の話でございますが、先般の事故、VHFの電波で通じなかったということでありますから、いま運輸大臣がおっしゃいました無線電信の設置の問題などについては、御了承でございますか。
  162. 村上勇

    ○国務大臣(村上勇君) 届け、要求があればいつでも許可をすることにしております。
  163. 小柳勇

    ○小柳勇君 それから先般の火災が起こりました「せとうち」及び「ひろしま」、この火災も、これは緊急通信が通じなかったそうです。お客の使う電話と無線電話が一緒に使われているということのようでありますから、運輸大臣、こういう点も今後指導してください。それから大阪から高知へ行く船、これも無線電話が通じないそうです。だから、外だけを通るということではなくて、VHFの電波が障害されるところには無線通信士を乗ぜるようにしなければ、十分な安全対策ではないと思うが、いかがですか。
  164. 木村睦男

    ○国務大臣(木村睦男君) 無線電信設備を沿海フェリーにつけるようには指導しておりますが、いまお話しのように、そう長距離でもない、またそう長時間でもないというふうなフェリーがいろいろあるわけでございまして、それらの通信設備につきましても、それぞれ個別的に実情を見ながら指導をしてまいりたいと思っております。  そこで、無線電信設備をつけるまでに至らない、それほどの強い必要もない、しかし、いまのVHFではちょっと心もとないというふうな距離なり何なりがあるわけでございます。そういうところには個別的にいろいろ今後指導してまいりますが、VHF――これはまあ郵政省とも十分連絡をしなきゃいけませんが、VHFよりももっと到達範囲の長い、たしかSSBという電話の設備があるそうでございますので、そういうものもつけるとか、そういう点は今後指導をよくしてまいりたいと思います。要するに、耳や口がなくて行方不明になるというふうなことの事故は絶対起こさぬように努力するつもりでございます。
  165. 小柳勇

    ○小柳勇君 ちょっと、そこで最後に、そんな船が一体何隻ぐらいいるのかということです。これから業界も大変でしょうけど、これだけの事故を防ぐためには早急に整備をしてもらわなければなりませんが、そんな船がどれくらいあって、いつになったら、たとえば半年とか三カ月とかありましょうが、いつになったら完全に無線電信の設備ができて、安全航行できるのか、お聞きいたします。
  166. 木村睦男

    ○国務大臣(木村睦男君) ただいま指導をいたしております長距離の外洋を走ります沿海フェリー、たしか三十五隻ありますが、その中で無線電信の設備のないのが十六隻ございます。この十六隻につきましては六月をめどにして取りつけるように現在指導をいたしております。
  167. 小柳勇

    ○小柳勇君 質問を終わります。
  168. 大谷藤之助

    ○委員長(大谷藤之助君) 以上をもちまして小柳君の質疑は終了いたしました。午後一時半まで休憩いたします。    午後零時三十一分休憩      ―――――・―――――    午後一時三十九分開会
  169. 大谷藤之助

    ○委員長(大谷藤之助君) ただいまから予算委員会を再開いたします。  午前に引き続き、質疑を行います。夏目忠雄君。
  170. 夏目忠雄

    ○夏目忠雄君 きょうは総理がおいでになりませんけれども、最も有力な閣僚である大平大蔵大臣がおいででございますので、最初に御質問申し上げまするが、三木内閣が成立いたしまして、最初の所信表明のときに地方自治の問題に深く触れましたし、また当委員会で再三にわたって、行政というものは原則として住民の一番近い場所で、つまり市町村で処理されるのが適当なものが多いのであるというような趣旨のことを再三言われておるわけでございまするが、これは三木総理御自身の個人の見解ではなくて、三木内閣全体の大きな柱の一つだと解釈いたしておりまするが、いかがでしょうか。
  171. 大平正芳

    ○国務大臣(大平正芳君) 仰せのとおり心得ております。
  172. 夏目忠雄

    ○夏目忠雄君 そこで申し上げたいのでありまするが、地方自治の育成ということは、言葉としては大変きれいな言葉なんですが、現実には非常に血なまぐさい、切れば血の出るような問題なのであります。というのは、大体地方自治というものと中央集権というものは、相反する概念であります。したがって、地方自治を育成しようといたしますれば、現在中央政府がお持ちの各省、各局、各課の権限と財源を相当大幅に地方に持っていく。つまり権限と財源をもぎ取る、こういうことでございまするから、相当実は血なまぐさい話なんであります。  いまから十年ほど前に臨時行政調査会がありまして、その勧告は多岐にわたっておりまするが、中央の事務配分の問題につきましての勧告は、後ほど各省から御報告をいただきまするが、軽微なものを除いてはほとんど進展をいたしておりません。というのは、やはり権限と財源を取られることは人間だれしも好みませんから、相当命がけの反抗があったろうと思うのであります。これを押し切っておやりになる、こういうことでないと、地方自治の育成ということには相ならぬわけであります。この点、再度ひとつ御決意のほどをお願い申し上げたいわけでございます。
  173. 大平正芳

    ○国務大臣(大平正芳君) 中央と地方との問題は、仰せのようにそうたやすい問題であると私も考えません。人間のことでございまするから、いいときも悪いときもそれぞれ問題を持っておりまして、容易に解決打開の道が発見できない状態を繰り返しておるというのが偽らない実態であろうと思うのでございます。しかし、幾つかの試みが過去において、戦後においてもなされてきたわけでございまして、しかし、仰せのように、それが一つ一つ顕著な実績をおさめておるとも言い切れない状態でございます。しかし、ようやくわが国も戦後の成長期を脱しまして、困難な低成長期と申しますか、そういう段階に日本の経済も入ったように思うのでありまして、したがって中央、地方を通ずる財政もまた非常に困難な局面に逢着したと思うのでございます。したがって、先般来政府で申し上げておる、行財政、中央、地方を通じてこの段階でもう一度見直そうじゃないかということを提唱せざるを得ない現実的な条件を担っておると思うのでございます。したがって、今度は、仰せのように通り一遍でなくて、よほどの決意を持って当たらなければならぬことは夏目さんが御指摘のとおりでございまして、私ども総理を初め閣員一同、そういう決意でいまの課題に対処をしなければならぬと、かように考えております。
  174. 夏目忠雄

    ○夏目忠雄君 そこで、現実の状況をちょっと二、三例を挙げまして、私の考え方を申し上げてみたいと思います。  いまの市町村の大きな泣きどころの一つに屎尿、ごみ処理の問題がございます。これは処理場の建設地域の住民の人が、それはものすごい命がけの反抗を、反対をいたします。これを何とかして説得することは骨身を削る思いでございます。しかも、二年、三年の長期にわたって説得を続けなければならないことは決して珍しいことではございません。そこで、とにかくようやく納得していただきまして、中央へ計画書を持ってまいります。そうしますると、こちらも人間でございまするから、こんな苦労は在任中は勘弁してもらいたいと思いまして、若干大き目な計画を持ってくることは事実でございまするが、これがもう全然受けつけられません。所管は両方とも厚生省でございまするが、おまえのところの人口はこれこれだ、人間一人当たりの排せつ量はこれこれだからこれだけしか認めない、こういうお話でございます。それも相当の根拠をもって数字をおやりになっているのでしょうけれども、現実に私どもが収集して処理をする量から比べますると、非常にかけ離れております。数字が小そうございます。  しかし、まあ何しろそう言わなきゃ補助金をくれぬのだから、けんかのしようがない。仰せに従うわけであります。せめて、まあ一年に長野でございますると八百万人ぐらいの参詣客が来るから、その分だけでも見てくれと言うと、そんなわけにはいかぬ、長野の者だってよそへ行ってやるじゃないかと、こういうような笑い話のようなことでございまするが、そういうことでがんとして受けつけません。で、以後いろいろなメーカーがたくさん来まするが、このメーカーの処理能力というものはマキシマムを書いてある。百トンの処理能力だ、五十トンの処理能力だと書いてはありまするが、それはマキシマ人の数字だ。一番ミニマムの数字とマキシマムの数字をつなぎ合わせてこしらえるのでありまするから、でき上がって大体二年か三年というと、もう次の計画に取りかからなければならない。私は現実に十年の間に二度やらなければならなかった、こういうのが状況でございます。  また今度は、小さ過ぎると言って怒られるものもある。たとえば保育所でございます。最近やっと直ったようでございまするが、つい最近まで保育効率を上げなければいかぬから、厚生省の方の定員は百二十人もしくは九十人だと。それを七十人のやつで持ってきたんじゃ認められない。ところが、現在保育所というものは、農村は母ちゃん農業になっていますから、農村地帯にたくさんつくらなければいかぬ。そして通園区域というものはおのずからあるわけなんです。七十人しか――七十人が私は一番適当だと思うと言っても、だめだ、それじゃいかぬ、九十人にしろと言うから、仕方がない、九十人のものをつくる。それでやむを得ずでき上がればマイクロバスを持って遠くの子供を集めてきてやっと定員を維持する。こんなばかげたかっこうになっておるわけであります。  いま大きさのことだけを申し上げましたが、大きさの問題だけじゃございません。もう微に入り細にわたっていろいろおっしゃいます。初めは私も市長になりたてのときは、やはり日本の役人というものは偉いもんだ、信州の山の中の保育所の、市長の知らないようなことまでよく知っていなさる、偉いもんだと思って初めは感心しておったわけです。そのうちにばかくさくなっちゃった。何の必要があって一々そこまで中央のお役人さんが、個所を決定し、査定をおやりになる必要があるのか。保育所なら保育所は大蔵省とかけ合って、一年間とにかくこれだけの予算が取れたならば、これをば何らかの方法で地方で割賦しちゃったらどうだ。この割賦の仕方はいろいろ問題がありまするが、あとからまた申し上げまするが、いずれにしろ割賦しちゃったらどうだ。いろいろな物差しがありますから、そうすればいま早い話が、お役人さんの数そのものがあらかた要らなくなる。それで、地方で一番困っているたとえば屎尿処理やごみの問題ですと、地方ではどうしても解決ができないのは、要するに技術開発の問題です。これが中ぐらいのものしかできない。したがって、いま言ったように、地元の人の反対も無理からぬ点があるわけです。百点満点の処理施設というものは現在ありませんから。そういう技術開発をおやりになる。また保育所なら、そんな一カ所に何ぼのものをつくるなんということはお任せして、地方ではどうしても解決できない、つまり保育所と幼稚園の関係――保育所と幼稚園の関係なんか地方で幾らやろうと思っても解決できません、どうしてもおやりになることはおやりにならないでいて、細かいことだけ口出すような状況では、これはなかなか育たぬ。  私は、この補助金というものを、それは一件一件査定をしなきゃならぬものももちろんあることは承知いたしておりまするが、たとえば、いま厚生省だけ挙げましたが、文部省にいきますると、学校の増改築、これがそうであります。建設省へいけば地方道がございます。それから、農林省へいけば構造改善事業がある。全部資料というものは地元から上がってきているんですから、十分地元にはこれの処理能力があるわけです。一件一件査定することをおやめになって、何らかのひもをつけて結構でありまするから、地方ヘプール計算でもってお渡しになっている。そうすれば、大体行政管理庁にもお答え願いたいと思うのでありまするが、一律各省何%なんというみみっちいことを言わなくたって、要するに一件査定をする必要があるかないかで各省の仕事をずっと洗い直していけば、十年分の成績が一遍に上がるはずですよ。ぜひひとつこれをやっていただきたい。これが地方自治を育てる一番近道じゃないか。いま臨時行政調査会の話が出ましたが、あれの事務配分というものは大変やかましい問題で、現在に必ずしも適切じゃない。一番現在必要としているのは、補助金行政というものを洗い直していま言ったようにやってもらう。  で、割賦の仕方でございまするが、きのうの新聞に、成田さんが第二交付税というものを言われた。私も趣旨としては、やり方としては第二交付税というやり方もあるけれども、しかし、成田さんの言われた、ああいうふうにいきなり八%なら八%の第二交付税をつくるというような金の面から入ってはやっぱりだめだ。いまの地方自治を本当に育てるには、自分の責任で自分のことを処理するんだということがなきゃいけませんから、この仕事は中央でおやりになる、この仕事は地方でやるという事務を洗い直して配分した上で、それに要る金がこれこれだから、第二交付税というものはこれこれ必要だと。あるいは五%という数字が出るかもしれぬ、一二%という数字が出るかもしれぬ。私の考えで補助金全部洗い直せば、恐らく二〇%ぐらいの数字が出てくるはずであります。ですから、事務を洗い直して、しかし、それにもまたいろいろあろうかと思います。緩急の度合いもある。やりやすい、やりにくいという問題もある。しかし、洗っていっては、即座にできるものからどんどんおやりになったらどうだ。補助金制度をそういうふうにお変えになったらどうだろうかと、こういうふうに思うんでございまするが、補助金担当の――補助金担当かどうか知りませんけれども、予算全部お握りの大蔵大臣のひとつ御所見を承りたいと存じます。
  175. 大平正芳

    ○国務大臣(大平正芳君) 実際の仕事を担当しておる各省からお答えいただく方が剴切であろうと思うのでございますが、私は財政の立場からいまお話を聞いておりまして、中央、地方が理解して合意して当たれば、いまの繁文褥礼いたしておるところの補助金行政、相当すっきりとした整理がきくのじゃないか、そしてもっと活力のある行政が期待できるのではないかという御意見に対しましては、十分理解できるところでございます。そういう方向に私どもも考えていかなければならぬと考えるのであります。ただ、冒頭にも夏目さんもおっしゃったように、人間というものは中央は中央でなわ張り根性を持っておりますし、中央と地方となりますとまたこれは越えがたいみぞがあるわけでございまして、なかなか事がすんなりと運びにくい状況にありますことも御案内のとおりでございますので、事を一気に革命的になそうということはなかなか私は期待できないのじゃないかと思うのでありまして、一つ一つ丹念に、もつれた糸をほぐしていかなければならぬのじゃないかと思うのであります。  ただ、非常に幸いなことには、私の経験をもってすれば、ようやく自治省と大蔵省の対立はここ二、三年来非常に解けてまいりまして、一緒に地方財政のことを考えようじゃないかという雰囲気になってきたことは、私は日本の財政のために非常に喜ばしいことと思うのであります。今度は大蔵省と自治省が府県と一緒になって考えるというベースにいくのが次の順序じゃないかと思っておるのでありまして、数年前われわれが若いときは、まず大変激しい自治省と大蔵省の対立があったわけでございまして、敵国相まみえる、舷々相摩すというようなことをやったものでございますが、最近そういうことはだんだんと緩和されてまいったばかりでなく、一緒にむつかしい問題に対処しようという雰囲気が出てまいっておるわけでございまして、その橋はさらに府県庁にかけて、府県はさらに市町村にかけて、この狭い日本でございますから、あなたの言われるようにざっくばらんに、理解と信頼をもって事に当たるような雰囲気をもっと簡便に制度化していくように努めていきたいものと思います。
  176. 夏目忠雄

    ○夏目忠雄君 参考までに、十年前にできました臨時行政調査会の地方行政に関する部門についての、各省の十年間の経緯をお聞かせ願いたいと存じます。
  177. 大谷藤之助

    ○委員長(大谷藤之助君) 夏目君、まずどこから始めましょうか。行管からやりましょうか。
  178. 夏目忠雄

    ○夏目忠雄君 それじゃ、行政管理庁から。
  179. 加地夏雄

    ○説明員(加地夏雄君) 先生御承知のように、行政管理庁は行政改革本部の事務局をやっているわけでございまして、ただいま御質問のございました臨時行政調査会の答申が昭和三十九年に提出されまして、その後いろいろとその答申の御趣旨に沿った改革をやってまいったわけでございますけれども、直接お話のございました国と地方を通ずる行政事務の再配分の問題につきましては、これは勧告全体に及ぶわけでありますけれども、現実に可能なものからできるだけ着実にやっていくと、こういう考え方で十年間やってまいったわけでありまして、この行政事務の再配分につきましても、昭和四十二年から三年にかけまして第一次行政改革及び第二次の行政改革の中に織り込みましてやってまいったわけでございます。で、当時の中身でございますけれども、国の事務を、全体として九十七件ございます、これを地方団体に移譲するという前提で進めてまいりまして、その中身は特に都市計画関係の事務でございますとか、あるいは工場排水規制関係の事務を中心にいたしまして、今日まで八十六件がすでに措置済みでございます。
  180. 夏目忠雄

    ○夏目忠雄君 八十六件というと、大変聞いたところはいいんですが、私が調べたところは、ほとんどきわめて軽微な許認可事項もひっくるめて、大筋の点はそれほどじゃない、こういうふうに思いますが、私の考えは間違っていましょうか、もう一度ひとつ行政管理庁。
  181. 加地夏雄

    ○説明員(加地夏雄君) この十年間に、先生御承知のように臨時行政調査会の御答申の中には、行政制度全般にわたった非常に膨大な勧告があるわけでございます。したがいまして、いま先生の御質問のありました行政事務の再配分の問題ももちろんでございますけれども、そのほかいろいろ行政機構の改革とかあるいは特殊法人の整理でございますとか、さらには支分局の整理、審議会の整理、そういった問題とか、着々とそういう可能な範囲のものを手がけてまいったわけでございます。したがいまして、いま御質問のございました、確かに行政事務再配分が九十七件というのは軽微ではないかと、こういう御指摘でございますけれども、たとえば行政機構の改革の場合に、四十三年に実施いたしましたけれども、一省庁一局削減でございますとか、あるいは定員につきましては三年五%、こういった定率のやり方もございますけれども、この種の行政事務につきましては、やはり一つ一つの行政事務をとらえまして、その事務の性格を十分洗い、各省と協議を進めながら進めていく。いわば行政改革のオーソドックスな方法でございますが、事柄の性格上、そういった形で協議を進めていかざるを得ないものでございますから、確かに軽微とはおっしゃいますけれども、この九十七件のまとめをやったということは私どもはやはりある程度の成果が上がっておると、こういうふうに考えておるような次第でございます。
  182. 夏目忠雄

    ○夏目忠雄君 文部省、お願いします。
  183. 永井道雄

    ○国務大臣(永井道雄君) 三十九年の臨時行政調査会の勧告には、文部省につきまして行政事務の具体的再配分につきまして二つの事項があるわけでございます。一つは教育長の承認事項に関して、市町村というものが中心であるから、都道府県、それからまた都道府県の場合には国の承認を必要としないのではないか。もう一つは、就学の猶予及び免除でございます。この就学の猶予及び免除につきましては、昭和四十二年の法律の改正に基づきまして、市町村で都道府県の認可を必要とせずにそれができるようになったという変化を生じました。  前の教育長の承認問題でございますが、任命に当たっての承認の問題ですが、これは現在も従来と同じ承認というものを行っております。この考え方なんですが、私は原則としてもちろん地方自治が非常に大事である、それから、この行政調査会の御意見というものもきわめて尊重すべきものであると考えますが、やはり中央と地方の関係というのは非常に複雑な面を含んでいると思います。具体的に申しますと、大体教育の地方自治というのが非常にうまくいってきた例というのはアメリカとかイギリスの例だと思いますが、そういうアメリカとかイギリスという場合にも、イギリスは、第二次大戦中ですが、中央に教育省というものができました。それから、アメリカは、第二次大戦後でございますが、教育、福祉、保健の中央の官庁ができたわけです。そこで、やはり公教育を考えていく場合に、この中央と地方の連絡調整というものが必要なんではないだろうか。そういう意味合いにおいて、調査会の御意見の趣旨というものは非常に重んじなければいけないのでありますが、現状、いままでの方向、方法を継続しているわけであります。しかし継続するというのは、中央の意見を地方に押しつけるというのではなくて、やはり日本の公教育全体を考えていく、教育行政という場合には一般行政と違う特殊性もあり、それから国の全体の公教育の発展ということを考えながら、それぞれの地方でも仕事をしていただく、そういう意味合いにおいて趣旨を尊重しながら、現状においていましばらく検討を続けていくことが望ましいのではないか、かように考えている次第でございます。
  184. 夏目忠雄

    ○夏目忠雄君 続けてください。厚生省。
  185. 河野義男

    ○政府委員(河野義男君) 国民年金の事務については、三点指摘されておるわけでございます。  まず第一点は、国民年金手帳の交付事務、それから住所とか氏名の変更届けの処理の事務、それから過年度の保険料の徴収事務について意見が述べられておるわけでございますが、このうち住所氏名等の変更の事務処理につきましては、昭和四十三年度に市町村に委任したわけでございます。  それから次に、国民年金手帳の交付の事務でございますが、被保険者の記録の管理はそれぞれの被保険者に付与されます被保険者の記号番号によって管理されておるわけでございますが、年金手帳を交付する際に被保険者の記号番号が払い出されるわけでございます。そういった関係から、年金手帳の交付につきまして市町村に委任することは困難でございます。  次に、過年度の保険料の徴収事務でございますが、国民年金におきましては、保険料の納付いかんが年金の受給権を左右する制度の仕組みになっております。したがいまして、過年度の未納保険料の徴収につきましては、最終的な責任を持っております保険者である国がみずからこれに当たることが適当である、こういうふうに考えております。
  186. 夏目忠雄

    ○夏目忠雄君 通産省。
  187. 齋藤太一

    ○政府委員(齋藤太一君) 中小企業行政に関しまして、昭和三十九年の臨時行政調査会では三点、府県への委譲につきまして指摘がございました。  第一は、中小企業協同組合、商工組合の認可指導権限でございますが、協同組合につきましては、現在府県の区域を越えないものは原則としてすべて府県に委譲をいたしております。それから、商工組合につきましては他の法律と関係のあります業種。たとえば繊維構造改善法に基づきます繊維、特定機械特定電子工業振興法に基づきますこういう指定業種、全国的視野から調整を要します業種、たとえば石炭のようなもの、こういうごく例外的なものを除きまして現在全部県に委譲をいたしております。  それから第二が、企業診断の実施でございますが、これもすべて府県内で事業を営んでおるものにつきましては、府県が現在診断を実施をいたしております。  それから、資金の貸し付けの関係でございますけれども、設備近代化資金につきましては現在すべて府県でやっていただいております。高度化資金につきましては、繊維の構造改善関係の高度化資金だけは振興事業団が融資をいたしておりますが、その他のものにつきましてはすべて府県から融資をする、こういう仕組みにいたしておりまして、臨時行政調査会の答申はほぼそのとおりに大体府県に委譲を終わったところでございます。
  188. 天谷直弘

    ○政府委員(天谷直弘君) 三十九年の臨時行政調査会におきましては、百貨店法に基づく許認可につきまして都道府県に機関委任してはどうかという答申がございました。ところが、昭和四十八年に百貨店法が廃止されまして、かわりに大規模小売店舗法が制定されました。旧百貨店法におきましては通産大臣が許可権限を持っておったわけでございますが、新しい大規模店舗法におきましては、届け出に対しまして通産大臣は許可権限ではなくて勧告できるという体系に変わりまして、例外的場合には変更命令を出せるということに変わりました。この勧告をいたすに当たりましては、通産大臣は全国に数百ありますところの商業活動調整協議会の意見を聞くというたてまえになっております。この商業活動調整協議会には地方自治体の方が御出席できるたてまえになっており、かつまた、その地方の小売業者、消費者、大規模小売店舗の意見が代表されるように、そういう仕組みになっておりますので、地方の実情が反映されるような仕組みになっているかと存じます。
  189. 宮本四郎

    ○政府委員(宮本四郎君) 三点補足させていただきます。  一つは、計量法関係の事務の委任でございます。二番目は高圧ガス関係の事務の委任で、三番目がガス事業でございます。  計量法関係につきましては、臨時行政調査会の答申に指摘された方向で現在処理をしておりまして、具体的に申し上げますと、たとえば都道府県へ委任をすべきものとされましたものの中で、計量器の使用事業場の指定、これについては四十一年度実施をしておりますし、計量器の無検定許可につきましては制度自体が廃止になった次第でございます。それから、市町村へ委任すべきものとされております中で、定期検査でございますが、これは設備及び技術者の両面からの必要性を勘案いたしまして、能力のある市町村に移譲をさせていただいておるわけでございます。これに伴いまして、立入検査につきましても同様の趣旨で委任が行われております。また、消費者に密接な関連のございます正味量の表記につきましての立入検査は、一般の市町村で行い得るようになっておる次第でございます。  続きまして高圧ガス関係の事務委任でございますが、第一点は市町村へ委任すべきこととされた問題でございますが、これにつきましては、当該市町村の行政能力を勘案しながら委任の可否を検討いたしておる次第でございます。さらに、都道府県知事へ委任すべきこととされました、たとえば作業主任者の試験でございますが、これにつきましては、丙種化学主任者免状、第二種冷凍及び第三種冷凍機械主任者免状、それぞれ都道府県知事に委任されておる次第でございます。  最後にガス事業関係でございますが、これは原則として都道府県知事に権限を移譲せよと、ただ、ガス料金は違うではないか、こういう御意見に承っておるわけでございますが、私どもといたしましては、事業の許可、それから料金の規制、保安の規制、これを三者一体として考えておりまして不可分であること、もう一つは広域的な運用の体制をとる必要があるというたてまえからいたしまして、現在八つの地方通産局で仕事をやっておりまして、これで一体的に運用することが望ましいのではないかと考えておる次第でございます。
  190. 後藤達太

    ○政府委員(後藤達太君) 大蔵省関係につきましては、信用金庫の権限につきまして、信用組合と同様に都道府県知事に移譲してはどうか、こういう御指摘でございました。この点についてでございますが、結論から申し上げますと移譲はいたしておりません。この点についての私どもの考え方でございますが、信用金庫は信用組合と同様に地区の規定もございますし、組織も協同組織と相なっております。したがいまして、そこは信用組合に大変近い性格のものでございますが、機能の方は、現在の制度では信用金庫の場合には預金は一般預金を全部とってもよろしい。貸し出しにつきましても、制限はございますけれども会員外の貸し出しも認められております。為替取引も行える。したがいまして、銀行とか相互銀行に大変近い機能を持った制度に相なっております。かたわら、業容の方も最近大変大きくなりまして、全金庫を集めますと十六兆円ということでございまして、金融市場の中で九%ぐらいの規模を占めるに至っております。そういう角度から日本銀行の預金準備率の適用も受けるものが二百ほどになっております。あるいはまた大きなところは窓口指導の対象になっておると、こういうような状況でございますので、やはりこういうウエートの高い、あるいは機能がそういう開放的な金融機関になりますと、国の機関で統一的に指導監督をすべきものではないかと、こう私どもは考えておる次第でございます。
  191. 高橋弘篤

    ○政府委員(高橋弘篤君) 建設省関係につきましては、都市計画、道路、河川、それから砂防、地すべりと、四点でございました。  御承知のように、この答申の方針に基づきまして私どもやっておる次第でございますが、昭和三十九年に新河川法が制定されました。これによりまして、大体答申の考えどおりに河川の管理部門の整理を行いました。それから昭和四十三年には新都市計画法が制定されまして、都道府県知事に都市計画の決定等の事務を移譲いたしたわけでございます。道路につきましても、答申に書いてあるとおりのことで、道路五カ年計画の策定、全国的な道路網の設定、高速自動車国道の建設、管理、それから一般国道の大規模改築及び幹線的一般国道として指定区間がございますが、その指定区間につきましては、これは全国的、広域的観点から国の事務といたしました。その他の地域生活に密接に関係のある専務につきましては、地方公共団体において処理するということにいたしております。  ただ、砂防及び地すべり関係につきましては、この事務が国土保全上非常に重要なものであること、それから、これの指定によりまして私権の制限が相当加わるということ等がございまして、これにつきましては、答申ではこの指定を都道府県知事に委任すべきであるとなっておりますけれども、われわれといたしましては、そういう国家的な見地からいたしまして、主務大臣が指定することが必要であると考えておりますけれども、実際にこの指定に当たりましては、都道府県知事の意見を十分聞きながらやっておる次第でございます。
  192. 夏目忠雄

    ○夏目忠雄君 あと、農林省、運輸省。
  193. 大河原太一郎

    ○政府委員(大河原太一郎君) お答え申し上げます。  臨時行政調査会の答申に基づく勧告につきましては、当省関係は六件でございますが、答申を受けましてそれぞれ検討させていただいたわけでございますが、試験研究につきましては、高度の専門的技術を開発する研究につきましては国が行い、地域性の強いものについては都道府県が行うというような御指摘でございましたので、これはすでに措置済みでございます。  そのほかの点につきましては、先生御案内のように、農地転用について、あるいは農業基盤整備事業について、また漁港の指定について、あるいは農業協同組合連合会なり、農業共済組合連合会あるいは森林組合連合会の監督権の問題等々でございます。また、森林法に基づく保安林の指定解除の問題でございます。  これらにつきましては、試験研究の措置をした後種々検討したわけでございますが、それぞれについて申し上げてもよろしいのでございますけれども、たとえば農地転用につきましては、これは勧告以後の四十年度における広範な全国的な開発ブームに対しまして、やはり国土の総合的、計画的利用と、優良農地の確保というようなことと調整する必要があるというようなことでいろいろ慎重な検討を続けておるというのが現段階でございます。  また、農林協同組合連合会――農業、林業でございますが、この監督権の問題につきましても、その後これら連合会の信用なり、販売、購買あるいは共済というような事業が膨大な事業量に達しておりまして、その事業の成果いかんは、単に当該府県等の地域にとどまらず影響するところが大きいというような点もわれわれとしては考えざるを得ないし、また監督体制は、信用事業を行う連合会一つをとりましても、相当な大きな金融機関的な事業をやっておりまして、監督体制を整備するには高度の専門的知識を持った多数の人間を要するというような点もあるわけでございます。そういう点で、特に最近におきましては、全体の金融政策の一環として信用事業等を行う連合会の資金の運用等についても国としての統一的な規制を種々監督の面を通じて行う必要もあるというようなこともございまして、国に留保しておるというようなことでございます。  なお、残りの森林法につきましては、御案内のとおり、指定解除は森林法に基づきまして一号から十一号ございますが、そのうちの一ー三号、広範な地域の流域に影響するものについては国、農林大臣の権限に属しておりますが、四号以下十一号はすでに都道府県知事にお任せしてあるということでございます。  最後に漁港の指定につきましては、すでに指定すべき漁港もほとんど指定が終わっておるというような段階でございますし、さらに理屈を言わしていただきますれば、漁船の大型化に伴う水揚げ港の問題等については、やはり国全体としても漁業政策の視点から統一をしなくちゃならぬというような問題もございまして、なお検討をしておる。以上でございます。
  194. 高橋寿夫

    ○政府委員(高橋寿夫君) お答え申し上げます。  三十九年の御答申の中で私どもの関係しておりますところは、ハイヤー、タクシー事業に対する規制は地域的なものであるから都道府県知事に機関委任せよと、こういうことでございます。この答申が出る前から、タクシー事業につきましては、免許をした後の事業者の監督規制につきましては、すでに都道府県知事に機関委任いたしております。この答申の趣旨は免許の仕事、それから運賃の認可、これをそっくり全部都道府県知事にやらせろと、こういう御趣旨であると思います。結論はまだこの御趣旨どおりいってないわけでございますけれども、理由といたしましては、タクシーの行動半径が非常に広くなって、都道府県の境域を越える運行形態もずいぶんありますことと、あるいは、したがいましてバスその他の関連で路線のサービスの調整あるいは料金関係の調教等の問題がありますので、現存免許及び運賃につきましては、まだ地方に移譲いたしておりません。しかしながら、最近、ここ数年間、タクシーに限らず地方の交通サービスの問題というものが非常に地域社会と密接に関係を持ってきているということにつきましては、よく私どもも承知いたしておりますので、このタクシーの問題に限らず地方的な交通機関の監督に関する権限をどうするかという点について、基本的な立場に立ちまして検討してみたいと思います。今日現在、まだ結論は出ておりませんけれども、方向といたしましてはそういった方向で鋭意検討いたしたいと思います。
  195. 夏目忠雄

    ○夏目忠雄君 各省から十年間の経緯をお聞きしたわけでありまするが、それに対しまして、うなづける点もございまするが、私なりの反論もたくさんあるわけでございまするが、私がしゃべり出してしまうとまた時間がなくなってしまいますから、いずれそれは後の機会に譲ることにいたして、次の問題に入りたいと存じます。  国鉄関係の問題について次にお伺いするわけでございまするが、昨年一年間で、大体、ストもしくは順法ストといったようなものの被害額、これがおわかりでしたら教えていただきたいと思います。
  196. 加賀谷徳治

    ○説明員(加賀谷徳治君) 昨年の春闘が三月から始まっておりますので、歴年度一年で申しますと、春闘が三回ありまして、それを含めて八回ほど違法な闘争計画が組まれております。その間、三回はいわゆるストに入らないで済んでおるということでございますが、国鉄としての被害というのは、なかなかこれを正確に申し上げるのは非常にむずかしいので、推定が入ってしまうわけでございますが、現実に列車がとまったのはどのくらいかといいますと、大体旅客列車が十万本、これは都市近郊の電車とか何とか全部含めてでございますが十万本。それから貨物列車が約五万本。まあ十五万本ということになりまして、これはどういうことになるかといいますと、一日にいま列車が二万五千ぐらい走っておりますから、実質六日間とまったということが言えると思います。どのくらいの損害を受けたかということにつきましては、これは本当に推定になりますのではっきりしたことは申し上げられませんが、まあ得べかりし利益といったようなことを含めてあれしますと、二百億を超えるということになりますが、これは現実の損害とは正確には言えないというふうに申し上げたいと思います。
  197. 夏目忠雄

    ○夏目忠雄君 私がお聞きしたのは、国鉄さんの被害額もさることながら、国民全般にわたってストによってどの程度の被害を受けられたか、これはもちろん正確な数字は出っこありませんけれども、大体の国鉄さんの方の見当でも結構ですからお聞かせ願えますか。   〔委員長退席、理事柳田桃太郎君着席〕
  198. 加賀谷徳治

    ○説明員(加賀谷徳治君) これも大変むずかしい問題でして、まあ国鉄の国に果たしている役目がとまるわけでございますから大変な各方面の大きな影響があると思います。これはちっとどのくらいかと――事柄につきましては、たとえば宿屋がキャンセルになったとか貨物が送れなくなったとかいうようなことをわれわれは聞くわけでございますが、そういった場合には、たとえばあらかじめいろいろな手配をするというようなことやら何やら、できますことをいろいろやっております。そういったようなこともありますが、これは大変広範な影響があるということしか私どもにはちょっと申し上げるあれもございません。
  199. 夏目忠雄

    ○夏目忠雄君 これはおっしゃるとおり、推計すること自体が無理でございまするが、過般、一週間ほど前ですか、テレビ対談で、何といったか、ちょっといま名前を忘れましたが、被害額の話が出まして、大体一兆円から二兆円の間じゃないかというようなことを、これは無責任な数字でございまするが、大ざっぱな議論をされたのを私記憶いたしておりまするが、まあその数字が当たる当たらないは別といたしまして、国鉄さんの現在の赤字が約二兆円近く、これはしかし十何年かの累計赤字のはずであります。先ほどの推定被害額というものは一年、年間約一兆円でも二兆円でもあるいはその半分でも結構ですけれども、比べますと、これは国民経済全体にとって考えますると、国鉄さんの赤字問題よりもはるかに大きな赤字、被害問題だろうと思うのであります。これなど一体頻発するストによりまして――藤井総裁は総裁就任に当たりまして、管理職全般にわたって、異例の親展でございまするか、親書を何いたしまして、激励されたように承っておりまするが、この異例と思われる手紙をお出しになった背景なり決意なり理由なりお聞かせ願いたいと存じます。
  200. 加賀谷徳治

    ○説明員(加賀谷徳治君) 二、三年前になりますけれども、一時マル生問題で労使間の紛争が起こりましたことは御承知だと思いますが、そのために全般的に労使の信頼感と申しますか、そういったものがなくなってきたということも事実でございます。まあそれ以後、私どもその信頼感回復にいろいろ相努めるとともに、国鉄のような場合特にそうでございますが、現場における規律というものがしっかり確立されていなきゃいかぬということ、これがむしろ国鉄がこれまで休むことなく列車を動かしてきた基盤になっているわけでございますが、そういった点につきましても実は残念ながらそういった紛争後、現場の管理者の元気が少しなくなったというような問題がありまして、かなりいろんな紛争があった。そういった事実にかんがみまして、新しい総裁は、第一番にやっぱりこれの立て直しが必要であると、まあ労使という関係では一つの信頼感を保てるような政策をいろいろとっていけるわけでございますが、基本になる現場の規律というものは、もう厳しく対処していかなければならぬということ、要するにやるべきことをやらすと、仕事をしっかりやらすというたてまえが崩れては困るというようなことで、これが一番大事なことであるというような判断のもとに、過去一年以上、ほとんど総裁は暇を見ては現場へ出かけていって、現場の第一線の人といろいろ接触をして話し合いをされておる。大体総裁の人柄その他はもう現場も理解しておりまして、最近では大分元気が出てきておると、規律が保持されてきている。で、職場にいろいろなトラブルが起こるというようなことはまれになってきているというような状態でございまして、まあ私どもこれで安心するわけではございませんが、国鉄の基本問題はやはり現場の士気にあるという気持ちで今後とも対処してまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
  201. 夏目忠雄

    ○夏目忠雄君 現場の責任者がやるべきことは必ずやる、こういう方針で徹底されて御努力されておるようでございまするので、まずその責任者の一番のまた総責任者でありまする総裁に、ぜひやるべきことはやっていただきたいことがあるわけであります。それはMG簡易削正機の問題でございまするが、これを私が説明すると時間がなくなってしまうので、MG簡易削正機のことについて簡単に国鉄さんの方から御説明願いたいと思います。
  202. 加賀谷徳治

    ○説明員(加賀谷徳治君) 長野の松木の運転所でMG――電動発電機でございますが、それの簡易削正機を、非常にいいものを考案したということがございまして、試作品をつくりまして、それを使用しておったわけでございますが、先ほどもちょっと申しましたように、ちょうどマル生紛争の際に多少感情問題が起きまして、国労、動労の組合員からそれについてのいろいろな反駁があったというようなことで、いま現在ではそれを使用することを実は停止しておるということでございます。  この削正機といいますのは、運転所、運転区に入ってくる列車の短い周期での修理といいますか、そういったようなものに便利に使えるというものでございまして、まあ本格的に発電機をばらしていろいろ検査、修理をする場合には工場においてもっともっと精密な機械によってなされるということでございます。この機械自体については、これは各地区いろんな工夫をやって、いろんなものを用いてやっておることは事実でございまして、この松本運転所で考案されたものはその中でもかなり性能のいいものであるということは事実でございます。したがって、私どももいろいろ試作、試行した上で、まあ全国的にできれば広めたいというような気持ちは持っております。いろいろ現場で工夫、考案されますそういった機械につきましては、国鉄としてはできるだけ採用するものはどんどん採用してやっていくと、国鉄の現在の技術はそういったものによって積み上げられていると言っても過言じゃないと思うのですが、そういう姿勢はとっておるわけでございますが、現在、一時的な感情の対立で問題になっているということと、本格的にこれをどういうふうに使用していったらいいかどうかという技術的な問題、そういったようなものも残っておりますので、そういったものも検討したい。それから、現在におきましては、やはり労働組合について、これはまあ地方でやることでございますけれども、そういう感情のしこりを解くように努力しておるということでございます。現在使用停止しておるということにつきましては、まことに遺憾なことでございますが、鋭意これについても使用再開できるように努力しておるということで御理解願いたいと思います。
  203. 夏目忠雄

    ○夏目忠雄君 そこで、この簡易削正機を使った場合の費用と、工場へ持っていって修繕した費用の単価の差をちょっと御説明願いたいと思います。
  204. 加賀谷徳治

    ○説明員(加賀谷徳治君) それもちょっと厳密な資料はいま持っておりませんが、非常に製作費用も安うございますし、性能もかなりいいものであると、扱いも簡易であると、人件費を節約できるまでいくかどうかわかりませんが、まあ非常にそういった意味ではいいものであるということでございまして、そういった費用の比較につきましては、ちょっと私いま存じておりませんが、実際問  たとえば工場へ行かぬで済むからいいということになるのか、また、大きな周期での修繕とか検査とかになりますと、いずれやはり工場へ入って全部ばらした上でほかのものも含めていろいろやらなければならぬものでございますから、そういう意味では実際の車を毎日運行しております区の保守といった場合に非常に便利に使われるのじゃなかろうかというふうに思われるわけでございまして、費用比較は実際問題、非常にむずかしかろうと思います。
  205. 夏目忠雄

    ○夏目忠雄君 実はその問題の大久保君に私は会ってまいったのでありまするが、昭和四十三年三月、大久保君が初めてこの簡易削正機を開発して直ちに松本運転所では使用開始をしたのであります。その後四十八年の五月になりまして使用が中止になった。これはいまおっしゃったような理由のようでございまするが、皮肉なことに、四十八年五月使用中止になった翌々月、四十八年の七月に科学技術庁長官の賞を受賞されておるわけであります。で、これが四十九年の六月、また七月一日から使用開始することで妥結を一たんはしたのでありまするが、またやはりいま申し上げたような組合内部の方の感情問題でこれがだめになったということでございまして、これは大蔵大臣にもぜひお聞きとり願いたいのでございまするが、いま両者の費用の比較がはっきりしなかったのでありますが、これは私は行って調べてまいったのでありまするから間違いございませんが、これを工場へ持っていって修繕した場合の単価は大体六万円から七万円でございます。取りつけ、取り外し、運搬費はもちろん別でございます。この簡易削正機でやりますると、取りつけ、取り外しも要らなく、運転所の中でもって一人がせいぜい短時間でこれができ上がり、しかもその成績はきわめてよくて、最近になりましても、近鉄さんその他私鉄の方からぜひ使いたいからという話が大久保君のところへ来ておるようでございます。つまり費用がてんで比較にならないほど違う。これが普通の経営であったなら、こういうものをみすみす使うべきものを使わぬでいたら、これは重役は首ですわ。ところが、どうも感情問題でうまくいかないなんて言って、実に何年間でございまするか、長い年月にわたってそのままにさせておる。これは国鉄の予算を査定なさる大蔵大臣としてもお考えになってしかるべきものじゃないか、かように思いまするが、御所見のほどを一つ。
  206. 大平正芳

    ○国務大臣(大平正芳君) きょう初めて伺ったケースでございますので、よく実情を聴取いたしまして検討してみたいと思います。
  207. 夏目忠雄

    ○夏目忠雄君 そこで国鉄さんにぜひお願いしたいんですが、藤井総裁が、やるべきことは現場の責任者に必ずやれ、後は引き受けたと、それだけ強い親展書を出しておるその一番の御大将がやっぱりやるべきことをやらぬことには、何だあんなことを言ってきたってというような調子で、それはとても下の者は言うことを聞かぬ。もう一度ひとつぜひ国鉄さんから、近いうちにひとつあらゆる努力を払って使うようにしたいというふうにお答えを願いたいと思います。
  208. 加賀谷徳治

    ○説明員(加賀谷徳治君) いまの先生のお話、ごもっともでございまして、私ちょっと言葉足らずだったのであれかと思いますが、簡易削正機はあくまでも簡易なあれでございまして、工場へいずれは入れて、電動機を全部ばらしてやらなきやならぬというような修理修繕も必要である、いろんな工程の中で組み込まれて使われるものであると。それからこういったようなたぐいのものは、各所でいろいろな工夫もなされていろいろ使われておるわけでございまして、そこの単純な比較はそこだけではできない。もちろん、性能が非常によくて非常にいいものであるということは、総裁としても認識しております。したがって、早くやはり――松本にいま一基あるわけでございますから、使用を再開するようなことになりまして、そういったものの成果をさらに確かめて対処したいという気持ちは持っておるわけでございます。そういう点でやるべきことはやると、あるいはそういった創意工夫というものはどんどん取り上げてやっておるということだけは、ひとつ十分に御理解願いたいと思います。
  209. 夏目忠雄

    ○夏目忠雄君 まだ現実の御認識がちょっと足りないように思いまするので、つけ加えます。  昭和四十九年の三月、このMG簡易削正機の使用をやめたため、MGの補修ができず、春の臨時列車の運用確保ができないで、工場は、国労に見つけられぬように日曜日に松本運転所に助役が来で、大久保氏に頼み、削正機を使ってとりあえず十五基のMGを削正した。このために春の臨時列車は予定どおり運転することができたと、こういうふうに現地では言うております。どうぞもう一遍ひとつ……。
  210. 加賀谷徳治

    ○説明員(加賀谷徳治君) まあいまの事例も、短い周期での問題を解決する、だからそういう意味では非常に性能がいいということは言えるわけでございます。先生いまおっしゃるとおりでございまして……
  211. 夏目忠雄

    ○夏目忠雄君 便利で性能がいいものだったら、お使いになったらいかがですか。
  212. 加賀谷徳治

    ○説明員(加賀谷徳治君) いや、そのとおりでございまして、そういったものをどんどん採用する方針は国鉄総裁としては十分に持っておると。いま現在、一応松本運転所だけの問題について言いますと、これは組合員同士の感情問題でそういうかっこうになっておりますので、これをできるだけ早く解消してやりたいということでございます。
  213. 夏目忠雄

    ○夏目忠雄君 まだ申し上げたいのですが、時間が来てしまったので、最後に一つだけ。  とにかく、国民に非常に迷惑をかけるストが団交とほとんど無関係で、言うならば、無用のストがきわめて多発しているように私には思えます。果たしてそれは民間ベースで考えたなら、ストをやらなけりゃならなかったかどうだかということは、国民生活にとりまして重大な問題でございまするので、ぜひ公労委なり何なり適当な機関において、ひとつストの実情を調査するような御指導を、これは運輸省か、労働省か、どちらでも結構です。ひとつお答え願いたいと思います。
  214. 後藤茂也

    ○政府委員(後藤茂也君) 先生の御指摘のように、ストの態様が、現に定められております法律に違反するという形でスケジュールを組んで行われているということは、きわめて遺憾に存じます。また、先ほどからいろいろと発生御指摘のように、国鉄の労使関係につきまして、国鉄当事者がやるべきことをやらぬという御叱正の言葉と受け取りまして、国鉄を監督する立場にありますわれわれとしても同じくその御叱正を厳しく受けとめて、今後ともしっかりした措置を行い、国鉄の再建に努力いたしたいと存じております。
  215. 夏目忠雄

    ○夏目忠雄君 もう一つ……。
  216. 柳田桃太郎

    ○理事(柳田桃太郎君) もう時間が来ておりますから、簡単にお願いします。
  217. 夏目忠雄

    ○夏目忠雄君 私は、この問題で国鉄の関係者にたくさんお会いしたのでありまするが、そのときに大体底流として、国鉄さんのような二十万人もの現業者を抱えておるところで、やはり学士さんの昇進ルートが、エリートという点が非常にやはり底流に、この何というのですか、うまくいかない原因の一つになっておるようであります。で、文部大臣は企業に向かって、学歴偏重をぜひやめるように大変御熱心にやっておられるようでございまするが、まず、国鉄さんを初め各官庁に、ひとつ学歴偏重をおやめになるようにお話し合いをするお気持ちはおありでしょうか、お聞かせ願いたいと存じます。
  218. 永井道雄

    ○国務大臣(永井道雄君) 国鉄の学歴構成というものがどういうふうになっているか、つまびらかに存じませんけれども、これは検討いたしました上で、やはり御協力を要請して――そういう学歴構成というふうなものがわかることが非常に必要であれば、ぜひ研究といいますか、調査に御協力をお願いしようと思っております。
  219. 夏目忠雄

    ○夏目忠雄君 最後に国鉄さんに、ぜひやるべきことは断固としておやりになって、ストをそうおっかながらないで、国民の厳正な批判は必ずあるはずでありまするから、ストはおっかながらないで、大いに総裁の親書を現実に生かすように御期待申し上げまして、質問を終わります。
  220. 柳田桃太郎

    ○理事(柳田桃太郎君) 以上をもちまして夏目忠雄君の質疑は終了いたしました。(拍手)   〔理事柳田桃太郎君退席、委員長着席〕     ―――――――――――――
  221. 大谷藤之助

    ○委員長(大谷藤之助君) 柏原ヤス君。(拍手)
  222. 柏原ヤス

    ○柏原ヤス君 最近母乳を見直そうという声また母乳運動が小児科のお医者さん、またお母さん方を中心にして盛り上がっております。この日本民族総ミルク化、このようになりかねないこの現状で、母乳栄養の減少した原因は何か、厚生大臣はどうお考えでしょうか。
  223. 上村一

    ○政府委員(上村一君) 母乳育児が減少した原因と考えられますものは、一つは病院でミルクを与えられているということ、それからもう一つは母親が疲れるというふうな理由、一つは粉ミルクの方がよいと言われる理由、もう一つは美容上乳房の形が悪くなるというふうな考え方があること等でございます。
  224. 柏原ヤス

    ○柏原ヤス君 大臣、ほかにございますか。
  225. 田中正巳

    ○国務大臣(田中正巳君) ただいま児童家庭局長が申したとおりでございまして、ことに最後の問題などは、もってのほかだというふうに思っております。
  226. 柏原ヤス

    ○柏原ヤス君 政府が何も手を打たなかったということの御反省はございますんでしょうか。ありますんでしょうか。
  227. 田中正巳

    ○国務大臣(田中正巳君) 手を打たなかったということについては、一応反省をいたしております。しかし、最近これについては、厚生省当局も母乳の効果というものに着目をいたしまして、いろいろと対策を立て、母乳によって乳児を保育するようにいろいろと勧奨に努めておるわけであります。  なお、余計なことでございますが、五十年度予算で母乳バンクというものを予算要求をいたしましたが、技術的な詰めが不十分でございまして、この予算は実現をいたしませんでした。しかし、これをめぐりまして、母乳に対する見直しというものが非常に高まったということは、これはまあ望外の一つの利益だったというふうに思っております。
  228. 柏原ヤス

    ○柏原ヤス君 ただいま母乳バンクのことが大臣から出ましたので、母乳運動から考えますと、母乳バンクの趣旨というものはむしろ逆行じゃないか、こう思っております。また、新規として打ち出された予算が、こうした母乳運動が盛り上がっているときにゼロになった。これに対して大蔵大臣はどういうお考えでゼロになさったのか。
  229. 上村一

    ○政府委員(上村一君) 私ども母乳バンクを考えましたのは、一つは、そこの母乳バンクを持っておる銀行で出産前から母乳分泌の保健指導をしようと、お母さん自身がお乳が出るように指導しよう、というのが一番大きなねらいでございます。同時に、その病院では、新しく産まれた子供というのは全部母乳で育てると。そのほかに、母乳が出ないお母さんのために、もらい乳をしようと、そのもらい乳に着目してバンクと言っておるわけでございますが、私ども、母乳で育てるということはきわめて大事であるというふうに考えておりまして、母乳バンクというのは一つのシンボルと考えたわけでございますが、それがつぶれたからといって、母乳推進運動というのは=もゆるめるつもりはございません。
  230. 柏原ヤス

    ○柏原ヤス君 厚生大臣にお尋ねいたしますが、最近非常に発達しました育児用粉ミルクにもいろいろな弊害が取り上げられております。この人工栄養にどんな弊害が起こっているのか。政府はこれに対して調査をされていると思いますが、それをお聞かせいただきたいと思います。
  231. 上村一

    ○政府委員(上村一君) 一番大きな弊害は、その栄養方法別に乳児の死亡率を見ました場合に、母乳による育児を一といたしますと、人工栄養による死亡率は四倍でございます。それから幾つかの病気について見ますと、たとえば呼吸器の感染等について見ると、母乳育児に対して人工栄養というのは二倍近い。その他の病気、大きな病気では、胃腸病のようなものは十三倍ぐらいの出現率があるわけでございます。
  232. 柏原ヤス

    ○柏原ヤス君 幼児の虫歯の原因となっているということはお認めになっていないんですか。
  233. 上村一

    ○政府委員(上村一君) 歯科の方のデータは持ち合わせございません。
  234. 柏原ヤス

    ○柏原ヤス君 これについても御研究いただきたいと思います。  それからもう一つ、この現象の面にあらわれていない心の中に、母乳に人工栄養、いわゆる粉ミルクが置きかえられてしまっている。人工ミルクでも母乳を与えたのと同じだという、そうした考え方が一般にもう徹底してしまった、こういう精神的な物の考え方というものに対する弊害をお認めになっているかどうか。これは大臣にお願いいたします。
  235. 田中正巳

    ○国務大臣(田中正巳君) お説のとおりだと思います。
  236. 柏原ヤス

    ○柏原ヤス君 これは非常に根強い問題でございまして、母乳運動の一番むずかしさがここにあるんじゃないかと思うんです。  で、次に、去年の五月に、WHOの総会で母乳保育について決議がございました。また、同じ十一月には、シンガポールでPAGがやはり乳児及び乳幼児の栄養についての政府の役割りという問題を勧告しておりますが、これに対してどういう対策をなさいましたか。大臣、お願いします。
  237. 上村一

    ○政府委員(上村一君) 昨年の五月のWHOの場合は、五項目でございますが、政府に対して進めるような総会の確認があったわけでございますが、その中で、たとえば、授乳期に家庭外で働く母親たちに対して乳児に母乳を与えることができるような勤務時間を設定する等適切な社会対策をとれとか、あるいは母乳保育推進に関する活動を強化しろとかいうふうなことが言われておるわけでございます。私ども昨年来、母乳が人工乳にまさることが非常に大きいものであるということを大いにPRすると同時に、研究班等を組織いたしまして、母乳の、何と申しますか、より詳細なデータを把握するように努めておるわけでございます。
  238. 柏原ヤス

    ○柏原ヤス君 この決議の中に、母乳栄養がこのように減少したのは誤った商業主義の結果だと、こう指摘しております。これは両方非常に厳しい指摘があるわけですが、大臣いかがですか。
  239. 田中正巳

    ○国務大臣(田中正巳君) 一部には、確かにそのようなことがあるというふうに思っております。そこで、われわれも、そういったようなことを何とかなくするようにいたさなければならないと思いまして、たとえば誕生の祝いにおみやげミルクなどというものを出しておったようでございますが、これはやめさせるようにいたしましたのも、そういう趣旨にのっとった対策の一つでございます。
  240. 柏原ヤス

    ○柏原ヤス君 いま大臣が一部にとおっしゃったんですが、私、大臣、もう少し現状というものを厳しくごらんになるべきじゃないかと。しかも、WHOの勧告にすら出されていること。一部だけじゃございません。  まあそこで水かけ論をしていてもだめだと思いましたので、ここに現物を持ってまいりました。これは依然としてミルクプレゼントは廃止されておりませんよ、私の調べた範囲では。もう大変なもんですね。現物がどんなふうに配られているか。この五百グラム――こういう、これ五百グラムです。これが二かんですよ。それからこれに哺乳びんがついている。中には、こういう小さいのは、これ二つですよ。それから大きなデパートで売っているようなおみやげ袋の中に、もう明治、森永その他いわゆる一流のミルクのかんですね、こういう大きいの。それから水差しだ、ミルクをはかるじょうごだ、アルバムだ、おむつ洗いだ、洗剤だ、もう一荷物配られている。  それで私もう少し申し上げたいんですけれども、こういう現物のおみやげはやめたところもあるわけですね。ところが、本当にやめているかというと、そうじゃないのです。こういうものが渡っているのですね。これ、引きかえ券。現物は渡していませんけれども、この引きかえ券、これを薬屋に持っていきますと、これがちゃんと渡るんですね。それから、こういうはがきが渡されるんです。このはがきは、薬屋さんに持っていって――これは買わなきゃならないんです。買いますと、このふたの中に、あけますと、こういう品質検査証というカードが入っているのです。品質検査証じゃないんですよ、これ。この紙をここへこう張るんですね。張って、その買った薬屋に渡すと、ちゃんとまたもう一個来るわけなんですよ。こういうだんだん巧妙なやり方でミルクプレゼントが行われている。こういう点、公取委員長はどうお思いになるんでしょうか。私は、これは独禁法の違反じゃないかと、そこまでに考えております。御意見をお願いいたします。
  241. 後藤英輔

    ○政府委員(後藤英輔君) 先生御指摘のような、ミルクのメーカーが入院されている方に粉ミルクを提供する、あるいはまた、引きかえ券を提供するという行為は、昨年ぐらいまでは一般的に慣行として行われておったようでございますけれども、最近、業界の方でもやや自粛いたしておりますということを聞いておりまして、最近では、先生いま御指摘のような形でもって、応募券というようなものを入れた御祝儀袋、これを出産祝いとして提供いたしました。
  242. 柏原ヤス

    ○柏原ヤス君 これですよ。
  243. 後藤英輔

    ○政府委員(後藤英輔君) はい。そういうようなものを入れて、その中にパンフレットと、それから応募券を入れる。で、応募券を持って粉ミルクを買いに行った場合には、その粉ミルクについている先生御指摘の品質検査証につけてメーカーの方に送り返しますと、メーカーの方から、粉ミルクではございませんで、たとえば、これはある例でございますけれども、パウダーとか体重早見表とか、そういったようなものを景品としてつけておるという実情は聞いてございます。これらは、いずれも景品表示法でいまのところ一般的には禁止いたしておりませんけれども、私どもいま景品表示法でもって景品提供の限度についての告示を検討いたしておりますので、その際に、こういうような慣行もあわせて検討して、しかるべき措置をとる必要があればとらなくちゃいかぬと、そのように考えております。
  244. 柏原ヤス

    ○柏原ヤス君 公取委員長にお願いいたしますが、これは本当にまだ依然として行われておりますので、ぜひ御調査、そして御検討、そして結論をちゃんとお出しいただきたいと思います。
  245. 高橋俊英

    ○政府委員(高橋俊英君) ただいまも取引部長から述べましたが、結論はまだいまのところ出ていませんけれども、いわゆるそういうのは一種のべたつき商品ということですね。要するに、無差別にくれる。これが過大になれば、やはりそれはいわゆる公正な取引とは称しかねるわけでして、それはやっぱり、いま取引部長が申しましたように、ただいま検討中でございますから、何らかの結論を出すように努力いたします。
  246. 柏原ヤス

    ○柏原ヤス君 厚生大臣、いかがですか、一部にとおっしゃいましたけれども。
  247. 田中正巳

    ○国務大臣(田中正巳君) 先生さっきから一部にという言葉がお気に入らぬようですが、私の言ったのはそういう意味じゃないのでありまして、たとえば、容姿が悪くなるとかなんとか、ほかの理由でまたそういうことをやるものもおるというわけでありまして、そういう趣旨に御理解を願いたい。  なお、本件については、そういう方針を厚生省として定めておりますので、不徹底な向きがあるならば、さらに一段とその点について行政指導を確立したい、確実にやって実施できるようにいたさなければいけないというふうに思っております。
  248. 柏原ヤス

    ○柏原ヤス君 まあ、くどいようでございますが、もう厚生省の力によらなければ、これはとうていやめさせられないと思います。現に、国立病院でさえやっているんですよ。厚生省は母乳を奨励すると、こう言っていながら、こうした商業主義の弊害をやめさせなければ母乳運動というものは私は一歩も前進しないんじゃないか、かけ声だけだと、こういうふうに思います。ですから、いま大臣がおっしゃったように、自主的に業界もやめると言ったんですから、政府としては、どんどんそれをやめさせるように、また、やめているところを現場調査して見届けていただきたい、こういうふうに思います。大臣いかがですか。
  249. 田中正巳

    ○国務大臣(田中正巳君) 厳しくやろうと思います。
  250. 柏原ヤス

    ○柏原ヤス君 よろしくお願いします。
  251. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 関連。  先ほど柏原委員の質問の中で母乳と齲蝕との関係、虫歯との関係が出ましたが、まだ全然調査されていないということですが、すでにこれは小児歯科学会でも問題になっていることです。要するに、最近、母乳をとらないから子供の虫歯がふえる、そういう相関関係はデータとしてすでに発表されております。厚生省として、それを掌握していないというのははなはだ怠慢であると思います。これが一つ。この点についてどうお考えになっているか。  それから、先ほども指摘がございましたが、最近の、ミルクはますます砂糖分がふえてきております。だんだん甘くなっているわけです。最近ようやく砂糖のない、甘味料の余り入っていないミルクをつくったところが出てきました。こういった意味で、いま歯科の問題が非常に大きな社会問題となってきておりますときに、やはり虫歯の予防というのは徹底的にやらなくちゃいけないわけですが、いままでの厚生省の少なくも虫歯に対する行政指導なりやり方というのは、はなはだ私にとっては遺憾なことが続いてきたわけです。そういった意味で、このミルクの問題は、やはり母乳の推進とともに、現在あるミルクの中の砂糖、あるいはこういった甘味料の含有量をどうするか、この点についても検討してもらわなくちゃ困ると思うのです。その点について厚生大臣のお考えをお伺いしたいと思います。
  252. 上村一

    ○政府委員(上村一君) 最初にお話しになりました虫歯の問題でございますが、私ども一般的に、いろんな病気について母乳の方が罹患率がはるかに低いという、その中に虫歯もあるということは承知しておりますが、具体的なデータの持ち合わせがなかったわけでございます。  それから、何と申しますか、母乳の栄養成分というのが牛の乳に比べましてはるかに人間の子供に向いておることは言うまでもないことでございますので、(笑声)いや、お笑いになりますけれども、そういう認識がはなはだ欠けていたのが、いままでのお母さん方の気持ちだったと思うんです。そこで、母乳を大いに推進するつもりでございますし、赤ちゃん、少なくとも生まれてから一月半までの子供については絶対に母乳で育ててもらいたいというふうに考えておるわけでございます。同時に、虫歯の予防についても、当然厚生省としてはやらなければならない問題であるというふうに考えております。
  253. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 私の質問に答えていないんですよ。要するに、もちろん母乳の推進もやらなくちゃいけませんが、現実問題としてミルクが飲まれているわけですが、そのミルクの中の虫歯の原因と考えられるような砂糖とか、そういった甘味料についての含有量の制限もやらなくちゃいかぬのじゃないか。最近ますます甘くなっているんです。お菓子も含めてやりたいんですが、これはまた私は場所を変えてやりたいと思いますが、その点について厚生省としてどうするか、あるいは法律をつくるか、あるいは行政指導でもっとやるか、また、そういった因果関係はもっと研究――まあ、いまかなり研究もされておりますけれども、そういった点で、厚生省はいままで全然目を向けてこなかったんです、そういった方には。その点をこれからどうするのかと御意見を聞いているわけです。大臣、これひとつ答えてください。
  254. 石丸隆治

    ○政府委員(石丸隆治君) 先生御指摘のように、特殊調製粉乳の中の庶糖含有量につきましては、非常に商品によりまして千差万別でございます。ただ、最近の製品は、先生御指摘のように、非常に庶糖含有量を少なくしておる傾向にございます。特に、ある会社の製品につきましては、これをゼロというような製品が出てまいっております。これを法律的に規制するか否かということは非常に問題があろうかと思いますけれども、できるだけそういった弊害の起きないような方法でこれを指導してまいりたいと思っております。
  255. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 大臣、どうですか。
  256. 田中正巳

    ○国務大臣(田中正巳君) 母乳推奨運動、これについては、確かに先生御指摘のとおり、われわれがこれに手を染めたのは遅過ぎたというふうに思います。しかし、気がついた以上は、これを進めなければならぬと思っておりますので、あれやこれやの方法をもって、これを強力に推進をいたしたいというふうに思っております。  そこで、母乳に対してこの種の粉乳等がいろいろ育児のためにまずい点というのが多々指摘されているわけでございますから、したがって、やはり母乳によることのできない乳児もおるわけでございますから、こういうものに対しましてできるだけ弊害が少なくなるよう、また、これについてもあれこれの手を打たなければならないと思いますので、早速、役所内部で、いろいろな部局においてそういう対策を立てるように考えてみたいと思っております。
  257. 柏原ヤス

    ○柏原ヤス君 それでは、粉ミルクの表示についてお聞きいたします。  これは四十六年の四月に、日本消費者連盟が育児用粉ミルクについて取り上げて、厚生省に要望書を出しております。この内容は九項目にわたっておりますが、厚生省はこれに対してどんな措置をおとりになりましたか。――(「いまやっているんじゃだめだ」、「九項目の内容がわからないんじゃないか」と呼ぶ者あり。)
  258. 田中正巳

    ○国務大臣(田中正巳君) 確かにそのようなものが来ているそうでございますが、実は、薬事法上の御指摘だったようでございまして、私はそこまでは実は存じておりません、正直言って。いま薬務局の者が来ておりませんものですから、したがいまして的確な御答弁ができませんので、後ほどこれは答弁をさせたいと思います。
  259. 柏原ヤス

    ○柏原ヤス君 それではよろしくお願いします。  公取委員長にお伺いいたしますが、同じく消費者連盟が育児用粉ミルクの表示について、「はじめて母乳そっくり」とか「母乳化」とか、「自然なミルク」、こういうのを取り上げて、これは不当表示ではないか、こういうように申告しております。また、「アレルギーの原因になる抗体を作らないよう配慮した」とか言っているんですね。こういうのは不当表示ではないかと、やはり申告しておりますが、公取委員長はこれをどのように処理なさいましたか。
  260. 後藤英輔

    ○政府委員(後藤英輔君) 昭和四十六年四月二十四日付でもって日本消費者連盟から先生御指摘のような申告がございまして、当時直ちに調査いたしまして、その結果、「母乳化」あるいは「母乳と同じ」というような表現はやはり景表法の不当表示に当たるおそれがあるということで、関係の――当時五社でございました。明治乳業、雪印乳業、和光堂、森永乳業、日本ワイス社、この五社に対しまして警告を行いまして、これらの問題の表示についての是正をいたさせまして、その結果、たとえば「画期的な高度粉乳・母乳化粉乳です」というような表現は、「できるだけ母乳の組成に近づけた育児用粉乳です」というような表現に改めさせましたし、それから「赤ちゃんに母乳栄養を与える」という表現は、これは全面的にいけないということで削除させる等是正の措置をその当時とらせました。
  261. 柏原ヤス

    ○柏原ヤス君 そこで、現在書かれている粉ミルクのかんの表示がどうなっているか、ほとんど変わっておりません。改まっておりません。これも水かけ論になりますから証拠を調べてまいりました。これはある会社のですが、「母乳のように」とか、また、「母乳に近づけました」、「母乳同形の平衡乳糖や」なんて書いてあるんですね。もう一つのほうは、「健康母乳に近いミルクで」とか、「母乳に近似した」とか、「母乳とほぼ同量のミネラルを含んでおります」とか、「母乳に質量ともに近似した脂肪と糖が」なんて書いてある。ひどいのは、たった四項目のことを説明するのに、「母乳の組成に近づけた」ということばが八カ所も出ているわけなんですよね。そして、もうちょっと手の込んでいるのは、「母乳にないリノール酸など」が入っていると、そして「消化吸収がよくなりました」、母乳にもないようないいものが入っている、母乳よりもっといいんだよと、こういう簡単な、母親の頭に入るような、こういう表示がもういっぱいです。私はこれはやっぱり問題だと思います。公取委員長、いかがでしょうか。
  262. 高橋俊英

    ○政府委員(高橋俊英君) 昭和四十六年当時に訴えられた項目は、もっと実はひどかったですね。もっとひどかったので、それで直さした結果がそうなっていると、私は聞いています。しかし、やはり、あまりしつこく何回も何回もやると、人は魔術にかかったように、そう信じ込むという効果がありますから、いまお話を承りまして、もう一回、取引部に再検討さしてみて、差し支えないかどうか――非常にむずかしいです、その表現の問題でございますから。大変デリケートなんで、全くいけないと言うと、広告しちゃいけないと同じようになっちゃいますから、そこがむずかしいんです。母乳と全く違うというふうに表現するというわけにもいきませんからね。その度合いの問題なんでして、これは、ぜひひとつ、取引部にもう一回、少し誇大広告になりやせぬかという点を検討さしてみたいと思います。
  263. 柏原ヤス

    ○柏原ヤス君 厚生大臣に伺いますが、ここに書いてあるんですが、特殊調製粉乳と。これはどういうミルクですか。
  264. 石丸隆治

    ○政府委員(石丸隆治君) これは、いわゆる乳等省令という省令でこの定義がきめてございますが、乳製品に母乳の組成に類似させるために必要な栄養素、それから、そういったものを混和して粉末状にしたものを特殊調製粉乳と言っております。
  265. 柏原ヤス

    ○柏原ヤス君 だから私は大臣に特にこれをお伺いしたんですね。こういうふうに、特殊調製粉乳はこういうものだと言っているから、メーカーとしては、「母乳に近い」とか「母乳のように」というふうに表現をする。そうなると思います。だから、厚生大臣のこの定めた省令に原因があるんですね。責任は厚生大臣のあなたにあるんですよ。いかがですか。
  266. 田中正巳

    ○国務大臣(田中正巳君) やはり、乳児については母乳によることが望ましいわけでございますが、しかし、母乳によることのできない乳児がおるわけでございまして、かような乳児に対して、できるだけやはり母乳に近いものを与えるということも一つ必要かと思いますが、しかし、そのことがまた悪用されて、母乳によることができるものについて母乳によらなくてもいいんだというふうな印象を与えるようなことは慎まなければならないと思いますので、そうしたことについて今後さらに前向きに検討をいたさなければならぬと思います。
  267. 柏原ヤス

    ○柏原ヤス君 それでは、特殊調製粉乳の特殊というものを私は取るべきだと思います。大臣いかがでしょう。調製粉乳でいいと思います。
  268. 石丸隆治

    ○政府委員(石丸隆治君) 一応、調製粉乳と特殊調製粉乳とは区別してわれわれ使っておるわけでございまして、普通の調製粉乳といいますものは、普通乳製品に微量栄養素を加えただけのものを調製粉乳と申しております。それから特殊という言葉がつきますと、この乳製品の中のいわゆる脂肪分が、母乳と牛乳等では少し違うものでございますので、その脂肪分をほかのもので置きかえまして、できるだけ母乳に近づけたもの、この微量栄養素以外にもそういった操作を加えたものを特殊調製粉乳と申しております。
  269. 柏原ヤス

    ○柏原ヤス君 調製粉乳はあるんですか、ないんですか。ないんでしょう。名前だけじゃないですか。
  270. 石丸隆治

    ○政府委員(石丸隆治君) 現時点におきましては、この調製粉乳というものの商品は出回っておりません。
  271. 柏原ヤス

    ○柏原ヤス君 ないでしょう。出回ってないんですよ。だから、特急というのはあるけれども急行はないと、だったら、その特急は急行じゃないですか。(笑声)どうですか。
  272. 石丸隆治

    ○政府委員(石丸隆治君) まあ、この普通の調製粉乳、かつてはその商品があったわけでございますが、現時点におきましては、だんだんなくなって、すたれてまいったものでございます。そういった意味におきましては、この乳等省令におきます調製粉乳の分類が現状に合っていないというような点もあろうかと思いますので、今後検討さしていただきたいと思います。
  273. 柏原ヤス

    ○柏原ヤス君 そこで、母乳に近づけたということを特に強調させる必要はないと思うんです、表示で。私は育児用粉ミルクが必要ないと言ってるんじゃないんですね。母乳の出ない人、出の悪い人、どうしても必要な人、そういう人のために、何だか読んでもわけのわからないようなこの成分を書いているわけです、大臣がそういうのをきめたから。そうして、その言葉の間々にある、その母乳化だとか、母乳に近いとか、母乳に類似したというような、そういう言葉だけがお母さんの頭に入っちゃう。こういう書き方を私は改めていただきたいと言うんです。それで、これは私はミルクの会社の意図的な表現だと思うんですね。だから、正しい粉ミルクの使い方とか、厚生省が母乳運動を展開してるんですから、母乳に対する方針があるはずですね。また、特に新生児には母乳を与えなくてはいけないんだと、こういうような指導性のある表示を明快に書かせるべきではないか。これは大臣検討なさるとおっしゃったんですから、私個人の意見として申し上げておきます。
  274. 田中正巳

    ○国務大臣(田中正巳君) その種の粉乳について成分表示をすることは厚生省令で定められております。また、成分表示も一応の意味はあるわけでございまして、一部には強い要請もございますから、成分表示をあながち取ってしまうことがいいかどうかは問題だと思います。問題は、私は、不当な表示をして母親を誤らせるということがいけないんだというふうに思いますから、そういうことについては、さらにひとつ検討いたして、母親をかりそめにも誤らせることのないように指導をいたしたいというふうに思っております。
  275. 柏原ヤス

    ○柏原ヤス君 これは、政府が母乳運動をやると、これは大変なアドバルーンを上げたわけですが、明確なスローガン、これを立てるべきだと思いますが、準備されておりますか。
  276. 上村一

    ○政府委員(上村一君) スローガンというほど大げさなものじゃないわけでございますが、指導の方針といたしまして三点。一つは、一・五カ月、約六週間までは母乳のみで育てようということ、第二点は、三カ月まではできるだけ母乳のみでがんばろうということ、第三点としましては、四カ月以上でも安易に人工ミルクに切りかえないで育てようと、こういう三つのスローガンで母乳運動を推進しております。
  277. 柏原ヤス

    ○柏原ヤス君 非常にいいスローガンですから、これは実績を上げるようにしていただきたい。  それで、私気づいた点を二、三申し上げたいんですが、この母子健康手帳というのが出ておりますね。ここの「栄養」のところが全然だめなんですね、書き方が。政府が母乳運動をやっているというようなものが反映されておりません。私はここにその政府のりっぱなスローガンを書くべきだと、それから「新生児についての注意」というところには、特に初乳が絶対必要なんだということを私は書いていただきたい。同じ「栄養」のところで、乳児期のところの栄養のところは初乳が大事だということは書かなくてもいいけれども、新生児のところには書いていただきたい。  それからもう一つは、産婦人科医に母乳に対する再認識指導を徹底的にやっていただきたい。あのお産をしている病院の中でもう決まっちゃうんですね。
  278. 上村一

    ○政府委員(上村一君) いま御指摘受けましたように、母子健康手帳等、そのほかにも母親学級なり新婚学級で育児の指導等するわけでございますが、そういう資料に、今後は、最近の研究、特に最近母乳の効果についていろんな新しい知見が出ておりますので、そういった研究の成果をできる限り反映させるように進めてまいりたいと思います。  それから産婦人科の先生方にどうするかという問題でございますが、この問題につきましても、特に最近、産婦人科のお医者さん方の集まりでございます日本母性保護医協会等も、この母乳で育児をすることについて強い姿勢を示されるようになってまいりましたので、相携えて進んでまいる腹づもりでおります。
  279. 柏原ヤス

    ○柏原ヤス君 厚生省を中心にして申し上げたんですが、文部大臣にお願いでございます。これは高等学校教育の中に幼児保育のことが取り上げられているわけです。これは厚生省だけの問題ではございません。国民の健康を守るという意味でも、若い人たちにこの点を教育の上から十分に力を入れていただきたい、いかがでしょうか。
  280. 永井道雄

    ○国務大臣(永井道雄君) 先ほどからのお話を承りまして、大変重要な御指摘であるというふうに感じて、感銘の度を深くいたしました。(笑声)決して私笑い事で申しているわけではありません。そうではなくて、戦後非常に科学技術に依存するというようなことが人間形成の上でも入ってまいりました。それも、非常に反省期に入ってきておりますそうした時点におきまして母乳の重要性というものを御指摘になったことは、きわめて重要であると考えております。  そこで、学校教育においてこうした問題を取り上げていかなければならないのでございますが、これにつきましては、高等学校における家庭一般の教科書、それから「食物I」、これが取り扱っているわけでございます。家庭一般におきましては、母乳というものの重要性と必要性について、さらに、ただいま御指摘がございました初乳の問題、そうしたことも触れられているわけでございます。さらに「食物I」になりますと、それより進んだ形で、栄養の分析というようなところに進んでまいりますが、そういう栄養の立場から考えましても、母乳というものは非常に重要である。しかも、子供の成長の後に病気に対する抵抗力を持っていくというような意味合いにおいても非常に意味深いものであるということ、したがって、離乳が完了するまで、でき得るならば母乳を与えることがよいということを教科書でも指摘いたしておりますが、しかし、なお不十分な点もあるかと考えますから、御指摘の趣旨に沿いまして、こうした問題の重要性というものは教育の面で徹底していきますように心を配りたいと考えております。
  281. 柏原ヤス

    ○柏原ヤス君 労働省に二点お伺いいたします。  母乳を幼児に十分に与えるために、産後六週間を八週間にしてはどうか。また、有給育児休暇、これをぜひ制度化したい、この二点お願いいたします。
  282. 森山眞弓

    ○政府委員(森山眞弓君) 働く婦人の産前産後の休暇につきましては、労働基準法によりまして、それぞれ六週間というふうにきめてございます。これにつきまして、特に産後の問題を先生問題にしておられるように存じますが、労働基準法の女子の問題につきましては、御承知のように、産前産後の休業の問題も含めまして、労働基準法の研究会におきまして特に第二小委員会というのを設けまして、そこで鋭意調査研究を行っているところでございます。昨年の十一月、特に医学的な見地から女子の身体的な特徴ということについて調査研究をされました専門家の御意見が出されておりますので、それに基づきまして、この第二小委員会が、労働基準法の問題、法制的な研究をこれから進めるところでございます。労働省といたしましては、その研究の結果を待ちまして結論を出していきたいというふうに考えております。  それから育児休業のことでございますが、これは勤労婦人福祉法におきまして、育児休業につきまして事業主が配慮するよう努力するようにということを言っているわけでございますが、現在のところ、私どもの調査によりますと、全事業所の四・三%にようやく普及した段階でございます。それにつきましては、休業期間中の所得の問題ということが背後にあると存じますが、その点につきましては、さらに全事業所に、もっと制度を普及させまして、さらに、その後の問題につきまして考えていきたいというふうに思います。現在のところ、私どもといたしましては、あらゆる機会に事業主に対しましてこの新しい制度の趣旨を御理解いただくように説明をいたし、また、御指導をしているわけでございます。毎年九月には働く婦人の福祉運動というのをやっておりますが、そのようなときには集中的にこの面の普及徹底を図っているわけでございます。さらにまた、五十年度からは、雇用保険法に基づきまして、この育児休業を新たに設けられます事業主に対しまして育児休業制度の導入の奨励金を新しく始める予定でございます。休業期間中の問題につきましては、さらにもう少し進展を見まして研究していきたいというふうに考えます。
  283. 柏原ヤス

    ○柏原ヤス君 次に、妻の年金権についてお尋ねいたします。二、三の問題を確認させていただきます。  一つは、サラリーマンの奥さんが国民年金に加入していない場合に、離婚された、そうすると年金権は全くない。離婚後国民年金に加入しても、加入期間が短いから年金額も非常に少ない。もし六十歳で離婚されたなら国民年金には入れない。そうですね。
  284. 曾根田郁夫

    ○政府委員(曾根田郁夫君) お答え申し上げます。  サラリーマンの妻等の国民年金適用関係は任意加入ということになっておりますが、任意加入をしない人の場合、サラリーマンの妻であることをやめた、すなわち離婚した場合に完全に年金権に結びつかないことはないわけでございまして、サラリーマンの妻であった時代は通覧年金の資格期間としては算入いたすことになっておりますが、先生御指摘のように、それはいわば空期間でございますので、年金額の計算の基礎にはなっていない、そういう点で御指摘のとおりでございます。
  285. 柏原ヤス

    ○柏原ヤス君 もう一点、厚生年金などに加入していた夫が仕事の関係で国民年金に入った、そして一年たたないうちに死んだ、こういう場合は、十八歳の子供がいたとしても、その妻は国民年金に夫とともに加入していたとしても、この遺族年金、妻の母子年金は受けられない、そのとおりですね。
  286. 曾根田郁夫

    ○政府委員(曾根田郁夫君) 御指摘のとおりでございます。
  287. 柏原ヤス

    ○柏原ヤス君 もう一点、通算老齢年金、これを受けていた夫が死んだとき、妻にはその遺族年金が支給されない、そのとおりですね。
  288. 曾根田郁夫

    ○政府委員(曾根田郁夫君) その点も、現行制度では御指摘のとおりでございます。
  289. 柏原ヤス

    ○柏原ヤス君 妻がこういう状態になる、妻の年金権が非常に不安定である。これは国民年金法をつくったときに政府は知っていたんですね。それで、この国民年金法七条三項にそのことが明確に示されております。それはどう解決されたんですか。
  290. 曾根田郁夫

    ○政府委員(曾根田郁夫君) 先生も御案内と思いますが、昭和三十六年に国民年金制度が、拠出制の国民年金がスタートしたわけでございますけれども、この制度をつくります際に、年金権をどういうふうにとらえるか、つまり個人単位でとらえるか、あるいは世帯単位でとらえるか、たとえば、現行の厚生年金等の被用者保険は、必ずしも明確ではございませんけれども、世帯単位的な考え方でとらえておりまするが、国民年金をどうするか、結論としては、国民年金はいわば個人単位でとらえて適用関係は一人一人が加入するというたてまえをとったわけでございます。その際に、しからば、厚生年金の被保険者の配偶者をどうするか、これが非常に大きな問題になりまして、結局、いろいろ検討の結果、現実に合うという意味では現行のような任意適用がいいんではないかということで発足したのでございますけれども、これは先生ただいま御指摘になりましたように、公的年金制度の最終的姿としては、これをもって結論が出たというとらえ方はいたしておりませんので、御指摘の国民年金法第七条と思いますが、一項、二項で適用関係を書いた後、第三項で、これはいわば暫定的なものだという趣旨から、これらの適用関係の将来については十分検討を加えられた上、別に法律をもって定めるということになっておるわけでございまして、基本的には先生御指摘のとおりでございますが、当時いろいろ議論をいたしましたけれども、結論としては現行制度のようになったと。しかし、これは最終的な姿ではないということでございます。
  291. 柏原ヤス

    ○柏原ヤス君 いまお聞きしたことは、この問題点をどう解決するのかということです。もう一遍御答弁お願いします。
  292. 曾根田郁夫

    ○政府委員(曾根田郁夫君) 将来の解決の方向でございますが、大ざっぱに言いますと、理論的に考えられる方策としては、現在の国民年金の任意加入、任意適用制度というものをやめて、すべて被用者のサラリーマン等を強制適用の対象にしてしまうというのが一つの考え方でございますし、それからもう一つは、むしろ国民年国は現行のように厚生年金グループ以外の方が入っていただいて、しかしながら、厚生年金の方の世帯単位の考え方が必ずしもはっきりいたしておりませんので、それを明確にもっと制度を立て直して、厚生年金の体系で本人並びに配偶者を含めて年金権を確保するというやり方、大きく言うと、その二つが一応考えられる方法だろうと思いますけれども、これは過去何回か年金制度改正の都度検討いたしまして、非常にむずかしい問題でございますが、発足以来の懸案でもございますので、私どもも来年度一応制度改正が予定されておりますので、できるだけ検討してみたいというふうに考えております。
  293. 柏原ヤス

    ○柏原ヤス君 もう十五年もたっているんですから、それじゃ、検討すると。どこで検討するか、だれが責任を持つか、大臣お答えください。
  294. 曾根田郁夫

    ○政府委員(曾根田郁夫君) そこで、この問題は、厚生年金のみならず、各種共済組合等の被用者年金制度共通の問題でございますので、私どもだけで結論を出すという性質の問題ではございませんので、関係省庁とも十分連絡をとって検討作業に入りたいと思っております。具体的には、関係省庁で公的年金制度連絡会議というのがございますので、その場で十分検討を進めてまいりたいというふうに考えております。
  295. 柏原ヤス

    ○柏原ヤス君 先ほどの問題点は検討事項の中に入りますね。
  296. 曾根田郁夫

    ○政府委員(曾根田郁夫君) 実は、来年度の改正を目指しまして関係審議会で――厚生年金で申しますと、社会保険審議会の厚生年金部会で、すでにいろいろ検討を願っておるわけでございますが、その中の一つに、ただいま御指摘の妻の年金権の問題も入っておりますので、当然検討の対象に考えておるわけでございます。
  297. 柏原ヤス

    ○柏原ヤス君 これは寡婦の場合ですが、十八歳未満の子供がいない、ところが、夫が死んだ、これは何の給付もない。つまり、寡婦年金の適用範囲というのが非常に狭い。これは問題であると思いますが、これはどのように改善なさいますか。
  298. 曾根田郁夫

    ○政府委員(曾根田郁夫君) 年金制度の場合に、客種いろいろな種類の年金がございまして、それぞれの年金についていろいろ支給要件がございまして、いまのような場合、御指摘のように、現在、国民年金の母子年金というのが一定のいろいろ条件をつけておりますので、そういうようなケースが出ることが考えられるわけでございますけれども、これは基本的には各制度の調整を図る必要はあると思いますけれども、基本的には、やはり年金制度として、特に財政的にいろいろ限られた制度の場合に、最も重点的な年金給付はどこであるか、どういうところに給付を厚くするか、そういう、いわば年金制度内部における給付の厚い薄いの優先順位の問題だろうと思いますけれども、御指摘の点は、いずれにいたしましても検討させていただきたいというふうに考えます。
  299. 柏原ヤス

    ○柏原ヤス君 もう一つ、この厚生年金などに入っている人が亡くなった、そして遺族年金が出るわけです。現在は五割です。これは八割に上げるべきではないか、こう思っておりますが、いかがでしょうか。
  300. 田中正巳

    ○国務大臣(田中正巳君) 遺族の場合、妻五割というのは実は長い間わが国に定着をした制度であります。恐らく恩給法の流れをくんで、いままでは余り世間でも問題にいたしておりませんでしたが、最近、この問題についての御批判が非常に方々から出ております。近い将来、できれば明年の改定に際し、八割とまで行くかどうかはわかりませんけれども、いまの五割というのをできるだけ上げていきたいというふうに思っておるわけであります。
  301. 柏原ヤス

    ○柏原ヤス君 国民年金の強制適用者、それがまだ大変加入していない。どのぐらいの人数でしょうか。
  302. 河野義男

    ○政府委員(河野義男君) 国民年金の未適用者、これはいろいろ推計の方法がございますが、いま私どもがつかんでおりますのは、約三百万というふうに推計しております。
  303. 柏原ヤス

    ○柏原ヤス君 その中で、ことしじゅうに国民年金に加入して、さかのぼって保険料を納めれば老齢年金がもらえるという人がどのぐらいいますか。
  304. 河野義男

    ○政府委員(河野義男君) いま先生の御指摘は、この十二月末まで特例納付の制度が開かれておるわけでございます。この機会に過去の滞納保険料を納付しないと年金権に結びつかない人はどのくらいいるかと、こういう御趣旨かと思うわけでございますが、そういった人は約百六十五万人ぐらいいるものと推定しております。これにつきましては、この機会に過去の滞納保険料を納付していただきまして、年金権に結びつけるよう行政努力を進めていきたい、かように考えております。
  305. 柏原ヤス

    ○柏原ヤス君 ことしいっぱい大変便宜が与えられているわけです。この百六十万という人たちを、もうどうしてもことしじゅうに加入させなきやならない。この加入対策をどういうふうにお考えでしょうか。
  306. 河野義男

    ○政府委員(河野義男君) そういう方は特に都会に多いわけでございます。これらにつきましては、納付書を送りまして保険料を納付していただくよう努力をいたしますが、さらに、地区組織とか、あるいは市町村の協力を得まして、こういう人の一掃を図って年金権に結びつけていきたい、かように考えております。
  307. 柏原ヤス

    ○柏原ヤス君 私、こういう人をことしじゅうに救わないと、将来老齢福祉年金ももらえないような人になってしまう、ぜひ、この加入対策は徹底的にやっていただきたい。これは総理府の広報室長さんいらっしゃらないようですから、どなたかお願いします。
  308. 関忠雄

    ○政府委員(関忠雄君) 国民年金関係の広報についてでございますが、総理府といたしましては、従来から新聞、週刊誌、テレビ、ラジオ等によりまして、かなりの広報を実施してまいったところでありますが、今後とも厚生省ともよく協議いたしまして、必要な広報を実施してまいりたいと考えます。
  309. 柏原ヤス

    ○柏原ヤス君 そんなのんきなことを言ってちゃだめだと思うんですね。私、もう人に会うたんびに、あなた入っていますか、入っていますかと言うと、入ってない人がいっぱいいますよ。百人のうちの二十人は、入らなければいけないのに入ってないんですよ。だから私は、一人一人もう各個射撃しなければだめだと、このぐらいに思っているわけです。市町村単位で見れば、もうほとんど行き渡っているかもしれませんけれども、都市が大変不徹底だと言うけれども、それだって私は政府がやる気になればできると思うんですよ。皆年金というのは、全部を入れるということじゃないですか。そんなのんきなことを言って、自分の奥さんさえ入れておけばいいというものじゃないと思うんですよ。それでこれは、私はテレビ、ラジオ、また新聞の折り込みぐらいに折り込んで、もうどんどんどんどん、ことしじゅうなんですから徹底的にやっていただきたいと思います。いかがでしょう。
  310. 河野義男

    ○政府委員(河野義男君) いま御指摘のように、特例納付の期間がことしじゅうでございます。私どもこの期間を最重点に進めていくつもりでございます。PRの方法いろいろございますが、先ほど申しましたように、地区組織、年金委員とか、あるいは保険料の納付組織、市町村、そういったあらゆるものを動員して、適用漏れ者あるいは滞納の一掃を図っていきたいと、かように考えております。
  311. 柏原ヤス

    ○柏原ヤス君 これ、大臣にお聞きしたいんです。もし、ことしじゅうに入らなきゃならないその人が入らなかったら、一年延期してもらいたい。これお約束できませんでしょうか、していただきたいんです、私は。
  312. 田中正巳

    ○国務大臣(田中正巳君) 特例納付の期間は今年いっぱいでございますが、ただいまから一年延ばすなどと言いますれば、またぞろ緩みますので、ただいまのところ私どもとしては、是が非でも今年じゅうにお入りくださいと言う方が、私は施策としてはよろしいのじゃないかというふうに思います。
  313. 柏原ヤス

    ○柏原ヤス君 いまのやり方では相当の人数が未加入者として残りますよ。だから言っているんですよ。それじゃ絶対に一人も残さず入れる、こういう御決心ですね、大臣。六十五になってから泣く人がいるんですよ、ちゃんとやっておかないと。
  314. 田中正巳

    ○国務大臣(田中正巳君) 最大の努力をいたして、できるだけ入れるようにいたしたいと思います。
  315. 柏原ヤス

    ○柏原ヤス君 だめだったら延期してくださいね。
  316. 田中正巳

    ○国務大臣(田中正巳君) この点については、ただいま申し上げない方が私はよろしいと思います。
  317. 柏原ヤス

    ○柏原ヤス君 わかりました。  リハビリについてお聞きいたします。リハビリを行う専門職員、いわゆる理学療法士、作業療法士、これが非常に不足しております。この専門職員の養成計画、これがきちっとできているんでし ょうか、そしてこの専門職員の方たちは今後何名ぐらい必要なのか、お答えお願いします。
  318. 滝沢正

    ○政府委員(滝沢正君) リハビリ関係の身分法がありますのはOT、PTと、視能訓練士がございます。OT、PTにつきましては非常な不足した状態でございまして、短大、まあ試験の通過した身分の明らかな方がPTで千七百、OTで五百名程度でございます。将来の医療機関あるいは福祉施設等の必要性について予測した数字もないわけではございませんが、これはなかなかむずかしい問題でございますが、いままでの施設のままで努力いたしましても、約五割程度に達するというには、相当の期間を要するということでございますので、絶対的な不足状態だというふうに言っていいと思うのでございます。
  319. 柏原ヤス

    ○柏原ヤス君 何名ぐらいですか。
  320. 滝沢正

    ○政府委員(滝沢正君) 先ほどお答えしましたように、必要数については医療機関、福祉施設その他今後の特に老人医療の問題等で予測がなかなかむずかしいのでございまして、もちろん五千、六千という数字は私の記憶にはございますけれども、手元にただいま正確な数字は持っておりませんけれども、これもあくまでも予測でございますので、正確という表現がむしろ無理でございます。
  321. 柏原ヤス

    ○柏原ヤス君 予測で五千、六千なんて言っているんじゃ本当にお話になりませんよ。これは万という単位なんですから、不足が。この目標を達する養成計画、これはありますか、なかったらつくるべきで、成り行き任せのような現状では大変なことになると思います。
  322. 滝沢正

    ○政府委員(滝沢正君) 先ほどお答えしましたように、現状の施設のままでいってということでございますが、もちろんわれわれとしては養成所の増強を図る必要がございます。五十年度予算では、国立に一ヵ所、それから公立関係で一ヵ所の補助金をもってOT、PTの養成施設を設置いたす予定でございます。これの隘路となっておりますのは、先生も御存じのように、教員の確保でございまして、これにつきましては専任教員の講習会等を本年度から実施いたしておりまして、大変関心を持たれておりますが、なおまだわが国の現状では海外に派遣してこの教員の資格者を確保する必要がございますので、六名の派遣予算を計上いたしてございまして、全くそのような状態でございますから、計画はもちろん立てるべきでございますけれども、きわめてまだ初期の段階であるというのが実態でございます。
  323. 柏原ヤス

    ○柏原ヤス君 完全なリハビリを行うためには、一体どういう名称の専門職員が必要なのか、それをお示しいただきたい。
  324. 滝沢正

    ○政府委員(滝沢正君) 先生のおっしゃる完全ということには、かなり心理学まで場合によっては入るかもしれませんが、当面、先ほどお話ししましたように、OT、PTに視能訓練に難聴関係とスピーチの関係、言語療法と、このような五種の職種が当面課題になっておるわけでございますが、視能訓練まではございますけれども、スピーチと難聴関係、これがまだ身分法が制定されておらないわけでございます。
  325. 柏原ヤス

    ○柏原ヤス君 いまおっしゃったほかに、義肢適合士、あるいは製作する人、生活訓練士、心理職能判定員、ケースワーカー、職業指導員、こういうものは必要だと思いますが、いかがでしょう。
  326. 滝沢正

    ○政府委員(滝沢正君) 先ほど前提条件として、私もその心理なり、あるいは歯の方面とか、いろいろ職業、そういう方面に、確かにリハビリという定義を広く考えますというと必要であることは当然でございますけれども、それぞれの所管の関係もございましょうから、今後医療という範囲なり、あるいは福祉と医療の総合という観点からいくならば、先生おっしゃるとおり、もっと総合されたそういう者の養成計画というものが今後の課題であることは当然でございます。
  327. 柏原ヤス

    ○柏原ヤス君 大臣にお聞きしたいんですが、現在養成されている言語療法士、ケースワーカー、これは養成していながら身分保障がない。これはおかしいと思います。身分法をつくるべきだと、どうしてつくらないんですか。
  328. 田中正巳

    ○国務大臣(田中正巳君) 言語士というものでございますが、身分法をつくろうという話がございまして、いろいろと検討をいたしているんですが、当事者の間にいろいろとこの資格、身分、あるいはその教育程度等々についてかなり実は意見が違うようでございまして、せっかく検討をいたしておりますが、まだ意見の一致を見ていないというのが、これを法制化することのできない原因であると承っております。
  329. 柏原ヤス

    ○柏原ヤス君 大臣としては、この身分法をつくる御決意ですね。
  330. 田中正巳

    ○国務大臣(田中正巳君) できるだけ早く意見をまとめてつくりたいというふうに思っております。
  331. 柏原ヤス

    ○柏原ヤス君 先ほど教員の問題が出ましたが、これは待遇改善を絶対にする必要があると思います。この国立、公立のOT、PT、この養成所の教師というのは、各種学校なので行政一般の扱いになっている。これは教師の待遇にすべきではないか、こういうふうに思いますが、いかがでしょうか。
  332. 滝沢正

    ○政府委員(滝沢正君) 先生の御質問の根本には、また看護婦が今回、五十年度から教育職の適用――各種学校であって教育職の適用を認めていただいたのでございまして、この点われわれの長い間の一つの懸案でございました。そういう意味で、OT、PTを初め、各種学校の教育資格者の教育職適用という姿勢が私は今後の課題だと思います。ただ、いかにも、先ほど来御説明申し上げているようなOT、PTの数が、絶対数の不足、養成計画そのものに非常な困難があるという段階でございますので、御趣旨に沿えるのにはもう少しやっぱり時間がかかるんじゃないかというふうに感じております。
  333. 柏原ヤス

    ○柏原ヤス君 文部大臣にお伺いいたします。  今後の医療の発展のために、治療医学とともにこの予防医学、そうしてリハビリテーション、これは非常な重要な役割りを果たすと思うんです。アメリカではもうリハビリ大学がある。日本の将来を考えましたならば、私は大学にリハビリ学部あるいはリハビリ講座、こういうものを設けるということは検討されてよいと思いますが、いかがでしょうか。
  334. 永井道雄

    ○国務大臣(永井道雄君) 予防医学とか、あるいはリハビリテーションの問題というのは、比較的最近まで十分に研究がわが国で進んでおりませんでしたために、専門的な講座というものはございませんが、しかしながら、現在でも医学部の教育課程の中では、それをすでに組み込んでいるものがございます。リハビリテーションについて申しますと、六十九の大学のうち、約二十の大学がリハビリテーション関係の科目を組んでおります。ただ、いま申し上げましたように、専門的な講座が設けられておりません。しかしながら、他方、将来どうするかという問題がございますが、こうした問題について大学の方でもだんだんに研究が進んできておりまして、国立大学の付置研究所や、あるいは医学部の付属研究施設でもリハビリテーション関係の研究というものが進んできております。さらに、具体的なものといたしましては、東京都で昭和五十六年度に、東京都立保健大学というものを考えて、リハビリテーション学部、入学定員二百五十人を置くという計画も聞いております。そのほか、北海道ではリハビリテーション及び看護の大学、また短大の設置計画というものもございます。さらに、東北大学、金沢大学の医療技術短大でリハビリテーション関係学科の設置の希望がございます。また、神戸大学でも、リハビリテーション関係学科というものを考えております。しかし、それは大学の問題でございまして、一般にはただいままでお話が出ましたように各種学校で進んできておりますが、文部省としましては、やはりこれは学問の進歩に伴いまして、大学の中で計画が立ち、そうして準備が進んだ段階で将来十分に妥当なものであるということが認定されます場合には、こういうふうなものの発展を助けなければならない、このように考えている次第でございます。
  335. 柏原ヤス

    ○柏原ヤス君 大臣にもう一つお伺いいたしますが、この専任教師の養成でございますが、この現在の養成所から大学や大学院に進めるようにしなければならないと思うんです。ところが、各種学校なので大学や大学院に行く資格がない。そのために進めません。この進学の道を開けないものか、こう思いますが、いかがでしょう。
  336. 永井道雄

    ○国務大臣(永井道雄君) いま御指摘がございましたように、各種学校で養成されておりまして、他方、大学というものが別の教育体系でございますから、直ちに――日本の大学であるにせよ、あるいは海外の大学に勉学に行かれるにせよ、すぐに編入するという形をなかなか考えにくいのが実情ではないかと考えます。ただ、各種学校についても、国会でも専修学校というふうな形で各種学校の一部を整備してはどうかというような御検討も続いているというふうに伺っております。そういうこととの関連において、現在の学校体系の中では直ちに編入はむずかしいのでありますが、いわゆる特別の聴講生というふうな形で大学の方に聞きに行くことができる、あるいは学びに行くことができるという措置は開き得るかもしれない。そういうふうな角度で検討するのが現段階においては実際的なのではないかと考えております。
  337. 柏原ヤス

    ○柏原ヤス君 厚生大臣にお聞きしますが、この養成所の学生には、大学を卒業している、大学院を出ている人なども入っているんですね。ですから、この養成所の中から教師をつくるためにアメリカ留学、これを考えたらいかがかと思いますが、いかがでしょう。まあ五十年度の六名、これはこういうところから行けるのではなくて、国立大学からのようなので、養成所から留学させるべきだと、こういうふうに思います。いかがでしょう。
  338. 滝沢正

    ○政府委員(滝沢正君) 実は海外で勉強するに大学の卒業の資格がぜひ必要でございますので、この点はおっしゃるとおり、養成所からの海外派遣ということには、多分に本人が向こうで正式の資格を取れるかどうかという問題点がございます。そこで、厚生省が東京清瀬の東京病院に持っておりますOT、PTの養成施設を、入学資格を大学卒にしたい。いわゆる、高校卒の三年のコースでなくて、大学卒の二年――まあ仮の計画でございますけれども、これは検討中でございますが、大学卒の方を一まあもちろん学科はいろいろ体育とか、なるべく関連の学科を出たような方を考えるのが妥当と思いますが、大学卒で専門OT、PTにしたい。こういう方が出てまいりますと、海外に行きましても、大学卒の資格でいろいろまた勉強の機会が違ってくる、こういうふうに考えて、御質問の趣旨と多少違うかもしれませんが、一応われわれも先生と同じ考え方でそういう方向で努力いたしております。
  339. 柏原ヤス

    ○柏原ヤス君 民間の養成所はもう大変な赤字で経営しております。一人のPTを養成するのに三年間で約七百二十万かかる。そして、絶対数が不足しているOT、PTを養成しているのですから、何かの形で援助の必要があると思うんです。この点、大臣いかがでしょうか。
  340. 滝沢正

    ○政府委員(滝沢正君) この医療関係従事者の養成施設の運営補助の問題でございますが、これは先生御存じのように、絶対的な不足と、社会問題的な立場から、看護婦養成については民間に対する養成の運営費補助が出ておるわけでございますが、その他の問題については、歯科の方面も含めまして、これらの問題は今後放射線とか、あるいは衛生検査とか関連がいろいろ出てまいるものですから、こういう既存の養成施設の均衡とその需要のぐあいを考えて検討したいと思いますけれども、いかにもOT、PTはきわめて重要でございますが、民間といえどもこれが設置が非常に困難な、したがって、設置していただいたものは維持できるように運営しろ、補助を出せ、こういう御趣旨であろうと思いますけれども、この辺のところは他の施設との均衡を考えながら検討させていただきたいと、こういうふうに思っております。
  341. 柏原ヤス

    ○柏原ヤス君 お願いいたします。  文部大臣にお伺いしますが、医科大学の医学教育について、現在のわが国のリハビリテーションというのは、医者を中心としたチームワークをつくった治療が行われておる。医者の理解があるかないか、これで大変な違いがあると思うんです。大事なポイントにいるお医者さん、こういう人たちが、リハビリに対する教育がどれだけされているか、基礎的な教育をする必要があると思います。具体的に言うならば、大学の勉強の中で授業科目を設けたらどうか、こういうふうに思いますが、いかがでしょう。
  342. 永井道雄

    ○国務大臣(永井道雄君) まあオキュペショナルセラピーのようなものとかフィジカルセラピーというような式のものは、アメリカ合衆国ではかなり早い時期から発展してきておりますが、御指摘のようにわが国では比較的最近まで注目されませんでしたので、その面ではおくれていると言ってよいと思います。そこで、医学部の教授を中心にしてこういう考え方を進めていかなければいけないということでありますが、これはやはり、それぞれの大学でそういう先生方が現行の教育課程の中にリハビリテーション関係の学科をどういうふうに組み込んでいくか。で、先ほど申し上げましたように、すでに現在でも相当数、二十六校ですか、そういうところが出てきております。将来は、あるいは専攻の講座というものを置こうというところも出てき得るだろうと思います。そのほか、先ほど申し上げましたように、もう少し大規模にやってみようというところで計画も進んできておりますが、しかし、何としても一番大事なことは、本当にこの問題に関心を持って研究をして、そうして十分自分がやっていくという方が中心になってつくり上げませんというと、ただ形だけできて内容がないということになりますから、やはりこの医学界における教育研究の推移を見て、そうして、ここ数年の間に相当の変化はすでにございますが、今後これがどのように動いていくかということを私たちは注目したい。そうして、そこの中で非常に重要なもの、内容が妥当なものがあれば、これに対して力になるという方向で進んでいきたいと考えております。
  343. 柏原ヤス

    ○柏原ヤス君 厚生大臣にこれはお願いなんですが、もうすでに医者になっている方たちが、リハビリテーション医学会というのをつくっているわけです。このような非常に積極的な会には研究費というものを国が援助していいのではないかと、こう思いますが、いかがでしょうか。
  344. 滝沢正

    ○政府委員(滝沢正君) 学会そのものに厚生省が補助金を出している実態はございませんけれども、研究というものに補助金を出せという御意見はごもっともだと思うのでございまして、学会を背景にしたそういう専門家のグループ、特にむち打ち症だとかいろいろな問題のテーマごとに、ただいまそれを全部厚生省内のものを集計した資料を持っておりませんけれども、それぞれそういう目的に応じて、有能な研究者を中心にした研究班には研究費を出しておりますし、今後も引き続き努力いたしたいと考えております。
  345. 柏原ヤス

    ○柏原ヤス君 公取の方いらっしゃいますね。まだ時間がありますので……。  最後にお聞きしたい点は広告、新聞の折り込み広告、これについて最近のをお尋ねしたいのです。公取委員長がことしの一月の記者会見で、公正競争規約をふやしていきたいと、こうおっしゃっておりましたが、最近までの設定状況はどうなっておりますか。
  346. 後藤英輔

    ○政府委員(後藤英輔君) 公正競争規約は、業界が過当競争、むちゃくちゃな競争をいたしまして消費者の利益を害するような結果を招くということで、そういうことがないように、業界が広告あるいはまた、景品販売等についてルールをつくりまして、それで自主規制をするというための制度でございまして、これはルールある競争を進めるという趣旨でぜひたくさんの業界につくってまいりたいと、委員長はこういうふうに新聞記者会見のときに申されております。現在私どもは、五十年中に設定を目標といたしまして、表示についての規約は、たとえば家電製品、百貨店、清酒、洋酒あるいはアイスクリーム、チューインガム等十四の業種につきまして現在検討中。それから景品につきましては歯みがき、洋酒、百貨店等、これは八つの業種につきまして公正競争規約をつくるように検討いたしておりまして、現在まで設定されております公正競争規約の数は、表示関係の規約が三十一件、景品関係の規約が十八件、合計四十九件でございます。
  347. 柏原ヤス

    ○柏原ヤス君 まだ非常に進んでおりませんね。できるだけたくさんつくって実効上げていただきたいと、こういうふうに思うのが消費者の要望だと思うのです。これはぜひしっかりやっていただきたい。  そこで、百貨店やスーパーなどの過大広告というのですか、不当表示というものがもう非常にはんらんしております。これも持ってきてお見せした方がいいと思っていろいろ集めたんです。ちょっとごらんください。これ全部デパートのですが、「春、安さ先取り」、これは不当表示じゃないでしょうか。「春の特別大奉仕」「謝恩大廉売」「春季大廉売」、もうすごいんです。「特別大廉売」、どんな大廉売か。そうして、内容が本当に特別大廉売ならまあ結構ですけれども、果たしてどうか疑問ですね。ここにも「期末特別大廉売」、こういう、こんな大きな広告がもうはんらんしているわけです。  それから、もう少しお見せした方がいいと思うのがあるんです。これは同じ百貨店ですね、スーパーですか、同じところでこういうのを出しているのです。「全店特価大提供」、これは一日から三日間。同じ店ですよ。それがその次の日に二日間、今度は「全店超特価セール」、そうして一日お休みして、その次の日からまた三日間「全店謝恩大バーゲン」、同じ店なんですよ。これで一日からずっと続けてやっているわけなんです。果たしてこんな商売ができるかどうか。私は、これは検討していただきたい、こう思いますが、公取委員長いかがでしょうか。
  348. 高橋俊英

    ○政府委員(高橋俊英君) ただいまお示しにあったようなそういう広告、これは私も見かけます。知らないわけじゃありません。で、それらについて実態に即しているかどうかという点が一つございます。だから、本当に季節外れの商品なんかについては、ついこの間まで、たとえば五千円で売っていた物を半額で売っているという例も実際にあるそうです。ですけれども、そういうことが、今度はまた裏側で、いわゆる納入業者泣かせのことになっている場合がなくもないと、もちろんこれは納入業者としても、一年間在庫品にしておいたんじゃとてもそれは引き合わない、むしろ見切って売った方がいいという場合もありますので、実態をよく調査しなければ、そのあれが本当にそういう不公正な取引行為を含んでいるかどうかということはよく調べてみなきゃわかりません。それで、私はすべてのそういう広告が全部偽りだというふうに決めてかかるわけにはいきませんが、とかく少し誇大広告のきらいがある。そういうことで当然この百貨店の――いま百貨店のほうは大分進んでおるんです、公正競争規約が。ですから、その中では余り消費者を惑わすような広告をしないように、それからいわゆる不公正なことをしないようにということを当然織り込みますから、相当矯正できるのじゃないかと思っております。なるべく余り誇大と思われるような広告は自粛するように早速にでも指導をいたしますが、さらに公正競争規約の段階では、かなり厳格にそういう規定を織り込んでまいりたいと思いますので。改善を図ります。
  349. 柏原ヤス

    ○柏原ヤス君 以上よろしくお願いいたします。
  350. 大谷藤之助

    ○委員長(大谷藤之助君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  351. 大谷藤之助

    ○委員長(大谷藤之助君) 速記を起こして。
  352. 石丸隆治

    ○政府委員(石丸隆治君) 先ほど先生から御質問になりました薬事法違反か否かの問題につきまして、お答え申し上げます。  これは四十六年に薬務局長から通知が出ておりまして、粉乳に薬効を表示しても、その外観、形状等が明らかに食品であると考えられるものについてはこれを医薬品として取り扱わない、かような取り扱い通牒が出ておるわけでございまして、これに基づきまして、先生御指摘のような事例につきましては、公正取引委員会所管の不当景品類及び不当表示防止法によってこれを取り締まっていただく、かような取り扱いにいたしておるところでございます。
  353. 柏原ヤス

    ○柏原ヤス君 いま消費者団体が厚生省に申告したように、まるでこのミルクは食品なんです。それが、薬であるかのような感じがするような表示がされているわけですね。ですから、あくまで薬じゃないんだ、食品なんだ、赤ちゃんのミルクなんだと。それを薬であるかのように書いて、そして高く売る。こういうのが問題だと思うんですね。その点を御検討いただき、直していただきたい、こういうふうに思うわけなんです。いかがでしょうか。
  354. 石丸隆治

    ○政府委員(石丸隆治君) 御承知のように、食品衛生法に基づきます乳等省令の表示の規定は、これはこうこうこうしなければならないという、その必要最小限の表示の規定を定めておるところでございまして、ただいま先生御指摘のようないろんな各種成分及びその混合比率につきまして表示の義務を課しておるところでございます。これは非常に医薬品に類似のような表示義務が課してあるわけでございまして、消費者の方に非常にわかりにくい点もあろうかと思いますが、やはりこれは従来のいきさつからいたしまして、消費者の方たちからそういった表示もしてほしいというような希望も出ておるわけでございまして、従来そういう取り扱いになっておるわけでございますが、さらにそのほか、義務を課していないそのほかの表示の部分につきまして、先生御指摘のように、食品と薬品との区別が非常につきがたいような表示が行われるわけでございますが、この点につきましては今後、さようなことのないよう業界を指導してまいりたいと思っております。
  355. 柏原ヤス

    ○柏原ヤス君 公取委員長にお伺いいたしますが、この粉ミルクは、やみ再販で審判中であると聞いておりますが、その結果はいつごろわかるんでしょうか。
  356. 高橋俊英

    ○政府委員(高橋俊英君) 雪印及び明治乳業につきましてはもうすでに昨年の七月以来、七月に審判を開始しましてから六回審判を開いております。それから森永がちょっと遅れておりまして、これが四回なんですが、始めた時期はほとんど同じ時期に審判を開始しております。かなり進んでいるのでありますが、いままだすべての審判の何といいますか、過程が終わったとは言い切れない。そう遠くない時期でございますと思いますが、私どもこういう係属中の審判について、いつ終わるかということをあらかじめ予定して申し上げるわけにはまいりません。ただ私が聞いたところで、実際にその審判を行っているものからのあれでは、そんなに長いことはないだろう、それで結審に至るであろうと、こういう話でございます。
  357. 柏原ヤス

    ○柏原ヤス君 早く結論を出していただきたいということをお願いいたしまして、質問を終わります。
  358. 大谷藤之助

    ○委員長(大谷藤之助君) 以上をもちまして柏原ヤス君の質疑は終了いたしました。(拍手)  速記をとめて。   〔速記中止〕
  359. 大谷藤之助

    ○委員長(大谷藤之助君) 速記を起こして。     ―――――――――――――
  360. 大谷藤之助

    ○委員長(大谷藤之助君) 小笠原貞子君。
  361. 小笠原貞子

    ○小笠原貞子君 輸入豚肉の関税減免がこの十二日に発動されました。この問題は、後からいろいろ伺いますけれども、非常に大きな問題が含まれております。とりわけ、生産者である肥育農家にとっては非常に深刻な問題となっております。  御承知のように、一昨年来、飼料値上げが大幅な生産コストの増加になり、配合飼料トン当たり一万円値上げされるということは、枝肉で換算いたしますと、キロ当たり三十二円から三十五円の増となります。中でも中小肥育農家は、公害や卸相場の低迷によって経営が悪化し、縮小また廃業に追いやられる。昨年二月ごろから母豚の屠畜が非常にふえてまいりました。殺された豚のお母さんのおなかの中には子豚がいるという例もあり、また、その農民たちは苦労を重ねたあげく、もう先行きどうにもやっていけないということで自殺に追いやられるというような農家が続出しているんです。それで、昨年六月ごろから価格がようよう持ち直し始めました。そこで農民は、さあこれからがんばろう、やっていくんだと意気込んでいたときに、関税の減免が発動されて、そして卸売価格が引き下げられて、農民にとってはまたこれで、いままでのように生産費を償うようなそういう生活を守っていく営農をしていけないというようなことになると、この問題は豚の生産農家に対して非常に大きな問題になっているわけです。  そういう立場から私、質問をさせていただきたいと思うんですが、まず第一に、この関税の減免制度の目的と、その内容についてどういうものであるか、お答えをいただきたいと思います。
  362. 安倍晋太郎

    ○国務大臣(安倍晋太郎君) 豚肉の価格安定制度は、生産者の経営の安定ということが大きい条件でございます。同時に、消費者価格についても安定をしていくという基本的な考え方のもとに安定制度を設けたわけでございます。
  363. 小笠原貞子

    ○小笠原貞子君 それでは、いま大体大まかなところを伺いましたから次に移りますけれども、この減免制度が利用されて丸紅などの商社が脱税を行ったというようなことが、一昨年大きな問題になりまして、わが党の塚田委員が質問いたしましたが、この間の事情について大蔵省の方から御説明いただきたいと思います。
  364. 吉田冨士雄

    ○政府委員(吉田冨士雄君) ただいま御質問の、豚肉の差額関税を利用した脱税事件の概要を申し上げます。  まず、事件の発端は、四十七年の末に神戸税関におきまして、輸入の豚肉につきまして実際の輸入価格よりも商い申告で輸入申告を出しまして、それによって差額関税を脱税したということで関税法違反で捜査に入ったわけでございます。その後、東京、横浜、大阪も含めまして四つの税関におきまして調査を進めました。御案内のように、差額関税というのは、一定の課税水準がございまして、これを基準輸入価格と言っておりますが、それと実際の輸入価格、CIFの価格との差額を税金をかけるんですが、そのCIF価格の値段を実際よりも高く申告したために、その税金を払うべき金額が少なくなったということで、そういう手口でやっておりまして、実際のやり方としましては、海外のいろいろ商社なり支店なりを通じまして二重にいろいろな書類をつくりまして、それによって輸入申告の金額を高くしているわけでございまして、これは本質的には差額関税の差額を利用したと。ただいま先生のお話の減免制度とは関係ございませんで、差額関税としての問題として起こっているわけでございまして、調査の結果、二十七法人につきましてそういう違反事実がございまして、この脱税額は約三億円でございます。  それの処理につきましては、大口で非常に悪質なものとそうでないものと分けまして、大口で悪質なものにつきましては、これは七法人と、それから代理店等の従犯の二行為者でございますが、これにつきましては、四十八年の八月二十七日に、各地検で告発いたしまして、現在次々に判決がおりまして、二法人を除きまして全部有罪確定しております。あと二法人につきましては、まだ裁判が係属中でございます。ただ、残りの軽微の二十法人につきましては、通告処分をいたしまして、その通告処分の履行がございましたので、処分としては完結したということになっております。
  365. 小笠原貞子

    ○小笠原貞子君 伺いますと、大きな商社が悪質な違反をしているということで、その対象になっている輸入の豚肉ということから考えますと、この輸入豚肉というものが、大きな商社にとっての一つの投機物資になりつつあるということがここで言えるのではないかと、そう思います。そういう問題から考えましても今度ひとつ考えていかなければならない問題、それは昨年の七月から九月にかけまして、ある大手メーカーが東京食肉市場に公然と相当な買いに入り、相場をつり上げているというのが昨年の時期のもっぱらのうわさでございますが、農林大臣御承知でしょうか。
  366. 安倍晋太郎

    ○国務大臣(安倍晋太郎君) 真偽のほどはわかりませんが、そういううわさは聞いたことはございます。
  367. 小笠原貞子

    ○小笠原貞子君 これは大変な問題で、大きく取り上げられておりまして、うわさがあったという程度のものではないということと、そしてそういう大きな問題があるにもかかわらず、そのときに農林省としてはどういうふうになすったか、調査をされたのだろうか、またそれについての指導というものがなされたのかどうか。当時はそうじゃなかったと思いますけれども、その間の事情を伺わせていただきたいと思います。
  368. 澤邊守

    ○政府委員(澤邊守君) 当時そのようなうわさがございましたので、農林省といたしましては、関係の業者の団体であります日本ハム・ソーセージ工業協同組合等を通じまして、一般的にそのようなことのないように指導はいたしております。
  369. 小笠原貞子

    ○小笠原貞子君 ないようにという指導だけなんですか。おたくの方で具体的に調査して、そういう疑いがあったというような調査まではなさいませんでしたか。
  370. 澤邊守

    ○政府委員(澤邊守君) 芝浦市場その他におきます価格のつり上げ等につきましては、これは実需であるのか、仮需要であるのかという点はなかなか判断しかねる問題でありますので、ただ、そういうようなうわさが一般的に一部に流れましたので、一般的にそのようなことのないようにという指導をしたわけでございまして、特段に調査はいたしておりません。
  371. 小笠原貞子

    ○小笠原貞子君 調査しないということで指導ができるんですか。
  372. 澤邊守

    ○政府委員(澤邊守君) ただいま申しましたように、市場におきます各買参の買い付けが、実需に基づくものなのか、あるいは仮需要であるのかという点につきましては断定をいたしかねる問題でありますので、一般的な指導にとどめたわけでございます。
  373. 小笠原貞子

    ○小笠原貞子君 断定しかねるからこそ調査が必要だと思うんですけれども、どうなんですか。
  374. 澤邊守

    ○政府委員(澤邊守君) これはそれぞれの買参人が、当日の需要あるいは先の見通し等をそれぞれそのときどきに勘案をして買いますので、具体的にどの程度の在庫を持っておるかとか、あるいは将来の価格の見通しをどのように判断しているかということにつきましては、それぞれ業者ごとに判断をしておるわけでございますので、そこまでの調査はいたしておりません。
  375. 小笠原貞子

    ○小笠原貞子君 私が言ったのは、買参人がどうとかこうとかの問題じゃなくて、おたくが、そういううわさがあったならば当然、それがどうかということを調査なすってからそういうことの問題の判断がつくはずなのに、いま伺っていると、具体的な調査はなすっていないということがわかりました。それで次に移ります。そこだけわかればいいです。  それじゃ、過去の減免期間ごとの減税になった税額というのは、どれくらいになっておりますでしょうか。
  376. 吉田冨士雄

    ○政府委員(吉田冨士雄君) 差額関税制度が始まりましてからの減免制度の税額を申し上げますと、まず最初は四十六年の七月一日から九月三十日まで発動いたしまして、それがさらに延長いたしまして十二月三十一日まで延びたわけでございますが、その際の四十六年度の税額は約二十八億円でございます。次に四十七年の四月十五日から七月三十一日までに最初発動いたしまして、これを十月三十一日まで延長したのでございますが、そのときの税額は約六十七億円でございます。それから四十八年は、これは四十八年の三月三日から四十八年の三月三十一日、これは四十七年度にかかっておりますが、それから四十八年の十月三十一日まで三回にわたって延長しておりまして、先ほどの最初の頭の部分は四十七年度の税額に入っておりますが、四十八年度といたしましては約八十七億円でございます。
  377. 小笠原貞子

    ○小笠原貞子君 いま伺いますと、大変大きな税額をまけてもらっているということになるわけですね。四十八年度で約八十七億というこの税金、当然払うべきところを関税で減免税にしてもらった、こういう大きな税金を、まあまけてということになるわけでしょうが、それが消費者に一体どういうふうに還元されているか、農林省にお伺いします。
  378. 澤邊守

    ○政府委員(澤邊守君) 当時、四十八年度の例で申し上げますと、四十八年の三月から十月末まで減免が行われたわけでありますが、その当時、価格が安定上位価格を上回っておりましたので、関税法に基づく政令によりまして減免措置を行ったわけでございますが、その後の価格の推移を見ますと、十月ごろから当時の安定価格、安定上位価格と安定基準価格の間に入るようになりましたが、それまでは安定上位価格を依然として上回っておりました。これは、春先から夏にかけましては例年豚肉の需要期になりますので、例年季節的に価格が上昇する時期であったということと、もう一つは、当時例の異臭魚問題というのが出まして、魚の消費がかなり減退をいたしました。したがいまして、豚肉に代替需要が向かったということもございまして、減免によりまして輸入は促進されましたけれども、安定上位価格の中におさまるところまでにはすぐにはいかなかった、夏の需要期を過ぎたところでようやく安定帯の中におさまってきたという効果を持ったわけでございます。  これによりまして消費者にどのような利益が及んだかということは、数字をもってなかなか申し上げかねるわけでありますが、かなりその間輸入が促進されたという点を見ますれば、それだけ国内の供給量がふえたわけでございますので、もし輸入が減免によって促進されなかったとすれば、価格はもっと上昇したのではないかというふうには見られるわけであります。
  379. 小笠原貞子

    ○小笠原貞子君 輸入豚肉というのは大部分がハム、ソーの原料になると伺っていますが、どうでしょう。
  380. 澤邊守

    ○政府委員(澤邊守君) 通常の場合、約七割が加工用の原料でございます。まあハム、ソーセージ類の加工原料でございます。
  381. 小笠原貞子

    ○小笠原貞子君 だから、そのほとんどが加工用に回されている、その加工用のたとえばハム、ソーセージの値段は一体下がったのかどうか。
  382. 澤邊守

    ○政府委員(澤邊守君) ハム、ソーセージの価格のその間の推移でございますが、四十八年の三月、キログラム当たり六百三十一円、これはウイソナソーセージで見たものでございます。六百三十一円。その後、五月以降の数字を申し上げますと、六百三十八円、六百二十三円、六百二十四円、八月が六百二十四円、九月が六百十四円、十月が六百二十四円ということで若干下がりぎみといいますか、横ばいないし微減、やや低下ということになっております。なお、ロースハムについて同じように申し上げれば、三月の一千三百九十八円から一千四百四円、一千四百十三円、一千四百十六円、七月が一千四百十三円、八月が一千四百十円、九月が一千四百八円というように推移をいたしております。
  383. 小笠原貞子

    ○小笠原貞子君 それはどこの資料ですか。
  384. 澤邊守

    ○政府委員(澤邊守君) これは日本食肉加工協会の「日本食肉加工情報」に基づく数字でございます。
  385. 小笠原貞子

    ○小笠原貞子君 いまのお話でも、ロースハムは下がってなくて、大体同じか、ちょっと上がりぎみですね。私も調べてみました。日本食肉協議会編の食肉関係資料、これはおたくの畜産局が監修になっている資料です。この資料から見ますと、値段がちょっと違いまして、四十八年度、三月、六百八十円だったのが七百円、十月には七百四十円に上がっていますし、それからロースハムでいきますと、千九百六十円だったのが十月には二千二十円と、これ上がっているんです。いまのでも決して下がっているというようにはっきりしてない。上がっている。同じか、上がっているというような形になっているわけですね。
  386. 澤邊守

    ○政府委員(澤邊守君) 私いま申し上げましたのは、申し落としましたけれども、卸売価格で申し上げましたので、小売価格で申し上げますと、ウインナソーセージの場合は三月の六百八十円、それから六百七十円、六百九十円、七百円、七百十円、七百円、九月は七百十円、十月は七百四十円。それからロースハムで申し上げまして、三月が一千九百六十円、二千円、一千九百五十円、一千九百七十円、一千九百四十円、一千九百六十円、九月が一千八百八十円、十月が二千二十円、このような数字になっております。
  387. 小笠原貞子

    ○小笠原貞子君 ごまかしちゃだめなんですよ。私は消費者と言ったんですよ。消費者は卸売価格で買ってきていますか。買ってきていないでしょう。消費者価格で、消費者物価というものを私たちは聞いているんですわ。そうしたら、ここではっきり言えることは、決して下がってない、上がっているというだけのことじゃありませんか。それでは結局のところ、四十八年度で八十七億からの税金を払わないでいいようにしてやったけれども、制度上何にもそれは消費者に還元されていないということがはっきりしていると、そういうふうに断定できると思います。いかがですか。農林大臣、どうですか。
  388. 安倍晋太郎

    ○国務大臣(安倍晋太郎君) 私は、これは上位安定価格を大幅に超えて暴騰したということで価格制度を適用したわけでございますので、これがそのまま放置すれば卸売価格も消費者価格もますます高くなる。この制度が適用されることによって価格の方は安定的に推移したということでありますから、そういう意味において、この価格制度を適用したということは、減免措置を講じたということは大きな効果があったものだと、こういうふうに考えております。
  389. 小笠原貞子

    ○小笠原貞子君 全然その考えはおかしいですよ。さっき、減免すれば消費者価格の方も助かる、だから減免するんだと理由としておっしゃったわけですね。そして八十七億から減免したけれども、それが主要な原料となるハム、ソーセージは、下がるどころか、上がるというような形になっている。このことが具体的な数字からもはっきり出ていると思うんです。  それで、続いてお聞きしますけれども、今回の減免発動に対して、メーカー、生産者の両方が農林省へ陳情合戦を繰り広げたというふうに言ってます。また一方、全農はこの相場を冷やすためにあえて三千頭もの、二頭について二千円のお金を出して出荷するというふうに言っているんですけれども、その点どういうふうに見ていらっしゃいますか。
  390. 澤邊守

    政府委員(澤邊守君) ことしの一月の平均価格がキログラム当たり六百六十円を超したわけでございまして、安定上位価格の六百二十円をかなり大幅に上回ったわけでございます。二月も同じような価格で推移したと思いますが、その当時から、加工業界あるいは小売業界からは、価格の安定を図るために関税の減免制度を発動してほしいという要望がございます。一部の消費者団体等からもそのような要望がございました。さらに生産者側からは、余り価格が高騰することは長い目で見て消費者に必ずしも利益にならないということで、余り価格が上がれば減免が発動されるということにもなるのでということで、先生のおっしゃいましたように、出荷の促進をするために、全農等は奨励金を交付をして出荷を促進したという事実はわれわれも聞いております。
  391. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 いま言ったことは、メーカーが一生懸命に陳情に来る、全農や農民の方はその価格を冷やすために出荷して、そして抑えたいとしている。その両方の立場に立って、その関連として大臣はどういうふうにこれをごらんになったでしょうか。
  392. 安倍晋太郎

    ○国務大臣(安倍晋太郎君) 今回、豚肉が上位安定価格を超えて、二月の末ごろから御存じのように八十円ぐらい上昇したというようなことになりまして、そこで加工メーカーも減免措置を講じてほしいという陳情がしばしば農林省に対して行われましたし、また、私もそういう要請を受けたわけであります。同時にまた生産者の側としても、三月の末にはこの安定価格を改定をすることになるわけであるから、それまでの間、上位安定価格を相当超えたとしても、改定する時期までは時間的に非常に少ないわけであるからこのまま減免措置を講じないでほしいと、こういうふうな要請があったわけでございますが、しかし何分にも、二月の末から上位安定価格を超え、まあ需要は非常に強含みでありますし、今後さらに豚肉の需要期に入っていくわけでございますので、このまま放置するわけにはいかないというふうに考えまして、三月の十三日に減免措置を講ずることに踏み切った次第でございます。
  393. 小笠原貞子

    ○小笠原貞子君 業界、食肉加工メーカーの方から、一回くらいなものですか。しばしば来たでしょうか。具体的にどの程度来ていましたか。
  394. 安倍晋太郎

    ○国務大臣(安倍晋太郎君) 私のところには一回か二度程度だったと思いますが、事務当局等に対しては、相当強いといいますか、陳情があったということは聞いております。同時にまた生産者側からも同じような要請があったわけで――同じようなといいますか、逆でございますが、要請があったことも事実でございます。
  395. 小笠原貞子

    ○小笠原貞子君 大蔵省にお伺いいたします。  減免発動の条件はどういうときになっていますでしょう。
  396. 吉田冨士雄

    ○政府委員(吉田冨士雄君) 二つの条件がございまして、第一は、輸入された肉が市場価格において、関税も含めあるいは輸入の諸掛かりも含めて幾らであるかというのを見まして、それと全く同等の国内の同じやはり市場における肉の価格が幾らかというのを比較いたしまして、輸入価格の方が高いということが一つの条件でございます。二番目は、国内の安定帯、国内の市場の価格と、これはかなり農林規格の上物の価格でございますが、それと、その規格について定められております安定上位価格、これを二つ比較してみまして、国内の価格の方が安定上位価格を超えている、あるいは超える恐れがあるというのが第二の条件でございます。
  397. 小笠原貞子

    ○小笠原貞子君 そうなりますと、大臣にお答えいただきたいんですけれども、この安定上位価格という市場での価格というものができてくるわけですけれども、もしも卸売市場で価格が人為的に操作されたというような場合には発動されるでしょうか。これは大蔵大臣に。
  398. 吉田冨士雄

    ○政府委員(吉田冨士雄君) 価格の判定をいたしますときには、原則として、一カ月ないし三カ月の間の期間をとりまして、そこにおける実勢価格をとりますので、果たしてそれがあらゆる操作があったかないかということはなかなか経過的にはわからない場合がございます。一応の実勢価格の一カ月ないし三カ月ということだけを押さえて判断しております。
  399. 小笠原貞子

    ○小笠原貞子君 その実勢価格そのものが価格操作によって引き上げられているというような、そこに価格操作という思惑が入った場合には、撤廃というふうに発動されるのか。そういうときにはしないということになるのか。その辺、大臣どうですか、わかりませんか。
  400. 吉田冨士雄

    ○政府委員(吉田冨士雄君) 先ほど申しましたように、実態がどのような価格ででき上がるか、いろいろな要因があると思いますので、あくまでも実勢価格自身で考えております。
  401. 小笠原貞子

    ○小笠原貞子君 大蔵としては当然そうだと思いますけれども、そこに何か黒い操作があったというようなことについては、大蔵としては関係ないとおっしゃるわけですか。
  402. 吉田冨士雄

    ○政府委員(吉田冨士雄君) あくまでもやはり全国的なそういう判断でやっておりまして、さらにそれの細かい判断というものはわれわれはわかりかねますので、実勢の価格、あるいはその実勢の価格をもとにしまして、こう推移するであろうというような見込みも判断に入れることがございますが、実勢価格を中心にして……
  403. 小笠原貞子

    ○小笠原貞子君 その前、何ですか。
  404. 吉田冨士雄

    ○政府委員(吉田冨士雄君) 実際の実績を見まして、それから果たしてこれからどういう推移をたどるだろうという判断の推定の要素も入れることはございますが、あくまでもそれは実勢価格で判断しておりまして、数字で判断しておりまして、果たしてそこに需給関係がいろいろあったり、あるいはおっしゃるようないろいろな操作があったりということがあるかもしれませんが、大蔵としてはそこはわかりかねますので、あくまで全国の実勢価格、特に東京と大阪を中心にはいたしますけれども、これは御承知のとおりいろいろ相場が立っておるものですから、しかしそれ以外の地域にも相場があるものは、それを入れまして、全国の実勢はどうであろうかということの推定をいたします。もちろんこれはわれわれだけでは専門家じゃございませんので、農林省の当局といろいろ説明を受け御相談をしながら、実勢価格の推定をやっているわけでございます。
  405. 小笠原貞子

    ○小笠原貞子君 大蔵としてはそういうふうに数字で押さえられると思いますけれども、もしもそういうふうな操作があるというような疑いがあったというようなときには、農林省と御相談なすってというようなことはなさいますか。
  406. 吉田冨士雄

    ○政府委員(吉田冨士雄君) もちろん、実際の価格の把握あるいは推定につきましては、私ども完全な手足がございませんので、常時農林省と御相談しながら、あるいは農林省の資料も判断しながらやっておりまして、あらゆる要素を農林省といろいろ御相談をしながらやっていきたいと思っております。
  407. 小笠原貞子

    ○小笠原貞子君 それじゃ具体的にお伺いいたします。  農業新聞三月十五日付を見ますと、大宮市場や大阪市場で大手加工筋の積極的な介入が入っている。また東京市場でも、市場関係者、業界関係者の間では、いま大手がどんどん買い支えをして値をつり上げているというのが常識だというふうに方々で出ているんですけれども、これについていかがお考えでいらっしゃいますか。
  408. 澤邊守

    ○政府委員(澤邊守君) 市場におきます価格は、そのときどきの買参人の、現在の需給あるいは将来の需給なり、あるいは価格の見通し等を見まして、買い付け量をふやしたり減らしたり毎日やっているわけでございますので、特にそれが実需に基づくものなのか、あるいは仮需要に基づくものであるかということは、これは判定いたしかねるわけであります。ただ、われわれが判断いたします場合、じゃあ減免をやる必要があるかどうかということで大蔵省と御相談する場合には、単に一市場だけではなしに、全国的な中央市場なり地方市場の価格の動きを見ながらやるわけでございます。単に芝浦市場とかあるいは大阪市場だけではございませんので、全国的な市場の価格の実勢を見た上で判断をいたしておるわけでございます。もちろん先高だという見通しを業者が持てば買い進むわけでございます。そのときには一時的に価格が上がる、あるいは短期的には需給の実勢を離れて価格が高くなるということもあり得なくはないわけでございますが、しかし、長期的に一定の期間、あるいは全国的な市場で、需給の実勢を大きく離れた価格形成が継続するということは考えられないというふうにわれわれは見ておりますので、そういう一定期間をとりまして、全国的な各市場の動きも見た上で総合的に判断をしておるわけでございます。
  409. 小笠原貞子

    ○小笠原貞子君 市場が需給バランスでもって正しい競りが行われているという形で進んでいれば、いまおっしゃったような価格で見ていけばいいと思うんです。しかし、業界が騒ぐし、新聞も方々書いているしというようなことなんですけれども、この競りの価格というものが何か思惑があるんじゃないか、操作があるんじゃないかと、そういう疑いを持たれたことがないのか。そういうことはないと言い切れるのかどうか。
  410. 澤邊守

    ○政府委員(澤邊守君) 中央市場におきます取引は、法あるいは条例に基づきまして競り取引をやっているわけでございます。したがって、公開の場での自由競争によって毎日価格形成が行われているわけでございます。中央市場法によりますれば、何か不正な行為が行われ、あるいは不当な価格形成がされているというような場合には開設者、東京の場合は東京都知事でございます、都知事が売買取引の制限をするとかというようなこともできるわけでございます。われわれは、最近この問題が出ましてから、そのような不当な価格形成が行われたというような報告は東京都知事からは特段に受けておりませんです。われわれといたしましても、先ほど来申し上げておりますように、現在の需給なり価格の判断、将来の見通し等によりまして各買参人がそれぞれに取引をしておるわけでございますので、何が実需であり、何が仮需要であるかということはにわかに判断しにくい問題もございますので、一応開設者である東京都を信用して、適正な価格形成が行われているというように見ておるわけであります。
  411. 小笠原貞子

    ○小笠原貞子君 調査もしないで判断するという、判断する土台がないんですね、おたくの方に。そうして、これだけ騒がれているのに全然そこに疑問を持たないで、東京都からの報告を受けていませんと。まことに不思議なことなんですね。そこで、おたくの方は監督官庁としての責任もあるわけでございましょう。全然疑いもなくて調査もしないで、何でそんなことはないと言い切れるんですか。
  412. 澤邊守

    ○政府委員(澤邊守君) 市場の取引についての直接的な監督責任は、開設者である東京都あるいは大阪市が持っておるわけでございます。そこが日常現場において見ておるわけでございますので、特に不当な価格形成が行われれば、当然に把握できるものについてはわれわれの方に報告が参るわけでございますので、国が直接――一般的な地方公共団体に対する指導責任は持っておりますけれども、毎日の取引について果たして不当な価格形成が行われたかどうかということは、開設者である東京都あるいは大宮市というものに責任を任しておるわけでございますので、われわれの方としては特段にそれらのことについての報告がございませんので、農林省が直接調査をするということはしておらないわけであります。
  413. 小笠原貞子

    ○小笠原貞子君 本当にお人がよくていらっしゃいますと言うしかないと思います。これだけ大きな問題になっているのに、まさかわかるようなかっこうでやるなんて、そんな人はいないんですよ。もっと賢いんですよ。それなのに、目立ってそういうことがなかったから別に調査することもなかった、報告もそういうことがなかったということでこの大問題をすらすらとお逃げになる。確かに東京市場は東京都の所管です。しかし、減免発動するのは東京都じゃないわけですね。そうすると、東京都ではない、発動する権限を持った農林省が監督官庁としての責任があるわけでしょう。だから、水かけ論になります、時間もたちますからやめますけれども、まことにお人がよく、これだけ深刻な問題としているのに何らその深刻さを受けとめていられない。そういうものがないからと言って済ましていらっしゃるということだけはっきりしました。ほんと、人がいいですね。  それじゃ、そこのグラフをちょっと見ながら説明させていただきたいと思いますけれども、発動前の二月一日から三月八日まで、下が二月、三月で、上が十二月、一月でございます。この値動きのデータをとってみました。これで明らかなように、値動きというのが十二月、一月では需給のバランスで上がったり下がったりしているんです。ところが、二月、三月になりますと、全然出荷、屠殺された数量とに関係なく、ずうっとじり高になってきている。これは上と下をごらんになれば、バランスがこうなっているのに下はずうっとじり高だということは一目瞭然ではっきりしているんですけれども、これについていかがお考えになりますか。大臣どうですか、こういう動きだったんです、発動の前後というのは。ちょっと大臣、わかるでしょう、これくらい。
  414. 安倍晋太郎

    ○国務大臣(安倍晋太郎君) このグラフにもありますけれども、二月の上旬から六百八十円、上位安定価格は六百二十円ですから、上位安定価格を大幅に超えてずっときておったわけであります。それが三月に来ても依然として上昇状況にある。こういうふうなことから、われわれとしても減免措置を講ずるべきであるという判断のもとに、三月十三日に減免措置を大蔵省とも相談をして発動したわけでございます。
  415. 小笠原貞子

    ○小笠原貞子君 逃げちゃだめなんですよ。私が言っているのは、こういうような需給のバランスではなくて、ずっとじり高で上がってきているというところに、不思議にお考えになりませんかと言っているんです。
  416. 安倍晋太郎

    ○国務大臣(安倍晋太郎君) これはやはり豚肉の需要期に入っていくわけですから、豚肉に対する消費者の需要が高まってきたというふうに判断をせざるを得ないわけであります。
  417. 小笠原貞子

    ○小笠原貞子君 あの数字を見てくださいよ。入ってきた頭数に関係なく、ずっと上がっているんです。たくさん入ったら下がるというようなバランスがないんですね。
  418. 澤邊守

    ○政府委員(澤邊守君) この赤の、これが屠殺頭数かと思いますが。
  419. 小笠原貞子

    ○小笠原貞子君 そうです。
  420. 澤邊守

    ○政府委員(澤邊守君) これは屠殺頭数だけで見るんだと思いますが、実は屠殺頭数以上に上場されるわけです。搬入物というのがございまして、産地で屠殺して枝肉にしたものが運び込まれて、そこで競り売りされるわけでございますので、その両方の数字を見ないと……。
  421. 小笠原貞子

    ○小笠原貞子君 しかし、上位価格は屠殺分ですよ。
  422. 澤邊守

    ○政府委員(澤邊守君) いや、屠殺に限らず、搬入物も同じように上の格づけのものについては価格は上の価格として公表されておりますので、搬入物と屠殺物と両方を足さなければ当日の供給量等は見られないわけでございますので、この数字は恐らく屠殺頭数だけではないかと思いますが、その辺は両者を見て判断をすべきものだと思います。
  423. 小笠原貞子

    ○小笠原貞子君 ここで見られる限りでは、こういうふうな不思議なじり高でどんどん上げという線になっているわけなんです。局長の方で搬入物と、いろんなことをおっしゃっていましたけれども、それじゃ、おたくでも搬入物を含めてこういうふうな、ずっとその前後の値動きをちゃんとグラフで出してごらんになったらいかがですか、私の方も勉強させてもらいたいから。
  424. 澤邊守

    ○政府委員(澤邊守君) 私の方では当日上場されました頭数は全部わかっておりますので、御必要でしたならば提出はいたします。なお、価格の毎日の動きも、東京については、あるいは主要な市場については全部わかっておりますので、御必要ならば提出したいと思います。
  425. 小笠原貞子

    ○小笠原貞子君 それじゃ、いま私の方もきちっとそれを出してもらいたいですから、それをお諮りいただいて、出していただくようにしてください。
  426. 大谷藤之助

    ○委員長(大谷藤之助君) ただいま政府委員の方から提出するということがございましたから、御了承願います。
  427. 小笠原貞子

    ○小笠原貞子君 さっきちょっと、その赤線の出荷のものが屠殺だけというふうにおっしゃっていましたね、だから搬入物が入ると。これは屠殺だけではなくて搬入物を含めた数になっているんです。
  428. 澤邊守

    ○政府委員(澤邊守君) それは、その点を私はお聞きしたかったわけでございます。
  429. 小笠原貞子

    ○小笠原貞子君 だから私が言ったように、それも含めてたとえばたくさん入っているときには値段が、競りだったら下がるはずだと。上の方ではそれが上がったり下がったり、自然にこう出ていますね、いままで御説明いたしましたのは。ところが下の方では、たくさん入っているのに値段が下がらないで、ずっと上がりっ放しというのが発動のところまで来ているということなんです。これは私が見たってあなたが見たって同じなんだから、これが事実だということになると思います。それで結構です。  それで、ずっと発動前までがじり高という傾向を示しているのに、発動が決定的になったという三月十日以後を見ると、今度はそこの十日のところから見てごらんになりますと、急速に値下がりしているんです。現物が入ってきているわけでない。入ってきているわけでないのに、発動が決まったという時点で下がってきている。これは一体どういうふうに見たらいいでしょうか。
  430. 澤邊守

    ○政府委員(澤邊守君) われわれは関税減免によります価格の安定効果をねらっておるわけでございますが、これは現実に通関をされたものが入らなくても、それによりまして、人気というものがございますので、先安ということになれば価格は下がるわけでございまして、十日前後から見ましても、この図に示されておりますとおり、平均いたしまして二十五円ぐらい最近は下がっております。これはある意味ではもちろん減免の効果が出てきているということで、われわれとしては期待したとおりであるというふうに考えております。
  431. 小笠原貞子

    ○小笠原貞子君 減免の効果が出ているという見方の反面には、減免を発動させることによってこういうふうに価格を下げてきた。つまり、そこの前までのじり高というのは、そういう発動するための操作だったということが同時に裏づけとして言えると思うんです。
  432. 澤邊守

    ○政府委員(澤邊守君) 発動が決まりますれば、当然、先は従来の高値から安定してくるということを業者すべて判断するわけでございますから、下がるのは当然だと思います。
  433. 小笠原貞子

    ○小笠原貞子君 だから、それを待って上げていたということの裏づけになるわけでしょう。  先ほどから具体的に調査もなさらないとおっしゃったから、ごらんになっていらっしゃらないと思いますけれども、私、発動の前後ずっと東京市場を見に行って、この値動きも見て、競りの現状を見てきたわけなんです。発動しますまでのときの競りの仕方というのは、ある特定の、たとえば二千九番、二千十番、二千十三番と、この二、三人がもうどんどんどんどん上物だと買っているんですね。中、並みがかかったら知らぬ顔しておしゃべりしている。上物がかかると、ぱっぱっぱっと買っている。そして二、三人で話し合いしながら、まさにきょうはこれ以上には下げないよというところの線を維持すると見られるように、相談しながらぱっぱっぱっと組んで上げているというのが、行ってみてもう実によくわかったんです。そして発動が決定になったというその日から、また今度見てみますと、いままで一生懸命買っていたのが、全然買う気、ないんですね。これはまさに意図的にやられているというのが非常にわかったわけなんですけれども、おたくの方ではごらんになっていたでしょうか、そういう事態を。
  434. 澤邊守

    ○政府委員(澤邊守君) 東京都の中央市場の責任者が毎日見ておるわけでございますから、何らかの談合が行われるとか、不正な価格形成が行われるということになれば、当然それは必要な規制を加えるべきだと思います。そのようなことがなくして来ておるということでございますし、われわれとしても関税の減免がされれば、当然先安だということが期待されますので、その場合には買いの人気がそれだけ落ちてくるということは当然だと思いますので、私自身は現場をその当時直接見てはおりませんけれども、ただいま言われたことは、特段に妥当性を欠くとかということではないだろうと思います。
  435. 小笠原貞子

    ○小笠原貞子君 全然そこのところをお任せになって見ていらっしゃらないわけなんですよ。そして今回の特徴といいますのは、去年は伊藤ハムが堂々と買ったというので問題になって発動にならなかったということを言われてますけれども、今回そんなばかなこと、してないんです。一社ではなくて、二、三社が組んで値段を競り上げる。またダミーを使って、そして買い上げる。非常に功妙な事実がうわさされるし、実際に行ってみて、それはわかるんですね、私たちでも。そして調べる筋から調べればわかるんです。そういう事態が起こっているのに、これは所管が東京でございますということで何ら調査していらっしゃらない。そして価格の数字だけ見て、そこに何が行われているかという問題をはっきりさせないで、数字だけ見て減免発動しましたと、まさにこれはどっちの立場に立っていらっしゃるのかと言わなければならないと思います。その辺どうなんでしょうたまには大臣、どうなんですか、こういうことについて大臣のお考えを聞かせていただきたい。
  436. 澤邊守

    ○政府委員(澤邊守君) 先ほど大臣からもお答えしましたように、また私もつけ加えましたように、価格の先行きがかなり高くなるという見込み、見通しを持っておる。これは季節的に見てもそうですし、最近の出荷の毎日の動きを見ておりまして、そのような判断を持っておるわけでございます。  それからさらに、ただいま特定の市場のことにつきまして、直接ごらんになって種々御意見を述べられておりますけれども、私どもは先ほど申しましたように、特定の東京市場だけの価格を見ながら減免措置を講じておるわけではないので、全国の主要な中央市場は全部、地方市場の主要なものの価格を全体として見ておるわけでございまして、特定の市場でどういう行動があったからということだけで、減免すべきかどうか、最近の需給実勢はどうであるかということを判断しておるわけではございません。
  437. 小笠原貞子

    ○小笠原貞子君 それじゃ食肉流通で市場を通さないというのはどれくらいなんですか。市場を通すのはどれくらいですか。私、ここへ入りたくないと思った、時間がかかるから。だけど、あなたがおっしゃるからしようがない、時間がかかりますけれども。
  438. 澤邊守

    ○政府委員(澤邊守君) 豚の場合は、その月々によりもちろん変動がございますけれども、二十数%が市場で競り売りをされております。あとは一般の屠場あるいは加工メーカーの段階で、あるいは産地直結というような形で販売をされております。
  439. 小笠原貞子

    ○小笠原貞子君 市場で二十数%ですね。じゃ中央卸売市場では何%になりますか。地方を含めての市場を通るのが二十数%でしょう。それじゃ中央卸売市場では大体何%ですか。
  440. 澤邊守

    ○政府委員(澤邊守君) いま二十数%と申し上げましたのは、中央市場、地方市場を含めてでございますが、中央市場だけだと、いま正確な数字の記憶はありませんが、十数%になろうかと思います。豚の場合でございます。
  441. 小笠原貞子

    ○小笠原貞子君 その中で東京市場はどれくらいの割合を占めていますか。
  442. 澤邊守

    ○政府委員(澤邊守君) 手元に詳しい資料を持っておりませんけれども、約半分程度だと思います。
  443. 小笠原貞子

    ○小笠原貞子君 東京市場というのが非常に大きな割合で市場の中では行われている。だから、どうしても東京市場に目を向くのがあたりまえです。それじゃ、その市場を通さない八〇%というのは、そこで仲間が買うときにはどこを標準にして買っていますか。
  444. 澤邊守

    ○政府委員(澤邊守君) 東京の市場のシェアは、先ほど十数%の約半分だということを申し上げました。全国の全体の流通量からすると、したがって六、七%というところかと思いますが、何と申しましても、東京と大阪の二大市場が、牛肉につきましても豚肉につきましても一番大きな市場になっておりますので、そこで需給の実勢が判断できるということでございますので、東京、大阪の市場で形成されます価格が全国の屠場なり、あるいは産地で販売される価格形成の指標的な機能を持っております。
  445. 小笠原貞子

    ○小笠原貞子君 だから全国八〇%くらいの市場外の、その豚の価格の建て値になるのは大きくやっぱりこの東京市場になるということなんですよね、いまおっしゃったように。やっぱりそれが指標になっていますよ。――うそだなんたって、現実に調べてごらんなさい。東京をみんな見てやっているんですから。そこでこの東京市場を問題にしているんです。  続けて、さらによく調べてみます。その図を見ていただきたいのですけれども、この二月の二十八日、三月一日と三日。二日はお休みですから、この三日間にわたって上物を異常にたくさん、いつもは二十頭ないし三十頭くらいしか買っていないところが、けた違いに二百頭もの頭数を買っているということが私の方の資料ではっきりできるわけなんです。それはやっぱり、この時期というのは非常に価格をつり上げるというときに必死の時期で、これが左右する時期なんですね。その前段の、二月二十八日、一日の前にも、これはある会社というんではなくて一ある会社とダミーを使ってたくさん買い占めている。そして二月二十八日、三月一日、三日にわたっては、ある一つの会社、名前はあえて言いません、ある一つの大手の業者が、いままで二、三十頭だったのが、けた違いの二百頭から買っているんです。このことは人為的につり上げたというふうに言わざるを得ないと思うのですけれども、こういう事実もあるのに、あなたの方は全然調査していないというわけですね。
  446. 澤邊守

    ○政府委員(澤邊守君) まあ、市場におきます買参人の買い付けでございますけれども、これは一般の小売屋につながる卸、仲卸のような業者につきましては比較的安定した買い付けをしておりますけれども、加工メーカー等につきましては、そのときどきの判断で相当大量に買ったり、あるいは非常に買いを抑えたりということは常時あることでございまして、特に特定の日だけ、一年じゅうほとんどそういうことがなくしてやるというようなことではなくして、平均的な買い付けではなくして、そのときどきの判断で大量に買い付けて在庫を持つということはよくあることでございますので、ただいまおっしゃったような現象があるいはあったかと思いますが、それが特に今回の措置との関連があるかないかということは、にわかに判断しがたいと思います。   〔委員長退席、理事柳田桃太郎君着席〕
  447. 小笠原貞子

    ○小笠原貞子君 大事なことは、異常な買い付けをしているのです、けた違いの。その買い付けをした後の相場が六百八十円以上となって、それより下がっていない、このグラフでごらんになっても。そして業界紙はちょうどそのときに、うまくやっぱり見ているなあと思いましたけれども、ここの新聞なんかには六百八十円なら減免発動の望みがあるというふうに、もうみんな客観的に見ているわけなんですね。そしてここのところで大事なことは、たとえばA社の場合には、いままで十、二十、三十、四十がせいぜいだったのが、百八十六頭も買っています。そして次の日には百九十二頭、次の日は二百二十六頭と、けた違いに買って、しかも上物の四〇%近くというような買い方をしているんです。そして半分近く買っているわけなんですね、いままで買っていなかったような。ということは、異常にここで操作ができるということがはっきりしているということと、一頭平均四万円とすると、二百頭買うと、四万円の二百頭、二、四が八で八百万円というようなお金をその一日で投資しなければならない。これは中小なんかではできないことなんです。大手だからこそできるというようなことになるんです。  そしていままで聞いてみますと、判断できないとかいろいろおっしゃりながら、なぜ判断ができないのかということについては全然御調査なすっていない。そういう資料もないままにおっしゃっている。全く説得力がないわけなんです。だから、この問題については私は非常に納得できません。私の方ではできるだけの調査した資料でもって具体的に申し上げているんだけれども、全然その問題、納得できない。もしもそういうことがない、こういう買い付けばいままでもそういうことがあったというふうなことであれば、おたくの方ではわかっているはずだから、いままでの値動きや、いままでのどの程度の買い付けをしていたのか、その資料を十分調査して、そして出していただきたいと思います。それまでこの問題について私は保留したいと思います。  委員長、その資料を出していただくことをお諮りいただきたいと思います。
  448. 澤邊守

    ○政府委員(澤邊守君) 個別の企業ごとの買い付け数量につきましては、われわれも把握しておりませんし、名前を挙げて資料を提出することは差し控えたいと思います。  なお、ただいまお尋ねにございました、二月末に特定の買参人の買い付けが非常にふえたということでございますが、私どもそれは特に承知しておりませんけれども、価格は二月末特に上がっておるとか、三月の初めに上がっているということでもないようでございますので、それが大量に買い付けたために価格が上がっておるというようにはわれわれとしては判断をいたしておりません。ということは、その後の二日ばかり買い付けが進んだ、その前は余り買い付けておらなかった、その後どのように買い付けしたかということをわれわれデータを持っておりませんけれども、二日間、特定の業者の買い付けが進んだから特段に上がったということもないように思います。
  449. 安倍晋太郎

    ○国務大臣(安倍晋太郎君) 東京都の市場が問題になりましたけれども、東京都の市場は公設市場でございますし、この取引は公正に、自由に行われているとわれわれも判断をいたしておるわけでございますし、またこの一時期、一日か二日だけの値動きだけでこの減免措置を発動したわけじゃなくて、やっぱり二月の上旬以来ずっと平均的に、これは東京都だけじゃなくて大阪の市場その他の全国的な平均値を見まして、上位安定価格を余りにもオーバーして価格が形成されておるということは、それはやっぱり安定制度というものがある以上は、そういう事態になれば、この安定制度を維持していく、これは生産者のためにもまた消費者のためにも必要である、こういう見地からわれわれは発動したわけでございますから、ただ一日か二日だけの事態でもって発動したというふうなことではないわけでございます。その辺は十分御理解をいただきたいと思います。
  450. 小笠原貞子

    ○小笠原貞子君 一日、二日だけ言ってないんです。そういうことも行われてずっとこういうふうに上がっている。こういうふうに上げて、そして発動に踏み切った。――まあいいです、私のいままで言ったことそのままで。それに対して反論される具体的な事実がないわけですから、資料をいただいて、また保留いたしますから、それは移らしていただきたいと思います。ここではっきり言えることは、消費者のためにも、下がってないから、なっていないんです。そして生産者の方は泣かせるということにしかなっていないということです。  それじゃ、放出すれば値段は冷やせると。いま保税上屋にどれくらい眠っていますか、輸入豚肉。
  451. 吉田冨士雄

    ○政府委員(吉田冨士雄君) 保税地域におきますいろいろな滞貨の数字をとってございますが、肉類につきましては肉類一本でとってございまして、豚肉だけではわかりませんが、肉類といたしましては在庫量は、ことしの一月末で九万九千トンでございます。そのうち通関未済のものが二万五千トンでございます。ちなみに、去年の一月は九万九千トンに対する数字が十四万八千トンでございまして、通関未済の数字二万五千トンに対応する数字が三万六千トンでざいました。
  452. 小笠原貞子

    ○小笠原貞子君 保税上屋にそれだけの量が置いてあるわけですね。これから輸入されるという見込みも含めてどれくらいと見ていらっしゃるでしょうか、農林省。
  453. 澤邊守

    ○政府委員(澤邊守君) 今後どれだけ減免期間中に入るかということは、確実なことはもちろん申し上げかねるわけでございますが、われわれ聞いておりますのは、三月いっぱいということになりますと、特殊なものを除きましてアメリカ、カナダ等からはなかなか入りにくいだろうと、期間が短いために。買い付け並びに船で運ぶ期間がかなりかかりますので、特別なもの以外はなかなか入らぬだろうということ。ただ隣国であります台湾からは、三千トンぐらい輸出許可をしたものがあるということでございますので、その部分がどの程度入るかということが当面期待されるわけでございます。
  454. 小笠原貞子

    ○小笠原貞子君 それこそ業界やそれらの筋によりますと、いまある保税上屋の分も含めて約二万トンくらいは入るだろうというふうに見られているわけなんです。まあそれは見通しのことでございますから、ここでどうとか申しませんけれども、もしも放出して値段を冷やそうとするならば、これは事業団で調べられたのを私伺ってきたんですけれども、一月末に豚肉で八千二百トン保税上屋に眠っているわけですね。なぜお出しにならないんですか。八千二百トンから寝ているんです。
  455. 澤邊守

    ○政府委員(澤邊守君) これは通関を待っておる在庫量というのは毎月あるわけでございまして、一月末に八千二百トンというのは畜産振興事業団の指定倉庫百四工場において調べたものでございますが、たとえて申し上げれば、昨年の八月末も八千五百トン、九月末も一万二千六百トン、十月が約一万五千トン、十一月が一万三千トン弱ということでございますので、一月末はやや少ないというくらいでございまして、特にこれが減免待ちであったというふうには見ておりません。
  456. 小笠原貞子

    ○小笠原貞子君 一月末は少ないとおっしゃるけれども、去年減免発動されなかったから、買っていたのが非常に多くたまっていた、たくさんだまっていたのに比べて少ないというのは全然理由にならないということ。それから通関を待っているとおっしゃったけれども、待っているから問題なんです。すぐに手続して、保税上屋の場合なら一カ月というのがたてまえとして決まっているのだから、すぐに手続して出しなさいと、そして値段を冷やすという作業ができるのに、なぜしなかったのかということなんです。
  457. 澤邊守

    ○政府委員(澤邊守君) 先ほど私のお答えした中で、ちょっと誤りがありましたので、それと関連しますので、まず訂正しておきたいと思いますが、一月の卸売価格が六百六十円を超しておるというようなことを言いましたが、これは二月の誤りでございまして、一月は六百十八、九円だったと思います、平均でございます。まあ、ただいまの八千トンは一月末の通関待ちの在庫でございますから、当時、安定上位価格六百二十円でございますから、一月平均といたしましては、その安定上位価格の中に入っておるということでございますので、特に出荷を、通関を促進するというようなことはわれわれとしてもやらなかったわけであります。
  458. 小笠原貞子

    ○小笠原貞子君 全然理由にならないじゃないですか、これから入る見込み三千トンくらいにしか見積もれない、いま保税上屋に八千六百トンあると、通関手続をさせれば、そんなに一カ月もかかるわけじゃない、それをどうして放出しなかったのか、放出しませんということでは、まさに通関待ちで減免発動待ちだということの手助けをしていらっしゃるにすぎないじゃないですか。そして私たちちょっと計算いたしまして、また業界などでも言っているところを見れば、大体一万トンについて十五億というものはこの減免で出てくるはずだと、二万トンとすれば三十億、このメリットがなければ、こういうことを買い支えてやるはずがないと、こういうことを言われているわけなんです。だからその辺のところを、いままで聞いてみれば、全然調査もなさらないで、そして出てきた数字だけで、そこにどんな操作が行われていたかということも、調査もなさらないでこういう発動をされたということは、どうしても私は納得ができないし、生産者にとっても消費者にとっても納得できないことだろうと思います。  そこで、時間もいよいよなくなりましたので最後に伺いたいと思うわけなんですけれども、需給バランスをとって価格を冷やすということであれば、豚肉で九九%自給しようという長期見通しも立てていらっしゃるわけです。それじゃ豚肉が安かったときには買い上げて、高くなったら放出するというその事業団の役割りをなぜ発揮させられなかったか、その問題をお伺いしたいと思います。
  459. 澤邊守

    ○政府委員(澤邊守君) 事業団は現在買い付けたもの、買い入れしたものの手持ちは全くございませんので、事業団が放出して市場価格を安定させるということはできません。
  460. 小笠原貞子

    ○小笠原貞子君 なぜ事業団が買えないんですか。
  461. 澤邊守

    ○政府委員(澤邊守君) これは最近におきます価格の動きが、毎年決めております安定基準価格を上回って推移をしておりますので、特に基準価格を下回った場合に買い入れをするという条項を発動して事業団が市場操作をする必要がなかったからでございます。
  462. 小笠原貞子

    ○小笠原貞子君 事業団が買い入れるときには指定食肉でなければ買えないというように法律的になっていますね、それがひっかかっているのじゃないですか。もし買い入れようとした場合、いま買い入れられないでしょう。
  463. 澤邊守

    ○政府委員(澤邊守君) 事業団は指定食肉、豚肉につきまして、安定基準価格を下がり、あるいは下がるおそれがあるときに、価格を支持するために買い入れを行うということになっております。
  464. 小笠原貞子

    ○小笠原貞子君 いや、私聞いているのは輸入豚肉、だから国内物のときは、その基準価格というものを下回ったときには買い入れるということになりますね。だけれどもいまみたいな場合には、国内物が足りないというふうに想定した場合ですね、そうしたら事業団としては輸入物の豚肉を買わなきゃならないと思うんです。そういうときに輸入物の豚肉をいまの法律で買えますか。
  465. 澤邊守

    ○政府委員(澤邊守君) 輸入豚肉について安定上位価格を上回るようなときには、必要な場合には買うことができることになっております。
  466. 小笠原貞子

    ○小笠原貞子君 おたく、それじゃまだお調べになってないんじゃないでしょうか。畜安法の四十条で「指定食肉」となっていますね。ところが、その指定食肉というのは、豚の場合上物ということになっていますね。ところが外国のものは、上物だの何だのというのがないわけです。だから、そこのところ――これ事業団へ行って聞いてきたんです。事業団はそれで困っているということなんですね。だからその「「指定食肉」とは」というところに、「豚肉その他政令で定める食肉であって、農林省令で定める規格に適合するものをいう。」というふうになっているわけですけれども、日本の規格で言う上物指定というところでなくて、政令でもって輸入の豚肉が買えるというようなことをしなければ、困ったときに買えないという問題になってくるんじゃないですか。
  467. 澤邊守

    政府委員(澤邊守君) 国内の豚肉の上相当のものについては事業団は買い入れをすることができます。
  468. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 いや、輸入物を言っているんですよ。
  469. 澤邊守

    ○政府委員(澤邊守君) 輸入物についても買い入れすることができます。上相当の品質のものについては買い入れすることができます。
  470. 小笠原貞子

    ○小笠原貞子君 そこのところもうちょっと、時間がなくなったから、さっき保留のところでまたやらせていただきたいと思いますけれども、こういうふうに豚肉が一部のメーカーによって操作されたり、そしてまた買えないということになると非常に困ると、やっぱりこういう必要なものである豚肉については一元管理をして、事業団が買い入れて放出できるというようにしたいというふうに私たち共産党は考えているんですけれども、一元化についてのお考えはどうでしょうか。
  471. 安倍晋太郎

    ○国務大臣(安倍晋太郎君) 今回、牛肉を指定食肉にするわけでございますが、牛肉につきましては、必要の場合には一元的に輸入するということもできる制度になるわけでございますが、豚肉につきましては、先ほどから局長も答弁いたしましたように、現在豚肉価格というのは安定しておりまして、やはり下位安定価格から下がった場合は事業団がどんどん買い入れなきゃならぬ仕組みになっておりますが、安定しておるし、基準価格をいつも上回っておりますから事業団はその措置をとっておらないわけでありますし、さらに、上位安定価格というものを大幅に超えた場合においては、これは関税のいわゆる減免措置ということによりまして価格の安定を図っていくということになっておりますので、一元的な輸入というふうなことは必要はないと、この関税の減免措置によって豚肉についての安定措置がとれると、こういうふうに思っておるわけでございますから、現在の制度を活用することで十分であると私たちは思うわけであります。   〔理事柳田桃太郎君退席、委員長着席〕
  472. 小笠原貞子

    ○小笠原貞子君 それでは、いろいろ伺いましたけれども全然納得のいく資料もございません。改めてその資料を出していただいてまた質問させていただきたいと思います。豚の方、終わりますから結構です。  次に、厚生大臣にお伺いしたいと思います。  一番苦しんでいる中でも、寝たきりの御老人の問題が私いつも頭を離れません。それで、老人問題懇談会というようなおたくの諮問機関で今後の老人対策というのをお出しになっています。そしてこの中で、いままでは収容援護ということに力を入れてきたけれども、居宅における援護をさらに強化するということが強調されているわけなんですけれども、居宅における寝たきり老人については、どれくらいの人数がいて、どういうような政策でもって御援助いただけているか、その辺の具体的な実情、数と対象などもお伺いしたいと思います。
  473. 田中正巳

    ○国務大臣(田中正巳君) いわゆる寝たきり老人、半年以上床についたきりの老人は六十五歳以上人口の三・八%、約三十三万人というふうに推定をされております。これらのうち適当な介護者のいない者については、いままでは特別養護老人ホームに収容するというようなことをやってまいりました。いま御指摘のように、在宅については老人家庭奉仕員を派遣して身の回りを世話をするというようなことをやってまいりました。また、在宅で生活する者については特殊寝台の貸与、浴槽等々の貸与等支給もやっておりますが、さらに現金給付としては老齢福祉年金あるいは老人医療費の、これは七十歳でございますが、これに限っては六十五歳という支給をいたしておる等の措置をとっております。
  474. 小笠原貞子

    ○小笠原貞子君 老人を持っていますと大変な費用もかかりますのですけれども、大蔵大臣ちょっとお伺いしたいのですけれども、いま付き添いさん、一人一日どれくらいになっているか御存じでしょうか。
  475. 大平正芳

    ○国務大臣(大平正芳君) 相当高くついておるんじゃないかと思います。
  476. 小笠原貞子

    ○小笠原貞子君 いや、その相当というのは……、別に試験じゃないですから当てずっぽうで結構なんです。大体どのくらいだとお思いになりますか。
  477. 大平正芳

    ○国務大臣(大平正芳君) 一日、三、四千円というようなところじゃないかと思います。
  478. 小笠原貞子

    ○小笠原貞子君 全然それじゃだめなんです。五、六千円くらいになっていますね。そうすると、一カ月でも二カ月でも寝たきりを持っていらっしゃると大変なんですね。そういう方々も特養ホームに入れていただきたいということなんですけれども、とてもそれはお願いできないというような数字だと思うのですけれども、その辺どうですか。
  479. 翁久次郎

    ○政府委員(翁久次郎君) お答え申し上げます。  特別養護老人ホームに入れられない……
  480. 小笠原貞子

    ○小笠原貞子君 はい、満員の状況ですね、希望者がどれくらいおって。
  481. 翁久次郎

    ○政府委員(翁久次郎君) わかりました。特別養護老人ホームは三十八年以来毎年相当大幅に増設されてきております。ただ、いまお示しがございましたように、入所を必要とします絶対数から見ますと、大体四、五万と現在推定されるわけでございますけれども、入っておりますのが、まだ三万七、八千。五十年度で大体五万人ぐらいにいたしたいというようにしておりますので、入りたくても入れない人がおられることは事実でございます。
  482. 小笠原貞子

    ○小笠原貞子君 入りたいけれども入れない、そういうことで在宅でいらっしゃる。そこで家庭奉仕員などをしていただけるということですけれども、ここでは生計の中心者に所得税の非課税ということが対象になっていますね。所得税の非課税で、先ほど言ったようなあの高額な付き添い料というものが負担できるかどうか、その辺のところ、非課税の問題、どういうふうにお考えになるでしょうか。
  483. 翁久次郎

    ○政府委員(翁久次郎君) 三十二万と推定されます寝たきり老人の中で、施設に入れない、しかも在宅で介護者のいない人々に対するホームヘルパー、この数を毎年相当大幅にふやしておりますけれども、このホームヘルパーの人たちが全部をカバーするというわけにはまいらないわけでございます。したがいまして、おっしゃいましたように非課税の所得の人を対象に、とりあえずそれを中心に充実をしていくというのが現在の状態でございまして、なお、この非課税の人々と、それからもう一つは特別養護老人ホームを増設するという、この二つの柱で現在の福祉サービスを進めていくということにしておるわけでございまして、非課税世帯をさらに課税世帯まで及ぼしていくということは、現在のところ無理ではなかろうかというふうに考えております。
  484. 小笠原貞子

    ○小笠原貞子君 一日五千円にしても三、五、十五万円という費用がかかります。そしてやっていけないというところで一人でほっとかれて寝ているお年寄りもいるんですけれども、それも非課税対象でというふうなことになったり、家族の収入がちょっとあると対象にならないということではまことに悲しいことだと思うんですね。いろいろ制度もだんだんつくられましたけれども、その制度が本当にいま困っているお年寄りにどの程度の効果を出しているかと。  たとえば老人医療か七十歳のところが寝たきりは六十五歳と五年も下げたんだよと言われるけれども、その六十五歳になって果たして寝たきり老人がどういうふうにその医療を活用できるでしょうか。
  485. 翁久次郎

    ○政府委員(翁久次郎君) 六十五歳以上の老人で寝たきりの状態という方々でも、やはり脳溢血の後遺症のように機能回復訓練等によってまた再起できる見込みがあるわけでございます。したがって、寝たきりという状態をもうそのままにするというのではなくて、よりよくするという努力が片方に必要であろうというように思います。  それから、ただいま御指摘のございました看護と申しますか、これは一方では医療の面から進めていく施策でございます。私どもやはり福祉の面から進めていく場合には、寝たきりでもたまには起きられる方もいらっしゃるわけでございます。したがいまして、介護人のない、常時介護のできない人を対象にしたホームヘルパーという福祉サービスを中心に考えておるわけでございまして、一方、医療の面でどうしても看護が必要であるという人々につきましては、いわゆるお医者さんが看護婦さんと一緒に行くという、限られたものではございますけれども、若干の医療給付があるわけでございます。これはしかし全部ではございません。福祉の面ではいわゆる訪問診査と申しますか、あるいは保健婦さんのサービスというものが自治体によって行われているというのが実情でございます。
  486. 小笠原貞子

    ○小笠原貞子君 年一回の老人検診をしていただくということがいまやられているわけなんですけれども、本当に六十五歳になって歩くのにも不自由だということになりますと、ちょっと病院に行きたいなんて言ったって普通の人じゃないから行けないわけなんですよ。だから、そんなと雪にお年寄りのところでお医者さんに月に一回でも見てもらうとか、また看護婦さんのほうも見ていただけるとか、そういうようなことを何とか考えていただきたい、そう思うんですけれども、いかがですか。
  487. 翁久次郎

    ○政府委員(翁久次郎君) 医療の面は先ほど申し上げたとおりでございまして、いま御指摘のありました点は、私はやはり福祉のサービスの面であろうと思います。そして一方では医療と、両方からいくべきものだと思います。  したがいまして、福祉サービスという面でやはり主体になりますのは、市町村あるいはボランティアという活動が中心になっていくものでございまして、国といたしましては、そういったホームヘルパーを援助する、補助金を出す、あるいは福祉サービスを総合的に計画的に進めていくということであろうと思いますので、やはり両々相まっていくべき性質のものではないだろうかというように思うのでございます。
  488. 小笠原貞子

    ○小笠原貞子君 両々相まって、そしてスピードを速めて何とかこのお年寄り、もう人生のたそがれでございます、待っているというわけにはいきませんので、もっと積極的にお考えいただきたいと私は切にきょうはお願いしたいと思うんです。
  489. 田中正巳

    ○国務大臣(田中正巳君) 寝たきり老人、これは有吉佐和子さんの「恍惚の人」を読むまでもなく、私は今日の社会問題だと思うわけであります。かようなわけで、一つは特別養護老人ホームの建設については社会福祉施設整備費の計画の中で最も力をいたしたところでございまして、これは比較的他の施設とは違いまして充足が早かったわけですが、いまだにまだ需要に追いつけないわけでございますが、今後、この種のものをやるとするならば、この辺に力点を入れてやっていきたいというふうに私は思っております。  また、そうは申すものの在宅の方がございますから、したがって、在宅については家庭で介護のできない者については家庭介護人等々を派遣をするということでやっていきたいと思いますが、しかし、これは一方には人手の問題が現実にございます。同時にまた、社会福祉の政策である限り、ある程度の家庭以下の方であるということがやはり要件となることもまたやむを得ないだろうと思いますが、この線の引き方については私は若干今後前向きで考えていかなければならぬものというふうに思っております。この種の人々、御本人の心情も察するに余りありますし、こういう御老人を持った家庭の実情というものも思い半ばに過ぎるものがありますので、今後、この種の問題についての施策については私どもとして最も優先的にやるべきものであるというふうに考えておりますので、今後とも御支援を願いたいと思います。
  490. 小笠原貞子

    ○小笠原貞子君 ぜひその姿勢で積極的にやっていただきたいと思います。  いよいよ時間がなくなりました。具体的にお伺いしたいと思いますけれども、お年寄りにいろいろ伺ってみましたら、何が一番希望かといえば、伸び伸びとおふろに入りたいというのが大きな希望でございます。それで寝たきりの方で、そうしてまた御夫婦いらっしゃいましても、相手はもうよぼよぼしたおばあさんでございまして、自宅におふろのある方はいいけれども、もう自宅におふろがあってもなかなか寝たきりの老人を入れるわけにもまいりません。そうしておふろに入ってないという期間が実に大変な期間なんです。一体、人間おふろに入れないで何年くらいがまんできるだろうか。またちょっとテストみたいになりますが、厚生大臣どれくらいがまんできるでしょうか。
  491. 田中正巳

    ○国務大臣(田中正巳君) これは各人のそれぞれの生活環境にもよるだろうと思います。生まれてから一遍もふろに入ったことのないという人間が、私は先年エチオピアに行きましたらおりましたけれども、これは特殊な事情でございまして、普通はやはり一週間に少なくとも二度くらい入りたいというのが日本人の常だろうというふうに解釈をいたしております。
  492. 小笠原貞子

    ○小笠原貞子君 私もいろいろ調べてびっくりいたしました。十年入らなかったという方がいらっしゃるのです。そういう方のために各地方向治体なんかで浴槽バスをつくりまして、自宅まで行っておふろに入れてあげているのですね。十年入らなかったお年寄りはどうだったんだというと、もう指が曲がりまして、つめはこういうふうに曲がってしまう、そうしてこうなった手にあかがいっぱいたまりまして、そうしてそのあかを取ったりしますと、その浴槽の排水管が詰まってしまう、こういうような状態なんです。十年入らなかったというのが最高の人たちだったのです。  私がお願いしたいのは、この浴槽バスというのも各地方自治体で買っている。値段は幾らだ、おふろに入れて、散髪して、そうしておふとんを乾燥させて、シーツを洗たくしてと、それまでぜいたくにしなくていいけれども、そんな車でも五寸万なんです。ライトバンでおふろに入れるだけでは二百八十万でできるのですね。それをせめて国でおふろに入れてあげたいと、そういうつもりで国もそのバスを買うための援助もいたしましょうという、そういう温かい気持ちで考えていただけないかどうか。
  493. 翁久次郎

    ○政府委員(翁久次郎君) ただいまの御指摘本当にごもっともだと思います。現在、国では老人福祉開発センターを中心にいたしまして市町村が買われる場合の車の援助をいたしております。来年は約百八十台購入できるような措置をそれぞれ考えておるわけでございまして、やはりこういったものは自治体が中心になりまして購入をし、そうしていまおっしゃいました運営をしていくように、一つの長い目で見てそういう福祉サービスが行き届くように配慮をしてまいりたい、ぜひこれはそういった点で自治体を中心にして進めてまいりたい、かように考えておるわけでございます。
  494. 小笠原貞子

    ○小笠原貞子君 おふろの改造費など出していただいても、いまのような住宅事情では改造するだけのスペースもないというような中で、どうしてもヘルパーさんもついていておふろに入れてもらいたいというのが大きな希望でございます。私が会った方も本当におふろに十年ぶりで入ったと、そして亡くなりました。亡くなる前におふろに入れてやったということが本当によかったと御家族も泣いて喜んでいらっしゃる。  そういうことですから、自治体がもちろんやっていただくのは当然のことだけれども、国としても、そういうところに温かい目を向けていただくことこそがいま大事なのではないかということでお願いをして、終わらせていただきたいと思います。
  495. 大谷藤之助

    ○委員長(大谷藤之助君) 以上をもちまして小笠原貞子君の質疑は終了いたしました。(拍手)
  496. 大谷藤之助

    ○委員長(大谷藤之助君) 速記をとめてください。   〔速記中止〕
  497. 大谷藤之助

    ○委員長(大谷藤之助君) 速記を起こして。     ―――――――――――――
  498. 大谷藤之助

    ○委員長(大谷藤之助君) 案納勝君。
  499. 案納勝

    ○案納勝君 私は、最初に、副総理である経済企画庁長官に見解をまず冒頭にお承りをしたいと思います。  三木内閣は今日まで、あらゆる場で社会的不公正の是正、それを重要な政策の柱として主張した。また、政治姿勢として対話と協調、このことを政治姿勢として強調された。今日まで特にインフレ不況の中で常に犠牲になっている働いている勤労者の皆さん、これらの問題について、労働四団体あるいは春闘共闘委員会と先月、今月と春闘問題について話し合いをされているやに聞いております。私がここでお聞きしたいのは、三木内閣が言う対話と協調、それが本当にしんから形だけでなくして、今日のこの厳しい不況の中で苦しんでいる勤労者の生活不公正、この是正のために具体的な事実、具体的な問題を出して、これらの四団体や春闘共闘と話し合いを通じて解決をするという、そういう気構えで今日まで臨んでおられるのかどうか。なかんずく副総理は、三月の十五日に春闘共闘委員会等と交渉されております。単にこれが形式だけのPRやポーズだけでは問題は解決をしない。まず、この辺について副総理の見解を承りたい。
  500. 福田赳夫

    ○国務大臣(福田赳夫君) 三木内閣で社会的公正と言い、対話と協調という。社会的公正というのは、これは申し上げるまでもありませんが、自由社会でありますから、これは力の強い人、あるいは知恵のある人、こういう人がどうしても先へ出るわけです。逆に弱い立場の人、また知恵のない人、そういう人はおくれちゃう。それはいかぬと。それで先へ出る人を抑える、それからおくれた人をお助する、そうして大きく見てつり合いのとれた社会というものにしよう、こういう考え方ですね。これを社会的公正と言っているわけです。それから対話と協調、これは自分だけの頭で事を決めないで、やはり関係される皆さんの御意見、また広くは国民一般の意見をなるべく多く吸収いたしまして、そうして利害関係者協調のもとに事々を処理していく。こういうことなんで、御指摘の労働四団体との会合等もそういう根本的な姿勢に基づいてやっておる、こういうことなんです。団体側からもいろんな御要請があります。私どもからも申し上げていることもある。そういうことをお互いに理解し合って結論を導き出そうと、こういう努力の一環といたしましてさようなことをやっておる、かように御理解願います。
  501. 案納勝

    ○案納勝君 重ねて副総理にお尋ねしますが、ということは、今日課題になっている、特に三月の十五日あるいは二月の十日、最低賃金やその他の要求について政府に対する具体的な回答を求めていますね。私は、今日の春闘段階で、副総理やあるいは労働大臣は口を開けばインフレ、物価と賃金の悪循環、こういうことを言い、賃金の自粛ないし抑制といった姿勢が強く感ぜられます。私は、具体的には、それを言う前に最低賃金やあるいは現実にある雇用問題や、そういった問題をまず片づける姿勢、具体的な姿勢というものが必要だと思います。そういう面から、私は今回の対話と協調と言われるいまの政府の姿勢に、その問題を解決するなら具体的なものを出していかなくてはならない、そういう決意があるのか、そういう具体的な問題を提示をして解決を促進するという立場に立っておられるのかどうか、この辺をもう一回お尋ねします。
  502. 福田赳夫

    ○国務大臣(福田赳夫君) 具体的な問題も話し合っているんです。しかし、具体的な広範な問題につきましてすべてその場で決着がつく、こういうわけにはなかなかいかぬような性格のものが多いわけです。いま御指摘の最低賃金問題にいたしましても、労働省を中心に政府においては熱意を持って検討中である。そこで、あのむずかしい最低賃金、全国一律最低賃金制の問題、これをさあこの場で決めましょうというわけにはなかなかいかぬ。そういう種類の問題もあるわけですが、しかし、取り入れられる諸問題につきましては、できるだけ前向きの姿勢で取り入れる、こういう態度をもって話し合いをしておると、こういうふうに御理解願います。
  503. 案納勝

    ○案納勝君 それじゃ取り入れられる問題について前向きにと、具体的なものがあるというふうに理解をしまして、労働大臣にお尋ねをします。  現在の最賃法による現状をどのようにお考えになっているのか、さらには、全国一律最賃制についてはどのように考えておられるか、この辺についてお尋ねします。
  504. 長谷川峻

    ○国務大臣(長谷川峻君) 御案内のように、ただいま最賃によってカバーされておる勤労者の数は、三千六百万と承知しております。そして各地域あるいは各業種ごとにそれぞれ最賃を決めて、これによって救済と申しますか、大体が最賃以上の給料で働いているんですが、その最賃によって救済されておる者はその一割ぐらい、こういうふうに感じております。  なお、全国一律最賃というお話でありますが、これは先生も御案内のように、東京と九州では地域格差があります。仮に東京を一〇〇としますと、南九州は五九とか言われております。そういうことがありますので、中央におきます最賃の審議会におきまして、これは三者構成で、組合の諸君、経営者の諸君、あるいは学識経験者の方々が入っておやりいただいておりますが、この方々の結論も、たしか四十五年でしたが、いまの日本においては一律に全国最賃にするということは制度としてなかなかむずかしい、こういうふうな結論も出ておるのでありまして、ただいま副総理からも御答弁ありましたけれども、労働四団体の方々が全国一律最賃という話を持ってまいりましたから、国会でいろいろ御議論のあることも承知しておりますが、それぞれの組合の専門家、最賃についての詳しい方、こういう方々においでいただきまして、労働省の諸君と事務的にいろんな問題について実は勉強会をやってもらっている、こういうかっこうでございます。
  505. 案納勝

    ○案納勝君 いま答弁されたのは後ほど論議をするとして、現在、地域別最賃はどの程度の金額になっていますか。
  506. 東村金之助

    ○政府委員(東村金之助君) 地域別最賃の金額でございますが、昭和四十九年度中に決定された地域別最低賃金は千六百円台及び千七百円台が多い状況でございます。
  507. 案納勝

    ○案納勝君 それは現在の平均賃金の何割ぐらいになりますか。
  508. 東村金之助

    ○政府委員(東村金之助君) ただいま申し上げた数字を平均賃金とストレートに比較できませんので、その中で中位数を求めますと、それは千七百七円という数字になります。一方、平均賃金を規模別に見ますと、五人以上の規模で四千三百四十七円、それから五人から二十九人の規模で三千七百四十円でございます。そこで、いまの中位数とこの平均とを比較してみますと、五人以上の規模で三九・三%、五人から二十九人の規模で四五・六%、かように相なるわけでございます。
  509. 案納勝

    ○案納勝君 そこでお尋ねをしますが、先ほど労働大臣は、三千六百万の就業労働者の中に、今日のその最賃の適用者というのは、救われているのは約一割。しかし、最賃の今日適用されている労働者数は何ぼあるんですか。
  510. 東村金之助

    ○政府委員(東村金之助君) 先ほど大臣からお話しございましたのをさらに正確に申し上げますと、現在、最低賃金の対象となっている労働者、つまり適用されている労働者が三千二百六十万人でございます。一割云々というお話は、最低賃金が設定されまする際に、それ以下の人が一割前後おる、つまり最低賃金を設定された結果、一割前後の人が最低賃金の水準にまで賃金を引き上げなければならない形になる、こういうわけでございます。
  511. 案納勝

    ○案納勝君 それではもう一回お尋ねしますが、地域別最賃の適用を受けて、そのことによって救われている人は何人ぐらいおるのですか。
  512. 東村金之助

    ○政府委員(東村金之助君) 地域別最低賃金は現在四十六件できておりまして、これは五十年二月末現在でございますが、三千二百四十万人の労働者がその適用を受けております。その適用を受けた結果どういう影響があるかと、先ほど申し上げましたのは影響率ということでございますが、それが一割ないし一割五分と、こういう数字でございます。
  513. 案納勝

    ○案納勝君 先ほど東村基準局長から説明をされた、平均賃金の何割に現在の地域別最賃がなっているかということについては、これはたとえば五人から二十九人以下については四五・六%だと、以上については三九・三%だという説明ですが、この中には当然地域別最低賃金制によって救われてきている、あるいはそれ以下の人たちの就労の平均賃金というものも見られているわけですね。
  514. 東村金之助

    ○政府委員(東村金之助君) ただいまの数字は、でき上がりました最低賃金の中位数と、それから一方別途の資料でできております平均賃金との比較をいたしますると、五人以上の規模で三九・三%、五人から二十九人の規模で四五・六%と、こういう数字でございますが、いま申し上げましたように、最低賃金ができますると、それ以下の賃金では働かしてはならないという形になりますが、それを労働者の割合で見ると一割ないし一割五分になると、こういうことでございます。
  515. 案納勝

    ○案納勝君 そうしますと、結局いまの地域別最賃の適用をされている、この金額で救われている人たち、一割程度というと――三百二十六万からおるわけですね、で、この三百二十六万ぐらいの一割程度の人が最賃で救われている。その人たちは東京では千七百九十四円、一番安いといわれる地域最賃の福島県では千三百四十円、ということは、一番高いところで月額にして四万四千九百五十円、一番低いところで三万三千五百円の月額しかないということです。そういうことですね。
  516. 東村金之助

    ○政府委員(東村金之助君) 数字を月額換算にいたしますと、御指摘のような数字に相なります。
  517. 案納勝

    ○案納勝君 それではもう一回お尋ねしますが、いま生活保護世帯で、全国を四等級に類別をして各級の金額が支給をされていますが、これらの金額について、特に指定都市である一級地、二級地、三級地、四級地、幾らぐらい支給されていますか。
  518. 東村金之助

    ○政府委員(東村金之助君) 生活保護費の数字でございますが、現在手元にございますのは、十八歳の男子についての生活扶助、住宅扶助、基礎控除及び社会保険料の合計をしたものでございますが、一級地で千六百八十三円、二級地で千五百八十四円、三級地で千三百八十六円と相なっております。
  519. 案納勝

    ○案納勝君 それで私の手元にある生活保護世帯の労働省社会局の調べでは、一級地が、現行ですが、六九年十月一日で月額六万五千二百九十五円、四月から改正をされて七万四千九百五十二円、二級地は現行で五万九千五百六十一円、四月から六万八千二百六円と、四級地の一番金額の少ないところで現行四万八千九十三円、四月から五万四千七百十五円とあります。さらに標準生計費、人事院の標準生計費では、四十九年四月一日分として人事院が発表した数字は、世帯人員二人の世帯で全国平均六万九千七百七十円、東京は七万八千六百円。  私はここで労働大臣にお尋ねしますが、いま明らかになったように、地域別最賃といわれている最賃の中身は、最高で四万四千九百五十円、家族を持とうと持つまいとですよ、最低で三万三千五百円、生活保護世帯からも大きく下回る。しかも、働いてそれだけしかもらえない。それが憲法の二十五条で言いますすべての国民が健康で文化的とか、あるいは基準法の第一条にある労働条件は人に値する生活を営む必要を満たさなければならないものだという、この立場に立った場合に、これが最賃だと言って、経済大国と言われる、GNP世界第二位と言われるわが国の場合に、そのことが最低賃金でございます、最低生活の保障をしてますということが言えますか、どうですか。
  520. 長谷川峻

    ○国務大臣(長谷川峻君) 最低賃金というものは労働者の生計費あるいは類似の労働者の賃金及び通常の事業の賃金支払能力を考慮して定める、こうされておりまして、これは公労使三者構成の審議会における調査審議に基づいて実効ある最低賃金の設定が行われているところでありまして、このようにして設定された最低賃金によって、当該最賃の適用労働者のうち相当数の労働者の賃金が直接引き上げられることになっていることは御承知のとおりです。この状況は、小規模ないし零細規模の業種を単位として見れば通常一、二割に達しておりまして、中小零細企業にとっては最低賃金はかなり大きな影響を及ぼして、よい効果を及ぼしていると、こういうふうに思うのであります。
  521. 案納勝

    ○案納勝君 あのね、生活保護基準よりも下回り、しかも標準生計費よりも、その半額にも満たないような状態で、現実に生活ができる、こういうふうにお考えなんですか。たとえ三者構成の委員会で決められた金額といえども、それで今日のインフレ、不況の中で生活していけると思っておるのですか、まずその点。
  522. 東村金之助

    ○政府委員(東村金之助君) 最前お話ございました生活保護の問題でございますが、私が申し上げましたのは十八歳の男子というものを前提にいたしまして、世帯を男子の方に引き直した数字でございますが、先ほど一級地から三級地まで申し上げましたが、その引き直した数字は四級地というのが一つ残っておりますが、それは千二百三十二円でございます。いずれにいたしましても、この最低賃金は、先ほど労働大臣からもお話ございましたように、公労使三者構成の審議会の御審議に基づきまして決定したものでございます。
  523. 案納勝

    ○案納勝君 その公労使三者構成というのが、国際水準から見ても、ILO二十六号条約から見ても正しく適合しているというふうにお思いですか。
  524. 東村金之助

    ○政府委員(東村金之助君) ILO二十六号条約ないしは一般の諸外国における最低賃金の進め方におきましても、三者構成というものが許されておるし、そういう実情がかなりございます。ただ、わが国の実情におきまして、三者構成がどういうふうに機能しているかという問題の御指摘でございますが、現在のところ、いろいろ問題はございますが、三者構成で十分うまくやっておられるし、それに基づいて最低賃金を決定すると、かように事を相運んでいる次第でございます。
  525. 案納勝

    ○案納勝君 わが国の三者構成の場合の問題があることを東村さん認めていますが、いまの三者構成は公益主導型であり、労働省主導型の結果になっていませんか。
  526. 東村金之助

    ○政府委員(東村金之助君) わが国の三者構成は万全ではないというような意味で問題があるとすればということを申し上げたわけですが、労働省主導型ないしは公益主導型という具体的な内容はどういうことをおっしゃっているのかは別といたしまして、労働省ないしは地方の都道府県労働基準局におきましては、この三者構成による審議会ができるだけうまく運営できるように、縁の下の力持ちとして、事務処理その他資料の収集等に努めているところでございます。
  527. 案納勝

    ○案納勝君 それじゃ、労働大臣にお尋ねしますが、今日現在の地域別最賃が決定をする過程において、各地方で問題になっている、労働省基準局が失対賃金を上回るような地域最賃は決めては困るということで指導をした事実について大臣はどのように理解をされているのか、あるいは、これらについて大臣はどのような指導をされているのか。
  528. 東村金之助

    ○政府委員(東村金之助君) 地域最賃等決定いたしまする際に、地方の最低賃金審議会においてトラブルめいたことがあったことは私ども承知しております。これは事情を聞いてみますると、御承知のとおり、最低賃金は、「労働者の生計費」、「類似の労働者の賃金」、「通常の事業の賃金支払能力」という三つの原則を総合して決定するというたてまえになっております。そこで、類似の労働者の賃金ということを考えまする際に、失対労働者の賃金というものが重要な参考になると、こういうことで、やはり、それをめぐって若干問題があったということだと思います。なお、私どもとして、失対の賃金以上であってはならないとか、そういうふうなことを指導するということを考えているわけではございません。
  529. 案納勝

    ○案納勝君 もう一回お尋ねをしますが、現実に審議会の三者構成というのは、労、使、公益三者同数ですね。
  530. 東村金之助

    ○政府委員(東村金之助君) 公労使三者構成で各同数でございます。
  531. 案納勝

    ○案納勝君 ILOの二十六号条約、百二十一号条約の審議に当たった五十三回総会からの経過で、これらの最賃に関するILO二十六号条約が生まれた経過について、さらには国際的に各国、イギリス、フランス、西ドイツ、さらにはアメリカ等の最賃の現状はどうなっているのか。
  532. 東村金之助

    ○政府委員(東村金之助君) ILO二十六号条約におきましては、確かに公労使という言い方はございませんで、労使が同数の立場でこれに参加するという、いわば最低必要条件というようなものがうたわれております。したがいまして、その上に公益が参加しながら最低賃金を決めるということは差し支えないものとわれわれは考えております。  なお、具体的な各国についての三者構成の、実情等は手元にございませんが、おしなべて、諸外国においても三者構成の形をとっているというふうに聞いております。
  533. 案納勝

    ○案納勝君 わが国の最賃制が国際水準を下回ってないと先ほど答弁をされましたが、どこが現実に下回っていないか、具体的な例を挙げてください。
  534. 東村金之助

    ○政府委員(東村金之助君) 最低賃金の決定の方式について、諸外国でもわが国と同様な三者構成をとっているところが多いということを申し上げたわけでございまして、諸外国の最低賃金と比較して、その金額であるとか、あるいはその決め方等が下回っているとか、あるいは上回っているとかいうことを私は申し上げたつもりはございませんが。
  535. 案納勝

    ○案納勝君 具体的に私が先ほど申し上げた国名、国の最賃の決定の状況、最賃決定機構について説明してください。
  536. 東村金之助

    ○政府委員(東村金之助君) 御承知のとおり、最低賃金は前世紀の末ごろからニュージーランド、オーストラリア等の国において出発いたしまして、その後、逐次世界各国に広がりました。そして、その最低賃金の決定の仕方であるとか、あるいは考え方等はおのおのの国においてそれぞれ異なっておると私ども考えております。なお、イギリス、ドイツ、フランス等においてこの三者構成がどうなっていて、あるいはその運用がどうされているか、ちょっと手元に資料ございませんので、また改めて提出したいと思います。
  537. 案納勝

    ○案納勝君 手元に資料がないというのは答弁できないことじゃないですか。ILO二十六号条約の過程で、最低賃金の決定の基準と運営というのはあくまで労使間の賃金決定の機構に沿って最賃は決められるべきだと、このことが基本になって五十三回総会でILO二十六号は決められてきているんです。それを補完する意味で審議会が持たれ、賃金委員会が持たれてきている。ところが、日本の場合は――少し長くなり時間がないけれども、しかも日本の場合については三者の構成がすべて同じような状態、数も。ILOの場合については、労使の相互の交渉によって決定するという原則の上で決められてきている最賃制ですから、最賃賃率を決めるときは労使が平等に参加する場で、公益は少数の人をもって構成をして賃金を決めてくるという形をとっている、イギリスの場合もフランスの場合も。そうしますと、日本の場合、私が言っている公益主導型であり労働省主導型ではないかというのはそこにあるのです。先ほど言う失対賃金をそれ以上超しちゃならぬ、確かに全部超えてない。一銭も一円も超えてない。そうして、その中であくまでそういう決定を強行する指導によって行うから、アメリカでは最賃は二ドルから二ドル五十セント、フランスでは一時間四百円、日本では最高でも二百二十円しかならぬ、こういった金額しか生まれてこない。このことを私は指摘をしている。この辺についてどうですか、労働大臣。
  538. 長谷川峻

    ○国務大臣(長谷川峻君) 私は、この最賃の問題をずうっと勉強している間にこういうことが気がついたわけです。三者構成でありながら、よくその公益が経営者側についておって、労働省主導型とかあるいは経営者主導型と、こうおっしゃることが多いんですよ。しかしながら、ずうっといままで各地域の最賃、いろいろな最賃決まるとき見ますとね、三者がいつでも円満に――いろいろな話があるようです、それは議論してもらわなきゃいけませんから。しかしながら私は、どことどこが対決して、それをどこが押し切ってこういうふうに決めたという話は一つも聞かないのです。ですが、その中において一つ二つ片づかないところなどは、委員の選出等々によって、そのことがまた片づかないために決まっていないという話を聞いておりますが、昨年の暮れも、こういうときでございますから、ずうっとその地域最賃の改定などを行いましたときも、年の暮れにもこういう事情などがわかって三者構成が円満に一つ一つお片づけいただいたというところに、私は日本のこの審議会のやり方の運営のよさ、こういうことを実は感じているわけです。
  539. 案納勝

    ○案納勝君 あなたそう言うけれども、地域最賃の過程で、群馬やあるいは各地方で、現実にもめて決まらないじゃないですか。三者構成といっても、ILOの条約の中では、公益委員、中立委員を選出するときには労使双方の同意を得るようにと、こう言っているんです。いまわが国の場合の三者構成というのは、同意なんかないじゃないですか。労働省のあるいは連絡はあるでしょう。事実上の任命権は、一方的任命権を労働省は持っている、政府は。そうすると、あなたがそういうふうにきれいごとを言おうとしても、現実的に労働省官僚の主導の中で誘導され、指導されている。この現実は否定できないのですよ。そういう意味で、制度上は私はさらに公益委員の任命については労働者、使用者側の同意を得る、こういうきちんとした、信頼のおける、しかも賃金決定の立場というものを尊重していくという、国際水準までいまこそ引き上げるべきじゃないかと思いますが、どうですか。
  540. 長谷川峻

    ○国務大臣(長谷川峻君) 私はやっぱり労使が同じ数で、そこでやり合っておったんでは、これはなかなか実際的にはまずいんじゃないかと思うんですよ。それは私たちが仮に委員などを御推薦申し上げるときに、やっぱり経営者側に、あるいは労働組合側に、そういうところに内諾を得たり、いろんな連絡をとったりして、そして大体中央においてもやっているわけです。そういう中から私は三者が大体うまくいっている。私の宮城県なんというのはまだ小さい県、決まっていません。それは出てくる委員がなかなか頼んでも出てこない。ほかとの兼ね合いというふうなことなどもありましてね、そういう一つの例もあるんです。しかしながら、大体に私は三者がうまくいっている。そして両方同じ数だけでやっているよりは、いままでやってきて、円満にやっていった方がいいんじゃないか、実情がよくわかっている諸君ですし、こう思うんです。
  541. 案納勝

    ○案納勝君 それでは今日の審議会を改組して、三者構成の労使の同意を得て任命するという形はとる気はないということですか。
  542. 東村金之助

    ○政府委員(東村金之助君) ただいま大臣からお話ございましたように、三者構成をとっている以上は、やはり相互の信頼といいますか、お互いの信頼が必要であるという観点から、法律には明記してございませんが、やはり公益委員を選定するような場合には、しかるべく実質的に労使に御連絡をしてやるようにしたいし、不十分な場合には、そういうふうに今後とも努めてまいりたい、かように考えております。
  543. 案納勝

    ○案納勝君 それじゃ労働大臣、はっきり同意を得てというように書いても構わぬじゃないですか、そういうように修正をしてもいいんじゃないですか。
  544. 東村金之助

    政府委員(東村金之助君) ただいま申し上げた繰り返しになるかもしれませんが、現在の法律にはそういう規定ございません。したがいまして、運用の上で、できるだけそれに近づけてまいりたい、こういう趣旨でございます。
  545. 案納勝

    ○案納勝君 私は、現在の法律をそのように変えなさい、こう言っているのですが、変える意思はありますか。
  546. 長谷川峻

    ○国務大臣(長谷川峻君) 私は、いまのところは、いままでやってきたのを信頼、仮にトラブルのあるようなところですと、トラブルのないように、ひとつ連絡をしながらやっていくことの方がいいんじゃないか、こういうように思っております。
  547. 案納勝

    ○案納勝君 もう一回。さらに、フランスであるいはイギリスでとられているように同数の委員というのでなくして、たとえばフランスの場合は労使各十六名、家族組合連合三名、政府代表三名、労使でまず話をし、その中に公益、中立、政府代表というのが入る。あるいはイギリスの場合は、労使を代表するのは十一名から十五名、公益は三名、これが本来の私はILO二十六号の姿、いまの三者構成、わが国における賃金決定制度というのを、これを変えて、そういう中で本来のあるべき姿で賃金を決めていく最賃制、こういうことをとる気持ちありませんか。
  548. 長谷川峻

    ○国務大臣(長谷川峻君) それぞれの国にはそれぞれの歴史がございまして、そういうことで成功しているところもあるでしょうけれども、私たちはいままでこういうふうに三者構成で長くおやりいただいて、円満に問題が進捗しておると、こういうことで直ちによその国のをそのまま採用するという考えは持っておりません。
  549. 案納勝

    ○案納勝君 円満に解決してないから四団体の要求が出ているんじゃないですか。円満に解決しているなら、そんな要求出ないじゃないですか。しかも、先ほど言うように、決められているやつは労働省主導型で決められ、失対賃金を上のあることについては絶対に認めないというやり方をやる。おまけに金額的に言ったら生活ができないような形骸化された最賃制、私は最賃制と言いませんが、このことが社会的不公平と言わなくて何ですか、これは。どうなんですか。
  550. 長谷川峻

    ○国務大臣(長谷川峻君) 言葉をお返しするようですけれども、労働四団体から出ているものはいまの最賃制度の否定じゃないと私は思うんです。全国一律最賃の問題、こういうふうに私は理解して勉強しているわけでございます。
  551. 案納勝

    ○案納勝君 労働団体の柱は、要求されているのは、賃金委員会をつくって労使の賃金決定のルールに基づいたようなそういう形での賃金決定をしなさい、賃率を決めなさい、その上に立って全国一律最賃制を決定をしてもらいたい、こういう要求のはずです。あなたはそういうふうに要求書受け取っていると思うんですが、そのことを私は言っていると思うんです。国際水準以下じゃないかということを言っている、どうなんですか。
  552. 東村金之助

    ○政府委員(東村金之助君) 四団体から提出ございました内容は全国一律最低賃金の問題、それからただいま御指摘のございました最低賃金の決め方、つまり機構の問題、これにつきましては、現在の諮問という形ではなくて委員会を設ける、委員会におきましては労使が中心といいますか、数が多くて、公益があっせん的立場といいますか、そういう立場の構成をとってやると、かように承知しているわけでございます。そこで、現在の最低賃金がとっております公労使三者構成の審議会の問題がそれに照らしてどうかという御質問だと思いますが、現在私どもがやっております公労使同数の三者構成による委員会、先ほどから大臣いろいろお話ございますように、非常に円滑にやっていける部面が多くございますし、いまの段階で直ちに先生御指摘のような委員会制度に切りかえるということについては、私どももさらに検討を要するのではないかと、かように考えております。
  553. 案納勝

    ○案納勝君 それじゃ、このくらいでこれはとどめておきますが、先ほど大臣が答弁の中で言われましたね。全国一律最賃制を実施するに当たって実効ある措置をなかなか伴うことが困難だと、したがって、全国一律最賃制というのは今日の段階では考えられない、こういう答弁だったと思いますがね。私はいま要求出され、問題になっているのは、単に東京を基準にして決めろということでなくして、ナショナルミニマムとして社会的不公正を是正する意味で最低の基準を全国的に適用できるような一律制を決めなさいということなんです。これにおいて具体的にそれでは東京の場合はどうする、産業別、業種別賃金はそれにプラスして、その上に事実上の賃金の引き上げを果たしていくような役割り、それぞれの地域の実情を加味できると思いますが、どうですか。
  554. 長谷川峻

    ○国務大臣(長谷川峻君) いま先生おっしゃったのは労働四団体がお出しになったのと大体同じものだと、こう思うんです。私が当初申し上げた中央最低賃金審議会から提出された答申というものにございますが、「なお地域間、産業間等の賃金格差がかなり大きく存在しているという事実を確認せざるを得ず、現状では実効性を期待し得ない。」と、こうしているのが、私がいままで申し上げたことでございます。そこで、いま先生がおっしゃったこと、あるいは労働四団体が出してきたそういう案につきましては、直ちに労働省と組合の諸君の中で最賃のよくおわかりになる方にお集まりいただいて御勉強願っていると、こういうことでございます。
  555. 案納勝

    ○案納勝君 同じく、大臣はそういうふうに四十五年の九月八日に答申をされた内容を読まれたと思うんですが、しかし、現実的に今日の段階では地域的な格差というのは減少をしてきているんじゃありませんか、どうですか。
  556. 東村金之助

    ○政府委員(東村金之助君) 一々数字を申し上げませんが、昭和四十五年の当時と現在ではその格差はそれほど縮小しておりません。むしろ横ばいという関係でございます。
  557. 案納勝

    ○案納勝君 もう一回。
  558. 東村金之助

    ○政府委員(東村金之助君) 四十五年に、先ほど大臣からもお話ございました答申がございましたが、その四十五年と現在との間では地域別に格差がどうなっているかという御質問でございますが、四十五年当時と現在とはそれほど地域別格差は減少しておりません。むしろ横ばいという状態でございます。
  559. 案納勝

    ○案納勝君 それじゃ、四十五年段階で東京と各地方との地域格差はどのくらいですか。
  560. 東村金之助

    ○政府委員(東村金之助君) 四十五年におきまして、東京を一〇〇といたしますると、一番低い県で四十五年が現金給与総額で五六・九という数字でございますが、それが四十八年になりますると、東京を一〇〇にいたしまして五七・八、こういう数字でございます。
  561. 案納勝

    ○案納勝君 四十年は。
  562. 東村金之助

    ○政府委員(東村金之助君) ちょっと手元に資料がございません。
  563. 案納勝

    ○案納勝君 私がいま質問をしているのは、東京だけ、たとえばそれを一〇〇としてほかのところを全部それに直せと言っているんじゃないんですよ。最賃制ですから全国なべてナショナルミニマムとして一定の基準をつくった上で出ているところ、それについてはそれなりの措置をするとしても、最低の基準というものを全国のどの勤労者も適用できるようにすることが、今日の公正の確保ということにつながっていくんじゃないですかと聞いているんです。それどうですか。
  564. 長谷川峻

    ○国務大臣(長谷川峻君) そういうこともあわせて労働省の諸君と組合の諸君とでいろいろないま議論が交わされている、こう思っております。
  565. 案納勝

    ○案納勝君 議論を交わされているんじゃなくて、私はここであなたの見解聞いているんですよ。このことが今回の春闘問題などと絡んで、現実にあなた方、先ほどの副総理じゃないですが、対話と協調ということで、春闘の重要な課題として具体的な内容をもって話を詰めるという、そういう姿勢でいま話し合いしているんじゃないですか。労働大臣としてこれに対してどうするのかということを明らかにしてもらいたい。――大臣に聞いているの、大臣に。
  566. 東村金之助

    ○政府委員(東村金之助君) その大臣が御判断になる前提として、たとえば現在格差がそのように大きいと、そこで一律の最低賃金をどういうところに引いたならばどういう問題が起こるであろうか。たとえば東京を一〇〇にして、いま五十数%、六〇%前後ということを申し上げましたが、その六〇%ぐらいのところに引くということになれば、それは一つのナショナルミニマムではございますが、それはいまの最低賃金と同じようなかっこうにならざるを得ない。したがいまして、それをもう少し引き上げたところでナショナルミニマムの線を引かなきゃいかぬとなると、それ以下のところがどういう影響を持つであろうかということをせっかく勉強をして、その上で大臣に御判断を願うと、こういう手続でいま考えているところでございます。
  567. 案納勝

    ○案納勝君 大臣、どうですか。
  568. 長谷川峻

    ○国務大臣(長谷川峻君) いまのようなことでございますから、御理解をいただきたいと思います。
  569. 案納勝

    ○案納勝君 何です、いまのようなとおりというのは何ですか。もう一回。
  570. 長谷川峻

    ○国務大臣(長谷川峻君) 労働省は、労働四団体の申し入れを受けまして、素面にこれを事務段階におろし、そして組合の諸君といまのような問題で一つ一つ話を詰めている。それをまた私のところにきて時に判断もし、時にほかの方々と御相談をする、こういうことになっていこうと、こう思っております。
  571. 案納勝

    ○案納勝君 それは労働大臣、この問題については具体的に中身を詰めて、具体的な答えを持って四団体その他とのこの春闘の中での決着を図りたい、こういうことですか。
  572. 長谷川峻

    ○国務大臣(長谷川峻君) 何さま、見れば見るほど四十五年のときに制度としてなかなかこれは実効性が上がらないと、全国一律。そこのところにいまのような新しい問題が出てきているわけでしょう、四団体のいろんな、あなたのナショナルミニマムとか。そして、たとえば組合の大会などを見ても、敷き方によっては自分たちの地方は払ってもらえないようなところもあるというふうなことなどもみんなありますから、こういうものなどをずうっと勉強して、私はやはりどこかでひとつ対話と協調というものをとりたい、そういう熱意があることだけはいまの段階で申し上げて真剣に考えていきますが、さてその場で、これだけむずかしい問題をばっとおっしゃるとおりの結論が出るか出ないかというところは、ちょっと私いまのところ断言ができないところです。
  573. 案納勝

    ○案納勝君 私が言っているのは、今日の日本の場合に、いまあなたの答弁の中で払えるところもあるとかないとかという話もありますけれども、中小企業を中心にする今日の不況の段階で、全国最低賃金制というのは、いまや労働者の保護法じゃない、そういう社会的側面じゃなくして、全般的な経済的側面という面から、不況対策あるいは中小企業近代化という面から促進をされなくちゃならぬと思うんです。そういう側面を持っているのが全国一律最低賃金制なんだ。したがって、そういう面で私どもは、いまあなたが答弁をされましたが、検討しているじゃなくして、もう現実の課題として、二十七日には四団体を含め春闘共闘ストライキをやるというんでしょう。それをどう処置をするんですか、どう対処するんですか。それに具体的な答えを出さなくちゃならぬときじゃないですか。それについてどう思いますか。
  574. 長谷川峻

    ○国務大臣(長谷川峻君) これはなかなかむずかしい議論が出てまいりましてね、制度問題でストライキをされる、それはやっぱり私は非常に困ると思っているんです。賃金問題で話して話して話し抜いた後で、時にそういうこともあるだろうということを思いますけれども、最低賃金という制度問題で、こういう物価問題で国民全体がインフレと雇用不安でお互いが国会で一生懸命議論しているときに、さてその制度問題でストライキをやるんだ、さあ、だからおみやげ出せと、こういうことでは、ちょっと私はね。勉強は一生懸命していますよ。また、そういうことのないようにしたいという気持ちは御理解いただきたいと、こう思うんです。
  575. 案納勝

    ○案納勝君 そういう答弁をするから、実際に三木内閣は風鈴じゃないかと言われるんです。現実の課題として、最賃制というのは先ほど私が言ったように、労働者の保護法というよりも、みずからの賃金、みずからの生活権を守る問題につながっているんですよ。ヨーロッパの労働運動の歴史を見たってそうじゃないですか、フランスにしたって、イギリスにしたって。そういう具体的な現実の問題について、あなたみたいな答弁をやっていたら問題は解決しないじゃないですか。具体的な問題を労働問題として、私はこの間あなたに言ったけれども、労働組合対策だけじゃなくして、労働問題というものを、いまの経済的社会的側面すべてを判断していまやることが労働大臣の仕事じゃないのか、いま労働省は労働組合対策しかやってきていないじゃないか、こう言いました。この問題は、あなたの言うような、制度だけの問題でストライキをやるのはけしからぬだけじゃ片づかない問題なんですよ。もう一回はっきり言ってください。
  576. 長谷川峻

    ○国務大臣(長谷川峻君) おっしゃるように、労働行政は労働組合対策ではありません。私は、今日の日本は労働者といっても組織労働者、ナショナルセンター千二百万、未組織労働者二千四百万、そういうことを思いますというと、勤労者政策というものは大変なことであります。でありますから、万般にわたって乏しい力を出しながら懸命にやってきたものであります。そういう気持ちからしまして、私はいま、労働四団体がお出しになったところの最低賃金についての一つの案、あるいは委員会において与野党を通じて最賃の問題についてのそういう国会の場の話なども聞きながら、そしてそれを受けて立って事務当局と組合の諸君と話をしておる。それを二十七日にストライキをやるからさあ出せと、こう言われても、私はいまのところ、おっしゃられたとおりにすぐお答えできるということにはならないと思っております。
  577. 案納勝

    ○案納勝君 いま労働大臣の答弁の中に、誠意を持ってやるということなんですがね、具体的にこの問題の解決が、労使というよりも、今日の経済的社会的な面から持つ意義が大きいだけに、私は野党四党で具体的な共同修正案を提案をしようという準備をしています。誠意を持って四団体等と話し合うということについて明らかにしていただきたいと思います。
  578. 長谷川峻

    ○国務大臣(長谷川峻君) いま国会の場で議論されているもの、その中の最大のものは、やっぱりインフレを抑えながら何とかしていこうということなんです。そういう中において、私はそういうものを避けたいためにも実は一生懸命対話と協調の精神ということで、いまの四団体から出されているもの、あなた方から御質問いただいたものに対して事務当局に研究させておるわけです。また、私のほうからの希望から申しますというと、そういうときであればあるほど、二十七日の違法ストというものが、全国一律最賃という政治的スローガンかも知らぬが、そういうことによって日本じゆうにそういう違法ストが行われたら、これは大変なことになる。権威のある方々はぜひこういうものをひとつ抑えるような御努力もお願いしたい、こういう感じを持っております。
  579. 案納勝

    ○案納勝君 違法ストというのは何ですか、それは。あなたは労働大臣で、最賃問題をめぐって国際的に今日までの経過というのはよく御存じでしょう。最賃というのは、労働者の具体的な生活にかかわる問題なんですよ。それが、あなたの言う制度であり違法ストだとは何ですか。そういう感覚で労働行政をやろうとするから、いつまでもあなたたちが対話と協調と言ったって、対話と協調はインチキだとなるんですよ。もう少し歴史的な国際的な労働運動全体の流れや趨勢の上に立っていかなければ、自民党の脱皮もできないんじゃないですか。どうですか。
  580. 長谷川峻

    ○国務大臣(長谷川峻君) 懸命に対話と協調の精神を尊重しながら、正しい労使慣行が生まれるように努力してまいりたいと、こう思っております。
  581. 案納勝

    ○案納勝君 最賃問題は一応この程度にしまして、時短問題についてお伺いします。  すでに二月一日の衆議院の予算委員会でも三木総理は、週休二日制は私は賛成だと、こう言っております。週休二日制が世界の趨勢であることは御案内のとおりですが、早急に実施をする、踏み切る用意があるかどうか、この辺についてお伺いしたいと思います。
  582. 東村金之助

    ○政府委員(東村金之助君) お話の前提として、現在週休二日制がどういうふうな普及状況になっているかということを申し上げますと、昭和四十八年九月末現在の調査によりますと、規模三十人以上の企業の三〇%がやっております。労働者の割合で申し上げますと五四・七%という数字に相なります。これは完全週休二日制ではございませんが、一応何らかの形で週休二日制をとっているところでございます。ただし、これを企業規模別に見ますと、千人以上の大企業では七割前後の普及を見ておりまするのですが、中小企業等におきましては大体二四、五%の普及率と相なっております。  いずれにいたしましても、中小企業のおくれというものがどうしても避けられませんので、われわれといたしましてはこの週休二日制の問題については集団指導等を通じまして、各種の資料やあるいは労務改善事業等をやっておりまするところに助成をいたしまして、この週休二日制が段階的、計画的に実施できるように、こういうふうに現在援助をしているところでございます。
  583. 案納勝

    ○案納勝君 一人当たり国民所得千ドル以上の国の週休二日制の実施状況について説明してください。
  584. 東村金之助

    ○政府委員(東村金之助君) 千ドル以上についてどういうふうになっているかという資料は、細部の資料はございませんが、ヨーロッパ並びにアメリカ等におきましては、完全週休二日制といいますか、そういうものが一般的になっている。ただし、発展途上国においてはこれからの問題であるというふうに実態を承知しております。
  585. 案納勝

    ○案納勝君 全く労働省は何を勉強しているのか。外務省の調べに明らかになっているじゃないですか。実施をしていないのは日本とクウェートだけです。あと千ドル以上の各国の中で、週休二日制を実施していない国というのはないんじゃないですか。
  586. 東村金之助

    ○政府委員(東村金之助君) 私も外務省の資料を頭に置いて申し上げたわけですが、千ドルという数字があったかどうか……
  587. 案納勝

    ○案納勝君 ここにあるじゃないですか。見なさいよ、これ。
  588. 東村金之助

    ○政府委員(東村金之助君) それでございますと、おっしゃるとおりでございます。外務省の数字等は私ども承知しております。
  589. 案納勝

    ○案納勝君 人事院の総裁お見えになっていませんね、人事官ですね。お尋ねしますが、人事院は四十八年、四十九年と勧告をしていますね。その勧告のその後の経過について、どうなっていますか。
  590. 島田巽

    ○政府委員(島田巽君) 昨年の七月に給与改定の勧告をいたしましてから後、私どもとしまして秋に早速民間の実施している企業の実際の態様の調査をかなり大がかりに始めまして、それは目下集計中でございますが、そのほか、御承知のとおり週休二日制の場合に一番問題になりますのは、交代制勤務の多い官署でございまして、これが国家公務員の場合相当な分野にまたがって、いろいろの態様の違ったものがございますので、その実態調査も行ってまいりました。  それからまた、御承知のとおり、昨年の勧告の中の報告書におきまして特に試行計画を――試行計画についていろいろと策定してまいって、そしてどういう工夫をすれば円滑に実施することができるかという方向につきまして、これは関係機関に全部、何度もお願いして会合を重ねて、もうすでに十数回にわたって検討を続けている段階でございまして、できるだけそういうようなことから早く結論を見たいというふうに考えているのが現在の段階でございます。
  591. 案納勝

    ○案納勝君 重ねて質問します。  試行実施についてのめどは、人事院はどう思っているんですか。
  592. 島田巽

    ○政府委員(島田巽君) その各省庁の交代制勤務の多い困難な場所における試行計画がどういうふうに行われるかという、そのめどと申しますか、研究が進捗した段階において考えたいというふうに、いまのところ考えております。
  593. 案納勝

    ○案納勝君 総理府総務長官にお尋ねしますが、人事院勧告を受けて総理府として検討をされてきていると思いますが、たとえば閣議なり、各省庁横断の協議なり、今日までやられてきた経過について。
  594. 植木光教

    ○国務大臣(植木光教君) 政府は、人事院の勧告が出されます前年の昭和四十七年以来、週休二日制・定年制延長問題関係閣僚懇談会と関係各省庁連絡会議を設けまして、すでに何回か検討を重ねてきたところでございます。特に関係各省庁連絡会議には、非現業関係、三公社五現業関係、教育公務員関係、民間企業関係、そういう四つの部会を設けまして検討をいたしているのでございます。
  595. 案納勝

    ○案納勝君 いま検討されているようですが、具体的にこれを発車するというめどを、どのくらい、どこあたりに置いているのですか。
  596. 植木光教

    ○国務大臣(植木光教君) 先ほど人事院の方からお話がございましたように、人事院の報告の趣旨は、なお検討を要する分野が残されているけれども、試行についての計画を策定する等、具体化のための検討を進める、こういう態度でおられるわけでございます。政府といたしましては、公務員の勤務条件の基本に係る問題でございますから、人事院の勧告を受けてこれを実施するということになろうかと思うのでございますけれども、先ほど申し上げましたように、政府は、政府部内において関係省庁間でいま検討を続けているところでございます。いつを目途にしているかというお話でございますが、人事院との関係もございます。また、民間事業所の実態との関係、あるいは行政サービスをどのように維持していくことができるか、また、国民感情はどうであろうかと、こういうようないろいろな面につきまして配慮をしていかなければならないのでございまして、せっかく努力中でございますが、いま直ちにいつからということを申し上げかねることを御了承いただきとう存じます。
  597. 案納勝

    ○案納勝君 人事院の島田さんにお尋ねしますが、人事院としては、五十年度の勧告ですね、本年の勧告の中には、この時短の問題について勧告は当然盛られると思いますが、そのように理解していいですか。
  598. 島田巽

    ○政府委員(島田巽君) 本年度の勧告の中にどういう点を盛り込むかということにつきましては、現在の時点ではまだはっきりした決定を私どもはいたしておりません。その前に、御承知のとおり、民間給与の調査を大々的にいつものとおりいたしますが、その機会に、昨年もそうでございましたが、ことしも民間企業における普及状態という最新の数字を得まして、そして一方におきまして、先ほど申しました試行計画の進捗状況というものも踏まえまして、その上で決定することになろうかと、そういうふうに考えます。
  599. 案納勝

    ○案納勝君 それでは大蔵省にお尋ねしますが、世界の銀行で、週休二日制、土曜閉店をやっている国は何カ国ありますか。
  600. 高橋英明

    ○政府委員(高橋英明君) 正確な調べはございませんが、私どもの知り得るところでは、五十九カ国、大体六十カ国ぐらいやっておると思います。
  601. 案納勝

    ○案納勝君 これを実施したことによって、各国の段階で、社会的不安か経済的混乱が起こったような事例がありますか。
  602. 高橋英明

    ○政府委員(高橋英明君) 大体、銀行の週休二日制の実施が一般の企業に追随して行われたという例が多うございます。つまり、先行型じゃございませんで、追随型ということが多うございます。したがいまして、銀行が週休二日に踏み切る以前に一般企業あるいは公務員等の週休二日が普及しておりまして、そのために、アメリカあるいはドイツなどの例を調べますと、いわゆる商法あるいは小切手法等々の手当てが進んでおりまして、それから金融機関の週休二日が実施されたと。先行型でやりましたのはフランスでございますけれども、これはどういう手当てをしたか、いま調べておりますけれども、まだよくわかりませんが、社会的な混乱が起きたとかということはなかったようでございます。
  603. 案納勝

    ○案納勝君 そうだとすると、すでに五四・七%、四十九年の人事院勧告の資料によっても五八・八%、これがすでに週休二日制を実施をしておる、完全ではありませんが。とすると、銀行の場合に週休二日制、土曜閉店ということで全体の趨勢として踏み切っていいと思いますが、いかかですか。
  604. 高橋英明

    ○政府委員(高橋英明君) まあ五四%というようなところで銀行が踏み切っていいかということについて、国民的な同意が得られますかどうか、その点若干議論のあるところであろうかと思います。まあ銀行は、御承知のとおり、公共的な性格を持ち、本来サービス企業でございますので、土曜日率先してといいますか、いまの段階で閉店した場合に、休まない企業、あるいは特に中小企業等々に対する御迷惑といったようなものを国民がどう理解してくれるかというような現実の問題が一つございます。  もう一つは、法律的な問題でございますが、銀行法十八条に銀行の休日の規定が限定的に書いてございますので、これの改正をしなければなりません。ただ銀行法の休日の規定を一応削除をしたというだけでは実は十分じゃございませんで、これは先ほどちょっと申し上げましたが、手形法、小切手法等々、不渡りになるというようなことを防止しなければなりませんし、それからまた、税法等の納付等の関係、そういったものの手当てもしなきゃなりませんので、法制的な整備ということは、やっぱり一方において精力的に行われなければならない、こういう二つがございます。  もちろん、こういう趨勢になってまいりまして、一般的に週休二日が普及していっておりますので、私どもも銀行の週休二日ということについてはもちろん検討を加えております。
  605. 案納勝

    ○案納勝君 二月の一日の衆議院の予算委員会では、全銀協の会長の佐々木さんが、これらについての銀行の週休二日制については基本的に賛成だ、こういうことを明らかにされていますね。さらに全銀協の人事委員会等でも、五十一年度を目標にして週休二日制の方向というものをお互い確認していますね。その二とを御存じですね。
  606. 高橋英明

    ○政府委員(高橋英明君) 全銀協の会長がそういう発言をしたこと、あるいはその他のことも承知しております。
  607. 案納勝

    ○案納勝君 もう一回重ねてお尋ねしますが、いま外国為替業務は土曜日はどうなっていますか。
  608. 高橋英明

    ○政府委員(高橋英明君) 外国為替業務と申しますと、まあ外国為替市場のことだと思いますが、これは現在日本では一応土曜日には休んでおります。これは諸外国の土曜日に休むということに合わせてやっております。ただ、これは申し上げますが、外国為替市場というのは、法的には定義はございませんが、一応私どもは外国為替を扱う銀行間の取引、これを外国為替市場と言っているわけでございます。したがいまして、私どもは外国為替を扱う銀行間の、つまりインターバンクの取引はやめておるというのが外国為替市場土曜日の状態でございます。  また、御質問のある前にちょっとお答えいたしますが、そういう銀行は外国為替市場業務、つまりインターバンクの為替取引は休んでおりますけれども、外国為替銀行の店は閉めてはおらないわけでございます。したがいまして、一般の顧客が、たとえば旅行者のトラベラーズチェックといったようなものを為替銀行の店に土曜日にやってまいりましたようなときには、これは扱っておるわけでございます。したがいまして、為替市場は土曜日は休んでおりますということになっておりますけれども、為替銀行の店は土曜日閉めておるというわけではございません。
  609. 案納勝

    ○案納勝君 大蔵大臣にお尋ねしますが、大蔵大臣も同じく衆議院の二月四日の予算委員会等で、銀行の週休二日制について、銀行法十八条の改正問題について、これらについて閣議に諮って二日制の問題の実現について努力をする、こういう意思表示がなされているやに承っていますが、いま全銀協の側についても、週休二日制を五十一年をめどにと、基本的に賛成だという立場に立っている。そういう中で、昭和三年につくられた銀行法の抜本的改正はあるとしても、この十八条を改正をして、今日の全体の趨勢である時短問題について、今国会でそれを進めていくという考えが大蔵大臣はおありですか。
  610. 大平正芳

    ○国務大臣(大平正芳君) 銀行の週休二日制の問題は、時期を見て取り上げざるを得ないのではないかという趣旨のことは申し上げたわけでございますが、しかし、十八条の改正をもって足れりとする問題ではございませんで、先ほどからのやりとりを通じて御理解いただいておりますように、法制上の問題はほかにもございまするし、また実体的な問題もいろいろ絡んでおりまするので、これはやはりひとり大蔵行政という立場からじゃなくて、閣議レベルの問題ではないかというように感じておるわけでございます。したがいまして、時間をかけて閣議レベルの問題として検討せねばなるまいという意思表示をいたしたわけでございまして、今国会に銀行法の改正案について御審議をいただくつもりであるという意味のことを申し上げたことではございません。
  611. 案納勝

    ○案納勝君 大蔵大臣、いま言われて、単に十八条だけの改正だけでは十分ではないと私も思います。しかしながら、現実に、趨勢的にも銀行側においてもこれらについてすでに準備作業に入るという現状、あるいは国内の、あるいは国際的な状況においても時短問題、週休二日制というのは時代の趨勢だ。私は、いま大蔵大臣が言われた時間をかけてというよりも、今回会で一定の、十八条及び銀行の土曜閉店問題については方向を出すということが今日段階で私は一番望ましいと思いますが、そういう姿勢で具体的な検討に入ることについていかがですか。
  612. 大平正芳

    ○国務大臣(大平正芳君) あなたの言われる、あなたが指向されておる方向も理解できないわけじゃありません。しかしながら、事は銀行法の改正問題でございます。銀行法は、御案内のように昭和二年の立法に係るものでございまするし、いわば経済立法といたしまして非常に大事な立法でございまして、これ自体の改正問題というのがすでに世上で問題になっておりまするし、本院におきましても論議が出ておることは御案内のとおりでございます。したがいまして、週休二日制に絡んだ十八条の改正問題という角度だけから銀行法の改正問題を取り上げるというわけにもまいりませんで、やはり銀行法の改正という問題全体を取り上げて、その一環としてこの十八条問題も検討するというのが筋道であろうと私は考えております。したがって、この予算を成立さしていただきました暁におきましては、金融制度調査会の首脳とぼつぼつ意見の調整をやってみたいと、銀行法の改正自体につきまして考えておるわけでございまして、とても今国会に御審議をいただくドラフトをつくるというようなことでいま私が考えておるわけでないことを御了承いただきたいと思います。
  613. 案納勝

    ○案納勝君 大蔵大臣、いま金融関係の企業では、そのほとんどが実質的に週休二日制を実施をしているんですよ。その内容は、土曜日における職員を半数ずつ交代で休ませるといった変則的なやり方なんです。そのために土曜日の業務というのは、皆さん御案内のとおり大変にふくそうをしている、破綻寸前と言っても言い過ぎでないですよ。そういう事情御存じですか。
  614. 大平正芳

    ○国務大臣(大平正芳君) ええ、伺っております。
  615. 案納勝

    ○案納勝君 さらにその上に立って、いま大臣に質問をした――二月四日の衆議院大蔵委員会の中では、銀行側の意見として小原信用金庫協会会長が、すでに完全週休二日制は時代の要請であるから、そのためには全銀協が先達になって金融業界は足並みをそろえてやりたい、郵便局や農協もぜひ一緒にやりたい、こういうふうに言い切ってあるのですね。これを私は、いまの時代の全体の趨勢として、しかも今日における不況や経済的なそういう側面から見ても、この週休二日制というのは私はもっと前進をさせるべきだと思うのです。それについてこの国会ではというのじゃなくして、私はやはりいまの経済政策の側面として、この問題を今国会の段階で、ここまで来ているやつを政府が引きとめるということは私はないと思う。政府が積極的にこの問題を進めるという立場で私はあるべきだと思いますが、いかがでしょうか。
  616. 大平正芳

    ○国務大臣(大平正芳君) 冒頭にもお答え申し上げましたように、この問題、週休二日制の問題を取り上げて真剣に検討してまいる時期が来たという認識は申し上げたつもりでございます。またしかし、こういう時勢の流れというものをせきとめるというような気持ちは毛頭ございません。問題は、そういう大事な問題でございますので、法制的な問題、実体的な問題を一つ一つ固めてまいることが堅実なアプローチの仕方であると存じまして、まず銀行法の改正問題全体というものにつきまして、金融制度調査会の首脳と意見の交換から始めてみようと考えておるわけでございます。これは、何もゆっくり時間をそこでかせぐとかいうようなつもりはないわけでございまして、むしろ、そういうやり方の方が、こういう大事なことをハンドルする道としては堅実ではないかと考えておるわけでございまして、決して時流に逆らうとかいうような気持ちは毛頭持っていないことは、御理解いただきたいと思います。
  617. 案納勝

    ○案納勝君 私は結論的に言えば、週休二日制に対する機運は、単に、これがそれぞれの企業、あるいは余暇の利用あるいは労働力の再生産、こういった面だけでなくして、先ほどから繰り返し言うように、今日の不況あるいは中小企業の近代化、すべての面での経済的側面を持ちながら、今日その機運が随所に出てきていると思うんです。そういうことを考えるときに、法律の整備とか、各省横断的に協議をすることがおくれているとか、そういうことを言うことによって私は済む問題ではないと思う。  私は、特に福田副総理に要請をしたいと思いますが、この際、最賃問題と同じように、政治的な判断との取り組みをもっと積極的に取り組んでいくという姿勢が私は三木内閣にあってしかるべきだと。そのことが、単に口先だけの三木内閣でなく、まさに社会的公正を確保して対話と協調を実行していくということにつながってくると思う。最後に、最賃問題も含めて副総理の見解をお聞きをして終わりたいと思います。
  618. 福田赳夫

    ○国務大臣(福田赳夫君) 週休二日制は御指摘のように世界の大勢となっておる、さように心得ておりますが、これをわが国において取り入れるということ、これは私は、経済のことをおっしゃいますが、経済の面にも影響のある問題です。これは大きな影響があると思う。また同時に、社会面ですね、人間生活のあり方ということを含めまして、社会的に大きな影響のある問題だ。そういう問題で、そういま局面をとらえて、景気の情勢がどうだからこの問題をという、そんななまやさしい問題じゃないと、こういうふうに思うんです。私は、この問題はかなりこれは重大な問題である。しかし、世界の大勢が大分そういうふうに傾いてきておりますので、わが国としても、それにどういうふうに順応していくかということをかなりきめ細かく煮詰めて、そうしてこの大勢に乗っていくという姿勢でなければならぬだろう、こういうふうに思います。私が考えまするのに、とにかく、完全週休二日制ということもありますが、同時に部分的週休二日制ということもあるわけです。いま、部分的な週休二日制ということが普遍化しようとしておる。その辺が、どういうふうな動きに社会がなっていくか、そういうことをよく見詰めまして、政府あるいは金融機関、そういうものが対応していかなきゃならぬだろう、こういうふうに思います。まあ世界の流れに逆行するということじゃこれはぐあい悪いです。やっぱり世界の流れにさお差す、こういう姿勢で、しかも、これは国家経済あるいは社会に非常に重要な問題でありまするから、その対応というものについては慎重な詰めをした後踏ん切りをつけべき問題である。まあ国や金融機関等、そういう主導的な立場にあるその分野の週休二日制というものは、よほど詰めをよく整えて、しかる後にこれに応じていくべきものであると、かように考えております。
  619. 案納勝

    ○案納勝君 終わります。(拍手)
  620. 大谷藤之助

    ○委員長(大谷藤之助君) 以上をもちまして案納勝君の質疑は終了いたしました。  明日は午前十時開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後七時三十八分散会