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1975-07-01 第75回国会 参議院 社会労働委員会 20号 公式Web版

  1. 昭和五十年七月一日(火曜日)    午前十一時八分開会     ―――――――――――――    委員の異動  六月二十五日     辞任         補欠選任      斎藤 十朗君     中西 一郎君  六月二十六日     辞任         補欠選任      柏原 ヤス君     黒柳  明君      沓脱タケ子君     星野  力君  六月三十日     辞任         補欠選任      玉置 和郎君     菅野 儀作君      黒柳  明君     柏原 ヤス君  七月一日     辞任         補欠選任      中西 一郎君     夏目 忠雄君      鹿島 俊雄君     古賀雷四郎君      星野  力君     沓脱タケ子君     ―――――――――――――   出席者は左のとおり。     委員長         村田 秀三君     理 事                 丸茂 重貞君                 山崎  昇君     委 員                 石本  茂君                 上原 正吉君                 小川 半次君                 鹿島 俊雄君                 神田  博君                 古賀雷四郎君                 菅野 儀作君                 高田 浩運君                 徳永 正利君                 夏目 忠雄君                 森下  泰君                 浜本 万三君                目黒今朝次郎君                 柄谷 道一君    国務大臣        厚 生 大 臣  田中 正巳君    政府委員        厚生大臣官房長  石野 清治君        厚生大臣官房審        議官       山下 眞臣君        厚生省公衆衛生        局長       佐分利輝彦君        厚生省医務局長  滝沢  正君        厚生省児童家庭        局長       上村  一君    事務局側        常任委員会専門        員        中原 武夫君    説明員        文部省初等中等        教育特殊教育        課長       国松 治男君     ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○原子爆弾被爆者等援護法案(第七十四回国会浜  本万三君外三名発議)(継続案件) ○原子爆弾被爆者に対する特別措置に関する法律  の一部を改正する法律案内閣提出、衆議院送  付) ○継続審査要求に関する件     ―――――――――――――
  2. 村田秀三

    ○委員長(村田秀三君) ただいまから社会労働委員会を開会いたします。  委員の異動について御報告いたします。  去る六月二十五日、斎藤十朗君が委員を辞任され、その補欠として中西一郎君が選任されました。  また昨日、玉置和郎君が委員を辞任され、その  補欠として菅野儀作君が選任されました。     ―――――――――――――
  3. 村田秀三

    ○委員長(村田秀三君) 原子爆弾被爆者等援護法案及び原子爆弾被爆者に対する特別措置に関する法律の一部を改正する法律案を一括して議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次発言を願います。
  4. 浜本万三

    ○浜本万三君 私は、本日は被爆二世の問題を中心にお尋ねをいたしたいと思います。  まず最初にお尋ねをいたしたいのは、広島市広島県で行いました被爆二世の健康状態に関する調査結果があるというふうに聞いておるわけですが、その内容を厚生省の方で承知されておりましたならば報告をしてほしいというふうに思います。
  5. 佐分利輝彦

    政府委員(佐分利輝彦君) 広島で行われております被爆二世の健康調査のことについてはよく承っております。ただ、県からの報告によりますと、被爆二世の一部の方々にプライバシーの問題から公表を差し控えてほしいという強い希望が出  てまいりましたので、その詳細については厚生省にも報告をしないということになっております。
  6. 浜本万三

    ○浜本万三君 私が承知しております内容によりますと、調査いたしました被爆二世の数が四万七千人ぐらい、そのうち約一八%強の人が相当の疾病にかかっておるということを聞いておるわけであります。特にその疾病の内容というのは、健康管理手当を受給できる十の疾病、つまり胃腸とか肝臓あるいはまた貧血その他造血臓器の患者が非常に多いというふうに聞いておるわけでございます。そういたしますと、被爆二世に関する今後の対策といたしましては、広島市並びに広島県が行った被爆二世の調査というものは活用できる資料ではないかというふうに思います。活用できる資料とするならば公表できる範囲で公表をいたしまして、その資料を今後の二世、三世対策使用すべきだというふうに思いますが、その点についてはどのようなお考え方でしょうか。
  7. 佐分利輝彦

    政府委員(佐分利輝彦君) 被爆二世の調査につきましてはいろいろなものがございます。しかしながら現在国際的にも認められておりますものは、国立予防衛生研究所の広島と長崎の支所と、かってのABCC、原爆傷害調査委員会とが共同で行いました調査でございまして、四十二年に発表されておりますけれども、被爆二世の白血病については、被爆していない方の二世の白血病と有意の差がないということが報告されております。また、その後被爆二世についての寿命や死亡の調査も行われておりまして、現在は財団法人放射線影響研究所でそれを引き継いでおりますけれども、その後の調査の結果を見ましても、白血病もまた寿命も一般の方々と差がないということに現在ではなっております。したがいまして、いまお話のございました広島における二世の健康調査の一般的な障害の発生状況等は一応の参考にはなるのでございますけれども、その点については、さらに非被爆者の二世のそういった一般的な障害の発生状況と正確に比較検討した上でないといまのところは原爆対策に使えるということは言えないと考えております。
  8. 浜本万三

    ○浜本万三君 いま局長からお話のございました旧ABCCの調査でございますが、それによると確かに四割程度白血病患者があるけれども、これが原爆被爆による二世への影響であるかどうかについてはまだ認識が統一されていないというふうに伺っております。しかし、このABCCの報告の最後の要約したくだりによりますと次のように述べられております。「放射線の影響が認められなかったということは、その影響がないということにはならない。それはただ、これまで観察できた範囲内では影響が認められなかったというにすぎない。現在までの経験から、白血病増加の可能性についてF1」F1というのは資料のことだろうと思いますが、「およびその後の世代の長期観察を実施する必要がある。」というふうに述べられておりまするし、同時にまた新しく発足いたしました放影研の今後の研究課題につきましても、二世、三世に相当する遺伝の問題が重要な研究課題になっておるというふうに思うわけでございます。そういうことを考えますと、有意の差が認められないということは影響がないということにはならないというふうに思うわけなんでございますが、その点について局長の見解を承りたいと思うわけです。
  9. 佐分利輝彦

    政府委員(佐分利輝彦君) その点につきましては御指摘のとおりでございまして、現在までの調査結果からは影響がないということにはなりません。したがって現在も新しい財団法人放射線影響研究所がその研究を引き続いて実施することになっておりますし、さらに近く開かれる日米合同の専門評議員会においても、この調査の重要性にかんがみまして、過去の調査の再評価、さらに今後の調査のあり方について、いろいろな角度から慎重に審議をすることになっております。
  10. 浜本万三

    ○浜本万三君 影響がないということではないというふうにお認めになりましたので、次の質問に入りたいというふうに思います。  現在わが国で放射線障害の防護に関するいろんな法令があるというふうに聞いておるわけでございますが、現在どのような法令があるのかお尋ねをいたしたいと思います。
  11. 滝沢正

    政府委員(滝沢正君) 放射線防護に関する根拠でございますが、これは国際放射線防護委員会というものがございまして、そこからすでに三回ぐらいにわたりまして勧告が出ておりますが、これに基づきまして放射線審議会に諮問した上で決められるのでございますが、現在適用されておりますものは、民間に対する規制としては電離放射線障害防止規則というのが放射線障害防止の関係でございます。それから国家公務員の関係に、人事院規則に定めた職員放射線障害の防止に関するものがあるわけでございまして、これらの基本放射線障害防止法というものに基づいておるわけでございます。
  12. 浜本万三

    ○浜本万三君 そのほか私が承っております中には、放射性同位元素等による放射線障害の防止に関する法律、さらに医療法、同施行規則第二十四条ないし三十条にわたりまして、これは厚生省の所管でありますが、そのような規定があるということを伺っておるわけでございますが、その中で特に次のような点についてお尋ねをいたしたいと思います。たとえば厚生省の所管であります医療法施行規則によりますと、これは厚生省からいただきました資料によりますと、その百五十五ページでありますが、診療用放射線の防護のために、病院または診療所施設の境界における放射線量が一週間につき十ミリレムと、一週間でございますから年間約〇・五レミだというふうに理解をしておるわけでございますが、これを超えないようにしなければならないとしております。その根拠はどこにあるのでしょうか、お尋ねをいたしたいと思うわけです。
  13. 滝沢正

    政府委員(滝沢正君) ただいまお話しの医療法の場合の施設基準を定めておるのでございますが、これらの問題もすべて先ほど申し上げました国際放射線防護委員会の勧告に基づきまして、放射線審議会に諮問した上で定められているものでございます。
  14. 浜本万三

    ○浜本万三君 また病院の入院患者につきましても三カ月間につき百三十ミリレムを超えて被曝さしてはならないということも同時に規定されておるわけでありますが、これらの根拠は、局長のお話のように、一九六五年ICRPの勧告に基づいてつくられたものであるというふうに理解をしてよろしゅうございますか。
  15. 滝沢正

    ○政府委員(滝沢正君) さようでございます。
  16. 浜本万三

    ○浜本万三君 つまり、これは年間〇・五レムを超すような放射線被曝には危険があるということになると思うわけであります。つまり、〇・五レムを超えるような場合には危険があるということが確認されておるというふうに考えて差し支えございませんか。
  17. 滝沢正

    ○政府委員(滝沢正君) この問題は、国際放射線防護委員会におきまして、個人に対する許容線量というものが現在の医学知識に基づきまして、身体の障害あるいは遺伝的障害等の起こる確率がほとんど無視できるという線量の根拠に基づきまして定められておるというふうに理解いたしております。
  18. 浜本万三

    ○浜本万三君 要するにこれを超えれば危険があるというふうに理解してよろしいですか。
  19. 滝沢正

    政府委員(滝沢正君) 患者の場合等につきましては、これは施設基準の問題はかなり厳密に数値を挙げておるわけでございますが、実際に医療を受ける患者の問題につきましては、これは生命の判断、生命に対する何といいますか、価値の比較論が中心になる面もございまして、厳密な意味の患者そのものに対する放射線防護の努力は当然配慮しなければなりませんけれども、数値的にはやはり従事者の関係を中心に定めてあるというふうに理解いたしております。
  20. 浜本万三

    ○浜本万三君 それは後者の患者の場合……。  それじゃ前者の一週間につき十ミリレムという、いわゆる年間〇・五レム相当の放射線量を超えてはならないということは認められるんではございませんか。
  21. 滝沢正

    政府委員(滝沢正君) 先生のおっしゃる〇・五というのは、職業人の方が五レム、その十分の一ということで特段の根拠はないというふうに承知いたしておるわけでございます。
  22. 浜本万三

    ○浜本万三君 これを超えたら危険かどうかという、その話を私は聞いておるわけなんでございまして、余り答弁をそらさないように率直に答えてもらいたいと思うんです。
  23. 滝沢正

    政府委員(滝沢正君) 先ほどお答えしましたように、国際防護委員会がこれを超せば危険であるというようなぎりぎりのものとして五レムというものを定めてあるのではなくて、かなり安全性を考慮した上で、しかも自然のこの世界に存在する放射能の問題等も勘案して定めたものであるというふうにわれわれは理解しておりますので、先生が五レムあるいは〇・五レムを超せばすぐ危険だという感覚について素直に危険だとお答えできないのは、やはり基本的にはそういう非常に安全な幅を置いた数値であるという点で御理解いただきたいというふうに思うわけでございます。
  24. 浜本万三

    ○浜本万三君 それじゃ職業人の場合のことについて角度を変えてお尋ねをしたいと思うんですが、これは労働省の所管になると思うんですが、先ほど局長から答弁のありました電離放射線障害防止規則というのがございますが、その百九ページにも載っておるわけですが、これは人事院規則職員放射線障害の防止についてということなんでございます。これは職業人として放射線業務に従事する者の受ける線量の限度というのが決められておるわけですが、これは職業人でございますが、男子につきましては三カ月間につき三レム、それから生殖可能女子の腹部については三カ月間につき一・三レム、妊娠中の女子については出産までに一レム、こういうふうに定められておると思いますが、こういうふうな規定を定められましたのはどういう理由でしょうか。
  25. 滝沢正

    政府委員(滝沢正君) 先生おっしゃるような数値が規則で定められておりますのは、このような妊娠可能な女子の腹部の被曝する限度というものがやはり定めてあるということは比較的その放射線の感受性の高い胎児に対する影響を考慮したものであろうというふうに理解いたしております。
  26. 浜本万三

    ○浜本万三君 そういたしますと、この職業人の場合の規定でも、男子は三カ月に三レム、ですから年間は少しふえると思いますが、生殖可能な女子並びに妊娠中の者につきましては一・三レムないし一レムというふうにきわめて厳しい基準がある。一般人の場合にはその十分の一だとするならば、さらに厳しい基準になるというふうに思うわけでございます。したがって、私は先ほどの話とこれを兼ねて申しますと、つなぎ合わせて申しますと、〇・五レム以上というのは影響があるというふうに見て差し支えないのではないかというふうに思いますが、重ねて答弁をいただきたいと思うわけです。
  27. 滝沢正

    政府委員(滝沢正君) 先ほどお答えしましたように、妊娠可能ということはいわゆる胎児への影響を考慮したものであるわけでございます。そういう意味で女子の従事者の問題を今度は一般の患者としての女子、これに当てはめたときには、いま医学放射線関係者の常識といたしましては、妊娠というものの可能性のある条件のときには腹部の防護装置等をいたしまして影響を極力患者に対する配慮としては防止するように努めることになっておるわけでございます。  で、基本的にまとめの御質問としてのやはり危険性があるのじゃないか、しかも女子の場合はその限度が非常に厳しいのじゃないか、これはおっしゃるとおりだと思いますが、先ほど来お答えしましたように、その許容限界というものをその辺に置いたのは、決してそれを超せばすぐ危険であるという数値ではない。したがって、たとえば手の場合には八レムまでいいとか、足とかそういう体の部分によっては二十レムまでいいとかいうような定めも一緒に一般的な定めとして、これは職業人でございますが、あるようなわけでございまして、一番問題なのはやはり骨髄、生殖関係の人体の器官というものが一番重要でございまして、したがって、女子の妊娠可能な女子というものは胎児への影響を考慮した厳しいものになっておるというふうに御理解いただきたいと思います。
  28. 浜本万三

    ○浜本万三君 いまの局長の答弁では特に女子の腹部、妊娠中の胎児については相当重要な影響があると、こういう御答弁なんですが、つまりこれは放射線による遺伝的影響の存在があるということを認められて特に女子及び生殖可能な方、女子ですね、それから妊娠中の者に対しましては、先ほどお話をいたしました一・三ないし一レムというふうに厳しい基準になっておるというふうに理解をしてよろしいですか、遺伝に関係があるということで。
  29. 滝沢正

    政府委員(滝沢正君) 遺伝そのもの、したがって、卵子とか精子あるいは染色体というようなずばりの問題に影響があるかどうかの議論は、これは必ずしも学問的に十分確立してないと思いますが、放射線そのものが感受性の高いのは骨髄であり、あるいは生殖腺である。まして胎児となった場合に対する影響というものは放射線の影響論、一般論としてこれは十分考慮する必要があることは学問的に根拠があるものと思っておるわけでございますので、したがって、先ほど来お答えいたしておりますように、人体放射線の影響を受ける部分によって差が設けられているほどにやはりその胎児あるいは骨髄というものは放射能の感受性が高いということは、これは学問の根拠のある問題であるわけでございます。
  30. 浜本万三

    ○浜本万三君 学問に根拠があるということと、それから実際に遺伝的影響があるんだということとは、確かに局長が言われるように、必ずしも一直線に結びつかないものがあるかもわかりません。しかし、学問で根拠があるということは、その可能性というものをきわめて多く秘めておるということは言えると私は思うんであります。そういう立場から申しますと、妊娠中の女子並びに生殖可能な女子、それに対して厳しい基準をつくっておるということは、やはり遺伝的影響が存在するということを政府も認めなくちゃならないんじゃないかと思いますが、重ねてお尋ねをいたしたいと思うんです。
  31. 滝沢正

    ○政府委員(滝沢正君) この遺伝的という言葉のお使いになっておる理解の問題でございますが、先ほど精子、卵子というような基本的な生殖に関連する言葉を出しましたのは、胎児というものに影響するものを広い意味では遺伝と言えると思いますが、厳密な意味の遺伝というのは、そういう胎児という姿になってから影響を受けたものでなくて、根っこの精子、卵子あるいは染色体という部分のところに遺伝的な問題があるから、したがって、胎児を持っていない姿の女子の姿というものの先生のおっしゃる遺伝という意味と、それから胎児になったものが影響を受けることを広い意味でこれを遺伝と、要するに、生まれる前に何か影響を受けたと、この言葉の使い方を限定して申し上げますというと、胎児に関してのいまは一レムとかあるいは一・三レムというのは胎児に対する影響を考慮したものというふうに考えております。
  32. 浜本万三

    ○浜本万三君 そうすると、遺伝的な影響というのは全然認めてないんですか、政府としては。私は、少しでもやっぱり学問的に可能性を見出しておられるわけですから、かもわからないという危険性というもの、不安というものは十分あるというふうに理解をしていいんじゃないかと思いますがね、それを極端に拒否される理由が私はわからないわけですよ。そういう点もう一回ひとつ答弁してもらいたいと思うんです。
  33. 滝沢正

    ○政府委員(滝沢正君) 私の理解している範囲では、先生の御質問は、厳密な意味の遺伝の方への影響のことを私が否定しているというふうにお受け取りでございますが、これはやはり学問の根拠としては、骨髄関係というような、成人してから、要するに人体に、生後、生まれてからは骨髄とか生殖腺の感受性が強いということはさっき申したんですが、染色体あるいは卵子、精子への影響ということは、確かにこの放射線の学問の上では他の問題よりも影響があるだろうということは私は否定できないと思いますけれども、これが学問的に完全にどの程度の放射線を受ければ、卵子、精子あるいは染色体を通じて明らかな遺伝的な影響があるということについては、学問的なはっきりとした明快なものは私は出ておらないというふうに理解しております。
  34. 浜本万三

    ○浜本万三君 影響があるであろうと思うというふうな回答をいただいたんでありますが、私も、局長がやや正直に答えてもらったことを、実はそれである意味では評価するんですが、やや影響があるかもわからない、あるいは影響があるだろうということは否定できないという表現でありましたんですが、要するに、影響がないことはないということははっきりしたわけです。そういたしますと、広島、長崎の放射線障害の遺伝的影響について、これまでたびたび本院の附帯決議でも衆議院の附帯決議でも、繰り返してその対策を講ずべきだと、こういう決議がなされておるわけなんでございますが、先ほどからお尋ねをしておりまするように、その対策についてはほとんど講じられてないというところに私は大いな不満を持っておるわけでございますが、これまでどのような対策を講じられてきたか。つまり、附帯決議の精神に沿ってどういう対策を講じられてきたか、その点についてお尋ねをいたしたいと思うんです。
  35. 佐分利輝彦

    政府委員(佐分利輝彦君) 先ほども申し上げましたように、放射線影響研究所におきまして、被爆二世、三世の調査研究を今後も続けますと同時に、去る四十八年からは被爆世帯健康状態に関する調査研究というテーマを掲げまして、広島、長崎大学原爆病院医師会、原対協の検診センター等の協力をお願いして、 健康状態の調査を二世、三世についても行っているところでございます。このように、政府といたしましては、今後も二世、三世の健康状態の調査研究につきまして、大いに力を入れてまいりたいと考えております。
  36. 浜本万三

    ○浜本万三君 いまの調査のことなんでございますが、これは五月十六日の地元の中国新聞報道によりますと、アメリカにおきましては、遺伝に関するプロジェクトチームをつくりまして、新しく発足いたしました放影研の研究について相当まとまった示唆をされておる報道があるわけなんです。ところが日本側については、研究をしておるんだというお話がございますけれども、一向にそれに対抗いたしまして、日本国民的な立場からどう取り組むべきかという提案がないというふうに言われておるわけです。これはもうまことにアメリカの言いなりになるということで、遺憾な話なんでございますが、これについては、先ほど局長が答弁されました研究をしておるという答弁と全然食い違っておるような報道が出ておるんですが、これはどういうふうに受けとめておられますか。
  37. 佐分利輝彦

    政府委員(佐分利輝彦君) 現在も被爆二世の研究はしているわけでございまして、それの今後のあり方について、先般アメリカの旧ABCCの諮問委員会が勧告を出したものが中国新聞に載ったわけでございます。日本側といたしましても、先週日本側の放影研の科学専門評議員の会合を開きまして、そういったことを中心にしながら、種々の立場から今後の研究のあり方を検討したわけでございますが、これはまた公表はされておりませんけれども、来月広島で開かれます日米合同の専門評議員会で日本側の提案がなされるものと考えております。
  38. 浜本万三

    ○浜本万三君 いずれにいたしましても、アメリカのプロジェクトチームは相当まとまった報告をする、日本側が一向にその対応性がないということでは、放影研に対する国民の信はますます薄くなってくるというふうに思うわけです。しかも、アメリカ側のモルモットにされておるという批判も高まってくるのは当然だというふうに思いますので、積極的に日本側の考え方をまとめて、そして二世、三世の問題、遺伝の問題にある種のやっぱりまとまった意見を早く出していただくように、この際要望をしておきたいというふうに思います。  それから次の質問は、これはこの前もちょっと質問の中に出たことなんですが、五月二十五日のこれは朝日新聞報道によりますと、昨年の末、長崎大学医学部附属病院で、祖父母が被爆者である、いわゆる被爆三世に当たる赤ちゃんが白血病で亡くなったということが報道されておりました。この事実を厚生省は無論知っておられると思うんでありますが、これは祖父母の被爆と無関係ではないというふうに思うんですが、これについての見解を承りたいと思います。
  39. 佐分利輝彦

    政府委員(佐分利輝彦君) この赤ちゃんの白血病につきましても原爆放射線の影響を無視することはできません。そのような観点から、私どもは県の方に連絡をいたしまして、本件について詳細な調査をしてもらうようにいたしたいと考えておりますが、従来からの慣例に従えば、本件につきましては、長崎大学原爆放射線医学研究施設、さらに長崎にございます放影研の研究所、こういったところが直ちに連絡をとって種々の角度から調査研究をしておるものと考えております。
  40. 浜本万三

    ○浜本万三君 現地での調査研究をしておるものだというふうにお話がございましたが、現地の実情を厚生省は把握をされておるわけでありましようか。また現地から収集した関係資料によって一定の行政的な見解、対策というものを講じる必要もあると思うんでございますが、これについてはどういうような取り組みをなさっておられるのかお尋ねをしたいと思います。
  41. 佐分利輝彦

    政府委員(佐分利輝彦君) 厚生省としてはまだ正式に報告は受けておりません。新聞報道で知っておる程度でございます。したがって、先ほど申し上げましたように、これから地元に連絡をいたしまして資料等の御提出を願いたいと考えております。
  42. 浜本万三

    ○浜本万三君 先ほど私が申しましたように、被爆二世、三世の問題については、いかにも行政が冷淡であるということをお話しましたが、このケースにつきましてもいまから資料を収集いたしましてこの対策を講じるということなんですが、この事実が報道されたのが五月二十五日でございますので、すでに相当のもう期間が経過をしておるわけなんであります。私はそういうところにやっぱり被爆行政に対する厚生省の取り組みが不十分だという被爆者の皆さんの不満が出る原因の一つがあるのではないかというように思いますので、早急にこの調査をなさいまして、二世、三世についての調査研究を進めるための具体的な行動を起こしてもらいたいというふうに希望しておきます。  その次のお尋ねは、被爆者の子、いわゆる二世の数などについて相当プライバシーの問題があってその数の発表とか、いろんな事情について発表されるとかいうものがとかく隠されがちなんでございますが、厚生省としてはいわゆる二世はいまどのぐらいいるかということをつかんでいらっしゃいますでしょうか。つかんでおられましたならば、その数と数をはじき出した根拠などについてお答えをいただきたいと思うんです。
  43. 佐分利輝彦

    政府委員(佐分利輝彦君) 被爆二世の正確な数をつかんでおりません。
  44. 浜本万三

    ○浜本万三君 全然つかんでいないというのはおかしいですけれども、よくまあ役所としておやりになる推定と申しましょうか、そういうものもわかりませんでしょうか。
  45. 佐分利輝彦

    政府委員(佐分利輝彦君) 推計もいたしておりません。
  46. 浜本万三

    ○浜本万三君 別な角度からお尋ねするんですが、被爆健康手帳所持者が昭和四十九年の三月末で三十四万九千百七十七人と厚生省の御報告がございますが、その中の子供というのはわかりませんですか。
  47. 佐分利輝彦

    政府委員(佐分利輝彦君) 調べればわかりますが、現在手元に資料を持っておりません。
  48. 浜本万三

    ○浜本万三君 やっぱり二世問題が重要な課題になっておるんですから、その程度のことは調べておく必要があると思うんですよ。そこに二世対策に対する厚生省の前向きな姿がそれだけでも私はうかがえないわけなんですが、大臣にこれはお尋ねするんですが、二世の問題は非常に重要な課題になっておるわけなんですから、二世にかかわるただいま申し上げましたような資料を初めといたしまして、今後の研究調査、積極的に取り組む姿勢をぜひつくってもらいたいと思いますが、いかがでしょうか。
  49. 田中正巳

    国務大臣(田中正巳君) 被爆二世問題いろいろと世上論議をされております。いまいろいろとお話がございましたとおり、厚生省としては研究調査に今後ひとつ大いに努力をいたしたいというふうに思います。ただこれの扱いにつきましては、政治的な立場から申しますると、被爆二世の方々のいろいろなデリケートな気持ちをよくくんでこうしたものに対応しなければならぬことはもちろんだろう、この辺の調和というのが私どもとしては慎重に配慮しなければなるまい。しかし、調査研究はひとつ前向きに努力をいたしたいというふうに思います。
  50. 浜本万三

    ○浜本万三君 先ほど厚生大臣の答弁をいただいたんですが、要するに、実態の数も把握してないということは、やっぱり将来の対策について十分立てられてないということがうかがえるわけなんでありますが、しかし、衆参両院の社労委員会におきましても、たびたびこの点についても附帯決議がなされておるわけでございます。特に四十年ごろから問題が大きくなりましたので、本院の当委員会におきましても四十年以降再三被爆二世、三世に対する放射能の影響についての調査研究及びその対策について十分配慮するように決議がなされておるわけでございます。せっかく大臣の前向きな答弁をいただきましたので、今後ともこの点についてさらにさらに強力に積極的に対策を講じていただくことをお願いしたいと思います。  次は、広島市が独自に被爆二世で申し出のある者に対して昭和四十八年度以降健康診断を実施しておるわけなんでございますが、この点についてまず御承知かどうか、承知されておるとするならば長崎や同じく被爆者の多い静岡等では一体どういうふうになっておるんだろうか、もし実情を把握されておりましたらお答えをいただきたいと思うんです。
  51. 佐分利輝彦

    政府委員(佐分利輝彦君) 広島市昭和四十八年八月から被爆二世の希望者に対して健康診断を実施しておりますことは承知しております。対象者は広島市内に居住する昭和二十一年六月一日以降に生まれた方で未就学児を除いております。内容は、年一回一般検査と精密検査をやっております。検査の実施方法は財団法人広島原爆障害対策協議会の原爆検診センターに委託をいたしております。  ところで、ほかの県でございますが、長崎市はまだ実施しておりません。また静岡市についてはまだ実施しておるということは聞いておりません。私が存じておりますのは、京都府北海道が三年前から実施いたしております。
  52. 浜本万三

    ○浜本万三君 広島の実施しておる健康診断の費用はどのぐらいになっておるというふうに聞いておられますか。
  53. 佐分利輝彦

    政府委員(佐分利輝彦君) 費用については現在手元に資料がございませんけれども、四十八年度の検査の状況を見ますと、一般検査は五百七十八人、精密検査が五百七十七人、このようになっておりましてそれほど大きな額ではないのではないかと考えております。
  54. 浜本万三

    ○浜本万三君 いま伺いますと、広島が精密検査及び一般検査で大体千人程度、それから京都、北海道で少しやっておると。静岡で私が聞いたのでは七百四十人程度今年度からやっておると、こういうふうに伺っておるわけです。そしてその費用も広島の場合に大したことはないと、こういうお話でございます。私は政府が二世対策について実態を調査し積極的に行政を進めるということになりますと、せめてこの程度の健康診断につきましては、全額国が見るべきではないかというふうに思うわけなんでございますが、その点いかがでしようか。
  55. 佐分利輝彦

    政府委員(佐分利輝彦君) そのような御希望もあろうかと思いますが、先ほど大臣も御説明いたしましたように、二世、三世対策につきましては就職、結婚、その他いろいろむずかしい社会問題がございます。したがって、これを正規の施策として大っぴらに実施するということについては希望なさらない二世や三世の方も少なくないわけでございますので、今後の問題として慎重に検討しなければならないことであろうと考えております。
  56. 浜本万三

    ○浜本万三君 まだ私は長崎がやってないので、長崎にやらせるような行政指導が必要であると思うんですが、この点いかがでしょうか。
  57. 佐分利輝彦

    政府委員(佐分利輝彦君) 長崎がまだやっておりませんのも、ただいま申し上げましたようないろんな複雑な事情があるからであろうと思います。しかし、そのような御要望であれば、長崎市といろいろと相談をしてみるにやぶさかではございません。
  58. 浜本万三

    ○浜本万三君 複雑なので広島では申し出のある者に対して昭和四十八年からやっておるわけです。私は、北海道も京都も静岡も同じ精神でおやりになっておるというように思うわけです。だから申し出のある長崎被爆者に対しまして同様な措置を指導するということは二世、三世に対する積極的な取り組みをすることになるのであって、何も被爆者の皆さんのプライバシーをむやみに侵すことにはならないというふうに思うわけです。この点わずかな費用であるとするならば、先ほどの前提を確認した上で国が健診費用をぜひ負担をしてもらいたいというふうに思うんですが、これはひとつ大臣の方から御答弁いただきたいと思います。
  59. 佐分利輝彦

    政府委員(佐分利輝彦君) もちろん現在希望者に対して健康診断を行っているわけでございますが、そのような希望者に対して健康診断を行うことすらもいろいろ問題があると指摘する方々が少なくないわけでございます。したがいまして、そのような点をよく考えながら地元の関係当局ともよく今後検討を進めてまいりたいと考える次第でございます。
  60. 浜本万三

    ○浜本万三君 いまのお話によりましても、被爆二世の中には自分は被爆者の子供だということを名乗ることについてちゅうちょされる向きがあるということを私も承知をしておるわけでございます。そういう気持ちがあるということは、一体その方々はどういうことを危惧してそのような心配をされておるのでしょうか。ここが私は被爆対策について重要な施策の出発点になるんじゃないかと思うんですが、その点はどのようにお考えでしょうか。
  61. 佐分利輝彦

    政府委員(佐分利輝彦君) やはり原爆放射能の影響がかなり二世、三世に遺伝的な形であらわれてくるということが、結婚とか就職その他でいろいろな差別を受けることになるというお考えではなかろうかと思います。
  62. 浜本万三

    ○浜本万三君 そういたしますと、一般的には役所の方でどういうお考えがあったにしろ、被爆者の影響は二世、三世に出るのではないかという心配があることはもう明らかでありまするし、学問的にも肯定をされておるわけでございます。ということは、社会常識として二世、三世に影響が出るかもわからない、そういう不安な感情というものがあることは間違いないというふうに私は思うわけです。そういう気持ちがあるとするならばこの問題を一刻も早く政府で取り組むことが私はそういう不安をなくし、かつまた、この苦しんでいらっしゃる被爆者の皆さんに対する光をあけることになるのではないかというふうに思うわけでございますが、さらに二世、三世に対する取り組みを積極的にやっていただくように重ねて要望をいたしまして、私の質問を終わりたいというふうに思います。
  63. 村田秀三

    ○委員長(村田秀三君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時まで休憩いたします。    午前十一時五十五分休想      ―――――・―――――    午後一時三十三分開会
  64. 村田秀三

    ○委員長(村田秀三君) ただいまから社会労働委員会を再開いたします。  午前に引き続き原子爆弾被爆者等援護法案及び原子爆弾被爆者に対する特別措置に関する法律の一部を改正する法律案を一括して議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  65. 柄谷道一

    ○柄谷道一君 昭和三十八年の十二月七日、東京地裁は、広島、長崎での原爆投下は国際法違反である。しかし被爆者は、アメリカ法上、日本法上、個人としてその被害に対し裁判所に賠償を求める道はない。立法府及び行政府が被害に対し十分な救済策をとるべきことは多言を要しないという判決を下していることは御承知のとおりであります。  六月十七日の本委員会で高野、田沼両参考人は、この判決国家補償の立場に立つものであり、政府のとっている一般戦災者とのバランス論、国家との身分関係論、社会保障の枠内論は当を得ないものであると陳述をしているわけであります。  まず冒頭、厚生大臣に、この東京地裁判決に対する政府としての所信をお伺いをいたしたい。
  66. 田中正巳

    国務大臣(田中正巳君) いまの昭和三十八年の東京地裁の判決ですが、この判決理由についてはもう先生すでに御存じだろうと思いますので、これをいろいろ繰り返しませんが、要は、法律論上はこの問題に対する解決のしょうは見出しがたいということであるようであります。もっぱらこれに対する答えとしては、政策の選択のいかんによるものであるというふうな内容であるというふうに私は読んでおるわけであります。  そこで、いわゆる戦時国際法違反であって、そして日本がこれについて損害賠償請求権を放棄した、そうした状況の中から、個人が国ないしは米国政府に対して損害賠償請求を起こす法的根拠は国際私法上もない、こういうことだろうと思うのでございまして、そうした趣旨で法律論は進めることができないが、要するに政策の選択によってこの問題を解決するべきであるというのが論旨であったように思うわけでございます。そういうことで、いよいよ政策の選択論ということについてわれわれの間でいま討議をしているというのが実情じゃなかろうかと思います。
  67. 柄谷道一

    ○柄谷道一君 私は、東京地裁の判決で重要視しなければならない点は、特に法律上の論議は論議として、立法府及び行政府が特にこの原爆被爆者というものに対して手厚い措置をとるべきことが当然であるということをあえてその結語に強調している点を見逃してはならぬと、こう思うのであります。  原爆は、国際法の中で明らかに禁止されている毒ガス、生物化学兵器以上の無差別大量殺戮兵器であり、その熱線と爆風によって大量の生命財産が奪われたのみならず、戦後すでに三十年を経た今日においても放射能によって多くの人々が健康を脅かされ、生活に苦しめられているわけであります。伊東参考人は、原爆の本質は瞬時性、無差別大量性、総合性及び持続性にある、そして命と暮らしと心の被害ははかり知ることができない、こう陳述をしております。私は、被爆者のこの肉体的、精神的、社会的さらに生活的な苦悩というものは普通爆弾による被害者と大いに異なるものがあると思うのであります。  この点に関し、厚生大臣は普通爆弾による被害と原爆被爆者とを対比してどのような把握を持っておられるのか、お伺いをいたします。
  68. 田中正巳

    国務大臣(田中正巳君) そうしたいろいろな御趣旨がございましてわれわれ原爆二法というものを中心にして施策を実施をいたし、また逐次この施策の充実を図ってきているわけでございます。したがいまして、普通爆弾被爆者に対しましてはこの種の措置はとっておられないということであろうと思います。そこに、私どもにおいても、やはり、普通爆弾被爆者と原子爆弾被爆者については考え方を異にし、したがって、施策の内容についても格段と違っているということであるというふうに認識をいたしておりますが、問題は、その認識から出てくるところの実際のとっている施策についてお互いに意見の食い違いがあるというところからいろいろ議論が展開をされているものというふうに思うわけであります。
  69. 柄谷道一

    ○柄谷道一君 いま並行審議をされております野党の援護法と政府案の本質的な相違というものは、野党四党案は国家補償の理念に立つべきであるという点に貫かれており、政府案は原爆被爆者の特異性は認めるけれども社会保障の理念にやはり基本的に立つべきであると、この見解の相違ではないかと、こう思うのであります。  私は被爆者の実態調査のために広島に出向きました。そのときに被爆日本国家補償を確立することこそ非核三原則を真に裏づけることではないか、原爆被爆者霊に刻まれた「あやまちは繰返えしません」という言葉を生かす道は国家補償責任を明確にすることではないかと、強い訴え被爆者から訴えられたわけでございます。戦後三十年を契機として、私はこの原爆問題に対する戦後処理を完結させるべきではないかと、こう思います。政府野党の援護法に賛意を表し得ないと、その理由が国家補償の原則を打ち立てることに異論があるのか、それとも援護法案の内容そのものになお検討を要すべき点があるとの判断から賛意を表し得ないのか、その理由を明確にしていただきたい。
  70. 田中正巳

    国務大臣(田中正巳君) 私は、基本的に、政策の内容につきましては国家補償精神に基づく場合とわれわれの立場と具体的に行う施策については本質的に余り違いがないのではなかろうかと、こういうふうに認識をいたしております。要は政策の選択の問題だろうというふうに思います。若干の違いはあろうかと思いますが、これについては後ほどまた御質疑等もあろうと思われますから後ほど申し上げますが、私どもといたしましては、施策の内容についての議論というのが最も現実的であり、また、そうした面から話を進めていく方がよろしいというふうに思っております。なお、国家補償精神に基づくか基づかないかということについては種々論議のあるところでございますが、厚生省としていかにして現実に被爆者の方々に救済の手を差し伸べるかというその政策の選択の問題として議論をした方がよろしいのではなかろうかと考えておるわけであります。そうなってまいりますると、どちらの法律においても、どのような政策を選ぶかということについては余り変わりがない。そこで、しからば、皆さんが御提出になっている法律については一体何で政府としては同調ができないかということになりますると、施策の内容について、われわれとしては、第一には、やはりいろいろ議論がございますが、他の戦争犠牲者とのバランスの問題、これについてはこの間参考人から駁論がございましたが、私どももその点についてはいろいろと議論があるわけでございますし、第二は、やはりこうした政策の内容を実施する場合においての財政上の考慮も払はないとは、率直に言うて申さなければならないと思うのでありまして、要は、バランス論と財政論等等といったようなところに大きな論拠があるというふうに考えております。
  71. 柄谷道一

    ○柄谷道一君 私は、大臣政策選択の問題である、こう言われるわけでありますが、問題は、政策を選択するに当たって、その基本にいかなる考え方を持つかという、そのことは選択に大きな相違を示してくると、こう思うわけであります。まあバランス論、財政論、確かにそれを度外視して政策を選択し得ないことはこれは事実でございますけれども、しかし、それらの論点の上に立っても、なおかつ、国家被爆者に対し手厚い手を差し伸べるべきであるとの理念に立つかどうかではその政策の厚みというものが相当違ってくるのではないか、こういうふうに私は思うのであります。しかし、この問題だけ論議しておりましてもいつまでもすれ違いであろうと思いますので、大臣野党四党の出したこの精神というものをくみ取っていただくことを強く希望いたしまして、問題を次に発展さしていただきたいと思います。  同じく、過日の本委員会で、市川定夫参考人はICRPの一九六五年勧告による線量限度十レム、それはそのものについてもなお検討を要する問題点が多いと、しかし、現在政府の採用しております二十五レムという基準については、昭和四十年以前の尺度であって、古い不完全な資料に基づく非科学的なものであると陳述をしているのであります。私はこの陳述はきわめて重大であると思います。政府は、一九五八年の勧告の後、一九六五年に新しい勧告がなされたというこの事実をどう評価しておるのか、また、新しい勧告に対してどのようにその後対処されたのか、この点についてお伺いをいたします。
  72. 佐分利輝彦

    政府委員(佐分利輝彦君) 先般、市川参考人がお話しになりました一九六五年の国際放射線防護委員会の勧告の中にございます一回の被爆が十レムという基準につきましては、私どもは、これはその勧告が述べておりますように、計画的に特別に被曝する場合の基準であると考えております。と申しますのは、普通の放射線 取り扱い業務をやっておりましても、従来の基準のような年に五レム、十三週で三レム、週で〇・三レムという基準を守りにくい場合があるわけでございます。通常の業務としてそれよりも多量の放射線を浴びるという業務がときどきあるわけでございまして、そういった計画的に特別に被曝する場合の基準を一回十レム、一週二十五レムと定めたものが先般市川参考人がお話になりました新しい基準でございます。で、確かに、その後のいろいろな学者の御意見を聞きましても、だんだんと放射線の最大許容量などは下がっていくような傾向にございます。しかし、今回私どもが保健手当支給の基準として採用いたしました二十五レムは、また別の角度から取り上げたものでございまして、一回にどれぐらいの放射線を浴びれば臨床的に証明されるような障害があらわれ始めるかという基準を採用したわけでございます。その場合も、現在の通説といたしましては百レム以上というのが通説であろうと思うのでありますが、特に一九五八年の国際放射線防護委員会が勧告いたしました一回に二十五レム以上浴びた場合には専門医指導を受けなければならないと、そういった基準、さらに、一九七一年にアメリカ放射線防護測定委員会が決めました原子炉事故などで危険地域に立ち入る場合の恕限度二十五レム以下と、こういったものを参考にしたわけでございます。なお、当然のことながら、従来、医学臨床的に、一回の放射線の照射で臨床的な障害があらわれてくると言われておりますものは、厳しくとりましても二十五レムでございます。
  73. 柄谷道一

    ○柄谷道一君 私はこの方面の専門的学者ではございませんけれども、世界の傾向として、このICRPが一九五八年、一九六五年と二つの勧告を出したということを客観的に対置して見るならば、やはり線量そのものが二十五レムより少量であっても人体に影響するのではないかということで、その基準というものを厳しく見つつあることは世界的な動向であると思うのであります。したがって、このような世界的動向を考えるならば、この二十五レムという在来五八年度の勧告に基づいて制定したこの基準そのものについても、当然、科学的な立場からこれが再検討が行われ、そして、その再検討の結果に基づいて支給の範囲等が考えられるべきである。これはどういう言いわけをするとかへ理屈をつけるとかいうことではなくて、まさに世界の大勢であり科学者の大勢ではないかと、こう私は思うのであります。いまの局長答弁ではございますけれども、今回直ちにその基準というものを変更することはできないとしても、今後の問題として、この線度、線量限度というものについて政府としては検討する用意があるのかどうか、再度お伺いをいたします。
  74. 佐分利輝彦

    政府委員(佐分利輝彦君) 結論から申し上げますと、国際的に権威のある勧告とか基準で一回の照射で障害をあらわしてくる放射線の量が現在の二十五レムよりも少ない放射線の量で起こってくるという基準なり勧告が出てまいりますれば、私どもは保健手当基準も変えなければならないと考えております。なるほど二十五レムというのは一九五八年の勧告では職業人の基準でございまして、一体子供の場合どうなるか、胎児の場合どうなるかという問題があるのでございますが、それにつきましても、たとえばかつて子供の胸腺肥大症を治療するために生後二週間から三週間ぐらいの子供放射線を多量に浴びせたことがございまして、そういうふうな場合の赤ちゃん健康状態の追跡調査が行われております。また、妊娠しておるお母さんに放射線診断のためにかなりの放射線を照射したという場合の追跡調査も行われておりますが、現在のところそういった種々の調査研究の成果を見ましても、子供から大人までひっくるめまして一回の放射で障害があらわれ始めると考えられる線量限度は二十五レムとなっておりますので、ここしばらくはこの基準保健手当を支給してまいりたいと考えております。
  75. 柄谷道一

    ○柄谷道一君 私はICRPの新しい勧告を待つという、そういう受け身的な体制ではなくて、国内にもこの方面の専門家が数多くわが国にもあるわけでございますから、厚生省として前向きに果たして現在の線量限度というものが純科学的に見て妥当なのかどうかというものについては、広く科学者の意見を求めて、そして国民の納得できる線量限度というものを速やかに示されるようにその点は強く求めておきたいと、こう思うのであります。  次に、広島県及び市は、被爆直後二十九キロ範囲、当時二十四町村に降ったいわゆる黒い雨の降雨地域原爆被爆地域に指定するように陳情いたしております。私は、昭和二十八年発刊の日本学術会議による被爆調査報告書、及び県、市が実施した健康状況の調査結果と有病率等からながめまして、これらの地域放射能の影響を受けていることは明らかであろうと思うのであります。追加指定の手続を当然とるべきだと思いますけれども、政府の見解はどうでございますか。
  76. 佐分利輝彦

    政府委員(佐分利輝彦君) この問題につきましては、かねて本委員会でもお約束いたしておりましたように、先般数人の学者に御参集いただきまして、種々の角度から検討していただいたのでございますが、現在の資料によっては当該地域の住民が多量の放射線を浴びたという確たる証拠がございません。しかしながらこの問題は当該住民に非常に不安も与えているような大きな問題でございますので、明年度こういった地域を含めて、広島市長崎市の土壌の放射能の精密測定調査をいたしまして、その結果を見た上で慎重に判断いたしたいと考えております。
  77. 柄谷道一

    ○柄谷道一君 明年度大々的な調査をやりたいということでございますけれども、その調査報告に基づいては追加指定もあり得ると理解してよろしゅうございますか。
  78. 佐分利輝彦

    政府委員(佐分利輝彦君) そのように私どもも考えております。
  79. 柄谷道一

    ○柄谷道一君 ぜひその調査結果というものにつきましては、われわれの方にもまた明確にお教えを願いたいと思います。政府案で新設されました保健手当の支給を爆心地から二キロ以内と、このように画一的に線引をすることにつきましては、広島県、市の陳情を聞き、実態を視察しても問題があると思うのであります。県、市は町指定にすべきであると、このような陳情を政府に対して行っております。さきの委員会において政府は地元とよく相談をして措置をすると、こう答弁をされております。その趣旨は県、市の意向はこの地元との協議において大方これが入れられるものと、こう理解してよろしゅうございますか。
  80. 佐分利輝彦

    政府委員(佐分利輝彦君) そのように理解していただいて結構でございます。
  81. 柄谷道一

    ○柄谷道一君 ぜひ地元の要望を入れて、少くともそのように運営を願いたいと、これは強く求めておきたいと思います。  次に、原爆病院、これも本委員会でたびたび指摘されたところでございますが、建物、設備等ともに老朽化をいたしております。かてて加えて患者の老齢化、慢性化によるベッド回転率がきわめて悪い、高度医療を必要とする、入院しているもの患者から差額ベッド料を徴収することは不可能である。また不採算な研究所を併設している、私はこれらの事態は他の医療機関とは全く異なっているものでありまして、端的に言うならば、当然これは不採算医療であると思うのであります。私は予算委員会の集中審議のときも、老人病院の例を挙げまして、各種の医療機関というものを一概に取り扱うことの矛盾を大臣に指摘をいたしました。私はあらゆる病院がその病院の性格というものにかかわらず画一的に独立採算制をとらして、医療収入によってその支出を賄えという原則を押しつけることに問題があるのではないかと、このように考えているわけでございます。国立病院に移管することにつきましてはなお検討を要するとしても、少なくとも原爆病院対策設備は国費によって整備を図る。国の運営費補助につきましても、この原爆被爆者を収容しているという特殊性にかんがみて大幅増額を行う。さらに現在一億三千八百万円に達する累積赤字の解消について国が責任を持って早急に対処する。この三つの問題については直ちにこれは政府責任において行うべき施策であると、こう信ずるのでありますけれども、政府のお考えをお伺いをいたしたい。
  82. 佐分利輝彦

    政府委員(佐分利輝彦君) 御案内のように、広島と長崎原爆病院ではかなり内容も異なっておりまして、それだけ財政上の赤字の問題も違っているわけでございます。たとえば広島の原爆病院の場合は、四十九年の二度にわたる医療費の改定によって、年間赤字はほぼ二百万円程度になってまいりました。本年も人件費のアップはそれほど大きくはございませんでしたし、またそのうち医療費の改定もございましょうから、果たして五十年度赤字が出るかどうかというような状態になってきております。しかし一方長崎原爆病院の方は、四十九年度も五十年度も引き続きかなり大きな赤字が出るような傾向でございます。  そこで病院の経営といたしましては、確かに原爆症の患者の方々の診療を行うという特殊な事情もございましょうけれども、全部原爆被爆者の患者さん方が、先ほど先生からお話がございましたような不採算医療になるような方々ばかりではございません。   〔委員長退席、理事山崎昇君着席〕 そういった関係で一方においては今後も原爆病院経営管理の適正化、合理化については格段の努力をしていただきたいと考える次第でございます。それと同時に、国といたしましても、たとえば両病院研究施設を持っておりまして、原爆後遺症の研究などを行っておりますので、そういった明らかに歳入が伴わない部分につきましては従来と同じように、あるいは従来よりもさらに多額の助成をいたしたいと考えております。またその他の運営費につきましても、一部の入院患者の方方は確かに御指摘がございましたようにすでに御高齢でもあり、また病状も重くて非常に介護に人手を要するといった面もございますので、四十八年度から医務局がやっております公的病院の不採算部門に対する補助金の例にならって、できるだけたくさんの運営費の補助を差し上げたいと考えておるところでございます。これにつきましては、五十年度の予算要求もいたしましたが、その際は実現いたしませんでした。五十一年度はぜひ実現するように努力をしたいと思っております。また建物、設備につきましても、従来から国は助成をしてきたところでございますけれども、先生御案内のように広島、長崎には大学の付属病院もございますし、また厚生省立の国立病院もございまして、指摘医療機関として活躍いたしております。そういった国立の医療機関がすでにございます。さらに原爆病院についてはその設立のいろんな経緯がございますし、また日赤本社、また現地の病院当局、また地元の県や市、被団協等のいろんな御意向があるわけでございますので、現在これを国立に移管するというようなことは考えておりません。私どもといたしましてはできるだけ助成を強化しながら、現在日赤の持っておりますいい点をできるだけ伸ばしてりっぱな原爆病院にしてまいりたいと考えております。
  83. 柄谷道一

    ○柄谷道一君 私、大臣、発想の問題をお伺いしているわけです。まあ、これいま原爆病院、非常に老朽化しております。時期は別としてこれいつの時期にかこの原爆病院については新しく移転をして新設をするか、まあ現在の建物を抜本的に改築するか、そういうことが必要な時期が近くやってくると、こう思うわけであります。その建設についても国と地方がその経費を出し合ってつくると、原爆被爆者という性格から果して県、市がこれを負担して行うことが妥当なのかどうか、また運営費についても広島県広島市長崎県長崎市というものがその運営費の助成を地方自治体としても行っているわけであります。そういうものを地方自治体に助成せしめることが果たして病院の性格というものから見て妥当なのかどうか、私は少なくとも国家補償論云々ということは先ほど申し上げまして、議論の平行だということになりましても、この原爆被爆者というものを治療する病院に関しては、国が戦争を起こした責任があるわけでありますし、県、市はこの被爆を受けた何らの責任を持っていないわけであります。国がこの病院建設なり運営というものに対して責任を持つというやはり発想に転換することがより妥当なのではないか、なかなかこれはいいい答えは出ないと思いますけれども、ひとつ在来までの運営というものを原爆被爆とこの現実に照らして、もう一度洗い直して国民のまた被爆者の納得できるシステムというものを確立するために大臣としのせっかくの努力を強く要望したいと思うのでありますが、その点、大臣、いかがでございますか。
  84. 田中正巳

    国務大臣(田中正巳君) 原爆病院の運営費あるいは営繕費等々につきましての考え方でございますが、まあ先生、ただいま原爆病院の特質、原爆被爆者の実態、理由等々に照らしまして、国が責任を持ってやるということでございますが、これには従来からの経緯もでございまして、やって、関係のそれぞれの地方公共団体、国というものがお互いに協力をしてやることに今日までなっているわけでございまして、そうした中にあってこの種の病院の運営費なりあるいは営繕費が地方公共団体に絶対持たせてはおかしいとは考えません。が、しかしやはり先生のおっしゃるように、こうした特殊な病院である限りにおいて、国は相当に積極的な私は姿勢を示してよろしいものというふうに考えております。
  85. 柄谷道一

    ○柄谷道一君 ぜひ慣例は慣例として、今後のあるべきその方策というものは何かということにつきまして、もう一度厚生省当局におきましてもこの問題を基本的に洗い直して、そのたとえば建設費についても仮に地方にその負担を負わしめる場合といえども、その比率というものが果たして過去の慣例が適当なのかどうか、いろいろ問題点はあろうと思うのです。その点につきましては、抜本的な検討を当局に強くこれは求めておきたいと思います。  次に、原爆養護ホームの問題でございます。その実態につきましては、派遣報告書で明らかにされておりますので、私は重複することを避けたいと思います。しかし一言にして申すならば、やはり第二病院としての性格を持つ医療施設という面が強いことは否定できないと思います。したがって、これはこの面について少なくとも法制化し、あわせて社会福祉法人と同様の優遇措置を与えることが必要である。第二には、病気を持つ、高齢の老人が多い実態に照らして措置基準というものを改善する必要があるのではないか、養護ホームの所長は、一般養護については十五対一の比率を十二対一の比率ぐらいに改めてもらいたい、特別養護に関しては五対一の比率を四対一の比率に改めてもらいたい、こういう強い要望を持っているわけであります。さらに現在の定員についても、所長は現在一般が百五十名、特別が百名でございますけれども、一般から特別に移す必要のある者が三十五ないし四十名現在でも存在をしている、県、市に対する入所希望率は一般九名、特別二十二名現在待機中である、このような報告をなされたわけでございます。私はこうした実態を考えますと、運営費の補助を増加することとあわせ、この施設についても特に特別養護ホームの定員を増加することが急務ではないか、このように考えるわけでございます。この点について、当局のお考えはどうですか。
  86. 佐分利輝彦

    政府委員(佐分利輝彦君) まず、原爆養護ホームの法制化の問題でございますが、現在のところは考えておりません。その理由はいろいろございますけれども、たとえば広島は財団法人でございますが、社会福祉法人になろうというような意見が出てくるかもしれませんし、また先ほど来お話がございましたような、現在のいろいろな基準等にまだいろいろと問題がございますので、そういった点が改善されてから考えるべきことではなかろうかと思っております。  そこで、まず措置基準の改善の問題でございますが、現在は全く社会局が所管しております一般老人ホームまた特別養護ホーム、そういった基準をそのまま採用しておるわけでございまして、特に原爆養護ホームの場合には社会局の養護ホームの場合よりも若い方々が入っていらっしゃったりいたしますので、そういう意味ではこちらの方が特に人員等で高い基準を設けなければならないというようなことは直ちには言えないわけでございます。しかもこの基準については、非常に他の制度に大きく関連してまいりますので、社会局ともよく相談をいたしまして、今後慎重に検討いたしたいと考えております。  また、現在の定員の問題でございますが、確かに施設の方から一般養護ホームの方の五十床を特別養護ホームの方に振りかえたいという希望がございます。これにつきましては、特別養護ホームについては特別の施設基準がございまして、そのために廊下を広くしたり、あるいは緊急避難階段を設けたりというようなことがございまして、いま直ちに振りかえができない状態でございますので、県や市とせっかく協議中のところでございます。  なお、そのほかさらに増床が必要ということになれば、現在の規模が一つの施設としては管理上の限度でございますので、新たに別の施設を新設する以外にないのではないかと考えております。
  87. 柄谷道一

    ○柄谷道一君 私、局長、体制の整備を向こうの改善を待って当局でも考えると、いわばこれは受け身なんですね。われわれの調査団に審議官も同行されたわけでございます。現地の実態は厚生省当局もその他いろいろな方法を通じて把握されているわけでございます。むしろこの種の問題の施設の整備改善ということについては、国が積極的に働きかける、意見を徴する、そして向こうの出先と、意見を誘導するというような積極性というものが当局にあって私はしかるべきではないかと、こう思います。受け身の姿勢ではなくて、私は、ただいま言いました介護基準についても、また特別養護の施設の増強につきましてもよく現地の希望と実態というものをより積極的に調査をされて、当局として前向きの態勢をもってこの対策に臨まれるべきであると、その点を指摘いたしておきたいと思います。  私は、人道的な立場に立って考えるならば、在宅被爆対策、たとえば家庭奉仕員制度とか相談業務というものを充実し、法制化し、     〔理事山崎昇君退席、委員長着席〕 そして、年寄られた方方というものは、やはり家族とともに生活するというのが至当な道ではないか、特に病気を持ち介護を要するという者については特別養護ホームというものを、特別養護というものを重点として施設というものを拡充していく、それがあるべき姿ではなかろうかと、こう思うんであります。そのような家庭奉仕員制度、相談業務というものの貧困がまた一つの養護施設の問題点となってはね返ってきているという点を私は見逃してはならぬと、こう思うわけであります。そこで、この在宅被爆対策というものについては、なお現状、私はきわめて不十分である、また端的に言うならば、これは地方自治団体任せであると言っても過言ではないほどの実態であると思うんでございますが、当局はこれをどう理解しておられますか。
  88. 佐分利輝彦

    政府委員(佐分利輝彦君) 本年度から家庭奉仕員制度を新たに発足することにいたしました。ただ、本年度は広島の県と市、長崎の県と市だけにこの制度が行われるわけでございます。したがって、明年度以降、私どもといたしましては、各都道府県全部で家庭奉仕員制度が行えるようにしてまいりたいと考えております。  なお、長年懸案でございました、いわゆる家族介護手当につきましても、本年十月から四千円のお手当を差し上げられるようになったわけでございます。このように私どもとしてはできるだけの改善を進めている次第でございます。
  89. 柄谷道一

    ○柄谷道一君 私は、これ、強い要望ではございますけれども、より在宅介護体制というものを充実整備し、これとの関連における養護施設のあり方というものを確立されるように、この点についてももう一度の御配慮を強く求めておきたいと思うのであります。  次に、原爆被爆者に対する原爆症の認定が狭き門であるということにつきましては、もう多くの委員から指摘されたところでございますので、私は重複することを避けたいと思います。しかし今日までの答弁においては、この緩和と改善ということについては必ずしも十分なお答えがなかったと私は理解するのであります。これは県、市、被爆者一致して求めているところでございます。この点について、もう一度この認定の基準及び運営について再検討をするというお約束がこの場でできますかどうか、お伺いするわけです。
  90. 佐分利輝彦

    政府委員(佐分利輝彦君) いわゆる原爆症の認定は、固有の原爆症という病気がないだけに非常にむずかしい問題でございます。そこに持ってまいりまして、すでに戦後三十年たって事実関係の証明も非常にむずかしくなってまいっております。そういうことを踏まえながら、私どもは申請があれば一人一人の申請者についてあらゆる方面から慎重に検討して認定をしておるつもりでございますけれども、ただいまお話がございましたような認定基準といったものはこういった原爆症の場合にはつくれないというのが専門家の御意見でございます。やはり一人一人の発病から現在までの経過を丹念に審査していく以外にはないということでございます。ただ申請手続につきましては、現在項目は少ないのでございますが、内容がかなり高度のものを要求しておりまして、お書きいただきます主治医の方々からいろいろ苦情が出ておるわけでございますので、そういった点につきましては、原爆医療審議会の御意見も聞きましてできるだけの改善を図ってまいりたいと考えております。
  91. 柄谷道一

    ○柄谷道一君 ぜひ、その改善については格段の配慮を願いたいと思います。  ただいまも他の委員から二世、三世問題が審議されました。時間の関係からこれまた重複することは避けたいと思いますが、私、どうも不思議でならないことは、財団法人放射線影響研究所に伺いまして所長、副所長の意見を徴しますと、なお継続して研究を充実する必要があるということを前提としながらも、現在までの研究によっては子孫に影響を与えると思われる明確なデータが出ていないと、こう言われるわけであります。しかし他方、被爆団体の意見を徴しますと、被爆二世には病気健康不安に悩んでいる者が多い。十五年間に十二名が白血病で死亡をした。また市川参考人は過般の陳述において、被爆者特に妊婦、等が放射能を大量に浴びた場合は子孫に突然異変が起こることは十分考えられると、こういう陳述をしているのであります。私は被爆二世、三世の問題は、このようないろんな陳述を考えますと、医学上まだ十分に解明はされていない問題ではあっても、その危険の可能性を多分に含むものであるということが言えるのではないか、こう思います。ただいままで他の委員に対する答弁があったわけでありますが、少なくともこの遺伝研究について国が一層力を注ぎ、充実した健康診査というものを実施するとともに、その実態をとらまえて速やかにこれに対する対応策が立てられるべきである、このように思いますが、その点いかがですか。
  92. 佐分利輝彦

    政府委員(佐分利輝彦君) 被爆者の遺伝の問題は、御指摘のとおりまことに重要な問題でございます。ただ理論計算でまいりましても五千万人の集団当たりで何例出てくるかというような計算になるわけでございますから、広島、長崎のような小さな人口のところで証明することはなかなかむずかしいわけであります。しかし、この問題はどうしても解明しなければならない問題でございますので、ただいまの放射線影響研究所を初め、遺伝研とか放射線医学総合研究所、さらに各関係大学、その研究所といったところと協力いたしましてその解明に努力をしてまいりたいと考えております。
  93. 柄谷道一

    ○柄谷道一君 広島県、市に私は伺ったわけでございますが、国の措置による地方自治体の負担は、四十九年度で二十九億円、単独事業として一億六千万円を支出しているという報告がございました。私は、被爆者援護という性格から見て、地方自治体に対してこのような財政負担をかけることが果たして適当かどうか、少なくても健康診断、特別検査の受診奨励や促進、奉仕員や相談員の経費、原爆病院、養護ホーム、被爆温泉療養保養施設の運営に関する経費などにつきましては、これは国が肩がわりすべきものではないかと、またそうすることが当然ではないかと、私はそう考えるのであります。今日までの質問に対して政府からの答弁が行われておりますけれども、私はその答弁内容を不満とするものであります。この点について再度の国としての再検討を強く求めておきたいと、こう思います。  で、本日の社労委員会が本国会における厚生関係の最後の日でございますので、私は本日の一般調査の件で二項だけお伺いをして質問を終わりたいと思います。  その一つは脊椎披裂症についてでございます。脊椎披裂症につきましては潜在性と嚢腫性に分類されておりますけれども、今日までの段階では、統計上、妊娠中の妊娠中毒症、胎児の位置異常、羊水過多症を経験した母親の方がそうでない母親よりもその子供に発生率が高いということ、妊娠初期にレントゲン照射に遭ったり、酸素不足を経験したり、また特殊な化学薬品を服用した場合にその発生率が高いという統計上の傾向があらわれているだけで、この原因は医学者も全く不明であると、こういたしております。さらに、現在わが国にどれだけの脊椎披裂症の患者がいるのかという実態も定かではございません。したがって、その治療法も確立されていないというのが率直な実態であろうと思います。また、医学者は水頭症との合併症が多いということも指摘いたしております。私は、消えない光を患者とその親に与えるためには、脊椎披裂症を国の難病に指定すること、患者の実態調査を行うこと、原因を解明をし、予防と治療法を確立するために医療助成、研究費助成を強化すること、身障者福祉手当の支給や寝たきり重症者に対する介護手当年金助成を強化すること、養護学校、国立リハビリテーション施設職業訓練施設等の整備充実を図るとともに、社会復帰に対する受け入れ体制を改善すること、というような総合施策が一日も早く確立されるべきではないか、このように信じているものでございます。脊椎披裂症対策に対する今後の政府の明快な所見をお伺いをいたしたい。
  94. 上村一

    政府委員(上村一君) 現在脊椎披裂症、いまお話しになりましたように、胎生の時期に発生する子供にとりましては先天的な病気でございます。脊椎の形成が異常でございますので、私ども児童福祉法に基づく育成医療としまして、公費負担と医療の給付を行っておるわけでございます。  それからいろいろむずかしい病気でございますので、その研究の助成でございますが、四十七年度初めて医療研究助成費をもって研究委託したわけでございますが、五十年度は特にこの心身障害の研究費の中から約五百万円ばかり出すことによりまして研究を進めたいというふうに思っておるわけでございます。いろいろお話しになりました中で、総合的な対策というふうなお話があったわけでございますが、研究の助成それから医療費の助成というのは、いま申し上げたことをやっておるわけでございますし、それから障害の程度によりましては、先般御審議いただきました特別児童扶養手当なり福祉手当の対象にも入り得るというふうに考えておるわけでございます。
  95. 柄谷道一

    ○柄谷道一君 大臣にお伺いしますけれども、現在、育成医療とか難病とかいろいろ区分があるわけですね、これはもう一度私は洗い直して、その実態に応じて明確な施策を確立することがいま急務ではないかと、こう思うんです。同時に、この問題の解決のためには、厚生省一省だけでは解決できない問題があるかもしれません。場合によっては文部省との連携が必要であります。場合によっては労働省との連携が必要であります。やはり中心になるのは、しかし厚生省だと私は思うのであります。大臣の手元でひとつ今日までの対策がどうかということを私は伺っているわけではないわけです。ぜひこの問題について、少なくても私は消えない光を与えると、こう申したわけでございますけれども、数多くの披裂症の子供とそれを抱える親のために、これらの施策を確立していただきたいと強く大臣に望むものでございますけれども、大臣の所見はいかがでございますか。
  96. 田中正巳

    ○国務大臣(田中正巳君) 脊椎披裂症に関する御質問でございますが、私は一般的に、厚生大臣になっていろいろとこの種の施策を見てまいり、また皆さんのいろいろな質問、御意見等を聞きまして、私は、難病あるいは更生医療、育成医療といったようなもろもろの施策の中に整合性を欠くものがありゃしないか、あるいはまたアンバランスになってやしないか等々を非常に注目をいたしまして、ただいまこれについて事務当局にそうしたことについての検討と改善を命じているところでございますので、不日この結果が出たならば、私はその向きに従って、あるいは制度の改善、あるいは予算の裏づけの改善等をいたしたい、かように思っているところでございます。
  97. 柄谷道一

    ○柄谷道一君 時間がもう残り少くなりましたので、もう一問だけにとどめます。  それは養護学校についてであります。過日私は東京都立の域南養護学校を視察いたしまして、学校職員や父兄ともいろいろ意見交換を行いました。そしてその意見交換を通じて多くの教訓と感銘を受けたわけでございますけれども、最も心を打たれましたことは、子供の将来というものを心配する親の切実な心情でございます。その学校では、高等部四十七年から四十九年の三カ年の卒業生二十二名中就職をした者一人でございます。あとは福祉作業所、身障者更生授産所、職業訓練所などに若干名が行っておりますけれども、その多くは在宅でございます。いわば卒業式はこれ涙の卒業式でございまして、中学三年、高校三年を経ますと、そこで学校からはおさらばであります。そういたしますと、機能回復訓練というものもそこでとまってしまいます。また、実態を見ますと、高校三年の教室へ行きますと、まだ使っている教科書はせいぜい中学一年か二年の教科書しか消化できないわけであります。その中には、たとえば脊椎披裂症の児童というものは身体は麻痺をいたしておりますが、頭は正常でございます。知恵おくれの方もございます。いろんな人々が混在して養護学校で教育を受けている。そうして考えますと、私は少なくても定時制高校並みにその在学期間を延長するとか、補修科ないしは専攻科を設けるということも必要でございましょうし、さらにホームヘルパーによる介護、在宅介護、卒業後のリハビリ、社会復帰、さらには生きがいを与えるための、たとえば養護学校を定年退職した経験豊か左職員を活用した憩いの家の創設というようなきめ細かいアフターケアが必要ではないか、このことを痛感をいたしてきたわけでございます。この問題も同じく労働、文部、厚生の三省にまたがる問題でございますけれども、きょうは時間の関係で多くを申すわけにはまいりません。きょう一応の御答弁をいただいて、私はその答弁いかんによっては、また委員差しかえで文教委員会等でもこの問題についてお伺いをいたしたいと思うのでございますが、文部省と、そしてこれを締めくくる意味での国務大臣としての厚生大臣の御所見をお伺いをして、私の質問を終わりたいと思います。
  98. 国松治男

    ○説明員(国松治男君) 先生の方から養護学校の整備あるいは卒業後のケア等についての御質問をいただきましたけれども、私どもの方、養護学校につきましては、まだまだ数も足りません。あるいは質の向上を目指してさらに研究を続けなければいけないというふうなことで取り組んでございます。養護学校の中では、いま先生からお話いただきましたように、障害がかなり重い子供と、それから比較的軽い子供がおります。その障害の状態、あるいはその子供の持っておる特性に応じた教育をやっていかなければいけないというのが、この養護学校の中身の問題になりますので、それぞれ現場でかなり工夫しながらやるように、私どもの方で定めております学習指導要領でも弾力的な表現の仕方をして、現場での一層の工夫を期待しておるわけでございます。ただ、最近特に障害が重い子供が養護学校の中で占める率が高くなってきておりますので、教育的にもまだまだむずかしい問題がございます。先ほど先生からお話がございましたけれども、私どもこの養護学校の中でどういうふうにやっていくかというのを一生懸命研究いたしますと同時に、基本的には養護学校に入ります前に、まず児童福祉施設、その他との関連を十分つけなければいけない、あるいは卒業しました後、児童福祉施設あるいは職業訓練所等と十分関連をつけて、先生お話がありましたように、社会にどのような形で、その本人が持っておる持ち味を十分生かして社会に参加をしていくというふうな形で、この子供たちの一生のことを考えて対処しなければいけないというふうに考えておるところでございます。細かいことはまた厚生省等とも連絡をさしていただきまして、十分先生の意のあるところをくんで対処してまいりたいと考えております。
  99. 田中正巳

    ○国務大臣(田中正巳君) 養護教育につきましての最近の社会の非常な要望、それを受けましてのまた政府の取り組み方については、従来とは違ったものがございますことは、私もかねがね文教委員長の経験がございますので、よく知っているわけでございますが、しかし私も厚生大臣になって考えてみますると、やはりこうした心身障害児の教育については、やはり学校教育における養護学校等々と、私どもの方の児童福祉の、あるいは身体障害児・者の対策との間にもう少しやはり緊密な連絡がなければいけないのではなかろうかと、かように考えるようになりました。かような意味で、こうしたお子さんが、ただ養護学校に行けばいいんだというだけではなしに、できるだけ普通の方々と同じような教育内容が受けられ、そしてまた心身の発達ができるようにいたさなければならないというふうに思っておりまして、こうした観点をめぐりまして、文部省当局とわれわれの役所とは、それぞれ緊密な連絡をとって、こうしたお子さんが十分な教育が受けられ、またできるだけ社会人として十分に活動ができるような方向に向かって、さらに一段の努力をいたしたいと、かように考えます。
  100. 柄谷道一

    ○柄谷道一君 質問を終わります。
  101. 山崎昇

    ○山崎昇君 いよいよ原爆関係の法律案につきましても最後の詰めになりまして、一番最後の質問者として二、三この機会に確認しておきたいと思います。  きょうは、先ほど柄谷委員が言われましたように、厚生省関係の審議としては最終日であります。国会の混乱で公明党、共産党の皆さんが欠席をされて、みずから審議権を放棄された点は私ども大変遺憾でありまして、本当ならば全部そろって野党はこの審議に参加すべきだという気持ちは持っておりますが、この点は大変遺憾だと思うわけであります。また、三木総理の出席を私ども社会党として求めましたが、衆議院本会議等の都合で、これまた出席が不可能の状況でありますので、本来なら私は、これから二、三の点は三木総理にお尋ねする予定でありましたが、三木内閣の閣僚であります厚生大臣でありますから、関連をして二、三お聞きをしておきたいと思うのです。  それは三木内閣だから、三木総理と厚生大臣が何でも同じ考えだというようなことは私は申し上げません。しかし少なくとも三木内閣のとる方向については、私は厚生大臣として考えなければならないのじゃないか、こう思うので、二、三お聞きをいたします。  第一に、三木さんは過去の発言でありますけれども、日本ほど議員提案による法案が少なく軽視される国も少ない。議員は官僚の作成した法案に賛否をあらわしていれば飯は食えたのである。しかし、これからはそうであってはならないという演説をされております。したがって、こういう三木内閣の総理の発言から考えまして、これからの国会というのは、議員提案というものが中心で議論をしていかなければならぬのではないか、こう私は考えるのですが、まず厚生大臣の見解を聞いておきます。
  102. 田中正巳

    国務大臣(田中正巳君) いま三木総理のかつての御発言でございますが、私もさように考えております。しかし、やはり日本の国会には国会の沿革等もございまして、なかなかそこまでいけないというのが、お互いの反省でなければならないと思っております。
  103. 山崎昇

    ○山崎昇君 そこで、私は三木さんの行動等については、そう知っているわけではありませんが、最近、幸い一冊の本が出ておりまして、いろいろ読ませてもらっております。しかし、きょうは原爆援護法でありますから、これに関連する発言で二、三またお伺いしておきたいと思う。  これは三年前でありますが、昭和四十七年の八月八日、番町会館で被団協の代表の方々と三木さんとの会見がございました。そのときに三木さんは国務大臣でございましたが、「政府立法というとどうしてもその限界がでてくるので、議員自身が勉強して、議員立法で「援護法」をやった方がよい。」こういう発言をされております。これ以来私ども野党は大変苦労いたしまして、それぞれの野党の意見はありましたけれども、昨年野党四党がそろっていま議題になっております援護法を提案をいたしました。むしろ私は、この三木さんの発言というのが幾らか野党を勇気づけたのではないだろうか、こう考えている一人なんです。そういう意味でいくと、私どもせっかく議員自身が提案したこの援護法について、政府はどういうふうに見解をとられるのか、この三木さんの発言と関連をして大臣の見解を聞いておきます。
  104. 田中正巳

    国務大臣(田中正巳君) 三木さんが総理大臣になる前にさような発言をしたという話を私も承っております。しかし、ただいまの三木総理がどういうお考えでその発言をいたしたか、つまびらかではございません。ただ、大変承るところによりますると、被爆者に対しましてお気の毒であるという気持ちを持っておるということは事実でございまして、まあ、その意味において原爆被爆対策についていろいろと施策を進めるようにというふうな御諚がございまして、価値判断についてはいろいろございますが、ただいま御提案申し上げているような法案として原爆二法の系列の中で進んだと、施策が進んだということだろうと思いますが、援護法の形態をとっておらないということについては、なおいろいろと議論のあるところだろうと思いますが、まあ、いずれにいたしましても、精神の上においては若干三木総理の考え方というものも生かされているものというふうに思います。
  105. 山崎昇

    ○山崎昇君 基本的には厚生大臣は三木総理の国務大臣当時の発言ではありますが、こういう方向についてはあなたは否定なさらない、肯定される。ただ、現実に出されている法案ではこの精神が多少生かされたんじゃないかと思うがと、こういう発言でありますが、私はいまあなたの発言を聞いて、この三木さんの発言を否定はできないんじゃないだろうか。この上に立って厚生省はやっぱり判断をしていくべきものではないんだろうか、こう考えます。さらに三木さんは冒頭会ったときに、「現行法では限度にきており、やはり「援護法」を作らねばならないとなればなんとかしよう。大体アメリカは広島、長崎原爆を投下したが、その目的は威力を示すことにあったのだから、広島、長崎以外に投下してもよかったはずであり、広島、長崎は犠牲になった。  その原爆投下によって日本は無条件降服を決意するに至った事を考えれば、国民にかつて犠牲になった人たちに対し、国民がその被害をカバーしてやるのは当然である。」とも述べられています。この三木さんの見解についてはあなたはどうされますか。
  106. 田中正巳

    国務大臣(田中正巳君) 三木総理の当時の御発言、私は原爆被爆者に対する施策を何とかもう少し前進をいたしたいというのが真意であるというふうに承っておるわけであります。まあ、たまたま援護の形の法律をつくるか、あるいは現在の二法の系列の中で施策を進めていくかということについていろいろと議論がありますが、私はこの両者の間にはそう大きな違いは具体的な施策の問題としてはないんじゃないかと、思想の上で、また根底にある思想から出てくる現実の施策が生まれ出るそのプロセスとしては影響があろうと思いますが、私は三木さんの思想というものを今日の原爆二法の系列の中においてもこれを生かし、そしてそれを前進せしむることは不可能ではないというふうに考えておりまして、三木さんのお考えは結局原爆被爆対策というものを、もっとさらに進めたいという気持ちを端的にあらわしたものというふうに理解をいたしております。
  107. 山崎昇

    ○山崎昇君 理解はいいんですが、私の聞いているのは、三木さんの考え方は国家補償精神に基づいてやるという趣旨になっておるんです。だから、いまあなたに、この三木さんの発言をあなたは考え方として肯定をしますか、否定をしますかとお聞きをしているんです。ですから、これからついでにですから二、三まだ三木さんの発言御紹介いたしますが、たとえば「それにしても、今までの役人感覚ですぐに一般戦災者との公平ばかり気にしているようでは駄目だ。」、「口で平和国家であると言っても実行しなければ、他のアジアの諸国を安心させられない。  実行することが国際的にも説得力をもつことだ、平和愛好国として「被爆者援護法」は必要である。」と述べている。そしてその席場に入ってこられた厚生省の皆さんに、「あなた方厚生省には、これら戦争被害について、原爆被害だけ別に切りはなせない。いわゆる公平論もあるだろうが、あの原爆によって日本が降服したことを考え、その犠牲になった人たちは一般戦災とは別にして「援護法」という議員立法でやるから、あなた方も協力してほしい。」と述べたと言われている。ですから、三木当時の国務大臣でありますが、もし彼にいまもその考え方が変わらないとすれば、――これは三木さんに聞かなけりゃならぬことですが、変わらないとすれば、三木内閣の一員であるあなたは、この三木さんの趣旨というものをくんで当然援護法という方向に向かわざるを私は得ないのではないだろうか、それが厚生大臣としては任務ではないだろうか、こう考えるんですが、先ほど来述べておりますように、これは三木さんに最終的にはお聞きしなければなりませんが、あなたは三木内閣の閣僚でありますから、この三木さんの物の考え方についてあなたは肯定されるか否定されるかということをお聞きしているんです。重ねてお聞きいたしますが、どうですか。
  108. 田中正巳

    国務大臣(田中正巳君) 先ほど来申しておるように、三木さんの私は考え方というものは援護法という表現をいたしておりますが、要するに、一般戦災者等とは違いまして原爆被爆者については特別な施策を特別にこれを内容を向上、充実せよというふうなお考えであるというふうに承っておるわけでございまして、さような趣旨でこうした法案をいま御審議を願っているということであります。したがいまして、援護法という法律の形をとらなければ、三木さんの考え方が私はすべて没却され、あるいは私どもがこれに従っていないということには相ならぬだろう。要は、内容を充実強化したいといういまの総理の当時のお考え方に私どもはどういうふうにしてこれを生かしていくかというところに問題があるというふうに理解をいたしております。
  109. 山崎昇

    ○山崎昇君 それじゃ、あなたに先ほど述べたが、重ねて、現行法では限界に来ております、やはり援護法をつくらなければなりませぬと、こう述べていますよ。だから、そういう三木さんの発言から言えば、総理になったからと言ってこの思想は変わったわけじゃ私はないと思う。そういうことからいけば、あなたはいまの法律でも三木さんの意見が全く、それは私は没却されているとか、あるいは入ってないなんということを言ってない。しかし、いまの法律では限界があるから援護法やんなさいと、こう言っているんだ、そういう意味で言うならば、当然厚生省はこの援護法についても考え、検討し、この趣旨等に沿うていくようにやるのが私は厚生大臣としての考え方でなけりゃならぬのじゃないだろうか、こう思うもんですから、この三木さんの発言についてあなたはどう思われるか、先ほど来聞いているんです。重ねて、現行法には限界が来ていると、こう言うんですから、それについての見解、聞いておきます。
  110. 田中正巳

    国務大臣(田中正巳君) 当時三木さんがこの二法の系列に限界があるというふうにお考えになったというふうに言っておりますが、一体当時三木さんがどこに限界を考えておったかつまびらかではございません。少なくともあのいままでの二法の中からはずいぶんわれわれが苦労して保健手当という一種の年金制度に近いようなものを編み出したということについては、私は恐らく当時の主管大臣じゃない三木さんは、こういうところにまだ限界の先があるということについては私は御認識くださらなかったものというふうに思いますので、そうした趣旨を考えてみて、できるだけ私どもとしては三木さんの趣旨を生かしておるものというふうに考えておるわけであります。
  111. 山崎昇

    ○山崎昇君 これだけやっているわけにいきませんが、少なくても三木さんに、総理に、あなたとしては限界聞いてください。そして援護法が必要だと彼述べているんですから、それがいまも三木さんの考えだというなら、私は三木さんは行政としては最高の地位についた人ですから、やろうとすればやれないことはない。総理が指示すればできることですから、当然あなたは総理と相談をされまして、そして三木さんの考えが変わらないというならば、援護法の制定について今後具体的に進めていただくように私から強く要望しておきます。  そこで、二、三、もうずいぶん質問されておりますから、二、三にしぼって私はお聞きをしておきますが、いよいよ五十一年度の予算の編成期に入ってまいりまして、したがって、これからあなた方は来年度に向けまして予算編成上いろいろやられると思いますが、事この原爆関係の問題等については、いまの援護法よりさらにどういう点で進めていこうとするのか、あるいは省議でまだ決まっていないと言えばそうなのかもしれませんが、できれば大臣の抱負でも結構でありますから、来年度以降についての考え方をお聞きをします。
  112. 田中正巳

    国務大臣(田中正巳君) 明年度予算要求につきましては、八月末までに提出いたすことになっておりまして、まだ厚生省の段階では原局の説明を官房が聴取をいたしておらない段階でございまして、まだせっかくのお尋ねでありますが、いろいろと具体的にお話を申し上げるところまでは参っておりません。ただ、この後お話があるだろうと思いますが、原爆病院の運営費あるいは営繕費等につきましては、これは私は質疑応答の中において何とかいたさなければなるまいというふうに考えておりますものですから、こうしたことについてだけは私の気持ちがそこにただいま現在すでにあるということだけはお伝えをしておきたいと思います。
  113. 山崎昇

    ○山崎昇君 かなり五十一年度以降については厚生省としては積極的な取り組みを私は行うのだろうと思うのです。  そこで、今日まで議論された点はたくさんあります。もうすでに各党からいろいろ具体的に聞いておりますから、私の時間も余りありませんので少しまとめてお聞きをしますが、お答えをいただきたいと思います。  来年度以降一番私は問題になりますのは、第一に、所得制限の撤廃をしてもらいたい。第二に、生活保護法との調整をしてもらいたい。第三は、生活保障のために大幅な手当等の増額をやってもらいたい。遺族に対する救援も考えてもらいたい。そして、医療施設の整備、とりわけ原爆病院等の赤字対策等も含めまして医療施設の整備あるいは研究、診療、治療体制の一元化、さらには特別養護施設等の増設並びに整備等々が集約して言えば今日までの私は具体的な内容でないだろうか、こう考えるのです。そこで細かな点にわたるのであれば局長でも結構でありますが、いま申し上げたような点について五十一年度以降いまの段階でどの程度考えられ、あるいは今後どの程度にしていきたいと考えておるのか、ここでお聞かせいただければ幸いでないだろうか、こう思います。
  114. 田中正巳

    国務大臣(田中正巳君) 原爆被爆対策に対する広範な具体的な問題についての御質疑でございますが、最前申しましたとおり、現在まだ五十一年度の予算要求については全然われわれとしては確定をいたしておらない段階でございますが、気持ちの上から申しますると、第一の所得制限の撤廃、これにつきましては、私は完全に撤廃することはこれはなかなか困難だというふうに申し上げたいと思いますが、しかし、これについてはできるだけ緩和をいたしたいというふうに考えております。  生活保護との調整の問題につきましては、これもできるだけひとつ被爆者の立場に立って温かい施策を実施をいたしたいと思いますが、完全に生保との切り離しと申しますか、いわゆる収入認定を一切すべての手当についていたさないということについても、手当の性質等の中にいろいろなものがございまして、やや生活保障的なものもございますから、これが完全に収入認定をすべてについてやらないというわけにはいかぬと思いますが、できるだけのことはいたしたいというふうに思っております。  手当の増額等についてはできるだけの努力をいたしたい。  それから遺族の救援については、いささか私いま申し上げるような勇気がございません。いろいろと今後検討はいたしますが、これについては、にわかに私は五十一年度に生かされるということについてはなかなか困難であろうと思います。医療施設の整備、運営費の強化等につきましては、最前御答弁申し上げたとおり、かなり私は積極的な姿勢で取り組みたい、かように思っております。  それから養護施設等々については先ほど局長が答弁をいたしたところで大体おわかりのとおり、われわれとしても前進をいたすように、これについては厚生省としてむしろ現地に対していろいろ呼びかけの姿勢でやっていきたいと、かように思っております。
  115. 山崎昇

    ○山崎昇君 これで最後にしたいと思いますが、今日まで援護法等を見て大変行政のおくれが目立ってきている。そういう意味では今年度大々的な調査が行われるようでありますが、少なくともそういう点についてはやっぱり手落ちのないように、そしてこういう方々についての対策というのはやっぱり慎重ではあっても相当勇気を持ってやりませんというとどうにもなりませんので、その点は行政の運営の問題としても要望しておきたいと思うのです。  それからさらに、私どもは野党四党の案は出しておりますが、現実的な意味から実は非公式でありましたけれども、私ども一、二点の修正ということを考えて折衝してまいりましたが、ついに実ることはできませんでした。これは来年に向けましてぜひ考えてもらいたいのは、いまのこの五条の二にあります二キロというのを広げてもらいたい。そして保健手当の対象というものをもう少し大きくしてそういう方々を救ってもらいたいという点も申し上げておきたいと思うのです。  さらには、この間、参考人の一人から、お母さんは死んでいないんだけれども戸籍上は生きているという、こういう悲惨な人さえまだ存在をいたしております。こういうことから考えると、この原爆の問題についての政府の施策というのは、まだまだ私はおくれている点あるいは足りない点等があろうかと思います。  こういう点は総括して申し上げますが、どうかひとつ来年度以降におきましては、これらの問題について一層の進展ができますように最後に私から要望し、改めて大臣の決意を伺って私の質問を終えておきたいと思うのです。
  116. 田中正巳

    ○国務大臣(田中正巳君) 先生第一の質問の保健手当について二キロメートルという制限でございますが、これはさっき主管局長が申し上げたとおり、要するに、健康被害の出る放射線の線量についての科学的な見解に基づいてやったものでございますが、これについて科学的なまた根拠がもう少し広げた方がいいというふうな客観的な根拠が学問的に定着をいたしますれば私どもとしてはそれに応じなければなるまいというふうに思っております。  なお、原爆被爆者対策について、どうも非常にめんどうなことでございますが、調査が不十分であるというようなことを言われております。これについては非常にむずかしいことではございますが、今後の調査においてできるだけ実態の把握をいたし、そして施策をその向きに応じまして向上をいたすように努力をいたしたいというふうに思っております。     ―――――――――――――
  117. 村田秀三

    ○委員長(村田秀三君) 委員の異動について御報告いたします。  本日、中西一郎君が委員を辞任され、その補欠として夏目忠雄君が選任されました。  また、鹿島俊雄君が委員を辞任され、その補欠として古賀雷四郎君が選任されました。     ―――――――――――――
  118. 村田秀三

    ○委員長(村田秀三君) 他に御発言もなければ、原子爆弾被爆者に対する特別措置に関する法律の一部を改正する法律案について、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  119. 村田秀三

    ○委員長(村田秀三君) 御異議ないと認めます。  この際、委員長といたしましても御要望申し上げたいと存じます。  本案件については、今回与野党の御努力によりまして、戦後三十年、初めて現地調査も実現をいたしました。現地の実情も委員会として承知することができたわけでございます。  本問題は、単にイデオロギーの問題であるとかあるいは与野党の問題ではなかろうと思うわけでございまして、人間として取り扱っていくことができるように積極的な姿勢を関係当局は示してくださるように御要望申し上げる次第でございます。  それでは、これより原子爆弾被爆者に対する特別措置に関する法律の一部を改正する法律案を議題とし、討論に入ります。御意見のある方は、賛否を明らかにしてお述べ願います。浜本君。
  120. 浜本万三

    ○浜本万三君 私は、日本社会党代表して、政府提案の原子爆弾被爆者に対する特別措置に関する法律の一部を改正する法律案について反対討論を行うものであります。以下その反対の理由を申し述べます。  第一は、原爆被爆三十年を迎えまして、先般法案の審査に資するため、当委員会から委員派遣として広島、長崎両県に視察に参りました。その際、被爆者やその遺族からいずれも多年の念願である原爆被爆者援護法を被爆三十周年を迎えたことしこそぜひ制定してほしい旨強い要望があったことは派遣報告で御承知のとおりであります。しかるに本法案は、原爆被爆者の悲願である国家補償精神に基づく援護法にこたえたものではありません。  本来、原爆被爆者の医療及び特別措置のいわゆる二法は社会保障の枠内で規定されたものであって、国家補償に基づいてはおりません。  もともとサンフランシスコ条約において対米請求権を放棄した日本政府は、国際法違反の非人道的な原子爆弾を投下した米国にかわって原爆被爆者の方々に対して国家責任において補償すべきことは当然であります。したがって、死没者の弔慰金はもちろんのこと、全被爆者や遺族への年金被爆二世、三世への援護措置などは本法案ではどこにもうたわれていないのであります。  第二に、本法案は、特別手当などの諸手当の増額と保健手当及びいわゆる家族介護手当の新設などが挙げられ、一見して前進したかのように見えます。しかしながら、たとえば特別手当の一つを取り上げてみても、その手当額は引き上げられたが、認定基準の厳しさや所得制限に加えて、生活保護収入認定等いろいろの制限があるために、原爆被爆手帳交付者は三十五万六千人のうち昭和五十年度予算では特別手当の対象者はわずかに三千七百十六人であって、被爆者の置かれている実情から見てもとうてい援護措置とは言えないのであります。  また、新設された保健手当健康被爆者に対しても支給されるもので、爆心地から二キロメートルの範囲に限定したため、一部の地域を分断、差別することになります。さらに、この二キロメートルの距離とした被曝放射線量二十五レムという国際防護委員会基準はすでに古い基準であり、科学的根拠のきわめて薄弱なものであることは当委員会の審議及び参考人の意見でも明らかであります。  なお、保健手当の性格からして、直接被爆者全員に支給し、所得制限は撤廃すべきであります。法律による直接被爆者の数は約二十四万人で、これに対する保健手当の対象は約四万三千名で、わずか六分の一であります。  また、原爆病院など医療施設に対する国の助成措置が不十分であるため、施設は老朽化し、累積赤字は多額になり、これが改善を要求する声が強くなっています。この際、政府は一日も早く科学的な検討を行い、もろもろの不合理な点を是正するように強く要求するものであります。  第三に、われわれは野党四党による原爆被爆者援護法案を提出しております。この法案内閣提出の本案の欠陥を是正し、真に被爆者の要求にこたえたものであります。  どうか政府におかれては、いまからでも遅くはありませんから、本法案を撤回し、野党による援護法案に同調されるよう強く要求いたしまして私の反対討論を終わります。
  121. 柄谷道一

    ○柄谷道一君 私は民社党代表してただいま議題となっております原子爆弾被爆者に対する特別措置に関する法律の一部を改正する法律案について反対の討論を行うものであります。  政府案は、爆心地から二キロメートルの区域内で被爆した者に対する保健手当の新設、特別手当健康管理手当介護手当の改善などを内容とするものであり、一歩前進であることを評価するものでありますが、その内容はきわめて不十分であります。  まず指摘しなければならないことは、被爆者に対する国の基本姿勢についてであります。昭和三十七年十二月七日の東京地裁判決を引くまでもなく、国際法に違反する原爆投下によって熱線と爆風により大量の生命財産が失われたばかりでなく、戦後三十年を経た今日も放射能によって多くの人々が健康を脅かされ、生活を苦められており、命と暮らしと心の被害ははかり知れません。この人道的、国際法的、医学的にも特異な被爆に対し、国が国家補償精神に立って手厚く措置すべきことは当然であります。にもかかわらず、政府は依然として一般戦災者とのバランス論、国家との身分関係論、社会保障の枠内論にこだわっており、被爆者の三十年間の祈りにも似た期待にとうてい沿い得るものではありません。また、わが国が国家補償の原則を一日も早く確立することこそ非核三原則を内外に対し真に裏づけることであり、被爆三十年を機にこの際戦後処理を完結すべきであります。  次に、法案の内容についても、各種手当の額も不十分であり、所得制限の撤廃や適用範囲の拡大等が十分図られていないこと、特別手当生活保護収入認定に含まれていること、爆心地より二キロメートルという保健手当支給の範囲はICRPの一九六五年勧告に照らしてもさらに拡大する必要があることなど、さらに改善を要する点が多く、また原爆症認定方法の改善、原爆病院原爆養護ホームの施設の整備や財政助成についても一層の配慮が必要であります。  その他、本法案の問題点については質疑の中で明らかにしたところであり、時間の関係から重複することを避けたいと思います。  私は、政府野党四党提案の被爆者援護法の精神と内容をくみ取り、速やかにより充実した施策をとることを強く求めて討論を終わります。
  122. 村田秀三

    ○委員長(村田秀三君) 他に御意見もなければ、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  123. 村田秀三

    ○委員長(村田秀三君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより採決に入ります。  原子爆弾被爆者に対する特別措置に関する法律の一部を改正する法律案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  124. 村田秀三

    ○委員長(村田秀三君) 多数と認めます。よって本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
  125. 山崎昇

    ○山崎昇君 私は、ただいま可決されました庫子爆弾被爆者に対する特別措置に関する法律の一部を改正する法律案に対し、自由民主党日本社会党及び民社党三党共同提案の附帯決議案を提出いたします。  案文を朗読いたします。    原子爆弾被爆者に対する特別措置に関する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)  政府は、本法の施行に当たり、次の事項について実現に努めること。  一、原爆被爆が人道的にも、国際法的にも、医学的にもきわめて特異なものである点にかんがみ、被爆者からの援護対策充実強化の強い要望を配慮して、被爆者の療養と生活の保障をさらに一段と充実するための援護体制を検討すること。  二、原爆病院の整備及び運営体制について検討を加えるとともに、病院財政の助成に十分配慮すること。  三、原爆養護ホームの内容の充実を図るとともに、被爆者に対する家庭奉仕員制度の充実、相談業務の強化等在宅被爆者に対する福祉対策を強化すること。  四、各種手当の額を更に引き上げるとともに、所得制限の撤廃、適用範囲の拡大を図り、もって被爆者に必要な施策の整備充実に努めること。  五、特別手当について生活保護収入認定からはずすよう努あること。  六、原爆症の認定については、被爆者の実情に即応するよう改善すること。  七、被爆者の医療費については、全額公費負担とするよう検討することとし、さしあたり国民健康保険の特別調整交付金の増額について十分配慮すること。  八、被爆者の実態調査に当っては、今後の被爆者援護施策に活用できるよう努めるとともに、復元調査を更に整備充実し、被爆による被害の実態を明らかにするよう努めること。  九、被爆者とその子や孫の放射能の影響についての調査研究の十全を期すため現存する原爆医療調査研究機関の一元一体化について検討し、その促進をはかること。  十、沖縄在住の原子爆弾被爆者が本土並みに治療が受けられるよう専門病院等の整備に努めるとともに、沖縄地理的、歴史条件を考慮すること。  十一、葬祭料を大幅に増額するとともに、過去の死亡者にも遡及して支給することを検討すること。  十二、放射線影響研究所の運営については、被爆者及び関係者等の意見を聴取するなど、真に健康福祉に役立つものとすること。  右決議する。  以上です。
  126. 村田秀三

    ○委員長(村田秀三君) ただいま山崎君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。  本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  127. 村田秀三

    ○委員長(村田秀三君) 全会一致と認めます。よって、山崎君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会決議とすることに決定いたしました。  田中厚生大臣
  128. 田中正巳

    国務大臣(田中正巳君) ただいま御議決になられました附帯決議につきましては、その御趣旨を十分尊重いたしまして、努力をいたす所存でございます。
  129. 村田秀三

    ○委員長(村田秀三君) 原子爆弾被爆者に対する特別措置に関する法律の一部を改正する法律案の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  130. 村田秀三

    ○委員長(村田秀三君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ―――――――――――――
  131. 村田秀三

    ○委員長(村田秀三君) 次いで、継続審査要求に関する件についてお諮りいたします。  原子爆弾被爆者等援護法案につきましては、閉会中もなお審査を継続することとし、本案の継続審査要求書を議長に提出いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  132. 村田秀三

    ○委員長(村田秀三君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  なお、要求書の作成につきましては、委員長に御一任いただきたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  133. 村田秀三

    ○委員長(村田秀三君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後三時十二分散会      ―――――・―――――