運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1975-05-29 第75回国会 参議院 外務委員会 11号 公式Web版

  1. 昭和五十年五月二十九日(木曜日)    午前十時十一分開会     ―――――――――――――    委員の異動  五月十七日     辞任         補欠選任      星野  力君     野坂 参三君  五月二十九日     辞任         補欠選任      増原 恵吉君     望月 邦夫君      亘  四郎君     中村 禎二君     ―――――――――――――   出席者は左のとおり。     委員長         二木 謙吾君     理 事                 秦野  章君                 戸叶  武君     委 員                 伊藤 五郎君                 糸山英太郎君                 大鷹 淑子君                 中村 禎二君                 中山 太郎君                 望月 邦夫君                 田中寿美子君                 田  英夫君                 塩出 啓典君                 立木  洋君    政府委員        外務政務次官   羽田野忠文君        外務大臣官房長  大河原良雄君        外務省アジア局        長        高島 益郎君        外務省欧亜局長  橘  正忠君        外務省経済局次        長        野村  豊君        外務省経済協力        局長       鹿取 泰衛君        外務省条約局外        務参事官     伊達 宗起君    事務局側        常任委員会専門        員        服部比左治君    説明員        行政管理庁行政        管理局管理官   安原  正君        行政管理庁行政        監察局調整課長  中  庄二君        外務省大臣官房        領事移住部長   越智 啓介君        外務省国際連合        局外務参事官   村上 和夫君        大蔵省関税局企        画課長      松尾 直良君        文部省体育局ス        ポーツ課長    望月 健一君        農林省農蚕園芸        局畑作振興課長  本宮 義一君        通商産業省通商        政策局国際経済        部通商関税課長  能登  勇君        通商産業省生活        産業局総務課長  水田 治雄君        通商産業省生活        産業局文化用品        課長       森   孝君     ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○千九百七十四年七月五日にローザンヌで作成さ  れた万国郵便連合憲章の第二追加議定書、万国  郵便連合一般規則、万国郵便条約及び関係諸約  定の締結について承認を求めるの件(内閣提  出) ○関税及び貿易に関する一般協定に附属する第三  十八表(日本国の譲許表)に掲げる譲許を修正  し又は撤回するための欧州経済共同体との交渉  の結果に関する文書の締結について承認を求め  るの件(内閣提出、参議院送付) ○在外公館の名称及び位置並びに在外公館に勤務  する外務公務員の給与に関する法律の一部を改  正する法律案(内閣提出、衆議院送付)     ―――――――――――――
  2. 二木謙吾

    ○委員長(二木謙吾君) ただいまから外務委員会を開会いたします。  まず、委員の異動について御報告いたします。  去る十七日、星野力君が委員を辞任され、その補欠として、野坂参三君が選任されました。     ―――――――――――――
  3. 二木謙吾

    ○委員長(二木謙吾君) 次に、千九百七十四年七月五日にローザンヌで作成された万国郵便連合憲章の第二追加議定書、万国郵便連合一般規則、万国郵便条約及び関係諸約定の締結について承認を求めるの件(本院先議)  関税及び貿易に関する一般協定に附属する第三十八表(日本国の譲許表)に掲げる譲許を修正し又は撤回するための欧州経済共同体との交渉の結果に関する文書の締結について承認を求めるの件(衆議院送付)  以上二件を便宜一括して議題といたします。  政府から順次趣旨説明を聴取いたします。羽田野外務政務次官。
  4. 羽田野忠文

    ○政府委員(羽田野忠文君) ただいま議題となりました千九百七十四年七月五日にローザンヌで作成された万国郵便連合憲章の第二追加議定書、万国郵便連合一般規則、万国郵便条約及び関係諸約定の締結について承認を求めるの件につきまして提案理由を御説明いたします。  万国郵便連合は百年近い歴史を有する世界で最も古い国際機関の一つで、国際郵便業務の発展の中心的役割りを果たしておりますが、わが国も明治十年に加盟して以来、積極的にその活動に参加しております。  万国郵便連合の文書には、連合の機構を定める万国郵便連合憲章、連合の運営手続を定める万国郵便連合一般規則、国際郵便業務に適用する共通の規則及び通常郵便物に関する規定から成る万国郵便条約並びに価格表記書状、小包郵便物、郵便為替、郵便小切手等の特殊郵便業務を規律する諸約定がありますが、連合の基本文書である憲章を除くこれらすべての文書は、通常五年ごとに開催される連合の最高機関である大会議において全面的に更新されることになっております。  現在実施されている連合の諸文書は、昭和四十四年に東京で作成されたものでありますが、これらに対しては昭和四十九年の五月二十二日よりローザンヌで開催された第十七同大会議において今日の事態に適応した改正と補足が行われた結果、憲章につきましては追加議定書の形でその一部が改正され、その他の文書につきましては現行の文書にかわる全く新たな文書が作成されました。  これらの追加議定書、一般規則、万国郵便条約及び関係諸約定は、いずれも来年一月一日から実施されることになっておりますが、その際には、東京で昭和四十四年に作成された現行の万国郵便連合の諸文書は、憲章を除き、失効することとなっております。したがって、本年中にこれらの諸文書を締結する必要があり、また、わが国と諸外国との郵便物の交換が日々増加している現在、これらの諸文書を締結し、万国郵便連合を通じて国際協力を維持増進することは、わが国にとってきわめて有意義であると考えられます。  よって、ここに、これらの諸文書の締結について御承認を求める次第であります。  次に、関税及び貿易に関する一般協定に附属する第三十八表に掲げる譲許を修正し又は撤回するための欧州経済共同体との交渉の結果に関する文書の締結について承認を求めるの件につきまして提案理由を御説明いたします。  最近、イタリア、フランス等におきましてスキーぐつの製法、材質の転換により技術開発が進み、プラスチック製スキーぐつのわが国に対する輸入が急増し、国内スキーぐつ産業の存立に重大な影響が生じていることにかんがみまして、わが国は、当該産業の近代化のための国内諸対策の実施の円滑化を図るためにプラスチック製スキーぐつの関税を引き上げることとし、昨年十一月より、関税及び貿易に関する一般協定に基づき欧州経済共同体と交渉を行ってまいりました。その結果、ガットに付属する日本国の譲許表に掲げる履物のうちプラスチック製スキーぐつについてのわが国の譲許税率一〇%を二七%に引き上げるとともに、その代償として他の品目の譲許税率の引き下げを行うことにつき、本年四月に合意に達した次第でございます。  この交渉は、関税譲許の修正または撤回に関する手続を定めておりますガット第二十八条の規定に基づいて行われたものでありますが、これは、プラスチック製スキーぐつが昭和三十九年から昭和四十二年まで行われたケネディラウンドの際に行いました関税譲許の品目の一部であり、また、本品目に関する主要供給国は、欧州経済共同体であったためでございます。  プラスチック製スキーぐつについての従来の譲許税率の引き上げに対する代償といたしましては、大理石、トラクター用内燃機関、吹奏楽器等十三品目につきまして従来のわが国の譲許税率の引き下げが行われることとなります。  本件文書は、このような交渉結果を収録したものでありまして、国会の御承認を得た後、政府がガット事務局長に対して行う通告によって効力を生じ、実施されることとなっております。  よって、ここに、この文書の締結について御承認を求める次第であります。  以上二件につき、何とぞ御審議の上、速やかに御承認あらんことを希望いたします。
  5. 二木謙吾

    ○委員長(二木謙吾君) 続いて順次補足説明を聴取いたします。伊達条約局参事官。
  6. 伊達宗起

    ○政府委員(伊達宗起君) ただいま提案理由の説明のございました二件につきまして、若干補足説明を申し上げます。  最初に、万国郵便連合関係の諸条約、約定でございますが、これらの条約、約定は、一九七一年から今日まで実施されてきたものを、国際郵便業務の最近の事情にかんがみ改正するものでございます。  改正のうち主なものを具体的に申し上げますと、まず、書状、はがき等の通常郵便物の基本料金が、今後五年間における取扱経費の増加を勘案いたしまして、平均約六七%引き上げられるとともに、小包郵便物の料金及び書留料、通関料等の特殊取扱料金についても相当額引き上げられました。また、書留郵便物に関する損害賠償の範囲が拡大されまして、書留郵便物の内容品の全部が盗まれたり、または全面的に損傷を受けたような場合について関係郵政庁間の合意によりまして郵便物の亡失とみなし、損害賠償ができることとされたのでございます。さらに、小包郵便物の損害賠償額の改正によりまして、従来一キログラム及び三キログラムまでの小包の賠償金額はそれぞれ千六百五十円及び二千七百五十円であったものが、一律に四千四百円に改められました。  このほか、利用者に対するサービスの向上及び郵便物の取り扱いの近代化のため、郵便業務上の技術的な点で郵便物の包装条件、差出条件等種々の改正が行われているものでございます。  政府といたしましては、これら万国郵便連合の諸条約の締結について国会の御承認を得た後は、その規定に従いまして、わが国の対外郵便業務に関する細目を郵政省令で定める予定でございます。次に、スキーぐつに関連いたしますEECとの合意文書についてでございますが、今回のプラスチック製スキーぐつの関税率引き上げの代償としてガット第二十八条の定めるところに従いましてわが国が提供いたしました十三品目のうち大理石等及びその製品三品目につきましては、実行税率二%が無税に引き下げられておりますが、従来から当該輸入品の多くを発展途上国に依存しております関係上、相当部分が特恵制度のもとに、すでに無税輸入をされているものでございます。また、トラクター用内燃機関につきましては、現行の実行税率は、今回代償として提供される新譲許税率一五%を下回る六%でございまして、残りの九品目は、現行の実行税率の水準で譲許をいたすものにすぎません。したがって、これら十品目につきましては、実行税率に変更はないものでございます。したがいまして、今回の代償品目はすべて直接国内産業に悪影響を及ぼすことはないものと思います。  なお、スキーぐつの輸入シーズンが来月ごろより開始いたしますので、政府といたしましては、御承認を得次第、早急にこの新税率を実施いたしたいと考えている次第でございます。  以上でございます。
  7. 二木謙吾

    ○委員長(二木謙吾君) 以上をもって両件の説明は終わりました。     ―――――――――――――
  8. 二木謙吾

    ○委員長(二木謙吾君) 次に、在外公館の名称及び位置並びに在外公館に勤務する外務公務員の給与に関する法律の一部を改正する法律案(衆議院送付)を議題といたします。  本件につきましては、すでに趣旨説明を聴取しておりますので、これより質疑に入ります。質疑のある方は順次御発言を願います。
  9. 戸叶武

    ○戸叶武君 在外公館を、グレナダ、バハマ及びギニア・ビサオに大使館を新設し、欧州共同体日本政府代表部を設置するとともに、上海、アガナ及びマルセイユの三カ所に総領事館を設置するに当たり、私は、この大使館の設置及び総領事館の設置について二、三のまず質問を行います。  第一に、アルバニアとの交渉はその後どうなっているか、これは外務省ではいろいろな関係において交渉を続けているということでありますが、法律上設置したということになっておりますが、大使館設置がおくれているのは、アルバニアが日中国交正常化された以後において中国路線を歩んでいる国柄であるから、その後に設置する方針の模様でありますが、今日に至っては、もはやそういう意味においては支障がなくなったと思うのでありますが、これはどうなっているかをお聞きしたいと思います。  それから第二に、国連のナミビア理事会は、旧ドイツ領で南ア共和国が統治している、それから独立したもので、日本企業はナミビアのウラン鉱等を買っているが、外務省はここにどのような形において大使館を設置しようとするか、国連ナミビア理事会の要請等もありますので、それに対していかなる方針を持っているかをお聞きしたいと思います。
  10. 橘正忠

    ○政府委員(橘正忠君) 先生の御質問のうち、アルバニアとの外交関係につきましてお答え申し上げます。  アルバニアとの外交関係につきましては、昭和四十八年にわが方のオーストリアにある大使を通じまして、アルバニア側に対しまして両国間の外交関係の再開についての交渉を始めようという申し入れをいたしておりました。その後、予備的な接触が行われております段階でございます。したがいまして、これはもっぱら日本とアルバニアとの間のこうした話し合いの結果によるところでございまして、ただいまのところ御説明申し上げましたような段階にございますので、そうした話し合いが進んだ結果によって外交関係が再開されることになるということでございますが、ただいまその時期は、見通しは立てがたい状況にございます。
  11. 戸叶武

    ○戸叶武君 いまのアルバニアの問題の外交関係の樹立については、昭和四十七年六月八日の参議院外務委員会で、当時の福田外相は積極的な答弁を行っております。事実アルバニア側と交渉もしたようだが、アルバニア側は日中国交正常化が進んでからにしたいと申し入れをしたというふうに聞いている。だが、いま私が申したように、その後、日中国交正常化が達成されたので、昭和四十八年四月六日の衆議院外務委員会では、当時の大平外相が、アルバニアとの外交関係樹立が遠からず具体化すると述べているにもかかわらず、いまだ実現していない。そしていまのような答弁は、はなはだ心もとないと思うのでありますが、今日においては、もっと明確な答弁ができるような段階にきていると思いますが、いまのような答弁以外に引き出すことはできないですか。
  12. 橘正忠

    ○政府委員(橘正忠君) 先ほど御説明申し上げましたように、約二年前わが方から正式にアルバニア側に対しまして外交関係再開のための交渉の開始を申し入れたわけでございます。その後も、ウィーンにありますわが方大使館を通じて、アルバニア側との予備的な接触が続いておる段階でございまして、わが方としては正式に交渉を申し入れ、接触を保っている、話し合いを続けているという状況でございます。
  13. 戸叶武

    ○戸叶武君 旧ドイツ領南ア共和国がかつて統治していたナミビアに関する国連のナミビア理事会の申し入れに対しては、どういう態度を示しておるんでしょうか。
  14. 村上和夫

    ○説明員(村上和夫君) ナミビア問題につきましては、わが国は南アの占領が違法であるという立場をとっております。したがいまして、現在ナミビアとの間にはわが国は外交上の関係を持っておりませんし、これを占領しております南アフリカとの関係も、外交関係は断絶しておるわけでございます。
  15. 戸叶武

    ○戸叶武君 次に、一昨年九月の北ベトナムとの国交樹立に際し、北ベトナムが要求した第二次世界大戦の賠償問題は、日本が北ベトナムに対し約百十三億円余、すなわち南ベトナムに対する賠償額三千九百万ドルを下回らない額で決着をみているのであります。このうち四十九年度予算に計上されている五十億円について、供与品目を設定するために北ベトナムから経済使節がことしの三月末に来日して、話し合いも行われております。さらに、三月二十八日に当時のサイゴン政府に対し九十億円の有償協力を約束したが、このことが北ベトナムの心証を悪くしているという説がありますが、外務省はこれに対してどのような具体的な態度を示しておりますか。
  16. 高島益郎

    ○政府委員(高島益郎君) ベトナム民主共和国との間の経済協力の話し合いにつきましては、まだ最終的な決着はついておりませんが、そのうちでとりあえず五十億円、ただいま先生が御指摘の五十億円についてその実施方法を相談するために去る三月東京に先方の使節団が参りましていろいろ交渉いたしました。不幸にしまして、交渉そのものはまとまりませんでしたけれども、ほぼ八、九分どおり内容について大体の合意はできておりますので、近くこれを再開いたしましてこの話し合いを決着つけたいというふうに考えております。現在わが方のビエンチャンの大使館を通じまして、先方の大使館からハノイの政府に対し交渉再開を呼びかけている段階でございます。  それから、ただいま旧南越政府に対して日本政府が約束いたしました九十億円に上ります有償協力、円借款でございますが、この方は、政府としては約束いたしましたけれども、事実上実施のできない状況になって立ち消えになるものと考えております。
  17. 戸叶武

    ○戸叶武君 大使館設置に対してはどういう御見解を持っておりますか。
  18. 高島益郎

    ○政府委員(高島益郎君) これは去る一昨年九月に外交関係を設定いたしまして以来、わが方はなるべく早い時期にハノイに大使館を設置したいということで、いろいろ折衝を重ねてまいりました。先方政府との間に、四月にわが方の大使館を設置するという点につきまして大体の合意を得ております。ただ、その後のベトナム及びインドシナ半島全体における新しい情勢の展開にかんがみまして、先方政府もいろいろ忙しいこともございます、そういった諸般の事情の影響もございまして、いまだ先方から、ハノイに大使館を設置してよろしいという通報はございませんけれども、現在のところは、ビエンチャンに要員を二名配置いたしまして、先方の通報を待って、即時ハノイに大使館を設置するために館員を派遣するという段取りを整えておるところでございます。
  19. 戸叶武

    ○戸叶武君 インドチャイナからアメリカ軍が敗戦による撤退を余儀なくされた以後における情勢というものは急激に変化しつつあり、また、アジアの諸地域に対してもこの影響力は多いと思うのであります。私は、やはりああいう混乱が克服された後において、若干のいろいろな問題はあるにしても、復興というものは予想外に早いのではないかと思うんです。たとえば北鮮における復興というものが、あのようにアメリカ軍に痛めつけられても予想外に早かった。それ以上に私は早いのじゃないかと思います。そういう点から、やはりインドシナにおけるこの統一の完成がどういうふうにいくかということは、いろいろ問題があるにしても、大体において方向づけは行われたし、それにやはり経済建設も、復興の諸事業の推進も想像以上の飛躍がなされるんじゃないかと思いますが、そういうときにこの大使館の設置ということは、おくれてはおくれるだけやはりどじを踏むことになるので、いまあの地域を中心として世界の関心が持たれるときに、日本がこれをおくらすようなことがあると後でいろんな問題も起きると思うんですが、その点に対しては万遺漏なきを期しているかどうか、承りたいと思います。
  20. 高島益郎

    ○政府委員(高島益郎君) 先ほども申しましたとおり、わが方はビエンチャンにハノイ大使館要員として二名をかなり前から配置いたしておりまして、いつでも先方の準備整い次第派遣できるように態勢を整えておりまして、そういう観点から申しましても、わが方が大使館の設置をおくらせているということは毛頭ございませんし、まさにその反対の態度をとっておるわけでございます。
  21. 戸叶武

    ○戸叶武君 わが国は、経済活動及び生産活動が活発であるが、資源に恵まれずに、どうしても貿易に頼らなければならないという面が多くあるのでありまして、したがって、上海、グアム島におけるアガナ及びマルセイユ等に対しての総領事館の設置ということは、それなりに大きな意義はあると思うのでありますが、   〔委員長退席、理事秦野章君着席〕 まず第一に、上海総領事館の設置について、日中航空協定の締結により同地が寄港地になり、上海は人口一千万を超える大都市であり、日中貿易額の三〇%、七億ドルを積みおろしされる経済活動、貿易活動の要地であるということはすでにだれも理解していることでありますが、その開設の時期の推定でありますが、中国側が大阪に総領事館を設けるのと、日本で上海に総領事館を設けるのはほとんど同時で、七月一日前後といわれておりますが、大体予想どおりにそれは進捗しておりますか。
  22. 高島益郎

    ○政府委員(高島益郎君) 現在、上海にわが方の総領事館を設置することに関連いたしまして、先方政府との間にいろいろ話し合いを進めております。わが方の希望といたしましては、ただいま先生御指摘のとおり、七月初めに総領事館を設置するということで話し合いを進めているところでございます。
  23. 戸叶武

    ○戸叶武君 次に、グアム島のアガナの総領事館設置についてお尋ねしますが、月間約一万人の観光客が激増しており、本邦企業の進出が百社を超え、在留邦人も一千名を超えているからという理由と、もう一つはグアムを管轄しているホノルルの総領事と距離が遠く、邦人保護に不便だからという理由が挙げられておりますが、観光地としてのグアムの将来性に対する見通しはどうですか。総需要の抑制によってグアムに行く客が激減したという話も聞いておりますが、本邦企業がグアムに進出しているのはホテルのほかにどのような種類が主なるものか、それを承りたいと思います。
  24. 大河原良雄

    ○政府委員(大河原良雄君) グアムに設置を予定しております総領事館の管轄区域は、グワム島並びに米国の太平洋信託統治地域ということになっているわけでございますが、グアム島自身につきましては、ただいま御指摘ございましたように、近年日本からの観光客がきわめて多数訪れておりまして、年間大体十三万人程度というふうに言われているわけでございます。もちろん、いろいろな国内的な事情によりまして、観光客の数にも増減がございますが、やはり比較的日本から近いということ、それからこれらの観光客の中にはかなりの新婚旅行というふうなものも多いようでございまして、今後ともそのような観光地としてのグアム島の魅力というものは日本人の間には依然として強く残っていくと、こういうふうに考えております。  現在進出しております企業は、主としてホテル関係ということでございまして、日本その他から参ります観光客を相手とします企業の進出というものが圧倒的に多いという状況でございます。
  25. 戸叶武

    ○戸叶武君 観光地としてのグアムがいままで日本の観光客の興味をひいておりますが、日本の南方の島嶼である沖繩等の今後を考えるときに、海洋博に対しては反対もあり賛成もありましたが、いずれにしても沖縄で大規模な海洋博覧会が開かれる、その後の問題として、やはり沖縄の農業において貿易が自由化されたときに、サトウキビでもあるいはパイナップルでも、外国から安く輸入されるので競争にならぬという悲観的な状況のもとにおいて、グアムにかわるべき観光地なり保養地なりというふうなことを目指して施設等も行われているようでありますが、まあこれは外務省としては直接関係ないと見られるかもしれませんけれども、グアムの今後の見通しということは、私はそう先行きというものは楽観的なものじゃないというふうに見ておりますが、外務省の方ではどのような判断を行っておりますか。
  26. 大河原良雄

    ○政府委員(大河原良雄君) グアム島自身は、面積も比較的狭いということもありまして、将来性につきましてはいろいろな見方があるかと存じます。ただ、グアム島から南の方に広がっております太平洋諸島、信託統治地域、これにつきましては、日本の企業もかなりの将来性を期待していろいろな計画を考え、また現地の調査を行っている企業もあるというふうに承知しておりますので、グアム島だけに限らず、これらの太平洋信託統治地域を含めての全体的な日本との関係というものが将来期待されるのじゃなかろうかと、こういうふうに考えております。
  27. 戸叶武

    ○戸叶武君 マルセイユはフランス第一の商業港で南仏地方の中心地であり、かつては日本からの商船の重要な港とされており、最近は大規模な工場団地の計画が進められておりますが、邦人四百人が在留しているというのは、あの地にいかなる企業が進出し、商社が活動してこの四百人からの在留邦人があるのか、その内容はどうなっておりますか。
  28. 大河原良雄

    ○政府委員(大河原良雄君) 在留邦人自体は、御指摘のとおり約四百名程度のものでございますが、このほかにフランスを旅行いたします日本からの旅行客、その方々がかなり多数マルセイユ周辺地区に訪問しているということがあるわけでございます。ただ、経済的にはマルセイユの商工会議所をはじめとしまして、現地の経済界が昔からの関係もありまして深い対日関心を持っておりますが、現在のところ、特に目立ったほどの企業活動あるいは日本からの進出というものが行われている状況ではないというふうに承知いたしております。
  29. 戸叶武

    ○戸叶武君 ECに対する働きかけとして、ドイツのハンブルクや何かが重要であると同時に、今後フランスやイタリー及び東欧に対して、あるいはイベリア半島に対してマルセイユの地が重要であるということはわかりますが、このEC諸国との関係でマルセイユの今後の発展というものを外務省としてはどのように期待し、見ておるのですか。
  30. 大河原良雄

    ○政府委員(大河原良雄君) EC自体としましては、大西洋岸と申しますか、西側を通じる海外との貿易ということがかなり活発に行われておりますが、やはりマルセイユは地中海に面するフランス第一の商業港という昔からの地歩は依然として残っておるわけでございまして、EC全体の経済活動が活発になるにつれまして、ECの大西洋岸の港だけではなくして、アフリカの貿易その他との関連から見ましても、地中海を通じる貿易というものは今後ともますます活発になっていくのであろうと思います。また、近くスエズ運河が再開されるということになっておりますが、スエズ運河の再開ということになりますと、マルセイユを通じての貿易あるいは経済活動ということもますます活発になっていくものであろうと、こういうふうに考えております。
  31. 戸叶武

    ○戸叶武君 在外公館に勤務する外務公務員の給与に関する法律の一部を改正する法律案に関連して、二、三の点を質問いたしますが、外務省の在外公館における人員が非常に他国と比較して少ないので、昨年二月の内閣委員会においても私は定員増の問題を主張いたしましたが、今日の定員増によって、日本はアメリカ及び西ドイツ、フランス等と比較してどの程度の比率にまで人員がふえてきたのでしょうか。
  32. 大河原良雄

    ○政府委員(大河原良雄君) 主要国の外務省あるいは国務省の定員を調べてみますと、アメリカが大体約一万人でございます。イギリスが約八千人、フランスもほぼ同数を持っております。ドイツが現在約五千五百人、イタリーが四千五百人、こういう数字を承知いたしておりますが、昭和五十年度におきまして外務省の定員は、調整定員を含めて二百十人の増員になりまして、本省、在外含めて合計三千五十人という定員になったわけでございます。したがいまして、数の上から見ますと、先ほど申し上げましたような主要先進国、欧米諸国に比べますと、まだ大分下回っているという状況でございます。
  33. 戸叶武

    ○戸叶武君 国民総生産が世界の第二位だなんだと言いながら、主として海外活動によって日本はその経済的地位を確保しているんだと思いますが、海外活動をスムーズに行うに当たっては、在外公館というものの果たす役割りは非常に大きいと思うのであります。その機能を果たすに足る人員かどうかというものには疑念がありますので、今後そういう点は外務省としてはもっと積極的に、やはり活動が十分にできるような体制をつくってもらいたいと思います。  それと同時に、在外公館に働く人たちの待遇でありますが、インフレは日本だけでなく世界的な現象であり、ところによっては日本よりもひどいところがあるのであります。やはり衣食足って礼節を知るで、生活の不安定なところに人間である以上は十分な活動を果たすということはできないのでありますが、そういう点において、日本の官僚組織というのは世界に比類のないような官僚組織であるが、わりあいに人間の活動に対する思いやりがない点でも世界一だと言われているぐらいですが、機動的に働けるような弾力のある態勢をもう少しとることを考えているかどうか。それから、どういうところにおいて、ただおざなりに人員をふやすというのでなくて、情報化時代が来たというときに、もっと的確に海外の情勢を把握して、それに直ちに対処できるような対応策を施さなければ、日本の外交というものはいつも後手後手といかざるを得ないと思うんですが、これに対して何らかの対策を外務省では持っているかどうか。これは外務大臣でないと答弁がはなはだ困難かと思いますが、今日の外務省は、どうも外務大臣が素人が多過ぎるんで、能力ある外務官僚の大体ロボット化されている傾向もあるんで、そういう皮肉な意味じゃないが、外務省において働いておる人たちは現場においてどういうことを痛感しているか、そういうことも私は吸い上がってきていると思うんですが、この際に、鬼のいない留守に洗たくというわけじゃありませんが、外務大臣のいないときにこそかえって皆さんの自由濶達な発言や国会に対する陳情もできると思うんで、その点をひとつ承っておきたいと思います。
  34. 大河原良雄

    ○政府委員(大河原良雄君) 一番最初に御指摘がございました外務省の定員でございますが、戦後外交発足以来、比較的こじんまりした定員で外交活動が始まったという経緯もございまして、その後長い間にわが国の外交活動が多面化していくにもかかわりませず、定員そのものは必ずしも当事者が希望するようなかっこうでの増員は行われず、むしろ公務員の一般的な定員削減ということの適用もありまして、本省定員はかつてに比べるとむしろ減っていると、こういうふうな実情であるわけでございます。これに対しまして、この数年来何とか外務省の定員増をお願いしたいということで、各方面の御支持も得ながら、査定当局といろいろ話をいたしまして、昭和五十年度につきましては、従来に比べて飛躍的と申してもよろしいような二百十人という定員増が獲得できたわけでございます。しかしながら、まだまだこれでは不十分だというふうに私ども考えておりますので、今後とも長期的な定員増ということを目指して定員増のための努力を払ってまいりたいと考えております。一方、希望としてはそのようでありましても、現実の情勢は短時日の間に急速に人員をふくらますということはとうていできないわけでございますから、限られました、あるいは与えられました定員の中で最大限の外交活動ができるような努力を極力やらなければいけないという考え方で、在外、本省ともにこの問題に取り組んでいるわけでございます。  情報活動あるいは情報収集ということが外交活動を行う上にまず基本になる大事な点であるということにつきましては、私どももそのように心得ているわけでございまして、在外公館がそれぞれの任地、任国におきまして十分な情報の入手に努め、これをまた本省が的確に把握し、外交施策の実施の上に役立たせていくということにできる限りの努力をいたして心がけているわけでございます。  また、もう一つの問題としましては、限られた人員を最大限に活用していくという点から見ますと、在外に勤務する職員がいろいろ異なった生活環境のもとに、また、多くの地域においては非常に厳しい生活環境のもとに、士気を阻喪することなく全力を尽くして外交活動に従事し得ますようこ、できる限りの物的な措置を講じてまいりたいと、こういうことを考えているわけでございまして、最近のように、インフレが世界各国で高進してまいりますと、従来の在勤手当というものが実質的なかなりの目減り状態というものを来している、こういうものに対処いたしますために、今回、在外給与法の改定ということをお願いいたしまして、在勤基本手当あるいは研修員手当の増額ということをお願いしているわけでございます。また、職員の資質の向上ということのためには大いに研修を強化しなければいけないということで、研修のための努力も一生懸命いたしておりますけれども、研修のためにはもう少し研修に充て得る定員の余裕が欲しいというふうなこともあるわけでございますが、職員の質の向上ということにつきましても全力を挙げて取り組んでまいりたいと考え、またそのつもりで取り組んできているという状況でございます。
  35. 中山太郎

    ○中山太郎君 関連して。  現地の大使館、在外公館で働いている外交官の諸君の給与の支払いは、どの国の通貨で原則としていまやっていられますか。
  36. 大河原良雄

    ○政府委員(大河原良雄君) 在外の手当は円建てで定められておりまして、実際の送金はドルでありますとかポンドでありますとか、主要外国通貨ということで行われております。と申しますのは、一々の在勤地にその国の現地通貨でということはいろいろまた技術的な困難もありますので、主要外国通貨で送られておりますが、建て方は円建てでございます。
  37. 中山太郎

    ○中山太郎君 いまその問題で在外公館でずっといろいろ意見を聞いてみると、インフレが非常に激しくて通貨の価値の変化が大きい。そういうときの現地の給与の支払い方法が少し改善してもらわないと現実の生活に合わないという意見が、私ども歩いてみた在外公館の意見として相当出ている、こういう問題、外務省は耳に入っておられるのかどうか。この問題についてどういうふうに、現実に生活しておる在外公館の官員に対する処遇を妥当なものにする御意見かどうか、この点はいかがですか。
  38. 大河原良雄

    ○政府委員(大河原良雄君) 私どももその問題は十分承知いたしております。最も端的に申しますならば、世界各国に駐在いたします在外公館の職員が、いずれもその国の現地通貨で物価の上昇あるいは為替の変動というものに影響なしに実質的な手当が確保できることが最も望ましいわけでございますが、これは余りにも技術的に複雑でございますし、また日々変動いたします為替相場に合わしていくということも技術的にきわめて困難が伴いますので、そのような問題があるということは十分承知いたしておりますけれども、現実の問題としましては、やはり主要通貨で送金することによってそれを現地通貨に交換して使用するという形がとられざるを得ない、こういうふうなのが実情でございます。
  39. 中山太郎

    ○中山太郎君 どうもありがとうございました。
  40. 戸叶武

    ○戸叶武君 最後に、今後における外交活動の中における文化活動と情報活動の二つの機能をどう果たすかについてあなた方の御意見を承りたいと思います。  情報活動の問題は、戦時中であったから誤解を招いて物になりませんかったけれども、私の朝日新聞時代の先輩の緒方竹虎さんと共同通信社長の古野伊之助さんたちは、外務省の外務官僚だけでなく、もっとその在外公館のある土地の人々との情報交換をやるためには、国内において新聞社あるいはテレビその他の場において経験を持つ有識な文化人を配置して、そうしてその国の各方面からの情報をキャッチするようにしなければいけないんじゃないか、そういう意味において情報室というようなものが設けらるべきであるという主張を持っておりましたが、情報活動が今日のような理解でなくて、戦時中だと暗い印象も持たれているので、この問題は立ち消えになってしまいましたけれども、これはやはり今後の外交活動の質的転換の一つとして十分考えなければならない問題だというふうに私は考えております。そういう意味において、文化交流や経済交流あるいは技術協力等にもっと適切な対応策ができるような基礎的なやはり情報活動を確立しなければならないというのが一つ。  それからやはり文化センターとも言うべきブランチが各地に持たれなければならないじゃないか。アメリカその他西欧各国においては教会だとか病院だとか、そういうところにすぐれた人々が派遣されておって、そういう人々の意見というものがその国の外交の中には大きく取り入れられてきたのがいままでの慣例になっておりますが、日本においては、海外において商社その他の活動はありますけれども、そういうブランチ活動というものがないのであります。そういう意味において、やはり今後その国に対応し得るような文化センターみたいのを具体的にどうつくっていくか。この間、二、三日前の新聞だと、ブルガリアのソフィアに大規模な日本のホテルがつくり上げられる。このことは、あの土地の要人がホテルニューオータニに宿泊して、万国博のときに非常な感激でこれを取り入れようとしたことから端を発しているようでありますが、そういう東欧なりあるいはソ連なりその他の社会主義圏や第三世界の各地において、必要と見られる場所においてその土地で養成するような文化センターの根城を持って、そこでやはりハンドワークの仕事とか、あるいは技術関係の訓練とか、あるいはシンポジウムを開催するとか、語学の教育をやるとか、そういうようなきめの細かい文化活動のセンターが持たれないと、日本の外交活動というのは何か官僚的で、冷たくて、お決まりで、硬直した外交的な活動しかないんじゃないかという感じを一般に持たれると思いますんで、この機会にいろんなことを模索して、そして海外において幾つかの文化センターを設立するような試みを持つことがいまの場合において必要なんじゃないか。特に、日本の外交の質的転換の時期において最も必要なことではないかと思いますが、こういう問題を私は昨年二月の内閣委員会においても主張しましたが、外務省においてはこういう問題に対して何らかの模索がなされているかどうか。海外に対する経済的な投資、あるいは技術協力という形のお役所仕事だけでなくて、向こう側は何を要求しているか、向こう側は何を要請しているか、これに対して日本はどう対応していくかというようなことをいま十分に反省しないと、日本の外交の変化というものを外国でも認めてくれないと思うんですが、それに対するひとつ御見解を承りたいと思います。
  41. 大河原良雄

    ○政府委員(大河原良雄君) 昭和五十年度の予算要求に当たりまして、外務省は広報文化活動というものを予算の最重点事項の一つに挙げまして、予算獲得のためにいろんな努力をいたしたわけでございまして、幸いにして、予算におきまして、広報文化のための予算も昨年度に比べますとかなりの増額を見ております。広報文化の関係から見ますと、たとえば外国の知識人、報道人あるいは地域指導者を日本に招待いたしまして日本の実情を十分理解してもらう、見聞してもらうことによって理解を深めてもらうというふうな努力をこの数年来やっておりますが、このような形での外国の有識者の招待というものが非常に大きな意味を持ってきているように思います。  また、外国にはいま御指摘ございましたような文化センターという意味で、フランス、イタリー、ドイツと、こういうところに文化会館を設けているだけではございませんで、ブラジルその他にも、あるいはメキシコ等にも文化会館というものが逐次建設を見ております。また、主要地にはインフォメーションセンターが設けられておりますが、これの内容の充実のためには今後とも一層の努力をしていきたいというふうに考えております。  また、民間人の知恵を借りて、あるいは経験を借りてというふうなことに関連いたしましては、国際交流基金が三年前に発足いたしまして、予算も昭和五十年度におきましては合計三百億円ということにまで伸びております。いよいよ三年目を迎えようとしておりますこの国際交流基金の活動が逐次軌道に乗りつつあるということを私ども非常に喜んでおりますが、今後ともこのような活動を通じまして、日本の正しい理解のためにできる限りの文化活動をやってもらうという方向で努力してまいりたいというふうに思っております。
  42. 戸叶武

    ○戸叶武君 最後に一点、きょうの新聞に、この夏パグウォッシュ会議が京都でシンポジウムを持つ、核廃絶への道を探るシンポジウムでありますが、これは朝永振一郎東京教育大の名誉教授及びノーベル賞を受けた湯川秀樹京大名誉教授というような人が中心で世界各国から、四十カ国から六十人の最高の知識人を招くということになっておりますが、まあ憲法問題の論議を通じて、三木総理大臣が前向きの姿勢でいまの平和憲法を守るということを明確に打ち出して、改悪はしない、行事も行うというふうに断言されましたが、日本の今日において必要なのは国内向けの放送だけでなくって、グローバルな時代に諸外国に対しても日本の平和憲法の趣旨、日本国民が挙げてこの原爆の洗礼を受けた被害国として核廃絶への道を積極的にたどるという姿勢を示すことが、憲法を守るという消極的な意味だけでなく、非常に重要な段階にきていると思うんですが、そういうときに、こういう催しが良心的な学者で行われているというときに、これに対する協力を呼びかけられたときに、政府はこれに対していかようなところまで便宜を払えるか、そういうことは、これも一つの新しい試みですが、この際参考のために承っておきたいと思います。これは総理大臣か外務大臣でも来ないとちょっと答弁は無理でしょうか。政務次官でも、ひとつ後で余りいじめませんから、ああいうふうに総理大臣が明確な政治姿勢を打ち出した以上は、その内閣にある大臣だけでなく、政務次官は当然その共同責任分担を行うという姿勢が望ましいことですから、この際参考のためどこの程度まで末端に――末端と言っちゃ悪いが副大臣にまで及んでいるかをひとつ承っておきたいと思います。
  43. 羽田野忠文

    ○政府委員(羽田野忠文君) 総理大臣がいつも表明されておりますとおり、いまの日本国憲法、これを守っていくということ――この日本国憲法の九条には戦争放棄、戦争を持たないということが書かれてございます。世界で唯一の核被爆国でございます日本がこの九条を持ったということは、非常に重大な意味を持っておりますし、先生御指摘のように、戦争をなくする、一番地球を破滅に導くおそれのある核兵器をなくするということは、これは日本だけでなくして人類の悲願だと思うんです。そういうことで今度核兵器不拡散条約につきましても早期の批准をしたいということで、いま衆議院で御審議をいただいておるということでございまして、政府、外務省の方針といたしましても、この核兵器というものを世界からなくするということについてはこれはもう一致した考え方であり、一致した行動をしておる次第でございます。
  44. 戸叶武

    ○戸叶武君 ちょっと低声で聞こえなかったんですが、速記録の方で後でまたよく読ませていただくことにします。
  45. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 それではまず最初に、今回グレナダ、バハマ、ギニア・ビサオ、ここに大使館を設置する。これも当分の間兼轄とする予定である。それから欧州共同体日本代表部の設置もこれはベルギー大使館が当分の間兼轄する予定である、こういうようになっておりますが、これは大体、当分の間というのはいつまでぐらいでございますか。
  46. 大河原良雄

    ○政府委員(大河原良雄君) いつというめどを具体的に持っているわけではございませんので、当分の間というふうに御説明申し上げているわけでございます。ただ、たとえばECの代表部につきましては、諸外国が今後どのような代表をECの代表部に送るようなことになっていくのか、ECの活動がどのように広がっていくのかというふうな状況次第によって、兼轄でなくて代表部を独立したものとして設置するということが必要になってくるのかどうかということを考えながら対処していこうと、こういう考え方がございます。
  47. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 わが国のいわゆる大使館は、実館――私がいただきました資料では、昨年の九月現在で九十五でございますか、そういうことで非常に――米国が百十八、英国が百二十七、フランスが百三十、西ドイツは百十五、イタリアが百五、こういうところを見ても非常に実館が少ないように思うわけでありますが、特に日本は、先ほどもお話がありましたように、海外との貿易あるはいろいろい海外との人的な交流、そういうものもかなり多いわけですけれども、そういう中で兼館というのは、その兼館されている方の国から見れば余り国民感情としても好ましくないのではないか、このようにわれわれは考えるわけでありますが、もちろん大使館、実館をつくるには予算も要るわけで、そういう制約もあるわけですけれども、そういう意味で、外務省としては当分の間というのは半永久的なものなのか、あるいは五年計画、十年計画、そういうようなものがあるのかどうか、その点はどうでしょうか。
  48. 大河原良雄

    ○政府委員(大河原良雄君) 在外公館の設置につきましては、ただいま御指摘ございましたように、予算の制約、また定員上の問題等、いろいろの側面があるわけでございます。したがいまして、外務省といたしましては、今後数カ年の間にかなりの大幅の定員増を図りたいという中長期計画というものを一応検討いたしておりますけれども、それに関連いたしまして、在外公館の一層の充実を図ってまいりたいというふうに考えております。したがいまして、現在兼館が行われているところにつきましても、その設置場所、あるいは設置国の実情に照らしまして予算、定員、これらの関連におきまして逐次考えてまいりたいというふうに思っております。
  49. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 そこで、先ほど戸叶委員の質問に対しましても、外務省の定員が非常に少ない。いまのお話ではイタリアや西ドイツにおいても四千五百人とか五千五百人。イギリス、フランスのようにわが国よりも人口の少ないところでも八千人でありながら、日本の外務省の定員は三千五十人である。また、いま言ったように大使館の数も非常に少ないわけで、外務省としては現在の三千人の定員を将来五千人にしていくというような計画も承っておるわけでありますが、われわれももちろんもっと多くしなければならない、多いにこしたことはないと思うわけでありますが、しかし、今後わが国の財政というものもだんだん硬直化してくれば非常にむずかしい状態になるのではないかと思うのです。しかし、やはり長い大局的な立場に立ってこれはぜひとも必要だというところもどんどんあるのじゃないかと思うのですけれども、その点で外務省として現在このように大使館が少ない、あるいは外務省の定員が少ない、そのためにどういう国益を損しているか。これは短期の国益と、それから長い目で見た国益というものがあると思うのですけれども、   〔理事秦野章君退席、委員長着席〕 そういうものをやっぱりはっきりしないと、ただ外国に比べて定員が少ないからふやせということでは論拠が弱いのではないか、そういう意味で、外務省としてはもっとこれから大使館もふやしていかなければいけない、あるいは外務省の定員もふやしていかなければいけない、在外公館の一カ所当たりの定員も非常に少ない、これをふやしていかなければいけない、こういう根拠というものがあるのかどうか、そういう資料でもつくっているのかどうか、その点はどうなんですか。
  50. 大河原良雄

    ○政府委員(大河原良雄君) たとえばアフリカのごとくに、近年独立国の数が逐次ふえてまいりますと、それに対する大使館の設置という問題が現実問題として直ちに出てまいります。そのような際に、実館を置くことができるのか、あるいはやむを得ず兼館という形で当分の間対処していくのかというふうな問題が直ちに出てまいるわけでございますが、今後とも、たとえば中近東でございますとか、アフリカでございますとか、中南米でありますとか、こういうふうな国々におきまして、現在兼館兼轄という形で行われております大使館あるいは在外公館の活動を、できる限り実情に即した実館に持っていきたいというふうに一般的には考えております。  また、定員の増強につきましては、在外公館の数がふえるからということではなくして、実際の外交活動の需要に照らして現在きわめて手薄な、特に在外公館でございますが、これをもう少し充実したものに整備してまいりたい、こういう考え方を持っております。  多くの発展途上国に比較的近年設置されました公館におきましては、いわゆる小規模公館として定員が四名でありますとか五名でありますとか、かなり手薄な定員で膨大な事務を処理しているわけでございますが、多くの場合にはこのような場所は比較的瘴属の地であるわけでございまして、館員の保健という見地からも非常に憂うべき事態が現実に生じているわけでございます。制度として休暇帰国あるいは健康地における休暇というふうな仕組みが設けられておりますけれども、このような小規模公館に勤務しております職員の場合には、仕事の関係でなかなか規定に即したそのような休暇を取ることもできにくいというふうな実情があるわけでございまして、職員の勤務環境の改善という見地からも、小規模公館の充実ということをもっと考えてまいりたいというふうに思っているわけであります。
  51. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 それで、この定員の問題等につきまして、行政管理庁としてはどういう考えを持っているのか。いろいろ毎月行政管理庁から出ている月報、いわゆる行政監察等、われわれがいままで拝見している範囲では、国内の各省においてもかなり定員のアンバランスがある。たとえば農林省の統計調査事務所等はもっと減らすべきだ。ところが公害関係とかあるいは食品衛生の関係とか、そういうのは非常に少ない。そういうものをもっとふやすべきである、こういうような国内の各省庁のそういう定員のアンバランスには非常に関心を持っているように思うわけでありますが、しかし、在外公館の定員については、これまた国内の各省庁の定員以上にもう重要な問題じゃないかと思うのですけれどもね。この外務省の定員増、特に在外公館の定員増の問題については行政管理庁としてはどういう考えを持っているのか、これをお伺いしたいと思います。
  52. 安原正

    ○説明員(安原正君) まず最初に外務省の定員でございますが、この点につきましては行政管理庁としても特に重点的な配慮を払ってまいっておるところでございまして、ちなみに第一次定員削減計画が始まりました昭和四十三年度以降五十年度までの推移を見てみますと、行政機関全体として、通常の一般行政職員でございますが、総定員法の規制のかかっております行政職員につきましては、全体としてやや減、約一%未満でございますが減少になっておるわけでございます。これに対しまして、外務省の定員というのは約二・一%の増加を見ているところでございます。特に五十年度におきましては新しい行政需要につきましても極力振りかえ等によりまして新規の増員を厳に抑制するという方針がとられたわけでございますが、その中にありましても、先ほど来御説明がありましたように、調整定員を含めまして二百十名、調整定員を除きました新規の増員で見ますと百六十名でございます。これが四十九年度が百名でございますので、新規増員を見ましても六割増という大幅な増員が図られておるわけでございます。その中でも特に在外公館の増員ということには配慮しておりまして、百六十名のうち三十八名が在外公館の増員ということで考えられておるところでございます。  それから一般的な行政機関の職員の定員の考え方でございますが、行政機関というのはコスト意識あるいは経営意識というものがございませんので、やはり何らかの合理化目標を立てまして、それで一定の定員管理をやっていく。一方で新しい行政需要に対応しましてその増員を確保していくということが必要であろうということで、ただその場合にも、合理化目標を個々の行政機関、個別の特殊事情に着目しまして幾ら削減するということは非常に困難な面がございますので、一律に職種別に各省間のバランスをとりながら、その欠員状況等を見ながら、国会の附帯決議がございますが、要するに出血整理はしないとか、あるいは強制配転をしないという、そういう趣旨を尊重しながら、できる範囲内において各省間のバランスをとりつつ定員の削減ということを一方でやり、一方で新しい行政需要に対応するためにいわば財源を用いまして充当していくと、それによって円滑な定員の新しい需要に対応した振りかえというものを実現していくと、こういう考え方で従来から定員管理を行ってきているところでございます。
  53. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 ひとつ行政管理庁も、特に在外公館の定員等についても大いに関心を持っていただいて、やはり大局的見地から推進をしてもらいたいと思います。  それで、外務省では査察使というのを、これを年に一回とか各在外公館に派遣をして、そしていろいろ仕事の状態とかそういうものを査察をしておると、こういうことを聞いておるわけでございますが、大体どういう人がどの程度査察をしてきておるのか、そうしてその査察をした結果というものは行政の上に反映をされているのかどうか、その点どうなんですか。
  54. 大河原良雄

    ○政府委員(大河原良雄君) 在外公館の査察使につきましては、外務公務員法に規定がございまして、在外公館の事務が適正に行われているかどうかを査察するという目的が定められてございますが、現状といたしましては、毎年約二ないし三地域の在外公館に、元大使でありますとか人事審議会の委員である学識経験者等を査察使に任命の上、派遣いたしております。最近では、昭和四十九年度に中近東地域と大洋州アジア地域、この二回の査察を行い、その前の四十八年度にはアフリカ地域と東欧地域の査察を行っております。五十年度につきましては中南米、西欧地域、この査察を一応予定いたしているわけでございます。査察使は、現地各公館の査察をいたしまして、その結果を外務大臣に報告いたしているわけでございますけれども、報告に基づきまして外務事務当局といたしましては、人員の配置でありますとか勤務条件の改善でありますとか、このように在外公館強化のために必要と認められる措置をできる限り講じてまいっておるというのが実情でございます。
  55. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 査察使に関する省令では、世界を七地域ぐらいに分けて、大体年に一回は各地に定期的に派遣をすると、こういうようになっていると思うのですけれども、いまのお話では、この省令できめたとおりはやれてないなんですか、その辺どうなんですか。
  56. 大河原良雄

    ○政府委員(大河原良雄君) 御指摘のとおりに、省令の規定では毎年一回各地域に定期的に派遣と、こういうふうになっているわけでございますが、実際には予算の関係等もございまして、二ないし三地域程度の査察が行われているという状況でございます。ただ、外務省といたしましては、この査察使による査察を補うものといたしまして、本省幹部等が当該地域に出張いたします際にはできる限り在外公館との密接な連絡を図り、また在外公館の実情がそれら出張する本省幹部を通じて十分本省に伝わり、それに基づく必要な措置がとられるというふうな配慮をいたすように心がけております。
  57. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 これは省令が現実に合わなければやはり省令をもう少し現実に合わして変えるとか、いやしくもきめられたものが予算がないためにできないというんではちょっとまずいんじゃないかと思うのですね。その点はひとつ検討してもらいたいと思います。  行政管理庁等が在外公館のそういう業務の査察とか、そういうようなことは余りやらないのかどうか、この点どうなんですか。
  58. 中庄二

    ○説明員(中庄二君) 行政管理庁の行政監察は、各行政機関の業務の実施状況ということになっておりますが、現在の体制は主に国内の行政機関ということを主体にしておりまして、予算的にもそういう措置はございませんので、現在のところはそこまでは手が回りかねております。
  59. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 この外務省のいわゆる査察使は大体外務省の先輩等が行くわけで、もちろん外交という問題はまた国内の業務とは違った性質のもので、やはりある程度ひまもなければならぬし、いつもがつがつ業務に追われて、大使館の外に出るひまもない、こういうことでは本当の外交活動はできないわけで、そういうほかの業務とは違ったところもあると思うのです。しかし、いずれにしてもそういう外国の実態というものはなかなかわれわれにもわからないし、行政管理庁にもつかめないんじゃないかと思うのですよ、実際の状態が。査察使がいろいろずっと回った場合、その結果はちゃんと外務大臣には報告するようになっているようですけれども、それは機密であると、こう書いておるわけですけれどもね。もちろん個人的なプライバシーの問題とか、あるいは相手国に非常に外交上悪影響をもたらすような事項についてはもちろん機密とすることもいいと思うのですけれども、しかし、定員が少ないために非常にみんなが困っているとか、重労働であるとか、あるいはその国との関係をよくするためにはどうしてもここにもつと定員をふやすべきだとか、こういうような問題はもっと外務省としても査察使等の報告をまとめて、行政管理庁あたりにも、またわれわれ国会に対してもどんどん知ってもらうことによって、私は外務省、在外公館の機能もより発揮できるんではないかと、このように思うわけですけれども、そういう点もっと査察使の視察をした状況等はどんどん公開をしてはどうかと、この点どうですか。
  60. 大河原良雄

    ○政府委員(大河原良雄君) 従来も査察使から外務大臣に出されました報告の内容につきましては、必要に応じまして人事審議会に報告いたしますとか、また予算、定員等に関連いたします問題につきましては、大蔵省、行管当局にも適当な説明を行っているところでございますけれども、ただいま御指摘の問題につきましては、十分検討さしていただきたいと思います。
  61. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 私といたしましては、行政管理庁も、何も国内だけが行政管理庁じゃないわけですから、やはり非常にこれからは、ますます在外公館が本当の意味での活動ができるようにすることが非常に大事じゃないかと思うんですけれども、そういう意味で、行政管理庁としてもそういう在外公館に対するいろんな行政監察というものをやっぱりどうすべきか、これはよく私は検討すべき問題じゃないかと思うんですが、その点ひとつよく、まあここでは結論は出ないと思うんですけれども、今後の問題として検討していただきたい、このことを要望したいと思います。これはよろしいですね。  それから、このたび在外公館に勤務する人の給与水準、給与が上がったわけでありますが、国によって大分金額も違うようですね。もちろんその国の物価水準とか生活水準、あるいは外交官として体面を保つに必要なそういうレベルがいろいろ違うと思うんですが、大体どういう計算でどういうことを配慮して決めておるのか、その根本的な考え方というのを教えていただきたい。
  62. 大河原良雄

    ○政府委員(大河原良雄君) 在勤手当の設定に当たりましては、在外職員が各在勤地においてその体面を維持し、かつ、その職務と責任に応じて能率を十分発揮できるよう、各任地の実質生計費などの地域差を十分考慮に入れて決めるということにいたしているわけでございます。実際の設定に当たりましては、ワシントンの大使館を基準といたしまして、これをもとに各地の地域差それから実質生計費の動き、これらを統計数字等を参酌いたしまして決めてきていると、こういうことでございます。
  63. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 私、先般こういう話を聞いたんでありますが、アメリカの方に日本から行っておる在外公館に勤務する人たちは、どうしても向こうへ行って引っ越しもし、向こうへ着けばいろいろ家具を買ったり車を買ったり、そういうようなことでかなり借金をしなくちゃいかぬと、そうして二年か三年ぐらいたてば借金が返せると。だから二年ぐらいで帰ったんじゃ借金が残る。一方、非常に発展途上国ですか、こういうところへ行けばお手伝いさんも三人も五人もというか、二人か三人か知りませんが、たくさん置けると。そういうようなことで、非常に外国へ行くのに借金をしなければ行けない。それがまた二年か三年たって返さなくちゃならぬと。こういうことではちょっとかわいそうじゃないかなと、こういう気がしたわけなんですが、そのあたりはどうなんでしょうかね。
  64. 大河原良雄

    ○政府委員(大河原良雄君) 先ほども御説明いたしましたように、在勤手当につきましては在外給与法の規定がございまして、体面を維持し、その職務と責任に応じて能率を発揮することができるように、在外公館の所在地における物価、為替相場及び生活水準を勘案して定めなければならないと、こういうことになっているわけでございます。ただ、いま御指摘ございましたように、現実に新たに着任いたしました在外の職員はすぐ自動車を買わなきゃいけない、家具を買わなければいけないということで、着任当初は相当額の出費が必要なものですから、どうしても借金をしなければいけないという実情にあるわけでございまして、この点はいわゆる先進国であろうと発展途上国の場合であろうと変わりはないわけであります。ただ、発展途上国の場合におきましては、先進諸国の場合と若干生活の様式が異なっているというふうなこともありますので、どうしても家事使用人なり夜警なり、こういう者を使うということが必要であり、また、それが現地で生活していく際にどうしても必要なものであると、こういうふうなかっこうになっておりますので、在外給与、在外手当の設定に当たりましては、基本的に先ほど申し上げましたような形で行われておりますが、生活の様式は、それぞれの任地によって、それぞれの国の実情に合ったものが行われていると、こういうことでございます。
  65. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 私、たとえばワシントンの大使館にしても、ある程度定員は決まっておるわけで、こちらから新しく行くという場合には、いままでおった人がやめて帰るわけですね、もちろん定員がふえる場合は別ですけれどもね。そういうときに、家具なんというのは、買うときは高いけれども、売るときは安いわけですね。そういうわけで、家具なんていうものは、やっぱり大使館としても住宅を確保して、もうそういうような心配――一々家具を買いに行ったり、また売るようにしなくてもいいように、ちゃんと備えつけの物をつくって、人間だけ行けばいいと、こういうようにすれば非常にいいんじゃないかと思うんですが、そういうのはできないんですか。
  66. 大河原良雄

    ○政府委員(大河原良雄君) 私たち在外に勤務する者が古くから抱えている問題でございまして、御指摘のようなことができれば非常に手間も費用も省けていいというふうにはみんな考えるわけでございますが、やはり職員間には家族構成が異なっておったり、また、着任と離任の時期が必ずしもうまくかみ合わないというふうなことがありましたりして、希望するような形での家具の受け渡し云々ということが必ずしもできにくい状況でございますが、個人間ではできる限りそういうふうなことによって手間が省けるというふうなことを極力進めておるわけでございます。ただ、最近住宅事情の非常に悪い場所につきましては、館長以外にも、館員のための宿舎ということの手当てを逐次進めておりますので、宿舎につきましてはそのような心配が一部の地域につきましては軽減されているところもございますが、家具まではなかなか管理というわけにはまいりませんので、実際問題としてはいまのような不便がどうしてもつきまとってきている、こういうのが実情でございます。
  67. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 先ほどお話ありましたように、外務省の在外公館も非常に定員が少なくて、少数精鋭主義でやっているわけですから、そういう意味でできるだけそれ以外の、いわゆるたとえば家具を売ったり買ったりするようなこととか、あるいは借金ができると人間というのは余りうれしくないものですね。やっぱり借金を行くときにつくって、それで途中で返すなんというんじゃなしに、それならもうその金を先に渡して、その途中の年々の給与を少し下げるなりして、それはどっちも上げるにこしたことはないかもしれませんけれども、そういうような、やはり借金をして、後、返さにゃいかぬというような形は何らかの形でなくするようにすることが日本外交をより前進させるためには必要じゃないかと、このように思うわけでありますが、これはひとつ外務省当局としても、大蔵省のいろいろ会計の規定もあるとは思うんですけれども、よくひとつ検討していただきたい、このことを要望しておきたいと思います。
  68. 大河原良雄

    ○政府委員(大河原良雄君) 着任当初の初度設営手当的なものが考えられないかということで、内部的な検討はしてきておりますけれども、まだ結論を得ておりません。しかし、御指摘の点はまことに、私どもとしてもぜひ検討いたしてみたい点でございます。
  69. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 それから、在外公館とわが国との通信連絡網を強化するために通信網近代化二カ年計画、こういうものが昭和四十九年度から行われておると聞いておるわけでございますが、これはどういう内容であるのか、どこまで進んでいるのか、またそれが完成をしたならばどういうメリットがあるのか、これを簡単に説明を願いたい。
  70. 大河原良雄

    ○政府委員(大河原良雄君) 本省と在外公館との間では外交活動が活発になるにつれまして、ますます大量な情報の交換が行われるわけでございますが、この大量の情報の交換をできる限り迅速にしなければいけないというもう一つまた要請があるわけでございまして、従来テレックスを主としておりました通信体制を、新たに本省と主要在外公館等を結ぶ専用回線で行う、こういう計画を立てまして、昭和四十九年度からこれに着手いたしております。幸いにして予算も取れましたので、四十九年度と五十年度と二カ年間にわたりまして通信網近代化計画を進めてまいりたいというふうに考えているわけでございます。昭和四十九年度につきましては五十二公館との間にすでに専用線の開設を終わっておりまして、七月末にはテストを終わって本格的な運用ができるように持っていきたいということを考えております。また、残りの四十六公館につきましては、技術的に若干の問題がある一、二の公館を除きましては、明年の三月末までに専用線を開設して運用を開始したいと、こういうふうに考えているわけでございます。この専用線の開設によりまして、在外百公館と本省との間がオンラインによって結ばれる、即時通信が可能になる、こういうことになるわけでございます。  なお、特に通信の量の多いワシントンの大使館、それから国連の代表部との間にはファクシミリを設置いたしまして、四月末から開通して、大量情報の即時送達ということに大きな役割りを果たしておりますので、昭和五十年度中にはさらにこれをヨーロッパの公館に広げまして、イギリス、フランス、ジュネーブ等に専用線、ファクシミリの設置を急ぎたい、こういうように考えております。
  71. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 特に中国との間には――特に中国語は漢字でややこしいわけですから、これは早くやはりファクシミリを中国の大使館との間につくるべきじゃないか、こう思うわけですが、その他はいまどうなっておりますか。
  72. 大河原良雄

    ○政府委員(大河原良雄君) 中国との通信網の整備の問題につきましては、現在直通回線の設置を見られたわけでございますが、ファクシミリにするかどうかということにつきましては、昭和五十一年度以降の問題として考えさせていただきたいと思っております。
  73. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 時間が参りましたので、最後に南ベトナム、カンボジア、この二国におきましては御存じのように政権がかわったわけでございますが、この両国における現在の日本の大使館の状況はどうなっているのか。南ベトナムの方はまだ向こうへ残って非常に皆不安に――大使館のみならず、大分日本人が向こうに残留をしているようでございますが、こういう問題について外務省としては今後どういう処置をとっていくのか。  それと、いままでの旧政権下における二国の在日大使館の人たちが、本国からの送金とかそういうものもなくて非常に困っていると、こういうことを聞いておるわけでございますが、もちろんそういう人たちはいまの新しい政権とは関係のない人たちではありますけれども、人道的な立場においても、やっぱり日本としてはできる限りのことはしていくのは国際的、人道的な責任ではないかと思うわけです。この両国の旧政権の日本における大使館員あるいは留学生、こういうような人たちに対しては外務省として、日本政府としてはどういう処置を考えているのか。この二点を伺っておきたいと思います。
  74. 高島益郎

    ○政府委員(高島益郎君) まず、南ベトナムにあります現在の日本大使館の活動でございますが、南越政府の交代後も引き続きサイゴンに日本大使館がございまして、大使以下館員も残っておりますが、現在のところの主たる任務は、残りました在留邦人の生命、財産の保護、そのために先方の軍事管理委員会との折衝等を主要な任務といたしております。いわゆる外交関係の仕事そのものは、先方政府もそういう態勢になっておりませんし、そういう意味では今後の事態の発展を見ていかなければならないというふうに考えております。  それから、カンボジアにつきましては、わが方のみならず、すべての大使館が全部撤収いたしておりまして、現地にはいかなる大使館も残っておらないように聞いております。まあしかし、いずれにいたしましてもカンボジアにつきましては、われわれ情報が全く入っておりませんので、事情はつまびらかにいたしません。これも先方政府がどういう態度を示してくるかによって今後の対策を考えなければならないと思っております。  日本にあります旧南越政府の大使館につきましては、新しい南越政府の要望によりまして、在日キューバ大使館がこの管理を引き受けるということになりまして、外務省が仲介いたしまして、大使館の全財産を目録をつけて正式に全部キューバ大使館に引き渡してあります。大使以下館員の方はまだ日本に残っておるようでございますけれども、大使館には住んでおりません。  それから、旧カンボジア政府の日本にある大使館でございますけれども、これは大使御自身は日本を離れましたが、まだ館員は残っておりまして、いま塩出先生御指摘のとおり、本国からの送金が今年のかなり早い段階からとだえておりまして、非常に苦しい生活をいたしておるように伺っております。政府としても、何ができるか、いろいろ検討いたしておりますけれども、これは人道上の問題でもございますので、何とかできることがあったらやりたいという方向で検討いたしております。
  75. 立木洋

    ○立木洋君 この法案に関連して二、三お尋ねしたいんですが、最近外国で居住される邦人もふえておる、さらには海外の旅行者も増加しておるという状況の中で、在外公館での仕事というのは一段とふえている傾向があるわけですが、そういうふうに感じられるわけですが、在外公館の仕事の一つの中に、海外における邦人の保護ということがあると思うんですけれども、この点については一応考えられるわけですが、一応この海外における邦人の保護というのはどういうふうな点を指すのか、御説明いただきたいと思います。
  76. 越智啓介

    ○説明員(越智啓介君) まず一般論として申し上げますと、在外邦人の保護については、平時、緊急事態の際を問わず、万遺漏なきを期するために、在外邦人の生命、身体、財産の安全は緊急事態の際に特に危険にさらされるので、こういう際には出先の在外公館と特に緊密な連絡をとりながら、事態の進展に応じ必要な措置をとっておると、こういうことでございます。  たとえば具体的に申しますと、ベトナムにおける場合は、まず事態の進展を見まして四月の三日、五日、十六日、二十四日と四回にわたって段階的に邦人引き掲げの勧告を行うとともに、最後まで真にやむを得ざる邦人を退避せしめるために、日航救援機の派遣、これは現地情勢の急速な悪化のためにマニラから引き返したわけでございますが、あるいは米人の緊急退避計画による邦人の出国などあらゆる手を検討してまいったわけであります。  カンボジアにおきましては、二月七日に大使館から退避勧告を出して、邦人の退避に努めた結果、三月二十四日には在留邦人は十四名となって、これはまあ去年の十二月は三十八名の在留邦人がおられましたが、さらに四月五日の在カンボジア大使のバンコク引き揚げの際にはフリーカメラマンの馬淵直城氏を残すのみとなったわけであります。その後、馬淵カメラマンは在カンボジア・フランス大使館に保護されておりまして、同大使館とわが方のタイ大使館、外務本省と常に緊密な連絡をとりながら馬淵さんの救出に努力して、五月十一日、無事カンボジア人の奥さんと一緒に羽田に到着した、こういうことになっております。
  77. 立木洋

    ○立木洋君 海外に居住する邦人あるいは旅行者の中からいろいろと意見、要望、苦情等々ですか、いろいろと私も外国から帰ってきた人から聞くこともありますし、また新聞なんかの投書でも出ておるわけですが、こういう点ひとつ改善していただきたいということで、一つの例が出されているわけですが、ことしの二月六日の新聞に志越さんという五十五歳の主婦の方が投書をされておるわけです。これはちょうど昨年の暮れ、この方がオーストラリアのダーウィン市を訪問したときに大変な台風に遭って、都市が九〇%近く被壊に遭った。そういう状況で地元の協力でブリスベーンに避難をされたという事態が起こったわけですね。そのときにこの方が避難地から日本にいる家族がさぞ安否を気遣っているだろうというふうに考えて、念のために日本領事館に電話連絡をした。そうすると、この日本領事館員がどういう態度をとったかというのをここに書いてあるわけですが、こういうふうに書いておるんですね。「ひとことのいたわりもなく「それでどうだというのか、関係ない」というような応対、あまりの冷たさに涙が出た。」という投書があるわけです。これは私は二十七年間外国で生活しておったからよくわかるわけですが、外交特権がなくて一市民として外国に居住しあるいは旅行する場合に、こういう状態というのは大変な思いをするわけですね。こういうような態度についてどういうふうにお考えになっておられるか、お聞きしたいと思うんです。
  78. 越智啓介

    ○説明員(越智啓介君) ただいま御指摘のあった点は、詳細について、私、手元に資料ございませんので、後ほど調べた上御返事いたすことにいたしますが、基本的にそういうことのないように、くれぐれも常に在外公館の領事担当者に対してはその都度訓令を出し、それからそういう教育をしておるわけでございまして、そういうことがあればすぐわれわれの方は実情を調べて、その上で適当な措置をとる、こういうことにしております。
  79. 立木洋

    ○立木洋君 これが一つのことであったら、たまたま領事館の方が虫のいどころが悪かったというふうなことにもなるかもしれませんけれども、それに引き続いて書かれている点を読みますと、この方の娘さんが母親の安否を気遣ってキャンベラの日本大使館、シドニーの日本総領事館に電話をして、何かわかったら電話料当方払いで結構だから知らしてほしいと言って電話連絡をアメリカにおったこの娘さんがした。ところが全然受け付けてくれなかった。ところが、その後この娘さんが仕方なくワシントンのオーストラリア大使館に電話をした。そうすると、その疎開しておる、この台風災害に遭って疎開しておる三万人の疎開者名簿全部当たって、オーストラリアの大使館から、その母親、お母さんの名前を探し出してこの娘さんのところに通知してくれた。この方は、結局「これは一体、どういうことか。人間尊重の気持ちの違い、その差の大きさに私はつくづく考えさせられた。」というふうな指摘があるわけです。  こういう問題というのは非常に外国に居住しておる日本人あるいは旅行者の場合、先ほど話がありましたようにいろいろな不慮の事態に遭遇する場合があるわけですし、万全の措置をとってこういう手落ちがないようにしていただきたい。いろいろと日本から偉い人が外国に行くと大使館は御苦労されて、その地域を観光案内されたり、食事の接待をされたり、あるいはなかなか高価なおみやげまで出されるというふうなお話もときどき聞くわけですが、それが必ずしも全部いけないというふうに言っているわけじゃないですけれども、適切なものはあり得るでしょうが、しかし、一般のいわゆる外交特権を持たないこういう市民の方々がいろいろな形で外国で仕事をされている場合に、その完全な安全を十分に守れるように何らかの適切な処置をとって、外務省としての指導監督ですか、これを強めていただきたいというふうに考えるわけですが、いかがですか。
  80. 越智啓介

    ○説明員(越智啓介君) ただいまの御指摘の点、これはわれわれとして常に肝に銘じてケース・バイ・ケースにおいて全力を挙げてやっておるわけでございまして、ただいまの御指摘の点、ここに具体的資料をきょう持ち合わせておりませんが、どうもいま事務官の覚えておるところによりますと、いささか事実に反しているという面が多分にあるそうでございます。それでこれはまあその後調べた結果を後ほど御報告さしていただきたいと思います。  それから、具体的な一つの例を申しますと、たとえばカンボジアから馬淵夫妻を救い出すといいますか、このためには非常にまあわれわれとしても努力したことなんでありますが、たとえば馬淵さんが、プノンペンから第一陣のいわゆる外国人脱出で国境まで来たときに、うちの大使館員が国境まで参りまして第一陣にいなかったと、ところが手紙を第一陣の人に託して、自分の妻は日本国国籍でないので、カンボジア人なのでパスポートがないんで、届かないかもわからぬけれども、ひとつ何とかしてくれと、こういうあれがありまして、早速藤崎大使から、バンコクの大使館で渡航証明書をつくりまして、これをおそらくカンボジアですからフランス語に直して、それからもう一つ大使の手紙をつけて、これを持たして準備さした。第二陣が入ってきましたときに国境で、いろんな国の人たちがやっぱり帰されておったわけですが、難なく出てきたと、こういうようなことなんかもございますように、一人一人がもうそういうケースの場合にはわれわれとしてはあらゆる手を使う。それからたとえばサイゴンのケースですが、七人のいわゆる向こうに出っておった、ベトナム側に雇われておった漁船の方が七人シンガポールの方に向かったと、こういう情報がありますと、すぐシンガポール大使館なりあるいは近隣の公館に全部手配して、これが十日たっても着かないんで、これひょっとするとほかに漂流しているかもわからないと、それで幸いこれがマニラ大使館からルソン島の沖の島に上がっておったことがわかりまして、早速その方たちはマニラまで来てやっときのう帰ってまいったと、まあその一人一人についてわれわれはやはり肝胆を砕いて一生懸命やっておる次第でございます。なお、そういう御指摘の点がございますれば、あくまでわれわれも事実関係を洗って万遺漏なきを期したいと、こう思っておるわけでございます。
  81. 立木洋

    ○立木洋君 まあその大使館の、在外公館の方をどうせいこうせいという意味ではなくて、ひとつこういうことが今後とも起こらないように指導監督を強めていただきたいということで、羽田野政務次官よろしいですね。
  82. 羽田野忠文

    ○政府委員(羽田野忠文君) よろしゅうございます。
  83. 立木洋

    ○立木洋君 次に、南ベトナム、さっきも出されましたが、南ベトナムとカンボジアの政権が交代したという事態が起こったわけですが、こういう状況下における在外公館の主な仕事というのはどういう仕事になるわけですか。
  84. 高島益郎

    ○政府委員(高島益郎君) 現在の問題は、サイゴンにありますわが方大使館の仕事がどういうことかということだろうと思いますが……。
  85. 立木洋

    ○立木洋君 いや、かわる前。いわゆるかわる直前。政権が交代する直前における大使館の仕事というのは、どういう仕事が主な仕事でありますか。
  86. 高島益郎

    ○政府委員(高島益郎君) 邦人の方の問題ですか。
  87. 立木洋

    ○立木洋君 いや、在外公館としての仕事全体の内容になるわけですが、どういうところに重点を置かれた仕事をなされるわけですか。
  88. 高島益郎

    ○政府委員(高島益郎君) 立木先生の御質問の意味は、サイゴンにありますわが方大使館が、あの政権交代の混乱のときにどういうことをしていたかということかと思います。
  89. 立木洋

    ○立木洋君 カンボジアと両方ですね。
  90. 高島益郎

    ○政府委員(高島益郎君) もちろんこれはああいう緊急の事態でございますので、当時残っておりました在留邦人をできるだけ早く、できるだけ多く安全に退避させる、そのために全力を傾注したというのがわが方大使館の主な仕事だったと思います。カンボジアにつきましては、幸いにしまして、先ほど領事移住部長から話が出ましたとおり、一人のカメラマンを除きまして大使以下全員無事陥落前に退避することができました。その後、残りましたカメラマンも陸路タイに入ることができました。タイにたどりつくことができましたわけでございますが、サイゴンにつきましては、わが方の計画といたしましては、サイゴン陥落前に大使を含めまして全員サイゴンから退避させるということを目標にいろいろ計画を練ったわけでございますけれども、実情はそうじゃなくて、結局は大使以下館員も残りましたし、在留邦人も大部分現地に残らざるを得なかったということでございます。この点はいろいろ情勢の判断、これに対応する対策等に若干のそごもあった点もございましょうけれども、現地のサイゴンにおりました日本人の方々は、なかなか現地の情勢についてサイゴンを退避しなければならないという緊迫感が必ずしも十分でなくて、そういうことも他方一つの理由であったかと思います。いろいろな事情が手伝いまして、結局ああいう状況のもとで多くの邦人が残ったわけでございますけれども、幸いにしまして、新政府ができましてもこれら邦人の生命、財産に特別な異常はございませんし、現在のところその一部はすでにビエンチャンを経由してバンコク等に、あるいは日本へ帰ってきているような事情でございますので、さらに残りました邦人につきましても、今後の情勢を見て先方と交渉の上、引き揚げるべき人は引き揚げてもらうようにしたいというふうに思っております。
  91. 立木洋

    ○立木洋君 あれはカンボジアの大使館の場合には局長でしたかね、新聞で、カンボジアの大使館の任務はこれで終わったということで引き揚げられた。南ベトナムの場合にはそうならなかった。これはいまお話によりますと、いろいろな状況、動きについて大使館としてはそれぞれ常時外務省の方に連絡、報告が入ると思うわけですけれども、そういう情勢判断の違いということですか。
  92. 高島益郎

    ○政府委員(高島益郎君) 正直申しまして、サイゴンの場合はやはり情勢の判断において必ずしも的確でなかったという点はあろうかと思います。現に日航機をサイゴンへ派遣するということをきめまして、事実マニラまで出したのでございますけれども、一日違いで結局日本人の救出ができなかったということが証明いたしておりますとおり、やはりわが方の現地におけるサイゴン陥落の見通しという点につきましては、若干の判断の誤りと申しますか、あったことを認めざるを得ないと思います。
  93. 立木洋

    ○立木洋君 いまバンコクでカンボジア大使館が外交業務をしておるというふうな報道も見ているわけですけれども、いわゆるバンコクでカンボジア大使館が外交業務をするというのはどういうことなんですか。
  94. 高島益郎

    ○政府委員(高島益郎君) カンボジア情勢の急変に伴いまして、大使以下大使館の館員がバンコクに退避していたわけでございますけれども、去る二十五日、バンコクにおきまして在バンコク・カンボジア分室、大使館の分室というものを閉鎖いたしまして、任務を全部終了いたしました。いままでありました理由は、外交事務という性質のものではなくて、カンボジアからバンコクへ退避してきた大使館の館員が残務の整理と申しますか、そういったことをするためにいままでいたわけでございます。これも全部終わりましたので、たしか二十五日だったと思いますが、完全に閉鎖いたしました。
  95. 立木洋

    ○立木洋君 それで分室は残っているわけですか。
  96. 高島益郎

    ○政府委員(高島益郎君) ですから残っておりません。
  97. 立木洋

    ○立木洋君 その間には、カンボジア側との接触だとかというのは一切なかったわけですか。
  98. 高島益郎

    ○政府委員(高島益郎君) バンコクには何もそういう性質の機関はございませんし、接触することはできなかったわけでございます。  ただ、いろいろな方法を通じまして、バンコクにおいてカンボジアに関する情報をできるだけ努力して集めたことはございますけれども、それもしかしいろいろな断片的な情報でございまして、直接聞き得た情報ということではございません。そういった程度のことはいたしましたが、いずれにいたしましても、その使命と申しますか、任務がなくなりましたので分室を閉鎖いたしました。
  99. 立木洋

    ○立木洋君 カンボジアに対する日本政府のあれというのはわかっておるわけですけれども、大使館が回復する見通しというのはどうです。
  100. 高島益郎

    ○政府委員(高島益郎君) これは日本だけの問題ではなくて、新しいカンボジアが外交関係につき、ましてどういう政策をこれから展開するかということに大きく依存するものだろうと思います。まだ現にわれわれの得ている情報では、プノンペンにはいかなる国の大使館もないようでございますし、いわゆる外交活動というようなものもまだ行うだけの態勢が整備されておらないのではないかというふうに考えておりまして、そういう点につきましてわが方としてはいつでも、先方のそういう態勢が整い次第、これに対応していくという用意はございますけれども、先方政府の、新しい政府のそういう態勢が整うのを待っておるというのが現状でございます。
  101. 立木洋

    ○立木洋君 この間、局長がせっかくおいでになってきたのだから、関連してちょっとお尋ねしたいのですけれども、東南アジアの八カ国ですか、在外公館の大使の会議を開かれて、アジアの新しい情勢に対して東南アジア諸国がどういうふうに動いておるのか、いろいろ御検討されたようで、何か結論があまり出てないような、新聞報道にもありますけれども、あそこでは八カ国がどういうふうな動きをしておるか、新しいアジアの情勢に対して。局長はどういうふうに御認識されたのか、お話を聞かしていただきたいと思うのです。
  102. 高島益郎

    ○政府委員(高島益郎君) 私、バンコクに参りましたのは、インドシナ半島における新しい情勢の急変に対応いたしまして、いわゆるASEAN諸国と申しますか、タイ、マレーシア、シンガポール、インドネシア、フィリピンの五カ国を中心といたしましてどういう受けとめ方をしておるのだろうかということを、現地に駐在する大使を通じまして直接いろいろ意見を伺うということが主たる目的でございました。そのほかラオス駐在の大使、ビルマ駐在の大使も参加していただきまして、これらの国の動向も伺ってきたわけでございますけれども、率直に申しまして、新しいインドシナの情勢の変化に対応してどうするかという点について、まだこれら諸国がはっきり具体的な構想を一致して持っておるという段階ではございません。それぞれの国によってそれぞれ抱えている問題の性質が違いますし、いろいろ新情勢による動揺あるいは不安ということは隠せないと思いますけれども、どう対応するかという点につきましては、一般的に申しますと、新しいインドシナ諸国とASEAN諸国とは共存の関係と申しますか、協調関係あるいは平和共存と申しますか、そういった関係をこれから築いていかなければならないという点では非常に一致していると思います。ただ、それをどういう方法で展開していくかという点につきまして、たとえば前からASEAN諸国が唱道いたしております中立化構想というのがございまして、ASEAN諸国の中立化をこれから推進していく必要があるという点については皆一致しているようでございますけれども、それをどういうタイミングで、どういう過程を経て展開していくかという点については、まだまだタイとかフィリピンとかの軍事基地の問題もございますし、いろいろむずかしい問題を抱えているように思われます。  それ以外に、たとえばタイにつきましては、東北国境地方にゲリラの活動を持っておりますし、マレーシア、フィリピンも同様の問題を持っております。またビルマも同様の問題を持っておりまして、インドシナ諸国の今後の動きと、こういったゲリラ活動をどう国内で抑えていくかという問題との関連は、やはりそれぞれの国が抱えている、いままでも抱えていた問題でございますけれども、新しい情勢に対応してやはり不安に思っている問題であろうということは感じ取ってまいりました。  いろいろお話しすべきことはあろうかと思いますけれども、こういう席でございますので、この程度でとどめさせていただきたいと思います。
  103. 立木洋

    ○立木洋君 特に、やはり一つの焦点になっているのはアメリカに対する態度の問題だと思うんですが、そういう点については何らかの新たな認識を局長自身持たれたのかどうか、いかがですか。
  104. 高島益郎

    ○政府委員(高島益郎君) ASEAN諸国は、こういう情勢になる前からでございますが、中国との国交正常化、北越との外交関係設定、こういった点についてはかなり決まった方針を持っておりましたが、この新しい情勢の変化に対応して、さらにこういう方針の実現を促進していくという方向に動いているように思われます。  それから米国との関係につきましては、特に軍事基地を持っておりますタイあるいはフィリピンの態度が問題でございますけれども、方向といたしましては、タイにしろ、あるいはフィリピンにしろ、軍事基地問題をこれから米国との間で話をしていくという点では大体方針は決まっているように思われます。ただ、その話の結果、どういう態様で、またどれぐらいの時間をかけてこの問題が解決されるのかという点は、まだまだいまの段階ではとうてい判断できないというふうに思っております。
  105. 立木洋

    ○立木洋君 この点についての日本政府の対応については、また別の機会で論議をさしていただきたいと思うんですが、カンボジアに関しても大使館設置の方向、外交関係樹立の方向に積極的に今後努力をしていく――もちろん相手側の対応もあるでしょうけれども、そういう点には違いはないわけですか。
  106. 高島益郎

    ○政府委員(高島益郎君) その点につきましては、もう立木先生のおっしゃるとおりでございます。
  107. 立木洋

    ○立木洋君 ところが、この間、カンボジア側が日本のいままでとってきたカンボジアに対する態度の問題を一つの理由に挙げて外交関係の樹立の問題について難色を示したというふうな報道もあったわけですが、先般起こりましたマヤゲス号事件、これはカンボジアとの関係を正常化していく上で日本側のとった態度というのはやはりよくない影響を及ぼしたのではないかというふうに考えるわけですが、その点羽田野政務次官、いかがお考えでしょうか。
  108. 羽田野忠文

    ○政府委員(羽田野忠文君) マヤゲス号事件について日本のとった態度がカンボジアにどういう影響を与えるかということについては、いろいろな見方があると思いますが、当時の日本のとった態度というものが少なくとも間違っていないという点については自信を持っております。
  109. 立木洋

    ○立木洋君 そう言われるとどうも言い返さなきゃならなくなるわけですが、この点は私は全くそうではない。これは重大な問題だと思う。しかし、きょうは条約の審議ですから、あまり横道にそれるとまたいろいろあれが出るでしょうから、そういうことだけ私は述べておいて、次の機会に伺います。これは日本の外交方針の態度の問題としてもきわめて重大なやっぱり失態である、世界の流れに反するものであるということだけを述べさせていただいて、後に質疑を残したいと思います。  大使館の問題で、南ベトナムではカンボジアとは違った対応が見られているわけですけれども、南ベトナムにおける外交関係の樹立等々の見通しについては、局長いかがでしょうか。
  110. 高島益郎

    ○政府委員(高島益郎君) 現在、南越では、まだいわゆる軍事管理委員会が活動の中心になっておりまして、わが方大使館の接触している相手は軍事管理委員会のもとにあるいわゆる外務委員会と申しますか、そういう機関でございまして、先方の新しい政府がまだ本当の意味での外交活動といいますか、対外関係を展開しておらないようにも思われますので、私ども、在サイゴン日本大使館といたしましては、先方のいわゆるその機関と接触がございますので、将来における本当の意味での外交関係の継続について何ら心配も不安も持っておりませんけれども、現在の段階ではまだそういう状況であるということだと思います。この点につきましては、日本だけでなくて、サイゴンに残っておりますフランスの大使館等につきましても同じ状況だろうと思います。
  111. 立木洋

    ○立木洋君 南ベトナムに正式に政府が樹立されて、そして外交活動を開始するという段階になれば、その時点では支障なく日本との外交関係樹立ができるというふうなお考えですか。
  112. 高島益郎

    ○政府委員(高島益郎君) 私どもとしてはそういうふうに考えております。
  113. 立木洋

    ○立木洋君 もう一つ、ベトナム民主共和国での大使館設置の問題ですけれども、先ほど戸叶議員にお答えになりましたけれども、見通しの問題についてはいかがでしょうか。
  114. 高島益郎

    ○政府委員(高島益郎君) 見通し申しますと、またそれが外れた場合に非常にぐあいが悪くなりますので……
  115. 立木洋

    ○立木洋君 外れても結構ですよ。
  116. 高島益郎

    ○政府委員(高島益郎君) 結構ですか。それでしたら数週間以内ということにいたしておきます。
  117. 立木洋

    ○立木洋君 この新しいインドシナの情勢の問題に関して、日本政府がマヤゲス号事件なんかにとった態度というのは、私はきわめて遺憾であるし、この問題というのは重大な今後に問題を残す日本政府の態度だったと思うわけですが、この件に関しては後刻また審議さしていただくということにして、きょうはこれで終わります。     ―――――――――――――
  118. 二木謙吾

    ○委員長(二木謙吾君) 本案についての質疑は、本日はこの程度といたします。
  119. 二木謙吾

    ○委員長(二木謙吾君) 次に、関税及び貿易に関する一般協定に附属する第三十八表(日本国の譲許表)に掲げる譲許を修正し又は撤回するための欧州経済共同体との交渉の結果に関する文書の締結について承認を求めるの件を議題とし、これより質疑に入ります。質疑のある方は順次御発言を願います。
  120. 田英夫

    ○田英夫君 最初に、今回政府でとられました輸入スキーぐつの関税を引き上げるというこの措置につきましては、国内のメーカーの保護育成ということも含めまして、私ども賛成であり、大変適切な措置をとっていただいたと思っております。  そういう立場からまずお聞きしたいのは、今回のこのスキーぐつの関税を引き上げるという代償として十三品目の関税引き下げを約束をしたわけでありますけれども、実質的には、先ほど伊達参事官も補足説明で言われたように、ほとんど変化がないということになると、大変一方的に日本に有利でEECにはいわば不利といいますか、特にイタリア、フランスには不利な結果を招いた形でありますが、こういう交渉が成立したのはむしろ不思議のように思いますが、これはどういうふうに理解したらよろしいですか。
  121. 野村豊

    ○政府委員(野村豊君) ただいま先生の御指摘のございましたとおり、このスキーぐつにつきましては、最近のヨーロッパにおきますところの技術革新、あるいはまた材質の変革というようなものによりまして、わが国の輸入が急増いたしまして、わが国のスキーぐつ業界に対していろいろな影響がもたらされておるということで、ガットの二十八条によりまして交渉を進めたわけでございます。  御承知のとおり、ガットというものは、一たんその加盟国が国際的に約束いたしました関税水準を修正または撤回することを認めているわけでございますが、そのときに、いま御質問ございましたとおり、    〔委員長退席、理事秦野章君着席〕 主としてEEC、これは譲許の設定の際の交渉相方国であったわけでございますし、かつまた、いろいろな第一の供給国であったわけでございます。その国と、EECと交渉いたしまして、わが国といたしましては、比較的国内産業に対する影響をできる限り小さくしようということでやったわけでございます。  もちろん今回の交渉がまとまりました理由といたしましては、わが国がこのガットの所定の手続によりまして、その相手側ときわめて十分話し合うということによりまして合意に達しようという、いわゆるガットの精神に基づきまして交渉を進めようという立場をとったわけでございます。したがいまして、日本が一方的にたとえば措置をとるとかいうことではなくて、相手国との話し合いによりまして話し合いをつけようということによりましてやったわけでございまして、そういったわが国のガットに沿うところの精神というものも十分相手方も理解いたしまして、今回御指摘のとおり、代償につきましても、大きな代償というものではなくて、比較的バランスのとれたものというかつこうで交渉がまとまったというふうにわれわれ了解しております。
  122. 田英夫

    ○田英夫君 まあいまの御説明でわかるのですけれども、それにしても、金額的に言えばそう大きくないといってしまえばそれまでですが、大変交渉がうまくいったという印象を持っています。  その中で、具体的な話に入りますが、イタリアからの輸入が圧倒的に多いわけですが、第二番目に位するオーストリアの場合は、これは日本との関係でガットの三十五条のいわゆる特定締約国間の協定の不適用という態度でいるために、これは今回の交渉の対象にならないということで外されたと思うのですが、そうなると、オーストリアから入ってくるものは自動的に二七%ということを適用してしまって問題はないというふうに考えていいでしょうか。    〔理事秦野章君退席、委員長着席〕
  123. 野村豊

    ○政府委員(野村豊君) いま先生の御指摘のございましたとおり、わが国に対しますところのオーストリアからのスキーぐつの輸入はかなりあるわけでございまして、七一年から七三年の三年間の平均をとりましても、五万六千足ということで輸入品全体の約二九%ぐらいを占めておるわけでございます。そういった意味からイタリアに次ぐ実績を有しておるわけでございます。しかしながら、先ほど申し上げましたとおり、ガットの二十八条の手続によりますと、譲許の設定のときの交渉相手国、いわゆる原交渉国及び第一位の輸入相手国と交渉を行って合意に達することと、かつまた、実質的な利害関係を有する国と協議することになっておるわけでございます。しかしながら、先ほど先生の御指摘のございましたとおり、オーストリアは昭和三十年にわが国がガットに加入いたして以来ガットの三十五条の援用をしておるということで、ガットの関係にはございません。そういった意味から、ガットの規定に基づくところのこの交渉もしくは協議を行う必要がないということで交渉は行っておりません。しかしながら、現在オーストリアと日本との間にはそういう関係にはございますけれども、いろいろお互いに相談いたしまして、相互に最恵国の税率を適用するということを約束しておりますので、オーストリアに対しましても今回同じような取り扱いになるということになるわけでございます。
  124. 田英夫

    ○田英夫君 そういう同じような意味ですが、アメリカが四位でスイスが五位という、これは数量的にイタリアなどに比べれば圧倒的に少ないわけですから問題ないと言えるかもしれませんが、今回の関税引き上げをこうした国々にもいわば押しつける結果になると思いますが、これは問題ないと見ていいですか。
  125. 野村豊

    ○政府委員(野村豊君) 先ほど御説明申し上げましたとおり、この二十八条の交渉によりましてはその他の実質的な利害関係国と協議をするということになっておるわけでございます。いかなる国が実質的な利害関係国であるかにつきましては、ガットの「注釈」によりますと「相当の取分を有する締約国」というふうになっておるわけでございます。いま御指摘のございましたアメリカ等につきましては、一体この実質的な利害関係国に入るかどうかということがあるわけでございますけれども、アメリカ等の輸入は大体全体の四、五%程度の取り分にすぎないわけでございます。したがいまして、かつまた、その実質的な利害関係国の場合には協議ということでございまして、必ずしも合意に達する必要はないということでございます。事実アメリカの方からはわが国に対しまして協議の申し入れがあったわけでございますので、わが国といたしましては、いわゆるわが国とECとの交渉の現状というものも、随時場合によっては、必要な場合に連絡しながら非公式な協議というものは行ってまいったわけでございます。かつまた、今回わが国が出しますところの代償という譲許、代償というものは同時に最恵国待遇の原則によりましてアメリカあるいはまたスイス等にも均てんされるということになっておりまして、そういったアメリカ等からもこの問題につきましては、その後特に申し入れもございませんので、この問題としては、十分われわれとしては解決済みであるというふうに理解しておるわけでございます。
  126. 田英夫

    ○田英夫君 現状はそういうことでわかるのですが、スキーの水準あるいは国民がスキーをやっている率というようなこと、これは世界選手権というようなところを見ると大体その国のレベルがわかってくるわけですが、イタリアはくつの生産ということで世界的であって、その上にスキーの水準というのは非常に高いわけですから、これが結びついてスキーぐつの生産が非常に盛んだと、こういう見方をしてくると、アメリカの場合はスキー用品が最近急激に生産が伸びています。ヘッドというようなスキーは日本でも非常に愛用され始めている。そういう状況ですと、アメリカの工業力、特にプラスチック関係の能力とこのスキー関係製品がこのごろ国際的に進出しているということから見ると、実はアメリカのプラスチックぐつというのはもっと伸びてくるのじゃないかという予想もあるわけです。そこでお尋ねしたのですけれども、当面はそれでわかりますけれども、もし将来そういう変化が生じてきた場合は、アメリカからの問題というのは出てくる可能性はあるのかどうか、その場合はアメリカとまた独自に交渉をしなくちゃいかぬのだろうか、そういうことになるわけですか。
  127. 野村豊

    ○政府委員(野村豊君) プラスチックのスキーぐつに限りますと、アメリカも若干ヨーロッパ等からもプラスチックのスキーぐつを輸入している。もちろん輸出もしておりますけれども輸入もしておるというふうな状況にあるかと存じます。それ以外の、いろんなスキーその他の用具でございますけれども、今回いわゆるスキーぐつの関税を引き上げましたのは、先ほど申し上げましたとおりスキーぐつそのものの材質、製法というものが、従来の革製品であったものがプラスチックになってまいったということでございます。革製品のくつでございますと関税が従来から二七%であったわけでございますけれども、それがたまたまその材質等の変化によりまして一〇%のいわゆる安い関税の品目に分類されるということでございまして、実質的に関税率が引き下げれられたというきわめて特殊な事情にあったというのがまず第一点であるわけでございます。また第二には、御承知のとおりわが国のスキーぐつの業界というものは、奈良県を中心にいたしまして非常に集中しておる。かつまた、中小企業が多いというようにわれわれ承知しておるわけでございまして、業界にもいろいろ体質の改善とか新しい技術の導入ということをやっておるやに聞いておるわけでございますけれども、そういったスキーぐつの業界に対しましては体質の改善等のためのいろいろな施策を講じておるわけでございます。そういった意味からこのスキーぐつの問題というものはきわめて特殊な事情にあったということでございまして、今回の二十八条の交渉をいたしたわけでございます。そのほかのアメリカからどういう商品、あるいはまたスキー関係の用具がどういうふうに入ってくるかという場合には、それぞれの関税率の問題、あるいはまたそれがどういう背景でそうなっておるかというふうな問題を踏まえまして、その問題が起きましたときによく関係省とも協議いたしまして対策を考えてみたいというふうに考えております。
  128. 田英夫

    ○田英夫君 これは通産省の所管かもしれませんが、今度の関税引き上げで大体国内で外国製品を買う場合どのぐらい値上がりするというふうに計算しておるわけですか。
  129. 森孝

    ○説明員(森孝君) 今回の関税の引き上げによりまして関税率が一七%上がるわけでございますが、ただ輸入品につきましては国内の流通段階のマージン幅が銘柄によっていろいろございますので、一概に関税の一七%アップがそのまま価格に転嫁されるかどうかは、それぞれの品目を取り扱う輸入業者なり国内の販売業者の政策によるところが多分にあるあると思いますが、現在私どもが一部発表されつつあるものをおしなべて見ますと、原産国でのコストアップも含めてでございますが、平均して十数%の価格アップということになるのではないかというふうに予想しております。
  130. 田英夫

    ○田英夫君 それと関連をして国内メーカーの保護といいますか、行政指導という面も出てくるでしょうが、現在三十八社ですか三十四社ですか、四十社足らずのメーカーでつくっているようですけれども、これを再編成というか系列化さして新しい製法を導入しよう、一体成型方式というんですか、こういう方針だと聞くんですが、これは大体いつごろからやっていかれるのか。今度の措置がとられたら、もうすぐにそれが実施できるのかどうかですね。
  131. 森孝

    ○説明員(森孝君) 現在スキーぐつ業界、先生おっしゃいましたように全体で三十八社ほどありまして、そのうちの三十四社が奈良県に集中してございます。特に問題なのは、この集中して地場産業をなしております三十四社のあり方でございまして、三十四社を四グループに編成いたしまして、一体成型の部分は共同生産ということを進めたいということで奈良県が中心になって具体的なグループづくり、それから設備等の問題について検討しているところでございますが、計画は五十年度から五十四年度までの五年間にやりたいということでございまして、すでに一部、昨年末に一グループは編成が終わっておりまして、少なくとも五十年ないし五十一年度には設備関係は終わりたいという計画で進んでおります。
  132. 田英夫

    ○田英夫君 いま奈良県の三十四社と言われたのは、これはほぼ一カ所に集中をしていて、いわゆる同和地区であるわけで、長い間非常に差別を受けて、何百年という間苦しい仕事をしてきた人たちの問題でありますから、私どももその意味からもこの問題に深い関心を持っているわけですが、イタリアの場合は九社で二百万足をつくっているんですね。それが日本の場合は三十八社、奈良県以外の四社も含めて三十八社でほぼ四十万足をつくっているという、非常に能率の悪い仕事をしているわけですから、いま言われたような指導、保護をしていかないと、イタリア並みの水準に追いつかないということですが、これはどういう方法をとられるのか。いま奈良の場合三十四社あるものを、何か系列化するのか、あるいは統合させるのか、その辺はなかなか、中小企業ですが、問題があるところだと思いますが、どういう方針でおられるんですか。
  133. 森孝

    ○説明員(森孝君) 三十四社を、グループをつくりまして協同組合ないしは協業組合という共同化のための組合をつくるよう指導している段階でございまして、現在スタートしている一グループは協同組合方式でスタートいたしております。
  134. 田英夫

    ○田英夫君 最後に文部省……。  実は従来から、日本のスキーぐつに比べて、革の末期からそうなんですけれども、プラスチックになってから特に――なぜプラスチックにしたかということは、耐久性があるとか、つくりやすいとか、大量生産できるという問題が一つありますが、同時に、スキーの技術の方から非常な高速を要求し始めたということから、わが国へ入ってくる外国のスキーぐつ、特にプラスチックスキーぐっというのは、オリンピック選手のような高度の技術を持った人たちに適するくつになってきている。それを一般の非常に未熟な人たちにまで――実はこれは商業的な悪さのあらわれでしょうけれども、押しつけるという結果になっているわけですね。その結果、実に最近けがが多いわけです。実は私はスキー連盟の指導員をやっているんで、そういう統計も持っておりますけれども、明らかにけががふえています。しかも、そのけがの内容が非常に大きなけがになっている。従来くるぶしの辺が多かったものが、すねを骨折したり、ひざをやったり、さらに高速になるとだんだん上へ上がってきて、腰の辺まで来るわけですね。そういうけがの増加の原因の一つは、たとえば、リフトがやたらにつくられていく、したがってけがが朝と夕方に集中しています。朝はもう準備運動不足のままリフトで上がってしまっていきなりおるからですね、体が温まらないうちにおりるから。これは実にはっきり出ています。夕方は、今度は疲労が重なって、にもかかわらずリフトで簡単に上がれるために、無理して滑ってけががふえる。そのけがの内容は、詳細に調べてみると、くつと締め具に非常に原因が多い。つまり、くつが上の方まであるわけですね。特にふくらはぎの方の真ん中辺まで――実はここへくつを持ってきていますけれども、これが最近のプラスチックのスキーぐつで、これ実はイタリア製ですが、これでも非常に浅い方です。ここのところにこう高い、何かへらのようなものがついているくつが最近特に外国製に多いわけです。そのために足を痛める。これはひとつこの際、日本のプラスチックスキーぐつのメーカーに対して、そういう一種の行政指導をして、新しい製法を導入をされるという機会に、文部省の方も、そうした立場から通産省なり関係省庁と連絡をとられて、安全性の問題を是非くつのメーカーにも指導をしていただきたいということを私はむしろお願いをしたいんですが、その点はどういうふうにお考えになりますか。
  135. 望月健一

    ○説明員(望月健一君) 従来から実は私の方も日本スキー連盟等と共催しまして、スキーの講習会、要するに指導者講習会を一般の社会人を対象及び学校の先生対象でずっとやっております。その中でもいまの問題は出ておりまして、初心者向きの用具というものをもう少しみずから選ぶ能力をつけなきゃいかぬということを指導者に言っております。と申しますのは、もう先生十分御存じのところへ申し上げて恐縮でございますが、やっぱりスポーツですから、もとは自分の体にありますから、自分の体でコーディネーションがよくとれるような体をまずつくらなきゃいけない。スキーの場合であったらば、ひざも足首も自分でちゃんと保持できるということがないと、そこへいまおっしゃるような高いくつ、あるいは最近に至ってはずっとふくらはぎまで囲むような長いくつになって、それがファッションのごとく行われますから、それはずいぶん抑えに抑えてきているところでございます。したがって、そういうことはこれからも講習会の折にも十分指導はいたしますし、スキー連盟の用品の関係の委員会もおありのようでございますから、そちらの御関係の方も関心がずいぶんお強いようでございます。あるいは普及部の方の関係の方々もずいぶん検討されておるようですから、それらと力を一にして安全にしていきたい。  なお、通産省の方では、お聞きすると、たとえば金属バットの危ないのは安全基準をおつくりになるとかいろいろのことが、私たちのためにいろいろ検討していただいている例もございますので、また、いまの森文化用品課長の方とも連絡をとりまして、できればそういうことにいっていただければありがたいなと、そう考えております。
  136. 田英夫

    ○田英夫君 最後に、ちょうどいい機会なんで是非重ねて申しますが、今度のメーカーを系列化して新しい一体成型方式を全般的に取り入れるという機会に、危険なものはつくらないようにする。恐らく今度の措置によって外国製品が入ってくる量というのはおのずから規制されるでしょうから、主として日本製品が一般の皆さんに使われる。そこで日本が危険なものをつくっていたのでは意味がありませんから、是非この点は文部、通産両省で御連絡をとっていただいてやっていただきたい。スキー連盟の方は当然これはやらなくちゃいかぬのですけれども、むしろそういう面もひとつお願いをして終わりたいと思います。
  137. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 それでは、このプラスチックのスキーぐつの国内生産と輸入、これを見てまいりますと、国内生産の方は、昭和四十八年までは年々伸びて、四十九年は四十三万から三十一万足に減っておる。ところが輸入の方は、ついに四十九年度に国内の生産よりも数がふえておるわけでありますが、そういうところから今回の関税の引き上げが行われるものと理解をしておるわけであります。  そこで、一〇%を二七%に引き上げ、どういうわけで二七%に上げたのか。ということは、これで果たして十分国内の生産のダウンを防ぐことができるのかどうか。  それから、もうそろそろ五十年度の輸入も入ってくるそうでございますが、大体この関税の引き上げの影響が、たとえば今年度の輸入の見通しあるいは国内の販売の見通し、こういうものは大体どのように考えておりますか。これは通産省じゃないかと思いますけれども……。
  138. 森孝

    ○説明員(森孝君) ただいまの御質問の第一点の二七%に上げた点でございますが、スキーぐつにはいろいろ幅がございまして、一万円台から七、八万円というものもございますが、平均の二万円から二万五、六千円の一般普及品をとりまして考えますと、国内メーカーの工場出し値と輸入価格に約三〇%ぐらいの差があるという状況でございましたので、現在の関税一〇%を二七%、従来の革製のスキーぐつが二七%であったという点ももちろん重要な要素になっているわけでございますが、関税引き上げによって価格はほぼ同程度の水準になるだろうというふうに考えたわけであります。  それから第二点の本年度の輸入の見通しはどうなるのかという点でございますが、これはまだわれわれも確たる見通しを具体的に数字的に挙げることは、スキーの場合にはいろいろ天候上の条件等ありましてなかなかむずかしいのでありますが、輸入については、たとえば四十九年度は四十八年度に対して相当、五割を超える伸びを示しておりますけれども、本年度はそのようなことはないだろう。横ばいないし若干の増の範囲内にはとどまるであろうというふうに期待しております。
  139. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 このくつをつくっている業界としては大体二七%に上げるということで、いわゆる前の革製品と同じ関税にするということで業界のほうも大体納得はしていると考えていいわけですか。
  140. 森孝

    ○説明員(森孝君) 二七%に上げればそれで全く十分というふうには業界は申しておりませんけれども、さらに強い輸入規制等もやってほしいという、いろいろ御要望はございましたけれども、しかし、二七%に関税を上げてさらに国内の近代化に力を注いでいくということと、両者合わされば将来競争力を持っていけるだろうというふうにわれわれ考えておりますし、業界も一応そういう方向で近代化に取り組もうというふうに考えておると思います。
  141. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 いま国内産業のいわゆる四グループに分けての合理化計画ですね。これは五十一年からというお話でございますが、これが完成を、四つのグループですから順次完成をしていくんじゃないかと思んですけれども、このプラスチック製のスキーぐつを国内産で生産開始できるのは大体いつごろの見通しでございますか。
  142. 森孝

    ○説明員(森孝君) 早いグループではすでに本年度のシーズンに向けまして、従来からすでに一体成型用の機械も一部奈良県でも導入していたメーカーがありまして、それを協同組合で共同で使うというようなことでスタートしているグループもございますので、早いグループは本年度のシーズンに間に合うと思います。あとのところはまだなかなかグループづくりにいろいろむずかしい点もあるようでございますが、少なくとも五十年、五十一年の間にはグループづくり及び設備の整備は終えたいというふうに考えております。
  143. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 このスキーぐつ製造近代化計画が全部完了した暁におきましては、これはいままでの革製品のスキーぐっというのはなくなるのかどうか。これは並行して生産するわけですか。
  144. 森孝

    ○説明員(森孝君) 四十九年度の国内のスキーぐつの生産を見ますと、約三十万強、三十二万足前後の生産のうちで革製は五千足でございます。したがいまして、これはいろいろ特殊な選手用とか、特に革製のスキーぐつを希望される方とか、まあ今後は特別注文のような形になって残っていくのではないかと思います。したがいまして、一般の消費者に出回るものはほとんどプラスチック製のものに移っていくのではないかというふうに考えております。
  145. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 そうすると、もうすでにわが国におきます三十幾つかの小さいメーカーも、大半はもうプラスチックをつくっていると、そう理解していいわけですね。その設備は非常に少量の小設備ですからそれをやはり近代化していくと、このように理解をいたします。  それで、この三十八社のうち組合に、近代化計画に入らない人が何社かあるようですけど、それはどういうわけで入らないわけですか。その人たちはどういうことになりますか。そちらの方は古い設備でコストが高いためにますます衰退をしていくんじゃないかと思うんですが、その点はどうなっているんですか。
  146. 森孝

    ○説明員(森孝君) 先ほど申し上げましたように、四十九年段階でほとんど九十何%かがプラスチック製のスキーぐつになっておるわけでございますが、実はこれはプラスチック製と申し上げましても製法がビニールの、皮革のかわりにビニールのレザーをつくりまして従来方式でくつをつくっていると、それも一応プラスチック製のスキーぐつであるというふうに分類されている結果、まあそういうかっこうになっております。したがいまして、いま問題になっております一体成型のスキーぐつにこれからグループ化して取り組んでいこうというその素材プラス製法、一体成型による製法を導入しようという、そこのところがここ二、三年の問題になっているわけです。したがいまして、この四グループに参加する人たちは一体成型機を共同で使ってそれをつくっていく。残りの数社参加しないメンバーもあるようでございますが、一部は一体成型のプラスチック製スキーぐつの生産は行わない。たとえばその他の登山用のくつとか、ゴルフシューズとか、そういうものをつくっていくというものもございます。あるいはほかのメーカーの一体成型ぐつの系列に入るというようなものも若干あるかと思います。
  147. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 わかりました。  それからこの一〇%から二七%に上昇することによりまして大体関税の増収がどの程度か、これは大蔵省にお聞きしたいと思うんですが。それと、一方いわゆる関税を下げた十三品目、これによって関税がどの程度減収になるのか、これはどうなんでしょうか。
  148. 松尾直良

    ○説明員(松尾直良君) この貿易額をどの年度でつかまえるかということがございますが、最近の実績として把握可能な何年間かをとるということで、昭和四十六年から四十八年までの三年間の実績をもとにいたしまして、今回の交渉の結果、税率が変わることによってそれぞれ関税収入額がどう変わるかということを試算をいたしてみますと、まず引き上げとなりますスキーぐつにつきましては、この三年平均の輸入額というものは、十八億四千五百万円、これが現行の一〇%が二七%へと一七%引き上がるわけでございますので、これに一七%を掛けましたところの三億一千三百六十九万円。他方、代償として提供いたしました十三品目の関係でございますが、十三品目のうち今回実行税率が変わりますものは、三品目だけでございまして、大理石及び大理石製品、それから大理石の板、石碑用または建築用の石というこの三品目だけが現行の実行税率が変わる。それぞれ現行の実行税率は二%でございますが、これがゼロになるということでございます。この三品目につきまして先ほどスキーぐつについて申し上げましたと同様に四十六-四十八年の三年平均の貿易額をとりまして、これに下がります二%を掛けた金額というのは四千八百七十九万円、かようになっております。
  149. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 先ほどのお話では、大理石等も全部ほとんど発展途上国からで、ほとんど特恵関税で無税で入ってきているんだと。だからこの二%がゼロ%、ほとんど影響はないと、こういうお話であったわけですけれども、ちょっと全体で増収は三億円こっちの方のたった二%で四千八百七十九万円というのは、非常に金額が多過ぎるんじゃないかと、こういう気がするんですけれども、そういうことはないんですか。
  150. 松尾直良

    ○説明員(松尾直良君) 先ほど計算の根拠を御説明いたしましたように、貿易額の方はすでに御指摘のように世界全体をとっておりますので、その中には特恵で無税で入っているものが相当程度あろうかと思いますので、実際にはこの四千八百七十九万よりはかなり小さいということが言えるかと存じますが、ちょっと特恵で無税に入った数量というもの、ただいま把握しておりませんので、世界全体ということで試算を申し上げた次第でございます。たった三品目、二%で四千八百万というのは大きいのではないかという御質問でございますが、関税交渉のバランス論といたしまして全体の貿易額でどうなっておるか、あるいは上がる分、下がる分のその関税のバランスがどうかというようなことを交渉当事国間でいろいろ相互に満足のいくような検討を行うわけでございまして、先生御指摘のとおり、三億と四千何百万といういわば失うものととるものといいますか、その限りにおいては、はるかにわが方の有利な数字になっておるのではないかというふうに考えております。
  151. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 終わります。
  152. 立木洋

    ○立木洋君 スキーぐつの生産の件についてですが、先ほどお話聞いておりまして、高度化資金を運用してグループをつくると、そして近代化五カ年計画ですかで進めていくと、五カ年計画が実施された段階でこのスキーぐつの生産の国際的な競争力の水準というのはどういうふうになるわけですか。
  153. 森孝

    ○説明員(森孝君) 一応近代化計画五年間を考えておりまして、五十一、五十二年で設備、生産体制は整備したいということで、生産体制が整備されれば関税引き上げと相まって価格面ではほぼ対等に競争できるんではないかというふうに考えておりますが、ただスキーぐつの場合は単に価格のみならずデザインとか、年々の流行がございますので、そういう履き心地とか、いろいろ技術的な面等の問題がございまして、これには現在まだある程度差があるというふうに考えられますので、生産体制を整備した後はそういう点に力を注いでいけば、五十四年あたりにはほぼ対等の競争力を持ち得るんじゃないか、こういうふうに考えております。
  154. 立木洋

    ○立木洋君 競争力ができた段階においては、またこの税率変更なんということは考えられているわけですか。
  155. 松尾直良

    ○説明員(松尾直良君) スキーぐつの税率、ただいま御審議願っておりますのは協定税率、条約の税率でございまして、これはもう先生十分御案内のとおり、今回二七%という条約上の税率が設定をされるということになるわけでございまして、これは別段の改定交渉というものがない限り、当然のことながら二七%というものがそのまま続いていく。それから別途国内法といたしましては関税暫定措置法と関税定率法という二つの法律がございまして、関税定率法におきましては、いわゆる基本税率というものが二〇%という基本税率があるわけでございますが、関税暫定措置法につきましては、今国会におきまして一部改正の御承認をいただきまして、この協定税率と同じ二七%というものを五年間の暫定税率として定めておるわけでございます。したがいまして、この五年間というのはちょうど近代化計画というものをにらみまして、従来暫定税率というのは一年刻みというものが大部分でございますけれども、五年間の暫定税率を設定をいたしておる。五年後にはこの二七%という期限がまいりますので、その事態におきまして税率をいかがするかということの検討をしなければならない、かように考えております。
  156. 立木洋

    ○立木洋君 次のこととも関連してお聞きしたわけですが、このスキーぐつの税率を引き上げて十三品目引き下げたわけですね。そのほとんど主なものが実行税率であるからほとんど問題がないというふうに伺っているわけですが、これは税率を引き下げた産業についてはほとんど問題が起こらないのかどうなのか、その点はいかがでしょうか。
  157. 能登勇

    ○説明員(能登勇君) 今回のスキーぐつの関税引き上げの代償として協定税率の引き下げを行いました十三品目について支障はないかという、国内産業保護上問題がないかという御質問でございますが、まず先ほど来の答弁にもございましたように、現在の適用されている実行税率が十三品目のうち十品目については下がっていないという点、それから三品目、大理石関係のものにつきましては、実行税率現在二%のものがゼロになるわけでございますが、これらの品目につきましては、現在大半が発展途上国からの輸入になっておりまして、それらのものについては特恵税率で関税をゼロにいたしております。それで特に支障を生じておりませんし、二%程度の引き下げで、今後ECからの輸入は二%関税も実際に下がるわけでございますが、それがありましても、遠く離れている国でございますから、運賃負担等の点もございますし、向こうの供給力の問題もございますし、そういったことを総合的に勘案して問題はないというふうに判断いたしております。あとの十品目につきましては、実行税率も下がりませんし、また、国内産業上問題のないものを選んで品目選定してございますので、そういった意味からも問題ないものだと、かように考えております。
  158. 立木洋

    ○立木洋君 いま外国からの商品の輸入によっていろいろ国内産業、特に中小企業ですが、いろいろ問題が起こっているというものが大分あるようですけれども、そういう国内の中小企業で外国の商品の輸入規制等をやってほしいなどというふうな要望が出ておる主な産業の品目というのはどういうのがありますか。
  159. 水田治雄

    ○説明員(水田治雄君) 私の方は生活産業局でございまして、繊維雑貨が中心でございますので、通産省関係の産業全般についてのお答えにはならぬかと思いますが、通産省所管の業種のうち相当部分の中小企業が生活産業局にございますので、その限りでお答えをさしていただきたいと思います。  御承知だと思いますが、繊維関係につきましては、一昨年半ばから物不足、石油不足ということで非常な国内外の仮需要が出まして、繊維の輸入が一昨年の半ばぐらいから非常にふえたわけでございます。国内景気の下降とともに繊維産業、非常にこの一年余り不況に苦しんできたわけでございますが、一昨年の輸入急増ということがその原因の一端でもあったので、非常に輸入制限をしてくれと、あるいは関税を上げてくれという要望がございましたが、景気の下降ということもございまして、最近では、一昨年の半ばから去年の春ぐらいまでは繊維輸入が月二億ドルぐらいございましたが、最近では三月が八千五百万ドル、四月が九千百万ドルと一億ドルを切りまして、相当繊維輸入が下がってきましたものですから、輸入制限の声も大分小さくなっております。雑貨関係についてもほぼ同様なことが言えます。現在輸入規制の要望があるものというのでは大島つむぎと絹織物というのがこの間、最近までございましたが、絹織物につきましては生糸が去年の八月から一元輸入になりまして、国産生糸がキロ当たり三割ぐらい高いものですから、付加価値の低い絹織物、主として羽二重、裏絹等の裏地用のものでございますが、それが中国、韓国から輸入がふえまして、何とか対策をとってくれというのが一つございます。大島つむぎは、これは奄美大島と鹿児島県本土ということで、三、四年前から韓国に日本の伝統的な旧来の産地からの指導というものもございまして、生産を始めたのが日本に入ってくるという問題がございますが、絹織物関係につきましては、確かに割り高の国産生糸を付加価値の低い産地が使うというふうな非常に苦しい状況にございまして、この点につきましては六月からの新生糸年度における一元輸入の継続に当たりまして、一万八千俵以内を限りまして、蚕糸事業団を通ずるわけでございますが、輸入価格に近い、輸入価格並みで、先ほど来申しております付加価値の低い産地に入れていこう、これを入れたために生糸の値段が暴落するというようなことがあっては困りますので、その辺、養蚕農家と裏地産地等の調和を図りまして、一万八千俵をそういう特別措置をとろうというのが今回農林省との間で合意されたわけでございます。間もなく措置が発動する手はずになっております。  それから大島つむぎにつきましては、昨年来、大手商社に対しては、このような種類の特定の地域に限った品物を取り扱わないようにという指導を、通産省に数回招致をいたしまして取り扱わないよう指示いたしますとともに、中小の関係の商社につきましても、輸入組合あてに、できるだけ自粛するように、ということをやってまいりまして、また在東京の韓国大使館とも接触を保っておりましたが、ことしの二月、生活産業局の後藤審議官が韓国に参りまして、量の問題表示問題等につきまして交渉をしてまいりまして、第二回目、先月、四月十五日、十六日の二回にわたりまして嶋崎政務次官に後藤審議官随行をいたしまして、量の問題につきまして、あるいは表示問題につきましても一応の合意が見られまして、その合意の線でいくものであればわれわれとしては当面は回避できるのじゃなかろうかというように考えております。さしあたって、非常に問題になっておりますのはその二つでございます。
  160. 立木洋

    ○立木洋君 いまお話がありました四月ですか、嶋崎通産政務次官が韓国に行かれて、つむぎの問題を話し合われて自主規制で合意に達したと、この自主規制というのは事実上効果があるというふうにお考えになっておられるわけですか。
  161. 水田治雄

    ○説明員(水田治雄君) 量の問題につきまして、韓国側は七四年度実績並みというものを基準にいたしまして自主的に輸出を自粛すると、日本側は韓国の指導というものを前提にいたしまして、それを受けて従来から商社に自粛方を指導してまいりましたが、引き続きこれを強化いたしまして、政務次官が帰ってまいりましてからさっそく大島つむぎを取り扱っている商社、あるいはかつて取り扱った商社含めまして、よく韓国との話し合いの趣旨を含んだ上で、七四年度実績並みということで自粛するようにと、それで現在取り扱っていない商社につきましては今後も取り扱わないようにと、表示問題につきましては、自己の取り扱う品物につきましては韓国製表示というものを確認、チェックするようにという通達を出しましたので、しばらく韓国側の自粛の状況、商社の態度というのを見守りまして、また必要とあれば具体的な指導に乗り出したいと思っておりますが、いまのところこれでいけるんじゃないかと思います。
  162. 立木洋

    ○立木洋君 嶋崎政務次官がお帰りになってから記者会見され、報道された内容によりますと、三万五千反から四万反というふうに報道されていますが、韓国側の報道によると全部四万反というふうに書かれてあるんですが、数字は正確にはどういう点で合意しているわけですか。
  163. 水田治雄

    ○説明員(水田治雄君) つむぎというのは、私も素人でございますが、韓国から入っておりますのは、村山大島類似品、それから先生お尋ねの本場大島類似品、それから十日町関係のつむぎ類似品、主として三種類あるようでございます。この三種類の見分けというのは専門家でもなかなか簡単には判断しがたいということがございますが、われわれの方でこの一年来、大島つむぎ問題に非常に頭を痛めてまいりましていろいろなことで統計をとりましたんですが、三種類の大島つむぎを合計をいたしまして、四十九年の年間の輸入が十八、九万反ないし二十万反弱ではないかというように考えているわけですが、いろいろ調査をしました結果、つむぎ輸入の中で二割前後が本場大島つむぎという推定をつけまして、まあ四万反弱、多くても四万反じゃなかろうかというのが、この三万五千反ないし四万反ということでございますが、三万五千ないし四万という幅がございますのは、四月という一カ月前でございましたし、まだ十二月までの実績が十分つかめてなかったということもございまして、まあ三万五千反ないし四万反というのがいま御説明しましたような推定でわれわれが輸入量じゃないかということで考えておる点でございます。
  164. 立木洋

    ○立木洋君 じゃ現在の時点では一応四万反ということに……
  165. 水田治雄

    ○説明員(水田治雄君) 四万反近くじゃないかと思います。
  166. 立木洋

    ○立木洋君 ということになっておりますね。  日本での場合、つむぎ一反が十・六メートルということになっているわけですけれども、韓国の場合、つむぎは一反何メートルなんですか。
  167. 水田治雄

    ○説明員(水田治雄君) ちょっとあれなんですが、私総務課長で直接の担当じゃないんですが、いま聞きますと、日本のものは一反十二メーターということでございます。韓国のものも十二メートルではなかろうかという担当の者の話でございます。
  168. 立木洋

    ○立木洋君 それちょっとおかしいんですね。韓国の東亜日報によりますと、四万反と書いて九十八万メートルと書いてあるんです。十二メートルで計算するとこれは計算合わぬわけですよ。そうすると、日本側で言う四万反という場合と韓国側で言う四万反というと、実質的には数量が異なっておるということになるんではないかと思うんですが、どうなんですか。
  169. 水田治雄

    ○説明員(水田治雄君) 再度確かめたわけでございますが、東亜日報ですか、の記事は私知らないんですが、一反は十二メートルということで、韓国の反物も十二メートルで間違いはないと、東亜日報は、私読んでいませんし、それがどういうソースからどういう計算で出たものか、ちょっと私いまわかりかねますが、いま担当官に聞きますと、韓国のものも一反については十二メートルということでございます。
  170. 立木洋

    ○立木洋君 私も専門家でないからわかりませんけれども、一匹の場合が二反になるんですか。だから計算の根拠ですね、これはもう少し韓国の反の計算等正確に調べて、後でも結構ですから、きちっとしたあれをお知らせいただきたいと思いますが、よろしいですか。
  171. 水田治雄

    ○説明員(水田治雄君) 反を単位に協議をしてきたようでございますが、まだ説明不足の点につきましては後でまた資料を、資料といいますか御説明をいたしたいと思います。
  172. 立木洋

    ○立木洋君 それは、ちょっとつけ加えますと、日本で言う反というのはこの「反」書きますね。韓国ではこういう何か「段」というみたいな字を書いているし、どうも数量的に正確にしておかないと、日本側で四万反と言っていて、向こう側の四万と事実上数量が違っておったというと、これは大きな問題になりますから、この点は明確にしておいていただきたい。  それから、もしか自主規制で事実上効果が見られないというふうな状態になったら何らか対策をお考えですか。
  173. 水田治雄

    ○説明員(水田治雄君) 大島つむぎの問題は、ことしになりましてから二回韓国へ行っておりますし、この一年来われわれとしても非常に対策に苦慮してきたところでございます。それで、数量問題につきましても相当在日韓国大使館と協議を重ねた末、二回行った話で決まっておるので、その合意が見られたので、そうその合意を簡単には――やっぱり誠意を持って守っていこうという気構えにございますので、われわれとしてはその誠意を一応期待し、われわれの方でも指導をしたいというように思っておりますが、これが守られないという場合には、その段階でまた考えさしていただきます。
  174. 立木洋

    ○立木洋君 最後に。これは大切な伝統的な工芸品産業ですから、十分に国内産業の育成擁護という点を考えて対処していただきたいと思います。  それで前回お聞きしておった農林省の方、コンニャクの問題ですね、これは非自由化品目にはならないという御答弁で、この点に関してはその他の方法考えて、被害が実際に起こった段階ではいろいろその他の方法で対策を立てたいという御答弁があったわけですが、その後被害の状況がどうなのか、調べた結果どういうことがわかったのか、それからさらには、この間どういうふうに検討していただいて、どういう結論が出たのか、まだ結論が出ていないなら出ていないという、検討された内容ですね、そのことをお尋ねします。
  175. 本宮義一

    ○説明員(本宮義一君) コンニャクの輸入量が前回御答弁申し上げた折には約九百トンと申し上げておったんでありますが、それはことしの二月現在でございます。その後の輸入が引き続いて行われている模様でございまして、これもまた正確な数字が実のことを言うと判明いたしておりませんが、通産省等でお調べいただいている数字をお借りして申し上げますと、千三百七十八トンが五月二十日現在であるというふうに承っております。まあこういう輸入量の数字からいたしますれば、まだ国内のコンニャク産業に非常に大きな影響を与えるということは言えないのではなかろうかと思いまするけれども、今後ともこういう状態が続くということになるということについて、国内のコンニャクを栽培している農家の方々や、それからコンニャクをつくっておられるまあ練り屋さんたちが非常に心配しておられることも事実でございますので、いまの段階におきましては国産のコンニャクの生産並びに流通に支障がないように、ひとつ財団法人の日本こんにゃく協会が輸入当事者と積極的に話し合いを進めてくれという形で指導しておる段階でございます。  それと同時に、これは一つの私どもを含めての反省でございまするけれども、現在の韓国からのコンニャクが輸入されておるということは、コンニャクは御存じのように大部分は水でございまするが、こういうようなものが海上運賃をつけてわが国に輸入されるということは、一つには国産の原料が高いということもあろうかと思いますが、やはりそれには韓国産に負けないといいますか、それを寄せつけないような品質のコンニャクを製造する必要があるんじゃないかということで、過般のコンニャク関係者の方たちの会議でもそういったようなことをひとつ大いにこれからも検討していただき、それで品質向上についてもっと積極的に努力すべきだというような申し合わせがなされておる状況でございます。まあいずれにいたしましても、こういうような新しい事態が昨年の十月から生じまして、コンニャクの関係業界の方が非常にいろいろ心配しておられますし、私どももこれについての何らかの必要な措置を今後検討しなければなりませんが、それについてなかなかデータが、現実問題としてなかなか実態がつかみがたいというのが実情でございまして、現在のところ外務省にお願いいたしまして、在韓日本大使館を通じて韓国のコンニャク製造の業界を調査していただくというようなことも目下進めてまいっておるというところが実情でございます。
  176. 立木洋

    ○立木洋君 最後に。その状況を十分に掌握、早く調査して、その数字を知らせていただきたい。同時に、この間も私の要望することは述べましたから、今回もう時間がないので繰り返しませんけれども、十分対策をとって、こういう国内産業の保護の件に関しても十分に対策を講じていただきたいということを述べて終わります。     ―――――――――――――
  177. 二木謙吾

    ○委員長(二木謙吾君) この際、委員の異動について御報告いたします。  本日、増原恵吉君及び亘四郎君が委員を辞任され、その補欠として望月邦夫君及び中村禎二君が選任されました。     ―――――――――――――
  178. 二木謙吾

    ○委員長(二木謙吾君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。  これより討論に入ります。御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べを願います。――別に御発言もないようですから、これより直ちに採決に入ります。  関税及び貿易に関する一般協定に附属する第三十八表(日本国の譲許表)に掲げる譲許を修正し又は撤回するための欧州経済共同体との交渉の結果に関する文書の締結について承認を求めるの件を問題に供します。本件に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  179. 二木謙吾

    ○委員長(二木謙吾君) 全会一致と認めます。よって、本件は全会一致をもって承認すべきものと決定いたしました。  なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  180. 二木謙吾

    ○委員長(二木謙吾君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後一時四十二分散会      ―――――・―――――