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1975-03-20 第75回国会 参議院 法務委員会 5号 公式Web版

  1. 昭和五十年三月二十日(木曜日)    午前十時五分開会     ―――――――――――――    委員の異動  三月十四日 委員竹内藤男君は議員を辞職した。     ―――――――――――――   出席者は左のとおり。     委員長         多田 省吾君     理 事                 高橋 邦雄君                 永野 嚴雄君                 佐々木静子君                 白木義一郎君     委 員                 町村 金五君                 矢田部 理君                 安永 英雄君                 橋本  敦君                 下村  泰君    国務大臣        法 務 大 臣  稻葉  修君    政府委員        法務大臣官房長  香川 保一君        法務大臣官房司        法法制調査部長  勝見 嘉美君        法務省保護局長  古川健次郎君        法務省人権擁護        局長       萩原 直三君    最高裁判所長官代理者        最高裁判所事務        総長       寺田 治郎君        最高裁判所事務        総局総務局長   田宮 重男君        最高裁判所事務        総局人事局長   矢口 洪一君        最高裁判所事務        総局経理局長   大内 恒夫君        最高裁判所事務        総局刑事局長   千葉 和郎君    事務局側        常任委員会専門        員        二見 次夫君     ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○裁判所職員定員法の一部を改正する法律案(内  閣提出、衆議院送付)     ―――――――――――――
  2. 多田省吾

    ○委員長(多田省吾君) ただいまから法務委員会を開会いたします。  裁判所職員定員法の一部を改正する法律案を議題といたします。  質疑のある方は順次御発言願います。
  3. 佐々木静子

    ○佐々木静子君 それでは、私からまず質問をさせていただきます。  まず、この裁判所職員定員法の審議というものは、これは毎年三月に入りますと参議院で審議がされるわけでございますが、裁判所の職員の数が大変に不足している。そのために裁判がいろんな面で遅滞をして、国民が十分に司法の恩恵に浴することができないという悩みが毎度当委員会でも論ぜられるわけでございますが、今度も、この法案によりますと、簡易裁判所の判事三名の増員、そして裁判官以外の職員二十三人の増員というようなことでございます。これが、一つの庁でこのぐらいだというのであれば何とか息をつけるのじゃないかという感じがするわけでございますが、全国でこの数がふえたところで、ほとんど焼け石に水のような感じがいたしまして、とうていこのいま問題になっている訴訟の遅延、あるいは裁判所で働いている者の労働の過重というようなものが解決しないのではないかと、非常に不安な気がするわけでございますが、まず、提案者であられる大臣の方から率直なところを、この定員法の改正案を御提案なさりながら、これで何とかなるというふうにお考えになっていらっしゃるのかどうか、その点をお伺いいたしたいと思います。
  4. 稻葉修

    ○国務大臣(稻葉修君) 佐々木さんのような考えを私も一般的には持つわけでございます。各方面から佐々木さんのような御指摘を受けているわけであります。ですから、ほとんど毎年微々たる増員をしてきているわけでありますが、一方、わが国の法曹人口全体が少ないということ、これは司法試験がむずかしいというようなことも原因の一つであるのかわかりませんけれども、したがって、裁判官を補給する源が欠けているということから、一挙に飛躍的な増員をすることはなかなかむずかしいと思うんです。また、人権に関することでございますから、そうして非常にわが国の法制は広範にわたるものですから、高度の法律知識を持っている質の高い裁判官でありませんと困るわけでございまして、そういうことを考慮に入れますと、無条件に大幅な増員を一挙にやるということは、はなはだ困難でございまして、各方面からの御指摘に即応して直ちにこれに応ずるということが非常に困難な事情を御推察いただきたいと思うのであります。したがいまして、裁判官の陣容の強化については、一方法曹の養成を量的質的に充実させるための方策の樹立を図るとともに、これが一挙になかなかいま申し上げましたようにいきませんものですから、他の諸施策、たとえば裁判官の補助機構の充実、それから執務環境の整備改善、そういう方策を講じつつ、並行して漸進的に人員の増加に努力してまいりたいと思っているんですが、歴代法務大臣が政治家として、これじゃいかぬ、何とかしなければならぬと思う心はありますけれども、なかなか御要望に応じられないというのが率直な現況でございます。
  5. 佐々木静子

    ○佐々木静子君 大臣御自身もこれで十分とはとうてい考えられないという御意見のようでございまして、これはしかし、何とかしないことには裁判を受ける国民が迷惑をするのじゃないか。実際問題としてこのごろも、統計にも出てきておりますけれども、事件数がわりに減ってきておる。その減ってきているということは、もちろんそれは好ましい状態であるというふうに受け取れる面もないではございませんけれども、特に民事事件の場合、現地の弁護士の人たちに聞いてみると、もう裁判所に持っていっても、これはいつまでもかかるし当てにならないから、ほかのしかるべき機関に頼むという人が大変に多くなっている、そういうわけで事件が減っているのだということがあるわけでございまして、減っているということ自身にも、裁判に対する不信から減っているというようなものもかなりある、そういうふうなことを見逃すわけにいかないと思うんです。  裁判所の方に伺いたいと思いますが、まずこの法律案をつくる前の裁判所から最初要求なさった人員、それはどういうふうになっておったのですか。
  6. 田宮重男

    ○最高裁判所長官代理者(田宮重男君) 当初要求いたしました人員は裁判官二十六名、その他合わせまして合計で四百四十六名の増員要求をいたしております。
  7. 佐々木静子

    ○佐々木静子君 その内訳をちょっと御説明くださいませんか。
  8. 田宮重男

    ○最高裁判所長官代理者(田宮重男君) 裁判官でございますが、判事補十二名、簡易裁判所判事十四名、それから一般職では書記官六十一名、家裁調査官二十一名、事務官二百七十七名、自動車運転手三十八名、それから医療職職員が、技官と薬剤師ですが、合計で六名、看護婦十七名、全体としまして四百四十六名の増員要求をいたしました。
  9. 佐々木静子

    ○佐々木静子君 四百四十六名の増員を要求されたところがこれだけ削られた、そういうことだと、これは四百四十六名なければ、どうにも裁判所としてやっていけないのじゃないですか、どうなんですか。それともサバを読んで多い目に要求されたということでもあるんですか。   〔委員長退席、理事白木義一郎君着席〕
  10. 田宮重男

    ○最高裁判所長官代理者(田宮重男君) 決して山をかけたりサバを読んで要求したということではございませんで、予算要求のやり方といたしまして、それぞれの業務に必要な人員ということで要求をしておるのであります。そのうちの大半は主として司法行政事務関係でございまして、たとえば広報態勢を充実したいというようなこととか、共済組合の事務が非常に多くなっているので、そのための人員といったようなこと、そんなようなことが大半でございます。そのほか裁判関係といたしましても、単に裁判官が足りないから、書記官が足りないからこれだけの人員ということではございませんで、たとえば調停制度が今度改正されましたので、それに要するところの人員といったようなこと、それから今回予算で認められておりますが、特殊損害賠償事件の処理といったようなこと、また交通事件の処理、そういうようなこととして、それぞれ必要人員というものを算出しまして予算要求をしておるのでございます。  折衝の過程でいろいろと議論をするわけでございますが、司法行政事務関係でありますと、これは特に裁判所だけに特有な業務ではないといったような面がございます。司法行政関係ですと、いろいろ機械器具を整備するといったようなことである程度合理化、能率化ということも可能ではないか、一方また政府の人員抑制といったようなこともございますので、最終的にはそうした司法行政関係は事務能率器具等を整備することによって十分賄えるのではないかということで妥結したわけでございます。しかしながら、裁判関係となりますと、これは一般行政官庁と異なりますので、これはどうしてもこの部分については必要だということで、最終的には、特に緊急を要するところの裁判関係の事件処理関係ということで必要な人員というものをそこで最終的には妥結したと、こういうことに相なっておるのでございます。
  11. 佐々木静子

    ○佐々木静子君 まず裁判官のことを伺いたいと思うのですが、三名増加ということですが、これはどうして三名よりももっとたくさんふやすわけにいかないのか。まず、人員のもとと言いますか、どういうふうなところから何人と、無論やめる方もおられるでしょうから、そこら辺の内輪の勘定、人員の補給がどうなっておって、どうなるのだと、もう少し具体的に数字を挙げて説明いただきたいと思います。
  12. 田宮重男

    ○最高裁判所長官代理者(田宮重男君) 裁判官の増員要求でございますが、先ほどもちょっと触れましたが、簡易裁判所の判事として要求いたしましたものは、調停事件の事務処理ということと、それから刑事関係の交通事件処理ということで増員要求をしたのでございます。  調停事件の方でございますが、これも昨年当委員会の御協力によりまして新しい制度が十月一日から発足をいたしました。新しい制度によって事件もふえてくるのではないかということで簡易裁判所の判事の増員の要求をしたのでございますが、新制度発足後まだそう日がたっておりませんので、実績面から見ますとそう事件もふえていないというようなことでございますので、現体制のまま今後やってみまして、今後また一年間調停事件の趨勢も見まして、事件がふえるというようなことであればまたその段階で来年度はこの面の簡裁判事の充実ということを考えたいということで、今回はその部分は増員を行わなかったということでございます。  残ります交通事件処理関係でございますが、これは四名の簡易裁判所判事の増員要求をいたしたのでございます。御承知のように、この関係は道路交通法違反事件でございまして、略式即決裁判でございますので、裁判官一人の処理というのは相当多くの事件が処理できますので、事件全体から見ますと三名程度の増員でもかなりの事件処理ができるということで、特に最近東京近辺、大阪近辺で道路交通法違反事件がふえておりますので、そういうふうなところを考えまして、三名ということで十分賄えるのではないかということで三名の増員をいたした、こういうことでございます。
  13. 佐々木静子

    ○佐々木静子君 いえ、私の伺っている趣旨は、その何名増員と言えば、そのもとになる人員の供給源ですね、それはどういうところを考えているか、どこから何名、どこから何名、あるいはこの一年間に退職される方とか、そういう問題があると思うので、どういうふうに考えておられるのかという話をしているわけです。
  14. 矢口洪一

    ○最高裁判所長官代理者(矢口洪一君) お手元の法律案関係資料が法務省から提出されておりますが、それの十六ページをごらんいただきますと、現在の欠員数が出ておるわけでございます。判事が七十五、判事補が三、簡裁判事が二十九ということでございます。そういった点を見合いまして、この四月に御承知のように大量に採用いたします修習生からの任官者ということがございますが、御承知のように、まず判事補を、十年たちまして判事に任官する方がございます。そういう方は、過日、三月五日でございますが、裁判官会議で全員の方をいわゆる再任するという御決定をいただきまして、遠からず内閣に名簿提出をいたさなければいけないと思っておりますが、そういった判事補から判事になる方がまず判事の大量の供給源でございます。それ以外に弁護士あるいは検察官から等もおなりになる方がございまして、大体七十五という全員を埋めるということはちょっと困難であろうかと思いますが、そこに若干の余裕はございますが、まず判事はそういう方で充足する。  そういたしますと、今度は判事補のところに六、七十名の欠員が加わってまいるわけでございます。その方は修習生から任官を希望される方で埋めていくということでございますが、具体的には、簡易判事の中に判事補を兼務しておられる方で実質上は修習終了の方が三十人ほどございます。こういう方も具体的には判事に任官されるという方でございますので、判事補あるいは簡易判事というふうな本務兼務の入れかえというふうなことをやりますと、四月になりますとやはり判事補のところで八、九十名の、大体百名近いと思いますが、欠員が出てまいります。これは新任の判事補の方で埋めていく。現在九十名の裁判官希望者がございます。これも大体埋めていけるのではないかということでございます。  そういたしまして、最終的に簡易判事の欠員が出てまいりますと、これは毎年の例でございますが、大体これから試験をいたしまして、八月の初めごろにその欠員に見合う簡易判事の方を埋めていく、こういう仕組みで運用をいたしておるわけでございます。多少の数字の入れかわりもございますし、配置との関係で本務兼務の入れかえといったようなこともございますが、この欠員というものに見合いまして、その欠員に新規の充員計画と申しますか、充員希望者と申しますか、そういうものを最大限度に見合いましても、今回は必ずしも大幅な増員ということを考えなくても充足できるのではないかということで、最終的には簡易判事三名の増員ということにとどまったと、こういうことでございます。
  15. 佐々木静子

    ○佐々木静子君 判事三名の充足はこれでできるということがわかったわけでございますが、最初のお話にもございましたように、本来ならばもっとたくさんの人を充足したかったというわけでございますが、その場合でも、今度この三名のはいまのお話で足りるとしまして、本来ならば必要とされている量というものの充足は、最初要求されたときはどういうふうに人員の補給源を考えていられたのですか。
  16. 矢口洪一

    ○最高裁判所長官代理者(矢口洪一君) 先ほど総務局長から御説明いたしましたように、個々の仕事というものを取り上げてまいりまして、調停を増強するとか、交通事件を増強するとか、そういう観点から必要人員というものが抽象的に出てまいるわけでございます。しかし一方、人事の立場からまいりますと、抽象的な必要人員が出てまいりましても、これが充足できませんと絵にかいたもちでございまして、常に人事の面からする充員計画というものがこれに追っついていかなければいけないわけでございます。裁判所全体の大きな計画ということになりますとこれは別でございますが、具体的には、本年度は充員計画等から見てここのところが限度であるということでございます。  ただ、私どもとしましても、優秀な裁判官ができるだけ大量にふえていくということは非常に望ましいことでもあるし、非常な希望を持っておるわけでございますが、これはなかなか実際問題といたしましては困難な問題でございまして、一挙に大量増員ということはむずかしいことでございます。過去十年ほどをとってみまして、予算的にもいろいろお世話になっておりますが、現実の歩みはどうかと申しますと、平均して十数名ずつふえてきておるということでございまして、私ども、さらにその速度をもっとふやしていきたいとは思っておりますが、現状、任官希望者の九十名前後というのは昨年から急速に数がふえてまいっておりますが、こういう状況が続いていきますれば大量獲得ということも夢ではなくなるのではないか。しかし現在のところは、昨年、ことしと、この大量希望者がまだ二年しかございません。この程度に充員の関係からはとどまらざるを得ない、こういうことでございます。
  17. 佐々木静子

    ○佐々木静子君 いま、判事の充足に、検察官あるいは弁護士から任官する人による補充というものをお話しになりましたが、これは年間どのぐらい、そしてどういうところから、あるいはそのほか大学の教授などでなられる方もあるかと思いますが、どういうふうな数字になっておりますか、過去三年間ぐらいは。
  18. 矢口洪一

    ○最高裁判所長官代理者(矢口洪一君) 判事でまず申し上げてみますと、大体七、八名ということが検事、弁護士から来られる方でございます。大学教授の場合は非常に例外でございまして、数年前二、三名おいでになったことがございますが、その後とだえております。ただ、ことしの春には一名大学からおいでになるということを予定いたしております。弁護士からおいでいただく方も昨年は三名ございまして、東京高裁等にもお入りいただいたというようなことがございましたが、これも必ずしも春の異動期とは合わないわけでございまして、中間、御希望がございますれば、適当な方でおればどんどん来ていただくというふうな扱いをいたしております。
  19. 佐々木静子

    ○佐々木静子君 これは主として弁護士会側の事情になりますが、弁護士から任官する場合は、弁護士会の推薦委員会というものを経て任官する場合が普通多いわけです。多いというか、そのように承知しているわけですけれども、いいと思う人はなかなかならないというところ辺に事情のむずかしさがあるわけでございますけれども、弁護士としてもかなりにやれる人が任官するようになれば弁護士会の方も推薦しやすい、そういう問題が起こっているわけですが、それの一番隘路は、やはり在任期間が短くなるから、恩給の問題とかあるいは退職後の生活の問題というようなことが一番隘路になっているというふうに思うわけなんです。そういうふうなことについて、裁判所の方で本気になって在野法曹から裁判官を採用しよう、しかもいい人を採用しようというような場合、何か特別のことをお考えになっておられるかどうか。そのことについて、あるいはそのほかのことでも人を得にくいという問題があると思いますけれども、どういうふうにそういう事柄について裁判所側とするとお考えになっていらっしゃるか。   〔理事白木義一郎君退席、委員長着席〕
  20. 矢口洪一

    ○最高裁判所長官代理者(矢口洪一君) 在野法曹から裁判官に優秀な方においでいただきたいということは、法曹一元という理想を掲げております現憲法下の裁判所体制としては常に望まれておることでございます。そういう観点から、実はもう十年前でございますが、臨時司法制度調査会におきましても、いかにして在野の方に任官していただくか、それにはいま佐々木委員御指摘の退職金の問題でございますとか、恩給的なものの通算の問題でございますとか、いろいろの問題が真剣に論議をされたわけでございます。  それの一つのあらわれといたしまして、まず最高裁の裁判官につきまして、退職金に関する特別の措置というものを臨司の答申を待ちまして実現をしていただいたということでございます。しかし、これを一般的な下級裁の裁判官にまで広げていくという問題になりますと、実はいろいろの隘路があるわけでございます。  まず、恩給的な問題で申し上げてみますと、現在御承知のように共済組合の年金制度というものは、いわゆる拠出制ということで保険数理によって運用されておるわけでございます。弁護士会でも徐々にそういった方向にお向かいのようでございますが、各種年金の通算ということが完全にできてまいりますと、それに乗りまして、弁護士会で年金を拠出しておられる、それと任官後の年金というものが完全に通算できるというようなことにでもなりますと、これはその問題は解決する方向にいくのではないか。社会保障の充実といったような観点からまいりますと、そういった方向への動きというものはあるように存じております。ただ、裁判官の場合だけ特別の扱いをするということは、御承知のように非常に困難な問題がある、こういうことでございます。  次に、退職金の問題でございますが、これは実は弁護士から任官される方のみならず私どもの方の裁判官は任期制でございまして、十年の任期というものがございます。十年の任期終了によっておやめになる方については、現在公務員の退職金という面からも格段の有利な扱いを受けておるということは事実でございます。これがいまのところの限度でございまして、これ以上に有利な扱いをしていくということになりますと非常にやはりこれもむずかしい問題を含んでおります。はなはだ恐縮でございますが、私どもも臨司の答申以来真剣な検討はいたしてきておりますが、現在のところ、特に在野からの任官の方に限って特段の扱いをするということは非常に困難だということで今日に至っておるわけでございます。
  21. 佐々木静子

    ○佐々木静子君 いま十年の任期の退職金のお話が出ましたが、その内容についてちょっと詳しく御説明いただきたいと思うわけでございますが。
  22. 矢口洪一

    ○最高裁判所長官代理者(矢口洪一君) 非常に技術的な問題になりますので、もし十分の御説明ができないようでございますれば改めて適当な機会に補足をさせていただきたいと思いますが、現在のところ、退職金には大きく分けまして三通りの扱いがございます。非常に短期で退職する方の退職金の出し方、それから中くらいの期間、二十五年未満程度で退職される、二十年前後で退職される方の退職金の出し方、それからそれ以上の方の退職金の出し方、この三つのやり方がございます。  その一番最後の長期在職された方の退職金でございますが、これは退職金というものの性質が給与の後払いであるというような面もあるということと関連いたしまして、最大限度六十九・三カ月分、やめたときの俸給の六十九・三倍というものまでいただけるということになっております。しかし、たとえば勤めてすぐの期間に公務で不幸にして亡くなられたというような方はどうするかということになりますと、いま分けました三つの部分からまいりますと、実は一番最初のごく短期しかいなかったという区分に入るわけでございますが、そういう方につきましても、公務である場合には最大限度有利な第三の部類の扱いをする、こういうことになっております。  そこで、任期終了によって退官される方、そういう方は、この任期も終了と申しましてもいろいろの区分があるわけでございますが、この第三の一番有利な率によって計算するというふうな扱いをいたしております。裁判官の場合十年、二十年、三十年という任期でそれぞれの終了される方があります。三十年目の任期終了でおやめになる方はどっちみち第三の部類には入りますけれども、十年でおやめになる方であろうと二十年でおやめになる方であろうと、率の計算においては最も有利な扱いをする。この辺のところに特殊の扱いというものが、現在許される限度におきましては最大限になされておるということでございます。しかし、そうは申しましても、もとの掛ける率は有利な率でございましても、在職年数が十年でやめるということになりますと少のうございますから、出てきました最後の結論というものは決して高い金額ではございません。この辺のところはもう少し改善の余地があろうかということで、ここ数年、そういった点の検討は十分いたしてきておりますが、いまのところではどういうふうにまでお願いしたらいいかということにつきましての成案を得ていないという段階でございます。
  23. 佐々木静子

    ○佐々木静子君 これは十年あるいは二十年のそのときに退職される方が六十九・三カ月ですね。その中途でおやめになる方は大体何カ月分になっているわけですか。
  24. 矢口洪一

    ○最高裁判所長官代理者(矢口洪一君) 御説明がちょっと不十分でございましたが、十年でやめた方が直ちに六十九・三カ月になるわけではございません。いろいろ複雑な計算がございまして、第三の部類、一番有利な率で計算される方で、しかもある程度年限をお勤めになった方でありませんと六十九・三カ月ということにはならないわけで、基礎になるのがもともと在職年数ということでございますので、それに掛ける率は非常に有利な率ではございますが、基礎が少ない場合には、結局はそう高い六十九・三カ月分まではいかないわけで、ものによりましては二十カ月分にとどまるものもございます。三十カ月分にとどまるものもございます。ただ、いま申し上げましたのは、もう少しはっきり申し上げますと、本来自己の都合でやめる方であれば十カ月分しかもらえないぐらいの人でも、任期終了でやめるときにはその倍以上の月分をもらえる、そういう趣旨で申し上げておるわけでございます。いずれにしましても、若い間にやめるような場合には本俸そのものも少のうございますし、それから在職年数ももともと少ないわけでございます。有利な率を掛けて月数を出すといたしましても、六十九・三カ月分等にはとうてい及ばないということでございます。しかし、それは一般の公務員の方に比べますと、それでもはるかに有利な金額になっておると、こういうことでございます。
  25. 佐々木静子

    ○佐々木静子君 その上限が六十九・三カ月というふうに承っていいわけでございますね。  その話に関連しまして、たとえば在職年数が長くないと、どうしても退職金というものは言うまでもなく少なくなる。最高裁の裁判官のことを考えてみますと、本俸は非常に高いわけですから、無論退職金もしたがって高くなると思いますけれども、最高裁の場合はそう十年以上も勤めるということはまず余り例のないことじゃないか、年齢的に見まして。特にこれは弁護士会などでも話をしておりますのでは、最高裁の判事に弁護士から、できれば最も弁護士のうちで優秀なすぐれた方に最高裁の判事になっていただきたいというのが、これはもう法曹全部としての希望だと思うのでございますけれども、なかなか在職年数が短いあるいは退職後の生活と、いままでのやってきたことを一応御破算にしなければならないというふうな問題から、なかなか第一級の方になっていただくということがむずかしいというふうな問題もあるわけでございますね。もちろんなる人がなければ、ならないでもいいじゃないかと、あるいは裁判所は言われるかもわからないけれども、しかし、最高裁の権威とかあるいは司法の中に占める重大なウエートというようなことを考えますと、やはり在野法曹からもだれもがこの人ならばという人に最高裁の判事になっていただきたいという希望が強いわけです。そういう事柄について、特例法の話がいまございましたけれども、その特例法の内容を御説明いただくと同時に、これは裁判所だけで決められる問題ではないかもしれませんけれども、一応どういうふうな展望に立って考えていらっしゃるのか、そこのあたりを伺いたいたいと思います。
  26. 矢口洪一

    ○最高裁判所長官代理者(矢口洪一君) 先ほども退職金の問題で御説明いたしましたように、一般の公務員につきましては、ずっと勤め始めましたときからやめるまでの期間というものを通算いたしまして、それに対しまして一定の率を掛けまして、やめたときの月額の何カ月分に相当する退職金を支給する、こういうふうになっております。ところが、最高裁判所の裁判官の場合は、在野等の方がおいでいただきますと、いわゆるキャリアではございませんので、長い下級裁の職員の期間あるいは公務員の期間というものを経ておなりになるというわけではございませんから、最高裁の裁判官としての本俸というものは一定で、ほかの方と差はないわけでございますが、これに掛けます割合といいますか、そういったものが少のうございます。そのままでございます。そこで、特例法というものを御制定いただいたわけでございます。  特例法ではどういう内容であるかということでございますが、最高裁の裁判官に関します限りは、判事、検事から引き続いておなりになった方であろうが、そうでない方であろうが、全然同一の別個の扱いをするというのがまず特例法の第一点でございます。  じゃ、どういうふうに別個の扱いをするかと申しますと、最高裁の裁判官を一年お務めになりますと、それは、最高裁の裁判官の俸給と申しますのは長官以外は皆同一でございますが、在野からおなりになった方であろうが、どういう方であろうが、一年いたしますとそれに六・五を掛けるというふうにいたします。したがいまして、十年でございますと六十五を掛けるという形になります。おやめになったときの本俸の掛ける六十五ということで退職金を出しておる。五年でございますと、その六・五掛ける五の三十二・五でございますか、おやめになったときの本俸に三十二・五を掛けて退職金を出す、こういうふうになっております。それでは、裁判官を十年以上二十年もおやりになると六十五でなくて百三十掛けるのかということでございますが、これは上限がございまして、上限は六十に切るということでございます。したがって、在野からおなりになった方でございましても、十年未満、九年ちょっとということに相なかろうかと思いますが、最高裁の裁判官としてお務めになります限りは、おやめになりますときの本俸掛ける六十というものが退職金になる。これは在野からの方であろうが、在朝からの方であろうが、そこに全然差別はしない、こういう扱いになっております。  したがって、弁護士からおなりになるような場合でも、裁判官としての在職期間が短うございますとここのところは少なくなってまいりますが、七、八年お務めになりますれば、やはり現在の本俸でまいりますと大体四千万余り、四千四、五百万になろうかと思いますが、退職金が出る、こういうきわめて有利なお扱いを、これは御協力を得まして御審議いただいて御決定いただいておる、こういう状況でございます。
  27. 佐々木静子

    ○佐々木静子君 よくわかりましたので、もとの議題に入りたいと思います。  この法案の関係資料の十八ページ、これを拝見しておりますと、裁判所の書記官の欠員の合計が百三十六名というふうになっておりますね。そして、二段置いて下の事務官は二百二十八名の過員というふうにここに記載されておりますけれども、どうして、この裁判所の書記官のように裁判の中核を占める職種がこれだけ大きな欠員を出しておりながら、事務官がそれをはるかに上回る過員という状態になっているのか、そのあたりを説明していただきたいと思います。
  28. 矢口洪一

    ○最高裁判所長官代理者(矢口洪一君) 裁判所の仕事の中核になりますのは書記官であることは、これはもう御指摘のとおりでございます。書記官の資質を高めるといったこともございまして、現在も書記官につきましては、優秀な事務官の中からさらに一年ないし二年の研修所における専門教育をいたしまして書記官に任命いたしておるという状況でございます。  そういう状況ではございますが、現実に司法行政事務を担当いたします裁判所事務官という方も、それでは書記官は裁判の専門家であるが事務官は裁判のことはわからなくてもいいのか、いわゆる一般的な人事とか会計とか、そういう事務だけわかっておればいいのかということになりますと、そういうわけにはまいらないわけでございます。やはり裁判が最もしやすいように、円滑に動くようにするためには、裁判というものを十分にわかっておる方が司法行政事務も担当するという必要があるわけでございます。そこで、私どもの方の一般的な扱いといたしましては、できるだけ多くの方に書記官になっていただきたい、優秀な方に書記官になっていただきたい、と同時に、一たん書記官になられましても、また必要に応じて司法行政事務の方にも行っていただきたい、そして司法行政事務をおやりになり、その経験も生かしてまた書記官の方に戻っていただく、いわゆるジクザグのコースと申しますか、そういうコースをとっております。  そこで、現実の問題といたしまして、書記官が御指摘のように一部欠員がございますけれども、実は実質的にこれを見てまいりますと、簡易裁判所に庶務課長というのがおりますが、この簡易裁判所の庶務課長は、大部分の方が庶務課長兼主任書記官というふうになっております。また、仕事の内容を見てみましても、庶務課長の 仕事が五分、主任書記官としての仕事が五分、こういう状況でございます。ただ、一つの機構ということになってまいりますと、主任書記官ということで司法行政事務等も兼ねて簡易裁判所を代表するということがやや不自然な点がございますので、一般的には、こういう方は庶務課長兼主任書記官、こういうふうにいたしておるわけでございます。その数だけを見ましても実は三百ほどあるわけでございまして、まあ問題がいろいろと指摘されるようなことでございますれば、あすにでもこの方は主任書記官本務にすることも実は可能な方でございます。そういう意味で、ここのところは、実はそのときの状況と申しますか、外部に対する関係等も含めまして、仕事をしやすいように配置しておるという状況がございます。そういうことが一方で欠員を生じ、一方である程度の過員を生じておるという状況になっておる。決して、書記官を欠員のままに放置して、事務官ばかりふやしておるというようなやり方をしておるものではない、そういう点御了解をいただきたいと思います。
  29. 佐々木静子

    ○佐々木静子君 私の伺いたいことを先にお答えになったわけでございますけれども、そうすると、この事務官の課長三等級の数が非常に定員をオーバーしている。そして主任書記官に空きが多い。それは、そういうわけでそのようになっているというふうに承っていいわけでございますか。両方兼任している、しかし課長になると主任書記官にはならないわけでしょう。そのあたりはどうなんです。
  30. 矢口洪一

    ○最高裁判所長官代理者(矢口洪一君) 簡裁の庶務課長の場合には、課長の発令をいたしまして、兼ねて主任書記官を命ずるという発令をいたしております。だから、両方兼ねておるという状況でございます。そういう兼ねておる人をどちらの枠で考えるかという問題でございますが、一般的には事務官がかなり逼迫しておりますので、それがここのところにしわ寄せがきておるわけでございますが、私の申し上げたかったことは、書記官というものが重要であることは十分認識いたしております。ただ、認識しながら書記官を欠員のままで放置しておる、そういうものではございません。書記官兼務ではございますけれども、十分りっぱな資格を有しておる主任書記官というものは現実には必要な数はあるわけでございますということが申し上げたかったわけでございます。  しかし、それにいたしましても、事務官、書記官という区分をしておきながら、できるだけその区分に合うように持っていかなければいけないということも、これは事実必要なことでございます。その辺のところ、事務官の方になるべく過員を生じないように、また書記官の方は現実に充足できるように、これは今後十分努力をいたしていきたい、こういうふうに考えております。
  31. 佐々木静子

    ○佐々木静子君 どうもそこに、事務官か非常にオーバーしている、特に課長三等級の人は定員よりも百何十名もオーバーしているのに引きかえて、主任書記官が空き定員になっているところ辺が何か非常にすっきりしない感じを受けるわけでございまして、一面また、事務官優先で裁判所の現場軽視だというふうな非難を受けても、この数字を見るとなるほどそうじゃないかというふうに私ども思わざるを得ない。そこら辺にもう少し裁判所とすると御検討になる必要があるのじゃないかというふうな感じを受けるのですけれども、そのあたりいかがでございますか。
  32. 矢口洪一

    ○最高裁判所長官代理者(矢口洪一君) 予算で各職種につきましての定員というものが決められておる、御審議をいただいて決められております。そうだといたしますと、できるだけそれに合わせていかなければいけないということは御指摘のとおりでございます。ただ、決してこの数字だけからごらんいただきまして一線の重要業務である書記官職を軽視しておる、そして事務官ばかりふやしておるというものではない。再三申し上げますけれども、全国に相当数ございます簡易裁判所の庶務課長ということになりますと、両方兼ねていかざるを得ないわけでございます。これはもう仕事の分量等から申しましてそうならざるを得ないのでございまして、それをこれまでのところ課長兼主任書記官という形で補ってきた、この点について今後ともいま御指摘の点もあわせまして十分検討はいたしていきたい、かように考えます。
  33. 佐々木静子

    ○佐々木静子君 それから、かねて問題になっております速記官なんでございますけれども、この速記官がいま申し上げた十八ページには内訳に載っておらないわけでございますけれども、それはどこで考えればいいわけなんでしょうか。
  34. 矢口洪一

    ○最高裁判所長官代理者(矢口洪一君) これは  「その他」のところでお考えいただければいいわけでございます。
  35. 佐々木静子

    ○佐々木静子君 それでは「その他」は速記官とその他だと思いますが、速記官はここに数字を入れるとどういうふうになるわけでございますか。
  36. 矢口洪一

    ○最高裁判所長官代理者(矢口洪一君) この「その他」のところの数字でございますが、この中には裁判所の教官でございますとか、調査官それから技官というようなものが相当数入っております。その中で御指摘の速記官でございますが、速記官の欠員ということになりますと、これは相当数実はあるわけでございまして、それの充足ということが目下急務であるというふうに考えて、ここ相当期間外部から採用するということはいたしていなかったわけでございますが、本年度からはそれを踏み切りまして、外部からも直接優秀な速記官の卵を採用し、これをストレートに書記官研修所に設けられております速記養成部というところに入れまして、充足をいたしていきたいというふうに一般的には考えております。しかし、御承知のように、技術的には非常にいろんな問題がございますので、大量養成ということはなかなかむずかしい状況にあるということでございます。
  37. 佐々木静子

    ○佐々木静子君 この速記官が不足しているということは、もういままでの法務委員会でも何回も出てまいりましたし、それから各裁判所でも、あるいは訴訟関係に、特に弁護士会からも速記官が不足しているので十分な裁判を受けられない、あるいは裁判が遅延するということが大変問題になっておりますけれども、このことについて、速記の問題ですが、どうも裁判所の御姿勢を見ておりますと、速記官の問題についてはっきりした姿勢というもの、速記官の充足あるいは増員によってこの問題を解決しようというふうにばかり考えてはおられないようにお見受けする節があるわけなんです。この速記の問題、つまり調書の作成に関する問題について、いまどのような方針でこうした問題を解決していこうという御方針なのか、将来の展望を伺いたいわけです。
  38. 矢口洪一

    ○最高裁判所長官代理者(矢口洪一君) 訴訟が非常に複雑になってまいります。複雑になってまいります訴訟を的確に記録するということになりますと、これは逐語訳というものが要望されるということは当然のことでございます。そういった要望というものは今後少なくなるはずはないわけでございまして、ますますその要望は強くなっていくだろうというふうに考えられます。それに応ずるものが速記制度でございまして、速記官を裁判所がみずから養成いたしまして、全国に配置していくというのが基本的な姿勢でございます。  現在、速記官の許されております定数としましては九百三十何名という数字がございますが、ただいま御指摘になりましたように、現在おります速記官の数というものはこれに相当数下回った数しかいない。そこで私どもとしましては、これはできるだけ早い機会において全員を埋めていくという方向で努力していかなければいけない、こういうふうに考えております。外部採用を再開いたしましたこともそのあらわれでございます。  ただ問題は、しかし養成を中央でするということだけでは終わらない問題でございます。なぜかと申しますと、若い職員、ことに速記官を現実に希望される方は高校を出られた女子職員が非常に多いわけで、これを養成いたしましても、必要に応じて全国に適正に男子職員と同じような意味でぽんぽん、あるいは鹿児島にあるいは北海道にというふうに配置していくということは非常に困難でございます。それからさらに、この速記の技術と申しますものが、二年間専門に養成するわけでございますが、かなり高度の熟練を要するわけでございまして、途中で脱落を余儀なくされる方もございます。  それからもう一つ、一番問題になってまいっておりますのは、当初から養成いたしました速記官がかなりの年配になりまして、四十をすでに越していくような方が相当数出てまいっております。ことしあたりになりますと、もう百何十名という形になるのではなかろうか。こういう方には、優秀な方には後輩の指導、管理監督的な仕事というものをやっていただくのは当然のことでございますが、といって、全員の方にそういうふうな地位を与えるということも、御承知のように常識的にも困難な問題がございます。としますと、年配になって、速記官として非常な経験を積み、裁判所のお役に立っていただいた方、そういう方を今後どのように処遇していくかというような問題も実は裁判所の速記制度が日が浅いために初めて出てくると申しますか、問題として提起されておるわけでございます。  この辺のところも早急に解決しなければいけない問題であろうとは思いますが、根本の姿勢といたしましては、少なくとも欠員として現在存在いたします分につきましては早急にこれを補充し、養成して、あとうことであるならば、全国その需要に応じて配置をいたしていきたいというふうに考えております。
  39. 佐々木静子

    ○佐々木静子君 これは前回も、速記官が非常に適応できる年齢というものが限られているということから、速記官の人権問題というようなことも前回にも私伺ったことがあるんですけれども、ただ四十歳あるいは四十歳少し出たところ辺で大体速記官としてのフルに動ける限界が来るということであるとしますと、いまこれだけ人間の寿命が長くなっており、かつ再就職ということが大変に不利な条件になってくる。そういうことから考えると、速記官がその年齢をオーバーした場合どういうふうな、教官といってもそのポストは少ないというお話ですけれども、何かこれを考えて、どこかしかるべきいい職場を裁判所の中でも用意なさらないことには速記官としたら非常に気の毒なことになる。しかも速記官制度を初めて用いられるときは裁判所の方で相当なPRをされて、非常に将来性のあるいい職場だということで大変優秀な方々がたくさんほかの職をほうってここに集まられた。また、私どもも日ごろ接している速記官の大半の方というものは大変にすぐれた方が事実多いように思います。そういうことから考えると、速記官が四十歳過ぎてどういうふうなポストにおつきになるか、この道をやはり裁判所真剣にお考えにならないと、幾ら新しい人を外部から持ってきても、その人が定着して安心できる職場というのでなければどうにもならないのじゃないですか、そしてまた、いい人が集まろうはずもないのじゃないですか。そのあたりはどうなんですか。
  40. 矢口洪一

    ○最高裁判所長官代理者(矢口洪一君) 実は、そこのところが速記官の充員ということと車の両輪のような関係にございます重要な問題点でございまして、昨年当委員会でもお尋ねがございまして、いろいろと問題点があるということを申し上げたかと思いますが、その後速記官の方々、実は速記官を含めます組合の方々ともその点について、どのような扱いをすることを望むかというようなことで相談をいたしております。私どもこの点の解決をいたしませんと、真の速記官の充員というものはできないというふうに考えております。技術が少し衰えてくる、これは反射神経を要することでございますから、ある程度の年輩に達しますと、どうしても反射神経が鈍くなってまいります。だからもうやめていただくんだなどということであれば簡単なことでございます。佐々木委員御指摘のように、そう簡単には物事は進まない。やはり裁判所に職を奉じていただいた以上は、常識的な平均年齢まで十分安んじてとどまっていただくというものでなければいけないというふうに考えます。  そこで、いろいろな方法が考えられるわけでございまして、こういう方法はどうだろうかというようなことで、一つたとえば例をとってみますと、御指摘のように、当初から速記官に来ておられる方はきわめて優秀な人たちでございまして、速記の養成過程におきましてもかなり法律的な勉強もし、また、その後法廷立ち会い等で実地の訓練を受けてきておられる、そういう方がございます。こういう方に別途の方向、書記官とか事務官の方向にも進んでいただいてはどうであろうかと、そういうことで考えた場合に、速記官の方はどういうふうなこれに対する感想と申しますか、反応と申しますか、そういうものをお持ちになるかどうか、そういうことも実は検討をし、職員組合等に話しかけもいたしておるわけでございます。裁判所の職域ということになりますとかなり限られてきておりますが、その中で速記官としての経験を十分生かして裁判所の役に立っていただけるような仕事というもの、そういったものをどういうふうに見出していくか、ここのところが、現在職員組合等とも折々交渉をいたしておる一つのポイントでございます。
  41. 佐々木静子

    ○佐々木静子君 これは前回もそのような趣旨の御答弁をいただいたと思うのですけれども、現実に速記官出身の方がどういうポストについた例があるとか、どういうふうにしたとかいうふうな具体的な例を若干挙げていただくと、いまのこれからのその年齢に達しようとしている、もうすでに達している速記官の方も安心なさるのじゃないか。どういうふうなことになっているんですか、若干の例があれば挙げていただきたい。
  42. 矢口洪一

    ○最高裁判所長官代理者(矢口洪一君) 組織的な例といたしましては現在のところまだございません。ただ、各個人でいかに優秀な方がおられるかという例として申し上げますと、速記官としての仕事をなさっておる間に司法試験に受かられて、判事補に任官された方もございます。それからさらに、もう少し年齢に達せられた方で簡易判事選考委員会の行います厳格な試験に合格されて、簡易裁判所判事になられた方もございます。したがって速記官の、ことに当初来られた速記官の資質の優秀性ということは私は十分言えるのではないかと思います。ただ、これはあくまで個々の方の問題でございますので、この例で、そういうふうにおなりになる方はそうなられればいいんだ、後は知らないというわけにはまいらないわけでございます。その辺のところに私どもとしての問題点がある、こういうふうに考えております。
  43. 佐々木静子

    ○佐々木静子君 何とかこれは制度的に考えていただかないといけない。いま速記官の四等級の方は何人あるのか。そして等級は大体どのようになっているのか。また、高位の等級で充足できていないところがあるのじゃないか。そのあたりはどうなっているんですか。
  44. 矢口洪一

    ○最高裁判所長官代理者(矢口洪一君) 速記官の等級は、最初のごくごく卵の間、官補の卵の間は六等級でございますけれども、大部分の方が四等級の格づけをされて、中間に五等級というものが存在するという状況でございます。これまではそういうことでございましたが、実は本年度、さらにその上の三等級という暫定の定数もごく少数ではございますが、取れまして、そういった形において今後三等級というものの数もできる限りふやしていきたいとは考えております。しかし三等級ということになりますと、やはり管理監督的な地位というものを想定せざるを得ないわけでございますので、大部分の方が四等級であるというそのままで、全員を三等級というようなことはこれは考えられないことでございます。その辺にこの隘路があるということでございます。
  45. 佐々木静子

    ○佐々木静子君 四等級の定数がかなりまだあいているのじゃないですか。そして、あいているけれども五等級のところにとまっている人がずいぶん多い。これを思い切ってせめて四等級に上げるというような方法はとれないのですか。私聞いているところでも、百幾つか定員があいているようです。
  46. 矢口洪一

    ○最高裁判所長官代理者(矢口洪一君) 先ほども御説明いたしましたように、かなり欠員がございますので、それのところが四等級のところであいてきておるということは事実でございます。ただ、五等級の方を四等級にするという点につきましては、できるだけそのような御指摘のような方向でやっていきたいということでやってきております。個々に見てまいりますとまあいろいろの、これは人事の問題でございますから、問題点なきにしもあらずという状況でございますが、大量的にごらんいただきますれば、佐々木委員御指摘のような方向で事を処理してきておるというふうに御理解いただけるのじゃなかろうかと思っております。
  47. 佐々木静子

    ○佐々木静子君 この問題は何とか解決していただきたいと思うわけです。  それから、いまお話に出ましたので、ちょっと話がまた横へそれますが、速記官から簡判判事になられた方がある。これは速記官に限らず、事務官、書記官その他からの簡判判事の充足先、これは過去一年間はどういうところから持ってこられたのか。どこから何人ということをおっしゃっていただきたい。
  48. 矢口洪一

    ○最高裁判所長官代理者(矢口洪一君) 昨年は五十三名の簡易判事が任命されたと思っております。その中で、外部から来られた方が二、三名でございまして、あとは部内の方でございます。その内訳を申し上げてみますと、あるいは正確な数字はちょっと違うかもしれませんが、大体のところといたしましては、裁判所書記官が大部分でございますが、そのほかに家庭裁判所調査官、それから裁判所事務官、それからいま申し上げました速記官ということでございまして、家庭裁判所調査官からおなりになる方も近時非常にふえてきておるという状況でございます。速記官からなられた方は実は今回が初めてでございますが、ああいう例も出てまいりますと、じゃひとつ勉強してなろうかというふうに考えられる方もおいおいふえてくるのではなかろうかというふうに思っております。非常にむずかしい試験をいたしておるわけでございますが、これは国民に対する裁判を行うわけでございますので、この程度を緩めるということは絶対にいたしたくないつもりでございますが、にもかかわらず、そういった試験に合格される方が各職種にわたって出てきておるという状況でございます。
  49. 佐々木静子

    ○佐々木静子君 それから簡裁の問題ですけれども、ついでに伺いますと、書記官の不足などというようなものを統計的に見てみますと、簡裁に非常にそうした不足がしわ寄せされている。事務官においても簡裁は不十分じゃないかというふうにうかがえるわけなんですが、いまも人事局長言われたように非常に大事な裁判、やはり国民の大事な裁判を担当するその簡裁に、なぜそのように定員を充足してないのか。非常に人の不足のしわ寄せが簡裁にいっておるわけですけれども、どうしてそういうふうに簡裁が軽視されておるのか。
  50. 田宮重男

    ○最高裁判所長官代理者(田宮重男君) 簡裁は御承知のように全国非常に数多くありまして、事務量からいたしますと、きわめて事務量が少ないという庁がほとんど半分以上ございます。そういうふうな庁でございましても最小限度職員を配置しなければいけませんので、最低限三名ということで配置しておりまして、事務量等からすればその三名で十分やっていけるという庁がございますので、決して簡裁だけに全部しわ寄せをしているということではございません。
  51. 佐々木静子

    ○佐々木静子君 簡裁のことについて関連して伺いますが、民事事件における簡裁の事物管轄の拡張ということがまたいろいろと話題になって耳に入ってくるわけなんですけれども、そういうふうなことをいま裁判所は本当に考えていられるのかどうか、その点伺いたい。
  52. 田宮重男

    ○最高裁判所長官代理者(田宮重男君) 簡裁の事物管轄でございますが、いわゆる訴額の引き上げの問題であります。これは四十五年に訴額が現在の三十万円に引き上げられたのでございます。その後の物価の値上がりその他の情勢を見ますと、昨年度におきまして大体事件比率が地裁が六、簡裁が四というふうな状況になっておりまして、これはちょうど昭和四十五年の改正直前の事件の状況に大変似通ってまいりまして、そういうふうな点からそろそろ検討の時期ではないかということは考えております。しかしながら、物価情勢その他まだ変動期でございますので、その他簡裁の性格論といったような問題、私どもとしては単なる物価の値上がりに伴うところのものだということと思っておるわけでございますが、反面また簡裁の性格論といったような問題とも絡む点がございますので、なおよく慎重に検討したいと、こういうふうに考えております。
  53. 佐々木静子

    ○佐々木静子君 それでは、簡裁の民事の事物管轄の拡張ということは、全然いまのところは裁判所としては考えておられないというふうに承っていいわけですか。
  54. 田宮重男

    ○最高裁判所長官代理者(田宮重男君) もう少し物価情勢等をよく検討いたしたいと、こういうことでございます。
  55. 佐々木静子

    ○佐々木静子君 先ほどお話がありました四十五年の簡裁の事物管轄の拡張のときに、非常に裁判所と在野法曹との間でいろんな紛争が起こった、そして在野法曹の側の裁判所に対する不信感というものが非常に増大した、そういういきさつがあるいわくつきの問題でございますので、今度は三者協議の問題もようやく軌道に乗ったようでございますけれども、これは裁判所が一方的に在野法曹の意向を無視して強行されると、やはりまた同じ問題が起こるということは火を見るより明らかじゃないかと考えますので、ぜひとも弁護士会とよくお話し合いの上で、事物管轄の拡張をもしなさるということであれば十分御協議願いたいということを私もこの委員会から特にお願い申し上げたいと思いますが、いかがでございますか、御承知いただけますか。
  56. 田宮重男

    ○最高裁判所長官代理者(田宮重男君) 前回の国会審議の経過等十分よく承知しておりますので、この問題につきましては慎重に対処したいというふうに考えております。
  57. 佐々木静子

    ○佐々木静子君 慎重に考えて一方的にやられると困るわけで、協議をなさるということはお約束していただけますね、協議をして話し合いの上でやると。いかがでございますか。
  58. 田宮重男

    ○最高裁判所長官代理者(田宮重男君) 恐らくそういう方向になろうかと思います。
  59. 佐々木静子

    ○佐々木静子君 それでは三者協議のことはまた後で伺いますが、とりあえずほかの職種が残っておりますので話をまたもとに戻したいと思うわけでございますが、これはこの年末などから非常に裁判所の廷吏の方々の御陳情がたくさんございまして、そして廷吏の待遇改善ということが叫ばれ、五等級の方が大変に今度ふえたということでございますが、それはどのぐらいからどのくらいにふえたのか。そして廷吏さんの今後ということをどのように裁判所は考えていられるのか、まず伺いたいと思います。
  60. 矢口洪一

    ○最高裁判所長官代理者(矢口洪一君) まず定数の問題でございますが、廷吏の適正なる待遇ということについても一つの重点項目といたしまして努力をいたしてまいっております。昨年は五等級の方が七十二名増加いたしました。本年でございますが、引き続き努力をいたしました結果、それを少し上回ります八十九名という方が五等級になられたということで、二年間引き続いてこのような大量の五等級がふえたということは非常にありがたいことであるというふうに考えております。この方向というものは、今後もいましばらくは大きな重点項目と一として努力をいたしていきたいと考えております。  問題は、廷吏の方の裁判所全体における位置づけをどのようにするかという問題でございますけれども、現在古くからおられる方でかなり年輩の方もおられることは事実でございますが、近時非常に若く優秀な方が廷吏になられる、そして数年を経て一般の事務官の方に抜けていかれるという方もございます。そういった点をにらみ合わせまして、古くからおられる方もひっくるめて、全体のしかるべき待遇ということには鋭意努力をいたしたいと考えております。
  61. 佐々木静子

    ○佐々木静子君 それからこの廷吏の方、廷吏という呼称は非常に前時代的であり、余り感心しないというお話なんですが、この呼称の変更というようなことは裁判所は考えておられないですか、どうですか。
  62. 矢口洪一

    ○最高裁判所長官代理者(矢口洪一君) 戦前、御承知のように廷丁ということでございましたが、現裁判所法で廷吏ということでございます。あるいは呼び名として必ずしも今日になってみるとふさわしくないということもあり得るかと思います。そういった点、ひっくるめまして検討いたしたいと考えております。
  63. 佐々木静子

    ○佐々木静子君 それではちょっと検察審査会のことについて伺いたいのですが、この検察審査会の職員、いまこの資料の十七ページによりますと九百九十二名となっておりますね。それは間違いございませんか。
  64. 田宮重男

    ○最高裁判所長官代理者(田宮重男君) このとおり間違いございません。
  65. 佐々木静子

    ○佐々木静子君 これが、実は私も物好きに裁判所の職員録で調べてみたのですけれども、どうもこの九百九十二人にならぬわけなんですね。一遍これは名地方裁判所に何人ずつあるのか、一覧表で出していただけないでしょうか。
  66. 田宮重男

    ○最高裁判所長官代理者(田宮重男君) お手元にお届けいたします。  なお、検察審査会の定員は九百九十二名でございまして、御承知のように、検察審査会は裁判所とは一応組織は別でございます。検察審査会法に基づいて設置されているところの組織でございます。ただ、それを裁判所の方がお世話をするという立場になっておりまして、裁判所職員定員法の中の第二条、この資料の十一ページにございますが、この資料にもございますように、特に検察審査会の職員は一般職の中でも括弧をして明示されておりまして、この定員を裁判所の方で勝手に使う、こういうことはできない仕組みになっておりますので、定員はここにありますように九百九十二名、このとおりでございます。
  67. 佐々木静子

    ○佐々木静子君 この検察審査会制度というものは、戦後日本にできて、大変民主主義を守るためのりっぱな制度だと思うわけでございますけれども、そうすると、この検察審査会のことについて伺うということになれば、責任者はだれになるわけでございますか。
  68. 千葉和郎

    ○最高裁判所長官代理者(千葉和郎君) 検察審査会の仕事そのものは、御承知のように、審査会長の指揮のもとで独立しております。人事と予算の関係につきまして最高裁判所の方が手当てをしているという関係になりまして、さらに抽象的な一般的な運用の問題として仕事の分担を申しますと、最高裁判所の中では刑事局になります。人員とそれから予算ということになりますと、それぞれ担当の局ということになっております。
  69. 佐々木静子

    ○佐々木静子君 そうすると、とりあえず検察審査会のことは、刑事局長が国会に対しては責任をお持ちになるということに承っていいわけでございますか。
  70. 千葉和郎

    ○最高裁判所長官代理者(千葉和郎君) 具体的な人事配置、それから定員の関係、それは刑事局の方も所管局の方におんぶしているかっこうでございまして、運用の関係は、責任者としては刑事局でございます。
  71. 佐々木静子

    ○佐々木静子君 それでは所管局はどちらになるわけでございますか。
  72. 千葉和郎

    ○最高裁判所長官代理者(千葉和郎君) 一般的な問題と同じでございまして、定員配置は総務局になりますし、具体的な人事配置は人事局と、こういうことでございます。
  73. 佐々木静子

    ○佐々木静子君 それでは、またこれは次回にでも質問させていただくことにいたしましょう。  次は、裁判所の警備の問題でございますけれども、たとえば最高裁判所へ参りますと、制服を着た警備員の方が立っておられる。こういう時代でございまして、いつ爆発物を仕掛けられるかわからないというふうないま特異な時代でもございますので、あるいは無理からないことではないかとも思いますけれども、少なくとも余りいい感じはしない。私もこの間、外国の最高裁判所をちょっと見せていただいたのですけれども、ああいうふうに入るのを一々何しに来たと言う裁判所はないわけで、アメリカの最高裁にしたところで、外国人が行っても、だれもとがめることなしに幾らでも自由に入れる。そういうことで、いまの最高裁の警備というものは少なくとも望ましい状態ではないと思うわけでございますが、あれは裁判所職員じゃなしに、警備保障会社に頼んでおられるんですか。どうなっておるんですか。
  74. 大内恒夫

    ○最高裁判所長官代理者(大内恒夫君) 最高裁判所の庁舎の警備員につきましては、門のところにおりますのは警備保障会社でございまして、中の方には裁判所の職員が、守衛その他の職員として庁舎の警備に当たっておる、こういう状況になっております。
  75. 佐々木静子

    ○佐々木静子君 これは、ほかに裁判所の建物で警備保障会社に警備を依頼しておられるところは、依頼というか、請け負うというのか、それはほかにもあるのか、ないのか。あるとすれば名前を挙げていただきたいことと、それから依頼している警備保障会社名を教えていただきたいと思います。
  76. 大内恒夫

    ○最高裁判所長官代理者(大内恒夫君) 他の裁判所にはございません。  最高裁判所の実際契約をしておる会社の名前でございますが、ちょっといまはっきり記憶しておりませんので、後刻調査しましてお知らせいたします。
  77. 佐々木静子

    ○佐々木静子君 それでは、そのことも後で伺うといたしまして、それから裁判所に勤めている女子職員の問題について伺いたいと思っておりましたのですが、時間の関係がありますので、また次回にその点はお伺いさせていただきたいと思います。  そして、もう時間もほとんどございませんから、長い間懸案となっておりましたところの法曹三者協議の問題が、いまほぼお話し合いがつきそうで、この三月二十二日に第一回の法曹三者協議が開かれるというふうに伺っているわけでございますが、そのことに対しまして、裁判所の方とすると、この法曹三者協議で第一回はどのような議題でどういう話をされるのか、どういうふうなことになっているのか、ちょっと経過を御報告いただきたいと思います。
  78. 田宮重男

    ○最高裁判所長官代理者(田宮重男君) 先生方のいろいろな御協力によりまして、ようやく三者が集まって協議をするという場が設けられることになりまして、来週の月曜日、二十四日というふうに私ども承知しております。さしあたり議題をどうするかという問題がございますが、これもまだ法務省の方ともよく相談しておりませんけれども、とにかく最初は顔合わせということで、ざっくばらんにいろいろな話をしてみて、それから後、運営の方法とか議題等をやっていったらいいのではないかと、私自身としてはそういうふうに考えております。
  79. 佐々木静子

    ○佐々木静子君 これは主としてこの三者の協議、あるいは三者の意見の対立というようなことでこの法曹の協議というものがうまくいかなかったわけですけれども、特に裁判所と弁護士会の意見の対決というようなことが大変に多かったように思うわけですけれども、これを何とか軌道に乗せるように、懸案の問題でございますし、法曹三者が大変にこのことで苦労した問題でもございますので、ぜひとも裁判所の方にお願い申し上げたいのは、うまくこれから話し合いができるように御尽力いただきたいと思うわけですが、法務大臣はその点について、この法曹三者協議、いよいよ二十四日から始まるということについてどのように考えていられますか。
  80. 稻葉修

    ○国務大臣(稻葉修君) とりあえず私は、最初は事務当局のフリートーキングにしようというふうに、三者とも、弁護士会の会長もそんなふうなお考えのようですし、私の方もそういうふうに考えております。そうして議題を特に決めないで、自由に話し合って問題点をつかんで、それぞれまた団体へ帰って、そうして積み重ねていって、最終的に首脳的な会談にするかという時期があろうかと思います。そんなような順序でやっていきたいと、こう思っております。
  81. 佐々木静子

    ○佐々木静子君 私の質問はもう時間が来ましたのでこのあたりにさせていただきますが、最後に法務大臣にちょっと伺っておきたいと思いますのは、これも法曹三者協議でもあるいは議題になるかと思うのでございますけれども、政府提案として今度の国会に戸籍法をお出しになるというお話がございましたね。先日新聞で拝見いたしますと、閣議で戸籍法は出さないことに決まったというふうな大臣の御発言で、戸籍法はもう出ないことになったんだというふうに承れる新聞報道があったわけでございますが、そのあたりの真相は、本当のところはどうなんでございますか。
  82. 稻葉修

    ○国務大臣(稻葉修君) 真相を申し上げますとね、閣議ではまだそんなことは何にも決めておりません。あれは民事行政審議会の答申を受け取ったのはごく最近でございまして、日にちは忘れましたけれども、三週間くらい前ですか、それを法務省の民事局で法案にするための検討をしているような段階でございまして、この間、弁護士会連合会長も法務大臣室へおいでになりまして、何だか新聞を見るとえらい急いでいるようだとおっしゃるから、いやそんなはずはない、それじゃよく事務当局から聞いて返事するから、きょうのところはお引き取り願いたいと言って、二、三日後返事に行ってきました。そして、御心配になるような、弁護士会の意見も何にも聞かないで対話をせずに突っ走ってしまうというようなことはやっておりませんよ、そんな誤解をされちゃ困りますよということを御返事申し上げましたから、ああそうかいということで、いま法務省部内ではその法案にすることをやっていますが、問題点があるようでしたらいつでもおっしゃってくださいよというようなことで、三木内閣の対話を協調の姿で一生懸命にやっているというのが真相でございます。
  83. 佐々木静子

    ○佐々木静子君 この戸籍法についての法制審議会は、非常に早いスピードで何か大体一年ぐらいの御検討で答申がもう出た。実は私もその審議会のメンバーの方からも、若干アタックして、どういう雰囲気であったのかというようなことなどの情報も承っているわけでございますけれども、まあこれは行政の面において、戸籍の非公開についての御要望が非常に多い地域がある。私の選出の大阪なんかはその最たるものでございますが、そういう問題と、それから戸籍の公開ということは戸籍法の一番の原則だと思うのでございますが、そういう問題とのかみ合わせというところが大変にむずかしい問題であって、そう私はしゃんしゃんしゃんと意見がまとまるということに、すぐに結論が出たということに、私はいささかびっくりしたわけなんでございます。  もちろん社会党としても、この問題についてどのような方針を立てるかということをいま検討しているわけでございますけれども、これもやはり何かちょっと伺っているところでは余り急なことでございまして、どうしてそういうふうに早く話が進むのかということでちょっと意外な感じがしているわけなんでございます。そのあたり、やはり十分に在野の方とも御討議いただきたい、また国民の意見も広く聞いていただいた上で、これは刑法のことは法制審議会の答申というものについての国民の世論、あるいは国民はかなり知っておりますけれども、戸籍法のことについてはまだ全く急な話で、ほとんどの者が何もわかっておらないという状態なので、やはり国民各層の意見というものももっと聞いた上で、もし立法化されるならばこれは慎重に考えていただかないと悔いを千載に残すのじゃないかというふうなことを私は懸念いたしますので、大変僣越ですけれども、大臣に特に御慎重にしていただきたいということを申し上げるわけでございます。この点について大臣の御意見を伺いたいと思います。
  84. 稻葉修

    ○国務大臣(稻葉修君) 法務省関係の法改正とか新立法とかいうときの審議会の答申はずいぶん長くかかるのに、これだけは一年余りでずいぶん早いなと、問題のあるところを慎重審議してなかったのじゃないかというような御趣旨であるとすれば、そうではありませんで、それから民間の意見もよく取り入れてというお話ですが、この答申をいただいた二、三日後、審議会の皆さんに御慰労の意味で、感謝の意味でパーティーを開きましたが、顔ぶれは各界各層の代表者がいい人がたくさん集まっておられまして、ああこのメンバーなら一年余りで十分議は尽くせたんだなという印象を私は受けております。しかし、その審議の過程においてどういうことがあったかというようなことは私存じません。ただ、例の同和問題等に関連しまして、余りに大っぴらな閲覧制度というようなことはどうかと思うというような世論もあったりいたしましてお急ぎになったのかどうか、その辺もよくわかりませんので、部長が来ておりますから部長から答えさせていただきますが、よろしゅうございますか。担当の民事局長が通告がなかったものですから来ておりませんで、日を改めましてその辺のところの説明をさせますから、今日のところは私存じませんから余まり詳しく……。しかし私の印象としては、あのメンバーを見ますと十分一年間で議は尽くしたように思いますということだけをお答え申し上げておきたいと思います。
  85. 佐々木静子

    ○佐々木静子君 それは大臣の御答弁でよくわかりましたので、また次の機会に御担当の局長に質問させていただくことにいたしまして、私の本日の質問は、検察審査会の問題とかあるいは婦人職員の問題その他まだ大分問題点が残っておりますので、質問を保留させていただいて、本日の質問を終わらせていただきます。
  86. 稻葉修

    ○国務大臣(稻葉修君) 審議会の答申は出たが、これから慎重にやれというお話につきましては、拳々服膺してそのとおりにいたします。
  87. 高橋邦雄

    ○高橋邦雄君 私も最初に、裁判官の定員の問題についてお伺いいたします。  裁判の適正迅速な処理というものが望まれておるわけでありますし、それに対してどうも裁判官が不足しているのではないかという声が非常に強いわけでございます。こうした情勢の中で、最近のこの定員の増員数を見てみますと、判事については昭和四十五年以降は増員がゼロになっておるわけでございます。また判事補も、昭和四十五年以来逐年増員数が減ってきておる。五十年はこれはゼロである。裁判所もずいぶん裁判の迅速な処理ということを目指して努力しておられるわけでありますが、そうした中でさっぱり増員が行われていない、こういうのはどういう理由に基づく、あるいはどういうお考えでおられるのか、その辺をまずお伺いをいたしたいと思います。
  88. 勝見嘉美

    ○政府委員(勝見嘉美君) 先生ただいま御指摘のとおり、最近におきます判事補、判事の増員が少のうございますか、一応数字を最初に申し上げますと、最近十年間におきまして判事の増員は五十八、判事補が四十六となっております。なお、簡易裁判所判事は六十一でございまして、裁判官の最近十年間の定員の増は合計百六十五人でございます。  ところで、いまお尋ねの裁判官のうち特に判事、判事補についてでございますが、すでに佐々木委員の御質疑に対し最高裁判所からお答えがありましたとおり、制度面から申しましても、また実際の面から申しましても、判事、判事補につきましてはその給源にどうしても限度があるということは、率直に認めざるを得ないと思います。もちろん実際上もその充員は相当困難な状態のようでございます。欠員の状況につきましても、先ほど最高裁の方から御説明があったとおりでございます。  なお、事件数につきましても、一応の傾向といたしまして最近はほぼ横ばいであるというようなことを、これも裁判所からお話し申し上げましたとおりでございます。事件の趨勢につきましては、端的には地方裁判所の訴訟事件をとってみるとおわかりいただけるかと思います。お手元に差し上げてございます資料の二十ページをごらんいただきますと、民事訴訟では、昭和四十六年では第一審の訴訟事件が九万二千件でございますが、昭和四十八年には約八万六千件に減少しております。それから刑事訴訟、下の欄でございますが、第一審を見ますと、昭和四十六年と四十八年と比較していただきますと七万六千五百八十七が七万七千百五十一とやや増加しておりますが、その前年の昭和四十七年の八万八百件から見ますと昭和四十八年にはやや減っておる、このような状況に相なるわけでございます。これを突き詰めて申しますと、近時事件の趨勢はやや横ばいと言ってよろしいかと思います。  いまのような状況でございますので、先ほどから御議論いただいておりますように、簡易裁判所判事三名の増員にとどめまして、その他の裁判官の増員は差し控えたということに相なっている次第でございます。   〔委員長退席、理事白木義一郎君着席〕
  89. 高橋邦雄

    ○高橋邦雄君 ただいま御説明のように、確かに民事、刑事、家事、少年、こうした事件の件数あるいは関係の人員、こういうものは横ばいであると思います。しかし一方、この法案の参考資料としていただいた「昭和四十六~四十八年における高裁、地域・簡裁の民事・刑事訴訟既済事件の平均審理期間」こういうのがありますが、刑事はここ二、三年くらい審理期間には余り変動がない、大体同じくらいな期間で済んでいるようでありますが、民事はこの期間が伸びておる、こういうことがうかがえるわけであります。それから最初申しましたように、依然として裁判の適正迅速な処理、こういうことが望まれる声が非常に高い。ですから、全く判事の増員が四十五年以来ない、また、判事補については五十年度ゼロである。確かに大臣のおっしゃったように、人の供給源に問題がある。確かにそれはあるだろうと思います。しかし、全く増員されていないということは裁判の迅速な処理を図るという観点から少し考えていく必要があるのじゃないか、こういう気がするわけでありますが、重ねてその点について伺いたいと思います。
  90. 田宮重男

    ○最高裁判所長官代理者(田宮重男君) 確かに先生おっしゃるように、この資料によりましても民事の審理期間が若干ずつ延びております。あただ、この審理期間でございますが、反面から申しますと、これは既済事件でございますので、事件が横ばいないしは減少ぎみであるといったような面から、むしろ古い事件の処理の方に余力が行っているという面もございますので、この表からだけ訴訟がどんどんおくれつつあるというふうには言えない面もあろうかと思います。しかし、一般的に申しますと、戦前等に比べましてかなりおくれでいることは間違いございません。そういった点で、従来からも増員その他の措置をいろいろとしてまいってきたのでございます。  判事、判事補が増員できればこれにこしたことはないのでございますが、先ほど来いろいろと御説明いたしましたように、何と申しましても判事、判事補となりますと給源の問題がございますので、私どもといたしましては、いい方であるならばできるだけ多く来ていただきたいというふうに思っておりますが、現状はなかなかそのとおりになっておらないのでございます。そういうことでございますので、現在では定員の充足ということに全力を注ぎまして、しかも定員を充足し、なおかつ裁判官になられる方が多くなるということでありますならば、またその際、定員の増加を図るといったようなことで努力してまいりたいと思います。  ただ、ここで若干申し上げたいことは、現在事件数が横ばいでございますのにかかわらず、しかも訴訟がおくれているといった面も若干出てきてまいっておりますので、こうなりますと、たとえば公害事件その他ああした複雑困難な事件になりますとある程度事件はおくれますが、これは単に裁判官の増員ということだけで解決できない面もあるのではないかということも感じますので、訴訟遅延の解消の問題につきましては増員その他いろいろな角度からこの際十分検討し、それに対する措置をとりたいというふうに考えております。
  91. 高橋邦雄

    ○高橋邦雄君 現在、裁判官一人当たりの負担件数といいますか、こういうのはどんな状況になっておるわけですか。
  92. 田宮重男

    ○最高裁判所長官代理者(田宮重男君) 裁判官の負担を考える場合には、主として訴訟事件が一番手間がかかりますので訴訟事件を標準にして考えておるのでございますが、地裁の場合ですと、裁判官一人当たり、これは全事件、民事、刑事の訴訟事件を裁判官の定員で割った数でございますが、約百三十件程度になっております。民事、刑事を両方通じまして百三十件程度、こういうことになっております。
  93. 高橋邦雄

    ○高橋邦雄君 いまお話のありました百三十件というのは、一人の裁判官が大体適正にこなし得る、そういう件数というふうに考えてよろしいですか。
  94. 田宮重男

    ○最高裁判所長官代理者(田宮重男君) これは負担の場合には、新受の事件、その年に提起されました事件について裁判官がその年度内に処理をするということとしての数字になろうかと思いますが、百三十件程度でありますならば相当余裕があるということになろうかと思います。ただ、これは全国的な平均でございますので、地方の支部等になりますとかなり事件負担が少ない。年間せいぜい二十件、三十件というようなところもございます。そういうようなところにも裁判官を配置しなければいけないということになりますので、一方ではこれをはるかに下回る事件しか担当しない裁判官がいると同時に、大都会等におきましてはこれをはるかに上回った事件を処理するというふうな形になっておりますので、平均といたしましては、百三十件程度であるならばかなり楽であろうというふうに考えております。
  95. 高橋邦雄

    ○高橋邦雄君 最近における司法修習生からの判事補あるいは検事の採用状況は全体の中でどんな割合になっているのか、ことしの司法修習生終了者から判事補あるいは検事の志望状況ですか、それがどんな状況なのか、おわかりでしたら教えていただきたい。
  96. 勝見嘉美

    ○政府委員(勝見嘉美君) とりあえず最近三年間の分を数字を申し上げます。  昭和四十七年度総人員が四百九十五でございますが、そのうち判事補五十八、検事五十九、それから四十八年度は判事補六十五、簡易裁判所判事一、検事四十九、昭和四十九年、判事補八十五、検事四十七、以上でございます。  なお、本年度の任官志望者でございますが、検事志望は、私ども担当から聞いてまいりましたところでは三十八人というふうに聞いております。なお、判事補志望につきましては最高裁判所の方からお伺いいただきたいと思います。
  97. 矢口洪一

    ○最高裁判所長官代理者(矢口洪一君) 先ほども佐々木委員の御質問の際にちょっとお答えしたかと思いますが、現在、本年度の判事補希望者は九十名でございます。
  98. 高橋邦雄

    ○高橋邦雄君 いま御説明をいただいた判事補、検事の志望者、どうも私は全く門外漢でよくわからないのでありますが、この四十七年からの数字というのは毎年余り動いていないわけでございます。しかし、そうした中でも検事の志望者が逐年減ってきている、こういうことがこのいまの数字からうかがえるわけでございますが、これはまあそれぞれ個人個人の考えによることでありまして、こういうものをいますぐどうこうというわけにはなかなかいかないのだと思いますけれども、常識的に見て少し少な過ぎるような感が免れないと思います。しかし、それはそれといたしまして、はたから見ておりましても裁判官の方々初め非常な御苦労をしておられると思うのでありまするが、こうした状況があるだけに、定員の問題につきましては、いろいろ事情があることも確かだと思いますが、ひとつ一層充実に努められまして、裁判の適正迅速な審理が進められて国民の要望にこたえられますように、この機会にお願いをしておきたいと思うのであります。  それから、ついでと言っては大変恐縮なんですけれども、これは法務省の方の関係でありますが、人権擁護委員の経費が非常に少ない、こういう声を聞くわけであります。大切な人権擁護という仕事を民間の人に進んで担っていただいているわけでありまして、こうした方々の奉仕的な精神というのは非常にこれは大事な貴重なものと思うわけであります。したがって、これは実費弁償金だとかそのほかいろんな経費が、多ければ多いほどいいというわけではありませんけれども、現状は余りにどうも少な過ぎるのではないか。民生委員とこれを対比して言う人もあるんですけれども、民生委員と比較してそのつり合いがどうだこうだというのは必ずしも当たっているとは思いませんけれども、それにしても非常に少ない、こういう声が多いわけです。保護司でありますとか調停委員の実費弁償金につきましても大変な御努力をいただきまして、毎年少しずつでありますが、ふえてきておるのでありますが、どうもこの人権擁護委員についていろいろ問題があるように思われるのであります。  私は群馬県でありますから、群馬県の例を申し上げますと、法務局の方に配付される予算が百七十三万六千円、こういうことになっておる。これは四十九年度ですね。なかなかこういう予算では十分な活動ができない、こういうことで、これは各県とも事情は同じだろうと思いますが、県に連合会のようなものがあるわけでありますが、そうしたものが活動する場合に経費が非常に少ない、あるいはない、こういうことで県でありますとかあるいは市町村が補助金を出しておるわけです。これは好きでこのんで実は出しておるわけではないと思うのでありますが、事情が事情であり、また非常に大事なお仕事を受け持っていただいておる、こういうことで県や市町村が補助金を出しておる、こういうのが現状であります。これはどこの県でも大体似たり寄ったりの状況ではないかというふうに思うのであります。余り私も四角張って理屈を言うつもりはないのでありますけれども、地方財政法なんかにも国と地方との財政の負担区分、こういうものがあるわけでありますし、そうしたものはお互いにこれはできるだけひとつよく守っていく、こういうことが大事なことだというふうに思っていますけれども、こうした問題に対してどのようにお考えになっておりますか、ちょっとお伺いをいたしたいと思います。
  99. 萩原直三

    ○政府委員(萩原直三君) ただいま人権擁護委員のことにつきまして深い御配慮をいただきまして、非常にありがたいと思っております。われわれの人権擁護の仕事の一番大きな柱は人権擁護委員の方々の御活動でございまして、この方々が十分に働けるようにお仕事をしていただくようにするのがわれわれの努めと存じております。その人権擁護委員活動の経費につきまして、われわれもできるだけ増額について努力してまいったつもりでございます。  具体的な数字はすでに御承知かと思いますけれども、ここで説明させていただきたいのでございますが、まず昭和四十九年度でございますが、委員の予算定数が一万二百名でございまして、そのうち実費弁償金は一人年間六千九百円、合計七千三十八万円でございますが、そのほか、さらに委員旅費というのがございまして、これが二千二百九十六万二千円になっております。これらを全部合わせますと九千三百三十四万二千円という数字が出ております。五十年度予算案につきましては、できるだけ人数の点も、ただいま申し上げた費用の点も増額方をお願いいたしまして、人数の点につきましては一万四百名、それから実費弁償金の単価は九千円、合計九千三百六十万円で三二%の増加、さらに委員旅費は二千九百六十九万九千円、合計一億二千三百二十九万九千円、こういう数字が出ておりまして、不十分ではございますけれども、できるだけこの予算案が成立しました場合にはそれを活用するように努めてまいりたいと思っております。  さらに、地方自治体からの助成金の問題でございますが、ただいま御指摘がございましたように、各地方自治体からいろいろ物心両面にわたりまして援助をいただいております。私どもの考えといたしましては、人権擁護委員と申しますのは、御承知のとおり各市町村長の御推薦をいただきまして法務大臣が委嘱するという形をとっております。さらに、その御活躍の場所は各市町村の場所が単位になっております。そして、そのお働きの分野はすべてその地域の住民の福祉に役立つように、そして地方自治体から御援助いただいております金額はできるだけその地域に還元されるように努めております。われわれとしましては、できるだけこういうふうな形で委員の方の御活躍に支障のないように努めておりますけれども、ただ、私どもが委員の方々に接触いたしましたじかの感触を申し上げますと、私たちはボランティア活動をやっているのである、民間人として社会奉仕に努めているのであって、それに対する対価というものはあまり望まない、それがわれわれの本当の気持ちだということを言っておられるのでございます。この気持ちはわれわれとしても非常にとうといことであると思いまするし、この気持ちが十分に伸びるように、われわれはむしろその御功績に報いるような表彰その他の点で努力をいたしたいと存じております。ただわれわれの立場からいたしますと、できるだけそのようなお気持ちを尊重しながらも、礼を尽くすだけのことをいろんな形で努力を重ねていきたいと、かように考えております。
  100. 高橋邦雄

    ○高橋邦雄君 私も、ボランティア精神というのは大変大事な貴重な考えでありますし、いま連帯感の欠如というようなことが指摘されておるわけでありますが、そういうものはこれは尊重し、また敬意を表さなければならぬと思うわけでありますが、その活動に必要な最小限の経費を確保する、こういうこともまた一方では必要ではないか、こういう気がするわけでありますし、県や市町村が何がしかの負担をすることは、私は全くこれは筋違いだと言っているわけではないので、確かに県民、市民、町村民の大事な人権を守るという仕事でありますから、それはそれなりの費用を負担してもちっとも悪くないと思うのでありますが、国の方でも、これはこういう委員ができますとやはり連合会というようなものができて、そういうものがそれなりの活動をする、またそういう必要もあるということにもなるわけで、したがって、そういう団体、集まり、そういうものの活動に必要な経費というものも考えていただく必要があるのじゃないか、こういうことを申し上げたいのであります。重ねてその点ひとつお願いします。
  101. 萩原直三

    ○政府委員(萩原直三君) ただいま御指摘のとおりでございまして、その御趣旨に従って今後も努力を続けていきたいと存じております。  ただ、一言付け加えさせていただきたいのでございますが、先ほどの委員旅費と申しますのは、ただいまお話しの協議会あるいは都道府県連合会、全国人権擁護委員連合会等に委員の方々が御出席なさるときの旅費として差し上げておりまするし、それから研修等の場合もその費用を使っていただいております。しかし、これも決して十分とは申しません。われわれとしましては、ただいまお話のございましたように、今後もできるだけ努力を続けていきたいと存じております。
  102. 高橋邦雄

    ○高橋邦雄君 さらに人権擁護委員の活動の経費につきましては、ひとつぜひ御努力をいただきたいというふうに希望をいたしておきます。  保護司の実費弁償金につきましてもいろいろ問題がありまして、毎年、余りにこれじゃ少な過ぎるのじゃないかということで増額の要望がある。五十年度の予算ではたいへん御苦心をいただいたわけでありますが、どうも五十年度の予算に計上されたこの支給基準が、Aの場合は二千六百円である、Bが千三百円で、Cが千百円、こういうことのようでありますが、保護司の活動はたいへんな手間暇を費やす、また骨の折れる仕事でありますから、この保護司の実費弁償金というものにつきましても、さらにひとつもう一段と御努力をしていただきたいというふうに思うわけでございますが、この点につきましての考えを伺っておきたいと思います。
  103. 古川健次郎

    ○政府委員(古川健次郎君) お答えいたします。  保護司の各位は、犯罪者の更生保護及び犯罪予防活動に御尽瘁いただいているわけでございまして、われわれといたしましてもできるだけその御努力にはお報いしなければならぬと考えているわけでございます。御承知のように保護司法で、保護司各位には給与を支給しない、しかしながら予算の範囲内で、その職務を行うために要する費用の全部または一部を支給しなければならないと、こうなっておるわけでございます。この実費弁償につきまして、毎年鋭意努力をいたしているわけでございます。   〔理事白木義一郎君退席、委員長着席〕 いま先生御指摘のように、本年度は一件千九百円のものが本年昭和五十年におきましては二千六百円、昭和四十八年度から比べますと約五〇%の増ということで、これも従来から国会等で御激励いただきましたたまものと思っておるわけでございますが、しかしながら、保護司の方々はさらにそれ以上の負担をなさっていられるのでございまして、今後ともその増額にはさらに努力を続けてまいりたい、かように考えているわけでございます。  先ほど人権擁護局長からも、ボランティアの方々に対する報い方と申しますか、これをどうあるべきかということで話があったわけでございますが、われわれの方も保護司各位に報酬制を採用すべきかどうかも議論したことがございますが、やはり保護司各位は、人権擁護委員の方と同じように社会奉仕の精神に基づいてやっておるんだ、そういうことで地域社会の浄化、個人、公共の福祉に寄与するために働いている。で、保護司各位が必ずしも対価は要求しない、こういうお気持ちの方が多いわけでございまして、われわれといたしましては、実費弁償金の大幅な増額に努めている現在でございます。なお、それ以外にも、もちろんこれも保護司法に、法務大臣は保護司各位の業績について、保護司を表彰してこれを一般に周知させることに意を用いなければならないという法律の条文もあることでございまして、こういう点を活用いたしまして、できる限りの努力をいたしていくつもりでございます。  なお、さらに将来につきましては、昭和五十年度から長期展望に立ちました更生保護のマスタープランというものを策定いたしていきたい。これにつきましては、われわれの要求いたしました予算のほぼ金額を大蔵省が認めてくれましたので、早速来月からいたしたいと思っているのでございますが、このマスタープランには三本の柱がございまして、一本は保護観察官、もう一本は更生保護会、三本目の柱が保護司制度、これは保護司各位に対する報酬制の採用も含めまして、保護司の方々に対して今後どうしていったらいいかということを考えてまいりたいと、かように考えております。ぜひ今後ともよろしくお願いいたします。
  104. 高橋邦雄

    ○高橋邦雄君 もうこれで終わりますが、大臣に一つお願いをいたしたいのでありますが、いま話をいたしておりますように、人権擁護委員にいたしましても、保護司にいたしましても、裁判所の関係の調停委員、これも大変奮発していただいたわけでありますが、とかくほかのものに比べて法務省関係はどうも少し少ないのじゃないか、こういう声があることもこれもまた事実でありまして、いま各局長が言われましたように、ボランティア精神というのは非常にこれは高貴な精神ですから、敬意を表し、それを尊重しなければならぬと思うわけでありますが、一方においては、必要な最小限度の経費についてはひとつ国の方でも配慮を払う、こういうことが同時に大事ではないかという気がするわけでございまして、こうした問題について大臣のお考えをお聞かせいただきたいと思います。  私の質問をこれで終わります。
  105. 稻葉修

    ○国務大臣(稻葉修君) 最初の裁判官の充実、裁判の遅延問題に関する私どもの考えといたしましては、戦前に比し民事裁判の遅延が著しいように思うと、そのとおりだという裁判所側のお答えがありましたが、私はどうも感じとして、権利義務の所在の確定をするそういう民事裁判におきましては、人権尊重の上からやはり慎重にならざるを得ないという点が一つは遅延の原因でもあろうかと思いますが、また事件数が横ばいしても、そういうことはあるという話ですが、今後公害犯であるとか、独禁法がどうなりますか、それによって経済犯等が増加をいたしまして、やっぱり裁判の事務が忙しくなる、ますます遅延するのではないかというような懸念もございますし、佐々木さんの御質問にもありましたように、裁判官の人員増はもちろん、事務官、書記官等補助機関の充足もいまから大いに考えておかなければならぬ問題であるというふうに存じまして、せっかく最終の閣議のお世話は、裁判所の方のことも法務大臣が一番近い関係にあるものですから、閣員の一員として大臣折衝には臨むわけでありますので、気をつけて、来年の予算のときはどうなっているか、私かいるかいないかわかりませんけれども、それはよく次の大臣に申し送りをしまして、とぎれないようにいたしたい、こう思うのでございます。  人権擁護委員の報酬、実費弁償金等のお話がございました。萩原人権擁護局長からお答えしたような実数になっておりますが、まだ十分とは申し上げ得ないわけであります。社会奉仕活動を精神としておられるお気持ちはよくわかりますが、そういうお気持ちに甘える考えはない。こちらの方はこちらの方でそういうとうとい精神であればあるだけにきちんとしなければいかぬな、こういう精神でやってまいります。保護司についても古川保護局長のお答えしたようなわけでございますが、人権擁護委員にいたしましても保護司にいたしましても、お仕事の性質上そういうとうとい精神があればこそ非常に効力も上がるという面も私は見逃し得ないことだろうと思うのです。だからと言うて、私どもはそういう精神に甘えるつもりはございませんから、今後その額の増大等につきましては心してまいります所存でございます。
  106. 白木義一郎

    ○白木義一郎君 ただいま提案中の定員法の一部改正について、若干の質問をしたいと思いますが、提案理由の説明の中に「この法律案は、裁判所における事件の適正迅速な処理を図る等のため」と、このように言われております。国民といたしましては、現在の裁判の状況に対しては、非常に裁判の結論というものが時間がかかる、非常に裁判になると被告という立場から長い間拘束される、できるだけスピードアップすべきである、これは当然な意見でありますが、もちろん迅速だけであってはならないわけで、基本的な適正な裁判ということが最も重要であろうかと思います。その適正ということについても、国家的利益の立場からの適正と、また人権擁護の適正と、こういう両面があるわけでございますが、そこで今回の定員法、三名の裁判官と二十三名の職員を増加すべきであると、これで果たして適正迅速な処理が行われるとお考えになっているかどうか、まず最初にお伺いしておきたいと思います。
  107. 田宮重男

    ○最高裁判所長官代理者(田宮重男君) 御指摘のように、適正迅速な裁判というものこそ国民の信頼をつなぐゆえんでございまして、適正迅速な裁判を行うために、いろいろな角度から従来とも私ども努力してまいってきておるのでございます。  ただ、訴訟が非常におくれているということでございますが、これもたびたび申し上げていることでございますが、民事訴訟事件でございますと、一年以内に事件が片づくというのが、地方裁判所の場合には約六五%の事件がそのように処理されております。刑事訴訟事件で見ますと、六カ月以内に、半年以内に処理されているというのが、地裁の場合では約七五%処理されている、こういったような状況でございます。しかし、これはいずれにしましても平均的なものでございますので、新聞紙上等でしばしば報ぜられるような事件になりますとかなり長期の事件がございますので、特に世間で注目しているような事件がおくれているというようなことが、一般的には訴訟がおくれているという印象がかなり強いのではなかろうかと、こういうふうに思っております。しかし、もちろん戦前と訴訟構造等は違いますが、戦前に比べますと、今日の裁判のスピードは必ずしも時代にマッチしていない面のあることも否定できないと思うわけでございます。  それで、これに対する対策でございますが、対策の前に、この遅延の原因でございますが、最近非常に複雑困難な事件が非常に多いという点、それから先ほど大臣からもちょっとお話がありましたように、訴訟と申しますのは何と申しましても当事者同士の争いでございますので、一方は早くすることに利益を感じ、一方はおそくすることに利益を感じるといったような面もなきにしもあらずでございまして、最近のように権利意識が非常に高まるといったようなことも、訴訟遅延の原因ではなかろうかというふうな気もいたします。  もちろん、裁判官を充足するということによって、その処理体制を確立するということも必要ではございます。そのほか、補助職員等を充実すること、また、裁判手続等につきましても、合理化できる面は合理化するといったようないろいろな角度からその対策が必要であろうと思うわけでございます。特に最近目立った現象といたしましては、事件数が横ばいないしは減っているのにもかかわらず、審理期間が延びているといったような事件、状況がかなり目についてきております。こういうふうな面は、単に裁判所の人的、物的機構を充実するということだけで果たして解決し得るのかどうかといったような疑問も起きてまいっておりますので、そうした面も総合的にいろいろな角度からいろいろな角度から検討してみまして、今後対処していきたいというふうに考えております。もちろん、裁判官の充実ということも、その一端として当然考えていきたいというふうに思っております。  今回の増員で十分やっていけるかというお尋ねでございますが、私どもといたしましては、現在の事件の状況、それから裁判官の給源といったような関係からかんがみまして、現在の程度でも、十分やっていけるというふうに確信しております。
  108. 白木義一郎

    ○白木義一郎君 もうこれで十分適正迅速な裁判をやっていけると、こういうお答えがあったのですが、それだったら、われわれはもうこれ以上文句はないわけです。だけれども、先ほどからのお話を伺っていると、どうもなかなか職員といい、裁判官の絶対数といい、非常に不足なんだと、こういうように私は伺ったのですが、それで、これで大丈夫なんですかと念を押したわけなんです。そこで、もう今回のこの定員法の改正で大丈夫だというようなはっきりした御返事をいまいただいて、その辺はどうなんだろうと心配なんですが、もう一度その点端的におっしゃっていただきたいと思いますが。
  109. 田宮重男

    ○最高裁判所長官代理者(田宮重男君) 少し言い足りなくて申しわけございません。これだけですべて十分であるということではございませんで、先ほど申しましたように、補助機構を充実する、手続きを合理化する、それから事務能率器具等を整備いたしまして事務能率の改善を図るといったようなこと、それから裁判官の場合でございますと、給源の関係で一挙にふやせないという状況でございますので、せめて裁判官のそれぞれの負担をできるだけ平均化いたしたいということで裁判官の配置の適正を図るといったようなこと、それから特に複雑困難な事件が係属したというような場合には、ほかのところから裁判官を機動的にそちらの方に回して、事件の処理に支障のないようにする。今回の増員だけでやっていけるということではございませんで、そのほかいろいろな面からの施策を講ずることによりまして、それと相まって何とかやっていけると、こういうことでございます。
  110. 白木義一郎

    ○白木義一郎君 そうしますと、今回の増員で、いまおっしゃっなようないろいろなやり繰りをすればほぼ目的を達成できる体制で進んでいける、こういうようにお伺いすると、それでは、この五十年度の当初の要求が二十六人、それで当初の査定がゼロということは、政府が、裁判所はそう言っているけれども必要ないじゃないか、いまのままで十分やっていけるんだと、いやそういうわけじゃないというわけで最終の復活要求三人、じゃあやむを得なかろう、それで三人に落ちついた、われわれ単純に数字を見ると、そういうことになっているわけです。そうすると、どうもみんなそれぞれ忙しいのですから、最初から三人でやっていけるのなら、もう合理化を続けていきながらやっていかれると言うのならば、こういう二十六名の当初の要求というのはこれは一体何だろう、はったりなのか、それともそういう慣行になっているのか、それとも将来をおもんぱかって要求を出したのかと、こういうこれは素朴な疑問ですけれども、この辺ひとつこの疑問を解いていただきたいんですが。
  111. 田宮重男

    ○最高裁判所長官代理者(田宮重男君) 予算要求をいたしましたのは判事補十二名、簡易裁判所判事十四名、合計二十六名でございます。これらの裁判官の増員要求でございますが、これは、一般的に全国の裁判所の訴訟を促進する、裁判所全体の訴訟の迅速適正を図るといったような形での要求ではございませんで、たとえば判事補の場合でございますが、これは特殊損害賠償事件の処理ということで増員要求をいたしたのでございます。  この資料の二十一ページにありますように、地方裁判所に公害事件その他の特殊損害賠償事件、非常に複雑困難な事件がございますので、それに必要な人員ということで判事補の要求をしたのでございますが、これも要求は八月の段階でございますので、この種の事件が今後ふえるのではないかという予想のもとに増員の要求をしたのでございますが、その後特に事件がふえているということもございませんし、また一方、判事補につきましてはやはり給源の問題もございますので、そういった点を考えまして、今回はその増員を見送ったということでございます。  それから簡易裁判所の判事でございますが、今回予算で認められましたのは道路交通法違反事件の処理ということでございますが、そのほかに、実は民事調停事件処理の充実ということで十名の簡易裁判所の判事の要求をしたのでございます。これも昨年十月から新制度が発足いたしましたので、新制度のもとにおけるところの調停事件というものがかなりふえるのではなかろうかという見込みのもとに要求をしたのでございますが、この点も制度発足後まだ日がございませんので、事件数もそうふえていないということでございます。そのような関係で、調停事件の今後の推移を考えまして、事件がふえるといったような状況でございますれば、来年改めて予算要求をするということで、今回はこの十名の要求につきましては増員をしないということにいたしまして、結局、最終的には道路交通法違反事件の処理ということで簡易裁判所判事三名ということに相なった次第でございます。
  112. 白木義一郎

    ○白木義一郎君 そうしますと、当初のお考えとだんだん状況が変わってきて、そうして現在の定員改正でしばらく当分は適正迅速な裁判の運営をやっていける、こういうようにお答えいただいたわけですが、それが満足すべき状態なのか、それとも予算要求の段階においてやむを得ずここで落ちついたのだから、今回はこれでひとつ何とかつじつまを合わせてやらなくちゃならぬ、また次の機会にいろいろな方法を講じて充実していかなければならないというような現況なのか。先ほどから伺っていると、要するに適格者が少ない、要するに裁判官になる方が少ないのでなかなか増員ができない。増員ができないから充実したくもなかなかできないのだ、そういう面があると思うのです。  それからもう一つは、適格者がいても、それぞれいろいろ検討されて要求をされたけれども、予算の面で、金の面で非常に隘路があるのだというようなこともあるのじゃないかと思うのです。その点について、先ほどもお話に出ましたけれども、裁判官を希望する人、それから検事、弁護士志望、こういうように区分されていくわけですが、非常に弁護士志望が多いわけですね、極端に。この点はどういうふうにお考えになっていらっしゃるのですか。この裁判官の補充あるいは定員を、必要であるから定員が定められてあるわけですが、その増減も、増はなかなか大変でしょうけれども、いろいろな理由で定員が満たない。それを補充していくということについて、なかなか志望者が少ない。一方、それに対比すると弁護士志願が多い、そういう点を的確にとらえて、今後の増員あるいは充足等について対処しなければならないと思うのです。そういう意味でお伺いするわけです。
  113. 矢口洪一

    ○最高裁判所長官代理者(矢口洪一君) 修習生になっていただく方は、毎年、過去数年来を見てまいりますと漸増いたしてまいりまして、五百人前後ということで相当、十数年前に比べますと倍近い人数になっているわけでございます。その点から見てみますと、最終的に裁判官あるいは検察官を希望される方のその中に占める割合というものは、かなり御指摘のように低下してきております。  この点はどういう事情に基づくものかということの御質問と拝察いたしますが、私ども機会ありました際にも申し上げたかと思いますが、まず、修習生を御希望になる当初の将来の志望という点で見てまいりますと、最近、裁判官の場合でございますと、大体百四十人前後の方が最初は裁判官を希望するのだというふうにお書きになっております。ところが、二年間修習をおやりになっておりまして、最後の御希望ということになりますと、その数が七十名前後というところまで減ってまいるわけでございます。  これはいろいろの理由があろうかと思います。何と申しましても現在の世相と申しますか、そういったものが在野法曹の御活躍になる部面が広がってきている。そして、何ものにもいわば拘束されずに自由に仕事をおやりになる弁護士さんの活躍ということについての若い人たちのあこがれと申しますか、そういったものがかなり大きなウエートを占めた職業選択の事由になっておるということが一点あろうかと思います。しかし、私どもの方の立場から申しますと、法曹の活躍分野というものは何も在野だけではないわけでございまして、裁判官になりあるいは検察官になっていただいても十分そういった意味の、自分の良心に従った活躍というものはできるというふうなりっぱな方ができるだけ多く裁判官を志望していただくということに対しまして大きな期待を持ってきているわけでございます。  しかし、現実の問題といたしますと、たとえば在野法曹におなりになる方は東京に居を定めよう、あるいは大阪に居を定めようというふうにお考えになりますれば、ずっと終生その地でお働きをいただけるわけでございます。ところが、裁判官になりますとそうはまいらないわけでございまして、現在三年ごとに転勤をしていただいている。いろいろの経験をしていただく必要があるということもございまして、東京に三年おっていただく、あるいは大阪に三年おっていただくということをいたしますと、その次には九州に行っていただくとか、四国に行っていただく、北海道に行っていただくというような転勤の問題がございます。この転勤の問題は、お若い間はある意味ではいろんな土地を見ていただくという意味において好ましいのでございますが、子供さんの教育の問題でございますとか、年寄りの世話をしなければいけないという問題でございますとか、そういった問題と絡んでまいりますと、非常に一つの、その道にとどまる、裁判官にとどまるということの隘路というような形で出てまいるわけでございます。  そういったことは、修習生におなりになる際に抽象的にお考えになっております場合と、二年たちまして裁判所の中、弁護士会の中、検察庁の中というものを十分にごらんになった上で最終希望をお決めになります場合とではかなり違ってまいりまして、最終の希望は相当な現実性を持った考慮がなされるというようなことになるのではなかろうかと思います。少し口はばったいことを言わしていただければ、裁判官をおやりいただくということについての厳しさといったようなものもお考えの中には入ってきておろうかと思います。何はともあれ、そういうことがございまして、当初百四十人ぐらいの御希望の方が七十名前後に減っておるということでございます。  しかし、ここ数年詳細に見てまいりますと、その中にもある程度の変化があるわけでございまして、先ほど法務省のほうからもお答えがございましたが、裁判官の希望というものは、ここ数年を見てまいりましても六十数名というのが続いておりましたが、昨年は最終的に八十五名の方に裁判官になっていただいた、ことしもまた九十名の方が裁判官を希望していただいておるというふうな状況でございます。そういうことになりますと、一般の経済事情の変動といったようなこともあろうかとは思いますが、裁判官の希望者というものは、当初の希望者から現実の希望者になる、その減耗率と申しますか、減る率というものは若干ながらも詰まってきておるというふうに考えておるわけでございまして、こういった傾向はさらに、裁判官になられてからの転勤の問題でございますとかいろいろの点で妥当な配慮をいたしていくことによって、なお希望者の増大を招来することは不可能ではないのではないかというふうに現在希望を持っておるわけでございます。しかし、何はともあれ、やはり当初お考えになりました抽象的なことと、それから現実の二年の修習を終わられて、どちらの道に進むかということをお決めになります時点とではいろいろと問題が、いま申し上げたような点を考慮されてかと思いますが、変わってきておる、これが現状でございます。
  114. 白木義一郎

    ○白木義一郎君 私がお伺いしたいのは、そういう傾向をどういう方策をもって食いとめるか、むしろ最初は弁護士志望であったけれども、修習の過程において、いやおれは裁判官にどうしてもなるんだとか、あるいは検事になるんだとかいうふうに変わって、そしてそこで厳正公平なふるいにかけられたすばらしい判事ができてくることが、適正なまた迅速な裁判の理想を貫くのじゃないか、こういうふうに思うんですがね。ですから、私は法務大臣だとか橋本さんだとか佐々木さんなんか、みんな裁判官になっていってくれたらずいぶんすばらしいのじゃないかと思うんですけれども、だいぶ国会議員の中にも弁護士さんが多いんですね。ということは、えげつなく言えば弁護士の方がうまみがある、法務大臣にもなれると。ということは逆に考えれば、要するに待遇がよくない、こういうことになりはしないかと思うのです。  それについて、これは皆さんが一番よくおわかりだと思うんですが、この間ちょっと勉強させていただいたのですが、いまは亡き元最高裁長官の田中耕太郎氏、この方が昭和三十五年の一月一日の「年頭の辞」の中で、これは年頭の辞と言うにふさわしいかどうかというぐらい嘆いていらっしゃるわけです。最高裁長官が愚痴を言っているわけです。機構上は最高裁長官であるけれども、独立機関であるけれども、さっぱり独立してないんだ、これは何とかしなくちゃならぬし、してもらわなくちゃならぬと。その中で、これはだいぶ前のあれですけれども、最高権威ある最高裁の長官の年頭の辞ですから一度お読み申し上げておきたいと思うのです。   新規な構想を立て、それを続々実行にうつし て行く政治や行政の部門とはちがって、我々裁 判所関係者の年頭の希望には何等の新味もある 筈がない。それは毎年のように強調してきた法 の支配の徹底や裁判所の充実強化という一般的 の方向以外のものではない。   裁判所の人的物的要素を完備するため、とく に法廷を増設したり、裁判官やその他の職員の 待遇を改善したりするためには、予算が必要で ある。ところで三権の一の担い手である裁判所 は、現状では、予算編成に関するかぎり政府国 会と対等の地位にあるかないかなど問題ではな く、各省よりもはるかに不利な立場におかれて いるのである。   裁判所予算が難行すると、閣議において代弁 者をもたない裁判所として、表て向になし得る ことは最高裁判所長官が内閣総理大臣に要望し 、また適当な機会があれば大蔵大臣に意向を伝 える位なことである。これが効果的であるかど うかは、一つにその時々の当局の理解の程度か にかかっているわけである。結局問題は大蔵省 予算関係当局と裁判所側経理関係当局との各省 並みの事務的折衝にうつされてしまう。その結 果が如何に不満であっても、どうすることもで きない。財政法第十九条の二重予算は、現下の 実状では伝家の宝刀の働きをしているかどうか 疑わしい。裁判所は予算的には、独立どころか 全く政府に、その一部門に隷属しているのであ る。   一体内閣総理大臣や両院議長がその所管事項 に関する予算問題について、苦慮している話を きいたことがない。一人最高裁判所長官だけ何 故に苦労させられるのであろうか。苦心の甲斐 があればまだしもであるが、例年の経験ではそ の効果はほとんど認められない。これは裁判所 の地位から我慢できないところである。   本年度の裁判所予算の総額は、国の総予算額 の〇・八七六%にすぎなかった。それをせめて 一%まで引き上げることは、「法の支配」の重 要性、司法の憲法上の地位から当然の要求とい えないであろうか。政府や大蔵当局が、風水害 対策について万善を期するのは当然であるが、 今国家社会を荒しまわっている実力乃至暴力の 支配という精神的な災害への対策が、有形的な 災害の対策に決しておとらない位重要性をもつ ことを意識しなければならない。これに気づく ことが政治家に要望されるところの感覚である 。   私は既往十年間の自身の経験からして、将来 の長官が予算問題で毎年悩まされないですむよ うに、何等かの制度上の改革がなされることを 切望せざるを得ない。  これが亡き田中さんの「年頭の辞」であります。非常にわれわれの言い方で言えば、らしからぬ泣きごとであり、愚痴であり、嘆きであるけれども、このとおりであれば、これはもう司法の独立なんというのは文字だけであって、形式だけあって、その実質は伴わない。そういうところにいつもいつも適正迅速を望んでということが繰り返されているのじゃないか、こういうように思います。  それで、時間もございませんのでまた次の機会に詳しくお尋ねしたい点でございますけれども、この点について法務大臣、またあるいは将来長官になられるであろう方々の御意見を伺って、次の機会に譲りたいと思います。
  115. 大内恒夫

    ○最高裁判所長官代理者(大内恒夫君) 田中元最高裁判所長官の「年頭の辞」を私どもも拝見しておりますが、ただいま白木委員が全文をさらにお読みいただきまして、感概を新たにいたした次第でございます。  昭和三十五年と申しますと、裁判所の、たとえば一例を挙げますと、庁舎の状況などがまだきわめて劣悪な状況にあった当時でございまして、たとえば東京におきまして、東京地方裁判所、東京家庭裁判所あるいは司法研修所、家庭裁判所調査官研修所、昭和三十五年当時はいずれも現在のような形ではございませんで、きわめて老朽狭隘なる状況のもとにあったわけでございます。まして全国の裁判所におきましては、本庁の庁舎はもちろんのこと、支部、簡易裁判所に至りましては戦前の木造庁舎の非常に古い状態のままに残っておったという状況でございまして、法廷も数も少なくて、開廷にも支障があるといったような状況であり、また裁判官の部屋なども、場合によっては机を共用しなければならない、したがっていわゆる裁判官宅調というふうなこともあったというふうな状況でございました。そういう状況でございましたので、やはり当時裁判所当局として非常に改善しなければならない、それが焦眉の急であるといった状況でございましたことは、私ども振り返りましても十分に理解のできるところでございます。田中長官として、やはり裁判所の予算の充実ということが当面最も重要な課題であるというふうにお考えになったことも十分理解できるところであった、かように感ずるものでございます。  その後、幸いにいたしまして庁舎の改築も順調に進み、また、裁判官室の整備等につきましても一応軌道に乗ってまいりました。今日では、おかげさまでその当時に比べますと隔世の感があるような状況になってまいりました。しかし、ただいま白木委員の仰せのように、裁判所の予算につきましてはさらにきめ細かくいろいろな方面において努力しなければならない問題はあるわけでございます。私どもといたしまして、財政法第十九条によって認められております私どもの特殊の立場というものを十分に念頭に置きまして、今後とも裁判所の人的あるいは物的両方面にわたりましてきめ細かく対処してまいりたい、かように考える次第でございます。
  116. 稻葉修

    ○国務大臣(稻葉修君) 白木さんがお読み上げになりました三十五年、田中耕太郎先生の「年頭の辞」でございますが、大変に私は同感でございます。ただ、いまの時点に当てはめて必ずしも全部同感というわけにはいかない点がありますが、それは、予算の編成、予算の足実に関する限り立法や行政機関のようなわけにはいっておらぬ、しかも内閣総理大臣は裁判所の予算については苦慮しておらぬ、こういうこと、その当時はあるいはそう言われてもしようがないなと思う点もあったのですが、現在ではそんなものではありません。  いままで、私も自由民主党の法務部会、こういうのに所属しておりましたが、裁判所の予算などを獲得してみてもなかなか選挙につながらないものですからというような気分が、悪い話ですけれども、なきにしもあらずということでございましたが、現今はだいぶ事情が違ってまいりまして、ここにおられる両先生のごときは、今度の予算獲得には私はずいぶん突き上げられました。そういうずいぶん熱心な方がおられてありがたいなと、ことにまた野党の皆さん方からも大変な激励を受けて、しっかりやれというようなことでやっておりまして、しかし裁判所の予算の原案は、あくまでも独立の機関たる最高裁判所が全く独自の判断で内閣に御提出になるわけです。したがって、裁判所の大蔵省、財政当局に対する予備的折衝も、最高裁判所の事務当局のこういう方々がおやりになるわけであって、法務当局がこれに介入するべきものではございませんことは御承知のとおりです。ただ、先ほども高橋先生の御質問にお答えしましたとおり、最終のときに、予算案を作成するのは内閣の責任でありますから、内閣としての意思決定の段階において、つまり大臣折衝の段階あるいは閣議決定の直前、法務大臣は内閣の閣議の一員として、また裁判所の所掌事務に最も近い関係にある法務を担当する大臣として裁判所の正当な要求が正しく理解されるように協力をしてまいっておるわけでございまして、いまだかつて一度も最高裁判所長官の提出された歳出見積もりを内閣において減額するようなことは全然ないわけです。したがって、二重予算というようなこともいままでは必要なかったわけでございます。  そういう状況でございまして、しかし熱心だ熱心だと言ったって、結局裁判官のことしの人数、二十六人が三人になったじゃないか、なに言っているのだ、こういうおしかりになろうかと思いますが、それはまあそのとおりでございまして、その辺のところは、もうすでに大臣折衝のときには経理局長と財政事務当局との間にそういうように話がついてしまったというのだから、それ以上私はがんばるわけにもまいらぬわけですね。そんなような状況でございまして、言いわけするわけではありませんけれども、決して、田中耕太郎先生が言われるように内閣が裁判所の予算なんかについてはさっぱり見向きもしない、不熱心だ、代議士もそうで、こんなものは票につながらぬから不熱心だということは、現在のわれわれとしてははなはだ残念に思うわけです。当時はそれで当たる点もあったかとも町いますが、そういう感想を持ちます。  以上お答え申し上げます。
  117. 白木義一郎

    ○白木義一郎君 私は、時間があれば続いて伺いたいのですが、この財政法十九条の問題については、私はここでも長官が「三権の一の担い手である裁判官は」こういうふうにおっしゃっておりますので、そういう立場から、十分な裁判の効果を国民のために発揮するには、独立機関としての裁判所が充実をするためには、予算関係についても、最高裁の方で組んだ予算に対して、これだけ必要なんだといった場合に、むしろ政府の方が実は全体の予算の関係でかくかくしかじかでそこまではできない、どうかこれでがまんしていただきたいというようなことを田中さんが「伝家の宝刀」云々と、こう言っているように思うのですが、いま、昔から比べるとずいぶん設備その他充実してきたと言いますけれども、銀行なんかと比べるとはるかにおくれているわけですね。そういうところに裁判官の不足あるいは修習生が途中から半分は気持ちが変わって弁護士志望になってしまうというような点がからんでいるのじゃないか、そういうことでお伺いしたわけですが、きょうは私の時間はございませんので、また次の機会に詳しくお伺いしたいと思います。
  118. 橋本敦

    ○橋本敦君 まず法務大臣、私は、与党の席を見てほしいのですけれども、与党の委員の中できょう出席していただいているのは理事の高橋先生と永野先生だけです。きょうは政府提案の裁判所定員法の改正について審議をするということで、自民党の理事の方からぜひきょう審議をやりたいという強い要望があったのです。いろいろな事情がありましたけれども、私ども野党としても審議を尽くすということをこれはやるべきだという立場でやっているのですけれども、政府提案の法案について審議が行われるときに、九名いらっしゃる自民党の与党委員が、お気の毒に高橋先生と永野先生だけを代表みたいにして出席をさせて、出席をしていない。大臣以下、法務省も裁判所も真剣にお答えになっていますよね。こんなことで法務委員会、いいかどうか。まず大臣のお考えから私はきょうは聞きたいと思います。
  119. 稻葉修

    ○国務大臣(稻葉修君) 橋本さんのおっしゃるように、がらっとあいております。遺憾に思うわけでございます。政府の与党でございますから、政府提案の法案の審議がこういう状態でありますことはまことに遺憾でございまして、私からも党の参議院の国対委員長にひとつ、きょうは共産党の橋本委員かやえらくやっつけられたよ、ごもっともだと思うよということを申しますし、永野先生、高橋先生両理事さんがおられますから、このお二人にもどうかお願いを申し上げまして、与党の委員の出席がよくなりますように御協力をお願いする次第です。そういうことでございます。
  120. 橋本敦

    ○橋本敦君 こんなことなら、政府提案の法案の審議ということでわれわれも真剣に考えなくちゃなりませんですからね。そこは大臣のいまのお考えもわかりましたので、委員会をちゃんとやるように、特に自民党、与党としてお願いをしておきたいと思います。  私は、きょうは全司法の職員団体の問題についてお伺いする予定なんですが、その前に、きょうの審議を伺っておりまして、まず最初に最高裁にどうしても要望しておきたいと思います。それは、たとえば佐々木さんやあるいは白木委員その他からもお話が出たのですが、ことしの予算要求が四百四十六名を要求して、そうして本当に一部認められたにすぎない。この関係は、昨年実績は判事補二名、簡裁判事三名、職員二十五名ですから、昨年実績よりも下回っているわけですね。結局四百四十六名の増員を要求されたのはそれなりの根拠があったわけで、皆さんが御心配なさってこれでやれますかと、こういうふうに最高裁へ伺いますと、何とかこれでやれます、あるいは十分に近いような御意見が出てくる。これはやっぱり私は問題だと思うんですね。最高裁自体がこのような経過になってきた事実を明確にすると同時に、これで十分ではないということははっきりしているのじゃないか、やっぱり正直におっしゃって、ことしはこういう都合でこうなったけれども、最高裁としては不満なんだ、引き続き増員については積極的にやっていくと。何とかこれでいけますというようなことを委員会で公式におっしゃっていますと、これは政府に対する予算要求だって腰が強くならぬと思うんですよ。われわれ、きょうの議論をお聞きいただいてもわかりますように、与党の高橋先生も含めて、佐々木先生にしても、白木先生にしても、私にしても、最高裁の予算の拡充は大事じゃないかという観点で言っておるときに、最高裁が、これだけ減らされて、いやこれで何とかいけますという十分に近いお答えをなさる、これは問題があると私は思うんですね。だから、そういう意味で、本年のこの実績は昨年よりも下回っておるし、四百四十六名という増員要求から見たらもう問題にならぬくらいしか認められていないけれども、最高裁、本当にこれで満足なのかどうか。矢口人事局長で結構ですけれども、満足なのかどうか、ここではっきりおっしゃっていただきたいと思うんです。
  121. 矢口洪一

    ○最高裁判所長官代理者(矢口洪一君) 予算の当初要求、それから最終的な御審議をお願いしておる人数の差というものは、御指摘のとおりでございます。私ども、その中心をなします裁判官ということに限って率直なところを申し上げるといたしますれば、優秀な裁判官の方にできるだけ多くおいでいただきたいというふうに考えて、日夜その点に努力しておることも全く事実でございます。ただ、先ほども佐々木委員の御質問に対してお答え申し上げましたが、充員ということを裁判官の場合にはどうしても特に強く考えていかなければいけません。充員計画というものが人事の面から見てまいりますと大きな問題でございまして、そういった点とにらみ合わせて最終的な要求というものを決定していく、こうせざるを得ないわけでございます。きまりますれば、その充足ということについては全力を挙げるつもりでございます。また、裁判官の希望者が年々ふえていくということになりますれば、それに対する手当てというものは十分いたしていきたい。そのことのためには、予算獲得の段階等におきましてあたうる限りの手段で努力をいたしまして、決して、裁判官の希望者及び適格者は非常に多い、しかし予算がないために、予算定員が不足するために裁判官になっていただけないと、そういうような事態にはならないように、これは今日も全力を挙げておりますし、今後も全力を挙げていきたい、このように考えております。
  122. 橋本敦

    ○橋本敦君 それはわかるのですけれども、私は次の質問に入るために、結論だけで結構なんですがね、矢口人事局長は、ことしの予算要求とそしてここで出されてきた結果から見て、これで御満足なさっていますか。いやいやこれでは、やっぱり最高裁はもっとほしかったんだという一言があるんですか、どうですかということなんですけれどもね。そこだけです。
  123. 矢口洪一

    ○最高裁判所長官代理者(矢口洪一君) 充員の関係、主としてそうでございますが、充員の関係から見まして本年度やむを得ざるものというふうに考えております。
  124. 橋本敦

    ○橋本敦君 気持ちがよく通じないように私は思うんですがね。親の心子知らずというほどではないけれども、皆さんが心配していらっしゃることがもっと積極的に通じるように、ひとつ検討していただきたい。まあこれはこれで終わります。  私は、きょうは裁判所職員の職員団体の構成について、いわゆる指定管理職ということで組合員資格を外す制度、これが昭和四十一年から最高裁規則でなされておるわけです。これに関連してお伺いをしたいと思います。  まず最初に、この制度が発足をした当時、職員構成の中で指定管理職の範囲が何%程度であったか、そして現在、四十九年度でけっこうですから、何%ぐらいに――私は増大しているというように聞いておりますか――なっておるか、まずこの数字からお示し願いたいと思います。
  125. 矢口洪一

    ○最高裁判所長官代理者(矢口洪一君) 昭和四十一年度発足当時の正確な数字といたしましては一四%でございます。現在、と申しましても、五十年度の増員が認められたという点を除いてでございますが、現在の数字といたしましては一六・四%ぐらいに相なっておろうかと思います。ただ、随時数字が移動しておりますので、正確な数字はちょっと私どもも把握いたしかねる面がございます。
  126. 橋本敦

    ○橋本敦君 いまの数字は全職員対比ということですか。裁判官等を除いた数字ですか、入れた数字ですか。
  127. 矢口洪一

    ○最高裁判所長官代理者(矢口洪一君) 裁判官は除いてございます。
  128. 橋本敦

    ○橋本敦君 そういたしますと、裁判官を含むとすればどのくらいのパーセンテージになりますか。
  129. 矢口洪一

    ○最高裁判所長官代理者(矢口洪一君) 先ほどの留保を申し上げました点も同じくそうさせていただくということを前提にいたしまして、二五・四、五%になるのではないかと思います。
  130. 橋本敦

    ○橋本敦君 言うまでもありませんが、指定管理職の範囲を拡大いたしますと、それだけ職員組合の団結権が縮小されるという問題と密接にかかわっておるわけですね。したがって、労働組合の団結権を尊重するという立場から言えば、この指定の範囲ができるだけ少ないことが望ましいという考え方が一つは出てくる。労働組合もそういう要求をしている。そこで、裁判所関係と各省庁との比率を比べてみたいと思うんですが、たとえば昭和四十八年度の人事院の年次報告書によって見ますと、各省庁の指定率のパーセンテージが、平均して一〇・五%という数字が出ているわけです。そうしますと、最高裁の指定率はこの各省庁の平均指定率一〇・五三%を上回っておる数字になっております。それだけ計数的にいえば裁判所関係では指定管理職の範囲が大きいという問題がありますね。これはなぜ各省庁に比べて裁判所がこのように指定範囲が大きいのか、特段の理由があるかどうか、まずお聞かせ願いたいと思うのです。
  131. 矢口洪一

    ○最高裁判所長官代理者(矢口洪一君) 御指摘のとおりの数字であろうかと思います。裁判所の場合に、やはりそれだけの事情があるというふうに私どもは考えております。その事情でございますが、結局、裁判所はある意味では非常に頭でっかちの官庁でございます。しかも、裁判官がそれぞれ独立して仕事をいたしておりますために、裁判体というものを考えさせていただきますと、裁判官の数だけ裁判体というものがある、極端に言えばそういう状況でございます。高等裁判所等合議で仕事をいたしますので、そのとおりに裁判官の数だけというのは少しオーバーな言い方であろうかと思いますが、極端な言い方をさせていただきますればそのような状況でございます。そうして、それに裁判部門の職員がそれぞれ、数は多うございませんが、これについて一体となって仕事をいたしております。そうして各裁判体の間には何の連絡もないわけでございます。これは独立して仕事をするということからくる当然の帰結でございます。そういうことになってまいりますと、各裁判体が一つの組織の最小限度の単位をなしており、その単位ごとにそれぞれの管理的業務を行う職員というものを必要とするということになってまいりますと、勢い管理的な職種の職員というものの全体において占める比率が多くなってくる、こういうことであろうかと考えます。
  132. 橋本敦

    ○橋本敦君 いまの御説明は必ずしも私は納得できない部分があるんですが、たとえば他の省庁の場合はだれが指定管理職の範囲を定めるか、こう言いますと、使用者たる当局が定めるのではなくて、人事院が人事院規則一七-〇によって決めますね。言ってみれば第三者機関が判定をするという機能を負わされている。ところが、最高裁の場合はそういう第三者機関がありませんから、使用者であるという立場に立つ最高裁当局が最高裁規則で決めるという形になっているわけですね。こうなりますと、いわゆる団結権を守るということでの第三者機関のチェックが入ってこないという特殊の機構になっている。この点は私は制度上の重大な欠陥だと思うのですけれども、それだけに、最高裁自体がこの指定範囲を定めるについては、団結権を尊重するという立場にどれだけ立つか立たないかということが一つの重要な問題になってくる。  そこで私は伺うのですが、具体的に裁高裁がこの規則で指定をしている内容として、労働組合法で言う管理監督の立場に立つ者という概念がストレートに適用されているのかいないのかという問題があると思うんです。たとえば最高裁は主任書記官を指定していらっしゃいますね。主任書記官というのは、これは首席書記官とは違って、主任書記官という立場で、一般の書記官でなくて主任書記官であるということになった場合に、機構上、部下職員というものがあるのかどうか、そして労働関係上でどのような管理監督的立場に部下職員に対して立つのか、これは私は問題があると思うんですね。そこらあたり、最高裁はいまどうお考えになっていらっしゃいましょうか。
  133. 矢口洪一

    ○最高裁判所長官代理者(矢口洪一君) まず、一般的な問題といたしましては、先ほど申し上げましたように、裁判体が独立している、その裁判体の裁判官を除く長と考えられる主任書記官は管理監督の地位に立つと、このように考えております。しかし、これにつきましては実情必ずしもいま申し上げたところにとどまっていないという実情がございます。これは橋本委員もつとに御承知のところだと思いますので、繰り返しここで申し上げることはいたしませんが、そういった点に主任書記官としても問題がないわけではないというふうに私どもも考えております。
  134. 橋本敦

    ○橋本敦君 したがって、一般原則としての労働組合法の立場から言いましても、管理監督的立場にある職員というものは、具体的な職務と労働関係上の関係で決めていかなければなりませんね。だから、主任書記官全部が指定から外されるのが当然だということにならないということはわかるのですけれども、そうすれば、どのようにこれをチェックをして指定範囲を減らす、というより、むしろ指定範囲を厳正に団結権を擁護するという立場で考えるかという問題になりますと、最高裁としては現在、主任書記官の問題についてどのような考慮をなさっていらっしゃるか、もし御意見がありましたら伺いたいのです。
  135. 矢口洪一

    ○最高裁判所長官代理者(矢口洪一君) 主任書記官の問題に限ってのお尋ねでございますので、その点に限らせていただいてお答えを申し上げたいと思いますが、いまも申し上げましたように、問題がないわけではないという認識は十分に持っております。具体的に申しますと、一つの部に主件書記官が一名とは限っていないというところが相当数ございます。そういった場合、これはやはりいわゆる規則の趣旨、制度の趣旨から申しまして十分の検討をいたさなければいけないものと考えております。
  136. 橋本敦

    ○橋本敦君 その次に、次席書記官という制度ができておりますね。この規則を見ますと、次席書記官というのは指定の範囲に入っていない。で、この次席書記官というのは実際に組合に入っておられない方が圧倒的である。なぜそうなっているかと言いますと、私は、まず主任書記官を管理職に指定をして組合から外す、その主任書記官の資格を持った方の中から次席書記官を御選任なさるということから、指定範囲に入っていないけれども、組合に入っていない方が事実として多いという結果ができているというふうに私は理解しておりますが、そういう理解でよろしいですか。
  137. 矢口洪一

    ○最高裁判所長官代理者(矢口洪一君) 次席書記官は首席書記官を助ける地位にあるわけでございます。したがいまして、昇進の一般的なコースとしては御指摘のとおりでございます。  問題は実は次席書記官、当然この指定の範囲に入れるべき職種であると私ども考えておりますが、あるいは後ほどお尋ねがあろうかと思いますが、現在のところ指定の範囲に入っておりませんので、そういった点についても早急な検討を行うべきものと考えております。
  138. 橋本敦

    ○橋本敦君 そこで、いまの検討ですが、たとえば人事院規則の関係で言いますと、四十一年に制定されてから十数回改正されておりますね。ところが、最高裁は今日まで改正ということがなされていない。ほとんどなされておりませんね。したがって、いま私が申し上げましたような実質的に職員団体の団結権を擁護する立場と、次席書記官に見られるように、合理的に最高裁自体もまた検討しなければならない面も含めて、これは当面改正の要があるというように私は見ておりますが、その点はいかがでしょうか。
  139. 矢口洪一

    ○最高裁判所長官代理者(矢口洪一君) 御指摘のとおりに考えております。
  140. 橋本敦

    ○橋本敦君 そこで、その改正の問題なんですが、本来労働組合が組合員の範囲をどのように定めるかという問題は、これはいわゆる団結、自治という立場で労働組合自身が決める権限があるというのが憲法二十八条の団結権保障のたてまえではないか、これは原則ではないかというふうに私は思っておりますが、そういう考え方に御賛同いただけましょうか。
  141. 矢口洪一

    ○最高裁判所長官代理者(矢口洪一君) 管理職員等の指定の問題は、法律的には国家公務員法百八条の二の問題でございまして、百八条の二に定めております規定の適用の問題として考えるべきものと考えます。ただ、その結果といたしまして労働組合員から外れるわけでございます。労働組合の意見というものは十分聞かなければいけないと考えております。
  142. 橋本敦

    ○橋本敦君 私がお答えをいただきたかった点も、細かい法律論争よりも、むしろ労働組合の本来の団結権にかかわる問題ですから、改正等については組合の意見を十分に聞く必要があるということを申し上げたかったわけで、そういう趣旨のお答えをいただいたから、それはそれでいいわけですが、たとえば人事院規則が各省庁に関連して十数回改正をされている手続を見ますと、やっぱりそこで当局と労働組合との協議、それを聴取した人事院の方の規則改正という手続がとられているようなんですが、こういう手続が他の省庁でも組合員の意見を聞くという立場でとられていることは、矢口局長も御存じでしょうか。
  143. 矢口洪一

    ○最高裁判所長官代理者(矢口洪一君) 人事院が各省庁の申し立てによって、その都度規則を改正なさっておる。その際、組合員の意見が何らかの方法において聴取されておるというふうに承知いたしております。
  144. 橋本敦

    ○橋本敦君 そこで寺田事務総長にお尋ねをしたいのですけれども、私の伺うところによりますと、七四年、昨年でございますね、全司法の労働組合のさまざまな諸要求が提出をされまして、交渉に際しましてこの問題も提起をされ、そして全司法の中央執行委員の皆さんと、それから裁判所の方は事務総長はいらっしゃったかどうか、私そこまで確認しておりませんが、最高裁側との間で確認がなされたというように私聞いておりまして、それを読んでみますと、次席書記官が新たにできたことであり、次席を指定することについて協議の申し入れを正式に組合が行い、一般論として指定管理職の数はこれ以上ふやすつもりはないという最高裁の意向が表明をされた。組合が問題にしているのはもちろんその数でありますけれども、協議に当たっては、組合が一部の指定解除、指定範囲の縮小の立場で臨むということを最高裁も御理解願ってこの協議を進めて善処をするというような大体の方向が出たというように私組合から聞いておりますが、その点は間違いございませんか。
  145. 寺田治郎

    ○最高裁判所長官代理者(寺田治郎君) ただいま橋本委員からお話のございました点は、おおむね私の就任前のことでございますので、人事局長から、まず事実の経過について答えさせます。
  146. 矢口洪一

    ○最高裁判所長官代理者(矢口洪一君) 昨年度の事務総長と組合との団体交渉におきまして、私どもの方から、次席書記官を管理職員等の指定の範囲に加えるということについて組合の意見を聞きたいという申し入れをいたしました。それに対しまして、組合側も主任書記官等に問題があるので、その点もあわせて検討されるべきであるという意見が出まして、その意見を了承しながら検討するということについて私どもも話し合いができたというふうに考えております。  それから次の一点でございますが、これ以上管理職員等の数をふやすつもりはないというふうに申しました。別の言葉で言えば凍結ということでございます。それも事実でございます。
  147. 橋本敦

    ○橋本敦君 一般的に言えば、私は、最高裁は当然憲法を擁護する先頭に立たなければならないと思います。そういう立場で言えば、公務員労働者は憲法二十八条に言う勤労者であることは累次の最高裁判例が示すように明らかですから、憲法二十八条の立場で全司法労働組合の団結権を尊重するという姿勢が当然要ると思うわけですね。  そこで、いまこの団結権の問題について、指定管理職の範囲を組合が縮小することを要求している立場で、最高裁としては主任書記官も含めて善処をし、合理的な規則をつくるように組合とも協議をするという姿勢であることはよくわかりましたが、最高裁としては、この協議に基づいて積極的に規則の改正を含み、指定管理職の範囲を、特に問題のある主任書記官その他について、いつごろをめどとして作業をおやりいただく御予定があるのか、具体的なめどがありましたら、お聞かせ願いたいと思います。
  148. 矢口洪一

    ○最高裁判所長官代理者(矢口洪一君) 折衝の過程の問題でございますので私からお答えを申し上げますが、そのような話し合いに基づきまして、昨年の秋から折衝に入ったわけでございます。資料の問題でございますとか数字の問題でございますとか、いろいろ具体的にはむずかしい問題がございまして、課長の段階における折衝でございますが、三度ほどこれまでやっておりますが、不幸にして新年度までには最終的な話し合いがつきそうもないという状況でございます。  しかし、先ほどもお答えを申し上げましたように、管理職員等の範囲の凍結ということを私どもの方からむしろはっきり申しておりますので、これに関連しまして、新年度、別途の観点でございますが、管理職の範囲の拡大――これは管理職員等ではございません、いわゆる管理職手当をもらう職員の範囲の拡大という問題がございます。職員の待遇の点から言いますと、一刻も早くそういうふうにして取れましたこの管理職手当は職員に支給してやりたいという面がございます。そこで、どうしても暫定的に管理職員等の範囲、数はふやさないで、管理職手当を支給できるという措置を講ずる必要がございます。いま、きょう現在の問題としましては、その点について早急に組合の良識ある判断を得て、同意を得て、とりあえず暫定的な手当を加え、しかも、できますことならば自分の方針をはっきり外に出すというような意味もありまして、これには半年なり十カ月なりの期限をつけるというような形で、本来の管理職員等の指定の範囲の改正に関する問題も、できるだけ早い機会に決着をつけるように精力的に取り組みたいと考えております。
  149. 橋本敦

    ○橋本敦君 そのお立場は理解ができるわけですが、労働組合が問題にしている、他の省庁と比べても範囲が広いという問題、具体的にやはり問題があるという問題、指定管理職の範囲を合理的に縮小ということを目指して作業をやっていただきたい、こういうことですね、私の要望は。  ところで、もう一つの問題は、全司法労働組合が組合としての要求を出して活動します場合に、指定管理職ということで外された方たちが、必ずしも人事課あるいは労働関係上の職務上の責任を負わないにかかわらず、当局から労働組合の活動について、それを監視をするとかあるいは制約をするために職務上の指示で動員をされるということを私聞いておるんですが、私はそれは、職務上の指示としては、本人の方の労働関係上の規律を維持する職務上の責任にない事柄を押しつけることになると思うんです。こういうことを私はすべきでないと考えておりますが、そういう実情があるかどうか。あるとすれば改善なさる御意思があるかどうか。これは総長もしくは局長からで結構ですが、お考えを承りたいと思います。
  150. 矢口洪一

    ○最高裁判所長官代理者(矢口洪一君) 管理職員等の指定の問題は、いわゆる労組法二条、あるいは国家公務員法百八条の二に規定する規定の運用上の問題でございますが、しかし一方、組織として役所がございます以上、組織のもとにおける、たとえば課長、課長補佐、係長といったような職制というものがあるわけでございまして、職制の系列にある者必ずしも全部が外れるというわけでもございません。逆にまた、職制の系列にある者全部が組合員というわけでもないわけでございます。その辺の接点の問題であろうかと思います。具体的には、御質問いただくお気持ちはよくわかるわけでございますが、一線の問題といたしまして、たとえば違法なと私どもが考える組合活動が行われるというような場合に、これに注意を与えるということは、職制の面からいきますと、組合員であっても、場合によってはやむを得ない場合があり得る、こういうふうに考えております。
  151. 橋本敦

    ○橋本敦君 職制の場合、組合員であってもやむを得ない場合があり得るのは私もわかるんですよ。私が聞いているのは、例を主任書記官の場合にとって言いますと、主任書記官がそのような指示を受けて――指定管理職にされているというたけで組合から外されているというだけならいいですよ、外されている以上に、課長とかあるいは部下を掌握するという責任がないにかかわらず、労働組合活動の監視、警告その他の行動に動員される例があると私聞いているものですから、そういう場合は問題ではないかという意味で申し上げているのですが、その点はいかがなんですか。
  152. 矢口洪一

    ○最高裁判所長官代理者(矢口洪一君) 問題は、やはりもとに戻りまして、主任書記官の性格というものをどのようにとらえるのかということでございます。先ほども申し上げましたように、一つの部に人数が多いということによって、主任書記官が何名もおるような場合、その全員がいわゆる課長あるいは課長補佐のポストに当たると言えるかどうか、これは一つの問題であろうかと思いますが、しかし、一つの部の最上級の責任者である主任書記官であります場合には、これは行政部門で言いますと、場合によっては課長に当たるという場合もあるわけでございます。私どもも、通常の主任というものを、一人の主任というものを考えます場合には、むしろ課長あるいはそれに準ずるものというふうに考えておる。といたしますと、やはり当然、いま申し上げた課長の例で申し上げたところが妥当するのではなかろうかと考えております。
  153. 橋本敦

    ○橋本敦君 わかりました。したがってケース・バイ・ケースでとらえる必要があるということですよね。したがって、いまおっしゃった特別の主任書記官が一人であり、実質的に課長の職務を代行せねばならぬというような部門ではなくて、主任書記官が何名もおられるというような大きな部門では、主任書記官がそのような労働組合対策に当たらねばならぬということはこれは問題がある、これはお認めいただけますね。その点いかがですか。
  154. 矢口洪一

    ○最高裁判所長官代理者(矢口洪一君) 実は、私どもの実情といたしましても、そういった点について検討をし、実情をつぶさに分析しておる状況でございます。同じ部と申しましても、多い部になりますと数十人の書記官、事務官がおるところもございます。こういう場合には一人で足りるかどうか、これは問題でございます。課と申しましても、数名の課員しかいない課もございます。非常に数の多い課もございます。したがって、そのあたりのところ一概に何とも申し上げかねますが、と申しますのは、一つの部に必ず一人に限るという趣旨で申し上げられるかどうか、問題であろうかと思いますが、十分問題点の所在はわかりながら検討をいたしている段階でございます。
  155. 橋本敦

    ○橋本敦君 したがって、その検討は、最高裁という立場で、管理監督の責任ある最高裁という立場で御検討を願うということと同時に、いま私が指摘している労働組合の団結権を守るという立場での検討、二つの面が言えるわけですよね。だから、この検討については、問題を提起している労働組合の意見も実情をとらえる上においても十分にお聞き願わないと、一方的な御判断でおやりになると、これまた問題がせっかく指摘されているにかかわらず前進しないということになりますよね。そういう点で、私は労働組合との協議をこの点については特に強くお願いをしておきたい、こう思うわけです。根本的に言えば人事院の一七―〇の規則が妥当かどうか、私は議論があると思うのですけれども、少なくとも最高裁が労働組合の団結権にかかわる背理職の範囲を指定するについて、同じ自分が使用者的立場でありながら、またその指定をやるというこの構造が一般職の公務員と違って私はきわめて問題があると、こう思っているんです。この点について合理的な改善ということをする必要があると思いますけれども、そこらあたり最高裁としてはお考えはありませんか。
  156. 矢口洪一

    ○最高裁判所長官代理者(矢口洪一君) 確かに、人事院的な立場と当局的な立場との二者を兼ねておるという点は特異の性格であろうかと思います。ただ、お言葉を返すようですが、人事院の職員に対する人事院の関係が実は同じことがあるわけでございまして、そういう点から申しまして、私どもむしろこの問題に対処する基本的な態度といたしましては、そう一方に偏ったようなけちな考えでやろうとは思っていないわけでございまして、職員組合の意見も十分に聞いてやりたいと考えております。ただ、職員組合の側としては、できるだけその範囲を減らせという意見になるでございましょうし、私どもが一方に持っております組織の体制という観点からまいりますと、必ずしも意見が常に合うとは限らないというふうに思っております。その辺の問題をどのように処理していくか、最終的の問題としては残っておるわけでございますが、裁判所の特殊性というようなものも十分わきまえまして、橋本委員から再度にわたって御指摘を受けるようなことのないような結論を得たいというふうに念願いたしておるわけでございます。
  157. 橋本敦

    ○橋本敦君 わかりました。それでは大体最高裁側のお考えなり、一応前向きに組合と協議するという御姿勢があったことはよくわかりました。この点については、私は、そういうことで組合の団結権をできるだけ擁護をするという立場に最高裁がお立ちになる、みずから第三者機関のチェック機能も兼ねることになるわけですから、そういう意味では労働組合との協議を早速十分尽くしていただきたいということを総長並びに矢口局長にお願いして、この点についての御意向はわかりましたので、きょうはこの程度で質問を終わります。
  158. 多田省吾

    ○委員長(多田省吾君) 本案に対する本日の審査は、この程度といたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後一時四十分散会      ―――――・―――――