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1972-04-11 第68回国会 参議院 大蔵委員会 16号 公式Web版

  1. 昭和四十七年四月十一日(火曜日)    午前十時三十九分開会     ―――――――――――――   出席者は左のとおり。     委員長         前田佳都男君     理 事                 嶋崎  均君                 戸田 菊雄君                 多田 省吾君                 中村 利次君     委 員                 伊藤 五郎君                 大竹平八郎君                 河本嘉久蔵君                 津島 文治君                 西田 信一君                 桧垣徳太郎君                 成瀬 幡治君                 横川 正市君                 野末 和彦君    政府委員        大蔵政務次官   船田  譲君        大蔵省主税局長  高木 文雄君    事務局側        常任委員会専門        員        杉本 金馬君    説明員        中小企業庁計画        部長       西田  彰君     ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○租税特別措置法の一部を改正する法律案(内閣  提出、衆議院送付)     ―――――――――――――
  2. 前田佳都男

    ○委員長(前田佳都男君) ただいまから大蔵委員会を開会いたします。  租税特別措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。  前回に引き続き質疑を行ないます。質疑のある方は順次御発言を願います。
  3. 戸田菊雄

    ○戸田菊雄君 前回に引き続いて利子・配当等、いわゆる分離課税等について再度また質問してまいりたいと思うんですが、ことにこの前私が指摘をいたしましたように、税額控除ですね、この配当控除、これが非常に私は、いまの制度上大企業といわれるそういった人たちに特別の優遇措置を与えている、やっぱり一つのわれわれからいえば欠陥だろうというように考えるわけです。たとえば一般賃金給与あるいは自営の農業や商売をやっている人、こういうものは収入から総体を引くということになっています。ところが配当の場合には、定額控除ということで課税所得、これに税率を掛けたものを差し引いているわけです。ですから、こういう二重三重の優遇措置がなぜ必要かということなんですが、この辺の見解は局長どういうふうにお考えになっているでしょうか。
  4. 高木文雄

    ○政府委員(高木文雄君) 所得税の配当控除の制度につきましては、本来法人税というものをどういうふうに考えるかということと関連があるわけでございます。  ただいま利子・配当についても、配当についてのもろもろの優遇制度の一環ということで御指摘がございましたが、しばしばそういうことで御議論になるわけでございますし、確かにそういう面もあると思いますが、私はやはり配当控除という制度は、現行の法人税のたてまえから出てくるものであって、配当所得についてだけ何らかのいわゆる優遇措置をとろうという趣旨のものではないというふうに理解しているわけでございます。で、その意味は、法人税につきましては、いろいろ議論がありますところは御存じのとおりでございますが、よきにつけあしきにつけ、現行はとにかく、現在の法人税は所得税の前取りである、法人とは株主の集合体であるという前提に立ちまして、そして法人段階で法人税を納めておるから、その配当を受ける株主は、個人段階ではすでに法人段階で法人税を払っておるのであるから、もしそこでその配当について全く普通に所得税を納めるということになるならば、法人税と所得税との二重課税になるんだという前提で考えられているわけでありまして、すでに法人段階で負担をした法人税を、所得税の段階で配当控除という形でこの調整をするという考え方でございます。しかしながら、その考え方は、はたして法人は単純に株主の集合体であると理解すべきものかどうか、いわゆる実在説的な考え方をとれないかどうかということについて非常に批判があることは事実でございまして、さればこそ、昭和四十五年の税制改正におきまして、現行の法人税のたてまえはそのままにしておきまして、配当控除率を下げたということがございます。これは配当を受ける所得者と、他の所得を受ける所得者との、所得の課説のバランスからまいりまして、いままでのような手厚い配当控除制度では、配当所得者に有利に過ぎるのではないかという見地から、配当控除率が引き下げられたわけでございますが、その場合にも、しかしたてまえとしては、法人税というのは、所得税の前取りであるという考え方は変えていないわけでございます。たいへんややこしい説明になりますが、そういう法人税の仕組みから申しまして、現行配当控除制度があるわけでございまして、配当についてしばしば言われております源泉選択制度であるとか、申告不要制度というものとはやや趣が違うことだけは申し上げておきたいと思います。
  5. 戸田菊雄

    ○戸田菊雄君 全くこれは初歩的で、原則的なことで申しわけないのですけれども、税法の税額控除、税法上の所得税率、所得税額ですね、所得金額、これは一般所得と他の場合、たとえば農業あるいは営業その他あるいは事業による配当金収入、不動産収入、その他の雑収入あるいは譲渡所得、あるいは一時所得、各般の所得がございますがね、これから必要経費を、あるいは専従者控除、こういうものを引いて所得金額と、こういうことに税法上はなっているわけですね。こういうものに対して、労働者の場合には、賃金所得の場合ですけれども極端に低いですね。これはいろいろ計算、計数はございますけれども、いまここで質問しても始まらないのですから、それは省略しますが、それに対して今度は、問題の配当の場合は、これは非常に免税点が高くなっておる、これは御承知のとおりと思います。そういう上に立って、さらにこの税額控除ですね、こういう抜け道があるわけですから、いま主税局長が法人擬制説ですね、いろいろな論説はあったにしても、そこまで、一たんこの法人に対しては、一定の法人課税をやっているんだから、さらにこの配当等については、そういうものを全部カットしちゃって、その一定の税率で、たとえば現行であれば二〇%ですか、こういうことで一定税率だけでよろしいと、そういういわば分離課税方式をやる。さらに源泉過程でもってこの免除方式なり、あるいは申告方式なり――無申告方式ですね、いろいろな制度をこうずっとこまかく至れり尽くせりの優遇体制というものをつくり上げたわけですが、そこまでいま企業に対するこの税制上の優遇措置をやる必要があるのかどうかと、これ非常に疑問に思っているわけです。だから、ほんとうに特別措置法に対する統合改廃あるいは合理化、こういうものをやるとされるならば、まずこれに手をつけるべきが私は至当じゃないかと思うのですね。確かにこの今回若干の、中小企業やあるいは一般大衆にも向けられるようなごく少額の、ごく少ない項目、そういうものは若干やられておりまするけれども、こういう一番租税特別措置法としての悪玉といわれる、いわば税不公平の元凶といわれるこういうものに対しては、少しも手を触れていないわけです。だから、そういう租税特別措置法の統廃合ないしは合理化というものは、私は考えられるべきじゃないかと思うのですが、その辺もう一回ひとつ主税局長の見解を聞かしてください。
  6. 高木文雄

    ○政府委員(高木文雄君) 第一点として申し上げておきたいのは、そういう配当のみの所得者の場合に、いわば何か非常に優遇があるではないかという御指摘がございましたが、誤解があるといけませんので申し上げておきますが、配当だけの所得者が、非常に有利である、所得税法上有利だといわれておりますのは、まさに先ほどの御質問にございました配当控除の関係で有利になっておるわけでございまして、必要経費とかなんとかいうことで、何か有利な面があって、それに加えてさらに配当控除のための税額控除があるんだというふうに御質問の中でちょっとお触れになったように思いますが、それは、もしそうだとすれば、何かの思い違いをしておられるんではないかと思いますが、これが有利だ有利だといわれますのは、まさに配当所得控除ということで税額控除が行なわれている結果、サラリーマンとか営業とか農業とかの関係で並べてみますと、たとえば四十七年度でございますと、配当だけしか所得が全くない方で、夫婦子二人の場合を考えてみますと、三百四十万ぐらいまでの所得の方は所得税を納めなくていいということになっておるというのが、非常にサラリーマンなり農業なりとバランスを欠いているという問題がございますが、これはまさに配当についての税額控除の働きでございまして、それ以外の何ものでもないことを申し上げておきます。  それから、全体として配当について非常に、租税特別措置法なり、あるいは他の税法なりをひっくるんでたいへん甘い、いわば大企業優遇ではないかという御指摘がございましたが、その点については確かに非常に問題であると思っております。で、私どももかねがねこの点は、四十七年度税制改正に限りませず、かなり長期的な問題として、いわば長期的宿題として取り組んでいるつもりでございますが、まあ、わが国の企業に対する金融のあり方と申しますか、いわば直接金融か間接金融かというような問題が一つあります。若干わが国企業は間接金融方式、つまり金融機関からの融資を受けていろいろ事業をやっておる、同じことを意味しますが、よってもって、自己資本率が非常に低いというような問題がありまして、どうやって企業の自己資本率を高めるべきかというようなことがあります。そこで、配当に対する税制と、利子に対する税制とを相互にバランスをとりながら、どうやってこれを漸次税の立場から、より公平を確保していくかという問題に長期的に取り組んでいるつもりでございます。  で、御指摘のように、昭和四十年に、いまの源泉選択制度なり申告不要制度なりができまして、そして四十五年に、利子について初めて総合課税制度をたてまえとして、今度は株式についての配当のほうに右へならえする趣旨で、源泉選択制度が今度は利子のほうに導入されてきたというところまでまいりました。同時に、源泉選択税率を上げるということをいま行なっておるところでございます。  で、そういった方向で制度の整備が進んでおりますのは、昭和五十年末までいま制度としてきまっておるわけでございまして、確かにおっしゃるように、若干、戸田委員御指摘のように、歯がゆく思われるかもしれませんのでございますが、昭和四十五年度の税制改正で一たん制度をきめましたので、一応そのいわばきめられた階段を上がりつつある。四十八年一月一日、来年の一月一日からはまた源泉選択の税率が上がるわけでございます。これは利子も配当も上がるわけでございます。そういう意味におきまして、いままでも御指摘がしばしば各方面からありました不公平という点は、若干ずつ是正される道を歩みつつあるわけでございますので、私どもといたしましては、いわば既定路線の敷かれている間は、その線に沿っていく。五十年以降、この既定路線がきまっております五十年末がきます段階で、さらに次にどういう方向に進むべきか、これは利子と配当と双方を含めてどういう方向で進んでいくかという、非常に大きな問題に取り組まなければならないということで、いまから考えてはおりますが、それまでの間において、いまきめられております路線をさらに変えるというのはいかがかという気持ちでいるわけでございます。
  7. 戸田菊雄

    ○戸田菊雄君 投資信託のこの課税所得一千万円以下の場合はいかがでしょうか、その税率は。それから一千万円をとえる場合は。これをちょっと教えてくれませんか。
  8. 高木文雄

    ○政府委員(高木文雄君) 配当控除の率のことと存じますが、投資信託も株式の場合と同様でございまして、現在は、つまり四十六年所得、四十七年所得の二年については、一千万円をこえますと六・二五%、一千万円未満でありますと一二・五%。それから四十八年以降、来年一月一日以降は配当控除の率は一千万円をこえますと五%、これは五十年まででございますが――と考えておりますが、それから一千万円以下の分は一〇%ということになっております。
  9. 戸田菊雄

    ○戸田菊雄君 そうしますと、たとえば配当収入が年百万円あるという場合ですと、三人家族で税金はどういうことになりますか。それと一般所得者の場合は税金どのくらいかかりますか、三人家族で年百万。
  10. 高木文雄

    ○政府委員(高木文雄君) 夫婦子供は……。
  11. 戸田菊雄

    ○戸田菊雄君 子供一人、十三歳未満。
  12. 高木文雄

    ○政府委員(高木文雄君) 年……。
  13. 戸田菊雄

    ○戸田菊雄君 年。
  14. 高木文雄

    ○政府委員(高木文雄君) 年一千万でございますか。
  15. 戸田菊雄

    ○戸田菊雄君 年百万。年百万の配当、三人家族で子供は十三歳未満、この場合どれだけの税金かかりますか。それから一般の所得者はどれだけの税金かかりますか。
  16. 高木文雄

    ○政府委員(高木文雄君) いまのは投資信託でございますか、株……。
  17. 戸田菊雄

    ○戸田菊雄君 投資信託と株式配当と含めて。
  18. 高木文雄

    ○政府委員(高木文雄君) ただいまの御質問にお答えします前に、先ほどの答弁に誤りがありましたから訂正いたします。証券投資信託の場合は、配当控除は、先ほど私が申し上げました率は配当についての配当控除率でございますが、証券投資信託に関する配当控除につきましては……。
  19. 戸田菊雄

    ○戸田菊雄君 七・五%じゃないですか、一千万未満は。
  20. 高木文雄

    ○政府委員(高木文雄君) 失礼いたしました。租税特別措置法の八条の六の二項で配当控除を適用しないと。証券投資信託益の分配にかかわる配当所得がある場合には、当該配当所得については、配当控除を適用しないということになっておりますので、その点を訂正いたします。  それから、いま百万円で、夫婦と子供一人、つまり三人家族の場合の税額でございますが、普通の、といいますか、事業所得者、白色の事業所得者で、所得金額が百万円の場合は税額が四万二千七百六十円になります。それから給与所得者で――今度は少しベースが違いますが、収入で百万円の場合、所得でなしに収入で百万円の場合は一万千百四十円になります。それから株式の場合は、先ほど申しましたように配当控除が働きますから、法人税法で納めておりますが、所得税のほうでは納めなくてよろしいということになります。
  21. 戸田菊雄

    ○戸田菊雄君 そうすると、前段の投資信託の分配金に対する税率七・五%というのは、これはいま適用しないということですね、第八条で。そういう理解ですね。それでいいんですか。そうすると、これは一千万円をこえる場合でも同じだということで、全部不適用、第八条で。こういうことですね。
  22. 高木文雄

    ○政府委員(高木文雄君) 一千万円超、あるいは一千万円の下、関係なく、全く配当控除は不適用でございます。
  23. 戸田菊雄

    ○戸田菊雄君 たとえばいま配当百万円ある場合については、白色事業所得で四万二千七百六十円、それから給与所得百万円まで一万千百四十円。それに、おそらく三人家族平均ですと、所得税の免除は九十何万だと思いましたから、四人家族平均で百三万ちょっとこえただけですから、そうすると、それを含めますとどういうことになりましょう。
  24. 高木文雄

    ○政府委員(高木文雄君) ちょっと御質問の趣旨が……。ただいま私が申しましたのは、夫婦と子供二人であれば、よく言われておりますサラリーマンで言いますと、夫婦子二人の場合ですと、例の百三万円までが非課税になるわけでございますが、いま計算してみよとおっしゃいましたのは、夫婦と子一人でありましたから、万万円のところでわずかに課税になるということで、サラリーマンでも一万千百四十円になるわけでございます。課税最低限すれすれでありますので、若干課税になる、夫婦子一人ですと課税になるというわけでございます。
  25. 戸田菊雄

    ○戸田菊雄君 それじゃ若干前に進めてまいりますが、いま「四十七年度租税特別措置による減収額試算」、この一覧があるわけですけれども、これは別な角度でちょっと金額を教えていただきたいんです。それは、一つは、配当控除によるものは、「配当所得の課税の特例」と、これで一括して四百十億になっていますね。これでいいのかどうか。  それからもう一つは、法人受け取りの配当非課税によるものはどれくらいあるか。  もう一つ、法人が払う配当分にかかわる法人税率引き上げ、これによるものは一体どのくらいあるか。   〔委員長退席、理事嶋崎均君着席〕  もう一つは、譲渡所得、これのいわゆる特典的減免税、こういうものによるのはどのくらいあるか。いまあげた一から四までの合計総額どのくらい。  もう一つは、地方税の――国税の減収によってはね返りが出てまいりますね、それは一体どのくらいか。
  26. 高木文雄

    ○政府委員(高木文雄君) まず配当控除でございますが、これはまあ先ほど来申しておりますように、結論から申しますと、この四百十億の中には入っておりません。またこの「四十七年度租税特別措置による減収額試算」の中には掲げてございません。なぜ掲げていないか。これはいろいろいつも議論になるわけでございますが、私どもの考え方としては、たてまえが、配当控除制度は、法人税が所得税の前取りであるということで、そちらで納められておるから、こちらで引くのだというたてまえになっておるものですから、租税特別措置法によって配当控除制度を置いておるものではございませんというたてまえになっておりますので、現在までのところは、租税特別措置による減収額計算には配当控除は入れていないわけでございます。ここにあります「配当所得の課税の特例」四百十億というのは、例の源泉選択、あるいは申告不要制度というようなものを前提にしておるわけでございます。  それから支払い配当に対する法人税率の軽課措置もこの減収計算には入れてございません。  それからもろもろの譲渡所得についての特別措置というお話でございましたが、これは土地についての譲渡所得についての特例措置を言っていらっしゃるのでしょうか。――その点につきましては、確かに特別措置でございますから、本来ならば、租税特別措置の計算に入ってくるはずではないかという議論があるわけでございますが、一方において、たとえば道路をつくります場合に、道路用地としてのいてくださいと。のいていただくについては、まあ幾らぐらいの適正対価を払います。強制的にのいていただく関係もあって、たとえば千二百万円の特別控除制度があります。こういうことになっておりまして、もしその制度がたとえばなかったらどういうことになるか、どういうふうに算定するかということが、非常にいわば算定が困難でございまして、これはむしろどう考えたらいいのか。いつも減収額試算を御提出いたしますときに非常に議論があるのでございますが、その部分につきましては、七番の「公共用地等の取得のための課税の特例」というところに一応は計算は入れております。入れておりますが、実はまあ一応の試算として入れておるということでございます。  それからもう一つ、地方税のはね返りは……。
  27. 戸田菊雄

    ○戸田菊雄君 もう一つは、法人受け取りの配当非課税によるものはどのくらいか。
  28. 高木文雄

    ○政府委員(高木文雄君) 法人が法人から受け取ります配当は、これはやはり法人税法上の本来のたてまえとして一種の二重課税ということで扱っておりますので、これも特別措置法的な考え方でないという思想から、最初申しました配当控除と同じ思想で、措置法上の考え方ではないという思想で、この減収計算には計上してございません。  それから地方税のはね返りの減収額は、四十七年度国税のほうの四千七百三十億に対応いたします地方税はね返り額は、千四百五十八億というのが自治省の計算でございます。
  29. 戸田菊雄

    ○戸田菊雄君 いまの局長の説明ですと、私がいま第一点として質問した配当控除によるもの、これは四百十億で、この中に入っております。ただし、これは源泉選択で無申告のもの、こういうことで説明をされておりますね。しかし、従来私ども、本則を適用して特別措置法を適用しない、こういう見解でいった場合には、この倍額ぐらいになるのじゃないかと思うんですが、そういう見直しをしたら、もっとふえていくんじゃないでしょうか。その理解はどうでしょうか。それが一点。  それからもう一つは、「公共用地等の取得のための課税の特例」ということで二百二十三億、こういうことを言われておりますが、私は、四で言った譲渡所得のいわゆる特典的減免税、これをもし全体計算をしていけば相当な額にのぼるんじゃないかと思うんですが、いまここでかりに二百二十三億のうちどのくらい見込まれておりますか。
  30. 高木文雄

    ○政府委員(高木文雄君) 実は配当控除のところは非常に複雑でございますが、御趣旨は、その配当控除全部やめたらどうなるかということの御質問でございましょうか。それとも、本則税率の配当控除一〇%になっておりますのを、経過規定で一二・五まで上げていることに上る減収額でございましょうか。
  31. 戸田菊雄

    ○戸田菊雄君 できれば、全部教えてもらいたいと思います。
  32. 高木文雄

    ○政府委員(高木文雄君) まず配当控除のほうは、これは何度も継り返して申しますが、もしその配当控除を全くやらないということになると、法人税法を全部変えるということになってくると思います。でありますから、それの減収額を計算するということは、実はやったこともありませんし、はなはだ失礼なお答えのしかたでございますが、あまり意味がないのではないか。と申しますのは、法人の段階で課税をして、そうしてもう一ぺん所得の段階で課税をするということであるならば、今度は何か、法人税そのものを少し仕組みを変えるということを考えねばならぬのではないか。これは、四十三年のいわゆる税制調査会の長期答申の前後に、例の利潤税構想ということでいろいろ議論したことがございますが、あれは途中で立ち消えになってしまいましたが、この利潤税構想を考えますときには、当然配当控除制度をどうするかということは考えたわけでございまして、利潤税構想になりますれば、配当控除のようなものはあるいはなくなるというふうに考えられたかもしれないと思いますが、その場合には、しかし今度は、法人税というのは、法人段階で所得税の前取りだという思想ではなくなってまいりますから、たとえばその当時いろいろ議論がありましたが、その配当所要額については全額損金算入するとか、いろいろ議論がからみ合っておったわけでございますが、そういうことで、現在は、御存じのように、いわば必ずしも理論的に割り切れない。所得のうち配当に充てられる部分については税率を下げると。三五%ではなくて二六%にするというような配当軽課措置というようなことをやっておるわけでございますが、それではまだ十分説明がつかなくなってきますので、配当に充てられるべき所得については、これはつまり益金算入しないとかいうようなことにして、所得税段階と法人税段階の調整をしなきゃならぬということになると思いますので、そういうこともからみまして、実は配当控除全体については、まあいわば私どもの考え方といたしますと、配当控除を全くやめるということは、現行制度上はちょっと考えられないという頭を持っておるものですから、計算しておりませんです。ただ、理屈はとにかく、額はどのくらいになるかということでありますと、これは相当大きな額になるだろうということは考えられますが、ちょっと見当がつきかねるということでございます。  それから、一〇%が現在の配当控除の本則税率であるのに対して、四十六年と四十七年だけは一二・五%という経過措置になっております。御存じのように、四十五年までは一五でございましたから、一五という配当控除率を、本則を一〇に落としましたので、その途中の段階で、一挙に変化を避けるために、途中で一二・五という段階をはさみまして、いま四十六と四十七はこの一二・五の段階を歩いているところでございますから、これは一種の特別措置になっておりますが、この一二・五と一〇との差額については、ある意味では特別措置なのでございますが、まあ一種の経過措置であるということで、現在のところは減収計算には出していないということでございます。これは、計算してみろと言われれば、いますぐには出せませんが、ちょっと時間をいただけばすぐ計算は可能なことでございますし、考え方によりましては計算すべきものであろうかと思います。
  33. 戸田菊雄

    ○戸田菊雄君 それから、法人が払う配当分による法人税率の引き下げですね、これは入れていないという局長の回答ですが、もしこれを――計算は無理でしょうかね、そういう計算は。
  34. 高木文雄

    ○政府委員(高木文雄君) 三六・七五%の税率を二六にいわゆる配当軽課をしておるその計算は、計算可能でございます。これも、時間をいただけば、そんなに長い時間いただかなくても計算できると思います。
  35. 戸田菊雄

    ○戸田菊雄君 それじゃ、いまの二点についてはあとでひとつ出していただきたい。   〔理事嶋崎均君退席、委員長着席〕  それから、その7の「公共用地等の取得のための課税の特例」の二百二十三億の中に一体どのくらい入っておるのかと、この質問については数字わかりましょうか。
  36. 高木文雄

    ○政府委員(高木文雄君) 7の「公共用地等の取得のための課税の特例」二百二十三億は、二つからなっておりまして、一つは、例の、先ほど説明いたしました収用の場合の千二百万円の特別控除によります減収額でございますが、これは百五十四億。それから、先ほど御説明いたしませんでしたが、居住用財産について一千万円までの譲渡の特例措置、一千万円まで課税をしないという現に住んでおる家を売りました場合の特例措置がございますが、これが六十九億。この百五十四と六十九を足したものを二百二十三億としてここに掲記してございます。
  37. 戸田菊雄

    ○戸田菊雄君 それじゃ、その前に、これは証券局で資料としてこの前質問をして、いただいたやつですけれども、これはおそらく主税局長の手元にも行っておりますと思うのです。これを見ていただけばわかるのですが、「保有株式数別にみた株式数」、これは「全上場会社」ということになっていますが、これで見ますと、四十五年の九十九株以下が四十五、会社数が千五百八十四ということになっている。構成比はゼロでありますから。ずっと見てまいりますると、やはりこの五百万株以上、これが三万四千六百四十四、こういうことで、構成比において二九・一%、断然圧倒的数字を示しているわけですね。で、また次の表を見ますると、「保有株式数別にみた株主数」、これでいきますと、五百万株以上、これはわずかに四十五年で三ですね、構成比はほとんどゼロに近い。だけど、この表で見ると、非常にこの大株主は、配当その他は半数以上占めている。これは大体例年ずっとそのパターンを示しているわけですけれども、これは変わりないですね。だから、いまの特別措置法でいうところの配当利子に対する優遇措置というものは、一貫して大株主に向けられていることは間違いないことは、私はこの数字で示されているとおりだと思うのです。同じ株を持っておった場合でも、これは小株主とそれから大株主とでは、これはまたいろんな利害得失が極端から極端にいっている。これが税制上見ても、私はどこを中心にいまのこの配当に対する分離課税等の優遇措置がいっているかということはこれで明らかだと思うのです。だから、こういう極端なものについて、なぜ一体検討できないのかということですが、これは前からいろいろと局長が答弁されたとおり、それ以上出た答弁はいまできないと思いますから、その答弁は必要ないんでありますが、この点で明らかだと思うのですが、その辺の理解は局長どうですか。
  38. 高木文雄

    ○政府委員(高木文雄君) ちょっといま、申しわけありませんが、この証券局から提出申し上げました資料を十分よく読んでおりませんのであれですが、ただ、一つ申し上げておきたいのは、これは保有者は会社と個人と両方入っております。それでまあいまのいろいろな問題があります。配当控除とか、それから源泉選択とか分離課税、いろいろそういう問題がありますのは、全部それは個人のほうの問題でありまして、会社については、全部支払い会社と受け取り会社のほうで調整されて課税になっておるわけでございまするので、本来非常に問題があるのは、実は個人株主の問題ではないかと思います。で、この間の御質問のときにも出ておりましたが、会社と個人とに分けていろいろ議論しなければならないという問題なわけでありますが、実はこの表から、なかなか会社と個人とが分かれてこないというところにひとつ問題があるわけでございます。まあ御指摘ではございますが、直ちにこの表から、なかなか全体を読み取るということはむずかしいのではないかと思っております。まあいずれにいたしましても、しかし、いろいろ問題があることは承知しておりますし、先ほど申しましたようなことで、やや長期的な宿題としては引き続いて考えていかなきゃならぬと思っておることでございまして、私どもとしても、課税の公平という見地から言えば、最も大きな問題の一つであることはまさに御指摘のとおりであると思っております。
  39. 戸田菊雄

    ○戸田菊雄君 新日鉄の四十五年の有価証券報告のこの収益はどのぐらいあるか、おわかりになりませんか。
  40. 高木文雄

    ○政府委員(高木文雄君) いまこれは持ち合わしておりません。
  41. 戸田菊雄

    ○戸田菊雄君 おそらく四十五年度は報告されて全貌が明らかだと思うんで、あとでひとつ資料として出していただけませんか。
  42. 高木文雄

    ○政府委員(高木文雄君) わかりました。
  43. 戸田菊雄

    ○戸田菊雄君 それで、これは非常に古い例示ですけれども、三十七年当時、合併しない前ですから八幡製鉄、当時の有価証券収益が二百二十五億円あるんですね。しかし、これをずっといまの計算をやっていきますと、これは租税特別措置法の領域に入ります。そうしますと、結果的に法人税率でいって八・五%ですね。大体この税金の額にしまして六億円分ぐらいしか納めないで済むのですね。こんな恵まれた状態になってきます。これは新日鉄ばかりじゃないですよ。自動車にしても、あるいは造船にしても、各般の大手メーカーといわれるものは全部これでやっている。だから、この辺で、私は正当な税金を取っているというとことは言えないと思いますね。  そこで、私は具体的に法人関係について質問してまいるのでありますけれども、いま法人の税率は何段階になっておりますか。
  44. 高木文雄

    ○政府委員(高木文雄君) 法人の税率は、まず基本税率は、普通法人で申しますと、いわゆる中小法人について所得三百万円以下のものについての軽減税率、御存じのように留保分二八%というのがございます。普通の法人は三六・七五でありますのに対して二八%でございます。それから配当分については、これは大法人については二六、中小法人については二二ということになっております。なお、このほかに公益法人といいますか、それについてさらに軽減税率の規定がございます。  なお、法人について、先ほど新日鉄の話にちょっとお触れになりましたが、法人については現在受け取り配当は益金にならない――益金不算入になっておりますが、これはしかし、何ともそれ以外に方法がないのではないかと私は思っております。というのは、法人がこう株を、親が子の株を持つ、それがまた子の株――つまり孫の株を持つ、こういうことになりまして、何かこの法人間は調整をしなければ、親が子を持ち、子が孫を持つという場合に、まずこの法人が法人税を納めた、その上で配当をした、その配当がここに入ったと、これがまた所得になるというのでは、ここで法人税をまた納めなければならぬ。で、またここで配当をして法人税を納めなければならぬというのでは、どんどんどんどん親子で持っておる間に所得が全部何段階でも吸収されてしまいますから、それではやっぱりどうしてもどっかの段階で、一段階で課税されるということにならないと、法人間の株式を持つことを認めておる以上は、この各段階ごとに順番に課税をしていったのでは、法人の所得が配当という形で株主に配分される場合に、それをまた課税する、で、次にいってまた課税するというのでは、これは一ぺんに、何といいますか、税で吸収されてしまうということになりますので、やはり法人についての配当の処理といたしましては、法人が他の法人から受け取りました配当は、これは益金不算入と、こういうことになっておるわけでございまして、なぜ益金不算入かと申しますと、これは前の法人が法人税で納めて、半分は法人税を納めてあるから、こちらでは納めない、こういうことになっておるわけであります。  で、いま新日鉄の例でちょっとお触れになりましたが、ああいう会社は、子会社、孫会社をたくさん持っておりますから、その会社から受け取る配当については、これは益金不算入にするわけであります。で、なぜ益金不算入にするかということは、子会社、孫会社が全部法人税を納めておるわけでございまして、それでもし益金不算入にしないで課税するということになりますと、これは法人間の株を持ち合うといいますか、出資をするということは不可能になってくると、もちろんそれは別の方法で、いわば一種の法人税率をうんと低い税率にすれば別でございましょうが、そうでない限りはそれはできなくなってくるのでございまして、いまの法人問の問題で御指摘になりました問題は、その新日鉄の例でお引きになりましたのは、受け取り株式配当の益金不算入のことでお触れになっておるかと思いますが、それは現行制度上、二重課税を回避するという意味から申しまして、やむを得ざると申しますか、ある意味から言うと当然の措置であるというふうに考えております。
  45. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 ちょっと関連して。  これはちょっと理屈っぽい話をするといろいろありますが、要はこういうことだと思うんですね。勤労で働いたのには税金が所得税とか、ああいう段階でかかってくるわけです。配当とか利子というものは、勤労はなくて、貯蓄によって、親からもらったにしろ、自分が働いたにしろ、とにかく貯蓄して、そうして得たお金なんです。ですから不労だと、こういうことが言えると思います。片方は勤労やっているわけです。こういう不労のものについては、たとえば法人税が課税されておる。だから二〇%の分離課税の申請をすれば、もう二〇%以上は税は取りませんと、こういうことだと思うのです。つまり理想的な社会というのは、おまえらは働いて金を残せ、そうして利子で食っていけ、配当で食っていけと、それが理想の社会ですよと、こういうことをねらっていろいろ奨励をしている。理屈はいろいろなことがあるわけでしょう。法人税率は三六・七五、それに二〇%寄せてみても五十何%ですよ。取得税は累進課税でずっといく、そんなものじゃないですよ。もっと上までいきますよ。そういうようなことからいくと、どうも割り切れないものがあるんだと、もっとすっきりした説明ができぬものかと、戸田君は一生懸命資料で矛盾点がこういうところに出ておるんじゃないか、ああじゃないかと言って議論しているんですが、一体政策の立て方と、基本的なものは、そういう不労所得というものには理屈をつけておって、そうしてそういうものには勤労所得に比較してみて非常に優遇されておるじゃないかということを言いたいわけなんですよ。それを奨励しておるじゃないかと、そういうことが政策として最も好ましいことで、日本人というか、人類はかんあるべきだという、そういうりっぱなこれが税制だということが言えるかどうか。そういうことが政策を立てるときに、基本的な姿勢として、そういう不労所得というものは、やはり別途の理屈があるんだから、その理屈のほうを強調をして、人間個人の所得と見ずに、分けて、わざわざそうやっていくところに問題があるんじゃないかという考え方なんですね。
  46. 高木文雄

    ○政府委員(高木文雄君) たいへん実は現在の所得税法の基本に触れる御指摘でございまして、私どもが日ごろ非常にいわば悩んでいる問題でございます。で、所得税は本来累進構造をとっておるというのが一つの大原則でございます。それから現行所得税は、資産性所得と勤労性所得とを区分しないという一応のたてまえをとっておるわけでございます。しかしながら、現状においてどういうことになっておるか。いまのはたてまえ論でございまして、現状においてどういうことになっておるかと申しますと、先ほど来御指摘のように、いろいろな分離課税の制度がございましたり、いろいろの制度がありますからして、もうまず総合が完全には行なわれていないというのが現状でございます。  それからもう一つは、総合が行なわれていないということは、結果的にはどういうことかというと、分離課税だということですから、つまり当然の結果として、累進が十分、制度が予定しているとおり働いていないということになっているわけでございます。そこで、それはまあ決して望ましいことではないので、非常に長期的なこのわれわれの、何といいますか、方向といたしましては、やはり本来の所得税のあるべき姿に向かって、総合のほうにその理想を近づける、実現すると、そうして累進を実現するということでなければならぬと思っております。それがどうして実現できないか、これはまあいろいろあると思いますが、まあこれは、私は必ずしも長い間税制を勉強したわけでございませんのでよくわかりませんが、まあ一番、大蔵省の中で諸先輩から伺っておりますところでは、大蔵省の中でもろもろの政策手段と、それから税の公平論との間でいつも長い間議論が戦わされてきましたのは、貯蓄と税との関係の問題でございます。まあいろいろ産業政策のために税を使ったらどうだという議論もございますが、貯蓄と税との関係というのは、これは決して新しいことではなくて、非常に古い時期から当然に戦争前から議論されておったのでございまして、まあ大蔵省の中のいろいろ省議とかなんとかで議論されます議論の中で、この貯蓄と税についての議論ほど激しく戦わされてきたことはないとよく象徴的に言われるわけでございます。その結果として、しかしかなり貯蓄奨励ということは、まあ明治以来の富国強兵の思想ともつながって、貯蓄奨励というのは、かなりまあいわば錦の御旗として主張されてきた関係もあり、いかにまあ税制の立場から公平を主張いたしましても、貯蓄奨励のことは一顧も顧みなくてもいいのだというわけにはなかなかいかないものですから、その議論の過程において、貯蓄奨励は、私どもの先輩の時代からかなり高い地位を占めてきたと言わざるを得ないと思います。  で、その場合の貯蓄奨励というのは何かといいますと、日本のこの金融の、あるいは産業の発展の過程から、銀行が集めてまいります預金あるいは郵便貯金というようなものが貯蓄ということであって、株式投資、あるいは物で持つ、住宅で持つとか、物で貯蓄するとかという思想ではなくて、もっぱら銀行なり郵便局に金で預ける貯蓄というものを明治、大正、昭和にかけて非常に大事にしてきたように思うのでございまして、この種の税制、この種のものについての保護税制は、特に大東亜戦争のころから国民貯蓄組合制度というようなことを通じて非常に助成を受けてきた、税制でも優遇されてきたということであろうかと思っております。  で、それとの関連上、同じ貯蓄手段として、まあ最近戦後特に重要になってまいりました証券についても、株式投資についても、むしろ利子とのバランスという関係上、ある意味からいうと、利子に対する措置に引っ張られて、ある程度の優遇措置がとられてきた。同時に金融機関を通じて、産業に金を集めるということも大事でありましょうけれども、だんだんむしろ証券民主化等を通じて、一般に個人個人が株を持つということを通じて、金融機関を通じてでなしに、国民の一人一人が企業に参加するという形式のほうが本来望ましいのではないかという考え方が戦後だんだん広がってきておりますから、むしろ金融機関に預貯金をすることを奨励することも望ましいけれども、もっと株をどんどん持ってもらうという方向にいくべきではないかというような気持ちもありまして、それから資本充実論が重なりまして、あれだけ利子について優遇されておるのだから、株についてもある程度バランスされるものでなければならぬということになってきたと思っております。  そこで、それではいかぬというのが、まあ私どもの最近の考え方でございまして、まあ先ほど来御指摘がありました四十年ごろに、例の山一証券の問題あるいは山陽特殊鋼の問題なんかありました。あのころの証券界の非常に不況というあたりを底として、だんだん証券についても、貯金についても、税制の立場をもう少し強化するということで、四十五年改正で若干直してきたということでございますけれども、これはいわば長い歴史のある話でございますので、なかなか簡単に私どもの力だけではいかないということではないかと思っております。  で、そのことと全く別のこととして、法人税の税制の問題として、いわば法人というのは個人個人の株主の集合体であり、法人税というのは株主が納めるべき所得税の前取りである、という現行法人税制の考え方というものが一つありまして、それが配当控除というものは理論的に当然あるべきものとして、これは政策を離れて、法人税の体系の問題として、当然あるべきものとして理論づけられております。  それから、先ほど御指摘の法人間の受け取り配当の益金不算入も、これも全く貯蓄奨励とかとは関係なく、法人税制自体の問題として組み立てられた問題でございます。しかし、そういう法人税自体の問題として組み立てられた問題と、それらの貯蓄奨励的なもろもろの手段とがいろいろからんできております結果として、先ほど来御指摘のように、どうも株につきまして、あるいは利子につきまして非常に優遇しているのではないかということがあり、よってもって、全体として資産性所得をあたかもえらく優遇しようとしているのではないか、そのしわとして、勤労性所得について所得税が重くなっているのではないか、こういうことの御指摘を受けるわけでございますが、そこは所得税の本来使命としている理想とは全く意図の違うところに――もしそういう御指摘のとおりであるとすれば、私は必ずしもそうだとは思っておりませんが、しかし一面において、総合課税、累進税率ということは、実現をしているとはなかなか言い切れないこともまた認めるところでございまして、そういう意味から言いますと、勤労性所得と、それから資産性所得についての課税のあり方について非常に、何といいますか、公平を疑われるということも、はなはだ残念ではございますが、現状においてそういう面があることを否定できないと思っておりますし、それは何としてでも直していかなければならぬことだと考えております。
  47. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 所得税も、あなたがいま言われるように、公平ということからいって、総合だということと、累進ということです。所得税が累進だということは、公平ということが非常にあるから累進になるわけです。それといま言う資産所得、不労所得のものと、理論がそこのところへいくと、次元が違ってくる。累進ということを認める以上は総合でなければならない。それを分離するということがおかしいことなんです。ですから、累進がある以上は総合でなければならぬわけです。分離があってはいかないわけです。理論が狂ってしまう。へたな理屈をつけてくると、へ理屈のほうが通ってしまって、正当な理論というものが死んでくる。ですから、累進と分離とは相反することになる。とるならば総合と累進をとるべきです。もしそこで妥協するとするなら、ぼくは少額のたとえば一五%でいくべきであって、それでやるとか、テクニックはいろいろあると思うんです。みんなが考えていることだと思うんです。私がどうこう言うんじゃなくて、所得税は累進なんだ、総合で累進でいく、そのときに資産所得のものをどうそこへ、総合と累進の原則をくずさないようにするにはどうやったらいいかということをやれば、ぼくはおのずから答えが出てくると思う。いまのような扱いというのは、貯蓄奨励のほうに向いているのかと思うと、それがどうも――そういうことでいろいろなことをぼつぼつ考え直すべき時期に来ていると思うのです。
  48. 高木文雄

    ○政府委員(高木文雄君) その点は、私どもは、全般として、いままさに御指摘のように、総合であって累進ということでなければならぬと思う。それが他のいろいろな政策目的であるとか、それから税の執行上の事情だとかからくずれているという場合に、その総合と累進というものはあきらめてしまって、分離にするのかというと、決してそうではなくて、やはりあくまで総合と累進ということをより一そう理想に少しずつでも近づけていく方向でいかなければならぬと思っております。  ただその場合に、糸口をどこに求めるか。たとえば株式の譲渡所得の非課税の制度であるとか、それから預貯金について、あるいは株式の配当についての源泉選択のような形での分離課税の制度であるとか、あるいは土地の譲渡についての分離課税の制度であるとか、いろいろな形での分離課税の制度がありますが、どこにその糸口を求めるか、総合と累進という方向に接近する糸口をどこに求めるべきかという点が、われわれ行政といいますか、現実に仕事をやる者としては一番大事なところだろうと思うのでございます。その点は、一番初めにやはりそういうものが政策手段こしてとられましたのが、先ほど少ししつこく申し上げましたが、銀行預金についてのいろいろな優遇制度であったということでおわかりになるように、そのあたりに一番いわばガンといいますか、あれがあるわけでございまして、その辺をだんだん直していくということでないと、税制全体がなかなか直っていかないということではないかと思っております。ただ、最近少し世の中の考え方が変わってきておりまして、どちらかといいますと、消費というのはあまりよくないという思想から、だんだん決して消費を悪いものと考えない、貯蓄をいたずらに美徳とは考えないというふうに、考え方の一般的な転換もあるやに思われますので、私どもはその辺に希望を持って、何といいますか、国民一般のものの考え方の転換にもひとつ転機を求めて、だんだん直していく方向を見つけ出したいというふうに考えております。
  49. 戸田菊雄

    ○戸田菊雄君 多田委員の質問時間がまいっておりますから、私は引き続き午後から再度御質問をいたしますが、三点ほどこの機会に資料をひとつお願いしておきます。間に合わなければ席上でまた御説明を願います。  一つは、法人の組織数ですね。現在どのくらいあるか。この内訳は、五百万円以下がどのくらい、五百万円以上がどのくらい、資本金十億円以上、この三段階でけっこうです。  それから売り金額ですね、十億円以上が大体どのくらいを占めているか。それ以下が大体どのくらいを占めているか。こういうことで大体二つに区分して出してください。  それからもう一つは、資本金別法人企業数。それは百万円未満、百万円以上五百万円以上、一千万円以上、五千万円以上、一億円以上、十億円以上、こういうことでけっこうですから、その会社数と構成比、売り上げ金額、所得金額、一社当たりの所得平均金額。こういうことでひとつ国税庁のほうにお願いします。  もう一つは、資本金別に見た欠損会社の状況ですね。これも前段同様でけっこうと思いますが、さらにそれに加えて、十億以上、五十億、百億、ここまで追加をして、その会社数。それから欠損会社名あるいはこの欠損会社の構成比、欠損金額、一社当たりの欠損の平均、これらの資料をひとつお願いしたい。
  50. 高木文雄

    ○政府委員(高木文雄君) むしろ口で申し上げるより資料で出したほうがいいと思いますから、すぐに資料を調製してお出しいたしますが、法人の組織数と言われました問題だけは簡単でございますから申し上げておきます。一番新しい正確な数字は、四十五年でございますが、法人数が現在四十五年末で百四万ございます。その中で普通法人が九十八万六千八百二十五、特別法人が四万八千四百八十八、公益法人が四千八百四十七、合計で百四万百六十というのが公式の一番新しい段階の国税庁で把握しております法人の数でございます。  あとの数字はむしろ簡単に書きましたもので資料で出したほうがおわかりやすいと思いますので、資料で出します。
  51. 多田省吾

    ○多田省吾君 この租税特別措置は全部で百四十八項目あるわけでありますけれども、政府はいつもこの租税特別措置につきまして漸次改廃、縮小整理すると、このように言いながら、今回の改正でもあまり縮小しているように見られない。一方で廃止するものがあっても、一方ではそれ以上の措置をつくっている。昭和四十四年度において大体租税特別措置による減収額は三千二百億円、四十五年度は三千八百四十一億円、四十六年度は四千三百九十四億円、四十七年度は四千七百三十億円、非常に増加しているわけです。国税総額からの割合を見ましても、四十六年度と四十七年度はほぼ五%と横ばいの傾向にあります。で、政府はこのように、たとえば四十八年度におきましてもこのような国税総額に対する割合を五%前後に横ばいで保っていこうとしておられるのか、それともこの減収額をもっと減らそうと、すなわち租税特別措置をもっと改廃、縮小整理していこうと、こういう考えに立っているのか、これはどうですか。
  52. 高木文雄

    ○政府委員(高木文雄君) 気持ちとしては何とか、たとえ〇・一でも減らす方向に向けたいという気持ちを持っておるわけでございますが、どうもいろいろ計算をしてみますとなかなか減らないのでございます。その減らない理由は二つございます。それは私どもの努力が足りないという面が一つだと思います。改廃について、やめることもなかなかむずかしいわけでございますが、また片方において新しい制度の御要求がいろいろあるということのために、ここ数年来、税制調査会の御答申などによりまして、新しい制度を認めるというのであっても、その認める程度はやめる範囲内にとどめなければならないというのを一つの指針としていただいているわけでありまして、そういうつもりでやっているわけでありますが、なかなかそこのところが一ぱい一ぱいにやっているつもりではございますが、ないしはそれ以上に減らしたいと思っているわけでございますが、目標どおりにいきにくいという点が一点ございます。  しかし、それよりもやはり大きいのは、この改廃に関係のない、いわば従来どおりという部分について、結果的に広がって――その結果的に広がってというのは、たとえば貯蓄に関する制度あるいはいろいろな準備金というようなものにつきましては、経済のベースが大きくなりますというと、やはり貯蓄も伸びます、それから準備金の計算のもとになるいろいろな売り上げなり所得なりも伸びますので、やはり伸びていくわけでございます。  で、今回のように税の伸びが比較的鈍い、四十二年来毎年相当な伸び、一五%をこえるいわゆる自然増収がございましたのですけれども、ことしのように伸びが小さいという場合に、貯蓄の伸び等はやはり大きいということがありますので、やはりその中におさめられなかったということはございました。しかしそれは、総合的にわれわれの努力がなお足りなかったということはあると思っております。今後はむしろ御指摘のようにそういうことがあってはならないということで、少なくとも総額そのものが前年度より減るということは、率直に申し上げて至難のことでございますが、さらに税収の大きさと租税特別措置の大きさ――特別措置のウエートが高まるようなことがあっては絶対にいかぬというふうに考えております。
  53. 多田省吾

    ○多田省吾君 私は、昨年も申し上げたのですけれども、この租税特別措置による減収額のいわゆる試算が出ておりますけれども、私はこの二十九番目の「交際費課税の特例」というものはこれは別個に考えるべきではないか。諸外国並みに法人税における交際費につきまして損金算入をきびしく見積っておれば、こんな多額の交際費が使われるわけはないのでありまして、それを損金算入額の特例ということで法人税の規定が甘いから、交際費が一兆円以上使われて、それに対して世論の動きに耐えかねて、政府は交際費課税の強化ということを一応はやっておりますけれども、これは結局増収ということで、総額の計算はいつも交際費課税が強化されるごとに減収額は減ったような計算をされているわけです。それは何といいますか、決して間違いとは言いませんけれども、こういう表のつくり方をされますと、その内容を検討しませんとちょっと間違ってしまう。そしてこの交際費特例を別にして考えますと、交際費課税の特例以外の租税特別措置の減収額は逆に六千二十七億円になっておるわけです。それじゃ四十六年はどうかといいますと、昨年は一応試算では四千三百九十四億円の減収でございましたけれども、四十六年の交際費課税の特例の見積もりは大体どのくらいであったんですか、ちょっとおっしゃってください。
  54. 高木文雄

    ○政府委員(高木文雄君) 四十六年は千百九十六億でございます。
  55. 多田省吾

    ○多田省吾君 ですから、昨年は交際際費課税の特例を別に計算しますと、それを除きますと五千五百九十億円の減収であった。   〔委員長退席、理事嶋崎均君着席〕 それでことしは六千二十七億円、毎年の開きは交際費課税の強化がされればされるほど計算と違って、実質は交際費課税の特例を除きますと、もっともっと租税特別措置による減収額というのは毎年ふえている姿になっているわけです。ですから、いま局長が、総額においてはなかなか減少できないというようなことをおっしゃいましたけれども、私は、局長のお答えよりも、実質はむしろもっともっとふえているんだという感じがするわけでございます。その交際費課税についても、またあらためて一括して質問をいたします。  また、今回提案理由の説明の中で、「今次の税制改正の一環として、当面の経済社会情勢に即応して、」云々とありますけれども、まあ、わが国の経済運営の基本的な方向というものが、従来の生産第一主義、輸出第一主義、設備投資型から福祉型に転換すべきだということは、もう、総理、大蔵大臣も言っていることでございまして、もう国民の世論になっております。しかし、昨年暮れの税調の答申を受けて、今回提案になった租税特別措置法の一部改正を見ますと、まだ、輸出関係の租税特別措置等を考えますと、ほんとうに福祉型の税制になっていないように私には思えるんでございますが、正直に言って、いま、局長としてどう思われますか。
  56. 高木文雄

    ○政府委員(高木文雄君) 本年度の租税特別措置の改廃について、ただいま御指摘のように、交際費課税を除いて考えると、むしろふえているんじゃないかという御指摘がございましたが、その点について一言だけお断わりしておきますが、たいへん弁解がましくなりますんですが、実は、本年度の改正の要点としては二つございまして、一つは、輸出振興税制の整理、縮減ということであり、一つは、貸倒引当金の改正ということであったわけでございます。それで、本年度の税制改正の要綱等でお示ししましたように、輸出振興税制の整理で六百四十億、貸倒引当金の改正で四百八十七億というものが整理されたわけでございますが、実は、この貸倒引当金という制度は、法人税法上の制度でございまして、租税特別措置法上の制度でございませんので、従来から、租税特別措置法上の減収計算上には計算されていなかったということがございまして、貸倒引当金の縮減といいますか、改正については、租税特別措置法の減収計算上には何らの影響はないということになっております。そして貸倒引当金を改正しましたかわりに、他の新しい方策をとりましたほうのうちの相当部分が、租税特別措置法の減収計算上新たにのぼってきましたものですから、そこで実は、四十七年度におきまして、若干の、租税特別措置法上の減収計算上の増加が出ておるという経過があるということを、やや弁解がましくなりますが、付言させていただきます。  それから第二に、ただいま御指摘の、産業中心的な租税特別措置から、福祉政策中心的な租税特別措置へだんだん転換ということを政府は言っているけれども、率直に言って、おまえはどう思うかという御質問でございますが、私は、ある意味では、そういう方向に切りかえが始まったところであるということが言えると思います。と申しますのは、今度整理されました輸出振興税制の整理につきましても、また貸倒引当金につきましても、いずれも産業界のために、どちらかというと誘因的効果のあった制度でございます。この両方の制度で約千百五十億ほどの、いわば、増収をはかったということでございます。  で、それに対しまして、必ずしも産業に関係のない諸施策というものが新しくいろいろとられたわけでありまして、たとえば、これらが、いわば一種の財源となって、老人対策であるとか、寡婦対策であるとか、これは所得税法上の改正でございます。それから相続税の軽減であるとかということも行なわれたわけでありますし、租税特別措置法の問題といたしましては、住宅対策であるとか、中小企業対策であるとかいうことが行なわれたわけでありますから、財源計算といいますか、減収額計算上から申しましても、転換が行なわれたことは事実であると申し上げて間違いないと思っております。  ただ、まだまだしかし、現在の租税特別措置法のもろもろの規定の中には、たくさん産業施策的なものが入っておるではないかという点につきましては、それはそういう御指摘について否定するものではないわけでございますが、なかなかこれは租税制度というものはそう急には変わらないわけでございまして、私は、ことしとられましたような、この転換といいますか、かじとりが今後とも引き続いて行なわれますならば、数年の間には、相当租税特別措置によりますもろもろの性格のものは、徐々にではありますが、変わってまいりまして、何年かたちました後に、その段階で二、三年前と比べていただきますと、かなり変わったなということになる種をことしまいたということになるのではないかと思っております。
  57. 多田省吾

    ○多田省吾君 局長もおっしゃったように、輸出振興税制の整理、縮減については、ある程度の見直しが行なわれたようでありますけれども、なお、一部が存続されておりますし、また、適用期限の延長をはかったものもありますし、これも転換したばかりだから、まだ始まったばかりである、ここ数年間を見れば、相当これがまた是正されるだろうというお話しでありますが、数年と言わず、来年度はさらにこのような傾向、このような転換をはかる、すなわち、輸出振興税制のようなものは、まだ残っておるものについては、もっともっと整理、縮減していく、こういうことだと思いますが、具体的には、どういうものを考えておりますか。
  58. 高木文雄

    ○政府委員(高木文雄君) 御承知のように、ことし、輸出振興税制につきましては、いわば三本の柱と申しますか、輸出関係に伴いますところの特別償却制度は全部廃止をいたしました。それから、技術等の海外取引についての所得控除については、大体三、四割を残しまして、六、七割をやめるということになりました。海外市場開拓準備金については、従来どおり残すということでございまして、制度としては半分ぐらいを残したということでございます。金額的には、大体七割から八割近く整理をしたという感じでございます。  四十七年度以降の問題でございますが、四十六年度におきましても、できるならば、場合によっては、税制の立場からは、今回残すことを前提にして御提案申し上げております技術等海外取引の所得控除制度につきましても、海外市場開拓準備金制度につきましても、場合によっては一挙にやめてしまってはどうかということも、事務的な段階では考えないわけではなかったわけでございますが、何ぶん、税制改正を最終的に私どもが取りまとめます時期に、通貨問題の最終決着が行なわれたという事情がありまして、かなり大幅な通貨調整が行なわれた結果、わが国の貿易事情にどのような影響がくるのかということの見通しが非常に立てにくい事情のありましたことも伴いまして、いまお示ししているような案にとどまったわけでございます。  そこで、これからの問題でございますが、たいへんこれから、現段階におきましても、今後の輸出、輸入の状況がどうなるかということは見通し困難な情勢にありますが、私どもとしては、税の制度に関する限りは、やはり、この二つの制度ともあまり望ましくないと考えておりますので、できるならば、四十七年度の税制改正には、この二つの制度については廃止する方向で考えたい。しかし、ことしの下半期におきますところの輸出の状況なり何なり、そういうものから、これの廃止を実現し得る情勢にまでなり得るかどうかということは、いまの段階において必ずこうなりますでしょうというふうには、なかなか申し上げられないという現状でございます。
  59. 多田省吾

    ○多田省吾君 まとめてお聞きしますけれども、いつも言われておることですが、本法の第一条の「趣旨」に規定する「この法律は、当分の間、」という文言がありますけれども、一体どの程度をさしているのか。まあ常識的には二、三年の間というのがほかの法案とも関連して考えますけれども、いままで無期限のものが相当あったわけです。創設以来無期限のものは七十数項目と言われていますが、大体はっきりした数を言っていただきたい。
  60. 高木文雄

    ○政府委員(高木文雄君) 六十八項目でございます。
  61. 多田省吾

    ○多田省吾君 特にこの租税特別措置の百四十八項目、それからその中でも創設以来当分の間といわれながら続いている六十八項目につきまして総点検する必要があると思います。で、今度四月中旬に税調でも一、二の租税特別措置については部会を設けて検討するというような話もありますけれども、この百四十八あるいは六十八の項目について専門部会というようなものを設けて再検討する、または税調に再検討させるお考えはないのかどうか。
  62. 高木文雄

    ○政府委員(高木文雄君) 確かに租税特別措置の見直しにつきましては、先般衆議院におきます御審議の段階でもいろいろ御指摘を受けてたわけでありまして、かなり早い時期に何とかしなければならぬという意味で、ただいま総点検というおことばでございましたが、まあそういう趣旨のことを何かしなければならぬことは私も感じておるわけでございます。ただ具体的に税制調査会にお願いをして、たとえば部会を設けてということにつきましては、ちょっと私もいま決しかねておるわけでございます。と申しますのは、実はいろいろ税につきまして問題が山積しておりまして、社会保険診療報酬制度の問題であるとか、それから中小事業所得者の個人課税と法人課税のバランスの問題特に事業主報酬に関連した問題であるとか、それから先般来、ときおり国会で個別的に問題になっております間接税に関連する問題であるとか、かなりどうも本年度はいろいろむずかしい問題が重なってきておるように思われるのでございまして、租税特別措置の整理あるいは再検討、総点検というようなことが、決してなおざりにしていいことだとは思っておりませんけれども、他のいろいろないま例示としてあげましたようないろんな事項と比較いたしまして、税制調査会のほうにもやはり一定の量しか処理できないということもございますので、いずれを優先さすべきかということを考慮してきめるべきことと思っております。いずれにいたしましても、そう遠からざる時期にいわゆるそういう総点検的なことがなきゃならぬと思っておりますが、直ちにということは、ちょっとほかのものとの関係上きめかねておるというところでございます。
  63. 多田省吾

    ○多田省吾君 ほかのいろいろな団体では、税についての世論調査というものをたびたび行なっておりますけれども、大蔵省で最近行なったそういう税についての世論調査というようなものがあるかどうか、その内容はどのようなものか、大ざっぱでけっこうですからおっしゃってください。
  64. 高木文雄

    ○政府委員(高木文雄君) これは税につきましては、実は国税と地方税にまたがっております関係で、従来から大蔵省だけでやるということにしないで、総理府のほうにお願いをして、毎年もしくは一年おきぐらいに世論調査的なことをお願いしております。  その内容については、いま持って来ておりませんのですが、大体、やはり租税負担感が非常に強いということが最も問題でございます。で、税制調査会でもその世論調査について、四十六年八月のいわゆる長期答申の前の基本問題小委員会というところで、その世論調査をベースにしていろいろ議論をしていただきましたが、そこでも、やはりこの世論調査で負担感が非常に強いと、で、いつも申し上げておりますように、わが国の租税負担率は諸外国に比べて必ずしも高いとは言えない、国民所得に対する税負担率全体を見ますと、それほど高いとは言えないのにもかかわらず、世論調査等から受けます感じから見ますと、租税負担感が非常に強いということが問題でございます。なぜ負担感が強いかということについては、その世論調査の結果では、やはり一つは、どうもまだ公平でない面がいろいろあるのではないか、つまり租税制度についての不信感ということから負担感が強いということが一点と、それから税によって調達された財源の使用、効率的配分ということについての信頼性がなく、どういうふうに有効に使われているかということが国民に広く知られていないということ、その二つが負担感が強くなっておる主たる理由ではなかろうかというようなことが、学者等専門家の間の集まりでありますところの基本問題小委員会においてもいろいろ議論されたことがございます。で、私どももそういった率直な世論の感触というものについては、今後の税制を考えていく場合に十分参考にし、耳を傾けていかなければならぬと思っております。
  65. 多田省吾

    ○多田省吾君 大体局長のおっしゃるとおりだと思うんです。やはりわが国はそんなに高くないんですけれども、租税負担感が非常に高い、その理由は、一つは、税負担が公平じゃないんじゃないか、あるいはもう一つは、その税金が社会保障あるいは福祉関係にあまり回ってこないという、そういう疎外感、こういったものが中心だと思う。で、ことし行なわれた総理の諮問機関である経済審議会の国民選好度調査委員会、こういうものが昨年八月に実施した国民選好度の調査の分析結果をまとめて三月末に発表したわけですが、その結果においても、国民の満足度の最も大きく影響するのは仕事のやりがいだと、それから二番目が、国民はこの税負担の不公平に大きな不満を持っておると、環境破壊とか、あるいは住宅問題とか、こういった問題以上にこの税負担の不公平というものについて大きな不満を持っておるわけです。その中で、法人税とかいろいろありましょうけれども、交際費の問題とか、あるいは先ほど論議されました、やはり配当所得課税の特例の問題とか、こういったものがやはり税負担の不公平に大きく作用しているんじゃないかと、このように思います。そういう意味で、局長がいま、租税特別措置は早くやりたいんだけれども、ほかのものもたくさんあるのでなかなか手がつかないと、しかし、早晩やらなくちゃいけないというような答弁がありましたけれども、私はそういう国民の世論から考えましても、最も先に手をつけるべき問題だと、このように思います。ですから、私はひとつ政務次官にも強く要求いたしますけれども、この百四十八項目の租税特別措置の洗い直しという問題は、やはり税調に特別部会等を設けて早急にやるべきだと、このように思いますが、いかがでしょうか。
  66. 船田譲

    ○政府委員(船田譲君) ただいま多田委員の言われましたことは、代表なきところに課税なしという、いわゆる議会制民主政治の根本に触れることでございます。したがいまして、いま主税局長が答弁で申し上げましたように、国民の世論の中にかなり大きな部分を占めるものが、税の負担が公平でないのではないか、せっかく納めた税金の有効な国民のための使用がはかられていないのではないかという世論に対しましては、率直に耳を傾けまして、いまお話のありました百四十八項目の総点検をやっていくべきであるという御趣旨には全く賛成でございます。
  67. 多田省吾

    ○多田省吾君 大蔵大臣が、三月二十一日の衆議院の大蔵委員会で、交際費課税の強化は四十八年度からさらにやりたいというようなことをおっしゃっておりますけれども、四十七年度の改正案にこれを組み込まなかった理由ですね。まあ昨年手直ししたばかりだからとか、そういうこともありましょうけれども、これはもう四十六年度にやったからといって、四十七年度はやらなくてもいいという問題じゃないと思うんですね。それからもう一つは、この前やはり衆議院の大蔵委員会で、広告税に対する課税も考えたいというような大蔵大臣答弁がありましたが、具体的にその作業を進めているのかどうかですね。あるいは、この前から議論されたギャンブル税新設とか、それから公害税の新設、これは環境庁長官から問題が出されたわけでございますけれども、こういった新しい税に関して、どのような考えで、どのような作業を進めておられるのか、ひとつ可能な限りお答え願いたい。
  68. 高木文雄

    ○政府委員(高木文雄君) 交際費につきましては、大臣も答弁いたしておりますように、四十八年度の問題としては、ちょうど現行の制度が期限切れになる関係もございまして、十分検討してどうするか、当然研究しなきゃならぬと思っております。  その際に一つ問題になりますのは、方向的には三つあると思います。一つは、現在一定の限度、四百万円と資本金の基準で一定の限度を置いて、それをこえる額について一定割合で否認ということになっておりますが、その限度を下げるかどうかという問題が一つでございます。  第二は、否認割合が七割になっておりますが、その否認割合を上げるかどうかという問題が一つでございます。  その第三番目の問題としては、そもそも現在交際費ということで言われておりますが、その交際費として現在税務上扱われておりますものが、多種多様のものが交際費として扱われておるわけでございますが、その多種多様のもののうち、どういうものがウエートが多いか。交際費というと、直ちに飲食費みたいなものがすぐ頭に浮かぶわけでございますが、現在一兆に及びます交際費というのは、必ずしもそれだけではないのでございまして、いろいろの形で交際費名目で支出されているわけでございます。それが、最近はどういう支出の形になっておるかという実態が、必ずしも十分には把握されておりませんので、それを調べました上で、それらをいままでどおりに、いわば概括的に対処することでよろしいかどうか、それをさらに仕分けすべきものがありはせぬかというような問題が第三点。  この三つが問題であろうと思います。  さらに基本的には、税の立場といたしましては、やはり交際費は、企業が営利目的として企業活動をする上において、過大であるかどうかという問題はあるにしても、必要なものであるという前提に立って考えております。そこで、税だけで交際費が適正になるようにという誘導措置をとるということについては限界を感ずるわけでございまして、これは、この制度が昭和二十七年度にできまして以来、絶えず税当局の立場では悩みに思っておる点でございます。なかなか税だけでこの交際費というものがもっと妥当な水準にまで下がってとなきゃならぬということにはなりにくいわけでございまして、そういう基本問題もあるわけでございますので、その基本問題等との関連上、ここで課税強化をすることがはたしてどれだけのメリットがあるかということも同時に反省をしながら、しかし、そうは言っても、現状なかなか好ましくない事情にありますので、いまの三つの問題を中心に考えていくべきであるということで、ぜひ真剣に取り組みたいと考えております。  広告費については多少事情が違っております。広告費も、いろいろな角度でこれを課税したらどうかという議論はずいぶんございますが、御存じのように、戦前一度広告税という制度がございました。戦後直ちに廃止されたわけでございますが、その後何度も広告費に対して課税をしてはどうかという議論がございます。しかし、そのつど、今日までいろいろ議論の末実現しなかったにつきましては、交際費と広告費とはしばしば相並んで議論はされますが、やはり違うものであるという、だいぶ性格が違うということから課税がされずにきておるわけであります。どこが違うかという一番違う点は、交際費は、まあ営業活動のためどうしても必要だということで使われるにせよ、何らかの意味において、その飲食あるいは冠婚葬祭のための金品の授受等を通じて、個人に利益が及ぶという傾向が否定できないのに対して、広告費は、それがたとえ過剰に使われましても、広告費の結果として、だれか個人に利益が帰属したということがないという点が一点でございます。  それから第二は、広告というのは、やはり品物を知らせる、売ろうという品物を広く人に知らせるという手段、方法として欠くべからざるものでありまして、特に後発産業にとりましてどうしても必要なものであるということで、若干、交際費と同様、販売促進のための必要な手段でございますけれども、交際費と広告費と、販売促進手段としての意味からいって、全く同様に考えていいかどうか。特に後発産業の側から考えました場合の広告費の必要性という点からいって、従来から広告費に対する課税ということについてはかなり疑問を持たれる向きも少なくないわけでございます。  それから第三に、広告費につきましては、交際費の場合以上に、何が過大というべきやという問題が非常にむずかしいわけでございます。この過大の程度を税できめるということは、すなわち何らかの関係で税法できめるか、あるいは税務署におきますところの署員の認定行為が加わるかという問題が入ってまいりますので、その認定行為を税務署に関与させると、広告費が過大であるということについて、おたくの企業は少し使い過ぎだというようなことについて、何らかの意味において税務署が認定行為に関与するということが、少しく問題ではないかということが問題であるわけでありまして、しかし、交際費の制度について、さらに充実せよという声が非常に高まっております現在、販売促進手段としては、交際費と広告費は非常に共通する分野があることは否定できないわけでありますから、交際費について、もしさらにこの課税を充実するということであるならば、広告費についてほうっておくのは片手落ちではないかという議論も十分耳を傾けなければなりませんので、先ほど申しました交際費と並んで広告費の問題も並行的に検討すべきものと思っております。従来も検討いたしましたが、従来よりははるかに深い程度に今回は検討しなければならぬというふうに思っております。  それから公害税でございますが、公害税については、これは率直に申しまして、私どもはあまりまだよく存じていないわけでございますが、新聞等におきましては、環境庁長官から公害税の御提案があるやに聞いておりますが、その後環境庁長官が国会で御説明になっておるところによりますと、まあわかりやすいために公害税ということばを使われたようでありますが、一種の公害に関する課徴金のようなことをお考えのようでありまして、必ずしも税ということで長官もお考えではないように聞いております。したがって、いずれにしましても、これについては環境庁のほうで中央公害制度審議会ですが、中央公害対策協議会でございましたか、審議会でございましたか、そういう公の制度がございますので、そこへ諮問をされて、環境庁のほうで少し議論してみるというふうに御答弁になっております。そちらのほうである程度こなされたところで、私どものほうの問題になるかと思っております。   〔理事嶋崎均君退席、委員長着席〕  それからギャンブル税の問題でございますが、これもなかなかむずかしい問題がありますのは、二つ問題がむずかしい点がございます。一つは、そもそもギャンブルというものについて、各地方団体等を中心にしていま、ギャンブルを押えよう、廃止の方向にもっていこうというときでございますので、その問題がだいぶいろいろ、御存じのようなことで、非常に各地方議会等で中心議題として議論されておるところでありますので、そのいろいろ紛争がありますところに、また一つ問題を提起するということがどうかという問題が一つ。  それから二番目には、現在相当の、国営競馬を除きますと、地方競馬にしましても、競輪にいたしましても、競艇にいたしましても、相当大きな地方財政収入になっておるわけでございます。国税を新たに起こしますと、この地方財政収入に非常に影響を与えることになりますので、最近のような地方財政収入の現況にかんがみますと、地方財政収入に変動を生ずるということがいろいろ問題があろうかと思います。そういう点で問題はありますが、いずれにいたしましても、先ほどの交際費、広告費課税、それからギャンブル税を通じまして、明年度の財政需要は相当問題があろうかと思います。つまり相当の、まあいわば財源調達に難渋を来たす時期に当たろうかと思いますので、そういうこととの関連上、関連させながら、可能であれば、またどうしてもそういう財源が必要であればということも考えていかなければならぬと思っております。そういう意味で、いまの段階でそういう制度を起こすか起こさないか、やるのかやらないのかというふうにお尋ねを受けましても、ちょっと現段階ではお答えいたしかねるわけでございます。もっぱら、制度自体の問題としてもいろいろ検討はいたしますが、財政収入見込み、あるいは歳出需要見込みとの関連において決定される要素は相当多いというふうに考えております。
  69. 多田省吾

    ○多田省吾君 四十五年度の交際費が一兆七百億円ということでございますが、四十六年度の予想見込み額は大体どの程度でございますか。
  70. 高木文雄

    ○政府委員(高木文雄君) まだちょっとあれは一月決算の結果、つまり三月申告、これが出てまいりませんと見当がつきかねますが、まあそれまでの、十二月ころまでの状況から見ますと、一兆一千億を少し上回るくらいの数字になるのではないかという、ごくこれは非公式な見通しでございますが、そんな見当でございます。
  71. 多田省吾

    ○多田省吾君 そうしますと、まあ四十五年度にしましても、四十六年度にしましても、この社用交際費の消費額というものは、国民所得に対して二・一%程度に達しております。これはアメリカの五倍だと言われておりますが、イギリスでも国内用の交際費はあまり認めない。アメリカでも非常に少額だということで、欧米諸国の交際費課税の制度と、それから国民所得に占める交際費の割合、これはどうなっているか、これも大綱でけっこうですからあげていただきたい。
  72. 高木文雄

    ○政府委員(高木文雄君) 実は、欧米におきますところの交際費に対する課税の制度は、しばしばこれまでのいろいろな機会に御説明申し上げておりますが、かなりきびしいことになっております。で、ただ非常に、まあこれは私どももいつもこれに関して御質問を受けると困るのでございますが、実は各国におきまして執行状況が把握できておらぬのでございます。それでまた聞きに行ってもなかなか的確に各国とも、各国の課程当局があまり十分把握していないような状況でございます。  そこで、この各国にあります制度がどの程度執行上動いているかということがよくわかっていないのでございます。ましてや数字がどういうことになっているかということは、皆目わからない。これはまた、この点は今度調べましても、各国とも数字をつかんでいないのではないかと思われます。
  73. 多田省吾

    ○多田省吾君 そういう答弁ではちょっと私のほうで困りますので、できるだけ各国の制度自体はこれははっきり出せると思う。イギリス、アメリカ、西独をはじめ、制度としての各国の状況をひとつ資料として出していただきたいし、また執行状況もできる範囲で、推量でもけっこうですから、これは出していただきたい。ほかの点が相当調査が進んでいるのに、この点だけ調査がほとんどできないということは、私はあり得ないと思う。  それからもう一点だけお聞きしておきますが、私も、先ほどから言われましたように、この配当所得に対する分離課税の特例というものは廃止すべきだと、この配当所得に対する分離課税ができたときも、大蔵当局でさえ強い反対があったわけでございますから、どのような弁解をしようとも、高額所得者にのみ恩典がいくようなこういう制度がいつまであってもいいというわけではないと思います。で、配当所得者の非課税限度額と、それから他の所得者の課税最低限度額を、夫婦子供二人の標準世帯の比較割合でひとつおっしゃってください。
  74. 高木文雄

    ○政府委員(高木文雄君) 交際費課税制度につきましては、資料を提出いたします。  それから交際費の執行の状況につきましては、これはほんとうにわからない。まあ税務統計は、実はてまえみそになりますが、わが国はわりあいによく整備されておるわけでありまして、一般的にアメリカ等においても、必ずしも税務統計はあまり、どういうわけですか、整備されておりませんわけですが、交際費に至りましては、全くこれ私どもも困っておる状況でございますので、これはひとつ何とか――なお私ども自身、先ほど御質問の来年度の問題もございますので、何とかしたいと思っておりますが、手に入りましたならば、もちろんその機会にすみやかに御提出いたしますが、いまのところは何とも手に入らないという状況でございますので、ごかんべんいただきたいと思います。  それから三番目に、配当と一般の課税最低限の問題でございますが、まず、配当だけで――現実に世の中にそういう方がおられるかどうかわかりませんが、配当だけしか所得がないという方で、夫婦子二人、そういう方は所得税を――この点は誤解のないように願いたいと思いますが、所得税を納めなくてもいいのは所得幾らまでかという額は、三百四十三万一千円でございます。これは四十七暦年でございます。なお、四十八年は、これが急に下がりまして二百六十五万六千円に下がります。なぜこれが下がりますかといいますと、四十八年一月一日から配当控除率が下がるからでございます。  それからそれを、普通の、配当でない所得者の課税最低限との比較というあれでございますが、給与所得者で夫婦子二人の場合、収入金額で百三万七千八百六十円まで、これはただし社会保険料負担を、一応仮定計算を置いておりますから、若干のフレはありますが、収入百三万七千八百六十円までの方、ここまでは税がかからないわけでございます。
  75. 多田省吾

    ○多田省吾君 じゃ、最後に、法人税の付加税率を今回は二年間延長したわけでございますが、本来ならば基本税率そのものを変更して、長期的な解決をはかるのが本筋だと思いますが、輸出産業中心から福祉優先へ政府が政策転換をはかったんだといわれている現在、やはり私は、いま不景気とか、いろいろな問題もありますが、この際法人税を増徴して、そうして住民福祉に回すべきだ、そういう観点から、租税特別措置ではなくて、法人税の基本税率を変更していくべきではないか。なぜこの延長という態度をとったのか。
  76. 高木文雄

    ○政府委員(高木文雄君) いまから二年前に、すなわち昭和四十五年度の税制改正の際に、私どもは、現在の日本の法人税率は少し低いんではないかということで、まあ一・七五%ないし二%程度法人税率を上げることを主張をいたした、事務的に主張いたしたわけでございますが、各方面の御意見では、必ずしも法人にそれだけの負担能力があるかどうかについてはなお十分検討すべきである。ただ、当時非常に景気がよろしかったものですから、現段階においては各法人ともその程度の負担能力はあるであろうということで、まあ二年間程度――こういう景気情勢のもとであるからこそ、二年間程度臨時に増徴することはやってみてもよかろうということで、租税特別措置法として出発をしたわけでございます。そして、この四月三十日で期限が切れるわけでございます。今回は決して景気がいいということは言えないわけでございますから、二年前のときの議論の経過からいたしますと、あるいはむしろ場合によってはやめるべきである、もとの三五%に戻るべきであるという議論もあったわけでございますが、一つには、財源事情等からいいまして、これをやめますと、国税収入、それから地方税の住民税の収入等いろいろ影響するところが大きく、歳入歳出通じまして千四、五百億の影響がありますので、予算編成の際に赤字国債を発行するかしないかというような議論がなされた際でもありましたから、そういうむしろ財源事情等からいって、とてもこれをやめるわけにはいかないということもあり、また、たいへん通貨調整等でショックを受けた企業もありますけれども、かえって利益を受けた企業もあるわけでありますから、それを考えるならば、この際、利益を受けた企業のことを考えるならば、ここで税率が下がるのはおかしいではないかという議論もあって、なお、それでは不況ではあるが、一般的には不況ではあるが、なお二年間延長しましょうということになったのでございます。それでおわかりいただけますように、私どもは必ずしも全面的に臨時措置であること、すなわち租税特別措置法であるということだけが正しい方向であるとも思っておりません。本来ならば、御指摘のように法人税法の基本税率であるいはいたすべきものではないかという考え方も事務的にはないわけではございませんですけれども、しかし、税制調査会をも含めまして、一般のお考えの中には、まだなかなかそこまでは行き切れぬ、増税でございますので、慎重の上にも慎重であるべきであるということもありまして、不況ではあるが、なお二年間やってみたらどうなんだということで臨時措置になったわけでございます。かくて、好況のときに二年間と、比較的不況のときに二年間と、臨時措置として一・七五%上積みするわけでございますので、なお二年先に立ちました場合に、いよいよその辺で基本的に議論に決着をつけていただくべき時期がくるのではないかと私どもも考えておりますし、そうであれば、しいて基本税率をこの際上げるのでなくて、臨時の制度であってもよろしいのではないかと考えて、今回は租税特別措置法の臨時制度として御審議をお願いすることにいたしたのでございます。
  77. 前田佳都男

    ○委員長(前田佳都男君) 午後一時三十分から再開することとし、暫時休憩いたします。    午後零時四十八分休憩      ―――――・―――――    午後一時五十三分開会
  78. 前田佳都男

    ○委員長(前田佳都男君) ただいまから大蔵委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、租税特別措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。質疑のある方は順次御発言を願います。
  79. 戸田菊雄

    ○戸田菊雄君 まあ先ほど来の法人税等の問題についての資料が来てから再度質問に入りたいと思います。  先ほど多田委員からも若干質問があったわけでありますけれども、複合しない形で質問してまいりたいと思うのです。交際費の問題ですが、まず、この交際費というものは一体どういうものか、厳密な定義をひとつ説明していただけませんか。
  80. 高木文雄

    ○政府委員(高木文雄君) まず、租税特別措置法では、六十三条で、「交際費等とは、交際費、接待費、機密費その他の費用で、法人が、その得意先、仕入先その他事業に関係のある者等に対する接待、きよう応、慰安、贈答その他これらに類する行為のために支出するものをいう。」とありまして、途中にちょっとカッコ書きがありまして、「(もっぱら従業員の慰安のために行なわれる運動会、演芸会、旅行等のために通常要する費用その他政令で定める費用を除く。)」とあります。これでおわかりいただけますように、「交際費、接待費、機密費その他の費用で、法人が、その得意先、仕入先その他事業に関係のある者等に対する接待、きよう応、慰安、贈答」というのが交際費の概念でございます。  なお、政令のほうで、租税特別措置法の施行令三十八条の二というところに、これを補完する意味で規定がございまして、「法第六十三条第四項に規定する交際費等から徐かれる費用は、次に掲げる費用とする。」というのがありまして、例示がありますが、「カレンダー、手帳、扇子、うちわ、手ぬぐいその他これらに類する物品を贈与するために通常要する費用」、まあこれは得意先に接待用に出すのでありましょうけれども、軽微だというような趣旨でございましょう。  二号として、「会議に関連して、茶菓、弁当その他これらに類する飲食物を供与するために通常要する費用」。会議に関連して、ここで注意を要するのは、「茶菓」とこうありますので、酒類は入らないわけです。  三番目に、「新聞、雑誌等の出版物又は放送番組を編集するために行われる座談会その他記事の収集のために、又は放送のための取材に通常要する費用」。これは、何といいますか、むしろ経費でありますが、いわゆる取材費というようなものは交際費の概念に入らないということをいっているものであります。  以上が法律、政令でありますが、さらにその周辺のもろもろの費用との境目をはっきりするために、国税庁長官の法人税に関する通達の中で、次のような規定がございます。これは通達でございますから、税務署員が指針とすべきものにすぎませんが、一応概念がはっきりいたしますので読み上げてみます。「措置法第六十三条第四項に規定する「交際費等」とは、交際費、接待費、機密費、その他の費用で法人がその得意先、仕入先その他事業に関係ある者等に対する接待、きよう応、慰安、贈答その他これらに類する行為のために支出するものをいうのであるが」、とありまして、これは法律に書いていることをここまではいっているわけでございますが、その次が参考になると思いますが、「主として次に掲げるような性質を有するものは交際費等には含まれないものとする。」寄附金、それから値引き及び割り戻し、広告宣伝費、福利厚生費、それから給与等と、これが交際費とその周辺、いわば似て非なるものとの境目を規定したものでございます。
  81. 戸田菊雄

    ○戸田菊雄君 いま資料が参りましたからさきに戻ります。申しわけありません。交際費はあとでまたやりますから。  いまいただいた資料で見ますと「利益法人の資本金階級別会社数、売上、所得金額」四十五年度になりますけれども、これで見ますと、百万円未満は構成比で三〇・一%、百万円以上五〇%、ほとんどこの八〇・一%、これはまあ百万円以上五百万円以下ということになるのであろうと思うのですが、これでまあ大体示されているわけですね。ところが、逆に所得金額で見ますると、その割合が全く逆転していますね。百万円未満の場合百十万円、百万円以上二百六十万、それで十億円以上というものがこれでまいりますと二十九億八千八百万、全く逆になっている。それでさらに「欠損法人の資本金階級別会社数、欠損金額」これで見ますると、同じように構成比として百万円未満と百万円以上、これですでに八二・八%、こういう構成比になってまいります。百億、五十億、十億、一億以上でわずかに〇・七%ですね。それがまた一社平均の欠損金額でまいりますと、これ逆になる。やはり大企業のほうが、構成比の割合として一億円で〇・六%ですから、こういう構成比になってずっと出ておりますね。こういう状況になっておるのでありますけれども、税制上の優遇措置というものは、さっきからずっと指摘してきたようにたいへんな優遇措置をやっておる。いろんな金融面もしかり、あるいは税制優遇上もしかり。さらに主税局長の先ほど説明がありましたように、いまこの法人組織数百四万百六十九社、こういう説明ありましたけれども、この構成内訳で、五百万以下、あるいは五百万以上、一千万未満、十億円以上、この構成比は先ほど説明がなかったのでありますけれども、おおむね私が資料として持っておる内容によりますと、こういういま提示をされたような構成内容とやや同じ傾向を示しておりますね。ですから、こういう一つの傾向があるのにもかかわらず、租税特別措置法をあえて設定をして、そして至れり尽くせりの保護政策をとっておる。ことに私は、結論としては、先ほど成瀬委員が指摘をしたようなところにいくわけでありまするけれども、早期にやはりこういう実態というものは改定もしくは改善措置をとっていくのが至当じゃないか。主税局長としてもややそういう前向きの答弁あったわけであります。こういうところにいまの税制の基本的な矛盾がそれに内在する、こういう実感がするわけなんです。  そこで問題は、質問する内容は、御存じのように所得税法の第八十九条、この税率に見られますように、たとえばこの四十万以下の金額云々とか、百分の十でございますけれども、かりに百二十万円をこえる百六十万以下の金額、これに対しては百分の十六、最高の八千万をこえる金額は百分の七十五ですね。この税率割合は、私がざっと計算をしても五倍弱、だからこの金額が非常に法人税率の場合には狭いと言わざるを得ないのですね。それに対してこの所得税率については、最低が一〇%から始まって、最高が七五%までいっているわけです。詳細にきめられている。そういう中において、さっき成瀬委員が指摘されたように、総合累進税率というものは、それなりに構成比としては、法人税率の場合についてはきわめてそういう税率の設定、方式それ自体が、基本的に私は大きな、何といいますか、矛盾を包容しているのではないだろうか、こういうふうに考えるのですけれども、その辺の見解はどうですか。  それから、資本金五百万円以下、さっき主税局長が百四万百六十九社、このうちの五百万円以下、これは大体どのくらいあって、構成比はどれくらい、あるいは五百万以上一千万円未満の中小企業、こういうものについてはどうなる、資本金十億円以上はどうなる、この三段階について、そこで御説明ができるならば説明願いたい。
  82. 高木文雄

    ○政府委員(高木文雄君) まず第一は、先ほど成瀬委員から関連の御質問に対してお答えいたしましたように、法人税ではなくして所得税については総合課税と累進税率というのが基本原則であります。しかし、それがいろいろ貯蓄であるとか、あるいは株の譲渡所得であるとか、利子・配当についての源泉分離課税制度であるとかということによって、資産性所得について必ずしも総合課税が実現されていないということで、将来に向かって漸次その実勢に近づけなければならぬということを申し上げましたが、それはあくまで所得税について申し上げたわけでございまして、法人税については、私どもは現行制度のように比例税率であることがよろしいと思っております。所得税のように累進税率であるのはなかなかむずかしいのではないかと思っております。ただ、この点につきましては税制調査会においても、三十五年十二月の答申あるいは三十九年十二月の答申あるいは四十三年七月の答申等において、いろいろ法人税についても累進構造をとることができるのではないかというような点を中心にして検討は行なわれております。ただ、いろいろ深く検討はされておりますけれども、一つは、法人税を個人株主の所得税の前取りと観念する現行のたてまえに立つ以上は、法人税の税率は本来一本であるべきであって、多段階の税率構造をとることは適当でないという考え方をとっております。そこで法人について、こういう法人は個人株主の所得税の前取り、現行税制のたてまえをとるかどうかということによっても違ってくるわけでありまして、いわゆる法人税について別の考え方をとる、たとえば法人の場合における担税力の差の指標として、投下資本の大小の要素を加味しつつ、その投下資本に対する超過利潤税の方法をとるということも考えられないではないということで、いろいろと検討はされておるわけであります。いずれにいたしましても、そのことは全然検討にならない、研究の余地がないということを申し上げるわけではございませんけれども、しかし、そこは法人税の仕組みを根本的に変えるということに関連する問題でございまして、現行の法人税のたてまえを前提とする限りにおいては、比例税率、多段階税率しか方法がないのではないか。で、もう根本的に考え方を変えて、法人税についても何か多段階税率的に考えるということも、これはさらに今後の問題として、法人のあり方、法人税のあり方、そういうものについて検討はしなければならぬと思っておりますが、これはかなり大作業でございまして、将来の課題であると考えております。  それから次に、大法人と中小法人といいますか、その間で租税特別措置法上あるいは租税特別措置法以外の本法のほうも含めて、何か大法人のほうに税法上非常に優遇制度が寄っているのではないかという御意見でございますが、その点は、私はある意味では必ずしも否定をいたしません。と申しますのは、まあ戦後二十五年間の間、いわば焼け野が原から今日までまいります間におきまして、やはり、何といいますか、経済復興ということが非常に重要な要素として取り上げられてきた。その場合に、いわば重要産業優先のような考え方が全体として支配しておりまして、その一つとして、また輸出産業優先というような考え方が、全体として経済政策の中で非常にウエートを占めておりました関係上、租税の面におきましても何か一般法のほかに政策的な制度を取り入れるとするならば、やはりそういうところに重点が置かれたのは、まあいわば今日までのわが国経済の復興過程における、あるいはその後の成長過程における一つの宿命といいますか、たどってきた過程であったのではないかと思っております。で、その結果、租税特別措置法の内容というのは、確かにしばしば当委員会で御議論いただいておりますように、産業中心的であり、さればこそ、冒頭にも申しましたように、だんだん国民生活中心というか、福祉中心に変わっていくべき時期にきておるということでありますので、全体の傾向として、国民経済への影響度の大きい、したがって、下請企業であるとか、あるいは従業員の生活であるとかいうこととも関連いたしまして、大企業に非常に、税制といいますか、優遇策、奨励策が片寄ったということはあると思うのでございます。ただ最近、この四十七年度の、先ほどの四千七百三十億の一応の減収計算、これをいろいろ分類をいたしてみまするとどういうことになるかと申しますと、まず二つに分類いたしまして、企業関係の減税額と、企業に関係のない、たとえば貯蓄であるとか、そういう意味で企業に関係のないものに分けてみますと、四千七百三十億のうち、まあ大体企業関係と見ていいものが二千八十億、四四%になりまず。それから企業に関係ない特別措置と見るべきもの、これが二千六百五十億で五六%になるわけであります。  それから、この企業関係の二千八十億を大企業関係と中小企業関係に分けられないかというお話でございますが、これはなかなか適用がむずかしいので困難でございます。困難でございますが、まあ従来からしばしばそういう御指摘がありまして、過去においても衆参の各委員会を通じて租税特別措置法による減税が、大企業と中小企業に大体推定してみたらどんなことになるかという御要求がございまして、ごくかりに試算したものがございますが、それによりますと、二千八十億のうちで、これは技術的な関係がありまして、その切れ目は資本金一億円というところで切っておるのでございまして、先ほど御指摘のように、五百万円とか一千万円とかいうところで切ってございませんので、戸田委員の御要望のところとはちょっとこの切れ目が違うわけなんですが、一億円のところで切りますと、大企業の分が七百六十億、それから中小企業の分千三百二十億、先ほど申しました企業関係二千八十億の内訳が一応そういうふうに区分できるかと思います。そうしますと、全体を一〇〇として、企業に関係のない部分が五六、ある部分が四四のうち、中小企業か二八、大企業が一六というようなことになっております。  なお、四十六年度は、この四千七百三十億は四千二百九十五億でございましたが、これをいまと同じ分類によってみますと、大企業が二〇・五%、中小企業が二三・九%、合わせて企業関係が四四・四%、で、企業に関係ないものが五五・六先というようなことになっておりまして、四十六年度と四十七年度はあまり大差がなく、若干大企業が減って中小企業がふえておりますが、これはひとえに輸出割り増し償却がなくなってきたということが非常に大きく響いて、大企業関係が減ると推定されておるからでございます。
  83. 戸田菊雄

    ○戸田菊雄君 いま主税局長から詳細に説明があったわけですけれども、しかしいずれにしても、この大中を一億で切って、その内訳等を見ましても、その数の面からいけば、相当やはり大企業に有利にいっているのではないだろうか。これはいま説明があったけれども、詳細に分析してみませんからわかりませんが、大体私の理解ではそういう方向に行くんじゃないだろうか。だから、結果的に一・七五の付加税でもって本則にプラスをして二年間延長と、こういうことでもってきましたから、私はそういうところからいけば、もう少しこの法人税率の抜本的な検討を加えて、いままで大臣やあるいは主税当局関係者は、何といいますか、まあ利潤が少ないのだから法人に対する税率引き上げというほうはなかなか困難だ、こういうことを言ってきたわけです。だけれども、いまいろいろな資料を見まして、やはりそういう状況にはなっていないのじゃないか、実際はやっぱりもうかっているのじゃないか。たとえばさっき私が資料として申し上げた八幡製鉄の場合の三十七年有価証券を含む内容を見ても、二百二十五億はわずか六億程度の税金で済んじまうということ、このくらい至れり尽くせりでやっているのだから、金がないというわけじゃないのだ。ことに幼稚産業のほうは別にしまして、これはもう全く大企業、巨大資本を擁しておるわけだから、別に恩典を与えるようなそういう対象事業じゃないじゃないか、だから、そういうものについては遠慮会釈なく、私は大蔵当局としてもう少し検討して税率の引き上げ等々があってしかるべきじゃないかと思うのですけれどもね。その辺の見解はどうでしょう。  たとえば諸外国との比較対照でいってもそうだと思うのですね。いまの法人税率を三六・七五%、それに住民税を加えて四五・〇四%でしょう、先日も説明したように。だから、そうなりますと、アメリカが五一・四%だと私は思うのですが、あるいは西独が四九・〇五%、こういうことになれば、他国との比較においてもはるかに日本の場合は低い。いまのような各般の資料からいっても、決してもうかっていないわけじゃない。正当な税率でもって税金をかけても、企業が直ちに倒産というようなことはない。この欠損会社の状況を見ても、割合としてはごく微々たるものですね。だから、こういう各般の実態からいって、やっぱり法人税率に対して抜本的に改定を加えるべきじゃないだろうか。確かに今後の税制のあり方としては、大臣等も、法人税に対する税率強化の方向へいくというようなことはあわせて言っているわけでありますが、これはしかし、いずれにしてもいまのケースでいくなら、五十年以降でないと手を打てないということでありましょう。私はおそらくいまのこの予算の審議状況からいって、景気浮揚を中心とした予算も、遠からず年内補正をやらなきゃいけないんじゃないか、そういう場合には、少なくとも年内の所得減税等についても再検討が迫られる時期があるだろう、こう思うんですが、同時にやっぱり法人税のそういった問題についても検討すべきじゃないか、こういうふうに考えるんですけれども、主税局長、事務当局としてはこれはどういうふうにお考えになっていましょうか。
  84. 高木文雄

    ○政府委員(高木文雄君) 確かにまあ法人税の税率の問題は、長期的な課題としてはいろいろ検討すべき事項があると思いますし、法人税の税率の前に、租税特別措置法その他を通じて、自己負担率といいますか、そういうものを含めて検討する事項は多々残されておると思います。ただ非常に最近の問題として、特にただいまは今年度の予算の補正というようなことにも関連をして御指摘がございましたんですが、まあ最近私どもも、実はむしろ非常に弱っておりまするのは、この三月の決算で、五月に株主総会が開かれる三月、九月決算法人の問題でございますが、これは五月に株主総会が開かれて五月末に申告をされる、それが四十七年度の法人税収入の大きな部分を占めるわけでございますが、その三月決算法人の所得がどういうことになるか。とれがことしの四十七年度税収に非常に響いてくるわけでございますが、まあ新聞紙上にいろいろ伝えられますのに、かなり減配会社が相次ぐということになってきておりますし、それから、ごく一部ではございますが、いままで定率償却制度をとっておった企業が、定額償却制度に切りかえなければなかなか決算ができにくいというような状態になっているような記事が、ぼつぼつ経済関係の新聞をにぎわすようなことになってきておるような状況でございます。で、通貨調整に伴いますもろもろの影響はそう急には出てきておりませんけれども、漸次やはり造船の輸出成約が思うように進まないとか、あるいはその他の輸出等につきましても若干、まあ通貨の調整があったわけでございますから、当然のことながら伸び悩みということになってまいりますので、ことしの三月ないし九月を通じまして、企業の経理状態というものは決して楽観を許さない状態、それでもなおかつ全体水準として負担能力があるのではないかという御議論は、それはあり得るわけでございますが、各毎期毎期の比較においては、必ずしも楽観を許さない、いわば停滞ないし沈滞ぎみに推移しつつある状況でございますので、こういう時期に一そう、しかもまあ一・七五%をなお継続して負担を求めるという事態になっておるときでもございますので、さらに税率を上げるということを提案するということはなかなか現実問題としてむずかしいのではないか、そういう感じを私は持っております。
  85. 戸田菊雄

    ○戸田菊雄君 その税率を上げることは現段階ではむずかしい、しかし、アメリカあるいは西独等諸外国と比べて低いということ、あるいはいまのその各般の資料によって明らかなように、やはりこの、何といいますか、過大な優遇措置をやっている、こういう理解については局長はどう一体考えておりますか。
  86. 高木文雄

    ○政府委員(高木文雄君) まあそこは漸次やはりその種の優遇措置は整理さるべきものでありましょうし、今度の輸出振興税制の整理というようなことが最も影響いたしますのは、やはり業界別に見ますと、鉄であり造船であり自動車であり家庭電機というような主要な輸出産業関係に一番影響がくるわけでございます。そういう点で、今回の輸出振興税制の縮減というのは、いわばかねてから言われておりました、ただいま御指摘のような方向から見ますと一つのはしりということは言えるわけでありまして、なおその他にもいろいろそういう、何といいますか、大企業と言ったらよろしいんでしょうか、そういう優遇制度は残っております。それがまたいままでの日本の産業全体をささえ、輸出をささえてきた大きな原動力になってきておると思うのでございます。それを一挙になかなかやめるということはショックが多過ぎますけれども、漸次それを直していくということが必要だろうと思っております。その直していくスピードなりやり方なりについては、いろいろ今後とも研究してみたいと思いますし、あるいは戸田委員のおっしゃるのと、若干私どもと、何といいますか、感触的に感覚が違う点もあろうかと思いますが、しかし方向はやはりだんだんなくしていく、そういうことでないと、今後の福祉中心の時代の、いわば財源調達も非常にむずかしいという情勢もありますし、そういう方向になるべく持っていこうと思っております。
  87. 戸田菊雄

    ○戸田菊雄君 その方向については理解をいたしました。  それで、交際費の先ほど定義について聞いたんですが、確かに現行の六十三条なり、あるいは政令なり、通達等、いろいろと細部にわたってそれぞれおきめになっているんですけれども、完全にこれでいま私は捕捉できるという状況にはないだろうと考えるわけですね。まあ早い話が、交際費についてはどこからか領収書一枚もらってきて、それを税務署へ出せばこれは認定してくれるわけですから、ですから、いわばいろいろと政令や制度上は設定をしておりますけれども、上限についてはまさしく私は青天井だろうと思うんですね。だから、そういう面についてもう少し明確な交際費課税の強化方策というものを、全般的にひとつ検討する必要があるんじゃないか。  そこで質問したいのは、一つは、先ほども多田委員からもありまして、一端の説明があったんですが、交際費の支出総額ですね、これはどのくらいあって、あるいは基礎控除額、現在のこの定額基準ですね、四百万、あるいは資本金の千分の二・五ですか、等々の項目ごとに一体どのくらいあって、さらに差し引き限度超過額、これが損金不算入額が一体どのくらい、この内訳もしわかれば説明していただきたいと思うんです。  それからもう一つは、四十七年度の交際費の国家予算から見た構成比は一体どの程度になっているか、あるいは法人税と比較して構成比はどのくらいになっているか、あるいは特別措置廃止した場合ですね、一体税額がどのくらいあるか、そういう点について説明をしていただきたいと思うわけです。
  88. 高木文雄

    ○政府委員(高木文雄君) では最初に交際費の状況を申し上げます。わかっておりますのは四十五年度まででございますので、四十五年度の数字で申し上げます。  四十五年度の交際費の総額として、国税庁のほうで把握しております数字は一兆七百一億でございます。これはすでに発表されておりますので御存じの数字でございます。この一兆七百一億のうち、いわゆる基礎控除になっております金額が六千三百三十七億でございます。それに対して、限度超過で課税対象となっております額が四千三百六十四億でございます。いまの六千三百三十七億と四千三百六十四億を足しますと、冒頭に申しました一兆七百一億になります。で、六千三百三十七億の内訳をちょっと申しますと、例の定額基準、各企業四百万円までよろしいということで基礎控除になっております額が五千九百五十億になります。それから資本基準、資本金の千分の二・五まではよろしいというのがありますが、それによって控除になっております額が三百八十七億あります。そこで、一兆七百一億から六千三百三十七億を差し引いた四千三百六十四億のうち、一定割合は損金不算入額ということになりますが、これは四十五年度でございますので、四十五年度の損金不算入割合は六割でございました。ただし例の、前年度よりも交際費を五%以上よけい使った場合は一〇〇%まで損金不算入になりますと、それから、前年度より交際費が減りました場合には、減りました額だけ引きますというあの計算がありますから、四千三百六十四億に六〇%ただ掛けただけにはなりませんが、大体その見当で、結局損金不算入額は二千八百七十八億になっております。で、これを御参考までに率で申しますと、一兆七百一億、これを一〇〇といたしますと、課税対象になります二千八百七十八億は二六・九%になります。ただし、これは不算入額でございますから、これの税額ということになりますと、これにそれぞれの法人の税額を掛けられたものがその税収として響いてくるわけであります。  それから、国家予算と比べてどうかということでございますが、一兆七百一億でございますので――かりにいま計算しましたので、ちょっと年度が狂ってるんですが、四十七年度の予算の十一兆に対して――ちょっと年度が違うんであんまりうまくないんですが、いまの一兆七百一億を比較すると、九%になります。それから、歳入と比載してみますと、四十七年度の歳入は八兆八千四百八十五億ですから、大体一一%ぐらいになりますが、ちょっとすみませんが、これはいずれも年度のズレがありますので、あまり正確ではないわけであります。  それから廃止したらどうなるかというように承りましたが、この制度を廃止するというのは、つまりこれはちょっと御異論があるかと思いますが、私どもは交際費というのは、まず第一に当然経費であると考えております。つまり現在の法人税というのは、収入から経費を引いた利益に対して課税になるわけですが、いろいろの交際費というのは、これは何だといえば、まず経費であることは間違いないと思いますので、経費であるのですけれども、非常に特殊な経費として特別に損金扱いにしないということをやって課税になっておるわけですから、これを制度をやめますと減収になってしまうという考え方になるので、そうすると幾らになるかというふうに先ほど承りましたが、それはいつも減収計算で出しております。先ほど多田委員から考え方がおかしくはないかと言われましたが、例の本年度の減収計算の四千七百三十億という計算は、そのうちに交際費課税の特例による増収分千二百九十七億というのを差し引いた答えが四千七百三十億になっておるわけでありますから、この制度を全くやめますれば逆に千二百九十七億の減収になるわけでありまして、まあ現行の私どものものの考え方としては、交際費課税は、租税特別措置で減収になっているというふうには考えないで、租税特別措置によって増収になっていると考えるものですから、この制度をやめれば逆に減収になるということになります。その数字は四十七年度分で申せば千二百九十七億ということになります。
  89. 戸田菊雄

    ○戸田菊雄君 いま説明がございましたように、四十五年度で総額一兆七百一億円であります。以下主税局長が説明された内容どおりなんでありますけれども、これはやはり国家予算と比較してみると、大体予算で九%、歳入で一一%、こういう膨大な金額にのぼっておるわけですね。それだけ企業として、さっき言ったような定義に基づいたいろいろな接待やあるいは贈りものや、観劇や、もうあらゆる必要な、いまの社会生活上必要なものが全部これに集中的に容認をされておる、こういうことでありますから、多田委員に主税局長がお答えになったように、当面この交際費課税の強化方式について、おおむね三つの強化方策を考えている、一つは、基礎控除の四百万というものをどうするか、あるいはこの残額の七〇%体制に対して八〇%まで引き上げるかどうか、あるいはいろいろ書画とか骨とう、ゴルフ等々の購入金に対して交際費の名目で課税をするのかどうか等々の問題は、いままで主税局長が大体強化方策の内容改善として一応検討されたと思うわけですが、そういうお話があったのですけれども、私はやはりいま交際費を通じて、言ってみれば、ある社長が私慾を満たすために交際費で落としておった、あるいはある会社の人はそういう交際費の受領書を商売にして店屋へ行って集めておるとか、そういうものを会社へ売りつけて金もうけしてやっているとか、いろいろなスキャンダルを聞くんですね。これはやはり交際費課税の捕捉なり、そういう制度上の欠陥から抜け道が相当あるんだろうと思うんです。だから、こういう問題について、やはり私はもう少しいまの青天井状態のものを明確にひとつ押えるなら押える。いま言ったような三段階方式、強化方式をやるというなら、そういう方式で大きく踏み出していただく、こういうことが必要じゃないかと思うんですが、もしかりにいま主務局長が、三つの改善策というものを示されたけれども、どれが一番妥当だと思うのですか。これはみんなやったらいいと思うんですが、なかなかそうはいかないでしょうが、いままでも最高努力して、何とかこぎつけてきた分は、私は努力としては認めるのですけれども、やるとすれば、どういう内容のものが一番妥当だとお考えになりますか。
  90. 高木文雄

    ○政府委員(高木文雄君) 結論的に申しますと、それがまさに検討事項でございますので、いまここでお答えすることができないわけでございます。できないというのは、何か私が腹案を持っていてお答えしないというのではなくて、私自身の判断材料がまだそろっていないわけでございます。と申しますのは、少しグローバルにはいろいろ交際費の全体の姿がわかってはおりますけれども、たとえば各種の交際費のうちで、どの種の交際費が、どういう所得階層なり、どういう業種なりに多いかというようなことがよくわかっておりませんし、それから、たとえば七〇を七五に上げるとか、八〇に上げるといった場合には、どの階層にどういうふうに響いてくるか。それから四百万円を三百万円に限定を下げるといった場合に、どういう響き方をするか。それから特に三番目に申しました交際費の中で、本来的に交際費の内容として問題があるものというものについては、   〔委員長退席、理事嶋崎均君着席〕 これはなおさらどうも感覚的にはわかっておりますが、具体的な立法と結びつけて考える場合には、どういうふうに取り上げたらいいかということが少しよくわかっていないわけでありまして、実は本年至急に、いわば何らかの形において、サンプル調査等を行なうことによって、資料を集めた上で、判断いたしたいと思っておるところでございまして、いまここでその三つのうちどれがいいかということについては、文言どおり検討中でございますので、ごかんべんいただきたいと思うのです。
  91. 戸田菊雄

    ○戸田菊雄君 いずれにしても、社長が第二給与に仕立てているとか、あるいは自己の、何か個人の、全く自己自身のための交際費に落としておるとか、こういうやり方は不当なんでしょう。
  92. 高木文雄

    ○政府委員(高木文雄君) 実は、その問題になりますと、交際費課税の問題の前に、もう一つ問題があるわけでございます。それは、いま先ほど来御議論いただいております問題は、交際費であるものを、どういうふうに課税するかという問題がございますが、本来どうも交際費でないものを交際費として会社の帳簿上、あるいは税務申告上整理されているというのがいろいろあるわけでございます。これは実は、主税局というよりは、国税庁のほうの問題になるんですが、非常に私自身も第一線で仕事をした経験がございますが、実は税務署では非常に泣かされておる仕事でございまして、たとえば一番わかりやすい例で申しますと、会社が自動車を雇い上げるという場合でも、その自動車は会社が会社の仕事に使ったのか、会社がお客さんをどこかへ接待するためにその自動車を雇い上げたのかということは、会社から受け取る伝票だけではわからないわけでありまして、それを会社がお客さんを、たとえばどこかに御招待をして迎えに行ったり、送り届けたりしたりというのであれば、料亭に払った、あるいは飲食店に払った分だけでなくて、その送り迎えの車代も、これは交際費として扱っておるわけなんですが、一括してそれはタクシー会社に払っておるということである場合には、これはなかなかわからぬという問題が一つございます。そういう種類の問題が非常にありまして、交際費の範囲を、まずどうするかという問題が一つであります。  それからその前に、いまお触れになりました問題は、本来交際費じゃなくて、社長個人の給与ではないのかという問題があります。これは現在の税務署の仕事の中で、会社では会社の経費として申告をされ、しかも、それが単に会社の経費として申告されるのみならず、ちゃんと交際費として申告をされて、自己否認して、自分で交際費だから足切り計算をやって、上積み分は七〇%否認して申告をしてこられておりますが、実はそれ全額が社長なり幹部に対する賞与ではないのかということで、税務署のほうでは否認をして、会社のほうのいわゆる損金ではなくて、益金処分である、賞与処分であるということで、会社の法人税として否認をすると同時に、その重役さんなり社長さんなりの個人の給与だということで、所得税をいただいておる例がたくさんあるわけであります。そこらあたりは、税務署の現在の仕事の中ではわりあいに大きなウエートを占めておるわけでございまして、この辺はなかなか法律の上で、どう規定をするかという問題でなしに、税務署の、たとえばどこまで手が届くかということとの関連の問題でございます。  そこで実は、私どもは従来からどっちかというと、各委員会で御質問受けますときに、とかく交際費については主税局が消極的であるやに、社会的性格からいえば、もっと重い課税を課してもいいというふうに、各委員会で御質問を受ける場合が多いのでありますが、それに対して主税局がやや消極的であるやに受け取られるような答弁を申し上げているというふうに受け取られる場合が多いのでありますが、実は私どものほうのあれからしますと、交際費の否認割合が高くなればなるほど、実は一つは交際費からそうでないところへ逃げるという要素があってみたり、それからもう一つは、交際費として申告もすでになっている、そうしてかなり高い率で、七割なら七割の率で自己否認して申告しているもの、さらにそれはだめだといって、全額否認の趣旨で益金として否認をするという仕事が、税務署の実態としてはなかなかむずかしい問題があります。そういう問題ともからめて、今後これをどうしていくか、そうなってまいりますと、午前中の御質問にもお答えいたしましたとおり、この交際費の問題というのは、どうも少しく世直しを全部税の仕事でやれといわれるのは、なかなかつらいところでありまして、そういうことを含めて、あまり一挙に急激にいくのでなしに、だんだん納税者の方々が、いわばことばは悪いですけれども、ついていけるような程度に、だんだんやっていくということでないと、一挙に何もかもやろうとすると、今度は何といいますか、納税者の方々がついていけないということで、うまい申告にならない。そうすると、税務署の事務量がうんとふえてしまうということがあるわけであります。いずれにいたしましても、この交際費の問題は、いまたいへん機微に触れた御質問いただいたわけでありますが、交際費ともう一つ別の問題である本来賞与的なもの、特に役員さんあたりの賞与的なものとの境目の問題を、同時並行的に考えていかなければならないというふうに思っております。
  93. 戸田菊雄

    ○戸田菊雄君 それはぜひ、私は局長がいま答えられたように検討していただきたいと思うんです。ことにわれわれとして容認できないのは、単に自分でいろいろな私生活上足らなかったから、それを使うという程度なら、私は当時の時代の状況に即応して、常識的に判断して容認できる点もございますが、だけれども、そういうものを通じて組合の懐柔策とか、そういうことを徹底してやられているんですね。それがどこから出てくるのかというと、全部交際費なんです。あるいは広告料金ですね。そういうものからどんどん出てきて、キャバレーに連れて行っては、その懐柔政策をやる。これがことに民間の会社で最近旺盛になってきている。その出どころは全部そこなんですね。そういうところまでいくとするならば、これは接待以上のわれわれは常識をはずれた状態じゃないかと思うんですね。だから、そういう点についてはひとつ十分チェックをしていただきたいということを要望しておきたいと思う。  次に、広告税の問題ですが、大体いままでの大臣にしても主税局長の答弁を伺っても、大体法人税の強化方策あるいは広告税の新設、交際課税の強化あるいは付加価値税の導入と、やや政府が考えている今後の税制構想に対する考え方というものをわれわれなりにいままでの説明の中で理解をしておるわけなんですけれども、これは広告課税は新設をするということなんですね。かりに新設をするとすれば、どういう内容を考えておられるか。そういう問題について常識的にどの辺を考えておられるか等々の問題についてひとつ説明をしていただきたい。
  94. 高木文雄

    ○政府委員(高木文雄君) 広告課税の問題は、もし問題になるとしたならば二つの方法といいますか、面があると思います。  一つは、戦前にございましたように、いわゆる広告税という形であったわけでございますが、一種の流通税といいますか、そういう形で課税する方式でございます。それは、たとえば新聞なり、あるいは雑誌なり、最近でいいますればテレビなんというものに広告が提供される場合に、その広告料金を課税標準として何%かの課税を行なうというものでございます。これはまあ戦時中やむを得ずということでありましたが、広告税という形で行なわれたのがその例でございます。  で、もう一つの形式は、現在の交際費と同じように、本来は広告はやはり販売促進手段でございますから、広告費は当然その企業の損金として処理されるべきものでございますが、交際費と同じように過当な広告費について、いわば損金性を否定するという形での課税の問題であろうかと思います。  で、そのいずれがより妥当かというような問題に入ります前に、そもそもなぜ広告に対して税負担を求めるのかというあたりには相当議論がございます。それは先ほど午前中多田委員の御質問のときにもお答え申し上げましたので、重複を避ける趣旨で申し上げますが、つまり交際費とは若干個人消費的なものでないということ、個人に利益が帰属しないという点で違うということ。もう一つは、販売促進手段としての普遍性があるということ。それから第三番目には、新規事業もしくは新規商品の販売促進手段として有効であるということ。よってもって競争を前提とする現在の経済社会においては、交際費の場合以上に広告費のほうは販売促進手段として認められてしかるべきであろうというふうなこと。そういうふうなことからいいまして、先ほど申しました二つの流通課税方式をとろうと、あるいは経費否認方式をとろうと、いずれにしてもその根本の、何ゆえ課税をすべきであるかというあたりに相当問題があろうかと思います。であろうかと思いますが、最近承っております各方面からの御議論では、やはりどうもそもそも広告がけしからぬというようなことはあり得ないけれども、過大な広告がいかぬ。それが冗費である。むだな経費であるし、そしてまたそれがコストになってむだな中間経費を形成しているという意味で、過大広告を抑制すべしと、こういう議論につながっているようでございます。で、そういう趣旨からかりに考えました場合に、流通税的なものとして構成することがより効果的であるか。それとも、そうでなくして、経費否認的な税として構成したほうがより効果的であるかということもよく考えてみなければならないと思っております。しかしそれよりも、問題は、その前の段階の、本来広告に対して税負担を求むべきやいなやというのは、伝統的にも私ども主税局としてはかなり消極的でございまして、これは広告税の問題というのは、かなり長い間いろいろなところで議論されてきたわけでございますが、いままでの議論におきましては、交際費とはだいぶ違いまして、事務的には、何ゆえ広告について税負担を求めるかということについての理論づけと申しますか、根拠をなかなか求めにくいのではないかというまあ感が、いままでのところはというか、これまでの長年の議論の間では強いわけでございまして、もしかりにやるとすればというせっかくの御質問ではございますが、どちらかというと、その前の課税すべきやいなやというあたりの論拠づけのところが最も問題であろうかと思っております。
  95. 戸田菊雄

    ○戸田菊雄君 わかりました。  あと時間もありませんから端的にお願いいたしますが、もう二点です。  その一つは、この為替差損の問題でありますが、今回のこの租税特別措置の中でも、「通貨調整に伴う措置」ということで、百三十八億見当それぞれ対処することにしているわけでありますが、この差損の対応措置は、金融面なり税制上もそれなりに私は徹底していると思うんですね。ところが、この差益については全く野放し状況じゃないかと思うんですね。私の資料で知り得たところでは、鉄鋼は今回の円切り上げでおおむね六百億ですね、そういう差益があったと、こう言われている。こういうものは野放しされているんですね。だからこの差益に対しては、一体具体的にはどういう税制上の措置をとっていくのであるか。この点が第一点であります。  それからもう一つは、この租税特別措置の内容に関して数項目あるんですが、中小企業に対してはやはり私の見る限り冷淡だと言わざるを得ないと思うんですね。この六十八国会の常会提出の「四十七年度において講じようとする中小企業施策」、この四一ページに「税制」の「中小企業の企業体質の強化」に向けて、以下云々ということで数項目の説明が載っているんです。これは結局四十六年度の「中小企業の動向に関する年次報告」、これはきのう配付になったばかりですから私も詳細まだ見ておりません。したがって、資料の見誤りがあるいはあるかもしれません。たとえば五ページの「中小企業経済日誌」というところにある。「円切り上げの中の産地型輸出中小企業」、あるいは二六ページの「金融機関貸出しの動き」の内容とか、それからこの六七ページにございます「業種別による影響の差異」、これは円切り上げによる影響の一覧表にずっと掲載されておりますが、こういうことで、この中小企業も二五%程度相対的に為替差損というものの被害を受けている、こういうことを指摘をされているんですね。こういうものに対しても、今次の租税特別措置法からくるいわば中小企業向けの優遇措置というものはきわめて冷淡ではないか。あるいはまた、「深刻化する公害と中小企業の対応」ということで、一四五ページからいろいろと説明があって、具体的に公害等に対してはどうするとか、そういう微に入り細に入り、この報告書というものはまとめておるんだけれども、これらに対する金融税制上の諸問題については、私の見る限りではきわめて冷淡の一語に尽きるんではないかと思う。こういう面について、はたして「四十七年度において講じようとする中小企業施策」についての大綱というものが現下の中小企業救済に十分なのかどうか、これは通産省当局からと、税制問題については主務局長のほうから答弁を願いたいと思うんです。
  96. 西田彰

    ○説明員(西田彰君) たくさん御質問ございましたが、最初に、昨年のドル・ショックで影響を受けました輸出関係の中小企業者に対しましては、為替差損と申しますか、それによって生じた赤字につきましては、三年繰り戻し、地方税につきましては二年繰り延べ措置の延長という措置をとった次第でございます。  それから金融につきましては、それらの輸出関係産地の業者を中心といたしまして、特別低利の六分五厘の金融措置を中小企業関係三機関から千五百億、最後に若干の金額をこれに追加いたしまして、緊急融資としまして措置をとった次第でございます。  それから、なお金融保証制度にかかわる保険制度につきましては、激甚災害並みの特例措置をとった次第でございます。全国に散在いたします輸出関係産地の状況は、倒産関係その他から見ます限り、ただいまのところ当初予定されたような破局的な状況にはなく、なお諸般の手当てをいたしてまいりたいというふうに考えておる次第でございます。  それから公害対策につきまして、なお手当てが薄いという御質問がございました。これに対しましても、公害貸し付けの対象範囲の増大、あるいは中小企業振興事業団が共同で公害対策をやります場合に特別の措置をやっておりますが、そういった措置の拡充というような、まあこまかいところでの対策は進めているつもりでございます。しかしながら、全般に関しまして、なお中小企業につきましては、私どもといたしまして、御指摘のように幾らやっても足りない面がございますので、御指摘の点を体しまして今後ともやってまいりたいと考えております。
  97. 高木文雄

    ○政府委員(高木文雄君) 通貨の調整に関する問題につきましては、ただいま通産省のほうからお答えいただきましたように、去る臨時国会におきまして、国際経済上の調整措置の実施に伴う中小企業に対する臨時措置に関する法律というのが制定されました。それによりまして、税制上の措置として、欠損金または純損失繰り戻しによる還付制度について、普通の制度でございますと、所得税・法人税法の制度でございますと、一年間しか繰り戻しができないというのを、三年できるようにしたわけでございます。この制度は昨年の十二月十六日からすでに動いているわけでございます。今回設けようとしておりますところの、通貨調整による損失のうちの長期の外貨建て債権に関する巨額の損失に限って、若干の調整措置といいますか、会社計算上は、長期外貨建て債権について期末の為替相場による換算を行なわなくても、税務計算上は換算差損相当額を損失金に計上してもよろしいという、現在御審議をお願いしております六十八条の二の制度は、これは御指摘のように、確かに造船会社であるとか、プラント輸出関係の企業であるとか、大企業におそらく主として適用になることになろうかと思いますが、との制度も決して大企業だけに限っているわけではないのでありまして、もしこの制度のほうがよろしければ、中小企業もこの六十八条の二をとってよろしいわけであります。で、昨年の国会で認めていただきました三年間の繰り戻し――一年でなくて三年間の繰り戻しをする制度と、いま御審議を願っております、繰り戻しをやめまして、繰り越しを十年にする制度とはどうなるのだ。これは事の性質上重複適用はないわけでございまして、中小企業の場合は両者の選択ということになります。ですから、すでに三年前までに納めた税金を戻してほしいということにするか、それとも今度起こった損失を十年間で処理するということにするか。法人税法、所得税法の原則どおりであれば、戻るは一年、先に延ばすは五年でありますのを、去年願った制度は、うしろに三年戻ってもよろしいということですし、今度は十年先にいってもいいという制度でありますが、大法人といいますか、そっちのほうは十年先にいくだけですが、中小法人で外貨建て債権を持っておられる方は、先にいってもいいし、あとに戻ってもいいということですから、選択でどっちでもよろしいということにいまなっているわけです。しかし、メリットという点から言いますと、先にいくのは、ただ課税の繰り延べみたいなものになるだけでありますのに対して、欠損金の繰り戻し――これは一年間は当然法人税法、所得税法上認められている制度ですからメリットにならないのですが、三年ということで、昨年、一昨年、一昨々年納めた税金をいま戻してもらえるのは、これは相当なメリットでありますので、おそらく実際問題としては、どっちを選ぶかといえば、大部分の企業の場合は、特に配当を必要としない以上は――このうしろに戻る場合は、欠損金がないとうしろに戻れないことになっておりますから、当期に配当をする必要があるという場合には先に延ばす以外に方法はないわけでありますが、そうでない場合には、昨年御審議いただいて現に成立し、実施に移っております三年間の繰り戻しの制度を活用していただくことになろうかと思います。  それから第二に、為替関係を除いて、中小企業対策全般の問題がございましたが、実は私どもは本年は通貨の調整の問題もありました関係上、中小企業対策については税制上相当近来になくかなり重点を置いたつもりでございまして、それは近く御審議をお願いします、いままだ衆議院で審議を願っております、法人税のほうでありますが、同族会社に対する留保金課税に対する問題と、それからこの措置法でお願いしておりますのは個人でありますが、青色事業についての控除制度、十万円までの青色事業の控除制度、それから機械の特別償却、取得価格が五十万円をこえた場合に限りますが、新しく取得しました機械についての二割増しの特別償却制度、概括的特別償却制度を設けておりますので、私は、従来の年に決して劣らないというか、むしろ相当顕著な中小企業対策的な税制をとったつもりでおります。しかし、まだまだ、先ほど来御指摘のように、過去のいろいろな制度等、全体として見ますれば、まだまだ今後いろいろ考えるべきことが残っておろうかと思いますが、従来に比べれば、本年度はかなりの充実を見たものと思っておる次第でございます。
  98. 戸田菊雄

    ○戸田菊雄君 これで終わりますけれども、主税局長、私全然やってないとは言わないですよ。先ほどから、まあ時間がありませんから資料その他申し上げませんが、総体ながめてまいりまして、やはり受ける印象としては、中小企業、ことに零細企業といわれる五百万円以下等のこういう問題については、あまり効果というものが、冷淡じゃないかという気がするんですね。  そこで、時間がありませんから通産省に一応資料だけ要請をしておきたいと思うんですが、あなたのほうで出しましたこの年次報告、これの三三四ページの第七表、政府関係の三庫の融資関係がありますね。で、私の理解では、この対策をとっておおむね八千二百億円という各般の金融措置をとっておるわけです。この貸し付けが、当時、銀行局の金融課長ですか、に質問したときには、おおむね金融公庫だけが一カ月以内でもって貸し出し期間というものをやっている。あとは大体もう三カ月ぐらいかかる。それじゃ実際この融資を受けているほうは急場の間に合わないじゃないかということで、これはその後改善をすると言っているんですが、いまどの程度でいっているのか。その点が一つ。  それからもう一つは、資本金五百万以下と、それから五百万以上一千万未満、それから一億以上、こういうことで、大綱三つでいいですから、そういうもので、いま主税局長が説明なされたような、いわばこの中小企業の体質強化、あるいは小規模企業に対する配慮、あるいは近代化、協業化等の促進等々、数項目ございますけれども、こういうもので一体どれだけ税制上の優遇措置が実際行なわれているのか、そういう資料を出していただきたい。  その二つをお願いをして、それからさっき主税局長にお願いしたんですが、法人組織数はわかりましたが、売り上げ金額等について、十億円以上の場合に、割合にして何%か、あるいは金額にしてどのくらい――おそらく私はもう五十兆こえているんじゃないかと思うんですけれども、その資料です。さっき要求したんですがそれがまだ来ておりませんから、その資料を一通だけひとつ御提示を願って、きょうの私の質問は終わりたいと思います。
  99. 高木文雄

    ○政府委員(高木文雄君) 実はその前に、午前中御要求のあった数字をお答えしておかなければならぬものがありますのでお答え申し上げたいと思います。午前中御要求がありました配当に関する数字をお答え申し上げます。  まず第一は、配当の軽課税率による軽減額がどのくらいになっておるのであろうかということでございますが、御存じのように、三百万円以上の所得については三六・七五%の基本税率が二八に配当分については下がります。三百万円以下については二八の税率が二二に下がります。それで、どのくらいの軽減になるかということでございますが、――概算でございますが、四十七年度の見込み額で、支払い配当の対象となる配当所得が大体一兆一千三百億円ぐらいあろうかと思います。それをベースに、ただいま申しました軽減率を当てはめて計算しますと、軽減税率による法人税軽減額は約千百五十億円ぐらいになろうかと思います。それが第一点でございます。  第二点は、法人の受け取り配当の益金不算入額――法人が受け取ります配当で益金不算入となっておる額がどのくらいあろうかということでありますが、一応の推定を下しましたのですが、四十七年度見込み額で二千五百億円ぐらいであろうかと思います。この額は益金不算入額でありまして、税額ではございません。税額のほうは、これは各法人の適用税率の関係でちょっとはっきりまだ出しにくいので、不算入額だけ申し上げておきます。  それから今度は所得税のほうの配当控除の額でありますが、これは非常につかみにくいのでありまして、二種類ありまして、納税申告で配当控除として申告されるであろう――三月十五日に総合申告で申告が出ますが、その申告の際に配当控除として税額控除申告が出るであろうと見込まれる額は、いまの四十七年度税収見込み額の計算上二百五十四億と見込んでおります。ただ、これ以外に、サラリーマン等が勤務先で給与について税金を納めまして、別途配当があると、それを総合して、――ある場合には総合して納めますが、納めるのでなしに、逆に還付を受けるということになります場合に、還付金額の中に配当控除が働いてどのくらい還付があるかという計算がいまの申告面からはつかめないことになっておりますので、配当控除制度によって還付になる額が正確につかめません。で、この額はいまつかんでおりませんので、ちょっとにわかには申し上げかねますので、配当控除制度によってどのくらいいわば減収になっておるかという数字として申し上げるとすれば、二百五十四億円プラスアルファということになりますが、そのアルファがいま言ったような数字でございます。  それからこの配当控除は、本則では一〇%ですでに下がっておりますが、四十六年、四十七年度は暫定税率で一二・五%になっておりますが、これは四十五年までは一五であったものをとりあえず、いま一二・五にして、四十八年以降は一〇になるわけですが、本則税率を暫定税率一二・五に高めてあることによる差額はどのくらいあろうかという計算でございますが、これは約五十億と見込まれます。  以上でございます。  なお、私のいまの発言中一カ所訂正さしていただきますが、いま、初めに申し上げました配当軽課税率による軽減の第一項目の中で、基本税率三六・七五を配当軽課税率二八になると申しましたが、これは誤りでありまして、二六でございます。訂正いたします。  以上でございます。
  100. 西田彰

    ○説明員(西田彰君) 委員長、先ほどの点につきまして、ちょっと速記をとめて御相談申し上げさしていただきたいと思います。
  101. 嶋崎均

    ○理事(嶋崎均君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  102. 嶋崎均

    ○理事(嶋崎均君) 速記を起こして。  ただいま戸田委員から提出方の御発言のあった資料につきましては、あとから資料をできるだけ調整してみて、戸田委員と御相談をして書類を提出していただきたいと思います。
  103. 中村利次

    ○中村利次君 租税特別措置はこれは、相当に問題のあるものであって、また納税モラルからいってもたいへん問題もあるし、批判もあるものでありますので、国会の論議もこれはたいへんにぎやかでございますし、また税調の答申もこれをもういつもそういう問題点が指摘されていると思うんです。ことさら私がここでまた繰り返す必要はないでしょうけれども、昭和四十年度の税制改正の際に、いわゆる税制調査会の長期答申なるものの中で、この租税特別措置が政策目的を達成するための手段として、その経済政策の一環としての意義を持つものであるといって、そういうふうにこれを認めながら、なおかつその反面、負担公平原則を阻害し、総合累進構造を弱め、納税道義に悪影響を及ぼすなど、多くの短所があるから、したがって、やはりこれは整理縮減の方向に進むべきであるとしていますし、そういうデメリットがあるにもかかわらず、との措置が認められるのは、税制以外の措置では有効な手段がないかどうかを検討して、どうしてもこれは適当な方法がないんだという場合に限るんだとしておるわけでありまして、なおその場合でも、政策目的自体の合理性、政策手段としての有効性の判定、付随して生ずる弊害と特別措置の効果との比較衡量など、こういうテストを厳格に経た上でなければならない。加えて、ややもすれば特権化しやすい性質を持っているから、できる限り短期に改廃することが必要であるという、こういうきわめてもっともな指摘があっているわけですけれども、この委員会におきましてもいろんなそういう立場からの問題の提起がされたわけであります。  これに対する答弁も、大体この税調の答申の線を配慮しながらの御答弁があったと思うのですけれども、問題なのは、やはり現実に、たとえばこの四十七年度の改正の中に、そのことが具体的にどういうぐあいに盛り込まれているのか、あるいはたいへんにどうもいろいろむずかしくてどうしても届かなかったとするならば、今日以降こういう問題点、その趣旨、こういうものをどういうように盛り込み、発揮されようとしているのか、まずそのことからお尋ねをいたします。
  104. 高木文雄

    ○政府委員(高木文雄君) まあ四十七年度の租税特別措置の改正点で、私どもが最大の特色と考えております点は、法人税の税率の問題はちょっと別といたしますと、やはり輸出振興税制の問題であったと思います。輸出振興税制につきましては、非常に長い間、税の立場からはこれをやめるべきであるということを一般にも言われておりましたし、国会でも御議論いただいておりましたし、私ども機会あるごとに主張をいたしておったわけでございます。で、国際金融情勢なり、国際貿易情勢なりがだいぶ変わってまいりまして、四十六年度の税制改正の際にも、何とかこれを思い切った整理縮減をやるべきではないかということであったわけでありますが、大体総体の金額規模で四割くらいの整理をいたしまして、そうして六割くらいを残して、その六割くらいは四十七、八、九と三年間の措置としてやるということになっておったわけでありまして、期限は四十九年度末までであったわけであります。しかし御存じのような情勢になりまして、緊急事態になりまして、いまや輸出輸出と言うべき時期でもなかろうということにもなりましたので、一般的な世論的支持といいますか、そういうものもありまして、今回期限が来ませんにもかかわりませず、一部残しましたけれども、またその七割ないし八割くらいのものを整理いたしまして、残るものは減収額として二百億前後のものになったわけでございます。これはただいまお読み上げになりました税制調査会でも、絶えず言っておりますところの、租税特別措置の整理縮小ということが非常に重要でありながら、同時にまたなかなか実行、実施に移しにくいということを、なまで、そのまま物語る歴史を示しておるものと思うのでございますが、まあ周囲の環境がそれを許す時代になったからでありまして、決して私どもの力によるものではないのでございますが、とにかくそういうふうになりましたと、輸出割り増し償却を中心として、特別償却を中心としてそういうことになりましたということは、やはり四十七年度の税制改正におきますところの一つの特色としてあげていただいてよいのではないかと思っております。  それから第二点として、新しく設けられますほうにつきまして、いろいろな、かなり従来の年に比べて種類は多いわけでございますが、内容的には住宅対策なり、あるいは公害対策なり、あるいは中小企業対策なり、金額的にもそれらに重点が向いております。従来は、何度も御指摘がありましたし、現にこの委員会においても御議論いただいておりますように、とかく産業奨励政策中心に租税特別措置が使われておるというのに対して、住宅対策なり、中小企業対策なりというような方向にこれが新しく向けられる面については、向けられるようになったということは、やはり四十七年度の租税特別措置の改正のかなり大きな特色と言っていいものではないかと思っております。ただ、午前中の多田委員の御質問にもお答え申し上げましたとおり、しからばそれは、全体としてまだまだ大きな方向づけができたとは言えぬのではないかという御質問がございましたが、まさにその点は御指摘のとおりでございまして、全体の非常に大きな四千億、五千億という租税特別措置の中の一部について、そういう改廃が行なわれたにとどまるわけでございまして、まだまだ全体としてはなお今後とも是正すべき点、先ほどお読み上げになりました税制調査会の答申の基本方針、そこにすべて盛られておると思いますが、そういう方向で処理すべきものはたくさん残っているということでございます。
  105. 中村利次

    ○中村利次君 輸出振興税制については非常に率直な答えをいただいたのですけれども、これはもう国の政策そのものが生産第一主義、輸出第一主義から、福祉政策に変わったわけでありまして、そのことの一部が、この輸出振興税制に取り入れられたと思うのです。ところが、この特別措置についてはもうくどいくらい取り上げておるように、その他やはり国の政策が変わった、それにふさわしいやり方をやらなければならないものが一ぱいあるのでありまして、これはぜひ私は質問をする前提として、そういう方向で前向きでぜひともこの租税特別措置に取り組んでいただきたいということを前提としてこれから御質問を申し上げます。  この特別措置法がやはり多くの批判にもかかわらず存続しておる。なかなかどうもその改廃が、国民世論に沿った改廃がむずかしいとされているのは、これはいろいろな理由があると思いますけれども、やはり存続には存続の基盤がございましょうし、これは日本の場合には、戦後のやはり特殊性もあるんでしょう。資本蓄積が非常に叫ばれ、何というんですか、輸出第一主義の政策を続けてきたわけですから、そういう中では何といっても企業自体の、産業自体の国の保護、助成、そういうものにたよろうとするものがありましたし、また行政当局自体も、常に国家の積極的な勧奨のもとに産業の発展がなされなければならないといろ、そういう政策があったことは間違いないと思う。こういうものがやはり一般庶民からしますとたいへんに批判の強いものに発展をしまして、たとえば特別措置の問題なんかは、毎年毎年これはたいへんな政府あるいは与党に対しては陳情合戦が阿修羅のごとく行なわれまして、全く国民のためのまっとうな政治ができにくいほどの陳情合戦が行なわれるようになっておる。こういう姿を見ても、まことにどうもこれは私どもの立場から、国民世論の上に立ってものを考えてみますと、どうも困ったものだという感じが非常に強いわけでありますけれども、いかがでしょう。これは非常にどうも政治性の強いものになりますのできわめてやはりお答えしにくいのかもしれませんけれども、こういう現状の、まことに国民の心情をないがしろにしたような特別措置のありようについてどういうぐあいにお考えになるか、これもやはり前提として伺っておきたいと思います。
  106. 高木文雄

    ○政府委員(高木文雄君) どうもたいへんむずかしい御質問でございますが、いままでは、たとえばアメリカ側から言われております日本株式会社論のように、すべての産業政策が融資なり、あるいは税制なり、補助金なりというものと一体として非常に促進されてきた傾向が非常に強いわけでありまして、それによって早く経済復興をはかる、あるいは成長を求めるという空気が非常にやはり強かった。それは必ずしも産業関係の担当官庁なり何なりが独善であったということではなくて、やはりそういう経済復興を早からしめようとする、何といいますか、そういうものを求める声といいますか、力といいますか、そういうものが国民的世論といいますか、支持を受けておったのではないか。で、そういうことであればこそ、税だけではなくて、金融についても、補助についても、もろもろのそういう産業中心的な色彩の行政が行なわれてきたのではないか。ひとり税だけが特例的ではなくて、私はもろもろの補助金、財政支出の面の補助金につきましても、金融面につきましても、多かれ少なかれ似たような現象であったのではないかというふうに考えるのでございます。  そとで、まさに先般来当委員会でもいろいろ御議論になっておりますように、転機といいますか、産業優先の時代から生活優先といいますか、福祉中心といいますか、そういうふうに転機が来ていることは事実でございますので、そういうものの考え方に、一般の国民の方々の求めるものが変わってくるということになりました場合には、ここ数十年あるいは数十年続いてまいりました税制上のもろもろの措置によって、何らかのそれをインセンチブにして、産業を伸ばしていこうという、何というか、声といいますか、力といいますか、そういうものがいままでとは変わってこようと思うのでございまして、またわれわれもそうならねばならぬと思っております。ですから、決していままでやってきたことはいいとは申しませんけれども、しかし、それはそれなりにやはりメリットがなかったというわけではないので、それだけの意味があった面も十分評価しなければなりませんし、そうかといって、これからはいまのままであってはならないということも十分考えなければならぬのでありまして、これはひとり税制だけではなかなか簡単な問題ではないので、政策全体のあり方、ウエートの置き方の問題ではないかと私は考えております。
  107. 中村利次

    ○中村利次君 この問題はもっと突っ込んでお伺いしたいところですけれども、私はどうも政治体質といいますか、政治姿勢といいますか、民主政治というものは、各界、各層の意向を率直にできるだけ聞いて、それを政治の中にどう盛り込んでいくかということであろうと思いますけれども、現状は先ほど申し上げましたように、どうもやはり現在ただいまの陳情合戦というのは、これは与党の方々にある意味で点のかせぎどきという面もあるかもしれませんが、私は各省庁なんかこれはまさに迷惑千万のものがあると思う。こういうものをやはり国民的に、まともに民主国家らしくどう整理していくかということは私も言い分がございますし、いろいろお伺いしたいのですけれども、ここではこれは適当でないと思いますので次に移りますけれども。  この租税特別措置は、免税、非課税、特別控除という種別のものと、それから課税の繰り延べ的なものとに大別されると思うんですけれども、これを歳出面の助成措置に比べますと、前者は補助金と称すべきものであり、後者は利子補給あるいは無利息貸し付けという性格を持っておると思うんですが、こういうものに対して現在では、この特別措置の減収額を年度初めの見込み額の試算で発表されておりますけれども、これはどうもやはり審議の資料としてはきわめて不十分と言わざるを得ないわけでありまして、何とか実績を調査して公表をする、そういうお考えはないかどうか、これは非常にまあ性格によっては調査困難なものがあると思いますけれども、しかし、困難だということで片づけたんではあまりにもこれは芸がない話でありますので、何とかそういう実績を調査公表するということについてどういうぐあいにお考えか、お伺いをいたします。
  108. 高木文雄

    ○政府委員(高木文雄君) ただいま御指摘がございましたように、租税特別措置によりますいろいろの制度はございます。非課税あるいは特別償却、あるいは準備金の制度、いろいろございます。そのいろいろの制度によりましてメリットはいろいろ違うわけでございます。で、減収額試算ということでお出ししておりますのも、実は非常に誤解を与える危険、そういう意味で危険な数字を羅列してあるわけでございまして、いろいろなメリットのものが混在をして並んでおるようなかっこうになっておるわけでありまして、ただいま御指摘のように、特別措置の具体的内容に即してメリットを分類して評価をしていただくということは、非常に重要なことだと考えております。  それから第二に、試算の意味でございますが、これは実はいろいろいきさつがございまして、長年のいきさつがございまして、過去からの経緯でこういう表をお出ししておりますが、これが持ちます意味というものも非常に正確ではないのでありまして、非常にいろんな推定が加わっている部分がありましたり、仮定計算が入っておるものがありましたり、それからこの表にあがっているものと、あがってないものといろいろとございまして、なかなか実は問題があるわけでございます。で、ただしかし、予算の審議もしくは法案の審議ということに参考として数字がないのでは、審議ができないからという経緯で、これまでもこういう形で御提出申し上げておりますので、今回も従来の例にならいまして御提出した次第でございます。  そこで、実績の数字の話でございますが、これはまた、たいへん恐縮でございますが、いまおっしゃいましたように、計算可能なものと、計算不能のものとございます。計算可能なものはこれまでも随時でございますが、何らかのかっこうで資料として御提出申し上げましたり、あるいは交際費のように毎年定期的に国税庁のほうに発表いたしましたり、いろいろになっておりまして、一覧表でお示しするということはいたしておりません。なぜ一覧表でお示しすることをいたしておりませんかといいますと、かなり計算不能のものがたくさんありますために、見込みのほうは一応の推定でやっておりますけれども、実績となりますと、推定というわけにまいりませんものですから、そこで一覧表になかなかなりにくいわけでございます。しかし、先般もこの租税特別措置の御審議にあたりまして、衆議院のほうにおきましても同様に、もっともっと、確度が低くてもいいから実績を出せという話もありまして、現在の段階で私どもも何とか相当推定を加えても出し得るものは実績を出すべく研究をいたしておるところでございます。  そこで、たとえば減収計算の表で申しますと、少額貯蓄の利子等の非課税の数字で六百九十億という数字があがっておりますが、こういうものは非課税措置でございますので、これはある程度実績がお示しができるかと思いますので、これは実績をお出しするようにしたいと思っておりますが、その次の利子所得の課税の特例というのは、これは中身は何かと申しますと、源泉選択制度というのがございまして、預金をなさる方が銀行に申し込んで、自分は総合課税をしないで高い源泉徴収税率でいいから、そのかわり総合課税ではなく、分離課税にしてほしいという選択制度でございます。これを選択している方が、幾らそれではそれによって軽減されておるかということを承知いたしますためには、私なら私がその制度をとりました場合には、その私がもし源泉選択をしないで、総合になった場合には上積み税率が幾らになるであろうかということを計算しないと、その制度を選んだことによって、私の減税メリットというものはわからないわけでありまして、私という人間は、銀行の窓口には源泉選択をしますよという書類が出してあるわけであります。したがって、何に幾らの預金をして、幾らの利息について源泉選択を選んだかということのほうは、これは書類が出ておりますからわかるといえばわかりますが、その出した方が、本来ほかの所得は幾らあったのかということはわからないわけでございまして、それをやろうとしますと、銀行にお出しになったすべての方について、今度は税務署なり全国の、申告をなさらないでサラリーマンで年末調整が済んでいる方であれば、年末調整で幾らの税率になっているかということを見ませんと、その上に五十万なら五十万の利子所得があるとすれば、その人が上積み税率は何ぼか、それでたとえば二七なら二七の上積み税率のはずであったのに、二〇の源泉選択税率で済んでいるという、こういう計算が出てこないと、幾ら幾らの減税というのは出ないものですから、これは全く計算ができない、こういうことになっております。  で、そういうふうに、この二番の「利子所得の課税の特例」はほとんど不可能なことでありまして、実はそれが不可能なら、見込みのほうもほんとうは出ないはずじゃないかという実は議論が出てくるはずでございますが、それは過去においていろいろ経緯がございまして、それは計算不可能でございますということを何度も申し上げたのでございますけれども、どこかの委員会で、それを推定でも何でもいいから、何か数字を出さない以上はもう審議をしないということがありまして、それで非常に相当無理をした推定で、数字を非常に古い時代に出しまして、あとはそれ以来同じ推定方式をとっておるという経過で、一応数字を入れてあるということになっておりますので、   〔理事嶋崎均君退席、委員長着席〕 推定でございますからよろしいのでございますけれども、今度実績ということになりますと、非常に責任が、実績ですから推定ではいけませんので、むずかしいということでなかなか出せないということになっておるわけでございます。  それからもう一つ、非常にむずかしい事例としては、特別償却制度でございまして、普通ならたとえば十年償却のものがあります。十年償却のものを特別償却でさらに割り増しして償却します。それは初年度にはよけい償却しますからメリットが出ますけれども、そのメリットが出たということは、今度翌年度以降は償却資産が減るわけですから、そこで取り戻しがきいてくるわけでありますけれども、去年、おととし、さきおととしに何ぼ特別償却をして、今度は当該年度に取り戻しが幾らになっているかという関係は、これは実は当該企業でもなかなか計算が、特別に計算をやれば可能でありますが、むずかしい事情になっているという仕組みになっておりますので、特別償却等につきましても、かなり実績計算は困難ということになっております。でございますが、今後とも推定にいたしましても、なるべく推定値を実勢値に近づけるような何かくふうをしたり、サンプル調査をするなり、何かそういうことを考えまして、あまりそのことのために税務署に事務をよけいかけますこともいかがかと思いますが、そういうことがあまりない程度で少しずつ整備をしていきたい、こういうふうに考えまして、衆議院段階におきましても、だんだん実績値を委員会にお出しすることをお約束した次第でございますが、当委員会におきましても、必ずそういう方向で漸次実績数字をお出しすることをお約束したいと思います。
  109. 中村利次

    ○中村利次君 これはひとつ御答弁につきましては理解をいたしましたので、一段の御努力を要望しておきます。  次に、これはもういままでもこの委員会でもずいぶん皆さんから指摘をされたところでございますけれども、配当課税の問題ですね。これは法人というのは株主の集合体であって、法人税でも税金を徴収しておるから、したがって、配当所得については、これはやはり二重取り的なものがある。いわゆる法人税は前取りであるというそういう税体系といいますか、これはしかし思想もあると思うんですよね。しかし、私はそのほかに、たとえば昭和四十年に申告不要制度、これは一銘柄について年間五万円。それから、源泉選択制度これはやはり一年間に五十万、一期二十五万ずつですか。それからもう一つは、総株式数の五%以上、こういうことで、この制度を導入されたのは、創設されたのは昭和四十年ですね。昭和四十年というのは、その五月には山一問題がございましたし、あるいは七月の半ばには旧ダウが千二十円ですか、になるという、株式市況はまさにこれはどん底におちいったころだと思うんですが、こういう時期に、やはり証券市場のてこ入れの意味も含めて、税負担の公平問題が非常にかまびすしいこの特別措置を、税負担の公平を乱して、あえてこれを採用されたというのは、そういうやはり証券市場に対するてこ入れの意味もあるんではないかと思うんですが、そういうぐあいに受けとってよろしいですか。
  110. 高木文雄

    ○政府委員(高木文雄君) ひとつ申し上げますが、先ほど株式の譲渡所得については非課税になっておりますが……。
  111. 中村利次

    ○中村利次君 いや申告不要制度と、源泉選択制度。
  112. 高木文雄

    ○政府委員(高木文雄君) その前にちょっと申し上げておきますが、事業譲渡類似の株式の譲渡についての課税でございますが、それは四十年ではなくて、三十六年度でございますので、その点念のために申し上げさしていただきます。  申告不要制度でございますが、申告不要制度が採用されたのは、おっしゃるようにまさに昭和四十年でございます。一銘柄五万円までは申告不要になったのであります。このときこの制度が採用されましたのは理由は二つあると思います。  その一つは、源泉徴収税率が従来は配当について五%でありましたものを、一〇%に引き上げました。それから、もう一つは、源泉選択制度を採用いたしまして、その源泉選択をしたものについては、源泉徴収税率を一〇でなしに一五にしたわけであります。ですから、かなり税率が上がったわけであります。総合はしなくてもよろしいが、率は上がったわけであります。そういうふうに税率を上げますことと、それから見合いといいますか、一種の見合いで申告不要制度が設けられた、こういう理由が一つございます。  もう一つの理由として、いま中村委員から御指摘のような、当時の非常に低迷する証券市場の事情ということがあったことは事実あるのでございます。それはまさにおっしゃるとおりでございまして、その当時そういう事情にあったことは事実でございます。そうして、またそれを何とかしなければならぬということを考えられたことも事実でございます。それを何とかしなければならぬと、う場合に、申告不要制度が相当証券界にとって役立つであろうというふうに、証券界の方々が思われたこともまた事実であろうと思います。ただし、私どもとして、ではなぜそういう申告不要制度というような、税の上からいうと好ましくないものをあえて受け入れたかということになりますと、やはりこの当時そういう状態であるにかかわらず、なおかつ源泉徴収税率を五から一〇に上げるとか、あるいは源泉選択制度を創設するが、その税率は当時としては、改正前には源泉税率が五であったわけでありますから、源泉選択制度も置きますが、その税率は一五にすると、かなり思い切った税率の引き上げであるということで、それにはいままで低かった税率を引き上げるということを考えれば、一方においてそういうかなり甘いといいますか、課税公平から言っていかがかと思われるような制度であるけれども、それを容認しても、税率を上げるほうが、全体の公平のためにはいいのではないかというふうに、その当時判断されたかと思われます。  で、次に、これは四十二年度に源泉徴収税率が一〇から一五に上がり、源泉選択の税率は一五から二〇に上がったわけでありまして、その際にもちろん、だいぶ証券界の事情は変わってきたわけでありますけれども、しかし、この際にも税率が五%ずつ上がるという事情もありましたので、申告不要制度をやめるには至らなかったという経緯があり、さらに、四十五年度に、実は今度は配当でなしに利子のほうについて、総合課税制度を導入する場合に、利子のほうをむしろ配当に見習って、源泉選択制度を設けることになりました。そういういろいろの経緯がありまして、源泉選択ないし源泉徴収の税率は、こうじわじわと上がってきているわけでありますが、そういう経過がありまして、申告不要制度は残念ながら今日まで引き続き残ってきているということでございます。
  113. 中村利次

    ○中村利次君 これは私は、たとえば証券市場そのものが、戦前戦後ではたいへんに激変をしておりますし、戦後は証券市場の民主化ということが叫ばれまして、そのことは具体的にはここにもいただいた資料の中に、保有株式別に見た株主は、一万株以上の株主というものはたった四%ですね。ですからそういう点でいきますと、申告不要制度一銘柄年五万円、一年配当として、一万株ですから。一割五分、二割配当、もろもろ配当はあるでしょうけれども、そういう面からすれば納得のできるもののように見えますけれども、また反面を見ますと、やはり同じいただいた資料一万株以上の株主数はたった四%ですね。たった四%ですけれども、今度は一万株以上持っている株式の数でいきますと、これは一万株以上が七三・二%、たった四%の人が総株の七三%を持っておるという、これはやはりたいへんに民主化されたけれども、きわめてやはり庶民とはほど遠いものであるということが、この資料からも明らかになっているわけです。ですから、そういう意味では、源泉選択制度の一銘柄年間五十万円以上、それから株式数の五%以上という、この新しい導入はどうもやはり庶民感情からいってしっくりしない、納得のできないものになりますし、それからもう一つは、先ほど申し上げましたように、あながち私は証券市場に対する対策を否定はいたしませんけれども、しかし、当時不況下に低迷したまさにどん底に落ち込んだ状態と、現在はまさにこれは月とスッポンほどの差があるわけであります。現在の株式市況は、私はむしろこれは過熱状態にあるのではないかと思うのですね。旧ダウも四十年の七月に千二十円程度に落ち込んだのが、いまではもう三千円をはるかにこえているわけでありますから、こういうことを考えてみますと、こういう配当課税に対する特別措置というのは、前回の当委員会あるいは午前中からの皆さんのいろいろの議論に加えて、そういう意味から言っても、これはやはり昭和五十年を待つまでもなく見直されていいのではないか。これは衆議院の大蔵委員会で大蔵大臣が、やはり五十年までの四十七、八、四十九、五十年ですね、二〇%、二五%ですか、そういう暫定措置があるから、それを待ってじっくり考えたいという答弁があっておりますし、また、この委員会でも、主税局長から同趣旨の御答弁があったわけであります。  私は、やはりいままで数多く指摘されてまいりましたものに加えて、いま申し上げたような面から見ても、今日はすでにもう昭和五十年を待たないでこういうものを見直す必要がまさにあるのではないかと思うのですが、いかがでしょうか。
  114. 高木文雄

    ○政府委員(高木文雄君) 税制の立場から申しますと、中村委員が御指摘のようなことを私どもも心ひそかに思っておるわけでございまして、ほんとうはこのままでいいのかどうか相当疑問を持っておるわけでございますが、しかしながら、どうも特に四十五年度の税制改正のときに、利子と配当について非常に紛糾いたしました。紛糾はいたしましたが、現行のようなことで、利子と配当の間にまたある程度のバランスがこれでとれるということで、現行制度に落ちつきますと同時に、大体二年おきないし三年おきにいろいろ税制上の制度の改廃がありましたことが、非常に配当なり利子なりについての予定採算というものを動かすことになりますものですから、それで非常に、それが弊害を生ずるということで先の見通しが立つようにしてもらうならば、多少税金が重くなっても、むしろ安定的になるからそれでもがまんができるというような、関係官庁なり関係業界の感触がありまして、それで午前中、午後を通じてお答えを申しておりますとおり、四十八年の一月一日から源泉選択の税率も上がりますし、逆に配当控除の控除額は下がるということが、前もって四十五年度の税制改正ですでにきまっているということでありまして、そこはいろいろ御議論があるところであります。その後四十五年から今日までにずいぶん情勢が変わっているのだから、四十五年度のときにこういう株の状況なり、こういう金融の情勢なりは予想しなかっただろうとおっしゃればそうであるかもしれません。したがって、状況が変わっておるのだから、先ほど輸出について私が御説明申し上げましたように、期限が来ませんでも、手をつけてはいかぬということではないと思いますけれども、しかし、こういう現行制度ができました背景といたしまして、その審議の過程においてそういう、何年目かにある段階を置いてだんだん税が重くなっていく、言ってみれば、利子についても配当についても利回りが悪くなっていく、そういうことがあっても、それがあらかじめ予測されたものであれば、何とか対応策もいろいろとれるから、それではそういうことでいきましょうということでスタートした関係もございますので、それをいままたここで事情が変わったとは申せ、改廃を加えるということについては、何といいますか、なかなか、要するに今後のいろいろ制度を間もなく、どうせいずれにしましても四十九年には議論しなければなりませんという関係もございまして、そのことを考えますと、従来の既定路線をもう少し歩んでいって、五十年以降のことを、四十九年度のときに議論する際に十分議論するほうが私どもは、いわば実務家的感覚といたしましては仕事がやりやすいのではないかという気持ちも持ちまして、いまのところは、四十八年の問題としては、現行の制度のままで行かしていただきたいということを強くお願いといいますか、考えている次第でございます。
  115. 中村利次

    ○中村利次君 これはひとつぜひ勇気を持っておやりいただくように要望して、もう時間も制限されておりますから次へ進みますけれども。  同じやはり事例の、有価証券の譲渡所得の問題ですね、この非課税というのは、これもまことにどうも不合理なことなんですけれども、これもやはり昭和二十八年といいますから、もう二十年近くたっておりますけれども、当時の情勢からして、資本蓄積が急務とされておって、あわせて健全な証券市場の育成ということもあったのでしょう、そういうもので、いまから考えますと、まことにこれはどうも不合理千万だと思うことがありますね。先ほどの配当課税の問題にいたしましても、この譲渡所得に対する非課税の問題にいたしましても、私はやはり昭和四十八年度の予算を組まれるときには、財源難でこれはもう国も地方もたいへんに頭痛はち巻きの状態になるのではないか、そういうときにはまさにこれは不合理であり、それから国民のほうからいっても当然であるという、そういう問題については相当勇気を持って、これは取り組まれる必要があるのではないかと思うのですよ。しかし、何かやはり新しく改廃をしようとしますと、そこに抵抗があるのは、これはもう私は当然だと思うんですね。どんないいことであっても、必ず抵抗があるはずでありますけれども、これはぜひ、この問題にしても、これから申し上げる質問にしても、相当勇気を持って私は対処をしていただきたいと思うんですけれども、これはどうも、一万分の十五ですか、それから、先ほども申し上げましたように、証券市場というのは、大体これはまあいろいろな、何といいますか、目的いろいろな要素を持っておると思いますけれども、健全な投資と、それから投機というものは、これはもう完全に仕分けをされてしかるべきだと思うんですね。まさに私は、いまみたいに過熱した、たとえば信用取引のごときは、もうギャンブル的な投機といって、これは何ら差しつかえない。これが、たとえばまあいま過熱しておりますのは、いわゆるローン銘柄の証拠金なんか、だんだん制約を受けるほど、あるいは銘柄によっては現金で保証金を積まなければ信用の売り買いができないというほど、そういう規制をやらなければならないほど過熱をしておる、すべてその中心は投機だと思うんですね。これが一千万円もうけてたった一万五千円税金払えばあとはもう、何といいますか、もうけほうだいという、まことに庶民感情からして納得のできないような有価証券の譲渡益に対する課税の問題は、どうも最もとらえやすい財源ではないかと思うんですが、いかがでしょう。
  116. 高木文雄

    ○政府委員(高木文雄君) 有価証券の譲渡の非課税の問題は、先ほどの申告不要制度の問題とは多少事情が違うと思っております。御指摘のように、昭和二十八年当時には、資本市場育成ということを一つの政策目的として非課税の処置がとられたわけでございますが、その当時と今日では全く事情が変わっておるということもおっしゃるとおりでありますし、それから、その後、三十六年に一株、一株の株の売買というよりは、株の大量取引によって、実は事業そのものの譲渡が行なわれるような場合には、非課税規定を働かさないという、例の一種の租税回避行為の防止のための規定が入りましたのは、昭和三十六年でございました。自来手を触れておりませんという事情がありますので、これはひとつ、先ほどのものとは違いまして、かなり前のものでもございますので、いろいろ検討に値する時期にきているのではないかと私どもは考えております。  ただ、実際問問として、私はやや実務の経験から申しますと、実務といいますか、現場の経験から申しますと、株の譲渡所得を把握することは、税務署の仕事としては非常に困難をきわめておりまして、そこでそれを取り上げます場合に、いまの株の譲渡所得の非課税制度について、正面からこれを非課税をやめて、課税のほうに持ってくるということにするということについては、まあ私のいまの現在の段階でのいわば直感といいますか、そういうものからはなかなかむずかしいのではないか。そのむずかしいというのは、抵抗があるからとか、業界から反対があるからとか、あるいは市場育成論から異論が出るからということではなくて、実務面からいいまして、なかなかあれだけ大量に毎日動いております株の譲渡について税務署が把握することは非常にむずかしいし、さりとて現在の株の譲渡に非常に経常的に関与しておられます方々の、多少語弊がありますが、納税思想推進といいますか、そういうものとの関連上、かなりの高い申告水準を期待することはむずかしいということがあり、また譲渡益を課税するということになりますと、譲渡損を引くという問題が起こりまして、譲渡益と譲渡損の関係で、非常に損のほうの申告は出てきやすいのですが、益のほうの申告が出てこないという問題があって、なかなかむずかしいのではないかと思っております。  そこで、いまお触れになりましたそれにかわる措置として、有価証券の取引税について、二十八年当時から全く変かってないのはおかしいのではないかという点については、確かにおっしゃる点があるわけであります。これも二十八年当時から全く同じということについては、相当検討に値する問題だというふうに考えております。で、その点に関しては、しかし、まだ私ども内部で議論をまあぼつぼつ始めるかという段階でございまして、関係の方面と相談という段階までには至っておりませんので、いつどうするかと言われてもお答えいたしかねますが、私自身の気持ちといたしましては、有価証券取引税の税率というものは、少なくともこのままにしておくということは相当問題であって、とにかく検討してみなければいかぬ問題の非常に大きなテーマの一つであるというふうに考えております。
  117. 中村利次

    ○中村利次君 これはひとつぜひ積極的に御検討をお願いしたいと思います。これは投機でもうけて、その税率の引き上げということに対しては、先ほど申し上げましたように抵抗はあるでしょうけれども、私はこれはそういう抵抗はどうしても納得できない。内攻するほどの抵抗ではなくて、これは現象的抵抗にすぎないと思いますから、ひとつ大いに勇断をもってこの税率の引き上げには望んでいただきたいと思うのです。あわせて証券取引責任準備金の損金算入ですね、これを廃止するおつもりはないでしょうか。
  118. 高木文雄

    ○政府委員(高木文雄君) どういう御趣旨での御質問かよくわかりませんが、証券取引責任準備金の制度は、先生よく御存じのとおり、株式の売買に関しまして証券会社の職員などが違法または不当行為によってお客さんに迷惑をかけた、それでお客さんの損害を賠償しなきゃならぬ、企業が、雇い主が賠償しなければならぬということによる損失に備えるというためのものでございますが、しかし、それは直接にはそこに準備金を設けることによって企業が、証券会社が納めるべき税が少なくて済むということでありますけれども、しかし、それはやはり何といっても、そこの取引の株の売買に参加されるお客さんの保護ということに設けられていることは間違いないわけであります。で、証券業界は歴史が浅いということでありまして、企業に対する直接金融の使命を持っております株式を扱う証券業界と、間接金融の使命を持っております金融業界と比べまして、日本の場合には残念ながら著しく証券業界のほうが歴史上整備がおくれております。それで四十年、四十一年のあのさわぎ以来、やっといまだいぶ安定をしてきましたし、証券業界のまあいわば質もよくなってきておるところでございます。どちらかと言えば、だんだん間接金融から直接金融のほうへ多少とも誘導すべきではないかという時期に来ているところでもございますので、まあ先ほどもお話がありましたように、株式の民主化と言っても、なかなか一般大衆が株を持たれるというわけにはいかない。遅々として進まないという現実ではございますけれども、しかし、長い方向としては、やはりそういう方向に向かうべきものであるというふうに考えますと、そのお客さんに迷惑が及ぶということが、非常に少ない事例ではありましても、起こりますというと、一ぺんに一般のお客さんの株式投資熱が下がるということになりますからして、やはりそれに対応する措置というのは、まだ現在の程度の証券界の実態では、あるいは必要なのではないかというふうに考えておるわけでありまして、このもう少し証券市場といいますか、証券会社といいますか、全体がまあ、ことばが悪いのでありますが、大衆の信頼が得られますほどに体質が十分整いますまで、もうしばらくこういう制度を置いてみていいのではないかというのが、私どもとしてこの制度の存続を認めているところでございます。  ただ、まあ一般論として、この租税特別措置につきまして、洗い直しという時期に来ていることは、先般来の御審議でも御指摘を受けているところでございますので、全然立場をかえて、スタンドポイントをかえて、現在の租税特別措置を洗い直すという角度からいたしますと、やはりかなり長く続いている制度でございますから、その間には一つの検討対象となるべきものかとも思われますけれども、しかし、なかなかはたしてこれをいまやめることが、いままでありましただけに、これをやめることがはたしてもうすでにそこまで証券業界あるいは証券会社の資質が整備されたというのは、ちょっと早いという感じがいたしているところでございます。
  119. 中村利次

    ○中村利次君 これは損金算入については大いに議論のあるところでございますけれども、時間が乏しくなりましたから先に進みますけれども、保険診療報酬に対する課税ですね。これはこの委員会でももうすでに指摘をされておりますけれども、私はこの間、今月の四日でしたか、毎日新聞の余録欄ですかね、見ましたところが、例の浪速大学の問題で、高校三年生で一千万、それから中学三年で六百万、ひどいのは三歳、たった三つの赤ん坊に百万の投資をして、そして医学部入学の切符を買うという、そういうことで四百人の父兄から二十億ほどの資金を集めたそうですけれども、これはまあ認可にならないでえらい大問題になった。そして私がここで問題にしたいのは、そういうばかばかしい医は仁術だとか、医師という職業はこれは天職である、この間の委員会でもそういう議論があったわけでありますけれども、しかし私は、医者というその天職につくために、一千万円あるいは五百万円の投資をするのではなくて、医者というものはもうかるものだと、高額所得者の代名詞みたいな、そういうところに私はやはり一千万、五百万の投資に魅力があるのでしょうし、こともあろうにそういうことをおやりになった方々の大部分は、これは医者であったというのですね。まさにこれは語るに落ちるといいますか、医師そのものが自分たちが相当の投資をしても、庶民感覚からすればばかばかしいほどの投資をしても、それが回収できるのだということを如実にこれはあらわしておると思うのですけれども、それが七二%必要経費として非課税になっておるという、これは庶民心情からいって、何としても納得のできないところですけれども、これは大蔵省ではたいへんにむずかしい、大蔵省ではできないから、税調が、おれたちがやるのだというので、いませっかく努力中だという答弁があったわけでありますけれども、私はこういうことは、やはりどうもあまりにも納得できないことを、そのまま便々としてむずかしいむずかしいということで見送ることは、全くもってこれは納税モラルの点からいったって大問題だと思うのですよ。確かに医師会という――きょうは厚生省お見えになっておらないでしょうからどういうことになっているのだかわかりませんけれども、医師会という強力な圧力団体があるわけでありますから、二十九年にこの制度を設けられたときにもたいへんに波乱万丈の末こういうことになったということでありますけれども、いまこれをやはり国民心情からいって、納得のできるようなものにするということは、これはもうそういう、何といいますかね、診療拒否までやるくらいの強力な圧力団体の医師会をかかえたらたいへんなことだと思いますけれども、しかし私は、やはりそれをやるのが政治の姿勢だと思うのですよ。とにかく、むずかしいから、農協さんはこわいから、医師会はこわいからということで、どうもこれに妥協をして、国民の目から見ればどうも納得のできない政治が妥協をしておるという、そういうことであっては、これは私はやはり税制からいっても、あるいは納税モラルからいっても、たいへんな大問題だと思うのです。そのほかまだ私はいろいろ質問したり問題提起をしたいこともあるのですけれども、たとえばこれも非常に取り上げられておるギャンブル税にいたしましても、中央競馬だけで四千億ですよね。競輪、地方競馬、そういうギャンブルを一切加えますとおそらく本年度は二兆くらいのものになるでしょう。これもおそらく国税をかけるということになりますと、地方自治体からの相当圧力――これは一番こわい政治圧力でありましょうけれども、しかしこれは、地方自治体との間には調整もつきましょうし、それからこういうギャンブルだとか、あるいは先ほど申し上げました有価証券取引税の税率引き上げ等、これはもうそういうものを納得のできる改正をするということに対しては、私は、圧力があるということは、抵抗があるということは、それはもうわかります、必ずあると思う。しかしこういうものがほんとうに、たとえば九、六、四だとか、十、五、三とかいって、給与所得なんというものは逃げ場がない、重税感が非常にある。特に高福祉、高負担がいろいろ言われており、それから四十八年度なんかは財源がたいへんなときに、どうしても納得のできない限界を越えたものではなくて、一時的な抵抗なんというものは、国民的に見ればそんなものはけし飛んでしまうので、内攻するようなものでないものに対しては、ひとつばっちり勇断をもって対処をされる必要があると思うのです。そういう意味でこれはもう、広告課税等も取り上げたかったのですけれども、ぜひひとつお答えをいただくと同時に、最後に要望いたしますけれども、こういう時期ですから、ひとつぜひ国民的な合意の得られるような種別の問題に対しては、もう勇気を持って堂々と取り組んでいただくということを、特に要望をいたしまして、いま申し上げた御答弁をいただいて、私の質問を終わります。
  120. 高木文雄

    ○政府委員(高木文雄君) 社会保険診療報酬の問題につきましては、ただいまお話もございましたように、四十七年度の税制改正に関する税制調査会の答申におきまして、いわば政府にまかしておけないから、税制調査会自身で具体案を示してみたいということで、御答申があったわけでありまして、今月中にもその具体案作成のための特別調査会が発足する段取りになっております。私どもも事務方といたしまして、これをお手伝いすることになると思いますが、なかなか税だけの問題ではなくて、まず適正診療報酬という問題とからんでおりますので、そして、社会保険料いうものは、公定価格になっておるわけでございますから、それを政府がまたきめる立場にあります関係上、お互いにからみ合っておるという問題があります。しかし、そこは御指摘のように勇断をもって臨まなければならぬということで、先ほど来御指摘ありました課税の不公平という中の、やはり典型的な問題の一つとして、しばしば各方面から御指摘を受けているところでありますから、この問題には精力的に取り組みたいと思っております。  それから、ギャンブル税の問題につきましては、これは昨年暮れから、四十七年度税制改正の問題としても若干研究はしてみたわけでございますが、一般的にはこういう税制を起こしてはどうかという御意見が強いように見受けられるのでございますが、かなり技術的な部分で問題がありまして、税制調査会でも、もう少しその技術的部分を検討してみたらどうかということで、新税を起こす場合に、あとになってぐあいが悪いということになってはいかぬから慎重であるべしということで、ギャンブル税の考え方そのものについては、むしろ税制調査会も御賛成で、ただ細目といいますか、やり方等について、もう少し時間を置いて研究せいということであったのでありまして、ことしその方向でいきたいと思っております。  広告税については、先ほど御質問に対してお答え申し上げましたが、これはしばしば従来からも研究いたしておるところでありまして、ある意味では非常にむずかしい問題であると思っております。これは課税することがいいか悪いかについて、相当むずかしい問題であると思っております。ただ、しかしながら、ただいま御指摘をいただきましたように、いろいろと財源事情等、四十八年度を控えましてむずかしい情勢になってきているところでもございますので、いままでよりはさらに一そう深く検討してみて、どうしても課税することがまずいものかどうか、その辺を明らかにしてみたいというふうに考えております。  いずれにいたしましても、ますますこの課税の公平についての納税者の方々の御関心は非常に高まっておることを、ひしひしとわれわれも身をもって感じておりますので、いま御指摘がありました点をとくと心得まして、来年度の税制改正に向かってがんばって研究を続けていきたいと思っております。
  121. 船田譲

    ○政府委員(船田譲君) ただいま中村委員の御質問の中に、政府の租税特別措置法に関しますところの政治姿勢あるいは与党の政治姿勢について、ありがたい叱咤激励をいただきましたので、そういう立場からお答え申し上げたいと思います。  租税特別措置法には、先生の御指摘になられましたように、財政にこれをたとえて言えば、補助金的な部門であるところの減免税の問題、それから融資あるいは利子補給に当たるような、いわゆる損失の繰り延べあるいは準備金制度というようなものが二種類、大要すればあると思います。  そのうちの前者につきましては、現行のいろいろな制度はその目的を達したものはすみやかに廃止していかなければならない、そういう方向でやっていくべきであると私どもも考えます。それから後者につきましては、たとえば準備金制度は、取りくずしたときに税になって入ってくるものでございますから、前者ほどはきびしくその改廃を急ぐほどのものではないとは思っておりますけれども、もちろん、あくまで税の公平を考える面からは、やがては廃止していかなければならぬものと、こう考えております。  また、そもそも租税特別措置法そのものは、政策目的で設けられるものでございますから、したがって、その政策目的が達せられたと確信を持ちましたときには、すみやかに廃止すべきが当然であろうと思いますけれども、実際の行政上から申しますと、なかなかそれがしかく簡単にいきませんために、先生方に非常な叱咤激励を受けているわけでございまして、これを御激励と受けとめまして、いま局長が申しましたような線で洗い直して、積極的に改廃に向かって進んでまいりたいと思っております。  なお、そのほか、本来減免税という――減税あるいは増税というようなものは、これは所得税、法人税等の本則をもって行なうのが原則であろうと思いますけれども、ただ、本則を改正することによって、非常に大きな大衆の負担の激増等の、何といいますか、激変がありました場合に、納税者の担税力等を考えなければならぬ。その場合に、租税特別措置法をもちまして緩和措置をはかりたい。例の利子あるいは配当の分離課税の問題も、その年度を経てやっていくというのが、その意味だと私は思っております。  最後に、税制につきましては、各方面から、各団体から陳情がございます。もちろん生産団体等からもございますが、同時に最近は消費者団体、サラリーマンユニオン等からも非常に御熱心な陳情がございます。そういう意味で私は、先ほど先生からちょっと言われましたように、民主政治においてはできるだけ各般の国民の要望を聞いていくということが大切でございますから、そういう意味で、消費者団体あるいはサラリーマン団体もいろいろな陳情をお持ちくださるということは非常にいいことだと思っております。ただ、あくまで、各生産団体なりそういった消費団体の陳情を聞きますときにも、税の公平の原則というものは十分にわきまえてやっていかなければならないと、こう考えております。
  122. 戸田菊雄

    ○戸田菊雄君 ギャンブル税についてですけれども、まあ政府公認の競艇、競馬、競輪、こういった種類のものが大体ギャンブル税として国庫納付金なり地方納付金、こういう形でいっているわけですね。おおむね私の理解では二五%見当、頭から。言ってみれば、課税ですね。これをずっと考えていきますと、どうしても結果的には大衆課税という方式にいっているのだろうと思うのですね。たとえば、いま競馬と競輪、競艇を見ると、大衆の大部分はこれは貧民層が多いのですね、正直言って。一獲千金を夢見て競馬でひとつ当ててやろうという、こういう賭博根性がそこに働いている。だから帰するところ、私はどうしてもギャンブル税というものは、何としても大衆課税、こういうところに行かざるを得ない。そうすると、二重、三重の重課体制をとっているということに私はなるだろうと思うのです。大体二五%ということになると、昔で言えば大前田英五郎とか、あるいは清水次郎長というのはテラ銭五%でしたね。それをいま二五%とっているのですから、これはたいへんな高額だと思うのですよ。だから、そういうことを考えれば、わが党としてはギャンブル体制というものは、そういうものは廃止していこうじゃないか、こういう考えに実は立っているわけですけれども、しかし、その考えは別において、何かやはりそういう点で大衆課税という方式を軽減していくような、そういうものをかりに、さっき主税局長は、ギャンブルについては地方財政の困窮度合いからいって非常に苦しいから、それはもう地方自治体としてはほしがっていると、こういうことですが、そういうものを国として容認をしておいていいのかどうかということですね、せんじ詰めていきますと。これは一挙に私はなくすわけにはいかぬと思うのです。それは革新の中においても、京都の蜷川さんですかね、これはやはりまだ存続を一応容認したかのような態度をとっているということで、全国的にはいろんなケースがございますけれども、いずれにしても大衆重課方式にのっとったものであることはこれは間違いないだろう。だから、大体この四十五年度ですか、五百三十億ぐらいの国庫納付、こういう態勢になっているだろうと思うのですが、間違っておればひとつ指摘をしていただきたいと思うのですが、こういう問題について、少し主税局長、抜本的に検討する用意はございませんか。その辺の見解をひとつお聞きかせ願って、今後の制度の上でどう一体考えているのか、これは内容について次官からもひとつ御答弁を願いたい。関連質問でひとつ。
  123. 高木文雄

    ○政府委員(高木文雄君) 昨年の暮れに、ギャンブル税のことをいろいろ研究いたしましたときの問題点を申し上げてお答えいたしたいと思います。  大体いま戸田委員がおっしゃいましたように、売り上げといいますか、馬券なり車券なりの売り上げを一〇〇といたしまして、二五%に当たるものが開催経費等に充てられまして、七五%が当たり馬券ということで、入賞した馬の馬券を買った人に返ってくる、こういうことになっておるわけでありますが、その二五%のうち、国営競馬の場合には、最初に一〇%が国庫納付金として国に入ってまいります。そうすると、一五%が余るわけでありますが、その一五%に当たる額のうちから、開催経費を引いた残り、つまり利益金みたいなものが残るわけですが、その残った利益金の半分が再び国庫に入ってきまして、半分は中央競馬会の資産として残るといいますか、施設の改善等に回るわけであります。これが中央競馬の考え方でありますが、競輪、競艇等につきましては、国庫納付金という制度は全くございませんので、七五という率は同じでございますけれども、開催経費を引きまして、残りは大部分が開催施行者といいますか、開催権を持っておる地方団体等に収入として入っていくわけであります。ただ、一部、競輪あるいは競艇についての振興会がございますので、振興会に納付することになっておりますが、これは歴史的には、過去においては国の一般会計の収入になっておったものでございますけれども、それを一般会計の収入にするのをある時期にやめまして、そして自転車振興会なり競艇の振興会の収入といたしまして、そして振興会が自転車あるいは機械産業、あるいは船でありますと船舶の振興事業に使うと同時に、社会福祉事業であるとか、そういうほうに使うことになっておるわけであります。  そこで、ギャンブル税の問題点は、七五はそのままにしておいて、先ほどおっしゃいましたように、二五でも相当高いのだから、七五はそのままにしておいて、二五のほうの配分を変えるという形で、ギャンブル税を起こそうということにするのか、それとも七五のほう、つまり勝ち馬なり車券なりのほうの配当分を若干減らしてでも、新しいギャンブル税を起こそうとするのかというあたりに、ひとつ問題が根本的にあるのでございます。昨年度の検討では、そこまでいかないで、七五のほうを減らすという形で議論をするのか、二五のほうを少し減らすという形で議論するのかという、議論を詰めるところまでいかないで終わってしまったわけなんですが、その際に非常に問題になりましたのは、昭和三十六年であったかと思いますが、総理府に公営競技審議会という審議会が法律に基づいて置かれまして、その公営競技審議会はどういうことで設けられたかといいますと、競輪について非常に何か競走がフェアでなかったとかいうことで、大衆が騒ぎまして、一種の小さい騒動みたいなものが起こった。そういう事件が連続して起こりましたものですから、また開催場の近所の住民が非常に迷惑だという騒ぎが起こりまして、そこで一体、競輪、競馬というものはいかがなものであろうかということを中心にして、いまの公営競技審議会というものが開かれました。十回にわたって慎重審議の上、答申がなされたのでありますが、その答申においては、射幸心をそそるので、あまりどんどん広げるのはおもしろくないと、しかしそうかといって、一種のばくちみたいなものであるけれども、公然と行なうのはむしろいい点である。そこで、現在程度に行なわれるならけっこうだが、いまより広げるのは好ましくないということで、現状維持程度に、いわば細々といいますか、現状維持程度にやっていけと。  それからもう一つは、施設はあまり広げるな、こういう意味での答申があって、それで競輪も競馬も競艇も今日までやってきているわけなんですが、やはり人口は少しずつふえますし、所得はだんだん上がるものですから、競輪についても、競馬についても、競艇につきましても非常にファンがふえまして、その当時と比べますと比較にならぬくらい混雑を来たしているわけです。そこで、実はその結果といたしまして、サービスが非常に低下したという現象があるものですから、むしろ十年前のそういう公営競技審議会の答申なるものをもう一ぺん再検討して、そう消極的に考えないで、あまりギャンブル奨励になってもいけないけれども、そんなに混雑しても困るので、競馬場や競輪場を整備するなり、それから場外馬券売り場を整備するなりして、もう少しカンファタブリにやれるようにしてもらったらどうかと、そういうふうに施設の整備がはかられるのであれば、多少税が取られるようになってもかまわない、というわけでもありませんが、それに近いようなことが関係者の間から言われましたのと、もう一つは、いわゆるのみ行為といいまして、各競馬主催者が発行する馬券でないものを買って、私設馬券みたいなものを買っているのが非常に多いと、これを撲滅しないと、どうもぐあいが悪いというので、それとの関係から、やはり場外馬券場なるものをむしろ拡充すべしという議論が起こってまいりました。どうも税の問題の前に、そういうことを中心とした競馬、競輪、競艇制度そのものの再検討をこの際行なわなければならぬのではないかという議論が、むしろ競馬、競輪、競艇のほうをやっている各団体のほうから起こってきたわけでございます。そういう状態であるとするならば、税の問題もさることながら、税のほうはどうしても一年待てないこともあるまいから、むしろそういう制度そのもののほうを十分検討してみたらどうだろうかということを含めて、税制調査会はもう少しそこらを議論してみてほしいということで、いわば見送り的な気分での答申になったわけでございます。  なおその際、地方団体のことに先ほど触れましたけれども、地方団体側でも非常に複雑な事情がありまして、あれはそもそも競馬開催権あるいは競輪の開催権を持っております地方団体は、戦災復興等の目的で、特定の地方団体に開催権が与えられておったのでございますが、もうすでに戦災復興等は終わっておりますので、どうも開催権を与えられた地方団体と、しからざる地方団体との間で、財源が不均衡になっておるという問題がありまして、競馬開催権あるいは競輪開催権を持たない地方団体側からは、もう少しあれによる収入を、開催権を持たないほうに分けてほしいという声があり、開催権を持っているほうは、なかなか既得権であるから手放さないという問題がありまして、これまたなかなか自治省当局でも簡単には、開催権を現に持っておるところと、持っていないところとの調整はなかなか容易にはしにくいという事情があるわけでございます。そういうことで、税の問題に入ります前の問題のほうが、非常に複雑な問題がありますものですから、一般的に世論というのはなかなかわかりませんけれども、必ずしもギャンブルから税を取ることはけしからぬということでもなかったわけでありますけれども、その前提となるべきいろいろな、そういった競馬、競輪、競艇についての基本的なものの考え方、それから、地方団体の財源の配分のあり方等を総合的に判断すべしということになったわけでございます。  なお現在、地方団体の財源配分のアンバランスということにつきましては、たしか二年ほど前であったと思いますが、公営企業金融公庫納付金という制度ができまして、競馬、競輪、競艇の開催団体はその収入金のごく一部、売得金の一%以内を全体の地方公共団体のために、全体の地方公共団体の利子補給原資として充てるために、売り上げの一%を提供することになって、現在その法律が動いておるところでございますが、そのときの改正の経緯からいたしましても、たいへん国会でも御審議の際にいろいろな御意見があったようでございまして、この現在開催権を持っている団体と、しからざる団体間の調整という問題はかなり複雑な問題のようでございます。
  124. 戸田菊雄

    ○戸田菊雄君 まあ、いまの主税局長の答弁のようですと、確かに新税設定以前の問題としてきわめて慎重な、いろいろな税調における討議があったこと、私は当然だろうと思うんですね。どうも、やっぱり私の感触としては、いまの制度自体がそういうギャンブル体制というものを慫慂しつつあるのではないか。たとえば競馬だ、競輪だ、競艇だ、各般の競技体制のそういうものを納付金に供しておる。おまけに、宝くじまでやっておるわけだ。大体宝くじというものは七百回に一回ぐらいしか当たらないというんですね。これを大量に売りさばいている。そういうものが当たったら、何といいますか、悪銭とはいいませんが、不時の収入がどっと入ってくる。そのことによって、どうも失敗する例が多いというようなことがいわれておる。青少年に悪いといわれておる。そういう意味合いでは、新税制以前に、そういうものに対する一体国のあり方としてどうあるべきか、こういったことについてやっぱりきちっとした、主税局長が言われるような、基本的態度を明確に打ち出す必要があろう。どうも、税調等で十分論議をしておることは、現状では非常に大事なことだと思う、こういうふうに私はひとつ考えるのです。  それから、配分等の問題についても、確かにその使途については、各種社会福祉等に大量に持っていかれるから、県や市町村団体で競馬を持っておるところでは非常にいい状況になってくるだろうと思うのですが、そういう問題についても、これは国全体としては、どうあるべきかということをやはり私は検討すべきであると思うのです。だから、いずれにいたしましても、大勢としては、政府の意向はギャンブル税の新設等に踏み切ったかのような各般の宣伝やあるいは考えが吐露をされ、そういう一つの理解を持っているわけです。ですから、いずれにしても、そこへいくにしても、現状に照らし合わしてみて、私は、これ以上拡大方向でいくのではなくて、それから、もうこの納付金の二五%体制というものも、できるだけ下げていって、実際、局長が言われるように、非常に競馬ファンが多くなって、近所の住民が困ったということになっているそうですが、私は、それを裏から見れば、世の中せちがらいから、そういうところへ行ってひとつうっぷんを晴らそうとか、あるいは一獲千金でうまい当たりくじを当ててやろう、そういう気分にどうしてもいまの世相上からいけば走りがちなんだ、こういう一面も私は見なければいけない。ほんとうに趣味で行っている人もあると思いますよ、それは大ぜいの中ですから。だけれども、そういう一面も私は見のがし得ないいまの現状じゃないか。こういうように考えますので、いずれにしても、今後新税新設等については、十分な、新設の以前の問題として、主税局長が回答なされたような検討を、十分私はやっていただきたいと思うんです。その辺の見解についてひとつお答えを願って終わりたいと思います。
  125. 船田譲

    ○政府委員(船田譲君) ただいま主税局長が申しましたように、政府の税制調査会の意向は、ギャンブル税創設に賛成のような傾向ではございましたけれども、しかし、なお、いま局長の言ったように、課税の方法であるとか、あるいは公営競技に与える影響、さらに地方財政に与える影響等を考え、なお慎重に検討すべしという答申が出ておるわけでございます。実は私、一昨年地方行政関係をやっておりましたものですから、先ほどの例に引かれました地方公営競技法の改正によりまして、地方の競輪、競馬の主催者団体の取り分の中から一%をこえない納付金を公営企業金融公庫に納付せしめて、それを施行権を持っていない、いわば不公平だと言っておこっている団体のほうにも、水道等の事業に対する利子補給に使おうというようなことで、ああいう法律をつくりましたのですが、あの法律はたしか十年の時限立法だったと思います。そうしますと、おまえさんたちは十年間はギャンブルやってよろしいというお墨つきを与えたのかという、逆にいろいろな団体からの御非難を受けるようなことがございます。そういうようなこともありまして、このギャンブル税を創設する場合に、これは当然時限立法的なことになると思いますけれども、たとえば五年なり十年の期限をつけますと、その期限はこの制度というものは絶対不可侵的に存続させるのかという非難がまた出てくるかと思います。こういう非難に対するお答えも十分考えておかなきゃならぬと思います。ただ申せますことは、これは人間の性悪説みたいになりますけれども、やはりどこかで人間は射幸心がございますから、すべてギャンブルをいかぬといたしましたときに、必ずしも、それじゃほんとうにギャンブルをやらぬかと申しますと、むしろ隠れて私的なギャンブルをやる、その弊害も相当考えなければいけないということになりますならば、やはり明々白々たるところで公認されたギャンブルをやる、しかし、そとにはおのずから、公認されておりますから、節度があるという行き方のほうがいいのではないかという感じがいたしますけれども、ただ、これとギャンブル税の創設とは直接につながる問題ではございませんから、なお税制調査会の答申のように慎重に検討してまいりたいと、こう考えております。
  126. 戸田菊雄

    ○戸田菊雄君 ちょっと訂正しておきますが、四十五年度五百三十億と言ったのは、国庫納付金四十七年度ですから、ちょっと速記の関係ありますから訂正しておきます。
  127. 前田佳都男

    ○委員長(前田佳都男君) 本案に対する本日の質疑はこの程度にとどめます。  次回の委員会は、四月十三日午前十時三十分から開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後四時五十八分散会      ―――――・―――――