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1972-03-16 第68回国会 参議院 外務委員会 4号 公式Web版

  1. 昭和四十七年三月十六日(木曜日)    午前十時九分開会     ―――――――――――――   出席者は左のとおり。     委員長         八木 一郎君     理 事                 石原慎太郎君                 佐藤 一郎君                 山本 利壽君                 森 元治郎君     委 員                 佐藤  隆君                 杉原 荒太君                 塚田十一郎君                 加藤シヅエ君                 田  英夫君                 西村 関一君                 羽生 三七君                 渋谷 邦彦君    国務大臣        外 務 大 臣  福田 赳夫君    政府委員        外務省アジア局        長        吉田 健三君        外務省条約局長  高島 益郎君        外務省条約局外        務参事官     穂崎  巧君    事務局側        常任委員会専門        員        小倉  満君    説明員        外務省国際連合        局外務参事官   黒田 瑞夫君     ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○国際民間航空条約の改正に関する千九百六十二  年九月十五日にローマで署名された議定書の締  結について承認を求めるの件(内閣提出) ○国際民間航空条約の改正に関する千九百七十一  年三月十二日にニュー・ヨークで署名された議  定書の締結について承認を求めるの件(内閣提  出) ○国際民間航空条約第五十六条の改正に関する千  九百七十一年七月七日にウィーンで署名された  議定書締結について承認を求めるの件(内閣  提出) ○国際情勢等に関する調査  (日中国交回復に関する件)  (朝鮮問題に関する件)     ―――――――――――――
  2. 八木一郎

    ○委員長(八木一郎君) ただいまから外務委員会を開会いたします。  国際民間航空条約の改正に関する千九百六十二年九月十五日にローマで署名された議定書締結について承認を求めるの件  国際民間航空条約の改正に関する千九百七十一年三月十二日にニュー・ヨークで署名された議定書締結について承認を求めるの件  国際民間航空条約第五十六条の改正に関する千九百七十一年七月七日にウィーンで署名された議定書締結について承認を求めるの件  以上三案件を便宜一括して議題といたします。  三案件につきましては、去る九日、趣旨説明及び補足説明を聴取しておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は、順次御発言を願います。
  3. 森元治郎

    ○森元治郎君 ローマ、ニュー・ヨーク、ウィーンの三つの国際民間航空条約に関する議定書について伺います。これは要するに、締約国も数多くなってきたし、したがって、運営上、理事会の委員をふやしたり、いろいろこまかいことのようです。一九六二年に結んだこのローマ議定書のほうですね、これがずっと今日まで日本批准がおくれている理由はどういうことですか。
  4. 穂崎巧

    政府委員(穂崎巧君) お答えいたします。  ただいまの御質問は、六二年のローマ議定書批准がおくれた理由の御指摘だと存じますが、実はこのローマ議定書ができましたのは一九六二年でございますけれども、直ちに批准に移る国もなく、それぞれしばらく様子を見ておったわけでありまして、ごく最近に至りまして、発効も近いかということで批准をいたしたいということでございます。もちろんもう少し早く批准すべきだったということにつきましては、おくれた点、遺憾とは存じますが、そのような状態で今回国会の御承認を得るようなことになったわけでございます。
  5. 森元治郎

    ○森元治郎君 何かもっときちっとした理由を言ってください。様子を見ていたと。何を見ていたのですか。
  6. 穂崎巧

    政府委員(穂崎巧君) 申し上げます。  この条約改正は、一月十日現在で批准した国は六十カ国になっております。これが六十六カ国に達すれば、これが発効ということでございます。そこで、近くこれが発効するということで、御承認を得ることにしたわけでございます。
  7. 森元治郎

    ○森元治郎君 何でおそいのかと聞いているのです。これは全会一致で採択したんだから、これは賛成なんでしょう。全会一致でやっておいて、十年間もほったらかさなくてもいいのじゃないか。ほったらかすなら、賛成しないでもいい。反対すればいいんだから。
  8. 穂崎巧

    政府委員(穂崎巧君) 先ほども申し上げましたように、発効するまでには六十六の国が必要でございまして、われわれといたしまして、内容自身に問題があったわけではございませんけれども、各国の批准状況等を見ておったわけでございます。これがこの条約批准がおそくなりました理由でございます。
  9. 森元治郎

    ○森元治郎君 やっぱり核防条約、これは大問題ではありまするが、日本がこういうものを批准する経過を見ていると、あちこち、他人の顔ばかり見ているんですね。いいものはやっぱり先手を打って、世界の航空界に占める日本の立場からいっても、いいものは早く批准すべきだと思うのですね。もたもたするのはあんまりよくないと思う。まあ、他人の顔を見ながらも早かったのはバングラデシュ。特にアメリカの顔を見て、ちょいと一足お先にとやったけれども、やっぱりちゃんとしたものはやったほうがいいですよ。  それから、ウィーンの議定書のほうですが、「航空委員」というものは、これはどういうものですか。これは技術、経験のある人で……。
  10. 黒田瑞夫

    ○説明員(黒田瑞夫君) 御説明申し上げます。  「航空委員会」は航空技術面を担当するICAOの主要機関でございまして、その任務は国際民間航空条約第五十七条に規定されておりますけれども、その主たるものは大体次のようなものでございます。  第一に、航空技術に関する各国の国内方式を統一するための標準それから勧告方式を定めた条約附属書の案を審議し、ICAOの理事会にその採択を勧告すること。  第二に、必要と認める専門部会を設置いたしますこと。  第三に、航空に関します情報の収集と締約国へのその情報通知についてICAOの理事会に助言すること。  こういう任務となっております。
  11. 森元治郎

    ○森元治郎君 いま日本航空委員からはずされているんですか。
  12. 黒田瑞夫

    ○説明員(黒田瑞夫君) 日本は昭和三十一年十月から去年の末まで引き続いて委員を出していたんでございます。それで、従来は航空委員会の選挙におきましては、各国とも特に選挙運動を行なっておりません。  それから私どもは、わが国の候補者の資質と、それからわが国のICAOに占めます地位にかんがみまして、常に当選することが確実になりましたので、特に選挙運動をいたしませんで、まあその他いろいろ事情があったのでございますけれども、その結果、現在は航空委員ではございません。わが国から航空委員を出しておりません。
  13. 森元治郎

    ○森元治郎君 黒田参事官の話を聞くと、大体航空委員というのは大事なものらしいんですね。いままではだれがやっていたんですか、どんな経歴の人が。
  14. 黒田瑞夫

    ○説明員(黒田瑞夫君) 大島さんという人が委員をやっておられまして、非常にすぐれた人だと思うのでございます。運輸省の人でございまして、これは運輸省からお話し願うほうが適当かと思います。
  15. 森元治郎

    ○森元治郎君 その前に、これから以後当分の間日本は航空委員を出さないわけですね。やっぱりね、選挙運動をやらないで入らなくたって、裏でこそこそやればいいというのは、国際機関ですからね、これは一つのそういう権利みたいなもんで、取ったポストは、やっぱり放しちゃまずいと思うんだけれども、どんな場合でも。ふやすのはいいけれども、減らすのは損だよ。ぬけぬけと後退してしまうなんていうのはわからないんだな。発展途上国から出てくるったって、ウガンダの航空委員がどれほどえらい学者がおるか知らぬけれども、飛行機も持っていない、航空会社もない。アフリカ地域代表といったって、幾らも力がない、地域的な代表としても。これは当然日本は入って、国連の国際機関としてはがんばって入っているべきだと思うんですよ。この次入るチャンスがあるんですか。
  16. 穂崎巧

    ○政府委員(穂崎巧君) ただいま御指摘のとおり、この前落選いたしましたことは非常に遺憾でございまして、われわれといたしましても、この次の選挙には絶対当選するということでやっていきたいと考えているわけでございます。たまたま今度の選挙におきましては、おととしの十一月にソ連が新たに加盟いたしまして、ソ連は当然新たに立候補したわけでございます。それから、従来委員を出していなかったアフリカが、ただいまお話しございましたウガンダを統一候補として出しまして、それからまたラテン・アメリカは、いままでアルゼンチン、メキシコ、ブラジルの三つの国を出していた。これをもう一回確実に当選させるために、そういう事情で、ソ連とアフリカと南米の三つのグループが組みまして、その結果、一緒に組んで投票いたしましたために、当然に再選さるべきわが国の代表が落ちたのでございます。それで、これは実は非常に遺憾でございまして、特にアジアからはわが国のほかどこも出ておりませんでしたので、アジアから一国も出ていない。こういう結果になりまして、これは非常にわれわれとしましても、特にアジアの地域から出ている諸国といたしましても非常に遺憾としておりまして、それからまた、各国ともこの意外な結果に非常にぐあいが悪く感じまして、それぞれ遺憾の意をわれわれのほうにも表明してきたんでございますけれども、非常に残念ながら、あとの祭りでございまして、たまたまこの次には十二人から十五人に航空委員会のメンバーの人数をふやすわけでございますので、この機会に、との人数のふえも入れまして、必ず当選するようにいたしたいと考えておるわけでございます。
  17. 森元治郎

    ○森元治郎君 これは国の代表じゃない、個人だよね、航空委員は。とはいいながら、お客さんでも貨物でも、もう世界はアジアなくしては航空事業は成り立たないくらいの騒ぎでしょうよ。そのときに、ぬけぬけと、あとから入ってきたソビエトが適当なうまいことを言って、アフリカの国をつかまえてみんな味方にして、こういう策動をやっている。それは、やはりどんなことがあってもやるという飽くなき執念だな、ソビエトあたりの。これはやはり外務省も考えなくちゃいかぬと思うんですよ。小さいことじゃないと思う。ねばりと見通し、むしろ、あとから入ってきたソビエトにちょっと待ってくれぐらいのことをハッパかけてもいいんですよ、上から出先に。あとから入ってきた者は大きな顔をするな、われわれは長くやってきているんだと。こういうことをずる努力をしてもらいたいと思う。  そこで、問題は大きな問題になりますが、去年のICAOの理事会で中華人民共和国を合法的な中国代表として招請することになったんですね。もちろん「理事会の権限に関する限り」というただし書きがついている。そこで招請することにきまった。しかし、中華民国は理事国じゃないんだな、理事国になっていない。中華民国の立場はどうなんですか、台湾の中華民国は。
  18. 黒田瑞夫

    ○説明員(黒田瑞夫君) 中華民国はこのメンバーではございません。
  19. 森元治郎

    ○森元治郎君 総会のメンバーでもないの。
  20. 黒田瑞夫

    ○説明員(黒田瑞夫君) メンバーではございません。
  21. 森元治郎

    ○森元治郎君 去年の十一月だったかの理事会で中華人民共和国を招請することに決定しましたね。これは事実、間違いないね。
  22. 黒田瑞夫

    ○説明員(黒田瑞夫君) はい。
  23. 森元治郎

    ○森元治郎君 日本はどういう態度をとったんですか、招請の問題が議題になったときに。
  24. 黒田瑞夫

    ○説明員(黒田瑞夫君) 日本は、昨年の十一月十九日にICAO理事会で決議が採択されたわけでございますけれども、この決議につきましてはわが国は棄権をいたしました。
  25. 森元治郎

    ○森元治郎君 棄権というときは、私、その立場にいたことないからわからぬが、小理屈つけて棄権もあるし、黙って棄権も、いろいろあるんですが、ちょっと、どっちの棄権なんですか。
  26. 黒田瑞夫

    ○説明員(黒田瑞夫君) 両方ございますけれども、黙って棄権したわけでございます。
  27. 森元治郎

    ○森元治郎君 棄権した理由をここで言ってください、腹を。棄権した理由は、あるいは政府の訓令でもいいですよ。どういうことで棄権したか。
  28. 黒田瑞夫

    ○説明員(黒田瑞夫君) わが国は国連の決議――昨年十月の末に採択されました中国代表権につきましての国連の決議を尊重するということと、それから、わが国が中華民国と外交関係を有しているという事実、これを勘案いたしまして、中華人民共和国のICAO加入に反対しないという立場から、もちろん訓令に従って代表は行動したのでございますけれども、棄権いたしたわけでございます。
  29. 森元治郎

    ○森元治郎君 なかなかつらいところだね。国連の決議は尊重するが、二国間条約関係があるから、賛成するつもりで、反対しないつもりで棄権したんだという、ややこしいんだがね。これは場は、二国間の話をしていんじゃなくて、国際連合という機関内の話ですよね、国際連合の機関。その国際連合では中華人民共和国が代表だと。日本、アメリカは負けたんですね。その後、口を開けば、福田さんも佐藤さんも、もう国連の決議は尊重するということはこれは一点の疑いもなく声明している。福田さんはこれにつけ加えて、天下の大勢である、ということを言っているわけだ。これは尊重するんなら、棄権よりもっと先に積極的なイエスのほうが、国連の内部の話なんですから、国連の決議には従ったんですから、負けたとはいっても、負けたのは決議に従わないというのじゃなくて、投票の結果、多数決で中華人民共和国が代表ときまり、これを各国は国連内で認めたんだから、国連機関内の投票ではイエスと言うべきだと思うのですが、大臣、どうですか。
  30. 福田赳夫

    ○国務大臣(福田赳夫君) これは、国連に中華人民共和国が加盟した、こういう今日におきまして、ICAOに中華人民共和国が加盟する、参加する。これに対して反対をすべき私は理由はないと思うんです。ただ、先ほども申し上げましたように、わが国は一方においてまだ国民政府との間に国交関係を持っている。国民政府に対して若干の考慮を払う立場にある。こういうようなことで、お話しのように非常に苦しい立場です。その苦しい立場を、棄権と、こういうことで表明した、こういうことでございます。
  31. 森元治郎

    ○森元治郎君 政府の立場としてはそういう配慮があるでしょうけれども、場所は国連の中なんですよ。中の話。ですから、もっと積極的にやってもあなたの考えはくずさなくても済むんじゃないか。私は何もわれわれの言うようにしろと言うんじゃない。あなたの立場、政府の立場に立っても、イエスを言ったからといって、決して政府の態度をこわす、傷つけるほどのことはないんじゃないかと思うんです。  それじゃ、ILOとかユネスコとかWHO――世界保健機構などは、これはどうなっているんだっけ。だれか。
  32. 福田赳夫

    ○国務大臣(福田赳夫君) 国連専門機関というのが十三ありましたですね。そのうち、六つにつきまして中国加盟問題が討議されたわけです。その討議におきまして、わが国はいずれも棄権、こういう態度をとったわけですが、それはただいま申し上げましたような趣旨であります。
  33. 森元治郎

    ○森元治郎君 三つは、ILOか、あと何ですか、ILOとユネスコか。
  34. 黒田瑞夫

    ○説明員(黒田瑞夫君) まだ決定をいたしておりませんものは、政府間海事協議機構――IMCOと申します――それから国際電気通信連合――ITU、それからIMF、それから世界銀行、それから国際金融公社――IFC、IDAI国際開発協会、万国郵便連合、この七つがまだ決定をいたしておりません。
  35. 森元治郎

    ○森元治郎君 ICAOと同じように棄権した三つというのは、どれとどれ。
  36. 黒田瑞夫

    ○説明員(黒田瑞夫君) ユネスコ、ILO、ICAO、それからFAO、WHOの五つの機関ですでに決定がなされておりまして、この機関では棄権をしたことになっております。
  37. 森元治郎

    ○森元治郎君 そこで、国民政府の反響はどうでした。これは、私は、新聞でも出ていないように思うんだが、こういうふうに各国連機関からはじかれていったことに対して、国府側の反響。けしからぬとたけり立っているのか、やむを得ないと下がっているのか、あるいは、のたうち回って大いに騒いでいるのか、どうなんですか。
  38. 黒田瑞夫

    ○説明員(黒田瑞夫君) 決して喜んではおりませんで、非常に遺憾としているわけでございます。
  39. 森元治郎

    ○森元治郎君 将来も、いまお話で、十幾つあるまだ残った国際機関でも、依然としてこういうのは棄権で押し通していくんですか、もし国民政府が入っている場合。入っていなければいいんですが。
  40. 黒田瑞夫

    ○説明員(黒田瑞夫君) 大臣が先ほど申されましたように、国連の決議を尊重するということと、・それから、わが国が中華民国と外交関係を維持しておりますこととか、それぞれの機関憲章規定というようなもの、そういった諸般の事情を考慮してわが国は立場を決定することになると存じますけれども、従来の例に従いますと、棄権ということになる場合が多いかと存じます。
  41. 森元治郎

    ○森元治郎君 大臣、どうですか、将来はわからないですか。
  42. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 残ったものにつきましては、これはまた慎重に考えなきゃならぬわけですが、この中には、従来のように、棄権の方針をとるものも出てくると思うんです。それから、非常にむずかしい問題がありますのは、ここに、世界銀行、それから国際通貨基金、こういうものがあるんです。これは共産圏は入っておらない。また、近く入る見通しもない。この扱いは、国際関係社会においてかなりいろいろ論議を呼ぶと思うんですが、これらはよほど検討してかからなければならぬ、こういうふうに考えております。
  43. 森元治郎

    ○森元治郎君 昨年の重大な国連総会で、日本アメリカ両国とともに国府擁護の側に回った国は、このICAOの理事会でどんな態度をとったんですか。全部棄権ですか。アメリカカナダイタリアフランスと、こういうふうに、テーク・ノートのカナダとかフランスとか。
  44. 黒田瑞夫

    ○説明員(黒田瑞夫君) 昨年十一月十九日のICAO理事会でも、決議の採択の際におきましては、反対が二票ございまして、ニカラグアと米国が反対でございます。それから、棄権が五票ございまして、その五票は、アルゼンチンオーストラリアブラジルコロンビア日本という票の内訳でございます。ちなみに、賛成の二十票は、カナダフランス西ドイツイタリアソ連、英国、ベルギーインドレバノンメキシコノルウェースペインエジプト、コンゴー――これはブラザヴィルのコンゴーでございます――チェッコ、インドネシアセネガルチュニジアウガンダナイジェリアでございます。
  45. 森元治郎

    ○森元治郎君 どうです、大臣。これはイタリアフランスカナダもみな、これ棄権とか反対でなくて、賛成をしているんですね。アメリカだけが反対。日本は中途はんぱで、賛成だが、そうも言えないから、気持ちを察してくれという棄権らしいんだが、ここらもずばり……国連機関で、これ事務的な機構ですから、大勢がこんなふうに違うんですね。もうこういう小さいことはほんとうにこまかい神経は使う必要はないんで、やはり前向きに日中国交正常化の実現に努力すると、あれだけの統一見解をお出しになった以上は、賛成しても決して立場は悪くはないし、国府も、大勢がそっちへ向いていると日本が言うんですから、おもしろくないけれども、やむを得ないと、向こうも観念すると思うんですね。ここらは、やっぱりふん切りが大事なんですが、大臣、これからのこの諸機関の投票にあたっては、いわゆる積極的にイエスが当然だと思うんです。
  46. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) この種の理事会なり総会の動きを見るわけですが、まあ、大勢は、いま説明があったような動きを示すわけです。ここで日本の一票がどういうふうに作用するかという機微な投票でありますと、これはかなり慎重にかまえた投票態度ということでございまするが、大体、いままでの六つの機関では、大勢があらかじめ読めるわけです。そういうような状態下において日本がどうするか、こういう問題ですが、先ほど申し上げましたように、中国の参加に反対する理由はない。反対はしない。しかし、わが国は国民政府との間に基本外交関係を持っておる。そういう立場、これを配慮するということにするわけなんです。そういう行き方。割り切った考え方をしますと、まあ、なかなか議論のあるところかと思いますが、また、現実に即して考えますと、そういう行き方、これもあると、こういうふうに考えまして、六専門機関につきましては、そういう棄権の態度をとってきたんですが、さて、残された七つにつきましてどういう態度をとるか、それもそういうケースになるものも出てくると思うんです。しかし、先ほども申し上げましたように、残ったものについては難物がある。これは世界銀行と国際通貨基金、これはまた国連の専門機関とはいうものの、ほかの機関と非常に違うんです。そういうようなことも合わせ考えなきゃならぬ。どういうふうな態度をとるか、国連機構の中でどういうふうな動きを示すのか、これらはよほど考えてみなければならぬかなと、こういうふうに考えておるわけです。どうも非常にいま日本も機微な立場にありますので、御了察のほどを願いたいと思うんです。
  47. 森元治郎

    ○森元治郎君 いま、もう時代はどんどん前に進んでいっておるんですから、あまり好きなことばではないが、前向きといいますか、進んだ態勢をおとりになるほうがいいと思う。日本の一票で中華人民共和国が国際機関にはいれないんだとなったらば、責任は日本におっかぶされて中国からもたたかれるから、そのときにはイエスと言おう。そうでなくて、日本が棄権したって、賛成している案件が通るなら、日本が積極的にイエスと言わなくっても、台湾のメンツを立てて棄権してもいいんだというようなこまかい芸当はもう要らない段階に来たと思うんです。それだけの忠告を申し上げておきます。  これで質問終わります。
  48. 羽生三七

    ○羽生三七君 ちょっと関連して。  共産圏はIMFや世界銀行にも入っていないと、そのとおりですが、そうすると、いまのお話だと、弱っているというのは、中国も加盟しそうなんですか。そうした機関に中国が加盟しそうだということを言われているんですか、IMFの場合ですね。
  49. 福田赳夫

    ○国務大臣(福田赳夫君) これは、中華人民共和国がこれに加盟するという動きはないんです。そのほかのソ連その他の共産国ですね、これも加盟をいたしておらない。そういう場合に、一体国府の扱いをどうするか。これは非常にデリケートな、むずかしい問題になってくる。
  50. 羽生三七

    ○羽生三七君 それならわかりました。
  51. 渋谷邦彦

    ○渋谷邦彦君 先ほど航空委員の問題について、今回非常に残念だけれども落選したという御説明がありましたね。航空委員のあり方については非常に重要である。これは先ほど説明のとおり。ただ森委員も指摘しておりましたように、やはりこの種の航空委員といえども非常に重要視していただきたいということ、その観点に立って次の機会には絶対当選できるという、そういう確信が日本としてはあるんですか。これは、むしろあなたに聞いたほうがいいかもしれないな。
  52. 黒田瑞夫

    ○説明員(黒田瑞夫君) 選挙でございますから、絶対に、ということは申し上げることはできないのでございますけれども、必ずや当選するものとわれわれは信じております。そのように努力いたします。
  53. 渋谷邦彦

    ○渋谷邦彦君 その具体的な方法はどういう手順を踏んでそういう可能性というものを見出せるか。
  54. 黒田瑞夫

    ○説明員(黒田瑞夫君) 実は五大国のような国とか日本みたいな国は当然に当選するのがたてまえでございまして、いままで実は日本が選挙運動をそれほどいたさずにおりましたのも、あまり日本のような国が一生懸命選挙運動をやってみっともないということがあってやらなかった面もございますけれども、この次には十分の選挙準備をいたしまして、そういうことがないようにするということと、もう一つは、十二人から十五人にふえるわけでございますので、そこの人数のふえの中に入る余裕がございますので、それで大体当選するものと確信しているのでございます。
  55. 渋谷邦彦

    ○渋谷邦彦君 その点については、やはり外交折衝というか、それは確かに言われたとおり、醜い選挙運動ということはどうかという、控えなければならない場合もございましょうけれども、何らかの能動的な動きがありませんと、やはりこの種の委員というものに当選するというチャンスは訪れてこない、こう思いますね。  そこで福田大臣にお尋ねするのですが、そういった外交折衝というものが必要に応じて当然行なわれなければならないと思いますけれども、いままでやり過ぎたからやらないんだ、今度は、やらなかったから落選した、これでは実に一貫性のないやり方だというふうに感ずるんですが、その辺をこれからどう配慮して対応していくのか。
  56. 福田赳夫

    ○国務大臣(福田赳夫君) これはICAOばかりではございませんが、いろいろの投票によってわが国の地位がきまるという問題は多々あるわけでございます。その際には、こういう失敗がないように、十分事前に根回しをいたしたい。必ず所期の効果をあげたい、かように思います。
  57. 八木一郎

    ○委員長(八木一郎君) 他に御発言もなければ、三案件に対する質疑は、本日はこの程度といたします。     ―――――――――――――
  58. 八木一郎

    ○委員長(八木一郎君) 次に、国際情勢等に関する調査を議題といたします。  前回に引き続いてこれより質疑に入ります。質疑のある方は、順次御発言を願います。
  59. 田英夫

    ○田英夫君 前回の委員会で森委員から中国問題についての御質問がありまして、同時に衆議院を含めて国会でもすでに論議が行なわれているわけでありますけれども、依然として、この中国問題に対する、佐藤内閣といいますか福田外務大臣のお考えというものがはっきりしない点がたくさんあると思いますので、続けてこの中国問題を伺いたいと思います。  二月二十一日から行なわれましたいわゆる米中会談ですが、これについてどういうふうに評価されるというか、考えられるか。これは単にアジアの緊張が緩和してまことにけっこうであるというような、そういう抽象的なことではなくて、外務省なり、さまざまな筋からの情報やあるいは分析を根拠にして、佐藤内閣としての基本的な態度に当てはめてみて、一体これをきちんとどう考えるのか、これがどうも国民の前に明らかになっていないように思うのですが、この点はいかがですか。
  60. 福田赳夫

    ○国務大臣(福田赳夫君) 率直に申し上げますが、この北京の会談、そこから出された米中共同コミュニケ、これを包括して考えなければならぬだろうと、こういうふうに思うのです。コミュニケから見る限りにおきましては、大体私どもが前から考えておったようなものです。しかし、この問題はコミュニケだけで見るのは妥当じゃない。これはやはり米中会談全体として考えてみなければならぬ問題だと、そういう認識でございます。コミュニケの一字一句にとらわれた見方、これは私は事を誤ることになりはしないか、そういうふうに考えるのですが、全体として米中会談をながめた場合には、私はこの会談が世界全体に対して一つの大きな緊張緩和ムード、雰囲気をつくり出している、こういうふうに見るわけであります。これは大きな立場からの見方です。しかし、これをしさいに点検しますと、これは大きなそういうムードの中にも、これに逆な動きというものも、これは見逃すことはできないわけです。たとえば、私は、この米中会談のかもし出す緊張緩和のその大きなムードの中には、あるいは、ソビエトというような国をめぐって、またいろいろ複雑な、また緊張緩和と相矛盾するような動き、影響、そういうものも見のがすことはできないのじゃないか、そういうふうに思うのです。まあ、わが日本の立場に当てはめてみると、私はたいへんこの会談は日中関係という立場から見るといい影響を出しておるというふうに思います。つまり、それはなぜかと、こういいますと、これは私の外務大臣としての見方でありますが、いままで中国は、これはアメリカによる封じ込め政策、これに非常な反発を示しておったわけです。一方、北のほうではソビエト・ロシアに対する関係もありますが、南のほうの面におきましては、対アメリカ、そして中国が日本に対する見方は、これはアメリカの封じ込め政策に日本が加担をしておる、その一翼であるという見方であったと思う。その封じ込め政策が今度は転じて対話という状態に転換をしておる。しかも、その封じ込め政策の中心勢力はだれなのかというと、これはアメリカであったわけであります。そのアメリカがそういう態度変更をした。それに加担をしておった日本、これはおのずから、中国から見ますると、立場というものが変わってきはしないかと、そういうふうな動きになってきておるんじゃあるまいか、そういうこと。これが、わが日本に当てはめてみた場合、大きな影響がある、こういう認識であります。
  61. 田英夫

    ○田英夫君 いまのお答えの中で、日本にとっては好ましいと、それは一言でいえば、中国の側から見れば、アメリカの封じ込め政策が変わってきた、そういう中で、アジアの緊張が緩和してくるという感じのお答えだったと思うのですけれども、どうもこれは当然かもしれませんが、日本の外務省の見方というのは、アメリカの側の見方、アメリカの情報を中心にした見方、こういうものにおちいりがちだと思うのですね。これは、一方はもう密接過ぎるほど密接に外交関係があり、一方にはないのだから、当然といえば当然でしょうけれども、いまの大臣のおことばの中にもそういうにおいを実は私なんか感じるんですよ。中国側から見れば、これは一般のマスコミなどの報道のムードと違って、私は、今度の米中会談というものは、中国の側から見れば、これは話し合いによる解決だと、これが基本の姿勢であって、決して米中雪解けとか米中友好とか、あのテレビを通じて宇宙中継でやられたようなああいうムードじゃないのだと、こういうふうに私は考えるべきじゃないかと思うし、事実、中国へ昨年行ったときに、重慶会談について、という毛沢東の書いたものを、いわゆる学習運動をやっている。ニクソンを迎える前にそういうものをみんなが読んでいるということは、あの中にある、話し合いを通じて解決するという例の昭和二十年の重慶会談の精神をここで再現しようとしているのだということをここで教えようとしている。そういう、当然の態度だと言えるかもしれないけれども、この辺のところの基本の態度が欠落しているのじゃないか、日本全体を通じて、そういう感じがしてしかたがないのです。いま共同コミュニケを文章上読んでもというお話がありましたけれども、共同コミュニケ自体、実は私はもう非常に象徴的にそのことをあらわしておる。中国のほうの意見がむしろ大勢を占めて、アメリカが譲歩したというのが今度の共同コミュニケの大筋のにおいだろうというふうに、つまり、特に台湾の問題ですね、台湾から米軍が引き揚げるというところまで方向づけをしたというあたり、そういうことだと思うのですが、この共同コミュニケについては大臣どうですか。
  62. 福田赳夫

    ○国務大臣(福田赳夫君) 先ほども申し上げましたが、大体私どもが予想したようなことが書いてある。それで、まあ、たとえばホット・ラインという問題が起こってくるんじゃないか、こんなことも予想しておったんです。それなんかはこれには出てきませんね。そのかわりに撤兵というようなこと、「最終的には」ということは断わりながらも書いてあるというような点、まあ、その辺のことは、多少のあれはありますけれども、大筋において大体私どもが見ておったようなことで、基本的には米中関係というものはこれは立場が非常に違う。サンクレメンテでも大統領が明らかにしておりましたが、台湾に対する政策変更はしない、台湾に対する軍事的コミットメントは守りますと、こういうのですね。そこで、私のほうからアメリカ側に対しまして、そういうことで一体米中関係というものはこれは正常化が何かできるんですか、こういうことを言いますと、まあ、とにかく北京を訪問することに意義がある、こういうような答え方になりまして、具体的成果というと、何といっても文化、人事の交流でしょう。それじゃ、貿易事務所は一体どうなるんだ、こういうようなことを日本でいわれておるが、どうなりますかと言うと、そこまではなかなかむずかしそうだというようなことを言っておる。大体、あのサンクレメンテの会談の筋と今度の共同声明、そう変わっておらないのですが、おっしゃるとおり、基本的には対決というか対立の論点というものは多々ある。あるが、その対立する論点を、存在を乗り越えましてひとつ共存の道を探り求めようじゃないかという会談、これが北京会談であった、こういうふうに思うのです。これはしかし、いままでとにかく中国を封じ込めようという政策をとってきたアメリカですね、これはもう非常に大きな転換だと思います。何も私は、北京会談をしたあの時点をとらえておるわけじゃないのです。もうニクソン政権になってからそういうことを考えてきたその結論が北京会談になったわけでありましょうが、とにかくこの北京会談に象徴される米中関係というものは非常に大きな変化を来たしておる、これは私はいなめないのじゃないかと思っております。
  63. 田英夫

    ○田英夫君 その意味での解釈では全く私も大臣に賛成です。そういう基本的な中国の考え方というものですね、そうなってくると、あの米中共同コミュニケというのは決して和解や雪解けのものではなくて、アメリカがとにかく台湾から、これは一九六八年のあの十二月の、ニクソンが当選した直後の北京の外交部の声明で、台湾と台湾海峡から引き揚げることを約束すれば米中会談をやるということをあのときに言っているわけですから、すでにキッシンジャーが行った段階でそれを約束したからこそ米中会談というものはできたんだと、そう解釈すべきだと思うのですが、米中会談が行なわれるということがわかった瞬間からアメリカが台湾から引き揚げることをアメリカが約束しているんだ、こう判断すべきだと思うので、その点、私は決して新しいことではないと思いますけれども、いずれにしても、今度の結果、アメリカは台湾からやがて引き揚げる、ベトナムからも、現に五月には五万を切るわけであります。引き揚げる、となると、そこで中国の側から見たときに、沖繩は一体何だということになるのはあたりまえで、つまり、日中関係をこれから改善していく中で、中国の考え方というのが非常に大切だと思いますが、中国の側から見れば、沖繩返還協定であれだけの軍事基地を沖繩に残したということは、ベトナム、台湾からは引き揚げるところまで追い詰めたけれども、日本の佐藤内閣がそこでアメリカと組んで沖繩の線でとどまっちゃった、こういうふうに向こうから見れば見られてもしかたがないということになると、福田さんがしきりに日中改善を言われるけれども、ああいうものが残っているんじゃ、これはどうしようもないと思うんですが、どうでしょうか。
  64. 福田赳夫

    ○国務大臣(福田赳夫君) 私はそういうふうには考えませんがね、つまり、今度の米中会談で極東の局面というのは非常に大きな変化を来たしておる、こういうふうに見るのです。特に日本との関係で、先ほど申し上げたような見方が私はできるのじゃないか、そういうふうに思います。あの共同声明にも、日米安保条約に一言も触れておりません。これはわが日本とすると、これは非常に注意深く解釈をしなければならぬ点でありますが、これは、あるいはそういうこまかいところまで触れないと、こういう性質のものであるから触れないのかもしれませんし、また、あるいは何か意味があってあれに触れないのかもしれませんし、その辺はよく的確なことはわかりませんけれども、とにかく安保条約というものには触れておらないのです。中国側の主張が述べてある、日本の軍国主義化の傾向等についてですね。また、日本の拡大傾向について批判をした。それについてアメリカは、直接反論という形は避けておりますが、日米関係が非常に重要なものであるという評価をしておる。今後ともこの関係は推し進めていくんだという態度表明をしておるわけなんです。その辺、いろいろ情報を集めておりますが、どうもこの会談全体が、米中間を主体とする論議の会談であったと、こういうことで、第三国のことには深く触れないという性格であったというふうに伝えられておりますが、そういう面の影響もありましょうが、しかし同時に、とにかく日本の軍国主義化、膨張傾向というもの、これについての中国側の主張ですね、それに対しては、アメリカがかなり解明につとめたというふうに私は、これは想像ですが、想像するんです。それに対して大きな反論というものもこれはなかったんじゃないか。これも私の想像ですが、そういうことがまた共同声明にああいう形でにじみ出ているんじゃないか、そんな気もするんです。中国へよく行く人のその帰ってきての話、これも注意深く聞くんですが、中国が問題としておるのは、現在の日本の軍事情勢というよりは、将来の日本の軍事情勢、または軍事国家化する可能性、潜在性、そういうものに頭の重点があるようです。今日の現況からいたしますれば、中国自身だって強大な軍備を持っておる。それが、わずかな自衛隊のこの日本に対して、軍事化という批判をする、こういうふうなことはちょっと考えられない。つまり、潜在性、可能性を言ってるんだろうと思うのです。そういうさなかにおける日米安全保障体制、これも極東の情勢が緩和するに従いまして、その体制は存続するにいたしましても、その運用上は、ずいぶん緩和というか、変わってくるんじゃあるまいか、そういうふうに考えておるわけであります。私は、そういうことをとらえてまいりますと、今度沖繩もこれはわが国の領土に完全に返ってくるわけです。安全保障条約という歯どめがちゃんとしてあるわけであります。そういう歯どめを加えた中における安保体制、特に沖繩における状態、こういうものについて、私は中国としてさほど大きな関心を持つという事態ではなかろうじゃないか、こういうふうに考えます。
  65. 田英夫

    ○田英夫君 その辺のところになると、だいぶ考え方が違うんで、周恩来首相直接のことばを聞いても、やはり中国が言っている「軍国主義」というのは、沖繩の軍事基地であり、四次防である、こういうことになってくるわけですから、この辺はここで大臣と論争をしておってもしかたがないと思いますけれども、そこで、こういう米中共同声明、米中会談が行なわれる中でこれから日本がどうしたらいいかという点になってくると、アメリカ日本とは中国に対するいろいろな条件が違うということはもうはっきりしているわけですけれども、特に一言で言ってしまえば、いわゆる政治三原則、特にその三番目の日台条約を破棄するという問題のところでアメリカと非常に大きく違うんじゃないかと思いますが、アメリカとの違いという点はどういうふうにお考えになりますか。
  66. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) まずアメリカと共通した点は、七億、八億という民を擁する巨大な中華人民共和国、これを国際社会の外に置くのはよくない、特に米中両国は、この両国の関係の正常化をはかる、こういう点については、これはもう全く意見が一致するのです。ただ、その両国の関係の正常化の方途いかんということになると、おのおのその置かれておる立場がある。その立場に従いまして違いが出てくる。これはやむを得ないことである、主権国家として当然のことである、こういうことをお互いによく認識をしておるんです。しかし、日米両国は、これは非常な緊密な関係に置かれておる国であるから、この関係正常化のためにとるところのステップの事前事後において、お互いにそのとるべき方途等について理解し合い、また通報し合おう、これもまた一致しておる。  そこで、米中関係と日中関係で、どこで一体じゃ中国へのアプローチの方法、過程において違いが出てくるか、こういいますると、いわばアメリカのほうは積み上げ方式です。大統領が北京を訪問する。そして親善ムードを出す。そのムードの背景のもとに、あるいは学者の、あるいは文化人の、あるいはお医者さんの、そういう人事の交流を行なう。と同時に、北京に高級官僚を出すとか、あるいは高級官僚を他の地点において――まあパリになったようですが――中国を代表する者との接触に当たらせるとか、そういう政治接触、これを考える。そういうようなことで一歩一歩前進をするのです。ですから、共同声明でも、非常にこれは注意深く言っているのです。米中関係の正常化と、こういうふうに言っているわけです。積み上げ方式、最終のゴールはどこへ行くかということは、これは示しておりません。これはおそらくアメリカが、台湾に対する政策変更はいたしません、あるいは、台湾に対する軍事上のコミットメントは変えませんと、こういうふうなことを言っておることとうらはらをなす問題かと、こういうふうに思いますが、最終的にどういうふうな米中関係が出てくるかということは、これは示しておらない。わが国の行き方はアメリカと非常に違うのです。違うのは、「日中国交の正常化」と。わが国は、いろいろな過程がありましょうが、その過程が済んだあとにおいては、中華人民共和国との間に外交関係を設定するということを目標にいたしておるわけであります。で、外交関係を設定するについてはいろいろ問題がありましょう。あなたがいま御指摘の日華平和条約の問題等もありましょう。あるいは台湾の帰属問題というような問題もありましょう。その他いろんな問題があるわけでございますが、それらはそういう旗じるしのもとに行なわれる政府間接触の過程で解決いたしていきましょう、こういう態度をとっておるわけです。ですから、どう進んだ、うしろ向きだ、そういうようなことになると、何がうしろ向きか、むずかしい議論になりますが、しかし、日本アメリカよりはかなり立場としては中国に対してはっきりした姿勢を示しながら対処しておるということは言えると思うんです。
  67. 田英夫

    ○田英夫君 日本のほうが進んでいるというか、はっきりしているということを言われましたけれども、現在の段階でそこまで来たのは、実は私どもに言わせれば、佐藤内閣の功績ではなくて、自民党の一部の方を含めて、中国との国交回復を進めようという熱意で動いてきた方々が国民の多くの中にあったからだと、こう言わざるを得ないんで、その点は、いささか、その上に乗っかってここまでようやく来たという感じが実はしています。しかし、事態がここまで来たときに、だれの功績だということじゃなくて、日中国交回復をほんとうに早くやるためには、いま福田さんの言われたようなことをどんどんやっていただかなければいかぬのだけれども、政府間接触を通じて、ということを言われたけれども、この政府間接触というものが実際できなければ、これは鶏と卵の論じゃなくて、そういう考え方じゃなくて、むしろ、それがなければできないことなんですが、向こうが、いま現在の佐藤内閣の状態じゃ接触しないと言うんですからね。ここのところは始まりがないんで、これは幾ら口でそう言っていてもしようがないと思うんです。しかし、やり方はいろいろあると思うんで、たとえば輸銀の問題だとか吉田書簡の問題だとか、最近いろいろ動きが出てきて、それは政府意識してやっておられるんでしょうけれども、この吉田書簡は、最近、これはもう効力がないんだということを声明するとか、そういうことはしないと、こういうふうに言っておられるようです。これはそのとおりでいいですか。
  68. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) これは大体そのとおりでいいんです。いいんですが、吉田書簡を廃棄すべしと、こういう議論がありましてね、それに私どもはひっかかるんです。つまり、廃棄する。これは吉田元総理が個人として書かれた手紙です。総理をおやめになってから、張群秘書長にあてて出した私信です。その吉田さんはおなくなりになっている。その手紙を廃棄せいと言っても、廃棄の手続をどうするのか、むしろ教えてもらいたいくらいなものなんです。どういうことで廃棄という手続をとったらいいのか、それなんか私どもわかりませんが、要するに、私どもの問題としているところは、もうあの書簡というものは私どもの念頭にはないんだ、こういうことです。それでもう非常に明快じゃありませんでしょうか。私は参議院の予算委員会でも、あれは死滅したものですと、そういうふうに言っておりますが、もう別に何らの効力があるものとは私ども感じておりません。そういうことを申し上げておることで全部御了解願えるんじゃないか、こういうふうに思います。
  69. 田英夫

    ○田英夫君 そこで、いろいろお考えとは思うんですけれども、福田さんはよく「アヒルの水かき」ということを言われるけれども、アヒルの水かきで水の下でやっても、これは私はさっぱり、さっき申しましたように、中国から見ると、いまの佐藤内閣のやり方では、沖繩問題といい四次防といい、全体の政策から見てこれはまあ話にならぬと、こういうことで政府間接触というのは不可能な状態ですけれども、現実の問題として、実際は政府のお役人さんが北京にいるわけです。これは肩書きは全然違いますけれども、いるわけですが、あれは若い方々がおられるわけですけれども、あそこのところを強化するというような形で一歩前進しようというような、そういうお考えはありませんか。
  70. 福田赳夫

    ○国務大臣(福田赳夫君) 日中間には米中と違いまして非常に不幸な過去があります。つまり、わが国は中華人民共和国との間でもう四十年間国交正常化されておらない、そういう状態です。そういう状態の日本と中国との関係ですから、特に中国側では日本に対する誤解あるいは不信、これは日中戦争があり、その戦争において侵略を受けかと、こういうような過去があるわけですから、争ういう過去を思い出すということは、これは自然にそういうことになると思うんですが、つまり私は、中国の日本に対する最大の懸念は、再び日本が中国を侵すというような事態になる可能性、そこにあると思うんです。その辺、いま文化国家、平和国家、しかも憲法第九条というものをかかえての国柄、こういうものに対する理解というものがかなり行き届いておらないんじゃないか。その辺にまずアメリカとの間の関係と違ったむずかしさというものを感ずるわけなんです。その辺のまず事前の調整、これが必要じゃあるまいか。それで、まあ、いま具体的に御提案として北京の貿易事務所における陣容の強化ということでございますが、それも一案でありましょうが、いろいろなことをそういう考え方のもとに考えておるわけです。私はアヒルと言ったと、こういうお話でございますが、これは一匹じゃないんですから、いろいろなところでいろいろな角度でそういう任務に当たっておるわけでありまして、まあ、そういう段階が過ぎますれば政府間接触というものが私は始まってくる。政府間接触はどういう形になるか、首相会談という形になるか外相会談になるか、あるいは特別代表というような形の会談になるか、これはこれからの問題でありまするが、私は必ず政府間接触というものが始まる。始まれば、日中間の問題というものは、これはわりあいに、そうむずかしい問題なしにゴールに向かって進んでいくんじゃあるまいか、そういうふうに見ておるんです。
  71. 田英夫

    ○田英夫君 いま接触の一つとして、最近ちらちらと報道されていますけれども、第三国といいますか、そういうところの大使級、これはレセプションで話をしたという程度のようですけれども、表では。こういうこともあると考えていいんですか。
  72. 福田赳夫

    ○国務大臣(福田赳夫君) いろいろなことがありますが、これはいま申し上げて、かえってまた目的を損ずるというようなことにもなりかねないと、こういうふうに思いますので、申し上げませんが、考え得るあらゆるチャンスをとらえておる、こういうふうに御理解願います。
  73. 田英夫

    ○田英夫君 さっきも実は航空の問題が議事に出ておりましたが、政府間接触という正式のものですね、これは大臣クラスというような正式のものに至る以前に、日中間の航空の実際上の相互乗り入れ、「相互」といっても向こうから来る場合は実は第三国になるかもしれませんけれども、そういうものをやっていこうと、これも一つのムードとしては日中接近といいますか、そういうことのムードになると思いますが、これは条約的な問題とか障害があることはわかりますけれども、これはどうでしょう。
  74. 福田赳夫

    ○国務大臣(福田赳夫君) これはできればたいへんけっこうだと思いますよ。けっこうだと思いますが、なかなか現実問題とすると、国交正常化前のそういうのはむずかしいんじゃないかという感じがします、できればたいへんけっこうですが。
  75. 田英夫

    ○田英夫君 やる意思は。
  76. 福田赳夫

    ○国務大臣(福田赳夫君) それができるものならばけっこうだと、こういうふうに思います。
  77. 田英夫

    ○田英夫君 これは私も、現在二時間か三時間で行けるところを、まあ、実際には香港を回って三日もかかって行くわけなんで、これは実は日中国交回復の方向を目ざして進む上でたいへん具体的かつムードづくりとしていいことだと、また、現に日本の航空会社も非常に熱心にそれを希望しておられるように思うんですがね。この問題について、まあ条約を結ぶとか、そういうことの手続上のことを乗り越えて技術的にすでに検討しておられるかどうか、できるかどうかを。
  78. 福田赳夫

    ○国務大臣(福田赳夫君) これは運輸省なり日本航空、いろいろこれは研究はしておると、こういうふうに思いますが、実際問題とすると、国交正常化前のそういう取りきめが民間ベースでできるかどうか、これはなかなか、そう簡単にはいかぬだろうと思うんです。しかし、できるというならばたいへんけっこうだと、こういうふうな認識でございます。
  79. 田英夫

    ○田英夫君 だいぶ時間がなくなりましたけれども、最後に、いませっかく日中国交回復の方向へ政府も熱意を示され、国民はもちろん以前から非常に強く願望している中で、これに水をさすとすれば、最大の危険な問題は私は台湾の独立運動じゃないか、こういうことだと思います。現に中国も非常にそのことを警戒をしている。しかも、中国北京では、東京でその動きがあるということを、具体的に人間の名前まであげて指摘をするようなことで、非常に警戒をしている。ところが、もちろん福田さんもこの前言われましたけれども、政府はそんなものには全く無関係でありそれは好ましくないと、こう言われるんですが、そういう動きが東京であるということは、そういう情報は御存じですか。
  80. 福田赳夫

    ○国務大臣(福田赳夫君) そういう論をなす者があることは承知しております。まあ、運動とまで言えるかどうかですが、そういう論をなす人があることは承知しておりますが、私どもは、田さんも御承知のように、台湾独立運動というものは、これは一切とり行なわない。のみならず、そういう運動をする人に対しましては、厳にそれをせざるようにこれを誘導するというか、私もまたそういう議論に接した場合におきましては、厳にこれを戒めておる、こういう状態でございます。
  81. 田英夫

    ○田英夫君 そういう意味で一つ気になりますのは、昨年の十二月、日付はちょっと私忘れましたけれども、佐藤総理が、ある東京にある民間放送のラジオですが、社長と個人的に会われて、これは個人的に会われるんですからどなたと会われようとかまいませんけれども、その会談が終わったあとで新聞記者にぽつんと、あの人は台湾独立運動をやっている人なんだよと、こういうことを言われたことが、そのあとの新聞にぽつぽつ出ておりました。これは総理が何でそんなことをまた漏らされたのかわかりませんけれども、この人物は、私が読んでいる限りでもずいぶんいろいろなところにまさに論をなしておられるようですが、まあ、これは普通の商事会社ならいざ知らず、放送法の精神からしても、放送局の責任者がこういう運動をしている、それをまた総理大臣が御存じで会っているというようなことは、私はまことに問題じゃないか。いまここでそれを大きく問題にするつもりはありませんけれども、これは御存じでしょうか。
  82. 福田赳夫

    ○国務大臣(福田赳夫君) 私はその話は全然承知しておりませんが、しかし、はっきり申し上げ得ることは、総理は台湾独立運動に対しましては非常に神経質です。これはあってはならないと、こういうふうに真剣に考えておるということだけを申し上げておきます。
  83. 田英夫

    ○田英夫君 私はこれで終わります。
  84. 森元治郎

    ○森元治郎君 一つ伺って渋谷さんにお渡しします。  きのう沖繩返還の批准書の交換をやりましたね。私は、批准書の交換で、これで協定が生きて現実の有効な条約になったわけですね、五月十五日に返す、その他一切が。あのときに一緒にさんざん国会でもんだ核抜きに関するアメリカ側の何らかの声明とか文書とか、形式は別として、十五日に核はないということが一緒に発表になるだろうと期待しておったんですよ。これはどうなりますか。
  85. 福田赳夫

    ○国務大臣(福田赳夫君) これは五月十五日になります。
  86. 森元治郎

    ○森元治郎君 十五日に向こうが何らかのステップをとるわけですか。
  87. 福田赳夫

    ○国務大臣(福田赳夫君) そのとおりです。五月十五日に先方がその措置をとる、こういうことです。
  88. 森元治郎

    ○森元治郎君 それは早晩確認したい、査証したい、実効ある核抜きを求めて政府に迫ったんですが、政府の答弁は一貫して、何か大統領の声明とか国務長官の文書とかということでとうとう押し切ったように思うんですが、形式はどうなりますか。
  89. 福田赳夫

    ○国務大臣(福田赳夫君) 形式の最終的なことはまだ詰めておりません。最終的には詰めておりません。おりませんが、わが国の要請に完全にこたえる得る形のものにしたい、こういうふうに考えております。
  90. 森元治郎

    ○森元治郎君 これは突き合わせてつくるものなんですか。向こうがちゃんと原案を持ってきて、これでどうだろうというのが筋だろうと思うのですがね、返すほうの人が。こちらが原案をつくったって、持っていくやつに、何言うかわからぬからね、これは。それで、これじゃ困る、もっとこの点ははっきりしてくれなければ国民が困るという応酬になるんでしょう。そういう形式になるんでしょうね。
  91. 福田赳夫

    ○国務大臣(福田赳夫君) そのとおりでございます。
  92. 森元治郎

    ○森元治郎君 その作業は継続しているんですか、これからやるんですか。
  93. 福田赳夫

    ○国務大臣(福田赳夫君) これはサンクレメンテ以来継続しております。
  94. 森元治郎

    ○森元治郎君 サンクレメンテ以来。十五日に発表する。
  95. 福田赳夫

    ○国務大臣(福田赳夫君) ええ。
  96. 渋谷邦彦

    ○渋谷邦彦君 まあアヒル戦術の一環かどうかわかりませんけれども、伝え聞くところによると、田中通産大臣が四月南米を訪問いたしまして貿易会議に出席される、そのときに初めて参加を予定されている中華人民共和国政府の首脳と接触できる可能性がある、そういうことが伝えられております。この点については誤りございませんでしょうか。外務省としてそのように掌握、承知されておるでしょうか。
  97. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 四月のUCTAD、これは世界各国ともかなり有力なる代表を出す、こういう傾向でありますので、わが国におきましても有力な代表をというので、田中通産大臣にその団長をお願いいたそう、こういうことを考えておるわけです。そこのUNCTADに中国が来るか来ないか、これはまだ私ども確認はいたしておりませんけれども、そこで外交談議が短時日の滞在中に行なわれるということ、これは実際問題とすると、なかなかむずかしいことじゃないかというふうに思いまするけれども、わが国といたしましては、あらゆる機会に中国との接触ということを考えておりまするので、そういう機会があるというようなことになれば、これはいいことだと、こういうふうに考えております。
  98. 渋谷邦彦

    ○渋谷邦彦君 そこで、まあ、ことばじりをとらまえて申し上げるわけではございませんけれども、ただいいことであるというふうな理解では非常にまずいんじゃないだろうか。絶えず従来からしばしば繰り返し答弁されておりますように、あらゆる機会をとらまえての政府間接触への手がかりというものをつくる必要があるのじゃないかということになれば、それは、時間的な問題ということもございましょうけれども、たとえ三十分でも一時間でも、それはそのときの状況によって、もし接触の機会があるとすれば、弾力的なことを考えなければならない。いずれにしても、接触の機会があるということを想定して考えた場合に、一体日本政府としてはどういう考え方をどんな方法で中国のほうにも十分理解と認識を持ってもらうような言い方をするのか。それから、政府間接触というものをきわめて強く望んでいるという公式なそういう声明を相手に与えるのかどうなのかその辺も十分考慮して臨むのが、われわれとしてはまことに当然過ぎるほどの外交課題ではないだろうかと、こう思いますけれども、いかがですか。
  99. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 接触のチャンスがありまして、そしておたくの考え方はどうだと、こういうようなことになれば、もうわが国の考え方はきまっているんです。先ほども田さんにも詳しく申し上げました。わが国は中華人民共和国との国交の正常化をはかりたいと、ですから、ひとつそういう目標に向かっての政府会談をいたしましょう、こういうことなんですね。
  100. 渋谷邦彦

    ○渋谷邦彦君 おそらくは、今回そういう可能性がありとするならば、初めてのチャンスだろうと思いますので、あるいはいま答弁されたような範囲を出ないことにもなるであろうと。しかし、日中国交の正常化というものを今後積極的に、世界の潮流とともに、何といっても日本が先頭を切っていかなければならない立場に置かれておりますだけに、この点はもっと積極的な、やはり相手にそうかという、その手がかりになる何かの言動を与えてもしかるべきではないだろうかと、こう思うんですが、やはり場所と時は別に移してあらためて折衝の機会をつくると、こういうことになりましょうか、重ねてお伺いするんでありますけれども。
  101. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 姿勢はただいま申し上げたとおりでございます。具体的な諸問題、これは政府間接触、その揚において話し合いましょう、こういうことになる。その政府間接触、これはサンチアゴにおいて行なわれる、そういうこともあり得るかもしれない。出会い――これは出会いであって、まだ会談、政府接触、こういうことじゃないわけですから、その糸口を開くことになるかならないか、政府間接触が始まる機縁となるかならないか、こういうことだろうと思いますがね。
  102. 渋谷邦彦

    ○渋谷邦彦君 くどいようですけれども、相手のあることでありますから、こちらで会見を申し込んでも、拒否されればそれまでかもしれませんけれども、しかし、いずれにしても、日本政府の方向としては、せっかく実力者の一人といわれる田中さんが行かれるわけですから、大いに期待をして、とにかくあらゆる機会をとらまえてその可能性を生み出すべく努力をされることの方向へ閣僚の方々もやはりバック・アップするのがほんとうではないだろうか。これには異存はございませんね。
  103. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) それには毛頭の異存はございません。
  104. 渋谷邦彦

    ○渋谷邦彦君 次に、今回の米中会談はもとより、昨年の中国国連加盟と、こうした一連の問題に関連しまして、申すまでもなく、大きく世界の動きというものが変わってまいりました。日本としても拱手傍観しておれない。先ほどもお答えがありましたように、従来、中国は米国の封じ込め政策というものに日本が同調してきたと、こういう見方をしておるであろう、したがって、今日の米中会談によってその辺の一応の障壁というものが取り除かれたのではあるまいか、そういう点では日本にとってはこれから非常に有利に展開するであろうと、こういう御趣旨のお答えであったように思うし、衆議院でもそういうような御答弁を繰り返されておるように記憶しております。ただ、やはりしばしば問題になりますことは、中国に対する敵視政策というものを、先日も私申し上げたように、具体的にどういうふうに取り除いていかなければならないか。こういう証拠があるではないか、日本としては事実このようにやっておりますよ、その点はもっとより深く日本の現在置かれた立場というものを理解してもらいたい、そういう行動というものが今後日本にとっても必要なことではないだろうか。それで、まず古いことにさかのぼるわけでございますけれども、過去において、たとえばその一つの例として一九五一年の二月一日に国連において決議された中国の侵略者決議でございます。この点については当然改めなければならないし、福田さん御自身も、それは当然もうそういういま方向であるというような意味のことをおっしゃったことを私記憶しております。ただそれだけではなくて、ことしのたとえば国連総会においてそういう決議、これこそもうちゃんと物があるわけですから、廃棄するとか、そういうふうな前向きに、やはり日本は各国と置かれた立場が違いますので、何といっても日本がイニシアチブを持って、そういう面の阻害要素というものを取り除いて日中国交回復への足がかりをつくるということが望ましいわけでありまして、むしろ日本が先頭に立ってこのような決議に対する撤回と申しますか、もし許されるならば、法律的にあるいは技術的にいろいろ問題が私はあろうと思いますけれども、やはりそうしたものに対して、中国は侵略者ではないのだと、せめてそうしたことから中国に対しても日本に対する評価というものを改めさしていく。そういう努力が傾けられないものだろうかと、こういうことですが、いかがでありましょうか。
  105. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 国連の中国非難決議につきましては、私が昨年暮れの参議院の沖繩協定委員会でしたかにおいても申し上げておるのですが、これはもう死滅したものなんだ、こういうことです。つまり、その理由は、中国が国連に加盟をする、その加盟をする国連は平和愛好国の集団である、そういうことから、もう当然の論理として、あの決議は歴史的な事実としてはああいうことがあったんですが、今日はその意味を喪失しておる、こういうことを申し上げておりますが、もうそれで非常にわが国の態度ははっきりしておるんではないでしょうか寡聞にして、いまだかつて私そういう各国における見解表明というものを聞いておりませんですけれども、わが国はとにかく先がけてそういう解釈をしております。
  106. 渋谷邦彦

    ○渋谷邦彦君 それはもうすでに私も伺っておりました。もうすでにそうしたものの意味はないということですね。確かに福田さんはその点をきわめて強く主張されておりました。それは日本政府の見解としておそらく中国側としても受け取っておりましょう。しかし、具体的に、やはり米軍の台湾あるいはベトナム地域あるいは韓国からの撤兵とからみまして、やはりその決議というものが死滅しているとするならば、当然この地域からも敵視政策というものがなくなるわけでありますから、当然米軍の撤退というものも考えてしかるべきであります。また、それを今度米国側に対して日本政府としては何らかのそういう意思表示というものがあってしかるべきではないか、裏表の話として。そしてもう一つ、いま申し上げたように、やはり国連の正式の場において表明をされる御意思はないのかどうかということをお伺いしているわけであります。
  107. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) まあ中国非難決議案をどういうふうに取り扱うかということが国連において話題になった場合におきましては、わが国は、これは当然消滅したものだという立場をとります。これはもうはっきりそういうふうに申し上げることができると思います。方法につきましては、これはまあ国連の中においていろいろやり方がありましょうが、姿勢といたしましてはそういう姿勢でそれらの処理に対処すると、こういうふうに御理解願っていいと思います。ベトナムの撤兵をその問題と関連づける、これはずいぶん私は飛躍した考え方じゃあるまいかという感じを持っております。
  108. 渋谷邦彦

    ○渋谷邦彦君 まあ、ベトナムはともかくとして、少し飛躍かもしれませんけれども、日本国における国際連合の軍隊の地位に関する協定、御承知のとおり昭和二十九年六月十一日に努力が発生しておりますね。現在なおこれは継続中である、こう理解しておりますが、この中に「千九百五十一年二月一日の総会決議に従う行動に今なお引き続き従事しているので」云々と、こうあるわけです。この協定が生きているとするならば、この中に盛られている決議というものも当然生きているのじゃないかと、そういうような理解もできないことはないというふうに受け取られるのですけれども、これは、むしろそういう条文解釈でございますから、条約局長から。大臣にはそのあとで。
  109. 高島益郎

    ○政府委員(高島益郎君) 渋谷先生お尋ねのとおり確かに引用されております。しかし、われわれといたしましては、その部分に関しましては、ただいま大臣がお答えしたとおり当然死文化しておりますので、それを根拠に、国連軍があるというふうには考えておりません。現在の国連軍の目的は国連総会で毎総会の決議の中にうたっておりますとおり、朝鮮における平和と安全の保持というのが唯一の目的であるというふうになっております。したがいまして、朝鮮における休戦協定の発効以後の事態は、全然以前の状態と変わっておるというふうに認識しております。
  110. 渋谷邦彦

    ○渋谷邦彦君 「国連軍」というふうにまあおっしゃったのですけれども、実際は米軍です、はっきり申し上げて。国連軍というは名前だけであって、その実質は、実体的なものは米軍ということであることはもう周知のとおりでございます。そうした点を考えた場合、やはり死滅した、とはいうものの、生きている限り、朝鮮いわゆる韓国からの米軍の撤退は考えられないだろうし、もっと広く考えるならば、台湾あるいはベトナムということに言及もされていくんではないだろうかそうすると、依然としたこの敵視政策というものが一体どの時点で解消されていくんだろうか、そしてまた、日本がいままで評価されてきていたように、米軍と同一歩調で今後もやはり中国に対する考え方というものを変えないということであるならば、日本もやはり沖繩をはじめとしてこの重要な基地を提供しているわけでございますから、そうすると、絶えず、朝鮮を中心とした場合もございましょうし、沖繩を中心とした場合もございましょうし、依然としてこの中国側が受け取っております敵視政策というものの解消というものの理解がなかなかできないじゃないか。この点については今後どういうふうに一体考えながら、米国側に対しても米軍の撤退ということを強力に押し進めていく考え方というものはできないものかどうかこの点は福田さん、いかがですか。
  111. 福田赳夫

    ○国務大臣(福田赳夫君) 先ほど田さんに対してもお答えしたんですが、私は、米中共同声明ですね、これはこの日米安保条約というものには全然触れていないのです。それはかなり意味があるのじゃあるまいかなぜ意味があるかということになると、私はその解明をこの場においては差し控えますが、意味があることじゃないか。それから、あの共同声明を見ましても、日米の友好関係というもの、これは非常にアメリカとすると高く評価しておる。この関係はこれをさらに増進をさせます、こういうことを言っております。これも私は非常に意味のあることじゃないか、こういうふうに見ておるわけでありますが、そういう段階で安保条約が中国との関係においていろいろ論議をされておりますが、私は、かなりこれは性格的に見方を変えていい問題になってきておるのじゃないか、そういうふうに思うんです。でありまするから、安全保障体制のあり方、これが日中関係にこれから影響していく大きな問題だというふうな受け取り方はしておらないのだと思います。これは見解が違うかと思いますが、そう私は思います。
  112. 渋谷邦彦

    ○渋谷邦彦君 確かに性格も変わってまいりましたでしょう。また、現状としてのいろいろな動き、そういうものについても、その把握のしかたも従来とはやはり考え方というものを変えていかなければならないという受け取り方をしなければならない。それは当然だと私は思うんですね。しかし、まことに言われていることはそのとおりであっても、まだ現実にこうした体制というもの、あるいはこういう協定がそのまま生きている限りにおいては、どうしてもふに落ちない。そういう死滅をしたというふうに理解をして、はたして中国側でもそのとおりすなおに受け取れるものであろうか。もちろん、それは受け取る側のほうの判断ということになるでしょうけれども、やはりしかしその辺を明快にしたほうが、今後円滑な日中国交正常化への道を開く一環として一番スムーズに行くような気がするんですけれどもね。その点はやはり国連の場で、先ほど私が申し上げたように、何らかの意思表示をする。あるいは協定それ自体――協定といってもいろいろな協定がありますけれども、協定そのものがあるいはもう過去のものであるとするならば、少なくともそれが存在している限りはいま生きているわけでございますから、それを改定するとか、そういうような具体的な方法というものは、しかし、時と場合によっては十分それを考慮をしながら変えていく必要があるというような考え方はございませんか。
  113. 福田赳夫

    ○国務大臣(福田赳夫君) 私は、先ほど申しましたように、国連における中国非難決議、わが国のこれに対する考え方、これはもう私を通じて天下に表明をしておるわけでございますから、これはそのとおり政府の考え方は固まっておると、こういうふうに御理解を願いたい。その具体的適用の問題をお話しになっておられるのだろうと思いますが、国連社会でそういう考え方をどういうふうにするか、そういう手続上とかそういう問題かと思います。そういうことが話題になった場合におきましては、私どもはそういう、ただいま申し上げたようなきわめて明快なる態度をもって臨む、こういうふうに御理解を願いたいと思います。
  114. 渋谷邦彦

    ○渋谷邦彦君 それから、米中会談終了後パリにおいて米中の大使級の会談がすでに行なわれたということが伝えられております。これからの外交再開、外交上のいろいろな問題、いま問題になっている点を解決しながら、米中の国交回復ということも十分踏まえて、これから積極的にそういう会談が続けられるだろうと思いますが、そうした場合に、日本として当然米国とも十分連携をとりながら、そういう場所においても中国側とのいわゆる接触の機会というものは十分あり得ると、こういうことについても絶えず敏感に対応する行動というものが必要だろうと私は思うんですけれども、その点はやはり相当進められていらっしゃるのですか。
  115. 福田赳夫

    ○国務大臣(福田赳夫君) このパリ会談が米中間に始まった。これはまあ共同声明で予定しておる会談なんです。あの会談の性格は一体どうなんだと、こういうことなんですが、あの種の会談がワルシャワで百三十回くらいあったわけです。それがとまったりまた動いたり、とまったり動いたりという状態で推移してきた。それをもう少し安定したものにしようというので、今度はワルシャワ会談はやめにしてパリ会談というので、気持ちの上におきましては、これをひとつ、ストップ、また動く、ストップ、動くという形でなくして、継続しようということで始まったものというふうに見ておるんですが、これらの動きに対しましては、わが国といたしましては何もアメリカに追随するという考えはありません。ありませんけれども、その与える影響等もありまするから、十分にこれはタッチをしていく。同時に、先ほども申し上げましたが、世界じゅう、あらゆるケースあらゆる機会をとらえまして、中国との間の関係打開という糸口をつかみたい、こういうふうに思っております。
  116. 渋谷邦彦

    ○渋谷邦彦君 いまおっしゃられたように、米中会談の、以前ございましたワルシャワ会談は、百何回か確かに持たれておりました。やったりやらなかったり安定性に欠ける。それはそのとおりだと思いますが、しかし、米中会談を行なったあと、事情は全然変わっているのじゃないか。したがって、いまこれから開かれていく、またこれから回も重ねていくと思いますが、その大使級会談の性格というものは、おのずからいままでとは違った、やはり具体的な諸問題を煮詰め、そしてまず米中の国交回復への何らかの突破口を開こうと、そういう意図があるんじゃないかというふうに一応考えられるんですけれども、そのような受け取り方はできませんか。
  117. 福田赳夫

    ○国務大臣(福田赳夫君) 私どもは、先ほど申し上げましたが、アメリカは積み上げ方式をとっておる。そうして、その積み上げは人事の交流、それから経済の交流、それから政治の交流、そういうような主として三つの道筋をたどるわけでございますが、積み上げ方式の一つとしてこの会談を使おうとしておると、こういうふうに考えております。
  118. 渋谷邦彦

    ○渋谷邦彦君 じゃ最後に、福田さんが総理と御一緒にサンクレメンテに行かれる直前に、韓国の前総理だった丁一権さんですか、これはお会いになっていらっしゃいますか。
  119. 福田赳夫

    ○国務大臣(福田赳夫君) 会っております。
  120. 渋谷邦彦

    ○渋谷邦彦君 その際にどういう話をされたか私もつまびらかにしておりませんけれども、やはり先ほどちょっと冒頭に触れましたこの朝鮮と韓国との問題をめぐって、いろいろな日本に対する要請があったのではないだろうか。特に韓国の経済復興については、日本からさらに多くの借款というものを要求をされたのではないだろうか。あるいは今後、これもつい最近のことだったと思いますが、朝鮮民主主義人民共和国とのたとえば貿易、経済的な交流、そういうものを政府として認めた場合に、韓国としては断固重大な決意をもって日本に臨むと、いろいろなそういうことがちらちら入ってきているわけですけれども、その辺を総括して、大臣のほうからこうした一連の問題についての判断とそれから今後そうした面についての日本政府としての方向、これを御説明いただきたいと思います。
  121. 福田赳夫

    ○国務大臣(福田赳夫君) 一月のたしか三日の日であったと思いますが、韓国の前首相の丁一権さんが来日いたしまして、総理と会いたいというので、私、立ち会いでお目にかかったのです。要旨は、五日には――その時点からいうと明後日ですが、明後日には総理はサンクレメンテに向かって出発される。いずれ、朝鮮半島の話も出るでしょう。その際に、正確に私どものこの朝鮮半島に対する見方を、また韓国の実情を伝えておいたほうがよかろう、こういうふうに思いましてやってまいりました、と言って、広範な政治の状況、経済の状況、いろいろな話が出ました。それを受けまして、しかし私どもは別に頼まれたわけじゃないのですが、いろいろ韓国の話が出た場合なんかの応対の資料にした、こういうことはあります。それだけの話であります。
  122. 渋谷邦彦

    ○渋谷邦彦君 約束事もなかったし、ただ単に応対の資料にしたというふうに理解していいかどうか。これが一点。  それから第二点は、御答弁がなかったようでしたけれども、最近の動きの一つとして、北朝鮮と日本が何らかの形で交流を結んだ際に、韓国政府としては日本に重大な決意をしなければならないということが伝えられておりますけれども、それは事実なのかどうなのか。また、そういうことがあった場合に日本政府としてはどういう対応の策を講ずるおつもりなのかということです。
  123. 福田赳夫

    ○国務大臣(福田赳夫君) そこで、その際に要請というような問題は一つもありません。ありませんが、韓国の経済事情の話がありまして、韓国は国際収支が非常に窮屈だ、ついては今後とも日本の協力を得たい、というような頼み事がありましたが、わがほうとしては、日韓関係にかんがみまして、とにかくよく実務家をして調べさせます、こういうような答えであったわけであります。  そこで、さらに北鮮、つまり朝鮮民主主義人民共和国との間の関係、これは日鮮議連というものがありまして、これが朝鮮民主主義人民共和国を訪問した。その際に、いろいろ話し合いをしてきておることは私もよく聞いておりますが、極東の情勢緩和の大勢の中において北鮮との接触をどうすべきかということは、これは一つのわが国としての外交の問題点なんです。ただ北鮮、つまり朝鮮民主主義人民共和国との関係をどうするかという際には、隣に韓国が存在しておる。その韓国と日本は国交正常化をしておる。しかも、今日この時点におきましては、その韓国が非常事態宣言というものまで発しまして非常に緊張した状態にある。この辺の実情は十分とらえて対処しなければならない、こういうふうに考えております。  具体的に申し上げますと、北の朝鮮民主主義人民共和国との間には、こういう世界・極東情勢の中において逐次交流も始めたい、こういうふうに考えますが、まずさしあたり文化だとか、スポーツだとか、そういうような人事の交流から始めてみたい、こういうふうに考えておるんです。  経済問題につきましては、いろいろの話は出ておりまするけれども、なおまだ慎重にこれに対処しなければならない、こういうふうに考えております。
  124. 渋谷邦彦

    ○渋谷邦彦君 文化、人事の問題については、先回の外務委員会の際にもお答えがありましたので、それは十分承知しておりますけれども、そうではなくして、むしろ経済問題について今後北朝鮮との間に何らかの形で政府がそれを許容するというようなかっこうで交流が行なわれるということになれば、韓国としては重大決意を持たなくてはならない。重大決意といったら国交の断交以外に考えられないと私は考えるのですけれども、そんなことまで予想し得る現在の情勢なのか、それとも、そこまではいってないけれども、たいへんきびしい姿勢でもって日本政府に臨んでくるというのか、その辺をもう少し伺いたかったんです。
  125. 福田赳夫

    ○国務大臣(福田赳夫君) 北朝鮮とわが国との接触につきましては韓国は非常にそれは神経質であります。まあ、一つ一つ日本の行動というものを見ておるわけでありまするが、最も重大視しておりますのは、かつて中国との間に輸銀の延べ払い問題がありましたが、あの種の問題につきましては特に神経過敏であります。  私どもは韓国の状態よく承知しておりますが、韓国をあまり刺激するということも、朝鮮半島全体の緊張という点から見まして適当ではない、こういうふうに判断いたしまして、まあ、北朝鮮との間のこういう輸銀の問題なんかにつきましては慎重に対処していきたい、こういうかまえでございます。
  126. 八木一郎

    ○委員長(八木一郎君) 本調査に対する質疑は、本日はこの程度といたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後零時三分散会