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1970-05-06 第63回国会 参議院 公害対策特別委員会 7号 公式Web版

  1. 昭和四十五年五月六日(水曜日)    午前十時十二分開会     ―――――――――――――    委員の異動  四月二十四日     辞任         補欠選任      須藤 五郎君     河田 賢治君  五月四日     辞任         補欠選任      河田 賢治君     須藤 五郎君     ―――――――――――――   出席者は左のとおり。     委員長         松井  誠君     理 事                久次米健太郎君                 中津井 真君                 小野  明君                 内田 善利君     委 員                 加藤シヅエ君                 田中寿美子君                 小平 芳平君                 片山 武夫君                 須藤 五郎君    国務大臣        厚 生 大 臣  内田 常雄君        国 務 大 臣  佐藤 一郎君        国 務 大 臣  山中 貞則君    政府委員        内閣官房内閣審        議室長兼内閣総        理大臣官房審議        室長       青鹿 明司君        防衛施設庁総務        部長       鐘江 士郎君        防衛施設施設        部長       鶴崎  敏君        経済企画庁国民        生活局参事官   西川  喬君        厚生省環境衛生        局長       金光 克己君        厚生省環境衛生        局公害部長    城戸 謙次君        厚生省薬務局長  加藤 威二君        水産庁次長    藤村 弘毅君        通商産業省企業        局立地公害部長  柴崎 芳三君    最高裁判所長官代理者        最高裁判所事務        総局民事局長   矢口 洪一君    事務局側        常任委員会専門        員        中原 武夫君    説明員        厚生省環境衛生        局水道課長    国川 建二君        厚生省環境衛生        局乳肉衛生課長  神林 三男君        農林省農政局参        事官       遠藤 寛二君        農林省畜産局参        事官       斎藤 吉郎君        建設省都市局下        水道課長     久保  赳君     ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○公害紛争処理法案(内閣提出、衆議院送付) ○公共用水域の水質の保全に関する法律の一部を  改正する法律案(内閣提出、衆議院送付) ○公害紛争処理法案(衆議院送付、予備審査)     ―――――――――――――
  2. 松井誠

    ○委員長(松井誠君) ただいまから公害対策特別委員会を開会いたします。  公害紛争処理法案(閣法第一八号)、公共用水域の水質の保全に関する法律の一部を改正する法律案(閣法第二〇号)、以上いずれも衆議院送付、公害紛争処理法案(衆第五号、予備審査)、以上三案を一括して議題といたします。  前回に引き続き質疑を行ないます。質疑のある方は、順次御発言を願います。
  3. 小野明

    ○小野明君 最高裁のほうが急ぐようでございますから、先にお尋ねをいたしておきたいと思います。  この紛争処理法案の提案理由を見ますと――この問題は行政上の問題として片づけるということが望ましいし、できれば司法にまで持ち込まないで片づくものならばそうあってほしいと思うんですけれども、どうしても行政上の制度が不備でありますために、勢い司法に持ち込まれるというケースが多いわけですね。この提案理由を見ましても、「現行の司法制度をもってしては、必ずしも簡易迅速な解決をはかるのに十分でない」、こういうことが書かれてあるのであります。そこで、いまこういった負荷を司法にかけるというのもかなり無理があるように思われるわけですが、公害関係で法廷で争われているものについては何件ぐらいありますか。これを、できれば事件、種別によってお知らせをいただきたいと思います。
  4. 矢口洪一

    ○最高裁判所長官代理者(矢口洪一君) 私どもで公害関係事件と一応申しております事件、正確に申しますと、今度法案で御提出になっております定義に、全部が必ずしも当てはまるというわけではないわけでございまして、少し広うございますが、そういったものを含めまして、現在継続いたしております事件を申し上げますと、訴訟事件として百八十六件でございます。それから調停事件として四十七件でございます。その内訳は、まず騒音、振動、地盤沈下等に関するものが訴訟事件八十六件、調停事件二十九件でございます。なお、それのもう少し内訳を申し上げますと、工場の騒音、振動に関するもの、訴訟二十四件、調停十七件、それから建設工事による騒音、振動、地盤沈下に関するもの、訴訟二十九件、調停八件、それから石炭採掘等による――鉱業法のほうの鉱害であるかと存ぜられますが、訴訟二十七件、調停一件、その他訴訟六件、調停三件ということでございまして、そのトータルが訴訟八十六件、調停二十九件というわけでございます。その次に大気の汚染に関するものでございますが、これは訴訟が二十二件、調停はございません。それからその次に水の汚染、水質の汚濁に関するものでございますが、これは訴訟が二十一件、調停が一件と相なっております。それからその次に日照、通風の妨害に関するもの、これが訴訟三十八件、調停十三件でございます。その他といたしまして悪臭を理由とするもの、訴訟五件、調停ゼロ件でございます。それから水が浸入してきたということによるものが訴訟六件、調停一件、近くに大きな井戸等を掘ったために現在使用しておる井戸水等が枯渇したというものが訴訟四件、調停一件でございます。また、眺望が非常によろしかったのに、その眺望を妨げるような施設あるいは工作物が建てられたということによって、眺望の妨害、それから宅地内の観望の妨害と称するものが一件ございます。その他といたしまして訴訟三件、調停二件。で、いま申し上げましたその他のトータルが訴訟十九件、調停四件と相なるわけでございまして、以上の総計が訴訟百八十六件、調停四十七件、合計二百三十三件と相なっておるわけでございます。
  5. 小野明

    ○小野明君 非常にまあ件数が多いようにお聞きをいたします。いまお聞きをした中では、かなり迅速簡易な解決がはかられてしかるべきものがあるようにお聞きをいたしたわけであります。であるにかかわらず、この紛争処理法案提案理由に書かれておるように、この解決がおくれておる、こういうことがあるわけですが、おくれてまいる理由というのは、どの辺にあるわけでしょうか、御説明をいただきたい。
  6. 矢口洪一

    ○最高裁判所長官代理者(矢口洪一君) まず最初にお断わりいたしたいと思いますが、たとえば四大公害事件等ということで十数年かかっておる、あるいはもっとかかっておるというふうに新聞紙上等で報道されておるわけでございますが、私どものほうに参っております事件は、必ずしも事件としてはそれほど古いものではございません。たとえば四大公害のうちの阿賀野川の水銀中毒事件にいたしましても、訴訟となりましたのは四十二年の六月でございます。四日市の事件でも四十二年の九月ということでございまして、イタイイタイ病でございますとか、水俣病等は四十三年あるいは四十四年の事件ということに相なっておるわけでございます。しかし、いずれにいたしましても、結局のところ、損害賠償の請求事件でございまして、ことにその被害が人体に及ぶ問題でございますので、私どもこれは可及的すみやかにその結論が出されてしかるべきものであるというふうに考えております。そういう観点から見てまいりますと、必ずしも迅速な解決がなされておるとは申し上げかねるわけでございます。で、それは非常に恐縮に存じておるわけでございますが、その理由ということに相なりますと、実は訴訟というものが当事者主義をとっておりまして、当事者が主張し証拠を提出するということに相なっております関係上、その本来的な性格として必然的にある程度の時間を必要とするということと相なっておるわけでございます。で、そういった状態でございますにかかわらず、なおこの種の事件に共通する問題といたしましては、次に申し上げるような非常に事件を延引させる要素があるわけでございます。まず第一点は、原告が多数であることが通常であるわけでございます。多い事件でございますと、四百人、五百人というふうに原告があるわけでございます。そういったことと相なりますと、やはり一対一でやっております事件に比較いたしますと、どうしても時間がかかるということでございます。それからその次に、そのように多数ございます原告に資力のない人が比較的多いということでございます。何と申しましても民事訴訟は当事者が費用を支弁して訴訟を追及するということでございますので、そういった無資力者でございますと、どうしても準備をいたします資料を集めますのに十分意にまかせないところがあるということでございます。その次に問題になりますのは、通常これまでございましたいろいろの事件と違いまして新しい型の事件であって、それを裁判いたしますについて裁判所が専門的科学的な基礎知識をどうしても必要とするということでございます。ここに出てまいります具体的な知識ということになりますと、これはないのが通常でございますが、しかしその前に、科学に関する専門的な基礎の知識が必要であるということでございます。御承知のように、裁判官はこれまでそういった方面の教養と申しますか、教育を受けておりませんので、新しい事件が参りますときには、実は専門家からごらんになると何でもないようなことまで勉強してそれから事件に入らざるを得ないということでございます。それからその次に問題になりますのは、この原因と結果との関係、いわゆる因果関係でございますが、この因果関係というものはそういった科学的な知識を前提といたしました上での事実の認定でございますので、この事実の認定に非常に困難を伴うということでございます。その他事実認定の一助といたします鑑定とか証人尋問等も、いま申しました専門的なものが非常に多うございますので、それの理解にもひまどりますし、また鑑定一つにいたしましてもそう簡単に出てまいらないわけでございまして、鑑定を依頼しましてから、結果が出てこれを訴訟資料として使うようになるまでに相当な日時を必要とするということでございます。で、以上ひっくるめましてそういった活動も、先ほど申しましたように、当事者が非常に資力でもあれば別でございますが、一方被告として通常出てまいります当事者が大きな企業として資力を持っておるにかかわらず、原告側はいわば個人の集合でございまして、それも十分な資力がないといったようなことが当事者の訴訟活動の活発化をどうしても妨げる。以上のような原因が加わりまして訴訟がなお遅延するというのが現状でございます。
  7. 小野明

    ○小野明君 よくわかりました。そこで、やはりこの被害者というのは、おっしゃるように、資力のない方が多いわけですね。それだけにやはり早急な解決というものが、特に損害賠償ですからほしいわけですね。裁判所としましても、その辺のいまあげられた四点を克服するためにいろいろ御努力をいただいておると思うのですが、この結論を早急に出すために現在いかなる方途を講じておられるのか、その辺を承っておきたい。
  8. 矢口洪一

    ○最高裁判所長官代理者(矢口洪一君) まず、中心となります原因と結果の関係の結びつきを究明するという事実認定の問題でございます。これがこの事件の中心となるわけでございます。そのためには必要とされる専門的知識、先ほど申し上げたところでございますが、裁判所側にこれが一番不足いたしておりますので、研修、あるいは事実上の鑑定人に対する面接あるいは会同といったようなこと、さらに原初的と申しますか専門的図書の購入といったような、現在裁判所に許されておりますあらゆる方法を講じましてこの種の事件を担当いたしております。裁判官の広い意味での研修ということをまず実施しなければいけない、そのように考えております。  それから次に当事者活動の活発化のためには、どうしてもその費用の足りないというところを補っていくことが必要でございますので、これには訴訟法上の訴訟救助の制度を活用いたしております。また、それに及びません原告の代理人等に対する費用の関係では、現在法律扶助の制度がございますので、法律扶助の制度を十分に活用させていただくということで問題を考えております。  そのようにいたしまして、最後に出てまいります事実認定の問題につきましては、これもたびたびあらゆる機会に申し上げておるわけでございますが、これまでの厳格な考え方というものを一つの方向転換をいたしまして、公的機関でお出しになります公害の認定でございますとか、そういったものをフルに活用して、そういったことで一応の因果関係の推定ということができますれば、逆に企業側にそのような因果関係の推定が誤りであるとか、あるいは自分たちは関係がないのだというような主張、立証をなさせることによって、当事者の主張、立証活動の負担を軽減し、そのことによって当事者対等に近づける。対等に近づけることがとりもなおさず訴訟の迅速的確な処理に資することになる。私どもいま申し上げましたような観点から、できるだけ的確な処理、迅速な処理ということについて現在腐心いたしておる次第でございます。
  9. 小野明

    ○小野明君 それでは最後に一つだけ。いまお話が出ましたのでおわかりでしたらお知らせをいただきたいと思いますが、訴訟救助の制度をこの百八十六件のうちにどれぐらい適用いたしておりましょうか。
  10. 矢口洪一

    ○最高裁判所長官代理者(矢口洪一君) 百八十六件ございます中で、実は訴訟救助の申し立てがありました事件は必ずしも多うございません。十四件でございます。その十四件の中で一、二決定をいたしておりませんが、十一件について許可の決定をいたしておる。ただここで申し上げておりますのは、たとえば水俣病等でございますが、何度も、一次、二次、三次、四次というふうに出ておりますが、そういったものは全部ひっくるめて一件ということでございますので、具体的には相当な人間を救助しておるということに相なっております。
  11. 小野明

    ○小野明君 総務長官にお尋ねいたしたいと思います。  この紛争処理案が生かされるか、あるいはまあ、殺されるかというと適当でないですけれども、ほんとうに生きてくるという制度にいたしますためには、何点か私ども問題かあるように思います。その第一点は、やはり新しく発足する制度であり、ここに選ばれてくる中央委員会の委員あるいは委員長あるいは地方自治体の場合は審査会の委員長あるいは委員、この人選が一番大きなポイントになるのではないかと思うのです。そこで、この条文で見る限り、人格高潔で識見ある者、どこでもあるようなことばが並べられてあるのであります。その他を見ますと、欠格条項が二項ほどあがっております。これはまあ当然のことだと思いますが、まあ地方、県に設けられる委員も、この条文によって結局選ばれるわけですから、非常にこの点は慎重かつ公正な人事が行なわれなければならぬのではないかと思います。そこで、この選ばれる委員について、報酬も、かなり中央の場合は高いわけですが、どのような選考の基準というものをもって選出されるお考えであるか、お尋ねをいたしたいと思います。
  12. 山中貞則

    ○国務大臣(山中貞則君) 法律の文言の上では、慣例もございまして、私もちょっと人格が高潔であるというのはどういう意味だというようなことも、部内では議論をしてみたんですけれども、まあ、そういうふうな、人格が高潔で識見が高いというような表現が通常でありますということで、では、やはり言われますような実際の人選の問題だということで、私どもが、この法律を通していただきましたあとどのようにするかの相談につきましては、まず第一に、何人も裁判の権利を奪われないという憲法の基本に対しまして、これは調停その他でおまかせいたしましょうということにいたすわけでございますから、当事者と見られる双方の間から、十分の信頼と尊敬の得られるメンバーでなければ、ますますこの制度そのものに乗ってこないであろう。そういうことが第一であるいはし、したがって出てくる者はどちらか一方に、たとえそれが、被害者の立場に立つことが、考え方の上ではこの法案を出した根本理由でありますけれども、人選の場合におきましては、一方的に極端に片寄っているような人もなるべく避けることにして、そのためには、やはり裁判所でさえも、ただいまは局長より答弁がありましたが、私も最高裁の判事から、いま公害紛争処理法案が、たいへんむずかしい問題をかかえているんですが、いわゆる行政と裁判との接点というところで議論してるんですよという話をいたしまして、当時者の苦心を聞いてみましたら、やはり一番そこの点が問題で、局長の説明しましたような基礎知識その他いわゆる識見と申しますか、そういうような種類の分野における科学的な知識等も加えた人たちがなかなかおりませんし、その勉強すらもたいへんである、ましてや明瞭な、加害者、被害者の立場があいまいですので、たいへん苦慮をいたしておりますという率直な話も、つい最近聞いたわけですが、そういうこと等考えまして、やはりなかなかおいそれと、そういうりっぱな方は、じゃ逆になってくださるかというと、これは心配でございますけれども、わが国が今後どんどん工業国家として変貌し、発展していく過程で、少なくともアメリカの大統領が公害に対して示しておりますような姿勢というものは、政治の立場において要求されるときが日本にも来ておるということを考えますと、それらの重大な意義をよく御理解を賜わるように努力をいたしまして、双方から信頼をされ、尊敬をされ、かつまた極端に片寄らず、そしてそれらに十分な識見能力を備えた人という、これはかねや太鼓でさがさなければならぬかもしれませんが、意義の重大さを十分に知ってもらって、御協力を賜わりたいものと、ただいまのところは念願しておる次第であります。
  13. 小野明

    ○小野明君 これが中央の場合だけですと、かなりいいわけですけれども、県の審査会というのがありまして、総務長官も御承知かと思いますけれども、鉱業法に基づく鉱害の紛争処理の場合も、なかなか調停がむずかしい。難航しまして、非常に被害住民に満足を与えるということがなかなかできかねているのが実情なんです。公害というのは、いま新しい分野でありますし、地方の場合を拘束しているということになりますと、やはり選考の基準といいますか、内規というものも、一応、何らかの形で考えて指導していただかないと、かなりでたらめな人選になって、法そのものが、もうだめになるということにもなりかねないと思うんです。御承知のように、自然科学だけの知識でもいけませんし、これはもう国際シンポジウムで明らかにされているところですが、そういった識見という面についても、かなり具体的に仕分けができてくると思うのですが、そういった選考の基準あるいは内規というものをつくられてしかるべきではないかと思うんです、一歩進めてですね、その辺はいかがです。
  14. 山中貞則

    ○国務大臣(山中貞則君) 内規といいますか、選考基準といいますか、いろいろありましょうが、地方自治体に対しましては、やはりある種の、ただいま申し上げましたような中央の委員会の委員のお願いをいたします際のあるべき基準みたいなもので当然できるわけでございますから、そういうような考え方をきちんとしたものにいたしまして、都道府県に、そのようなことで地方も選んでほしいということもお願いをしたいと思います。また今日まで、ローカルの地域内の企業、もしくは地域内の起因者と住民との間の問題は、大体法律の根拠がありませんでも、知事さんあたりのあるいは県議会等を含めた行政自治体の運用の責任者の方々の間であっせんに立たれたりなどして、地域的に解決を見ている例などもないわけではございませんし、そのようなことが、今回はきちんといたしますので、効果はあがるであろうと思いますが、なお、それでも自治体の手に負えないという場合には、これは中央にあげていく道もあるのでございますから、要するに、この問題はりっぱな人を選んでいただく、その地域においてもできるだけ、選べるだけの可能な限りのこの問題に対して一番ふさわしい人を選んでいただくよう配慮をするための指示、監督をいたすつもりでございます。
  15. 小野明

    ○小野明君 次の点は、やはり裁定制度がないということですね、この大きな欠陥というのは。それで、当事者の合意でないと、これが成立をしないというところに、最終的には問題があるように思います。それだけにいまの人選ということが重大であると思うんです。  いま一つの問題点は、これは雑則の中で、はなはだ私も不満なんですが、第四十九条に「公害苦情相談員」という項がございます。これが種々被害住民との接点に立つわけですね、実際には。で、これの性格とかあり方というのは、非常にこれまた住民を参加させる公害対策にあるいは紛争処理にするといった意味でも重大だと思うのです。この公害苦情相談員については、どういう性格、権限であるのか、この条文だけでは明確でない点がありますが、この点を御説明いただきたいと思います。
  16. 青鹿明司

    ○政府委員(青鹿明司君) 四十九条に苦情相談員の規定があるわけでございますが、この苦情相談員につきましては、一つは紛争処理なり、訴訟の前にいろいろな苦情がある。それからいま一つは、紛争処理というものに乗り得ないような公害の被害関係の処理、二つの問題があるのではないかと思います。これらの苦情につきましては、この第一項にもございますように、地方公共団体がやはり全体でもって責任を持って処理すべきであるということが第一項にうたってあるわけでございまして、現実にいま苦情相談員を履いている府県、市町村はございますけれども、従来必ずしもそうした住民の苦情を受け付ける窓口が明らかでなかったというような事情もございますので、まず苦情相談員を資格の上でも明らかにして、住民の苦情につきましては、まずそこで相談に応じるということにすべきであろうということで苦情相談員制度を設けるということにしたわけでございます。  それで、苦情相談員はどういうような権限なり職責を持つかという点でございますけれども、これはここにもございますように、まず苦情について住民の相談に応じて必要な処理のための調査をするということまででございます。そのあとがどうなるかという点があるわけでございますけれども、ただいま申し上げましたように、一つは紛争なり裁判によって問題の解決をはかるという事例もあると存じますし、あるいはそういう紛争ではなしに、行政の領域の中で一般行政として公害の処理に当たるということも必要であろうと存じますけれども、その後者の場合につきましては、これはやはり公共団体全体の責任でございますので、苦情相談員が窓口として受け付けました苦情案件につきましては、やはりそれぞれの行政の領域の中でそれに対処する方針を定めていくというようにいたしたい。したがいまして、苦情相談員は住民に対する窓口といたしまして、いろいろ各般の苦情についての事後の処理の推進をはかるというような使命を持つものと考えておるわけでございます。
  17. 小野明

    ○小野明君 いま公害がある地方自治体では専門職員が不足をしておるということを非常によく聞くわけです。やっと公害対策をやる部課ができた段階なんですね。こういった苦情相談員ということになると、かなりそういった専門的な知識も要るでしょうし、それ相応な身分、権限というものも与えなければならぬと思うんです。この法律によって新しくできた制度ですから、それは当然に新しい人員配置といいますか、それを伴うもの、定数のほかに新たにつけ加えられるもの、こういうふうに解釈をしてよろしいわけですか。
  18. 青鹿明司

    ○政府委員(青鹿明司君) 具体的にどういう職員を苦情相談員に当てるかは、やはりそれぞれの地方の首長の判断でございますので、私どもいまのところ何とも申し上げかねるわけでございますが、意向調査等によりますと、当初は公害関係の事務をとる職員を当てまして、情勢によって逐次あるいは必要があれば専門的な苦情相談員を置くというようなことを考えるのではないかというような回答が参っておるわけでございまして、必ずしも当初から必ず専門の職員が置かれるかどうかという点は私どもまだはっきり御答弁を申し上げかねるわけでございます。
  19. 小野明

    ○小野明君 それじゃ何にもならぬじゃないですか。これはいま公害対策課が部員なり課員で手いっぱいである。その人たちがこの新しく設けられた制度の中で苦情相談員もやる、こういうことになると、これは有名無実になってしまいます、これはね。しかもこの法律で置かなければならないと、こういう必置事項にしておる以上は、これは別に新たな職員を採用して定数のプラスをやる、こういうことでないと、あなたの御答弁のように、それは知事が考えるでしょう、そういう無責任なことではこれは問題だと思う。その点はその程度のことでは私はいかぬと思うのです。再度御答弁願います。
  20. 山中貞則

    ○国務大臣(山中貞則君) いま室長のあれは、意向調査に基づいて知事さんたちがどういうふうにこれに対処されるであろうかという段階のことを申し上げたのでございましょう。やはり法律がこうやってきちんと通りますと、これは定数外であろうと定数内で処理できる都道府県であろうと、いずれにしても相談員を置かなければならないという国の意思に沿ってやっていただく、これは法律の命令事項でございますから。そのかわり国はそれらの方々につきましては、定員外でなければならぬという言い方も少しどうかと思いますが、それらの人々に対しましては交付税でちゃんと基準財政需要の中に算定をいたしまして交付するということになるわけでありますから、これはやはり定員外で置けよということを申しましても、かえってそれは窮屈になるかもしれない、実情から見ますと。ということでもありますので、そこらはやはりその府県の知事さん等の御判断というものが主になってしかるべきことではないかと思うのでございます。
  21. 小野明

    ○小野明君 私の申し上げた定員外というのは、定数にプラスせよという意味なんです。ですから、長官から御説明あったような、地方交付税で完全に見る、中央もこれだけ規定をしておるのですから、めんどうを見るかどうか、こういうことがお尋ねしたかったわけであります。いまの御答弁で了解いたします。  それから、これは最後の点ですが、やはりこの処理制度が国家行政組織法の三条機関でないというところにいま一つ大きな問題があるのです。それとの関係を、三条機関に私はすべきだと思うのですが、これについて長官のお考えを最後に承っておきたいと思います。
  22. 山中貞則

    ○国務大臣(山中貞則君) 私も先ほどお答えいたしました憲法の、「何人も、裁判所において裁判を受ける権利を奪はれない。」というたてまえから考えますと、三条機関というものできちんとその権利を最終的に行使せざるを得ない立場の前に、国の行政機構の中で三条機関でやらなければならないという要請も十分私もわかりますし、かといって半面裁判所以外の場所において終審を行なうことができないという憲法のたてまえから考えますと、裁定というものを伴わないで三条機関だけを置くということについてはどうだろうかという点等もございまして、今回のこの法律では三条機関について、意見が、政府といたしまして国会と一致いたしませんでしたけれども、これから三条機関というものの、さらにこの公害が今後、よくないことではありますけれども、好ましくないことであってもふえる一方でありましょうし、多種多様の形態を伴って起こってくる必然性があると思いますので、この法律の通過いたしましたことで忘れてしまうのではなくて、この法律を審議するにあたりまして、三条機関の論争が終始あった。しかも衆参両院において共通の立場から共通の意見としてあったということを念頭に置きまして、今後検討してみたいと思います。現在検討中であります段階を率直に申し上げますと、ずいぶん古い時代に置かれました土地調整委員会というものがございました。これが鉱業権を主にいたしまする権利者と、その権利の行使に伴う周辺の、主として農地関係のまた権利との競合、衝突関係について三条機関の行政委員会が持たれておるわけでございます。しかしながら、今日では実態はほぼそういう形態は砂利採取法その他も制定をされましたし、形態が違ってきておりますので、もっぱら土地収用法あたりのほうで、それを三条機関の土地調整委員会を引っぱってきて、逆にほかの法律で設置目的以外の事柄の仕事が多いようなふうにいま変わりつつあります。そこでこれをやはり換骨奪胎と申しますか、このような機構を今後存続するとすれば、三条機関としては数少ないものでございますから、このような貴重な機関をほんとうに生かして使うためにはさらにどのような目的を与えることが可能であるか、その中にただいま申しておられます公害紛争処理についての裁定に近い機能をそこで持つまで与え得ることが可能であるかどうか、それらの問題を引っくるめまして、来年度の予算要求の八月末くらいまでには予算を通じて残すなら残す、土地調整委員会をやめるならやめるというケースもありますけれども、換骨奪胎して新たなる使命を付与するなら付与する。そのために法律が必要ならば次の国会にお願いをするということで、決して現在のここの時点では踏み切っておりませんが、皆さんとの質疑応答の中で、この事柄だけは思想も党派も越えた問題でございますので、私としては、非常に弾力的に受けとめて精力的な努力をしておるところでございます。現在の時点においては、いまのところ三条機関を新たに設けることについて私自身が決断し切らないという点にかかっておると思います。
  23. 田中寿美子

    ○田中寿美子君 公害の紛争処理法案につきましては、私六十一国会のときに、六月二十七日の公害対策特別委員会で相当詳しく御質問しております。採決の直前に流れたものでございますから、同じ議論を私は繰り返したくないと思うんですが、その後昨年のいまごろと、それからことしと比べますと、公害についての認識というのは非常に進んだと思います。というのは事態がそれだけ、公害が進んできているからなんですね。それでまあ昨年度から比べますと、佐藤総理はじめ各大臣とも公害に対する態度が変わってこられたというふうに私は思っております。それだけまた新しい公害の問題が大気汚染、水質汚濁、産業廃棄物、その他たくさん出てきております、また騒音なども。それだけ紛争も非常に新しい形であらわれてきていると思うんです。社会党は独自の紛争処理法案を出しているわけなんですが、ただいま小野委員と総務長官並びに政府委員の方のやりとりを伺っておりまして、私総務長官に御決意のほどを次の点でお伺いしておきたいと思うんです。  すでに小野さんからも出たことなんですけれども、紛争処理機関の権限を強化するという意味で、衆議院から送られてきた法案に附帯決議がついている。そして将来八条機関から三条機関へ移行しようという方向で検討するというようなことばもありますね。ですから、その点いま御説明されましたけれども、中央審査委員会の権限を中央だけでなく地方もですが、権限あるものにするために、人格高潔、公正な人選というのは、私はたいへん、いまも小野さんが問題にされたけれども、問題があると思うんです。たとえばこれは、私は今回御質問しないことにしましたけれども、例の水俣病の水俣病補償処理委員会というのが非公式にできております。あれに選ばれた三人の委員というのは、私はどちらかというと感覚的に古い方が入っていられる。公害は新しい様相を呈してくるんですから、相当新しい感覚でものが考えられるような人選を行なわなければならない。その人選を行なう場合に、先ほどからの説明がありますが、双方が納得するというのは、被害者の側あるいは住民の側の意見も何らかの形で聞くようなことを講じられるのかどうかということです。  それから、調査機関をつくらなかったから、先ほどから専門官が足りないとか専門的知識を持っておる者が足りないということでございますが、それこそ強力な調査機関がない限り公害については正しい判定がむずかしくなってくる。東京都の公害研究所長の戒能通孝先生が、昨年の公害対策特別委員会の公聴会においでになりまして公述されましたときに、公害の和解の仲介、調停、おもに補償金の問題になってくるとすると、補償金額をきめるというのは裁判所のほうがはるかに正確にできるんです。民間で人選をしろうとにさせて、やるということは少し心配ではないかという意見を述べておられます。その辺を十分考慮しなければならないんではないかという点について。  それから、この前の床次総務長官ですね。やはり刑法に私が公害罪が設定されていれば、和解の仲介、調停の際にもやりやすいんではないかというようなことをお尋ねしたら、やはりそうだと思うというふうに言われたんです。その点をどう考えられるか。それらの点についての長官のお考えを聞かしていただきたいと思います。
  24. 山中貞則

    ○国務大臣(山中貞則君) 最後のほうから申し上げて恐縮ですが、私の知らなかった問題でございまして、刑法に公害罪が定めてあればやりやすいということの答弁が前長官からあったということでございますが、ただいま聞きましたところ、法制審議会におきまして、法務省ではその問題について研究課題として取り上げているそうでございまして、御承知のような手続でございますから、それが結論が出ますと立法化の段階になるわけでございましょう。その点は私の所管外でございますので、まず初めに申し上げておきたいと思います。間違っていましたら、いずれ法務省と連絡いたしまして、間違っていたら訂正をいたしますが、そういうことだそうでございます。  それから小野委員から基本的な問題として御質問になった点を、さらにこまかに調査能力その他の問題まで触れられての御質問でございますが、もちろんこの問題につきましては、ある場所においてだれかがだれかをなぐってというような明白な被害者、加害者関係というものでなく、しかも不特定多数の間に発生しますだけに、なかなかつかみにくい因果関係にある。そのために専門的な知識も要ろうし、また、双方から信頼を受けてそれを預けるというだけの人柄も持っていらっしゃらなければいけないだろう。ただ戒能先生ですかおっしゃったそういう知識というものが、あまりそうみんなないわけですから、行政機関の中で裁判に行かないで話がついてしまう場合に、心配じゃないかということでございますが、確かにそういう心配もあり得ると思いますが、この法律を出しました趣旨が、このままでは全部が裁判に持ち込まれて、しかも裁判の経過等見ますと、本筋のどのような被害がどのような人に対してだれがというような問題よりも、手続が不服である、異議があるとかというようなことが、さらに別な論点となって争われているようなことも派生しているように聞くのであります。でありますので、そういうことになる前に、両方が私ども加害者という法制上の立場には断定はしてない。しかし、自分たちがやはり何かしなければならない原因者であるということについては認めますというような話し合いのケースというものは、相当私はあると考えます。でありますので、この法律は何を目標につくられたかといえば、一般の弱い立場の被害者、しかも被害者の健康と生命に関する問題、これを国が政治の姿勢として少なくともだれもが受けられるかわりに、たいへん救済が難解でありむずかしい。司法権の前に行政権の立場で手を差し伸べたいという気持ちでつくっておるわけでありますから、私はこれが万全であるとは申しておりませんし、そう考えておりません。しかし、私たちは、いま政治の名においてこの事柄をやらなければいかぬ。これをなまけては国民に申しわけないし、日本の経済的発展というものは人間不在の発展になるおそれがある。そこを私たちは政治の姿勢としてこの問題に取り組む基本にしなければならないと考えておるわけでございます。でありますので、この法律によってはたして万全かといえば万全でないと思います。しかし、この中で法律をつくったことによって、中央または地方において一〇%ないし二〇%、できれば六〇、七〇%の救済率というものが出てきますれば、まずまず私たちは政治として何かをなしたということについてはこたえている。  その次に、それではなおその間の裁判所への断絶というものがまだ距離がありましょうから、それを埋めるにはわれわれは政治の中において何をさらに前進していくべきかについて、先ほどの三条機関等もございましょうし、今後一生懸命この問題はお互いが努力して何かを求め続けていかなければならない問題であるというように本質を考えている次第でございます。
  25. 田中寿美子

    ○田中寿美子君 それでは私、BHCの汚染牛乳の問題、さらにBHCの環境汚染とか、こういうことについて、きょう御質問したいと思っております。午前中、主として農林省の方に農薬の扱いその他を中心にして、それから午後、厚生省の方を中心に食品衛生の観点から聞きたいと思いますけれども、関連しておりますので、あるいは両方にわたるかと思いますが、BHCの問題をここで取り上げるということは、今日、BHC農薬がすでに環境汚染原因となっている、そして非常に重大な問題を非常にたくさん引き起こしておりますから、そこで私は、公害として取り扱うべき側面がある、そういう意味でここの委員会でお尋ねするわけです。ですから、単に食品衛生の問題とか、それから農薬使用、農政上の問題というところをこえて広範な、人体とか動物とか環境破壊とか、こういうことを伴っているという意味で御質問するつもりでおります。  BHCの牛乳汚染のことにつきまして、少し経過をたどってみますと、昨年の十二月、高知で牛乳のBHC汚染が検出されたという報道がされたわけです。これはわれわれにわかっている経過でお話しするわけです。もちろんもうすでに各地の衛生研究所で調べていられたようですけれども、一般に発表されたのは十二月中旬以後でございます。その前にBHC工業会ですか――がBHCの製造禁止ということを発表いたしました。当時、厚生省は、BHCの中のベータについてWHOの基準がないから判断がよくできない、そしてその検出されたものは慢性毒性なんだから心配はないというPRをもっぱらしていられた。金光環境衛生局長もそういうような談話を発表されて、はっきりとそのデータについては消費者に不安を与えてはならない、あるいは生産者である酪農民に不安を与えてはならないと、こういう考え方からだろうと思うんですが、データを伏せていらっしゃった。ところが厚生省は、その後、全国八地方の牛乳検査をされて、そしてその結果が四月の二十二日に新聞紙上では発表されました。それから農林省は十二月の二十六日と一月の二十八日に蓄積局長の通牒を二回出していらっしゃいます。で、四月の二十一日ですね、厚生省が食品衛生調査会の残留農薬部会と乳肉水産食品部会ですね、その合同部会を開かれて、そしてその結果の意見を発表されております。そしてそのときにデータも発表された。そこで初めて私たちはそのデータを知ったわけです。  念のためここでこの内容のポイントを申しますと、そこで発表されたことは、第一点として、八地域の牛乳にBHCの異性体が発見された。そのうちベータBHCが大部分を占めている。平均値で最低が北海道の〇・〇〇八PPM、最高が長崎の一・二八八PPM、これが二月の段階のことですね。  それから次に、そしてこれは農薬の使用量と並行している。だからBHC農薬をたくさん使ったところほどたくさん出ているということだと思います。  それから三番目に、諸外国よりははるかに高い数値だと、であるからBHCによる環境汚染がどんどん進んでいると、つまりこれは公害だということです、環境汚染は。  それから第四点で、人体に及ぼす影響はいま直ちに危険ではないけれども、長く続けていれば保健上あぶない。  それから次に、だからBHCを主とするところの有機塩素系の有機塩素剤使用停止などのできるだけ強力な措置をとってほしい。  そして最後に、汚染源は飼料であるから、BHCを含んだ稲わらであるから、時期的にはもう四月の二十一日ですから、BHCに汚染された稲わらを食べる量がだんだん減って次に青草が出てくるから、危険な域は脱しつつあるというようなことが発表された。  で、発表された数字の内容は、この数字だけでも相当の私たちは驚きでございますけれども、問題点は、許容限度がWHO、FAOの一九六八年の基準が〇・〇〇八PPM、それに比べますと驚くべき高さだ。たとえば大阪は最高二・四三二、平均で〇・九七〇、長崎は最高二・〇二八、平均で一・二八八、だからWHO、FAOの基準からしたら三百倍にもなるというような、こういうようなたいへんショッキングな発表が新聞紙上でもされました。で、ここでちょっと疑問に私が感じたのは、発表された時期が四月二十一日、すでに手を打ってあった時期なんではないか。で、畜産局長の通牒は十二月と一月に出ておる。何となくその発表されたときに感じたものは、間の抜けた感じですね。そこに一体何かがあるのか、なぜそういうふうに、つまり一月、二月、十二月から、いやそれよりももっと前に昨年の夏、各地の衛生研究所で研究をしていた、そして十二月に高知で発表された、それから三月の終わりころに各地の衛生研究所でちらほらと発表が始まった。そして厚生省は四月二十一日にその合同部会の結果を発表した。こういうふうに発表の時期がおくれたのは、何か作為的な感じがするのですが、そこに何かがあったかどうか、その辺、つまりその間何をしていられたのか、つまり時日はどんどん進行していた。一月、二月、三月の段階でBHC汚染の稲わらを牛は食べていた。そして牛乳には出ていた。それからこれは環境汚染ということからいえば牛だけじゃないと私は思っておるわけです。ですからまず米にもあるはずです、米のためにBHCは使うのですから。それから土壌にもあるでしょう。水にもあるでしょう。それから野菜に対しては八種類の農薬に十二品目の許容基準をつくっていらしゃる。だから野菜も調べられたはずだ。それから調べて見ますと、地方の衛生研究所では肉や魚の、あるいは母乳までも調べているところがあるのです。人体の中の蓄積を調べているところもあるわけですね。そういうような状況があった間にこういう高い数値が出ているのです。どういう手を打っていられたのか、これは農林省、厚生省両方から最初にお伺いをしたいと思います。
  26. 神林三男

    ○説明員(神林三男君) お答え申し上げます。  このBHCの問題は、実は昨年の七月に大体世界各国と申しますか、特にスウェーデンであるとか、あるいはアメリカあたりで多少規制を強化したという情報が入りまして、なおまた、私たちのほうも七月中に高知のデータも、直接ではございませんが、間接に入ってまいりましたために、これは特に牛乳の問題でございましたから捨てておけないということで、昨年七月三十日に厚生科学研究費の緊急保留分をいただきまして、とりあえず動物性食品の中の残留農薬の実態を調査するということをまず始めたわけでございます。それから、そのために八月五日の日に、特にその当時分析能力があるとかあるいは一応ブロックの代表であるというようなことで、宮城県、新潟県、愛知県、それから大阪、岡山県、高知県というところの分析の担当者を集めまして、ひとつ動物性の食品の農薬残留の実態を調査していただきたいというふうにしたわけでございます。その間に実はこの高知のデータというものが十月の四日の日に仙台の学会で正式に発表されております。それから十月中旬に至りまして、さらに牛乳中の農薬の残存というものが大阪であるとかあるいは愛知、それから先ほどの高知というような県の結果によりまして、これは相当問題かあるということでございまして、特にその三県は牛乳を中心にしてやっていただきたいというふうにしたわけでございます。それで十一月になりまして、一応中間的なものでございましたが、国立衛生試験所でやったデータ、あるいは愛知県のデータ、あるいは大阪府のデータというようなもので汚染が認められたという状況でございました。そこでこれはまあ牛乳というのは、特にほかの食品と違いまして、やはり乳幼児の主食であるという点、特に私たちは、しかも選択権が乳幼児にはございませんから、重大な問題であるということで、この間に厚生省のほうから農林省のほうに、こういう問題が現在起きておるのだ、したがって、ひとつ何か強力な手を打ってくれということで、実はBHCのあるいはDDTの国内向け製造のいわゆる中止という線をその時点で踏み切ってもらったわけですが、これが公表されたのが十二月十日だと思います。一応そういう手を、まず十二月十日製造の中止を一応やったわけでございます。その間に、なおうちのほうといたしましては、これは牛乳というようなものが特に問題になるということで、先ほどの観点から、とりあえずほかの動物食品をやめても、やはりこの際牛乳だけに主力を集中しようじゃないかということになりまして、十二月十九日に、先ほどの六県のほかにさらに北海道あるいは九州を加えないと、やはりブロック別といっても北海道と九州が抜けておるので、全国的な傾向を把握してみようということで、この六県のほかに長崎と北海道を加えまして、八府県にいたしました。そしてほかのものはやめまして、この際牛乳の汚染状況を系統的に調査しようということにいたしまして、生乳を中心に、しかもある一軒の農家を中心にして、五軒の農家を対象といたしましてデータをとってみる。その際、乳だけを調べるのでなくて、農薬を使ったのはいつであるか、あるいはえさにどんなものを使っておるか、井戸水であるか水道水であるか、そういったようなものもあわせて環境の調査もしていただきたいということでやったわけでございます。その間、農林省もさらにえさそのものについての分析を一応農林省のほうがやるということで、えさそのものの分析は農林省にお願いしたわけでございますが、そういうことで牛乳、生乳を中心にして調査を始めたわけでございます。それで、さらにその間に新聞紙に報道されまして、先ほど局長の話で安全であるというようなことが出たわけでございますが、これは一応うちのほうでは衛生試験所の毒性関係の部長とも相談し、あるいは所長とも相談した結果、この程度ならば現在のところ問題はないのじゃないかという見解をいただきましたので、それを発表したわけでございます。  それからさらに、これの結果は非常におくれたと言われておるわけでございますが、これは一月の分析結果が大体二月に出、二月のやつが三月に出るというようなこと、それからうちのほうはこれは厚生科学研究費をもって一応調査をやっておるために三月末までが一応その調査の対象期間になったわけでございます。それで三月のデータが、さらに全部の府県ではございませんが、愛知とそれから大阪、長崎と、この三つの三月のデータをさらに求めておったために四月まで延びたわけでございますが、その間に、中間的には私たちのほうといたしましては農林省とも連絡をいたしましていろいろこういう問題が出てきておる、前よりもだいぶ汚染状況が高いというようなことで、ひとつ農林省でとれる措置はとっていただきたいということは農林省のほうには連絡はしておったわけでございます。それで、一応データを三月までそろえまして出そろいましたものですから、四月にこの値というようなものをどういうふうに評価してもらえるか、われわれとしては、評価のしかたがなかなか見つかりませんから、一応特に残留農薬の部会、これは専門家の先生でございます、それから乳肉水産食品部会と、両方牛乳に関係ある部会でございまして、その中でBHCについて特に研究をされておる臨床家であるとかあるいは大学の先生をお呼びいたしまして、そして一応先ほど先生のほうで御発表になったような結論を得た次第でございます。で、現在農林省においては、一月二十八日に通達を強力に進めるというような措置をとっていただいておりますし、私たちのほうも四月二十七日でございますが、全国都道府県に通達をいたしまして、調査をひとつ、いままでは八ブロック代表がやっておったのですが、今後は全国的にこの調査をやってくれというふうなこと、あるいは牛乳に限らず、ほかの食品に対しても今後調査をしていただきたいというふうな通達を全国へ流してこれは調査をするというと、やはり今後ひとつどうしても牛乳の中のBHCを下げなければいけないという観点から、その低下をするためにひとつチェックをしていくというような観点からやっておるのでございます。  以上、大体経過報告でございます。
  27. 田中寿美子

    ○田中寿美子君 いまおっしゃったことにいろいろ私まだ疑問がありますけれども、時間がたいへん進みますので、午後もう少し厚生省に対してお尋ねさせていただくとして、農林省のその間にとられた対策をひとつお話しいただきたいと思います。
  28. 斎藤吉郎

    ○説明員(斎藤吉郎君) ただいま厚生省のほうからこの問題につきましての厚生省サイドでの経緯が御説明があったわけでございます。私ども農林省のほうといたしましても、これとの連関におきまして先生御承知のとおり、厚生省からも話のございましたように、まず十二月の段階におきまして農薬のメーカーを指導いたしまして、その指導によりまして十二月以降BHCの全体の製造の自粛をはかってまいったわけでございます。さらに十二月から一月にかけまして厚生省のほうからの話がありました点に沿いまして、牛乳の汚染経路の調査検討をしたわけでございます。何からこの牛乳にBHCが汚染したかというところの経路の調査でございまして、これは北海道と十一県をとりまして十二月から一月にかけまして調査検討をいたしたわけでございます。その結果、BHCを使用しました稲わらが汚染源であるということが一応はっきりいたしたわけでございまして、その結果に基づきまして、先ほど先生おっしゃいました一月二十八日に、牛乳のBHC汚染を減少させますための農薬の使用と飼料給与に関しましての措置をとったわけでございます。若干中身に触れて申し上げますと、都道府県等に対しまして牧草、青刈り稲、稲わらを飼料とする場合の、稲などを乳牛の飼料とする作物に対しまして、あるいは畜舎内におきましてはBHC等を今後一切使用しない、それから放牧地等におきましてはBHCの使用は中止いたしまして、今後は低毒性有機燐剤等に切りかえる、それから稲につきましては穂ばらみ期以降のBHCの使用は行なわない。さらに四十四年産の稲作におきまして、栽培の後期にウンカ等の防除のためにBHC、DDTといったものを含む農薬を散布いたしましたところの稲わら、これは乳牛に供与しない、こういうことなどにつきまして厳守するように、ただいまの農政局長名、さらに畜産局長名という形でもって通達をいたしました。この徹底に万全を期したわけでございます。さらにこれだけの一片の通達をもっていたしましては、なかなか実効があがらないのではないかということで、畜産あるいは植物防疫等の都道府県担当者を対象にブロック会議を開きました。さらに直接間接、当時ございました会議をとらえまして、機会あるごとにこれを周知徹底させるという形をとることにいたしたわけでございます。農林事務所でございますとか、農業改良普及所、あるいは家畜保健衛生所、さらに病害虫防除所といったような、そういった関係機関、これらを十分に活用いたしまして、さらに末端指導を強力に行なうように指導いたしたわけでございます。さらにいわゆる公的機関ばかりでございませんで、酪農家の団体そのものに対しましても、ひとつ下部組織に対しまして、この趣旨の徹底をはかってもらうように強く要請をいたすといったような形もあわせてとったわけでございます。厚生省との関係も緊密な連絡をこの間とりながら、特に濃密な指導を必要とする地域に対しましては係官をさらに個別に派遣をするといったようなことで、ブロック会議も再々にわたって開きまして、趣旨の徹底につとめたわけでございます。これによりまして、この趣旨は各方面に十分に浸透したのではないかと考えておるわけでございます。また今後は、牧草、飼料作物の利用可能な時期に入り、先ほど先生の御指摘にありましたとおりでございますので、事態はこれからは好転するのではないかというぐあいにわれわれとしては考えておるわけでございます。この時期におきまして、先ほど厚生省のほうからもお話がございましたように、食品衛生調査会の残留農薬と乳肉水産食品の二部会の合同部会によるところの検討の結果も出たわけでございまして、ここでの結論と申しますか、御意見、それには先ほど先生もおっしゃいましたように、人体の健康に及ぼす影響については、いま直ちに危険であるとは考えがたいけれども、このままの状態が長期間続く場合には保健上支障を来たすおそれがある、こういう御指摘がありました。さらに今後早急の間に牛乳の農薬汚染を減ずるように農林省としては有効な手段をとるべきであるという強い申し出があったわけでございまして、私ども農林省といたしましては、これを全面受け入れまして、さらに従来からもとっております措置を一そう強化して反復やることが現段階で最も有効であると考えましたので、先ほど先生おっしゃいました四月に再度局長通達というものをあわせて出しまして、これらの点について今後の誤りない運営を期するということにいたしたわけでございます。さらに厚生省からのこの二部会の合同部会での意見が出ました翌日、四月の二十二日でございますが、この日には農林大臣談話ということで、これはただいま私が申し上げましたようなことにつきまして、大臣談話を発表いたしました。さらに生産者あるいは消費者の皆さま方にもこの点の御理解を願うという措置をとった次第でございます。
  29. 田中寿美子

    ○田中寿美子君 いま説明されたような内容は、私は時間が非常に大事なんで、よく承知していたことなんで、一応農林省として言うべきことをおっしゃったと思うのですが、問題は実質的に、さっき北海道はじめ十一県を十二月、一月にかけて調査したとおっしゃったけれども、そのデータはどういうものが出たのか、それを知らせていただきたいと思います。  それから十二月と一月に通知をお出しになりましたけれども、それが末端まで徹底しておりません。これは私もずいぶん酪農家のほうを回りまして、そしてBHCに汚染されている稲わらを使ってはいけない、食べさせてはいけないことを知っているかということを尋ねましても、全然農民のほうでは知っていない場合が、私の行ったところは全部そうでした。そういう意味で、通知を出したとか、談話を出したとかいうようなことでは対策は進まないわけです。実際に、それじゃ一月、二月、三月の間に、あるいは四月までの間に牛乳中のBHCを減らすことはどうなるか。どれだけの対策をとって、どれだけ減らしたかというデータがあればそれをおっしゃってください。
  30. 遠藤寛二

    ○説明員(遠藤寛二君) 私どものほうで調査をいたしました稲わらの中のBHCでございますが、調査をいたしました結果、大まかな点を申し上げますと、稲わらにBHCが、これはメイ虫及びウンカの防除に使うものでございますが、稲の前半期だけ使いましたものと後半期まで使いましたものと、中ごろまで使いましたものと三通りに分けましてデータをとりました結果、平均して申しまして、後期まで使いましたものが非常に高い残留量を示しておりますが、前期だけでとめたものになりますと、それの一けた下がる、オーダーが一つ下がるというデータになっております。それが先ほど先生からちょっとお話にございました、厚生省がおやりになった調査と符合するかどうかということ、それは北海道、宮城なんかでございますと、ヘクタール当たりの使用量が大体〇・二キロから〇・三キロぐらいのBHC量になっております。それは非常に少ないほうでございまして、多いところの大阪でございますとか、長崎でございますと、これは一けたオーダーが上がりまして、三・五キロ前後というような使用量になっております。それはなぜかと申しますと、メイ虫、だけでございますとそれほどでもないのでございますが、秋、ウンカが発生しますと、八月、九月になってそれの防除に使う。それですから、それの収穫後もわらにまで残る可能性が非常に高いということと符合はいたしております。  それから横道にそれまして申しわけございませんが、先ほどちょっと御指摘のございました、米の中にもBHCがあるのじゃないかという御指摘でございました。これらは私どもで調査をいたしております範囲では、普通のBHC使用をやりました場合に、トータルのBHCといたしまして〇・一五PPMぐらいでございまして、その点につきましては、それも大部分、ぬかをのけてしまいますと、さらにオーダーが下がりますので、現在厚生省が安全だとおっしゃっております限界をはるかに下回りますのでだいじょうぶではないかと思います。  それから先生御指摘のとおり、私どももこういう禁止の通達を出しまして、それが実効ありません場合には非常に困るわけでございます。私どもといたしましては、今後もまた指導を徹底してまいりたいと思います。  具体的にその指導方法を申し上げてみたいと思います。先ほど畜産局から申し上げましたような会合を行ない、通達などをやっておりますが、私どもといたしましては、末端に病害虫防除所というものを現にたくさん持っております。それから防除員という者が一万八百名ぐらいおります。そういう者を使いまして、これから先、いよいよまく時期にかかってまいりますので、打ち合わせの会を開きますということが一つでございます。それからもう一つは、極力これは共同防除に持っていきたい。単独でルールに反したような使い方をしないようにさせるということでございます。そこで共同防除に持っていきたい。そこで酪農家がその地域内に入っておるような共同防除の地域内ではBHCは使わせない、これは防除ごよみからはずしてもらうということにいたしております。それから流通稲わらにつきましても大体のルートを押えまして、そういうことをいたしたいと考えております。  それから先般の高空防除のBHCがよそに流れたということが長崎で起こりましたけれども、そういう問題が起こらないように、ほかの作物、せっかく米のほうを押えましても、隣の畑に入ったりすると困りますので、それも厳重に押えてまいりたいと思いますが、そういった末端を通じまして私ども実はほかに類例を見ないほどのわりあい強固な組織を末端まで持っておりまして、それを通じましてやっていきたい。またメーカーないし流通機関としての主たる流通業者が全購連になるわけでございますけれども、そういうところに対しまして全購連の支所の段階まで私どものほうでいっておりますような稲の後半期の販売はとめるように、それから飼料作物地帯にはとめるようにということを現在手配をいたしております。大体それに従ってくれると思っております。それからメーカーに対しましても、そういったようなものに反するような地域に売らないということを指導をいたしてまいりたいと思います。また御指摘もございましたので、近い機会、稲の防除に間に合いますようにもう一ぺん通達もいたし、またさらに、各末端を動員いたしまして、厚生省の出先とも連絡をとりまして安全な使用を徹底してまいりたいと思います。
  31. 田中寿美子

    ○田中寿美子君 長崎のように非常に高い数値が出ている。それから大阪あるいは新潟あるいは愛知、そういうところにどういうことをなさったかということをさっき一月、二月、三月、四月にかけてBHCが減るためにはえさの対策あるいは農薬の対策をどうなさったか、具体的にそれを言っていただきたいと思います。それから同時にお尋ねいたしますが、BHCの現在量ですね、現在の在庫量、これはどのくらいあるのかということなんですが。
  32. 遠藤寛二

    ○説明員(遠藤寛二君) 農薬のほうの施与の問題につきましては、ちょうどいままでの時期は農薬を使う時期でございませんもんですから、通達を流しまして各地におきましてブロック会議等をいたしておる程度でございます。これからいよいよ末端まで詳しく指導いたしてまいります。それからえさのほうの問題につきましては、畜産局からお答えいたします。それから在庫量につきましては、ガンマBHC原体といたしまして約二千五百トンぐらいでございます。それのうち七百トンぐらいが従来の経過からいきますと、傾向からいきますと、輸出に向けられると思いますので……。
  33. 田中寿美子

    ○田中寿美子君 何%。
  34. 遠藤寛二

    ○説明員(遠藤寛二君) 七百トンくらいでございます。国内用が千八百トンぐらいになります。メイ虫の一化期の防除に使う分があるかないかというくらいの在庫量になると思います。
  35. 斎藤吉郎

    ○説明員(斎藤吉郎君) ただいま御質問のえさの対策でございますけれども、えさにつきましては、先ほど来申し上げましたような全体での会議その他のことを、通達等を通じましていろいろと指導してまいったわけでございまして、特にただいま御指摘の高いところにだけ特別なという措置ではございませんけれども、既作付飼料の繰り上げ給与でございますとか、代替飼料の利用といったようなこと、また、濃厚飼料を多給いたしますとかいうような措置をいろいろととるようにということを指導したわけでございまして、元来、先ほども先生もおっしゃいましたとおり、これからの段階では青草等の時期になりますので、今後にわたりましては心配はないのではないかというぐあいに考えておるわけでございます。
  36. 田中寿美子

    ○田中寿美子君 ちゃんと私がお尋ねしたことを答えていただいてないわけですが、たとえば非常に大きな量のBHCが出たところはさっそく手を打たなければならないはずなんですね。ですからそういうBHCを含んだ稲わらを焼き捨ててしまうとか、そのかわりに飼料としては何を与えるか、そういうような対策が即座にとられなければ、四月に発表されるまでの間に牛乳が絶えずずっと汚染が続いていくということなんであって、このことは国民の健康にも非常に害があるし、そういうことは、伏せておくことは農民を守る立場であるという考え方は、私はむしろ反対だと思う。後にそれがだんだん蓄積してきて問題になったときに、かえって農民を窮地におとしいれていってしまう。その対応のしかたがたいへん農林省は緩慢であったように私は思うんです。ですからその手当て、幾らか危機感がないんじゃないか、あるいは厚生省の感じていたデータ、出したデータに対して農林省がどうも――私は農林省の方に何人かにお会いして話を聞いていると、必ずしも肯定しがたいものがあるような態度をとっていられる。その辺が怠慢があったような気がするんですね。ですから、四月まで待てば青草が出てくるからというような考え方ではいけない。それからそのBHCの現在量のことですがね。いまガンマBHCで二千五百トンとおっしゃいました。これはベータを含めたもの、リンデン化されました数量じゃないですか。私が見た資料では、日本BHC工業会で製造したものは、昭和三十六年一万六千トンであったのが昭和四十四年には四万三千トンまでふえておりますね。そうして農林省の方にこれを外国への輸出用はどのくらい使うかと聞いたら大体一〇%くらいだと、そうすると二千五百トンくらいでしょう。それじゃ四十五年度中にその稲の穂ばらみ期以前に使う分量はどのくらいでしょうかと聞いたら一〇%くらいでしょうと言われたので、非常にたくさんのものが在庫しているのではないか。いま問題になっておるベータのほう、そしてそれが全購連の手の中にあるということは問題ではないか、全購連がそれに対してどのような対策をとろうとしているのか、あくまでこのBHCを使っていくということについて、私は、前期に使ってもはたしてそれはあとに稲わらに残らないものかどうか、非常に疑いを持つわけなんです。土の中にも水の中にもしみ込んでいるはずなんです。それがやはり汚染された稲として出てきて、そして牛乳にも入ってくる、あるいは米にも、それから流れていく水の中にも――水の中には魚もいるわけなんです。すべてのものに汚染をしていくということになる心配がありますが、いまの数字それでいいんですか。もう一ぺんちゃんとした……。
  37. 遠藤寛二

    ○説明員(遠藤寛二君) 私どもBHCの最終的販売の製剤で申し上げますと、それぞれのものが濃度が違っておりますものですから、原体量に換算いたしまして申し上げたわけでございます。原体量換算でございますと、日本の一年間の消費量が大体五千九百トンくらいでございます。それで大体稲のメイ虫の防除期の第一化期――先ほど申しました穂ばらみ期より前の時期に使いますものが、大体国内におきまして使用いたしておりますものが年間で大体三千トンから五千トンくらい使うわけでございます。それで大体そのうちの、三千トンのうち第一化期に使いますものがその約六割でございまして千六百トン、それから輸出も原体換算で申しますと七百トンでございまして、実製剤量になりますと三%、五%、一.五%といろいろございますので、ちょっとそういう数字を申し上げたわけでございます。  それからもう一つ、水の中ないしは土壌の中にも残るのではないか、それから稲の前半期にまけば心配ないということはどうかとおっしゃるわけでございますが、稲の前半期にまきましたものは大体オーダーといたしまして、稲わらに残っておりますものが〇・一PPMオーダーくらいになっておりますので、後半期までまきましても約十分の一くらいになります。ですからそれは、心配ない、それがまたもし万一えさに入りましてもさらに低いオーダーになるわけでございます。それから土壌の中にしみ込んだものがいつまでも残ってまた吸われるのではないかというお話でございますが、これは私どもの省でも試験をやりましたし、それから東北大学なんかでもかなりやっておりますが、BHCが土壌の中に入りました場合微生物によりましてわりあい早く分解される、特に大体土壌の中で水稲でございますから水が張られるわけでございます。空気の乏しい水を張った状態にBHCが置かれました場合に、大体四週間くらいで十分の一から三十分の一くらいになっております。それから愛媛大学なんかでやりましたデータでも、一週間で半分になり、五週間で一〇%になるという急速に減退される嫌気性菌によりましてわりあい早く分解がされるわけでございますので、それが翌年残ってきてということはそれほどなかろうと思います。特に今後におきましては、もう大体前半期にまかれるようなことはございませんから、さらにその濃度も下がってくると思います。それから水につきましても、まきましたあと一時に出るかという問題がございますけれども、これも非常に薄まってございますので、土壌に非常に吸われましてすぐに分解が始まるということでございまして、濃度といたしましては、農業技術研究所でやりましたデータで、河川で九月、九月というのは秋にまきましたあとでございますけれども、その時期におきましてメイ虫ウンカの、大体済んでしばらくたったころでございます。大体全BHCで〇・〇〇二PPM以下というデータになっております。愛媛大学であちこちいろいろなところでやりましたが、四国の一番高いデータで八月末で〇・〇三一PPMというデータを出しておられます。これも非常に薄まっておりますので、人体に有害という段階ではないと思います。
  38. 田中寿美子

    ○田中寿美子君 いま私は厚生省のサイドのお話は省いておきますけれども、農林省もその調査というもの、ほんとうに生産物の中にあらわれていく経路というのは、もっとほんとうに調査してみてもらわないと困ると思うんです。私は、新聞紙上で各地の衛生研究所が発表しているデータなんかを見ながら、昨日高知衛生研究所の上田雅彦技官に電話をして確かめました。確かに人体の中にBHCはたくさん蓄積されてきている、これは牛乳だけじゃなくて、日常とる食物全体から入ってきているわけで、特にBHCというのは農薬なんですから、農薬を使って生産されたものが口に入ってくる、こういうことで人体の中に蓄積されていくわけで、それについての論文をもう書かれて、ごく最近のうちに雑誌に発表されることになっているようですが、それで相当明らかに人体の試験の結果を出していられるようです。ですから、農林省はBHCを稲にまいた、それが土の中ではこういうふうに消化していったという程度で考えていてもらっては非常に困る。農作物その他のものにもかけているわけですね。ですから、そういう実際国民の健康という立場で考えてもらわないと困るんで、それが特に牛乳のようなものに大量に出たということについて、もっとほんとうに早い立ち上がりをしていただかなければならなかったと思うんです。どうしてBHCの使用を禁止できないかということなんですね。アメリカでDDTとBHCを禁止している。これは非常にいま在庫がたくさんある。だから損失をかけては困るというその懸念からなのかどうか、さっき全購連が八〇%を握っているということなんですが、全購連なんかにこれをどういうふうに処理していくように指導されるのか、使用禁止すれば出ないわけなんですが、そしてそれにかわるべき農薬を考えることができないのかどうか、その点お聞きいたします。
  39. 遠藤寛二

    ○説明員(遠藤寛二君) 私ども人間の健康にかかわるものでございますので、できるものなら在庫の有無等にかかわらず、こういうものはやめてしまえばいいわけでございます。たとえば先般も川の中にほうり込んだりして問題になりましたけれども、ブラスチンのようなものも在庫量にかかわりなく水銀の場合も同じでございますけれども、そこで直ちに回収したりしたことがございますが、非常に危険であるという場合にはそうせざるを得ないわけでございます。ただ私どもといたしましては、一つは厚生省のデータによりまして、現在の段階では何とか急にどうだということはないというデータをいただいております。それからもう一つ、稲のメイ虫ウンカの防除剤、四十四年度までにおきまして、約半量がBHCで占められております。したがいまして、これを一挙に使用禁止ということにいたしますと、大部分が稲に使っております、多少森林に使っている、その他野菜に使っているわけでございますので、急に第一化期の防除というものを全部切りかえるということはわれわれとても量的にむずかしい面がございます。先ほど申しましたように、オーダーが一けた下がりますので、第一化期の防除に使われるかわる薬がないかというお話でございますが、これは薬としてないわけではございません。たとえばカーバメイト剤でございますとか、低毒性の有機燐剤、そういったものはございます。そういったものに切りかえる予定にしておるわけでございます。二化期以降は大部分それで間に合うと思います。一部の森林等につきましては、場合によりましてはBHCにかわる薬があるかどうかという点についてちょっと心配でございますけれども、現在の、製造を中止しておりますので、現在ありますものが先ほど申しましたように、稲の一化期に使われるということでありますればそれで終わりになってしまう程度しか残っておりません。私どもとしては、その点の切りかえ時のときに、薬につきまして多少摩擦が起こるかもしれませんけれども、切りかえたいと思っておる次第でございます。ストックがあるから損害出せないという話ではないのでございます。全購連につきましてもそういう趣旨を了解してもらいまして、現在、末端に至るまで、先ほど申しましたように、支所段階までをわれわれのほうから直接指導をいたしております。その下の段階につきましても全購連にまた連絡もいたしておりますし、今後も指導いたしまして安全の指導をいたしたい、そういうふうに思っております。
  40. 田中寿美子

    ○田中寿美子君 時間がありませんから、最後の一点です。私はさっきも申し上げましたように、末端の農家に農林省の通牒が浸透していないという事実、これは十分認識していただいて、特に出てきた牛乳がBHCに汚染されていて飲ませることができないということになれば、これは酪農家は自滅しなければならない。それまでに十分指導する責任が農林省にあると思うのです。それから農薬については、それにかわるべき農薬をすぐ開発していくという対策、これは通産省なんか関係があると思うのです。積極的にやらなければいけないと思います。BHCが残っているから、これは損失になるからというような考えじゃなくて、いまや人間の命を守っていくという立場に立ってもらわなければならない。もう一つはえさの対策、これもさっき申しました非常にたくさんの汚染が出ていた地域でBHCを含んだ稲わらは焼き捨ててしまうぐらいにして、そうしてそれにかわるべきものがもし足りなかったら、あのときヘイキューブの輸入ということも考えられたわけでしょう。それを今後考えているのかどうか。それを輸入した場合に農民がそれを買うことができるような値段なのかどうか、もしそうでなかったならば、国内で一体どういう対策をしようとされているのかどうか、そうしませんと、飼料が非常に高ければ、これはやっていけないということになりますので、そういう将来の対策をお聞きして、午後の厚生省のほうにあと質問を残しておきたいと思います。
  41. 遠藤寛二

    ○説明員(遠藤寛二君) 新農薬の問題につきましては先生のおっしゃるとおりでございまして、農薬というものは従来大体虫を殺す、菌を殺すということで劇毒に片寄りがちでございます。したがいまして、逐次変えておりまして、水銀をやめ、それから急性毒性の強い有機燐剤をやめ、今回またBHCをやめるということで逐次切りかえております。ただなかなか慢性毒性の問題まで検討しまして、新農薬を開発するということにつきましては非常に困難でございます。新農薬の開発につきましては主として科学技術庁の関係で理化学研究所で研究しております。それから残留毒性につきましては厚生省のほうで研究しているようでございます。私どものほうは、主として使い方の問題を研究してまいったわけでございます。しかしながら、今回こういう慢性毒性の問題が強く出てまいりましたので、四十五年度からは慢性毒性の検定機関の財団法人をつくりまして、国がそれに対しまして四十五年度におきまして一億円の補助金を出しまして、慢性毒性の検定までやる機関をつくるということをやっております。今後とも努力をしてまいりたいと思います。それからまた末端への指導が届いておらぬではないかということにつきましては、十分御意見を承りましたので、今後、極力全力を尽くしまして、指導につとめたいと思っております。  また、えさのほうは、畜産局のほうからお答え申し上げます。
  42. 斎藤吉郎

    ○説明員(斎藤吉郎君) 先生御指摘のとおり、一-二月のほうで高い数値が出たところで、直ちに即応的な措置をとるべきではなかったかというお話しでございますが、これは、そのときの時点の数値がまとめて厚生省のほうで御発表になりましたのが四月の二十一日ということでございますので、先ほど来申し上げておりますように、その時点では確かに先生御指摘のいわゆる指導の不徹底というようなこと等もございまして残念な結果になっておるわけでございますけれども、るる申し上げましたようなことで、現段階になってまいりますれば、この数値はおそらく下がってきておるのではないかというぐあいに考えるわけでございます。そうは申しましても、このえさ対策という意味合いにおきまして、有効な措置をとるようにというお話でございますが、確かにヘイキューブの問題、その他いろいろあるわけでございます。これは国内でのこういういわゆる自給飼料的なものの流通というような問題とも関連いたしますところの、いわばわが国の畜産におきますところのえさ対策、えさの国内産でどういうぐあいにやっていくかという問題等とも関連をもちますところの根本的な命題でございますので、それら基本的な問題も考えあわせながら、今後、その措置については、十分今回のような問題になる稲わらを多量に使用するというようなことのないような方法で結論を見出していきたいと思うわけでございまして、今後の検討に待たしていただきたいと思います。
  43. 小平芳平

    ○小平芳平君 総理府にお尋ねいたしますが、公害紛争処理法案についてお尋ねしますが、これだけの大事な法案の質疑の時間が私は二十分と限られておりますので、ごく概要だけ御答弁願いたいと思います。  初めに、この第十条、「中央委員会に、」「専門調査員」「を置くことができる。」というふうになっておりますが、この中央委員会に置かれる専門調査員は、どういう性格のものであるか。そうして、地方には置かないかどうか。  それから中央委員会の委員の方も、専門調査員の方も、いずれも公害に対する専門家が委嘱されることと思いますが、その性格についてお尋ねしたい。  それから専門調査員は、要するに、諮問に答えるだけなのか、あるいは事務局の一部として構成されるのか。そういうような点についてお尋ねします。
  44. 青鹿明司

    ○政府委員(青鹿明司君) 専門調査員は委員並びに委員長の補佐機関でございまして、非常に公害が多面的な問題でございますので、必ずしも委員の方が全部自分が専門的な知識を持って研究し、調査するというわけにまいらぬ部分があるのではないかと思います。これを補佐する意味でもって、専門調査員と申しますのは非常勤の職員でございますが、事件ごとに任命いたしまして、必要な調査をやって、委員会の活動を助けるという性質のものでございます。  なお、事務局との関係でございますが、別に、事務局員といたしまして二十一名予定いたしておりますが、これが一般の事務的な処理は担当することになるわけでございます。  それから、地方には専門調査員の制度は置いてございませんが、これはやはりいろいろ条例でもって審査会等を置きます場合に、その段階でまた必要に応じて地方自治体の御判断でもって、その点についての処置はお考えいただきたい、かように考えております。
  45. 小平芳平

    ○小平芳平君 地方にも必要があればこの条例等で専門調査員を置くことは差しつかえないと、そういうわけでございますね。  それから地方についてですが、第十三条では、公害審査会を置くことができるとなっていて、十八条では、審査会を置かない都道府県においては審査委員候補者を委嘱して置かなければならないと、こうなっているわけですが、都道府県によって、このように片方は審査会を置く、その上専門調査員も委嘱をしているというような都道府県もできれば、他方においては単なる候補者名簿をそろえておくという程度の都道府県もできるという、あまりにも差別が大きいように思いますが、いかがですか。
  46. 山中貞則

    ○国務大臣(山中貞則君) 国におきましては、中央で政治の姿勢並びに考え方、その具体的なあり方を法律で示しておりますが、都道府県から以下になりますと、それぞれの地域における公害の態様というものが多種多様であり、しかもある県においては、いままでもこれからも大体公害というほどのものは起こらないような県もございますし、まあ大体日本列島を展望して考えられます公害多発地帯は大体太平洋ベルト地帯のあたりが中心であり、あるいは阿賀野川とか水俣地区とか、そういう特別な工場並びに河川あるいは入り海等の環境等がいままで出ておるわけでありますけれども、そうでありません普通の、産業公害的に言って平和な県というものは、常時委員会を設けておかなければならないかどうかについてはいろいろと問題があるところでございますから、したがって、必要があったらいつでも対応できるような、御相談をいたしましたあげくの結果として委嘱をいたしておきまして、そして何かやはり起こったと、たとえば宮崎県あたりで私聞いたことありますが、大体公害などのあまりない県でありますけれども、大淀川、宮崎市内を最後に流れて海に流れます大淀川の上流ででん粉の汚水による公害が二、三年前でございますか、たいへん県会やその他でやかましく論ぜられたことがございますが、それも一応知事さんがいろいろと衛生部あたりと相談をされた結果その問題はひとまず済みまして、いまはまた平和な県に戻っておるようでございます。産業的に平和な県でございますが、そういういろんな形態がございましょうから、しいて形だけを全国一律に統一しておくということも、ある場合において必要でございますし、この種の問題では必要な場合にはいつでも対応できる措置をとっておけばよろしい県、それと一方においては常時そういうものの準備をし研究をしておかなければならない、過去の経験値を持つ県というものがいろいろございましょうから、そこらのところはいろいろの意味合いにおいて自治体の自主性、実態というものに応じてやっていただきたい、趣旨はしかし住民の生命、財産、健康というものを守ることにあります。この趣旨はよく理解して行政の運用に当たってもらいたいということにおいて一貫しておるわけでございます。
  47. 小平芳平

    ○小平芳平君 それじゃあその長官の御説明の、全国画一的にそういう体制だけ整えなければならないとするのもどうかというその御意見はよくわかりますが、しかし、いまお話しの、産業公害の上から言えば平和な生活をしていると、しかし産業公害もいまは差しあたって問題になっていなくてもどんな問題が起きるかわからない、実際問題としては。それからまた、産業公害以外の、いま田中委員から御指摘のあった農薬等の被害はこれは限定できないところですね。ですから要するに、公害基本法でいうところの公害に関する紛争を処理するということでありますから、大気の汚染、水質の汚濁、騒音、振動、地盤の沈下、悪臭、こういうものが全く問題にならない、人の健康または生活環境にかかる被害が起きていないというような県があるかどうか、はたして。もうそれは黙って泣き寝入りしているというような、そういうものが非常にあるじゃないかという姿勢で取り組んでいくことが公害に対しては必要だと思うことが一つと、それからもう一つは、従来も県の公害課あるいは市役所の公害課へ苦情や紛争を持っていくことはあったわけですけれども、実際上、県へ行けば市へ行け、市へ行けば保健所へ行け、保健所へ行けば衛生研究所へ行けというようなことをやられているうちにうやむやになってしまったというようなことのほうがむしろ多いんじゃなかろうか。したがって、公害の多発する都道府県と公害のない都道府県というふうな分け方自体が非常に疑問であって、むしろ各都道府県で審査会を置くか候補を置くか、それは判断するといたしましても、取り組む姿勢としては、公害のない県とか公害のない地方なんていうものは考えられない。とにかくいままではうやむやになっていた紛争なりそうした公害の問題が今度は紛争処理法案が成立することによって非常にスムーズに住民に対するサービスができるようになったということがこの法案の第一のねらいじゃないかと思うのですが、いかがでしょう。
  48. 山中貞則

    ○国務大臣(山中貞則君) おっしゃることは私もよくわかりますし、また公害のない県があるかと言われれば、やはりそういう意味ではほとんどのところでいろいろな意味の公害というものが発生しつつあると考えます。ただ、しかし、常時審査会を設置しておかなければならないような状態であるかどうかについては、それが必要だと全国の知事さんが全部お考えになれば、あるいは結果として全部にできるかもしれませんし、きょうの委員会の冒頭に、最高裁のほうから現在公害に関する係争中の事案について事柄別について分けて説明がございました。その中で、私たちの今回公害の紛争処理法で考えておりまする以外のケースとして水の浸入、井戸水の枯渇、眺望の妨害、宅地内の観望の妨害あるいは日照権、通風の妨害、こういうような私たちのいまの段階では考えていないものも裁判の場には持ち込まれているようでございます。したがって、われわれは一応この法律を出発させまして運営をしてみて、そしてわれわれの一番この法律の大前提は国の繁栄の陰に個人の生命、健康というものが脅かされることのないように思うならば、それを拾い上げていく。したがって、相談員その他は必置制にしてございまするし、そういうところでくみ上げていって、なるべくすみやかに、しかも当事者が納得できる線が出せるようなことを目標にしておりますので、まずこれで進んでみまして、やはり「置くことができる。」ではいけないのだ、これは必ず置かなければならないというふうに、相談員と同じように審査会もつくらなければならぬという結果が出ますれば、法律の改正が必要であると判断いたしまして、いつでもやってまいりたいと考えます。
  49. 小平芳平

    ○小平芳平君 そういう積極的な姿勢をお聞きして、私は私の申し上げている趣旨も同じであります。  いずれにしましても、この公害に対する紛争というものは、無限といっては誤弊があるかもしれませんが、ほんとうに多いと思うのです。それがこの法案の成立によってたいへんよくなったということが一つ一つ出てこなければ何にもならないじゃないか、このように思っているわけであります。  それからもう一つは、先ほどの中央委員会の委員とそれから専門調査員との関係について先ほど御説明がありましたが、公害の場合は要するに、原因者と被害者がはっきりしない面があるわけであります。たとえば、この河川で魚が死んだ、それがはたしてどの工場の廃液なり排水が原因なのか。あるいは農作物に被害があった、それがはたしてそこの工場のばい煙なり排水なりが原因なのか、そういう場合にただ話し合って中をとれというわけにいかない。原因者がはっきりすればてこで紛争になり、その紛争は話し合いで解決という線で進められることが当然と思いますが、とにかく科学的にはっきりあなたの工場が加害者だよということがわかれば、その上で話し合いになると思うんです。ところが、実際問題科学的なそうした調査あるいは研究がすっきりいかないとそこで紛争が非常に長引いてしまう、したがいまして、国としては中央委員会ができ、専門調査員が三十人委嘱されて、それで各都道府県において実際問題起きるわけですが、どっかの都道府県でそういう紛争が起き、それを科学的に調査研究するという機関は従来と同じなのかどうか。あるいは国の専門調査員が専門にやっていけば十分な結果が得られると期待されるかどうか。とにかくある県でアユが死んだ、アユが多量に水銀を含んでおる。そういう一つの結論を得るのに非常に長く現状としてはかかるわけですね。たとえば富山県でとったアユの水銀検査するためには、新潟へ持っていったり東京へ持っていったりして検査をしてもらっている。実際問題県の衛生研究所ではとてもそれだけの設備もないし、また人員も足りないというような実情にあるわけです。したがって、いまお尋ねしている点は紛争を処理することがねらいであります、紛争を処理することがねらいでありますが、科学的なそういう根拠なしに、ただ話を進めようとしてもそれは不可能な問題が多いというので、その場合、科学的なそういう調査研究は中央のこうした中央委員会専門調査員の充実でそれ一本でよろしいかどうか、あるいはむしろ地方にもそういう専門的なものは地方ごとに置くとかあるいは国が地方に援助をしてそういうものを置くとかというようなことも考えられるかどうか、そういう点についてはいかがでしょうか。
  50. 山中貞則

    ○国務大臣(山中貞則君) できれば地方でもそういう専門の調査員の人を全部必置制にしたほうが、件数がかりに相当期間なくても制度としては一番いいと思いますけれども、ただ、この問題は都道府県の行政区域内の問題で知事さんや議会等が仲介されて話のつくケースもだいぶございますし、それでもむずかしいと思う場合には調査員程度、それぞれの地方に大学もございますので委嘱をされてやってみて、これはローカルでは片づけられないと思ったら、中央にあげて調査をしてやってもらう方法もあるわけです。いままでの私たちの経験から考えますと、たとえば、厚生大臣がこの事件の加害者は何々工場である、こういうふうに人命を守る立場から断定をかりにしたといたしましても、そういう例もございましたけれども、そういうものも、その工場というもの、会社というものは、それでは裁判によって黒白をつけてもらおうじゃないかということになって、延々とそこから論争が始まってしまって、一体その谷間で被害を受けて毎日悩んで苦しんで不自由している人、あるいは死んでいってしまった人、そういう人たちについてはここでだれがいつ何をしてくれるのかという問題とは遠ざかったような形に逆になっていってしまうというケースもなきにしもあらずだと思うんです。そういう場合にこのような両方によく相談をいたしまして、このままでは大体科学的な分析その他でも、この河川の流域で水銀ならば水銀を発生せしめておると思われる工場はあなたのところしかない。ただこれを科学的に証明せよというところにはまだいってないけれども、しかし、いずれそういうことを裁判でやってみてもあなたの工場になると思うが、それならば、被害者の人たちもあなたたち気の毒と思うならば、意図しないことであったにしても、ここで相談に乗る気になりませんかというような話し合い等をいたしました場合に、私は十件のうち二件でも三件でもわかりましたと、私たちも自分たちが加害者ということは会社としては認められませんが、しかし、やはりこの流域で、先ほど申しました例をとるならば、水銀を出しておる工場は私のところ一つであるという事実は認めざるを得ませんから、それまでに起こった被害については相談に乗りましょうというケースが出てまいりますれば、まさに私たちがこの法律でねらっておるところに乗ってくるわけでございまして、あくまでも裁判権を奪うものでもございません。これは被害者、加害者ともです。しかし、その前に悩み、苦しみ、つらい思いをしておる人たち、そういう人たちになるべく早く解決を、満足はされないでしょうが、まあ話がついた、措置もとられたということで、政治の責任において私たちがやらなければならない分野というものをここで懸命に求めているんだというふうに御理解を賜わりたいと思います。
  51. 小平芳平

    ○小平芳平君 その点はわかりましたが、時間がありませんので、最後に一つだけ、実情としましては県では衛生研究所が担当しましてそれで一応やってくれることになっているわけですが、ところが、きょうの紛争処理の法案の質問で私が衛生研究所の実情を尋ねるからと言ったら、総理府の所管じゃないからだめだと言われたんですが、確かにそれは総理府の所管じゃないと思うんですが、公害の、とにかく具体的に申しますと、ある川で魚が死んだ、コイが死んだ、アユが死んだ、その川の水を漁業組合の人が持っていって、衛生研究所に行きまして、とにかくこの水で魚が死んだんだから検査をしてほしいと言う。ところが、衛生研究所のほうは、そう言われても、この水の何を調べてくれというか、それさえ言わないで、そんな持ってこられたってしょうがないと言うんですね。それはあらゆる検査を全部やれば結論が出るでしょうけれども、とてもそれは時間がかかるし、手数もないというようなことで、結局はかどらない、話が。ですから、やはりそうした研究のための機関、あるいは調査のための機関、そういう機関が各都道府県にあればなおいいし、あるいは中央なら中央でもけっこうですが、この財政的、機構的にこれは飛躍的に充実をしていただきたい。そうでないと、法律はできた、しかし、一つ一つの紛争は相変わらず井戸水一つ持っていっても、飲料に適か不適かだけなら、それはそう時間かからず結論を出してくれますけれども、なかなか魚が死んだ原因を調べてくれと言っても結論が出にくい。したがって、財政的にも機構的にも飛躍的な充実をして、初めてこの紛争処理が生きてくる。このように思いますが、いかがでしょうか。
  52. 山中貞則

    ○国務大臣(山中貞則君) そういう事例のありますことを具体的には知りませんが、たぶんありそうなことだと思います。これは、役所の機構そのものにも問題がありましょうし、また、都道府県のそういう試験所、研究所の能力の問題もございましょう。あるいは好意的に見るならば、日本のこの工業発展の中で、いままで考えられなかった学問分野というものがどうしても試験研究員に必要になってきている。それが、いわゆる人命あるいは健康というようなものにどういう影響があるかについての分野は、日本のいままでの普通の――特定の学者は別といたしまして、普通の学問の技術分野においては、まだみんなが修得以前の段階にあるのかもしれません。したがって、そういうケースも出てくる県があるいはあるかと思いますけれども、この法律をつくることによりましてそういうことが少なくとも考え方の面においてあるいはその処理のしかたについてあるいは民意をすくい上げるすくい上げ方の制度についていろんなものがここに出ておるわけでありますから、それと対応いたしました地方であるならば都道府県知事の責任者としての意を受けた今度は委託調査と言いますか、都道府県知事の命ずる調査ということになるわけでありましょう。そうすると、いままでの機構の一番好ましからざる事例というものもだんだんこれはいいほうに法律ができたら向かうのではないかと思います。先ほどの質問にもずいぶん答えたのでありますが、この法律をもって万全だと思っておりませんので、いま何かをしなければならない。さしあたりこれをやると、やってみて効果もあがるだろうし、なおかつこれではわれわれの政治として少なくとも満足できないというものがあるならば、毎年でもこの法律は変えていかなければならない事柄を含んでおる法律だと私は弾力的に考えております。でありますので、いまの御指摘のような問題等がありますことも、事実は知りませんが、否定できないところでありましょう。また、中央官庁において、地方の試験所、これは所管じゃないとお答えしたそうですが、これはまさに所管じゃございませんけれども、しかし、こういう法律を私どものところであずかりました以上は、この事柄に関しまする各行政機関の試験研究のあり方等については、私たちのほうでイニシアチブをとって、そういう政治姿勢のあるべき方向に向かって足並みがそろうように方向づけをする努力は続けていきたいと考えます。
  53. 片山武夫

    ○片山武夫君 私は総理府に御質問を申し上げたいと思います。  今度この公害紛争処理法案が出されたわけですけれども、具体的にこの第二十四条の中にあります所管事項、これはいまも質問にあったと思いますけれども、公害がすでに発生して被害がすでに発生している、それから、これは相当いま数はあるかと思います、こういう事態に立ち入らない前にこういったような問題は、これは当然に処理していかねばならなかったはずでありますけれども、これはすでに手おくれの状態というものをこの紛争処理委員会の中で処理しよう。こういうことでありますし、特に後段にありますように、このような状態になるおそれがある場合というふうに、この問題のことで指摘しておりますけれども、非常に抽象的な表現では、これはなかなかいまも質問にいろいろあったようにわかりにくい点があるわけであります。もちろんこれは政令でいろいろ定められると思うのでありますけれども、特にこの被害者の立場に立って、この公害を受けた、被害を受けた。こういうことから出発して、それを具体的にこの紛争が起きて、そうして、その紛争の処理をしていくという段階でいろいろむずかしい問題があろうかと思います。具体的に申し上げれば、これは市町村でいろいろ問題になって、これがどうも市だけではなく、県、いわゆる県範囲でやらなければならない問題ではないかと、範囲が広がっていって、さらにこの県一県だけでは処理できなくて、二県以上にまたがる問題だということで中央の紛争処理委員会に上がってくる。相当のこれは時間がかかると思うのですね。一体この時間的な問題をどのように踏んまえて考えておられるか。これがまず第一の私は問題であります。  それからまた、被害者がこれを取り上げた場合に、いろいろ具体的な問題も出てくるかと思うんでありますけれども、そういうような段階を経て、いますでに裁判になっている問題もあろうと思いますし、裁判ではなかなか解決がつかないから、それを促進する意味で、この紛争処理委員会を設置するんだ、こういう理屈になっておるわけでありますけれども、はたしてそのとおりにいくかどうか、この点ひとつ具体的に何か御説明する種でもありましたら説明をしていただきたいと、こう思うんです。
  54. 山中貞則

    ○国務大臣(山中貞則君) 初めの町村で処理できない、県に行って県で処理できない、今度は中央だという、そういうケースもあり得ると思いますし、また逆に町村限り、県内限りで処理できる紛争もあるだろうと思います。一方において、一番重点は中央の委員会に置いてあるわけでございますから、これは都道府県にまたがろうとまたがるまいと事柄の重大なことで、なおかつ企業者側等の現在までの経過において、何とも被害者と思われる方々から見れば、どうにもならない問題等で国が仲介に裁判以前に入ることによって解決が可能であるというケースがあり得るならば、積極的に中に入っていくわけでありますが、いろんな態様があり得るかと考えます。ただ、日本の企業というものは、これをいままでの発展の経過を振り返ってみますと、その種の自分たちの企業の収益あるいは立地条件というような産業立地的な考えからは、一応いろんな綿密な計算をして企業を興こしておりましたでしょうけれども、それをその場所につくったことにおいて周辺の、地域の住民、国民の人々にどのような好影響、悪影響を与えるかの計算についてはあまりしていなかった。好影響については、まあ企業誘地等について低開発地域工業開発促進法等の対象になりたいと思えば、雇用需要の関係がどれくらい貢献するかというように、いいほうだけを計算しまして、いままでの産業というものはあまりそういう考え方が少なかったのではないか。しかし、今日ではたとえば重油を脱硫いたします場合に、当然それは企業収益につながらない設備投資でございますけれども、これを特別償却耐用年数等でめんどうを見るとしましても、なおかつそれの膨大な投資というものが収益につながらない。しかし、硫黄分を抜かなければ都市においての石油精製は無理であるというようなこと等がありまして、ことしから、あまり例外は石炭その他しかございませんが、輸入関税の緩和というようなことまでやるようになりましたので、これからは企業もおそらく自分たちが産業立地を定めるにあたっては周辺住民に与えるマイナスの要素についても研究をしていくのじゃないかと思いますし、やがては国のGNPの計算等の中には公害その他のマイナス要因というものは控除して計算をするような時代は遠くないんじゃないかと、方式はいろいろありましょうが、そういう時代が近づきつつあると思います。そうすると、問題はいままでにそういう配慮なしにどんどんどんどん立てられていった、しかも周辺住民に関しまして公害を直接及ぼしてしまったというものについてはどうするかという問題が、直接に裁判に行っているものもありますし、今回の法律でこの法律による救済と申しますか、明るい道を見出し得るという分野のものもあるかと思いますので、これから先の企業は、政府の責任において国の方針として周辺の人たちに迷惑を与え、国土をそこなうというような企業については認可条件その他においてもきびしくする必要が出てきておると考えます。そのような変化の前の段階において起こった紛争その他について、ほうっておきますと、たいへん長い裁判ざたになりますので、当事者間の了解をとることに努力をして、できればこの法律の段階で納得をしてもらう措置をとりたいという念願でございます。裁判との関係は具体的なケースにわたりますと、たいへんむずかしゅうございますが、先ほどかりに阿賀野川の加害者は何々会社である、水銀の加害者は何々会社であると、厚生大臣がきめつけてみたところで、裁判にいくと、もう手続その他の問題で、わき道の議論で裁判を延々とやっておるというようなことも聞いておりますが、そういう結果になってしまうならば、そういうことになりますぞと、それならば相談に乗って話し合いをしたらどうですかという場合に、全部が拒否するとは限らないと私は思っております。ですから、そこら辺、では話し合いに応じましょうというようなことで、先ほど来申しておりますように、二〇%でも三〇%でも、できれば六〇、七〇というケースがこの法律の中で処理されていくことを期待をしておるわけでございます。裁判で具体的に争われておる件数をこちらに何件か引き取るというような、そこまで明確なものも実は持っていないわけでございます。
  55. 片山武夫

    ○片山武夫君 ちょっと具体的にお聞きしますが、たとえば自分のうちの前――これは工業地帯であったとする。非常に自動車が数多く通る。その排気ガスのためにあるいは被害を受けたのか、あるいは工場の排煙によるところの影響なのか、何かしら健康を害するような事態が起きた。これは自分ばかりではなくて、近所にもそういう人たちがある。これは市町村の公害の問題から申し上げて、そういったときに、これは確かに自動車の排気ガスもあるだろうし、あるいは煙突からの排煙の問題もあるだろうし、いろいろ問題が重なってきて、だんだんに範囲が広まっていくことが予想されるわけですね。一体この被害者だと思う自分が、これをどういうふうに早く処理してもらうか、どういったら一番早く処理してもらうかということを促進する意味でこの紛争処理委員会が設置されたと思うのですけれども、これは実際にいろいろこういう法律的なことを、手続を知っておる人はいいかもしれないけれども、知らない住民がそういう状態があったらこれは一体どうしたらいいのか、具体的に一番早く解決するのかということに対するPRですね。このPRは一体これはどこでやってくれますか、ひとつその辺を。そうしてそれを具体的にもし長官がそういう話を聞いたとしたならば、こうこうこういうふうにおやりなさいという、何か具体的な指示がおできになるか、その辺のところをまずお聞きしたいのです。
  56. 山中貞則

    ○国務大臣(山中貞則君) 大気汚染についてはなかなかむずかしゅうございますが、たとえば四、五年前に煙突を七メートル以上のものであるならば大体だいじょうぶだろうというので、固定資産税、特別償却等を企業に対して認めて高い煙突をつくらせたのですが、それもどうやら今日ではだめらしいというので、先ほど申し上げました脱硫装置そのものでなければいかぬというふうに変わってきております。また、工場ができたために自動車の交通量が多くなった場合、これなど非常に判断がむずかしいわけでしょうし、たとえば甲州街道と環七の大原交差点――大原ぜんそくという、はなはだ好ましくない周辺住民の御迷惑な状態を承っておりましたが、結局そのものはなかなか直せなかったのですけれども、立体交差というようなことをやって流れをスムーズにしたということによってだいぶ違ってきたようでございますから、そうすると、あそこの常時渋滞をしておる車が停車もしくは徐行しながらふかす排気ガスというものが相当に周辺に悪影響を及ぼして、立体交差にすれば通り抜ける時間というもので、そういう排気ガスの排出量は、車の量は変わらないでしょうけれども、だいぶ違うのだろうという気がして見ておりますけれども、いわゆる政治全体の問題で、いわゆる建設省の道路で、できればある程度緩和できるところもあるでしょうし、あるいはそうでない企業が来たために企業の自動車そのものがうちの前を通るので騒音と排気ガスと両方である。こういうような問題はたいへんむずかしい問題で、私もその点は率直に言って常識をあまり持っておりませんけれども、これからはそういう新しい日本にも学問分野というものができてこなければならないのではないかと思いますが、要するに、迷惑を受けておる個人にとっては、原因は何であれ、はなはだはた迷惑ということがいわゆる公害でございますので、それらの人々に対しては私たちはこの法律はあくまでも被害者の立場に立っておるわけでございますから、むずかしいケースがあっても、それを何らかの型にはめて結論を出す努力をしなければならないと思っております。
  57. 片山武夫

    ○片山武夫君 この紛争処理委員会は、これは当事者から申請があってこれを取り上げるということになっておる。これは住民が被害者だというようなことで、たとえば市なら市の公害対策に持っていく。いま言ったそういう複雑多岐にわたる原因による公害なものですから、これは市では扱い切れない。そうすると、そのときに市では扱い切れないからあなたは県へ持っておいきなさい、こういうことになろうかと思います。県へ持っていってみたところが、県だけでも処理がつかぬ。そういう、県を経由しなければこの中央の審議会には、紛争処理委員会には持ち上げられないことになっている。おそらく一般の市民、住民が、それほどむずかしいいわゆる手続をとることがはたして可能かどうか、こういったような問題がひとつ出てくると思うのですが、その辺いかがお考えになっておりますか。
  58. 山中貞則

    ○国務大臣(山中貞則君) これはもう被害者の個人個人、あるいは個人の集団である多数の人たちというものに、すべて自分たちで調査して原因を突き詰めて持ってこいということを申しておりませんので、自分たちはこういうことによってたいへん居住環境あるいは生活に重大な脅威を受けつつあるという訴えを受けました場合に、それぞれの段階において処理できるケースは処理する努力をするわけでありますし、国の段階になりますと、相当強い権限を持って立ち入り調査もしくは資料の提供等を要求する権利も与えられております。違反したって罰金一万円以下じゃないかということもありましょう。それは大企業、資本金何百億が一万円の罰金ぐらい何でもないでしょうから、自分は立ち入り検査も資料提出も拒否すると言って、一万円払ってそれで済むかというと、おそらくそれは裁判にまで持ち込まれると思います。その場合には、国が行政の立場において、このような法律を背景にして行なった調査に一万円の罰金を払ったからと言ったって、それはいいことではないのでして、その払ったことによってのがれたということは、多分にこれはその資料も同時に裁判の資料に送付されるわけでありますから、もう最初から相当マイナスのハンディを背負うことになるわけですから、そういうことも覚悟して一万円を納めればそれで済むのだという、笑い話のように罰金納めて、おだやかな話じゃありませんが、立ちしょんべんするかというような、昔そういうことを言ったことがありますけれども、そういうこととは違うので、相当企業にとっては一万円の金額だけでない問題があるのじゃないか。ですから、この法案の段階で、なるべくそれぞれの段階において被害者自体が金を使って調査をしなければ取り上げないのだという気持ちじゃおりませんので、相談員その他を通じてその実態を、先ほどからくみ上げるということを申しますが、積極的に国、地方公共団体が、その姿勢として住民のかような苦情、悩みをくみ上げていくのだということを貫いてまいるつもりでございます。
  59. 片山武夫

    ○片山武夫君 具体的な問題はそれくらいにしまして、いろいろこの公害は多岐多様な状態で発生しておりますし、このいわゆる対策を講じている関係官庁は非常に多い、一貫性を欠いているのではないか、こういったような私は疑問が一つあるわけでありまして、この基本計画に基づいてこれは処理されていくとしましても、この公害に対するいわゆる最高の責任者、これは総理大臣だと思うのですが、これは総理大臣に一々お聞きしているわけにもいかない。おそらく私は総理府が代行しているのじゃないかと思うのでありますが、いわゆる関係官庁が非常に多過ぎるということから、具体的な一貫性のある施策がなかなか生まれてこない、こういう心配を実はしております。  そこでお聞きしたいのですが、この基本法を推進するにあたりまして、公害対策会議というのが、これは総理府の所属機関としてあるわけでありますから、この公害対策会議、これは議長はたしか総理大臣になっておりますね、会長は。こういうものが今日までどのくらい開かれましたか、ちょっとお聞きしたい。
  60. 青鹿明司

    政府委員(青鹿明司君) 設けられましてから今日まで五回開会しております。
  61. 片山武夫

    ○片山武夫君 これは四十二年ですか……。大体一年に一、二回程度ですね。それで、これはないよりもけっこうだと思うのでありますけれども、これが最高の公害対策に対する一つの実施機関だ、こういうふうに考えられますが、したがって、いわゆる主管されるところは総理府というように考えてよろしいのかどうなのか。いわゆる各関係官庁との関係を少し教えていただきたい。
  62. 山中貞則

    ○国務大臣(山中貞則君) この法律ができませんと、いままでどおり会議の庶務は厚生省がつかさどっておりまして、私どものほうはひさしを貸しているだけだというので、はなはだ行政責任上明確でない形に置かれております。しかし、繰り返して申しておりますように、公害に対する政治の姿勢というのは、もう党派、思想を越える問題としてここに提起されておりますので、総理府というのは、総理大臣のいわゆる内政向きのことは官房長官、一般行政向きの総理の立場に立った国の政治を行なう姿勢を示す場所は総理府だと私は心得ておりますから、この法律に基づいてもちろん事務局も設置されますし、委員会等の修正等を、一院においてなされたことを原案に盛り込んだ等もございますので、今回の修正部分等も踏まえまして、十分の機構も備えながら、実際の各行政官庁のそれぞれの分野に多岐にわたって分かれておりますものを、私どものところで積極的に今度は引き揚げていきまして、もちろん庶務も私どものほうで……。会議の庶務はやはり基本法には書いてあるそうでありますから、そうなりましょうが、公害行政全体の責任は、事務局等も私どものほうでつくるわけでありますし、これから積極的に指導権を持って政治の姿勢を進めてまいります。で、この会議の庶務というものについては法律で、基本法に書いてございますので、これを将来変えなければならない、こういう必要がありますならば、私は変えることにやぶさかではございませんが、差しあたりは現在の紛争処理法案というものを預かって、トラブル処理については私のほうで責任を持ってやるということでやってみたいと思います。
  63. 片山武夫

    ○片山武夫君 私、その辺ちょっと疑問があったので御質問申し上げようと思ったのですが、結局、基本法に基づいて公害対策会議がある。その庶務機関として、総理府がやらなければならないはずのところが厚生省になっているわけですね、これ。その辺のところ、どうして厚生省に置いておかなければならぬのかということなんです。ですから、そういう重要なことが、通産省なのか、厚生省なのか、総理府なのか、こういった点が明確でないので、もう少しこれは明確にすべきではないかという意味で実はお伺いしたわけです。  それでいま一つ、最近御承知のように、東京都において条例を出した――出したのか、出そうとしております。それに対して、厚生省なり通産省なりでいろいろ問題を起こしているやに聞いておりますけれども、結局条例により規制と国の規制、このいわゆる限度に食い違いができてきた場合、これは国の法律が優先するのだという立場をおとりになるのだろうと思うのですけれども、しかし、その辺の調整は、これは非常にむずかしい問題だと思いますけれども、一体この点は、東京都に限らず、すでに条例でいろいろ幾つか出されておりますけれども、国の規制と比べて確かによりきびしい条例が出されているやに聞いておりますけれども、この辺の調整は紛争処理機関でやることではないでしょうが、そういうことも紛争処理機関でやるのですか。
  64. 山中貞則

    ○国務大臣(山中貞則君) 地方と所管省とのトラブルまで処理するところまで実は私たちいかないのでございますけれども、いまの問題点は、たしかPPMのきめ方のきびしさ、あるいは国のほうが甘いというのかもしれませんが、それと厚生省関係との問題、あるいは国のほうは煙突一本ごとの規制を定めているのに、数本煙突が工場に立っている場合には一つの単位として、数本の煙突から排出されるもの全体を基準で測定していくべきではないか等の見解の食い違い等もあるようでございます。これらのところは好ましくないことであることは間違いありませんし、やはり論ずるほうは両方とも何のために議論しておるのだということを考えてみれば、話はできないはずはないと思います。すなわち人を守る、人命を守るということから出発して論争しておるんだとすれば、それはきびしいにこしたことはないわけでありますから、そこらに国のほうの基準が現状に合わなくなってきているというならば、それを現状に合わせるような努力は国のほうがやっていいことだ、あるいは国をわざと困らせるようなことでやっているというようなことでない限りにおいては、私は、やはり人命を守るために意見が食い違っていることは間違っておる、その事柄が間違っておると思います。本日は、厚生大臣がここにおられませんから――午後出席されるそうでございますから、その点等もあるいは御質問があると思いますが、おそらく厚生大臣も政治家でありますから、考えは私とそうたいして変わっていないと思っております。
  65. 片山武夫

    ○片山武夫君 最後に一つ、先ほどの事務機関が厚生省に置かれておるという問題、これは一元化の問題として、ひとつ十分にお考え願いたいと私は思うんですけれども、公害が非常に問題になってまいりますし、この公害はすでに発生したあるいはこれから発生しようとする、いわゆるこれからの産業発展とこの公害という問題を考えた場合に、すでにこれは生活環境保全、こういった問題が非常に大きな問題になってまいりますし、同時に今度この公害対策基本法に基づくところのいろいろなこまかい法律が今度進められていると思うんですけれども、それを進めるにあたって、いわゆる原則的な基本的な立場が環境基準法、これは人体の悪影響を救うという、そういう立場から考えた場合には、現在のいわゆる環境基準基本法ですか、これは環境保全の、いわゆる現在ある基本法ですか、これは少し改善の余地があるのではないかと、こういうふうに考えられるんですけれども、これについては何らか検討がされているかどうか、その辺のところを、いろいろ矛盾が今度出てくるん、じゃないかと思うんですけれども。
  66. 青鹿明司

    ○政府委員(青鹿明司君) 環境基準につきましては、対策基本法の第九条第三項に「常に適切な科学的判断が加えられ、必要な改定がなされなければならない。」ということになっておりまして、ただいま水質あるいは大気汚染につきましてそれぞれ所管省でいろいろ環境基準を定めたものもあり、また作業中のものもありますが、やはり情勢に応じまして常時検討してまいるべきものと、さように考えております。
  67. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 山中長官は、この法案が被害者の立場に立っておるんだと、こうおっしゃったですが、しかし、被害者が裁判に持ち込む場合には、被害者自身がその被害の立証をするという義務が負わされておる。これがなかなか私はたいへんな問題だと思うんです。こういう点から申しまして、またこの法案が、その目的としまして公害紛争の「迅速かつ適正な解決を図る」と、こううたっておりますが、私は、この点について重大な疑問と問題点を指摘しなきゃならぬと思うんです。ここで、公害に対します被害が激増する現状におきまして、この救済が主として裁判によって解決を見ざるを得ないということは、被害者にとって多くの問題を私は生じていると思うんです。現に公害問題の四大訴訟といわれている四日市問題、それから水俣病問題、阿賀野川水銀中毒問題イタイイタイ病問題、そのいずれも十年裁判といわれている。この間の被害者の苦痛と負担というものは、これはほうっておくことのできない状態だと考えます。先ごろの公害問題を担当する裁判官会同におきましても、こうした公害紛争に関する矛盾が問題にされたことは、私は当然なことと思います。これは長官も御存じのことだと思うのです。しかし、公害紛争が被害者にとってたいへんな負担を覚悟の上で、裁判に持ち込む以外に解決の道がないということは、これはどう考えても私は許されないことだと思います。そこで、迅速かつ適正な解決を裁判所以外において求めようとすることは、これは私は当然のことだと思います。ここに提出されておるこの法案も、この意味におきまして、現実の必要性として理解できるところではありますが、しかし、法案自体を見ますときに、ここに示されているようなことでは、公害問題でない国民の利益を守ることは私はとうてい困難であると、こういうふうに考えます。  そこで長官に質問するわけでございますが、ここでは、紛争の処理を和解の仲介、調停、仲裁と三つに分けておりますが、このうち民事訴訟法の規定を準用するとしております仲裁については、当事者、つまり被害者と加害者の合意によって行なわれることにされております。これでは、現実の公害紛争に見られるように、加害者の側が拒否する可能性が強いと思いますが、これをどういうふうにお考えになっていらっしゃいますか。実は水俣病の問題につきましても、地方の人たちが、その原因を究明するために工場に自由に入って調査をしようという要求が起こりましたときに、工場側が自由に立ち入りすることを拒否しました。また、九大の学者がそれを調査しようとしたときにも、それを十分に調査をさせないで、九大の教授の申し入れを拒否したわけです。こういうことは、水俣病のみに限らず、ほうぼうで私は起こっている問題だと思う。これでは、被害者がせっかく立証しようとしても、立証することもできない。その間に裁判がどんどん長くかかって裁判の費用がかさんでくる。これではとうてい私は被害者はたまったものではないと思うのですが、こういうことにつきまして、長官はどういうふうにお考えになりますか。
  68. 山中貞則

    ○国務大臣(山中貞則君) 裁判に持ち込みますと、おまえが犯人だという加害者を断定するという作業が非常に前提になって長くかかるのだろうと思います。そこで、私も野にあるときに、ふしぎに思って見ていたんですけれども、冷静な第三者の研究機関あるいは厚生省等が調べた因果関係等の、しかも科学的な資料と、会社自体が学者を雇って調べた資料とは違っておるという、こういうことなんかは、やはり犯人だときめつけられることに対して、非常な企業としての過剰防衛意識と申しますか、危機感というようなもの等もあるのではないか。それをこの際、そういうようなことはしないで、大体いまあなたのほうに原因があるとだれも思っているわけですから、それが証明は、かりにしろとおっしゃれば長くなると、裁判になるでしょうけれども、ここらで話し合いを国のほうで中に入りますからいかがでございますかと、幸い被害者の方々も、早くそういうことが処理できるならば応じようと言っておられますが、というような話し合い等がなされることを望むわけでして、これができたから、全部こちらのほうへ引き取って、公害紛争は裁判の延々と続く、被害者を無視したようなあり方について、もうなくなるのだ、そういう現象は消えるのだということは、私も期待できないと思います。野球で名選手といいましても、年間三割三分三厘の打率をあげれば、これは打撃王くらいにはなるでありましょうから、やはり私たちも、まず現実に被害者を守ってあげるという政治の姿勢を法律で示して、その中に件数が乗ってくればくるほどありがたいことであるし、一〇〇%を望んでいかなければなりませんが、一〇〇%を望むために日をむなしゅうして法律を一向につくらないということも、またある意味では責められることになりますので、ここらで、この法律の二回にわたる衆議院の修正というものをちゃんと盛り込んでございますので、また附帯決議についても今後十分にその機能等について積極的にもう検討を始めておりますから、やはりたゆむことなく前進していかなければならない事柄として、この問題を全部これで済ますわけではない、しかし、われわれは前進する必要があるということでやっておることを御了解を賜わればありがたいと思います。
  69. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 長官ね、被害があるところには必ず加害者があるということはこれは自明の理だと私は思うんですよ。だから、やはり政治家として、被害者が出れば加害者があるという前提のもとにそれを迅速かつ被害者に有利なように解決していくということが私は法のねらいでなきやならぬし、また政治家としての態度でなきゃならぬと思うんですよ。この法案は加害者と被害者との話し合いの場をつくっておる、そして紛争の早期解決をはかるためだと、こういうふうに言っているわけですが、加害者に対する何らの拘束力を持っていないということが言えるわけですね。そういう点で加害者と被害者をこの法案は同列において見ておると、こう私は思うんです。先ほど長官は、被害者の立場に立っておるんだと、そしてこの法案つくったと言いますがね、被害者の立場に立ったというところはどこにも認めることができないのです。これは被害者と加害者を同列において、そうしておまえら話し合いでやれと、できなければ裁判でやれ、そう言って何ら政府は責任をとろうとしておらないと私は思うんです。これではこの法案はあってなきにひとしいものだと私は思います。だからあくまでも法律をつくり、被害者と加害者の問題を扱うならば、被害者の有利な立場に立って私は法律はつくっていかなきゃならぬものだと、こう思います。でありますから、もしも加害者が拒否したら結局は長期間を要するし、費用としてもばく大な費用が必要な裁判所への訴えですね、こうなります。ところが、いま申しましたようなことでは、裁判所へ訴えれば費用がかかるからというんで、結局裁判所へ訴えることもできない、こういうことになってくればこの法律は私はあってなきにひとしく、空文になってしまうと、こういうふうに思うんです。  それで次に質問になりますが、調停、仲裁についてはそれぞれ手続の非公開と、こういうふうにいっておりますが、公害問題はその社会的性質からしまして広範に及ぶ、被害者はもちろんのこと、一般の地域住民にも重大な関係を持つものだと思います。被害者、地域住民、マスコミ、学者、研究者などの注目と監視を集めてこそ、私は正しい解決が可能になると思いますが、この点を長官はどういうふうにお考えになっていらっしゃいますか。
  70. 山中貞則

    ○国務大臣(山中貞則君) この法律は、私が長官に就任いたします前に国会にもう提出をされまして、一院を通過している。そして参議院におきましても、委員会は通過をして本会議だけがだめになって流れた経過がございます。そこで私といたしましては、公害に対する考え方はいろいろ持っておりますが、なるべくならば一院並びに他院におけるある程度の経過というものを踏まえてこの法律は出さなければならないだろうと考えまして、取り入れられなければならないと指摘された点は最初から原案に取り入れますし、そういう努力はいたしました。しかしながら、私自身の考え方が全部この法律に初めから盛られて出発をいたしたわけではございません。だからといって、私がこの法律に責任を持たないというつもりではございませんが、ただいま言われたように、全部これは何の役にも立たないのだということには私はしたくありませんし、そうならないというふうに考えております。そこで公開、非公開の原則論でございますが、その点について私としては絶対に非公開でなければならぬというつもりで法律をつくった立場では実はありません。ありませんが、この場合においては当事者双方の同意を得て、両方が納得をしてこの手段を選ぶわけでございますので、そう隠して何かをしなければならぬことでもありませんし、だからオープンでもいいし、あるいは別段オープンでなくったって、お互いがみんな出し合っているわけですし、もし資料が足りないからもう少し出しなさいと言って拒否したら、先ほど言いましたようなことで罰則その他の――金額は別として、重い判定を背負うことになる条件が付されておりますから、私としてはいまのところこれを非公開でやってみて、それで、はなはだしい支障をことに被害者の方々に及ぼすおそれはないだろうというふうに考えておる次第でございます。
  71. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 長官のその最後に述べられた態度が、私は被害者としては大きな不満がある点だと思うんですよ。やはり長官は自分は絶対非公開だという立場でこの法律をつくったんじゃないと、こう前置きしておっしゃいましたが、あなたのほうではやはり非公開という立場を支持をしていらっしゃる。長官のおことばは前後だいぶ矛盾があると思うんですよ。それは長官の個人の意見と、それから長官としての意見ですね、今日縛られておる。そこの差がそういうふうにあらわれてくるんだと、こういうふうに解釈もできるわけですけれども、しかし、やはり政治家としては信念を貫いて、自分の信念は何も非公開を固守するものじゃないとおっしゃるならば、やはりその非公開の原則などというものははずしてしまって、できるだけたくさんの人が参加してその問題を審査していくという、この立場こそ私は必要だと思うんです、長官はね。  最後に、私一言だけ簡単にお答え願いたいんですが、この法案ができて長官の目的とするところが達せられるというふうに確信を持っていらっしゃるんですか。この法案で被害者の利益が絶対守られていくというふうに考えていらっしゃるんですか。どういうふうに考えていらっしゃるんですか。
  72. 山中貞則

    ○国務大臣(山中貞則君) 御質問ではなかったかと思いますが、その非公開論に対する私の考え方、これは別段二律背反で、ジキルとハイドみたいなことを言っているわけではないんでありまして、私が就任したときには、すでにこの法案は一院を通過し他院において成立寸前のところまで内容が煮詰まっていたものであるということを申しました。そこで私がかりにこれを公開でよろしいということに就任いたしまして提案をし直すとするならば、公開で絶対なければならぬので、非公開ではいけないのだという、私自身のはっきりした政治的な信念というものが前提になければなりません。ところが、これを公開にしなければならないとする、そこに私が原案をつくり直す必要があると考える、一院の意思を無視してでも公開にすべきであるとするまでの判断を私としては持ち得なかった。非公開であっても運用において被害者の立場が、双方納得して進められる限りにおいて、第三者は別でありますけれども、被害者が守られないということはあり得ないし、守られないと感じたらこれを裁判に持ち込むことは、場合によっては、この調停そのものに持ち込んだこと自体がだめになるという事態においてあらためてまた議論が出るところでございましょう。でありますので、質問であります確信の問題についてるる申し上げてまいりましたが、私はこの法律をつくったらこれで一〇〇%の救済が可能だとは思っておりません。しかし、なるべく高い率の救済がこの分野において、しかも妥当なる処理としてなされていくこと、行政機関において最終の裁判にかわる結審ができないという立場の中で精一ぱいの努力をしていくこと、このことがさしあたり必要なことであろうと考えますので、確信と言われましても、むしろ願望ということであると私は思っております。
  73. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 次に、防衛施設関係について質問いたしますが、この基地公害について私は質問したいわけですが、私の手元にあります資料は、最近東京都の公害研究所が発表しました横田基地周辺における騒音の実態を調査した資料がありますが、これを見ますると、この基地周辺は驚くべき状態に置かれております。滑走路を中心にして周辺五十平方キロには小学校、中学校、高等学校が十五校、約二万五千世帯が生活しておるわけです。年間を通じて一日平均八十機から百機の飛行機の離着陸によりまして激しい騒音のもとに置かれておるわけです。たとえますならば、電話のベルと同じ程度の音量である七〇ホン以上が六十一秒以上続くという地帯は幅四キロ、南北へ六キロに及ぶと、こういうふうに言われております。また、鉄筋二重窓の校舎内におきましてさえ、窓を締めていても五五ホンから六〇ホン、窓をあけておるときには八〇ホン近くにもなる状態です。基地公害は騒音に限らないわけですが、このような状態について政府は事実を知っているかどうかということが一つの問題ですね。このような基地は全国各地に存在し、広大な地域の多くの国民が被害をこうむっておるわけでありますが、この住民の被害については防衛施設周辺の整備等に関する法律、この法律によりましてわずかながらの措置がされておるというわけですが、きょう提出されております法案はもちろんのこと、政府の公害関係の対策のワクの外に置かれておる実情は私は許されないことだと考えますが、これについての見解も聞かしていただきたいと思います。きょうは時間がありませんから、私は防衛庁に対しまして以上の二問で質問を終わりますが、公害問題に関しましては、依然として政府の姿勢は加害者に甘い。被害者の真の利益を守る立場に立っていないことは先ほどの点でも申せますし、また、いま申し上げました防衛庁関係の公害の点でも同じことが言えると思うのです。だから私たちは政府当局に対しまして、実際にこの公害の被害を受けておる人たちの、住民の立場に立ってあらゆる問題を解決するような方向に行ってもらいたい、行くべきだということを強く要望いたしまして、私の質問を終わります。
  74. 鶴崎敏

    ○政府委員(鶴崎敏君) ただいま先生から御指摘がございました横田飛行場の周辺における騒音の問題でございますが、これにつきましては、東京都の公害研究所が調査しました結果が、ことしの四月ごろ発表になりまして、新聞等にも報道されております。私どもこの内容を拝見しましたところ、従来われわれが学校防音、その他の必要上調査したデータと引き比べましたところ、おおむね公害研究所で調査したことには誤りがないというようにわれわれ判断をしております。  そこで、この騒音の問題に対して、われわれとしてはどう対処しておるかと申しますと、先ほど先生のお話に出ました防衛施設周辺の整備等に関する法律、これの三条によりまして、学校とか病院とかいうようなものにつきましては、いわゆる防音工事をいたしまして、その結果、室内における騒音が七〇ホン以下になるように措置をいたしております。この七〇ホン以下と申しますのはどういう基準かと申しますと、学校等で先生が講義されるときに一番最後列の生徒たちのところに届く音、これが大体七〇ホンであるから、それより以下に押えれば先生の声は聞こえるというようなことから、七〇ホンを基準にしまして、それ以下の音に押えている。したがいまして、こういう学校、病院等につきましては、この防音工事によって騒音は完全に防止できるというように解釈しております。  それから一般市民に対する問題でございますが、これにつきましては、四条によりまして、学習と休養施設、これはたとえば子供たちが学校で授業を受けているときはいいけれども、家に帰ってからの騒音があるというようなこともございますので、こういった勉強部屋、あるいは年寄りがやかましいところに生活しておっては困るというようなことで、たまには休養ができるというような休養室、こういったある程度いろいろな目的を兼ね合わせた施設を周辺につくりまして、これに対して補助するということによって、そこに行っておる間だけでも騒音からのがれられるように措置をしておるというような、この防音のための最低限、この程度はやらなければならないというようなことを進めているわけです。しかしながら、それをやったからといって、それでは一般市民全部がそれによって騒音から救済をされるということには、もちろんなりません。しかしながら、われわれとしては、従来こういった施設を整備することによって、少しでも騒音の被害から住民を救済するような方向に努力をしているというのが実態でございます。
  75. 松井誠

    ○委員長(松井誠君) 午前中の質疑はこの程度とし、一時三十分まで休憩いたします。    午後一時七分休憩      ―――――・―――――    午後一時四十分開会
  76. 松井誠

    ○委員会(松井誠君) ただいまから公害対策特別委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き質疑を行ないます。質疑のある方は、順次御発言を願います。
  77. 田中寿美子

    ○田中寿美子君 厚生大臣に、私時間が短うございますから二、三点だけお尋ねしたいと思います。  昨年以来公害の問題については、もう必要悪などという考え方を総理大臣はじめ全部政府の側でもなくされたと私は信じております。それだけに事態も進んでおりますので、厚生大臣、特に公害に関しての主務官庁の大臣でいらっしゃいますので、特別にしっかりとした決意を持っていただきたいということを最初に御要望申し上げて、第一にお伺いしたいのは、例のカネミ油症の患者対策のことなのです。これは公害そのものとしては取り扱われていない。しかし、六十二国会のときに、私は斎藤厚生大臣に、公害対策委員会で、カネミの油症患者が被害をこうむったまま非常に苦しんでいるので、それに対して公害に準じるような対策をとれ、救済をすべきではないかということをお尋ねしましたときに、ちゃんと議事録にもありますけれども、公害に準じたような救済の手を伸べる必要があるのではないかと考える、そういうふうに考えて、いま事務当局に命じて検討を進めているというふうに言われました。その後、大臣がかわられまして、私がさっそく大臣が新任なさいましたときに婦人団体の方と一緒にお願いに参りましたことを御記憶だと思いますが、そのとき大臣は、そのカネミ油症患者の状態は非常に気の毒だ、しかも発生源ははっきりとカネミ倉庫株式会社というところのつくった油であるということもよくわかっておる、それで特別な方法を考えて公害に準じるような取り扱いをしたい、自分の特別な方式があるというふうにおっしゃいました。で、そのことについてその後大臣はどのような対策をおとりになったのかということをお聞きしたい。
  78. 内田常雄

    ○国務大臣(内田常雄君) いま田中委員からお尋ねの件でございますが、私はこのことを非常に心にとめておりまして、ことにそのカネミの油を食した人々が家族の中で何人かあるわけでありますから、その家族の状態によっては一家族が全滅に近いような被害を受けられている方もある。したがって、生活にも追われる方があると、こういうようなお話を田中先生はじめ当事者の皆さん方から言われまして、なるほどそのとおりであろうかと思います。ただし、あの公害の救済法というものが昨年成立いたしましたが、これは加害者がわからない場合につなぎとして政府なり、地方公共団体なり、あるいは経済界が持ち寄ったお金で医療費ですか、あるいは医療の手当でしょうか、介護費というようなものを心配をある程度して、加害者がわかったときにそれを置きかえると、こういう趣旨の法律が成立したわけでありますが、カネミの場合は加害者がはっきりわかっているのだから、したがって公害のそのような回りくどい手続を待つまでもなく、何か直接方式でそういう患者の方々のめんどうを見る道があるのじゃなかろうか。まず第一に、当事者である会社のほうも自分のほうの欠陥を認めておることでもあり、また、私ども聞いておりましたところでも、会社がある程度のめんどうは見ているということのようにも聞いております。しかし、それは不十分のようでございますけれども、しかしそれはそれとして、私どものところから会社にもなお十分のめんどうを見るようにということを申し入れをすることが一つと、それからもう一つ、何らかの特別の方法ということで私の頭に来ておりましたのが実は世帯更生資金であります。これは何億かそういう資金を低利長期で貸し付ける場合がいまあるはずなので、その場合に当てはめてこのカネミ油症の家族というものを考えてやったらどうか。これは借りたお金でありますから、いずれは返さなければならないという問題もあるのかもしれませんけれども、その辺のつなぎの問題もあるし、また世帯更生資金を貸し出す場合に、この件は多少無理をすれば――無理をしなくてもアダプトするかどうかという問題はあるかもしれませんが、その点を研究をして前向きで何らかのひとつ措置を講ずべし、こういうことを私は実は省内で関係の局長にも実は命じてあるわけでございます。その結果がどういう方向に向かっておりますか、私はその場のがれで申し上げたのではないので、厚生省で研究の結果、その道がないということであれば、また第二次、第三次の方法についても研究をしなければならぬのでしょうが、とにかくその方向で研究すべしという課題を与えておりますので、それがどういう方向に進んでいきますか、幸い担当の局長もおりますので、局長の説明を私のほうからもこの機会に求めたいと思うような次第でございまして、局長から答弁いたさせます。
  79. 金光克己

    ○政府委員(金光克己君) ただいま大臣から御説明がありました件につきましては、現在社会局で詰めておりまして、おおむね最終段階に来ておりますが、まだ私この席ではっきりとお答えできないのは申しわけないのでございますが、大臣の御趣旨に沿いまして極力実現をはかりたいという気持ちでおります。
  80. 田中寿美子

    ○田中寿美子君 もう新年度予算を使っているところですから、ですからぐずぐずしているとことしも間に合わないということになりますので、さっそくやっていただくようにプッシュしていただきたい。これは大臣のほうからしていただきたい。  それで、ことしのカネミ関係の対策費というのが、これは特別研究費一億一千万円の中に入っているわけですね。それはスモン病とかその他十二、三項目が一緒なんですが、それでそのカネミ関係というのは、そのうちの追跡調査費として二千万円入っているというふうに聞いているのですが、そうなんでしょうか。そうしてそれは、追跡調査費というのはどういうふうに使われるのか、ちょっと伺いたいのです、それが事実であれば。あるいはどういうふうにカネミ関係はこの予算を使うようになっておりますか。
  81. 金光克己

    ○政府委員(金光克己君) カネミの患者に対します昭和四十五年度の研究費でございますが、これは仰せのように、一億一千万円から支出するという予定にいたしておりまして、昨年現地の研究班に対しましては約一千五百万円支出いたしているわけでございます。まあそういうことでございまして、少なくとも一千万円程度はこの中で支出しようということでいま計画を進めておるような状況でございます。これの使用につきましてはどういうことかと申しますと、カネミの患者の追跡検診と申しますか、検診を行なうことと、それから治療に関しましての研究費でございます。この治療につきましては、御承知のように、一昨年は九大と久留米大学ということでございましたが、四十四年度におきましては範囲を広げまして長崎大学あるいは熊本あるいは鹿児島、その他直接患者を扱っておられる方々に広く研究していただくということで研究班の幅を広げているわけでございまして、そういう方々の研究費をこの中で考えたい、かように考えているわけでございます。なお、この件につきましては、本月下旬に福岡でいままでの研究成果を研究者に持ち寄っていただきまして研究協議会を開催いたしたい、かような予定にいたしておるわけでございます。その結果によりまして、いろいろとまたその必要な措置は講じてまいりたい、かように考えております。
  82. 田中寿美子

    ○田中寿美子君 それで一千万と言われましたけれども、そしてこの間大臣にお会いしたときも、もっと窓口を広げて、病人が相当苦しいもんですから、遠くまで通院することが非常に困難だから、それぞれの地方での保健所なんかでも扱えるような方策をとってほしいということをお願いしておきました。で、ぜひ、なかなか人員の問題もあると思いますけれども、できるだけそういう方向に広げていってもらうようにして、そして将来、特別研究費というのは幅があるんでしょうね。もっと広げられるものであれば、必要に応じて、病気はどんどん進んでおりますので、こんなに進んでいくのを早く対策を立てていかなきゃいけませんから、そういう意味で、必要に応じてお金はそちらに回していくということを、そういうことを御要望しておきたいと思いますが、一言お答えいただきたいと思います。
  83. 金光克己

    ○政府委員(金光克己君) カネミの患者のいろいろ検診とか研究につきましては、特に検診につきましては、保健所等は、関係の保健所は全面的に協力して実施しておるようなことでございます。そういうことでございますから、この点は、今後ともできるだけのことはやっていくようにしたいと考えておりますが、またこの件につきましては、地元の県におきましても、みずから、当然相当なことはやるかまえでおるわけでございますので、従来も各県において、関係県におきましても、必要な予算措置等も行なっておるわけでございます。こういうことに関連してやってまいりたい、かように思っております。したがいまして、先ほど申し上げました、今月下旬の研究協議会の結果によりまして、必要なる措置はまた関係者寄って協議してまいりたい、かように考えております。
  84. 田中寿美子

    ○田中寿美子君 それじゃ、カネミのことはそういう意味で、大臣、いろんな費用をお出しになって借り手を自由に持っていくようなこともおっしゃいましたので、ぜひそういうことは実現していただきたい。  次に、BHC問題、実は午前中おもに農林省の方に、牛乳の中にBHCが、牛乳がBHCで汚染されているという問題について、大臣もお聞きだと思います。あとで環境衛生局長に少し詳しく質疑したいと思うんですが、この牛乳の汚染ということ、これは非常に重大であったにもかかわらず、一月、二月、三月の段階で、まず稲わらに、相当BHCを吸い込んでいるようなその稲わらに対する対策、必ずしも緊急な対策がとられていなかった。それで続いて出ていて、その間じゅう人々はその牛乳を飲んでいた。これは衛生の観点から言いまして非常に重大で、ほうっておくことはできない。そこで、まあ一番重要なことは、厚生省が信念をもってBHCを使わせないということですね。これは使用を禁止させるという方向に厚生大臣、指導できないかどうか、あの段階で厚生省が、これは詳しいことはいま時間がありませんから申し上げませんが、四月二十一日の食品調査会の合同部会で、BHCの使用の停止など強力な措置をとるようにという談話を出してあるわけですけれども、これの使用禁止ということにもし厚生省が踏み切れば、農林省だって従わなけりゃならなかった。その辺がちょっと歯がゆいところがあった。厚生大臣、ほんとにこれは、塩素系の殺虫剤というのは、アメリカ、スウェーデンなどで長い間研究されていて非常に有害なものである。BHCはなおそれよりももっと有害なものですね。ですから、これを禁止する方向に向かえないかどうか、大臣、そういう方向に向かって研究していただけないかどうか。
  85. 内田常雄

    ○国務大臣(内田常雄君) 環境衛生局長から、いま私に何か説明があるんですが、私、それを聞かぬでお答えいたしますので、ひとつこの場で公開の議論をしていただいていいと思うんです。私どものほうには、御承知の食品衛生法というものがございまして、食品の中に有毒、有害ないろんな物質が入ってまいることは、これは私どもの責任において、またその法律体系においていろいろの対策を当然講じてまいってきております。しかし、中にはいろいろの疑惑を、批判を受けるような行政のあり方もあったようでございます。たとえば、チクロのようなもので、一時は、これはその許容限度というようなものが、BHCか何かにきめられた範囲内における添加物として認めておったのが、米国などにおけるチクロの禁止措置に伴って、わが国にも自律的ではなしに他律的に、とにかく昨年チクロの禁止をした。そのあとの措置等に関していろいろ批判を受けておること、これはまさにわれわれはほんとうにしっかりして、そうして世間から食品衛生に関する行政に対する信頼を受けるようなことをしなければならないと思うのですが、ところが、いまのBHCとかDDTとか、あるいは先般もございましたような、馬鈴薯に着色をした水銀を塗って、それを防腐剤に使うわけでありますが、そういうようなこと、これはみんな農薬でございます。農薬につきましては、これは所管争いなどをするつもりはございませんが、残念ながら農薬取締法というものがございまして、これは農林省が農薬の管理、規制をやっておるわけでございます。これは登録制か何かになっておるようでありまして、私どもしろうとで思いますと、農薬というものにはずいぶん危険なものがあると思います。それはまあ病害虫を駆除するわけでありますから、肥料とはいささか違うので、当然危険なものがあるわけでありますので、危険なものは全部とめてしまうということになりますと、よくはわかりませんけれども、農薬の相当部分というものは、農薬の登録から排除しなければならないということにもなるだろうと思うわけでありますが、厚生省としましては、そこまでは初めから口は出せないわけであります。しかし、その農薬が植物等に残留をして、その植物をえさとして食べた牛の体内を通し、乳牛などを通して牛乳となると、これはもうまさに食品でありますから、牛乳の中に農薬の残留物が浸透してくるということになりますと、これは厚生省の責任分野に入ってまいりますので、厚生省は農薬として有効な農薬であれ、それが牛乳に浸透してくるような過程を、私どもとしてはとらせるわけにはまいらぬ、こういうことに相なるわけでございます。馬鈴薯に水銀を塗って消毒するまでの段階は農林省でございましょうが、水銀を塗った馬鈴薯が一たび食料品店に並べられるということになりますと、これはもう厚生省の所管でありますから、それが農協であれ農林省であれ、私どもは法律の手続に従い、また国民の衛生を守る立場からそれを告発せざるを得ない、こういうことになるわけでございまして、したがって、先般の馬鈴薯問題にいたしましても、今回のBHCの問題にいたしましても、農林省に昨年の秋から警告をし、またこれが排除について協力方をお願いをいたしておるということでございまして、そういうことについては、おそらく田中先生も十分御承知だろうと思います。でありますから、いまの段階では、これは禁止しろというわけにまいらぬものですから、農林省にお願いをして、少なくともBHCの国内向けの販売というものを押えていただいておるはずでございます。またそれを、牛のえさに影響を及ぼすような、そういう使い道に使うことを極力それは排除してもらうように、たとえば冬の間、牛の飼料になる稲わらにBHCがつかないために、これを、ウンカとか二化メイ虫などの排除につきましては、これはBHCが非常に必要だそうでございますし、そればかりでなしに、森林、山林の病害虫駆除のためにもBHCなどというものは必要なものだそうでございますから、それを厚生省が禁止はできませんけれども、少なくとも牛の乳に入ってくるようなそういう過程の取り扱いにつきましては、これを排除するようなことを農林省に申し出ると同時に、私どものほうでは地方公共団体、都道府県知事とも協力して調査をいたしてまいってきておる、こういうことでございます。農林省でもおおむね私どものほうの警告を取り入れられて、そしてその対策を講じられているわけでありますが、私のほうから禁止ということまでは、全くの絶対的製造禁止といいますか、あるいは絶対的な使用禁止につきまして申し入れはしていない、また厚生省としてそこまではできないと、こういうことで、これは農林省と厚生省が二人三脚ということで、法律がどうであれ、とにかく農薬取締法という法律と食品衛生法という法律を両方で抱いて二人三脚でまいっておるということが現状だと私は判断して、それでやってくれと、こういうことを申して入れておるわけであります。
  86. 田中寿美子

    ○田中寿美子君 お答えが長いものですから私、時間がなくなってしまったのですが、大臣の言われる意味はわかります。それで製造禁止まで厚生大臣ができないことはよくわかっているわけなんですが、そのことは私はまだ疑問に思っているのです。  で、私が急いで一つ申し上げたいことは、BHCというものは脂肪に溶けるものなんです。だから牛乳だけでなく、肉類、卵、魚、それからなお農薬として大量に使われているんですから、水、米その他全部これは調べなければいけない。それで人体の中に蓄積されてきているんです。事実、これは各地の衛生試験所の調査で出されているわけですね。ですから、厚生省もこれは非常な力を入れて緊急に調査してもらいたい。それで国立衛生試験所とか、それから国立公衆衛生院とか、二つ以上の機関でこれをぜひ大至急に調べていただきたいということと、それから予算や何かでだいぶ足りないようだし、人員も少ないようですから、足りない部分は科学技術庁の特別調整費というのがございますね。緊急ですから、ぜひこのBHCに関しては厚生大臣から申し入れをして、そういう調査を直ちに行なうように申し入れていただけないかということ、このことをお尋ねしたい。
  87. 内田常雄

    ○国務大臣(内田常雄君) BHCの問題は、法律はいかんであれ、権限はいかんであれ、究極はそれは牛乳に入る場合に、人の健康に関係がありますから、私どものほうではあらゆる機関を動員するとともに、府県の衛生試験所等にも要すれば必要な資金も援助いたしまして、その人体に及ぼす影響の研究などもいたしつつあります。お金が足りないような場合には、せっかくの御勧告でございますので、科学技術庁の金を使わせていただくことも考えてまいらなければならないかと思います。ただ、私は正直に聞いておりますのは、BHCにもいろいろあって、それで野菜等にくっつくようなBHCのアルファというのですか、ああいうものではなしに、一番問題なのはベータというやつ、ベータということについては国際的な許容基準も何もないので、それをこっちでやらなければならないということだそうですから、それを日本が取り上げてやって、むしろ国際的にも指導的立場を持つようになりなさいということを私もせっかく言っておるのです。
  88. 田中寿美子

    ○田中寿美子君 いまの大臣の議論には反論ありますけれども時間がない。それでこのBHCはもうすでに環境汚染をしているわけですね。単に口から入ってきた食品として入っているわけじゃないのですね。水にも井戸水にも出ているし、土壌にも入ってきています。ですから、そういう意味で農薬のうち、特にBHCその他非常に猛毒のあるものの問題は、公害の中に、公害の対象として、単に食品衛生という観点からだけでなく、公害の対象として取り扱ってもらいたいと思いますが、大臣いかがですか。
  89. 内田常雄

    ○国務大臣(内田常雄君) 公害として取り扱うほうが的確であるか、あるいは食品衛生法あるいは肥料取締法等の法体系で取り締まるほうがいいかということは私は便宜の問題だといますが、肥料から来ていることは明らかでありますから、公害というようなことでやるよりも、現在もう原因やルートが明らかでありますから、肥料取締法とかあるいは食品衛生法の体系で私は十分やれるのではないかと思っております。  なお、せっかくのお話がございますので、私はしろうとでよくわからない点がありますが、公害の対象として網をかける必要があればそれぞれの公害法における特定有害物資等の指定をするとかというような方法もあるいはいいのではないかとも思いますので、これはなお研究をいたしたいと思います。
  90. 小平芳平

    ○小平芳平君 私の時間も二十分でありますので、ひとつ大臣から要領のいい御答弁を願いたいと思います。  まず事務当局に一言お答え願いたいことは、五月一日に厚生省で発表しました「神通川における魚類の水銀汚染について」というこの厚生省の発表がありますが、この神通川の魚類の汚染は相当はなはだしい、このまま放置しておくわけにはいかない。こういう結論であると思いますが、いかがですか。
  91. 城戸謙次

    ○政府委員(城戸謙次君) 神通川の汚染につきましては、四十二年に汚染の事実が発見されまして、四十三年度さらに調査をいたし、それから四十四年度の結果を今回発表したわけでございまして、四十三年度の調査の結果と現在の調査の結果はいずれも相当の汚染の水銀がある。したがって、何らかの意味で十分対策も考え、観察もしていかなければいかぬ、こういう状況にあるということを考えておるわけでございます。
  92. 小平芳平

    ○小平芳平君 そこで大臣、いまの御答弁でも、四十二年にすでにこの神通川汚染ということが問題に提起され、四十三年に調査をし、四十四年八月の段階では相当の汚染があるということが結果が出ておりながら、ことしの五月一日になってようやく厚生省が発表したということは、いかにも公害に対する取り組み方がなまぬるいじゃないか。要するに、地元の方たちは、新聞が報道してくれるからこの川の魚はたいへんらしいぞということがわかる程度であって、実際問題四十三年からもう調査を始め、去年の八月の段階ではもう一応これだけ汚染をされているという結論が出ているわけですが、それがなおかつ、五月一日に発表してこれから本格的調査をやろうというようなことでは非常に不安が大きい。これは一神通川だけの問題に限らず公害行政として、要するに、厚生省のとられた措置は、その魚は汚染されているからあまりたくさん食べちゃいけないぞと、これしか言っていないわけです。そういうことでは非常に漁業の人たちも困るし、住民も不安ということで、もっと積極的な取り組みを願いたいと思いますが、いかがですか。
  93. 内田常雄

    ○国務大臣(内田常雄君) 仰せのとおりでございます。ただ私は、その経過を担当の方面にも聞いてまいりましたところが、すでに昨年の八月でございますか、その段階におきましても、富山県当局を中心とした調査の結果がある程度出ておりましたので、そのことは富山県をしてその関係地域に発表もし、また魚類等を大量に食べることについては危険があるという意味の公表をさせておるそうでございますし、その後もさらに引き続いて魚の調査でありますとか、あるいはまた、その土の中の水銀の調査なども進めてまいると同時に、その原因を探究をしてまいったそうであります。ところが、これがまた運よくことしは、運悪くというよりも運よく、その原因をなしておったところが厚生省で所管をすべき薬の製造会社の排水から発生しているということがわかってまいりましたので、そこで厚生省はそれをも含んで今度あらためて発表した、しかし、その発表の中身やデータは、去年の八月の状況と同じ状態でありまして、非常に事態が変わってきたので発表したということはないと、こういう私は報告を受けております。  また、幸いなことに、水俣水銀事件などと違いまして、現在のところ、これは関係漁民の健康調査なども、現在、地元の県及び漁業協同組合と共同で調査をいたしておりますが、現在のところは、それを大量に摂取して、そうして人体に対する影響があらわれていないというようなことも聞いておりますので、私は一応愁眉を開いておりますが、しかし、あとになってまた新しい事態が出てはならないと思いますので、これは先生からの御指摘を待つまでもなしに、私が、所管の大臣といたしまして、この際、こういう問題については徹底的に取り組むべきだということを申し渡しておったところでございます。
  94. 小平芳平

    ○小平芳平君 そこで、この問題について、関連して起きてきた問題点を幾つかこれからお尋ねするわけですが、まず第一には、前回の特別委員会でメチル水銀は規制されて、水質基準が守られるように規制措置がとられているのですが、エチルは、いままでは野放しの現状にあるということ。それに対して、エチルも当然規制すべきじゃないかという質問に対して、今後はエチルも含めたトータル水銀を規制の対象にしようということを企画庁に申し入れようという方針だということを伺ったのですが、この点について、大臣はいかがでしょうか。  要するに、この水質基準は企画庁と言われますけれども、厚生省から具体的なそういうデータの結果が報告されなければ、企画庁は動けないと、こう言っているわけですが……。
  95. 内田常雄

    ○国務大臣(内田常雄君) 私は、メチル水銀ばかりではなしに、エチル水銀というものも、人体に害があります限り、これは当然水質基準の中に取り入れてもらうべきだと思う次第であります。  なおまた、この水銀ばかりではなしに、カドミウムとか、その他のいわゆる有害と言われている微量重金属などの取り扱いに関しましては、私は、公害対策としての取り扱いに、さらに一歩を進めたやり方を行なうべきではないか。たとえばそういうことをもっと簡単に言いますと、そういう有害の物質等につきましては、水域の指定等を待たず、全公共水域というような、そういう指定のしかたをして、そしてもう絶対的の排出禁止というようなたてまえを水域のいかんにかかわらずとっていい物質があるのではないかというようなことを私は考えるものでありまして、それらのことにつきましても、私のほうの当局、あるいは経済企画庁方面ともぜひ打ち合わせをして、私が感じておることの実現をひとつはかってもらいたいということを述べておるところでございます。
  96. 小平芳平

    ○小平芳平君 それは、大臣、私が最後に大臣に申し上げたかったことをおっしゃってくださったわけですが、結局、指定水域しか点検していないというようなことでは、いつ、どこで、第三、第四の水俣病が起きるか不安でなりませんというのが現状なんですが、そこで大臣が進んで仰せくださったとおり、水銀の総点検をしていただきたい。これは、政党やあるいは民間ではなかなか化学的なそういう分析はできかねますので、ぜひとも厚生省にこの総点検をお願いしたい。  それにしてはずいぶん――四十二年の段階で百九十四工場ですか、こういうものが危険があるということを厚生省が把握したというんですが、いかにもおそい、進み方が。一年にようやく十五工場とか二十二工場とか、その程度の検査しか現状としては進んでいないわけです。したがいまして、把握された百九十四工場は、言うまでもなく、いまおっしゃった全公共用水域の水銀総点検ということを一歩踏み出していただきたい、具体的に検討していただきたい、このように思います。  それから次に、いま幸いにも製薬会社が厚生省の所管であったと、大臣、言われましたが、その製薬会社はどこの許可を得て、そういう工場を建てたか、どこの許可を得て。要するに、福壽製薬という会社なんですが、その福壽製薬という会社が、この水銀を流し始めたのは四十二年、あるいは四十三年と言われているのですが、そのこと自体つい最近まで県も厚生省もわからなかった、工場のあることすら気がつかなかったというのですが、それではあまりにもおかしいじゃないか。要するに、そこに水銀を大量に排出する工場があるということは、だれかがどこかでチェックできるはずじゃなかろうか、現在の法体系の中でも。それはいかがでしょうか。
  97. 内田常雄

    ○国務大臣(内田常雄君) 薬の製造工場でありますから、その薬そのものの製造、使用人、またその設備の許可というものは薬事法に基づいて厚生大臣がやっているわけであると私は思います。今度差しとめる際にも、私が幸いにもと申しましたのは、これは他の鉱山であったり、他省所轄の事業等でありますと回りくどいことになるかもしれませんが、厚生省所轄の工場ということでありますから、ぴしゃりととめろと、こういうことでとめられたということを私は幸いだと申しておる次第でございます。  ところで、これは私の考え方が間違っておるかもしれませんが、幸い薬務局長がおりますから訂正をさせますが、おそらく従来の公害問題等がやかましくない時代における薬の製造工場などについては、製品である薬が有効性を持ったりあるいはまた安全性を持ったりするのに十分な設備であるかどうかという製品の効果に着目して、それの排水などについてのチェックのしかたというものはなまぬるかったのではないかというように私は想像しますが、あるいはこれは私の想像の誤りであって、そういうことも十分調査をして許可をして――従来ですよ。今後はもうこれは十分製品ばかりでなしに、あとの排水等につきましても、これは十分そのほうも検討さした上でなければ承認をさせないことに私はいたしますが、過去どうであったかというと、いまのようなことであったのではなかろうかと思うところもございます。  さらにまた、どこでチェックするかということにつきまして、これは小平さんのさっきのおことばの中にも関連することでありますが、公共用水域としての水域指定を受けていないとその工場排水規制法が働かないというたてまえにこれまでの水質保全法というものはなっているのじゃないかと私は思う、これも他省所管の問題でありますが。そこで水銀等については、公共用水域の指定を待たずに公共用水域全体について規制ができるようなことを検討すべきではないかと申しましたのはそのことでございます。
  98. 小平芳平

    ○小平芳平君 まさしくこの製薬工場の許可は厚生大臣が出されているわけですが、ところが、そこでもって水銀の汚染があると言っても、やはりいまおっしゃった指定水域でもないので改善命令すら出せないのですね。まして操業中止などは命ぜられないわけでしょう。ですから、いま大臣のお話の中には、操業を中止させるというふうに受け取られるような御発言がありましたが、実際の法律上は指定水域でないと、したがって、改善命令も出せなければ、まして操業停止もできない。これはいかがですか、事務当局、簡単に。
  99. 加藤威二

    ○政府委員(加藤威二君) 一言で申せば、私どもは、一応現在の法体系で、いま先生御指摘のような場合に、操業停止、あるいは極端な場合は許可の取り消しということが、薬事法の解釈上、可能であるというぐあいに考えております。
  100. 小平芳平

    ○小平芳平君 それでは、可能でしたらそういう線でもう少し手っとり早く処置をしてくれればよかったわけですね、結局。この富山県の水銀汚染が発表になったときの橋本公害課長の談話としまして、これは新聞に出ていたものの要旨ですが、調査がおくれて世論の批判を浴びたのは県の責任だと。それから、四十年十二月と四十四年四月から五月に各都道府県にデータの提出を求めた。富山県では神通川流域に水銀工場はないと報告をしてきた。次に、福寿製薬でチメロサールの合成とフェニル水銀の精製をやっていると厚生省が知ったのは四月四日だった。薬事法による許可を受けているので、県当局が知らないはずはないと、こう言っているわけですよ、厚生省では。ところが、県当局では、それは厚生省に許可を受けたんだから厚生省がわかっているはずじゃないかと、こういうふうにも言えるわけですがね。だから、そういうような辺で、結局、県と厚生省がなすり合っているうちにおかまいなしにどんどん沿岸では被害を受けた。現在は中止中ですけれどもね。その辺にちょっと、いま局長のおっしゃるようなすっぱりいかないところがあるんじゃないですか。
  101. 加藤威二

    ○政府委員(加藤威二君) 確かに、この問題につきまして私ども感じますのは、やっぱり地方と中央との連絡が必ずしも密接にいってなかったと。で、私どもは、これは水銀の工場でございますが、工場の許可が出てまいります場合、必ず都道府県を経由して参りますので、県でもどこそこにどういう製薬工場があるというようなのは百も承知でございます。それで、私どもは当然、こういう水銀等の工場については、これは県の条例もあることであるし、届け出もされていることだろうと。それでなんにも言ってこないということは、一応そこの水銀というものは許容限度の範囲で――流出しているとすれば許される範囲でやっているんだというぐあいに想像しておったわけでございますが、そこの届け出の関係が、何か工場と県のほうとの間で、うまく、誤解があったのか何か知りませんけれども、必ずしも十分でなかったために、県のほうもその水銀の流出を、非常に濃度の高い水銀を放出していたということを把握するのが非常におそかったということだったと思いますので、結局、工場と、それから県と、それから中央と、そういうことの間に、連絡といいますか、そういう点で密接さを欠いていたためにこういう事態が起こったんだというぐあいに考えております。
  102. 小平芳平

    ○小平芳平君 局長さんにはあとでまたゆっくり御質問いたしますので、それで大臣にお尋ねしたい点は、いま局長さんも、企業と県と厚生省の間に連絡が密接にいかなかったところに一つの問題があったと言われております。ですから、そういう点をひとつ御検討願いたいと思うんですね。一体、確かに厚生大臣が許可の責任はありますが、それじゃ厚生大臣が責任をもって許可したからといって、全国、厚生省で把握しているかと言えば、それは県がやっているはずだということになっちゃうわけですね。ですから、むしろ、こうした公害の場合は県知事にそういう権限を与えたらどうかという意見もあるわけですが、この点についても大臣の御所見を承りたいとともに、また、今後御検討願いたいと思うんです。  それからもう一つ、ついでに申し上げますが、いまも局長から県の条例のお話がありましたが、富山県の条例では、水銀使用工場は届け出なければならないとなっておりますが、水銀化合物というものは対象になっていないというところから、その工場では届けを出さなかった。県のほうに聞けば、厚生省あるいは国が水銀の規制をしているのだから、水銀化合物まで県が先ばしって規制するのはできないと言う。しかし、水銀全体として排出の規制をする、メチルもエチルもひっくるめた水銀全体の排出を規制するという趣旨からいえば、当然、そういうような条例はつくってよろしいんじゃないかと。要するに、水質保全のために排出の規制をするわけですから、それが水銀であろうと、水銀化合物であろうと、両方とも規制しないことには、全体としての排出基準は守られないわけですから、この点いかがでしょうか。以上、二点。
  103. 内田常雄

    ○国務大臣(内田常雄君) 私は、まあその辺の法規関係は十分存じませんし、また、お尋ねのことにつきまして、事前に事務当局とも打ち合わせも、演習もしてまいりませんので、私がまた大臣として打ち合わせのないままでお答えをいたすかとも思いますけれども、私は、それは小平先生のお尋ねになった、お考えになっているとおりであるべきであると思います。国が規制してない限り、それは地方の条例でそういう有害物質について規制をするということは当然のことだし、あるいはまた、全国的に国がやることになれば、当該都道府県知事とも協議を遂げた上で、国の法令で取り上げて、そうして各地方の条例は補足して、規定に直すということになるべきだと思いますが、そこのことは、双方で打ち合わせまして、事業者が、たまたま国の法令にも、また地方の条例にも、はっきりしたことがないのを奇貨として有害物質を法の網をくぐって流すということがないように、中央、地方打ち合わしてしなければならないと私は考えております。
  104. 小平芳平

    ○小平芳平君 権限を知事に……。
  105. 加藤威二

    ○政府委員(加藤威二君) 工場排水規制法に基づきまして、「特定施設」というのがございますけれども、医薬品の製造工場も、その特定施設の中に入っているわけでございますが、それに対する主務大臣は厚生大臣でございますが、その工場排水規制法の施行令で、監督権限は知事に委任されているということになっております。
  106. 小平芳平

    ○小平芳平君 それでは、もう厚生大臣に質問する時間がないようですので、以上で大臣への質問終わりますが、これから引き続き水質保全法が審議されると思いますが、水質保全の実際の効果をあげる上の、いろんな問題点を私はたくさん持っておりますので、大臣がおられませんでしても、政務次官なり、あるいは薬務局長なり、公害部長にぜひ御出席願いたいと思います。
  107. 片山武夫

    ○片山武夫君 厚生大臣にちょっと、だいぶお忙しいようですから、問題をしぼって御質問申し上げます。先ほどちょっと総理府のほうにお尋ねしたのですが、公害対策を総合的に推進するために、公害対策会議が設置されております。その事務機関は、たしか厚生省にあるというふうにお聞きしておるのですが、先ほども、公害問題については各省庁にわたって、非常に広範な施策が行なわれておるわけでありまして、非常に繁雑だと思いますが、特に、公害対策会議も、四十二年から五回持たれたやに聞いております。これには各関係省庁の大臣も出席しておられるのだと思うのでありますけれども、これはやはり国の施策として公害が非常に重要である。この対策を統一的に総合的に推進していくための公害対策会議だと、私はかように理解しております。だから私は、これを一本化する必要があるのではないか、ということは、総理府の管轄になっておりながら事務機関が厚生省にある。こういうようなことでは非常に行政上やりにくいのではないかと思いますが、これは基本法を改正してでも何か一本化するお考えはございませんか。
  108. 内田常雄

    ○国務大臣(内田常雄君) お尋ねのように、この閣僚のベースで公害対策会議というのが設けられておりまして、最近ではもう閣議と一体になって、表向きは閣議である、同時にそれは公害対策会議ということで、たとえば一酸化炭素の環境基準をきめますとか、あるいはまた、水質保全法に基づく水の環境基準をきめます場合には、各大臣が自由に発言して、それはもっともだ、それでよろしいというようなことでこの会議が運用されてまいっております。と同時に、また幹部会、これは関係各省の次官クラスで幹部会というものがあるようでございまして、そこでさらにまた一そう活発な議論をやっておりますほか、さらに関係官庁の課長クラスで公害対策推進各省庁連絡会議というものを持っておりまして、そこでまたさらに緻密な論議をして、そして最後に閣僚ベースの公害対策会議に来るということでございます。これは私など正直に言いますと、たいへんまどろっこいので、もう一つ国民の健康の側に立っておる厚生省に万事まかせてもらいたいという実はいじいじした気持ちがないではありませんが、しかし、公害対策の実をあげるという点から考えますと、厚生省は理屈を言って――医学博士や理学博士をそろえておりましても、鉱山や工場を押える何も機能もありません。薬会社は幸いにもと申しましたように、押えられますが、多くの公害発生企業を厚生省みずから押えられません。自動車にいたしましてもそうでございます。そこで各省がそれぞれ関係企業や自動車等々、鉱山等々に対して、あるいは船舶等々に対して、それぞれの法律体系で実力を持っている関係各省に責任の一半をそれぞれ持っていただいて、それで通産大臣もあるいは運輸大臣も、みな厚生大臣になったつもりでやっていただくということをして初めて公害対策の実があがるとも私は最近考えております。何もかにも厚生大臣公害を一本で所管した結果が、体系や理屈は合ったけれども、実際として工場や鉱山が押え切れないということになったのでは何にもならない、こういうことを私は感じますので、あくまでも健康を守る中心官庁であるという責任を負いながら、各省に協力してもらいながら、全政府をあげて公害対策と取り組むといういまの体系は、必ずしも改めらるべきものだとも実は考えておりません。
  109. 片山武夫

    ○片山武夫君 厚生大臣、非常に腐心しておられる点をいま述べられたと思うのですが、そこで具体的にいま問題になっておりますが、東京都で新しい条例を出そうとしていますが、現在ある国の規制よりも非常にきびしい条件を出しております。これに対して何か厚生省あるいはまた通産省あたりで、これは違法ではないかといったような見解を出しておられるというようなことを聞いております。もちろんこの問題に限らず、いままでも条例において国の規制よりもきびしい条例が幾つかあったと思いますけれども、これを規制していくいわゆる所管官庁ですね、これは各省に分かれてくると思うのですけれども、こういう不便が一つあるわけですね、調整する意味において。これを何とかどこかで一まとめにして調整するとか対策を講じるとかいうことをやる省庁が要るのではないか、かように考えるのですけれども、そういう点について御不便はないかあるか、それに対する見解をひとつお尋ねをしておきたいと思うのです。
  110. 内田常雄

    ○国務大臣(内田常雄君) 片山さんのお尋ねは、今度各省間の公害対策に対する権限の分散ということについてそれでいいかどうかということと同時に、今度はその縦の中央とそれから地方公共団体との関連においてこれをまとめていかないといろいろトラブルが起こってくるじゃないか、こういうお尋ねだと存じますが、大体今日ではこれは大気にしても水におきましても、広域の公害対策というものが必要であることはもちろんでございますけれども、しかし、これはもともとは大体非常な地域的特性を持っております。これはたとえば騒音でありますとか、あるいは地盤沈下でありますとか、悪臭などを考えてみますると、一そう地方的な課題が多いわけでありますので、したがって、公害については歴史的に見ますると、むしろ先住民族としては、地方公共団体が地域の住民の健康を守っておったところから出発してだんだんと国の規模に取り上げてきたという私は歴史もあると思います。また歴史ばかりでなしに、今日の現状におきましても、国がきめ得ることはやっぱり最大公約数というようなことになりますので、その各地域地域の特性に応じた対策というものは、どうしても地方公共団体に立ててもらう必要がございますので、したがって私は、中央の権限、地方の権限というものの接触面を、一部の方々が御心配になるように、法制局的の論議の角度からは厚生大臣の私としては実は見ておりませんので、話し合って最もいい方法をとるべきだというようなことでこれまでも行ないをいたしております。  東京都の最近の大気汚染についての亜硫酸ガス等の規制基準にいたしましても、一般的には東京都の今度の条例に基づく告示の規制のほうが強いというような印象を与えておるようでありますが、実際は厚生省研究によりましても、必ずしも東京都の今度のやり方のほうが強くはございません。国のほうの亜硫酸ガス等の規制の方式が、御承知のように、発生施設一つごとに、しかも一日のどの時間をとっても、それをこえてはいけないというようなそういう規制のしかたをしておりますが、東京都のやり方は角度を変えまして、一つの工場が持っておる有害物質発生施設の総合計を単位といたしましたり、それからまた、一日の稼働時間全体を単位として、そして排出基準をきめておりますので、これを具体的に当てはめてやってみますと、一日じゅうのどの時間をとっても、たとえば亜硫酸ガスの発生量が何PPM以上であってはならぬというほうがきつい場合も出ておりまして、東京都方式は国の現在きめております方式にアローアンスを幾らかけるかということによって強弱がきまるということのようでございますので、それはまたしばらくやってみたり、また国のほうの基準もだんだん締めてきて、一定の期間を置きまして、予告期間のようなものを与えながら強くいたしてきておりますので、この問題につきましても、私はたいして矛盾もないように縦の場合においては考えておるものでございます。
  111. 片山武夫

    ○片山武夫君 そうすると、何か新聞に出ておりました東京都のあの条例は違法ではないのだというお考えのようでございますが、それでよろしいのですか。  それと、公害防止のために融資あるいは助成をやっております公害防止事業団、これはやはり厚生省と通産省の共管ということになっておるのですか。これはもう公害という問題から考えたら厚生省でやるのが一番いいかと思うのですけれども、事業そのものはこれは企業と直接結びついているような形になっている。だから、したがって監督官庁が違うからそれぞれ共管みたいになっているのじゃないかと思うのですけれども、しかし、これではいわゆる事業団のほうが非常にやりにくいのではないか、どこか一省にまとめるわけにいかぬのかという考えが一つあるわけです。それといま一つの問題は、結局企業等の要請によって融資あるいは助成をする、こういう形になっておりますが、これはむしろ地方自治体においても、この公害の立場からいろいろこの工場はこうしたらいいんではないかというようなことが持ち上がってくるかと思うんですけれども、そういったような手続上の問題ですね、いろいろ摩擦があるんじゃないかと思うんですが、その点はうまくいっておりますかどうか。
  112. 内田常雄

    ○国務大臣(内田常雄君) 摩擦のことは私は直接聞いておりませんが、公害防止事業団の所管につきましては、いま片山先生の御意見にありましたような見地から、通産・厚生両省の共管にいたしておると思います。また、地方公共団体との関係におきましては、地方公共団体がやります公害防止計画、一つの地域計画の中の一つの要素、単位でありますところの緑地、グリーンベルトというようなものの設置ということを公害防止事業団がみずからやって、そしてそれを公共団体に肩がわりするというような方法もとっておることを聞いておりますので、公共団体との関係もあるわけですが、その辺うまく私はいっているんではないかと思います。
  113. 小野明

    ○小野明君 経済企画庁長官にお尋ねをいたしたいと思います。今回の改正を見ますと、どうもやはり徹底を欠くといいますか、非常に従来の考え方を脱却できていないし、それだけにこの水質保全についても不徹底に終わるきらいが、こういう改正ではあるように私考えます。それは第一条を見ましても、東京都の公害白書をまだ具体的には私見ておりませんが、これによると、生活環境の保全ということと産業の発展ということはこれは一体になるべきものである、あるいは人の健康、国民の健康保護、こういう観念も一体にならなければならぬと、こういうふうな考え方のようであります。ところが、この第一条によりますと、やはり生活環境の保全ということと産業の発展とは相反するものなんだというとらえ方のように受け取ります。  第二点の問題は、第五条に明らかでありますけれども、相当な被害が出ませんというと、この保全法というものが発動ができない。すべてこれは公害法を通じてもうかがわれますけれども、事後対策に終わっておる。基本法には若干この予防措置と予防対策という点には触れておる点があります。しかし、この水質保全法に関する今回の改正に関しましては、それよりもかなり後退をいたしまして、いま申し上げたように、人の健康あるいは生活環境あるいは関係産業に相当の被害、もう手おくれになったような状態でないとこの法律が動かない、こういうふうに考えられるわけです。この二点を非常に私不満に思うわけですが、この点について長官の御意見を伺いたいと思います。
  114. 佐藤一郎

    ○国務大臣(佐藤一郎君) 御指摘の第一点でございますが、今回は従来の「産業の相互協和と公衆衛生の向上に寄与することを」をいま御指摘のような点に改めました。国民の健康の保護ということをまず第一点に置いておりまするし、それから生活環境の、東京都がいっておるその一体ということの意味、私まだちょっとわかりませんが、いずれにいたしましても、実際問題といたしまして、生活環境の保全を全うしていく際に産業の発展と、どう発展性を考えるかという立場と相いれない場合も私はあると思います。むしろそうでありますからして、その際に生活環境の保全ということを頭に置きまして、そうしてできるだけそうした趣旨を通すように、こういう気持ちをあらわしているものと私は解釈しているのであります。ですから、東京都の白書がどういう趣旨でそれを言っているかちょっとわかりませんけれども、私は別に矛盾はしていないのじゃないかという実は感じを持っております。  それからもう一つの御指摘の点は、今回の改正の部分が、第五条の点でありますけれども、これはおっしゃいますように、「若しくは関係産業に相当の損害が生じているもの」ということになっているのですが、その後に続きまして、これは従来の条文を特に改正する必要がないので改正案文には出ておりませんが、「又はそれらのおそれのあるもの」ということを特に指摘しているわけでございまして、私どもも今日水の問題がこういうふうになった一つの原因は、いま御指摘になりましたように、にっちもさっちもいかなくなってしまってから問題を取り上げてきた、とかくそういう傾向があったというところに問題があったと思うのであります。でありますから、私たちといたしましても、これは極力おそれのあるもの、これを取り上げて対策の対象にしていかなければならぬ、こういう考え方でやってまいりたいというふうに考えております。
  115. 小野明

    ○小野明君 そういたしますと、第一条ですね、やはり長官としては、生活環境の保全ということと産業の発展ということは、これは相反する概念、考え方ではないのだ、こういうことですか。
  116. 佐藤一郎

    ○国務大臣(佐藤一郎君) 相反するという意味がよくわからないのでありますが、結局産業の発展ということだけが問題ではないと、つまりただ成長発展ということだけを考えていたのじゃ問題が片づかないという意識のもとにこの公害問題というのはここまで出てきたわけであります。しかし、現実の問題としてここに具体的に産業施設というものがある。それが公害の発生原因になっているということで、そうした要求というものをある意味において押えていかなければならない。そこにやはり生活環境の保全ということが大きく取り上げられることになったわけでありますから、こういうふうに並べてある趣旨は、私はそういうふうに解釈しております。
  117. 小野明

    ○小野明君 どうもそうは読み取れないのですけれども、時間がありませんから先に進みたいと思います。  それで後段、いま説明をされました予防対策についても「おそれのある」云々ということで水域指定をやる、こういうふうな御説明がございました。これは経済企画庁としても関係をされているのでありますが、例の新全総ですね。これを見ますと、六十年を目標にいたしまして三十万ヘクタール程度の工場団地というものが造成をされるということになっている。これの策定されたのがいつか私も覚えませんけれども、公害防除の観点というのがこの中に入っているのかどうか、その点を、要点御説明をいただきたい。
  118. 佐藤一郎

    ○国務大臣(佐藤一郎君) 全総におきましても公害ということを十分に考えて取り上げております。それは随所にそうした表現が出ております。もちろん表現だけではいかぬので、実行が伴わなければいかぬのですが、問題の意識を十分持って全総計画というものが組まれておることは、あの案文をお読みいただくとわかると思います。
  119. 小野明

    ○小野明君 通産省お見えですね。最近産業構造審議会に諮問をされておりますね。経済効率を高めるために産業立地政策はいかにあるべきかに関する産業構造審議会への諮問、四月三日です。このねらいと、これについて公害防除というものがどのように織り込まれておるのか伺いたい。
  120. 柴崎芳三

    ○政府委員(柴崎芳三君) 先生御指摘のように、四月三日に諮問をしたわけでございます。この諮問の文言でございますが、先生ただいまお話しのことばの前に「国民生活の質的充実をはかりつつわが国産業の」とあり、「経済効率を高めるための長期的かつ総合的展望に立った産業立地政策はいかにあるべきか」ということで諮問を発しておるわけでございまして、われわれの意識といたしましては、国民生活の質的充実ということを経済効率の前に置いておるわけでございます。したがいまして、具体的に大規模工業基地委員会というものをつくりまして、新全総その他に沿いましたこれからの工業開発をはかるための具体的な施策を現在検討いただいておるわけでございますが、その場合にはレイアウトの面からも、それからこれに立地する各企業の個々の施設の面からも公害の発生を未然に防止するというところに最大の重点を置きまして、現在いろいろの専門家の知識を動員いたしまして具体的な構想を練っておる最中でございます。われわれは、これを公害なきコンビナートの創出というような形で呼びならわしておるわけでございますが、公害問題を第一に取り上げておるという点は既定の線になっております。
  121. 小野明

    ○小野明君 通産省にお尋ねしますが、新しく工場立地をやります場合に、この法律を見てみますと、工場立地の調査等に関する法律、これしかないようですけれども、これには全然経済効率、産業効率のみの観点で書かれておるわけですね。いまの新全総なり今回諮問された点というのは、現行法律については何らあらわされていない。こういった点を一体どうするのか。これは当然この新全総になりますと企画庁も関係がありますけれども、工場立地の現行法律だけでは公害防除の観点というものが十分に織り込まれるということはないのではないか。そういたしますと、新たに工場立地を規制する法律というものがこの際考慮さるべきではないか。いまの御答弁の趣旨からいけばそのように考えますが、これは通産省はいかがですか。
  122. 柴崎芳三

    ○政府委員(柴崎芳三君) かつて数年前に、産業構造審議会の立地部会から工場立地適正化法というような形の答申を得まして、通産省といたしましても数年間かかりまして、いろいろ政府各部内の御意見を聞いてまいったわけでございますが、不幸にしてこの工場立地適正化法は日の目を見ない形で、したがいまして、現在におきましては、工場立地を規制する法体系というものはございません。ただ、この法案をいろいろ検討しておりますそのかたわら、一つの傾向といたしましては、公害関係の法体系が非常に整備されてまいりまして、環境基準を中心にいたしまして具体的の個々の施設に対する規制基準というようなものがはっきりした形で出てまいっておりますので、少なくとも公害防止という面からはこの規制措置を確実に実施するということでやっていけば、ある程度の工場の立地規制には役に立つであろうという環境が醸成されてまいりました。かたがた、たとえば内陸団地の造成とか、あるいは新しい工業地帯、臨海の工業地帯に対する産業公害総合事前調査というその調査の進行その他で、公害――新しい企業を受け入れる受け皿のほうの態勢も並行的に進んでまいりましたので、これらの行政的な指導を総合的に効率的にやっていけば公害の未然防止ということも相当程度確保できるのではないかということになってまいりまして、現在はこの適正化法の問題は表面から消えております。ただいろいろ将来問題が予想されますので、あらためて現在開催中の立地部会におきましてはこの問題もあわせて検討していただくということになっております。
  123. 小野明

    ○小野明君 長官にお尋ねをいたしますが、いまお答えがあったような状況であります。それで公害防止計画を見ますと、下水道計画あるいは上水道、居住環境、それぞれ地域に応じまして計画を策定しなければならぬようになっています。ところが、新しいこの新全総においても現在の三倍程度の工場団地が造成されようとする計画にある。ところが、肝心の工場立地に関しましては何ら公害防止の観点から立地が規制されておらぬのが現状であります。当然この工場立地を規制をしていく法規制というものが必要であると思いますが、いま検討されておるというのですが、企画庁としてはどのようにお考えですか。
  124. 佐藤一郎

    ○国務大臣(佐藤一郎君) 御指摘のように、工場の立地という問題は公害問題においても非常に重要になってきていると思います。でありますから、私たちたとえば企画庁で具体的に水の問題をやっておりますが、その際によくいわれる排水の規制であるとか、その他のいろんな課題がございますが、その中にやはりこの土地利用、これをいかにして行なうかという立地の問題を特に取り上げてきております。いま通産省からもお話がございましたが、最近、例の都市計画法の改正等も進みまして、いわゆる土地利用区分というものが着々と進んでおることも事実でございます。そして将来大体用途別に土地利用の計画というものが立てられておる。これは私は非常に一つの大きな進歩であろうと思っております。ただ欲を言いますと、一種のもっときつい立地規制というようなものが必要かもしれません。これは前から懸案になっておったのでありますが、なかなか実現を見ないで今日になってきております。今後誘導政策によって政府としても相当この立地問題を片づけようとする意欲を十分持っておりますから、なおそれでもとても片づかぬというようなことになりますと、やはりもう一回この問題を取り上げなければならぬかもしれぬと思っております。いずれにしましても、何らかの意味でもってこの誘導政策によれ、あるいは非常な制限規定による方法によれ、いずれにしても、この立地の問題もわれわれも公害の問題の一つとして重視をしている。これは、われわれの立場としても同様でございます。
  125. 小野明

    ○小野明君 それはぜひ推進をしてもらいませんと……。  まあ周防灘開発ですね、こういうようなのが構想にありますが、現地では非常にやっぱり漁民が公害問題で大きな反対の声をあげておるわけですね。これはいま六地区ですか、それぞれこういった立場からこの新全総に対して反発をいたしておるのではないかと思うのですが、その辺の地域住民の反響というのをどのように見ておられるか、御存じでしたら御説明いただきたいと思います。
  126. 佐藤一郎

    ○国務大臣(佐藤一郎君) 御存じのように、新全総は大きなプロジェクトを中心に計画を提言しております。  それで、いま御指摘の周防灘の問題あるいはむつ・小川原湖の問題、いろいろとそうした大きなプロジェクトが予想されております。その際に公害が心配されるというのは、従来の経験から見ると当然なんであります。ただまあ、私どものところへは、まだ何ぶんにもこの調査、研究をこれからしょうという段階の問題でございますので、具体的にまだそれについての反対というようなものが、私のところまでは実は残念ながら届いてはおりませんが、しかし、今般そうした新全総において提唱されておるプロジェクトを推進するにつきましては、いわゆる新全総の審議会というのがございまして、そこで各プロジェクトごとに専門委員会をつくりまして、そして単に産業面だけでなく、そうした公害面もあわせて相当この基礎研究、基礎調査をしようという体制になっております。まあ従来のわれわれの経験からしても、それはどうしてもしなければならない。まあむしろ従来の考えが私は間違っていたと思うのですけれども、要するに、公害の意識というものがやっと最近になって高まってきた。この新しい意識というものを当然取り入れて新しい産業計画をつくってまいる、そういうことでございますからして、これはまだこれから発足するばかりのところでございますから、まだ具体的なところまで行っておりません。そういう方針でいま進めようとしています。
  127. 小野明

    ○小野明君 次に、八条、十条、十一条の改正に関係をいたしますが、経済企画庁がある河川について調査をやる、あるいは地方自治体が調査を行なう、その結果が公表されない。というのは、この政治的な影響をおそれて自治体あたりが故意に長期間伏せておきまして、最後になって問題になってくる、こういうふうなことがあるわけですね。これは、長官に二度も質問をいたしました小倉の紫川の件についても、そういったことなんです。  それで、公害防止にはやはり住民の参加ということが、大気汚染にせよあるいは水質汚濁にせよ、非常に重大だと思います。それで、経済企画庁なりあるいはそれぞれ地方自治体なりが調査をされましたら、これを公表すると、こういったシステム、制度というものをお考えいただけないものかどうかですね、この点についてお尋ねをいたします。
  128. 佐藤一郎

    ○国務大臣(佐藤一郎君) ただいま御引例のありました紫川の件は、企画庁はまだ御存じのように調査してないわけですね。そして、自治体が調査したようであります。自治体がどういう考え方で御指摘のように調査の発表を渋ったかちょっとわからないのですが、私どもとしましては、正しい道筋で行なわれた調査はこれは当然発表しなければいかぬと思います。ただまあ私の耳に入っておりますところによりますと、二、三地方団体がやったものがあるんですけれども、必ずしも何といいますか、完全な調査ではない。へたをするとミスリードをするような調査が行なわれたという意味で調査のやり方について再検討する、検討すると、こういうようなことでその間、発表がおくれて、それが漏れて問題になったりしたものが一、二あるようであります。そういう場合も私はあるのじゃないかと思うんでありますが、いずれにしても、それというのも調査体制というのが未熟だからということがありますから、やはり中央で相当の基準を設けて中央自身で調査すべきもの、それから地方は地方で調査すべきもの、これはやはりそうした調査体制を急がなければいかぬと思います。そうしてそういうことが、しっかりとした体制ができて基準ができればそうしたそごということも少なくなると思うのであります。  いずれにしましても、しかしきちんと調査されたものをその結果のいかんにかかわらず、これをことさらに伏せておくとこういうことは私は適当じゃない、こういうふうに考えております。
  129. 小野明

    ○小野明君 間違いの調査を公表されてはこれはかないませんから、それはまあおっしゃるとおりでありますし、やはり調査をされましたら、そのデータを企画庁としてもあるいは地方自治体を指導するにしても、きちんと公表をするように御指導をお願いをいたしたいと思うのです。  それと、かなりこの条の改正では、地方自治体の意見を取り入れるような改正になっておりまして、相互にこう交流があるように改正されておりますが、やはりこれは私が何度も申し上げますけれども、地方自治体のスタッフが弱いといいますか、財政にしても人員にしてもですね、あるいは機構にいたしましても、これは非常に地方自治体が弱い立場にあるわけです。これらの点で地方自治体のそれらのものを強化をしていくということが欠くべからざる要素だと思います。この点について今回もかなりの負担が地方自治体にこう行くわけですから、どのようにお考えであるかですね、お聞かせをいただきたいと思います。
  130. 佐藤一郎

    ○国務大臣(佐藤一郎君) まあ、先ほども厚生大臣からお話がありましたが、私も公害問題における地方自治団体の役割りというのは非常に大事だと思います。率直に言ってこの地方自治団体の頭の考え方によって公害問題はいかようにでもなる。まあ、比較的最近までは、私たちの知る限りにおいても、むしろ地方団体の長は公害問題よりも工場誘致のほうに頭が行っていた。公害は二の次であるという感じが強かった。それが都市化現象の発達とともに、最近は工場誘致、工場誘致といってもいかぬ、住民の福祉に必ずしもつながらないということで、地方自治体の首悩部自身がまっ先立ってこの公害問題を取り上げられるようになってきた。これは私非常にいい傾向だと思いますし、また当然そうあるべきだと思います。これが最近における私は公害問題の意識というものが非常に進んできた一つの大きな動機になっているんじゃないかとも考えているんですけれども、そういう意味におきまして、公害問題はむしろ地方自治団体としてまず当然地方自治団体の住民の福祉の問題、地方自体団体の存立自体にかかわる重要問題でありますから、これは地方自治団体の本来の大事な仕事でなきゃならぬ、こういうふうに感じられます。そういう意味で、そうしたものが事態の進展に伴って必要なスタッフの充実を行なっていかなきゃならぬ、これは当然だと思います。私のほうとしましては、目下、そういう意味で、従来の職員の研修制度、その他講習会等を開いて、そうして今後におけるところの監視体制、測定体制、あるいはまた公害行政一般を進めていくようにやっておるわけでありますけれども、まだまだ必ずしも十分とは言えないと思います。今後、その方面を大いに促進してまいらなきやならぬと、こういう考えを持っております。
  131. 小野明

    ○小野明君 最後に、やはりこの公害問題は地方自治体の権限強化ということが欠くべからざることなんですが、やはり、発生源、汚濁源といいますか、これが自粛をしない限り、何ともならないわけですね。これは私どもが視察をいたしますと、その日は工場がストップをしておりましたり、視察の日だけ工場内をきれいに清掃いたしまして工場の水をとめるとか、そういったことがいまだに行なわれておるわけです。で、住民から見ますと、視察団が来てもそういった工場がその日だけとまっておるのを見てそして実態と思って帰っていりたということは、非常な不満を持ったりするわけです。不信感を国会に対して持つわけですね。いまだにこういう実情にあります。ですから、やはり汚濁源あるいはそれに責任のあるものが、十分、自粛といいますか、法の趣旨を守っていくと、そういうことがありませんと、これはもう全然問題にならぬわけですね。その辺で、これはおもに通産省に関係がございますが、通産省あるいは長官、お二人の御答弁をいただきたいと思います。
  132. 柴崎芳三

    ○政府委員(柴崎芳三君) 先生御指摘のような傾向があることは確かに事実でございまして、われわれも非常にこの点残念だと考えておるわけでございますが、現在、通産省として基本的に指導しております線は、通産局の職員並びに府県の職員を督励いたしまして、具体的な監視、監督をやる場合には、もちろん原則として抜き打ち的にやり、出たデータは確実にその場ではっきり把握いたしまして、問題があれば直ちにわれわれのほうにも連絡してくるように、この点特に厳重に日常の業務の中において指導しておりまして、たまたま一、二のケースでは、やはり現場の監視員が行きますその直前に排水口からの排水をとめたり、あるいは水をきれいにしたり、そういった事例がないことはないわけでございますが、最近の実情といたしましてはだいぶ減少しておりまして、その点、具体的な監視体制が徐々に浸透しておる現実であるというぐあいに理解しております。なお、この方向に向かいまして今後も実質的な監視体制を大いに進めていきたいと、かように考えておる次第でございます。
  133. 佐藤一郎

    ○国務大臣(佐藤一郎君) 私はやはり、まだ、率直に言って、公害問題についての意識が生産者側に足らない点があると思います。これは少し時間をかけてもちろん教育しなきゃいけないと思いますし、それから、まあこれからはいやおうなしに公害の問題というのは大きくなってくるのですから、少しずつ意識はのぼってくると思いますが、やはり一罰百戒といいますか、実行官庁でも、もう少し処罰をきびしくやってもらわなければいかぬ、これを私は考えています。まあ該当者には気の毒でありますが、そうでもしないと、つまり今日までのものの考え方を急に切りかえるということは、なかなか困難である。これは通産省にも十分考えていただいているのでありますが、今後の非常に重要な検討問題である。それから、やはりいまお話しの、たまに視察に行きましても、なかなかほんとうのところはわからない。まあ水で言いますと、外部の流水の測定体制、監視体制、こういうものを少し充実させなきゃいかぬ。外からデータによってこれを知ることも不可能ではございません。また、周囲の住民の声というものを、これはできるだけすみやかに取り入れる方法が必要であろうというふうに考えます。私のほうで、いま、国民生活センターというのをやっていますが、地方にも生活センター等ができまして、そういう苦情が出たならばやはりそれを取り上げてみるというような方法を、何かの形でのそういう体制をできるだけやっていく。幾ら役人をふやしましても、何しろ工場がどんどん、どんどんふえるのを、なかなか、追っかけていくことだけでも容易でないこともございますし、そういう意味においては、今後実行官庁と連絡をとって、そうした体制をさらにもっと進めるようにしたいと、こういうふうに考えております。
  134. 小野明

    ○小野明君 終わります。
  135. 田中寿美子

    ○田中寿美子君 佐藤経済企画庁長官には私、二点だけ、一点は要望でございます。  前回の公害対策特別委員会のときに、経済企画庁の方々に、相当長く御質問申し上げました。そのとき、長官がおいでになりませんでしたので、私は長官の御決意を、聞きたいことを残してあるわけなんです。  一つは、要望を兼ねてですが、いま、公害の中で水の問題は、もう全世界的に非常に重大な問題になってきました。しかも、先ほど片山先生のお話にもありましたけれども、公害に関しては、あまりに行政が多岐にわたっていてばらばらである。特に水に関しては、非常に所管がむずかしい状況になっておりますね。それで、そういう状況の中で、大臣の所信表明を私は読みますと、ほかの大臣よりたいへん控え目なんですね。どうして、佐藤内閣の、新しい内閣のホープだといわれていた佐藤経済企画庁長官が、ああいうふうに控え目な所信表明をなさるのかと思ったのですが、そこで、今度の水質保全法の一部改正の中で、私は前国会のときにもこの点は主張したことでございますから、やはり今回もそれを明らかにしておきたいと思うんですけれども、公共用水域の水質の保全に関する法律の一部改正の中で、その第一条のところですね、第一条で、「国民の健康の保護及び生活環境の保全」というのがうたってあって、第一項にですね、そうして、第二項に、その「生活環境の保全については、産業の健全な発展との調和」をさせなければならないというようなことばがあるわけですね。これは新しく入れたことなんですね。これまでなかったけれども一項入れちゃったんですね。本来、公害対策基本法の第一条の第二項に、「生活環境の保全については、経済の健全な発展との調和が図られるように」という文句が入っておりますね。これは非常に問題のあるところで、議論の結果入ったわけなんですが、これがあるということは、公害という性質から申しますと、非常にじゃまになることが多いわけなんです。それで、このことについて、この考え方は、ほんとうに公害対策をやっていこうと思う場合には、いまも長官が言われましたように、工場の誘致ばかり考えているとか、産業の発展のほうばかり考えていると、公害問題のほうの対策はおくれる、その意識が足りないというふうに言われたのですけれども、この間、宮澤通産大臣も――私は、この点はどうかと、公害対策基本法の第一条の第二項はもう取ってしまうべき時期に来てるんではないかと、こういうことを申し上げましたら、一番公害対策ではこれまでネックになっていた通産省の大臣が、やはりこれはもはや公害問題についての意識が定着しつつあるので、やがてこれは取り去るべきものではないかと思うとお答えになっているわけです。で、この水質保全法のところの第一条第二項にわざわざここで新しく公害対策基本法に合わせるという意味で入れたんだと思いますが、この点は私は非常に遺憾だと思います。まあ、あとで大臣、どう思われるかお聞かせ願いたいと思います。  第二点は、企画庁の権限の問題なんですが、この間、国民生活局長にたくさんお答えいただきました。その結果、それぞれの所管の総力を上げることがいいと思うというふうに答えられたんですけれども、実際には実体規制で通産、厚生、農林、運輸、大蔵、自治その他の協力体制をはかっていきたいというふうに言われました。水については経企庁はたいへん弱いんですね。調整の機能しか持っていない。ですから、工場から排水してきたものを、水に流れたところで見る。この排水に対して改善命令を出すことはできるけれども、では上のほうから農薬が流れてきた、それから産業廃棄物が入る、ごみ、屎尿が入る、こういうようなものがたくさんあるものですから、そういうもののほんとうの取り締まりのできる権限というか、非常に薄弱なんですね。これは経済企画庁として何か方法を考えていられるのか。実体規制するには、それをどういうふうにやられるおつもりなのか、案があったらお教え願いたいと思います。
  136. 佐藤一郎

    ○国務大臣(佐藤一郎君) 第一点は、私も通産大臣と同じような考え方であります。そういう意味においては公害問題についての意識の定着ということによると、まあ今回私も経緯を詳しくつまびらかにしないままに担当しましたが、公害基本法というものが何といっても基本法であるということで、それに合わせるという意味であったと思います。しかし、この運用その他については、結局私はその意識の定着というか、意識の発展というか、それによってきまることでございまして、われわれがしっかりこれを運用するということで十分であろうと思っておりますが、それにつけてもいまの第二の点は確かに問題であります。私自身も公害問題、いま企画庁では、さしあたって水についていろいろな御質問を受けるわけでありますけれども、しばしば隔靴掻痒の感を持ちます。工場排水その他については、それぞれの所轄の省がございます。そこで私もいろいろ考えてみたんですが、何かいい方法はないか。しかし、どうもこの縦割りと横割りの行政組織というものは、どっちにしてもどっちかがそういう繁雑さというものを経験する、こういうことになるものですから、私は経済企画庁といういまの少なくとも役所の性格ということからいいますと、現在企画庁にすべてを統合するといいましても、現実の行政措置ということになると、いろいろとスタッフの問題もあるし、すぐどうといってもなかなか即効的なものは求めにくいと思うのです。そこで私は、物価についても同じ考えを持ったんですけれども、ニクソンはいわゆる水質の閣僚協議会というものをつくりまして、そうして実行をするというように言って仕組みを考えたわけですが、私もこの閣僚協議会を持ちまして、そうしてやはり各省の間の連携というものをもっと密にしていく、これがぜひ必要であろう。企画庁がただ水質の基準を設定し調査しているだけでは困るのであります。なぜかといえば、常に質問なり御要望なりはけっこう企画庁に来るわけです。あれはよその省の仕事であると言ってはおれないわけでありますから、まあそうした機構でもつくって現在の調整機能の不十分な問題についてももっとそれを補完していかなければならない、そういう実は考えを持っておりましたところが、ところが、今日閣僚協議会、これは非常に行政簡素化の別の要請もあって新設がなかなか困難であります。そこでひるがえって考えてみますと、中央公害対策の会議がございます。これは従来は何といいますか、はんこを押すというか、きまった事態を追認する機関のような運営のしかたになっておって、非常に基本的なことしか議論しなかったんですが、これを少し活用してみようかといま考えております。これは各省にも御相談してそうして私たちも基準の設定まではやったけれども、その後か一体どうなったのか、自分自身もこれを知らなければなりませんし、そうしてそれが責任のある実行を確保しておるかどうか、ぜひこれはわれわれとしても知らなければならぬし、ばかりでなく、私に言わせると、水の問題はおくれると一そうどうにもならなくなるような事態になってきていますから、相当、これは閣議全体として深刻に取り扱ってみたい、こういう感じをいま持っておりまして、機構の改正によるのもいいんですが、それではどこまでが企画庁かということになるとなかなか区切りがつかないのであります。そういうようなことから目下そういう考えを持っておるようなわけでございます。
  137. 田中寿美子

    ○田中寿美子君 あと厚生省、農林省でございますから……。  午前中、牛乳のBHC汚染の問題、主として農林省にお尋ねしたわけなんですが、それで時間も限りがありますので、お答えはあまり長くしていただかないで要点をやっていただきたいと思いますが、もう午前中、今日までの経過については議論しました。そこで厚生省環境衛生局長にお尋ねしたいんですけれども、そもそもBHCというのはこれは脂肪にくっつくものですね。それで今日乳肉衛生課というようなものがあって、牛乳や肉や魚や卵についてBHCの検査もしなければならないはずだし、許容基準もつくらなければならないはずであったと思うんですけれども、農薬に関して八種類、十二品目についての許容基準があって、それは野菜、果樹、なぜそういう乳肉に関してはBHCについての検査も十分されず基準もつくられなかったのか、非常にふしぎに思うんです。その辺ちょっと説明をいただきたい。
  138. 金光克己

    ○政府委員(金光克己君) ただいま御指摘ございましたように、食品に対する農薬の残留許容量につきましては、四十四年度までに十二食品につきまして、それから八農薬につきまして、残留許容量をきめたわけでございますが、乳肉食品につきましてはなぜおくれたかということでございますが、これにつきましては、元来牛乳――乳というものにつきましては、やはり細菌等の汚染というようなことにつきまして、わりあいに生理的にも防御的な性格を持っておるというような考え方が基本的にはあったわけでございまして、乳の中に農薬が残留してくるということにつきましては、やはり学問的にもそういった点に対する配慮が少し乏しかったということは率直に申し上げざるを得ないということでございます。そういうようなことでございまして、引き続きもちろんその一般食品と同じ扱いで調査は行なっていく予定ではあったのでございますけれども、あと回しになった、かようなことでございます。
  139. 田中寿美子

    ○田中寿美子君 それ、非常に私はおかしいと思っているわけなんですね。何でもアメリカのやり方をならう日本なんです。アメリカはDDTに対して、塩素系殺虫剤に関して非常に研究をしていて、そしてもう百四十種類の薬品について、二百種類の食品のBHCの許容基準をきめているわけですね。それで、もちろん皆さんはそういうものを読んでいらっしゃると思うのですけれども、レーチエル・カーソンの有名な著書もありますし、そのほかたくさんの研究がある。また報告も出されているわけです。そういうものを読んでいらっしゃると思うので、当然、牛から乳に出てき、バターにも出てくるということについて御存じなかったというはずはないのですね、なぜそれがそういうふうに怠慢であったのかということがふしぎでならない。厚生省は、食品衛生部門について食品衛生課と乳肉衛生課と食品化学課と三つに分かれたわけですね。あれは昭和三十七年ごろですか。わざわざ乳肉衛生課というものができたのに、その乳肉衛生課はそれじゃいままで何をやっていらっしゃったのですか。
  140. 金光克己

    ○政府委員(金光克己君) 乳肉衛生課は、もうその看板どおりと申すか、名前のとおりで、大体乳関係、乳製品関係、魚関係、そういったようなものにつきましての衛生上の規制を行なうと、また指導も行なうと、こういうことで仕事としてはやっておるわけでございます。
  141. 田中寿美子

    ○田中寿美子君 それで、BHCに関してはいつごろから、肉、魚、卵、乳についておやりになり始めたか。それから、水とか野菜類ですね、いまの八種類、十二品目の野菜類、そういうものについてはどのようなデータが出ていたか。そういうことです。
  142. 金光克己

    ○政府委員(金光克己君) 牛乳の中のBHCの調査を厚生省が本格的に始めましたのは昨年の七月にスタートしたわけでございまして、実際的には十一月から調査研究が実態的に動いたということでございます。これは、一つには、外国におきましてもDDTが非常に問題になってきたということで、アメリカでも規制をする、その他の国でも規制をするという問題が起きてまいりまして、そういう動きで、そういうさなかにおきまして高知衛生研究所におきまして牛肉中の残留農薬の研究をしておったということでございます。これは昨年の十月に学会で発表になったものでございますが、昨年の夏に、国立衛生試験所に、かような結果が出てきておるという問題が提起されまして、そういうことで、さっそく厚生省科学研究費をもちまして研究に着手したと、かような経過でございます。  それから肉とか野菜の問題でございますが、当初から、牛乳のほか、肉、それから乳製品等につきまして調査をするという計画で進めておりましたが、重点的に牛乳に重点を置きまして現在まで調査をやってきておるということでございます。引き続き肉とか乳製品も現在調査を進めつつあるわけでございますが、いままでの部分的な検査成績におきましては、やはり肉にも残留農薬、BHCが含まれておるわけでございます。ただこれは肉の摂取量の量的な問題等から考えまして、問題がないというわけじゃございませんが、非常に大きな役割りを果たすとはいまの段階では考えておりません。卵におきましても若干やはり残留してまいる。そういうことでございますが、これは引き続きいま研究を進めておりますので、そういうことで処置してまいりたいと考えます。いずれにいたしましても、飼料の中のBHCを減少させればこれはもう牛乳にも肉にも減ってまいるわけでございますが、そういう方策を強力にやっていくことが一番根本問題だと、かように考えております。
  143. 田中寿美子

    ○田中寿美子君 緊急の問題としては牛乳が出たわけですけれどもね、ところが、高知の衛生研究所ではもう昭和四十一年から調べているわけですね。乳肉その他、牛乳、魚、あれが発表になってもほとんど問題にしなかったということは、非常に私ふしぎに思うのですがね。そして野菜等はやってあった、野菜のほうのデータどんなデータが出ているのですか。
  144. 金光克己

    ○政府委員(金光克己君) 野菜につきましては量的には非常に少ないものでございますけれども、野菜につきまして御承知のように、すでに八農薬の残留許容量もきめております。これは現在十二食品でございますが、今後引き続きこの食品の数はふやしていくということにいたしているわけでございます。その中にはBHCとかディルドリンとか、みな農薬含まれているわけでございます。野菜につきましては、もう規制を行なっているということで、現在までその基準に基づいた調査におきましては、その基準をオーバーしたというものはない、かような実情でございます。
  145. 田中寿美子

    ○田中寿美子君 水や土壌やそれから母乳はどうですか。これは昨年来大阪か何かで母乳の検査もしておりますね。そういうこと当然つかんでいらっしゃるはずだと思うのですけれどもね。いかがでしょうか。
  146. 金光克己

    ○政府委員(金光克己君) 当然土壌の中にも農薬が残留しているということでございます。それから水の中にもやはり農薬が含まれているということでございますが、やはり水の中におきまして、水の場合も全国的に広く調査はまだいたしておりませんが、一部調査いたしました資料によりますと、やはり普通は百万分の一でPPMを使いますが、PPBと申しまして十億分の一と思いますが、そういったことでまいりますと、大体三PPBと申しますか、そういった程度のBHCが残留されているという結果は出ておりますが、この量は全般的な食生活の中における量、これは一般の川水等に含まれているものでございまして、それから井戸水等につきましてはうんと減ってまいるわけでございまして、食生活の中におきます全般の量としてはごく微々たるものであるという問題でございます。
  147. 田中寿美子

    ○田中寿美子君 それね、国立衛生試験所なんかでちゃんと研究しているのですか、一体。それで、これはここにたとえば大阪の府衛生研で、母乳を、大阪市の母乳、四十四年十二月、母乳から〇・二九三PPMのBHCを検出しておりますね。それから高知衛生研では昨年六月から八月にかけて牛乳の中に、ベータ七・一六PPM、牛肉、べータで一三・六八、鳥肉一・三五というようなものが出ている。野菜についてはやってきた――しかし、もうほんとうにこの点ではよく御存じのはずなんで、脂肪分にBHCが入ってくるわけなんですからね。ですから何よりも先に川の水の中に少量でもありましたらそれは淡水魚なんかに入ってくるわけですから、ですからやらなければいけないものだと思います。それから土壌の中にはBHCが毎年毎年たくさん入れ込まれている。午前中農林省の方はそれはどんどん分解していってなくなってしまうようにおっしゃったのですが、べータは分解をあまりしないのですね。それでそういうまたベータがBHCの中では一番分量が多い。七〇%のベータです。そういうようなことがあるにもかかわらず、そういう問題はわりあいと無視しておられる。そこで高知衛生研究所の上田雅彦技官は、人体の中に残留する、蓄積されるBHCの研究をされて、ずっときたわけですね。それで私昨日電話でお伺いしましたら、七十四件について人体の検査をした。つまりこれは外科手術かなにかしたときの肝臓とか、じん臓とかの一部を見たりあるいは脳の中枢神経なんかを見ておるわけですね。それらに全部BHCの蓄積があるわけです。これは何から入っているかといいますと、日常口から入ってくる、食品全体から入っていって蓄積されておる。だから、ガンマのことばかりおっしゃるけれども、ガンマのほうは分解して出ていくことがあり得る、ベータのほうは蓄積する。ガンマのほうもやはり蓄積するということを上田技官は言っておられますけれども、いままでの常識ではガンマはみんな流れてしまうようなことをおっしゃることは、一体その点国立衛生試験所あたりで研究したことがあるのかないのか、その辺をはっきりしていただきたいと思います。
  148. 金光克己

    ○政府委員(金光克己君) 高知県衛生研究所で、人体の中におけるBHC等の蓄積につきましては研究しておることは知っております。ある程度蓄積しておるわけでございまして、これは神戸大学の喜田村教授等からも発表があったわけでございます。ただこれは喜田村教授等の御意見では脂肪の中に平均一二PPMぐらい含まれておるということでございますが、これは脂肪の中でございまして、肝臓とか臓器等については、大体約十分の一ぐらいが肝臓とかいう臓器に含まれている、こういうことでございます。それから岡山大学の平木教授の御意見も、ずっとお調べになっておられまして、大体蓄積する、がまだBHCの蓄積によって障害は起きていないということ、それからある一定以上は蓄積しないと、こういうことを言っておいでになるわけであります。それで国立衛生試験所におきまして本格的な研究を始めましたのはやはり昨年からでございまして、サルによりまして実験を進めております。従来はラット等で研究されておりますが、ラット等は非常にBHCに敏感だということで、人間に近いサルをもって実験するのが一番いいというとで実験いたしておりまして、現在も進めておるわけでございますが、さようなことでございます。研究としては昨年来やっております。かようなことであります。
  149. 田中寿美子

    ○田中寿美子君 たいへんおそいわけですね。非常にその辺私は疑問持つんですけれども、そこまで言っている時間がなさそうですから……。国立衛生試験所あたりで予算も少し、人員も少し、専門家も少しという中でやるということ、非常にたいへんだと思うんです。先ほども私は厚生大臣に質問申し上げたのですけれども、国立公衆衛生院とか、それから国立衛生試験所とか二つ以上の機関でこういう動物及びできれば人体も、けが、手術したときなんかの、そういうものの調査なりということをやるようにして、BHCの蓄積の状況をほんとうにはっきりつかんでいただきたい。それから、BHCだけじゃありませんね、さっきおっしゃったディルドリンとか、非常に猛毒のある農薬の中にはほかのものも出ているわけなんです。そういうものも研究を少し大々的に緊急にやってもらわなければいけない。もしそれでなお予算がおそらく足りないと思うんですが、そうしたら科学技術庁の特別研究促進調整費というのがございますね。あそこに依頼してでも大至急やらないといけない問題だと思うんです。これはそのときの許容量以下だったからだいじょうぶだなんということじゃなくて、やっぱり慢性毒性、それから蓄積していく状況、その他のものとの相乗毒性もあるわけでしょう。ですからこういうことでも研究をぜひ進めてほしいと思うんですけれども、それはどうお考えでございますか。
  150. 金光克己

    ○政府委員(金光克己君) 先ほども申し上げましたように、国立衛生試験所では、いま本格的な研究を始めておるわけでございますが、昭和四十五年度におきましては、新規の予算といたしまして食品研究費も計上いたしております。その中でやってまいりたいと、かように考えているわけでございますが、御指摘のように、必要に応じてはほかの研究費等の御援助も得て研究は進めてまいりたい、かように考えております。
  151. 田中寿美子

    ○田中寿美子君 その点は遠慮しないですぐやらないと人間の生命に関係します、ゆっくりしておりますと。これはいつもこういった種類の公害とか、有害な物質というものは早目に手を打たなければだめだと思います。そこで牛乳の問題ではまるで盲点であったかのように言われることは非常に私は不可解なことなんです。この委員会の前に何人かの農林省の方にもお会いしましたけれども、まさか牛乳に出るとは思わなかった、盲点であったということをおっしゃるのですが、これは非常におかしいので、ほんとうにそう思っておられたのか、あるいは急に発覚したのでそういうふうに言われたのか、私はおかしいと思います。そこでけさほどから申し上げましたその四月二十一日に発表される以前に、十二月の段階でもうすでにわかっていた各地の牛乳の汚染について、まず農林省に対してどういうふうな申し入れをし、どういう対策をされたかということと、それから酪農家に対してはこれは直接には農林省だと思うんですけれども、厚生省のほうでは業界に対して指導したかどうか、一体どういうようなことをなさったかということですね、それを伺いたいと思います。
  152. 金光克己

    ○政府委員(金光克己君) BHCが牛乳の中にかなり含まれておるということは昨年十一月の調査でわかってきたわけでございます。一部のデータがわかってまいりまして、さっそく農林省のほうには申し入れをいたしまして、なぜBHCが残留するかという問題につきまして追及を行なってもらうということを申し入れると同時に、また中途過程におきましてどうも飼料の中の稲わらが一番問題だという問題も提起されてまいりましたので、そういったことにつきましてはさっそく措置を講じてもらいたいということと、それから御承知のように、十二月の初めに業界に農林省の指導でBHCあるいはDDTの製造も中止したということ、それから飼料に使うものには散布しないというようなことにつきまして農林省のほうで指導してもらったと、かようなことでまいりまして、実は三月までの結果調査におきましてある程度もう少し減るのではないかという実は希望も持っておったのでございます。ただ、一月、二月はまだ稲わら以外の飼料もなかなかにわかに切りかえられないということと、農林者の指導も一月の末に大々的といいますか、本格的な指導が始まったというようなことで、二月の段階ではどうもまだ結果が出なかった、三月の調査結果におきましてはある程度減少の傾向が見られておる、そのようなことでございまして、そういうことで進めてまいっております。今後飼料の切りかえにつきましては強力に推進していくということを農林省とも協議いたしておるわけでございます。  それから業界に対しましては、これも昨年末来BHCの残留につきまして業界自体としてもいろいろと検討をして、その対策を講じてもらいたいというようなことを申し入れまして、業界自体もいろいろと飼料を切りかえればどの程度減少するかというようなことも検討されたというような経過でまいっております。
  153. 田中寿美子

    ○田中寿美子君 問題は、そのBHCに汚染された稲わらを一切使わせないという方法がそのときは一番緊急のことだったと思うのですが、それが必ずしもそうはいっていないと、これは私も末端の酪農家のところでそれを発見したわけですがね、何カ所かで全然農林省の通牒なんというようなものを知らない農家がたくさんいたということなんですね。ですから、私はその間の対策が非常に緩慢であったと思っておるのですが、そこに一体厚生省と農林省との指導の面でちょっと継ぎ目のところがうまくいかないんですね。それでどうもちゃんといってないということを感ずるわけです。  そこでそのことに関連して、BHCの製造中止、これは十二月の十日に製造中止をされた。ここの問題なんですが、先ほど農林省の方に伺って、中止ということ自体は、非常にあいまいだと思っているわけなんです。製造を中止しても、在庫量がたくさんあって、これは使用することはできるわけですね。それで、指導としては、稲の穂ばらみ期までは使ってもよろしいというわけですから、全面的に使うわけですね。それは土壌にも残るだろうし、水にも残るだろう。農林省の人はそんなには残らないように言われますけれども、これは、私は、厚生省の人は十分調べなければならない。水や土壌に、それから米にははたしてどれだけ残るか。これはどうしても四十三年産の米については、これは調べてもらわなければならない。ですからよけいその調査が必要なんですけれどもね。  そこで、これは農林省の方ですが、さっき私が質問していたときに、農林省の方がくだらない質問をしていると言われたらしいけれども、私のほうから言えば、答弁が実にくだらなかった。私がお尋ねしたことに対して、具体的には答弁にならない。そこで、つくってきた作文をべらべらしゃべっておられたけれども、私たち、これは質問時間に限界があるんです。たくさん質問をつくってきたのに、みな飛ばしているわけですよ。もっともっと言いたいことはあるのです。  そこで、さっき、BHcの総量に対して――製造量ですね、私が、BHCのガンマ、ベータ、その他全部を含めての農薬の製造量、四十四年、四万三千トン製造しているというデータがあるのですが、そのガンマBHCのところだけで言っていらっしゃるのですね。そこでリンデン化したガンマBHCのことだけ言わないで全量、BHC全体、これがどのくらい在庫していて、今年度どのくらいを使うんで、そうして輸出にはどのくらい回すのだ、それの大部分が全購連の手にあるなら、これは一体どう処置していくのか。今後、まだ流れてBHCが出回るのではないかという疑いを持っているのですよ。その辺、もう少しはっきり具体的に答えてください。
  154. 遠藤寛二

    ○説明員(遠藤寛二君) ガンマBHCの部分だけがそれだけ出ているというんじゃございませんで、BHCがベータ、アルファ、ガンマとございますが、それをガンマBHCに換算してというお話でございます。要するに、原体という意味でございます。原体としての意味はそうでございます。それで、実際に製剤になります場合には、粉にしてまきます場合、水和剤としてまきます場合、混和剤としてまきます場合といろいろございますが、一がいに私のほうでBHC何万トンと申しませんが、全体の量をガンマとして計算をし直した場合の増減がありますので、先ほど申し上げました数字は原体としての全量に当たるわけでございます。  それで、その量がガンマBHC換算でいきまして、平、ぜい、大体現在在庫いたしておりますのが先ほど申し上げました二千五百トンでございます。で、その二千五百トンのうち、通常、大体七百トンが輸出に回るわけでございます。それで、そのままでいけば残りの国内向けに使われますものは四十五年で千八百トンくらいあるわけでございます。これは全部全購連というわけではございません。全購連と商社系統と両方ございますが、おもな部分は全購連系統組織で流れているわけでございます。  それで、どうなるのかというお話でございますが、私どものほうとしましては、先ほどもちょっと御説明申し上げたわけでございますが、稲の病害虫、特に二化メイ虫の防除剤の半分がいままでBHCにたよっておりましたものですから、急速に切りかえができないという事情がございます。それから、流通いたします稲わらというのは、全体の稲わらからいたしまして、大体えさになっている稲わらの量は、これも推測でございますけれども、大体一割ないしそれ以下であるということでございますので、えさに関係のない稲の部分まで、全部、全面的に禁止をいたしますことも少し問題がございますので、それに全面的に切り変わりました場合に、稲のメイ虫の一化期から全部田植前となり、あるいは低毒性の有機隣剤に切りかえるということは、いままでのなれの問題もございますし、実は薬の製剤が間に合わないというおそれがございましたので、やむを得ず一化期だけでございます。先ほど先生は穂ばらみ期までとおっしゃいましたけれども、穂ばらみ期はもうだめでございまして、穂ばらみ期にかかってはもういけないので、それ以前ということで、大体一化期の一回目ということにしておるわけでありまして、その分でございますと、先ほど申し上げましたように、大体稲のわらの中に残りますBHC、これもガンマ換算でございますが、ガンマ換算で〇・一PPMのオーダーになりますので、それが牛乳という形になります場合には、厚生省のほうで安全と言っておられる限界をはるかに下回るということでございますので、一応は第一化期までにした。それも、なおかつ、万一の場合、稲わらがえさに流れるという場合があっても、そのときに押えられるということでございます。  それからもう一つは、とにかくえさに回るものにつきましては全部押えていきたいということで、先ほども申し上げましたが、地域的な防除組織というものがございますので、その中で毎年防除ごよみというものをこしらえまして、どの薬をいつまくということをきめまして、共同でまくということが大体の主流をなしておりますので、そういうものからはずれましてえさに回るもの、あるいは流通稲わらになっておるというようなものにつきまして禁止の措置をとっていきたい、それによりまして切りかえ期まではやっていきたい、そういうふうに思っております。
  155. 田中寿美子

    ○田中寿美子君 そうすると、来年はBHCは大体消費してしまって国内向けはなくなるというようなことに、あなたの説明だとそうなるわけですが、それからもう一つですが、私は今度の牛乳の汚染のデータを見まして、そしてこれがBHCの使用量と対応している、並行しておるという説明がついていましたから一それで農林省の方に、昨年度のBHCの生産量と消費量地域別に見せてくださいといったら、それはくださらないで、牛乳の量とか作付反別とか、私の求めてないものをくださったわけなんです。それで明らかにBHCをたくさん使ったところでたくさんのあれが出ていたに違いないわけなんで、それの、BHC消費量というものをあとで――私いま時間でございますからもうやめなければなりません――そこでひとつ要求、これは厚生省のほうに、先ほど申しましたように、BHCについては米、稲わら、米でも玄米と七分づき、それから精白米、これは心配ですから、これは体内に蓄積していく可能性があるわけですから、それから土壌、水、これは井戸水と飲料水、それから牛乳、乳製品、それから肉類、魚、卵、そういうものについて継続的にぜひ検査をしてほしい、さっきも申しましたように、国立衛生試験所、公衆衛生院、さらに科学技術庁の調整費を使うとか、こういうことでやってほしいということです。もう一つは、外科医が解剖するときに、その人体の中の脂肪分の多いところで調べてみてほしい、そういうようなこと。さらに動物実験ですね、さっきおっしゃった、サルでやるとおっしゃったけれども、サルだけではたしていいかどうか、ラット、マウス、そういう敏感なものもやってほしい、それから妊娠中のそういう動物がどういう反応を起こすのかというようなことも、どうしてもこれは緊急を要するものですからやってほしいのです。それから塩素系の農薬、BHC、DDTその他まだいろいろありますね。あまり発表されていないけれども、ディルドリンとかドリン剤、そういうものに対してこれを調べる方法、厚生省が農林省に言い、農林省が通達を出し、そしてそれが下部へどうなっているかというようなことについて、実際にモニターする制度がないんですね。それをぜひ確立してほしいということ。それからもう一つは、これは公害部長さんがいられるかどうか。さっきから申しておりますように、環境汚染に関して、やはり農薬というのを公害の中に入れて対策を立てるべきだと思うので、その点。それだけです。まずそれについての局長の御答弁を伺います。
  156. 金光克己

    ○政府委員(金光克己君) 第一番の問題で、米とか井戸水、土壌、それから牛乳のほかに肉、魚、乳製品といったものを継続的に調査していくということは、御指摘のように、現在の全国で組織しております八ブロックに分けての研究班で継続的に調査していく予定でございます。  それからお米の問題が出ましたが、いままで調べた範囲では精白米の中にはBHCはほとんど含まれていないということでございます。  それから第二番の外科医等の病理解剖のときの体内における蓄積量あるいは障害についての研究でございますが、これはぜひひとつ続続的にやってもらいたいと考えておる一項目でございます。  それから塩素系のその他の農薬の問題でございますが、これにつきましてエンドリンとかディルドリンはもう現在検出もいたしておりませんけれども、これは毒性が強うございますので、使用をとめておる、かような実情でございます。  なおモニターと申しますか、どうやってチェックしていくかという問題につきましては、実態的に検査いたしますのは、各都道府県の衛生研究所がやっておりますので、これは連絡は十分やっておるわけでございまして、農林当局と連絡をとりながらやっておるのが実情でございます。  それから環境汚染の問題でございますが、公害との関係につきましては、先ほど大臣からもお答えしたようなことでございまして、いろいろと研究はしてまいりたいと、かように考えておる次第でございます。
  157. 田中寿美子

    ○田中寿美子君 こうやっておりますじゃなくて、実情がたいへん違うものですから、私はほんとうにモニターができて、そしてそれを改善できるような方策をほんとうに考えてほしい、こういうことです。  それから最後に、委員長にお願いしたいのですが、資料要求をしていただきたい。これはアメリカのDDT報告書というのが厚生省に来ているはずなんです。非常にこれは膨大なものなんですけれども、DDTという塩素系殺虫剤で、体内に非常にたくさん蓄積する薬品でございますから、これがもちろんBHCにも大いに参考になるわけで、ですから、このDDTの報告書を国会にもいただきたい。この委員会に要求していただきたいのです。お願いします。
  158. 松井誠

    ○委員長(松井誠君) 日本語訳ですか。
  159. 田中寿美子

    ○田中寿美子君 いま訳されていないんじゃないでしょうか。原書で来ていると思いますが、どうですか。
  160. 松井誠

    ○委員長(松井誠君) 原文のままでいいですね。
  161. 田中寿美子

    ○田中寿美子君 原文のままでけっこうです。
  162. 松井誠

    ○委員長(松井誠君) 厚生省、それはありますね。
  163. 金光克己

    政府委員(金光克己君) 一部の資料でございますが、わかっておる範囲でひとつ提出したいと思います。
  164. 松井誠

    ○委員長(松井誠君) では提出方を要望しておきます。
  165. 小平芳平

    ○小平芳平君 水質の問題についてお尋ねいたします。  今回のこの法律改正によって水質の汚濁を防ぎ、また水質の保全をしていくというのが趣旨であるのは当然でありますが、いかにしてこの効果をあげていくかという点から若干質問をいたしたいわけであります。  前回の特別委員会には企画庁の政務次官がおいでいただいておりました。また、つい先ほどの厚生大臣にも質問した点でありますが、水銀につきまして、いままではメチル水銀が規制の対象になっていたわけですが、前回の委員会及び先ほどの厚生大臣の答弁によりますと、厚生省としてはエチル水銀の排出規制をすみやかに実施するように意見を企画庁に申し入れしたいという点が一つです。  それからもう一つは総水銀、トータル水銀についての排水規制を環境基準の項目に加えることについて検討を進めていきたい、こういうふうに厚生省からは答弁がありましたが、実際に基準をおきめになる企画庁ではどのような予定をしていらっしゃるかお伺いしたい。
  166. 佐藤一郎

    ○国務大臣(佐藤一郎君) エチル水銀も含めましてトータル水銀について、これを追加すべく目下検討しておるところでございます。
  167. 小平芳平

    ○小平芳平君 そこまではこの前も伺ったわけですが、大体いつごろの見通しでありますか。
  168. 佐藤一郎

    ○国務大臣(佐藤一郎君) この次の審議会がたしか五月の末ごろになると思います。それまでに調整をはかってそこにかけたい、こういういま目途でやっております。
  169. 小平芳平

    ○小平芳平君 それから今回のこの改正は、指定水域の水質の測定ということが出ております。「関係都道府県知事は、当該指定水域の水質の汚濁の状況をは握するため必要な測定を行なうものとする。」この点については監視体制が実際できるものかどうか、実際にそういう監視体制あるいは測定する機具、そういうものができるものかどうか、当然これは少なくとも指定水域についてそうした測定をする、監視をするということは当然なわけですが、どの程度可能な見通しかどうか、その点について。
  170. 佐藤一郎

    ○国務大臣(佐藤一郎君) 現在御存じのように、われわれもできるだけ水域の指定を急いでおるわけでございます。そうしてなお企画庁がいわゆる水域を指定しない部分につきまして、都道府県か条例でもってこれを指定する、こういうことでできるだけ遺漏のないようにしてもらう予定でおります。そうしてそうした地域については当然監視を行なわなければならない、こういうことになっております。ただ全然目下指定をしていない地域についてまでは、まだ手が届いておりません。まず指定水域を中心にしてできるだけその充実をはかるという実情になっております。
  171. 小平芳平

    ○小平芳平君 そういうふうに答弁されますけれども、あと実際に私が具体的な川をあげて厚生省のほうへ質問いたしますから――現状はいかに監視体制ができていないかということがあるわけですね、問題点としまして。実際大気汚染はある程度観測器、テレメーターなどを使いましてやってはおりますけれども、川の水質汚濁は実際できていないんじゃないですか、いままでは。いかがですか。
  172. 西川喬

    政府委員(西川喬君) 現在まで指定水域につきましては、アフターケアの予算を各地方公共団体に配賦いたしまして、指定いたしました以降の流水の状況についてどういう状況になっているかということを監視いたしてまいりました。それが必ずしも十分でなかったということはある程度あるかとも思いますですけれども、今回流水につきましての環境基準が設定されましたのを機会に流水基準、環境基準が維持されているかどうかということにつきまして、これは非常に重要な問題でございますので、今後監視測定体制の整備要綱というものをまとめまして、それに基づいてこの体制を整備してまいりたい、このように考えております。
  173. 小平芳平

    ○小平芳平君 まあこれから整備する段階だと思うのですね、で、それはもう大至急整備していかなければ、せっかくできた環境基準も意味をなさないわけですから。  そこで厚生省に伺いますが、先ほど厚生大臣は、全国の公共用水域について水銀の汚染状況を調べたい、指定水域というようなことじゃなくて調べたいと言われたのですが、私は、これは厚生省で聞いた数字ですが、これでよろしいですか。四十二年の調査で、水銀を扱う化学工場が百九十四あった。その後調査を進めた結果、四十二年度四十七工場、四十三年度十五工場、四十四年二十二工場、四十五年は二十ないし二十五工場の排水について調査することになっていると、こういう数字でよろしいでしょうか。
  174. 城戸謙次

    政府委員(城戸謙次君) 大体合っておりますが、少し細部違っておりますので申し上げますと、最初に言われました百九十四工場でございますが、これは四十年十二月末で調べましたのが百九十四でございます。その後大体二十程度が事業をやめるとかあるいは工程を転換するとかということで対象外になっておりますから、この数は若干減っていると思います。それから私どもが調査をしました数は、これは実は一つの工場を二度やっているのがありますので、実数で申し上げますと、四十一年度が三工場、四十二年度が四十七工場、四十三年度が十二工場、四十四年度が二十工場、ここには工場のほかに鉱山も一部入っておりますが、実数で八十二事業場、鉱山、そういうことになるわけでございます。そのほかにダブってありましたのがございますから、延べでいきますと百五鉱山、事業場ということになっております。
  175. 小平芳平

    ○小平芳平君 したがって、実際問題としては、この程度の能力しかないわけですか。この程度でいきますと、全水域にわたって――水域といっても全く水銀に関係がないというふうに見られるところも多いでしょうけれども、せめてこの辺はと思うところを終わるのは何年くらいかかる予定でしょうか。
  176. 城戸謙次

    政府委員(城戸謙次君) これは実は水銀問題がいろいろやかましくなりましてから私どもが厚生省の立場で重点的にやってまいった数字でございまして、現に通産省のほうでも一部やっておられますし、それから工排法の特定施設に二つ、食塩電気分解工場あるいは塩化ビニール合成の工場というふうに指定されましてから、経企庁のほうでもその二つに重点を置いて調査されているわけであります。私どもとしては、むしろそういう調査がなされないような中小のものがございますが、こういうものを中心に今後はやっていきたいと思っております。  なお、先ほど申し上げましたのは、工場調査として私どもが対象としましたものの数でございますが、そのほかに、河川をとらえまして河川の調査あるいは海域の調査をやったのに関連しまして若干の数の工場等を調査をいたしております。
  177. 小平芳平

    ○小平芳平君 したがいまして、厚生省としては大体調査したいというところは調査しつつあるということなんでしょうか。それとも水銀問題がやかましくなった現在、もっともっと充実した、拡大した調査を計画しなければならないか、その点の見通しはいかがですか。
  178. 城戸謙次

    政府委員(城戸謙次君) 私どもとしましては、この全数を全部常に把握していくというかっこうの調査でございませんで、むしろ一番問題のありそうなところを重点的にとりあえずやるということ、あるいはモデル的な形でのいろいろな種類の水銀あるいはその合成化合物の使用工場を調査するということ、こういう点をやってまいっておりますので、ほぼ現在までで所期の目的は達したと思っておりますし、今後はむしろさっき御指摘のような常時監視測定、そういうものにいかにのっけていくかというところに一つの行政としての取り上げ方の問題があろうと思います。
  179. 小平芳平

    ○小平芳平君 それにしても、たとえば富山県でいえば、小矢部川の調査は四十三年からやって、ようやくことしになって指定になる、神通川のほうはことしから本格的な調査に入るというような話も聞いたんですが、そうなんですか。
  180. 城戸謙次

    政府委員(城戸謙次君) 小矢部川につきましては、前に問題が起こりました時点でいろいろ調査も厚生省としていたしましたが、その後経企庁のほうでもいろいろ調査なさっておるということを聞いております。神通川のほうは、四十二年から実はさっきもお話ししましたように毎年調査をいたしてまいったわけでございまして、対象の工場が見つからなかったということで、主として河川の魚類とそれから河川の泥質の調査ということにこれまでは終始してまいったわけでございます。
  181. 小平芳平

    ○小平芳平君 経企庁はいかがですか。厚生大臣は全国的な水銀調査をしたいといって答弁されていたわけですが、神通川の調査を四十五年にやるというんですが、それはもう四十二年からの話なんですが、四十五年、いまになって本格的な調査に入るなんというのは、非常に立ちおくれているじゃないかということを尋ねているわけです。
  182. 西川喬

    ○政府委員(西川喬君) 経済企画庁のほうでやっております調査は、これはいわゆる水質保全法に指定するということで、汚濁全般に関する問題、水質全般に関する問題を取り上げるということになっておりまして、特定の物質の問題に関しましては、御承知のように、メチル水銀につきましては、これはメチル水銀を出すおそれがある工場全部現在指定水域にしているわけであります。神通川におきましても岩瀬運河のところが指定になっておりますが、それ以外の一般的な問題に関しましては、いま先生おっしゃいましたように、神通川におきましては四十四年度に指定調査を行ないまして、四十五年度、本年度基準設定の調査を行なうことにいたしております。  それから小矢部川につきましては、もうすでに調査を終わっておりますので、部会を設置いたしまして、本年度水質基準の設定に入る予定にいたしております。  エチル水銀につきましては、メチル水銀を規制いたしましたときに、実はまだエチル水銀の毒性について明確な結論が出ておらなかったものですからおきましたですが、今回このような問題が出てまいりましたので、エチル水銀につきましても、早急にメチル水銀と同様なおそれのある工場全部について規制をかけたい、このように考えております。
  183. 小平芳平

    ○小平芳平君 いま公害部長さん、所期の目的を達していると言われますけれども、いまのような実情だと非常に地元民が不安なんですね。ですからまだこれからずっと具体的にあげていきますけれども、いまのような公害行政で十分の目的を達しているというわけにいかなくて、なかなかそれは時間がかかることもやむを得ないとは思いますけれども、神通川も基準の設定の調査にことしかかるというわけでしょう。ですから、小矢部川は、もう四十三年の時点で問題になった問題でしょう。そういうように時期的にずれていくということが、非常にその間地元民が不安な思いをしなければならないから、そういうことがないような運営をしていただきたい、これは当然のことだと思いますね。  それからちょっと時間の関係で次の問題としまして、先ほど薬務局長からは、薬事法によってその製薬工場が排水による汚濁が激しいようなときあるいは設備が非常に悪いようなときは、操業を中止させることもできるし、許可の取り消しもできる、このようにおっしゃっているわけですね。そうしておいて、今度は実際に福寿製薬はどうして操業をやめたかといえば、それは自発的にやめていると言っているわけです。ところが、主務大臣から知事が委任をされているんだから、中止命令を知事が出すことができるんだというふうにも先ほどおっしゃったわけです。そうしますと、許可をするか、許可を取り消しするか、それは薬事法により厚生省とともにまた知事が中止命令を出せるわけですか。
  184. 加藤威二

    ○政府委員(加藤威二君) 最初に知事の問題を申し上げますが、私が先ほど御説明申し上げましたのは、工場排水の規制に関する法律、これに基づきまして一ですからこの法律が適用ある場合、これは指定水域の場合でございます。ですから一般論として申し上げましたので、要するに、この法律が適用されております場合には、厚生大臣の権限が知事に移っております。しかし、いまの神通川のこの場合には、これは指定水域になっていないようでございますので、したがって、この法律が動かないと、こういうことでございます。そういう場合に、それでは何にも法的にその規制ができないのかということがその次の問題になってまいるわけでございますが、薬事法におきましては、これは薬事法では少なくとも立法当初の経緯をいろいろ調べてみますると、許可を与えます場合に、必要な構造、設備を要求しているわけでございます、製薬企業に対しまして。その場合に、その必要な設備の中に、排水及び廃棄物の処理に要する設備または機構が備えられているということが一つの条件になっているわけでございます。しかし、立法当時の模様を聞いてみますると、どうもその当時はやっぱり公害というようなことはあまり頭になくて、薬事法で一番大事なことは、製薬企業でできます製品が不潔にならないように、その安全性、それを非常に重点に置いています。構造、設備等も、したがってその工場の中をきれいにするために、ちゃんと排水設備なんかが必要である、こういうのが立法当時の考え方であったようでございます。しかし、法律の条文なりあるいは省令をそのまま読みますると、しかしそれでは外に流すものはどんなきたないものでもいいかどうかということになってまいりますと、それはいいとは書いてないわけでございますから、したがって、法律の解釈といたしまして、私どもいろいろ協議いたしました結果、いまの薬事法で、そういう外に流すのに非常に有害なものを流すと、それによってその地域住民の健康を害するという場合には、当然これは薬事法でも規制できるじゃないか。そういうぐあいに解釈を変えるべきだということで、私どもといたしましては、この法律の条文から当然読めるものですから、それで先ほど申し上げましたように、とにかく最初まず公害関係の法律を適用すべきでありますけれども、それが適用されないという地域について、少なくとも薬の製造工場がきたない、あるいは有害なものを流すということは当然薬事法で規制すべきじゃないか、そういうことで申し上げた次第でございます。
  185. 小平芳平

    ○小平芳平君 ですから、私の質問に対して別の答弁なさったわけですね。要するに、私が質問した点は、県のほうでは厚生省のほうから許可を受けてあの工場はできているんだと、ですから厚生省のほうが操業の中止とか改善命令とかそういうことはやってくれなくちゃ困るんだと、こう言っているわけです。ですからそういう点、厚生省まかせだと不安だから、知事にそういう権限を与えて、地元でそういうことができるようにしてもらったほうが安心なんだという意見があるわけです。その辺、いや知事がやらなくても、薬事法によって厚生省がきわめて厳密に監督をしているというならそれでもいいわけです。したがって、それでは厚生省として、その製薬工場を許可をしてからどのような監督をしてきたか、これはゼロじゃないですか、監督は。あるいは排水の規制とかそういう測定なんというものは全然タッチしていないわけじゃないですか、いままで。
  186. 加藤威二

    ○政府委員(加藤威二君) 先ほど申し上げましたように、私どものほうの薬事法関係のいろいろな監督と申しますか、監視、指導という点におきましては、確かに公害的な面の見方というものが不十分であったということは、これは結果的に、こういう最も衛生上注意しなければならない製薬工場からこういう不祥事件を起こしておるわけでございますから、私どもは監督十分であったということはとうてい申し上げられないのでございますが、私どもといたしましては、いままでの考え方はそういう工場から出します排水その他による公害問題については、都道府県の公害の条例とか、そういうものが主体的にやるから、そっちのほうでちゃんとやってくれているだろうという気持ちがあったわけでございますが、今後は薬事法の運用という面からも十分気をつけてやってまいりたいと思います。
  187. 小平芳平

    ○小平芳平君 そういう同じ厚生省内ですら公害がやっておるだろうと思ったらやってなかった。それでは困るわけですよね、実際。まだこれから毛髪検査を始めるということでありますが、実際大臣は先ほどから、幸いに被害者が出ていないと言われたけれども、実際被害者が出ていないかどうか、これから検査するんですから。そこでもって行政が、県では国だ、国では県だ、あるいは国の中でもそれは薬務局だ、それは公害だと言って、結局その抜け穴になっていたところで被害者が実際に出たらどうするか、実際に被害者が出たら、その人が一人であっても二人であっても重大な問題だと思うので申し上げているわけです。  それから次に、先ほどちょっと申しましたように、県の条例には水銀化合物を入れてない。その水銀は使用工場が知事に届け出なければならないとなっているが、これは工場排水という点からいえば水銀化合物も入れるのが当然なんですね。先ほど大臣は、それは当然だと言いながら、自分はしろうとだからとよけいなことをつけてしまわれましたので、ひとつ専門家にお聞きしたいわけです。
  188. 加藤威二

    ○政府委員(加藤威二君) 私どももこの話の報告を聞きましたときに、県の条例では水銀の場合には届け出るように。ところが、ここで使っておりますのは水銀ではなくて水銀化合物だから、それで届け出なかった、県のほうにも問い合わせたらそれはいいんだと言ったということを工場のほうで申しておりますが、これは水かけ論で証拠も何もないわけですが、私どもといたしましては、その点非常におかしかったという感じが率直に申し上げればするわけでございます。
  189. 小平芳平

    ○小平芳平君 したがって、条例に水銀化合物を入れるのは当然だ、こういうわけですね。  それから次に、先ほどやっぱりこれもお尋ねした点ですが、五月一日の厚生省発表によりますと、熊野川のウグイの汚染については、ずいぶん報道されてきたし、また県もそのことを認めているんですが、厚生省の調査によりますと、熊野川の場合はアユも落ちアユの汚染がはなはだしい、ウグイ並みの汚染が認められたということがあるんですが、それで県と厚生省が見解対立というふうに報道されておりますが、この点はいかがでしょう。
  190. 城戸謙次

    ○政府委員(城戸謙次君) 熊野川のアユについては、特に落ちアユにつきまして最高五・八四PPMというふうに認められた。つまり四月、五月の放流時におきましては非常に低いんですが、この調査時点でございます九月の落ちアユの時期には非常に高い数値を示したということでございまして、これは見解対立と申しますか、具体的なデータについての発表でございますので、対立ということじゃないと思います。
  191. 小平芳平

    ○小平芳平君 それはそうですけれども、問題にしなくてはいけないんですね、問題にしなくては。それは問題にするとなると、要するに、ウグイだけだと、あとはだいじょうぶとなればアユは売れるわけですね、アユもあぶないとなったらウグイとともにアユも売れなくなっちゃうわけですね、それは非常に漁業者にとっても生活問題でありますし、また、実際食べる人にとっても健康上の重大問題になるわけですから、その点はやはり見解対立じゃないという簡単な問題じゃなくて、やはりこれを、こういう結果が出た、どう評価するかということで、県と厚生省がよく打ち合わせしてくれなくちゃ困ると思うのですね。
  192. 城戸謙次

    ○政府委員(城戸謙次君) ただいまのような問題もございますので、私どもとしましては、こういう季節差が大きいアユにつきましては、この五月から十月まで毎月アユの水銀汚染調査をいたしまして、その分析及びデータの公表を特にスピーディーにやるということで、一般の方の心配が出ませんようにやってまいりたいと思っておりますけれども、いま持っていますデータの範囲では、秋の落ちアユだけにつきまして高い数値が記録されているということしか申し上げられないのであります。
  193. 小平芳平

    ○小平芳平君 それから今度は水道のことについてお尋ねしますが、布瀬という地区があるわけですが、この布瀬の町の人たちは、多くはイタイイタイ病のときに水道を引いたわけです。ところが、現在まだ井戸水を飲んでいる人がいるわけです。それは、借家に住んでいるために、大家さんと話し合いがつかないというか、大家さんも積極的に水道施設をつくろうという気持ちがないのか、いずれにしてもいまだに井戸水で生活をしている。そうなりますと、主婦の方で水銀ノイローゼになってしまって、とてもこんなこわいところには住んでおれない、どこかほかに引っ越しをしたいというようなお話、あるいはまた、水はこわいからと言って、水のかわりに牛乳を子供に飲ましていると。ところが牛乳もだめらしいですね、今道の報道によりますと。そういうわけで、いまさしあたってお尋ねする点は、こうした地区には積極的に水道を引くように、大家とその借り主の間に話し合いがつかないというような状態で放任される地区がないようにこれは積極的に進めるべきだと思いますのと、それから実際問題われわれしろうとにわからないですが、そうした放流された水銀が井戸水にどういう影響を与えるか、あるいはどのくらいたったら影響が出るものか、その二つの点についてお尋ねします。
  194. 国川建二

    ○説明員(国川建二君) いまお尋ねの、水銀による井戸水の汚染問題、水道を引く話でございますが、今回の場所を地域的に申しますと、現在すでに富山市の水道事業の給水区域内に一応入っておりまして、住民の方から要望があればいつでも水道を引ける態勢にあるわけでございます。しかしながら、いまお話しございましたように、借家に住んでおられる方などになりますと、その水道工事をやります場合に、費用の負担は住んでいる方の負担になるわけでございますが、やはり借家などになりますと、若干その間に大家と借家人の間の民事的なと申しますか、そういう関係がございますので、そういった話をつける必要がどうしても特別にあるだろうと思います。ただ、水道の立場といたしましては、そういう住民の方の御要望があればいつでも引ける態勢にいたしておりますし、また、問題等がございましたならば積極的にそういった水道を引けるようにいたしたいというように考えております。  それから井戸水に対する汚染と申しますか、影響の度合いということでございますが、これはやはり地質的にいろいろな場合がございまして、必ずしも川の水がそのままストレートに地下水になって井戸に出るとも限らないのでございまして、いろいろな場合がございますから一がいに申せませんが、前回のイタイイタイ病のときなどにおきます例から見ますと、カドミウムにつきましては、地下水を使っておる井戸におきましては全部検出されなかったというような例がございます。今回の熊野川の下流地域はどのようなことになっているかはわかりません。現在市におきまして必要な部落の中から抽出しまして採水し、現在県衛生研究所で研究中でございまして、今月一ぱいまでくらいにはその結果がわかるだろうと思います。したがいまして、現在までのところ、地下水における汚染といいますか、影響はまずないだろうというように思ってはおりますけれども、念のためそういったことを調査を続行いたしておりまして、それによって必要な措置をとりたいというように考えております。
  195. 小平芳平

    ○小平芳平君 そこで厚生省は、神通川の汚染対策としては川魚を長期にわたって大量に食べないようにという指導を出しているわけですね。そうなりますと、実際上ウグイは地元の人が食べている。神通川の流域の人たちはむしろ食べないで、岐阜県とかあるいは富山県の砺波地方とかそういうほうへ売りに行っているわけですがね。ところが、大量に食べるとあぶないぞなんという魚は買ってくれないわけです。当然これは補償の問題を考えなくちゃいけないわけですが、その点について農林省、水産庁のほうから。その点が一点。  それから時間の関係でもう一つついでに御質問いたしますが、厚生省、それから企画庁、それから水産庁の方それぞれにお聞き願いたいのですが、神通川にはマスやそれからアユが死んで流れてくるということがたびたびある。そこで地元の漁業組合の方が、神通川の支流の井田川というところに日産化学の工場があるのですが、その排水路の近くにいけすを沈めた。ところが、一番排水路に近いいけすの中では二十四日に沈めたものが二十七日にウグイ、フナ七匹が全部死んでしまった。そこでまた新たなウグイとフナを四匹入れておいたら、三十日に全部死んでしまっていた。そういうわけで神通川――神が通る川という、昔はきれいな川だったでしょうけれどもね、いまはまるきり都市下水とあるいはそういう工場排水とそれからそうした魚の死体が流れるような、そういうことになっているのが現状なんですが、この点はそこで漁業組合の方がその水を持って、県の衛生研究所へ行って分析してもらおうとしてもなかなかおいそれといかないのですね。衛生研究所では一体それは何を検査してもらいたいのだと言う。ところが、そう言われても漁業組合の人たちはどういうものを検出してもらいたいというその知識がないから何ということも言えない。ところがまた一方では、工場のほうではそれは都市下水のせいだという、そういうことで争いになっている。現に魚は死んでいるということは間違いないわけですが、そういう点はどうでございますか。一体企画庁長官どう考えられますか。あるいは厚生省それから水産庁に補償の問題をお答え願いたいと思います。
  196. 佐藤一郎

    ○国務大臣(佐藤一郎君) ちょっといま私のほうでもわかっておりませんから、これは至急調査を、本年度の基準調査に入れて、至急調査をする以外にないだろうと思います。
  197. 藤村弘毅

    ○政府委員(藤村弘毅君) ただいまお話しのような場合は直接の被害ではございませんけれども、加害者が比較的今度の場合ははっきりしておりますので、民事上の問題として製薬会社と漁業組合の間で、もし損害が明らかになりますれば話をするように指導いたしたいというふうに考えます。
  198. 城戸謙次

    ○政府委員(城戸謙次君) ただいまの井田川の問題につきましては聞いておりませんから、県のほうに連絡してみたいと思っておりますが、先ほどお尋ねございましたアユの問題でございますが、熊野川の落ちアユの中に非常に高いのがあるということを申しまして、今年度におきましては月ごとに調査をしていこう、こういうことを申し上げたわけでございますが、私どものほうは、いま大体推測している範囲でございますれば、ちょうど解禁の時期後のしゅんの時期六月、七月、このような時期ではおそらく問題はないだろうと考えております。これは調査の結果でないとはっきりしたことは申し上げられませんが、私どものほうで見当つけております点では、おそらく六月、七月あたりでは全く問題ないのではなかろうかと、かように考えております。
  199. 小平芳平

    ○小平芳平君 時間ですが、要するに、化学工場の排水によって魚が死んだのか、あるいは都市下水の排水によって魚が死んだのか、魚が死んだことは間違いないわけです。それは一体どこで、どこへ持っていけばいいのですか、そういう。
  200. 佐藤一郎

    ○国務大臣(佐藤一郎君) 先ほどもちょっと触れましたが、私のほうではまだこの地域を指定水域にしておりませんでしたので、普通の場合でありますと、そういう場合に県の条例でもって指定しておるはずであります。しかし、いまの模様でありますと、どうもそこまでも進んでおらないようであります。企画庁としては四十五年度の計画に入れてありますから、そこでもって至急に調査をいたしまして、そうして水質基準の設定をする、そういう手はずになっております。
  201. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 この前の当委員会におきまして、先ほど政府によって発表されました水質環境基準について私は質問したわけでございますが、この環境基準をもって水質の汚濁が完全に解消できるものというふうには私は簡単に考えていないわけです。しかしながら、あまりにもよごれ切った河川を少しでも改善するためには、政府がこの基準を達成するために具体的な施策を立てていくことを私は強く希望しておきたいと思います。こうした意味から、大都市における河川の汚濁を解消する上での最も関係の深い下水道整備拡充について少し質問をいたしたいと思います。  私の手元にあります最近の資料によりますと、東京都内の目黒川太鼓橋付近でBODが四〇PPMになっております。それから神田川、これは河口でBODが三〇PPM、それから私の住んでいる大阪の市内でありますが、寝屋川、これが京橋のほうまで参りますとBODが五〇PPMになっております。また神崎川新三国橋付近ではBODが三六PPM、こういうふうに報告されておるのです。特に神崎川では、私は四十年前に大阪に参りまして、毎日この川の上にかかっておる鉄橋を渡って大阪と宝塚の間を往復しておったわけですが、その当時はこの川で実はみな水泳をやっておった。ところが、今日この橋の上を通りますると、もうくさいにおいがぷうんとしましてとてもいやな感じがするわけなんですが、こういう点から見ますと、まさにこれは川ではなく、ふたをしていない下水だと、こういうふうに言っても差しつかえないような状態に今日なっていっておるわけです。ところで環境基準によりますと、こうした河川についても向こう五カ年間でBODが一〇PPM以下にすること、こういうふうになっていると思いますが、そのためには工場排水の規制を一そうきびしくするとともに、家庭用の排水を下水道に流し込む、こういうことが私は必要だと思うのですが、建設省としましては、大都市における河川の汚濁問題としての下水道整備についてどのような対策を持っていらっしゃるか、具体的に聞かしていただきたいと思います。
  202. 久保赳

    ○説明員(久保赳君) 公共用水域の水質の汚濁を防止をするには、ただいま先生御指摘のように、総合的な対策が必要であろうかと思いますが、特に都市部におきましては下水道の整備が一番基本的なものであるかと思うわけでございますが、建設省でも特にこの点に重点を入れまして、昭和四十二年に下水道整備緊急措置法を制定を願いまして、その法律に基づいて下水道整備五ケ年計画の閣議決定をされたわけでございますが、その閣議決定の中で、特に水質汚濁の著しい地域に対する下水道の重点整備をすることを明らかにいたしております。特にその五カ年計画の中に広域的な河川の流域に着目をいたしました流域下水道の整備ということを盛り込みまして五ケ年計画の閣議決定を見たわけでございますが、残念ながら現状ではその計画が必ずしも計画どおりに進んでおらないわけでございますが、今後とも引き続きその方針で下水道の整備計画を進めてまいりたい、かように考えておるところでございます。
  203. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 これよほど建設省として力を入れてやっていかないと、ただこの法律ができたからといって、その法律の上にあぐらをかいているのでは私はとうてい目的を達成することはできないと思います。あのくさい濁った川をいま言うようなBOD一〇PPMにするためにはよほどの努力が私は必要だと思うのです。ですから、そういうことばだけじゃなしに、実際に具体的な対策を立てて、そうしてこういうやり方でやっていきますということを私は聞いておきたいと思うのです。法律をつくってこれでやりますというのではなしに、具体的にどういう対策を立てるかということです。
  204. 久保赳

    ○説明員(久保赳君) ただいま私御説明いたしましたのは、特に水質汚濁が著しい地域に対する下水道の重点投資ということの意味は、水質保全法の指定水域の中で下水道整備をしなければ水質保全がはかれない、こういう地域が非常に明確になっておりますので、それらの地域に対する下水道投資をすることにしたわけでございます。例をあげますと、先ほど御説明いたしました流域下水道というのは、流域下水道の採択の方針が三つあるわけでございますが、その第一は、公共用水域の水質の保全に関する法律に基づく指定水域の中にある、これが第一であります。第二は、施設が二市町村以上にわたるわけでございますので、二市町村以上にわたる下水道の幹線とそれからそれに接続するポンプ場、さらには一番末端に下水を浄化する処理場、この骨格的な設備を流域下水道、こういうふうにしたわけでございます。第三は、市町村の行政区域を越える、こういう広域処理でございますので、事業主体は都道府県である、都道府県がお金を出して仕事をする、こういう原則で水質汚濁防止対策をしたというのが具体的な例であります。
  205. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 私は、きょう五時までにこれを終わって飛行機に乗らなければなりませんので、私の質問簡単にしますが、答弁のほうも簡潔にひとつやっていただきたい。  次は、下水道整備に関係しての受益者負担金の徴収問題、これは政府の措置としても負担金を徴収しているところへの補助金の支出を優先させると、こういうふうに聞いております。公共施設の建設に住民から負担金を徴収すること自体私は、本来おかしなことだと考えております。このような政府の優先政策は、結局のところこうなるんじゃないですか、受益者負担金を取れ、負担金を取ったらおまえさんのところへ補助金をやるぞ、負担金を取らないとろには補助金をやらないぞ。こういうふうに受益者負担金徴収を奨励することになると思うんですが、どうですか。
  206. 久保赳

    ○説明員(久保赳君) 受益者負担金の制度は下水道全般の制度でございませんで、いわゆる公共下水道に対してのみ受益者負担金という制度があるわけでございますが、これは先生御存じと思いますけれども、公共下水道は町の中の道路という道路の中には全部網の目のように入りまして、市街地の汚水、雨水をそこで排除する、こういう仕組みになっておりますが、下水道整備五カ年計画の閣議決定の中で、公共下水道は国が助成する事業と、それから地方の単独事業と二つに分かれております。国の助成する事業は、施設のうち最も骨組みになるような骨格的設備に対して助成をしております。地方の単独事業のように受益者負担金が入るわけでございますから、そういう制度ができて住民からお金をいただくということは、枝線のほうの整備が進む状態になっているわけでございますので、そういう仕組みができ上がったところへ国がもし骨格的設備をいたしませんと、全体としての機能が働かない、こういうことになるわけでございますので、国と公共団体あるいは住民という、受益者という形で骨組みと枝線と一諸に整備することにいたしておりますので、そのような制度ができたところにはそれに相応する国の助成をする、こういう意味でございまして、そういう制度がないところには補助金がいかない、こういうことではございません。
  207. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 受益者負担金の問題ですがね大臣、大都市におきましては受益者負担金は実際上徴収できないんです。東京や大阪というようなところでは受益者負担金というものは取ることが実際できないんですよ。取ることができないといって、そこには補助金がこないという、こういう形になっておるんです。ところが、大都市におきます下水道普及の緊急性から見まして、こういうやり方は私はまずいと思うんですよ。だから受益者負担金を徴収できない、していない大都市に対しましても、やはり下水道の普及の緊急性という面から考えますならば、私はやはり補助金を出していくように考えていくのが筋ではなかろうかと、こういうふうに考えているんですが、大臣どうでしょうか。
  208. 佐藤一郎

    ○国務大臣(佐藤一郎君) なかなかむずかしい問題ですが、御存じのように、下水道が整備されているかどうかでうんと地価が違うんですね。ですから土地所有者にとってはたいへんなこれは差なんです。ですから私は、土地の所有者が負担金を出すのは、ある意味では当然であるというふうに考えている面もあるんです。つまり、よく最近土地の開発が行なわれて、その開発利益を還元しろという議論がありますけれども、そういうことはやはり一つ一つ具体的にとってみるとなかなか抵抗が多いんですけれども、これなんかもその一つなんです。非常な地価の値上がりをするんですね、下水道をするかどうかで。それを一般の利用しない都民が全部負担するということのほうが一体いいのかどうか、これは私は必ずしも正当であるかどうか多少疑問を持っています。そういう意味で、いまの下水道課長も言うように、枝葉について負担金を取るということは私も一つの方法である――特にまあ下水道を普及する意味においては残念ながら今日まだ一挙にいきません。やっと四割ぐらいを目ざしていまやっておるようなところですから、できるだけ急速にやりたい。そういう意味で、やはりこの負担金制度というものを導入していく、これはみんな各国やっておることでもございますし、いいと思うんです。ただ須藤先生の御指摘のように、わが国は残念ながらこの下水道についての負担金制度というものが途中から始まりました。それで大都市についてわが国では負担金を取らないままに発足してきたところがずいぶんあるのです。そういうところについておっしゃるような御議論がございまして、まあそれは一体どういうふうに処理したらいいか。結局全部の……東京都もそうですが、大都市に多いんです。東京、大阪というような。そういうところは都民全体が結局負担して、最後までやっていく。こういう形になるのかどうか。こういうことになろうと思うのです。いずれにしても国の助成金は事業量に応じておることでありますから、特別の不公平はなくやっておるんでありますが、まあ建設省も目下非常に急いで普及をはかろうとしておる際だけに、負担金制度と補助金制度、いろいろなものを折り合わせ、そうして普及率を向上させようとしておる苦心は私もわかるような気がいたします。どうも大都市につきましてはそういう意味でたいへんむずかしい点があります。そこいらの利害の調整をどういうふうに今後やっていきますか。もういまとなってはちょっとなかなか途中で取りにくいということで、現実には確かにいま取ってないんじゃないかと私も思っておりますが、そこらの現状、ちょっといま必ずしもつまびらかにはしておりません。
  209. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 この政府の行なっておる各種下水道建設についての補助率ですね。これが産業下水、工業汚水処理流域下水道につきましては補助率が十分の五、ところが、他の一般の下水道には十分の四と、こういうような差がついておるわけですね。大都市市街地における下水道建設について、こういうふうに工場から出てくる下水道ですね、これには十分の五。そうでないものには十分の四という差をつけておるということは、どうも私ども考えて、大工場、工場汚水処理に対する優遇といいますか、そういう感じがしてならないのですが、これは改めていくべきだと。まあ低くせいということは私は言いませんよ、十分の五というものがあるならば、一般の補助率も十分の五に引き上げてひとしくしていくべき性質のものじゃないか。むしろ一般の下水道にたくさんの補助金を出していくべきじゃないか。こういうふうに思うのですが、大臣どうですか、こういう考えについては。
  210. 久保赳

    ○説明員(久保赳君) ただいま先生の御意見のうちで、補助率の差がございますのは、いわゆる公共下水道というのが十分の四で、流域下水道というのが十分の五でございますが、流域下水道というのは必ずしも産業排水を受ける下水道ではございませんで、いわゆる各市がやります公共下水道を受けまして、広域的に府県が実施する骨組みの下水道を流域下水道というふうに言っておりますので、私どもといたしましては、広域行政とそれから広域的な水質汚濁対策は普通の公共下水道よりももっと補助率の高いもののほうが、たくさんの人がそれによっていろいろな利害があるものですから、高いのが適当である。こういう観点から高くしておるわけでありますが、産業排水処理ではございません。一般の下水を受ける元受けのような大下水道のことでございますから、その辺先生の御意見はちょっと……。
  211. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 きょうはもう時間が……。
  212. 松井誠

    ○委員長(松井誠君) 本日の質疑はこの程度とし、これにて散会いたします。    午後五時散会