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1970-04-13 第63回国会 参議院 予算委員会第二分科会 1号 公式Web版

  1. 昭和四十五年四月十三日(月曜日)    午前十時十一分開会     ―――――――――――――  昭和四十五年四月十一日予算委員長において左  のとおり本分科担当委員を指名した。                 岩動 道行君                 梶原 茂嘉君                 川上 為治君                 杉原 荒太君                 平泉  渉君                 増原 恵吉君                 山本 利壽君                 木村禧八郎君                 戸田 菊雄君                 羽生 三七君                 矢追 秀彦君                 渡辺  武君     ―――――――――――――    委員の異動  四月十三日     辞任         補欠選任      岩動 道行君     吉武 恵市君      木村禧八郎君     川村 清一君     ―――――――――――――   出席者は左のとおり。     主 査         川上 為治君     副主査         羽生 三七君     委 員                 梶原 茂嘉君                 杉原 荒太君                 平泉  渉君                 増原 恵吉君                 山本 利壽君                 吉武 恵市君                 川村 清一君                 木村禧八郎君                 戸田 菊雄君                 矢追 秀彦君                 渡辺  武君    国務大臣        外 務 大 臣  愛知 揆一君        大 蔵 大 臣  福田 赳夫君    政府委員        経済企画庁調整        局長       新田 庚一君        外務大臣官房長  佐藤 正二君        外務省アメリカ        局長       東郷 文彦君        外務省欧亜局長  有田 圭輔君        外務省条約局長  井川 克一君        外務省国際連合        局長       西堀 正弘君        大蔵政務次官   藤田 正明君        大蔵大臣官房会        計課長      阪上 行雄君        大蔵大臣官房日        本専売公社監理        官        熊田淳一郎君        大蔵省主計局次        長        船後 正道君        大蔵省主税局長  細見  卓君        大蔵省理財局長  岩尾  一君        大蔵省証券局長  志場喜徳郎君        大蔵省銀行局長  近藤 道生君        大蔵省国際金融        局長       奥村 輝之君        国税庁長官    吉國 二郎君        農林省農林経済        局長       小暮 光美君        自治省税務局長  降矢 敬義君    説明員        法務省入国管理        局総務課長    西澤憲一郎君        厚生大臣官房統        計調査部社会統        計課長      石井 律三君     ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○主査及び副主査選任の件 ○昭和四十五年度一般会計予算内閣提出、衆議  院送付) ○昭和四十五年度特別会計予算内閣提出、衆議  院送付) ○昭和四十五年度政府関係機関予算内閣提出、  衆議院送付)     ―――――――――――――   〔年長者山本利壽主査席に着く〕
  2. 山本利壽

    山本利壽君 ただいまから予算委員会第二分科会を開会いたします。  本院規則第七十五条により、年長のゆえをもちまして、私が正副主査の選任につき、その議事を主宰いたします。  これより正副主査の選任を行ないますが、選任は、投票によらないで、主宰者にその指名を御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 山本利壽

    ○山本利壽君 御異議ないと認めます。  それでは、主査に川上為治君、副主査に羽生三七君を指名いたします。     ―――――――――――――   〔川上為治君主査席に着く〕
  4. 川上為治

    ○主査(川上為治君) ただいま皆さま方の御推挙によりまして主査をつとめることに相なりました。ふなれなものでございますが、どうか御協力のほど、よろしくお願いします。  速記をとめて。   〔速記中止〕
  5. 川上為治

    ○主査(川上為治君) 速記を起こして。  審査に入ります前に、議事の進め方についておはかりいたします。  本分科会は、昭和四十五年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、防衛庁、経済企画庁、外務省、大蔵省及び通商産業省所管を審査することになっております。十五日の委員会において主査の報告を行なうことになっておりますので、議事を進める都合上、主査といたしましては、本日午前中大蔵省、午後には外務省、明日防衛庁、明後日午前経済企画庁、午後通商産業省という順序で進めていきたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 川上為治

    ○主査(川上為治君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ―――――――――――――
  7. 川上為治

    ○主査(川上為治君) 昭和四十五年度総予算中、大蔵省所管を議題といたします。  まず、慣例では政府側の説明を求める順序でありますが、説明はこれを省略して、お手元に配布してあります資料をごらん願うことにしまして、直ちに質疑に入ります。  また、説明資料は、本日の会議録の末尾に記載することにいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  8. 川上為治

    ○主査(川上為治君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  それでは、質疑のある方は順次御発言願います。
  9. 木村禧八郎

    ○木村禧八郎君 大蔵大臣にお伺いしますが、昨年九月、公定歩合を引き上げて金融引き締めを行なったわけですが、その目的は、卸売り物価が急に上がった、その卸売り物価の急上昇の大きな原因は、設備投資がかなり行き過ぎているのではないかということで、卸売り物価の値上がりを抑制するためにその大きな原因となっている設備投資を調整するという意味で公定歩合の引き上げあるいは金融引き締めを行なったと思うんですが、そういうふうに理解してよろしいかどうかですね、その点まずお伺いしたい。
  10. 福田赳夫

    ○国務大臣(福田赳夫君) 大体そういうことであります。しかしその前に、日本経済がちょっといま、その成長発展の様子を見まして行き過ぎの傾向にある、そういう見方をしておるということを国民全体にわかっていただきたい、こういうことでございますが、具体的なねらいといたしましては設備投資を抑制する、こういうことであります。
  11. 木村禧八郎

    ○木村禧八郎君 そこで、前に、税制の面から景気調整の措置が講ぜられているわけですね。租税特別措置法の第七節の二「景気調整のための課税の特例」というのがあるわけですね。景気調整のための課税の特例としては、二つあるわけです。一つは、「延納に係る利子税の特例」と、もう一つは「重要産業用合理化機械等の特別償却の停止」と、こう二つあるわけですね。前者のほうは、これは発動されていると思うのですが……。「延納に係る利子税の特例」ですね、これはいま適用されておると思うのですが、どうですか。
  12. 細見卓

    ○政府委員(細見卓君) 発動しております。動かしております。
  13. 木村禧八郎

    ○木村禧八郎君 第二のほうは適用されていないのですか。
  14. 福田赳夫

    ○国務大臣(福田赳夫君) 適用いたしておりませんです。
  15. 木村禧八郎

    ○木村禧八郎君 どうして適用されないのか。私は、こういう際こそ、先ほど大蔵大臣がどうも景気行き過ぎの傾向がある、それを一般国民に認識させる意味でも、日本銀行の金融引き締めを行なった意義がそこにもあるのじゃないか、こうおっしゃったわけですね。そうしますと、そういうときに備えてこの六十六条の六「重要産業用合理化機械等の特別償却の停止」、この規定を設けたと思うのです。なぜ発動されないか、その点を伺いたい。
  16. 福田赳夫

    ○国務大臣(福田赳夫君) これは理論的には、こういう際にこれを発動すべき使命を持っておる、こういうふうに思うのです。ところがよく実情を見てみますと、四十五年度における民間企業設備投資の総額は十四兆六千五百億円、こういうふうに見られるわけでございますが、本条項六十六条の六によるところの該当合理化機械設備投資、これが千二百三十億円と、こういうふうに見られるわけであります。つまり一%にも満たない、こういうような状態であります。そういうことを考えますと、一部の産業にだけしわ寄せがいくという結果になる、そういうデメリットがあるわけであります。そこで、いろいろ検討いたしましたが、この際はオールラウンドで法人税全体の引き上げをする、こういう形をとったほうがよかろう、こういうふうにいたしたわけであります。この六十六条の六のねらうところをもっと拡大いたしまして、全産業の設備投資にこれを及ぼすという考え方をとり、そうなれば、まあ一部不均衡のきらいもあるこの六十六条の六の発動をする必要はないのではないか。そういう考え方に立っておるわけでございます。
  17. 木村禧八郎

    ○木村禧八郎君 この制度は、フィスカルポリシーの一環として考えられたものであって、前にも水田大蔵大臣の当時においてもこの発動が問題になったときに、やはりこれは発動させなかったことがあるのです。そのときには、いま大蔵大臣の御説明とちょっと違うのですね、その発動させない理由が。これは四十三年二月三日なんですが、経済関係閣僚協議会の後記者会見で、水田大蔵大臣はこう言われているわけです。日銀の公定歩合再引き上げに伴って問題化した重要産業用機械の特別償却停止制度、この制度は、これからの設備投資を抑制するよりは、すでに完成した設備に対する企業の負担を増大させる面がある、産業界は労働力不足が長く続きそうな情勢なので、資金繰りが苦しくても合理化投資を行なおうとしているときでもあり、いまこの制度を発動するのは問題である、場合によっては、政府としてもこの制度のあり方について再検討する必要がある、こういうふうに言われているわけです。それで、この制度は、この水田さんの発言によって、当時新聞の伝えるところによると、結局廃止に追い込まれる公算が大きいと報道している。実際は水田さんの言われた四十三年当時においては、こういう説明もある程度うなづけると思う。しかし現在は全くそうじゃないと思うんですね。現在はもう景気行き過ぎで、その行き過ぎの大きな原因は設備投資の行き過ぎにある。そういうときにこそこれを発動するためにつくった制度なんですね。結局鉄鋼、自動車、石油化学、電子工業ですか、三十七業種、この特別償却を一定期間停止して、税制面から景気調整機能を働かせるというのがねらいであったわけです。こういう際に発動しなければいつ発動するわけですか。私は全くその発動の機会というものはないと思うんです。ですから、いま大蔵大臣は一部と言われましたけれども、しかし鉄鋼とか自動車、石油化学、電子工業、三十七業種ですよ。これはもう基幹的なものですからね、非常に私は関連的な波及効果が大きいので、これを調整することによって景気の行き過ぎを是正することができる。一部分というんなら、これをまた改正しまして、これ以外のことについてもそういう特別償却の停止をするようにこの適用範囲を拡大する、そういう御意思があるのか、それとも全く有名無実になってしまって、廃止するのか、どちらかですね。
  18. 細見卓

    ○政府委員(細見卓君) 若干技術的な点の理解がもとになっていまの両大臣の御発言になっておるわけでありますが、その点を申し上げますと、大臣が申し上げておりますのは、三十八業種で設備投資全体の中で合理化機械の投資の金額は非常にわずかなものであると。しかもそれが非常に先端的な部門であるということを申し上げましたのですが、その点を若干ふえんして申し上げたいと思うのです。三十八業種ございまして、確かにいま先生のおっしゃった石油化学とかあるいは自動車とかいうもの、あるいは製鉄というものもございますが、その業種の中でさらに今度機械の種類をしぼりまして、それぞれの業種におきまする一番先端的な、つまり国際競争に伍していくためにどうしても日本としてその産業のレベルアップのためにいま買わなければならないというようなものを合理化機械として指定しておるわけであります。もしこの指定のしかたが、石油化学あるいは製鉄業あるいは自動車産業というふうに、指定してございますれば、いまのような場合にこれが償却をストップするとかいうようなこともわりあい楽なんでありますが、一方で通産行政あるいは産業行政として、どうしてもこれだけは日本のこれらの業種のレベルアップのためにぜひやれ、そのために政策的にもこれだけサポートしたというものが、たまたま金融引き締めの際に、一番サポートしてこれだけはやりなさいよと言ったものだけがやられて、むしろそのほかの一般的な、たとえば貸し家住宅の割り増し償却でありますとか――これが不要だという意味ではございませんが――あるいはホテルの割り増し償却とか、そういう一般的なものはそのままになって、産業政策としてこれが一番大事だと言ったやつを一番先にストップしなければならない。その辺のところが、しかもそれがこれから購入するものではなくて、政府の政策に応じて買わされた人たちが特別償却がなくなるという意味で、金繰りの圧迫になる。その辺に矛盾があるので、制度としてもなかなか動かしにくい。その辺を前大臣の水田大蔵大臣は申し上げたわけでありますし、そういう問題が残っておりますので、今回はむしろ法人の設備投資その他について問題があるとすれば、一般的な法人税において対処したほうがよかろう、かようにいまの大蔵大臣が申し上げたわけで、その辺が技術的に違っておると思います。
  19. 福田赳夫

    ○国務大臣(福田赳夫君) つまり今回の過熱対策ですね、過熱対策につきましてどういう手を打つか、こういうことになるわけですが、とにかくこの六十六条の規定による特別償却停止、これにどのくらいの期待ができるか。そういうことを考えますと、とにかく全設備投資の〇・九%だ、こういう該当しかないわけです。これだけに対して、〇・九%に対して特別償却の停止をやる、それだけで何がしかの効果があろうかということを考えたわけです。で、そういうことになりますと、これはもうどうしても一般的に増税をする必要がある、こういうことになって、法人税率の引き上げ、かような結論に達したわけでありまするが、それと並行して、この〇・九%に当たる設備投資、この特別償却の停止をいたしたということになりますと、この業種だけがダブルパンチになって、この点が問題だというふうに考えたわけです。しかもこれはわが国の産業として非常に重要な基幹的なものである。それにダブルパンチを税制上食わせる、その上さらに金融引き締めの政策を進めております。この引き締めのとにかく直撃的な影響は、これらの産業にまずいくわけです。そういうようなことを彼此勘案いたしまして、今回はおしなべて税率の引き上げ、ただし中小の企業につきましてはこれは適当ではないと考えて、これを除く考え方に至ったわけでありますが、この制度のあり方、これにつきましては、なおまた考えてみる必要があるように思いますが、とにかく今回はそういう考え方で発動しなかったわけであります。
  20. 木村禧八郎

    ○木村禧八郎君 今回はとおっしゃいますけれども、いまのお話を伺いますと、発動する機会というものはありやしませんよ。もともとこれを設けた趣旨は、イギリス等でいわゆる税制面から景気調整のために特別償却の停止というものを行なっているということで、前にもわれわれはずいぶん要求もしたし、議論して、結局そういうふうにした。そしてこれをつくったわけです。そこで、日本銀行が公定歩合を引き上げるときに、その公定歩合その他にスライドして発動するというのが着想だったと思うのです。だから公定歩合をこの間上げたときに、これだけ過熱化しているときに、前に通産省あたり反対したのは、輸出産業に関係のあるそういうものの業種についてどうも設備抑制になっちゃ困るというので反対したことがあると思うのですよ。しかし、いまもう輸出産業については非常に黒字が大幅で、むしろ黒字を調整しなければならぬというときですね。私はもう全くこれは有名無実になってしまっておると思う。むしろこれを効果あらしめるなら、もっと広範に――いま大蔵大臣言われた〇・九%程度ですか、それじゃ一体何のためにこういうものをつくったのか、全くぼくはそれでは意味がないと思う。それならもっと効果的ならしめる、イギリスのように効果的ならしめるには、改定する必要があると思うのです。だから、どういう改定をするのか、前向きに改定するのか、あるいは廃止なのか、どちらなんですか。廃止論も出たように伺っております。前向きに、やはり私は必要だと思うのですよ。そういう制度はやっぱり存続しておいて、そして効果あらしめるように、やっぱりある時期には必要になってくると思うのです。これでは全く意味がないじゃないですか。せっかくここにりっぱに景気調整のための課税の特例として二つ大きな柱として出ておる。公定歩合の変動にかかわる利子税の特例とか、それから重要産業用の合理化機械等の特別償却の停止など、いわゆるフィスカルポリシーの一環としてかなり重要な地位を占めているものとわれわれは理解しておったし、前にはそういう趣旨で設けられたものなんです。ですから、これはひとつ前向きで改正される必要があるのじゃないでしょうか。
  21. 福田赳夫

    ○国務大臣(福田赳夫君) この措置は特別の立法をしないでできるという権限を与えられておるわけであります。ところが、今回は特別の立法をお願いいたしまして、税率全体の引き上げをする、そういうことになったので、この六十六条の便法はこれを発動しないと、こういうことにいたしたわけでありますが、そういう法人税率の一般的な引き上げはいたしませんで、つまり国会をわずらわしませんでも、景気調整のための税制の運用という場合がなしとしないと思うのです。そういう意味においてこの六十六条というものは意義があるというふうに考えるのですが、その六十六条の対象となる業種ですね、これが〇・九%であるというような範囲にとどまると、これはどうも景気調整といってもごく一部への影響力しかないし、また非常にへんぱである、こういうふうに思われますが、政府が立法を要せずして景気調整を行なうという場合もあるわけでありますから、そういう意味合いにおいて、私はこの特別償却停止という考え方ですね、これは私は必要な考え方である、こういうふうに思います。しかし考えてみると、どうもいまの制度それ自体が適当であるかどうか問題があるというふうに考えますので、木村さんがおっしゃるとおり前向きで、つまりこの制度がもっとよく働くようにという方向で再検討してみたいと、かように考えます。
  22. 木村禧八郎

    ○木村禧八郎君 大蔵大臣がおっしゃるとおり、これは非常に機動性を持たせるために特別立法をしなくても景気過熱になったときに設備投資を抑制できる機動的な措置としてあるわけですよ。法人税を引き上げたりなんかするにはかなり時間を要するものですから、すぐ間に合わない、そういう意味で機動性を持たせる、そういう必要上設けられたと思うのですから、いま大蔵大臣が前向きに再検討すると言われましたから、存続するというたてまえで検討されていくなら、これはもっと適用範囲を広範に――すぐに発動するわけではないのですが――やはり発動の必要が出てくると思うのですね。今度の設備投資を中心とする景気行き過ぎを調整する措置としては、どうも金融のみにあまりしわ寄せ過ぎている。だからやはり財政面においてもそれとともに調整措置を講ずべきじゃないか。このほかに繰り延べとかいろいろあるでしょう。ですけれども、その一環としてやはり必要であると思いますので、いまの点は大蔵大臣前向きに検討されていくということでございますから、それで了承いたします。  それから次に歳入面なんですが、自然増収がいつも問題になるのですが、四十五年度の自然増収はいわゆる過小見積もりじゃないかと思うのですがね。あまりこの点で論争しても時間がかかりますから、結論を申し上げますと、私の試算では大体二千億ちょっとこえる自然増収になるんじゃないかと思うのです。いずれにしても大蔵省は全然自然増収の含みなくして予算を組むことは、これはむしろ無理かもしれませんがね、多少弾力性を持たせていただきませんとね。少なくとも二千億以上どうも私はあると思うのです。だって四十四年度もないないと言いながら結局は出てきて、私は結局九百億以上あると思ったのですが、九百億はなかったのですが、補正後、結局、公債を消化しましたが、どうなんですか。
  23. 福田赳夫

    ○国務大臣(福田赳夫君) 四十四年度は、木村さんが九百億、一千億の自然増収は、補正後ですけれども、あるんじゃないかというお話ですけれども、そうはいかないのです。この前も申し上げましたが、まあ三百億はこえるかと思います。それと歳出の不用額もなお精査するとまたそれに積み増しをすることになると思います。したがっていま三百八十億円昭和四十四年度の公債発行未済がありますから、その発行は全部これをとり行なわないということになりそうですが、昭和四十五年度につきましては、これは主税当局は精一ぱいに見積もりをしている、こう言っておるわけです。ただ経済情勢が経済見通しのような動き方をするかどうか、そこが問題だろうと思います。これが経済見通しのとおり動くということになりますと、これはどうも所定の歳入を確保し得るかどうか非常にきわどいところじゃないかというふうに見ておりますが、この間予算委員会のほうで、木村さんが物価の上昇を指摘されておるわけです。そういうような要因もちらほら出てきておる。成長率がどうなるかということが基本的な問題でありますが、物価も四・八%アップと見ておりますが、何とかしてそれ以内におさめたいという努力をいたしております。それが成功いたしますれば、予算には影響はないわけでございます。したがって自然増収の見積もりも大体初めの見積もりのようにいくと思うのですが、問題は今後の物価上昇、またそれと関連して成長、つまりノミナルの成長がどういうふうになっていくか、その辺に問題がなしとはいたしませんが、いまこの見積もりのもとに二千億の増収が期待できるというふうにはゆめゆめ考えておらないのであります。
  24. 木村禧八郎

    ○木村禧八郎君 私は、これは将来のことですからね、根拠なくして論争しても意味がないのです。ただ、政府が発表された数字を基礎にするとそうなるということですね。そこで質問しているわけです。四十四年度の自然増収について見ますと、経済成長率が当初一四・四と見ているのでしょう。税の自然増収を二五・三と見ておるわけです。ところが、四十五年度は経済成長率を一五・八と見ておる。で、税の自然増収は二三・七なんですよ。成長率が高いのに自然増収の率が下がるのですね。そこのところがどうも私は理解できない。それで弾性値を一・七として計算してみますと、四十五年度の自然増収は一兆五千九百五億になるのですよ。政府見積もりは一兆三千三百七十億ですね。そこで二千三十五億というのが出てくるのですけれども、これは機械的なそれの計算なんですけれどもね。
  25. 細見卓

    ○政府委員(細見卓君) 一言だけ申し上げておきます。  いまの弾性値を計算なさる場合に、当初一一四・四と見ておりました見通しが一一八・五に成長率そのものが変わっておるわけですね。したがいまして二、三百の差は出てまいりますが、私どもは補正で見込んだものは、いまの木村先生の弾性値でいえば、一・三でございます。そういうことですから、四十五年も一五・八で一・三でございますから、したがって、もしそういう大数観察でしたら、いまの見通しがほぼという感じになるのじゃないかと思います。
  26. 木村禧八郎

    ○木村禧八郎君 弾性値の見方は、それは議論になるから、時間をとるからこれでやめます。弾性値はまたあとでお伺いします。  それからあと一番最後に需給ギャップの質問をいたしたいのですが、その前に、こまごましたことをちょっとお伺いしたいのです。  中山答申ですか、物価対策としての行政介入ですね、やめるというあの中に、砂糖消費税を撤退しろという、そういう提言があるのですが、これは大蔵大臣いかがですか。
  27. 福田赳夫

    ○国務大臣(福田赳夫君) 砂糖消費税は、一つは財源という問題も考えております。同時に、国内の黒糖ですね、これをどういうふうにするか、援助するかという問題も考えておるわけです。そういうようなことから、なかなかこれを撤退するということは問題があるというふうに思います。現に砂糖は関税がかかっております。これが大きいわけです。その上に消費税、その上にさらに、場合によると課徴金ということになっておるわけですが、それにしても、いま現在砂糖の小売の値段が百三十円、これはそう国際的に見て高い価格でもないわけでありますが、そういうようなことを見ましても、積極的にこの消費税を撤廃することにつきましては、かなりの難点があり、私どもとしてはそう進んだ考え方は持ち得ないというのが率直なところでございます。
  28. 木村禧八郎

    ○木村禧八郎君 次に、公債の問題ですが、公債は四十四年度は当初四千九百億の発行を予定いたしましたが、その後六百億減らして、それからあと四百億減っておる。それでまた今度三百億減らすんですか、大体。
  29. 福田赳夫

    ○国務大臣(福田赳夫君) 三百八十億。
  30. 木村禧八郎

    ○木村禧八郎君 そうしますと、三千五百億台になりますね。幾らになりますか、結局。
  31. 岩尾一

    ○政府委員(岩尾一君) 最初四千九百でございまして、これがいま先生のおっしゃった前年に対して六百減らしたという数字でございます。そこで、四千九百から四百を補正で削減しまして、そうして、いま大臣がお話しのように三百八十億を減らすということになりますから、結論としまして四千百二十億ということでございます。これは手取りベース、収入金ベースでございます。
  32. 木村禧八郎

    ○木村禧八郎君 四十五年度は四千三百億でしたね。そうすると、四十五年度は四十一年度より減らすことになっているけれども、そのほうが多いんですよね。四十三年度のほうが発行予定額が四千三百億ですからね。そうでしょう。そうすると、私が質問したいのは、大蔵大臣が大体五%程度歳入に対しての減と、今後もまた自然増収があった場合、また公債を減らしていくのか。結局まあ最後に公債をなくしてしまうのか。公債はやはりいつもどの程度は、残しておくのか。その残しておく最低限というのはどのくらい見ているのか。それまでは、自然増収があれば、そこまではだんだん減らしていくのか。あるいはやはり自然増収が相当あれば全部公債は発行しないで済ませのか、こういうふうにしていくのか。この公債政策について、今後の考え方を伺いたいと思います。
  33. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 公債は、これは不況時におきましては発行を拡大すると、こういうふうに考えております。しかし、好況時にはなるべくこれを減らすという、こういう考え方です。で、好況でもなく不況でもない、平常時の状態におきましては、公債はこれはなるべく少ないほうがよかろう、こういうふうに考えておるわけです。しかし、私はその公債を全然発行をなくすることを目標にしてやっていけという考え方は、あまりこだわっている考え方だと思う。つまり、不況時において公債を増発するということは常に頭に置かなきゃならぬ、こういうふうに考えておるわけでありまするが、全然公債を発行しない時期がしばらく続いた、初めてさあ公債を発行するということになると、公債の発行、これがまあ円滑にいくというようなことになるかどうか。まあ四十一年度の経験でも、しばらくぶりで公債を本格的に発行するというには、ずいぶん大蔵省としては苦労したのです。多少の火種というのがありますれば、そういう苦労もなしにやっていけるのじゃないかということで、全部これをなくすということには、そうこだわりを持つ必要はないという考えを持っております。
  34. 木村禧八郎

    ○木村禧八郎君 その火種を聞いているのです。
  35. 福田赳夫

    ○国務大臣(福田赳夫君) ですから、公債というものにそう、何というか、大きな刺激を感じないような状態、そういう状態に置いたらどうだろうか。つまり、不況時になりましたら多額の公債を発行しなきゃならぬ。そういうことをも考えておきますと、まな好況時には発行しないようにしていくけれども、まあ全然発行しないという状態まで持っていくことにこだわりを持つかどうかというと、私はそれほどこだわる必要はあるまいと。将来公債を発行する、公債発行ということになると、これはもうたいへんいろいろ議論があります。議論がありますが、そういう議論なしに、そう抵抗感なしに、不況時には公債を発行していいんだという状態に、何というか、国民の頭をつくっておく必要があるのではないか、そういうふうに考えておるわけであります。
  36. 木村禧八郎

    ○木村禧八郎君 私はなぜこういう質問をするかと申しますと、結局まあ自然増収の扱いなんですよね。いつも自然増収が出てきたとき、それを、まあたとえば公務員のベース・アップなんか特にですよ、公債を減らさなければ五月実施が可能であるけれども、公債を減らすようにやっているわけでしょう。ですから今度自然増収が出たときに、ほかのほうに財源を使うのか、とらわれないというのは。公債をゼロにしないで、そっちのほうを、自然増収をほかのほうへそれの歳出を振り向けるのか、そのほうがいい場合にはそうすると。それからゼロにしても差しつかえないわけでしょう、そのとらわれないというならば、結局ね。それからもう一つは、これまで公債はずいぶん議論になりましたけれども、大蔵大臣が、建設公債ならば、これは景気を、何ですか、インフレ的な作用をしない、しないと、こう言っておったのですよ。だけれども、これまで結果を見ましてどうですか。やっぱりこれは回り回って一兆円ぐらいは日銀引き受けになっておりますね、大体。これは私はやはりインフレ的作用をするのであって、大蔵大臣が――まだ発行余力が相当あるわけですよ、財政法によれば。それをなぜ発行しないのか。それは建設公債ならいくら発行してもよろしいのだと言われた大蔵大臣が、やっぱり公債はインフレ的に作用する、そういうことをやはり暗黙的にお認めになったのじゃないかと思うのですよ。そうでなければ、インフレ作用しないならば、公債は発行して減税をもっとうんとやるとか、そういう措置がいくらでもあり得ると思うのです。それを自然増収が出るたびに公債をずっと減らしてきているでしょう。なぜ公債をそう減らすのかというと、私は、やっぱり公債というものがインフレ的な作用を行なうということを、これまでの経験でわかったのじゃないか、また学ばなければこれは私はいけなかったのじゃないかと思うのですが、いかがですか。
  37. 福田赳夫

    ○国務大臣(福田赳夫君) 四十一年度から公債を発行するようになりましてから大体二兆四千億ぐらいの発行をいたしております。そのうち約半分がまあ日本銀行がこれを保有しておる、こういう状態であります。しかし日本銀行が成長通貨を供給しなければならぬ、その供給のしかたは、公債の発行のなかったときはこれは日本銀行貸し出しという形を主としてとったわけでありまするが、公債を発行し、その公債をオペレーションの対象としてこれを市中から買い取る、こういう形で通貨を供給するようになってきておるわけです。つまり貸し出し政策がオペ政策に転換をされておる、こういうことなんです。問題は、公債を発行したから日本銀行の総通貨発行量がふえるかふえないかが問題なわけです。ところが、これはそういうふうな状態になっておるというふうな見方をしておりません。したがって私は公債政策をとったけれども、その通貨状態ではそう大きな影響を及ぼしておらぬ、こういうふうな観察をしております。ただ問題は、公債を発行するとそれだけ財政の規模が拡大するわけです。財政の規模の拡大を通じてインフレを刺激するかしないかと、こういうような問題にわたってくるわけなんです。その財政規模を一体どうするかということにこそ問題があるのであって、その財源を市中消化の限度また建設公債の限度、この二つを踏んまえまして運営していく限りにおきまして、このインフレ問題にはそう影響はない問題である、こういうふうに考えておるわけであります。ただ、いま現時点は、何といっても国の総需要を減らなければならない、こういう問題があるわけであります。総需要の一つの大きな項目は、何といっても政府財政である、その政府財政の規模を適当なところに押えなければならぬ、こういう問題もありますので、財政の規模を押える、それに伴って公債の発行額も引き下げをしていく、こういうことになろうかと思います。こういうふうに基本的には考えておるわけであります。
  38. 木村禧八郎

    ○木村禧八郎君 私は、貸し出しが相当ふえていると思うのです、貸し出しはふえていますよ。それと同時にオぺもふえておるのであって、だから通貨は相当膨張しているのですね。いま大蔵大臣が言われたことは、結局財政規模の関係だと言われましたが、それはもちろん重要だと思うのです。そこで、私は、いわゆる需給ギャップを問題にしたいわけです。財政規模の拡大がインフレ的に作用するかしないかは、ただ財政規模が大きいか小さいかということだけで判断してはいけないので、やっぱりそれが供給サイドとの関係ですね、だから生産力がうんと高まる、供給力がうんと高くなれば、やはり財政が大きくなっていく、財政は伸びていく、あるいはそれ以上に供給力が伸びて大きくなれば、これはインフレ的に作用しないですね、インフレギャップというのが出てこない、それで私は政府のほうがデマンドサイドばかりの政府財貨サービスとそれから国民総支出との比較ばかりやっているから、その比較のしかたが間違いであるというので需給ギャップの問題が出てきたわけです。私はまあ一つインパクトをあげたわけなんですが、問題を提起したわけですが、大蔵大臣は大蔵大臣のほうにおかれて、いま大蔵省におきまして需給ギャップについていろいろ検討されて調査をされているというお話がこの前ありましたので、私が作業をした数字もございますので、私のまた間違っている点もあるかもしれませんので、それで大蔵省のほうの需給ギャップのほうの御調査の内容を一応伺いまして、私もまた検討を深める必要があるかもしれませんので、それで一応大蔵省のほうでの御調査の結果を、要点をちょっとお聞かせいただければ……。
  39. 福田赳夫

    ○国務大臣(福田赳夫君) 木村さんが、予算を論じる場合におきまして予算のデマンドサイドにおけるシニアとか伸び率とかそれを論じてばかりおるが、供給、サプライサイドですね、こっちをおろそかにしては相ならぬぞ、こういう議論だったと思います。私はまことに卓見だと思います。これを常ににらみ合わせて、総需要が今度は総供給力にいかに見合うかということを常に見きわめていかなければならない、こういうふうに考えております。そこで、四十五年度の供給能力はどのくらい一体ふえるのだということを検討しておるわけです。その結果は、総供給能力の増加率は一一・六ないし一二・六これはいろいろな調査の方向によってそういう開きが出てくるわけですが、それにいたしましても共通した結論は一一・六ないし一二・六%、そこでこれが今回の予算を七兆九千億円にし、また設備投資を金融引き締め体制下においてあのように見、また国民消費性向というものを見て、一体どういう状態にあるかということを観察してみますと、供給能力の見込み率は二・一ないし四・六%になっていると、こういうふうに判断いたしておるわけです。この二・一ないし四・六の総合的な見込みが一体適正であるかどうかということを考えてみますと、どうもはっきりした基準というものは策定しにくいのでありまするが、三十三年から四十四年度の実績を調査してみますると、この十二年間における平均のゆとり率は二・八%から六・〇%というふうになっておるのであります。非常にこの調査は私は信憑性というものがあるのではないかというふうに思いますが、大体において高度成長政策がスタートいたしました三十六年におきましては、いわゆる供給不足の状態がはっきりといずれの調査においても出てくるのであります。それが設備投資の活発化等によりまして供給能力が増大し、逐次ゆとりが出るように相なりまして、まあ適正なゆとりでありますればそれで経済は安定しておるわけでありまするが、昭和四十一年、あの大不況のときであります。この不況のときになりますと非常な落ち込みを見せてきておるわけであります。つまりデフレギャップという状態を現出するに至っておるわけであります。その後、設備投資も進みまするけれども、他面におきまして財政も伸びる、国民消費もふえる、あるいは設備投資もふえるというような状態で、このゆとり幅がだんだんと狭まってまいりました。そして今日におきましては、ただいま申し上げるような二・一ないし四・六%の幅になってきておると、こういうふうに見ておるわけであります。それで、さらにそれを私どもは各業種別において一体どうなるかということを精細に検討しておるわけであります。全体としてはそういうゆとりがあっても、ある業種につきましては供給力が不足しておる、こういうような状態でありますれば、そこで物価の騰貴というようなことに相なりますので、この重要な鉄鋼でありますとか、あるいは自動車でありますとか、あるいは石油でありますとか、あるいは石油化学あるいは合成繊維、セメント、紙。パルプあるいはテレビ等々のさような業種につきましてもその状態を検討しておりますが、これらの主要業種におきましては需給のバランス、つまり多少の余力があるというような状態を維持しておりますので――まあ一七・九%という財政の伸び――これを優に応用し得る状態である、こういう結論を持っておるわけであります。     ―――――――――――――
  40. 川上為治

    ○主査(川上為治君) この際、分科担当委員の異動について御報告いたします。ただいま岩動道行君が分科担当委員を辞任され、その補欠として吉武恵市君が委員に選任されました。     ―――――――――――――
  41. 木村禧八郎

    ○木村禧八郎君 この私の調査と能力GNPの増加率は大体似ているのです。私は四十四年度は一二・三なんですね。これは四十四年度です。四十四年度は一二・三ですね。四十五年度が一三・六なんです。それで、ゆとりと言われたのがよくわからないのですが、過去の経過を見ますると、大体昭和三十四年ごろから見ますると、二年ごとに供給過剰になっているのですね、大体二年ごとに。それで、三十七年には六千七百八十億の供給超過なんです。いわゆるデフレギャップなんですね。その前の二年間、三十五、三十六は、これはいわゆる需要超過なんですよね。それで、二年目に、三十五、三十六が需要超過で、三十七年は供給超過、デフレギャップ。それから三十八、三十九が、三十八は三千二百七十億の需要超過。三十九年は七千五百九十億の需要超過。四十年にまた供給超過なんですね。デフレギャップが六千三百四十億。当時大蔵大臣はよく私のことを引用されますが、二兆円のデフレギャップがあったのじゃないか。木村、おどかしたと言われましたが、いまになってみますと、何とデフレギャップが六千三百四十億。だからあのときは大蔵大臣は大体私と同じ考えで、構造的不況で相当深刻であるということを言われて、やはりデフレギャップは相当深刻であると大蔵大臣も言われたと思うのです。私もおどかしの意味で言ったのじゃないのですけれども、とにかくあの当時の私の見込みは、実際あとで検討してみると少し大き過ぎたと思いますが、しかしその後四十一、四十二、四十三とずっと供給超過の状態で、いままでのサイクルから言えば、ほんとうは四十三年に供給超過にならなければならぬはずであるのが、ところが四十三年が二兆九千九十億の需要超過ですね。それから四十四年に、何と四兆一千七十億の需要超過ですよ。四十五年度はこれは二兆八千九十億の需要超過で、四十四年度よりは需要超過は落ちております。ですからもし大蔵大臣が、いや、四十四年度のおまえの調査によれば四十四年は四兆一千七十億だから四十五年はむしろ低下しているじゃないかと、こういうふうに反発されるかと思ったのですけれども、そちらのほうに調査がなかったものですから、いいあんばいに反発されませんでしたが、しかしそれにしても私が主張したのは、いままで四十年までは二年サイクルで供給超過が出てきているのに、その後はずっと需要超過が続いているのですよ。だからその累積は、お話したようにこういうふうな累積になってくるわけですね、ずっと。その上に四十五年度がやはり二兆八千九十億も需要超過になっている。そしてその能力GNPが一三・六ですが、それに対していわゆる国民総支出のほうが一五・八だと、上回っているじゃないかと、こういう比較をし、そして能力GNPが一三・六に対して予算の伸びは一七・九五じゃないかと、だからそういう比較をすれば予算が中立型と言えないじゃないかと、こういう立論なんですよ。そこで、このゆとりというのがよくわからない。ゆとり率二・一とか四・六とかというのはどういうことか。その点、私もう時間がなくなりましたので、長く議論できないのですが、その点伺っておきたいと思うのです。
  42. 福田赳夫

    ○国務大臣(福田赳夫君) これは能力GNPとそれから実績のGNPの差額、能力GNPで除した数字ですが、実際の数字で言いますると、これは需給ギャップというのは能力GNP、つまり供給能力と現実の需要との差額、そういうことです。私どもの調査では、あなたがおっしゃるような傾向をとるのだけれども、実際は三十六年の高度成長政策がスタートしたその年、その年は供給不足、需要超過の状態であった。しかし、それ以後は供給過剰、供給が過剰する状態がずっと続いておる、また経済はそういう状態でなければ安定しない、こういうふうに考えておりますが、四十年、四十一年の不況のときには、その供給能力が非常に需要に不足をいたしました。いわゆるデフレギャップというのが、谷が大きくなったわけでありますが、その後それが回復されておりますが、依然として供給にゆとりのある状態であるということはずっと続いているんです。供給が不足し、需要が多いというような相対的な結果が出てくるというような状態であると、これはたいへんなことです。ですから、これは十分に気をつけていかなきゃならぬ、こういうふうに考えておるわけです。
  43. 木村禧八郎

    ○木村禧八郎君 わかりましたが、しかし、それは大蔵大臣、供給、つまりサプライ・サイド、供給能力とそれから需要とのギャップ、それが多くなればこれが物価刺激的になり景気刺激になるんですけれども、いま大蔵大臣が言われたのは、いわゆる実績というんですか、実質成長率を言っているのです。実質成長率と能力GNPの比較を言われて、それをゆとり、ゆとりと言っているんですよ。それは私は能力GNPと実質成長率はこういうことだとは思いません。ですから私は能力GNPと実質成長率は違うと思うのですよ。実質成長率は能力GNPよりもいつも以下です。それの開きが大きかったり小さかったりしますけれども、決して能力GNPの増加率を実質成長率がこえることはあり得ないですわね。能力GNPとそれから実質成長率との差がかなりある、ほんとうは。もう一つこういう表があったのですが、繁雑になるから省いたんですが、それは大蔵大臣がゆとり、ゆとりと言われている二・一とか四・六とか、それも私も出したのですが、四十四年は私の差は能力GNPは一二・三なんです。実質成長率は一二・二なんですから〇・一しかない、差が。四十五年は能力GNPは一三・六、実質成長率一三・四、政府は一一・四といっていますがね。そこなんですが、能力GNPとそれから国民総支出、それと比較しなければいけないわけですね。そこで、それをやはり需給ギャップと見なきゃいけない。実質成長率とそれから能力GNPとの間のゆとりを、これは幅があるからそれが景気刺激的であるとかないとか、あるいはまた物価を刺激するかしないかという、そういう議論には私はならぬのだと思うのですよ、これは。ですから私も、一応ゆとりというものが、いまのお話では実質成長率と能力GNPとの差でしょう、それはあるんです。必ずあるんですから、この差がゆとりがあるというふうに、つまりこの差があれば景気刺激的でないとか、この差が縮まればこれは景気刺激的になるというふうな、そういう論理にはならぬと思うんです。やはり能力GNPを見なければならぬ。能力GNPの増加率と、それからいわゆる実質GNP、つまり国民総支出ですな、その伸び率との比較でなければならぬ。それでなければ私の議論とかみ合わないのです。私もそういう、ゆとりと言われたからわかったのですけれども、それをやってみたのですけれども、それでは議論にならぬのです。ですから、それは再検討をしていただいて、私のほうも再検討しますから……。特に業種別をやられたのではわれわれ弱いのですけれども、またよく御調査された結果をちょうだいして勉強さしていただきたいと思います。  最後にもう一つ、羽生先生が質問された点なんですが、スライドの問題なんです。それは恩給審議会の答申にあるのですけれども、大蔵大臣は、制度的スライドを採用することは敗北主義だと言われたのですけれども、恩給審議会の答申はこうなっているのですね、「この場合、その運用については、五パーセント以上消費者物価が上昇した場合にはそれに応じて恩給年額を改定すべきものとし、将来におけるその実効性を確保する観点から、これを制度化するなど所要の措置を講ずることが適当である。」やはり制度化を言われているのです、恩給審議会では。それで四十五年度の予算には実質的な制度化になっておると思うのです。二百六十億円ですか、恩給費が大きく、ふえているのです。激増していますが、恩給についてはすでにもう制度化されているのです、この審議会の答申で。大蔵大臣が敗北主義というなら、これをなぜ反対しないのですか。恩給だけ認め、これは当然共済にも準用されている。ところが民間のほうはどうなんですか、民間は。こんなに物価の値上がりが続けば、その点、やはり好むと好まざるとにかかわらずスライド的な要求がどうしても出てくるのです。諸外国では、昨年スウェーデンに行きましたが、スウェーデンではスライドです。それから単にスライドだけでなく、ある過去の時点をつかまえてそれが非常に情勢に合わないとき基準を変えているのです。アメリカもスライドです。それは完全スライドじゃないのですけれども、あれは四%ぐらいですか。ですから、そういうスライド制をとっているところがあるのですよ。ですから、羽生先生も言われましたが、スライドをとることによって政府は責任が出てくるから、もし物価が上がればスライドして、財政が破綻してたいへんなことになるというので、真剣に物価対策を考えなければいかぬ、こう思われるのです。それから民間でもスライドをとっておるところもあります。岩波なんかスライドです。これは団体協約によって獲得したものです。ですからスライドは一がいに否定できません。もし敗北主義と言うなら、いまの物価値上がりをほんとうに真剣に安定に努力をされるのかどうか。きょうの朝日新聞を見ますと、政府にはたして物価安定の意思があるのかどうかは疑わざるを得ないというような論評が出ておるのです。それで、池田内閣の物価対策に対して佐藤総理は批判して、佐藤内閣こそ物価安定に努力すると言いながら、佐藤内閣のもとになって着実に物価が上がっておる。十年一日のごとく物価安定、流通機構の改善と言いながら、ちっとも改善されていないといわれておるのです。ですから本気に今後の物価対策を講ずるのかどうかというあかしを立てなければいけないと思うのです。議論の段階じゃないのです。実行の段階です。物価安定の実行とは何か、具体的に何と何をどういうふうに実行するのか明らかにしなければ、大蔵大臣は無責任だと思うのです。今月の中ごろ、中山答申に対して政府が回答を出すそうですが、中山答申だけでなく、物価の値上げは、総需要の問題もあるし、それからいわゆる管理価格の問題もあるし、それから生産性の格差の問題とか、労働不足とか、いろいろあるでしょう。それに対して具体的にこうこうこうするのだということを、議論の段階じゃないのですから、それをあわせて今度発表していただきたいと思うのです。今後、中山答申にこたえる際に、あれだけではなく、そうしなければあかしがちっとも立っていないと思うのです。同じことです。十年一日、これは無責任過ぎるんじゃないかと思う。その点ひとつ伺います。
  44. 福田赳夫

    ○国務大臣(福田赳夫君) 私がスライド制に反対だと、こういうことを申し上げましたのは、完全スライドです。物価がちょっと上がったらそれに諸制度全部追随していく、こういうようなことになりますと、物価と賃金ですね、まあ恩給、賃金といっていいかどうか知りませんけれども、賃金的なものですね、恩給や年金ですね、またあるいは賃金にそれが波及するかもしれない。そういうことで、賃金と物価の悪循環、こういうことになる。そしてどうせ物価が上がっても、ふところぐあいはほとんど同じだというようなことから、もう物価政策について強い関心を持たないような状態が出てきゃしないか、それを私は心配をいたしておるわけなんです。物価政策こそ、あなたが力説されるように取り組まなければならない問題であって、その物価政策が成功しない場合において、その調整を一体どうするかというのが問題とされるということになるんじゃないかと思うのです。つまり物価問題をあきらめて、そうして調整のみに、より専念をするということは、物価戦争に対する敗北主義、敗北的な考え方でないか、こういうことを申し上げたいのです。しかし、私は物価がそんな簡単な問題じゃないということは、よく承知いたしております。その簡単でない問題が片づくまでの、その過渡的な期間においてどうするか。これはどうしたって調整の道を講じなければならない、そういうふうに思います。しかし、それがいわゆる完全スライドという形でいくことは、これはどこまでも私は賛成できない。たとえば、恩給審議会が示唆するような、消費者物価が何%上がったらその時点で調整をするということも一つの考え方でありましょう。ありましょうが、すべてのものに完全スライド思想というものが入ってくるということになると、これはたいへんなことになりはしないかということを申し上げておるわけなんです。そういうことを考えますと、何らかの方法によって恩給生活者、年金生活者等の受け取る年金なり恩給なりの実質的な価値が確保される、これだけは私はもう真剣に考えなければならない問題であるというふうに考えておるわけであります。結果において、別に木村さんのおっしゃることは私の申し上げることとそう違わないので、ただ本末はちゃんと明らかにしておくべきである、こういうことを私は申し上げておきたいと思います。
  45. 木村禧八郎

    ○木村禧八郎君 時間がきましたから……。
  46. 戸田菊雄

    ○戸田菊雄君 往復で三十分程度ですから、ひとつ問題をしぼりまして伺いたいと思います。  第一点は、税制に与える影響が非常に大きいといわれている税制調査会の問題についてひとつお伺いをしたいと思います。  この税制調査会の指名それから手続について、これはおそらく実質的には大蔵大臣が推薦をして、最終的に総理の指名を受ける、こういうことになると思うのですが、こういった税制調査会の現在のいわゆる委員の氏名、それから前職、それから委員の中で、五百万円以上収入のあるのは一体何人か、この税調の内容についてひとつお伺いしたい。
  47. 細見卓

    ○政府委員(細見卓君) 名前と職業はいま表を出しまして申し上げますが、収入が幾らかというのは、ちょっとこれはしばらく期間をちょうだいいただきませんと、調べなければお答えできないかと思います。具体的な名前は、後ほど出さしていただきたいと思います。
  48. 戸田菊雄

    ○戸田菊雄君 予告なしの質問ですから、あるいはそういうことになると思っておったのですが、それで、でき得れば、いずれ本問題についてはいろいろ審議をしてまいりたいと思うので、詳細の資料をひとつ提示をしていただきたいと思います。  ただ問題は、私が見る範囲におきましては、現在二十名ぐらいですか、になるわけですね。その中で、委員になっておられる方の五百万円以上の所得者というのは十八名ぐらいおられるのですね。その内容はほとんど、たとえば富士銀行の頭取さんであるとか、日本経済新聞の専務さんとか、アジア経済研究所長さん、これは元農林次官をやったとか、あるいは公営企業金融公庫総裁、これは元自治庁の次長をやった、あるいは十条製紙社長とか、それから読売新聞社副社長ですね、これは元自治次官ですが、あるいは元大蔵次官をやられた河野一之さん、これはいま太陽銀行頭取、こういうぐあいに昔いわば高級官僚といいますか、そういった方々とか、あるいは各会社の社長、専務あるいは副社長、こういう人たちがずらりと顔を並べているのです。こういう形で、私ははたしていまの税制調査会という非常に広範にして税制全般の諸問題を取り扱う、そういう内容にふさわしい指名であるかどうかということについて、非常に疑問を持つわけなんです。  ですから、こういった内容について、おそらく今次国会の予算審議等を通じまして、大蔵大臣からも、税制等の問題について幾つかの答弁をなさって、今後検討しなければいけない数多くの課題があると思うのです。そういうものを一括この税制調査会にかけられて、その答申を受けて政府の案ということになってくるのだろうと思う。そういうことからいけば、非常に土台において、国民から疑惑を持たれる、あるいはどうもしっくりしない、そういうものになっておりはしないか、こういうふうに考えるのでありますが、大蔵大臣の所見は一体いかがですか。
  49. 福田赳夫

    ○国務大臣(福田赳夫君) 税制調査会の委員は、限られた人、定数でありますので、そう大幅にふやすわけにもいきませんし、また、大幅にこれを拡大するということによって、さあどれだけの効果があがるであろうか、そういうことも考えなければならぬと思います。  それで、今日では各界各層の代表的な人ということで構成をいたしており、その各界の中には、いわゆる中立委員といわれる学識経験者ですね、学界の人たちもわりあいに多く参加をされておるわけであります。しかしこれは、なるべく国民全体の意向を聞く必要もあるわけです。そこで参考人といたしまして、そのときどきの問題についての識見もあり、また権威もあり、また利害関係も持つという方々に、参考人として御参加を願いまして、その意見を反映するという仕組みをとっておるわけであります。私は、今日の税制調査会の構成が、大局的に見て、考え方としてそう間違った構成になっておるというふうには考えておりません。おりませんが、まあ時勢の動きもあるわけでございますから、そういうような動きには応じまして、適宜、そう固定化しないで、流動的に人選を考えていっていいのじゃあるまいか、そんなふうに考えておるわけです。
  50. 細見卓

    ○政府委員(細見卓君) 手元の資料でできるだけの御説明を申し上げておきたいと思います。  現在、税制調査会の委員は三十人お願いいたしているわけでありますが、そのうち十五人はいわゆる評論家でありますとか、あるいは学識経験者と申しますか、その道の専門家であられた人というようなことになっております。その十五人の学識経験者の中には、同じ新聞社でありましても、いまおあげになったような意味の幹部ではなくて、現実に論説委員であるとか、あるいは経済部長であるとか、そういう形で第一線的な感覚をお持ちになっておるジャーナリストになっていただいておるわけであります。残りの十五人のうち三人は地方税関係の府県知事会の代表、町村会の代表、市長会の代表ということで十二人になります。残りの十二人のうちのお二人は、御承知のように総評と同盟からおいで願っておりますし、また中小企業の代表として中小企業団体から二人ばかりおいで願っておるわけでありまして、構成から申しましたら、先ほど大臣からもお答えいたしましたように、圧倒的に学識経験者という方が多くなっております。確かに読売新聞の何でありますとか、銀行の何々でありますとかいう方もおられますが、これらの方はむしろ長い間税制なり地方行政なりの責任者として、いろいろな各方面の検討をなさって、その学識知識をお持ちになっておって、それをこの際広い立場で、役人という立場を離れて民間人としての立場をあわせ持たれたところでいろいろ御議論を願うという意味でお願いしておるわけでありまして、構成といたしましては圧倒的に中立的な、評論家的な、いわば世論を代表する方が多いと私ども考えております。
  51. 戸田菊雄

    ○戸田菊雄君 確かにいま御説明のように配慮はされていると思うんですね。しかし私たちが一応前歴なり、あるいはいまの所得内容、こういうものを考えますると、どうしても低所得者層といわれる給与所得者等については、七割を占める大多数のそういう人たちから見ると、どうもわれわれの心情というものをよくくんでくれないじゃないか。確かに、その部面から見ればベテランでありましょうね。だけれども、そういう意味合いにおいて真の代表と思われる者は、真の代表といっては私も語弊があると思いますが、そういう低所得者層の代表から端的に入っているのは総評代表、同盟代表、それから学者の一部、こういうことになってはいないかという気がするのです。いずれにいたしましても、これはあとで詳しくまた検討いたしまして質問してまいりたいと思いますが、もう少し一人か二人、そういうものが期待できるものを任命してもいいのではないかと、こう思うのでありますが、先ほど大臣は弾力的な運用、参考人を呼ぶとか、あるいはメンバーそのものについても、そのように聞こえるような答弁があったのでありますけれども、この点はひとつ再検討をお願い申し上げたい。
  52. 福田赳夫

    ○国務大臣(福田赳夫君) 先ほど申し上げましたように、経済環境の変化、そういうものに応じまして、メンバーにつきましても検討をしていかなきゃならぬ、こういうふうに考えております。ただ、任期がありますので、任期中にどうというわけにもいかない。欠員が生じればまた別でありますが、しかし任期切れという際には、いま戸田さんのおっしゃるようなことは十分配慮して、その人選を考えてみたいと、かように考えます。
  53. 戸田菊雄

    ○戸田菊雄君 時間ありませんから、二点ほど、こまかくなるかもしれませんが、ちょっと質問したいのでありますが、税制改正の要綱、租税及び印紙収入予算の説明の中で一一ページにまいりまして、四十五年度税制改正による増減収見込額、こういうのがございます。その中に租税特別措置の整備合理化等という一項がございまして、四項でありますが、それぞれ増減の内容等が示されておるわけでありますが、確かに今回租税特別措置の若干の合理化等含めまして、増収を見たものもあるわけでありますが、しかし総体的に見ると、やはり減収の免税の恩典を受けるものが依然として多いように私は考えるわけです。そこで、1、2、3、4とそれぞれあるわけでありますが、その免税の恩典をさらに受けるようなものに企業体質の強化で平年度で六十七億あるいは初年度で十七億、こういうことで減税措置をとられておる。あるいは中小企業対策の拡充、こういうことで八億ないし三億、平年度、初年度でそれぞれ免税措置を拡大をする。あるいは公害防止、過密過疎、住宅対策、こういうことで八億、四億というぐあいにそれぞれやられておるわけでありますが、ことに私は問題になると思うのは、企業体質の強化、あるいは基礎資源の開発促進、あるいは情報化の促進等、いわば今後七十年代に向けての中心産業と思われるそういう諸点についてさらに拡大措置をとっておる、こういうことは一体いま国民が要望しておるような、こういう税制の不公平をより拡大をするような、そういう問題については抜本的措置をとりなさい、言ってみれば、もう少しこういうものの合理化をはかって増収態勢をとってはどうか、最終的には撤廃したらどうか、こういうのがほんとうの声だと思うのですね。そういうところからいけば、だいぶん私は逆行しておるのじゃないかと思うのですが、その辺の見解についてお聞かせを願いたいと思う。
  54. 細見卓

    ○政府委員(細見卓君) 見解の前に、どういうものであるかというのを概略御説明申し上げておきたいと思います。  この表示は、その意味で若干不親切なんでありますが、企業体質の強化としまして、平年度六十七億、初年度十七億という金額があがっておりますが、これは主といたしまして耐用年数を短縮いたしまして、御承知のように技術が日進月歩でありますので、設備もどんどん陳腐化してまいっておるわけであります。その耐用年数の短縮に主として力を入れておるわけであります。たとえだこの中には、一例でありますと、畳の製造機械でありますとか、割合といたしましては、むしろ中小企業的なものもかなり入っております。一々は申し上げませんけれども、その耐用年数の短縮が、平年度で申しますと、六十七億のうちの四十三億が入っておりまして、そのほかの、企業の体質の強化といたしましては、いま非常に設立が要望されております住宅、そのプレハブ住宅の部品をマスプロ化するためにいろいろな施設が行なわれておる。それを推進するためのプレハブ住宅の部品製造設備に対する合理化機械の特別償却の拡大でありますとか、それから卸、小売業者がラックと申しまして、倉庫にいろいろ物を置いておいて、それが区別してあって、すっと持ち出せるというようなものでありますとか、そういうことでありますし、また例の少額資産三万円までは資産に計上しろとか、いろいろむずかしいことを言っておりました。若干計上を簡略にするとかいうようなことで、それで特定合併の割り増し償却がございますが、これも八幡、富士のような合併に適用された従来の税額控除方式を廃止いたしまして、中小企業、特に下請け企業などの構造的改善のための合併政策というものを推進しようというわけでありまして、これもそれほどおっしゃるように大企業を中心にしたものにはなっておらないのではないかと思います。  それから、基礎資源の開発でありますが、これは御承知のように重油なりあるいは石油資源というものの重要性は日増しに増大しておるわけでありまして、この開発をいま国際的におくれをとりますと、あとで幾ら金をつぎ込んでもどうにもならないというような問題もあります。そういう緊急性を考えて、基礎資源の国際的な開発を促進しようというわけで、これはひいては国民生活全体にはね返ってくる問題ではないかと考えております。そうこういたしますと、ある程度の特別措置は設けてはございますが、どちらかと言えば切ったほうが、特定の企業に集中的にメリットが多かったものであり、設けられたほうの特別償却はかなり広範に対象が及んでおり、また基礎資源のように、結果的には国民生活全体にはね返ってくる、こういうものになっておるということだけ事実として申し上げておきたいと思います。
  55. 戸田菊雄

    ○戸田菊雄君 いま主税局長からいろいろ説明があったんですけれども、確かにその中にはいま言うように、中小企業向けのものも入っておりますけれども、私が計算した内容では、八割方はやっぱり大企業ですね、免税措置を考えて。こういうふうに考えるわけです。時間もありませんから、こまかいことには触れておきませんが。  それからもう一つは、やはり私は今度の減税内容について、これはこまかいことで主税局長さんにお伺いするんですが、この前大蔵委員会でこのことをちょっと聞いたんですが、主税局長にごまかされたようでありますから、きょうは数字を持ってまいりまして、減税の幅を、一四ページ、一五ページでありますけれども、この内容を見ますると、確かに額の面でいきますと、百万円見当で四千九百円、この程度、以下ずっとございまして、これは適切な比較検討にはならないと思う。割合で見ていきますと、たとえば一つの例でありますけれども、夫婦子供三人の場合の百五十万円、これを見ますると、現行は四・〇二です。四十五年度の改正後は三・一〇、それを計算しますと、〇・九二の減税ですね。それから百五十万以上を見まして、二百万を見たんですが、これを見ますると、現行七・〇二、改正五・四四で一・五八の減税措置ですね。さらに一千万を見ますると、現行三四・〇六、それが改正後は三〇・八九で三・一七減税、こういうぐあいに減税の幅が高額者にいくに従って倍率が増加をしている。これがほんとうの、いまの示された資料からくる計算の内容じゃないか。だからこの根源は、いかに主税局長等が減税のそういう措置について低所得者をみましたよ。こう言っても、結果はこういうふうに高額所得者に有利だと、こう考えますが、この私の計算に間違いありませんか。
  56. 細見卓

    ○政府委員(細見卓君) そういうふうな御議論のたて方もあるいはあるのかもしれませんが、普通、何パーセント軽減したというときには、根っこにもともとの負担割合を置きまして、新しい負担割合を見て、それに至る割合が何パーセントの軽減であるかと、そういうことで私たちの計算いたしましたものが、軽減割合として昭和四十五年でありますと、百五十万のところは二二・八%、それから二百万のところは二二・四%、この七・〇とかあるいは四・〇二とかいう負担割合は、基礎控除とか配偶者控除とかいうものから総合的に出ておりまして、したがいまして、それらの税率が総合税率でありますので、だんだん高くなっております。高くなっておるものがその引き算としての率は、あるいは大きくなるものがあるといたしましても、根っこになっておる負担割合といいますか、所得に対する税負担の割合、具体的には税額の大きさ――先般も戸田先生に申し上げましたように、税額の軽減――税額で申せば、よけい納めておった人は確かにその軽減――実際に軽減があった額だけで比較すれば、よけい納めておる人は少ししか納めておらなかった人よりも大きくなっておりますが、その割合はだんだん小さくなっております。その金額を同じにするということになりますと、あるいはその割合を同じにするということになりますと、むしろ累進税率を強化したという結果になるのでありまして、軽減割合と申しますときには、現行の負担をもって軽減された金額なり割合なりを割るというのが普通の軽減割合ではないかと私は考えます。
  57. 戸田菊雄

    ○戸田菊雄君 主税局長の説明があまり巧妙なんで、ちょっと私は理解できないんですが、私が計算するような減税割合の出し方も、これはあるんだろうと思うんですね。現にこれは資料の二ページ、税率の緩和についてこれを見ましたって、そういうふうになっているんじゃないですか。たとえば三十万以下の金額ですが、一〇%据え置きでしょう。しかしこの六千五百万以上、今度八千万というものができまして、そういうものについては、それぞれ従来ですと四千五百万で六五%、これが六千万で六五、八千万で七〇%、八千万以上のものについて七五%、それぞれこの税率体系からいっても五%ずつ緩和されている。だからこの例からいっても、いまの給与所得者の場合でも、依然として一貫して、いまの税率緩和方式というのは高額者に有利である、そういうふうに置きかえられているのじゃないかと思う。ですから私は、百五十万円以下の低所得者が数からいっても相当多い、それから税率からいっても非常に過酷である。過般の討議でこういうことは明らかになってきているのでありますから、今後税率の緩和等をはかるというならば、そういう低所得者に向けてもっとやはり中心を置くべきじゃないか。この間、本会議で私がそういう意味の質問をいたしましたところ、やはり依然として総理、大蔵大臣の答弁では中堅サラリーマン、百五十万以上の中堅所得者ですね、この辺に重点を置いて今後も減税措置をはかっていくという御回答でありましたけれども、いろいろな資料を検討いたしましたが、どうしても矛盾が多いので、今後やはり税率緩和をはかる場合においては、この部面についてもう少し検討し直す必要があるのじゃないかと思うのですけれども、大蔵大臣どうでしょうか。
  58. 細見卓

    ○政府委員(細見卓君) 一言、技術的なことを申し上げておきます。たとえば夫婦子三人で百二十万の所得があったという場合を想定いたしますと、簡単のために――百万円諸控除が控除されるわけです。したがいまして二十万円に税金がかかるわけです。それの一〇%でございますから二万円。ですから所得にいたしますと一点幾らの税率になる。百三十万円の方は三万円かかって、税率としては二%ちょっとというようなことになりまして、税率だけでごらんにならずに、基礎控除その他の諸控除との組み合わせで総合的に税負担が出てくるわけで、この一〇%が高過ぎる、二%、三%の税率からスタートすべきだという御議論もあったわけでありますが、そこは控除を組み合わせることによりまして、実質的には十万円の方でありますと、端的に申せば一%の税率からスタートする、そういうことになっておりますので、控除の引き上げ、税率の引き下げというものは、総合的に考えて、どの段層からどういう負担を求めるか、その意味におきましては、従来は基礎控除と扶養控除等の引き上げがずっと引き続いて行なわれてまいったわけでありますから、そういうものの控除の引き上げというのは低所得層のほうに相対的に有利に響いてくるということもおわかりいただけると思います。
  59. 戸田菊雄

    ○戸田菊雄君 主税局長の答弁で基礎控除、そういった問題もたしかにそうだと思うのですね。そこまでいけば私は、事業所得とのかね合いで給与所得者の関係も一面検討する必要があるのじゃないか。向こうは必要経費をちゃんと認められている、こちらはそういうことが認められてはいないのですから――あるいはまた諸外国との比較の中においても、やはりまだまだ日本の場合には基礎控除というものは低めに置かれている、こういうことだと思うのです。いずれにいたしましても、時間がありませんから、ここで大臣に、今後の税検討、税制の検討の中でやはり私は税率を緩和するということは引き続き検討されていくべき性格のものではないか、あるいは給与所得控除等についても、もう少しやはり抜本的な解決策というものが必要じゃないだろうか。あるいはこの税制の家族構成の問題、これもすでに内閣、総理府等の家計調査によりますると、これは四人家族にしているんですね。これがいまだに税制面では五人家族にされておる、こういう問題ももっと検討すべきではないだろうか、まあこういうふうに各般の問題がいっぱいあるわけですけれども、こういう諸般の課題に対する今後検討策はいかように考えられておりますか、一括して伺います。
  60. 福田赳夫

    ○国務大臣(福田赳夫君) わが国におきましては、国民全体の租税負担という面から言いますと、諸外国に比べてきわめて低率なんです。しかし所得税がいつも問題になりますのは、所得税だけとってみますると、そう軽くなっていない。つまりまあ法人税もありまするけれども、直接税、特に所得税に重点のある税制ということになっておる。そこでまあ負担感という問題が出てくるかと思うんであります。私は、今後を考えますと、国の総需要はだんだんだんだんとふえていく傾向にあると思います、GNPに対する比率におきまして。したがって税負担、これはまたふえる傾向にあるだろう、こういうふうに思います。やはりわれわれの生活環境はどのようになり、また伸びていく経済に立ちおくれた人々に対する社会保障政策、これも進めなければならぬ。そういうことを考えまするときに、それはどうしても自然の勢いであり、またそうあってしかるべきであるというふうに考えますが、その増高する財政の負担を、そういう直接税の今日のような状態でいっていいのか、今日すでに六五%は直接税、しかも経済が伸びていくというと、この六五%がさらにさらにウエートを増してくるであろう。これは、私は是正する必要があるというふうに考えておるのでありまして、その中心は所得税であるというふうに思いますが、所得税減税というのはまあ四十五年度で一応長期答申の完全実施ということになりましたが、この完全実施をもってピリオドとする考えは持っておりません。今後もこれを進めたいというふうに考えますが、さて所得税を減税いたす場合においてどこに重点を置くかということになると、まあ十数年ぶりで税率調整をやったが、とにかく低い階層の人に対する税負担ということを考えますと、何としても基礎控除その他の控除、この問題を重く考えるということはやっぱり自然の傾向ではなかろうかというふうに考えておるのでありますが、ともかく税制調査会がどういうふうな御意見を示されますか、それも十分見きわめながらの今後の所得税政策のあり方というものを考えていきたい、こういうふうに思います。
  61. 戸田菊雄

    ○戸田菊雄君 最後に一点だけお伺いしますが、昨年も酒税関係は相当減収になっておるわけですね。これは前の亀徳長官のときですか、日本における税務行政の中で各般の通達でいろいろやられているんですが、その中で酒税問題についてこういうことを言われているんです。「酒類業界をとりまく内外経済環境は、急速に自由化の方向に進展しつつあり、これに伴い、酒類業界は一大転換期を迎え、その前途は一段と厳しさを増すものと予想されるので、これらの事態に対処するため、酒類業の企業合理化、経営基礎の強化に対する施策を推進するとともに、酒税保全に万全を期するものとし……」云々ということで、明確に国税庁長官の通達で税務運営方針が出されている。去年も酒税等に対しては非常に落ちくぼんで、ことしもやや減少ぎみで、予算を見ましてもそういうふうに考えられるんですが、こういうものに対し、今後一体、指摘される内容等について国税庁長官なり大臣としては、どういう対処策を持っているのか、その辺の内容についてひとつお聞かせを願いたい。  これで終わります。
  62. 吉國二郎

    ○政府委員(吉國二郎君) ただいま御指摘がございましたように、一昨年、昨年と続いて酒税の収入が予想を下回ったわけでございます。ことしも補正によって若干の減をいたしました。ただ、ことしになりましてから、十二月以降の出荷がわりに順調にまいりましたので、補正予算で見込んだ程度のものは収入できると思いますけれども、数年前のような非常な大きな伸びというものは期待できないという状況になっております。  一つは、いわば終戦後、酒類の製造がきわめて制限をされておりましたのが、米その他も順調に使用できるようになりました数年前から、漸次供給が正常化したということから、異常な伸びというものはだんだんなくなると思います。  いま御指摘になりました酒税関係の自由化の問題でございますけれども、一つは、販売関係がどうしても現在の免許制度のもとでは、不十分な供給しかできないという問題がございまして、小売り業界につきましては免許をもっと弾力的に運営しなければならないという点が、これは行管等からもしきりに指摘を受けております。最近におきましては小売りにつきましても相当弾力的な運営をはかってまいりましたが、さらに卸業界におきましては昔のいわゆる酒税を卸段階で――加算税的なものを卸段階で取っておった時代がございます。このときは卸が甲乙に分かれておりました。甲というのは納税義務を負うべき卸売業者、これが大きな卸、そのほかに乙卸というのがございまして、それが合併と申しますか、その制度がなくなりまして以来、卸業界は現在全国で五千九百という総体的には非常に多い数字になっております。そのために卸業界がいわば過当競争で非常に苦しんでおる、製造家と小売りの間にあって非常に弱体化している。それが酒類の取引を乱す一つの原因にもなっておるということがございまして、卸売業界の構造改善という問題が新しい問題として出ておる。さらに御承知の昨年自主流通米制度が採用されまして、清酒の製造に関しましては原料米はすべて原則として自主流通米によってまかなうという方式がとられた。御承知のように清酒につききましては、食管法による割り当てというものを前提にいたしまして、長らく基準指数というものを定めて原料の割り当てが行なわれた。それがいわば逆に一つの権利化を呼び起こしまして、その基準指数というものが取引の対象となり、一キロリットル当たり十数万円という価格で、いわゆるのれんのようにして取引がされております。ところが自主流通米ということになってまいりますと、割り当てという問題がなくなりますので、一挙にこの割り当て権的なものがなくなりますと、従来その割り当て権を一つの担保といたしまして製造資金を獲得いたしておりました清酒業者といたしましては、製造資金の獲得に非常な困難を来たすという事態が起こってまいったわけでございます。これがいわば基本的には清酒についても製造の自由化が行なわれ、自由な競争が行なわれることによって資質の向上、価格の展開をはかれるわけでございますけれども、一挙にこれを実施いたしましたために、弱体な企業がそこで無理をいたしまして、全体の清酒の取引を混乱におとしいれるということになりますと、何と申しましても現在清酒全体で小売り価格に対して平均すると三割程度の酒税というものを負担しておりますし、酒税そのものが国税の中で約八%を占める大きな収入でもございます。そういう点から申しまして、これが自由化をできるだけ悪影響なしに、しかも構造改善と結び合わせて実施するために自主的な協定といたしまして五年間に自由化を実施する。五年目には完全な自由化になるという前提の業界の規制を認めることにいたしたわけであります。これは酒類業組合法によりまして大蔵大臣の認可を得て行なうことになっておりますが、それについては公取の同意を得て実行するということで、一年目はすでに実施をいたしております。この構造改善を実施をいたしまして、それぞれの企業のあり方を定め、たとえば非常に小さなものであれば、地場だけで直売をして消費をする形を認めるとか、あるいはおけ売りにいたしましても、提携おけ売りと申しましていわば企業合同に近い形で提携をして安定させるというような方向で幾つかのグループに分けて構造改善を実施することにいたしまして……
  63. 川上為治

    ○主査(川上為治君) 簡単に願います。
  64. 吉國二郎

    ○政府委員(吉國二郎君) 昨年の十二月に実施をいたしております。  そういうことで、現在の方向といたしましては、清酒製造業につきましては、この規制の五カ年の間に構造改善を実施させる裏づけといたしましては、別途法律でお願いをいたします清酒製造の資金を供給するための保証基金をつくるということによってこれを実行する。卸し業につきましては構造改善事業をそのまま実行させる。小売りにつきましてはさらに免許の弾力的運用をはかるということで全体としての自由化、それに伴う供給の合理化をはかるというつもりでございます。
  65. 戸田菊雄

    ○戸田菊雄君 けっこうです。
  66. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 時間がありませんので簡単にお伺いしますけれども、初めにちょっと具体的な問題で、こまかい問題になると言われるかもわかりませんが、万国博の税金のことについて。  万博でいろいろ行事が行なわれておりますけれども、まず万博の入場税は、これはどうなっておりますか。
  67. 吉國二郎

    ○政府委員(吉國二郎君) 万博そのものの入場料金は、御承知のように博覧会でございまして、従来の入場税法が改正されまして以後課税をしない範囲に入っておりますので、万博そのものの入場税は非課説でございます。  さらに、万博の中で各種の興業等が行なわれておりますものにつきましては、これは特別措置法で万博の趣旨にしたがって行なわれているもの、そうして万博会場の中で行なわれているものに限りましては通産大臣の証明に基づいて免税をするというたてまえがとられております。したがいまして、万国博の会場外、たとえばフェスティバルホール等において行なわれておりますのは通常の入場税を課することにいたしております。
  68. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 その辺の区別といいますか、万博の会場の中では取らない、あるいは入場料についても取らない。ところがフェスティバルホールの場合は取る。これも一応万博の関連で行なわれている。それは完全に民間がそれに便乗をしてやる場合は別だと思いますけれども、何らかの形で万博協会が入っているというような場合は、その点はどうなのか。その辺のボーダーラインの区別ですね、これはどういうふうに考えておりますか。
  69. 吉國二郎

    ○政府委員(吉國二郎君) 一応地域的な制限といたしましては、万博会場内ということで区切りをつけたわけでございます。  それから質的なものといたしましては、万博の開催の趣旨に沿ったもの、いわば万博を性格づけるような興業であるという前提でございますが、これにつきましては万博担当大臣としての通産大臣がその認定をするということになっておるわけでございます。
  70. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 入場税については、この間の予算委員会でもこの撤廃については前向きで検討すると、こういうふうに言われている時期ですから、やはりこういうふうなチャンスをきっかけに入場税撤廃という問題を検討されるべく、やはり万博という国家的事業であれば取らないという規定にはなっているでしょうけれども、ほかのものもこれに伴ってやるべきじゃないか。もしそこまで、まだやれないというならばその辺の区別、たとえば万博の会場へ入るのは別としても、中でやるのはやはり普通の音楽会と同じことで、その中身自身はそう変わっていないのじゃないか、これは取るべきじゃないか、こういうふうな議論等も出てくると思うのですが、その辺、通産省からの――万博とどう関係があるのかという、いわゆる質的な問題の認定はどういうふうにされているのですか。
  71. 吉國二郎

    ○政府委員(吉國二郎君) これは御承知のとおり、特別措置法で規定をいたしましたゆえんから申しましても、本来は課税すべきものでございますが、万博の、できるだけ多くの人に開放をする、多くの人に見てもらうという趣旨から申しますと、万博の趣旨に沿った、いわば万博そのものの意義を高めるようなものであれば、できるだけ多くの人に見せるという意味で、本来入場税を負担する者からそれを免除するということが望ましいではないか、いわば特別措置としてそれをやるというのが今回の趣旨でございまして、入場税そのものの非課税ということではないというふうにお考えを願いたいと思います。
  72. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 それから住民税の問題ですけれども、万博協会も一応社団法人になっておりますから住民税の課税対象になり得るわけですが、それの免税もいまの特別措置ということになるのでしょうか。
  73. 降矢敬義

    ○政府委員(降矢敬義君) 万博協会につきましては法人税と同じ取り扱いをいたしておりまして、法人税割りは収益事業以外は非課税ということになっております。
  74. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 次に建物ですけれども、建物の不動産取得税あるいは固定資産税、これはどうなっていますか。
  75. 降矢敬義

    ○政府委員(降矢敬義君) 地方税法の附則の第三十二条におきまして家屋の取得に対しては税を課さないということになっております。
  76. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 要するに免税ですね。ただし、これが万博の期間中だけのものなのか、もしその建物が残ればその後ずっと取らないのか、その点はどうですか。
  77. 降矢敬義

    ○政府委員(降矢敬義君) 万博の用に供する家屋については不動産取得税を課さないということでございますので、この用途の変更がありました場合には、当然また別に課税の問題が生ずるわけでございます。
  78. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 国税庁にお伺いしたいのですが、こういう期間中だけかからない。あとその建物がこわされることもあるでしょうし、そのまま何かに変わることがあると思いますけれども、こういうふうな場合に取る取り方の考え方というか、いわゆる固定資産税あるいは取得税に対する見積もりというのは、どういう観点から考えられますか。
  79. 降矢敬義

    ○政府委員(降矢敬義君) 不動産取得税につきましては用途免税をやっておりますので、博覧会の用に供する家屋ということで用途免税という考え方でやっておるわけでございますので、そういう用途以外の用途に使われるという場合には、当然課税の問題が生ずるわけでございます。
  80. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 さっきの問題にちょっと戻りますけれども、要するに万博がこうやってかなりブームになりまして、大阪を中心にしていろいろな催しものがある、その他いろいろなことが行なわれているわけですが、いまさっき言われたように、会場外のものはやはりがっちり取られているわけですけれども、別に入場税だけではなくて、そのほかのいろんなものがあると思うんです。その点についてはいかがですか。
  81. 吉國二郎

    ○政府委員(吉國二郎君) 協会そのものが収益事業的なものをやっているとすれば、その収益事業について課税をするわけでございます。たとえばエキスポランドなどはおそらく収益事業になるんじゃないかと思いますけれども、実際問題として万博協会入場料と、その他そういうもので収支を見た場合に、おそらく収支償わないという結果になって、課税はおそらくないというふうに考えられます。それから、あそこにいろいろ店を出しておりますものにつきましては、一般の営業として課税をいたしますけれども、外国の、外国自身が出してきておるものについては、これは一種の主権免税の形で課税はいたさないということになりますが、外国の法人がこの機会にやってまいりました場合、恒久的施設がある場合には、これは当然営業に対して課税になりますが、恒久的施設がなければ課税をしないということになります。それから個人の場合は、その万国博関係で政府の雇用者として、被用者としてやってまいりました場合には、これは一応課税をしないというたてまえをとりますし、商社なりあるいはその他の営業者の使用人として参りました場合には、租税条約によりまする百八十三日ルールを適用いたしまして、その期間中に帰れば非課税ということで、それ以外の場合はすべて一般の営業として利益に対しては課税をするというたてまえでございます。
  82. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 それから、万博につとめている人――いまちょっと出ましたけれども、ガードマンから協会の幹部、これは住民税を取らないんですけれども、それからいま業者で入っている人については取ると、これ不平等みたいに思うんですけれども、その点どうですか。
  83. 吉國二郎

    ○政府委員(吉國二郎君) 万博協会そのものに雇用されている者――ガードマンとかその他、これは普通のとおり課税をするわけでございます。つまり居住者である日本人の場合は課税をいたします。外国から――外国のたとえばパビリオンのために外国政府の使用人として来た場合は、これは国際恒例で取らないということにしているわけでございます。
  84. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 それから土地を売った人に対してですが、万博の用地のこれはあまり税収にならなかったという話を聞いておるんですが、その点はどうなんです。かなりあの土地では収入があったはずなんですけれども。
  85. 吉國二郎

    ○政府委員(吉國二郎君) この点につきましては、大阪府議会におきまして、この万博会場に使用する土地につきましては、その後に公共事業の用地として使用をするという決議をいたしております。で、万博そのものの用地取得については、これは収用法の適用はないわけでございますが、それはただ経過期間として使うだけで、最終的には公共事業の用地として使用するということは、いわば収用法の適用のあるものに使うということになっております。で、この問題につきましてはかなり複雑な問題がございますけれども、いわばわが国で百年に一ぺん程度の事例でございます。わざわざこれを収用法に指定するのも無理がございます。したがって、大阪府の決議にしたがいまして、公共事業用地の取得とみなして、収用法による取得という規定を適用することに扱いとしていたしましたので、収用法の規定によって買い上げられた――規定の適用の事業のために買上げられたものとしての課税をいたしておるわけでございます。
  86. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 万博ですから、それが免税というのは当然だと思いますけれども、万博全体をとってみれば、そういう国家的事業ではありますけれども、その中で行なわれているもの、特に企業の出している。パビリオンというのは一つの企業の完全なPRというものが入っている。たとえばサントリー館というのは、その中でビールも売っていますし、それにひっかけて商売をやっているわけですが、それに対しては税金かけておると思いますが、そういうふうな面が一つ。海外から来るもの、これはそういうことはまずいと思いますけれども、そういう企業館のああいうものにはある程度――膨大なものは別としてある程度、少しぐらい税金をかけてもいいんじゃないか、このように考えるんですけれども、その点はいかがですか。
  87. 吉國二郎

    ○政府委員(吉國二郎君) これはたてまえとして課税をすることにいたしておりますので、収支のそれぞれの事業年度にはその部分が計算されて入ってくるというたてまえにいたしております。
  88. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 それから次に、問題を変えますけれども、今回の税制改正で所得制限は、これは約一〇%上がりましたけれども、標準世帯をいつも夫婦子三人と、五人ときめておられますけれども、現在の人口のあり方、家族制度のあり方でだいぶいろいろ変わってきているわけです。  まず厚生省にお伺いしますが、このいわゆる核家族化時代と言われておりますが、現状はどうなっておりますか。また今後は、どういうふうに変化をしていくと見ておられますか、家族構成。
  89. 石井律三

    ○説明員(石井律三君) ただいまの御質問は、これは標準四人世帯というのは何かということでございますが、厚生省の統計調査部のほうで調査しております調査によりますと、わが国の平均世帯人員は、厚生行政基礎調査の結果でございますが、三・五人ということになっております。で、統計調査部のほうではこの数値を発表しておるわけでございます。現に、これを厚生省の各課におきまして使用いたす場合には、それぞれの目的に応じまして使っておるようでございます。更生生活保護によります基準額の算定に用いますのは、この四人世帯を基礎として用いております。そういうことで、統計調査部の調査結果としましては、平均世帯人員は四十三年の六月一日現在の調査によりますと三・五人という状況になっておる次第であります。
  90. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 独身世帯を除くと家族構成は幾らですか。いまの三・五人でしょう、それの独身世帯を除いて計算した場合、どうなりますか。
  91. 石井律三

    ○説明員(石井律三君) 独身世帯を除いて計算いたしますと、四十三年の調査では一人世帯を除いた場合には四・一二二いうことになっております。
  92. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 それで、いまの統計からも明らかなように、独身世帯を除いては四十三年で四・一二になっておるわけでしょう。生活保護の場合でもいま言われたように四人というのを一つの基準にしておる。税金のほうはいま言われた、いままで過去二十年ぐらい、昭和二十五年からずっと夫婦、子三人というのでやっておられるわけです。これはこういう時代に応じて変更されるおつもりがあるかどうか。それともいまのままでいかれるかどうか。
  93. 細見卓

    ○政府委員(細見卓君) いまお話がございましたように、二十年来使っておるというところに意味があるわけでございまして、比較のための数字でありまして、私どもはこれが標準世帯であると申しているわけじゃなくて、夫婦、子供三人の場合、昭和三十二年のときには、たとえば免税点が幾らであったものが現在は幾らでございます、夫婦、子二人の場合は幾らでございます、お手元の歳入予算の資料説明におきましても、二人の場合、一人の場合、夫婦の場合、それぞれ例示いたしておるわけで、二十年間使っておったその比較のためにだけ五人というのを使っておる。したがって私どもは、これが標準世帯であるからこれに固執しなければならぬということを考えておらないというのは、衆議院の予算委員会において大蔵大臣も申し上げておるところでございます。
  94. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 確かにそういう議論もわかるのですけれども、比較であれば、前年度とカッコして書けばいいことであって、これは五人を四人にした場合で今回の減税案をはじくと、だいぶ違いが出てくるのではないかと思うのです。課税最低限が八十八万五千円で、五人標準世帯の場合よりも十五万円もダウンしてくる。だから課税最低限が百万円というわけにはいかなくなってきます。また所得税の負担軽減も、最も標準的な年収百五十万円クラスを例にとると、五人だと四万二千七百八十六円で済みますし、四六・四の軽減率といっておられますけれども、四人に直すと軽減率はそんなに差がなくても税金は五万七千百六十七円、五人世帯の場合より約一万五千円も多い、こういうふうになってくるわけです。その点、いまのこの計算は間違っているかもしれませんが、その点についてどうお考えになっているか。だからやはり私は、そういう前年度の比較の問題もあると思いますけれども、この際夫婦子二人というのを一つの基準として、そこへ焦点を合わせ、そうして計算していく、このほうがいいのではないか。比較の上で非常に不便であれば、前年度のままでいけば幾らだという金額をカッコして入れておけばいいことでありますから――と思うのですけれども、その点いかがですか。
  95. 細見卓

    ○政府委員(細見卓君) これからは夫婦子二人の場合と三人の場合、あるいは夫婦子一人の場合と、できるだけ多くの事例を表示いたしまして、私どもも夫婦子三人が政策のすべてであるというような形で表示いたすのは避けて、例示的に見て、負担軽減はそれぞれの家族構成でどういうふうになっておるかというのを、ごらん願うようにしてまいりたいと思います。
  96. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 次に簡単に、住民税の問題で伺いますけれども、住民税と所得税の、これはいつも問題になっている課税の最低限ですが、これが百万円と七十万円という違いが出てきているわけですが、これについてはどうお考えになっているか。これは今後どういうふうに縮められるか。確かに地方税の場合、減税になりますから税収は減ると思うのですね、同じにすると。それは何とか地方交付税のほうで処理ができないものなのか。できるだけこれを縮める必要があるのではないかと思いますが、その点はいかがですか。
  97. 降矢敬義

    政府委員(降矢敬義君) 住民税については、御指摘のような所得税と課税最低限の差があるわけでございますが、これは御案内のとおり住民税の性格というものもあると思います。ただ、私たちは今回も近づけるといいますか、引き上げに努力したわけでございますが、今後とも御指摘のように課税最低限につきましてはその引き上げに努力をする考えでございます。
  98. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 大蔵大臣、どうですか。
  99. 福田赳夫

    ○国務大臣(福田赳夫君) 私といたしましても、住民税の課税最低限を逐次引き上げていきたいと、かように考えております。住民税の最低限と、それから所得税の最低限が違っております関係上、中央地方を通ずる税制が、その税制の適用を受ける相手は一人でありまするから、非常に御迷惑というか、繁雑になっておるわけなんです。私は、将来の税制改正の方向として、どうしても納税者に対する税制の簡素化ということを考えなければならぬが、そのためからいいましても、課税最低限という問題が大きく立ちはだかっているという状態でございます。ただ、地方財政はいま、そうそうゆとりのある状態ではございませんので、そう簡単にはまいりませんけれども、逐次そういう方向に努力をしてまいりたい、かように考えております。
  100. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 最後に、これ一つだけお伺いしたいのですけれども、いま非常に問題になっておりますお医者さんの問題ですけれども、医師の特別措置のパーセントですね、控除が七二%、これについていろいろな議論があるわけです。これについて今後どういうふうにされようとしているのか、それを伺います。
  101. 福田赳夫

    ○国務大臣(福田赳夫君) ただいまの医師に対する特別措置ですが、これは何年でありましたか、昭和二十九年に議員立法でああいうことになったわけであります。なぜなったかといいますと、当時医師の診療報酬の一点単価の問題が非常に複雑な様相を呈しておりまして、そしてそれとのかね合いということでああいう制度になったわけでございます。ですからあれは単純に七二%という性質のものではなくて、一点単価とからまりのある問題であるという性格で始められ、なお今日若干そういう味が残っておるということでございます。しかしこれは実態調査をしてみる必要があろう。こういうので、主税局におきましてもこの調査をいたしております。しかしまだ、これは完全調査というところまでいかない、中途の段階でございます。中途の段階で資料をまだ正式に取り上げるわけにもまいりませんです。なお調査を詰めまして、実態が一体どうなのか。それから同時に、いま医療の抜本改正という問題がありますが、そのタイミング等、またその行き方等ともにらみ合わせまして、何とか妥当な、公正な結論を得たいと、かように考えておる段階であります。
  102. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 それは、そのパーセントを変えられるのか、その点が一点と、実際、医者といいましても御案内のようにいろいろの種類でありますし、いまの開業医の実態というのもお調べになっていると思いますけれども、非常にこれから機械をたくさん買わなければならないし、治療の内容についてはいろいろ非常に高度にだんだんなってきておる。一人の開業医じゃとうてい買えないような機械もいっぱい出てきておりますし、それから人手不足、そういった点で非常に経費がかかっておる。確かにいま医師のモラルについても問題がある、私もまずいと思うことが十分あると思いますけれども、ただパーセントを一律にするのがいいのかどうか。あるいは科によってある程度の幅を持たすのか。あるいはまた、その人の事業の規模において何らかの幅を持たせるという考え方も一つは出てくるのではないか。七二%は、たとえば医者だけ特別待遇でよくないから五〇%に下げるとか、そういうことでなくて、何かそこに弾力的にこれからの時代に合ったものが出てくるのではないか。このようにも考えるのですが、あくまでもそのパーセントを検討しようとしておるのか。あるいはそのままこれを置いておいて、何らか新しいものを考えようとしておるのか、その点をお伺いしておきます。
  103. 福田赳夫

    ○国務大臣(福田赳夫君) いま問題になっておりますのは、所得税の算定上、いわゆる必要経費、これを算定するわけでございますが、その控除さるべき経費を法律をもってきめておる。これはほかには全然ないことなんです。この医師の所得だけなんです。そういう行き方がいいのかという問題がまずあるわけであります。その問題をどうするかということが一番大きな問題になるわけであります。そのよってきたるいきさつが医療報酬の単価の問題と関連しておるので、そこに複雑性がある。ですから実態調査をよくしてみて、かつ制度改正の際に医療報酬がどうなるかということも見きわめながら、どういうふうにするか。あるいは矢追さんのおっしゃる段階制というようなことで法定した控除率を設けるというようなことにしますかどうか、その辺をよく検討しなければならぬ。いまその段階制を設けるのかどうかというところまで議論が発展していないのです。その法定という面、根本原則を一体どうするのか、こういうところにあるわけであります。なおよく慎重に検討いたします。
  104. 渡辺武

    ○渡辺武君 私は、昨年十一月の日米共同声明の経済的側面について御質問したいと思います。  十一月の共同声明は、貿易資本などの自由化の繰り上げ実施を日本に義務づけております。これが共同声明のおもな内容である。日米安全保障条約の実質的な大改悪に対応した経済的措置であり、今後、日本経済と国民の生活に長期の深刻な影響を与えるというふうに考えます。いま政府は自由化の繰り上げ実施というのを急いでおりますけれども、これはアメリカの要求に従ったものと思われますけれども、どうでしょうか。また現在政府の進めております自由化計画の内容について御説明いただきたいと思います。
  105. 福田赳夫

    ○国務大臣(福田赳夫君) 渡辺さんから、日米共同声明によって、わがほうが自由化の義務を負った、こういうふうに言われますが、そういうことはありません。わが国の自主的な立場において意図表明をした。この意図表明はどういうことかというと、アメリカの要請でどうのこうのという問題じゃございません。もう世界中がいま自由化の趨勢にある。その中において、わが日本が不自由化の体制をとっておる。こういうことについては資源も乏しく、海外との交流を活発にすることが国益であるわが日本とすれば、適当でない。こういうふうな基本的な考え方をわが国自身の考え方としてとり、いま資本の自由化、これは外国の資本がわが国に入ってくる当面の問題と、またわが国の資本が海外に出る面と、二つに分ける必要があるのですが、まず出る方面の自由化、これにつきましては二十万ドルまでは自由にしておりますが、それをこえるものにつきましては後閲審査、こういうことで資源の開発でありますとか、あるいは投資対象が安定した償還能力があるのか、そういうことをいろいろ判断してきめよう。しかし自由化という方向に沿ってこれを考えております。  それから、外国資本が日本に入ってくる問題につきましては、すでに第一次自由化、第二次自由化をいたしました。その自由化をいたしました業種は二百五業種くらいになっております。わが国の業種全体の中では三割程度のものかと思われるわけであります。そこまでいっているんですが、わが国のいま申し上げましたような自由化、世界の資本の交流の自由化を推進することがわが国の国益であるという立場に立ちますときには、その程度では十分ではないというので、ただいま第三次自由化というものを考えておる。そこで第三次自由化を行なうタイミングは大かたこの秋になるだろうというふうに考えております。近く外資審議会にどういうふうな幅でどういうふうな内容のものをしたらいいでしょうかということにつきまして、諮問をいたしたいというふうに考えております。
  106. 渡辺武

    ○渡辺武君 いま資本の自由化についての御説明でございましたが、残存輸入制限品目の自由化のほうですね。これも御説明いただきたいと思います。なお資本の自由化については、いま大臣は、ことしの秋を第三次の目途としておられるとの答弁でしたけれども、大体夏ごろに繰り上がるんじゃないかという世評ですね。これはもっぱらだと思うんです。また自動車の自由化についても、四十六年十月だというふうに一応はきまっているけれども、これも半年くらい繰り上がるんじゃなかろうかということが、新聞などにもっぱら書かれているわけです。第四次の自由化、これも四十七年三月というふうに一応はきまっておるようですけれども、これも繰り上がるんじゃないかということも、もっぱら言われているわけですけれども、その繰り上げ、これがどのようなことになるのか、その辺もあわせて御説明いただきたい。
  107. 福田赳夫

    ○国務大臣(福田赳夫君) これは全体として、自由化は繰り上げても早く実施するほうがよろしいというふうに考えております。その際、その資本の自由化がわが国の産業に与える影響、こういうものは十分考慮しなければなりませんが、基本的な考え方としては自由化促進という考えです。ただ現実の問題としまして、第三次を一体いつにするか、これは大体秋ということを見当にいたしておりまして、まあ夏ごろということには相なるまい、こういうふうに見ております。それから第四次につきましては、これを繰り上げるか繰り上げないか、これはまだ見当はつけておりませんけれども、まあこれからの日本経済の体制整備とにらみ合わせて、なるべく繰り上げる方向ということをにらんで、そして考えていきたい、こういうふうに考えております。  それから貿易につきましては、昨年の段階で、わが国は百二十品目の制限物資があったわけであります。これは国際水準に比べますると非常にきびしい規制であります。そこで貿易の自由化ということ全体が、わが国として世界的になることが国益であるというふうに考えまして、これを取り急いでおるんです。それで、まあ鉱工業物資のほうが先行しておるわけでございます。そこで昨年の段階は、百二十品目の制限物資を来年中に六十に減らそうという決定をいたしておるわけです。逐次、それをいま実施に移しておるわけでございまして、現段階では大体百品目残っておりまするが、来年までにこのスケジュールによってさらに四十品目の自由化をいたしたい、こういうふうに考えております。そこで、むずかしいのは特に農産物資なんです。この農産物資を一体自由化の場合にどうするか、これは農業の近代化、合理化ということを急がなければならぬわけでありますが、その体制のできるものに見合いまして、農産物につきましても自由化を逐次実施して、来年中にはとにかく残るものは少なくとも六十にしたい。それから残る六十につきましても、ただ単にスケジュールだからそれでいいという考えは持っておりません。この六十につきましても検討に検討をいたし、対策を講じまして、来年の末におきましては六十でない、六十よりもなお少ないという状態がいいと思いまするし、また再来年以降の段階におきましても六十品目というものがさらにさらに少なくなっていくということがいい、まあ六十になりました場合のわが国の制限状態の世界における水準、これはヨーロッパに例をとりますると、非常に少なくなっております。フランスの段階であります。フランスが六十品目前後の品目を制限しているというのでかなり批判を受けておる。こういうことを考えますると、わが国も全体としてこの問題を取り急がなければならぬという立場になると思います。
  108. 渡辺武

    ○渡辺武君 四十二年六月の閣議決定によりますと、四十七年の三月末までにわが国経済のかなりの分野にわたって自由化するという表現が使われておりますけれども、一説によりますと、いわゆる外資法上の制限業種を除いたすべての業種について自由化をするんじゃなかろうかというような議論もありますので、そのかなりの分野というのは大体どの範囲なのか。  それから、また四十二年六月にきまりました資本自由化のワク組みですね、これは第三次、第四次ともに堅持していかれるのか、それともこれをゆるめられるのか、その辺についてお聞かせ願いたい。
  109. 福田赳夫

    ○国務大臣(福田赳夫君) いままでの自由化の方式につきましては、第三次においてもおそらく維持されるだろうというふうに思いますが、この制限緩和の幅ですが、幅につきましてはかなりということを言っておるわけですが、文字どおりかなりの幅で自由化をする、こういう考えでありますが、具体的にどこまでというところまではいかないのです。これは外資審議会に近く諮問をいたしますが、その諮問の状況を見て具体化しよう、こういう考えであります。
  110. 渡辺武

    ○渡辺武君 大臣、先ほどこの自由化というものは日本が自主的に進めているものだというふうにおっしゃいましたけれども、しかし、日本はすでにガットの十一条国にもなっておるし、IMFの八条国にもなっておる。したがって、貿易自由化、為替自由化というのは国際的な条約協定の上でも私は日本の義務になっておる。特に資本の自由化についてはOECD加盟にあたって例の自由化コードもかなりの制的を受けましたけれども、基本的にはやはりこれをのんでいると思うのですね。特に、日本がアメリカとの間で結んでおります日米通商航海条約によれば、第十四条の二項で貿易の自由化を義務づけられておるし、第七条の一項では資本の自由化を義務づけられているし、第十二条の二項では為替の自由化を義務づけられているというのが、実情じゃないかと思うのですね。もちろん日米安全保障条約第二条との関連もあって、いまアメリカが日本に自由化を非常に強く要求している。そうして、日本政府がそのアメリカの要求に従いながら自由化を進めているのが、実情じゃないかと思うのですね。ですから、そういう意味で日本の自主的というのは、やはりアメリカの要求を受け入れるという方向での、つまり国際的な条約協定に従うという、その中での自主的というふうにしか理解できないんじゃないかというふうに私は思います。きょうは私、持ち時間が少ないので、その点についてこまかく論をすることができませんので、まことに残念でありますけれども、そこで、まず貿易の自由化について伺いたいと思いますが、貿易の自由化はこれまでも日本経済にいろいろな影響を与えてきた。大企業にはこれは有利な側面もありましたけれども、しかし、日本資本主義の特に弱い分野、先ほど大臣も指摘された農業、それからまた中小企業あるいはまた石炭などの鉱業――鉱山ですね、これらについては特別に大きな打撃を与えたと思う。その一例は、私は石炭だと思いますけれども、一九六〇年に日本が本格的に貿易の自由化を進めて以来、日本の炭鉱が急激に閉山、淘汰されて、それにかわってアメリカを中心とする外国石油が日本のエネルギーの大体主座を占めている。いまでは大体エネルギー供給量のうち約八割方を占めるというような状態になったことが、一つの典型的な例だと思いますね。特に、これから先の貿易の自由化、これは大臣も指摘されたとおり、農産物が非常に多いと思う。で、この自由化による日本の農業の受けた打撃というのは、いままで非常に大きい。日本の農産特の自給率がずっと急激に下がっている。そうして、農民が出かせぎ離村、その他に追いやられているというのも、これはやはり農産物自由化の与えた影響が非常に大きな役割りを演じているというふうに私ども考えております。ところが、今回の自由化計画には、グレープフルーツ、リンゴ、ブドウその他いままさに政府が選択的拡大だといって農民に言っている品目がたくさん入っているし、それからまた、まだ計画に入っていない非自由化品目についてもアメリカの要求がきわめて強いという状態です。したがって、特に愛媛、和歌山、静岡などを中心とするミカン耕作農民、それからまた、青森県のリンゴ耕作農民、長野、山梨のブドウ耕作農民、千葉の落花生、鹿児島県の紅茶、全国各地の酪農民、こういう農民がいまの政府の自由化計画に大きな不安を抱いていると思います。で、一体政府はアメリカの要求に従いながら自由化を進めておりますけれども、日本農業の、農民の経営の安定、農業の自主的な発展、こういう点でどういう政策を持っておられるのか、これは農林省から来ておられると思いますので、その点伺いたいと思います。
  111. 福田赳夫

    ○国務大臣(福田赳夫君) 農作物といえども自由化ということを考えなきゃならぬ。これは自由化を考えないでいいんだと、高いものを日本の国民は食べていいのだと、こういうふうに割り切ってしまいますと、いつまでも高いものを食べなきゃならぬ。つまり農作物が低生産性でとどまるわけです。そうじゃない。これはもう、日本人は安い農作物を食べなきゃならぬ、食べることが国民のためであるという考え方に立ち、そうして農作物といえども、そういうことにしなければならないという決意をすると、そのときから農作物の生産性の向上、つまり近代化、合理化という努力が始まるのです。まあ渡辺さんのおっしゃるようなことであれば、いつまでたっても日本国民は高いものを食べなきゃならぬということになるのですが、そうじゃない。で、いろいろ対策を考えなきゃなりませんけれども、対策を立てて自由化が行なわれるという際になりまして、外国の品物が入ってきてもそれに十分対抗できる。こういう態勢さえありますれば、自由化は最もわれわれの歓迎するところである、こういうふうに考えるわけであります。農作物につきましては、特に注意をいたしまして入ってきてもびくともせぬ。これがまあ品種という角度もありまするけれども、特に総体的に農業というものがびくともしない立場にあるという状態を早くつくり上げたいという努力をしておる最中であります。
  112. 渡辺武

    ○渡辺武君 時間がないので質問のとばくちでやめざるを得ないのですが、いま大臣が言われましたが、とにかく自由化をしなきゃ日本の国民は高い農産物を食べなきゃならぬという御趣旨のことをおっしゃいましたけれども、私はこれは当たらないと思うのです。たとえばレモンの例を申しましょう。レモンが自由化されまして、そうしてここ数年の間に十数倍という輸入の急増があったわけですね。そうしてそのことによって価格が大暴落して、確かに一時は価格が大暴落して主産地広島のレモン耕作農民は、当時自由化前の手取り百四十円が二、三年後には、三、四十円に大暴落をしてほぼ全滅をしました。ところが日本の農民の生産が急激に低下して、ほぼ全滅に近い状態になり、日本の市場が外国のレモンによって独占されるようになると、たちまちのうちにレモンの値段が上がり始めている。たとえば大阪の卸売り価格を申しますと、一九六三年にはキロ当たり四百五円、六九年には四百十円以上というふうにもう値上がり始めてきている。いま政府が自由化計画を物価政策の中に織り込んでいろいろ言っておりますけれども、一時は確かに季節の変動などで農産物の値段が上がったようなときに、多少その値段を押える役割りは演ずるかもわからぬけれども、長期にわたってはそういうことにはならぬと思う。特に日本の農業は、国際的にもおくれているといわれている。農業などというものは、二年や三年努力したからといって国際競争力がつくようなものじゃないと私は思う。やはりおもな農産物、特に日本の生産に適したおもな農産物は、これは日本で自給するというたてまえのもとに、外国農産物に対して日本農業を保護するという政策を私はとるべきだと思う。いまグレープフルーツの輸入その他について、農民が大きな反対運動をやっておりますけれども、農民の声をすなおに聞けば、とうていこれは太刀打ちできない、大きな打撃を受けるんじゃないかということで反対運動をやっている。ですから、まだ日本の農業に自由化する条件がないというようなことが明らかであるのにもかかわらず、自由化計画の中にすでにグレープフルーツが入っている。リンゴもブドウも入っている。先ほどの御答弁で聞きますと、ことし中にはそれが自由化されると、そういうようなことでは、どうして日本の農民の経営を安定させることができるのか、私、非常に疑問だと思う。  そこで申し上げたいのは、一国の貿易政策、これはその国の主権に属することだと思う。ところが条約、協定などで縛られ、アメリカの圧力に屈して自由化を進める、これは日本の主権を非常に妨げられているといっても差しつかえないと思う。ですからして、こういう特別に被害の大きい産業については、私は自由化を放棄すべきだと思う。いま日本政府はガットに入っておりますけれども、そのガットの条項から考えてみましても、ガットの十九条には、御承知のように、国内の産業に大きな被害がある場合には緊急措置をとることができるということになっておりますし、二十五条の五項にはウエーバー条項もちゃんとうたわれている。大きな被害があるならば、なぜみずから加盟しているガットのこの協定に基づいて自由化を制限しないのか。私どもは、根本的には自由化政策には反対ですけれども、少なくともこういう大きな被害を与えるようなものについては、制限をすべきだというふうに考えます。いま繊維問題などが大きく問題になっておりまして、アメリカが日本に押しつけている自主規制は二百品目にも及ぶといわれている。ところが日本は、ただの一回も緊急条項を適用したという例がないと思う。日本経済の自主的発展という立場からすれば、当然少なくともこのガットの条項を適用して農民を保護するという政策をとるべきだと思いますが、その点どうでしょう。
  113. 福田赳夫

    ○国務大臣(福田赳夫君) いま日本はもう低開発国じゃない。もうアメリカに次いで自由世界では世界第二の総生産を誇るような国になっている。その日本が一体封鎖主義の政策をとったらどうなるのか。これは世界の通商政策の動向に大きな影響を与えるわけです。そういう際に、わが国益はどうなるのかということを考えますと、これはたいへんなことです。やっぱりわが国は、いま自由化という趨勢がありますが、その趨勢に乗り、あるいは積極的にその趨勢を刺激していかなければならぬ。これこそがわが日本の国益である、こういうふうに考えます。あなたはアメリカの圧力、圧力といいますけれども、そんなものじゃない。わが日本の国益を考えてわれわれはやっている。農作物については、先ほどから十分申し上げておるとおり、自由化しても、わが日本の農民の生活が保障される、安定を確保し得るという立場を踏んまえてやらなければならぬ。これは一つ一つの品目で論ずるということも、あるいは適切でない場合もありますが、総体として日本農民というものがその生活に安定できるということを固く踏んまえてやっておるのです。また、そうやらなければならぬというふうに考えておりますが、とにかく不自由化の政策をとったら一体日本がどういうふうになるか。ロビンソン・クルーソーになっちやうのです。これじゃ日本はやっていけない、このことはよくひとつ御理解をいただきたい。
  114. 羽生三七

    ○羽生三七君 一問だけ、大臣、時間がおありのようですから……。  税収について、所得税が重税感を与えるので、漸次間接税を考えなければならぬという御発言もあり、それからその間接税の品目の拡大とか、あるいは付加価値税の創設等、いろいろ言われておりますが、一体明年度に向かって、そういう間接税に移行するような何らかの作業あるいは付加価値税、そういう問題を検討されているのかどうか。ただそれは、蔵相の最近の所得税の重圧感に対する感想なのか、実際そういう作業を明年度予算編成に向かって進められるのか、これだけ一問伺います。
  115. 福田赳夫

    ○国務大臣(福田赳夫君) 総合的な間接税、つまり付加価値税でありますとか、売り上げ高税でありますとか、そういうものについては勉強はいたしておりますけれども、これは物価に与える影響というものが甚大であります。そういうようなことを考えて、まあ当分の間これが実施というような問題にまでは発展しない、こういう見通しを持っております。しかし個別間接税ですね、これにつきましては検討もするが、財源の見合い、自然増収をもって直接税の、特に所得税の減税をまかない得るかどうか。あるいは、さらに財政需要としては公共投資や社会保障という増高要因があります。そういうものをまかない得るかどうか。そういうものとのバランスを考えながら実施に移すべきものであると、こういうふうに考えております。
  116. 川上為治

    ○主査(川上為治君) 以上をもちまして大蔵省所管に関する質疑は終了したものと認めます。  午前の会議は一応この程度といたし、午後の会議は二時から再開することとし、暫時休憩いたします。    午後零時五十七分休憩      ―――――・―――――    午後二時三分開会
  117. 川上為治

    ○主査(川上為治君) 午前中に引き続き、これより予算委員会第二分科会を再開いたします。  昭和四十五年度総予算中外務省所管を議題といたします。  午前の会議と同様、政府の説明を省略して本日の会議録の末尾に掲載することといたしたいと存じますが、御異議はございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  118. 川上為治

    ○主査(川上為治君) 御異議ないものと認めさよう決定いたします。  それでは質疑に入ります。質疑のある方は、順次御発言を願います。
  119. 羽生三七

    ○羽生三七君 先ほど休憩時間中に昼食をしながらテレビを見ていますと、きょう万博は国連デーですか、ウ・タント事務総長が演説するところが写っておりましたが、それにちなむわけでもないが、国連に関する問題で二、三最初にお伺いいたします。  この前の総括質問の際に、私が台湾、国府が全中国を代表する形で安保常任理事国の地位にあることは不適当と考えないかと、こう質問した際に、総理大臣は憲章ではっきり中華民国を指名している事実を認めざるを得ないということで、憲章をある意味では不動のものと考えるような答弁をされたわけであります。しかし一方では総理も外相も国連二十五周年記念総会あるいは通常総会か、いずれにしても、今度の秋の国連の総会の機会に、憲章の再検討を提起することは、もう当然のようでありますが、そこで、そうすると、この台湾問題、国府問題にしても、固定的に見る必要はないんではないか。したがって、政府の答弁は目下のところとか、ただいまのところと言うべきではないんでしょうか、最初にこれをお伺いしたい。
  120. 愛知揆一

    ○国務大臣(愛知揆一君) 中国の代表権問題についての総括質疑のときのお答えにつきましては、現在までの、いままでの経緯を中心にして総理からも御答弁になった、こういうふうに私も理解いたしておりますが、まあ、これは中国問題に限らず世界の情勢というものは流動的でもありますから、将来の問題としては日本の国益を中心にし、あるいは世界のあるべき姿に対して考え方を持っていくということは、当然のことではなかろうかと思います。ただ国連憲章の問題について直接にこれとつながりを持って申し上げたのではなかったと思います。
  121. 羽生三七

    ○羽生三七君 そこでおそらく明日、外相は国連事務総長にお会いになっていろいろお話もあると思いますが、また詳しくはあとから順次お伺いいたしますけれども、わが国が国連の安保常任理事国または準理事国になるような考えを持ち、同時にしばしば総理、外相が言われるように憲章の敵国条項の削除とか、あるいは拒否権問題等、あるいは平和維持機構問題等で何らかの憲章改正を近く提唱するとするならば、その際には国民政府の地位をどうするかという問題を避けることはできないのじゃないでしょうか。それだけはほほかぶりでその他の規約改正だけをやるということは、少し筋が通らぬような気がするのですが、当然避けることができないような問題にぶつかると思いますが、いかがですか。
  122. 愛知揆一

    ○国務大臣(愛知揆一君) 先ほど申し上げましたように、国連の憲章というものはそれ自体としての問題であって、個々の問題を予想しながら、またそれの解決ということと結びつけて考えたわけではございませんで、むしろ直接日本の立場や婆勢の問題からこうあってほしいということを、まず主体的な立場においてそうして考えていき、また呼びかけていきたい、こういう発想でございますから、中国問題等については、前々から申し上げておりますように一九七〇年代の問題というふうに相当息の長い問題で、これは政府の考え方はそういう立場に立っておりますから、直接この国連憲章問題との関連において、あるいはまたそういう意図において発想したものではない、経過はこういう考え方に立っております。
  123. 羽生三七

    ○羽生三七君 それはよくわかるのです。私もいまの政府が国府の地位を検討するために規約改正問題と結びつけるような動きをするとは思っておりません。それはそうですが、しかし常任理事国の問題を含めてこの数をふやすなり、あるいは準常任理事国制度をつくるという場合に、当然国府の地位に触れることなくして、それを避けて他の規約改正だけをやるということは、事実上非常に困難ではないか。ですから、日本の政府の意図はどこにあるかということはまた別の問題です。実際問題として避けることはできないのじゃないか。もし意図と結びつけないようにするならば、その問題だけ除外した形のものになるのではないか、だから非常に規約改正の場合、常任理事国と準常任理事国とどういう形でやるのか。たとえば五大国はそのまま絶対動かさない、構成メンバーも、つまり北京とか台湾政府ということの移動はさせないとか、あるいは数をふやすとすれば五大常任理事国はそのままにしておいてあと一カ国か二カ国追加するとか、何かそういうことでなければ当然避けることのできない問題にぶち当たることになるのではないかと考えるがいかがですか。
  124. 愛知揆一

    ○国務大臣(愛知揆一君) 政府のいま考えておりますことは、一つは国連の平和維持機能を強化すべきではないかという立場に立って、安保理事会や総会のあり方あるいは理事会と総会との両機関の関係等の問題をどういうふうに考えるかということについて、加盟国等の意見も聞きながらひとつ考え方を打ち出していきたいというのが一つでございます。それから経済社会諸機関の活動のあり方を総合的にレビューしてみたい。それからもう一つは、旧敵国条項などの時代おくれになった規定の整備ということを取り上げてみたいということでありますから、その取り上げ方が一般的な機構あるいは運営について中心に考えているわけでありますが、先ほど申しましたように、個々の問題についてその中に含めて、あるいはそれと関連させてどうこうというところは考えておりません。
  125. 羽生三七

    ○羽生三七君 そうすると、結局、今度の憲章改正を提起する場合には、平和維持機構とかあるいはいまお話しのあったような問題等、敵国条項の削除等が中心で、この常任理事国の数をふやすとかいう問題には触れないのですか。
  126. 愛知揆一

    ○国務大臣(愛知揆一君) 安保常任理事国あるいは安保理事会の今日までの運営のやり方、あるいはその構成ということについては、二十五年前と比べてもっと数をたとえばふやしてもいいではないか、あるいは核の保有国だけにたまたま限定されるような運営でいいのかどうかというようなことを含めまして、安保理事会の構成についても前向きに考えていかなければならないのではないか、こういうふうな考え方でございまして、これは前々から申し上げておりますように、日本だけが自分の考え方を持ってそれを押しこくっていくということも、一つの考え方でございましょうが、やはり加盟国の大多数の国の賛意を得なければできないということでございますから、関係加盟国の意見もだんだん盛り上げていきながら、これまた相当時間もかかることではございましょうけれども、たとえば特別委員会をつくるというようなことも方法論の一つではないか、そういう程度に現在は考えておるわけでございます。なお、ウ・タント事務総長などとも、そういう点について非常にいい機会でございますから、いろいろ意見の交換もしてみたいと考えております。
  127. 羽生三七

    ○羽生三七君 そうすると、国府の地位をどうするかというようなことを意図して憲章改正問題にからませるわけではないということは、先ほどお話しのとおりですが、またしいて、それを避けるためにこの問題は不問に付しているわけもない、たまたま改正の過程でそういうことが出てくれば、検討することもあり得るわけですね。
  128. 愛知揆一

    ○国務大臣(愛知揆一君) この国連の機構の問題は、御案内のように政府としては昨年の二十四回総会である程度の意図の表明をいたしました。それとの経過もありますし、いま申しましたのは、昨年来の考え方をもう少し具体的に展開したいという考え方でございますから、昨年からの日本の姿勢というものについては、いまるる申し上げたような経過で政府の発想というものを、呼びかけを始めたところで、今回の二十五回の総会にはもう少し具体的に推進したいということでありますので、発想の経過からいって、それとこれとは系統の違った問題として取り上げていきたいと、こういうふうに考えておるわけでございます。
  129. 羽生三七

    ○羽生三七君 いや、それでは私、必ずしも納得しないのですが、これはそれ以上のお答えはないだろうと思いますから、いまお答えになった問題と関連して次の点をお尋ねしたいと思いますが、それは平和維持機構の強化を提唱されるわけです。これを第一にうたっておられる。その際、衆参両院ともそういうことになった場合に、日本が国連の休戦監視団などの警察活動に参加を求められることはないかということが、もっぱら憲法上の解釈から取り上げられておるのですね、いつも憲法上の解釈から。私はそうではなしに、それも大事なことですが、これは時間の関係上他日に譲って、かりにそういうことを、国連の休戦監視団などの警察活動に参加を求められるようなことが国連から起こっても、それを承知でこの機構強化ということを、日本が今度の憲章改正の第一に提起されるのかどうか。そういう腹がまえがある程度――いい悪いは別問題です。憲法上の解釈は別問題です。それがなければ、この問題を今度の改正の第一に掲げるということは、非常に矛盾するのではないかと思うのですが、いかがでしょうか。
  130. 愛知揆一

    国務大臣愛知揆一君) この点も、これまでも政府の考え方を申し上げておるわけですけれども、従来の考え方からすれば、国連の平和維持機能の強化、それに対して日本が積極的な姿勢を示すということは、何らかの意味で国際監視団等に対して従来よりも積極的な寄与を要請されるのではないかというふうに取り上げられがちであったと思いますけれども、私どもの考え方は、それもそうであるかもしれませんけれども、日本のこの寄与のあり方については、平和憲法のもとにおける日本のユニークな考え方で、これだけ日本としての国づくりもできたのでありますし、こういう行き方で、その上に立って寄与する面も相当ある。たとえば私は思うのに、国連の機構や機能の中にはいろいろございますが、たとえば財政上の寄与というような面についても、分担金以外にずいぶんいろいろの方法があるわけで、そういうところに対して、GNPがこれまできた日本としては、協力すべきところで残された分野が相当あるのではないか。そういう面における寄与、協力というものを日本としては考えるべきではないか、これを従来、ともすれば考えられがちであったような力による協力というようなことは考えない、ユニークな協力のしかたというものを中心に考えるべきではないだろうか。結論として現行の、いま憲法との関係は別というお話もございましたが、憲法のもとにおいて、さらに現行の法令のもとにおいてなし得る限りの寄与をするということがまず第一ではないだろうか、こういうふうに私は考えておるわけでございます。
  131. 羽生三七

    ○羽生三七君 私が憲法とは別にと言ったのは、別に問題に、別だから問題はないと言うのではなしに、それとからめて論議はしないというのですから誤解のないように。そこで、そういうことでこの憲章改正問題を提起される場合、一応のお考えは先ほど来ありましたし、また新聞報道等でも承知しておりますが、もし、日本が国連で――その前に、一ついまの御答弁ですね、ユニークな日本の存在というものを、特異なものと考えてそこでやっていくという、働いていくというお考えには、私は、これは全面的に賛成であります。これはぜひそうあってもらいたいと思いますが、同時に、今度日本が国連で何かやるとすれば、今度は中国の代表権問題が非常に大きな問題になると思うので、これを避けて、敵国条項の削除あるいは拒否権の制限というようなこと、あるいは平和維持機構の強化とか、そういうことだけで、この中国代表権問題は避けて通るのもいかがかと思いますが、この場合、秋の総会で重要事項指定に対してはどういう態度をとるかということは、これはいつも問題になりながら、結局は目下検討中で終わるわけなんですが、しかし、いまの国連に何かほんとうに求めるとすれば、たとえば今度の日本案に対しても――日本案というわけでもありませんが、規約改正という問題提起に対して、安保常任理事国はあまり賛成でない、消極的だと言われておる。むしろ、その運営の問題だと言っておるようですが、その拒否権問題は別としても、国連が当面しておる重要な問題の一つに、やはり大きな国が国連に参加して普遍性を十分発揮できないところに問題があると思うので、そういう意味でやはり秋の国連総会における重要事項指定という問題については、日本が従来と変わった発想なり態度をとらなければ、真の七〇年代の変革に値する行動とは言えないのではないかという感じがするわけですが、いかがですか。
  132. 愛知揆一

    ○国務大臣(愛知揆一君) 私は、このタイミングの関係をそこへ入れてみると、国連の機構あるいは運営についての提言をある程度具体的にやり出しましても、これは時間的に、やはりこれもなかなか各国がそういうふうにまとまってくるというふうには、この次の総会だけでは、私はとても日本の望むような姿には、なかなかなりにくい。越えなければならない障害がいろいろあるような気もするわけです。したがって、ことしの秋の総会においては、やはり従来の運営方法で運営されることになるのは、これはいたしかたないと思っております。  で、そういう場合に、中国代表権というような性格あるいは種類の問題は、やはり現在の運営方法ならば、重要事項指定をいたしましても、三分の二の表決権でいかなければいけない性格の問題である、こういうふうに考えておるわけでございます。したがって、現在の政府の意見といたしましては、重要事項として国連で扱うべき問題だと、こういう立場に立っているわけでございます。
  133. 羽生三七

    ○羽生三七君 これはたいへん残念なことで、私、まあ七〇年代を変革の年とされる場合に、スタートの七〇年に何らかの新しい芽を少しは出してもらえるものかと期待しておりましたが、これははなはだ残念なことです。まあこれは、これ以上多くを申し上げません。  そこで、この問題の最後ですが、明日、国連事務総長とお会いになることと思うし、それから先般外務委員会の際に、形式的な会見でなしに立ち入って話しをしたいという外務大臣、私の質問に答えられておったと思うのですが、会見をされる前にあまり詳しくというのもいかがかと思われるけれども、どうせ明日はわかることなんですから、お差しつかえのない範囲で、どういう問題を御相談になるのか、お聞かせをいただきたいと思います。
  134. 愛知揆一

    ○国務大臣(愛知揆一君) ウ・タント事務総長との間には、これは何と申しますか、定期協議とかいうような形のものでございませんから、あらかじめ議題の整理をして一つ一つについて討議するという形はとらないことになっております。同時に、隔意のない意見の交換をやりたいと思っておりますので、大体次のようなことを考えております。  これは政策的な問題もあり、あるいは事務的な問題もありますので、それらを取りまぜて申しますと、一つは、しばしば御質疑にございましたが、二十五周年の記念の総会というものをどういうふうに運営していくことがいいかと、この点についてはいろいろ伝えられておりますけれども、まだ、二十五周年の記念総会についての運営委員会というようなものも正式に意見を決定しているわけでもない。それだけに、各国が若干まだとまどいのていであって、たとえば定時総会は九月中旬から開かれるわけでございますが、それとの関係をどうしたらいいか、あるいは、各国も、たとえば大統領とか総理大臣とかの出席というものもまだ確定をしていない、まあ、状況待ちというようなところもあるように見受けられますので、この国連二十五周年の総会というものをどういうふうにやっていったらば一番効果があるか、ということについて意見の交換をしてみたいと思います。これはむしろやや事務的と申し上げてもいいのではないかと思いますが、差し迫った問題なので、これも話し合ってみたいと思います。  それから一つは、先ほど来お尋ねのありますような、国連のあり方を再検討することについて、昨年、私も、事務総長と若干の意見の交換をいたし、また、その直後に総会で発言もいたしておりますので、大体の私の発想は事務総長もよく了解しているはずでございますけれども、この国連のあり方、先ほど申しましたような、その中には数点検討したい点があるように思われますが、これがいわば一つの重点事項と思います。  それから次に第二次国連開発の十年ということは、これはまあ国連全体の現在のかまえ方がそういうわけでございまして、一九七〇年代の十年間の国連開発の第二次計画と申しましょうか、これにつきましては日本に期待されていることも非常に多い。例のピアソン報告等の関連もございますが、こういう点についての意見の交換ということが必要なことではないかと思います。現に国会のほうの御了解も得て、エカフェの定時総会に私も出席することになっておりますが、それとの関連もございますので、打ち合わせを十分にしていきたいと思っております。  それからその次には、これまた日本の国内の世論が非常に積極的に動いておりますが、いわゆる国連大学――いままで国連で呼んでいる名前は国際大学と訳すべきでございましょうけれども、この国際大学の構想、これも事務総長の発言というものはきわめて簡単で、きわめて抽象的でございますけれども、この発言がありましてから若干の時間もありましたから、その後、事務総長として抱懐しているもう少し具体的な意見というものがあれば聞きたいし、なければ日本側としてユネスコ国内委員会などでいろいろ検討されている考え方、あるいは各地域からすでに誘致運動等も相当始まっており、その中にはそれぞれまた示唆のある提案もあるわけでございますから、こういう日本国内のこの大学問題に対する非常に高まっておる関心、それから意図としておるようなこと、これは相当積極的に日本側の状況を理解してもらい、そして将来日本への誘致ということに対する積極的な意思表示をあわせていたしたいと思っております。  それからその次は、これはまた多少事務的になりますけれども、かねがねいろいろの機会に申し上げておったかと思いますが、国連の特に中心になっておる事務総局の機構の中に実際は割り当てられている数があっても、日本の特に政治面等における高級職員の数というものは、きわめてりょうりょうたるものでございます。これについてはやはりかねがねウ・タント総長にも具体的なこちらの提案もいたしておるわけでございます。やはり国連の機能の強化ということを、日本として大いに提案もしつつあるときでもございますから、やはり日本人の何と申しましょうか、力というものを、大いに国連の事務総局の中でも活用してもらいたい。これは御必要がございますれば資料などを差し上げてごらんいただきたいと思いますけれども、実に日本の入り方は微弱でございます。いろいろそれにはそれなりの理由もあるようでもございまするけれども、日本としては、こういうポストにこういう人を入れれば、国連自体も強化するのではないかというふうに考える面もございますので、そういう点もわれわれとしてはこの機会にあらためてまた促進したいと考えております。  それから、その他、具体的な懸案とでもいうべきものがかなりございますので、そういう点についての政府の考え方、あるいは姿勢というものを明らかにしていきたい。たとえて言えば、先ほどもちょっと申しましたけれども、この現在の日本の立場から言えば少しほど遠いように考えらるかもしれませんけれども、UNRWAに対するわがほうの資金的な供与というものについても、先方も相当の期待があるようでございますが、これらに対していわゆる難民救助等についての問題についての日本側の寄与を、もう少し大きくする等の積極的なかまえを示してもいいのではないかと思われます。  それから、これは二十五周年の関係もございますわけですが、世界青年会議というものが計画されております。世界青年会議というのは、国連二十五周年を記念する意味で国連本部で各国から約八百名の青年を集めて開催されるわけですが、年齢二十五歳以下、国連二十五周年を記念するので二十五歳以下の青年をもって青年会議を開催したい。これなどにもわが国としては積極的に参加してしかるべきものではないか。そういうふうなややこまかい問題、あるいはちょっとほど遠い、日本の中ではそれほど取り上げられていない問題ではありますが、懸案になっているようなものなども、この際片づけていくほうがいいのではないか。なおそのほかに、これは先ほども中国の問題のお話もございましたが、国際情勢あるいは政治経済全般についての、もし意見交換の時間がございますれば、そういう点にも触れてみたいと思っております。それで、明日そういう点についてまず私が話し合ってみたいと思います。引き続き明後日それらの点のうちの次元の高い問題については、総理大臣と事務総長との会談というのもぜひ実りのあるような会談をしてもらうようにいたしたいと存じます。
  135. 羽生三七

    ○羽生三七君 よくわかりました。国連に関する問題はこの程度にしてですね、次に伺いたいことは、ジュネーブ軍縮委員会でB兵器の禁止のみを目的とした英国案と、それからCB両兵器を禁止するが査察を伴わないソ連案との間にあって、日本は有事査察を伴うCB兵器禁止を提唱しておることは言うまでもないわけですが、そのCB兵器は、核兵器と異なって大きな施設やあるいはたいへんな費用を用いなくとも製造できるので、その査察は非常にむずかしいということが指摘されている。その点はどうなんでありますか。  それから一緒にお伺いしておきますが、そういう場合ですね、この報道によると、軍縮委員会ではいまのような問題を前提として、軍縮委員会では、現在の英国案支持派とソ連案支持派がほぼ、数の点はわかりませんが、ほぼ固まったと言われております。ただ日本が提唱したこの日本案が、専門家会議を開いて査察を検討させようとしています。この点は煩瑣で協定の成立をおくらせるのではないかという批評もあるようですが、一部には日本案が非常な支持を受けておるという報道もあるけれども、一部にはいま申し上げたような、手続が煩瑣で結局この案の成立をおくらせることになるのではないかという点が指摘されておるようですが、この点はどういうことでしょう。
  136. 愛知揆一

    ○国務大臣(愛知揆一君) このCB兵器の問題は、御案内のように昨年の軍縮委員会でもいろいろの案が出されたわけで、それで政府といたしましては特にこれらの案の中で、たとえば英国案などが昨年だいぶ議論されましたが、その利害得失あるいは各国の反響などを見守っておったわけでございますけれども、なかなかまとまった結論が出そうもない。同時に一方においては、国連のほうの動きもございましたので、四十年以上も批准をしないでおったものでありますが、とりあえず一九二五年の条約の批准の御審議を願いたいと手続をすでにとっているわけでございます。一方そうやっておきまして、軍縮委員会におきましては、いまの現在の状態においては、日本としては独自の立場に立って最善と思われる案を日本としては出して、同時に各国の状況を見守っていくというような状況にございますから、日本案に対しましてもいろいろの批評もあるようでございますが、軍縮委員会の動向、内部のいろいろの討議の状況を見て、そして日本としてとるべき措置については柔軟な立場で扱っていけばいいのではないかと、現状のところはそう考えておりますけれども、なおこまかい点については国連局長から、ごく最近の軍縮委員会の状況などは御説明申し上げます。
  137. 西堀正弘

    ○政府委員(西堀正弘君) 先生御存じのとおり、本件に関しましてはBC両方の兵器を一括して禁止しろというソ連のほうのA案、これは昨年の九月でございますかの国連総会に、ソ連の条約案が提出されました。一方現在C兵器、化学兵器のほうはとりあえず見送って、生物兵器BWのほうだけを禁止しろという英国案、これは昨年の七月でございましたか、軍縮委員会に提出されたわけでございます。日本はもちろん従来の方針といたしましては、BC両方これを一括して禁止しようという立場をとっております。しかし、これは検証ということになりますと、特に、使用の検証ということになりますとこれはわりあいなにでございますが、製造、保持それから開発ということになりますと、これは非常にめんどうで、特に科学兵器につきましては平和利用のものとそれから軍事利用のものとが全く紙一重だということで、したがいましてこれの検証ということになりますというとどうも問題が多いので、とりあえずそのBのほうだけを禁止したらどうかという先ほどの英国提案と申しますか、それの声がだいぶ大きいのであります。それは先生御指摘のとおりでございます。しかし、わが国といたしましては昨年そういうように一括のあれを提案いたしましたこともありますので、やはりソ連のように両方とも禁止しながら査察は全然いやだと、これではもう全然のめませんので、わが国といたしましては両方を一応とにかく検討し、しかもその有効なる検証を伴ったものでいくと、ついてはこれを専門家に研究させようじゃないかと、これをわが国の主張としてやっているわけでございまして、したがいまして、これに対してはもちろん日本のみならずスウェーデンその他大いにこれをサポートしてくれる向きもございますので、なおかつわが軍縮代表の安倍代表はその線で本年もこの軍縮会議に臨んでおるわけでございます。したがいまして、できるならばこのわが国の従来の立場、すなわちソ連案プラス有効なる検証というものを加えたところのわが国の立場を、何とか成立させるように努力いたしたいと考えている段階でございます。
  138. 羽生三七

    ○羽生三七君 その事情は知っとるんですよ。知っとるんですが、ちょっとこれ何か両案の間でつまみ食いをするような感じを受けるので、それは専門家会議という構想も悪くはないけれども、あまりにも煩瑣で、そのためにかえってこの両案いずれにしても成立をおくらしておると、結果的にはそういうことになっておるので、この日本案で成立する可能性があれば別ですが、そうでなければいずれかに態度をきめる必要があるんじゃないですか。
  139. 西堀正弘

    ○政府委員(西堀正弘君) 先生御指摘のとおり、そのとおり軍縮委員会の動向を見まして、いずれかに態度を決定しなければならないと思うのでございますけれども、いまのところはその段階がまだこない。まだ両方の支持国の動向を見ているという段階でございます。
  140. 羽生三七

    ○羽生三七君 いや、はなはだ言いにくいことですが、ちょっと日本外交の一面を象徴しておるような感じもするので、この点はしかるべき時期にやはり明確な態度を打ち出すことが――できれば私、この査察、検証の点が問題ではあるけれども、CB両方を禁止することのほうが私は望ましいと思いますが、これはただ意見だけにとどめておきます。  時間の関係で簡単にあといたしますが、外務省は四十五年度予算で要求した軍縮科学部ですか、何かそういう予算を要求しましたか、それは成功しなかったわけですね。そこで、現在の国連局にある軍縮室のスタッフはどの程度で、どういうことをおやりになっておるのか、それをちょっと聞かしてください。
  141. 西堀正弘

    ○政府委員(西堀正弘君) 本年度の予算要求におきまして、軍縮科学部、これらの設置を実は要求したのでございますけれども、新設の局部というものは一切認めないという行政管理庁の強いあれがありまして、結局国内においてはいずれの局部も新設を認めなかったというのが実情でございます。軍縮科学部と申しますのは、現在私の国連局の中に科学課がございます。それと軍縮関係、主としてジュネーブで行なわれておりますところの軍縮会議に関するところの事項でございますが、これとを一緒にしたものを、実はそれを部として設置したいということでございました。それがいま申し上げましたように、認められなかったということでございます。それから御質問の軍縮室でございますが、これは先ほどちょっと申しましたように、主として現在ジュネーブで行なわれているところの軍縮会議の事務、これを取り扱う、それからそれに関連いたしまして、たとえばただいまのジュネーブ議定書、こういったものをすべてこの軍縮室で行なっております。もう一つ、御質問の規模でございますが、軍縮室は現在わずか十名の規模でございます。
  142. 羽生三七

    ○羽生三七君 それで大臣、日本が国連あるいは二国間、あるいは多数国間それぞれの関係を通じて、軍縮に大いに貢献しようと思うならば、その機構をいじるだけの問題ではないと思いますけれども、大規模な、たとえば中国を含む核軍縮だとか、これは私きょうは時間がないからやめておきますが、他日いずれかのときにお聞きしたいと思っておりますけれども、たとえば米ソの戦略核兵器の制限交渉は一体どうなっておるのか。それから中国の核との関連そういう問題を含む広範な大局的な軍縮問題などは、ただ大臣とか局長あたりが会議をされて考えられるのか、一体どういうことになっておるのか。その辺やはり世界各国に負けないような、そういう軍縮活動のできる機構というものが必要なのではないか。私は必ずしも人数のことを言うわけではありません。これはもう非常に私は日本の外務省の活動としては非常に重要な、ことに平和維持機構の強化という面と私は関連して非常に重要だと思うのでございますが、いかがでございますか。
  143. 愛知揆一

    ○国務大臣(愛知揆一君) これは全くごもっともでございますし、私はもう個人的にはかねがねその重要性を大いに考え、かつ力説しておったわけですが、たまたま機構の問題としては、いま説明がありましたようなことで、軍縮室あるいは科学課の昇格といいますか、これはできなかったことは非常に残念に思います。ただこの関係では、実は機構新設、増設を一切しないという大原則がありましたけれども、やはり国際舞台における活躍はどうしても必要でございますので、ジュネーブに軍縮代表部を、これは一つの独立した公館として設置することを認められて、独自の活躍ができるような公館ができたことは、せめてものことであったと私は考えております。それから政策全体としては、これはもう非常に大きな、あるいはこれからの事態に大事なことでございますが、外務省としては御承知のとおり各地域局も本件については、相当の研究というか、情報分析等はいたしております。それから政策企画の面では、今度の設置法の改正で国際資料部という名前でありましたものを、とりあえず調査部ということに名称を変えるようにしていただいておるわけですが、これがまあ諸外国の外務省における政策企画部と、あるいは政策企画委員会というようなかっこうで現に運営いたしておるのでありますけれども、その実が名の上にやや反映するようなくふうをいたしまして、そうして省内におきましては、政策企画委員会的な実をあげるような、これは省内限りの運営でございますけれども、そういう組織をつくって動いておりますし、それから核あるいは軍縮問題につきまして、あるいはこれはBC兵器の問題もそうでありますけれども、各界の権威者その他の方々にお願いをいたしまして、ほぼ、もう常設的に実際上の調査研究機関というような形で、各方面の御協力をお願いいたしておりますが、そういう点は乏しいのではありますが、軍縮室がその事務局的な機能を発揮するようにこれまでも考えてまいりましたし、またこれからも一そうそういう機能を充実していく、こういうふうに思っておるわけでございまして、先ほどお話もございましたように、各国のこういう面も私は概観いたしたわけでございますけれども、これは必ずしも人数の問題じゃなくて、機構、何といいますか、オーガナイズすることが非常に必要であるし、場合によりましては、やはり外務省全体をあげての大問題でございますから、そういう性格に、沿うような運営も心がけていきたい、かように考えている次第でございます。
  144. 羽生三七

    ○羽生三七君 これは大臣も御承知のように、十年ほど前に、十二、三年になりますか、前の参議院議長の佐藤尚武さん、それから私どもが要望して外務省にこういう機構をつくるようにという要望をして、それから何か調査室みたいなものをつくって、それがだんだん伸びてきたわけですが、これはぜひほんとうに今度の国連総会に平和維持機能の拡充を求められるならば、日本自身が日本の憲法にふさわしい活動をするとするならば、先ほど大臣の言われたユニークな国としての活動をされるならば、こういうもので世界の要求にこたえるような体制を整える必要があるんではないか。これは要望として申し上げておきます。  それから、その次に、一、二問題がありますが、最近の新聞報道で、外務省がベトナム戦後に備えて食糧、衣料などの限定した二億ドルの援助基金制度を設けるというような報道があるのですが、これは進んでおるのですか、どうですか。
  145. 愛知揆一

    ○国務大臣(愛知揆一君) この問題は、いずれにいたしましても、国際緊張、南北問題の解決というわれわれの基本的な考え方に立ちまして、ただ単なる難民救助あるいは人道的な立場というようなことではなくて、リコンストラクションということも含めた考え方、やり方が必要ではなかろうかと。従来はともするとレリーフといいますか、そういう観念に重点を置いて考えたわけですけれども、いわばレリーフ・アンド・リコンストラクションと申しますか、これがポストベトナムということばがよく使われますけれども、それとも合う考え方ではないかと思います。たとえばインドシナについて言えばインドシナ全体を通じてレリーフ・アンド・リコンストラクションという考え方でいったならばいかがであろうか、これはまだ外務省としての研究案でございまして、財政当局その他のまだ十分な同意は得てはおりませんけれども、私は外務省としてはこういう考え方をぜひひとつ実らせたいと、こういうように考えておるわけでございますが、まだ不幸にして今年度予算等にはそういう趣旨が盛られておりません、率直に申しまして。さらに積極的に考えていこう。これはベトナムにおける戦争のエスカレーションということは断じてあってはならないし、またどういう形かで戦争がディスカレートしてそういう段階においてこういう考え方が必要ではないかというふうなことを、省内においてよりより前向きに検討しておる、こういうわけでございます。
  146. 羽生三七

    ○羽生三七君 その場合、これはもういまもお話にありましたが、これはあくまでその体制や南北という問題にはとらわれてはならない、全域に及ぶものである、ひもつきでないこと、政治的意図を含まないこと、あるいは相手国を援助してやった場合に、相手国の自主的な計画でやらせる、そういうようなことを含んでやるならば、私は意義あることだと思います。ただそうでなしに、実際問題として片っ方に援助を片寄って、片方には名目だけとか、あるいは政治的な観点を幾らか加味されておるということになると、これはたいへんな問題ですが、純粋なものであるならば、これはそういう考え方は正しいと思いますから、むしろ推進を希望いたしておきます。  最後に一問だけ――これで終わります。それは核防条約の批准の条件ですね。この問題で外相が調印を決定したときの閣議のあとの記者会見でこういうことを言っておりますね。査察協定がユーラトム等に比し不利にならないことを見きわめた上でなければ批准しない。そうするといかにも査察の協定の内容ということだけが、調印はしたが批准の場合の条件ということになるのかという問題が一つあるわけです。それから調印の際の政府声明、査察協定が他に比して不利な取り扱いにならない点を十分考慮した上で批准手続をとる、これ査察問題に限定されておりますね。ところが、これは少し古い話になりますけれども、三木外相のときに、私が、日本が署名にあたって――これは私の意見ですよ。核大国の軍縮努力が認められない場合は、脱退条項にいう「至高の利益が危うく」されておる場合に該当する旨の解釈宣言を行なうべきだと、こう私が言いましたところが、当時の三木外相は、脱退を云々するよりも条約の中で核軍縮の実行を迫るほうがより建設的だと、こう答えたことがあります。ところがその後、今度いよいよ核防条約が調印になった際に、愛知外務大臣は、記者会見で、大国による核軍縮の必要あるいは中ソの参加を訴えた後、わが国の「至高の利益が危うく」なれば脱退できると、こういうふうに言及されておりますね。これは私が先ほど述べたこととほぼ一致する考え方であります。そこで、その場合の「至高の利益が危うく」されたということは、具体的にどういうことかということがあるわけですが、これはなかなか例示はむずかしいと思います。むずかしいと思いますけれども、少なくとも大国による核軍縮の遂行状況いかんによっては、すなわち核軍縮の実効が一向あがらず、むしろ軍拡の方向にあるのではないかというような状況が判断された場合には、この「至高の利益が危うく」された場合という条件に当てはまるのじゃないか。ただ査察のことだけではない。これはたいへん私は日本が批准する場合の重要な条件になると思いますが、これは外相としてはいかがお考えになるか、これを伺って質問を終わります。
  147. 愛知揆一

    ○国務大臣(愛知揆一君) まことにごもっともでございまして、私はその調印をしたばかりのときでございますので、批准をしたあと「至高の利益」とは何と理解するかということよりも、やはりこれから批准という段階があるわけでございますから、この批准をたとえば決意するとすれば、そのときの状況判断が非常に大きな要素だと私は思います。そういう点は十分考えていかなければなるまいと、かように考えております。ただ非常に具体的なことは、やはり平和利用の査察について関係国の保障をとるというか、保障協定が日本の望むようなまあいわばエクイティと申しましょうか、そういう原則の上に立つことは、これは非常に具体的な問題であります。一方のほうはやや抽象的でございますから、その判断にかかるところがかなりあると思いますけれども、片一方のほうはかなり具体的な問題でございます。それからこれについてはすでにもう努力を開始しているわけでございますから、その成り行きをまず第一に具体的問題として非常に大きな関心を持って推移を見守り、またわれわれもなすべき努力を大いに展開したいと、かように考えております。
  148. 木村禧八郎

    ○木村禧八郎君 私は、日米共同声明のいわゆる効力というのですか、国際的な拘束力ですか、そういう点についてまず伺いたいのですが、日米共同声明を見ますと、多くの点で、約束というのですか、日本政府の意向を明らかにしております。たとえば「安保条約を堅持するとの両国政府の意図を明らかにした。」あるいはまた、沖繩返還と関連して、「復帰後は沖繩の局地防衛の責務は日本自体の防衛のための努力の一環として徐徐にこれを負うとの日本政府の意図を明らかにした。」さらにまたほかにもたくさんあると思うのですが、自由化問題につきましてもかなりはっきり政府の意向を明らかにしております。たとえば残存輸入制限については一九七一年末までに廃止するとかね。かなりはっきりした意向を明らかにしておりますし、また海外援助にいたしましても海外経済協力にいたしましても、「日本政府としては、日本経済の成長に応じて、そのアジアに対する援助計画の拡大と改善を図る意向である」こういうふうに述べておりますし、またいまのお話のポストベトナムにおける復興援助等についても触れられております。これは単なる約束であって、条約、協定でないということはわかっておりますが、どの程度の拘束力を持つものか、それをまず伺いたい。
  149. 愛知揆一

    ○国務大臣(愛知揆一君) この共同声明は、法的条約的な意味の拘束力はない。ただ両国の行政府の最高責任者同士が約束し合ったということにおいて政治的な効果というものは非常に大きなものであると、かように理解すべきだと思います。  それからこの沖繩の問題についてまず申し上げれば、返還協定はその共同声明の上にもございますが、「立法府の支持を得て」ということばがございますけれども、これは日本においては国会の承認を得てということであり、アメリカのほうは実は上院の議決を正式に必要とするか、あるいは行政協定でできるかということは、向こうの国内問題でまだきまっておりませんので、そういう場合を予想して「支持」ということばが使ってあるわけです。日本のような立場であれば、そこは国会の承認を得てということを書いたほうが、日本だけの立場からいえば適当だと思います。そういう趣旨でございます。  それから経済関係の問題につきましては、これは実はこの自由化にいたしましても、この声明ができる前に日本では閣議決定で相当詳細な一九七一年末までの具体的なスケジュールなどをきめておりましたので、日本政府としてのやり方がきまっていたことをそこに抽象的に書いたわけでございますから、そういう意味におきましては、これはまあ政府の意図表明、それに向こうが賛意を表したというような政府間の何と申しますか、合意というふうに解釈してしかるべきかと思います。  それから海外経済協力につきましても、御同様政府としてはいろいろの機会に表明しておりますことを、そこに表明しておるわけでございまして、これもきわめて抽象的であると思いますが、それらの中でたとえば今後そういう意図のようにやる場合に、日本の国内手続としてはあるいは財政法あるいは予算制度その他において所要の手続というものはもちろんとることは当然だと、こういうふうに存じております。
  150. 木村禧八郎

    ○木村禧八郎君 いまの御説明では、条約ではない、だから法律的にいえば国会の審議を経なくてもよろしいということですね。だけれども政治的な意味があると申されましたね。私はこの条約関係についてはしろうとなんですけれども、松本俊一氏がこれは毎日新聞の顧問の松岡さんと対談しておるんですが、その中でなるほど条約、協定ではないけれども、しかし松本俊一さんの過去の経験からいって、これは過去の経験というのは戦犯裁判の経験をいっておられるようですね、条約でないコミットメントというものについても重大な責任を追及される、こういうことを言われている。ですからこれは条約、協定ではないけれども、中身は両国を拘束する相当重要なものであると思うんです。そこで私は、また松本さんも、この意義を非常に重要視しておりまして、政治的意義があると言いましたけれども、「その政治的の意義たるや、単に沖繩返還という局地的な問題ではありませんね。日米間全部、ある意味では東南アジアを含めた太平洋地域全部に非常に影響の深い文書になっておりますからして、これについては、国内の論議も何でも尽くして、そして、やっぱり本当のことをみんながわかって、こうなると、こうなるということを納得し、政府も認めるべきところは、ちゃんと認めて、そこでこれはこれでいこうというふうに、やるべきじゃないか」、そういう外交経験から非常にこれを重要視しているわけなんです。私はなぜこれが案件として国会の承認を求めないかふしぎでしょうがない、こんな重要な案件について。それでいま外務大臣のお答えでは、たとえば海外援助につきましても、これは予算として今後出てくるとか、あるいはまたいろんな法律の形で個々に国会の承認を必要とすると言われますけれども、前によくぼろ隠し解散とか言われましたですがね。しかしその後の国会におきまして、私はしろうとでよくわかりませんけれども、なぜこんな重要な条約、協定に劣らない意義を持っているものについて、どうして案件として国会の審議を経ないのか、私はしろうとなりにふしぎに思っているんですがね、この点は外務大臣いかがですか。
  151. 愛知揆一

    ○国務大臣(愛知揆一君) やはりこの共同声明としましては、私は沖繩返還協定というのが一番中核だと思うんです。それで、その返還について今後結ばるべき協定については、これはもう当然国会の承認が必要だ。そこの手続、その御審議によってあらゆる問題を御論議いただければいいのではないかと、こういうふうに考えておるわけで、その一点を別にすればといいましょうか、あれすれば、たとえば日米間で一九六七年の佐藤ジョンソン会談後の共同声明あるいはその前のケネディ池田共同声明にしましても、同様の性質のものである。これが外務省の従来からの考え方で、一つも私は違和感を持たないのですけれども、それが政府の考え方でございます。
  152. 木村禧八郎

    ○木村禧八郎君 私は、従来、慣例があるかもしれませんが、とにかく安保条約を堅持するという、両国政府の意図を明らかにするという、こんな重大な私は意思表明はないと思うんですよ。この安保の期限がくる、それでこれを堅持するというのですね。そういうことについて、まあこれは見解の相違になるかもしれませんけれども、私は常識からいって、それから私だけじゃなく、やっぱり前に条約局長もやられ、イギリス大使をやられた松本俊一さんさえが、こういう簡単な扱いをしていいものかどうかについて、やはり疑問を持たれているようですね。それは断言はしておられません。非常に慎み深い、遠慮された表現ではあります。しかしそういうお粗末に取り扱っていいものかどうかについて、私は疑問を提起したい。また私も、総選挙が済んでからの国会でこの問題が外交専門家において、どうして条約、協定にひとしい内容のものを国会案件として、なぜ出さないかという議論をなされていないのは、私はふしぎに思っているのですよ。これはもうしろうとの私が、そういう国際条約の慣例に、かえって知識が乏しいからそういう感じを抱くのか。しかしどうも私はそれだけじゃないんで、どうも選挙が済んだと、この選挙で共同声明というものを一応国民の合意を得たかのごとくに解釈されているのではないかと思うんですよ。そういう点、私はどうも国民の常識として割り切れないんですが、その点は、私が単に条約、協定という専門的知識に乏しいからこんな子供みたいな質問をするのかどうか、外務大臣はいかがお考えですか。
  153. 愛知揆一

    ○国務大臣(愛知揆一君) それは議論はともかくとしまして、たとえば安保条約の話が出ましたけれども、安保条約は条約によって六月二十三日に期限がくれば同時に自動継続といいますか、し得ることは条約上明らかでございますね。条約を改定したわけでも何でもないんで、一年間の予告をもって廃棄するかしないかということは、両国政府の自主的な立場でやれることでございますね。ですから条約を変えることではないんであって、安保条約の堅持ということのために、国会の特に御承認を求めるという筋のものではないと私は思います。  それから、政治的に大きな問題であるということは、先ほど申し上げたとおりございますが、そういうこともあって、そしてその直後における総選挙においては、当然これが一つの大きな意思表示であったということも、これもまた政治的に問題なく、そういうふうに取り上げられていたことではないかと思うわけでございますから、政府としては、この共同声明について、国会との関係において、これを国会の御承認を求めなかったということについては、むしろ問題にされることがおかしいというようなことで、私は御論議があまりなかったんじゃないか。まあそう言いますと、どうもおっしゃるように、並行線になるかもしれませんけれども、政府としてはそう考えております。
  154. 木村禧八郎

    ○木村禧八郎君 これは議論になりますからこの程度にしますが、私は自分が専門家でありませんから、非常に消極的な質問をしたのですけれども、しかし前の条約局長のイギリス大使をやられた松本俊一さんが、過去の自分の外交経験から私がさっき言ったようなことを発言されているんですよ。これは私は相当オーソリティと認めていいと思うんですよ。それは見解の相違ですから、私はこれでやめます。私はこんな重大な問題の扱いにつきまして、むしろ国会で問題にするのはおかしいというような認識は、全く私はおかしいと思うんですよ、そういう考え方が。それはほとんど国民を無視したような考え。この間の総選挙でこの問題は解決したかのごとき見解のようでございますが、私はこれについては異なった意見を持って、当然国会の重要な案件として、十分にこれを国会で、縦から横から十分に審議を尽くして、ほんとうの国民のコンセンサスを求めるべきで、コンセンサス、コンセンサスと口では言っておるが、ちっともそういう手続をとっていないと、私はこう思いますから、私の意見を述べてこの問題はこれで質問を終わります。  次に伺いたいのは、先ほど羽生先生のほうから御質問ありましたが、国連憲章の改正のうち、特に五十三条の敵国条項の問題について伺いたいんです。きょうの毎日新聞の社説を見ますと、「国連憲章改正要求の条件」としまして、特に外務大臣が前に国連で、国連憲章改正についての具体的な意欲的な日本の見解を述べたいと、そうして先ほどもお話ありましたように、今後の検討課題としているものはたくさんあるわけです。その中で「旧敵国条項は、」――毎日新聞の社説が述べているんですが、「「旧敵国条項」は、日独など旧枢軸国側を対象とした一種の差別条項で、このようなものがいまだに残されているのは、時代錯誤もはなはだしい。もっとも、こうした点はいわば「サシミのツマ」で、わが国政府の最大のねらいは「安保理常任理事国への参加実現、それができないとすれば、せめて準常任理事国へ」という点にある。」こういう見解について述べられておるんですが、私はしろうと考えかどうか知りませんが、先ほど外務大臣も、旧敵国条項につきましてはこれは時代おくれであるというお話です。ここでも時代錯誤というんですが、私は内容を見ましたところ、これは時代錯誤どころか、たいへんな重要なものを持っているんじゃないかというふうに考えるわけです。そこで御専門の御意見を聞きたいんですが、この五十三条というのは内容はどういうものなのか、まず内容を伺いたいんです。よく敵国条項、敵国条項と言いますが、内容はどういうものかですね。
  155. 愛知揆一

    ○国務大臣(愛知揆一君) この五十二条のまず第一項の前段は、安保理事会が地域的な取りきめまたは機関を利用して強制行動を行なわしめることがあり得うべきことが規定されてありますね。その場合にも、地域的取りきめの行動のためには安保理事会の許可が必要であるということが言われております。そうして国際連合による中央集権的な安全保障体制の原則を掲げ、というのがこの趣旨だと思うんです。ただこの条項に基づいて地域的強制行動がとられたことは、いまだかつて実際問題としてはないわけでございますね。それからこの安保理事会の許可ということについての規定の例外として、第一項の後段でこういうことが書いてあります。第百七条に従って規定される措置、それから旧敵国における侵略政策の再現に備える地域的取りきめに基づく措置、この場合には安保理事会の許可が不必要であるとされているわけでございますね。これがいま御質問の五十三条の旧敵国条項とは何かというのはこの点ではなかろうかと思います。そうしてさらに御説明を加えれば、第五十三条の後段に書いてあることは、国連加盟国になった国に対しては、加盟を認められたことによって当然適用がなくなるものと解すべきものであると、こういうふうに政府としては考えております。というのは、国連加盟を認められたということは、国連憲章の第四条に基づいてその国が平和愛好国として認められたということになります。それから主権平等の原則によって、他の加盟国との関係が規制されることからいたしましても、こうした規定は、国連加盟国となった国にはもはや適用されないのだと解釈するのが条理上当然ではないか、こういうふうに思いますから、いつか参議院の予算本委員会でも申し上げたと思いますが、日本について言えば、旧敵国条項というものは、国連加盟を果たした今日においては、これがあってもなくとも、実害というものはないんじゃないかというような趣旨を、私、申し上げたことがありますが、その常識的に申し上げたことは、こういったような条約の解釈論の上に立っているわけでございます。  それから、なおこの五十三条の第二項は、本条第一項で用いる敵国ということばは、第二次世界戦争中にこの憲章のいずれかの署名国の敵国であった国に適用されるんだということが規定されていることは御承知のとおりでございます。で、ただ、これもまた政治的と申しますか、ということから言っても、わが国が国連に加盟いたしましてから二十年もたつのに、何か旧敵国条項というものがいまだに存在しているということは、少なくとも愉快なことではない。少なくとも全くもう古めかしい規定になったほど、国連結成されたときの背景や沿革は、もはやいいのではないか。で、日本の立場から言えば、旧敵国条項というものは、そういう意味で、憲章改正をやる機会に、当然削除してしかるべきものではなかろうか、こういうふうに考えているわけでございます。
  156. 木村禧八郎

    ○木村禧八郎君 それは日本政府の考え方であって、いままあ御説明で、大体五十三条の内容はわかりましたが、この二項で、いま御説明ありましたように、本条第一項にいう敵国とは、第二次世界大戦中に本憲章署名国のいずれかに対して敵国、ですね、日本とイタリア、敵国であったというふうに規定されている。そして、ここで本憲章署名国、これは五十一国あるようですね。五十一国。そうしてこの規定によれば日本は敵国になってるわけですね、敵国に。それで、もしこの敵国が日本である場合は、その原始定款国というのですか、いま五十一国加盟する地理的安全保障機構は、国連安全保障理事会の許可を待たないで、日本の本土に進撃して日本を攻撃することができるわけですね。そういう規定なんです、それをするかしないかは別としてですね、一応規定としては。ですからわれわれとしては、この規定の存続というものは、それはもう外務大臣も言われたように、非常に不愉快なんですよね、日本にとってはね。理屈から言えば、五十一カ国は国連の安全保障理事会の許可を経ないで日本の本土侵入ができる。そうなると、中国ですね、いま中華民国ですか、あれ国連加盟してますね。そういうときですよ、国連の理事会の理事してますね、常任理事国。許可を待たずして日本に進撃できるという、そういうことになってるわけでしょう。そういう規定なんですよ。しかしながらそういうことが起こり得ないから、日本が国連に加盟したんだから、日本としては時代おくれだと、こう日本の政府としては考えても、条約上は、条約上で国連憲章のたてまえからいくとね、いま私が申し上げたような危険性もあるわけですね、あると思うんですよ。私は乏しい知識ですけれども、西ドイツは入っておりませんね国連へ、入ってないんですけれども、やはり敵国条項を撤去せよ、核防条約に調印する何か交換条件ですか、としてそういうことをしょっちゅう迫っておると言われましたが、愛知外務大臣も前にやはり敵国条項の撤去を含めて、憲章改正を言われておりますから、それは、私は旧敵国のドイツなりイタリアなり日本なりが共同して撤去を求める、撤去かあるいは旧敵国とするとか、旧敵国であったとか何とかそういうふうに改正するか。これを撤去しませんと、潜在的にしょっちゅう日本は敵国になっておるわけですね。そうして五十一カ国からそういう進撃されてもしかたがない。それでまたこういう説の人もありますね。日米安保条約は、そういう場合の日本を守るための条約である。そういう場合に、敵国になっていて、今度はアメリカ以外のところが日本に侵略するときに、安保条約というのは保障になっていると、そういう説明もあります。ですからこの規定から言えば、それは日本は国連に加入したのだから、この条項は、これはもう時代おくれで、何か時代錯誤の条項だと言って、私は簡単に片づけることができない。そんなに時代おくれなら、なぜ、これがもっと早く撤去できないのか。それを日本に対しては、もっと早く撤去してもいいんですけれども、いわゆる分裂国家ですか、その関係上だけに言われておりますけれども、私はどうもそれだけではないのじゃないかと思うんですね。また潜在的には侵略国になる危険性もあるというふうにも考えられているのではないのか、そういう考えがあるから、やはりこんな時代錯誤的な条項がまだ撤去もされない。こう思うんです。その点はどうなんですかね。
  157. 愛知揆一

    ○国務大臣(愛知揆一君) 私は非常に率直に申し上げたので、この敵国条項についての憲章の解釈、これは一言にして言えば国連加盟をいたしましてからあとの状況においては、条理上解釈から言いましても、日本が敵国条項があることによって、五十一カ国から攻められてくるとか、安保理の決議あるいは許可なくして、どういうふうな行動を受けるとかいうことはなくなったものと、これを政府としては有権的な解釈として持っておるわけでございます。しかし、いずれにいたしましても、こういう時代おくれのものは削除してもらいたいということは、私は当然の日本の要求で筋が立つと思いますし、さらにこれから本件について、各国を説得もしてまいります相当な努力は要ると思いますが、ただいましろうと考えだとおっしゃったけれども、そういうふうな御意見もありますことも、私は非常に御意見として承っておきたいと考えております。
  158. 木村禧八郎

    ○木村禧八郎君 日本が常任理事国になれない一つの障害として、敵国条項があるということが障害にならないのですか。敵国であるのに常任理事国になるというのもどうもおかしいと思うんです。そういうことは障害になってないんですか。
  159. 愛知揆一

    ○国務大臣(愛知揆一君) 私は常任理事国になることについての敵国条項は障害ではないと思っております。というのは、非常任ではありますけれども、すでに非常任理事国として二回選挙されておりますし、それから、今回も非常任国として立候補いたしておりますけれども、投票するかしないかは別といたしまして、日本が立候補したことについて、どこの一つの国もそれはおかしいというような受け方はしておりません。そういう事実によっても、私は、日本に関する限りは、条約的な実害は、私はないんじゃないかと思いますけれども、これは条約局長から何か補足して、ございませんか。
  160. 井川克一

    ○政府委員(井川克一君) ございません。いま大臣が申されたとおりでございます。わが国は、もうすでに非常任理事国になっております。御承知のとおり、安全保障理事会は、侵略の存在の決定であるとかあるいは制裁まできめ得る最も中心的な機関でございます。その機関のメンバーとして堂々と選ばれ、しかも、そこで決定する投票権を持った国に対して、旧敵国条項がかかわるなどということは、とうてい考えられないことだと思います。
  161. 木村禧八郎

    ○木村禧八郎君 次に伺いたいのは、国連憲章第百七条、百七条というのはどういう内容のものですか。
  162. 井川克一

    政府委員(井川克一君) 普通、敵国条項と申しますときは、まず第一にこの百七条というのが敵国条項というふうに理解されております。それから、先生が先ほど御指摘の五十三条、これももちろん敵国条項の一つでございますけれども、この百七条というのは、本来の敵国条項でございまして、この百七条、ここに書いておりますとおり、要するに第二次世界大戦が終わって、その戦後処理をいたします場合に、旧連合国、それから敵国との間にいろんなことがきまりまして、それが国連憲章に違反することがあるかもしれません、戦勝国といたしまして。したがいまして、そういった国連憲章に対して終戦処理が違法性を持つというようなことがあるかもしれませんので、それを阻却するというような意味の、多分に法技術的な規定がこの百七条でございます。そして、これがいわゆる敵国条項、そしてそれが、敵国条項の一部と言ってはあれでございますけれども、地域的取りきめ、この五十三条に関するものも実はその一部として、われわれ敵国条項と呼んでおりますけれども、したがいまして、この百七条というのはお読みいただけばわかりますとおり、きわめて法技術的なものでございまして、したがいまして、日本のように、もうすでに国連に加盟した国というものは、先ほど大臣が申されたとおり、第二条及び第四条で平和愛好国ということが認められ、かつ主権平等ということが認められたのでございますので、これは当然もうかぶらないということで、その内容はもちろん確認いたしたことはございませんけれども、われわれが国連で活動いたします場合に、全然障害を感じたことはない、こういうことになっております。ただ、西独につきましては、これはまだ分裂国家の関係で国連に入っておりませんので、この点はわが国に対するほど明確ではございません。したがいまして、核防条約の場合でも、西独政府はこの点を非常に気にいたしまして、米国それからソ連に対しましてもその点の確認を求めた、こういうことでございます。
  163. 木村禧八郎

    ○木村禧八郎君 いまの御説明ですと、結局、百七条は、国連憲章の署名国の敵国であった国に対して戦争の結果としてとられた行動あるいは戦争の結果として明確にされた行動について、憲章はこれを無効としたり妨害を与えたりするものではないと、こういうことでしょう。そうすると、日本が敵国であるという規定がとれないとですよ、第二次大戦中に、その敵国に対して戦争の結果としてとられた行動、いろいろ――沖繩もそうでしょう、それから北方領土もそうでしょう。そういうことに対していまの状態を変更することについては、困難じゃないですか。そういうことともやはり関連してくるんじゃないかと、こう思うんですよ。それで御質問しているのです。
  164. 西堀正弘

    ○政府委員(西堀正弘君) したがいまして、国連の条章と申しますか、この規定そのものは、字ずらそのものから読みますというと、先生の御心配はそのとおりでございます。しかしながら、先ほど申しましたように、日本が加盟国になったとたんに、われわれとしましては、この規定の何と申しますか、条章はそのままでございますけれども、実際問題として、これは全然かぶらないのだということは、われわれもそう考えておりますし、すべての国連加盟国もそういうふうに考えているとわれわれは考えているわけでございます。
  165. 木村禧八郎

    ○木村禧八郎君 それでよろしいならいいですよ。それでよろしいなら、何も私、文句を言うわけじゃないですけれどもね。この規定からいきますと、たとえば北方領土の返還を求めるのだって、この規定からいえば、日本は敵国の条項を撤去されない以上は、この百七条の条項をつきつけられて、何かクレームでもつけられたら、やっぱり困るのじゃないか。そういうことがなければもちろんいいのですよ。だって、この条文だけからいえば、私はそういうことがあり得るのじゃないか、いわゆる現状変更禁止の規定、そうでしょう、これがいわゆる審査禁止条項というのですか、そういうものですからね。そういう疑いがなければ、いやそういうことはないものと考えているという、よその国もそう考えているでしょうというなら、事実そうならいいのですけれども、こういう条約、そういう条文があるのですから、これを見ますと、私、そういう疑いがあるので、だから、早くこの敵国条項をとっちゃえば一番いいのですよ。そういう意味で、いろいろ敵国条項のあることによって、いろいろなことが想定されるわけです。そういう意味でも、単に盲腸的存在ではないかと、私は。だから、これがあるとしたら、盲腸が少しまたうんで、何か有害な作用を及ぼす危険があるというのでは困るから、なるべく早く、盲腸であっても、またこれが悪い作用を及ぼすといけないから、なるべく早くとってしまったほうがいいという意味での質問なんでございましてね。
  166. 愛知揆一

    ○国務大臣(愛知揆一君) 木村さんのおっしゃるお気持ちは、私よくわかります。要するに、政府といたしましては、条理上あるいは現在までの経過上、有権的にもう日本はこの規定にインボルブされないのだという解釈で一貫しております。これは事実なんです。しかし、先ほど申し上げましたように、私は木村委員のおっしゃることについても、私はお気持ちはよくわかります。要するに、こういうものは早く、ないにこしたことはないし、こういう点においては完全に意見が一致しておりますから、そういうことで今後努力を新たにいたします。
  167. 木村禧八郎

    ○木村禧八郎君 あまり時間がございませんので、あと簡単に質問いたしますが、これはさっきの羽生委員もちょっと触れたんですが、かりに常任理事国になりますと、これは毎日新聞の社説にもあったのですけれども、いわゆる権利や義務を伴うということになって、これまで何回も国会で問題になりましたけれども、憲法の関係ですね、海外派兵の問題なんです。これはやっぱり当然起こってくるのじゃないかと思うのですね。国連はやっぱりあれじゃないですか、一つの軍事的な力を背景とした存在であると思うのですよ、国連は。そうしますと、どうも私は、日本国憲法、これは再軍備を禁止した憲法ですがね。どうも私は、日本は、こういう憲法を抱えたまま国連に入ったこと、が矛盾しているようにも思うのですよ、矛盾しているように。そこで、常任理事国になったときに、今度は、日本の海外派兵なりあるいは日本の防衛の問題にも関連してくると思うのですね。これが今後、私は非常に重大な問題になると思うのですけれども、何回かいままで論議されてまいりましたけれども、ここのところをはっきりしておかないと、国連の常任理事国になったときに、やっぱり問題が起こってくるのじゃないか、この点は十分に私は煮詰めておく必要があるのじゃないかという気がするのですがね、いかがでしょうか。
  168. 愛知揆一

    ○国務大臣(愛知揆一君) その点は、先ほど羽生さんの御質問にもお答えし、またしばしば私申しておりますけれども、これは常識論みたいになるかもしれませんけれども、従来がそうであったからといって、その従来の慣行ややり方に入り込むというのではなくて、逆に日本のような国が常任理事国の中に入るようになれば、非常に世界の平和のためにいいのじゃないか。そういう発想でこの問題をテークアップしていきたいと考えております。ですから、これはまだ御指摘のように、政府全体としても十分にはっきりとした態度を十分に取りまとめて、立ち向かっていかなければならないことでございますけれども、憲法に抵触するようなことはもちろんのこと、現行法令の範囲内で国際協力ということを考えておるわけでございます。それが限度だろうと私はそういう考え方で、この問題に入っていきたいと思っております。
  169. 木村禧八郎

    ○木村禧八郎君 かりに憲法に違反しないとしても国連軍に、ことにアジアの地域に紛争が起きたような場合ですね。そこへ国連軍として日本が参加すれば、アジア諸国に微妙な警戒心を起こすとか、そういう状況も起こってくる可能性もあるので、そうすると、国連軍に参加はしない、その交換条件として経済的な協力を多くするということになると、非常に経済的負担が今度は重くなる懸念があるんじゃないかということも予想されるわけなんですね。そういう点、今後一応予想される事態ですから、こういう社説でも指摘しているわけなんですが、私は経済のほうをやっているものですから、すぐ経済のほうがぴんとくるんですよね。そういう負担も非常に過重になる危険があるんじゃないかという気がするんですよね、常任理事国になると。だけど今度は経済的負担は非常に多くなるということも、そういうこともやはり読みとして当然おやりになっているのかもしれませんけれども、どういうふうにお考えになりますか。
  170. 愛知揆一

    ○国務大臣(愛知揆一君) 私は、これはほかのことになるかもしれませんけれども、世界の平和維持に対する日本の国際的責任と寄与ということは、やはり積極的に考えるべきではないかと考えるわけでございます。要するに、軍とか軍隊とかいうことについては考えない。そのほかの面においては日本として協力する面がまだ相当現在でも残っておりはしないか。主としてこれは財政的、経済的問題そちらの方面の問題だと思いますけれども、そういうことで、国際的な責任を果たしていくと、これはやっぱり国際の平和の維持あるいは国際緊張の起こらないように抑止していくということについて、やはりこれだけの経済力のある国になりましたら、その国際的な責任を分かち持つということは当然の責務ではないかと私は考えているわけでございますが、ただそれは軍というようなかっこうのものであってはならない。同時に、話が飛びますけれども、一口に国連軍というようなことが言われますけれども、これもいろんな、現に過去においても態様がありますし、それからどういうものが考えられるかということも予想し得ないわけですけれども、とにかく常識的に言う海外派兵ということについて抵触しない考え方だけは、厳として持つべきであると、かように思います。
  171. 木村禧八郎

    ○木村禧八郎君 海外経済協力について質問するはずでございましたが、時間がまいりましたので、私はこれで質問を終わります。
  172. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 法務省の方がお見えじゃないので、あとに回しまして、最初にこれは一昨日の夕方の新聞に出ておりましたトンキン湾決議の廃棄の問題ですが、これにつきまして少しお聞きしたいと思います。この決議が将来上院下院でおそらく決議されるだろうとされておりますが、この決議が通過した場合、ベトナム戦争が始まって特に米軍が介入してから日本政府は介入の際にも協議を受けておりますし、そういった点でアメリカから何らかの協議があると予想されるのか、あるいはこれに対して日本政府として何か独自に何かものを言わなければならないのか。それともアメリカのことであるから、そのままこれに対しては何も関係なしでいいものかどうか、その点お伺いしたいと思います。
  173. 愛知揆一

    ○国務大臣(愛知揆一君) ただいまのところ、いわゆるトンキン湾決議について政府としては、どういう態度をとるかというようなことについては、全然きめておりません。
  174. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 いままで長年にわたってベトナム戦争に対しての日本政府はかなり介入をしてきました、援助もしてきたわけであります。そのことははっきり言われておりますし、しかしこのトンキン湾事件がこのヒルズマン米国務次官補が官を引いた後に米軍部のでっち上げであった、こういう証言もやっておりますし、その後米国の内部においてもこれに対する非難があった。しかし、この事件についてライシャワー大使と池田前首相が日米安保条約第四条による随時協議を行なって、国連憲章第五十一条の集団的自衛権を発動するという口実でベトナム戦争に踏み込むことを承認しているわけです。結局、イエスと言ったということになると思うわけですが、それ以来ずっと日本政府はその立場を取り次いできたわけです。そのために日本本土から直接ベトナム戦争に米軍が動いてないにしても、やはり間接的に日本の基地、軍港にしても、あるいは飛行場にしても、その他民間の飛行場さえも、そのためベトナム戦争と何らかの形で関連ができているわけです。しかも沖繩基地からB52が直接戦闘行動に参加しているわけです。そういうふうな状態になって、いままでまだ態度きめておられないと言われておりましたけれども、やはりこれに対して、はっきり国民に対して、いままでの政府の態度を間違っていたか正しかったのか、あるいはアメリカのこういう態度に対してはどうするのかという、やはり何かは言わなければならないと思うのですが、その点重ねてお伺いいしますけれども、その点はどうですか。
  175. 東郷文彦

    ○政府委員(東郷文彦君) 御質問の点に関しまして、事実関係をちょっと説明さしていただきたいと思います。  お話のようにいわゆるトンキン湾決議及び中東に関する決議をアメリカの今国会の終期をもって廃棄するという決議ができたわけでございますけれども、これは決議の性質、また決議がなされたこと自体アメリカの国内の問題でございますが、われわれの承知するところ、あるいはこれに先立つ米国政府、議会間の説明などから了解するところによりますれば、アメリカのいまのベトナムに対する行動の国内法での根拠は、この決議にあるのではなくて、アメリカのSEATO条約上の約束、要するに大統領の行政的権限のもとになされているところでありますので、われわれの了解するところでは、今回の決議がアメリカの行動の国内的の法的根拠になっておることではないわけでありますが、まあこれに対して米国政府がどうするか、あるいは米国の中でどういうふうにこれが扱われるか、これはまあ今後の問題で、われわれとしてはこういうことがあったからといって、いま大臣も申されましたように、あったからどうするということには全くならない問題だと考えております。
  176. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 確かに法的拘束力というのはないというふうなことも言われていますけれども、この決議の中に、これは骨子ですけれども、「東南アジア防衛条約に基づき、アメリカは大統領の決定により条約加盟国ないし条約に規定された国で、その自由の防衛に援助を求める国を援助するため、武力行使を含むあらゆる必要な措置をとる用意がある」、こういうふうなことが書かれているわけです。たとえこの決議自身に法的拘束力はないとしても、やはりこの内容からいって、結局大統領がそういうふうに実際アメリカ軍を動かして戦争に入ったわけですから、やはりこの決議というのが、法律的な問題は別としてかなり、やはり国会の決議ですから力があるものではないかと私は思うんですけれども、こういういま申し上げた、この決議の内容の上からいっても、なおかつ日本政府としては別に言う必要はないと、こう言われるわけですか。重ねてお伺いします。
  177. 愛知揆一

    ○国務大臣(愛知揆一君) 事実関係が、いま東郷局長から御説明したようなものでございますから、現在日本政府としてこれに対してどうこうというものにはなじまない問題じゃないかと思っております。したがって、いまのところ何らの措置は考えておりません。
  178. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 次に、先日起こりましたハイジャックの問題について朝鮮民主主義人民共和国、通称で北朝鮮と申し上げますけれども、この国交回復の問題についてお伺いしたいんですが、総理大臣も百八十度外交姿勢を転換することはできない、しかし一歩前進という立場でいきたいと言われました。外務大臣も先日来予算委員会でも、急激な変化というのはないというふうに言われましたけれども、やはり人道的な立場で北朝鮮も今回の問題は扱ってくれたわけですから、やはり普通の関係からいいましても、人間関係の上からいいましても、やはり今後北朝鮮に対してわが国としてもそういった人道上の問題についてはまだまだ話し合いをしていけるのではないかと考えられるわけです。その第一の問題として在日朝鮮人の帰国問題、やはりこれぐらいは何か手をつけてもいいのではないか、このように考えるわけです。で、この帰国の問題に対して、やはり政府が保証を与えることによって、その処理をしていいのではないかと、まあ、こう考えるわけです。現在のところ帰国を希望しておる人はどれぐらいいるか、いままで申請がどれぐらいあったか、ちょっとお伺いしたいんですが、法務省おられましたら。
  179. 西澤憲一郎

    ○説明員(西澤憲一郎君) これは実はカルカッタ協定に基づきましての申請と申しますのは、一昨年のたしか八月何日かに打ち切られたのでございますが、そのときまでに申請をしておって帰れなかった者は、名簿の申請――数の上で申しますと約一万七千名ぐらいございました。ただし、その後取り下げたり、撤回したりした方がございまして、いまだに一応残っておりますのは、約一万五千名の方が申請したままになっておるということでございます。ただ、この方々がいまもなおずっと帰国を希望しておられますかどうか、それから特に差し迫って希望しておられますかどうかということにつきましては、私どもではまだ調べておりません。
  180. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 これを打ち切られた理由はどういうところにありますか、この申請を打ち切られたのは。
  181. 西澤憲一郎

    ○説明員(西澤憲一郎君) これは法務省で打ち切ったと申しまするよりか、閣議のほう、たしか閣議了解という形で打ち切ることになったと思いますが、その理由といたしましては、当初このカルカッタ協定ができました当時は、大量に北鮮のほうに帰還したい人があるということでございまして、発足したわけでございますが、その後だんだんと帰還希望者の人数が減ってまいりまして、数が初めのころは一月に何回も配船がございましたのが、次第に配船の数も減りまして、月に一回くらいになり、しかもなおかつ一船の搭乗者が二百人とか三百人とかあるいは百人を割るというような時期も出てまいりまして、いわば当初の大量に急速に帰りたい、それがいままでソ連との関係で交通が非常に不便であったので、特別な配慮を必要とするということで始まったわけでございますが、まあそういうふうな目的は一応終了したんではないかということで、閣議のほうでこれ以上この協定を延長しないということに御決定になったように承っております。
  182. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 そうすると、何か希望がもうなくなってきた、いままでの役目がもう終わったんだと、実際一万五千名いま希望しておるかどうかはかりにわからないとしても、やはりかなり現在でも希望を持っている人がいるわけです。現にいろいろな面で陳情の手紙が来たり、何だかんだわれわれのところに来ているわけですが、外務省のほうとしてはこの前の打ち切られたことに対してどういう見解を持っておられますか。
  183. 愛知揆一

    ○国務大臣(愛知揆一君) 正確な日取り等については私もいまここではっきり覚えておりませんけれども、これは矢追さん御承知のようにずいぶん長い経過がございますことは御承知のとおりと思います。政府としてもずいぶん長い期間にわたって北鮮帰還問題は扱いまして、八万何千人かの送還を完了いたしております。そして何べんかこの送還のやり方については約束をしておった時期も延長して、そうして特別の配船をやり、ずいぶんこれは配慮に配慮を重ねてきたつもりでございます。そして四十二年の十一月にいままでの特別の取り扱いというものは、もうそのときすでに何回も延ばしておりましたから、これをもって打ち切るということにしたわけでございます。しかし、その後も送還の希望者が相当ある。また、ただいまもお話があった一万五千人、あるいはもう少し多く言う方もございますけれども、一万五千人ということがよく言われておりますが、その取り扱いについては、それでは前のやり方に準じたやり方をしようということを、その後政府がまたきめまして、そうして日赤のルートを通して北朝鮮側といろいろ話し合いがあったことも御承知かと思います。いまの政府の立場では、その一万五千人の方々の送還を、四十二年十一月以前の協定といいますか、話し合いの線に準じて取り扱うということについては、日赤を通してお願いをして異議がないということは、前々からその態度は表明されておった次第だと私は考えます。ところが、その一万五千名をこえて、この一万五千名が送還されたあとはどうするのか、その残余についても協定を必要とするという意向が出てまいりまして、その点の取り扱いについて必ずしも赤十字を通しての日本側と北鮮側との意見がまとまらない、こういうふうな状況で現在これがペンデイングになっておる。これは従来しばしば政府側からも御説明しているとおりの状況で、いま新しく政府の意見を申したわけではございません。
  184. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 いま日朝両国間には貿易のために貨物船が出ているわけですが、一般の旅客はこの船に一度に何人くらい乗れて、それが月に何度くらい出ているのか、それによって何人かの人が向こうへ帰国しておるのかどうか、その点の実情をお伺いいたしたいのです。
  185. 西澤憲一郎

    ○説明員(西澤憲一郎君) 私確かな資料を持ってまいりませんでしたのですが、北朝鮮向けにはいわゆる特日船というのが目下就航しておりまして、この座席数はちょっと私いま覚えておりませんが、ごく最近では、たしか再入国を許可されました六人が松濤丸という船に乗って帰っております。そのほかにも日本人でその船に乗って行く人もおりますが、いまその船に何人乗れるか、定員が何名なのか、ちょっと手元に資料を持っておりませんので、追ってお答えいたしたいと思います。
  186. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 私が聞いているのは、何か七、八人くらいで月に一、二度だ、そういうことであれば非常に時間がかかるわけです。そういう点でもう少し促進をしたほうがいいのではないか、このように考えるわけです。  この問題に関連して伺うのですが、この間、ちょっと夕刊だったんですが、逆の立場になりますが、万博で、北朝鮮の使節団の入国許可の問題で、許可をするという方針を政府は固めたような報道が出ておりましたが、その実際はどうであったか、お伺いしたいと思います。
  187. 愛知揆一

    ○国務大臣(愛知揆一君) これは法務省の主管の問題でございますけれども、しかし、こういう点については、いつも政府としては非常に慎重な扱いをいたしておりますので、私からも便宜上お答えいたしますけれども、これはきまったことではございません。
  188. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 最後のほうにでもやるというふうな意向が全然ないわけですか。検討はされておるわけですか。
  189. 愛知揆一

    ○国務大臣(愛知揆一君) いろいろ報道されておりますので、そういう希望のある方もあるやに仄聞いたしておりますけれども、政府としてはきめた事実はございません。
  190. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 じゃ否定的といいますか、北朝鮮からは使節団も許可しないという方針で貫かれると解してよいのですか。
  191. 愛知揆一

    ○国務大臣(愛知揆一君) お答えを繰り返すようでございますが、政府として態度をきめたという事実はございません。
  192. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 人道的な人の交流の問題で、もう一つお伺いしたいのは墓参の問題ですが、中国への墓参の申し込み数はどのくらいありますか。
  193. 西澤憲一郎

    ○説明員(西澤憲一郎君) 四十三年、四十四年について申し上げますと、渡航希望者、これは墓参並びに親族訪問ということで一括してございますが、四十三年には渡航の希望を申し出た者が二百七十三名ございまして、そうして日赤に了解を与えたと申しますか、日赤を通じて渡航申請さした者は百二十二名、それから再入国の許可承認した、結局実際に出ていった者は四十三年に六十二名でございます。それから四十四年には希望を申し出た者が百三十四名、そのうち七十八名にオーケーを与えまして、そうして実際に承認を受けて出ていった者の数は百三十九名でございます。これは数が了解を与えた数より多いのは、前年度のうちに了解を得ておってその年に出ていった者があるとういことで、若干数は必ずしも年度限りでは一致しておりませんが、そういうことでございます。
  194. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 北朝鮮への墓参希望者は何人いて、何人くらい許可されておるか、わかりますか。
  195. 西澤憲一郎

    ○説明員(西澤憲一郎君) これは正式の許可申請というふうな形ではございませんが、入管に対しまして希望を表明した者は現在までに約二千三百件ございます。
  196. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 墓参を許可されたのは何人ですか。
  197. 西澤憲一郎

    ○説明員(西澤憲一郎君) 現在まで許可された者は十五名でございます。そうして実際に行った者は十四名でございます。
  198. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 外務大臣にお伺いしますが、墓参の問題で、中国に行かれた方が、許可のおりたのが四十三年度で六十二名、四十四年度は百三十九名、希望者は四十三年二百七十三名で、四十四年は百三十四名、北朝鮮の場合は、二千三百希望があって、十五名許可、実際行ったのは十四名、中国と北朝鮮との間に、墓参という一つの人道的な立場で考えた上でも、非常に違いがある、こういう点で非常に中国と北朝鮮との間に差別があるのじゃないか、こういうふうに見られてもやむを得ないと思うのですけれども、その点どういうふうな理由で北朝鮮が少なくて中国のほうが多いのか。この点は外務省としてはどうお考えになりますか、そういう事実を。
  199. 愛知揆一

    ○国務大臣(愛知揆一君) これはしばしば申し上げておりますように、こちらから出ていく、たとえば旅券法の取り扱いとは逆の場合でもありますけれども、同様にやはり日本と未承認国との関係あるいは未承認国とその隣国との関係、なかなか国際状況というのは非常にきびしいということは最近の状況からいたしましても御理解がいただけるところだろうと思うのでありまして、そういう非常にきびしい国際環境の中において、政府としてはケースバイケースに処置をいたしておりますから、地域によって多少の空白のあることは私はやむを得ないことである、こういうふうに考えております。
  200. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 いまケースバイケース、地域によってやむを得ないと言われましたけれども、今回のハイジャックの事件を通じまして、北朝鮮があのような処置をしてくれたことに対しても、やはりこれをきっかけにして、ある程度そういった帰国問題また、そういった人道上の問題である墓参の問題については、もう少し北朝鮮に対して寛大な姿勢をとられるほうが私はいいんじゃないかと、このように希望するわけです。  次の問題に移りますが、次に共同声明ですが、共同声明の第三項の、「米国は域内における防衛条約上の義務は必ず守り、もって極東における国際の平和と安全の維持に引き続き貢献するものであることを確言した。総理大臣は、米国の決意を多とし、大統領が言及した義務を米国が十分に果たしうる態勢にあることが極東の平和と安全にとって重要であることを強調した。」とありますが、この域内、「米国は域内における防衛条約上の義務」というのは、米韓、米比、米華、ANZUS、SEATO、こういうのが全部入ると考えてよろしいですか。
  201. 東郷文彦

    ○政府委員(東郷文彦君) 共同声明のそのくだりでいっております防衛条約上の義務とは、具体的にはアメリカと韓国、アメリカと台湾、アメリカとフィリピンの条約上の義務をさしております。  申し落としましたが、むろん日米安全保障条約は入っております。     ―――――――――――――
  202. 川上為治

    ○主査(川上為治君) この際、分科担当委員の異動について御報告いたします。  予算委員の異動に伴い、木村禧八郎君の補欠として川村清一君が選任されました。     ―――――――――――――
  203. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 すでに衆議院におきまして、予算委員会で問題になりましたことを確認するようにになりますが、米韓条約が発動された場合、国連が認定した場合は在日米軍の出撃に対してイエスを与える可能性が多いと、こういう答弁が総理から出たわけですけれども、これはそのとおりでよろしいですか。
  204. 東郷文彦

    ○政府委員(東郷文彦君) そのくだりで申しておりますことは、朝鮮半島の安全ということが日本の安全から見て非常に大事なことである。そこで、万一朝鮮半島に、韓国に武力攻撃が加えられるというような場合には、これは日本として対岸の火災視しておられるような問題ではない。こういう考え方でございまして、特に現在朝鮮半島では国連の関係がございますので、総理の御説明もその辺をあわせてお述べになったものと了解しております。
  205. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 米韓条約の適用区域は、沖繩は入って本土は入らない、両方入るのか、その点はどうですか。沖繩だけが入って本土は入らないのですか。
  206. 東郷文彦

    ○政府委員(東郷文彦君) 米韓条約の条約区域と申しますか、米国の施政下にある区域及び韓国が現に支配しておる区域、こういうことでございますので、お話しのように米韓条約におきましては韓国及び沖繩は入っておりますが、本土は入っておりません。
  207. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 ここでちょっと私よくわからないのですけれども、韓国で何かが発生して米韓条約が発動すると、沖繩は現在返還前ですから、これはもう沖繩から米軍がどう動こうがある程度はしようがないと思いますが、本土の在日米軍が動く場合、これはまあ結局国連が認定をした場合、安保条約が発動して結局直接戦闘行動であれば事前協議にかかってくるわけですが、沖繩返還の前と沖繩返還後と、この米韓条約が発動した場合結局どうなるかです。その点ある程度区別をして、要するに出撃を――イエス、ノーの場合ですね。本土からの出撃が沖繩返還前であればノーで、沖繩返還後はイエスならまだ理屈は通るのですが、もし返還前も返還後も同じならばちょっと問題じゃないかと思うのですけれども、その点はいかがでしょう。
  208. 東郷文彦

    ○政府委員(東郷文彦君) 沖繩の返還前と返還後で違います点は、沖繩はこれは申すまでもございませんが、沖繩が現在は米国の施政下にある。それが返還後は日本の施政下に戻りますから、これが本土と同じことになる。したがって沖繩は米韓条約の適用下からははずれて、日米安保条約の適用下に入るということでございまして、そこでいまの出撃の問題に関しましては、お話しのように現在は沖繩からの出撃はいわゆる自由でございまして、これが返還後におきましては、沖繩と本土とは法律的には同じ関係になります。しからば現実には、沖繩から出るのはイエスか、本土から出るのはイエスかと、この問題に関しましては、これはそういう事態の起こったときの問題でございますので、その返還後の出撃に対してわがほうがどういう態度をとるか、出撃に関する事前協議に対してわがほうがどういう態度をとるかということは、本土と沖繩だからといってその間に区別があることにはならないわけでございます。区別はないわけでございます。
  209. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 区別がなければまだいいと思いますけれども、この共同声明に出ている、韓国の安全が日本の安全にとって緊要という項目と、それからたとえ沖繩が本土に復帰したとしても、米韓条約というのは条文を変えないでそのままあると思うのです。そうした場合、やはりそこで米韓条約と、それから共同声明のその項とをひっかけて、安保条約を飛び越えて、事前協議にしないで出撃するということは絶対できないかどうか。もしやった場合、日本としてそれに対してはっきり安保条約違反ということを強くいえるのかどうか。その点はいかがですか。
  210. 東郷文彦

    ○政府委員(東郷文彦君) 米韓条約の第三条には、「各締約国は、現在それぞれの行政的管理の下に」云々と書いてございまして、沖繩が返還ということになりますと、そのことによりまして沖繩は自動的に米韓条約からはずれるということになりますから、御懸念のような問題は起こりません。
  211. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 米韓条約の場合はわりあい太平洋地域というとばく然としておるのですけれども、もう一つ米華条約になりますと、これははっきり西太平洋の諸島と、こういうのが出てきますが、今度米華条約の場合は、現在西太平洋諸島の中に沖繩は含まれておると解してよろしいですか。米華条約の適用区域に、返還前の沖繩は。
  212. 東郷文彦

    ○政府委員(東郷文彦君) 米華条約におきましても、返還前の沖繩はこの条約地域に入っております。
  213. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 返還後はやはりこれは除かれると、ただし、この米華条約の場合わりあいこまかく西太平洋の諸島とありますので、米韓条約の場合であれば太平洋地域というわりあい大きい範囲になっておりますから問題ないと思いますけれども、米華の場合、もし沖繩が除かれる場合だったら、ある程度米華間でこの条約をいじらないとまずいということには絶対ならないですか。このままで切り抜けられますか。
  214. 東郷文彦

    ○政府委員(東郷文彦君) このいまの米華条約に関しましては、特に六条におきまして領土、領域云々に関する定義がございます。その中に「中華民国については、台湾及び膨湖諸島をいい、アメリカ合衆国については、その管轄権の下にある西太平洋の属領諸島をいう。」と、こうはっきり書いてございますので、返還後におきまして御懸念のようなことは起こらないわけでございます。
  215. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 その米華相互防衛条約が発動される場合、特殊な運用のケースが考えられると思います。これは仮定になりますけれども、第二条に「締約国は、この条約の目的を一層効果的に達成するため、締約国の領土保全及び政治的安定に対する外部からの武力攻撃及び共産主義者の破壊活動に対抗する個別的及び集団的能力を、自助及び相互援助により、単独で及び共同して、維持し、かつ、発展させる。」、こうありますが、アジアにおける反共諸国といわれるところは、ともすると何かストかデモとかそういう騒ぎが起こると、必ず共産主義者が破壊活動をしたとか、あるいは間接侵略だとか、そういうふうにきめる場合がわりあいあるわけです。非常にそういった点について神経質である点もよくわかりますけれども、たとえば、特に問題にはなりませんでしたが、沖繩の全軍労のストが激化した場合、かりにこれが非常に強烈なものになって、しかもその背後から共産主義がもし扇動している、そういったようなことをある程度アメリカなり中華民国が認めた場合、これにこの条約から介入することが可能だと思うんですよね。もしそういうふうなことが起これば、これはたとえ沖繩がいまアメリカの管轄下といっても、これは潜在主権は日本側にあるわけですから、これは第一、安保のときに議論になった問題ですけれども、内政干渉という問題が出てこないか。それについて返還後は絶対そういうことはあり得ないのか。その二つ、時期を分けてお伺いしたい。
  216. 東郷文彦

    ○政府委員(東郷文彦君) この米華条約の第二条の規定は、これはこの種の他の条約にも相当した規定があるわけでございますが、要するに、この種の一連の条約をつくりました当時のアメリカのいわゆるバンデンバーグ決議というのがございまして、その趣旨、すなわちアメリカが防衛の義務という非常に大きな義務を負うについては、相手のほうでもそれ相応に自助の精神をもってみずから守る、相手のほうにもそういう地盤がなければいかぬ、こういう趣旨からきております規定でございます。したがいまして、この条文からすぐどうということは出てこないのでございます。米華条約の場合その他の場合におきましても、条約の発動原因というのは、米華条約の場合でいえば五条、すなわち武力行為があったときに発動するということでございます。したがいまして、いまの沖繩に関しましては、返還前であれあるいは返還になりましたあとにおいても、御懸念のような問題はこういう条約からは起こってまいりません。
  217. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 そのほか米比にしても、先ほど申し上げたANZUS等も同じになると思いますけれども、しかし、結局安保条約とこういう条約がからんで、結局太平洋の安全保障ということで、アメリカを中心としてこういう体制になっている。沖繩が返還された場合、その沖繩の区域だけは全部除外されて安保条約が適用になる、だからそういった出撃の場合は、事前協議にかかるから心配要らないと言われますけれども、やはり国連というものの認定があり、やはりそういったアメリカを中心とした強い条約があり、さらに共同声明の、そういった台湾の安全の問題、韓国の安全の問題そういうことが考えられた場合、結局事前協議というのがあっても、いままで事前協議というのは、はっきりいって一度も行なわれたことはありませんし、国益の上からイエス、ノーはっきりいうと、総理も外務大臣もずっと主張されてきておりますけれども、何か事前協議というものが、戦争の歯どめになるのか、弱いものになってしまわないのか、そういった条約のがんじがらめになった体制の中で、沖繩が返ってきて、たとえば安保条約の適用下になった、要するに安保条約の適用範囲が広がるわけです。私は、事前協議というものは弱くならないが、沖繩の基地が完全に返還された場合は別として、かなり返還が困難だという話も聞いておりますし、そういった点で事前協議というものが、ほんとうに戦争の歯どめとして、今後ともはっきりと日本政府としてはこれをたてにとって、とにかく戦争に巻き込まれないという、そういう姿勢を強く貫けるものかどうなのか、この点は繰り返した議論になるかもしれませんが、外務大臣の所信をお伺いしたいのです。
  218. 愛知揆一

    ○国務大臣(愛知揆一君) いま東郷局長から御説明いたしましたように、米韓あるいは米華条約は、沖繩の返還によって、これは全然沖繩とはかかわりがなくなってくるわけです。これは非常に明白な事実であります。  それからその次の問題は、たとえば米韓条約によって、アメリカがコミットメントをしている、それも条約上、この条約によって当然の義務でありますが、その義務があるからといって、先ほどお話もありましたが、日米安保条約を飛び越えて、自動的に在日米軍が日本側が提供した施設区域を利用して出るということを当然に義務づけるものではなくて、これは法体系が全然違って、日本の事前協議に対する意思にかかるわけですから、その場合は、先ほど説明がありましたように、韓国における状態が、日本の安危に――対岸の火災視しておられない、日本に火の粉がほんとうにわがこととしてかぶってきたというような状態になれば、日本の事前協議に対する態度というものは積極的にならざるを得ない。これが国益に応ずるゆえんだ、守るゆえんである、こういうふうにわれわれとしてはこの条約関係を理解し、かつ運営をしていくつもりであります。  で、そういう体制になっているということが、また事前協議が必要とならないようなそういう状態をつくり出すことである、そういう状態を抑止することである、したがって、われわれの期待することは、過去十年においてそうであったように、事前協議というものが沖繩返還後においてもかからないようにする、また、そういうようにするようにほかのいろいろな施策も並行して行なう、こういうわけでございます。したがいまして、従来しばしば本件について申し上げておりましたことは、今日においても、また将来においても、その点についてはもう明確な態度でこれに処していきたいと考えております。
  219. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 いま答弁で言われた事前協議が、沖繩返還後もかからないようにすると、それに伴う何らかの施策をやると言われましたけれども、その施策というのはどういうことをさしますか。
  220. 愛知揆一

    ○国務大臣(愛知揆一君) これはもう全般的に国際緊張の緩和ということであり、また現状の分析からすれば、そういう事態がなかなか起こりそうもない。これは台湾海峡等については、プレスクラブの総理大臣の演説においても、そういう事態は今日予見できないということを明らかにしていることでもおわかりいただけると思います。
  221. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 最後に一つ要望を加えての質問ですが、ウ・タント事務総長がお見えになりますのでぜひ伺っていただきたいとも思いますが、日本における国連への協力のあり方、特にわが党は前々から国連アジア本部の設置を主張してまいりまして、事務総長にも手紙を出し、また返事も来ております。また、実際アジア本部をすぐつくることはなかなか非常にむずかしい問題もたくさんございまして、そう簡単には私たちもできるとは思っておりませんけれども、たとえば、われわれの主張するような線までいかなくても、現在日本に犯罪研究所とか、そういう国連の機関が幾つかあります。特に日本の国土の上から考えまして、私はぜひそういった研究所ないしはそういう機関をもっとたくさんつくる、こういう方向が望ましいのではないか。特に日本の場合、公害の研究所、それから海洋開発の研究所、これあたりは非常に国際的な問題でもありますし、日本の立場上、地理上からも非常にいいのではないか、このように考えますので、それを含めたそういった国連の何らかの機関をつくるということで話し合われるおつもりはあるかどうか、なければぜひ話し合いをしていただきたい、このように思うのです。それが日本の平和を維持する、日本が戦争に巻き込まれない一つの大きな歯どめにもなるんじゃないか、このように思います。その点をお伺いして、私の質問を終わりたいと思います。
  222. 愛知揆一

    ○国務大臣(愛知揆一君) これは私は全く御同感でございます。国連のいろいろの機関が日本に誘致されるということは、いろいろの意味からいって非常に意義のあることであると考えるわけでございます。したがって、先ほども羽生さんの御質問でお答えしましたように、いわゆる国際大学の問題などにつきましても、政府としては前向きに、建設的にこれを取り上げていきたい、ぜひ意欲的な態度で臨んでまいりたい考えでおります。
  223. 川村清一

    ○川村清一君 私は、北方地域がかかえております問題についてお尋ねをしたいと思いましてこの機会をいただいたわけでございますが、与えられた時間が非常に少のうございますので、突っ込んで深くお尋ねすることはできませんが、大事な問題でございますので、ひとつ率直な御見解を披瀝していただきたいと存じます。  まず第一にお尋ねいたしますことは、北洋の安全操業についてでございますが、最近の新聞の報道によりますると、川島正次郎自民党副総裁の訪ソあるいはノビコフソ連副首相、イシコフソ連漁業大臣等の来日を機会に、問題解決の方向に向かって大きく動いておる模様が新聞に報道されておるわけでございます。特に喜ばしいニュースとしては、今日、十三日でございますが、倉石農林大臣とイシコフ漁業大臣の会談があって、その中心議題は安全操業の問題であり、この際に、昨年の秋に愛知外務大臣が訪ソして提案した具体案に対しましてソ連側の回答があるはずである、このことによって安全操業問題は解決の方向に向かって大きく前進することが期待される、こういうような報道も伝えられておるわけでございます。で、私は多年の宿願であっただけに、関係漁民とともに心から喜んでおる次第でございますが、この機会に、いわゆる愛知提案なるものの内容、さらに今日までの経過なり、今日の実情等についてひとつ具体的に御報告を願いたい、かように存じておるわけでございます。
  224. 愛知揆一

    国務大臣愛知揆一君) 安全操業と拿捕事件につきましては、前々から特に川村委員に非常に御熱心に御質疑をいただき、また、御激励や御批判をいただいておりましたので経過は十分よく御承知のことと存じますが、ただいままでの経過をさらに申し上げますと、今回ノビコフ副総理とイシコフ漁業大臣その他が来日いたしまして、数日前に総理大臣のところへ一行が来られましたときに、抑留漁民の残り三十二人の即時釈放をまず約束、回答をいたしてくれました。これは十七日に釈放される運びになりまして、たいへんおかげさまで喜んでおるわけでございます。これによって抑留漁夫は一人もなくなります。全員釈放がようやく解決いたすことになりました。  それから、総理大臣のあとを受けまして、私のところへ一行が来訪いたしまして、安全操業の問題の話になりましたが、佐藤総理にお約束したように、ソ連側としても安全操業の問題を取り上げる用意があるということが総理大臣への回答でございましたので、それを受けてもう少し掘り下げたわけでございます。ソ連側の意向は、安全操業の問題について日本側と具体的な交渉を始める用意がある。それに対して、私から昨年九月、あるいはさらにそれ以前にも実は当方から申し出ておる考え方があるので、これは前に御報告いたしましたように、歯舞、色丹、国後、択捉から距岸三海里ないし十二海里以内の安全操業というのが原則的な当方の提案でございますが、こうしたわが方の提案を基礎として今後交渉に入るものと了解してよいかということを私から念を押しましたのに対して、ソ連側の言い分は、日本側の提案をよく承知しております。安全操業の水域を拡大することにつき原則的に肯定的でありますので、具体的にはイシコフ漁業大臣をして話し合いに入らせます、日本側におかれては、倉石農林大臣もしくはそれにかわる権威責任のある方と滞日中に話し合いを始めましょう、これが先方の回答でございました。そこで、さらに若干の日時がかかると思うから、イシコフ大臣にしばらく滞日を延期してほしいという提案をいたしまして、十三日、すなわち、きょうから倉石大臣と話し合いを始めるということにいたしたわけでございます。ところが、その最後の点について、実は昨晩もノビコフ副総理及びイシコフ大臣と私はじめ外務省の者が会談をいたしたのでございますが、その席で、イシコフ大臣をしばらく残すことに一応合意したんだけれども、この点は先方の都合によりまして、十四日ノビコフと一緒に帰らせてほしいと、ただ、きょう倉石大臣と会って原則的な話をなるべくしていきたい、細目について残ったならば、さらにこれを東京なりモスクワなりで引き続いて話し合いをいたしましょうということで、先方の事情も事情でございますから、イシコフ氏は明日帰国することにはなりましたけれども、安全操業の話し合いを前向きに、建設的にやるということには何ら変更ございませんから、今後の具体的折衝に私は期待をかけておるわけでございます。
  225. 川村清一

    ○川村清一君 今日までのいろいろな御努力に対しましては敬意を表するわけでございますが、そこで、ただいま大臣から御答弁がありました、いわゆる愛知外務大臣提案の具体的内容というものは、距岸三海里から十二海里の水域において安全操業ができるような、こういう提案でございますが、この案につきましては、これは外務大臣独断の案であるのか、それとも農林省と協議の上きめられたものか、あるいは閣議の了解を得てソ連側に対して提案したものか、これはどういうことになっておりますか。
  226. 愛知揆一

    ○国務大臣(愛知揆一君) それは閣議の了解というようなものはございません。それから、この話し合いはなかなかむずかしい話し合いであると思いましたので、私としてはソ連に参りましたときに原則的な考え方を中心にして話しましたわけでございます。
  227. 川村清一

    ○川村清一君 実は私もずいぶんこの問題につきましては、自分なりに一生懸命やってきたつもりでございまして、三木外務大臣、それからこの前の内閣の愛知外務大臣、また現在の内閣の愛知外務大臣と、いろいろお尋ねしておったんですが、どうしても具体的な内容というものをお示しにならないわけです。ようやく六十一国会になりまして予算委員会で外務大臣から明らかにされたわけでございますので、そこでお尋ねしたわけであります。いろいろ議論する時間がございませんので、これはこの程度にいたします。  次にお尋ねいたしたいのは、現在貝殻島周辺のコンブ採集につきましては、安全操業協定は民間協定によって取りきめられておるわけでございますが、いま政府の取り上げております歯舞、色丹、国後、択捉水域の安全操業は、これがもし協定が結ばれるとするならば、政府間協定になるのかどうか、この点ひとつお聞きいたしたいと思います。
  228. 愛知揆一

    ○国務大臣(愛知揆一君) これは何しろまだこれから話し合いが始まるわけでございますから、内容、形式について今後いろいろのまだ、急ぎますけれども、過程があるのじゃないかと思いますので、にわかに断定的に申し上げることはできないのでありますけれども、形はいかなる形でも内容、実質をできるだけわが方に都合のいいように確保することを重点に考えていったならばいかがかと思います。
  229. 川村清一

    ○川村清一君 まあ安全操業が取りきめられるということになりますれば、その代償といいますかあるいは対価といいますか、ソ連側も何かを求めてくるだろうと予想されるわけでございますが、日本政府としてはどのようなことを考えておるかちょっと、新聞記事等もこれは出ておるわけでございますが、私の聞きたいと思いますことは、赤城私案が出されたころに一応考えられたこととしてこれも新聞に報道せられたことでございますが、漁獲した魚介物について一定の金額を支払う、すなわち入漁料を支払う、あるいは一時ソ連側が要求しておりましたソ連漁船の日本の港に寄港を認めること、この二つの案については、現在のところ政府は考えていらっしゃいますかどうか、この点ひとつお聞きします。
  230. 愛知揆一

    ○国務大臣(愛知揆一君) まず、いまの二つの点で、寄港の問題でございますけれども、これは前にも申し上げたことがあるかと思いますが、他の諸国との関係などもございますしいたしますから、寄港を本件の代償と考えることは望ましくないという考え方を政府としては持っております。  それから、入漁料という問題も、入漁料という形で、そうして対価を支払うということは、これもまた望ましくないことであると考えますが、ただこれは今後の折衝になります。私は水域ができるだけ広いことが望ましいと思いますが、いかなる水域に話し合いが落ちつきますか、これもまあ先方の意見まだ先ほど申し上げただけでございまして、具体的な点についてはまだ向こうが触れておりませんで、今日以後の農林大臣との間の話し合いで出てくるのではないかと思います。率直に申しまして相対的な問題だと思います。相当に水域が広く安全操業が認められるようになれば、先方のソ連側にもいろいろ協力をしてもらうこともありますが、あるいは避難をする必要もございましょう、そういう場合に協力の代償として何らかの、まあたとえば漁獲量のごく一部であるとかあるいは相互の漁業の安全確保のために協力をしてもらうことについて何らかの、先方にも提案があれば、これはものによっては考えてもいいのではないかと思います。
  231. 川村清一

    ○川村清一君 いずれにいたしましても、この安全操業の問題は、すでに御案内のように、単に漁民の漁業経営上の問題だけではなくして、まさに人道上の問題でございまして、李承晩ラインによって拿捕あるいは抑留された船の隻数あるいは漁夫、こういうのよりもこちらのほうがずっと数が多いわけでございますので、こういう見地に立って、ぜひひとつ一日も早くこの問題解決のために一そう政府が御努力くださいますことを心から念願します。  次に、領海の問題についてお尋ねしますが、領海につきまして、私どもが今日まで機会あるごとに幅を広げること、世界の大勢に即応して漁業専管水域として十二海里まで広げることを主張してきました。で、これは日本沿岸漁民の要求であることは政府もすでに御承知のとおりであろうと思うわけであります。しかし、政府は執拗に三海里に固執いたしまして、これを変更しない態度を変えてきておりません。昨年の予算委員会で私の質問に対しまして、長谷川農林大臣が、規制水域を広げること、これは資源保護のために何らかの措置として規制水域を広げるように検討したいと、初めてこういう答弁があったわけでありますが、その後具体的には何にも進展しないままに今日に至っております。私に言わせるならば、まさにこれは国会軽視である、かようにいま考えておるわけであります。そこで、愛知外務大臣は、アメリカ、カナダその他世界の動きは十分御承知のことと思います。世界の情勢をどう把握されておるのか、いまなお三海里にこだわっているのか、専管水域十二海里を実現し、漁民の願いにこたえる意思はないのかどうか、この点をこの機会にはっきりひとつお聞きしたいと思うのです。
  232. 愛知揆一

    ○国務大臣(愛知揆一君) この点については、いまも御指摘がございましたように、従来政府の見解はしばしば申し上げておるわけでございますが、一言にして申しますと、世界の大勢が動いて、そして国際法としてたとえば領域六海里、専管水域六海里と、たとえていえばそういうことで大部分の国が合意してこれが順守できるということならば、それに政府としては異論はございません。その態度は従来――正確な年月日をちょっといま記憶しておりませんけれども、従来、国際会議でも政府としての意向を表明したことがあるわけでございます。要するに、領海というのは一方的にだけ主張してもこれを多数国が承認しない場合には効果が発生いたしませんし、そういう現状のようでございますと、こちら側が守る立場からいえば、なるべく他国の漁船が近くまで入ってくることは防がなければなりませんが、同時に、こちらが出漁する場合を考えてみれば、向こうとしてはなるべく狭い領海説をとってくれているほうがこちらは便利でもございますし、要するに相対的な問題でございますから、私は早急に世界の大勢がそういうふうに向かい、また日本の意見というものがその中で指導的な立場に立って決定がし得れば、私はそれに異議はないどころか、それはけっこうなことだと考えておるわけでございます。率直に申しまして、従来政府の答弁が、お考えによれば非常に割り切れないような御感触をお持ちの場合もあったと思いますけれども、日本は水産国であるだけに、他国との間でいろいろの漁業関係の交渉やあるいは協定やそういうことを折衝中でもあり、そういうときに一方的な態度だけを表明するということはそういう折衝にも影響があると考えまして、不適当な場合もございましたので、政府の考え方というのはあまりクリアカットに出なかったうらみがございますが、いま申しましたように、一九六〇年の国際会議で示した態度というものが今日の政府の態度と御理解いただいて私はけっこうだと思っております。
  233. 川村清一

    ○川村清一君 一九六〇年のときの政府の態度は十分承知しているわけでございますが、しかし、ただいま大臣のお話にもありましたように、世界の大勢というものは領海十二海里をとっている国がもうすでに四十カ国もあり、そして三海里という国は六カ国ぐらいしかないんではないかと私は考えておるのでありますが、その三海里説をとっておる国であっても、その外側にいわゆる専管水域という形の中で十二海里というのが普通ではないか、純然たる領海三海里という国はもうほとんど幾つもないんではないか、かように考えております。これが世界の大勢ではないかと思うわけです。この世界の大勢に順応していくという大臣のただいまの御答弁からいけば、当然日本政府もいろいろ事情のあることも十分知っているわけでございますが、しかしながらこの領海三海里というために沿岸においても種々の問題を起こしていることは御承知のとおりでございますから、この際漁民の要望にこたえて、ジュネーブの会議のときにおいて政府の考えておった処置、すなわち領海六海里、外側に六海里のいわゆる漁業専管水域を設けて十二海里にする、この考え方を一日も早く実現されたらどうか。もちろん、一国が宣言したからといって国際的に認められるわけではございませんから、ぜひひとつ一九六〇年のジュネーブ会議のような海洋法国際会議というものを開いて、そうして早くこれをやるべきではないか。すでにアメリカもカナダもこういう方向に向かっているではありませんか。そこで、そういう御答弁ばかりするのではなくて、もっと前向きに、積極的にこの問題を解決するという御答弁を私はいただきたいのです。
  234. 愛知揆一

    ○国務大臣(愛知揆一君) それは基本的に私は何も異なる意見を持っておるわけではございません。ただ、現にこちらが他国に対して要請しておるような問題とも関連いたしますから、非常に大事をとって申し上げておるわけで、たとえば、来年も国際会議がございますから、日本としては一九六〇年以来の態度で、国際会議におきましてはいまの主張をもって関係国が同意するように、この前はそういう点でまだ各国の了解が十分でなかったわけですから、そういう点についていまの御意見のような方向で努力をいたします。これはくどいようでございますが、基本的な考え方に何も異存はないのですが、ただ、こちらが他国に要請している場合、あるいはこちらが他国の近海に行って操業する場合のことを考えれば、本則といいますか、原則が他国との間に、なるべく多くの国との間にまとまっておりませんと、率直にいって当方が損をすることがかなりあるわけでございます。ただ、幸いにして今日では日本の水産と非常に関係の深い国々との間では漁業協定が行なわれておりますから、幸いにしてこの問題についてさしたる不便がなくて行なわれておりますから、そういう点をひとつ御了解をいただきたい。私どもといたしましては大いにその方向に向かって努力をいたしつつあることもまた御理解をいただきたいわけでございます。
  235. 川村清一

    ○川村清一君 いろいろな問題について議論したいのですが、時間がございませんので省略いたしますが、ただいまの大臣のお話によりますれば、明年、海洋法会議が開かれる、こういうようなお話でございますので、その節は、一九六〇年のときは日本は六海里、六海里、十二海里という案に賛成したけれども、最終的にはいわゆる附帯決議といいますか、こういうものに賛成できなくておじゃんになったということがございますので、そういうささいなことにはとらわれないで、積極的にこの会議に臨んでひとつやっていただきたい。それからこちらも向こうの外国のほうへ行っていろいろ漁業をしているのだというようないろいろお話、これは十分承知しておるのです。しかし、私どもの立場から言うならば、そのことによって困るのは、いわゆる大手漁業、大資本漁業は国際漁業、遠洋漁業をやっておる、そういう者は困るかもしれませんけれども、しかしながら、この専管水域を広げないために困っているのは沿岸の漁業者であるというこの立場をよく御理解いただきたいと思います。  では次に、北方領土の問題についてお尋ねいたします。  政府は返還を要求する北方領土の範囲として、歯舞、色丹、択捉、国後に限定しております。その根拠は、安政元年、一八五五年の日魯通好条約を取り上げていろいろ説得につとめられておられます。本院の今回の予算委員会において自民党の山本委員の質疑答弁、これを読ましていただきましてよくわかったのであります。この一八五五年の条約によって、これらの島を固有の領土として主張することはこれは誤りではございません。その限りにおいて、私も肯定しておるものでございます。しかし、私はさらに一歩を進めて大臣にお尋ねしなければならないことは、外務大臣は明治八年いわゆる一八七五年の千島樺太交換条約をどのように理解されておるのか。一八五五年の条約と一八七五の条約とは歴史的に関係があるわけでございます。戦争という手段によって解決したのではなくして、平和的話し合いによって締結された条約でございます。ポーツマス条約とは全然性質の異なるものであると私は考えておるわけであります。その意味において、この明治八年の条約、外務大臣はどのようにお考えになっておるか、御見解を承りたいと思います。
  236. 有田圭輔

    ○政府委員(有田圭輔君) お答え申し上げます。  先生御指摘のとおり、七五年の条約によりましても、これは交換ということでございまして、戦争の結果とか、武力によって奪取したものではございません。しかし、政府の考え方は、御承知のように固有の領土と申し上げますのは、そういう交換の対象にもならなかった。日本人しか国後、択捉は住んでいなかった。千島の北のほうは、やはりソ連の人たちが経営してきた時代がある。そういう点で一応の区別はあるわけでございますが、それから、基本的には、これがともかく平和条約でわれわれとしてはいわゆるクリルアイランズ、ウルップから以北の十八島については権利、権原を放棄するということで、平和条約に署名しておりますので、われわれとしては、北方領土の返還を要求する範囲としては、日ソ共同宣言に記載されております歯舞、色丹、それに加えてこの国後、択捉を要求するという統一見解にまとまっているわけでございます。
  237. 川村清一

    ○川村清一君 固有の領土というものについての法律的な定義といいますか、解釈といいますか、これにつきましてはいろいろ議論する余地があるわけでございますが、これはきょうは時間がございませんので省略いたします。  そこでお尋ねいたしますが、大西洋憲章、さらにカイロ宣言、これをどのように理解されておるか。で、ポツダム宣言は、当然大西洋憲章、カイロ宣言を受け、その基礎の上になされたものであろうと私は考えておりますが、大臣はどのように理解しておりますか。
  238. 愛知揆一

    ○国務大臣(愛知揆一君) そうした宣言、協定の中で一番問題になるのは、ヤルタ協定といわれている秘密協定ではないかと思いますが、その他のものについては、いまお触れになりました憲章、宣言等は、いずれもこれを要するに平和的に固有の領土として、あらゆる意味において奪取その他の手段によってとったものでないところは、本来の帰属であって、これを戦争の結果によって取り返したり、奪ったりするものじゃないという、私は一貫した主義、主張ではなかろうかと、まあ一々文章についてお答えすべきでございましょうけれども、私の理解では、そういうふうに理解しておりますから、したがって、あるいはもっとそれならば、ただいまお話があったように広く主張してもいいのではないかということも言えるかもしれませんけれども、少なくとも国後、択捉についてはいかなる意味におきましても、そういう協定、宣言に照らしてみましても、そうして、また、領土拡大の野心を大国が持たないという趣旨もはっきり出ておりますから、そういう点で国後、択捉の主張については、もう非常な根拠になるものであると、こういう私は理解をいたしておる次第であります。
  239. 川村清一

    ○川村清一君 私は先ほど申し上げましたように、国後、択捉については何も否定しておるわけではありません。それは当然だと私も思っておるわけです。  それから、ただいまヤルタ協定のお話が出ましたが、ヤルタ協定には、われわれは何ら拘束されるものではない、関係のないものである、こういう考えの上に立って質問をしております。しかしながら、大西洋憲章あるいはカイロ宣言というものはポツダム宣言の前提をなすものであり、そうして、また、少なくとも日本にこの条約締結を求めてまいりました連合国は、この大西洋憲章、カイロ宣言には、責任を持たなければならない、こういう観念の上に立って御質問を申し上げておるわけです。私は、サンフランシスコ平和条約第二条C項というものは、この大西洋憲章、カイロ宣言に対しては違反しておる、こういうふうに思っておるわけでございますが、外務大臣はそうお思いになりませんか。
  240. 愛知揆一

    ○国務大臣(愛知揆一君) 私は違反しているかどうかというような議論はともかくとして、私どもとしては、サンフランシスコ平和条約によって独立を回復したものであり、これが戦後の今日ある一番基礎の条約であると、かような考え方から、この第二条C項によって放棄したということは、これをわきまえ、その上に立って国後、択捉の返還ということに政府として統一見解を持っている次第でございます。
  241. 川村清一

    ○川村清一君 大臣は、私の質問を巧みにはずされて御答弁されるので、私は端的に聞いておるわけでございますが、私はサンフランシスコ条約第二条C項というものは、これを起草したアメリカはじめ調印国四十八カ国が大西洋憲章、カイロ宣言に抵触した重大な誤りをおかしたものである、かように解釈しておるわけであります。で、また、この条約を受諾した当時の日本国政府の責任もまたきわめて重大であると、かように考えておるわけであります。  それで、私どもが北方領土について自民党政府の責任を追及しておるゆえんはここにあるわけでございまして、この点は、こういうことを申し上げると、佐藤総理は非常におこられるわけです。昨年、委員会でこういうことを御質問したら激怒されたわけでございますが、何も私どもは、この国後、択捉返還に対して反対したり、じゃまをするという気は毛頭ないのであって、これは当然な措置である。しかしながら、ウルップ島以北の十八島もこの条約によって放棄したということは、何といっても、これは連合国四十八カ国の重大な過誤であり、政府の責任である、こう思っているわけであります。重ねてこれを明らかにしておきます。  そこで、北海道から、北方領土復帰期成会長の松本俊一さんと、まあ松本俊一さんが団長になりまして、北海道庁や青年代表等が民間使節団を結成いたしまして、この北方領土の早期返還とともにウルップ島以北の北千島についても、その帰属について国連においてきめてほしいと、こういう要請をするために、アメリカに出発しております。大臣御承知だと思います。そこで、愛知外務大臣は、このような北海道の動きに対してどのような御見解を持っておられるか、この際ひとつ明らかにお知らせいただきたい。
  242. 愛知揆一

    ○国務大臣(愛知揆一君) 私も、北方領土問題について、日ソ共同宣言の当時の立役者である松本俊一氏が現在アメリカに行きましたことは承知いたしておりますし、その意欲的な行動については敬意を表しています。ただ、ウルップ以北についても、あるいはサンフランシスコ条約それ自体について、私は松本さんと意見を親しく交換したことはございませんけれども、松本さんがあれだけ日ソ交渉に御苦労なさった方であって、そして私どもとしては、よく引用されますが、松本・グロムイコ交換書簡というようなことを一つの大きな手がかりにしてその後の努力をいたしておるものといたしましては、私さっき申しました見解を政府の見解として正しい見解である、さように考えております。
  243. 川村清一

    ○川村清一君 私が申し上げましたウルップ島以北の問題等につきましても、これはサンフランシスコ条約で放棄したということを前提にしつつも帰属はきまっておらないわけですから、この帰属をきめてほしいといったような、こういう議論が、これは社会党ではなくて、北海道においては自民党道連の中でこの議論が出て、大体自民党道連の意向がそのようにきまりまして、そういうものを持ってアメリカに渡っておるということをこの際私申し上げておきます。いろいろ議論する余裕ございませんのでやめますが、そういうことでひとつ外務省でも御検討いただきたいと思います。
  244. 愛知揆一

    ○国務大臣(愛知揆一君) その点はちょっと私もことばが足りませんでしたけれども、日ソ間の交渉の問題とそれからサンフランシスコ条約では、いまお話しとおり日本が放棄いたしましたけれども、帰属はきまっておりません。そういうところはまた別だということは、私どももよく承知いたしております。
  245. 川村清一

    ○川村清一君 それでは日ソ漁業条約についてちょっとお尋ねいたします。  日ソ漁業条約、すなわち、北西太平洋の公海における漁業に関する日本国とソビエト社会主義共和国連邦との条約は昭和三十一年十二月十二日公布、効力発生以来今日ではすでに条約期間の十年を経過し、自動延長の形で現在は条約が運営されておると私は理解しておりますが、政府はこの条約を廃棄または改定する意思はございませんか。
  246. 有田圭輔

    ○政府委員(有田圭輔君) なるほどこれは期限がきておりますが、その後も日ソ双方でこれを廃棄しようとかあるいは改定しようとかいう話はまだ出ておりません。それから当面、政府のほうからもこれを廃棄しあるいは修正しようというような具体的提案をする予定はございません。
  247. 川村清一

    ○川村清一君 条約に規定されている資源は御案内のように、サケ・マス、ニシン、カニであります。したがって、カニ資源についても当然条約に基づいて設置されました委員会においてサケ・マス、ニシンとともども論議がなされるのが条約のたてまえだと私は思うわけであります。ところが、現実はカニが別に切り離されて論議されております。さらに、カニ資源については、条約附属書に「たらばがに、あぶらがに」と明記してあります。しかるに実情は、カニ交渉においては、イバラガニ、ズワイガニ、ケガニ、ハナサキガニに至るまで論議の対象になっております。この点からいいましても、私は、日ソ漁業条約というものは実質的にすでに改定されているのではないか、かように考えますが、この点どうでございますか。
  248. 有田圭輔

    ○政府委員(有田圭輔君) 御承知のように、カニの問題につきましては、昨年初めて日ソ間に政府間交渉が行なわれまして、取りきめができまして、本年は二年目で、ついせんだってその交渉ができました。このカニの問題につきましては、先生御指摘のとおり、従来は漁業委員会でやっておりましたが、ソ連側がこれにつきまして政府間の交渉を別途行ないたいという強い希望がありまして、昨年その交渉をやり、取りきめができたわけでございます。  それで、この委員会におきましての扱い方は、昨年の日ソの漁業委員会におきまして、条約四条の(イ)に根拠を置きまして、条約の附属書3を削除する、すなわちカニの分を削除するということを決定いたしまして、今後はこの委員会においては、このカニについての資源討論は行なわないということになっております。
  249. 川村清一

    ○川村清一君 この条約を読んでみますというと、ただいま局長が言われましたようなことができるのですか。委員会においてカニを削除する、そういうことはどういう法的根拠に基づいてできるのですか。
  250. 有田圭輔

    ○政府委員(有田圭輔君) この北西太平洋の公海における漁業に関する条約の第四条の(イ)に、「委員会は、次の任務を遂行する。(イ)定例年次会議において、その時に実施されている協同措置が適当であるかどうかを検討するものとし、必要に応じ、この条約の附属書を修正することができる。この修正は、科学的基礎に基づいて決定されなければならない。」、この条約四条(イ)の項によって、委員会の決定としてこの附属書の3を削除することを決定したわけであります。
  251. 川村清一

    ○川村清一君 いやそういうことは、この条約の実に拡大解釈でございます。御承知のように、この附属書というものは、この条約の中においては、第二条第二項に規定されておりますように、「この条約の附属書は、この条約を構成する不可分の一部とする。」と、こう書かれておって、条約の条文と全く同じなんですよ。しかしまた第四条の(イ)項には、「附属書を修正することができる。」とありますけれども、それは前に書かれておりますように、「その時に実施されている協同措置が適当であるかどうかを検討するものとし、必要に応じ、この条約の附属書を修正することができる。」と、こうなっておりまして、そんな大事な根本的なものを修正する権限を委員会には与えておらないわけであります。このカニというものは、附属書に明らかなように、この条約によって規制される資源というものは、ニシン、カニ、サケ・マスとはっきり規定されておるわけでありまして、この条約を構成する大事なこれは資源なんです。それが委員会でもって条約からはずして別に議論する、こういうことが一体できますか。そんな条約というものがありますか。この条約を構成する重要な部面が変更されるということは、当然条約の改定を見なければならないと私は思いますし、改定されるならば当然国会の批准を得なければならないでしょう。だめですよ、こんなことでは。
  252. 有田圭輔

    ○政府委員(有田圭輔君) これはどうも条約局長がおられるのでそのほうにお答え願ったほうがいいのかもしれませんが、先生のお読みになったこの二条の二項に「この条約の附属書は、この条約を構成する不可分の一部とする。すべて「条約」というときは、現在の字句における、又は第四条(イ)の規定に従って修正されたこの附属書を含むものと了解する。」とございまして、これを受けまして、この第四条の、先ほど申し上げました(イ)に「定例年次会議において、」云々ということが行なわれておりますので、委員会の決定によって、そのときの時点においてカニの資源をその附属書からはずすということは違法ではないと考えております。
  253. 川村清一

    ○川村清一君 与えられた時間が来たからやめますけれども、そんなことはございませんよ。それならば委員会において何でも、これは条約そのものを改定できるということじゃありませんか。その第四条の(イ)でもってその委員会に与えられている権限、すなわち附属書を修正する権限というのは、実施されている協同措置が適当であるかどうか、すなわち漁獲量とか、あるいは規制の範囲であるとか、こういったようなものについていろいろ議論して、そうして適当であるかどうかという、その結果修正する、それは私は小部分のまた技術的な問題に限られると思うのであります。この条約そのものは、北西太平洋にある資源を持続的に維持し、そしてさらに増大をはかる、こういう義務を自由かつ平等の基礎の上に立って締約国双方に与えるものであって、その資源とは何か、すなわちサケ・マス、ニシン、カニと、こういうふうに規定されているんですよ。あなたの論拠から言うならば、サケ・マスもニシンもどんどん改定できる、それまで委員会で変えてしまうという権限をこの条約に与えられているとするならば、委員会でもって条約そのものを変更することができる、しからば条約の改定というものは永久にないし、国会の批准は何ら必要ないということになりませんか。私は納得できません。  もう与えられた時間が済みましたので、これで終わります。
  254. 川上為治

    ○主査(川上為治君) 以上をもちまして外務省所管に関する質疑は終了したものと認めます。  なお、次回の分科会は明十四日午前十時から開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後五時二十三分散会      ―――――・―――――