運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1970-03-17 第63回国会 参議院 逓信委員会 7号 公式Web版

  1. 昭和四十五年三月十七日(火曜日)    午前十時二十三分開会     ―――――――――――――   出席者は左のとおり。     委員長         近藤 信一君     理 事                 長田 裕二君                 新谷寅三郎君                 松平 勇雄君     委 員                 古池 信三君                 郡  祐一君                 白井  勇君                 菅野 儀作君                 久保  等君                 野上  元君                 森  勝治君                 塩出 啓典君                 北條  浩君                 村尾 重雄君                 青島 幸男君    国務大臣        郵 政 大 臣  井出一太郎君    政府委員        郵政大臣官房電        気通信監理官   牧野 康夫君        郵政省電波監理        局長       藤木  栄君    事務局側        常任委員会専門        員        竹森 秋夫君    説明員        会計検査院事務        総局第五局長   石川 達郎君    参考人        日本放送協会会        長        前田 義徳君        日本放送協会副        会長       小野 吉郎君        日本放送協会技        師長専務理事   野村 達治君        日本放送協会専        務理事      川上 行蔵君        日本放送協会専        務理事      志賀 正信君        日本放送協会理        事        松浦 隼雄君     ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○日本放送協会昭和四十二年度財産目録、貸借対  照表及び損益計算書並びにこれに関する説明書  (第六十一回国会内閣提出)     ―――――――――――――
  2. 近藤信一

    ○委員長(近藤信一君) ただいまから逓信委員会を開会いたします。  日本放送協会昭和四十二年度財産目録、貸借対照表及び損益計算書並びにこれに関する説明書を議題といたします。  本件に関し、質疑のある方は順次御発言願います。
  3. 野上元

    ○野上元君 いつもお断わりしますが、私はすわって質問しますから、どうか大臣も会長もすわって御答弁くださってけっこうです。  この質問にあたりまして、私は、これを四十二年度の単年度の決算ということではなくて、いわゆる第二次六カ年計画の最終年としての決算という意味で、この六カ年にわたる問題にも触れて質問をしたいと思いますので、あらかじめ御了承いただきたいと思います。  この六カ年の間に、言いかえれば第二次六カ年計画の中で、NHKが実行された特徴的なものは一体どういうものですか、その点をひとつおあげ願いたいと思うのです。どなたでもけっこうでございますから。
  4. 前田義徳

    ○参考人(前田義徳君) 特徴と申しますと、NHKの近代化から申しますと、これが第一の特徴になるかと思いますが、いわゆる機械化が発足して、この六年目に一応の機械化の稼働、動き出しが始まった。これは簡単に言えば、いわゆるオンラインシステムが発足したということになるわけですし、これはその後の六年間の四十二年度決算を中心にしても、かなり意義のある役割りを果たしているということが申し上げられると思います。  それから第二点は、いわゆる難視聴解消のために六年計画の実績から申しますと、この四十二年度末までに計画の五割を上回る難視聴解消の実績をあげたという点でございます。  それから第三点の特徴は、この六カ年を通じてNHKの経営と、それを取り巻く経済社会的環境がかなり六年目に激変を起こしているということであります。これはどういうことかと申しますと、たとえばその六カ年計画の三年目から、昭和三十九年度からいわゆる社会、経済の情勢が、生産性の向上と物価その他の関係から、いわゆる景気のリセッション的傾向を起こし始めたということであります。これは、六カ年間の決算を御記憶いただきますと非常にはっきり出てきておりますが、たとえば三十五年度等に比べますと、また六カ年計画の初年度に比べて、収入の伸び率が、簡単に申しますと二三%余から、この四十二年度の決算で明らかのように四・七%に落ちているということであります。これに対して支出の面は実に八・七%に相なっているわけで、したがって、収入の増加によっては支出の増加を補い得ないという社会情勢がそこに出てきているということであります。したがって、従来かなり議論になりましたいわゆる四十二年度の剰余金も、過去に比べると最少の数値になったと、八億円余りの剰余金を計上したにすぎないという状況であります。しかし、この状況がとにかく先ほど申し上げましたように、第二点の特徴を指摘しましたように、計画六カ年間の五〇%を上回る置局その他の措置ができたということは、三十五年度以来われわれが考えてきたいわゆる近代化が、その限りにおいては効果をあげたということがいえるかと思います。事業的に見ますと、この期間を通じていわゆるFM放送の全国網を張りめぐらすという事実が進行してきたということ、それからまたカラーテレビジョンの施設の、何と申しますか、強化がこの期間に進んできたということ、また一つのイベント的な面から申しますと、この期間に東京でオリンピックが開かれて、これと関連してNHKの施設としても代々木の放送センターが効率を上げ始めた時期にもなるわけであります。しかし、結論的に申し上げますと、この期間の特徴は先ほど申し上げました三点が指摘されますし、この限りにおいて、この期間の最終段階において内外から受信料の問題がかなり強烈な環境の中で、将来の経営と関連して、この問題をどうするかという新しい事態が起こった年度にもなると、こういうことでございます。
  5. 野上元

    ○野上元君 まあこの第二次六カ年計画の結果、NHKにとってはいろいろ問題に直面しておるわけですが、集約的に表現すれば、来たるべき科学技術の時代に対処するためのNHKの近代的基礎固めをやった時代、こういうふうに解釈してよろしいですか。
  6. 前田義徳

    ○参考人(前田義徳君) そのとおりでございます。
  7. 野上元

    ○野上元君 それで、その近代化の、何といいますか、中心的なものは何ですか、たとえばコンピューターのようなものですか。
  8. 前田義徳

    ○参考人(前田義徳君) これは二種類ございます。  第一次五カ年計画から継続した意味でのいわゆる機械設備の近代化という点と、経営から見ての近代化とこの二つあるわけです。御承知のように、NHKは終戦と同時にNHKの大部分がやはり破壊の被害を受けており、同時に機械設備はきわめて陳腐なものになったわけですが、この期間を通じて概括的に言えば世界的レベル、ある部門ではそのレベルをしのぐ設備の更新ができたということであり、これに即応して経営の近代化をはかることによって業務の簡素化と経費の根本的節約の窓が開かれたと、この二点でございます。
  9. 野上元

    ○野上元君 一つ一つお聞きしたいんですが、コンピューターというのはNHKが買い込まれて設備されたものですか、それともどっかから借り入れてやっておられるんですか。
  10. 前田義徳

    ○参考人(前田義徳君) 昭和三十五年当時からわれわれが考えたコンピューターのいわゆるハードウェアと申しますか、基礎的設備はこれを借り入れるという方針をとりました。
  11. 野上元

    ○野上元君 借り入れるわけですね、そのハードウェアを。
  12. 前田義徳

    ○参考人(前田義徳君) そのとおりでございます。
  13. 野上元

    ○野上元君 そうしますと、借り入れた、そのハードウェアそのものはどれくらいあるんですか。
  14. 松浦隼雄

    ○参考人(松浦隼雄君) お答えいたします。  四十二年の段階におきまして借り入れております機械は、国産機の日本電気のNEAC二二〇〇モデル五〇〇といいますものが一式、それから同じくNEAC二二〇〇のモデル二〇〇というのが二式、これは当年度中に返却しておりますけれども、それからIBMの三六〇‐五〇、なお同じくIBMの一八〇〇という電算機一式でございます。
  15. 野上元

    ○野上元君 そうすると、すでに四十二年の段階において国産のものを借り入れて、もうすでに返してしまったというものもあるわけですね。
  16. 松浦隼雄

    ○参考人(松浦隼雄君) 第二次六カ年計画の期間を通じまして御説明申し上げます。  三十七年にIBMの一四〇一、一式、三十八年にIBMの七〇四四、一式並びにIBMの一四〇一、一式を借り入れまして業務の機械化を開始したわけでございますが、四十年ごろになりまして国産機の開発が進みましたので、いま申し上げましたIBMの機械を順次国産機に転換しつつあった段階でございます。それでIBMの一四〇一をまず返しまして、NEACの二二〇〇‐二〇〇というのを二式入れました。続いてIBMの七〇四四を返却すべく四二年度の当時にNEACの二二〇〇‐五〇〇というのを一式借りたわけでございます。実際にIBMの七〇四四を返却いたしましたのは四十四年度――予算的には四十四年度になります。
  17. 野上元

    ○野上元君 そうしますと、現在残っているのは幾らなんですか。これはあまりに子供の数学遊びみたいでなかなかむずかしいのですけれども。
  18. 松浦隼雄

    ○参考人(松浦隼雄君) 四十四年度において残っておりますのは、NEACの二二〇〇‐五〇〇二式とNEACの二二〇〇‐二〇〇一式、これが国産機でございます。そのほか富士通FACOMの二七〇‐三〇というのが一式ございます。そのほかに番組技術試験のための先ほど申し上げましたIBMの両機種があるわけでございます。
  19. 野上元

    ○野上元君 そうすると、国産が三式まだある、それからIBM関係のやつが三式ある、こういうことですか。
  20. 松浦隼雄

    ○参考人(松浦隼雄君) NHKでこの期間に機械化を実施しております業務は、大きく分けますと、二つに分けられます。一つはいわゆる事務の機械化という段階でございまして、職員管理の関係、それから予算編成そのものを除く経理関係、会計並びに管財、調達、それから受信者関係の業務を扱います営業関係、それから建設工事の工事管理をいたします施設管理、この以上四つの関係の業務につきましては、これはいわゆる事務の機械化という範囲に属しますものでございまして、これに国産機を充当してございます。それから番組技術、番組を実際計画し制作し、これを送出する業務に使っております部分に現在はIBMの機械を使っております。以上でございます。
  21. 野上元

    ○野上元君 簡単に言ってもらいたいのですが、結局国産機が二式ですか。残っているのは。現在使っているのは二式ですか。
  22. 松浦隼雄

    ○参考人(松浦隼雄君) 種類から申しますと四種類ございます。その大きな型式でいいますとNEACとFACOMでございます。その中にまたモデルの型がございますので、FACOMのほうは、たいへん数字で申しわけないのでございますけれども、二七〇‐三〇というのを使っております。NEACのほうは二五〇〇の五〇〇というのと二〇〇というのと、それから一番小さい五〇というものを使っております。
  23. 野上元

    ○野上元君 これらのコンピューターを借り上げるための年間の経費というのはどれくらいですか。
  24. 松浦隼雄

    ○参考人(松浦隼雄君) 四十二年の年度でございますと、年間の総額が五億四千万円になっております。で、三十七年から導入しておりますので、その計画期間を通じてのレンタルの増額は約十九億でございます。第二次五カ年期間を通じましての合計が十九億強になります。
  25. 野上元

    ○野上元君 四十二年度単年度では五億四千万円ですか。
  26. 松浦隼雄

    ○参考人(松浦隼雄君) はい。
  27. 野上元

    ○野上元君 第二次六カ年計画の全期間を通じては十九億余りのレンタル料を払ったと、こういうことですか。
  28. 松浦隼雄

    ○参考人(松浦隼雄君) そうでございます。
  29. 野上元

    ○野上元君 現在はどれくらい払っているんですか、たとえば四十四年度の計算でいうと。
  30. 松浦隼雄

    ○参考人(松浦隼雄君) 四十四年度単年度におきまして十億六千万円強でございます。
  31. 野上元

    ○野上元君 これはさらにふえていく計画ですか。ふやしていく計画ですか。
  32. 松浦隼雄

    ○参考人(松浦隼雄君) 四十二年度と比較いたしまして四十四年度がふえておりますのは、番組技術関係の業務を本格化したためでございまして、今後においてこのレンタル料は、特別の事情のない限り、そう大幅に増加するという性質のものではないように存じております。
  33. 野上元

    ○野上元君 それで大体会長の言われた事務的な合理化と、それから番組的なものの合理化というような両面にわたるいわゆる経営の合理化というふうなもののおもなるものがわかったわけですが、先ほど会長も言われておりまするように、この第二次六カ年計画中においては、いわゆるNHK側から見た場合には、経済的にはリセッションの時期であった、これは収入の面によくあらわれておる、こういうお話でしたね。したがって、その収入によって支出の増大をカバーするということは非常にむずかしかった。しかしながら難視聴解消は計画の五割増というふうな実績を示した、それはいわゆる合理化のおかげである、こういうふうにお話をされたと思うんですが、その内容はどういうふうに計算されておるんですか。
  34. 前田義徳

    ○参考人(前田義徳君) 数字的に申し上げますと、ただいま松浦理事が申し上げましたが、六カ年間を通じてこのレンタル料が、きわめて単純に御説明申し上げますと、十九億余りになるわけですが、四十四年度、これを中心にして考えますと、年度間だけで約四十五億円の節約ができております。もちろん、その六カ年計画の年度によって、この機械化の進捗と関連して、この数字は変わってまいりますが、そういう点では、かなりの効果を上げているということが言えると思います。さらにもう一つ要約いたしますと、二十億のレンタル料を払うことによって最小限度年間二十億の節約ができているということでございます。
  35. 野上元

    ○野上元君 いまのお話、ちょっと理解できないんですが、レンタル料を二十億払えば二十億の節約ができるということは、相殺ゼロということになるんじゃないですか。
  36. 前田義徳

    ○参考人(前田義徳君) 私は、ですから四十五億年間節約できていると、それでかりに六年間は、四十五億は大体四十四年度の節約額ですから、四十四年度は約六億のレンタル料を払うわけですから、その年度限りでいいますと、おおよそ三十九億円の節約になっているということが言えると思います。ただ、六カ年間ですから、当初はレンタル料だけがこれはふえる形になります。その当初の年度は効果はまだ出ないわけですから、安定した時点の例は、四十四年度が一番いいかと思いますが、これは先ほど松浦理事から説明したように、五億あまりの、六億以内のレンタル料を支出することによって、経営全体からいうと四十五億ばかりの節約ができている、こういうことでございます。
  37. 野上元

    ○野上元君 松浦理事にちょっと聞きますが、先ほどのお話で、四十四年度は、レンタル料というのは会長の先ほどのお話のように、五億か六億じゃなくて、十億六千万円と言われましたね、さっき。
  38. 松浦隼雄

    ○参考人(松浦隼雄君) 四十四年度は十億六千万円です。
  39. 野上元

    ○野上元君 そうしますと、四十四年度にいま言われた十億六千万円のレンタル料だったという話ですね。そこで、それはそれでいいんですが、それだけのものを支出したおかげで、四十五億円という節約ができた。こういうふうにNHKとしては見積もっておられるようですが、四十五億円節約されたその内容を概括的にでもいいですが、言っていただけませんか、どういうものが節約できたか。
  40. 松浦隼雄

    ○参考人(松浦隼雄君) 御承知のとおり、コンピューターを導入いたしますその経営効果を数字的に表現いたしますことは、かなり困難な面がございますが、一応これを総人員の推移によって計算いたしますと、先ほど会長が申し上げましたようなことになるわけでございます。これをさらに具体的に申し上げますと、第二次六カ年計画の期間中、四十二年まで、四十二年末におきますNHKの事業運営要員数は一万五千六百名余りでございます。これは三十六年に比較いたしますと、五・一%の増でございます。でこの同じ四十二年度におきまして、日本の一般放送の要員数を比較いたしますと、三十六年度に比して一六・一%の増になっております。具体的に申しますと、三十六年度において一般放送事業者の総従業員数が一万六千九百五十三名に対しまして、四十二年度一万九千六百八十名ということで、この間放送事業一般といたしましては、約一六・一%の要員増を要する業務が一般放送事業者においてはあったわけでございます。NHKにおきましては、先ほど申し上げましたように、その間五・一%、三十六年度一万四千九百名強に対しまして、四十二年度一万五千六百名強ということでございます。その内訳を申しますと、実はこの間に要員増を、三千百三十七名要員増配置をいたしております。同時に二千三百七十一名の要員減をいたしておりまして、実増員は七百六十六名にとどめ得ておりますので、五・一名の増にとどまっているわけでございます。その減員が可能になりました理由は、単にコンピューターの導入だけではもちろんございません。各役員、管理職職員の経営努力にまつところが非常に多うございますけれども、その一つの柱として、コンピューターの導入があったと申し上げてもよいかと思います。これを金額――要員の問題でございますので、かかります人件費に換算いたしますと、もしコンピューターその他の経営近代化の努力をしなかったときに比べて、四十二年度現在において、二千三百七十名強の減員ができたということで、人件費に換算いたしますと、給与その他を入れまして、おおむね約百七億円の節約がなされたことになります。この間先ほど申し上げたように、コンピューターのレンタルは約十九億でございますので、その差額が利益としてほかの業務に消費されたということになります。先ほど会長が申し上げましたのは、それをさらに延長いたしまして、四十四年度まで見ましたときの、四十四年度単年度も同じような節減がございまして、これが平均四十五億、厳密に申しますと、給与で四十一億、そのほかを入れまして四十八億、こういうものが節減されたということでございます。
  41. 野上元

    ○野上元君 そうしますと、第二次六カ年計画において、すなわち六年間において、人件費において百七億円の節減ができた。そしてコンピューターのレンタル料は十九億であるから、その差額である八十八億が浮いたと、それを他のほうに回すことができた。したがって、一年間に平均すれば、八十八億円を六で割った数字だと、四十四年度以降は大体安定したレンタル料で、安定した計算ができるわけですね。したがって、大体単年度計算でいけば四十五億ないし四十七、八億というものが節減できる見込みなんだ、今後もそれが続くだろう、こうゆうふうに解釈してよろしいですか。
  42. 松浦隼雄

    ○参考人(松浦隼雄君) そうでございます。
  43. 野上元

    ○野上元君 そうしますと、人件費が浮いたというんですが、その人件費なるもののおもなる性格は何ですか。
  44. 松浦隼雄

    ○参考人(松浦隼雄君) これは給与並びにそれに伴う厚生費、社会保険費その他の関連経費でございます。
  45. 野上元

    ○野上元君 私の聞き方が悪かったんで訂正いたしますが、どういう面に節約できたかということです。
  46. 松浦隼雄

    ○参考人(松浦隼雄君) 先ほど、失礼なようですが、ことばの使い方でございますが、現在いる人間が消えてなくなったという節約ではございませんで、努力をしなければふえたであろうというものに対する節減でございますが、業務の方面でまいりますと、実は、この間、四十二年度までは七百六十六名しかふえておりません。四十四年度まで、八年間を通算いたしますと、全体が九百六名総人員の増になっておるのでございます。しかし、この間に放送技術関係、NHKの基幹業務である放送技術関係に対しては千六百二十名の増員をしております。そして、管理関係――事務管理関係を七百十四名減員しております。現実に減員しております。したがって、趣旨といたしましては、NHKの基幹業務である放送をつくって出すというほうに人間の重点を置きまして、間接業務である事務処理のほうを機械に代替することによって全体の増員を押えたということ、こういうことでございます。
  47. 野上元

    ○野上元君 大体よくわかりました。  それで放送技術というんですが、いわゆるNHKの中核をなすものについてはむしろ増員をしたと、こういうわけですね。そして管理機構のほうについては減員をした、こういうことは、逆に言えば放送技術の面については機械化は非常に困難であって、管理部門については機械化が比較的容易である、こういうふうに解釈してよろしいですか。
  48. 松浦隼雄

    ○参考人(松浦隼雄君) 一般論としてはそういうことであろうかと思います。ただ一つ、私どもが配慮しておりますのは、将来の高度工業化社会と申しますか、いろいろ科学技術の発展によって進展している社会に対応するためには非常に困難である放送関係の業務についても人間の優位性を確保しながら、機械でできるところはできるだけ機械でやる、また、従来、人手だけではなくて、番組の処理というものをコンピューターその他の技術革新の成果を利用して前進させていくということも肝要なことではないかというふうに考えてやっております。
  49. 野上元

    ○野上元君 これは会長にお聞きしたいのですが、第二次六カ年計画をこういうふうに実施してみた結果、先ほど言ったように八十八億円の節減ができたというのは、これは消極的な意味ですか、それとも一つのプロジェクトとしての結論なんですか。
  50. 前田義徳

    ○参考人(前田義徳君) これは機械化する前に、六年間に事業量、たとえば放送時間の延長とか、カラー放送時間の延長であるとか、あるいはFM放送の完全実施であるとか、そういうものをすべて計算いたしまして、その当時の計算によると四十二年度末の機械化しない場合の人員はおよそ一万八千二百名という数字が出たわけです。したがって、私どもから言わしていただくと、これは計画どおりの効果をあげたということに、むしろ積極的に効果は歴然とした、こういう結果になるわけでございます。
  51. 野上元

    ○野上元君 いまの一万八千二百名というのは、四十二年度末における想定ですか。
  52. 前田義徳

    ○参考人(前田義徳君) 四十二年度当初における想定でございます。
  53. 野上元

    ○野上元君 そこで、いろいろとお聞きしたいのですが、いよいよこういうふうにNHKも機械化をいたして科学技術の進歩する社会に対処しようというのは、これは何といいますか、情報化社会のおそらくトップを切るとみられるNHKが、当然の一つのビヘービアだと思うのですね。ただ問題は、そこから生まれてくる幾多の弊害が考えられるような気がするのですね、最近における社会の混乱と無関係ではないというふうに実は私は思うのですが、たとえば三十七年度当初においてはたしか受信数は一千万くらいだったのですね、それは四十二年度末には二千万にふえた。いわゆる倍にふえていますね。ということは、非常に大きな業務量を持ってきたということですね、と同時に、それを処理するための大型化、機械化が推進されている。いよいよ基礎が固まってきた、こういうことになるわけですね。そうすると、NHKもいよいよ大企業になりつつあるということが言えると思います。そこで、いろいろと問題が出てくると思うのですが、まず第一に、私が心配するのは、NHKの各部門における職員が、いままでのように、NHKのつくり出す作品に直接参加してきたというような誇りと生きがいと、あるいは使命感というものがだんだんなくなって、いわゆることばを変えれば、いままではハンド・メイドだったものが、今度はコンピューター・メイドに変わる、いわゆる参加というものからは遠のいていくというような結果になるのじゃないか、そこにあなたが常に言われているように、世の中の混乱がそのままNHKの中にも十分に入ってくるのじゃないかというよりも、むしろNHKの中のほうが先行して、そういう問題が起きてくるのじゃないか、そういうものが労働組合の運動と関係してくるのじゃないかというような気がしますが、そういう点はどういうふうに御考慮なさっているんですか。
  54. 前田義徳

    ○参考人(前田義徳君) 一般的にはNHKばかりでなく、各界でそういう印象が現在のところまだかなり強いかと考えておりますが、これは根本的にはいわれなき問題であると私は考えております。と申しますのは、いわゆる番組技術システムにいたしましても、簡単に言えば、補助的あるいは副次的な仕事が機械化されたというだけでありまして、番組制作そのものは人間の知恵と熟練によってつくられているという実情は何ら変わっておりません。で、そういう意味で当今はやりの断絶があるとすれば、それはセンスの断絶であって、これは時間が自然に解決するであろうと私は確信いたしております。たとえば、はなはだ例が不遜であるかもしれませんが、明治の当初においてまず一番顕著な例はちょんまげを切ることの可否が人間心理に大きな影響を与え、それからまた人力車が自転車に変わる場合、あるいは毛筆が万年筆に変わる場合これと同じような、いわゆる新旧感覚の格差がそこにひとつの混乱的な精神状態を起こしているという事実については、私はこれは否定できないと思います。しかしこれは、そのようなものが本質的なものであるとは私は全く考えておらない。このように私は見ているわけでございます。
  55. 野上元

    ○野上元君 あなたの言われる前提の条件がそうであるならば、私も同意できると思うのです。たとえば、コンピューターであるとか、それに変わる近代技術の導入がいわゆる人間の知恵を何ら制約するものではないし、完全に補完的なものの機械化である。したがって、常に人間が主人公である。機械は召使であるという状態であるならば、私もあなたの説に同意できるのですが、必ずしもそうではないという場面も出てくるんじゃないでしょうか。たとえば、技術室に入っている人は、一日技術を監視しておるというような非常に無味乾燥な索漠とした一日の勤務をやる。その人が帰るときにはたしてどういう充実感を持つだろうかというようなことを考えますと、若干私は杞憂に過ぎるかもしれないけれども、会長の言われるようないわゆるスムースな状態ではないんじゃないかというような気がしますが、その点はどうですか。
  56. 前田義徳

    ○参考人(前田義徳君) 私は、そういう印象を個人も持ち周囲も持つという事実は否定しないわけであります。しかし、たとえばNHKの場合でも四十五年の歴史があって、人員構成からいっても、三十五年当時は平均年齢は一番若い局で二十六歳という事実がございましたが、その場合の管理職の平均年齢は五十歳という状態でありました。今日それではそれがどういうふうに変わってきたかと申しますと、現在の平均年齢は三十六歳余でありまして、管理職とそうでない方との年齢の差も大幅に縮まってきたわけです。そういう意味では、時間というものの作用によって仕事に対する新旧のフィーリングが大体調整される時間に到達したと、今後十年間を考えますと、これはこん然一体になる時期がくると思います。そういう意味では、過去の哀愁は、現在の操作の単純化に対してセンチメンタリズムというものは自然に解消されてくるだろう、そしてそこから今度は監視にしましても、新しい監視形態をさらに知恵をしぼって責任の場にある方々がそれをまた何と申しますか、人間生活の中でそれを生かしていく時期が続いて起こることは当然だと思っております。ただ、過渡的な段階においていろいろな勘定の誤差が出てくるということについては、私どもも非常な注意を払いながら、それが悪影響を及ぼさないように私どもとしては万全の措置をとってまいりたい、このように考えているわけです。
  57. 野上元

    ○野上元君 いま、管理職の年齢と、それから一般の職員の年齢の接近化についておっしゃったわけですが、管理職の人間の平均年齢が低くなってきたということは、管理職の数がふえたということじゃないですか。
  58. 前田義徳

    ○参考人(前田義徳君) 管理職の数は現在一万六千強に対して約三千弱でございます。したがって、昭和三十五年を中心として考えますと、簡単に言って、一般職員と管理職の年齢の差は二十年以上の差があったと思います。と申しますのは、ひとりNHKのみならず、実際上の日本における雇用形態は企業の終身雇用という形でございますから、これはやむを得ない実情があると思いますが、その年齢がすべてにわたって若返ってきたという事実を最近は明らかに示していると思います。別に若い者を特別に管理職にふやしてその差を縮めたということとは全く関係がございません。
  59. 野上元

    ○野上元君 たとえば昭和三十七年度当初における管理職の数と現在の管理職の数ではどのぐらいの開きがありますか、ポストの数です。
  60. 小野吉郎

    ○参考人(小野吉郎君) ポストの数で申しますと、四十二年当時には約四百ぐらいありましたが、現在は約六百に近くなっております。
  61. 野上元

    ○野上元君 三十七年度は、当初は幾らぐらいですか。
  62. 前田義徳

    ○参考人(前田義徳君) いま、はっきりした資料を持っておりませんが、副会長がいま申し上げた前段の数字は、数字としてはもっと少なかったかと思いますが、伸び率と申しますか、これはほとんど変わっていないと思います。と申しますのは、また少し饒舌に過ぎるかもしれませんが、たとえば、テレビジョンにいたしましても、教育テレビジョンというものがまだ必ずしも全放送網が確立しておりませんでしたし、それからFM放送というものも単独局にはなっておりませんでしたし、それから施設の中継局等についても非常に少なかったわけですから、したがって、そういう意味で、管理職がふえてくるということは当然のことだと思うのです。ですから、事業の拡大と局数の増加、波の増加、波の放送時間の増加等によって当然責任体制も緻密になってくるわけですから、その限りにおける増加でございます。
  63. 野上元

    ○野上元君 いろいろなそういう原因があると思いますが、ただ、いま小野副会長が言われたように、四十二年度においておおむね四百だったものが四十四年度に、わずか二年間に六百にふえているわけですね。かりにこの発表された数字が正しいとすればですよ。そうすると、三十七年度における管理職の数ということになると相当少ないと思うのですね。だから、現在相当やはり管理職はふえているのじゃないか、だから管理職の平均年齢が落ちてきたのじゃないかというようにちょっと考えたのですが、これはそんなに私は管理職をふやすことがいい悪いということを言っておるわけじゃないのですが、ただ、そういう分析のしかたではまだちょっとなまぬるいのじゃないかというような気がしたものですから聞いてみたわけです。
  64. 前田義徳

    ○参考人(前田義徳君) これも記憶した数字ですから正確でないかもしれませんが、昭和三十三年度のNHKの総職員数は八千弱でございます。これに対してテレビジョン局の開設、ことに教育テレビジョンの増設等によって、昭和三十四年、五年、六年というのは年間約二千名を採用したおります。したがって、そのプロポーションからいって、先ほど申し上げたように、ある局のごときは――これは教育局ですが、教育局のその当時の平均年齢は局長以下すべて加えて二十六歳という事実が起こったわけです。そういう意味の年齢の格差で始まったものが、今日では、先ほど松浦理事も説明したような環境も手伝いながら、それが約三十六歳になっているということを申し上げたわけです。
  65. 野上元

    ○野上元君 そうしますと、NHKの傾向としては、やはり科学技術の進歩の第一線にある職場として、いわゆる古い教育を受けた中高年齢層ではつとまらない職場であって、将来やはりだんだんと専門化した人たち、特に若い人たちが求める職場としては適当であるというよりも、必然的にそういう傾向をたどるだろう、こういうふうに理解できますか。
  66. 前田義徳

    ○参考人(前田義徳君) 原則的にはそういうことだと思います。それはただ科学技術の進歩ということだけでなく、いわゆるジャーナリズムのジャンルにあるこのNHK――NHKばかりではございませんが、いわゆる人間が番組をつくるという意味では当然特殊の感覚、新しい感覚が必要となるわけですから、どちらから見てもNHKの実態というものはそういう方向に行かざるを得なくなるであろうと、このように感じております。
  67. 野上元

    ○野上元君 そうしますと、いまの理事会を構成しているメンバーの平均年齢は幾つくらいですか。
  68. 前田義徳

    ○参考人(前田義徳君) ちょっと資料がございませんが、まあ大体一番年寄りは私くらいですから……、平均五十七歳だそうです。
  69. 野上元

    ○野上元君 そうしますと、一般の管理職と一般の従業員との間の年齢的な隔絶はほとんどなくなってきた、いわゆる対流社会といいますかというような状態になってきつつある。そしてその理事会と一般の管理職あるいは従業員との差は非常に開いておるというような珍現象が出てくるんだが、その間に断絶はないですか。
  70. 前田義徳

    ○参考人(前田義徳君) 外からごらんになると断絶ありそうに見えますけれども、大体一般職員の定年は私どものほうでは事実上五十六歳でございます、いわゆる五十五歳の満つる日ですから。普通は五十五歳になったときに定年になりますが、私どものほうは五十六歳で定年になって、現在の理事会の平均年齢が五十七歳ということは、いまの理事さんは大体三年前に任命されておりますから、そういう点から考えても、ほかの会社と比べれば非常に年齢差がないのではないのかと、まあ私は自負しているわけですが、同時に年齢差と頭脳の若さというものは異なると思います。したがって、ただ形式的な測定はできかねるのではないか。逆に言えば、私は、NHKの最高責任者としては、年齢に加えるに頭の年齢を考えながら人事を行なっているということを申し上げたいと思います。
  71. 野上元

    ○野上元君 これは私もその点は同感なんです。ただ、戸籍上の年齢によって左右するということは危険が伴うと思うのです。常に頭脳を訓練している人はいつも若いと思うのです。そのことは別としまして、そのことは論外といたしまして、片や管理職のグループが会議を開く、その平均年齢は三十六歳である。こちらのほうは五十七歳である。一般職員は二十何歳である。こういう三つのグループに分かれるわけです。ということになりますと、私の考えるのは、そういう行き方ではなくて、平均年齢三十六歳の管理者の中にも五十五歳の人もおるし、あるいは二十何歳の人もおるし、いわゆる長と言われるものの中に比較的年輩者もおるし、若い人もおる、中高年者もおる。いろんな人がまじっておるというような組織が強いのではないか。若い人ばかり集まって一つのことをやって、こっちは比較的高齢者が集まって一つのことを協議しているということになると、必ずしもよくないというよりも、何というか、一つの会議のブロックの中に高齢者もおるし、若い人もおるしというのが一番強い組織ではないかという気がするのですが、そういう点はどうですか。
  72. 前田義徳

    ○参考人(前田義徳君) ちょっと誤解がおありでなかったかと私承っていたんですが、一般職員の平均年齢は三十六歳強ですが、局長を含めて管理職の平均年齢は約四十二歳でございます。
  73. 野上元

    ○野上元君 そこで、さっきの私の考え方なんですが、たとえば管理職なら管理職の会議で、一つのブロックの中に同じ年齢の人ばかりが入ってものごとを協議するということになると、いつも同じ結論が出るというふうに私は思うのです。私は、いろいろな会議に出てみても、いろんなことをやってみてそういうような気がするのです。そこに年齢の相違があり、考え方の相違のある人が一ぱい入って一つの会議を持つというところに好ましい結論が生まれてくるのではないかというような気がするのですが、その点は、ただ若いだけが私はいいとは言えないというような気がするのですが、その点どうですか。
  74. 前田義徳

    ○参考人(前田義徳君) これは二つの点があると思います。たとえば、組織としての長の会議、これは局長もおれば、副部長もおれば、課長もおるでしょう。この面だけを考えますと、あるいはそういう印象、またそういう事実も起こるかもしれないと思います。しかし、たとえば番組制作等については、まず現場の若い人たちが討論して一つの案をもって、それをかりに例をとれば部長会にかけるというような形になっておりますので、普通の行政機構だけのものとはだいぶ形も中身も変わっているわけです。それから、ただ一つ言えますことは、安定した組織というものは、ややともすれば、いわゆる――ことばが非常に、妥当なことばが日本にないですが、世界じゅうにもないかもしれませんが、官僚的な形になりやすいのです。トインビーも言っているように、現在最高官僚制度をとっているのは、革命ででき上がった新しい国家ソビエトであるとまで言われるわけですから、組織が安定すれば、その意味ではビューロークラシィーがかなり安定してきますし、その意味で固定するということは、これは世界の歴史が示していると思いますが、しかし、われわれの仕事の本流はやはり番組制作でございますから、それが官僚的につくり得る可能性は全くないわけなんです。そういう意味では、意見の出し方、取りまとめ方というものは位に従って行なわれるのではない。そういう意味では、いろんな組織の中でジャーナリズムの組織というのはある意味ではおそらく非常に民主的な、現実上民主的な場になるというように私は考えております。
  75. 野上元

    ○野上元君 確かにNHKの業務の内容から言ってですね、これは官僚化してしまうと、これはもうNHKの存在価値を問われるということになると思いますね。その点は特に注意されておると思いますが、だんだんさっき言ったように、大きくなってまいりますと組織がやっぱり安定してくるわけですね。そうしてやっぱり経営も安定してくるわけですね。しかも、日本の経済の成長は今後まだ十年くらい続くだろうと言われておりますから、したがって、NHKの経営としても安定してくるだろうというように見てきますと、企業は大きくなって大型化してくる、経営の内容は安定してくるということになれば、私は必然の結論として、さっき言われた歴史の中の一部として小さなソビエト化して、あなたの論を借りれば、あるいはトィンビーの論を借りれば小さなソビエト化してくるんじゃないかというような気もするんです。だから、番組編成については、確かにこれは官僚化を防いでおられるでしょう。しかし全体の、経営全体の運営から見ますと、だんだん官僚化してくるんじゃないかというような心配がされるんですが、その点はどういうふうにして官僚化を防ぐ方策を講ぜられておるか、御披露願いたいと思います。
  76. 前田義徳

    ○参考人(前田義徳君) その点については、不完全かもしれませんが、第一次五カ年計画を策定して以来、二つの方法をとっております。  それは、各分野における積極的な人事の交流です。それ以前は、たとえば管理部門に入った人は終始管理部門で終わるという形でした。ところが、一例をあげますと、したがって、人事部長は、管理部門へ入った人が年限に応じてエキスパートとして人事部長になります。あるいは労務部長もその分野から出てくるというような形でしたが、第一次五カ年計画以後は、たとえば放送記者が人事部長になり、技術部長が労務部長になるというように、全く職場と関係なく人材本位で交流を進めるという原則をとっております。  それから、しばしば当委員会等でも御質問を受けるわけですが、私としては、制度はひんぱんに変えるべきだという考え方を持っております。組織体そのものは、これはそう簡単に変えるべきではない。しかし、組織の中の制度は、これは科学技術、社会経済、その他の発展に応じて遅疑逡巡することなく変えていくべきである。その二つの方法によって、長い歴史を持つ一つの組織体の老化を防ぐという方針を第一次五カ年計画以後積極的にとってきているわけです。まあ、これが万全とは申しませんが、その方法によって常に老化を防ぐという考え方を持っております。
  77. 野上元

    ○野上元君 かくあるべきだということと、かくあるということとは違うわけですね。したがって、会長の意欲というものについてはいま承ったわけですが、その点私も同感なんですが、はたして会長の意欲のとおりに現実は動いておるかどうかというのが問題です。私もたまたま地方なんかに出張したときにNHKの支局に寄ってみるんですが、いつ行っても同じメンバーでやっておるわけですね。彼らにはやっぱり希望がなくなりつつあるような気がするんです。ということは、人事交流もいわゆる労務担当から経理部長へ、あるいは会計部長から労務部長へというような人事の交流もけっこうでしょうけれども、そういうふうな地方における職員と中央との交流であるとか、あるいは地方同士のまた交流であるとか、そういうものが欠けておりゃしませんか。
  78. 前田義徳

    ○参考人(前田義徳君) NHKの歴史を見ますと、昭和三十三年ごろまでは何といいますか、中央で採る人と地方局で採用する人とはその出身地の差があったわけです。地方局には、局長などの幹部は別として全職員はその地方で採用するという習慣でありました。それから全国交流に対しては、したがって強い抵抗感がありました。それを事実上やり始めたのは大体昭和二十七年ごろからでございます。そういう環境の中で人員配置はどうであったかといえば、総人員のうちの三分の二は地方におったわけです。三分の一が概括的にいえば東京本部を中心としておった。それを全国的に交流をはかるためには、やはり十年以上は確実にかかるわけです。それを毎年かなり大幅にやっているわけですが、ただその後、先ほど経済情勢、リセッションというのはNHKだけのリセッションではなくて、三十九年を中心として経済動向が一時ストップした時代がございます。ですから三十五年にはその交流のための、異動のための人件費だけでも六億をこえたことがございます。したがいまして、その後の経済情勢に従ってこの異動費をやはり節減の目標の一つとして三分の二程度にとどまって今日に至っている。その意味では、全国的交流が少し速度を下げたということもございます。しかし、方針としては全国異動は今後も続けてやっていくという考え方でおります。
  79. 野上元

    ○野上元君 これはまあ私には別に具体的な例があるわけじゃございません。ただ一般論的にいって、先ほど十九億の機械化を、施設を購入している、相当の節減をはかったということを言われたのですが、六億か五億か知りませんが、それくらいの人事交流経費でいわゆるNHKの老化を防ぐことができ、バイタリティーをつけることができるならば私は安い投資だというふうな気がするんですがね、NHKの今日の規模から見て。したがって、積極的にそういうこともひとつ考えてみてもらいたいというような希望だけを申し上げておきたいと思います。  それと、やはり大きくなればどうしても何といいますか独善主義というような、ことばは悪いのですが、そういうものにおちいりやすいですね。おれについてこいというような気持ちになると思うのですが、そういう点二、三質問してみたいのですが、よく昔は、これはいつもこの委員会で問題になることなんですが、NHKに出演するというのはもういやだと。もう薄謝協会で、あんなところに出ても小づかいにもならぬ、こういうふうにいわれた。薄謝協会とよくいわれましたね。最近は札束協会というような、週刊誌あたりは盛んに宣伝しておりますね。札束番組、こういうふうにいわれている。ああいうふうに金使われては民放はたまったものではない、こういうふうに週刊誌は取り上げて批評しておりますが、この事態はどうなんですか。たとえば民放と同じ番組で一時間もの、たとえば歌のグランドショー的なものを民放でやっていますね、一時間もので。NHKでも一時間ものでやっておる場合がありますね。そういう場合の経費のかかり方というのはどれくらい違うんですか。
  80. 川上行蔵

    ○参考人(川上行蔵君) いまお話がありました歌謡曲の番組について申し上げますと、NHKの場合においては、必ずしも人気に応じてその方の出演料をきめておりません。やはりその方の経歴とか、あるいはその方がほんとうに持っておられる歌手としての実力、そういう観点できめております。それでございますから、たとえばある特定の歌手をとりまして、民放のほうではその方に、まあ卑俗なことばで失礼かもしれませんが、表現させていただけば、売りもの、買いものという形で非常に需要の多い方には五十万でも百万でも出すという形がございます。NHKの場合は、必ずしもそういうむちゃができませんので、やはり経歴を積み重ねたという形、しかも御本人の実力にふさわしいような形で、せいぜい出しても十万、二十万という形になっております。ただ、NHKの場合には、一流と申しますか、その方に十分力を発揮していただき、番組としてもりっぱなものにしていただくために、かなりの期間練習していただくことになっております。たとえば、かりに一時間の放送でも三日間来ていただいて、十分スタジオなれをしていただく。そういう場合におきましては、ある程度の割り増し料を提示するという形になっておりますので、そういう面も勘案して、結論的に申し上げますと、歌謡曲番組の場合ですと、NHKの単価はせいぜい民放の半分、あるいはそれ以下じゃないかと思っております。
  81. 野上元

    ○野上元君 その練習する三日間を入れても単価は安いわけですか。
  82. 川上行蔵

    ○参考人(川上行蔵君) 平均いたしますと、そのようになります。
  83. 野上元

    ○野上元君 その三日間の練習期間というのはやはりギャラというものは払うわけですか。
  84. 川上行蔵

    ○参考人(川上行蔵君) 出演料に比例いたしまして、三日間は出演料の三割相当、そういう形で差し上げます。
  85. 野上元

    ○野上元君 そうしますと、民放とNHKの選び方の違いは、民放の場合は人気、これが第一の要件、NHKの場合はキャリア――実力、これが第一の要件、こういうわけですね。その実力というのはだれが判定するのですか。
  86. 川上行蔵

    ○参考人(川上行蔵君) やはりその面に相当の経験を持ち、あるいは見識を持っておられる方のいろいろな御意見なり、あるいはNHKのそういう方面の専門職員としての判断なり、そういうものを総合いたしまして出します。
  87. 野上元

    ○野上元君 そうしますと、あらかじめ、何百とおる歌手の中でAクラス、Bクラス、Cクラス、Dクラスというふうにちゃんと区分けができているのですか。
  88. 川上行蔵

    ○参考人(川上行蔵君) 毎年一回、定期的にそういう方々の評価と申しますか、そういうものをつくりまして部内でいろいろ検討をいたしまして、大体そういう線でお願いするということをそれぞれの歌手の方の一種のブロカーと申しますか、マネージャーと申しますか、そういう方がいらっしゃるので、あるいは専属のレコード会社、そういうところとも十分打ち合わせてきめております。
  89. 野上元

    ○野上元君 そういうランクをつける一つの専門委員会みたいなものがあるわけですね。そういうもののメンバーなんというのは発表できるのですか。
  90. 川上行蔵

    ○参考人(川上行蔵君) 局内的に私が責任者になっておりまして、あとそういう関係の番組の局長、あるいは著作権関係あるいは作品関係を扱っている専門の職員みんなが集まりまして委員会を構成いたします。
  91. 野上元

    ○野上元君 そうしますと、自然的に、NHK好みの歌手というものを選ぶという結論になるわけですか。
  92. 川上行蔵

    ○参考人(川上行蔵君) いま申し上げましたように、キャリアとかあるいは実力ということは必ずしもNHK好みとは一致いたしませんで、やはりわれわれの放送とすれば、できるだけ多くの方々に聞いていただきたいし、また、その人たちに喜ばれるということを考えていきたいと思っておりますので、NHK好みという形は必ずしもその中にはないかと思います。
  93. 野上元

    ○野上元君 そういう話は切りがありませんから、適当なところでやめますが、私はNHKが非常に大きな機械化をやっておられることは知っておるし、また、いま御説明も聞いたわけですが、ある本を読んでおりましたら、近代社会において一番大きなおそるべき障害は何かというようなことが出ておりましたが、それはおそらく機械事故であろう、こういうふうに言われております。たとえば、東京都に将来二千万あるいは二千五百万人が住むということになると、これが使っている機械というものはこれは非常に大きな数にのぼるし、多種多様にのぼるだろう、したがって、電気一つがとまってもおそらく二十四時間とまれば東京は人類――人間が住むにたえないような非常な廃墟になるだろうというふうに言われておりますが、NHKの場合はどうなんですか。そういう機械事故というようなものについての対策というようなものはありますか。
  94. 野村達治

    ○参考人(野村達治君) NHKにおきましては放送関係の機器につきましては、予備の機械なりあるいは予備の電源なりというものをそろえておるところがかなりたくさんございまして、重要なところにつきましてはそういった方策を講じております。したがいまして、いわば停電というようなものにつきましては、予備発電機を持っておりますし、それにはたとえば、コンピューターにつきましては、これは完全無停電な電源を有しておりまして、停電による障害というもので支障をきたさないようにできておるわけです。
  95. 野上元

    ○野上元君 それはかりに停電が二十四時間続く、あるいは四十八時間続くという場合でも、それに関係なくNHKは放電できるわけですか。
  96. 松浦隼雄

    ○参考人(松浦隼雄君) いま技師長が御説明申し上げましたような機械設備になっておりますが、それを別な面から申し上げますと、たとえば東京の番組を出すという点につきましては、東京の会館、センターが非常な天災その他で打撃を受けましたときには、大阪あるいは名古屋というような各中央局から全国放送を継続できるというような体制をとっております。それからそれぞれの中におきまして、いま技師長が御説明申し上げましたような予備機を持っておりますが、同時に番組制作につきましては、あるいは機械――複雑なコンピューターを含めた複雑な機械がどうしてもぐあいが悪くなった段階におきましては、非常に単純に人間の手によって動く簡単な機械を使って、非常に単純に放送の継続ができるという体制を放送会館につきましても、放送センターにつきましてもとっております。したがって、いわゆるバックアップと申しますか、そういう応急対策、非常装置につきましては、何重かの対策をとっておる、こういうことでございます。
  97. 野上元

    ○野上元君 電気の場合はかねがね私も聞いておったのですが、受信するほうの電気の事故がなければ、とにかくNHKはいつでも放送できるという体制にある、こう考えてよろしいですね。  それからあと、先ほど来の質疑応答の中でコンピューターによる省力化が相当進んでおるわけですね。したがって、補完的であろうが何であろうが、繁雑な仕事はほとんどコンピューターにやらせておるということは、それだけ人間が省略されているということになるわけですから、コンピューターが一つとまってしまうと、それだけ仕事が行き詰まるということが考えられるのですが、その点はだいじょうぶなんですか。たとえば、万博のテレビを私見ておったのですが、あれだけ準備万端整えて、周到な準備のもとにやっても、何というのですか、メリーゴーランドみたいなやつが途中でとまって人間が宙づりになってしまっているし、あるいは「動く歩道」がとまってしまうようなことが初日に起きているわけですね。これが機械事故だと言うのでしょうね、学者に言わせれば。こういうものがNHKの中に起きないとは限らない。それには二重、三重の防衛体制があるというふうに考えてよろしいですか。
  98. 松浦隼雄

    ○参考人(松浦隼雄君) そのとおりでございます。  具体的に申しますと、コンピューターを使った部分につきましては、開発を約五年かけてやっておりますが、後半の二年間というのは、いま例としてあげられましたようなものにいたしますと、これは石を乗せた重さでやる、実際の人間を乗せないでやったというふうに聞いておりますが、そういうことではなくて、約十カ月にわたって本番に移る前に実際に使う人がそこについて、現在までの方法と並行にテスト運転をいたしまして、相当欠陥――人間が考えることでございますので、事前にはいろいろ十分考えても欠陥が出てまいりますが、そういう欠陥につきましては、こまかく申し上げますと数万点、項目に直しまして数千点、さらに大分類いたしまして、約百四十点の改善をいたしまして本番組に入っております。そういうことで比較することは何でございますけれども、急いでやったものに比べますと、非常に慎重なテスト期間を持っております。と同時に、先ほど申しましたように、三重、四重の手だてが尽してございます。
  99. 野上元

    ○野上元君 それを聞いて一応了解いたしました。  次は、やはりNHKの大型化と国民世論との関係ですが、要するにNHKは毎日何千万の国民と一日中接しておるわけですね。したがって、これ自体がもうPRです。NHKのPRなんです。したがって、NHKのPRというのは非常にむずかしい問題だと思います。それと同時に、ちょうど空気のようなものになりつつあります。テレビにしても、ラジオにしても二千万台を突破するという状況ではほとんどの人がテレビを見ておるというような状態になりますと、ちょうど空気とわれわれ動物との関係というような状態になりつつある。ということになると、何でもないときは問題はないんです。しかし、ちょっと事があると、大きくクローズアップされてくるというような気がいたします。したがって、そういうものを防ぐためにNHK懇談会というようなものを持たれて、一般の国民との問の断絶を防ごうというひとつの試みをやられたと思う。もちろん、これがこれでできるわけではないと思いますがね。しかし、せっかくつくった以上何か効果がなければ意味がないと思う。これは何年につくって、いまどういうふうに運営し、どういう効果をもたらしたか説明してもらいたいと思います。
  100. 小野吉郎

    ○参考人(小野吉郎君) ただいまNHK懇談会と申されましたが、これには懇話会と、さらに各地方で催します受信者との懇談会がございます。懇話会のほうは四十二年の十一月一日に発足したわけでございますが、当時かねがねNHKの財政の内容あるいは経理の内容といったようなものが会計検査院の検査を受け、国会では慎重な御審議を仰ぎ、いろいろそういった審議を仰いでおるわけでございますけれども、一般の国民にどうも十分に理解されておらないのではないかというような御批判がございまして、そういうことにこたえるため、たまたま同時に四十三年度から第三次五カ年構想を発足するにあたりまして、受信料制度についても白黒のものは値下げをし、カラー料金を別に設定するというような措置をとりました。そういう際にあたりまして、当委員会でもやはりそういった面について慎重な配慮が必要であろう、国民の理解のもとにすることが必要であろうというような御示唆もありまして、会長からもそのような面を考えて、いろいろ国民の皆さんに納得していただけるような措置を講ずるつもりでありますという御答弁を申し上げております。その線に沿いまして、東京では中央のNHK懇話会並びに各中央放送局別に地方に懇話会を設けております。大体委員の数は東京で十七名、地方では十名ないし十五名でございますけれども、東京では毎月一回開いております。各中央放送局管内では、年に二回ないし三回開いておりまして、これにはできるだけ本部の幹部、特に役員が出向くようにいたしております。中央の懇話会におきましては、会長以下関係役員がすべて出まして、いろいろ御説明も申し上げ、御要望に対してもこれをお伺いして、また、非常に有益な御要望があればこれを取り入れるというような措置を講じておるわけでございますけれども、そういった面から申しますと、この懇話会のねらいは、どちらかと申しますと、NHKの経営内容、経理内容、そういったものが十分に理解されておらないと、こういう点に着目をいたしまして、主としてそういった経営全般の問題についていろいろ御懇談を申し上げる。非常に有益な御意見があればこれを業務に反映していく、こういう姿勢をとっております。この面におきましては、必ずしもそういう経営だけではなしに、番組の問題も出ますけれども、番組については、放送法上きめられました番組審議会という法定の機関がございます。そういうものがございますけれども、こういう懇話会をつくりました機会でございますので、番組面についてのいろんな意見もありますが、やはりそういった経営全般の問題、そういった問題についていろいろ有益な御意見を承っておるわけでございます。それを業務に反映していくということで、カラー料金の設定の場合につきましても、慎重にこの面については経営の過去の歩み、並びに現状、将来の展望をあわせまして御説明を申し上げ、いろいろそういった面についての御批判も受けたのでありますけれども、やはりあの時点においては、カラー料金の面については、カラー放送の本格化に備えて料金一般の公正をはかる意味からも、白黒とは別建ての料金にすべきであろうという御意見が大勢でございまして、それ以後毎月開いておりますけれども、そのときどきの問題におきまして、いろいろ有益な意見を賜わっておるわけでございます。  一方、受信者懇談会の面につきましては、昭和三十六年度から始めておりますけれども、これは全国各地で大体受信者の方々、各界各層の方々、性別を問わず、また年齢から申しましてもお年寄りの方から若い人、職業別にもあらゆる分野の人を大体二十名あたりを一回に集めまして、本部からも役員が出向く。また地方局には、地方局の人も参加をいたしまして、ざっくばらんな懇談をいたしております。現在まで開きました件数は、全体で三十六年度から四十四年度までの実績で申し上げますと、約四千回に及んでおります。これに参加された人々の数は六万五千名にも及んでおるというような状況でございまして、これもまた経営問題あるいは番組の問題、種別を問わず、ざっくばらんに御不満なり御要望なり、また十分御理解のいっていない点につきましては御質問も受けまして、率直にお答えを申し上げておるというような状況になっております。
  101. 野上元

    ○野上元君 まずその中央にある懇話会で聞きたいんですがね、それは主としてNHKの経営内容あるいは財政内容、そういうものが知られておらない、経理内容等が知られておらない、したがってそれを知らせるのがまあ大体の目的だと、こう言われておるんですが、だれが知らないと言うんですか。国民が知らないと言うんですか。
  102. 小野吉郎

    ○参考人(小野吉郎君) いや、国民にももっと周知すべきであろうと、こういう御要望が非常に強かったのでございます。
  103. 野上元

    ○野上元君 そこで私の聞きたいのは、その懇話会を開いて、その懇話会に出席したメンバーには知らしたけれども、そのメンバーは知りたいというわけじゃないわけですね。たまたまそういうメンバーに選ばれてきてNHKの経理内容を知ったというだけの話であって、知りたいのは国民が知りたいという要望があるということなんでしょう。その結果は、それじゃ国民に一々知らしているわけですか。
  104. 小野吉郎

    ○参考人(小野吉郎君) それはそのいまの懇話会の目的の一端でございまして、この懇話会は懇談会だけで事足るものではございません。このためには、あるいは国会で予算の御承認を得ましたあとは、これを番組に取り上げまして、いろいろ予算内容について御説明もし、御質疑もいただいて、広く番組面で取り上げております。また、日常の放送の番組の合い間を見ましても、NHKの内情を御理解いただけるような面の放送をいたしておりますし、その他印刷物等の配付等の関係もございますし、また、放送局の全国の各局には相談室というものを設けておりまして、この関係について文書なりあるいは直接おいでになって、いろいろと御質問に御説明を申し上げる機会もつくっておるわけであります。
  105. 野上元

    ○野上元君 だから、そういうことはいままでもやっておるわけでしょう。いままでそういうことをやっておりながら、なおかつ内容が国民に理解されておらない、だからその懇話会をつくろうと、こういうことになったわけですね。それで、懇話会のメンバーはあなた方の説明によってわかったと、しかし、一般の国民は同じことじゃないですか。知りたいのは一般の国民が知りたいのであって、懇話会のメンバーではないんですね。だから、その懇話会に知らした内容で懇話会の人が理解できるようなものであるならば、それを一般の国民に知らせる方法というのを新たに考えるのが懇話会の目的じゃないですか。
  106. 小野吉郎

    ○参考人(小野吉郎君) その面については、そういう面につきましていろいろNHKとして国民に知っていただかなければならぬ問題につきましては、先ほど申し上げましたような諸措置を並行的に運用をいたしまして、そういうことでできるだけ御理解を仰ぎたい。また会館の見学等も非常におすすめしておるわけでございまして、年間NHKの放送センター並びに地方の各放送会館を通じて実際に自分でおいでになって御参観になる方は、かれこれ五百万ぐらい近い人数にのぼっております。まあこの方々にもいろいろNHKの内容を御理解いただけるような印刷物も御配付を申し上げておりますし、このような諸努力はいたしておるつもりでございます。
  107. 野上元

    ○野上元君 それは私もよくわかっているんですよ。わかっているんですが、そういう努力をやりながらなおかつ懇話会を設けなければならぬというのは一体何だと言うんですよ。それは私はどうも形式主義じゃないかという気がするんですね。たまたま先ほど会長が言われたように、もう近代化ができつつあるし、コンピューターもフルに回転し出したんですから、その懇話会のメンバーが言うくらいのことはコンピューターにかければすぐ出てくるんじゃないでしょうか。そして、それを実行することが必要なんじゃないでしょうかね。私はそういう意味で、形式的民主主義というか、そういうものを依然としてやっておられる、やらにゃならぬというところに問題があるのじゃないか。だから懇話会を開いて、そうして集まってその人たちに理解を求めた、それで結論的には懇話会を開いたために国民の理解が深まった、そうして国民からNHKの内容を公開せよというような要求はなくなったというなら、私は懇話会の設置意義があると思うのですが、何ら事態は、そういう事態ではないのじゃないですか。
  108. 前田義徳

    ○参考人(前田義徳君) お考え方によってはそういうお考えもあり得るかと思いますが、私どもはまあ率直にいって、常にじくじとして関係方面の御意見を伺っているわけです。国会の審議等においても、PRが足りないではないかという御意見も、おそらく議事録をごらんいただけばきわめてひんぱんに出ていると思います。その他関係方面でもそういう意見があり、ときに経営委員会でも、そういう意見があるわけでありまして、そういう環境の中で、たてまえとしてはすでに広報室があって、全聴視者に対して必要な印刷物による頒布は従来もかなり力を入れてやっておりますし、ここ数年間は新聞広告もこれを活用しているわけです。しかし一部にはやはりまだ先生のようにこういうお考えを持たない方もおられるわけでありまして、それらの御意見も承りながら、やはり緻密にいろいろな話し合いの場をつくっていくことが必要であろう、ことにまあNHKのような組織体としましては、これは全国民各層の御協力によってでき上がっているものですから、そういう御意見がある場合には、やはり虚心にわれわれとしてはこれを取り入れて、それに相当する処置をとっていくということは当然のことだと私は考えておるわけです。そういう意味で、いま副会長から説明したような制度も、制度と申しますか、場もつくっているわけでありまして、これが何年かの後に、もっと先生のような御意見が、一般の方々にも共感を呼ぶようなふうな事態がくれば、その意味でまた一段と経営上の合理化もできてくるのじゃないかということを期待いたしております。
  109. 野上元

    ○野上元君 わかりますが、まあ一つの情報として受け入れるというような程度でしょう、おそらくね。その懇話会が結論を出すと、そうしてNHKの経営に決定的な影響を持つというようなことではないわけでしょう。それは単なる参考であり、一つの情報として受け取るというようなシステムなんですね。
  110. 前田義徳

    ○参考人(前田義徳君) 必ずしもそうではございません。たとえば全国的に物価の問題と関連して主婦の方々のいろいろな御意見を承ることも必要かと思っておりますし、そういう意味ではかなり効果はあげております。たとえば、いまの契約数が二千万になって、カラー料金を百五十円とってずいぶん豊かじゃないか、値下げをせよというような意見もこれはしょっちゅう、NHKとしては四十五年間承っている御意見ですが、そういう意見に対して、実際に利用し、お金を払っておられる主婦の方々は、どういう感じを持っておられるか。やはりこういう会合を通じて、私どもは実際にNHKと接触して、そうして家庭経済を切り回しておられる方の御意見というものは、われわれにとってはより必要な御意見になるという意味では、単にインフォメーションを承るというだけでなしに、積極的にやはり理解していただいているかどうかということがはっきりわかってくる場になっていると私は考えております。
  111. 野上元

    ○野上元君 で、いまNHKのPRについて各方面から要望があるというのですが、NHKのPRということは一体どういうことなんですか。NHKのPRというのはどういうことが目的になるのですか。毎日放送しておることがすなわちNHKのPRじゃないのですか。それ以外に何をPRしようとするのですか。
  112. 前田義徳

    ○参考人(前田義徳君) お説のとおり、NHKが放送することによって、おそらく二千万世帯の方方は、おしなべてNHKというものはどういうものであるか、そしてそれに対してお話になる。受信料から見てNHKの存在が必要であるか、必要でないか、あるいはNHKの番組がそれに値するかどうかという御判断は十分持っておられると思います。ただ、われわれの場合、その方々との関係においては、少なくとも私どもの考え方と申しますか、やり方については、かなりまだ統制があるのじゃないかというような気持ちを持っておられる方もあるわけですが、そうでない場がやはりあると思います。たとえば百五十円高過ぎるじゃないか。もう五百万になるのだから、いまは二千万がカラーになるであろう、そうすればこの百五十円引き下げたらいいじゃないか。NHKは放漫経営であるというような観念的議論がいま世界ではかなり幅をきかしている。そういう意味では、全く聴視者との関係なしに行なわれる議論もかなり多いわけです。われわれはもちろんこれらの議論についても虚心たんかいに承る気持ちでおりますし、またそうでなければいけないと思っておりますが、それが妥当であるかどうかという問題については、より内容を知っていただいて御批判、さらに検討していただくという場も必要ではないか。そういう意味で、いま副会長から申し上げたような場をつくっていく。したがって、一般聴視者とは関係のない面での御批判を率直に受け入れる場もつくってある、こういうことになるかと思います。
  113. 野上元

    ○野上元君 そういう苦情の承り所みたいなPRのしかたもあるでしょう。しかし、積極的なNHKのPRの目的というのは一体何があるのですか。私の聞きたいのは、たとえば積極的に金をかけてもNHKがPRをして、そしてNHKが要するにNHKの絵を見てもらう、こういうことだと思うのですが、そういうものが一体NHKにはあるのでしょうか。
  114. 前田義徳

    ○参考人(前田義徳君) そこがむずかしいところだと思います。このPRという観念は、少なくとも終戦後西欧的な感覚の中で生まれてきた一種の定義だと思います。戦前といえどもそういう呼び名ではなくても、そういうパブリック・リレーション的な活動は、そういう社会生活の中では、単に一企業にかかわらず、すべて社会生活の中では行なわれていると思うのですが、いわゆる企業を中心として、パブリック・リレーションズと申しますか、PRという考え方が日本人の中に固定してきたのは、敗戦によって西欧的な行動と、西欧的な考え方が日本の中で常識化されてきたというところにあると思います。そういう社会感覚の変遷と申しますか、そういう中から言いますと、やはりこのNHKといえどもある種のパブリック・リレーションズを強化するという方向は当然とらなければならない。ただ、経営全体から見て、放送という事実によって、聴視者が契約されているというこの実態はすでにがPRがそこまで到達していると、理論的には実はそういうことになると思うのですが、しかし、同時にこのいま言ったような社会的パブリック・リレーションズを強化するという意味での何がしかの行動はやはり近代社会の生活では当然あり得る。それがもし経営全体に影響を及ぼすような、簡単に言えば、財政上の負担になるかどうかという問題であれば、これはその面はやはり切る場合もあり得るであろう。ただ、非常な障害を及ぼさないという限度においては、いままでの何を通じて接触するということのほかに、やはり共同社会の一員としてNHKが聴視者との関係をさらに増進させていくというある種の、ある限度のものは必要であろう。このように考えておるわけです。
  115. 野上元

    ○野上元君 時間があまりありませんから突っ込んだ話はできませんがね。私はNHKのPRという問題については、これは非常にむずかしい問題だと思っているのです。あなた方のやっておられるのを見ておると、たとえば現在やっておる番組を、こういうものですよといって紹介していくわけですね。パンフレットを出して。私の家にもたくさんきますがね。「鞍馬天狗」とはこういうものですよ、あるいは「樅の木は残った」はこういう筋書きですよというようなりっぱなパンフレットがくるわけです。こんなのは私はPRじゃないと思うのです。あんなものがきたから番組を見るわけじゃない、毎週見ておるわけですからね。それを何か二重に説明しているというようなPRのしかたなんかは、私はあとからあとからくっついていくような感じがして、これはほんとの意味のPRじゃないと思うのですね、最近使われておるPR、パブリック・リレーションズじゃない。PR費を使ったなら、それにペイバックがなければならぬようなそういう経営的な考え方から見れば、あまり大したPRじゃないなという考えを持つわけですね。もう少し積極的な意味のものがPRじゃないかという考え方を持つわけですが、その点は幾らここで言ってみてもしかたありません。これもひとつまた情報として受け取っていただいていいわけですが、そういう感じがするわけです。そこで、番組放送センターというものもあるわけですが、こういうものは一体どういう仕事をしておるのか。私に言わせれば、どうも、何といいますか、形式的なというような気がしてしようがないのですね。たとえば真にパブリック・リレーションズをやるとすれば――先ほど副会長が言われたように、四千回もやった、しかも六万五千人ですよ、面接した人は、話を聞いた人は。地方における懇談会ですが、その人数は六万五千人。一億のうちのわずか何%になりますか、そういう状態でしょう。そういうことをやらないで、ひとつ思い切ってあなた方が受像機を持っている人たちに一斉にアンケートを出すならアンケートを出して、それをコンピューターではじいて、その結果をテレビで知らせる。そうすれば、自分の言ったやつがあそこに出ているな、あの中に入っているなというようなことにもなるわけです。そういう点で、これはもう少しそういう点にも近代化、機械化の問題を使ったらいいじゃないだろうか、むしろそのほうが参加した意義があるんじゃないだろうかというような気がするのですけれども、そういう点はどうですか。
  116. 前田義徳

    ○参考人(前田義徳君) その点は全く同感でございまして、NHKの場合も放送法上放送世論調査所というものを持っておりまして、これがやはりコンピューターを駆使してそういう分析は常時できているわけです。そうして、まあ一カ月に一回程度ですが、その結果に基づく番組もあるわけです。ですから、私どもの立場といいますと、全くお説のとおりでありまして、すべて全部近代化の範疇を土台として世論調査に至るまでその方向にきているわけですが、ただ、まあ社会的権力と政治的権力――近代社会というのは二つの権力の並存する時代だと思うのですね。それは政治的権力と社会的権力ですね。この政治的権力と社会的権力がせり合っている時代が現代だと思います。そこで一種の社会的混乱といいますか、政治自体が、まあお許しをいただいて、まっしぐらに政策を実施できかねる場が出てくる理由もかつてなかった社会的権力というものは、これは二十世紀後半の社会的現象ですが、これがかなりものをいうという時代になったからだと私は思うんですが、そういう社会的状況の中でNHKといえども、この社会的権力の圧力というものは少なくともかなり強いものがあるということを率直に申し上げたいと思うんです。おそらく聴視者にお金を払っていただいているという現実から見れば、はなはだ思い上がったという印象をお持ちになるかもしれませんが、契約をしておられる二千万世帯はNHKの実態をきわめてよく御理解をしていると思います。しかし、そうでないいわゆる抽象的な社会権力これは必ずしも二千万世帯の何といいますか、最大公約数的な感覚とは全く別の感覚をもってNHKを御批判になる場合もあり得るだろう。そうすれば、その社会的権力をミートさせるための方法を考えることは同時にNHKを理解してくださる二千万世帯の聴視者に対する寄与にもなるであろうと、このことが相重なって放送法のいわゆるNHKに要請されている自主的精神と行動を維持していく一つの材料にもなり得るだろうということを私としては考えているわけです。
  117. 野上元

    ○野上元君 この問題は、またいずれ予算のときにまたお話を聞くといたしまして、私もいまの問題については一つの考え方を持っているわけですが、そもそも何といいますか、組織管理といいますか、あるいは産業といいますか、こういうものは私は非常に論理的だと思うんです。非常に論理的でなければなかなかうまくいかないと思うんです。ところが政治というのは、御承知のように非論理の上に成り立っているわけですから、論理の上には絶対成り立ちませんから、政治というのは、いろんな意見の違った人たちが寄り集まってやっておるわけですから。だから政治的圧力というのは非論理的圧力ということになるわけで、これはもう非常に考えてもらわなきゃならぬ点だと思うんです。だからこそNHKが政治権力の外に立たされたと思うんです。そしてやっぱり論理的なものを追求していこう、その中にやっぱり人間的魅力というものをプラスしたものをNHKに求めておると思うんです。だからその点はどうかひとつそういう意味でNHKとしてはいままでの基本的な立場を貫いていっていただきたいですが、その話はきょうは一応やめますが、ただ私の言いたいのは、どうもダブっているような気がするんです。何といいますか、わざわざ金をかけてやらぬでもいいことをやらして、そうしてその機械でせっかくそういうデータを集めておるものが公表されない、これを公表しさえすれば国民は理解するわけですから、公表することこそやってもらって、そういうほかにダブった経費があるならば、またほかのPRのしかたがあるだろうと思うんです。ほかの方法、そういう考えを出してもらって、機械でやれるようなものを一々またダブって同じことをやって金を使うというようなことはやめて、もう少し進歩的な方向に、前向きに金を使うべきじゃないだろうかという考え方が私にあったもんですから質問したわけです。  ところでこれくらいにいたしますが、副会長に聞きたいんですが、四十二年度も同様に未収金を欠損処理にしておりますね。だんだんその処分は内容はふえてきておりますね。こういうことは非常に私らとしてはまずいことじゃないかという気がするんで、それでたまたま野村氏が欧米を歩いたその報告書を読ましてもらったんですが、今日英国のBBCが財政的危機を迎えているわけです。しかもその危機の内容は未収金さえ入ればBBCはみごとに立ち直るのだ、しかし未収金がふえてどうにもならないのだ、これを何とかしなければならぬ、こういうことになっているわけですが、幸いにNHKの場合は、いまの状態は全体の収入から見れば欠損処理なんというのはわずかでしょう、しかし、これがだんだん広がっていくということになると、NHKにとっても重大な影響をもたらすことになるかもしれません。そういうことを考えると、未収金の問題はあまり等閑に付されないのじゃないかという気がするが、NHKとしてはこれを防ぐ方法がないですか。
  118. 小野吉郎

    ○参考人(小野吉郎君) お説のとおり未収金の関係につきましては、これは絶滅を期することが理想だと思います。その意味におきましては努力をいたしておりまして、一応は、決算上におきましては、見込みで未収金の処理を欠損処理にいたしておりますけれども、これは、そのまま放置するのでなくて、後年度においてできるだけ回収をはかるような努力をいたしております。と同時に、営業活動といたしましても、この面については非常な配慮をいたしておりまして、大体全国十万世帯単位のブロックをつくりまして、その関係で非常に徴収のしにくい面についてはベテランを配置してこの回収をはかるような努力をいたしております。最近におきましては、一時は、大体未収金で予算にあげましたものの六割くらいはほんとうの欠損金になっておったわけでありますけれども、今日の状況では五割以上、六割近くのそれは回収できておるというような状況で、イギリスのBBCのそれは私は見ておりますけれども、これはかなりの深刻な未収の状態のようです。そういう面から見ますと、必ずしもNHKは楽観をいたしておるわけではございませんけれども、未収金の回収につきましては最大限度の努力をいたしてまいりたいと思っております。
  119. 野上元

    ○野上元君 四十二年度末における未収金の総額と、それから世帯数はわかりますか。
  120. 志賀正信

    ○参考人(志賀正信君) 四十二年度末における未収金の総額は七百七十一億の徴収額に対しまして十億六千四百万でございました。それから世帯数につきましては、いま手元に正確な資料はございませんが、当時の受信契約者数といたしましては、四十二年度には二千百四十四万七千件でございます。
  121. 野上元

    ○野上元君 その二千百四十四万七千件というのは、それはなんですか。
  122. 志賀正信

    ○参考人(志賀正信君) 四十二年度末におきますところの当時の契約甲及び契約乙の受信契約者数でございます。
  123. 野上元

    ○野上元君 そうしますと、十億六千四百万円の未収金の契約数というのはわからないのですか。
  124. 志賀正信

    ○参考人(志賀正信君) 金額で押えてまいりましたので、ちょっと契約数についてはお答えいたしかねます。
  125. 野上元

    ○野上元君 私が聞きたかったのは、未収金の内容を聞きたかったのです。未収金の内容に変遷があるのかどうか。たとえば、おれはNHKなんか見てないから払わないのだという人がかなりあるわけですね、あるいは金がなくて払えないというのもあるでしょう、あるいは住所がわからないで移転先がわからないので払わないという、そういうものもある。いろいろなものがあると思うのですがね、そういうものの内容はわかりますか。いまわからなければあとでまた聞きます。
  126. 志賀正信

    ○参考人(志賀正信君) ただいま申し上げました四十二年度末に約十億六千万の未収額がございましたが、年度を越しまして、事務的なタイムラグもございまして、四十三年度に至りまして、そのうちで約四億六千百万が回収になっております。したがいまして、四十三年度、一年経過をいたしました四十三年度末には六億三百万の欠損処分をいたしてございますが、なおそのあとでも収入に随時入ってはきておりますので、この欠損額は調定額の〇・八三%に当たります。  ちょっと補足さしていただきますが、御質問の最後のところが、正確なお答えにはならぬかと思いますが、この六億三百万の欠損処分をいたしました翌年一年かかってもなおとれなかった分がございますが、これの約三分の一が事務的な、再度訪問いたしましたところがすでに遡及廃止しておられるとか、あるいは重複契約者、転居先不明というような事務的な事項でございまして、約三分の二が航空騒音その他の苦情というようなことになっております。
  127. 野上元

    ○野上元君 いま数字発表されました四十二年度末における未収金総額十億六千四百万というのは、それまでの年度の分は、全部欠損処分をするものは処分をしてしまった、で、この累計なんでしょうか。それとも四十二年度に発生したものでしょうか。
  128. 志賀正信

    ○参考人(志賀正信君) ただいま申し上げました十億六千四百万は四十二年度分につきまして発生したものでございます。
  129. 野上元

    ○野上元君 そうしますと、未収金というのは年々歳々増加の傾向にあるのですか。それとも減少の傾向にあるのですか。
  130. 志賀正信

    ○参考人(志賀正信君) 受信契約者の増大に伴いまして受信料総額も増加しておりますので、総体的に若干増加の傾向にございます。
  131. 野上元

    ○野上元君 昭和四十二年度を含めて欠損処理したいままでの総額というのは幾らぐらいですか。
  132. 志賀正信

    ○参考人(志賀正信君) 三十七年度以降の資料が手元にございますが、三十七年度分につきましては三億六千五百万、それから三十八年度分につきましては四億九千九百万、三十九年度分につきましては四億五千五百万、四十年度分につきましては四億一千百万、四十一年度分につきましては四億七千百万、四十二年度分につきましては先ほど申し述べました六億三百万でございます。
  133. 野上元

    ○野上元君 やっぱり相当な額になってきますね、累計しますと。だから、この点については努力されておると思いますが、なお一そうの努力を傾倒されて、とにかく経営に障害のないようにさらに検討を加えてもらいたいと思うのです。  最後に、郵政省の意見書の中で一つ聞きたいのですが、1の放送局の建設ということについて意見書を出されておりますね。これについては先ほど会長からも言われたように、予想外に置局ができたということ、あるいはまた計画より以上の難視聴地域の解消に努力をしたということが高く評価されておるようですが、そのことはそのことで私もけっこうだと思うのですが、ただ、難視聴の内容というものが若干変わりつつありますね。たとえば、いままで難視聴地域というと人里離れた僻地と、電波の届がないところというようなのが、山の障害があったり海の障害があったり、その他の現象の障害によって、自然現象によって届かなかったというふうにわれわれとしては一応常識的に考えています。おそらくこの意見書もそういう意味で書かれていると思うのですが、そういう点についていろいろな努力をされて、いろいろな計画以外の、計画を上回る難視聴地域の解消に努力したということは認めていいのではないかと、こういう意見書になっていると思うのですが、それは私も認めるわけでありますが、人為的な難視聴地域というものが発生しつつあるということは御承知のとおりですが、これには何らの意見書が出されておらないが、これについてはどうお考えですか。たとえば大都市化による、高層建築による難視聴地域の出現、あるいは航空機の発着による難視聴地域の出現、あるいは鉄道網の建設による難視聴地域の出現、あるいはレジャー施設による障害といろいろと出てきております。それらについてあなた方はどのように把握し、NHKはどのようにこれに対して義務を果たしておるかという点について、この意見書に書くべきだと思うのだが、その点はどうなんですか。
  134. 藤木栄

    ○政府委員(藤木栄君) お答え申し上げます。  いまおっしゃったような点については、実はここに書いてございませんけれども、まあ郵政省としましては、実は高層建築物による障害であるとか、あるいはいまおっしゃいましたように、新幹線が出てきて、それの陰になるところのものとか、あるいはまた自動車の点火装置から発する雑音が出ましてテレビがよく見えないといったようないろいろな障害があるわけでございますが、そういったものにつきましては、これは実は郵政省としても責任があるわけでございまして、NHKとともにと申しますか、NHKそのほかのいろいろな関係団体と一緒になりまして受信障害対策協議会というものをつくっておりまして、そういった機関を通じまして、そういった個々の電波障害について解決する道を技術指導していく、そういうことをいたしておるわけでございまして、むしろNHK自体に対してもそういう指導をいたしておりますし、NHKも進んでそういった障害については積極的に方策を講じておる、こういうふうに思っております。
  135. 野上元

    ○野上元君 私は将来は、むしろその難視聴地域というものはもうあと残っておるのはわずかですわね。この報告書を読んでみますと、大体九五・五%ぐらいのカバレージになっておるというふうにいわれておるわけですね。あと残っておるのは四・四五ぐらいですね。これについて、いま国会も、早くこれを一〇〇%にせいという要求もあるし、あなた方もそう考えておるだろうし、NHKもそれに努力をしておるわけですが、同時にそれに努力しておる一方、地元のほうに難視聴地域が生まれつつある、質の変わったものが。したがって、これに私は目をつけないと、こっちばかり目を奪われていると、こっちのほうの足元をすくわれるのじゃないかという気がするのですね。したがって、そういう点については、この意見書の中にはっきり書くべきだと思うのです。われわれが言ったいま全国にどのくらい新しい意味で難視聴地域が生まれつつあるか。これに対しては一体どういう措置をとられたのか。ただ、いまあなたが言われたように、受信障害対策協議会があるのだと、そうして協議をしておるというだけではなくて、その結果はどうなんだ、効果はどうなんだ、将来どうなんだというような問題についても十分ひとつやってもらいたいと思うのです。特に、NHKは法律的にその義務を負わされておるわけですからね。その点を私は当然新しい問題として提起するべきじゃないかというふうに考えるわけです。で、特に何といいますかね。電波行政の問題についても、すべての行政、そうですが、産業のほうが先に先行するわけですね。そして行政はそれをコントロールするということをやっておるわけですね。それでは足らないのじゃないかというような気がするのですね。特に電波行政の場合なんか、いわゆるコントロールだけではだめであって、たとえばその難視聴地域の問題が出てくる。そうすると、それに、もう産業社会ですから、すべてそういう情報は企業側がキャッチして、難視聴地域に対して自分らの力によってすべてそれを解消しよう、そしてコマーシャルベースでやっていくわけですね。そしてあとで行政のほうはそれをコントロールしようとする、けしからぬとかいいとか言って。しかし、現実にあるのですから。そういう苦情がある、不満がある、それを満たすために企業がこれを出せばそれをコントロールしようとするのは、私はむしろそれは時代錯誤的な考え方だと思うのですね。そうでなくてやはりみずから進んでそういうものを調べて、プランニングしていくというところまで行政というものは伸びていかないと、かなえの軽重が問われるのじゃないかという気がするのですが、その点はどういうふうにお考えになっていますか、大臣。
  136. 井出一太郎

    ○国務大臣(井出一太郎君) 御趣旨同感でございます。この意見書は山間部しか書いてございません。年度が四十四年の末ですか、少し前であるという御意見があるかもしれません。しかし、おっしゃるような、特にビル陰、その他都市における障害がかなり顕著になっております。したがって、そういう御趣旨を体して、あとからコントロールするということだけでなく、事前にもう少し視野の広い行政をやらなければならないのは同感でございます。
  137. 野上元

    ○野上元君 これでNHKのほうに聞いておきたいのですが、私が言ったいわゆる新しい形の難視聴地域に対する対策はどういうふうにとっておられるか。
  138. 野村達治

    ○参考人(野村達治君) いまの四十二年度のことについてまず申し上げますと、かなりな件数の建造物の障害あるいは高架道路でありますとか、あるいはタンクとか、ゴルフの練習場のネット、そういうものがございまして、これに対しましては工事は発生者が責任を持つというようなことで、発生者と受信者との間にNHKも立ちまして話し合いを進めて、できるだけ発生者側が負担をしてやるという考えのもとに進めてまいりましたが、具体的には建物によりますもので約一万世帯、それから送電線によりますもので千五百世帯というものを救済いたしております。これは共同受信によりましたり、あるいはアンテナの高さあるいは場所を変えていただくということ、あるいは受信局を変えていただくというようなことを併用いたしまして処置をいたしております。  なお、その後四十三年度におきましても、二万二千世帯くらいが同じような意味で処置をいたしております。  四十四年度以降は、都市につきましてはCATV法人ができ上がるというようなこともございまして、こういった意味のことをやっておりますが、CATV法人にたよるという面もかなり出てまいってくると考えておりますし、四十五年度以降CATV法人によってカバーされる分はそれによって、さらにされません分については、別途考えるというようなことをいたしていきたいというふうに思っております。
  139. 野上元

    ○野上元君 この際、数字的に聞いておきたいのですが、NHKではどういうふうにお考えになっていますか、たとえばいまカバレージで九五・五%だと、こういうように大体いわれておりますね。あと〇・四五%がいわゆる難視聴地域だといわれておりますね。新しいのが発生してきておるものをそういうカバレージの計算にしてみるとどれくらいの比率になるのですか、いわゆる難視聴地域として。
  140. 野村達治

    ○参考人(野村達治君) カバレージの計算上からいきますと、かなりパーセンテージは低いものでございます。現在、四十五年度の分を想定いたしましても約二十万世帯だと思います。
  141. 野上元

    ○野上元君 だんだんふえると思いますが、そういう点についても、郵政省も積極的にひとつ助言をすべきだというように考えますから、その点だけ言うにとどめておきます。  それから教育放送の充実についても、たとえば放送時間を延ばしたらいいのだというふうな意見書なんだね。私はそういうのはどうも気に食わぬのですよ。問題は、事業の内容が適切であるかどうか、教育の番組の内容が適切であるかどうか、あるいはもっと高級なものをやるべきかどうか、あるいは大学放送はどうするのだというようなものをやっぱりこれに意見書としてあげるべきだと思うのですね。これはただ時間をふやした、国際放送の時間をふやした、これもたいへんな努力だというだけの評価に意見書が終わっているので、そういう点についても、きょうは時間がありませんからやめますが、次の予算のときに十分そういう点について論議したいと思うのですが、そういう積極的な意見が私は欲しいと思うのですね。いまのもので足りるかどうか、時間だけ延ばせばいいのか、内容はどうなんだと、いまの国民はこういうことを望んでいるのじゃないか、それにどう対処したかというようなことを書くべきじゃないか、そういう積極的な意見を今後書いてもらうように希望しておきます。  私の質問は、きょうこれで終わります。
  142. 近藤信一

    ○委員長(近藤信一君) 午前中の質疑はこの程度にとどめ、午後一時三十分まで休憩いたします。    午後零時三十六分休憩      ―――――・―――――    午後一時四十分開会
  143. 近藤信一

    ○委員長(近藤信一君) ただいまから逓信委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、日本放送協会昭和四十二年度財産目録、貸借対照表及び損益計算書並びにこれに関する説明書を議題といたします。  本件に関し質疑のある方は順次御発言願います。
  144. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 それでは、まず最初に会計検査院にお尋ねいたしますが、このNHKの決算の検査におきましては、会計検査院は帳簿上の検査をするだけでなく、その内容、たとえば購入単価を妥当であるかどうか、そういう点まで検査をするものである、そのように解釈してよろしいかどうかお尋ねいたします。
  145. 石川達郎

    ○説明員(石川達郎君) 御指摘のとおりでございまして、検査の内容としましては、計数的な検査、それから内容の検査があるわけでございまして、内容の検査につきましては、個々の物件なりあるいは工事なりの契約の方法が適正であるかどうか、それからまた予定価格が妥当なものであるかどうかについて、検査をいたしているわけでございます。
  146. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 そこで前田会長にお尋ねいたしたいと思いますが、先ほどのお話では非常にこの昭和四十二年度第二次六カ年計画の最後の年は非常に財政的にもNHKはたいへんなときを迎えたと、そういうお話であったわけでありますが、今回初めてこのNHKの決算について、私も接するわけでございますが、財務諸表を見ましても感じますことは、NHKの財政事情は四十二年度においてもきわめて健全である、いわゆる事業収支差益金いわゆる利益余剰金は七十五億が計上されております。協会は法人税とか事業税のようなものの免税という特権もありますし、また営利法人でございませんので、株主に対する配当もない。また年に二百億になんなんとする建設投資をしておりますが、その資金の大半は減価償却費などの自己資金で支弁が行なわれており、また純資産も年々百億近い増加を見せており、そういう点から考えて、四十二年度における協会の財政はきわめて健全である、またある面から言えば受信料を少し取り過ぎているんじゃないかと、そういうふうに私は感じたわけでございます。その点に対する会長の見解を承りたいと思います。
  147. 前田義徳

    ○参考人(前田義徳君) いま御質問のような御印象をお持ちになることは当然だと思います。先ほどもお話申し上げましたが、六カ年計画の最終年度という観点に立ちますと、昭和四十二年度の決算というのは事業が拡大したのに対して、実態は最低の線にきているという決算でございます。三十七年度の収入の伸び率が二〇%をこえているという時代と比較いたしましても、四十二年度の収入の伸び率は四・二%でございます。それからまた支出のほうは逆になりまして、支出の伸び率は四十二年度においては八・七%という実情でございますから、NHKの六カ年間を通じての財政の実情という点から見れば、そろそろ限界にきたという印象を私としては持つわけであります。ただ、その際たとえば二百億に達する建設計画が減価償却を中心としてまかなえる部分が大きいということ、あるいはまた実際のこの年度の剰余金は八億円余りでありますが、そういう今度は全体的な見方で言えば六十数億が資産に変化しておりますので、そういう意味では、七十何億というお考えもあり得るかと思います。ただNHK全体として申しますれば、これは六カ年間の最低の時代であったということを申し上げたわけでありますが、同時に、NHKの経営責任としては赤字経営は絶対に許されないという考え方を持っております。と申しますのは、放送法でも最終的にこの施設、あるいは経営を含めての引き継ぎ権を持っているのは国家でございます。これは国民の機関でございますので、そういう意味では、私どもとしてはいつのいかなる事態に遭遇しても赤字経営はしないという実はたてまえをとっているわけでございます。それと同時に、そのたてまえの上に立って、放送法と付属的な、これと付随するいろいろな規定によって経理の規定も決定されているわけでありまして、したがいまして、この数字のつらと申しますか、数字の読み方から申しますと、確かに健全だと思いますし、私自身も健全経営の目標は達成されておる、こういうように申し上げられると思います。ただNHKという特殊の放送事業が国民とともにあるという段階において、これはその後に起こるいろいろな科学技術の進歩、あるいはその他社会的発展、社会の複雑化というものに対応するためには、いわゆる何と申しますか、あらかじめ投資する可能性がきわめて少なくなってきているという点においては、この年度が一番内外にわたって苦しみの多かった年度ということを申し上げたいと思います。
  148. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 それでは固定負債の現状がどうなっているか、これはどなたでもいいんですが御説明願いたいと思います。またその大半を占めております放送債券の発行条件、また長期借り入れ金の条件、これはどのようになっているのか、これを御説明願いたいと思います。
  149. 志賀正信

    ○参考人(志賀正信君) 四十二年度当時の固定負債につきましては、お手元の資料にございますように三つの要素から成り立っておりまして、総額三百二億五千四百万でございます。第一点はただいまお話の放送債券でございますが、四十二年度におきましては、前年度の残額が二百三十四億八千九百万円でございまして、これに当年度の建設費の財源といたしまして二十億を新たに発行いたしました。また同時に七年前に発行いたしましたものの当年度の返還が四十四億五千六百万ございまして、相殺いたしまして、当年度末には放送債券は二百十億三千三百万の残高でございます。また借り入れ金につきましては、年度当初の前年度末の残高が五十三億二百万ございましたが、当年度中に三十二億二千万の新たなる借り入れをいたしまして、また同時に二十一億百万の返還をいたしております。相殺いたしまして、年度末には六十四億二千百万の残高になっております。外部資金といたしましては、これら二つを合わせまして二百七十四億五千四百万でございます。なお、固定負債といたしましては、もう一点退職手当引き当て金というのがございます。これは四十一年度末におきましては二十一億円でございましたが、新たに当年度に七億を積み立てまして二十八億に相なっております。  またお尋ねの放送債券の発行条件につきましては、当時は百円の額面に対しまして九十九円五十銭の発行額でございまして、表面利率は七分三厘でございます。期間は七年ということになっております。  それから借り入れ金につきましては、借り入れ金の利率といたしましては、一銭七厘五毛でございます。  以上でございます。
  150. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 それから、事業収支差益金から資本支出充当分を控除したものがいわゆる利益剰余金となっておりますが、この資産充当内訳はどのようになっておるか、またどういう考え方からこのような資産充当を行なったか、その点の経過を御説明を願いたい。
  151. 志賀正信

    ○参考人(志賀正信君) 先ほど会長から申し述べましたとおりに、当年度の受信料から資産に充当いたしましたもの、すなわち資本支出充当と称しておりますが、当年度には六十五億七千九百万ございました。それの第一点は、放送債券の償還の費用でございます。先ほど御説明申し上げました中に、当年度放送債券につきましては四十四億五千六百万の返還をいたしましたように申し上げましたが、そのうち三十億八千万円につきましては、法律によりまして過年度に減債基金として積み立てましたものから引き出しまして当年度に返還をいたしております。四十四億のうちで三十億八千万円を除きました残りの十三億七千五百万につきましては受信料から返還をいたしております。  それから長期借り入れ金の返還といたしまして、当年度に実施をいたしましたものは二十一億百五十万でございます。それから第三番目に、放送債券の発行残高に対しましてその一割を積み立てをいたしてございます。これは二十一億三百二十六万積み立てをいたしてございます。これは放送法に基づきまして、当年度の残高の一割を将来の返還に備えて積み立てる規定がございまして、これに従いまして積み立てをいたしましたものでございます。  それからもう一件は、建設費への直接充当を十億いたしてございます。これらの四点が当年度の資産支出充当六十五億七千九百万の内訳でございます。先ほど先生からもお話がございましたように、当年度の受信料の中から、いわば一種の利益でございますが、これをこれらの費用に充当いたしたものでございます。これの考え方といたしましては、建設費等の財源、主としてほとんど全部建設費の財源でございまして、当年度のものあるいは過年度に一部外部資金を充てまして建設をいたしましたものを徐々に返還をしていく。その方式といたしまして、あるいは減債積み立てを行ない、あるいは返還期の到来した放送債券の償還の一部を受信料から返すというやり方をいたしておるわけでございます。この六十五億七千九百万は、当年度の事業収支の八・五%に当時あたっておったわけでございますが、これの考え方といたしましては、NHKといえどもやはり一種の公共料金という形で受信料がきめられておるわけでございますが、この公共料金の中で、いろいろなたとえば用語がございますが、私設、共益事業――電気・ガス、あるいは公営公益事業の水道、その他の公社等におきましても公正報酬原則あるいは原価補償というような用語で使用されておりますが、まあ一種の事業報酬というものが料金原価の中に算定をされていくというのが通例の考え方になっておりまして、NHKにおきましても、昭和三十七年度からの当時の受信料体系というものを設定いたします際に、その前年の三十六年度、ほとんど一年にわたりまして国会方面におきましても、あるいはNHK独自で受信料金制度調査会というようなものを設けまして、いろいろ斯界の権威の方々の御意見をちょうだいいたしております。そういう際に、やはりこの建設財源の将来の返還のしかたの一つの方式として、料金の原価の中にある程度のその事業報酬というものを算定をしていくということが妥当であるというような御意見がございまして、この方式につきましては、第二次六カ年計画期間中ずっと継続をいたしてきておったものでございまして、およその考え方といたしましては、受信料の大体一〇%内外という考え方をとって年々実施をしてまいりましたが、先ほども申し述べましたように、四十二年度におきましたは八・五%というような形に相なっております。で、なお、この方式につきましては、四十三年度以降につきましては、あらためてここでまた受信料の体系につきまして新しい考えを打ち出しまして、また、新しい事業計画に突入をいたしましたような関係から、これだけの当面は余裕を持ちません関係で、四十二年度をもって一応この直接投入の十億につきましては打ち切りといたしておりますが、その後もこの受信料から返還等に回す経費につきましてはできるだけ配慮をするような措置をとっております。
  152. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 受信料のほうの問題は、また次の予算のときにいろいろ検討いたしたいと思いますが、それでは少しこまかいことをちょっとお聞きしたいと思います。  この四十二年度の建設投資は幾らか、またそのうち、いわゆる難視聴改善のための投資、これは中継局の建設と、それから共同アンテナ設備に対する助成と両方あると思うのでございますが、その金額を教えていただきたい。
  153. 志賀正信

    ○参考人(志賀正信君) 四十二年度におきましての設備投資総額は二百十六億一千九百万の総額に相なっております。このうちで、ただいまお尋ねの難視聴改善のための建設につきましては、まず総合テレビジョンについては百二十五局を建設をいたしております。それから教育テレビジョンについては百二十六局建設をいたしております。また共同聴取施設の関係の助成の対象といたしましては、五百四十六施設に対しまして助成をいたしております。この建設のほうの百二十五局及び百二十六局の建設につきましては、その投資額は二十五億八千六百万円でございます。また共同聴取施設に対しましての助成金の総額は二億九千五百六十六万円でございます。  以上でございます。
  154. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 それで、この中継局並びに共同アンテナですね。この建設によって難視聴が改善された世帯数は幾らになっておりますか。
  155. 野村達治

    ○参考人(野村達治君) 四十二年度の百二十五局の設置によりましては、改善世帯数は十五万になっております。なお、共同受信の助成をいたしました五百四十六施設によりましては三万五千世帯が改良になっております。
  156. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 実は、こういうことをお聞したのは、中継局をつくる場合と、いわゆる共同アンテナをつくる場合、非常に広範な世帯数の場合は中継局のほうが有利である。しかしだんだんだんだんその世帯数が減ってくれば共同アンテナのほうが安い、そういう場合があると思うのですね。そういう点で、四十二年度現在においては一世帯の難視聴を改善するための費用、これはもちろん耐用年数――中継局と共同アンテナの耐用年数が何年かという問題にも関連してくると思うのですけれども、大体四十二年度において中継局の建設と共同アンテナの場合とを比較した場合に、おそらく中継局のほうが有利だとは思うのですが、その点は数字的にはどうなっておりますか。
  157. 野村達治

    ○参考人(野村達治君) お尋ねの点にございましたような、耐用年数のことが一点問題になるかと思いますが、置局いたしました際には、たとえばアンテナでありますとか、建物、電力の引き込みでありますとか、放送用の中継機というようなものによりまして、おのおの耐用年数が違っておりますけれども、それを全体平均いたしますと、まず置局いたしました場合は七年程度と考えてよろしいかと思います。それから共同受信につきましては、これは法定の構築物と考えますと、十カ年ということで考えてみますと、四十二年度の場合は置局によります場合の投資といたしましては、一世帯当たり約一万七千二百円でございます。それから共同受信の場合は三分の一の助成でございますので、その分を計算いたしますと、一世帯当たり八千四百円ということになっております。
  158. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 これは三分の一の助成ですから、全部の原価から見れば三倍になる、そう考えていいわけですね。
  159. 野村達治

    ○参考人(野村達治君) さようでございます。
  160. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 それから維持費ですね。中継局があれば、その維持もしていかなければならない。また反対に、現在のように助成ではなくして、共同アンテナから各世帯までの幹線ケーブルを全部NHKで建設するとすれば、その保全にも金がかかると思いますが、その保全の費用は大体どの程度ですか。
  161. 野村達治

    ○参考人(野村達治君) きわめて正確なことはちょっと申し上げかねるのでございますが、大体のところが減価償却費も入れまして建設費の約二〇%でございます。
  162. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 それから中継局の場合は土地代は入っておりますか。
  163. 野村達治

    ○参考人(野村達治君) 入っております。
  164. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 それで、今年百二十六局のいわゆる中継局が建設されたわけでありますが、この中継局が現在合計六百数十カ所になっておる、このように資料では私判断したわけでございますが、このうちいわゆる民間放送の中継局が一緒に設置されている、まあ一緒でなくても近くでもいいと思うんですけれども、その数は大体どの程度であるかということと、今年建設された百二十数局のうち民間放送が置局する計画のある数、これは大体どのような比率になっておりますか。
  165. 野村達治

    ○参考人(野村達治君) 四十二年度におきましては、民間放送局と共同で受信いたしましたのが十三局になっております。これによりまして、単独に設置いたしました場合に比べますと、施設費にいたしまして約一〇・四%の軽減をはかっております。
  166. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 それは民間放送にとってですね。
  167. 野村達治

    ○参考人(野村達治君) 民間放送にとりましても。これは私どもの側の勘定をいたしております。
  168. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 そうすると、百二十六局建設されてうち十三局だけが民間放送が一緒に建設された、あとの百十二局はもうNHKの中継局だけしかない、このように判断していいわけですね。
  169. 野村達治

    ○参考人(野村達治君) さようでございます。  実は、すでにこれまでに第一次チャンネルプラン局、第二次チャンネルプラン局をほぼ終わっておりまして、残っておりますのは微小電力局というような形で、特にその場所が特定されておりませんので、申請があるたびに逐次やっていくというようなことで、大体において民間放送局がやらないところが多いわけでございます。
  170. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 それと、いま六百数十局のうち何ぼかということをお聞きしたんですけれども、答弁がなかったんですが。
  171. 野村達治

    ○参考人(野村達治君) 三十九年度におきましては十七局を共同建設いたしております。四十年度におきましては四十三局、それから四十一年度につきましては二十局、おのおの一九%、三〇%、一六%、それから四十二年度におきましては十三局で一〇%というような状況でございまして、全体にしまして約百局近いものが共同建設をいたしておるわけでございます。
  172. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 そうすると、この四十二年度に置局したもののうち百十数局は民間放送の置局を伴わない、こういうことになるわけですね。そうすると、そういう場所で、すでにいままで共同アンテナで見ておったとか、そういう人もいると聞いているわけなんですが、ところがそういうアンテナの場合は民間放送電波でキャッチできる、ところがNHKが中継局をつくっちゃうとNHKの番組だけしか見れない、こうなると、中継局はふえたけれども、住民の皆さんにとっては番組が減るような結果になると思うんですけど、そのようなことで、この四十二年度においては問題がなかったかどうか、その点御説明願いたいと思います。
  173. 野村達治

    ○参考人(野村達治君) おっしゃるように、NHKだけの置局の場合ですと、電波によりましてはNHKだけしか見えないわけでございますが、もしその近くに共同受信施設がございますれば、それを介しましてこの中継局の電波並びにほかの多くの民間局の電波も共同受信に加入しておられる方は見られるわけでございます。したがいまして、カバーする地域ももちろん違っておりますので、そういった意味ではNHKだけの電波しか見えないということは問題であろうかと思いますが、その後さらにこれらの中で民放局が置局されているところもございまして、逐次そういった面では改善されておると思いますが、やはり第二次チャンネルプラン局以降の問題につきましては、民間放送局の電波が出るということはNHKと比べ比率にいたしますと非常に少のうなっておりますので、そういう点では、問題点があろうかと思います。
  174. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 四十五年度の置局と、それから共同アンテナの設備の比較、これを私前に資料いただいたわけでございますが、四十五年度を見ますと、建設費におきましても、また運用維持費においても、共同アンテナも置局も差別はないわけですね。耐用年数からいえば共同アンテナのほうがずっと長い。そういう点を考えますと、いまもあなたの言われましたように、NHKだけしか見えないという、そういう問題点もあるわけですね。将来、おいおい民間放送の局もできるだろう。しかしこれじゃちょっとあまりにも国民の皆さんに対してのんびりしすぎているのじゃないかと思うのです。私が思うのは、むしろそういう置局をするよりも、いわゆる共同受信アンテナをつける、その方向に、そのようにやったほうがコスト的にもいいし、また皆さんに対する番組サービスの面においても、よりたくさんの番組を提供できるのじゃないか。ただ局と共同アンテナというのでは、見たかっこうよさにおいては、この置局のほうがいいかもしれませんけれども、実質という面から考えれば、共同アンテナのほうをもっと推進すべきじゃないか、そのような気がするのですけれども、その点はどうなんですか。
  175. 野村達治

    ○参考人(野村達治君) 四十五年度におきまして、お手元にさしあげました資料によりますと、確かに建設費におきまして、両方ともほとんど差がないということになっておるわけでございます。ところが、置局によりますと大体四百世帯ないしは五百世帯ぐらいをカバーすることができるわけでございます。それを共同受信を算出いたしましたのは平均六十世帯ぐらいで一応考えておるわけでございます。これがじょうずにかたまっておりまして、四百世帯ぐらいございますと、この調子で勘定はいくわけでございますが、ただ、地域が広いところに四、五百世帯がおりますときには、これを共同受信でやりますと非常に高いものになると思います。そういったところではやはり置局のほうが有利であるということになろうかと思っております。したがいまして、だんだん四十五年、四十六年、四十七年となりますと、四百世帯の地域よりはさらに狭くなる。だんだん、おそらく最後には三百世帯ぐらいになってまいるかと思うのでございますが、ほぼ二百世帯ぐらいのところであまり地域の広さは違わないというようなところになりますと、いまの勘定が合うようになってくるかと思うのであります。したがいまして、まず共同受信のほうを極力進めまして、置局による部分をそれに肩がわりするということは、やはり経済的な面から考えましても、この四十五年度の段階ではまだ十分成り立たないと、私どもは考えておるわけでございます。
  176. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 そうすると、この限界は、これはもちろん地域の広さもありますが、二百世帯くらいが限度である、経済的に見れば。そのように考えていいわけですね。
  177. 野村達治

    ○参考人(野村達治君) さようでございます。
  178. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 それで、経済的な面は二百世帯であっても、いまさっき言いましたような、番組が幾ら見えるか、NHKだけしか見えないというのであれば、そういう局を置いた場合には、そこに住んでいる人はNHKの局からの電波も受ける、同時に共同アンテナのほうも引いて民間放送のほうも聞く、そういう状態になると思うのですね。そうなるとNHKとしては、置局だけしたのだから、共同アンテナは今度回収時期が来てもこれは別に援助する必要はない、そうなっちゃうと思うのですね、そういう方針だと思うのですよ。そうなるとやはり一人一人の負担というのは、両方ですからね、ふえてくると思う。であるならば、たとえ二百世帯が経済的な限界であっても、少々共同アンテナのほうが高くても、私はあそこの番組が幾ら見えるかということも考慮に入れて、たとえば二百五十世帯でも共同アンテナにいたすべきではないか。そういう点を――それぞれの場所によって違いはあると思うのですけれどもね、慎重に推進をしていただきたい。これは今後のことみたいになりましたけれどもね、そのように思うのですが、その点どうでしょうかね。会長の考えとして、私のいま話したことを理解していただけましたでしょうか。
  179. 前田義徳

    ○参考人(前田義徳君) 聴視者が幾つかの番組を自由に選ぶ、その効果を享受するという理想論としては私も共感を持って伺っておりました。しかし、放送法上のNHKと民放という関係はおのおの併存する独立経営形態でありまして、その意味では私どもの立場を現行法と結びつけて考えますと、ただやっぱり第一にはNHKの義務、責任は何であるかという点に集中されてまいると思います。こういう事例はカナダにおいてもございまして、カナダでは数年前に放送法が改正されまして、カナダ放送協会の経営委員会が同時に商業放送の経営委員会を兼ねるという形になっておりますが、こういう形において共存する独立経営形態がそれぞれ独立採算性でやるかどうかという点と、その放送法の一般的形式をどう調整するかという問題が将来に残されると思います。私の個人的フィーリングとしては、お説のことに多大の共感を感じておりますが、現行放送法に基づくNHKの会長としては軽々に賛成いたしかねるという気持ちを持っております。
  180. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 ということは、まあ極端に言いますれば、NHKの会長としては、やはりNHKのその放送法に述べられた使命を果たすことに急であって、一般の聴視者の人が民間放送を聞こうが聞けまいが、それは会長として関与するところではないと、そういうような意味なんですか、極端に言えば。
  181. 前田義徳

    ○参考人(前田義徳君) きわめて端的に申し上げるとそういう立場になるわけでございますが、私どもとしては、やはり民放と協力して、これはおそらく当局からの行政指導もございまして、大体同じ場所に民放もNHKも建設を進めていくというたてまえがあるのではないかと思います。しかもこの問題と関連して、先ほど技師長から御説明申し上げましたように、共同建設の場合の分担を、大体NHKが三分の二、民法が三分の一という慣行に従ってここ数年来共同建設に従事しているわけですが、何と申しましても民放は、経営のたてまえとしては利潤追求の組織であり、NHKの場合は、利潤追求を禁止されて、やはり全国難視聴解消ということを最高の義務と責任であるというように規定されておりますので、いただく聴取料という点で客観的に見ますとバラエティーがあったほうがいいというフィーリングは持ちますけれども、同時に民放の建設にまでその部分を投ずることについては、私としてはまだ踏み切れない気持ちでおるという意味合いでございます。
  182. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 これは私は大臣にちょっとお尋ねしたいと思いますが、まあ確かに国民の皆さんが電波を聞けるように難視聴を改善していかなければならない、そういう点は当然だと思うのですよ。まあ、しかし私の言いたいのは、何も置局だけが改善の道ではない。共同アンテナをつくるということも置局の改善になるわけだし、そのほうがよりたくさんの番組が見えて国民の皆さんのためになるならば、私は当然国としても、NHKに対してやはり国民の福祉ということを重点に考えるのが放送法の精神じゃないかと、このように私は思うのですが、大臣の見解はどうですか。
  183. 井出一太郎

    ○国務大臣(井出一太郎君) 難視聴区域の解消という大きな目的のために一つは中継局を増設をする。もう一つは、いまおっしゃるような共同アンテナという方式もあるわけでございますから、これを何も別々でなくて、一体としてお考えをいただけば、NHKもいまそういう方向で歩を進めておるのではないか、かように考えております。
  184. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 この問題につきましては、私の趣旨は要は、やはり国民のサービスということを念頭に置いて共同アンテナ、あるいはまた置局の決定をより慎重にやっていただきたい、このことを要望したいと思います。  それから次に、減価償却についてお聞きしたいと思いますが、今年減価償却分として四十五年度には百六億円、そういう大きな額が計上されております。この減価償却の方法、これを簡単に御説明願いたいと思います。
  185. 志賀正信

    ○参考人(志賀正信君) 御説明申し上げます。  NHKにおきましての減価償却につきましては、まず対象となります資産を有形固定資産と無形固定資産の二つに大別させております。有形固定資産と申しますのは、建物、構築物及び機械、器具什器及び、減価償却の対象にはなりませんが、土地が入ります。それから無形固定資産は、施設の利用権工業所有権等でございます。  償却の方法といたしましては、有形固定資産につきましては、定率法によりまして、取得の翌年度から償却を開始いたしまして、残存価額は取得価額の十分の一という方式をとっております。それから無形固定資産につきましては定額法によって、取得の翌年度から償却をいたしております。償却の年度、すなわち償却率につきましては法人税法に規定されておりますところの大蔵省令に準拠をいたしまして、現在は全くこれと一致をさせております。大体、たとえば建物につきましては、演奏所等につきましては五十年の耐用年数でございまして償却率は四・五%でございます。また鉄塔等につきましては四十年、円筒鉄塔につきましては三十年、償却率につきましてはそれぞれ年間五・六%及び七・四%でございます。また、放送設備等の機械につきましては耐用年数は一年でございます。これの償却率は三一・九%でございます。また、車両等の機械につきましては、一般車両といたしましては五年になっておりますが、中継車、電源車等の特殊な車両につきましては四年でございまして、償却率も四三・八%になります。また、器具什器類といたしましては、什器は二十年で償却をいたしております。また、楽器につきましては五年で償却をいたしております。  それから施設の利用権といたしまして、無形固定資産に相なりますが、電信電話専用設備利用権等につきましては二十年でございます。それから受電設備利用権、ガス、水道受給設備利用権等につきましては、十五年で償却をいたしております。
  186. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 それでは会計検査院にお聞きします。法人税法の減価償却率は、民間の営利法人組織の資本蓄積を助けるものであって、NHKのごときそういう国民の受信料によって運営される組織――まあ営利組織ではない、そういう組織においては法人税法の減価償却は当てはまらない、そういうような意見もあるようでございますが、それについての会計検査院の考えをお聞きしたいと思います。
  187. 石川達郎

    ○説明員(石川達郎君) 法人税法の規定は、おっしゃるとおり、営利企業を対象として考えておるものであろうと存じますが、やはりこれは一般的に一つの基準になり得べきものであると考えます。したがいまして、それを適用することにつきまして、特に検査院として意見を申し上げるということはないと思います。
  188. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 無形固定資産の対象はどのようなものがございますか。また、この耐用年数はどのようにしてきめますか。
  189. 志賀正信

    ○参考人(志賀正信君) 無形固定資産につきましては、四十二年度末におきましては三億二千七百万円でございますが、このうちで、まず受電設備利用権でございます。およそ無形固定資産につきましては、百万円以上のものにつきまして資産計上をいたしておりますが、このうちで、受電設備利用権につきましては全国で八十六件ございまして、一億六千百五十二万一千円になっております。それから電信電話設備利用権につきましては、百万円以上のものが十六件ございますが、これは一億五千三十三万八千円になっております。それから地上権につきましては、これは全国で二カ所だけでございますが、札幌のNHK放送会館の前庭の地上権でございますが、これは八百二十万七千八円でございます。それから高松の青峰FMの放送所の道路の地役権がございますが、これが五百七万一千七百四十二円でございます。これが地上権でございます。もう一つ水道設備利用権というのがございまして、これは一件だけでございますが、長野県八千穂の受信所の水道設備引き込みの分担金二百三十七万六千円でございます。以上が無形固定資産の内容でございます。
  190. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 いまの無形固定資産の耐用年数はこれはやはり法人税法できまっているわけですか。
  191. 志賀正信

    ○参考人(志賀正信君) これも法人税法の基準がございまして、電信電話設備利用権等につきましては二十年、それから受電設備利用権、あるいはガス、水道受給設備利用権については十五年ということになっておりますので、それを準用いたしております。
  192. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 それから受信料集金の手数料の件でございますが、地方と都市、これは受信料を集金する手間がだいぶ違うと思うのですが、その点の手数料はどの程度の差がございますか。大体でいいと思いますが、差をつけていることはつけているのですね。それだけちょっと聞きたかったのです。
  193. 志賀正信

    ○参考人(志賀正信君) 差をつけてございます。  と申しますのは、地方になりますと、件数が、契約者のお宅が飛び飛びにございまして、歩く距離数に対しまして、件数のほうが少ないということもございます。また、都会地になりますと、ほとんど軒並みということもございますので、この点につきましては、それを配慮したような手数料方式になっております。
  194. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 それでは次に、四十二年度の国内放送費の内訳、また前年度に対する比率はどうなっておりますか。
  195. 志賀正信

    ○参考人(志賀正信君) 四十二年度の国内放送費につきましては、総額で二百二十五億六千四百万円でございましたが、番組制作費につきましては百十六億五百万円、番組編成企画費につきましては十八億一千六百万円、番組普及費につきましては五億一千五百万円、技術の運用費につきましては四十四億三千七百万円、通信施設費につきましては四十一億九千万円、これが国内放送費の内容でございます。
  196. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 四十一年度に比べまして番組普及費が非常に減っておりますが、それからまた技術運用費の伸びが非常に四十一年度に比べて四十二年度は大きいわけでございますが、この内容、そしてまたなぜほかのは全部ふえているのに番組普及費だけ減っちゃったのか、また技術運用費だけが特にほかのに比べて伸びが大きいのか、その点御説明を願いたいと思います。
  197. 志賀正信

    ○参考人(志賀正信君) 国内放送費の中の番組普及費及び技術運用費についてのお尋でございましたが、番組普及費につきましては四十一年度の五億三千四百万に対しまして五億一千五百万円、約千九百万の減少を見ております。これにつきましては、教育番組の普及費といたしまして、当年度におきまして僻地の小中学校等に対する受像機の贈呈の事業をやっております。これは昭和三十五年ごろからやっております問題でございまして、約千四百台の受像機を全国の僻地の小中学校等に教育番組の利用促進のために贈呈をしておる費用でございまして、ちょうど一回りしまして、四十二年度には二百六十四台の贈呈をいたしまして、前年度よりもだいぶ台数が減っております関係で、これで一応僻地小中学校につきましては一巡をいたしましたので、この費用が当年度におきましては減少を見ております。  それから当年度の技術運用費が四十一年度の三十八億八千万に比較いたしまして四十四億三千七百万と五億四千八百万の増大を見ておりますが、この増加の理由といたしましては、テレビジョン及びFMの置局の数の増加に伴う運用経費の増がおもでございます。またもう一つは、カラーの放送時間の拡充が、当年度におきましては前年度の一日四時間半から七時間四十分程度までカラーの時間が拡充をいたしておりますので、これらに伴っての技術の運用上の消耗品料の増加、また放送センターの建設に伴いましての照明機材等の増加、これらが技術運用費の増加のおもなところでございます。
  198. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 いま番組普及費が減った理由は、そういう僻地における学校へのテレビの寄贈の台数が減ったと。これは一回り済んでもう配るところがなくなって減ったならばいいのでございますが、ほかのしわ寄せがここにきたんじゃないか、そのように非常に心配するわけでございますが、そういう点はございませんか。
  199. 川上行蔵

    ○参考人(川上行蔵君) この点については、しわ寄せというのじゃございませんで、実は文部省のほうが視聴覚教育関係に非常に力を入れておられまして、学校助成はいままではPTAのほうの援助で学校にテレビなんかを入れておりました。そういう困った状態から、文部省のほうの中でいわゆる教材費の中でこれを助成をされるようになりまして、だんだん全国的な普及をはかられておりまして、学校本来の使命といたしまして普及なさるということで、NHKは違う観点で、また番組の普及に尽くしたいという形で転換をはかったということでございます。
  200. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 それから四十二年度の放送権料、いわゆる相撲とかプロ野球とか、そういう放送権料を支払った番組には、どのようなものがございますか。それからまた番組の権料の決定はどのようにきめておられるのか、その点御説明願いたい。
  201. 川上行蔵

    ○参考人(川上行蔵君) 放送権料の中には幾つかの種類がございますが、いまスポーツ関係を中心として申し上げたいと思ます。  スポーツ関係につきましては、アマチュアスポーツと、それからプロスポーツと二つに大別されるかと存じます。プロスポーツのほうには、卑俗ないい方かもしれませんけれども、それ自身が商品的な価値がありまして、特に最近は商業放送の立場とすれば、やはり独占契約にしたいという観点がございます。独占契約なるが故に非常にお値段が高くつり上がってきているという傾向が出ております。特にテレビが全国的に普及する過程において、そういう傾向が強く出ておりますので、プロスポーツについては非常に高くなっているということがいえるかと思います。その一例を申し上げますと、NHKは非常に古くから中継いたしております。そういう関係でわりあい安くお願いをできておりますという形で、四十二年度の実態をとってみますと、プロ野球の阪神・巨人というようなものが一試合二百十万、それから中日・大洋が二百万程度、今度パシフィックリーグのほうへまいりますと、これは少し安くなってまいります。阪急・近鉄あたりで百万から百二十万という数字になっております。ただ、これをいまちょっと申し上げましたプロスポーツにつきましては、一種の商品価値がございますので、同じ阪急でも、四十二年度は百二十万でありましたが、四十二年度でパシフィックで阪急が優勝をいたしますと、次の年にそれが百六十万に上がるというような形になっております。そういう意味で、かなりいま申し上げましたような独占的な要素でのつり上げ、あるいは商品価値としてのつり上げ、価格高騰という関係がございます。ただ大相撲につきましては、これはもう放送が始りましてから、NHKと相撲との間において非常に親密な関係がありましてNHKといたしましては国技を振興するというのに協力しようという立場もありまして、先方の申し出にかなり好意的に、好意的と申しますか、できるだけ報いるという形でいたしておりますが、四十二年度は六場所を通じまして、七千六百三十五万という権利金を差し上げております。それは年間、十五日間で六場所でございまして、九十日間でございますから、一日二時間の放送当たりとすれば非常に安い権料になっているわけでございます。  それからあとはアマチュアスポーツのほうでございますが、アマチュアスポーツのほうは、いわゆるアマチュアスポーツでございますから、商品的なそういう値段ではなくて、むしろそういうアマチュアスポーツ振興というような意味あるいはアマチュアスポーツであっても、やはり外国から呼ぶとかあるいは国内でいろいろ競技をなされるについても経費が必要とされておりますので、それに対する助成という意味でお志というとあれかもしれませんけれども、そういうような金額で、できるだけそういうアマチュアスポーツの振興がはかられるような程度において、金額を提示いたしております。たとえば高校体育大会というのがございます。これは全国の高校が、夏休みの初めごろの一週間にわたりまして、野球以外の全競技を全国各地持ち回りで実施いたしておりまして、一週間にわたりまして十四会場ぐらいでいろいろな競技をやっておりましてNHKは放送さしていただくというような意味におきまして、三千三百万ほど四十二年度に差し上げておる。それから四十二年度におきましても、たとえば外国からサッカーのチームがまいっております。たとえば日英サッカーについては二十五万とか、あるいは国際マラソンについては、二百万あるいは場合によりまして百五十万、そういうようにそれぞれの規模、そのときに外国人選手をどの程度呼ばれておるか、あるいは沿道警備のためにどれだけの要員がかかっておるか、そういうような観点から向こうでおかかりになっている経費をこちらでも承知いたしまして、それに対し報いるというような形で契約いたしております。これがいま申し上げましたアマチュアスポーツ、プロスポーツの一件当たりの経費でございます。
  202. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 この権料のきめ方をどういうぐあいにしてきめるのか、それをお聞きしたんですが、それはどうなっておりますか。
  203. 川上行蔵

    ○参考人(川上行蔵君) いま申し上げましたように、プロスポーツにつきましては、一種の商品価値がございます。その中でNHKの特殊性これを公共料金であるという御理解をいただきながら、できるだけ安く放送をさせていただくという点についてはわれわれは努力するというようにいたしております。アマスポーツにつきましてはいま申し上げましたように、向こうからの経費の御提示がありまして、それに対してできるだけわれわれがアマチュアスポーツ振興という観点から、それに対し応分の寄付をさしていただくという意味で名称は予算では助成金という形で出ておるかと思います。そういうような形でしております。結局全部個々の球団なり、あるいは主催者とお話し合いの上できめております。ただ、これがテレビ放送というのが始まりまして、十年以上になりますから、その間おのずから実績的なものが積み上がりまして、大体相場的なものが徐々にでき上がっているというのが、一つの事実と申し上げていいかと思います。
  204. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 会計検査院にお聞きしますが、この権料のきめ方について、特に御意見ございませんか。
  205. 石川達郎

    ○説明員(石川達郎君) 最初に申し上げました物件の講入でありますれば、これは一般市販品などを基準にして判断できるわけでございますし、また工事の場合等になりますれば、これは価格の内容等を検討いたしまして、これが適正であるかどうか判断をいたすわけでございますが、ただいまお尋ねの件につきましては、率直に申しまして、物件、工事等の場合に見られるきめ方というものはないわけでございます。したがいまして、ただいま放送協会のほうから御説明がありましたような点を考えて検討をいたしているわけでございます。まあしいて基準を申し上げれば、ただいま一例としてお聞きになりましたプロ野球の阪急の番組が百二十万から百六十万に上がったというような点につきましては、これはやはりその商品価値というようなものを考えて、その高騰もやむを得ない、かような判断を一例としているわけでございます。
  206. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 この放送権料の問題につきましては、決定するための別に委員会とか、そういうものは現在ないわけですね。そういう点必要ないかどうか、これは会長に聞きたいと思いますが、現状で問題ないかどうか。
  207. 前田義徳

    ○参考人(前田義徳君) 二つの方法をとっております。ただいまのような場合には、主として放送総局の中のそれぞれの会議の形で最終決定が下されると思いますし、それからかなり金額のはずむもの、たとえばオリンピックの中継であるとか、あるいはイタリアオペラを招聘するというような場合には、最終的には理事会で検討してこれを決定することにいたしております。
  208. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 それから次に、衛星中継の実施状況についてお聞きしたいと思いますが、四十二年度における衛星中継の実施状況、また所要経費、またその中におけるいわゆる放送衛星の使用料、これはインテルサットへ支払われる使用料、これはどのようになっているかということと、この使用料の単価はどのようにしてきめられておるのか、この二点お聞きしたいと思います。
  209. 川上行蔵

    ○参考人(川上行蔵君) 四十二年度におきましてて、放送衛星を使いました放送は、ニュースそのほかを合わせまして、二十七回実施いたしております。その衛星使用料は五千六百七十八万八千円ということになっております。それからその衛星使用料のおもなきめ方と申しますのは、衛星がたとえば太平洋の衛星を使いますと、ハワイの上に衛星が上がっておりますが、ハワイの上、東京からハワイの上までは日本側がきめる。それからハワイからアメリカまではアメリカのKDD的なものがきめる。そういう形になっております。そのために多少同じ星の使い方でも太平洋側、大西洋側それぞれ多少の違いがありまして、それぞれ監督官庁の許可を得まして使用料をきめられる。その中でわれわれが毎回申請いたしてその料金をお支払いする、そういう形になっております。
  210. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 使用料が非常に高い、そういうようなことを言われていると聞いておりますが、この点NHKとしてはどのように感じておられるのか。またもう一点は、郵政省としてこの価格引き下げのためにどのような努力をしてきたのか、その点お聞きします。
  211. 川上行蔵

    ○参考人(川上行蔵君) このインテルサットが開始いたしました当時はかなり高かったのでございますけれども、その後NHK、あるいは民放が協力いたしまして引き下げを郵政大臣に要望書を数回出しまして、郵政大臣の御指導がありましてKDDのほうはかなり下げてまいっております。その間におきまして、われわれはその衛星を使いますことにつきましても合理的な使用方法を考えまして、NHKと民放各社がプール機関をつくりまして、むだな競争は排除して、できるだけ一つのラインで有効にこれを分けあうという形のプール機関をつくっております。現在の数字だけをちょっと申し上げてみますと、欧州と比較する意味において申し上げますと、東京からハワイの上空に上がりますときの最初の基本料金、十分間がおよそ千百二十ドルになっております。ところがこれが大西洋側のほうの欧州側のほうにおきましては、ことしの一月にかなり値下げをいたしましたけれども、最初の十分がまだ千六百ドル、こういう意味におきましては、使用頻度がまだ少ない太平洋側のほうがかなり下がっているということが言えるかと思います。ただ私たちとすれば、やはり放送というものは一番大きな情報であり、しかも国際化社会の大きな意味を果たす意味においてはできるだけ安くしていただいて、しかも、それをフルに使っていろいろな意味においての日本の地位の向上なり、あるいは外国との交流ということをはかりたいと思いますので、今後ともそういう料金の低下につきましては郵政当局の御協力も得まして、できるだけ安く日本の国民にそういう世界的な問題をわかっていただくための配慮をいたしていく、このように考えております。
  212. 牧野康夫

    ○政府委員(牧野康夫君) 宇宙中継によりますテレビの中継料金の設定の方法でございますが、これを運用いたしております国際電信電話株式会社からの申請に基づきまして審査いたしまして、郵政大臣の認可を得ておるわけでございます。その料金のきめ方は、なるたけ原価に基づきまして、おおむね五年間に収支相償うという形のものを想定いたしまして、その間の使用の頻度を想定し、それぞれによって料金を決定いたしますが、それを基準にいたしまして、なお過去からの経験的なもの、つまり近いところは安い、遠いところは高いという一種のセンスがございます。で、実際の原価からみますれば、宇宙に上がっております星からみれば大した距離ではないのでございますけれども、しかしそういうものを加味いたしまして、東南アジアのほうは安く、ヨーロッパのほうは高い、今後はそういうようなことを考慮しつつ、できるだけその運用経費というもの、あるいは技術の進歩をできるだけ取り入れてそれを運用する経費を安く仕上げて、だんだんと安くしていくように努力を重ねてまいりたい、こういうふうに思っておる次第でございます。
  213. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 そこで郵政大臣にお聞きしたいのでございますが、これからこういう放送衛星、宇宙衛星を使用しての放送は当然ふえてくると思うのですね。そういう点から考えまして、将来はわが国におきましてもいわゆる放送用の地域衛星、これを打ち上げる考えを持っておられるように聞いておりますが、一つにはアメリカに委託をして、そうして放送衛星を打ち上げる、そういうような方法もあるわけでございますが、こういうことも含めて将来の郵政省としてのいわゆるビジョンといいますか、これを御説明いただきたいと思います。
  214. 井出一太郎

    ○国務大臣(井出一太郎君) 通信衛星の問題は、これからの大きな課題でもあり、いまおっしゃるビジョンを持たなければいかぬと思う。そこで安上がりに安易な道を考えればアメリカに依存するということも一つの方法ではありましょう。そうではなくて、日本の将来の使命というふうなことを考えますと当然これに関心を払わなければなりません。で、そういう意味で、打ち上げるほうは実を言いますと科学技術庁なり、あちらが担当する部門でございまして、郵政関係としては、衛星そのものを準備をする、こういう仕事があるわけでございまして、これには入念な気を配っておる次第であります。  なお、詳しいことは監理官のほうから申し上げます。
  215. 牧野康夫

    ○政府委員(牧野康夫君) わが国で宇宙通信衛星を打ち上げるということに対する努力はその後も何ら変わっておらず、努力を続けておる次第でございます。ただいまも大臣からおことばがございましたように、われわれとしては、中に入っておる星についてはすでに自信を持っておりますが、われわれ自身でそれを打ち上げるということについての努力をさらに関係者の間で重ねながらこれの実行に移ってまいりたいと、こういうふうに考えておる次第でございます。
  216. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 いまのお話では、アメリカに委託して打ち上げるようなことはしないと、独力で打ち上げる方向で進むと、そういうお話でございますが、これは経済的な理由でそうおっしゃるのか、それともアメリカなんかにたよらずに独力でやるという、そういう民族主義的な――そういう表現はよくないかもしれませんが、そういう意味でおっしゃっているのですか、どちらですか。
  217. 牧野康夫

    ○政府委員(牧野康夫君) 経済的な意味とか、そういうこともございましょうけれども、将来はいくいくそうなるかと思いますけれども、われわれ自身が国力としてそういう技術を持って打ち上げるという力を持つことが必要だと考えて皆さんは進めておられる、こういうふうに理解しております。
  218. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 それで前田会長にお聞きしたいのでございますが、ABU――アジア放送連合でございますか、このアジア放送連合は、前田さんはその会長をしておられるわけでありますが、アジア地域における教育文化的目的のための衛星通信利用の促進と、そういうものを決議した。そのように拝見しておるわけでございますが、こういうものはおそらく私の考えでは、地域衛星によって東南アジアに対する教育番組の、いわゆる教育援助である。そういうものを将来のビジョンとして、このABUの決議では内容としているのではないか、そのように拝見したわけでございますが、これは具体的にはどの程度進展しているのでございましょうか。
  219. 前田義徳

    ○参考人(前田義徳君) お説のとおり、アジア放送連合が正式に結成された第一回の総会以来、ことしは七回目の総会がトルコで開かれる予定ですが、毎回この問題については強い要請が事実上われわれのほうに出されているわけでございます。現在、アジア諸国が、正式メンバーとして参加している国は、日本を入れて二十三カ国ございます。地域は大体アラブ連合からトルコを結ぶ線からオーストラリア、ニュージーランドに至る線でございますが、その中のアジア加盟国は、ただいま申し上げたように二十三カ国、この二十三カ国のうちの日本を除くすべての国は、熱烈に放送衛星による教育番組の交流を要望しております。私といたしましては、その要望をそのつど関係方面――政府はもちろんですが、関係方面に伝えております。まあ七年目になるわけですが、元の衛星の打ち上げと、衛星の中身を何に決定するかという問題が、仄聞するところによれば、まだ最終決定に至っていないという段階でございますが、アジア放送連合の会長としては、これは私見にわたることでございますが、私はどうしてもこれを成就させたいという個人的には熱望を持っております。今日、南北問題あるいは先進国と開発途上の国々のいろいろな経済援助、あるいは貿易による進出という問題がございますが、私は日本の周辺の平和を恒久化するためには、いま申し上げたようなアジア諸地域の平和の確保が前提であると考えております。このためには、私見によりますと、はなはだ失礼ですが、現在、新しくできた国々の政情がきわめて不安定であるという一つの原因は、ほとんどこれらの国の国民は教育を受けていないという点にあるかと私は考えるわけです。こういう意味では、私はやはり加盟各国の基礎教育の水準をレベル・アップすること、そしてそれが二十三カ国間に少なくとも基礎教育においては格差がないという状態をつくり出すことが必要であると、しかし、明治当初の日本のように、現在の国際社会の発展スピードからいえば、まず学校を建設し、印刷機を備えて教科書を印刷し、そしてさらに並行して教員を訓練して学校を開設するというスピードでは何ともならないのではないか、そのためには新しいマス・メディアの最先端をいく宇宙中継によって先進国の教育方法あるいは教育内容がこれらの地域に普遍化されることが必要である。その要望がこの決議となってあらわれているというように私は理解するわけでありまして、その意味では、関係当局におかれてもこの問題を真剣にお考え願いたいというように考えております。  ただ、この点と関連して、私は二つの点をお考えいただく必要があると考えております。その一つは、いわゆるインテルサット式の電信電話を含む衛星というものは、ただいまの使用料の問題もありましたように、テレビだけの使用料を安くすることによって、この衛星の運営がペイするかどうかという問題は、なかなか決定しがたい問題になるだろうと思います。しかし、東南アジアの実情からいいまして、電信電話という問題は、それほど緊迫された問題ではない。ただ、教育という点からいえば、放送オンリーの衛星が絶対に必要であろうと、この場合には、放送衛星自体のコストも非常に安い。私も専門家ではございませんが、たとえばインテルサット方式による地下設備は、最近いろいろ物価が上がっておりますからもっと高くなっているかと思いますが、一国平均最低二百万ドルを必要とするようです。しかし、私どもの非常に素朴な計算によりますと、放送衛星を受けるだけの地上設備は大体その半額、百万ドル。これを現在日本のこれらの地域に対する経済援助の実情から見ましても、かりに日本を除く二十二カ国にこの設備を経済援助の形で与えるとしても、二千四百万ドルにすぎないわけであります。この二千四百万ドルの経済協力が、将来の次の世代の新しいこれら二十二カ国の国家建設の中枢となる若い人々の教育をレベルアップするという点においては、はなはだ出過ぎた考え方ではありますが、私は日本としては、当然たいした金のかかる問題ではございませんので、この方向に私はやはり力を注ぐべきではないか、ことに、中共が水爆とかなんとかでその周辺をおどしている今日、戦争を放棄した日本としては、むしろこの方向で各国の要望にこたえるべきではないかというように考えておりまして、今日依然として私としてはその実現を期待しながら、各方面に機会あるごとにそういう説明を申し上げているというのが実情でございます。
  220. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 私も、そういう面におきまして一刻も早く東南アジア諸国に対する教育援助、そういうものが実現することを望む次第であります。  そういう観点から言いますと、そういう放送衛星の打ち上げという問題についても、先ほど郵政大臣並びに郵政当局のお話では、あくまでも日本の力で上げるんだと。もちろんそういう日本の技術を向上さしていくという、これは必要だと思うのです。しかし、ただそれだけにこだわって何年先のことかわからない、これではあまりにも考えが狭いのじゃないかと思うのです。研究は研究として進めると同時に、また、そういう地域的な放送衛星の効果というものを考えて、私はそういうアメリカによって委託打ち上げ、そういう方法がもし安価な道であるとするならば、当然そういう道も検討すべきである、かように思うのでありますが、郵政大臣のお考えをお聞きしたいと思います。
  221. 井出一太郎

    ○国務大臣(井出一太郎君) 決してナローマインドにものを考えているわけではございません。したがって、独自の開発を進めることは、これは当然でございます。あわせていまおっしゃるような面もかたわらにおいて考慮しつつ、総合的に処置いたしたいと考えます。
  222. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 そこで、時間もありませんのでお聞きしたいと思いますが、将来わが国が地域衛星を打ち上げるとした場合に、現在行なわれておりますインテルサットの恒久化協定、これが非常にに大事になってくると思うのですけれども、現在郵政省からも派遣をいたしまして、アメリカでそのインテルサットの恒久化協定の会議が行なわれていると聞いておりますが、その会議の状況はどうか、また日本はどのような方針でこの会議に臨んでおるのか、その点を簡単に御説明願いたいと思います。
  223. 牧野康夫

    ○政府委員(牧野康夫君) お答え申し上げます。  インテルサットの恒久化の交渉につきましては、本来ならば昨年中にその協定案文ができて、本年調印することになっておったわけでございますが、昨年三月下旬休会になってからそのままの状態で準備会議だけが催されて、この二月十六日から恒久化に対する会議が再開されたわけでございます。目下いろいろ欧州を中心とする国々と、それからアメリカを中心とする国々の間にいろいろの意見の相違がございまして、特に一点は、インテルサットの管理をどういうふうにするかという問題、それを国際化して管理する、みんなが管理者を選んでいく、国々が選んでいくというような形にすべきである。片や、それはアメリカのコムサットというものにそれをやらしたらいいんだという、その間に意見の相違があって、妥協がなかなかつかなかったわけでございますけれども、昨今、ここ二、三日のところではかなり妥協の線が動いてきたようでございますが、まだまだこれが解決をするという見通しにはなっておりません。したがいまして、会期の予定はこの二十日、今週の金曜日で終了するということでございますけれども、これが延期されますのか、あるいは一たん休会に入りますのか、あるいは今後の手続をきめて、一度締めてそれからまたいつの日かきめますのか、ここ、今週の動きによってそれらがきまっていくのではないかと思っておりますが、日本といたしましては、ともかくもこの妥協に努力をいたしまして、恒久化協定締結ができるよう、調印できるよう最善の努力を尽くしている次第でございます。
  224. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 われわれとしては、恒久化協定が妥結することが望ましいわけでございますが、変な意味で妥結しては困ると思うのです。一つは、将来――大臣お話しのように、わが国がアジア地域を対象とした放送衛星を打ち上げることができるように、その余地を残しておかなければならない。いまの暫定協定はそういうことができないようになっているようですが、その点。  もう一つは、アメリカがいま出資率は五三%で、今後何もかもアメリカの言いなりになってしまってはならない。やはりほかの――日本あるいは諸国の発言権というものが、自由に発言できて、アメリカの言いなりにならないように、そのようにしていかなければならぬと、この点を心配するわけですが、その辺の見通しはどうなんですか、いま報告がきている範囲では。
  225. 牧野康夫

    ○政府委員(牧野康夫君) お答え申し上げます。  ただいまの地域衛星を打ち上げることができる権利を保留するという問題につきましては、日本がこれを主張したわけでございます。そして欧州の国々がこれに同調いたしまして、日本がイニシアチブをとりまして、かなり進み、おおむねアメリカも妥協の線を出してまいりまして、これはおおむね解決の方向に向かうものではないかと思います。二、三字句の点でまだまだ解決のつかないところはございますけれども、これはおおむね解決するものと存ずるわけでございます。  二番目の御質問の、アメリカの出資率に基づくところのウエーティングボート、つまり加重投票権、投票率の問題でございますけれども、アメリカの出資率は大体衛星の使用量によってこれを決定してくるわけでありますけれども、アメリカはかなり大きな国であるために、国内で使う通信量はそれを使用量の中に算定いたしますために、大きな数が出てくるわけでございますが、これをもう少し制限しまして、たとえば同じ国内で公海を越える場合、あるいは国境を越える場合の国内通信、ハワイ‐本土間とか、あるいは東西パキスタンの通信とかいうものはそれを入れよう、しかし、それを一応リミットをつけまして、ここまでは勘定してもよろしいという形で入れていってやっていくということで、アメリカも五三%か四%か、確かな数字はここでちょっと失念いたしましたけれども、それを四五%以内までに押えていこうということに同意いたしておりますので、アメリカの拒否権、事実上拒否権が発動できる状態というものは今後解消していくだろう、こういうふうに考えております。これもおおむね妥結の線に近づいておるように思います。
  226. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 じゃ、最後に会長にお伺いしたいと思いますが、この四十二年度現在におきましてもコンピュターを、番組技術システムには使っていないにしても、かなり事務には使っている。そういうわけで、先般質問もありましたように、これからだんだそういう機械が進んでいくと思うんですが、私はその中で、特に大事なことは番組を制作しているそういう人たちがほんとうにやはりやりがいのある、そういう環境でなければならないと思うんですね。そのためにはやはりどうするかというと、やはりそれを見ている一般視聴者のそういう反応といいますか、そういうものが番組をつくっている人の一つの大きな生きがいだと思うんですね。まあ、NHKではゼロ番組だけれども非常に反響を呼んでいる番組もあると、かように聞いているわけでありますが、そういう一般の方々の声というものが制作者にさっと響くようにどのような配慮をしておるのか。と同時に、NHKにはいま月に十数万通の投書がきておると聞いておりますが、そういう投書の処理もあわせて実際に現場の方々にちゃんと伝わっているのかどうか。その点について御意見また、今後のそういう問題に対する考え、それをお聞かせいただきたいと思います。
  227. 前田義徳

    ○参考人(前田義徳君) まず、御指摘の問題についての放送法上の法的機関としては、会長の諮問機関として、番組審議会がございます。これは東京には中央、それから各全国に八カ所に分かれて、合計九つの番組審議会がございます。この審議会が毎月一回ですが、かなり詳細に、私も会長の名において諮問いたしますし、詳細に個々の番組についても検討を行なっております。そのほか法的根拠を持つ制度としては、いわゆる世論調査所が全国的にまたきわめて細密な定期調査を行なっております。これによって法的機構としての番組の視聴者の意向反映、そういうものがある程度もうこの制度は昭和三十四年の放送法改正によって実現されており、さらに世論調査の問題については昭和二十五年の放送法成立と同時に実行されて今日に至っているわけでございます。このほか実際問題としては、たとえば個々の番組について外部の専門家も加えた各種の小委員会がたくさんございます。これによって個々の番組の制作方針、視聴者の意向の反映というものを中心にして番組制作の細部にわたってまで、まあ当今のことばで申し上げるならばきわめて民主的に決定されているわけであります。その他、午前中の御質問にもございましたが、年間三百回から四百回の間、全国の視聴者懇談会を開きまして、これはもう学生から御老人に至るまで男女の差別、職業の差別なくお集まりいただいて御意見を伺うという方法をとっておりますし、それからまた同時に各局に相談室を公開いたしまして、番組だけではございませんが、番組についてもいろいろな御批評、それから御希望を承る組織を持っております。さらにそのほか、御指摘のように投書による意見のお申し越し、あるいは電話連絡によるいろいろな御批評も非常にひんぱんでございます。私などもおそらくまあ問題が起こりますと午前六時ごろからもう真夜中過ぎまで電話に出なければならないというのが実情でございます。そういうように総合的にいろいろな御意向を反映させると同時に、私どもとしてはやはり公共放送としての番組の基本的方針を同時に持っていなければならないわけで、これは先ほど申し上げた番組審議会、経営委員会等の意向を伺いまして、いわゆる番組基準というものを製作しておりますし、この基準に従って単年度間には番組編成方針というものを内外に明らかにしているわけでございます。御承知のように、それではコンピューターとこれらの問題はどういう関係に立つかということになるわけでございますが、すでに四十四年度からは技術システムも番組システムも実行されております。たとえば万博のいろいろな番組にしましても、すべてこのシステムを通じて放送の面にあらわれているわけでございますが、その計画とかあるいは編集の方針等は機械によるものではなくて、やはりわれわれの同僚スタッフの知恵の結集と申しますか、そういうところから発生しているわけでありまして、そういう意味ではコンピューター化というものは番組の発展や質的向上とはおよそ関係がないということを申し上げたいと思います。ただフィーリング的にこの設備を使う送出の方法あるいは合理化なんという点では、まだフィーリングが一万六千すべてが同じ方向を向いているということは申し上げられ得ないとは思いますけれども、やがてこの点も順調に推移するのではないか。われわれの任務は、公共放送としてのやはりよりよい番組、よりためになる番組、それからまたより喜ばれる番組、より安心感を持ってその日の皆さんの生活能力を発揮し得る番組を制作すべきだと考えておりますので、今後も一そう御指摘の点については全力を注ぎたい、このように考えております。
  228. 近藤信一

    ○委員長(近藤信一君) ちょっと速記をやめて。   〔速記中止〕
  229. 近藤信一

    ○委員長(近藤信一君) 速記つけて。  他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  230. 近藤信一

    ○委員長(近藤信一君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより討論に入ります。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。――別に御意見もないようでございますから、討論はないものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  231. 近藤信一

    ○委員長(近藤信一君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより採決に入ります。  日本放送協会昭和四十二年度財産目録、貸借対照表及び損益計算書並びにこれに関する説明書につきましては、これを是認すべきものと議決することに賛成の方は挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  232. 近藤信一

    ○委員長(近藤信一君) 全会一致と認めます。よって、本件は全会一致をもって是認すべきものと決定いたしました。  なお、本院規則第七十二条により、議長に提出すべき報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  233. 近藤信一

    ○委員長(近藤信一君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  別に御発言がなければ、本日はこれにて散会いたします。    午後三時二十一分散会      ―――――・―――――