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1970-04-23 第63回国会 参議院 社会労働委員会 14号 公式Web版

  1. 昭和四十五年四月二十三日(木曜日)    午前十時十八分開会     ―――――――――――――    委員の異動  四月二十二日     辞任         補欠選任      白木義一郎君     柏原 ヤス君     ―――――――――――――   出席者は左のとおり。     委員長         佐野 芳雄君     理 事                 上原 正吉君                 鹿島 俊雄君                 吉田忠三郎君                 渋谷 邦彦君     委 員                 黒木 利克君                 高田 浩運君                 山崎 五郎君                 山下 春江君                 横山 フク君                 大橋 和孝君                 中村 英男君        発  議  者  渋谷 邦彦君    国務大臣        労 働 大 臣  野原 正勝君    政府委員        人事院事務総局        職員局長     島 四男雄君        厚生政務次官   橋本龍太郎君        厚生省医務局長  松尾 正雄君        林野庁長官    松本 守雄君        労働政務次官   大野  明君        労働大臣官房長  岡部 實夫君        労働省労働基準        局長       和田 勝美君        労働省職業安定        局長       住  榮作君    事務局側        常任委員会専門        員        中原 武夫君    説明員        林野庁職員部福        利厚生課長    猪野  曠君     ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○家内労働法案(小平芳平君外一名発議) ○最低賃金法案(渋谷邦彦君外一名発議) ○労働問題に関する調査  (公共職業安定所の業務に関する件)  (酒造労働者の労働条件に関する件)  (白ろう病に関する件)     ―――――――――――――
  2. 佐野芳雄

    ○委員長(佐野芳雄君) ただいまから社会労働委員会を開会いたします。  委員の異動について御報告いたします。  昨二十二日、白木義一郎君が委員を辞任され、その補欠として柏原ヤス君が選任されました。     ―――――――――――――
  3. 佐野芳雄

    ○委員長(佐野芳雄君) 家内労働法案(参第四号)を議題といたします。  発議者から趣旨説明を聴取いたします。渋谷邦彦君。
  4. 渋谷邦彦

    ○渋谷邦彦君 私は、公明党を代表いたしまして、ただいま議題となりました家内労働法案につきまして提案理由並びにその概要について御説明申し上げます。  最近における日本の経済の進展は、世界の驚異の的となるほどの高度成長を遂げ、いまや国民総生産は、自由主義諸国において世界第二位を誇るまでになったのであります。しかしながら、政府、経済界のとってきた成長第一主義の政策が経済面、社会面にも多くの矛盾を表面化させたことは、政府自身も、これを高度成長のひずみと称して認めているごとく、いまや周知の事実となっているのであります。  世界的水準に達した先導産業部門の輝かしい活動の陰にあらゆる点で不利な条件のもとで悪戦苦闘する農業、中小企業の低生産部門の存在という経済の二重構造は依然として解消されないばかりか、逆にこれら産業間、企業規模間の生産性格差はますます拡大するに至っているのであります。この背景の中で中小企業は生き延びるために、少しでも生産費を安くし、また親企業である大企業からの注文を減らされても、作業量が調整できる体制を必要とせざるを得ないのであります。この条件にちょうど合致するのが家内労働に委託するということなのであります。したがって、家内労働者は初めから低賃金と苛酷な労働をしいられる仕組みとなっているのであり、家内労働に委託する委託者側の利用価値は非常に高いという実情、言いかえれば中間搾取が行なわれているのであります。  すなわち第一に、多くの場合、家内労働者の工賃は、関連労働者の賃金より安く済むということ。第二に、労務管理の費用の手数が節約でき一般の雇用労働者に対するような各種の福利厚生施設を設ける必要がないこと。第三には、季節や景気の変動に応じて委託費の調整が容易であること。第四には、生産手段である機械設備は家内労働者のものであることが多いから、その維持、償却が問題にならないこと。第五に、納期をある期間、任意に決定することができること。第六に、土地、建物、機械設備に投資する固定資本が省ける等々この委託者側の有利性はそのまま家内労働者にとって劣悪で不当な労働条件となっているのが実情であります。  現在わが国の家内労働者数は政府の公表した資料によれば約百四十三万人といわれておりますが、従来これらの人々に対する法的な保護が皆無の状態であったことはまことに遺憾と言わざるを得ないのであります。わずかの自治体において公共内職補導所を設けて、内職の無料あっせん、技術の補導といった窓口事務を行なっておりますが、これとても設置の法的根拠は全くなく、過去十年間家内労働者に対する保護は放置されたままで今日に至ったのであります。  このように家内労働に対する労働行政の欠如から去る昭和三十三年、東京・浅草一帯を中心に続発したベンゾール中毒事件が発生し強度の貧血を起こす従業員が続出し、またとうとい生命までも奪われた悲惨な状況は記憶に新たなところであります。事件後の調査によると、労働安全問題だけでなく、工賃不払い問題、衛生問題など労働条件がきわめて劣悪な状態であることがわかり、政府もようやくにしてこのことを発端に家内労働法案の作成に着手し今回漸く政府案が提案されましたが、従来はこうした労働条件、労働衛生に関する規制を行なっているのは労働基準法のみで、しかも、同法はいわゆる雇用労働者が対象で家内労働者はその適用を受けられないことは御承知のとおりであります。  この十年間、実態をつかんで立法措置と言い続けて、いまだに十分な家内労働の実態も捕促できないばかりか、何ら具体的な対策を実行しなかった政府の無責任、無能ぶりは労働行政の大きな欠陥であります。  なお、政府案の内容を検討してみると重要な問題点が隠されております。  まず、最低工賃の決定でありますが、政府案では労相・労働基準局長が地域ごとに賃金格差を認めているが、これでは低い工賃を引き上げ一定水準の工賃を確保するという本来の立法趣旨とは、相いれないものになってしまいます。最低賃金法のかね合いから考えても、この最低工賃は全国一律を目ざすべきであります。  また、政府案では最低工賃を義務づけていないことも、その実効力を弱くしこれが欠陥となっております。労働時間の規制についても同様のことが言えます。すなわち、同地域の同業務に従事する労働者の通常の労働時間をこえて就業することとなる委託契約を結ばないようつとめなければならないとなっており、全く実効を伴っておりません。労働基準法の精神からいっても労働時間を具体的にきめ、実施を義務づけなければ無意味であります。  そのほか家内労働審議会の設置をうたっているが、実際の運用にあたっての監督組織については触れておりません。たとえ労働基準監督官がこの任に当たることをきめても、現状ですら第一線監督官が全国でわずか千九百人くらいであることを考えれば、やはりこれも専門の家内労働監督官を置いて指導しなければ、せっかくの法案も実効力が期待できないおそれがあるのであります。  以上幾つか取り上げたように、政府案は肝心な点がぼかされ、非常にあいまいもこなものになっています。  したがって、わが党は、政府案のすべての欠陥を整理して弱い家内労働者の立場に立って独自の家内労働法案を提出する次第であります。  次にこの法案の概要について御説明申し上げます。  第一に、家内労働の条件には、家内労働者と委託者が対等の立場において決定するとともに、委託者は家内労働者の国籍、社会的身分等を理由として差別的取り扱いをしてはならないことといたしました。  第二は、家内労働者の就業時間は一日八時間週六日とし、委託者は危験有害な業務をまた十五歳未満の児童に委託してはならないこととしました。  第三には、工賃には原則として週一回直接通貨で支払うこととし、最低工賃は、わが党の最低賃金法に定める最低賃金を考慮して定めることとしました。  第四に、家内労働監督官を置き監督組織を設け、家内労働者の最低工賃、並びに安全及び衛生について万全を期することとしました。  第五に、家内労働者が家内労働条件について委託者と交渉するための労働組合を設けることができることとしました。  以上がわが党の法案の内容の趣旨でありますが、何とぞ慎重に御審議の上すみやかに御可決あらんことをお願いいたします。
  5. 佐野芳雄

    ○委員長(佐野芳雄君) 本日は、本案に対する趣旨説明の聴取のみにとどめておきます。     ―――――――――――――
  6. 佐野芳雄

    ○委員長(佐野芳雄君) 次に、最低賃金法案(参第五号)を議題といたします。  発議者から趣旨説明を聴取いたします。渋谷邦彦君。
  7. 渋谷邦彦

    ○渋谷邦彦君 ただいま議題となりました最低賃金法案につき、提案者を代表いたしまして、提案理由並びに内容の概要を御説明申し上げます。  申すまでもなく、国家が強制力をもって賃金の最低限を規定する労働者保護の立法、すなわち最低賃金制は、近代国家に不可欠の制度であります。ゆえに、ILO二六号条約、最低賃金決定制度の設立に関する条約は、一九二八年のILO総会で採択されて以来、七十六カ国が批准を終了しております。  わが国は、先進工業国として大きな躍進を遂げながら、いまだにこれが批准されておりませんが、これは政府の労働政策の重大な欠陥と言わざるを得ません。近代産業国家においては、いかなる労働者に対しても、労働者の最低生活を保障するとともに、企業間の不公正な競争を防止し、経済の健全な発達と産業平和、労働市場の近代化を達成することがきわめて重要であります。  すなわち、企業にとっても、必要以上の低賃金低生産性は、決してプラスとはなりません。  しかるに、わが国の最低賃金法は、昭和三十四年四月に成立いたしましたが、その内容はいわゆる業者間協定がその主体となっておりました。御承知のとおり、これがILO二六号条約の労使平等の原則に反していたことは言うまでもありません。  政府もようやくその非を認め、さる第五十八国会において改善を行なっておりますが、われわれは、この措置にすら、労使平等の原則を十分に尊重していない非民主的な要素を指摘せざるを得ません。すなわち、本来の労働者保護の精神を十分に確立したものとは認めがたいのであります。  そこで公明党は、大衆福祉実現のために、すべての労働者に最低賃金を保障することといたしました。  次に、法案の内容について御説明いたします。  まず、第一に、すべての労働者に、健康で文化的な生活を営むために、必要な最低賃金を全国一律最低賃金とし、十八歳の労働者に必要な生計費の全国平均によって算出することにいたしました。  第二に、右の全国一律最低賃金の決定または改正は、中央最低賃金委員会がこれを行なうこととし、同委員会は、労使各十人及び公益五人の委員をもって構成することといたしました。  第三に、中央最低賃金委員会は、一定の地域内の十八歳の労働者に必要な生計費が、全国平均に比して著しく高い場合に、当該地域についての最低賃金を決定することができることとしました。  第四に、以上のほか、労働協約に基づく一定の地域内の産業別最低賃金を認めることができることとしました。  何とぞ慎重に御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願いいたします。
  8. 佐野芳雄

    ○委員長(佐野芳雄君) 本日は、本案に対する趣旨説明の聴取のみにとどめておきます。     ―――――――――――――
  9. 佐野芳雄

    ○委員長(佐野芳雄君) 労働問題に関する調査を議題とし質疑を行ないます。  御質疑のある方は順次御発言を願います。
  10. 大橋和孝

    ○大橋和孝君 私は、ここに兵庫県伊丹地区の労働者が不当にその労働基本権を侵されたデータがありますので、ここで地元の伊丹の職安行政その他につきまして、きょうは少しお伺いしてみたいと思うわけであります。  まず、第一に、昇かめさんという方が伊丹の職安に求職を申し込んだ例があるわけでありますが、これは昭和四十四年の六月六日であります。そして、同月の二十四日になっても仕事もなく、紹介されないので、中高年齢の就職促進措置の申請をしたのであります。その際、指導官の指示に従って必要な証明書を提出したわけでありますが、七月二十五日、伊丹職安は本人の前歴の事実がうそであったといって、その理由で適用申請は認められないということを本人にまた通知をし、さらに不服のときは県知事に不服審査の請求をせよという指導をしたわけであります。  八月二十七日に、本人の訴えによって尼ケ崎労働基準監督署は、前雇用主稲葉須賀子を事実調査したところ、雇用の確認と離職証明が稲葉須賀子から送付されてきたけれども、八月二十八日、本人は伊丹職安の処分を不服として県知事に不服審査を請求し、そして本年四月三日になってから、八カ月も放置されて、県知事から裁決書が送付された。しかし、その内容は、伊丹職安の処分の内容は間違っている、処分は不当であるとしながらも、離職証明に偽りがあったので不認定の理由になると、伊丹職安を支持してきたのであります。  以上が大まかな事実経過であろうと思うのでありますが、まずこの事件における労働省本省への報告なり、調査に基づいてどのように考えておられるのか、そのあたり詳しくひとつお伺いしたいと思うのです。
  11. 住榮作

    ○政府委員(住榮作君) ただいま大橋委員から御指摘の、昇さんの中高年齢者等に対します就職促進の措置に関する事実につきましては、おおむね私ども御指摘のとおりのような事実と承知いたしております。
  12. 大橋和孝

    ○大橋和孝君 私がここでお伺いしたい点は、この職安行政が机上で行なわれているということでありまして、実際、求職――それもまた中高年齢層の身寄りのないところの一求職者、実際の苦しみとの間に大きな隔たりがあるということであるわけであります。もっと血の通った行政が行なわれない限り、一人の労働者が、身寄りのない高年齢、七十四歳というような高年齢の人がこういうようなふうにして、ただ机の上で、間違っているとか、あるいはまた、これはどうだとかいう、そういうふうな通り一ぺんの処理をされておると、しかも、法規のとおりにかってに不服申請をしなさいというふうな形だけでは、私は、あまりにも血の通った行政とは思われないのであります。労働者の基本権は完全に守られておるというふうな解釈の点から言えば、もう少し血の通った行政をしないといけないと思うのでありますが、この辺に対して、一体、本省のほうでは、局長のほうではどうそれを把握しておられるか。そういう観点からどういうふうに受け取られるか。こういう点について、もう少し具体的に話を伺いたいと思います。
  13. 住榮作

    ○政府委員(住榮作君) 安定所の仕事は、求職者に対しまして、その能力に適合した職業に紹介する、あるいは求人者に対しましては、その雇用条件に適合する求職者を紹介する。これが職業安定法における職業紹介の基本原則になっております。特に、求職者の立場に立ってものを考えますとき、ただいま先生から御指摘ございましたように、ほんとうに親身になって懇切にいろいろの職業相談をし、本人の能力なり、適性というものから考えてみて適当な職業に紹介する。そういう意味で、ほんとうに求職者の立場に立って私ども職業紹介に当たるべきであるというように考えておりまして、そういうような指導をしておるのでございますが、率直に申し上げまして、安定所の現状におきまして、求職者の方々もふえてきておりますが、間々そういう事例が起こることについて非常に遺憾に思っておるのでございますが、私ども、常に地方に、先ほど申し上げましたような趣旨が徹底するように指導をいたしておる次第でございます。
  14. 大橋和孝

    ○大橋和孝君 この昇かめさんと申します方の例を見てみますと、これは七十四歳になる。しかも、あなたのほうの調査を聞きますと、私のほうの調査とはちょっと食い違うものがありますけれども、この稲葉須賀子といいますか、これがその弟か何かの会社のいわゆる給食の下請をやっておられる。そこで、この稲葉さんのところに雇用をされて、そしてその弟さんの会社の給食のさら洗いなんかも手伝っておった。また、稲葉さんの家庭のことも少しは手伝っておったということの調書がきておるわけでありますが、いずれにしても、稲葉さんに雇われておった。ところが弟さんの会社のほうとは雇用関係がないのに、弟さんが証明書をつくった。これは稲葉さんがつくったものでないから偽りだというような認定のしかたでありますけれども、私ども、ちょっと調査したところでは、その稲葉さんという人がその工場の給食を全部引き受けてやっておる。それで、その人を雇用してやっておるならば、その書いた人は弟であろうと、やはりこの労働雇用関係は成り立っておるわけであるし、会社の中でも、やはり給食の面で手伝っておる。これはいままでほかの会社あたりではたくさんあることであって、食堂関係あるいはまた製造関係を下請されておるというようなことはあるわけなんでありまして、そこらのところに多少の取り違いはあったかもしれないけれども、何かあなたのほうの調書を見てみるというと、そうした認定申請をするときには証明書が必要だから証明書をとにかく書いてくれ、こう言われて書いたものが、それがうそを書いたというような上っつらの、いわゆる机上の調査だけでこれを処理するということは、やはりそこらのところに、先ほど申したような労働者に対する血の通った行政ということがある程度欠けているのではないか。少なくとも、その離職証明書の事実云々よりは、離職証明をどういうふうにしてあなたのほうでは評価されるのか。これは離職証明書を通じて、本人が離職はしたけれども、将来、その職に対しての希望があるかないかを調査するわけであって、そういうことに資するものだとするならば、現実そういうことであれば、たとえ兄弟の会社関係であって、弟がやっておれば、弟のほうがそうしたことに対して証明書を書くこともあり得ることなんだろうと思うのでありますが、そういう点で表面的に、手続上からいえば多少そこのところに事実と間違ったところがあったかもしれないけれども、やはりそれらの点は七十四歳の高年齢者がそういうことをやってくることについての間違いは、間違いがどこにあるかということをもう少し血の通った観点から見てやる必要があるのではないか。これはいろいろな意味におきまして、こういう事件の背後にいろいろの思想的なものがあるかどうかということは別問題として、そういうことに触れなくとも、やっぱりもっと労働行政というものは、労働省は働く者の味方であって、働く人たちに対してはあたたかい手の届いた行政をやるということがなければ、この中高年齢の、しかも、社会的にも非常に取り残されたと言っては失礼かもしれませんけれども、一人であまり身寄りがないという七十四歳ぐらいの人たちはいろいろのことに困るわけです。あちらこちらにものを頼んでやっておると思いますけれども、そういうことを考えるときに、やはり労働省、ことに職安、その第一線の職安行政というものは、あたたかい手で取り扱いをしていくことによって初めてその人たちが健全な方向にいけると思うわけです。こういうことがおくれていると、いろいろのところに回っていくことになるわけですから、労働行政が正しくいく上においても、私は、こういう点についてはもっと血の通った行政をしなければいかぬのではないか。しかも、不服申請を出して長いこと放っておいた。八月だから半年以上も放っておいて、そうして却下の通知がきたということなんかも、その間にそのくらいの日にちがかかることは事務上考えられるかもしれないけれども、その点なんかはもっと血の通ったやり方があるのではないかと思うんです。この事実についてはどうなっておるか。安定局長のほうでは、これをどう把握しておられるか。そういう点をもう少し明確にしてもらいたい。あなたは東京におられるが、末端の安定所では意外なことになっておる、こういうことは非常に労働行政の本旨から言っても間違っておるのではないかというふうに思うわけでございますから、一ぺんその点について詳しくひとつ御説明願いたいと思います。
  15. 住榮作

    ○政府委員(住榮作君) 事実の経過は、先ほど大橋委員御指摘のとおりでございますが、その事実の内容について、安定所の判断いたしましたところは、先生の御指摘のございました昇さんの提出されました稲葉さん発行の離職証明書が稲葉さんが書いたものではないということ、それから雇用期間、これが問題のところだと思うんですが、安定所の判断としましては、四十二年十一月の二十日間だけであったというようなこと、これは知事の裁決書には、本人の申し立てどおり、昭和四十二年十月から四十四年四月まで雇用されておった。これが非常に先生の御指摘の事実との相違になっておるわけでございますが、そういうようなことで、安定所は事実と相違するということで、就職促進措置の申請に対しまして不認定の処分をいたしておるわけでございます。これに対しまして、行政不服審査法に基づく審査請求が兵庫県知事に対してあったわけでございますが、兵庫県知事といたしましては、先ほど申し上げましたように、昇さんが四十二年十二月から四十四年四月まで稲葉さんの家におきましていろいろ家事なり、炊事の手伝いとかその他の仕事に従事されておった。それで月一万円の金額が支給されておった。したがって、その期間、稲葉さんに雇用されていたことは事実であるけれども、稲葉さんの作成しない離職証明書を稲葉さんの作成したものと偽って提出したことは、職業安定法に定める誠実かつ熱心な求職者であると認められない。また、稲葉さんの弟の松山さんに、失対に入るための証明書が要るのだということで再三申し出をして離職証明書を書いてもらったというようなところから、安定所の不認定の処分は妥当である、こういうような裁決になっておるわけでございますが、その経過は別といたしましても、少なくとも、その間、兵庫県知事の裁決にもございますように、二十日間しか雇用されていないとかいう事実が、ずっと雇用されていた、こういうことに対する安定所の親身の調査なり、相談が十分であったかどうか、それは御指摘のように、安定所としては私は、この事件について直接聞いたのでございますが、できるだけそういうことのないように慎重にやったのだということを言っておりますけれども、結果としてそういうような相違が出てきておるのでございまして、そういう意味で、最初に申し上げましたような配慮が欠けていたきらいがあるということは率直に認めざるを得ないというように考えております。
  16. 大橋和孝

    ○大橋和孝君 非常に前向きの答弁をしていただきまして、私、非常にそうした熱意を持っていただくことに対しては敬意を表したいと思います。この場合、初めあれが出されておるところから見れば、当然これはいけないとされることもルールだと思います。しかし、考えてみるとよくあることなんで、たとえばその給食だけを引き受けておる稲葉さんがこうして家事も手伝わしておった、あるときには皿洗いに使っておったということです。年寄りだから月一万円くらいやっておこうということで、雇用関係は事実できておったわけですが、会社関係では、そういうことが起こりやすい。これを雇用関係がもうひとつ厳重でなかった、明確でなかったかもしれませんということで、通り一ぺんの解釈でいえばまたそういうことも起こり得るわけです。また、今度はこの職安に出さないとぐあいが悪いから証明書がほしいと言った事柄が、いかにも考え方によればうそでもいいから証明書を書いてくれ、書いてもらわなんだらこの手続は困るから、むやみに書いてくれと言ったとも解釈できる。今度の事件は、よく調べてみるとそうではなくて、やはりこの証明書は出さなければぐあいが悪いと聞いてきたから書いてくださいと主張した。本人が素朴で、七十四歳であったために、それも事実がなくて書いてくれと言ってせがんだのではなくて、ここに出すのだということを主体的に言ったために、これがむしろ誤解を招いたということにもなり得るわけでございますが、こういうケースは各所に起こると思うのですね。ほんとうに雇用関係が明確でなくても、離職証明書がなければ安定所に申し込みができない、却下されるから、うそでもいいからつくってくれ――うそでもいいからといってつくったらできたというケースもたくさんあるだろうと私は思う。ほかにもたくさん聞いた例があります。そういう悪い例もありますけれども、この七十四歳の人は、あまりそういうことがなくて、証明書がなかったら手続ができないと言われたから、それで書いてくださいと言ったために、事実は別としても、その証明書を強要したというふうにも解釈されるわけです。事実こういう点はたくさんあるわけですから、ケース・バイ・ケースとして、最初に私が申し上げましたように、的確に職安行政というものは血の通ったものをやってもらいたい。そうでないと、彼らは弱いがためにかえってものを頼みに行って横車を押すことがあるわけですから、あたたかい行政をやることを先行させないと、職安行政が曲ったものになる。曲らないように正しく行政面でやってもらいたいということを強調したいと思います。私は、その正しさは血の通ったものでなければならないということを考えるわけで、それを先行してもらわないと非常に不満があっちこっちでできて、その不満に便乗して正しいことを曲って出していくという例も起こってくるから血の通った前向きの調査をして、そしてほんとうに納得さして、それでは悪かったから引っ込めますというようなケースはそのときに浮き彫りにしてもらうことも必要であろうが、そうでなくて、当然やらしてもらえると思ったことが、それが却下されることによって、不満があちらこちらに広がって行政が曲げられるということもないわけではないのでありますから、そういう点では、特にこれは注意してもらわなければならない。今度のケースの場合も、そういうふうな点からひとつ局長のほうでこれに対して前向きの姿勢でやってもらいたいということをひとつ強く要望しておきたいと思います。  それからもう一点、これは大臣にちょっと最後に伺っておきたいと思うのですが、現在、わが国の人口の老齢化が急速に進んでおります。御存じのとおりだと思うのですが、こういう中でも、やっぱり中高年齢層の中のいわゆる残存労働力、これを活用することは、若年労働者の過不足の現状から見ましても、あるいはまた高年齢者の対策、老齢保障の見地からも、私は、ぜひとも必要な施策であると思うのであります。特にここで強調したいのは、中高年齢の残存している労働力、これを十分に活用することが必要だと思うのです。よく言われているように、年よりだからもう生活保護で処理したらいいじゃないか、こういうことばがあるわけです。ところが、生活保護で老人ホームに収容するにしても、私は、やっぱり残った残存の労働力というものをいかに活用するかということが現代では非常に重要な問題だと思います。その残存の労働力がたとえ一〇%でも二〇%でも、それに適応した職業をあっせんすることによってそれが補っていかれるということになれば、労働力不足のときには非常に意義があると思うのです。また、老人が非常にさびしがるとかあるいは厭世観を持つとかいう点でも、やはり働く喜びというものは根本に非常にあるわけでありますからして、そういうものを労働の面で十分に活用してもらうということは、このごろでは特に重大ではないかと、こう思うわけであります。そういうことから考えましても、本件もこのような視点から見ますと、やはり紋切り型の窓口行政ではいけないんだと、こういうことをこの問題で考えるわけです。中高年齢層の雇用促進は、口先だけではなくて、ほんとうにすみずみまで行き届いたような行政が行なわれないといけないと思うわけでありますから、労働大臣のこの問題に対しての、あるいはまた、そうした全般的な面からのひとつ御決意のほどを聞いておきたいと思います。
  17. 野原正勝

    ○国務大臣(野原正勝君) 大橋先生の御意見、先ほどから伺っていましたが、私は、まさしくおっしゃるとおりであると思います。この場合、昇さんですか、まだこれからも働きたいというお気持ち、まことにとうといと思います。七十四歳ということになれば、普通ならば仕事はしたくない、できないということであると思うんですが、にもかかわらず、まだこれからも、からだの動くうちは働きたいというお気持ちについては、非常にこれからの高齢者の方々に対してもっと親切にあたたかい気持ちでそうした願望をかなえてあげる。そのためにも、やっぱり職安行政というものは、そうした高齢者のお気持ちになりかわって、できるだけのあっせんを申し上げていくということであろうかと思います。だんだん年をとりますというと、ただ働きたいと言われましても、なかなか容易でない場面が出てきて、そこにはまた一つの別個な社会保障なり、そうした点で救わなきゃならぬ点もあると思いますけれども、とにかく、お年をとっても働きたい意欲を持っておるという者に対しては、できるだけそれを活用していくということが必要であろうと思います。したがいまして、これからの労働行政につきましては、先ほど来、御指摘のとおりの点で十分対策を講じてまいりたいというふうに考えておったわけでございます。
  18. 大橋和孝

    ○大橋和孝君 それでは、この問題は、大臣のお話を承りましたので、特にこの窓口行政をあたたかいものにしていただきたいということを申し上げて、ひとつよろしくお願いしたいと思います。  それから次に、労災関係についてひとつここでお伺いしたいわけでありますが、兵庫県の灘地区で起こりました事件に基づきまして、労働省の考え方をお尋ねしたいと思うわけであります。今国会におきましても、労働災害補償保険法の改正案が内閣から提出されておりまして、いずれ本委員会にもかかってくるものと思われるのでありますけれども、最近、特に労働災害があらゆる職場で多種多様な形で激増いたしておるわけでありますが、その多くは、対策が確立していないために、人災とも言えるものが多いことはすでに明らかになっておるところであります。そこで、この事件でありますが、これはすでに法廷に持ち込まれて争われておる事件でありますので、いずれそこで決着がつけられるだろうと思いますけれども、私は、この基準監督行政のあり方という立場から、この事件を中心にしてちょっと質問してみたいと思うわけであります。  事件の概要は、昭和四十年十二月に、松本要蔵さんという酒の杜氏さんが神戸の東灘の酒造会社に働いておって、作業中に突然脳内出血で倒れて、近くの診療所にかつぎ込まれた。そして、翌年一月に二万円のお見舞い金だけで解雇されてしまって、故郷の同県の朝来郡山東町に帰ったのでありますが、農作業もできなくて、後遺症で苦しんでおる。こういう例であります。そして同年十二月に、西宮の労働基準監督署に労災適用申請を申し出たのでありますけれども、業務外疾病の理由で申請を却下されてしまった。これが概要であるわけでありますが、さらに四十三年十二月に訴状を提出して民事訴訟を起こしておるのであります。この事実経過については、すでに労働省のほうへは報告が入っていると思われるのでありますが、本省としては、これはどのように把握しておられるか、局長のほうからひとつ聞かしてもらいたい。
  19. 和田勝美

    ○政府委員(和田勝美君) ただいま大橋先生の御指摘の松本要蔵さんの脳卒中で倒れられたことでございますが、いまお話がございましたように、昭和四十年の十二月二十七日に、松本要蔵さんが木村酒造で床もみ作業中に、ことばがもつれて作業が不十分になりまして、からだの異常を訴えられたので、同僚にかかえられて高橋病院に入院されて、四十一年の一月三十一日まで入院治療をされました。これに対しまして、四十一年の三月二日に所轄の労働基準監督署であります西宮労働基準監督署長に対して、療養補償給付及び休業補償給付の請求書が提出されました。それは発病されてから入院加療をしておられました四十年十二月二十七日から四十一年一月三十一日までの分の請求でございましたが、これに対しまして、四十一年十二月八日、不支給の決定通知を監督署からいたしました。この間、非常に時間が経過しておりますのは、いろいろの事情があったようでございますが、そういうことでございます。それで、不支給決定通知を申し上げると同時に、御本人から兵庫県の労働基準局審査官に審査請求がございまして、四十二年七月の十七日に審査請求に対する棄却の決定をいたして通知を申し上げたところ、同年十月二十六日、労働保険審査会に再審査請求がなされました。請求代理人は息子さんの松本省平さんでございます。四十三年三月二十八日に第一回の審理を行ないまして、それ以後二回ほど審査をいたされておるようではございますが、ただいま先生がお触れになりましたように、その間、民事訴訟を提起されております関係上、審査会に対してしばらく審査を延期をしておいてもらいたい、こういうような御希望が松本省平さんからございましたので、現在、その請求代理人の御要望をいれて、審査会ではしばらく審査を延期をしておる、こういう状況のようでございます。  この問題点になりますのは、実は私ども脳卒中につきましては、これは大橋先生御専門でお詳しいわけでございますが、そういうような考え方でいままで事案の処理にあたっております。と申しますのは、中身を申し上げますと、脳卒中につきましては、業務上に起因しない状態で発生する場合も非常に多うございますので、なかなか業務と密着をして脳卒中が出るという判断がしにくい場合が多うございます。私どもとしましては、業務上の取り扱いを過去にもしばしばいたしておりますが、その際の判断基準としては、仕事をしているうちに頭部に何らかの外傷が与えられたことによって発生するような場合は業務上と判定をいたす。それから、動脈硬化あるいは高血圧の症状がある程度おありになる方が、業務が非常に繁忙になったために、その結果、これらの状態が重なりまして発病をするというような場合も業務上にするというようなことで、御本人の一つの症状と労働環境とのかね合いに対する判断の上で、業務がそういうように異常に忙しかった、そういうような状態の場合には業務上に判定をするということにいたしまして、それ以外の場合は通常業務外と、こういう扱いをいたしております。本件の場合につきましても、西宮監督署が判断をいたしましたのは、いま申しました二つの要件が松本さんの場合はなかったのではないかという判断のもとに業務外という認定をいたしました。しかし、ただいま審査会においてせっかく審査中でございますし、裁判所でも争われていることでございますので、裁判所及び審査会の結果を見ました上で私どもとしての処置を講じてまいりたい、かように考えております。
  20. 大橋和孝

    ○大橋和孝君 まことにこの種の疾病は、業務上と業務外ということについては非常にいままでからも問題が多かったところであります。この事件の発生は、原因といたしまして、実際は休日なしで二十四時間勤務体制をとっておる。また、真夜中にも断続的に労働に従事しなければならない。かつまた長時間の時間外勤務をさせておるとか、あるいはまた摂氏三十度くらいの高温の多湿、こういう悪い条件の作業環境で重いものの運搬や、あるいは中腰の作業などが非常に多くて、疲労度なんかを見ますと、非常に高い作業に従事していると言わなければならぬことが事実だろうと思う。私も京都の伏見におりまして、酒屋のたくさんあるところでありまして、よく往診に行ったりして、いままでは医者の立場からこういう作業場を見てまいりました。これは「室」と申しますか、温度と湿度を保たないと発酵しないために、非常に空間を制限して、そして温度を保つほうがいいものができるという昔からの慣例があってであろうと思うのでありますが、おそらくまともに歩いては通れない低いところに入って中腰で、はうほどではないけれども、中腰でなければいけない。しかも、それが温度が高くて湿度が高い。それが発酵さすという条件になっている。しかも、そこではお米もたくさん動かさなければならぬものですから、相当重いものを持たなければならぬ。こういう非常に悪い条件で、また、この杜氏制度というものは、何か親方があって、何人かのそうした季節労働者を連れてきて働かせる。ところが、その親分に気に入られないと次に来るときには省かれるかもしれない。こういう関係で、何といいますか、親分子分のような形になって、その杜氏さんの言うことに従ってその地域の人が集まってくる。こういう条件でありますから、まあ、みたいな形になって労働関係が行なわれておる。また、その勤務が先ほど申したように発酵所とか何か、そういうことでありますし、年じゅう手がかかるわけでありますから、時間的にも非常に不規則である。しかも、私どもよく見ますと、何といいますか、ほとんどまる裸に近いようなかっこうで働かなきゃならぬ。この例におきましても、低い中に入っておるために頭をしばしば打ったことがある。こういう環境、労働条件のところで働いておるというようなことを私どもよく見ておるわけでありますが、労働省といたしましては、こういう劣悪な労働環境、あるいはまた勤務体制、あるいは労働者の健康管理というこの指導の面では、現在まで各業種別にいろいろな指導をなしてこられたであろうと思うのでありますが、このような酒造場、こういうようなものに対しては、いままでどういうふうに具体的に指導してこられたか、私は、非常に問題だと思うのですね。このごろだんだん近代化されておりますから、私ども、大きい酒造場では、そういうことがないようなところもよく見ておりますけれども、まだそういう条件にあるところが多い。ですから、そういうものに対してどう指導してこられたか。こういうことは非常に大きな問題と思うし、今後の雇用条件、雇用状態のあり方についても、あるいはまたその生活環境においても、労働条件についても、三方面から相当配慮をしなければ、こういう問題、災害が起こってくる。これはもうまことにそういう観点から言うならば、むしろ人災であると、先にそういう条件を整備しておけば、まだ率が少ないのではないか。いわゆる高血圧あるいは高年齢であるから起こったってあたりまえじゃないかと、言えば、あたりまえかもしれません。けれども、条件をよくすることによってそういう発病が減るとなれば、その部分だけがこの労働の災害によって起こったということにもなるわけでありますから、私は、この人災を除く意味におきましても、そういうことに対しては相当積極的な指導なり、あるいはまた監督なりをされなければ、やはり働いておる者は非常に困るのではないか。やはり季節労働者として、いなかで百姓をやっている人が働くのにはまことにいい職場であるとしていま集まってくるのでありますけれども、その杜氏の親方がそういうことでヘゲモニーを持って劣悪な条件でそれを押えていくということであれば、やっぱり働いておる人に対しては生涯浮かばれないということになるわけであります。それらの観点からやはり働いておる者の立場に立つ労働省として、こういうものの指導ということはほんとうに大事じゃないかと思いますが、具体的な指導のあり方について一ぺん詳しくひとつ説明してもらいたい。
  21. 和田勝美

    ○政府委員(和田勝美君) ただいま先生の御指摘の中にありましたような勤務状態が非常に悪い、あるいは非常に長時間の時間外労働が行なわれているというようなことにつきましては、実は、私ども、中小企業一般の問題として、そういうことのないように、労務管理につきましては単に基準局というだけでございませんで、労働省全体として集団的に労務管理の改善指導というようなことでやらしていただいております。もちろん、基準法違反の事実があるような場合には、厳正な態度でその違反の是正をさせるということでございます。一般的にはそういうことでございますが、本件のような酒づくりというような場合におきまして、松本さんが従事をしていらっしゃいました床もみ作業は、これは先生がいまお話のように、確かに発酵をさせます関係上、相当高い湿度の中で、しかも相当の温度、大体これはおそらく裸でおやりになっているのがほとんどだと思います。私もそういうのを拝見したことがございますが、しかし、酒をつくるにはどうしてもそういう状態でなければできないと、まあ俗に言われております。最近は非常に大きな作業で、そういう場面に人が立ち会わなくてもいいような状態がだんだんできているようでございますが、それは全体として、まず数少のうございます。どうしても、こういう環境のもののほうがむしろ酒造業では一般的ではないかと思います。それと、松本さんは当時六十一歳のようでございまして、この年齢から拝見しましても、相当長い杜氏生活をお続けになっているんじゃないかと思います。そういたしますと、この床もみ作業は相当おなれになっていらっしゃったんではないかというように考えます。ただ、いかにも天井の低いところでございますから、確かに腰をかがめたり何かして作業をなさるのが通例だと思いますが、具体的なことまで実は私ども手元に資料がございませんが、いま御指摘のような点につきましては、一応監督署の認定は、外部傷害というようなものを認めておらないようでございますけれども、さらに私どもとしても、監督署から所要のひとつ報告を受けまして判断をいたしたいと思います。一般的には、労働条件が悪いところで働かせるということは決していいことじゃございませんので、ぜひ改善をするようにさしていただきたいと思いますが、本件につきましては、具体的な資料が手元にございませんので、取り寄せた上でまたお答えを申し上げたいと思います。
  22. 大橋和孝

    ○大橋和孝君 これは局長の御説明の中にもありまして、もっともだと思うのでありますが、いまお酒をつくる段階でなかなか機械化されてりっぱな設備もできております。こういうのも見ておるわけでありますが、それを一般化して機械の力で醸造、攪拌を全部やるということは非常に至難だと思います。けれども、私は、ここで局長にあるいは大臣に考えていただきたいと思うんですが、もう非常に劣悪な労働環境を改善するという方向は、これだけ高度に経済が成長した中で、またその機械設備も非常に導入されているところですから、たとえば小さい地づくりの酒屋さんであっても、共同的に何かするとか、いま日本のこの経済の状態、あるいはまたいろいろ科学的にも機械の点において発展をしている中で、もっと前向きな方法がとられていいんじゃないか。まだ酒屋さんあたりは、旧態依然として昔のそれをやるのが一つのもう誇りであるというような形でもって行なわれているということは、裏返して考えれば、労働者に対しては相変わらずの悪い条件を押しつけて、そうして、連れてくる人、いわゆる杜氏の頭というものが何か一つのボス的な存在になって、その人のところにおじょうずをしなかったら、続けて季節労働者としては行かれない。この例もそうだろうと思いますが、とにかく相当長く杜氏生活をしていると、杜氏からやめさせられるということは、いままでの杜氏の職業を切られるようなものだ、からだを犠牲にしてもついていかなければならぬというような状態が続いているわけです。こういう状態をどこで打破できるか。こういうようなものをもっともっとなくしていかなければならぬ段階で、しかも酒をつくる段階でおいしさ、コクなりに影響しないようにできるということは、大きな酒造業ではやっておられるんですから、これはやればできる段階にあると思うんです。だからして、少々のそこに難点があろうとも、生活環境をよくするために、この種類に限って議論をしてみてもやるべきじゃないかと思うんです。そのほか全般的に話を広げていくならばそうすべきことが非常にたくさんあるけれども、それが二の次にされておる。いわゆる人命軽視というか、労働者に対する庇護というものが非常に軽く考えられているということがここではっきりと浮き彫りになると思うんです、この問題を見ましても。ですから、私は今後どういうふうに指導されていくかということをお聞きしたかったのは、そういう観点からお聞きしたいわけで、これは監督署としては相当な力を入れてもらわなければいかぬと思います。この件につきましては、あとで一ぺん労働大臣の御決意を聞きたいと思いますが、その前にもう一ぺんだけ聞いておきたいと思いますが、今度の問題で、会社側から補償金をわずか二万円払った、二万円渡した。二万円だけでぽっきりだというところに非常に問題があるんです。酒造会社としては、相当の利益をあげ、そうしてそういう劣悪の状態に置いておきながら、依然としてこの問題が――あるいは労災でないというその監督署の判定があると言われるかもしれませんけれども、わずかいまの貨幣価値からいって二万円くらいを出して、これで補償だと言っているのは、私は、企業者、会社側の考え方に対して疑義を感ずる。こういうことがまかり通るのでは、労働者が不満を持って、あらゆる方面に援助を請い、あらゆることをやるのが当然だろうと思うのです。二万円ばかりもらって何の補償になりますか。しかも、話を聞いてみれば、農家に帰っても、後遺症のために仕事ができないような状態です。いずれにしてもできない。いままでなれてきた杜氏の仕事ができない状態であるのに、徒弟関係のような形で使ってきた酒造会社が、わずか補償金として二万円しか出していないところに非常に問題がある。少なくとも、そういう形で酒造業が成り立っているとすれば、たとえ金でお礼するとしても、いまの段階では常識外だと思います。こういう点について、労災を補償するという意味から考えて、一体、局長あたりはどう考えておられるか。私は、そういう意味で、いろんな条件がありますから、それは机上で言えばこうこうかくかく、これであたりまえだという結論が出るかもしれないけれども、いま私が申したようなそういう条件の中で、またこういうふうにすればできるという条件の中で、そういうことが行なわれているのです。こういう問題が出たとき、さあ二万円だと、それで労働者が納得できるか。そういうあたたかい血の通った行政がされてないところに不満が出て、また、労使関係の間に非常に問題が出てくる。そこにはイデオロギー的なものが出てきたり、いろんなことが起こってくると思う。また、労働者側においても不純なものが入ってくるのです。そういう機会を与えるということになる。労働監督行政というものがいままでに前向きにやられていれば防いでいかれる。そういう観点からも、私は、こういうような事例をあげて、労働監督行政の面でよほど考えなければならぬ点があるということを申し上げている。との二万円を出したことに対して、局長はどう思いますか。一ぺんそこのところを説明してください。
  23. 和田勝美

    ○政府委員(和田勝美君) 私どもは、労働条件の向上ということが行政の最も重要なことでございますので、そういう観点からいろいろ仕事をさしていただきたいと思いますが、酒造業につきましては、確かに相当体質改善をされている向きもあるようでございますが、全国的にはまだまだ相当問題もあるだろうと思います。そういうことを考えまして、いま先生の御指摘もございますので、私どもとして、基準局が持っております酒造業に関する労働条件のデータを一回集めまして、全国的に集めまして、中身を分析した結果、必要があれば、これは国税庁が全面的に所管をしているところでございますので、国税庁ともいろいろ話し合いをしていきたい。そしてそういう面を通じて行政指導その他何なりによりまして、酒造業における体質改善ということを今後さらに進めていかなければならぬと思いますので、そういうような勉強もひとつさしていただきたいと考えております。  なお、ただいまお話しの二万円の見舞い金につきましては、先生から伺うまで実は私ども資料がなかったものでございますので、どういう事情になっておりますか、これもあわせて調査をしたいと思います。
  24. 大橋和孝

    ○大橋和孝君 最後に一点大臣に御所信を伺って私この質問を終わりたいと思います。あまり軽卒でもあるし、いまから見解を求めても非常に差しさわりもあろうかと思いますから、一般的なことについて、私は、特に御配慮を願いたい意味でひとつ御所信を聞きたいと思っております。  先ほど申しましたように、労働災害だとか職業病につきましては、これはいずれ法案が出ますので、その際にはゆっくり論議をさしていただきたいし、また問題点もいろいろ伺わしていただきたいし、また経済の発展に従って非常に災害も激増しておるわけですから、こういう問題に対して、時には内容的に防げば防げるものが防げてないという、いわゆる人災的な性格を持つものも非常に含んでおるという状態でありますので、災害の防止の行政強化ということについてもひとついろいろ展望を伺いたいわけですが、特に、私は、いま申したように、基準行政が、ただ四角四面といいますか、定木に当てはめたような形で解釈されていて、非常に問題が多い。やはりいろんな生活環境なりあるいはまた労働条件なり、そういういろいろなものを勘案して、考えの及ぶ範囲の最大限のやはり配慮をしてもらわなければ、こういう災害というものは防げないわけであります。ことに、この脳出血というようなものは自然に起こるのではないかというあれもありまして、やはり私どもそういう事例はたくさん見ております。見ておりまして、たとえば労災病院なりあるいは大学病院なりというところでその認定を受けるということに最終にはなるわけでありますが、これも机上で考えれば起こり得るのではないかという問題もあるわけであります。これは脳出血の問題でありますけれども、最近、また非常に問題になっているのは腰痛の問題ですね、腰痛が起こる。こういうような問題につきましても、レントゲンの写真を見てみますと、あの腰痛は劣悪な条件で腰を使いますと、非常に老化現象が起こりまして、脊髄を見ればそこにあらわれてくる。これが出てきたら、これは当然老化現象ではないかと、こう片づけられるのでありますが、これはやはり条件が悪いためにそれが起こってくる場合もたくさんあるわけです。その解釈をどうするか、しゃくし定木にやるか、あるいはまたほんとうにもっと血の通った、あたたかい目で見るかということで、ケースバイケースで大きな差が出てくるわけであります。こういうことを考えてみますと、私は災害防止の上で、あるいはまた労働者を庇護するという上で労働行政をやっていく場合、非常にたくさん大きな問題が出てくるだろうと思います。それから各業種を指導される場合、大臣としては、どういうふうな決意を持ってこれから臨まれるのか。いま申しましたように、ケースバイケースでそれを基準に当てはめていく、取り扱いについてはどうするか。また、災害は非常にふえてきているからして、その環境なり何なりを整備するための指導はどうするかというような二面的な方向からやらなければ、これはなかなか減らないと思うわけでありますから、私は、その主体にやってもらうことは、生産を強めるほうの、いわゆる何と申しますか、その事業の側に立っておる指導監督の立場と、やはり労働者を守る労働省の立場とはずいぶん違うわけでありましょうけれども、しかしこの労働者を守るという立場で大臣が相当強腰にそういう会社を指導していかれる、生産の部面に対する指導の衝に対しても強く当たってもらわなければ、やはり弱い労働者はいつも下積みになっていく。特にこの酒造業の場合でも、当然やればできることを、それをやるための資本の関係からいつまでもほうっておいて、それを一つの特徴のようにあらわしていく。こういうのは私は間違った行政だと思うんです。だから、いまのような経済情勢では、ひとつそういう方面にも強い指導をするように、労働省がてことなってやってもらう必要があるのではないか、こういうふうに考えます。いろいろそういう他方面にわたって大臣がヘゲモニーをとってもらうことがやはり労働者を守るための将来の行政となると考えますので、大臣の決意のほどを聞いて私の質問を終わりたいと思います。
  25. 野原正勝

    ○国務大臣(野原正勝君) ただいま大橋先生のさまざまの御意見、全く同感でございます。特に酒造業における杜氏さんという方々の仕事は非常に大事なお仕事であろうと思いますが、しかし非常に旧態依然の制度で働いている。杜氏の親方が杜氏の人たちをつれていくのでありますが、その段階においてやはりいろいろな無理な条件もやむを得ずやっておるというふうなこともあろうと思います。第一、酒づくりの仕事そのものがかなり近代化を求められておりながら、依然としてきわめて近代化以前の条件、つまり言うなれば非常な劣悪な条件下に無理な仕事をしておる。しかも、時間外労働などを強要されておるというような実態もあろうかと思います。そういった面全体を通じましてやはり酒造、酒づくり産業というものの近代化を促進するという、これはむしろ大蔵省関係であろうと思いますけれども、積極的にこの問題と取り組んでいただくように、労働省としても今後対策を進めてまいりたいと考えております。松本さんの御病気になられた点につきましては、いろいろ伺いまして、非常に微妙な段階であって、なかなかどうもはっきりと言い切れない面があろうかと思います。しかし、いずれにしましても、たった二万円で見舞い金だというふうなことで済ますなんということは、あまりにもどうも今日の時勢に合わない。むしろ労務災害ということに扱えない段階ならば、この際強力に行政面の指導もして、やはり本人の身の立ちゆくような対策も講ぜられるはずであります。それもあえてしないという点は、非常に労使問題等から考えまして、理解がないというか、どうもまことに遺憾に伺ったわけでございますが、そういう面まで含めて、今後の労働行政というものは、やはり働く人たちのお立場というものを十分理解して守っていく。その立場から、法律規則においてはあるいは御満足のような結果が得られないにいたしましても、やはり常に働く人たちのお立場というものも十分に考えて、その人たちの代弁としての行政指導もする。使用者側につきましても、やはり当然これは考えていただかなければならぬ問題でございますし、今後のいろいろな経済の発展に即応していろいろな場合が起こってくることは考えられますけれども、その場合においても、働く人たちの立場というものを考え、もっと深い理解の上に今後の政策を進めてまいりたいというふうに考えて、ただいま大橋さんの御意見、お話等を伺いまして、非常に今後の労働行政の上に貴重な示唆を与えられたという感じがいたしまして承っておったわけでございますが、今後はひとつ十分その気持ちでやってまいりたいと考えております。
  26. 吉田忠三郎

    ○吉田忠三郎君 私は白ろう病の問題について、かなりの時間の質問をただいままで展開いたしてきたつもりであります。これに対して、政府関係省庁からそれぞれの見解が述べられましたが、私は、今国会会期中、この問題は、そろそろ当委員会におきましても、当初調査結果を報告をいたしたことについての質問だけにまとめたいと考えているわけであります。そういう立場で、これからの質問は、私の考え方、ときには意見も入ると思います。それと当面の対策として若干細部にわたる質問をいたしたいと思いますから、政府の答弁者のほうも、そういう考え方のもとに簡潔明瞭にして、的確な答弁を私は求めていきたい。委員長のほうにもお願いを申し上げておきます。  最初に、ただいままでのだんだんの政府の答弁、見解についての私の考え方を、この問題を把握する意味からも、三つほど申し上げてみたいと思います。  その一は、白ろう病というものの影響を的確に評価をして、振動の評価方法を確立するために障害の機序、原因の解明が急務だと私は率直に考えております。これが一つでございます。  第二は、振動条件の正確な、しかも統一的な把握のために、振動計測器の規格と計測方法がこれまた急速に確立されることが大事ではないかと考えておるわけであります。  第三は、白ろう症状が手足に限局される疾病のような印象をいままでは与えているようでありますが、医学界の報告または国際的な文献等によりますれば、全身的な強い反応が見られつつあって、もはや、最近では国際的にも全身病として把握されるようになってきています。その一例は、わが国の国内における医学界、特にこの問題は林野庁から委嘱されておりまする北海道の渡辺助教授の報告にも明らかになっておるわけであります。かりに局所の病変であったとしても、これは渡辺助教授が申しておるわけでありますが、障害が高度に進行すれば治療が困難になり、手の機能は極度に低下すると報告されております。幸い労働大臣がそこにいらっしゃいますから申し上げたいのでありますが、労働者にとって手は根源的なものであると私は思うのであります。労働者が手を失うことは、もはや生命を失うことにひとしいものと私は考えます。したがって、今日までこの問題については幾多の問題が残されておりまするけれども、ようやく職業病に認定されたこの際だけに、大いに関係省庁が進んでこの問題を研究してまいる。そして、このようないまわしい白ろう病というものを撲滅してまいらなければならないのではないか、こういう考え方が第三であります。  この点について関係省庁の答弁を求めたいと思います。
  27. 和田勝美

    ○政府委員(和田勝美君) 私からさしあたって御答弁申し上げたいと思います。  白ろう病につきましては、その症状その他を的確に把握することと、原因の解明が何より急務ではないかという第一点は先生のおっしゃるとおりでございます。医学的にはいろいろと問題があるようでございますが、何はともあれ、原因をはっきりとただし、それに対する対策を立てていくということが目下の急務であるということで、私どもとしましては、関係省庁相協力をいたしまして、できるだけ早く原因がわかるような努力をさせていただきたい、かように考えております。  それから振動条件を正確に統一的に把握するために、その測定方法等をはっきりすべきではないかという第二点につきましても、まことにそのとおりでございまして、からだに与える振動がどういう状態で、どこでどう測定していくかということについては、統一的な正確な把握ができますことがこの原因を究明する上におきましても一番重要なことでございまして、医学界及び関係の諸先生の間でもこの測定方法について非常に御熱心な御討議なり、御研究が進んでおるようでございますが、これもすでに先生御承知のように、なかなか大問題のようでございます。大問題で非常に困難な条件がございますが、学者、先生方の研究成果をぜひできるだけ同一にしていただいて、それによって振動状態を把握し、白ろう病の予防ということに努力するようなことも、これも関係省庁と相協力をしてやってまいりたい、かように考えております。  症状の局所的なものか、全身的なものかという問題につきましても、議論がある程度まだ分かれておるようでありますが、そのいかんを問わず、いずれにしても、労働者にとっては非常に貴重な手であり足である。かりに局所といたしましてもたいへんなことでございますので、そういう意味からいたしますと、局所であるか全身であるかということにとどまらず、労働省としては、労働者の災害の予防ということを最重点の一つとしております関係もありますので、ぜひこういう症状の出ないような機械の研究開発、あるいはこれらの症状ができる限りなおるような医学的な処理の問題について研究を重ねさしていただきたいと思います。  それから最後には、各省庁が共同して、協力し合って研究をしたらどうかという御指摘は、これはまことにそのとおりでございまして、私どもといたしましては、林野庁、厚生省、人事院、私ども相協力をしてそれぞれの統一的な研究のできるような体制で仕事を進めさしていただきたい、かように考えております。
  28. 吉田忠三郎

    ○吉田忠三郎君 基準局長から答えられました点は、そんなに私の考え方と相違している点はないと思います。そこで、この問題は、これからの林業労働者を確保する意味からも大切な事柄だと考えます。ですから、所管大臣である労働大臣から総括的にこれに対する見解をお伺いしたいと思います。
  29. 野原正勝

    ○国務大臣(野原正勝君) 先般来、この問題に対して吉田先生の熱心な御意見、御指摘がありました。全く白ろう病の問題は今後の日本林業の上に重大な関係もございますし、この問題をぜひとも解決をして、白ろう病の予防なりあるいは治療なり、あるいはその白ろう病の原因といわれておるチェーンソーの振動でそうした病気が起こらないように、新しい技術の開発という問題もあり、働く人たちに対しても安心してそれを使い得るような対策、また無理な作業を継続的にやらせないためにもいろんな作業の制限といったようなことが起こってまいります。そういった観点から、ただいま局長から御答弁申し上げましたとおりの政策を強力に推進いたしまして、この問題を一刻も早く解決をするようにいたしたいというふうに考えております。先般来のさまざまな御意見を伺いまして、その点を強く感じたわけでございます。これにつきましては、関係方面とも緊密に連絡をいたしまして、今後の対策に万全を期してまいりたいと考えておるわけでございます。
  30. 吉田忠三郎

    ○吉田忠三郎君 それぞれ答弁もございましたが、考え方、意見には相違点がない。私は、この考え方が一致したものとして、これから具体的な当面の予防の対策についてそれぞれ伺ってみたいと思うのです。  その第一は、何といたしましても、この病気をもたらす最大の原因は振動を与えるということでありますから、振動のない機械の開発に努力をしなければならないということは言を待ちません。したがいまして、これからの問題は、医学的に、工学的に、それから林学の立場から積極的にこの問題を取り上げなければならないと考えます。答弁者のほうに簡潔明瞭に答弁を求めたわけですから、私もここで私の意見を簡潔に申し上げます。これが実現のためには、特別な機械の開発委員会等々を設置をして、働く人、それから使用者、監督をする人々、行政を扱う方々含めて、そうした構成メンバーによる委員会等々をつくり上げ、これを各それぞれの省庁の諮問機関なら諮問機関でけっこうですから、そういうものにして、積極的に前向きに取り上げて、その結果が次期の国会あるいはその次の国会等々に具体的に成果として出てくるようなものが私は必要だと思うのですが、この点はどうですか。
  31. 和田勝美

    ○政府委員(和田勝美君) 振動がないような機械の開発ということがこの白ろう病に対する最大の問題のように思います。各省それぞれそれなりに努力はいたしておりますが、ただいまの先生の御指摘は、関係省が相協力してそういう委員会を設けたらどうかということでございますので、関係省でそれぞれひとつ協議をさしていただきたい、かように考えております。
  32. 吉田忠三郎

    ○吉田忠三郎君 協議をいたすということですから、きょうのところは私もあえてこれ以上申し上げません。  第二は、林野庁は、昨年暮れに、労働組合との労働協約を改定いたしました。振動機械の使用時間の規制を一日二時間、週五日十時間、月に四十時間以内という時間規制をした模様であります。したがって、こうした労使のせっかくの自主的な協約ですから、私は尊重をいたしたいと思いますが、これの実施は、やはり末端のそれぞれの営林署の段階でも、すみやかにこれを実施する体制を整えるべきではないか、こう思いますが、林野庁の長官ひとつ答えてもらいたい。同時に、民有林については、林野庁の長官もこれは指導監督権限がありますから、そのことについても林野庁としてどういう考えを持っているか。それから民有林について、直接、労働問題は労働省ですから、これについて、私はこの間来指摘いたしておりましたように、まだまだ問題点が残っております。残っておりまするけれども、ようやく労働省としても、二月二十八日にこれに関する通達を出されたわけでありますから、この通達をもとに、この民有林の関係についても十分その通達の趣旨が徹底して、予防の対策の一助になるようにしなければならないと思いますけれども、これに対してどういう考えを持っておりますかということです。
  33. 松本守雄

    ○政府委員(松本守雄君) 林野庁といたしまして、昨年の暮れに、時間規制その他の労働協約が結ばれております。その細部について、その後、各営林局、営林署の段階で、現地現地の実態に応ずる細部協約というものを締結すべく鋭意協議中でございます。こういった規制その他の体制が一日も早く実施されますように、林野庁としても、今後とも督励をするつもりでおります。  それから民有林の関係でございますが、民有林につきましては、林野庁といたして、当面防振ハンドルの取りつけなどのチェーンソーの改良とか、適正な目立ての励行等によるところの使用の適正化ということ。また、採暖設備の備えつけ等の休憩施設の整備、防寒衣、防振手袋、そういったものの着用、そういったものにつきましても、林業就労体制の整備促進のための予算がついておりますので、そういったものを備えるように、できるだけ補助をしてまいりたい、このようなことも考えております。  なお、関係省庁とも、連絡を今後とも緊密にいたしながらこの対策に取り組んでまいりたい、このように考えております。
  34. 和田勝美

    ○政府委員(和田勝美君) 先生から御指摘をいただきました、ことしの二月二十八日の通達の中にも、チェーンソーの操作時間規制の行政指導方針をはっきり書いておりますが、これをぜひ徹底をしていきたい、さように考えておりまして、各監督署及び林業労働災害防止協会という業者の労働災害防止の団体がございますが、これと相協力をしまして、時間規制についてはぜひ徹底をはかっていきたい。ある程度の徹底がまできしたときには、漸次これを規則化していくというようなことで今後の措置を講じてまいりたい、かように考えております。
  35. 吉田忠三郎

    ○吉田忠三郎君 せっかくの和田局長の答弁ですから、私は、そこで要望しておきますが、いまあなたのおっしゃったように、林業の災害防止協会というものの協力も得て――けっこうでしょう。したがって、民有林については、御承知のように、機械は労働者持ちになっているようでございます。いま、林野庁長官が振動防止の措置であるとかあるいは機械の改良、つまり振動の少ない機械の使用等についても極力指導していくということでありますが、これは機械が労働者持ちですから、低賃金だけに新しいそういう機械が開発されても買い得ない、機械の代替ができない。こういう現状ですから、ぜひひとつこの点はそうした協会と協力をして、機械がやはり新しく開発された方向のものに変えられていくためにそれぞれの措置をされますることを私は要望しておきたいと思います。これはよろしいですね。  そこで、それはここまで答えられたことで私は了としますが、労働大臣、昭和四十四年度の林業白書を私は見せていただきました。この中における林業労働者の労働災害というものはたいへんな数になっていることがこの白書で報告をされている。年間の死亡率は白書で二百七十七人、八日以上の重傷者数は優に一万七千八百七十二名と白書には記載されているのであります。これをわが国の他の労働災害と比較をしてみますると、鉱工業に次ぎまして第二位になっておる。ですから、たいへん高い労働災害が起きているということをこの白書が教えていると私は認識をいたすわけであります。そこで、こうしたものを取り除くためには幾つかの問題点があると思います。この委員会でいろいろ私が質問をいたしておったのもその意味であるわけでありますけれども、できるだけ労働災害が起こらないようにするために、労働省としては、適切な指導、施策というものをとるべきだと、それから二つ目は、不幸にして災害にあった者については、何といたしましても補償、これはどんな災害でもこの補償の問題が論ぜられるわけでありますけれども、特に民有林等々につきましては、これは国有林もそうでありますけれども、いまだに出来高払い賃金制度というものがございますが、こういうことについても、私はすべてではないと思いますけれども、若干のこうしたものがそれの要因になっているのじゃないかと、こう思いますだけに、この問題を含めて、今後ぜひとも検討をしてもらいたい、こういうことを考えているのですが、これに対して労働省並びに林野庁から見解を求めたいと思う。  それから人事院のほうは、補償の関係でございますから、これは林野の場合、民有林については関係ありませんが、関係の部面だけ人事院としても答えてください。
  36. 野原正勝

    ○国務大臣(野原正勝君) 林業災害が非常に多い、年々減ってはきておるようでございますが、何としても、作業が山の奥で、作業条件が悪いわけでございますから、災害が非常に多いのでございますけれども、こういったことにつきまして、あくまでも林業災害を思い切って減らしていくという政策、これが最も重要でございます。そのためには、チェーンソーの問題もございますし、あるいは幾多の機械作業等も取り入れられておりますので、災害防除のための安全対策というものがますます強化されていく必要があるわけでございます。そういった面で、林野庁も熱心にやっておると思うのでありますが、また災害防止協会等の御協力を得まして災害の防止に万全を期してまいりたいと考えております。どうも林業方面の災害は昔から非常に多かったのでありますが、これはいつまでもこういう状態で見のがしできないというわけで、特に安全操業という問題につきましては、木材伐採の仕事あるいは製材工場等の安全操業の問題、関係方面の方々が最近非常に熱心にやっておりまして、だんだんと成果は上がってまいっておりますけれども、まだ十分ではございませんので、この点は大いに力を入れまして災害の防止に万全を期す決意でございます。  そのためには、先ほど御指摘のございました各関係方面と緊密に連絡いたしまして、今後、積極的に対策を講じてまいりたいというふうに考えておるわけでございます。特に、産業医学総合研究機関の設立等も考えておりますので、こういった面からも、わが国でひとつ振動のほとんどないような新しい機械、技術の開発ができれば幸いだと思っておりますが、こういった問題とも取り組んでいってほしい。これにはどうも医学界の方面あるいはそれをつくる工業界の方面、いろいろな方面の積極的な御参画を得まして、ひとつ新しい技術の開発という問題とも取り組んでまいりたいと考えておるわけでございます。
  37. 松本守雄

    ○政府委員(松本守雄君) 林野庁といたしましても、労働災害防止のための計画を立てまして、第一次の災害防止五カ年計画では、それぞれ度数率にしましても、強度率、また損失日数というものにいたしましても、いずれもが相当な成績を得て改善をされつつあります。でありますが、引き続いて第二次計画も、これは四十三年度からですか、計画を立て直しまして目下実施中でございますが、林業労働におきましては、他の産業に比較してこういった災害が多いということにかんがみて、なお、力をこれに結集をいたしまして災害の防止というものに関係省庁とも連絡をとりながら進めてまいりたい、このように考えます。
  38. 島四男雄

    ○政府委員(島四男雄君) 人事院の立場といたしましては、一たん起きた災害についてこれを適正に補償するという立場にあるわけですが、もちろんこのような災害がなるべく防止できればそれが一番いいわけでございますが、一たんこの白ろう病にかかった場合に、われわれとして、いかなる補償をしたらいいか、その場合に問題になりますのは、これは先般、先生もお触れになりましたし、私もお答えしたかと思いますが、この白ろう病について補償する立場として一番問題になりますのは、この病気が一体いつから白ろう病というふうに認定されるのか。それからまた、一体白ろう病についてはどういう治療が適正であるのか。それからまた、一体いつの時点においてこれがなおったと認定されるのか。この三点が必ずしも現在の医学の水準では明確になっておらないというのが私どものほうとして一番困っている問題でございます。私のほうとしても、研究会議を設けて鋭意検討をしておるということは申し上げましたが、なお、この問題については、各省庁それぞれのお立場で御研究なさっていることでもございますので、これも先生が御指摘になりましたように、各省庁総合した連絡会議といいますか、総合してこれを検討するということが望まれるわけでございまして、私どもは、できるだけこの問題については協力したいというふうに考えております。なお、休業補償につきましては、先般私もお答えいたしましたように、現行法体系のもとにおいては、できるだけのことはしたつもりでございますが、なお、先生の御指摘のようなあるいは御要望のあったような水準まで高めるということになりますると、法律そのものの改正なりあるいは各種の保険制度との関係、あるいは国際水準等もいろいろにらみ合わせて検討いたしませんとなりませんので、しばらく時間をかしていただきたいと、このように考えております。
  39. 吉田忠三郎

    ○吉田忠三郎君 次に、労働力の確保という見地から伺いますが、従来は国有林、民有林を問わずして、労働力の確保については農山村の余剰労働力というものを基盤にいたしておったと思います。しかし、最近、特に高度成長政策をとり、経済が急激に伸展、発展している段階では、もはやその時代とは全く労働力確保ということについては異なった現象が出ていると思うのです。しかも、最近の国有林あるいは民有林におきましても、その仕事の内容が、単能化が進んでまいりました労働者の実態、しかも、その職業そのものについても専業化をしてきている、こういうことになるんじゃないかと思うのですが、さて、いま人事院の局長さんも答えられたように、いろいろ補償とかあるいは保険等の問題もございます。ございますけれども、そのこともさることながら、労働基準法におきましても、この委員会でしばしば指摘をしたところでありますけれども、いまだ完全にこれが適用されるということには必ずしもなってない。たとえば、国有林の場合のときには除外されている面もありますね。ですから、これはいま直ちにということは私は言いません。前々から言っておりますように、ぜひこれを契機として、基準法の適用除外などというものは再検討すべきじゃないか。  それから、社会保険等についても、いま申し上げたように、質的にも変わってきたわけですから、こういうものについても完全にこうした人々に適用して、名実ともに林業労働者であるという処遇をここで確立をして与えてやるべきではないかというように考えますが、この点はどうでしょう。
  40. 和田勝美

    ○政府委員(和田勝美君) 基準法の適用問題についてお答えを申し上げますと、先生御存じのように、ただいま公務員制度全体について政府部内で審議会が設けられまして検討が進んでおるように承知をいたしております。これは、基準法の適用問題につきましても例外でございませんので、そういうところの審議会の審議の結果によって私どもとしても考えてまいりたい、かように考えております。
  41. 吉田忠三郎

    ○吉田忠三郎君 和田局長、公務員制度審議会でもとより一つ議題になっておりますけれども、あなたも御承知のように、なかなかこれは一朝一夕に問題がここ一両年で解決するという私は方向ではないと認識をしている。ですから、あなたのいまの答えでは、いま私が認識しておるような状態であれば、それまではこれから放置されると、だからここのところをやはり先ほどの通達、せっかく二・二八通達がありますから、そういうものにからめて、労働省としては、その間やはりこの問題を検討して具体化をしていく必要があるのじゃないかと思うのですよ。この点になると、どうも何々制度委員会がございまして、そちらのほうとにらみ合わしてと、もうすぐ逃げの手を打つ、ここに従来のこうした問題を取り上げる場合の行政指導の欠陥があると思う、率直に言って。これはどうですかね。
  42. 和田勝美

    ○政府委員(和田勝美君) 先ほどは、法律の適用ということでお答え申し上げましたわけで、適用除外を云々するということになりますと、他の法律との関係が制度論ということにからみますので先ほどのようなお答えになったわけでありますが、現在、現行法のもとにおきます適用のしかたの具体的な進め方の問題につきましては、もちろん関係省庁と同一歩調でいろいろの行政指導なり何なりをやっていくということが必要だと思います。そういう点につきましては、先ほどからお答えを申し上げておりますように、林業の問題につきましては、関係省庁と十分連絡をとりながら、同じ姿勢で林業労働者の労働条件の向上、災害の予防ということに努力をさしていただきたい、かように考えます。
  43. 吉田忠三郎

    ○吉田忠三郎君 次に、この治療の対策について二、三伺っておきますが、いろいろ各方面から指摘をされ、私もこの委員会で指摘をいたしましたが、治療についても幾つかの対策があると思う。このことについても、たとえば労働基準局としても、健康診断とか何かというものも実施するように通達の中に含まれておりますね。これもやっぱり一つには、予防対策としての早期発見ということだと思うのですね。そういうことも含まれるのですが、名古屋大学の山田信也先生という先生の所見を私は見たわけでありますけれども、この先生の発表によれば、早期治療のための対策、その確立が最も必要だという前提に立って論文が書かれている。その論文の一節には、早ければこの病気は完治の可能性がある。しかも、具体的には温泉療法がよろしいのであると。大体振動機械に携わる人々は、やはり一年に一回くらい温泉療法で、病気の有無にかかわらず、そういうことが必要だということが力説されております。それからもう一つは、すでにもう認定された患者については三冬ですね。三年間かかるでしょうからね。そのくらいの間に温泉治療をすれば、大体早期に発見されたものは完治することが可能である。こう論文で示しておるわけであります。したがって、私はこういう専門家のお医者さんの所見というものは、やっぱりこの際は大切に扱ってまいることが必要だろうということと、労働省としても、二・二八通達によるそのための健康診断、これはやっぱり民有林の労働者について、この間も申し上げたように、五年も六年もたってまだ一回も健康診断などやられたためしがないなどという、これは具体的に調査の結果出たわけですから、これは完全にあの通達の健康診断等を行なうように、積極的に強力的に指導すべきだと私は思います。  それから国有林の関係については、これはまた労使双方の協約がございますから、その協約を完全にこれまた実施をするように、林野庁としてこれは取り組んでいただきたいと思う。この点ひとつ御意見を聞かしていただきたいと思います。
  44. 和田勝美

    ○政府委員(和田勝美君) 先生御指摘のデータの収集につきましては、私どものほうにも労働衛生研究所がございますし、労働衛生課もございまするので、ぜひひとつ精力的に集めさせていただきたいと思います。  また、専門家の方のいろいろな論文につきましては、もちろん重要な意見が含まれておりますので、これらにつきましても十分ひとつ審査――と申しますと失礼でございますが、所見は十分拝見しながら、全体としての治療の問題に貢献するようにしたいと思います。ただ、私、どうも専門家でございませんので、ただいま御指摘のありました山田先生の問題についてはよく存じませんが、いずれにしましても、そういうような手段、方法の御所見につきましては、十分大切にさしていただきたいと思っております。  それから健康診断につきましては、二月二十八日の通達で触れましたように、早期診断ということが何よりも大事だと思いますので、ぜひこれは精力的にやれるような体制を整えてまいりたい。特に、労災保険のほうの保険施設で林業の巡回健康診断というような費目も入っておりますので、これらを活用いたしまして、先ほど申しました林業労働災害防止協会と相協力をして健康診断の励行には力を尽くしてまいりたい、かように考えております。
  45. 松本守雄

    ○政府委員(松本守雄君) 林野庁といたしましては、四十三年度からこの振動障害につきまして医学的な研究調査を委託をしております。逐次その成果が出たものから実施に移してまいっておりますが、四十五年度も引き続きその研究を続けてまいります。温泉療法につきましても、その研究の結果、温泉療法がいいということになれば、関係の省庁とも連絡をとりながら措置してまいりたい、このように考えております。  また、健康診断につきましても、経常の健康診断のほか、振動機械を操作する作業員に対しましては、そのつど特別健康診断というものも実施をしております。  また、営林署その他関係のそういう施設におきまして、振動障害を検査をしてみるという検査器械の設置なども逐次実施をしてまいっております。今後も、その強化をさらに充実をしてまいりたい、このように考えております。
  46. 吉田忠三郎

    ○吉田忠三郎君 松本長官、いまのところ国有林とすれば、たびたび私申し上げますが、労使双方ともにこの問題はかなり積極的にやっておりますから、そういう意味では非常に私関心を持っております。同時に非常に敬意を表するものがあるのです。そこまでこの問題が取り上げられ進められてきた段階では、たとえば、ただいま私は山田先生の論文から温泉療法の問題を申し上げたのですがね。それとあわせて、これは私どもよりもあなた方のほうは直接の仕事をしておりますから、いろいろの所見をごらんになっておると思うのですよ。そうすると、いろいろな治療の方法が書かれていますね。物理療法の関係とか、マッサージ、しかし、現にいろいろ調べてみますと、そういう問題については、現状効果について確定がないからということで取り上げていませんよ、林野庁は。しかし、お医者さんは物理療法をやることによってやっぱり効果があると言っている。その効果というのは、決定的なものかどうかは別として、かなりあるとぼくは思うのですね。だから、こういう問題を解決するということで、あなた方が前向きに施策を施すということであるならば、温泉療法もやっていいだろうし、あるいはまた物理療法も併用したっていいじゃないですか。こういう点は、一体、長官どうお考えになりますか、林野庁として。
  47. 松本守雄

    ○政府委員(松本守雄君) 振動障害についての原因と申しますか、そういうものが医学的にまだ明瞭な結論が出ておらない現状でございます。そこで、林野庁としても、先ほど申し上げましたように、関係の省とも連絡をとりながら、予算をさきまして特別の研究委託を実施しております。まだその過程におきましては、温泉療法と振動障害というものの関係の結論が出ておりません。今後四十五年度からは、特にこの治療研究もこの委託研究に含めてやっておりますので、そういった結論が出次第早急に措置をしてまいりたい、このように考える次第でございます。
  48. 吉田忠三郎

    ○吉田忠三郎君 人事院のほうにお伺いしますがね。つまりこの災害補償については、先ほど局長も申されたように、私も知っておるわけですが、結局制度改正しなければ、いまから――いろいろ事情はわかるけれども、前に進めることはできないということになるわけですよね。そこで制度審議会等々についてもこの審議事項に当然なると思うのですがね。私が局長のほうに要望しておきたいことは、つまりこの災害については、普通の労働災害とか何かと違いますね。制度としても、つまり原爆なら原爆とはっきりしていますね。COもそうですね、けい肺もそうでございますね。この白ろう災害というものは、振動機械を使用することによって起きる職業病なんですから、普通の労働災害とは全く違った観点からこれはとらえ上げられなければならない問題だと私は思うのですよ。ですから、ぜひひとつこれはそういう検討の段階に、人事院としても、そういうとらえ方に立って、制度改正に向けて私は努力をしてもらいたいと思うのですよ。これはいまのすぐの問題じゃありませんから、幾つか経過を経るでしょうね。経てまいりますから、ぜひひとつこれは次の通常国会でもけっこうだし、その次の通常国会でもけっこうですがね。そういう経過をできるだけ当委員会に報告をするという形で、ただ私どもが皆さんのほうに、こうしたらいいじゃないか、ああしたらいいじゃないかと言うだけではいけませんから、われわれも、言っている限りにおいては積極的に、その問題点を解明するために協力を惜しまない。つたない知識でございますがね。ですから、そういう意味で、ぜひともひとつそういう取り組み方をしていただきたいと思いますが、いかがなものでしょう。
  49. 島四男雄

    ○政府委員(島四男雄君) 先生の御要望の趣旨を十分念頭に置きまして、今後検討をしていきたいと思っております。
  50. 吉田忠三郎

    ○吉田忠三郎君 最後に、林野庁の長官に一つ要望しておきますが、先ほどの答えにもございましたように、いろいろ治療とか、あるいは療養していく場合に、計画的に将来展望をしてというふうにちょっといま触れられましたが、その点なんですが、林業労働者の災害というものと、それからいまの白ろうを含めまして職業病についてそれぞれとらえているのだと思いますけれども、もっともっと療養所などを、あるいは保養所のようなものでもけっこうだと思いますが、そういうものを各営林署ごとにつくりあげていくというようなことに一体ならないものかどうか。私どもも、営林署の実態は、ある程度回ってみますると、事業の付帯的な立地条件とでもいいますか、大体、山ですね。そうすると、そういうところには自然に温泉のようなものが出ていますよ。冷泉のようなものも。おおむね全国的にそういうことがあるのじゃないかと思いますがね。そういったものも、この問題を解決するという前提に立って、林野庁も自主的に各営林局――営林署ではたいへんだと思いますから、営林局単位くらいでいいです。とりあえずは、そのくらいの単位にただいま申し上げたような施設をして、お医者さんの所見に合うような努力をする必要があろうし、また、そのことの検討も価値があるものと私は思うのですが、これは検討しましてということで、いま林野庁の長官も答えられたように、直ちに実施するようになっていませんから、せっかくあなたのところにはりっぱな対応機関もあるわけですから、労使双方で真剣に検討してみて値のあるものじゃないか、こう思うのですが、長官どうですか。
  51. 松本守雄

    ○政府委員(松本守雄君) 今後の検討をしながら慎重に取り組んでまいりたい、このように思っております。各地に温泉が出ておるところもございますし、そういうところには林野庁の保養施設もございます。そういったものの利用その他、今後、この振動障害に関係いたしまして温泉療法、そういった療法がきくのだということであれば、そういう施設も活用をしてまいりたい、このように思っております。
  52. 吉田忠三郎

    ○吉田忠三郎君 現在あるものを活用するということですね。いまあるものはそれで活用していく。ないものもあるわけですから、そういうものを含めて検討してくれ、こういうことなんです。  それからもう一つは、せっかく休業補償を八五%することになったわけなんで、これを契機にひとつテスト的に、冬季間の温泉療法ですね。これが最もいいと書いてあるのですから、やらしてみたらどうですか。このことをもう一回あわせて答えを求めて、私の質問を終わります。
  53. 松本守雄

    ○政府委員(松本守雄君) いま休業補償八五%と先生おっしゃられましたけれども、休業補償は八〇%でございます。  冬季間やらしてみたらどうかというお話でございますが、林野庁でいま八百四十一人の認定者がございます。と同時に、治癒を認定したものもございません。なおったのかなおらないのかという医学的な、多角的な診断結論がまだ出ておりません。おそらく、温泉へ入れてみましても、治癒したのかどうかということも今後の研究に待つところがたくさんあると思います。そういうことで、今後とも温泉対策を含めて検討をしてまいりたい、このように思います。
  54. 吉田忠三郎

    ○吉田忠三郎君 どうも、そこら辺歯切れが悪い点なんですが、治癒したのかしないのかわからない。それはあなたも言っているとおり、人事院も言っているとおり、われわれもそう言っているとおり、日本の医学界でもまだそんなこと出していませんよ。ですけれども、治療するためには最も温泉療法が適するという所見を出している。この病気を扱った専門家のお医者さんがどなたさんも言っております。そうすると、それはやはりあなたの立場は、一日も早く一人でも多く治癒をさせてやらなければならない立場だと思うのですよ。長官、どうですか。それなのに、まだ治癒も何もさっぱりわからぬと、それからその温泉療法の対策もある程度含めるということですから、私は、そう多くを申し上げたくないのですが、テスト的に各それぞれ全国の営林局の中で、この八百数十名の中で重症の患者がいるわけですから、そういう人々を選定してやってみたらいいんじゃないですか、これを契機に。そのくらいの前向きの姿勢なくして、一体、この林野の問題は解決できると思いますか。林野庁長官どうでしょうかね。
  55. 松本守雄

    ○政府委員(松本守雄君) いまの問題に関してでございますが、四十五年度からは温泉療法治癒対策ということを研究委託の内容に含めております。いままでは血管系を主体にしてやっておりましたが、神経の系統とか、その他全身的な関係の分野も含めて今後の研究委託の内容に入れているわけであります。そこで、そういった研究の過程におきましてテスト的に温泉療法をやってみるという必要があれば、当然これはもうやってみるわけであります。ただ、温泉に入ってみろということを当方がやらしてみましても、そこに医学的なその経緯を見る措置がございませんと効果がないと思いますので、そういった研究の過程におきまして、必要とあれば、そういうことも考えてまいりたい、このように思います。
  56. 吉田忠三郎

    ○吉田忠三郎君 医学的な効果云々というものは、これはお医者さんのことばであって、あなたから出る発言ではないのですよ、長官、そんなことは。何のために林野庁は全国の大学にこの問題の委託研究をやらしておるんですか。当然そういう委託研究させている結果、それぞれの所見が出ているんですから、したがって、林野庁が具体的に今後は積極的にその所見に基づいて温泉療法をやらしてみる――もとよりそれはお医者さんの指導、指示に基づいてやるんですよ。そういう結果が今度は逆にお医者さんのほうの研究過程における資料となってくるんじゃないですか。私はしろうとだけれども、そう考えるんですがね。
  57. 松本守雄

    ○政府委員(松本守雄君) 林野庁で委託をいたしております研究機関からは、まだ温泉療法につきましての研究報告は出ておりません。
  58. 吉田忠三郎

    ○吉田忠三郎君 出てますよ。ふざけたこと言っちゃいけませんよ。ふざけたことを言ってはいかぬよ、長官。
  59. 松本守雄

    ○政府委員(松本守雄君) 出てないはずでございます。
  60. 吉田忠三郎

    ○吉田忠三郎君 ここに何て書いてある。北大の渡辺助教授が出した中にちゃんと書いてある。
  61. 松本守雄

    ○政府委員(松本守雄君) 北大には研究委託をしてないはずでございます。
  62. 吉田忠三郎

    ○吉田忠三郎君 かりに研究委託をもししてないとするなら、積極的にこういう問題を取り上げているりっぱな研究機関があるんですからね。むしろ積極的に林野庁は委託をすべきじゃないの。
  63. 松本守雄

    ○政府委員(松本守雄君) そういう研究成果がありますことにつきましては、今後も検討さしていただきます。
  64. 佐野芳雄

    ○委員長(佐野芳雄君) そういう官僚的なことじゃいかぬでしょう。
  65. 吉田忠三郎

    ○吉田忠三郎君 検討させてくださいと、そのことは私は了としますよ。こういうものが出ているんですからね、いいですか。しかも、これは寒さというものがたいへんに重要な事柄として影響しているということを言われているわけでしょう、全お医者さんが。北大というのはどこにあるんですか。君も札幌の営林局長やってたから、一体、あの寒さというものは、この病気を扱う場合に、君自体が体験、経験してきておって、最も適する、委託をして研究させるということに適合しませんか。ただ単に、ここには委託していませんと、こういう所見が出たところには。そんなことで済まされますか、これは。
  66. 佐野芳雄

    ○委員長(佐野芳雄君) あなた、いままで前向きで発言してきておって、いまのは全然官僚的だよ。そういう事務的な話じゃない。
  67. 松本守雄

    ○政府委員(松本守雄君) 北大のその研究結果をまだ聞いておりませんので、早急にひとつ検討をさしていただきます。
  68. 吉田忠三郎

    ○吉田忠三郎君 検討した結果、どうしますか。
  69. 松本守雄

    ○政府委員(松本守雄君) 検討いたしましてどうするかということでございますが、検討をいたしてみませんと、どうするという結論は出ないと思います。
  70. 吉田忠三郎

    ○吉田忠三郎君 では、何を検討しようとしていますか。
  71. 松本守雄

    ○政府委員(松本守雄君) その研究報告、研究実績を、まず内容につきまして検討をさしていただきます。
  72. 吉田忠三郎

    ○吉田忠三郎君 厚生課長、君は北大の渡辺助教授が出している所見を見ていませんか。
  73. 佐野芳雄

    ○委員長(佐野芳雄君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  74. 佐野芳雄

    ○委員長(佐野芳雄君) 速記を起こして。
  75. 松本守雄

    ○政府委員(松本守雄君) それを見ておるかおらないかということを厚生課長から答弁いたします。
  76. 猪野曠

    ○説明員(猪野曠君) 私は見ておりません。ただ、間接的にはいろいろな意見があるということは承っております。
  77. 吉田忠三郎

    ○吉田忠三郎君 白ろう病の問題で、冒頭に申し上げたように、かなり長い時間をかけてこの問題を私は謙虚に取り扱ってきたつもりですよ、しかも、そのつどこの資料を出して、いま申し上げたように、医学的なことについては北大の渡辺助教授のこういう資料に基づいてとか、あるいは名古屋大学の山田先生等々、何人かの――速記録見てください。お名前を申し上げて、そういう意見も申し上げてきたと思う。もし、林野庁にほんとうにこの問題を解決する熱意があるとするならば、当然そういうものがあるかどうか見るはずだ。見ていないとは一体何だ、見ていないとは。そんな不熱心さだからこの問題がいつまでたっても解決できないのだ。見ていないものを見ていなさいなどとは私は言いません、見て検討してからということですから、私、これで了承しますが、長官、十分この方々の所見を検討されて、特に温泉療法がこの問題のただいまの時点においては最大の治療方法だと書いてある。それが、もし北大にあなた方が委託をしていないというならば、検討の結果でけっこうですけれども、委託をされて実験してみたらどうですか。そのくらいの努力と熱意なくして一体この問題をどう解決するか。  厚生政務次官が来ましたから……。あなたは、前段はおそらく知っていないと思うが、なぜ、私がこの最後にきてこういう大きい声を張り上げているか、そのことはよくわかると思う。次官、答えなさい。
  78. 松本守雄

    ○政府委員(松本守雄君) 早急に、いま先生のお話にございました研究成果を検討いたしまして対策を考慮してまいる、このようにいたしたいと思います。
  79. 吉田忠三郎

    ○吉田忠三郎君 十分考慮してください。私は、あえてこういうところでこういうものを出したくなかった。研究をしていないというものが、長官、これは君のところの課長がぼくのところに持ってきたんだ。研究しないでこういうグラフが出ますか。見ていないでこういうグラフが出ますか、こういう資料が。これは私の資料じゃない。厚生政務次官、こういうことについて答弁してください。
  80. 橋本龍太郎

    ○政府委員(橋本龍太郎君) おくれて参りまして申しわけございません。衆議院の農林水産委員会で答弁中でございましたので御了承いただきます。  いま、実はおくれて参りましたので、全体いままでどういう御議論があったのか存じませんが、私は、少なくとも今日までの時点におきましても、ただいま吉田先生御指摘になっておられる白ろう病については、それなりに各担当者一生懸命に研究は続けてまいったと思っております。そして、労働省が労働災害の一つとして今日まで真剣に取り組んでこられた問題であります。厚生省としても、労働省の御依頼を受けてお手伝いをいたすことには全力をあげてお手伝いをしていくことに決してやぶさかではございません。  また、いま私が入ってまいりましてからの御質問を伺っておりますと、振動障害に対する温泉療法の問題のようであります。私は不勉強で十分存じませんけれども、いま医務局長に聞きますと、温泉療法が現在行なわれる医療としては最も適したものであるということであります。厚生省関係の中に温泉療法の可能な医療施設も幾つかございますし、その研究ということとは離れても、現在すでに患者が出ておるわけでありますから、その患者の方々の苦痛を減らすことにその療養所が役立つものであるならば、私どもは全力をあげて御協力をさせていただきたいと、そのように考えています。
  81. 吉田忠三郎

    ○吉田忠三郎君 厚生省は直接の関係じゃなかったが、厚生省の次官からかような答弁がありましたから私は了とします。いま林野庁長官も十分聞いておったでしょう。厚生省としてもそういう所見、文献を見ておるわけです。ですから、温泉療法についても、いま言ったように、すでに患者が出ておるわけで、前向きで努力するということですから、直接患者をかかえている林野庁――しかもそれが減っていっているのじゃない、去年から見ると倍ぐらいになっている。さらに前々から言っているように、ここ数年、私は減る趨勢がないだろうといって聞きましたら、そうだと答えておる、この委員会で。ですから、とりあえず当面の対策ということできょうはまとめるから、具体的に簡潔に答弁してくれと冒頭に言った意味はここにある。いずれにいたしましても、これはそれぞれ担当した学者が所見を出しておりますから、先ほども言ったように、そういう論文なり、学説なり、所見というものは大切にしてまいらなければならぬじゃないかと言った意味もそこにある。ぜひひとつ、この機会に、あなた方も、見ていないと先ほど言うのだから、見なさいよ。勉強しなさいよ。私どもだってやっぱりこれは勉強しているのだ、ここまで質問する限りにおいては。当面、この問題をかかえているあなた並びに厚生課長が見ていませんで済まされますか、これは。十分この内容を勉強してくださいよ、検討するというのですから。検討して、できるだけこういう医学者の的確なその所見を実験に移してみる、医学者としてもまたやはり治療の一助になるんじゃないですか。その結果、お医者さんが言っているように、温泉治療が最適であったかどうかということも結果が出るでしょう。それをやらずして、そういう所見は見ていませんと、だれにしろ、これから検討させてみてどうということでは、ここでは答えにならない。こういうふざけた答弁をするから私はおこるのですよ。いいですか、あなた方の考え方というものは、この国会は余すところもう数週間だ、国会中は、吉田はとてもうるさいから、並んで適当な答弁をしていればいいということで適当にやっていたのだろう。この委員会で何回やった、この問題を。しかも、私の質問はこの委員会を通してふざけた質問をしておったか。なめちゃいかぬ、なめちゃ。前段に申し上げたことをよく考えてもう一回答えなさい、それによって終わりにする。
  82. 松本守雄

    ○政府委員(松本守雄君) 林野庁といたしましても、振動障害対策につきましては真剣に取り組んでおるつもりでございます。そういった不勉強がありました点は残念でございますが、今後もさっそくそういったものを検討いたしまして、対策を講じてまいりたい、このように考えます。
  83. 佐野芳雄

    ○委員長(佐野芳雄君) 他に御発言もなければ本日の調査はこの程度にとどめておきます。  これにて散会いたします。    午後零時四十七分散会      ―――――・―――――