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1970-04-10 第63回国会 参議院 本会議 11号 公式Web版

  1. 昭和四十五年四月十日(金曜日)    午前十時三分開議     ――――――――――――― ○議事日程 第十一号    昭和四十五年四月十日     午前十時開議  第一国務大臣の報告に関する件(農業基本法   に基づく昭和四十四年度年次報告及び昭和四   十五年度農業施策について)  第二農業者年金基金法案及び農民年金法案   (趣旨説明)  第三防衛庁設置法等の一部を改正する法律案   (趣旨説明)  第四肥料価格安定等臨時措置法の一部を改正   する法律案(内閣提出)     ――――――――――――― ○本日の会議に付した案件  一、請暇の件  一、緊急質問の件  以下議事日程のとおり     ―――――――――――――
  2. 重宗雄三

    ○議長(重宗雄三君)諸般の報告は、朗読を省略いたします。      ―――――・―――――
  3. 重宗雄三

    ○議長(重宗雄三君) これより本日の会議を開きます。  この際、おはかりいたします。  大谷贇雄君から病気のため二十九日間請暇の申し出がございました。  これを許可することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 重宗雄三

    ○議長(重宗雄三君) 御異議ないと認めます。よって、許可することに決しました。      ―――――・―――――
  5. 重宗雄三

    ○議長(重宗雄三君) この際、緊急質問の件につき、おはかりいたします。  亀田得治君から、大阪ガス大爆発事故に関する緊急質問が提出されております。  亀田君の緊急質問を行なうことに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 重宗雄三

    ○議長(重宗雄三君) 御異議ないと認めます。発言を許します。亀田得治君。    〔亀田得治君登壇、拍手〕
  7. 亀田得治

    ○亀田得治君 私は、共産党を除く各会派を代表して、四月八日の大阪のガス爆発事故につきお尋ねいたします。  初めに、私は、今回の事故により被害を受けられた方々、特に身内の者をなくされた方々に対し、つつしんでお悔やみ申し上げます。(拍手)  私も昨日さっそく現地に参り、時間の許す限り調査いたしてまいりました。今後再び絶対にこのような惨事を起こしてはならないとの立場から、これらの調査資料を参考にしながら若干質問をいたしたいと思います。  まず最初に、総理は、今回の事故に対してその政治責任を強く感じておられるかどうかという点であります。災害発生についての個々の問題点については後ほど関係大臣にお聞きいたしますが、要するに、今回の惨事は、日本の政治が全体としてどんな場合でも人命の尊重と安全、このことを最優先させるとの姿勢に欠けていた結果と言わなければなりません。政府も一応ことばとしては人命尊重を唱えるのでありますが、企業の経済活動との関係が出てまいりますと、いつも後退するのであります。このことは各種の公害問題に対する立法や行政措置にもあらわれておるのでありますが、今回のような大きな災害を引き起こした根本原因は、政府のこのような企業優先の考え方に根ざすものであり、この考えが改まらない限りは、今後ともこのような災害の再発を防ぐことは不可能と思うのでありますが、総坪の所信を伺います。  さらに、総理に要請したいことは、被害者に対する措置を十分に行なうことであります。今回の被害者は、全く自分に責任のない原因で被災されたのであります。都市再開発公害の犠牲者と言わねばなりません。関係法規を活用して完全な補償を与えるべきだと思います。また、ガス中毒にかかった者も多数おられるようでありますが、症の懸念もありまするし、治療に対して万全を期していただきたいと思います。これらの点について、総理の所信をお伺いいたします。  次に、関係各大臣に、個々の点について伺います。  第一点は、被害とその対策についてであります。調査の進行につれて被害が違ってくることはやむを得ぬのでありますが、現時点における被害状況をあらためて明らかにしていただきたいと思います。そして、これらの被害に対し、政府関係各機関がとった対策を具体的に説明を願いたい。通産、建設、厚生の各大臣及び国家公安委員長よりそれぞれお答えを願います。  第二点は、今回の事故の原因についてであります。主として国家公安委員長、補足的に通産大臣よりお答えを願います。  まず、事故の第一原因であるガス漏れがどのようにして起こったかについては、現地においても様々な推測が行なわれております。この点については、さらに慎重に究明しなければならないことであると思いますが、政府としては、可能性としてどのようなことを考えておられるか伺いたい。特に、ガス管が次第次第に自然にガス漏れを起こすようになったものか、それとも地下鉄工事に関連し、何らかの強い力が加わって起こったものであるかという点についての現時点における見解を承りたいと存じます。  次に、事故の第二原因とも言われる引火についてであります。この点については、ガス漏れが始まった後、かけつけてきたガス会社の修理車のエンジンをかけっぱなしにしていたためであることはほぼ明らかになったようでありますが、念のため伺っておきたいと思います。  第三に、現場のガス漏れ検査につきまして、通産大臣並びに国家公安委員長にお尋ねいたします。  現地における調査によりますと、八日の午後三時四十分から四時半までの間、ガス会社、交通局、建設会社の者が一人あて、合計三名が一組みになって現場の安全検査をしたが、その際には何ら異常がなかったと言っておるのであります。しかし、その検査のやり方は、ガス管の防護さくが規定どおりになっているかどうかを調べただけでありまして、ガス漏れの有無については積極的に調べていないようであります。この地区では、四日前からガス漏れが起こっていたとも言われておりますが、事実はいかがでしょうか。もし検査がきびしく行なわれておれば、今回の事故を完全に防止できたと思うのでありますが、いかようにお考えになっておられますか。  第四に伺いたいことは、関係者の措置がもっと適切であったならばあのように多くの死亡者を出さないで済んだのではないかという点につきまして、主として国家公安委員長にお伺いいたします。  現地における調査を総合すると、ガス漏れの通報を受けてガス会社の社員、警察官、消防署員らが次々に現場にかけつけてきたのであります。ガス漏れ事故でありますから、彼らはまず人を避難させるべきであります。特に、ガス会社の修理車が燃え始めた時点においては、直ちに人を遠ざけることに努力すべきであったと思います。われわれの調査によれば、ある程度そのような努力があったようでありますが、そのやり方がはなはだなまぬるいものであったと言わねばなりません。ガス漏れ事件で現場に行くのでありますから、彼らは携帯マイクぐらいは持っていって、大声でその危険性を住民や通行人に訴えるべきでありますが、そのような措置は全くとられておりません。今回の事故の被害を大きくした原因がここにあったと思うのでありますが、政府はどのようにお考えになっておられるでしょうか。新聞記事によりますと、建設大臣も、九日、現場視察をされまして、この点につき同じように感じとられたようでありますが、建設大臣の率直な所感を承りたいと存じます。  第五に、今後改革すべき若干の問題について総理にお尋ねいたします。きわめて具体的な問題でありますが、政府の熱意のバロメーターとなるのでありますから、総理から直接お答えを願いたいと存じます。  その第一は、現在地下鉄工事で行なわれているオープンカット工法をやめて、シールド工法に改めることであります。後者は経費が多くかかりますが、安全のためにはやむを得ないことと思います。  第二は、地下埋設施設の共同溝の問題について、総理はどのように考えておられますか。少なくとも新しい都市をつくる際にはぜひ採用すべきだと思いますが、いかがでしょうか。  第三に、優秀なガス漏れ探知器を即刻開発すべきであると思います。昨日、現地でガス会社の者に聞きますると、現在の探知器は人間の鼻よりもまさっているとは言えないとのことであります。八日の検査のときにガス会社の諸君は探知器を持っていなかったので、多少言いわけめいた印象を受けたのでありますが、現在の日本の科学技術をもってすれば、わずかのガス漏れでも完全にキャッチできる優秀なものがつくれると思います。総理は、直ちにその開発を指示する気持ちがあるかどうかを伺います。  第四に、事故防止の責任体制と監視体制を確立する点であります。地下鉄工事のガス漏れ防止については、交通局、ガス会社、建設会社の三者が現場で連絡協力することになっておりますが、この点をもっと法規的に明確にし、責任関係を明らかにすべきだと思います。また、監視に当たる行政担当者の数を整備拡充する必要もあると思いますが、総理の所信を伺います。  最後に、もう一点、総理にお伺いいたします。四月八日の大阪の災害は、いつ東京その他の都市でも起こるかもわかりません。特に、日本は地震国であり、地盤もよくないと言われております。総理は、この際、人命尊重の立場から、ガス爆発防止のため、全国のガス管、特に地下鉄工事現場を総点検し、どんなに金をかけても、思い切った具体的な措置をとるべきであると思いますが、所信を伺います。  以上、私の質問を終わります。(拍手)    〔国務大臣佐藤榮作君登壇、拍手〕
  8. 佐藤榮作

    ○国務大臣(佐藤榮作君) 亀田君にお答えいたします。  まず、今回、大阪のガス爆発事件により、多数のとうとい人命が失われたことは、きわめて遺憾であります。ここに、不幸にして亡くなられた方々の御冥福を祈るとともに、遺家族の方々に心からお悔やみ申し上げる次第であります。  また、多くの傷つかれた方々には、すみやかなる御本復を心から祈念するものであります。  また、春まだ浅きこの時期に、住む家を失われた方々に対しましても、心から御同情申し上げ、お見舞いを申し上げます。  さて、亀田君は、今回の事件に対する政治責任についてまず第一に問われました。私は、かねがね人間尊重を強調し、社会開発を推進してきたのでありますが、住民の福祉につながる公共事業の遂行に当たって、多数のとうとい人命が失われたことは、まことに残念、遺憾であります。さきの施政方針演説でも、経済偏重に対して警鐘を鳴らしているものであり、亀田君の言われるように、政府の経済偏重の姿勢がこの事件の原因であるという言われ方は当たらないものと私は考えます。私は、当面、事故の真の原因を早急に究明し、今後再びこのような事故が発生しないように、国として行ない得ることは十分行なってまいると同時に、被災者の方々のために、万全の策を講ずることが政府としての責務である、かように考えるものであります。  次に、被害者の方々に対する補償でありますが、事故原因の究明を急ぎ、事故の責任者に対して十分な補償を講ずるような適切な措置を行なってまいります。現在、考えられる関係者はその支払い能力においては心配ないと思いますので、完全な補償については御懸念のないようにいたすという考えでございます。また、けがをされた方々の後遺症の懸念もありますので、これらの治療に対しましても万全を期してまいる決意でございます。  次に、具体的な問題として、工法としてシールド工法をとれとの御提案でありました。オープンカット方式でガス管の保全が十分かどうかの技術的検討を加えると同時に、シールド工法の採用も十分検討してみたいと思います。御承知のように、東京においての板橋におけるガス漏れの事件、また今度の大阪の多数の犠牲者を出した事件等を考えてみますると、やはりシールド工法を採用するということが望ましいのではないかと思います。この問題は、技術上の問題のほか、経費の割り高に伴う工事量や工事期間の犠牲をどう考えるかであります。もちろん安全性より経済性を重視するつもりは毛頭ありませんが、このかね合いをどのように考えるかはむずかしい問題であり、皆さま方の御意見をも十分伺った上で検討してまいりたいと、かように考えております。ことにわが国のシールド工法はよほど進んでおりますので、これらの点もあわせて御披露申し上げ、シールド工法の採用について可能性の十分あることも指摘しておきます。  次に、共同溝の活用についてでありますが、相当に高額につくものであり、また、新しい町づくりにはともかく、都市再開発事業として工事の実施に多くの困難と期間を伴うことを考慮しなければなりませんが、趣旨としては、亀田君御指摘のとおりと考えます。ただ、この場合でもガス管と同時に電線等を一緒にする共同溝が、はたして漏電によるガス爆発の危険なしと、かように言い得るかどうか、そこらにも問題があると思いますので、ただ共同溝というだけで飛びつくわけにもいかないように思います。これらの点も新しい町づくりにおきましては十分重点的に取り上げられ得る、かように思いますので、最近の町づくり、あるいは住宅、用地形成等におきましては、共同溝の施設が次々にとり行なわれております。しかし、古い町におきましては、どうもどこにどういう施設があるか等が十分明らかでありません。そうなりますと、やはり工事、まあ地下鉄工事のような場合には、特に深さ――深度がその重点になるだろうと思いますので、そういう場合にはどうしてもシールド工法が望ましいのではないか、かように思います。それらの点は、御指摘のとおり私どもも考えておる次第であります。  次に、ガス漏れ探知機が工事現場になかったことが指摘されておりますが、私も同感であります。政府としても適確な探知器の開発に努力したいと思います。  次に、事故防止体制についての御指摘がありました。私も、工事の認可と工法の認可の関係、あるいは国の立ち入り検査権などについて十分検討いたしたいと考えます。関係者の連絡は、道路管理者を中心に密接な連絡を保つよう十分指導してまいります。ことに、人のこういう危険な場所への近寄り、これは厳禁すべきだと、かように考えますので、今後の取り締まりにおきましても、新しい方法を立てるべきだと思っております。  最後に、全国のガス管、地下鉄の工事現場の総点検は、政府としてもさっそく指示いたしまして、総点検を実施し、今後再びこのような事件が発生しないよう、最大の努力を払ってまいる決意であることを再び申し上げて答弁といたします。  なお、この機会に、亀田君から御指摘のように、もう電力の送電線あるいはガス管等もずいぶん古くなっておりますので、漏電あるいはガスの漏洩等がございますから、こういう機会に、そういう施設についての総点検をする、人命尊重の立場において、かくすべきだということを、けさの閣議でも指示したような次第でございまして、今後、私どもは全力をあげて、かような事故が再発しないように、最善を尽くしてまいる決意であります。何とぞ御支援のほどお願いいたします。(拍手)    〔国務大臣宮澤喜一君登壇、拍手〕
  9. 宮澤喜一

    ○国務大臣(宮澤喜一君) 大きな事故を起こしまして、まことに申しわけないと思っております。  事故の起こりました夜半、現地に参りまして、とりあえず、不幸な犠牲になられた方のお見舞いを申し上げ、また、その後、大阪市庁におきまして、市当局、中央からの出先きの長等を集めまして、とりあえずの指示と助言とをいたしました。翌朝、第二回の会合を根本建設大臣の参加のもとに開きまして、同じく当面の対策につきまして協議をいたしたわけであります。  原因について、国家公安委員長の御説明に補足をして申せということでございますが、ガス会社におきましては、毎日現場でガス漏れの点検をいたしておりまして、当夜もガス会社の責任者から、ただいま御指摘のように、事故の一時間ほど前に現場でチェックをしたという報告を受けております。その際に、何にも異常がなかったということであったということでありますけれども、もし、しかりとすれば、一時間の間に何か新しいことが起こったのであるか、あるいはひょっとして、ごらんのようにかなり高いところにパイプがあるわけでございますから、おざなりでなく、ほんとうに適切なガス漏れの検査を適当な方法でやっておったかどうかということにも疑問を抱く余地があろうと思います。といたしますと、数日前にもガス漏れがあったということは――確かな事実を知っておりませんが、もし検査の方法が、いわばずさんであるといたしますと、そのようなことを発見し得なかったという可能性もございます。これらのことは、いずれにいたしましても取り調べ当局の取り調べによって判明をいたすことと考えております。  それから事故防止の責任監視体制につきましては、施主とガス会社との間には協定書がございまして、ただいまのような監視体制ができ上がっておるわけでございますけれども、要は、それがほんとうにおざなりでなく実行されておったかどうかということにかかるのではないかと考えております。  内閣に事故対策連絡本部を昨日つくりまして、昨晩その第一回の会合をいたしました。すでに昨日、関係各省、運輸、通産、建設、労働、警察等でございますが、すでに、いわゆる総点検についておのおのの立場から地方に通達をいたしておりますが、その総点検の結果、所見並びに改善すべき事項をばらばらにいたしますことは、従来の行政の弊を繰り返しますので、このたびは道路管理者を中心にして、各地方にできております連絡協議会におのおのの所見を持ち寄りまして、共同の立場で改善策を講じるということを昨晩の対策本部で打ち合わせ、決定をした次第でございます。  なお、通産省といたしまして、今回の事故並びに昨年の事故を反省いたしますと、ガス管の埋設、移設等につきましては、従来かなり保安規程、工作物の要件等も規制をしておりますけれども、ほかの工事、いわゆる他工事によりましてパイプを牽引する、あるいは下から受けるといったような場合においての工作物の基準、その場合の保安規程等につきましては、どうも十分でなかったという反省を新たにいたしております。したがって、総点検も通達いたしましたが、なお、ガス事業法の改正案が成立いたしましたので、早急にこういう他工事の場合の工作物の基準、保安の規程等々を、通産大臣が不適当と認めれば改善命令を出し得るような形で整備をいたしたいと考えております。  御心配をかけまして重ね重ね申しわけないことに存じます。(拍手)    〔国務大臣根本龍太郎君登壇、拍手〕
  10. 根本龍太郎

    ○国務大臣(根本龍太郎君) 総理大臣並びに通産大臣から御説明がありましたので、ごく簡潔にお答え申し上げます。  いままでの保安あるいは工事に関するいろいろの経験上、厳重なる注意をしてやったのでありますが、あの結果を見まして、私は従来やったことだけで満足せずに、積極的に工法並びに行政指導を再検討すべきであると考えます。そのために、御提案になりましたシールド工法を積極的にこれは採用すべきであるという点を関係各省にお願い申しております。それから上質等の関係でシールド工法の必ずしも適当でないところは、むしろガスパイプを他に移設して、工事とぶつからないようにする、こういう方法を指導してまいりたいと思っております。  その次に、これは今回私が行きまして非常に心配したのは、あれだけのたいへんな人命並びに損害を起こしておりまするので、関係者が膨大なる補償金を背負うということになるということを心配して、お互いに責任をなすり合いすると、原因究明がなかなかむずかしいと思います。そこで、さっそく警察本部長並びに関係の人々に特にお願いして、この際は本格的に徹底的に原因を究明して、再びこういうことのないように、他の都市においても十分探究しなければならぬから、厳正なる事故原因の探究をしてほしい、これに基づいて、従来のやり方を場合によっては根本的に改めなければならない、こう思っておる次第でございます。(拍手)    〔国務大臣内田常雄君登壇、拍手〕
  11. 内田常雄

    ○国務大臣(内田常雄君) 厚生省といたしましては、大阪府並びに日本赤十字社などと連絡をいたしました上、直ちに担当官を現地に派遣いたしまして、負傷者の病院への収容など、救急医療と被災者の応急救護を中心として必要な措置を講じてまいっております。特に大切と考えられます輸血用の血液の集積とか、あるいは今回の負傷に関連いたしまして心配がございまする破傷風の血清、またガスえそ抗毒素といったような特殊の医薬品の準備に配意をいたしまして遺憾なきを期しております。  特に負傷者の収容につきましては、大阪府には救急医療情報センターという新しい施設ができておりまして、今回の非常事態に際して、この情報センターが非常な効果を発揮いたしまして、どこの病院にどれだけのベッドのあきがあるか、また、医者が待機しておるかというようなことをワンタッチで一挙に知り得るような、そういうことができましたおかげで、かなりの数にのぼる負傷者の収容に手違いなく、これが非常に円滑にまいりましたことを御報告申し上げておきたいと存じます。  また、被災者の応急生活援護等につきましても遺憾なきを期しておるところでございます。(拍手)    〔国務大臣荒木萬壽夫君登壇、拍手〕
  12. 荒木萬壽夫

    ○国務大臣(荒木萬壽夫君) お答え申し上げます。  被害状況でございます。死者七十四名、男六十四名、女十名、重傷者百三十七名、軽傷者百六十五名、合計三百七十六名、うち警察官三名を含みます。店舗、住宅等の全半焼が二十二棟、爆風による付近の家のガラス破損が百十戸くらいとなっております。  死者の身元につきましては、死者七十四名のうち、身元が判明しているのは七十二名、身元不明者は二名となっております。身元判明者の区分は、一般市民六十八名、大阪瓦斯従業員三名、警察官一名となっております。身元不明の二名は、火傷による損傷がはなはだしいので、識別が困難な状態でございます。死者の個々の死因につきましては、現在詳しく調査中でありますが、そのほとんどが頭脳底骨折、脳挫傷、内臓破裂、圧死などでございます。これは四月十日七時現在の数字でございます。  次に、ガス漏れの原因、引火の原因は何かというお尋ねでございますが、事故原因については、綿密な現場検証、関係者からの事情聴取を行ない、その解明につとめているところであります。ガス漏れの位置及び原因、引火の原因については、現在のところ結論を得ておりません。ガス漏れの検査などについても手違いがなかったかどうか、現在捜査中であり、御指摘のように、数日前にガス漏れのあったことは事実でありますが、今回の事故発生の際に、同一場所からガス漏れがあったかどうか究明中であります。  なお、ガス会社の修理車がエンジンをかけっぱなしでおった、それが引火の原因であろうとは思われますけれども、これとてももっと厳密な究明を待ちたいと思います。  避難をさせることに手ぬかりがあり、死傷者が多くなったということはないかというお尋ねでございます。警察としましては、ガス漏れを認知後、直ちに現場に向かう交通の一部規制を実施し、爆発までの十五分間以内に、パトカー二台及び警察官十八名が爆発前に現場に到着し、付近に蝟集している住民及び通行人に大声で危険を知らせながら、身をもって群衆の規制及び交通の遮断等に当たり、被害の未然防止につとめたのであります。当時の措置として、警察はできるだけのことをしたと思います。(拍手)
  13. 重宗雄三

    ○議長(重宗雄三君) 建設大臣から答弁の補足があります。根本建設大臣。    〔国務大臣根本龍太郎君登壇〕
  14. 根本龍太郎

    ○国務大臣(根本龍太郎君) 亀田議員からお尋ねのありましたこと、ただいま国家公安委員長から御説明になったことではございまするが、私が現場に行って感じた所感を一つ申し上げます。  それは、御承知のように工事関係者の死傷者がわりあいに少ないにもかかわらず、工事に関係のない一般住民が非常に死傷者が多かったのは、警察が極力交通遮断あるいは避難の指導をしたようでありまするけれども、これをやはりもっと徹底して、まず避難命令を出し、それから交通遮断すれば、事故があれほど大きくならなかったのではないかということは、閣議でも、それから国家公安委員長にも意見を申し上げておったところでございます。      ―――――・―――――
  15. 重宗雄三

    ○議長(重宗雄三君) 日程第一、国務大臣の報告に関する件(農業基本法に基づく昭和四十四年度年次報告及び昭和四十五年度農業施策について)並びに  日程第二、農業者年金基金法案及び農民年金法案(趣旨説明)を一括して議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  16. 重宗雄三

    ○議長(重宗雄三君) 御異議ないと認めます。  報告及び国会法第五十六条の二の規定による趣旨説明を順次求めます。倉石農林大臣。    〔国務大臣倉石忠雄君登壇、拍手〕
  17. 倉石忠雄

    ○国務大臣(倉石忠雄君) 昭和四十四年度農業の動向に関する年次報告及び昭和四十五年度において講じようとする農業施策につきまして、その概要を御説明申し上げます。  まず、昭和四十四年度農業の動向に関する年次報告について申し上げます。  近年におけるわが国経済の高度成長は、農業に対し種々の影響を及ぼし、近年縮小傾向にあった農業の製造業に対する生産性の格差は、前年度に比べ拡大いたしております。  しかし、農家の所得は、順調な増加を示し、生活水準は世帯員一人当たり家計費でみますと、生活環境の類似している地方在住の勤労者世帯に対しては、ほぼ同水準となっております。  次に、農業生産は高水準を維持しておりますが、高度化し多様化している国民の食料需要の動向に十分対応しておらず、米が過剰となる反面、需要に生産が対応し得ない品目もあります。  今後、農業生産を進めるにあたっては、米の生産調整を進めるなど需要の動向に即応した効率的な生産体制を確立することが緊要となっております。  さらに、農業構造についてみますと、農家戸数や農業就業人口は引き続き減少しておりますが、農業経営の規模拡大は順調な進展をみせず、一方、新規学卒の就農者は減少を示し、農業労働力の老齢化が進んでおります。  このような諸情勢に対処して、農業の近代化をはかり、産業としての農業を確立するためには、わが国農業構造を改善し、生産性の高い高能率の農業経営を育成していくことが重要であります。  以上が第一部の概要であります。  次に、第二部におきましては、四十四年度を中心といたし、講じた施策につきまして記述しております。  最後に、昭和四十五年度において講じようとする農業施策について申し上げます。  ただいま御説明いたしました農業の動向に対処するため、政府といたしましては、農業基本法の定めるところに従い、諸情勢の推移を織り込んで、総合農政を推進してまいることといたしております。当面、四十五年度におきましては、農業生産基盤の整備、農業構造の改善、米の生産調整など需要に見合った農業生産の推進、流通消費対策の強化など各般の施策の推進をはかることといたしております。  以上、昭和四十四年度農業の動向に関する年次報告及び昭和四十五年度において講じようとする農業施策につき、その概要を御説明した次第であります。     ―――――――――――――  次に、農業者年金基金法案について、その趣旨を御説明いたします。  近年におけるわが国経済の高度成長のうちにあって、農業がその生産性の向上をはかりつつ国民食糧その他の農産物の安定的な供給を行ない、農業者に他産業従事者と均衡のとれた所得と生活水準を実現し得るようにすることは農業と農政に課せられた基本的課題であります。  農業がこの要請に十分にこたえるためには、資質のすぐれた経営担当者による規模の大きく生産性の高い農業経営によって、農業生産の相当部分が担当されることが必要であり、このため、農業の構造改善のための各般の施策を総合的に推進し、次代をになう優秀な後継者が将来に希望と自信を持って安んじて営農にいそしめる基盤を確立することが必要であると考えるのであります。  ところで、優秀な経営担当者の確保、経営移譲の促進、経営規模の拡大等は、農業者の老後生活の安定と密接に関連している面があるのでありまして、このような観点から、農業者年金制度を創設するとともに、これを補完するため、この制度の対象とならない老齢または零細経営主に対し離農給付金を支給することとし、また、離農を希望する者の農地等の買い入れ及び売り渡し並びに融資の措置を一体的に講ずることとし、この法律案を提出した次第であります。  次に、法律案の主要な内容について御説明申し上げます。  第一に、農業者年金基金の目的は、農業者の経営移譲及び老齢について必要な年金等の給付の事業を行ない、並びにこれに関連して農地等の買い入れ及び売り渡し等の業務を行なうことにより、国民年金の給付と相まって農業者の老後の生活の安定及び福祉の向上に資するとともに、農業経営の近代化及び農地保有の合理化に寄与することとしております。  第二に、基金の業務は、農業者年金事業を行なうこと、農地等の買い入れ及び売り渡し並びに農地等の取得に必要な資金の貸し付けを行なうこととしております。また、一定の期間、農業者年金の被保険者以外の者が経営移譲をした場合に離農給付金を支給する業務を行なうことができることとしております。  第三は、農業者年金事業に関する規定であります。まず、被保険者につきましては、国民年金に加入している一定規模以上の農業経営主を当然加入とし、このほか、一定の要件に適合する者は、任意加入し得ることとしております。また、者年金の被保険者は、国民年金の所得比例に加入するものとしております。  次に、給付される年金額につきましては、経営移譲をした者に対しては、六十歳から六十五歳までの間は保険料を二十五年納付した場合月額二万円、六十五歳以降は国民年金の給付と合わせてややこれを上回る額としております。また、経営移譲をしない者に対しても、六十五歳からは一定額の年金を支給することとしております。なお、制度の発足当初においては、年金受給に必要な拠出期間を年齢に応じ五年まで短縮するとともに、年金の額についても優遇措置を講ずることとしております。  第四は、農業者年金事業に関する費用についての規定であります。まず、国庫は、毎年度、経営移譲年金の給付に要する費用の三分の一に相当する額を負担することといたしております。  次に、保険料の額は、当初は一月につき七百五十円とするとともに、国庫は、毎年度、基金に対し、この当初の保険料一月分につき三百二十円の割合で算定した額を補助するものとしております。  第五は、基金が行なう農地等の買い入れ及び売り渡し等の業務に関する規定であります。基金は、離農しようとする者から一定の区域内にある農地等を買い入れることができるものとし、その売り渡しは、農業経営の規模の拡大、農地の集団化その他農地保有の合理化に資することとなるようにしなければならないものとしております。また、基金が行なう資金の貸し付けは、農業者年金の被保険者等が、離農しようとする者から、一定の区域内にある農地等を取得しようとする場合に行なうものとしております。  以上のほか、基金の財務および会計、基金に対する監督等について所要の規定を置いております。  以上が農業者年金基金法案の趣旨でございます。(拍手)     ―――――――――――――
  18. 重宗雄三

    ○議長(重宗雄三君) 衆議院議員芳賀貢君。    〔衆議院議員芳賀貢君登壇、拍手〕
  19. 芳賀貢

    ○衆議院議員(芳賀貢君) 農民年金法案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。  わが国農業は、国民食糧の安定的供給という、重要な国家的使命を通じ、社会経済の発展に大きく寄与してまいりましたが、そのにない手である農民に対する社会保障制度は、ほとんど見るべきものがないというのが実情であります。  すなわち、国民総生産は、世界第二位と誇示しながら、大事な国民所得水準は第二十位であり、社会保障水準において第十四位と立ちおくれ、まさに、高度成長下の資本主義経済の矛盾と欠陥を物語るものであります。  しかも、農民の多くのものは、国民皆保険のしんがりとして発足した国民年金制度に加入しておりますが、国民年金の欠陥として、年金財源の負担区分が、加入者負担三分の二、国庫負担三分の一と、保険料が高率であること、老齢年金は保険料を二十五年間納付して、六十五歳から月額八千円と低劣な給付内容であり、国民の老後の生活を保障する年金制度にはほど遠いものがあります。  最近の政府・自民党の農政に対する農民の不信と不安に加えて、農民に対する社会保障制度がこのような現状では、農村の優秀な青少年が、農業に一生を託する希望と情熱を失い、なだれのごとく他産業へ流出するのも、当然の帰結と言わなければなりません。  このような実情に対処し、わが党といたしましては、日本国憲法第二十五条に規定する国民の生存権保障の理念に基づき、さらに国民年金法第七条の指向する、二十歳以上六十歳未満の日本国民は国民年金の被保険者とする原則規定を踏まえつつ、いわゆる各種公的年金制度を改善の上、これらを統合一元化し、国民ひとしく老後生活が保障さるべきとする立場を堅持しつつも、当面、農民の老後保障の充実を中心とした農民独自の年金制度の必要性を強く主張してまいったのであります。  今回、政府から農業者年金基金法案が提出されましたが、おそらく、これは、去る昭和四十二年一月の衆議院総選挙の際に、佐藤総理が「農民にも恩給を」という呼びかけで農民の老後保障を公約したことに対する実現措置と思われるのでありますが、はたしてしかりとすれば、これこそ全国の農民を愚弄し、その期待を裏切るものと断ぜざるを得ません。  政府案による年金制度は、給付内容が劣悪な上に、経営移譲と離農政策のみに力点を置き、国民食糧の生産と供給に挺身した農民に対する老後保障の充実という、農民側の願望とはあまりにもかけ離れたものであり、その名は農業者年金とはいえ、その実は構造政策の一環をなす政策年金以外の何ものでもありません。  このような制度に、はたして農民が魅力を持つでありましょうか。これが「農民にも恩給を」という佐藤総理の公約に対する実現措置であるとするならば、政府・自民党の公約とはまさに羊頭を掲げて狗肉を売るようなものと言わざるを得ないのであります。  しかも、農民の社会保障制度充実の美名をかりて、農民の最も大切な資産であり生産手段である農地等を手放すことを奨励するような政府の政策に対し、われわれとしては断じて同調するわけにはまいらないのであります。  この際、かねてからのわが党の主張に従い、みずから農業に従事するすべての農民を対象にした農民年金制度を創設し、国民年金の給付と相まって、農民の生活の安定及び福祉の向上をはかり、農村の次代をになう青年に希望を与え、農業の振興と長期の発展に資することをねらいとして、ここに本案を提出した次第であります。  以下、本案のおもな内容について申し上げます。  第一に、農民年金制度は、農民の老齢、廃疾または死亡について必要な給付を行ない、国民年金の給付と相まって、農民の生活の安定及び福祉の向上をはかり、もって農業の振興に資することを目的としております。  第二に、農民年金事業は政府が管掌することとし、その事務の一部は都道府県知事または市町村長に行なわせることができることとしております。  第三に、農民であって、国民年金の被保険者であるものは、農民年金の被保険者となることとしております。なお、ここにおいて農民とは、農地等を使用してみずから耕作、養畜または養蚕の事業を営む者、これと生計を同じくする親族であって、もっぱら農業に従事する者、及び農業生産法人の常時従事者をさし、その具体的な基準については政令で定めることとしております。  第四に、本制度による給付は、農民老齢年金、農民障害年金、遺族年金、脱退一時金及び死亡一時金の五種類とし、それぞれの支給要件、年金額等を定めております。  まず、農民老齢年金については、保険料納付済期間が二十年以上である者が六十歳に達したときに支給され、その額は、七百五十円に保険料納付済期間の月数を乗じて得た額としております。すなわち、年額で十八万円、月額で一万五千円の老齢年金を給付するものであります。  次に、農民障害年金については、保険料納付済み期間一年以上の障害者に対し、保険料納付済み期間を乗じた額を基準として、障害の度合いに応じ一定額を支給することとし、なお、この農民障害年金には、最低保障額を設け、保険料納付済み期間の二十年に満たない者は二百四十月として最低保障額を定めることとしております。  その他、遺族年金、脱退一時金、死亡一時金については、他の公的年金に準じて支給することといたしております。なお、制度発足の当初においては、年金受給に必要な拠出期間を、年齢に応じ五年まで短縮するとともに、年金の額についても優遇措置を講ずることとしております。  第五に、農民年金の給付の額は、国民生活水準その他の事情に著しい変動が生じた場合には、これに対応して、すみやかに改定の措置を講ずることといたしております。  第六に、経過措置として、昭和四十六年一月一日現在において、六十歳をこえる者で、連続して十年以上、もっぱら農業を営み、または農業に従事した農民に対しては、無拠出により、月額千五百円の農民福祉年金を支給することとし、同日において五十五歳をこえる者は、この制度の被保険者とはしませんが、その者が六十歳になり、その日において連続して十年以上、農民である場合には、その者に対しても、同じく無拠出による月額千五百円の農民福祉年金を支給することとしております。  第七に、農民年金の給付に必要な財源としての保険料については、被保険者一人につき月額七百五十円の保険料を納付することとしておりますが、年金給付に要する費用の百分の七十五に相当する額を国の負担として補助することとし、なお、経過措置としての農民福祉年金の給付に要する費用並びに本制度運用に必要な事務費については、全額を国の負担とすることとしております。  第八に、附則において、農民年金制度の実施に必要な諸規定を設けておりますとともに、われわれは、かねてから農民、漁民のすべてを対象にした特別の年金制度の創設を主張してきた経緯にかんがみまして、特に本法の附則において、政府は漁業または林業に従事する者に対する年金制度について、すみやかに検討を加え、本案による年金給付と同一水準の給付が行なわれるよう措置しなければならないことを規定いたしております。  最後に、この農民年金制度は、昭和四十六年一月一日より発足させることとしておりますが、本制度が国民年金制度との併用で運用される趣旨にかんがみ、国民年金制度の抜本的改正をはかり、国民年金においても、保険料納付済み期間を二十年に短縮し、満六十歳で月額一万五千円の老齢年金の給付が行われ、国民年金と農民年金の併給により、六十歳で一人月三万円、夫婦で六万円の老齢年金の実現を特に強調いたすものであります。  以上、農民年金法案につきまして、その趣旨を御説明申し上げた次第であります。(拍手)
  20. 重宗雄三

    ○議長(重宗雄三君) ただいまの報告及び趣旨説明に対し、質疑の通告がございます。順次発言を許します。村田秀三君。    〔村田秀三君登壇、拍手〕    〔議長退席、副議長着席〕
  21. 村田秀三

    ○村田秀三君 私は、日本社会党を代表いたしまして、ただいま報告、そして趣旨説明されました農業白書、農業者年金基金法案及び農民年金法案に対し、ごく基本的な事項について若干の質問を行なおうとするものであります。  まず、農業白書についてお伺いをいたします。昭和三十六年に制定されました農業基本法の目的は、その第一条に明記されているように、生産性の向上と所得の均衡であります。しかるに、白書によりますると、昭和四十三年度農業の比較生産性は、製造業の三五・一%と、前年より三・四%も落ち込み、四十一年度の水準に逆戻りしておりまして、生産性は相対的に見て著しく低下しているのであります。また、政府が構造政策の中核と見ている自立農家も、その戸数比率は三%も低い九・九%に落ち込んで、これまた四十一年度の水準に逆戻りしているのであります。基本法のもう一つの柱である所得均衡も、農業所得は、五人規模以上製造業の七三・三%と、四十年度の七八%よりはるかに立ちおくれることとなり、農外所得の伸びに大きく依存している状況であります。すなわち、生産性向上、所得均衡という基本法の目的は、二つとも大きく後退してしまったのであります。総理は、この基本法農政の失敗をどのように反省しておられるのでありますか、まずその御所見をお伺いいたしたいのであります。  次に伺いたいのは、本年の白書にほとんど明るい展望が認められないことについてであります。白書の分析によりますと、米をはじめ主要な農産物は、その多くが生産過剰となり、海外からの自由化の圧力と、国内の物価問題の圧力とが加わって、農業はきわめて深刻な状態に立ち至っております。白書は、自由化は必然であり、農産物の過剰傾向により、いままでのような農産物価格の上昇を期待できないとして、構造政策の推進を強調いたしております。しかし、白書を通読いたしまして痛感いたしましたことは、農業の将来に対するビジョンが貧弱なことであり、このためせっかくの分析も単なる現状分析に終わり、その対策に説得力を欠いていることであります。今後、食糧の自給率はどうなるか、何をどれだけ生産するか、農業経営の将来はどうなるのか、どのような経路で近代化を達成するかなどのビジョンなくして農政の一貫した評価は不可能であります。政府はさきに、稲作なら四ヘクタールから五ヘクータル、酪農なら搾乳牛二十頭規模の自立経営の育成をうたい上げましたが、この白書においては、わずかに自立経営の類型の策定等をうたっているにすぎないのであります。農業の将来のビジョンを政府はどう描いているかを、農林大臣から明らかに説明をしていただきたいのであります。また、これに関連いたしまして、現在、経済企画庁が策定しようとしております新日本経済社会発展計画の中で、日本の産業としての農業がいかに位置づけられ、展望されようとしておるのか、関連して経済企画庁長官の説明を求めたいと思います。  次に、米の生産調整について伺います。政府は米の減産を急ぐあまり、転作についての裏づけを行なうことなく減反を進めようとしているため、生産者に不安と混乱を与え、大部分が休耕という、国土の高度利用の観点からきわめて遺憾な事態を生もうといたしております。しかし、白書にも書いてありますように、米を除けば食糧の自給率は六九%であり、飼料も含めますると五十数%にすぎないのであります。かなりの農産物は非常に不足をいたしております。したがいまして、単に米の減産に狂奔するだけでなく、あらゆる手段を尽くしてこの矛盾を克服しなければならないと考えます。転作作物は行政の責任において指定し、価格保障を行ない、農家が不安なく生産し得るような条件をつくり、一方、それと競合する輸入農産物は輸入制限するなど、この際強力な措置が必要ではないかと考えられますが、これについての所見を農林大臣からお伺いをいたしたいのであります。  さらに、貿易、資本の自由化により農業が後退を余儀なくされていることは白書も触れておりますけれども、これを不可抗力の与件として説明しているだけであります。農業構造改善が停滞したまま自由化を強行するのは、農民に強い犠牲をしいる以外の何ものでもありません。しかも、自由化対策は品目ごとにしかるべくやるといった無原則的な色彩が強く感ぜられるのでありまして、農産物自由化問題は、産業間の不均等な発展を放置してきた日本経済全体の問題であり、農民だけに犠牲をしいるべきものでないと思うのであります。自国の産業を守るために輸入を規制しようとすることは、他にも例の見られることであり、しごく当然なことと存じます。いたずらな輸入制限の撤廃は、農業を荒廃させ、人心を惑わすのみであろうと考えます。農産物自由化対策について、農林大臣及び経済企画庁長官に、それぞれの立場における所信を伺いたいと存じます。  次に、農業者年金基金法案についてお伺いをいたします。  まず、総理にお伺いをいたします。その第一点は、本制度の性格と目的であります。総理はかつて、「農民にも恩給を」と、国民に約束をされました。この公約実現の措置と見られる本制度の内容を見るに、名目は年金であっても、実は農業構造改善政策を補完するものであり、その運用のいかんによっては、むしろ主体的役割りを果たしかねない重要な意味を持つ制度と考えられるのであります。過般、衆議院本会議における総理の発言を聞くに、農業者の老後生活の安定とその福祉の向上に資するものであり、老後の保障的性格が薄いとは考えられないということであります。後ほど具体的にお聞きをいたします年金設計を見る限り、他の公的年金と比較して十分な措置であるとは考えられないのであります。総理は、一体この制度について社会保障であるという観点に立たれておりますか、または、農政の当面する構造政策体系の一つとして見ておられるのか、明確なお答えをいただきたいと存じます。  さらに、現今の農業動向は、農業白書に関して質問を申し上げましたが、基本法農政の失敗とはいえ、放置しがたい状態であり、ただ単なる農政の面での解決策のみならず、国民的視野に立つ広範な政策遂行を要する課題であろうと存ずるのであります。  とりわけ、昨今における長期出かせぎ労働の恒常化は地域社会と家庭を破壊しつつ、社会的、人道的幾多の問題を惹起せしめており、それらの解決は急がなければならないと考えます。しかしながら、その解決のために強権的方法を講ずることは問題があろうかと存じます。今回、強制加入方式の年金的手法によって構造政策を補完しようとする政策は、一種の権力的強制措置ではなかろうかとさえ考えられるのであります。また、掛け金は同一でありながら、政策意図に反した場合、格段の減額給付が行なわれることについて了解に苦しむのでありますが、それらの点についての所信を伺いたいと存じます。  さらに、本制度が公表されて以降、農業従事者の不満と批判の声を聞くのでありますが、政府は、この際、純粋な意味における社会保障制度としての農民年金制度を確立し、もって農業従事者の期待にこたえる考えがおありかどうか、お聞かせをいただきたいと思います。  次に、農林大臣にお伺いをいたします。本制度により当然被保険者となります約二百万の農家は、その経営規模、内容、家族構成あるいは意識動態等、個別に掌握されることになるのであります。そしてそのことは、年金設計上必要事項であり、おそくても五年目ごとの財政計画再計算の時期には当然明らかにされねばならないものと考えます。そういたしますると、個別農家に対し政策的に選別重点指導をすることも可能になるわけでありまして、政府は、構造政策を補完する制度の趣旨からして、そこまで積極的に取り組もうと考えておりますかどうか、お伺いをいたします。  次に、厚生大臣にお伺いをいたします。その第一点は、経営移譲と非移譲の年金給付額の格差算出の根拠についてお答えをいただきたいと存じます。経営移譲年金が被保険者期間二十年にして一万六千円となっております根拠もさることながら、老齢年金において、その老齢保障部分に対してさえ格差を設けたことは了解に苦しむものであり、その額の格差算出の根拠をお尋ねいたします。  第二点は、離農給付金の支給業務を制度発足後十年をもって終了することとなっておりますが、それは何を意味するものでありましょうか。被保険者となり得ない農家層の経営権の移動は、ほぼその期間内に終了せしめたいとか、促進したいとか、何らかの政策的意図を読み取るのでありますが、いかがでしょうか。  第三点は、本制度の発足当初、推定される被保険者数は約二百万人と聞き及びますが、この被保険者数は、制度の性格と目的からして、逐年減少するものと予想できるのであります。その減少率いかんによっては財政計画を変更せざるを得ないものと存じます。その場合、被保険者の減少は、そのまま被保険者の負担増につながるものと予想できるのでありますが、政府はいかに対処なさるおつもりか。将来のことではありますが、制度発足の時点において所信をただしたいと存じます。  第四点は、先ほども触れました老齢保障部分は、他の公的年金と比較して著しく遜色ありと認められるのであります。衆議院本会議における関係大臣の発言を聞く限り、公的年金、たとえば厚生年金と比較してむしろ優遇されているというのでありますが、国民年金方式の計算によって、掛け金期間二十年で試算した場合ですら、六千四百円の給付となり、本法案の経営移譲者の老齢年金部分五千二百円、非移譲者部分三千六百円よりはるかに高いのであります。有利不利は被保険者の立場で判断されるものであることを前提にいたしまして、本制度、とりわけ老齢保障が他の公的年金より劣らざるという計数的根拠をお示しいただきたいと思うのであります。  続いてお伺いをいたします。去る三月二日、総理府社会保障制度審議会は農業者年金制度要綱について答申し、「たとえ国の農業政策的要請があるとしても社会保障制度としての年金制度のあり方になお疑念が残る点がある。」とし、「運用にあたってはとくに慎重を期せられたい。」というのでありますが、その疑念とは一体何でありますか。また、本制度の新設によって国民年金制度に大きな変革をもたらしました。それが農政上の要請であり、国民の理解を得たといたしましても、公的年金制度の中で最低の条件下に置かれている被保険者各層、とりわけ農業類似産業従事者からの改善要求が強く出されることと予想できますが、政府はいかに対処なされるのでありましょうか。厚生大臣のお考えをお伺いいたしたいのであります。  以上、政府に対する質問を終わります。  最後に、農民年金法案について、芳賀衆議院議員にお伺いをいたします。  その趣旨説明をお聞きいたしますると、総括的に申し上げまして、政府提案の年金制度と比較して、名称は同じ年金ではあっても本質的な差異を感ずるのでありますが、その比較について御説明をお願いいたしたいと思います。  私の質問を終わります。(拍手)    〔国務大臣佐藤榮作君登壇、拍手〕
  22. 佐藤榮作

    ○国務大臣(佐藤榮作君) 村田君にお答えいたします。  まず、農業の生産性及び所得格差の問題でありますが、弁解めくようですが、農業の労働生産性が低いと申しましても、それは国際的に例を見ないほど高い成長を続けてきたわが国工業部門と比べてのことであり、欧米主要先進国の農業のそれと比べて遜色のないものであることはよく御理解いただけると思います。全体として農業者の水準にめざましい向上が見られたことほお認めだと思いますが、そういう意味で、決して農業基本法、農政が失敗したものとは私は考えておりません。しかしながら、今後の客観情勢を考慮すると、他産業との生産性ないし所得格差の改善が、これまでのように順調に進むことは容易でないと思いますので、新しい農政の強力な展開の必要性を一そう痛感し、その決意を新たにするものであります。ここにいわゆるビジョンがなければならない、かように思っております。  次に、農業者年金についてでありますが、これは農民諸君の老後生活の安定の課題に加えて、当面の緊急課題である農業の構造改善推進のために必要な措置であります。すなわち、優秀な経営担当者の確保、経営移譲の促進、経営規模の拡大という農政上の要請にあわせこたえるものとしてきわめて適切なものであり、これを切り離すつもりはありません。また、これが任意制でないことをもって農民の自主性を奪う権力介入政策であるとの御意見でありましたが、決してそのようなものではありません。この制度の趣旨、目的を十分に達成するためには全員の加入が望ましいし、また、ただいま申し上げた二つの課題は日本農業発展のためにきわめて適切かつ必要なものであり、農民諸君の利益にも直ちにつながるものであるので、私は良識ある農民諸君がきん然として参加されることを疑わないものであります。また、村田君の言われる純粋な意味の社会保障制度、これはどのような意味か私にはちょっとわかりかねますが、さきに申したような政策目的推進の意味合いを持っていることも十分考慮して、他の年金制度と比較して高率の国庫負担を行なっているものであり、時宜に最も適した制度であると確信するものであります。  以上、私から答えましたが、その他の点につきましては、それぞれの担当大臣からお答えいたします。(拍手)    〔国務大臣倉石忠雄君登壇、拍手〕
  23. 倉石忠雄

    ○国務大臣(倉石忠雄君) お答え申し上げます。  最初に、農業の基本の政策のことについてでございますが、いろいろな機会に申し上げておりますように、農業の近代化をはかりますために、私どもは自立経営農家の育成をはかってまいりたいと思っております。お話のように、五十二年度の時点では私どもは水稲単作では四ないし五ヘクタール、搾乳牛では二十頭程度以上の規模の自立経営農家を育成してまいりたい。しかし、わが国の今日の状況では、当分の間やっぱりかなりの兼業農家があるはずであります。そういうものを配することによって広域営農集団的なものをつくってまいりたい、こういうことでございます。しかも、米はいまのような状態でございますけれども、その他の作物につきましては、私どももできるだけ自給度を維持することに努力をすることが必要であると存じますので、あらゆる面でそういう私どものねらいが完成されるような構造改善、圃場整備その他の施策をやってまいりたい。したがって、私どもといたしましては、総合農政の推進についてと申し上げておりますあの趣旨で、やはり農業のビジョンを多数の農家の人に持っていただいてやってまいりたい、こう思っておるわけであります。その場合に、総理に対するお尋ねと私どもと一緒になっておりまする輸入の問題のお話がございましたが、いま申し上げましたような方法で、私どもはわが国の農業経営の体質改善をつとめてまいるわけでありますが、一方におきましては、今日の国際経済の社会に立ってやはり貿易その他の自由化を促進していくということは必要でございますけれども、農業の中でわが国がどうしても維持していかなければならないようなものでも、なおかつ競合する物資が出てまいります。そういうものについては体質を改善し、生産性を上げることによって、わが国農業が国際競争に立ち向かって勝てるように、あらゆる努力をして育成してまいらなければなりませんが、その場合でも、最終的にはやはり価格政策を考えなければなりません。そういうときには、やはり関税であるとか、あるいは課徴金制度のようなものを考えなければなるまいと思っております。  次に、年金のお話がございました。年金のお話につきましては、いま総理大臣もお答えございましたけれども、年金について、私どもといたしましては、今日の私どもが提案いたしております年金の制度につきましては、いま総理もお話がございましたが、私どもといたしましては、いま私どもが掲げておりますような方向で日本の農政を推進してまいるためには、やはり規模の拡大をいたすということが必要であります。そういうことのためには、やはりみずから選んで離農したいと思われる者を離農しやすくしてあげることがまず第一に必要であります。そういう政策の面においての考え方の離農の年金も考えておりますが、もう一つは、すでに村田さんよく御存じのように、国民年金の上積みとなって、やはり恩給的性格を持つアップがございます。そういう二つの、離農しやすくなることを助けるため、もう一つは老後保障の意味を含めた両方の考え方を加味したものでありまして、これはわが国だけが発明したものではございませんで、同じような方向で農業政策をしっかりして体質改善しようとしているヨーロッパ諸国などが、たいへんくふうをいたしておることはよく御存じのとおりでございます。そういう意味で、私どもは今度の農業者年金というものは、わが国の現状においてはきわめて妥当なものではないか。しかし、これが必ずしも万全の理想的なものであるとは考えませんので、逐次その時代に即応して改革していくべきものではないかと思うのでございます。  あと、掛け金のお話がございました。このことは厚生大臣からもお答えがございますと思いますけれども、よくお調べいただければわかりますように、ほかのほうの公約年金と比較して、たとえば厚生年金と比較して、私どもは少しも遜色のない被保険者に利益になるものであると、こういうふうに理解をいたしております。(拍手)    〔国務大臣佐藤一郎君登壇、拍手〕
  24. 佐藤一郎

    ○国務大臣(佐藤一郎君) 村田さんにお答え申し上げます。  御質問は二点ございましたが、新しい経済社会発展計画においてどういう位置づけがあるか、それからまた、自由化に対して農業がどういうことになるか、この二点をあわせてお答え申し上げたいと思います。  新しい発展計画におきましては、開放経済下におきますところの日本経済のバランスのとれた発展、これを何よりも眼目にしております。そうしてこれを実現するためには、経済の効率化、そうしてまた物価の安定、労働力の問題、こういう問題を取り上げております。こうした観点から農業の問題を考えてみますると、何と言いましても今後の日本経済における食糧の安定供給、こういう農業の受け持つ重大な使命を円滑に行なってまいらなければならないのでございますが、それと同時に、物価問題との関係あるいは労働力の問題との関係というものが重要になってきております。これらを総合いたしまして、結局、今後生産性を極力高めていって、いわゆる高生産性農業を実現しなければならない。その際に、一面において物的生産性を高めるということが重要でございます。そういうことで いわゆる基盤の整備その他のことを極力やはりいたしまして、そうして農業基盤の拡充強化をはかってまいらなければなりません。と同時に、今度は、今後におきますところの就業者数の減少ということも頭に入れまして、これらをあわせまして、一人頭の生産額というものをできるだけ伸ばしていくような高生産性農業というものを実現してまいる。それによりまして物価対策との関係の調整も行なわれる、こういうことになろうと思うのであります。そうして、この自由化というきびしい条件が控えておるのでございますが、それだけに、私どもは、この生産性の向上ということを特に重視しておりますし、そうしていわゆる徐々にではありますけれども、この国際価格とのさや寄せの問題も、この提言の中にはうたってございます。しかしながら、一面におきまして、日本の農業の置かれておる現状というものを直視いたしまして、この自由化を行ないます際には、十分生産性向上の実績というもの等もにらみ合わせながら、一面、行政措置も講じてまいらなければならない、こういうことをうたっておるのでございます。そうして最後に、いわゆる従来の農政の領域を越えましたところの雇用の問題、あるいは土地問題、社会保障問題、あるいは産業立地、公共投資、こうした農政の領域を越えた総合的な対策が必要である、こういうことがうたわれておる次第でございます。(拍手)    〔国務大臣内田常雄君登壇、拍手〕
  25. 内田常雄

    ○国務大臣(内田常雄君) お答えを申し上げます。  今度の農業者年金が一般の国民年金に比べて計算上不利になっておるというようなお尋ねがございましたが、これは、御承知のように、今回の農業者年金は、経営移譲を促進するという意味と、また、農業者の老後生活保障というような意味と、両方を組み合わせてできておるものでございまして、したがって、経営移譲されます場合には、国民年金の年齢よりも五年若い六十歳から年金が出される。経営移譲を行なわなかった場合におきましても、六十五歳から、かりに二十五年掛けでございますと四千五百円、二十年掛けですと三千六百円、こういうような年金が出る仕組みのことは御承知のとおりでございます。さらに、六十五歳以上になりまして一般の国民年金の支給を受けるようになりました後におきましても、経営移譲をされた方には二千五百円というようなものが四千五百円とは別に支給されることになっておりますほか、万一途中で脱退、死亡等のことが起こりましても、脱退一時金あるいは死亡一時金というようなものを支給いたす仕組みになっておりますので、総合して勘案をいたしますると、決して加入者に損がない、他の制度に比べて損がないというたてまえのもとに、でき得る限りの国庫の負担も組み入れておる次第でございます。  それからお尋ねがございましたが、将来、経営移譲などの進捗に伴って加入者が減ってくるではないかというお話でございますが、今度の制度は、もちろんそういうことも織り込みまして、健全な財政計算、アクチュアリーというような専門の数字のこまかい計算を入れまして初めから制度を立てておりますので、御心配のようなことは起こらない仕組みになってございます。  それから社会保障制度審議会の御意見は私も承知をいたしておりますけれども、今度の農業者年金制度というものは、先ほども農林大臣からお答えがございましたように、一般の国民年金というものに基礎を置いて、農業政策とかみ合わせてのくふうでございますので、一般の年金制度のたてまえをくずしてしまう、これを混乱におちいらしめるというようなことがないつもりで制度を打ち立てておりますので、これも御了解をいただきたいと思います。  なおまた、この制度の仕組みは、経営移譲を十年間にすべて終わらせるというような構想、魂胆をもって仕組んだものではございません。(拍手)    〔衆議院議員芳賀貢君登壇、拍手〕
  26. 芳賀貢

    ○衆議院議員(芳賀貢君) 村田議員の御質問にお答えいたします。  政府案と社会党案のおもな相違点でありますが、その第一は、性格、目的におきまして、社会党案といたしましては、農民の老後の生活安定を保障するという立場に立った社会保障制度の上に立っておるわけであります。政府案の場合においては、その目的を、農業の経営の移譲と、離農、離村の促進に置いておるわけでありますからして、この点がまず性格、目的において大きく異なっておるわけであります。  第二の年金の対象の範囲でありますが、社会党案の場合におきましては、すべての農業者、いわゆるみずから農業を経営し、農業に従事する者、並びに同一世帯に属しましてもっぱら農業に従事しておりますところのいわゆる配偶者あるいは家族従事者のすべてを対象にするわけであります。政府案の場合におきましては、御承知のとおり、土地の所有権を有し、農業を経営しておる者だけに限定して、しかも年金に加入する場合においては、まず経営移譲を前提とするという条件の上に立たなければならぬ。さらにまた、経営条件にいたしましても、内地におきましては五十アール、北海道におきましては二ヘクタール以上の農地を所有し、経営する者でなければならぬということになっておるので、この点が大きく異なるわけであります。  第三の年金の給付の種類でございますが、社会党案の場合には、先ほど申しましたとおり、老齢年金、障害年金、遺族年金、脱退一時金、死亡一時金、特に農民福祉年金を創設することになっておるわけであります。政府案の場合におきましては、経営移譲年金と六十五歳以後における国民年金の上積みとしての老齢年金とこの二種に限られておるわけでありまして、何といたしましても、社会党の提案いたしました農民年金こそ、本来的な内容を持つものであると考えるわけであります。特にわが党の老齢年金の場合におきましては、二十歳から六十歳の年齢範囲におきまして、二十年間掛け金をかけまして、六十歳から年額十八万円、月額で一万五千円の老齢年金を終身支給するわけでありますが、政府案の場合の老齢年金というのは、これは六十五歳から国民年金に上積みをするという形の上に立ちまして、まず経営移譲者に対しては五千二百円、経営移譲をしない者に対する老齢年金は三千六百円ということになっておりますので、六十五歳以後における老齢年金の差というものは、社会党の月額一万五千円に対しまして、政府案といたしましては五千二百円ないし三千六百円というところに大きな相違点があるわけでございます。  第四の国の負担区分につきましては、先ほど御説明いたしましたとおり、社会党の案といたしましては、老齢年金を中心といたしまして、給付すべき費用に対して、国庫から百分の七十五、すなわち四分の三を負担するということになるわけであります。これは他の公的年金から見ると、非常に高率な国庫負担ということになるわけでありますが、社会党といたしましては、この制度を、あくまでも国民年金制度との併用の上に立ってこれを運営するということになるわけであります。さらにまた、被保険者の負担の限界というものを、私たちといたしましては、たとえば被用者年金である公務員年金や厚生年金が、それぞれ被保険者の負担限度というものがおおよそ百分の四十以内であるということにかんがみまして、農民に対しましては、これは被用者ではありませんので、すなわち国民年金においては政府は三分の一の負担であります。したがいまして、国民年金の負担と農民年金の負担を総和平均いたしまして、本人の負担の限界というものを四〇%以内におさめるということになれば、この際、百分の七十五を農民年金の場合に負担して、併用して四〇%程度の農民負担ということに理論的な計算を行なったわけであります。  さらに、社会党が創設いたそうとする福祉年金につきましては、これは来年の一月一日から制度が発足します場合、すでに六十歳に達し、それをこえているという農民が、農林省の統計によりましても、おおよそ百七十万人をこえておるわけであります。これらの農民の諸君は、永年にわたって農業に専念して、国民食糧の確保に非常な努力をされた。その国民経済的な功績にわれわれが報いると言っても、まだ十分な額ではありませんが、これは無拠出の形で月額千五百円を差し上げ、この費用は全額国庫負担とするということにしてあるわけであります。政府案の年金の国庫負担につきましては、経営移譲年金の場合には、その給付の費用に対して三分の一の国庫負担をするということになっておりますので、これは国民年金の国の負担区分とやや同一であります。ところが六十歳以上の、いわゆる老齢年金の部分に対しましては、経営移譲者の五千二百円、あるいは経営移譲をしなかった者の三千六百円については、給付の経費というものを国はいささかも負担しない、全然負担しないということになっておるわけであります。これはすなわち、経営移譲者と経営移譲をしなかった者の、五千二百円と三千六百円の差額があるわけであります。これは経営移譲をしない者が非常に不利益な立場の上に立って、これらの運用によって老齢年金を給付する、国が全然責任を持たないという、こういう他に例を見ないような冷淡な負担というものが、政府案の特徴になっているわけであります。  最後に、社会党といたしましては、これにあわせましてすみやかに国民年金制度の抜本改正を行ないまして、少なくともただいま提出いたしたと同じように、国民年金の内容におきましても、二十年の掛け金で、六十歳に達すれば少なくとも年額十八万円、月額一万五千円の年金が支給できる。そういたしますと、農民年金と国民年金を合わせて月額三万円、夫婦六万円という、われわれの志向するところの老齢年金制度が農業者の上にも実現できるということになるわけであります。  さらにまた、今後の問題といたしましては、われわれは原始産業の谷間にあって努力をしておる漁民等に対しましても、政府においては十分この措置を検討いたしまして、すみやかに漁業者あるいは林業者等についても、わで党が提案いたしました農民年金制度と同一水準の年金制度がすみやかに実現しなければならぬということを考えておるわけであります。以上、村田議員の御質問に対しましてお答えをいたします。(拍手)     ―――――――――――――
  27. 安井謙

    ○副議長(安井謙君) 沢田実君。    〔沢田実君登壇、拍手〕
  28. 沢田実

    ○沢田実君 ただいま報告のありました農業白書について、佐藤総理並びに農林大臣に質問いたします。  農業白書の統計は、ほとんど昭和四十三年度の数字を用いております。それをもとにして昭和四十五年度において講じようとする農業政策を述べているわけでありますが、最近における一カ年間の農業の激変は、有史以来初めてと思われるほどの変化を示しておりますので、二年前の統計資料で検討をいたしましても、講じようとする施策に対する数字上の裏付けを欠くうらみなしとしないのであります。コンピューター時代らしく最も新しい数値を盛り込み、施策を十分に説明できる白書にしていただきたいと思うものであります。  質問の第一は、農業の長期ビジョンを確立せよということであります。農業白書はその冒頭において、「農業は急激な経済成長の中で生じた相対的な立ちおくれ、その立ちおくれを是正するための近代化、合理化の要請が強まり、加えて国際化の進展に伴う輸入自由化の促進等、内外からの要請が一段と強まり、これまでにないきびしい事態に直面している」と述べております。これはわが国の農業が、いまだかつてないほどの興亡の岐路に立っていることを認めているものと思います。そのよって来たる原因を考えますと、農業の長期ビジョンもなく、日本経済全体の中における農業の位置づけも明確さを欠き、国際情勢には目をつむって、農家所得の増加をもっぱら米価の値上げのみにたよってきた農政の欠陥にあると思うものであります。米作重点の農政から脱皮し、畜産、果樹、園芸等それぞれ需給のバランスを考慮し、その制度を完備し、農家が米以外の作物を安心してつくれる生産のあり方を整えることが最も大切であると考えるものであります。需給のバランスを考慮した制度の完備を主張するゆえんのものは、現在、農林省が行なっておりますメニュー方式では、農家の作付反別が需要を若干上回るだけで、たちまち豊作貧乏という、農家にとっては最も忌まわしい事態が発生するからであります。その制度の完備は、現経済体制内において実現可能と信ずるものであります。農業の長期ビジョンについて、総理並びに農林大臣にその所信をお尋ねいたします。  第二点は、農業と他産業との所得格差が大きくなりつつあるが、その対策はどうするかという問題であります。農家所得について白書を見ますと、その上昇率は、対前年比で昭和四十二年は一九・五%増であったのに対し、四十三年は一〇%増と急下降をいたしております。さらに四十四年は九%程度であろうと予測されております。農家所得のうち、農外所得を差し引いた農業所得を見ますと、昭和四十二年の対前年比二三・四%増に対し、四十三年はわずか三・三%増、四十四年に至っては二%低下するであろうとの見通しであります。四十四年における農業所得の減少と兼業農家の増加などから見ましても、農業としては明らかに下り坂になったことを示しております。さらに、四十五年度の生産調整と米価の据え置きを考えますと、他産業との所得格差は一そう激しくなることは明瞭であります。物価は上昇し、生活費は高騰を続けております。農業の生産資材も、原料、労賃、流通経費の値上がりによって上昇いたしております。したがって、農家の生活レベルはますます下降線をたどる一方であります。それをカバーするための措置はどうするのか。米価で農業所得を増すことのできない現在、どうして農業所得を上昇させるのか、その政策を総理並びに農林大臣にお尋ねいたします。  第三点は、激化する国際競争に対処するためのわが国農業の体質強化をどうしてやるのかという問題であります。われわれが好むと好まざるとにかかわらず、農産物の自由化という問題は、日本の農業に背負わされた重大な課題であります。政府は農業を保護するために、関税率の引き上げや課徴金制度等の活用によって、一時は自由化の波を乗り越えるでありましょうが、これは決して抜本的な解決とはならないと思うものであります。農業の体質を強化し、国際競争に堂々と勝ち得るようにするには、一体どうすればいいのか、そのお考えを承りたいのであります。  農基法農政以来、規模拡大が叫ばれながら、その実績はほとんど見るべきものがありません。その規模拡大をどうして推進するのか。農地法、農協法の改正、農業者年金基金法の創設等のみで、はたして可能であるかどうか。国際競争にも勝ち残ることができる自立農家の規模は、一体どの程度を目標とする考えなのか。たとえば水田稲作農家ならば何ヘクタール、酪農は乳牛何頭、草地はどのくらい、果樹ならば何ヘクタール、またどのような機械装備を持つことが優良農家のモデルであるのか、農家が目ざす将来の到達点を明示していただきたいのであります。昭和五十二年度の目標については、ただいま村田議員の質問に対してお答えがありましたが、それが優良モデル農家と理解してよろしいかどうか、承りたいのであります。  以上、基本的な問題を三点だけお尋ねいたしましたが、現実に目を向ければ、農家ではたんぼを休耕しなければならないほど土地が余っているにもかかわらず、都会の方々は一本三百円の大根を三つに切って、その切り身が一個百円、白菜を六つ切りにして一切れ四十円、ネギ一本三十円、玉ネギ一個五十円も出して買わなければならない現状なのであります。われわれは国会の中の議論のための議論であってはなりません。農業者は安心して生産に従事でき、消費者は安定した価格で欲する農作物が入手できる世の中をつくるため、真剣にその実態の把握、対策の研究、真心を込めた政策の実践を心から希望するものであります。  以上で質問を終わります。(拍手)    〔国務大臣佐藤榮作君登壇、拍手〕
  29. 佐藤榮作

    ○国務大臣(佐藤榮作君) 沢田君にお答えいたします。  まず、農政の長期的ビジョンについてでありますが、他の機会にこの問題はたびたび申し上げておりますので、詳しくはこの際申し上げません。一口に言えば、農業を近代化し、農村社会を魅力ある生活環境に整備し、農業従事者が他産業従事者と均衡のとれた生活水準を確保することにある、かように考えます。沢田君はいままでの農政につきましてきびしい御批判をされましたが、私は、近年の農業の目ざましい改善が生まれておるのでございますから、これらの点についても十分御理解をいただきたいと思います。  また、他産業との所得格差の問題につきましては、さきに村田君にお答えしたとおりであります。国民経済の健全な発展のためには、国民経済の各部門の調和のとれた発展が必要であり、そのためには農業基本法の基本方針にのっとって所得格差の縮小につとめてまいります。  具体的な対策のお尋ねがありましたが、これはまさに農政全体の展開によって当たるべき問題であり、さきに明かにした総合農政の推進なり、今回報告した昭和四十五年度において講じようとする農業施策は、詳細にその考え方を明らかにしたものであります。  また、国際競争に勝つためのお尋ねについても十分明らかにしているところと考えます。  ただ一言この際申し加えておきたいことは、農業構造を改善し、農業の近代化をはかっていくためには、農地制度はもとより、農政固有の領域を越えた多くの課題に対処するために、広く国民経済的見地から総合的な対策を進めていくことが必要であることであり、あわせて申し上げますが、ただいまは、ただこの決意だけを強く申し上げておきます。  なお、お尋ねのありました自立経営規模、あるいは片一方で野菜は不足しているではないかなどの具体的な問題につきましては、農林大臣からお答えさせることにいたしたいと思います。(拍手)    〔国務大臣倉石忠雄君登壇、拍手〕
  30. 倉石忠雄

    ○国務大臣(倉石忠雄君) お答えいたします。  白書に盛られている統計、なるべく最近のものをとるようにせよという、このことは全く同感でございまして、だんだん私どももそのように努力をいたしてまいります。  農業のことをいろいろお話がございました。で、私ども、今後における農政の課題は、何といいましても古くからやってまいりました米、麦を中心とした日本の農業から、今日のあらゆる客観情勢に即して、どのように脱皮して近代化した農業が営めるかということだと思います。したがって、非常に大きな困難な転換期を無事に乗り切って、国民多数の需要の動向に即応した農業生産体系に移行してまいりまして、いまお話のありましたような他産業と比較して、ひけをとらないような農業を育成していくことがわれわれの最終的目標でございますが、そのためには、政府の諮問機関であります農政審議会の答申もあり、また、私どもが発表いたしております総合農政推進の方向等につきましても述べておりますように、やはりどこまでも国際競争力を維持できるような、しっかりした農業を育成していくことが大事だと思います。  いまお話のございました昭和五十二年度をめどにして、単作の米づくりなら四ないし五町、酪乳業ならば二十頭程度の牛を飼うことというふうに一応目標を出しておりますけれども、これとても、この状態で、しからば非常に近代化した国々の農業に対抗できるかといったら、さようなものではございません。一応のこれはめどであって、さらにもっとしっかりした規模を拡大をいたしていく必要があると思います。御存じのように、日本の農業の平均的な耕地面積は大体一ヘクタールそこそこでございますけれども、ヨーロッパの諸国は大体十ヘクタール、十倍以上の規模拡大をいたしております。その他の経営についてもそのとおりであります。したがって、わが国の農業がりっぱな一つの産業として立ちいくためには、どうしてもそういう体質改善をしなければなりませんと同時に、やっぱりわが国の特徴といたしましては、そのように考えましても、かなり長期にわたって兼業農家というものは持続するはずであります。したがって、そういう兼業農家をどのように取り合わせて、農家所得を増強させながら農業を維持し、さらにその農業を取り巻く農村を維持していくかという二つの命題について私どもは取り組まなければなりません。  総理大臣がお答えになりましたように、農業だけの考え方ではなくて、今日、国際競争の中に立ちいく日本経済の全体の中における農業の位置づけをどのようにするかということが、私どもの大きな問題ではないかと思いまして、すべてそういうことに焦点を合わせて農政を推進してまいるつもりでございます。  同時にまた、御指摘になりました価格のことでございますが、私どもは、いま農林省が鋭意やっておりますことは、一つ二つの品物につきまして、生産者から最終的に消費者の手に渡るその中間をすべて追跡いたしまして、綿密な調査をいたしております。国会終了後には、さらにこういうことについて努力をいたしたいと思いますが、およそ消費者を考えない生産なんというものはあり得べからざることでございます。いま大根の話がございましたけれども、ことしは御存じのように、去年の暮れからしばしば参りました寒波と、五十日以上にわたる大干ばつのために、こういうような状態になっておったわけであります。まことに遺憾千万でありますけれども、春野菜が出回るころになってまいりましたので、ぼつぼつそういうことについては是正されてまいると思いますが、なお、地方農政局を通じまして、大消費地に向かってすみやかに出荷のできるように、ただいまいろいろな角度から指導をいたしておる最中でございます。(拍手)
  31. 安井謙

    ○副議長(安井謙君) これにて質疑の通告者の発言は全部終了いたしました。質疑は終了したものと認めます。      ―――――・―――――
  32. 安井謙

    ○副議長(安井謙君) 日程第三、防衛庁設置法等の一部を改正する法律案(趣旨説明)。  本案について、国会法第五十六条の二の規定により、提出者からその趣旨説明を求めます。中曽根国務大臣。    〔国務大臣中曽根康弘君登壇、拍手〕
  33. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) 防衛庁設置法等の一部を改正する法律案について、提案の理由と内容について、御説明いたします。  この法律案は、防衛庁設置法のほか、自衛隊法並びに防衛庁職員給与法の一部改正を内容としております。  法律案の概要を申し上げますと、防衛庁設置法の一部改正は、自衛官の増員及び審議会等の統合、改組のためのものであり、自衛隊法の一部改正は、准尉制度を新設し、予備自衛官を増員するためのものであり、防衛庁職員給与法の一部改正は、准尉の俸給月額を定めるためのものであります。  さらに、法律案の具体的内容について、御説明いたします。  防衛庁設置法の一部改正は、第一は、自衛官の定数を、海上自衛隊五百十人、航空自衛隊四百七十四人、計九百八十四人増員するための改正であります。海上自衛官の増員は、艦船の増加に伴い必要となる人員並びに航空関係の部隊、後方支援部隊等の充実のため必要となる人員であり、また、航空自衛官の増員は、ナイキ部隊の新編並びに航空保安管制等の部隊の充実のため必要となる人員であります。  第二は、現在、防衛施設庁の付属機関として置かれている中央調達不動産審議会と、被害者給付金審査会とを統合して防衛施設中央審議会とし、その組織、所掌事務等を整備するとともに、防衛施設局の付属機関として置かれている地方調達不動産審議会を防衛施設地方審議会に改めるための改正であります。これは、政府の行なう行政改革の一環として審議会等の統合を行なうとともに、防衛施設の運用による障害に関する事項についても広く学識経験者の意見を徴し、民意を反映させることをねらいとしているものであります。  次に、自衛隊法の一部改正について、御説明いたします。  その一は、自衛官の階級として、一曹と三尉の間に、准尉の階級を設けるための改正であります。この准尉制度の新設は、自衛隊の部隊等の効率的な運用と、人事の適正な管理とをはかる必要から行なうものであり、あわせて曹の階級の自衛官の処遇改善を目的とするものであります。  その二は、自衛隊の予備勢力確保のため、陸上自衛隊の予備自衛官三千人、海上自衛隊の予備自衛官三百人、計三千三百人を増員して、予備自衛官の員数を三万六千三百人とするための改正であります。なお、海上自衛隊の予備自衛官は、今回新しく設けられる制度であります。  最後に、防衛庁職員給与法の一部改正について御説明いたします。  これは、准尉制度の新設に伴い、准尉の俸給月額を定めるための改正であります。  以上がこの法律案の趣旨であります。(拍手)
  34. 安井謙

    ○副議長(安井謙君) ただいまの趣旨説明に対し、質疑の通告がございます。発言を許します。上田哲君。    〔上田哲君登壇、拍手〕
  35. 上田哲

    ○上田哲君 ただいま提案されました防衛庁設置法等の一部を改正する法律案につきまして、私は日本社会党を代表し、安全保障論の基本に触れて政府の所見をただしたいと思います。  われわれの国では、近く国の骨格を変えるような膨大な軍事計画が発足しようとしています。われわれの国にいま求められているものは、七〇年代を見通す冷徹な展望と的確なナショナル・コンセンサスであります。一口で言えば、今日以降、七二年当初までは、今後の日本の安全保障をどうしていくのかについて、政府や国会の中だけでなく、広く全国民参加の中で真剣な討議が進められなければならない歴史的に重要な期間だと思います。きわめて率直に言いますが、今後とも非武装中立を堅持する社会党としても、いまや現実に世界有数の戦力として存在する二十五万八千七十四人の三軍自衛隊と、いま策定されつつある四次防、五次防の内容を直視して、そこから安保条約廃棄への道筋を説きあかすのでない限り、中立保障論は説得力を持ちません。同時に、また一方、三百議席の政府・与党としても、ただ国を守る気概だけを鼓吹するのでは四次防を実行することも不可能でありましょう。なぜとならば、たとえば今回の防衛三法改正案のように、いかに予算上隊員の定数をふやし、階級の新設や待遇の若干の改善をはかるとしても、すでに自衛隊への入隊希望者の数が落ち、現在二万六千三百三十人の欠員が生じている現状は、もし国民の一そうの理解を得ないならば、いまや百の法律をつくるよりも百人の隊員をつくることのほうが困難になっているとさえ言えるからであります。  そこで第一の質問は、総理及び防衛庁長官にお伺いいたします。  今後十年を見通す政府の防衛戦略展望についてであります。フランスの権威ある新聞、ル・モンドの三月十一日号は、ロベール・ギラン記者の署名入りの記事で、中曽根防衛庁長官が、三月第一週の外人記者の会見で、次のように述べたと報じております。「日本は地理的に見て、非常に狭隘な部分に押し込められているような状態なので、日本が第二撃能力を持つということは問題外である。つまり、日本のすべての核施設は、抑止力としての信頼性をほとんど発揮できないまま、相手からの第一撃攻撃で破壊されてしまうだろう。だが、実のところ日本は、アメリカ、ソビエト、中国という三つの核大国に取り囲まれており、それらの軍事力は自己相殺的となっているので、この核手詰まりが核による破壊から日本を守るであろうし、そしてこのような状況にある国の役割りとしては、第二級の軍事大国としての戦略を発展させることになるべきだ」と、こういうものであります。今日のアジア太平洋地域の軍事状況を核の手詰まりという力学で見ることは、私もおおむね正しいと思います。わが国の当面の安全が、他国にぬきんでた軍事力によってではなくて、他国の手詰まりの力学によって保障されているということは重要な視点であります。そして、さらに重要な視点は、その力学を成立させているものは、日本が決してアメリカの核のかさの中だけにあるのではなくて、中国やソビエトのかさの中にもあるのだという事実であります。私は、この明らかな事実と論理を中曽根長官とともに確認できるであろうことを期待いたします。  そもそもわが国における中立保障とは、スイスのような形とは異なり、日本列島という世界有数の戦略価値を、これを取り巻くいかなる国にも提供しないことによって、周囲の国々との間につくり上げる友好的な力学的均衡上の安全保障でありますから、防衛庁長官の核手詰まり論の主張は、期せずして、ここにかねてからわれわれの言う中立保障の条件が成熟していることを証明してくれたことになります。軍備競争の結果が必ず列強間の手詰まりになることは歴史の教訓であります。あとはわが国のイニシアチブによって、その力学の相対的逓減をはかること、それこそ外交の優位であり、その外交の基本姿勢は中立論でなければなりません。中曽根長官は、最近ピエール・ガロア、アンドレ・ボフレ両将軍と深く話し合った後、核抑止国家という考え方を変えるに至ったと外人記者団に語られたそうでありますけれども、ここでわが国十年の展望をかけて中立保障論へ踏み切るお考えはありませんか。また、いずれにせよ、第二級軍備論というのは、今後の政府の防衛戦略の基本としてきわめて重要であります。この考えを堅持されるかどうかを中心に、総理及び長官から詳しく御説明をいただきたいと思います。  第二に、四次防の基本性格について、総理及び防衛庁長官からお伺いいたします。  中曽根長官が核手詰まり論と第二級軍備論を根底に持たれる限り、そこから発想されたと見られる防衛五原則は、防衛費の野方図な膨張を押える歯どめであるとの説明は理解できることであります。しかし、一面では、いま策定中の四次防や、最近の防衛五原則の中にも若干の混乱と矛盾が目につきます。長官が、わが国の軍備は相手国の第一撃で壊滅されてしまうだろう、また、第二撃能力を持つことも無意味だろうと言われることは正しいし、それならば、やがてわが国は、長官の言われる第二級の軍備を持つことすら不必要だという結論に必然的に導かれることになります。百歩を譲って、それでも局地戦あるいはいわゆる間接侵略に対する軍備がなお必要だと主張されるとしても、その場合は、きわめて常識的な規模の兵器、兵力の保有に限られることになるはずでありましょう。ところが、中曽根長官は、さきの衆議院での質疑で、四次防の規模を五兆二千億円から六兆四千億円の幅でお認めになりました。これは非常に大きい。四次防の内容は、想定されるところだけでも、まず空軍は、電子情報偵察用のAEW――早期警戒機――をはじめ、F86の後継機と目される対地支援機TXや、空対空ミサイルASMの開発を目ざしております。また、今回の増強の中心である海上自衛隊は、対空、対艦のスタンダード・ミサイルの装備にも乗り出すことになっております。いずれにしても、F86やF104の単座がファントムやTXの複座になり、海上でも艦艇の増トンで乗り組み員は大幅にふえるに違いありません。これでは歯どめと言えるかどうか、長官の言われる必要度ということばが心配になってまいります。このように見れば、四次防、ひいては五次防の目ざすものは、領空、領海内での防衛から、公空、公海上での防衛、それはとりもなおさず、いわゆる攻勢防御にならざるを得ないのではないか。政府の意図はどこにあろうと、軍事技術の行き着く先は、攻撃的能力の増大に結びつくのではありませんか。この場合、攻撃的能力にならないという歯どめがどこにあるのか、疑わざるを得ません。しかし、こまかいことは委員会審議に譲りますが、防衛庁長官から次の点だけを明確にお答え願いたい。  四次防の原案は、間もなく防衛庁内で秋までにはきまるといわれていますが、その総額見込み、それからきわめて具体的に、海上自衛隊の艦艇の総トン数は二十万トンに達するのかどうか、もう一つ、ファントムは百四機から何機ふえることになるのか、以上、重要な基準になりますので、きわめて明確にお答えいただきたいと思います。  第三に、四次防と並行することになる外交論について、総理と外務大臣から伺いたく思います。  中曽根長官の提起された防衛五原則でも、軍事に対する外交の優位が明記されております。また、たび重なる答弁の中でも、政府はいわゆる仮想敵国は持たないと言っております。しかし、たとえば六八年秋、ファントムの機種決定の際、ORで、某国の極東空軍の機種、性能について、わが国の四次防末期に到達すべき戦力をコンピューターではじき出し、これに対してバトル・オブ・ブリティンの撃墜率三〇%に当たるものとして結論を導き出したのは、すでに公然の秘密になっています。日本列島でのレーダー配置からしても、仮想敵の存在は常識でありましょう。また、防衛計画の根底になる防衛庁用語に、「脅威の見積もり」ということばがあります。これは、言うまでもなく、仮想敵の能力を言い当てています。この際、「脅威の見積もり」でなく、「脅威撤去の見積もり」としての外交路線を立てなければなりません。日本の安全保障のための外交路線は、言うまでもなく今後十年間をかけての中立政策への志向であろうと思います。今日あらゆる世論調査によっても、あえて武装、非武装の別を越えれば、日本に中立政策を求める声は国民の過半をはるかに制しております。政府は、このナショナルコンセンサスを無視することはできません。そこで政府は、当面、一方に日米安保条約を置きながらも、必要によってはアメリカ側の了解を取りつけつつ、進んでアジアの未承認諸国との国交回復の交渉を七二年に向けて開始すべきだと考えますが、総理及び外務大臣の御見解はいかがでありましょうか。近隣未承認諸国との国交問題は、「よど」号事件以来、さらに国民の間の一般的な願望にもなっております。総理、外務大臣は、常々近隣諸国との友好増進はわが国外交の基本と述べておられますが、少なくとも未承認国に対する外交交渉の努力なしに、一方に膨大な軍事体制を進めることは、アジアの緊張を高めるのみならず、外交優位の原則にもとることになります。特に四次防の七二年あるいは七〇年代中葉を踏まえての外交優位論の具体的な道筋を承りたいと存じます。  第四に、防衛産業の問題について、総理と経企庁長官から伺いたく思います。  防衛庁長官は、ほかの質問に答えて、昭和四十二年度のデータをもって、防衛産業がわが国の鉱工業生産に占める割合を、わずかに〇・四%にすぎず、産軍癒着などはおよそ関係がないと言われております。しかし、ここで重要なことは、およそ政府支出は経済の波及効果を通じて乗数的に有効需要を増大させていくものであるということであります。たとえば経済企画庁の経済研究所のパイロットモデルによる試算でも、それぞれ一千億の追加政府投資は、最初の年で千六百八十億円、次の一年間に二千八百四十億円、つまり初めの二年間だけでも四倍半の四千五百億円もの有効需要が生み出されます。さきの四十二年度のデータによれば、三年前のデータであっても武器弾薬生産は九八・四%、航空機生産すらが六五・二%の依存率を持ち、これに対する支出はすでに数倍の乗数的効果をあげているわけでありまして、この軍事支出の持つ有効需要創出効果のゆえにこそ、やがて抜き差しならない産軍体制が生まれるわけであり、アメリカの悩みもいまここにあるはずであります。佐藤経企庁長官は、軍事費の有効需要創出効果に七〇年代の日本経済の活路を展望されるのか、さもなくば経済政策上の立場から防衛支出に何らかの歯どめを加えられるのか、その点を明確に伺いたいと思います。  さらに、この問題は国内だけにとどまらず、東南アジアヘの膨大な武器輸出の問題があります。これについてただしたい多くの具体論がありますが、通産大臣の御出席がないので、武器輸出のあり方について基本的な考え方を総理から承り、質疑を委員会に譲ることにいたします。  最後に、安全保障の長期展望として、軍縮の問題について、総理と防衛庁長官に決意を求めたいと思います。七〇年代、われわれの国が平和で豊かな太平洋国家として成立するために、われわれの安全保障は、一つには国内の社会保障、民生の充実をはかるとともに、進んで世界軍縮へのイニシアチブをとることであろうと思います。今日までの果てしない軍拡競争は、現在、人間一人当たり頭の上に爆薬十五トン分を持っているということになりますが、さらにそれが七〇年代の半ばには五倍にもなろうとしていますが、軍備、もとより核軍備を含めて、その意味するものとその力は相対的に低下しつつあるとの世界認識は、すでに識者の否定し得ないところであります。核軍備競争の行き着くところは、核とゲリラだけになるといわれています。核攻撃のシェルター防備が極限に達したアメリカでさえ、現在陸軍では、核戦争への訓練としては、兵士にそれぞれシャベルを持たして、砂地に穴を掘り、放射能よけビニール袋をかぶって、いかに生き延びるかという原始的な訓練を大まじめに繰り返しています。この姿を笑う者は、太平洋戦争以来のパターンをいまだに追って軍備拡張競争に狂奔する姿を、さらに笑わなければなりません。この時代は、われわれが日本の安全保障についていかに議論をしたかを後に必ず振り返られる時代であります。七〇年代を見通すわが国の安全保障のあり方について、いまこそ全国民的コンセンサスを構築し、われわれが軍縮へのプランを、最大の安全保障として、真剣に世界に提起することは、きわめて重要な歴史的任務だと思います。たとえば、少なくとも国会内に、防衛委員会にあらず、軍縮委員会を設けるお考えはありませんか。七〇年代を見通す日本の平和のあり方と世界平和への貢献のあり方について、総理と防衛庁長官の歴史に刻むべき意欲ある答弁を求めて、私の質問を終わります。(拍手)    〔国務大臣佐藤榮作君登壇、拍手〕
  36. 佐藤榮作

    ○国務大臣(佐藤榮作君) 短時間の間によく多数の問題を提起されたと、心から驚きましたが、同時にまた、私もできるだけお答えしたいと、かように思います。まあ漏れなくというつもりでございます。  わが国の安全保障につきまして、政府の基本方針は、これはもう一貫しております。すなわち、国力、国情に応じて自衛力を整備し、その足らざるところを日米安保条約によって補完するというものであります。一九七〇年代におきましては、国際的に多元化の傾向がますます強まることが予想されますが、政府は、この基本政策を堅持するとともに、国際間に安定した秩序がもたらされるよう主体的な努力を払う決意であります。  次に、中立政策につきまして国民的合意ができておるではないか、こういう言い方をされましたが、世論調査にあらわれた中立指向の数字、これは上田君もよく御承知だと思いますが、武装中立、非武装中立全体を含めたものでありまして、いわゆる社会党の主張される非武装中立はわずか一七%ぐらいしかなかったと記憶しております。それよりも、最近のできごとでありますが、ソ連の日本近海での爆撃演習通告などに対する国民の反応ぶりなどから見て、また、これは各党も同様でありますが、国民だけではありません、その反応ぶりなどから見まして、自分の国は自分の手で守るという国民の防衛意識は以前よりもかなりはっきり出てきていると私は見ております、いずれにしても、国の独立を保全するためにいかなる努力がなされなければならないかということが大事であり、私は今後と毛この点について国民各位の広範な理解を得るよう努力する考えであります。  次に、第四次防計画についてお尋ねがありました。ただいま、この問題は、私からこの場所で御報告するような段階でないこと、これをお断わり申し上げておきます。したがって、お答えできません。  先日の緊急質問でもお答えしたのでございますが、可能な限り近隣諸国との友好関係を増進することは政府の基本方針であります。未承認国との関係につきましては、従来からも、経済、文化等の交流を積み重ねる方針をとっております。今後とも、国際信義を貫きつつ、相互の立場を尊重し合って、一そう交流をはかる考えであります。私が一貫して申し上げておりますとおり、現在の日本は仮想敵国というものは持っておりません。したがって、その考えを変えるつもりはありませんし、またその必要も認めておりません。防衛産業と自衛隊との関係等についていろいろ御心配がございますが、いわゆるわが国にはこれというほどの防衛産業はまだでき上がっておらないことは、御承知のとおりでありますので、あまり先走っての御心配はなさらないように、また、いわゆる産軍合体、かような問題が起こっておらないことをこの機会にはっきり申し上げておきます。  次に、政府の武器輸出につきまして規制しているのは、わが国からの武器輸出によりまして国際紛争などを助長することは厳に避けなければならないとの考え方に基づくものであります。その意味で、軍隊が使用し、直接の戦闘の用に供せられる武器の輸出につきましては、いわゆる三原則を明らかにしております。これに抵触する場合は原則として輸出しないことにしており、これで足りると考えております。最近三カ年間の武器の輸出実情は、わずかに四十二年度七千七百万円、一億円にはもちろん達しておりません。四十三年度五千九百万円、四十四年度はわずかに四百万円でありまして、英国等に見本用として小銃がごく少数輸出されているほかは、そのほとんどが護身用の拳銃であります。このことも申し添えておきます。  最後に申し上げますが、私は、施政方針演説で明らかにいたしましたとおり、国際政治の多くの面において、軍事力以外の要素の比重が高まり、各国の自主性が増大し、軍事的均衡のみならず、より多元的な均衡が模索されるようになったと思うのであります。その理由には、核の手詰まりなどいろいろあげられると思うのでありますが、といって、私はこれによって自主防衛の必要が減少したとは考えておりません。反面、軍縮を達成するためには、国際間の緊張を緩和し、諸国間の信頼関係を強化することが必要であり、このため、政府は軍縮委員会の場などを通じて種々の努力を行なっております。  国会に特殊の委員会を設けよという御提案であったかと思いますが、それなどは国会でおきめいただければけっこうだと思います。(拍手)    〔国務大臣中曽根康弘君登壇、拍手〕
  37. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) 上田議員の第一の御質問は、十年くらいの防衛戦略の見通しを述べよということでございますが、私は、目下の情勢では世界大戦の可能性はきわめて少ないと思います。しかし、局地戦とか代理戦争、そういう紛争の可能性は各地にあると思います。そして、このような時代にありましては、軍事と政治の混在した総合戦略というものが非常に強く浮かび出てまいると思います。現にベトナム戦争や中近東戦争を見ますと、交渉と戦争は併存しておりましたり、軍事の中に平和があったり、平和の中に軍事が込められている、そういう現象が顕著に見えると思います。したがって、この時代に一番大事なことは、内政の安定、それから国民的コンセンサスをしっかり確保しておくということであると思います。  そこで、わが国の当面の防衛方針といたしましては、自主防衛と安保体制を結合していくということが合理的であると思います。核抑止力につきましては、ロベール・ギランが申されたことは大体私の真意を伝えております。しかし、特に考えたいと思いますことは、戦略的に見ますと、小さな核のかさは大きな核のかさに包摂されてしまっている。たとえばイギリスやフランスは核を持っておりますけれども、あれはアメリカの大きな核のかさのもとにあって存在しており、終局的にはアメリカの大きなかさが最後の威力を発揮する、そういう性格を持っておりますので、国威を発揚するという意味で核を持つということは意味があるかもしれませんけれども、大局的に見た場合には、やはり最終的な大きなかさというものが決定的な意味を持ってくると思われますので、日本のような場合に核を開発することは賢明であるとは思いません。そういう経済的負担によってあるいは国民的コンセンサスが失われるほうが、はるかにマイナスが多いように私は考えております。  それから、中立保障論はどうだという御意見でございますが、私はその考えには賛成できません。やはりアメリカの核というものによって、同時にまたソ連の核というものの存在によって核抑止力があると思います。アメリカの核だけであるのではなくって、やはりソ連がこれに対抗するだけの核があって初めて手詰まりが生まれてきている、こう思います。日本としては、やはりアメリカの核抑止力というものに依存せざるを得ない状況にございます。そういう意味におきまして、中立保障論ということは目下成り立たないと思うのであります。  それから中級国家としての日本の戦略でございますが、私はそのような核を持たない中級国家の対核戦略というものが成り立ち得るのではないかと思うのです。その道をわれわれは模索すべきであり、核なき国の対核戦略の一番重要なポイントは外交戦略であると思います。そういう意味において、防衛は外交と一体になっていくということは賢明であると思うわけであります。  四次防につきましては、私が申し上げました自主防衛に関する五原則は最大限これを採用していきたいと思います。そういう考えを持ってやりますので、最近、軍国主義復活云々というような情報が海外から参りますが、そのようなおそれは絶対にないと確信いたします。  次に、守るという点でございますけれども、第二級国家の軍備も不必要になったのではないかということを申されましたけれども、私は、防衛というものは祖先から子孫に引き継いでいくわれわれ国民の生活体とその国土を守る、そういうふうに考えます。そういう意味におきまして、その日本なら日本の歴史的な環境、地政学的位置等に応じたある長期間を考えた平均的な防衛体系ないしは防衛の規模というものは考えられると思うんです。今日の時点だけを考えて防衛が不要であるという考えは成り立ちにくい。日清戦争、日露戦争以前、それから将来にわたってまでの非常に長い歴史的見通しを持ちまして、それにたえ得るだけの防衛構想というものを持つ必要があるように思います。  次に、四次防の規模でございますが、これは目下策定中でございまして、発表申し上げる段階に至っておりません。ただし、ここで申し上げられますことは、あくまで守勢防御であるということ、それから兵器につきましては、攻撃的脅威を与えるような兵器は持たない、このことだけははっきり申し上げることができると思います。  海上自衛隊のトン数及びファントムの機数につきましても、いま申し上げましたような情勢で、まだ数字を申し上げる段階に至ってはおりません。ただ四次防におきましては、やはり空海に力点が置かれていくだろうと思います。そうして、この日本の国情に応じた日本独特の防衛体系というものをつくっていくように努力していきたいと思います。  最後に御発言になりました、平和で豊かな太平洋国家として生きよというお考えには全く同感でございます。そうして国際的軍縮委員会に参加せよというお考えにも同感でございます。われわれといたしましては、周辺国家との軍備拡張の悪循環におちいらないように、特にこの点は戒心していくべきものであると思います。しかし、軍縮委員会をつくれというお考えは、その前に、軍縮問題も含みました防衛に関する委員会をぜひつくっていただきたい、このようにお願いいたしたいと思います。(拍手)    〔国務大臣愛知揆一君登壇、拍手〕
  38. 愛知揆一

    ○国務大臣(愛知揆一君) お答えいたします。  私は、かねがね日本の外交方針の一つのスローガンとして、平和への戦いということばを使っております。一言にして言えば、国際緊張の緩和ということが外交政策の基本でなければならない。体制の異なる国とも友好親善関係をできるだけつくり上げていきたい。南北問題を解決したい。軍縮努力を中心にする国連外交、そうして各種の国際協力ということが四本の柱であろうかということは、外交演説でも申し上げたとおりでございまして、理想的な方向だけについては、私も同感するところが非常に多いのでございます。  ただ、現実の国際環境がきわめてきびしい現実でございますから、その間に処して平和への戦いを着実に進めていきたいと考えております。  なお、外交、防衛が車の両輪であるという御趣旨の御発言であったと思いますけれども、そういう点に着目いたしまして、すでに第三次佐藤内閣になりましてから、外交、防衛の協議会をつくりまして、こういう点の努力も新たにいたしておりますことは御承知のとおりでございます。  軍縮につきましては、かねがね私の意見をしばしば申し上げておりますから、あえて多くを申し上げませんが、一そうの努力を傾注いたしたいと考えております。(拍手)    〔国務大臣佐藤一郎君登壇、拍手〕
  39. 佐藤一郎

    ○国務大臣(佐藤一郎君) お答え申し上げます。  防衛産業は、御指摘のとおり、ただいま工業生産額全体で〇・五%と、まあ一%に満たない程度の存在になっております。今後のことを考えますると、御存じのように、わが国の工業生産全体がまだまだ相当高い伸び率をもって伸びていくことになりますので、防衛産業のウエートが特に高まると、こういう見通しはあまりございません。したがいまして、経済の発展を防衛産業に特別に期待をすると、まあこういうこともないと考えられます。新しい計画におきましても、したがって、これを特に取り上げておらないような実情でございます。そういうことで、防衛費の歯どめをどう考えるかというお話しでございますけれども、これは現状のような推移でございますれば、別にこの産業上特に大きな問題にはならないと考えています。  それからこの経済の波及効果でございますが、御存じのように、新計画におきましては全体の産業の高度化、構造の高度化ということを特に目がけておるようなわけでございまして、そういう意味においては総体的には波及効果が伸びてまいりますけれども、この部分だけの波及効果というものが特に伸びるということもないと考えておるわけであります。(拍手)
  40. 安井謙

    ○副議長(安井謙君) これにて質疑の通告者の発言は終了いたしました。質疑は終了したものと認めます。      ―――――・―――――
  41. 安井謙

    ○副議長(安井謙君) 日程第四、肥料価格安定等臨時措置法の一部を改正する法律案(内閣提出)を議題といたします。  まず、委員長の報告を求めます。農林水産委員長園田清充君。     ―――――――――――――    〔園田清充君登壇、拍手〕
  42. 園田清充

    ○園田清充君 ただいま議題となりました法律案について、委員会における審査の経過並びに結果について御報告申し上げます。  この法律案は、農業及び肥料工業の現状にかんがみ、肥料の価格の安定と輸出の調整をはかるため、肥料価格安定等臨時措置法の廃止期限を五カ年間延長しようとするものであります。  委員会における審議の経過につきましては会議録により御承知を願います。  質疑を終了し、別に討論もなく、採決の結果、本法律案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  続いて北村理事から、今後の肥料工業の合理化対策等五項目にわたる附帯決議案が提出され、これも全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  右御報告申し上げます。(拍手)
  43. 安井謙

    ○副議長(安井謙君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。  本案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立〕
  44. 安井謙

    ○副議長(安井謙君) 過半数と認めます。よって、本案は可決せられました。  本日はこれにて散会いたします。   午後零時四十五分散会