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1967-07-06 第55回国会 参議院 農林水産委員会 23号 公式Web版

  1. 昭和四十二年七月六日(木曜日)    午前十時三十六分開会     ―――――――――――――   委員の異動  七月六日     辞任         補欠選任      和泉  覚君     北條 雋八君     ―――――――――――――   出席者は左のとおり。     委員長         野知 浩之君     理 事                 任田 新治君                 川村 清一君                 中村 波男君     委 員                 青田源太郎君                 小林 篤一君                 櫻井 志郎君                 園田 清充君                 田村 賢作君                 高橋雄之助君                 温水 三郎君                 堀本 宜実君                 森部 隆輔君                 八木 一郎君                 和田 鶴一君                 達田 龍彦君                 鶴園 哲夫君                 村田 秀三君                 北條 雋八君    国務大臣        農 林 大 臣  倉石 忠雄君    政府委員        農林政務次官   久保 勘一君        水産庁長官    久宗  高君    事務局側        常任委員会専門        員        宮出 秀雄君    説明員        水産庁漁政部長  池田 俊也君        水産庁生産部長  亀長 友義君     ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○中小漁業振興特別措置法案(内閣提出、衆議院  送付) ○外国人漁業の規制に関する法律案(内閣提出、  衆議院送付) ○漁業協同組合合併助成法案(内閣提出、衆議院  送付) ○漁業災害補償法の一部を改正する法律案(内閣  提出、衆議院送付)     ―――――――――――――
  2. 野知浩之

    ○委員長(野知浩之君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。  委員の異動について報告いたします。  本日、和泉覚君が委員を辞任され、その補欠として、北条雋八君が選任されました。     ―――――――――――――
  3. 野知浩之

    ○委員長(野知浩之君) 中小漁業振興特別措置法案及び外国人漁業の規制に関する法律案を一括して議題といたします。  両案について質疑のある方は、順次御発言願います。
  4. 川村清一

    ○川村清一君 一昨日の委員会で、私は、外国人漁業の法案を主として質問を申し上げた次第でございまして、まだ若干質問が残っておりますが、時間の制約もございますので、もし後ほど時間が残りましたならば残余の質問を申し上げることにいたしまして、本日は、ただいまから中小漁業振興特別措置法案を主にいたしまして質問を展開いたしたいと、かように考えます。  この法案の質疑につきましては、衆議院の会議録を一読いたしますと、ほとんどの問題が出尽くしまして、相当深く突っ込んで論議されておりますした。がって、また再度それを繰り返してもどうかと思いますので、私といたしましては、できるだけ重複を避けてまいりたい、かように考えますし、さらに、一昨日の委員会におきましては、和田委員等からも一般論の質問が展開されております。   〔委員長退席、理事任田新治君着席〕 したがって、私はこれらもできるだけ重複を避けまして、具体的な問題、そういう問題をおもに取り上げて質問を申し上げたいと、かように考えておるわけであります。相当ざっくばらんに質問をいたしますから、したがって御答弁も歯に衣を着せないで、あまり政治的ないろいろな考慮を払わないで、ざっくばらんに御答弁を願いまして、そして、議論をいろいろ戦わせる中で、日本の漁業、中小漁業の発展のために力を尽くしてまいりたいと、かように考えておりますので、よろしくお願いを申し上げたいと思います。  私は、第一段に申し上げますことは、この法律の第二条に、「この法律において「中小漁業者」とは、次に掲げる者をいう。」ということで、中小漁業者の定義がうたわれておるわけでございます。しかし、その後私いろいろ勉強してみますというと、中小漁業者に対する定義が法律によってきわめて首尾一貫しておらないということがわかったのであります。混迷を与えている、こう言っても過言ではないのではないかと、かように判断しております。この法律の母法は、すなわち沿岸漁業等振興法でございます。沿岸漁業等振興法は、いわゆる漁業の基本法でございます。この沿振法の第九条の規定を具体的に実施に移さんとするために本法を制定せんとしておるものである、   〔理事任田新治君退席、委員長着席〕 かように私は判断しておるわけであります。  そこで、その基本法である沿振法の第二条の第二項には、「この法律において「沿岸漁業等」とは、次の各号に掲げる漁業をいう。一 沿岸漁業二 沿岸漁業以外の漁業で、その漁業に係る漁業生産活動の大部分が政令で定める中小漁業者により行なわれているもの」と、こういうふうに規定をいたしまして、この沿振法の施行令の第二条に、「法第二条第二項第二号の政令で定める中小漁業者は、その常時使用する従業者の数が三百人以下であり、かつ、その使用する漁船の合計総トン数が千トン以下である漁業者とする。」と、こういうふうに沿振法の政令でもって中小漁業者とは何かかということを定義づけておるわけでございます。しかるに、この沿振法を母法として今回制定されようとしております中小漁業振興法の第二条には、「この法律において「中小漁業者」とは、次に掲げる者をいう」と、こううたいまして、すなわち「漁業を営む個人又は会社であって、その常時使用する従業者の数が三百人以下であり、かつ、その使用する漁船の合計総トン数が二千トンをこえない範囲内において政令で定めるトン数以下であるもの」と、こういうふうにうたっておるのであります。すなわち、母法であり基本法たる沿振法には、中小漁業者とは常時三百人以下の従業者であり、使用する船の合計総トン数が千トン以下であると、こういうふうに規定しておる。本法におきましては、「合計総トン数が二千トンをこえない範囲内において政令で定めるトン数以下であると」規定しておる。   〔委員長退席、理事任田新治君着席〕 これは完全に食い違っておるのであります。母法である沿振法に、はっきり中小漁業者はこうである、こう規定してあるのに、こ沿振法をもとにしてつくられるこの中小漁業振興法の中小漁業者とは、その定義が、今度は二千トンに、片方は千トン、こちらは二千トン、そういうふうに食い違っている点が私としてはきわめて理解ができないのでございます。この点を明らかに御説明を願いたいと思うわけでございます。
  5. 池田俊也

    ○説明員(池田俊也君) ただいま御指摘いただきました点は、実は、私ども法案の作成過程でかなり考慮した点でございます。御指摘のように、沿振法におきましては、漁船の経営規模といたしましては千トンというところで線を引いておるわけでございますが、その他の中小漁業に関しますいろいろ法律がございますが必ずしも一致していないわけでございます。たとえば中小漁業融資保証法という法律がございますが、   〔理事任田新治君退席、委員長着席〕 これは漁船の規模といたしましては二千トンというところで線を引いておるわけでございます。  それで、私ども前から御説明申し上げておりますように、この法案は沿振法の線にのっとっているわけでございますが、必ずしも沿振法そのままの施行法というう形ではないわけでございます。法律の形式的な点から申し上げますと、必ずしも沿振法で規定しております中小漁業の範囲と全く同じでなければならないということはないのではなかろうかということを一つ考えたわけでございます。  それから中小漁業の範囲というのは、私ども従来の経過をたどって考えてみますと、いろいろな変遷がございます。たとえば、これに関しまして中小漁業そのものをとらえていると言えるかどうか若干疑問はございますが、昭和二十三年に水産業協同組合法ができたわけでございますが、この准組合員の資格といたしまして、法人である中小漁業をとらえているわけでございます。このときには従業員の規模は三百人以下という点は同じでございますけれども、漁船の規模といたしましては三百トンということに限定をしたわけでございます。ところが、これがその後法律改正がなされまして、一般的には干トン、それからその他若干のあれがございますが、そういうふうに逐次広がったというような経過がございます。そこで、私どもといたしましては、やはりそういう経過をたどってみますと、中小漁業者の範囲というものも、そのときの漁業経済の実態に応じて若干ずつは変遷をしているのじゃなかろうかという感じが一ついたします。  それから法律のそれぞれにおきまして中小漁業を扱ってはおりますけれども、ねらいが若干ずつ違いますので、そのねらいに応じて最も適切な規模を検討されました結果、若干ずつの違いが出てきている、かように考えるわけでございます。  それで、今回の中小漁業振興特別措置法の立案過程におきまして、非常に苦慮した点でございますが、この法律は一つの振興のための助成等の法律でございますので、私どもといたしましては、これを狭く限定するのは、必ずしも実情に合わないのではなかろうか、かように考えまして、従来あります基準の中でやや広いほうの基準を採用したと、かような経過でございます。
  6. 川村清一

    ○川村清一君 ただいまの御答弁では全然納得できない。まあ非常に問題をはらんでいると私は思います。  まず、二つの点から申し上げますが、前段におきまして、この法律は沿振法には準処しておるけれども、何も沿振法にかかわるものではないといったような意味の御答弁がなされたのでありますが、衆議院の委員会において、長官は、数回にわたってこの点ははっきりお答えされております。沿振法の第九条、これはもう法律の専門家でございますから、私があえて読む必要はないと思いますが、本法でいろいろなされんとしておるのは、この第九条にうたわれておるこの問題を実際に実施しようとしする、それを具体的に示したものである、かように御答弁されております。そして、沿岸漁業につきましては第八条、それから、いわゆる沿岸漁業等、すなわち沿岸漁業と中小漁業に対する政策としては第三条に、やらなければならないことの国の政策がずっと抽象的に書かれております。そして第八条に、構造改善事業とか、その他沿岸漁業推進のためにやらなければならない事項が書かれている。そして、第九条のこの事項は、沿岸漁業「等」の部分、すなわち中小漁業の振興策、具体策をやろうということがうたわれている。それを具体化したものが本法であるということを長官は明らかに御答弁されております。いまの部長のそういう御答弁では、全然納得いきません。  それからもう一点、これは大臣にお聞きしなければならないのですが、いま部長が言われました、この法律におきましては中小漁業の範囲をこうとらえたい。また、こちらのほうの法律では中小漁業の範囲をこういうふうにとらえる。こちらの法律では中小漁業の範囲をこういうふうにとらえる。まことに水産法律というものは摩訶不思議な法律をたくさんかかえておるところだと思うのであります。たとえば中小企業に、中小漁業とは何か、こういう一本定義がありますならば、中小企業というものは、その定義は変わらないと思うのであります。ところが、先ほど御答弁がありましたように、水産業協同組合法いわゆる水協法の第十八条、これに、「組合員たる資格」がうたわれております。その中に、第十八条の第三号に、「その常時使用する従業者の数が三百人以下であり、かつ、その使用する漁船の合計総トン数が三百トン以下であるもの」、こういうふうにここにうたい、さらに第五項の二には、「その常時使用する従業者の数が三百人以下であり、かつ、その使用する漁船の合計総トン数が千トン」、それから「業種別組合」でありますが、これにあっては「二千トン」、「以下」、こういうふうになっておる。これが水協法であります。ところが、漁業生産調整組合法になりますというと、これの第二条の第二項に、「この法律において「中小漁業者」とは、次の各号に掲げる者をいう。」、こういつて、「漁業を営む法人で、その常時使用する従業者の数が三百人以下であり、かつ、その使用する漁船の合計総トン数が千トン以下であるもの」、こういうふうにうたっております。それから漁業災害補償法、この第三条、この法律にもまた、「この法律において「中小漁業者」とは、次に掲げる者をいう。」と、こういって、第四号にまた、「常時使用する従業者の数が三百百人以下」と、「かつ、その使用する漁船の合計総トン数が千トン以下」、それから「十八条第四項の規定により」と、こういって、ちょっと文章が長いですから省略しますが、また「二千トン」というのがその中に入っておるわけであります。それから今度また、別な法律、これは漁船損害補償法、これは「保険の目的」というところにまたこういうものが規定されておるわけであります。読むのを省略します。そうしてまた、別な法律、中小漁業融資保証法、この法律になりますというと、この第二条に、「この法律で「中小漁業者」とは、左に掲げる者をいう。」と、こういって、また、「その常時使用する従業者の数が三百人以下であり、且つ、その使用する漁船」、こういって、これは「合計総トン数が千トン」、そうしてもう一つの条件があって、「二千トン」と、これは部長の言っているとおりであります。  私が何としても了解できませんのは、いま六つの法律をあげたのですが、同じ漁業に関係するいろいろな法律で、その法律ごとに、この法律において「中小漁業者とは」、と言っている。そうして、その「中小漁業者」の定義を一々うたわなければならない。これはどういうわけなんですか。ここに漁業のきわめて複雑であり、また怪奇な一面があるんではないかと、こう思うわけです。これをですね、もっと何とか、法律ごとに一々「中小漁業者とは」、といってこう定義をうたわなくても、中小漁業者とはこういうものであると、一本きちんとうたって、すべての法律が首尾一貫してそれが生かされ、沿岸漁業の振興中小漁業の振興、このためにすべての法律が集中的にそのほうに向かって活動する、そうでなければうそではないか、かように考えておるわけでありますが私の申し上げたことを大臣は御理解いただいたかどうかわかりませんが、大臣もこんな複雑なことを初めてお聞きになったと思うのでありますが、これをお聞きになってどういう御感想を持たれますか。ほかの産業の法律にこんな法律がございますか。私は法律はあまりわからないものですから、ありますれば教えていただきたいと、こう思う次第であります。
  7. 久宗高

    ○政府委員(久宗高君) 御質問の趣旨は、私どもも全く同感に考えておるわけでございます。できますならば、各種の法律につきまして中小漁業の定義が一致することが望ましいと思うわけであります。  経過的な問題は先ほど申し上げたわけでありますが、一番最初の御質問にございましたような沿岸漁業等振興法、いわば基本法でございますが、これとの関連でございますが、沿振法におきましては、いわば基本的なものをきめましたので、当然定義をせざるを得ないわけでございますが、むしろ考え方といたしましては大きな方針ないしは訓示的な規定を中心にいたしておりますので、いわば常識的な意味の沿岸漁業並びに中小漁業というものについてはこうあるべきだと、こういうような決定が基本になっておると思うのでございます。  そこで、先ほど部長から申し上げましたように、今回、中小漁業の特別な振興対策を立てるにつきまして、具体的に第九条そのものを引きまして、これに基づいて云々というような書き方にいたすべきか、あるいはそもそも第九条そのものを落としまして別途につくるべきかというようなことにつきしまては、部内で相当議論があったのでございます。そこで、法制局ともいろいろ御相談いたしました結果、沿振法はまさに基本法的なものでございますので、大きな施策の方針がそこで述べられておるいわば訓示的な規定でございますので、その精神に基づきまして、特別な振興法という形の特別法をつくって処理することが一番現実に即するだろうということで、このような規定になったわけでございます。  その際、御承知のとおり、沿振法ができました前後から、協同組合法にも若干の改正がございまして、現実のたとえば融資をいたします場合に、基本的には三百人以下、千トン未満というところがいわば中小漁業の中核でございますけれども、具体的に融資をしようと思って当たってみますと、たとえば業種別組合の組合員であれば、同じく中小漁業として考えました場合に二千トンまで考えてもおかしくないではないかという現実問題がございまして、現に公庫の融資にいたしましても、あるいは先生がいろいろ御指摘いただきました各種の特別法におきましても、基本的にはやはり中小漁業の中核は千トン未満、三百人以下ということでございますけれども、施策の内容によりましては、若干それを例外的にふくらませて、現実の需要に合わせておるわけでございます。そこで、今回、もし本格的にやるといたしますれば、沿振法そのものにつきましても規定を改正していただきまして、それに基づきまして各種の法律も直してしまうということも実は考えてみたわけでございます。おあげいただきました幾つかの漁業法案の中身も、それぞれ若干づつ角度が違いますので、それに伴う財政措置その他の関係でバランスの問題なんかございまして、漁業だけのバランスをとろうとすれば一つの統一方法もできるわけでございます。他の漁業以外の中小漁業との関連といったものが特にやかましく言われます法律もございますので、さような意味で実はこの段階で統一しかねておるわけでございます。  ただ、御質問の根底に、何か非常にあいまいにしておいて、入れるべからざるものを入れるのではないかといった御議論が一つあるのではないかというふうに思うわけであります。もう一つは、かりにこういう内容でいいといたしましても、法制的には不備ではないかという純然たる法律論上の御指摘と、両方あると思うわけでございます。しかしながら、私どもとしては、さようなことはないわけでございまして、現に今度の法律におきましても、税の対策と金融が中心でございますので、現在の金融公庫の扱いからいたしまして、これをかりに厳密に千トン未満に限定いたしますと、すでに融資を受けておりますようなものにつきまして既得権を侵すことにもなりますし、また決してこれが妥当とも考えられませんので、範囲を広げまして特に振興に必要な業種を取り上げようといたしますと、この程度の例外規定が含まれざるを得ないただ、それが定義の中で述べざるを得ませんので、何かまちまちな感じをいたしまして、私どももそこを整備いたしたようなわけでございまして、考え方といたしましては、基本的な中小漁業の中核というものは現在の段階ではやはり千トン以下三百人以下というところが常識的であろう。しかし、その点を厳密に切ってしまったのでは、現在やっております一連の漁業対策としてバランスもおかしいし、特に今回振興しようということになれば、そこまで含めまして決しておかしいことはない、こう考えております。  なお、純然たる法律論といたしましては、先ほど部長が申し上げまして、私の答弁と違うではないかという印象を与えたかのようでございますけれども、部長が申しましたのは、これは全くの法律論でございまして、沿振法何条に基づいてこの法律をつくるという形式をとっていない、沿振法を母法といたしまして、その訓示規定に基づきまして特別な法律をここにつくったんだ、こういうことでございますので、厳密な意味の形式的な条文とつながりがないということを申し上げただけでございまして、精神におきましては、私が衆議院でお答えいたしましたように、沿振法を母法といたしまして、そしてこの訓示規定に基づいてそれを具体的にしてみたものがこういうものでございますその場合に、税の問題でございますとか金融のように非常にはっきり対象を限定しなければならない問題がございますだけに、定義の中ではっきり政令でどういう場合には千五百トンまで見る、どういう場合には二千トンまで見るということを規定せざるを得なかったわけでございますので、御趣旨の御懸念はないと私は考えます。  なお、御注意がございましたように、私ども今回この種の法律を出してみまして、いかにもどうもそれぞれの経緯があるにいたしましてもまちまちでございますので、できるだけ早い機会にこれが統一できないものかどうかにつきまして検討を進たいと考えておるわけでございます。   〔委員長退席、理事任田新治君着席〕
  8. 川村清一

    ○川村清一君 大体いまの御答弁でわかりましたが、いずれにいたしましても、沿岸漁業等振興法は漁業の基本法であります。漁業基本法というそういう名前をつけるべきものを、こういう沿振法という名前で法律が規定されているわけであります。したがって、本来ならば、第二条で、この法律の規定する業種である沿岸漁業というものと中小漁業と二つにきちっと分けて、中小漁業とはこういう漁業を言うのだということを本法ではっきり権威づけるべきものだろうと私は思うのでございます。法体制のほうからいって、まあ法律のほうにつきましてはまことに未熟な者でございますけれども、常識論として私はそう考えるものでございます。  そこで、この沿振法で中小漁業というものを政令事項にゆだねておるということが私には不可解であります。政令事項にゆだねたということが、要すればいろんな法律の中で中小漁業というものの定義が統一されておらないから、そこで、本法にうたうことができないので、基本法である本法に中小漁業を定義づけないでこれを政令にまかしてある、政令でうたってあるということが間違いだと思うのでありますから、いま長官も言われましたが、こういう混迷を避ける意味におきまして、ぜひひとつ十分御検討の上に立って、各種法律の中小漁業というものの定義を統一されまして、そうしてこれを基本法の本法でうたうか、うたうことがむずかしいのであるならばきちっと政令を変える。私は非常に不思議に思うのは、ほかの法律の本法の中には「中小漁業とは」とうたってあるのですから、これは立法府の国会でもって決定しておるわけですね。ところが、基本法の沿振法の中における中小漁業というものは政令でまかせられて、国会で審議していない。まことにこれは矛盾しておると思う。こういうことはおかしいと思うのです。ですから、ぜひ今後御検討をわずわらしたいと思います。  そういう混迷があるから私はあえてもう一つ事実問題を取り上げて申し上げたいのですが、沿振法に基づいて政府が国会に対して義務づけられておる、政府がその年において漁業政策として行なったその事項をいわゆる年次報告として国会に報告される白書、これは非常に権威のある農林省の報告書であります。これを検討いたしますとこれまた、きわめて不都合な点があるのでございます。すなわち、白書の三六ページ、ここに「中小漁業の主要漁業種類別の生産の推移」という表があります。これに中小漁業の生産額が載っておるわけです。そして、昭和四十年には中小漁業の総計が三百五十三万六千トンと出ておるわけです。ところが、今度は四〇ページに、「その他の漁業の主要漁業種類別の生産の推移」という表がございますね。これにはいわゆるその他の漁業の生産量、生産金額が載っているわけです。前のほうページには沿岸の生産量、生産額が載っております。そうすると、われわれ国会議員は、国会におきましては一といいますのは、日本の国民ですよ。国民は、日本の漁業のあらゆる漁種の生産というものがこれでわかるわけですね。分け方はどう分けているかというと、沿岸漁業、中小漁業、その他の漁業と、こうここに分類してありますね。その分類をわれわれは分析して、そうしてそれを問題にして国会において議論いたしますし、本会議で質問いたしますね。ところが、この中小漁業振興特別措置法案の中にはもちろん書いておりませんけれども、いろいろ衆議院の審議あるいは当委員会における論議をお聞きいたしますと、今度やがてこの法案ができますというと、業種を指定いたしますね。そうして、指定されましたその漁業につきましては振興計画を立てますね。そうして、その振興計画に基づいていろいろ政府はあたたかい政策を立て、中小漁業の振興をはかるということになりますね。ところが、長官、いま私が何を言おうとしているか、もうおわかりになったと思いますが、   〔理事任田新治君退席、委員長着席〕 この四〇ページの「その他の漁業の主要漁業種類別生産の推移」という表の中には以西底びき網漁業というものが載っていますね。そこで、この法案ができた場合にまず何の業種を取り上げて施策をなさろうとしておるのかというお尋ねに対しまして、政府のほうは、まずカツオ・マグロ漁業、以西底びき網漁業を取り上げてこれを指定して、これに対する振興計画を立てて、そして金融、税制面のそういう施策をしようと言っておられますね。ところが、国会に報告されるレポートの中においては、以西底びき網漁業というものは中小漁業じゃございませんじゃないですか。これはその他の漁業じゃございませんか。このその他の漁業は、何で一体今度は中小漁業に入ってくるんですか。私はおととしの選挙で出てきた議員ですから、その前のことはわかりませんが、一体この白書というものはいつから出されておるわけですか、何年前から。そうすると、国会に報告されるたびに、その他の漁業の中に入れておった以西底びきを、今度は中小漁業のほうに持ってきて、そして中小漁業の施策に入れようとしている。そういう考え方だから、中小漁業とはという定義がめちゃくちゃなんだ、こういう間違いが生ずるのではないかと私は思うのであります。これは私はまことに理解できない。この点をひとつ明らかにしていただきたい。
  9. 久宗高

    ○政府委員(久宗高君) 御指摘のとおりでございまして、この点は、この間もちょっと申し上げたと思うのでございますが、はなはだ不親切な書き方になっておりまして、統計を掲げます場合に、定義とか統計の根拠につきまして、もっと詳しい注を見やすいところにおつけしておかなければならぬとつくづく考えているのであります。御指摘のように、私どもも、沿振法ができましてから、白書を出します場合に、その中で中小漁業その他の御説明をいたします場合には、当然そちらのほうの定義に合わせまして統計も組み直して、ただいま御指摘のございましたように、一般的に国民の方がごらんいただきます場合に誤解のないようにくふうをすべきだったと思うのでございますが、実は、御承知のとおり、漁獲高の統計につきましては非常に長い昔からの統計でございますので、いまここで掲げておりますような分類をいたしております。その段階におきましては、以西底びきがいわばその他の漁業という範畿で、そういう形で統計をとるような統計のとり方をどこがとるかといったような問題もございましたが、こういう分類になってずっと続いておるわけです。そこで、統計の継続という意味におきまして、いま発表いたします漁獲高統計におきましてはその他の漁業というものの範疇で出しておりますので、それをそのまま分析いたします場合に、白書の中にこういうかっこうで実は数年にわたって毎年書いてきております。  今回の中小漁業について特別施策を講ずるといったようなことになりますと、特にその辺の問題が実は問題になるわけでございますので、本年の白書におきましては少なくともこれを組みかえて誤解のないような形で出すべきだというふうに反省をいたしておるわけであります。ただ、多少御了解いただきたいと思いますのは、統計の継続という問題もございますので、そのほうは白書でなくて、統計書そのものでごらんいただければ継続されるわけでございましようと思いますけれども、さようなことがございまして、意識的にどっちへ持っていく、こっちへ持っていくというようなことを政策的に考えたものではございません。あくまでこれは統計の数字をそのままなまでここへ載せてしまったという結果から、だたいま御指摘のような誤解が生じたものじゃないかと思うわけであります。本年はすでに出してしまいましたので、はなはだ申しわけないわけでございますが、来年度以降、この表現をいたします場合に、誤解のないようにどうくふういたしますか、特に御指摘のように、これは漁振法に基づきまして国会に御報告することでもございますので、当然さような注意をいたすべきだったと考えております。なお、ここで掲げております中小漁業につきましても、あるいはかぎでカッコでもいたしましてこういう意味の範疇の数字でございますという点をもっとわかりよく注をするべきだったと考えております。
  10. 川村清一

    ○川村清一君 長官、この問題はきわめて重大な問題なんです。それで、実は、去年の通常国会においての昭和四十年度の白書に対する代表質問を私がやったわけであります。ことしはわが党の達田委員がなされました。それから私の前には渡辺委員かだれかがなされて、私も、やるとき、先輩の質問の内容を官報で読ましていただいて勉強したわけでありますが、それで一貫してやっぱり取り上げておりますことは、白書は沿岸漁業、中小漁業、これらはよく分析しておる。まあ数字をただ羅列しているにすぎませんけれども、しかし、よく分析はしてある。それからどうしようとするそのかまえ、ビジョンというものはないけれども、しかし、その他の漁業については、ちっとも触れていない、全く隠しておる、こういうような議論がなされておるのであります。そこにやはり問題があるわけです。その他の漁業という、いわゆる大資本漁業であります。この大資本漁業というものを隠してなかなか出さない、こういうところに問題があるわけであります。その他の漁業にいままで入っておって、今度初めて私はこれを発見したわけでありますが、その以西底びきが、今度は、この法律ができるというと、まっ先にまずこの法律の恩恵を受けようとしてまかり出てきたわけです。私にはとてもこれはよく理解ができないわけであります。こういう点がありますので、十分ひとつ御検討をいただきたい。この点だけでも私はもっともっと突っ込んでやりたいと思うのでありますが、時間の関係もありますから、これはこの辺でやめますが、重大な問題であります。大体、国民に責任を持って農林省が法律に義務づけられて国会に提案するところの白書がそういう誤りをおかしておるなんということは、とんでもない話だと思う。この点、十分御反省をいただきたいと思うわけであります。  さらに話を進めたいと思いますがまあいずれにいたしましても、わが国の中小漁業というものは、これは全体の総漁獲量の約五二%を占めておるわけでございますから、きわめて重要な業種でございます。ますます拡大されなければなりません。そのためには、中小漁業振興のための施策を強力に推進していくべきは当然でございまして、そのことによって大いに拡大されておる需要にこたえていかなければならない、かように考えておるわけでございますが、しし、別な角度からこれを考えてみますというと、一面、中小漁業及びその他の漁業がわが国漁業政策の上に大きなウエートを占めているということは、これはまたわが国漁業構造上の点から考えてみますときに、大きな弱点であると私は考えているものであります。ある意味におきましては、これは日本の漁業の悲劇である、かようにさえ評価しております。  これも白書に示されました数字を拾って読んでみたわけでございますが、昭和四十年のトン数別、階層別の漁船の隻数を見ますというと、漁船の総隻数は三十八万一千百四十四隻あります。そのうち無動力船と十トン未満のいわゆる沿岸の漁船、これが三十六万三千六百三十二隻あります。全体に占める割合は実に九六%であります。日本全体の漁船隻数の九六%は無動力船と十トン未満の船であります。十トン以上の船、すなわち中小その他の漁業というものは、一万七千五百十二隻で、全体から見ますというと、たったわずかの四%であります。この漁船で生産される生産量を見ますというと、沿岸漁業は三三・一%であります。中小漁業は五二・三%であります。その他の漁業は一四・六%であります。したがって、中小とその他を合わせて六六・九%、実に約六七%であります。これを生産金額に直しますというと、沿岸が四一・七%、中小が四五・七%、その他が一二・六%、計五八・三%、この数字をもとにして考えてみますと、これはひとつ十分検討していただきたいと思うのでありますが、日本全体の九六%を占めておる漁船階層が、全生産量の分け前はわずか三三%、三割ちょとであります。そして、わずか四%しかないところの漁船隻数で約七〇%近い生産の分け前にあずかっておる。ここに日本の沿岸漁民の貧困の最大の原因があると私は判断しておるわけであります。これを改善しない限り、沿岸漁民の生活の向上なんというものはとうてい考えられないわけであります。したがって、沿振法も制定されたのでありましょう。沿振法に基づいて沿岸漁業振興のための構造改善事業なんということも行なわれております。いろいろ行なわれておりますが、さてその沿岩漁業構造改善事業の効果がどの程度あがってきたか、これはまた白書によって調べてみますというと全然あがっておらない、横ばいでございます。  こういう現実の姿というものを、一体、政府はどういうふうに見ているか。九六%を占めておる沿岸の貧困な漁民階層の生活の安定向上のためにどういう施策を抜本的になそうとしているのか。もちろん、やっておらないと言うのじゃありません、いろいろやっっておるのは承知しておるのであります。承知しておるけれども、ちっとも効果があがっておらないのであります。効果があがっておらないということは、何も大げさに言っているのではなくて、政府が下さったこの白書にちゃんと書かれておるのであります。若干はあがっておりますよ、若干は。それから魚の価格が上がってきておりますから、収入は若干ふえてきておることは事実であります。でありますけれども、実態はこうである。ですから、中小漁業は、全体の五二%も生産をあげておる、日本の動物性たん白資源の生産のために、または、この需要に応ずるために非常な寄与をしていることは、大いに敬意を表しまするし、この振興のためにさらに努力してまいらなければなりませんけれども、その陰にあるこういう沿岸階層に対してどういう施策を抜本的になそうとしているのか、この点をひとつはっきりお聞きしたい。これは相当の勇気をもって大胆な決断をなさらなければ、これは容易なことではないと思うのでありますが、ぜひひとつ大臣の決意をお聞かせいただきたいと思います。
  11. 倉石忠雄

    ○国務大臣(倉石忠雄君) お話のように、わが国の漁業の経営を見ますというと、多くの種類に分かれておりますが、いまお話しのように、沿岸が非常に零細性であり、しかも低生産性である。いまの中小と沿岸の漁船の割合を白書の統計によってお示しになりましたが、そういうところから見ましても、やはり沿岸の一番零細な経営のほうが生産性が低いということがわかるわけであります。したがって、私どもといたしましては、今回御審議を願っております中小漁業振興法案はもちろんのことでありますが、沿岸につきましては、魚礁を新たに設けるとか、あるいはまた漁港の改修をいたすとか、あるいはまた漁村の人々の生活改善の援助をいたすとか、あるいはまた、沿岸で出てくる魚介類が消費者に渡るために中間のロスが多いということになりますというと、沿岸で手放す価格は同一であたても、消費者にとっては高価なものに感じられることになりますので、そういう中間の流通機構に大いなる力を入れるということは、ひいては沿岸漁業を振興することに役立つものであると政府は考えまして、そういう面にも格段の力を四十二年度からよけい入れてまいりたいという施策を講じつつあるわけであります。  したがって、私どもは、いま御指摘のように、わが国の魚介類の生産の、しかも人口的に見ましても、それからたとえトン数は小さくても漁船の数から申しましても、社会構造の中に占める漁民の状態から見ましても、非常に大事な部門でございますから、そういう方面の振興に特段の力を今日までも入れてまいりましたが、その成果が十分にあがっているとは申せません。そこで、なおさらに私どもといたしましてはそういう方面の振興に格段の力を入れていく必要がある、また、そのようにいたしてまいりたいと、こう思っております。
  12. 川村清一

    ○川村清一君 沿岸漁業の振興はきわめて重大でございまして、私はこの面にもっともっと時間をかけて突っ込んで議論をしたいのでございますけれども、時間の制約がありますので、いつか機会を得まして沿岸漁業振興の問題にだけ徹底的にひとつ質問をしたいと、こう思いますが、きょうは別なほうに進めさせていただきたいと思います。  次にお尋ねいたしたいことは、これは前の質問にも出ておったわけでございますが、漁業法第六十条の規定によって、指定漁業の許可更新が本年度実施されるわけでございますが、この更新についていろいろ御検討され、方針もある程度固まっておると思いますが、現在の段階におきまして、漁業法の第五十七条、すなわち適格性の条項というのがありますが、この点をどのように検討されたか。五十七条の適格性の条項を今回十二分に入れて許可更新の際に活用するというような立場で検討されたかどうか、この点をお尋ねしたい。
  13. 久宗高

    ○政府委員(久宗高君) 新しい制度に変わりまして初めての許可の一斉更新という時期を迎えたわけでございますが、御承知のとおり、許可の一斉更新と申しますのは、各種の漁業種類につきまして漁業調整上の措置をいたそうといたします場合に同時に取り上げませんと、相互に関係がございますために、手続といたしましては、一斉に周期をなるべく一致させまして関連を持って処理させようということであるわけでございます。したがいまして、現行の漁業法の許可を運用いたします場合の一つの切れ目であるわけでございます。ただ、一般に業界で受け取っておりました感じといたしましては、たまたまこれが最初の試みでございますので、何か非常に大きな制度改革を含むような感じに受け取っておりまして、そのためにそれぞれの漁業種類におきまして――御承知のとおり、日本列島周辺の海域は、こまかに漁業区分ができております。それぞれの領域につきまして一斉更新の際にそれぞれの業種が望んでおられることを実現しようといたしますと、非常に抜本的な制度改正に及ぶような感じで受け取っておられたようでございます。また、同時に、そういうことがございますため、それぞれの業種でいろんな案が出ますと、関係の業種といたしましてじっとしていられないということで、やや物情騒然のような感じが昨年一ぱい実はあったのでございます。そのような時期に外国漁業の関連も出てまいりましたので、業界の受け取り方といたしましては、一斉更新によって根本的な何か制度が変わってしまうんではないかというような雰囲気であったわけでございます。それが、実は、そういうことではないのでございます。少なくとも実施いたしました五年の経過によりまして具体的な調整を要するものを手直ししておきますのが一斉更新の本来の姿ではなかろうか、こう考えて、基本的な考え方といたしましては、あくまでこれは現行法の範囲内において、現在まで経験的に得られました若干の矛盾を調整いたしますと同時に、一斉更新におきます一連の措置を同時に措置していくという現行法のワク内での措置であるという点を非常に詳しく業界にもお話しいたしました。中央審議会におきましても、さような観点でこの問題に取り組んだわけでございます。したがいまして、今日までのところ、予想されましたような混乱はほとんどございませんで、ほぼ常識的にこの段階で処理ができるという見通しに立っておるわけでございます。  ただ、御指摘のございました許可の一斉更新の場合に、適格性その他の運用によりまして、新たに許可をするかどうか、この問題をどう取り扱うかが実は審議会におきましても中心課題でございました。これにつきましては、ずいぶん長い論議をいたしたわけでございます。御承知のとおり、漁業に関する法令を著しく順守する気持ちがない者、あるいは労働法令によっても同様な規定がございまして、両方から吟味しようということであったわけでございます。私どもも、さような観点から、漁業法上の問題点あるいは労働関係法令上の問題点というものをそれぞれの所管官庁から資料をいただきまして、相当厳密に実は吟味をいたしたわけでございます。まだ、今日までの一連の処置が、私どもの手足が十分でない問題もございまして、必ずしも的確にできていないわけでございます。特に労働関係におきましては、所管も違いますので、御通報を受けまして私どもがそれを許可面にどう反映いたしますかという点につきましては相当異論もございまして、この段階で卒然とそれを厳密に適用いたしました場合に相当の混乱が起こり得るというふうにも考えられましたので、また、同時に、実質的な公平という意味におきまして、どうしても役所がやろうといたしますと、厳密な何か基準に基づきまして計数的な形にとらわれて措置をとらざるを得ないわけでございますので、実質的なその事犯の内容に立ち入った調査ができにくい、こういうこともございましたために、せっかくの機会でございましたけれども、そういうようなことを基準を明らかにいたしまして切るものは切ってしまうということが実際問題として非常にできにくかったわけでございます。しかしながら、この一年間の審議過程を経まして、この種の問題の重要性が漁業法規の励行におきましても、労働法規の励行におきましても、相当関係業界にも浸透いしました。やはりこの辺をしっかりやらなければ漁業秩序というものは保てないという認識が深まったことは、一斉更新の副産物と申しますか、非常に大きな効果であったと思うわけでございます。  そこで役所といたしましては、中央審議会の御意向を十分聞きました上で、この際、特に、一斉更新を機会に、いままでの関係を全部整理してしまうということではなくて、今後の問題とこれを関連させまして、つまり解除条件つきという形にいたしまして、違反事例がさらに累加いたします場合に直ちに処置をとるという、将来に対する、何と申しますか、規制を明らかにいたしまして今回の一斉更新をやろうといたしておるわけでございます。これは、ある意味におきまして、漁業の実態から申しますと、現状で一応役所が形式的に処置をいたしましても、これがあるいは訴訟になりましたような場合にもかりに負けないというようなことで厳密に考えますと、非常に消極的な基準しかできないわけでございますが、むしろ実質的な問題にウエートを置いて、これを将来さらに一犯を加えました場合には直ちに取り消すといったような義務を、皆さんがそれはそれでやりましょうということに意見がまとまりましたことは、むしろ非常に発展的な要素が強かったのではないかというように私どもとしては感じておるわけでございます。  一部には、この点、また御批判もございまして、何でこの機会にきちっとやらないのかという御意見も出たわけでございます。私どもといたしましては、今回それぞれの違反事例を相当詳細に検討いたしました結果、やはりこれは解除条件つきで将来を戒めまして、これからは時々刻々の処置にいたしましても相当きびしくやらざるを得ないのだという認識を深めることによりまして一斉更新の本来の効果を発展的に維持してまいりたい、こういう考え方で対処をいたしておるわけでございます。
  14. 川村清一

    ○川村清一君 そうしますと、結論的には、こういうことでございますか。現漁業法五十七条の適格性の一の「漁業に関する法令を遵守する精神を著しく欠くものであること。二 労働に関する法令を遵守する精神を著しく欠く者であること。三 許可を受けようとする船舶が主務大臣の定める条件をみたさないこと。」と、こういうようなものは適格性がないということで許可をされないわけでございますか。今回の一斉更新にあたりましては、五ヵ年の経緯にかんがみまして、これら条項にかかわって許可をはずされるというような船は一隻もないと、結論的にはこういうことでございますか。
  15. 久宗高

    ○政府委員(久宗高君) 少なくともこれは基準によって処置をしてもしかるべきだと考えましたもので対象を調べてみますと、すでに自覚症状がございまして、その対象がすでにない、つまり当然にこのまま持ってまいりましても許可は得られないということで漁業をやめてしまったものが相当ございます。したがいまして、現在、さらに相当の違反を犯しておりながら許可を得たいと言ってきて私のほうでけるというようなものは、結果においてなかったということでございます。したがいまして、全然やらなかったのではないのでございまして、やるに至らずしてすでに先方で漁業をあきらめてしまった、こういうものが若干ございます。  なお、私どもといたしましては、現在まで調べましたものをそのまま記録を引き継ぎまして、少なくとも行政的な処理をいたしますについては、累犯が問題になるわけでございます。累犯の場合におきましても、形式的なものと実質的なものとございますので、今後の処置といたしましては、形式犯ももちろん重要でございますけれども、実質的な悪質なものについてこれをどう捕捉してどう処置するかという問題につきまして、関係各省ともよく御連絡をとりながら処理をいたしてまいりたい。さような意味で、形といたしましては、解除条件つきの許可にするという方式をとったわけでございます。
  16. 川村清一

    ○川村清一君 中小漁業の振興をはかり、漁業の生産性を向上していくためには、何といいましても、漁業経営の近代化を進めていかなければなりません。そのためには、まず、優秀な漁業労働者の数を確保することが第一だろうと考えておるわけであります。しかるに、現在、労働者が不足していることが最大の隘路であることは、お示しいただきましたいろいろな資料からわれわれはうかがい知ることができたわけであります。優秀な労働力を求めて、中小漁業にそれを定着させる、こういうためには、まずもって、他産業従事者に此べてきわめて困難な、しかも海上の船舶内における労働という危険な労働に従事しておる漁業労働者の労働賃金を向上し、また、環境を整備し、労働条件を改善していくということは最大の要件であろうと私は考えておるわけであります。  そこで、昭和三十七年八月三十一日は、漁船船員の労働環境改善のための措置要綱が運輸省から出されております。昭和四十一年九月十六日には、漁船及び小型船舶員の労働条件改善指導要綱というのが水産庁から出されております。これは、労働に関する一つの法令でもあり、また、主務大臣の定める条件であると思うわけであります。こういったような法令、あるいは大臣の出された条件、こういうものが完全に現在なされておるとは判断できませんけれども、これを果たすためにいろいろ努力しているのかどうか、また、これを果たすように水産庁は行政指導を強力にしておるのかどうか、この点をまず聞きたい。これらのことは、漁業法の第五十七条の適格性の条項の第二、第三に該当するわけでございます。ところが、いまの長官の御答弁では、こういうようなもののために許可からはずされたというような船舶はない、この次の大きな条件にはなる、こういうような御答弁のように私は拝聴したわけでございますが、一体、現在どんなような状態になっているか、今後一体どうしようとしているのか。現在までどのような行政指導をなされてこの漁船の中で働く労働者を守ろうとされているのか、また、そのとこによって現在の中小漁業の近代化をはかろうとしているのか、この点のお考えを明らかにしていただきたいと思います。
  17. 久宗高

    ○政府委員(久宗高君) 戦後、旧漁業法を改正いたしました際に、漁業政策の基本といたしまして、漁業に関する法令並びに労働問題を産業法規の中に取り入れます際には実は非常に議論がございまして、その考え方につきましてもずいぶん業界によりまして受け取り方が違っているわけであります。御発言にもございましたように、最近の事情によりまして労働問題がむしろ企業の発展のためにも基本的な問題であるという認識が次第に高まってまいりました。今回の一斉更新におきましても、議論がほぼここに集中するような傾向があったわけであります。しかしながら、御指摘のように、私どもも、さような観点から、やや業界の感覚よりは先走りまして、労働問題につきましては相当中央といたしましては努力をいたしたつもりでございます。また、運輸省なり海上保安庁その他の関連におきましても、その問題につきまして常時御連絡をとりながら施策を進めているわけでございますが、遺憾ながら私どもの手足に直接労働を扱う能力がいま欠けておりまして、県の末端の段階になりますと、必ずしも徹底をいたしていないわけでございます。また、労働省その他の直接労働関係の御担当のところでも、これは全般の労働問題をお扱いになっておられますので、漁業労働のような非常に特殊な問題につきまして、また、船員と会う機会もできにくい産業でございますために、その普及にも非常に努力はしていただいておりますが、なお、いまだしという感を免れないわけでございます。さようなこともございまして、意あって何が足らずと申しますか、必ずしも十分徹底していないわけでございます。この点、最近におきましては、団体のほうでも本格的にこの問題を取り上げまして、役所だけではこういうものはやはり徹底しないので、業主の団体におきましても、それぞれの労働の組織と直接お話しをして、労働問題の研究なり、そういうものの下部への徹底につきまして、二、三の組合におきましては中央団体ですでにお話し合いも開始しているわけでございます。さような意味におきまして、直接行政官庁の末端組織まで急速に手を入れることは若干むずかしいかと思うのでございますけれども、そういう気運が出てまいりましたので、私どもといたしましては、今日示されました要綱その他につきましてもさらに改定を加えまして、関係省庁と同時に業界とも、また労働の組織とも直接御連絡をとりまして、下部への徹底につきまして努力をいたしたいと考えているわけであります。
  18. 川村清一

    ○川村清一君 こういうような問題もうんと議論したいのですけれども、時間がないので、どうもぐあいが悪いので、しり切れトンボみたいな話にばかりなりまして恐縮しておりますが、次に、これもやはり一つの労働条件の問題に関連してくる問題でございますが、漁船の海難事故の問題でございます。これも、いただいた資料によりますと、四十一年に千百四十五隻発生しております。そのうち、トン数別では、五トン未満が三百七十五隻、五トンから二十トンまでが二百五十八隻、二十トンから百トン未満が四百三十二隻、百トン以上が八十隻、計千百四十五隻でございます。しかも、その数字というのは、昭和三十七年以来大体これを前後しております。横ばい状態でいる。さらに、死亡者の数でございますが、行方不明も含めてでございますが、三十七年に三百四十二人、三十八年に五百三十三人、三十九年に三百八十三人、四十年に七百七十七人、四十一年に三百四十八人という、こういうとうとい人命が失われておるわけであります。  そこで、私は、長官にお尋ねいたしたいのは、海難事故を防ぎ、人命を守るという立場、人命尊重について、どのような指導をなされておるのであるか。このような状態でございますれば、漁業労働者が安んじて漁業に従事することはできない、中小漁業労働者がいわゆる中小漁業に定着することはできないのではないか、こう考えるわけであります。こういったような状態で、何が日本の漁業は世界一の漁業である、こういうようなことを言われるかと、こう思うわけです。生産量で世界第二でございましても、生産高においては世界第一でございます。何といっても世界一の水産王国日本でございますが、しかし、実態は、もう毎年千隻以上の海難事故があり、そうして平均して五百人近くの人が毎年死んでいっておる。これは非常に残念なことだと思うのであります。ですから、生産よりもまず人命を守る、こういう立場で経営者は漁業経営に当たらなければならないと思うわけであります。これを監督官庁である水産庁はやっぱり指導していかなければならぬと思うのでありますが、どういう立場で指導なされておるか、今後どのような行政指導をなされようとしておるか、施策の上にどういうようなことをなされようとしておるのか、この点をこの際明らかにしていただきたいと思うわけであります。
  19. 久宗高

    ○政府委員(久宗高君) 海難の問題につきましては、私ども一番苦慮いたしておる問題でございまして、お示ししました数字も、まことに恥ずべき数字だと考えておるわけでございます。中央におきます漁業の審議会におきましても、数年来、この種の問題が毎回取り上げられまして、相当突っ込んだ御議論をいたしておるわけでございまして、私どもといたしましても、打つべき手は全部打っていこうと考えておるわけでございます。今日まで打ちました手で、やはり機関故障によります事故が相当多うございますので、この種の問題につきましては技術的な措置を打ちましたのと、また、すでにたびたび御説明いたしておりますように、今回の一斉更新を機会といたしまして、客観的に積み過ぎが発見できるような形ということで、いろいろなものを総合いたしまして、これを乾舷マークという形で、どなたにもこれはあぶないというのがはっきりわかるような形で船の安全をはかろうといったようなことも、これを新船からは強制するという形で、思い切って制度の中に織り込んでみたわけでございます。また、海難防止の指導その他につきましては、できるだけの機会をとらえまして接触を保ち、また、指導をいたしておるわけでございます。  ただ、たまたまこういうところでお話が出ましたので率直に申し上げるわけでございますが、どうも、特に最近の事例を見ました場合に、何かやはり思い切った惰性を切りませんと、とても、制度でもって許可の制度をいじくりますとか、あるいは船の機関、これはもう当然やらなければならぬことでございますけれども、そういうことでは現在の傾向がやまらないのではないかというおそれを実は感じているわけでございます。とうてい考えられませんような非常識な出漁が、たまたま魚価との関連その他もあるのでございましょうか、実は出ておるわけでありまして、これは、ただ、それじゃすぐ船を大型化したら片づくか、許可制度を変えたら片づくかという問題では実はないのではないかという感じすら持っておるわけでございます。何らかの機会に、従来の惰性をやめまして、あらためて海難の防止につきまして、ことに北のほうの事例におきましてはそういう事例が多うございます。一般の新聞紙上にもそれがよく出るわけでございます。何かすぐに制度を変えればこれは防止できるんだといったような一般的な伝え方になっておりますが、事実は私はそうではなくて、やはり経営者自体が、どう考えましても全く無謀な出漁をいたしている事例がはっきりございますので、そういう問題につきまして関係の府県とも具体的な御相談をいたしまして、この惰性をぜひ切りたいと考えておるわけであります。その方法その他につきましても、実は今日いろいろ皆さんと御相談をしているわけでございます。何らかの機会に惰性を切るようなものの考え方をはっきりいたしませんと、またまたこういうような数字を繰り返すおそれがある。ただ許可制度その他の運用だけではどうも事足りないのではないかという感じを持っているわけでございます。いろいろ御示唆がいただければありがたいと、こう思っております。
  20. 川村清一

    ○川村清一君 この問題は、長官のおっしゃられますように、許可制度だけではいけないと思うわけです。積み荷の積み過ぎも確かに大きい要因でございますし、あるいはまた、過重操業、いわゆるピストン操業をやっておることも大きな原因であるわけですが、まあこれは十トン以下の船をいま問題にしているのでございませんが、沿岸漁業のほうを問題にしているのですが、沿岸漁業は十トン未満は経営者自身が船に乗って漁業をやっているわけです。これは、中小漁業の、特に漁業法で指定されているような指定漁業を中心に操業していると思う。そこには漁業労働者が乗っておるわけであります。そこで、労働条件、それから船の労働環境、そういうものがいろいろあるわけです。その点は、きちっと要綱で出ておるわけですから、この出ておる要綱を絶対に守らせるように、ぜひ強力な指導を運輸省とともども力を合わせてやってもらわなければ困ると思う。そういう要綱を主務大臣は出したけれども、それは一向一つも守られておらないのではないか。迷惑するのは労働者だけで、そういうところには労働者は定着しません。そうしますれば、いかにこんな法律をつくっても、そのことによって中小漁業は振興しないと思うから、こういうことをお聞きしている。  そこで、お聞きしたいのは、中小漁業に従事している労働者の賃金のことですが、賃金はどういうふうな賃金体系になっているのでございますか。いただいた資料で、指定漁業の漁業ごとに労働者の賃金を出していただいたわけでございますが、これはまあ一般工場の労働者の賃金と違いまして、やはり固定給、歩合給があるのではないかと思うのですが、この表は固定給、歩合給を合わせたところの賃金でございますか、込みの賃金でございますか、どうでございますか。
  21. 池田俊也

    ○説明員(池田俊也君) お出しいたしました資料で、一日当たりの賃金が出してございますが、これは歩合給、固定給を含めました平均のものでございます。
  22. 川村清一

    ○川村清一君 そうしますと、これは歩合給と固定給の比率ではどのような割合になっておるのですか。
  23. 池田俊也

    ○説明員(池田俊也君) これは、漁業種類によりまして実は非常に違うわけでございます。また、同じ漁業種類の中でも地区によりましてかなりそういう形が違っているようでございますが、全体的な平均の数字を申し上げますと、最低保証つき歩合給と申しまして、歩合給の一種でございますけれども、額が非常に少ない場合に、この額までは少ず賃金を支払うと、こういう形のものが実は半分ほどございます。それから残りの半分のうち、さらにその半分ぐらいが歩合給でございます。これは全額の歩合給でございます。それから固定給がございまして、それに歩合給を奨励金というようなかっこうで、水揚げ高が多い場合はそれに応じて奨励金を支払う、固定給に歩合給を合わせたものでございますが、これが全体の四分の一程度でございます。
  24. 川村清一

    ○川村清一君 やはり、これが海難事故発生の大きな原因になっているのではないかと私は思うのです。長官は、許可をどうするかということだけではいかぬのだと。確かにそうだと思うのです。積み荷の積み過ぎがある。なぜ、一体、危険だと知りながらそんなに積むんですか。それは、たくさん積んで水揚げすることによって、それで歩合給がふえるわけです。これは経営者だけのふところへ入るのじゃなくて、働く労働者のふところにも入るわけであります。何で一体ピストン操業をやらなければならないのですか。朝港へ入って、そして何時間も寝ないでまたすぐ沖へ出ていく。何で一体そんな無理した労働をしなければならないのですか。それは、それをすることによって水揚げが上がって、そのことが働く労働者のふところに入ってくるからです。それは歩合給制度による。それが海難事故発生の大きなウエートを占めておるのではないかと、そう思うわけです、十トン未満の沿岸漁業は違いますが。ことしはずいぶん北のほうでありましたが、これには触れませんが、そこで、まあ海難事故防止のためにいろいろ苦慮されておるということを長官は先ほどから言われておりまして、まことにお気の毒だと思うわけでございますが、しかしながら、専任者としていかに苦慮されましても、日本の漁業の恥でもあり、働く労働者の命を守るために何としてもぜひ海難事故というものを防ぐということに総力をあげて努力してまいらなければならないと思うわけであります。そのためには、こういう変則的な賃金体系というものをやはり打破しなければ、近代的な工場で働く労働者と同じような、まあ産業の特異性がありますから、いきなり同じくとはいきませんでも、それに近づくところの賃金体系をつくるような、そういう面にやはり努力をしていただかなければと考えておるわけでありますが、労働問題につきましてはだれよりもすぐれた御見識を持たれておる倉石農林大臣の御見解をぜひお聞かせいただきたいと思います。
  25. 倉石忠雄

    ○国務大臣(倉石忠雄君) 円タクの事故発生の報告などを聞きましても、歩合制度が非常にその根源をなしていると報告されております。歩合制度というようなものについては、生産をあげるには確かに一つの方法かもしれませんが、そのためにいわゆるピストン操業も行なわれ、非常に過重な労働になりますので、そういう点は逐次改めていかなければならない。やはり、漁業の生産性と、それからその漁業経営の採算性から見て、いろんな労働条件が出てくるのだと思いますが、先ほど長官もお答えしましたように、海難事故の数が多いということは、国の恥でもあるばかりでございませんで、無理な操業をして海難を起こせば経営者それ自体もばく大な損失を受けるわけでございますから、いろいろな角度から雇用条件をよくすると同時に、そのためにはその経営がそろばんに合うようにできるだけみんなで協力してまいるということが必要だと思いますが、私どもの立場といたしましては、雇用条件をよくして、しかも漁業が経営の継続性を持たれるような方向で各方一面からそれを指導していく必要がある、こう思っております。
  26. 川村清一

    ○川村清一君 いよいよ私に与えられました時間も終りに近づいてまいりましたので、質問も整理してまいりたいと思います。  そこで、この法律における指定業種と漁業法に規定する指定漁業との関係でございますが、指定漁業というのは、これは漁業法に基づいてきめられておるわけですね。それで、私どもにお出しいただいたいろんな資料の中で、指定漁業の一つの資料をいただいておるわけです。指定漁業に入っている業種でなければ、この法律の中においては指定業種として指定されないのかどうか、ここがちょっと疑問ですので、はっきりしていただきたいと思います。
  27. 池田俊也

    ○説明員(池田俊也君) これは、中小漁業の主体は、やはり漁業法で申しております指定漁業、大臣の許可漁業でございます。でございますので、中心的なものといたしましては、指定漁業が本法の対象になる場合が多いだろうと思います。しかしながら、中小漁業の中には指定漁業でございません、漁業も相当ございます。たとえば、一般のイカつりでございますとか、あるいはサンマの漁業でございますとか、相当ございますので、これにつきましては、当然本法の対象には条件さえそろえばなり得るわけでございます。本法の指定業種といたしましては、必ずしも指定漁業に限定しているわけではございませんわけでございます。
  28. 川村清一

    ○川村清一君 ただいまの御答弁の中で、条件さえそろえば、必ざしも指定漁業でなくても本法の指定業種になり得るという御答弁ですが、その条件というのはどういう条件でございますか。
  29. 池田俊也

    ○説明員(池田俊也君) 法案の第二条の二項に、「「指定業種」とは、」ということで、これは政令で定めるわけでございますが、条件が二つございます。一つは、当該業種にかかる漁業生産活動の相当部分が中小漁業者によって行なわれているということ、もう一つは、当該業種にかかる漁獲量の変動とかあるいは漁業経費の増大等のいろいろな事由によりまして、中小漁業者の相当部分の経営が現在不安定である。将来あるいはそういうおそれがあるというような場合におきましては、そううい二つの条件をにらみまして政令で指定をする。こういうことになっておるわけでございます。
  30. 川村清一

    ○川村清一君 わかりました。  そこで、お尋ねしたいこりは、本法制定によって、先ほども申し下げましたが、まず振興計画に取り入れられる指定業種としては、カツオ・マグロ漁業、以西底びき網漁業が予定されておるような模様でございます。そこで、私は、いま申し上げました二つの業種が、中小漁業に属する他の業種に優先して取り上げられる要件を特に具備しているということは、提出された資料を幾度も繰り返したんねんに私自身は見たつもりでございますけれども、理解することが困難なのでございます。いま漁政部長が言われました「中小漁業者の相当部分の経営が不安定となっており又は不安定となるおそれがあるため、」、こうような業種ならば、カツオ・マグロ漁業あるいは以西底びき網漁業でも、もっともっとこれよりもいいものがある、かように私は考えております。そこで、よくお聞きしておきたいことは、そういうような中から特に優先してその業種が取り上げられる理由を私どもによく納得できるように親切に御説明を願いたいと思います。
  31. 久宗高

    ○政府委員(久宗高君) 私どもといたしましては、中小漁業全般につきまして基本的な施策が必要だと考えるわけでございますが、一般の中小企業に対します国の施策の中で、漁業の特殊性もございますので、現状におきましても、一応他の一般の中小企業よりも漁業の特殊性という点から考えますと、金融その他につきましても若干いい条件にあるように思うわけでございます。漁業プロパーで考えますと、それでは足りませんので、問題をしぼりまして、政令で漁業種類を指定いたしまして、計画を立てて、それの特別な措置をとっていこうというのが本来のたてまえであるわけでございます。  御承知のとおり、この問題が起こりましたきっかけになりましたのは、数年前、カツオ・マグロ漁業が、アメリカの景気とも関連いたしまして急速に悪化いたしました。それ自身、何らかの対策が必要だということが契機になって、たまたま今回のような法案の推進役になった経緯がございます。数字的にもお示ししておりますように、釣獲率も落ちておりますし、また、自己資本比率などをごらんいただきましても、その経営が根本的な点において脆弱性を露呈しているということはおわかりいただけると思います。ただ、私ども第一回に本年度指定いたしますものが、いわば常識的に考えました中小漁業の中ではむしろ優等生ではないかという御批判が当然あり得ると思います。  そこで、私どもが今回取り上げておりますのは、カツオ・マグロ漁業が日本の漁業の特に中小漁業におきます中核的な体系をなしておりますので、これががたがたに崩れるようなことは全体の漁業政策にも大きく影響いたしますし、国際的な競争関係も次第に熾烈の度を進めておりますので、これをまず取り上げたわけでございます。それから以西底びきにつきましては、現状の数字におきましてはそうむずかしい条件ではないのではないかという点も計数的には言えるわけでございますけれども、これは網目の制限の実態等も考慮に入れ、あるいは第三国の進出状況も頭に入れ、さらにはこの委員会におきましても御指摘のございましたような資源の問題も含めて考えましたならば、これは早目に手をつけておきませんと、危機が急速に来るおそれもございます。さような意味で、この二つをまずモデルとして取り上げたわけでございます。  もちろん、このほかにももっと必要なものがあろうかと思うわけでございますが、何と申しましても、この制度は中小漁業に対しまして本格的な取り組みを初めていたすわけでございます。従来、中小企業におきましては国の施策が比較的薄い中で、非常なバイタリティをもって日本の漁業の中核の地位を占めてきたわけでございますので、国の保護を受けるということにつきましては、実は相当の覚悟が要るのではないかと思うわけでございます。このバイタリティがなくなってしまうような形にはしたくないということで、私ども一番重視しておりまおのは、法律には抽象的にあのようにしか書けませんのですが、何と申しましても、その業界での覚悟のほどと申しますか、体制がどのぐらい整ってきておるか、本式にこの漁業を立て直そうじゃないかといったような声が自主的に盛り上がることがまず一番の条件ではないかというふうに考えておるわけでございます。さような点から申しますと、現在の段階で、ほぼ準備が整って、いろいろな施策を打ち出しました場合に相呼応して体をなすなと思われますのは、この二業種に一応考えられます。初年度はこれで進んでまいりたい。これによりまして私どももいろいろ行政経験を経ると思いますので、その間に他の業種につきましても調査を進め、また、業界におきます意思の統一なり御検討を進めていただきまして、逐次指定を拡大してまいりたい、こういう考え方で処理をいたしているわけでわります。
  32. 川村清一

    ○川村清一君 私は、カツオ・マグロ漁業あるいは以西底びき漁業の指定業種に指定することに反対をして申し上げておるわけではございませんので、誤解なくお聞きいただきたいと思いますが、ただ、他の業種に優先してこれを一番先に取り上げられる理由が理解できない。この資料では了解できない。ただいま、長官は、自己資本がどうとか、それから投下資本の利益率がどうとかいうようなことも言われました。それは表に示されておるわけでありますが、利益率におきましても以西底びきなどは他の業種に比べて決して低くはないわけでございます。まあカツオ・マグロは若干低い。それから以西底びきも、昭和四十年は非常に低くなりましたけれども、これはまあ三十七年と同じであって、三十八年、三十九年に比べては低くなりましたが、それで平均点は一三・八で、ほかの業種に比べて特段低くはないわけでございます。それから自己資本率におきましても、ほかの業種よりむしろ以西底びきは高いわけであります。こういう点から考えて、これはほかのものよりはいいわけです。いみじくも長官が言われましたが、このいま取り上げられようとしておる業種は、他の中小漁業の中においては優等生だ。優等生を先に取り上げられる理由が理解ができない。いま御説明を承りましたが、その御説明で理解はどうもできないわけであります。  それからこの賃金の項の表でございますが、これをずっと見ますというと、以西底びきやカツオ漁業というのは大体周年操業でございます。ところが、この表では、一番採算性の高い漁業は、何といいましても現在のところサケ・マス流し網漁業でございます。ところが、サケ・マス流し網漁業というのは、採算性は高いけれども、操業日数というものは、この表で見ますというと、三十トンから百トンまではわずか八十九日であります。これはもう日ソ漁業交渉によって条約できまっておりまして、一年じゅうとっているわけではないのでありまして、一つのノルマがあって既定の漁獲が終わってしまうと、あとやれないのであります。だから、その漁業そのものについてはいいんですよ。ところが、それが終わったあと何をやるかというと、これはただ遊んでいるわけにいきません。裏作といたしましては、たいていサンマの棒受けをやるとか、あるいは北洋のタラ釣りをやるとかといったようなことをやっておりますので、こういう漁業はあまり採算性がないわけであります。したがって、サケ・マス漁業であげた利益というものは、そっちのほうでもって補ってしまうといったようなことで、ほかに比べて、サケ・マス漁業自体はいいけれども、サケ・マス漁業の漁業者、経営者という観点からながめてみれば、サケ・マス漁業というものは一年間のうちのほんの一部分なんですから、一年間の経営というものから見れば、決していい経営ではないけわであります。  そうしますと、本法でうたっておるところの第二条の第二項の第二号の「中小漁業者の相当部分の経営が不安定となっており又は不安定となるおそれがある」、こういう中小漁業について、「沿岸漁業等振興法第九条各号に掲げる事項に関し改善を行なって」おる云々というこの条項による施策をしようとするならば、当然取り上げられなければならないものがたくさんあると思う。したがって、いまこれをやめてこっちでやれというようなことを私は申し上げるわけではございませんが、これはこれとしてよろしゅうございますが、まだこれ以上に取り上げなければならない業種があるということを御理解をいただいて、そうしてやはりカツオ・マグロ、以西底びきと同じように取り上げて、いろんな政府のあたたかい施策を施して、中小漁業全体のレベルアップをするように御努力願いたいということを私は御要請申し上げたい、こう思うわけであります。この点について御見解を承りたいと思います。
  33. 久宗高

    ○政府委員(久宗高君) 私どもも同様に考えておるわけでございまして、カツオ・マグロと以西底びきにつきましては、やはり一番この段階で考えておりましたのは、国際関係を頭に置きまして、それと準備の促進の度合いその他を考えまして、まずこれでためしをやってみまして、それからさらに拡大してまいりたいという考え方でございます。  なお、兼業の問題についての御指摘でございますが、この辺を実はまだ私ども詰め切れておりません。今後それぞれの振興計画をおはかりいたしてまいります過程におきまして、今回の一斉更新によりまして若干専業化でございますとか、周年化といったようなものを頭に置いて処理いたしておりますので、それぞれの漁業のその後の動向も頭に踏まえまして検討を進めてまいりたいというふうに考えております。
  34. 川村清一

    ○川村清一君 最後に、もう一点、第六条がまたこの法律の大きなねらいだろうと思うわけであります。すなわち、中小漁業を近代化していく、生産性を向上させていく、こういうようなために、またこれは振興計興の中にも出てまいりまして、助言、指導の中でそういう指導をさせるのだとも思いますけれども、時間がありませんので、こまかい質問を省略して、こちらのほうから先に話をしてしまうわけでございますけれども、合併する――他の法人に対して個人が合併していく、あるいはまた、出資をする、そうして新たに法人をつくる、いわゆる合併ということに相当力を入れられておる模様でございますが、こういう中でこういう心配がないのかどうか。実際問題として、私も、自分はもちろん漁業経営者では全くございません。漁業については全くのしろうとでございますけれども、浜におります関係上、漁業経営者がいろいろなことをやっているのをこの目で見たりこの耳で聞いたりしているものですから、そういう中からいろいろな知識も知らず知らずののちについてきているわけでありますが、実際のところ、その漁業権の権利を譲渡するわけですね。売っちゃうわけです。そうすると、これは以西底びきに例をとって、まあこれまずいのですが、以西底びきというのは実際のところ私は知らないんです。西のほうは知らないからよくわからないのですが、したがって、その権利が一トン幾らぐらいするのかもよくわからないのですが、的当な金額をしているのではないかということだけはわかるわけであります。ところが、それを売っちゃうわけですね。売ると、当然そこに税金がかかりますね。譲渡所得税なんかがかかりますね。そうすると、その税金をのがれる一つの方便としてそういうようなかっこうもあるでありましょうし、また、そういう権利を取得して、そうして企業を拡大していく、あるいは船を大型化する、こういうような立場から権利買いをしようとするそういう資本家もあるわけでございますが、そういうようなことの中で、一体、擬装合併といったようなことが生ずるおそれがないのかどうか。そこへつくられた法人というものが、名目は確かに法人だ、しかしながら実体は必ずしもそうではない、こういうものが出てくるおそれはないかどうか。これは、北方のほうにおける底びきであるとか、あるいは北洋サケ・マス漁業等においてはずいぶんそういうものがあるわけであります。そういう心配は私は確かにあるのではないかと思うわけです。しかしながら、そういうふうにして出てきたところの新しくできた法人、それを農林大臣が認定いたしますというと、その法人に対しましては、租税特別措置法で定めるところによって、法人税または登録免許税を軽減する、こういう規定がここに出てくるわけです。こういう税金をのがれるためにそういう法人などができる心配はないかどうか。もちろん、農林大臣がしっかりそれを検査して、認定しなければ、そういうことにはならないわけですが、認定するときに十分そういうことを厳重に監査をして認定するだろうと思いますけれども、それらに対する現在の心がまえはどういうことになっておるのか、心配のあまり一つお聞きしますが、ひとつお考えをお聞かせいただきたいと思います。  それからもう一点は、この法律に基づきまして、今度は国のいろいろな援助があるわけでございますが、「漁船の改造、建造又は取得」あるいは「生産行程の協業化に係るもの」、こういうものに対しまして公庫資金から、公庫法の一部を改正いたしまして、年六分五厘の金利で十年あるいは十五年の期間の金融措置がなされる、こういうことになるわでございますが、この六分五厘の金利の問題でございます。これは一昨日の委員会でも問題になりましたが、私はどう考えてもこの金この金利は高いと思うのです。もっとこの金利を低くすべきである、かように考えます。  そこで、参考までに私はお尋ねいたします。日韓の漁業協定に基づきまして、民間供与三億ドル以上の中において、漁業協力資金として九千万ドルを供与することになっておるわけでございますが、あの金の使い道の中において、金融措置をする場合に、幾らの金利の金を向こうの漁業振興のために日本は協力しているのか、この点を参考までにお聞かせいただきたいと思います。
  35. 久宗高

    ○政府委員(久宗高君) 今回の制度の進行過程におきまして擬装法人というふうな形の問題が起こるかという問題でございますが、現在のこの許可制度と一般経済との関連におきまして若干むずかしい問題はございます。しかしながら、今回の指定をいたしました場合に、最終的には農林大臣が認定するわけでございますが、その内容は、この立案過程からもすでに実行いたしておるわけでございますが、業界におきまして相当突っ込んだ御検討がなされました。また、そこで相当問題を割り切ってまいりませんと、振興計画が実際は組み立てられません。つまり、個々の経営についての問題になりますので、いわば金銭的な要素もそこに入ってくるわけでございますので、御指摘のような問題が起こりませんように私どもも注意いたしますが、業界におかれましても、振興計画を練ります過程におきまして、その種の問題の合理的な解決なり要望なりにつきまして格段の努力をいたすつもりでおるわけでございます。  なお、金利の問題でございますが、六分五厘といことで今回どうしてもこの段階におきましてこの政策を打ち出したいということで、私ども政府部内におきましてもずいぶん議論いたしたわけでございます。一応六分五厘ということでスタートを切らざるを得ないわけでございますが、御指摘のように、これには若干問題がございまして、さらにこれを低くいたすように努力を続けてまいりたいと考えておるわけでございます。  なお、お尋ねのございました日韓の問題でございますが、御承知のとおり、日韓の信用の場合におきましては二つございまして、四千万ドルでいわば向こうの零細なり中小の漁業の関係と、それから五千万ドルはいわば会社経営というふうなもの、この二つの範疇がございまして、四千万ドルのほうは五分、それから五千万ドルのほうは五分七厘五毛ということになっております。しかし、これは民間私企業でございますので、輸銀が出します金利でございます。したがいまして、それをさらに向こうに提供いたしまして、御承知のとおり韓国は非常に金利の高い国でございますので、手数料その他を全部加えてまいりますと、最終的な形が本邦におきます私どもの金利より非常に有利になるということはないわけでございますので、この辺の御懸念はないと思います。
  36. 川村清一

    ○川村清一君 まだ突っ込んでいろいろお尋ねしたいわけでございます。せっかく資料をいただいたのでございますから、漁港の問題等にも発展さしていきたいと考えておりましたし、あるいはまた、外国船の問題等につきましても、もう少し専管水域の問題につきまして、アメリカ、ニュージーランド、あるいはスペイン、アフリカ、こういったような方面との関係等につきましても、いろいろ議論したいと思いましたが、北条先生の時間に少し食い込んでしまって恐縮しております。以上で私は終了いたしまして、また何かの機会に一般の政策論議として取り上げていろいろお話し合いをしたい、かように考えまして、本日の質問はこれで終わりたいと思います。
  37. 北條雋八

    ○北條雋八君 私の時間に少し食い込まれたわけでありますが、おもな点を伺いたいと思います。  まず、外国人漁業の規制に関する法律案につきまして伺いますが、この法案では、わが国の領海三海里、この水域内の規制にとどまっております。しかし、ソ連にしろ、韓国にしろ、最近は漁業の進展に対する意欲が旺盛でございまして、この方面に非常に力を入れておりますし、したがって、その将来を考えますと、少しも油断ができず、長期見通しのもとに万全の措置を講じなければならないことは、申すまでもありません。その意味から、韓国漁船に対しましては、これは日韓条約の締結によりまして、万一の場合があれば一方的に専管水域を設けることによってある程度規制ができますけれども、ソ連その他の諸外国の漁船に対しましてはそれができません。もし将来わが国の距岸十二海里以内で優良な漁場が形成されるというようなことを仮定した場合には、外国漁船が距岸にどんどん近づいてきまして三海里までは入ってくるようなことになります。そういうことを考えますと、非常に心配であります。政府としましては、専管水域を、この際、十二海里、諸外国並みに設定しないでもいいという理由はどこにありますか、これはすでに質問が出たかと思いますけれども、この前私おりませんので、その結論のおもな理由を伺いたいと思います。
  38. 久宗高

    ○政府委員(久宗高君) 前回にも申し上げましたように、私どもといたしましては、現在の確立された国際慣行によれば、三海里というのが排他的な権利を行使できる限界と考えておるわけでございます。したがいまして、十二海里につきまして一方的にそういう宣言をいたしまして相手国を排除するという行き方は、現在の国際法上では認められないものという立場を堅持いたしておるわけでございます。したがいまして、当面の問題を考えました場合に、韓国につきましては御質問の中にあったようなことでございまして、ソ連との関係を考えました場合におきましては、主としてソ連で問題になりますのは、、おそらく十二海里よりも以遠の海域におきます漁業の競合問題が起こり得ると考えられるわけでございまして、さような場合には、むしろ十二海里を引きましても、なおかつ別途の国際協定なり何らかの規制が必要ではないかという見解を持っておるわけでございます。  また、当面の見通しといたしまして、日本の沿岸におきまして問題の出てまいりますのは、主としてソ連、韓国の問題でございます。また、わがほうといたしましては、別途世界の七つの海に出かけまして、それぞれの海域におきまして、こちらからは遠洋でございますけれども、向こうで申しますと沿岸に近い海域におきまして漁業をやっておりますバランスの問題もございまして、この際、わがほうといたしましては、直ちに十二海里の専管水域を引くということは相当問題があるということで、この問題につきましては慎重な態度をとっておるわけでございます。
  39. 北條雋八

    ○北條雋八君 ただいまのお話でありますと、結局、いままではそういう外国漁船が来ても十二海里よりもなお外でそういう漁労をやっている、おそらく今後十二海里以内に来ることはないから、この際十二海里を設定いたしてもむだであると、また、来ることはないという確信が強いわけですね。その点につきまして、せんだって川村委員のほうから調査を依頼されまして、それに対する資料を配付していただきましたけれども、これで拝見しても、これでは接岸何海里のところに来たのか全然わかりません。いままでの外国船が操業に来た回数とかあるいは場所ですね、あるいは接岸何海里ぐらいのところ、そういう詳しいことを伺いたいと思います。これでは全然参考になりませんし、この法案にとりましてはその問題が一番私は大事だというふうに思うので、詳しく説明していただきたいと思います。
  40. 亀長友義

    ○説明員(亀長友義君) それでは、御提出いたしました資料の七ページにございます表の4、「日本近海における外国漁船操業の事例」という表につきまして、上から御説明申し上げます。  ソ連のサンマ棒受け網漁業のほか五種類くらいの漁業が行なわれておりますが、第一のソ連のサンマ漁につきましては、ここにございますように、道東、三陸、常磐沖合いで昭和三十年に試験操業が行なわれまして、それ以後逐年増加をして、近年は母船式を併用いたしております。漁獲高も、年により変動がありますが、昨年あたりでおおむね五万トンくらいとわれわれ想定いたしております。このサンマ船の操業海域は、主として歯舞、色丹の沖合いでありまして、現在日本の実質的な支配区域外にある水域の近辺が主たる漁場でありまして、それより南に下りまして三陸、常磐沖合いまで参るわけでありますが、北海道におきましてはきわめてまれに、七海里程度のところまで参るようなことがございます。しかし、その大部分は道東の沖合い約二十海里ないし三十海里とわれわれ考えております。三陸、常磐沖合いにおきましても、大体そのくらいの日本の沿岸からの距離を保っておると思います。  ソ連のサバまき網漁におきましても、同じように道東沖でございまして、現在のところそれほど急速な発展を見せておりませんが、六ないし七隻程度のものでありまして、漁獲量はそれほど大したものでないと考えております。現在必ずしもソ連がまき網の技術に日本ほど成功していないという技術的な背景もあると思います。このサバまき網漁業も、日本の漁船の操業しておりをす沖合いの限界に近い点、すなわち二、三十海里から沖合いだろうと、われわれ考えております。  イカ釣り漁につきましても、北海道沖合い、あるいは青森県沖合いに参っておりますが、現在のところ日本の領海付近まで近接したという話は私ども聞いておりません。
  41. 北條雋八

    ○北條雋八君 いまのお話でも、ソ連のサンマ棒受け網、これは道東あるいは三陸の七海里まで近づいてきているのじゃないですか。常磐沖合いはどうですか。
  42. 亀長友義

    ○説明員(亀長友義君) 私が七海里と申し上げましたのは、そういうケースが一年に一回くらいあるということでございまして、全体的には距岸の二十海里ないし三十海里、あるいはそれより沖合いで実質的な漁業が行なわれておるということでございます。常磐沖合いについても同様でございます。
  43. 北條雋八

    ○北條雋八君 そうすると、操業は、絶対に七海里なんぞはしない、二十海里、三十海里の距岸でやるのですか。
  44. 亀長友義

    ○説明員(亀長友義君) 私が七海里と申し上げましたのは、たしか、一昨年、七海里付近で発見されたのと、昨年、サンマ船が三陸沖大体十二海里の地点で一隻発見されたという事実をもとにして申し上げたのでありまして、ソ連が行なっております実質的な操業は、三十海里ないしは二十海里の沖合いで行なわれている、たまに航海その他の都合でそういう入ってきたことがあったにすぎないというふうに申し上げたわけでございます。
  45. 北條雋八

    ○北條雋八君 いまお話しのように、ともかくやはり来ることは来るわけなんですが、今後はどうなるかわからないと思います。どんどん向こうでも船はふやすし、漁労の意欲は旺盛でありますから、決して安心していることはできないと思うのですが、それでもなお長官は、いまあわてて十二海里の専管水域を置く必要はない、置くことによってかえって日本の漁労に不利があるというようなことがあるのか、こういうことも付け加えて、もうちょっと親切に理由もお話し願いたいと思います。
  46. 久宗高

    ○政府委員(久宗高君) 対ソ連の関係で申し上げますと、ただいま生産部長からお話しいたしましたように、主として問題になりますのは、二十海里ないし三十海里におきます多獲性魚についての問題があり得ると考えているわけであります。したがいまして、さような問題を調整いたしますとしますれば、十二海里という専管水域の問題ではなくて、その種の漁業を漁業協定の中で取り上げて、何らかの競合についての取りきめをいたすような方式がむしろ有効であろう、また、さような準備が必要であろうというように考えているわけであります。  それから十二海里の問題につきましても、私どもは一般的にこれを一方的に宣言することは国際法上問題があろう、こう言っているわけでありますが、二国間で合意に基づきまして処理をいたします場合には、これはそうでないわけでございます。たとえば韓国との間におきましてはさような措置をとっているわけであります。ソ連との関係におきましては、十二海里をソ連との間で話し合いをすること自体に、必ずしも漁業上それが有利とも考えられませんし、また、別の問題として、安全操業につきましてのわがほうの主張につきましてかえってその主張がしにくいような形にもなるという重要な問題を控えております。十二海里専管水域問題をソ連との間で考えることは不得策であろうというふうに考えております。
  47. 北條雋八

    ○北條雋八君 これはほかの国ではみな専管水域が十二海里が多いわけでありますが、なにも十二海里に限ったことはないわけですね。二十海里、三十海里でも、やはり将来のことをおもんぱかって専管水域をつくっておいたほうがいいとなれば、つくっておくべきじゃないかというふうに思うわけですが、こちらで出かせぎでありますから、その意味からむしろそういうのはつくらないほうがいいんだということがはっきりしているなら、それはそれでいいんですけれども、その点があまり説明がなかったわけですが……。
  48. 久宗高

    ○政府委員(久宗高君) 少なくとも現在の段階では、具体的に問題になりますのはソ連、韓国船でございますので、この段階で直ちに十二海里専管水域を両国との間で話し合いにおいてとるということも必要なかろう、こう言っているだけでございます。御指摘のように、わがほうといたしましては、現在の段階では、世界の各海域に出漁いたしまして問題が非常に多いわけでございますので、一番私どもが危惧しておりますのは、十二海里がいいかどうかという問題よりは、一応三海里の中におきます一連の慣行につきましては、国際的にいろいろな問題がすでに確立しているわけでございますが、三海里よりも外にかりに漁業専管水域を置きました場合に、その中における他国の実績のある漁業をどう取り扱うかということが、実は、全くいまのところ固まっていないわけでございます。さような意味におきまして、十二海里という問題をわがほうで引きます場合にも、その中におきます他国の漁業をどう取り扱うかという問題を固めることが先でございまして、さような意味におきまして、私どもといたしましては、先日、米国との関係におきまして、この問題を、法律問題をたな上げにいたしまして、十二海里をめぐります漁業の調整につきまして具体的な取りきめをいたしたわけでございます。これはまさに国際的な慣行をつくっていく過程でございまして、アメリカに次ぎましてニュージーランドとも話し合いをいたしまして、さらに今後スペインあるいはインドネシアというふうに、具体的に二国間で十二海里内におきます実績問題につきまして具体的なお話し合いを進めていく過程は、同時にこれは国際慣行をつくっていく過程でございますので、かような問題が熟してまいりますまでの間は、少なくとも現在確立されております国際慣行を基礎にいたしまして処理するのが最も妥当であろう、こう考えておるわけでございます。  なお、いまの段階では、対韓国につきましてはお説のとおりでございますし、対ソ連につきましても、いま直ちに専管水域を引いておかなければならぬということは、他の利害関係を計量いたしました場合に、必ずしもとるべきではないのではないかというふうに考えておるわけでございます。   〔委員長退席、理事任田新治君着席〕
  49. 北條雋八

    ○北條雋八君 いずれにしても、今後外国漁船の漁労その他調査をもっと徹底して、そうして将来遠い見通しに立って処理されることが一番大事じゃないかと思いますが、いままでのそういう記録あるいはデータは非常に粗雑じゃないかと思うのです。その点を特に申し添えますし、いままでのデータも、もうちっと詳しいデータを、年度ごとに、また回数別に、それから接岸距離別に、まとめて書類として提出していただきたいと思います。  次に、時間がありませんから中小漁業振興特別措置法案についてお尋ねしますが、本法案の特別措置の対象となる業種が、ただ二種類だけにとどめてあるのですね。これはどういう理由があるか、これまたすでに質問があったと思いますけれども、その点をもう一度結論だけ伺いたいと思います。
  50. 久宗高

    ○政府委員(久宗高君) ただいま御要望の資料でございますが、断片的にはいろいろございまするが、私どもといたしましては、今後さらに本法が施行されますれば、それに伴いまして詳細な資料もつくり得るかと思うのでございます。現在の段階では、先ほど生産部長から申し上げた程度にとどまっておるわけでございまして、御了承をいただきたいと思います。  それから中小漁業振興特別措置法におきまして、初年度、先ほどもお話が出ましたように、カツオ・マグロ漁業と以西底びきを取り上げておるわけでございます。両漁業とも国際関係の非常に強い影響を受ける可能性のある漁業でございますので、カツオ・マグロ漁業につきましては、先般相当の不況におちいりまして、根本的な立ち直しを準備していた経緯もございますので、ほぼ準備も整ってきたということで、まあ本法の初年度でございますので、私どもといたしましても一応自信のあるものをまずやりまして、その経験に基づきましてさらに必要な漁業の調査を並行して進めまして、逐次指定を拡大してまいりたいと考えております。
  51. 北條雋八

    ○北條雋八君 これはまたあとで伺いますけれども、中小漁業の中でサンマ棒受け網、あるいはサバ釣り、イカ釣り――沖合いの多獲性の大衆魚を漁獲対象とする沖合い漁業、これは、白書で見ましてもわかるように、労働力の不足や、あるいは資金の逼迫、豊漁貧乏などで経営が苦しいものが多いのであります。特に下層経営体は、廃業やあるいは規模の縮小をしていくのが目立って多くなってきております。一番動きの激しい苦しい階層であると聞いておりますけれども、業種と規模の上からいって、どんな傾向にそれらの下層の中小漁業は移り変わっていっておるのでしょうか、そういう概況を聞かせていただきたいと思います。
  52. 池田俊也

    ○説明員(池田俊也君) イカ釣り等の漁業は、これは非常に零細な規模でございまして、中小漁業といいましても、ほとんど最低限界に近いような種類の漁業でございます。それからサンマ漁業でございますが、これも一般的には経営は非常に小さいわけでございますけれども、他の漁業種類との兼業が多いのでございます。先ほども川村先生からお話がございましたが、たとえばサケ・マス漁業というようなものの裏作としてやっておる漁業が多いわけでございまして、そういう意味で、サケ・マス漁業は比較的にまあ高収益の漁業でございますので、それとうらはらの関係にありますので、まあサンマ漁業についてだけ考えますと、かなり最近は漁業獲量が減りまして経営状態がよろしくございませんけれども、総合して考えますと、まずどうにか経営として存続できるような状態だと思います。傾向といたしましては、必ずしも各業種を通じまして一般的な傾向として把握できるものははっきりいたしませんけれども、一般的に申し上げますと、やはり経営規模は若干ずつではございますけれども拡大するような傾向にあるように考えております。
  53. 北條雋八

    ○北條雋八君 もちろん拡大するものもあるわけですけれども、縮小していくものもあるわけです、中に。これらの漁業段階は、非常に苦しい仕事をしておるわけであります。したがって、一部には、カツオ・マグロ漁業あるいは沖合い底びきなど本制度の対象として取り上げられている業種、そのほかの有利と見る漁業も、兼業といいますか、兼営するものが相当にあります。十トンを多少上回る程度の経営体には、貝をとったり、あるいはコンブをとったり、一本釣り、ひき網、その他小型底びき等を兼営するものもありまして、経営内容に多くの難題をかかえ込んでおります。これらの振興を要するものに対して、いままで、政府は、どんな救済施設といいますか、援助の手を差し伸べておられますか。沿岸漁業等振興法の「等」という字は、結局、これらの零細な中小漁業を意味するものと私は思いますけれども、そうだとするならば、沿振法の第九条の施策として三十八年以来どんな措置をとってこられましたか、その点を伺いたいと思います。
  54. 池田俊也

    ○説明員(池田俊也君) 中小漁業の振興のための具体的な非常にはっきりした形の措置といたしまして、まあ今回の法案にあります考え方が非常にはっきりした形のものとしては初めてでございますけれども、従来でもたとえばいろいろな面の総合的な対策としてやっておるわけでございます。たとえば金融面におきまする制度として考えますると、中小漁業融資保証法という法律があるわけでございますが、これは信用保証というような制度によって漁業経営の信用力が非常に薄弱であります点を補いまして金融の円滑化を期すると、こういう制度でございますが、こういう法律がございますが、この法律の運用といたしましては従来から保証料率の引き下げをいたしますとか、あるいは、それとの関連で公庫融資のワクを拡大するというような措置を実施してまいっているわけでございます。  それからこれは漁業者の所得を全体として確保をすると、こういうような見地でございますが、今回もその一部改正について御審議をいただく予定になっております漁業災害補償制度でございますが、これによりまして災害に対処すると同時に漁業者の所得も確保する、こういうことで従来ともその充実に努力をしてまいっているわけでございます。  それからやはりこれも一般的な制度でございますが、漁船の損害に対しましては漁船災害補償法があるわけでございます。それからやはり中小漁業の経営をよくすると、こういよような見地からいたしますと、優秀な労働力を確保することが必要でございますので、そういうような点から、やはり基本的に労働者の福祉を向上するといいますか、労働条件の改善をはかる。これは、賃金制度でございますとか、あるいはその他のいろいろな労働条件がございますが、そういうような労働条件の改善をはかるために、法的措置ではございませんけれども、運輸省と御相談をいたしまして一つの方針をきめまして、それによりまして改善をはかるような指導をしてまいっているわけでございます。それからやはり労働力の確保をはかる上に基本となると思われます労働環境につきましては、これもやはり一つの基準をきめまして、それに船の設備が合致するような指導をいたしてまいっているわけでございます。これにつきましては、今回漁業許可の一斉更新との関連におきまして、一定の規模以上の船につきましては、こういう設備をしなければならないと、こういうようなことを強制するようにいたしたわけでございます。それからやはり同じく労働者の福祉をはかるというようなことで、一定の海域におきまして集団で操業しているような場合におきましては、海上においていろいろ病人が出ましたときに診療をやるための措置を助成しているわけでございます。  まあいろいろございますが、私どもといたしましては、いろいろな制度をうまくからみ合わせまして、全体として中小漁業の経営の向上に努力をしてまいっているつもりでございます。   〔理事任田新治君退席、委員長着席〕
  55. 北條雋八

    ○北條雋八君 いずれにしましても、先ほども申しましたとおり、下層の中小漁業者、いわゆる沿振法にあります「等」に含まれるそういう漁業者は、非常に苦しんでおるわけなんでありまして、そういう苦しんでいるということは、結局、三十八年に沿振法ができましてからこの第九条というものがあんまり活用されなかったんじゃないかというふうに私は思うのでありますが、ともかく運用の熱のなかったことはいなめないんじゃないかというふうに思うのですが、それに対して反論はありますか。
  56. 久宗高

    ○政府委員(久宗高君) 確かに、一番むずかしい行政の分野でございまして、御指摘のように十分実績があがっておりませんのは非常に遺憾と思っておるわでございまして、さような意味におきまして、今回、機を新たにいたしまして、一般的な中小漁業政策よりはもう少し深い、かつ個別な経営を相手にいたしました対策を立てたいということで、金融と税制を中心といたしまして今回のような法案を御審議いただいておるわけでございまして、この運用にあたりましては、御注意のございましたような最も援助を要します分野につきまして力を入れてまいりたいと思うわけでございます。ただ、今度の施策の実施を頭に置いて考えてみますと、やはり業界のほうの受け入れ体制が非常に実は必要でございまして、施策といたしましてこれを実施いたそうといたしましても、金融なり租税でございますので、それと個別な問題になると思います。さような意味におきまして、計画を立てます場合におきましても、やはりその関係の業界が相当まとまって、しかも焦点を明らかにされまして振興計画の内容を固めていただきませんと、実はこれ非常に乗りにくいという問題がございます。もちろん、これには業界だけにおまかせできない問題がございまして、私どもが十分指導いたしまして、さような受け入れ体制のできるように調査を始み、極力進めてまいりたいと考えております。
  57. 北條雋八

    ○北條雋八君 ついでに伺いますけれども、カツオ・マグロ漁業あるいは以西底びきと他の業種を兼営しておる者があることは先ほども申し上げましたけれども、そういう兼営しておる者は、やはり今度の法案の措置は適用されるのでありましょうか。むろんそうだろうとは思いますけれども、二種の業種を専門にやっている者だけに恩典があるわけですか、その点を伺いたい。
  58. 池田俊也

    ○説明員(池田俊也君) カツオ・マグロ漁業と以西の漁業につきましては、カツオ・マグロ漁業にもある程度ございますが、比較的に兼営の形は少ないわけでございます。しかしながら、たとえば先ほど申しましたサケ・マスとサンマの兼営というかっこうが多いわけでございます。私どもといたしましては、今回の法案は、一応漁業種類に着目をいたしまして、それが基準に合致する場合にはその業種を指定する、こういうことでございますが、実際に使われる船は共通でございまするので、たとえば一つの、仮の話でございますが、サケ・マスとサンマを兼営している船につきまして、サンマ漁業が今回の法律に基づきまして政令で指定されるということになりますと、当然その船は融資なり何なりの対象になる、そういうわけでございます。
  59. 北條雋八

    ○北條雋八君 私は、本法案の提案理由の説明の中に、「国際的な漁業規制の強化等に対処して」ということがありますし、また、「沿岸漁業等振興法に規定する中小漁業に関する国の基本的施策の方向に沿って、」ということもありますが、前の「国際的な漁業規制の強化等に対処して」というその意味から言いまして、外国人の漁業と直接競合するものは、むしろ、カツオ・マグロ漁業あるいは以西底びきの二業種以外の、特別措置に関係のないサンマの棒受け網とか、あるいはアジ、サバ釣り漁、イカ釣り漁のほうが関係があると思うのです。また、第二番目に言いました「沿岸漁業等振興法に規定する中小漁業に関する国の基本的施策の方向に沿って、」云々ということがうたってありますが、その意味から言っても、前にも申しましたとおり、沿岸漁業等振興法の「等」に当たる中小漁業は、ごく下層な中小漁業を言うのでありますから、いずれの点からいっても、本法律案の対象業種をこの前に言いましたカツオ・マグロ並びに以西底びきの二業種に限らないで、中小漁業の経営診断をもっとしっかりやって、不振の業種に対しては直ちにカンフル注射をするような気持ちでこの際もっと多くの業種を特別措置の対象に指定するという必要があるのじゃないかと考えますのですが、政府はそれに対してどういうふうな考えを持っておられますか。
  60. 久宗高

    ○政府委員(久宗高君) 私どもも同様に考えておるわけでございますが、先ほども申しあげましたように、今回の施策は具体的な計画を立てまして、個別の経営を拾い上げる形になるわけでございますので、やはり当業界の受け入れ体制が相当熟しておりませんと、せっかくこれだけのことやろうといたしましても中途半端になってはいけないということで、大事をとりまして、初年度におきましては、一応私どもといたしましても準備もほぼよろしいかと考えます二業種をたまたまとったわけでございまして、御指摘のように、この種の施策が必要な漁業種類はこの二業種に限られないわけでございますので、調査もできるだけ進めると同時に、業界におきます受け入れ体制の促進につきまして格段の努力をいたしまして、できるだけ早く必要な分野にこの施策が及ぶように運用してまいりたいと思います。
  61. 北條雋八

    ○北條雋八君 いまのお話だと、まあ初めての試みだから、とりあえず二業種に限定したんだというふうに言われておりますが、これは経費の点もあると思いますが、私は中小漁業を全部対象にしてもいいくらいに思っております。来年の予算編成期も近づいていますけれども、来年は業種を二種以上にふやすというようなお考えはないのですか。
  62. 久宗高

    ○政府委員(久宗高君) この法案を審議している現段階におきましては、正直申しますと、私どもこの法案をまず通しましてそれの実施をいたしますのに精一ぱいでございまして、いまの段階ではっきり何業種を来年度取り上げるというところまで実は準備が熟していないわけでございます。  いずれにいたしましても、法律が施行されますれば、その法律の要件に該当しているものがございますれば逐次取り上げていくということで調査その他を急いでやりたいと考えております。
  63. 北條雋八

    ○北條雋八君 この二業種をきめられるときにもいろいろ審議をされたことだと思いますけれども、この二業種に次いで今度指定されるとすればどういうものを考えておられますか。
  64. 久宗高

    ○政府委員(久宗高君) 現在のところ、私どもも確定的に実は申しかねるのでございます。若干の調査を並行していたしましたものもございますが、多少資料といたしましては十分でございませんので、これと並行いたしまして早急に調査を進めまして、また、業界の受け入れ体制、実はこれが一番大事な問題でございますので、ともども並行して処理を進めたいと考えております。この段階では、まだちょっと申し上げかねるわけでございます。
  65. 北條雋八

    ○北條雋八君 今度は振興計画というものをつくることになりましたが、この振興計画の策定にあたりまして沿岸漁業等振興審議会にはかるものとするという衆議院の修正があったわけでありますが、同審議会には中小漁業関係者がメンバーとして入っておるのですかどうですか、その構成についてどういうふうに考えておられるか、わかっておればお答えいただきたいと思います。
  66. 池田俊也

    ○説明員(池田俊也君) これは沿岸漁業等振興法によります審議会でございまして、現在もあるわけでございます。それで、この中には当然中小漁業者あるいは沿岸漁業者が入っているわけでございますが、私ども今回のこの法律の関係で沿岸漁業等振興審議会の御意見を伺うわけでございますけれども、まだこれははっきりきめているわけじゃございませんけれども、従来のメンバーは必ずしも中小漁業に重点を置いておりません。むしろ沿岸漁業に重点を置きまして、その他一般学識経験者が入っていらっしゃるわけでございますので、今回の法律に基づきましていろいろなことを御相談申し上げる場合には、何かそれの下部組織と申しますか、専門的な部会等も場合によれば考えなければならないのではなかろうかと思っているわけでございますが、まだそのメンバー等については具体的にははっきりした話は出ていないわけでございます。
  67. 野知浩之

    ○委員長(野知浩之君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  68. 野知浩之

    ○委員長(野知浩之君) 速記を始めて。  これにて暫時休憩いたします。    午後一時二十分休憩      ―――――・―――――    午後四時二十一分開会
  69. 野知浩之

    ○委員長(野知浩之君) これより委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、中小漁業振興特別措置法案及び外国人漁業の規制に関する法律案を一括して議題とし、質疑を行ないます。  両案について質疑のある方は、順次御発言願います。――別に御発言もなければ、両案についての質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  70. 野知浩之

    ○委員長(野知浩之君) 御異議ないと認めます。  これより中小漁業振興特別措置法案について討論に入ります。御意見のある方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。――別に御意見もないようでございますが、討論はないものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  71. 野知浩之

    ○委員長(野知浩之君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより採決に入ります。中小漁業振興特別措置法案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  72. 野知浩之

    ○委員長(野知浩之君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  川村君から発言を求められておりますのでこれを許します。川村君。
  73. 川村清一

    ○川村清一君 ただいま可決されました中小漁業振興特別措置法案について、自由民主党、日本社会党、公明党、三党の共同による附帯決議案を提出いたしますので、御賛同をお願いいたします。  案文を朗読いたします。   中小漁業振興特別措置法案に対する附帯決議(案)  政府は、本法の施行にあたり、わが国漁業において主要な地位にある中小漁業の振興のため、左記事項の実現に努めるべきである。     記 一、中小漁業の業種の指定にあたり、沿岸漁業等振興審議会及び関係漁業者の意見を十分にきくとともに、中小漁業の生産性の向上その他経営の近代化を促進するため、本年度以降指定業種を拡大すること。 二、農林漁業金融公庫の資金枠を拡大し、利率の引下げを図るとともに、指定業種の実情に即し、その融資が効果的かつ弾力的に運用できるよう措置すること。 三、漁業従事者の労働条件等の改善に努め、その近代化を促進し、労働力の確保に万全を期すること。  右決議する。
  74. 野知浩之

    ○委員長(野知浩之君) おはかりいたします。  川村君提出の附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  75. 野知浩之

    ○委員長(野知浩之君) 全会一致と認めます。よって本決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。ただいまの決議に対し、農林大臣から発言を求められておりますので、これを許します。倉石農林大臣。
  76. 倉石忠雄

    ○国務大臣(倉石忠雄君) ただいま御決定になりました附帯決議につきましては、政府におきましては、その趣旨を十分尊重いたしまして、その実現に努力をいたしたいと存じます。
  77. 野知浩之

    ○委員長(野知浩之君) 次に、外国人漁業の規制に関する法律案について討論に入ります。御意見のある方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。――別に御意見もないようでございますが、討論はないものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  78. 野知浩之

    ○委員長(野知浩之君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより採決に入ります。外国人漁業の規制に関する法律案を問題に供します。  本案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  79. 野知浩之

    ○委員長(野知浩之君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、ただいま可決すべきものと決定いたしました二法案について、本院規則第七十二条により議長に提出すべき報告書の作成は、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  80. 野知浩之

    ○委員長(野知浩之君) 御異議ないと認め、さよう決定いたしまします。     ―――――――――――――
  81. 野知浩之

    ○委員長(野知浩之君) 漁業協同組合合併助成法案及び漁業災害補償法の一部を改正する法律案を一括して議題といたします。  初めに両案について提案理由の説明を、次いで補足説明を聴取いたします。倉石農林大臣。
  82. 倉石忠雄

    ○国務大臣(倉石忠雄君) 漁業協同組合合併助成法案につきまして、その提案理由及び主要な内容を御説明申し上げます。  昭和二十四年二月、水産業協同組合法が施行されましたてから全国的に漁業協同組合の設立をみ、以来、漁業協同組合は、沿岸漁民の唯一の協同組織としてその経済的社会的地位の向上と漁業生産力の発展をはかる上で重要な役割りを果たしてまいりました。  しかしながら、漁業協同組合は、地先漁業権と密接に結びついていたという歴史的事情もありまして、その地区は、農業協同組合、森林組合等と比較してきわめて狭く、旧市町村以下の区域をその地区としているものが大部分でございます。このため、漁業協同組合としての活動が必ずしも十分とは言えない状況に置かれている組合も少なくないのであります。  従来、政府におきましては、昭和三十五年に制定されました漁業協同組合整備促進法に基づき、不振組合の整備につとめてまいりましたが、同法はおおむね所期の目的を達したと思われますので、同法に基づく整備計画の樹立の期限が昭和四十二年三月三十一日に終了することを契機に、最近の経済情勢に対応できるような漁業協同組合を広範に育成する見地から、漁業協同組合の合併を助成し、漁業に関する協同組織の一そうの強化をはかることといたした次第であります。  このため、漁業協同組合の合併についての援助、合併後の組合の事業経営の基礎を確立するのに必要な助成等の措置を講じ、新たな時代の要請に即応する漁業に関する協同組織の健全な発展に資するため本法案を提出した次第であります。  次に、本法案の主要な内容につきまして御説明申し上げます。  第一に、本法案による助成等の対象は、沿海の漁業協同組合の合併といたしており、その手続は、関係組合が、共同して、合併及び合併後の組合の事業経営に関する計画を立て、昭和四十五年十二月三十一日までにこれを都道府県知事に提出し、その適否の認定を求めることといたしております。  第二に、政府は、その計画が適当である旨の認定を受けた漁業協同組合が昭和四十六年三月三十一日までに合併いたしました場合には、予算の範囲内において、適正な事業経営のため必要な施設の整備に要する経費等につき助成することといたしております。  第三に、漁業権を有している漁業協同組合の合併を円滑ならしめるため、合併後の組合の漁業権行使規則の変更等につき特例を設けることといたしております。  以上が、本法案の提案理由及びその主要な内容であります。  なお、本法案と関連して、租税特別措置法の改正によりまして、漁業協同組合の合併の場合の清算所得等につきまして税制上の優遇措置を講ずることを予定しております。  何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決くださいますよう、お願い申し上げます。  次に、漁業災害補償法の一部を改正する法府案につきまして、その提案理由及び主要な内容を御説明申し上げます。  漁業災害補償制度は、昭和三十九年十月に発足いたしまして以来、中小漁業者が漁業災害によって受ける損失を補てんすることにより、中小漁業者の漁業再生産の阻害の防止及び漁業経営の安定に寄与してまいりました。しかしながら、本制度につきましては、なお改善すべき事項が残されておりまして、このため中小漁業者の幅広い加入を得られず、この制度が十分に利用されなかったという状況にあります。  政府といたしましては、このような事情にかんがみ、異常な漁業災害に対処して政府の保険事業を実施するとともに、中小漁業者の加入の円滑化をはかる等、現行制度の健全かつ円滑な運営を確保することを旨として、鋭意検討を進めてまいりました結果、ここに本改正法案を提出いたした次第であります。  次に、この法律案の主要な内容につきまして御説明申し上げます。  第一は、政府の漁業共済保険事業の新設であります。  政府の行なう保険事業は、漁業共済組合連合会が漁獲共済及び養殖共済についてその会員に対して負う再共済責任を保険する事業としておりまして、漁業者が共済組合との間で共済契約を締結いたしますと、漁業種別等に応じた保険区分ごとに、その共済契約にかかる再共済責任を一体として、政府と連合会との間に保険契約が成立するものいとたしております。政府の保険の方式といたしましては、いわゆる超過損害額方式によることとし、その保険金は、保険区分ごとに、連合会が支払うべき再共済金の合計額が一定額をこえる場合に、そのこえる金額を支払うことといたしております。これらのほか、保険金支払いの免責、審査の申し立て、審査会の設置等、所要の規定を設けることといたしております。  第二は、漁獲共済及び養殖共済についての改正であります。  漁獲共済のうち、採具、採そう業等の被共済資格者は、一定の水域内でこれらの漁業を営む中小漁業者の全員を構成員とする団体となっておりますが、二以上の漁業協同組合の組合員が入り会い操業する水域で一つの団体を構成するには困難な場合が見られますので、このようなときは当該中小漁業者のうち所定の区域内に住所を有する者ごとに団体を構成し得る道を開き、加入の円滑化に資することといたしております。このほか、十トン未満の漁船漁業についての加入要件を緩和する等の改正を行なうことといたしております。  次に、養殖共済でありますが、現行の加入方式では、漁業者の個別加入となっておりますのを、漁場管理の実態に即して、その漁場が団体的に管理されている養殖業のうち特定のものについては、団体を構成して加入する方式に改めることといたしました。また、養殖共済の共済金は、現行制度では、同一の原因による共済事故ごとに支払うこととなっておりますが、共済事故の発生の態様等に照らして、特定の養殖業については、共済責任期間における損害額を通算して一定額をこえる場合に、そのこえる金額について支払いを行なうことといたしております。  第三に、連合会の漁業再共済事業についての改正であります。  連合会と組合との間の責任負担関係は、現行制度では、共済契約にかかる共済金額の全額につき両者が一定割合で分担することになっておりますが、漁獲共済及び養殖共済については、共済契約ごとに、共済金額のうち一定金額までは両者が一定割合により分担し、これをこえる部分は連合会が負担する方式に改めまして、漁業共済団体の事業経営の健全化を期することといたしております。  第四に、政府の保険事業の経理につきましては、現行の漁船再保険特別会計に新たに漁業共済保険勘定を設けて行なうこととし、これに伴い同会計の名称を漁船再保険及漁業共済保険特別会計に改める等、所要の規定の整備を行なうことといたしております。  なお、政府の保険事業の実施をはじめ、漁獲共済及び養殖共済に関する改正規定は、漁獲共済についてはその共済責任期間の開始日が昭和四十三年一月一日以後の日である共済契約につき適用し、養殖共済については同年四月一日以後の日である共済契約につき適用することといたしております。  以上が、本法案の提案理由及びその主要な内容であります。  何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決くださいますよう、お願い申し上げます。
  83. 野知浩之

    ○委員長(野知浩之君) 水産庁長官、
  84. 久宗高

    ○政府委員(久宗高君) 漁業協同組合合併助成法案の提案理由につきまして、補足的に御説明申し上げます。  本法案は、提案理由で御説明申し上げましたとおり、漁業協同組合の合併の促進をはかることを目的としておりまして、法案の内容といたしましては、第一には合併及び合併後の組合の事業経営計画の樹立に関する事項、第二には都道府県知事による計画の適否の認定、第三には認定にかかる合併についての政府の助成措置、第四には認定にかかる合併後の組合の漁業権行使規則の変更等についての特例につき規定いたしております。  以下、その細目につき、若干補足させていただきます。  まず、第一に、合併及び合併後の組合の事業経営計画についてでありますが、これは第二条及び第三条に規定しております。合併及び合併後の組合の事業経営についての方針は、合併参加組合の組合員にとって最も関心が高く、かつ、あらかじめこれを策定しておくことは、合併を自主的、計画的に進めるためにきわめて重要なことであることにかんがみて、合併参加組合は、これらに関する基本方針を定め、総会の特別議決を経ることといたしております。  第二に、都道府県知事による合併及び事業経営計画の適否の認定でありますが、これは第四条に規定いたしております。都道府県知事は、その組合の経営的基礎が適正な事業経営を行なうのに十分なものであり、かつ、その事業経営計画が経営条件から見て適当でしかも達成可能である場合に限り、合併及び事業経営計画が適当である旨の認定をすることといたしております。なお、都道府県知事が合併及び事業経営計画につき適否の認定を行なうにあたっては、学識経験を有する者の意見を聞くことといたしております。  第三に、政府の助成措置でありますが、これは第五条に規定しておりまして、都道府県に対して補助金を交付することができることといたしております。補助金といたしましては、合併後の組合が合併による規模拡大に伴い施設の統合整備が必要となることが考えられますので、都道府県知事の認定を受けた合併及び事業経営計画に従い、合併後の組合が施設の改良等を行なう場合にこれに要する経費につき助成することができることといたしておりますほか、合併参加組合が自主的に行なう合併及び事業経営計画の樹立、実施につき都道府県が指導を行なう場合に、この指導に要する経費を補助することができることといたしております。なお、昭和四十二年度予算におきましては、合併助成のための経費として二千七百五十五万六千円を計上しております。  第四は、漁業権行使規則についての特例でありまして、第六条に規定しております。これは漁業協同組合が、販売事業等の経済事業の主体であるとともに漁業権の管理主体としての性格をも有しておりますため、経済事業の面から見れば明らかに合併したほうがよいと思われる場合でも、漁業権管理の面で話し合いがつかず合併に踏み切れない場合も見られますので、このような事情のもとにある組合の合併を促進させるため、部落総有的な漁業権につきましては、従来漁業を営んでいた漁業者が合併により不利な扱いを受けることがないように配慮したものであります。  なお、本法案と関連して別途提案され、先般成立をみました租税特別措置法の一部を改正する法律におきまして、都道府県事の認定を受けた合併及び事業経営計画に従い昭和四十六年三月三十一日までに合併した組合の清算所得等につきまして課税の特例を設けることにいたしております。  その内容は、合併後の漁業協同組合が被合併組合から引き継いだ欠損金につきまして法人税の課税標準たる所得の金額の計算上損金算入を認めるとともに、合併の場合における清算所得に対する法人税及び不動産または漁船の権利取得にかかる登記に対する登録税につきましてもそれぞれ課税の特例措置を講じ、また、合併によるみなし配当に対する所得税の源泉徴収はしないこととすることにより、従来から合併推進の障害となってきた問題につきまして税制面での優遇措置を講ずるものであります。これに伴いまして、事業税につきましても、合併による清算所得及び被合併組合から引き継いだ欠損金につき法人税におけると同様な優遇措置が講じられることになります。  以上をもちまして、漁業協同組合合併助成法案の提案理由の補足説明を終わります。  続きまして、漁業災害補償法の一部を改正する法律案につきまして、提案理由説明を補足して御説明申し上げます。  昭和三十九年に漁業災害補償法が制定されまして以来、政府は、同法に基づき、漁業共済団体の行なう漁業共済事業及び漁業再共済事業の適正円滑な運営をはかりますとともに、この制度をさらに充実したものにすることを目途に、資料の蓄積とその分析につとめ、学識経験者の意見も聞いて各般の検討を加えてまいったのでありまして、その結果、ここに政府の保険事業の新設と漁業共済への加入の円滑化のための規定の整備を主たる内容とする改正法案を提出いたした次第であります。なお、このような立法措置とあわせて、本制度の健全かつ円滑な運営を確保するための措置といたしまして、共済限度額率の引き上げ等による給付内容の充実、国庫補助の強化等をはかることとし、所要の予算措置を講ずることといたしております。  以下、本法案の骨子について、その概略を御説明申し上げます。  第一に、政府の漁業共済保険事業についてでありますが、保険の基本的な仕組みといたしましては、漁業災害の特殊性にかんがみまして、全国段階において保険設計を行ない、政府と漁業共済組合連合会との間に保険契約を成立させることといたしました。この保険契約は、連合会とその会員との間に漁獲共済または養殖共済にかかる再共済契約が成立いたしますと、当然に、漁業の種別または養殖業の種類に応じた保険区分ごとに、その共済責任期間の開始日が同一の会計年度に属する共済契約についての再共済責任を一体として成立するものといたしております。政府の保険金につきましては、連合会が支払うべき再共済金の合計額が一定額をこえる場合に、そのこえる金額を支払う方式をとっておりますが、この場合の一定額は、保険区分ごとに、再共済金額の合計額のうち、連合会の再共済責任にかかる危険の態様を勘案して算定される金額といたしております。また、保険料の金額は、保険区分ごとに、純再共済掛金の合計額のうち、政府の保険責任にかかる危険に対応するものとして算定される部分の金額といたしております。  なお、政府は、連合会が法仲もしくは連合会の共済規程に違反し、または損害額を不当に認定して再共済金を支払ったとき等の場合には、保険金の支払いを免責される旨の規定を設けております。一方、連合会は、この保険事業に関する政府の処分につき不服があるときは、農林大臣に対し、審査を申し立てることができることといたしておりまして、審査の申し立てがありますと、農林大臣は、農林省に附属機関として設置される漁業共済保険審査会の審査を経て裁決することといたしております。  以上のほか、政府の保険事業の実施につきまして所要の規定を設けておりますが、保険事業の業務の執行に要する経費は、一般会計から漁船再保険及漁業共済保険特別会計に繰り入れて国庫で負担することといたしております。  第二に、漁獲共済及び養殖共済についての改正でありますが、漁獲共済につきましては、加入の円滑化をはかることを主眼として、次のような改正を行なうことといたしております。  まず、漁獲共済について申し上げますと、その対象とする漁業のうち、採貝、採そう業等につきましては、都道府県知事が定める一定の水域単位にこれらの漁業を営む中小漁業者の全員で一つの団体を構成して加入する方式をとっておりますが、二以上の漁業協同組合の組合員が入り会い操業する水域での加入を円滑に進めるため、政令で定めるところにより都道府県知事が当該中小漁業者の住所地のすべてが含まれる地域を分けて二以上の区域を定めたときは、その区域ごとに団体を構成し得ることといたしました。この区域は、当該中小漁業者の全員の住所及び漁獲物の販売に関する事情を考慮して、それぞれの漁業協同組合の地区ごとに定めることとする予定であります。  さらに、十トン未満の漁船漁業につきましては、一定の区域内に住所を有する被共済資格者の二分の一以上から加入の申し込みがなければ、共済契約を締結できないこととなっておりますが、この要件が成り立ちやすくするため、被共済資格者のうち当該漁業を営む日数が一年を通じて九十日以下である者は除くことといたしております。  これらのほか、漁獲共済の適正円滑な運営をはかるため、国庫補助を強化することとあわせて、採貝、採そう業等につき共済金額の最低限度を設けるとともに、漁獲共済の対象とする漁業についての規定等の整備を行なうことといたしております。  次に、養殖共済について申し上げますと、漁業者が個別に加入する現行の方式を改正して、漁場管理が団体的に行なわれている漁業法第七条の特定区画漁業権に基づく養殖業のうち政令で定めるものにつきましては、都道府県知事が定める一定の水域内においてその養殖業を営む中小漁業者の全員で団体を構成して加入することといたしております。また、共済金の支払いについて養殖業のうち特定のものにつきましては、共済責任期間中の損害額の通算による超過支払い方式をとることといたしておりますが、これを適用する養殖業は、その経営事情及び共済事故の発生の態様に照らして特例を定める必要があるものとして政令で定める種類の養殖業といたしております。  第三に、連合会の再共済事業の改正について申し上げます。  現行制度では、漁業共済組合と連合会との間の再共済契約は、共済契約にかかる支払い責任を連合会と組合とが一定の割合で分担する比例契約となっておりますが、漁業共済団体の事業経営の健全化を期する観点から、漁獲共済及び養殖共済については、共済契約ごとに、支払い共済金が一定額以下であるものについては組合の責任を重くし、損害査定等についての組合の努力を促し、支払い共済金がこの一定額をこえる深い事故については連合会の責任を重くする比例超過契約に改めることといたしております。  第四に、以上申し上げた改正に伴う規定の整備といたしまして、漁業共済保険事業の経理を行なうため、漁船再保険特別会計に独立の勘定として漁業共済保険勘定を新設して、その歳入歳出科目を明らかにし、これに伴い同会計の名称を漁船再保険及漁業共済保険特別会計に改める等、漁船再保険特別会計法の一部改正を行なうことといたしております。なお、当然のことでありますが、漁船再保険事業と漁業共済保険事業とは、保険の対象や仕組みを異にいたしますので、それぞれ明確に区分経理することといたしております。  以上のほか、漁業共済基金の監事の権限を強化し、役員の欠格条項を改正する等、所要の規定の整備を行なうことといたしております。  最後に、本法案の施行期日及び適用区分につきましては、今回の改正が制度の全般にわたりますため、相当の準備期間を置くことが必要でありますので、本法案は、昭和四十二年十一月一日から施行することといたし、政府の保険事業の新設その他漁獲共済及び養殖共済に関する改正規定は、漁獲共済では昭和四十三年一月一日から、養殖共済では同年四月一日から共済責任期間が始まる共済契約について適用することといたしております。ただし、漁船再保険特別会計法の改正関係規定は、公布の日から施行し、昭和四十二年度の予算から適用することといたしております。  以上をもちまして、本法案についての補足説明を終わります。
  85. 野知浩之

    ○委員長(野知浩之君) 本日はこの程度とし、これにて散会いたします。    午後四時四十九分散会