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1967-05-09 第55回国会 参議院 大蔵委員会 6号 公式Web版

  1. 昭和四十二年五月九日(火曜日)    午前十時三十二分開会     ―――――――――――――   出席者は左のとおり。     委員長         竹中 恒夫君     理 事                 青柳 秀夫君                 植木 光教君                 藤田 正明君                 柴谷  要君                 中尾 辰義君     委 員                 伊藤 五郎君                 大谷 贇雄君                 小林  章君                 徳永 正利君                 西田 信一君                 田中寿美子君                 戸田 菊雄君                 野溝  勝君                 瓜生  清君                 須藤 五郎君    政府委員        大蔵政務次官   米田 正文君        大蔵省主税局長  塩崎  潤君    事務局側        常任委員会専門        員        坂入長太郎君     ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○所得に対する租税に関する二重課税の回避のた  めの日本国ブラジル合衆国との間の条約の実  施に伴う所得税法及び法人税法の特例等に関す  る法律案内閣提出)     ―――――――――――――
  2. 竹中恒夫

    ○委員長(竹中恒夫君) ただいまから大蔵委員会を開会いたします。  所得に対する租税に関する二重課税の回避のための日本国ブラジル合衆国との間の条約の実施に伴う所得税法及び法人税法の特例等に関する法律案を議題といたします。  まず、政府から提案理由の説明を聴取いたします。米田大蔵政務次官
  3. 米田正文

    政府委員(米田正文君) ただいま議題となりました所得に対する租税に関する二重課税の回避のための日本国ブラジル合衆国との間の条約の実施に伴う所得税法及び法人税法の特例等に関する法律案につきまして、提案の理由及びその内容を御説明申し上げます。  政府は、さきにわが国とブラジル合衆国との間の租税条約署名いたしました。この条約については、別途、今国会において御審議を願っているのでありますが、この条約を国内において実施するためには、法律により特別の定めを必要とするものがありますので、これにつき所要の立法措置を講ずるため、ここにこの法律案を提出することとした次第であります。  以下、この法律案の内容についてその大要を申し上げます。  まず、配当利子及び工業所有権等の使用料に対する源泉徴収所得税に関する事項であります。  わが国の所得税法によりますと、非居住者または外国法人の取得する配当利子及び工業所有権等の使用料につきましては、二〇パーセントの税率により源泉徴収所得税を徴収することになっておりますが、このたびの租税条約では、親子会社間の配当、一定範囲の利子及び工業所有権等、特定のものにかかる使用料につきまして、それぞれ一〇パーセントをこえてはならないとされております。  そこで、これらの所得に対する源泉徴収所得税の税率を、それぞれその条約上の最高限度である一〇パーセントと定めることとするものであります。  次に、非居住者または外国法人のうち、わが国に支店等を有しているものにつきましては、国内法では、配当利子及び工業所有権等の使用料にかかる所得とこれら以外の他の所得とを合算して課税するたてまえになっております関係上、配当等につきまして租税条約で定める制限税率をこえて課税されることとなる場合がありますので、その点を考慮して、総合課税の場合の税額につき、租税条約の規定に適合するよう所要の軽減措置をとることといたしております。  その他、このたびの租税条約を実施するにつきまして必要な事務取り扱い等につき所要の規定を設けております。  以上がこの法律案の提案の理由及びその概要であります。何とぞ御審議の上、すみやかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。
  4. 竹中恒夫

    ○委員長(竹中恒夫君) 引き続いて、補足説明を聴取いたします。塩崎主税局長
  5. 塩崎潤

    政府委員(塩崎潤君) ただいま政務次官から提案理由を御説明申し上げましたように、本法律案所得に対する租税に関する二重課税の回避のための日本国ブラジル合衆国との間の条約の実施のための法律でございます。そこで、御参考までに、別途、外務委員会に付託されておりますところの条約の概要につきまして御説明申し上げたいと思います。  御案内のように、私どもいわゆる二重課税防止条約と言っておりますが、これまでアメリカから始まりまして十五の租税条約締結しております。ブラジルとの間の租税条約は十六番目となります。私どもは、租税条約締結の方針といたしまして、できる限り経済交流の密接な国との間の条約締結すべく努力中でございますが、今回ブラジルとの間の租税条約の案がまとまりましたので、御提案申し上げる次第でございます。ブラジルにとりましてみますと、日本との租税条約スウェーデンに次ぎまして二番目でございます。ブラジルの国内におきましては、財政上、経済上種々問題がございまして、なかなか各国との間の租税条約は進まないのでございますが、日本との経済関係から見まして、向こうのほうも進んで条約締結しようという希望を起こしまして、今回この案がまとまった次第でございます。  ブラジルとの経済関係は、もう御案内のように、日本との間はきわめて密接でございます。日本人が約六十万人在留していることは御案内のとおりでございますが、そのほか投資におきましても、日本の原料市場あるいは製品市場といたしまして最も注目を浴びているところでございます。昭和四十年度の長期資本の投資額を見てみますと、ブラジルは世界の国の中で日本が投資いたしましたのはクウェートに次ぎまして二番目の地位を占めております。アメリカが三番目ぐらいでございますので、ブラジルとの関係はこの一点から見ましても非常に密接であるということが立証できるかと思うのでございます。  以上、条約の前提となります経済条件でございますが、第二には、この条約の特徴を御説明申し上げたいと思います。十五の租税条約、いずれも大蔵委員会に付託されておりました際の法律の御説明の際に申し上げておりますので、一般的な概要は御案内のとおりでございますので、ブラジルとの租税条約にどんなような特色があるかというような点を二点ばかり申し上げたいと思います。  第一は、これはこれから発展する国との間の租税条約に特徴的な点でございますが、いわゆる租税条約締結いたしますと、財政的に苦しい国のほうが損をするのではないかという話があるわけでございます。そんなような関係で条約が進まない場合があるわけでございますが、租税条約目的は二重課税の回避にあり、工業の発展した国が得をするというようなことが大きなねらいでないわけでございます。そういうような意味から、私どもの条約の中には、いわゆる私どもはタックス・スペアリングと言っておりますが、租税節約条項というものを置いております。  これはどういうことかと申しますと、二重課税防止の意味で、相手国が税率を引き下げると自動的に他の相手国の税金がふえるということを回避する意味におきまして、税金を引き下げましても、それは引き下げたものと見ないで従来どおり課税したものと見るというようなことをしておるのでございます。ブラジルでは、アマゾン地域あるいはブラジル国内の北東地域内に、国内税法におきまして開発のための特別措置がございます。そういった地域に対する投資から生じます所得に対しましては免税というような制度がございますが、ブラジル税法によって免税になりましたのが、逆にその免税額が日本の税額によって取り返されるということでは、向こうの免税の趣旨が達せられないということで、こんな場合には、ブラジルの免税額は免税なかりしものといたしまして、普通の税率を納めたものと見ると。したがいまして、その関係は、日本企業ブラジルに進出いたしますと、ブラジルでは税金を納めたものとみなすから、実は税金を納めていないのに納めたものとみなしますので、その恩典は企業に直接に行くと、こんな関係になるわけでございます。こんなようなことは、すでに私どもが条約締結いたしておりますインドパキスタン等の条約にすでにあるところでございます。  しかし、今回のブラジルとの条約の特色は、なお、条約上相互に税率を軽減していこうということが行なわれておりますが、この条約上の軽減に対しましても、国内税法の措置と同様に、タックス・スペアリングを働かせる、こういうことにいたしております。配当利子、ロイアルティーにつきましては、資本の交流を円滑にする意味におきまして、おのおの税率を一〇%に引き下げることにいたしておりますが、その国内税法との差額、たとえばブラジルでは二五%の基準税率でございますが、これを一〇%に引き下げます。その差額の一五%は日本政府の歳入になるのじゃなくて、企業がそのまま利益となるようなスペアリングを働かせるという関係をいたしております。これが第一の特色でございます。条約上のスペアリングを設けましたのは、このブラジルとの条約が初めてのことでございます。  第二の特色は、先ほど申し上げました条約上の軽減税率を設けております範囲に特色がございます。ブラジルは、御案内のように、非常にこれから発展する国でございますが、そのためには種々の税制上の措置も講じております。ほしいのは外国資本である、しかも外国資本でも国内の産業の開発に役立つ資本である、こういった考え方でございます。したがいまして、配当につきましても、利子につきましても、ロイアルティーにつきましても、軽減税率は設けますけれども、その範囲は、ブラジルの国内産業の開発に役立つものといった観点から、その範囲をしぼってございます。つまり、配当で申し上げますと、一般的な条約では、配当は全般的に軽減税率を設けますが、ブラジルとの間ではそういったことは必要ない。主として行なわれるのは親子会社間の配当日本企業が向こうに子会社をつくりまして開発する場合、子会社を設けまして親会社配当する場合の配当でいいではないか、こういった考え方でございます。利子につきましても、一般的な利子ではなくて、金融機関ブラジル国内の産業開発のための貸し付けの利子、あるいは公社債の利子、こういったものに限定してございます。それからロイアルティーにいたしましても、普通の条約ならばロイアルティーの範囲の中には、映画フィルムあるいは商標権といったものもロイアルティーの範囲中に入るのでございますが、軽減税率を設ける対象といたしましては、先ほど申し上げましたブラジル産業開発の見地という点を加味いたしまして、映画フィルムのロイアルティーあるいは商標権というものはこの軽減税率の対象としてのロイアルティーからはずしておる。これは他の条約にない点でございます。  以上がこの法律案と不可欠の、うらはらをなしておりますところのブラジルとの二重課税防止の条約の大ざっぱな内容でございます。  この法律のほうは、もう御案内のように、いま御説明申し上げました条約を実施するための非常に技術的な法律でございます。若干内容を補足いたしまして御説明申し上げます。  まず第一条でございますが、これはもう当然趣旨を規定してございますので、いまさら御説明することはございません。  第二条は、先ほど申し上げました配当利子使用料――ロイアルティーと言っておりますが、源泉徴収にかかわる所得税の税率をわが国のほうで一〇%に下げたものでございます。条約におきましては、「十パーセントをこえないものとする。」ということになっていますので、このこえない程度をどこに持っていくかということが国内法にゆだねられておりますが、他の条約等はいずれもそういった場合には一〇%ということにしておりますので、これは一〇%にいたしております。これはブラジル企業あるいはブラジルの投資家が日本に投資した場合のことでございますので、適用はむしろ少ない。むしろ私どもの企業あるいは投資家がブラジルに投資するほうが多いかと思いますけれども、条約のたてまえといたしましても、相互に軽減税率だけを設けておこうと、こういう意味でございます。  第三条は、源泉徴収で済むだけの場合でないところのいわゆる総合課税を受ける場合にもやはり同様に一〇%に軽減していこうとしているものでございます。いかなる場合に総合課税を受けるかと申しますと、ブラジル企業がすでにわが国に支店を持っているような場合でございます。そういった場合には別に、産業上の利得のほかに、配当利子、ロイアルティー等を持っておりますと、その産業上の利得と合算いたしまして総合課税を受けることになっていますが、その場合でも単独の投資の場合と同様に一〇%の軽減税率を設けている、こういった趣旨でございます。  第四条は、これも非常に技術的な規定でございますが、条約におきまして双方居住者という用語がございます。ブラジルの税法と日本の税法、どこの国の税法も同じでございますけれども、居住者の定義が違っております。したがいまして、国籍と同じような関係で二重居住者という場合が出てまいります。そういたしますと、条約の適用がどうなるか非常な疑問が出てまいりますので、そういった場合には双方の税務官庁の間の協議で、相互に一つの、どちらかの居住者にきめてしまおう、こういうことになっていますが、そういうふうな協議がととのいまして、一方の国の居住者になったという場合には、他のほうでは非居住者に見ようと、こういう規定でございます。  第五条は、そういった居住者ということがきめられた場合に、やはり地方税にも影響しますので、あらかじめ自治大臣に協議する必要があるという定めでございます。  第六条は、実施規定でございますので、これはこまかい申告とかといった手続を省令で定めることにいたしております。  なお、附則におきまして、「この法律は、条約の効力発生の日から施行する。」ということになっています。提案ではいつものように、条約の効力発生と申しますのは、批准交換の日から三十日目からというふうになっています。今回の国会で御承認をいただき、批准交換いたしますと、いま言ったように、ことしぐらいから――批准交換ができますれば、ことしから実施することもできるかと思っております。  以上、簡単でございますが、この法律の補足説明並びにその前提となっております条約の大要でございます。
  6. 竹中恒夫

    ○委員長(竹中恒夫君) 本案に対する質疑は後日行ないます。  本日はこれにて散会いたします。    午前十時四十九分散会      ―――――・―――――