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1964-06-20 第46回国会 参議院 本会議 30号 公式Web版

  1. 昭和三十九年六月二十日(土曜日)   午後一時九分開議   ━━━━━━━━━━━━━  議事日程 第三十号   昭和三十九年六月二十日    午後一時開議  第一 公職選挙法の一部を改正す   る法律案内閣提出第一六五   号、衆議院送付)  第二 暴力行為処罰に関する法   律等の一部を改正する法律案   (内閣提出、衆議院送付)   ━━━━━━━━━━━━━ ○本日の会議に付した案件  一、議事日程延期の件  一、法務委員長中山福藏君解任決議   案  一、日程第二 暴力行為処罰に関   する法律等の一部を改正する法律   案  一、法務大臣賀屋興宣問責決議案   ━━━━━━━━━━━━━
  2. 重宗雄三

    ○議長(重宗雄三君) 諸般の報告は、朗読を省略いたします。    ――――・――――
  3. 重宗雄三

    ○議長(重宗雄三君) これより本日の会議を開きます。  この際、日程第一を次会に延期いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 重宗雄三

    ○議長(重宗雄三君) 御異議ないと認めます。    ――――・――――
  5. 重宗雄三

    ○議長(重宗雄三君) この際、おはかりいたします。  米田勲君外一名発議にかかる法務委員長中山福藏君解任決議案は、発議者要求のとおり委員会審査を省略し、日程に追加してこれを議題とすることに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 重宗雄三

    ○議長(重宗雄三君) 御輿儀ないと認めます。よって本案を議題といたします。  まず、発議者の趣旨説明を求めます。米田勲君。   ―――――――――――――   〔米田勲君登壇、拍手〕
  7. 米田勲

    ○米田勲君 私は、日本社会党を代表して、法務委員長中山福藏君を解任するの決議案を提案いたします。(拍手)  まず、決議案文を朗読いたします。   決議(案)  本院は、法務委員長中山福藏君を委  員長の職より解任する。   右決議する。  以下、本決議案を提案いたしました理由について、若干の説明をいたしたいと存じます。  まず最初に、これを要約いたしますと、中山法務委員長は、暴力行為等処罰法改正案の審査にあたって、その第一は、議事の取り運びが、慎重に審議をすることをあえて妨げる、はなはだしく不当なものであったということであります。その第二は、委員長の議事の取り運びは、国会法並びに参議院規則を無視した不法なものであったという点であります。  まず、第一の点について、その趣旨を少しくふえんしたいと思うのであります。今日国内に頻発する各種の暴力犯罪、特に組織的暴力団による暴力犯罪は、跳梁ばっこしてやむところを知らず、しかも、これが年ごとにその数を増大し、国民大衆の平和な生活に被害を与え、社会をはなはだしく不安におとしいれていることは、まことに憂慮にたえないところであります。ところが、これらの暴力犯罪に対する警察・検察当局の取り締まりや検挙は、ごく限られた事犯にすぎず、その多くの大小の暴力犯罪は、ほとんど野放し状態にされているごとく、白昼公然と大手を振って横行しているのが現実の姿であることは、国民大衆が身をもって感じ取っているところであります。このことは、はたして現行法規の不備に起因するものでありましょうか。悪質な暴力犯罪、特に暴力団による組織的・計画的暴力犯罪の防遏に必要であるとして改正せられた多くの治安関係立法は、実は、そのことに対して全面的な活動を展開することを怠りながら、逆に、善良な国民大衆の労働争議や大衆運動に対し、不当に介入し、警察職権が行使されている事実は、われわれの絶対に容認できないところであります。法律さえ改正すれば暴力犯罪に対し画期的な成果をあげることができるとの説明は、政府の常套語でございますけれども、過表の実績は国民の期待を明らかに裏切っているのであります。したがって、今日の最大の急務は、政府や関係当局の暴力犯罪に取り組む機構や態度に対し抜本的な再検討を加えることなのであります。しかるに、これをたな上げして、もっぱら取り締まりの強化のための法改正と称し、いたずらに警察職権の拡大に突っ走ることは、木末転倒もはなはだしいと言わなければなりません。(拍手)これらの諸点をまじめに考慮するなら、改正法案の議決をあせることなく、形式的な審議に終わることなく、慎重にしてかつ徹底的な現状分析を通じてその理否を明らかにしていくことが、われわれ立法府に課せられた共同の責務であり、その責務を果たすための法務委員会の運営でなければならなかったはずであります。  暴力犯罪、特に暴力団による組織的暴力犯罪が取り締まりの対象となったのは、決してここ数年のことではないのであります。敗戦後今日まで、取り締まり、検挙、投獄は、引き続き行なわれてきたはずであります。これを法的な面から見ましても、刑法の一部改正、すなわち、やくざの出入りを対象とする持兇器集合罪の新設、刑訴法の改正で、いわゆるお礼参りのおそれのある者には権利保釈も制限されるようになり、さらに、幾たびか銃砲刀剣類等所持取締法は改正をせられ、その刑罰は強化されてきたのであります。それにもかかわらず、暴力団とその組織下にある人員は、減少するどころか、かえって著しく増大しており、その組織も広域化し、犯罪の性格も凶悪化してきているのであります。これを警察庁の調査によって見まするならば、昭和三十四年には、暴力団の数は四千八百七十四団体、その構成員は七万二千人でありましたが、その後三十五年に至り五千百十九団体と増加し、三十七年には五千百三十一団体、その構成員は十七万二千七百十一人となっており、三十八年末には、暴力団体の総数は五千二百十六団体、構成員は十八万四千九十一人となっているのであります。しかも、最近では、大都市のみでなく、地方の中小都市へも急速にその組織を広げていることは、特に重視しなければならないところであります。そして、これらの暴力団体とその構成員は、常に国民の生活にまで深く食い込んでこれを脅かし、多衆の威力を背景として、集団的・常習的に暴力的不法行為を繰り返しているにかかわらず、当局の取り締まりや検挙はきわめて微温的であり、あたかもはれものにでもさわるような消極的態度であったとの非難を免れない多くの事実を、われわれは知っているのであります。(拍手)したがって、政府は、改正法案の提案理由で、社会不安を惹起する暴力犯罪に対し一そう強力かつ適切な対策を講ずるために、法の改正が緊要であると力説してはいるけれども、現行法のもとで暴力団による暴力犯罪等の取り締まりや検挙に著しい支障があったのかという質問に対しても、警察当局の答弁はまことにあいまいで、われわれをうなずかせるに足るものが全くないのであります。法改正が緊要だという安易なことばは、また今日の社会を毒し国民の生活を脅かしている暴力犯罪の実態に対する認識の浅薄に基因するもので、これもまた、われわれの納得のできないところであります。  さらに、この際、国民の前に明らかにしておきたいことは、政府並びに関係当局の暴力団に対する心がまえに根本的にメスを加え、反省を求める必要があるという事実であります。  その第一は、昭和三十六年二月十一日、政府は暴力犯罪防止要綱なるものを閣議で決定し、さらに、暴力団体とその暴力犯罪に対処する施策を根本的に検討してもらうために、学識経験者からなる懇談会の設置を同時に閣議決定をしているのであります。しかるに、暴力団とその構成員が、さきにも申し述べましたように、著しく増大をし、その暴力事犯も凶悪化・広域化の一途をたどっているにかかわらず、今日まで、この閣議決定になる懇談会は、ただ一回、飛び出しナイフの問題で話し合いをしたことがあるのみでありまして、根本的な問題の検討どころか、その後全くこの懇談会は開かれたことがなく、開店休業のありさまになっていることは、何としてもわれわれの解しかねるところでございます。このことは、改正法案を提案してことばで何と巧みに説明しようとも、池田内閣の暴力犯罪の防遏に対する取り組みの姿勢がいかなるものであったかということが、その正体が、ここに遺憾なく暴露されていると思うのであります。  その第二は、法務委員会の審査中にあらわれた賀屋法務大臣と赤澤国家公安委員長の発言と態度に、われわれは重大な疑義を持つものであります。確かに、両大臣とも、暴力犯罪の防遏には不動の信念をもって当たると、一応の答弁はありました。ところが、赤澤国家公安委員長は、たまたま松葉会の問題に触れて答弁をされたとき、初めは松葉会は暴力団であると明らかに説明しながら、その後直ちにこれを取り消し、われわれがそのことを追及いたしますと、言を左右にして明瞭な見解を終始明らかにすることをちゅうちょしたのであります。警察庁の調べでは、松葉会は暴力団であると、その発行文書に明示しているにかかわらず、何がゆえに赤津大臣はそのことを明言することができないのであろうか。また、賀屋法務大臣は、暴力団の問題の答弁がやや具体的になってくると、速記をとめてくれと要求をして発言をする始末であります。私は、この両大臣が私の指摘することをいかように抗弁なさろうとも、私は、このことばを通じ態度を通して、両大臣の暴力団に対する態度を端的に見せつけられたのであります。(拍手)そこには、組織的暴力団の暴力犯罪の防遏に断固たる決意と態度をもって当たるという気魄は、遺憾ながら見ることができないのであります。当面の最高の責任者にしてかくのごとき態度であることは、まことに遺憾千万であります。こんなありさまでは、妻もあり、子もある、ささやかな楽しい生活を持つ、検察の末端組織に日夜活動する警察官に、暴力団対策にきびしい犠牲と行動を求めることは、むしろ無理ではないかとさえ思うのであります。もちろん、寝食を忘れ、家庭の団らんも犠牲にし、薄給に甘んじて、日夜暴力団の根絶のために文字どおり必死の活動を続けている淀橋署の戸沢部長刑事のように、信念と気魄の権化のような人物のあることを知り、われわれは心からこれを感謝するものでありますけれども、しかし、このような特定の人物の活動が、単に部分的に懸命に続けられようとも、警察・検察の機構全体にその気魄と信念を裏づけした組織的活動力がなければ、これらの人々の活動が生かされ実を結ぶことは、残念ながら期待することができないではないでしょうか。戸沢部長刑事は、こう言っております。「私たちは徹底的にやります。だが、せっかくつかまえた暴力団が、町のボスなどの嘆願ですぐ保釈されたり、まるきりでたらめな情状証人を使って執行猶予になったのでは、全く泣きたくなりますよ」と、記者に語っているのであります。私は、このことばの中に、立法府としても、政府としても、深く考えねばならない重大な問題の幾つかを見るのであります。  要するに、暴力犯罪の防遇のためには、現行法の改正以前に多くの再検討すべき課題が山積をしており、これに対処する政府そのものの態度に根本的な反省がなくてはならないことを、私は重ねて痛感をするのであります。そのことをたな上げするような形で、改正法案の審査を中断させ、一方的に強行議決しても、何ら問題の解決にはならないことを、お互いによく知るべきであると思うのであります。  さらに述べるなら、警察庁は、六月十一日、国家公安委員会に対し、最近暴力団が相次いで政治結社をつくり、政治活動の美名を隠れみのにして活動をし、資金集めをしている、という趣旨の状況報告を行なっているのであります。しかし、この報告を受けた国家公安委員の皆さんは、だれ一人として一言半句質問も意見もお述べになっていないまま、この会議は終わっているのであります。私は、この国家公安委員の諸君の態度・姿勢にも、また遺憾なものがあるということを指摘せざるを得ません。また、警察庁は、「暴力団の政治活動化は、ばくちやその他の不法行為では十分な資金の獲得が困難になったので、もっともらしい政治運動に名をかりて国や地方の政治勢力と結びつこうとしている。そして、これは、ことしに入ってから政治結社の届け出をしたものは四団体であり、最近四年間に政治結社の届け出をしたものは十五団体にのぼる。なお、届け出をしないが活発に政治活動を続けているものはこのほかに五十団体ある」と、記者団に公式に発表をしているのであります。ところが、法務委員会の審査で、これらの報告や発表を一応認めながら、警察庁の首脳部は、これらの政治結社の届け出をしたものは、いわゆる暴力団として警察庁のリストに載っている五千二百十六団体の中の十五団体であるのかという質問に対しても、また、国や地方の政治勢力に結びつこうとしているというが、具体的に言えば、どのような政治勢力と結びつこうと彼らはねらっているのかという、再三再四にわたる質問に対しても、何としても明瞭な答弁をせず、御想像にまかせます、という答弁のありさまであります。特定政党の特定政治家と暴力団の結びつきの問題は、今まで識者はもちろん、国民世論としても問題視し、報道機関もたびたびこの問題を論じ、批判を加えてきているにかかわらず、今日まで警察庁は、このことを一体調査内偵したでありましょうか。彼らの答弁によりますと、そのような結びつきの事実は、今日までの内偵によっては、一件も事実を突きとめることはできないという答弁であり、全く無責任ぶりを暴露しているとしか思われないのであります。これら、一、二の事例を私はあげたにすぎませんけれども、警察庁当局の態度は、きわめて遺憾な点が多々あるのであります。これらの姿勢の抜本的な再検討なしに法の改正を急いでも、ほこ先は暴力団に向かわずに、善良な国民の、大衆運動の弾圧に、容赦もなく、より以上の力でのしかかってくる危険性すら感ずるのであります。(拍手)  また、暴力団による暴力犯罪の防遏の有力な対策の一つとして、彼らの資金源を突きとめ、これを断つことが、絶対に必要だということは、もはや今日常識となっている問題であります。ところが、資金源を断つという問題についての質問で、賀屋法務大臣、赤澤国家公安委員長、江口警察庁長官らは、口をそろえて、「暴力団の資金源と申しましても、正業による収入と、不法な手段による収入がありますので、その見分けが困難であります。だから、資金源を断つということは、彼らの生活を断つというおそれがありますので、これはなかなかむずかしい問題であります、」これが彼らの答弁であります。一体、暴力団の資金源を断つという対策について、警察当局は、誠意を持ち、情熱をもって当たっているのであろうか。私は、これらの答弁を通じて、実に不可解を覚えるのであります。また、昭和三十六年三月、警察庁当局は、神奈川県下の主要会社八百七十四社について、暴力団が経済界から不法に資金を得ている状況を、アンケート式に調査したのであります。その結果、回答した二百四十八社、二八%は、いずれも、何らかの理由で、不法不当に金を拠出させられたということが判明しているのであります。このような、重要な調査の結果が出たにもかかわらず、警察庁は、直ちに都道府県別に同様の調査を行ない、全国的な傾向を把握するのにぜひ必要だと思われるこの作業を、何がゆえか、今日まで全くやろうとしておらないのであります。しかも、この問題について質問をしても、その答弁が要を得ず、納得ができないのであります。さらに、本年に入りまして、福岡県ただ一県だけ、主要会社五百三十六社に対し、被害状況調査を実施した結果、回答した二百二十一社、四一・二%は、すべて、相当の金額を暴力団に強制的に拠出させられているという事実が明らかになっているのであります。警察庁の手元にあるこの種の調査は、たった以上の二県でありまして、他の都道府県の状態については全く調査されないまま放置されていることも、ふかしぎな一つの問題であります。  私は、るる皆さんに申し上げておりますが、これらの幾つかの事実を通してわれわれの強く感ずることは、警察庁当局は、暴力団の暴力犯罪に対し、真に防遏しようとする気がまえがあるのかどうか、真意が疑わしいと強く考えたから、このことを指摘しているのであります。  暴力団のなわ張りについても、警察難局は、あたかも彼らの既得権であるかのごとく、これをちっとも解決しようともせず、また、テキヤの場所割り、場所割り金の強制徴収は、無法地帯のごとくそのまま彼らの自由に放任せられ、芸能その他の地方興行には、なわ張りと称するものを握る暴力団に対し、あいさつという名目で相当金額の金品を贈与しなければ、その興行が絶対に不可能になるという現実、料飲店、酒場、遊戯場、娯楽場などについても、なわ張りを握る暴力団は、毎日、相当金額を種々の名目で強制的に徴収をしているという事実、これらの事実は、いま全国至るところに無数に発生をし、それらが常に恐喝や暴行等の不法行為を伴って行なわれているのであります。  このように数え上げてまいりますならば、この改正案をめぐって、究明しなければならない多くの問題が山積しているのであります。  私は先ほども国会にまいる際に、大衆団体の国会に対する請願のデモを見たのであります。ところが、その周辺に三百名もの警察隊が動員配置されているのであります。これは万一の場合に備えて配置をしているのだというかもしれません。それならば、この間、四国松山に起こった二つの暴力団体のなわ張り争いから、銃砲・拳銃を持って撃ち合いを始めた際、市民が一一〇番に急遽この事件を通報したところ、松山東署が初め直ちに動員した警察官の人数は、たった六名であったのであります。しかも、それから一時間半後になって、ようやく二百五十名もの警察官を現地に派遣をしたというありさまであります。私はこの二つを調べてみたときに、はたして暴力犯罪なるものに対して、今日、政府関係当局が深く自戒し、再検討をしなければならない重大な問題を持っていることを反省しなければならないのではないかと思うのであります。(拍手)そのことを不問に付したまま、改正法案を法務委員会では強行可決をしたようでありますが、これでは、国民に対する立法府の責任は果たされていると思わないのであります。参議院の、良識の府ということばは、いまや一体どこに行ったでありましょうか。この改正法案は、衆議院においてすら、その審査日数は参議院のそれよりもはるかに長く、さらに衆議院では、参考人の意見を聴取したり、総理大臣の出席を求めてその答弁を聞くなど、いろいろの措置を通じて審議解明を続けられております。その手続と審査が十分であったとは申せないまでも、しかし、わが参議院における法務委員会の審査のそれに比べて、格段に慎重な審議が行なわれていると言えるのではないでしょうか。参議院におけるかかる不徹底きわまる審議を、私は、ここに、きわめて不満に思い、遺憾に存ずるところであります。しかも、私は、この委員会において、委員長にも明らかに原稿の全体を示して、この質問をぜひさせてくれるように強く要望をし、委員長や理事諸君の要請もございましたので、わずか三分の一の質疑を終わっただけで、一応次の質問者に席を譲り、その際には、あらためて時間を与えていただいて、残余の部分の質問をぜひさせてくださいということを、重ね重ね要請したところなのであります。稲葉委員もまたしかりであります。特に亀田議員のごときは、準備した質問の四分の一を終わっただけにすぎず、全く一方的に質疑が中断せられており、わが党の他の二名も、質問の通告をし、その原稿の準備を完成しておったにもかかわらず、ついに質問の機会は与えられなかったのであります。私は、ここで同僚の諸君によく考えていただきたい。この国会の会期は十日間を残していたはずであります。何がゆえに、あの段階において、これらの残余の質問を十分に行なわせた上で、堂々と参議院の議事規則に従って公正な運営を進めなかったかという疑問であります。中山委員長にこのような良識ある運営をいたしてもらえることを、われわれは期待していたのでありますけれども、あるいは裏面から政府や党首脳の党利党略的な強制命令が出たのかもしれません。いずれにしても、その法務委員会の運営は中山委員長の責任であります。私は、この点を強く指摘をし、遺憾の意を表明しておく次第であります。  第二に、中山委員長は、さきにも要約して申し上げたのでありますけれども、国会法、参議院規則を無視して、不法にも、突如として出された自民党議員の「質疑打ち切り、討論省略、直ちに議決することの動議」と称するこの動議を、何か二、三秒大声をあげてわめかれたようであります。新聞やテレビのニュースでもおわかりのように、この議員が立って動議を提出している同時刻の写真に、稲葉議員は、明らかに委員長の不信任案を彼の机の上に載せている。一方に動議が出ている。こういう写真が発表されているのであります。私は、なぜ法務委員長は、国会法にのっとって出されたこの委員長不信任案の始末を堂々とやった上で議事の進行をはからないのか、それだけの常識がなかったのかということを、今日、きわめて遺憾に思うのであります。しかも、私は、この混乱のうちに終わったと称せられる法務委員会の委員長の座席の前の、委員長が読み上げたと称する文章を見たのであります。あの文章をいかに早口のものが申し上げましても、まず相当の時間がかかる文章であります。法務委員長は、この間、皆さんも御承知のように、わずか五秒ぐらいしか何かものを言っておらないのであります。これが合法である、これが委員会の正式な運営であるという、そういうでっち上げは、参議院にはぜひとも通用させたくないと私は思うのであります。(拍手)よって、かかる不法行為を院の役員である中山委員長があえて強行をして、しかも、今日なお私のとった行為は合法的であると、がんとしてきかないと聞きますが、もはや、われわれは何をかいわんやであります。私は、かかる中山委員長を信任することは、参議院の今後の運営上きわめて重大だと決意をしたがゆえに、同僚議員と相談の上、ここに慎重なる審議を遂げて、解任決議案を提案いたしたのであります。どうか慎重に御検討の上、全会一致をもって、良識の府参議院を築くために、すみやかに可決いただけますように切望して、趣旨説明を終わる次第であります。(拍手)
  8. 重宗雄三

    ○議長(重宗雄三君) 討論の通告がございます。順次発言を許します。後藤義隆君。   〔後藤義隆君登壇、拍手〕
  9. 後藤義隆

    ○後藤義隆君 私は、自由民主党を代表して、ただいま議題となっております法務委員長中山福藏君解任決議案に対し、反対の意を表明するものであります。(拍手)  法務.委員長中山福藏君は、昨年十月委員長に就任以来、委員会の運営につきましては、常に公正中立、もって委員長の重責を全うし、今日に至っておるものであります。特に今回、暴力行為等処罰に関する法律等の一部を改正する法律案が法務委員会に付託されるや、同法案の重要性にかんがみ、同法案につきましては十分に審査を尽くすべく努力され、困難な与野党間の折衝につきましても、絶えず配慮されておったのであります。したがいまして、同法案の取り扱いにつきましては、理事会において協議を重ねること十二回、また、委員会において審査すること八回にわたり、しかも、その審査に費やしたる時間は、実に二十七時間五十分の長きに及んでおるのであります。各委員の質問時間につきましては、これを会派別に見ますと、自由民主党二時間二十五分、日本社会党二十四時間二十七分、公明会四十分という状態であります。  去る十七日の法務委員会におきまして、同法案の審査中、日高委員より、質疑を打ち切り、討論を省略し、直ちに採決に入ることの成規の動議が提出されましたので、中山委員長は、この動議を採決に付しましたところ、多数をもって可決されたのであります。よって、委員長は直ちに同法案を採決することに相なった次第であります。これは、諸般の状況から見まして、まことにやむを得ない処置であったのであります。したがいまして、私は、かかる公正中立の立場を堅持され、委員長の職務にまことに忠実である中山委員長の解任決議案に対しましては、絶対に反対であることを、重ねてここに表明して、私の反対討論といたします。(拍手)   ―――――――――――――
  10. 重宗雄三

    ○議長(重宗雄三君) 小宮市太郎君。  〔小宮市太郎君登壇、拍手〕
  11. 小宮市太郎

    ○小宮市太郎君 私は、日本社会党代表して、ただいま議題となっています法務常任委員長中山福藏君の解任決議案に対し、賛成の討論を行なわんとするものであります。  御承知のように、法務委員会において審議されています暴力行為等処罰に関する法律等の一部を改正する法律案は、去る第四十三及び第四十四国会において提案され、いずれも審議未了になった法案でありまして、多くの問題を持っております。それは、提案者米田君によって、ただいま明らかにされたところであります。  ところで、この法案が制定されましたのは大正十五年でありますが、当時、この立法を必要としたわが国の社会情勢は、どのようなものであったか。第一次世界大戦の戦勝国として飛躍的発展を遂げ、好景気を謳歌したわが国の資本主義も、大正九年を迎え突如として経済恐慌に襲われたのであります。工場の閉鎖、生産の急激な減少、中小企業の没落とともに、失業者は増加し、労働者は賛金低下の悲境に投げ出されたのであります。労働運動が活発となり、労働争議も深刻になってきたのであります。政府の社会主義抑圧・争議弾圧は、いよいよ強化され、露骨になってまいりました。その前にすでに治安維持法の制定を見ているのであります。資本家側は、争議弾圧の手段として暴力団を利用し、かつ、養成をしたのであります。このような背景の中で法律が制定されたのでありまして、当時の政府側江木大臣は、「労働なり小作なり、その他水平運動などを、この法律によって取り締まる意思があるか、どうか。これは全くそういう意思を毛頭持っておらぬのであります」と、繰り返し繰り返し説明しているのであります。しかし、これは、労働運動、農民運動、水平運動の弾圧に利用され、幾多の善良な国民を不逞のやからとして葬り去ったのであります。  このようなだまし打ち的悪法の歴史を持つところの本法の改正案について、わが日本社会党は、慎重審議を要求し来たったのであります。したがって、質問に対しては特に重複を避けまして、実に細心の心を配ったのであります。委員会の正常なる運営については、常に理事の打ち合わせに従い、ただすべきは慎重にということで、質問者についても、人員の制限にも応じて実はきたのであります。先ほど米田提案者が申したとおりでございますが、まず稲葉君によって総括的な質問を行ないました。逐次各論に入り、米田君の質問となったのでありますが、満足な答弁は、提案者の言うとおり、得られなかったのであります。常に大臣局長との答弁のズレ、警察庁長官並びに局長との答弁に不一致がある。全く納得のできない答弁が続いたのでありました。誠意が認められなかったのでありまして、いたずらに時間を浪費したのは、政府それ自体であります。しかしながら、私どもといたしましては、法案の重大性にかんがみまして、国民の前にその審議を明らかにする重大な義務がある。したがって、つとめてむだを省きまして、粘り強く質疑を続けたのであります。米田君の質問のごときは、本人が申しましたとおり、用意されたその半ばにも達しなかったのでありましたが、次の予定質問者である亀田君に譲るという協力ぶりであり、不満足ながら質疑を打ち切ったのであります。時たまたま不幸なる新潟地方における大震災報道がもたらされまして、赤澤国家考案委員長の出席が不可能に相なりました。現地に急遽行かれることになったのであります。与党の諸君からは、赤澤自治大臣の出発を延ばしてもよいから質問をやれという説もございましたが、私どもといたしましては、事の重大と緊急性を考えまして、赤澤国家公安委員長に対する質問を取りやめて、快く新潟に送ったのであります。その翌十七日の本会議終了後、通常ならば委員会を開かないのでありますが、議会運営に協力する立場から、臨時に委員会開会を了承、午後二時より委員会を開会し、亀田君の質問となったのであります。ここでも、国原公安委員長の御心労のことを考えまして、短時間の質問をもってお引き取りを願った次第であります。  以上述べてまいりましたように、私ども日本社会党代表の誠意ある質問に対しては、与党の諸君も非難する余地はみじんもないと思うのであります。中山福藏君といえども、正常なる精神状態であるならば、自身の行為に対して弁解の余地はないと思うのであります。なぜならば、中山幅藏君は、経歴、識見から推察いたしまして、議会人としても大先輩であります。法律の専門家でもあるからであります。  亀田君の質問は、時間を遷延するごとき何らの行為もありません。内容は簡潔で、整然としていたからであります。質問の内容を七項目にしぼりまして、それぞれ総括的な答弁を求め、各論にやっと入ったところで、世間の注目しておりますところの、暴力団と政界・経済界との結びつきについて、明らかにしようと試みていたのであります。特に、暴力団の構成員の行為と、労働者階級に属する者の行為とについて、具体的な質疑になったのであります。これは、この法案の最も疑惑を持たれる大切な点であるからであります。すなわち、観念的にはひとしいように見えても、社会的行為類型としては全く別のものでありまして、具体的現代市民法の立場からいって、別種のものであります。したがって、暴力団の構成員の行為を防遏する目的からするならば、暴力団の構成員にのみ適用されることを構成要件的に明記することが、絶対に必要だからであります。このような重要なことが明らかにされないことは、基本的人権を侵すこと必然であります。  この重要な質問に入らんとするとき、まさに突如として、日高君の奇妙な叫び声がして、彼が立ち上がったようであります。ときどき重要なことを聞き漏らす、失礼ではありますが七十七歳の御老体である中山委員長の耳に、正確に何が届いたか。普通人なら想像もできない、全くたくまれたサル芝居、いや、一つの戯画にすぎないのでありまして、これが党利党略でなくて何でありましょう。わずか二、三秒のできごとであります。このときすでに、委員長の目の前には、先ほど提案者が申しますように、中山委員長不信任動議が届いていたのであります。日高君にしても、決してよいことをしたとは思っていないだろうし、演じた役割りがどんな結果になったか、彼のためには気の毒に思います。質問者が数回にわたって池田総理の出席要求をしておったことを全く無視し、政府は全く真剣な答弁をしていないのであります。さらにまた、賛成、反対の討論も行なわず採決を行なったと称するがごときは、議事規則違反であることはもちろん、数の暴力による非民主的行為であり、絶対に承服することはできません。(拍手)かかる中山福藏君のもとでは、人間の尊厳を第一とする法務常任委員会の委員長として、まことに遺憾であります。私は、その経歴をあらためて見直しました。円熟した政治家として敬意を払いたいのでありますが、私の印象に残るのは、経歴中の、日本警察犬協会副会長と、大阪府クレー射撃協会顧問だけであります。まことに残念に思います。中山福藏君のごとき無謀な委員会運営を許すならば、国会の信用を失墜するばかりでなく、世道人心の不安を助長し、暴力団の絶無は、から念仏に終わり、政治の腐敗と汚職の中で、暴力団はかえって勇気づけられるでありましょう。  私は、この際、国民の前に、謙虚に反省され、すみやかに国会正常化のため、身をもって辞任されんことを強く要求して、賛成討論を終わります。(拍手)
  12. 重宗雄三

    ○議長(重宗雄三君) これにて討論通告者の発言は全部終了いたしました。討論は終局したものと認めます。  これより本案の採決をいたします。表決は記名投票をもって行ないます。本案に賛成の諸君は白色票を、反対の諸君は青色票を、御登壇の上、御投票を願います。  議場の閉鎖を命じます。氏名点呼を行ないます。   〔議場閉鎖〕   〔参事氏名を点呼〕   〔投票執行〕
  13. 重宗雄三

    ○議長(重宗雄三君) 投票漏れはございませんか。――投票漏れないと認めます。投票箱閉鎖。   〔投票箱閉〕
  14. 重宗雄三

    ○議長(重宗雄三君) これより開票いたします。投票を参事に計算させます。議場の開鎖を命じます。   〔議場開鎖〕   〔参事投票を計算〕
  15. 重宗雄三

    ○議長(重宗雄三君) 投票の結果を報告いたします。   投票総数     百六十二票   白色票       六十三票   青色票       九十九票   〔拍手〕  よって本案は否決せられました。      ―――――・―――――   〔参照〕  賛成者(白色票)氏名      六十三名       林   塩君    鈴木 市藏君       鬼木 勝利君    中尾 辰義君       北條 雋八君    浅井  亨君       二宮 文造君    白木義一郎君       辻  武寿君    和泉  覚君       小宮市太郎君    矢山 有作君       野々山一三君    柳岡 秋夫君       稲葉 誠一君    吉田忠三郎君       林  虎雄君    山本伊三郎君       武内 五郎君    柴谷  要君       北村  暢君    森 元治郎君       伊藤 顕道君    近藤 信一君       戸叶  武君    松澤 兼人君       藤田藤太郎君    中村 順造君       秋山 長造君    阿部 竹松君       岩間 正男君    須藤 五郎君       野坂 參三君    渡辺 勘吉君       小林  武君    松本 賢一君       野上  元君    米田  勲君       基  政七君    大矢  正君       鈴木  強君    占部 秀男君       田上 松衞君    岡  三郎君       藤田  進君    亀田 得治君       加瀬  完君    天田 勝正君       永岡 光治君    成瀬 幡治君       中田 吉雄君    小酒井義男君       藤原 道子君    中村 正雄君       椿  繁夫君    大和 与一君       木村禧八郎君    岡田 宗司君       野溝  勝君    松本治一郎君       千葉  信君    羽生 三七君       赤松 常子君     ―――――――――――――  反対者(青色票)氏名      九十九名       北口 龍徳君    二木 謙吾君       大竹平八郎君    鳥畠徳次郎君       青田源太郎君    赤間 文三君       鈴木 恭一君    堀本 宜実君       森 八三一君    最上 英子君       高瀬荘太郎君    三木與吉郎君       村上 義一君    野田 俊作君       木暮武太夫君    太田 正孝君       笹森 順造君    中上川アキ君       森田 タマ君    植木 光教君       沢田 一精君    栗原 祐幸君       熊谷太三郎君    久保 勘一君       丸茂 重貞君    石谷 憲男君       植垣弥一郎君    岸田 幸雄君       谷村 貞治君    徳永 正利君       仲原 善一君    豊田 雅孝君       天坊 裕彦君    竹中 恒夫君       村上 春藏君    山下 春江君       山本 利壽君    大谷 贇雄君       館  哲二君    青柳 秀夫君       平島 敏夫君    鍋島 直紹君       藤野 繁雄君    新谷寅三郎君       西郷吉之助君    紅露 みつ君       杉原 荒太君    田中 茂穂君       大野木秀次郎君    植竹 春彦君       平井 太郎君    西川甚五郎君       重政 庸徳君    天埜 良吉君       井川 伊平君    川上 為治君       松野 孝一君    日高 広為君       温水 三郎君    亀井  光君       野上  進君    山本  杉君       金丸 冨夫君    谷口 慶吉君       西田 信一君    柴田  栄君       大谷藤之助君    稲浦 鹿藏君       石井  桂君    吉江 勝保君       塩見 俊二君    岡村文四郎君       加藤 武徳君    梶原 茂嘉君       田中 啓一君    吉武 恵市君       高橋  衛君    草葉 隆圓君       増原 恵吉君    小柳 牧衞君       村松 久義君    林屋亀次郎君       郡  祐一君    安井  謙君       高橋進太郎君    木村篤太郎君       迫水 久常君    長谷川 仁君       小林 篤一君    櫻井 志郎君       佐野  廣君    後藤 義隆君       林田 正治君    横山 フク君       前田 久吉君    白井  勇君       小林 武治君    斎藤  昇君       下村  定君    ――――・――――
  16. 重宗雄三

    ○議長(重宗雄三君) 日程第二、暴力行為等処罰に関する法律等の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)を議題といたします。  まず、委員長の報告を求めます。法務委員長中山福藏君。   〔中山福藏君登壇、拍手〕
  17. 中山福藏

    ○中山福藏君 ただいま議題となりました暴力行為等処罰に関する法律等の一部を改正する法律案について、法務委員会における審議の経過と結果を御報告申し上げます。  政府の提案の理由によれば、近時悪質な暴力犯罪増加の傾向は、まことに憂慮にたえないところであり、このような事態に対処するため、昭和三十三年には刑法の一部改正が、昭和三十七年には銃砲刀剣類等所持取締法の部分的改正が、それぞれ行なわれたが、しかし、いわゆる暴力団の構成員等による暴力犯罪に、最近常習的なものが多く、また、その犯行の手段として、しばしばピストル・日本刀等、きわめて危険な凶器が使われており、この種の犯罪による社会不安を除去するためには、一そう強力かつ適正な対策を講ずる必要があるとの趣旨でございます。  その改正の要点は、  第一に、銃砲または刀剣類を用いて行なう傷害を、普通の傷害と区別し、刑罰を、現行の三年以下から、一年以上十年以下の懲役に加重するとともに、その未遂をも処罰することとする。なお、右の罪については、日本国民が国外において犯した場合をも処罰する規定を置くこと。  第二に、常習的暴力行為のうちに、新たに傷害を加え、その法定刑を引き上げること。  第三に、以上のように法定刑が引き上げられた結果、短期が一年以上にあたることとなる罪にかかる事件を地方裁判所の法定合議事件から除外すること等であります。  委員会は、三月二十六日提案理由説明を聴取しました。四月二十八日には本付託となりましたので、可及的早急に審議に入るべく、しばしば委員長及び理事打ち合わせ会を開いて協議いたしましたが、意見の一致を見なかったので、五月二十八日、ついに委員長職権をもって本法案の実質的審議に入りました。自来八回にわたり、植木、後藤、稲葉、和泉、米田、亀田、岩間の各委員から、長時間にわたる詳細な質疑が政府及び最高裁判所当局に対してなされました。  その要点を申し上げますと、最近の暴力団ないし暴力犯罪の実態、並びに、この種犯罪に対する取り締まり対策の具体的実情、暴力事犯と銃砲刀剣類等所持取締法の運用との関係、現行の暴力行為等処罰に関する法律制定の経緯と運用の実際、乱用にわたることを防止するための具体的方策等であります。  六月十七日、日高委員より議事進行に関し、本案について「質疑打ち切り、討論者略の上直ちに採決すべき旨の動議」が提出されましたので、委員会にはかりましたところ、右動議は多数をもって可決されました。  これより直ちに採決の結果、多数をもって本法案を可決すべきものと決定いたしました。  以上御報告申し上げます。(拍手)   ―――――――――――――
  18. 重宗雄三

    ○議長(重宗雄三君) 本案に対し、和泉覚君及び天田勝正君から、それぞれ成規の賛成者を得て修正案が提出されております。順次、修正案の趣旨説明を求めます。和泉覚君。   ―――――――――――――   〔和泉覚君登壇、拍手〕
  19. 和泉覚

    ○和泉覚君 私はただいま議題となりました暴力行為等処罰に関する法律等の一部を改正する法律案に対し、公明会提出の修正案について、その趣旨を説明いたします。  現今の暴力事件の激増は、まことに目に余るものがあり、その追放は国民大衆の切望しておることは、論を待たないことは明らかであります。原案は、刑の加重を唯一の頼みとしているのであって、この点でも疑義のあるところでありますが、われわれは、むしろ現行法の第一条第一項に対して大きな問題点があると思うのであります。委員会の審議等におきましても、政府は、決して他に乱用するものでなく、暴力の追放が目的であることを述べ、なお、趣旨説明には、ばく徒、暴力テキヤ、青少年不良団、売春、麻薬等の暴力団、その他の暴力的不良団体の構成員及びその仲間等を取り締まるのを目的とするものであると説明されております。また、法務大臣も、運用面には十分に注意をすると答弁をしております。しかしながら、過去の事例よりいたしまして、われわれはこれで安心してはおられないのであります。なお、単なる偶発的なる事件で、暴力団にはおよそ縁遠い事件であっても、全部暴力処罰法を適用できることになっております。したがって、第一条第一項の「団体若ハ多衆」云々の条文は、正当なる目的を持ち、正当なる活動をしている団体をも対象とされているのであります。したがって、その運用のいかんによっては、憲法上保障された国民の基本的人権、すなわち大衆運動等の自由を侵害するおそれの多いことは明らかであります。法律は、一度制定されれば、立法者の意思にかかわりなく運用されるものであることは、過去の事例の証するところであります。ゆえに、世論においては、暴力追放はけっこうだけれども、その拡大解釈による適用には十分に配慮さるべきである、このような意見が強いことも見のがすことはできないのであります。  以上の理由によりまして、わが公明会は、この際、暴力処罰法に新たに第四条を設けて、同法の拡大解釈並びに乱用等の弊害を防止するため、この修正案を提出した次第であります。  何とぞ右の趣旨に御賛同の上、御可決のほどをお願いする次第であります。(拍手)   ━━━━━━━━━━━━━
  20. 重宗雄三

    ○議長(重宗雄三君) 天田勝正君。   〔天田勝正君登壇、拍手〕
  21. 天田勝正

    ○天田勝正君 私は民主社会党を代表し、かつ、不肖天田の提出いたしました修正案に賛同せられた各位の意を体し、政府提案の暴力行為等処罰に関する法律等の一部を改正する法律案に対し、ここに修正の趣旨を明らかにいたしたいと思うのでございます。  思うに、庶民のささやかなる願いは、婦女子が夜一人歩きをいたしましても危険にさらされない世の中であり、家に一人おりましても何ぴとにもその安全を脅かされることのない生活であります。これこそ庶民のつつましい平和の願いであると思うのでございます。しかるにわが国の現状は、すでに皆さん方が御承知のように、ばく徒、暴力テキヤ、青少年不良団等による常習的組織暴力はますます激増し、その内容はいよいよ凶悪化しつつあるのでございます。ここに多くの例をあげる必要はないと存じますが、ごく数日前においても、首都の中心部、国の唯一の立法機関であるこの国会に真近い公立義務教育学校において、白昼女生徒が暴行を受ける事態さえ発生いたしたのであります。このことは各位も御承知のところと存じますが、かくては、安全な生活どころか、国民教育義務の履行さえ果たすことが困難と相なるのでございます。しかもこれらの暴力被害者は、多くが無辜の良民であることにかんがみ、この際、何らかの措置を講じなければ、その責任は、実に立法の府に席を置くわれわれにもあると言わなければなりません。この事態に対して、ある人は、現行刑法あるいは軽犯罪法等を活用してこれを厳に実行するならば、暴力犯罪を取り締まることができるし、新立法によって暴力絶滅は期し得ないという主張もあるのでございます。われわれは、既存の法律を活用厳守することはもちろんでありまするが、暴力組織そのものをずばりと目ざして絶滅に近づける努力を怠っては相ならないと主張いたすものであります。  さて、政府の提出原案についてでございますが、その趣旨とするところはもちろん私どもも賛成であります。そして、この暴力絶滅ということにつきましては、衆参両院の審議を通じて何人も異論を差しはさまなかったところでございます。ただ、ここに多くの論争を呼びましたものは、ただ一つ、もし、この政府案が成立し、これを実行に移したとき、正常なる労働運動・大衆行動を規制もしくは弾圧するものではないかという点にあったのでございます。以上の憂慮は、単に誤解・曲解として片づけるわけにはいかないのでございます。残念ながら、現在の警察や検察当局が必ずしも民主化が完全に徹底したとは言い切れないのでございまして、それゆえに、過去において幾たびか人権問題を引き起こしているのであります。さらに政府原案の提出理由において、暴力犯罪を取り締まるためであると説明をいたしながら、暴力犯罪に道川する旨を明記しないのでありますから、なおさら疑惑が生ずるのでございます。この点からいたしまして、この際、お手元に配付しておらないようでありますが、次のごとく修正すべきであると考えるのであります。ここに朗読をいたします。   暴力行為等処罰に関する法律等の一部を改正する法律案の一部を次のように修正する。   第一条のうち第三条の改正規定中「改める」を「改め、同条の次に次の一条を加える」に改め、同改正規定の次に次のように加える。   第四条 本法ノ適用ニ付テハ勤労者ノ団結シ及団体行動ヲ為ス権利其ノ他日本国憲法保障スル国民ノ自由及権利不当ニ侵害セザルヤウ留意シ苟モ其ノ本来ノ目的ヲ逸脱シ之ヲ他ノ目的ノ為ニ濫用スルコトアルベカラズ  以上でございます。  かくいたしまして、同法に一条を加え、労働運動、大衆行動を弾圧することのなきよう、かつは国民の権益の侵害にならざるよう明足することが、本法改正の趣旨に沿うとともに、国民の疑惑を解消するゆえんであると信ずるのでございます。  これが本修正案提出の趣旨であります。何とぞ各位の御賛同あらんことをば切望いたしまして、私の説明を終わります。(拍手)
  22. 重宗雄三

    ○議長(重宗雄三君) 質疑の通告がございます。発言を許します。亀田得治君。   〔亀田得治君登壇、拍手〕
  23. 亀田得治

    ○亀田得治君 私は、日本社会党を代表して、新暴力法案に対し質疑を行ないます。  御承知のとおり、本法律案に関する法務委員会の審議は、先ほど来御承知のとおり、途中で強引に打ち切られたわけであります。ただすべき事項がたくさん残ったままになっているわけであります。私は、それらの中で特に重要な問題につきまして、やや詳細に具体的にお尋ねすることにいたしたいと思います。したがいまして、答弁も明確にお願いをする次第であります。  で、本論に入ります前に、昨日、東京地裁において言い渡されました六・一五事件に関する民事判決について、総理の所信を承りたいと存じます。  この事件は、昭和三十五年の新安保条約反対運動のさなかに、ちょうど六月十六日午前一時過ぎに、警視庁第五機動隊が、無抵抗の大学・研究所・研究団体の教職員に対し攻撃を加えたばかりでなく、逃げる者をわざわざ追いかけまして、警棒をふるって負傷させた事件であります。当時、被害者の方々は検察庁に告訴をしたのでありますが、遺憾ながら、個々の加害者と負傷者を特定することができないので、不起訴になりました。しかし、無抵抗の教職員の皆さんが、機動隊の不法な攻撃によって負傷したこと自体は、明白な事実なのでありまして、昨日の民事判決におきましては、その点さえ明確になれば、どの警官がだれに負傷させたかを一々明らかにしなくとも、国家賠償法による責任があることを認めまして、東京都に対して賠償の支払いを命じたのであります。  私は、都がこの一審判決に服従いたしまして、人権擁護の立場から、研究のかたわら長い法廷闘争をやってこられたこの被害者の人たちに対して、陳謝すべきであると思うのであります。暴力を取り締まるべき警察が、不法な暴力をふるいながら、加害者たる警察官個々の人が明白でないことを理由として争いを長引かすというようなことは、決して暴力を憎む態度とは言えないと思うのであります。(拍手)賠償を命ぜられたのは東京都でありますが、総理、国家公安委員長の適切な行政指導を私はお願いをいたしますとともに、この際、総理並びに国家公安委員長の所信を承っておきたいと思います。  次に、本論に入ります。  現在の暴力法は、過去においてしばしば労働運動などに適用され、弾圧法規としての色彩を強く持っているのであります。本来ならば、労働運動に随伴して不幸刑事事件が起きたといたしましても、それは一般刑法で扱えばよいのでありまして、特別法たる暴力法によってことさらに重く扱うということは、たとえ一件たりとも許すべきでないと考えます。このような立場からいたしますならば、私は、もし政府に、池田総理もたびたび言われましたように、労働運動等を弾圧をする意図がないということがほんとうであるならば、いさぎよく、色のついてしまっている現行暴力法を廃止すべきであると考えるのであります。そして、暴力団に対し一般刑法よりも重い特別法を必要とするというのであれば、そのような立場で、はっきりしたものをつくればよいと考える次第であります。しかるに、そういう作業をしないで、主として暴力団相手の法律だと、表ではそういうことを言いながら、ときどき労働運動に対してもこの法律を適用していることは、はなはだ不明朗であると言わなければならぬとともに、そのようなあいまいなことでは暴力団対策としても私は不完全であると考えるのであります。(拍手)この点につきまして、基本的な問題として総理の所信を伺いたいと思います。  暴力団対策として現在何よりも重要なことは、私は次の諸点に要約できると考えます。  第一は、まず上に立つ政治家が暴力団に対し正しい姿勢をとることであります。  第二には、違法行為を扱うところの警察、検察、裁判所、刑務所などが、暴力団に対する姿勢を正すことであります。  第三は、暴力団の資金源に思い切ったメスを入れること。  第四は、暴力団がときどき使いますところの銃砲刀剣類の所持、との規制を強化すること。  第五は、ラジオ・テレビ等の殺傷の場面を何とかわれわれの目から見えないようにできないものだろうか、これを検討すること。  第六は、暴力団の生活自体を善導し、安定させること。  以上のようなことが、今日における暴力団対策として一番大事な点であると思いますので、順次これらの点につきましてお尋ねをいたしたいと思います。  まず、第一に、暴力団と保守勢力の関係についてお伺いいたします。こういう問題を抽象的に私がここでただしましても、水かけ論になるおそれがあります。そこで、私は、具体例を総理に示して、その見解を承ることにしたいと思います。  その第一は、去る五月二十五日、関東の松葉会と関西の本多会が神戸の某料亭で縁結びの杯をかわしました。集まる者千五百人と言われます。この縁結びの仲介役をつとめたのは、元自民党代議士、元神戸市長をつとめた方であります。このことは、六月十七日の法務委員会の質疑におきましても、警察当局の答弁で確認をされました。こういう地方の有力な方がこのような仲介役を行なうということは、きわめて重大であります。一つには、これは暴力団に対する大きな激励になります。二つには、国民は一体どう感ずるかということです。日本の支配層というものは、暴力団をなくすることについて本気で考えているんだろうか、どうだろうか。表では適当なことを言っておりましても、裏ではつながっているのではないかという疑惑を与えることは、当然であろうと思うのでございます。総理の見解を明確にしてほしいと思います。  第二の事実は、昨年、関西の本多会の二代目跡目披露が行なわれましたが、その際、すでになくなられましたが、自民党の副総裁という重職にあられる方が出席をし、あいさつをされているのであります。私は決して故人を傷つけるつもりはございません。しかし、暴力団対策が世間の注目を浴びているこのときに、このようなことが行なわれるということは、はなはだ遺憾であると言わなきゃなりません。(拍手)元神戸市長以上にその及ぼす影響は強いと思うのであります。池田自民党総裁としての所信を承ります。  さらに私は、去る三月二十五日のこの本会議におきまして、池田総理に、某法務大臣が現職当時、暴力団の行事に花輪を出した、こういう件につきましてお尋ねをいたしました。それに対して総理は、具体的事実は存じませんので、よく調べて、また適当の機会に答えますと言われているのであります。おそらく、総理はすでに調査をしておられると思いますが、新暴力法案審議の最後の段階でありますから、この際、その調査の結果、及び、そういうことに対する総理の所信を伺いたいと思います。  以上のように、暴力団は保守勢力とつながって育っているのでありますが、最近は、新しい問題といたしまして、暴力団が積極的に政治への介入をしてくるという動向を示してまいりました。もし、こういうことがどんどんはびこってまいりますならば、日本の民主政治発達の上に、きわめて憂うべき現象であろうと思うのであります。池田総理もおそらく若干その被害者であるかもしれませんが、こういう現状につきましてどうお考えになっているのか。また、どのようにこういう問題を処理しなきゃならぬと考えておられるのか、お伺いする次第であります。  さらに、公安委員長に対しまして、暴力団で政治結社届けをしたもの、先だっての委員会では約十五団体と説明されました。また、届けばしていないが、同じような方向をたどっているもの、これが五十団体と説明をされましたが、一体この十五団体、五十団体というのは、どういう団体であるのか、この際、明らかにしてほしいと思うのであります。(拍手)  次に、私は、警察をはじめ暴力団を取り締まる立場にある機関、これが必ずしも暴力団に対して、き然とした態度をとっておらない、その姿勢を正すことが大事であると申し上げましたが、それらの点につきまして、若干お尋ねをいたします。  まず、警察でありますが、警察は、まる腰の労働者あるいは市民に対しましてはずいぶん強く当たるのでありますが、暴力団に対してはわきめて低姿勢であることがあるのでございます。警察は、暴力団と適当に連絡をし、情報を平素から取っているようでありますが、ミイラ取りが取られてしまうといいますか、いつの間にか、こう両方が親しくなって、何かこう抜き差しならぬようになっているようなところもあるのではないかと思います。世論がやかましく沸騰してまいりますと、放置できないものですから、最近は相当手入れをされておりますが、しかし、なかなかその暴力団の中心人物まで及ぶということはないのであります。こういうところに、警察がやるやると言いながら、本質的な弱点があるのではないかと思うわけでありまして、(拍手)国家公安委員長の忌憚のない所信を伺いたいと思います。  それから、次に、警察庁や裁判所でありますが、これも、暴力団に対してたいへん寛大過ぎるのであります。これはもうたくさんの事例がございますが、たとえば、私はいま、昭和三十八年中に東京刑事地方裁判所で判決の言い渡しがありました傷害事件の中で、銃砲刀剣類を用いて行なったそういう事件の表がここにございます。その一番初めのものを申し上げてみますると、粟野某、傷害前科二犯でありますが、短刀を使って今回三回目の傷害事件を起こしました。これに対して、検事の求刑がわずか十ヵ月であります。しかも、裁判所は、求刑どおり十ヵ月の判決をしましたが、執行猶予をつけているのであります。皆さん、法律をもっと強くしなければならぬとか何とか言っておりますが、傷害罪は法定刑最高十年であります。それに対して、前科二犯の傷害をやり、今回は刃物でもってさらに同じことをやっているのであります。それに対してわずか十カ月ということで、世間が一体承知をするでありましょうか。こういうところに、現在の検察庁や裁判所が、世間とはまるっきり違ったことを考えているのではないかという点があらわれているのであります。法務大臣にこういう点を確かめますと、法務大臣は、検察官や裁判官のおやりになったことについては、どんなに世間から批判がありましても、どうも批判をするのを好まれないようであります。私はこの際、こういう検察庁や裁判所の姿勢でいいのかどうか、総理大臣の所信をひとつ明らかにしてほしいと思うのであります。  それから、次に、法務大臣にお尋ねをいたしたいのは、今月の十六日から法務省で検察長官会同が開かれましたが、一体、暴力団体対策としてどのようなことが論議され、決定されたのかを、ここで明らかにしてほしいと思うのであります。  次に、警察、検察庁、裁判所、もう一つ残っているのは刑務所であります。ところが、刑務所におきましても、暴力団はひそかに特別の便宜を与えられていることがないかという点であります。これも抽象的にお聞きをすれば、そんなことはないとおっしゃるでしょう。私は事例を一つ申し上げてお伺いをいたします。先日、東京の暴力団の林一家の手入れに関連いたしまして明らかになったことでありますが、元新潟刑務所長をしておりました西川某という人が、この林一家の顧問となりまして、毎月顧問料をもらっていたことが暴露いたしたわけであります。このことに関連いたしまして、法務大臣に具体的に、以下四点を明らかにしていただきたいと思います。第一は、一体この西田某と林一家の関係というものは、いつごろから始まったものであるか、これが一つ。それから、刑務所に入った林一家の諸君が、西田を通じまして特別な扱いを受けていたのではないかどうか。第三には、顧問料をもらっていたというが、一体、毎月どの程度の額のものであったのか。それから第四には、こういうことはたまたま西田と林一家として発覚したわけでありますが、しかし、これ以外にもこのような類似の関係というものがあるのではないか。暴力団は再々刑務所に出入りするので彫ります。常習犯が多いから、ことにそうなるわけであります。だんだん出たり入ったりしているうちに、刑務所の関係者といつの間にか親しくなりまして、そうして、暴力団からいうならば、何かしばらく別荘にでも行ってくるような感じでいるものがあるのではないかということであります。公式にこういうことを聞きますと、そんなことはないと否定されるでしょう。しかし、私たちはそういう感じを受けるようなことが間々あるわけでありまして、そのことが、今回、林一家と西田某との間の関係で具体的に出てきたわけであります。そういう点で、一体、法務当局も反省すべきものはないのかどうか、この際、明確に答えてもらいたいと思います。  次に、私は、資金源の問題についてお尋ねをいたします。この点については、たくさん問題があるわけでありますが、その中の常習恐喝という問題についてだけ総理の見解を伺うことにいたします。  暴力団が恐喝を繰り返して、市民に迷惑をかけていることは、世間周知の事実であります。たとえば一、二の統計をとってみましても、昭和三十七年の恐喝による検挙人員総数、二万五千三百三十名おるわけですが、このうち三四・八%の八千八百八名が暴力団によるものであります。昭和三十六年の同じ統計によりますと、二万六千九十九名の中で、三九・四%の一万二百八十七名が暴力団によって行なわれているのであります。もし暴力団対策を政府が本気に考えているというのであれば、何ゆえにこの常習恐喝者を重く処罰することを考えないのでしょうか。政府は、私のそういう意見に対して、それは犯罪の性質が違う、したがって、今回は取り上げなかった、こういう法律技術論を言うのであります。しかし、世間が必要としているのは、そんな法律技術じゃなしに、世間の望んでいることを、多少筋が通らぬでも早くやってくれというのが要望なんでございます。政府にほんとうにその気さえありまするならば、たとえば刑法二百四十九条の二として、常習恐喝という規定を設けまして、前条の行為を常習としてやった者は幾ら幾らにすると、簡単に書けるのであります。そういうことをやる気があるかないかの問題なんでございます。そういうものが出まするならば、これは暴力団対策であることは明確なわけでありまして、われわれ社会党としても反対するわけがありません。こぞって賛成することになるわけであります。なぜ一体こういうことをおやりにならないのか。区区たる法律論を述べたって、世間では承知はいたしません。その被害者がたくさんいるわけであります。池田総理は、もうこの国会にはもちろん間に合わないわけでありますが、この常習恐喝を取り上げて何とか追及するということにつきまして、ほんとうに近く具体的に取り組むかどうか、この際明らかにしてほしいと思うのであります。  時間がだいぶたちましたが、再質問の関係もありますので、その他の点につきましては、簡単にまとめて、池田総理に以下三点お尋ねをすることにいたします。  第一は、最近のラジオ、テレビなどを見ておりますと、簡単に人を殺傷する場面があります。報道の自由を守りながら、何とかこういう点について適正な措置がとれないものかどうか、どういうふうにお考えになっているか、承りたい。  第二は、銃砲刀剣、ことに銃でありますが、これが簡単に暴力団の手に入るようになっておりますが、何とかこういうことがもっと引き締められるように制度を改正する必要があるのではないか、所信を承りたい。  最後に、私は、以上、暴力団を追い詰めることばかり聞いたわけでありますが、しかし、彼らも同じ人間であります。彼らがまじめな生活に入っていくためにはどうしたらいいのか、そういう面の積極的な考えというものを、総理大臣としては当然持つべきだと思いますが、御所見を伺いたいと思います。  それから、最後に一点、条文についてお尋ねいたします。法務委員会におきましても、あるいはこの本会議におきましても、いわゆる銃砲刀剣類という概念は、銃砲刀剣数等所持取締法により定義されているものと同一かと、こういう説明をされたのでありますが、しかし、法制審議会の第二十七回の総会におきましては、同じ法務当局が、「両者は法律の性質が異なるものであるから、その間多少の出入りはあると思う、」と答えているのであります。明らかにこの答弁が食い違っているのであります。法務大臣に明確な説明を求めておきます。(拍手)   〔国務大臣池田勇人君登壇、拍手〕
  24. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) お答えいたします。  御質問の第一点の、昭和三十五年六月十五日の安保騒動における事件に対する判決でございますが、これは、判決の内容を十分検討して、当事者がその態度をきめるべき筋合いのものと思います。  次に、暴力行為等処罰に関する本法の改正は、先ほど来申し上げておりますとおり、労働運動を弾圧しようとするものではございません。あくまで暴力だけに関するものであります。労働運動を行なう場合、それがわれわれが暴力と認めるという行き過ぎの行為につきましては、これはこの法律で取り締まりますが、単なる大衆運動をこの法律によって取り締まろうという考えは、従来もないし、今後もあるべきものではないと考えております。  また、政治家の暴力団との関係についての御覧間でございますが、元神戸市長が暴力団の仲介の労をとったと伝えられておることは聞いております。しかし、それがはたして事実かどうか、また、何ゆえにそういうことをしたかということは、私は存じませんので、ここでそれに対する批判をすることは差し控えたいと思います。また、大野元副総裁が暴力団を激励したかどうかということは存じませんし、また、それがほんとうの暴力団であったかどうかということも、私はつまびらかにいたしておりません。また、元法務大臣が暴力団の葬儀の際に花輪を贈ったということにつきましては、以前御質問があって、お答えを留保しておきました。調査いたしましたところ、元法務大臣の選挙区内の者が死亡されたときに、法務大臣の許可なしに、秘書が独断で花輪を贈ったということを聞いております。これをもってお答えといたします。  また、暴力団が政治に介入するということは厳に慎まなければならない問題でございます。われわれは、暴力団が政治に介入することは、極力あらゆる方法でこれを防止するよう、取り締まりを十分にいたしております。  また、量刑の問題について御質問がございました。たとえば前科二犯の者が刀剣で暴行をした、人に傷害を与えたときに、十ヵ月で執行猶予とはこれいかんというお話でございますが、私は、量刑の問題につきましてはとやかく申しません。われわれの考うべきことは、そういう現行法を改めて、あまり軽い罪ではよくないというので、今回これの改正をお願いしておる次第であります。  また、暴力団の恐喝による資金獲得、これはお話のとおり、常習的恐喝に対して刑を重科するという考え方はございます。今回は、これは財産犯罪であるということから重科の措置をとらなかったわけでございますが、常習恐喝によって資金を獲得しようとする行為に対しましては、将来検討していきたいと考えております。  なお、ラジオ、テレビにつきまして、いままでこういう放送事業は、事業者の自主的判断にゆだねておるのであります。しかし、最近におきましてお話のような点がございますので、政府におきましても、放送法関係の改正につきまして、いま検討をお願いしておるのでありますが、私自身も現状に満足しておるものではございません。できるだけ、青少年犯罪対策といたしましても、こういうラジオ、テレビにつきましての、暴力行為を、何と申しますか、刺激することがないよう、今後努力していきたいと考えております。  なお、暴力行為の取り締まりにつきましては、先ほど来申し上げておりますごとく、青少年対策、あるいは教育問題、あるいは社会福祉関係等、政治のあらゆる面に関係しておるのであります。私は、経済の成長と同時に、人づくりということを主張するゆえんも、ここにあるのであります。他は関係大臣よりお答えいたします。(拍手)   〔国務大臣赤澤正道君登壇、拍手〕
  25. 赤澤正道

    ○国務大臣(赤澤正道君) 昨日の東京地裁の判決は、私といたしましては、たいへん意外に思っておるのであります。当時の状況にありましたのは、原告たちと、国会構内への侵入を企図する暴力等とを明らかに識別することは、全く不可能でありまして、これを暴徒とともに排除したことは当然の措置であったと考えております。今後のことにつきましては、判決書などを十分に検討いたしました上で、東京都及び警視庁と連絡をとって決定することになると思います。  次に、暴力的な団体で、政治結社として届け出、または届け出をしないで現実に政治活動を行なっている団体名を発表されたいと要求されております。いわゆるばく徒、テキヤなどの流れをくむ団体で、政治資金規正法に基づき、政党、協会、その池の団体として届け出を行なっておりますものは、警察は委員会で十五団体と申したようでありますが、最近では、広島では共政会、東京では松葉会などがあります。ただ、これらの団体名を一々本会議場で発表いたしますことは適当と考えませんので、この際差し控えたいと思います。また、届け出をせずに意欲的な活動を行なっております団体は約五十団体に達しておりますが、現在のところ情報の段階でありますので、同じく発表は差し控えます。(拍手)   〔国務大臣賀尾興宜君登壇、拍手〕
  26. 賀屋興宣

    ○国務大臣(賀屋興宣君) 御質問のありました数点につきまして、順次お答えを申し上げます。  最近に催しました検察長官の会同におきまして、暴力対策につきましてどういうことを審議したかという御質問だと思いますが、昨日この会議は終わりましたばかりでございまして、いまだ十分の報告を得ておりませんが、ただいままで私の承知いたしておりますことはこういう点でございます。  一つは、検察官及び検察事務官の増員でございまして、この点は、ひとり暴力犯罪のみに限るわけではございませんが、非常に、至るところ手不足でございます。特に暴力犯罪等の増加及び重要性にかんがみまして、増員を必要とすると、これが一つの点でございます。  また、暴力犯罪に対しまする検察の仕事が迅速適正に参りますように、全国の各地方検察庁に暴力係検事及び交通係検事等を置きまして、関係資料の収集整備をはかり、また事案の適正なる処理をはかる、かような点につきましても研究をいたした次第でございまして、そのほか、この暴力事犯に多くの関係を持っておりまする精神障害者の犯罪、その他の常習犯罪者対策といたしまして、各地方検察庁に簡易診断室を設けて、被疑者、被告人の資質に応じまして、十分の検討と、また適正なる処分、求刑等の意見の開陳を行なうために、かような、いわゆる科学的方法につきまして格段の配慮をしたい、かような点であります。  それから、これも暴力的犯罪に関係が深いのでございますが、少年犯罪につきましては、この少年法の改正ということも研究しなければならぬ。たとえば、検察官に先議権を認めますとか、審判立ち会い権及び不服申し立て権を認める必要があるかどうか。それから、少年の刑事責任の年齢を実情に応じて引き下げるべきときまで来たのではないか、かような点も研究問題でございます。  ほかの点もそうでございますが、ただいま申し上げましたような点は、慎重な研究を要することでございまして、会議の結果等も検討いたしまして、十分慎重に研究を進めたい、かように思う次第でございます。  その次に、元新潟刑務所長でありました西田某、これが暴力団体のかしらと申しますか、それと関係がある犯罪を犯したと、かような事件につきましての御質問でございます。これは、以下申し上げますように、全く在職中には何ら関係がなくて、退職後に起こりました問題でございますが、しかし、それにいたしましても、元刑務所長でありました者が、かくのごとき行為があったということは、まことに遺憾しごくなことでございます。十分な反省を必要とすると考えておるところであります。  それで、その事件のいきさつを少し事実を申し上げさしてもらいます。お尋ねの件は、新潟刑務所長から勧奨退職をいたしました西田直が、その後、暴力団と認められる林一家の顧問団として、債権取り立ての名のもとに、恐喝未遂を働いたという事件でございますが、検察当局として詳細を取り調べましたところ、西田は、昭和三十五年から新編刑務所長となり、三十七年の三月に退職をいたしておるのでございます。その間、林一家の幹部の林勇太郎が受刑者として、右新潟刑務所に服役しておりました事実があります。しかし、当時の両者の関係は、単なる所長と受刑者という関係のみでございまして、何らそれ以上に観ておるものは見えません。したがいまして、西田、林一家との間に、種々便宜を供与する等の不正行為が行なわれました事実は認められないのでございます。それならば、どうして両者の因縁が生じたかと申しますと、西田が林勇太郎と再会しましたのは、昭和三十八年八月ごろのことでございまして、西田が偶然出入りの左官職をたずねました際、林勇太郎に出会ったのでございます。それが両者の結びつきの初めでございまして、全く退職後の事実でございます。なお、その顧問料等についてお尋ねがございましたが、検察当局の捜査によりますと、西田が最初、林一家のやっております常磐商事の不動産部で働いたのは、昭和三十八年九月と十月の二カ月でございました。九月末に三万円、十月末に二万円の報酬を受領しているということでございます。その後、働く関係を終えまして、本年二月下旬に至り、毎度林勇太郎の依頼を受けまして、常磐商事の金融部の顧問となり、毎月三万円の報酬の約束で働くようになった、かようなことでございます。まことに遺憾な事件でございまして、絶対に今後かくのごときことがないように、厳重に反省をし、一同心を新たにしまして、この種の事柄の絶滅を期したいと存ずる次第でございます。  なお、暴力行為の銃砲刀剣類、この解釈につきまして、法制審議会における審議のいきさつ等に矛盾があるのではないかと御不審の点がございましたが、お尋ねのありました法制審議会が開かれましたのは、昭和三十七年十二月から昭和三十八年一月にかけてのことでございまして、まあ私の着任前でございますが、事務当局の銃砲刀剣類についての解釈について若干の見解に変更があったことは、報告を聞いておる次第でございます。しかしながら、これはまず当初、法制審議会において、事務当局が、この法律案第一条ノ二のいわゆる銃砲または刀剣類は、ほとんど銃砲刀剣類等所持取締法第二条に定義をされているものと同一であるが、飛び出しナイフなどで多少の出入りがあると思われると、説明をしていたのでございますが、後に、銃砲刀剣類等所持取締法第二条に定義されているものと同一である、そう解するのが妥当であると思うと、若干解釈を変更したものにすぎないのでございます。その間、大きな見解の変更を行なったものではないのでございます。そうして、この解釈の変更を法制審議会の審議の過程においてすでに統一的に決定せられたものでございまして、国会説明の段階において突如として変更されたものではないのでございます。法制審議会においては、法律の用語は特段の事情のない限り統一的に解釈するのが適当であること、さらに、銃砲刀剣類等の定義規定を設ける必要がない理由も、当然そのように解釈できることにあるということが確認された次第でございます。右のような次第でございまして、解釈に変更を生じたということは研究の過程でございまして、その後は法制審議会において解釈が確定いたしておる、かような次第でございます。何とぞ御了承をお願い申し上げます。(拍手)   〔亀田得治君発言の許可を求む〕
  27. 重宗雄三

    ○議長(重宗雄三君) 亀田君。   〔亀田得治君登壇〕
  28. 亀田得治

    ○亀田得治君 まず、総理に、不明確な答えがありました点につきまして、一、二点お伺いいたします。  その第一は、五月二十五日の松葉会と本多会の縁結びの問題につきまして、それが事実かどうかわからぬようなことを言われましたが、法務委員会でこれは警察当局が事実自体は認めているのであります。私は、この問題については、突然聞かれましても、総理としては、なかなか一々そんなことは知っておられないと思いましたから、事前にちゃんと、このことは聞きますよと通告をしてあるわけであります。したがいまして、やはり私は、事実は事実として認めて、その上で、総理の見解をもう一度はっきりお願いをしたいと思います。  それから第二は、この本多会の二代目跡目披露式に大野伴睦さんが出席された問題につきまして、それが暴力団かどうかわからぬようなことを、いま、その答弁の中で言われました。しかし、ここに警察庁の「警察の窓」という文書があります。この中に、暴力団が犯した犯罪の事例というものが載っているわけであります。その二二ページを開きますと、「本多会員四人は、」云々というふうに、ちゃんと事例として書かれているわけであります。したがって、こういうことは警察のほうでは明確なわけでありまして、国家公安委員長、この点ひとつ明らかにしてほしい。それを聞いた上で、海田総理の答えを、もう一度その点に関し居てはっきりしてほしいと思います。  それから次に、公安委員長にお尋ねいたしますが、あなたは、ずいぶん高姿勢な答弁をされましたが、自分たちが判決で負けたからといって意外だというふうなことばをお使いになることは、はなはだ注意しなければならぬことじゃないかと思います。皆さんは、三権分立、行政府の中の重要な人なんであります。裁判所の判決を、自分の都合のいいものについては、適当に、われわれが非難しても使っている。自分に都合の悪いものについて、一体、そういう判決全部を読まぬうちに意外だというような発言を、公式に堂々とされていいものかどうかをはっきりしてもらいたい。  ことに公安委員長は、六・一五事件の中身に入りまして、あの教授の皆さんがおられたところは学生と区別ができないところなんだというふうなことを、いまここで、はしなくも一言われましたが、もちろん、どこにどういう状態でおられたかは、裁判所も十分調べて検討しているわけであります。そういうことを簡単にここで言われますと、裁判に対して行政府というものはどんな考えを持っているのだろう、砂川判決のような、そういう都合のいいところだけは使って、都合の悪いものに対しては非難をする、これではおかしいじゃありませんか。その点につきましては、再度あなたの考え方を聞きたい。
  29. 重宗雄三

    ○議長(重宗雄三君) 亀田君、時間です。
  30. 亀田得治

    亀田得治君(続) 時間がありませんので、もう一点追加してお願いしますが……
  31. 重宗雄三

    ○議長(重宗雄三君) 亀田君、時間です。
  32. 亀田得治

    ○亀田得治君(続) 暴力団の名前をあなたは先ほど二つだけ言われた。しかし、あと十三どうしてこれが言われないんでしょう。こういうことは堂々と、やはり委員会なり本会議等で発表して、実態というものを世間の皆さんに知ってもらう――なかなか暴力団対策は、そんななまやさしいものでは私はないと思っている。そんな新暴力法をちょっとつくったりして解決する問題じゃありません。実態をほんとうに知ってもらうためには、質問があれば、それをいい機会にして、どんどん実態をさらけ出して、みんなでこれを真剣に考えるということが、私はほんとうじゃないかと思う。この点について、もう一度考えをはっきりしてほしい。  法務大臣に一点だけお伺いいたします。法務大臣は、検事長会同におきまする論議につきまして、たいへん長い御説明がありましたが、大事な点の説明が抜けていやせぬかと思います。検事総長馬場さんは私とちょいちょい意見の違う方でありますが、しかし、この会同に臨みまして、いままで暴力犯罪、暴力団に対する裁判所なり検察庁の扱いは軽過ぎる。こういうことをはっきりと訓示をしているわけであります。私は、この暴力団問題のやかましいときに、当然、検索総長のこの発言というものは重大な議題になっておるんじゃないかと思いますが、そういう点についてなぜもっとはっきりおっしゃらないのか。結局、いままで裁判所や検察庁がやっていたことは、暴力団については軽過ぎたということを自白するようなかっこうになることをおそれているんじゃありませんか。そういうことじゃなしに、いままで軽かった、扱いが悪かった、これからしっかりやろうと。それで済むわけでありますから、くさいものにふたをするようなことをしないで、なぜもっと真相を明らかにしないのか、お伺いいたします。(拍手)   〔国務大臣赤澤正道君登壇、拍手〕
  33. 赤澤正道

    ○国務大臣(赤澤正道君) お答えいたします。  私は、自分で感じたことを率直に申しておるわけでございまして、安保のあの事件のときは、私はジュネーヴにおったのでございます。あの乱闘のありさまというものは、ILO事務当局のモース事務局長の机上の新聞紙で見ました。これはたいへんな混乱だなという判断をいたしましたが、当時私はこの目で見ておりませんので、やはり私といたしましては、判決をざっと見まして、意外だという感じがいたした。とのことを率直に申し上げた次第でございます。なお、当時の詳しいいきさつにつきましては、また他の日に警察当局から、お答えいたすと考えます。  それから十五団体を、警察庁のほうでは委員会で答弁をいたしたようでございますが、その十五団体の側々の名前をここで述べよということでございましたので、長々とたくさんの団体名をあげることもいかがかと考えまして、私は適当でないと申し上げたのでございますが、いやしくも参議院の本会議の席上でございまするので、警察当局が十五団体と申し上げたことについて、はっきりと団体名を申し上げます。松葉会、日の丸青年隊、錦政会、愛国青年連盟、猶存社、桜誠会、新洋会、磐竜会、救世合掌連盟、全山梨愛国団体連合会、錦政会山梨県支部、三政会、共政会、大日本愛国大衆党、大日本八紘会。以上、警察庁で調査いたしております。(拍手)   〔国務大臣池田勇人君登壇、拍手〕
  34. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) 再度の御質問でございますので、私の調査したところを率直にお答え申し上げます。松葉会と本多会との、跡目披露の会に、故大野副総裁がどういう経緯で出席されたかは存じません。また、大野氏は、松葉会等が暴力団であるということを十分知っておられたかいなかも存じません。また、それを、暴力団であるということを大野さんが承知の上で激励せられたかどうかということも知らないのであります。これが私の調査した範囲でございます。(拍手)   〔国務大臣賀屋興宣君登壇、拍手〕
  35. 賀屋興宣

    ○国務大臣(賀屋興宣君) 最近に行なわれました検察長官の会同における検事総長の訓示のことでございますが、暴力犯罪を軽視して荊を軽く決定するやのお尋ねのように伺いましたから、私は、そのとおりですということは申し上げなかったのであります。刑が軽いという客観的事実は、われわれもそう考えているのであります。しかしながら、暴力団を軽視して軽い刑を科したという、そういう意味ではないと思うのでございまして、ただいまは、現行法は、御承知のように、最下限はゼロまでいくのでございます。そういうふうな刑の法定になっていることは一つの原因ではないか。それゆえに、先ほど総理大臣がお答えいたしましたように、刑の最下限を引き上げることを御審議を願っている次第でございまして、刑が軽過ぎるということの批判はございますが、それは、裁判所が暴力行為を軽視して軽くやっておる、そういう次第ではないと思うのでございます。
  36. 重宗雄三

    ○議長(重宗雄三君) これにて質疑の通告者の発言は終了いたしました。質疑は終了したものと認めます。   ―――――――――――――
  37. 重宗雄三

    ○議長(重宗雄三君) 討論の通告がございます。順次発言を許します。稲葉誠一君。   〔稲葉誠一君登壇、拍手〕
  38. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 私は、日本社会党を代表し、ただいま議題となりました暴力行為等処罰に関する法律等の一部を改正する法律案に対し、反対の意見を表明します。あわせて、公明会、民主社会党の修正案に対しても、同様反対をいたします。  なぜ反対するかの前に、一言どうしても論じねばならない点があります。それは、言うまでもなく、六月十七日の夜、自由民主党の諸君により、全く法を無視した、法案の強行採決が行なわれたことに関してであります。申すまでもなく、国会は言論の府であります。六月二十六日の国会最終日まで十日もあるにかかわらず、自由民主党の諸君は本法案をしゃにむに通過せしめんといたしました。質疑打ち切り、討論省略の動議の完了せざるうちに、中山委員長不信任案が提出されたのであります。このことは、当時の写真その他によって明白であります。当然議事は中断すべきであり、その提出後に行なわれた採決は、違法、向こうであることは、何人も、少なくとも国会議員としての良識を有する諸君なら、御存じのことであると考えるのであります。(拍手)自由民主党の諸君は、胸に手を当てて考えていただきたいのであります。こういうようなことを知っていて、それをあえて行なうがごときは、みずから国会議員としての誇りを路上に捨てて恥じざるものと申しても過言ではございません。私は、自由民主党諸君のために、この点深く悲しむものであります。と同時に、そのファッショ的行動に強く抗議し、反省を求めるものであります。ファッショは滅びることは世界の歴史の示すところであります。遠く、ヒットラーにしろ、ムッソリーニにしろ、あるいは東條英機――これはここにおられる賀屋興宣大臣のかつての同僚でございまするが、こうした人々は滅んでしまいました。それは、無法な、ファッショ的行動をとったからであります。私は、こうした行動をとった自由民主党の諸君が、日ならずして必ず滅びる日があることを断言してはばからないのであります(拍手)  また、私どもは、中山委員長の、老齢にして、その可憐なるにかんがみまして――なかなか可憐なところもございますので、可憐なるにかんがみまして、しかもなお、同委員長が血圧が低い、そういうようなことも聞いておりましたので、もしものことがあってはというふうなことも考えまして、私どもはきわめて慎重な行動をとったのでございます。非はあげて自由民主党のみにあることは、国民諸君のひとしく認めるところであると私は確信をいたすのでございます  私どもがこの法案に反対する第一点は、本法そのものの持つ弾圧法的本質に由来をいたします。法務省刑事局の刑事課長は「法律時報」という雑誌の中に、かように書いております。「大正十五年ストライキ弾圧を規定していた治安警察法第十七条が廃止されるに際し、その「すりかえ」として制定された悪法であり、爾来今日に至るまで労働運動等を弾圧してきたものであるが故に、」云々との質問を援用した後に、「私はまず、果して同法が「すりかえ」的弾圧法であったかどうかというようなことは、厳正公平な歴史的考証を要する事実問題であり、しかし簡単に論断すべき限りではないと思う。」、こう述べているのであります。私は、このことによりまして、歴史的考証を要する事実でございまするから、歴史的なものとしてこの問題を質問をいたしてまいりました。  法務委員会の質問において明らかにされたように、治安警察法十七条は、大正十五年の四月九日に廃止になりまして、翌十日暴力行為等処罰法が公布になったのでございます。しかも、立法者の一人であり、当時の司法省刑事局参事官、前の最高裁判所の判事である池田克氏は、かように述べております。「治安警察法第十七條、第三十條の其の廃止理由と刑法の暴行、脅迫の規定と暴力行為處罰法との関係を考へてゐるのである。」と述べ、この三つの関係を考えていると述べまして、労働運動等の場合に暴行脅迫が行なわれたときは、一般刑法の適用をもって足るものとして、治安警察法を廃止したのであり、労働運動等の行為の場合における暴行脅迫につきその刑罰制裁を加重せんとしたのではないと、かように述べているのであります。これを要するに、当時の立法者は、一般刑法より重い刑罰を規定しておりまする本法を、労働争議の場合などにたまたま派生した暴行脅迫事件には適用しないで、これは一般刑法をもってすべきであると考えておりました。さらに同様、池田前最高裁判事は、「第十七條に規定せられて居た行為は、團體員の個々の軍獨犯のみならず犯罪形態として敷入共同の行為及團體乃至多衆の行為をも豫定してみたのであるから、同條の規定した特殊の場合の特殊の行為に関する限りに於ては、夫れが假令形式から見て暴力行為處罰法の規定する犯罪の構成要件を具備してみても、同法の適用が無いのではあるまいか。若しも然らずとせば、第十七條廃止の精神は没却されることになるのではあるまいか。」、かように述べておるのであります。   〔議長退席、副議長着席〕  さらに、現職の谷口正孝判事は、「裏切られた立法理由」と題しまして、「本法が制定以來、専ら争議行為の取締りに向けられ完全に立法者の意思を裏切ってしまったのである。」、かように述べて、本法の誤った適用を、現職の判事が鋭く批判をいたしております。争議に際しましては、正当争議行為は保障するも、違法なそれまでをも許すものではない、ということから、直ちに飛躍をいたしまして、したがって争議行為についてもとの法律の適用があると断定するがごときは、結論を予定をいたしたものであるとの非難を免れないのであります。本法制定後の運用については、当時の司法大臣が、「労働運動であるとか、あるいは小作争議であるとか、もしくは水平運動であるとかいうがごときものを取り締まるという目的は、毛頭持っておらぬのであります。」と、繰り返し答弁をしているのでありまするが、その後においては、労働争議はもちろんのこと、農民運動や市民的大衆運動、学生運動にまで、弾圧のほこ先を向けてきたのが、この法律の偽りのない歴史でございます。敗戦後、新憲法によりまする国民の基本的人権の確立、労働基本権の保障が宣言された現在においてさえ、その実体に変わりなく、むしろますます弾圧の機能を発揮いたしております。単にからだに触れたとか、大きな声を発したとか、ビラ張りをした、腕をつかまえたとか、当然、可罰性のない者まで広範囲に、逮捕、勾留、裁判を受けております。三池の争議に例をとりますと、受理をした者が六百六十四名、起訴が四百十七名、略式八十二名、嫌疑なしが百三十四名、無罪二十七名となっております。受理の人員が著しく多い。しかも、嫌疑のないという者も多いのであります。無罪になった者の率も、全国年平均が普通〇・四%ぐらいでございまするが、一二・九%と著しく高いのであります。とれらが何を意味するかといいますると、非常に多人数の者を争議の中におきまして逮捕、勾留をし、しかも、その中に犯罪の嫌疑なき者まで多数含まれております。これらは、いかに警察・検察当局が争議団を抑圧するために、多数を乱暴に、十分な法的根拠なく逮捕し、起訴すべからざる者まで起訴して、多数の無罪者を出し、人権じゅうりんをあえて行なっているかの、一つの証拠であると断言できると思うのでございます。(拍手)  政府は提案理由で、「最近における暴力犯罪、特にいわゆる暴力団その他の暴力的不良団体の構成員等による暴力行為の実情にかんがみた結果」云々と申しております。なるほど、もし文字どおり暴力団その他の暴力的不良団体等の暴力事犯に対処するためのものであるならば、大多数の国民のひとしく熱望してやまないところでありましょう。しかし、事実が異なることは前の適用例等が示すところであります。法務省の統計によりましても、昭和三十二年に七十九百五十七人のうち暴力団関係が三千四言六十八人、四三.六%、それ以外の者が四千四百八十九人、正六・四%、三十四年には暴力団閥係が四三・二%、ほかが五六・九%、三十五年は暴力団関係三八・一%、ほかが、六一・九%、三十六年は暴力団関係四二・三%、ほかが五七・七%と、いずれも暴力団関係者より、他の著すなわち労働組合や大衆団体等に、より多く適用されているのであります。本改正案は、かかる巧妙悪質な本法の本質をますます深めるものであります。さればこそ、本法を知る者は強くこれに反対をいたしているのであります。ここに反対の第一点がございまにす。  第二に、政府当局は暴力団取り締まりに全く熱意を欠いている。この熱意の欠乏を、本法の改正があれば暴力団対策完全なるかのごとく宣伝することによって、みずからの怠慢をカムフラージュし、責任をのがれんとしているのでありまして、この点は断じて許すことができないのでございます。(拍手)  法務委員会の審議全体、あるいはただいまのこの本会議の審議を通じて明らかにされましたことは、自民党の諸君すら認むるごとく、政府当局はその答弁において全く憶病であります。そしてまた、すべてしり込みをいたしております。このことは、暴力団対策につき、政府が全く熱意を持っておらないことを意味するものであると考えるのであります。いま亀田議員が質問をいたしました大野副総裁の件にいたしましても、これはすでに三月の本会議において総理に質問をいたしているところでありますから、当然その間、いままでの間に、同氏に十分聞きただすことができたはずでございます。それらのことすらなおやらないところに、政府当局の熱意のなさを私どもは知ることができるわけであります。赤澤国家公安委員長の答弁につきましては、委員会において自民党の諸君すら、これでは困ったものだ、これではどうもいけないということを、再三申しておったのは事実でございまして、そういうように、全体としてこの問題に取っ組む姿勢に欠けているところに大きな問題があるわけです。暴力団なるものの定義すら十分に確立しておりません。一定集団が暴力団であるかどうか問われても、極力逃げの一手であります。何とかその場をのがれんと必死であります。私自身は、その点を質問していて、あるいは他の委員の質問を聞いていて、むしろ気の毒にさえなりました。暴力団の資金源については、経済界や政界より出していると言われながらも、そのルートを断つ対策は全然やっておりません。やろうと思えばすぐやれる経済界や政界への調査は、だれに遠慮してか全く行なわれておらないのであります。政府当局がもし暴力団取り締まりに熱意を持つならば、これらと政界・経済界とのくされ縁を徹底的に切るべきであります。これは本法の改正とは全く関係がなくて、やろうと思えばすぐにでもできることであります。これらをやらないところに私は問題があると思います。政府は、これらのものを調べるのは、やりにくい点があるのだということを答弁いたしております。これは政界なり経済界を調べるというのは、どうも当局としては、やりにくいのだということを、委員会の中で当局は、はっきり答弁をしているのであります。正直といえば正直であるかもしれませんが、ふがいないといえば、ふがいないと思わざるを得ないのでありまして、まことに失笑を禁じ得ないのであります。近来これらのものは、国、地方の政治勢力と強固に結びつこうとしておりますが、どのような政治結社がどのような政治勢力に結びつこうとしているのか、言を左右にして答えないのであります。こんなことは自明の理でありまして、自民党の議員すら、時のその政治勢力すなわち保守党に結びつこうと暴力団の政治結社がしていることは当然だと、私的に言っている人さえございます。私は、自由民主党が暴力団に結びつこうとしていると言っているのではございません。その逆の暴力団関係政治結社が保守党に結びつこうとしているということを、なぜ遠慮して政府当局は言わないのでしょうか。取り締まり当局が暴力団をおそれ、保守党をおそれる態勢で、どうしてこの問題に本腰が入るといえるでしょうか。(拍手)労働争議にあたり、組合に対抗をいたしまして、暴力団の介入することが近来顕著でございます。たとえば、三井三池、主婦と生活、成光電機、田原製作所、メトロ交通、日本ロール、司自動車等々、枚挙にいとまがありません。資本家が暴力団を雇い入れるということは、政府もしぶしぶ認めました。役に立つから金を払って雇い入れるのでありましょう。資本家は暴力団を雇って争議を抑圧し、その資本家は保守党に多額の献金をするわけでございます。その暴力団を雇っている資本家というのではなくて、一般論でございますが、政府、保守党は労働者等を事ごとに弾圧をいたします。言うなれば、暴力団を温存したほうが資本家なり保守党にとりて有利であるとの判断から、暴力団取り締まりに熱意を示さないのではないかとの疑いさえ起きてくるのでございます。(拍手)昭和三十六年二月十一日、閣議決定によりまして暴力犯罪防止対策要綱ができましたが、その後ほとんど実行されておらず、多くは検討中とございます。根本問題については、暴力犯罪防止対策懇談会開催をきめておりまするが、そのことが一体どうなったのか、こう質問をいたしましても、さっぱりそのことについてはわからない。こういう政府当局の熱意のなさを、法務委員会の審議の中で一露呈をいたしたのは事実でございます。私は、こういうことではいかぬと思うのであります。暴力団対策は、暴力団の温床をなくし、その社会的原因を除き、抜本的な対策を行なうこと以外に、方法はないのでありますが、政府はこれに対し、何がその抜本策であるかを研究をするということを閣議で決定をしておりながら、これもやらないのであります。元来、こうした暴力団は汚れた資本主義社会の産物であります。清潔な政治の行なわれる社会主義社会においては存在しないものであると私どもは考えるのでございます。汚れた政治、燗熟した政治、退廃た資本主義の末期においてこうしたものが起きてくる。しかも、それを利用し温存せんとする勢力があるかのごとき誤解を生むこと自身は、私は国民の一人として非常に残念に思う次第でございます。(拍手)  本改正案は、委員会において明らかにされ、政府当局も答弁をいたしましたように、暴力団の逮捕、取り締まりそのものには全く関係がないのでございます。これは警察庁の答弁であります。本法の改正なくしても暴力団取り締まりの完全に行なわれることは、その正式な答弁で明らかであります。この改正がなければ、暴力団取り締まりができないかのごとく宣伝をするのは、自己の熱意のなさをカムフラージュせんとする、責任のがれ以外の何ものでもございません。根本策を何らやらず、取り締まりと関係のない改正をもってごまかそうとする態度には、強く反対せざるを得ないのでございます。  第三に、本改正案の内容は、数々の疑問点を持ち、それすら十分に解明されておらず、拡大解釈をされ、弾圧に使われる危険性がすこぶる大きいのであります。本法は、改正案を含めまして、その構成要件が一体幾つあるか、私が質問いたしましても、法務省の専門家すらそれに等えられないほど複雑無比なものでございます。人によれば、二百数十の構成要件がこの法律の中に、わずか三条の法律の中にあると言われるほど、網の目のようにいろいろなものが張りめぐらされているのでありまして、しかも、それが不明確な内容を多分に持っているのであります。亀田委員も質問されましたように、銃砲刀剣類をもって人を傷害した者とありますが……、
  39. 重政庸徳

    副議長(重政庸徳君) 稲葉君……。
  40. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君(続) この銃砲刀剣類の定義そのものがきわめてあいまいであり、銃砲刀剣類等所持取締法の銃砲刀剣類との関係がはっきりしないのであります。  もう少しでありまするから、お許しを願いたいと思います。  所持取締法の拡大、改正により、幾らでも本法の銃砲刀剣類は広がる可能性がございます。また、常習傷害を規定するといたしましても、一体、常習とは何か、それをだれがどのように認定するか、ことに労働事件等においては、警備警察の平常の活動により、争議の中心人物をねらい撃ちに常習傷害で逮捕することもできるのであります。このようなことは、本法改正とは関係ないごとく政府当局は説明をいたしますが、大正十五年、本法制定のときも、政府は同様な説明を繰り返しております。その後その言明に反して、労働運動、農民運動弾圧のために広く利用したことは、よく歴史の示すところであります。だから、この法改正に対し、多くの人が不信を抱くのであります。との不信は、政府当局みずからの過去の行為が悪かったから当然起きたものでありまして、不信を抱くなといっても、それは無理であります。罪は当局にあるとわれわれは考えます。  よく、一部の人は、暴力犯罪に対し裁判所の刑が軽いから刑を重くするのだと主張いたしますが、それなら上の限度を上げるべきでありましょう。検察官自身が十分暴力団を重く処罰する気がまえに欠けているわけです。一つの例をあげますと、昨年十二月二十七日、宇和島市所在の四国自動車株式会社労働組合が、年末闘争を行なって争議をいたしました。島内一家の身内の者が、労組員一名に因縁をつけて、炭火の入った石油かんに押しつける等して全治四日間の傷害を負わせ、同時に脅迫し、他の一名に対し足げにする等の暴行を加えて、脅迫、暴行、傷害の罪を犯したのでありまするが、検察官みずからが、わずか罰金一万五千円で略式請求をしているのであります。全くその形をなしていないと考えるのであります。政治家を先頭にして暴力団対策に当たり、重くすべきものは当然重くし、犯罪の行なわれる温床をなくし、一そう取り締まりを強化すべきでありましょう。明るい清潔な社会こそわが党の目標とするところでございます。  わが党は、ただいままでに詳しく申し上げた点からしておわかりのように、治安立法強化の線に沿い、大衆運動抑圧の危険を持ち、内容もきわめて不明確な本法改正に反対をいたします。他面、改正案が衆力団取り締まりそのものに関係ないことからいたしまして、なすべきことは、取り締まり当局が、政界、経済界、暴力団をおそれず、断固として事に処すべきであると考えるのであります。この決意なくして法を改正せんとするのは、本末転倒であります。一片の法改正によって責任をのがれ、問題を回避せんとする態度に、深く反省を求めて、私の反対討論を終わります。(拍手)   ―――――――――――――
  41. 重政庸徳

    ○副議長(重政庸徳君) 植木光教君。   〔植木光教君登壇、拍手〕
  42. 植木光教

    ○植木光教君 私は、自由民主党を代表いたしまして、ただいま議題となりました暴力行為等処罰に関する法律等の一部を改正する法律案について、両修正案に反対し、政府原案に賛成の討論を行ないます。  近年、暴力犯罪は激増の一途をたどり、特に、いわゆる暴力団がしばしば高度な危険性を持つ凶器を用いて殺傷事犯に及ぶとともに、常習的に暴行傷害等の悪質な暴力行為を行ない、善良な国民の自由と人権を侵害しておりますことは、まことに憂慮にたえないところであります。一日も早く暴力事犯を根絶して社会不安を除去し、法治国家の名にふさわしい社会秩序を回復いたしますため、法制上の欠陥を補い、その整備充実をはかり、適切な対策を講じますことは、われわれ立法府に課せられたきわめて重大な責務であり、当然の使命であると思うのであります。  昨年末におけるいわゆる暴力団の団体数は五千二百十六団体、その構成員の数は十八万四千九十一人であります。前年に比べて八十五団体、二万一千三百八十人の増加を見ているのでありますが、これを四年前と比較いたしますと、団体数において約一千、人数において約十一万一千人も激増しているのであります。しかも、これら暴力団の中には、わずか三十四歳にして前科二十一犯というのがいるのをはじめといたしまして、三十六歳で前科十八犯、二十九歳で十五犯、三十歳で十四犯、さらに、五犯、六犯の者が相当数いるという実情に対しましては、まことに戦慄を禁じ得ないのであります。まさに、その組織構成自体、いわば前科者の集団として、反社会的集団たるの悪性を顕著にしつつあると、断言せざるを得ないのであります。  さらに、われわれが、特に心を痛めますことは、年少者の暴力犯罪が増加し、しかも、非行年齢が低下するとともに、それが集団化の傾向をたどり、暴力団の予備軍化しつつあることであります。国家社会の前途を思い、暗たんたるものがあるばかりでなく、子供を持つ親はもちろん、国民全体のきわめて寒心にたえないところであります。そして、これら暴力団の暴力犯罪の手段方法は、近年ますます危険なものとなり、拳銃や猟銃、日本刀等の銃砲刀剣類を使用して、暴行、脅迫、傷害を行ない、善良な国民に多大の不安と脅威を与えているばかりでなく、その動きは広域化し、勢力伸長のため他府県にまで進出し、いわゆるなわ張り争いをめぐる暴力団相互の抗争事件を各地で起こし、近くは松山事件、大阪市内における暴力団同士の日本刀による乱闘事件等に見られますように、付近住民を恐怖のどん底におとしいれておりますことは、われわれのひとしく痛憤にたえないところであります。  しかしながら、これら悪質な暴力行為者に対する現実の科刑は、遺憾ながら、法定舞の最下限に集中し、狂暴な犯罪者が早期に釈放され、短期の懲役などで罪を償うというような不条理な傾向があるのであります。たとえば、傷害、罪についての通常第一審の科刑の七四・七%が懲役一年未満であるのに反し、懲役五年をこえる者がわずかに全体の〇・一%にすぎないありさまであります。さらに、悪質な暴力犯人が起訴されるやいなや、直ちに容易に保釈となり、再び大手を振ってちまたを徘回し、お礼参りや、いやがらせを行なっておりますのを、すべての国民が不平とし、不満とし、怨嗟の的としていることは、厳然たる事実であります。  今回の政府提案にかかるこの改正案は、まさしく、最近における暴力犯罪に対処し、国民の自由と人権を守るべく、必要不可欠、かつ最小限度の法制の整備強化を目的とするものであり、真に自由と平和と正義を愛するものであるならば、何人も異論を差しはさむことのできない筋合いのものであります。某新聞の社説において、格調高く論ぜられておりますように、この改正案の成立阻止に全力をあげるがごときは、率直にいって、国民の利益から離れ、結果として暴力団に塩を贈ることにもなりかねないと、あえて申さざるを得ないのであります。銃砲刀剣類を用いて人を傷害した罪を、一年以上十年以下の懲役とすること、その未遂をも罰すること、常習暴力犯を重く罰すること、これら悪質あるいは常習的な暴力行為者を権利保釈のワクからはずすことなどを骨子とする今回の改正案は、まことに時宜を得た措置であり、このような悪質事犯の刑罰の強化は、やがては暴力犯罪一般に対する科刑についても、適正な基準、指針を与えることでありましょうし、暴力犯罪取り締まり対策の、いわば扇のかなめの役を果たすものと信じ、国民の期待と世論にこたえて、政府原案に心から賛意を表するものであります。(拍手)  なお、この機会に、一部反対論に対し若干の見解を述べ、いずれもそれが正当なものではなく、単なる杞憂にすぎないものであるゆえんを、明らかにしておきたいと思います。  反対論の第一は、本案が、労働運動、大衆運動の弾圧を企図しているという主張であります。これはまさに、反対のための反対論にすぎないと申さざるを得ないのであります。戦前、本法が労働争議や小作争議に適用され、乱用が行なわれたということを、その論拠にしているのでありますが、ここで明らかにしておきたいことは、労働基本権等が憲法上保障されていなかった戦前においても、本法が農民運動、労働運動そのものに適用された事実は一つもなく、たまたま農民運動、労働運動等に伴って派生した暴行や脅迫、器物損壊等の越軌不法な行為についてのみ適用されたことがあるということであります。しかも、そのような暴力行為に適用されたのは、現行の本法第一条第一項でありまして、今回の改正とは全く関係がないのであります。今回の改正案は、いわゆる暴力団員等の、悪質凶暴、常習的な暴力行為の取り締まりを対象としていることは、さきに述べたとおりであります。一体全体、反対論者は、ピストルや日本刀等を用いる危険な傷害行為や常習的な暴力行為で、労働運動、大衆運動に伴って起こることがあるとでもお考えになっておられるのでありましょうか。暴力革命を企図するならばいざ知らず、われわれの健全な常識からいたしますならば、そのようなことは夢想だにできないところであります。ちなみに、たとえ団結権、団交権、争議権が保障されている労働運動といえども、一たび暴力を行使すれば、その正当性の限界を逸脱したものとして法の保護を受けることができないことは、いまさら申すまでもありません。したがいまして、本法改正案が正当な労働運動、大衆運動の弾圧の具に供せられるなどというような反対論は、全く的はずれもはなはだしいと言わざるを得ないのであります。  なお、銃砲または刀剣類の中にプラカードや旗ざおなどが入るのではないかという御懸念があるようでありますが、銃砲刀剣類の範囲は、現行の銃砲刀剣類等所持取締法に明確に定義されており、この中には、「ほうちょう」やジャックナイフすら入っていない事実を思えば、まことに明らかなところであります。「常習」の概念にいたしましても、それが暴力行為を反復累行して犯す習癖をさすものであることは、長年の判例で確立されており、いささかでも法律を学んだ者にとりましては常識になっており、いずれも乱用のおそれは全くないということをつけ加えておきます。  反対論の第二は、本法を改正する必要はなく、現行法制のままでも、運用を厳正にすることにより、所期の効果をあげ得るという主張であります。さきに述べましたように、暴力犯罪の憂うべき実態並びに取り締まりの効果などから見て、今日いわゆる暴力団を中心とする暴力犯罪に対する科刑の適正な基準を、立法によって緊急に示す必要があるのであります。反対論者といえども、現在の科刑が軽きに失することはお認めになっているはずであります。将来の刑法全面改正の時期を待つまでもなく、現に街の暴力に泣く国民を一刻も早く救い、守ることは、われわれに課せられた厳粛な使命であると信ずるものであります。  最後に、人間の生命身体の尊厳を脅かす暴力は、国家社会共通の敵であります。いやしくも暴力を肯定する徒輩が存在する限り、青少年問題の解決はもとより、わが党並びに政治が高らかに掲げている福祉国家の実現は望むべくもないのであります。政府は、この法改正を契機として、関係各機関が緊密な連絡をとり、総合的な暴力排除の対策を確立し、全力を傾注して国民の期待にこたえられんことを熱望いたしまして、私の政府原案に対する賛成討論を終わります。(拍手)   ―――――――――――――
  43. 重政庸徳

    ○副議長(重政庸徳君) 横川正市君。   〔横川正市君登壇、拍手〕
  44. 横川正市

    ○横川正市君 私は、ただいま議題となりました暴力行為等処罰に関する法律等の一部を改正する法律案並びに修正二案に対し、反対の討論を行なおうとするものであります。  まず、私は、議会運営の点から、強く反省を求める必要があろうかと存じます。本院は、すでに本日まで三日にわたって議事の進行が停止されておったのであります。かかる結果は、院の最も大きな任務である、たとえば新潟地震による難民救済を目的とする審議、これを頂点といたしまして、数多くの法律案の審議が、そのために支障を来たすようなことがあったということは、きわめて遺憾なことであると言わなければなりません。さらに、本国会は、すでに百五十日の審議期間を経過し、さらに不本意にも四十日の会期を延長されたにもかかわらず、今日の議会内に見られるごとくに紛争の渦中にあることは、議会運営の責任の立場にあります政府・自民党の重大な責任であると考えてよいのではないかと思うのであります。  議会審議の中心は委員会が重点とされております。これは皆さんが十分御承知のところであります。その会議を主宰する常任委員長の責務は、これまたきわめて重要と言わなくてはなりません。私は、与党の委員長である常任委員会が、毎国会を通じて紛争を起こす常習委員会となっている原因について、会議運営上きわめて重大な問題があるとし、十分検討する必要があると思うのであります。  毎国会会期末に惹起する瀞例を繰り返し批判することは、まずおくといたしまして、今回の法務委員会の審議について思うに、解任決議にも見られるとおりの不手ぎわをやっているのでありますが、その原因は、会議に付託された法案の内容を知っていなくてはならない最小限度の留意が、委員長にはないのではないかと思うのであります。議事運びの事務者のメモを読み上げるというような、事務当局から渡された書類だけをたよりにしての議事判断では、私はこれは委員長の任務が完全に遂行されているとは思わないのであります。委員長が、問題となる点を十分に心にとめて議事の運営を行なっているならば、委員会では、それぞれの立場から問題の諸点を徹底的に論議をされて、民主的な議会運営が行なわれるはずであります。ことに委員長は、法案賛成者の立場の者が法案の成立を急ぐことがあっても、質疑を行なう反対者の質疑が尽くしきるまで行なうことが、私は、政府、与党のいわゆる法案提案者の立場として当然の心得るべきことだと思うのであります。さらにまた、法案に反対する者が、その意思を通すために議会運営をはかることは、これはいずれの国でも見られるところで、あたりまえのことであります。これらを総合して、運営を適切にはかることも、これまた、委員長、与党の任務中、重要なる点であると言わなければなりません。との場合、委員長はその反対春の趣旨を十分に察知して、委員長の主観をまじえず公平な運営をはかることは、私は当然のことだと思うのであります。しかるに、法務委員会の議事運営は、あらかじめ与党とはかり、定められた会議進行を行ない、反対者の質疑を尽くすことなく、一方的に法案成立をはかる挙に出たと思われることは、きわめて遺憾なことと言わざるを得ません。野党の常任委員長の場合を考えるときに、正常な審議を尽くしている現状は、皆さんも御案内でしょう。与党の委員長の委員会が紛争するのは、一体何なのか。あなた方の中にも、勉強不足だと声を出しておられる方がたくさんおられるのでありますけれども、そういうことが原因であったとするならば、私は、役員の選任について十分に考えて事を運ばなければならぬと思うのであります。  ことに、この法案に、日本の人権をうたった憲法の完全実施のたてまえからみましても、多くの問題があることは、法案そのものが、前二回の議会で廃案とされたことからいっても明らかであります。今日、民主化の途上にある日本ではありますけれども、いままた植木君の賛成討論の中にも明らかにされましたが、私は、字づらの面で賛美する声は、これは実態が違っていればむなしく響くものであります。もっと現実というものを直視して、与党であるから、野党であるからということで、心理を求めるに二つの道はないと思うのであります。一つの道を求めて、われわれは、その議案がほんとうに国民のためのものになるかどうかを明らかにしていく責務を持っていると思うのであります。(拍手)戦前の日本の社会には、これは先ほどから亀田・稲葉両議員からも明らかにされましたように、きわめて大きな汚点を残しております。しかも弾圧強制の暗黒社会は、歴史上これは空前のものであったと言われております。私は戦前その経験を持たないので、身をもってそれを皆さんに訴える真実性がないかもわかりません。しかしながら、今日の問題としてこれを考えた場合に、たとえば、なまなましく、強権によって人権が無視され、社会のそのときの立て役者となった弾圧者と被弾圧者が、この議場の中にも相対峙しているではありませんか。すなわち今日の問題であるわけであります。いままた私は、いまいましい悪夢のごとくにこれを思っておりましても、弾圧の凶器となった法律の立法の経緯では、先ほど明らかにされましたように、大衆運動や労働運動には適用しないと、議会の速記録に明確に残っているではありませんか。しかも、そういうような審議の過程では、植木君の言うごとくに、きわめて暴力団適用だけの法律案のごとくに見せかけながら、実は法律ができ上がれば、ひとり歩きをするということを否定する法律学者はいないはずであります。ひとり歩きをしない法律をどうわれわれがつくり上げるか。これが当院の任務でなければならぬと思うのであります。成立当時の議会の意思を無視して、法律をひとり歩きさせた結果、人間を虫けらのごとくに取り扱い、時の権力に抵抗する者に対して極刑を加え、その結果、獄舎で獄死するというような時代が、同じ日本人の血を流したわれわれの、しかも、数年前に行なわれておったという、そういう私は深い傷あとというものを、これを考えずに、それに類似する法律案を審議するということはできないと思うのであります。いまそんなことがあり得ない、民主化された、日本は昔と違う、こう皆さんが言います。しかし、私は、そういうことばの間から、私が聞くだけでなしに、皆さんも聞いておられるでしょう。日本のいわゆる戦争犯罪人としてそのさばきの場にあった者が、日本の総理大臣になったり大臣に任命されているという、日本の社会の甘さについて、ヨーロッパの人たちは口をきわめて、日本の民主主義の発展の度合いと考え合わせながら、疑問を持っているわけであります。私は、そういう疑問を考えるからこそ、現在提出をされているこの法律案に対して、字づらの問題だけではなしに、その内容について十分の審議をお願いをしたいと思うのであります。こういうような歴史を私どもは再び繰り返してはならぬと思います。そして、人間の善意と英知とが、人間の共存社会で平和なものとするためにあらゆる努力を払うことは、私は、現代日本の人民に課せられた任務だと思うのであります。このために、この法案に危険が隠されている、こういうふうにわれわれは多くの疑問を持っているのでありますから、政府は、与党は、その危険が皆無だと言うのならば、それを手を尽くして具体的に、しかも、その個々の具体例を示しながら解明すべきであります。  先ほども亀田質問に対する政府の答弁を聞いておりましても、私もわかりませんでしたが、皆さんがほんとうにわかったでしょうか。内容についてはきわめて抽象的であり、個々の例については、多くの方が指摘をされましたように、第一に、暴力を取り締まるといいながら、暴力にきわめて弱い、こういう性格を露呈いたしたものと私は思うのであります。こういうような点を考え合わせてみますと、私は、少なくとも議会審議の本質というものに、これは、もとって、ここでこの法律案が可決されることに対して、きわめて遺憾の意を表明せざるを符ないのであります。  また、法務委員会におけるところの審議を速記録によって見てみましても、たとえば動議、あるいは質疑の打ち切りの採決等は、おそらくこれは事務当局が委員長に渡されたものをそのまま読んだのではないかと思われるわけでありまして、委員長の意思は全くこれには入っておらないと思うのであります。参議院規則百十二条によるところの質疑の終局のときとか、百十三条の討論の取り運びであるとか、百十六条の指名の運営等々は、民主的な議会運営の当然の手続だと思うのであります。そういうような、従来私どもは欠陥として指摘され、徹夜でこの議会で相当長時間の審議を必要とするというような例を何回も何回も繰り返して、なおこれを是正することのできないというような議員であるならば、私は、これは国民の信託から大きく非難をされる立場に変わるものと、こういうふうに言っても過言ではないと思うのであります。こういう点から考え合わせまして、私はすみやかに本案は法務委員会に差し戻されて、亀田委員の質疑のところから十分にその内容を検討して、悔いを残さないように、自由民主党はその名に恥じぬ勇断をもって決定すべきであることを、強く訴えまして、この政府案に対する私の反対討論を終わりたいと思います。(拍手)   ―――――――――――――
  45. 重政庸徳

    ○副議長(重政庸徳君) 中尾辰義君。   〔中尾辰義君登壇、拍手〕
  46. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 私は、公明会を代表いたしまして、暴力行為等処罰に関する法律等の一部を改正する法律案に対し、政府原案並びに民社党の修正案に反対をし、公明会の修正案に賛成をするものであります。  最近における暴力事犯はあまりにも多く、大きな社会不安を招いており、暴力の追放は、われわれのひとしく切望するところであります。岸内閣は、三悪追放をうたい、池田内閣は、人つくりを標榜してまいりましたが、現実には、松山市における白昼の暴力事件を取り上げるまでもたく、悪質な暴力事犯が年々急増の一途をたどっておりますることは、まことに遺憾にたえないところであります。このことは、とりもなおさず、政府の暴力追放に対する根本理念と確固たる方策の欠除を意味するものであり、池田内閣は申すに及ばず、歴代内閣の一大失政であります。  本法案は、昨年の第四十三回国会にも提案されておりまして、今回の提案は三回目のものであります。その趣旨は、銃砲刀剣類等による傷害の刑を重くし、また、常習的暴力行為の法定刑を引き上げることにより、町から暴力を追放することを意図しておりまするが、その方策として、刑の加里のみにたよることは大いに疑義のあるところであります。なお、われわれは、現行法第一条第一項の規定にも大きな問題点のあることを指摘しなければなりません。この法律の改正案が国会へ提案されるたびに起こる強い反対の.世論も、暴力の防止自体に対して反対するものではなく、むしろ、暴力の絶滅には賛成をしながらも、この法律の運用の面に大きな危惧のあることが叫ばれているのであります。法務大臣も、この運用面には十分注意する旨答弁をしておりまするが、しかしながら、過去の事例等に徴しましても明らかなるごとく、政府の右のような答弁のみでは、この運用の懸念は除かれないのであります。暴力処罰法第一条第一項の「団体若ハ多衆」の中には、正当なる活動をしている団体も含まれており、また、単なる偶発的事件で、暴力団等とは全く関係のないような事件も、その対象となるようになっているのであります。このため、その運用のいかんによりましては、憲法の保障する基本的人権に対する侵害のおそれが多いことは明瞭であります。  当今、世論においては、暴力追放はげっこうであるが、その拡大解釈、乱用には、十分考慮が払われなければならないという意見の強いことも、見のがすことができないのであります。さらに、人権に重大な関係のある破防法第二条には、拡張解釈を禁止する旨が厳重に規定されており、また、軽犯罪法には、「その本来の目的を逸脱して他の目的のためにこれを乱用するようなことがあってはならない。」旨が規定されてあり、また、売春防止法にも、「この法律の適用にあたっては、国民の権利を不当に侵害しないように留意しなければならない。」趣旨の規定が厳存しておりますることは、特に注意を要する点であります。  以上の理由によりまして、わが公明会は、暴力行為等処罰に関する法律に、新たに第四条として、「本法ノ適用ニ付テハ苟モ之ヲ濫用シ国民ノ自由及権利ヲ不当ニ侵害スルコトアルベカラズ」との規定を加え、この法律の拡大解釈、乱用の弊害を防止する必要を痛感するものであります。そこで私は、この趣旨を盛った公明会の修正案に賛成をするとともに、この運用上の注意規定を欠く政府原案に反対をするものであります。  なお、民社党提出の修正案は、その趣旨には賛成でありますが、その内容は、公明会提出の修正案に包含をされておりますので、賛成をいたしかねるのであります。  以上をもちまして、私の討論を終わります。(拍手)   ―――――――――――――
  47. 重政庸徳

    ○副議長(重政庸徳君) 基政七君。   〔基政七君登壇、拍手〕
  48. 基政七

    ○基政七君 私は、民主社会党を代表して、政府原案並びに公明会修正案に反対し、ただいま民主社会党から提案されました、暴力行為等処罰法の一部改正案に対する修正案に対しまして、賛成の意を表するものであります。  修正案の提案理由で述べているごとく、政府案の最大の欠陥は、本法が正常な労働運動や大衆活動に場合によっては適応される危険があるのではないかという点であります。現に、労働運動指導的立場にある者や、社会問題に取り組んでいる学者及び有識者の間に、本法が政府案のままで施行される場合には、日本国憲法保障する国民の当然の権利、特に労働運動等に、不当な乱用が行なわれる危険があることを憂慮し一声を大にして指摘していることは、すでに各位の十分承知しておられるところであります。  私は、今回の本案審議にあたっての政府の答弁が、これらの国民の良識ある声に耳をふさぎ、本法に対する国民の疑惑を解くための明快なる説明がなされず、十分な努力を怠っていることを、はなはだ遺憾に思うものであります。これは立法府として厳に慎まなければならないことであり、それらの疑惑を氷解せずして、多数の圧力をもって本法案を成立せしめることは、憲政百年の将来に重大な悔いを残すものであると、強く政府与党の反省を求めるものであります。  さらに、立法府にあるわれわれとして特に留意しなければならないのは、この種の法律を執行する警察・検察行政の末端の実情であります。民主憲法制定以来十有七年の歳月が流れ、司法・行政各面にわたる民三化が進んできたとはいえ、現存の警察・検察行政必ずしもその民主化が完全に徹底されているとは断じ得ないのであります。かかる現状を考えるとき、一定の規制条項を改正案自体に織り込むことは、この点に関する国民の疑惑を解くためにも、きわめて有益かつ必要な措置だと考えるものであります。  その意味において、民社党から提案されている修正案は、まことに時宜に適した妥当な措置であり、立法府としての国会に対する国民の信頼をつなぐ最善の方途であると確信いたすものであります。  先ほどの自民党の賛成討論のほうに、これらのことについていささか誤解中傷めいたお話がございました。かつて労働運動を体験した私として、真に労働運動が正常に発展することを皆さんが希望されるならば、私は、この修正案に反対する理由はごうもないと思うのであります。もとより、私たちは、このことによって、過去における暴力的労働通勤や大衆運動を合法化し、明らかに不法かつ不当な運動まで法律の庇護のもとに置かんとするのではありません。特に刑法上の暴力事犯を伴う労働運動、大衆連動は、民主憲法下における労働運動、大衆運動の正常な発展を期するためにも、厳正にこれを批判し、これをなくするためのあらゆる努力を惜しんではならないと考えるものであります。しかし反面、過去の歴史を振りかえるとき、正しい労働運動の多くが、まぎらわしい法律の規矩によって、その自由を不当拘束され、当然の権利が不法の名のもとに否定され続けた事実を、看過することはできないのであります。われわれは、過去の労働運動家や国民が、この点について苦い印象とぬぐいがたい疑念を持っていることを、決して軽視してはならないと思います。もし、本法が、真に政府の言うように、正常な労働運動憲法上の国民の権利を制約するものでないとするならば、法律技術や法律上の体裁の問題を乗り越えて、そのことを法律自体に明らかにすることが、政府当局が当然とるべき道であり、かつ、本審議に参画するわれわれに課せられた当然の責務であると考えるものであります。もし、わが民主社会党の修正提案が理由なく拒否されるときには、本法案に対する国民の疑惑を一そう深め、民主的労働運動が過激分子によって扇動される危険に追いやるものとして、不肖私のつたない労働運動の体験から、重大な警告を発するものであります。  私は、本院が、この問題をいささかもおざなりに取り扱うことなく、国民の疑惑解消のために、虚心たんかいに民主社会党の修正案を受け入れ、その立法について国民から負託されている責務を遺憾なく果たすよう特に要望し、修正案に対する賛成意見を申し述べた次第であります。(拍手)   ―――――――――――――
  49. 重政庸徳

    ○副議長(重政庸徳君) 岩間正男君。   〔岩間正男君登壇、拍手〕
  50. 岩間正男

    ○岩間正男君 私は、日本共産党を代表して、本改正法案に反対するものであります。また、公明会、民社党提出の二つの修正案に対しまして、われわれは、このような修正をやっても、人民弾圧法の本法案の本質には何らこれは深い変化がないものであるとして、反対するものであります。  まず第一に、本法案に対する委員会の審議はまだ十分に尽くされていません。ことに、われわれ共産党は、まだ少しも質問をしていなかったのです。それを突如として打ち切り、討論省略という不法きわまる措置をとって、強引に本案の通過をはかったのであります。実は、こうしたやり方にこそ、本法案の暴力的性格が何よりも出ていることがはっきりしていると思うのです。審議を尽くせば尽くすほど、ますます人民弾圧法としての正体が国民の前に明らかになってくる。それで、口を押えても、審議権を無視しても、一日も早くこれを通してしまおう、これが政府自民党の本音であります。このような国会運営のやり方は、断じて了承することはできないのであります。  第二に、政府は、本改正案の目的は、近ごろますます猛威をたくましくする暴力団の徹底的取り締まりにあるということを、口をきわめて言っています。しかし、暴力団は新暴力法などは少しもおそれていません。中には、公然と、ビラ、ポスターなどで、新暴力法歓迎の意思表示をしている暴力団体もあるくらいです。暴力団は、新暴力法のほこ先が決して自分たちのほうに向けられていないことを知っているからこそ、このように平気なのであります。新暴力法は、暴力団の取り締まりには全く役に立たない、かえって暴力団の組織を整備強化して、ファッショ的な暴力政治を再現しようとするものであります。  暴力団の徹底的取り締まりは、一片の法改正ではできない。その根本は、現行の警察・検察のあり方を抜本的に変える以外に道はありません。最近、警察と暴力団のなれ合い、結びつきは、全く目に余るものがあります。これは、主婦と生活社、田原製作所、あるいは最近の司タクシー労組事件、日本ロール、神楽川の三協紙器事件等をとってみても、明らかであります。警察は暴力団を取り締まるどころか、かえってこれを保護育成し、民主勢力に立ち向かわせる道具に使っているのです。これには、はっきりした証拠があります。それは、三井三池事件、安保反対闘争当時の記録を見ても明らかであります。私は、本法案の審議にあたって、これらの事件の記録を熟読しました。昨日、東京地裁の警察官の暴行難件に対する当然の判決が下ったのでありますが、この事件と前後しまして、あれから数時間前、つまり、昭和三十五年六月十五日、あの参議院第二通用門わきで、護国塾維新行動隊百二十人あまりが、手に手に「くわ」の柄を振り上げて新劇人の行列に襲いかかり、多数の負傷者を出した事件を、忘れることはできない。これは私自身、現場をこの目で見、警視庁にも激くし抗議した事件であります。  ここに東京地裁のそのときの公判記録があります。これによると、被告人・維新行動隊長石井一昌は、裁判長の尋問に対して、六月十五日の新劇人襲撃事件を次のように供述しているのであります。「今度の事件は、私個人は警察の手先をやったわけなんです。私は慎重に警察と連絡してやったわけなんです。そして警官によくお願いして、合法的にやるのにはどうしたらよいのか。結局、デモというものは合法的にはできないのです。一週間前に集会届けなり何なり出して実際にやるというのは不可能なんです。そして警察にその前日に連絡しまして、一切がっさい全部報告して、塾に招待しましてビールを飲まして、ちゃんといろいろな歓談をしまして、本意ではないけれども、社会党の田中稔男代議士をおどかすこともやっぱり引き受け」云々と言っています。また、「実際からいえば、警察は共犯以上の立場なんです」、こうも述べているのであります。  つまり、この供述からはっきりしてわかることは、第一に、六月十五日の行動は、合法性のない無届けデモであったこと。それを合理化するために、警視庁に電話して、係の巡査を自宅に呼び出し、ビールを飲ませ、相談の結果、その了解を得て行なったこと。第二には、その代償として、社会党の当時の国民運動委員長・田中稔男代議士をおどかすことを引き受けさせられたこと。第三に、警察は、石井の行動を利用して、民主勢力に襲いかからせるために、陰で糸を引いていること等であります。この警官は、佐立市次郎という警視庁公安二課の右翼担当の巡査でありますが、主として護国団、維新行動隊等を担当し、石井とは五カ年前からの接触を保っていた間柄であることが、公判で判明しているのであります。そして石井ら維新行動隊員らは、佐立巡査のことを常に「顧問、顧問」と呼んでいるのであります。この佐立巡査は、石井らが当日、プラカードに「くわ」の柄を使うことを事前に黙認し、「絶対にだいじょうぶだ」と激励しています。また、佐立巡査は、六月十五日当日の行動には、終始、石井らに付き添い、南平台の岸首相公邸前で南に困っている石井らを巧みに誘導して、国会に差し向けているのであります。ここにも明白な証拠があります。  私は、石井一昌の公判記録をこのようにここで引用したのは、具体的に異方団と警察の結びつきを明らかにし、政府の暴力団対策の実体を明らかにするためであります。この事態は、改善されるどころか、最近ますます悪くなっています。ことにも、一昨年六日二十日、川崎市観音町で起こった東京目黒区三光タクシー労組委員長の丸山良夫君が暴力団に連れ出されて、国道わきの路上で、しかも、幼い愛児の面前で刺し殺されたという事件は、すでに二カ年の年月を経まして、くすしくも、きょうがちょうどその二周忌に当たるのでありますが、いまだ犯人はつかまえらてれいないのであります。この事件については、すでに本年四月二十五日、被害者の妻丸山清子、母丸山イチの両氏から、有力な証拠をあげて告訴状が提出されていますが、最高検はいまだにこれを取り上げてはいないのであります。これは、まことに奇怪なことと言わねばなりません。最初、この事件に当たった川崎臨港警察署は、その初動捜査にはなはだしく敏速を欠き、川崎駅や京浜田道筋には非常線も張らず、当然操作上必要な指紋もとっていないのであります。臨港警察署長のごときは、犯人は殺す意思はなかったのだと、まるで犯人をかばうような言辞を弄しているのであります。また告訴状があげている重要容疑者井上清は、さきに述べた維新行動隊の新劇人襲撃事件に関係して、有罪の判決を受け、甲府刑務所に服役、出所後、十日を出でない犯行であると目されています。これは、もはや動かすことのできない十分な証拠があると思われますが、なぜ、これを取り上げようとしないのか。労働者に対する殺人犯の捜査すらこれを遅怠し、故意に容疑者逮捕をおくらせていると見られる警察・検察側の態度に対しまして、いま世間の疑惑の目が集中しているのであります。このような事実に対して明快な対決を示し、疑惑を一掃することが、まさに暴力追放の先決問題であり、根本問題であると言わざるを得ません。反対にこれを怠り、暗黒の中に閉ざしておくところに、はっきり背後の権力がこれを支配していることを、国民は見抜いているのであります。これでは暴力禁止の法改正を幾ら叫んでも、国民は絶対にこれを承服することができないのであります。したがって、銃砲刀剣類による犯罪と常習罪を新たに設け、法定刑の下限を引き上げる等々の方法で、厳罰主義をもって暴力団を取り締まるという法改正を、国民は信用していません。立法当初から、現行の暴力法がいかに人民弾圧のために使われてきたかを知ってる国民は、解釈いかんでは、いかようにも拡張され、労働運動その他の民主運動にますます過酷に適用されようとしているこのたびの改悪に対して、絶対に反対しているのであります。
  51. 重政庸徳

    ○副議長(重政庸徳君) 岩間君……。
  52. 岩間正男

    ○岩間正男君(続) 最後に述べたいことは、本法案を強行せんとする政府自民党の政治的意図と、その背景についてであります。  池田内閣の政策は、いま外交・内政ともに大きく行き詰まっております。経済政策の失敗は、物価高、重税、低賃金、合理化、労働災害の激発等々となって国民を苦しめています。また、アメリカの核戦略に歩調を合わせる池田内閣の政策は、アメリカ原子力潜水艦の寄港、F105Dの強制配備、自衛隊の強化、核武装化、憲法改悪等々、独立を脅かし、国民の平和と民主主義に甚大な影響を及ぼしています。したがって、これに対する人民の反撃は日に日に激しく盛り上がっている。これら反対の力を押え、これを弾圧することなしには、もはや政策を進めることができなくなってきている。そのために、アメリカの核戦略に歩調を合わせる国家総力戦体制とも言うべき戦争協力態勢をつくりあげ、この中核として治安体制を強化することが、いま政治の一つの大きな焦点となっていることは明らかであります。
  53. 重政庸徳

    ○副議長(重政庸徳君) 岩間君……。
  54. 岩間正男

    ○岩間正男君(続) いま暴力法を通して国民の大きな反撃抵抗を押え、その突破口をつくろうとしていることは、あまりにも明らかであります。われわれは、これを許してはならない。日本共産党は、本改正案を粉砕するとともに、暴力法そのものを廃止するために、全力を尽くして闘う決意を表明して、私の反対討論を終わります。(拍手)
  55. 重政庸徳

    ○副議長(重政庸徳君) これにて、討論の通告者の発言は全部終了いたしました。討論は終局したものと認めます。  これより採決をいたします。  まず、和泉覚君提出の修正案全部を問題に供します。本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。(「法務大臣いないじゃないか」と呼ぶ者あり。その他発言する者多し)  あらためて申します。  これより採決をいたします。  まず、和泉覚君提出の修正案全部を問題に供します。本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  56. 重政庸徳

    ○副議長(重政庸徳君) 少数と認めます。よって本修正案は否決せられました。    ――――・――――
  57. 重政庸徳

    副議長(重政庸徳君) 次に、天田勝正君提出の修正案全部を問題に供します。本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  58. 重政庸徳

    ○副議長(重政庸徳君) 少数と認めます。よって本修正案は否決せられました。    ――――・――――
  59. 重政庸徳

    ○副議長(重政庸徳君) 次に、原案全部を問題に供します。  表決は記名投票をもって行ないます。原案に賛成の諸君は白色票を、反対の諸君は青色票を、御登壇の上、御投票を願います。  議場の閉鎖を命じます。氏名点呼を行ないます。   〔副議長退席、議長着席〕   〔議場閉鎖〕   〔参事氏名を点呼〕   〔投票執行〕
  60. 重宗雄三

    ○議長(重宗雄三君) 投票漏れはございませんか。――投票漏れないと認めます。投票箱閉鎖。   〔投票箱閉鎖〕
  61. 重宗雄三

    ○議長(重宗雄三君) これより開票いたします。投票を参事に計算させます。議場の開鎖を命じます。   〔参事投票を計算〕
  62. 重宗雄三

    ○議長(重宗雄三君) 投票の結果を報告いたします。  投票総数     百八十二票  白色票       百十二票  青色票        七十票  よって本案は可決せられました。(拍手)      ―――――・―――――   〔参照〕  賛成者(白色票)氏名      百十二名       二木 謙吾君    大竹平八郎君       鳥畠徳次郎君    青田源太郎君       赤間 文三君    鈴木 恭一君       堀本 宜実君    森 八三一君       上原 正吉君    松平 勇雄君       最上 英子君    河野 謙三君       三木與吉郎君    村上 義一君       佐藤 尚武君    野田 俊作君       木暮武太夫君    太田 正孝君       笹森 順造君    中上川アキ君       森田 タマ君    植木 光教君       沢田 一精君    栗原 祐幸君       熊谷太三郎君    久保 勘一君       丸茂 重貞君    坪山 徳弥君       石谷 憲男君    植垣弥一郎君       岸田 幸雄君    谷村 貞治君       徳永 正利君    仲原 善一君       中野 文門君    豊田 雅孝君       天坊 裕彦君    竹中 恒夫君       鈴木 万平君    村上 春藏君       山下 春江君    山本 利壽君       大谷 贇雄君    館  哲二君       青柳 秀夫君    平島 敏夫君       鍋島 直紹君    堀  末治君       新谷寅三郎君    西郷吉之助君       紅露 みつ君    杉原 荒太君       田中 茂穂君    大野木秀次郎君       寺尾  豊君    植竹 春彦君       平井 太郎君    黒川 武雄君       西川甚五郎君    井野 碩哉君       井川 伊平君    鹿島 俊雄君       川上 為治君    松野 孝一君       日高 広為君    温水 三郎君       亀井  光君    野上  進君       山本  杉君    金丸 冨夫君       谷口 慶吉君    木島 義夫君       西田 信一君    小西 英雄君       柴田  栄君    稲浦 鹿藏君       石井  桂君    塩見 俊二君       井上 清一君    岡村文四郎君       加藤 武徳君    剱木 亨弘君       梶原 茂嘉君    田中 啓一君       吉武 恵市君    高橋  衛君       草葉 隆圓君    増原 恵吉君       小柳 牧衞君    中山 福藏君       村松 久義君    林屋亀次郎君       郡  祐一君    安井  謙君       高橋進太郎君    鹿島守之助君       木村篤太郎君    迫水 久常君       長谷川 仁君    小林 篤一君       櫻井 志郎君    佐野  廣君       後藤 義隆君    林田 正治君       横山 フク君    前田 久吉君       白井  勇君    古池 信三君       戸叶  武君    斎藤  昇君       下村  定君    小山邦太郎君     ―――――――――――――  反対者(青色票)氏名      七十名       山高しげり君    市川 房枝君       林   塩君    鈴木 市藏君       鬼木 勝利君    中尾 辰義君       北條 雋八君    浅井  亨君       二宮 文造君    白木義一郎君       辻  武寿君    和泉  覚君       小宮市太郎君    矢山 有作君       野々山一三君    柳岡 秋夫君       稲葉 誠一君    吉田忠三郎君       林  虎雄君    武内 五郎君       柴谷  要君    北村  暢君       森 元治郎君    伊藤 顕道君       近藤 信一君    松澤 兼人君       藤田藤太郎君    中村 順造君       秋山 長造君    阿部 竹松君       岩間 正男君    須藤 五郎君       野坂 參三君    渡辺 勘吉君       小林  武君    松本 賢一君       野上  元君    米田  勲君       安田 敏雄君    基  政七君       横川 正市君    大矢  正君       鈴木  強君    相澤 重明君       占部 秀男君    田上 松衞君       向井 長年君    久保  等君       岡  三郎君    藤田  進君       亀田 得治君    加瀬  完君       田畑 金光君    天田 勝正君       永岡 光治君    成瀬 幡治君       中田 吉雄君    小酒井義男君       藤原 道子君    中村 正雄君       村尾 重雄君    椿  繁夫君       大和 与一君    木村禧八郎君       岡田 宗司君    野溝  勝君       千葉  信君    羽生 三七君       赤松 常子君    曾禰  益君      ─────・─────
  63. 重宗雄三

    ○議長(重宗雄三君) この際、おはかりいたします。  戸叶武君外一名発議にかかる法務大臣賀屋興宣君問責決議案は、発議者要求のとおり委員会の審査を省略し、日程に追加してこれを議題とすることに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  64. 重宗雄三

    ○議長(重宗雄三君) 御異議ないと認めます。よって本案を議題といたします。  まず、発議者の趣旨説明を求めます。戸叶武君。   〔戸叶武君登壇、拍手〕   〔議長退席、副議長着席〕
  65. 戸叶武

    ○戸叶武君 私は、ただいま議題となりました法務大臣賀屋興宜君の問責決議案に対し、日本社会党を代表して趣旨説明を行なわんとするものであります。  まず、最初に決議文を朗読いたします。    法務大臣賀屋興宣君問責決議  本院は、法務大臣賀屋興宣君を問責する。   右決議する。     理 由  一、賀屋法務大臣は、さきに戦争遂行と敗戦の責任者として国民の強い批判を受けたにもかかわらず、戦後の今日、なお国政の中枢に参画し、その政治思想と行動にはいささかの反省も見られない。そして依然として政治反動の先頭に立って戦前政治の復活を企て、平和憲法下の国務大臣としては、はなはだ穏当を欠く存在となっている。  一、近くは出入国管理行政をあずかる地位を悪用し、日朝の往来の自由を阻害したり、さらに中国貿易使節団員呉学文君の入国を拒否するなど、国民が長期にわたって積み上げてきた日中・日朝友好のきずなを強引に断ち切ろうとした。  一、今日はまた暴力行為処罰法の一部改正法案を三度にわたって国会に提出するに至った。この原案を見ると、すでに与野党間で妥結を見つつあった内容について、全然配慮されていない。このことは、本法案が労働運動をはじめ大衆運動の弾圧のために悪用される危険性を残すものであり、われわれの絶対に容認し得ないことである。   しかも、政府は、このような治安立法を、与党に強引な圧力を加えつつ、国会審議のルールを無視して成立させようとしている。これが原因となって院は十七日以来紛糾を重ねている。このことについて、賀屋法務大臣の責任はきわめて大きい。  ことに本院は、賀屋法務大臣を問責し、その反省を求めるものである。  以下ただいま読み上げました決議案について、その趣旨を説明したいと思います。(拍手)  賀屋法務大臣は、明治二十二年、一八八九年、すなわち前世紀の十九世紀の生んだ典型的な官僚政治家であります。当年とって七十五歳、現在日本の政治経済並びに外交を壟断している大蔵官僚の総元締めの地位にあります。その経歴を見ると、昭和十二年、第一次近衛内閣の大蔵大臣に就任し、日華事変を拡大した政治責任者であります。さらに昭和十四年には、北支那開発会社の総裁として、中国大陸の経済侵略の最高指導者となりました。昭和十六年には、東条内閣の大蔵大臣に就任し、太平洋戦争を強行し、日本を敗戦に導いたのであります。  この経歴が示すがごとく、賀屋興宣君は、戦時中軍部と結託し、経済閣僚として戦争遂行の中心的役割りを果たしたのであります。これがため、終戦後A級戦犯として、昭和二十年より十年間にわたって巣鴨プリズンに収容されたのであります。これによって戦争遂行者としての連合国に対する政治責任は解除されたかもしれません。しかし、数百万の同胞を犠牲にしたその罪は、いまだに道義的に解除せられていないのであります。  しかし、賀屋さんは、去る昭和三十四年の総選挙に東京第三区から衆議院議員に立候補された際には、自己批判の上に立って、謙虚な態度で政治的な再出発を行ないました。そうして「長い戦争よって国民にたいへん迷惑をかけました。これを償うためには、生まれ変わった気持ちで政治に精進したい」と誓ったのであります。ところが、この賀屋さんのざんげを聞いて、主権者たる国民は、賀屋さんが、戦争はもう二度としてはいけない、平和を擁護する民主主義を信奉する政治家に生まれ変わってきたと、こう信じて、あなたを代議士に選び、国会に送ったのであります。それなのに、賀屋さんは旧態依然たる昔ながらの賀屋さんで、どうながめてみても、生まれ変わったなどというところはどこにも見当たらないのであります。  賀屋さんは、側近者の語るところによると、老齢ではあるが、からだは頑健、頭脳は明断とのことです。その上、非常な勉強家で、記憶力も少しも衰えていないということであります。そのとおりだと、賀屋さんは、明治の秀才として天然記念物的な貴重な存在であります。しかし、新しい時代の政治家としては、はたしてふさわしい人物かどうかについては、問題があるのであります。それは、あまりにも過去の古い経歴と体験の集積に災いされて、人権を尊重し、平和と民主主義を基本原理とする国民主権の新憲法下における政治のあり方を理解することが、至難になっているからであります。  日本の政治の悲劇は、戦前は軍部、戦後は官僚にじゅうりんせられているところにあります。特に現在の日本は、池田内閣が賀屋さんをトップとする大蔵官僚に支配されているところにあります。御承知のとおり、賀屋さんたちを育てた明治憲法は、プロシャ憲法をモデルとしたものであります。したがって、明治以来の戦前までの国家体制は、旧ドイツ帝国と同じく、軍部・官僚を二大支柱として国家運営を行なったのであります。そこに、ドイツ帝国と日本帝国の勃興と破滅の原因があったのであります。すでに旧体制に対して歴史の審判がなされたのにもかかわらず、日本においては、敗戦と同時に軍部は解体したが、官僚は占領軍に迎合し奉仕して、ほとんど無傷のままその勢力を温存しているのであります。戦後において官僚が組織的な威力を発揮しているところに、日本の現在の政治体制の重大な欠陥があるのであります。  賀屋法務大臣問責決議案の第一の理由は、このように、一賀屋興宣君だけの問題でなく、国民に対して愛情と信頼感を持たない、権力主義の冷酷無残な官僚政治打倒の悲願が込められているのであります。(拍手)  第二の理由は、国際政治は平和共序の原則によって貫かなければならない時代が到来いたしました。池田総理も、最近しきりに近隣諸国との親善外交を強調しております。その意図は、必ずしも韓国並びに台湾政府との親善のみを考えているのではないと思います。ところが賀屋法務大臣は、日朝往来の自由を阻害し、中国の呉学文君の入国拒否を行ない、日中・日朝関係の悪化をはかっているのであります。この秋には、世紀の祭典としてのオリンピックが開催され、世界各国よりの往来が活発になります。このようなときに、賀屋さんのような時代錯誤的な感覚の法務大臣を持つことは、日本のために不幸のきわみだと思うのであります。  第三には、当面の暴力行為処罰法の一部改正法案の提出の問題をめぐってであります。との暴力処罰法の実体は、政府が何と弁解してみても、明らかに労働運動、大衆運動弾圧法であります。  現行の暴力処罰法の適用について、法務省の昭和三十六年度版犯罪白書によって調べると、昭和三十年から三十四年まで、暴力法適用は、傷害二三・四%、これに次ぐものが刑事労働事件受理人員一九・六%で、第二位になっております。私がひそかにおそれるのは、今回の改正法案が、往年の治安警警察法第十七条の復活を思わせるものではないかという点であります。暴力行為処罰法が大正十五年四月十日に制定されたときには、時の法務大臣江木翼氏が、労働運動、社会運動弾圧を目的としたものではないと断言したのであります。それにもかかわらず、その後、同法の実施以来四カ月足らずの間に、同法による起訴五十一件のうち、団体の威力を示して暴行脅迫したもの十一件、そのうち暴力団関係はわずか二件にすぎなかったのでありまして、これを見ても、その法の運営によって社会運動に対する弾圧法となったのであります。政府は、暴力処罰法は、治安警察法と異なり、労働運動や大衆運動を抑圧するものでなく、暴力団取り締まりのために刑を加重し強化することがねらいだと宣伝しておりますが、私たちは過去の社会運動弾圧史の苦い経験からして、これを警戒し、これに反対せざるを得ないのであります。過去の歴史が雄弁に物語るように、この法案は、必ず労働運動、大衆運動の弾圧法規としての役割りを果たすのに間違いはないのであります。  最後に、私は、参議院の法務委員会及び本会議の議事運営について、院の権威維持のため、政府並びに与党に対して厳重な警告をいたしたいのであります。  去る六月十七日午後六時三分、わが党の亀田得治君が法務委員会で、政界と暴力団との結びつきを指摘して質問戦を展開し、現行法でも暴力団の取り締まりができることについて質問を行なっている際に、自民党の日高広為君が「質疑打ち切り、討論省略、直ちに採決」の緊急動議を行ない、その際にわが党から中山法務委員長の不信任の動議が提出されたのも無視し、強行採決を行ないました。このような重要法案の審議にあたって、多数党の一方的な意思により討論を省略し、委員長に対して提出した不信任案をも無視するという態度で、正常な国会運営ができるかどうか、この際、冷静に考えてもらいたいのであります。  国会の生命は審議権にあります。国の最高機関としての国会は、多数派だけにゆだねられているのではありません。少数派の意見を堂々と開陳する機会が与えられないで国会の機能を発揮することはできないのであります。このような国会運営は、ファッショ政治であります。デモクラシーの原則は、一言ににして言えば、自由なる討議であり、言論の自由のないところに民主政治の発達はないのであります。ところが、賀屋さんの希望するのは、翼賛政治であります。日本の官僚政治家の元祖伊藤博文氏は、今から八十一年前、明治十六年五月十六日、明治憲法作成のためドイツを訪問したとき、ベルリンでビスマルクと会い、その後、カイゼルとも会って、議会の権限を制約するような憲法をつくるようにと彼らから注意を受け、明治憲法は、ドイツ連邦の憲法よりも専制的な、いわゆるビスマルク憲法としてつくり上げられたものであります。プロシャ憲法から明治憲法に流れ込んだ反民主主義的な考え方が、日本の官僚には頭の骨の髄までしみ込んでいるのであります。一朝一夕では、この官僚の思い上がったエリート意識と、この習性を改めることは、困難であります。民主政治を前進させようとするならば、賀屋法務大臣のような旧体制の表象を日本の政界から取り除かなければなりません。  世界の潮流はデモクラシーの方向に向かっております。共産主義国家の中においてすら、中ソ論争で見られるように、平和共存の問題を中心に、暴力革命を排して、平和移行が可能である、議会主義による平和革命が可能であるというようにまでなってきたのであります。この歴史の進展を見るとき、私たちは、過去の歴史の教訓の中から、支配階級が反動的で、革新勢力の前進を国家権力の乱用によって弾圧を行なっている国においては、テロリズムの発生と暴力革命の勃発は避け得られなかったという事実を見るのであります。私は、今日の池田内閣が反省しなければならない点はここにあると思うのであります。賀屋法務大臣の反省しなければならない点もここにあると思うのであります。国家権力の乱用、弾圧法令の乱発、これによって歴史の流れを阻止することは断じてできません。賀屋さんにしても、過去三十年間の日本の歴史の流れを身をもってながめてきたと思うのであります。日本では、昭和七年二月九日に、大蔵官僚井上準之助氏が、右翼のテロリスト、血盟団の青年に血祭りにあげられて以来、五・一五事件、二・二六事件相次いで起こり、ファシズムの波涛がついに日華事変を招き、賀屋さんたちを登場させる場面をつくり上げてしまったのであります。一九六四年から三十数年前の過去でありますが、また歴史が繰り返して、このように賀屋さんの登場を必要とするように至ったということは、歴史の逆転であり、まことに悲しいことだと思うのであります。  良識の府である本院において、あえて賀屋法務大臣に問責決議案を突きつけたのは、賀屋さんは、日本の官僚として伊藤博文以来の大ものと自認しているかもしれないが、もはや日本ではあなたのような官僚政治家を必要としなくなったという事実によるものであります。(拍手)賀屋さん、ドイツ軍部の表象であるヒンデンブルグですら、最後においてヒトラーに結局は政権を譲る以外に何らの役割りも演じなかったじゃありませんか。祖国を代表するようなうぬぼれが、歴史を前進させるのではなく、歴史の悲劇的な役割りを演ずる以外に何ものをも演じなかったというのは、この歴史の事実を見ても明らかであります。政治家の生命は見識であり、政治家の評価はその進退によって決するのであります。賀屋さんのような聡明な人たちは、自分はもはや今日においては何ら用をなさなくなったということを、直感的に私は把握できると思うのであります。したがって、賀屋さんが日本の政界から消え去ることは、賀屋さん一個人のためでなく、日本の政治を新鮮なものにするためにおいて、きわめて重大な益があると思うのであります。  私は、法務大臣賀屋興宣君問責決議案の趣旨説明を行なうにあたりまして、一賀屋法務大臣を相手にしているのではない。池田内閣の閣僚諸君及び与党の自民党の諸君に、この機会に猛省を促す次第であります。本院の権威護持のために、諸君の賛成をお願いいたします。(拍手)
  66. 重政庸徳

    副議長(重政庸徳君) 討論の通告がございます。順次発言を許します。栗原祐幸君。   〔栗原祐幸君登壇、拍手〕
  67. 栗原祐幸

    ○栗原祐幸君 私は、ただいま提案せられました賀屋興宣法務大臣に対する問責決議案に、自由民主党を代表して反対の討論を行なわんとするものであります。(拍手)  ただいま承っておりますると、問責決議案理由の第一は、賀屋法務大臣は、さきに戦争遂行と敗戦の責任者として、国民の強い批判を受けているにもかかわらず、戦後、今日の国政の中枢に参画し、反動政治の先頭に立っているということでありまするが、まことに驚き入った結論を出されたものと考えるのであります。これは客観的な事実に目をおおった皮相な論理でありまして、私の断じて承服することのできぬものであります。すなわち、賀屋法務大臣が、昭和十六年十月、東條内閣組閣にあたって大蔵大臣就任を承諾したのは、東條氏より、極力日米交渉に努力して開戦を避けるとの回答を得たからであり、また、入閣後、大本営政府連絡会議等あらゆる機会に、軍部の主張する開戦決定を頑強に阻止した事実を、故意に無視した論理というべきであります。このことは、東京国際裁判に主役を演じたキーナン首席検事が、関係者の日本人に対し、「重光と賀屋は無罪になるだろう。この二人を起訴したことは、おれのミスだったと、つくづく後悔している。被らは何も悪いことはしておらぬからだ」と、その判決予想を漏らしており、後日、その日本人にあてた手紙の中で、「東條内閣の蔵相であった賀屋について、私はかねがね彼の有罪に大きな疑問を抱いております」と記しているのでも明瞭であります。  しかも、賀屋法務大臣みずからは、謙虚に戦争責任を自覚しており、終戦と同時に、直ちに、位階勲等、勅選議員、大臣待遇とかの一切を返納し、また、戦後の収拾についていろいろ相談に来る者に一切取り合わなかったこと、その他、その心境等、賀屋法務大臣がきわめて良心的に戦争責任を自覚していることは、日本経済新欄に連載された「私の履歴書」等に十分うかがわれるところであります。もし、ただいまの趣旨説明者のごとく誤解されている向きがありましたならば、どうかこの「私の履歴書」をよく読んでいただきたいと思います。  賀屋法務大臣は、そうした戦争責任の自覚のもとに、政治経済に関する知識で多少でも世のため人のために役立ちたいとの誠意をもって、昭和三十三年の総選挙に初めて立候補し、その結果、インテリ層の多い、政治意識の最毛馬い所といわれる東京第三区において、最高点で当選いたしました。ただいまの趣旨説明者のお話によりますと、選挙民にざんげをしてごまかした、ざんげをしたから当選したのだと言われまするが、意外なことに、その後も、昭和三十五年の総選挙においては第二位で、去る三十八年の総選挙では圧倒的な最高点で当選しているのであります。このことは、賀屋法務大臣の、純粋な、世のため人のために役立ちたいという誠意が、世間に認められたことを雄弁に物語るものであります。もし、先ほどの趣旨説明者のごとく、彼が国民の強い批判を受けているならば、こうした最高点当選などということが、どうして.できるでありましょう。(拍手)  しかも、賀屋法務大臣は、人権の正当なる伸長について最も熱心であって、国民が正当なる裁判を受け得る権利を裏づけるたけ、法律扶助の予算を昭和三十九年度において一挙に五倍にしたのであります。すなわち、賀屋法務大臣は、不法不当なる行き過ぎ、わがままは、断固として押えるが、国民の権利と自由を伸長するために最も熱心で、日本国憲法下の中枢的国務大臣として反動政治の先頭に立っているという批判は、全く見当違いもはなはだしいと言わなければなりません。  問責決議案の理由の第二は、出入国管理行政をあずかる地位を悪用し、日朝往来の自由を阻害したり、さらに中国貿易使節団員呉学文君の入国を拒否するなど、国民が長期にわたって積み上げてきた日中・日朝友好のきずなを強引に断ち切ろうとしたということであります。これまた、事実を事実として見ない偏見と言わなければなりません。いわゆる日朝自由往来問題については、先ほど来論ぜられるとおり、いかにも日本は北鮮人を日本に抑留しておいて国へ帰さないようなことを言いまするが、これはまことに事実を曲げるもはなはだいいものであります。戦後ことごとく自由に帰っております。いま現に日本におる者は、自由意思で日本にとどまったものであり、しかも、その三分の二が日本で生まれた二世であります。そのうち北朝鮮に郷里を持つ者は、二%余の約二五二千人にすぎません。しかも平穏無事に要請が行なわれるならばいざ知らず、大衆を動員し、関係のない地方議会まで動かして自由往来をかちとろうとする姿は、純粋な墓参り、親との面会というふうには、とうてい受け取られないのであります。国連人権宣言から見ても、国際法上の自由ということは、国へ帰りたいというときに自由に帰してやることであって、一たん帰った者を、いつでも自由に戻すということではありません。こんな自由は、世界のどこにもございません。  また、従来の本会議場におきまして、呉学文民の入国拒否について、いろいろと問題が出されておりますけれども、これまた数回来日した際に、入国目的や入国条件に違反し、国際礼儀上もきわめて遺憾な点があったからであります。外国人の入国を許可するかどうかは、当該受け入れ国の自由裁量に属することであって、いわんや、査証または渡航証明書を下付する際に諸条件を付することは、法理論上も、国際慣例上も、当然であります。また理由を明示せぬことがけしからぬというお説も、この本会議等を通じてございましたが、一々、あなたはこれこれだからいけないというような、具体的な例を明示することは、かえってメンツを大事にする中国の呉学文氏に対し、これ以上の失礼はないと思うのであります。  かく考えてまいりますると、賀屋法務大臣は、出入国管理行政を適正、公平に適用したのであって、これを悪用して、国民が長期にわたって積み上げた日中・日朝友好のきずなを強引に断ち切ったなどということは、およそ私どもの考えられないところでございます。  問責決議案第三の理由は、暴力行為処罰法の一部改正法案を三度にわたって国会に提出したが、その原案には、すでに与野党一致で妥協を見つつあった内容が、全然配慮されていないということであります。このことは、本法案が、労働運動はじめ大衆運動の弾圧のために悪用される余地を残すものであるということで、承服できないと述べております。しかし、これもおかしな理論でございまして、いままでの政府答弁をよく聞き、すなおに法案自体を読めば、絶対に、労働運動、大衆運動に適用もされていないし、また、これからも適用されるものではありません。大体、労働運動、大衆運動が銃砲刀剣類等をもって行なわれるということがあるでありましょうか。常習として傷害暴行をするということがあるでありましょうか。そんなことは、とうてい常識人では考えられないことであります。したがって、むしろ労働運動には適用しないというような条項を入れることこそ、かえっていままでの適用に疑いを持たせ、法に対する国民の信頼を失わせるものであって、むしろ政府原案こそ望ましいものであります。  しかも、法務大臣の圧力によって、この法案を強行採決したということですが、私は終始委員会に出席し、法務大臣の真摯な態度に接したことから考えますと、とうていこのことは考えられないことでございます。むしろ賀屋法務大臣は、終始熱心に委員の発言に耳を傾け、しかも法務大臣として、また日本人としての土性骨をもって、法案の必要性を強調する姿にこそ、われわれは絶大な信頼を寄せるものであります。  以上、はなはだ簡単でございまするが、賀屋法務大臣の問責理由は全然ないととを明らかにし、私の討論を終わります。(拍手)   ―――――――――――――
  68. 重政庸徳

    ○副議長(重政庸徳君) 相澤重明君。   〔相律重明君登壇、拍手〕
  69. 相澤重明

    ○相澤重明君 私は、日本社会党を代表いたしまして、ただいま同僚の戸叶君から出されました賀屋法務大臣に対する問責決議につきまして、賛成の討論を行なわんとするものであります。(拍手)  第一に、賀屋興宣君は、本院法務委員会における暴力行為等処罰法案の審議にあたりまして、慎重審議、国民に納得せしめる立場をとるべきであるにもかかわらず、まだ十分なる審議を行なう会期があるにもかかわらず、実は、いま栗原君のお話もございましたが、中山委員長や与党の委員の諸君をそそのかして、強行採決を行なわせたごときは、民主主義をじゅうりんし、議会ルールを無視したもので、絶対にこれは容認することはできません。(拍手)法務委員会における強行採決については、重宗議長も、また河野事務総長も、この点については、はっきり指摘をいたしましたごとくに、全く遺憾千万であります。このことを、賀屋法務大臣はどうお考えになるでありましょう。あなたは自民党、与党多数の上にあぐらをかいているから、平気な顔をしているかもしれません。しかし、恥ずかしくはありませんか。もっともあなたは、学校を出るとすぐ大蔵省に入り、官僚の出世コースをとって、いわゆる戦争中は東條内閣の大蔵大臣にもなったということであります。帝国主義的な、軍国主義的なはなやかな時代には、この出世がしらということは、たいへんよかったと思うのです。今日のような民主主義的な社会では、何とも歯がゆいと、あなたは思っているかもしれません。できるならば、一日も早くいまの平和憲法を改悪して、再び昔なつかしい姿をしのんでいるかもしれません。戦争の責任を問われ、公職追放をされたことを、うらんでいるかもしれません。しかし、あなたも、国際的な、海外の事情をよく御研究をされるとともに、日本国民の意思を尊重することです。あなたが願っておるかもしれません帝国主義とか軍国主義とかいう社会は、私は来ないと思うのです。さきに、両院で議決いたしました核停条約に関する批准のごとくに、世界の大多数の人々は、平和を愛好し、戦争暴力をなくすことに効力しておるのです。明治は遠くなりにけりと言われるごとく、あなたもつまらぬ夢は捨てることです。  第二は、さきに衆議院本会議で、日本社会党の代表によって、あなたが不信任案を提出せられた理由にあるように、法務大臣の地位にあるあなたが、いわゆる出入国管理令を悪用したと言われておりますが、そのとおりだと私は考えております。なぜかといえば、歴史的にも、地理的にも、最も親しい間柄である、多くの日本人が、妻となり、あるいは子供を持ち、また異国に眠っておる人たちの、そういう人たちの墓参り、あるいはお互いに自由に行き来をしようという往来を、自由往来を、在日朝鮮公民の願いを阻害しておるのは、一体だれでしょう。こういうことは、私は人道上許すことはできないと思うのです。  また、中国貿易使節団員呉学文氏に対する入国拒否問題も、あるいは周鴻慶さんのこともお話が出ましたが、私もそうだと思うのです。これは戸叶君が言ったことが、私は正しいと思うのです。そういうことで、自民党の栗原君の言ったことは、全くその本質をよく理解しておらないからです。お隣の朝鮮、中国と友好関係を進める上にひびを入れるようなことは、しないほうがよろしい。平和を愛好し、いずれの国とも友好関係を進めようとする国民の意思と利益をじゅうりんすることはやめましょう。  第三は、今回政府が提案しておる暴力行為等処罰法案は、前二回審議未了とされ、廃案となった。それを今度はまた出してきたという、いわくつきのものであります。私は、この暴力行為処罰に関する法律案を政府が出してきたのをずっと調べてみると、この法律ができたのは、大正十五年、江木翼司法大臣当時制定せられたものであるということは、先ほどもお話がありました。しかし、その国会の審議の過程を見ても、労働運動、農民運動には絶対に適用しない、こういう答弁をせられたのでありますが、法制定後はどうでありましょう。実際には猛烈な勢いで、小作運動、労働運動を弾圧してきたではありませんか。平和憲法下における民主主義的な労働運動、農民運動を弾圧しない保証が、どこにあるでしょう。一たん法律が制定せられたならば、法の適用、運用ということは、警察官、検察官等が行なうのである。これらの人々が正しく理解し、適用、運用ができるだろうか。いままでの経過によっても非常に多くの疑惑が持たれるのであります。戦後、国の内外を通じて、世論の前に真実が暴露された松川事件のごときでっち上げがないと、どこに言えるでありましょう。暴力団を取り締まると言うが、政府に確固たる方針は何もないのであります。  暴力団対策、基本方針、暴力団に対する定義、これらについても、賀屋法務大臣の衆議院の段階における説明によれば、たとえば「建設事業が法人であるとしますと、その法人のメンバーが、いわゆる社会通念では暴力団ではない。そこに使用される人々、法人外でございますが、そういうものがある。それじゃその建設業をやっておる法人と使用される人とが一団となってどういう団体組織をしておるかというと、形の七ではそういうものはない。」、「法制的に定義をしてはっきりつかめるようなものでもございません。」、こういう答弁をしております。賀屋さんは一体何を言っているのか、これは、はっきりしない。政府提出の資料では「暴力団構成員の前科概要について」、「暴力犯罪関係統計表」等というものが資料で出されております。この暴力団の分類、統計を見ますというと、昭和三十四年には四千百九十二団体、八万二千人、三十八年には五千百三十一団体、十七万二千人、先ほどからお話のように、すでに現在は十八万人余と、いわゆる激増しておる。まさに池田内閣の所得倍増どころか、犯罪倍増を温存しておるということが言えると思うのであります。昭和三十五年、わが党の浅沼委員長がテロに倒された当時、政府は幾分なりとも右翼団体に対しては注意を払ったと私は思います。ところが、三十六年には閣議決定で「暴力犯罪対策要綱」なるものをつくったのであります。しかし、検挙はどうなったでしょうか。三十四年は五万五千人、三十五年は五万六千人、三十六年は五万八千人、ところが、三十七年には五万二千人、三十八年もほとんど同様に、だんだんその実効はあがっていないのであります。いわゆる政府は、のど元を過ぎれば熱さを忘れて、実際にやる気がない。単に刑罰を強化することによって責任のがれをしておるということであると思うのであります。しかも、賀屋興宣君は、「たびたび申し上げまするように、法制的に定義をしてはっきりつかめるようなものでもございません。われわれのいわゆる常識概念にはございますが、つかまえてみれば雲か霧のようなもので、遠くから見れば暴力団というものがある。しかし、近寄って法制的につかまえようとすればつかまらぬ。一体、団員がだれであるか、団員というものは明瞭に実証されているのか、登録されているのか、どこにあるのかといえば、あそこの親分の子分に違いないというけれども、必ずしもそれが明確でない。半分子分であるけれども一〇〇%子分ではない。組織というものがはっきりいたしません」と、こう言っておるのだ、彼は。政府は資料の中で、ばく徒だけでも千十五団体、三万二千五百九十七人おると言う。はっきりつかんでおる。三十三年に刑法の一部改正を行なって凶器準備集合罪があるのであります。やる気であればこれで十分取り締まれる。賀屋興宣君は、前段に申し上げたようなことは十分承知しながら、ことさらに、右翼暴力団については団体組織についても内容を明らかにせず、まぼろしのごとき答弁で逃げておるのは、目的がほかにあると私は思うのであります。  池田内閣の経済政策の失敗は、国民に貧困と格差をますます増大させ、権力、暴力によって国民の上に君臨しようとしておる。いまこそ封建主義の残存をなくし、民主主義を育てることであり、保守政党も近代的政党として、総裁選挙にまつわる数々の悪質な宣伝や金の力によって、つまらないけがをしないように、脱皮することを私は望んでやみません。  わが党は、既定の法律によって十分取り締まることのできるのに、それをやろうとしない政府が、弾圧法をさらに強化して、大衆運動に逆作用をさせる本法の改正は必要としないし、本法案を提案した反動的、反民主的な大臣として、内閣にとどまることに反対をするのであります。戸叶君提案の問責決議案はまことに時宜に適しており、私は賛成である。賀屋興宣君を法務大臣の地位から去らせることが国民の利益であると確信して、賛成の討論を終わるものであります。(拍手)
  70. 重政庸徳

    ○副議長(重政庸徳君) これにて討論の通告者の発言は全部終了いたしました。討論は終局したものと認めます。  これより本案の採決をいたします。表決は記名投票をもって行ないます。本案に賛成の諸君は白色票を、反対の諸君は青色票を、御登壇の上、御投票を願います。  議場の閉鎖を命じます。氏名点呼を行ないます。   〔議場閉鎖〕   〔参事氏名を点呼〕   〔投票執行〕
  71. 重政庸徳

    ○副議長(重政庸徳君) 投票漏れはございませんか。――投票漏れないと認めます。投票箱閉鎖。   〔投票箱閉鎖〕
  72. 重政庸徳

    ○副議長(重政庸徳君) これより開票いたします。投票を参事に計算させます。議場の開鎖を命じます。   〔議場開鎖〕   〔参事投票を計算〕
  73. 重政庸徳

    ○副議長(重政庸徳君) 投票の結果を報告いたします。   投票総数      百七十票   白色票       四十八票   〔拍手〕   青色票      百二十二票   〔拍手〕  よって、本案は否決せられました。      ―――――・―――――   〔参照〕  賛成者(白色票)氏名      四十八名       鈴木 市藏君    小宮市太郎君       矢山 有作君    野々山一三君       柳岡 秋夫君    稲葉 誠一君       吉田忠三郎君    武内 五郎君       北村  暢君    森 元治郎君       伊藤 顕道君    近藤 信一君       戸叶  武君    松澤 兼人君       藤田藤太郎君    中村 順造君       秋山 長造君    阿部 竹松君       岩間 正男君    須藤 五郎君       野坂 參三君    渡辺 勘吉君       小林  武君    松本 賢一君       野上  元君    米田  勲君       安田 敏雄君    横川 正市君       大矢  正君    鈴木  強君       相澤 重明君    占部 秀男君       久保  等君    岡  三郎君       藤田  進君    亀田 得治君       加瀬  完君    永岡 光治君       成瀬 幡治君    中田 吉雄君       小酒井義男君    藤原 道子君       椿  繁夫君    大和 与一君       木村禧八郎君    岡田 宗司君       千葉  信君    羽生 三七君     ―――――――――――――  反対者(青色票)氏名      百二十二名       市川 房枝君    林   塩君       鬼木 勝利君    二木 謙吾君       大竹平八郎君    鳥畠徳次郎君       青田源太郎君    赤間 文三君       中尾 辰義君    北條 雋八君       浅井  亨君    鈴木 恭一君       堀本 宜実君    二宮 文造君       森 八三一君    上原 正吉君       松平 勇雄君    最上 英子君       白木義一郎君    河野 謙三君       三木與吉郎君    和泉  覚君       野田 俊作君    木暮武太夫君       笹森 順造君    中上川アキ君       森田 タマ君    植木 光教君       沢田 一精君    栗原 祐幸君       熊谷太三郎君    久保 勘一君       丸茂 重貞君    坪山 徳弥君       石谷 憲男君    植垣弥一郎君       岸田 幸雄君    谷村 貞治君       徳永 正利君    仲原 善一君       中野 文門君    豊田 雅孝君       天坊 裕彦君    竹中 恒夫君       鈴木 万平君    村上 春藏君       山下 春江君    山本 利壽君       大谷 贇雄君    館  哲二君       青柳 秀夫君    平島 敏夫君       鍋島 直紹君    堀  末治君       新谷寅三郎君    西郷吉之助君       紅露 みつ君    杉原 荒太君       田中 茂穂君    大野木秀次郎君       植竹 春彦君    平井 太郎君       黒川 武雄君    西川甚五郎君       井野 碩哉君    井川 伊平君       鹿島 俊雄君    川上 為治君       松野 孝一君    日高 広為君       温水 三郎君    亀井  光君       野上  進君    山本  杉君       金丸 冨夫君    谷口 慶吉君       木島 義夫君    西田 信一君       柴田  栄君    大谷藤之助君       稲浦 鹿藏君    石井  桂君       吉江 勝保君    塩見 俊二君       井上 清一君    岡村文四郎君       加藤 武徳君    剱木 亨弘君       梶原 茂嘉君    田中 啓一君       吉武 恵市君    高橋  衛君       草葉 隆圓君    増原 恵吉君       小柳 牧衞君    中山 福藏君       村松 久義君    郡  祐一君       安井  謙君    高橋進太郎君       鹿島守之助君    木村篤太郎君       迫水 久常君    長谷川 仁君       小林 篤一君    櫻井 志郎君       佐野  廣君    後藤 義隆君       林田 正治君    横山 フク君       前田 久吉君    白井  勇君       古池 信三君    斎藤  昇君       下村  定君    小山邦太郎君       基  政七君    田上 松衞君       天田 勝正君    中村 正雄君       村尾 重雄君    曾禰  益      ─────・─────
  74. 重政庸徳

    ○副議長(重政庸徳君) 次会の議事日程は、決定次第、公報をもって御通知いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後五時五十七分散会    ――――・――――