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1957-05-07 第26回国会 参議院 予算委員会 24号 公式Web版

  1. 昭和三十二年五月七日(火曜日)    午後二時三分開会   ―――――――――――――   委員の異動 五月六日委員大谷瑩潤君及び草葉隆圓 君辞任につき、その補欠として前田佳 都男君及び成田一郎君を議長において 指名した。 本日委員山田節男君、栗山良夫君及び 松浦清一君辞任につき、その補欠とし て北村暢君、平林剛君及び森中守義君 を議長において指名した。   ―――――――――――――  出席者は左の通り。    委員長     苫米地義三君    理事            小林 武治君            迫水 久常君            左藤 義詮君            安井  謙君            吉田 萬次君            天田 勝正君            中田 吉雄君            吉田 法晴君            森 八三一君    委員            青柳 秀夫君            木村篤太郎君            小山邦太郎君            佐藤清一郎君            柴田  栄君            土田國太郎君            苫米地英俊君            仲原 善一君            成田 一郎君            一松 定吉君            前田佳都男君            武藤 常介君            内村 清次君            海野 三朗君            岡田 宗司君            小林 孝平君            佐多 忠隆君            羽生 三七君            平林  剛君            松浦 清一君            森中 守義君            加賀山之雄君            豊田 雅孝君            八木 幸吉君   国務大臣    内閣総理大臣    外 務 大 臣 岸  信介君    法 務 大 臣 中村 梅吉君    大 蔵 大 臣 池田 勇人君    文 部 大 臣 灘尾 弘吉君    厚 生 大 臣 神田  博君    農 林 大 臣 井出一太郎君    運 輸 大 臣 宮澤 胤勇君    労 働 大 臣 松浦周太郎君    国 務 大 臣 宇田 耕一君    国 務 大 臣 鹿島守之助君   政府委員    法制局長官   林  修三君    法制局第三部長 西村健次郎君    経済企画庁調整    部長      小出 榮一君    法務省刑事局長 井本 臺吉君    外務参事官   法眼 晋作君    大蔵省主計局長 森永貞一郎君    大蔵省主計局次    長       村上  一君    大蔵省主計局給    与課長     岸本  晋君    大蔵省主税局長 原  純夫君    文部省初等中等    教育局長    内藤誉三郎君    文部省大学学術    局長      緒方 信一君    運輸省鉄道監督   局国有鉄道部長  細田 吉藏君    労働政務次官  伊能 芳雄君    労働省労政局長 中西  實君   ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○本委員会の運営に関する件 ○昭和三十二年度特別会計予算補正  (特第2号)(内閣提出、衆議院送  付) ○昭和三十二年度政府関係機関予算補  正(機第1号)(内閣提出、衆議院  送付)   ―――――――――――――
  2. 苫米地義三

    ○委員長(苫米地義三君) ただいまから委員会を開きます。  まず委員の変更について申し上げます。五月六日大谷瑩潤君及び草葉隆圓君が辞任され、その補欠として前田佳都男君及び成田一郎君が指名されました。また本日山田節男君及び栗山良夫君が辞任され、その補欠として北村暢君及び中称剛君が指名されました。
  3. 苫米地義三

    ○委員長(苫米地義三君) 次に、昨日の委員長及び理事打合会で協議の結果、左記の通り決定いたしましたので、これを御報告いたします。  一、五月七日午後一時委員会を開き、昭和三十二年度第二次補正予算の提案理由の説明を聴取して直ちに質疑に入る。  二、質疑時間の各派割当は次の通りとする。自民党百分、社会党二百三十分、緑風会五十分、無所属二十分、十七控室二十分。  三、八日以降毎日午前十時から委員会を開き、質疑を続行する。  四、八日の委員会散会後、理事会を開き、自後の措置を協議するが、どんなにおそくとも十一日には審議を終了すること。(「ちょっと違いますよ」「それは違う」「何が違う」と呼ぶ者あり)読み違えました。おそくとも十一日には審議を終了することを目途とする。  以上が昨日の理事会で決定した事項でございます。御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 苫米地義三

    ○委員長(苫米地義三君) 御異議ないと認めます。
  5. 小林孝平

    ○小林孝平君 昨日理事会が開かれまして、ただいま委員長が御報告されましたようなことが決定されたそうでございますが、先月の二十四日、二十五日、当委員会が開かれましたとき、羽生委員並びに私から総理に対して、国防会議が開かれましたならば、この結果を当委員会に報告をしていただきたい、すみやかに報告をしていただきたいということを申し上げてあるはずでございます。これは委員長にも申し上げて念を押して置いたはずなんです。ところが昨日の理事会にこれが少しもお話にならないのでございますが、おそらく委員長は、当日のその発言が、長期計画ができてからということで、長期計画はまだ正式にできないからというので、そういうふうなお取扱いをされたと思いますけれども、私たちが長期計画といったのは、国防の基本方針について言ったのであります。これは第一回の去る二日に開かれました国防会議において議題になり、おおよそ方針が決定されたということになっているようでございますから、この経過の報告をすみやかに当委員会にやっていただきたいと思います。これは、この補正予算の前からの懸案でございますから、補正予算の審議の始まる前にやっていただきたい。(「賛成」「異議なし」と呼ぶ者あり)
  6. 苫米地義三

    ○委員長(苫米地義三君) お答えいたします。小林君のただいまの御発言でございますが、委員長といたしましては、第一回の国防会議が開かれたことでもありまするので、去る四月二十五日の本委員会の速記録を調査いたしましたところ、本件に関しましては、長期国防計画ができたならば本委員会に報告せよとの御趣旨であったようでございます。その意味で、理事会には昨日はお諮りいたしませんでした。しかしお話もございまするから、来たる八日に理事会を開きまして、そこで御相談申し上げたいと思っております。
  7. 小林孝平

    ○小林孝平君 ただいま委員長は、その速記録をごらんになって、長期国防計画ができてから、こういうことになっているから、理事会にかけないとおっしゃいましたけれども、私は、この当日お話を申し上げたときは、法律の条文のようなことをお話ししたのじゃないのです。先ほども申し上げたように、長期国防計画というのは国防の基本方針のことなんです。これはその一部分だけを取り上げて、長期国防計画とあったから、それができないから、まだなんだというのは、これは詭弁ですよ。これは全部読んでいただけば、これは国防の基本方針であるということは明らかなんです。そうして国防会議が開かれたならばその経過を聞きたいということなんです、意味は。委員長は故意にそんな片言隻句をとらえてそういうことを言われておりますけれども、もう一度それをよくお読みになればすぐおわかりになると思います。従って、先ほどから申し上げているように、これは前からの懸案でありますから、これを至急本委員会に報告していただきたい、こういう意味です。
  8. 苫米地義三

    ○委員長(苫米地義三君) お話でございますが、速記録をよく読みましたら、今のような――さっき申し上げたような事情であったから、特にきのうは理事会には諮りませんでしたのですが、しかしただいまのお話でもございますから、最近の理事会にかけて処置いたしたいと思います。(「賛成」と呼ぶ者あり)
  9. 小林孝平

    ○小林孝平君 それは、さっきあなたがお読みになったときは、そういうふうに解釈されたでしょう。しかし私が発言したのですからね。だから、その意味はこうでありますと申し上げている。従って、私が速記録に書いてある意味はこうなんだと、こう申し上げているから、それに従って直ちに取り扱っていただきたい。こういうふうに思います。
  10. 左藤義詮

    ○左藤義詮君 関連して。ただいま小林君から国防会議のことについての議事進行の御発言がございましたが、昨日の理事会は社会党の三理事もおそろいになりまして、いろいろ予算の審議日程等について御相談申し上げたのでございますが、そのときにもお話は出ておりませんので、いろいろその速記録の解釈等につきましても、この次の理事会におきましていろいろ御相談をすることにいたしまして、きのう理事会で全員一致で申し合せましたごとくに、とりあえず予算の提案理由を聞き、審議にお入りになるように希望いたします。(「その通り」「賛成々々」「関連」と呼ぶ者あり)
  11. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 理事会の話なら……なるほどきのうの理事会ではこの資料の問題は話に出ませんでした。しかしこの前の予算委員会のときに小林君から要求があって、国防会議は近く開かれる、で、その国防会議に提出せられる防衛計画はこの予算委員会に出します、こういうことを、これは小滝長官も受け合われた。そうして国防会議にかかってきまったものか、あるいはそれ以前の国防会議に出される資料か、その点は小林君から二度にわたって請求がございましたが、それは出しましょうということになっている。あとで私も、その長期国防計画については情勢見積りということで出してもらいたい、こういうことを申し上げました。委員長、そこだけではありませんよ。あとにも出ている。そうしてこの予算委員会に、国防会議があって計画が出たら出します、ということは了承済みのことであります。了承済みのことでございますから、委員会が開かれたら、これは出されるのが――論議を待たないで出されるのが当然であります。小林君から督促を受けたら、さよう取り計らいましょうと、こう言われるのが、委員長の当然の任務だと思う。あまり理事会なんかに持って行って紛糾をすべき問題でありません。(「そうだ」と呼ぶ者あり)もう出すことになっているのです。国防会議が開かれたのでありますから出される、とにかくこの長期防衛計画というのは資料として委員会に出される、こういうふうに一つお取り計らい願いたい。さよう一つ御明答願いたい。
  12. 苫米地義三

    ○委員長(苫米地義三君) 今お話のあった通り、私はそのことを承知しておりましたから、きのう理事会に提案しようと思ったのです。ところがその前に、この速記録を一ぺん読んでみたいと思って、速記録を調べてみたら、長期計画が具体的に立ったらというような意味であったから、きのうは特に……(小林孝平君「いやいや、そうじゃない」と述ぶ)そのことについては今お話もございますから、最近の理事会に諮って……(「それでいいわけだ」「理事会に諮る必要ないでしょう」「進行々々」「委員長採決」「採決できるか」「誰が採決するのだ、何を」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し)
  13. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 それは委員会が了承をして、出したら本委員会に出すと、国防会議にかけたらそれを出すと、こういう了承ですから、何も論議も要りませんよ。委員長が、国防会議の事務局かあるいは防衛庁長官に言うて出されたらいいでしょう。さよう取り計らいましょうと言っていただいたら、それでわかるのです。
  14. 苫米地義三

    ○委員長(苫米地義三君) 皆さんがそれでよければそれで……(「きょうは進行しろよ」と呼ぶ者あり)一応理事会に諮ってやるのが委員長の私はやり方だと思いますから……(「その通りだ」と呼ぶ者あり、吉田法晴君「前に了承されておるのだから」と述ぶ)
  15. 小林孝平

    ○小林孝平君 それは違うのだ。今、吉田君からお話がありました点は、これはもう一つ別の問題なんです。それは統合本部です。防衛庁の統合本部から出ておりますこの資料ですね。この「資料を委員会にすぐ出してくれと、これは二十五日に申し上げて、翌日までに出してもらいたいと、こう言ったのです。それが出ていないのです。その問題と、今のこの国防会議のこの経過を話を聞くという、二つの問題なんです。先ほどはまだ吉田君の言われたことは私は申し上げなかったのです。これは次に申し上げようと、こう思っておった。それで、第一点の点は、さよう取り計らいますじゃ困ります。さっそくこの予算の審議の前に総理大臣から――国防会議の議長である総理大臣」から、その経過を聞かなければならぬ。これが筋道です。総理大臣そこにおいでになるのだから、さっそく聞かれたらどうです。総理大臣はまた話をすると、こうおっしゃっていたんです。――私はこの予算の審議の前にやってもらいたいということを提案しているのですから。
  16. 苫米地義三

    ○委員長(苫米地義三君) まあお話は承わりましたが、今議題を提供しまして、その議題がなければ、やはり議事の進行にはならぬと思いますから……。
  17. 小林孝平

    ○小林孝平君 議事進行許したでしょう。そんなばかなことありますか。議事進行許したじゃないですか。じゃあ今までのは何だ。そんなばかなこと言っちゃだめじゃないか。発言を許して、それが議題にならぬとすると、どうなんです、今までしゃベったのは。
  18. 苫米地義三

    ○委員長(苫米地義三君) とにかくね、(笑声、小林孝平君「いや、とにかくじゃない」と述ぶ)そのことはですね。さっき申し上げたように、気がついて、きのう提案しようと思ったのです。だから……(「休憩して直ちに理事会を開くこと」と呼ぶ者あり)そのことは直ちにやります。(「休憩して直ちに理事会」と呼ぶ者あり)いや休憩じゃありません。(「休憩して理事会」「休憩」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し)そうじゃありません。それは理事会に諮ってからやります。(「その通り」「休憩してから直ちに理事会」「理事会をやりなさい」「提案説明を求めろ」と呼ぶ者あり、小林孝平君「提案説明の前にやることを言っているのだ、今」と述ぶ)提案理由を先に聞こうじゃありませんか。    〔「それを提案すればいいじゃないか」「いや途中で尻切れとんぼはいけませんよ」「委員長、進行」と呼ぶ者あり〕
  19. 苫米地義三

    ○委員長(苫米地義三君) それでは、ただいまの小林君の御提案につきましては、最近の理事会において御協議することにいたします。   ―――――――――――――
  20. 苫米地義三

    ○委員長(苫米地義三君) これより昭和三十二年度特別会計予算補正(特第2号)及び昭和三十二年度政府関係機関予算補正(機第1号)を議題といたします。ではこれから提案理由の説明を求めます。
  21. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) 政府は、過日、昭和三十二年度特別会計予算補正(特第2号)及び昭和三十二年度政府関係機関予算補正(機第1号)を国会に提出いたしましたが、ここに予算委員会の御審議をお願いするに当たりまして、その概要を御説明いたします。  今回の予算補正は、いずれも公共企業体等労働関係法の適用を受ける公共企業体等の職員給与の改善に伴うものでありまして、郵政事業特別会計及び日本専売公社、日本国有鉄道、日本電信電話公社の三公社の各予算における給与費を追加するものでありますが、なお郵政事業特別会計の予算補正に関連して、資金運用部・郵便貯金、簡易生命保険及び郵便年金の三特別会計についても所要の予算補正を行うことといたしております。  公共企業体等の給与問題につきましては、かねて公共企業体等と労働組合との間で折衝を重ねて参りましたところ、公共企業体等の申請により、去る四月六日、公共企業体等労働委員会の仲裁裁定が行われたのであります。  その裁定の概要を御説明いたしますと、基準内給与は、その予算単価についておおむね千二百円を増額した金額の範囲内で両当事者協議の上実施すること、並びにその協議に当っては、現行平均賃金の水準が実現されるに至った経緯並びに公共企業体等の経営の将来の見通し等各般の事情を十分に考慮することを内容といたしております。  政府におきましては、この仲裁裁定を検討いたしました結果、公共企業体等労働関係法の精神を尊重し、公共企業体等における健全な労働慣行の確立を念願する趣旨において、これを実施することとしたのであります。また、この仲裁裁定を実施するために必要な予算上資金上の措置について検討いたしました結果、郵政事業特別会計及び専売、国鉄、電々の三公社につきましては、所要の予算補正措置を講ずることとし、造幣局、印刷局、国有林野事業及びアルコール専売事業の四特別会計につきましては、いずれも昭和三十二年度特別会計予算の予算総則第十二条の規定に基きまして、経費の移用流用等により措置することとしたのであります。  仲裁裁定の実施のための財源措置の具体的な方針は、次によることといたしました。すなわち、まず実員に対して基準内給与予算単価につきおおむね千二百円を増額した金額及びこれに伴う基準外給与所要額を計上することといたしました。  これに対する財源措置といたしましては、まず既定給与総額内の財源を検討し、第一に、三公社につきましては、既定財源で賄われていたいわゆる第一項確定分、すなわち、昭和三十年度末調停案第一項に基因する賃金増加分に相当する金額の半年分を充当いたしました。次に、予算単価と実行単価との格差について、昭和三十一年七月一日の実態に基ずき、これを三年間に解消する目途のもとに、おおむねその三分の一相当額を充当し、そのほか、基準外給与の不用額と所定外支出額の実績を勘案し、相当額を充当することといたしました。このように既定給与総額内の財源をもって充当し、なお不足する額につきましては、極力事業の遂行に支障が生じないよう配意しつつ、物件費その他の既定経費から所要財源を捻出充当することといたしました。なお、郵政事業特別会計につきましては、郵便貯金・簡易生命保険及び郵便年金の二特別会計及び日本電信電話公社から所要額を受け入れることといたしました。  以上に基ずいて算定いたしますと、郵政事業特別会計及び日本専売公社、日本国有鉄道、日本電信電話公社の三公社につきまして、今回の仲裁裁定を実施するために必要とする額は約百八十四億円でありますが、既定の給与費予算をもって充当しうる額約六十九億円を差し引きますと、給与総額外から新たに追加される給与費の額は、約百十五億円となります。  以上で概略の御説明を終ります。何とぞすみやかに御審議をお願いいたします。
  22. 苫米地義三

    ○委員長(苫米地義三君) 次に補足説明を求めます。
  23. 森永貞一郎

    ○政府委員(森永貞一郎君) ただいま大蔵大臣から御説明いたしました財源措置の基本方針に即しまして具体的な財源措置はどうなっておるかという一覧表が、お手元にお配りしてございます昭和三十二年度予算補正の説明という印刷物の第二ページにございますので、その表を中心として簡単に補足説明を申し上げたいと思います。  この表は、まず補正を要しまする三公社並びに郵政と、補正を要しない造幣、印刷、国有林野、アルコール専売等、四現業に分けて掲示してございます。  まず補正を要しまする分につきまして申し上げます。まず今回の裁定実施に伴う所要額でございますが、これには、基準内給与の増加額、それに伴う基準外給与、たとえば期末手当等の増加額、さらにまた給与総額外の共済組合の負担金等で増加いたします額、そういったものがございますが、その合計額は、専売公社については七億八千二百万円、国鉄は九十億五千五百万円、電々は三十五億六千二百万円、郵政は五十億三千二百万円、この四者の合計が百八十四億三千百万円ということに相なっております。なおここで専売の一番上の七億二千万とございますのは、ミス・プリントでございまして、七億二千百万と御訂正いただきたいと思います。これに対する財源措置でございますが、ただいま大蔵大臣から御説明いたしましたように、まず給与総額内からの充当額が、専売公社四億六千六百万円・国鉄三十六億三千八百万円、電々十八億三千四百万円、郵政九億九千四百万円、合計六十九億三千二百万円、こういう数字に相なっております。給与総額内からの充当分の内容でございますが、まず第一には第一項確定分、これは裁定におきましても千二百円の中に含まれるということが明示されておりますが、財源的に申しますと、その半年分が既定給与総額内でまかなわれていたわけでございますので、その余裕をまず充当することといたしております。次は実行単価と予算単価との格差の問題でございますが、今回の裁定主文第一項をその通り忠実に実行いたしますと、千二百円の中に格差が全部含まれることにも相なるわけでございます。かくては今回の裁定が企図いたしておりまする実質的に相当の給与改善になるようにという趣旨が没却されますので、余裕財源として充当いたします限度は三分の一にとどめまして、三分の二はこれをそのまま存置することといたしまして、財源措置を講ずることといたしました、その金額でございます。さらに給与総額内における休職者給与等の不用額あるいは超過勤務手当等の所定外支出額、これらを余裕財源として、給与総額の中からまず今回の財源の捻出に努めた次第でございます。  しかしこの六十九億ではもちろん不足いたすわけでございますので、給与総額外からの充当をいたします金額が専売三億一千六百万円、国鉄五十四億一千七直刀円、電々十七億二千八百万円、郵政四十億三千八百万円、合計百十四億九千九百万円、こういう数字に相なります。その内訳は、専売で申し上げますと、退官退職手当等で千四百万円、物件費節約で八千百万円、予備費の削減二億二千百万円、合計七億八千百万円とございますが、これは二百万円のミス・プリントでございます。なお専売公社につきましては、本年度の予算に計上しておりまする専売益金の納付金には影響がないように措置をいたしておる次第でございます。国鉄につきましては給与総額外充当五十四億一千七百万の内訳は、退官退職手当十億円、資産充当三十四億千七百万円、この資産充当と申しますのは、三十一年度の国鉄の収支におきまして、収入が三十四億一千七百万円超過いたしたわけでございます。この金額を、今回のこの補正によりまして、国鉄の本年度の資本勘定に受け入れまして建設費に充当することとし、他面それに見合う額の損益勘定からの資本勘定への繰り入れを全額いたしまして、今回の給与改訂の財源に充当しておるわけでございます。さらに予備費の削減十億円ということで五十四億千七百万円でございまして、合計九十億五千五百万円の財源をまかなっております。  電々公社の給与総額外充当は十七億二千八百万円、内訳は退官退職手当一億二百万円、資産充当十一億二千六百万円、これは国鉄について申し上げましたのとほぼ同じような事情でございます。ただし電々公社におきましては、郵政会計の給与改訂の一部をもまかなっているわけでございますが、その分を合せますと、電々公社における資産充当額は二十億一千四百万円ということに相なります。予備費の削減五億円、こういう内訳でございまして。総財源措置額は三十五億六千二百万円でございます。  郵政は給与総額外四十億三千八百万円、内訳といたしまして退官退職手当七億七千万円、物件費節約八億五千七百万円、これは外国郵便の関係の逓送料の減額でございまして、局舎の建設その他郵便業務本来の事業遂行に支障がないように努力いたしております。  なお申し落しましたが、国鉄、電々につきましても、資産充当いたしました結果、本来の業務計画には何らの支障がないように配慮されております。  郵政はそのほかに予備費の削減三億円、他会計よりの受け入れ二十一億一千百万円、この二十一億一千百万円の内訳は四ページの上の方にございます二番目の表でございます。郵政貯金特別会計よりの受け入れが四億二千百万円、簡易生命保険及郵便年金特別会計からの受け入れが八億三百万円、電信電話公社よりの受け入れが八億八千七百万円、こういうことに相なっております。そのうち郵便貯金特別会計よりの受け入れば、さらに資金運用部特別会計から同額を受け入れてまかなっております。資金運用部特別会計におきましては、総額を金融債等に対する短期運用に基く収入増加見込み等によりましてまかなっております。簡易生命保険及郵便年金特別会計よりの受け入れば、予備費の削減一億のほか、最近における実情を考慮いたしました結果としての還付金の修正減少額によってまかなっておる次第でございます。  以上のような財源措置でございますが、これを基準内給与一人当りにつきまして、財源が具体的に――ペースではなくて財源として幾ら増加しておるかということを申し上げてみますと、二ページの表の備考の2にございますが、専売公社につきましては六百二十円、国鉄七百五十一円、電々七百十円、郵政千百二十円、こういう数字に相なっております。  次は移用流用等によって措置いたしました結果、予算の補正を要しないものでございますが、簡単に申し上げますと、給与改訂の所要額は、造幣三千七百万円、印刷一億七千二百万円、国有林野四億二百万円、アルコール専売二千九百万円、合計六億四千万円でございます。これに対しまして給与総額内から充当いたしましたものは、造幣九百万円、印刷三千四百万円、国有林野二千九百万円、アルコール専売九百万円、その合計が八千百万円ということに相なっております。給与総額外から充当いたしましたものが、造幣二千八百万円、印刷一億三千八百万円、国有林野三億七千三百万円、アルコール専売二千万円、その合計五億五千九百万円ということに相なっております。この給与総額外からの充当につきましては、極力経費の節約に努力いたしまして、移流用等によりましてこの所要額を捻出できる見込みでございますので、特に補正の措置を講じなかった次第でございます。  なおここに掲示いたしました金額のほかに、備考の一にございますが、国有林野特別会計におきましては本来給与総額外で処理されておりました常勤職員の給与の今回の裁定による増加額一億五千四百万円、賃金労務者給与十三億二千七百万円、合計十四億八千百万円の財源措置が必要であるわけでございますが、これにつきましては、事業費の中で極力差し繰りをいたしまして、本来の業務遂行に支障のない範囲で所要額を捻出できる見込みでございます。なおこれらの措置によりまする基準内給与一人当りの財源の増加額は、造幣九百五十八円、印刷千二十四円、国有林野千百七十七円、アルコール専売千八円、かような計算に相なっております。  以下各特別会計並びに各公社につきまして今回の補正の内容を項目別・勘定別にお示ししてございますが、時間の関係もございますので説明は省略させていただきたいと存じます。以上簡単でございましたが補足説明を終ります。
  24. 苫米地義三

    ○委員長(苫米地義三君) これより質疑に入ります。
  25. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 われわれがこれから審議しようとするのは昭和三十二年度予算補正でありますが、その中身は、公共企業体等労働関係法の適用を受けます公共企業体等の職員給与の改善に伴うものがほとんどそのすべてであります。ところが、争議権を奪い、そして団体交渉等についても制限を受けまして、調停、裁定という制度を設け、裁定は団体交渉の結論にかわるものでありますが、この裁定をも完全に実施しようとせず、裁定なり団体交渉の結論を待って予算措置を講じようとせず、一方的に政府が裁定を切る案をここに出して参っております。なおこの給与待遇の改善を求めます国鉄、電々あるいは郵政等、いわゆる公社職員の運動に対しまして弾圧的な態度をもって臨もうとされるがごとくであります。二日、松浦労働大臣は、名古屋において、国鉄において解雇三十一人か、その他の処分を含めますというと七百余人、全電通、全逓においても二、三人の解雇者、中井大臣はその必要はなかろうと言っておられるけれども、二、三人の解雇のほか、全電通、全逓合せて百人の処罰をしなければならぬ、こう新聞談を発表しておられます。こういう態度は、これは政府の、岸内閣として給与に対して、あるいは公務員に対して、一方的な低賃金政策あるいは弾圧政策をもって臨もうとせられるのであるかどうか。その点をまず基本方針を岸総理大臣に伺いたい。
  26. 岸信介

    ○国務大臣(岸信介君) 今回のいわゆる春季闘争につきまして、三公社五現業に対する政府の方針といたしましては、あくまでも事前において、これらの公企業体の本来の使命に反しないように、私ども極力これが平和裡に解決せられることを望んで参ったのでございますが、しかしこの賃金の問題に関して調停が行われ、さらに私どもは、その内容について明瞭を欠いておるという考えのもとに、仲裁裁定を求めまして、仲裁裁定が下ればこれに対して誠意を持ってこれを尊重するという、当然のことではございますけれども、私どもそういう態度をとり、同時に公企業体の労務者が、その本来の法律の精神や、本来の使命を逸脱しないように、私どもは極力注意を促して参ったのであります。しこうして、仲裁裁定が下りましたのに対しまして、私ども仲裁裁定の意味を十分に検討いたしまして、これをこの内容をそのまま実現するという考えのもとにこの追加予算を出して参ったわけであります。また公企業体におけるところの公労法その他の法規に違反している行動等に対しましては、将来こういう事業がきわめて国民生活にも重大な関係があり、公共性を持っておることでございますから、そういう点に関して、行き過ぎや、あるいは法規違反等については、十分に一つ反省を求めて、将来またかかる事態が生じないというふうにすることは、政府として当然であると思っております。しかし今吉田委員のお話のように、われわれが不当に低賃金をしいるとか、あるいは弾圧方針をもってこれらに臨むという考えは毛頭持っておらないのでございます。
  27. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 総理は、仲裁裁定をそのまま実現する、完全実施をするつもりである、こういうことを言われましたけれども、実際に出て参っておるものはそうではございません。それから、弾圧方針をとるつもりはない、あるいは低賃金政策をとるつもりはないと、こうおっしゃいますけれども、私が先ほどの質問の中で中心にお尋ねをいたしました松浦労働大臣は、二日、名古屋において、国鉄七百名あるいは全電通、全逓等百人を越える処罰を出す、あとで官房長官はこれは希望的な意見であると、きまっておることではないというお話でございましたけれども、中井郵政大臣においても反対をすると言いますか、あるいは議のまとまっておらぬものについても二名の解雇者、二、三名の解雇者あるいは百名もの処罰者を出したい、こういう言明をしておられるところを見ますと、明らかにこれは弾圧態度、政府部内における意見はまとまっておらぬ、あるいは裁定を完全に実施をしたい、あるいは労使の善良な慣行は作りたいと、こう言われるのでありますけれども、一方において、裁定については、これはあとで問題にいたしますけれども、その完全な実施をしないで、勝手に予算定員と、それから人員の差額による給与の実績はこれを削ろう、そうしてこの労働組合が制限されておりましょうとも、憲法に基く団結権あるいは団体行動権に基いてやろうとする動きに対し、先ほどのような話もまとまらない、多量な解雇者あるいは処分者をもって対抗しょうということは、これは明らかに弾圧政策じゃありませんか。労働大臣、新聞発表について何かきょう閣議で弁明されたということでありますけれども、新聞に出ておりますところは、いずれも各紙トップ記事を飾った弾圧政策です。政府の方針として弾圧政策でないということはどこに言えますか。
  28. 松浦周太郎

    ○国務大臣(松浦周太郎君) 三日の名古屋における私の談話が問題になっておるようでありますが、私は三日の日一般の記者会見をやって、その人たちが帰ったあとで、東京から行った人たちだけで座談をしております。その座談の中のことがそのまま新聞に出たのでありまして、これはやっぱり私の責任でありますから、政府の閣議において相談したりしたものではありません。一労働大臣として申し上げたのであります。またそれは弾圧するつもりはありません。また総理大臣の仰せになりました通りに、法を誤まった者はその身をもってその償いをしてもらいたいというのが最初からの私どもの考えでございまして、両方総合して私が申し上げたのでありますから、それは決して閣議の申し合せ事項とか、あるいは他の大臣の意向を聞いてやったことではありません。これは私の責任であります。
  29. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 この同行した記者諸君じゃなくて、一般の記者諸君を集めて雑談をやった、これは新聞を侮辱するものでありますが、総理大臣は、一国の大臣がしかも担当の大臣が新聞記者会見で発表いたしましたものが雑談だとして済まされるとお思いになりますか。事は行政処置に関することでもございます。あるいは解雇その他本人にとっては生活の根拠を失う問題でもあります。しかも閣内においては議はまとまっていなかった、あるいは平井大臣については異論があるということさえ言われておりますが、そういうものを発表されたら、それが雑談だとして済むとお考えになりますか、これは政府の方針として新聞なり一般が受け取ることはこれは明瞭であります。こういう大きな反響を呼びます談話を発表して、それが雑談である、そしてこれが弾圧政策をもって臨むものではない、こういうことが言えますか、国民が受け取りましたものは、大量処分の方針を政府が発表した、あるいは裁定それ自身については、給与それ自身については労使の関係がどうなっていくかわからぬときに、わからぬ段階において大量処分の発表をすることは、これは弾圧じゃなくて何ですか。労使の善良な慣行を作りたいというのなら、労使双方の折衝に待ち、そして裁定に疑問があった場合に、賃金が労使双方においてきまらぬ場合には、その推移を待って、裁定について、裁定を完全実施するについては、政府としてはどうしなければならないかとあとから判断されるのは、これは政府の当然の態度であろうと思います。そうじゃありませんか。それならば私が申し上げたように、低賃金政策を無理に押しつけようとする、あるいは弾圧方針でもって臨むと言われても、これはしようがないじゃありませんか、重ねて首相の答弁を求めます。
  30. 岸信介

    ○国務大臣(岸信介君) 名古屋における労働大臣の新聞社の方々との談話のいきさつにつきましては、先ほど労働大臣が御説明申し上げましたように、いわゆる記者会見において述べたことではなくして、それが終った後になりまして、記者団との間の雑談の際に述べたということでありますが、その点は労働大臣一個の考えとして雑談の際に申し上げたことであろうと思いますが、それが新聞にああいうふうに取り上げられるというふうなものを作ったことについては、そうしてそれがいろいろ誤解を招いたということについては遺憾でありますけれども、しかしこの問題に関する最初からの政府の方針としましては、終始一貫しておりまして、私はこういう公企業体においてはいわゆる争議権が認められておらない、従って賃金の問題についても労使の間の円満な話し合いがつかない場合においては、調停やそうして仲裁裁定、最後の仲裁裁定というものがそれにかわるべきものとして認められておるのでありますから、その手続を経た上において、これを実現するということは、これは当然のことであり、またそうしなければならない。従来におきましてそういう場合における処置として、後にこれを批判すれば、十分に仲裁裁定が尊重されておらなかったこともあるように思われるのでありますが、私の内閣においては最初からそれは誠意をもって尊重するということを公約いたしまして、これはさらに今提案をいたしております予算案につきまして、この追加予算案について御審議を願い、内容を御検討願いたいと思いますが、政府は私が公約しておる通り誠意をもってこの仲裁裁定をその内容通り実現するということの意図をもって提案をいたしておるのであります。また処分の問題に関しましては、これはそれぞれ所管大臣やあるいは公企業体の管理者におきまして、今回の経緯にかんがみて、それが果して法律に違反しておるかどうか、また本来のそれぞれの重要な仕事でありますので、鉄道や電気通信事業等に関する業務に関しての法規に違反しておるかどうかというようなことを十分に検討いたしまして、将来そういう事態を繰り返すようなことが絶対にない、そうして国民がこれらの事業体のやっていることに対して信頼し、また国民がほんとうにこれの正常な職務の運営に対して信頼感を持つようにすることが、私はこれらの企業体の事業の性質上当然であると思う。従ってそういうことに対して十分に検討を加えておるのは当然でありまして、その結果として、遺憾ながら処分をしなければならぬような人が出てくるならば、これはやはり処分をして、そうして将来を戒めるということが私は当然のことであると思います。人数がどういうふうになるか、どういうような内容であるかというようなことは、今検討をいたしておるのでありまして、私も正確なる内容はまだ承知いたしておりませんし、従って労働大臣は正確なるそういう内容を十分に検討して結論を申したことではなくして、その検討の途中においていろいろな情報を総合したものを雑談の際に言ったことであると私は了解をいたしております。従って決して吉田委員のお話のように、政府が低賃金を強制するとかあるいは最初から弾圧の方針をもって臨んでおるということではなくして、十分にこれらの企業体の労使の関係というものを、私は正しい国民の納得する形に持っていくことが、最も必要であるという考えに基いて、この問題を処しておるわけでございます。
  31. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 内容についてはあとから触れることにして、労働大臣は、三日の話はこれを一般同行した記者諸君に対する会見ではなくして、その人たちが去られたあと、地元の新聞記者と雑談をしたとこう言われますが、新聞記事には宿舎で同行の記者団と会見云々と書いてあります。そうしますと、この記事について私はその記事が正確でないと言われるのでしたら、報道それ自身については私は侮辱をされたものだと思うのでありますが、その点について取消しをされるか、あるいはいやこの記事については人数の点はとにかくであるけれども、責任を持つとこう言われるのであるか、これは責任を持つかあるいは取消すか、どっちかだと思うのでありますが、はっきり願いたい。それから首相の今の御答弁によりますというと、はっきりいたしませんが、この報道に対して政府として責任を持たれるのか、それとも持たない――それは雑談の内容であって、政府の知るところではない、こういう工合に言われるのか、はっきりしていただきたい。
  32. 松浦周太郎

    ○国務大臣(松浦周太郎君) 今の記事の問題でございますが、一応東京から行った人だけになったときに雑談をしておったのです。そのときにそういう話がいろいろと出まして、それがそのまま出たのでありますが、それは記事全体の責任は私は持てません、言ったことと言わないこととみな書いてありますから。しかしその記事が私の動機によって書かれたことは明らかでありますから、それに対する責任は私は十分持つつもりであります。従ってこのことは私は非常に遺憾であったと思いますが、そういう不注意な点は私は責任をもつものでございます。
  33. 岸信介

    ○国務大臣(岸信介君) ただいま労働大臣も申しておりますように、先ほどまた私が答えたように、事は正式の記者会見で、正式に労働大臣として言明したことではございませんし、政府として方針をきめておることでもございませんし、従ってその出たことにつきましては、経緯はただいま労働大臣が申した通りでありまして、私はそれがいろいろな波紋を生じ、問題を生じておるということについては遺憾の意を表しておったのでありますが、別にこれが政府の言明である、政府の方針であるとして、政府がその内容について責任を持つものではないのであります。
  34. 内村清次

    ○内村清次君 関連。岸総理はかって三月の十六日に、この国鉄といわゆる当局との間におきましての、労組との間の紛争に対して、鈴木社会党委員長と会談をされておる、その際に総理は今回の争議に対しては裁定の完全実施をすることを約束し、さらにまた処分者については、これは行わないということを約束されておる。で、私はただいまの総理のお話を聞いてみますると、これはもちろん慎重な態度で進んでおられることはよくわかります。がしかしながら、その言葉の中にはやはり処分者もあえてせなくてはいけないような言葉も出しておる、この点は私は大きな公約違反であると考えます。この点に対しまして政府はどうお考えになるか、いま一つ、御答弁願いたいが、ただ先ほど労働大臣にこのことを聞いてみますと、雑談中である、あるいは、または責任は自分の個人として感ずると、こういうようなことで済まされておりまするが、あの環境におきまして、また仲裁裁定も完全に実施されておらないとしている今日において、しかも処分の問題が非常な労組間においては大きな波紋を出している事態に、労働大臣があのような言明をするということは、私は労働大臣といたしましては職務権限をはずれた問題である、たとえこれは個人の意見といえども、ああいう渦中の中で発言をするということは、これは権限を全然はずれた、的はずれの言行であると思う。ただ、これは責任を感ずるのは一体どういう責任を感ずるのか、ただ遺憾では済まされない問題だと思う。この点を明確に、どういう責任を自分は尽すというようなことをお考えになっているのかどうか、この点は一つ明確にしていただきたい。さらに取り上げていかなくてはならないのは、この国鉄の監督者である宮澤運輸大臣は、全然的はずれに、あの問題はこれは労働大臣個人の問題であると、監督者自体があれと反論するような立場に立っている。しかもこの処分その他の問題は、従来の慣行としては、国有鉄道法にも明記してあるように総裁の権限である、この法規に従ってその職務執行をやっている当の総裁が、まだ処分者のリストも出していない今日において、正常な労働慣行を打ち立て、また管理者の行き過ぎ、これを是正するような、労働省設置法によっての労働大臣の権限というものが、全く無視されたようなところで、今日なされているということは、これは内閣の不統一です。これに対しましては、先ほどから内閣の方針ではないとおっしゃっているのですけれども、これは岸総理も責任あると思うのです。だからして、岸総理は労働大臣の処分に対してどうお考えになるのか、この点を明確にしていただきたいと思います。この二点を伺いたい。
  35. 岸信介

    ○国務大臣(岸信介君) 第一点の、私と鈴木委員長とが会見をいたしまして、その際の両者の間の話し合いというものにつきまして非常に誤解があるようですから、明確にいたしておきたいと思います。  それは第一点の、仲裁裁定を求める、仲裁裁定が下れば、政府はこれを誠意をもって尊重するように努力するということにつきましては、お話の通りはっきりと私は誓約を申し上げ、しかし処分の問題について、処分問題を、今回の何について処分をしないようにという御希望がございました。それはたしかに鈴木委員長から私の方へ強く御要望あったことは事実であります。しかし私は処分を一切しませんということをお約束は申しておりません。それは当時のこれに立ち会ったところの、二人だけじゃございませんから、お聞き下されば明瞭でありまするし、鈴木委員長もあれは私はよく御承知だと思います。私はそれに対して実は何ともお答えはしなかった。しかし会った何だから、慎重に考慮するぐらいのことはいいだろうというお話はございました。慎重に考慮することぐらいこれは当然しなければならない、しかしあなたの方から御要望がありましたように、処分をしないということをここでお約束することはできません、慎重に考慮いたしますということであったのでございます。従いましてその点は内村委員のお言葉でありますが、非常に誤解があったと思いますから訂正をいたしておきたい。  それから第二の点でございますが、この点に関しましては先ほど来いろいろ当時の事情等を明らかにし、これが政府の方針でない、また正式の責任を明確にするような形式における会見において話されたことじゃない。しかしそれがそういうふうに取り上げられるということは、これは十分に、ああいうふうな新聞の記事の扱いを受けるというようなことも十分考慮して、たとえ雑談であっても、発言すべきことは私は当然であると思うのです。そういう意味において、この事態がそういうふうになったことについては、私は遺憾であると申し上げているのでありますが、しかし労働大臣自身もその間の事情については先ほど来説明をいたしているような事情であって、本人自身もこれがそういうふうな非常な波紋を描き、誤解を生ぜしめたことに対しては、自分自身として遺憾の意を表しておりますので、今特にいかなる形式において、いかなる責任をとるかという御質問でありますけれども、私は特にそれ以上追及する意思は持たないのでありまして、それから先は政府のこれからの態度でもって、もしそういう誤解があるならば誤解を解き、慎重に考慮した結果において、十分国民の納得するような処置を考えて参りたい、かように考えております。
  36. 松浦周太郎

    ○国務大臣(松浦周太郎君) 公労法の精神によりまして、私は違反した人たちについてはどうしてもやはり身をもって責任をとっていただきたい。こういうふうに思っておりますことは、使用者及び勤労者の中に入っておりますから、勤労者のことも十分考えなければなりませんけれども、やはり国家の秩序を守ってもらうためには、泣いてその責任を背負ってもらいたい、こういう意味で発表申し上げたのであります。私の責任につきましては、十分に私は自分の不注意であった点を、遺憾の意を表わしますが、それ以上のことにつきましては考慮の上で善処いたします。
  37. 小林孝平

    ○小林孝平君 労働大臣はその正式記者会見の場合でないから、非常にこれはそういうところで発言したのは不注意である、また時期がきて……、適切でない。こういうお話がありましたけれども、私はこの問題は二つの問題があると思う。まず第一点は政府の正式の決定がまだないけれども、こういうことは政府の内部において相談があった。それを事前に漏らしたという点があるかないか。労働大臣から発表すべきことでないのを、たまたま労働大臣が少し時期を早くしてしゃべったのかどうか、そうでなければ全くこれはでたらめで、一ぱいきげんか何かでもってしゃべったのかどうか、この点がまだ明らかでありません。これはいずれどちらであるか、これをまずはっきりしていただいて、それから質問いたします。
  38. 松浦周太郎

    ○国務大臣(松浦周太郎君) 総合的な情報を基礎にして話をしたのであります。
  39. 小林孝平

    ○小林孝平君 総合的なことを考えて話したという意味はさっぱりわかりません。あなたはときどきそういう発言をここでおやりになるのでありまするけれども、もう少しだれにもわかるような話し方をしたらどうです。この話は、まだしゃべってはならないことをちょっとしゃべった、そういうのか、あるいは全然でたらめなことをしゃべったのか、それをはっきりしなければ、あなたは、責任をとるとか、善処しますといったって、何を善処するのか、責任をとるのかわからんじゃないですか。
  40. 松浦周太郎

    ○国務大臣(松浦周太郎君) 先ほど申し上げましたように、いろいろな面の情報を総合して、いろいろ雑談をして  おったのです。それが、そういうところで話をする場合に、今後十分注意しなければならんのでありますが、発表をするという形式で申し上げたのではなくて、総合的な情勢を、お互いの情勢交換をしておった。そのときにまあ、ああいうふうに出たのでありますから、それは私は新聞社が悪いとは申し上げません。そういう不注意なところで重要な問題を話したのが悪いのでありますから、この不注意に対しては十分責任を持って……。
  41. 小林孝平

    ○小林孝平君 私は二つの問題があると言っておるのです。あなたがしゃべった場所が適切であるかどうかということはこれからまたやるのです。(笑声)その前にあなたがしゃべった内容は、政府の大体の方針をまだ時期を早くしゃベったのか、あるいは全然でたらめなことを言ったのか。その点を聞いてお石。問題を混同したいで下さい。あなたが言つたことはこれからまたお尋ねいたします。
  42. 松浦周太郎

    ○国務大臣(松浦周太郎君) 政府部内において決定した事項ではございません。
  43. 小林孝平

    ○小林孝平君 そうすると全然でたらめなんですね。全然でたらめ、根拠のないことをあなたは調子に乗ってしゃべったと、こういうふうに解釈していいのですか。
  44. 松浦周太郎

    ○国務大臣(松浦周太郎君) でありますから総合情報と申し上げたのであります。
  45. 小林孝平

    ○小林孝平君 総合情報というのは何ですか。(「関連が長過ぎる」と呼ぶ者あり)重要なことだから聞いておるのです。(「質問時間に聞け」と呼ぶ者あり)いや、そうじゃない……。
  46. 苫米地義三

    ○委員長(苫米地義三君) 簡単に願います。
  47. 小林孝平

    ○小林孝平君 これは総合情報と言っても、それは要するに閣内におけるいろいろの、運輸大臣とか郵政大臣とか、そういう人から情報を得てあなたが総合して発表したのですか。そういう意味ですか、総合情報……。それ以外にあなたがほかの全然関係のないところから情報をとることはできないじゃないですか。処分する人の人数それは運輸大臣あるいはその他の関係大臣からとる以外にとる方法はないじゃないですか。
  48. 松浦周太郎

    ○国務大臣(松浦周太郎君) 先ほど申し上げましたように、総合情報というのはいろいろな面をさしておるのであります。その総合情報による私の六感によったのであります。(笑声)
  49. 小林孝平

    ○小林孝平君 委員長は簡単にと言われておりますけれども、今の答弁を聞いて下さい。国務大臣が国会で答弁をするのに六感でもって処分若の人数を発表したなどということは許されますか。これだけでも国鉄の職員を処分する前に国務大臣を罷免する必要がある。内閣総理大臣にお尋ねいたします。ただいまのような答弁をする大臣をそのまま国務大臣とさしておいていいとお考えになるかどうかお尋ねいたします。(笑声)
  50. 岸信介

    ○国務大臣(岸信介君) 今度の松浦大臣の中における記者団との会見の際に述べたことにつきましては、いろいろ今、労働大臣も申しておりますように、行き違い、不注意の点もあると思います。その点については私は遺憾の意を表して、本人もそういう遺憾の意を表しておるわけでありますが、しかし、これは政府がまだ決定したものでもなければ、先ほど申しましたように、私は先ほど言ったような趣旨において慎重に検討をし、そのまだ結果につきましてももちろん正確なものは私どもは聞いておらぬのであります。ただ、労働大臣としましては、事は総理大臣とは違いまして、いろいろな方面から情勢等につきましてもいわゆる情報を手に入れるだろうと思います。(笑声)そうして、比較的くつろいだ雑談の際にそういう話をしたわけであります。それで六感という言葉で言われたわけでありまして、(笑声)特に今、小林委員のお話のように、それだけの言葉をとらえて労働大臣として不適当だから罷免するというような問題ではなかろうと思います。十分将来はその検討等についても慎重に注意をしてもらうつもりでおります。(「了承」と呼ぶ者あり)
  51. 内村清次

    ○内村清次君 関連。岸総理に処分権の問題についてちょっとお尋ねしておきます。総理は先ほどの国鉄またはその他公社、現業の処分の問題に対しては、閣内において今その方針を慎重に検討中だ、こういうような発言をなされた。そこで国鉄に限りましては日本国有鉄道法がある。しかもその十三条には、国鉄の総裁は、日本国有鉄道を代表して、そうして理事会の決定に従い、日本国有鉄道の業務を執行する、といっております。で、この処分権の問題は、国鉄の自主性からいえば、これは総裁のものである。それを閣内でこの処分の問題を、政府の方針を決定して、そうしてまた国鉄総裁をして処分をさせるというようなやり方というものは、先ほどから吉田委員から言っておられるように、政府の弾圧です。いわゆる業務の代表権として、総括した管理者の中から、それを執行するところの権限が総裁にあるという以上は、総裁の自主性にまかせなくてはいかぬ。それを勝手に労働大臣が発言をし、あるいはまたは内閣総理大臣が閣内においてこれを取り上げていくというようなやり方については、これは私たちはせっかく公社制度を確立したところの法的根拠に基いた問題に違反する問題であると思う。この点を総理は一体どう考えるか。またこの監督大臣の宮澤運輸大臣は一体どう考えるか。その点を一つあわせてお伺いしたい。
  52. 岸信介

    ○国務大臣(岸信介君) 私の言葉がやや足らなかったかと思いますが、私自身政府でもって方針をきめて臨むというようなことを申し上げたつもりはなかったのです。三公社五現業、正確に申しますというと、今、内村委員のお話しのように、政府が直接にやってその処分権を当該大臣が持っておるのもありますし、それから公共企業体として、国鉄のごときは国鉄総裁が、それを持つことは御指摘の通り当然でありまして、私は慎重に検討され、それに対して今十分な検討を加えておるということは、それぞれの協業体でやるべきものは企業体において検討され、考慮されておることと思います。また政府の直接のものにつきましては、当該担当大臣がやっております。またそういう公社につきましても、処分のごとき重大問題については、監督官庁たる当該大臣にも話しがあり、相談もされることだと思います。国鉄総裁としては……。そういうことを全部含めて、政府としてはまだ方針をきめておらない。また労働大臣が新聞記者にしゃべったようなことをきめておるわけじゃないということを申し上げたわけでありまして、もちろんすべてのものを政府が方針をきめて、こうやるのだということを申しているわけじゃありません。ただ抽象的の方針として、先ほど私が総理大臣として申し上げたところの、こういう大事な、公共企業体等におきまして国民から信頼を受け、国民が納得するように、その業務が運営されるということを、労使ともに、私は特に留意をしなきゃならぬし、政府もそういうふうに指示して各事業を経営せしめるということは、私は政府の責任として当然である、こう思っておりまして、具体的の処分につきましては、それぞれの法規に従って、処分権を持っているものがそれぞれ目下検討をしている状態でございます。(「その通り」「進行々々」と呼ぶ者あり)
  53. 宮澤胤勇

    ○国務大臣(宮澤胤勇君) ただいま総理大臣からお答えをした通りでありまして、政府が処分の方針をきめて、それを行わせるというようなことはやっておりません。ただ運輸省としては国鉄を監督する立場から、国鉄の当事者が適当なる処置をとるやいなやということを監督する立場から見ており、監督する立場から扱っておるだけであります。
  54. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 今までの関連質問を加えて明らかになったところによりますと、総理あるいは運輸大臣も政府が処分権限を持っておるわけではない。言いかえますならば、政府として処分の方針をきめて、そうしてそれで臨もうとするわけではない。ところがここに載っておりますものは、労働大臣が仲裁裁定の補正予算案の成り行きとは切り離してこの処分を行う。それからあるいは各地方の責任者をねらい撃ちにする。労働大臣がねらい撃ちにする。とにかくこういうことが言一われておる。そうすると、人数の点もでありましょうけれども、労働大臣のしゃべったことは、労働大臣がこれだけの七百人、あるいは百人もの、合せて八百人もの処分をする方針が、これが新聞に載っている。しかもそのあとから官房長官から談話等でも出ておりますように、今も運輸大臣も言われましたように、国鉄当局からも出てはおらぬ、あるいは平井大臣のごときはこの解雇を出す必要はなかろう。それから運輸大臣も、これも新聞でありますけれども、国鉄当局から処分の範囲などについてはまだ報告を受けておらぬ、こう書いておられる。そうすると、六感でしゃベったと言われるけれども、この話の内容というものは、ほとんどこれは根拠のないものだ、あるいは権限のないものだ。それならば、この何と申しますか、雑談で話をしたと言われるけれども、雑談で話をしたその内容の全部を取り消すべきだ。はっきり取り消すとここで言明したらいいじゃないですか。
  55. 松浦周太郎

    ○国務大臣(松浦周太郎君) 総合情報と申しましたのですが、今のねらい撃ちとかその他の文章について私は絶対そういうことを言っておりません。でありますから、新聞の全体の責任を私は持てないのです。ただこの部内できまっておらぬことを雑談の中に言ったということは、これは私のほんとうの不注意なことでございますから、この点十分に責任を感じますが、その新聞記事を見ると、どれもみんな違っておりますから、私がいろいろとそういう誤解を生ずるようなことを言ったことは悪いのですけれども、それを聞いた人のまた書き方が一定いたしておりませんから、その全体の責任を私は持てませんが、そういう雑談にしろ何にしろ、そういうところでこの重大な問題を話し合ったということは、私の不注意のことでありますから、これについては十分責任を感じております。
  56. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 それでは人数の点についても、それから労働大臣が処分権があるかのごとき話をしたことも、これがその内容でありますが、それについてはそういうことが書いてあれば言っておらぬ、あるいは権限はないということでこの報道については否定されますね。
  57. 松浦周太郎

    ○国務大臣(松浦周太郎君) 私はもう言ってしまって否定するのならば、翌朝全部それを修正させるように手続をとるのでありましたが、全然それをとっておりませんから、今ごろ否定しても効果がないと思います。それは実際その責任は十分自覚しております。
  58. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 責任を十分感じておるということで、時間をこの問題だけにとっておりますと、あとの質問の時間がなくなりますから、次に移って参ります。  これは三十二年度予算の補正でございますから、三十二年度予算全体として関連のある点について一、二点伺いたいのでありますが、この予算の基礎となっております国際収支について私が総括的にお尋ねいたしましたときには、一―三月の実績が基礎になっておりましたけれども、その後収支の赤字を継続しておるのみならず、四月の輸入信用状の実績、それから輸入の実績も、予想をはるかに上回っておる。それから日銀なり経済企画庁で観測をせられておりますところの、八月ごろまで、赤字が月数千万ドル、あるいは四月―一月の輸入支払額、あるいは通関予想も、毎月三億ドルをこすと、こういう見通しであります。そして外貨保有高は、だんだん減ってきて、焦げつき債権、それから外人のユーザンスを差し引くと、全外貨の保有高は、見方によって違いますけれども、七、八億、あるいは六、七億ドルと、こういわれておる。で、円の国際的な信用も漸次下りつつあるといわれておりますが、担当大臣として、大蔵大臣はこれについての所見、それから対策をどういう工合に考えておられるか伺いたい。
  59. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) 世界経済の見通しにつきましては、この前申し上げた通りに動いておるとみております。国内経済の状態も、大体私は予想通りにいっておるとみておるのであります。ただ、御指摘になりました外貨の問題でございますが、これは先ほども申し上げたと思います。今年の初めごろから三月ごろまで、相当輸入が伸びてきております。また四月、五月も相当伸びるだろう。上半期におきましては一億ドル程度の赤字はもちろん覚悟しなけりゃなるまいが、下半期に至っては輸入がとまって、大体収支均衡が保てるのではないか。また内容において、在庫物資が相当ふえつつあるので、形式的に外貨の保有高が減ったからといって、直ちにとやこう手段をとる必要はないと、こういうことを申し上げて、私はその考えを変える気持はございません。財政はあくまで均衡でございます。しこうしてまた市中の金融情勢は、かなり設備投資の方に向ける力が多いのでございます。これは、私が一月、二月に想像しておったよりも、なお四月、五月になりましても、設備投資の要求が非常に多い。従いまして年度が変りましたならば、相当四月ぐらいは散布超過になる、金融も引きゆるむと考えましたが、財政収入は以前として良好の状態でございますので、設備投資の要求が多いので、日銀の貸し出しも二千七百億円で月を越すと、こういう状態でございますので、私は、財政は今のままでよろしゅうございますが、金融につきましては相当、相当と申しますか、行き過ぎないような、ほんとうに私の申し上げまする資金の蓄積によっての産業投資をやる、もちろんわれわれは基幹産業につきましては財政のみならず、一般経済界、金融界からも相当投資をしてもらいたい、こういうのでございますから、それを第一にいたしまして、一般の設備投資は、それが相当将来利益の上るものにつきましては、国全体の投資を考えて、行き過ぎないことを望んでいるのでございます。今すぐどうするかという問題につきましても考えておりまするが、今しばらくお待ちを願いたいと思います。
  60. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 希望をするということで、まあ日銀まかせと、こういうことだろうと思うのでありますが、あとは争いになりますから、次に物価の問題についてお伺いいたします。  物価は上らぬと、こういうことでした。そうして私がお尋ねをしたときに、私鉄運賃についても上げないという方針だというふうに承わって参ったのでありますが、実際にはバス代においては福岡においてすでに五月一日から一割五分上げました。それから関西においても上げるということであります。今申請がしてあるということで、どういう方針であるか承わりたい。私鉄、バスにおいてはすでに上って参りました。それからふろ賃も、これはこの間来、厚生大臣でございますが、この上げることについて許可をするかのごとき言明をしておられました。それから電気料金については、これは東北、北陸が初めでございますけれども、二割前後の料金引き上げの申請が行われた。一体物価についてどういう方針でゆくのか、個々の担当大臣から、それぞれの問題についての方針を承わりたいが、政府としてどういう方針でゆくのか、物価は上らぬ、特に消費物資等については、CPI等については、上っておらぬ云々というお話でございましたけれども、卸売物価指数については、昭和二十五年六月十八日を一〇〇として、この三月は一五二というかつてない上り方だ。一五二・八ですから約一五三。それからこれは生産財についてはなおさらのことでありますが、総合においては、これは一七四・六という数字は、今までなかりた数字であります。大蔵大臣あるいは企画庁長官等は、物価は上らないという話でありましたけれども、一つ一つ物価は上ってきつつある。それからそのことが数字の上にも現われているではないか、こう考えるのであります。その結果、減税の恩典に浴しなかった国民の生活は、こうした物価のジリ高によって、だんだん困難になって、おそらくこの下半期には、その状態が相当出て参るだろう、これは一千億減税の太鼓を叩いておられるけれども、下半期に至りますと、国民の大部分は、漸次の物価高に苦しめられてくるという状態が出てくるのではないか、こうわれわれは考えているのでありますが、政府の物価に対する政策をあらためてお尋ねいたしたい。
  61. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) 物価の動きにおきましては、これまた先ほど来経済の見通しにつきまして申し上げた通りでございます。吉田さんが昨年の今ごろと今をお比べになりますと、かなり上っているようでございますが、これはスエズ問題が起りまして、世界的に昨年の九月、十月は非常に上っているのであります。その後のことを申し上げますると、消費者物価、卸売物価は、大体において横ばいということが言えましょう。(吉田法晴君「そんなことになっていませんよ、数字は」と述ぶ)こまかい数字で申しますと、昨年の十月、十一月を比べますと、卸売物価の上りようは一・七%でございます。消費者物価につきましては、ほとんど横ばいでございます。消費者物価につきまして、この一月を一〇〇にいたしますと、ずっと一〇〇でいっておるのであります。大体の物価の見通しといたしましては、四月に入りましても、これは消費者物価は前月よりも下っておる数字もあるのでございます。これは日銀調査と企画庁の調査、いろいろ違いますが、大体におきまして、消費者物価は、三月に比べれば四月は下っているということであります。一月に比べると、大体横ばいといえましょう。結局過去六カ月の情勢をみますと、私は、物価は、今年予算のときに申し上げました通り、大体横ばいだと、こうみております。もちろん年末年始にかけましての季節的の関係、あるいは輸送の関係等によりまして、外国に比べまして、ある程度上っておる現象はありまするが、長い目で見れば、私はそう心配は要らないと思います。なお、世界の物価の趨勢は下りぎみでございますので、わが国のみそんなに上ろうとは私は考えておりませんし、また、わが国のみが上るような政策をとっては、国民が迷惑でございまするから、そういうことのないように、いろいろ施策をいたしておるのであります。  なお次に、物価が上ったならば、減税を受けない方々に非常に迷惑じゃないか。その通りでございますから、物価はできるだけ上げないようにしております。しかし、われわれが減税いたしたのは、国全体をよくしようとしてやったのでございます。所得税を納めておられる方々が減税を受ければ、それが回り回って間接に他へぐうっと影響いたしてくるのでございます。経済の発展が第一でございます。従いまして、今回減税を受けなかった方々につきましても、二、三年前のころの賃金の上り工合と物価との関係をお考え下さるならば、われわれは、今までのわれわれの政策でいって決して非常な不利があったりへいろいろなことはないと思います。要は、減税も、あらゆる施策も、国民全体の生活水準をよくしよう、こういう念願から出ておるのでございます。
  62. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 運輸大臣、厚生大臣等から、バス、私鉄運賃、それからふろ賃等についてどういう方針であるか。これは政府の方針として承わったのですが、池田大蔵大臣から答弁がございません。御答弁があるならば承わります。
  63. 宮澤胤勇

    ○国務大臣(宮澤胤勇君) 私鉄、バス等の運賃値上げの問題でありますか――値上げの問題に関して、御承知の通り、パス及び私鉄でも地方のごくこまかい部分の私鉄につきましては、従来個々に検討をしまして、やむを得ないもの、均衡のとれないものは、個々に上げたりいろいろしてきております。このたびの国鉄運賃の値上げにならって、まあ一斉に上げるというのは、御承知の通り、都会を中心とする大私鉄十三、四社の問題にからんでおるのでありますが、これは国鉄運賃の値上げをしまして、今ようやく一カ月たったばかりでありまして、その値上げの影響が、私どもは大してないと、こう思ってきておったのでありますが、まだ、結果はわかりませんけれども、国鉄を通じて、人の動きとか荷物の動きとかの面からだけ見ますと、これは数字に表われた正確なものではありませんが、はなはだしい影響はないと、まあこういうふうに一応今のところは見ておるのであります。もうこれ、一、二カ月過ぎまして、大した影響がないとなりますれば、私は私鉄についても一斉の値上げということは、どうもやはり今日の日本の経済情勢に合わない。やはり国鉄と同じように、輸送力の増強、乗客に対するサービスの問題等を考慮して、その施設を相当にやるというところには、その施設と見合って、運賃をこうしてやらなければならないというような、個々の問題を検討してこれは考えていきたい、かように考えておる次第であります。
  64. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 時間がございませんが、この問題に時間をとりたくないのですが、大都会の私鉄の大会社云々というお話でありますけれども、九州の西鉄は、これはいなかでもなければ、あるいは小さな私鉄でもありません。そうして、理由はサービスの向上、あるいは輸送力の増強云々と言われますけれども、理由は何といおうとも、上げることにおいては間違いない。ですから、そういう点について、私鉄のあれについて上げる方針なのか、あるいはふろ賃も上げる、あるいは電気料金も融通を受けたところにおいて資本費が高くなって云々という理由ではありましょうけれども、二割前後のものを上げようと、こういうのであります。そういう点を大蔵大臣なりあるいは企画庁長官の、一つ一つ理由は何でありましょうとも、上げていくということになれば、物価は上って参ります。どういう方針なのか、その点をはっきり承わりたい。
  65. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) 個々の物価につきまして、それだけどうしても必要のあるものにつきましては、それを無理に押えるということはよくないことでございます。これは自由主義経済のもとにおきまして「各自が創意工夫でやっても、あるいは石炭代が上る、鉄材が上るという場合におきましては、やむを得ぬことでぐざいます。私といたしましては、国全体の物価にどういうふうな影響を及ぼすか、個々の物価にそうとらわれずに、全体の物価がどうなっていくかということを考えているのでございます。  先ほど、しばらくお待ち下さいと申し上げましたが、三時半に日本銀行は公定歩合の引き上げをいたしました。こういうことも、日本の経済を健全な姿におくために、そうして御心配の物価が外国のそれと不つり合いに上ったり、あるいは過剰投資ということを防ぐ意味におきまして、今回の措置を日本銀行がとることを容認したのでございまするが、あらゆる方法をとりまして、全体の物価の動きが健全な姿を保つようにいたしているのでございます。個々の問題につきましては、当然上げなければならぬものは、これはやむを得ません。そういうものを無理に押えることは、変な統制経済になってしまいまするから、それは全体の経済をうまく運営するゆえんでございませんから、必要によってはやらざるを得ますまい。しかし、全体につきましての物価の動きにつきましては、われわれは十分考慮を払って参っている次第でございます。
  66. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 関連。ただいま大蔵大臣が重要な発言をされたのであります。公定歩合の引き上げを本日決定をして、今発表されたというお話ですが、さきに、この問題が問題になったときに、大蔵大臣並びに日銀総裁にわれわれはいろいろ質問をいたして、今後引き続きこういう公定歩合の引き上げその他が考えられるかどうかという質問をいたしましたときに、大蔵大臣は、現在の金融逼迫の状態は、大体三月、年度末までで一応安定をする。従って、新年度に入るならば、円滑になると思うし、何らそういう方面における懸念はないから、そういう心配はないという見通しであるということをお話しになったと思うのです。しかるに、その後の情勢は、先ほど大蔵大臣自身も御報告になりましたように、金融逼迫の状態、資金需要が予想外に多いというような状態になって、これを私は懸念をいたしたがゆえに、そういう楽観的な考え方でいいのかどうかということを念を押したのでありますが、今、三時半に公定歩合を引き上げざるを得ないということになれば、大蔵大臣の見通しは、一カ月ならずして完全に見通しを誤まっていたのだということ以外の何ものでもないと思うのですが、その辺をどういうふうにお考えになるか。  さらに、それらの問題の今後の趨勢を、先ほど言われたような、非常に楽観的な考え方でいいとお考えになってているかどうか、その点について、あらためて御所見を伺いたい。
  67. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) 楽観的ということをよく私の批評に使われますが、私は決して楽観してはいない。日夜経済、財政の運営に苦労しているのでございます。ただ、問題は、三月の中ごろ、高率適用を緩和し、一厘の引き上げをいたしましたときに、私はこうお答えいたしました。今回の措置は、ゆるめるのでもないし、引き締めるのでもない。将来の弾力的金融の運営をはかる素地を作るのだろ、弾力的運営をはかる素地を作るのだと、こう申しておるのであります。だから日本銀行の公定歩合は経済の情勢によって常に弾力的にやるべきだと私は考えを持っておりましたから、そういうふうにお答えしたのであります。将来の金利政策を弾力的に行う措置を作ると、というふうにしたのでございます。それで先ほど申し上げましたごとく四月になれば散布超過、そうして五月、六月が何と申しますか、均衡してそう引き揚げ超過にもなるまいと私は考えておったのでございます。しかるところ先ほど申し上げましたるごとく、三月の輸入も相当大きい、また四月の輸入信用状も今までの最高の、昨年の十二月の三億ドルをこえる、しかも設備投資が非常に旺盛だと、こういうことを見ますると、決して楽観をしておるのじゃございません。経済の運営としてこの際民間の投資を押える必要があると、こういうので、公定歩合の引き上げに賛成いたしたのでございます。しかしそのうちでも、やはりいろいろな事情を考えなければなりませんので、輸出の増強につきまして、金利引き上げによって悪影響をこうむりますから、輸出手形につきましては従来通りに引き上げをいたしません。また農業手形、肥料関係等の農業手形につきましても、前回も据え置きましたが、今回も据え置くことにいたしまして、輸出の増進をはかると同時に、日本の健全な経済の運営をはかるために、私は今回過剰投資を押える意味から金利引き上げをやることがいいことだろうと、考えて賛成しておるのであります。決して楽観も悲観もしておりません。佐多さん御承知の通りに、一昨年から昨年の初めにかけまして、イギリス、ドイツはどんどん二回あるいは三回にわたって金利を引き上げて、そうしてディス・インフレ政策をやっておる。今ではイギリスでは少し行き過ぎたという程度のところまで行っておる。アメリカの方におきましても、金利を昨年の春上げまして、そうして生産を相当押えていって底力を培い、から景気にならぬようにいたしておるわけであります。これは何も悲観とか楽観というものではございません。金利政策の常道であるのでございます。
  68. 岡田宗司

    ○岡田宗司君 関連。ただいまの公定歩合引き上げの問題との関連でございますが、ただいまの御説明によりますというと、三月も非常に輸入が多い、四月もそういう傾向が非常に大きい、こういう事情、この金融逼迫の原因の最大のものは、おそらく輸入の増大による揚超の問題が一番大きな原因になっておると思います。そういたしますと、この輸入の問題につきましてどういう政策をおとりになるのか、たとえばこれは公定歩合の引き上げによって輸入金融の方を押えていくということだけで足りるのか、あるいはまた輸入の面につきましてもう少し何か別の方策をおとりになるつもりであるのか、これはやはり今後国内の金融逼迫の問題と関連して重大な問題だろうと思うので、この輸入に対する政府の今後の施策はどうされるか、それをお伺いしたい。
  69. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) 今回の公定歩合の引き上げを、輸入と頭からおっしゃると私は誤解があると思います。まず第一、やはり国内金融の非常な繁忙でございます。国内金融の繁忙は、一つは輸入の増大によりまする外為会計の引き揚げ、もう一つは国内市場の投資熱の旺盛なことによりまする金融逼迫でございます。両方から参っております。しこうして最近の輸入超過の、輸入の非常に多い状況を見まするというと、まず第一驚くことは機械であります。機械の輸入が非常に多いのでございます。それからくず鉄あるいは鉄鉱石等でございます。もちろん原綿も相当入って参りますが、これは原綿は輸出の対象でございますから、これはあまり心配いりません。しからば輸入金融を押えるということよりも、まずわれわれの考えることは、投資の行き過ぎを是正すること、ごうすれば輸入の金融もそう逼迫しない、こういうことになりますので、国内の状態を見ることが第一であるのであります。従いましてもちろん輸入手形におきましても、ある程度引き締めはいたしましょうが、私はそれよりも国内の過剰投資を押える、輸入金融を押えるのは二の次、三の次と考えておるのであります。
  70. 岡田宗司

    ○岡田宗司君 ただいまの大蔵大臣のお話でございますと、輸入についてはまあそう心配は要らぬ。大体輸入の品目が機械類である、また輸出にかわるべき原料のものが多い。だからして輸入の方は今直ちに押える必要はない、こういうようなお話であり、また押えるべきものは、むしろ国内における投資が過剰気味である、その方をむしろ引き締める、輸入の方はそのままでいいんだ、こういうお話でございますけれども、これがさらに五月になり、六月になりふえて参りますと、その方面から依然として外為の方で揚超というような事態になって参りますならば、やはり国内における金融逼迫は増していくだろう、さらにまた公定歩合を引き上げなければならぬというような事態も起ってくる。ここいらはバランスの問題として非常にむずかしいのですが、依然としてこういうふうに輸入の増加をそのまま楽観的にずっとこのままの調子でよろしいのだというふうにしていかれて、これが国の経済全体の発展の上に悪い影響はないというふうにお考えになっているのかどうか、その点もう一度お伺いしたい。
  71. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) 輸入と申しましても一がいに言えないのでございます。いろいろ種類がございます。われわれは為替管理をいたしまして、不必要品の輸入は極力押えております。問題はあなたが輸入を押えるかと、こういうことでございまするが、輸入の主なるものが日本の設備投資の要求に基く輸入であるのであります。従いまして設備過剰を押えることによって、自然的に輸入が押えられる、こういうことになるのであります。物価政策から申しまして、輸入を押えるということになりますと、物価騰貴を招くおそれがございます。従いまして私は輸入を押えるよりも、過剰投資を押えると説明しておって、輸入金融を押えるのは二の次三の次と私はお答えしたのであります。そうすると、すぐ輸入は押えないのかそのままにしておくのかと、こういうふうなお話でございます。そうじゃございません。直接的に輸入だけを押えるという考えは持っていない。国内の過剰投資を押えて、それで輸入にだんだん影響してくる。しこうしてまた片方で一般商業手形や輸入手形は同じように上げますが、輸出手形等につきましては上げない、こういうことで今回の措置のことがおわかりいただけると思います。私はこの次どうする、こうするという、今言う段階ではございません。またそういうことは大蔵大臣として言えることでもございません。経済は生きものでございます。常に世界の情勢を見まして、そうして国内の事情をつぶさに検討いたしまして、そのときどきの手を打ちたいと考えておるのであります。
  72. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 岸総理は、岸ブームを作りたいということに一生懸命になっておられるようでございます。伊勢で石橋前総理の五つの誓いを見習われたのか、三悪追放ということを言っておられます。汚職、貧乏、暴力の三悪を追放したい、その貧乏の問題もございますが、汚職と暴力についてお尋ねをいたします。私が本予算の審議の際に、総裁選挙の際にも、それから選挙にも政治について金が要る、あるいは汚職が行われるというようなことで綱紀の粛正ができるかというお尋ねをしたところが、岸総理は、自分は官僚出身で汚職を防ぐコツを知っている、こういうことでごまかされました。ところが、その後全購連事件や、あるいは福岡県庁の事件等、大きな汚職が次々起って拡大する一方であります。毎日新聞の論説は、「首相はうまいことを言うが」という題で、それがその通りにいけばいいがと、多少やゆ的に書いておりますが、最近こうした汚職あるいはスキャン。タルの続出にかんがみて「汚職」とか「スキャンダル」とかいう単行本がたくさん出ております。その中でこういうことが書いてございます。「総理大臣とか何々党総裁とかいう人々が、綱紀粛正だとか、新生活運動だとか、あるいは新官吏道確立要網だとか提唱したり、樹立したりする。新聞も評論家も大いに道義の刷新を叫ぶ。だけれども、汚職、疑獄は少しも跡を絶たない。それどころか綱紀粛正を大声で叫んだ大政治家や大臣が疑獄にひっくくられたりするのだから、これほど皮肉な事実はない」、こういうことを書いております。これはあなたの言明の前に書かれたんでありますけれども、しかし、現在の事態について、明治時代からの内外の汚職あるいはスキャンダルのたくさんの事実と論理を追及した結果、こういうことを申しております。そしてこの汚職やスキャンダルの原因が、資本主義の発展に伴い、官庁あるいは官僚の比重の強化と、日本独自の前時代的な家産国家観、これが結びついて、多分に封建的な政党以前のしろものである。寄り合い世帯で、党内に幾つも親分がいて、子分の奪い合いや離合集散、主導権の争奪、これがみんな現ナマで決せられる。選挙ともなれば、現ナマが何よりもものをいう状態では「犯罪者、大臣のいすにすわる」という事態はなくならない。「国民は感情だけからいうならば、納税を拒否して、彼らの大邸宅を焼き討ちしたいくらいだ。」と、こういうことになると書いてある。そして、先ほどのような「綱紀粛正」だとか「汚職の追放」だとかいうけれども、こういう政治のやり方が続く限り、そういうことは口頭禅だと、こういうことを申しておるのであります。  この「スキャンダル」なり「汚職」はお読みになるとおもしろい、大へん参考になると思うのでありますが、ここに書いてありますことは、それぞれ権威ある資料から出て参りました事実、そしてそれを論理的に分析をしたものであります。そして「税金の一割は不当不正に使われているのではないか」といわれ、官僚の実態と政権の座にある保守党の実態がこうであるのに、総裁、総理としてみずから身を清め、腐敗、汚職の根源を除くことができるかどうか。伊勢で総理がこの三悪の追放ということを言われましたけれども、今の政治の実態、汚職の根源になっております実態をそのままにして、果して約束ができるかどうか、あらためて総理に承わりたい。
  73. 岸信介

    ○国務大臣(岸信介君) お答えを申します。私はこの民主政治を完成する根源として、一つの、私自身が政府の首班となってこれからやっていく政治の私自身の心がまえと申しますか、こういうことを信念、信条として政治をやっていきたいという意味のことを率直に、いわゆる三悪を追放したいという私の言葉で申したわけであります。その第一の汚職の問題につきましては、これも従来だれも汚職を賛成して、汚職がけっこうだと言った人は一人もありません。申すまでもなく、これを追放し、きれいな政治を行うということはだれもが念願しておりながら、しかし、なかなかその汚職の跡が絶えない。あるいはスキャンダルが起るということに対しては、政治家として責任ある地位についている私としまして、最もこれをなくするということに全力をあげて考えなければ、国民がきれいな政治として政治を信頼しなくなる。政治そのものに対して国民が信頼を失うというときには、もはや民主政治というものは成り立たない。こう思いますがゆえに、だれもが、諸先輩がことごとく考えられたことであろうし、また努力されたことでありますけれども、この汚職の追放ということについては、私としてあらゆる面から特に力を入れて考えたい。それは一つは、私自身が総裁である自由民主党自体の、党自体もこういう問題に関して国民から批判を受け、国民の疑惑を受けることのない党にしなければならぬこと、言うを待ちません。また、上に立てば立つほど、その人が国民の信頼を裏切るようなことをしてはならぬこと、言うを待ちません。この意味において綱紀粛正ということは、特に政府なり重要な要路に立っている者が、他の人々よりも一段と戒心をし、また自分自身が努めていかなければならぬことであると思いますが、さらにこの考え方というものをわれわれはやはりみずから実践するという心がまえで進んでいくことが一つ必要であります。人に法を説き、また廉直であることを求める前に、みずからを清めていくことが、私は心がまえとしてどうしてもやらなければならぬことであると思います。しかし、抽象的な今申しましたような、みずからがみずからを清めて範を示すという心がまえなりあるいは実践する。また一般に公職についている者に道義の高揚を求めるというような抽象的なことだけではこれはできないことは言うを待たないのでありまして、それを裏づけるようなことを考えていかなければならない。それは綱紀粛正に関して、私はいろいろ公務員の職務を行うに際しまして、かねて申しているように、その責任の所在を明らかにし、そうしてその責任につきましては、厳格にその責任を全うするという一つのシステムを考えなければならぬ。これは当然行政機構の改革問題にも関連を持ってくると思います。そうしてできるだけ簡素な形において責任の所在を明確にして、そうしてやっていくということが基調になると思います。  それからさらに選挙法等につきましても、できるだけ金を要しない選挙の方法も、これもお互いに十分に研究して考えていく、選挙というと非常に金がかかるものである、また金がまかれるというふうな印象を国民に与えるということは、私民主政治のやはり敵であって、そういう意味における選挙制度の問題も検討する必要がある。いろいろ法制上のこともありますけれども、結局私自身の政治の最高責任者としての心がまえとしては、みずから範を示し、一般に道義の高揚を求めると同時に、党、政府を通じてそのことを示したい、こういうふうに考えているわけでございます。きわめて汚職問題、もしくは綱紀粛正という問題は歴代の内閣が考え、また企ててき、そしてなかなか実現されないことでありますので、よほどの決意と、よほどの努力をしなければならぬ、こう考えております。
  74. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 みずから実践し、みずから清めるということを言われましたが、実際にその通りに行われておるかというと、必ずしもそうでないようです。そのことを私は今申し上げておる。あるいは山口の選挙の際にも、金は幾らでも出すから小澤候補を当選させてくれということを、あなた自身の口から言われたということであります。(笑声)あるいは総裁選挙のときでもそう。口だけ言ったって実際にその通りにやらなければ、これは何とかのから念仏であります。みずから実践しみずからを清める、そしてその裏づけの行動をやるというお話でありますが、党と内閣においてその言明については責任を持たれますね。もしあなた自身について、あるいは内閣の一員において、今約束せられました綱紀の粛正に反するような汚職あるいは疑獄、そうした問題が起ったならば、責任をとるとはっきりここであなた言われますね。
  75. 岸信介

    ○国務大臣(岸信介君) 私は政治の要諦として、きれいな政治をやることが私の信条でありますがゆえに、もしもそういう汚職や何につきまして、私どもに対して問題があるならば、それはもちろん私は進んで責任を明らかにし、責任をとる考えであります。ただ今お話になりました山口県知事の選挙について、金は幾らでも出すから小澤を出してくれと言ったというお話でありますけれども、そういう事実は全然ございません。これは私が選挙に臨んでおる心がまえからいって、私はそういうことを私の選挙についてもその他の選挙につきましても、かつて言ったこともありませんし、私はそれは選挙を毒する一番悪いものだと考えて、常にそういうことのないように今までも努力してきておりますから、それは非常にあやまり伝えられてきておることですから、この際一言しておきます。
  76. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 岸内閣として新政策を発表をしたら、その新政策に基いて内閣あるいは党において岸総裁、総理のもとに独自の体制を作ると、こう言ってこられたのであります。近く外遊もせられるのでありますが、内閣改造はその外遊後日本に帰って来てなされるということでありますが、その点について外遊せられるならば総理代理というものをお置きにならなければならぬでありましょうし、それからそれに備えて副総理というものをお置きにならなければならないと思うのでありますが、新聞には具体的に名前も出ておりますけれども、ちらほら出ておりますけれども、そういうことでおやりになるのか。それから党と内閣の改造とは関連があるのだと思いますけれども、河野氏について従来幹事長時代から一緒に組んでやってきたから、あるいは次の党の改組に当っては幹事長にするというお話であります。あるいは幹事長が実現しなければ内閣に入れて有力な閣僚にするといううわさもなされております。今総理は内閣においても党においても汚職あるいはスキャンダルと申しますか、汚れた党あるいは内閣は作らないということでありましたけれども、これは名前はあげません、名前はあげませんけれども、あなたの名前を含んでも……従来の汚職疑獄の中に関連をした人々の名前が自民党の有力な人たちの名前についてこれは出ております。これはすでに従来明らかになってきたところによって書いてある名前でありますけれども、そういう中にもこれは河野氏の名前もやはりございます。今非常な決意を含めて御言明がございましたが、これからの岸新政策あるいは党それから内閣の改組改造に当って、どういう所信で臨まれるか、具体的な名前もあるいはポストもあげましたけれども、所信を承わっておきたいと思います。
  77. 岸信介

    ○国務大臣(岸信介君) 内閣の改造問題やあるいは党の役員の改選の問題等をめぐっていろいろなうわさが出ておりますことは私も承知しております。私は従来この問題に関していろいろな御質問に際して国会中は改造する意思がないということを申して参っております。その後のことについては、私は明確な言明を避けて参っております。しかし適当な時期にまた適当な方法をとって内閣の改造やあるいは党の役員の入れかえ等につきましても、これは当然総理とし、総裁として、また考えておかなければならぬ問題であることも言うを待ちません。私としてはこの国会が終って外遊もいたしますし、またわが党としてさらに次の国会に備え、またわれわれの政策をさらに一段と進展せしめるために、いろいろな研究もいたしておりますし、構想も描いております。これらを実現するに必要な人材の起用ということも当然考えなければなりませんから、そういうことを含めて、すべて今の御質問の点について全体として私としては考慮をいたしております。またそれにつきまして、具体的の名前をおあげになりましたが、具体的の名前につきまして今だれをどういうふうにするというまで、もちろん私自身の決意がきまっているわけではございませんし、そういうことを言明すべき問題でもないことは、吉田委員も御承知の通りであります。しかし私としてはそういう場合におきまして、常に私が申しておるこの政治家の最高責任者としての心がまえを実現するにふさわしいような陣容なり、国民がそういうふうに考えて、私のやる政治を信頼し、支援してもらうということについては、そういう点については十分に一つ留意して、国民が、ああいうことを総理は言っておるけれども、やっていることを見れば、それをみんな裏切るようなことばかりじゃないかというようなことをしたのでは、これは政治の信が保てないわけでありますから、十分一つ私が申しておる、三つの悪を追放するということを申しておるのは、私の信念でございますから、その信念の方向に従っていろいろの陣容につきましても、また政策につきましても考えて参りたい、かように思っております。
  78. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 まあ概括的な話でありますけれども、渡米後内閣改造をやりたいという点は否定をせられなかったのであります。ところが政策を外遊後明らかにしたい、まとめたい、そのまあ一部と申しますか、多少中心的なものを三悪追放ということで述べられたのだと思いますが、その岸新政策なるものを掲げて、予算編成にも、次の予算編成にも臨まれるのだろうと思いますが、政権のたらい回しをいつまでも続けるべきでないとして解散を要望して参りましたのは、これは評価の仕方はあなたとそれから一般の人間とは違いますけれども、これは大部分新聞論調その他を含めて主張して参ったことは、これはお認めになると思う。相当多くの主張があったことはお認めになると思います。国民に新政策を問うという意味で解散等をお考えになっておるかどうか。これはここで時期をいつおやりになるかということはないと思いますけれども、おそらく新政策を国民に問うということは民主的な方法としていつかおやりにならなければならない。この点についてどういう工合に考えておりますか。
  79. 岸信介

    ○国務大臣(岸信介君) 私は、解散につきましては、しばしば私の解散に関する見解を明らかにいたしておりますが、解散そのものが国民経済にもあるいは国政運営の上にも重大な影響がある。従って単に同じ政党の内閣がかわったような場合に、形式的論理において、いわゆる内閣がかわり、内閣の首班がかわれば必ずそれは解散して国民の判断を待たなければならないということを唯一の根拠として解散するということは自分はとらない。しかし国民の世論の動向が解散を求めており、解散に対して強い希望が出ているにもかかわらず、自分が解散をしないということも、これは民主政治の本体からいって、とるべきことではないというようなことを申して参っておりますが、ずいぶんこの前、私に解散論を強く、本予算の審議の際に、社会党の諸君から解散すべきだという強い御希望があり、予算の通らぬうちは仕方がないが、予算が成立したらすぐやれということは国民の世論だ。ほうはいとした世論が起るというような御議論もありましたけれども、その後の国民世論の動向を見ますというと、決して国民の大多数は解散を要望しておらないと私は思うのであります。そういう際に、しいて私は解散をして国民経済の上に、あるいは国政運営の上に支障を生ぜしめるようなことをすることは決して望ましいことではない、かように考えております。従いまして今、吉田委員の御質問になりましたように新政策を掲げて、そして新政策ができたのだから、直ちにそれに対する国民の信を問え、問うのが民主的ではないか。一応論理的に申しますというと、そういう議論も、私は決してそれが非常に間違っておる議論とは思いませんが、それよりもなお大事なことは、国民の世論の動向を十分に考えて解散という問題は決すべきである。責任ある政府としては、それを頭に置いて考えなければならないのであります。私自身の見通しから申しますというと、近い機会にそういう解散をすべきような世論は起らないというように私は見通しをしております。従って今御質問のような解散を比較的早い機会にやるというような考えは今持っておりません。
  80. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 渡米に当っては、防衛計画を国防会議にかけて持っていくということです。それから渡米前に憲法調査会を発足したい、非常な無理をしておる。ところがそういう状態を見ておりますと、戦術兵器は防衛的に使われる場合、これは憲法違反でないと当内閣委員会で言明をされた。それから自衛戦争について所見を承わることができなかったようでございますけれども、この国会で小滝長官は局地戦争という言葉を便っておられます。自衛のためには戦争をおやりになるのではないか。私はそう解釈されるのでありますが、その点はどうでございましょうか。きょうも私、内閣委員会に出ておりましたけれども、NATOの理事会の動向、ドイツを含んでの原子武装、それからこの間SEATOで演習がございましたが、昨年の実態等を見ますと、これはSEATOの演習に日本の自衛隊も参加をいたしておりましたけれども、大型小型の原子兵器が事実、演習でありますけれども、使われております。こういう事実、あるいは内閣の論理、防衛的なものであれば原子兵器を使ってもよろしい、憲法上も使うことはできるのだ、あるいは自衛戦争、局地戦争という言葉が、内閣の担当者から出るような状態を見ておりますというと、さらに渡米前に憲法改正のために調査会を無理やりにも発足させたい、こういうことを考えておられるところを見ると、向うに行って、日本の自衛隊員に原子兵器を、小型原子兵器を、戦術的な原子兵器を持つことを要請された場合に、おそらく総理としてはこれを拒否することができないのではないか。だんだん自衛戦争の名において、あるいは局地戦争において、防衛的な武器だと言いながら原子兵器を、戦術的な原子兵器であろうとも、それはすぐ戦略的な原子兵器をアジアにおいて使うことにつながりますが、日本を中心にしたアジアにおいて原子戦争の危険がだんだん近づきつつあることを私は憂える。これは同僚議員からも内閣委員会で言われておったところであります。そこでもし総理が戦争はもう絶対にやらぬのだ。戦争を防ぐことができなかった過去の失敗を再び繰り返さないという信念がもしほんとうであるならば、原子兵器を、戦術的な兵器といえどもこれは使わない。小型のものであろうと、防衛的なものであろうと、使わないとはっきり言明せらるべきだし、また局地戦争であろうと、自衛戦争であろうと、戦争というものは絶対にしないとはっきり言明せらるべきだと私は思うのでありますが、なお、はっきり言明をする勇気があるか、あるいはアメリカに行った場合についても、戦術的な原子兵器を含んで、原子兵器の持ち込みについては絶対に反対をする。あるいは実験禁止についても、登録制ではなくて、関係諸国の間にその禁止のための協定に到達すべきことを希望すると言われますが、国連に提訴をするなり、あるいは原子兵器の所有と使用と、それからその戦争の危険について、国際的舞台において、はっきり保証を取りつけるべきである。あるいは日米の間にだけでなしに、国際的に取りつけるべきであると思いますけれども、その点について明確に岸総理の言明を願いたいと思います。
  81. 岸信介

    ○国務大臣(岸信介君) 憲法九条の憲法解釈から申しまして、われわれは国際紛争を解決する手段として戦争に訴えないということは、きわめて明瞭に書かれておりますが、同時にこの憲法九条は、独立国の持っている自衛権というものを否認したものではないという解釈をとって、そうしてその自衛のために必要な最小限度の実力は、これを保有する。それが憲法に違反しないものだという解釈をとっておるわけであります。しかしいかなる意味においても、みずから戦争するというようなことは、われわれは毛頭考えていないことは言うを待たないのであります。ただ侵略が行われてきた場合に、その侵略を排除するということは、これは自衛権の当然の内容であり、われわれが自衛的実力を持つ、自衛権の内容としての最小限度の実力を持つということは、不幸にしてそういう侵略があった場合、それを実力をもって排除するという努力をするということは、これは当然であろう。それを、それは戦争じゃないか、実力と実力とがぶつかれば、それは戦争じゃないかという意味において、あるいは戦争ということが言われるかもしれませんけれども、いわゆる従来の自衛のための戦争だというような、非常に広い意味のことをわれわれは頭に描いておることはないということは言うを待たないのであります。従ってその自衛権の内容というものを裏づけるところの最小限度の実力とはどういうものだという解釈になりますというと、これは憲法上の解釈としては、私はいわゆる核兵器と名前がつくものは全部憲法違反だという御説もあるようでありますけれども、それはこの技術と科学の発達につれまして、核兵器と言われるところの性格というもの、性質も、また兵器の種類もいろいろこれから出てくることでありましょうし、従って名前は核兵器とつけばすべて憲法違反だということは、私は憲法の解釈論としては正しくないのじゃないか。憲法の解釈論としてはあくまでも今申しました自衛ということを裏づけるに必要な最小限度の実力ということが限度であって、従って攻撃を主たる目的とするような兵器は、たとえ原子力を用いないものであっても、これは憲法で持てないということは当然であろうし、今の原水爆やあるいはこれを中心としているいわゆる核兵器として今の米英ソ等が互いに競うておるところのものは、これが憲法にいっているわれわれの自衛権の、自衛のための最小限度の何であるとはとうてい考えられませんから、それは憲法が禁止しておると私は考えておるのであります。ただ核兵器と名前がつけばどんなものでもいけないかと言われると、今後の発達を見なければ、これは一がいに言えないのじゃないかというのが私の考え方でございます。しかし私は、今いわれておる核兵器と――あるいは原水爆はもちろんのこと、核兵器といわれているような、あるいはアメリカが考えておるところの原子力部隊というようなものは、われわれはこれを拒否するということをしばしば申し上げておる通り、その考え方につきましては少しも変っておりません。従ってアメリカでたとえそういう話が出ましても私は拒否する考えでおります。ただ、今それに触れて憲法調査会云々の問題がございましたが、これはかねて私は憲法調査会の制定の当時から、この問題にタッチしておりまして、そうして法律がせっかくできて、いろいろな事情で今日までまだ発足をいたしておりませんが、これは社会党の方々にもほんとうに謙虚な気持で参加してもらって、日本の憲法を再検討すべき――権威ある再検討をすべきときであると考えておりまして、従ってこれが法律によるところの構成を早く発足しようということは、これは当然のことであります。私は別に、アメリカへ行く前にどうしても無理をしても作るというような考えではなくして、私が最近これの発足について社会党の首脳部ともお話し合いをし、懇請もしておる努力については御承知だと思いますが、そういう意味におきまして実現させる考えでおりますけれども、別に私の訪米と直接の関係がありませんことを御了承願いたいと思います。
  82. 苫米地義三

    ○委員長(苫米地義三君) 吉田君時間が経過しておりますが……。
  83. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 それではこの点についてはもう少し明らかにして参りたいのでありますけれども、憲法の解釈問題ではなくして、憲法の解釈が今のような状態ならば、アメリカに行ったときに、戦術的な原子兵器を持つことを要請されたときに断われぬのではないか、こういう点を中心にし、そうして原子兵器を保有しないということをはっきり約束の上に、あるいは文書の上に実現をすべきだし、あるいは国際的にそれを実現しようというならば国際的な舞台においてなさるべきだ。こういうことを申し上げ、それから自衛戦争といえども、これはしないという点をはっきりせらるべきだということを申し上げたのでありますけれども、戦争の点については、外国からの侵略があった場合には、事実上これを防ぐ場合に、それを、戦闘行為を戦争という場合には言おうとも、それはそういう行為はこれはあり得ると暗に自衛戦争を認められたようでありますが、この点についてははっきり自衛戦争をも否定をするのかせぬのか。その点はもう少し明確に願っておきたいと思います。
  84. 岸信介

    ○国務大臣(岸信介君) 吉田委員の御質問の自衛戦争ということがどういうことを意味しているか、ちょっと私にはっきりいたしませんけれども、もしもこの過去におきましていわゆる自衛ということを名にしている戦争、これもだれも侵略戦争ということは、これは第三者なりあるいは相手方が言う場合は別として、当該の国はいかなる侵略を行う場合でも自衛戦争という名前において行なった過去の歴史がありますが、そういう意味における自衛戦争というものをわれわれがしない、それに巻き込まれない。そういうことをすることは憲法違反であるということにつきましては、私は全然そういうことは考えておりません。そういうことは憲法に許しておらないし、またそういう自衛戦争をする意思は持っておりませんが、ただ今自衛隊というものを置き、自衛権の名によってわれわれが他からの不正な侵略に対して、自国を守り、民族を守るという場合に実力を行使することは、これはしなければそれを排除できませんからやるけれども、いわゆる自衛戦争というようなことをやる意思はないことは言を待ちません。きわめて明瞭であります。
  85. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 時間がございませんから、あとの質問を一括していたしたいと思うのでありますが、これは冒頭にお尋ねをしたのでありますけれども、今度の裁定問題につきましても、それから佐賀の教組について検察庁が出ました問題についても、それからあるいは菅生事件という。あるいはこれは総理等には御存じないかもしれませんが――警察官が警察署に共産党のしわざだとして、自分が――警察官が自分で火炎びんを投げ込んだ事件等々を見ましても、どうも一貫して、何と申しますか、あるいは検察ファッショといわれる事態、あるいは弾圧政策といわれるような方針が政府の方針として貫かれておるのではないか、こういうことをお尋ねをしたいのであります。  佐賀の教職員の問題は、これは私がここで長々と事実は述べません。先般参りましたところでは、この県の教育委員会は、文部省に報告に来た際に、局長、それから課長からなぜ処置しないか、処罰しないか、こういう処罰の強要と申しますか、示唆を受けた、こう申しております。それから、問題は三、三、四の休暇を取ったことがどういうことであるのか、こういう点について、地公法三十七条違反だ、こういうことを文部省から指示をしておるのでありますが、教育委員会自身はわれわれの質問について答えることができない。行政処分をするというならば、それは二十九条ではないか。三十七条ではないではないか。こういう質問をいたしますと、それについて答えることができない。そういうところを見ますと、明らかに、弁護士に相談をいたしたと言っておりますけれども、これは検察庁の私は指導、指示だと思う。鍋島知事は、問題は佐賀の水害から起りました県の赤字を解消するために、どういう措置をとらなければならぬか、その赤字の大半の責任を教職員の整理ということでやろうとしている。二百名に近い二十九年の整理の次に、三十年には四百八名、そうして二百五十八名を整理するかどうか、二百五十八名を整理して、そうして三べんに分けて整理をせられるということになると、教育には支障が起るということは、これは教育委員会がはっきり文書に出しております。問題は教育の問題、佐賀県下の教育をこの窮状の中でどうしてやっていくかという問題について、教育委員会もですが、教職員についても真剣に討議をして、そうして、その人員について、これは知事の権限にも関連をいたしますけれども、折衝をし、そして意見を述べておる。そしてその間に三、三、四の問題が起きたのでありますけれども、それについて教育委員会も、あるいは鍋島知事自身もあっせんに入って、円満に片づけたい。筋だけは通したいと思うけれども、しかし円満な解決をはかりたいと努力中に、横から警察なり、検察庁が出てきたことは大へん残念、遺憾だということを鍋島知事は言ったのであります。こういう事態を考えますというと、これは明らかに教育行政に検察庁が横から入ってきたと考えるしかございません。その他の問題については、時間がございませんからあげませんけれども、菅生事件については、検察庁、警察と、公安調査庁と思いますけれども、戸高氏をかばって、そして関係のなかったものを、当時の共産党員が火炎びんを投げたという事実に作り上げようとしておるかのごとくであります。  こうして見ますと、この裁定について疑義がある場合に、労使双方において話し合って、これからのそれぞれの公社の賃金をどうしようかという場合に、一方的に政府が一部分を削りとって、しかも給与、労働条件等についてその改善を努力しようという際に、弾圧政策をもって臨むことは全く同じでないかということを私ども感ずるのでありますが、これらの点について、文部大臣それから法務大臣、最後に労働大臣おられないようでありますが、総理から答弁を願いたいと思います。
  86. 灘尾弘吉

    ○国務大臣(灘尾弘吉君) 今回の佐賀県に起りました事件の経緯につきましては吉田委員大体御承知のことと思いますので、それについては説明を省略いたします。  この問題の処理につきまして、佐賀県の教育委員会から、法規の解釈なり、事実に関する報告なり、さようなことで本省に参りまして、係のものといろいろ話し合いがあったことはもちろんのことでございます。われわれといたしましては、この佐賀県の行政処分ということについて、積極的に文部省が指示をいたしましたことはございません。いわんや、今お話しのように、こちらの方からなぜ早くやらないかというようなことを申した事実はないと私は確信いたしております。私は就任以来、職員に対しましても、常に申して参りましたことでございますが、今日の教育の実際から申しまして、教職員の待遇その他につきましては、余ほど文部省としても考えなければならない点がある。これについてはお互いに十分努力しなければならない。しかしながら、教育の場というものはまことに神聖なものであります。この教育の場の秩序を乱ることは厳に戒めなければならぬ。さような意味合いにおきまして、教職員の諸君が団体を結成し、法令に認められた範囲内におきましていろいろ行動するについては、かれこれ申し上げる必要がないことでございますけれども、いやしくも法規に違反し、行政の秩序を乱るというようなことがあってはならないので、くれぐれもさようなことのないように注意してほしいと申し続けて参りました。従いまして、先般のいわゆる三月十一日の一斉早退というような事実がありました際にも、私はかようなことは法律に違反する。法律に違反すれば刑罰法令に触れるおそれがあるから厳に自重してほしいと申したのであります。できるだけさようなことのないように、さような不祥な事柄の起らないようにということが私どもの念願でございます。今回の佐賀県の事件につきましては、お話しにもございましたが、教職員諸君の方にもそれぞれ要求がございます。必ずしも全部が無理とは思いません。その要求の中には十分お互いに検討すべききのもあると思うのであります。これにつきましては、教育委員会はもちろんのこと、県当局におきましてもいろいろ心配をいたしておる。また私どももそれに対しましては及ばずながら協力いたしまして、事態の改善をはかりたいというので努力をいたしておったところであります。しかも関係者の切なる要望にもかかわらず、ついに二月十四、十五、十六日、この三日間にわたりまして、いわゆる二、三、四と、この割合による有給休暇の請求をし、そうして要求貫徹大会に臨んだ。しかもこれに対しましては、極力さような事態の起らないように関係者が努力いたしましたにもかかわらず、また学校長の意向にも反しまして、承認を受けないで勝手に休みをとって大会に臨んだ人が大部分であります。こういうふうな事態になりましたので、佐賀県教委といたしましては、やむを得ず行政処分をいたしたと思うのであります。私は事態やむを得ないことと考え、まことに遺憾に存じますけれども、この処分につきましては、これを是認せざるを得ないと思います。今度のこの処分につきまして、先ほどお話しがございましたが、地公法の三十七条というものにひっかけたのがおかしい。二十九条でいくべきではないかというようなお話しもございましたが、これは人によりましては両方ひっかけられる人もございましょう。また二十九条でいっても差しつかえない。しかし私どもはこの行為は三十七条に禁止いたしておるいわゆる争議行為に該当すると思うのであります。佐賀県教委がいろいろ判断いたしました結果、その争議行為に関しまして重要な人物につきまして、これをその条項によって行政処分をいたしたのでありますから、これまた何ら差しつかえはないことと私どもは考えておる次第でございます。なおまた、その後に至りまして、警察権を発動いたしたのであります。これは警察の見るところに従いまして、地公法違反の嫌疑ありとして行動は開始せられたことでございますので、これまたやむを得ない成り行きかと私どもは考えておる次第でございます。
  87. 中村梅吉

    ○国務大臣(中村梅吉君) お答えいたします。佐賀県教組の十人ほどのものに対して、地方公務員法第六十一条の違反のかどがあるということで、警察並びに現地の検察当局が検挙をいたしましたことは、決して佐賀県教組弾圧の意図に出たものではございません。この件につきましては、福岡高検を通しまして、最高検及び本省の事務当局にいろいろこれに関連する法律上の解釈について協議があったようであります。その結果、最高検及び事務当局で協議いたしました結果、今までの結論は現地と一致する旨を連絡をし、なお地方公務員法第六十一条の違反ということで検挙するかどうかについては、これは現地の実情に明るい者の現地の判断に託すると、こういう趣旨の連絡をいたしたいということであったことを承知しておるだけでありまして、決して政府なり中央として弾圧の意図に出たものでないということをここに明らかに申し上げておきます。  なお、菅生事件の問題でありますが、これは何か検察当局が警察関係、ことに戸高公徳、これをかばっておるかのごとく、そういうような御意見もございましたが、決してさようなわけではありません。現に戸高はせんだっての福岡高裁の公判廷におきまして証人調べが行われました。さらに本月の  二十五日だと思いましたが、もう一回証人調べが継続して行われる予定のようであります。従いまして検察当局といたしましては、戸高の行動のうちに犯罪に該当するものありやいなや、こういうことについては十分検討をいたしておりますが、いずれにいたしましても、現在福岡高裁の公判延において審理中に事が属しますので、その審理の終結を待ちまして、十分適正な判断をいたしたい、かような考え方に立っておるのでありまして、毛頭警察官なるがゆえに、これを擁護し、あるいはこれをかばうというような意図のございませんことを申し上げておきます。
  88. 苫米地義三

    ○委員長(苫米地義三君) 時間が経過しましたから……。
  89. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 戸高氏が、ダイナマイトと申しますか、火薬の取締法違反の事実を犯したということは、これは明らかになっております。しかるに、直ちに取り調べをするというようなことはしないで、公判延の出入りにしましても、現職の警察官がついて、本人の言うところによると、退職しておる者を護衛をして法廷に出入りを出しておる、あるいは、現地で新聞社の諸君に会いましたときに、警察本部長の部屋で会っておる、こういう事態である。これは、とにかく警察なり検察庁がかばってないというのは、もしそういうことを否定されるなら、かばってないというのはどういうことです。それから佐教組の点については、行政処分に付した、行政処分に付するのは、地公法二十九条以外にはないじゃないか、こういうこともある。しかも、不利益処分の審査請求をしておるものを逮捕捜査をしておる。常識的に言って、これは、あるいはそれは調べられることもあるかもしれない。しかし、学校の先生を、あるいはよその県におる者までもその学校から捜索する、学校を捜査する、あるいは逮捕する、しまいには、九時ごろまで、授業に差しつかえのあるところまで捜査をする、あるいは夜中の、朝の三時ごろまでも調べたりしている、そういうのは、明らかにこれは検察権の行き過ぎであり、不法であります。人権のじゅうりんであります。常識から考えてみましても、この教組に対して、何かあれと口実を設けて検挙し、あるいは捜索し、組合運動を弾圧しようとしていると考えるのは当然だと思います。思うに、公共企業体について処分も考えられたけれども、しかし相当の反撃もあるようだし、混乱が予想される、労使の問題は労使の話し合いで解決していく、賃金問題についても、あるいは裁定の問題についてもそうであります。あるいは教育の問題ならば、佐賀県でとにかく解決をしたい、教育委員会かあるいは教職員、あるいは知事まで入って、それは県の赤字財政から起った問題だから県で解決をしたい、こういう際に、そういう職権乱用のそしりを受けなければならない事態が数々ございますが、そういう場合に、検察庁が捜査勾留をしなければならぬ理由はどこにあるか。これは新聞の論説にも出ている。中央の本紙にも出ておる。それだけひどいやり方をやっているからというので指弾をされておるわけでありますけれども、明らかに私どもは、これは検察権の行き過ぎであるし、あるいは行政処分が妥当であるかどうかということが言われておる際に、検察庁が出動するということは、これは行き過ぎだ。まあ、文部大臣は、自分の所管の問題について検察庁が出てきたことについてはなはだ遺憾であるということを言われませんけれども、私は文部大臣ならば当然言われるべきだと思う。知事と同じような発言が私はあるべきだと思うのですけれども、時間がございませんから、私の発言だけを申し上げて答弁は求めませんけれども、事態は明らかに政府の組合弾圧方針のこれは現われではないか、こういうことを岸総理に最後にお尋ねをして質問を終ります。
  90. 岸信介

    ○国務大臣(岸信介君) 先ほども申し上げました通り、私は、今回の春闘の処理につきまして、組合を弾圧するというような方針では決して臨んでおらないわけでありますことをはっきりと申し上げます。
  91. 安井謙

    ○安井謙君 私は、時間の関係もあり、ますので、今度出されました補正予算に直接関連のあるものだけ二、三の御質問をいたしたい、こう思う次第であります。  第一に、岸総理にお尋ねしたいのでありますが、岸内閣は、成立以来、労働問題の処理につきましては、非常に合理的と申しますか、いわゆる信頼のある態度をもって労使の関係に臨まれておる。そうして、労使が協調をしてよき労働慣行を作るということの努力をされておることは私は非常にけっこうだと思う。従いまして、そのことの現われが、たとえば裁定問題の起きましたに際しましても、政府はいち早く裁定は尊重する、いな、言葉で言えば、実施するといったような言葉で裁定がきまる前に声明しておったようであります。この裁定につきましては、御承知の通り、公労法では、政府はこれを尊重しなければならぬ、しかし、同時に、予算上資金上支出の不可能な裁定に対しては拘束されない、こういうようなことになっております。自来歴代の内閣が、この両方の条文からせめられて、紛糾や処理に苦しんだことは御承知の通りです。しかるに、岸内閣が、そういった、いわば温情と申しますか、親心をもってこういった問題の処理に当ろうとされておるにかかわらず、一方、三公社その他を中心にしました春闘の姿というものは、私どもはまことに遺憾であると思う。これにはいろいろな言い分が双方にありましょうが、組合の行き過ぎ、これはどうしても否定できない。しかし、同時に、一方で、そういう温情的と申しますか、理解のある態度で進みながらも、非常に大きな紛争を今回起したというところには、ある意味では、政府あるいは公社の不手ぎわと申しますか、あるいはまた、今日、昔は軍部だが今日は総評だというような言葉が民間で言われております。大へん好ましいことじゃございませんが、その有力団体である国鉄あるいはその他の公社現業の実態認識について、いささか政府は甘かったじゃないか、こういうような感じが若干するのでありまするが、その点につきまして、総理の御感想を一つお聞きしたいと思います。
  92. 岸信介

    ○国務大臣(岸信介君) 今回の春季闘争が、いわゆるスケジュール闘争として総評を中心に企てられておる。私どもは、それを未然に防ぐように努力いたし、また同時に、この公務員やあるいは公企業体等につきましては、それに関する法規を逸脱しないように、逸脱する場合においては、われわれはその本来の使命にかんがみて厳罰にすることも辞せないということを事前に十分注意を喚起して参ったのでありますが、しかし、遂に私どもの期待しているように労使の話し合いで話が解決することはできなくて、実力行使というような段階が出てきたということは、返す返すも遺憾のきわみであります。ただ、政府としては、私は一方、これらの公企業体については、労組につきましては、御承知の通り、争議権がないわけでありまして、従って、争議、ストライキに類似するところの行動は厳禁をされております。かりに、話し合いがまとまらぬ場合に、これにかわるものとして、最後の仲裁裁定というものの制度が設けらておるわけでありますけれども、これにつきましては、最初から私は平和的に話し合いによって解決し、話し合いにかわるべき、話し合いがまとまらぬ場合においては仲裁裁定によってこれを解決する、その場合においては、政府としてあらゆる困難があろうとも、その仲裁裁定については誠意をもってこれが実現を期するという考えを明らかにして、しかも実力行使等のいわゆる法規に違反するような行為のないことを求めたのでありますけれども、これが達せられなかったということは、私は返す返すも遺憾に思っております。従って、今、安井委員のお話しのように、その結果から見て、政府の考えは甘過ぎたのではないかというふうな御批判もいただくことになるかと思いますが、われわれとしては、できるだけの公労法の精神を実現するように努力はいたしたのでありますけれども、それが達せられなかったことを返す返すも遺憾とするものであります。
  93. 安井謙

    ○安井謙君 それで、関連いたしまして処分という問題が当然起ってくると思うのでありますが、あの春闘の起ったあとに、官房長官が政府を代表されまして総評の幹部に、今後傘下の団体が直接に公労法を順守するというようなことになれば、処分については若干考慮しようというふうな要求か要望を出されたように新聞で拝見いたしました。これに対しまして総評の幹部からは、全面的にそういった政府の公労法を守れという趣旨の要望を拒否したやに伺っておりますが、これに対しましては政府はどういうようなお考えでありますか、お伺いしたいと思います。
  94. 伊能芳雄

    ○政府委員(伊能芳雄君) その問題につきましては、(「労働大臣どうした」と呼ぶ者あり)政府としては、当時の問題を考慮するというようなはっきりしたことは言っておらなかったというふうに聞いております。
  95. 安井謙

    ○安井謙君 先ほどから労働大臣がいろいろ話題になりましたが、私どももこの組合、あるいは組合運動に対して弾圧とか過酷な処分というものを決して要望するものではない。しかし、やはりこの公務員あるいはこれに準ずるべき人にはそれ相当の法規の適用があるのであります。本日の朝日新聞の欄にも、この日本の労働問題に非常に権威ある石井東大教授もはっきり言っておられるようであります。今度の問題につきましては、正常な業務の運営を阻害する一切の行為を禁止しておる公労法の建前からいって、法律的には処分の対象となるものが出るであろうというふうに言っておられるほどであります。そこで、先ほど岸総理大臣は、目下のところ、政府としては、これが果して違法であるものかどうかといったような点についても今調査中である、こういうお答えのように伺ったのでありますが、私は、まあ、あの起った現象というものは、もうすでに違法であるかどうかという問題ではなくて、あの違法性がどこまで各個人に確認をされるか、あるいはもっとはっきり言えば、証拠がつかみ得るかどうか、こういう段階の問題ではなかろうか、こういうふうに思うのでありますが、まだ政府とされてはこれに、あの騒動が違法性があるかどうかといった点についての調査を進められておるような段階にあるかどうか、その点だけお伺いしたいと思います。
  96. 岸信介

    ○国務大臣(岸信介君) 私が申し上げました、政府として、あるいはその処分問題については、処分の権限を持っておる経営者におきまして検討中であるということを申し上げましたということは、決してすべてあの行動が違法であったかどうかというようなことを調査するということではないのでありまして、果して具体的にその違法の事実の責任をだれがとるべきであるかというようなことに関して具体的な検討を加えておる段階であって、結論的に何人処罰するというようなことが今きまっておるというまでにいっているのではないということを申し上げたわけでありまして、本来、これが違法であったかどうかというような点を今さら検討しておるという段階ではないのであります。
  97. 安井謙

    ○安井謙君 それからもう一つ岸総理にお伺いしたいのは、今度の裁定に対する政府の態度でございますが、今度の裁定は、かなり抽象的な文句あるいは文章も入っておりまして、これの解釈については政府、労使間それぞれ若干違っておるようなニュアンスもあるように思うのであります。しかし、私どもがあの裁定案を解釈いたしましたところでは、いわゆる主文に載っておるこの予算内の基準単価に千二百円をのっける、そうして業績手当と申しますか、特別手当はそのうちに含まれるのだ、あるいは実行単価と予算単価の較差については、将来これを縮小したい、こういった主要な部分については非常に明白に出ておる。そこでいろいろ疑問もありまするが、これは技術的な問題でありまするので、私は、政府は今度の裁定案に基いて予算をお作りになります際は、ほとんどこの裁定の要求をしておる全部を満たしておるものであろうと思われますが、政府においてもその確信を持ってお出しになっておりますか。
  98. 岸信介

    ○国務大臣(岸信介君) 裁定を実現するに当りましては、私はかねて公約しておる通り、誠意をもってこれを尊重するという気持を最初からずっと一貫して持っておりまして、従って、裁定がありました後において、これをほんとうに誠心誠意をもって政府としては実現するという意図のもとに予算の編成に当ったんであります。ところが、裁定の解釈につきまして、多少今日においても議論がありますように、ややこれを理解することもむずかしいような点もありましたので、これらの点については委員長とも、また政府側におきましても十分に検討して、この裁定の趣旨をそのまま実現するということに私どもは決意して、そうしてこの予算を編成したわけであります。従って政府といたしましては、その間において少しの手かげんであるとか、あるいは不誠意の点というものはないのでありまして、完全にこれを実現するという考えのもとに本案を提出しておる次第であります。
  99. 安井謙

    ○安井謙君 大蔵大臣に若干お尋ねをいたしたいんでありますが、今度の裁定案を補正予算に組むに当りましては、三公社五現業のこの給与の中にいろいろ複雑なものがある。これをいろいろと洗い出して、そうしてなるべく簡単明瞭なものにしたいという努力をなさっておるようでもありますし、また、それが裁定の趣旨に合っておるようにも思いますが、その中で一つ一番大きな問題は、いわゆる世間でやみ給与と言われておりますところの、(「やみじゃない」と呼ぶ者あり)昭和三十一年でございましたか、二月のあの調停による特別手当、この六百円の支給が問題になると思うのでありますが、この金額あるいは支給につきましては、大蔵大臣は従来どういうようなお考えをもってこの問題を扱っておられましたのか、お聞きしたいと思います。
  100. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) 従来、三公社につきましては、五現業とも異なりまして、給与規定によりまして、相当大幅に三公社の方に譲られておったのでございます。従いまして、国交があります場合に、公社自体でいろいろな名目でおやりになっておったのでございます。従いまして、昨年の暮にダイヤ改訂で出すという国鉄の措置、あるいは裁定にありました一号確定分、こういうふうなものは、財政当局といたしましては実は知らなかったのでございます。それほど三公社の方におまかせしておるというふうな状態でございました。そして今回仲裁裁定が出ますると、そういうものがございますので、予算単価と実行単価に非常にかけ離れが出てきたのでございます。従いまして、裁定の趣旨に沿ってわれわれは予算単価に千二百円を加算いたさせまして、そうしてその間でいろいろな点をまかなう、こういうふうにしたのであります。しかし実際の賃金が上らないようなことがあってはいけない。やはりある程度実質的賃金が上るというふうな裁定の気持も表わしましたので、従来の差額につきましてはある程度予算で見るようにいたしまして、今後そういう財政当局にも実際わからないというようなことのないようにいたしたい気持で進んでおります。
  101. 内村清次

    ○内村清次君 関連。大蔵大臣は、この調停案によるところの、調停による賃金の増し、それから団体交渉によるところの賃金の増し、こういうような問題を、当局が団交の結果において運輸大臣を通じ、あるいはまた大蔵大臣にこの点を明らかにしておらなかったのかどうか。その点は大蔵大臣としては少しも、大蔵省自体、これは事務的な方も含めまして、全然知らなかったのかどうか、この点を一つはっきりしていただきたい。
  102. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) 一号確定分というのは私は存じませんでした。事務当局もあとからわかったそうでございます。それからダイヤ改正の臨時手当というので出ました分も、はっきり大蔵当局としてはわかっていない、名目がわかっていなかったわけでございます。
  103. 安井謙

    ○安井謙君 私は、今度の裁定に伴う補正予算は、いわゆる裁定案が要求しておるものについては千二百円を乗せる、今の六百円を引くとかいうような意味で全額実施をしておる。しかし同時に、従来これはまあ第二のやみ賃金と、こう称されておるようでありますが、このいわゆる実行単価と予算単価との差額に当る部分、これは将来なくしなきゃいかぬというのが裁定の趣旨ではありますが、それについては従来、いわば団体交渉によって既得権として持っておった一部の増給分についてはこれを削除した、こういう形に出ておるかと思いますが、それはそう解釈してよろしゅうございますか。
  104. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) いわゆる一号確定分の六百円以外の分につきましては、今後これをだんだん減らしていくという考え方でいっております。減らし方につきましてはいろいろ方法があると思いまするが、たとえば、この前の予算単価に千二百円加えたものでございます。それがたとえば新陳代謝ということになりますると相当変って参りますし、また昇給の率の問題もございまして、徐々に、われわれは俸給が上らないというようなことは、これは全然考えませんが、上げつつこれを直していこうという気持で進んでおります。
  105. 安井謙

    ○安井謙君 まあ裁定の際に問題になっておりますこの単価の差額、実行単価と予算単価の差額、いわゆる五百二十円を将来にわたって消せ、こういう意味につきましては、これは両様にとれるので、これを今日から実施しても別に趣旨に反するわけでもあるまいと、政府の御解釈のように私は思います。私どもそれを支持するものでありまするが、ただ私が思いますのには、たとえばこの差額が一応五百二十円出ておる。これを三年間ならば三年間で政府は消却するといいますか、縮めるというような御方針のようでありますが、たとえば来年度これをまた百何十円減すというようなことになりますと、もしほかの条件に変りなければ一種のベース・ダウンという問題が起るのじゃないか。そうするとベース・ダウンは特殊の状況がなければやるわけに参りますまい。そうするとこの分は、引いた分だけあるいはそれ以上のものをまた何かの形で付け加えなきゃいかぬという問題が起ると思う。そうすると、これは一方では引き、一方ではまた足すというような一種の堂々めぐりが起って、依然として格差の縮小はあり得ないのじゃないか、こういうふうな問題がありはすまいか。それから今の六百円含まれる問題につきましても同様でありまして、今後こういったいわゆる業績手当といったような問題が起ってくるとすれば、一方では加える、また適当な時期には減すと、繰り入れる、こういうような非常に複雑な作業をやっておりますことが、いろんなこの給与の問題を中心にした折衝の場合、紛争にもなる。あるいは一部は大蔵大臣も知らなかった、あるいは運輸大臣もおぼろげながらしか知らなかったというようなこともあるやに伺うのでありますが、これをもう少し何とか明朗に処理する方法はお考えになっておりませんか。
  106. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) 御質問の点二つあると思います。五百二十円のうち――まあ大体五百二十円でありますが、三分の一今回減らすことにいたしたのであります。あとの三百六十円をどうするか、たとえば二カ年でやるといたしますと百八十円でございます。しかし昇給が四%に見ますと、予算上は八百円近く出てくることに相なるのであります。それからまた高給者を新規採用に変えますと、そこに相当の額が出ますので、私はこれは大体なしくずしにいって、相当の昇給財源等を見ながら、全体の予算をふやしながらいけるのではないかと考えております。なお、弾力条項とか、あるいは超勤とか期末手当とか、いろいろなものがございますが、これは今度の予算上、基準内給与と基準外給与に分けまして、そうして御相談を受けることにいたすことによりまして、よほどはっきりしてくるのではないかと思います。お話の業績手当は、これは別でございまして、これはもうはっきわ計算方法も従来の規定でわかっております。これは一般の基準内あるいは基準外給与とは別個に取り扱われる問題でございます。
  107. 安井謙

    ○安井謙君 そうしますと、この実行単価と予算単価との格差をなくするという問題、今のような操作ですと、依然として解消しないのじゃないかという感じがしますが、その点はどうですか。
  108. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) ただいまお話し申し上げましたごとく、今回残っておりまする三百六十円につきまして、来年予算を編成するとき昇給をどうするか、あるいは給与の実態を調べまして、実際の実行単価がどうか、こういうことを調べて、それに適当の措置をとる、その適当の措置は何でとるかといえば、昇給とかあるいは新陳代謝のようなものでやっていけるのじゃないか、こういう考えでおります。
  109. 安井謙

    ○安井謙君 もう一つ、ついでですが、今の三百六十円、二カ年でやるとすれば、百八十円を今後も引かれるという方針は基礎にあるわけでありますか。
  110. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) 裁定の出ましたときにおきまして、大体そういう五百二十円程度の差額はある。これは予算単価と、今度御審議願っております予算によります予算単価と実行単価の違いでありますから、その点は徐々になくするように、裁定の趣旨に沿ってわれわれが進むとすれば、どういう方法でいくかということになれば、今の昇給財源とか新陳代謝で徐々に減らしていく、片一方にはベース・ダウンということはもちろんないのみならず、昇給で給与を上昇しながらやっていける、こういう見込みであります。
  111. 安井謙

    ○安井謙君 そうするとこれは昇給財源が豊富になるから、その昇給の額によってペース・ダウンは防止されると一応解釈してよいのですか。
  112. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) それを緩和いたしますあれとしては新陳代謝、昇給財源等であります。しかし昇給財源をどう見るかということは、やはり実際問題、実態を調べないと、今から四%とか三%あるいは五%ということにはきまりません。予算作成のとき検討する次第でございます。
  113. 安井謙

    ○安井謙君 そうしますと、その財源を別にしまして、単価自体のベース・タウンを防ぐ方法として昇給という方法によるのであって、今まで五百二十円を構成したようなものは今後は認めないと、こういうような解釈でよろしゅうございますか。
  114. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) 昇給ばかりでございません。新陳代謝ということも非常に影響するのでございます。で、たとえば、国鉄も初めは退職給与を二十億見ておりましたが、これはまあ今回は財源に十億取りまして、三十二年度におきまする分は、退職手当を三十三年度に出していって、新陳代謝をやりながら財源を生み出すような方法を講じておるのでございます。だから予算単価と実行単価というものは、実人員並びに実際の給与、新陳代謝に基く給与が落ちますのが財源としてはありまするから、そういうことで単価が上ってきて実行単価との差がなくなると、こういうことも考えられる。いろんな点を考慮いたしまして徐々に減らしていくわけでございます。
  115. 海野三朗

    ○海野三朗君 今のに関連して私は一つ聞きたい。ただいまもそうでありましたが、やみ給与やみ給与といいますのは、はなはだ穏当でなく、一体やみで給与していいかということ自体がおかしい。これはやみでなくて当りまえの給与じゃないですか。今度また千二百円のうちから差し引いていますが、またそれをやみと言う。やみに重ぬるにやみをもってするということはおかしいと思うのですが、どうですか、そういう点は。私は一切やみなんということは抜きにして、正々堂々、今までやっておったものは、仲裁裁定の千二百円を加えたらどうですか、やみに重ぬるにやみをもってする……。
  116. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) 私はやみと言ったこともございませんし、衆議院の方の答弁におきましても、違法な措置であったとは言っておりません。与えられた範囲内でおやりになっておるのでございまするが、予算と実行単価との違いは、仲裁裁定でもおっしやる通りに違いがある。その違いをだんだん少くしていけと、こういう裁定でございまするから、正々堂々と予算に組みまして、そうしてみんなの納得いくような方法にしようといたしておるのであります。
  117. 安井謙

    ○安井謙君 そこでもう一つ、今のこの業績手当というものは、これはまあこういった公社の性格上、当然私はあっていいと思う。しかし、それ以外のものにつきましては、これはもう単純に俸給に一本化されるべきものであろうと思うのでありまするが、今後はそういうふうに徐々にやろうというようなお話のようでありまするが、そこで私は、この業績手当にいたしましても、なかなかこの決定の際には紛糾がある。あるいはまた内容的に複雑である。一がいに業績手当と言われながらも、内容は非常に複雑なものを持っておるというように思われるのでありまして、私はこの点は、公社の性格が今日いろいろ議論もされておるように思いまするが、公社の性格自体の問題よりも、公社の経理、運営の面についてもう少し改革する余地はなかろうか。もっと端的に申し上げますと、公社自体を、今でも非常に経営、経理に準じた扱いにはなっておりまするが、私は原価計算その他の点から見ますと、まだ不十分な経理のシステムじゃないか。それでこれをもっと純粋に経営経済の経理に直されまして、そうして原価計算等も十分やって、できれば業績手当というようなものをかなり自動的にも算出できる、そういったふうに今後改正をなさる御意図はありませんかどうか。
  118. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) 特に三公社の問題につきまして、経営の合理化は年々力を入れてやっておるのであり、決す。これは給与の面ばかりでなしに、工事費、物品費、その他いろんな点で改善をしていかなければならぬと思います。お話しの業績手当というのは、これは給与総額の中に入っておりません。基準内でも基準外でもない。予定よりも業績が上りましたならば、一定の方法で算出いたしておるのであります。一部はやはり利用者にも返さなければならない。一部は資産の償却にも充てなければならない。こういうふうな考え方で、大体三十一年度におきましても業績手当につきましては、国鉄当局あるいは運輸省、大蔵省の方であまり異論はございません。ただ、どれだけもうかったか、これはどれだけ節減になるか、その程度の問題はございまするが、分け方につきましては、大体方式をきめてやっておるのであります。業績手当についてはそうでございまするが、今まで給与総額で基準外と基準内に分けていなかったのを、今回は総則で分けまして、われわれはできるだけ国鉄当局におまかせする考えでございまするが、ある程度大蔵省に御相談願いたい、これも一つのやっぱり合理化のあれではないかと思います。その他、先ほど申し上げましたように、いろんな点で十分改善しなければならぬ点が多々あると思いますが、これはわれわれとしても日ごろ十分検討を加えておるところであります。
  119. 安井謙

    ○安井謙君 今のこの基準外と基準内を給与で分けるという問題でありまするが、これをやりますと、いわゆる団体交渉で話のでき合う余地というものは非常に狭められるというふうにも一応受け取れますが、運輸大臣、その点はいかがですか。
  120. 宮澤胤勇

    ○国務大臣(宮澤胤勇君) お説の通りであります。団交の余地は少くなっております。
  121. 安井謙

    ○安井謙君 それはそれとして、団交の効果は十分目的は達しられるというように御了解になっているわけですか。
  122. 宮澤胤勇

    ○国務大臣(宮澤胤勇君) さようでございます。
  123. 安井謙

    ○安井謙君 それから運輸大臣にお伺いしますが、まあこの処分がいろいろ問題になっておりますが、処分の当該責任者というのは、それぞれの公社の責任者が当該責任者である、こういうふうに承知してよろしいですか。
  124. 宮澤胤勇

    ○国務大臣(宮澤胤勇君) 処分をする方の責任者は、それぞれ国鉄では国鉄の当局者であります。
  125. 安井謙

    ○安井謙君 実はこれも何でありますが、よく巷間アベック闘争というような言葉が使われている。果してそういう実態があったのかどうか、われわれはつまびらかにいたしませんが、まあそういう風評が出るというようなことになりますと、なかなか公社なら公社の当局責任者だけでは、ほんとうに純理を通した措置はやりにくいのじゃないか。そういう点につきましては、政府は相当な、監督権から見た発言をお持ちになるのかどうか、その点につきましてお聞かせ願いたいと思います。
  126. 宮澤胤勇

    ○国務大臣(宮澤胤勇君) 処分は、国鉄について申し上げますると、国鉄の当局者が法規に従っていたします。ただ、そのやり方その他につきましては、運輸省としては監督上の立場からこれを見ておる、こういうわけであります。
  127. 安井謙

    ○安井謙君 そこで、実はこれも東大の石井教授の話を援用するようなことになりますが、国鉄当局と労組は、公労法で争議行為が禁止されているにもかかわらず、今まで法律上の問題を伏せて、いわばもっぱら内輪の事柄として、適当にルーズにやってきたという欠陥が今になって国民の前にさらけ出されているという感じがする。まあこういうふうな観測もあるようでありますが、これに対しましては運輸大臣はどういう御見解ですか。
  128. 宮澤胤勇

    ○国務大臣(宮澤胤勇君) この官公労のいわゆる実力行使という問題については、全般として、今のお話のような点も一部あったかと思いますが、これはどうしても法規通りに是正をしていかなければならない、こういう考えでありまして、今般、政府が仲裁裁定を実施するということも、政府の側においても、仲裁裁定をはっきり実施する、労組の側においてもやはり自分の行動については責任を負ってもらう、こういう建前でやっておるわけであります。
  129. 安井謙

    ○安井謙君 これも巷間の伝えられるところでありますから、確認をしたいのでありますが、せんだって労働大臣の言明をされましたあの処分問題、あれは必ずしも公式のものでないかと思いますが、あれなんかをめぐりまして、せんだっての春闘の処分問題については、三月二十三日の一番激しい抜き打ちストについては、これはあまりやらないのだというような説が流れておるようでありますが、この点はどういうふうにお考えですか。
  130. 宮澤胤勇

    ○国務大臣(宮澤胤勇君) しばしばそういうお話を伺うのでありますが、国鉄について申し上げますと、国鉄の抜き打ちストですが、国鉄当局者といたしましても、そういうことを言明をしたり約束をしたりした事実はないということであります。また私ども監督の立場においてもさようなことはないと、こう信じております。
  131. 安井謙

    ○安井謙君 それから、従来もある例でありますが、いろいろな公労法違反で解雇されました人が、依然として組合の役員に残っておる、そうしてこれが団体交渉の責任者にもなっておる、こういうふうな事実があるのでありますが、これは将来政府としては解消なさる自信があるのでありましょうか。
  132. 宮澤胤勇

    ○国務大臣(宮澤胤勇君) これは過去におきましても、この問題は自主的に一つ取り扱うということで、役員になっておる人も団体交渉には表向き遠慮して加わらない。こういうふうな扱いになっておりますけれども、これは一つ今後において、この取扱いについてはもう少し考えていかなければならぬと、私ども監督者の立場においてはそう考えております。しかし、国鉄自身はまた国鉄自身の立場においてやはり同様な考えを持っておるだろうと思うのであります。そういう点の扱いについては、国鉄の自主的な取扱いにただいまのところまかせております。    〔委員長退席、理事左藤義詮君着席〕
  133. 安井謙

    ○安井謙君 これは両者の自主的な解決にまかせるとおっしゃいますが、たしか組合法か何かではこれは認めてないことであるのじゃないか。単に自主的な解決にまかせるというのはどうかと思うのでありますが、その点はどうですか。
  134. 宮澤胤勇

    ○国務大臣(宮澤胤勇君) 自主的な解決にまかせるということは、それをルーズにするという意味ではありません。その扱い方を法規に従ってやはりいくように、一つこれは当然責任者としてとるべきことだと思って、さように信じております。
  135. 安井謙

    ○安井謙君 労働大臣に一、二お伺いしたいと思いますが、今度仲裁裁定が出まして、政府は予算を組んで、こうして国会で審議をされるように出されておる。これにつきまして一部では、裁定は出たのだ、しかし裁定には、これは具体的な問題については当事者間でよく協議してきめろ、こういうことになっておる。これにもかかわらず、いきなり政府がその裁定をうのみにして、予算を組んで一方的に出すということは、政府として行き過ぎじゃないか、こういったような議論が私はごく一部ですがあるように思うのであります。この点につきまして労働大臣の御見解を承わりたいと思います。
  136. 松浦周太郎

    ○国務大臣(松浦周太郎君) 今御指摘になりましたような仲裁裁定が下りましてから、その仲裁裁定の指示する方向に向って、先ほど来いろいろ御議論がありますように、予算単価の上に千二百円をやりまして、そして従来の業績手当六百円はこの千二百円の中に含まれ、あとの六百円の中で、裁定主文第一項及び理由第一を見れば、六百円の中で八十円くらいしかいかないというようなことになったものでありますから、その八十円では労働紛争を解決することにはならないというので、仲裁裁定の指示は相当の給与改善を企図しておると書いてありますから、それをわれわれは六百円の残りの中で大体四百三十円くらいのものをみた結論になるのでありますが、実際問題からいうと、千二百円の上に三百五十円を乗っけたような形にいたしております。そこでこれは財源措置をもって団交するのでありますから、この団交に当りましても、やはりこの財源措置の範囲内で団交して、それがまとまらなかったならば、仲裁裁定委員会はさらに協力をすると第四項にうたってありますから、その仲裁裁定の委員会において協力をしていただきまして、この団交のまとまることを祈っております。
  137. 安井謙

    ○安井謙君 そこでこの裁定の具体的な内容につきましては、若干解釈のニュアンスが違うようであります。従いまして、むしろこの団交によってある程度の目安がついてから予算は組まれるべきだという一部の議論については、私は裁定が下りますれば、当然政府は予算を組む義務があるし、またそれを当然国会ですみやかに審議する義務があると心得ておりますが、団交が先だという議論につきましてはどうですか。
  138. 松浦周太郎

    ○国務大臣(松浦周太郎君) 政府が仲裁裁定を誠意をもって尊重するというので、仲裁裁定の指図によりまして予算を組んだのでありますから、仲裁裁定を尊重し、完全実施になる。こういう考えでおりますから、団交はその範囲内において行われるべきものである、かように思っております。
  139. 安井謙

    ○安井謙君 そこでその範囲内において行うのでありますが、具体的な例をとりますと、たとえば実行単価と予算単価の差額百二十円を本年度から差し引いてよろしいかどうかという問題があろうと思います。そこでこれが団交の際に議論になりまして、そしてこいつは予算の単価としてはその範囲内であるが、その差し引きのやり方としてはその方はとらないのだ。こういうふうにもし協定ができたというふうな場合には、これは実際にはどちらが有効になることになりますか。
  140. 松浦周太郎

    ○国務大臣(松浦周太郎君) その場合どうしても話し合いがつかないという場合には、仲裁裁定が最後まで協力してまとめるといっておりますから、それを信頼するよりほかないと思いますが、仲裁裁定を完全に実施いたすのでありますから、それにはやはりそれの財源としてこの予算を提案いたしておりますから、さような団交でもそれにまとめなければならぬということに、昨日の指示事項も同じように指示いたしておりますので、仲裁裁定を尊重しておる次第であります。
  141. 安井謙

    ○安井謙君 そうすると団交自体には、予算で組まれた予算単価の内容とおそらく食い違うことはあるまい、こういうことなんですか。
  142. 松浦周太郎

    ○国務大臣(松浦周太郎君) われわれの今御審議願っておる予算は、仲裁裁定を尊重し、これを完全実施するということによってこの予算を提案いたしておりますから、そのワクの中でやはり団交をすべきである、かように思います。
  143. 安井謙

    ○安井謙君 その御趣旨はけっこうなんですが、くどいようですが、予算に組みます場合には予算単価として組むのでありますから、ワクとしてはこれは裁定の趣旨の通りにきまって、乗っけてあると私ども確信をしております。しかしその単価の中でのいろいろなもののきめ方、やり取りの仕方については、必ずしも政府が希望した、あるいは計上した通りにきまるかどうかわからないのじゃないか、そういう場合がありはしまいかと思うのですが、もし何でしたら労政局長でもけっこうです。
  144. 中西實

    ○政府委員(中西實君) 大ワクはただいま労働大臣のおっしゃった通りであります。従って団体交渉はその範囲内で行わるべきでありますが、先ほど労働大臣が申しましたように、もしも両者の話し合いがきまらないときには仲裁委員会がその間に入りまして何らかの解決に持っていくように努力すると、こう申しております。しかしながら、大ワクにおきましては、先ほど大臣が言ったように、ワク内で行わるべきだというふうにわれわれは考えております。
  145. 安井謙

    ○安井謙君 きまらない場合でなくて、両者が――労使がきまる場合がありませんか、政府の予想した想定単価の内容と違ったきまり方を同じ単価の範囲内でするというような場合がこれは起りませんか。
  146. 中西實

    ○政府委員(中西實君) 配分の問題は、大体仲裁裁定にもございますように、両者の話し合いによるとなっておりますので、従って、その間若干、全く予算の中身と同じということでない場合も起るかもしれません。しかしながら、そういった場合に、やはり労使がまとまればよろしいのでございますが、まとまらなければ、これは仲裁委員会の努力によりまして、その間の決着をつける。確かに仰せのようなことが起り得ることはあるというふうに考えております。
  147. 安井謙

    ○安井謙君 そうしますと、それはあらかじめ政府が意図しておったような配分の問題の通りにいかなくても、政府としては、これは予算の配分の範囲内だから別に支障は予算上起ってこないから、そのままでよろしい、あとは当事者の団交の結論にまかす、こういうことでよろしいのでございますか。
  148. 中西實

    ○政府委員(中西實君) 問題は給与総額はこえないというふうに考えております。ただ問題は、基準内外の問題におきまして、若干話し合いによって、政府の意図しておりますところと違うような話し合いが行われるということは想像できます。その場合には、両者はおそらく意見の不一致が起るのじゃなかろうか。この場合には、仲裁委員会において適当に措置する、こういうことになろうかと思います。
  149. 安井謙

    ○安井謙君 どうも少しくどいようですが、私しろうとでよくわからないので、これは教えてほしいのですが、今の、たとえば五百二十円を今年から百八十円引くということは好ましくないのだという意見が出て、団交の結果、その分は引くことを認めようじゃないか。しかし、ほかに乗っけた分でその分だけは落そうという、形だけの問題なんですが、そういうような問題が起きた場合には、一体これは、まあこれは起きないのだということかもしれませんが、私しろうとでよくわからぬものですから、一応……。
  150. 中西實

    ○政府委員(中西實君) これは、この仲裁の趣旨をちょっと申し上げる必要があるかと思いまするが、仲裁の法律的な性格といたしましては、これは仲裁委員会も申しておりますように、予算単価に千二百円加えた範囲内できまると、こうなっております。そこで、それが満たされておりますれば、仲裁に対しましてはこれは実施したということになるのであります。しかしながら、そういたしますると結局、実質的には非常に少いものしか上らない。従ってそれでは悪いというので、先ほど主計局長からも話がありましたように、大体今の格差の三分の二程度のものを特にプラスした、こういう格好になっておるのであります。従って、今度の予算の措置というものは、われわれといたしましては、裁定の実施に十分だというふうに考えておりますので、従ってそのワク内で話し合いが行わるべきものだ、これが仲裁に問い合しましても、仲裁裁定の趣旨を完全に実施したということにもなり得るという回答も得ておりますので、それによってわれわれとしましては、もうそれ以上にならないというふうに考えております。
  151. 安井謙

    ○安井謙君 もう一ぺん、その意味は、ワクにはみ出すとかはみ出さぬという問題ではない。同じワク内で配分の措置が変るというようなことはあり得ないのですか。たとえば、五百二十円の格差をなくするために百七十円か八十円を今回は落した、こういう予算の組み方になっているわけですね。それはそのままにおいておく。しかしそのほかに、今乗っける部分を、その金額だけ逆に落すというようなことは、これは考えられないのですか。
  152. 中西實

    ○政府委員(中西實君) ただいまのお話は財源の問題かと思いますので、あるいは大蔵省の方が適当かと思いますけれども、財源的に今、先ほど来説明がありましたような措置がとられております。それは原資といたしましては十分、たとえば国鉄でございますれば、予算単価に千二百円加え、さらにそれに若干の実質上相当な程度の給与改善措置になるようなものが加わっている、こういうことでございますので、財源的には先ほどのような操作が行われておりまするけれども、しかしながら原資といたしましては問題はないのじゃないかというふうに考えております。
  153. 安井謙

    ○安井謙君 労働大臣にお伺いしたいのでありますが、今度の国鉄の春季闘争は、これはストライキを禁ぜられた団体ではあるが、しかし団結権なり団体行動権というものは認められているのだ。その団体行動権の命ずるところによって、認められた権限を行使したところが、これは業務命令の違反になったかもしらぬ。しかし、それは団体行動権を行使したのにすぎないのだから、それが違法の対象となるはずはないというような弁解でありまするが、詭弁でありまするか、あるようでありますか、これに対しまして労働大臣の御答弁をお聞きしたい。
  154. 松浦周太郎

    ○国務大臣(松浦周太郎君) 今のお問いの問題でございますが、団体行動権、交渉権、団結権という三つの問題は、公労法の許すところによって、三公社はちゃんと保持していると思います。けれども、それをやることによって業務が行われなくなった、たとえば休み時間の間に何か話し合いをした、大会をやった、そうして当りまえの時間になったら復して、仕事をして、仕事には影響がなかったというような場合には、それは団体行動権を行使されても問題でないと思いますが、これが、その行動権を行うために、自分の職場を放棄して職場大会なりいろいろなことをやったために汽車が不通になる、あるいはその他の業務が不能になったというような場合は、行動権を行使することによって、一方禁じられているところの業務に支障を来たしますから、これは完全な違反であると私は考えている次第であります。
  155. 安井謙

    ○安井謙君 そうしますと、その団体行動権の行使というものは、限界というものは、たとえば業務命令といったようなものによって差しとめられた場合に起るのでありますか、それとも、そういった許されている範囲内での行動をとっておった者が、ついはみ出した、こういう場合によって起るのでありますか、その点はどうですか。
  156. 松浦周太郎

    ○国務大臣(松浦周太郎君) 当然公休日で休んでいる人が団体行動を一部行うとか、あるいは休み時間に職場大会を開いて仕事には影響しなかったとか、こういうような場合は問題じゃないと思いますが、それを行うために休んだり職場を放棄して、その職場の仕事が不能に陥ったというような場合は、これは十七条によりまして完全に違反をいたしておりますから、その責任はしょってもらわなければならぬ、こう考えます。
  157. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 今朝の内閣委員会は、時間の制約もございましたし、またそのときのことを確認する意味で伺うのでありますが、総理は、自衛隊と憲法との関係に関する解釈として、自衛のための最小必要限度の実力は憲法第九条第二項の戦力でない、かつ自衛のために必要であれば戦術的核兵器の所有も可能であるとの見解を述べられたのでありますが、しからばこの見解と憲法前文にありまする「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した。」、つまりこの憲法前文は無防備宣言でありますが、この無防備宣言と、核兵器さえも持ってよろしいという憲法解釈とは、非常にそこに隔たりがあると、かように考えるのでありますが、総理はいかようにお考えになりますか。
  158. 岸信介

    ○国務大臣(岸信介君) 私は憲法の前文も国の自衛権というものを否定しておるとは解釈しておらないのであります。あくまでも自衛権というものの、前文も憲法の九条と同じ精神でできたものであって、従って自衛のための最小限度の実力は持ち得る。その実力というものは、科学の発達や、いろいろな技術の発達で、具体的にはいろいろの今後兵器の発達につれまして、とにかく自衛のために必要な最小限度の実力と認められるものであれば、これは持ち得るという考えでございます。
  159. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 この憲法が制定されました当時と――当時は、この前文にありますように、われらの安全と生存は平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼する、こういう建前で九条もできておると思うのでありますが、その後の世界の現実の情勢が不幸にしてかような崇高な理念では対応できぬというので、警察予備隊ができ、保安隊となり、さらに自衛隊に進んだわけでありまして、世界の現実と憲法制定のときとは非常にそこにギャップがあるというところに無理があると思うのであります。今の総理のお考えは、前文の文理解釈としては正しくない。自衛権と自衛権の行使の問題を混同しておられる、かように考えられるのでありますが、いかがでありましょう。
  160. 岸信介

    ○国務大臣(岸信介君) 今お答え申し上げました通り、私は憲法全部を通じて国の自衛権というものは否定していないという解釈をとっておりますが、それは前文も九条も一貫しておる考えであろう、こういうふうに思っております。
  161. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 私としては納得がいかないのですが、時間の関係で次に移りますが、戦術的兵器が国防のために必要である。またその方にだんだん国防の中心が移動してきておるということは、アメリカでもイギリスでも、あるいは最近のNATO理事会の声明でも明らかであるのでありまして、ここで一つの大きな問題となりますのは、国防の完璧を期せば戦術的な核兵器の保持ということはぜひ必要である。しかし人道上の立場からいえば、国防上の欠陥があっても核兵器は禁止しなければならん。この二つの要求がそこに非常な矛盾を生じておると思うのでありますが、この調整をどのようにお考えになるか。これは非常にむずかしい問題だと思いますけれども、率直に伺ってみたいと思います。
  162. 岸信介

    ○国務大臣(岸信介君) 私は原水爆を中心としての核兵器につきましては、それは実験を禁止すべきだ。実験のみならず、その目的は使用を禁止するところまでこれは人道的な立場から私は強くなにしております。しかし本来言いますというと、兵器はことごとくこれはもうある意味の、高い意味からいえば人道に反するものです。戦争そのものが反するものである。世界の平和を念願することからいうと、われわれが侵略されないという安全保障さえつけば、一切のそういう実力も持たないことが望ましいでしょうし、持つ必要もないでしょうが、実際の国際情勢からいうとそうはいかない。安全を保持するためにそういう最小限度のものは持たなければならぬという現状であります。そこを今お話しの通り、その自衛を完全に全うするならば、いかなるものを持ってもいいじゃないか、殺人の光線もいいだろうし、あるいは原子爆弾もいいじゃないか、それを完璧を期するのには、そういうふうなものを他が持っている以上は、これに対抗して持たなければいかんじゃないかという議論も出てこようかと思いますが、われわれの憲法のこの建前は、とにかく憲法第九条の解釈で、一切の国際紛争を戦争の手段に訴えることはしないということを宣言をいたしている。今の前文における宣言もその趣旨でありますが、自衛権というものはあるといたしましても、いわゆる従来の旧憲法時代の国防とかあるいは防衛とか自衛とかという考え方とは、われわれが憲法九条のもとにおいて許されている自衛権というものは、私は非常に限られているものであると思う。限局されていると思う。従ってその持ち得るところの兵器というものは、日進月歩の科学を無視して、いつまでも竹槍を持っていることがそれでいいのだということにはいかないので、進歩するところの兵器をもって装備していかなければならない。しかし、その兵器が大量殺人的なものであり、また従って攻撃的な性格を主として持っているような兵器が、われわれの自衛権の裏づけとして持てないということは、私は当然だろうと思う。そこに限局された意味の、持ち得る兵器につきましても、今言っている自衛のための最小限度の実力というある限界はやはり守らなければならない。今、それではいわゆる核兵器のうち、戦略的な核兵器がいかんことはだれも異論ないのだが、戦術的の核兵器ならば持ってもいいじゃないか。私は直ちにそうも言えないと思うのです、もう少しやはり核兵器というものを現実に検討してみなければ、そうも言えないと思うのです。特に政策的に申しますというと、私自身は、この核兵器、もしくは原子力部隊というような、原子力によっての装備ということはこれは認めないという政策をとっておりますから、そういう見地から申しますというと、憲法の解釈、純粋の憲法解釈論としては、私は抽象的ではありますけれども、自衛権を裏づけるに必要な最小限度の実力であれば、私はたとえ核兵器と名がつくものであっても持ち得るということを憲法解釈としては持っております。しかし今私の政策としては、核兵器と名前のつくものは今持つというような、もしくはそれで装備するという考えは絶対にとらぬということで一貫して参りたいと、こう思っております。
  163. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 私は現行憲法の法理論としては、米軍が原子兵器を持つことは差しつかえない、こういう考えでありますが、国民感情の上からいって、また政策としてあくまで核兵器の持ち込みを禁止すると、こういうお考えであるならば、訪米の際に、この問題を安保条約の中に入れるなり、あるいは文書その他で確約されるという御意向なり御準備がおありになりますか。
  164. 岸信介

    ○国務大臣(岸信介君) 従来、アメリカの国防省やあるいは国務省では原子力部隊を日本に駐留せしめる意図はないということを申しておりますし、将来においても日本の意思を無視して入れるということはないということを言明をいたしております。私はそれを信じて今日まで参っておりますが、しかし、今の安保条約の規定を見るというと、そういうことは日本の意思いかんにかかわらず、アメリカ側の単独の意思でいかなる兵力を日本に駐留せしめるという、またいかなる装備をするかということは、全然アメリカ側の自由になっておる建前にこの条約はなっております。そこに今そういうような国務省や国防省が声明をしたって、それが非常に不安じゃないか。従って、それを文書の上において何か明瞭ならしめる必要があるじゃないかという御意見も、私はごもっともだと思います。    〔理事左藤義詮君退席、委員長着席〕 われわれがこの安保条約を再検討する場合におきましては、当然そういう点も含めて考えなければならぬ。ただこれだけを抜き出して特別に文書にして、何か条約といいますか、申し合せといいますか、協定といいますか、そういうものを作るかどうかということは、私はそういう意思は実は持っておらないのであります。安保条約の全体の再検討の場合においては、そういうようなことについて疑惑を残すようなことをしないように明確ならしめる必要があると、こう思っております。
  165. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 次に、北千島、南樺太の領土権の問題について伺いたいと思います。択捉、国後、いわゆる南千島は、桑港平和条約で日本が放棄した千島列島の中に入ってない、日本固有の領土である、日本の主権下にあるということは、昨年の九月七日のアメリカ国務省の公式の見解で明らかであります。そこで問題は、桑港条約で放棄をした北千島と南樺太の帰属がどうかということであるのでありますが、そこで私伺いたいのは、昨年九月のアメリカの公式見解では、日本によって放棄せられたる領土の主権の帰属は決定しておらない。将来同条約とは別個の国際的解決手段に付せられるべきものとして残されておる、こういう文句があるのでありますが、この別個の国際的解決手段というのがよくわからないのですが、外務省ではどういうふうにお考えになりますか。
  166. 岸信介

    ○国務大臣(岸信介君) 北千島及び南樺太につきましては、桑港条約でわれわれが領土主権を放棄した、その帰属は同条約によって明瞭にどこに帰属するということはさまっておらないことはお説の通りであります。従ってその帰属をきめるについて何等かの方法をとらなければ帰属、がきまらないのでありまして、これがどういう形で将来きめられるか、これに署名しておる加盟国の各国の国際会議できめるか、あるいは主要国の間において個々に協定その他の方法によってきめるか、いろいろな場合があろうと思いますが、特に外務省として、今具体的にどういう手段をアメリカが考えておると、予想しているということについての具体的な考えは外務省にもまだございません。
  167. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 そこで、私現在の北千島及び南樺太、これは前にも聞いたのですが、外務省の答えがはっきりしませんでしたが、一体領有権はどこにあるのですか。一つは、これは放棄したのであるから無主の地である。一つは桑港条約の署名国にある。もしくは帰属が決定するまでは暫定的に日本にある。この三つの中でどこにあるかということを私は端的に伺ってみたい。
  168. 岸信介

    ○国務大臣(岸信介君) 実はきわめて明瞭を欠くのですけれども、日本が桑港条約において領土権を放棄したという事実だけは、これははっきりしておるわけであります。それからその法律構成をどう解釈するか、無主と解釈されるか、あるいは署名国のものであると解釈されるか、いろいろなこれは法律家の解釈はありましょうが、日本が領土主権を放棄したということだけが明確になっておるもので、それから先はいわゆる不明瞭な形である。アメリカのいわゆる公的の解釈といわれているものも不明瞭であって、まだきまっておらない、こういうふうな解釈をしておるように、これはいろいろな学者の間にもその法律構成はいろいろと私は議論のあるところじゃないかと思う。外務省としては、ただ日本が領土主権を放棄したということだけを明瞭にしておるだけで、それから先は、実は確信を持ってどうだということを申し上げることはできない状況でございます。
  169. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 日本の大切な領土でありますから、この席でこれはとやかく申しませんが、十分一つ御研究をいただきたい、こういうことを申し上げておきます。それからかりに無主の説をとれば、現在ソ連が占拠いたしておりますから、すでに日ソ国交回復した今日においては、これを軍事占領と見るわけには参りませんから、黙認しておる形になる。それは私は非常に大きな問題である。そこで、今度訪米なさいましたときに、アメリカに特におっしゃっていただきたいと思いますのは、桑港条約の第二十五条でもソ連のこれは領有を認めるわけにいかない、ことに桑港条約をアメリカの上院が批准をいたしました一九五二年の三月の上院の付帯決議では、いわゆるヤルタ協定に含まれているソ連のいかなる有利の条件も承認するものでない、こういうことを明らかに米国の上院は桑港条約の批准に当って付帯決議をいたしておるのでありますから、この問題を中心といたしまして、現在ソ連が占有はいたしておるけれども、北千島並びに南樺太はソ連領にあらざる旨の声明を日米両国において発表するようにアメリカに話をしていただきたい。これは私の希望でありますが、これに対する御意見はいかがでありますか。
  170. 岸信介

    ○国務大臣(岸信介君) 御趣旨はよく了解いたします。ただアメリカ自身としては、すでに昨年でしたか、公式の解釈でアメリカの考えを表明をいたしております。そうしてまた、日ソの間におきましては、従来、私どもは領土権の問題に関して、平和条約締結の一部としてこの領土全体に関する問題を日ソの間において取りきめをしなければならない何がありました。従いまして、今すぐ日米の間でこれに関する見解を共同声明することが適当であるかどうかということにつきましては、なお私どもとしてはもう少し研究してみたいと思います。御趣旨はよくわかりました。
  171. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 日ソ共同宣言の文句は、くたくたしく申しませんが、私非常に不信用であるわけであります。しかも一方アメリカの意向は、今お述べになりました去年の九月の声明で明らかでありますけれども、日本が、これがソ連の領有でないという公式の声明というものがはっきりしておりません。鳩山内閣においては、あたかもこれはもうやむを得ざるものであるかのごとき口吻もありましたし、重光外相は、日ソの問でこれは解決できるのだというふうな見解もありまして、これはどうしてもこの場合日本としてはアメリカと――辛いアメリカは、これはヤルタ協定さえ否認しておるのでありますから、日本としてはアメリカと共同して、何らかの形において現在占有の状態は、これは不法占拠であるという意味の意思表示を公式的に一つやっていただきたい、こういうことを私お願いして次の問題に移ります。大使館員の数等は、日ソ相互主義をとるということをこの前御答弁があったわけでありますが、旅行制限の問題については、日本の駐ソ大使館員はやはり旅行制限がある、日本ではない。ここで片務であると、こう考えるのでありますが、いかがでありましょうか。
  172. 岸信介

    ○国務大臣(岸信介君) 日ソ両国の大使館の問題につきましては、すべて大使館の館員の員数であるとか、その他館員に対する制限等が行われる場合には、それは相互的にやるべきものであるという方針を貫くつもりでおります。ソ連駐在の日本大使館の館員の旅行制限の問題につきましては、今その内容、事実等を正確に調査をいたしております。もしそれが明確になれば、同様な制限を日本に駐在しているソ連大使館員に対しても要求するのは当然だと私は考えております。
  173. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 次に、三悪追放の問題についてお伺いいたします。石橋前総理は、一月十一日に大阪に行かれましたときに、昔から日本では疑わしきは罰せずという言葉があるが、自分は疑わしきも罰するという意気込みだということをおっしゃって、私非常に共感したわけでありますが、そこで総理は、汚職の追放をおっしゃっておりますけれども、その具体的の構想、先ほどお述べになりました以外に何かあれば承わっておきたいと思います。
  174. 岸信介

    ○国務大臣(岸信介君) 私自身、先ほど吉田委員に対してお答えをしましたような心がまえで、この問題をほんとうに熱意をもって実現をしたいと考えております。その具体的な何につきましてはいろいろ、私は二、三の点を申し上げましたが、さらに一つ私自身も思いを十分練ってみたいと思います。また、これに関するいろいろな方面の御意見等も私は卒直に承わって、ほんとうにこの汚職をなくし、政治をきれいなものにするということに対しては、まあどなたも真剣に考えておられることでございましょうが、私自身政府の首班に立って特に私が痛感をいたしておりますので、ぜひともこれをとにかく実現するようにあらゆる努力を払いたいと思いますから、具体的の問題としましては、具体的の方法としては、なかなかこれはそう言ってもむずかしい問題でございますことは、よく御承知の通りであります。疑わしきを罰するという、それも石橋前総理の一つの心がまえであろうと思いますから、現実に疑わしいものをすべて罰するということが果して妥当であるかどうか、しかしそれだけの覚悟と、それだけの心がまえが必要であるということは私も同感であります。従いまして、具体的の方法について御意見がございましたらぜひ一つ、私ほんとうに真剣にこの問題を考えておりますから、御意見を聞きたいと思います。
  175. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 戦前の官吏は天皇の官吏という一つのプライドを持っておりました。戦後の官吏は、公務員は、国民全体の奉仕着たる公務員、こういうことは法律できめられておりますけれども、果してどの程度これだけの自覚を持っていらっしゃるかという点については、はなはだ疑わしいわけであります。そこで信賞必罰が行われておらないということは、予算委員会の最初の質疑のときに、私は数字をあげて申し上げたわけでありますけれども、一つ公務員の処罰につきましても一般国民以上のきびしさをもって臨んでいただきたい。たとえば、背任罪にいたしましても、会社の役員よりは軽い。あるいは補助金適正化法案にいたしましても、あれは一種の国に対する詐欺罪でありますけれども、一般の詐欺罪よりその罰則の年限が短かいというようなこともございます。またこれに関連しては、認可許可事項が汚職の温床であることは、総理もよく御承知の通りでありますけれども、認可許可事項はだんだんふえてくるし、法律や審議会はだんだんふえてくる。しかし比較的必要がなくなったものを整理するということは一向に行われておりません。そこで認可許可事項、法令、審議会、その他のものの整理をするということについて一つ力を入れていただきたいということを私一つ申し上げておきます。  それからもう一つ、この間の全購連の問題でありますが、あれについて相当外貨等のやみドルを送別等に国会議員なんかにやったということが出ております。関連して伺いますが、総理が今度いらっしゃるときに、一体どのくらい旅費を全部でお使いになりますか。
  176. 岸信介

    ○国務大臣(岸信介君) まだ正確にどのくらいということを申し上げかねますけれども、もちろん、このわれわれの何として、総理もしくは外務大臣が従来外国に旅行していた実例もございますので、これらとにらみ合せて検討しておりますから、私実は幾ら使うというようなことをまだ承知いたしておりませんが、こういう例がございますので、それに従ってやっていきたいと思います。
  177. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 私は旅費を安く上げていただきたいとい、ことを申し上げているのではないので、十分旅費を持っていらっしゃるがよいが、せんべつは一切おとりにならぬのが、金の形でも物の形でもこれは一切おとりにならぬのがよいということを申し上げるのが一つと、それから昨年一カ年に公務員で外国に旅行した人の数が、大蔵省調べでは二千九百六十七名、外貨の割当が九十二万四千六百五ドルであります。一人当りが三百ドル、三百ドルで外国の旅行ができないと思います。そこでこういう割当を見ますと、送別にやみドルが渡される。だから公務員の外国出張というようなものは、慰安旅行みたいなものもございますけれども、真実に必要があって外国にいらっしゃる場合には旅費は十分与える。しかし、不必要な外遊はこれを見合すというところのけじめをおつけになって、一人当り三百ドルやそこらの金では、これはせんべつをもらわなければ行けないのは当りまえじゃないかと思います。その点も一つ御研究をいただきたいと思います。  それからもう一つは、国会の常任委員会の問題でありますが、常任委員会は、今度の全購連の問題に関連いたしまして、農林委員会等の人々にいろいろ金が渡ったというようなことが新聞に出ております。どの程度実際であるか、私は承知いたしませんけれども、私が戦前の感覚で見てみますと、国会の常任委員会というものは、各省の出先機関のごとき感があるということを私はしばしば感ずることがあります。これは非常に大きな問題でありますけれども、常任委員会制度についても一つ御検討をいただきたい、こういうことをお願いいたしておきます。  それから、これは予算の初めに私申し上げたのでありますけれども、国務大臣の私企業への関与禁止の問題であります。昨日かの自民党の総務会で、知事や市長の民間会社の役員の禁止の法案をお出しになるということをきめたと新聞で拝見いたしまして、これは非常にけっこうなことだ。現に静岡県の知事が外国に行くのに旅費が足らぬので、民間の会社の嘱託になって、民間の会社から金をもらって行ったというようなことを新聞で見まして、私は非常に不愉快に存じておりますが、この国務大臣の兼職禁止の問題は、これはきょう言ってきょうできることでありますから、総理がみずからをまず正しくしてから順に他に及ぼすという話でありますから、これは一つ閣議の申し合せで明日にでもこれを一つ実行していただきたい。少くとも今度内閣の改造のときには、その決心のつかない大臣は、これは改造内閣の閣僚に加えないというだけの決心はお持ちをいただきたいのと、もう一つは、現在衆議院の内閣委員会にこれが付託されておりますが、この法案を、自民党の総裁として、すみやかに通過されるように与党におっしゃっていただきたい。もう参議院を三回通過いたしておりまして、衆議院で停滞しておるわけでありますから、これを一つ督促していただきたい。これだけのことを申し上げて御所見を伺いたい。
  178. 岸信介

    ○国務大臣(岸信介君) 今おあげになりましたいろいろな具体的のことにつきましては、私御趣旨は一々ごもっともだと今拝聴いたしております。この閣僚の兼職の禁止の問題につきましては、実はこれは最近の内閣もそういたしておりますが、私の内閣でも、もちろん閣僚が兼職して、そうしていろんな疑惑を招く事柄は、これは許可をいたさない方針をきめております。世間の疑惑を招くようなことはないようにしております。ただ法律制定の場合にわれわれが一つの問題としておるのは、御承知の通り、今の国会議員の諸君のうちには、いろいろ重要な職をやっておられる人があります。そして、もちろん国務大臣になればやめるという決意をされましても、いろんな手続上、ある期間兼務の何もありますから、そういう点も、もちろん一時的なものとして考えなければならない点もあります。しかし趣旨として、国務大臣になる以上は、私は世間からいろいろ批評を受けるような兼職を持つということは、これはよくないことであり、また内閣だけの方針として、法律はなくてもこれは実現できる問題でありますから、これはやるつもりでおります。  それから、いろいろやみドルの問題等につきましてのお話も、これも私は行く以上は、国家の用事で行く以上は、それに必要な旅費は正しい何として出すのが当りまえだろう。ただ行くことを許しながら、わずかばかりの、とうてい旅行のできないような不合理なドルを割り当てておくということは、いろんな疑惑を招くことである、またやらさるを得ないことであるから、そういうことは十分に注意をいたすようにしたいと思います。それから私が旅行するに際して一切のせんべつ等は受けないということはごもっともであります。十分注意  いたします。
  179. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 鹿島国務大臣に伺いたいと思いますが、今度国務大臣の御就任に当りまして、鹿島組の社長をおやめになったということを伺いまして、私は実は非常にうれしく存じておるわけであります。そこで隴を得て蜀を望む感がありますけれども、もう一つ私が希望を申し上げますならば、在職中は鹿島組が国の入札の指名を辞退するということが一つ、少くとも北海道に関する限りは絶対これは遠慮するということをお願いをしたいと思うのでありますが、いかがでありましょうか。
  180. 鹿島守之助

    ○国務大臣(鹿島守之助君) 私は鹿島建設の社長だけでなく、約二十の今まで兼職は全部辞職いたしました。と申しますのは、今回の私の負託された職責は非常に重大でございまして、自分が全力をあげても、全生命をささげても、果して成功できるかどうか、非常に危ないことだと考えております。TVAを指導しましたリレン・ソールは、人民の利益のために、その深い理解と協力のもとに始めて総合開発というものは成功するのであって、一官庁、一党派によってできるものではない。これはわが党だけでなしに、社会党の方も、また緑風会の方も、北海道の人民のために、ひいては日本の国民のために、この機会におきましてぜひとも一つ御協力をお願いしたいと存じております。  なお、鹿島建設が指名を受けるかどうかという問題につきましては、私はもはや兼任ではございませんで、鹿島建設とは関係はございません。それは合法的に、新社長及び重役が決定すべき問題でありまして、それをとやかく言うことは、一つの独立の人格に対して内政干渉のようなものだと私は考えております。それは鹿島建設の新しい社長及び当事者が自由意思によって決定すべきものだと、そういうように考えております。
  181. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 次に、農林大臣に伺いたいのでありますが、全購連の汚職の問題の責任の問題につきまして、衆議院で社会党の委員の御質問の、大臣の職をやめたらどうかということに対して、私も十分いろいろ考えておるというお答えがあったそうでありますが、私はこの善後処置をおとりになる責任もきわめて重大でありますから、辞職を要求いたしませんけれども、私企業の兼職をやめるということはすぐできることでありますから、一切こういった職をおやめになることが非常に望ましいと思うので、このことを辞職にかわってお願いしたいのでありますが、いかがでございましょうか。
  182. 井出一太郎

    ○国務大臣(井出一太郎君) 最近、農林行政の上に相次いで不祥事件の起きましたことは、まことに遺憾であり、申しわけない次第でございます。従いまして、先般衆議院の決算委員会において私がお答えをしました趣旨のものは、この容易ならざる事態に際会をいたしまして、身をもってその責に任ずるという決意を表明した次第でございます。なお後段で御指摘の兼職禁止の問題でございます。私も就任と同時に、従来やっておりました一切の団体の関係あるいは会社の関係、これには辞表を提出いたしまして、身辺を整理した次第であります。
  183. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 先般の内閣委員会の調査では、まだそれが残っておったものですから、それで申し上げてたので、大へん調査粗漏の点をお詑び申し上げます。  次に労働大臣に伺うのでありますが、抜き打ちストには処分をしないということが新聞に出ておりましたが、事実であるどうか。もし事実であれば、その理由いかんということを伺いたいと思います。
  184. 松浦周太郎

    ○国務大臣(松浦周太郎君) すでに長長した発言で、いろいろ御迷惑をかけましたことはまことに恐縮に存じております。抜き打ちストをどうするかという質問に対しまして、私の言葉が足りなかったのか、ああいうふうに表現されたのかわかりませんが、抜き打ちストのみならず、十一、十二日、十五日までに不法の行為があれば、総合的に見てやらなければならぬというのが……向うの問いが、抜き打ちストにどうするかということに関連したものですから、私の答え方が片っ方、十一日、十二日を強く言ったためにああいうことになったと思います。総合的にやらなければいかぬ……。
  185. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 法務大臣に……。今回の全購連の問題は、相当国会議員にも関係者があるというように新聞に出ておりますが、まさか指揮権の発動はやられないと思いますが、念のために伺っておきます。
  186. 中村梅吉

    ○国務大臣(中村梅吉君) さようなことは考えておりません。
  187. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 時間が切迫いたしましたので、最後の問題に移りたいと思います。  国際司法裁判所に原水爆実験禁止の問題を訴えることについて勧告意見を求めるように国連総会に訴えたらどうかという話が出ておりました。私この前に申し上げたのは、国際司法裁判所規定の第三十六条の二項の、裁判所の管轄義務の受諾宣言を日本がして、そうしてまず第一にこのクリスマス島の水爆実験が人体に障害があり、かつまた公海使用自由の原則に反するというテーマでもってまずイギリスを訴える。こういうことを申し上げまして、総理から慎重に検討するという御答弁をいただいたのでありますが、もしこの提訴をいたしますならば、同条規定の第四十一条によって暫定措置の指示を仰ぐことができます。つまり暫定措置の指示を仰ぐという意味は、これは国際法に違反しておるから公海危険地域の設定はやめてもらいたい。原水爆の実験は仮処分としてやめてもらいたいということを求めることが即刻できるわけであって、従って実験禁止も可能になるわけでありますが、なぜこの直接に国際司法裁判所に提訴するということについて難色があるか。この点が私はわからないのです。新聞に伝わるところによれば、ソ連はこれでは当てはまらないとか、アメリカがこれに当てはまらないとか、いろんな見解が新聞紙上に伝えられておりますけれども、ソ連はソ連、アメリカはアメリカといたしまして、とりあえず、まず出てきた問題から片づけていくという意味から、このクリスマス島の水爆実験を直接国際司法裁判所に受諾宣言をして、そうして訴える。そして同条の四十一条で仮処分を同時に求めるということをまずおやりになるのが正しいのじゃないかと思うのでありますが、いかがでありましょう。
  188. 岸信介

    ○国務大臣(岸信介君) 国際司法裁判所に提訴するという考え方につきましては、過般、八木委員の御質問に対して、私は慎重に一つ検討するということを申し上げております。いろいろ国連の規定等も研究をしておりますので、どういう方法が一番適当であるか、また、最も有効適切であるかというような点につきましても、現在検討中でございまして、まだ結論としては出ておりません。今、御指摘になりました条文のごとき、もちろん研究の対象として研究をいたしております。いずれ結論が出ましたら御返事申し上げます。今検討中であります。
  189. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 この原水爆実験の禁止を世界各国に強力に岸総理が訴えられていることは、ある新聞の言葉をもって言えば、おそらく岸内閣のやられる施政の中で歴史に残る第一番の問題であろうというぐらいにこれを大きく取り上げております。ただいま私の申し上げました国際司法裁判所への直接提訴の問題なり、四十一条の暫定措置の指示を求める問題なりは、これはきわめて速急にその効力を発生するわけでありますから、日本が裁判所管轄の義務の受諾宣言をちゅうちょする理由は私はないと思います。もしちゅうちょするとなれば、これはソ連がこれに入らないからというので、アメリカやイギリスに対する日本の一方への遠慮にすぎないのであって、かような遠慮は全然無用である。どうか岸総理は最初のこの問題に対する熱意を今後ともお続けになりまして、各国の意向などにとらわれることなく、幸い大国以外の各国等でも非常にこの問題を注視し、世界の世論は御承知の通り沸騰してきておるわけでありますから、なお一そう外務省の方々を督励をなさいまして、あらゆる機会にあらゆる方法によって、しかも迅速果敢にこの問題について処置をされるようにということを重ねてお願い申し上げておきまして、時間が参りましたから私の質疑を終ります。
  190. 苫米地義三

    ○委員長(苫米地義三君) それでは、本日はこれにて散会いたします。    午後六時三十四分散会