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1957-02-06 第26回国会 参議院 本会議 5号 公式Web版

  1. 昭和三十二年二月六日(水曜日)    午前十一時五分開議     ━━━━━━━━━━━━━  議事日程 第四号   昭和三十二年二月六日    午前十時開議  第一 国務大臣の演説に関する件(第三日)  第二 参議院予備金支出の件(委員長報告)     ━━━━━━━━━━━━━
  2. 松野鶴平

    ○議長(松野鶴平君) 諸般の報告は、 朗読を省略いたします。      ―――――・―――――
  3. 松野鶴平

    ○議長(松野鶴平君) これより本日の会議を開きます。  外務委員長が欠けておりますので、この際、日程に追加して、その選挙を行いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 松野鶴平

    ○議長(松野鶴平君) 御異議なしと認めます。
  5. 宮田重文

    ○宮田重文君 ただいまの選挙は、その手続を省略いたしまして、議長において指名せられんことの動議を提出いたします。
  6. 柴谷要

    ○柴谷要君 私は、ただいまの宮田君の提案をいたしました動議に賛成いたします。
  7. 松野鶴平

    ○議長(松野鶴平君) 宮田君の動議に御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  8. 松野鶴平

    ○議長(松野鶴平君) 御異議ないと認めます。  よって議長は、外務委員長に笹森順造君を指名いたします。(拍手)      ―――――・―――――
  9. 松野鶴平

    ○議長(松野鶴平君) この際、日程に追加して、公正取引委員会委員の任命に関する件を議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  10. 松野鶴平

    ○議長(松野鶴平君) 御異議ないと認めます。  内閣から、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律第二十九条第二項の規定により、中村清君を公正取引委員会委員に任命することについて、本院の同意を得たい旨の申し出がございました。本件に同意することに賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立〕
  11. 松野鶴平

    ○議長(松野鶴平君) 総員起立と認めます。よって本件は、全会一致をもって同意することに決しました。      ―――――・―――――
  12. 松野鶴平

    ○議長(松野鶴平君) 日程第一、国務大臣の演説に関する件(第三日)、  昨日に引き続き、これより順次質疑を許します。戸叶武君。    〔戸叶武君登壇、拍手〕
  13. 戸叶武

    ○戸叶武君 私は、日本社会党を代表し、石橋内閣の施政方針に対して質問演説を行わんとするものであります。  まず、岸内閣総理大臣臨時代理にお尋ねいたします。  その第一は、議会政治における政権移動のルール確立と、これに伴う衆議院の解散並びにその時期の問題であります。政権移動の際に、政府のとるべき態度は、直ちに反対党に政権を譲るか、それとも政府みずからの手で衆議院を解散し、いずれにしても総選挙を通じ、国民世論の審判を仰ぎ、その進退を明らかにすべきであります。しかるに保守党は、過去九年の長きにわたって政権を壟断し、この間内閣のかわること八回に及んでおりますが、衆議院を解散して民意を問うたのは、わずかに四回に過ぎません。国会に国民が寄せる信頼が民主主義のもとであると説く岸首相臨時代理が、政権の移動は解散による必要なしと答えられるのは意外であります。これこそ保守党の政権たらい回しの意図を暴露するものであります。解散問題について与党の三木幹事長は、新年の初頭に、首相は今年中に解散を行う意向だと伝え、石田官房長官は、解散は三十二年度予算が成立したあと四、五月ごろに行うのが筋だ、その理由は、この前の選挙からすでに内閣が三たび変り、この間に保守合同が行われたのだから、この辺で民意を問うのが当然だと語っております。岸首相臨時代理の、政府は現在のところ解散を考えていないとの答弁と、石橋内閣総理大臣との間に、解散問題について食い違いがあるのではございませんでしょうか。たとい政府が解散をすぐにやろうとは考えていないにしても、解散は世論の圧力によって避けられないのでありますから、政府はその時期をいつが適当と考えておられるか、これに対して岸首相臨時代理の明確な御答弁を要求するものであります。政権移動に関する民主的ルールの確立こそ国会運営の前提となるものと信じます。  次に、国会運営の正常化は、与野党共同の責任においてこれをしなければならないことはもちろんでありますが、そのためには多数党が少数党の意見を十分に尊重することが必要であります。政府も反省すべき点は反省すると明言しておりますが、私たちもお互いに謙虚な態度で過去の失敗を反省し、国の最高機関としての国会の権威を保つために努力せねばなりません。国会は断じて政府の隷属機関ではないのであります。従って政府におかれましても、与党の数の力にたよって、在来のごとく無理押しをしないように努力すべきであります。  第二に、外交政策について、国連加盟後における日本の運命の打開は、一に自主外交にあります。岸外相も自主外交を強調しておりますが、問題は自主外交の内容と外交を行う者のみずからの主体性の問題であります。政府の言うごとく、国連第一主義をとり、民主主義国家群の一員として行動するとしても、AAグループとは常に積極的な提携をとるべきであります。また、ソ連や中共に無用な対立感情を示すことを慎んでいただきたい。岸外務大臣の外交演説は、鳩山内閣の日ソ接近に対してアメリカが快く思っておらないのではないかとか、またハンガリー問題後の世界の動向等に気を配りすぎての発言と思われまするが、自主外交に必要な一番大切なもの、すなわち日本自体の外交に対する積極的な意欲が欠けていた感があります。日本はアジアの先進国として、アジア・アフリカと西欧諸国とのかけ橋、東西の緊張緩和に導く役割をになうべきであります。現代はイデオロギーの時代で、だれが正しいかではなく、何が正しいかに従って、全人類の道義力を背景として戦わなければならない時代であります。  特に、原水爆の使用並びに実験禁止に関しては、原水爆の被害を受けた民族を代表し、積極的な態度で全世界に呼びかける義務があります。米英及びソ連等の国連内における大国の横暴に屈することなく、日本の外交は、単に日本の安全のみしか考えることなく、アジアの不幸、世界の破滅を救うために戦わなければなりません。けさのラジオ放送によりますと、イギリスの太平洋における原水爆実験に対する日本からの抗議に対し、イギリス政府のハーヴェー外務次官は、国会の答弁において、イギリスは原水爆実験をやめる考えはないと言明しました。これに対して岸外務大臣はいかなる態度をとられんとしておりますか。  岸外務大臣は、平和的手段で国民能力を世界の至るところで発揮できるようにすると述べ、海外飛躍の対策として、輸出市場の開拓、技術、経営力の海外進出、農業移民などの経済外交の推進をはかっております。私はこの構想には賛成でありまするが、経済外交は手ぶらではできないと思います。具体的な例をあげれば、移民関係の予算のごときは、わずか三十三億です。移民年九千人に対して、一人当り十万円程度では、裸移民と同様であります。米国やブラジルで裸移民が移民ブローカーの食いものになっている実情を外務大臣は御存じないのではないでしょうか。移民政策をもっと根本的に立て直す考えはありませんでしょうか。  岸外務大臣は、隣接諸国との国交調整をはかるとの決意のようでありますが、日本に一番距離的に近いのは韓国、台湾及び中国です。特に中国の問題は、大きな問題であります。政府の日中貿易を民間にまかせておくという態度は、政府としてきわめて無責任であります。怠慢であります。さらに今年は必ず中共の国連加盟が問題化して参ります。そのときに日本は中国の隣国で、国連加盟国でありながら、知らぬ存ぜぬのほおかぶりでは済まされないと思います。日華条約ですらも、国民政府の主権を現実に統治している台湾その他の地域に限定しているはずであります。もはや今日では、中国の大部分の地域との関係を空白にしておくことはできないのであります。ものには順序があると思いますが、ココムの緩和、日中貿易の促進等から入って、具体的にいかなる方法とプログラムによってその空白を埋めんとしておられるか、外務大臣の日中関係の国交調整に関する御所信を承わりたい。  また、外交界の刷新でありまするが、大使級にだけ民間人を採用しただけではだめです。経済外交にはその手足となって前線で働く活動的な人材が必要です。東南アジア等に進出している西ドイツ、スイス、チェコ等の新興国家では、外交の前線に、機械の修理から部品のことまでわかる技術家や、産業界や報道界の有為の人々を活用しており、これらの点から学ぶべきところがあると思いますが、このような観点から、わが国外交界の充実をはかる御意思はありませんか、外務大臣の御所見を承わりたい。  第三に、石橋内閣の財政政策について、池田大蔵大臣に質問いたします。池田大蔵大臣の財政演説を拝聴していると、完全雇用を目ざして、経済の拡大をはかるためには一般経費にせよ、財政投融資にせよ、十分な予算措置を講じて、あえて財政規模の拡大を辞さないという決意が現われております。しかし一千億減税も一千億施策も、内容的にこれを検討すると、看板に偽わりがあります。減税の実体は、所得税千九十億円の減税のみが浮き彫りされておりまするが、租税特別措置法の整理による増収、揮発油税、手形に対する印紙税の引き上げ、入港船舶にかけるトン税の増税額を差し引けば、その実質は七百二十億一千八百万円にすぎません。減税によって恩恵を受けるのは、国民のうちわずか六分にしか当らない高額所得者で、九割以上の大部分の国民は国鉄運賃の値上げ、それに伴う物価の値上げ等によって被害を受ける被害者の立場に置かれておりますが、大蔵大臣はこの矛盾をどう考えておられますか。  第四に、私は政府の重点政策についてお尋ねいたします。昭和三十年以降における国民経済の成長は、政府の予想をはるかに上回る躍進を示し、昨年の下半期から、電力、輸送力等の隘路が問題となって参りました。政府は輸送力増強のために、国鉄の強化と自動車道路の建設に力を入れております。国鉄の五カ年計画に必要な資金は総額五千九百七十億円、その初年度である三十二年度には一千七十一億円の工事予算を組んでおります。これに必要な資金として運賃一割三分の値上げにより年間四百四十億円を吸い上げようとしております。  また、一方道路政策としては、揮発油税を一キロリットル一万三千円に加うるに六千五百円を増徴し、総額四百五十八億円で高速度自動車道路及び主要道路の整備を行わんとしておりますが、いずれも大衆への負担の転嫁であります。たとえばドイツの弾丸道路アウトバーン建設に当っても国家予算の六分の一が投入されたのでありますが、このような大衆課税のみに頼って、今後の輸送力の隘路を打開しようとすることは妥当であるかどうか、大蔵大臣並びに運輸大臣の御意見を承わりたい。  第五に、完全雇用と失業問題、賃金格差と最低賃金制の確立について大蔵大臣、経済企画庁長官、労働大臣に質問いたします。石橋首相がその第一声において、国民に五つの誓いをしたときに、西欧諸国やアメリカでは、生産の隘路が人の不足であるが、幸いなるかな、日本は過剰人口だから、この人たちに十分に働いてもらうと日比谷公会堂で演説したときに、満堂の聴衆から笑い声が起りました。拍手ではなく笑い声であったのであります。経済企画庁長官は、石橋内閣の閣僚の一員として、石橋首相と同じく、日本の過剰人口を現在のような経済状態のもとにおいて、真に日本経済の幸運と考えておられるかどうか。西欧諸国と同じような状態にまで日本の雇用条件はまだ改善されていないのであります。国民の所得の面から見ても西欧諸国は日本の三倍ないし六倍、アメリカは十倍です。私は昨年西ドイツを訪ね、ルール地方の炭鉱労働者、ハノーバー地方の農業労働者の生活に接して参りましたが、彼らの生活は私たちの生活よりもはるかに恵まれております。これと比較したときに、日本の労働者の生活はあまりにもみじめであります。完全失業者数は二十二年に調査開始以来、平均六十万、三十年は八十万に達しました。この完全失業者なるものは失業者群の氷山の一角で、日本の潜在失業者は七百万ないし一千万と言われております。生産年令人口は、人口の自然増加百二方をはるかに上回って百三十六万を突破しております。女子の労働力人口は過去四年間に男子の二倍の速度で伸びております。冷静にこの現実を直視し、生活にあえぐ労働者、農民、家内労働者たちの低い生活水準を引き上げる対策を持つことが、政府のとるべき目下の急務だと思います。大蔵大臣は、このためいかような予算措置をとっておられますか。  また、米英仏独等の諸国では、大企業と中小企業との間の賃金格差は十対八です。しかるに日本は大企業の十に対して中企業は五ないし六、小企業は四という状態であります。これは最近の日経連の調査資料によったものでありますが、大企業の労働者が二万円以上の賃金をとっている場合でも、町工場では、同じ能力を持っていても、その半分の一万円以下で働かされている人が大部分であります。この点にかんがみ、わが党が主張している原則的には八千円、暫定的措置としては六千円の最低賃金制の確立こそ、この段階においてぜひとも実現すべきものと考えまするが、大蔵大臣並びに労働大臣の御所見を承わりたい。  第六に、住宅建設についてでありまするが、大蔵省が査定において建設省の要求よりも八千戸増したとのことでありますが、これは大蔵省としては異例のできごとであります。しかしながら、その裏には、生命保険控除限度額の引き上げを交換条件として、保険会社の融資の協力を確約させた事実があるやに伝えられております。これは生命保険会社にとっては有利な条件でありますが、この場合、将来生命保険会社よりの融資が確実に履行される保障並びに利子の問題等は、具体的にどうなっているかを池田大蔵大臣から承わりたいのであります。  また、池田蔵相は、一月十二日の大蔵省の省議では、原糸課税のかわりに羊毛の輸入関税を設ける方針を定め、翌日の新聞記者会見では、三十年度に羊毛は輸入総量が二億五百万ポンドであったのに、三十一年度には二億九千百万ポンドに増加した。この増加の不均衡を押えるため、三十二年度から羊毛の輸入関税を設ける。その方法は従量方式で輸入の一割という線まで出したはずであります。しかるにその日の午後の省議で、羊毛輸入関税は準備ができないから引き込めるでは、この事実に対して一般が納得しがたいものがあるのであります。池田大蔵大臣は大蔵官僚のボスで財政のベテランであります。池田氏は野にあるときも朝にあるときも、予算はおれが作るとの強引さを発揮しております。そこに造船疑獄事件、消費者米価引き上げ問題等における池田氏のつまずきがあったのであります。今後これらの問題は、予算委員会等で問題になることと思いますから、この機会に、池田蔵相から予算編成権とその責任の所在について御見解を承わりたい。  最後に農林大臣にお尋ねします。日本は土地狭く人口が多く、耕地は国土の一七%で、山国のスイスの五三%と比較すると、非常に劣っております。日本では農林省の調査によりますると、耕地五百四十万町歩に対し、未開発の山林原野が六百万町歩も残っているとのことです。政府においては、スイスのように草地農業、山岳酪農を積極的に発展させる気はありませんか。スイスでは、夏は山の上の草地で乳牛を飼育し、山ろくの牧草はサイロに入れたり枯草にして冬に備えておきます。カナダやアメリカの北部地帯では土壌と草の研究が盛んで、アルファルファのような栄養価の高い豆科の牧草が普及されております。私は昨年の秋に北海道の冷害を視察し、あれは天災だけではなく半ば人災で、北方寒冷地農業に対する日本農政の貧困を暴露したものと考えました。これは明らかに南方植物である水稲本位の平地農業の延長の失敗であります。水稲さえ作っておれば、収穫皆無でも農業災害共済その他で、他の作物を作るよりも有利であるというような農政は、もはや清算さるべき時期であります。山地帯の高冷地農業も同様の運命に遭遇しております。戦後十五万戸入植した開拓者の生活状態は、経営の発展のあるものは、十五万のうちわずか一五%、何とかやって行けるものが五五%、あとの三〇%は脱落の一途をたどっております。三十二年度予算では、政府が機械化開墾や乳牛の貸付を奨励してきましたが、いまだこの程度では不徹底であります。日本の農業においては、食糧自給は今後米と畜産の二本建で進めて行かねばなりません。それには農業革命と食生活の革命とを結びつけ、学校給食を強化しなければなりません。もっと動物性の蛋白質、脂肪等をとるようにしなければ、オリンピックに勝てるだけの体位の向上は困難と思います。(拍手)農林大臣の御所見を承わりたい。  また、日本の農民の生活は貧しく、日本の農村の所得は、都市の所得の三分の一であると国連の統計等でも指摘しております。生産費を償う米価や麦価その他の農作物の価格安定を農民が要望しているのは、生産農民としての当然の生活権擁護の戦いであります。井出農林大臣は池田大蔵大臣とともに、食管会計の赤字克服を理由として、今後ひそかに米、麦の生産者価格の引き上げ、消費者米価の引き上げを試みんとしているのではないでしょうか。この問題はきわめて重大な問題であります。審議会に逃げ込む前に、政府は食管特別会計の白書を発表すべきであります。これによって広く国民が食糧問題の討議ができますように、政府はすみやかに資料を提供されんことを要望いたします。  ちまたには神武景気の声がありまするが、国民大多数の現実の生活は、依然として貧しいのであります。石橋・池田ラインの財政は、国民の一割にも足りない人たちを潤すにすぎません。政府が真に愛情のある政治を行わんとするならば、このようなときにこそ、生活にあえぎ、日の当らないところに置かれている人々のために、社会保障費をもっと投げ出すくらいのことをやるべきであったのであります。働く人人に希望を与えよ、暗い谷間に光を与えよ、この言葉を冷酷な政府の財政担当者にささげて、私の代表質問を結びます。(拍手)    〔国務大臣岸信介君登壇、拍手〕
  14. 岸信介

    ○国務大臣(岸信介君) 戸叶君の御質問に対し、お答えをいたします。  第一は、解散の問題であります。解散は申すまでもなく政治上きわめて重大な意義を持っておるものでありまして、従って国民世論の動向と、各般の事情を十分に考えてこれを行うべきものであると私は考えております。現在の状態においては、政府は解散をすべきものではないと、こう考えて、解散をする意思なしという御返事を申し上げておるわけであります。  第二は、国会運営の正常化の問題であります。これはきわめてわれわれも重視いたしておりまして、国会に対する国民の信頼、これを裏切るようなことは、いささかもあってはならない。過去の国会運営は、その点において、はなはだ遺憾な点が少くなかった。こういう点を十分に反省して、二大政党下における二大政党の責任と、それから両院制度の本質を十分に考えまして、国会の運営を正常化したい。そのためには必要な国会法の改正その他のこともありましょうし、両党において話し合いを進めて行く広場を多くし、そうして問題を円滑に運営して行くというふうにいたしたいと考えております。(拍手)    〔国務大臣池田勇人君登壇、拍手〕
  15. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) 千億減税、千億施策というのは、一つの標語でございまして、こまかく申しますると、所得税は千九十億円、平年度では千二百五十億円でございます。また租税措置法改正等によりましては、昭和三十二年度では、御説のように七百二十億の減税になるのでございます。これは一つの標語でございまして、うそとか何とかいう問題ではないと考えております。なお、国鉄運賃あるいは揮発油税を増徴いたしますが、これは国鉄五カ年計画を実行いたしまして、輸送力を高めて、そうして物資の交流を便にし、物価の安定に資するためでございます。また、揮発油税につきましても、道路をよくすることは非常な利益である。百円を使って道路をよくすることは、その利益は、それに倍する利益があることは世界の通説でございます。しこうして、揮発油税で道路を今後もやって行くかということでございますが、これは二、三年前からそういう方針で、揮発油税の増徴によって道路を改良しようという考え方になっておるのであります。この点は各国ともそういうふうな格好でやっております。  なお、最低賃金制の問題でございまするが、私は今の日本の状態では、最低賃金制を施行することは、まだ早いのではないかという考えを持っております。所管外でございまするが、御質問にお答えいたします。  なお、生命保険の問題につきまして、私は貯蓄の奨励の意味から、生命保険料を所得から控除することがいいと考えまして、従来、所得税の控除一万五千円を最高二万二千五、百円までにいたしました。しこうして今後住宅を早急にふやして行きますためには、こういう生命保険料のごとき長期の資金を借りることが必要であるのであります。三十一年度におきまして、大体住宅公団に四十億円充てておりますが、従来は八分の貸付金利でございました。今後はこれを安く借りるために、七分二厘四毛という、一般の公債の利子でやって行こうといたしております。生命保険協会におきましては、今後五年間に、大体千億円くらいは住宅資金として住宅公団の債券は持てるだろうと言っておりまするが、私もそういうふうに期待いたしております。  なお、羊毛課税をやめた。税制調査会におきましては原糸課税、一般の繊維品に課税するという案でございました。しかし私は、片一方で非常に減税をいたしますときに、大衆課税になることは思わしくないというので原糸課税をやめました。しこうして、一時、財源として羊毛に課税したらどうかという論は出ておりましたが、私は先ほど申し上げましたように一千九百億円の自然増収がある場合に、新たな税を課税することはよすべきだ、こう結論を出しましてやめたのであります。  なお、予算編成権の御質問でございましたが、予算は、各省からの要求を大蔵大臣が調整いたしまして、閣議によってきめるのでございます。従いまして、大蔵大臣は各省の予算の調整でございまして、決定は閣議であると御了承を願います。  なお、社会保障の問題につきまして御質問があったようでございまするが、できるだけ社会保障などの拡充強化をはかったことは、予算をごらんいただけばおわかりいただけると考えます。(拍手)    〔国務大臣宮澤胤勇君登壇、拍手〕
  16. 宮澤胤勇

    ○国務大臣(宮澤胤勇君) 国鉄の輸送力を増強いたしますために、やむなく運賃の値上げをすることになったのでありますが、明年度におきまして、今日の国鉄の老朽施設を改善いたしまして、交通の安全を期し、かつその上に輸送力を増強いたしますためには、一千百億円の費用を投ずることにいたしました。そのうち、この運賃値上げによるものは三百六十五億円、他は借入金その他節約によってこの莫大な費用を出して、そうして他日この運賃並びに生活の上にできるだけ影響を与えないようにして、日ならずして、さらにこの生活の上にも、運賃の上にも大きな便益をもたらしたい、こういう考えでこの挙に出たのであります。(拍手)    〔国務大臣宇田耕一君登壇、拍手〕
  17. 宇田耕一

    ○国務大臣(宇田耕一君) 戸叶議員の御質問にお答え申し上げます。  完全雇用と失業問題についてでありますが、最近における経済の発展によりまして、雇用情勢は漸次好転されて参っております。特に製造業を中心といたしまして、雇用者の増加は著しいものがあります。完全失業者の数も漸次減少して参っております。しかし今後十年間は依然として生産年令人口は増加いたしますので、これに対しまして均衡のとれた経済拡大を持続させて行かなければならないと考えております。年々の新規の労働力を吸収することはもちろんでありますが、所得水準の上昇と相待ちまして、雇用関係の好転を積極的にはかりたいと考えております。  最低賃金制の問題でありますが、わが国のように産業間、ないし企業の規模の間に、経済力あるいは生産性、ないし賃金等の事情が相当違っております現状におきましては、速急に一律の最低賃金制を実施することは、経済に不必要な混乱と摩擦を生ぜしめるとともに、その影響を全面的に受ける中小企業の経営条件と、比較的に影響の少い大企業の経営条件とを一そう不均等にならしめるおそれがありますので、現実の問題としては、いま少し慎重に考慮して対策を講じたいと考えております。(拍手)    〔国務大臣松浦周太郎君登壇、拍手〕
  18. 松浦周太郎

    ○国務大臣(松浦周太郎君) 戸叶君にお答えいたします。  ただいま私の部門にお問いの点は、完全雇用、最低賃金、賃金格差の三点でありましたが、最低賃金及び完全雇用は、両大臣からお答えになりましたから、私は賃金格差の問題だけを申し上げます。  現在わが国の賃金格差は、大企業、中企業、小企業、それぞれ相当格差がありますことは、ただいま御指摘になりました通りであります。これに対しましては、中小企業の振興をはかりまして、これらの販路の拡張、あるいはこの金融の円滑、その他中小企業の振興方策によりまして、それの発展、発達とともに、この賃金格差を縮めて行きたいという考えをもって鋭意努力中でございます。(拍手)    〔国務大臣井出一太郎君登壇、拍手〕
  19. 井出一太郎

    ○国務大臣(井出一太郎君) 戸叶さんにお答え申し上げます。  農林水産行政の基本的目標は、農林水産業の生産力を高めまして、農山漁村民の福祉を増進すると同時に、食糧の総合自給力を向上することによりまして、国民経済の安定と発展に寄与することにあろうかと考えております。  食糧政策といたしましては、食生活の向上充実、これを目途といたしまして、畜産物の増産と流通の合理化を取り入れた総合的食糧自給度の向上を推進したいと考えておるのでありまして、ただいまだんだんとお述べになりました点については同感でございます。  従来、水田稲作を偏重しておった、こういう御指摘でございますが、もちろん水田の面を閑却してはいけませんけれども、同時に畑作の振興あるいは原野の有機的高度な利用、こういうこともあわせて行わなければならぬと思うのでございます。それで昨年の北海道の凶作にかんがみまして、寒冷地農業振興対策を今回は特に打ち出しまして、特殊な気象条件に適応した経営を確立いたすことを目途にしまして、土地条件の整備を行う、そうして国有家畜の貸付制度、これなぞを設けまして、畑地の地方の維持培養、営農用の大型農機具の導入促進などをはかりまして、ただいまの御意見に対しましてお答えいたしたいと思うのであります。  なおまた、食管会計の問題につきましては、昨日も申し上げましたように、消費者米価の問題をも含め、内閣に設置を予定しておりまする特別調査会で御検討をいただくことに相なっておりますが、ただいま食管白書を出したならばと、こういうふうな御意見もございましたが、今回の調査会を機会といたしまして、できるだけの資料を整備いたして、そうして国民からもいろいろと食管会計が批判を受けておりますから、これに対しましては、この機会に一つ十分あかしを立てたい、このように考える次第でございます。(拍手)    〔国務大臣岸信介君登壇、拍手〕
  20. 岸信介

    ○国務大臣(岸信介君) 外交問題に関する戸叶君の御質問にお答えをします。  自立外交を大いに強調されております戸叶君の御意見には、全く同感であります。私は自主的立場から、日本の今後の外交方針は、国連中心主義並びに自由主義国家との協調、これを車の両輪として進んで行きたいということを申しております。御承知の通り、国連内においては、東西の対立があり、またAAグループと西欧諸国との間の対立もございます。これらの間に立って、わが国があくまでも国連憲章の精神を堅持して、国際的正義の実現のために、わが方の意見を積極的かつ建設的に主張し、これを実現するように努力したいと思います。  イギリスのクリスマス島付近における原爆の実験の問題につきましては、すでにわれわれの意思を十分に英国政府に申し入れてありますが、正式にわれわれはまだ回答に接しておりません。不幸にして、伝えられるごとく、もしもイギリスが、なおこれを続行する、その計画を変えないということであるならば、私どもは、再度われわれの意思を英国に通じて、われわれの考えの実現に努めたい、かように考えております。  経済外交の点につきまして、裏づけが必要であるというお話はごもっともであります。  移民問題につきましても、不十分ではありますけれども、本年の予算には相当これを拡大する措置をとっております。  中国問題につきましては、貿易の関係の増進その他文化の交流等、われわれはあらゆる面においてこれを進めて行くつもりでありますが、しかし今日の、現在の段階におきましては、中国と国交を正常化す、あるいは国交を回復するという時期ではないとまだ考えております。  外交陣の刷新についての御意見は十分私も同感でありまして、できるだけそういうふうにやりたいと、かように考えております。(拍手)     ―――――――――――――
  21. 松野鶴平

    ○議長(松野鶴平君) 竹中恒夫君。    〔竹中恒夫君登壇、拍手〕
  22. 竹中恒夫

    ○竹中恒夫君 無所属クラブを代表いたしまして、総理の施政演説に対して質問をいたします。われわれ無所属クラブは、参議院の特質にかんがみまして、いずれの政党にも属せず不偏不党、厳正中立の建前で、政策を中心に是々非々に立っておりまするので、政党的なかけ引き、ないしは政争的な見地からの質問ではなく、素朴な国民的な感情からいたしまして疑点をたださんとするものでございます。従って、質問には陥穽、落し穴もなければ底意もございません。総理が欠席で、はなはだ残念でございますが、かわって関係閣僚から、それぞれ率直な誠意ある自覚的な答弁をお願い申し上げます。  質問の大要は、一月八日、組閣第一声を日比谷公会堂において行われまして、あの五つの誓いを国民になさった。世に五カ条の誓文と言われておりまするが、その五項目は取り立てるほどの斬新なものではございませんが、なお国民が拍手してやまないゆえんのものは、ひとしく多年にわたって要望しておった事項であり、かつは石橋内閣の実行力を高く評価しておるからであろうと思います。しかるに、一昨日なされましたる施政演説においては、決定版的な具体策が少く、石橋内閣の性格を如実に示すところの予算構成にも、五大誓約の織り込みに欠くる点があることを、はなはだ遺憾に思うものでございます。かかる観点からいたしまして、時間の許す範囲内におきまして、逐条的に質問を申し上げます。  まず質問の第一点、国会の正常なる運営につきまして首相臨時代理にお伺いいたします。国会の正常なる運営は、国会の権威の保持と民意の反映の上から絶対に必要なことであり、言われる通りに、国会への国民の信頼は民主主義に基くものであります。別に予算措置を伴うものではございません。要は心がまえの問題だと思います。しかし首相の言われるように、単に二大政党のみにおける話し合いだけで解決をみるべきものとは考えられないのであります。国会法の再検討を行い、ことに参議院の特質をも十二分に生かし得るごとき配慮と、多数決の原理と少数意見の取扱い方、並びにこれが調整、あるいは審議経過中に起きまするところの緊急質問、不信任案、修正案、委員会の運営、採決の方法、内閣提出法案の提出時期の制限等、法律改正に待つべきものが多数あると思います。国会法の改正に対する意図ありやいなや、並びに参議院が衆議院の延長のごとき観のある現況に対しまして、果してこれに対する是正策について、首相はいかに考えておられますか、こうした点につきましてお伺いいたしたいと存じます。  第二の質問は、政界、官界の粛正でございます。新内閣は、まず改めるべき点は政治であり、政府であると言われました。全く至言でございます。しかし、これに対して具体的な方策に触れておられない。汚職と贈収賄が日常茶飯事視されておりまして、国民は義憤を越えて、すでにあいそをつかしておる状態でございまして、とうとうたる弊風が、検察庁長官会議の首相による一場の訓話によって、ためられるものではございません。よろしく政党に対する政治資金規正法なり、あるいは官吏に対しまするところの官吏服務規程その他関係法令の改正にまで具体化の必要があろうと存じます。この点につきまして法務大臣の御所見を伺いたい。  質問の第三点は、雇用の増大、生産の向上が次年度はきわめて好条件下にあり、経済内閣と誇称される現内閣としては確信のあられることと思いまするが、単に失業対策事業を興すことが雇用の増大ではございません。産業の興隆と雇用問題は循環的施策であり、この点に大いに意を用いていただきたい。神武景気と浮かれ文句が流行しておるが、なお好景気の谷間に数百万の潜在失業者があることを忘れてはならない。完全雇用と申しましても、雇用の期間ないしは賃金等に格差があり、この一例といたしまして、健康保険におきまするところの標準報酬料金に例をとりまするならば、政府所管におきましては平均標準報酬が一万二千円であり、組合の被保険者は一万八千円、まさに五割の相違がございます。かかる賃金格差の是正に努むべきは、当然、労働行政上見のがすことのできない重大な事実であり、同時に、働くことが憲法によって保障せられておりまする限りは、一国の労働行政は雇用の増大にあらずして、完全雇用の積極性を持たなければならぬと思うのでございます。この点につきまして労働大臣の御所見を同いたい、かように存じます。  なお、最後の問題といたしまして、厚生大臣にお伺い申し上げたい。それは福祉国家建設についてでございます。一般会計並びに財政投融資が合せて千七百億円という。財政規模を拡大した昭和三十二年度こそ、社会保障確立の絶好の機会であったと私は信ずるものでございまして、この見地からいたしますならば、全く機会を逸しられたような感じがいたすわけでございます。生活保護、また母子加算ないしは低額所得者への配慮がなされておりますることは多といたしまするが、しかも、これに払われまする金額の総計が十億円程度の増額にすぎない。しかも、これは物価上昇によりまする基準額のスライドでございます。なお、戦争犠牲者に対しまするところの一段の施策も必要と存じます。あるいはまた社会保障の限度、限界もいろいろありまするが、果して御当局は、この保障を、国民の生存を保障する程度なのか、あるいは憲法にいうところの、健康で文化的な最低の生活を考えておられるのか、ないしは福祉をも加えられたるところの、より高度の生活の保障をなさんとしておられるのか、社会保障制度は少くとも救貧政策であってはならない。積極的な防貧政策でなければならぬと思うのでございまするが、この点につきましての御所見を承わりたい。  次は、国民皆保険の問題でございます。私は拙速主義に反対いたすものでございます。三千万人の医療保障から見放された国民に対しまして、急速なる施策は必要でございまするが、喜ばれざるところの内容を持ったところの形式的な実施には反対せざるを得ないのでございます。以下、国民皆保険に対しまして、次の六点をお尋ね申し上げたい。  第一点は、地方公共団体の財政的な受け入れ態勢が果してできておるかどうかということ。第二点は、低額所得者が主たる対象となるので、保険料の収入がきわめて僅少である、従ってこれをカバーするところの財政的な確信が政府にあられるかどうかということ。第三番目は、現在実施中の組合の大半がすでに赤字に悩んでおられ、総額四十億円にも及んでおるが、これに対しまして政府はいかなる援助を行なっておられるか。第四点といたしましては、既存の特別国民健康保険も今後同様の、一般国民保険と同じ条件下においてこれを育成すべきであると考えまするが、この点をお伺いいたしたい。第五点は、不完全な現行健康保険に基準を置いて、なおこれ以下にレベル・ダウンするところの国民健康保険を実施することに対しますところのお考え、及び第六点といたしましては、本人が半額負担では、低額所得者はかえって保険料その他によって生活の圧迫をこうむるわけでございまするが、こうした諸点を勘案なさいまして、しかも法律の力で強制加入を建前とするのでございまするからして、格段の配慮が国民皆保険に注がれなければならぬと思うのでございます。この点につきまして、厚相の御意見を承わりたい。  なお最後に、一般健康保険についてお尋ね申し上げまするが、不適正な単価、アンバランスの点数、報酬金が、あるとき払いというような、きわめて不自然な状態は大臣も先刻御承知の通りでございます。制限診療は人命軽視のそしりがございます。かかる不合理の是正をなさずして正しい医療保障はあり得ないが、政治的な責任を感じてこれを是正なさる意思がありやなしや、及びこうしたきわめて不自然な点を黙殺、たな上げして、しかも不合理はそのままにして、三たび健康保険改悪を意図されておるその真意をお伺い申し上げたい。その他幾多の不合理がございまするが、いま改悪の理由を詳論する時間がないのをはなはだ遺憾に思います。  私は質問の最後に、現行健康保険がいかに不合理であるかということの一例を申し上げたいと思います。今年のかぜは健康保険ではなおらないとの酷評が一部にございます。これは感冒が肺炎に悪化しなければ、抗性物質ないしは異種蛋白等の使用が審査において認められないことでございます。すなわち病気に先手を打つ予防的な処置が禁じられておることでございます。私は思います。もし石橋総理が、発病以来健康保険で治療しておられたら、果して今日のごとき順調な経過をとり得ておられるであろうかということでございます。これに対しまして、厚生当局が否定なさるといたしまするならば、私はあえて反問したい。総理に、制限診療の健康保険で治療をお勧めするだけの勇気と自信が厚生省当局にあるかということをお伺いしたい、かように存ずるわけでございます。(拍手)  重ねて申し上げます。新内閣は、まず改めるべきは政治であり、政府であると言われた。どうかこの観点に立ちまして、就任早々、厚生大臣にははなはだお気の毒に存じまするが、誠意のある、責任のある答弁をお願い申し上げます。  以上、私の質問を終ります。(拍手)    〔国務大臣岸信介君登壇、拍手〕
  23. 岸信介

    ○国務大臣(岸信介君) お答えをいたします。  国会運営の正常化につきましては、しばしば申し上げた通り、十分話し合いと、そうして両院制度の本質を考えて、これを実現しなければならないと思います。しこうして、その具体的の国会法改正その他の問題、これは国会自身で一つお考えを願わなければならぬ問題だと、かように考えております。(拍手)    〔国務大臣中村梅吉君登壇、拍手〕
  24. 中村梅吉

    ○国務大臣(中村梅吉君) 竹中議員の御質問にお答えいたします。  御指摘の通り、綱紀粛正の重要でありますことは全く同感でございます。石橋内閣といたしましても、綱紀粛正を施政の重要な一環といたしておりますので、実は先般、検察長官会同を開きました際に、私は法務大臣として検察関係の当局者に、綱紀粛正のために一そうの意を用いて努力をするように、訓示中にこれを申し述べました。  その綱紀粛正のために必要な法令の改正等を考慮していないか、こういうお話でございましたが、なるほどいろんな点について考えられるのでございます。ことに、今法務省として検討いたしておりますのは、いわゆるあっせん収賄罪の点でございまして、ただあっせん収賄罪をどう扱うかということは、非常に適用範囲、限界等についてむずかしい点がありますので、その実体的及び技術的な面について目下慎重検討中でございます。  その他の点につきましては、いろいろ御意見もございましたが、大体綱紀粛正の目的を果すために必要な関係法令は、わが国としては相当整備されておると思うのでございまして、現在の関係法令を十分に、適切に運用して参りますならば、検察の面から申しますと、綱紀粛正の目的は果し得ると思うのでございますが、ただ、綱紀粛正は検察のみをもってその目的の万全を期することはできませんので、これは政治全体を通じてその目的を果すことに向わなければなりません。かような意味におきまして、私どもとしては法務省を担当しておる者として、法務行政の上から遺憾なきを期して参りたい、かように存じております。(拍手)    〔国務大臣神田博君登壇、拍手〕
  25. 神田博

    ○国務大臣(神田博君) ただいまの竹中議員の御質問にお答え申し上げます。  第一点は、政府は社会福祉国家の建設を公約しておるが、この予算案に盛られておる社会保障関係費の増加は、母子加算その他の費用を除いては自然増加に伴うものであって、新しい福祉施策を盛り上げているように考えられない、政府が保障しようとする福祉の内容は、最低保障か高度の保障かと、こういうような意味のお尋ねのように承わりました。政府におきましては、明年度予算案につきまして、厚生省総予算額は、前年度に比しまして百十一億円の増加計上をしりまておるのであす。千十四億円に達しております。しかもこの社会保障費の増加率は前年度に比べて一二%、今度の予算が昨年度の予算に比べまして九・八%の増加になっておりまするが、社会保障費を抜いて計算いたしますと、一二%の増加になっておる。これは国民皆保険達成のための国民健康保険の普及促進と、また医療保障制度の強力な推進、結核については、健康診断、予防接種の全額の公費負担等、抜本的な結核対策の拡充強化もはかっておるのであります。さらに、一千億減税の対象とならない低所得階層につきましては、生活保護法による保護基準の引き上げ、母子加算の引き上げ、また母子福祉資金及び世帯更生資金の拡充、医療貸付制度の創設等の措置を講じております。このように明年度におきましては、低所得階層に対する施策の積極的な展開をはかっておるのでありまするが、さらにこれらの措置と並行して、母子世帯及び老齢者等に対する本格的な年金制度を創設すべく、その準備費も計上いたしておるのであります。すなわち政府といたしましては、国民の最低生活を保障する生活保護の充実のみではない、より高度の生活の保障を行うことを目途として、社会保障関係費の画期的な充実をはかっておると、このように考えておる次第であります。  次は、政府は四カ年計画をもって国民皆保険の実施をはかっておるが、財政的困難に苦しんでおる国民健康保険の現状にかんがみて、拙速主義をもって形式的にやることには反対だと、こういうようなお尋ねの趣旨と考えますが、これはこの国民健康保険の全国普及に当りましては、その前提として、お尋ねのような解決すべき問題は相当あることは私どもも承知いたしております。しかし政府といたしましては、保険者の財政的困難の主要原因の一つとなっております昭和三十年度国庫補助金の清算交付額の早期交付及び事務費補助金額の引き上げ等に努めまして、保険者に対しましても、赤字解消及び財政再建のための応急的措置を指示いたしまして、保険財政の健全化について強力な指導をしておるのであります。また国民健康保険の全国普及に当りましては、これらの措置のほか、長期的計画をもって解決をはかるべき国庫負担制度の整備、給付内容の向上及び統一保険料賦課方法等の適正化、医療機関の整備等につきましても、関係各方面と折衝し、慎重に検討を進めて、すみやかに所期の目的を達成することに努力をいたしておる次第でございます。  次は、この健康保険法の改正案を提出中でございまして、これが単価が適当でない、あるいはこの診療報酬支払い期日が不確定であるとか、あるいは診療内容、あるいは給付期間に制限があるとか、その他不自然な制度を改める内容を盛っていない改正案であるから反対であるというような御趣旨のように承わったのでございますが、御指摘の通り、この疾病保険における医療給付水準、診療報酬支払い制度等につきましては、いろいろな方法が考えられるわけであります。議論のあるところでございまするが、健康保険制度を立て直して、将来にわたる発展の基礎を確立することが目下の急務と考えておりますので、本法案を提出して御審議を願っておる次第でございます。国民皆保険の実施を控えまして、御指摘の問題は、何分にも医療保障制度全般に通ずる問題でございまして、健康保険制度の確立をはかった上で、総合的に検討いたしまして善処いたしたいと考えております。  なお、この健保の施用は、基準はありまするが、制限はないことは御承知の通りでございまして、この基準は学界の答申に基いて、医師の代表の方も入っていただいて、医療協議会に諮問してきめたものでございまするが、いろいろ御指摘のような基準について御意見がありまするならば、これは逐次是正して参りたい、かように考えておる次第でございます。(拍手)    〔国務大臣松浦周太郎君登壇、拍手〕
  26. 松浦周太郎

    ○国務大臣(松浦周太郎君) 竹中さんにお答えいたします。  雇用関係についていろいろとお問いでございました。先ほど戸叶さんからもお話がありましたのですが、それにあわせて御答弁いたします。  昭和三十一年度におきましては、生産及び貿易の伸張によりまして、経済の規模は大幅に拡大し、これに伴って雇用の情勢も好転いたしております。完全失業者の数は著しく減っております。現在大体五十一万そこそこでございます。三十二年度においても、引き続き経済の好況が持続されるものとわれわれは考えておるのでありますから、政府におきましては、さらに公共事業費あるいは財政投融資の大幅の拡大等が行われましたのでございますから、積極的な雇用の増大になる方針でございます。  しかし現下のわが国の雇用の実情を見ますと、お説の通りに、いまだ不安定の雇用も多く、規模別賃金格差というようなものの労働条件が非常に優劣があることは事実であります。かかる雇用の内容を改善いたさなければ、完全雇用の目標を達成することができないと存ずるものでございます。  政府といたしましては、昭和三十二年度予算案においても、前述のように雇用の増大の方策を講ずるはか、中小企業の総合的な振興対策を講ずることにいたしておじますが、特に中小企業における低賃金問題を解消するには、生産の向上による経済的基盤の確立が根本の問題であります。労働生産性の向上には特段の努力を払いたいと思っておる次第であります。現下のかかる情勢下におきましては、同一業者間の自主的な協定による最低賃金の問題も考えなければならないと思っておりまして、これらの措置を通じて、雇用内容の量的及び質的の改善に一そうの努力を払って行きたいと存じておる次第でございます。  以上、御答弁いたします。(拍手)     ―――――――――――――
  27. 松野鶴平

    ○議長(松野鶴平君) 中田吉雄君。    〔中田吉雄君登壇、拍手〕
  28. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 私は、日本社会党を代表し、石橋内閣の施政演説に対し、主として安全保障、地方財政を中心といたしまして質問いたします。  まず、第一に、原水爆時代におけるわが国の安全保障についてであります。今回の施政方針演説を拝聴いたしますると、国際政局に決定的な影響を与えつつある原水爆についての十分な認識がなく、また、外交においても、対米追随外交を対米協力という美名によって粉飾して、そうして鳩山外交より大きく後退いたしていますことは、まことに遺憾と言わなくてはなりません。先般イギリスの首相となりましたマクミランは、昨年外相としてジュネーブに参ってロンドンに帰りました際、記者団会見をやりまして「新聞記者諸君、第二次大戦のような戦争はもうないよ、それは原子力戦争には勝利者がないということがジュネーブ会談で確認されたからである」と言っています。また、別の機会にマクミランは、「私のさきの発言は本質において正しかった。世界戦争は両陣営の全般的な破壊を意味するのであろう。このことを世界の人々が知っている限り、大戦争は絶対に起らないのである」ということを言っているわけであります。まさに卓見と言わなくてはなりません。広島では二十四万、長崎では七万、合計三十一万の同胞が二発の原爆でなくなりました。しかるに、昨年アメリカが実験いたしました水爆は、広島型原爆の二千五百倍、五十メガトンあると称せられています。四発も落ちれば、わが国は全滅であります。まあそういたしますれば、総理が御病気で主導権をとられるのじゃないかというような心配は要らぬかもしれません。(笑声)しかるに、石橋総理、岸外相等は、一昨日の施政方針で、相変らず日米共同防衛を原則にするということを言っておられます。しかし、これはアメリカだけが原爆を独占しました昭和二十四年ごろまで通用するところの戦略思想であります。しかるに、今やソ連も原水爆を持った現在、情勢は一変しまして、かかる共同防衛の観念は全く時代おくれの戦略思想と言わなくてはなりません。一九三九年、資本主義陣営は、面積で八三%を占めました。しかるに、一九五五年には、原水爆の時代、アメリカにつく陣営は三三%になり、中立国が四四%になったわけであります。これは原水爆の及ぼした大きな影響と言わなくてはなりません。できるだけ米ソを衝突させないように、もし万一の際には、その渦中に入らないようにしようとするところの米ソ両勢力の間にはさまれた諸民族の英知の所産とも言うべきものであります。(拍手)このように情勢が変っていても、石橋総理、岸外相のように、日米共同防衛で果してほんとうにわが国の安全が保ち得るのでございましょうか。この問題の解決さえつきますれば、私は自由民主党とわが日本社会党とが共通の広場で、もっと同じベースで、日本の安全と外交問題を語り得る重要な問題と思うわけであります。  この際一言しておきますが、昨日、同僚羽生議員が余うんなく指摘されましたように、わが日本社会党の自主独立の外交は、決してガンジーのような無抵抗主義を意味するものではありません。元来絶対的な安全保障というものはございません。安全はあくまで相対的です。すなわちアメリカの言いなりにもならない、さりとて思想や制度が違っても、隣の中国やソ連を敵にしない自主独立の外交こそが、何十万の再軍備よりかも、はるかにわが国の平和と安全のためになるという考えを持つものであります。(拍手)朝鮮事変は決して軍事的な真空から起きたものではございません。また、どちらが先に手を出したかということも問題の本質ではございません。アメリカのひものついた李承晩の軍隊、そして中ソ両国に一辺倒する金日成のこの二つの質の異なった軍隊が、じかに相対したところに朝鮮事変の本質があると言わなくてはなりません。さらに、もっと歴史的には、過去一世紀の間、朝鮮の指導者層というものは、あるときは日本、あるときは清国に、あるときは帝政ロシヤにと、いつも外国の力を借りて主導権を獲得しようとしたところに、朝鮮民衆の心の中に悲劇を生んだ大きな事実があるわけであります。今回のように、石橋内閣のようにアメリカに一辺倒し、そして安全保障体制を進めることが、どうして第二の朝鮮のようなことに絶対ならないという保障がどこにあるでございましょう。今の内閣の日米共同防衛は、戦前わが国の誤まった、そうしてリッペンドロップに引き回された枢軸外交と同じではないかと思うわけであります。戦後十年、せっかく内閣も変り、アメリカの新任大使も赴任される絶好の機会ですから、私たちは、もっと考えるべきだと思うわけであります。そして何よりも大切なことは、わが国は、アメリカよりもっと独立すること、独立のないところに真の安全も親善もありません。独立なくして作る自衛力は強国の手段に利用されるだけです。そして隣に仮想敵国をなくし、基地撤廃の前提を作るためにも、中国との国交をすみやかに回復すべきだと思うわけであります。基地がなくなり、真に完全に独立をいたしました際においてのみ、初めて日米の恒久的な協力態勢ができるものと思うわけであります。このような見地に立ちまして、私は次の諸点をお尋ねしたいと思うわけであります。  一、政府は今国会において日中国交回復はその時期でないということをたびたび言われました。日ソ国交回復のとき、当分日中国交回復はやらないということをアメリカ当局に確約されたという風聞があるが、果してどうか。アメリカは一九一七年、ロシヤに労農政府ができ、一九三三年、ソ連を承認するまで、実に十五年間もかかっています。弾力性がないということがアメリカ外交の特徴でありますが、このような外交に追随いたしていますならば、わが国は世界の情勢におくれるのではないか。また、日中国交回復は自主独立外交の試金石だと思うわけであります。所見をお伺いいたしたい。第二に、ソ連も原子兵器を持った現在、日米共同防衛、対米協調外交は、アメリカの一方的な利益になっても、わが国は危険だけ多く、利害の一致がないんではないか。第三に、陸上自衛隊一万人増員の取りやめは、わが国の岸、池田両大臣等の対米外交の勝利を意味するものではなしに、原子兵器の発達から、アメリカの軍備に対する対日要求が、基地と原子兵器に変ったためではないか。また、この機会に防衛計画を再検討するのであるか。また、軍備で国を守るという考えに立つ限り、必然に原子兵器を持つか、アメリカの原子兵器の持ち込みに同意をするか、いずれかであろうと思うわけであります。これに対してどうお考えであるか。また、国民の不安を一掃しますため、原子兵器持ち込みの相談があったら協議するというようなことでなしに、あらかじめ絶対反対を表明される意思はないか。そうでないなら、原子兵器部隊を日本に持ち込むことに暗黙の了解を与えられると理解していいかどうか。第四に、戦略的には、日本に劣らずはるかに重要な北欧諸国には基地がなく、外国軍隊もなく、さして自国の軍隊もないのにソ連の侵略がない。だのにわが国は、アメリカの駐留なしには、今にも近隣がわが国を侵略すると考えられるのであるか、撤退に対する条件いかん。第五に、防衛庁長官の島根、私の鳥取の両県にまたがる美保基地の拡張は、砂川基地以上の挙県的な反対運動が巻き起っています。何よりも民主的な新防衛庁長官は、地元民の意思を百パーセント尊重されることをかたく信ずるものですが、その所見をお伺いしておきたいと思うわけであります。  第二に、石橋内閣の地方税財政についてであります。  国家予算といい、地方財政というも、本来全く表裏一体の関係にあるものであります。石橋内閣が千億減税、千億施策と言われますなら、それは中央地方を通じてのものでなくてはならぬと思うわけであります。またその結果が、昭和三十年度決算で、なお六百億をこす赤字にあえいでいるところの地方団体に悪影響を与えてはなりません。しかるに、予算編成で、消費者米価とともに地方財政の問題が最後まで難航した点でも明らかなように、石橋財政の千億減税、千億施策とは、地方財政の犠牲の上に立つものであり、今回の池田財政で一番麦飯を食わされたものが、わが地方財政である点は、わが党の深く遺憾とするところであります。(拍手)私はこの際、地方財政に対して大なたをふるわれました池田蔵相に対して、国の予算と地方財政との関連について御所信をお伺いしたい。  第三に、所得税は千億減税しながら、地方税では住民税率二一%を七%引き上げ、また、明年度は七百億円の自然増収を見積った理由いかん。所得税千億の減税は、住民税に対して初年度二百六億、平年度二百四十一億の減収となりますが、これをどうするかということは大きな問題でありまして、政府は今回の措置では、先に申しましたように、この所得税減税のはね返りを税率の引き上げでカバーしたわけであります。これでは全く地方への負担転嫁以外の何ものでもないと思うわけであります。従って昭和三十一年度は、一人当り地方税が四千四百十円であったものが、明年度は五千百五十一円にふえ、国民所得に対する地方税の比率も昨年に比べて五・七%で、ちっとも軽くなりません。これは結局、池田大蔵大臣が千億減税という美名に拘泥し、中央地方を通じての総合的な配慮がなかったため、かかるへんぱな減税政策となったと思うわけであります。田中長官は去る一月七日京都で、住民税率は絶対引き上げないと大言壮語されたが、今回の豹変はいかなる心境によるものであるか。また、昨年末、当国会に提出された資料では、明年度の地方税の自然増収は四百十億、やがて六百三十億、ついに七百億に、わずか一カ月の間に三百億も自然増収がふえていますが、その信憑性がどこにあるでありましょうか。弾力性の少い地方税で、明年度七百億の自然増収を見積ることは過大ではないかと思うが、御所見をお伺いしたい。  第四に、地方交付税の引き上げ繰入率を二五%から六%に、たった一%しか引き上げられなかった理由をお伺いしたい。所得税千億減税は、その二五%でありますところの二百五十億が交付税の減収としてはね返り、減税がなければ期待できます財源がそれだけ得られないことになります。元来地方交付税は、財源不足額を全国的に積み上げまして、その総額をきめる平衡交付金とは違って、国税三税に一定割合でリンクして、原則として率を変更しないことになっています。従って、国税の大幅減税という、今回のごとき全く国の都合によって、独立財源である地方交付税に二百五十億のはね返りがくるといたしますなら、当然それ相当額、三%程度引き上げるべきであると思うわけであります。皆さん、同じ所得税の減税のはね返りは、住民税の方は二一%を二八%に引き上げ、とる方はまことに抜け目なくとりながら、国から出すべき地方交付税の税率は二六%と、たった一%しか上げないところに、池田大蔵大臣の減税政策と積極政策の正体があると言わなくてはなりません。(相手)これでは平衡交付金から地方交付税に変えた根本理念に反するもので、筋が通らぬことおびただしいと思います。二六%で事足れりとした理由いかん。  第五に、本年度末の地方債の現在高は実に五千二百二十億の多きに達しています。明年度の一般会計の起債額は六百億であり、元利償還額が七百七十八億も要り、そのピークであります三十九年度には、償還額が一千億円を突破することが予想されます。地方財政は借金を返すために借金をしている状態であります。自治体はここ二年来、昇給の停止、延伸、強制退職、投資的経費の大幅削減等、地方財政再建のため真に涙ぐましい努力をやって参りました。このような極端な経費の削減にかかわりませず、なおかつ地方財政の再建が軌道に乗らないのは、年々八百億に及ぶ返済が要り、五千億をこす地方債の重圧のためであります。従って、地方債に対する抜本的な解決なしに地方財政の再建を語ることができません。元来、国は非募債主義をとり、国の一般会計では一切公債を発行しない超均衡財政をとりながら、地方財政では、地方財政法第五条に違反し、極端なものに至っては、年末手当や給与改訂に要する財源すら地方債のワクの拡大でやっています。国家財政の収支の均衡をとるため、国が一般財源を与えず、いわゆる地方債にクッションの役割を果さしているわけであります。この過去の誤まった地方債の運営方針のため、累積した地方債の償還期限がようやく到来いたしまして、動きがとれなくなっているわけであります。国家財政は、池田蔵相御自慢のように、均衡を保ちながら、なお本年度千億、明年度二千億の自然増収が予定されますが、これは歴代の内閣の功績でも何でもありません。全く地方財政六百億の赤字、五千億をこす起債という地方財政へのしわ寄せの結果であります。しかし、健全財政とは国家財政と地方財政と両方つながるものでなくてはなりません。国が千億円の減税をし、なお千億円も積極施策を展開し得るといたしますなら、まず何はおいても、長い間国家財政の下敷きになり、その結果である地方債の解決に対してあたたかい援助の手を差し伸べるべきだと思うわけであります。一般財源として国が当然めんどうを見るべきものを地方債をもって充てたものは、政府が元利を持って、私はその責任に任ずべきだと思うわけであります。しかるに、政府は明年度根本的な地方債対策を立てていないが、いかなる理由によるものであるか。特に、これに反対されているやに承わっておる池田大蔵大臣の御所見をつぶさに拝聴して、今後の対策にいたしたいと思うわけであります。  今回、わずかに補正予算で、三十一年度所得税、法人税の自然増収分四百億の二五%、百億円を地方交付に繰り入れ、公債費の償還に充てられると伝えられています。しかし、元来補正予算を組めば、公債費に関係なく当然百億円交付金に追加計上されることは法の命ずるところであります。これは元来自治体の財源です。また補正を組まねば、これは昭和三十三年度の地方交付税に追加配分されるものであります。これは一種の先食いであり自治体の自まかないによるもので、別途の財源措置ではないわけであります。百歩を譲っても、一体これだけで、年々八百億をこす公債費対策としては、まことに焼け石に水ではないか。また経済の好況のときはともかくといたしまして、いつまでもかかる弥縫策ではいけないと思うわけであります。またこれでは地方債に対する国の責任が明確でありません。また地方債の元利補給の特別立法を避けまして、問題の解決を明昭和三十三年度に持ち越された理由をお伺いいたします。なお将来再びかかるあやまちを犯さないようにするため、地方債運営の基本方針をお示し願いたい。  第六、最後に、新市町村建設促進費の大幅削減についてであります。過去三カ年間に行われた町村合併は、当時一万あった町村を三分の一に減らしました。これは、明治二十一年に七万あった町村を、市町村制実施と同時に、翌二十二年一挙に一万五千に減少してから七十年来、じみではあるが地方自治体にとっては画期的なできごとであります。しかし合併しただけでは事足りません。何十年前から、あたかも一体であったように町村の態容を整備し、住民の福祉にこたえ、あわせて国の施策に対しても、十分これをこなすだけの能力を備えた基礎的な公共団体に仕上げますためには、なお多くの努力と国の援助を必要とすると思うわけであります。今回、自治庁が四カ年計画の初年度分として、新市町村建設促進費六十八億円を要求したのはそのためであろうと思います。しかるに六十八億の要求を大蔵当局はたった二億円に査定し、復活要求でやっと十四億五千万円が認められたにすぎません。国は一千億の積極政策と言いますが、一兆一千億の地方財政計画を検討しても、あとにも先にも、積極財政というものは、ただこれあるのみであります。これが石橋総理の施政演説の新市町村の建設助成の強化の実体であります。羊頭を掲げて狗肉を売るものと言わなくてはなりません。(拍手)大削減に甘んじられた田中長官の理由をお承わりたい。これに対して、全国の知事会、市町村会を初め地方自治体は、この予算を裏切り予算ときめつけ、これでは新市町村の育成建設への自主的な協力はできないと言っているわけであります。  これを要しまするに、千億減税、千億施策の石橋内閣の施政は、中央地方を通じて検討いたしますると、はなはだしく不健全なものであり、看板に偽わりありと言わなくてはなりません。最近各地方における地方選挙において、わが党が異常な進出をいたしますのは、石橋内閣を初め歴代の保守党内閣が、民主政治の基盤である地方自治を育成する任務にこたえ得ないことを実証するものと思い、わが党の責任の重大を痛感するのであります。  いろいろ申し上げたいことがありますが、詳細は各委員会等に譲りまして、これをもって私の質問を終りたいと思うわけでありますが、ともかくこの予算は、地方行政を見ただけでも満身創痍と言わなくてはなりません。ただそれだけではなしに、最近の政府部内の対立を見ても、このような状態では、この予算を有効裏に効果的に国民経済に役立てることは、きわめて困難であろうと思うわけであります。そういう点からいっても、昭和二十七年に選挙をやってから今日まで、国民の動向も大きく変化していますし、一兆一千億の貴重な財源を効果的に国民経済に役立てるためにも、私たちは強く国民に問うために総選挙を要求いたしまして、私の質問を終るものであります。  最後に、田中長官に申し上げておきますが、最近の田中長官の答弁では、とうてい私たちは満足することができません。あれでは腕ききの池田蔵相に軽くあしらわれることは当然だと思うわけであります。簡明率直なる答弁を要求しまして質問を終るわけであります。(拍手)    〔国務大臣岸信介君登壇、拍手〕
  29. 岸信介

    ○国務大臣(岸信介君) 中田君の御質問にお答えします。  日本の外交及び防衛があくまでも日本の自主的な、また日本の独立という立場から、すべてが決せられなきゃならないというお説は、われわれもまさにそう考えております。  日中国交回復の問題が、ソ連との国交正常化の際、アメリカに対して、当分中国の承認はしないということを約束した事実はないかという御質問でございますが、かかる事実は全然ございません。  さらに、防衛の問題に関しまして、アメリカが日本に原子部隊を移駐せしめるという問題についての御質問がございましたが、原子兵器の使用禁止の問題につきましては、両院ではっきりとわれわれ日本国民の意思が表明されております。また、これを実現するために、われわれはあらゆる機会にその努力をいたして参っております。従いまして、この原子部隊の移駐の問題は、アメリカの新聞等によって誤まり伝えられた点がございますが、国務省及び国防省におきましては責任をもってそういう事実を否定しております。私ども今日そういう事実のないのに、こちらからどういうふうな手を打てというお話でありますが、われわれはそういうことの相談があった場合におきましては、今申しますように、日本の独立及びわれわれの自主的な立場から、これに対する処置をしたいと、かように考えております。(拍手)    〔国務大臣池田勇人君登壇、拍手〕
  30. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) 中田さんの御質問にお答え申し上げます。  地方財政の問題につきまして、いろいろ御質問がございましたが、私は主として国と地方との関係についてお答えし、他は田中大臣よりお答えを願うことにいたします。  国と地方との関係は、お説の通り一体として考えなければなりません。従いまして、税におきましても、国税が今非常に過重でございますので、まずこれを軽減しようという考えで行ったのでございます。しこうして地方財政の問題につきましては、従来いろいろ難点がございましたが、最近健全化の実が上り始めまして、今年度、ことに来年度は従来よりもよほど改善されて参ります。その理由は、地方税におきまして約七百億円の自然増収が見られるのであります。交付税におきましても、三十二年度は百六十八億が当然ふえまして、一%引き上げました関係上、二百四十億円前年よりふえるのであります。しこうして老朽校舎とか、あるいはいろいろな道路、橋梁その他行政水準の向上確保をすることは、これは切実なものがございます。従って昭和三十二年度におきましては、交付税の増加、自然増収等が相当ございますので、私は、大体これならまかなえるのではないかと考えておるのであります。従いまして、問題の行政水準の確保向上も、昨年に比べまして二百億円以上の増加が見られます。公共事業も相当ふえて参りますので、この程度ならやって行けるのではないか。なお、地方債の問題がございましたが、これは理論的に申し上げますと、元利償還は交付税の対象になっておるのであります。だから、この点は将来よく検討いたしまして、国の財政と同様、地方財政も非常に健全なものにいたしたいと私は考えておるのであります。なお、今回は公営企業金融公庫を設けまして、今後の地方債に便宜を与えると同時に、過去の地方債につきましても、借りかえを認めるとか、あるいは金利を安くするとか、あるいは民間から借りているのをできるだけ政府資金にかえるとか、あらゆる方法を講じまして協力いたしたいと考えております。(拍手)    〔国務大臣田中伊三次君登壇、拍手〕
  31. 田中伊三次

    ○国務大臣(田中伊三次君) 私に対する中田さんのお尋ねを順次簡単にお答えを申し上げて参ります。  まず第一に、国税の減税に伴う地方税、地方交付税の減収を避けるためには二八%まで引き上げるべきではないか、なぜ二六%にとめたのかというお尋ねでございますが、私はお説はまことにその通り、ごもっともであると存じます。しかるに、二六にこれをとどめました理由は、昨日この会議の席上においても一言触れたわけでございますが、若干の増収があるということが一つの理由、それからもう一つの理由は、もっともな事柄ではございますが、諸般の国の財政上の理由によりまして、財源が思うようにないということが第二であります。こういうような、一は財源、二は相当の増収ありとの見地から、まあどういう根拠によったかと言われますと、その根拠は、結局政治的な配慮によってワン・パーセントの引き上げに終ったということになるのであります。  それから、続きまする質問は、昨日からたびたび出ておりますが、一体、池田大蔵大臣なり、私の申しております七百億円の増収というものの根拠が明らかでない、なるほど両大臣から、いずれもその根拠は申し上げておりませんので、これを一言申し上げますと、まず事業税におきまして、個人事業税及び法人事業税を通じまして、二百五十五億円の税収の増加がある見込みでございます。それからさらに住民税がございますが、この住民税は、法人割と所得割とを通じまして、この両種を合算いたしまして、百七十二億円内外の増を見込んでおります。それからさらに、固定資産税でございますが、これは国鉄等の三公社の納付金を加えました数字でございますが、百六十億円の増がある見込みであります。そのほかに電気税、ガス税等、これ片市町村税でありますが、税金の増収か四十億円、それ以外のいろいろなる税金の増収が七十二、三億円と見るわけでございまして、これを総計すると、大体六百九十九億円内外、七百億円を一億余り切れるのじゃないかと思っておりますが、そういう現状にありまして、これは決して過大に増収云々を両大臣がいたしておるというわけではないということを、ここに明確にお答え申し上げておきたいと存じます。  それからその次のお尋ねは、膨大な公債費を一体どうする考えか、なぜ別建の柱を立てて、堂々とこれを予算に上して、国の責任を明確にしないのかというお尋ねであります。このお尋ねも、私はこれを拝聴いたしまして、ごもっともなお尋ねと考えます。ところが、ごもっともなお尋ねであるにかかわらず、今年はなぜ予算の別の柱に計上して、予算の実行として、国が責任を明らかにしてこれを補給しないのか、こういう問題でありますが、この点も交付税の税率を引き上げる場合に、やむを得なかったといったと同様の実情でございまして、一に財源の事情によるわけでございます。しかしながら、ただ財源々々とは申しておりませんので、中田さんのお説のごとくに、これは重要な、一年もゆるがせにすることのできないものと、私も就任の瞬間より考えましたので、そこで、これを次のごとく処置をして行くということに、具体的な方針を昨今決意しておるわけであります。それは、自然増収を財源といたしまして補正予算が数日前に閣議決定をいたしまして、中田さんお説の通り、百億円を地方財政の分としてちょうだいすることとなっております。これは本来申しますと、本年補正予算を組んでそのままにしておきますならば、本年これを交付税として使わなければならぬ数字となります。放任しておきますれば、来年おきまして再来年も三十四年にこれを使う数字となります。これに法律改正を行いまして、これを特に来年まで、お言葉の通りを言えば、自前の先食いをして、これで措置をしたい。その先食いの限度を申しますと、百億円入って参ります金の中で、社会党の皆さんが特に御心配をいただいております、昨年末の年末手当をアップいたしました〇・一五増加分でございますが、その増加分の財源が、地方はこれに右へならえしておるにかかわらず、これに財源を与えてございません。この分を本来は交付団体分としましては二十二億円でありますが、それぞれの団体で節約もして、協力もしてくれておりますので、大体七割相当額の十六億余りを、まずこの百億の中から先に支出をいたしまして御期待に沿いたい。残る八十四億円をいかに使うかという問題でございますが、中田さんのお話にかりました地方の再建分五千二百億円というものの中で、特に緊要なものとしてあげなければなりませんものは、給与費関係の百四十七億円であります。国家公務員のベース・アップをする、年末がくると年末手当のアップをする、しかるに、地方に対してその財源措置をしないがために、どうしてくれるのかという結果、しからば借金しろということで公債となっております。こういうものは、相手が裕福であるとないとにかかわらず、これは百四十七億円でありまして、今年三十一年度、年度末の三月末の減債分は九十七億二千万円内外になるわけでありますが、これは元利ともに国家が責任を明らかにして補給をすべきものである、こういう考え方に立って、この八十六億円の中から、とにもかくにもこの金を国家が支出をすることができますような措置を講じて参りたい。  それから第二に、非常に重要な部分は、普通の公共事業費、それから失業対策事業費及び義務教育関係小中学校建設をめぐる経費であります。この総額が驚くべきもので、二千六百三十億円に及んでおります。これの来年分の償還の利息分だけで百五十五億円に上るわけでありますから、この利息全体を国家が責任を明らかにしたいのでありますけれども、これは、何分にも学校を建てれば、その学校は地方に利益をもたらし、公共事業だと、道路、橋梁、河川等、これに金を投ずれば利益が地方に残ってくる事情のものでありますから、この百五十五億円全額の補給は、国の現状からいかがかと考えるもので、本年は、ほぼこの半額に相当する部分八十六億円を傾けて、これを国の方から償還をする、国から補給をするという方針をとるわけでありますが、問題は、おしかりをいただくことと存じますが、どんな方式でこれを行うかという問題であります。それは遺憾ながら交付税方式に基く以外に道はないと、こう考えますので、交付税の法律の付則を改正いたしまして、特にこういうものが、この交付税を通じて返せますように、新たなる新単位費用を設定いたしまして、その新単位費用にのっとってこれを公平に支出して参りたい。これは重大であった五千二百億円の公債費の処理をめぐって、数年間実現のできなかったことでございますが、形はあまりおもしろくないわけでございますけれども、とにもかくにもその第一年度の第一歩に国の責任を明らかにするという大方針を踏み出したものとして、何とぞ御協力をいただきたいと考えるのであります。(拍手)  それからさらにお尋ねの問題は、新市町村の問題でございますが、新市町村は、一体十四億六千万円では足らぬのではないかというお言葉でございます。これは中田さんのお説によりますと、十四億五千万と仰せになっておりますが、さらに八百万円は余分にあるわけでありまして、十四億五千八百万という金額に及ぶわけでございますが、これは本年度はわずかに二億二千万円、今年度わずか二億二千万円ということから考えますならば、新年度におきましては、十四億八千万円という金額を、やむを得ず不十分ながら、これを予算に計上することに方針を取りきめたのでありまして、私の観測では、羊頭狗肉であると言われるほどのことではなかろう、不十分ではございますが、これで最低の行政水準を維持して行く上にはぼつぼついける金額ではなかろうかと考えまして、再来年度におきましては、相当にこれを増額することにいたしますが、来年度はこれでやって行ける考え方でございます。  それから、もう一つお答えをしておかなければならぬ重大な事柄は、私が関西旅行をいたしました際に、住民税は引き上げないと言うておきながら、二十一を二十八に引き上げたのは、どういう豹変の理由であるかというお言葉でございますが、これはお言葉をお返し申し上げるようで、まことに恐縮でございますが、ありのままを申し上げますと、私はそういう非常識なことを申しました記憶は全然ないのでございます。どういうことを申しましたかというと、私の発言の内容を思い出して申し上げますと、現在は二一%であるが、二一%をこのままに放任しておくと、平年度において四百十五億円の減収がある。初年度においては四百十一億円の減収がある。この減収をこのままに放任しておくことは、地方の財政上、逼迫しているときに困るから、何とかこれを御迷惑にならぬ程度に調整をしたい。それを調整するのに、二十八の税率に調整を行えば、その減収分はこれは九十二億円にとどまる。二十八に引き上げても九十二億円の減税になるのだ、引き上げることによって負担の増を来たさないようにするということをくどく、私のことですから親切に言明をしたつもりでございます。(拍手)それが誤まられたということでございますから、この席であらためて言明をいたします。この地方住民税につきましては、二八%以上これを引き上げる意思はありません。これによりまして、なおかつ九十二億円の減があるということを明らかにいたしまして、これを引き上げと言わず、調整するという言葉を遠慮ながら申しているという実情でございます。  御答弁を終ります。(拍手)    〔国務大臣小滝彬君登壇、拍手〕
  32. 小滝彬

    ○国務大臣(小滝彬君) 美保の基地の問題についてお答えをいたします。  防衛庁といたしましては、将来の航空自衛隊の部隊配置の計画上、山陰の方面にも一カ所だけ、最近の戦闘機が発着できる程度の航空団の基地をほしいという考えからいたしまして、でき得べくんば現在の施設を使いたい。そうすれば費用も少くて済むし、その他の面にも望ましい点があるというので、これまでいろいろ技術的な検討をいたしまして、現地についても調査をいたしたのでありまするが、中田君御指摘の通り、鳥取、島根においては、いろいろの事情もございまして、種々陳情も参っております。この際、防衛庁といたしましては、これらの点を十分勘案いたしまして、中田君御指摘の通り、最も民主的な態度をもって慎重に考慮を進めて行きたいと考えております。     ―――――――――――――
  33. 松野鶴平

    ○議長(松野鶴平君) 野坂参三君。    〔野坂参三君登壇、拍手〕
  34. 野坂參三

    ○野坂参三君 私は、日本共産党を代表して、二、三の問題について政府の所信をただしたいと思います。時間が非常に短かいので、外交問題についてだけ質問したいと思います。  岸外務大臣は、外交方針の中で、こう申されております。日米両国間には、政治、経済、防衛等の各方面にわたって利害と目的とが大きく一致している。そしてさらに続けて、日米関係を一そう強固にし、かつ永続性のあるものにすることを強調されているのであります。これはきわめて重大な発言と私たちは考えております。そもそもアメリカの世界政策というものはどんなものであるか。それはアメリカの新しい中近東政策を中心とするアイゼンハワー大統領の教書によって明らかにされております。すなわちアジア、アラブ諸国の分裂を策し、その独立を奪い、同時に社会主義諸国に対して真正面から対決し、そのためには原子戦争も辞さないこと、これがすなわちアメリカの新らしい世界政策の本質であります。だから、ネール・インド首相を初め、アジア、アラブその他の国々の指導者がアメリカのこの政策を非難し、またアメリカの国会内部からもこれを鋭く批判する声があがったのであります。これは皆さん方よく御存じのことです。岸首相代理は、アメリカと日本の利益と目標が大きく一致すると言われていますが、そのことは、すなわち日本の政策がアメリカの侵略と戦争の政策に一致するということを告白しているものと解せざるを得ないのであります。私はまずこの点について首相代理の答弁を求めるものであります。  アメリカのこの新政策は、すでに対日政策の一つとして目の前に現われております。すなわち、先ほどからも問題になりましたように、つい二、三週間前に、日本本土と沖縄に原子機動部隊を配置する計画だと、アメリカは、はっきりと言明しております。これは日本をソビエトと中華人民共和国に対する原子戦争準備の基地としようとしているものであって、わが祖国をアメリカの原子戦争に巻き込み、わが民族を破滅の淵に追いやる戦慄すべき計画であると言わなければなりません。ところが岸首相代理は、この重要な問題に関する同僚議員の質問に対して、たとえば先ほどの中田議員の質問に対して、国務省はこういうことを考えていないと、こういう意味のことを言われておりますが、われわれは、これはまことにそらぞらしい答弁としか聞くことはできません。しかし、この問題は将来考えるというような問題ではありません。もし政府が国民の運命を真剣に考えるならば、今日即刻、断固としてこれを拒否しなければなりません。しかるに政府はこの問題について明確な態度をできるだけ避けて、ごまかそう、ごまかそうとしております。しかし日本の国民は非常に不安の念にかられている。と申しますのは、あの原子砲のオネスト・ジョンが日本に入れられるとき、当時の政府は、こういうものは入れないと言った。しかし知らず知らずの間にわれわれはちゃんと入れられているじゃないか。こういう先例があります、私たちには。従って私たちは、政府がこの壇上から今ここで明確に、これを拒否すると、こういうことを言っていただきたい。もしこれをまだ避けられるならば、政府は暗に、将来こういう提案があれば認める、受け入れるという下心を持っているのではないか、こう言っても差しつかえないじゃないかと思うのであります。(拍手)このような危険な政策をなぜアメリカが日本に強要することができるのでありましょうか。それは、政府の対米従属の基本方針及び安全保障条約、行政協定が存在しているからであります。ところが岸外相は昨日、安保条約、行政協定は改訂の段階ではないと明言されております。しかし安保条約と行政協定をそのままにしておいて、アメリカの押しつけようとする原子機動部隊を政府はどうして拒否することができますか、皆さん。さらに、沖縄の占領、日本本土における原爆基地の拡大と永久化をどうして阻止することができますか、もしできると言うならば、その根拠を具体的にここで答弁していただきたい。  さらに、アメリカの政策に追従する政府の態度は、第十一回国連総会における日本代表の行動を見てもはっきりしております。  第一に、原水爆実験禁止の問題ですが、原水爆の実験を禁止する提案を、御承知のように、ソヴィエト政府が行なった二日後に、日本政府はソヴィエト案を葬り去るような、いわゆる登録制を国連に提案したのであります。これは、わが国会における原水爆実験禁止の決議を完全に無視し、わが国民の期待を裏切り、さらに世界の心ある人々のひんしゅくを買ったのであります。たとえばインドの国連代表はこう言っております。「日本の態度は全く解せない」。さらにインドネシアの代表は、「日本の提案は実験を制限するのではなくて、かえって実験を助長する提案だ」とさえ言っているのであります。なぜ政府はこのような態度をとるのでありましょうか。その秘密を沢田国連大使は現地の記者に次のように漏らしております。すなわち、新聞の報道によりますと、大使は、アメリカの意向を受けて、ソヴィエトの提案を国連総会で取り上げることを防ぐために三国提案なるものを提出した、こういう意味のことを述べております。これが皆さん、政府のいわゆる自主外交の正体であります。このような態度をとる政府に対してわれわれは厳重に抗議しなければなりません。  次にまた国際連合で、南と北の朝鮮及び南と北のヴェトナムを一括して国連に加盟させるというソヴィエトの提案に日本は反対して、韓国、南ヴェトナムだけを単独に加盟させる案の提出国になりました。これこそ、日本がアメリカの片棒をかついで、朝鮮と南ヴェトナムの不幸な分裂を永久化し、アジアにおける緊張を激化させようとするものでなくて何でありましょうか。政府が口にしているアジア、アラブ諸国との親善友好がこれでどうしてできますか、皆さん。もし政府がほんとうに友好関係を願うならば、単独加盟に反対して、一括加盟に当然賛成すべきであります。(拍手)この点について私は政府の明確な答弁を求めます。  最後に一言指摘しなければならないことは、岸外相が、政治と外交の一体化を強調されていることについてであります。すでに明らかにしたように、政府の外交政策の基調は、日ソ国交回復と国連加盟によって開かれた自主独立への道を閉ざし、アメリカの戦争と侵略の政策に追従する方向にさらに進むことであります。従って政府の国内政策は必然的に民主主義をじゅうりんするものとならざるを得ません。たとえば、憲法を無視してまで、労働者の団結権、団体交渉権を否認しようとする最近の労働次官通牒のごときは、その端的な現われであります。国民の民主主義的諸権利に対する政府の重大な挑戦であります。ですから、アメリカ帝国主義への従属を強めること、国内における民主主義を抑圧すること、これがすなわち岸外務大臣の言われる政治と外交の一体化のほんとうの姿であります。(拍手)政府は施政方針の中で、平和、自主独立、民主主義、完全雇用、生活の安定等々を国民に公約しております。……
  35. 松野鶴平

    ○議長(松野鶴平君) 野坂君、時間です。
  36. 野坂參三

    ○野坂参三君 しかし実際に、以上に述べたように、政府がアメリカに対する屈辱的な態度をあくまでとり続ける限り、これらの公約が絶対に実現されないことは疑う余地がありません。美辞麗句を並べた施政方針演説は、ただ総選挙目当てに、国民を欺くためのから約束に終るのであります。……
  37. 松野鶴平

    ○議長(松野鶴平君) 野坂君、時間が参りました。
  38. 野坂參三

    ○野坂参三君(続) すぐ終ります。それゆえにわが共産党は、アメリカ帝国主義への従属を断ち切り、日本独自の立場に立って、平和五原則、平和共存の政策を打ち立てることを一貫して主張し続けてきたのであります。今、アメリカの危険きわまりない新政策のもとで、日本民族の運命が左右される重大なときに当って、あらためて政府に、真実の平和と独立の政策をとることを、国民にかわって私は強く要求するものであります。(拍手)    〔国務大臣岸信介君登壇、拍手〕
  39. 岸信介

    ○国務大臣(岸信介君) お答えをいたします。  アメリカの政策は、AAブロックを分裂せしめて、原子力戦争に導くのが世界政策の本体だと、こういう野坂君の御意見でありますが、これは私どもが見ておるところと全然違うのであります。私はかくのごとくアメリカの政策を見ることは、しいて歪曲して考えておる、かように思うのであります。私どもはあくまでも、アメリカもそうでありますが、わが国の理想が、民主主義国家、平和国家を建設するにあるという見地に立って、この意味において、民主主義国であり、平和を愛好しておるアメリカと大きな目標と究極の利害が一致しておる、かように考えておるわけであります。  原子力部隊をアメリカが日本に進駐せしめる問題につきましては、幾たびかこの壇上からお答えをいたしておりますが、今日アメリカの責任ある国務省や国防省がこれを否定しておるのであります。また、これを持ち込むにつきましては、当然、日本政府との話し合いによってでなければできないのであります。その際に十分に検討して、わが自主独立の立場から、これに対処するということを申しております。  第三の、国連における沢田代表の提議でございますが、これは沢田代表の演説にも明確でございます通り、われわれはあくまでも原子兵器の使用禁止、これを目ざし、従って実験を禁止するということを目ざして、その第一歩として、この登録制というものを提案しておるのでありまして、原子兵器の使用を是認するものでないということを明確に申し上げます。  なお、国内の政治と外交の一体化を説いておりますが、これはあくまで明確にいたしているように、国民の主張は堂々と外国に対して主張すると同時に、日本の置かれている地位を、国際的地位を明確に率直に国民に申し述べて、その理解と協力を得ると、こういう立場をとっているのでありまして、民主主義を圧迫しようなんということは全然考えておらないことは、きわめて明白でございます。(拍手)
  40. 松野鶴平

    ○議長(松野鶴平君) これにて質疑の通告者の発言は、全部終了いたしました。質疑は、終了したものと認めます。      ―――――・―――――
  41. 松野鶴平

    ○議長(松野鶴平君) 日程第二、参議院予備金支出の件を議題といたします。  まず、委員長の報告を求めます。議院運営委員長石原幹市郎君。    〔石原幹市郎君登壇、拍手〕
  42. 石原幹市郎

    ○石原幹市郎君 ただいま議題となりました参議院予備金支出の件について御報告申し上げます。  国会予備金に関する法律第三条の規定によりますれば、各議院の予備金の支出については、これを議院運営委員会の委員長が、次の常会の初めにおいて、その院に報告して承諾を求めなければならないことになっております。ここに御報告いたしますのは、前回の常会召集日、すなわち昭和三十年十二月二十日から今回の常会召集日の前日、すなわち昭和三十一年十二月十九日までの間に支出された昭和三十年度並びに昭和三十一年度の予備金であります。予算額は、両年度とも五百万円でありまするが、昭和三十年度分は、前回、本会議場において御報告いたしました二百七十万六千円のほか、その後、百八十七万二千円が支出され、差引四十二万二千円が不用額となったわけであります。  支出額の内訳は、在職中死亡された故議員大山郁夫君及び三好英之君に対する弔慰金であります。また、昭和三十一年度分は二百九十万八千円の支出があり、差引二百九万二千円の残となっておりまするが、支出額の内訳は、第一に、在職中死亡されました故議員宇垣一成君、重成格君及び小野義夫君に対する弔慰金合計二百八十万八千円、第二に、永年勤続議員表彰のための銅版作製に要した経費十万円であります。  以上、申し上げました予備金の支出は、いずれもそのつど議院運営委員会の承認を経たものでありますが、何とぞ御承諾あらんことをお願いいたします。(拍手)
  43. 松野鶴平

    ○議長(松野鶴平君) 別に御発言もなければ、これより本件の採決をいたします。  本件を問題に供します。本件は、委員長報告の通り承諾することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  44. 松野鶴平

    ○議長(松野鶴平君) 御異議ないと認めます。よって本件は、承諾することに決しました。  本日の議事日程は、これにて終了いたしました。  次会の議事日程は、決定次第公報をもって御通知いたします。  本日は、これにて散会いたします。    午後一時二十九分散会      ―――――・――――― ○本日の会議に付した案件  一、常任委員長の選挙  一、公正取引委員会委員の任命に関する件  一、日程第一 国務大臣の演説に関する件(第三日)  一、日程第二 参議院予備金支出の件