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1957-08-02 第26回国会 参議院 商工委員会 閉5号 公式Web版

  1. 昭和三十二年八月二日(金曜日)    午前十一時十八分開会   ―――――――――――――  出席者は左の通り。    委員長     近藤 信一君    理事            古池 信三君            阿部 竹松君            相馬 助治君    委員            小幡 治和君            小西 英雄君            海野 三朗君            岡  三郎君            島   清君            大竹平八郎君   国務大臣    外 務 大 臣 藤山愛一郎君    国 務 大 臣 正力松太郎君   事務局側    常任委員会専門    員       小田橋貞壽君   説明員    公正取引委員会    委員長     横田 正俊君    科学技術政務次    官       吉田 萬次君    科学技術庁長官    官房長     原田  久君    科学技術庁原子    力局長     佐々木義武君    通商産業政務次    官       小笠 公韶君    通商産業省通商    局長      松尾泰一郎君   ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○経済の自立と発展に関する調査の件  (独禁政策に関する件)  (経済外交方針に関する件)  (科学技術振興の基本方針に関する   件)  (輸入外貨の割当に関する件)   ―――――――――――――
  2. 近藤信一

    ○委員長(近藤信一君) これより委員会を開きます。  きのうの申し合せにより、本日は午前午後にわたることになっておりまして、午前中は、公正取引委員会と外務大臣に対する質疑を行います。  外務大臣が閣議に出席しておりまして、終り次第こちらに来ると、こういうことでございます。従いまして外務大臣の質疑は外務大臣出席後にしていただきまして、現在、政府側から出席しておるのは、公正取引委員会委員長横田正俊君、公正取引委員会事務局長坂根哲夫君、中小企業庁振興課長堀合道三君、重工業局電気通信機課長重見通雄君であります。  質疑のおありの方は順次発言を願います。  その前に公正取引委員会委員長横田君から説明をしていただきます。
  3. 横田正俊

    ○説明員(横田正俊君) 私から、この前の国会で多少問題になりました独占禁止法の改正問題につきまして簡単に御報告申し上げたいと思います。  御承知のように、独占禁止法は二十八年にある意味でかなり大幅な改正が加えられまして、特にカルテルに関する規定の緩和がはかられました。不況カルテル、あるいは合理化カルテルというようなものを認可制度とからませまして認めることになっておりますることと、それから非常に厳格に失しまする予防的な規定のうちの若干のものに緩和をはかるというようなことが二十八年の改正の骨子になっております。ところがその後ほとんど国会が開会されますることに、独占禁止法自体の改正ではなく、御承知のようないわゆる適用除外法律という法令の制定が政府の提案あるいは議員提案の形式によりまして相当数に上って出てきておるわけでございます。これはやはり二十八年の改正では、なお日本の国情に沿わない部分があるのではないかということを物語るものでございまして、従いまして独占禁止法をそのままにしておいて適用除外法令があまり多く出るということ自体がかなり独占禁止法制そのものをゆがめてもおりますし、もう一つは適用除外法のできました業界と同じような事情にございますのにその適用除外法を持たないものとの間のアンバランスというようなものもかなり出てきておりますので、この際これらの適用除外法令をも含めまして独占禁止法制全体につきまして検討してはどうかということで、実は公正取引委員会といたしましては、一昨年の暮からその問題を取り上げまして検討を加えて参ってきたわけでございます。一方通産省の方面におきましても、産業合理化審議会でございますか、あの中におきまして特に独占禁止法問題を取り上げて研究して参っておりまして、いわば公取の研究と通産省を中心といたします研究とが並行して行われてきたような次第でございます。もちろんその間にかなり連絡を保ちつつ私どもの方の事務官が通産省の方の会議にも出席しておるというようなことで、かなりの連絡は保ちながら並行してやって参ったのでございます。ところが先般二十六国会におきまして衆議院の通産委員会におきまして、小笠委員から、独占禁止法を改正する用意があるかという御質疑がございまして、水田通産大臣並びに私から、今までのいきさつを申し上げまして、今後もその研究を続けて参るということをお答え申し上げた次第でございます。なおその際には、なるたけ早い機会に結論をまとめてほしいという御希望もございましたので、できるだけその御希望に沿うべく、前国会終了後、またわれわれといたしましては改正問題につきまする体制を新たにいたしまして、自来今日まで鋭意研究をいたしておる次第でございます。現在の段階は、なお資料を収集いたしております段階でございまして、いろいろの問題点はおのずから出てきておりまするが、それに対する処理の根本方針というようなものもまだはっきりきまっておりませんので、ここであまり具体的なことを申し上げる用意がないわけでございます。ただきわめて大ざっぱに申し上げまして、先ほど申し上げましたように、適用除外法というものが大体カルテルを中心にいたしまして、カルテルの規制を緩和するということにほとんど向けられておりますることからお察し願えますように、やはり今後の改正問題は、カルテルに関する規制をどういうふうにしようか、どの程度に緩和するかというようなことに中心が置かれるであろうと思います。なお不公正な取引方法に関しましては二十八年の改正のときにこれはカルテルとは方向を逆にいたしまして、やや取締りを強化する態度がとられたのでございます。この点につきましては、御承知のように独占禁止法は自由な競争を促進するという面がございますると同時に、競争のやり方の不公正なものを取り締って参るという面がございまして、日本では競争の過度とか、過剰の競争というようなことが特に問題とされますような関係からいたしまして、やはりこの不公正な取引方法というものについての取締りということにつきましては、むしろこれを強化をしていきたいというような空気が一般的でございますので、この今度の改正におきましても、その点はカルテルの規制問題と合せまして、十分に検討して、適当な案を作り上げたいというふうに考えておる次第でございます。  なお予防規定の問題につきましても、前回の改正が果して妥当なものであったかどうかというようなことも、この際再検討してみたいと考えておりまするし、なお公正取引委員会発足以後すでに十年を経過いたしまして、また占領がやみまして公正取引委員会が自主的に独禁法を運用いたすようになりましてからすでに数年を経ておりますので、この間におけるいろいろな経験を生かす意味におきまして、事務処理の方法等につきましても根本的にここで考え直してみたいというふうに考えております。それらの手続の点も実体上の問題と合せて検討いたしたいと考えております。  ただこの独占禁止法の問題は、最近の国会のいろいろな御論議を承わっておりましても、ただこれを緩和するだけが能ではないのでございまして、やはりこの法制に対して相当の信頼を置いている国民の層もございますわけでございますので、この点は慎重に問題を取り運んで参りたいと考えております。もちろん財界その他民間方面の意見も十分に聞きたいと思っておりまするし、役所の関係におきましても、通産省その他の関係官庁とも密接な連絡をいたしまして、最も日本経済の実態に即しました独占禁止法というものに持っていくように万全の措置をとろうと考えておる次第でございます。  はなはだ簡単でございますが、以上をもちまして、独占禁止法の改正に対する最近の動向ということの御報告を終ります。
  4. 近藤信一

    ○委員長(近藤信一君) ただいま独禁法の改正についての所見について説明がありました通り、この問題は検討中であり、きわめて重大でありますので、後日あらためて論議することになると存じますが、これをも含めて、公取に対する質疑がありましたら、順次発言を願います。
  5. 相馬助治

    ○相馬助治君 現在金融引き締めその他で日本の経済界が異常に緊張している際に、横田委員長が就任されて、また再選されたということに対しては非常に御苦労なことだと、かように存じております。で、公取の置かれた本来の性格から申しましても、どこまでも私どもとしては公取が日本の経済秩序を常に正当ならしめると同時に、実は中小企業者のこよなき味方であると、かように私どもは基本的に考えているわけです。  そこでお伺いしたいと思いますのは、今回の金融引き締めによって、中小企業者に与えた影響というものは非常に大きなものがあり、また今後その影響がいよいよ大きくなろうとしていると思うのですが、昨年通産大臣はその答弁の中で中小企業に関しては、いまだ金融引き締めの影響は少いという意味の見解を披瀝されました。これはその見解の相違ではなくて、実はこういう見方というものは、私どもの見解をもってすればはなはだ実情を知らない論ではないかというふうに考えられるわけでございますが、先ほど申しましたような中小企業の将来というものについて重大な意味を持つ公取の委員長といたしまして、今回の金融引き締めによって中小企業にどのような影響が来ているというふうにお考えか、またこの問題について将来の見通しはどのようなものであるというふうにお考えであるか、この点をまず一点承わりたいと思います。  第二の問題は、きわめて具体的な問題でありますが、御案内のように下請代金支払遅延等防止法というのが昨年成立いたしまして、この法律は一年の経験をここに積んだわけですが、実はこの法律の存在理由、存在価値というものが立法当時よりはむしろ今日その重要性が再び強く認識されねばならない時期が来ていると私は考えるのでございます。と申しますのは、通産大臣のお話にもかかわらず、実際にはすでに大企業の金詰まりというものが中小企業に渡す手形の期限がだんだん長くなっておりまするし、各般にわたって支払いの遅延しているという状況が現われております。国会等にもこういうものに対する何とか救済方法はないものかということをわれわれは意見として聞いているわけでありまして、大企業から受け取るべき金が延ばされたり、あるいは時に値引きされるということになりますれば、これは中小企業者にとっては当然その権利が侵害されていることなのでございまして、公取としては断固たる措置に出る必要があるのではないか。そうすることが下請代金支払遅延防止法の立法精神に毛かなうのではないかと、かように考えるのでございまするが、公取といたしましては現在遅延の状況をどのように見ているか、またこの際この大企業と中小企業との関連において本法をどのように通用していこうとされるのであるか、以上二点について私はこの際委員長の御見解を承わりたいと存じます。
  6. 横田正俊

    ○説明員(横田正俊君) 最近の金融引き締めが下請事業者にどういう影響を及ぼしておるか、こういう第一の御質疑につきましてお答えいたしますが、われわれといたしましてはこの結果が当然に一番弱い立場にございまする下請事業者の方にしわ寄せになる、これはほとんど必然的な問題というふうに考えておりましたので、この点は中小企業庁とも密接に御連絡をいたしまして、六月の十八日にやりまして、下請代金支払い遅延等の防止について、という表題で業界の各種の団体にあてまして、中小企業庁長官と公正取引委員会事務局長との連名をもちまして下請業者に対する支払い遅延、あるいは手形のサイトの延長等によって不当に中小下請事業者に金融引き締めによる不利益が転嫁されることのないようにということを特に申しておいたのでございまするが、この通牒を発しまする前に、最近の状況を少し調べておく必要があると考えましたので、ただ範囲が非常に狭うございまして、これをもって直ちに、あるいはこの比率をもって直ちに全体に推し及ぼすということはできないと存じますが、しかしこの五月ごろにやりました親企業者三十社につきましての結果を見ますると、その概況を申し上げますると、五月の上旬に行われました公定歩合引き上げ以後の支払いをまず主として調べたのでございますが、約三分の二につきましては、前とそう変化がないということがわかりましたが、残りの三分の一につきましては支払率が低下しておる、現金が減って手形がふえておる、手形のサイトが長期化しておるという現状が見られたのでございます。それでこの支払率の低下について見ますれば支払い状況の非常に悪化しておりまするものが全体の一割程度、従ってもしこの調子でいきますれば、次回の支払いもさらに悪北されるであろうと思われるものはさらに一割というようなふうに見られるのでございます。それからだんだん手形による支払いがふえてきておりまして、その増加の率は全体のほぼ二割で、従来幾らかでも現金払いがあったのに全額手形払いになってしまったというようなものもございますし、現金と手形とが半々になったというようなものが相当に見られておるのでございます。それから手形の長期化の点につきましては、やはり五月ごろを境といたしまして、手形のサイトの長くなったものは全体の約三割弱というふうな数字が出ておりまして、比較的大規模の親企業で、従来九十日程度のサイトであったものが百二十日程度に延長しておる事例が幾つか見られるのであります。中規模の親企業では十日程度の延長が目立っておりまして、中には自分の九十日サイトの手形の発行を差し控えて、回し手形を多く使用しておるというような例も見られておるようでございます。以上のほか、下請代金の支払いに直接関係のある事例といたしましては、納品の締切日及び代金の支払日を少しずつおくらしておる、つまり五日ぐらいずつその間の期間を延ばしておるというものも見られておるというような状態でございます。こういうようなことでございまして、これはごく一部の調べでございますことは、先ほどお断わりした通りでございますが、かなり下請企業者が困っておりますることは想像にかたくないのでございます。こういう事態に対しまして、ただいま御質疑の第二の点に対する私どものお答えを申し上げますれば、先ほど御指摘のように、この下請に関する法律ができました当時は、むしろ景気が好転して参りまして、それほどああいう法律の必要がなかったような状態になってきておりましたけれども、果せるかなその後だんだん、ことに今年の引き締め後は非常に困った状態になって参っておるわけでございまして、この法律を大いに活用すべき時期が参ったように考えております。われわれといたしましては、毎年全部の企業を対象にいたすことは私どもの事務能力といたしまして、まことに不可能なことでございますので、毎年一応対象といたしまする業者をきめまして、それについて一般的な調査を行い、さらにそのうちで支払いのあまりおもしろくないものにつきましては、さらに精密な調査を行うという方法を繰り返し繰り返しやっておるわけでございまして、だんだんその対象の企業の数もふやして参っております。ことしの企業といたしましては大体二百九十七社を選びまして、これは業種から申しますると非常にいろいろなものにわたっておりますが、二百九十七社の親企業者を対象といたしまして、調査を進めておりまして、大体いろいろな資料が整いまして、現在それについていろいろ集計等を行なっておる状態でございます。この結果がわかりまして、さらにそれにその後のいろいろな動きをつけ加えて参りました上で、先ほど申しました方針に従いまして、支払率の悪いものにつきましては、適当な手を次々と打って参りたいと考えております。なお、今までは大体親企業の担当の人においでを願いまして、いろいろお話をしているうちにいろいろ向うでも工夫をされまして、あまりこちらから形式的な強いことを申しませんでも、こちらの取り上げましたものにつきましては、支払率が次第に好転をしておる。これは事実でございますが、最近になりますると、やはり金融逼迫のせいでもございましょうが、いろいろお話をいたしましても、それだけではなかなか簡単に片づかないようなものも出てきておるようでございます。従いまして、あの下請の法律の中で御承知の勧告ということをいたしまして、それに応じなかった事業者につきましては、その事態を一般に公表するという一つの手続が設けられておりまするので、それに訴えなければならないようなものがだんだん出て参りまして、つい最近に二件それにつきまして勧告いたしまして、もし事業者がこれに応じません場合には、公表の手続にまで及ぼうというふうに考えておるわけでございます。おそらくこれから先もこういう事例がだんだん出てくるのではないかというふうに考えております。われわれといたしましては、まことに人手も足りませんのでいろいろやりたいことが山ほどございまするが、その少い人員を動員いたしまして、今後もますますこの下請事業につきましての関係には全力をあげて改善をはかって参りたいと考えております。
  7. 近藤信一

    ○委員長(近藤信一君) ちょっとお諮りいたします。  今公正取引委員長に対し質疑中でございますが、ただいま外務大臣が御出席になり、外国使臣との約束がありまして、出席の時間が非常に限られている由でありますから、この際外務大臣に対する質疑を行うことにいたしたいと存じますが、いかがでしょうか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕   ―――――――――――――
  8. 近藤信一

    ○委員長(近藤信一君) それでは、さようにいたします。  そこでただいま政府側といたしましては、藤山外務大臣、松本外務政務次官、板垣アジア局長、金山欧亜局長、牛場経済局長等が出席をされております。
  9. 大竹平八郎

    ○大竹平八郎君 他の委員の方々の質問もありますし、時間もございませんので、きわめてまとめて外務大臣にお尋ねをいたしたいと思うのでありますが、本委員会におきまして、先般二十六国会中に岸兼任外務大臣をお呼びいたしまして、言うところの経済外交の基本の方針につきまして、るる所信を承わったわけなんであります。そういう岸さんの経済外交の大きな基本方針の一つとして民間にあって特にその経験豊かな藤山さんが今回外務大臣として閣員となられましたことは、要するに第一次岸内閣の経済外交の基本方針を具体的にどうやっていくか、こういうことの表われかと思うのであります。そういう点におきまして、私どもは藤山さんが外務大臣になられて、今後の諸政策について非常な期待を持つ一人でございます。それでお伺いいたしたいことは、この経済外交の基本方針につきまして、どういうお考えを持っておられるかということ。私どもは民間から外務大臣になられた藤山さんに特に要望いたしたいことは、現在の世界の貿易の状況を見ますというと、アメリカを中心といたしまして、貿易の自由化というものを叫んでおるのでありますが、しかしこれとて何もアメリカが全体の空気ではないのでありまして、特に重工業関係を中心にするものが非常に強くて、それからまた内部におきましては繊維関係その他の弱小産業のものはむしろ反対の状況なんであります。それからまたさらにヨーロッパその他を見ましても、自由貿易化というものは一応は唱えられておりますが、反対の現象として出ておりまするものは、いわゆる地域のブロック化の問題でございます。欧州の共同市場の問題などがそうでございます。それからソ連を中心にする共産圏のやり方、さらにまたイギリスを中心にいたしまするいわゆるスターリング地域と、こういうふうなことで自由化を叫んでおりましても、実際の問題といたしましては、反対の現象が巻き起っていくと、そういうさなかにこの経済外交を進めていくということは、その意味におきまして非常に私は困難が多いのではないかと、かように考えるのであります。  それでお尋ねいたしたいことは、その基本方針に対しまする所信と、それから特に私はしろうと外交と言っては失礼なんでありますが、期待することは、外務省のややともすると従来とっておりまするセクショナリズムでございます。これはできるだけこの機会に廃止といいますか、芟除していただきたいと思うのでありますが、私どもも戦前戦後しばしば海外におきまして事実を見ておるのでございますが、外務省のいわゆる統裁の中に通産官僚もおりますし、その他大蔵省の役人等もおるのでありますが、海外に参りますというと、どうしても外務省中心の空気というものができて参りまして、非常なセクショナリズムを形成していくと、そんなわけでありますから、民間の商社に対する外務省のやり方なども私どもがほんとうに現地に行ってひんしゅくを買うことがままあるのでありますが、こういう意味においてまず一つセクショナリズムをぜひこの際一掃してもらいたいと思うのでございます。これが私が第一にお尋ねします基本方針に対する外務大臣に対する質問であります。  ついでに具体的な問題を一、二お尋ねいたしたいのでありますが、それは今度岸総理がアメリカに行かれまして、非常にアイゼンハワー大統領との間に緊密な外交をやってこられたようにわれわれは新聞を通じて知っておるのでありますが、しかしながら経済面から見まするというと、岸さんがアメリカで非常に歓迎をせられたということの逆に、非常に最近アメリカの日本品に対するところのむしろ排斥と申しますか、こういう状況が非常に強くなって参っております。例のワンドルブラウスの問題はさておきまして、最近の報道によりますれば、米国の関税委員会では例の洋がさ骨の輸入制限について公聴会を開くと伝えられておる。それからさらに綿製品の輸入制限は申し上げた通りでありますが、さらにステンレスの例の洋食器の輸入制限、こういうふうな問題につきましても公聴会を開いておるというように聞いておるのでありますが、こういうような工合に、政治的に非常によくいっていると言いましても、実際問題としてこういう問題が非常に多いのであります。ことにこれらの業に従事をいたしておる方々は、大体が中小企業の関係が多いのでありまして、こういう点につきまして米国側との間に現在どういう交渉をされておるか。また今後の見通しはどうなるかということについてお尋ねをいたしたいと思うのであります。それだけ一応お答えを願って、あとまた一つ質問いたしたいと思います。
  10. 藤山愛一郎

    ○国務大臣(藤山愛一郎君) 今日わが国といたしまして、経済外交の重要でありますことは申すまでもないことであります。従いまして、外務省といたしましても経済外交を推進していくということに全力をあげて参るということもまたこれ当然なことだと思うのであります。で、ただいま御指摘のありましたように、世界におきます一般の希望としてはむろん貿易の自由化ということが広く主張されておるのでありまして、その点について各方面とも、また各国々ともそれぞれ基本的にはそういう考え方で通商の自由を叫んでおります。がしかし、同時にそれぞれの国におきましてやはり自国の業者を保護し、あるいは自国の外貨バランスを合せますために、それぞれの処置をとっておりますることもまたこれ事実なのであります。ことにドルの不足というような事情から起りますそれらの自由化を阻害するような措置も行われてくるというようなことがあるわけでありまして、一方では自由化を叫びながら、一方ではそういう意味において自由化を必ずしも進めていく方向にないような施策がとられているのであります。またヨーロッパ共同市場におきますように、今日のような生産関係の進展から見ますと、大きな市場を一つのブロックとして固めていかなければ、国内市場の狭隘のためにそれぞれの産業が必ずしも十分な発展をしない。従って国境を越えてある程度の共同的な措置をとっていこうという傾向もまた起っておるのでありまして、ヨーロッパ共同市場の問題等につきましてはこれが非常にかたいブロック化になり、また自由化を阻害するということでありますならば相当世界でも問題があろうかと思います。そういう点について、各方面の経済に関係をしております者が論議をしておることもまた皆さん御承知の通りであります。こういう情勢にありまして、日本としては経済を立てて参りまする上において輸出貿易を主として活発に推進して参らなければならぬことは当然でありますので、それらの、根本的には自由主義であるけれども、当面の問題として、各国に起っております諸般の自由化をふさぐような問題についてそれぞれ解決をしながら、またそれに適応した方策をとりながら善処して参らなければならぬということが貿易を推進していきます上において非常に重要な問題と思います。従って外務省といたしましては、そういう面について経済外交の一つの面としてそれらの問題を十分取り上げて、そうしてわが国貿易の進展に資していくと、また通産省と十分な連絡をとってわが国諸工業の発展のために遺憾なきを期していきたいと思っております。  なお経済外交の他の部面は、御承知のようにわが国が今日発達してきましたわれわれの産業の技術、経験等を後進国に貸しまして、そうして後進国の経済の発展をはかり、あわせて政治的独立を達成しましたその裏打ちとしての、独立完成への道の経済建設に協力していくということが、これまた一つの大きな経済外交の面だと思うのであります。この点につきましては、私どもその意味するところを十分に基本的に考えまして、そのこと自体が戦前に言われておるような経済侵略という意味ではないのだと、日本はほんとうに後進国に対して心から手を貸して経済建設をやっていくのだ、それが後進国が独立することの一番早道だ、またそれを通じて世界の平和が確保できるのだ、という根本理念のもとに私どもは善処いたして参らなければならぬと思うのであります。そういう意味におきまして技術的協力、あるいは経験を後進国の方に活用する、われわれの経験を活用する方法手段等にできるだけ示していくということが、一面経済外交の大きな目的の一つだと思うのであります。そういう意味におきまして建設計画に対する協力ということは、これまた経済外交の一つの大きな線でなければならぬと思うのであります。そういうような二つの線を押し出しまして私としては経済外交を進めて参りたいと思うのであります。  が、しかしながら、経済外交を推進いたして参ります場合に、経済外交というものだけが独立してあるわけではないのであります。政治的諸問題の解決とあわせて、やはり経済の問題が関連して参る場合も多いのでありますから、他面では政治的な問題の解決をはかりつつ、経済外交を並行して進めていくという立場をとらなければならぬと思うのでありまして、そういうことによって進めて参りたいと思っております。  で、これを進めて参ります場合に私どもが一番感じますことは、国内各省との連絡が緊密でなければならぬと思うのでありまして、それぞれの貿易に対します分野の経済外交を推進して参ります場合にも、あるいは技術協力の面をやって参ります場合にも、外務省は外からこれを受けます一つの窓口でありまして、その実態はそれぞれ国内各省の行政とつながる、また行政の関連なしに考えて参るわけにはいかぬのであります。従って各省それぞれの行政と十分緊密な連絡をして参らなければならぬと思うのであります。でありますから、私といたしましては、外務省が今後一面では国外に向いておりますが、他面では国内に向きまして、そうして各省との連絡協調をし、またその希望を達成するようにもはかりつつ、また国外に対します問題の場合に、各省それぞれの立場に関して主張が異なります場合には、進んで外務省が各省の立場に協力しつつその円滑な協調に資していくような立場で働いて参らなければならぬと思うのであります。いろいろ外国に輸出をいたします場合に、輸出国から買うものがたくさんあるわけでありますが、それらの配分等に関しても、やはり外務省の見るところもまた各省において十分に参考にしていただく、あるいはそれらのことを基底にして問題を考えていただく、ということが経済外交の推進に非常に必要だと思うのであります。  他面、国外につきましては、これらのことを伸展いたしますためには、外務省の機能の充実をして参らなければならぬと考えます。現在私の見るところでは、終戦後今日までの経過から言いまして、外務省の機構の点におきましても、あるいは人的な立場におきましても、必ずしも今日以後活発に行われます経済外交を推進するのに十分な人手と、あるいは十分な性格とを持っておるとも思いませんので、それらの問題は予算と合せて充実をしていかなければならぬと思います。申すまでもなく、今日以後、外務省がやっております外交、これは全般にわたってそうでありますが、特に経済外交の問題につきましては、民間の意見もまたこれ十分に徴して参らなければいけず、また民間の有能な人の知識、経験等も取り入れて、そうして参らなければならぬと思います。それらにつきましては、法制上あるいは予算上、いろいろな困難もあると思うのでありますが、今日経済外交の非常に重要性を感じております際に、できるだけそれらの点の了解を得ながら外務省の充実をはかって参りたい、こう考えておるわけであります。要するに、外務省は国内各省と非常に緊密な連絡をとりながら、日本経済の発展のために仕事をしていくことなんでありますから、そういう趣旨を十分に徹底していきながら仕事をしていきたい、こう思うのであります。  ただいま対米貿易のことについてお話があったわけであります。御承知のように、いろいろな日本からの輸出商品に対しまして、アメリカ国内で制限措置等を要求する声が起っております。これは外務省といたしましても、できるだけこれらの問題に対処して参らなければならぬ。御承知のように、アメリカは、やはり最も民主主義の発達した国でありまして、国内世論の動向というものが政治家を左右し、あるいは上下両院に反映するということが多いのでありますから、基本的にはやはりわが国の生存に必要であります立場を十分にアメリカ国民に了解してもらいますこと、そのことが間接と申しますか、あるいは基本的に非常に必要なことだと思うのでありまして、それらの点については、われわれとして今後もっともっと力を入れてやって参らなければならぬことだと思うのであります。そういうことのためには、各省の関係を動員していただくことはもちろん、民間輸出業者等とも話し合い、またその共同動作もお願いして、そうしてあらかじめこういう問題につきまして、一面では政治的に日本が輸出貿易をして参らなければ生きていけない、生きていけない結果は日本の生存の問題にも関係するということを申すと同時に、他面、やはりアメリカ業者の理解と同情を得ていくことを考えなければならぬと思うのであります。そういう点に手を打ちながら、今後の問題を進めて参るわけであります。同時に私どもといたしましては、やはりこれは通産省ともお話し合いの上で、日本人業者の方にもやはり輸出国それぞれの事情等について適時お話をしながら共同に適当な処置を考えつつ仕事をしていただくことが適当であろうかと想うのでありまして、必ずしも安売りでありましては日本の利益にならんのみならず、また安売りをすることのために国外からの排斥という問題も起ってくるわけであります。それは、そのときどきの、やはりそれぞれの国の事情にもよるところが多いのでありますから、それらの事情等につきまして、十分財界方面で見ております点を国内の各省並びに業者の方とも連絡して、そういう問題が起ります以前に適当な処置をしながら輸出貿易の伸張をはかっていただくような方法をとっていただかなければならぬと考えます。そういう意味におきまして、できるだけの善処をして参りたいと思います。その他国際的な交渉、話し合い等の機会がありますれば、それらの問題につきましては日本の経済でできる限りのことをして参りますことは、これはもう当然のことでありまして、そういう意味において、日本の経済外交そのものをできるだけ大きく進展して参りたいと、こう思いますのが私の考え方であります。
  11. 大竹平八郎

    ○大竹平八郎君 いま一、二点お尋ねして私の質問を終りたいと思うのでありますが、藤山外務大臣が最も拘負を持っておられるものは、多年民間において唱道せられました東南アジアの開発という問題でございますが、現在、御承知の、私が先ほど申し上げました通り、地域のブロック化によって日本の市場が非常に押えられている。たとえば、われわれの方から綿布、あるいは絹、人絹その他の輸出をヨーロッパにやるといたしまするというと、二、三〇%の関税がかかる。ところが先方同士ですとほとんど無税でいくというような状況、これはヨーロッパ自体というものは、御承知のように日本の輸出の総体の面から見ますならば大したことではないのでありますが、しかし問題は、将来欧州共同市場において技術が向上し、そうしてコストを安くしたものが逆にわれわれの唯一の市場であるところの東南アジア等に進出をしてきた場合、こういう点にわれわれは非常に大きなおそれを持つものであります。ことにわれわれの眼前にありまする中共は、御承知の通り現在はその貿易の量からいたしますれば、八〇%は共産圏、それから最近の西欧諸国の進出の状況を見まするというと、英国は昨年は一千万ポンドくらい、本年は倍額にしようと、こういうようなことで、いろいろな政治的な事情はありましょうとも、大きな期待が持てないと、そういうような四面楚歌にあるような状況下にありまして、どうしてもここで東南アジアの共同市場、これの指導といいますか、先達になるものは、やはり工業力を多分に持てる日本でなければならないと思うのでありますが、これに対する大臣の御所感を簡単でけっこうでありますが、一つお披瀝を願いたい。  それから最後にいま一点、これは具体的な問題でありますが、始終私どもが外貨のバランスを見るときにいつも思い出すのは、例のインドネシアにおけるところの焦げつき債権の問題に対するその処理でございます。それからまた同時に、向うの首相から岸総理あてに親書をもって、そうして賠償に対して具体的なことを言ってきたということも聞いておるのでありますが、インドネシアの賠償の今後の見通しと、その焦げつき債権の処理について、これも簡単でけっこうでありますが、御説明願えればけっこうだと思うのであります。
  12. 藤山愛一郎

    ○国務大臣(藤山愛一郎君) 東南アジア諸国との経済関係は、これは密接にして参らなければならぬことは当然なことなのであります。一面では、ただいま申しましたような、経済建設計画に協力する、他面では、それらの経済建設が進行していく過程に、それぞれの国の生活水準が上ることによって購買力が増進して参りましょうから、その面から日本の貿易が伸びていくという二面を考えながらやって参らなければならぬことだと思います。そういう意味において、経済の安定ということが非常に重大であります。また、大きく協力していくことが必要であるわけであります。従いまして、先般、岸総理が、東南アジアを回られ、また、アメリカに行かれましたときに、東南アジア開発基金の構想を各方面に示されたわけであります。ただいまそれらについての反響、また各国のそれらに対する考え方を逐次集めております。また、最近小林中氏を移動大使として同地に行っていただくことになりましたので、小林大使の報告等も参考にしながらそれらの問題を進めて参りたいと、こう思っております。  インドネシアの焦げつき債権はまことに遺憾なことでありまして、これにはいろいろなこまかい経過がございますが、すでに皆さんは大体御承知だと思いますので、省略さしていただきます。  この問題を解決すると同時に、一方、御承知のように、賠償問題を解決して参らなければならぬのでありますが、賠償問題は一日も早く解決をいたしまして、インドネシアと友好な状態に戻ることが、これは日本国民全部の希望であり、また、日本の経済界のために大きな利益であることは申すまでもないわけであります。単に日本の利益ばかりでなく、今日の現状から見ますと、インドネシアの利益にもなる。従いまして、この問題につきましては、先般ジュアンダ総理から岸総理に当て親書が来ております。それらを基礎にし、また参考にし、今まで日本側が考えておりました案もありますので、それこれ合せて、今後賠償交渉を進展さして参りたいと、こう考えております。同時に、焦げつき債権の問題も、単独に解決することも一つの方法でありますが、あるいは賠償の機会に、あわせてこれが解決をはかることも一つの方法だと思うのであります。いずれの方法をとりますかは、確定はいたしておりませんけれども、インドネシアの考え等も聞きながら、賠償の問題と並行してこの問題を解決して参りたい、こう考えております。
  13. 相馬助治

    ○相馬助治君 ただいま、同僚大竹議員の質問に答えて、藤山外相としての経済外交の基調を述べられたわけですが、その中に、特に、東南アジア、いわゆるこれら後進国の開発問題に関しては、技術提供その他建設計画への協力という線を通じてこれを進めたい旨のお話があったのでありますが、全く私どもとしても同感であります。しかもまた、移動大使の起用等についても、外相就任以来、大方から歓迎されるような手を次々と打って、多くの期待をあなた一身に集められておりますけれども、問題は今後だと思うのです。しかも、岸総理大臣が、わざわざ東南アジアに旅されまして、東南アジア開発の構想を発表し、東南アジア開発基金の問題をひっさげてアメリカに旅をしたというあのじぶんにおいては、非常に多くの期待を後進国で承るアジア諸民族に抱かせたのでありますが、残念ながら、その後の岸さんの行動を通じて、東南アジア諸民族の間には、今日かなり微妙な心境が動いているということも外相はお知りだと思います。しかも、日本が、アメリカにあのような形で頼っているにもかかわらず、アメリカの国内においては、日本商品の輸入禁止または制限の動きがあって、国務省が手をやいているという事実もわれわれはよく知っているわけであります。こういう際において、具体的な問題について、二点、外相の御見解を承わりたいと思うのであります。  第一は、日ソ通商協定の見通しの問題、これは、昨日同僚岡委員が通産当局に対して質問を試みたのでございますけれども、その答弁は全く要領を得ておりません。その要領を得ていないという、その内容は、大体共産国であるソ連の相手の実態が捕捉しがたいものである、第二には、関係各省とも十分話し合わなくちゃならないから、にわかにここで成案らしきものを示すわけに行かないから、まかせてほしい、こういうわけなんです。まかせてほしいといっても、まかせるに足るような具体的なことの片鱗すら示されないというような次第なのでございます。私どもとしては、日ソ通商の現実というものは、全く微々たるものであるということを知っております。また、この問題は、非常に微妙であることを知っております。しかしながら、鳩山首相が病躯をひっさげてわざわざソ連に使いをされて、その後、多くのものの期待、ソ連に対する通商をやろうとする人々の期待というものが、今日大きく裏切られておる事実は御存じの通りです。従いまして、ただいまのお話にもありましたように、各省行政と緊密な連携を保ち、協調しながらやるが、進んで積極的に、指導的な立場をもとりたいという今の外相の御答弁で、私は意を強ういたしましたが、そういう立場からは、日ソ通商協定の見通しをどのようにお考えになり、今後についてはどのような手を打たれんとするものであるか、この際所見を伺いたいと存じます。  第二の問題は、御案内のように、中共貿易は、今日きわめて不振を続けておりますることは御承知の通りで、第四次協定の成立も困難になっております。そこへもってきて、中共の本年度の貿易の引き締め方針と、周恩来首相の談話を初めとする一連の対日強硬方針が反映したものか、今日の中共との取引は、昨年の同期に比べると非常な相違を示しております。どうしてもこの際、例の指紋問題を解決いたしまして、第四次協定を結ぶように、政府自身が積極的な指導をやっていただかなければならない段階が来ておるわけであります。指紋問題が解決しないために、予定された中国見本市の開催もはかどらず、通商協定も全く目鼻がつかない、こういう事態を見て、どうもこの岸内閣というのは、石橋内閣に比べると、中共貿易促進に関しては全く熱意が足りないというので、特に関西財界筋においても、そろそろ岸内閣にはいや気を差しておる。しかし、藤山さんだから、何とかそこはするんだろうというかすかな期待をつないでおるということも聞いておるのでありまするが、私は、指紋問題というのは、日本が法治国家であるがゆえに、法務大臣等が、だめですという議会答弁は、了解はしませんけれども、そのおっしゃる意味はわかります。これは、もう法律だから守らなければなりません。悪法も法律です。しかし、通産省や外務省が、どうも国内法は曲げられぬというように固執するのであるとするならば、これはおとなげないと思うのです。民間出身の藤山さんが、一番この問題について積極的に解決されるとするならば、私は、これは大方の拍手を得るだろうと実は思うのですが、何か問題解決のための便法はないでしょうか。私は、法律を無視してやれと、こう言っているのじゃないのです。法律は私も尊重したいと思うのです。しかし、どうもこの指紋問題でどうにもならぬ、どうにもならぬというのはおとなげないと思うのですが、問題解決の便法はないものでしょうか。またこの際指紋に関する国内法を再検討する御意思をお持ちであるかどうか。  以上日ソ通称協定の見通しの問題と、指紋問題を中心といたしまする中共貿易の問題とについて御質問いたし、ぜひとも、このせっかくココムも緩和をした際でありまするから、商社引揚げ問題というような全く困った問題の起きている現状に対しまして、明快な一つ御指針を本委員会を通じて御発表下さいまするならば大へんにありがたいことだと思うのです。
  14. 藤山愛一郎

    ○国務大臣(藤山愛一郎君) ソ連との関係でありますが、御承知のように日ソ共同宣言において通商航海条約を早急に作ろうじゃないかということもありましたのですが、これはなかなか困難であることは申すまでもありません。そこで、できるだけ貿易並びに支払いの取りきめをいたしたいと、こう思いまして、先般廣瀬公使を団長といたしましてモスコーに調査団を派遣をいたしました。先般帰国されましたのですが、その報告によりますと、貿易協定の締結を、困難ではありますけれども、することができるような状態に逐次なりつつあると考えております。従いましてただいま外務省といたしましては最近の機会に、おそらくは九月の初めごろまでに準備をいたしまして、貿易協定締結の仕事を進めていきたい、こう思って準備をいたしておるわけであります。いずれ交渉につきましては、どこで交渉するか、あるいはどういうような形で交渉するかということもありますので、それらのことも考えたいと思っております。ただ貿易協定をやりましてもすぐに非常に拡大するかどうかはわかりませんが、しかしこれができますれば、貿易促進のために非常な役に立つだろうとこう思ってせっかく努力をいたしております。  それから中共貿易も、さらに進めていくことについては私も異論はないわけであります。また民間におりましたとき私も中共貿易を盛んにやれという主張者の一人であったわけであります。従いまして今後中共貿易を円滑にスムーズに伸ばしていくことについてはできるだけの努力はいたして参りたいと思います。  中国の事情によりましてそのときどきのいろいろな対日感情その他もあろうかと存じまするが、必ずしも、チンコムの問題も解決いたしました今日、貿易量が昨年よりも減るということは考えておらぬ、ただ政治的問題、その他中には誤解もあるものもあるように思いますので、それらもときどきの影響によって、ある場合には若干停滞するような感じもするようなこともあろうかと思います。そういうことを考えましても、そう減っていくとは考えておりません。  指紋問題が非常に両国通商関係に重要だということを、ことに見本市等に関連して各方面からお話があるわけで、実はわれわれといたしましても、通商代表部なり、指紋なり、そういうものをひっくるめて、現在中共貿易をどういうふうに拡大していくがいいかということを考えておるわけでありますが、ただ皆様方に十分な理解を得ておきたいことは、指紋問題とこの貿易問題とがあまりにも今日どうも混淆して錯綜し過ぎちゃっておるわけでありまして、その点は切り離してお考えをいただかなきゃならず、また中共側にもやはりこの指紋問題というものが決して中共だけにやっているのじゃないという理解を十分にしていただきませんと、かりに何か特段のことを考えるという場合には、日本側としては、それは考えられないことになるのじゃないかと思うのであります。これは世界各国の、英米人であろうと、日本に二カ月以上滞在しておる者からは指紋をとっておるのでありまして、決して中共だけをとるというのではないのであります。従いまして何らかの関係で、これを除外するとしますれば、英米西欧人初めすべての関係において除外を認めていくことになるのでありまして、相当大きな問題があります。従って中共側でも、この問題については貿易と切り離して考えていく。また国内問題としても、私どもは中共貿易とこの指紋問題とは切り離して別個に考えていくということが基本的には大事な問題であります。  しかし当面の施策としてからみ合った点をどう解決するかという点については、またわれわれとしても全体としての中共貿易を推進していくという意味の問題のうちの一つとして、考慮はしていかなければならない、こう思っております。
  15. 近藤信一

    ○委員長(近藤信一君) この際ちょっと申し上げますが、外務大臣はどうしても十二時半にここを出発しなければならないとのことですから、質問は簡単に一つお願いいたします。
  16. 海野三朗

    ○海野三朗君 私はそれじゃごく簡単に。ただいまの指紋の問題でありますが、アメリカに私どもが招待されていくときも指紋をとられたのです。ところが外交官はとらないのですね。そういうふうに、そこに幾らか便法があるのじゃないかと私は思うのです。向うに行っての滞在日数もきまっておるし、それであるのにみな指紋をとられたのです、こちらから行くときに。政務次官が行くときもみんな指紋をとられたのです。そういうことは百害あって一利ない。私はアメリカに招待されましたが、アメリカの好意は非常に多とするけれども、いい感じしませんですものね。好意を持てない。そういうことが、外国貿易、つまり中共との関係に非常に私は影響すると思う。ですから、これはやはりある便法をお考えを願いたいということが一つ。  それから、あなたは財界の御出身でいらっしゃいますから、私がちょっと一言お伺いしたいのは、各製鉄会社が溶鉱炉を建てております、計画いたしまして。ところが鉄鉱石の見通しというものがどうも立っていない。ところが過日社会党の淺沼君たちが中共に行っての話には、あの海南鳥の鉄鉱石は十年かないし二十年の契約をしてもらいたい。そうすればそれに相当して設備もし、こちらの方では確実に上げようということの話があったという報告に接しておるのでありますが、鉄鉱石をもっと近く海南島から持ってくれば、私は非常にいいのじゃないか。そういうことに対しまして外相はやはり積極的にこれに御協力なさるお考えであるか。  それから、もう一つはセイロンの片貿易、これに対しましては、セイロンには鉄鉱石の山が相当ある、イギリス人の調査が出ておるので。しかしあそこは冶金学的にも、非常に後進国でありますから、そういう点からの、ゴアから持ってこないで、セイロンの鉄鉱石を日本に持ってくれば、この片貿易も非常によく立ち直るのじゃないか。そういうところの交渉はすべてやはり外務省が窓口でありますから、積極的にそういうことに、国内の基礎産業にも御協力なさるというお考えがおありだろうと思うんでありますが、その点についての藤山外務大臣の御所見をちょっと伺いたい。
  17. 藤山愛一郎

    ○国務大臣(藤山愛一郎君) わが国鉄鋼の問題というのは非常に重要な問題だと思います。ただその鉄鋼をどういうふうにするかということは、これは通産省の行政であります。また、同時に日本製鉄業者の意見もある。外務省としてはそれぞれ通産行政において、決定せられた方法を御援助していく。また同時に、現地各国にあります、鉄鉱事情その他を通産省にお知らせ申し上げ、あるいはそれぞれの国がこういう希望をもっておる。これを業者とも話し合いながら、日本の鉄鋼政策の上に一つ考えてもらいたいという意見を申し上げ、また調査も申し上げる。ただ海南島その他セイロンをどうするかという問題は通産行政だと思いますので御了解願います。
  18. 海野三朗

    ○海野三朗君 そこに、つまり積極的に御協力なされるお考えがあるかないかということをお伺いしておるのです。
  19. 藤山愛一郎

    ○国務大臣(藤山愛一郎君) 今申し上げたような面において積極的に御協力申し上げますことは当然なことだと思います。
  20. 岡三郎

    ○岡三郎君 日ソ通商貿易の問題ですが、一応調査団が行って帰ってこられて、各省と連絡をして逐次やられるというふうに聞いたわけですが、その中で今外相の御答弁の中でどうも決済その他の問題をやっても、何か貿易量は拡大しないかもわからぬというような言葉がちょっとあったと思うのですが、拡大しないようなものだったら何も特別にやる必要は私はないと思うのです。その点やはり対岸貿易として裏日本のこの辺はやはりいろいろの面において産業的においても非常に萎靡沈滞している、そういうような面で相当程度実は期待しているわけなんです。何とか、むずかしい通商航海条約の問題は別にしても、具体的に貿易量が拡大できるような方法を政府は考えてくれるのじゃないかというように、そういう陳情も相当あったわけなんですが、もう少しその点御努力を願えないでしょうか。どうも印象としては、非常に避けておられるような印象を与えるのですが。
  21. 藤山愛一郎

    ○国務大臣(藤山愛一郎君) 私の言葉が足りなかったかもしれないのですが、今申し上げたように、私としましては、日ソ貿易協定をできるだけすみやかに成立するように、そして貿易協定成立は、両国の貿易量増大に役に立つと思っております。ただ私の申し上げたいのは、翌日からすぐにふえないだろうけれども、逐次ふえていくだろうということを申し上げたわけです。
  22. 近藤信一

    ○委員長(近藤信一君) それでは時間がなくてまことに残念ですが、外務大臣に対する質疑はこの程度で打ち切りたいと思います。  速記とめて。    〔速記中止〕
  23. 近藤信一

    ○委員長(近藤信一君) 速記を起して下さい。  引き続き公取委員会の質疑を行います。
  24. 相馬助治

    ○相馬助治君 さっき質問途中でしたが、御答弁の趣旨は大体了解をいたしました、要するに公取が調査だけするのではなくて、下請代金支払遅延等防止法に関連して勧告権及びこれに伴う公表権、こういうものを明瞭にすることによって、一つ積極的に業界を指導していただきたいと、こういうふうに考えるわけでして、そういう積極的な御意思があるものであるか、しかもこの金融引き締めによって中小企業に与える影響というものは非常に大きなものである。こういうふうに重大なものであると御認識をしていただいておる、かように本員は了解をいたしまして私の質問はやめますが、さように了解して差しつかえございませんか。
  25. 横田正俊

    ○説明員(横田正俊君) 先ほど申し上げました通り、この問題はわれわれといたしましても非常に重視しておりますし、積極的にこれを取り上げて参りたいと考えております。
  26. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 横田委員長さんに一点だけお伺いいたします。この独禁法ができて数年たった二十八年に改正して、経済状態と社会状態が違うから変えなければならぬという理由もわかりますが、どうも朝令暮改というようなことも考えられますし、もう一つこの法が完全に運用の妙を得ておるかどうか、こういうことを一つお伺いしたいわけです。法律を直すのもけっこうです。悪いところは削除してよいと思う。挿入することもよろしいでしょう。しかし現在ある法律がその精神通りに運用されておるかどうか、こういう点をお伺いしたいわけです。前国会でできた科学技術情報化センターにしても、あるいは合成ゴム会社、こういう法案、あるいは先国会で継続審議になりました中小企業の組織法案、これも法の違反であるか、あるいはその一歩前までいくか、あるいは違反らしいというにおいがするわけです。こういうのが次から次へと出てきて、法律が悪いためにそのにおいがするのか、あるいはうわさに聞くとどうも、公取に政治的圧力がかかって、どうも公取の意のままにならない、法律が完全に守られてない、こういうことも聞くわけです。従いまして、国民大多数の賛同を得ているというような委員長のさいぜんのお話もございましたが、しかしその反面には非常に疑問を持っておる人もおるということを、委員長もうすうすお聞きになっているのではないかと思います。具体的に例をあげてみましても、関西、あるいは中京、京浜地区の電機メーカー、あるいは化学製品工場、こういうのがやはりどうもカルテル行為、共同行為をやっておるというようなことも新聞に出ておりまするし、事実昨年の夏からこれはやっておるわけなんです。しかし公取では一向取り上げたという話も聞いておりませんし、これに対して注意を促したとか、勧告を下したという話も聞いておりません。法律ができるのは次から次へとどうも怪しげな法律ができ上って、公取では意見を具申しておるのか具申してないのか、こういう点が疑問でありまするし、現在例をあげた点についてもどういう措置をとっておるかどうかということをお伺いいたしまして、今後いつ出てくるかわかりませんけれども、法案改正に当っての審議のかてにしたいと思いますので、一点だけお伺いしておきます。
  27. 横田正俊

    ○説明員(横田正俊君) 独占禁止法がいろいろな面でだんだん緩和されて参りますことにつきましては、その中には適当な、当然と思われるものもございます。しかし必ずしもそのすべてが適当であるとも申されないのでございます。これらの法案が出て参りますつど、公正取引委員会といたしましては独占禁止法を守ります役所としての立場から意見も申し上げ、また大体今まではわれわれの意見に従ってその法案の内容がかなり変っております。しかし、今後やはりそういうふうにわれわれが納得できるような線でこの独禁法の規制というものが行われますかどうか、この点につきましてはわれわれといたしましてはあくまでも妥当な線を守る意思でございまするが、今後の問題といたしましては相当の決意が必要であろうと考えます。  なお、法律の具体的の適用につきましては、御指摘のようにわれわれが反省いたしますれば、いろいろこの独禁法の精神に果して沿った運用ができているかどうかという点につきましては、顧みていろいろ考えなきゃならぬ点がたくさんあるように思います。が、しかしながら何らかそこに政治的な圧力があって、公正取引委員会がなすべき仕事を怠っておるというようなもしお疑いがございましたら、それは全くの誤解でございまして、そういう点は少くもこの数年の間――独占禁止法を公正取引委員会が自主的に運用いたしますようになりましてから絶対にございませんから、その点は特に申し上げておく次第でございます。ただいろいろ能力が足りませんために、いろいろな事件を適切に取り上げることのできなかったものもあろうと思います。しかしわれわれといたしましてはあくまでも全能力を発揮いたしまして、違反事件の発見と、それについての調査ということはやって参っておるつもりでございます。  ただいまお言葉のうちに電気機械のことについて、いろいろカルテル的行為が行われておるのを一向調べておる様子がないじゃないかというお話がございましたが、その点について簡単にお答えをいたします。これはすでに新聞紙等にも出ましたので、大がい御承知と思いまするが、まあ松下電器産業ほか有力なるいわゆる電機メーカー、十六社ほどございまするが、それと販売業者の団体でございまする全国ラジオ電機組合連合会というようなものが中心になりまして、電気洗濯機でございますとか、テレビ受像機、いわゆる電気器具のうちでは相当の価格のものにつきまして、末端のいわゆる消費者に売りまする価格を操作をいたしておるというようなことが問題になりまして、公正取引委員会といたしましては、今年の五月十六日に正式の事件としてこれを取り上げまして、現在鋭意調査中でございます。まだ調査が完了いたしませんので、事務局の段階においてその一応の結論を出すべく努力いたしておる段階でございまして、八月の中旬ごろには委員会に正式にかけることができるというふうに聞いております。で、この内容につきましては、現在調査中のことでもございますので、あまり詳しくここで御披露申すことはできませんが、要するにこれらの電機メーカーが末端の消費者価格――いわゆる正価といっておりまするが、これを守らせるようにいろいろ話し合いをいたしまして、これを守らなかった販売業者に対しては製品を送らない、荷どめをするというようなことをいたして末端の価格を支配しておるというような事実が被疑事実として上っておるわけでございます。これらの高級品につきましても、だんだんわれわれの日常生活にこれを用いることのできるようになって参りましたことは非常にいいことでございまするが、やはり値段の高いということはわれわれにとっては取りつきにくい。その高い原因がどこにございますか、この事件を通じましてわれわれはそういう点にまで入りまして、できるだけ安い製品が消費者の方に渡るように、そこに目標を置きましてこの事件の処理をいたしたいというふうに考えておる次第でございます。いずれ中旬ごろには委員会にもかけられまして、その後委員会としての結論が出されることと思っております。また適当な機会がございましたら、その後のことにつきまして御報告も申し上げたいと考えております。
  28. 近藤信一

    ○委員長(近藤信一君) 他に発言ないですか――では私から一点ほどお尋ねしますが、ちょうど今同僚阿部委員から御質問がございましたが、テレビや電気洗濯機、それから電気器具、ラジオ、こういうものが、昨年の夏名古屋でもデパートと小売業者とが相当問題を起した。で、ことしになってまたこういう問題が起ってきておる。そこで、名古屋地区では、この点で規約の中にうたってそして私設罰金制度というものを設けて、一件当りその違反したものは五千円の罰金を取っておる、こういうような事実があるわけなんです。そういう点について公取委員会は、もしこういうような私設罰金制度というようなことが規約の中でうたわれておる、やっておるということは、これは明らかに独禁法に違反すると、こう私どもは思っておるのですが、こういう点についてはどういうように思っておりますか。
  29. 横田正俊

    ○説明員(横田正俊君) そういうような事実もだんだんわかってきておるようでございまするが、要するにメーカーがさし値をいたしまして、それを守らなかった者にいろいろな制裁を加えるというようなことは、やはり独占禁止法のいろいろ規定がございまするが、不公正な取引方法というようなものにも該当いたしまするし、しかもそのメーカー全部が集まりましてそういうことをいたすということになりますれば、問題によりましては御承知のカルテルの規制の違反というようなことにもなろうかと思います。それらの点につきましては具体的な事実がはっきりいたしました上で公正取引委員会の結論を出したいと考えております。
  30. 海野三朗

    ○海野三朗君 昨日の通商産業大臣、それから局長の答弁は私は満足いかないんです。どういたしましてもまだあの問題がありますから、午後からは通商産業大臣、それから通商局長、それから農林省の経済局長を一つ呼んでいただきたいと思います。どうぞお願いいたします。
  31. 近藤信一

    ○委員長(近藤信一君) ちょっと速記をとめて。    〔速記中止〕
  32. 近藤信一

    ○委員長(近藤信一君) 速記を起して。  午後は二時に開会いたします。暫時休憩いたします。    午後零時五十二分休憩    ―――――・―――――    午後二時三十三分開会
  33. 近藤信一

    ○委員長(近藤信一君) これより開会いたします。  午前に引き続き調査を進めますが、正力国務大臣及び吉田政務次官から発言を求められておりますので、これを許します。
  34. 正力松太郎

    ○国務大臣(正力松太郎君) 一言ごあいさつ申し上げます。  このたび国務大臣に就任しまして、科学技術庁長官、原子力委員長並びに公安委員長を兼務することになったのであります。何とぞよろしくお願いいたします。  科学技術庁長官は二度目でありますが、しかしあまり詳しくないのでありますが、お手やわらかにお願いいたします。
  35. 吉田萬次

    ○説明員(吉田萬次君) 今回はからずも科学技術政務次官に就任いたしまして、私は元来が野人でありまして、沐猴に冠して、非才その任ではないのでありますが、各位の御教示のもとにその任を全うしたいと存じます。  どうぞよろしくお願いいたします。   ―――――――――――――
  36. 近藤信一

    ○委員長(近藤信一君) 次に、科学技術振興方針について、大臣の御所見を伺うことにいたします。
  37. 正力松太郎

    ○国務大臣(正力松太郎君) それでは技術庁長官としての所見を簡単に申し上げます。  一 最近の世界における技術革新の急速なる進展の現状に対応するとともに、今後におけるわが国経済の決定的成長を期するため官民一致協力して、科学技術の振興及び科学技術教育の強化に渾身の努力をいたすべきときと確信する次第であります。  二 科学技術庁は、昭和三十一年五月十九日発足以来、鋭意施策の充実に努め、予算的にも債務負担行為額を含め、三十一年度約三十五億円から三十二年度約百十九億円と著増を見、また、研究所としても三十二年度放射線医学総合研究所の新設を見たが、原子力を初めとする今後の科学技術の振興に即応するためには、予算的にも、行政機構的にもより一そうの充実が要望される次第であり、来年度予算においてもその同期的な確保を期しておる次第であります。この点関係各位の絶大なる御支援御協力を御願いいたします。  三 今後における科学技術振興方策の基本的構想は、次の通りであります。   (1) 科学技術振興長期計画を樹立し、今後における科学技術振興の方途を明示すること、   (2) 官公民を通じて、現下喫緊の試験研究を均衡的に、かつ、強力に推進すること、    (イ) 国立及び公立試験研究機関の設備の近代化及び研究要員の確保とその待遇の改善、    (ロ) 民間における研究活動に対する補助金の効率的活用及び税制上の優遇措置、    (ハ) 研究法人制度の創設及びこれによる研究体制の整備の促進、    (ニ) 科学研究所の整備強化、    (ホ) 電子技術、高分子化学等新技術に関する研究及びその実用化の促進、    (ヘ) 航空技術研究所及び金属材料技術研究所の整備強化、   (3) 新技術開発のための機関を創設すること、   (4) 急速なる世界の進展に即応し、原子力行政の強力なる推進をはかること、    (イ) 日本原子力研究所の施設の整備及び研究の促進、    (ロ) 原子燃料公社の探鉱の拡充及び製錬工場の完成、    (ハ) 国立試験研究機関及び産業界における研究の促進、    (ニ) 原子力関係国際協力の推進、    (ホ) 調査団の派遣等による内外調査の強化及び技術員の養成訓練の強化、    (ヘ) 放射線医学総合研究所の建設の促進等放射線障害防止対策の強化、    (ト) 実用発電炉の導入に伴う諸問題の検討、    (チ) 原子力関係知識の普及徹底、   (5) 日本科学技術情報センターの充実強化をはかること、   (6) 内外における科学技術の動向に関する調査活動を強化すること、   (7) 資源に関する調査活動を強化すること、   (8) 東南アジアを初めとする海外諸国との国際的な技術協力を積極的に推進すること、   (9) 科学技術教育の画期的な強化をはかること、   (10) 原子力行政を含めた科学技術行政機構の充実をはかること、  以上の諸点であります。  要するに、科学技術の振興ということ、科学技術者の養成という点を主題としておるわけでありまして、御承知の通り、日本では従来文科系統を中心として文科の学生は七割を占めて、理工科は三割程度である。しかし今世界の情勢を見ますると、ソ連に至っては、科学技術の学生は七割、文科系統は三割である。また、アメリカの情勢を見ましても、科学技術の学生が五割、文科系統が五割、われわれどもの念願としておるところは、今までの文科系統七割、理工科系統三割というこれをどうしても文科系統が五割、理工科系統五割、そういうところまでもっていかなければ、この人口が多くて資源の乏しい日本の文化開発はできん、こういう信念のもとに立っておるのであります。何とぞ御審議をお願いいたします。
  38. 近藤信一

    ○委員長(近藤信一君) それでは御質疑のおありの方は、順次御発言を願います。
  39. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 ただいま正力国務大臣から所見を承わったわけですが、相当数多くの内容を盛った美言麗句をもって羅列しておられますので、時間がないので、これは後日お承わりすることにして、一、二点だけ時間がございませんので、お伺いいたします。それは前企画長官であり、科学技術庁を担当しておった宇田大臣からもお伺いしたわけですが、その当時は原子力発電について九電力会社の構想とか、あるいは電発の構想とか、電機メーカーの構想とか、いろいろ各個ばらばらな構想があったわけで、宇田国務大臣は各種の部門を担当しておられたので、なかなか、一本化に努力されたようですけれどもならなかったわけです。正力さんが大臣になられたとたん、短期間にこれを一本化したという手腕力倆については非常に敬服しておるものでありますが、この内容はわれわれ新聞記事しか承知しておりませんので、大体どういうような構想でいって、何年ごろには何万キロくらいか、コストキロ当りどのくらいでできるかということを、もし大体の構想がおわかりになっておれば、お知らせ願いたいと思います。
  40. 正力松太郎

    ○国務大臣(正力松太郎君) それではお答えいたします。実は民間及び電源開発株式会社一本化については大体は話はついておりますけれども、まだ具体的の問題についてはなおはっきりせん点もありますので、ちょうどきょう原子力委員会がそれで開いているので、急を急ぎますので、早くきめたいと思ったのであります。そして何がゆえにこれほど急を急ぐかと申しますと、実は御承知のように日本は電力事情が非常に切迫しておる。ところが原子力発電というものは、少くとも昨年の一月前まではほとんど夢のように考えておったのであります。原子力発電が夢のように考えられておったのが、昨年の四月、五月、イギリスから原子力の権威であり、またイギリスの原子力発電炉を作ったヒントン卿が来て、イギリスではりっぱに経済ベースに合うという証明がつくようになった、それだから十月にはそれを見せる、こういう話です。それで私ども驚いたわけです。そのときちょうどアメリカからも同様の調査団が来ておりまして、アメリカの調査団に聞くと、なかなか原子力の発電が経済ベースに合うということは、ここ一、二年じゃむずかしいということでありました。でありましたから、私はさらにヒントン卿を私の官邸に呼びまして、自分は責任ある大臣として君の話を聞きたいのだということを念を押しました。そうしたところが、自分は責任ある答弁をする。必ず経済ベースにイギリスで合う。日本の方の事情はそれは知らんが、思うにそう違うものじゃあるまいという話であったのです。それで私は、いやしくも経済ベースに合うというあなたのような専門家が言われることだから間違いないと思うが、なおしかし、日本とイギリスと国情も違うことだから、日本から調査団を送る。調査団を送って、それは日本におけるエキスパートを選んで調査団にして、あなたの方の実際を見せてもらう。そうしてほんとうにイギリスでも経済ベースに合うし、また日本においても経済ベースに合うということならば自分は買いたいと思っている、こういうことを言ったのです。それは今申し上げたように、アメリカが来て経済的に合わんという、しかも私が直接聞いた話であります。そこへイギリスがそういうことを言うのだから、それで原子力委員会に諮って調査団を送りました。調査団は、これはことに中にはアメリカ一辺倒といわれる学者まで加えました。そうしてイギリスで調査しました。調査した結果、帰って来て、いずれも経済ベースに合うということは間違いないと思う。しかもこの調査団の報告は、これはありのままに申し上げますが、私は一基一万キロワット百五十億と言うたのでありますが、しかるに調査団の報告によりますと、二基三百億で買った方がよかろうという報告まで出しているのであります。これほど日本の原子力に対する考え方が一変しました。そこで経済ベースに合うということになりましたものだから、今電力で困っている電力会社が進んでやりたいという気になったのです。しかし、中にはまだ調査団が言っても、なおしかし経済ベースに合うかどうか、つまり経済ベースに合うというのは、大体こういう標準に私どもはしております。今日本の新鋭の火力の料金は、東京及び大阪、水力の近いところじゃない東京・大阪で四円五十銭です。その四円五十銭に大体いくという報告であった。新鋭の火力電気で四円五十銭かかるが、高いところは六円も六円五十銭もしております。その新鋭四円五十銭でいくならば、これは日本で一つ入れるべきものだろうという考えを起しました。  ところが、初めはなかなか政府においてもそう金はありません。それで幸い民間がそれほど熱が出て来たものならば、この民間の力また公社の力を合せてやろうということで、今まで電発では自分でやりたい。なかなか経済ベースに合わんのだから、だからこういうものは自分の手でやりたいという意見がありました。ところが、私はこういう重大な問題はなるべく、少くとも初めのうちは日本の官民協力のもとに各種の者が集まってやった方が一番よかろう。そうしてこれがほんとうにそれでうまくいくならば、それは別々にまたやらしてもいい。初めのうちはただ経済ベースに合うという意味ばかりではない。これによってほんとうに原子力の技術を修得することができる。幾ら今日本で研究しておりましても、ただ話だけではいけません。実際のものを持って来てそうして見れば、これは原子力の研究の上においても非常に役立つ、だから単に経済ベースに合うから買うというのではなしに、これは日本の原子力の研究を促進発達さすによい、こういう考えで皆さんに諮ったわけであります。これはすでに宇田前大臣の非常な努力によりまして、前内閣時代にも相当に具体化したのでありまして、だいぶ進んで準備ができておるところに私がたまたまきまりましたので、なおそこで一そう早くいった、こういうふうなことでありますので、この点において宇田前大臣の努力も多といたします。と同時に、私はできるものならばこれはやはり官民一致合同して、全国民が一つとなってそういう英国が安いというならば、またアメリカは三年先にできるとか、四年先にできるということは言うています。言うていますけれども、しかし現在できておるならば買った方がいいのじゃないかというような考えで、今までアメリカを非常に考えておったのが、そういうような理由でイギリスのコールダー・ホールを買ったらどうだという議論を今原子力委員会でやっておるところでありますが、でき得べくんば今日にでも委員会としての結論を出してみたい、こう思っております。何分これに対する反論も相当に強くありますけれども、私はほんとうに経済ベースに合うということが確かならば、一日おそくすることが一日日本の研究をおくらすことじゃないかという考えもあって、熱心に推進したいと思っておる次第であります。
  41. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 国務大臣の並々ならぬ外国との渉外活動はよく理解するわけですが、アメリカあるいはそれより、その一割にひとしいイギリス、それと比較しても日本の原子力に使う金は微々たるものですから、これはアメリカ、イギリスと比べて問題になりませんけれども、しかし、日本の国の全体から見れば、やはり百億近い金ですから膨大なものです。ですからそういう折衝はわかりますけれども、私は所管大臣から、しからばそれだけの金を使って、また来年もふえると思います。当然予算をふやさなければならない。そうすると大体昭和四十年ごろは何万キロきて、それがキロ四円かかるものか、七円五十銭かかるものか、あるいは十円かかるものかそういう構想で進んでおるというその具体的な構想をお伺いしたかったわけです。それがないのでまあいいです。ただいま国務大臣の構想に対して、今日の朝日新聞にこういう記事がのっています。これはあなたと同じ岸内閣の閣僚である河野さんがこう言って書いておる、大臣お読みになったかどうかわかりませんが……
  42. 正力松太郎

    ○国務大臣(正力松太郎君) 読みました。
  43. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 原子炉問題に対して「正力構想ではダメだ。」こういうことを書いておりますね。「発電用原子炉を九電力、電源開発会社や電機メーカー合同の新会社で受け入れようという話(正力構想)だが、原子力問題は今後どう発展するかわからない。国の産業に大きな影響のある原子力開発を民間会社や一部の人々の権益に属させることには反対である。」こういうことを河野さんが言っておるわけです。これは河野さんも私どもの委員会を担当されておる大臣ですから、これは河野さんに確かめてみなければならぬが、同じ岸内閣の閣僚が、全然百里も違う話をしておる。ですからわれわれ一般議員にしても、国民にしても何をたよっていいのかわからない、原子力いずこに行くぞというか、わからない。それから朝日新聞がでたらめを書いたことになるかもしれません。あなた方を追及すると朝日新聞がでたらめというから朝日新聞がでたらめか、河野さんがでたらめか、あなたのおっしゃることがでたらめなのか、この三つのうちのどれがでたらめか、御回答願いたい。
  44. 正力松太郎

    ○国務大臣(正力松太郎君) 朝日新聞の書いたことをでたらめとは、全部でたらめとは思いません。しかしながら、多少の間違いはあると思います。私は河野君の構想でもなかなかいい点もあると思います。ただいま民間の会社をやっても、その会社にまかせはしません。やはりこれは政府において相当の監督権を、コントロールしなければならない、これを河野君が力説していますから、これは私も同感であります。この点をなおよく研究いたします。そうして今度できる会社でそれで原子力をずっとやろうというのじゃない、まずこれだけやらせる程度です。あとはまた別です。  そうして先ほどの、それじゃお前はどういう構想を持っているのだというお話しでありますが、これはごく簡単に申し上げますと、今原子力委員会で大体考えておるのは、四十五年までに三百万キロワットくらい原子力でやろうという考えを持っておるのです。まだこれは正式にきまっていませんが、大体の考えです。それで今度のこれを一基入れるにしても、今の十四万キロを入れるか、あるいは二十五万キロ入れるかという、今度はたとえ会社を作っても、すぐイギリスのを買うというのじゃない、もう一ぺん事は重大ですから、調査するつもりです。調査してこれで間違いないというときに初めて買おう、こういう意味ですから、一つどうぞ御安心を願いたいと思います。
  45. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 最後に一つ時間がございませんがお伺いしますが、そうしますとあれですか、たとえば原子力の炉を求めるのに、アメリカもありましょうし、イギリスもありましょうし、それとも日本で独自でやるという場合もありましょう。つまり日本でやると現在では相当おくれているから、金が多くかかって時間が長くかかるということもありましょう。しかし日本の将来のためには、金はかかってもやはり日本独自のものを三年や五年おくれてやることもありましょう。その三つのうちどれを主としてやられるつもりでありますか。
  46. 正力松太郎

    ○国務大臣(正力松太郎君) われわれはイギリスから買うの、アメリカから買うのというのも、結局は日本独自のものを作ろうというのが根本の趣意です。その日本で作るために、外国の方を一つ初め入れてみようということで、国産品はわれわれの根本の目的であり、またわれわれはそのように努力しているわけであります。
  47. 海野三朗

    ○海野三朗君 ただいま正力国務大臣のお話を伺っておりますというと、まことに誠心誠意御熱心な点につきましては、私は非常に敬意を表するものでありますが、私が昨年アメリカに参りましたときにバブコック・ヰルコックの招待を受けて話を聞きました。その説明を聞きましたが、そうしますと向うのエンジニアが説明しておる中でごまかしが一ぱいある。私はばかげてしまいましたから、途中にして私引き上げました。それは私の専門と関連する点からです。熱の問題についてはごまかしでありました。そうして引き合うかといったところが、引き合うというのです。そこで私はイギリス人とアメリカ人とを比べまして、学者の立場からいって、イギリス人は商魂たくましいというふうに私は見てきました。商魂たくましい……、引き合うのだ、それは引き合うかもしれません。しりませんが、バブコック・ヰルコックのエンジニアの説明は私は信ずることができなかったです。それでもう三十分ほど説明を聞きましたけれども、あまり人ごみであったし、引き上げましたが、当時調査団でこちらから行っておりましたあの電気方面の調査団の人たちは、皆感心して聞いておりました。わからないのでしょう、あれは。(笑声)あれはわからないからごまかされているのです、実際は。それで私はイギリスから購入するとか、アメリカから購入するということは大いによろしいです。これは私は賛成いたします。一刻も早く購入すべきものである。しかしながら、ここに忘れてならないのは、独自に作り出すということです。それで今電気会社が一生懸命になって、原子炉さえ買えばすぐ発電できるように考えているが、これは大間違いですよ。一例を申し上げますれば、ハイヤーを買うのです。アメリカからハイヤーを買って運転します。ガソリンも買って……、ところがちょっといいかもしれないけれども、すぐそのうちに故障が出てきます。やれネジがどうした、スプリングがどうした、スプリングの工合が悪くなったから、またアメリカにいってやる、それまではそれをストップしておかなければなりません。ちょうど原子炉も同様です。これは私ははっきりと責任を持って申し上げます。すぐさま購入しても、直ちにそれはできるものじゃない、その間に使えるときもあれば使えないときもあるのです。それはそういうことがあっても、購入しなければならないと私は思います。一刻も早く日本の原子炉、国産の原子炉に向って進まなければならないと思いまするから、私は賛成をいたしますが、どうも私は国務大臣にはなはだ失礼かもしれませんけれども、あの人たちがこれは大丈夫ですと言うと、それでは大丈夫か、こうお考えになっては、正直過ぎていらっしゃるのじゃないかと私は思うのですがね。実はうそが一ぱいあると私は思うのです。
  48. 正力松太郎

    ○国務大臣(正力松太郎君) ただいま海野先生からの御注意は、まことに有益な御注意として拝聴しておりました。今の点は十分考慮いたしまして、向うの技術者がいいと言っても、商売人が言うても、なかなかほんとうにしませんから、こっちからもその専門家を連れて行きまして、よく調査してありますから、どうぞこの点については御安心を願いたいと思います。どうぞよろしく。
  49. 海野三朗

    ○海野三朗君 そこでただいまのこれと、もう一つ私は特に申し上げておかなければならぬと思いますのは、このただいま御発表になりました科学技術振興方策についてでございますね。これをずっと見ておりますというと、民間の研究はあまりかまわないというお答えになっておるのです。資源科学技術研究所なんというものは、これからはずれておるのです。私はそういう方面はいかがなさるものであるか、そうして、原子炉というものは一つだけぽつんとできるものじゃなくて、それに関連しておるところの金属の材料、金属の材料と一口に申しましても、非常に数が多いのであります。そういう方面の研究を促進しなければなりませんけれども、それを研究しておっても、連係がついておりませんと、何らの活用ができなくなると思うのですが、で、その連係について一例を申し上げますると、過日、私は予算委員会でも申したと思うのでありますが、東北大学計測研究所、あそこでは知能測定器というものがすでに発明されております。知能が、ばかだか利口だか、頭にかぶせて電気で計っているのです。少し低能なものはばらばら落第していくわけです。その機械を一昨年私は見た。それから昨年私はある人を連れて行って見せました。ところが、今は大学病院が借りていっておられる。大学病院に、電話して聞いたところが今これを使っておる、それで、そのときには見られませんでしたが、それはもっとたくさん作ったらいいんだとこう言いました。もっと宣伝したらいいのだと言いました。学者は宣伝なんということは考えていませんね。それでありますから、各研究所が幾らたくさんあっても、常に技術の優れたところを見て回っておる人、いわゆる何と申しましょうか監察官とか調査官とでも申しましょうか、そういうブレーン・トラストを置かないと、せっかくのものが応用できなくなると思うのです。どこそこの研究所はあれをやっておる、あれは非常によいことだというてこれを世の中に引っ張り出す、応用するようにしなければいけないのじゃないかと思うわけですが、この項にはさらにお述べになっていらっしゃらぬように思うのでありますが、この点いかがでございますか。昨日私は、五酸化バナジウムを最近作り出したところの工場があります。それを私昨日見に行きました。まことに適切な製品なんです。このバナジウムというものは、ポケットラジオのターミナルのところにも使っておるものです。アメリカのようにそういうものをピック・アップしてやる人がどうしても私は要ると思うのでございますが、これはいかようにお考えになりますか、これが一点。  もう一つ科学教育を盛んになさっても、技術者を事務官よりも下に劣等視しておる現在の日本のこの政治のあり方、また研究者を技術者よりもう一段低く見ておるこの日本の現状、これを改めない限りは、幾らあなたが一生懸命におやりになっても動かないと私は思うのですが、この点はいかがでございますか。
  50. 正力松太郎

    ○国務大臣(正力松太郎君) 今のお話は二点ともまことに同感であります。その点について特に注意をいたしますが、ことに最後の点の、技術者を事務官の下に見るのはいかぬということは、それは同感です。また、われわれは決して技術者を事務官の下に見ない。それこそ私は文科系統と工科系統のものを一緒にしなければ日本はいかぬと思っておりますから、御趣旨の通りに努めてやります。
  51. 大竹平八郎

    ○大竹平八郎君 いろいろ質問をいたしたいのですが、時間が過ぎたようでありまして、一、二点ごく簡単に申し上げますが、一つは、これは原子力の問題は、国民の大ぜいの賛成を得るということは当然なんでありますが、そういう点につきまして、いわゆる原子力関係の通俗的な普及というような面につきまして、なかなか原子力というものは、相当な人でもなかなか解しにくいのであいますが、これを国民の一人でもよけいな質問を得て、そうしてこの莫大な予算を取る、こういう意味から、通俗的な一つの普及、こういったことが非常に必要だと思うのでありますが、これについて今後どういう御所信を持っておられるかということ。  それから、いま一つは、技術者の問題なんでありますが、これは理論物理学とかいって、非常に高度な高等数学的なものを要するので、一応年令的な問題もありますし、それから、さっき大臣がお話しになりました、ソ連の最近の工業技術者関係なんか見ましても、パーセンテージにおきましてはアメリカなんかを、はるかに群を抜くような勢いでいっているわけなんであります。こういうわけで、どうしても技術者の養成、しかもこれは年令的にも関係がありますが、ことに原子力の問題につきましては、特に必要ではないかと思いますが、いろいろ書いてありますが、これについてごく簡単でよろしゅうございますが、具体的な何がございましたら……、ほかの点はいずれ次回で。
  52. 正力松太郎

    ○国務大臣(正力松太郎君) ただいまの御質問、まことにごもっともでありますが、実は先ほども申し上げましたが、原子力はむずかしいが、われわれは今までずいぶん普及に努めてきたつもりなんであります。現に博覧会を、あの通俗博覧会を、おそらく世界でああいう大きな原子力の博覧会をやったということはないのです。われわれはドイツでやっておるとかフランスでやっておるということを聞きました、アメリカが……。それですから私どもから申し込んで、どうしても日本は広島、長崎で原爆に会っておるのだから、日本で原子力を盛んにするためには、国民を納得させることが必要だ。それにはわれわれはいろいろな宣伝のポスターをやっておるけれども、何しろ見せなくちゃいかぬ。それだから日本では一つ世界最大の博覧会をやりたいと思って私は申し込んだのです。ところが、最近アメリカも協力してくれまして、今日本全国各地でやりましたが、いずれも好評でありまして、現在今富山県の高岡でやっておりますが、これには学生が非常に来ます。それは一面原子力の知識養成と同時に、科学知識の養成にもなることと思って喜んでおるわけであります。なお、今後一そう御趣旨に沿うように努力いたします。  なお、技術者の問題は、先ほど海野先生から話があったのですが、これは同感です。これは先ほど私が申し上げましたが、日本の国を伸ばすには、技術者をたくさん養成しなければならないと同時に、相当優遇しなければならない。少くとも文科系統と同一の待遇を与えなければならぬと、こう思っておりまして、これは海野先生の注意のありましたと同時に、一つ大竹先生からも御注意がありましたから、なお一そうこの点には注意いたします。
  53. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 次官でも、また直接担当されておる局長さんでもけっこうですが、三百万キロ発電するということについて、宇田前国務大臣も六カ月ぐらい前にそう発表したように新聞にも出ておりましたし、御本人も言っておりましたが、本日正力さんにお伺いすると、大体年数にして五カ年ほどおそくなったような気がするのですが、三百万キロ発電力を起す場合の基準をどこに求めているのか、その点をお伺いしたいのです。ただでたらめに三百万キロとおっしゃっておるわけでもなかろうと思うのですが。
  54. 吉田萬次

    ○説明員(吉田萬次君) 私もその三百万キロワットの根拠ということは十分に存じません。御存じの通りにコールダーホール型の原子炉を輸入するといたしましても、これを注文して三十五カ月もかかる、またこれを日本に備えつけるということになりましても、半年近い日子を要する。現在一キロワットの建設費が十一万円かかる、それを火力の八万円ぐらいに比べれば相当高い。またしかしながら、水力の今日のあり方でいえば二十万円かかるというようなこともあります。しかしながらこれを一キロワットアワーに換算いたしますると、先ほど大臣に言われたように、四円五十銭という値段が出る。英国ではこれが三円あるいは三円五十銭でできるということは、これは利子の関係もありますし、また減価償却の関係も影響しておることと思いますので、これは同一視するということはできませんけれども、しかしながら将来四年か五年後においての一キロワットアワー四円五十銭というのは、日本の今日の国情として石炭の窮乏している、あるいは石炭の値上りということから考えたら、高くないということから考えまして、今日二十五万キロワットのコールダーホール型の原子炉を輸入するということにつきまして三百億近い金を出すということになりますが、それから換算いたしまして、そして三百万キロワットということが出たのではないかと想像いたしますが、しかしながらその根拠がどこにあるかということは、私ではわかりませんので、係りの者に答弁させます。
  55. 佐々木義武

    ○説明員(佐々木義武君) 昭和四十五年に大体三百万キロワットという数字は、これは通産省と経済企画庁並びに科学技術庁の三者で原子力委員会の方からお話がございましたので、事務的にいろいろ計算をいたしまして、大臣も先ほど申しましたように、まだ最終的な政府の決定とまではなっておりません。中間の案でございますが、それによりますと昭和四十五年には二百四十万キロ、昭和四十年までに六十万キロ、合せて三百万キロを四十五年までに実施したいというのが、今の電力の需給関係から見まして、これを水力、火力いろいろ分けて計算してございますが、国の経済の伸びから推して、一体どのくらい電力量が必要であろうか、その中で水力、火力はどういうふうに今の資源面から見て伸ばしたらよかろうか、その火力の中でも油、石炭、原子力の三者を比較検討した結果、どうしてもこのくらいのものは原子力でやるべきじゃなかろうかという中間的の結論が出ておりますので、その点を御参考までに申し上げておきます。
  56. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 それからその次にお伺いしますが、原子炉の発電をする個所ですね、つまり宇治なんか問題になっていますね、土地ですよ、日本は世界で有名な地震国であって、地震がやはり炉を据え付けるのに一番条件が悪いということになるのですね。そういうようなことで膨大な土地を必要とするのですから、今から土地の手当てをしておかなければならぬでしょう。そういうものの見通しなんかどうなっているのですか。一体どこに土地を買い求めてやるとか、そういう構想は全然ないのですか。
  57. 佐々木義武

    ○説明員(佐々木義武君) 先ほど大臣からお話でありましたが、英国から最初に入れるコールダー・ホールの改良型炉の敷地でございますが、これに関しましては、ただいまのところ東海村を予定しておりまして、東海村の現在作っております試験炉の北側になりますけれども、いろいろ調査した結果、まあ最適だということで、大体そこに置こうかというようなことも、実際にまだ買うということがきまりませんと問題になりませんけれども、一応の予定にしております。
  58. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 東海村一カ所だけで足らんでしょうから、やはり土地を手に入れるのでも、一年も二年もかかると思います。従ってそういうことはやはり早く手に入れるために準備が必要だ、そういうことにはやはり努力をしていただかなければならんのでありますが、いま一つ東海村ですが、この前の国会で佐々木局長さんは声を大にして試験炉は七月には動き出すということでしたが、もう動き出していると思うのですが、その結果をお知らせ願いたいと思います。
  59. 佐々木義武

    ○説明員(佐々木義武君) 東海村の初めの予定では、この春の国会でも申し上げましたように七月の末には動く予定でありましたが、パイプの一部が少し故障があるように聞きまして、その方を完全にしてからいたした方が万全ではなかろうかということで、その補修にかかりまして、その方が若干手間どった結果、予定よりも若干延びておりますが、今月の、きょうは一日でありますから、二十日ごろには大体間違いないのではないかというふうに考えております。
  60. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 それから本年度の予算に、はっきり記憶しておりませんけれども、探鉱費ですね、ウラン探鉱費、あれは三億円だと記憶しておるのですが、そのくらい計上してあるはずですね。あれでどういうふうなことでやっているのですか。まだ全然手についておらぬわけですか。
  61. 佐々木義武

    ○説明員(佐々木義武君) 探鉱関係はこの前にも御説明申し上げましたように二つに分れておりまして、一つは、地質調査所で概査と申しまして飛行機の上とか、あるいはトラックで調査をいたしまして、そして大体ここら辺はほぼ確実だというところをたえず見つけております。それを追っかけて原子燃料公社で精密な調査をいたしまして、精密な調査と申しましても、ボーリングをしたり、あるいはトレンチと申しまして上層をはぎまして、大体の鉱量を見当ずけるわけであります。あるいは実際の坑道を掘って実際にやってみるというふうなことをいたしませんと、ほんとうの姿というものが出て参りませんので、実際の開発ということになりますとそういう精密調査、資源調査と申しますか、そういうものが必要になって参りますから、その方を原子燃料公社でやっておるわけであります。  そこでまず前段の地質調査の方の調査の成果でございますが、これは御承知のように最近大へん、今まではむしろ中部と申しますか、岡山、鳥取の県境の方面を中心にしてやっておったのでございますが、その後宮城県の北部、岩手県の一部などに相当いい鉱床が見つかっておりまして、この方面も来年から精査の段階に入らざるを得ないのではないかと思っております。一方、原子燃料公社の方といたしましては岡山、鳥取の県境の方面の例の人形峠の方は、調査をいたしますればいたしまするほどますます範囲も広がるし、鉱員も多いということがわかって参りましたので、その方面も大いにやって参りたいと思っております。そのほか山口、岐阜という方面にもそれぞれ調査を進めまして、今各国とも調査を進めておる段階でありますので、わが国といたしましてもまだ調査した初めでございますから、手をゆるめないで進めて参りますれば、きっとそのうちいいのがだんだん見つかってくるのではなかろうかという期待をいたしております。
  62. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 最後に、一つ局長さんにお伺いしますが、六月十八日の閣議で財政投融資の引締めとか、事業の繰り延べ、こういうことがきまって、それぞれ建築物の七階を建てるやつを五階にしなさいというような指令が出ました。しかし、あなたの方の関係でそういうことを適用されたことはないのですか。
  63. 佐々木義武

    ○説明員(佐々木義武君) 私の方には全然そういうことはございません。
  64. 近藤信一

    ○委員長(近藤信一君) 他に御発言はございませんか。
  65. 吉田萬次

    ○説明員(吉田萬次君) 先ほど大臣から所見の発表がありましたものにつきまして、それについての補足説明をいたしたいと思います。  お手元に出ておると思いますが、御参考までにお願いいたします。   今後のわが国における科学技術の飛躍的振興をはかるため、(1) 現下喫緊の試験研究を推進するとともに、(2) その成果のすみやかなる活用をはかり、(3) 特に原子力平和利用関係については、その急速なる推進に努めるものとし、(4) また、具体的振興施策の実施の基礎をなす一般調査、資源調査及び情報活動の強化拡充を期するとともに、科学技術全体を通じての基本的な長期振興計画を樹立するものとし、(5) あわせて今後における科学技術教育の画期的強化拡充を期するものとする。  1 科学技術振興長期計画の作成  経済長期計画との関連のもとに、科学技術振興長期計画を樹立し、今後における科学技術振興の方向と問題点を明示するものとする。  2 試験研究の推進  (1) 国立及び公立試験研究機関の機能の強化拡充   わが国における国立及び公立試験研究機関の使命の重大性にかんがみ、その試験研究機能の強化をはかるため、設備の近代化及び人員の確保をはかるとともに、各機関における試験研究が相互に均衡的に推進されるように努めるものとし、あわせて研究公務員制度の検討等、研究要員の待遇の改善を期するものとする。  (2)民間における研究活動に対する助成の強化  a 補助金の効率的活用   有用な試験研究を実施しながら、これに要する資金の自己調達不十分な民間の研究活動に対し、補助金の増額をはかり、かつ効率的に交付するものとする。  b 税制上の優遇措置   特殊法人研究機関、研究法人研究機関、日本科学技術情報センター等に対する寄付金及び上記諸機関の研究施設等に対する地方税に関し免税措置を講ずるとともに、各企業における研究のための積立金制度を創設するものとする。  (3) 多数部門にわたる共通的な試験研究の促進  a 航空技術研究所の整備   三十三年度は、本所の整備六カ年計画の第四年目に当るので、遷音速風洞を始めとし原動機研究施設、機体研究施設等主要施設の整備をはかるものとする。  b 金属材料技術研究所の整備   三十三年度は、本所の整備五カ年計画の第三年目に当るので、溶解圧延設備、材料試験設備等主要施設の整備をはかるものとする。  c 多数部門の協力を要する共通的試験研究の助成   三十二年度はクロレラの利用に関し助成を行なったが、三十三年度は、太陽エネルギーの利用、オートメーションとヒューマンエンヂニアリングに関する研究等重要課題の試験研究に対する助成を行うものとする。  (4) 研究法人制度の創設   試験研究を行うことを主たる事業とし、かつ、営利を主たる目的としない法人に関し、新たに研究法人としての資格を与え、これに対する寄付金の免税、研究用資産に対する地方税の免除の措置を講じ、その育成をはかるものとする。  (5) 電子技術の振興   新たに電子技術振興法(仮称)を制定し、電子技術審議会の新設、電子技術に関する試験研究の画期的推進等特段の措置を講ずるものとする。  (6) 科学研究所の整備   わが国における唯一の民間総合研究機関である本研究所の研究機能の強化をはかり、すみやかにその自立を達成するため、その運営の改善を期するとともに、今後引き続き出資の増額をはかるものとする。  (7) 研究促進調整費の新設   国立試験研究機関の試験研究の均衡的な推進を確保するとともに、共同研究の推進をはかるため、研究促進調整費(仮称)を新設するものとする。  (8) 研究員及び研究チームの海外派遣の強化  海外の最新の科学技術の把握及び研究員の養成に資するため、官公民を通じて研究員及び研究チームの海外派遣の強化をはかるものとする。  (9) 褒賞制度の確立及び強化   試験研究に対する国家的な褒賞制度を統一強化するとともに、勤務発明に関する取扱いの改善整備をはかるものとする。  3 研究成果の活用促進  (1) 新技術開発機関の創設   優秀な研究成果であるが、新技術に伴う危険性のため企業化されないものについて、最低企業規模において企業化し、新技術の企業への採用を促進するため新技術開発機関を創設するものとする。  (2) 特許発明の実施化の奨励及び利用の促進  優秀発明の実施化のための補助(開放研究機関の補助を含む。)及び発明協会に対する補助を強化するものとし、あわせて特許発明の利用の促進をはかるため、特許発明の譲渡及び実施権の設定等に関するあっせん業務の強化等の措置を講ずるものとする。  (3) 特許関係の税制上の優遇措置   特許発明等の実用化を促進するため、特許権等の譲渡所得または実施料所得等に対する税制上の優遇措置をはかるものとする。  4 科学技術関係調査情報活動等の推進強化  (1) 科学技術に関する調査活動の強化   三十三年度は内外における科学技術動向調査の拡充をはかるとともに、国内の研究活動の実態把握に重点を置き、さらに今後における科学技術者の養成対策確立のための調査を新たに実施するものとする。 (2) 日本科学技術情報センターの推進強化  第一次計画の二年目に当り、その機構、人員の整備をはかり、あわせて海外の同種機関等との国際的連絡協力を強化するものとする。 (3) 科学技術アタッシェの増強  国連本部、エカフェ、仏、ソ連等に七名の科学アタッシェの新規派遣をはかるものとする。 (4) 研究管理の促進  試験研究の能率的な実施及びその成果のすみやかなる達成に資するため、研究課題の選定、研究の総合化と評価等試験研究の管理についての適切なる基準の確立とその普及を促進するものとする。 5 資源に関する調査活動の強化  今後におけるわが国産業経済の長期的発展にとって、資源問題の解明がきわめて重要な課題である現下の実情にかんがみ、国内資源を海外資源との関連において、総合的かつ構造的に分析把握し、その課題の解決方策につき緊急かつ明確にその方向づけを行うため、資源に関する調査を強力に推進するものとする。 6 国際技術協力の強化  東南アジアをはじめとして中近東、アフリカ、中南米の諸国と技術を三とした国際協力を積極的に推進するものとする。 7 科学技術教育の強化  先進諸外国の実情にも微し、理科教育設備の更新、整備、新技術にかかる講座の増設、充実及び研究費の増額等、科学技術教育の画期的強化、拡充を期するものとする。 8 科学技術行政機構の実充   今後における国民経済の安定的成長及び国際技術協力体制の整備の要請に即応するため、原子力行政を含めた科学技術行政機構及び人員の充実をはかるものとする。  大体、以上述べましたような点につきまして、昭和三十三年度の予算に関する科学技術振興方策というものの大綱を定めました次第でございます。
  66. 海野三朗

    ○海野三朗君 一番初めの三行目の「(2)その成果のすみやかなる活用をはかり」、これはどういうふうにしてすみやかなる活用をはかられますか、その具体的方策を伺いたい。
  67. 吉田萬次

    ○説明員(吉田萬次君) お答えいたします。これは二枚目の裏になりまする「3研究成果の活用促進」という事項に属するところでありまするから、御了承をお願いいたします。
  68. 海野三朗

    ○海野三朗君 それを促進されるにはどうしますかという具体的の御構想がありませんか。
  69. 吉田萬次

    ○説明員(吉田萬次君) 大体、研究成果の活用促進というところから特許の問題にまで及ぶのでございまして、概要はここに書いてありまするが、さらに詳しいこまかい問題につきましては、係官から説明することにいたします。
  70. 原田久

    ○説明員(原田久君) お答えいたします。その資料の3の「研究成果の活用促進」に書いてあります第一点といたしましては、新技術開発機関の創設ということを考えております。これは本年度予算の編成に当りましても、政府部内でいろいろ検討した問題でございますが、なお十分検討する必要があるというので、海外に係員を派遣いたしまして、同種の機関につきましてただいま調査を完了いたしましてとりまとめ中でございますが、内容といたしましては、わが国では研究が完了いたしましても、その実用化という段階になりますと、市場性があるかどうかとか、あるいは採算性があるかどうかとかというような点で、なかなか企業が進んでこれを採用しないという気風がございます。そこで十分そのための最低の企業規模の企業化ということを国の出資いたしました新技術開発機関におきまして実施いたしてみます。その結果、採算ベースに合う、実用になるということになりますれば、おそらく当然、民間企業もそれを喜んで採用するようになるだろう、そういう橋渡しの機関を作ることによって、研究成果を眠らせないで実施面へ流す、こういう構想のものを考えております。そういうのが第一点でございます。  それから第二点は、特許、発明の実施化の奨励及び利用の促進でございまして、従来も優秀な発明ができましても、資金難のため、十分その実用化の研究をやり遂げ得ない方が多うございますので、そういう方のために補助金を交付いたしまして、ともかくものになるまでやってもらうということをやっておりますが、そういった人のための補助金を増額いたして参って、発明の実施化の促進をはかりたい。なおあわせて開放研究機関、どなたでもそこへ行って研究ができるという機関もわが国に数カ所ありますので、そういうものにできるだけ補助をいたしまして、一般の利用に供したい、こういうふうに考えております。  それから同じく特許の問題でございますが、特許発明の価値というもの、第三者的に公正妥当な価値というものがなかなかきまらない。そういったような問題が主となりまして、一つの特許権を他の実施したい希望者との間でなかなか話し合いがつかない、そういうことで流通性に欠けておる点がわが国では多い。そういう観点から、でき得るならばそういう公共的な立場から見た評価のできるような機関を作りまして、お互いに話し合う場を提供し、特許発明の流通を促進したい、そういう点を考えております。  それから第三番目としましては、やはり特許関係でございますが、特許発明等を譲渡いたしましたり、あるいは実施許可をいたしますと、その譲渡所得あるいは実施料所得というものが特許権者に入るわけでございますから、そういった場合に相当多額の税金を取られるということになりますと、その実施権の設定あるいは特許権の譲渡ということを渋る者もあるようでございます。これは発明の広い活用を促進する意味において、何とか税制上の優遇措置を講じたい、この点は税制上の問題でございますので、まだ十分今後検討しなければ、こういうことができるかどうかわかりませんが、そういった方向に参りたい、そういう三点でございます。
  71. 海野三朗

    ○海野三朗君 まず官房長にお伺いしますが、今あなたがお述べになった、つまり研究というものは、研究をしてものを発明したというときに、その発明したということを報告に出さなければいけないのです。で、報告を出したときに今度は初めてその報告をまとめた上で、それが商品価値があるかいなやということを審議するのでありますから、その発明したということ、そういうことを常に見てやって、そうしてそれを引き立ててやらなければいけないのです。で、私は、これは過去三十年間の私の実際経験してきたところでありますから、私は先ほど正力国務大臣にも申したのでありますが、一つのことを発明した、これは大したことを発明したというときに、やはりこれをちゃんと報告にして書かなければ、お役所の仕事というものは上に通じない、そういうことではいけないと私は思うのです。で、研究をやっておる、それが着々進んできて、こういうことが見つかったというときには、さっそくそれを取り上げていってこれを応用するとか、どの方面に持っていこうとかという、そういう職分の人が要ります。赤子をぎゃあと産んだら、産んだだけじゃなしに、着物を着せてやらなければいけないのに、その着物を着せないで待っている日本の姿、ぎゃあと産んだならば、産婆がおって、すぐそれを拾い上げてやらなくちゃいけない。それで私は、先ほどから大臣も言われましたが、このことを読んでみると、ほんとうにこの大事なところが抜けておるように思うのです。これは一番大事なところなんです。それですから私は先ほどエキザンプルとして申し上げましたが、この知能測定器というものは、もうそれができ上っておる。でき上っていても、それは学者としてはこれを本に書いて宣伝しようという考えはありませんから、学者というものは。ですから子供を生んだというときに、生んだならすぐに産婆が取り上げなければいけないのだという意味で、研究を各研究機関にやらせておるのだから、今度は始終それを回って歩いて、いいものは引き出すようにするところのそういうグループが要る。私はこう思うのですがね。それに対しての御構想はいかに、といって私は先ほどからお伺いしているのでありますが、これには相当なる人を何人か設けて、そうして始終この研究の方を見て歩いてずっとこれを引き出す人が要るのですね。その点を私は言うのですが、その点に対しては官房長はどんな御構想を持っておられますか。
  72. 近藤信一

    ○委員長(近藤信一君) 速記をとめて。    〔速記中止]
  73. 近藤信一

    ○委員長(近藤信一君) 速記を始めて。
  74. 原田久

    ○説明員(原田久君) 当庁として現在海野先生からの御意見、御希望の線に沿ったようなどんな仕事をしているかということをちょっと申し上げますと、発明関係につきましては注目発明と申しまして、特許公報に載ります発明、たくさん発明があります。そういったものを一々係官が調べまして、これを発明奨励審議会の委員会にかけまして、注目発明ということで公表しております。これはいろいろの方面で関心を持たれる機会になるかと思っております。  それから同じく実用発明と呼んでおりますが、これは飛び抜けて優れた発明というのではないけれども、実用上非常に効果があるというようなものも、あわせて同様な措置を講じております。  それから研究機関の研究成果につきましては、昨年来国立の研究機関四十カ所、それから公立の研究機関、今年やりましたのですが、七十カ所近くだと思いますが、実態調査をいたしまして、主として国立研究機関につきましてはどういう研究成果ができているか、またどういう研究は実施してほしいのだというような調査も、当庁の調査官、課長、その他専門家が全国を回りまして調査をいたしまして、それぞれの活用措置を講すべく検討をしている、こういうような段階でございまして、先生の御趣旨の点は十分即応するような態勢を講じなければならぬかと思いますが、いまだ人員が不十分でございますので、十分には参りませんが、そういった線の仕事をしておりますことを御報告申し上げたいと思います。
  75. 近藤信一

    ○委員長(近藤信一君) この程度で科学技術庁の関係は終ります。  ちょっと速記をとめて。    〔速記中止〕   ―――――――――――――
  76. 近藤信一

    ○委員長(近藤信一君) 速記を起して下さい。  通産大臣はちょっと今所用がありまして、セメント業者と輸出振興の問題について要請を本省でやっておりますので、海野委員から通産大臣の出席要望がありましたが、そういうわけで出席できませんので、ただいまのところ小笠政務次官、それから松尾通商局長、尾中農林省農林経済局経済課長、三名の方が出席しております。御質疑のおありの方は、順次御発言を願います。
  77. 海野三朗

    ○海野三朗君 昨年このバナナのことについて、通商局長の説明を聞いたんんでありますが、どうも徹底しないのでありますから、私は重ねてこのことについてお伺いしたいと思う。今までの、バナナを輸入して輸入業者と加工業者がおりますが、その加工業者というものは加工さえすればそれで利益はあるはずなんであります。その加工業者にまた重ねてその輸入業者と同じように割当をしておるということは筋が通らない。それでありますから、このバナナの分布がへんぱとならないように、また高騰したり不安定になるということを防止するために、どうしてもこの各県の人口割にしてもらいたいという請願が出たのです。この全国人口割にいたしましても、やはり加工業者に仕事は回わっていくんであります。加工業者の方の仕事がなくならない。どうも在来のやり方にしますと、輸入業者に輸入の利益を与え、加工業者には加工する方面の利益のほかに、またこの輸入のあれを割り当てるということはおかしいのじゃないか、あり方が。これは是正すべきものであると思うし、人口割りに各県に割り当てるということは最も必要なる、かつ妥当なことである、こう考えておるのであります。昨日、通商局長はこの四分の一のうちの三分の一ぐらいをやろうとするんだというお話しでありましたが、それでは全体から見ると十二分の一にきりならない。十二分の一では、全国四十二県に割り当てるとなんぼにもならないので、このへんぱな割当というものは是正されるべきものではないかと私は思うのでありますが、当局はどういうふうにお考えになっておるか、それをお伺いしたい。
  78. 小笠公韶

    ○説明員(小笠公韶君) お尋ねの件でございますが、昨日通商局長から御説明を詳しく申し上げたと思うのであります。まず第一に、適正な輸入をはかっていくという場合に、外貨割当方式をどうとるかという問題は、貿易の健全化に最も重大な関係があるものと私は思うのであります。で、その際に、できるだけ消費者割当をしていく、直接の消費者に割り当てていくという方法も考えられましょう、また、輸入業者というものに対して割り当てていくというやり方もありましよう、両者を抱き合わせるという方法もあろうと思うのでありますが、これまでの外貨割当の基本的な大きな流れは、輸入業者、もしくは実需の人に割り当てることを原則として参っております。そういうふうな点から考えますと、お話しの通りバナナの割当をするに当りましては、輸入業者というふうなものに原則的にいくというふうなことが従来行われており、かつこのバナナの輸入につきましては、すでに御承知の通り、数年来いろいろな論議が繰り返されて参っておるところでありますので、大体の考え方といたしましては、不特定多数の人々によって消費せられる、こういう嗜好品の割当は輸入業者を中心として考えていくというのが通常の考え方であると思うのであります。  ところが、前二十六国会におきまして、当院並びに衆議院におきましてバナナの外貨割当に際しまして、人口割りを考えろという請願が採択されておるのであります。この点は私どもといたしましては、できるだけその線に沿って割当を考えて参りたいというふうな考え方でおりまするが、一方において、輸入秩序の確保という問題との関連をどう調整していくかというふうな点に苦労を重ねておるのであります。  で、今、海野さんからお話しのように、不特定多数の人々によって消費される嗜好物であるバナナを、地方人口別に割り当てることによって価格の安定を期し、かつ物資の偏在を防ごうと、こういうふうな御趣旨につきましては、私は必ずしもこういう品物については、そういう考え方が最も適当であるかどうかは、一応考えてみなきゃならぬのじゃないかと私は実は思っておるのであります。正直に申しますと、そう考えておるのであります。でありまするが、一面から申しますと、今申し上げましたように、広い国民的な立場に立って、当院並びに衆議院におきまして請願が採択されておりますので、大きな大筋をこわさない範囲においてその要望を取り入れていく、こういうふうに考えておるのであります。  そこで、具体的にどの程度の割合にした方が、両院の採択された請願に沿い得るかという問題になりますと、これはいろいろな角度から考えなきゃなりません。そこで、いろいろ研究いたしました結果が、先ほど申し上げましたように、通商局長から御説明申し上げたような線で考えたらどうかという程度にまで来ておるのであります。最終結論までは行っておりませんが、大体そういうところへまで来ておるのであります。私は、そういう趣旨でございますので、今、海野さんの言われる価格の高騰を防止し、かつ物資の地方的偏在を、地域的偏在を防止する趣旨として人口割りで強くいけと、加工業者に対する割当なんかやめちまって、人口割りによる割当をしたらどうか、こういう御趣旨にはもう少し研究をさしてもらわないと、一挙に私はそこまで届き得ないのじゃないか。できるだけ御趣旨に沿うつもりではおりますが、今申し上げましたような段階で、これは御承知の通りに、一方から言えば、一方の主張があり、また従来一方関係している人々もございます。御承知の通り、二十五国会、昨年の夏の通常国会におきまして、この問題がいろいろな意味において、衆議院の商工委員会を中心として論議をかわされましたことは御承知の通りであります。こういうふうなそれらの経過を考えまして今申し上げましたようなところまで、今考えを、部内の意見をまとめつつある、こういう事情でありますので、御了承願いたいと思います。
  79. 海野三朗

    ○海野三朗君 ただいま小笠政務次官からお話しになりましたが、今、率直に申し上げますというと、輸入業者にやらせるべきものであります。ところが、加工業者の方にもそれを割り当てるということ、そのこと自体が間違っておるのです。あなたそうお思いになりませんか。実際は輸入業者は輸入するだけの利益を得るのですよ。ところが、加工業者という者は加工して利益を得るのですよ。その加工業者にも輸入業者と同じように割り当てるという、そのことが、正しくないのです。いろいろ理論があると思いますけれども、ながらく次官をおやりになったあなたとしては、そんな道理がわからないはずはないと私は思うのですがいかがですか。
  80. 小笠公韶

    ○説明員(小笠公韶君) 新しいところに、白地に一つの線を引くのは理論的にいきやすいのであります。これは海野博士も御承知の通りであります。先ほど申し上げましたように、本件につきましては、ずっと過去の歴史を持って参っているのであります。過去の歴史を持って今まで議論が続けられてきており、その過去の事実を無視してここに新しく筋を引くということは、なかなか困難であります。従いまして、加工業者に割り当てることが間違っていると、こういう断定のようでありまするが、これは今回に始まったことではございません。一つの歴史的事実として今日まで来ているのであります。この上にそういう事実を……、というものは各方面の利害が調整され、そこに一つの意見の落ちつきを見ていると私は見ざるを得ません。従いまして、その面に対しまして、これが純粋に理論的におかしいのだというふうな主張のもとに、新しく筋を変えていくということは、行政の立場からいくと、私は適当でないと思います。そういう趣旨におきまして、私は先ほど申しましたように、できるだけ理論を若干、筋から大きくはずれない範囲において、御希望に沿うように極力努めていきたいというのが現実であります。御承知のように外貨割当につきましては、いわゆる生産資材の綿花、羊毛のように、いわゆる紡績工場に直接割当のものもございますし、そうでないものにつきましては、輸入業者割当という問題が強く主張されており、また、そういう方向に動いているということは、皆さん御承知の通りであります。私はそういう意味におきまして、海野先生のお話しでは従来の経緯というものなしに考えた場合は、十分に考えさせられるところだと思いますが、今申し上げましたような過去のいろいろないきさつを経て今日に来ている。この事実に立脚いたしますと、今申し上げましたような考え方にならざるを得ない。それがまた摩擦のない行政、大局を失わない行政だと私は考えております。
  81. 海野三朗

    ○海野三朗君 それでは私は重ねてお伺いしますがね、そのあり方が正しくないということに気がつきなさったならば、これを可及的に改めていきなさるのが、行政官としてのあり方じゃないのですか。私は今申しましたように、そんなら輸入業者に全部与えたらいいでしょう。加工業者になぜそれを与える理由があるかと私は言うのです。それならば加工業者でなしに、四分の一というのは全国の消費者に割り当てるのが正しいじゃないか。理の当然なことであると私は思いまするが、過去においてこうやってきたからといってあなたば主張なさるが、過去の事実がすでに間違っているということは、すでに明白な事実なんです。これに対しては、私は昨日の十二分の一というような、そんな鼻くそほどのものをやって、一時を糊塗せんとする通産当局のあり方に対しては、私は断然納得できないのです。もう少し誠意のある考えを持っておやりにならなければならないと私は思うのですがいかがです。在来の習慣とあなたはおっしゃるが、どうもそれは私は納得いかないのですよ。
  82. 小笠公韶

    ○説明員(小笠公韶君) こういういわゆる不特定多数の消費者を相手とし、かつ嗜好品でありますこういう商品の割当方を、どうしたら一番いいかというふうな問題につきましては、もしも極端な議論をしますと、これの利潤というものが低いものと考えた場合、私は輸入業者に割当ててもあまり問題は起らぬとお説のように考えるのであります。ところが、事実はそうでもございませんし、特定物資になっておるという関係もございます。そこで、いろいろの意見を先ほど来申し上げましたように調整して今月の段階になっているのであります。これが間違っているのだというふうに言い切れるかどうか、そこに私は問題があると思います。私はそういう趣旨で大局的な見地から見て、現在の割当に何らかの変更を、いわゆる理論的な立場に立って割当を変えた方がいいというふうな方向に考えるということにつきましては、私は異論はございません。デヴァイスすることと、これを実行することはまた別だろうと思います。実行する場合にできるだけ摩擦がないようにするというようなことも考えて参らなければなりません。そういう趣旨から、私は当面の問題といたしまして、昨日通商局長から御説明申し上げたような段階に来ておるが、できるだけ御趣旨は汲んで、全体の体系に大きなひずみをきたさない範囲においてのなには考えて参りたい、こういうのが私の考え方であります。大体そういうふうにいっているのでありますので、今海野先生の言われるような、間違っておるという認識の上に立って行政をしておるなら直せと、こういうお話しでありますが、今やっておる割当方が間違っておるという認識には立っておりません。私は事情やむを得ない立場だと、かように考えております。
  83. 海野三朗

    ○海野三朗君 あなたがその認識にお立ちになっていないならば、私は重ねてここに申し上げます。これは輸入業者は輸入をすることによってマージンを得ておる、加工業者は加工することによってマージンを得ておる。その加工業者に輸入業者と同じように割当をするということは妥当でないでしょう。これは二重の利益になるでしょう。それならば、それよりも消費者の方に割り当ててやるのがほんとうではないか。消費者に割り当てても、加工業者の職を奪うことにはなりません。やはり加工してみな地方に配るのですから。私はこの二重の利益を与えておるということ、そこに疑問を抱くのです。なぜ通産当局はそうしなければならないのですか、私はそこをついているのですよ。
  84. 相馬助治

    ○相馬助治君 関連して、海野先生の御意見とそれから練達堪能な小笠政務次官の御答弁とで、いつまでも堂々めぐりでは困ると思うので、私は海野先生の御質問に御答弁いただく前に、関連して小笠次官にお尋ねしたいと思うのです。問題の焦点は、昨日通産局長が当委員会を御信頼されて数字を明瞭に示されておるのです。その現実の上に立って十分考慮いたしますと、小笠政務次官がこう申しても、十分考慮するということの内容が何なのであるかということが明確にならない限りにおいては、実は結論が生まれないと、こういうふうに考えるのです。海野先生も、やはり議論上、加工業者に渡すのならば貿易業者にみんな渡してしまえと、こういう御議論ですが、これはとんでもないことであって、私はそんなことをああそうですかと言って通産省にやられては、これは私は大反対なんであって、歴史的な経緯が、いわゆる過去の実績主義によって貿易業者にだけ与えてしまうと、そういう過去の実績の権利の上にあぐらをかいて相当マージンの予想されるこの種の割当を独占されると、それではいけないという本委員会のかつての御意見に応じて、実は通産省が苦労されて、二五%をそういう過去の実績のないものに渡そうとお考えになった、これはまことに、正しかったと思うのです。そのときに、聞くところによりますと、加工業者の方々が政治的な力をも発動されて運動をなされて、二五%というものをいただいたのだそうであって、私は加工業者という人たちとはだれとも会ったこともなければ、何らの陳情も受けたことがないので、実情はわかりませんけれども、とにかく二五%というものを加工業者の人がもらった。もらったからには、そういう権利が生じていたのに、海野先生が、特別にお前らの方にはやる必要は一つもないのだということでは、加工業者の人もハトが豆鉄砲くらったように、ひでえ議論だと思ってびっくりして、向うは向うで大挙して通産省に陳情に行くと、勢いのおもむくところ、われわれのところにも来るかもしれない。もっとも、あんなやつのところへ行っても、あてにならないということで来ないかもしれんが、来るかもしれない。来ればまた騒ぎがますます大きくなってくる。そこで私はお願いしたいのですが、両院の請願の採択した御趣旨に沿って、とにかく三分の一でも人口割でやろうと、こういうふうにお考えになったことに対しては、私は一応昨日も通商局長に申し上げたのですが、敬意を表しているのです。しかしながら、この三分の一というものは、事実は十二分の一であって、これでは人口割ということによるその両院の採択した趣旨に合致する数字であるかどうかと、こう考えてくるというと、どうもにわかに納得しがたいというところに問題が来ているのであります。ですから、海野先生でも、二五%全部人口割にすべきだという立論をされておりまするけれども、これは最後までそれに固執しようと思うのではないと私どもは推察しているわけなんです。そこで問題は、この際具体的に、私もゆうべいろいろ数字を自分でわかるだけの資料を集めて研究してみたのですが、私は栃木県の出身ですが、この加工業者に対する云々ということになると、全国では栃木、群馬、埼玉、岩手、宮崎、鹿児島というのはゼロなんです。ですから、そういうところから見ますと、やはり海野先生のおっしゃっておる立論というものは正しいと言わざるを得ない。ただ問題は、次官が御指摘のように、加工業者に二五%かつて与えておると、これを全部取ってしまうということは、事実は、理屈はともあれとして、白地に線を引くようなもので、行政の面においては無理ではないか、私はその通りだと、次官の御説明を私は納得します。そこで問題は、三分の一、すなわち四分の一の三分の一という数字は僅少に過ぎるのではないかというところまで実は議論が来ていると思う。そこで、立法府にある者が行政府の皆さんに数字のささいの点まで最後まで食い下って、さあここで数字を明言しろということは、これはややいかがかと思うのです。ただ問題は、十二分の一ではどうもいささか酷のようにも思うから、そこは一つ何とか善処いたしましょうと、政務次官として考えましょうと、こういうことになれば、これは海野委員も不満ではあろうけれども、御了解いただけるのではないかと、こう思うのです。ですから、そういうふうに十二分の一という数字が示されて、これに不満で海野委員がそういう立論をされているのであって、通産省の立場はもちろん同情もし理解もするけれども、あまりにその数字が少いから、勢いのおもむくところ、それだったらみな輸入業者にやっちまえという議論まで出ているのであって、どうぞその辺は考慮されて、一つ賢明な小笠次官のわれわれをして納得せしめる御答弁を得たいと思います。そうでなければこれは何百回聞いても同じですから……。
  85. 小笠公韶

    ○説明員(小笠公韶君) 先ほど来お答え申し上げましたように、昨日通商局長が数字をあげて御説明申し上げたのは、いろいろな検討の現段階においてこういう数字になっておるのだ、こういうことを申し上げたわけであります。従いまして私は先ほどの中に、現段階を土台としてできるだけ考えましょうという話を申しげ上たのでありまして、しからば今、相馬先生のいうように具体的数字の要求は無理であるという、私は全く感謝にたえないと思いますが、現段階を土台としてなおできるだけ考えて参りましょう。全体の動きに大きないびつを起さないような範囲内において、ものを考えて参りましょうと申し上げたのが、私の趣旨であります。当商工委員会の御意見を十分に頭の中に入れまして、具体的数字、またその数字によって関係業界との調整をどうはかるかという問題も残されますので、それらの見合いの上で善処いたしたい、こう私は思います。
  86. 相馬助治

    ○相馬助治君 海野委員が納得されるかどうか知りませんが、その前に、私はもう一点確かめておきたいと思いますが、そうすると今の次官の御誠意ある御答弁は、その限りにおいて私は満足ですが、ただこういう心配があります。七五%の分は参議院の商工委員会でも大して問題でない。残りは二五%だからこの分だけは割当はやめておこう。これは加工業者が何か言ってくるかしらぬからこれは聞いてみよう。それから人口割りがいいという連中も何か言うてくるかもしれぬから聞いてみよう。こういうどっちでもほしい、ほしいと計ってくる連中は、くたびれるまで陳情でもさせてやれという非常に人の悪い手が行政府には残っておる。さようなことはよもないということを前提にいたしまして、少くとも私は今の次官の答弁を一応了解しますが、この質問は海野先生からなされておりますから、委員長、海野先生に発言さして、何とかきまるようにさせてもらいたい。
  87. 大竹平八郎

    ○大竹平八郎君 結局私は大きなバナナ行政といいますか、これは非常に大がかりな言葉でありますが、問題はバナナの根本的な行政の面に来るのではないかと思うのであります。ただいまの各府県割りの海野委員の質問はまことに私は正当だと思うのであります。しかし、これが元も子もないものをやったのでは、かりにパーセンテージをあげてみたところが、これはどうにもできない。今までの状況から見ると必ずしも上手にバナナが入っているわけはないのであります。従ってそんなことが浜相場を非常に暴騰させて、かつて大衆的なものであったバナナが、特権階級だけを中心にするような嗜好品になっておる。こういうようなことはむろん輸入の数量の関係もありますし、それからまた中に入りましていろいろ工作をせられて、多少輸送の面に工作をせられ、相場を維持しておるという面もありますが、要するに問題はオープン・アカウントの国でありますから、これは台湾を主としてでありますが、多少よけい入ったところが、これは実際外貨の面からいえば問題にならないわけなんであります。ことに最近の台湾の生産状況というものは昨年と違いまして非常に豊富なんであります。おそらくこれは中国の大使館等から通産当局に向いまして相当早くに外割を発表してくれ、それから本年はよけい買ってくれというようなことでありまして、御承知の通り戦前一番入ったときが百六十万かご、現在大体四百五十万ドル、六十万かご、これが大体でありますが、しかしなかなかそうは協定ができましても、十分入っていない場合が多いのでありますので、一つ私が通産当局に特にお願いすることは、思い切って一つたくさん入れてもらう。そうしてそのたくさん入れるということで非常に大きな問題になってくるのは、これはバナナ業者全体を通じての問題でありますが、いわゆる差益金の問題であります。これがこの前の五月二十七日の委員会のときに相馬委員並びに私からも政府に厳重に差益金のことについて要望をいたしたわけであります。ちょうどこの前の全バ連のああいった入札の問題なんかがございまして、原価以上の差益金というものが出たのでありまして、その関係からか知りませんが、昨年八月は二千円以上の差益金を出すというようなことになっておるのでありますが、それではお前はどこにその差益金のめどを置いておるかと言われると、私は業者でありませんから知りませんし、また業者の客観的な計算の仕方と、それから通産当局の計算の仕方というものもおのずから出てくるだろうと思うのでありますが、できるだけ差益金を少くする。要するに差益金を少くするということは、できるだけその中国側の要望するように入れてやれば、本年も御承知の通り台湾だけでなく、中共バナナが計画として十万かご入ることになっている。これは中共の事情がああいうようなことになっておりますから、実際に入るかどうかわかりませんが、とにかく要はたくさん入れて、たくさん入れるということは、差益金を少くする。そうして一つその特権階級の嗜好物から大衆のものにしてやる、そういうことになると、勢いかりに今小笠次官の言われたできるだけ当委員会の希望の線に沿うて府県割りも努力をいたしたい、こういうことをわれわれは信じまして、そうしてしかしその根底というものは、結局できるだけたくさん向うから引くということに、問題の焦点がなってくるのではないかと、かように考えるのでありますが、そういう点について所信を御解明願えればけっこうだと思います。
  88. 小笠公韶

    ○説明員(小笠公韶君) 大竹さんすでに御承知の通りでありまして、日台通商協定に基きましてバナナを入れておるのであります。目下昭和三十二年度の日台通商協定がまだ完結まで参っておりませんが、その線に沿って持っていく考えでございます。大局論から申しますと、今日の外貨事情というふうなものを別にいたしますれば、今大竹先生の言われたように、昔なつかしいバナナ、大衆のなじんだバナナであります。できるだけ入れて安くいくということは望ましいと実は考えております。中共の方にも、今の計画として十万ないし十二万かごというものが予定されておるようであります。できるだけたくさん入れる方向に持って参りたいとは考えております。ただ問題は、差益金の問題であります。差益金は御承知の通り特別、例のバナナ法案というものによって差益金を徴収いたしておるのでありますが、この差益金は私は少い方がいいと思っております。原則論として少い方がいいと思っている。もしも差益金が少くて、その少い価格で消費者の口に入るなら一番望ましいと実は思っております。ところが、実際問題としてバナナのここ数年来の問題の根拠はそうではない。その間に過当な利潤を追ってのいろいろな論議が展開されてきていると、率直に認めざるを得ない。こういうふうな問題は、私は量で、事情の許す限りできるだけ量を入れ、そうしてそういう問題を消していくという方向に努めたい、こういうふうに考えておりますので、大竹先生の御意見と全く同感であります。
  89. 海野三朗

    ○海野三朗君 今るる私が申し述べましたが、結局人口割りに対しては十二分の一というようなことでは、請願の趣旨に沿わないと私は思うのですが、どうなのですか、人口割りにしてくれという請願が出て、これは衆参両院とも通って、妥当であるとみんなが認めている。ところが、全体の十二分の一というようなものを人口割当にしたって、これは四十二県の人口に対しては私はその請願の趣旨に沿ったものとは考えられないのでありますが、あなたはどうお考えになりますか。
  90. 小笠公韶

    ○説明員(小笠公韶君) 先ほど来お答え申し上げておる通り、できるだけ両院の趣旨に沿うように努力をしておるのであります。海野博士も御承知の通りに、両院における採択された請願の措置につきましては、できるだけそういう方向に行くというのが、政府機関の当然の任務だと思うが、一方においてまた、行政府の立場というものもあるのでありまして、それとのかね合いをどうとっていくかという考え方であります。だから採択された請願に沿うか沿わないかというお尋ねに対して、なかなか答弁はむずかしいのでありますが、できるだけそういう方向に持っていきたいという方向で、先ほど来申し上げておるのであります。その点、そこらで一つごかんべんを願いたいと思います。
  91. 海野三朗

    ○海野三朗君 しからば私は今、次官がそういうお話しでありますが、通商局長にお尋ねしますが、あなたはどうお考えになっていますか、通商局長にお尋ねします。
  92. 近藤信一

    ○委員長(近藤信一君) 速記をとめて。    〔速記中止〕
  93. 近藤信一

    ○委員長(近藤信一君) 速記を起して。
  94. 松尾泰一郎

    ○説明員(松尾泰一郎君) 昨日もお答えいたしたのでありますが、われわれ事務当局といたしましては、かなり請願の趣旨を尊重してああいう措置になった、こういうふうに考えております。
  95. 海野三朗

    ○海野三朗君 これでも請願の趣旨に沿ったという御答弁でありますが、私はそれは沿わないと思うのです、十二分の一では。私はこれは何としても納得できないのです、これは。こういうふうな正しい論法で、全国の人口割りに対してやってくれというのが、これは当然だと思うのです。それでそれはできない、白線を引くとは簡単にできないと小笠次官が言われますが、それならばもう少しこれは考慮をすべき問題じゃないか、こういうふうに私は思うのですが、どうなんですか、小笠次官。
  96. 小笠公韶

    ○説明員(小笠公韶君) 先ほどお答え申し上げましたように、できるだけ当委員会の御趣旨、両院の請願採択の趣旨に沿うように努力をいたしたいという考え方であります。同時に、私はこういう業界の特殊なこれまでの経過にかんがみまして、できるだけ関係業界の調和というものを維持していく必要があると考えておりまして、そこらの面ともかみ合せながら考えて参りたい、こういうのが私のただいまの心境であります。
  97. 近藤信一

    ○委員長(近藤信一君) 速記をとめて。    〔速記中止〕
  98. 近藤信一

    ○委員長(近藤信一君) 速記を始めて。
  99. 海野三朗

    ○海野三朗君 ただいま小笠政務次官から誠意ある御答弁であると私は考えるのです。しかし、昨日の通商局長の言ったその線というものは、あまり請願をばかにしておるのです。全体の十二分の一というような、そういうようなことでは、ちょっと砂糖をなめさせたという程度であって、私は国会軽視と考えざるを得ないのです。国会軽視であると私は思う。人口割りにするということは、これは大衆の迎合を考えておるのであって、今の差益金の問題にしても、こういうようなことはやはりもう少し誠意をもって考えてもらわなければいけない。通商局長にさっき私がそれを言いましたのは、きのうのその線をもう少し改める考えがあるかないかということを私は聞いたのです。(「善処するというのだからいいじゃないか」と呼ぶ者あり)それでは私は小笠政務次官の先ほどの善処しようというお言葉は、きのうの通産局長が言った十二分の一というような、そんな線ではないというふうに私は考えて、もう少し私は誠意をもって考えて下さるものと思ってよろしいのですか。
  100. 小笠公韶

    ○説明員(小笠公韶君) 善処するという言葉は、その通りをおとり下さってけっこうだと思います。
  101. 近藤信一

    ○委員長(近藤信一君) 他に御発言ございませんか。……では、別に御発言がなければ、本日はこれにて散会いたします。    午後四時三十八分散会