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1955-07-29 第22回国会 参議院 本会議 42号 公式Web版

  1. 昭和三十年七月二十九日(金曜日)    午前十一時三十九分開議     ━━━━━━━━━━━━━  議事日程 第四十二号   昭和三十年七月二十九日    午前十時開議  第一 合併市町村の育成強化に関する決議案(石村幸作君外十九名発議)(委員会審査省略要求事件)  第二 特別円問題の解決に関する日本国とタイとの間の協定の締結について承認を求めるの件(衆議院送付)(委員長報告)  第三 関税及び貿易に関する一般協定への日本国の加入条件に関する議定書への署名について承認を求めるの件(衆議院送付)(委員長報告)  第四 日本海外移住振興株式会社法案(内閣提出、衆議院送付)(委員長報告)  第五 糸価安定特別会計法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)(委員長報告)  第六 労働者災害補償保険特別会計法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)(委員長報告)  第七 自動車損害賠償責任再保険特別会計法案(内閣提出、衆議院送付)(委員長報告)  第八 養ほう振興法案(衆議院提出)(委員長報告)  第九 農林水産業施設災害復旧事業費国庫補助の暫定措置に関する法律の一部を改正する法律案(衆議院提出)(委員長報告)  第一〇 天災による被害農林漁業者等に対する資金の融通に関する暫定措置法案(衆議院提出)(委員長報告)  第一一 危険校舎改築促進臨時措置法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)(委員長報告)  第一二 私立学校教職員共済組合法の一部を改正する法律案(衆議院提出)(委員長報告)  第一三 あん摩師、はり師、きゆう師及び柔道整復師法の一部を改正する法律案(内閣提出)(委員長報告)  第一四 日雇労働者健康保険法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)(委員長報告)  第一五 労働者災害補償保険法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)(委員長報告)  第一六 失業保険法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)(委員長報告)  第一七 戦傷病者戦没者遺族等援護法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)(委員長報告)  第一八 未帰還者留守家族等援護法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)(委員長報告)  第一九 理容師美容師法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)(委員長報告)  第二〇 覚せい剤取締法の一部を改正する法律案(衆議院提出)(委員長報告)  第二一 市町村職員共済組合法の一部を改正する法律案(衆議院提出)(委員長報告)  第二二 輸出入取引法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)(委員長報告)  第二三 自衛隊法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)(委員長報告)  第二四 防衛庁設置法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)(委員長報告)  第二五 防衛庁職員給与法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)(委員長報告)  第二六 昭和二十八年度一般会計歳入歳出決算、昭和二十八年度特別会計歳入歳出決算、昭和二十八年度政府関係機関決算報告書(委員長報告)  第二七 日本放送協会昭和二十八年度財産目録、貸借対照表及び損益計算書並びにこれに関する説明書(委員長報告)  第二八 公職選挙法中一部改正に関する請願(委員長報告)  第二九 消防団員の公務災害補償費国庫負担に関する請願(委員長報告)  第三〇 消防施設強化促進経費国庫補助増額に関する請願(委員長報告)  第三一 町村合併促進法における公共企業体の協力に関する請願(委員長報告)  第三二 巣鴨刑務所在所戦犯者の釈放等に関する請願(委員長報告)  第三三 青森地方裁判所五所川原支部等庁舎改築に関する請願(委員長報告)  第三四 福島地方裁判所等の庁舎建設に関する請願(委員長報告)  第三五 巣鴨刑務所在所戦犯者の釈放促進に関する請願(委員長報告)  第三六 売春禁止法制定促進に関する請願(委員長報告)  第三七 売春等処罰法制定促進に関する請願(二件)(委員長報告)  第三八 山口県宇部市に山口地方裁判所宇部支部等設置の請願(委員長報告)  第三九 売春等処罰法制定に関する請願(委員長報告)  第四〇 福島市の家庭裁判所庁舎建築促進に関する請願(委員長報告)  第四一 産米銘柄制度復活に関する請願(委員長報告)  第四二 酪農基金法制定に関する請願(委員長報告)  第四三 山口県姫小島周辺の国連空軍爆射撃演習による漁業損害補償の請願(委員長報告)  第四四 精麦用新麦価格の適正化に関する請願(二十四件)(委員長報告)  第四五 内水面漁業助成等に関する請願(委員長報告)  第四六 愛知県中部を集約酪農地域に指定するの請願(委員長報告)  第四七 沖繩向け硫安の取扱に関する請願(委員長報告)  第四八 伝貧研究所設置に関する請願(四件)(委員長報告)  第四九 採種林造成費国庫補助に関する請願(委員長報告)  第五〇 母樹候補林の指定等に関する請願(委員長報告)  第五一 パン食普及に関する請願(委員長報告)  第五二 長期造林計画樹立等に関する請願(委員長報告)  第五三 山林種苗検査制度の確立等に関する請願(委員長報告)  第五四 以西機船底びき網漁業及び遠洋かつお、まぐろ漁業の許可等についての漁業法の臨時特例に関する法律の適用期間延長に関する請願(委員長報告)  第五五 母樹林の補償費増額に関する請願(委員長報告)  第五六 北海道足寄町の鹿害農作物補償等に関する請願(委員長報告)  第五七 宮城県蔵王地区を集約酪農振興地域に指定するの請願(委員長報告)  第五八 台風常襲地帯災害防除に関する法律制定の請願(委員長報告)  第五九 岡山県藤田村六区の災害農道補修等に関する請願(委員長報告)  第六〇 岡山市漁業協同組合員の地区内漁業権に関する請願(委員長報告)  第六一 すぎの害虫すぎたまばえを法定害虫に指定する等の請願(三件)(委員長報告)  第六二 昭和三十年産米穀検査規格改訂に関する請願(委員長報告)  第六三 米穀予約売渡制等に関する請願(委員長報告)  第六四 農民の均分相続に関する請願(委員長報告)  第六五 家畜改良増殖法中部改正等に関する請願(委員長報告)  第六六 輸入飼料の供給確保等に関する請願(委員長報告)  第六七 農薬による水産関係被害救済の請願(委員長報告)  第六八 小団地開発整備事業の地帯別適正実施に関する請願(委員長報告)  第六九 新潟県清津川総合開発促進に関する請願(二件)(委員長報告)  第七〇 漁村振興に関する請願(委員長報告)  第七一 病虫害防除薬剤購入予算に関する請願(委員長報告)  第七二 急傾斜地帯の土地改良事業費増額に関する請願(委員長報告)  第七三 農地開発事業促進に関する請願(委員長報告)  第七四 香川県塩飽、直島両海域の入会漁業許可に関する請願(委員長報告)  第七五 豆類の品種改良等のため北海道の試験研究施設拡大強化に関する請願(委員長報告)  第七六 森林病虫害防除費国庫助成のわく拡大等に関する請願(委員長報告)  第七七 福岡県下の国鉄電化促進に関する請願(二件)(委員長報告)  第七八 東海道線電化に伴う終点を岡山駅とするの請願(委員長報告)  第七九 京都、米原両駅間鉄道電車化に関する請願(委員長報告)  第八〇 白棚鉄道敷設促進に関する請願(委員長報告)  第八一 大糸線鉄道等全通促進に関する請願(委員長報告)  第八二 只見特定地域の小出、野岩両線鉄道整備等に関する請願(委員長報告)  第八三 京王帝都電鉄線浜田山駅附近の踏切の安全施設に関する請願(委員長報告)  第八四 左沢、長井両駅間の機動車を荒砥駅まで運行延長するの請願(委員長報告)  第八五 二俣線鉄道の輸送強化に関する請願(委員長報告)  第八六 小規模小、中学校児童、生徒の鉄道運賃団体割引に関する請願(委員長報告)  第八七 焼津、藤枝両駅間に新駅設置等の請願(委員長報告)  第八八 京浜東北線大井町駅東口存置に関する請願(委員長報告)  第八九 新潟県六日町駅の地下道構築等に関する請願(委員長報告)  第九〇 滋賀県大津市に測候所設置の請願(委員長報告)  第九一 海難救助態勢強化の立法措置に関する請願(委員長報告)     ━━━━━━━━━━━━━
  2. 河井彌八

    ○議長(河井彌八君) 諸般の報告は、朗読を省略いたします。      ―――――・―――――
  3. 河井彌八

    ○議長(河井彌八君) これより本日の会議を開きます。
  4. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 私はこの際、原子兵器に関する緊急質問の動議を提出いたします。
  5. 戸叶武

    ○戸叶武君 私は、ただいまの吉田君の動議に賛成いたします。
  6. 河井彌八

    ○議長(河井彌八君) 吉田君の動議に御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 河井彌八

    ○議長(河井彌八君) 御異議ないと認めます。よってこれより発言を許します。吉田法晴君。    〔吉田法晴君登壇、拍手〕
  8. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 私は日本社会党を代表し、日本が原爆基地にされるのではないかという不安を持っております八千五百万の国民の心配を代表して、ここに政府に対して原子兵器の問題について質問をいたしたいと思います。  本日の新聞によりますと、AP電報として、在日米軍に原爆用ロケット弾あるいは日本に原子砲をもたらすという記事が掲載せられております。もう少し正確に申しますと、ワシントン二十八日発日APとして、二十八日明らかにせられたところによると、沖繩駐在の米軍に原子砲が追加せられることになった。口径二百八十ミリ、二、三日中に陸揚げされる、米陸軍には五十門以上の原子砲があり、うち三十六門は欧州にすでに送られて、極東に送られるのはこれが初めてだと報ぜられております。これからが日本に関係ある知事でございますが、読売、産経、日本タイムス等若干の違いはございますが、この沖繩に送られた、あるいは送られる原子砲輸送と同時に、頭部に原子爆弾を装填できるロケット弾オネスト・ジョーン、地上砲撃用の原子ロケット砲と注釈せられておるのでございます。このロケット弾オネスト・ジョーンを在日米軍に送るものと見られる。あるいは産経の方には、ロケット砲を装備する一個中隊が送られる、二十九日、きょう日本に到着する予定だと報ぜられております。読売にはオネスト・ジョーンの射程距離は十五ないし二十マイルと書いております。ニッポン・タイムズのAP電の伝えるところによると、十一インチ砲が射程距離二十マイル、二百八十ミリのものが三十マイルと書いてございます。さらに読売が伝えますワシントン特電INSは、オネスト・ジョーン要員はすでに数日前極東に到着したと書いておるのであります。  以上のニュースは、アメリカの陸軍省発表のもののようでございますし、あるいは大使館を通じておるかどうかわかりませんが、井口大使の、共同通信岩館特派員に語ったところによれば、「頭部の原爆はまだ日本にきていないと思う」こう語られております。読売には、この両兵器用の原子砲弾及び原爆は、当分の間太平洋の米軍基地(たとえばグァム島)に貯蔵するものと見られる。なおロケット弾オネスト・ジョーンはアメリカ政府と日本政府とのこれまでの秘密協定に従い日本に送られるもので、日本の国会はこの措置について知らされていないと書いてあります。  まず外務大臣にお尋ねをいたしたいが、日本の政府なりあるいはアメリカ駐在の日本大使館等に、どのように知されておるのか、あるいは読売INS特電によりますと、日本政府とのこれまでの秘密協定があったと報じてありますが、そういう協定があったということを知っておるかどうか、まず伺いたい。  それから新聞の記事を総合いたしますと、これは陸軍省から発表になり、アメリカから在日米軍に直接送られるようであって、その事実がどれだけ日本の政府に知らされているかわかりませんけれども、少くとも日本の防衛関係の政府の部分は知っておるのではないかと考えるのでありますが、防衛庁関係その他は、この事実を知っておるのかどうか、あるいは通知を受けたか、オネスト・ジョ―ンというのはいかなる性質のものであるか、いかなる武器であるのか。二十マイルあるいは三十マイルの射程距離で、それに、その先頭に原子兵器がつけられるということであるといたしますならば、それは従来アメリカでいわれてきたような、アジアの戦争はアジア人同士でやらせる、二十マイル、三十マイルの近距離の間において原子兵器が使用せられるということを、これは予想をされるのでありますが、アジアの戦争をアジア人同士でやらせる、こういう方針がここに具体化したのではないか、あるいは日本人への原爆の危険というものは現実に迫りつつあると考えるのでありますが、その点についてどのように政府として解釈するか承わりたい。  最後に外務大臣、総理大臣にお尋ねをいたしたいのでありますが、この国会中においても、防衛分担金の削減交渉に関連して発せられました日米共同声明によって、大型ジェット機発着のための飛行場の拡張が行われることになっている。この五つあるいは六つの飛行場、あるいは残るのは十といわれますが、この大きな拡大さたれ飛行場に大型ジェット機が発着するとして、それは原子兵器が積まれるのではないか、そういう意味のことを井口大使も語っておられるようであります。F86Fも積もうと思えば積めるのであるから云々と書いてございますが、そのF86Fに積もうと思ったら積めるという点を井口大使も認めておられるようでございます。国会、国民はこの飛行場の拡張と関連をして、日本が原爆の基地になるのではないかという非常に深刻な不安を持って参りました。従って日本の原爆基地化のために、あるいはその使用のみならず、製造、実験禁止のために国民の大半がこの反対のために署名をいたして参りました。来たるべき八月六日には、これは日本だけでなしに、アジアの、世界の大関心事として、原爆禁止の、広島、長崎のあの悲惨事を再び繰り返すなという会合が持たれようとするのでありますが、政府はこの国会、国民のこの疑問と不安に対して、行政協定の中には、原子兵器は含まれていないはずである、あるいは日本に原爆を持ってくるときには、それは話があるだろう、そういう場合には拒否をする、あるいはこれは重光外務大臣でございましたか、アリソン大使との話の間に、そういう話があったという程度の答弁はございましたけれども、しかし行政協定の解釈について、もう一度明らかにせられたいのでございますが、あるいは基地の拡張の問題につきましても、アメリカ軍の希望がそのまま、あるいは多少集約されるとしても、軍の要望に協力するのが日本の態度、それが安保条約、あるいは行政協定に基く義務だと総理は言われて参りました。そうしますと、米軍から一方的に、このロケット弾あるいはオネスト・ジョーンといったものを持ってくるとして鳩山総理あるいは重光外務大臣の見解として、これははっきり断わることができると解釈しておられるのでございますか、明らかにせられたいと思います。私どもが安保条約あるいは行政協定に反対をいたして参りましたその意味の中には、あの条約、あるいは協定によれば、米軍の要望があるならば、それを断わることが条約上は、あるいは協定上は不可能ではないか、従って原子爆弾を日本に持ってくるときには、断わりなしに持ってこられる、あるいは日本にある原爆が断りなしに使われるとして、それを拒否できないのではないか、こういう考えで参ったのでございます。現に今明日中に、その頭部についております原子兵器があるかどうかは明らかでございませんけれども、しかし原子用兵器が今日あるいはあす日本に持ってこられようとしていることは、関係記事あるいは井口大使の言明をもっても明らかだと思う。総理大臣あるいは外務大臣は、この点について明確な原子兵器の日本への持ってくることについて、断固としてこれを拒否する、こういう声明を天下になさる意思があるかどうか。あるいはアリソン大使との間にそうした話があったというならば、ここに日米共同声明をもって、日本の原爆基地化に対する不安にこたえて、日本を原爆基地にすることは絶対にない、こういう言明ができるかどうか、明らかにこの議場を通じて声明をしていただきたいと思うのであります。  さらに、私どもは行政協定あるいは安保条約に、先ほど申しましたような不安が私どもはあると思うのでございますが、重光外務大臣は従来、大使も言明せられるのだし、われわれも聞いてきたことだから、それは間違いないだろうというような答弁でございましたけれども、行政協定についての解釈、あるいは原子兵器の将来について声明をするだけでなしに、はっきりした協定上の保証、行政協定あるいは安保条約が鳩山首相が従来言われているごとくでございますならば、当然改訂なしには、あるいは廃棄なしには、この保証は得られないと思うのでありますが、協定について、その他条約上の共同行為をもってその点を明らかにする、日本を原爆基地から守り、日本に原爆が持ってこられる、日本から原爆が使われるということを拒否する意思はないかどうか。あるいは安保条約には、アジアの安全及び保障ということが書いてございます。日本を守るというのではなくしてアジアを守る、あるいはアジアの保障のために日本に原爆を持ってくる、あるいは沖繩に持ってくるということになりますならば、これは安保条約との関連になって参ると思うのでありますが、現実の原子砲あるいはロケット弾、こういうものを日本に持ってこようという、あるいは持ってきつつあるこの現実に対して、安保条約そのものについて従来の総理あるいは外務大臣の言明でございますならば、それについてはっきりした改訂、保証がなければならぬと考えるのでありますが、この国会を通じて総理及び外務大臣の明らかな意思を、あるいは国民に対する態度を明らかにせられたいと思うのであります。  さらに、従来あるいは原爆を日本に黙って持ってくることはないだろう、あるいはそういう場合には、これを断固拒否すると言ってこられましたが、もし今明日中あるいは将来にわたって、黙って持ってこられるという事態が起ったとするならば、そのときには鳩山総理あるいは外務大臣等、政府は責任をとるべきであると思うのでありますが、その責任をとる態様を明らかにせられたいと思うのであります。  以上、若干の時間、余裕がございますが、答弁によりまして再質問をいたしたいと思います。(拍手)    〔国務大臣鳩山一郎君登壇〕
  9. 鳩山一郎

    ○国務大臣(鳩山一郎君) ただいまの御質問に対しましてお答えをいたします。  本日の新聞に出ておりました原爆用ロケット弾が来たとか来ないとかいうことの御質問でございますが、このことについては米側より申し入れ、または連絡はございません。単なる新聞報道であると考えております。  国内の貯蔵について秘密協定があるかという御質問でありますが、秘密協定は全然ございません。  これをはっきり文書にしたためるべきではないかという御質問でありますが、ことさら文書にしておく必要があるとは、ただいま考えておりません。  飛行場の拡張等によって、原子兵器を登載する大型爆撃機というものが来るのではないかというような御質問でございましたが、今日の飛行場の拡張は、戦闘機についてだけでありまして大型の爆撃機については飛行場の拡張はございません。これらの大型の爆撃機を用いるような飛行場の拡張については、政府としては反対の意見を持っております。  以上、御答弁申します。(「その反対の点を明らかにしなければ」と呼ぶ者あり)明らかにしてございます。(「責任はどうする、責任は」と呼ぶ者あり)責任はむろん政府としてとります。    〔国務大臣重光葵君登壇〕
  10. 重光葵

    ○国務大臣(重光葵君) お答えを申し上げます。  今朝の新聞で、AP電等として伝えられております原子兵器移送の報道でございます。このことにつきましては、いまだ米国側から何ら公式の説明を受けておりません。しかし重大なこれは記事でありますので、直ちにこの報道についてその真否その他、米国政府の説明を十分にいたしてもらいたいといって問い合せ中でございます。東京にはまだ何ら報道が来ておらぬようでございます。それでございますから、その結果を見て、これに対処する方針をきめたいと思っております。わが方の態度及び方針、また並びに協定に関する解釈等につきましては、これまで声明をいたしましたところと今日何ら変りはないのでございます。  以上をもって私のお答えといたします。    〔国務大臣杉原荒太君登壇〕
  11. 杉原荒太

    ○国務大臣(杉原荒太君) お答え申し上げます。  アメリカ側からのこの点についての連絡の点につきましては、ただいま外務大臣からお答え申し上げた通りでございます。ただいま吉田議員から、この伝えられる兵器の性能等についての御質問がございましたが、一般的に、アメリカの原子砲だとか、あるいはいわゆるオネスト・ジョーン等についての性能等については、専門の雑誌等においてその性能等はある程度承知いたしておりますが、現に今問題になっておりますのが、どういうものであるかということは、わかっておりませんのでございます。今外務大臣から申されたように、この点についての情報について、すべて問い合せ中でございます。その結果を見まして御報告申し上げます。    〔吉田法晴君発言の許可を求む〕
  12. 河井彌八

    ○議長(河井彌八君) 吉田法晴君。    〔吉田法晴君登壇、拍手〕
  13. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 政府の御答弁によりますと、まだ何ら通知を受けておらん、通知を受けてから、あるいは調べてからと、それから原子兵器の問題については、従来の言明と変りがない、こういうお話でございますが、きょう、あるいは、あす着くという原子兵器について質問をしたのであります。そこで事実来る、あるいは砲身だけ、この砲弾の身は来るのでありますが、そういう事態に対して、これから政府としてどうするのか、あるいはその頭部につける原子兵器の来るについては断わるのかどうか、それを政府としてどういう意思表示をアメリカ側にするのか、これを聞いておる。  さらにもう一つは、従来のように原子兵器を日本に持ち込むことについては反対である、これを拒絶するというならば、この議場を通じてはっきりその点を言明するだけでなしに、あるいは政府の責任等だけでなしに、あるいは政府として責任のある声明をするなり、あるいは共同声明をする責任があるのではないか。具体的に総理及び外務大臣、政府に対して求めている。これだけ心配を持っておる国民に対して、これらの点について明らかにすることは、政府の責任だと思うのでありますが、先ほどの答弁はきわめて不まじめであり、あるいは無責任だと思うのでありますが、重ねて十分な答弁を願いたいと思う。(拍手)    〔国務大臣重光葵君登壇〕
  14. 重光葵

    ○国務大臣(重光葵君) お答えを申し上げます。  私が先ほどお答えしたことは、少しも無責任なお答えではございません。この問題はまず真相を明らかにしなければなりません。真相を明らかにするだけの手続は十分とらなければなりません。しかしながら、お話の通りに非常に急を要することでありますので、その手続も至急これをとっておるわけでございます。これに対処する方針は、先ほど申しました通りに、すでにたびたび政府の方針として声明をいたしておる通りで、これによって対処する、こういうことを責任をもって申し上げておるわけでございます。以上であります。      ―――――・―――――
  15. 河井彌八

    ○議長(河井彌八君) 日程第一、合併市町村の育成強化に関する決議案(石村幸作君外十九名発議)  本決議案につきましては、石村幸作君外十九名より委員会審査省略の要求書が提出されております。発議者要求の通り委員会審査を省略し、直ちに決議案の審議に入ることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  16. 河井彌八

    ○議長(河井彌八君) 御異議ないと認めます。よって本案を議題といたします。まず発議者の趣旨説明を求めます。石村幸作君。    〔石村幸作君登壇、拍手〕
  17. 石村幸作

    ○石村幸作君 まず決議案を朗読いたします。   合併市町村の育成強化に関する決議案   町村合併は、関係市町村の異常なる熱意により、幾多の困難を克服して断行され、既に減少町村は五千三百に及び、町村合併計画の八十三パーセントを達成し、その大半の完了を見るに至つた。しかるに合併市町村の育成措置は頗る徹底を欠き、新市町村建設事業は遅々として進まず、町村合併の成果に対する住民の期待に反すること甚だしい。   よつて政府は合併市町村の基礎を確立するため、速やかに必要、且つ適切な措置を講じ、極力建設計画の完成を期すべきである。  右決議する。  この決議案は、地方行政委員会全員の総意に基く発議でありまして、ここに発議者を代表して私からその趣旨の弁明をいたす次第でございます。町村合併はその後予想外の好成績をおさめまして、現在までに減少町村五千三百、合併計画の実に八三%を完了するという結果を見ているのであります。さらに若干数字的に申し上げますと、町村合併促進法実施の昭和二十八年十月現在の二百八十六市、千九百七十六町、七千六百六村は、三十年五月三日現在で四百九十市、千八百三十六町、二千六百六十三村となっておるという次第なのであります。しこうして国の合併補助金は一町村当りわずかに四十万円程度ということなのでありますから、これらの合併の進捗は、一に町村の自覚と国の方針への協力、並びに議員立法の内容に絶大な信頼を寄せたことに基くものと考えられるのであります。  さて、それではこの町村合併が、その内容においても、われわれの期待したようなものとなっているかと申しますと、必ずしもそうではないのであります。実際にごらんのように、合併はしてみたけれども、役場の事務から小中学校まで旧態依然としてばらばらであり、その他、百般、単に看板をかけかえたにとどまるという場合が多いのであります。われわれが当参議院の議決によりまして、議員立法による町村合併促進法の制定をいたしましたおもなる目的は那辺にあったでありましょうか。それは単に機械的の合併によりまして町村の数の減少をはかるということだけではなかったはずであります。今回の大合併に常に対比されまする明治二十二年の大合併は、国の権力的処分による合併であったのでありますが、その目的とするところは、近代的の行政制度を輸入するについて、国の行政機構の末端としての町村規模の適正化をはかることが、その中心目的であったのであります。かくて当時におきましては、町村は、その名は自治体でありましたが、その実は、わずかに、学校の建物を維持管理し、あるいは戸籍事務を行い、若干の産業奨励的事業を行うということであったのであります。現在の町村自治に期待されているところは何であるか。それはまさにそれ自体がある意味において完成せる一個の政治体であることに存するのであります。長を公選とし、議員を公選とし、独立の税源を付与し、かつ、その権能として財産を管理し、事務を処理し、行政を執行することと定めている憲法上の原則は、このことを意味しているのであります。町村の負担する行政事務は態様が旧制度と全く一変していることは、この根本から出ているものなのであります。かくてそこに要求されるものは、この全く新たなる意味における自治の負担者としての町村は、旧時に比較して、その行財政能力は大いに高からざるべからず、その統一性と一体性は、はるかに緊密たらざるべからずということになるのであります。町村合併促進法を提案するに当りましてその提案理由中に「その規模を適正にすることが、まずその出発点となるべきものと考えるのであります」と述べまた第一条に目的として「町村における地方自治の本旨の充分な実現に資することを目的とする」と規定してありますのも、全くこの趣旨に出ているものなのであります。要するに町村合併の目的は、町村合併によって、その規模を適正化し、その行財政能力を高め、従ってその政治的単位としての統一性、一体性を実現するところにあるのであります。町村合併促進法の諸規定はすべてこの一点に集中されているのであります。合併に際しては、必ず新町村建設計画を定め、一、町村建設の基本方針。二、役場、支所、出張所あるいは小中学校等の教育文化施設、消防、その他病院、診療所、保育所等の統合整備。三、土木施設、公益企業その他の建設事業。四、基本財産の造成等の諸事項について定むべきものとし、その実行を容易にする一助として起債の特例、地方交付税の特例、国有財産及び国有林野に関する特例等、各種の特例規定を設けているのも、そのためであります。もしかくのごとくわれわれの期待したように進んでおりますれば、事務の合理化、能率化によって、行政経費の節減は年間実に二百三十六億円に上るとの計算も出ているのであります。町村合併について表裏一体をなすものとして町村合併促進法には、国については「新町村建設計画の実施を促進するため、法令及び予算の範囲内において、財政上の援助について、事情の許す限り、優先的な取り扱いをするものとする」趣旨の規定、道路等国の事業に関する優先措置を講ずべき規定、その他国有財産、国有林野等に関する処分について配慮することの規定をおき、府県もまたこれに準すべきことを定め、あるいは国有鉄道、日本電信電話公社等が管轄区域について必要な措置を行うこと等を定めているのも、一にこの目的に出するものであります。  これらはいずれも町村合併の実質的効果をあげるについては、必ず実行されることを必要とする事項なのでありますが、実情は法律の期待するがごとくには参っていないことは御承知の通りでありまして、地方行政経費の節約はすこぶる大きいにもかかわらず、国は出し惜しんでいるわけであります。かくては町村合併は現在の段階においては、単に機械的の合併によって町村数を減少したというにとどまり、その効果が上らざるにとどまらす、実は法律の主旨に信頼して大規模の合併を多数見ている実情まりして、現状をもってしてはかえって自治を破壊するものとなるおそれを生じているのであります。すなわち地域の大なることは、その統一と一体を得るについて有効適切の施策を欠く場合は、それは自治意識の滅失を意味し、自治行政の終末を意味することになるのであります。最近地方において目賭される状況は、このことをよく示していると思うのであります。すでに合併は形式においてはその大半を終っているのであります。私どもはこの際、その実質を整うべきことについて、立法者としての責任を自覚するとともに、この際、断じて政府の善処を要求いたしたいと思うのであります。すなわち、一、合併町村については標準的施設あるいは事業規模を定め、これに適合するものは、国が積極的に助成、これを保障すべきであります。  二、各省庁所管の事業の実施と補助金とはまず合併町村に優先すべきであります。  三、郵便、電信電話施設の統合整備は急速に実現さるべきであります。  四、基本財産の造成は、財政的基礎を確立するため急務中の急務にて、この際、国有林野は計画的に払い下げらるべきものであります。  五、中学校の統合整備を促進し、これをもって小学校の生徒増による拡張あるいは老朽のため改築を要する校舎等に充てらるべきであります。  六、農業委員会等の公共的団体は統合さるべきであります。  七、職員の配置を適正化し、機構の整備をはからしむべく、これについては行財政上必要の措置を講ずべきものであります。  八、以上の諸項は特に急速に実現を要するものでありますが、この際、政府は合併市町村育成につき年次計画を策定し、必要な予算措置を定め、起債を確保し、あるいは交付税の配分についても、特例を設くべきであると考えます。  九、関係行政機関、地方団体の代表者をもって構成する連合協議会を設け、また合併市町村育成法(仮称)を制定して、合併市町村の育成強化を総合的に推進し、新市町村の基礎を確立するの措置を講ずべきものと考えるのであります。  以上の理由により、ここに決議いたすべきことを提案し、御賛成を願う次第であります。(拍手)
  18. 河井彌八

    ○議長(河井彌八君) 別に御発言もなければ、これより本案の採決をいたします。本案に賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立〕
  19. 河井彌八

    ○議長(河井彌八君) 総員起立と認めます。よって本案は、全会一致をもって可決せられました。  ただいまの決議に対し、川島国務大臣から発言を求められました。川島国務大臣。    〔国務大臣川島正次郎君登壇〕
  20. 川島正次郎

    ○国務大臣(川島正次郎君) 町村合併は、全国的にその大半を完了するに至りましたが、合併町村を育成強化して、真に合併の目的を達成するには、今後格段の力をいたすべきでありまして、政府といたしましても、その責任を痛感しておるのでございます。今日までのところ、市町村建設計画は実施の緒についたところでありまして、その実現は今後に待たなければならないのであります。それには合併市町村自体の自主的な経営建設の意欲と努力とを根本とすべきでありますが、政府といたしましても、その協力は従来十分でないことは率直に認めざるを得ないのであります。新市町村の建設にきわめて必要な建設事業に対する補助金交付の優先的措置、起債の優先的取扱い、特別交付税の交付等につきましては、それぞれ必要な措置をとって参りましたが、決して十分とは言えないのでございます。合併市町村の財源確保に要する国有林野の払い下げその他の措置、あるいは住民の便宜のため郵便、電信、電話等の管轄区域の合理化等は、さらに強力に推進すべきものでありまして、政府といたしましては、本院の適切な御決議を尊重いたしまして、今後一そう関係各省と協力いたしまして、政府が一体となりまして、その育成に万全を期したいと存じておる次第でございます。(拍手)      ―――――・―――――
  21. 河井彌八

    ○議長(河井彌八君) 日程第二、特別円問題の解決に関する日本国とタイとの間の協定の締結について承認を求めるの件  日程第三、関税及び貿易に関する一般協定への日本国の加入条件に関する議定書への署名について承認を求めるの件(いずれも衆議院送付)  日程第四、日本海外移住振興株式会社法案(内閣提出、衆議院送付)  以上、三件を一括して議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  22. 河井彌八

    ○議長(河井彌八君) 御異議ないと認めます。まず委員長の報告を求めます。外務委員長石黒忠篤君。    〔石黒忠篤君登壇、拍手〕
  23. 石黒忠篤

    ○石黒忠篤君 ただいま議題となりました特別円問題の解決に関する日本国とタイとの間の協定の締結について承認を求めるの件及び関税及び貿易に関する一般協定への日本国の加入条件に関する議定書への署名について承認を求めるの件、以上二つを一括いたしまして、外務委員会における審議の経過と結果を報告いたします。  前者につきましては、政府の説明によりますると、わが国とタイとの間においては第二次世界大戦中、特別円勘定に関する諸取りきめ及びこれに連関する金の売買に関する諸取りきめが存在しておりました。戦後タイ国との間におきまして国交回復に伴って、両国政府の間でこれら取りきめに基く両国間の債権債務の解決のために折衝が続けられて参ったのであります。しかるところ本年七月、タイの外務大臣来朝の機会に、協定案文の妥結を見まして同大臣と重光外務大臣との間に仮調印が行われ、次いで七月九日、バンコックにおいてわが国の大使とタイ国の外務大臣との間に本件協定の署名が行われたのであります。  協定の内容は、わが方が五年の分割払いによりまして、五十四億円に相当下るポンドをタイに支払うとともに、経済協力として、九十六億円を限度とする投資及びクレジットの形によりまして、わが国の資本財及び役務を提供することを約し、他方タイは特別円問題に関する一切の請求権を放棄するということになっておるのであります。政府としては、本件協定の実施によりまして、日タイ両国の間の重要懸案が円満に解決されることは、両国の友好関係の強化、経済提携の促進に役立って、ひいてはわが国とアジア諸国との間の政治的、経済的関係の改善及び発展に資するところが多大なるものであるという考えでいるのであります。  後者の案件、すなわち関税及び貿易に関する一般協定、すなわちガットへの加入に関しまして報告を申し上げます。  わが国は昭和二十七年七月にこのガット加入の申請をいたしましたが、実現に至らず、一昨年いわゆる仮加入宣言によって暫定的にこれに参加をした次第でありますが、正式加入をすることの努力を政府は続けて参りました結果、昨年十月の第九回締約国団会議における決定に基きまして、本年二月二十一日から関係国と関税交渉をそれぞれ行なって、その結果に基いてわが国の加入条件を定めるこの議定書が作成されたのであります。政府は六月七日、この議定書に署名を了したのであります。よって政府は国会の承認を求めんとして本件を提出しきたったのであります。  政府の説明によりますと、わが国のガット加入が実現するためには、わが国がこの議定書に署名し、さらにこの議定書と同時に作成された、わが国の加入に同意する旨の締約国団の決定に加入国の三分の二、すなわち国の数において二十三カ国の賛成投票が八月十一日までになされる必要があるのでありまして、それが八月十一日までに整えば、それより三十日後、すなわち九月十日にわが国が正式加入となるということであります。しこうしてその実現の見込みがあるかということを尋ねましたところが、見込みは十分にあるということでありました。  委員会はこれら各件につきまして種々審議を行いました上、採決の結果は、両件ともそれぞれ全会一致をもって承認すべきものと議決いたしました。  右、御報告申し上げます。  次に、日本海外移住振興株式会社法案について、外務委員会における審議の経過と結果を報告いたします。  まず本法案の提案理由及び内容の概要を申し上げますと、次の通りであります。  戦後中南米諸国への移民の数は年々増加をいたしており、かつ受け入れ国側の対日感情も好転をいたしておりますので、政府は予算の許す範囲内で、財政出資をもとといたしましてこれに民間資本を加えて、本件海外移住振興株式会社を設立することといたしまして、初年度資本といたしましては、政府資金一億円、民間資金五千万円を予定をいたし、これに目下米国三銀行と交渉中のいわゆる移民借款一千五百万ドルを事業資金として加えまして、ここに発足せんとするものでありまして、そのために必要なる本法案を作成して国会に提出するに至った次第でございます。  この会社の目的は、海外移住事業の振興にあるのでございますが、その行う業務は、移住者に渡航費を貸し付けること、移住者が外国で行う農業その他の事業に対しまして資金を貸し付けること。また必要あるときは移住者受入促進事業に投資せんとするものであります。  委員会は、農林水産委員会との連合審査会をも合せまして五回にわたって本案の審議を慎重に行いました。委員会においては、会社の業務が公共性と営利性とを含んでおって、いずれに重点がおかれるか判明しないという点、渡航費の貨付と回収との問題、会社運営の根幹たるべき業務方法、事業計画等の具体案がいかなるものであるかというような点、移民業務に関係のある農林省等と外務省との連絡調整の問題、移民借款の交渉の経緯及びその条件、本会社と既存の海外協会連合会との関係等について、熱心かつ適切な質疑が行われたのでありますが、詳細は時間の都合上、会議録によって御承知を願います。  委員会は、七月二十七日質疑を了しまして、討論に入りましたところ、曾祢委員より、希望条件を付して本案に賛成する旨の陳述があり、その条件は、「委員会の審議の過程において多数委員が表明せられた意見にも合致するものと信ぜられ、かつ、先に農林水産委員長よりの申し入れがあった希望条件をも考慮に入れたものであるから、本法案に関する付帯決議として取り扱ってもらいたい」という陳述があったのであります。そうして付帯決議案を読み上げられました。その付帯決議は、  本法案について政府は左記諸点を慎重注意の上実施すべきである。   一、移民の受け入れ及び定着を個人のコンセッションのみにゆだねることなく、機をみてすみやかに関係国との間に移民協定を締結する等、移民の保護と外交の円滑化に遺憾なきを期すること。   二、我が国移民事業の特質並びに現状にかんがみ、本会社はその主目的が多数農業移民の送出と、その定着のための営農資金の貸付とにあることに十分留意として経営すること。   三、本会社の業務の運営に対する指揮、監督については、当面農業移民が最も重要な割合を占めることに顧み、外務省は特に農林省と十分連絡を行うこと。   四、移民の募集、送出の世話、その他移民問題に関する国内啓発等は公共性濃き事業なるにかんがみ、これを民間法人に委託する場合には法令による監督制度を明確にするはもちろん、その構成、運営等についても十分指揮監督を行い、改善の実をあげること。  右決議する。  こういうのであります。引き続いて、羽生、梶原、鹿島の各委員より、それぞれ原案並びに付帯決議案に賛成の意見が述べられたのであります。次いで採決に入りましたところ、全会一致をもって原案を、次いで付帯決議案も可決せられました。  右、御報告を申し上げます。(拍手)
  24. 河井彌八

    ○議長(河井彌八君) 別に御発言もなければ、これより三件の採決をいたします。  まず、特別円問題の解決に関する日本国とタイとの間の協定の締結について承認を求めるの件、関税及び貿易に関する一般協定への日本国の加入条件に関する議定書への署名について承認を求めるの件  以上、両件を問題に供します。委員長報告の通り両件を承認することに賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立〕      ―――――・―――――
  25. 河井彌八

    ○議長(河井彌八君) 総員起立と認めます。よって両件は、全会一致をもって承認することに決しました。      ―――――・―――――
  26. 河井彌八

    ○議長(河井彌八君) 次に、日本海外移住振興株式会社法案、全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立〕
  27. 河井彌八

    ○議長(河井彌八君) 総員起立と認めます。よって本案は、全会一致をもって可決せられました。      ―――――・―――――
  28. 河井彌八

    ○議長(河井彌八君) 日程第五、糸価安定特別会計法の一部を改正する法律案  日程第六、労働者災害補償保険特別会計法の一部を改正する法律案  日程第七、自動車損害賠償責任再保険特別会計法案(いずれも内閣提出、衆議院送付)  以上、三案を一括して議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  29. 河井彌八

    ○議長(河井彌八君) 御異議ないと認めます。まず委員長の報告を求めます。大蔵委員長青木一男君。    〔青木一男君登壇、拍手〕
  30. 青木一男

    ○青木一男君 ただいま議題となりました三法律案について、大蔵委員会における審議の経過並びに結果を御報告申し上げます。  まず、糸価安定特別会計法の一部を改正する法律案について申し上げます。  今国会において、現行の生糸価格を安定帯の範囲内に維持することによって、原料繭の価格も自然安定するという考え方から今一歩進めまして、繭価維持についての明確な規定をおき、糸価安定に万全を期そうという趣旨の繭糸価格安定法の一部を改正する法律案が別途成立をみましたが、本案はその改正に伴うものであります。  本案の内容の概略を申し上げますと、第一点は、この会計の負担において新たに繭の買い入れ、売り渡し、交換及び加工並びに繭価維持のための助成の経費を支出することができること等にしようとするものであります。第二点は、この会計が必要とする数量の繭及び生糸を買い入れるには、その資金が不足することが予想されますので、新たに支払い上現金に不足があるときは、三十億円を限って一時借入金等をすることができることとしようとするものであります。なお、右の改正に伴い必要な規定の整備を行おうとするものであります。  本案の審議におきましては、本会計の収支状況、また本会計のごとき事業会計の損益計算上における予備費の扱い方及び事業量の明確化等について質疑応答がありましたが、詳細は速記録によって御承知願いたいと存じます。  質疑を終了し、討論、採決の結果、全会一致をもって原案通り可決すベきものと決定いたしました。  次に、労働者災害補償保険特別会計法の一部を改正する法律案について申し上げます。  先に、けい肺及び外傷性せき髄障害に関する特別保護法案が成立をみましたが、同法案において、土石または鉱物の掘さく等、けい肺を誘発する危険のある粉塵作業に従事する労働者に対して、健康診断、症状の決定等を行い、けい肺にかかった労働者の病勢の悪化防止のため、作業の転換を勧告してその者に対し転換給付を行い、けい肺及び外傷性せき髄障害にかかった労働者に対して、療養給付、休業給付等を行うこととしておりますが、本案は、これらの給付等に関する政府の経理を労働者災害補償保険特別会計において行うこととするために所要の改正をしようとするものであります。  以下、本案の概要を申し上げますと、第一条に、労働者災害補償保険事業に関する経理のほかに、先に申し述べましたけい肺関係の経理をこの会計において行うことを規定し、第三条の歳入歳出の項に新たにけい肺関係にかかる歳入歳出の事項を加えるとともに、借入金に関する規定等の整備をするほか、同特別保護法案の施行後、最初に行われるけい肺健康診断等の経費は国が負担することとなっておりますが、経過的なものでありますので、この会計の歳出とすることを附則に規定しようとするものであります。  なお衆議院において、右の特別保護法案が公布の日から施行日前日までの間に打ち切り補償が行われた者についても、二年間療養給付及び休業給付を支給することに修正されたことに伴い、本案の施行期日昭和三十年九月一日を公布の日に改める等の修正がなされたのであります。  委員会の審議の詳細は速記録によって御承知願いたいと存じます。  質疑を終り、討論採決の結果、全会一致をもって衆議院送付原案通り可決すべきものと決定いたしました。  次に、自動車損害賠償責任再保険特別会計法案について申し上げます。  さきに自動車損害賠償保障法案が成立を見ましたが、同法案によりますと、自動車の運行によって人の生命または身体が害された場合における損害賠償を保障する制度を確立するために、原則としてすべての自動車に賠償責任保険契約の締結を義務づけることとし、政府は保険会社の保険責任の百分の六十を再保険するとともに、加害者不明の場合の自動車事故における被害者救済のために、自動車損害賠償保障事業をも行うこととなるのでありますが、本案は、右の自動車損害賠償責任再保険事業及び自動車損害賠償保障事業の経理を明確にするために、一般会計と区分して、新たに自動車損害賠償責任再保険特別会計を設置しようとするものであります。  以下、本案の概要を申し上げますと、この会計は、保険勘定、保障勘定及び業務勘定に区分することとし、保険勘定においては再保険料、保険会社からの保険代位等による納付金、借入金等をもって歳入とし、再保険金、再保険料の払戻金、借入金の償還金及び利子等の諸費をもって歳出とし、保障勘定においては、自動車損害賠償保障事業賦課金、他会計からの繰入金、保険勘定からの繰入金等をもって歳入とし、保障金、業務勘定への繰入金、借入金の償還金及び利子等の諸費をもって歳出とし、業務勘定におきましては、一般会計からの繰入金、保障勘定からの繰入金等をもって歳入とし、再保険事業及び保障事業の業務の取扱いに関する経費をもって歳出とすることとし、その他予算、決算の作成及び送付、利益及び損失の処理等、特別会計に必要な事項を規定しようとするものであります。  本案の審議に当りましては、格別の質疑もなく、討論、採決の結果、全会一致をもって原案通り可決すべきものと決定いたしました。  以上、御報告申し上げます。(拍手)
  31. 河井彌八

    ○議長(河井彌八君) 別に御発言もなければ、これより三案の採決をいたします。三案全部を問題に供します。三案に賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立〕
  32. 河井彌八

    ○議長(河井彌八君) 総員起立と認めます。よって三案は、全会一致をもって可決せられました。      ―――――・―――――
  33. 河井彌八

    ○議長(河井彌八君) 日程第八、養ほう振興法案  日程第九、農林水産業施設災害復旧事業費国庫補助の暫定措置に関する法律の一部を改正する法律案  日程第十、天災による被害農林漁業者等に対する資金の融通に関する暫定措置法案(いずれも衆議院提出)  以上、三案を一括して議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  34. 河井彌八

    ○議長(河井彌八君) 御異議ないと認めます。まず委員長の報告を求めます。農林水産委員会理事白波瀬米吉君。    〔白波瀬米吉君登壇、拍手〕
  35. 白波瀬米吉

    ○白波瀬米吉君 ただいま議題となりました農林水産関係三法律案について、農林水産委員会における審査の経過並びに結果を御報告いたします。  まず、養ほう振興法案について申し上げます。  本法律案は衆議院議員平野三郎君外四君によって提出せられ、衆議院において一部修正して本院に送付せられたものでありましてこれが提案の理由として、ミツバチが生産するハチみつ及びみつろうの産額は、年間十数億円に達し、その用途は、ハチみつにあっては食用、薬用、化粧用、工業用に、また、みつろうは電気絶縁用及び薬用等広範にわたっているが、このほかミツバチの集みつ活動に伴う花粉受精の媒介によって農業上、農作物の結実促進の役割を果しており、かようにミツバチは、農業生産上無視することのできない存在であるのでありますが、近年各種農薬の進歩普及の結果、これら農薬によるミツバチの被害が激増したばかりでなく、最近ミツバチの腐蛆病が蔓延して養ほう業に脅威を与えている。そこで従来ほとんど行政の手の及ばなかった養ほう業に対して現在可能な限りの育成を与え、もってミツバチ資源を保護培養したい趣旨によるものであると述べ、しかしてミツバチ群の配置を適正にする等の措置を講じてハチみつ及びみつろうの増産をはかり、あわせて農作物等の花粉受精の効率化に資することがその目的であるとされております。  しかして法律案の内容は、養ほう業者の届出、転飼養ほうの規制、農薬使用の規制、みつ源植物の保護増殖、ハチみつ添加物の表示、農林大臣のほう群数等に関する報告聴取及び勧告、養ほう振興に対する国の助成及びミツバチの腐蛆病を家畜伝染病予防法によって法定する等を骨子とするものでありまして、養ほう業者に対して毎年都道府県知事に届出の義務を課し、他の都道府県の区域内に転飼しようとする養ほう業者は、あらかじめ転飼先の都道府県知事の許可を受けなければならないこと、その許可には、転飼の場所、ほう群数その他の事項に関し条件をつけることができること、農林大臣は農薬の使用がミツバチに著しい被害を与えるおそれがあると認めるときは、の使用を制限し、また使用の時期及び方法等について必要な命令をすることができること、農林大臣は養ほう振興上必要があると認めるときは、都道府県知事に対しみつ源の状態、ほう群数その他必要な事項に関して報告を求め、かつ、ほう群配置の適正を期するために、転飼養ほうの規制に関し都道府県知事に勧告を行うことができること、ハチみつ販売業者に対してハチみつの添加物の有無、種類、割合を表示せしめること、及び養ほう振興に対する政府の助成等について規定し、附則、において家畜伝染病予防法の一部を改正して、ミツバチの腐蛆病を法定伝染病に指定することといたしております。このような提案者の原案に対しまして、衆議院において、原案の第五年の農薬使用の規制に関する規定を削除修正し、衆議院提出案として当院に送付して来たのであります。  委員会におきましては、提案者代表から提案理由の説明を聞いた後、提案者及び政府当局との間に本法案実施のため必要な経費及びその予算措置、養ほう業者の組織、養ほう事業の今後の見通し、養ほう業者の届出、及び転飼養ほう規制の意義及びその当否、本法案に対する政府の見解、本法第五条のみつ源植物の保護増強の実施方法等について質疑が行われたのでありまして、その詳細は会議録に譲ることを御了承願いたいのでありますが、本法に関する政府の見解について、農林省畜産局長から、「腐蛆病に関する措置は必要であるが、しかし養ほう業の助成措置については農林省では慎重検討する必要がある」旨述べられたのであります。かくて質疑を終り、討論に入りましたところ、東委員から、「本法案の実施を十全ならしめるため、養ほう業者の組織化をはかるべきであって、政府において善処すべきである」旨の希望を付して賛成があり、他に発言もなく、続いて採決の結果、全会一致をもって衆議院提出案通り可決すべきものと決定いたしました。次に、農林水産業施設災害復旧事業費国庫補動の暫定措置に関する法律の一部を改正する法律案について申し上げます。本法律案は、衆議院議員小枝一雄君及び松浦東介君によって提出されたものでありまして、現行農林水産業施設災害復旧事業費国庫補助の暫定措置に関する法律におきましては、災害復旧事業費に対する国庫補助の補助率は被害の程度によって平率と高率の二段階に区分し、平率にありましては五割及び六割五分、高率にありましては復旧事業費に対する負担が一定の限度をこえる場合に、そのこえる部分についてのみ施設によって七割五分、八割または九割ということになっているのでありまして、激甚な災害が起りましたときは、そのつど災害復旧のため特別な措置を講ずる必要が痛感されていたのであります。そこでこの際、現行法の一部を改めて、公共的施設であります農業用施設、奥地幹線林道及び漁港施設についてその被害が激甚で復旧事業費が巨額に上る場合、その復旧事業費の負担が政令で定める限度をこえるとき、そのこえる部分について全額を国が補助することができることとして地元負担の軽減をはかり復旧事業の促進をはかることとしようとするのが本法律案提出の理由とその内容であったのであります。ところが、かような原案に対して衆議院において、国の補助の対象として、現行法の農地、農業用施設、林業用施設及び漁港施設の災害復旧のほかに新たに農業協同組合、農業協同組合連合会、森林組合、森林組合連合会または水産業協同組合の所有する倉庫、加工施設、共同作業場及びその他の農林水産業者の共同利用に供する特定の施設の災害復旧をも加え、これが復旧事業費の二割を補助することができることとする規定を追加修正し、衆議院提出案として本院に送付されたのであります。なお以上の改正規定は、昭和三十年一月一日以後に発生した災害から適用することになっておりまして、また本法施行に要する経費は、本年度約六千万円、平年度約三億一千万円の見込みであると言われております。委員会におきましては、提案者代表から提案理由の説明を聞いた後、提案者及び政府当局との間に、過年度災害及びその復旧状況、本法案による措置と公共土木施設災害復旧事業費国庫負担法による措置との財政支出に関する比較、本法案及びこれが完全実施に関する政府の見解、激甚災害に関する判定及びその当否、政令で定めるべき全額国庫補助部分の基準及びその当否、本法案実施に要する経費及びその予算措置等、いろいろの問題について質疑が行われたのでありまして、その詳細は会議録に譲ることを御了承願いたいのでありますが、本法案及びこれが完全実施に関する政府の見解について吉川農林政務次官から、「本法第三条第三項第二号の改正規定による政令で定める基準を被害農家一戸当り災害復旧事、業費二十万円以上とすることについては、政府部内において異論がないが、その他については部内の一部に異論が、あるが、しかし、おおむね了承して善処したい」旨述べられているのであります。  かくして質疑を終り、討論に入りましたところ、重政委員から、「本法案には賛成であるが、次のような付帯決議を付したい」旨の動議が提出せられました。その付帯決議案は次のようであります。  一、政府が本法による第三条第三項第二号の改正規定による政令を定めるに当っては、その基準を関係被害農家戸当災害復旧事業費十五万円をこえる部分とすべきである。  一、政府は災害復旧を極力促進し、三・五・二の比率による復旧は必ずこれを実現するよう措置すべきである。 というのであります。  続いて三浦委員から、「従来政府は議員立法を軽視する傾向があるが、公共土木施設の災害復旧については、政府みずから提案して改正措置を行なっているのであっ出て、本法案が提案されるまでの経緯にかかわらず、政府は、本法案の施行に当っては立法の趣旨に沿って遺憾なく措置すべきである」旨の希望を付して、賛成があり、続いて採決の結果、全会一致をもって、重政委員の提案にかかる付帯決議を付して、衆議院提出案の六通り可決すべきものと決定いたしました。なお、右の付帯決議に対し、吉川農林政務次官から、「付帯決議の趣旨はもっともであるから、政府においてもその意を体して善処したい」旨発言がありましたことを申し添えておきま丁。最後に、天災による被害農林漁業者等に対する資金の融通に関する暫定措置法案について申し上げます。本法律案は、衆議院議員楢橋渡君外二百七十二名によって衆議院に提出、衆議院において大幅に修正して本院に送付されたものであります。わが国におきましては、自然災害が頻発して農林水産業に大きな損害を与えることがしばしばてありまして、従来災害のつど臨時立法によって暫定措置を講じ、被害者に対して営農資金の融通をはかってきておるのでありますが、最近は災害の発生が特に頻繁でありまし、もし、その発生が閉会中の場合は、直ちに立法措置を講ずることが不可能でありまして、対策もおのずからおくれ、ひいては被害の回復も期を逸するおそれがあるのであります。従いまし、当委員会におきましては、かねてこの事態を遺憾とし、過般、「昭和三十午四月及び五月の凍霜害、水害等の被害者農家に対する資金の融通に関する特別措置法案」の審査に当りまして、「この際政府は、従来あるいは今回とられたように災害のつど法的措置を講ずるやり方を改めて、恒久的な基本立法を行うよう善処すべきである」との付帯決議を行いましたことは、すでに報告いたした通りであります。  本法律案は、政府の提案ではありませんが、あたかもこの付帯決議にこたえたものであるかのように考えられるのでありまして、従来の立法措置にならって、災害に当って、農林水産業系統金融機関またはその他の金融機関が被害者に対して一定条件の経営または事業資金を融通する場合、国と地方公共団体とにおいて利子補給及び損失補償を行い、もって必要な資金が低利かつ円滑に融通されることを目的とするものであります。  しかして本法律案の内容をまず提出者の原案について見ますと、大要次のようであります。  すなわち、第一は、経営資金の融通とその対象でありまして、暴風雨、地震、暴風浪、高潮、降霜、低温または降霜等の天災で、その被害が著しく、政令で指定された場合において、農作物または繭の減収量が平年収穫量の三割以上であり、かつ、その減収による損失額が平年の農業総収入額の一割以上である被害農家、及びその生産する薪炭または林業用種苗が流失した等のため著しい損害を受けた被害林業者、並びにその生産する魚類、貝類、海草類等の流失またはその所有する漁船、漁具の流失、損壊等によって著しい損害をこうむった被害漁業者であって、それぞれ当該市町村長からその旨の認定を受けたものを対象として、系統金融機関または一般金融機関が政令で定める期間内に営農資金を融通するのであります。  第二は、事業資金の融通とその対象でありまして、前に述べましたような天災でその被害が特に著しく政令で指定された場合において農業協同組合、農業協同組合連合会、森林組合、森林組合連合会または水産業協同組合がその所有し、または管理する施設または在庫品等について著しい被害を受けたときに、系統金融機関または一般金融機関がこれら被害組合及び連合会に対し、政令で定める期間内に事業資金を融通するのであります。  第三は、資金の償還期限、利率及び貸付限度等でありまして、これら資金の償還期限は三年以内、利率は一般には年六分五厘以内、開拓者の場合には五分五厘以内とし、貸付限度は、経営資金にあっては被災農林漁家一戸当り最高五万円、事業資金にあっては、連合会の場合は一連合会当り一千万円、組合の場合は一組合当り五百万円を限度とすることになっております。  第四は、国庫の補助でありまして、地方公共団体がこれらの融資について、融資機関に対して利子補給または損失補償を行う場合、政府は予算の範囲内で都道府県に対し、利子補給につきましては、当該利子補給の二分の一に相当する額、または当該利子補給の対象となった貸付金の総額について一般には年二分五厘、開拓者につきましては年三分の割合で計算した額のうち、いずれか低い額の範囲内、損失補償につきましては、当該損失補償額の二分の一に相当する額、または当該損失補償の対象となった貸付金の総額の二割に相当する額のうち、いずれか低い額の範囲内の補助金を交付することになっております。  第五は、国庫補助の対象になる融資の総額でありまして、これはそれぞれ天災ごとに政令で定める額を限度とすることになっております。  なお、本法は本年六月一日以降発生した災害に適用することとなっております。  以上が提案者の原案の内容の大要でありますが、かような原案に対して、衆議院において大要次のような修正を加えて、衆議院提出案として当院に送付して参ったのでありまして、その修正点の大要を申し述べますと、  第一は、天災のうちに豪雨及び降雪を加える。  第二は、被害事項について、林業関係の中に木材及び一般林産物の流失並びに炭がま、シイタケほだ木、ワサビ及び樹苗育成施設の流失及び損壊を、また漁業関係の中に漁具の沈没及び滅失を加える。  第三は、経営資金の中に政令で定める農機具、シイタケほだ木及び政令で定める漁具の購入資金並びに炭がまの構築資金を加える。  第四は、経常資金の融資条件について貸付限度が原案では五万円とあったのを、一般には十五万円、北海道にあっては二十万円、漁具の購入資金は一千万円、牛または馬を所有するものに対しては右のほか三万円を加えた額に、償還期限が三年以内とあったのを五年以内に、利率が年六分五厘、ただし開拓者の場合には年五分五厘以内とあったのを、政令で定める特定地域の場合は年三分五厘以内、開拓者の場合は年五分五厘以内、その他一般には年六分五厘以内に改める。  第五は、重複被害を受けた被害者に対して二年以内において償還期限の延長を認める。  第六は、損失補償に対する市町村の負担を、四分の一から五分の一に引き下げる。  第七は、国庫補助金の補助率を、利子補給に関するものは、利率を引き下げたものについてはそれに相当して引き上げ、また損失補償に関するものについては二割から二割五分に引き上げる。  第八は、資金の貸付の適正を期するため、融資機関の報告及び検査の規定を設ける。  第九は、本法を本年四月及び五月の災害の一部にも適用する等であります。  なお、本法施行に要する経費は、原案によれば本年度約一億四千万円と見込まれ、修正によって本年度約二千万円増額する見込みであると述べられております。  委員会におきましては、提案者代表から提案理由の説明を聞いた後、提案者及び政府当局との間に、本法第二条第一項により政会で指定する天災の意義及びその範囲、本法案施行に要する経費及びその予算措置、本法によって融通すべき資金の資金源及びこれが確保に関する措置、七月に発生した北海道における水害に対する政府の対策、被害開拓者の救済に対する特別措置、虫害及び鼠害等の被害及び原因不明の天災ともいうべき災厄に対する救済措置、当委員会の決議にもかかわらずこの種法案が政府から提案されなかった理由、その他いろいろな問題について質疑が行われたのでありますが、特に問題となりましたのは、第二条第一項により政令で定める天災の範囲についてでありまして、「第二条第一項で、国民経済に及ぼす影響が大であると認められる天災ということになっているが、局部的であるが、激甚な水害及びひょう害等は本法の適用を受けるか、また、虫害、鼠害またはヒトデ及び赤潮等による魚貝類の被害等はどう措置するか、さらに、天災ではないが、有明海における漁業被害及び千葉県におけるノリ漁業被害等、不可抗力にひとしい被害についても、何らかの考慮が払わるべきではないか」などとただされましたところ、これに対し、「政令で指定する天災としては、従来特別立法が行われたような災害は指定されることになると思う、虫害はその原因が低温等に由来するものであれば、本法か適用されることになる、ヒトデ及び赤潮の被害も、その規模が大きいものであれば考慮されると思う、天災によらない不可抗力による被害は、本法による措置とは切り離して検討すべきものと考える」旨答弁がありました。  かくして質疑を終り、討論に入りましたところ、飯島委員から、「本法案によって、従来の措置が恒久化されたことは一歩前進であることは了とせられるが、しかし、なお盲点が残されていて、不安なきを得ないから、次のような附帯決議を行いたい」との動議が提出されました。すなわち、   一、政府は、開拓者を始めその他零細農林漁業被害者に対して必要な経営資金が均てんするよう特別な措置を講ずべきである。   一、融資の円滑を期するため、政府は、資金源の確保について遺憾なく措置すべきである。   一、天災に準ずべき災害の被害者に対しても本法に準ずる措置を講ずるよう、政府において善処すべきである。 というのであります。  続いて池田委員から、「政府は議員立法を軽視することなく、被災者の再起を十全ならしめるため、本法の精神を体して融資を迅速に均霑せしめるべきである」旨の希望を付して賛成があり、続いて採決の結果、全会一致をもって飯島委員提出にかかる付帯決議を付して、衆議院提出案通り可決すべきものと決定いたしました。なお、右の付帯決議に対して、吉川農林政務次官から、「その趣旨に沿って善処する」旨の発言がありましたことを申し添えます。   以上、報告を終ります。(拍手)
  36. 河井彌八

    ○議長(河井彌八君) 別に御発言もなければ、これより三案の採決をいたします。三案全部を問題に供します。三案に賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立〕
  37. 河井彌八

    ○議長(河井彌八君) 総員起立と認めます。よって三案は、全会一致をもって可決せられました。  これにて午後二時まで休憩いたします。    午後一時十六分休憩      ―――――・―――――    午後二時九分開議
  38. 重宗雄三

    ○副議長(重宗雄三君) 休憩前に引き続き、これより会議を開きます。  日程第十一、危険校舎改築促進臨時措置法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)  日程第十二、私立学校教職員共済組合法の一部を改正する法律案(衆議院提出)  以上、両法案を一括して議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  39. 重宗雄三

    ○副議長(重宗雄三君) 御異議ないと認めます。まず委員長の報告を求めます。文教委員長笹森順造君。    〔笹森順造君登壇、拍手〕
  40. 笹森順造

    ○笹森順造君 ただいま上程されました二つの法案につき、まず危険校舎改築促進臨時措置法の一部を改正する法律案につき、文教委員会における審議の経過と結果を御報告いたします。  小中学校及び高等学校の危険校舎は、今日なお合計百数十万坪に上っておりますが、その設置主体たる地方公共団体の財政状況は、これらの危険校舎を独力をもって改築することがきわめて困難な実情にありますので、さきに第十六回特別国会において、危険校舎改築臨時措置法が制定され、義務制学校の危険校舎については、臨時に国が補助を行うことになりました。しかしながら高等学校の危険校舎についても、都道府県の財政が窮乏している現状にかんがみ、昭和三十年度から公立の高等学校の改築に要する経費の三分の一以内を国庫より補助することとするのが、改正の趣旨であります。  以上が政府の本法律案提案の理由でありますが、委員会における審議の過程において明らかにされました評点のうち、そのおもなるものを申し上げますと、校舎の耐久度調査を科学的に正確に行い、危険校舎の指定を適正に実施すること、危険校舎改築の年次計画は、義務制学校については五カ年完了を目途とするが、高等学校については相当長期間に及ぶこと、義務制学校と高等学校とを差別することなく、危険度を第一義的に考慮して取り扱うべきこと、鉄筋建築の占める比率は、本年度は一五%であるが、明年度以降逐次増高すること、基地周辺、寒冷地等に対しては、鉄筋建築の比率について十分考慮すること等でありましたが、これらの詳細に関しては会議録に譲ることといたします。  かくて質疑を終り、討論に入りましたところ、堀委員より次のごとき附帯決議案を提出して賛成意見の開陳がありました。決議案の内容を申し上げますと、   一、公立学校危険校舎の実態は、年と共に累増する現状に鑑み、早急にその解消を図るため、大巾に予算増額の措置を講ずること。   二、地方財政の長期節約、木材資源の保護及び災害防止等の見地から、鉄筋、鉄骨等の建築に関する予算措置にあたっては、現在の比率を大巾に引き上げること。   三、町村合併の条件となった危険校舎の改築等を含む公立学校施設の統合整備建築に対しては、地方財政の合理的節約及び学校規模適正化等の見地から、国庫補助及び起債等につき所要の特別措置を緊急に講ずること。   四、公立幼稚園の危険校舎の実態に鑑み、速かに之が解消を図るため、国庫補助の対象となる方途を講ずること。  以上でございます。  続いて採決をいたしました結果、全会一致をもって本案を原案通り可決すべきものと決定し、堀委員提出の附帯決議案も、同じく全会一致をもって可決し、これを付すべきものと決定いたしました。  以上、御報告いたします。  次に、私立学校教職員共済組合法の一部を改正する法律案につきまして、委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。  本法律案は、衆議院における議員発議にかかるものでありますが、ますその提案の趣旨について御説明申し上げます。  私立学校共済組合法は、第十六特別国会において私立学校教職員の福利厚生対策の一環として国、公立学校の教職員と均衡を保つような施策を講ずることを目途として制定せられたものであります。この法律の公布によって、私立学校教職員共済組合は昭和二十九年一月に発足し、以来堅実に運営され、その目的を果しつつありますが、その対象たる私立学校は財政的に制約があり、従ってそこに勤務する教職員の給与は、国、公立学校の教職員に比して著しく低い現状でありますので、全国の私立学校並びにその教職員は、ひとしく掛金の軽減を熱望いたしております。本法制定当時、両院の文部委員会においては、政府原案に対し国庫の補助は少くとも百分の二十程度まで引き上げることが強く要望されましたが、当時本法の母法とも言うべき厚生年金保険法の国の補助率が百分の十でありましたために、本法の修正が厚生年金保険法の改正に影響することを理由として、両院の文部委員会においては、それぞれ国庫補助率を早急に引き上げるよう措置すべき旨の付帯決議をいたし、補助率は政府原案通り百分の十にとどめたのであります。しかしながら、厚生年金保険法の国の補助率は、その後第十九国会において百分の十から百分の十五に引き上げられたのであります。このため、本法の適用除外を受けている私学教職員の国庫の補助が、百分の十五となったにもかかわらず、特別法である本法の適用を受ける教職員は、百分の十の補助であるため、均衡を失することになったのであります。さらにまた、現在本組合の長期給付の財源率算出の基礎となる予定利率が比較的高いこと、あるいは私立学校の教職員の平均給与が低いこと等のために、組合にとっても、またその組合員にとっても、他の国家公務員共済組合や地方団体の共済組合等に比較して、負担が相当過重な実情にあります。これらの理由のために、国の補助率を百分の十から百分の十五に引き上げることが必要であり、今回、法の一部を改正しようとするものであります。  委員会におきましては、慎重に審議を重ねましたが、質疑応答のおもなる点を申し上げますと、第一に、「本組合の加入状況はどうか」との質問に対しては、発議者より、「一部は厚生年金保険、健康保険等に加入しているが、他のほとんど全部が本組合に加入しており、加入者数約六万人、学校数にして約四千八百枝である」との答弁でありました。また、「今回の法改正によって、国庫補助率が増加した場合、いかなる利益がもたらされるか」との質問に対しては、「従来長期給付の掛金率が千分の六十六であったものが、千分の六十一に下ることになり、従って組合員並びに学校経営者の負担がそれだけ軽減されることになる」ということでありました。次に、「予算については、三十年度予算において本共済組合への国庫補助金が四百万円修正増額されたが、この四百万円が今回の国庫補助率引き上げに充てられる」旨の答弁がございました。さらにまた、「私学振興上重要な使命を持つ本法律案のごときは、政府より提出されるのが当然であるにもかかわらず、議員提案となった点については、文部省はいかなる見解を持っているか」との質問に対しましては、文部省側としては、改正原案を用意したのであるが、政府部内においていまだ協議がととのうに至らず、明年度を期していた十との答弁がございました。なお詳細については速記録をごらんいただきたいと存じます。  かくて質疑を終り討論に入りましたが、別に発言もなく、採決いたしましたところ、本案は全会一致をもって原案通り可決すべきものと決定いたしました。  右、御報告申し上げます。(拍手)
  41. 重宗雄三

    ○副議長(重宗雄三君) 別に御発言もなければ、これより両案の採決をいたします。両案全部を問題に供します。両案に賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立〕
  42. 重宗雄三

    ○副議長(重宗雄三君) 総員起立と認めます。よって両案は、全会一致をもって可決せられました。      ―――――・―――――
  43. 重宗雄三

    ○副議長(重宗雄三君) 日程第十三、あん摩師、はり師、きゆう師及び柔道整復師法の一部を改正する法律案(内閣提出)  日程第十四、日雇労働者健康保険法の一部を改正する法律案  日程第十五、労働者災害補償保険法の一部を改正する法律案  日程第十六、失業保険法の一部を改正する法律案  日程第十七、戦傷病者戦没者遺族等援護法の一部を改正する法律案  日程第十八、未帰還者留守家族等援護法の一部を改正する法律、案  日程第十九、理容師美容師法の一部を改正する法律案(いずれも内閣提出、衆議院送付)  日程第二十、覚せい剤取締法の一部を改正する法律案(衆議院提出)  以上、八案を一括して議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  44. 重宗雄三

    ○副議長(重宗雄三君) 御異議ないと認めます。まず、委員長の報告を求めます。社会労働委員長小林英三君。    〔小林英三君登壇、拍手〕
  45. 小林英三

    ○小林英三君 ただいま議題となりましたる八つの法案につきまして、社会労働委員会におきまする審議の経過並びに結果について御報告を申し上げたいと思います。  まず、あん摩師、はり師、きゆう師及び柔道整復師法の一部を改正する法律案につきまして申し上げます。  現在、あん摩師、はり師、きゆう師及び柔道整復師以外には、何人も医業類似行為を業としてはならないことになっておりますが、昭和二十二年十二月、あん摩師、はり師、きゆう師及び柔道整復師法の公布の際におきまして、引き続き三カ月以上医業類似行為を業としていた者で、同法施行後三カ月以内に一定の事項を届け出た者に対してのみ経過的措置といたしまして、昭和三十年十二月三十一日まで、当該医業類似行為を業とすることが認められているのであります。今回の改正は、この経過措置が本年末をもちまして打ち切られることになっておりまするので、これに対する措置を講ずることを目的としておるのであります。  本案による改正のおもなる点は、従来、医業類似行為の一種として取り扱われて参っておりまする指圧は、これをあん摩に含まれるものといたしますとともに、現在医業類似行為を行うことを本年末まで認められておりますいわゆる既存業者に対しまして、期限を三カ年延長し、同時にその間にあん摩師試験の受験資格を認めまして、これに合格したときには、あん摩師の免許を受けることができるということになっているのでございます。  以上がこの法案の要旨でありまするが、本案の審議に当りまして参考人を招致いたしまして意見を聴取し、各委員よりきわめて熱心なる質疑が行われたのでありまするが、その詳細は速記録によって御了承願いたいと存じます。  かくて質疑を終了し討論に入りましたところ、榊原委員より、本案に関する付帯決議を付すべき旨の動議が提出されましたが、その案は次の通りであります。   医業類似行為に関しては、政府はその業態を把握、検討の上左記事項に関し適当なる措置を講ずべきである。     記  一、第十九条第一項の規定による、届出をした既存業者であって本法に認められないものについては、猶予期間中に充分な指導を行い、国民保健上弊害のないものにつき将来適当な措置を講ずること。  二、あん摩師等のうち、身体障害者については、本法運営に関し特別な考慮を払うこと。  三、所謂、無免許あん摩、その他の無免許営業者に対しては、厳重なる取締を励行し、その根絶を期すること。  右決議する。  これが附帯決議でございます。  討論を終了いたしまして、まず原案について採決を行いましたが、全会一致をもちまして原案通り可決すべきものと決定いたしました。  次いで、付帯決議案につきまして採決を行いました結果、これまた全会一致をもちまして本委員会の決議とすることに決定いたしました次第であります。  次に、日雇労働者健康保険法の一部を改正する法律案につきまして申し上げます。  日雇労働者健康保険の給付内容は、健康保険及びその他の疾病保険に比較いたしまして、はなはだ不十分でありますので、主としてこの給付内容の改善をはかりまするために、今回法律改正をいたそうとするものであります。  改正点の第一は、療養の給付期間を現行六カ月から一年に延長することでございます。第二は、療養の給付範囲を拡張いたしまして、歯科診療における補てつを含むものとすることであります。第三は、死亡及び分べんに関する現金給付を創設することでございます。第四は、被扶養者の範囲を拡大いたしまして、被保険者と同一の世帯に属する三親等内の親族で、主としてその者により生計を維持するものを含めることでございます。  以上が改正法律案の概要でありまするが、衆議院におきまして、次の二点について修正が行われたのであります。  すなわちその一つは、本制度による給付の受給条件といたしまして、二カ月間に二十八日の保険料の払い込みが必要となっておりますものを二カ月に二十八日、または六カ月に七十八日のいずれかに該当すればこれを認めることとして、受給条件の緩和をはかったことでございます。  第二は、本法の施行期日を公布の日に改めたことであります。  委員会におきましては、まず本法案の提案理由並びに衆議院におきまする修正点につきまして、政府当局及び修正案提案者の八木衆議院議員から、それぞれ詳細な説明を聴取し、慎重審議の結果、討論に移りましたところ、吉田委員より、「今回の改正ははなはだ不十分であるが、一歩前進と認める、将来の改善を期待して原案に賛成する」旨が述べられたのであります。  かくて討論を終局いたしまして、採決いたしました結果、全会一致をもちまして原案通り可決すべきものと決定いたした次第であります。  次に、労働者災害補償保険法の一部を改正する法律案につきまして、御報告をいたします。  まず、法案の内容について申し上げますると、改正点の第一は、総トン数五トン以上三十トン未満の漁船による水産動植物の採捕の事業を、本保険法の強制適用事業に加えることにいたし、その結果、業務災害を受けた労働者に対する使用者の補償費負担を分散軽減し、当該労働者に対して容易に補償が行われ得るようはかったことであります。なお、この改正に関連し、沈没、滅失、行方不明等になりました船舶に乗り組んでおりました労働者の生死が、三カ月以上わからない場合等に死亡の推定を行い、遺族補償費及び葬祭料の支給に関する規定を適用し、航空機の場合にも、これを準用することにいたしたのであります。  改正点の第二は、土木及び建築等の事業に関しまして保険料率のメリット制を適用し、保険給付の額と確定保険料の額との割合が百分の八十五をこえ、または百分の七十五以下であるときには、主務大臣は確定保険料、額を百分の二十の範囲内において命令で定める率だけ改訂し、その差額を追徴または還付し得るよう改めたことであります。他の事業に関しましては別の方法でメリット制度が行われておりまするが、その性質上有期的事業には適用できなかったので、今回ただいま申し上げたような方法で、災害増加の傾向にある土木建築等の事業にメリット制度を適用し、保険料負担の公平と災害防止をはかったのであります。  改正点の第三は、事業が数次の請負によって行われる場合は、元請負人のみを保険の適用事業の事業主としていた現行法を改め、元請負人が下請負人と書面による契約で保険料の納付を引き受けさせることとした場合には、元請負人が申請し政府がこれを承認することによって、その請負事業について下請負人を保険の適用事業の事業主といたしたことであります。  以上のほか、強制適用事業が任意適用事業になった場合の取扱い、保険料の報告及び納付の手続、追徴金及び延滞金の徴収免除等、保険運営の合理化と規定の整備のために必要な改正を行なっておるのであります。  本法案は、去る七月十四日衆議院より送付され、社会労働委員会に付託されたのでありまするが、委員会におきましては慎重に審議が行われました結果、七月二十七日採決を行い、全会一致をもって原案通り可決いたしたのであります。  次に、失業保険法の一部を改正する法律案につきまして、御報告を申し上げます。  本案は、昭和二十二年第一回国会におきまして制定されましたる失業保険法が、その後数回にわたる改正によりまして逐次制度の整備拡充が行われたのでありまするが、最近における深刻な失業情勢にかんがみましてこの際さらに改正の必要ありとして、去る五月二十六日内閣より提出されたものであります。  今次改正の主眼点は、第一に、被保険者の当然適用の範囲を、医療看護その他の保健衛生事業、更生保護事業に対しまして新たに拡大すること、第二に、長期被保険者に対する失業保険金の給付日数を二百七十日または二百十日とする一方、季節労働者を主体とする短期被保険者に対する給付日数を九十日といたし、一律百八十日の給付制度から生ずる不合理性を是正すること、第三に、被保険者資格の取得並びに喪失について政府の確認の制度を設け、権利の保護とともに不正受給の防止等をはかろうとすること、第四に、福祉増進のための必要な施設を設置するための明確なる規定を設けること、等であります。  本委員会は、七月二十六日政府より提案理由の説明を聴取いたし、二十七、二十八の両日にわたって慎重審議を重ねました結果、質疑を終了いたしました。  その間、本案の内容そのものが一般勤労者にとって少からぬ影響を及ぼすものでありまするだけに、現行法との間の利害得失等の問題をめぐりまして、種々真剣なる質疑がかわされたのでありますが、詳しくは速記録によりまして御了承を願いたいと思います。  次いで討論に入り、竹中委員、相馬委員、長谷部委員から、それぞれ会派を代表いたしまして、本案が勤労者にとって不利益をもたらす改正であるという理由で、反対討論が述べられました。  かくいたしまして採決に入りましたところ、政府原案通り多数をもちまして可決すべきものと決定いたした次第でございます。  次に、戦傷病者戦没者遺族等援護法の一部を改正する法律案並びに未帰還者留守家族等援護法の一部を改正する法律案につきまして申し上げたいと思います。  まず、戦傷病者戦没者遺族等援護法の一部を改正する法律案の概要を御説明申し上げます。  戦傷病者戦没者遺族等援護法による援護の措置をさらに強化するために、今回この法律の一部を改正しようとするものでありまして、改正の第一は、先順位者の遺族年金額を、恩給法の改正による旧軍人の公務扶助料の増額に対応いたしまして、二万八千二百六十五円に引き上げることであります。第二は、太平洋戦争中の戦地で受傷、罹病した者が、戦地勤務中死亡した場合、または戦地の勤務を離れてから、原則として一年以内に死亡した場合におきましては、公務以外の事由で死亡したことが明らかであるものを除きまして、援護審査会の議決により、公務上死亡したものとして取り扱おうとするものであります。  第三は、現在弔慰金を支給する遺族の範囲は、配偶者、子、父母、孫、祖父母及び兄弟姉妹に限られておりまするが、弔慰金支給の趣旨にかんがみ、これらの遺族がないときは、他の三親等内の親族で戦没者と生計関係を有していた者にも支給し得るようにいたそうとするものであります。  第四は、軍人恩給が停止された日、すなわち昭和二十一年二月一日以後に遺族以外の者の養子となったもので、遺族援護法公布の日、すなわち昭和二十七年四月三十日前に縁組を解消したものにつきましては、右の期間における縁組をもって年金の失格あるいは失権の事由とすることは必ずしも適当でないと考え、この改正法の施行後におきまして、遺族年金を支給しようとするものであります。  第五は、いわゆる雇用人等の軍属につきましては、従来昭和十六年十二月八日以後における戦地勤務の者のみにつきまして本法を適用しておりましたが、日華事変中、事変地で勤務していた者も本法の対象に加え、それぞれの規定に従い障害年金、障害一時金または遺族年金を支給することにいたしてあるのであります。  第六は、軍人につきましては、死亡の原因が公務によるものでない場合においても、事変または戦争の勤務に関連する傷病によるものであるときは、遺族に対し弔慰金を支給することになっているのでありますが、太平洋戦争における戦地勤務の軍属についても軍人の場合と同様、弔慰金を支給する措置を講じたのであります。  第七は、太平洋戦争の終結に際して、敗戦の責を痛感して自決した者が相当あるのでありまするがこれらの者に対し、援護審査会におきまして公務死亡とみなすべきものと決定したときは、その遺族に対し遺族年金及び弔慰金を支給することにいたしたのであります。このほかこれらの措置に伴う所要の調整もあわせて行なっているのであります。以上が政府原案の提案理由及びその大要であります。  この法律案に対しましては、衆議院におきまして、次の諸点について修正が行われたのであります。すなわち第一は遺族年金額を政府案の二万八千二百六十五円から三万五千二百四十五円に増額したこと。第二は、軍人及び準軍人につきましては、故意または重大な過失によるもの以外の死亡を公務死とみなし、また軍属につきましては、戦時災害の要件をはずして公務死の範囲を拡大したこと。第三は、満州開拓青年義勇隊の隊員に対しましても弔慰金を支給することにいたしたこと。第四は、養子でなくなった者の遺族年金の受給権復活の範囲を拡大したこと。第五は、戦犯として拘禁中死亡した者につきましての遺族年金、弔慰金の支給を適正化したこと、等であります。  次に未帰還者留守家族等援護法の一部を改正する法律案の大要を御説明申し上げたいと思います。  今回改正しようとする第一点は、留守家族手当の月額を本年十月分から二千三百五十五円に増額することでございます。すなわち従来から未帰還者の留守家族に毎月支給しておりまする留守家族手当の年額と、戦傷病者、戦没者遺家族等援護法の規定に基く先順位者たる遺族に支給する遺族年金の額とは同額を支給することになっておりますので、今回遺族年金の額が本年十月一日から増額されるのに伴いまして、留守家族手当についてもこれを増額いたそうとするものであります。  改正の第二点は、帰還患者に対する療養の給付期間を三年間延長することであります。すなわち未帰還者留守家族等援護法の施行前に帰還した人々であって、旧来復員者給与法または旧特別未帰還者給与法により国が療養の給付を行なって参りました者につきましては、この未帰還者留守家族等援護法の制定後は、この法律により引き続き療養の給付を行なってきたのでありますが、法に定められました七年間の療養の給付期間が本年十二月二十八日で満了することになりますので、今回この期間をさらに三年間延長いたそうとするものでございます。  以上がこの法律案の大要でありますが、本法案は衆議院におきまして、次の諸点について修正の上議決されたのであります。すなわち衆議院におきまする修正のおもなる点は、その第一は留守家族手当の月額を、昭和三十年十月分から昭和三十一年六月分までは二千五百八十三円、昭和三十一年七月分以降は二千九百三十七円としたこと。その第二は留守家族手当または特別手当の額に相当する額の手当を、生還の場合は三カ月間、未帰還者の死亡の事実が判明した場合におきましては六カ月間、それぞれ延長支給することといたしたこと、等でございます。  委員会におきましては、両法案につきまして、その提案理由並びに衆議院における修正の要旨に関し、政府当局及び修正案提案者衆議院議員山下春江君等から、それぞれ説明を聴取しました後、両法案を一括して審議いたし、種々熱心な質疑が行われたのでありますが、特に「公務死の範囲」及び衆議院の修正点たる「故意又は重大なる過失」の解釈が中心の問題となったのであります。  かくて質疑を打ち切り、両法案とも討論を省略いたしまして、それぞれ採決いたしました結果、両法案ともに全会一致をもちまして原案通り可決すべきものと決定いたした次第でございます。  次に理容師美容師法の一部を改正する法律案につきまして申し上げます。  近時理容所、美容所の増加並びにこれらの施設における従業者の漸増に伴いまして、施設に対する衛生措置の確保並びに開設者の業務管理が必要となりましたので、現行法を改正整備することになったのであります。  改正の第一点は、理容所、美容所の開設者がその施設を使用するに際しましては、事前に都道府県知事の検査を受け、その確認を得なければならないこととしたことであります。第二点は理容所、美容所の開設者に対し当該施設内で行う理容、美容の業務につきまして適正な管理を行わせるようにするとともに、その責任を明らかにするようにいたしたことであります。第三点は都道府県知事が免許取り消し業務停止または閉鎖命令の行政処分をするに当りましては、その処分を受ける者に弁明または有利な証拠の提出の機会を与えることといたしたことでございます。  本案につきましては、熱心なる質疑を行い、討論を省略いたしまして採決いたしました結果、二案ともに全会一致をもちまして、原案通り可決すべきものと決定いたした次第でございます。次に、覚せい剤取締法の一部を改正する法律案につきまして御報告を申し上げます。  本案は最近における覚せい剤の乱用による事態に対応いたしまするがために、今回さらに罰則及び原料の取締りにまで及ぶ改正を行わんとするものであります。  改正の第一点は、常習として覚せい剤の輸入、所持、製造等の禁止規定に違反した者は麻薬の違反と同程度に罰則を強化したことであります。第二点は覚せい剤の原料を製造、販売、使用または研究しようとする者につきましては、厚生大臣または知事の指定を要することといたし、正規の業者に対する制約をできるだけ少くするよう措置するとともに、もっぱら原料が覚せい剤の密造者に渡らないよう措置したことであります。  本案につきましては、熱心なる質疑を行い、討論を省略いたしまして、採決の結果、全会一致をもちまして原案通り可決すべきものと決定いたした次第であります。  以上御報告申し上げます。(拍手)
  46. 重宗雄三

    ○副議長(重宗雄三君) 失業保険法の一部を改正する法律案に対し、討論の通告がございます。順次発言を許します。竹中勝男君。    〔竹中勝男君登壇、拍手〕
  47. 竹中勝男

    ○竹中勝男君 日本社会党第四控室を代表しまして、ただいま委員長から報告されました失業保険法の一部を改正する法律案に対し、反対の理由を明らかにいたしたいと思います。  失業と生活不安におびえている現在のわが国勤労者大衆は、現に石炭合理化地方財政再建整備による大量の首切りとか、特需関係労働者の整理、綿紡、鉄鋼部門の合理化によって失業の不安の前におびえておるのであります。民主党政府は国民に完全雇用、それから社会保障の強化というような公約をし、その一環として失業保険の改正によって失業の不安の一部が解消されるものと国民は期待しておったのであります。しかるに今般政府が出しました改正法案を見ますと、全くその公約とは正反対に、失業保険経済の十億の赤字を被保険者たる労働者階級、特に日本経済産業がその現在の機構上、必然に労働者を追い込んでおるところの短期的季節的労働者の上に一方的に押しつけてきているのでありまして、彼らは驚きとともに大きな失望を感じ不満を持っているのであります。この失業保険法改正の提案理由として政府は、悪化しつつある失業情勢に対して急速な改善は見込めないので、これに対処する方策の一つとして、給付日数の合理化を中心とする失業保険の整備がその目的であると説明しております。そしてこの失業保険の合理化の内容は、今委員長が報告しました通り、これまで離職前一年間における被保険者期間が六カ月以上であれば、離職後一年間に一律に百八十日の、すなわち六カ月の給付が行われておったのであります。ところがこの改正によりまして、この六カ月間、百八十日の失業保険金給付をその半分、三カ月、九十日に短縮して、それによって十億の赤字を一応埋め合せようという計画がこの中にあるのであります。政府の説明よれば、このような短期的季節的労働者中には、失業保険の乱用者があるからして、残念ながらこの一部の乱用者を防ぐためには、全体を三カ月に切り下げるより仕方がないという説明でありました。果して政府が言うように、そんなに乱用者があるでありましょうか。今失業保険給付を受けている百五万人について見ますと、これは政府の報告でありまするが、その約二八%、すなわち二十九万人がいわゆる短期失業者であります。ところが政府の説明によっても、この二十九万人のうち、二十二万人までは北海道その他の土建関係の出かせぎ労働者であります。彼らはその仕事の性質上、また気候の制約上、一年を通じてその仕事に従事できないのであります。今日のように就業機会が少なく、生活が困難の中で、一体誰が好んで失業を志しながら就職する労働者がありましょうか。万一あるとしても、それは例外的な少数者にすぎません。しかもこの例外的少数者のものは、これが本意ではなくて、現在の縮小された日本産業経済機構が、このような失業保険の利用をすら考えつかすほど長期の常用雇用を制限しているからにほかならないのであります。現存日本の産業は三十人以上の労働者を常用的に継続的に雇用するものは急激に減っております。そうして臨時的、帰期的、季節的雇用が増大してほとんど一般的にすら見、える状態にあります。しかも十四才以上の労働人口は、年間百二十万人増加しております。仕事を求める人間が増大したのに対して、大規模な企業が雇用を控え、逆に合理化によって遠慮なく人員整理をやっているのでありますから、いきおい勤労大象は中小零細企業が求める短期の、臨時の、または季節的な労働に従事せねばならないのであります。すなわち短期労働者、短期失業者は、自己の意思や能力によってこれを選んでいるのではなく、日本の産業が構造的に規定しているところの、必然的に作り出されているところの失業者なのであります。彼らはこの失業保険の六カ月によって息をつき、次の仕事を求めているのであります。この彼らの唯一の生活のよりどころであるところの六カ月の保険金受領の既得の権利を制限して、これをその半分、すなわち三カ月に圧縮しているのがこの改正案であります。日本社会党は勤労者階級の信頼の上に、その利害を代表する政党として、このような労働者の権利を侵害するところの経済と再軍備政策のしわ寄せを、働く者の生活とその権利の上に押しつけている失業保険法の改悪に断固反対せざるを得ないのであります。  さらに、これに反対する理由としましては、失業保険の十億の赤字は、短期保険給付がふえたからであるのではなくて一例をあげれば、九億円が徴収されないで、未収のままになっている事実によっても、それは動かすことのできない事実であると考えます。  さらに政府は失業保険法の改正としてその対象を拡大したこと、これは私は賛成でありますが、しかし同時に、長期に同一業種に被保険者として雇用されている者に対して、保険給付を得る日数を引上げているのを改善だとしているのであります。しかしながら、こういう考え方は、社会保険の性質を無視するやり方であると思います。われわれは社会保険に何らのメリット制を持ち込む必要はない、失業保険本来の性格は、保険法の第一条にありますように明らかであります。    〔副議長退席、議長着席〕  決して社会保険は私保険のように長期に納めたからといってその利益を受けるというような、こういうものに基くものではありません。このように社会保険の精神をまげて擬装の社会保障政策をやり、その陰にまじめに働いているところの日本勤労大衆を、失業保険の乱用の名をもって、その保険給付権利を半減し、他方には不備な失業対策と、何ら将来の就職の機会に対する信頼できる具体的な計画、見通しも示さず、いつ職場に帰れるかもわからないところの労働者を職場から街頭に放り出しているのであります。彼らは三カ月後には深刻なる生活苦にさいなまれ生きていくためにやみ屋になり、拾い屋になり、さては生活をするために犯罪をやり、その妻子の身売りをしいるような人間に追い込まれておるのであります。このような現状の悲劇は、まさに政府の経済政策の誤りと、社会保障制度への確固たる考えがなく、その怠慢に基くものであると考えまして、この事実をさらに悪化さしていくような結果を生むところの失業保険法の改悪には、従って断固反対せざるを得ないのであります。  さらに詳細の数字的な内容の問題につきましては、同僚の相馬議員がさらにここに述べられると思いますので、ここには日本社会党第四控室を代表しまして、この失業保険法改悪の案に反対する理由を国会並びに国民勤労大衆に訴えたいと考えます。  これをもって終ります。(拍手)     ―――――――――――――
  48. 河井彌八

    ○議長(河井彌八君) 相馬助治君。    〔相馬助治君登壇、拍手〕
  49. 相馬助治

    ○相馬助治君 私は、ただいま議題と相なりました失業保険法の一部を改正する法律案に対しまして、社会党第二控室を代表して、反対の意思を表明するものであります。  今日、国民を代表して立法府に連なるわれわれといたしましては、すでに申し上げるまでもなく、現実に世の中の動きつつあるその姿を直視しなければならないと存じます。今日失業者がちまたにあふれることによってもろもろの社会悪が激増しつつあります。一家心中という悲惨なる事実も新聞によって報ぜられております。職業紹介所の前には群をなして失業者がその職を求めつつある姿をわれわれは無視することはできないと思うのでございます。この際このとき、政府は失業保険法の一部を改正する法律案を提案いたしました。  昭和二十二年、第一国会において成立した本法によって、多くの人々が、気の毒なその失業という姿の中においても、本法によって救われてきたことをわれわれは思いみるべきであります。今回の改正は、率直に申しまして、勤労者の犠牲において、今日赤字が見込まれつつありますところの保険経済を救済せんとするものでありまするとともに、本法の改正によって乱用を防止し、合理化をするという名のもとに、全般的に反勤労者的な性格を本法は深めているということを、私は率直に皆様方に申し上げざるを得ないのでございます。  御承知のように、現在まで失業保険の会計というものは二百五十億という黒字を生んで参っておりました。ところが昨年失業保険界始まって以来十億という赤字を生んだのであります。わずか一回の赤字で、政府は直ちにこれを改正するという意思に到達した理由の判断に私は苦しむのでありまするが、その赤字の出た理由として、二十九万人の短期労務者、その短期労務者の中には季節的労働者及び循環的雇用者が多く、従ってこの者たちに少く保険金を給付することによって保険界が将来見込まれる赤字を救済しようとするのであります。  しかしこの際、考えてみなければならないことは、ただいま竹中委員が指摘されましたるように、短期雇用の失業者というものは、失業者それ自身の罪でもなければ、事業主それ自身の作為的な罪でもありません。政府自身がとっているデフレ政策の当然もたらしたところの結果であります。特に今日失業保険を悪用するものとして、循環雇用はけしからんと政府は伝えておりまするが、帰休制度というような制度を特に民間に奨励した者が何人であったかということを、今日われわれは思い起すべきであろうと思います。  今回の改正の内容を数字的にながめてみまするというと、短期間の給付に対しましては十三億七千万円の支出減となります。長期の分についてはより給付を厚くすると政府は宣伝しておりまするが、その分については二億六千万円の支出増となります。差引いたしまして十億余りが本法の改正によって言葉は妙でございまするが政府がもうかるのであります。そうしてその犠牲がすべて勤労者にしわ寄せされてくるということを私たちは見逃すわけには参りません。長期給付者に対してはより手厚くすると申しておりまするが、受給人員の数字からいたしまして、本法の施行によって条件の改善されるものは七・四%であります。改悪されてすなわち給付がはなはだしく少くなるものの数字は二七・七%でございます。社会保障制度を完備させると呼号して第一党を占めたところの民主党鳩山内閣にしてこの提案がなされるということを、私どもは許しがたきこととして、公約違反として追及せざるを得ないと考えるものでございます。  本年度におきましては、すなわち再言いたしますれば、十三億七千万円の支出減を本法改正によって見込み、長期給付者に対する二億六千万円の支出増をして、差引十一億というものを生み出す。平年度におきましては二十三億五千万円の支出減を見込み、十三億二千万円の支出増を見込んで、差引、逐年十億のここに余剰を生み出さんとしているのでありまして、かくのごときことは、私ども勤労者の現実の生活を知り、その失業を憂うるものといたしましては反対せざるを得ないのでございます。  しかも、私はこの際、政府に猛省を促したいと思いますることは、失業保険については二十億の滞納金のあるという現実であります。この中において取り立て不能が大体十二億程度を見込むことができます。すなわち、事業主の罪にあらすして、苦しい事業を行なって、今日倒産をいたしどうにも取れないというのがこれでありまするが、明らかに八億程度のものは取り立てることが可能であります。かように考えて参りまするときに、悪意の事業主に対してすなわち労働者からは、給料から差し引いて保険掛け金をとっている。しかもこれを政府に納めない。かような者に対しては徹底的にこれを取り立てて、保険経済を救わなければならないと思うのでありまして、赤字のしわ寄せを勤労者に犠牲を求めるということは、何としてもわれわれには納得いたしかねるのであります。しかも本法の改正によって資格制度を確認するために、二百五十人の新規公務員を採用するということになっております。私をして言わしめるならば、しちめんどうくさい資格制度確認などということをやって事務的に事業所を困らせ、しかも政府が新たな人員を雇ってかようなことをするのならば、二百五十人の職員の増加というものを、そのまま滞納金の取り立てに向けてやれと申したいのでございます。要しまするに、この法律が成立することによって利益するものは何人であるか、不利益になるものは何人であるかということを考えてみまするときに、私どもはこの法律がさりげなく、失業の状況にかんがみ失業者の生活の安定をはかるために本法を提出しているというところの政府の提案理由の欺瞞性を明敏に見抜かなければなりませんこともに、失業保険金の給付日数の合理化をすると申しておりまするが、何人のための合理化であるのかということを鋭く見抜き、これを究明しなければならないと思うのであります。要しまするに、本法の改正は社会保険の精神に違反するものであります。従いまして私は全国民の名において、働く勤労者の名において、本法に対して社会党第二控室を代表し断固反対の意思を表明するものであります。(拍手)     ―――――――――――――
  50. 河井彌八

    ○議長(河井彌八君) 長谷部ひろ君。    〔長谷部ひろ君登壇、拍手〕
  51. 長谷部ひろ

    ○長谷部ひろ君 私は無所属クラブを代表いたしまして、ただいま上程になっております失業保険法の一部を改正する法律案に反対をいたします。  人はだれもが健康で働かれることを心から望んでおります。またそのような状態に人々をおくことこそ、真に明るく住みよい社会なのでございます。戦後、日本の働く人々は、常に政府の政策の犠牲になっていたと申しても過言ではないと存じます。低賃金と過重な労働、そして失業者は年々増加する一方でございます。このとき、労働者の唯一の既得権であります失業保険法が改正されますことは、民主主義の逆行と存じます。失業保険法の第一条に規定してありますように、保険の精神は、失業した労働者に対して保険金を支給して生活の安定をはかろうということでございまして、これは人道上からも当然なことでございます。たれしも失業はしたくありません。しかしこのような社会情勢のもとにやむなく失業するのでございますから、社会全体の責任において扶助しなければならないと存じます。  さて、このたび提出されましたこの失業保険法の改正案の最も重要な点は、労働者が失業した場合、百八十日の失業手当が給付されておりましたのが、臨時工や季節労働者のような短期労働者に対しては九十日に減ずるというのでございます。この理由は第一に、二十九年度失業保険特別会計の赤字が十億出たということ、第二に、保険料の不当受領者があるために、これを防止するためであると政府は申されますが、もっとその奥には、政府の財政政策によって保険金の支給をできるだけ切りつめ、現在二百六十億円にも上る積立金をさらに増加して、再軍備費に回わそうとしているのではないかと思われるのでございます。第一の理由について考えますと、二十九年度に出た十億の赤字も、失業保険の精神から申せば、二百六十億の積立金で補えばよいと思うのでございます。第二の理由の保険金の不当受領をなくするためとのことでございますが、一度失業をしたら二度と職業につけないこの社会情勢の中で、どうしてみずから好んで失業をするでございましょうか。私はこの改正によりまして不当受領がなくなるとは絶対に考えられません。私は失業の状態をなくすることによってのみできるものであると信じます。またこの改正の中に、十年目上同じ事業主のもとにおいて勤労したものに対しては、二百七十日の失業保険金を支給することとなっております。政府では、これが唯一の労働者に対する優遇ででもあるかのように、幾たびも幾たびも繰り返して申されておられましたが、これはただ働く人々に一つの安心感を与えるのみで、その後にくるのは、人員整理ということになるのではないかと危ぶまれてならないのでございます。そしてまた、この改正が最も弱い臨時工、季節労働者などに向けられておりますことは、ほんとうに許しがたいことであり、またこの改正がやがては全労働者に向けられてくるものであることがうかがわれ、実に悲しくもまたおそろしくなるような気がいたします。民主党政府の公約の中にも、はっきりと失業対策がうたわれているにもかかわらず、この法案は働く人々をますます苦しめるものであり、失業者が守られなくなるのでございます。国民の大多数の働く人々の既得権をうばい、生活を苦しいものとすることは民主主義に反し、また憲法にもそむくゆゆしいことと思い、私は平和と幸福な生活を守るためにあくまでも反対をいたすものでございます。(拍手)
  52. 河井彌八

    ○議長(河井彌八君) これにて討論の通告者の発言は、全部終了いたしました。討論は終局したものと認めます。  これより八案の採決をいたします。まず、あん摩師、はり師、きゆう師及び柔道整復師法の一部を改正する法律案、日雇労働者健康保険法の一部を改正する法律案、労働者災害補償保険法の一部を改正する法律案  以上、三案全部を問題に供します。三案に賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立〕
  53. 河井彌八

    ○議長(河井彌八君) 総員起立と認めます。よって三案は、全会一致をもって可決せられました。      ─────・─────
  54. 河井彌八

    ○議長(河井彌八君) 次に、失業保険法の一部を改正する法律案、全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立〕
  55. 河井彌八

    ○議長(河井彌八君) 過半数と認めます。よって本案は可決せられました。     ―――――――――――――
  56. 河井彌八

    ○議長(河井彌八君) 次に、戦傷病者戦没者遺族等援護法の一部を改正する法律案、未帰還者留守家族等援護法の一部を改正する法律案、理容師美容師  法の一部を改正する法律案、覚せい剤取締法の一部を改正する法律案  以上、四案全部を問題に供します。四案に賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立〕
  57. 河井彌八

    ○議長(河井彌八君) 総員起立と認めます。よって四案は、全会一致をもって可決せられました。      ―――――・―――――
  58. 河井彌八

    ○議長(河井彌八君) 日程第二十一、市町村職員共済組合法の一部を改正する法律案(衆議院提出)を議題といたします。  まず委員長の報告を求めます。地方行政委員会理事伊能芳雄君。    〔伊能芳雄君登壇、拍手〕
  59. 伊能芳雄

    ○伊能芳雄君 ただいま議題となりました市町村職員共済組合法の一部を改正する法律案につきまして、地方行政委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。  本法案は、衆議院提出にかかるものでありまして、市町村職員共済組合法の適用除外市町村の職員で、同法施行の際、厚生年金保険の被保険者であったものの被保険者期間を、その者の長期給付に相当する給付の基礎となる期間に合算すること、及びこれに伴い厚生保険特別会計から市町村職員共済組合に対すると同様の計算による金額を適用除外市町村に交付することを主たる内容とするものであります。  地方行政委員会におきましては、七月二十八日、衆議院議員門司亮君より提案理由の説明を聞き、慎重な審査を行い、討論の後、同日採決の結果、本法案は、全会一致をもって原案通り可決すべきものと決定した次第であります。  以上、御報告申し上げます。(拍手)
  60. 河井彌八

    ○議長(河井彌八君) 別に御発言もなければ、これより本案の採決をいたします。本案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立〕
  61. 河井彌八

    ○議長(河井彌八君) 総員起立と認めます。よって本案は、全会一致をもって可決せられました。      ―――――・―――――
  62. 河井彌八

    ○議長(河井彌八君) 日程第二十二、輸出入取引法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)を議題といたします。  まず委員長の報告を求めます。商工委員長吉野信次君。    〔吉野信次君登壇、拍手〕
  63. 吉野信次

    ○吉野信次君 ただいま議題となっておりまする法律改正案の趣旨は、最近輸出商社間の競争が非常に激しくて、必要以上に打ち崩し競争をやるものでありますから、せっかく外国に輸出しまして得べかりし外貨を失うのみならず、輸出先の商人にも不測の損害を与うることにもなりまするので、この際、業者間の自主的協調によって、輸出の秩序を立てようというのが大体の趣旨でございます。  この改正点のおもなる点を申し上げますと、第一に、不公正な輸出取引をした輸出業者に対し、通産大臣は、従来の戒告にかえて貨物の輸出の停止を命ずることができるようにした点、第二は、輸出業者の輸出取引に関する協定についての制限を大幅に緩和し、現行の認可制を廃して届出をもって足りることといたしたる点、第三、生産業者または販売業者が輸出すべき貨物の国内取引に関する事項につきましても、通産大臣の認可を受けて協定を締結することができるようにいたした点、第四、特定地域との輸出入の円滑な調整をはかるため、通産大臣の認可を受けまして輸出入組合の設立ができるようにいたした点、第五、輸出及び輸入に関するアウトサイダー規制命令につきましては、規制の範囲を若干拡大するとともに、その機動性を高めるよう所要の改正を加え、なお輸出入の調整につきましても、これらに準じてアウトサイダー規制ができるようにした点でございます。  この改正案に対しましては、衆議院において修正が施されております。衆議院の修正の点を要約いたしますると、第一点は、輸出業者が国内取引について協定を締結する場合、政府原案よりもその条件を著しく緩和したる点、第二点は、生産業者または販売業者が協定を締結することができる場合を拡大して政府原案では相当こまかい条件をつけておりましたのを、全部これを撤廃して、必要がある場合は輸出向け貨物について直ちに協定の認可を申請することができるようにいたした点、第三点は、前述の二つの場合において認可の申請があった場合には、行政庁は二十日以内に処分しなければならないものとし、その期間を経過したときは認可があったものとみなす規定を設けまして、すみやかに行政処分を行うように二十日という期限を付した点、第四点は、輸出に関する命令を制定する条件が協定の順序をつけて制限してあったものを大幅にはずした点、第五点は、政府原案によりますと、協定の認可に際して、行政庁は公正取引委員会の同意を必要といたしたものを、公正取引委員会に協議すれば足りるものといたした点、その他、輸出組合におきまして組合員の守るべき規約を定めることにつきましても、輸出業者の協定と同様に運用できるというように修正をいたしたのであります。  委員会におきましては、参考人の意見などを聴取し、いろいろ熱心に質疑が行われたのでありますが、その詳細は会議録を御参照願うことといたしまして、そのうちのおもなるもの二、三を御披露申し上げますと、「本改正案によると独禁法は骨抜きとなって、認可に当っては通産大臣は公正取引委員会に協議すれば足りることになっているが、公正取引委員会としてはその使命を十分に果すことができるか、」こういう質問に対しまして、公正取引委員長からは、「要は、通産大臣の認可に当って、公正取引委員会の意向が十分に尊重されればよろしいので、そのことは通産大臣も了解しておられるし、また、たとえ認可になりましても、その協定が不公正取引の条件に触れるようになると、独占禁止法を適用し得るようになっておりますから、法の運用上は差しつかえない」と、こういう趣旨の答弁がありました。また通産大臣からも、「公正取引委員会の意見は、同意の場合と同様に、協議であっても尊重する」という答弁がございました。輸出入組合と日中貿易に関しまして「輸出入の均衡をとるための輸出入組合による調整は拡大均衡にならすに、かえって縮小均衡になるおそれはないか」という質問がございまして、これに対して政府側から、「対中共貿易のような場合は、現在バーター方式による均衡をねらっておるのであるが、これを総合的に調整して、できるだけ拡大均衡の方向に持って行く必要がある、その意味ではココムによる制限の緩和につきましても今後熱心に要請し、運用としては縮小均衡に陥ることがないように努力する」という趣旨の答弁がございました。また、「生産業者の協定が容易に認められることは、関係事業者特に中小企業者に対し悪影響を及ぼすのではないか」との質問に対し、「輸出における過度競争が少くなれば中小企業者もかえって利益する場合があり、関係事業者に不利益を与えることのないよう運用して行くつもりである」との答弁がありました。かくて質疑を終り、討論に入りましたところ、三輪委員から、「修正案を提出し、修正部分を除く原案に賛成する」と前提し、「輸出振興の必要は認めるが、ただし政府原案においても独禁法に穴をあけるものであり、衆議院の修正はさらにこれをはなはだしくするものであって、カルテルは強化され、ますます中小企業者並びに消費者の利益を圧迫するものである。輸出入組合による輸出入の調整を対中共貿易に適用することは、既存の日中貿易業者の利益を圧迫することでもあり、縮小均衡となるおそれがある。従って修正の必要がある」との趣旨の意見が述べられ大要次のごとき修正案を提出されました。   一、輸出業者の国内取引に関する協定の認可条件及び生産業者または販売業者の協定の条件を政府原案にもどす。   二、協定締結の認可申請から処分まで二十日の期限を付したものを削除する。   三、認可に際して行政庁が公取委員会に協議すれば足りるものとなっているのを、政府原案に戻して同意に改める。   四、輸出入組合設立は特定地域との貿易について政府間の取りきめが施されている場合に限定する。   五、アウトサイダー規制命令制定に際し、中小企業者に意見を述べる機会を与へなければならないこととする。 というのが修正案の趣旨でございました。  また小松委員から、右修正案並びに修正部分を除く原案に賛成の意見が述べられ、次いで古池委員から次のごとき趣旨の修正案が提出され、修正部分を除く原案に賛成する旨の意見が述べられました。その修正案の趣旨は、   一、届出または認可の条件の中に、特に関係中小企業の利益を不当に害さないことの規定を入れる。   二、通産大臣が認可申請を処分する二十日の期間中に申請者に報告を求めでいる期間は入れないこととする。   三、その他関係条文の整理でございました。  最後に加藤委員からは、古池委員の修正案並びに修正部分を除く原案に賛成する旨の発言があり、加えて「政府原案は微温的であり、かつ貿易の実体に遊離しており、いまだ不満であったが、衆議院送付案の方が一歩前進している」旨の発言が述べられました。  かくて討論を終り、採決に入りましたところ、まず三輪委員提出の修正案は、賛成者少数をもって否決され、古池委員提出の修正案並びに同修正部分を除く原案は、多数をもって可決すべきものと決定し、かくて本案は修正議決すべきものと決定いたしました。  なお討論の際、本法案に関しまして古池委員より、   一、通商産業大臣は、本法の実施に当って公正取引委員会の意見を尊重し、「私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律」の精神を害せざるよう留意すること。   一、政府は本法による認可等の処分をなすに当っては、消費者並びに関係事業者特に中小企業者の利益を害せざるよう充分なる配慮を加えること。   一、政府は輸出入組合の設立並びに運営については充分に関係業界の意見を聴き、指導上万全の措置を講ずるとともに、特定地域との輸出入不均衡の原因が、わが国産業にとつて重要なる原料ないし国民生活上重要なる貨物の輸入に係る場合においては、第二十三条第一項第一号の適用に関し充分なる配慮を加えること。という付帯決議案が提出されましたが、これまた多数をもって本法律案についての本委員会の付帯決議とすることに決定いたしました。  右、御報告申し上げます。(拍手)
  64. 河井彌八

    ○議長(河井彌八君) 本案に対し討論の通告がございます。順次発言を許します。三輪貞治君。    〔三輪貞治君登壇、拍手〕
  65. 三輪貞治

    ○三輪貞治君 私は日本社会党を代表いたしまして、ただいま議題となっております輸出入取引法の一部を改正する法律案につきまして、修正案及び修正部分を除く原案に反対をいたすものであります。  そもそもこの法律案に対しまする反対のおもなる点は、第一に、カルテルの強化による中小企業、一般消費者に対し生産の集中、価格のつり上げ等による圧迫の増大、不利益の招来という点でございます。第二には、輸出入の調整を直ちに中国貿易に適用することにより、さなきだに遅々として進捗しない中国貿易が縮小均衡に堕するのではないかという点に存するのであります。  以下それらについて意見を申し述べます。  第一に、カルテル強化の問題でありますが、本法が衆議院において民自両党の共同修正を受けることによって、そのことは著しく強化されることになっておるのであります。これは終戦後の経済民主化法の大黒柱、いわば経済憲法とさえ言われました独占禁止法に大きな穴をあけようとしておるのであります。もともとこの輸出入取引法は、貿易の部門において一定の条件のもとにカルテル行為を独禁法の例外として認め、世界貿易競争の強化に対応しようというものでありまして、そのこと自体は首肯できるのであります。しかし民自両党の衆議院における修正におきましては、輸出商品に関する限り、貿易業者でもメーカーでも、ほとんど無条件にカルテル結成の申請ができ、認可申請後二十日以内に通産大臣が認可、不認可をきめなければ自動的に効力を発生するというものであります。これは事実上届出制が実現されるのでございまして、独禁法は最近それ自体の改正による不況カルテルあるいは合理化カルテルとともにまた本法のごとき、あるいは海上運送法、中小企業安定法、中小企業等協同組合法、水産業協同組合法等によりまして、計画的に逐次ほとんど治外法権的に独禁法の穴が広げられてきておるのであります。今や独禁法は有名無実、骨抜きにされようといたしております。われわれは戦前、カルテルが消費者並びに中小企業者に対して与えた生産の集中なり、不当なる値段のつり上げ等のおそろしい影響を知りまするがゆえに、非常な不安を禁ずることができないのであります。特に貿易カルテルが意図的にまた必然的に国内カルテルにまで及ばないという保障は、品質規格による規制ができるとする政府の説明によりましては、過去の実績よりいたしましても納得することができないのであります。われわれの心配が杞憂に終れば幸いでございまするけれども、不幸にして的中するということになりますれば、これによる中小企業、一般消費者の受ける打撃は決定的でありまして、それでなくてさえ、デフレと再軍備政策に挾撃されまして、倒壊、破産の一歩手前にあるこれらの中小企業及び一般消費者は、独占企業のあくなき圧力の前に、もろくも押しつぶされることは火を見るよりも明らかであるのでございます。  第二番目に、中国貿易に関し輸出入組合を設立せんとする点についてでありますが、この構想は昨年の七月当時の吉田内閣の新経済政策の一部といたしまして発表になり、同年九月通産大臣の諮問機関であります輸出入取引審議会、これは八幡製鉄、富士製鉄、日立、東芝、三井物生、三菱商事、関西五綿等経団連関係者によって構成されていますが、これが提案をいたしまして、これに基いて通産局が発表した輸出入取引法改正方針なるものをうのみにいたしまして、経団連、日本商工会議所、日本貿易会を中心にこの案を練り上げたものであります。各位御承知の通り、今春第三次日中貿易締結のために訪日いたしました中国貿易代表団の歓迎及び協定締結に当りましては、政府はもちろんのこと、前に述べましたような経団連、日商、日本貿易会等は非協力であったばかりでなく、むしろ妨害とさえ感ずる行動のあったことは何人も否定できないところであります。しかるに日中貿易促進発展に今日まで努力して参りました日本国際貿易促進協会並びに日中貿易会等には全然このことに対する相談をせず、この非協力と妨害さえも試みた諸団体との間でこの法案がでっち上げられておることは、まずわれわれの納得できぬことであり、警戒と不安の念を持たざるを得ないところであるのであります。その主なる点は、まず官僚統制の拡大のおそれがあるということでございます。現行法におきましても輸出、輸入に関し、通産省令によるアウトサイダー規正ができるようになっておりますが、改正案におきましては、その範囲が一そう拡大強化されておりまするし、すなわち協定締結の範囲が国内取引の面まで及ぶことと即応いたしまして、通産省令による規制の範囲も、国内取引にまで及ぼし得ることとなっており、輸出入の調整に関しても命令が出せることになっておるのでありまするし、また協定締結ないし組合員の順守事項の規定等による規制が種々の事情で困難なときには、省令で規制できるし、それが好ましくないときは、輸出の承認制の方式で規制できるようになっております。しかもこの法律は体刑に至る罰則をもって、官僚権力統制の実行を保障しようといたしておるのであります。要する前段におきまして、いわゆる自主統制的な形をとっておりまするけれども、後段におきましては、官僚統制の拡大が用意されており、政府の方針いかんによりましては、いかなる統制も行える数段がまえの用意がされておるのであります。  次にこの法律に基いてできる輸出入組合の設立の点でございますが、説明によりますると、中国貿易の入超並びにインドネシア焦げつき等を口実にいたしまして、まず、中国、インドネシアを対象としておるとされておるのであります。現在すでに中国貿易は互恵平等の原則に基くバック・ツー・バックのバーター取引が原則となり、正常な取引が行われておれば、決して輸出入の不均衡は起らないのでありますが、実際に非常な入超になっておりますのは、これは実に輸入は甲類物資を日本経済の需要に応じ輸入いたしますが、輸出については日本経済の可能と要求を踏みにじりまして、広範囲にわたるいわゆるココム・リストの輸出禁止が行われていることが原因をいたしておるのでありましてこれは今や全国民の常識になっておるところであります。中国が建設資材を中心に巨額の輸入希望を表明し、日本の業界がまたこれに応ずる能力と要求を持っていましても、前申しました人為的な禁輸政策が第三国の干渉で行われておるのでありまして、この人為的障害を取り除くことなくしては、均衡をはかろうとすれば、それは勢い縮小均衡を招く以外にないのであります。ココム・リストの解除か、あるいはさなくんば、入超をポンドなりドルの現金で支払うより以外に拡大均衡はあり得ないのでありますが、これに対する通産当局の答弁は実にあいまいで、もこといたしているのであります。過去の日中貿易の拡大発展の過程を振り返って見ますと、この人為的禁輸障害を、実際取引に基いて全国民的運動によって打破し、禁輸品目を緩和させ得たときに正比例して発展してきているのでありまして、業者の貿易技術による拡大発展ではなかったのであります。従いまして、日中貿易の拡大発展を望んでいない勢力と結びつく権力によって行われるところの統制支配による輸出入組合が、禁輸問題を解決し拡大均衡をなし得ることは絶対期待できない次第であるのであります。次に、この法案は日中貿易にデマを振りまいて、その合理化をたくらんでいるという点なんでございます。中国は、しばしば長期契約による計画的安定的な取引を希望し、合理的価格の設定を望んでおり、従来日本側の合理的提案には、常に耳を傾ける態度をとっているのでありまして、互恵平等の原則を堅持している国に対して、資本主義国との貿易のごとき考え方で、チェック・プライス、シーリング・プライス等で対抗することは貿易振興上得策とは考えられないのであります。また価格等の協定がぜひ必要な場合は現行法でも十分処理できるのでありまして、屋上屋を重ねるごとき組織を作る必要はないのであります。かつまた価格協定を作りましても、国際価格を無視した高値は受け付けられないのでありまするし、問題は協定にあるのではなく、日本産業のもっと根本的な原因を解決することにあると思うのであります。窓口の一本化という思想が輸出入組合設立に大きく作用いたしておりますが、相手が一本だからこちらも一本がよいというのは、両国の国情の差を無視した単純な考え方と申さねばなりません。なお、中国は窓口一本であるとよく言われておりまするが、決して窓口は一本化されてはいないのであります。国営商社につきましても、総合商社としての中国進出口公司のほかに専業の輸出、輸入商社が設立され、逐次その数を増し、一方民営商社も約二千と言われ、現在日本商社と実際取引のある民営商社も少くないのであります。またわが国では通産省の管理貿易制度になっていることからいたしましても、窓口一本化の理由はまことに薄弱であると言わなければならぬのであります。一方日本の商社は、売りは叩かれ買いは釣り上げられると説明をされましたけれども、これは決して中国が日本の輸出品を一方的に買い叩き、また日本の輸入品を高く売っているものではないことは、委員会の質疑でも明らかにいたしたところであります。バーター取引でありますため、もうけの大きい輸入の権利ほしさに、一部特定商社が勝手に値を引いて売った現象はあるのでありまして、かかる薄弱な理由をもって窓口を一本化することは当を得ていないと断ぜざるを得ないのであります。  次に、中国貿易はまだ促進の段階にあるということでございます。今春訪日いたしました中国貿易代表団が、協定品目を列挙する際にも指摘しておるように、わが国の生産品は多岐に分れております。特に中小生産業者の製品の中に、埋もれた優秀品が数多く存在していることを指摘しているのであります。これらの優良品を紹介宣伝しつつ取引を実現していくことが必要であるのであります。このような過渡的段階で窓口を統制し、その窓口が一部特定業者によって独占化し、大資本のカルテルを並行して行えば、特定商品だけが興味の対象となり、商品範囲を縮小し、日中双方の利益に反することになることは明らかであります。輸出入組合による特定商社の独占化は、不断の技術の向上、進歩、新製品の考案等で大企業と併存して参りました中小企業メーカーを、貿易の機会から締め出す結果になることを憂慮する次第であります。また本法に基き設立される組合は全国単一組織でありまして、組合の活動がいかに不適当でありましても、これに対抗する別の組織を作ることはできなくなるのであります。単一の組合なり団体がいかに組合員の利益に反する行動をとった場合が多いかということは、われわれの記憶に新たなところでありまして、非常なる危険を感じておるところであります。  以上のような観点からいたしまして、われわれは両社共同によりまして、前に委員長報告で申されましたような内容の修正案を提出いたした次第であります。本院商工委員会における古池君提出の修正案は、衆議院修正が中小企業に悪影響を与えることを認め、若干の修正を試みておられますが、これは糊塗的な修正にとどまり、本質的解決と不安の除去にはなりませんので、われわれは、この修正案並びに修正部分を除く衆議院送付原案に強く反対する次第であります。(拍手)     ―――――――――――――
  66. 河井彌八

    ○議長(河井彌八君) 古池信三君。    〔古池信三君登壇、拍手〕
  67. 古池信三

    ○古池信三君 私は自由党を代表いたしまして、ただいま議題となっておりまする輸出入取引法の一部を改正する法律案について、委員会修正案並びに修正部分を除いた衆議院送付案に対しまして賛成の意を表するものであります。  最近の国際経済の動向を顧みますると、貿易界はいよいよその戦い熾烈の度を加えつつある情勢でございまして、わが国といたしましては、自立経済を達成し、輸出を一そう伸張するためには、内外にわたる輸出振興体制を思い切って強化整備することが焦眉の場急であると考えるものであります。かかる見地よりいたしまして、政府が今回輸出入取引法に大幅の改正を加え、今日の安値競争を根本的に防止し、輸出より生産面にわたって一貫した貿易体制を整えるためた本改正案を提案せられましたことは、まことに時宜を得たものであると考える次第であります。  まず第一に、輸出業者の輸出取引の協定を届出制にいたしましたことは、従来の認可制に比べて大きな前進でありまして、輸出組合を中心に対外向けの協定を迅速かつ機動的に締結することによりまして、業界の協調体制を容易にし、現在の過当競争、ひいては今日見苦しい安値競争をいたしておりますが、この安値競争の防止に大きな意義を持つものと確信をいたす次第であります。  第二には、輸出業者の国内取引の協定及び輸出業者と生産業界間の協定のみならず、新たに生産業者のみの協定を認めることといたした点であります。御承知のように最近の貿易は、輸出業者のみの協調体制では不十分な場合が多いのであります。たとえばミシン等の例に見られるように、メーカー自体が輸出業者と協力してこれに当る、あるいはさらに進んで、メーカー自体が直接貿易に乗り出さなくては、海外の激しい競争に対抗することができないような情勢になって参っているのであります。かかる観点からいたしまして、新たに輸出向けのメーカー協定が独禁法に対する適用除外となり得ますることは、今後の過当競争の排除、さらに進んで国際競争力の強化という観点から、きわめて大きな意義を有するものと考えるのであります。  本改正案は、中小企業者に対して重大な影響がありはしないかと憂慮せられている向きがあるのでありますが、私は本法律が中小企業に対して直接悪影響を与えるものではないと考にているのであります。本法は現在の安値輸出競争の防止を眼目とし、輸出関連業界の協調体制をより一そう容易にしようとするのが目的でございまして、むしろこの点は中小企業者に好影響を与えるものとも考えられるのでございます。  また輸出組合、輸出入組合の議決は、一人一票の民主的な表決制度をとっているのでありまして、中小企業者は大いに団結して、本法、または先般制定をみました中小企業安定法に基いて協定を締結せられ、中小企業みずからの力をさらに強化されんことを切望するものであります。また、メーカー協定と申しましても、輸出すべき輸出向けの貨物に関する協定でありまして、いわゆる国内カルテルとは明らかに一線を画している次第であります。国内カルテルは本法とは無関係であり、独禁法本来の適用対象であることは申すまでもございません。従って輸出カルテルに籍口して国内カルテルを結成するような場合は、当然独禁法の厳格な適用がなされるわけでございます。以上申し述べましたごとく、中小企業に対し悪影響を及ぼす懸念はないと存じますが、なお念のために、中小企業者の利益を害せざるよう若干の修正を加えた次第であります。  また、今回の改正が公正取引委員会の権限を弱化し、独禁法が骨抜きになったかのごとくに主張されている向きもありますけれども、本法によれば、認可された協定は独禁法の適用除外とはなりまするが、不公正な取引については最初から独禁法の適用があるわけであります。また認可後に弊害が生じた場合は、公正取引委員会は直ちに通産大臣に協定の取り消し、変更を請求し得、また通産大臣において何らの措置をしない場合においては、一定期間の後、独禁法が適用されてくるわけでございまして、決して憂慮することはないと考えるものであります。  第三は、輸出に関する協定についてアウトサイダー命令を政府が出し得る場合を広げ、かつ輸出業者の国内取引に関する協定について新たに命令を出し得るように改めた点であります。最近の安値輸出競争を防止するためには、自主的に価格等の協定をなさしめることが本義ではありますけれども、わが国の現状におきましては、やはりアウトサイダーに対しましても適切なる規制が必要であると認められるのであります。  第四は、特定の地域に対して輸出入組合の設立を新たに認めた点であります。わが国の貿易の相手国の現状では、輸出入組合を作って輸出入の調整をやることが適当と考えられる地域が現にあるわけであります。この場合、政府が直接やるよりは、民間の自主的な調整機能を活用しようとする考え方は、現在の制度に対する一つの改善であると考えるものであります。この点に関し、社会党からは、輸出入組合の設立は貿易の縮小均衡を招く心配がある、あるいは官僚統制に陥りやしないか、また既存団体を活用すべきこと、こういうようなことについて反対の意見の開陳がございましたが、この点については私は見解を異にするものであります。  第一に、相手方が貿易を一元的にやっておる場合、及び、放任して置けば輸入または輸出の一方のみがふえて、他の一方、すなわち輸出または輸入がなかなかうまくいかないというような場合には、その均衡をはかるための調整措置が必要であると考えます。第二に、民間自治統制といたしても、任意の私的団体がやるということは不適当でありまして、法律に基いて民間の意向を代表する機関がこれに当る方がより適当であると考えるのであります。第三に、中小企業の既存団体の問題につきましては輸出入組合の加入脱退は自由であり、また議決権も一組合員一個であって、差別はないのでありますから、その懸念は不要と存するのであります。  以上のごとく輸出入組合の設立は必要であると存じますけれども、これが設立並びに運営については、十分各方面の意見を聞き、万全を期することが適当と考えますし、また輸出入均衡を重視するのあまり必要な原材料及び貨物の輸入が停滞することも困ると考えられますので、これが運用に当りましては十分の配意を政府に要望することといたしましてその趣旨の付帯決議を付した次第であります。  以上申し述べましたごとく、本改正案の実施によって、わが国の貿易が正常なる形において、健全な伸張発展を遂げんことを期待いたしまして、私の賛成討論といたします。(拍手)     ―――――――――――――
  68. 河井彌八

    ○議長(河井彌八君) 加藤正人君。    〔加藤正人君登壇、拍手〕
  69. 加藤正人

    ○加藤正人君 私は、ただいま上程されました輸出入取引法の一部を改正する法律案につきまして、自由党提出の修正案並びに修正部分を除く衆議院送付案に対し、賛成の意思を表するものであります。  今やわが国の多年にわたる待望でありましたガットヘの加入もすでに目前のこととなりまして、また国際経済は通貨の自由化を目ざして、その前提となる貿易及び為替の自由化が着々推進せられ、国際競争はいよいよ熾烈化し、本格化しつつある今日におきまして、ダンピングを防止して、わが国の貿易秩序を確立し、輸出の伸張をはかるべきことはまさに焦眉の急務と申さねばならないのでございます。この意味におきまして、今回輸出入取引法が相当大幅に改正せられる意義はまことに大きなものがあるのであります。政府のかかる意図に対しては、私は大いにこれを多とするところでございます。しかしながら、せっかくのこの政府の意図にもかかわらず、政府の原案なるものは、なおきわめて微温的であら、不満な点が少くないのであります。そのよってきたるゆえんは、この法律において制定せられている輸出入取引というものが現実の取引の実態と合致しておりません。実際から非常にかけ離れておるということであります。つまり法律と実際とが遊離してしまっているということに胚胎しているのであります。本法が昭和二十七年に制定せられまして以来、ここに三カ年、いまだに何ら見るべき効果をあげ得なかったのも、けだしこの点に原因があるものでないかと思われるのであります。今回の改正案をもっていたしましても、なおこの根本原因に触れるところがきわめて少いうらみがあります。すなわち、法律で制定している輸出取引の実態、つまり主体、つまり現在の輸出業者というものは、戦前のように自己の責任において相当のストックを手持ちをしておって、これを有利なときに有利な条件に従って売りさばくという、真の商社としての貿易活動を行う実力を今日ではほとんど持ち合わしておらない。いわば、その日その日のマージンをかせぐというのがその実情でありまして、従って今日では、価格、品質、納期その他一切の取引内容は、輸出業者だけでは決定ができません。輸出業者と生産業者とが常に表裏一体をなして、その形において輸出取引を行なっているのが現状であります。中には鉄鋼等のように、実際の商談そのものもメーカーが行なっているような例も少くはない。また海外からのクレーム、すなわち苦情の最終責任のごときも、多くの場合はメーカーがしょい込むというようなことになっているのでありまして、このことは、わが国の重要輸出産業たる鉄鋼、繊維の場合はもちろんのこと、ミシン、自転車、陶磁器、雑貨等の取引においても、すべてそのようになっているのであります。このような今日の輸出取引の実態が、そのまま正しく法律の上に反映していない結果、せっかく新たにメーカーの協定を認めておきながら、それはあくまでも輸出業者の補完的な立場に過ぎず、たとえば、メーカー協定を認めるにいたしましても、輸出業者の協定だけでは実効があがらない場合に限る等の段階的差別を設け、あるいはまた、輸出業者の場合が届出制であるのに反して、メーカーの場合は認可制であるというようなことになっているのであります。このようなことでは、何よりも、商機を失することなく、臨機応変的な機動性を最も必要とする輸出取引に当って、輸出業者と生産業者が真に表裏一体の形において熾烈な海外競争に拮抗し得ないことは明らかであるばかりでなく、現在の輸出業者がその日その日のマージンかせぎに終始している限りにおきましては、勢い売らんかなが第一となり、本法の第一義的な目的である過当競争の防止そのものすら達成することはとうてい期待しがたいのであります。この一例として、最近パキスタンが米国の余剰綿花を受け入れるに当りまして、これを委託加工に出した事例があげられるのでありますが、この委託加工に当って、どのような品質のものを何日までに幾らで加工し得るかというような加工契約は、とうていメーカーの参画なしには決定し得ないものであります。また手持ち在庫でこれに充当するにしても、パキスタン市場に商標の通りているいわゆるチョップ品については、メーカー間の割り振りについてメーカ―間の協定がなければできない相談であるのであるが、現行法においては、かかるメ―カーの協定が許されなかったために、わが国がぐずぐずしている間にこの相当の部分が西独、イタリア等に商売の大部分を奪われたという苦い経験があるのでありますが、このような場合、たとえ今回の法の改正があったにしても、政府原案のようにまず輸出業者の協定を先行せしめて、これだけではどうしてもだめだという場合に限って、初めてメーカーの協定を認むるというような仕組みであっては、とうてい商機には間に合わないのであります。  以上のような観点から、今回衆議院において修正を加え、メーカーの協定について、前述したような段階的差別を除去して、輸出業者と同列において協定が締結できることとしたこと、また通産大臣の認可に二十日間の期限を付し、同時に公取委員会の同意を協議に改めたことは、決してこれだけで十分だとは思われないにしても現段階においてはまずまず妥当なる修正であると申さねばならぬのであります。  なお、通産委員会の質疑を通して明らかになったことは、本改正が中小企業を不当に圧迫するのではないかという懸念が各方面に非常に強いということであった。私はどうもこの点がよく理解できないのでありますが、それならば、もしその意見に従ってメーカーの協定を認めないとすれば、果してどうか。この場合には国内業者間の過当競争が続き、投げ売り競争が依然として継続されるわけであるが、このような競争が続く場合、大企業と中小企業のいずれが有利であるか、なお今さら私が指摘するまでもないところであります。要するに食うか食われるかの競争になってしもうわけであります。従ってこのような共食い競争を防止して輸出の秩序を確立せんとするものである以上、当然連関中小企業の利益にも合致するはずであり、万一にもこの心配が現実に起ってくるようなときには、これを是正する権限が法律によって政府に与えられているりであるから、全くの杞憂に過ぎないのであります。  しかしながら、私をして言わしむれば、このような観念論としか思われないような心配も、実際には非常に多いのも事実でありますから、かかる懸念をなくする意味において提出された自由党の修正案にも賛意を表した次第でございます。  以上をもって私の賛成討論を終ります。(拍手)
  70. 河井彌八

    ○議長(河井彌八君) これにて討論の通告者の発言は全部終了いたしました。討論は終局したものと認めます。  これより本案の採決をいたします。本案全部を問題に供します。委員長の報告は、修正議決報告でございます。委員長報告の通り修正議決することに賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立〕
  71. 河井彌八

    ○議長(河井彌八君) 過半数と認めます。よって本案は委員会修正通り議決せられました。      ―――――・―――――
  72. 河井彌八

    ○議長(河井彌八君) 日程第二十三、自衛隊法の一部を改正する法律案  日程第二十四、防衛庁設置法の一部を改正する法律案  日程第二十五、防衛庁職員給与法の一部を改正する法律案(いずれも内閣提出、衆議院送付)  以上、三案を一括して議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  73. 河井彌八

    ○議長(河井彌八君) 御異議ないと認めます。ます委員長の報告を求めます。内閣委員長新谷寅三郎君。    〔新谷寅三郎君登壇、拍手〕
  74. 新谷寅三郎

    ○新谷寅三郎君 ただいま議題となりました自衛隊法の一部を改正する法律案、防衛庁設置法の一部を改正する法律案及び防衛庁職員給与法の一部を改正する法律案につきまして、内閣委員会における審議の経過並びに結果を御報告申し上げます。  まず、三法案の内容を御説明いたします。防衛庁設置法の一部を改正する法律案は、過般衆議院におきまして修正議決せられて当院に送付されたものでありまして、この法律案は現下の情勢に対処し、わが国の防衛力を国力に応じて整備充実するため、防衛庁の職員の定員を三万一千二百七十二人増員し、現在の定員十六万四千五百三十八人を十九万五千八百十人に改めようとするものであります。この三万一千二百七十二人の増加分のうち、二万七千六百五十四人が自衛官で、残りの三千六百十八人が自衛官以外の職員であります。自衛官の増加分は、二万人が陸上自衛官、三千五百八十三人が海上自衛官、四千五十九人が航空自衛官、十二人が統合幕僚会議に所属する自衛官であります。  増員される自衛官は、陸上自衛官にありましては、方面隊一個の増設、混成団二個の新設その他に充てる要員であり、海上自衛官にありましては、艦艇の新造完成に伴い、その就役に要する人員その他であり、また、航空自衛官にありましては、航空団の新設、航空操縦学校等の充実のための要員であります。  次に、自衛隊法の一部を改正する法律案について申し上げます。本法律案におきましては、九州地方の防衛上の重要性にかんがみ、西部方面隊を設け、その方面総監部を熊本市に置くこととし、また管区隊に準ずる総合部隊として混成団二を新設し、北部及び西部の両方面隊の編成に一つずつ加えることとするほか、航空自衛隊に新たにジェット機を基幹とする航空団を新設し、その司令部を浜松市に置くこととするのが改正の主要な点でありますが、そのほか現在陸上、海上航空の各自衛隊の機関が業務遂行上、一体的運営を必要とする場合には、これを陸上自衛隊、海上自衛隊及び航空自衛隊の共同の機関として置くことができるように改正し、また、現在任用期間は陸士長等だけに設けられておりますが、今回海士長等及び空士長等の年令構成及び階級構成の適正化をはかり、部隊の活動力を増大するため、新たに海士長等及び空士長等に三年の任用期間を設けることとし、これに関して必要な改正がなされております。次に、防衛庁職員給与法の一部を改正する法律案について申し上げます。本法律案は自衛隊法の一部改正によりまして海士長、空士長等の自衛官にも任用期間が設けられることとなるのに伴い、陸士長等と同様に特別退職手当を支給できるようにするとともに、その給付額を改めることといたしておりますほか、事務官等の俸給の調整額、落下さん部隊員である自衛官の落下さん隊員手当を設ける等所要の改正をいたしております。  内閣委員会は、前後五回にわたりまして委員会を開き、政府側より鳩山内閣総理大臣、杉原防衛庁長官、重光外務大臣、一萬田大蔵大臣、高碕経済企画庁長官等の出席を求め、慎重に三法案の審議を行いましたが、この審議によりまして明らかになった点を申し上げますると、その第一は、防衛庁設置法と自衛隊法の一部改正に伴う所要経費の点であります。すなわち施設、物品等の初年度維持費は、人件費十九億七千万円を含めて約六十七億四千万円、施設の創設、物品購入費等初度費は約百九十八億七千万円、合計所要経費は約二百六十六億一千万円であります。  その第二は、防衛力増強の理由に関する点であります。この点に関し鳩山総理より、「現在の世界の平和は力による平和であって、真の平和ではない。わが国としては、自衛力を持たなくとも平和が実現し得るという保障がない限り、自衛力を持たざるを得ない。かような状況の下においては、わが国が自衛力を持つことこそ、世界平和に寄与するゆえんであると思う。日本は今日独立国である以上、自衛力を持つことは当然のことであって、今日自衛隊の自衛力はあまりに過小であるから、外国の侵略に対し一時的にでも防衛し得るだけの必要最小限度の自衛力を持ち得る程度に増強の必要がある」旨の答弁がありました。  その第三は、防衛力増強の限界いかんという点であります。この点に関しまして、「防衛力増強の限界は、防衛し得る能力の限度に置くのか、経済力の限度に置くのか、そのいずれであるか、また将来日本の防衛予算の限度を経済力に対する限度で押えるのか、国際情勢によって決定するのか、そのいずれであるか」という質問に対しまして、前段の質問に対しましては、鳩山首相及び杉原防衛庁長官より、「防衛力の限度は、防衛能力と経済力の両面から考えられるのであって、経済力を無視することはできないが、国力不相応の防衛力、たとえば他国に侵略の脅威を与えるような戦力の増強は自衛力の限界をこえるものである。」また後段の質問に対しましては、高碕経済企画庁長官より、「防衛予算の規模は従前は国民所得を基準としておったが、今後は国力を基準に置くべきであって、同時に国際情勢の変化をもある程度加味しなければならぬと思う」旨の答弁がありました。なお、最近ジュネーヴの四巨頭会談によって世界の緊張緩和の趨勢に対し、「日本の防衛力増強の傾向は、これに逆行するものではないが」との質問に対しましては、鳩山首相より、「形の上から見れば矛盾のように見えるが、わが国の自衛力の漸増は侵略戦争を目的としていないことは明らかなので、この日本の真意を明らかにしソ連その他の国々とも国交を正常化する方針であることを適当な機会をとらえて明らかにしたい」旨の所見が述べられました。  その第四は、将来の防衛力増強計画に関する点であります。「政府は将来防衛六カ年計画を立てる予定であり、今日まだ成案を得ておらないが、なるべく早い時期に作成して国会に提示したい。その際最も先にきめたいのは防衛力の規模、特に六カ年計画の最終年度の規模であるが、六カ年計画を示す時期がいつであるかは今言明できない」旨、杉原防衛庁長官より答弁がありました。なお来年度の防衛費をどれくらいにするかという点について、杉原長官より、「若干ふやしたいと考えておるが、どの程度にするかはまだ決定していない」旨、また、「防衛六カ年計画はまだできていないが、防衛力の増強を行う本年度は、実績として六カ年計画の第一年度になる」ということ、また、「この増強は、米駐留軍が撤退した結果増強するのではなく、今回の自衛隊の増強の結果、さらに米駐留軍の撤退が行われる見込みである」旨の答弁がありました。  その第五は、防衛六カ年計画と経済六カ年計画との関係であります。この点に関しまして、「この二つの計画は、両々相まって並行して行わるべきであるにもかかわらず、防衛六カ年計画だけが樹立されていないのはなぜか、この両者の関係はいかになっておるか」という質問に対しまして、高碕経済企画庁長官より、「防衛六カ年計画はまだ数字がはっきりきまっておらないが、経済六カ年計画を立てる上において、経済力はどれだけの防衛費を負担できるかという大体の目標を立てている。すなわち過去の実績によれば、国民所得の二%ないし三%程度を防衛費に振り向け得るという大体の目標をつけて、経済六カ年計画を立てている。しかしながら、この場合国民所得を基準にすることは正確でないので、国力すなわち国富を基準としなければならぬと思う。国富については昭和十年以来まだ調査ができておらないから、今後すみやかにこれを調査検討する考えである。防衛計画が樹立された場合には、これと経済六カ年計画とを調整したいと考える」旨答弁がありました。なお、「防衛六カ年計画では自衛官の志願制度を前提として考えるつもりであり、この限度は二十万人くらいと予定しているが、この数は陸上部隊において幹部、下士官を除き、二年、三年という期限をつけて採用している一般隊員を対象とした数である」旨、杉原防衛庁長官より答弁がありました。  その第六は、自衛力増強と憲法第九条との関係であります。この点につきまして、「鳩山首相は在野当時は現憲法下では戦力は持てないという見解をとっていたが今日この見解を変えて、現憲法下においても自衛のためであれば戦力を保持し得るとの解釈のもとに自衛力を増強しているが、かように憲法に関する解釈が変ったのはいかなる理由によるものであるか、また憲法第九条の規定は自衛のためであっても戦力を保持し得ないことを明示しているものであって、今日大多数憲法学者もかような解釈を下しているではないか、首相の憲法解釈についてのかような変化は、政治家としての無節操を意味するものではないか」という質問に対し、鳩山首相より、「憲法学者がさような解釈をしているのも無理からぬことと思う。自分自身も在野当時は同業の解釈をしていたし、そのことは当時は正しかったと思う。しかし、その後自衛隊法が国会を通過し、自衛力の漸増が行われ、また日米保障条約が国会の承認を経るに至り、かような事態が次第に累積された今日においては、この既成事実を無視しては実際政治は行えない。今日ではいやしくも一国が独立国として主権を有する限り、憲法第九条の解釈に関する論議いかんにかかわらず、万一の侵略に備えて自衛力を持つことは当然のことであると考える」旨、所見が明らかにせられ、なお、「憲法や法の解釈が時の政府や政党によって変えられ、あるいは多数決で決定され得るものと考えることは、政府みずから法の混乱をまねくもとを作るものではないか。また首相の憲法解釈の変化は首相に対する国民の信頼を裏切るものではないか」との質問に対しては、「憲法解釈に疑義がある場合は、民主国家のもとでは、国会の意思によって決定されるほかはなく、従って国会の意思に従って今日憲法解釈を変えたことはきわめて自然であると思う。また今日一般国民も、自衛のため戦力を保持することについては納得してくれるものと考える」旨、重ねて鳩山首相より所見が明らかにされました。なおまた、「日米共同防衛のため、米国より日本の自衛隊に対して海外派兵の要請があった場合、これに対して政府は、いかなる態度をもって臨むか」という質問に対しましては、「将来いかなる事態が生じても海外派兵は絶対いたさない」旨、鳩山首相及び杉原防衛庁長官の言明がありました。  その第七は、「将来、万一日米共同防衛の必要の生じた場合において、指揮権は日米両国いずれが持つか」との問題に関しまして、杉原長官より、「日米安全保障条約にも日米行政協定にも何らの規定なく、わが国の法制上の解釈としては、この場合新たに特別の条約協定等によって両国の間に話し合いができない限り、内閣総理大臣がわが国の自衛隊の最高指揮監督権者であることは当然である」旨の答弁がありました。  なお、このほか三法案に関連して最近の国際情勢と自衛力増強との関係、竹島問題、原爆基地、防衛生産計画、対米防衛分担金交渉、日米共同作戦または動員計画、自衛隊員の教育の基本方針等の問題につきましても質疑応答が行われましたが、その詳細は、委員会議録に譲ることを御了承願います。  昨日の委員会におきましては、質疑も終結いたしましたので、討論に入りましたところ、社会党第四控室を代表して加瀬委員、社会党第二控室を代表して松浦委員並びに堀委員より、もれぞれ反対の意見が述べられ、また自由党を代表して宮田委員、緑風会を代表して豊田委員、並びに日本民主党を代表して松原委員より、それぞれ賛成の意見が述べられました。  かくて討論を終結し、直ちに採決に入りましたところ、本三法律案は、多数をもって衆議院送付の原案通り可決すべきものと議決せられました。  以上、御報告申し上げます。(拍手)
  75. 河井彌八

    ○議長(河井彌八君) 三案に対し討論の通告がございます。順次発言を許します。加瀬完君。    〔加瀬完君登壇、拍手〕
  76. 加瀬完

    ○加瀬完君 私は、社会党第四控室を代表いたしまして、ただいま議題となりました防衛関係三法案に対し反対の意を表明するものであります。  われわれは本案の検討に当りまして次の尺度をとりました。その一は、ダレス、トルーマンの声明以来、安保条約となり、行政協定となり、MSA協定と発展をいたしました日本の再武装が、果して日本の防衛のためであるか、アメリカの軍略の犠牲であるか、この点の検討であります。その二は、平和五原則声明から、バンドン会議、そして四巨頭会談と進展をいたしました平和要望の世界の声に対し、日本の防衛計画は正しいかどうかの点であります。その三は、日本の防衛計画には確固たる戦略基礎が確立をしているのかどうかの点であります。その四は、日本経済及び財政の防衛負担力の見通しの点であります。その五は、政府の提案根拠に違憲性はないかどうか、この吟味であります。その六は、国民感情は防衛漸増計画をどう見ているか、この点であります。以上六点を基準に検討の結果、政府のあらゆる説明にもかかわりませず、われわれはただ大きい不安と不満を感ずるのみでありました。以下その不安と不満からなるわれわれの反対理由を申し上げます。  反対の第一は、国際情勢の見通し及び国内情勢、国民感情の諸点につきまして、政府と見解を異にするからであります。日米共同声明につき、重光外相は、この声明は安保条約、行政協定、MSA協定の延長として取りきめたにすぎない、こう答えられました。また安保条約では漸増を期待するとしてあるが、この声明では一そうこれを義務づけておるのではないか、こういう問いに対しまして、安保条約の趣旨に基いて双方合意の結果である、こう答えられました。ここで「合意」という言葉でありますが、この「合意」の内容には、当然日本の経済力または国力について十分な説明、防衛力漸増の規模、日本の経済力と漸増規模とのバランス、こういう点が話し合いとして出され、かつアメリカに対して了解点に達しておると見るべきであります。この三点についてどういう了解点に達したのか、こういう委員会におけるところの質問に対しましては、的確な御答弁は何らございません。また飛行場の拡張は、共同防衛の必要上拒否する考えはないこう言っておりまするが、この共同防衛ということを政府はどう考えられておるのか。たとえば日本の国民の生活あるいは人権、こういうものが、一、二の例をあげるならば、飛行場の接収あるいは駐留軍による暴行、こういうふうに、人権侵害の例は相当の数を示しておるのであります。国民の生活、国民の人権は侵されておる。しかしこういう国民の生活防衛を忘れたところに国土の防衛はあり得ないではないか、こういう感想をわれわれは強く持たざるを得ないのであります。政府の説明によりますと、何でも条約、協定というところに逃げ道を作っておりまするけれども、安保条約前文におきましても、御存じのごとく、「直接及び間接の侵略に対する自国の防衛のため漸増的に自ら責任を負うことを期待する。」とあり、また第三条には、米国の配備を規律する条件は、両国政府間の行政協定できめるとあり、さらに行政協定のワクがきめられておりまするし、合同委員会が決定をされておるのでございます。昭和二十七年二月十九日の衆議院予算委員会におきまして、時の政府は、本協定は安保条約に基く事務的なものでありもし国民の権利を制限するような場合には、それに関する法律を国会に提出する、こう声明をしておられます。しかし安保条約に伴う国民の権利の侵害に対しまして、国民の権利を擁護するいかなる法律が制定されたのか。全然怠慢であります。国土、国民を守ることではなくて、生れ出るこの種の法律は、国土、国民をあけてアメリカヘのサービス・オンリーに奉仕をしておるのであります。(拍手)かくのごとく自己の権利を守り得ない精神なき防衛というものには、われわれは存在の意義を認められないのであります。アメリカに対する条約並びに協定の限りにおきましては、MSA協定を見ましても、当然日本の経済条件はもちろん、政治条件も勘案さるべきはずでございます。今まで政府はアメリカに対し、いかなる政治安定と経済安定の主張をしてきたのでありまし上うか。この主張があるならば、軍事基地拡張反対の陸続たる陳情と、祖先墳墓の土地を慕うあの血を吐く陳述を聞いたならば、日米共同声明のごときは、とても出せるものではないと思うのであります。しかも国際情勢は、熱戦は申すまでもなく、冷戦すらやみ、平和五原則が打ち出され、新ロカルノ方式が叫ばれ、日ソ交渉が開かれ、日中人士の交際が激しくなって、安保条約当時の国際緊張というものは全然ないのでございます。しかもアメリカにおいてすら、ニューヨーク・タイムズによりますれば、富士山は日本人にとって尊厳至上のものであるから、ここで射撃演習をするということは永久に中止すべきであると、こういう世論すら生じておるのであります。この国際情勢の中に、相手のない防衛の必要を政府は力説するといたしまするならば、まことにナンセンスといわざるを得ないのであります。われわれはかくのごとくほうはいたる平和要求の国際情勢に逆行をする軍備計画には賛成することはできません。  反対の第二は、防衛計画の不確定という点であります。およそ一国の防衛を計画するからには、自国に対する侵略の可能、その侵略の予定国、侵略の経路及びその方法、侵略に使用される兵器及び戦術等が種々検討をされまして、その上に自国の基本戦略が打ち立てられ、この戦略のもとに防衛計画が進められるのが当然でございます。ところがこの点政府の態度は、まことに不明確であります。外務大臣は、日本に対する大陸の空軍配置は重大な状況になっておる、これに対抗するために新しいジェット機を要する、これには滑走路が長くないと困るので、責任を果すために延ばしてほしいと要求があった。これに日本側は初めから協力する約束があるので、これに応ずることが条約の趣旨に合致すると考える、こう答えられております。この言葉によりまするならば、アメリカの戦略下に日本が受け持つべき共同防衛の位置と、アメリカが分担すべき位置というものは決定されておらなければなりません。そうであるならば、日本の基本戦略構想というのは、できておらないはずはない。仮想敵国は一体どこか。仮想敵国という言葉を忌むならば、どこの国を対象に防衛計画を進めるのか、この相手の国は一体どこか、侵略想定経路というものはどう考えるのか、相手国の想定される侵略兵器、こういうものは一体何か、アメリカ軍の分担任務とわが方の分担任務はどうきまっておるのか、指揮統一の中心はどこであるのか、動員計画は一体どう立ててあるのか、これらに対しましては何ら明確なお答えはないのであります。特に日米防衛関係におきまして、防衛庁長官は、航空機はもっぱら防衛のものに限られる。爆撃機は全然使わないと。それでは、いつでもアメリカとの共同作戦をするのか、こういう問に対しましては、行政協定の中には、日本の防衛については両国が協議をするという協議事項がある、こう答えられております。そこで、航空作戦を指導する主体はいつもアメリカということにはならないか。またこの御説明でいくと、日本防衛が実際に効力をあげるということは、アメリカのオーケーがない限りは不可能である。そうすると、いつまでも日本に対する防衛の主導権はアメリカが持つということにはならないか。また航空防衛はアメリカに依存をするというのであるならば、アメリカから航空基地の必要を要求されるならば、当然日本が義務を生ずると思うが、この点はどうか、以上の質問に対しまして、政府は、アメリカの航空支配権、アメリカ軍の軍事主導権、日本の基地提供の義務、こういう点を認め、かつ基地交渉に当りまして、日米条約要項としての内容のワクを越えて、アメリカの軍事要求が強く働きかけてきた経過をも認めたのであります。  以上の情勢から結論をいたしますならば、すなわち、現在進行しつつある日本の防衛は、主導権を持つものはアメリカであり、軍事戦略の基本策はまだ立っておらない、アメリカ航空戦力のためには今後相当の基地問題というものが生ずるであろうし、また共同防衛の分担分は、日本経済の動向にかかわらず増加されてくるであろう、こういう判断をせざるを得ないのであります。すなわち、日本の自主権というものは全然ありませんで、防衛計画の基本はかくのごとくアメリカ本位に進められておるのでございます。そうであるならば、本日の緊急質問にもありました通り、秘密軍事協定というものも当然進んで参るでありましょうし、全然日本の自主権は防衛の限りにおいてはますます稀薄になって参るのでございます。このようなアメリカの第一線基地日本列島の防衛である限りにおきましては、この防衛計画はかえって、日本国とわれわれ日本国民にとっては、一そう基本的権利を侵害される以外の何ものでもございません。(拍手)われわれはかくのごとく国民を守り得ない防衛計画というものには反対でございます。  反対の第三点は、日本の経済及び財政は、防衛計画に耐え得ないということでございます。防衛六ヵ年計画は経済六カ年計画のワクの中で進めると政府は説明するのでありますが、まず基本の経済六カ年計画を検討いたしますと、この目標といたしまして、国民所得を終年度におきましては七兆三千九百億、消費水準を昭和二十八年に比し一一四・九%に押えております。しかし食糧自給関係というものはどう立っておるのかという点を追及いたしますと、食糧自給関係は全然立っておりません。また生活水準の引き上げということを言っておられるけれども、農家の生活水準は、すなわち食糧自給の中心をなす農家の生活水準はどういうふうになっておると御認識であるか。終戦直後エンゲル係数が四一・八であったものが、二十七年には五〇・六、二十八年には五一、二十九年には五一・九と悪化をしておる。これでは米価の安定というものを相当政府が力を入れて考えない限り、農家の消費水準は下降をするだけではないか。そうなってくると、商業的農業に移行し、貧農化する現状というものをとめることは不可能である。なおまた、MSA小麦に引き続きまして、アメリカ余剰農産物の受け入れ態勢というものが農家の経済にどう響くか、この対策を六カ年計画においてはどう立てておるか、こういうことに対しましては、具体的な計画は何もないのでございます。一言にしていうならば、農家の消費水準を貧農の状態に押えて、この農家の犠牲の上に防衛計画を進めるという以外には解釈できないのでございます。  次に、財政計画でございますが、鳩山総理は、経済六カ年計画に国力回復の主力を置くというのでございます。それならば、少くも三十一年、三十二年という次年度、その次の年度、この程度の財政計画というものは立っておらなければ、今後の経済自立というものの方針がつかないではないか。財政計画はどう立っておるか、こう伺いますると、全然財政計画は立っておりません。財政計画のないままにまたアメリカと折衝をするのであるならば、防衛費はますますかさんでくることも当然でございますし、内政費を圧迫することも当然でございます。大蔵大臣がいかに言明をいたしましょうとも、三十一年度の財政計画は当然歳入欠陥を生じまして、赤字国債の発行となり、戦時インフレーションの方向を再び顕著に現わしてくることも事実でございます。われわれは、このような全然不確定な、財政計画を持たない防衛計画というものには賛成することができないのでございます。  反対の第四は、法案提出の政府の態度であります。法制局長官の説明によりますると、憲法第九条は交戦権はないが、自衛権を排除してはおらない、自衛のための戦闘行為は認められておる、しかしこの自衛のための戦闘行為は、国際法上は交戦権は認められておらない、こういうのであります。そうであれば、国際法上同一の戦闘行為をいたしまして、それが他国の通常の例とは違って、同一行動でありながら、日本の交戦権は認められないとするのであるならば、国際法上は当然戦闘行為の主目的であります自衛行動をも認められないということになるわけでございます。すなわち国際法上は自衛権の発動という固有の活動を認められておらない。国際法上認められておらないのであるならば、これは自衛権を主張するということは無理だ、こう解釈するのが当然憲法第九条の通説でございます。しかるに政府は、この憲法違反の上に憲法違反を重ねておるのでございます。すなわち、自衛のためには兵力を持ってもよい、自衛のためならば近代的な軍隊を持ってもよい、こう総理は言うのでありますが、憲法の解釈は、国民の大多数がそう考えるならそれでよい、こういうことになりますると、さらにこれに尾をつけまして、法の守護に当るべき法制局長官がこの俗論を肯定しておるのでございますが、この理論を推し進めて参りまするならば、法の内容は多数決できまる、こういう形になります。政治的権力者が政治権力をもちまして多数で押すならば、憲法解釈も変えられるといたしましたならば、一体正しさを守るべき、法によりまして国民は生命、財産あるいは人権の保護を託することができなくなるのでございます。この首相の軽率な発言と同様な考え方を国民が持つといたしまするならば、法の混乱によりまして、全く法治国家の日本というものは、その存在を失うわけでございます。  民主政治は憲法尊重の上にのみ成り立ちます。われわれはこの民主政治に逆行をする政府の提案態度に、強く反対せざるを得ないのでございます。  以上をもちまして私の反対討論を終ります。(拍手)     ―――――――――――――
  77. 河井彌八

    ○議長(河井彌八君) 宮田重文君。    〔宮田重文君登壇、拍手〕
  78. 宮田重文

    ○宮田重文君 私は、ただいま議題となっております防衛庁設置法の一部を改正する法律案外二法律案に対し、自由党を代表して賛成をいたすものであります。  およそ独立国が自国の安全をはかるために自衛力を持つことは、国家主権の一部でありまして、全く当然のことであります。世界の各国はいかなる小国でありましても、大なり小なりの自衛力を保有しておるのであります。わが国も憲法によりまして、侵略的軍備の保有が禁止されてはおりますが、しかし、自衛のための必要最小限の力は持ち得るものであり、また持たなければならないということは、わが党がかねてから主張してきたところであります。この主張に対しましては、いわゆる非武装中立論を唱えて反対する者があります。非武装中立ということは、過去の歴史に徴してみましても、きわめて現実性に乏しい一種の理想論にすぎないのでありまして、国際間の紛争が戦争によって解決される状態が存続している間は、成り立ち得ない議論であります。いな、それだけではなく、非武装中立論は、わが国を共産化せんとする一部の人々が、彼らのいわゆる日本解放のために、すなわち共産圏諸国の力に頼って行われる日本の共産主義革命のために、われわれの祖国を無防備の状態にしておこうとする策動の一部であるか、あるいはそれに乗ぜられるものでありまして、きわめて危険な思想であると申さなければなりません。(拍手)  今日世界の情勢が緊張緩和の方向に進んでいることは事実であります。ジュネーヴにおける四大国巨頭会談が戦争を回避し、世界の平和を確立する上に一歩を踏み出したものであることは、否定することができません。しかかしながら、ソ連をして融和政策へと戦術の転換をなさしめたものは何でありましょうか。それはチャーチル前英国首相が指摘しました通り、兵器の非常な発達、米英側における新兵器の優位、そして米英を中心とする自由主義国家群の強力な団結であります。ソ連側はこれに押されて、融和政策へと戦術を転換したのであります。こうした事情に注意してみますとソ連が将来再び戦術転換を行なって、対外強硬政策に転じ、直接間接の侵略を強化して、世界赤化の野望達成に乗り出すときが来ないという保証はどこにもないのてありまして、そうした時期が再びやってくることを予想する方がはるかに常識的であり、安全でもあります。われわれは現に緊張緩和に向っている世界の情勢が、将来どのように変化しても、わが国の独立と安全とが危険に脅かされることのないような態勢を整えておくことが必要であります。非武装中立論というような謬説に惑わされず、必要最小限度の自衛力を備えることに、今から着実な努力を重ねていくことがぜひとも必要であります。  ただ、どの程度の自衛力を保有するか、どういう速度で自衛力を充実していくかということは、国の経済力に左右されることは申すまでもありません。わが国の国力は、すみやかに自衛の態勢を整えるには不十分でありますために、わが国は日米安全保障条約に基いて米国軍隊の一部をもって、わが国の防衛を補完して参ったのであります。しかしながら国の独立と安全を他国の軍隊に守ってもらうということは独立国の国民として忍びがたいところでありまして、今日アメリカ駐留軍との間に、いろいろの問題を惹起するようになりましたのも、その理由の一つは、やはりこうした国民感情に根ざしていると言わなければなりません。従って国力の充実に伴って自主防衛の態勢を固め、駐留軍が撤退しても、国の安全に危険を生じないような状態を一日も早く招来することに努めなければなりません。今回の防衛関係三法案は、本来そうした趣旨にいずるものでありましてわれわれとしては何ら反対すべきものを持たないのであります。  ただわれわれが、はなはだ遺憾にたえないことは、本案の審議に当って、その基礎となる自衛力増強の全体計画を示すようにとのわれわれの要求に対して、政府が言を左右にしてその提示を拒んだことであります。政府の説明によりますと、防衛六カ年計画というような長期計画は、まだ策定しておらない、本年度の増強計画は、そうした長期計画の一部をなすものではなく、一応の間に合わせであるということでありますが、これは政府として、はなはだ無責任であると申さなければなりません。将来どの程度の防衛力を何年間に整備すれば米国軍の撤退が可能となるか、その見通しを欠いた増強計画というものは、非常に頼りない計画であります。本法案審議に当って政府の態度はまことに遺憾でありますが、政府はすみやかに経済六カ年計画ともにらみ合わせまして国民の納得するりっぱな防衛計画の策定に努力するとともに、自衛隊は貴重な国費を投入することに思いをいたしてわが国の防衛を忠実に履行するため、厳正なる規律を保持し、強い責任感をもって、専心その職務の遂行に当り、十分国民の負託にこたえ得るよう、大いに士気の高揚に努むべきであることを強く要望して、防衛三法案に賛成の意を表し、私の討論を終ります。(拍手)     ―――――――――――――
  79. 河井彌八

    ○議長(河井彌八君) 田畑金光君。    〔田畑金光君登壇、拍手〕
  80. 田畑金光

    ○田畑金光君 私は日本社会党を代表いたしまして、ただいま議題となっております防衛庁設置法の一部を改正する法律案外二法案に対し、反対の討論をいたさんとするものであります。  反対の第一の理由は、これらの法律案は、いずれも憲法違反の最たるものであり、吉田前内閣以来、保守政党の常套手段としてとって参りました既成事実を一歩々々積め重ねることにより、抜くべからざる軍備体制の強化をはからんとする悪質きわまる反動立法であるからであります。本改正法案により十六万四千五百三十八名の自衛隊員は十九万五千八百十名に上るのであります。それのみではありません。陸上兵力は十五万に増強し、海上自衛隊においては現有勢力八万二千トンに対し本年度中にさらに一万一千トンの増強を企てておるのであります。さらに航空自衛隊に関しましては、アメリカから本年度中にジェット戦闘機あるいはジェット練習機百九十四機の供与を受けるほか、本年度からジェット戦闘機の国内生産を初めて開始することになって参ったのであります。かくして航空部隊も本年度からようやく戦闘能力を保有するという段階に立ち至ったわけであります。かって第九十議会憲法制定議会におきまして、吉田前首相は自衛権及び自衛の手段に関し、戦争放棄に関する本条の規定は、直接には自衛権を否定しておりませぬが、第九条第二項において一切の軍備と国の交戦権を認めない結果、自衛権の発動としての戦争もまた交戦権も放棄したのであると答弁して、この方針を踏襲して参ったわけであります。  しかるに国際情勢が一変し、東西冷戦が深刻化して参りますと、アメリカの要請に基き、警察予備隊を創設し、保安隊に拡充し、かくて名実ともに近代的軍備の実体を備える自衛隊を再建することになって参りました。かくて権力の陰に隠れ、権力を巧みに利用いたして参りました彼らは時代到来と見るや、きのうまでの態度を一変し、外国勢力への巧妙きわまる阿諛迎合に終始しながら、国内に対し、国民に対しましては、現行憲法を、与えられた憲法とし翻訳憲法でありマッカーサー憲法と主張いたしておるのであります。さらにいわく、制定の時期が敗戦による外国軍隊の占領下という異常の状態であり、国民の意思発表も許されず、ポツダム宣言の日本国民の自由に表明する意思によるものではなかった。またいわく、現行憲法は日本の実情にうとい少数の外国人により早急の間に提案され、天皇の一身上の安全を条件に、最後通牒的に受諾を強要せられたものである。こうして今日、自主憲法期成同盟運動に発展して参ったのであります。鳩山内閣総理と彼に代表される民主党の諸君は、野にあっては吉田前総理のなしくずし再軍備方針を最も激しく糾弾し、かくして自由党のごまかし軍備に反対する多くの国民の支持を受けまして、比較多数第一党になったのは、ついこの間の選挙であります。しかるに、最近の鳩山総理の見解は、まことにわれわれとしては黙視するわけに参らないのであります。かく吉田前総理により戦力なき軍隊論をもって辛くも憲法第九条の最低線を確保して参りましたごまかし的態度も、現内閣に至りましては、がらりと一擲して堂々と自衛戦力を肯定し、自衛戦争を肯定いたしておるのであります。本改正案によりまして、本年度中に自衛隊員は三万一千余の増強を見ることになりました。民自両党は憲法改正を企てておるが、憲法が改正できるできないにかかわらず、今のスピードをもって自衛隊の増強をはかるのかという質問に対しまして、政府はこれを肯定いたしております。平和憲法の建前から見て兵力の増強には限界はないのか、この質問に対しましては、自衛戦力の限度では限界はありませんと答弁いたしております。世の中が変りますると、国家の基本法をもこのように改変し、法律解釈の名のもとに憲法の本質的精神を曲げようとする現内閣と、これに代表される反動勢力は、時機が来るとまた公共の福祉の名のもとに国民の基本的人権を侵害し、さらにわが国の民主主義体制を根本から掘りくずすことは明らかであります。私の反対の理由は第一にこのことであります。  反対の第二の理由は、今日の国民経済、国民生活、ことに国富、国力は、このような膨大な再軍備をいれることはできないのであります。ちまたには一千万に上る潜在、顕在失業者が職と生活を求めて放浪しておる。今の政治のなすべき本筋は、守るに値する国土を作ることであり、国民をしてわれわれの郷土、われわれの祖国と呼ばしめる環境を作ることでなければなりません。外には大衆が貧困と災厄にひしめき合うておる。いかに多くの軍隊を持ちましょうとも、それはアメリカ的制服に身を固め、MSA援助によりとてつもなく豊富な弾薬、装備、機材によって固められていても、それだけでは自衛の目的は達成できるものではありません。再軍備費と国民所得との関係はどうか、経済六カ年計画における再軍備予算はどのように考えているか、こういう質問に対し、政府は、過去の事実に照し、国民の所得の二%ないし三%が適当と考える、厳密には国民所得というよりも、国力によりその国の自衛能力を判断すべきと考えるが、まだ国力の調査ができてない、こういう答弁であります。今日の自衛隊の装備、給与、施設等は、国民生活一般に比較して高過ぎると思いはしないか、こういう質問に対しまして、高碕企画庁長官は、明確に、国民生活に比し高いと思う、これから国民生活を自衛隊の生活程度に引き上げていきたいと。話が逆であります。ここにわれわれは、今日の国力国民経済力の中から、いかに多くの非生産的費用が自衛隊の維持強化のためにつぎ込まれているか、政府自身の告白の中から明瞭にくみとることができるのであります。不当支出、国費乱費の最たるものが防衛庁であることは、会計検査院の指摘を待つまでもありません。(拍手)政府は徴兵制をとらず、現行志願兵制度をもって二十万の兵力募集が可能であると申しておりますが、日本国民の自衛意識の高揚によるものと揚言いたしております。国民大衆をいよいよ窮乏化し、求めて職なく、生きるに生活の根拠を失った青年諸君が、やむなく自衛隊の門をくぐることを彼らは知らざるか、故意に隠蔽しているものと言わなければなりません。  現内閣は先般の総選挙において、防衛分担金を削り、これを財源に社会保障制度の充実、住宅建設の拡充、国民生活の安定をはかることを公約いたしましたことは、国民周知の事実であります。またこれが一片の選挙公約であり、票数集めの精神的買収行為であったことは、これまた国民公知の事実となって参りました。(拍手)防衛分担金の交渉はどのような結果をもたらしたでありましょうか。かえって防衛庁経費を膨大に増額せしめ、国庫債務負担行為百五十五億、前年度の繰越金二百二十七億を入れますと、実に本年度の直接軍事予算は千七百九億に上り、少数軍需産業資本家と御用商人のため、この上なき安居楽業の天地を提供したと申さなければなりません。今日零細な農民、破産一歩手前の小商人を中心とする基地拡張反対の運動は、全国的にほうはいとして巻き起って参りました。最初はささやかであったこれらの運動が、今や保守も革新も、農民といわず、労働者、市民も、地域社会のすべてを打って一丸として決起せしめるに至りましたことも、もとはといえば、防衛分担金交渉に出発しておるのであります。近く電光外相初め、一萬田大蔵、河野農相はそれぞれ渡米することになっておりますが、一番重大な使命が防衛分担金削減交渉であり、余剰農産物受け入れ交渉であることは、委員会の論議を通じ明らかにされたのであります。ことに防衛六カ年計画につきましては、政府は、まだできておりません、発表の段階でありませんと強引に逃げの一手を打っております。すなわちアメリカとの交渉前においては万事国会に諮り国民とともに語ることは不可能であることも暴露したのであります。これらの事実は、政府みずから内政干渉を受けていることを明らかに示すものであり、そうしてまたこの内閣も吉田前内閣と同様に、秘密外交のワク内にかたく閉ざされておることを示すものと申さなければなりません。現在わが国に駐留するアメリカの陸軍兵力は二個師団半であります。行政協定二十五条に基きまして、防衛分担金一億五千五百万ドルは、当然兵力漸減に伴い減らすべきものと解するのでありますが、現内閣にはその勇気も意思もないのであります。かえって自衛隊強化のため、いよいよ国力不相応の軍備強化に邁進しようといたしておるのであります。国民経済、国民生活の現状に照らし、私は断固この法律案に反対せざるを得ません。  第三の反対の理由は、今日の国際情勢、国際政局の動向は、再軍備強化に進むべき時期であるかどうかということであります。朝鮮休戦に続くジュネーヴ会議が、世界の緊張緩和に大きな影響力を与えたことは昨年のことであります。台湾海峡をめぐる緊張も、より高い人類の良識の前には、中共、米国をして今日平和的手段に訴えざるを得なく追い込んでおるのであります。去る四月インドネシアのバンドンに開かれましたアジア・アフリカ会議は、力をもって対決せんとする東西両陣営に対し、新しい歴史の進路と示唆を与えたものと言わなければなりません。ことに一両年前までは夢にすぎなかった大国間の巨頭会談は歴史的な幕をあけ、貴重な数日を過ごしたのであります。この会談の中で比較的実現可能と目されておるのが、ほかならぬ世界的軍縮の問題であります。巨頭会談からロンドンの空港に帰りましたマックミラン英外相は何と申したでありましょう。もう戦争はないよ、こういうことであります。インドのネールを中心とするアジアの緊張も、新たな平和的手段に訴える道を講じつつあるのが今日の状況であります。八月一日、ジュネ―ヴにおいてはアメリカ、中共両国の抑留飛行士問題を中心とする会談が実現しようとしております。目下わが国は日ソ国交調整の過程にあるのであります。また過日周恩来総理は中国訪問日本代表団に対し、外交関係の再開を望み、首相代理との会見を希望いたしたと外電は伝えております。外交は慎重でなければなりません。また相手国の性格、立場、出方等十分見きわめなければなりませんが、しかしいつまでもアジアの動き、世界の激しく移り変り行く情勢を前にしていつまでも伝統的霞ヶ関外交にとどまり、アメリカ一辺倒の外交に終始して参りますならば、不幸なのはわが祖国であり、民族であることを忘れてはなりません。(拍手)鳩山総理は、世界的軍縮に向えば、自衛隊強化についても考慮すべきであると言っておりますが、私は今こそ立ちどまって、再軍備強化の軍事的性格を払拭し、まず日ソ国交調整、中共、西南アジア諸国との国交回復に格段の努力を払うべき時期が来たと申すのであります。これが私の第三の反対の理由であります。  最後に、私の強く反対する第四の理由は、今日の自衛隊の精神的支柱は、再び右翼反共意識に固定されようといたしておる点であります。なるほど文民優先の原則、軍事に対し政治優先の原則は、憲法により、防衛庁設置法、自衛隊法により、機構上制度的には確立されて参りましたが、日常の部隊の教育訓練の面においては、これを裏づけるべき何ものも発見し得ません。政府の答弁を聞いても、何一つ具体的な施策を持ち合せておりません。今日自衛隊の幹部構成を見ますると、尉官以上においては、陸において三五%、海においては実に八五%、空においては五八・六%が旧陸海軍将校によって占められておることを見忘れてはなりません。私はもちろん新しき時代のあらしをくぐって参りましたこれら幹部諸君も、民主主義的教養と、民主主義体制への理解と情熱は持っておるとは考えまするが、しかしながら現実の部隊内の訓練教育は、反共意識によって筋金を入れ、精神的支柱にしようとする努力が払われております。日本の民主主義はいまだ成長の過程にあります。未熟であります。一個の自衛官である前に、一個の人間であり、人格的存在の意識を持つ自主、自覚のある人間を作ることが大切であります。(拍手)今の自衛隊にこれを期待することは不可能であります。この正しい意味の精神的支柱が未完成であり、かえってますます旧日本的軍隊精神を涵養しようとする今日の自衛隊は、かえって今後の日本に大きな不安を残すものと申さなければなりません。(拍手)  以上、四つの点をあげまして、私は今回提案されました防衛庁設置法の一部を改正する法律案外二法律案に反対の意思を表明し、あわせて諸君の共鳴に訴えんとするものであります。(拍手)     ―――――――――――――
  81. 河井彌八

    ○議長(河井彌八君) 堀眞琴君。    〔堀眞琴君登壇、拍手〕
  82. 堀眞琴

    ○堀眞琴君 私は、ただいま議題となっておりまする防衛関係三法案に対しまして反対をいたすものであります。  その第一の理由は、本防衛関係三法案は、憲法違反の法案であるということであります。日本国憲法が民主主義、すなわち国民主権の主義、人権尊重の主義と並んで平和主義をその原則としていることは、今さら申すまでもありません。憲法の前文に、「日本国民は、恒久の平和を念願し、人間相互の関係を支配する崇高な理想を深く自覚」し云々と書き、さらに続けて「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した」と述べております。さらに憲法第九条は、右の平和原則に基きまして、戦争放棄の宣言を規定しておるのでありまして、それにより「日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、」一切の国際紛争解決の手段として武力を行使することを永久に放棄し、さらにこの国際平和の希求の目的のために、すべての戦力を保持しないことを約束したばかりか、国の交戦権をすら認めないということを明白に述べているのであります。  しかるに鳩山首相は、この憲法の平和原則を無視し、陸海空三軍の保持と、その拡張をはかろうとしているのであります。その理由とするところは、憲法第九条の規定は、侵略的な戦力の保持を禁止することを規定したものであり、自衛のための戦力の保持を禁止したものではないという点にあるのであります。この解釈は、言うまでもなく牽強附会の政治的な解釈でありまして法理論的な妥当性を持つものでないことは言うまでもありません。しかも一歩譲って、自衛のための戦力を保持し得るものといたしましても、第二項後段の交戦権を否定した規定の上からは、たとえ自衛のためとはいえども、戦争遂行上、国際法にいう交戦国としての権利を持つことができないことは明らかであります。この点について法制局長官は、本員の質問に対し、国際法上の交戦国としての権利はない旨を明言いたしておられます。すなわち、自衛力の発動として自衛隊が出動し、侵略勢力と戦争状態に陥りましても、何ら交戦権を持たない武力的な行動のみが行われるということになるのであります。鳩山首相の憲法解釈が、いかに牽強附会であり、防衛三法案が憲法違反の法案であるかは、以上をもって明らかだと思うのであります。  なお、憲法第九条を無視しての鳩山首相の態度は、国務大臣等に憲法の尊重と擁護とを義務づけているところの憲法第九十九条にも違反するものと申さなければなりません。  第二に、私が防衛関係三法案に反対する理由は、この三法案によって進められようとする再軍備の強化が、最近の国際情勢における平和の趨勢に逆行するものであるという点であります。アメリカを先頭とする帝国主義者の力の政策が、朝鮮戦争以来破綻し、昨年七月のジュネーヴ会議におけるインドシナ休戦協定の成立、昨年秋のEDC条約の破棄、とりわけ、本年七月中旬から下旬にかけて行われた四国巨頭会談は、軍縮問題、ヨーロッパの安全保障問題等に関する話し合いの中から、平和への大きな前進を示し、軍縮問題等はいずれも、国連の軍縮小委員会ないしは四国外相会議等において、具体的に解決への方策が講ぜられようとしているのであります。力の政策にかわって、今や平和の政策、話し合いの政策が今日の趨勢となり、バンドン会議で認められた平和の原則は、今や動かしがたい国際政治の原則となりつつあるのであります。しかるに鳩山内閣は、この平和の趨勢の高まりつつあるとき、本年度自衛隊三万一千の増強をはかり、それに予備自衛官をも含めて、総勢二十万以上の軍備を持とうとし、また防衛六カ年計画の遂行とともに、将来は陸軍十八万、海軍三万、空軍四万、計二十五万の軍備を整備しようとしているのであります。まさに、国際情勢における平和的趨勢に逆行せんとしているものと申さなければなりません。むしろ日本といたしましては、憲法に規定した平和主義の原則を高く掲げて、軍縮問題にイニシアティヴをとり、平和に貢献すべきときであると考えられるのであります。  第三の理由として、本防衛関係三法案は、アメリカに隷属する軍備拡張法案であるということであります。鳩山首相の選挙公約でありまする防衛分担金減額折衝が、去る四月、予算の編成に際して行われたことは周知の通りであります。この折衝におきまして、防衛分担金の支出について日本政府側に独自の権限が何ら認められていないことが明らかにされたことも、また周知の通りであります。しかも、単に防衛分担金の削減ばかりではなくて、それと交換条件といたしまして、防衛分担金減額分百二十五億は防衛庁費の方に回すこと、予算外契約百五十四億円、昨年度の繰越金二百二十七億を防衛費の中に組み入れることなど、そのほかに飛行場の拡張を行うこと等の約束をせしめられているのであります。どこに日本側に自主的な立場が認められるでありましょうか。これはもともと日米安全保障条約、行政協定に基くこととはいいながら、実は、一九四七年以来アメリカが極東防衛の一環として、日本の再軍備を西ヨーロッパの西ドイツの再軍備とともに進めることとなり、特にサンフランシスコ条約締結後は、これを具体化して、保安隊、自衛隊を設置し、これをアメリカの防衛計画の中に織り込んで推進させ、今日に至ったのであります。内閣委員会におきましては、しばしば問題になりました日本の防衛六カ年計画のごときも、実を申せば、アメリカ側の承認なしにはこれを発表することができないというのが実際の状況であります。なお、杉原防衛庁長官は、自衛隊を増強して米軍に撤退してもらうことが日本の独立の実をあげるゆえんであると説明しております。アメリカが日本の再軍備の整備に伴って漸次その陸軍部隊を日本から撤退させようとしていることは、昨年来のアイゼンハワーの数度の声明によって明らかにされたところでありますが、しかし、その極東防衛の一環としての日本を放棄しようとするものではありません。海空の基地は、ますます増強されることになっており、また現に本日の新聞等にも現われておりますように、アメリカは原子砲を日本に備えつけようといたしておるのであります。日本国民がこの事実に当面いたしまして、その農地を接収され、爆音に悩まされ、血の出る思いで基地反対闘争で立ち上っている現状を、鳩山首相は何と見るのでありましょうか。日本の自衛隊がアメリカの隷属的な自衛隊であり、アメリカではすでに二十五万の兵力増強を期待しているということは、すでに述べたところであり思うに、日本の防衛計画が無計画であり、アメリカの承認なしには計画が立たないというところから由来しているものであると申さなければならぬと思うのであります。  時間がありませんので最後の項目だけを申し上げます。  私は最後に、この防衛関係三法案が、日本の財政経済に大きな圧迫を加え、労働者、農民、市民の生活を不安にするものであるという理由をあげまして私の反対討論といたすものであります。(拍手)
  83. 河井彌八

    ○議長(河井彌八君) これにて討論の通告者の発言は全部終了いたしました。討論は終局したものと認めます。  これより三案の採決をいたします。三案全部を問題に供します。三案の表決は記名投票をもって行います。三案に賛成の諸君は白色票を、反対の諸君に青色票を、御登壇の上御投票を願います。氏名点呼を行います。議場の閉鎖を命じます。   [議場閉鎖]    〔参事氏名を点呼〕    〔投票執行〕
  84. 河井彌八

    ○議長(河井彌八君) 投票漏れはございませんか……投票漏れはないと認めます。  これより開票いたします。投票を参事に計算させます。議場の開鎖を命じます。    〔議場開鎖〕    〔参事投票を計算〕
  85. 河井彌八

    ○議長(河井彌八君) 投票の結果を報告いたします。  投票総数 百九十四票  白色票  百二十五票  青色票   六十九票  よって三案は可決せられました。(拍手)      ―――――・―――――    〔参照〕 賛成者(白色票)氏名 百二十五名   上林 忠次君  片柳 眞吉君   加賀山之雄君  梶原 茂嘉君   柏木 庫治君  井野 碩哉君   石黒 忠篤君  山川 良一君   赤木 正雄君  森 八三一君   村上 義一君  溝口 三郎君   三木與吉郎君  三浦 辰雄君   廣瀬 久忠君  早川 愼一君   野田 俊作君  野本 品吉君   中山 福藏君  豊田 雅孝君   常岡 一郎君  田村 文吉君   館  哲二君  高橋道男君   高瀬荘太郎君  高木 正夫君   杉山 昌作君  新谷寅三郎君   島村 軍次君  佐藤 尚武君   河野 謙三君  小林 武治君   後藤 文夫君  岸  良一君   小幡 治和君  石川 榮一君   瀧井治三郎君  伊能 芳雄君   青柳 秀夫君  西川彌平治君   石井  桂君  白井  勇君   吉田 萬次君  酒井 利雄君   佐藤清一郎君  高橋  衛君   谷口弥三郎君  宮本 邦彦君   長島 銀藏君  安井  謙君   宮田 重文君  長谷山行毅君   横川 信夫君  大矢半次郎君   岡崎 真一君  石原幹市郎君   植竹 春彦君  松岡 平市君   剱木 亨弘君  大谷 瑩潤君   山本 米治君  西郷吉之助君   木村篤太郎君  左藤 義詮君   郡  祐一君  寺尾  豊君   中山 壽彦君  小林 英三君   山縣 勝見君  草葉 隆圓君   重宗 雄三君  津島 壽一君   井上 清一君  島津 忠彦君   雨森 常夫君  西岡 ハル君   重政 庸徳君  小沢久太郎君   深水 六郎君  加藤 武徳君   青山正一君   榊原  亨君   高橋進太郎君  上原 正吉君   松平 勇雄君  仁田 竹一君   田中 啓一君  岡田 信次君   小野 義夫君  古池 信三君   平井 太郎君  川村 松助君   堀  末治君  白波瀬米吉君   秋山俊一郎君  中川 以良君   吉野 信次君  泉山 三六君   黒川 武雄君  井上 知治君  池田宇右衞門君  野村吉三郎君   紅露 みつ君  有馬 英二君   最上 英子君  深川タマヱ君   平林 太一君  菊田 七平君   井村 徳二君  寺本 広作君   木島 虎藏君  白川 一雄君   鈴木 強平君  杉原 荒太君   武藤 常介君  中川 幸平君   堀木 鎌三君  三浦 義男君   小柳 牧衞君  苫米地義三君   三好 英之君  石坂 豊一君   一松 定吉君  松原 一彦君   笹森 順造君     ――――――――――――― 反対者(青色票)氏名  六十九名   高良 とみ君  山本 經勝君   平林  剛君  加瀬  完君   永岡 光治君  三輪 貞治君   湯山  勇君  大和 与一君   木下 源吾君  内村 清次君   秋山 長造君  阿具根 登君   海野 三朗君  片岡 文重君   大倉 精一君  河合 義一君   岡  三郎君  亀田 得治君   小松 正雄君  永井純一郎君   近藤 信一君  竹中 勝男君   清津 俊英君  成瀬 幡治君   森下 政一君  小酒井義男君   佐多 忠隆君  重盛 壽治君   江田 三郎君  久保  等君   田畑 金光君  森崎  隆君   高田なほ子君  安部キミ子君   矢嶋 三義君  藤田  進君   岡田 宗司君  田中  一君   戸叶  武君  栗山 良夫君   吉田 法晴君 小笠原二三男君   菊川 孝夫君  若木 勝藏君   山田 節男君  天田 勝正君   中田 吉雄君  三橋八次郎君   千葉  信君  羽生 三七君   三木 治朗君  山下 義信君   市川 房枝君  東   降君   松浦 清一君  赤松 常子君   須藤 五郎君  八木 秀次君   加藤シヅエ君  鈴木  一君   千田  正君  松澤 兼人君   上條 愛一君  長谷部ひろ君   相馬 助治君  村尾 重雄君   棚橋 小虎君  羽仁 五郎君   堀  眞琴君     ―――――――――――――
  86. 河井彌八

    ○議長(河井彌八君) 日程第二十六、昭和二十八年度一般会計歳入歳出決算、昭和二十八年度特別会計歳入歳出決算、昭和二十八年度政府関係機関決算報告書を議題といたします。  まず委員長の報告を求めます。決算委員長山田節男君。    〔山田節男君登壇、拍手〕
  87. 山田節男

    ○山田節男君 ただいま議題となりました昭和二十八年度一般会計及び特別会計の決算並びに政府関係機関決算報告書につきまして、決算委員会における審議の経過及び結果の概要を御報告いたします。  右決算三件は、本年一月二十二日国会に提出され、今回審査を終えたものであります。  まず本件の内容の概略を申し上げます。一般会計においては歳入決算額は一兆二千百九十億余万円で、歳入予算額に比較いたしますと千九百十七億余万円を増加しております。歳出予算額は一兆二百七十二億余万円でありまして、これに前年度からの繰越額千百八十九億余万円を加えますと、一兆千四百六十二億余万円となり、このうち支出済みの額が一兆百七十一億余万円、翌年度への繰越額が千二百七億余万円で、これらを差し引きまして八十三億余万円の不用額を生じております。  次に、特別会計は、その数が三十四でありまして各特別会計の決算額の合計は、歳入一兆四千八百十五億余万円、歳出一兆三千三百三十五億余万円であります。  また、政府関係機関の数は九つでありまして、各機関の決算額の合計は、収入七千六百九十億余万円、支出六千二十六億余万円であります。以上が決算の概要でありますが、これらに関する詳細は、決算書類についてごらんをお願いいたします。    〔議長退席、副議長着席〕  本決算審査の結果といたしまして、会計検査院の決算検査報告に掲記された二千二百三十二件の不当経理、その金額、概計百四十八億円については、同院の意見はすべて当委員会とその見解を同じくしているものと認めます。これらの指摘事項のほか、本決算においては、不当経理の実体がその数倍に上るものと推定されますが、それについて特に申し上げることはございません。審査の結果、内閣に対して警告し、要望する事項につきましては、審査報告書に記載いたしました。  本決算の審議におけるおもなる問題といたしましては、第一に、各省各庁に相当多額の繰越があったことでありまして、今後予算の編成及び執行の上に留意せねばならないとの結論に達しました。  第二は、防衛庁の不当事項、ことに武器及び器材の調達における著しい不経済な事態でありまして、これに対しては、機構、制度及びその運用に周到綿密な改善を加えるとともに、関係者の処分を厳正にして、規律の確立をはかる必要があるとの結論に到達いたしました。  第三は、農林、運輸、建設の各省にわたる災害復旧事業補助金等に関する不当経理が、件数においても、金額においても著しく多数に上っている事実でございます。これにつきましては各省の監督指導をさらに厳正にすると同時に、補助金を受ける事業主体の側に補助金に対する誤まった観念や態度を持つものが多いのを一掃するために、有効な方法を講ずる必要があるとの結論に達しました。その一端として目下政府提案として審議中の補助金等の適正化に関する法律案がすみやかに成立されむことを決算委員会は全会一致切望するものであります。  第四は、農業共済再保険特別会計に関し全国各地の農業共済組合の事業運営が乱脈状態にある事実でありましてこの共済保険制度が理論上は合理的に整備されていますが、その運営が適切でなく、農民にもいまだ十分の理解と協力を得ていない現状に照らし、すみやかに是正すべきであるとの結論に到達いたしました。  第五は、食糧庁の外国食糧輸入に関する不経済、不始末、特に滞貨となっている病変米十五万トン余の処理問題。  第六は、日本国有鉄道の民衆駅及び外郭団体に関する諸問題でありまして、この第五、第六の問題は、決算委員会において一昨年来調査を続けて参ったのでありますが、その根本問題については、今回もなお結論に達しませんでした。  以上のほか審査の詳細につきましては、会議録によって御承知を願いますが、全般を通じて遺憾なことは、この二千二百余件の不当経理の大部分は、数年来ほとんど同じ性質のものが繰り返されていることでありまして、これは政府当局者が会計検査院の指摘や国会の警告を深く意に介していない結果とも見られ、遺憾に存ずるものであります。また、今回の審査により、不当事項に対する事後の処置が十分に行われていないことを確認せざるを得なかった次第でございます。  すなわち第一に、事件の責任者に対する処分の仕方がお座なりに流れ、またその時期も緩慢であること。第二に、国費の払い過ぎに対する回収、徴収未済金の取り立てなどはすみやかに実行すべきであるのに、いまだになされていないものが多いという事実にかんがみまして、委員の間には、これらの事後処理が事実上完了するか、あるいは完了の見通しがはっきりつくまでは、この決算の承認を行うべきでないとの意見も出たのであります。また、今日までの委員会における審議の経過に照らして、国務大臣及び政府委員との質疑応答だけでは委曲を尽さない根本問題がありますので、これらの問題を調査事件として審査を継続すべきであるとの意見が出たのでございます。  当委員会としては、個々の不当事項も、もちろん重視いたしますが、さらに広い視野をもって多数の不当事項を通観し、総合して、財政経理上の病弊を見出し、これを是正させることが目的でありまするから、会計上の事後処置については、その監視を会計検査院の努力に待つことはもちろんでありますが、この際、内閣並びに各省各庁、各政府関係機関に対して、不当経理の実情とその是正改善措置の緩慢なことについて深い反省を促し、これに対する施策、特に責任者の懲戒処分につき、重ねて強くその徹底を要望する警告を発しました。  討論に当って各委員からそれぞれ次のような熱心な御意見が述べられました。  まず、自由党を代表する青柳秀夫委員から、「賛成するに当って政府に次のことを要望する。それは補助金の経理が非常に乱れているが、これを改善するには、補助を受ける側に国費に対する観念を誤まっているものがあるから、これを改めさせるとともに、査定、交付する政府の側において、職を賭しても不正を排除するという強い態度を持つ必要がある」との発言がありました。  次に緑風会を代表する三浦辰雄委員から、「賛成するが、ただし本日の警告決議に対し各大臣からは、御趣旨の通り努力するとの言明があったが、過去の実績を見ると、連年同様の言明があったにもかかわらず、現に会計検査院の機構を拡充しなければならないような状態であって、はなはだ心もとない。ことに不当事項についてたれが責任者であるか明確でなく、従って局、課長なども十分な責任感を持っているか疑問である。また補助金については、受け入れる側に正しい認識の足りないものがある。これらの諸点をすみやかに改めるべきである」との発言がございました。  次に、日本社会党第四控室を代表する岡三郎委員から、「残された問題はあるが、本件に賛成する。二十八年度決算については、現在の大臣以下はその当事者ではなかったために責任を痛感していないと思うが、二十九年度、三十年度の決算によって改善の実が上ったかいなかを注目することとしたい。特に過去の不当事項については、その事後処理を確実に行うことを要望する。鳩山内閣は綱紀粛正の建前を実行に移すべきである」との発言がありました。  次に、民主党を代表する中川幸平委員から、「賛成する。予算の不当使用が総額の数パーセントに上っているのは遺憾にたえない。特に補助金については、これを受ける側にその観念を誤まっているものがあり、また地方の公務員には地方民に迎合しているものがある。このような状態では、政府に警告を与えることは与党としても賛成である。これを是正するには、会計検査院だけでは十分でないから各省における内部監査の活用と、部内の自粛自戒を要望する」との発言がございました。  次に、日本社会党第二控室の小林亦治委員から、「本日の警告決議に対し、各大臣から神妙な答弁があったので、本件に不満を持ちつつ賛成する。決算に関しては会計検査院及び国会から毎年繰り返し批難、警告を与えているにかかわらず、一向に改善されない。不当事項は、関係者の不注意、怠慢、ずさんに基くものであり、将来も改まらぬようでは制度の大改革を要し、諸外国の例にもかんがみ、民事賠償と公務員の懲戒制度を強化することも考えねばならぬ。政府官僚は現状に安住することなく、すみやかに反省すべきであり、民主党内閣は野党時代の抱負と公約を実行に移すべきである」との発言がありました。  次に、無所属クラブの石川清一委員から、「本日の警告決議に対し、各大臣から善処する旨の言明があったので、本件に賛成する。二十八年度決算は吉田内閣時代のものであるが、国家行政の責任に当るものが自主性を失い、迎合的になっていることは、現内閣の時代になっても同様である。政府官僚は惰眠をむさぼるときではなく、国の進路について熟考すべきである」との発言がありました。  最後に、第十七控室の市川房校委員から、「決算については不満の点があるが本件には賛成する。初めて決算委員となり、不当批難事項の数が多く、国費が不正に使われている実情に憤りを感じた。この実態を知ったならば、国民は納税をちゅうちょするに違いない。大臣以下政府の関係者が決算に対する深い認識さえもなく、ましてや責任を感じていないこと、責任者の処罰が行われていないこと、公金だからルーズに使うという公徳心欠除の状態、これらの諸点を改めて、政府の信用を回復されることを要望する」との発言がございました。  以上、討論を終り採決の結果、本決算につきましては、超党派的に全会一致をもって異議がないものと議決いたした次第であります。  以上をもって報告を終ります。(拍手)
  88. 重宗雄三

    ○副議長(重宗雄三君) 別に御発言もなければ、これより本件の採決をいたします。本件を委員長報告の通り決することに賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立〕
  89. 重宗雄三

    ○副議長(重宗雄三君) 総員起立と認めます。よって本件は、全会一致をもって、委員長報告通り決せられました。      ―――――・―――――
  90. 重宗雄三

    ○副議長(重宗雄三君) 日程第二十七、日本放送協会昭和二十八年度財産目録、貸借対照表及び損益計算書並びにこれに関する説明書を議題といたします。  まず、委員長の報告を求めます。逓信委員長瀧井治三郎君。    〔瀧井治三郎君登壇、拍手〕
  91. 瀧井治三郎

    ○瀧井治三郎君 ただいま議題となりました日本放送協会昭和二十八年度財産目録、貸借対照表及び損益計算書並びにこれに関する説明書について、逓信委員会における審議の経過並びに結果を御報告申し上げます。  本件は、放送法第四十条の規定に基いて、会計検査院の検査を経て内閣より国会に提出されたものであります。  日本放送協会の昭和二十八年度末の資産総額は五十六億六千三百六十一万円、負債総額は三十四億九百五十五万円でありまして、昭和二十七年度末に比較しますと、資産につきましては八億八千三百八万円、すなわち約一割八分の増加となっております。また負債につきましては十億七千七十五万円、すなわち約四割六分の増加となっております。  次に、二十八年度の損益計算は、事業収入総額六十八億六千八百六十二万円、事業支出総額七十億七千百四十二万円でありまして、ラジオ関係においては差引剰余一億五千八百五十四万円、テレビジョン関係においては差引欠損三億六千百三十五万円となっておりますが、協会の事業収支の全体からみますと、差引二億二百八十万円の欠損となっております。これらについての詳細は書類についてごらんを願いたいと存じます。本件に対する会計検査院の検査の結果報告は特に記すべき意見はないというのであります。  当委員会においては、本件について郵政当局、会計検査院並びに日本放送協会につき、詳細にわたって質疑を行い、慎重審議をいたしましたのでありますが、その詳細は速記録によって御承知を願いたいと存じます。  七月二十七日質疑を終えて討論に入りましたところ、八木幸吉委員より、次の点を除き異議がないと議決すべき旨の発言がありました。  その点は、財団法人ラジオ・サービス・センターの建築物は、本来日本放送協会において建設すべきものであったにもかかわらず、ラジオ・サービス・センターに建設せしめたのは適切な措置と認めることができない。かつまた、日本放送協会とラジオ・サービス・センターとの賃貸借契約における契約条件は妥当なものと認めがたい。よって日本放送協会は、すみやかに予算措置を講じ、右の建物を買い取るべきであるというのであります。  かくいたしまして討論を終り、採決をいたしましたところ、全会一致をもって本件は八木幸吉委員から提案の通り議決した次第であります。  右、御報告申し上げます。(拍手)
  92. 重宗雄三

    ○副議長(重宗雄三君) 別に御発言もなければ、これより本件の採決をいたします。本件全部を問題に供します。本件は、委員長報告の通り決することに賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立〕
  93. 重宗雄三

    ○副議長(重宗雄三君) 総員起立と認めます。よって本件は、全会一致をもって委員長報告の通り決せられました。     ―――――――――――――
  94. 重宗雄三

    ○副議長(重宗雄三君) 参事に報告させます。    〔参事朗読]本日議長は、衆議院から提出した左の議案を地方行政委員会に付託した。  奄美群島復興特別措置法の一部を改正する法律案本日委員長から左の報告書を提出した。  日華平和条約附属議定書第二項の有効期間の延長に関する議定書の締結について承認を求めるの件議決報告書  自作農維持創設資金融通法案修正議決報告書  奄美群島復興特別措置法の一部を改正する法律案可決報告書  地方税法の一部を改正する法律案修正議決報告書      ―――――・―――――    〔副議長退席、議長着席〕
  95. 河井彌八

    ○議長(河井彌八君) この際、日程に追加して、日華平和条約附属議定書第二項の有効期間の延長に関する議定書の締結について承認を求めるの件(衆議院送付)を議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  96. 河井彌八

    ○議長(河井彌八君) 御異議ないと認めます。まず委員長の報告を求めます。外務委員長石黒忠篤君。    〔石黒忠篤君登壇、拍手〕
  97. 石黒忠篤

    ○石黒忠篤君 ただいま議題となりました日華平和条約附属議定書第二項の有効期間の延長に関する議定書の締結について承認を求めるの件につきまして、外務委員会における審議の経過と結果を御報告申し上げます。  本議定書の趣旨及び内容を申し上げますると、わが国と中華民国との間の通商及び航海に関する事項は、日華平和条約の附属議定書第二項の通商及び航海に関する取りきめによって律せられ、その存続期間は、最初は一年でありましたが、その後二年間延長され、その期限が本年八月四日をもって消滅することになっております。一方、両国の間にはいまだ通商航海条約が締結される段階に立ち至っておらないので、両国間の交渉の結果締結されたのがこの議定書でありまして、七月二日に署名を了し、ここに国会の承認を求めて参ったものでございます。その内容は、現行取りきめの存続期間を八月五日から一年間延長することと、その後は三カ月間の予告期間をもって廃棄通告がなされない限りにおいては、その期限の到来のつど、自動的に一年間ずつ延長されること及び通商航海条約が締結されたときには、その効力を失うことを規定しておるのであります。  委員会の質疑におきましては、世界情勢の変化に伴う対中共及び対台湾問題、今後の通商条約締結の意思の有無等について質問が行われたのでありましたが、討論におきましては、羽生、曾祢両委員より反対の意見が述べられ、次いで採決に入りましたところ、本件は、多数をもって承認すべきものと議決いたしました。  右、御報告申し上げます。(拍手)
  98. 河井彌八

    ○議長(河井彌八君) 別に御発言もなければ、これより本件の採決をいたします。本件を問題に供します。委員長報告の通り本件を承認することに賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立〕
  99. 河井彌八

    ○議長(河井彌八君) 過半数と認めます。よって本件は承認することに決しました。      ―――――・―――――
  100. 河井彌八

    ○議長(河井彌八君) この際、日程に追加して、自作農維持創設資金融通法案(内閣提出、衆議院送付)を議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  101. 河井彌八

    ○議長(河井彌八君) 御異議ないと認めます。まず委員長の報告を求めます。農林水産委員長江田三郎君。    〔江田三郎君登壇、拍手〕
  102. 江田三郎

    ○江田三郎君 ただいま議題となりました自作農維持創設資金融通法案につきまして、農林水産委員会における審査の経過及び結果を報告いたします。  農地改革の結果、二百万町歩をこえる小作地が自作地となり、四百二十万戸をこえる農家がその売り渡しを受けて自作農となつたのであります。しかして、かような農地改革の成果の維持について、その法制的部面は現在農地法がその役割を担当しておるのでありますが、資金的部面は、いまだ制度が確立されるに至っていないのでありましてわずかに、昭和二十六年度から暫定措置として自作農創設特別措置特別会計の余裕金をもって農地または採草放牧地の買い取り、売り渡し方式によってようやく融資の道を開き、今日までに約十七億円の融資を行なってきたのであります。しかし、この方式は変則的なものであり、かつ、資金量もその需要をとうてい満たすに至らなかったのであります。ところが、近年農村において、自然的災害はもちろん、疾病その他の災厄及び相続等による臨時支出をまかなうため、資金難のために農地または採草放牧地を売却するのやむなきに陥る自作農が逐年増加し、転落の危機にさらされているのであります。従って、農業経営を安定し、転落を防止する措置を制度として確立することは当局の急を要する問題であります。よって、農地及び採草放牧地が農業経営の基盤であって、農家がこれを所有することが農業経営の安定をはかるための必要条件であることにかんがみ、これが取得、維持または細分化防止のため必要な資金を農林漁業金融公庫が長期かつ低利で貸し付けるための立法措置を講ずることにしようとするのが、本法律案が提出されるに至った理由とされております。  しかして、本法律案のおもな内容について、その概略を申し述べてみますと、第一は貸付の資金についてでありましてこの資金は農林漁業金融公庫が農地または採草放牧地を抵当にとって、所定の手続によって都道府県知事の認定を受けたものに対して貸し付けることになっており、その貸付の対象は、農業経営を安定させるため農地または採草放牧地を取得するのに必要な資金、小作農が小作地または小作採草放牧地を取得するのに必要な資金、農地または採草放牧地の相続による細分化を防止するのに必要な資金、疾病、負傷及び災害その他やむを得ない理由のため、自作地または自作採草放牧地を維持することが困難な場合に、これらの土地を維持するに必要な資金の四種類となっております。  第二は、貸付条件でありまして、利率は年五分五厘、償還期間は十五年以内ということになっております。  第三は、貸付の相手方でありまして、借り受け人の適否の認定を都道府県が行い、その認定を受ける場合には、農業経営安定計画を作って提出することになっております。しかして都道府県知事は、借り受け人に対してこの計画を達成するよう必要な指導を行うことになっております。  なお、この資金の貸付業務は、農林漁業金融公庫が行うことになっておりますから、この法律の施行に伴ってこの法律に規定する業務を公庫の業務に加えるため、農林漁業金融公庫法に必要な改正を加えることになっております。  かような政府の原案に対して、衆議院において、本法律案第二条の貸付に当って、農地及び採草放牧地を抵当として徴する規定を削除し、ただし貸付金の返還を確保するための方法を公庫が農林大臣及び大蔵大臣の承認を受けて定めることとする規定を新たに設け、第三条の貸付条件について、利率を年五分に引き下げ、償還期間を二十年以内に延期し、かつ三年以内の据置期間を設ける等の修正を加えて、当院に送付して参ったのであります。  委員会におきましては、まず政府当局から提案理由の説明を聞き、続いて質疑に入り、衆議院の修正に関する見解及び今後の運用方針、衆議院の修正に伴い、本法案第三条市二項及び第三項の規定の意義及びその要旨、本法による貸付金の総額及びその貸付対象別内訳、融資の均霑に関する措置、貸付金の返還の確保の方法等の問題について、総括的にあるいは逐条的に政府の見解をただし、慎重な審議が遂げられたのでありまして、その詳細は会議録に譲ることを御了承願いたいのであります。  かくして質疑を終り、討論に入りましたところ、亀田委員から、衆議院における修正に即応して、条文整理の必要上、衆議院送付案に対し、第三条第二項及び同第三項を削除するとともに、第六条に字句の修正を加え、かつ次のような付帯決議を付したい旨の動議が提出せられました。すなわち、   一、政府は不動の方針をもって農地改革の成果の維持高揚のため万全の措置を講ずべきである。   二、本法による融資は、資金の融通を真に必要とする農家にあまねく均霑することを旨とし、国の財政投資をもって資金の充実をはかり、金利等貸付条件を極力緩和すべきである。というのであります。  他に、別に発言もなく、続いて採決の結果、全会一致をもって、衆議院送付案に亀田委員の提案にかかる修正を加え、かつ付帯決議を付して可決すべきものと決定いたしました。  右、御報告いたします。(拍手)
  103. 河井彌八

    ○議長(河井彌八君) 別に御発言もなければ、これより本案の採決をいたします。本案全部を問題に供します。委員長の報告は、修正議決報告でございます。委員長報告の通り修正議決することに賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立〕
  104. 河井彌八

    ○議長(河井彌八君) 総員起立と認めます。よって本案は、全会一致をもって委員会修正通り議決せられました。      ―――――・―――――
  105. 河井彌八

    ○議長(河井彌八君) この際、日程に追加して、奄美群島復興特別措置法の一部を改正する法律案(衆議院提出)  地方税法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)  以上、両案を一括して議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  106. 河井彌八

    ○議長(河井彌八君) 御異議ないと認めます。まず委員長の報告を求めます。地方行政委員長小笠原二三男君。    [小笠原二三男君登壇、拍手]
  107. 小笠原二三男

    ○小笠原二三男君 ただいま議題となりました奄美群島復興特別措置法の一部を改正する法律案につきまして、地方行政委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。  本法案は、衆議院提出にかかわるものでありましてその内容は、一、奄美群島の復興に関し必要な事業に対する金融の円滑化をはかるため、奄美群島復興信用保証協会を設立すること。二、協会は法人とし、奄美群島の復興に関し必要な事業を行う中小規模の事業者等が銀行その他の金融機関から融資を受ける際に、その債務を保証することを主なる業務とすること。三、国は奄美群島に関する日本国とアメリカ合衆国との間の協定に基き、アメリカ合衆国政府から移転を受けた債権を協会に出資するものとすること等を主要点といたしております。  地方行政委員会におきましては、本日衆議院議員伊東隆治君より提案理由の説明を聞いた後、慎重審議を行いました。その際、川島国務大臣は、「内閣として本法案に賛成である」旨を述べられました。  かくて同日討論に入り、採決の結果、本法案は、全会一致をもって原案通り可決すべきものと決定した次第であります。  以上、御報告いたします。  次に、ただいま議題となりました地方税法の一部を改正する法律案につきまして、地方行政委員会における審議の経過並びに結果について御報告申し上げます。  地方税による収入は、三十年度地方財政計画においては三千六百十一億円で、地方歳入のほぼ三〇%近い金額を占め、この意味において重要であるとともに、現行制度の性質上、それは地方自治の根幹をなすものとなっておるのであります。従いまして、地方税制度の内容につきましては地方公共団体、あるいは利害関係者である納税者の側から多数の希望意見が提出せられるに伴い、国としての立場から公正妥当の結論を得ることが必要となるのであります。今回政府の提出いたしました改正案の内容は、予算の修正に伴う内閣修正要求の分を含め、要するに、第十九国会において大改正を行いました後、実施一年の経過その他によりまして、第一には租税負担の均衡化、第二には税務行政の簡素合理化、第三には国税の減税による地方税の減収を避けることを主たる目的としているものであります。  まず提出改正案の概要でありますが、道府県民税の所得割につきましては、納税義務者が前年中に納付いたしました所得税額の五%を標準としてその所得割の課税総額としているのを改め、三十一年度百分の五・五、三十二年度以降百分の六とすることとし、同じく法人税割につきましても、現行標準税率百分の五、制限税率百分の六を、それぞれ百分の五四、百分の六五と改めまして、国税減税後におきましても、おおむね従前通りの収入額を維持することといたしているのであります。  事業税につきましては個人の事業税につきまして、国会修正の趣旨に沿い、基礎控除、三十年度十万円、三十一年度以降十二万円として、三十年度三十二億円、三十一年度五十億円、平年度六十億円の減税措置をすることとし、その他、損害保険事業については、所得を課税標準とすることを改めて、生命保険事業に準じてその収入金額によることとし、各種協同組合については、その課税標準額を配当金額の範囲にとどめているのは、現在、法定準備金の額が出資総額の四分の一に達していない場合としているのでありますが、これを積立金が出資総額の四分の一に達しない場合に改めることとし、年額五十万円以下の法人所得に対する軽減税率一〇%は、三以上の道府県に事務所等を設けて事業を行う法人で資本金五百万円以上の法人に適用せざることに改め、申告書に法人代表者の自署押印は本店所在地の道府県に限ることとし、負担の均衡と簡素化を期しておるのであります。  不動産取得税につきましては、免税点を設け、土地については一万円、家屋の新築十万円その他五万円とし、またビル建築等の場合においては、主体構造部の取得が付帯設備の部分をも合せて取得したものとして課税することができる等の改正を行なったのであります。  自動車税につきましては、軽油自動車の税率を、ガソリン使用の自動車に対し、三十年度においては七割五分増、三十一年度においては十割増とするものとしていたのであります。さらに市町村民税については、所得税額を課税標準額とする所得割について、現在、課税総所得金額の百分の七・五をその課税限度額としている制度を廃し、同時に所得税の減税後においても従前通りの税収を維持するため、その標準税率百分の十五、制限税率百分の十八によって三十一年度から実施することとし、また法人税割についても同様の意味におきまして、標準税率を百分の八・一、制限税率百分の九・七とし、法人の均等割は申告納付とするものとし、また給与所得者については三十一年度より原則としてすべて特別徴収によることとしておるのであります。  固定資産税は、土地及び家屋につきまして基準年度の制度を設け、その年度に評価した価格は原則として三年度据え置くものとし、三十一年度、三十二年度、以降三年度を経過する年度をこれに充てるものとし、非課税の範囲を整備して、三十一年度より実施するものとし、大規模償却資産に関する課税限度額の規定については、所在市町村の収入につき激変を緩和する措置として、三ヵ年間の経過措置、合併市町村の物例並びに五大市には適用せざるものとし、また償却資産については、免税点五万円を三十一年度よりは十万円に引き上げる等の改正となっておるのであります。  自転車荷車税につきましては、道路運送車両法の改正により軽自動車の一部が原動機付自転車となったことに伴い、標準税率に改正を加え、その他月割課税の賦課期日、条例により標識を付する定めのある場合の証紙徴収等について規定を置いているのであります。  また道府県及び市町村のたばこ消費税につきましては、三十一年三月一日以後、道府県については現行百十五分の五を百分の八とし、市町村については現行百十五分の十を百分の十と改め、これによりそれぞれ八十七億円、八億円の増収としているのであります。その他廃置分合等の場合における課税権の承継あるいは徴収金につき、先日付小切手等による納付、納入の委託制度、あるいは延滞金等に関する日歩の率等を合理化、または検査拒否等についての罰則の緩和をはかる等の改正となっているのであります。  以上は政府提出案の内容の概略でありますが、これについては衆議院におきまして、軽油を燃料とする自動車につての自動車税に関する改正規定の部分を修正削除いたしているのであります。御承知のごとく、地方道路税の税率を政府案に揮発油一キロリットル四千円とありましたのが二千円と修正されましたことに関連するものであります。  当委員会におきましては、七月五日政府側より提案理由の説明を聴取、七月二十二日及び二十六日の両日には、全国知事会、全国市長会、全国町村長会各代表、利害関係者の全国団体代表、その他学識経験者を参考人として意見を聴取し、審議を重ね、二十九日質疑を終了し、討論に入るに先立ち、小林武治委員提出の修正案について説明を求め、同委員はその案を自由党、緑風会、社会党第四控室及び社会党第二控室、無所属クラブの共同提案として説明し、さらに六項目の付帯決議の案を提出されたのであります。  その修正の第一点は、クリーニング業に対する個人事業税に関するものであります。御承知のごとく、クリーニング業に対する事業税は、個人の行うものについては、第十九回国会における地方税改正以前は、国会修正によりまして、第一種事業税を課されることとなっていたのを改め、特別所得税を課することとしていたのであります。これによりまして、当時の税率によりまして一二%から八%に軽減されていたのであります。今回は右の趣旨に沿いまして、第一種から第三種に改め、税率を八%から六%に下げることといたしたのであります。  修正の第二点は、遊興飲食税に関するものであります。特別徴収義務者には、道府県の公給領収証を使用する義務ある場合を定め、また旅館における宿泊及びこれに伴う飲食については、すでに基礎控除五百円と認めることと改め、飲食に対する現行の非課税制度もこれを免税点の制度に改めて、飲食店、喫茶店その他これに類する場所における一人一回の料金二百円以下、ただし三十年度においては経過的に百五十円以下の場合を非課税とするものと上、同時に遊興飲食を通じて標準税率を改め、芸者の花代百分の三十、料理店、貸席、バー等における遊興飲食は現行百分の二十を百分の十五、旅館の宿泊は一泊千円以下については現行百分の十を百分の五、千円をこえるものは百分の十、その他の飲食については一人一回五百円以下は現行百分の十を百分の五、五百円以上は百分の十と、それぞれ税率を引き下げることとしたのであります。また、あらかじめ提供品目ごとに代金を受け取り、かつ金額を明確に区分して経理する食堂等については特例を設け、一品の価格が百円以下の飲食には非課税とし、それ以上のものについては一人一回の料金のいかんにかかわらず一律に五%を課することとし、これらの実施は三十年十一月からといたしたのであります。  修正の第三点は、市町村民税に関するものであります。いわゆる第二方式但書等、すなわち課税総所得金額の内容所得から、基礎控除あるいは所得税額の控除のみを行なった金額として所得割を課する場合は、特に給与所得者に過酷な場合が多いので、この課税方式をとる場合は、給与所得の控除について別に五%二万円の控除を行うべきものとし、修正の第四点は、大規模償却資産中、水力発電所に関するものであります。二十九年度中に建設に着手し、かつ三十四年度までに課税されることとなるものについて、その所在町村の諸利害関係を考慮し、償却資産に対する固定資産税の町村の課税限度の特例として、基準財政需要に対し、三ヵ年度にわたりそれぞれ一・八倍、一・六倍、一・四倍の額に達するまで、その課税限度を引き上げる特例を設けることといたすものであります。  修正案の内容は以上の通りでありますが、討論に入り、小柳委員より民主党を代表して「修正案は修正に急なるあまり、各税目間の負担の均衡を破るおそれがあり、住民税所得割についての給与所得の控除に関する修正は税体系の混乱を生じ、遊興飲食税に関する修正は、地方財源の不足を加えるおそれがあるから、修正案に反対、衆議院送付案に賛成する」旨を述べ、採決に入りましたところ、修正部分については多数をもって可決、その他の部分については全会一致をもって可決、よって多数をもちまして衆議院送付案を修正可決すべきものと決定いたしたのであります。  また小林君提出の付帯決議案の要点は  (一)修正案実施の成績によって三十一年度においても遊興飲食税について税率等の合理化をはかること。  (二)個人事業税については零細個人業者の負担軽減をはかるため、府県が条例その他の運用によって措置するよう政府が連絡すること。  (三)勤労者の税負担の過重につきすみやかに是正すること。  (四)倉庫事業の固定資産税の軽減をはかること。  (五)中央競馬会の所有経営する競馬場について所在市町村が固定資産税をとり得るものとすること。  (六)スケート場の娯楽施設利用税の引き下げをはかること。の六項目に関するものでありまして、全会一致をもってこれを議決いたしたのであります。  以上、御報告を申し上げる次第であります。(拍手)
  108. 河井彌八

    ○議長(河井彌八君) 別に御発言もなければ、これより両案の採決をいたします。  まず、奄美群島復興特別措置法の一部を改正する法律案、全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立〕
  109. 河井彌八

    ○議長(河井彌八君) 総員起立と認めます門よって本案は、全会一致をもって可決せられました。      ―――――・―――――
  110. 河井彌八

    ○議長(河井彌八君) 次に、地方税法の一部を改正する法律案の採決をいたします。委員長の報告は、修正議決報告でございます。まず委員会修正案、全部を問題に供します。本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立〕
  111. 河井彌八

    ○議長(河井彌八君) 過半数と認めます。よって本修正案は可決せられました。  次に、ただいま可決せられました修正部分を除いた原案、全部を問題に供します。修正部分を除いた原案に賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立〕
  112. 河井彌八

    ○議長(河井彌八君) 総員起立と認めます。修正部分を除いた原案は、全会一致をもって可決せられました。  よって地方税法の一部を改正する法律案は、修正議決せられました。      ―――――・―――――
  113. 河井彌八

    ○議長(河井彌八君) 日程第二十八より第三十一までの請願を」括して議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  114. 河井彌八

    ○議長(河井彌八君) 御異議ないと認めます。まず委員長の報告を求めます。地方行政委員長小笠原二三男君。    〔小笠原二三男君登壇、拍手〕
  115. 小笠原二三男

    ○小笠原二三男君 ただいま議題となりました請願について、地方行政委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。  まず、町村合併関係から申し上げます。請願第九百六十三号は、町村合併促進法第三十一条に基き、公共企業体が積極的に町村合併の目的に協力するよう措置せられたいというものであります。  次に、消防関係について申し上げます。請願第二百八十号は、消防団員の公務災害補償に要する経費については、全額または相当額を国庫において負担せられたいというもの。請願第二百八十二号は、消防施設強化促進法に基く国庫補助額を大幅に増額せられたいというものであります。  次に、選挙関係でありますが、請願第二百十二号は、補充選挙人名簿に登録するものの年令の算定を投票当日までとして、有権者が漏れなく選挙権を行使し得るように措置せられたいというものであります。  以上の請願四件は、慎重審議の結果、願意おおむね妥当と認め、これを議院の会議に付し、内閣に送付するを要するものと決定いたしました次第であります。  以上、御報告申し上げます。(拍手)
  116. 河井彌八

    ○議長(河井彌八君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。これらの請願は、委員長報告の通り採択し、内閣に送付することに賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立〕
  117. 河井彌八

    ○議長(河井彌八君) 総員起立と認めます。よってこれらの請願は、全会一致をもって採択し、内閣に送付することに決定いたしました。      ―――――・―――――
  118. 河井彌八

    ○議長(河井彌八君) 日程第三十二より第四十までの請願を一括して議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  119. 河井彌八

    ○議長(河井彌八君) 御異議ないと認めます。まず委員長の報告を求めます。法務委員長成瀬幡治君。    〔成瀬幡治君登壇、拍手〕
  120. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 ただいま議題になりました請願について、法務委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。  請願第五十三号は、巣鴨刑務所在所戦犯者の釈放等に関するもので、戦後十年、わが国の主権回復以来三歳になんなんとする今日、なお未解決のまま残されている戦犯問題は、わが国の完全独立を現実に阻止している最も具体的な問題であり、巣鴨プリズンはまさに国辱的な存在であるから、すみやかに戦犯問題の全面的解決を達成せられたきこと等の趣旨のものであります。請願第五百十号も、巣鴨刑務所在所戦犯者の釈放促進に関するもので、終戦後十年、今なお六百数十名の同胞が戦争犯罪のゆえをもって巣鴨刑務所に拘禁されているが、その不安な前途を考え、経済的支柱を奪われた留守家族の窮状を考えるとき遺憾のきわみであるから、これら戦争受刑者の全面的早期釈放について、政府はさらに強力に関係諸国に折衝せられ、すみやかにその実現をはかられたいとの趣旨のものであります。  請願第百六十五号は、青森地方裁判所五所川原支部等庁舎改築に関するもので、同裁判所庁舎は明治十七年に建築され、実に七十一年を経過し、腐朽がはなはだしく、当然改築の必要が認められる上、新市にふさわしい近代的な建築が強く要望されている際であるから、ぜひとも早急に同庁舎の改築を実現せられたいとの趣旨のものであります。請願第四百四十一号及び第一千六百八十四号は、福島地方裁判所及び同家庭裁判所の庁舎建設に関するもので、福島市は近代文化都市建設の意図のもとに都市計画を進め、県庁舎を初め各種官公署も新庁舎を完成したにもかかわらず、福島地方裁判所及び同家庭裁判所は明治二十七年建設の老朽庁舎で、腐朽、狭隘、不便この上なく、裁判事務の完遂に支障があるばかりでなく、本市の中心部に位置しているため、都市計画の大きな障害ともなっているから、昭和二十五年買収したまま放置されている家庭裁判所の敷地に福島地方裁判所及び福島家庭裁判所庁舎を建設せられたいとの趣旨のものであります。請願第一千三百八十七号は、山口県宇部市に山口地方裁判所宇部支部等設置のもので、山口県宇部市は、県下第一の鉱工都市として発展しつつあり、これに伴い裁判所関係の事件発生数もきわめて多く、今後一そう増加する傾向にあるが、現在の宇部簡易裁判所では、きわめて限られた範囲内の事件を取り扱うにとどまり、大部分は交通不便な地にある山口地方裁判所船木支部の管轄に属しているため、事件関係者は、時間的経済的に多大の損失を余儀なくされているから、当市に地方裁判所支部及び家庭裁判所支部を設置せられたいとの趣旨のものであります。  請願第九百四十号、請願第一千二百九十六号、請願第一千六百四十二号、請願第一千七百十七号は、いずれも売春等処罰法制定促進に関するものでありますが、以上の請願は、政府当局においてすみやかにこの種法案を立案の上、国会へ提出することに努力させることの要請を含む趣旨のものであります。  以上のこれらの請願について、当委員会におきましては、政府関係者の意見を聞き、慎重審査の結果、その願意はおおむね妥当としてこれを採択し、議院の会議に付し、内閣に送付すべきものと決定いたしました。  以上、御報告申し上げます。(拍手)
  121. 河井彌八

    ○議長(河井彌八君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。これらの請願は、委員長報告の通り採択し、内閣に送付することに賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立〕
  122. 河井彌八

    ○議長(河井彌八君) 総員起立と認めます。よってこれらの請願は、全会一致をもって採択し、内閣に送付することに決定いたしました。      ―――――・―――――
  123. 河井彌八

    ○議長(河井彌八君) 日程第四十一より第七十六までの請願を一括して議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  124. 河井彌八

    ○議長(河井彌八君) 御異議ないと認めます。まず委員長の報告を求めます。農林水産委員長江田三郎君。    〔江田三郎君登壇、拍手〕
  125. 江田三郎

    ○江田三郎君 ただいま議題になりました農林水産関係の請願につきまして、委員会における審査の経過並びに結果の大要を報告いたします。  本国会中六月十日以前に付託されましたものにつきましては、すでに審査を終え、その結果につきましては、さきに報告いたしましたところでございますが、その後六月十一日以降七月二十六日までに付託されました請願は八十七件でありまして、これらの請願の趣旨は多岐にわたっておりますが、これを大別いたしますと、農業関係七十件、林業関係九件、水産関係八件であります。  委員会におきましては、これらの請願について政府当局の意見を聴取し、慎重審議いたしたのでありますが、その中でも、すぎたまばえを法定害虫に指定する請願、すなわち昭和二十六年ごろ鹿児島県の一部に発生したスギタマバエが昨年来急激に蔓延して、鹿児島及び宮崎両県の造林地の大半に被害を与え、熊本県及び大分県等にも侵入し、その被害面積は約七万七千町歩に達し、わが国林政上重大な問題となっているので、このスギタマバエを法定害虫に指定し、防除事業について国庫助成の措置を講ぜられたいという趣旨のものでありまして、この問題について特に関心が払われ、林野庁及び大蔵省当局の出席を求め事情を究明し、当局の善処が要望されたのであります。  かくして審査の結果、未墾地買収価格の引き上げ、農地改革の行き過ぎ是正、集魚灯使用によるまき網漁業の調整等に関する請願七件については結論を留保し、昭和三十年産米価格決定促進に関する請願、凍霜害、ひょう害等の被害農家の資金融通に関する請願等、すでに結論を得、またすでに立法措置が講ぜられたため請願の主旨のおおむね達せられたもの、及び砂糖の価格安定及び輸入に関する臨時措置に関する法律案中一部修正等に関する請願等現在なお審議中であって、いまだ結論に達していないものを除き、ただいま議題となりました六十五件は全会一致をもって議院の会議に付し、採択の上内閣に送付し、政府を促してすみやかにこれが実現を期すべきものと決定いたしました。  右、御報告いたします。(拍手)
  126. 河井彌八

    ○議長(河井彌八君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。これらの請願は、委員長報告の通り採択し、内閣に送付することに賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立〕
  127. 河井彌八

    ○議長(河井彌八君) 総員起立と認めます。よってこれらの請願は、全会一致をもって採択し、内閣に送付することに決定いたしました。      ―――――・―――――
  128. 河井彌八

    ○議長(河井彌八君) 日程第七十七より第九十一までの請願を一括して議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  129. 河井彌八

    ○議長(河井彌八君) 御異議ないと認めます。まず委員長の報告を求めます。運輸委員長加藤シヅエ君。    〔加藤シヅエ君登壇、拍手〕
  130. 加藤シヅエ

    ○加藤シヅエ君 ただいま上程になりました日程第七十七から第九十一までの請願について、運輸委員会における審議の経過並びに結果を御報告申し上げます。  日程第七十七、第七十八、第七十九は、国鉄の電化または電車運転に関する請願であります。  日程第八十、第八十一、第八十二は、鉄道の建設促進に関する請願であります。  日程第八十三は、京王帝都線浜田山駅付近の踏切の安全施設の設置に関する請願であります。  日程第八十四、第八十五は、国鉄の列車運行区間の延長または輸送力増強に関する請願であります。  日程第八十六は、全国山間漁村または離島に存在する八千八百余校の小規模の小学校、中学校は修学旅行の場合、鉄道の団体割引の定員三十名に満たないため、その取扱いを受けられないから、その取扱いを受けられるようにしてほしいという請願であります。  日程第八十七、第八十八、第八十九は、国鉄の駅に関する請願でありまして第八十七は焼津、藤枝間に中間停留場の設置、第八十八は大井町駅東口の存置、第八十九は六日町駅の地下道及び上屋の設置に関するものであります。  日程第九十は、大津測候所の設置に関する請願であります。日程第九十一は、現行の水難救護法は明治三十二年に制定されたもので、現在の国情に沿わないから、現行法を改正して民間の海難施設に要する費用、救助出動に要した費用、出動救助員の死傷手当、遺家族扶助等の災害補償等を規定してほしいというのであります。  以上の請願十六件につきまして審議いたしました結果、日程第八十三については、運輸省において調査の上、適当なる監督指導をすることを希望し、また日程第八十四については、赤湯、長井両駅間に運行している列車について考慮することを妥当と認め、その他はいずれも願意を妥当とし、全会一致をもちまして日程第七十七から日程第九十までは議院の会議に付するを要し、内閣に送付するを要するものと、日程第九十一は議院の会議に付するを要し、内閣に送付するを要しないものと決定いたしました。  以上、簡単に御報告申し上げます。(拍手)
  131. 河井彌八

    ○議長(河井彌八君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。これらの請願は、委員長報告の通り採択し、日程第九十一の請願のほかは内閣に送付することに賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立〕
  132. 河井彌八

    ○議長(河井彌八君) 総員起立と認めます。よってこれらの請願は、全会一致をもって採択し、日程第九十一の請願のほかは内閣に送付することに決定いたしました。  本日の議事日程は、これにて終了いたしました。  次会は、明日午前十時より開会いたします。議事日程は決定次第、公報をもって御通知いたします。  本日は、これにて散会いたします。    午後六時四十七分散会      ―――――・――――― ○本日の会議に付した案件  一、原子兵器に関する緊急質問  一、日程第一 合併市町村の育成強化に関する決議案  一、日程第二 特別円問題の解決に関する日本国とタイとの間の協定の締結について承認を求めるの件  一、日程第三 関税及び貿易に関する一般協定への日本国の加入条件に関する議定書への署名について承認を求めるの件  一、日程第四 日本海外移住振興株式会社法案  一、日程第五 糸価安定特別会計法の一部を改正する法律案  一、日程第六 労働者災害補償保険特別会計法の一部を改正する法律案  一、日程第七 自動車損害賠償責任再保険特別会計法案  一、日程第八 養ほう振興法案  一、日程第九 農林水産業施設災害復旧事業費国庫補助の暫定措置に関する法律の一部を改正する法律案  一、日程第十 天災による被害農林漁業者等に対する資金の融通に関する暫定措置法案  一、日程第十一 危険校舎改築促進臨時措置法の一部を改正する法律案  一、日程第十二 私立学校教職員共済組合法の一部を改正する法律案  一、日程第十三 あん摩師、はり師、きゆう師及び柔道整復師法の一部を改正する法律案  一、日程第十四 日雇労働者健康保険法の一部を改正する法律案  一、日程第十五 労働者災害補償保険法の一部を改正する法律案  一、日程第十六 失業保険法の一部を改正する法律案  一、日程第十七 戦傷病者戦没者遺族等援護法の一部を改正する法律案  一、日程第十八 未帰還者留守家族等援護法の一部を改正する法律案  一、日程第十九 理容師美容師法の一部を改正する法律案  一、日程第二十 覚せい剤取締法の一部を改正する法律案  一、日程第二十一 市町村職員共済組合法の一部を改正する法律案  一、日程第二十二 輸出入取引法の一部を改正する法律案  一、日程第二十三 自衛隊法の一部を改正する法律案  一、日程第二十四 防衛庁設置法の一部を改正する法律案  一、日程第二十五 防衛庁職員給与法の一部を改正する法律案  一、日程第二十六 昭和二十八年度一般会計歳入歳出決算、昭和二十八年度特別会計歳入歳出決算、昭和二十八年度政府関係機関決算報告書  一、日程第二十七 日本放送協会昭和二十八年度財産目録、貸借対照表及び損益計算書並びにこれに関する説明書  一、日華平和条約附属議定書第二項の有効期間の延長に関する議定書の締結について承認を求めるの件  一、自作農維持創設資金融通法案  一、奄美群島復興特別措置法の一部を改正する法律案  一、地方税法の一部を改正する法律案  一、日程第二十八乃至第三十一の請願  一、日程第三十二乃至第四十の請願  一、日程第四十一乃至第七十六の請願  一、日程第七十七乃至第九十一の請願