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1955-07-01 第22回国会 参議院 本会議 31号 公式Web版

  1. 昭和三十年七月一日(金曜日)    午前十一時四十七分開議     ―――――――――――――  議事日程 第三十一号   昭和三十年七月一日    午前十時開議  第一 航空業務に関する日本国カナダとの間の協定締結について承認を求めるの件(衆議院送付)  第二 船舶の減失又は沈没の場合における失業補償に関する条約(第八号)の批准について承認を求めるの件(衆議院送付)(委員長報告)  第三 海員の雇入契約に関する条約(第二十二号)の批准について承認を求めるの件(衆議院送付)(委員長報告)  第四 海上で使用することができる児童の最低年齢を定める条約(千九百三十六年の改正条約)(第五十八号)の批准について承認を求めるの件(衆議院送付)(委員長報告)  第五 船員の健康検査に関する条約(第七十三号)の批准について承認を求めるの件(衆議院送付)(委員長報告)  第六 商品見本及び広告資料の輸入を容易にするための国際条約への加入について承認を求めるの件(衆議院送付)(委員長報告)  第七 観光旅行のための通関上の便宜供与に関する条約の批准について承認を求めるの件(衆議院送付)(委員長報告)  第八 観光旅行のための通関上の便宜供与に関する条約に追加された観光旅行宣伝用の資料の輸入に関する議定書批准について承認を求めるの件(衆議院送付)(委員長報告)     ―――――――――――――
  2. 河井彌八

    ○議長(河井彌八君) 諸般の報告は、朗読を省略いたします。任命することに同意した旨内閣に通知した。      ―――――・―――――
  3. 河井彌八

    ○議長(河井彌八君) これより本日の会議を開きます。  日程第一、航空業務に関する日本国とカナダとの間の協定の締結について承認を求めるの件  日程第二、船舶の滅失又は沈没の場合における失業の補償に関する条約(第八号)の批准について承認を求めるの件  日程第三、海員の雇入契約に関する条約(第二十二号)の批准について承認を求めるの件  日程第四、海上で使用することができる児童の最低年令を定める条約(千九百三十六年の改正条約)(第五十八号)の批准について承認を求めるの件  日程第五、船員の健康検査に関する条約(第七十三号)の批准について承認を求めるの件  日程第六、商品見本及び広告資料の輸入を容易にするための国際条約への加入について承認を求めるの件  日程第七、観光旅行のための通関上の便宜供与に関する条約の批准について承認を求めるの件  日程第八、観光旅行のための通関上の便宜供与に関する条約に追加された観光旅行宣伝用の資料の輸入に関する議定書の批准について承認を求めるの件(いずれも衆議院送付)  以上、八件を一括して議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 河井彌八

    ○議長(河井彌八君) 御異議ないと認めます。まず委員長の報告を求めます。外務委員長石黒忠篤君。    〔石黒忠篤君登壇、拍手〕
  5. 石黒忠篤

    ○石黒忠篤君 ただいま議題となりました八件は、そのうちの一つは航空に関するものであり、それから船舶及び海員に関するものが四つ、商品見本及び広告資料に関するものが一つ、観光旅行に関するものが二つ、いずれもこれらの条約、協定、議定書等は、問題かあまりございません。  委員会における審議の経過及び結果を御報告申し上げますと、まず航空業務に関する日本国とカナダとの間の協定の締結について承認を求めるの件に関しましては、これは日加両国政府の間において本年一月に署名されたものでありまして、両国の領域間及びその領域を越えて民間航空業務を開設をいたし、運営することを目的としたものであります。協定の内容は、さきに本院で承認をすでに与えました日米、日英等一連の航空協定とほぼ同様のものでございます。  委員会におきましては、別段の質疑もなく、採決においては全会一致をもって、本件は承認すべきものと議決いたしました。  次に、船舶の滅失又は沈没の場合における失業の補償に関する条約、海員の雇入契約に関する条約、海上で使用することができる児童の最低年令を定める条約及び給員の健康検査に関する条約の四条約のそれぞれの批准について承認を求めるの件であります。第一の条約につきましては、船舶の滅失または沈没によって海員が失業した場合には、船舶の所有者は、船員の失業期間中、賃金と同じ割合で補償金を支払わねばならぬということを規定したものであります。第二の条約は、船舶の所有者と海員との間に行われる海員雇入契約の成立要件、契約内容等を一定の規制のもとに置くことを目的としたものであります。第三の条約は、大正十三年にわが国も批准をしていると同じ名称の条約を改正したものでありまして、その趣旨は、前条約では、十四才未満の者の船舶における使用を禁止していたものを、十五才未満の者の使用禁止にまで及ぼしたものであります。第四の条約は、健康証明書を保有する船員にのみ船舶乗り組みを認めることによって、船員の健康を保護しようとするものであります。  これらは、いずれも国際労働機関の総会で採択されたものでありまして、海員の保護の見地から作られた条約であります。なお政府の説明によりますと、これら条約の規定の趣旨は、わが国におきましては、すでに船員法等に規定されておりまするので、これら条約の批准に当って新たな国内立法の必要はないのであります。すなわち、これらの条約の当事国となることには、特に法律的意義はないわけでありますが、これら条約の当事国となることは、わが国が公正な労働慣行を順守しているという実情を広く世界に知らせ、また将来もそれを維持して行くことを国際間に約束することになりまして、わが国の国際信用を高めることに役立つ、そういう理由から、これらの批准について承認を求めたいということであるのであります。  委員会におきましては、別段の質疑もなく、採決においては全会一致をもって、四条約とも承認すべきものと議決をいたした次第であります。  次に、商品見本及び広告資料の輸入を容易にするための国際条約への加入について承認を求めるの件に関しまして、御報告申し上げます。  この条約は、わが国がすでに当事国となっている「税関手続の簡易化に関する条約」第十条の見本に関する規定を拡充したものでありまして、商品見本及び広告資料の輸入に関する規則を国際的に統一し、もって国際貿易の拡大を促進することを目的としたものであります。わが国は、この条約の当事国になることによりまして、わが国の商品見本及び広告資料に対し、他の締約国による統一的な取扱いを確保することができ、わが国際貿易の振興をはかることができるので、この条約に加入いたしたいというのが、本件提案理由の概要でございます。  委員会においては、別段の質疑もなく、採決においては全会一致をもって、承認すべきものと議決いたした次第であります。  最後に観光旅行のための通関上の便宜供与に関する条約の批准について承認を求めるの件及び同条約に追加された観光旅行宣伝用の資料の輸入に関する議定書の批准について承認を求めるの件、この二件を一括して御報告申し上げますが、この条約及び議定書は、昨年、国際連合主催の国際会議において作成せられたものでありまして、わが国も参加して署名済みのものであります。条約は、外国からの観光客等一時旅行者が、携帯搬入する身回り品、嗜好品、みやげ品の一定品目、一定数量について、再輸出を条件として免税輸入すること等を当事国が相互に承認することを内容としており、また、議定書のほうは、観光旅行の無料配布用宣伝資料を免税輸入すること等を当事国が相互に承認することを内容としたものでありまして、わが国は、これらの当事国となることによりまして、観光事業の発展をはかる上において利益を得ることとなるので、これらの批准について国会の承認を求めるというのが、政府の提案理由であります。  委員会におきましては、観光客に対する税関の取扱いぶり、観光宣伝に関する政府の施策等について質疑がありました後、採決いたしましたところ、全会一致をもって、本件は承認すべきものと議決いたした次第であります。  右、御報告申し上げます。(拍手)
  6. 河井彌八

    議長(河井彌八君) 別に御発言もなければ、これより八件の採決をいたしす。八件全部を問題に供します。委員長報告の通り八件を承認することに賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立〕
  7. 河井彌八

    ○議長(河井彌八君) 総員起立と認めます。よって八件は、全会一致をもって承認することに決しました。  議事の都合により、休憩いたします。    午前十一時五十九分休憩      ―――――・―――――    午後二時五十三分開議
  8. 河井彌八

    ○議長(河井彌八君) 休憩前に引き続き、これより会議を開きます。  参事に報告させます。    〔参事朗読〕 本日委員長から左の報告書を提出した。  昭和三十年度一般会計予算、昭和三  十年度特別会計予算及び昭和三十年  度政府関係機関予算可決報告書
  9. 河井彌八

    ○議長(河井彌八君) この際、日程に追加して、昭和三十年度一般会計予算  昭和三十年度時分会計予算  昭和三十年度政府関係機関予算  以上、三案を一括して議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  10. 河井彌八

    ○議長(河井彌八君) 御異議ないと認めます。まず委員長の報告を求めます。予算委員長館哲二君。    〔館哲二君登壇、拍手〕
  11. 館哲二

    ○館哲二君 ただいま議題となりました昭和三十年度一般会計予算、昭和三丁年度特別会計予算及び昭和三十年度政府関係機関予算の予算委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。  これらの三十年度予算三案は、四月二十五日国会に提出せられ、衆議院において修正議決の上、六月八日に本院に送付されたのであります。  まず案の内容について御説明申し上げます。一般会計予算の総領は、歳入、歳出とも九千九百十四億円でありまして、前年度に比し八十四億円の減少となります。一般会計の歳入は、租祝及び印紙収入七千七百四十八億円、専売納付金千百七十四億円、その他九日九十一億円となっております。このうち租税につきましては、国民生活の安定と資本の蓄積などを促進するため、所得税、法人税など直接税において三百九十四億円の減税が今年度に行われることになっております。また専売納付金は、たばこ消費税の平年度化に伴う三十二億円、修正による追加分を含めた地方財政への繰入額四十四億円を合せ、七十六億円の減少が見込まれております。  次に、歳出予算について簡単に申し上げます。第一に、社会保障関係費でありますが、これは、衆議院修正によって六億円増額せられまして一千十二億円余となっております。このうち生活保護費、児童保護費においては、前年度に比して生活困窮者の増加を約五%と見込んで所要額が計上せられております。社会保険費は、当初の政府管掌健康保険、船員保険の疾病部門に対する赤字措置を含め百二十億円が計上されておりましたが、国民健康保険に対する助成が不十分であるとして、さらに三億五千万円が追加されました。また、失業対策費につきましては、失業者の吸収人員平均二十二万人を見込んで、総計二百八十九億円が計上されております。  第二に、文教関係費でありますが、衆議院の修正によりまして、六億七千六百万円の増額が行われたので、千百七十六億円余りとなっております。このうち、義務教育費国庫負担金につきましては、給与の最高限度を定める政令の改正、また児童、生徒の増加に伴う教員の増加などの措置がとられております。  第三に、旧軍人遺族などの恩給費につきましては、衆議院の修正によりまして十八億円が増額せられて、総額六百七十億円であります。  第四に、地方財政につきましては、原案においては、地方交付税交付金として千三百八十八億円、専売納付金からの繰り入れ三十億円、入場税の一割相当額の一般会計繰り入れの停止、七十二億円に上る地方道路税の創設などの措置がなされておりましたが、修正の結果、地方交付税交付金においで十四億円減少し、その補てんとして専売納付金からの繰入額が十四億円増加いたしました。そのほか地方債として今年度千百二十四億円を予定されておりましたが、修正に伴う地方負担増に充てるため、さらに二十億円追加されております。  第五に、公共事業費及び食糧増産対策費につきましては、継続事業を重点的に取り上げ、新規事業の採択を極力抑制するとともに、道路関係事業費、鉱害復旧事業費などを除きまして、二十九年度予算額より九十三億円減の千四百三十五億円が計上されておりましたが、衆議院の修正によりまして、食糧増産対策費において八億円、公共事業費において二十二億円、計三十億円増額せられました。  第六に、住宅対策につきましては、四十二万戸の建設を目途とし、一般会計において、公営住宅ないし新設されます住宅公団への出資などの経費として二百十八億円を計上し、運用部資金などを含めて総額四百二十四億円を充当することになっております。  第七に、防衛関係費であります。防衛庁費においては、陸上自衛隊二万人の増員を中心に自衛隊を強化することになっており、防衛庁経費を二十九年度に比して百二十五億円増加し、八百六十八億円が計上されておりますが、防衛支出金については、施設提供などのために二十九年度に対して二千七億円を増額しております反面に、合衆国軍交付金が百五十二億円減少しておりますので、防衛関係賞の総額は前年度の千三百二十七億円のワク内にとどまっておるのであります。なお、右のほか百五十四億円の国庫債務負担行為が計上されております。  第八に、財政投融資につきましては、一般会計の百七億円の出資及び投資を含め総額三千百九十六億円が予定され、当初の政府案に比較いたしますれば八十一億円の減少となっております。  以上の結果、一般会計財政投融資とを合せました財政規模は一兆三千三百億円となり、前年度の一兆二千六百四十八億円に比較いたしますれば、三百五十五億円の増加となっております。  次に、特別会計について申し上げます。特別会計の数は、昨年九月国営競馬特別会計が廃止されましたが、他方、新たに三十年度からあへん特別会計、特殊物資納付金処理特別会計及び自動車損害賠償責任再保険特別会計が新設せられることになっておりますので、これらが成立いたしますれば三十五となるのであります。いずれも一般会計に準じ、それぞれ所要の予算が計上されております。そのうち食糧管理特別会計について見まするに、米の予約買付制度を前提として、消費者価格を十キロ七百六十五円に据え置き、生産者価格を石当り九千七百三十九円に予定しております。この結果、この会計全体を通じて二十九年度分を合せて百億円程度の赤字を生することになっておりますが、この赤字につきましては、今後の実行により数字の確定するのを待って処理されることになっております。また衆議院修正の結果、交付税及び譲与税配付金、労働者災害補償保険並びに特定道路整備の三特別会計について、それぞれ修正が行われております。  次に、政府関係機関について申し上げます。政府関係機関の数は九つでありまして、一般会計に準じて、それぞれ所要の予算が計上されております。そのうち国有鉄道につきましては、衆議院の修正の結果、国有鉄道の新線建設のための経費が五億円追加されて三十億円となりましたほか、四政府関係機関の予算が修正せられております。  以上のごとくに衆議院における修正は二百十五億円になったのでありますが、その財源について簡単に申し上げます。  今回の修正の財源は財政投融資のうちから捻出されたのでありまして、その内訳を申し上げますれば、一般会計の減税の追加六十七億円と歳出増八十八億円を加えました百五十五億円は一般会計の出資の中からはずしてまかない、さらに財政投融資の増六十億円を加えました二百十五億円の財源を資金運用部引き受け予定の金融債百四十一億円、国鉄の公募債四十五億円を市中消化に回す一方、資金運用部の預託金の増を二十九億円見込むことによって捻出しております。  さて、当委員会といたしましては、五月九日、大蔵大臣より提案理由の説明を聴取し、自来九日間にわたって予備審査を行なって参りましたが、本件三案は六月八日、衆議院において修正議決されて本院に送付されましたので、鳩山内閣総理大臣以下関係各閣僚の出席を求めて木審査に当りました。  本審査に入るに先だち、委員長は政府に対しまして、「昭和三十年度予算三案は衆議院において修正されたものが本院の原案となるわけであるが、政府は衆議院の修正に応じられたものであるかどうか、従ってこれに対して責任を負うものであるかどうか」とただしましたところ、「政府は衆議院の予算修正に応じた、従ってその政治的責任を負う、修正案が予算として成立した暁には、施行の責に任ずることはもとより、本院の審議に当ってはできるだけの説明をする」旨、政府を代表して一萬田大蔵大臣から答弁がありました。そこで当委員会としましては、二日間を特に修正部分についての質疑に充てた次第であります。便宜予算修正に関する当委員会の質疑の模様を御報告申し上げます。  まず「政府が今回二百十五億円の衆議院修正に応じたいきさつ及びその理由は何か、予算修正と保守結集と関係ありと伝えられておるがどうか」との質疑に対しましては、「二百十五億円の自民共同修正案のきまるまでのいきさつは政府としては関知しない、政府は、この二百十五億円の予算修正が政府原案の根本方針を傷つけるものでなく、日本の財政経済の将来にわたって悪影響なしと判断したので受諾した、政府は保守結集は必要だと考えており、保守結集の前提となる共同修正案に同意することが、政局の混乱を避けるゆえんであるとの大局的見地より同意した」との答弁がなされました。さらに、「保守結集の方式いかん、もし保守合同ができた暁には、政府は選挙によって国民の審判を仰ぐつもりであるかどうか」との質疑がなされましたか、これに対して、「連立の範囲の保守結集では選挙に問う必要はないと思うが、新党の場合には、国民の意思を問うことが民主的だと考えておる」との鳩山総理大臣の答弁でありました。次に「今回の修正を見ると、歳出増の大部分は政府が整理せんとした補助金の復活ないし増額であり、一般会計からの出投資も大幅に削っているが、これでは政府の基本方針はくずれているのではないか。市中公募に回した金融債、公社債は果して消化ができるか」との質疑がありましたが、「今度の修正で補助金が復活したのは、大蔵大臣としては遺憾であるが、予算全体を生かす上にやむを得なかった。一般会計からの出投資はインフレのときのやむを得ざる強制貯蓄の形であって、民間資本の蓄積があれば民間資本に待つのが筋である。財政投資から民間投資への転換の時期の点では、原案の性格が変ったことは認めるが、今日の金融市場の状況から見て、金融債、公社債の消化については十分責任を持つ」との答弁がありました。さらに「今回の予算修正に伴って明年度予算の規模はどうなるか。赤字公債を発行するか増税をやらねばならぬのではないか」との質疑に対しまして、一萬田大蔵大臣から、「三十一年度は新規の政策を行わないとしても、軍人恩給、社会保障費、義務教育費などで、百五、六十億円増加し、歳入は、減税の平年度化のため、国民所得の増加を見込むとしても、三十一年度税収入は本年度と大差なき見込みである。明年度予算の編成方針はまだきめていないが、一兆円のワクは越すと思う。しかし明年度も公債は発行しない方針である」との答弁がありました。また「今回の予算修正に残された分や、今後の米価決定による赤字補てんのため、政府は補正予算を組む意思はないか」との質疑に対しまして、政府は、「補正予算は、天災が起り必要が生ずる場合のほか、組む意思はない」と答弁されました。  以上が、予算修正をめぐる論議の大要でありまして、それより委員会は総括質疑、一般質疑に入りましたが、六月十六日、十七日には、公聴会を開いて審議の参考に供し、また二十八、九両日は、分科会を開いて各省予算の細部にわたって審査を行いました。  この間、六月二十二、三日ごろにおきまして、関係閣僚の出席円滑を欠き、審議の遅延を来たしましたので、委員会はこれを深く遺憾といたしまして、六月二十三日、委員会の決議をもって政府の深甚なる反省を要求いたしました。委員会における審議はすこぶる多岐にわたり、連日熱心に行われたのでありまして、その内容を事項別に整理し、簡約して申し上げますと、以下の通りであります。  まず、長期経済計画に関連した諸問題であります。「政府は経済六カ年計画を立て、三十年度予算は、これを実現するための第一年度予算であるといっているが、六カ年計画というものは具体的財政経済施策の裏づけある実行計画であるのか、それとも選挙目当の単なる希望図にすぎないものであるのか。三十年度だけの経済計画を示すにとどまらず、少くとも前半期の概略計画をも示せ」などの質疑があったのでありますが、これに対しまして、政府は、「経済六カ年計画は、三十五年度において完全雇用と経済自立を達成するために、日本経済のあるべき目標を示したものである。その実現をはかるためには、毎年度過去の実績を検討し、客観情勢を考えた上、目標の線に沿って諸般の施策をあんばいするのであって、経済を統制しようとするものではない。三十二年度までの概略案は閣議に諮った上で提出する」と答弁され、その案は、資料として提出されたのであります。これに対して「防衛計画は織り込まれておるのか。中央地方財政の規模などは、大蔵省及び各省と意見を調整されたものであるか」という質疑がありました。政府は、「防衛計画はまだできていないので、経済力の伸びに応じて漸増するものと想定した。財政の数字は、過去の予算の分析から大体の予測を立てたもので、財政計画は今後各省と折衝する」と答弁されました。なお、「六カ年計画に盛られておる食糧増産を実施するための農業投資は幾らか。これを確保する自信があるかどうか。政府は農業投資の投資効果を調べてあるか。三十年度予算において農業投資や増産に直接効果のある農業補助金を削っておいて、三十年度の農業生産が上るように計画しておるのは矛盾ではないか」などの質疑もありました。これに対しまして、政府の方は、「この計画の米麦増産のため、三十年度は三百五十億円、三十一年度は六百八十億円、三十二年度は七百五十億円という資金量が一応必要であると計算せられておるが、来年度以降は財政状況、金融状況から相当無理であろうとは考える」と答弁されました。また「六カ年計画が将来の増加人口を主として第三次産業に吸収するといいながら、貿易振興対策、中小企業対策、商業者保護の面で具体的には何らの考慮も払われていないではないか。事業税、「物品税の改廃、また百貨店法の制定、商業保護法を制定する考えはないか」との質疑がありましたが、これに対しまして、「事業税は漸減する方針である。物品税は存置してその品目を検討する。百貨店や購買会が小売業者に不当競争や圧迫を加える場合は取り締るが、立法的措置については検討中である」との答弁がありました。  次には、米価と予約買付制度の問題であります。「三十年度産米の買い入れ価格はいつきめるのか。予算米価九千七百三十九円では、米の再生産費を償わない。過去二年間の農家手取り価格よりも低いが、これで政府の期待する数量が集められると思うか。また政府の集荷予定数量はせっかく予約買付制度に移ったにしては少な過ぎるのではないか」という質疑があったのに対して、農林大臣から、「今年は予約買付制度であるから、米価は六月中にきめたい。米価審議会に付議する政府原案としては一石当り一万六十円で、このうちに早場米格差平均一石二百十円を含むから、これを含まない基準米価は九千八百五十円となる。右の価格は二十八、二十九年の平均手取り価格に、パリティ上昇率をかけて算出したものであるが、別に生産費方式によるものも試算し参考とした。数量は、昨年度の実績に徴して、二千三百五十万石が適当と考えた。これ以上の売り渡し申と入れがあれば、予備費を使用する」という答弁がありました。さらに、「予約農家に奨励金とか、減税とか、前渡金とかはどうなっておるか。不作の場合は減収加算を考慮しておるか」との質疑がありましたが、政府は、「農家が販売米の全量を予約してくれるここを期待するので、予約格差は設けない。内払金は石二千円を支払う。減税は、昨年度の奨励金非課税による免税額より上回る新しい制度を考慮しているが、減税は予約した農家に限り適用される、減収加算はいろいろ批判があるが、これにかわるべきものがなければ、減収加算もつける」と答弁されました。また、「今回の米価が決定となった場合、食管特別会計の予算は補正するか」との質疑がありましたが、これに対し、「食管会計の予算は、補正しないが、さきに支払った二十九年産米の減収加算金三十三億円と、三十年産米価と予算米価との差による赤字七十三億円を加え、予算外の赤字は合計百六億円に達するので、予算の実施上輸入食糧価格の引き下げ、業務用払い下げ米の特別価格設定、酒造米の数量及び単価引き上げ、食管経費の節約で、これを補てんする方針である」と、大蔵大臣より答弁がありました。  次は、恩給の問題でありますが、まず、「今回の旧軍人等恩給の改正実施をした場合、平年度経費は幾ら増加するか、これで文官恩給との均衡はとれたことになるのか」との質疑に対しましては、「今回の改正は軍人恩給のベースを文官恩給並みの一万二千円ベースに引き上げ、同時に四号俸調整を行うものであり、これを完全に実施した場合の年間恩給費の増加は百七十一億円である。本年度はその五割を十月一日から実施することとし、その一期分が予算に計上された、あとの五割については急激な財政負担の増加を来たさないよう段階的に実施したいと検討中である。文官恩給との均衡は、この改正が完全に実施されれば一応とれたと思う」旨、政府の答弁がなされました。そこで、「近い将来今の恩給は、文官武官を通じて約一千四十億円に上るが、財政上の負担としてどう思うか、恩給はさらに上げるつもりか」との質疑に対し、政府は、「恩給は日本の財政上の負担として小さいものではない、将来は総合年金制度と関連して検討すべきものと思う」と答弁されました。  社会保障の問題でありますが、「あらゆる社会保障の基本となるべき国民値康保険が、市町村財政の現状から危機に直面しているが、国民健康保険に対して政府はどのような考えを持っているか、医療給付の増加によって収支の悪化したのは、健康保険のみではなく、国民健康保険も全く同様であるが、政府は健康保険に対しては十億円の赤字補てんを行なっているにもかかわらず、政府原案において国民健康保険助成費を削減したのは、都市を中心とする健康保険を重視し、農漁村を中心とする国民健康保険を軽視した結果ではないか」などの質疑に対しまして、政府側から、「本年度予算で健康保険の赤字対策に重点をおいたのは、最も差し迫った健康保険の崩壊を食いとめることに全力を注いだためで、決して国民健康保険を軽視したわけではない、その後自民両党から強い要望があり、直営診療所並びに助成交付金等につき三億五千万円の増額修正が行われ、すべてを含め助成費は七十二億六千万円となったわけである。国民健康保険は、今日は確かに農村が主力となっているが、都市、ことに大都市にも実施されることが望ましく、できるだけ国民健康保険を充実して、将来はこれが医療保険の真の支柱となるよう助成してゆきたい」との答弁がありました。  失業対策につきまして、「完全失業者の数は、本年三月において八十四万人、四月において七十万人になっているが、三十年度の失業対策で、果して激増する失業者をことごとく吸収できるかどうか、今後重要産業の合理化や、地方財政の再建整備によって生ずべき失業者に対する対策いかん」などの質疑に対し、「三十年度において新たに増加する完全失業者の数は約二十万人であるが、このうち十四万人程度は失業対策事業に吸収し、残り六万人は職業補導所で補導教育を施すことによって、万全とは言いかねるが、どうにか完全失業者の吸収ができる」との答弁がありました。  住宅対策につきましては、「政府は四十二万戸建設の公約を無理に果すため、公営住宅の質を落したのは、住宅の狭小、過密化を招くもので、住宅政策としては逆行ではないか。また住宅金融公庫の融資率を低下させ、増改質までも、四十二万戸の中に数えるのは不当ではないか」などの質疑があり、これに対し建設大臣から、「中層アパートの建設を公営から公団に移し、公営住宅は耐火率を高くし、低家賃のものを多く作る方針で六坪住宅を計画したが、これでは小さ過ぎるとの意見も多いので、実施に当っては、必ずしも六坪にこだわらず、弾力性を持たせて実行するつもりである。住宅金融公庫の融資率についても、全面的に引き下げたわけではなく、種類に応じていろいろな率をきめているので、従来と変らないものもあるのである。増改築に対する融資については、要請のきわめて切なるものがあるばかりでなく、やはり住宅不足解消の一助となるものと思う」旨の答弁がありました。  最後に、地方財政でありますが、「政府の国会に提出した地方財政計画は、一応収支のつじつまを合せているものの、当初の案では百四十億円の歳入不足が見込まれていたことは周知の事実である。このような地方財政計画で赤字を出さない確信があるかどうか。地方財政の建て直しのためには、再建促進特別措置法中に、教育委員会の二重予算権の一時停止を規定するとか、地方税を国税の付加税にするなど、相当思い切った改革が必要なのではないか」との質疑に対しまして、「地方が二十九年度通りに、いろいろの事業をやって行くと百四十億円程度の不足となるが、この不足分は財政建て直しの非常事態であるから、各公共団体の自粛によってこれを埋めてもらいたいと思っている。しこうして地方財政再建の順序方法としては、まず第一段階として、とりあえず再建整備促進特別措置法によって、今までの赤字を、一時たな上げしようという計画である。教育委員会の予算送付権の問題については、今回これを取り上げていないけれども、再建整備計画の範囲内ですべての財政を運用することとなっているので、教育費が必要以上に膨張することはあるまい。地方税を国税の付加税とすることは、地方自治の本旨から見てきわめて重大な問題であるから、慎重に検討したい。しからば第二段階の措置として、将来にわたって地方財政に赤字を出さないようにするために、今後どういう方策をとるかということについては、さしあたり本国会に自治法改正案を提出しておるのであるが、根本的には、地方制度の改革を必要とするので、基本的な改正案を次の国会に提案して、本格的に地方財政の建て直しをはかりたい方針である」との答弁がございました。また、「地方道路税法案は不成立となる見込みが濃いが、その場合どうするか」との質疑に対しまして、「地方道路税法が不成立の場合、地方財政に七十二億円の穴があき、補てんの方法がないから道路整備に影響を生ずる、政府としては、あくまで地方道路税法の成立に努力する」との答弁がありました。  以上のほか、憲法調査会憲法改正提案権の問題、それから日ソ外交、日比賠償問題、それから日米原子力協定、また防衛計画並びに防衛分担金の問題、金融統制に関連した問題、教育に関する諸問題など、幾多重要な質疑が行われたのでありますが、省略させていただきます。  このようにして質疑を終局し、討論に入りましたところ、まず日本社会党第四控室を代表して吉田委員から反対、自由党を代表して安井委員から賛成、日本社会党第二控室を代表して田中委員から反対、緑風会を代表して豊田委員から賛成、無所属クラブの木村委員から反対、最後に民主党を代表して武藤委員から賛成の旨、それぞれ述べられました。  これによって討論を終局し、採決の結果、本委員会に付託せられました昭和三十年度予算三案は、いずれも多数をもって、衆議院送付案の通り可決すべきものと決定いたしました。  以上、御報告申し上げます。(拍手)
  12. 河井彌八

    ○議長(河井彌八君) 三案に対し、討論の通告がございます。順次発言を許します。高田なほ子君。    〔高田なほ子君登壇、拍手〕
  13. 高田なほ子

    ○高田なほ子君 私は日本社会党を代表いたしまして、昭和三十年度政府提出予算三案及び民主、自由両党妥協による修正案に反対の意を表さんとするものでございます。  もみにもんだ昭和三十年度の予算、政府原案は、国会提出に至りますまでに、鳩山政府の公約であります防衛分担金の削減をめぐって日米間の折衝に難航を続け、内においては政府与党の民主党並びに各省の予算復活に時をかせがす結果として、あさり尽された財源は、きわめて弾力性の乏しい予算案に変貌するに至りました。政府はその弱体外交と不誠意によりまして、四、五月の暫定予算を余儀なくされ、あまつさえ再度繰り返さないことを確約いたしましたはずの六月暫定予算まで組むに至りましたことは、公党の責任政治に対する大きな冒涜だと言わなければなりません。  このような経過を持つ本予算案は、またしても自由党の修正要求四百三十億の圧力に屈し、国会の論議を待つことなく、舞台裏のやみ取引によって、要求額を折半した二百十五億の修正の幅をもって衆議院を通過したのでございますが、この間バナナの叩き売りのような取引が行われました。この不明朗さは厳に国民の前に批判されなければならないところと信ずるものであります。特に本院におきましても、同僚佐多委員によってこの非民主的な修正経過を激しく追及されましたが、政府はついにこれに対しまして明快な論旨をもってこれに答えることができませんでした。また、形式的にも財政法上の過誤を犯し、当然耐火建築補助金の項に復活しなければならない補助金が、建設本省の項に移されているのは、明らかにごまかしの修正であって、このような修正がもし許されるとするならば、今後どのような無理な修正も許されることになってくるでございましょう。また、軍人恩給の増額におきましても、積算の基礎が全くでたらめで、増額になりました十八億八千万は何ら根拠のない数字であって、その他数え上げれば修正上幾多の疑点を残しているのでございます。  特に昭和三十年度予算の基礎的な条件であります米価問題に対して、政府の態度はきわめて誠意を欠き、新たに採用することになった予約制度の実施に伴って早期に解決すべきであるにもかかわりませず、いたずらにこれを遅延させ、本院審議に重大な支障を与えましたことは、まことに遺憾事と言わなければなりません。政府の米価審議会に内示した一万六十円の米価につきましても、また予算米価との差額の補てんの財源につきましても、何ら具体的数字的な根拠を示さず、単に食管特別会計の操作によってまかなうという不都合な態度をとっているのでございます。特にまだ米価審議会の結論は出ていないのであり、政府はこの結論を待って米価の最終的な決定をすると言っているのでありますが、もし米価審議会の結論によって、米価の最終的決定が一万六十円と異なったものになった場合に、これは明らかに予算の内容の変更をしなければならないということになると存じます。かかる事態を全然無視して、予算の十分な審議を阻害し、審議を打ち切るという方法をとったことは、国会の審議権を奪う暴挙と言わなければなじません。(拍手)  私どもは、民主憲法の示すところに従い、国民のために尽すべきは民主政治の原則でありまして、いやしくも党利党略のとりこになり、選挙目当ての臭気を感じさせるがごときは、議会政治運営に当って厳に排除しなければならないところであると存じます。国民に政治不信の念をもしこの結果抱かしめることありとすれば、それはあげて日ごろ民主政治を口にする鳩山政府の重大な責任と言わなければなりません。私ども日本社会党は、国民の大部分を占める勤労大衆を代表し、時代の良識をもって任ずるがゆえに、かかる非民主的な経過そのものに対して、まず政府に対し強い反省を求めるものでございます。(拍手)  次に本案に対する反対の第一の理由は、平和憲法をじゅうりんし、一路再軍備強化を深めるという、この違憲性を持つ本案の性格についてでございます。鳩山政府は、防衛分担金を削り、これを住宅難緩和に充てることを公約いたしました。国民は、旱天に慈雨を望む気持で、この公約に深い関心を示したはずでございます。しかし実際は、事志と異なりまして、量質ともに強力な軍備政策を誓約せざるを得ない結果となりました。すなわち、防衛分担金削減に関する日米共同声明は、具体的にその内容を明らかに示しております。まず第一に、防衛分担金は百二十五億の数字的な減少を示したのでございますが、これは全部防衛庁費に回す条件がつけられております。その結果、防衛庁費は昭和二十九年度七百四十三億から、昭和三十年度八百六十八億という飛躍的な数字を示し、これに加えて予算外契約百五十四億、前年度繰越金二百二十七億と、昭和三十二年度にまでまたがる航空機関係の予算が含まれておりますことは、まことに前例を見ない過酷な条件と言わなければなりません。それのみならず、飛行場の拡張を誓約し、在日米軍の使用する施設の所有者並びに提供者に対する補償費として実に八十億の予算が計上されておるのでございます。講和発効以来、わが国内にある軍事基地の膨張は、一路日を追うて強められ、総坪数三億五千一百万坪は、今日すでに四億一千万坪に拡大されております。しかも四十カ所に上る飛行場周辺における環境はきわめて悪化し、青年の精神をむしばみ、日ごと夜ごとに打ち続く爆音によって、児童の慢性不眠症が起り、また農業生産あるいは漁業生産に重大な支障を与えておるのです。立川基地における飛行場拡大に対するあの民衆の憤激は、私どもは、じっと直視しなければなりますまい。しかるに、共同声明において飛行場を拡大し、滑走路の拡張とともに、さらに巨大なる飛行場建設が恒久的軍事基地日本を作り上げつつあることは、貧に苦しむ国民経済への負担もさることながら、この事態が世界平和に対する脅威を投げかけ、アジア十四億の民衆の期待を裏切り、国際紛争の平和的解決を願う人類の崇高な努力に対するまことに愚かしい挑戦と言わなければなりません。(拍手)しかも共同声明によりますれば、防衛分担金の削減は本年度限りであることを明記し、あわせて昭和三十一年度及びそれに引き焼く年間において、自己の資力のより大きな部分を防衛目的のために振り向けることが日本政府の意向であり政策であることを、日米両国の名において明らかにしておる点であります。顧みれば、安保条約の第一条には、「平和条約及びこの条約の効力発生と同時に、アメリカ合衆国の陸軍、空軍及び海軍を日本国内及びその附近に配備する権利を、日本国は、許与し」、この諸権利許与に対する国際的な義務を受諾した日本の立場を認めた前吉田政府並びに現鳩山政府は、明らかにこれに対する発言権を喪失しているがゆえに、唯々としてアメリカ側の言う要求に対して屈せざるを得ないのは、まことに理の当然と言わなければなりません。しかもこの予算案を裏づけるものとして、国防会議の構成等に関する法律案、また濃縮ウラン受け入れに関する仮協定を結び、国民の非常な心配と憂慮のうちに、着々として実質的に再軍備が強行されておるのでありますが、その半面、国民の願ったあの住宅公約は、全く真夏の夜の夢として一瞬のうちに消え去る状態であります。まことに公党の公約不履行として、大いにこの点は糾弾されなければならないところでありましょう。わが日本社会党は、独立と平和の名において、防衛関係費一千二十七億の削減を両社共同組みかえ案の骨子として主張して参りました。すなわち、消費的支出の多い一般会計予算をまず健全な自立経済態勢に切りかえるため、これを国民生活安定の方向に向けようとするものでございます。  さらに第三の反対理由は、本予算案の欺瞞性についてであります。政府は、予算編成の方針として一兆円のワクを堅持することを繰り返し繰り返し主張しておりました。なるほど、政府原案では、一般会計の歳入だけ見ますと九千九百九十六億となり、衆議院の修正の結果は九千九百十四億となっておりますが、これは単なる数字上の操作による一兆円のワクの堅持であって、実際にはすでにこのワクはくずれておるのでございます。地方財政の困難を救うため、たばこ専売益金の中から三十億円を直接地方公共団体に回しているが、これは本来、地方交付税交付金として一般会計を通じて交付すべきものであり、また昨年まで一般会計から毎年十数億円を繰り入れていた開拓者資金融通特別会計への資金供給を昭和三十年度は財政投融資で十億円を出資することにしてあります。かくて、四十億は一般会計のワクから押し出されておりますがゆえに、すでに一兆円のワクはくずれておると見なければなりません。さらに、本年度から新設される地方道路税七十三億、地方財政に交付する入場税の収入百三十五億、いずれも一般会計に姿を出さず、直接、特別会計に繰り入れられておりますので、昭和二十七年度の放漫財政と全くその規模を同じくするごまかし予算と言わなければなりません。(拍手)かくて一萬田財政の基本方針はくずれ、二百十五億の自由、民主両党の妥協修正案によって一そう選挙目当ての補助金総花式に逆戻りしたことは、全く注目に値する点と言わなければなりません。さらに、食管特別会計の赤字穴埋めの手段として百億のインベントリー・ファイナンスを食いつぶすに至ったことは、予算の弾力性を失い、かつ風水害の多い日本においては、一荒れ百億と言われるこの悲しい運命の前に立たされた国民生活を、一そう不安に陥れていることになります。さらに再軍備の強行による地方財政の赤字はその限界に達し、これを穴埋めするために増税、人員整理を前糧にした地方財政整備促進に関する特別措置法案、また地方自治法の改正は、いずれも中央集権と国民生活の圧迫かねらい、教育財政を破壊し、弱い婦人労働者を首切り、大学を卒業しても就職の目当てもない青年に対して絶望を与える以外の何ものでもございませんが、こうしたことは単なる公約無視というのみではなく、深くその不明を国民に謝すべきでございましょう。(拍手)  反対理由の第四として、鳩山内閣の一枚看板であります経済六カ年計画は、一体どのように国民生活の上に反映されたでありましょう。総合的な経済計画のない本予算案は、実質的には弱い者が犠牲になるように仕組まれております。本年三月の完全失業者は八十四万人に及び、これに対して二十二万人の救済策にとどまっております。さらにボーダー・ライン階級の人々は、優に一千二百万をこえていると言われておりますが、これまた救済対象になるのは、わすかに二百万人にしかすぎません。しかもこの二百万人中の五八%は就労者であり、働いても働いても、なおかつ一日五十三円の生活扶助を求めなければならないこの窮状は、一体何を物語っているでしょう。まして、この零細な扶助からさえ漏れた一千万に及ぶ人々は、どこに生命の保障を求めるのでありましょう、昨三十日の各新聞紙が報じました常磐炭鉱地区の労働者の奥さんや娘さんなど四十二人が、特飲街に泣きながら売られているというこの記事は、再軍備の増強のために圧縮された政府の経済六カ年計画のこの実態を雄弁に物語っているではありませんか。(拍手)しかるに政府はこの現実に目をおおい、本国会に石炭合理化法案を提出しております。政府は炭鉱合理化の名のもとに、六万名に上る労働者を、これを八十四万の完全失業者の群れの中に新たに追い込もうとしているではありませんか。すでに今日まで五十八億の巨額を投じて縦坑開さくをやりましたが、その効果の見るべきものもなく、さらに四百億の巨費を投じて六十八本の縦坑を掘さくせんとしておるのでありますが、これはただ大炭鉱を有利に導き、中小炭鉱の崩壊と七万人の労働者の首切りを目さしたものであって、こうした反動立法こそ鳩山内閣の完全雇用のその実態なのであります。  あまつさえ結核対策を豪語した政府は、予算にも実質的にも、結核対策をきわめて後退させておるのです。二百九十二万の多きに上る結核患者の出で、入院を要する者は百三十七万人にも達しておるのに、これを収容するベットはわすかに二十一万にしかすぎません。しかも結核患者のつえともなるつき添い婦の数は全国でわずかに四千二百人にしかすぎません。しかもこのようなつき添い婦を、これを廃止しようとする血も涙もない結核対策は、果して社会保障制度の拡充を看板にした鳩山内閣のやってよろしいことでございましょうか。(拍手)  住宅の不足はさらに三百万戸と言われておりますのに、政府の薄い予算の手の伸びるのはわずかに十七万五千戸にしかすぎません。さらに嵐が吹いても、ぎしぎしと音を立てる危ない危険校舎が、子供が歩けばなまづめのはがれるような危ない校舎が総坪三千万坪に達しておりますが、今年度の予算ではそのうち二十万坪を回復するにとどまります。教職員の定員の不足とともに、小中学校校舎の不足はまさに六百八十一万坪を数えておりますが、これらの回復のためにPTAの寄付は逐次負担率を増しまして、昭和二十八年度は八十億、昭和二十九年度は八十七億と二重に国民負担の率を高めていることは、何という子供に対する愛情の欠除でございましょうか。(拍手)一般会計から見ます社会保障関係の予算は八百四十六億という数字を示しておりますが、これはわずか一握りの自衛隊の費用八百六十八億を二十億も下回っておることは、まことに国民を愚弄するもはなはだしいと言わなければなりません。善良なる国民は、戦争に負けたことが原因であると強いあきらめの念を持っておりますが、かの農繁期における働く主婦のために設けられた季節託児所は、農家の生産と農家の母と子を守るために実に大きな愛情を少い予算で投げかけておったのでありますが、この予算わすか三千万を全面的に削って、一機二億円のジェット機生産に拍車をかけるということは、とうてい常識では判断することのできないところだと存じます。(拍手)一方国民の健康保持の美名のもとに、健康保険法の改正を企図しておりますが、これは昭和三十年度末、約百億の赤字中二十億を被保険者の保険料率五分引き上げ、標準報酬の改訂、給付を受ける家族の制限などによって、被保険者の負担増を立法化せんとするものであって、この姿こそ国民窮乏の上にあぐらをかく経済六カ年計画の実態と申し上げても過言ではないと思います。しかも食うに食ない今日の国民の前に、農業政策をサボリ、政府はアメリカの余剰農産物受け入れの協定を結んだのでありますが、これはアメリカで余って始末に困った農産物を受け入れ、特に学童の福祉拡大の美名のもとに、これを無償給与するというのでありますが、この無償給与がいかに学童の自主精神に悪影響を及ぼすかは、すでに本院においても、たびたび指摘されたところであります。国内にはあり余るなま牛乳の処理に困り、しかも子供の好むなま牛乳を与えず、乾燥脱脂ミルクを与えてアメリカの市場を学童の上に求めるがごときは断じて承服のできないことであります。しかもこれらの見返りとして、六十一億の巨額をもってアメリカの軍人及び軍属の住宅をこの狭い国内に建てるがごときは、全く私どもの了解に苦しむところでございます。余剰農産物を受け入れていかにその一部で電源開発や農業生産力の増大をはかると申しましても、それは経済自立への道ではなくて、逆にアメリカ資本に従属した経済の強化であることは何人にも明白なことであります。(拍手)余剰農産物の一部における愛知用水投資の実態は、アメリカの余剰機械の消化と、日本に工場を持つに至りましたバヤリーズのジュースの原料であるオレンジの栽培にすぎぬというではありませんか。しかもアメリカ産の麦を何とかうまく国民に食べさせるために、その宣伝費として、見返りの一部七億二千万の全額はアメリカの市場開拓のために予定されるに至っておりますことは、食生活改善の名のもとに進められる隷属経済の最たるものと言わなければなりませんが、日本の自立経済を犠牲にするかかる予算の裏づけに対しては、絶対に承服することはできません。(拍手)真に国民の窮状を憂えるなら、憲法調査会の賞用も、宙に浮いているような新生活運動費五千万円も、補助金制度によるおびただしい乱費も、食うに食ない多くの人のために、働くに職ない多くの婦人たちのために、有効に適切に使用されるが理の当然だと私どもは考えます。(拍手)  わが日本社会党は、この現状を打開すべく、非生産費である防衛関係費を削減することによって、事実上一千億に及ぶ減税と、社会保障費の増額を初めとする国民生活安定の経費の増額を予算組みかえにおいて主張したのであります。今日の世界情勢から見ましても、防衛関係費の問題に手を触れることなしには、当面する日本経済の困難は何一つ打開することができないと強く信ずる次第でございます。(拍手)すなわち政府原案並びに民自両党の修正案によりますと、減税案は一律減税であって、その結果、たとえば月収二万円の独身者は、わすかに三百二十八円の減税でありますが、月収二十万円の高額所得者は、四千六百八十六円の減税を受けるのでありまして、上に厚く下に薄い、さか立ち減税案であります。(拍手)これに対してわが社会党は、不公正な減税の抜本的改正を目ざして、所得税率を累進制に変更し、低額所得者には大幅に減税し、高額所得者からは若干の増収をはからんとするものであります。また資本蓄積のための各種の租税特別措置は、その大部分は、大資本、大会社の利益に奉仕し、しかもそれの利益の増加が実際にコストの引き下げのためにまじめに使われているという保証は何らないのでありますが、その額は、昭和二十五年以来、本年度を含めまして、実に六百億を突破している状態であります。わが社会党は、法人税率を三段階に分け、業種別、各段階別に見て、真にやむを得ない一部を除いては、一切これをとりやめ、所得税、法人税にそれぞれの増収分を見込んだのであります。酒税についても税率の軽減をはかり、これが増収分を勘案いたしまして、四十三億の減を見込んだ、わけであります。間接税は、税率の引き下げとともに、大衆必需品の課税廃止という抜本的減税案を示しました。期末手当、石炭手当の減税措置を講じながら、ここに約一千億減税による民生安定を基幹としたわが社会両党組みかえ案は、ついに衆議院において少数をもって否決の運命をたどったのでありますが、しかし、歴史は必ず、民自両党の共同修正に対し、私どもの組みかえの主張を厳正に批判し、私どもの主張は、近い将来には必ず民衆の圧倒的な支持を得るに至ることを信じてやみません。(拍手)  要は、うその公約を広げて民衆をたぶらかすことでなく、国民の勤労意欲にこたえて、乏しきを憂えず、ひとしからざるを憂えるの政治道義を確立することなしに、何で自衛権の確立があり得ましょうか。(拍手)私ども日本は、原水爆三度の洗礼を受け、その痛手は今なお続き、国民の戦争を回避する熱意はまことに熾烈なるものがあります。過般、原爆症に倒れました高校生千葉君を中心として、学友の作りました映画、「無限の瞳」は、ひとしくわが子の成長をこいねがう全国のお母さん、お父さん方の涙を、そして憤激をしぼり、しかもこの熱意は原水爆禁止署名にも現われ、二千四百万を突破するに至ったことは、いかにわが国民が平和を熱愛し、戦争を避ける熱意に燃えているかを、雄弁に物語るものと言わなければなりません。(拍手)アジア会議を中心として、世界の平和を願う民衆の声に耳をふさいで、よしない軍備の拡張で、国民の健康や知識や、そして最後の生存権までも奪うことは、まことに世界の平和に貢献しなければならない日本民族の使命を忘却したものと言わなければなりません。(拍手)平和と独立と生活の安定を求めるわが日本社会党は、人類の希求する真理にもとるおそれのあるところのこの政府原案、並びに自由、民主両党修正案に対しまして、断固反対の意を表して、討論を終りたいと思います。(拍手)     ―――――――――――――
  14. 河井彌八

    ○議長(河井彌八君) 小野義夫君。    〔小野義夫君豊里、拍手〕
  15. 小野義夫

    ○小野義夫君 私は、ただいま議題となりました政府提出衆議院修正の昭和三十年度予算三案に対しまして、自由党を代表して養成の意見を述べんとするものであります。  鳩山総理は、このたび英断をもって保守合同の促進に乗り出されたことは、一般国民のまことに歓迎するところであると信ずるものであります。御承知の通り、現下世界の動向は、原子力の威力によりまして、軍事、経済、文化、交通の各方面に非常な激動を与え、重大なる変革をきたしております。これがために、政治方面におきましても、また、国内政治問題はもちろん重大ではありますが、その国内政治も、世界政策の動向によって重大な変化を受け、非常な利害をこうむるわけでありまして、欧米諸国はもちろん、近東、中東アジア諸国におきましても、ひとしく国際政治の調整に国をあげて努力している状態であります。しかるに、わが国におきましては、極東の孤島に立てこもり、戦前同様の夢を結び、旧態依然として蝸牛角上に争いをなすような政治家の残存することは、まことに遺憾とするところであります。(拍手)総理の合同意見の発表後におきましても、一部閣僚間におきまして、依然として、政党の伝統性あるいはまた個性を主張する者があるようであります。でありますから、いささか事態は過去に属し、もはや深く追及するには忍びませんけれども、私は、これらの少数意見者のために、若干の意見を開陳せんとするものであります。  民主党は去る二月の総選挙におきまして、衆議院に絶対多数を得られず、民主、自由両党は、その数において単にその位置をかえたにすぎないのみならず、参議院におきましては依然としてきわめて少数にすぎないのであります。かような議会勢力の上に第二次鳩山内閣を組織しましても、吉田内閣辞職の直前に比べて少しも政局の安定を増加したとは言えないのであります。(拍手、「そうだ」と呼ぶ者あり)見方によりましては、かえって弱体化した感があります。従ってせっかく練達有能なる新人閣僚を迎えましても、その手腕を十分にふるわしめることはできないのであります。かくして鳩山内閣は、ようやく国民の期待から離反し、組閣以来何一つとして新政策の見るべきもののないことは、まことに遺憾と申さねばなりません。目下交渉中の日ソ会談のごときも、その政治的基盤が脆弱でありますから、自然と、自信と迫力を欠いていることは申すまでもなく、交渉の初めに当りまして十分なる準備を怠り、いたずらに成功を急いで、ほとんど独走的にソ連にぶちかかったことは、たとえそれがソ連の甘い申し込みにかかったとは言え、われわれは多大の危惧を抱くものであります。鳩山内閣は、今や新内閣としてのはつらつたる生気と新鮮味とを失っておるものであります。このまま継続しましても、現下山積せる内外の重大な問題をとうてい解決することはできないであろうと考えるのであります。かかる病的政局の起死回生の唯一の方策は、保守合同のほかはないと思うのであります。(「変だな」「おかしい理論だ」と呼ぶ者あり)これは国民一般の声であります。これがすなわち鳩山総理がこの英断を下されたる理由の大きなものであろうと存ずるのであります。鳩山総理は予算審議過程におきまして、しばしばその必要を確認せられ、予算の大幅修正についでも、少数内閣としてはまことにやむを得ないと、きわめて率直な告白をせられておるのであります。このように政府及び与党内におかれましても、大勢すでに決しておると伝えられておるにもかかわらず、今政策協定に名をかりて、一部に固陋なる派閥的孤立主義者があって、(笑声)政局の前途に暗影を投じ、時局をこの上混迷に陥れんとすることは、国民のひとしく理解しがたいところであり、許しがたいものがあるのであります。(拍手、「その通り」「予算案討論の本旨に入って下さい」と呼ぶ者あり)総理は、本国会劈頭における施政方針演説において、政府は民主主義のルールを守り、国民大衆の戸をできるだけ施政の上に反映させて、国民と血のつながる明朗な政治を行い、もって人心を一新すると言われたのであります。しかるに政府及び与党の間に執拗なる少数意見の対立があり、大同を捨てて、かえって小異を立てんとするものがあると伝えらるるのでありますが、果してそうだとすれば、総理の高い政治信念であり、かつ民主党のスローガンであるところの、民主主義のルールというものは全く無視され、国民に対する公約は廃棄されたということになるのであります。(拍手)このように総理大臣の施政の根本方針に破綻を生じ、また国会の審議過程において閣僚間の意見の統一を欠き、政務運営の円滑を失い、これがために数次に及ぶ陳謝、懇請の失態を演じたことは、ほとんどその前例を見ないところであります。従いまして、参議院の予算審議もすこぶる危ぶまれたのでありまするが、御承知のごとく三十年度予算は、すでに二回の百定予算によって長期にわたる国務の渋滞を来たしたことは遺憾にたえない次第でありまして、これ以上国民経済に重大な影響を及ぼすことは、まことに忍びがたいところであります。よってわれわれは参議院本来の使命にかんがみ、大所高所より、でき得る限り急速に予算の成立を期した次第であります。  以下数項について賛意の理由を述べますれば、第一、予算編成の基本方針について、われわれは三十年度予算を審議するに当りまして、まず二十九年度予算施行の結果について検討するのは当然であります。すなわち、二十九年度予算は画期的の緊縮予算と呼ばれたものでありまして従来、毎年漸増の傾向にあったものを一兆円以内に食いとめ、同時にその一環政策として金融の引き締めを行い、低物価政策による輸出の増大をはかり、国際収支の改善、通貨価格の安定、貯蓄の増高を企図したのであります。幸いに、これら一連の政策はおおむね予想以上の成果をおさめたと思うのであります。一萬田大蔵大臣は当時日本銀行総裁として、前述の施策に間接また直接に非常に協力されたことは事実でありましょう。従って一萬田蔵相が一兆円を固守せられたことも了解でき得る次第であります。ただ蔵相が、日本経済が富士の八合目まで登ったから、この辺で国民にミルクを与うる用意があると言われたことは、厳格な均衡予算を維持せんとする三十年度の政府原案との間に論議の間隙を生じたのであります。幸いに政府は衆議院の修正に応じて、前年度における預貯金の増大せるにかんがみ、一般会計からの投融資百四十一億及び資金運用部からの国有鉄道貸付四十五億、合計百八十六億を市中金融に振りかえ、よって生ずる財源を減税、公共事業、その他の必要費に振り向け、政府原案に比し、さらに一般会計の上に八十二億を歳入歳出によって減縮して、総額を九千九百十四億に食いとめましたことは、将来のため成功として賛意を表するものであります。  日本経済の現状は、いまだ戦敗の傷痍から十分に立ち直らず、インフレ原因の残存していることは争いがたき実情でありまして、中央、地方を通じ、公私経済において緊縮を行い、いやしくも放漫、冗費に陥ってはならぬと考えるものであります。この意味におきまして、この予算の性格が中央、地方を通じ、緊縮の方向をとっておることは賛意を表する次第であります。  第二、国防費についてであります。防衛費は、陸上自衛隊二万人の増員を中心として、そのほか装備、設備等の増強によりまして、百二十五億を前年に比し増加いたしましたけれども、これと同額を米国との交渉の結果、防衛分担金を減額することによってまかない、国防に関する全体経費としては、前年同様総額千三百二十七億にとどめることができました。国防に関しては相当の論議があるようでありますが、日本が将来国連に加盟し、あるいはまた集団保障によって国家の安全を期すには、国力に応ずる最小限度の武力を保有する必要のあることは、これは最近の西ドイツの実例に見ても、まことにやむを得ない独立国としての義務であり、権利であり、かつ光栄でもあると信ずるものであります。  第三、減税について、政府原案においては、所得税及び法人税を中心として、三十年度三百二十七億、平年度五百十四億となっておったのでありまするが、修正によって三十年度三百九十四億、平年度六百五十五億に減税することになりました。国民の負担の軽減は、国民生活の安定の上からも、また資本蓄積の上からも、今後なお一そうの努力を払う必要があるのでありまして従来とても数度にわたって行われたところでありますけれども、なお前年度における国税及び地方税を通算いたしますれば、国民一人当り一万四千三百六十八円に該当するものでありまして国民所得の点から考えて、欧米諸国民に比して過重なる負担と言わなければなりません。なお政府原案においては、資本蓄積の見地から預貯金利子の減免にいささか偏したきらいがあったのでありまするが、修正によって、事業資本である株式配当所得の控除率を二五%より三〇%に引き上げたことは、金融資本と事業資本との均衡を保つ上において妥当であると考え、賛意を表するものであります。  第四、社会保障に関する件であります。政府原案におきましては、前年度に比し五十二億の増加でありまして、一千億を突破し、予算総額の一割強を示したのでありますが、修正によってさらに九億六千万円を増加したのであります。予算の狭いワク内において社会保障がいかに重点的にまた優先的に取り扱われたかを了解し得るのであります。政府が他方において産業合理化その他の資本的施策を行わんとすれば、ますます社会保障の面に留意するのは当然でありまして、その意図と配慮がなされたことを了として賛意を表するものであります。  第五、貿易振興に関する件であります。貿易拡大、なかんずく輸出振興に努力を払うべきことはもちろんでありまして、政府は前年に比し五億余万円を増加して九億二千余万円を貿易振興費として計上したのでありますが、輸出所得の免税控除率を五〇%から八〇%に引き上げ、またプラント輸出の範囲を拡大したこと、並びに開発銀行、輸出入銀行の投資類の増加を計上したことなど、一連の対策を講じた点は、これをもって満足とは申せませんけれども、その配慮に対し貴意を表するものであります。しかしながら国内資源の開発、自給度の向上に対する努力は、はなはだ不十分でありまして、わが党予算修正の要求も、主としてこの点にあったのでありますが、この程度をもってしては、なお満足することができないのでありまして、この点にさらにそうの努力を傾注しなければ、せっかく立てられた経済六カ年計画は、いわゆる画にかいた餅に終るおそれがあります。しかもこの計画は、わが人口ないし労働力増加率を考えるときに、最小限度の経済計画でありまして、もしこれが達成に失敗しますれば、わが国は重大な失業危機に直面するおそれがあります。政府はさらにこの方面に格段の努力を払われんことを要望するものであります。  第六は、地方財政について、地方財政の現況は、このまま放置することの許されない状況になっております。これが根本的の解決は、地方行政、財政制度の改革に待たなければなりませんが、さしあたり本年度の対策として、専売公社より四十四億七千万円を交付税及び譲与税配付金特別会計に繰り入れ、また入場税の全額を一般会計から都道府県に譲与するなど、当面緊急の措置を講じ、他方今までの赤字については、地方財政再建促進特別措置法を設けて、漸次整理の方針を立て、さらに地方自治法を改正して、機構の簡素化による財政の健全化をはからんとしております。これら一連の措置は、現下の地方財政の対策としては、その考え方には一応の賛意を表するものでありますが、その内容には幾多批判すべき問題が伏在していることを指摘とでおきます。  その他の項目につきましては、おおむね妥当なりと認めて、賛意を表するものであります。(拍手)
  16. 河井彌八

    議長(河井彌八君) 上條愛一君。    〔上條愛一君登壇、拍手〕
  17. 上條愛一

    ○上條愛一君 私は、日本社会党第二控室を代表しまして、昭和三十年度一恨会計予算案ほか二案につき、自由党及び日本民主党の共同修正案並びにその修正部分を除く政府原案に反対し、その理由を簡略に申し述べたいと存じます。  鳩山内閣は総選挙に際して、自主独立外交を主張し、アメリカに対し防衛分担金の大幅削減を交渉して、これを社会保障費その他に振り当てることを説明いたしました。しかるに防衛分担金の交渉を通じてアメリカの圧力に屈し、防衛予算は、日米共同声明によってひもつきとなり、予算編成はアメリカの意向によって左右せられることとなり、自主性なき屈辱的外交の実体を暴露するに至ったのであります。しかも政府は防衛関係費の総額を昨年度並みの千三百二十七億にとどめ得たと称しておりますが、予算外国庫負担契約百五十四億を認め、実質的には昨年度より増加せるのみでなく、来年度防衛関係費の大幅増額は必至となるに至ったのであります。この反面、鳩山内閣は、国民に公約せる社会保障、住宅建設その他内政関係費を圧縮せざるを得ず、困苦窮乏にあえぐ国民生活の保障に対処し得ない結果となったのであります。  従来占領治下にありまして、アメリカの援助に依存し来たったわが国の財政経済は、講和条約締結後は独立経済に移行を余儀なくせられ、さらに朝鮮ブームの去りつつある今日は、窮乏の途をたどりつつあるのであります。すでに炭鉱にあっては中小企業は破綻して、無数の失業者を出し、特需関係労務者の職を失う者あり、綿紡績の操短は強化せられ、農村にあっては耕すべき土地を有せざる二男、三男の数は百万を突破すと称せられておる現状であります。しかるに政府予算案は、生活保護費、結核対策費等を削り、わすかに失業対策費、住宅建設費の増額を見たにすぎないのであります。しかも政府は失業対策費の四十六億増加を誇称しておるのでありますが、これは現在の完全失業者六十二万人を今後二十万人程度増加するものと見込みました対策でありまするが、すでにわが国現下の失業問題は少くとも潜在失業者一千万人を対象としなければならない実情でありまして、国民の中にあって、ボーダー・ラインの生活を続け、生活保護を必要とする数は一千百万人を突破するありさまであります。わずかに四十六億の増額をもって失業問題は解決し得ないゆゆしい現状と言わなければなりません。  また住宅四十二万戸の公約も、これを本予算案によって検討いたしますと、公営住宅はわずかに五万二千戸でありまして、公庫住宅は資金貸付率を引き下げた結果、多くの自己資金を必要といたし、しかも四十二万戸の中の二十四万戸は民間の自力建設に依存しているのであります。鳩山内閣の声明せられる住宅四十二万戸の建設は、国民はひとしく政府の手によって建設せられるものと信じておるのでありまして、本予算案によるこの内容は、全く国民を欺瞞するものと断ぜざるを得ないのであります。(拍手)今やわが国の住宅払底は三百万戸を数え、しかも人口増加による住宅二十万戸を必要とし、災害、老朽その他自然消失住宅十万戸を算する現状でありまして、本予算案にみる住宅対策費のごときは、文字通り、焼石に水と言わざるを得ません。またわが国の社会保険は危機に臨んでおりまして、健康保険のごとき現在六十億も赤字が生ぜんとし、社会保険審議会と社会保障制度審議会の反対を押し切りまして、本国会に提出いたしました保険料率と標準報酬額の引き上げ等を内容とする健康保険法の改正案をもっていたしましても、この赤字を解消することは不可能の現状であります。また結核対策費の減額は、結核対策の後退であるばかりでなく、現につき添い婦四千二百名を廃止いたしまして三億八千万円の節減をはからんとし、結核重病患者に対し一大脅威と不安を与えつつあります。さらに、生活保護費九億円の削減を行えるがごとき、要保護者の日々に増加しつりある今日の社会情勢を軽視するの暴挙でありまして、ことに医療扶助については、一人当りの医療費五千九百九十円を要するにかかわらず、これを三千六百円に押える等、国民生活の実情を無視する予算と言わざるを得ないのでありまして、私どもの断じて承服し得ざるところであります。  次に減税についてでありますが、本年度の減税総領三百九十四億を実現いたしましたことは了とするものでありますが、その減税の内容を見ますると、低額所得者に対する減税とともに、不労所得である預貯金並びに株式配当等に対する減税を行い、また一方、法人税の面におきましては一率に二%の引き下げとなっておりまするが、周知のごとく、現在大企業にあっては貸し倒れ準備金、価格変動準備金、退職準備金等の法人税法の臨時措置によりまして、すでに事実上の軽減が行われておるに対しまして、中小企業はこれらの恩典に浴することを得ず、極めて公平を欠いておる実情であるのに、さらに大企業も中小企業も同率二%の減税を行わんとするがごときは、ますます大企業と中小企業との課税の差をはなはだしくする不公正なる措置と言わざるを得ません。申すまでもなく、税金は担税能力に応じて課すべきことは、その原則であります。今日勤労階級は源泉課税によりまして、その重税に苦しめられつつあるありさまでありまして、これら低領所得者の減税に便乗せしめて、生活に余裕のある不労所得者に対しましても減税を行い、また法人税の一率減税のごとき、いずれも資本蓄積の美名にかくれたる不当の措置と信じます。また減税とともに、一方においては酒税において二百億、砂糖消費税において六十四億と、間接税を過大に見積れるがごときは、勤労大衆を中心とする一般国民のふところをねらうものでありまして、消費の節約抑制を唱える鳩山内閣の政策と矛盾せるものでありまして、国民の承服し得ないところであります。  次に、政府の本予算について最も遺憾な点は、農業食糧政策、特に米価問題に対し、誠意の存しない点であります。政府の公約せる農業政策は、食糧自給の達成、農産物の増産、肥料、飼料等生産資材の引き下げ、災害対策の徹底、食管制度の改革等でありました。しかるに、食糧増産対策費を初め農村対策費の多くは減額せられ、ことに食糧増産に関しましては国際的値下りにたより、国内増産よりも、安い外米を輸入せんとする眼前の安易なる方策をとり、輸入において、米は二十九年度百十四万五千トンを三十年度輸入予定を百三十二万二千トンに、小麦は二十九年度百九十六万三千トンを三十年度予定を二百二十四万四千トンに増加せしめております。これは生産者たる農民に対する圧迫と不安を助長するものであります。(拍手)  また米価問題に対しては、本予算案に米価九千七百三十九円と決定いたしてありまするので、本予算案が通過し、国会終了後に米価問題は強引に決定して、食管会計のうちで操作せんとする魂胆のごとくであります。予算委員会を通じ、野党は、予算に重大なる関係を有する米価のごときは予算審議中に決定すべきことを強く要求せるにかかわらず、米価審議会の議も得られず、ただいままで米価の決定を見ずして、本予算案を国会において議決せざるを得ないのでありまして、これは明らかに政府の国会軽視の態度なりと断ぜざるを得ません。(拍手)  次に、民自両党の共同修正案によって、二百十五億の予算修正が行われたのでありまするが、この両党の折衝の過程において、財政投融資は税金によってまかなうべきでなく、国民貯蓄の増加資金によって支出し、これを資金委員会に諮って重点産業に配分するという原則が認確せられたのであります。これは今日の資金運用部資金を重点産業の投融資原資とせんとするものであります。言うまでもなく、資金運用部資金は郵便貯金、簡易保険、厚生年金保険等の勤労国民の血と汗の結晶であります。かかる運用部資金は、勤労国民の福利厚生、たとえば勤労者住宅、共済事業等の社会保障方面に活用すべきものであって、重点産業の投融資等に利用すべきものでないと信ずるのであります。  また、共同修正予算は六十項目にわたる総花的経費八十八億、投融資六十億が計上せられ、三十一年度以降の予算に重大なる禍根を残すものでありまして、明年度予算は非常な膨張を来たし、インフレ的要素が包含せられるものと見得られるのであります。またこの修正案によると、補助金が零細にわたって総花的に復活せられておりまして、国家的緊要な見地に立っての修正でなく、選挙目的の党利党略的修正であると国民の多くは疑点を有しておるのであります。(拍手)  最後に一言申し述べたいのは、御承知のごとく、今日の日本の人口は八千七百万に及び、さらに年々百万余の増加を見、毎年六十万の新しい労働人口が就職線上に登場する実情であります。この人口問題、家族計画をどうするかということは、政治の重要なる課題であります。すでに昭和二十九年度の妊娠中絶は、届出件数のみで百六万件に達し、さらに、やみの中絶を加えますれば二百万件に及ぶと想像せられます。そして妊娠中絶の手術によりまして、五百名につき一人が死亡し、他に多くの重病者を生じつつありまして、母性保護の見地から見るも重大問題であります。これによって見ても、国民多数の勤労大衆が、いかに多産のために苦しみつつあるかということは明白でありまして家族計画と産児調節は一日もゆるがせにすることのできない国策であります。本年度予算案中、厚生省関係賞において、わずかに三千七百万円の産児調節費が計上せられておるにすぎません。政府はしきりに総合経済六カ年計画を唱えております。しかるに、予算委員会その他、国会において、国防防衛計画を初め、六カ年計画に対する内容を具体的に何ら説明し得ない状態であります。かかる空疎なかけ声だけの経済六カ年計画を呼称する前に、国家百年の大計であり、現下の緊急にして重要対策である家族計回と産児調節のために、政府は予算を計上して、真剣にこれが実現をはかるべきであると信ずるのであります。(拍手)  以上の理由、見地によりまして、私は本予算案に対し、強く反対を表明するものであります。(拍手)     ―――――――――――――
  18. 河井彌八

    ○議長(河井彌八君) 豊田雅孝君。    〔豊田雅孝君登壇、拍手〕
  19. 豊田雅孝

    ○豊田雅孝君 私は緑風会を代表いたしまして、衆議院修正送付にかかりまする昭和三十年度一般会計予算、特別会計予算、政府関係機関予算の三案に対しまして、若干の意見並びに希望を付して賛成するものであります。  鳩山総理は、第一次鳩山内閣の組閣直後、諸政を刷新して人心を新たにし、国民が前途に希望を持つ政治を行うという談話を発表せられたのであります。なおまた、当時施政方針演説においても、占領下に制定せられた諸法令、諸制度につきましては、わが国の国情に即応するように改善するということを言われておるのであります。まさに、その言たるやよく、その意気たるや壮とすべきものがあったのであります。しかるに、今回の鳩山内閣最初の予算とも言うべき昭和三十年度本予算案を検討いたしてみますると、諸政の刷新というに足るようなものを発見し得ないことを悲しむものであります。われわれは少くとも、地方制度及び地方財政の根本的改革、あるいは労働問題、教育制度、税制等につきまして、根本的検討を要望しきたったものであります。おそらく鳩山総理といえども、大臣公邸の廃止、それも現実には廃止でなくて縮小でありまするが、この大臣公邸の縮小程度をもって諸政の刷新とは言われないだろうと考えるのであります。かつて政府の触れ出しが大きかっただけに、国民の失望はきわめて大きなものがあると言わざるを得ないのであります。かように申しますると、経済六カ年計画を発表したと言われるかもしれないのであります。しかしながら、この経済六カ年計画も、同僚議員とともに検討追及いたししたる結果によりますると、これは単なる経済審議庁の希望図というか、あるいは経済見取り図に過ぎないのであります。関係各省との連絡さえもほとんど見通しがついておらないということに、われわれは深く失望をいたしたのであります。ことに経済六カ年計画が経済の自立と完全雇用ということを目標といたしておりまする必然的な結果といたしまして、労働人口を商工業方面に吸収せんとしておるのであります。それにもかかわらず、これを実現せんとする画期的な、また総合的な裏付政策というものも、予算の何らないことを、われわれはきわめて遺憾に考えるものであります。(拍手)もしもかような状態で進みまするならば、経済六カ年計画は、まさに木によって魚を求むるものであるという結果であるのみならず、中小企業の現状等よりもっていたしまするならば、経済六カ年計画の庶幾いたしまするところとは、およそ逆の結果が出てくると考えられるのであります。たとえば経済審議庁長官の答弁によりますると、六カ年間に労働可能な人口が四百三十二万以上増加する。しこうして農業にはほとんど吸収できませんので、商業部門だけにでも二百万以上を吸収させたいと言っておられるのであります。いやしくも経済六カ年計画が、農村人口の飽和状態になっておるという現状に立脚いたしまして、今後の労働人口のほとんど全部を商工業に吸収せんとする計画でありまするならば、これが裏付となるべき画期的な輸出振興対策、あるいは危機に直面しておりまする中小企業等に対しまして根本的なる育成振興策を急速に樹立するとともに、さらに進んで各方面の総合計画を確立推進し得るような態勢の整備を強く要望せざるを得ないのであります。  民主、自由両党の共同修正によりまする修正額は二百十五億円となっておるのでありまするが、その財源は主として資金運用部引き受けの金融債と合計して百八十六億円を市中消化にゆだねたものであります。従って修正後の一般会計は九千九百十四億円でありまして、政府原案に比してかえって八十二億円の減少となっております。この点から政府は一兆円予算を堅持し得たものとしておるのでありまするが、実質的には、市中金融へのしわ寄せによりまして予算の増額修正をしたものと何ら変らないのであります。加うるに政府の原案におきまして、すでに専売納付金あるいは地方譲与税等を一般会計を通ぜずして処理しておるのであります。さらに予備費を極度に圧縮し、あるいは防衛庁費におきまして予算外負担契約までをしておるのであります。加うるに民、自両党の共同修正によりまして補助金整理という看板は著しく後退させられたのであります。  食糧管理特別会計は、米価の減収加算、予約買付制によりまする米価決定に伴う支出の増加によりまして、いよいよもって弾力性を喪失せんとしておるのであります。これらの諸点を総合的に考慮いたしまするときに、いわゆる一兆円予算というものは実質的にはくずれてきたというのほかないのであります。その結果は、政府側でも明年度の予算規模は一兆円を越えると明言しておりまするごとく、明年度以降における予算膨張の大きな原因を作ったものと断ぜざるを得ないのであります。それだけに将来インフレ抑制につきましては、細心の企画と万全の措置を衷心より要望せざるを得ないのであります。  なお、私の憂慮いたしまするところは、従来資金運用部資金で引受けておりましたるところの金融債を市中消化にゆだねたのでありますが、果してこれを今後長期にわたって円滑に消化し得るであろうかどうかという懸念なきを得ないのであります。かりにこれを消化することができたといたしましても、少くとも長期金融市場をそれだけ圧迫することになりまして、結局中小企業金融にしわ寄せとなり、さらにはまた金利引き下げを困難ならしめるという懸念が多分に生じてくるのであります。加えるに地方公共団体においても多額の再建整備債を発行することになるのでありまするが、果してこれを正常に消化し得るやいなやにつきまして、多大の懸念なきを得ないのであります。かように見きたりますと、今回の予算案は、特に金融市場に対しまして幾多の困難な問題を投げかけているといわざるを得ないのであります。一方におきましては、資金委員会が設置せられることとなっておるのでありまするが、私は将来金融統制強化のこれが端緒になるのではないかということを深く憂うるものであります。特に過去におきまして、最も苦い経験をもっておりまするところの、例の傾斜金融の弊害が現われてくるのではなかろうかということを憂慮するものであります。かような意味におきまして、資金委員会の組織、構成あるいは運用方針等の策定に当りましては、十分な戒心と留意を払うように強く要望するものであります。  要するに今回の衆議院修正送付にかかりまする本予算案は幾多の問題をはらんでおりまするだけに、政府は周到なる企画と万全の措置をもって進まれたいと要望せざるを得ないのであります。同時に本日の新聞紙上にも現われておりまするが、補助金の不正、不当使用の防止、粛正につきましては、特別の措置を講ぜられることはもちろんでありますが、一般国費の使用につきましても、不正、不当の事例がきわめて多い現実にかんがみまして、政府はこれが粛正と予防について、真剣なる全幅的努力を要望するものであります。  今や国民は、再度にわたる暫定予算によりまして、すでに深刻なる影響を受けておりまするがゆえに、不完全なものにせよ、本予算案のすみやかなる成立を待望しておると考えられるのであります。加うるに一兆円予算をとにもかくにも維持し得たということは、国民心理に及ぼす影響は悪くないと考えられるのであります。また増改築を含めてはおりまするけれども、四十二万戸の住宅建設が行われるということも、われわれの賛意を表するところであります。あるいはまた、低額所得法人に対しましては特別の法人税引き下げを行い、まだ従来になかった選択による概算所得控除制度というものを今回新設することに至りましたること等につきましては、従来の税制に一脈の新味を導入するものといたしまして春意を表するところであります。  われわれ緑風会に所属いたしまするものは、これらの諸点を深く勘案いたしましたる結果、風上の意見と希望を付しまして、衆議院修正送付にかかる本予算案に養成の意を表するものであります。(拍手)     ―――――――――――――
  20. 河井彌八

    ○議長(河井彌八君) 木村禧八郎君。    〔木村禧八郎君登壇、拍手〕
  21. 木村禧八郎

    ○木村禧八郎君 私は、ただいま上程の三十年度予算三案に対しまして反対いたすものであります。  対外的にも対内的にも全く自主性を失ったこの三十年度の予算が、いかに不健全であるかということは、両派社会党の代表の方々、あるいはただいま立たれました緑風会豊田雅孝氏によっても、詳細にこれは指摘されたところでありますので、私は重複を避けて、これは繰り返しません。時間もありませんので、簡単に、またきわめて常識的にこの予算案に対する私の見解を述べまして、反対討論といたしたいと思います。  終戦後十年を経ました現在の日本の経済の一番大きな矛盾は、防衛負担が日本経済の自立と、国民生活の安定を妨げておると、この点が一番私は重大な点ではないかと思うのであります。いかに防衛負担が日本の経済自立を防げておるかという点につきましては、明らかに貿易統計がこれを示しておるところでありまして、なるほど、昨年度の日本の輸出は金額としては十六倍二百万ドル、輸入が二十二億五百万ドルでありまして、金額はふえておりますけれども、これを数量、指数についてみますと、戦前基準で、輸出はわずかに戦前の三五%にすぎません。また輸入は七四%にすぎないのであります。これをアメリカについて見ますれば、アメリカは輸出について二二四%イギリスは一六八%、フランスは一八一%、西ドイツは一五五%、イタリアも一〇二%、いずれも数量、指数において戦前を突破しておるのであります。ところが日本は戦前のわずかに三五%です。生産指教は戦前に対して一六九になっておりまして、七割くらい生産費はふえておりますが、輸出がこんなに数量から見て低調をきわめておるであります。ここに日本経済の大きな穴があると思うのであります。そのために国内においては完全雇用はなかなかこれが困難である。景気もなかなかよくならない。従ってこの輸出を数量からいっても、少くとも戦前水準にまでこれを引き上げるということが、一番重大な今の課題ではないかと思うのであります。なぜ輸出が数量から見て戦前水準に達しないで、わずかに三割五分にすぎないか、この原因にはいろいろあると思うのでありますが、アメリカカナダ等から高い原材料を買わざるを得ない。あるいは塩などは地中海から買わなければならぬとか、またアメリカが日本の貿易を制限しているとか、いろいろありましょうが、私は一番の根本は、日本の物価が国際的に高いという、物価高ということが一番大きな基本的な原因ではないかと思うのです。この物価高をもたらしている基本的な原因は、不生産的な防衛支出、これが非常に日本経済において大きな比重を占めて、そのために輸出貿易の方に金がいかないというだけではなく、これがもう潜在的なインフレの要因になっておりまして、いかに合理化のいろいろ手段を講じても、この不生産的な防衛費の、日本の物価を引き上げる潜在的インフレの圧力というものは、これは日本の輸出を伸張せしめる上において非常に大きな障害の原因になっておると思うのであります。従ってそういう面から見ても、私は防衛費を多額に今計上する時期ではない、そんな経済ではないと思う。今日まで、なるほどアメリカさんから中古兵器として、これまで大体一千五百億円援助を受けました。これに対して日本側の防衛負担は、旧軍人恩給費も含めてでありますが、今日まで約八千億円という防衛費を使ってきております。アメリカから千五百億円の援助を受けて、それを呼び水として八千億のそういう不生産的な防衛費を使ってきておるわけです。それが非常に大きな潜在的なインフレ圧力になって、そうして物価をなかなか下げさせない。  さらにまた、この防衛費がいかに国民生活を圧迫しているかということは、しばしば各員からも指摘されているところであります。簡単にその指数だけとってみましても、完全失業者は、本年三月末八十四万、最近七十万に減りましたが、しかし七十万という完全失業者は、これはあのドッジ・ラインのとき、昭和二十五年の不景気のときの倍近いものであります。さらにまた、不完全失業、潜在失業八百万ないし一千万人、貧困者ボーダー・ラインといわれる生活保護を受ける一歩手前の要保護者は一千二百万人もおる。そうしてわずかに百九十五万しか保護を受けておらない。結核患者は、川崎厚生大臣の説明によりましても、昭和二十八年現在で二百九十二万人おるのであります。即時入院をしなきゃならぬ人が百三十七万、これに対して病院のベッドは、本年度末で二十一万ベッドにすぎない。住宅不足も、かりに四十二万戸、ことしできたところで、まだ二百四十万戸も住宅は不足しております。年々また人口が増加して、住宅不足は加重されると思う。学校の校舎の不足は、六百八十一万坪にも上っておる。この建設費は二千億円にも上るといわれています。また、災害復旧も周知のように、過年度災害さえこれが復旧しておらない。国土は荒廃し、日本には窮乏と貧困がこのように拡大されている。こういう状態において、不生産的な防衛費は、どうしてこれがこのように三十年度予算においてたくさん使えるような状態にあるでありましょうか。それにもかかわらず、三十年度予算におきましては非常に多額の防衛費を計上しています。政府は、防衛費千三百二十七億円で、前年度と同じであると言いますけれども、金額は同じでも、前年度と全く条件が違っております。  アメリカから報道されている通信によりますと、日本は今度ジェット機を中心として空軍を増強するに至りましたが、これは、これまでの防衛型の日本の軍備から、攻撃型の軍備に移るものであって、そうしてアメリカが日本にこういうことを要求するということは、アメリカの対日政策の重大な変化である。こういうことが伝えられているのであります。ジェット機が空軍中心になりますと、飛行機の消耗度が非常に早いですし、あるいはまた金額は上ります。今後は防衛費は急速度に増加していくと思うのであります。そういう礎石が三十年度予算においてこれが作られる。この点は二十九年度と著しく違う点であると思います。日本の防衛計画がここで質的に変化を遂げてきた。そのために、今後の防衛費は急速にふえる。あるいはまた、昨年は五億八千九百万ドルの特需を前提として千三百二十七億の防衛費が計上されました。ことしは四億二千万ドルしか特需がない。いわゆるアメリカ援助と防衛計画は密接な関係がありまして、MSA援助というものを当てにして防衛をしたのであります。ところが特需は昨年に比して一億六千九百万ドル、邦貨にして六百八億円も減っているのであります。  またアメリカは、日本に対する兵器発注を減らしました。そのかわりに、日本の政府の軍事予算をふやして日本の防衛産業に発注せよ、こういうことがアメリカから要求があったといわれています。ロス・アメリカ国防次官補も、そういうことを要求したということが新聞に出ております。このためにアメリカ発注が少くなって、日本の兵器産業は破綻しつつあります。富士自動車などはその顕著な例であります。  そういう半面、おそらく来年度の予算として出るのでありましょうが、日本の兵器産業を国有にするということがいわれています。そうしてまた、アメリカ兵器の注文を受けている場合には、これはドルの外貨収入になると思います。そのためにこれまでの政府は、兵器生産は輸出と同じである、外貨獲得に役立つ、そうして奨励して参りまして、現在までに約一億ドルの兵器注文を受けられるだけの設備に拡充されたといわれています。それが一千万ドルに減ってしまった。そうして今度日本の政府がわれわれの税金で軍需会社兵器を発注する、その場合には、これは外貨獲得になりません、われわれの身を食うことになるのであります。そういうように条件が著しく違ってきております。同じ千三百二十七億でも、非常に条件が違ってきているのであります。従ってその防衛負担というものは著しく大きくなってきている。特に三十年度以後における防衛費は非常にふえるそういう基礎を三十年度予算において作った、日米共同声明を通じて作ったということは、これはきわめて重大と言わざるを得ないと思います。  で、私が主張したいことは、もしジェット機一台作る金があるならば、たとえばこれは二億円ぐらいであります。二億円あれば、生活困窮者は、一カ月一万円補助するとしまして、千六百六十世帯救済できます。五人家族で八千三百三十人が救われる。百機のジェット機で八十三万人が救われます。また、ジェット機一機で五十万円の家が四百戸建ちます。自衛隊員一人が一カ年五万円の税金を使って戦争の訓練をしているときに、それで救える筈の四十二人の結核患者が、病院のベッドがなくて泣き悲しんでいる。ジェット機一機作るために、八千三百三十人の生活困窮者が、生活苦に喘ぎまして、自殺、心中、あるいは娘を売ったり、あるいは妻が貞操を売ったり、強盗が横行したりしているのであります。こういう状態を放置して、どうして防衛費をこのように多額に計上できるでありましょうか、日本の経済はそんななまやさしい経済ではありません。一銭一厘たりともこの不生産的な防衛費に使うことができるような余裕のある経済ではないのであります。防衛費にこの多額の経費を使うために、貧困、国土荒廃、日本の経済自立はここで妨げられているわけでありまして、全くこれは吉田内閣及び鳩山内閣の政治の貧困体ら来ていると思うのであります。鳩山首相は友愛の精神を説かれています。友愛の精神というのは、今われわれが指摘しましたような、そういう日本の全土に、日本の南北を貫いてあふれているところのこの貧窮状態を、防衛費を思い切って削って、そうしてこれを救済しなければならぬ、それこそが友愛の精神であると思うのであります。(拍手)  これをもって私の討論を終ります。(拍手)     ―――――――――――――
  22. 河井彌八

    ○議長(河井彌八君) 堀木鎌三君。    〔堀木鎌三君登壇、拍手〕
  23. 堀木鎌三

    ○堀木鎌三君 私はここに日本民主党を代表して、昭和三十年度予算三案に賛成をするものであります。  けだし、その理由とするところは、まず歳入においてよく歳出の自然膨張を抑制して、平年度約六百五十五億円に上る減税をなしたことであります。減税のおもなるものは、所得税においては所得税の基礎控除及び給与所得控除の限度の引き上げ、専従者控除の限度額の引上げ、税率の引き下げ、寡婦控除額、不具者控除額の引き上げ、選択による概算所得控除の新設等によりまして、勤労者、中小企業者及び農民等の低額所得者を中心として、その軽減をはかったことであります。その結果夫婦及び子三人の標準世帯の給与所得者は、平年度において年収二十三万一千円以下の場合は所得税を課せられないこととなったのであります。また法人税につきましては、これが税率を百分の四十二から百分の四十に低下するのほか、年収五十万円以下の所得に対しては、特に百分の三十五の税率の低下を認めましたことは、いわゆる中小企業者に対する福音であって、負担の公平、資本の蓄積と事業意欲の向上に資すること大であると思うのであります。さらに進んで資本蓄積の面におきましては、臨時に預貯金利子に対する免税、配当所得に対する源泉課税の軽減、配当控除額の引き上げ等を断行するとともに、生命保険料控除の限度額を引き上げることといたしております。以上のほか、輸出振興のため、輸出所得控除の限度額の引き上げ、また一方住宅建設促進に資するために、新築貸家に対する特別償却額の引き上げ等、税制上の優遇処置を講じておるのであります。これらの措置によりまして平年度において六百五十五億円、本年度において三百九十四億円の減税を行い得たことは、よく国民の期待に沿うものと言わざるを得ません。これ賛成第一の理由であります。  歳出面におきましては、その歳出の総ワクをよく一兆円内、すなわち九千九百十四億円にとどめたことであります。昨年度、一般会計歳出規模はほぼ同額の九千九百九十一億円でありましたが、その自然増等を考慮いたしますときは、本年度はおそらく一兆を超過したに相違ないのであります。よく財政の膨張を抑制して国民負担の軽減をはかったというべきであります。しかも昨年度は二十八年度よりの繰り越し額二千四十九億円に及び、財政面よりする散超、実に千九百億円に上ったのに対しまして、本年度は散超わずかに七百億円と推定せられます。金融へのしわ寄せを極力圧縮いたしましたことは、財政面よりするインフレ要因をなくし、金融正常化への一歩を進めたもの、と言わなければなりません。従来一般会計の散超は金融引き締めにより、揚超は日銀貸し出しの増加によって観望されてきたのであります。財政面よりする支払い超過を極力なくすることによって、多量に集まった預金がそのまま民間の貸し出しに向い得ることになり、金融の正常化と低金利政策の基盤を培養し得るのであります。かくて税制面よりする資本蓄積の諸政策と相待って、ますますその効果を発揮するものと言わねばなりません。これ賛成第二の理由であります。  歳出面におきまして特に注目を引きますのは住宅対策であります。財政資金により十七万五千戸を建設することを目標といたしまして、一般会計において二百十八億円を計上するのほか、資金運用部資金等の財政投融資を含め、昨年度に比し百四十億円を増加いたしまして、実に四百二十四億円を計上いたしておるのであります。また自力建設を促進するため、税制上の優遇措置、住宅融資保険制度等、各種の施策を講ずることによりまして、本年度は四十二五戸、十カ年をもって二百八十万戸に及び住宅不足を解消せしめんとしておるのであります。世界各国とも大戦後民生安定のため、住宅問題の解決については異常の努力を払っておるのでありますが、政府がこの際、社会政策的見地より重点を本問題の解決に努め、積極的努力を傾倒せんとするは当を得たものと言わねばなりません。また二十八年度のインフレ傾向強き予算より、二十九年度予算においては急激にデフレ的予算に移行いたしましたため、そのしわ寄せは労働者、中小企業者等に寄せられ、失業者は増大し、中小企業者の倒産、不渡手形の増大する状況にかんがみまして、失業対策費を増額し、一日平均吸収人員を十七万人より二十二万人とし、うち三万人を特に特別対策事業として、事業効果の向上に意を注ぎ得たのは適切な処置と言わねばなりません。失業対策賞は逐年増加いたしまして、本年度においては実に百六十八億円に及ぶ多額の経費を計上するに至ったのであります。政府はよろしく、この際失業対策事業をして従来の怠惰にして非能率的なる性格を一掃して、計画的にして恒常的な事業に吸収するとともに、能率的な職場体制を確立し、勤労意欲の高揚をはかり、もって経済再建につながる事業たらしむることに一段の努力と工夫をされんことを切望してやみません。  さらに中小企業に対しましては、国民金融公庫、中小企業金融公庫、商工中央金庫等の資金源をいずれも昨年度より増額いたしております。また信用保険契約の限度額を引き上げる等の金融措置をなしますとともに、組織の強化、合理化、輸出振興、技術の向上のための経費を計上しておるのであります。以上のほか社会保障関係経費、文教関係経費、軍人恩給関係経費等、いずれも国民生活の安定と文教の充実に努めた跡を認めることができるのであります。これ賛成第三の理由であります。  防衛関係経費につきましては、最近世界各国は平和への努力を重ね、国際緊張は緩和されつつあることは認められますが、それだからといって、自国を防衛する意思なき国民は亡国の民と言うべく、自国の防衛を他国に依存するがごときは隷属国の態様と言うべきであります。もちろん自国を自国のみの軍備をもって守るべき時代はすでに過ぎ、世界は集団安全保障体制に移行しつつあるのでありますが、それだけ集団安全保障体制に対する義務を果し得て、初めて独立国としての尊敬と信頼をかち得るものと言わねばなりません。この見地に立ちますとき、わが国が真の独立達成のためには、国連に加入し、自由主義国家間との集団安全保障体制を確立するためにも、すみやかに自衛のための軍備を充実しなければならないのであります。特に日米間の安全保障条約に基き、共同防衛体制の確立のため、自衛力の漸増と駐留軍の漸減とは日本の義務でもあり、また日本の主張でもあるべきはすであります。しかしながら、特需依存の経済を脱却し、自立経済達成にいまだ日近からざる現状において、防衛関係経費の増大は、(「簡単簡単」と呼ぶ者あり)それだけ国民生活に圧迫を加えることは言うを待たないのであります。かく考えますとき、防衛庁経費の増額をはかりつつ防衛分担金を減額し、防衛関係経費を昨年度同様千三百二十七億円にとどめたことは、債務負担行為において七十四億円の増額ありといえども、政府の努力を認めざるを得ないのであります。ことに二十七年度においては防衛関係経費は千八百億円に及んだ、これから見ますと、約五百億近い減少となっておるのであります。これ賛成第四の理由であります。  日本経済を再建し、特需依存経済を一日もすみやかに脱して、正常なる国際収支により、自立経済を達成し、完全雇用の区域に至りますことは、容易のわざでないのであります。わが国の貿易は一昨年の国際収支の逆調と特需の減少に驚き、にわかにデフレ政策に転換したのでありましたが、昨年度は特需の減少にかかわらず、国際収支は三億四千万ドルの受取超過と好転を見たのでありまするが、これをもって日本経済が立ち直ったと即断するがごときは、厳に戒しめなければならないと思うのであります。わが国の経済はなお多くの弱点を包蔵しておるのであります。ことに、世界各国が過去数年の間、経済再建のため困苦に耐え、通貨の安定と貿易の拡大に努め、今やその当初の目的を達成して、貿易の自由化と通貨の自由交換性回復を目標として着実な努力を重ね、国際競争に立ち向わんとしておる今日の現状を考えますときは、一そうその感を深くするものであります。すなわち、国際収支の好転も物価高のため出血輸出か、リンク制による輸出によることが多く、ガット加入を目標にして、リンク制はこれを廃止すべきであり、物価はなお関際価格に比して割高のものが多いのであります。また設備は老朽化して、近代化、合理化を強力に推進せねばならないのにかかわらず、企業はオーバー・ボローイングと金利高にあえいでおるのであります。生産性の向上と、単位コストの低下こそ、国際競争に堪え得る道と言わねばなりません。ことに基礎産業たる石炭産業の合理化、鉄鋼産業の近代化、電力開発の推進、化学工業の拡大等は、日本経済に課せられたる絶対の要請であります。  この見地よりいたしまして、貿易の振興対策として、輸出免税の拡大、輸出入銀行に対する財政資金の充実等をはかり、海外市場の維持拡大に努力をするとともに、民間資金の消費面への性向を極力圧縮して事業資金の充実に努め、これら基礎産業の合理化、近代化、能率化をはかり、さらに進んで国内資源の開発、農地の造成等による自給度の向上を目標とせねばならないのであります。本年度予算において、一般会計、資金運用部資金等において、ほぼ前年度程度の財源を調達するのほか、新たに砂糖等輸入特殊物資の超過利潤の吸収により七十億円、余剰農産物買い入れによる見返資金二百十四億円を加えまして、総額三千百九十六億円を計上し、昨年度に比し三百四十六億円を増額しているのであります。一(「自由党より長いぞ」と呼ぶ者あり)しこうしてその配分については、いずれも以上申し述べましたところにより、経済六カ年計画にのっとり配分の適正を期しているのであります。これ賛成の第五の理由であります。  最後に一言いたしたいことは、自由、民主両党共同修正案による三百十五億円の財源を結局公債によらず金融債により、しかもその財源を新たなる民間の善積資本に依存いたしましたことは、インフレに対する警戒と用意を怠らなかったものと言うべきであります。われわれは公債発行そのものが悪いというのではないのであります。公債発行の経済基礎条件がいまだ整っていないというのであります。また税金を財源としての新たなる投資を避け、民間の蓄積資本によるべしという主張にも反対するものではないのであります。ただ、それがために必要な経済諸条件を整えることを前提とすべしとするものであります。(「これが賛成第六の理由であります」と呼ぶ者あり)さらに、防衛関係費を削減して、それによって財源を求め、他の経費に充当すべしとする安易な考え方は、わが国の現状と世界政治の実態に反し、現実性に乏しきものと言わねばなりません。ことに世界各国が世界大戦後の窮乏の中から、よく世界平和のため自国の防衛と集団保障体制の確立に努力を重ね、今やほぼ目的を達成し、その自信の上に立って初めて平和攻勢に対処し、世界の緊張の緩和と平和確立のために努力していることを思わねばならないのであります。防衛関係費を削除することによって財源を捻出し他の経費を計上する、単純な方式を毎年繰り返して主張することは、問題の解決には何ら役立たないのであります。  以上、要するに本年度予算は、よく財政を圧縮して国民負担の軽減をはかり、一兆円のワク内において重点的に公約実施に努力したと認めざるを得ないのであります。経済を再建し、自立経済を達成することは、決して容易なわざではないのであります。わずか過去一年の努力をもってしては達成せられるものでないことは、世界各国の例に徹しても明らかであります。本年度を地固めとして国民の理解と協力を得て、財政経済の健全化に努め、明るい将来の一日も早く到来せんことを祈って、私の養成演説を結ぶ次第でございます。(拍手)
  24. 河井彌八

    ○議長(河井彌八君) これにて討論の通告者の発言は、全部終了いたしました。討論は終局したものと認めます。  これより三案の採決をいたします。三案全部を問題に供します。三案に賛成の諸君は白色票を反対の諸君は青色票を御登壇の上、御投票を願います。氏名点呼を行います。議場の閉鎖を命じます。    〔議場閉鎖〕    〔参事氏名を点呼〕    〔投票執行〕
  25. 河井彌八

    ○議長(河井彌八君) 投票漏れはございませんか……投票漏れはないと認めます。これより開票いたします。投票を参事に計算させます。議場の開鎖を命じます。    〔議場開鎖〕    〔参事投票を計算〕
  26. 河井彌八

    ○議長(河井彌八君) 投票の結果を報告いたします。  投票総数 百九十八票  白色票 百二十九票  青色票 六十九票  よって三案は可決せられました。  (拍手)      ―――――・―――――    〔参照〕  賛成者(白色票)氏名 百二十九名     上林 忠次君  片柳 眞吉君     加賀山之雄君  梶原 茂嘉君     柏木 庫治君  飯島連次郎君     石黒 忠篤君  山川 良一君     赤木 正雄君  森田 義衞君     森 八三一君  溝口 三郎君     三木與吉郎君  三浦 辰雄君     廣瀬 久忠君  早川 愼一君     野田 俊作君  豊田 雅孝君     常岡 一郎君  土田國太郎君     田村 文吉君  館  哲二君     竹下 豐次君  新谷寅三郎君     島村 軍次君  佐藤 尚武君     河野 謙三君  小林 武治君     後藤 文夫君  岸  良一君     北 勝太郎君  加藤 正人君     関根 久藏君  瀧井治三郎君     伊能 芳雄君  青柳 秀夫君     高野 一夫君  西川彌平治君     石井  桂君  白井  勇君     川口爲之助君  吉田 萬次君     酒井 利雄君  佐藤清一郎君     高橋  衞君  木村 守江君     谷口弥三郎君  宮本 邦彦君     長島 銀藏君  長谷山行毅君     横川 信夫君  石村 幸作君     岡崎 真一君  木内 四郎君     石原幹市郎君  植竹 春彦君     松岡 平市君  剱木 亨弘君     大谷 瑩潤君  一松 政二君     山本 米治君  西郷吉之助君     木村篤太郎君  左藤 義詮君     郡  祐一君  中山 壽彦君     草葉 隆圓君  重宗 雄三君     津島 壽一君  井上 清一君     青木 一男君  大野木秀次郎君     島津 忠彦君  大谷 贇雄君     雨森 常夫君  西岡 ハル君     重政 庸徳君  鹿島守之助君     深水 六郎君  藤野 繁雄君     青山 正一君  入交 太藏君     榊原  亨君  高橋進太郎君     上原 正吉君  仁田 竹一君     田中 啓一君  岡田 信次君     小滝  彬君  小野 義夫君     平井 太郎君  川村 松助君     堀  末治君  白波瀬米吉君     西川甚五郎君  秋山俊一郎君     松野 鶴平君  中川 以良君     吉野 信次君  泉山 三六君     黒川 武雄君  井上 知治君     池田宇右衞門君 岩沢 忠恭君     遠藤 柳作君  紅露 みつ君     有馬 英二君  最上 英子君     深川タマヱ君  平林 太一君     菊田 七平君  寺本 広作君     木島 虎藏君  白川 一雄君     鈴木 強平君  杉原 荒太君     武藤 常介君  中川 幸平君     堀木 鎌三君  三浦 義男君     小柳 牧衞君  石川 清一君     西田 隆男君  苫米地義三君     三好 英之君  石坂 豊一君     一松 定吉君  松原 一彦君     笹森 順造君     ―――――――――――――  反対者(青色票)氏名  六十九名     山本 經勝君  平林  剛君     加瀬  完君  永岡 光治君     三輪 貞治君  湯山  勇君     大和 与一君  木下 源吾君     内村 清次君  秋山 長造君     阿具根 登君  海野 三朗君     山口 重彦君  片岡 文重君     大倉 精一君  河合 義一君     岡  三郎君  亀田 得治君     小松 正雄君  永井純一郎君     近藤 信一君  竹中 勝男君     清澤 俊英君  成瀬 幡治君     森下 政一君  小酒井義男君     佐多 忠隆君  重盛 壽治君     江田 三郎君  小林 孝平君     田畑 金光君  高田なほ子君     安部キミ子君  矢嶋 三義君     藤田  進君  田中  一君     戸叶  武君  栗山 良夫君     吉田 法晴君  藤原 道子君    小笠原二三男君  若木 勝藏君     山田 節男君  天田 勝正君     松本治一郎君  三橋八次郎君     千葉  信君  羽生 三七君     野溝  勝君  荒木正三郎君     三木 治朗君  曾祢  益君     山下 義信君  市川 房枝君     八木 幸吉君  東   隆君     松浦 清一君  赤松 常子君     八木 秀次君  加藤シヅエ君     千田  正君  松澤 兼人君     上條 愛一君  長谷部ひろ君     木村禧八郎君  相馬 助治君     村尾 重雄君  棚橋 小虎君     堀  眞琴君      ―――――・―――――
  27. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 私はこの際、立川地区強制調査に関する緊急質問の動議を提出いたします。
  28. 天田勝正

    ○天田勝正君 私は、ただいまの成瀬君の動議に賛成いたします。
  29. 河井彌八

    ○議長(河井彌八君) 成瀬君の動議に御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  30. 河井彌八

    ○議長(河井彌八君) 御異議ないと認めます。よってこれより発言を許します。成瀬幡治君。    〔成瀬幡治君登壇、拍手〕
  31. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 私は、日本社会党代表いたしまして、立川基地の強制調査のことについて、関係大臣に若干の質問を試みるものであります。  七月一日の各新聞紙は一斉に立川飛行場拡張に関して、この強制測量立ち入り調査について、種々報じておるのでございますが、「三十日午後四時、東京調達局は立川基地拡張反対の東京都北多摩郡砂川町の全町民の反対を押切って強制立入りを決行、実地測量のクイを同町四番祖先、五日市街道沿いに打ち込んだ。しかし同日朝から待機していた町民の反対同盟行動隊や応援の労組員らに押し返され五十メートルほど実測しただけでわずか二十分で引揚げた。」こう新聞は報じておるのでありますが、飛行場拡張問題が提起されたのは、もとをただしますと、防衛分担金に関する日米交渉による四月十九日の共同声明に事を発するのでございます。すなわち第二項に、「前記の防衛分担金のほか、日本政府は飛行場を拡張し、また在日米軍使用する施設の所有者並びに提供者に対し、補償するため約八十億円の予算を計上する。院また後段に、「日米安全保障条約には、日本が自国の防衛のため、漸増的に、みずから責任を負うことの期待が表明されていることが想起される。また、日本自衛隊を、漸進的に増強することが日本政府の基本政策である。このような期待と政策に従って、昭和三十一年およびそれに引き続く年間において、自己の資力のより大きな部分を防衛目的のために振向けることが、日本政府の意向であり、政策であることが明らかにされた。しかしながら、日本政府の直面する財政的困難、なかんずく、本、日本会計年度は、日本の経済安定の成否を決する年であるということにかんがみ、米国政府が本年度における特別の協力措置として、本会計年度以降には適用されない、前記の防衛分担金減額に同意したものである。」、こうあるのでありますが、しこうして交渉は鳩山内閣が期待したごとく何ら進展も発展もせず、苦しい折衝を続けられたために、国会開会がおくれたことも事実であります。しかしより重大なことは、交渉の結果が予期に全く反し、防衛分担金削減どころではなくて飛行場拡張を約束したのみで、やぶヘビの結果となった点であります。そこで鳩山総理にお伺いいたしますが、防衛分担金を削減して、建築とか住宅建設あるいは社会保障制度に回すという、そういう約束をされたのですが、この公約された点についての政治責任をいかにお考えになっておるか。以上が第一点でございます。  第二点は、日米共同声明の拘束性についてのことでございますが、政治的責任を負うという総理は答弁をされておるのでありますが、鳩山内閣以外の内閣が出現した場合は、どうなるのか。ただ政治的責任があるという言葉だけでは済まされない問題だと考えるのでございます。結局義務づけられて、防衛関係費を増加すべきであると解釈するのが正しいと思うのでございますが、いかなる御見解か、お答えを願いたいのでございます。  第三点は、現在拡張を発表されておる立川、小牧、横田、木更津、新潟、伊丹の六飛行場のほか、米軍の要求があれば、その要求に応ずるのか、拒否するのか、六飛行場以外は今年度中、少くとも来年度は拡張せないというのか、それとも拡張するのか、それが承わりたいのでございます。  次に、調達庁関係の西田国務大臣にお尋ねしたいのでございますが、使用認定の立ち入り調査についての見解は、河原東京調達局長の談にあるごとく、市町村長の公告というようなことは問題にならない。すなわち、土地収用法第十一条第一項のただし書きで、立ち入り調査ができるという解釈でありますが、これは立ち入り権についての規定であって、具体的立ち入り調査を行う場合には、第十二条の一項から四項までの手続並びに制約を受けるべきである。立ち入り調査は、何といったって、私有財産権の侵害であります。もし、かりに調達庁側の見解に従えば、憲法第二十九条保障されておる財産権保護されないことになります。土地収用法財産権保護立法であります。また第十二条一項、二項、三項、ともに前条または前項を受けておるのであって、第十一条ただし書きのみで足れりとする解釈は誤りである、こう考えるのでありますが、所見を承わりたいのでございます。特にこの問題は、私は大臣から直接に御答弁が承わりたい。こういう法律を無視したような格好で私たちはやられては大へんだと、こう考える。あくまでもこういう解釈は私は誤りであると思う。もし誤りでないとするなら、私はどういう権限に基いて立ち入り調査したのか、これを明確に御答弁が願いたいのでございます。  次に、大麻国務大臣にお尋ねいたしますが、きょうから国警一本化に警察制度はなったわけでございますが、去る六月二十日、砂川町長と小林議長の連名でもって高乗第八方面本部長あてに、警官の出動に際しては鉄かぶと、警棒、ピストル等を持ってきてもらっては非常に刺激することになるから、一つそういうことはやめてほしい、考えてほしいと、こういう公文書を出したのでございます。それに対して高乗方面本部長は、町長や議長等の指示は受けないと、ばか呼ばわりをして、その公文書を突っ返しておるのでございますが、これは警官のとるべき態度ではないと考える。警官は少くとも民衆のものでなければならないと考えるのでございます。かかる態度をとられるような本部長に対して、新聞を見ますれば、総務課長に伝動されておるのでございまするが、そのくらいではなくて、私はこういうことが事実だとするならば、どういう処分をとられるのか。厳重なる私は処分をとらなければならないと思う。特に最近の事態を見ておりますと、何かこうファッショ化してくる逆コースのきざしが現われているのでございます。大麻国務大臣のこの問題に対する見解を承わるとともに、今後こういう基地問題に関しまして、とかく私は紛争が起ります。そういう場合のもとをただして参りますと、警官の出動がもとでございます。そこで調達庁が簡単に要請をいたしますと、それに対していつでも警官の方は、簡単に出動のその要請に応ぜられるというのか、それとも慎重に事をかまえて許可をされて行くという態度なのか、その点もあわせて御答弁が願いたいのでございます。  なお西田大臣にも御答弁願いたいのでございますが、測量をやろうというようなとき、あるいは立ち入り問題、いろいろな問題があると思いますが、そういうようなときには、簡単にいつも警官などを動員してやられようとするのかどうか、これも一つあわせて御答弁が願いたいのでございます。かつて軍国時代はなやかなりしころ、サーべルと拳銃と憲兵の威嚇によって演習場が作られて行ったということは、この間のことだった。今終戦後やはりそういうきざしが出ておるのじゃないか、これはいわゆる一つのファッショ化の傾向ではないかと思う。一体昔のいわゆる軍国、あの暗黒時代と今のやり方とどこが違うのか、非常に私は嘆かわしい傾向ではないかと考えるのでございます。  これに対しまして、そう簡単に、要請されるかどうか、あるいは大麻大臣が簡単に、その要請を受けて出動をさせられるのか、その点についての御答弁を承りたい。御答弁いかんによっては再質問をしたいと考えるのでございます。(拍手)    〔国務大臣鳩山一郎君登壇、拍手〕
  32. 鳩山一郎

    ○国務大臣(鳩山一郎君) 成瀬君の御質問に対してお答えをいたします。  日米共同声明の効力についての御質問がありました。日米共同声明には、合意の面と将来のことに対しての意向と政策の発表がございます。意向と政策の発表の部分については、法律的の拘束は受けません。そのうちに、日米共同声明の中の昭和三十一年度以降に関する部分は、むろん現在の日本政府の意向と政策を表明したものでありまするから、条約のように法律的効果がないのは当然でございます。現内閣の責任の問題ではないと考えております。  それから分担金の問題と飛行場の拡張の問題とが何か条件のように、分担金の減額で飛行場の拡張が条件つけられたような御質問がありましたが、条件つけられたことはございません。そういう約束はございません。元来飛行場の施設の提供というのは、日米安全保障条約及び行政協定によってそういうような施設の提供は約束ができておるわけでありまするから、それに基いて飛行場の拡張の問題が起きたのでございます。  具体的の御質問に対しましては、関係当局から答弁をさしてもらいます。    〔国務大臣西田隆男君登壇〕
  33. 西田隆男

    ○国務大臣(西田隆男君) お答えいたします。  まず、警官の問題にお答えします。調達庁としましては警官の出張を求めたことはございません。今後も求めようとは考えておりません。  それから立ち入り調査につきましては、もちろん地元の人々の納得と協力の理解の上に立って行うのが、これは最も望ましい姿でございますが、今回起きました立川の問題は、はなはだ遺憾に考えております。  ただいま法律上の解釈についての答弁を求められましたので、法律上の解状を、私の解釈を申し上げます。これは国は、土地収用法の第十一条の第一項ただし書きの規定によりまして、準備のための立ち入り調査につきましては、都道府県知事の許可を受ける必要がなく、ただ立ち入ろうとする土地の区域及び期間を知事に通知すれば足りるものと解釈します。従って調達局長の立ち入り権は、調達局長が知事に通知をしたときに生ずるものでありまして、調達局長の権限に基いて知事が公告したときから、土地の占有者は、その意思のいかんにかかわらず、同法第十三条による立ち入りの是認義務が生じておると考えております。従って調達局長は、法第十一条第一項に基きまして、市町村長に立ち入り通知をいたしましたあとは、市町村長は関係土地の占有者に対しまして通知公告を怠っておりましても、調達局長は第十五条の規定による証票等を携行して立ち入り調査をすることができるものと解釈いたしております。町長の公告がなかったということだけでは、占有者が立ち入りを拒否する正当な理由はないと、私は法的にはそう解釈しております。    〔国務大臣大麻唯男君登壇、拍手〕
  34. 大麻唯男

    ○国務大臣(大麻唯男君) お答えを申し上げます。  御指摘になりましたばかやろう呼ばわりでございますが、そういう言葉を使っていないということを言っております。けれども、なお、お話がございましたから取り調べまして、もしそういうことがあったら、厳重に戒告をいたすつもりでおりますから、御承知おきを願いたいと思います。  それから警察官の出動を要請されるときに、いつでも出るのかという仰せでございますけれども、それは警察自体といたしましては、出動の必要があると認めましたときには応援に出ますけれども、慎重に考えて出すつもりでございます。そう軽々しく、言われたからすぐ出ていくというわけにも参らぬと、かように考えておる次第でございます。それから警察官というものは、一般の国民に対しましては、主として懇切丁寧を旨として警察業務に従事しなければならない。決してそんなに権柄ずくでやるものではありません。  それからこの頃の警察がファッショのきざしがありはしないかという仰せでございますけれども、そんなことはございません。(笑声)私の若い時分に、もと警察におったことがございますから、多少その事情も知っておりますけれども、ほとんど隔世の感ありでございまして、民主警察をいかにして育成して行くかということに専念いたしておりますものでございます。どうかこれは御安心を願います。決してそんなことはいたしません。それだけ申し上げておきます。    〔成瀬幡治君発言の許可を求む〕
  35. 河井彌八

    ○議長(河井彌八君) 成瀬幡治君、登壇を請います。    〔成瀬幡治君登壇、拍手〕
  36. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 質問に対して答弁漏れがあるわけでございまして、もう一度あらためて申し上げますが、今六つの飛行場が拡張予定をされると発表をしておる。これ以外に、政府アメリカの要求があった場合には、拡張に応ずるのか、それともこれを拒否しようとしておるのか。私は基本的な一つ御方針を承わりたいのでございます。  なお、これに関連して調達庁長官にお尋ねしておきますが、兵庫県の青野原をアメリカ空軍爆撃地にする、かくのごとき新聞発表を見ておるのでございますが、これは事実かどうか。あすこには御承知のように国立療養所があり、入植者も多数いるわけです。国内にそういう空軍の爆撃演習場が作られるという問題は重大な問題だと思いますが、これはどうか、これもあわせて一つ御答弁をお願いいたしたいと思います。  それから次に、十一条の解釈の問題でございますが、十二条の二項は、「市町村長は、前項の規定による通知を受けたとき」と、こういうふうにあり、十二条一項も二項も三項も十一条をすべて受けておるわけですが、もしこれが前項の規定を受けないとか何とかいうことになれば、また別な解釈もありましょう。ですが、私は、どうしてもその解釈はとれないわけです。しかも地方自治法には、この十二条の規定を怠った場合については、いわゆる罰則等と申しますか、そういうものもきめられているわけです。だから単に十一条のただし書きだけでやるという点は、それだったら、一体私有財産というものはどうなるんですか。国がかってにきめさえすれば、いつでもやれる、国の権限なら私有財産というものは何でもかまわぬと、いつからそういう国になったのですか。(「そこだよ」と呼ぶ者あり)私は、日本の国というものは、少くとも憲法に基いて私有財産権というものは、最小限保障されていると、こう解釈すべきだと思います。国の権限であるならば、立ち入り調査をするという、一つの私有財産権の侵害です。それまでできるんだと、これでは、私は、あなたたちのよく例にとつてきらいだとおっしゃる国と、何も違わないことになってしまうじゃないですか、もう一度あらためて念のためにお伺いしておきたいと思います。(拍手)    〔国務大臣重光葵君登壇〕
  37. 重光葵

    ○国務大臣(重光葵君) それでは、私から御答弁を申し上げます。  将来飛行場拡張等の要求があった場合には、それはどう、これ以上、どうするかという点でございます。飛行場の拡張等についての要求に、応ずるか応じないかということは、行政協定の文面によりましても、その要求のあったときに、これは考えるよりほかしようがございません。そのときに十分に時の状況を考慮し、そうしてこれに対応する、こう申し上げます。    〔国務大臣西田隆男君登壇〕
  38. 西田隆男

    ○国務大臣(西田隆男君) お答えいたします。  青野原の問題、今お出しになりましたが、現在において私は、青野原をどうする、こうするという問題は、まだ聞いておりません。  それから第十一条の第一項の問題でございますが、これは一項の規定によりまして、都道府県知事に通知をすればよろしいのであって、市町村長は所有者に不測の損害を与えないために公告をしなければならんということになっているだけでございますからして、第十一条第一項のただし書きと第十三条、第十五条によってそういう権限があると解釈いたしております。
  39. 河井彌八

    ○議長(河井彌八君) 次会の議事日程は、決定次第公報をもって御通知いたします。  本日は、これにて散会いたします。    午後六時五分散会      ―――――・――――― ○本日の会議に付した案件  一、日程第一 航空業務に関する日本国とカナダとの間の協定の締結について承認を求めるの件  一、日程第二 船舶の減失又は沈没の場合における失業の補償に関する条約(第八号)の批准について承認を求めるの件  一、日程第三 海員の雇入契約に関する条約(第二十二号)の批准について承認を求めるの件  一、日程第四 海上で使用することができる児童の最低年齢を定める条約(千九百三十六年の改正条約)(第五十八号)の批准について承認を求めるの件  一、日程第五 船員の健康検査に関する条約(第七十三号)の批准について承認を求めるの件  一、日程第六 商品見本及び広告資料の和人を容易にするための国際条約への加入について承認を求めるの件  一、日程第七 観光旅行のための通関上の便宜供与に関する条約の批准について承認を求めるの件  一、日程第八 観光旅行のための通関上の便宜供与に関する条約に追加された観光旅行宣伝用の資料の輸入に関する議定書の批准について承認を求めるの件  一、昭和三十年度一般会計予算  一、昭和三十年度特別会計予算  一、昭和三十年度政府関係機関予算  一、立川地区土地強制調査に関する緊急質問