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1955-07-18 第22回国会 参議院 法務委員会 17号 公式Web版

  1. 昭和三十年七月十八日(月曜日)    午後二時三十一分開会     ―――――――――――――  出席者は左の通り。    委員長     成瀬 幡治君    理事            剱木 亨弘君            宮城タマヨ君            市川 房枝君    委員            岩沢 忠恭君            藤原 道子君            赤松 常子君            一松 定吉君            羽仁 五郎君   政府委員    防衛政務次官  田中 久雄君    防衛庁防衛局長 林  一夫君    防衛庁装備局長 久保 亀夫君    法務政務次官  小泉 純也君    法務省矯正局長 渡部 善信君   事務局側    常任委員会専門    員       西村 高兄君    常任委員会専門    員       堀  眞道君     ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○少年院法の一部を改正する法律案  (内閣提出、衆議院送付)     ―――――――――――――
  2. 成瀬幡治

    ○委員長(成瀬幡治君) これより法務委員会を開会いたします。  まず、少年院法の一部を改正する法律案を議題に供します。  本案について御質疑のおありの方は、御発言を願います。
  3. 赤松常子

    ○赤松常子君 私、局長にお尋ねしたいのでございますが、前回の委員会で非常に論議になりました問題点でございます。手錠をはめるということをどうして法律に書かなくちゃならないのか。行政措置と申しましょうか、省令で現在行われておるのでよろしいのじゃないかと思うのですが、なぜそういうことを法律に書かなければならないのかという、その根拠を詳しくおっしゃっていただきたいのでございます。私どもしろうとでございますものですから、わざわざ法律に書く必要はないような気もいたしますわけですから、その点、おっしゃっていただきます。
  4. 渡部善信

    ○政府委員(渡部善信君) お答え申し上げます。ただいま赤松委員からの御質問の、手錠の使用につきまして、何ゆえ法律に規定を載せなければならないかという点でございますが、従来は、法務府で出ておりました少年院処遇規則というものの第七十六条に規定しております条文を運用して、暴行または自殺のおそれのある場合、やむを得ざる処置としてこの手錠を使って参ったのでございます。しかしながら、これは省令の規定でございまして、われわれ考えますのに、この自殺あるいは暴行等の予防のためにとはいいながら、いやしくも手錠を使うということに関しましては、省令ではなくして、法律においてこれを規定しておく必要があると、かように考えまして、法律の規定を設けていただきたいという趣旨で提案いたしたわけなんでございます。人権に関する重要な問題はやはり法律に規定すべきものであるという考え方から、提案したわけであります。
  5. 赤松常子

    ○赤松常子君 私、それは人権を守る建前に立つということも、いろんな、場合によりけりでございまして、ことにこういう少年院ということは、もう毎回言われておりますように、教育、学校というような性格を持たせてゆかなくてはならない。そういう方向にこれからは少年の保護の方向がきめられておるのに、それと逆行するような手錠というようなことを、なぜ法律に書かなくちゃいけないか。省令できめられてあって、それが行われないというわけなのでしょうか。そのところが理解できないのであります。教育の方向に進むべき今の段階において、それを裏切るようなこういう手錠というようなことを、なぜ法律に書かなくちゃならないかということが一つと、それから省令できめてあるのに、なぜ法律にするかという場合に、省令ではそれを行えないというのでしょうか。どこに不備があるのでしょうか。その点二つでございます。
  6. 渡部善信

    ○政府委員(渡部善信君) 仰せのごとく、少年院は教育の場でございます。矯正教育を施す所でございまして、決して懲罰を加える場所では絶対にないのであります。しかしながら、この矯正教育を施します上につきまして、何分ここへ収容いたしました少年たちは環境に恵まれていない子供たちでございますし、非常に動揺しやすい性格を持った子供たちなんであります。従いまして、突発的な衝動にかられまして、あるいは自殺に及ぼうとする、あるいはみずから自傷行為をするというような状態に立ち至る場合が、往々にしてあるのでございます。その場合に、子供たちの自由を拘束して、そうしてそれを守ってやるということも、これは必要なんでございます。その場合に、この手錠をかけるということも、またやむを得ない場合が起ってくるわけでございます。これは大きな立場から申しますと、やはり教育の一つの手段というふうに私ら考えざるを得ないわけであります。  そういう必要からとは申しながら、やはりこれに手錠をかけるということは、人権を尊重するという建前から申しますれば、やはり自由の拘束であり、人権の侵害であるというふうに私は考えるわけであります。そこで、かような事柄をいたしますにつきましては、やはり省令にあらずして、法律によってこれを規定するということが私必要だと、かように考えるわけであります。
  7. 赤松常子

    ○赤松常子君 もう一点……。その省令であった時代は、行わわれたのでしょうか、不十分なのでありましょうか、その点をお聞きしておきます。省令では不十分だったのでしょうか。だから、法律に規定するということになるのでしょうか。
  8. 渡部善信

    ○政府委員(渡部善信君) 今までも、この条文の運用によりまして、やっておったわけでございます。やっておったわけでございますが、私ら考えますのに、かような事柄につきましては、省令によって規定すべきものにあらずして、法律によって明らかに規定すべき事柄だと、事柄自体がさような重大な問題だというふうに、私は考えているわけであります。
  9. 赤松常子

    ○赤松常子君 今、局長のお言葉にもございましたように、非常にまあ動揺しやすい年令でありますし、またそういうふうな精神状態であるからこそ、手錠を持ち出して、かえって逆の効果になる場合が多いように思うのであります。そこで、やはり手錠をはめられたということで、逆に反抗する、あるいはその逆の効果が現われるように私ども思うのであります。その結果はどうお思いでございましょうか。かえって逆の効果にならないのでございましょうか。
  10. 渡部善信

    ○政府委員(渡部善信君) ただいまのお案じになります事柄、私もさような場合があり得るかと思います。これはしかし、何も手錠をいつまでもはめておくということは必要はないと思うのでございます。ただ、激情にかられましたときの、一時的な防止の手段として、それを用いまして、必要のなくなった、気持が落ちついて参りましたならば、直ちにこれは取りのけるという方法をこれは考えなくちゃならない。いつまでも不必要にこれを使うということは、これは許すべからざる事柄である。ただいまも申し上げますごとくに、ただそれを防御するため、防ぐための一時的のやむを得ない措置というふうに私は考えるのであります。仰せのごとく、これによってかえって弊害を伴うというような場合は、これは使用を差し控えるべきものであって、それは一にかかって、少年院長のほんとうにその子供たちを今まで見てきた経験により、その個人的な場合々々によりまして妥当な方法を講じていかなきゃならない。一律にやってはこれはとんでもないことになるのではなかろうかと、かように考えております。
  11. 赤松常子

    ○赤松常子君 私はどうも納得いきませんです。それでは、従来手錠をはめなかったから、そういう場合にどういうひどいことが起き、どういう、何と申しましょうか、周囲に危害を及ぼした件数が起きたのか、手錠があったならばよかったと思うことが、その件数がどのくらいあったのか、それをもっと詳しくお聞きいたしたいと思います。
  12. 渡部善信

    ○政府委員(渡部善信君) ただいまお手元の方にお配り申し上げました資料の中に出ておるのでございますが、ちょっとその点御説明申し上げます。  手錠の点はこの資料の算用数字の3と4の所に記載しております。先に4の方を御覧いただきたいと思いますが、昭和二十九年中に発生いたしました、これは自傷行為でございます。自分で自分の体に傷をさせました数でごさいますが、これは少年院でガラスの破片を使いまして自分の体に傷をつけました者が百二十五件、それから刃物様のものを使いましたのが十五件、その他が十八件、合計百五十八件、これは二十九年中の全国の少年院で行なった自傷行為でございます。それから小さい(2)の方は少年鑑別所で行なった事態でございますが、これはガラスによるものが八件、刃物様によるものが三件、その他のものが一件、合計十二件。合計百七十件ばかりの自傷行為が起っておるのでございます。この事件につきまして、実は昨年の四月の一日から今年の三月の三十一日までちょうど一カ年間でございますが、少年院、鑑別所で手錠を使用いたしました数の調査をいたしたのが3でございます。それで、この自傷行為はただいま申しましたごとく、百七十件に及んでおるのでございますが、自殺のおそれ及び自傷行為を防ぐために手錠を使いましたのが百七件でございます。ちょっとこの数に差が出ておりますが、これはすでに自傷行為をいたしまして、それ以上は自分の体に傷をつける危険のなくなった者は、これはもう手錠は使っておりません。従って、なお引き続き自傷をするおそれのあるような場合に、この手錠を使ったわけでございます。これは百七件ということに相なっております。それから次に、その隣に暴行の件数が出ております。これは暴行の場合にそれを防ぎまするために、全国の少年院、鑑別所で使いましたのが七百八十三件ということになっております。それから最後に、護送が全部で千六百三十三件ということになっております。  これは非常にたくさんな数になっておりまするので、あるいはあまりに数が多過ぎるというふうにお考えの点もあるかと思いますが、この点につきまして御説明申し上げますと、この一万一千六百三十三件のうちで、ほとんどその大部分が、少年鑑別所で使ったのが一万二百十一件ということに相なっておるのでございます。この一万二百十一件、何で鑑別所でこんなにたくさん使ったかということなのでございます。これは御承知のごとく、家庭裁判所で審判をいたします際に、身柄の拘束の必要がありましたときには観護の措置というものをいたすのでございます。この観護の措置をいたしますと、少年たちは観護によりまして鑑別所に拘束して置くのでございます。そしてその観護の期間中に、鑑別所の職員が身体、精神両方面からの鑑別をいたしますとともに、家庭裁判所の方で調査官が今までの経歴その他を調査いたします。そしてその調査の資料に基きまして、鑑別所の鑑別の結果と両々相待ちまして、家庭裁判所の裁判官がこれを審判いたすのでございます。で、この場合、大体家庭裁判所の方から、調査あるいは審判には、鑑別所の方に来ていただいて調査審判をやっていただくのが多いのでございます。ところが、家庭裁判所の方でなかなかそういうわけにも参りませんので、家庭裁判所の方へ連れて来てほしいということをよく申されるのでございます。その場合、鑑別所の方では、判事さんのさような御要求がありますれば、やはり連れて参ります。その場合に、ただいま申しますごとく、鑑別所に行っております間は、非常に少年たちは気持の動揺を来たしております。自分の将来がどうなるだろうかということで、非常な動揺を来たしております。従いまして、つい逃走しようとか、あるいはよからぬことを考える場合が非常に多いのでございます。さような場合に、どうしても観護の措置を千分にしていくためには、手錠の使用ということもこれはやむを得ないという場合で、これがこんなに多いのでございます。  なお、少年院の方で、護送にちょっと千二百件ばかりの数字が出ております。これは少年院の方から鑑別所の方へ身柄を連れに行く場合があるのでございます。普通は鑑別所から少年院へ連れていっていただくというのが建前なのでございますが、鑑別所の方でちょっと手間がなかなかないものでございますから、従って、少年院の方から連れに行くわけであります。その場合も、ただいま申しまするごとく、この審判の直後の、非常にまだ動揺のおさまらない時期なのでございます。さような少年たちを送る場合に、やはり無事に送り届けるために、勢い少年たちに手錠を使用する場合があるわけでございます。さような関係から、かような数字になっております。  なお、御参考までに申し上げますと、少年鑑別所に一年間に収容いたしまする少年たちの数は、総数三万二千人になっております。そのうち一万件でございます。従って、三人に一人という割合になるわけでございますが、従いまして、これは三分の二の者は手錠を使わずに鑑別所でも連れていっておるわけなんです。しかしながら、この三分の一の者はやはり使わざるを得ないというような状況から、現在使用いたしておるという結果になります。
  13. 赤松常子

    ○赤松常子君 手錠をこういうふうに使っておられますのですが、いろいろ種類があるように伺っておりますのですが、こういう護送のような場合に、人の目に見えるようなことはもちろんしていないと思うのでございますけれども、私この件数を見まして実は驚いたのでございます。こんなにたくさん使わなければならないことがあるのかということと、これはなさるのはおまわりさん、巡査ですか、警官ですか。それとも、先生がなさるのですか。
  14. 渡部善信

    ○政府委員(渡部善信君) これは警察官じゃございません。やはり教官でございます。これは御承知かと思いますが、手錠に片手錠というのがございます。片方だけにつける。これをここへやりまして、こうしておるのであります。ちょっと外から見ますと、分りませんです。つかまえておるわけじゃございませんが、ここにやって、荷物か何か持っておりますと、ちょっと見てわかりません。
  15. 赤松常子

    ○赤松常子君 教官がなさるのですか、先生がなさるのですか。
  16. 渡部善信

    ○政府委員(渡部善信君) これは、ただいま申しまする護送のとき、ずっとつけておるというわけじゃありませんが、やはり危険のときにつけるわけでございまして、しょっちゅうこれを、朝から晩までつけているというわけではございません。ほんとうの危険な場合だけ、一時的に使用するというわけでございます。なおこれは、もしも鑑別所に収容されております間に、二へんも三べんも家庭裁判所の方に連れていかなければならない場合でございますと、これが三べんになるわけでございます。三べんとしてここに出てくるわけでございます。従いまして、これは一人で三べんとか五へんとかいうふうな手錠をかけられた数もあるかと思います。従いまして、総数から申しますと、実際にかけられた者は非常に実数としては少くなっている。延べ数としてはこういうことになりますが、実数は少くなると思います。
  17. 赤松常子

    ○赤松常子君 この十四条の二の「手錠は、少年院の長の許可を受けなければ、使用してはならない。」ということになるといたしましても、私は、実際そういう突発事故が起きた場合に、一々院長の許可を得るとかいうようなひまはないと思うのでありまして、こういうことをきめても、私は、実際院長の許可を得るひまがないからというので、簡単にかけられやしないかというおそれも感ずるのであります。一応院長の許可を得るという形式は整えられておるようでございますけれども、何かこういうことを書かれますと、勝手にいつでも手錠をかけられ得るという危険性を大いに感ずるのであります。実際問題はどういうふうになるでありましょうか、その辺のところをちょっと。
  18. 渡部善信

    ○政府委員(渡部善信君) その点は、私どもも非常に警戒しなければならないと思っております。この点は、十二分に監督をしていきたいと思っております。手錠の使用に際しまして、仰せのごとく、緊急の場合は、初めから予測し得られない場合が私あると思います。そのときは、院長の許可をあとから受けるということにしまして、一時使用するということも、緊急の措置として認めざるを得ないと思います。さような場合は、必ず事後にこのことを報告する。そうしてこの手錠の使用につきましては、ちゃんと帳簿に記帳いたしまして、一々院長の許可を受ける。もしも許可を受けるいとまなくして使用した場合は、必ずすみやかにその状況を記載いたしまして院長の許可を受けるということを、これは厳守していきたいと思っております。
  19. 赤松常子

    ○赤松常子君 また、私、あとに譲りますが……。
  20. 宮城タマヨ

    ○宮城タマヨ君 今の赤松委員の質疑の関連のようなことでございますが、今まで手錠をはめておったということの法規上のもとは、少年院処遇規則のたしかこれは第七十六条「暴行又は自殺の虞がある在院者に対しては、これを防止するため、適当な措置を講ずることができる。」この「適当な措置」ということが手錠になってきているのでございましょうか。そうでございますね。ところが、今私はこの統計表を見まして、暴行、自殺、自傷行為というこの項目にあげられました人員が、非常に多いということに驚きました。そうして、ことに初等の者、中等の者でも、こういうことがあるということ、それからまた護送にいたしましても、中等少年院が、一番子供の数も多いからでございましょうけれども、非常に多いというようなことを思いまして、これはやはりこれを見ましても、私はゆゆしい問題だと思っております。それにつきまして、一体入院後何日くらいでこういう自殺あるいは自傷行為というようなことをいたしますかどうか。それから考査室でやるのか、それとも寮でやるのか。それからまた、こういう非常に重大問題につきまして、一体教育的な立場から研究をされておるものかどうかということでございます。特に一つ伺いたいと思いますが、あるいは医療少年院なんかの暴行四十一、自殺あるいは自傷行為のこれの三十六、一番数が多うございますけれども、こういうことから見ますと、非常に精神状態に不安があるとか、あるいは落ちつきがないとか、いろいろな条件がございまして、これを裏返して見ますと、少年院の教育指導よろしきを得ていないで、落ちつきができないというような一つの証明にもなるのじゃないかと思いますが、こういったような点について、一つお答え願いたいと思います。
  21. 渡部善信

    ○政府委員(渡部善信君) この自殺、自傷行為がいつの時期に行われるかという点の御質問でございますが、これは一々の具体的な例を私まだ的確に握っておりませんですが、これは考査室に、何と申しますか、収容しておりますときでも、やはりやっておる場合があるようでございます。それからそうでない場合もあるわけでございますが、まあ私、この点しっかりとした資料でお答えいたせませんので、もう少し調査してからお答え申し上げた方がいいのじゃないかと思います。私の今聞いておりますところでは、大体収容後間のない時期、最も動揺性の強い時期だと私は思っております。  けさほどこちらに参りますときにも、一つ自傷行為の報告が参っておりました。これは鑑別所での自傷行為でございます。御承知のように、鑑別所は収容して間がないのです。これがかみそりの刃で自傷したということが、実はけさほど報告が参っておるのを私見て参っておるのであります。  こういうふうに、何と申しますか、非常に子供たちが不安を持ちますので、これから先どうなるのだろうかということから、自暴自棄に陥り、そしてかような行為に出ずる者が多いわけでございます。
  22. 宮城タマヨ

    ○宮城タマヨ君 一つ新しい局長にお願いいたしますが、少し研究をして、詳しいことの御答弁は他日でよろしゅうございますけれども、願いたいと思います。  ただ一つ、今おっしゃった多分入院直後だろうということ、あるいは鑑別所に入った当時だろうとおっしゃったんですが、私はこういうことをいつもおそれておったのでございます。それは、大体少年法で保護されるということが、いわゆる愛の法律で保護され、教育され、これからは大丈夫なんだということをみんなが思い、ことに警察でも、検察庁でも、そうして家庭裁判所ではなおさら、もう家庭裁判所に来たら大丈夫だよ、大丈夫だよと言って、子供はもう大丈夫、おまわりさんにつながれることもない、手錠も何もされない、けっこうでございます、今度は直そうといって一生懸命になっていると、手錠がはめられた。ちょっと行くと、鑑別所ではガチャンと錠をはめられた。これは刑務所と同じ、警察の留置所と同じじゃないか、一体自分はとうなるのだろうか、そうして役人というものはだますものだということを子供が考えたときに、多分自暴自棄になるだろうということを、私非常に憂えておるのでございます。実際のことをいうと、今度はもう大丈夫、もう大丈夫ということを口ぐせのように言いますが、その点いかがでしょうか。調査して御答弁願いたいと思います。  それからもう一つ、自傷行為ということは、少年院に入りますような子供は入れ墨をたくさんしております。だから、その入れ墨をするあのときのことを思ったら、少々まね事をして切ってみるくらいのことは、私は遊戯だろうと思う。そういう面もあるのではないのでしょうか。そうしてまた、そのくらいのことをやれないかというような、お互いにえらそうに言い会ったようなときに、あるいはやってみようというので、刃物でまねをするというようなことも、私、十分あるのだろうと思います。そういうことはやはり教官の指導の仕方でどうにでもなると思いますが、その点、局長のお考えはいかがでございましょうか。
  23. 渡部善信

    ○政府委員(渡部善信君) ただいま仰せのようなことで、自傷行為をする者も私はあったと思います。しかし、そうばかりとは申せないと思います。今日参りましたのは、十二針も縫っております。ちょっとこれでは度が過ぎておるのではないかと私は思うのですが、久里浜へおいでになったときにもごらんになっていただいたと思いますが、ガラスの破片の鋭利なものを小刀のようにとがらしまして、そうして手元に血のつかないように包帯などを巻いて、自傷行為の凶器と申しましょうか、刃物に使っておるわけなんであります。ああいうものでやりますと、やはり相当なけがをする者もあるし、これはそういうような場合には、やはり少年たちの保護という建前から、それに対する防止の措置を講ずることが、教官としてやらなければならないことではないかと私思っております。
  24. 宮城タマヨ

    ○宮城タマヨ君 いま一点、その点について伺いたいのでございますが、今度の少年院法の一部改正は、少年院長会議の声を反映しまして、速急に作ったということを、前の局長もお答えになったのでございます。それで少年院長会議で、おそらくもう子供が手に合わないから、それは年令の点、悪質の点というようなことが言われておりましょうが、少年院の教官としまして、もっと、手錠をはめないで、こういう教育の欠陥があるのではないかとか、あるいは教官の質、あるいは数というようなことについて、少年院の教育において反省されて後に、やむを得ぬ、どうしても手錠だ、手錠だということをおっしゃるのか、それとも、取扱いに安易なというと言葉が悪うございますけれども、どうしても手に負えないというようなことから、即座にこういうことになったのか。その前に研究がされておるかどうかということを、一つお答え願いたいのであります。
  25. 渡部善信

    ○政府委員(渡部善信君) われわれとしましても、教育の効果あらしむるために、いろいろ手段を尽しております。法務研修所におきましても、少年院の教官の教育ということには十分意を用いまして、また特別の研究題目をみんなもちまして、三カ月間ぐらいの特別の立場からの研究もいたしておるわけでございます。私といたしましては、今後この職員の訓練、教養を高める、そしていかにしたならば効果あらしめるかということにつきましては、さらに格段の努力をしていかなければならないと、かように思っております。しかしながら、目前に起っておりまする自殺あるいは自傷行為というものを、何とかしてこれは防いで参らなければなりません。現在のかような不祥行為を防止するという建前から、この規定を設けていただく必要があると、私は存ぜられるのでございます。
  26. 宮城タマヨ

    ○宮城タマヨ君 いま一つ伺いますが、子供を護送するときに取り逃したとか、いろいろな失敗がございましたときに、今でも少年院の職員に罰則はございますか。減俸だとか、あるいは何とかいうおしかりを受けておりますか。一体、その糖類と程度はどういうふうでございましょうか。
  27. 渡部善信

    ○政府委員(渡部善信君) 少年院からの逃走の問題につきまして、本来から申しますと、少年たちを少年院の建物に置いてこそ初めて教育ができるわけでございまして、これが建物から出てゆくようなことでは、教育をしようにもできないわけであります。従いまして、どうしても少年たちをとどめておかなければならないわけでございまするが、しかしながら、これはなるべく徳の力、教育の力によりまして、少年たちを施設から出ないようにしむける。しかも、やむを得ずいるのじゃなくて、みずから自覚してその施設にとどまるというふうにしむけたいということを、われわれはいつも念願いたしておるわけでございます。従いまして、御承知の通り、少年院の施設の中には、特別少年院のごときは厳重な囲いをいたしておりまするが、初等あるいは中等におきましては、解放寮も相当あるわけであります。かような解放寮から逃げ出します場合は、これを一々教官の責任ということで追及していくのは非常に過酷なきらいがあるわけであります。従いまして、かような逃走事故の起ります場合、われわれといたしましては、どういうわけでかような事故があったか、この点を十二分に究明して参ります。しかしながら、その原因が少年院の教官に責むべき事由がありました場合には、これはそれぞれの責任をとらす方法を講じております。従いまして、かような事故の起りました場合、あるいは減給、戒告等の処分もいたすわけでございますが、少年院の教官に対しましては、軽い戒告の処分が非常に多いのであります。われわれといたしましても、十二分にこの点は考慮いたしまして、懲戒処分はいたしておるつもりでございます。
  28. 宮城タマヨ

    ○宮城タマヨ君 この表で見ますと、やっぱり手錠は、政府の方では、初等からずっと医療、特少まで、どの段階でも必要だというお考えでございますね。特別少年院だけということにこの手錠を使いますことをしぼりましたら、政府はお困りでございますか。
  29. 渡部善信

    ○政府委員(渡部善信君) 特別の方が多かろうと思います。この表でも、ちょとごらんになっていただけますように、多いのでございますが、初等、中等でもやはり、ここにあります自殺とか自傷行為なんかがあるのでございます。これがありますと、やはりわれわれといたしましては、これに対して防止の方法を講じていかなければならないわけであります。これは抱きかかえていればいいというようなものの、そうも行きかねる場合もどうしても起るわけでありまして、かような場合にやむを得ず手錠をかける措置も講じておいていただきたいのであります。やっぱりその必要性は私はあると感じております。
  30. 赤松常子

    ○赤松常子君 これで見ますと、年令の差別なく、全部、小ちゃい子にも手錠をはめた数字でありますか。
  31. 渡部善信

    ○政府委員(渡部善信君) 大体、初等の方は年令が非常に低いのでございます。
  32. 赤松常子

    ○赤松常子君 そういう小ちゃい子にも、みな手錠をはめたのですね。
  33. 渡部善信

    ○政府委員(渡部善信君) やはり自傷行為は小さい子でもやる場合があるのであります。そういう場合には、これはやむを得ないのです。
  34. 赤松常子

    ○赤松常子君 年令は、少し区別するお考えはございませんでしょうか。
  35. 渡部善信

    ○政府委員(渡部善信君) われわれといたしましては、自殺、自傷行為がこういうふうに現実にあります限り、これの防止の方法を講じていきたいという念願でございます。
  36. 赤松常子

    ○赤松常子君 十五、十六の子供でも、手錠をおはめになりたいのですか。
  37. 渡部善信

    ○政府委員(渡部善信君) 保護の建前から、子供たちを守るという建前でございます。どうぞその点、一つ御了承願いたいと思うのでございますが……。
  38. 赤松常子

    ○赤松常子君 私、小ちゃい子には、その前になすべきことがうんとあると思います。それを簡単に、すぐ手錠をお出しになるということは、どうしても私納得いかないのでございます。  それからさらに、十四条の二でございますが、この規定はいつでも、もう自由に手錠をはめることができるという解釈になっておりますが、少年院の長の許可を得るということは、なかなか突発的な場合にはできない。それで、事後に帳面に書いて承諾を受けるとおっしゃっておりますけれども、「この限りでない。」ということの方に重点を置いて、いつでも必要に応じて手錠をはめられるというふうに解釈してよろしいのでありましょうか。
  39. 渡部善信

    ○政府委員(渡部善信君) われわれといたしましては、従来よりもさらにこの点は厳重に監督いたしまして、乱用のないようにいたします。決して安易に流れまして、いつでも使えるという気持でやるのじゃなくて、これをやる場合は、必要やむを得ない最後の手段として、これを行う、こういうつもりでおります。
  40. 赤松常子

    ○赤松常子君 その保証なりということは、何によって証明なさるのでございますか。
  41. 渡部善信

    ○政府委員(渡部善信君) これにつきましては、われわれといたしましても、通牒その他によって十分注意を喚起いたしまするし、また少年院長の責任におきましてその使用を許可する、ということにいたしたいと思っております。
  42. 宮城タマヨ

    ○宮城タマヨ君 もう一つ、連れ戻しのことでございますが、少年院から逃亡した者の連れ戻しをする場合、必要があるときは警察官に連れ戻しをさせることができることとし、逃走したときから四十八時間という、これはまあ二日くらいで大体戻ってくるが、二日では帰ってこないときとも解釈できますけれども、また一方からいいますというと、これはそれこそ監獄法によって、刑務所から逃走しました者が四十八時間経てば、逃走罪が起る。そこでやはり判事の令状を必要とするということにも、私はからんでいるのじゃないかと思う。それで、この四十八時間という、つまり逃走罪を形成したような形にとれることは、やはり子供の連れ戻しに私はおもしろくないと思いますが、これを四十八時間という監獄法に基いたような形をとらないで、もっと何とか、四十八時間でなくても、長く帰らないときとかなんとかいうようなことに、考え直して下さったらいかがでしょう。私は子供を、逃走罪を形成したというようなことには、絶対したくないと思います。
  43. 渡部善信

    ○政府委員(渡部喜信君) 四十八時間といたしましたことにつきまして、監獄法の右へならえではないかというお言葉でございますが、われわれといたしましては、ここに資料をお手元に配っておりますように、大体連れ戻しの状況を見ますると、半数以上は実際二日くらいの間に帰っておるわけでございます。あとの者がなかなか連れ戻しに困難を伴っておるのでございます。かような状態から見まして、やはり令状を出すかどうか、連れ戻し状を出すかどうかということにつきましては、やはり一つの基準をおいていかなければならない。私は、これは法律の技術上から、やはり一つのめどを作っておかなければならないと思うのでございます。なるべく適当な時間というふうなことでは、ちょっと法律の体裁を整えないと私は思うのでございます。かようなことからいたしまして、この連れ戻しの実情からも考えまして、四十八時間を適当だというふうにわれわれ考えたわけでございます。決して監獄法をまねたとかいうふうなことはございません。なお、これをしましたから、これ以上たったならば逃走罪に問われるというようなことは、われわれ毛頭考えておりません。これはもう、監獄法は監獄法でございますが、少年院法の、逃げ出した子供を逃走罪でひっくくるというような考えは、毛頭持っておりません。この点は御安心のほどを願いたいと思います。
  44. 宮城タマヨ

    ○宮城タマヨ君 最後に、私は、いかにも今申しました逃走罪を形成するような形をとるとか、あるいは判事の令状を持って、しかも一方では手錠を子供にはめるというようなことが、すべて根本からいいますというと、保護から行刑に移りつつあるというその初歩じゃないかというように思いまして、この法案に対しまして私非常に不愉快なのでございます。もっと根本的な組織の――組織といいますか、制度の改正とかいうようなことについても、多分御研究もされつつあると思っておりますが、一つ根本問題に触れていただきたいということを申しまして、私の質問はこれで終ります。
  45. 成瀬幡治

    ○委員長(成瀬幡治君) ちょっと速記をとめて下さい。    午後三時十九分速記中止      ―――――・―――――    午後三時四十六分速記開始
  46. 成瀬幡治

    ○委員長(成瀬幡治君) 速記を起して下さい。
  47. 羽仁五郎

    ○羽仁五郎君 少年院法の一部改正法律案について、この前要求をいたしました資料をいただきましたので、その資料について二、三伺っておきたいと思います。  第一に、今まで昭和二十九年度中に逃走した者の連戻しの状況という資料をいただいておりますが、これで見ますと、連れ戻された者が六百五十一名で、いまだ連れ戻されていない者が二百三十二名ということになっております。この二百三十二名は連れ戻されないで現在いろいろな犯罪等の関係があるのではないかと思うのですが、その御説明はどこにありますか。
  48. 渡部善信

    ○政府委員(渡部善信君) お答え申し上げます。この未復院二百三十二名の中には、再び犯罪を犯しまして記訴を受けました人数もあるわけでございます。それと、それからほんとうにどこに行ったかわからなくて、全然行方不明になっております者と二つ含めた数でございます。この辺ちょっと仕分けはちょっとわかりかねますが、両方含めた数がこの二百三十二名でございます。
  49. 羽仁五郎

    ○羽仁五郎君 それからこの二百三十二名のうちには、よい環境に戻って善良な生活をしている子供もあるのではないですか。
  50. 渡部善信

    ○政府委員(渡部善信君) それも私あると存じます。この辺ちょっとその数がどれだけあるかということはわかりかねますが、そういうものも私ある程度あると思います。
  51. 羽仁五郎

    ○羽仁五郎君 それじゃ、もしなんでしたら、この次のこの委員会までに、この未復院者、帰って来ない子供の中で、よい環境のよい生活の中に入っている、よいという程度にもよるのですが、連れ戻されてはいないけれども、しかし問題が起っていないという人の数がわかると、大へん問題がはっきりしてくるのですが、お調べがもしつくようでしたらば知らせていただきたい。なお法案審講中でなくても、その点資料がお示し願えれば大へんありがたい。この点はすなわち、私はこの二十九年度の統計で見ますと、大多数の、およそ四分の三ぐらいですか、ということになりますが、四分の三ぐらいは連れ戻されておる。四分の一ぐらいのものが連れ戻されていない。そうしてその四分の一ぐらいのものが連れ戻されていないけれども、その中には連れ戻さないことによって、特に社会に実害を与えていないということがあるのじゃないかと思います。大体二十九年度の統計が結論的に示すところは、私はこういう点にあるのじゃないかと思います。その点について政府の、次官のお考えを伺っておきたい。この前に私の質問に対して、少年院というものは第一義的には教育の施設であるということは、十分お認めになったのでありますが、そうしてそういうふうな御努力を願うという点についても御了承を得たのですが、私はそのいわゆる行刑機関というか、それが一種の行刑機関の性質を持っているけれども、第一義的には教育機関であるかというその違いは、究極するところは社会がというか、政府がその子供たちにとって、ある程度までの責任をとるかどうかということだろうと思うのであります。成年者の犯罪であればやはりあくまで犯罪者がその責任をとるということになるので、従ってつまり逮捕あるいは手錠というふうなことも、その犯罪者の責任ということがあるわけですけれども、少年の場合にはつまり社会が教育が行き届かなかったために、あるいは社会環境が不十分であったがために、子供が悪い方向に陥って、そうして犯罪を発生した。そのためにそれを行刑的な措置でなく、教育的に扱うというのは、この少年院の設備に伴って、やはりある程度まで国家なり、あるいは社会なりが害をこうむるということは予定されていることだと思う。そこに私はその点がよほどはっきりしていないと、この少年院あるいは少年院法の運営が立法の精神と違ってくるのじゃないかと思うのです。その点について政府のはっきりした見解をこの際ここで明らかにしておいていただきたいのです。私は二、三少年院なり少年院法関係の施設を見学しましたときの印象、あるいはその職員において、その点が常に明確になっているとは言えないと思ったのです。ですからこういう委員会でこの際政府の見解を明らかにしていただきたいのです。もちろんこの少年院というものからやはり逃走して、そうして社会に出て犯罪を犯すということは、社会が害を受けることである。そのことを全然問題にする必要はないというふうに私が主張するのじゃもちろんないけれども、一般の成年者の場合のように、その少年が逃げて、場合によっては社会に害を及ぼすということの上からものを考えてくると、どうしても逃げないように、また連れ戻すようにということが主になると思う。ですから一言で申せば、やはり少年院法の精神というものは、場合によっては逃げる、場合によっては帰ってこない、場合によってはそれで犯罪を犯し、社会に害を加えるということもあり得るのだという考え方ですね。その考え方に立っていなければ、私はこれは教育機関だということはできないと思う。つまり国家なり社会なりが、その子供たちを十分に扱えなかったので、十分教育し、よい環境に置くことができなかったために、子供たちが犯罪を不幸にして犯したのだ。そこで少年院で教育をやっているのだから、しかしそれは場合によっては逃げ出して、あるいは社会に多少の害を加えるということがあっても、それは社会としてしんぼうしなければならぬ。国家としてその少年の国家に与えるところの害悪というものをしんぼうしなければならぬ、甘受するということでもございませんけれども、それを忍ばなければならないというお考えがあるのかないのかということですね。ないのでしょうか。あるのでしょうか、そこをまず第一に伺っておきたいと思う。これはあなたの答弁は全国の少年院長がその方針に従って動かれることだから、一つはっきりお答え願いたい。
  52. 渡部善信

    ○政府委員(渡部善信君) 私は少年院の教育は、これはどこまでも矯正教育であり、刑罰的なものは全然ないということをはっきりと断言できるのであります。少年たちに対しましてもしも刑罰を科する、罰を科するという必要がございましたならばこれは刑事処分に付すべきものであります。少年院に収容されるというのは、これは保護処分になります。従いましてその少年に対して少しでも罰を加えるとか、あるいは見せしめにするとか、こらすとかいうふうな気持はみじんもあっちゃならないと私は考えるのであります。従いましてこの保護処分は、どこまでも教育でなくちゃならない。これが私は根本の精神だと思っております。家庭裁判所におきまして保護処分を加えます際に、いろいろ保護処分がございます。少年院送致の保護処分、あるいは観察処分の保護処分、また全然保護を加えないという処置もとれるわけでございますが、この観察処分にいたしましても、少年院の送致処分にいたしましても、これはひとしく保護処分なんでありまして、そこにかけらもこらしめの意思は全然ないということは、私断言できると思います。ただ、ただいま御指摘になりました手錠をかけるということでございますが、これは決してそういう従来こらしめの意味からかけるのではございません。私たびたび申し上げたのですが、あるいは御納得のいかないふしがあるかもわかりませんが、これはどこまでも少年たちの保護であります。自傷行為をする、あるいは自殺をするという場合には、これを保護するためのやむを得ない措置でありまして、これは決して少年たちをこらしめる趣旨からやるというようなことは絶対にないのであります。学校で体罰を科するという体罰ではありません。われわれはこれは保護の方法であります。その手段として手錠もまたやむを得ないというのでありまして、これは決して罰の意味は毛頭ない。どこまでも本人たちを保護するという建前からやらなければならないのであります。さように私考えております。もしも少年院を逃走いたしまして、社会に害悪を及ぼす場合が往々にしてありますが、これは実は少年たちに少年院におりますときに全然所持金を渡しておりませんし、服装もまた御承知のように統一した服装さしておりますので、出ますとたちまち金に困る、それから服装を何とか整えたいというふうなところから間違いをしでかす場合が非常に多いのであります。これはまことに申しわけないことでありますが、現在さような事態が非常に頻繁に起っているのであります。われわれといたしましては、これは何とか防止したいのでありますが、ただいまの施設、また状況からいたしますと、どうしてもさような事故が起って参るのでございますが、これはやむを得ない現在は状況に立ち至っているのであります。われわれといたしましては、ただいまも申しますように、保護の建前から、少年院の運営はどこまでも徹底していきたい。もしも少年院の教官に、少年たちが自分の言うことを聞かなかったからというので、体罰を加えるということは絶対にあってはならない。手錠の使用なんかも、さような趣旨から、もしもいささかでもあったならば、これはとんでもないことだというふうに私考えております。
  53. 羽仁五郎

    ○羽仁五郎君 これは政務次官に伺っておきたいのですが、少年が犯罪を犯した場合に罰せられるべきものはだれであるか。それは少年であるのか、国家であるのか、どっちなのかということです。私は少年院法の精神というものは、少年が犯罪を犯した場合に、罰せらるべきものは少年ではない、国家であるという考えでなければならないと思うのです。そしてそういうことが少年院の運営に当っている方に、はっきり意識されていることが私は必要だと思う。ところが従来をみると、どうもそういうふうな考え方が徹底していないのではないかと思いますが、その点についてあなたの御識見を伺うことができれば、非常に仕合せに思います。
  54. 小泉純也

    ○政府委員(小泉純也君) 先ほど来の少年院のあり方並びに本日この資料を出しました少年院を逃亡してその後いわゆる不明とされておりまする未復院の数字についての羽仁委員のお考え方には、私は全く同感でございまして、今日までに出した数字では、先ほどおっしゃるように、一般市民に、社会に迷惑をかけないで逃走後生活をしている少年も必ず相当あるのではないかと私も推察をいたしております。なおまた、残念ながら教育の力足らずして、ますます犯罪を犯して刑事事件になっているというような悲しむべき少年もこの中にはある。全く全然手が届かずに文字通り不明なものもあるというようなことを今矯正局長も申しましたが、この点についても私から申し上げまするならば、この不明の少年をはどこどこまでも、いわゆる刑罰的だ捜査的な考え方でなくて、善意をもって逃走後どうしておるであろうかというようなことまで、やはりできるだけの手段を尽して、その少年を連れ戻すということでなしに、その後どういう生活をしておるであろうかということまで親切につきつめていく私は努力と配慮がなされなければならぬものであると考えております。そして特別の悪いこともしていない、どうにかよくなって、この調子ならば普通の少年よりいいということはかりに言われなくても、再び少年院に連れ戻さずにこのままそっとしておく方が、かえってよくなるのではないかと思われるような者は、むしろ思いやりをもってそっと陰からいわゆる見守っていってやるというような態度が望ましいのではないかと考えられる次第でございまして、今後もこういう数字につきましてももっとつきつめて、捜査的な考え方でなくて親切の思いやりからその後どうしておるであろうかということをよく見きわめ、先ほど来羽仁委員が申されまするように、ひどくならないのは、むしろ少年院に連れ戻すよりも、そういう環境にあらしめて、かえってすくすくと成長をしていくために遠くからそれを何らかの援助をしていくというようなやり方が、少年院のいわゆる精神の具現でなければならぬと考える次第でございますので、なお今後ともそういう面に当局とも十分意思を徹底させまして少年院の教育に当る、全部の者がそういう心がけで具体的な行動にそういうことを現わしていくよう、当局といたしましても十分注意をいたす所存でございます。
  55. 羽仁五郎

    ○羽仁五郎君 私が申し上げたこの少年院の大原則、すなわち、少年が犯罪を犯した場合に刑罰を受けるのは、少年ではなくして国家でなければならないという考えをぜひ徹底していただきたい。そしてこの少年院関係の予算というものは、国が必ずこの少年院関係から要求せられる予算を大蔵大臣は支出しなければならない大蔵大臣は義務がある。先ほどこの少年院関係の予算は、司法、法務予算でなくて教育予算だというようなお話がありましたけれども、私は教育予算よりも、ある意味においてはもっと重要な責任が国にある。つまり国が至らないために、天使のようにして生まれた子供が悪魔のような子供になるのですから、それを天使のように戻す責任が国にあるのです。ですから大蔵大臣がこの点がはっきり認識されるならば、この少年院関係で要求せられる予算というものを削られるはずはないだろう。私は大蔵当局が御出席になったらば、まず第一にその少年院関係の予算を何だというふうにお考えになっておるか、伺っておきたいのです。どうか法務当局においてもその努力をしていただきたい。これが徹底しないために万事狂ってくる、まず予算が狂ってくる。どうぞ一つその点を十分に徹底させていただきたい。私は少年が犯罪を犯した場合に、刑罰を与えらるべきものは、少年ではなくて国家であるということは、何も私の所見ではありません。もうおそらくそれは少年院に関する今日の進歩したる考え方の定説に近いものだと言っても差しつかえない。またそうでなければ、少年院というものを特に設けて、法律をもってこれを設け、国家の予算をもってこれを設けているわけがないのですから、第一にこの点を十分御尽力を願いたい。かつまた、これが少年院長、少年院で働いておられる方々にも徹底して、われわれが刑罰を受けておるのであって、少年が刑罰を受けているのではないのだということを徹底せられるように御尽力を願いたい。  そこで第二に伺いたいのは、今の私の質問に対するお答えの中にもありました少年院の中における待遇ですが、それが逃走する場合ですけれども、現在政府は少年院の中から少年が逃走することを防ぐ装置を作ることを建前としておられるのか、それとも逃げようとすればいつでも逃げられるようになっているのか、いずれですか。
  56. 渡部善信

    ○政府委員(渡部善信君) 現在われわれの考えておりますのは、逃げたければいつでも逃げろというのではちょっと私は困るのでございます。やはりこの少年たちは現在の環境が悪いために、このままに置いてはいけない子供たちだけを、特別に引き上げまして少年院に収容しているわけなのでございます。従いましてこの少年院におらすということが、教育の一番大切な一つの手段なのであります。置いておかなければやはり教育ができない子供たちばかりを、これは少年院に送致という決定になっておるわけでございます。従いまして少年たちを少年院におらすということを考えております。
  57. 羽仁五郎

    ○羽仁五郎君 この少年院から少年が逃げないようにする方法は、少年院の中を楽しくするよりほかに方法がない、もしこれが行刑施設でないとするならば……。行刑施設の場合でも同様ですけれども、今日行刑施設でも国際的にはオープン・プリズン・システムをとっている国が多々あり、日本でも正木亮氏のごときは、行刑局長の当時オープン・プリズンの制度を研究、発表しておられます。刑務所であっても、オープンであることが理想です。いや少年院がオープンでないということは私は重大な欠陥だ、オープンでないところでは絶対に教育はできない。ですからその少年院から子供が逃げられないようになっている少年院は、すでに少年院の性格を持っていない、教育としての資格を持っていない。しからばただいまの御説明のように逃げることを奨励するかといえば、そうではないので、その中には社会よりももっといい環境があるのです。だから社会に出て苦しむよりも、ここでいい教育を受けていい人になってほしいということをお望みになるだろうと思う。だから少年院の少年が逃走しないのは、絶対に窓に錠をかけたり、塀を作ったり、見張りをつけたりすることではないので、少年院に少年がここにいる方が社会に出るより楽しいのだという印象、そういう実感を得るような設備をされなければならない。それが先ほど申し上げた第一の大前提に従って当然国家が支出しなければならない予算に属する。もしそれを国家がやらないならば、国家が刑罰をのがれておると言って差しつかえない。国家がみずから悪いことをしながら罰金を出さない。大蔵大臣はその職責を全うしておると言えない。私は少年院の逃走の問題についてそういうふうに考えている。現に現在少年院の中に普通の言葉で言えば逃げようと思えばいつでも逃がられる少年院と、それから逃げようと思っても容易に逃げられない少年院と二つありますが、その二つについて当局はそのいずれが実際の効果が上っているかにつきまして、十分御調査になっているだろうと思いますが、それについてただいまここで御説明をいただくか、あるいは後日適当な機会に御説明を伺うか、いずれにしても御説明を伺っておきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  58. 渡部善信

    ○政府委員(渡部善信君) 私実は久里浜に参ったのであります。久里浜に参りまして私が一番に考えましたのは、感じましたのは退院まぎわの少年だけを入れる開放寮がないということなんです。これは私はたとい特別少年院のように厳重な施設をしなければならないと一般に考えられますところでも、私は開放寮はなければならぬ、かように感じております。これは少年院から退院をさせるという以上、これは社会に出しても十分大丈夫だという見きわめがついたからこそ、私は少年院を退院させるわけなんです。従いましていかに私は特別少年院でも、開放寮がなければならぬ、かように私考えております。ただすべての少年院全部を開放というわけに私いきかねる場合がある。少年たちの動揺によりましては、この閉鎖寮もまたやむを得ない場合があるわけでございまして、この開放寮と閉鎖寮とうまく運営してゆくということ、これ私矯正教育の一番大切なところじゃなかろうかと思います。そうして逐次開放寮をふやしてゆく、最後には羽仁委員の仰せのごとく全部を開放するのにこしたことはございません。ただ、私どもはまだそこまでの域に現実の姿はいっておりませんので、やむを得ず閉鎖寮も混合して施行していかなければならないのではないかと私考えております。しかし、これは逐次開放寮に向って努力すべきものであります。不断のこれは努力の結果、初めて得られる成果だと私考えております。
  59. 羽仁五郎

    ○羽仁五郎君 その点はやはりぜひ全国の少年院に向って政府のお考えをはっきりと常にさせておいていただきたいのですが、今お答えになりましたように、原則としてはすべて開放寮であるべきだ、それで特別の場合だけが開放という条件を失うべきであって、しかも私は少年院が開放性を失うということは、そこに収容されている少年たち自身が決定すべき問題であろうと思うのです。それで院長が決定する、あるいは政府が決定するということよりも、子供たち自身が自分たちの場合には、自分たちが全力を尽すけれども、しかしながら開放の条件に値しないというくらいのことならば開放がなされないということがあるので、つまり子供の方からそういうことを、開放でなくしてくれと言うことが言われた場合に、初めて国の方で開放しないということができるので、国の方から開放的でなくする資格、権利は私はないと思う。ですからさっき第二に申し上げたように、逃げない唯一の方法は楽しくあるということならば、楽しければ逃げないのですから、今御説明の非常に苦しい御説明をなさるのは、中があまり楽しくないものですから、当然逃げるのですから、そこで逃げない非開放的なものが多くなっている。そこはやはりどうしても国がそれだけの責任を果していない。国がそれだけの予算を出して、中で子供たちがここにいることが意義があるというふうに子供が感じ得るような形にすれば、すべて開放寮になるべきです。その点はこれはどうか。少年院の院長も私はその点が非常に認識が十分おありにならない方がやはりあるのじゃないか。だから子供に向って現在開放でなくしているのは、決してそれがいいのじゃないのだ、この中で十分の子供がそこに意義を感じるような環境を与えて、従って開放寮にすることが当然なんだけれど、しかし国の方からそれだけのことができていないために、開放という条件を満たすことができないのだという気持を少年院長が持っているかどうかで、私は非常に違うのだと思います。ですから私は少年院は当然開放であるべきなんだ、子供がそれと別の決議をした場合を除いては、開放であるのが当然だという、それができないのは、国がそれだけの責任を果してないからだという点をぜひ私は徹底させたい、これが非常に中途半端になってしまっているために、少年院を設けながら、むしろ設けない方がいいくらいに実績が上っていない場合が多いのじゃないか。これは全く予算の乱費です、それくらいならやめちゃった方がいいのですから、予算はやはり使う以上は、その予算を有効に使われるということを、これはどうしても御尽力願わなければならないと思います。  そこで第三に伺っておきたいのですが、少年院の職員が、そこに収容されている少年を扱う上に、私はまだ改善すべき点が多々あろうと思うのです。そのうちの一つとして、たとえば院長の家族とともにその少年たちが生活するというようなことは、当然必要だと思うのですが、現状においてはどの程度まで行われているのでしょうか。あるいは行われていないのでしょうか。
  60. 渡部善信

    ○政府委員(渡部善信君) 少年院長は少年たちと官舎に大体起居いたしております。四六時中家族が全部少年たちと一緒に起居しているというわけではございません。しかしながら、いろいろな少年院の中で催しをいたします場合、運動会をするとかあるいは遠足をするとか、あるいは映画会をするとか、いろいろな催しを、レクリエーションをやるのでございますが、こういうふうな場合には少年たちとともに院長ももちろんでございますが、教官の家族もここに入りましてやるのでございます。先だって久里浜であったのでございますがちょうど私が参りましたときに、盆踊りをやることにして運動場に幕を張っておりました。これは先生の家族も全部参りまして、そうして子供たちと盆踊りをするという計画をやっていると、こういうことを話しておったのでありますが、機会あるごとにこれは現在もやっております。四六時中というわけじゃありませんが、機会をとらえてはこれを励行していると思います。
  61. 羽仁五郎

    ○羽仁五郎君 少年院長、あるいはその少年院の職員は当然行刑関係の仕事をしていた方ではない方ですね、教育とか、あるいはその他いろいろ社会の平和的な生活をしておられた方が当然だと思うのです。それが現在ことごとくそうなっているのですか。どういうふうになっておりましょうか。
  62. 渡部善信

    ○政府委員(渡部善信君) ただいま羽仁委員の仰せにありましたごとく、それが理想的でございます。実は終戦後少年院が急激に増強されたわけでございます。これは物的施設とか人的方面も急に膨張いたしたわけでございます。で新らしく膨張いたしました職員を、全部外部からさような適任者を得るということはなかなか困難でございまして、この行刑関係のうちで少年たちに理解のある職員を選びまして、少年院の職員に充当いたしております。これはないとは申し上げません、おります。おりますが、私といたしましては少年院は少年院の伝統を持っております。根本的に違った理念でいかなければなりませんので、かような職員に対しましては、行刑的な頭というのは全然切りかえて、ほんとうの少年保護に徹するということに専心さしております。現在おります、ないとは申し上げません。
  63. 羽仁五郎

    ○羽仁五郎君 もちろん行刑関係のお仕事をなすっておられても、その方が少年を扱われるのに適当である方もあり得ることだと思います。前に何をしていたから、ずっとだめだというようなことはない。人は職業の選択の自由を有するのですから、前にそういう行刑関係にあったということは、欠格の条項だと私は別に申し上げているわけじゃないのでありますが、しかし少年院の目的を果たされるためには、一般に平和な生活を十分御承知の方が適当であろうと思う。  次に伺いたいのは、手錠の問題なんですけれども、このちょうだいしました資料によりますと、護送の関係で手錠を使用しておられる数が少年院、少年鑑別所、合せて一万件に及んでおりますね。それで暴行のおそれがあるとか、自殺のおそれがあるとか、自傷の行為であるとかいう場合は、むしろ非常に少いのですね。ですから現状において手錠が使用されているのは、暴行の場合は合せて七百八十三件に過ぎない。それから自殺、自傷のおそれのある場合は百七件に過ぎないのですが、護送の場合は一万一千六百三十三件、これを見ますと、ほとんどあらゆる護送の場合に手錠を使っているのじゃないかと思えるのです。この改正法律案提出の趣旨の御説明の際にはそういうことの御説明がなかったようですが、護送の際には常に暴行並びに自殺のおそれがあるのですか。
  64. 渡部善信

    ○政府委員(渡部善信君) 護送の場合に自殺、暴行のおそれがあるというわけではございません。これはこの護送の場合に、ちょっとごらんいただきたいのでありますが、これは少年鑑別所で一万件、ほとんど大部分が鑑別所でございます。鑑別所は御承知のようにこれは観護処分と言っておりますが、これは普通の場合でございますと勾留処分でございます。ところが勾留処分にかえまして、家庭裁判所で観議の措置をとる、この観護の措置は身柄確保の一つの形式でございます。これは普通でございますと拘置所に入れるのでありますが、これを鑑別するために一つの施設に、鑑別所に収容いたします。身柄確保の一つの手段としての観護の措置であります。従いまして観護中に起ったのが、この少年鑑別所の一万件でございます。これは家庭裁判所で調査官が調査をいたします、それから家庭裁判所の裁判官が審判をいたします、このとき裁判所に連れて行きます子供たちを、そのときにいわゆる観護措置な効力あらしむるための手段であります。これは自殺とか、暴行のためじゃございません。観護措置の当然の効果とでも申しましょうか、それを効果あらしむる、適確に観護措置を行うために、これを、手錠を使って身柄の拘束をやるわけでございます。ほかの少年院の、他への護送でございますが、これは少年院間の護送もございますが、これはほとんど大部分が少年鑑別所から少年院へ送りますときに、少年院から連れに行くわけでございます。そのときに、連れ帰るときに、護送としてあがっているのが、ほとんど大部分でございます。この護送は何と申しますか、鑑別所の観護の措置のためでございまして、これは暴行、自殺、自傷とはちょっと私形が違うと、こういうふうに考えております。
  65. 羽仁五郎

    ○羽仁五郎君 すなおでない質問をしたために、かえつて、御答弁に時間を要して恐縮でしたが、私が伺いたかったのは、護送の際一万件も、一万以上も手錠を使っておることを、当局は妥当だとお考えでしょうか、どうでしょうか。
  66. 渡部善信

    ○政府委員(渡部善信君) これは一万件と申しますと非常に多いのでございます。多いのでございますが、ほんとうを申しますと、これは私決していいとは申しません。ただ、事実なんでございますが、少年鑑別所に送られてきている少年たちが、全部で三万一千人おります。この一万件のうち、一人の少年が調査官のところへ出る、それから家庭裁判所の裁判官のところへ出る、これは一回で済めばよろしゅうございますが、二回、三回連れて行かなければならない場合もあるのでございます。これはなかなかややこしく、込み入って参りますと、一回で済まない場合が往々にしてございますので、平均しますとさような子供たちは、あるいは三回か四回くらいにあるいはなるのじゃないかと私思います。これははっきりした根拠で申し上げるわけではございませんが、大体そういうふうなことも言えるのじゃないかと思うのであります。そういたしますと、この三万二千人のうちで、実際手錠をかけられますのは、ごく三分の一か、五分の一か、十分の一くらいな数に、およそ二割くらいのところに実際の数はなるのではないかと思っております。それをこれ以上やっていいというわけではございませんが、中には特別少年院に送りますものが、非常に姿勢の大きな、体躯の大きな者が相当おりますので、護送の途中に逃走等の危険もはらんでおりますために、やむを得ず手錠を使うということでございます。
  67. 羽仁五郎

    ○羽仁五郎君 護送のときには職員が一名ないし二名、普通は何人おつきになるのですか。
  68. 渡部善信

    ○政府委員(渡部善信君) 大体一名……。
  69. 羽仁五郎

    ○羽仁五郎君 これは当然少年院が立法の精神に従って運営されるためには、手錠を用いるよりも、人員をふやすということの方が適当だろうと思うのですね。二人でついて行けば、手錠もかけないで済むのだし、その方が子供の心を傷つけないし、従ってその心をいやすことができるのです。一たん傷つけた心、ことに少年の心というものは決していえるものではないのですから、この手錠を護送の際ほとんど常識のようにおかけになっておるということは、これは私は絶対に賛成できませんので、それでここでもやはり予算の問題なんでしょう、そのついて行く、護送される方が、適当な方が大ぜいいない。ことに婦人の方でもついて行っていただければ、一等母親のようにしていいのでしょうが、その予算は国が出す責任があるということが大前提です。さっき申し上げた通りなんです。私自身の体験に基いて言うのですが、最近は手錠に関する考え方が、これは少年院関係じゃなくて、一般の警察、検察の関係ですが、非常にルーズになっています。新聞などで、ずいぶん手錠をかけた方の写真を新聞に載せていることがある。これは次官の方で法務行政一般で御留意を、注意を喚起しておきますが、敗戦前に私どもがいわゆる治安維持法などの嫌疑を受けて、警察に任意出頭などを求められるような場合ですら、どうかすればわれわれに向って手錠を使用するのです。私が暴行したり、あるいは非常に護送される途中に反抗したりするという判断をする理由は、一つもないと思うんです。どういうわけで手錠を使用するかというと、やはり犯人に対しての心理的な打撃、犯人というか、被疑者に対して心理的な打撃を与えるということが主たる目的だろうと思う。この手錠に対する考え方を、この際私は、特に法務省としてお考え直しを願わなければならないと思いますが、特に少年院法関係でもって、手錠についての考え方を変えなければいけないんじゃないかと思う。そこで伺いたいのですが、現在少年院で用いておられる手錠は、一般の手錠と同じような構造のものでしょうか。それとももう少しやさしい、何かのお心づかいはあって、いかにもこれは少年院で用いているものだというものでありましょうか。それとも一般に行刑関係で用いる手錠と同じものをお使いになっているのでしょうか、いずれでしょうか。もし一般のと同じものをお使いになっているのであれば、それでよろしいとお考えになっているか、改造される必要をお認めにならないか、いずれでしょうか。
  70. 渡部善信

    ○政府委員(渡部善信君) 少年院の方で使っております手錠は、大体片手錠で、片っ方の手錠が多いと思います。これは大体警察等で使っております片手錠と、大体同じものだろうと私も思っております。この少年院で使うといたしまして、われわれといたしましても、十分御趣旨のほどを体しまして、改良すべきものは十分改良いたしまして、少年にふさわしいようなものを考えたいと思っております。
  71. 小泉純也

    ○政府委員(小泉純也君) 関連いたしまして、内輪話かは存じませんけれども、羽仁委員に、私どもの気持を御了解願いたいと思います。私からちょっと申し上げますが、私役所で、自分の部屋に矯正関係の方に来ていただきまして、手錠の問題で、いろいろ当委員会の意向はもっともだから、何とか考えなくちゃいかんのじゃないか。現在はどういうものかと見せていただきまして、非常に一般のものはもちろんのことですが、やさしい、片手のものでもっと革か何かで、一つもっとやわらかい、質もやわらかいし、はめられるものも、見たものも感じがやわらかい革か何かで工夫できないものか、一つ工夫して、予算の問題は、あとでまた自分が相談するから、一つ試作を命じて、予算が取れるか、取れぬかは別問題として、早急に一つ革の、やわらかい、感じのいいものをば一つ作らして見たらどうかと、私提言をいたしまして、当局でも、さっそく一つ工夫をして、試作さして見ましょうということになっているわけでございます。
  72. 羽仁五郎

    ○羽仁五郎君 それは大へんあたたかいお心づかいをいただいているのですが、一般に、先ほど申し上げましたように、最近新聞紙上でも、被疑者、しかも最近はどうも人違いなり、真犯人でない人を警察は盛んにつかまえているようですが、これは警察に対する監督が、非常によく行き届いていないことを現わしておりますが、それは別としましても、疑いを抱かれて、それで逮捕される人に手錠をした。その写真を平気で新聞に発表されている事実は、次官も御承知だと思いますが、あるいは次官は、ああいうことで差しつかえないというお考えでしょうか。ああいうことは阻止するお考えでしょうか。いずれでしょう。
  73. 小泉純也

    ○政府委員(小泉純也君) このことにつきましては、先日も当委員会におきまして、羽仁委員から、逮捕状の乱発、手錠の、いわゆる当然のごとき乱用ということを、強く御指摘いただきまして、私ども答弁のこの席上でも申し上げまして、また役所に帰りましても、次官、刑事局長にも、羽仁委員の御趣旨をよく申し上げ、私の答弁、考え方の趣旨も御報告申し上げまして、何らかこういう非難のないように善処しなければならないということを、私からも強く要望いたしておきまして、私自身も全く羽仁委員が仰せられる通り、そういうことをなくしなければならぬ。なくしていくことが、法務行政の正しきやり方であり、そういうふうに自分も在任中全力を振って努力したいと考えております。
  74. 羽仁五郎

    ○羽仁五郎君 ごく最近の銀座の殺人犯についての犯人と考えられる人を、警察で逮捕されて血液型の検査、アリバイ等でそうでないということが明かになったようですが、ああいう新聞発表は政府はどういうふうにお考えになりますか。もちろん新聞記者の取材活動の自由というものは絶対に制限されてはならないものでありますが、私はどうもああいう種類のものは、新聞記者の取材活動の自由の結果ではなくして、警察の方で人権を十分に尊重していない結果からきているのじゃないか。もし前者であるならば、われわれは問題にすることはできませんけれども、後者であるなら、すなわち警察の方で十分人権を尊重する観念が徹底していない。まだ人は裁判の結果有罪とせられない限りは無罪である。しかるにその人に対して、あたかも罪人であるかのごとき印象を社会に与えて、終生回復すべからざる名誉を棄損するということを警察は平気でやっておられる。これはあなたも多分御同感であろうと思うのですが、ああいうことは根絶していただきたい。いわんやそういう写真を平気で新聞社に与える。あるいは新聞社が写真をとろうとしているときに、手錠その他を御本人が隠すような便宜を与えないということはよくないと思うのです。これは御答弁いただかなくても、そういう御尽力を願い得ることと確信いたしましてよろしゅうございますか。  そこで伺いたいのですが、少年院の場合に、手錠をかりに使用するということは、根本の趣旨が大前提からいうと誤まっているわけで、少年も決してものの判断を失っているものではない。むしろわれわれ成年よりも少年の方が、残念ながら純真な判断をし得るのです。ですから少年院に行って自分が改善せられる見込みがあるとかということなら、決してそこへ行くことを少年が拒否するはずがない。この苦しいしゃばにいるよりも、少年院に行っていい教育を受けよう、本も読めるかもしれない。いい教育も受けられるかもしれないということがなければ、これは結局現在の手錠の使用を改善するということはおできになるまい。これを革になすっても、やはり実質においては同じですし、それが世間に見えないところで、その人が逃げないようにするような工夫もしていただかなければなりませんが、そういうふうに表面に出ないようにしましても、やはり実質においては同じなんですから、私はここに非常な危険があるのを、宮城委員、赤松委員、各委員が御指摘になっているのは、少年院が改善される形において使用される手錠というものを、われわれは決して問題にしないのです。そこまで行政なり何なりに立ち入ろうとしているのじゃないので、行政上の御必要というものがおありになるかもしれない。危険なのは、その少年院における教育環境が向上しない関係において、少年院が少しも愉快なものになっていないときに手錠が使用されれば、その手錠は激烈なものに悪化してゆく、そこに問題がある。ですから本法案が国会を通過すべきものであるかどうかということは、最初にも政府に向って申し上げたのですが、現在政府は少年院の施設について予算その他どれだけの努力をなさるおつもりなのか。それから第二には、現在政府は一般の行刑あるいは警察ももちろん含めまして、特に少年院の院長、職員に対して、そこは少年院が第一義的には教育の場所であるということを、どれだけ徹底なさるおつもりかということに私は関係してくると思います。ですから最後の私の質問は、手錠の使用について、現在のような残酷な使用の方法を改める御意思がおありになるかという質問ですが、それに対して政務次官は、それについて十分努力をなさりたいということでありましたので、私は質問を終るわけですが、どうか、以上御質問申し上げましたように、大前提がなければ、やればやるだけむだです。それで弊害が起るばかり。どうか一つその大前提を実現するために全力をあげていただきたい。そうして私は常に繰り返すのですが、生まれてきた赤ん坊を見れば、誰が見ても天使のような赤ん坊です。どの赤ん坊も天使のような赤ん坊です。生まれたときから殺人、強盗、放火などをするような顔つきをしている赤ん坊は一人もいない。ところが、それがいつのまにか、殺人、強盗、放火をするようになってしまう、あるいは身の毛のたつような犯罪をするようになる。最近の坂巻少年に対しては、裁判に関係のないことについては何も言えないはずの裁判官が、判決の中で国家に向って反省を求めている。この判決を見て花村法相に国家はどういう反省をなすっているかと伺いましたが、何のお答えもない。その判決を見てからにする。しかし坂巻少年に対する判決書は、法務大臣は当然ごらんになるべきだと私は期待していたのです。ごらんになっていないことは残念でしたが、ごらんになって下さって、これは別に判決書を見なくても、当時新聞紙上でも報道されておりまして、裁判官が国家の反省を求めている、裁判官にまで政府は反省を求められているのです。本委員会でもこうしてうるさく強く申し上げるわけです。どうか、大蔵当局に向って、少年関係の予算というものは国の負うべき罰金である。これは罰金を納めなければ、国が罰金以上の刑に服しなければならぬということになるのです。こういう点で十分の予算を取られて少年院をしてその本来の目的にかなうように、われわれが入りたくなるくらいたのしくなる必要はありませんけれども、本来の目的にかなうような少年院になって、連戻状や手錠というものが要らない、そういうように実際少年院が日々に改善されていくという御努力を願わなければならんと思います。
  75. 小泉純也

    ○政府委員(小泉純也君) ただいまの羽仁委員の御高見は、全く私ども同感と申し上げますよりも、むしろ進んで少年院のあり方、少年院の仕事に従事する全国の職員が汗に銘じて理解して、それをば具現するように努力しなければならない事柄であると痛感をいたしております。また、私どもも職員を指導する立場におきまして、これをばあらゆる機会に十分に徹底せしめまして、羽仁委員が仰せられましたような少年院のあり方というものが正しい軌道に乗っていく。将来は手錠とか連戻状とかいうものは要らないような、りっぱな成績を上げる少年院たらしむべく、誠心誠意をもって努力しなければならぬということを、ここに申し上げる次第であります。
  76. 成瀬幡治

    ○委員長(成瀬幡治君) 別に御発言がなければ、本日はこの程度で散会をいたします。    午後四時三十八分散会