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1955-10-07 第22回国会 参議院 文教委員会 閉3号 公式Web版

  1. 昭和三十年十月七日(金曜日)    午前十時四十九分開会   ―――――――――――――    委員の異動 十月六日委員千田正君辞任につき、そ の補欠として大山郁夫君を議長におい て指名した。   ―――――――――――――  出席者は左の通り。    委員長     笹森 順造君    理事            雨森 常夫君            吉田 萬次君            竹下 豐次君            荒木正三郎君    委員            大谷 瑩潤君            川口爲之助君            佐藤清一郎君            白井  勇君            加賀山之雄君            高橋 道男君            安部キミ子君            高田なほ子君            三木 治朗君            最上 英子君   国務大臣    文 部 大 臣 松村 謙三君    国 務 大 臣 川島正次郎君   説明員    文部政務次官  寺本 広作君    文部大臣官房人    事課長     田中  彰君    文部省初等中等    教育局長    緒方 信一君    文部省大学学術    局長      稻田 清助君    文化財保護委員    会事務局長   岡田 孝平君   ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○教育、文化及び学術に関する調査  の件  (大学制度に関する件)  (へき地教育振興に関する件)  (定時制高校教育に関する件)  (教科課程に関する件)  (政府に対する要望書に関する件)  (教育職員の昇給、昇格及び人事整  理に関する件)  (松元事件に関する件)  (教科書及び教育委員会制度に関す  る件)  (文化アタッシエイ、著作権条約及  び文化財保護条約に関する件)   ―――――――――――――
  2. 笹森順造

    ○委員長(笹森順造君) ただいまより文教委員会を開会いたします。  議題については、昨日の委員会の議題で質疑保留になっておりますものは、一括して午後の日程に回し、午前は大学制度に関する件をいたしたいと思いますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 笹森順造

    ○委員長(笹森順造君) 御異議ないと認めます。  大学制度に関する件を議題といたします。質疑のある方は順次御発言願います。  ただいま特に大学関係においては、文部省から大学学術局長稻田清助君が出席せられております。
  4. 吉田萬次

    ○吉田萬次君 私は東北大学を視察しまして、そうしてまた東京大学を視察いたしました。その視察の結果から考えまして、ここに四つ五つばかりの質問をしたいと思います。  まず第一に、私は、国立大学の財政の問題でありまするが、予算額と決算額との間にはなはだしい差異があることについて、私はどうしてこういうふうなものが生ずるかということをお承わりしたいと思うのであります。
  5. 稻田清助

    ○説明員(稻田清助君) 東北大学を御視察下さいまして、大学の財政の現状、研究遂行の問題等からいろいろ御心配いただきました先般の御報告、私どもといたしましてはかたわらにいてつつしんで承わったわけでございます。ただいまの御質疑の国立学校の予算額と決算額がどうしてこう然うかという御質疑でございますが、決算書はお手元にこの前の国会の際に差し上げてごらんいただいておると思うのでございまするけれども、まあ大体において人件費におきましては相当の残がございます。これは欠員等がありましたためでありまするが、その他の諸費につきましては、多少の残余はございまするけれども、大体予算額程度各学校では使用いたしておると心得ております。
  6. 吉田萬次

    ○吉田萬次君 私は、この講座の研究費の流れ方というものについて、非常に私はそこに疑義を生じた次第であります。伝え聞くところによりますると、この研究費というものは大体まず文部省で一割天引きされるということであります。さらにこれが各大学へ参りますると、大学本部で一割二分天引きせられる。そうすると、残りは七割八分になりまするが、その七割八分のものをまた、各学部へいきますると、各学部の事務局でこれをさらに三割引くということであります。従って、実際の研究費というものが使用せられるというのは四割あるいは五割になってしまうというように開き及ぶのでありまするが、何がために文部省でまず一割を引き、大学本部で一割を引くというような、これは恒例になっておるかもしれませんが、かような問題はどうしてこういうことになるのでございますか。
  7. 稻田清助

    ○説明員(稻田清助君) 一般にはさような事実はないのであります。ただ、あるときの政府におきまして、予算全体について節約をきめられたことがあります。そういう場合におきましては全体の何割なり何分なりとめ置くような場合がございまするけれども、お話のように、一律に文部省において一割あるいは本部において何割というような方法はいたしてないのであります。御承知のように、予算決算及び会計令第十八条の九でございますが、予算は四半期に分って令達することになっております。四半期にわたって令達するという意味は、全予算を正確に四分の一にして各半期ごとに令達するという趣旨ではないのであります。それでは意味がない。要するに、この四半期ごと令達するという意味は、それまでの使用実績を見、またそのときあるいは予見し得ざる将来における使用の必要等を見て、加減して配付するわけであります。そういたしませんと、たとえば修繕費であるとか退職金であるとか、その他の費用を末端まで割って流してしまった場合には、あるところで窮屈が生じ、あるところで空白が生ずる。これは当然の理でありまするから、四半期ごとの配付ということはそれはいろいろ考えて配付いたします。しかし四半期を通じました結果に、先ほどお答え申し上げましたように、人件費の定員の残等については多少ありましょうけれども、ほとんどすべての学校の経費はすべて各学校で使い切っておる。別に文部省において使い得るものでもございませんし、途中でとめてむだにいたしましても、むだなものでございますから、結局末端まで流れておるということはお手元にある決算書において御了解いただけることだと思っております。
  8. 吉田萬次

    ○吉田萬次君 それで、ただいまある政府のときにそういうことがあったかもしれぬということにつきましては、まあ、ことに一側の問題は文部省でさようなことがないと言われまして了承するといたしましても、大学本部あるいはその各事務局において引かれるというようなことについては恒例のようになっておるということですが、さようなことについてお聞き及びになったことがありまするかどうですか。
  9. 稻田清助

    ○説明員(稻田清助君) 何割定率のとめ置きということは、申し上げたように、聞いておりませんけれども、あるいはこういうことはあろうかと思います。たとえば光熱水料でございます。これは各研究室ごと、あるいは研究者ごとにメートルを付けますれば、最初から研究者に光熱水料を配付できますけれども、そうすることは不経済でもあり不可能でございますので、大学の各ブロックごとにメートルを付けたといたしますれば、光熱水料はこれは本部で支払うわけでございまするから、諸般の経費のうち光熱水料の支払いというような見込みのために本部においてものをとめ置く。あるいは電話なんかにおきましても、各教室で電話をかける場合に、その支払いは本部でいたすのでございますから、研究者の手元で勝手に使用できる経費と本部において支払うべき経費、性質上この二種類あるといたしますれば、一定の経費を本部に留保するということは、これは事の当然だと考えております。
  10. 吉田萬次

    ○吉田萬次君 私は流用ということについては、それはあり得ることだと思いますけれども、何がために講座研究費からこういう今おっしゃったような費用が流れるかということに対して、ほかから出るならともかくとして、講座の研究費なんかから流れるということは私はすこぶる遺憾に思います。さらに東北大学において調べたことについては、きのう高橋先生からのお話もありまして、私はこの問題について質問したいと思っておりますけれども、ほかから流用することのできる場所はありませんですか。
  11. 稻田清助

    ○説明員(稻田清助君) 流れるという言葉の解釈でございますけれども、これはこの前の国会におきましてもお答え申し上げましたように、とにかく学校の経費は極貧という名目において経常的経費を組んでおります。校費の積算の基礎に、あるいは講座研究費あり、あるいは庁費あり、あるいは学生経費その他があるわけでございます。これは積算の基礎でございまして、一体とした校費として大学において経理せられております。これをもし非常に厳格に研究費、派別あるいは通信費、その他区分いたしました場合には、おそらく学校において非常に窮屈を感ずるだろうと思います。これは単に学校ばかりではありません。特殊の事業費、特殊の補助費を除いて、こうした行政機関の経常的ないわゆる生活費的な経費はすべて一定の積算の基礎は持っておりますけれども、経理の運用におきましては一体として経理せられておりますのは、あえて文部省所轄の学校に限らないと考えております。
  12. 吉田萬次

    ○吉田萬次君 私は款外流用ということは、これは各方面で使われることであろうし、よく存じております。しかしながら、ことさらに講座の研究費というものから流用せられるということにおいては、私はすこぶる遺憾に思うのであります。  私はただいま配付せられました東北大学の財政実態調査表、これに基きまして私は質問申し上げたいと思うのであります。まず三項の庁費でありまするが、庁費というものが非常に予算より支出がふえております。さような点は、私はやはり大学院の設置についての教授陣というものが完備しないがために、あらゆる方面に斧鉞を加えて、そうしてそういうところにしわが寄っていくのではないかというように考えます。たとえて申しますると、さらに八項の常勤労務者給与というようなふうのものは予算がない。しかしながら、どうしてもこれは置かなければならぬような点から、こういうふうに支出の方にいっておる。これはやはり大学院の設置に対する私は必要な問題に対して、こういうところへしわがきておるのじゃないかということが考えられまするし、さらに私は各所修繕費におきましてもさようなことがあると思いまするし、ことに修繕のことについては後刻質問したいと思っております。三十三の教官研究費、これがここに現われておりまするように、非常に支出と予算瀬においての開きがある。というのは、ただいま申しました三項、八項、それからさらに二十七項とか、二十九項とか、あるいは四十二項、四十七項というようなふうのものに対して、影響をしておるのでありまするが、この点から考えましても、非常に私は遺憾に思う。ということは、二十九項の研究報告出版費などというものが、予算が足らないがために、これは三倍の支出がせられておる。あるいは図書購入費などでは六倍の支出がせられておる。こういうものにすべてしわ寄せせられまして、そしてせっかくの教員研究費というものが少くなっていってしまう。さらに先ほど申しましたように、大学の本部で一割二分引かれるとか、あるいは各学部において三割の天引きを受けるとかいうようなことになっては、私はほんとうの研究ということができ得ないものであって、実際大学の本旨に沿ったところの教育というものの方針を誤ることになりはしないかと思うのでありまするが、これに対してどういうふうなお考えを持っておるのですか。
  13. 稻田清助

    ○説明員(稻田清助君) 非常に多岐にわたっての御質問でありまして、お答えを漏らすことをおそれながらお答え申し上げるわけでございますけれども、最初にお話しになりました庁費がなぜふえるかというお話でございます。これが大体さっき申し上げましたように、光熱水料の増の場合でございます。光熱水料というのは、別にほかの意味に使うわけでなくて、こういう大学におきまして、これは研究のために電気代がかかる、水道代がかかるわけでございまして、教官研究費の他の用途と全く、これは研究の目的であるという点につきましては、選ぶところないわけでございます。かりにこれに例をとりまして、それなら光熱水料で庁費にかかるならその分だけはっきり庁費の方に積算した方がいいじゃないか、頃からそれぞれその区分をした方がいいじゃないかという声も、これはごもっとものように伺うのですけれども、私どもが心配いたしますことは、一年も前に予算を組みますときには、次の年度における研究者がどういう研究計画をもって進めていくかというようなことは、そうこまかく予見できないわけであります。たとえば、心理学教室をとりましても、ある心理学の教室では、研究のために図書費を非常に必要とする時期があります。ある心理学の教室では、ある脳波の研究費なんかでかなり高い備品費を必要とすることが突然起るのであります。あるいはさっき御指摘になりましたように、常勤労務者を雇って、いろいろ実験の手伝いをするとか、あるいは通信運搬費をうんとかからせてアンケートをとるとか、そういうことは一々こまかくこの予算の区分に従って翌年度に固定するように、前年度においては組めないのでございます。従いまして、一応の積算の基礎として教官研究費、あるいは庁費その他いたしまして、結局全体の校費というものを考えて、それを各大学において適切に使っていただくことが、私どもは学問研究の自由あるいは進歩のために考えていいことではないかと思うのであります。  ただ、常に遺憾に思いますことは、この総額の校費が足りないということでございます。この点は確かに、御指摘を受けたように、私どもも申しわけなくも思い不満に思っております。ただ、これも皆さま方のお力によって、ここ三、四年、ある年は講座研究費を倍にしていただきました。ある年は学生経費を二割増ししていただきました。あるいは本年度も庁費について相当増額をしていただいております。そのときどき、いろいろな費目においてこの校費全体のかさを上げることに努めて参ってきております。今後におきましても、校費全体のワクが広がりますれば、研究者はその研究を、あるいは光熱水利によって実現し、あるいは通信費によって実現し、あるいは図書費によって実現する。いろいろな費目において実現する。要するに、ここに組まれておりまする費用は、大部分研究の費用でございまするので、いかなる費目がかさみましょうとも、いかなる費用が足りなくなりましょうとも、総体において研究が遂行せられるように校費が上ればよろしいと私どもは心得ております。
  14. 吉田萬次

    ○吉田萬次君 ただいまの御答弁によりまして肯定し得るのは、図書費というものが講座研究費の中から出ておるということについては、それは了承します。またその他光熱費というようなことに集中するような御答弁でありましたが、光熱費というものは、なるほど研究のために増大するというようなことも考えられます。しかしながら、私はただ単にそうでなくして、東北大学においては、修繕費、いわゆる各所修繕費というようなものまで私は講座研究費から出ておるということに対して遺憾に思うのでありまして、東北大学のみによって見ましても、戦災によって受けた坪数が四千坪、それから老朽校舎として使用に耐え得ないものが九千坪、その他整備を要するものが八千坪からあるのであります。これを合計いたしますると二万一千坪の坪数となるのであります。これが新設はまだできませんにしても、全国的に見てみましたならば、全国に八十三万坪のものが建てなければならぬようになっておるのであります。それを予算にいたしますると、五百五十五億円要するのであります。年限にいたしましたならば、これを毎年二十億ずつ今日のように出しておるといたしましても、二十八年間を要するのでありまして、とうていこの修繕に対する費用というものが出るというようなことは想像もつかないと思うのであります。従って、各大学におきましても、私はこの幾分ずつでも補強し、あるいは修築していくという点から考えまして、やむを得ず私は講座研究費というような重大な方面から流用しておるのでないかと思いまするが、このいわゆる修繕費に対するお考えはどうでありまするか、承わりたいと思います。
  15. 稻田清助

    ○説明員(稻田清助君) ただいま御指摘になりました五百五十五億の計画と申しまするのは、これは文部本省に組まれておりまする国立文教施設費によりまする分でございまして、学校の校費とは何ら関係のない問題でございます。ただこれにつきましても、年々二十億余の支出でございまするから、緊急を要する百億程度の経費を実現いたしまするのも、当初の計画通り三年というわけにいかない現状につきましては、われわれも大へん遺憾に思っておるわけでございます。しかしこの建物設備費が、御指摘のように、講座研究費を食うとか圧迫するとかいうような直接関係は、私全くないと思っております。別にこの校費以外に、御承知のように、国立学校の経費には各所新営という費用がございます。これはたしか昨年度におきましては二、三億程度だと思いますが、各所新営の費用が別にございます。また各所修繕の費用も、これまた別にございます。もし各教室において多少修繕的なことに使うために、一般校費を使用した事実、これは私あったかどうか、東北大学については調べなければなりませんけれども、この校費をもって許される程度の修繕ということは、結局何か実験研究に関連いたしまして、教室内に水槽を作るのだとか、あるいは研究室内に多少設備的な大きなものをやるとか、そのために壁をぶち抜くとか、あるいは暗室を作るとかいうくらいなことしか、これは費目の性質上許され得ざるものだと思います。一般の屋根の修理であるとか、あるいは道路の修繕だとか、これは一般の学校の費用の修繕費をもって使用しなければならないものだと思っております。
  16. 吉田萬次

    ○吉田萬次君 私は今の御答弁によりまして、理論的にお答えになれば確かにそうだと思います。しかしながら、実際問題というものについて東北大学において調べましたところによりましても、要するに、ここに書いてありますように、教官研究費というものが、一億二千二百八十三万五千円というものについて、実際支出せられておるのは四千七百二十五万一千円というようなきわめてわずかな額になってしまっておるということは、この中から建築費まで融通せられておる、修繕費までこの中に含まれておるというような点を十分了承することもできまするし、また向うの説明にもそういうようにあったのであります。ということになりますると、いかに大学の内部が窮迫しておって、そうして流用のできない方面から流用しておるかということを、私は想像することができると思うのであります。かようなことは文教上きわめて重大な問題でありまして、理論的にあなたの御答弁を承わるということによって、それで実際問題を基礎にしてわれわれは了承するということができないのであります。これは表面に現われたところの予算の数字というものは、確かにあなたがおっしゃる通りでありましょう。しかしながら、事実は大いに反しておるのであります。私はこれが今年だけの問題とは解釈し得ないのでありまして、従来からもこの通りになってきておるように考えるのでありまするし、また東大において承わったところによりましても、やはりこれに類するような点を聞いたのでありまするが、かような問題について、将来に対する考慮とか、あるいは従前に聞いておられて、それが今日まで伝統的に行われておるということを黙認せられておったのか、その点御答弁を承わりたい。
  17. 稻田清助

    ○説明員(稻田清助君) 先ほどお答え申しましたように、校費全体のワクを広げることを私どもは緊急の職務と考えております。今までにおきましても、おかげで年々多少はふえておりまするけれども、明年度以降の予算におきましても、講座研究費の増額、庁費の増額、あるいは学生経費の増というような点につきましては十分力を入れまして、校費全体のワクを広げたいと考えております。校費の中における区分けをいろいろいじりますことは、学校の状況も一律でございませんし、研究計画も、先ほど申しましたように、いろいろこれは変っていく問題でございますので、それを非常に区分を厳密に申しまするよりは、私どもとしてはとりやすい費目において予算増額をいたしまして、全体として校費のかさを上げることが賢明であると考えております。
  18. 吉田萬次

    ○吉田萬次君 けだし、議論をしましてもこれはおっつきませんが、私は実質的の研究費というものの増額が必要だということにおいて、この問題を研究してもらいたいと思います。  それから学生の厚生問題でありまするが、寄宿舎とか、あるいは健康保険の問題でありまするが、寄宿舎などは非常に荒れておる、ほとんど使用にたえ得ないというようなものがありまするのと、従ってその寄宿舎に対する衛生設備なんということはさらに考慮せられておらない。学生の衛生という方面から考えても、非常にこれは重大な問題である。ことに学生アルバイトというものが今日盛んになり、東京大学においては、三分の一は家から金をもらっておる、また三分の一は多少よその手助けをして通っておる、あと三分の一というものは全部をアルバイトによって学校に通っておるというようなふうな点から考えまして、この寄宿舎というものと健康保持ということに対する健康管理というようなことは非常な私は重大な問題だと思いまするし、ことに今日健康保険というものが爼上に上って参りましたが、これに対する当局はどういうお考えを持っておりますか。
  19. 稻田清助

    ○説明員(稻田清助君) お話の点は非常に、今日の学生生活から考えまして、重大な点と考えておりまして、第一に学生の健康の問題につきましては、御承知のように、年々の予算におきまして各大学における医療施設の充実の費用をちょうだいして参ってきております。それからさらに明年度におきまして、これはなお現在各大学の意向等を聴取中でございまするけれども、できますれば近い将来におきまして学生の健康保険制度を実施いたしたいと考えまして、学徒厚生審議会からも一応の答申を得て、目下各大学にそれについての意見を聴取中でございます。  さらに御指摘の寄宿舎の問題は、われわれといたしましても現在非常に大事なことと考えておりまして、本年度におきましても、補正によりまして三千万円の経費をちょうだいいたしまして学生寮の建設ということを進めておりますし、明年この経費を拡張いたしたいと考えまするとともに、国立大学につきましては、国立文教施設費の中に特別にこの寮舎増築の経費の増額を要求しておるということでございます。この最後の点につきましては、私直接の所管ではございませんけれども、管理局に対しましても、ぜひ建築費の中にこの寮舎の新営という点を十分考慮してもらいたい。それからさらに寮舎の運営費につきましては、御承知のように現在経費が少くて、畳がえその他の修繕も十分いっておりませんので、これは国立学校の経費の中に、各所新営とか、あるいは寮舎の設備充実というような意味合いにおきてまして、新規に相当額要求いたしたいと思っております。
  20. 吉田萬次

    ○吉田萬次君 それから私は、最も重要である教員養成の問題について承わりたいと思います。私どもが東北大学に参りまして、聞きまして、また見まして、そうして感じましたことは、あすこは旧制大学と新制大学と一緒になったところである。そこで、旧制大学におけるところの今までの方針というものと、それからそこに新しく入っていった教育学部というようなものとの間に、まま子扱いにせられておるような感じと、そうして私どもが予期しておったところの教員養成という本旨というものがそこに徹底しておらないように感じたのでありまして、大学の教授に聞きますると、大学は教育学を教授するところであって決して教員を養成するところではない。従って、われわれは教員の養成ということについては考えておらないということをはっきりと言っておるのであります。しかしながら、今日学芸大学というものがなく、東北大学の中に併置せられてそうして教員の養成が行われるだろうと、われわれが想像しておった常識的の観察から全く離れたもののように感じておるのでありますが、かような問題についてどういうお考えを持っておられますか。
  21. 稻田清助

    ○説明員(稻田清助君) 確かに御指摘の点は従来とも問題になっております点でございまして、東北大学の教育学部のあり方という点につきましてはいろいろ御意見を伺うわけであります。つまり、ほかの府県におきましては、中小学校の教員の計画養成のために、教育学部あるいは学芸学部等があるわけでございますが、それからまた別に教育学の研究というために元帝大でありました学校におきましては特別に大学院を置く教育学部があるわけであります。東北大学におきましては、大学院大学としての教育学部としての職能と、中、小学校教員養成の教育学部としての職能が、一つの学部にあるところに運営のむすかしさがあるわけであります。しかしながら、どなたがどう申したかわかりませんけれども、あの教育学部が全然教員の養成を考えていないと申すことは、これは実態に当らぬと考えております。と申しますのは、実際問題といたしましても、教育学部のためには特別に分校がございまして、その分校における教官あるいは学生は、これはもう計画養成の教員としての教育に専念しているわけでございます。まあ一部の教授は大学院大学としての研究活動にのみ専念する方々がありまするから、これらの人々が計画養成には関係しない、こう申すことはあろうかと思いますけれども、学部全体として見れば、この二つの職能は果しておると考えられます。ただ、その果す点につきまして非常に困難な、考うべき問題があることは事実でございます。
  22. 吉田萬次

    ○吉田萬次君 そこで臨時教員養成所の問題でありますが、本来は大学においてこれを適当にあんばいしていくべき性質のものでありまするのが、一年間で養成することになっておる。しかしながら、希望は二年を要求しておる。いずれにいたしましても、私は大学でやる仕事をこういう臨時教員養成所というようなものによって変態的に行われておるということは、これは一つの邪道のように思うが、これはどうお考えになっておりますか。
  23. 稻田清助

    ○説明員(稻田清助君) 確かにそれは正常な形でないのであります。こうした計画であの教育学部が出発いたしましてから三、四年たちましたが、今までの状況から見ますると、計画養成に必要な教員が出ていないのでございます。そこでそれを補う意味において県がそうしたことを考えられた、これは非常に県に対しては気の毒な問題だと思っております。そこで先年来私どもといたしましては、大学当局と県の教育委員会と両者の間に入りまして、いろいろ御協議を遂げて来ております。今後におきましては計画養成に適当するような人々をあの教育学部に招致し、また教育も十分徹底して、卒業者が宮城県下における中、小学校教員としてとどまる人が多くなるようにというような点につきましては、これから先は相当改善の実が上り得るものだと私どもは期待いたしております。
  24. 吉田萬次

    ○吉田萬次君 この臨時教員養成所というものは、これは宮城県ではなくして、青森県あるいは岩手県において特にそういうふうのことを感じて参りました。これに対する地方の希望もありまするし、実際にどうかというと、学生の希望も聞いて参りました。が、いずれにいたしましても、私はかような変態的のものをもって将来このままに放置するということはでき得ないと思いまするが、近き将来においてこれを処分するということの見通しはついておりまするかどうですか。
  25. 稻田清助

    ○説明員(稻田清助君) われわれといたしましては、大学における教員の計画養成が本流であると心得ております。そういうために、環礁二万二千ばかりの養成をいたしでおります。しかし全国の需要供給の状況からみますると、ともすればこの卒業生が全部四月に就職し得ないというようなことも生ずるわけであります。従いまして、計画養成数をこのままこれ以上に急速に充実して、それ以外の養成の道をふさいでしまうということもまた危険に思うわけであります。そこで大体は大学の養成に待つといたしましても、ときどきの需要供給に応ずるというような意味合いと、それからいま一つは、臨時教員養成所には現職教育的な意味合いがあるわけであります。多くの優秀な助教の方々がおる、これらの人に二級の免状を与えてあげる道を開いてあげないと気の毒だ、そういうような現職教育的な意味合いもありまして、ときとして岩手県その他においてもそうでございますが、そうした現職教育式な養成所を設けられる場合がある。私どもとしては、これは本来的の姿ではないのでございまするけれども、ときとして場所によって、あるいはまた再教育の必要というような点からみて、これは全然いけない施設だとは言い切れないと考えております。
  26. 吉田萬次

    ○吉田萬次君 それからもう一つ承わりたいのは、弘前の大学へ参りまして感じたことでありまするが、弘前の大学では屋内体操場というものがありません。従って、積雪寒冷地帯におけるところの学校として屋内体操場がない、ことに教員養成の学校に屋内体操場がないというふうのことは、体操という教科をいつ教えるか。また教える時間というものがきわめてなくなってしまう。そこで私は非常に体操という教科に対する問題が重大な役割を持つのみならず、その施設がないということによってそうして完全な教育を施すことができないというようなことをすこぶる私は遺憾に思いまするが、この問題について何か考えておられるか、開かれましたか、あるいはかような問題をいかに解消せられますか。
  27. 稻田清助

    ○説明員(稻田清助君) 御指摘の点も非常に重要な問題でございまして、私どもといたしましては、小学校の教員たるべき者はもちろん全科担任で体育の指導の力がなければなりませんし、それから中学校、高等学校の教員たるべき方々といたしましても、たとえば科外活動、修学旅行の際の問題等から考えまして、すべてそうした体育的な修練を身につける、たとえば水泳もできるしあるいは団体訓練の指導もできるというようなことは、現在の教員養成としては非常に大事なことと心得まして、教育の内容というような点につきましては各教育大学にそういう点の充実をお願いいたしまするとともに、また管理局にはいろいろ相談いたしまして、お話のような屋内体操場あるいはプールの施設というようなことは、いろいろな営繕のうちで特に喫緊を要すべき問題として取り上げてもらってきております。これは一概に全部の学校に及んでおりませんけれども、御指摘になりました東北地方でみれば、たとえば福島の大学等におきましては相当完備した体育施設が最近にでき上ったのでございます。漸次、お話の弘前その他にもこうした点は及ぼして参りたいと思っております。
  28. 吉田萬次

    ○吉田萬次君 そこで総合的の観察をいたしますると、私はかように大学の施設において不備な点がたくさんあるという点を考えますると、ただそのうちの一部を取り上げまして、今の建築営繕の問題につきましても、現在の予算をもってしては、全国の大学に対して将来二十八年かからなければ完備することはできないというような状態であるということを基本的に基礎といたしまして、大学の将来に対する設置というもの、新設というものをどう考えておられるか、その点だけ承わっておきたい。
  29. 稻田清助

    ○説明員(稻田清助君) この点につきましては前々文部大臣からも申されておりまするように、現在といたしまして大学について考うべき問題はいろいろあるわけでございまするけれども、何より私どもが心引かれるのは大学の内容の充実の問題でございます。すべてに先立って内容の充実を行いたいというのが現在の文部省の考え方でございまして、従いまして、いろいろ各地から御要望等もあるわけでございまするけれども、各部学科の新設等の新しい仕事につきましては、自然、内容の充実のあと回しということがやむを得ないことでなかろうかと考えておる次第であります。
  30. 吉田萬次

    ○吉田萬次君 私は内容の充実ということは一つの口実であって、内容の充実をするにいたしましても、私はやはり建物というものが必要であると思うのであります。その建物がまだ管理も十分でない、さらに内容の充実において最も重大なる意義を持つところの教授の、教官の講座研究費というものが、この方面に使われるというようなことは、私はすこぶる遺憾に思います。従って、かような方面に対して十分に留意をせられまして、改善せられることを要望いたします。私一人の質問でありませんので、この程度で……。
  31. 荒木正三郎

    ○荒木正三郎君 ちょっと関連して。簡単に、ほかの質問もあるようですからいたします。予算の流用の問題でありますが、稻田局長は、予算の流用はやむを得ない、あるいは差しつかえないと、こういう御意見のようでございますが、先ほどから吉田委員も指摘されますように、全費目にわたって予算の流用が行われておるということです。しかもその流用が非常に額が多いということ。これでは予算を何のために作っておるのかわからない、こういう感じが私もいたすのであります。従って、局長が答弁になりましたように、予算の流用は差しつかえない、こういうことで、私もがまんできないのであります。せっかく予算を作って、そうして執行する場合に、その予算というものがほとんど全面的にくずれておる、こういうことでは、私は何のための予算か、こういうふうに言いたいのであります。特に教官研究費とか講座研究費というのは、非常に従来から当文部委員会でも問題になった費目であります。中央教育審議会においても、この研究費、講座研究費というものを増額してもらいたいという、こういう要請が熾烈であり、当委員会においてもたびたびその増額を要求した経緯がございます。ところが、東北大学の例に見ましても、教官研究費が予算としては一億二千二百万円というものがある。しかるに実際は四千七百万円しか使われておらない。これは半額にも足りない金額であります。こういう流用がなされておるということは、これは私は不都合千万であると思います。これがどういう理由によってそういうことになっておるのか。先ほどは光熱費に使うとか、あるいはいろいろ説明がありましたが、それだけでは私は不十分であると思う。そういう意味において、教官研究費が非常に削減されておる。そのほかの費目を見ましても、著しいものをあげてみても、研究報告出版費、これは二百万円しか組んでおらないのを六百万円使っておる。それから図書館経費、これが五十四万円しか組んでいないものを、二百万円使っておる。それから図書購入費、これは四百万円が二千五百万円使われておる。二、三をあげてみても、非常な違いであります。これは結局講座研究費とかあるいは教官研究費の予算がそういう方面へ流用されておる、こういうことになると思うのであります。それでは幾ら教官研究費を上げていっても、実際そのほかの方面に流用されておるということになれば、幾らこの方面の費目を上げていっても、実際的に成果をあげることはできない、こういう結果になると思うのです。そういう点で稻田局長の答弁は私は非常に不満であります。  特に一昨日でございましたか、古田委員は具体的な数字をあげてさらに詳細に御報告になっております。その一部を読みますと、東北大学の「工学部は一講座当り八十万二千円でありますが、これを本省において、まず一割の八万二千円を留保し、次に大学本部において一割二分の八万六千六百十六円を留保し、直接工学部へ渡るのは六十三万五千百八十四円であります。工学部においては工学部共通費として、光熱水料費、通信運搬費、建物補修費、事務用品その他合計三十三万五千四百四十二円を差し引き、実際の教官研究費として直接その講座の手に渡るのは五五%の四十五万九千五百二十三円であります。」こういう報告がなされております。  そういたしますと、この講座研究費あるいは教官研究費というのは、予算から見れば半額しか手に渡っておらない。そのほかいろいろの費目に使われておる。こういうことでは実際の研究の成果を上げる、こういうことは期しがたいと思うのですが、そういう点について重ねて局長の私は答弁を求めます。
  32. 稻田清助

    ○説明員(稻田清助君) 先ほどの御説明と多少同じ点に触れる御質問がありますようでありますので、お答えが同じお答えを申し上げる失礼をお許しいただきたいと思うのでございます。  御質問はおよそ三つの部分に分れておるように存じます。最初は、こういう費目の彼此流用が困るのではないかという問題と、いま一つの、文部省なりあるいは本部における留保の問題と、それからいま一つは、教官自身が直接自分で使い得る経費が少額にとどまってしまうという問題のようです。  第一の点は、お答えいたしたわけでございますけれども、この校費はいわゆる行政費でございます。申すまでもなく、各省各庁を通じまして、こうした行政費というものは、要するに一体として経営使用せられるのであって、その内容として積算の基礎はいろいろございますけれども、予算を組みます省の考え方といたしましては、結局において一体として使用せらるべきいわゆる機関の生活費というように考えるのでございます。従いまして、それをもし、その区分区分で非常に窮屈にいたしましたらば、先ほど心理学講座の例で申し上げましたように、研究の遊行によってあるいは図書に非常に金がかかる場合とか、あるいは電気代が急に必要な場合もある、あるいは器具機械を買いたくなる場合もある、あるいは通信、運搬が必要な場合もある。それを予算を組みます一年前に予見いたしまして、教室の狭い小さな予算のうちに、狭い区分けにいたしますことは、これは私どもは研究阻害だと思っております。従って、校費全体としてのかさを上げたい。要するに研究費が足りないということは、私どもその通り、非常に申しわけないと思っております。ただ、講座研究費そのものがどうのこうのということは、それ以外の庁費においても、光熱費であろうと、通信、運搬、図書費であろうと、これはすべて研究目的のために使われるならば、私どもとしてはそれはよろしいのではないか、こういうことを繰返して申し上げるほかはないと思います。  第二の留保の問題でありますが、もしこの一割とめ置いた、あるいは何割とめ置いたという方がありましたら、そのとめ置いたものが一体決算においてどこに現われたということを伺いたいのであります。文部省が一割とめ置きましても、文部省が学校の費用外にすべて使うわけではありません。決算をごらんいただきますように、すべての学校において四半期の最後には使われているのでございます。ただ四半期四半期の配分におきましては、それまでの実績と、予見し得られる将来の状況等を見て、いろいろあんばいして配当いたしますけれども、究極はすべて国立学校に参ります。その点は御了解いただきたいと思っております。  それから直接教官が使うと申しましても、これは先ほど申しましたように、もしすべて教官自身が金を払うようにしたいというならば、教官一人一人に電気、水道のメートルを付けるとか、一人一人に郵便代なりあるいは共通の電話料なりを区分できるのなら、いたしてもいいけれども、そういたしますことはおそらくずいぶん窮屈であり、不便なことだと思います。従って、一本で光熱水料を会計課で払いまする以上は、会計課といたしましては、その分の費用を校費全体として留保するのは当然な処置だと考えております。
  33. 荒木正三郎

    ○荒木正三郎君 先ほども読み上げましたように、本省において一割を天引きをしておる、それから大学の本部において一側二分の天引きをして、そうして直接工学部へ渡るのは、そり残額の六十三万円何がしである、こういうのであります。その工学部においては共通経費として光熱費、それから水道の費用、あるいは通信運搬の費用、建物補修費、事務用品等をまた差し引いて、その残りを教官に渡しておる。問題になるのは、やはり文部省でなぜ一割を留保しておるのか、それから大学の本部でなぜ一割二分を留保しておるのか。結局この留保した金額がほかの費目の方へ流用されておる、こういう結果になってくると思うのであります。そういう意味において、そういうほかの方面へ流用されるような考え方で文部省なりそれから大学当局は頭から相当な金額を留保しておる、こういうところに私は講座研究費とかあるいは教官研究費というものが実際に非常に少くなってきている理由があると思うのです。そういう点で、これは文部省としても私はよくないことだと思うのです。  それからその次に、研究を進めるためにそのつどそのつど、あるいは図書を充実しなければならぬ、あるいはその他の研究報告出版ですか、そういう方面へ金を入れなければならぬ、こういうことはその場当りで私はないと思うのですよ。やはり来年度の予算を考える場合には、大体の目安というものがきまるはずだと思うのです。そういうことはどうでもいいんだというような立場で、来年どういうふうに使用するか、それはめくらめっぽうなんだ、こういうことでいいということに局長の答弁からではなるわけです。少くとも来年心理学教室なら心理学教室でどういう研究をするか、それにはどういう費目が必要であるかということは、明白になってくると思うのですよ。三年も四年も先のことじゃないのです。来年のことを予算化するにおいては、そういうことは明白であると思うのです。それが、この実際を見ると、それが五%とか一〇%くるってくるということであれば、私はここで問題にして質問する必要はないと思うのです。これが三倍とか五倍という変り方になってゆく。これにはやはり目安のない予算というものが組まれておるのじゃないか。こういう予算がいいという論拠はどうしても出てこないのです。それに近い予算というものが出てこなければならぬ。これは結局、私は講座研究費なりそれから教官研究費というものが、当初から他に流用しよう、そういう考えが相当あるのじゃないか、こういうふうに思うわけであります。結局つづめて申しますと、やはり予算と実際の執行というものは大体接近をしてこなければならぬ。それが三倍にも五倍にもなるということは、いかに局長がその研究を増進するためにそのつどそのつどの実際に合してやってゆくんだ。これが三年も五年も先のことならいざ知らず、来年のいろいろの予算を検討する場合に、それは明白になってくると思う。これは私はやっぱり文部省が予算の執行についてある程度大学に干渉しているのじゃないか、こういうふうに思わざるを得ないのです。
  34. 稻田清助

    ○説明員(稻田清助君) 文部省が大学に干渉したくないと思えばこそ、校費全体を大学の自由に、その中を窮屈に分けずにやっておるわけであります。もし一年の前におきまして、その研究の題目から研究遂行の方針まで、いわゆる大学の経常的な研究のさまつの点まで考えまして予算を積み上げるといたしましたら、これはおそらく研究の自由の干渉になるだろうと思います。今荒木委員は一年の前に予見し得られるとおっしゃいましたけれど、たとえば東京大学の例をとりましても、たとえばビキニの患者を引き受けた場合、何百万円という金が急に要ります。明神礁が爆発したとき、そこに行くためにはすぐ何百万円という金が要ります。これはそのつど補正もできませんし、また一々予備金支出の手続をとるわけにもいきません。一例をあげてもそうでありまして、学問が日常進歩に追及し、あるいは諸般の現象に応じて動きまする以上、それだけの自由は各大学に私どもは与えなきゃならぬと思っております。かりに教官自身があらゆる経費を自分がまず持って経理したいというのならば、何のために本部の会計課長があり事務局長があるか、何のために文部本省があるか。要するに、文部本省は予算を配当いたします場合に四半期に区分いたしますけれども、一割とめ置いて何の必要があります。結局これは年間を通じてすべて学校で費消されておることは、お手元にある決算掛において明らかでございます。また一割なんという数字がどこから出たか、私は了解に苦しむわけであります。本部にとめ置いた、あるいは工学部の事務局にとめ置いたということは、本部で支払うべき共通経費、電話料等は本部で支払いましようし、あるいは各部でメーターが付いておれば各部で水道の支払いを一括していたします。一々これを全部教官が伝票を切るように教室に総額を渡してしまうよりは、現在の行き方が私は理の当然だと考えております。
  35. 吉田萬次

    ○吉田萬次君 ただいまの稻田局長の御答弁について私は不可解な点がありましたから、重ねてちょっとお伺いしたいと思います。それは一割の問題でありまするが、一割というのはかってある内閣の時代においてそういうことがあったかもしれぬという私に対する御答弁でありました。しかしながら、今荒木委員に対する御答弁を承わりますると、そういう金があるによって適当にまた研究の方面へ向けることができる。けだし研究に向けるということからいったらば、同じことじゃないかというようなふうに聞こえました。かようなことならば私は聞き捨てがたいと思うのであって、予算というものは、何のために予算を組むのであるか。予算に組んだならば、その通りに一応配分せらるべきが適当でないか。もし、ただいまのように、突発的の事項が起きたときに研究費がない、それを出す方法もないというようなことでありましたが、さほど窮屈なものであるか。またさような問題は私は当然要求せられてしかるべきものであり、さような問題があった場合においては適当な処置が講ぜられると思います。この点について、私はあなたのおっしゃったことが詭弁のように受け取れる。これに対する御答弁を……。
  36. 稻田清助

    ○説明員(稻田清助君) 予算決算及び会計令十八条の九という条項に縛られまして、私どもは予算を配賦いたします。年間四半期に分けまして、必要な額、を使う所に配賦する。これは要するに、年間の予算を四等分いたしまして四半期に渡すのじゃ意味がない。やはり彼此必要の度合を見て、結局においては全部渡すのでございますけれども、学校の経費は、御承知のように、御審議いただいておりますように、一本として組まれておりまする以上は、そういう点で第一四半期は四分の一以下に配賦するのは当然だと思います。これが昔の帝国大学特別会計令のように、東京大学は東京大学一本でもし予算が組んでありましたならば、そういう問題はございません。昔の学校図書館特別会計ですべての専門学校が一つの予算のうちに組まれて彼此流用されておりますように、今日の国立学校の校費いわゆる経常的経費は一本で組まれておるのでございます。特別な事業費その他は側々的に毎年皆増皆減の予算でございますけれども、こういう基準的な経費というものは一本に組まれて、それをその必要に応じて文部省の会計官が配賦する、こういう性質のものでございます。これは会計令の規定に縛られてそうしておるわけでございまするから、これをその意に反して、お話しのように、機械的に配分はできない問題だと思っております。
  37. 荒木正三郎

    ○荒木正三郎君 やはり私は納骨しないのです。先ほどビキニの問題を出して、そうして予算の流用というものが必要だというお活です。ああいう例はめったにないことなんですよ。私が先ほど読み上げたいわゆる報告書の内容を見ても、そういう突発的な事故はないのです。そこでそういう例を引いて、予算の流用というものをはかっておかなければ研究に非常に阻害がある、こういうことは当らないと私は思います。  そこで具体的にもう一つだけ尋ねておきます。たとえば講座研究費を文部省において一割天引きしているというお話しでありますが、これはあとで各学校へ配分されるのだろうと私は思います。この決算書を見ても、総額においては変りがないのですから、なるほどこの天引きをした一割分は各学校に配賦されると思うのです。しかしその配賦された金がいわゆる講座研究費として使われるかどうかという問題です。これは使われておらない。どうしても、決算報告書を見ると、使われておらない。何に使われているかわからない。予算ゼロのところが膨大にふくれ上っているところもあるし、先ほども言ったように、三倍、五倍にふくれ上っているというところもある。そういたしますと、天引きした、文部省で留保した予算というものが、いわゆる講座研究費の中から留保した予算というものが、講座研究費の方へ回らないで、そうしてほかの方面へ費消されてゆく、こういうことになるわけです。ですから、こういう必要が全然ない。文部省で一割留保する、そういう必要は全然ない。どういう理由で留保するのですか。
  38. 稻田清助

    ○説明員(稻田清助君) 各四半期ごとに留保いたしますのには、たとえば修繕費は、いつどこに風が吹いて屋根がわらが飛ぶかわかりませんから、それは各大学の要求を見てから各大学に分けます。あるいはまた退職手当、これはいつだれがやめるかわかりませんから、これは留保する。こういうような金が積み上って参りますと、各四半期ごとの配分は全体の四分の一にはならないのでございます。それから先ほど来申し上げることを繰り返して恐縮でございますけれども、校費のような行政費は、一応の積算基礎はございますけれども、積算基礎になりました費用の区分を厳格に守りました場合には、生活費が生活費として機能運営に私は役立ちにくいと思うのでございます。この点が私は御見解と根本的に相違することかもしれませんけれども、それは文部省ばかりでなく、およそ行政費的なものは、私、各省各庁を通じてすべてそういう性質のものであろうと心得ております。
  39. 荒木正三郎

    ○荒木正三郎君 私の質問に対する答弁になっていないのですよ。私はなぜ講座研究費を一割文部省で留保するのか、こう言っているんです。ほかの費目については質問していないわけです。
  40. 稻田清助

    ○説明員(稻田清助君) 二度お答えいたしましたように、一割留保という事実は、私、存じません。
  41. 荒木正三郎

    ○荒木正三郎君 そうすると、吉田委員の報告書はでたらめである、こういうことになります。この吉田委員の報告書は当文部委員会において報告されたものであり、私はその原文そのままを読んでいるわけです。これは私は明らかにする必要があると思うのです。
  42. 吉田萬次

    ○吉田萬次君 私はそういうふうに聞きましてそうして報告したのでありまして、これは確かに根拠があって私は報告したのであり、今のようにでたらめの報告なんと言われると、私は遺憾に存ずるものであります。
  43. 稻田清助

    ○説明員(稻田清助君) 私、決してでたらめと申しておりません。存じませんと申しております。
  44. 吉田萬次

    ○吉田萬次君 いや、本省留保額というところにこれは出ていると思いまするし、私だけじゃなしに、私と行を共にしたところの調査員もはっきり認めて、そうしてこれは書いたものだと思うのでありまして、さようなでたらめということを言われるならば、そのでたらめという事柄の取り消しをしていただきたい。
  45. 笹森順造

    ○委員長(笹森順造君) でたらめという言葉が今問題になりましたが、それを発言した方からもう一度御解義を願いたい。
  46. 荒木正三郎

    ○荒木正三郎君 私が使ったんですが、稻田局長は留保していないと言うのですよ。しかし報告書は明らかに留保したと書いてある。報告書がでたらめであるのか、局長の答弁がでたらめであるのか、私は明らかにする必要がある、こう言っているんですよ。当然のことです。
  47. 吉田萬次

    ○吉田萬次君 この問題について、私一人であったとするならば、これは間違いがあるかもしれませんが、調査員もはっきりついてきておりますによって、この際調査員に私は発言を許していただきたい。(「異議なし」と呼ぶ者あり)
  48. 荒木正三郎

    ○荒木正三郎君 これはどっちか間違っています。
  49. 笹森順造

    ○委員長(笹森順造君) 速記をとめて下さい。    午前十一時五十七分速記中止    ――――・――――    午後零時二十九分速記開始
  50. 笹森順造

    ○委員長(笹森順造君) 速記を始めて下さい。
  51. 荒木正三郎

    ○荒木正三郎君 本日の委員会におきまして、東北大学の財政の実態についていろいろ質疑をいたしました。しかしこの質疑の結果、予算内の流用と申しますか、積算の基礎になっている費目間の流用が非常に大きく行われております。で、こういうことはひとり東北大学に限った問題でないように思いますので、できれば、国立大学について同様な実態調査の結果を御報告願いたい。かように思います。
  52. 笹森順造

    ○委員長(笹森順造君) ちょっと荒木委員にお尋ねしますが、ご報告願いたいというのは、だれに報告させるということですか。
  53. 荒木正三郎

    ○荒木正三郎君 それは文部省です
  54. 笹森順造

    ○委員長(笹森順造君) 文部省ですか。そのことを、文部省の方で今の荒木委員の御発言に対して御発言ありますか。
  55. 稻田清助

    ○説明員(稻田清助君) これは相当時間がかかりますけれども、試みてみたいと思います。
  56. 白井勇

    ○白井勇君 それは資料としておとりになるのですか。むしろ大学自体からとった方が早いのじゃないかと思います。先ほどお話がありました通り、たとえば委託されておるものなんか、一々文部省にはわからないと思いますが……。
  57. 笹森順造

    ○委員長(笹森順造君) ですから、大学から出させるにしても、文部省で、委員会直接の関係はいきませんから、文部省で集めてくれ、こういうお話なんでございます。
  58. 荒木正三郎

    ○荒木正三郎君 具体的にそうしかしようがないと思います。文部省から集めさせるよりほかに方法がないと思います。
  59. 笹森順造

    ○委員長(笹森順造君) できるだけ努力して下さい。
  60. 稻田清助

    ○説明員(稻田清助君) できるだけ努力いたします。
  61. 安部キミ子

    ○安部キミ子君 先ほどから、教官研究費の問題で非常に議論が出たようでございますが、私が参りました三ヵ所の大学、そのほか県立の大学などで聞きました中で、一番困難な問題は光熱水道費の問題でありまして、これは学生に対しては鉄道では割引を出しているし、映画などでは割引をしているというふうにサービスをしておるのでございますが、鉄道の方と同じような行き方で、電気会社とかあるいは水道局あたりが、特別にそうした大学に配慮するという手続なり方法なりを文部省の方で何とかされたことはありませんでしょうか。
  62. 稻田清助

    ○説明員(稻田清助君) ごもっともでございまして、第一、一番私どもが苦心して参りましたのは、電気料金値上げの場合に、値上げしないでくれということで努力して参りました。それから大口使用を業務用に直す点で努力して参りました。これはいろいろ地方によって違うようでございます。九州あたりが非常に困難で、東京あたりの方がやりやすい。そういう点が、今までは文部省の管理局において年々ずいぶん努力して参りました。  もう一つの問題は、地方税の問題でございます。何か電気使用に関します税金等があります。これは自治庁ともいろいろ交渉して参りましたが、まあすべての文部省の念願通りには行っておりませんけれども、あらゆる機会に努力して参りましたし、今後も努めたいと思っております。
  63. 安部キミ子

    ○安部キミ子君 これは政務次官とそれから局長と、二方にお尋ねしますけれども、神戸市へ参りまして、 いろいろの国立の大学あるいは県立大学を見て参りました。兵庫県では、御承知のように、単科大学が四つありますし、また短期の大学を二つ県でかかえておる実情であります。今日の地方財政が窮迫しておる状態で、こういうふうにたくさんの大学を一つの県でかかえているということは、ほんとうに教育、いわゆる大学教育というものが育つだろうか、こういうふうに私は非常に疑念を持っておりますし、と同時に心配もしておりますが、局長はどういうふうに考えておられますか。お二方に……。
  64. 稻田清助

    ○説明員(稻田清助君) お話のように、兵庫県下におきましては、国立、県立、私立、非常に錯綜しております。これはまあそういう状況であった旧制の教育機関を新制に直したせいだろうと思います。それについて県側から、一部の県立大学の国立移管の問題が先年来あるわけでございますけれども、一面、文部省といたしまして、現在これ以上手広くすることもちゅうちょせられまするし、また御存じのように、県立大学の所在が、丹波の笹山であるとか、非常に遠隔な地域なんです。これを神戸大学と一緒にいたしまして、果して総合大学として合理的に運営できるかどうかも、非常に疑問でございますので、問題は問題として伺っておりまするけれども、私どもは一定の結論をまだ出していないのでございます。
  65. 安部キミ子

    ○安部キミ子君 寺本次官に、この問題についてお伺いしたいと思います。
  66. 寺本廣作

    ○説明員(寺本広作君) 県立大学を国立大学に移管するかどうかという、一般方針の問題につきましては、これまで大臣からたびたび申し上げております通り、ただいまのところでは、国立大学の内容充実に全力をあげたいと、今すでにでき上っております国立大学だけにつきましても、田の財政の事情が十分でなく、先ほどからいろいろ御論議いただいております通り、研究費など非常に不足をいたしている状況でございまして、今でき上っております国立大学の内容充実ということに、この際は全力をあげて、そのあとで、ある程度に大学の内容が充実して参りました場合に、県立の移管であるとか、大学の増設であるとかという問題に取り組みたいと一、方針としてはこういうふうに考えております。  兵庫県の問題は、数年前、非常に地方財政がゆっくりしておった時代に、たくさん県立大学を作られて、現在お困りだということはよく伺っております。この問題は主として地方財政の観点から論議されておる問題ではなかろうかと思いますので、その問題は今の国立大学の問題とは別個に、地方財政の問題に重点をおいて片づけられるべき問題ではなかろうかと考えます。
  67. 安部キミ子

    ○安部キミ子君 私はこの大学という名のつくものは、短大は別として、やはり県がかかえているという行き方は、将来ほんとうに大学が育つかということに疑問を持っております。やはり国の財政力なりあるいは見解に立って大学教育はなされなければならないものじゃないかと、こういうふうに考えているものでありまして、ことに神戸医科大学の内容を見て参りましたところが、病院も施設されておりまして、経済的にも神戸医科大学の場合にはちょっとも困難じゃないんだと、むしろ黒字が出るので、ほかの大学の経営の助けになるのじゃないかというふうな印象を率直に受けて参りました。それから農科大学の方は、なるほど丹波の笹山の奥だから、いろんな点でこういう御意見もあるかと思いますけれども、しかし実際にこのまま放置しておけば、ますますこれらの大学の形がくずれてゆくのじゃないかと、そういうことになれば、やはり私は国が責任をもって教育に当らなければならない。地方財政の問題が解決すればと、こう寺本次官はおっしゃいますけれども、それでは、その保証を寺本さんはなさる勇気がありますか。そうしてその保証をして下さいますか。
  68. 寺本廣作

    ○説明員(寺本広作君) 大学はすべて国でやるべきものだという建前での御議論かと思いますが、国立、私立、いろいろあります大学を、国が全部責任を負ってやるべきものかどうかということについては、いろいろ御議論があろうと思います。地方財政の問題につきましては、私が今兵庫で困っている財政の跡始末をしてやるということは言明いたしかねます。
  69. 安部キミ子

    ○安部キミ子君 私は、やはり文部の担当者は、文教政策において責任があると思うのです。そういう意味において、これは地方の責任であろうと、国の責任であろうと、教育するということは、やはり国が責任をもって教育しなくちゃならない。松村声明といいますか、松村さんが、大学はふやさないというふうなことをおっしゃいましたために、実際はもうかかえ切れない地方では、これはたまたま兵庫県の実例でございますけれども、ほかの県でもこういうことはあるのです。それだからといって、それじゃそういう声明は出たし、というので、文部省がかかえないで、ほうっておくということになれば、今の日本の情勢からすれば、これは決して地方にまかしておいていいものじゃない。地方にまかしておいて、りっぱな教育ができるというような見通しは、今のところこれは困難だと思うのです。一面、民主党の政策とすれば、再軍備はするし、何はするし、という政策をとっておいでになる。再軍備に膨大な予算をとっていて、そうして教育もりっぱにできようったって、そういうことはできない建前になっているのは、これはいうまでもないことであります。こういう問題から考えても、私は今あなたがおっしゃいましたことは、ただ一時の言いのがれにしかすぎない。ほんとうに教育を思うというような立場はそこではないのじゃないか。そういう意味で、もう時間もありませんので、この大学再編成の問題については、松村さんが一度あんな声明をなさったからといって、これがこんりんざい動かすことができないのだというものの考え方には非常に疑義を持ちます。やはり責任は文部省がどこまでも負って、国民の教育をするという建前、この基本線はくずすべきじゃないし、またそういう意味で将来御検討をいただきたい。時間がありませんから、以上をもちまして要望しておきます。
  70. 白井勇

    ○白井勇君 ちょっと伺いますが、今国立大学で、教養学部が一ヵ所で教育できなくて、二ヵ所以上に分れて教育しているところがありますか。
  71. 稻田清助

    ○説明員(稻田清助君) これは主として、元帝国大学でありました学校を基礎としてできた新制大学に多いのでございまして、私全部正確には記憶いたしませんけれども、東北大学、九州大学のごときは二ヶ所でやっております。
  72. 白井勇

    ○白井勇君 そういう学校で、今教育上非常にいろいろな面におきまして不便もあり非能率かと思うのですが、それに対しては文部省はどういう考えを持っておられるのですか。
  73. 稻田清助

    ○説明員(稻田清助君) ただいまの九州大学につきましては、これを福岡に統合いたしたいと考えまして、本年度の予算におきましても必要な経費を積算いたしておるのでございますけれども、地元においていろいろなお意見がございますので、その意見を今調節中でございます。それから東北大学におきましては、すでに最後三ヵ所に分れておりましたのを二ヵ所に集め、さらに将来、もし営繕の費用を得られますれば、すみやかに一ヵ所にいたしたい。ただ非常に遺憾なことは、戦災復旧であるとか制度改善に伴う諸種のもっとも喫緊な建築費に追われておりまして、まだそこまで手が及びませんけれども、御指摘のように、これは教育上大事な問題であるので、なるなべく早く解決いたしたいと考えております。
  74. 白井勇

    ○白井勇君 そういうふうに一ヵ所に集めて教育をしなければならぬという考え方で進めていらっしゃるといたしますと、特に九大の分校の問題ですね、ああいうようなものは一応経費もはっきり計上されておって、そうして学校当局においては、すでに十月一日からは福岡でやるのだということまでも、総長初めきめておるらしいのですね。それなのに、今お話のように、地元の何とかかんとかということで、それが中止になるかあるいは保留されておるということはどういうことなんですか。
  75. 寺本廣作

    ○説明員(寺本広作君) 九州大学の教養学部の一部が久留米にありまして、非常に教育上不便を感じておるということで、福岡へ移すということ、そのために必要な予算を計上して国会の御承認をいただいておるのですが、ところが、地元の方で、久留米の方で、地元の振興のため学校をぜひ自分の方に置きたいという非常に強い要望が出まして、教養学部を福岡へ移すならばあと何かそれのかわりの学校を作ってくれ、こういうような話でございます。私どもといたしましては、国会の御決議もすでに済んでいることでありますし、できるだけ早く福岡の方へ移したい、こう思っておりましたが、大学移転の問題などは地元の円満な了解がなければ円滑に参りかねますので、何とか地元同士の話し合いがつくようにということで今日まで延びて参っております。久留米にあります教養学部はもとあすこにありました工業専門学校でございますが、その跡にありますので、相当の設備もございます。それを利用して、何かあといい方法がなかろうかということで、地元のお話し合いを期待いたして今日まで延びてきたわけでございます。現在のところではまだ、完全な話し合いといいますか、地元との将来の問題についての了解は取りつけるに至っておりません。しかし福岡の方に移りたいという学生側の希望も相当に熾烈になって参っておりますので、そう遠くないうちに私どもとしては善処したい、こういうふうに考えております。
  76. 白井勇

    ○白井勇君 私現地を見たわけではありませんから、それはわかりませんけれども、これは学校自体はもちろんのこと、生徒も全部がそういう熱望にかられておるらしいのですね。しかも文部省当局とされましても、今お話しのように、すでにそういうことで予算まで組んで、ただ地元久留米の、何といいますか、反対意見がある、これだけのことであるいはまた何かそれに多少利害関係がありまする一部の牽制というものを含んでいるかもしれませんけれども、とにかくそういういわゆる、われわれから見ますと、教育の効率を上げるという面からいいますと、どうもわれわれといたしまして非常にふに落ちないということで延引されるように私は聞いておるのです。そこで今次官のお話のように、地元との話し合いをつけたいといいますけれども、何かやはり代償でもやって、必ず十一月に間に合わなければ来年の四月にははっきりという、そういうはっきりした見通しがあるのですか。
  77. 寺本廣作

    ○説明員(寺本広作君) 久留米大学の教養学部があすこにできましたのが、先ほども申し上げます通り、もとあった学校の設備を利用したわけでございますが、そういうもとあった学校ができますとき地元に非常に御協力をいただきましたそんな関係で、今この段階で地元の方として非常にあとの要望がありますので、むげに福岡側へ移るということもどうかと思いますので、できるだけ地元の了解を取りつけたいということで今日まで努力いたして参りました。先の見通しがはっきりあるかということになりますと、地元の御奮発願うというところも非常に多いのでございますので、地元が自分の方では何もあとの案はない、国だけで全部やれというようなお話でございますと、なかなか話がまとまりにくうございます。今日まで努力をして参りましたが、まだ先のことについてははっきりした見通しを得るに至っておりません。
  78. 笹森順造

    ○委員長(笹森順造君) 午前の審議はこの程度とし、午後は一時半から再開することといたしまして、暫時休憩いたします。    午後零時四十九分休憩    ――――・――――    午後二時十一分開会
  79. 吉田萬次

    ○理事(吉田萬次君) ただいまより文教委員会を再開いたします。  まず昨日より今朝にかけて行いました僻地教育、定時制高校教育、教科課程及び大学に関する件について、留保されておりまする質疑を一括して行いたいと存じます。質疑のある方は順次御発言を願います。
  80. 白井勇

    ○白井勇君 大臣が見えましたから、私ちょっと一言承わっておきたいのです。午前中に政務次官に一応のお話しを聞いたのでありまするが、九大の教養学部の福岡移転の問題が今久留米では問題になっておりますが、あれは予算が通って、もう学校ではそういうことに当局を初め生徒皆そういうつもりで安心をしてやっておるようでありますが、これは今の段階は今後どういうお見通しでありますか。
  81. 松村謙三

    ○国務大臣(松村謙三君) 私から詳しく御説明を申し上げたいと思いますが、実は直ちに予算の施行をしようと考えておりましたところ、福岡と久留米の調整がとれませんで、あのとき直ちにこれをやりますと相当に混乱が起る危険もございましたから、それでそれぞれ関係者に、知事を初め九大、それから久留米、それから選出の議員の方々等々に解決をしていただきますようにお願いをいたして、そのできるまで一つ施行を見合わして、その間に円満な解決を得たいと考えてやった措置でございます。しかるところ、いろいろの経過はございましたが、大体話し合いがつくところまで来て参りましたのでして、昨日もそれらの関係者を東京へ呼びまして、そうして円満な解決をしようという点において一致いたしたようなわけでございます。それこれの結果をもたらして関係者は今九州へきょう帰りまして、明日あたりにも円満な解決ができると考えております。そういう経過でございますから、ごく近くその結果がなにしますと、予算の施行も直ちにいたしたい、このように考えておるようなわけでございます。
  82. 荒木正三郎

    ○荒木正三郎君 私はきのう事務当局に質疑をいたしました高等学校の教科課程の改変の問題について大臣に若干御所見をお伺いしたいと思うのですが、きのうの緒方局長の説明では、教科課程の政変については相当準備も整っておる、こういうお話しでございましたが、私は必ずしも現場においては十分な準備ができておらないというふうに考えるのです。この際準備不十分で来年四月から実施するということになると、相当障害が起るのではないかというふうに考えているのですが、大臣としてはこの点どういうふりに御判断しておられますか。
  83. 松村謙三

    ○国務大臣(松村謙三君) その点についてお答えをいたしますが、実は私があれに賛成をいたして来年の四月から施行いたしたいと考えますことは近来やはり高等学校では専門的の教養を得たいという要求が相当にございます。たとえば農村においては以前は農学校がありましたが、今は一括して高等学校でやっている。それで農業をやる者はやはり農学校程度の教養を与えてほしい、商業学校におきましてもやはり同様の要求がありまするし、これはまた私どもは当然のことであると考えます。従いまして、これに対して課程を変えるということはこれは意義のあることであって、ぜひ一つやりたいと心得ているわけでございます。教育の機会均等の趣旨からどうかというような話もいろいろそれは検討もいたしてみましたが、これくらいのことをやるのに、事は必ずしも機会均等を失うわけでもない、そこは常識で解釈して行くべきじゃないかと考えまして、これを来年の四月からやる考えを持っております。まだ弔慰ができていないという御心配もございますが、これは地方の教職にある方々、教育委員会等がこの点を理解していただきますならば、十分来年の四月の間に合うことと存じておるわけでございます。さよう御了承をお願いいたしたいと思います。
  84. 荒木正三郎

    ○荒木正三郎君 それからもう一つの問題は、選択制を変えてコース制をとることによって大学の入学試験の競争がいっそう激化するというふうに思われる点があるのです。と申しますのは、現在大学の入学試験というのは、ある特別の学校に集中して、非常に入学の困難な学校がある。しかし全体の大学が全部非常に困難であるというのではなしに、ある特定の有名な大学は志願者が殺到して、そうして非常に入学試験の競争が激しい、こういうのが現在の日本の実情であると思います。ところが、今度の校区制をとることによってそういう傾向がますます助長されるのではないかということを私は考えるわけです。と申しますのは、やはりこの校区制をとることについては、大学側からもかなりの夢精があったかもしれないと思うのです。これは高等学校側としては、やはり著名な大学へ卒業生をできるだけ入れたい、こういうことが起ってきておるわけなんですが、それがさらに校区制をとることによってそういう傾向がだんだん高等学校側にも強くなってくる。そうすれば勢い著名な大学へ志願者が殺到する。こういうことになるのではないかというふうに考えるのです。と同時に、その半面、高等学校の教育においても上級の大学へ進学する者が重点になって教育がされて、そうしてそうでない者は非常に犠牲になってくる。そういう傾向が強くなってくるのじゃないか。現在でもそういう傾向は相当あるのですが、そういう傾向がなお一層ひどくなってくるのではないかと、こういう私は見解をとっているのですが、そういう点はいかに判断せられますか。
  85. 松村謙三

    ○国務大臣(松村謙三君) 入学試験のことにつきましては、これはお示しのような点もあろうと思いますが、しかし現在におきましても、いい学校すなわち都会の古くあった学校等に対しましては非常に門戸が狭い。そうしてやはり相当に準備を要するというものですから、都会の高等学校と地方の高等学校の間に学力の相違などという点もずいぶんありまするし、それらのこと等を勘案してみますと、必ずしもこの制度が直ちに大学の入学を過激にせしむるものとは一がいに断じ得ないのではないかと思います。しかし、この大学の入学試験の問題は、今のままでありましてもやはり大きな問題だと思いますので、今日は大学入学試験研究協議会というものを御承知の通り設けておりまして、研究中でございます。今年中にもその結論を得たいと思うて努力をいたしておりますが、どういう結論が出ますか知りませんが、このために特にそういう弊をさらに大きく助長するものとは私どもは考えておりませんが、なおこれらの協議会等において十分の研究をいたすようにいたしたいと思います。
  86. 荒木正三郎

    ○荒木正三郎君 私はそういう傾向が助長されるのではないかという判断をする一つの材料として、今度の校区制を採用することによってそこに学区制を拡張するという問題が起ってくると思う。従来の学区制をさらに拡大をしなければ、この校区制というのは十分に実施できないのではないかというふうに考えているわけなのです。学区制を広げていって、そうしてそのことによって広汎な地域から優秀な中学の卒業生を高校へ吸収する。そうしてそういう高等学校では大学へ進学する用意のようなコースを設定する、そういうようなことになってくると私は考えるのです。そういうような意味で、この新しい校区制をとることによって、学区制というものが拡大されていく。その結果真に入学問題と結びついてくるというふうに考えておる。この点学区制を拡張されるということはございませんか。
  87. 松村謙三

    ○国務大臣(松村謙三君) それは所によってそういうような傾向を来たすことがあるかもしれませんけれども、かりにお話し通りといたしましても、大学への希望者が、優秀な子弟が集まるという現象でありまして、そこにやはり競争は起りましようけれども、今より素質がよくなるだけで、それ以上に門がさらにさらに狭くなるということは私、ないように考えますが、いかがなものでしょうか。
  88. 荒木正三郎

    ○荒木正三郎君 私の言いようが悪かったかもしれませんが、現在大体学区制をしいております。これはいろいろの事柄を考えて学区制をしいた方がいいのじゃないかということでしかれてまたわけであります。この学区制をさらに拡大するということになれば、非常に広い範囲から、ある高等学校に希望者が集中してくる、こういう結果になって参ります。そういうことがいいのかどうかの問題が一つ。  それから、そうすれば自然広い範囲から選抜するのですから、相当優秀な生徒をその学校はとることができます。従ってそういう子供を収容している高等学校は、大学の入学率というのは非常によくなってくる、こういうことになって、ここに高等学校に差がだんだんひどくなってくる。こういうような結果がくることを、これは当然であるというふうに考えるのか。そういうことは望ましくないのであって、学区制を設けた当初の精神というものを、もうそう重要に考える必要はないのだ、こういうふうに判断されるかの違いであると私は思うのです。
  89. 松村謙三

    ○国務大臣(松村謙三君) そういう傾向はあるかもしれませんけれども、現に学区制をゆるめたり、もしくはやらないところもこれはまああるわけでございますから、それらのところの経過等を見ましても、幾分かこういうことになれば、学区の方が影響がありましても、今言ったお話のような激烈なことはないのじゃないかというふうに考えますが、局長一つ……。
  90. 緒方信一

    ○説明員(緒方信一君) 学区制との関連についての御質問でございますが、その前提といたしまして、このたびの改訂につきまして、むしろ私は現在の高等学校でやっております実情から見まして、ややもいたしますると進学の準備が中心になるようなことに相なっているのじゃないか、かような心配もあるわけでございます。このたび示しました校区制の取り方は、むしろそれを……ちょっと今の申し加えますと、大部分が生徒の自由選択制でございますので、生徒が上級学校に入学するに都合のいいような科目を多く選択しているというような、むしろその面におきましては片寄りを来たすという弊害があるのじゃないかと思われるのであります。このたび文部省で示しました校区制の類型は、これはこのコースを幾つか設けまして、それぞれにつきましてある特色は持たせますけれども、それらに片寄らないように配慮いたしまして、手本になるようないき方を示しているわけでございます。従いまして私は、このたび各学校がそれに従いまして、教育課程を組みますならば、むしろその点は是正がみられるんじゃないか、かように考えます。高等学校の卒業生の半数以上は卒業いたしまして就職する者が多いのでございまして、従いまして進学中心ということじゃなしに、やはり高等学校を卒業して就職する者のために職業課程等を中心にするコースというものを作ることがむしろ必要じゃないか。さようにいたします結果、私が今申しましたように今日もし弊害ありとするならば、むしろそれは是正するべきである。かように考える次第であります。しかもこのコース制と申しますのは一年からこう分けてしまうというわけではありません。二年、三年におきましてその生徒の通路、特性に応じて分けるというわけでありまして、また今も申しましたけれども、高等学校を全部理科の高等学校にしてしまう、あるいは文科の高等騒擾にしてしまうというわけのものじゃありませんので、私は今の学区制に影響を来たすということは非常に少いんじゃないか。学区制の趣旨は御承知の通り高等学校の教育の普及あるいは機会均等ということでございまして、その観点に基いて教育委員会がこれをきめることになっている。現在すでに大学、まあ名前はいろいろあげられておりますけれども、高等学校ほどの小学区制をとっておるところもあるし、あるいはまた大学区制、数個の学校をまとめて一つの学区を作っておる、こういうところもあるわけでございまして、これは教育委員会の判断によりまして今申しました法律におきまする観点に基きましてきめるわけでございます。この改訂とこの学区制との間は私は直接の関連は生じないと考えております。
  91. 荒木正三郎

    ○荒木正三郎君 私の質問は、このコース制をとることによって自然に学区制というものは崩れてくる、学区制を拡大しなければならぬ、そういう結果が起ってくる、こういうふうに私は判断しているわけであります。現にこれは確かかどうかわかりませんが、愛知県の教育委員会では学区制を撤廃するか拡大するか措置をとられております。私はやはりコース制をとることによってそのコースを希望する学生というものは今の学区制の中において適当に得られるかどうか問題になってくると思うのです。やはり自然もっと広い範囲から生徒を募集するという、学区制を拡大するということが自然に起ってくるように思うのです。この教科内容の改訂それ自身は学区制の問題に直接触れないのですが、しかしこれを実施することによって自然に起ってくると、こういうふうに私は考えるのですがね。そういう点の見込みですね、見込みをもう少しはっきり言ってもらいたい。
  92. 緒方信一

    ○説明員(緒方信一君) 私は、ただいま申し上げました通りでありまして、そう極端なコースというものはできるものじゃないと思います。全国の各県に対しまして私どもの方からコース別のコースの類型を二本しておりますから、大体それにならったコースが、まあ若干の地域の差によって特色があるいは出てくるかもしれませんけれども、大体それにならったコースが出てくると思います。それでそれは大きな学校におきましてはそのコースの数が多くなるかもしれませんけれども、小さい学校におきましてもそれは幾つかのコースが設けられるわけでございまして、そのためにその学区制を拡大しなければならぬということには私はならんとまあ考えております。それは職業課程の高等学校等におきましては、あるいは今度の改訂によりまして専門的な教育を進める特色をさらに深めることができるようになりますので、この点につきましては、職業高等学校につきましては、あるいは特に特色のある学区というものができてくるかもわかりません。しかし職業高等学校は、まあ各県とも大体学区制は相当広くきめられております。今お話しの名古屋等におきましてもこれは、愛知県等におきましても職業高等学校はたしか全県一区じゃなかったかと思います。普通課程の高等学校におきましては私は学区制にそう影響はしないと、私はそういうふうに考えております。
  93. 荒木正三郎

    ○荒木正三郎君 それでは将来ですね、普通の高等学校においてこの学区制を全県一区にするとか、そういう傾向が出てきた場合は適切な指導を行いますか。あるいは全県一区でなくてもくし県を二つとか三つとか、非常に大きな学区制に拡大すると、こういう傾向が全国的に出てきた場合ですね。これを押えるような措置をとりますか。
  94. 緒方信一

    ○説明員(緒方信一君) これは一般論を申し上げますと、学区制といものは法益の規定から申しましても都道府県の教育委員会がこれをきめることになっております。それは教育委員会規則によってこれをきめるということに法律ではきまっております。それをきめまする標準は今申しましたように高等学校教育の普及と機会均等ということであります。で、その観点からいたしまして判断をして各県がまあきめるわけでございまして、これは中央からこうした方がよろしいと具体的な指示はなかなかむずかしいと思います。現に先ほど申し上げましたように小学区制のところもありますし、あるいは大学区制のところもあるわけであります。これは相当この学区制をしきました当初の事情にだいぶからんでおるのでありまして、地方によってだいぶ違いがございまして、まあさらに具体的に申しますと、その当時の何と申しますか、進駐軍等の指導がだいぶこれは影響いたしまして、地方によってだいぶ違っておるようでございます。その点につきましてさらに今日各県が今日の事情から判断しまして学区制を若干変更するという動きはあるように見えます。ただ私繰り返して申し上げておりますように、この新教育課程を実施するために学区制を変更しなければならぬという事情はないと考えますけれども、この学区制の今後の動きにつきましては私ども十分注意をして、関心をもって見守っていきたい、かように考えております。
  95. 荒木正三郎

    ○荒木正三郎君 文部大臣にお伺いしますが、私はやはりコース制を採用することによって学区制を拡大していくという傾向がこれは今後出てくると思います。で、この学区制を拡大するかどうかということは非常に重要な問題であって、これは今日大学において特定の大学が非常な入学難を来たしておるのはそういう実情が高等学校において起ってくること、高等学校全体としてはそうむずかしい事情ではないわけですが、学区制を拡大していけばある特定の高等学校に入学者が殺到する、で、ある他の高等学校には定員にも足らないと、こういうような事情が起ってくると、これはまあ戦前の例を見ても明らかであります。そういう意味においてこのコース制の設定によって今の学区制がこわれてくる、こういうことになれば非常に大きな問題になってくるのです。そういう点ですね、やはり文部省は明確にする必要があると思うのです。で、これは教育委員会の権限でありますから、もちろん文部省がいろいろとこの指図することは私どうかと思います。しかしそういうことに、自然こういうことになるような心配があるならですね、やっぱり予防措置を講じておく必要があるというふうに思うのです。大臣の見解を伺っておきたいと思います。
  96. 松村謙三

    ○国務大臣(松村謙三君) 私はしろうとで詳しいことは存じませんけれども、この学区制が始まりましたのはアメリカが大体指導してやった最初の経過を持っておることは御承知の通りであります。それで、いい面もありますけれども、またそうでない面もやはりあるのだと考えます。すなわち学区はきめますけれども、その地方によって入学者の数等の関係等もバランスがとれる所もあるし、とれない所もあります。自然の流れにまかしておきましても、やはり家庭の、通学等によりましては学区におのずから一つの範囲ができるわけでございますから、その問題は、現在のままのことが多少変更せられましても、そう大きな教育の根本に関する問題ではなかろうかと、こういうふうに私は考えているわけでございます。もちろんこれに対していろいろな弊が出ましたならば、もちろんそのとき是正はいたさなければならぬのですけれども、私としては、意見といたしましてはさように考えておるわけでございます。
  97. 荒木正三郎

    ○荒木正三郎君 この問題はこれで終ります。
  98. 吉田萬次

    ○理事(吉田萬次君) 他に御質問はありませんですか。
  99. 加賀山之雄

    ○加賀山之雄君 大臣に一つ。これは非常に大まかなことを伺いたいのです。大学教育でございますが、これは大学教育についてはいろいろいわれてきておりますし、また関係当局としていろいろ考えておられることと思うのですが、私ども各地の新制の大学を見て一番感じますことは、いずれも大学になったのだ、この大学の学府の誇りをもってとにかく早くりっぱな大学にしたいという気持がある、これは当然のことだと思うのです。まあ端的に言えば旧制の、もとからの古い大学に追いつきたいという意欲が、これは学長を初め各教授にある。ところが実際問題としては、まあばらばらに学校が分かれていて、学校の管理費ばかりたくさんかかるけれども、とても学校を統一して運営するようなことはなかなか望めない。また場合によっては学校の建物自体も非常に不自由しておる。いわんやその中の設備は、国から出るようなものはほとんど微々たるもので、何年もかかってこれができ上らない。従って地方に多少負担力があって、また非常に熱意のある所は地方の負担等が入って、たとえば市が負担するとかいうことで、これがまあ不満足ながらその建物なんかも建てている所もある。中の設備、また教授等の陣容ということになると、非常にまあ心細いようなことです。で、文部省としては、新制としてたくさんできた大学をどういうふうにこれから持っていかれるのか、これをいわゆる今までの古い大学並みに全部引き上げるということはなかなかむずかしいと思いますが、それを目途としてやられるか、あるいはその大学の中の特殊な、あるいは薬学がいいとか、あるいは農学部とか、林学部がいいとか、土地や沿革によっていろいろ特徴があるわけですが、その学部は特に生かすが、その他については今のままの、多少そのままでやむを得ないとお考えか、そういう点について大臣の御所見を伺いたい。
  100. 松村謙三

    ○国務大臣(松村謙三君) 今お話しの点は私も非常に重大な点だと心得ます。事実今日のようなこのような形で、それでやっていけるものかどうかという問題と、このままの形ではいかないということがきわめて明らかなんであります。従って大学制度をどういうふうにするかということは私は今後に残された非常に大きな問題だと考えます。はなはだ怠慢かもしれませんけれども、問題があまりに大きいのでございますから、今ここにこれをどうすればいいということはちょっと申し上げることもできない、率直に申し上げますればそうでありますが、いずれはなんとかしなくちゃならない問題だ、こういうふうに考えまして、ひそかにまあ考えてもいるわけでございます。その一端でございますけれども、短期大学はああいう暫定法規の中でできてるものでありますから、まずこの検討を始めたいと思いまして、近く中央教育審議会へかけるつもりでおります。これはもちろん大学制度全体の関連を持つ問題でもありますが、関連を持つならば、その関連としてでもやはり相当に検討をしてもらいたいと考えておるわけであります。政治情勢から申しますと今できた、全国どの府県にもある大学を、なかなか今日の状態ではこれを整理することは困難であることは御承知の通りであります。そこで地方の大学に特色を持たして重点的に育成するかというようなことも考えてみているわけでありますが、たとえば秋田のもとの工業専門学校のようなところには、ああいう内容もありますから、こういうのにうんと力を入れますとか、福井のような、織物にはそういう面の工芸の方へうんと力を入れますとかいうようなことを考うべきではないかと、いうようなことを一応考えておりますけれども、それも全体から見ればはなはだ姑息なことでありますが、今できたものをどうすることもできないというならば、そういうようなことでも考えなくちゃならぬのかと、こういうふうに考えておるわけでありまして、具体的にどうすればいいということを申し上げませんけれども、これをなんとか一つ根本的に検討をする必要ありと私どもは考えておるわけでございます。
  101. 加賀山之雄

    ○加賀山之雄君 まあ大臣から率直御答弁をいただいたわけですが、私はこれは非常に急を要する問題だと思います。もうここまできてこれからだらだらやっておくべき問題じゃない、これははっきりと一つ国の根本の方針を立てる時期がきていると思います。と申しますのは、たとえば各大学には教授がいるわけですが、これらの教授がみんな非常に何と申しますか悩んでいる、どうなるのか。で、けさほどお話しが出ておったのだが、勉強しようとすれば研究費は足りないし、なまはんかな予算と教育の資料とそれから場所とで、とにかくなまじっかな大学教育を施さなくちゃいかん、これは心ある教授は、良心的な教授はみんな悩む、これは私は当然だろうと思うのです。これはもうほうっとけない問題で、早く国としての大学に対する根本を、これは短期大学の問題もありますが、これも含めて大学の問題に対する回答を中教審、あるいはさらに足りなければ……権威ある学者なんかはこれはこういう問題は政治と切り離さなくちゃいかん、政治と結びついては必ず今大臣が心配されているような騒動になる、たとえば学士院の碩学を特に依頼してその権威を持ってもらう、何かそういう形で大学制度の根本を樹立すべきでないか、こういうことを極論しておられましたが、私は全くさように考えるのです。またその時期がもうきて、あまりに遷延すべきでないというように考えるのです。  さらにもう一つ、それからもう一つは学校教育で、非常にこれは、まあ、こういうことは国の予算もですが、各地方が非常な財政難に陥っている。それでしからば教育に各県は金をあまり使ってないかというと、すでにどの府県でも総予算の三分の一以下というところはございませんと思います。ほんとうに地方財政が危殆に瀕している。三分の一も使っているかと言えば、設備の上でも、それから教師諸君の給与の上でもきわめて不満足で、まだまだ教育費に注ぎ込まなければならぬ、ところが地方財政はかくのごとき現状だ、こうなるので、これは文部大臣として非常に御心配の種だろうと思うのですが、これは文部省だけで解決のつく問題でないと思いますけれども、どういうふうにしていったらいいか、大臣何かお考えになっておられるかどうか。
  102. 松村謙三

    ○国務大臣(松村謙三君) これは非常に行き詰まった状態でありまして、非常に壁にぶつかったような形が出てくる危険があることは認めざるを得ませんが、これにつきましては自治庁等と十分の協議をいたしまして、そしてこういう行き詰まった財政の中におきましても最小限度の線でもぜひ守っていきたいと努力をいたしましておるのであります。これは何としたってやはり財政に大きく影響しますことはもちろんであります。これに対して教育費だけ超然としているわけにいきませんことは、これは当然であります。従って最小の費用で、そして最大の効果を得るように地方でうんと努力してもらわなければならぬと思いまして、自治庁ともよく打ち合せをいたしまして、地方の行き詰りの影響ができるだけ軽微に、教育に影響する点をきわめて軽微に食いとめたいと思って今努力いたしておるところでございます。別に新しい、こうしたいというような考え方もちょっと当面の問題としては困難と思いますが、今言った点において、自治庁ともよく協議していきたいと、こういうように考えております。
  103. 加賀山之雄

    ○加賀山之雄君 この問題で地方へ行きますと、これはどこということではございませんが、教育委員会ができてから、特に知事とか県の当局者が、これは教育は教育委員会、あるいは教育庁の仕事であるというような考え、これは二面においてはそれに違いないのですが、自分のことを考えないような傾向がなきにしもあらず。はなはだしいのに至っては冗談口調で言う場合があるかもしれませんが、教育はどうも道楽者の息子である、なるほど教育費に注ぎ込む金はすぐあした効果が出るというものではないと思いますが、そういった点があって、ますます県の財政の赤字は教育費にしわ寄せをされるというおそれが多分にあると思うのです。そういった点は十分大臣におかれて、それを管掌され、また地方当局を督励されなければならぬと思うわけでして、その点はぜひ大臣に強く要望を申し上げておきます。
  104. 竹下豐次

    ○竹下豐次君 ただいま加賀山委員から、現在の大学の制度をそのままにしておいては困るではないかというような意味の御質問がありまして、それに対して大臣の御答弁がありましたが、この問題は実際一日もゆるがせにすることができないほど重大なる問題であると私は思っておりまして、この春の委員会におきまして大臣に、少い言葉でありましたが、私もそういうことを申し上げて、それについて一応の答弁を得たことを記憶いたしております。で、その後、半年余りたちましたので、ことに通常国会もさし迫っているこの際のことでありますから、大臣の方でもこの問題をどうしなければならないかということについて、もう大方見当をおきめになり、通常国会の準備もなさっていることではないかというふうに想像しておったのであります。ところがただいまの大臣の答弁によりますると、なかなかそこまでいきませんので、これから中央審議会に諮問してみたいと思うというような御答弁であります。なお短期大学については特にその必要を認めるから諮問してみたいとことであったのでありますが、その短期大学の問題につきましては、もうすでに二十九年十一月の亀山直人さんからの中央審議会の答申が出ております。いろいろ審議会としては短期大学の改正の問題については、はっきりした意見が出ているわけであります。さっき大臣の加賀山委員に対する御答弁は、短期大学を除いたほかの大学だけのことをお答えであったかしりませんが、私はもう短期大学については特に諮問したいというようなお気持を承わったのでありますが、これは私の聞き違いであったのかもしれませんが、そこはどういうことになっておりますか。  実は私はきょう、この二十九年十一月の答申に対する文部大臣の態度をどういうふうにおきめになっておりますか、通常国会の準備をどういうふうに進めておられるかということについてお尋ねしたいと、かように考えておった次第でございます。大臣お忙しいので一つ一つ答申を御記憶にもなっていないのではないかとも察する次第でございますが、ちょっと私の手元にございますから読みあげてみますと、いろいろありまするうちにこういうことがございます。「短期大学の制度を改めて、恒久的の教育機関とし、高等学校教育の基礎の上に職業教育その他について充実した専門教育を授けるものとすること。  かかる改正によって短期大学志願者の増加となり、結局四年生大学の入学率の緩和になると考えられる。」こういう、ふうなことも書いてある。まだいろいろございます、あとで申しますけれども。これは入学試験に関連したことが主であって、それと一括してこういう問題が出てきたように想像するのであります。少くとも制度改正について具体的に、はっきりした答申が出ているわけであります。これはどういうふうにお扱いになるのか。この夏ごろ新聞で散見したところによりますと、大体こういうふうなお考えを大臣も持っておられるかのようなふうに記事で見たこともあったのでございます。その点を重ねてお伺いいたしたいと思います。
  105. 松村謙三

    ○国務大臣(松村謙三君) ただいまの御質問でございますが、短期大学の制度につきましては、すでに先に諮問をいたし、答申が出ておりますことはただいまお話しの通りでございます。しかしその後の状態もまた変って参っておりますので、いよいよこれをあらためて検討をいたして結論を得たいと思うので、近く諮問をいたすはずでございます。ただいまお尋ねになりました点につきましては、その大体の考え方は今大学局長からお答えいたさせます。  大学のことについて、通常国会も近寄っておるし、一つ具体的にやることがどうかというお話でございますが、実はこの問題は先刻も申したように、非常に大きな問題でありまして、次の議会で直ちに大学問題の根本を定めるというわけにはなかなかいかないと考えまして、ただいままで私の方でやっておりますことは、一つは新しい大学を絶対に作らないということは、これは今日までいろいろ事情があって許したくて、許さなくちゃ困るようなのもございますけれども、一律に今度の予算には計上せんことにいたしましております。お約束もいたしておりません。  それからもう一つは、大学設置審議会の認可の標準を、すでに御承知のように高めて、そして厳選をいたす、こういうことにいたしたのでございます。  それから先刻申しました各大学の特色を生かすということ、その方針は、これはこちらの考えでやれることでございますので、そういう意味において予算を編成をいたし、要求いたしておる、こういうふうに御了承をお願いいたしたいと思いますが、根本の問題に至りましてはさらにいろいろの手続をし、また十分の検討をいたしてからでないと、容易に手がつけられないというただいまの状態と心得ております。
  106. 竹下豐次

    ○竹下豐次君 ただいま承わりましたのですが、この短期大学の問題につきましては、今中央審議会の答申の中のごく一部分を私読み上げただけでありますけれども、数項目にわたってずっと並べ立ててあるわけでございます。これを見ますると、私どもしろうとから見ますると、もう大体、短期大学の問題には大きな問題は触れておらないのじゃないかという感じを持って今まで拝見しています。これについて一々私は御説明願いたいと、文部省はどういうふうに答申を得たあとでこれをお考えになっているかということを承わりたい。これが一つであります。  それからただいま大臣の御答弁で一応この答申は得ているのだけれども、まだその後の情勢もいろいろあってさらに諮問したいということでありますが、この答申で足りない部分で、どういう点が問題になっておって、どういう点を諮問されようとしているのでありますか。この点も具体的に御説明願いたいと思っております。
  107. 稻田清助

    ○説明員(稻田清助君) 先ほど大臣答えられましたように、中央教育審議会の答申を基礎といたしまして、文部省は今日まで検討して参ってきております。要点を申し上げますと、恒久的な教育機関にするということ、これはどなたも異論のないことだと思います。  それからその次に、この問題の最も根本の原因となりましたところは、短期大学に新しい目的を与えたい。その目的というものが非常に専門的、あるいは職業的、あるいは実際的というような性格を持った大学にしたい、こういう点について御答申もあり、一般実業界その他からも要望がございました。私どももその点は実現いたしたいと考えて参ってきたのでございます。  さらにこの短期大学の名称についてはいろいろ議論がございまするけれども、別段のあれがなければ中央教育審議会はこの短期大学でよかろうという答申でもって、この点は私どももそれ以外の考えを持っておらないのであります。  いま一つ答申の重要点は、高等学校と一貫した教育機関を設けてもよろしい、つまり実業的な短期大学であれば、中学校を出たときから実業的な教育を短期大学にかけて、五年ないし六年与えるような教育機関もありたいものだということ、これも私どもも研究してみたいと思っておったのでございます。  以上の点が大体主要点でございまするけれども、これに対する問題といたしましては、公立、私立のこの短期大学協会から、それぞれ強い要望、あるいは意見が出ております。そのうち、短期大学二百六十九のうち、二百五を占めます私立短期大学が、大体現状維持を希望した意見を強く主張いたしておりますので、いろいろ中央教育審議会の答申なり、文部省の考え方に誤解があってはいけないと考えまして、何度かこの当局と話し合いをいたしてきております。大体の話し合いは、広い意味での大学にするという点については、両者そう意見の食い違いはないのでございますけれども、さらに新しい目的、性格を与えるべきか、あるいは今の短期大学そのままでいいかというような点については、まだ歩み寄りがないのでございます。そうした新しい情勢があるものでございますから、先ほど大臣申されましたように、答申はいただきましたが、有力なこうした意見が、公共、私立の短期大学の当事者から出てきている。その点を中央教育審議会に披露をいたしまして、何分の御教示を得たいという状態で、中央教育審議会に今お願いしている状態でございます。
  108. 竹下豐次

    ○竹下豐次君 もう少し。短期大学の問題につきましては、御説明で了解いたしました。  短期大学以外の大学について諮問なさる事項というものは、これからいろいろ御研究もありましょう。とりあえずのところ、大臣お考えになっているのは、現在ある大学の各部の中で、特に特色のあるものを生かすように、集中と申しますか、統制と申しますか、そういう方法で行きたい、行くことの可否というようなことについて諮問なさるようなお心組みでありましょうか。
  109. 松村謙三

    ○国務大臣(松村謙三君) 先刻加賀山さんにお答え申したときには、私まだ具体的のものを得ておりませんから、今直ちに教育審議会へかける、こういう意味ではございませんで、私言葉が不鮮明であったかもしれませんけれども、今かけるというようなところまで参っていないのでございまして、それから重点的と申しますのも、今の状態ではそういうことを考えるよりしょうがないんじゃないかと、これなら今こちらの予算の方においてもある程度までやれることでございますから、今考えておりますのは、大体そういうようなことでございまして、根本的の改革は、さらに検討もし、世論にも聞きまして、そうして、その上でないと、なかなか結論は得ましても、遂行することは困難だと、こういうふうに考えて、慎重に取り扱っているわけでございます。
  110. 竹下豐次

    ○竹下豐次君 その重点的に取り扱う必要があるでないかという問題につきましても、大臣御記憶になってないかもしれませんが、前の委員会で、私そういうことを申しまして、大臣のそのときの御答弁では、いろいろ複雑な問題もからまって、なかなか簡単にそういうことに手がつけられないような問題もあるが、よく研究してみたいという御答弁があったのであります。そのときに私いろんなこの問題、地方問題としても政治問題などがからまってなかなかうるさい問題になりましょう、御研究をよくお願いしましょうということでそのままにお別れしたわけてあったのであります。今でもその考えは私は少しも変っておりません。いろいろ考えてみましても、ある地方にある総合大学のうちの一つの学部をやめてほかに回すというようなことにかりにするというと、その問題を簡単に考えると、それは地方の問題としてはいかにも自分たちの大学が虐待されたというようないやな気分がする問題で、これは政治的にも複雑な問題が起りかねないというふうにも一応考えられるのでありますが、しかしそれを他に回すかわりにほかからは自分の大学にある他のつまり重点的に観察される学部のほうを増大してもらうということになりますれば、結局差引勘定同じということになりまして、地方としても損得はない。残るところは集中された学部というものができる、またいい先生も集まるし、卒業生もよく学校を卒業することができるということになって、ぜひそういうことをすることが必要じゃないか、かように私は考えておる次第であります。しかし非常に一番厄介なのは政治問題がからまるということじゃないかと思っておりよす。それにまた予算も幾らか検討しなければならないことになりますから簡単じゃございません。骨の折れることだと思いますけれども、これはぜひ一つやっていただく方向でもってこの問題は中央審議会のほうに諮問していただきたいものだと私は考えておる次第で、私の希望をつけ加えて申し上げておきます。  それから大学院の問題についてお尋ねいたします。実はこの間当委員会から三重県それから岐阜県、兵庫県三ヵ所に調査に出張に参りました。そのときに神戸大学に行きましたのでありますが、神戸大学、もうおそくなりまして暗くなってからで長話するひまがなかったのでありますが、学長さんから一番最初聞きました声は、私の大学には七つ部がある、そのうち三つだけに大学院がある、ほかはないのだ、非常に困りますからみな置くように一つお計らいを願う、こういう御発言だったのであります。これは学長のお立場としては自分の支配し預かっておる学校の七つのうち三つしがなくて、あと四つがないというのですから、ほかの関係の学部長からいえば、いかにも学長から虐待されたような気持を持ちやすいことでありまして、学部長としてはこれはそういう発言のあるのも、その立場のみを考えれば無理のない発言と私は聞いたのであります。しかしそういうことでもって各学部の実質の検討が足りないで、そうして内輪の均衡とかというような考え、それのみじゃなかったのだろうと思いますが、もしそういうことがあるとすれば、これはみなを大学院にしなければ困るのだ、各大学部に大学院を置かなければならないということになってしまう。そんなことはとても許さるべきことじゃない、しかしそういう発言をたまたま聞いたのでありますけれども、あるところから想像しまするというと、各大学長とも全部とは申しかねますが、大かたどの学長もなるべく大学院を置いてもらいたいという希望を持っておられる、そういうまた運動が文部省に対してさかんに繰り返されるのじゃないかということを私は気づかうのであります。とてもそれを一々お受けになることはできないし、また受け入れてもらっては困る。それを受け入れるということになったら、申すまでもなく大学院のレベルというものをうんと下げるよりほかにしょうがないのであります。そういう点についてどういうふうのお考えを持っておられますか。  それからなお神戸大学で出ました話の一部分でありますけれども、私は無遠慮に私の意見としては申しませんでしたけれども、一部の意見にはこういう意見があるという形で申し上げたのでありますが、今のように大学院をたくさん作っておいたらレベルが下ってしまって、ほんとうの大栄院の研究というものはできなくなるのじゃないか、そんなことだったら外国の大学院などにも負けてしまう心配はないだろうか。むしろこれをしぼって少数に集中してほんとうの研究のできる大学院を作ることのほうが今のゆき方よりもいいのではなかろうかという説を持っている人がありますけれども、いかがでしょうかという質問をこっちから出してみたのでありますが、ところが学部長さんがたいていおそろいでありますから、私の発言に対してはみんなこうやってよく聞いておられるのでありまして、そうして最後に一人の先生の発言でありましたが、それは大学院の上に、もう一つほんとうに力がある大学院を作ってもらわなければだめであります、こういう発言があったのであります。私もそういうふうに実は平生思っておる次第であります。もっとも文部省のほうであるいは今度重点主義と申しますか、たとえば東京大学の大学院にはうんと力を入れてやる、ほかの大学院にはそう言っちゃ悪いけれども、あまりそう力を入れないのだというような予算の配分でもされる、あるいは教授の陣容問題についてもお考えになるというような考え方があるとすればそれは別でありますけれども、今の大学は平等というような考えでゆきましたならば、東京大学などにしても今までの大学院の研究費よりも下ってしまう心配があるのじゃないか。この大学院の研究というものが一体いいものであろうかどうであろうかというよりも、私はそれじゃとてもだめなんだから、この際思いきってこれを少くする、今指定されたものを取り上げるようにというところまで申し上げるのじゃございませんが、少くともあまりふやさないようにできるだけ重点主義にりっぱな大学院に仕上げてもらいたいという念願を持っておるわけであります。この点大臣どういうふうにお考えでございましょうか。
  111. 松村謙三

    ○国務大臣(松村謙三君) お話しの通りでございまして、実際もしも大学院をこのままにして、地方の要求に応じて広げて参りますと、もう大学の上にまたもう一つ大学を置くということになるわけでありますから、とりあえず今二十一ありますが、それ以上には一切とめておるわけでございます。お話しの通りにあっちこっちからいろいろお話しを承わりますけれども、もう一切これをとめておるわけであります。それならばこの制度をどう処理してゆくかということにつきましては、大学の制度の関係もありますし、現在のところにおいてはこれを今どうしよう、どうするという具体的の案は持っておりませんが、まず一応ストップしておいて検討をいたしておるわけでございます。これで大体旧制の大学のうちの充実したところには大学院が大体できておるというわけでありまして、それでこれで押えようという考えを持っております。お話しの神戸の大学にいたしましても、経済経営、法学部等はこれは特色がありますので、これには大学院を置いてありますが、しかしその他の面におきましてはそこまで参りませんからやっていない、こういうのが全国の大学においてほかにもいろいろありますから、その大学々々においては事情もありましょうけれども、全体からみましたならば、この程度で押えておくのが当然と思って押えておるわけでございます。  それからいろいろ大学院に対する御意見の点はよく承わっておきますが、今大学院をどうするかということについては、具体的の案を持ち合わして今はいないと申し上げるよりほかないわけでございますから、よく研究いたしたいと存じます。
  112. 竹下豐次

    ○竹下豐次君 大学の問題につきましても、中央教育審議会に御諮問になるように今希望するのでありますが、私の希望といたしましては、文部省の方で一応はやっぱりお考えになりまして、お考えになっておるからやるわけでありますけれども、遠慮なくお出しになったらどうかという気持を持っておるのであります。ちょっと余談になりますけれども、新生活運動の問題にしましても、委員ができましたけれども、文部省の意見はさっぱりお出しにならない、これも民主主義の一つの行き方だということにもなりまするけれども、審議会というものができますれば、あの文部省の方で示されたからといって、それに引きずられるような審議会だったらそれは作らない方がいい、自由に批判し、自由に自分たちで意見をきめることができる審議会でありますから、文部省でどういうふうの意見を持っておるからといって、それに引きずられるような心配はないはずでなくちゃならないはずなのでありますから、お出しになる方も、遠慮をなさらなくてもいいんじゃないか、あまり抽象的になさるというと、今の生活改善の問題でさっぱり文部省は何考えているかわからないのだから手のつけようがないということを、委員それ自身で言っていらっしゃる方もあるくらいでありまして、取りつく島もない。また口に民主主義だからといってほめる人があるかもしれませんけれども、少くとも効果的でないのですから、これは余談になりましたけれども、大学の問題につきましても、私はもうはっきりしたそれに疑問符を付けてゆかなくちゃ諮問になりませんけれども、あまり遠慮をなさらずに、あまりばく然たる御諮問でないほうがいいんじゃないか、その方が論議も盛んになり、結論を得られるのも早いんじゃないか、かように考えるのであります。この前も申し上げたのですが、それは大学の測度はこのまま日を延せば延すほど仕事が退却すると仮定するならばそれがしにくくなる、病が進む一方で手術のしようがないようになってしまう。だから相当に急いでもらわなければならないというのが私の非常な切望でございます。それだけ私の希望を申し上げておきます。
  113. 川口爲之助

    ○川口爲之助君 先ほど加賀山委員からのお話しのうちに、予算に関する件がございました。この点につきまして、私からも一つ希望意見を申し上げておきたいと思います。  国策のうちで一番大事な教育、その教育予算が全予算のわずかに十二、三%に過ぎない。これは諸外国の例を見ましても、また世界最高の文化を誇る富裕国の例にならって教育を実施しようとするには、あまりにも少いのじゃないか、このように考えておるのであります。ことに次第に窮迫して参ります地方財政、これと並行して運営してゆかなければならない教育費、教育財政、これは近き将来において必ず窮地に陥ることは想像されるので、あります。でありますからして、私どもはこの際地方財政を救う意味におきましても、国が大きく肩入れをして予算の総額を増してもらう、こういうことを切に希望するのであります。また予算の総額を増すと申しても、ばく然たる意味になりますけれども、総体において私は教育予算というものが少いのじゃないか、このように考えております。そこでこれは加賀山委員からもお話しがございましたが、地方財政のうちで教育費の占める位置というものは少くとも三〇%以上、多きは四〇%以上にも上っております。そこでその予算がどう使われておるかというと、ほとんど九〇%以上というものが教職員の俸給、給料に支払われておるのであります。わずかに残るものを文教施設その他に使用するというような状態にあるのであります。従ってこの学校校舎の増改築というような施設の整備ができないというのは当然の話であります。そこでこれは地方によって災なるとは思いますが、きのうの視察報告のうちにもございましたが、地方によりましては地区学区内において、非合法ではありますけれども、学校施設組合というものを作りまして、そうして基金を蓄積して、それをもって市町村と相談をして学校の増改築をやっておるというのがこれは実情であります。それに加うるに高価な教科書あるいはまた学習帳といったようなもの、教育資材、修学旅行費、PTAに関する会費ないしは給食に関する費用等々、学区内における父兄の負担というものは、これはなかなか容易なものではないと思われるのであります。そこで小学校生徒の一年の学費は八千円と申され、中学が九千六百円と申されております。これを全国の一千八百万人に近い生徒がどれだけの負担をするかということがこれによってわかるのであります。でありますからして、現在の状態においては、教育費というものは国、地方、さらに下に至るに従って非常に拡大されておりますということは明らかでありまして、従いまして、この義務教育無償の原則というものは遺憾ながら蹂躙されておる、こういった意味から申しましても、私は国の教育予算というものを大幅に増額すべきである。このように考えておるのであります。これは私の希望でありますが、一言申し上げておきます。
  114. 松村謙三

    ○国務大臣(松村謙三君) お話し御意見はよく拝承いたしました。なかなかこれは非常に財政の面においてはどちらにいたしても非常に困難なことだと思いますが、せいぜい御趣旨に沿うように努力はいたしてみたいと思うております。事実、この九年制の義務教育を戦後灰の中から立てて今日まで至りましたので、今お話しの通りに各方面に無理がありますことは、これは申すまでもないことでございまして、これを一つ完成するためにはつい父兄などにも過重の負担をかけておるというようなこともあると思いますが、一時の現象としては、これはやむを得なかったことと思うのでございまして、せいぜい努力をいたしたいと考えております。
  115. 吉田萬次

    ○理事(吉田萬次君) 次は大臣に対する一般質疑でありますが、議事の整理上、すでに申し出を受けておりますものから順次取り上げたいと存じまます。
  116. 高橋道男

    ○高橋道男君 大学院問題について、もう一点お伺いしたいことがありますが、簡単に伺いますが……。  大学院のことでお伺いをいたしたいと思いますが、大学院が学術探究の最高機関であることは、これは申すまでもないと思います。その大学院が設けられることにつきまして、従来何べんかの常会におきまして審議をいたしました上から考えまして、大学院が設けられるについて、そのための増員というものが並行しては必ずしも行われていない。たとえば東京の大学の文学部で、各科に大学院の課程が置かれる場合に、各科に教授の増員は行われていないと思うのであります。従いまして、もちろん、若干のどこかに増員が行われていることは、これはあると思うのでありますけれども、総体的にはこれは行われていない。従って従来の教授でもって大学院の講義をするということが、これは全国的な方式だと思うのであります。これを別の見方からいたしますと、大学の四年が従来の大学院と旧制の大学院と違いますから、講義が定期的に行われるというようなところを考えますと、従来の四年の大学にプラス二年の講義が加わった、大栄の講義が六年になったというような印象が一方にございます。ただ途中で一ぺん大学の卒業証書をもらうというような形式が一つと、それから別の面からいたしますと、大学の先生はそれだけそのまま一般の大学の講義を重ねて大学院の学生にするという場合には、これは特別の負担はかからないかもしれませんが、大学院の学生に特別の講義をするという場合には、それだけの特別の負担がかかっておるわけであります。従って、それに対して特別な果報があるかと思いますると必ずしもそうじゃないというような、あちこち、ちぐはぐなことが起っていると思うのであります。そうしますと、単に一つの見方であるかもしれませんが、大学院という名義だけできて実質は十分これに伴っていかないというようなことが、現在の大学院の大方の要素ではないかということを私は考えるのであります。で一方、今朝来講座研究費の問題でだいぶ議論があったのでありますけれども、これには積算上あるいは局長が大蔵省の折衝段階においていろいろ皆心のあるところはそれなりに了解はいたしますけれども、講座研究ということが大学院の最も主眼としなければならん点であるとするならば、少くとも大学院の講座を担当する教授には、特別の講座俸をつけてもいいじゃないか、それくらいに学者の優遇ということを一般にすべきだと思いまするけれども、それが今直ちに全般の学者に対して行うことができないならば、少くとも大学院を担当しておる教授には講座俸をつけて、それだけの格式と栄誉とを、また優遇とを与うべきであるというようなふうに私は考えるのでありますけれども、そういういろいろな問題を申しましたが、そういう問題について、大学院の問題についての御所見を承わっておきたいと思います。
  117. 稻田清助

    ○説明員(稻田清助君) ただいま大学院に関する御質問でございます。御承知のように、大学院のためには大学院基準が専任教員をおくことを要求いたしておりません。学部の教授が教授を担当することになっております。従いまして学部の教授一人に対して二人を指導するというような基準で計画いたしておりまするが、学部の教授力を四年間に全国の大学院について四百人の教授、助教授を増したという計画を立てまして、本年三年であります。初年百人、次年七十九人、本年九十五人というふうに増してきております。  それから研究費につきましては、講座研究費を他の大学の研究費の約二倍に立てて参っております。さらに設備費につきましては、初年度三億、次年度三億というふうに設備費も特殊に考慮いたしております。この点がまあ大学院に対しまする教授力あるいは設備研究費の用意の点でございますが、さらに大学院の指導を担当せられる教授に対する特別の処遇という点について御配属があったわけであります。御承知のように戦後の人事院規則から見圧すると、特別の職務手当というものが全部取り払われました。そのかわりに切りかえに際しまして、各教授の俸給が今日二号がた上ったわけでございます。しかしながら、私どもといたしましては、さらに教授研究職の待遇改善という意味で、何とか必要な管理職の手当については復活していただきたいと考えております。この点につきましては、まず学長というような管理職の人、あるいは事務局長というような人々、こういう方面からぼつぼつ回復していただきたいとして折衝しておりまするが、もしこういう考え方が許されますならば、将来講座担当手当というようなものも復活し得ることだと期待いたしておるようなわけでございます。一応お答え申し上げます。   ―――――――――――――
  118. 吉田萬次

    ○理事(吉田萬次君) ただいま自治庁長官が出席されましたので、教育職員の昇給昇格及び人員整理に関する件を議題に供します。
  119. 荒木正三郎

    ○荒木正三郎君 川島長官にお伺いしたいのですが、前の二十二国会で特に昇給昇格の問題につきまして文部大臣と長官と同席を願って、その席で質問をいたしたことがございます。その際に、地方財政の実情から見まして本年度は定期の昇給昇格が相当困難になるのではないか、こういう質問をいたしたのであります。ところがその際川島長官はそういう心配はない、こういう答弁でありました。文部大臣からはそういう心配が相当ある、こういう答弁であったわけです。ところがその後の実情を見ますと、ほとんどの府県において定期の昇給昇格がストップされておる、あるいは延期されておる、こういう実情でございます。これは川島長官の言明とは著しく違ってきておるわけです。それはどういうところに理由があるのか、私は地方財政が窮迫している現状において、こういう事態が起るということは明白であると思っていたのですが、そういう心配がないと言われた長官はどういうふうに判断しておられるか、お伺いしたい点が一点。  それからもう一つは、昨日佐賀県の教育委員が見えました。そのお話しでは佐賀県の教職員の整理をするようにという自治庁からのお話しがあった。而もその数は自治庁の要求は八百名、こういうことである。もしこの八百名を整理しないならば、今後融資等においては考慮の余地がない。もしこの八百名を整理するならば、融資等においても一つ自治庁としては考えよう、こういう言明があった。そういうことを知事が言っておるというお話しでありました。これは非常に、私はそういうことはないだろうと思いますけれども、そういうことを聞きましたので、非常に意外に感じましたので、この点をお伺いしたいと思います。佐賀県においては二、三日のうちにこれが問題になるようであります。佐賀県は教職員の総計はたしか五千か六千の程度であります。その中で八百名を整理するということになると、これは教育上相当な障害が起ってくるということは考えられると思います。そういうことを自治庁が融資と交換に知事の方に申し渡しておられるのかどうか、知事の方はそういうふうに言って、教育委員会並びに議会方面にやむを得ないということを言っているそうであります。そこでそういう事実があったのかどうか、あわせてお伺いしたいと思います。
  120. 川島正次郎

    ○国務大臣(川島正次郎君) 佐賀県の問題からお答え申し上げます。ただいまのお話しは、私初めて聞くのでありまして、おそらく事務当局も佐賀県に対してそういう通達をしたことはなかろうと私は考えます。もともと自治庁といたしましては、教員のみならず一般地方職員に対しまして特に人員の整理を要求する権限を持っておりませんし、そういう立場でもないのでありまして、自発的に佐賀県といたしまして財政の都合上人員を整理されるならばこれは別問題でありますけれども、自治庁からして指示するということはこれはあり得べからざることでありますから、どういういきさつがございますか、一応事務当局に聞いてみますけれども、私といたしましては全然承知しておらぬ事項でございます。  それからもう一つ昇給昇格のことですが、前にどういうふうにお答えしたか私ちょっと記憶がないのですけれども、いろいろの前提があってそういうことを申し上げたのじゃないかと思うのでありますが、教育職員を含めての一般地方公務員の場合を考えますと、現在の地方財政から見まして、ある程度の昇給をずらすということはこれはやむを得ないことじゃないかということを考えております。またそういう措置をしておる府県も少くないことの実情も私は承知いたしております。期末手当につきましても、規定の〇・七五を一ぺんに払えなくて、分割払いをしているところもありまするし、中にはまだ完全に〇・七五を払っておらぬ地方団体もある現状でありますからして、県によりましては昇給あるいは昇格ということを一応ずらしておるところはあると思うのであります。この前にどういう厭味でそういうことを申し上げたかちょっと私思い出せないのでありますが、現況はそういうことであります。
  121. 荒木正三郎

    ○荒木正三郎君 きょうは文部大臣に対する質問等も予定した議題の中に相当あるわけです。ですから私はこの問題で長官にさらにお尋ねするということは控えたいと思いますが、ただ地方、財政が相当窮迫しているので、本年度においては昇給、昇格のストップとかあるいは延期とか、そういう問題が起ってくる心配がある、それについてそういう心配が起らないかどうか見解を求めたわけです。その際にそういう心配はないと、これは速記録を見ればよくわかることですが、そういうふうにおっしゃっておったわけです。今はある程度そういうことが起ってもやむを得ぬという話で、前後相当矛盾をしておると思うのですが、これは本日は私は質疑をすることをやめておきたいと思います、ほかの問題がありますから。しかしただ地方財政が非常に窮迫しておる、これを建て直すためには、教育費の面からも相当協力しなければならぬという声があります。これは一面もっともな点もあると思うのです。しかし、というてこれが教育費の上に全面的にしわ寄せになる、こういうことになればこれは教育の萎靡沈滞を来たすと思うのです。そういう意味において、困難な中にあっても、やはり定期昇給くらいはこれは円滑にいけるように、自治庁としても十分配慮を願いたいという要望を添えてこの質問はやめます。
  122. 川島正次郎

    ○国務大臣(川島正次郎君) 教育費はきわめて重大な経費でありまするし、ことにいわば義務的の経費でありまして、地方財政の窮迫のためにそのしわ寄せが教育費に寄ることは極力これは避けるべき問題でありまして、そういう観点に立って私どもは地方を指導するつもりでおるわけであります。ただ一般地方公務員の昇給昇格をこれをずらしておって、教職員だけの昇給を認めるということは、地方団体の執行部としてはなかなかやりにくい点があるのではないか、そういう実情もあるのではないかということを考え得られるのでありますが、根本の問題といたしましては、地方財政の整備のために教育費に大きなしわが寄るということはこれは避けたいという意味のことだけははっきり申し上げておきます。
  123. 荒木正三郎

    ○荒木正三郎君 この際委員長のお許しを得ましてこの一昨日来本委員会で審議されました僻他教育の問題、それから定時制教育の問題について、一応意見をまとめましてこれを政府に要望する、こういうきまりをつけていただくことが適当でないかというふうに考えておるわけであります。で、この問題につきましては理事の間におきまして、その要望の内容について了解を得ておるようでございますので、この点を一つ取り上げていただくようにお願いしたいと思います。
  124. 吉田萬次

    ○理事(吉田萬次君) ただいま荒木君から提出せられました要望書についてお諮りいたします。要望書を議題に供します。
  125. 荒木正三郎

    ○荒木正三郎君 それではただいま議題になりました要望書の案文についてはすでにお手許に配付してございますので、皆さんに御異議がなければこれを速記録に掲載していただくこととして、ただいまは朗読することは省略させていただきたいと存じます。(「異議なし」と呼ぶ者あり)
  126. 吉田萬次

    ○理事(吉田萬次君) お諮りいたします。この要望書を本委員会の決議とすることに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  127. 吉田萬次

    ○理事(吉田萬次君) 御異議ないと認めます。よって本要望書を委員会の決議とすることに決定いたしました。   ―――――――――――――
  128. 吉田萬次

    ○理事(吉田萬次君) 次に松元事件に関する報告について川口君の発言をお許しいたします。
  129. 川口爲之助

    ○川口爲之助君 この前の国会におきまして松川半作の報告があったのであります。その終りに、追って詳細な報告をするということでありました。会期が尽きようとしております際にそのお話しがございませんので、実は報告を求めたような次第であります。要はこの事件はなかなか変った事件であります。特殊の事件でありますので、その後の処置がどういうふうにとられたかということについて御報告を承わりたい、かように考えております。
  130. 緒方信一

    ○説明員(緒方信一君) 松元事件につきましては前回の委員会におきまして御報告をいたす予定にいたしておりましたけれども、会期の関係等によりましてそれが果せなかったのでございます。ただいまさらに御要求でございますので、一通りのことを申し上げることにいたしたいと思います。  事件そのものの内容はすでに御承知のことと存じますので、きわめて簡単にいたしまするが、昭和二十八年三月ごろから二十九年六月下旬ごろまでの間に鹿児島の土建業者の松元という人がその妻と共同で十五才から二十四才までの女子に、十九名となっておりますが、津行を勧誘したという事件であります。この中に高等学校の在学生五名、中学校の在学生一名、計六名が含まれておったわけであります。この事件はそれぞれ児童福祉法違反あるいは刑法によりまして刑事事件といたしまして審理は別に今されておるわけであります。そこで事件に関係いたしました学校の生徒でありますが、今申しましたように高等学校の生徒が五名でありますが、そのうち四名は、私立高等学校の生徒であり、一人が県立高等学校の生徒でございました。それから中学校の三年生が一人おった、かようなことでございます。  その状況を一応申してみますと、私立高等学校の四名でありますけれども、そのうち三名は二十九年三月に卒業いたしております。他の一名は在学生で、つまり事件当時は二年生であったわけでございますが、二十九年七月にこれは退学をいたしております。事件が発覚をいたしましたときには四名とも在学をいたしておりませんでしたので、本人に対する調査は学校では非常にむずかしかったようであります。この四名ともどうも入学当初から性行について相当問題がございまして、あるいは家庭の環境、それから性格等につきましてもいろいろ問題がありまして、平素から学校におきましてはその補導に努めておったような模様が見えるのであります。それからまた県立高等学校の生徒でありますけれども、これは成績は相当よかったようでございますけれども、やはり家庭環境が非常に悪くて、父母とも……母は早く死んだ、父は生別でありますけれども顔を見たこともないといったような環境であり、本人自身は割合利口な子であった、成績なんかよかったようでありますが、胸部疾患等があったり、いろいろな関係からいたしまして、だんだん不良な傾向を帯びているというようなことのようでございます。それからもう一人、中学の生徒でありますが、これも事件当時三年生でありましたけれども、一年のころから欠席が多く、成績が悪く、これは非常に手に負えない子供であったようであります。原級留め置きになったこともあり、あるいはまた転校を三回もあっちこっちして、不良グループに入って警察からいろいろ補導を受けたこともあるし、家出も二回ほどしている。あるいは家庭裁判所で説諭を受けた、そのあと窃盗事件で逮捕されたというようなこともあったようでございます。いずれも以上申しましたような、非常に本人に欠陥のある子供でありましたので、いずれの学校におきましても常に受持教師あるいは校長自身も特に注意をいたしまして、家庭との連絡も十分とってきておったのでありますが、しかし特に私立学校の高等学校の生徒は、これは汽車通学でありまして、注意が十分行き届かなかった点もあるようでございます。出席の督励等も相当いたしておるようでありますけれども、まあ非常にこの中にはいい子供もあります。出席状況が非常によかったという子供もありますけれども、悪い者もございます。大部分やや不良な出席状況でございます。私立高等学校におきましても毎週一回男女別に分けて学校長自身が訓話をするとか、あるいは学級担任がいろいろと生活の補導、指導をやるということには努めておったようであります。なおまた地域の各機関とも連絡をとっておったようであります。中中校におきましても今申しましたように非常に不良性の強い子供でありましたので、担任の教師等がわざわざ家に迎えに行って出席を督励するのに学校をサボって出て来ないというような状況があったようでありますけれども、父兄にも会い本人にも会っていろいろ説得をしたりするようなことをたびたびやっておるようであります。先ほども申し上げましたように、転校をしたり家出をしたりということで、なかなか手に負えなかったというのが実情であるようであります。かような性格の子供でありましたので、やはり誘惑にかかってああいう事件が生れてしまったということでありまして、学校といたしましては相当手を尽したにもかかわらずかような事態になりましたことにつきまして非常に反省をいたし自粛をいたしまして、その後さらに生徒を戒めて、こういうことの再び起らぬように注意をいたしておるような実情であります。問題を起しました学校におきましても、女生徒等はお互いに集まって反省会をし、自粛の決議をする、そうしてこの問題を起した子供に対しましては一つこれは更生せしめるように措置をしてもらいたいということを強く学校当局にも要望しておるというようなことでございます。このうちの子供、ある者は他県の学校に転校せしめ、あるいはある者は児童の収容施設に収容するというようなことで、その更生と指導に当っておるようであります。教育委員会といたしましても、この事件が起りまして、特に学校長に対しまして生徒の指導、特にこういう何と申しますか、いわゆる生活指導、補導の面につきまして、しつけの面につきまして十分これを強化していくように書面を出し、あるいは会合を催して注意を促しておるような状況でございます。  一応の概況を総括的に申し上げた次第でございます。
  131. 川口爲之助

    ○川口爲之助君 お話しを承わりますと、行為をした生徒は福祉法によって処断されたというだけのようでございますが、その通りでございますか。
  132. 緒方信一

    ○説明員(緒方信一君) 行為をいたしましたのは……それをやらした方でございます。やらした者がそれぞれの刑に触れて処置された、あるいは審理をされておる、こういうことでございます。
  133. 川口爲之助

    ○川口爲之助君 前回の報告を承わりましても、また当時の新聞報道によりましても、この問題はかなり広範囲にわたっておる。しかも複雑をきわめておるということであったと思います。ところでこの問題が請負いにまつわるまあ汚職事件として取扱われておる、こういうふうに承わっておった。しかし私はこの問題はそう簡単な問題ではないと思う。と申しまするのは、少くともこの良識のある、常識のある者が性に対するきわめて無責任なる行為、それと少くともこの純潔を誇るべき女学生がみずから行為を犯して恥じないということ、それ自体が極端に言えば堕落の極致ではないかと思う。これは社会秩序を維持する上からいっても、また教育の神聖を保つという面から見ましても、まことに大きな問題じゃないかと思います。従って直接に責任を持たれる学校長、それからして監督指導の任に当られるところの教育委員会、これが一体どういう処置をとったかということなのであります。今承わりますと、いろいろ校長を通して今後の行為について注意を払ったということであるけれども、そう簡単なことで校長の責任、委員会の責任というものは済むのかどうかということ、その点を一つお聞きしたいと思います。
  134. 松村謙三

    ○国務大臣(松村謙三君) 実際こういう風紀の問題等相当お話しの通りに重大と考えまして、それでこの次の予算にも生徒を指導するためのいろいろの授業の経費等もみて、そしてこのようなことの根絶を期したいと思っております。同時にまた地方の実態をも知るために、文部省において現に最近調査班を設けまして、全国のこういうことの実情を調査をいたして、予防等の措置を講じたい、こういうふうに考えております。
  135. 川口爲之助

    ○川口爲之助君 ではもう一つお伺いいたします。新聞報道によりますと、群馬県の大間々高校に起った事件がございます。それとさらに茨城県の石岡市にもまあ同様のケースの事件が起っております。これは果して事実であるかどうかということを一つお伺いいたします。
  136. 緒方信一

    ○説明員(緒方信一君) ちょっと今御質問の茨城県の石岡というお話しのようでございましたが、奈良県に行きまして、修学旅行のときに事故を起した、あれを御指摘でございましょうか。
  137. 川口爲之助

    ○川口爲之助君 これは私は新聞で見たのですけれども、石岡市の府中小学校と申しましたかな、その教頭の竹内なにがしが強窃盗暴行等百四十五件を犯して逮捕された、こういう記事ですね。
  138. 緒方信一

    ○説明員(緒方信一君) ちょっと正確な資料をここで持ち合せませんので、たしか群馬県か栃木県であったと思いますけれども、そういう事実が新聞に伝えられましたし、その当時私ども調査をいたしまして、事実まことに遺憾ながらそういうことがあったようであります。   〔理事吉田萬次君退席、委員長着席〕
  139. 川口爲之助

    ○川口爲之助君 もしそれが事実といたしますならば、どうも重罪を犯した者が大胆にも神聖なる教壇に教師として立っておるということは、まことにこれはおそるべきことじゃないかと私考えるのです。それでこれを採択と申しますか、人事権を有する教育委員会がどう処理したか。また新規採用に対してどういう採択基準でやっておるか、その辺のところを一つ伺いたいと思います。
  140. 緒方信一

    ○説明員(緒方信一君) これはお説の通りまことにああいう君を採用をした、採用のときにおそらく十分身元調査をいたさなければならぬわけでございますが、それがそういう事実がわからないで採用したということにつきましては、ちょっと私どももまことに不可解に存する次第であります。非常に遺憾な点だと存じます。ただ採用のその基準等につきましては、これはおそらく教育委員会におきましていろいろな内議をやって、調査をいたしてやることと存じますけれども、ちょっとここで具体的には申し上げる資料を持ちませんので……。
  141. 川口爲之助

    ○川口爲之助君 そういたしますと、委員会が教員を採択する場合に、一定の基準というものはないのですね。文部省からもそれは別に指示はしていないのですか。
  142. 緒方信一

    ○説明員(緒方信一君) それは一定の基準はもちろんございます。学校教育法の九条にこの欠格条項がございまして、その禁錮以上の刑に処せられた者はこれは教員となることができないという規定もございまするし、まあそのほかここに四項目などが挙げられております。しかしながら実際にその採用のときに、いかなる調査をし、どういう手続で採用をするかということは、これは任命権者でありまする教育委員会がきめることでありまして、文部省あるいは国としての大きなワクはこれらの法律で定められております。
  143. 川口爲之助

    ○川口爲之助君 まあ教育委員会の責任を問うということはこれはリコールによらなければできないことでありましょうが、これはしようがないということでありましょう。そこで相当の教養を経た者が、いわば意思の鍛練を欠いたために社会秩序の混乱から来ますところの圧力、重圧に堪えずして重罪を犯したということは、これは教育全体の面からも相当反省さるべきところではないか、かように考えます。  また近年年ごとに増加していく青少年の犯罪、これはあるいは教育の欠陥から生まれてくる一つの断面であろうかと思います。そこでこの大間々校の当事者角田とか言いましたか、その人が現在の日本の教育についてどう思うかという警官の間に対して、こういうことを申しております。広範囲における文化を広く浅く求める形式においては知的の面ではこれでいいと思います。が、人間性の陶冶あるいは人格を作り上げる面においては欠けていると思う、こう答えておるのです。これは明らかに教育の欠陥を指摘したものじゃないかと思うのですが、これに対する御所見はいかがなものでございましょうか。
  144. 緒方信一

    ○説明員(緒方信一君) 教育が知識に偏重をして、何と申しますか、その人間を作っていく面に欠けておる点があってはいけないじゃないかという御趣旨におろうかと拝聴いたしまするが、まあ学校教育におきまして一応教科のほかに教科外の特別教育活動等もございまするし、それから先ほども御指摘のありましたような青少年のいろいろな不臭化の傾向に対しまして、これを指導していくために文部省といたしましても今後力を入れて施策を講じたい所存でございます。先ほど文部大臣から答弁がありましたように、来年度の予算にもそういうふうな指導をやるための指針を地方に与えるために、指導者を集めて協議をし、これを徹底していく方法をとりたいと考えておりまするし、また先ほども御指摘のありましたようないろいろな事件につきまして、文部省としましてなかなか今日わかりにくい事情にございますので、特に文部省に地方の実態がわかるような係を作りまして、そういう組織を作りまして学校の運営管理の実情を十分把握した実情に基いて施策を講じ得るような手だてをいたしていきたい、かようなことも考えておるような次第でございます。学校教育の教科の内容におきましてもあるいは教科外の活動の内容におきましても、この知識の面だけじゃなくして、社会人としてりっぱな人間を作っていくという面にあるいは社会活動その他におきましても十分注意しなければならぬことはもちろんでございますけれども、その基礎とするためにいろいろな資料を十分に正確な資料をとるためにさような施策も講じたい、かように考えておる次第でございます。
  145. 川口爲之助

    ○川口爲之助君 政府の方針のあるところはよく了解ができます。教育の第一の目的というのは、これは大臣がしばしば繰り返されるように良知、良識によって人格を完成をするというにあると私は信じておるわけです。これはとりも直さず精神修養、精神訓練、これによっていかなる環境にあっても正しい自己というものを見失わないだけの力をつちかっていく、これが教育の本当の目的だろうと思うのです。どうも私ども年をとってよけいな心配をするような傾きもありまするけれども、何かこう今の教育というものはあらしの中に立っているのじゃないかと思う。でありまするからして、この目的を達成するためには、当局において一段の努力をして、いただきたいということを強く要請するものであります。これで私の質問を終ります。
  146. 笹森順造

    ○委員長(笹森順造君) 次に文化財及び文化勲章に関する件を議題といたしたいと思いますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  147. 笹森順造

    ○委員長(笹森順造君) 御異議ないと認めます。それではただいまより文化財及び文化勲章に関する件を議題といたします。先だって来、白井委員から発言の御要望がございました。白井君。
  148. 白井勇

    ○白井勇君 大臣の御都合もありましょうから、文化財の前に文化勲章のことにつきまして、ちょっとお尋ねしてみたいと思います。  大臣にお尋ねします前に事務当局でけっこうでありますから、その手続上のことをちょっとお尋ねを申し上げたいと思います。「文化勲章ハ文化ノ発達二関シ勲績卓絶ナル者二之ヲ賜フ」という勅令が出ておる一本でありまして、その実際の取扱いをどういうふうにやっていくもの小というようなことは、全然規定がないわけであります。従いましてこれは内閣で取り扱うことになるものだと思いまするが、現在では一応行政措置としまして文部省で関係を持っていらっしゃるようでありまするが、この具体的の選考につきまして、具体的の取扱い方というものはどういうような方法によって運ばれておりますものか、それを事務当局から承わりたい。
  149. 田中彰

    ○説明員(田中彰君) お答えを申し上げます。文化勲章につきましては省内に文化勲章受賞者選考委員会という委員会を作りまして自然科学、人文科学、芸能その他学識経験者をもってこの委員会を作りまして、ここで最も適任と認められる、いわゆるこの勅令に則りますところの「文化ノ発達二関シ勲績卓絶ナル者」というこの文化勲章令にうたっておりまするこの適任者を選考いたしましてその候補着を選考いたしておる実情でございます。
  150. 白井勇

    ○白井勇君 今のその選考委員会ですね。これはその文化功労者年金法に基きまするその選考委員会なのでありますか。それとは全然別個に何らの規定もないわけですが、便宜上何か特別の選考委員会を設けてここでやっていらっしゃると、こういうことですか。
  151. 田中彰

    ○説明員(田中彰君) 文化勲章と文化功労者年金とは全然別ものでございます。御指摘の通り文化功労者年金法に基きまして文化功労者選考審査会というものを作って、この審査会において文化に関し高い識見を有するもののうち文化の向上発達に関し特に功績顕著なものにということでこの適任者を選考いたしておるわけでございます。文化勲章の方につきましては御指摘の通り、特にこの選考委員会あるいは審査会というようなものは制度上は要求をされておりますが、ただいま申し上げましたような委員会を作ってやっておるわけであります。従いましてただいま申し上げたように文化功労者選考審査会、文化勲章受賞者選考委員会とはこれは別個の審査会でありあるいは選考委員会でございます。
  152. 白井勇

    ○白井勇君 そうしますと、全然その構成人員から全部その文化勲章関係の選考のものと文化功労者の審査委員会というものは全然違った構成、人員によりまする委員会になっておりますか。
  153. 田中彰

    ○説明員(田中彰君) 委員の顔ぶれは事務上の便宜を考えまして委員の顔ぶれは同一でございます。すなわち文化功労者選考審査会は十人の委員をもって組織するようになっておりまするが、文化勲章受賞者選考委員会におきましても、やはり十人の同じ顔ぶれの委員をもって組織をしておる実情でございます。
  154. 白井勇

    ○白井勇君 そうしますと、こういうふうに解していいのですか。文化功労者の選考審査会の方は規定で、はっきり十人ということになって文部大臣が一応選考することになっておる。その同じ方が文化選考委員会ですか、そういう名前をもう一つもらいまして、それで同時に両方のものをやっておるということに解していいのですか。
  155. 田中彰

    ○説明員(田中彰君) 御指摘の通りでございます。
  156. 白井勇

    ○白井勇君 そこでお伺いしたいと思いますが、その委員会におきまして審査なり選考をやります場合に、一体白紙ではこれはできんことだと思うのですが、そういう場合には実際具体的にはどういうような恰好で選考が始まって参りますのか。
  157. 田中彰

    ○説明員(田中彰君) 各委員から候補者を打ち寄りまして、この選考審査会なり受賞者選考委員会におきまして最も適任と思われまするものを選考をいたすわけでございます。
  158. 白井勇

    ○白井勇君 そこの審議にのせます候補君というものは、委員になりましたものだけが今のお話しのように出せるのであって、ほかの何らのどういう手続なり方法によってもこれはその審議にはのせ得ない筋合いのものでありますかどうか。
  159. 田中彰

    ○説明員(田中彰君) お答え申し上げます。  候補者につきましてはただいま申し上げたようなことで選考いたすわけでありますが、お話しのほかのものからは候補者を選考にのせることができないかというお尋ねでございますが、委員を選考いたします際には、先ほど申し上げましたように各界の専門家、学識経験者に委嘱いたしまして、そういう委員から成り立っておりまする選考審査会でありまするので、この審査会にのせまする候補者というものを、おのずから代表的な、本当に文化の発達に関して勲績が卓絶である、あるいは功績が顕著であるというようなものが選考委員会における候補者として上って来るものと考えております。
  160. 白井勇

    ○白井勇君 そういう回りくどいお話しよくわかりますが、私は端的に伺っておるのは、要するに一応その議題にのる方というものは選考委員に選ばれた人の口から出なければ絶対にそこに出ないものか。あるいはそうじゃなしに、個人なりあるいは団体なり適当のものからわれわれの方としては、こういうものは必ず候補者に上るのじゃないかと思うというようなお話しのありましたものは、その選考には全然のり得ない恰好になっておるのじゃないかということを一お伺いして、おるわけです。
  161. 田中彰

    ○説明員(田中彰君) 候補者の選考につきましては、ただいま申し上げた通りでありまするが、団体その他のものから絶対に候補者としてのり得ないかどうかという点につきましては、選考委員会において最も適当と認められるものを候補者として詮議をいたすわけでございまして、関係団体その他からのものを直接この選考委員会に推薦をする、あるいは候補者を持ち込むというようなことは、制度上は別段規定もございませんし、また、従来の例に徴しましてもそういうことをやっておりませんけれども、しかしその辺の間のことは、おのずからそういう最も適当と認められる者がこの選考審査会の候補者にのせられ、そうして選ばれる、こういうふうに考えております。
  162. 白井勇

    ○白井勇君 大体わかりましたけれども、結局、やはりあなたの方であずかっていらっしゃいます以上は、それは今お話しのように、大臣が委員としまして選考されますものは、それは非常に適当な方を選べるわけでありましょうが、そうでない面におきましても、どうも文化功労者なりあるいは文化勲章の適当者じゃないかというような、やはりいい意味において考えを持っている人なりあるいは団体というものはあるのだから、そういうものがやはりそのもののいかんによっては取り上げられるというふうに私は今の御答弁で解するのですが、それで差しつかえないですか。
  163. 松村謙三

    ○国務大臣(松村謙三君) これはそれをとるかとらぬかは委員の権限でありますが、そういう申し込みがありますれば、その委員会へ紹介することはこれはもちろんいたしまして、その選考は委員の権限と、さよう御承知を願いたい。
  164. 白井勇

    ○白井勇君 もう一つお伺いしたいのですが、文部大臣の選考されまする委員ですね、これは先ほど課長からお話しがあったのですが、従来大体どういうような選考の方針になっておるわけでありますか。委員の選考方法ですね。
  165. 松村謙三

    ○国務大臣(松村謙三君) 詳しいことは事務の方からお話しをしますが、これは学術の専門の権威者の側と、それから芸術というような面の方と、それからやはり学者のうちに入りましょうが、その経験者のような方というようなところをにらみ合わして選考をいたして参ったわけであります。そのほかにまだこまかい基準があるかどうか課長から……。
  166. 田中彰

    ○説明員(田中彰君) ただいま大臣から申し上げた通りでございまして、自然科学、人文科学あるいは芸能界その他学識経験者のうちから、最も適当と認められる者を文部大臣が任命をいたしまして委員にお願いをしておるわけでございます。
  167. 白井勇

    ○白井勇君 私もよくはわかりませんけれども、過去の実際選ばれました方の分類をやってみますと、二十四年には学術関係が五名、芸術関係が三名、その他と思われますものが二名、これは私の分類が悪いかもしれませんが、その後順次この学術関係の人が、最近におきましては七名見当が学術関係の方面から選考委員が出ておるわけであります。あと、技術なりあるいはその他というような格好になっておりますね。これは学術関係の方面におきましても、本当の、まあ何といいますか、権威者であり適当な方ではあろうと私たち思いますが、また見方によりましては、その担当されまする学術、その分野におきましては非常に権威者であるかもしれぬけれども、こういう文化勲章なり、あるいは文化功労者として表彰されるという判断、他とのつり合いを見てやはり考えなければならぬようなああいう場合におきまして、どうもそういう方面の方だけに固まっておるような感じを、これは私個人として持つ。やはりこういうものは何と申しますか、非常に常識の円満に発達したような方が相当おられまして、そこでまあ最大公約数的といいますか、そういうような観点に立って選ばれるということが非常に望ましいことじゃないかと私は思うのであります。今の文化功労者選考審査委員会にかかっておる格好からだけ言いますと、文化功労者審査委員会の委員というものは、文部大臣が一応適当なものを選考される。それが、今申しましたように、学術なら学術方面のみに偏しておるということになりますと、今度それを今申しましたような最大公約数的な観点に立って検討すべき分野は、これは文部大臣にまかされているわけです。そうしますと、現在でも非常に円満な方がなっているけれども、そうでないような場合もあり得ると私は思うのです。従ってもう少し委員そのものに全体を比較対照して判断するような方面を代表するような方がやはりもう少し加わってもらうことが望ましいというようなことを私は思っているのですが、この点につきまして大臣のお考えはどうですか。
  168. 松村謙三

    ○国務大臣(松村謙三君) 御説は十分承わっておきますが、私ども今度の委員を選考いたしまする上については、相当に苦心をいたしまして、そうしてだれがごらん下さっても、まあ立派な方々を選んだつもりでおります。今、全体に対する常識の発達したというお考えでございますが、もちろん大切だと思うのでございまするけれども、大体私どもはこれらの方々は十分に選考を厳正に、公平になし得る方というふうに考えて選んだわけでございますから、御了承願います。
  169. 白井勇

    ○白井勇君 誤解ないようにお願いしたいと思いますが、私は決して今回のことを取り上げて問題を提起したのじゃなく、制度そのものについて申し上げておるのです。最近私の調べましたところでは、二十七年ころでは学術関係から七名くらいと私は一応了承しております。  それから事務当局に、もう一つお尋ねしたいと思いますことは、最近第二回目かの会議におきまして、一応有力な人ということで三十名の氏名をあげまして発表しておるわけですね。あの発表というのは一体どういう意味を持つものでございますか。ちょっと私ふに落らないのですが。
  170. 田中彰

    ○説明員(田中彰君) 第二画の選考委員会の結果の記事が新聞に載っておりまするようですが、文部省といたしましてはこれらの候補者を新聞発表をした、こういう事実はございません。
  171. 白井勇

    ○白井勇君 そうしますると、会議は秘密会議でありまするか。
  172. 田中彰

    ○説明員(田中彰君) お説の通りです。
  173. 白井勇

    ○白井勇君 私はそうしますと、おそらくそれは立ち会っていらっしゃいます事務当局の方か、あるいはその最も適当だとされまして委員に選考された人が漏らしたか、いずれかであろうと思うのです。かりにそういう委員の方からああいうようなものが漏れて発表されたということになりますと、これはやはり委員が適当でないという結果になるのではかいかと思うのですが、どういうものですかね。と私申しますことは、やはりああいう問題はああいうふうに中間発表をされますれば、あのうちから十名なり何なりというものは人数がきまっているわけですね。これが来年になれば、もう一年待っておれば順序があることであって、必ずお前が功労者の一員になるのだ、あるいは文化勲章も受けるのだという約束がされるというならばまだしも、これは単に人員だけの問題ですから、あまりに気にもそめる必要もないかと思いまするが、必ずしもそういうものではない、これは年々新たに選考されるものだと私は思うのですね。あれがああいうふうに出ることになりますと、これは御本人たちは決してそういう方はないと思いますけれども、それぞれああいう方々には相当の取り巻き連中というものがやはりあるとみなければならんわけですね。そうしますればそのうちから十名なり何なりのうちに入らなければならんということになりますから、相当の何らかの措置を講じなければならんということになるのでありますから、そういうことを文部省あたりが奨励するような結果になるのではないかと思うのでありますが、それにつきましてはどういうふうにお考えになりますか。
  174. 松村謙三

    ○国務大臣(松村謙三君) ああいうふうに出ましたことにつきましては、実は私も見まして遺憾に思っております。だんだん聞いてみますとずっと初めからで、今に始まったことではないので、毎年あれが漏れているわけですね。みんないろいろの手段で大体の見当をつけて、こう何するものとみえまして、ああいうふうに出ましたことは私としましてはなはだ遺憾に存じておりますが、御質問に対しては文部省としてあれが出ましたことは遺憾に存ずると申し上げてお答えを申しておきます。
  175. 竹下豐次

    ○竹下豐次君 関連して。時間も大分過ぎましたからごく簡単に伺います。先ほどから伺っておりますと、文化勲章に関する委員会とそれから年金に関する委員会と二つがあるのですが、十人でやって、しかも同じ人だ。これは非常に不自然じゃないかと思う。両方一緒にして、つまり一つは法制化した法制に基く委員会である。一つはそうでないというところにこういう妙な不自然なものができておるのじゃないかと思いますが、法制に基いておるならばそれに手をちょっと入れられれば二つを一緒にすることはそうむずかしいことじゃないのじゃないか、しかも両方は離るべからざる関係にある委員会で、開くならば一緒に開かなければ工合が悪いことじゃないかと考えるくらいに密接な関係があるように思うのです。何か文部省でそういうお心組みがありませんか、一緒にしようという。逆に申しますと、なぜ二つ置かなければならないか。法制化の問題のほかに何か理由がございますか。
  176. 田中彰

    ○説明員(田中彰君) 先ほど申し上げましたように文化勲章と文化功労者年金の方とは、これはねらいが違っておると申しまするか、片方は、この文化勲章の方は「文化ノ発達二関シ勲績卓絶ナル者」、年金の方は「文化の同上発達に関し特に功績顕著な者」、こういう違いがあるわけです。そこでお話しは両方一本にできないかというわけでありますが、先ほど申し上げたように、両方は実際は構成メンバーも同じ、同時に開いておるわけでございますから……。
  177. 竹下豐次

    ○竹下豐次君 いや、実質の運営については別に言うことないのです。しかし文化勲章をもらう人の大部分は年金ももらうんじゃありませんか、実際は。今までの実例はどうですか。
  178. 田中彰

    ○説明員(田中彰君) お話しの通り文化勲章をもらう者は年金の方も受けるような、結果においてですが、そういうことになっております。
  179. 竹下豐次

    ○竹下豐次君 結果じゃなく事実の問題が、文化勲章をもらった人で年金をもらう人が多いのですか、もらわない人が多いのですか、それとも全部もらっておりますか。
  180. 田中彰

    ○説明員(田中彰君) 文化勲章を受けております者は功労者の年金も受けております。
  181. 竹下豐次

    ○竹下豐次君 それからもう一つお尋ねしますが、文化勲章をもらわないで年金をもらう人は相当多数あるのですか。
  182. 田中彰

    ○説明員(田中彰君) 功労年金だけで文化勲章を受けないという者はございます。昨年の例で申しますると、十人のうち半分は勲章と年金、半分は五人は年金だけ、こういう結果になっております。
  183. 竹下豐次

    ○竹下豐次君 いずれにしても功労者であるという点については同じことでありまして、これは一緒にやはり御審議になって一本になるのが簡単でもあるし、両方との釣り合いもとれていいんじゃないかと思いますが、それをもう少し……。
  184. 松村謙三

    ○国務大臣(松村謙三君) よく研究をいたしてみますでございましょう。
  185. 白井勇

    ○白井勇君 それでは私文化財保護の問題につきまして一応保護委員会の方にお尋ねいたしたいと思います。別に大臣の方に私としましてはありません。  それでは文化財保護法の問題につきましてお尋ねをいたしてみたいと思います。文化財保護法によりますと、文化財を保護いたしますと同町にその活用をはかって国民の文化的向上に資するということになっておるのでありまして、保護するだけじゃなく、要しまするにそれを活用いたしまして国民の文化向上に役立てるということが大きいねらいのようになっておりますが、私もこれは、この文化関係ではずぶのしろうとでありまして全然わかりませんから、一つお教えを願うような意味合いにおきましてお答えを願いたいと思いますが、一体今保護委員会におきましては文化財の活用、あるいはこれを活用いたしまして国民の文化向上に資するという、こういう面におきましてどういう組織をもって、どんな活動をしていらっしゃるものか、お尋ねをいたしたいと思います。
  186. 岡田孝平

    ○説明員(岡田孝平君) 文化財は保存しますと同時に活用する、両方の面をもちまして保護をいたしておるのが法の目的でもあり、また実際でございます。活用の面におきましてはいろいろございますが、たとえて言いますというと国立博物館が東京、京都、奈良と三つございますが、その博物館に文化保護委員会のほうからきわめて文化財として価値の高いものを指定いたしまして、これこれのものはその博物館に陳列するようにというふうにいたしまして、所有者、管理者に対しまして、あるいは勧告をし、場合によりましては命令も出します。さようにいたしまして、毎年適当な文化財を博物館に陳列せしめまして、一般の公開に供しておる。これによりまして社会教育の目的を達し、また文化財の理解にも資するようにいたしたい、これが一つの例でございますが、その他あるいは文化財保護委員会自身におきまして主催をいたして、いろいろな展覧会等を開催する、あるいは地方公共団体主催あるいは個人の主催等によりましてもいろいろな展覧会をいたしまして、有形、無影を問わずいろいろな文化財の公開をいたしまして、一般の理解を高めておるというようなこともいたしております。この活用面は実はこれからでございまして、保存の面が実は相当これは技術的に修理の関係もございますので非常に予算を要します関係上、活用の方はまだならない点が正直に申しましてございます。これから活用面におきましても大いにやりたいと考えております。
  187. 白井勇

    ○白井勇君 これはあれですか、委員会には何かそういう国民全体の文化向上をはかっていくというような積極的の仕事をやる係りなりあるいはその他の担当の者がおって常時そういうことをやっているというような筋合いのものじゃないですか。
  188. 松村謙三

    ○国務大臣(松村謙三君) これはやはり近来いろいろやっておりましてございます。たとえば国宝の一部のものを世界に紹介する意味において明後年欧米に出します。それからきょうあたり陛下にごらんを願いましたが、三越におきまして指定をした文化のいろいろの新しい製作品を陳列いたして一般の民衆に見せますとか、そういうことはまだ十分とは申されませんけれども、以前から見ますとずっと活発にやってきておるわけでございまして、きょう私も三越の何を行って見てきますと、やはりなるほどこういうふうになっているか。それから芸術祭なども御承知の通り最近盛んになりまして、こういうようなことをいたしておるような次第であります。
  189. 白井勇

    ○白井勇君 大臣のお話しはよくわかりますし、大臣はそういうおつもりでやっていらっしゃることもよくわかりますが、ただ保護委員会自体としましてそういうふうに動いているものかどうか、私非常に疑義を持っておるわけであります。あすこの委員長さんですか、どういう気持でやっておられるものかということを私いろいろ検討してみたんでありまするが、相当やはりそういうことに積極的な御意見を持っていらっしゃると、書かれたものにもはっきりしております。むしろこういうものが大衆と離れていったのではどうにもならないというような、非常にまあ強い考え方でものを言っているように私は書いたものを通じては見ておるのです。ところが今大臣からもお話しがありましたが、私も実はきのう午後せっかく招待状、その招待状もこれは封筒だけは保護委員会でありますけれども、中味を見ますればこれは三越の招待状である。そういうものをもらいましてちょっと行ってみたのであります。行ってみまするというと、主催は保護委員会でありながら保護委員会から何らのあいさつもない。工芸何とか会という財団法人ですか、そのものがやっておるだけであります。そうして一応映画なり講演が終りまして、最後の日程になっておりまするものの、これも今ほかの違ったフィルムがあったからそれを紹介するということで、予定では歌舞伎の説明をやる、映画をやるということ、そのすぐ前までそういうことであった。ところが講演が終りましてすぐ最後の段取りになりましてやる場合におきましては、今唐津の窯元の視察をやりました映画が今届いたからこれをやりましょう、それを加えるのかと思ったらそうじゃない、ただそれをもって終ってしまった。悪く言いますと、映画の内容も私は余り感心しないものでありました。ただ唐津の窯元の紹介に過ぎないような映画をやっている。その最初におきましても保護委員会から何らのあいさつがあるわけでも何でもない。そういう会合であります。  この間竹下委員が京都の博物館に寄られて、外人が非常に用便所がなくて不便しておったというようなお話しもあったのであります。私はおととい国立博物館からわれわれは従来優待券をもらっておったのが最近ないのはどういうわけかと開いた。これは何も私たち無料で入りたいとか、そういうことを考えているわけではありませんが、まあ金がないとかあるとかいう問題よりも、保護委員会としましての働き方の問題、頭の動かし方の問題によって幾らでもやれる措置が私はあると思う。現にきのうあたりのああいう展覧会をやられましても、これは保護委員会として何らの金はいらないと思うのです。これは単に言いますれば三越の工芸美術部の仕事になっている。むしろあれによって売れたものはまた二割ないし三割というものが入るわけですから、もし金が足りなければそういう方面にさらに次の宣伝に使ってもらってもいいということも考えられるわけであります。これは幾らもやり方があろうと思う。ところが実際の動きというものはちっともそういうことがないじゃないかということを申し上げているだけなのであります。  時間もありませんから次の点に移りたいと思いますが、無形文化財の指定ということが去年の十九国会の五月の法律改正によって入ったのであります。あの無形文化財につきまして指定の措置をとったということはこれは一体どういう意味合いでありましたのか、事務当局から一つ。
  190. 岡田孝平

    ○説明員(岡田孝平君) 無形文化財は昨年の法律改正以前までは指定はいたしておりませんで、単に国家が必要と認める助成措置を講ずるというだけでございました。しかしながら無形文化財は有形文化財と同様、あるいはそれ以上に貴重なものであって、ぜひこれを保護しなければならないと考えておりますので、これはやはり有形文化財と同じように指定制度をとるべきであって、そうしてあるいは芸能あるいは工芸、あるいはその他のものにつきましてもそれが、伝統のそういう文化財がなくならないように保護しようという目的で他の文化財と同様に指定せられた次第でございます。
  191. 白井勇

    ○白井勇君 それじゃその法律にあります二条の第二号ですか、その中にありまするこの「その他の無形の文化的所産」というのはどういうようなものが含まれているのですか。
  192. 岡田孝平

    ○説明員(岡田孝平君) 無形文化財は大きく分けまして芸能、たとえば演劇、音楽等も芸能であります。それから工芸技術でございますが、これは……。
  193. 白井勇

    ○白井勇君 私はその下のことを聞いているのです。
  194. 岡田孝平

    ○説明員(岡田孝平君) その下のその他、これは非常にたくさんございまして、実はこの条文の「その他の無形の文化的所産」といいましても非常にこれは範囲が広く、またその対象をどれから取り上げるかということは非常に困難でございますが、私どもとしましては実はただいまのところ芸能とそれから工芸技術だけにつきまして専門審議会を設けましてここで慎重審議いたしましてそれぞれ指定の措置をとっておりますが、その他の無形文化財というものにつきましては、これからそれらにつきましてぜひこういうものを指定していきたい、かように考えておりまして、ただいまのところ専門審議会等もございませんような次第でございます。できるだけ早くこれを措置したいと思います。
  195. 白井勇

    ○白井勇君 これからというのはいつからどういうふうにやられるのでありますか。
  196. 岡田孝平

    ○説明員(岡田孝平君) いつからというはっきりしたその時期は申し上げられませんけれども、その他のいろいろなものがございまして、それらについてぜひ指定してもらいたいという話もございます。まあ私どもとしましても十分研究はいたしておりますので、できるだけ早くこれは専門審議会にこういうことを付議いたしまして、その上で具体的にきめたいと思います。できるだけ早く専門審議会に相談して措置いたしたいと思います。
  197. 白井勇

    ○白井勇君 それはしかし去年の五月ですでに法律が実施になって、あなたの方でも今お話しのようにとにかく無形文化財についても指定制度を設けなければならぬということで設けられたのですね。そういう以上はそういう措置を当然、予算的の必要がありますならば、あるいはその他の手続があればとらなきゃならぬ筋合いだと私思うのですが、全然今まで放置された……。
  198. 岡田孝平

    ○説明員(岡田孝平君) 全然放置したわけじゃございませんが、いろいろ予算上の関係もございますし、それからいろいろまあ簡単に申しますと、そこまで手が廻らないという実情でございまして、ただいまのところではとっておりませんが、できるだけ早く手続をとりたいと思っております。
  199. 白井勇

    ○白井勇君 私の承知するところにおきましては、法律を改正をし、すぐやらなければならないことを全然やっていないというふうに思うのですが、たとえば予算の面を調べてみましても、国宝、重要文化財等の調査指定に要しまする経費自体も二十九年度は二百七十三万一千円ですね、去年とにかくそういうように法律改正をして、無形文化財を指定するという新らしい分野を開いたのにかかわらず、三十年度においては二百四十八万円です。それからまた文化財専門委員会の費用におきましても、二十九年度は九十万円ありましたものが三十年度におきましては八十七万二千円です。あなたの方から、文部会計当局に対しましても何らこのことについての連絡もなければ要求もないのですね、そういう格好でありますれば、これは手が廻らないとか、金がないということよりも、あなたの方で法律を改正しながら、そういうことをやる気がないということじゃないですか、その辺はどういうお考えなんですか。
  200. 岡田孝平

    ○説明員(岡田孝平君) 法律改正は、無形文化財全体につきましての指定制度をとったのが、これが改正でございますが、私どもといたしましては、やはりこれは何と言いましても文化財にもいろいろありますが、法律にもありました通り、演劇、音楽、工芸技術、こういうようなものの中でいろいろな問題点がたくさんございますが、そういう点にいわゆる手を染めたわけでございまして、その他の面は決してほおって置くというわけではございませんが、これはやはり順次一つ努力をしてやるというようなことを検討いたしてその方をきめたのです。無形の、その他のうちからも順次これを進めていきたい、こういうふうに考えております。
  201. 白井勇

    ○白井勇君 そのあれなんですね、去年とにかく、私これはしろうとでわかりませんけれども、去年までは一応無形文化財のうち、特に価値の高いもので、国が保護しなければ衰亡するおそれのあるものについて云々ということなんですね、これなら私は今のようなことにしておいてもよかったと思いますけれども、一応去年の五月の改正によりますと、日本国として無形重要文化財というものを一様に全部指定することになっておる、ですから指定をされないものは、これは日本国におきましては、少なくともあなたの保護委員会、政府においては重要文化財ではないというそういう階段を設けたわけですね、非常にこれは私は大きい問題じゃないかと思うのです。だから現在の運行におきまして、指定されなければ国民は重要文化財ではない、こういうことになるでしょう、そういうことはないですか。
  202. 岡田孝平

    ○説明員(岡田孝平君) 理論的に申しますと、そういうことになります。
  203. 白井勇

    ○白井勇君 そういうことでしかし説明はつくわけですか。私はむしろ去年の改正する……これは国の経費の問題もあるわけです。実際の実情に沿った措置を講ずるならば、むしろ去年のままにしておいて、まず重要なものであって亡びんとするものに先に手をつける、現にあなたの事務当局ではそういうことをおっしゃるが、私どもとしては亡びるのを先にやっていく、これは改正前の法律でもって現実に運行しておるわけです。むしろ昔のままの方がよかったので、そして国に力があって、そこまで手が伸びるということで指定を拡大して専門的にやるというのも一つの考え方です。ところがそういう力がなくて、一応全部指定するという立場をとったわけです。とった以上は、これはやはり不十分ではあるが全面的にやらなければならぬ、その点どうなんですか。
  204. 岡田孝平

    ○説明員(岡田孝平君) 前までは御承知の通り、衰亡のおそれあるものというふうになっておったのでございますが、しかしそれはそういうことでもいいんですけれども、その他の文化財はすべてそういう前提条件がございませんで、ただ無形文化財だけがそういう前提条件、これは非常におかしい、これはやはり予算の関係もあり、いろいろ比率の関係もあり、一ぺんにはできないかもしれませんけれども、やはり他の文化財と同じような、無形文化財の重要な、価値の高いものというふうにすべきじゃないかという理論的な根拠によりましてこの法律を改正したわけでございますが、改正と同時にすべての点がその法律の予想通りに実施ができますれば非常によろしいのでありますけれども、そういうことになっていないという状態であります。
  205. 白井勇

    ○白井勇君 蒸し返してもしようがありませんけれども大臣どういうものですかね、私はいろいろと調べてみまして、まあこれは今までの国の財政力からみますとむしろ去年のままにしておいた方がよかったという感じがしますが、今さら、法律改正しました以上やむを得ないと思いますが、少くとも不十分でありましても無形文化財に、この演劇音楽、それから工芸技術のもっとほかに、日本には固有なその他の無形文化財所産でもあるわけです。そういうものを不十分ながらも審査し得る措置というものを速急に講じなければならん筋合いのものと私は思いますが、これは予算の措置もなければ、これは大臣御存じないかもしれませんが、別個の文化財を作らなければならんことになっているのです。ところが今は芸能と工芸の二つしかないわけです。その他のものを審査をしていきまする態勢になっていない、これは不十分であってもそういうような態勢に持っていくことは、まずこれはさしあたり必要なことじゃないかと思うのですが大臣はいかがお考えですか。
  206. 松村謙三

    ○国務大臣(松村謙三君) いろいろ御指摘でございますが、ことしも予算が伴わないという……ごもっともであります。予算の減ったのは一律に削減を食いましたような事情で減ったのでありまして、今年はぜひ相当の予算を要求いたしましてこれらの調査を完了いたしたいと考えております。なかなか実際の調査をやらしてみますといろいろ困難な事情もありまして速急なわけにはいかんかもしれません。大体二、三年くらいの期間を一応要するかと思いますけれども、御指摘のようにできるだけ努めて調査決定ができるように努めたいと思います。
  207. 白井勇

    ○白井勇君 これは私もまた繰り返してお願いみたいなことになりますが、きのう、日本の美を尋ねてという映画を紹介していらっしゃるのです。これは日本古来をずっと訪ねまして、まことにいい映画だと思って拝見をしてきたのですが、大部分のものがやはり無形文化財あるいは有形文化財に指定をされるなり、あるいは文化勲章をもらったというような段階のものを紹介をしているのでありますが、その中におきまして、まあ私たちから見ますればもっと先に措置をしなければならんような、あの映画に載っておりまする非常な重要な面を占める部面におきまして、そういう場面があるわけです。しかもこいつは日本の文化としましては従来から外人などが来ますれば、まずそういう方面に案内をし誇るというような格好のものであろうと私は思うのです。それらのものがほとんど放置されておって、片方におきましてはまことに何と言いますか、当局者の好みに堕したような、そういうようなものが先に指定をされているというような段階であって、まあよく悪口を言われまする通りに、今の当局者にそのまま任しておけば、むしろ国費を使ってあの連中がただ道楽をやっているのだというような表現さえあるわけでありまして、もう少し私は保護委員会とされましてもこれは大臣もせっかくそういう考えですから、必ずしも新たなる予算でなくて、今の予算の範囲内におきましてもやれる方法というものはこれは幾らもあり得ると思うのです。どうか一つ私の意のありますところをくみ取ってもらって、善処されますことを一つこの保護委員会の事務当局にもお願いを申しておきます。
  208. 荒木正三郎

    ○荒木正三郎君 時間が相当経過しておりまするので、きょう議題になっておりました教育委員会に関する問題、それから教科書に関する問題について若干文部大臣の所見を質しておきたいと思うのです。教科書問題はきわめて重要な問題でございますが、前の国会におきまして、衆議院の行政監察委員会で取り上げられ、また最近は文部大臣はこの問題について教育審議会に諮問をされているわけですが、ここでお伺いしたい問題は、検定制度というものを堅持していく考えが文部大臣にあるかどうかという問題でございまして、教科書問題については幾多質疑したいことがございますが、そういう時間ももうなくなっておりますから、検定制度を堅持する考えは持っておられるかどうかという一番重要な点について所見を伺っておきたいと思います。  それから教育委員会制度でありますが、この問題につきましても最近公選制を廃止して任命制にというような意見もまま聞くわけであります。これらについて文部大臣は教育委員会の公選制は堅持すると、そういう考えを持っておられるかどうか。そういう非常に大きな問題について大臣の御所見を伺っておきたいと思います。
  209. 松村謙三

    ○国務大臣(松村謙三君) お答えをしますが、教科書の問題につきましては、大体世論と申しますか、世間の希望するところは大体四つあると思います。その一つは教科書の内容を含めた検定の問題と……検定と申しますか、の問題と、それと採択の面と、採択の面があまりに狭いから、もう少し広くしろという意見と、あのようなスキャンダルのようなことをなくするようにということと、それから教科書の値をもう少し安くしろというようなこと、大体この四つの点に尽きると考えております。そういう趣旨において教育審議会へ諮問をいたしたわけであります。その諮問の私のあいさつの中に、明確に申しておきましたことは、今日のこの検定制度の本質そのものについては今日まで相当にこの民間の努力と言いますか、競争によるといい結果もあるから、これは堅持していくのだが、そのやり方の誤まりは世間に相当議論があるから、検討してもらいたい、こういうことの表現をいたしておいたわけでございます。これで大体お答えに沿うことと存じます。  それから教育委員会の面につきましては、今白紙の上に立って検討をいたしております。お話しのように公選制にするか、それから公安委員のような制度にするか等々のことは今何らきめておりません。私の考えは大体委員制度についての議論はほぼ出尽したものと思っております。それをどういうふうに取り合わせてやるのが最もいいかという点だけが残っているわけでございまして、これはいま少し他の……、今審議会で審議をいたしているものが教科書の問題を急いでやっておりますし、それから続いて短期大学も出しますから、ちょうど議会の間に合うように見計らって十分の検討をいたして決定をいたしたいと思っております。  それなら必ず出すか出さぬかということにつきましては、この先の議会での私の皆さんに対するお答えは、教科書制度は必ず次の議会へ出しますとお答えをいたしております。それから教育委員会の制度につきましては白紙の上に立って検討をいたして、そうして改むべきものがあれば必ず次の議会へ提案をいたしますと、こういうふうなお答えをいたしております。  すなわち教育委員会制度をこのまま持続するか、それからこれを改正するかということは、来年教育委員の選挙がありますから、その前にいずれなりとも決定をいたすべきことを考え、そういう答弁をいたしておりますが、今のところは申しあげた通りに白紙の上に立って検討をいたして、そうしてこの議会までには文部省の態度を明確にいたしたいというふうに考えております。
  210. 荒木正三郎

    ○荒木正三郎君 教科書問題については検定制度の本質は失わない、これは堅持していく考えであるということは明確になりました。しかし教育委員会制度については白紙であるということは、私どうも了解しがたいのですが、松村文部大臣は大臣になられてから相当な期間もたつわけです。特に教育委員会制度についてもいろいろの意見もあり、議論もあります。しかし根本の公選制という問題について、大臣の見解というものが私はあるはずだと思うのです。これが白紙であるということはちょっと了解しがたいのです。
  211. 松村謙三

    ○国務大臣(松村謙三君) 個人の意見は別といたしましても、今日議会へ提案をするということになりますと、これはいろいろの慎重な検討、それから審議会の関係、それから議会の関係等等を十分考慮をいたしまして、そうしてそれが出したらば必ず成案となるだけの用意をなさなくちゃなりませんから、それで今、まだ日数もありますので、これは教科書問題のように追われておりませんから、もう少しあとに決定をいたしてもよろしいというような考えをもって、今まだ全く案の決定をいたしていない、これが実際でございますから、さよう御了承をお願いいたします。
  212. 荒木正三郎

    ○荒木正三郎君 私は議会方面に提案される考えがあるかどうかという点を聞いているのではないのですが、教育委員会制度について少くともきわめて重要な問題である公選制に対するまあ民主党の文教政策と言いますか、松村文部大臣の文教政策の一環としての公選制に対して見解をお持ちになっていると思うのですが、それを議会に出す出さぬは別ですよ、どういう見解を持って今後進めて行こう、そういう白紙だということでは私は動揺を与えると思う。教育行政の面においてこれは松村文部大臣は教育委員会制度については白紙なんだと、何ら意見がないのだと、こういうことでは済まされないと思う。私は文教の責任者としてやはり見解というものがなければならないと思うのですが、それを私は聞いておる、国会に出してそれが通るとか通らんという、そういう問題じゃない。
  213. 松村謙三

    ○国務大臣(松村謙三君) 私は文教の責任者といたしまして、その責任にかんがみましてよほどこういう重大なものは慎重に取り扱わねばならないと考えまして、今ここにこの問題の具体的の点についてまだ十分の決意もいたしておりませんうちに申し上げることだけは遠慮をさせていただきたいと思うのでございます。
  214. 荒木正三郎

    ○荒木正三郎君 これ以上は質問することを今回はやめます。
  215. 笹森順造

    ○委員長(笹森順造君) ちょっとおはからいをいたします。先ほど来文化財及び文化勲章に関する件の案件を審議しておりまして、その問題は白井委員からは一応御発言が終ったように了承しましたが、これに関係してほかのまた同じ文化財あるいは文化財に関係する保護、国際的な問題等についても実は質疑の通告等があったわけでありまして、この問題が終了しておらないうちにほかの問題に転換したわけであります。そこで皆さん方におはからいしたいのでありますが、時間も相当進んでおりますので、残っております案件の取扱いと、それからこの機会に委員会の日程等についての御意見について承わりたいと思います。もっと的確に申し上げますと、きょうずっと引き続きこれをやるか、休憩してまた夜やるか、あるいはきょうこれで散会するか。ちょっと速記をとめて下さい。   〔速記中止〕
  216. 笹森順造

    ○委員長(笹森順造君) 速記を始めて下さい。  先ほど来文化大使、著作権条約、文化財保護条約等に関しまして高橋委員から質疑の通告があります、高橋君。
  217. 高橋道男

    ○高橋道男君 簡単にお尋ねいたしますが、この文化大使につきましては文部大臣の御推薦によって寺中君が初代のアタッシェイにきまりましたことはこれはけっこうだと思います。その直後私外務省の二、三の者に会ったのですけれども、これに対して若干白眼視しておるのであります。そういうことでは、私は前国会の末期にそれに関する質問をし、念を押して、当時外務次官にも出ていただいてお確めをしておいたことが違った空気で伝っておることはこれは遺憾でございます。その後おそらくそういう空気は除かれているとは思うのでありますけれども、もしそういう空気が続いておるようでは寺中君がこの文化アタッシェイとして働く上に差しつかえるばかりでなしに、国策の上から申してもきわめてまずいと思うのでありますが、その後文部大臣におかれて外務大臣との十分のお打ち合せができておるのか、あるいはまた政府としての文化アタッシェイの運営が確立しておるのか、それだけをお尋ね申し上げたいと思います。
  218. 松村謙三

    ○国務大臣(松村謙三君) その了解はきわめてよくできておりまして、御心配のような点はこれは属僚の中にはいろいろな話は出るのはどこでもよくありがちなことでございますけれども、その点は決して間違いはございません。寺中君をあすこに運びますにつきましても外務省の方では何らの異存がないのみならず、進んでこの文部省から言う通りに迎えるということになっておりますから、御心配はそのようなことはないと考えまして、本人にもよく現地に行けば大使館の人と協調を保って働いてくれということもよく申しておきましたから間違いはないことと存じます。
  219. 高橋道男

    ○高橋道男君 戦後においては最初の問題でございますし、今後文化協定の運営あるいは対外的な文化政策の重視ということにきわめて深い関係があると思いますので、ただいま大臣から言明をいただいた通りに今後もこれは属僚間の中でも、そういう誤まった意見のないようにおまとめをしていただきたいことを要望しておきます。  それから次に文化財に関する保護条約、それから著作権に関するユネスコにおける条約というものがたしか二年近くも前に議され、また調印をされておると思うのであります。その後何回かの国会が開かれましたが、いまだ付議されておりません。批准を与えていないと思うのであります。ことに著作権に関する条約につきましては批准に関してのたしか日限もあるようなことを聞くのでありますが、そういうような点から考え、また対外的な問題でもありまするので、批准に対する態度を早くきめないと、そういう面に対する影響もあるのじゃないかという心配をするのであります。そういう点におきまして、あるいは臨時会にでも提案される御予定があるのかどうか、そういう程度でお尋ねをしておきたいと思います。
  220. 松村謙三

    ○国務大臣(松村謙三君) お答えを申し上げますが、文化財に関しての保護に関する条約は去年の春でしたか、オランダのヘーグで採択されましたことは御承知の通りでございますが、これに調印した国は四十数ヵ国でありますけれども、まだ批准を終った国はごく二、三ヵ国しかないのでございまして、私もこちらにおきましてもできるだけ早く批准をいたしたいと思いますが、国内法をそのために作らなくちゃなりませんが、関係各省と打ち合せをいたしておりますけれども、なかなかいろいろ関係の役所が多いので、まだ結論に達しておりません。今申したようなわけで、まだこの批准をいたした国は非常に少いものですから急ぐには及ばんというわけでもありませんけれども、一つ早く関係省の間に意見をまとめて善処をいたしたいと思います。  著作権条約につきましては、これはまたいろいろ利害関係等がございまして、これはいろいろ今日まで延びましたけれども、著作権制度調査会で検討をずっと続けておりまして、近くその結論が出るようなところまで運んでおるのでございますから、これが結論を得ましたらば次の議会には提案することができるのじゃないかと、こういうふうに考えておるわけでございます。
  221. 高橋道男

    ○高橋道男君 条約のことでありまするから、時期の誤りのないように私も文教委員の一人として、その二条約には特に関心を持っておりますので、その点の要望をいたしておきます。
  222. 笹森順造

    ○委員長(笹森順造君) お諮りいたします。  速記をやめて下さい。   〔速記中止〕
  223. 笹森順造

    ○委員長(笹森順造君) 速記を始めて下さい。  先ほど本委員会において決定になりました要望書、へき地教育の振興に関する件については委員長から文部大臣にお渡しするということの御要望はその通りにいたしたいと思います。さらにまた同じく要望書として高等学校定時制教育に関する件、これもまた本委員長から文部大臣にこれをお渡しするということにいたしたいと思いますから御了承を願います。  本日はこれにて散会いたします。    午後五時三十七分散会    ――――・――――