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1955-01-22 第21回国会 参議院 水産委員会 4号 公式Web版

  1. 昭和三十年一月二十二日(土曜日)    午前十時四十九分開会   ―――――――――――――   委員の異動 十二月二十日委員森崎隆君辞任につ き、その補欠として安部キミ子君を議 長において指名した。 十二月二十一日委員安部キミ子君辞任 につき、その補欠として森崎隆君を議 長において指名した。 十二月二十二日委員河井彌八君辞任に つき、その補欠として野田俊作君を議 長において指名した。   ―――――――――――――  出席者は左の通り。    委員長     小林 孝平君    理事            青山 正一君            千田  正君    委員            秋山俊一郎君            島村 軍次君            野田 俊作君            森崎  隆君            東   降君            有馬 英二君   政府委員    内閣総理大臣官    房統括参事官  田上 辰雄君    外務政務次官  床次 徳二君    外務省アジア局    長       中川  融君    外務省条約局長 下田 武三君   ―――――――――――――   本日の会議に付した事件 ○水産政策に関する調査の件  (ビキニ被爆事件に関する件)   ―――――――――――――
  2. 小林孝平

    ○委員長(小林孝平君) ただいまより水産委員会を開会いたします。  本日はビキニ水爆被害事件に関する件を議題に供します。ビキニ被爆事件補償に関しては、事件発生以来日米両国政府が折衝を続けて参りましたが、今月初め慰謝料として二百万ドル出すということで両国政府の間に妥結を見るに至ったと伝えられております。この際この交渉妥結に至った経緯及びその内容、更に国内措置として今後この二百万ドルの配分方法等についての政府の見解を承わりたいと存じます。本日出席の政府側の方々は水産庁岡井次長、増田生産部長、増田海洋第二課長、又内閣審議室田上参事官外務省床次政務次官中川アジア局長、下田条約局長、最初に外務当局からこの交渉妥結に至った経緯及びその内容等について御説明願いたいと存じます。
  3. 床次徳二

    政府委員(床次徳二君) ビキニ被爆事件交渉の経過に関しまして簡単に御報告申し上げたいと思います。昨年三月第五福龍丸事件が発生以来直ちに事件の調査概要をアメリカ側に申し送ると共に、四月とりあえず第五福蹄丸関係損害資料を、なお続いて五月アメリカ側ビキニ実験によりわがほうのこうむりました損害の資料、これを一括提示いたしました。本事件の損害に対し、アメリカ側は責任を有することを指摘し、速やかに補償を行うように交渉を行なったのであります。これに対しまして米側は補償を支払うことには原則的に異議がなかったのでありますが、法律上の責任の問題に触れることを欲せず、早く払って問題を一括解決したい希聖を有し、昨年の九月初めアメリカ側は百万ドル支払うことに応ずる用意がある旨提案して参ったのであります。併し政府といたしましては廃棄の漁獲物はその後も続出する傾向であり、魚価の下落に伴うところの損害の一部も考慮されねばならぬと考え、更に多額の支出を得ることを要望いたしました。折衝を続けました結果、ようやく昨年末二百万ドルをもって本件の解決の見通しを得るに至り、本年一月四日発表の通り次の趣旨の書簡を交換いたしまして、もって本件補償問題の円満解決を見た次第であります。即ち第一は、アメリカ合衆国政府日本国国民の損害の補償のため、法律上の責任の問題とは関係なく、慰謝料として二百万ドル支払う。第二の点は、前記の金額の配分は日本国政府が決定する。第三は、日本国政府は前記の金額を一九五四年のマーシャル群島における原爆実験により生じた日本国及びその国民の一切の損害に対する請求の最終的解決として受諾する。かように決定いたしまして落着を見た次第でありますが、この措置に対して、いかがするかというお尋ねでございますが、この二百万ドルの配分に関しましては、今後の具体的な措置を決定する必要がありますが、これに関しましては特に内閣に関係各省からなりますところの打合会を設けまして、審議の上適正な解決をはかる考えでありますが、打合会の非常に長くなっております、ビキニ被災事件損害補償打合会、かような名前をもちまして各省の関係者を入れました会をもちまして適正な解決をはかりたい、かように今日準備している次第であります。
  4. 小林孝平

    ○委員長(小林孝平君) ちょっと申上げますが、本件につきましては本日水産委員会でいろいろ御説明を願うにあたりまして、書面をもちまして大体外務当局から御説明を願う点を数項目御連絡申し上げておったのであります。その項目は、二百万ドルは損害額といかなる関係にある金額か、法律上の責任の問題と関係なく慰謝料として受諾した理由いかん。法律上の米国政府補償責任の問題は今後も依然存続するものと考えられるが、今回の慰謝料受諾によりこの責任は消滅したものと解するのか、もしそうであったならばその理由いかん等、その他数項目を御連絡しておったのであります。ただいま御説明を願ったのは、これらの点に触れておらぬのでありますが、詳細御説明を願います。
  5. 中川融

    政府委員(中川融君) ただいま御指摘のありました各項目につきましてこれから外務当局及び政府としての考え方を御説明いたしたいと存じます。  経緯につきましては、ただいま政務次官の御説明の通りでございます。今回支払われました二百万ドルと日本側の受けました損害額との相関関係いかんという点でございますが、日本側の受けました損害額というものは、そのつど政府におきましてこれを調査いたしまして、その調査を完了次第アメリカ側に昨年四月当時より逐次伝達しているのでございます。その総額はこの委員会でもしばしば政府側から説明のありました通り、大体三十六億円程度になっているのでございます。これは損害の額でございますが、アメリカ政府が支払うという場合には、やはりアメリカとしてはアメリカ政府の支払うべき責任の限度というような問題、その他法律上のいろいろな解釈の問題が出て参るのであります。交渉の当初におきましてその問題が非常に論議されました結果、このアメリカ政府責任の限度、法律上の責任の限度ということを論議しておりましたのでは、とうていこれは補償問題はらちがあかないという見通しが立ちましたので、法律上の責任の問題と離れまして、むしろこれだけの損害があったことに対してアメリカ側が実際上の問題としてこれくらい日本に金を払って政治的にとにかくこの問題を片づけるという方向によって問題を解決しようということになって参りました。その経過はこの委員会でももうすでに御説明した通りでございます。このような経緯にもとずきましてアメリカ側は先ほど政務次官から御説明のありました通り、最初は百万ドル程度でこの問題を片づけたいというような意向を表明したのでありますが、日本側としては損害額が非常に大きいというような事情から、そのような額では困るということで折衝を続けまして、その結果昨年末二百万ドルという数字が出て参ったのであります。この二百万ドルは日本側で算定いたしました実損害額というものと比べますればもとより少いのでございますが、同時にこのアメリカ政府法律上の責任というような問題を論議いたしまして正面切っての折衝をいたしまして到達するであろうと考えられる金額よりは相当多いものである。つまりアメリカ政府といたしましても政治的な考慮を加えました結果、この金額までに到達するに至ったと、かように考えられるのでありまして、政府としてはこの程度がアメリカとの交渉によってアメリカから支払いを受け得るおそらく最大限度であろうかと考えまして、ここで妥結をはかったのでございます。これが二百万ドルと実損害額との関係の説明でございます。  なお、法律上の責任問題とは関係なく慰謝料として受領した理由いかんという点はただいまの説明の中で尽きていると思うのであります。要するに法律問題を論議していたのでは、日本側が一応満足までは行かないにしても、ある程度我慢のできるという金額まで到達するということはとうてい困難であるという見通しの下に、法律の問題は離れまして、政治上の問題、事実上の問題として解決をはかった次第でございます。なおアメリカ補償責任の問題がどうなるか、法律上の問題がどうなるかというお尋ねでございますが、この点につきましては、日本政府といたしましては、法律上の問題を離れて、今回二百万ドルという額で本件の最終解決をはかったのでございます。従って、日本政府法律上の責任をこれ以上アメリカ側に請求する、つまり昨年度におきますビキニ近辺における原爆実験の結果起きた損害につきまして、法律上の責任アメリカ側にこれ以上追及するということは今後はしないことになるわけでございます。日本政府としての態度は今回の公文交換でもはっきりいたしておりますように、これを以って最終的解決をはかるということになっておるのでございます。これはこのような、いわば話し合いによる解決ということをいたしました結果として、当然さような結果になるのでありまして、内部的に申しましても、たとえばいろいろの国内問題としての損害賠償という事件がありました際に、裁判で争う法律上の問題としてではなく、話し合いで解決するという方法をとりました際は、話し合いが妥結いたしました場合には、それによって裁判請求する権利はいわば放棄するのでありまして、日本政府といたしましては、これによって最終的解決をはかったということになっておる次第でございます。
  6. 千田正

    千田正君 ただいまの政務次官並びに中川局長の御説明によるというと、日本独立国としての対外損害補償に対する請求権をこの際放棄したという結論に到達するようでありますが、現内閣としてはアメリカに対しての請求権は、いわゆる国際法上におけるところの請求権は、この際放棄するという方針 を立てられたのでありますか。その点を明確に御答弁願いたいと思います。
  7. 中川融

    政府委員(中川融君) 一九五四年度におきますビキニ水域における原爆実験におきまして生じた損害に関しての問題につきましては、アメリカ側がこれをたとえば陳謝をする、この事件は非常に残念であったという陳謝をする問題と、また今後このような問題につきましては、どう措置するかという今後の保証の問題、なお起きました損害につきましての、損害をいわば償う、補てんの問題、この三つの問題があると思うのでありますが、陳謝につきましては、これはすでに昨年四月、五月、このアメリカ大使を通じまして陳謝の意を表されておるのであります。将来の保証の点につきましても、これはすでに現在までの過程におきまして、アメリカ側から今後の実験については十分注意をするという旨の保証があるのであります。なお日本側としてはそれ以外にも、今後の実験については日本に影響を及ぼさない地点でやってもらいたい、そのほかのいろいろ希望を光先方に要請しておるのでありますが、アメリカ側としては少くとも今後十分に注意を払うという意味の、今後の保証を申し出ておるのであります。従って残ります問題は、損害補てんの問題でございますが、その損害補てんにつきましては、先ほどから申し上げました通り、でキるだけ多くの額を補てんしてもらうという方針から、一応法律上の損害賠償という形をとらずに、事実上の解決という形をとったのでありまして、従ってこれによって日本政府といたしましては、ビキニ原爆に関する善後措置問題につキましては、対アメリカ政府の関係におきましては最終的解決が実現したと、かように考えておるのでございます。今後この問題について、アメリカ側にさらに要求をするということはないのでございます。
  8. 千田正

    千田正君 その点はっきりしておきたいのは、今後ともアメリカ側は太平洋の地点において原子爆弾の実験をやるということを海外に声明しております。これに対しても将来起きた損害に対してはただいまとった方針の通りやるつもりかどうかということと、これはアメリカに局限されておるようでありますが、かりにソ連において同じような問題が起きたような場合は、現在はソ連との間の国交情勢は整っておらないけれども、将来ともやはりアメリカと同じようなそういう問題が起きた場合には、そういう方針をとるつもりかどうか、これは対外的の問題、もう一つ国内的の問題は、二十数億というものの損害を受けておるということを各損害を受けた団体並びに個人からの要求が出ておりますが、憲法上の問題としての国民財産保障するという意味における憲法に対するところの解釈はどういうふうな考えを持っておられますか、その点をお聞きしたい。
  9. 中川融

    政府委員(中川融君) 今後の問題の点でございますが、今後アメリカがさらに前年やりましたと同様の実験をやったという場合に、日本漁船なりその他日本国民に対して被害があったという場合に、どのような解決方法をとるかという点につきましては、今回の解決方法は必ずしもその前例になる、必ず今回の解決方式と同じ方式でやるというようなことはまだ何ら確定していないのでございまして、われわれとしてもとより引続きこの前回のような事件が起らないことを希望するのでありまして、その点につきましてはいろいろの要請をアメリカ側にもしており、アメリカ側としては十分そういうことについては考慮するという態度をとっております。従って損害の起きないことを希望しておるものでありますが、かりに損害が起きた場合にどういうような解決方法をとるかということは、やはりその場合に処しまして最善の処置をとるということになることと思うのでございます。またアメリカ以外の国例えばソ連原子爆弾の実験をいたしまして、それにより日本が被害を受けた場合に、どのような措置をとるかという点につきましても、今回やりましたようないわば事実上の解決をはかることにするか、あるいは決律問題としての解決をはかることにするか、これはやはりそのときの事情に応じまして最善の方法をとるということになろうと思うのでありまして、今からどちらの方法をとるということをここで申し上げる段階ではないと思うのでございます。なお憲法との関係につきましては私以外の政府委員から答弁いたしたいと思います。
  10. 下田武三

    政府委員(下田武三君) 私国内法上の問題を答介する地位にございませんが、ただ法律関係でございますのでお答え申し上げますが、憲法財産権に対する侵害に対して補償するという規定がございまするが、この請求権というのはそういう意味の財産権ではございません。これは請求権というからあたかも財産権でもあるかのごとく思われますが、これはクレームと申しますものは請求し得る地位と申しまするか、そういうことでありまして、物的財産権ではまだないわけであります。でございますから直接憲法の問題とは関係しないと思います。
  11. 千田正

    千田正君 これは内灘の問題のときにも問題があった、憲法国民に対する財産権の問題だ、そうするとあれと関連した類似の問題でありますが、あなたの説明によると、われわれの観点とはだいぶん違っておる、憲法上はあくまで個人財産権及びその他の人権を擁護されておりまして、かりに国あるいは社会福祉のためにそれが行われた場合においては、国が代って国内の補償はすべきであるというわれわれは建前をとっておる。日本国が有利に国際上のいわゆる円満なる解決をはかるために個人財産を犠牲にした場合においては、国が、政府がかわってその国に対して補償を与えるというのが理論の根本精神だと思う。その観点はあなたの観点とどうも観点を異にしておりますので、その点を明確にしてもらいたい。
  12. 下田武三

    政府委員(下田武三君) ただいまの内灘の民有地を使用するために補償するという場合には、その所有権なり、あるいは地上権なりという物的権利があって、それを権利者に対して権利を行使し得ないような状態にするからこれを補償するというような問題でございます。  ところが、損害が発生する場合、これは国内でもそうですし、国際社会でもそうでございますが、すべて損害が発生した場合にすぐ損害賠償請求権が物的権利として発生しないわけであります。その損害賠償請求が満足されて、そして、明確に物的権利となった上で、政府がその権利を取り上げるとか、妨げるということになりました場合には、憲法上の問題になるわけでありますが、これはまだ損害を請求する地位は有する。クレームを有するにすぎないのでありますから、その地位国家といたしましてどういうふうに保護するかというのは、これは外交交渉の、憲法七十三条第二号に申します外交關係の処理でございまして、まだ物的権利発生の段階に至らない、その前提としての交渉の問題でございます。
  13. 千田正

    千田正君 それでは外務省にお尋ねしますが、今後の処置において、国内のそうしたものがある程度補償されてあるからそれで満足であるという見解を持っておられますか。
  14. 中川融

    政府委員(中川融君) 政府として前回と申しますか、一九五四年度のビキニ実験に伴う損害額は調査いたしまして、これはそのような損害があるということは政府としても認めたわけでございまするが、しかし、その損害が果して全部がアメリカ政府が支払うべきものであるかどうか、法律問題として支払うべきものであるかどうかということにつきましては、国際法上いろいろの議論があり得るのでございまして、国際法学者においていろいろの説があるのでございますが、この点につきまして、外交交渉においてアメリカ政府を納得せしめるということは、金額について納得せしめるということは、これはとうてい困難な事情にあるわけでございます。これは先方の法律解釈というものから考えましてとうてい困難であるということでございますので、この損害額は損害額としてその全部をたとえばアメリカ国法廷に訴えてみたところで、全部が補てんされるということはとうてい期待されないのでございます。つまり、法律上の問題としては、その中のある部分が要するに補てんされ得るということになろうかと思うのであります。従って、政府はそのような法律上の解決をはかるよりは、事実上の交渉によって政治上の問題としてこれを取り上げて解決をはかるほうがより多くの補償を得られるであろうということを確信いたしましてそのような措置をとったのでございます。従って、私、外務当局といたしましては、この被害を受けられた方々の利益も考えまして、こういう解決が一番最善の解決であると考えまして、このような措置をとった次第でございます。
  15. 千田正

    千田正君 それでは損害の事実については外務省としてはもちろん向うに公式に通知してありますから、国内の損害については確認してあるはずでございますが、その点はいかがでございますか。
  16. 中川融

    政府委員(中川融君) 国内の損害につきましてはそれぞれ担当官庁がございますので、担当官庁を通じましてこの実損害額というものを調査してもらいまして、その調査に基きましてアメリカ側に逐一これを通報いたした次第でございます。
  17. 千田正

    千田正君 それでもう一、二点だけはっきり伺っておきますが、結局現政府としましては、外交の自主性をわれわれは喪失したものと認めざるを得ないのであります。これは自主性を喪失したということであるというと、まことに言葉を失したようでありまするが、言いかえれば、アメリカ原子爆弾実験に対しては日本協力するという観点から、今度の政治的解決でやむを得なく満足した、こういう立場をとっておられるのですか。その点をはっきりしてもらいたい。
  18. 中川融

    政府委員(中川融君) アメリカあるいはその他の原子爆弾の実験というものに対して、政府がどういう態度をとるかということと、すでに起きました実験についての損害の補てんをどのような方法ではかるかという問題とは、必らずしも同じでないと思うのでありまして、起きました実験についての補償は、ただいまのような方法で解決したのでございますが、原子爆弾実験というもの自体につきましての現政府態度というものは、いまだ何ら公けにされていないのでございまして、協力、非協力というようなことはまだ態度として表明せられていないと、かように考えております。
  19. 千田正

    千田正君 外務政務次官が幸い政府代表してここにおられまするが、政府のいわゆる立場から、今の中川局長のお答えによるというと、協力するかしないかという問題は別のようなお答えでありますが、現内閣としてはアメリカのこの太平洋周辺における原子爆弾の実験、これによって起る被害等に対しては、ただいま政治的解決によったという段階でありまするが、あなたがたの政府としましては、いわゆるわれわれの政府でありますが、あなたが政府代表してこの問題については将来とも起るであろう同じ実験に対しても、自主的な立場から考えても、いままでの外交関係から言って、日本のいわゆる請求権というものは法律的に放棄して、そうしてある程度協力する、こういう考えを持っておられるかどうか、この点を明確にして頂きたいと思います。
  20. 床次徳二

    政府委員(床次徳二君) 今回の事件におきましては、いわゆる法律上の交渉によらずして、ただいま申し上げましたような外交的な折衝によりまして解決することが、事件の最善なる解決方法と存じまして、それでそういう措置をとったのでありまして、今後の問題に関しましては、先ほどもちょっと申し上げましたが、今後日本国民に対してかかる損害を与えないように、厳重な注意を申し込んでありまして、この点は双方の意見の一致を見ておるのでありまして、今後不当なる損害が日本国民に発生しないことと私ども考えておる次第であります。
  21. 千田正

    千田正君 そういう実質的には今の政府は二百万ドルで話し合いがついた、それはまあ政治的解決だという御説明でありますが、しからば外交的折衝としての、かりに損害があれだけ大きいのでありますが、二百万ドル程度で話し合いがついた。しからば、外交的に日本の権益の、たとえば漁場の拡張であるとか、あるいは日米カナダ条約におけるところのある程度の条約、いわゆる日本の操業すべきラインに対するところの拡張であるとか、アメリカの国内におけるところの関税日本の海産物の輸出輸入に関する関税の緩和であるとか、そういう問題についての外交折衝をやっておりますかどうか。たとえば外交問題というものは、単に法律上の請求ばかりではなく、そういう損害を受けた場合において、片方においてはバランスをとるような日本国力の伸張という面についての外交折衝、これ又政府代表機関である外務省としてやるべきところのものである。こういう問題に関しては、単なる法律的な要求のみならず、要求が十分に達成し得なかった場合において、他の一方においては外交的な立場において何らかの日本の権益を拡張するような方策をとっているかどうか、あるいはとられたかどうか、この点についてお伺いしたいと思います。
  22. 床次徳二

    政府委員(床次徳二君) ただいま御趣旨にありましたごとく、われわれといたしましても、日本水産業がきわめて重要な産業であり、国民の生活に不可分なものでありますので、この点を確保し、伸張することにつきましては、従来からも仰せのごとく努力して参っておる次第でございます。これは各国に対しましてもそういうつもりでもって現に努力しております。
  23. 千田正

    千田正君 実質的効果としてはどういうものが上っておりますか。われわれは二百万ドルでがまんするが、そのかわり日本水産物輸出に対する関税障壁の撤廃であるとか、あるいは漁場の拡張であるとか、そういう実質的な問題についてはどれだけ伸張しておりますか。
  24. 中川融

    政府委員(中川融君) これは従来からいろいろその方面で努力しておるのでございます。実質的な結果として表われて参ったということにつきまして、私の知っておりますところではまだこれといって申し上げる程度になっておりませんけれども、しかし今回のビキニの実験という問題に直接関連いたします問題として、たとえば旧南洋群島において、いろいろ日本水産業界に対しまして、あすこにベースを提供してもらいたい、あすこによっていろいろ薪炭の補給をし、その他あすこをベースとして使わしてもらいたいというようなことにつきましても、数次にわたり交渉を継続しております。必ずしも見込みがないというわけでもないというふうに考えております。相手のありますことで、急速に御報告できる程度の結果を見ておらないのははなはだ遺憾でございます。これは一例でございますが、このような方法で今後も努力を継続したい。なお日本アメリカ輸出いたしますカン詰類の関税につきましても、たとえばアメリカ議会におきましては関税を非常に引き上げるという動きが前からあるわけでございますが、これもいろいろ外交交渉をいたしまして、今のところ引き上げということは阻止するに成功しておるのでございまして、このようなことを今後もさらに強力に推進したいと考えております。
  25. 千田正

    千田正君 私はこの問題についてはこれ以上質問したくないのですが、決して政府のやったことに対して私は正しい解決の方法であるということは認められない。ということは、何も単に水産問題についてこれは言っておるのではありません。不幸にしてわが水産問題にこうした被害を受けたのでありますが、水産の業者なり漁民なりあるいは多くの基地の人たちが、日本国力伸張のためにこれもやむを得ざる犠牲としてこれを甘んじて受けるとするならば、それもやむを得ないとしましても、そのかわり日本権利が主張される、そこなわれず日本外交の自主権というものを堂々と貫かれるということならば、あえてわれわれは何も言わない。しかしながら今の解決は、単にアメリカのお手盛りにおいてこれでがまんしろ、こういうことであって、日本国際法上の当然要求すべき権利を放棄してがまんしろというわけには、単なる水産委員会のわれわれのみならず、全日本国民はそれで了承はできないと思う。これに対してはいずれもう少しはっきりした立場、今後の政府のはっきりした方針を聞きたいと思いますが、時間もきょうはありませんから私の質問はこれで終りますけれども、そのかわりに私はお聞きしたいのは、先ほどから言っておるが、輸出のカン詰の障壁のいわゆる撤廃であるとか、日本漁場の拡張であるとか、あるいは日本水産物の買い入れに対してもっと買ってもらうとか、何らか外交折衝においてマイナスの点を補充して行くのでなかったならば、単なる犠牲に私は終ると思う。本当に日本のいわゆる独立外交主権を持っておるならば、もう少しその面において働いていただきたい、これを注文いたしまして、ビキニ問題については一応私の質胴を終ります。
  26. 床次徳二

    政府委員(床次徳二君) ただいまのいろいろ将来に対する御希望につきましてはよく考究いたしたいと思いますが、ただ今回の折衝は外交の自主性を失っておるではないかという点につきましては、私は見解の相違だと思いますが、私どもは過去の折衝の経過にかんがみまして、今回の結果につきましては、これは最善を尽し得たのではないかと、過去のいろいろ経過を見て参りまして、確かに努力した結果であると考えておるのでありまして、この点は国民に誤解を与えたくないと思っております。十分外交の自主性につきましては、御意見もありますので、われわれその立場に立って努力して参ったのでありますが、今後におきましても御意見の点等に対しまして十分考えながらさらに一そう水産業発達のために努力いたしたいと思っております。
  27. 青山正一

    ○青山正一君 議事進行について……、根本さんを呼んで下さい。
  28. 小林孝平

    ○委員長(小林孝平君) 根本官房長官は、請求しましたけれども、本日はこういう情勢で非常に忙しいからというので、内閣審議室の田上参事官が出席しております。それからこの配分の問題につきましては、一応外務省当局とのいろいろの質疑応答の後行いたいと思います。
  29. 森崎隆

    ○森崎隆君 今千田委員が質問されたのを要約すると、結局この問題では、損害賠償請求権というものはいろいろとやかく言われましたが、結果的には放棄したことになるのですね、その点はっきりしてもらいたい。
  30. 中川融

    政府委員(中川融君) 放棄したと申しますか、損害賠償請求権が含まったものを要するに政治的に要求いたしまして、向うも損害賠償請求権で支払うべきものをもさらに含めました金額を政治上の話合の結果としてこちらへよこしたということになるのであります。放棄したと申しますか、要するに含まれて解決したと、かように言うほうがより適切ではないかと思いますが、要するに損害賠償請求を今後日本はする考えはないわけでございます。
  31. 森崎隆

    ○森崎隆君 どうも外交辞令というのは私にはわからないので、損害賠償請求権を含めて云々と言いますが、結局慰謝料ということになっておる。形式的な上から考えましても、これはやはり請求権は行使しなかったということに結果的にはなるのではないですか、もっとそれははっきり言って頂きたいと思う。
  32. 下田武三

    政府委員(下田武三君) 法律的に申しますと、この法律上の責任の問題と関係なく慰謝料として二百万ドルの金額を受諾したということが法律的にどうなるかと申しますと、これは法律上の責任をあくまで追及したならばこれより多く取れたのであろうけれども、それを放棄してこの額で満足したということでは決してないのであります。私どもは交渉最中は言うことを避けたのでありますが、純粋に法律人といたしまして、国際間の幾多の先例を顧みまして、単に法律論で損害賠償請求したとしたら、おそらく直接損害の四億三千万円も取れたかどうかわかりません。法律論も米側と応酬いたしまして、それでは公正な国際司法裁判所判決を仰ごうじゃないかということにかりになったといたしましても、私ども法律家といたしましては、この日本の直接損害の四億三千万円すら国際司法裁判所が認めたかどうかということについては確信がないのであります。これは交渉最中は決して私どもから申し上げられることではない、今日だから申し上げられるのでありますが、純粋の法律上の損害賠償の問題として考えますと、国際間の先例に比べまして、むしろ今回の二百万ドルというのは先例よりもはるかにいいということを率直に申し上げざるを得ないわけであります。
  33. 森崎隆

    ○森崎隆君 それはそういう意見をあなた方が持って損害賠償請求権を行使せずに話し合いを進めたということになると、これはどうとも言えるわけなんですね。正式に請求権を行使して、正式に渡り合って法律上の問題としてやればこの何倍も取れたかもしれないし、あなたは取れないという見通しでやっておる。そのこと自体が日本外交が非常に愚劣だと言うのです。額が取れないという下廻った予想の下にそういうことをやられることは、今後そういう問題が起きたときも、やはり損害賠償請求権は一応預けて、政治的折衝でやって、幾ら取れても、これは正式交渉よりも多額に取れたという宣伝をやっていく、そういうことで一国の外交が推進されるというところに、アメリカに対する隷属的な地位国民から批判されておるのではないかと私は思うわけです。そういう立場で外務省がやってもらっては、たまらないのは被害者である国民なんです。そういう点はとくと考えてもらいたいのです。この問題は時間がないからこれ以上触れません。  第二に政務次官にお聞きしますが、政府はこの全損害額が大体二十六億と申されました。それをそのままはじいて確認しておるわけですね。従いましてアメリカとの折衝で二百万ドル、七億幾らとした場合には、その差額十九億程度のものが浮いておるわけなんですね。被害を受けた国民自体はアメリカを相手にしまして損害請求はできない。国際法上の見地に立って政府がかわって請求をしておるわけです。従って被害者に対する損害補償の全責任国家アメリカから取って来るといなとにかかわりませず、これは国家が当然見なければならんという立場に立つのでございますが、当然この差額の十九億程度のものにつきましては、近い将来に政府予算といたしまして二百万ドルプラス十九億程度を出しまして、二十六億にちゃんとそろばん玉をはじきまして、合せまして、これを被害者に配分する、これが常道だろうと思いますが、そのように確認してよろしゅうございますか。
  34. 床次徳二

    政府委員(床次徳二君) 日本側からアメリカ側に提示いたしました損害額というのは、政府がいろいろの資料を集めまして、その資料の申し出がありましたものを送付いたしたのでありまして、これだけの金額でもってよろしい、あるいはそれだけのものを取らなければならぬということを提示した、考えておった具体的の数学ではないのでありまして、いろいろ損害の起りますそのつど先方に申し出してあるところの数字がそういう形になっておるのであります。今回の解決は全体の損害をくるめまして解決したのでありまして、大体政府といたしましては二百万ドルをもちまして最善の結果を得たやむを得ない数字であるとでも申しまするか、努力の結果得ました結論であるというふうに考えております。
  35. 森崎隆

    ○森崎隆君 今のはどうもはっきりしないのですが、今のはどんなお答えですか。二百万ドルでもよろしい、日本国政府では最初出した損害額についてはほほかむりだということなんですか、その点どうなんですか。
  36. 床次徳二

    政府委員(床次徳二君) 政府が最善として考えまして努力して得た結果でありますので、その数字でもって補償措置が行われる。また補償措置の方法につきましては今後の打合会等におきまして適正な結論を得たいと思う次第であります。あと細目等につきましては打合会におきまして十分検討いたしたいと考えております。
  37. 千田正

    千田正君 今の森崎委員のお尋ねに対してのお答えは不十分だと思う。いわゆる政府が当然二十数億というものを確認して請求をしていて、実際は政治的折衝において二百万ドルに落ちついた。こういうのであれば、あとの損害は国内的にどうするか、これが打合会なるもので何か漠とした架空に似たようなものでやるのだろうが、そういうあれは国内的に、しからば損害の補てんというものは今後もこうした原子爆弾――他国のこうした原子爆弾の実験のようなことによって損害を受けた漁民ばかりでなく、国民に対してどう一体補償を取るのか、政府責任はさっぱりはっきりしていない。そこで私が伺いたいのは、そういう場合において、これはどうしても国会において立法しなければならないと思う。政府が弱体であって十分なる日本の自主性というものを要求できなかった場合において、国民財産なり、あるいは人命なりを補償する立場における国内法を作らなければならない。そのためには関係各省とも十分総合的に、集まって、はっきりした基準を出さなければならない。この点に対して外務省当局の外務政務次官としてはどう考えるか。これは森崎君の質問に関連して一応伺っておきたい。  それから水産庁当局も来ておるようでありますが、この問題に対して今言うた通り確認した損害よりはるかに下回る、いわゆる手盛りの政治折衝で話が済んだとしたならば、国内におけるところの損害に対してはどうするのか。今後も起るであろうとわれわれは考えておるこうした原子爆弾の他国の実験その他によって受けた損害に対しては、国内法として立法する必要ありと思うが、現業官庁であるところの水産庁はどう考えているか。この点をはっきり承わっておきたい。
  38. 床次徳二

    政府委員(床次徳二君) 今日まで日本からアメリカに提示いたしましたのは、損害額といたしまして二十六億を計上いたしました。そうして補償額が七億二千万円という形になったわけでありまするが、今回の慰謝料におきましてはこの損害に対する賠償額等と申しまするか、それを含めまして慰謝料という形におきまして払うことに決定いたしたのであります。二百万ドルということに対して同意されたのでありまして、この解決は日米間の折衝といたしましてはまあ最善の結論であるというふうに私ども考えておるわけであります。従ってその配分等に関しましては、今後の打合会等におきまして十分考究いたしまして、どういうふうになりますか、これは今後の打合会の経過によって最善を期したい、かように考えておるのでありまして、直ちにこちらのいわゆる損害額として提示いたしましたものと補償額というものの開きはそのまま不足額として国が払うべきものであるというふうには私どもも考えておりませんので、十分損害補償額というものを考慮いたしました上の慰謝料であると、かように私ども考えまして一生懸命努力して参った次第であります。
  39. 千田正

    千田正君 今のお答えに対してはどうもはっきり結論が出ていない、だから仮にそういうふうなものはできなかった、要求したけれどもできなかったが、損害は政府として認めているのだが、それに対しては多少なりともアメリカからもらったものだけで満足しろということじゃなく、それだけの損害があるならば国民に対して国の責任として政府がどういうようなことを考えるのかという点から言えば、立法でもしてそういうふうなことができて、十分に損害の補償が取れなかったならば、国内的な措置として政府が何か考える一つの基準を作るかどうか、これをわれわれは聞いているのです。
  40. 床次徳二

    政府委員(床次徳二君) 損害額として要求いたしましたのはいわゆる損害額でありまして、これは賠償額そのものではないわけでありまして、この点に関しましては今後打合会等におきまして十分検討して見なければならん、損害額の二十六億はそのまま慰謝料にならなければならない、そういうふうには政府としては考えていない。損害額がこれだけあったということをアメリカ側に通じまして、そうして十分な努力をもって折衝いたしたわけであります。これも損害額を基礎といたしまして法律上の損害請求権――いずれが得かというようなことについても十分勘案いたした結果、今日の折衝、いわゆる外交的な立場によりまして、これが慰謝料という形によりまして二百万ドルという結論になったのでありまして、この点政府側が考えておりましたいわゆる請求額と申しますか、そういうものとの開きがあるかどうかということに関しましては、今日政府としても明らかにいたしておりませんのです。十分アメリカ側の誠意をもって、取れるだけはもらうという立場において折衝いたしました結果であるということを申し上げる次第であります。
  41. 森崎隆

    ○森崎隆君 それじゃあの被害を受けた場合、その損害が二十数億だ、しかしながら損害は二十数億あったが、この損害全体を賠償する必要はないというお考えなんですか。それでアメリカ交渉したのですか。
  42. 床次徳二

    政府委員(床次徳二君) この点に関しては別の政府委員から……。
  43. 森崎隆

    ○森崎隆君 どなたからでも結構です。損害額をはじいておって、それを全部被害者に払わなくてもいいという腹がまえで折衝したのですか。どうなんです。
  44. 田上辰雄

    政府委員(田上辰雄君) たびたびお話に出ておりまする二十六億円の損害というものは、ただいま外務政務次官からお答えしましたように、アメリカに対する損害の資料として提供したのでありまして、それをそのままはっきり要求しまして、それが七億二千万円になったというわけにはいかんという数字だと思います。これは刻々に起りました損害につきまして各省が取り急ぎ資料を整理いたしまして、あるいは多少この数字に漏れているものはあるかもしれませんし、またその数字の算定について多少再検討をしなければならないものもあろうかと思うのでございます。それを今日ただいままでの御説明にありましたように、政治的折衝といいますか、慰謝料の二百万ドルで解決いたしました。この間の数字の大きな開きをどうするかということは、これは非常に困難な問題であることを予想しております。それをこの処置についてただいま千田委員から立法措置をする必要があるじゃないかという御意見がございましたが、それも一つのやり方である、御意見ごもっともであると思うのであります。しかしながらただいままで内閣に置かれました打合会ではその点につきましては立法措置をするというふうな方針はきまっておりません。多少それについて論議はあったのでございますが、それも一つの方法であろうとは思います。いずれにしましてもこの七億二千万円と二十六億になるかどうか、ともかくも相当な損害の資料というものが出ておりますが、それをどう取り扱うかということは今後打合会で十分審議、検討をしていかなければならない問題であると思うのであります。ただここでちょっとお断わりしておきたいと思いますのは、政府アメリカと折衝をいたしましたのは全被害者代理をいたしまして請求をしたということではないのであります。日本政府日本政府として外交保護権に基きましてこの事態を見て国民のために、あるいは政府自体の損害としてこれを請求交渉をいたしたのでありまして、その結果御承知のように非常に外務省の努力をいたしまし結果二百万ドルということで政治的に示談をしたといいますか、そういうことになったのでありまして、これは政府自身の責任において、政府自身の考えとして国の外交保護権に基いて十分折衝をいたしたのでありまして、今後政府がこの事件について被害総額を支払う義務責任を二十六億について持っておるというお考えは法律的には当らないと考えるのであります。ただこの相当膨大な損害額と受け取りました七億二千万円の処理を、あるいはこの差額をどういうふうに解決するかということば今後十分検討して解決していかなければならん問題ではありますが、具体的なことはまだ打合会発足いたしまして、二回開催をいたしましたが、そういう点について基本的な方針だとか、あるいはワクをどうするかといったようなことはまだ決定を見ておらないのであります。一応事情を御説明申し上げましてお答えにかえる次第であります。
  45. 森崎隆

    ○森崎隆君 ちょっと今の答弁について……。国家被害者代表者としてアメリカ請求したわけではないのですね。あなたは今そうおっしゃったのですね。もし被害者の代弁者として折衝した場合には折衝の結果二百万ドルしか来なかった、これでこらえてくれ、力がなかったということで済むかもしれませんが、独自の立場で国家アメリカと折衝した関係で二百万ドル来たという場合には、二百万ドルを取るのは国家であって被害者ではない。従って新しい観点に立って国家被害者に対してどれだけの損害を賠償するかということば全然二百万ドルとは別個に考えられてしかるべきであります。あなたの発言からすると当然そうなる。その点から、つまりその二百万ドルというワクを越えて新しい観点でまたどの程度損害を賠償するか、これは二十六億を出すか、あるいは八掛けにするか、あるいは三十億にするかということば別個の立場で考えるべきだ、その点についてはどんなお考えなのですか。
  46. 田上辰雄

    政府委員(田上辰雄君) 政府はこの問題をいかに処理するかということは政府自身の考えできめていくほかないと思います。アメリカに対しましては御承知の通りこれが最終的解決だとしまして二百万ドルを受け取ることによって解決をいたしておるわけであります。従って今後これをどうするかというのは政府責任だと思います。しかし政府責任をとると申しますのはアメリカに対して約束をいたしましてこの二百万ドルを公平に処理するという条件をもちましてこの問題は全部アメリカに関する限り総解決だということで政府はこれを受け取っておるのでありまするからして、残った問題は日本政府責任であると思います。しかしながら日本政府自身は今度の損害についての直接責任者であって、被害を及ぼしたものとしての責任を問われる理由はないのであります。ただこれは国内関係の一つの問題として政府がどうやるかということについては打合会を開いて今後審議していかなければならん、しかしながら被害を及ぼしたそれに対する損害の賠償だという関係から言いますならば、ただいま申します通りに政府自身には責任はないのでありますからして、それをもって直ちにアメリカ原子爆弾の実験をやった、それに対して被害が起きたからそのまるまる日本政府が払わなければならんという理論は成り立たんと思うのであります。それをどうやるかということは日本政府責任において政治的な措置をするか、あるいはアメリカから受け取ったこの二百万ドルを公平に配分するということだけはアメリカに対する約束上これは出さなければなりませんが、それ以上の事件に対する直接の責任政府にない。従って一応二百万ドルを公正に処分するというのは一応の立て方であって、その他は、残った差をどうするかというふうな問題については別個の問題であって……。
  47. 小林孝平

    ○委員長(小林孝平君) 田上参事官に申し上げます。あなたの発言はきわめて政治的な重要な発言をされておるのです。私はこういうことは官房長官が来て発言されるなら納得しますが、あなたがそういう発言をされるのは納得されません。特に今そういう発言をされたならこれは官房長官にぜひここに来てあなたの今の発言が政府全体の意見であるかどうかということを発言してもらいたいと思います。あなたからそういう、こういう重大な問題を政府全体の意見として聞くわけに参りませんから、至急官房長官の出席を願うようにしたいと思いますから、そういうふうに取り計らって頂きたいと思います。
  48. 青山正一

    ○青山正一君 私はさっきから議事進行に名を借りて根本長官に来て頂きたいというのは、この国内法の措置をどうするかという問題についてお伺いしたいために私は呼んでおるわけなんです。こういう言葉のあやを知らないような行き方で、剣もほろろの行き方で進んで行くならば水害も放っておけばいい、何もかも放っておけばいいというような状態なんです。それでは困りますから、そういった責任のある人を呼んでいただきたいのです。
  49. 小林孝平

    ○委員長(小林孝平君) 青山委員に申し上げます。私は本日この配分の問題は後ほどすると申し上げたのはその点なんです。根本官房長官が来られないのでまず外務省の見解を承わり、さらに事務的の問題があったら田上参事官からお聞きしようと思ったら非常に重大な発言をされておるのです。私はそういう発言は田上参事官地位として不当であろうと思います。だからそういう発言をされるなら本日は忙しいから官房長官の出席はできないということを一応了承したのでありますけれども、至急出席を求めます。そういうことでないと青山委員からも申される通りこれは水害は天災であって政府責任ではない、あるいは汽車が転覆したのは石が上からころがって来てあれしたんだから政府責任でない、洞爺丸もそうだ、すべてそうなります。そういうへ理屈は今日聞きたくないのでありまして、そういうことは非常に本日発言されたのはおそらく失言だろうと思いますけれども、もうこれ以上田上参事官の発言を求めませんから、根本官房長官の出席を求めます。
  50. 千田正

    千田正君 委員長はそれでいいかもしれんけれども、僕はそうは承知しないわけだ。政府というものはおよそ国民の安寧秩序を守り国民の生活を保護するための執行機関としての政府であって、いやしくも今の発言は私は失言だろうと思う。あなたが政府の一人として、政府要人の一人として立っている以上、いわゆる日本政府責任がないなどということは、それはあなた暴言ですよ。あんたはそれで勤まると思ったらとんでもない話だ。少くとも日本政府執行機関として、国民の負託を受けた執行機関としての立場であるならば、十分考えなければならない問題でないでしょうか。その点をはっきり私は伺っておきたい。あなた個人だけの問題ならそれでいいけれども。外務省当局に対して私は糾弾しますよ、そういう問題に対しては。
  51. 田上辰雄

    政府委員(田上辰雄君) 発言を許していただきたいと思います……。
  52. 小林孝平

    ○委員長(小林孝平君) 私は田上参事官に申し上げますが、あなたはどういう発言をされるかしらんけれども、先ほどのような答弁を繰り返されるのは委員会も時間の都合があって非常に迷惑しますから、簡単にあなたは今失言であろうという委員からの質問がありますからそれにお答えを願いたいと思います。
  53. 田上辰雄

    政府委員(田上辰雄君) 私はただいま申し上げましたのは、打合会におきましていろいろ議論されました上、大体解釈としましてはそういう一般に解釈にすべきでなかろうかという点を申し上げましたので、それは打合会におきまして決定したものではないのでございます。従ってその点は訂正を申し上げますが……。
  54. 小林孝平

    ○委員長(小林孝平君) ちょっと申し上げます。あなたはどこを訂正したのです。訂正をするというのはあなたの発言のどこを訂正されたのです。
  55. 田上辰雄

    政府委員(田上辰雄君) 私は解釈を申し上げましたつもりでありまして……。
  56. 小林孝平

    ○委員長(小林孝平君) いや、今訂正すると言われたからあなたはあなたの発言のどこを訂正されたのですかと聞いているのです。
  57. 田上辰雄

    政府委員(田上辰雄君) 私が申し上げましたことが打合会の決議であり、政府の意見として申し上げたものでないということに訂正を申したいと思います。
  58. 千田正

    千田正君 外務政務次官にお伺いしたい。今のさっきからの御発言は外務省当局としてだろうと思うのですが、日本政府責任じゃないと、こういう言が御答えの中にあったのですが、あなたが外務省代表して今日は政務次官として来ておる。外務省全体の問題ですが、外務省の今までとっておる、やった結論についてのあれは日本政府責任としてやったこととは違うのですか。日本政府責任として外務省はどういう責任をおとりになるか、その点がはっきりしない。
  59. 床次徳二

    政府委員(床次徳二君) 責任という言葉が出て参りましたが、この原爆の実験そのものに対する責任、これは当然アメリカが実験いたしたものでございますから、これはアメリカ政府責任で、その意味において責任日本にはなくてアメリカにある、そういうふうに説明したものだと思います。ただ国民がこういう被害を受けました場合、国家といたしましてこれに対して十分な国民保護するというのは当然のことであります。国民に対しましてできるだけの最善の措置を構ずべきものだ、その責任をもちまして外交折衝をいたしておる、私どもはそういうふうに解しておる。そこで外交におきましては截然たる法律的な形式によらずして一般国民に満足いくだろうという立場に立ちまして外交折衝でもって結論を出して、そうして今度の二百万ドルの慰謝料という形において法律的の行使はいたさなかったけれども、結果において国民に対して十分私は今度のこのビキニの折衝に対しましては私は日本政府としては比較的これは結果がよかったのだと思う。むしろ最善の努力の結果であるというふうに考えておったわけであります。その点は責任を十分国家として果しておるものと思う。今後の配分等に関しては今後の問題といたしまして十分これは国民の皆様に対して責任を果すように政府としても努力すべきものだ、私はかように考えております。
  60. 小林孝平

    ○委員長(小林孝平君) ちょっとお尋ねいたします。この慰謝料というのは一体何ですか。これは賠償ですか。
  61. 床次徳二

    政府委員(床次徳二君) 慰謝料の性質につきましては一つ専門家のほうから。
  62. 小林孝平

    ○委員長(小林孝平君) いや、私はこの慰謝料というのは非常に重大な問題だと思うのです。あなたも先ほどからいろいろ普通の交渉ではうまくいかないから慰謝料として取ったと言う以上は慰謝料というものはどういうものであるかということくらいはこれは条約局長でなくて政務次官は御存じのはずだろうと思うのです。非常にこれは重大問題だろうと思うのです。突如ここに慰謝料ということで二百万ドルを受け取ったのですから。これは何です、一体。
  63. 床次徳二

    政府委員(床次徳二君) 少し専門的な用語が入って来ますが、御了承いただきたいと思います。現行法国家責任が発生いたしますためには、国家機関行為、あるいは過失というものの存在が必要とされておるのでありますが、事実問題といたしましては、個々の場合に国家責任存在するかどうかという判定はなかなかむずかしいのであります。今度のビキニ事件に関する日米間のしばしばの折衝におきましても、米間側の国家責任を確認するという点に関しましては、意見の一致を見ることができずして、結局政治的解決としてただいま御報告申し上げましたような慰謝料という二百万ドルを支払うということでもって合意成立いたしたのであります。その点がいわゆる法律的な解釈、折衝の結論と違いまして、政治的な解決の結論として出て参ったのであります。この点名前が慰謝料という名前でありまして、損害賠償という名前にはなっておりませんが、内容的に申しますと、先ほど申し上げましたように、そういうものも含んで一括して、解決方法が政治的でありましたために慰謝料という名前を使っておるというわけであります。  それからなお国際間の損害賠償事件の先例を見ますと、多くの場合は、国家の法的責任を認めることではなくて国家間の損害賠償という場合におきましては、法律責任をお互いに明確に結論づけることなくして、外交上の言葉で申しますと、好意ないし恩恵という字を使ったり、あるいは礼儀としてという字を使ったり、あるいは人道的見地からというような名義によりまして、事実上の賠償が行われておるのが外交上の実例でございますので、大体今回の状態におきましても、政治的な解決として行われたのでありますから、慰謝料という形において支払われるということになったわけであります。
  64. 小林孝平

    ○委員長(小林孝平君) これは賠償ということができるのですか。この今回の二百万ドルは、損害賠償だということができるのですか。
  65. 床次徳二

    政府委員(床次徳二君) これは賠償という言葉になりまするか、事実上の賠償みたいなものでしょうが、むしろ補償というべきものでしょう。
  66. 小林孝平

    ○委員長(小林孝平君) そうすると賠償ではないのですか。
  67. 床次徳二

    政府委員(床次徳二君) これは法律上のいわゆる損害賠償に対する義務としての賠償ではないということになります。
  68. 小林孝平

    ○委員長(小林孝平君) 外務次官にお尋ねいたしますが、あなた先ほど、われわれは従来のいろいろ交渉の結果、ここに最終的の結論が出たと言われますけれども、そういうふうにいろいろ努力されたならば、従来のいろいろの交渉の経過を十分御承知だと思う。そこでわれわれはこの委員会で私は外務大臣に、あるいは他の委員からもこういう結局つかみ金でアメリカは出す、慰謝料だ、涙金だ、こういう形でわれわれはもらうことになるらしい。そうしてその配分は日本政府にまかすというような交渉を従来からやって来ておられたから、そこで外務大臣にこれは、今回もらう金は、そういう金でもらえば、それは慰謝料ということであって、賠償ということにならないじゃないか、こう言って尋ねたところ、外務大臣は、はっきりといかなる形でもらっても、国際法の慣例から言えば、これは賠償金だということをはっきり確認されているのです。そういう事実も従来の重大な経過も御存じなく、この決定をされたのは、世上伝えられるところによるように、民主党内閣がこの選挙宣伝内閣として、ともかく何か早く片づけて、そうして金をばらまいて、そしてみんなを喜ばせようとしておやりになったと言われても仕方がないのではないか、その点どういう御見解ですか。
  69. 床次徳二

    政府委員(床次徳二君) これは厳密なる法律上から申しますると、賠償という字に当てはまるかどうか疑問でありますが、しかし今回のは、ここに公けの文といたしましては、傷害または損害に対する補償のために二百万ドル云々という字が書いてあるのでありまして、これは現実の問題としては当然賠償ということになるのであります。
  70. 小林孝平

    ○委員長(小林孝平君) それからもう一つは、こういう重大な決定を、実質上の選挙管理内閣の性格であるあなたの内閣で、どさくさにまぎれて決定されたような感じを国民に与えたことに対して、どういうふうにお考えになるのですか。十分折衝されたのですか。あなたの内閣ができてからこの妥結に至ったまではわずか一力月足らずであります。これは自由党内閣のもとにおいても数カ月交渉されて満足がいかないのでそのままになっていた問題なんです。民主党内閣においてどういう見解のもとにこれを一月の初旬に妥結されたのですか。
  71. 床次徳二

    政府委員(床次徳二君) こまかい折衝の経過につきましては、他の委員から御必要がありますれば御説明申し上げたいと思うのでありますが、これは民主党内閣成立いたしました後に、アメリカとの折衝の結果によりまして、従来の金額等におきまして著しく差がありましたものが、と申しますか、比較的少額というふうにアメリカが考えられておりましたものに対しまして二百万ドルという数字まで努力をすることになったのであります。私は新内閣の大きな功績であると申しまするか、最善の努力を払った、その努力の結果であるということを申し上げたいと思うのであります。従って話もまとまりましたときには、すみやかに決定せしむることが得策と考えましてここに決定した次第でございます。この宣伝かどうかということに対しましては、これは御批判がありまするが、過去の折衝の困難なときから見まして、これだけの結果を得たということに対しましては、努力の結果であるということをお認めをいただきたいと私はむしろそのように信ずる次第であります。
  72. 小林孝平

    ○委員長(小林孝平君) 外務次官に伺います。非常に努力されたようにおっしゃいますが、あなたは全然従来の経過を御存じないからそういうことを言われる。アメリカに要求しているのは二十五億なんです。それでアメリカは当初は八十万ドルと言っていたのを、だんだん上げて百八十万ドルくらいまで出そうと言い出しておったのは、百八十万ドルないし二百万ドルと言っておったのは吉田内閣の末期なんです。あなたは一体どれだけ努力されたのです。二十五億円なんです。非常に努力されたように言われますけれども、ちっとも努力なんかしていないのです。そんなことでこれを民主党の功績などとあなたはたたえられますけれども、そういうことを言われるから、みんなこれは選挙管理内閣の性格でありながら選挙宣伝内閣に堕していると言われているのです。どうなんですか。
  73. 床次徳二

    政府委員(床次徳二君) 努力をせずして結論を急いだというお話でありまするが、その経過につきましては私一々折衝しておりませんので存じませんので、これは他の政府委員から申し上げたいと思いますが、前内閣時代よりも相当やはり日本に有利なように結論が出ていることは明らかであります。
  74. 千田正

    千田正君 今委員長と政務次官の質疑応答ですが、これは何も民主党内閣が始末をつけたからその功績であるとか、自由党内閣のときの努力がどうだとかいう問題ではないと思います。先国会、この国会再開前の予算委員会において、岡崎前外務大臣と私とのこの問題につきましての質疑応答を聞けばわかるのですが、これはあなた方の線までは岡崎君は答えておる。この問題につきましては、別にわれわれここで論争したくありませんが、問題は原子爆弾の被害を受けた日本政府が、この程度のことでまあ安心しろということは、僕ははなはだ無責任だと思う。ということは、原子爆弾の被害を受けないところのインド国会でさえも、原子爆弾の実験中止の決議案をあげて国連にぶつけておる。あるいはイギリスにおいて、その他の国においてさえも人類にもたらすところの不幸に対して、そして日本の漁民がこうむった、まことに悲しむべきところの不幸に対して、同情と、今後かかることが起らないような注意を世界に向って喚起しておる。現実に被害を受けた日本国民代表であるところの政府が、その程度のことでまあまあというようなことで、僕は許すべき問題ではないと思うのです。いわゆるヒューマニティーの立場からいっても、人道上の立場からいっても、そんなことで責任はどうのこうのという問題ではないと思う。そういう点は内閣に列する諸君が十分に考えてもらいたい。ここでは再軍備の問題については別として、日本国民の将来に関する問題、少くとも日本の生きていくという問題の原則に立った場合には、簡単にこれは片づけるべき問題ではないと思います。政府責任としては、先ほど田上さんですか、政府責任の問題についての見解の表明がありましたけれども、ともかく国民が安心して生業につくようなことをやるのが政府なんであります。またその法律を作るのは国会です。これは国会政府が十分話し合いの上に、再びそういうような不幸が起こらないようにするのがあなた方の責任であり、われわれの責任でもあるので、十分審議を尽されたいと思いますが、私はこれ以上ビキニ問題につきまして論争する必要はないと思います。責任者が来ていないですから、委員長において十分しかるべく取り計らっていただきたいと思います。
  75. 小林孝平

    ○委員長(小林孝平君) ビキニの水爆実験に関する問題は、なお責任者の一人である根本官房長官も出席されておりませんので、明日に持ち越して質問を継続いたしたいと思います。  最後に一つ外務次官にお尋ねいたしますが、鳩山総理大臣アメリカに、国内における反米感情を払拭するというようなことを言われておるのですけれども、こういうようなビキニの補償問題のごとく、この委員会の空気をごらんになっても、全部不満なんです。国民もまた全部不満なんです。先ほど条約局長ですか、どなたでしたか、金が少し余計こちらのほうへ慰謝料としてもらえば、金が余計になるからそのほうでやったと、そういう金の問題ではないのです。筋が通るか通らんかということでもって国民はみんな心配もし、また不満を持っておるのです。それをみんなこういう不満を持っているところに、こういう決定をして、そしてこれは民主党の功績であるなど、こういうことをやることが反米感情をあおる、だからこれは総理大臣はそう言っておられるけれども、具体的には反米感情をあおるようなことをあなたはやっておられるのです。この点について外務政務次官はどういうふうにお考えになるか。
  76. 床次徳二

    政府委員(床次徳二君) 外務省といたしましては、今回の妥結は最善の結果だと信じまして結論到達いたしたわけでありまして、このために反米感情をあおるがごとき国内宣伝をあえて結果において起すというようなことはもとより私ども考えておりません。しかし長い間難航しておりましたところの問題が、とにかくここに結論が出ましたということ、これに関しましては私どもは一つの努力した結論であるということを再々申し上げておりまするが、これをもってやむを得ないと申しますか、最善のものと信じまして皆様方にも御報告申し上げる次第でありまして、なお反米感情その他に関してはこれは外交基調におきまして十分アメリカと提携して参るという過去の外交方針等におきましてはすでに外務大臣から……、いずれ外務大臣から表明せられると思うのでありまして、今後の外交方針によって御承知をいただきたいと思う次第でございます。
  77. 小林孝平

    ○委員長(小林孝平君) 次にこの二百万ドルの配分の問題についてただいままでの経過を御説明願います。
  78. 田上辰雄

    政府委員(田上辰雄君) 配分関係につきまして特に関係各省十分協議をいたし、全体の調整をはかるために内閣は、先ほど床次次官の申されましたビキニ被災事件損害の補償措置に関する打合会というのが今月の十一日閣議決定になりまして、置かれたのでございます。その後直ちに十三日に第一回の打合会がございまして、さらに十七日には幹事だけが寄りまして幹事会を開き、さらに二十日に、一昨日です、第二回の打合会を開いたのでございます。この打合会は会長を官房長官といたしまして、委員としましては内閣官房副長官法制局次長自治庁次長以下各省の関係の事務次官を委員といたしましてでき上っておるのであります。なお幹事会はそれらの関係各省の局長級をもって組織をいたしております。この打合会は補償措置につきましてきわめて問題が重大であるばかりでなく非常に困難な問題を伴っております。従って十分各省間連絡調整をはからなければならないために設けられたのでございまして、従って第一回の、しかもこの問題はできるだけすみやかにその結論を見なければならない問題でございまするので、そういう趣旨のことを第一回の打合会におきましても会長の官房長官から特に御指示がありまして勉強をいたしておる次第でございます。しかしながら今日まで各省間におきましてはいろいろ資料を提出され、あるいは従来のいきさつもきわめて重要な意味を持ちますので、その点につきましては外務省の方から特に御説明をいただくようなことで審議は進めておりますが、いまだこの委員会からお尋ねになっておりますこの補償金の配分方法をどうするか、あるいは配分原則の内容をどうするか、損害のいかなる部分を補償とするかといったようなことを具体的に決定をするというふうなところには、遺憾ながら日にちも浅いのでまだ綿論を得ておらないのであります。各省から資料について詳細な説明等はいたしておりまするが、これらの重要問題についての決定はまだ見ておらない次第でございます。  次の、この委員会からお尋ねになっておりまする点は、今回の慰謝料は直接損害をこうむった国民、すなわち漁民に対する補償に充当せられるべきものであると考えるか、行政費においても補てんする考えであるか、もししかりとせば具体的に示されたいというお尋ねでありますが、この点につきましてもただいま申し上げましたような事情でありますので、まだ具体的に申し上げるところに参っておらないのであります。行政費の問題はいろいろ論議にはなっておりますが、これにつきましてもまだ具体的に申し上げるところに参っておりません。  最後の問題で、補償請求する権利は損害をこうむった漁民にあり、従って配分についても漁民の意見を尊重すべきものと考えられるか、いかなる措置により漁民の意見を反映せしめるか、その具体的方法というお尋ねでございますが、この点につきましてはごもっともな御意見でありまして、被害をこうむられました漁民の方々の御意見、あるいはその他船員の方々の御意見等も十分尊重いたしましてこれは反映を見なければならないと存ずるのでございますが、その具体的方法等につきましては今日のところは特に考えて……、その問題はまだ出ておらないのでありますけれども、今日までのところは漁民につきましては水産庁がいろいろ事情を承わりまして、それをこの委員会に反映をいたしておるのであります。なおこの点につきましては、打合会におきましてどういう方法をとるかというようなことも検討をして参りたいと思うのでございますが、今日はただいま申しました通り各省それぞれ関係の筋を通りまして漁民、船員その他の被害の方々の意見を反映しておられると存じておるのでございます。打合会を開かれましてまだ二回でございますので、ただいま申し上げた通りに具体的な決定を見ておりませんで十分申し上げることができませんが、これが進行につれましてまた決定しましたことは御報告をいたしたいと思うのでございます。
  79. 千田正

    千田正君 その配分の決定はいつごろまでにやる予定ですか。
  80. 田上辰雄

    政府委員(田上辰雄君) できるだけすみやかに解決を期さなければならないと存じますが、今のところ各種の資料もなお幾分不足しておる点もございますし、これらを整備いたしました上いろいろ論議をすべき問題もございますので、できるだけ早くとは思っておりますけれども、今ここでいつごろまでに結諭を出すというふうなことの見通しを申し上げるわけにいかないと思います。
  81. 小林孝平

    ○委員長(小林孝平君) お諮りいたします。  次回は明二十三日午後一時より開会いたしまして、ビキニ被爆事件に関する件、漁業石油外貨割当並びに輸入関税に関する件、北洋漁業に関する件、韓国ノリ輸入に関する件を議題に供したいと存じますが、御異議ございませんか。
  82. 小林孝平

    ○委員長(小林孝平君) 御異議ないものと認めまして、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後零時二十二分散会