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1954-04-20 第19回国会 参議院 補助金等の臨時特例等に関する法律案特別委員会 19号 公式Web版

  1. 昭和二十九年四月二十日(火曜日)    午後一時五十七分開会   ―――――――――――――  出席者は左の通り。    委員長     松永 義雄君    理事            青柳 秀夫君            伊能繁次郎君            上林 忠次君           小笠原二三男君            武藤 常介君    委員            秋山俊一郎君            榊原  亨君            横川 信夫君            島村 軍次君            三木與吉郎君            三橋八次郎君            戸叶  武君            寺本 広作君            千田  正君            鈴木 強平君   国務大臣    農 林 大 臣 保利  茂君   政府委員    大蔵省主計局総    務課長     佐藤 一郎君    水産庁長官   清井  正君   ―――――――――――――   本日の会議に付した事件 ○派遣議員の報告 ○補助金等の臨時特例等に関する法律  案(内閣提出、衆議院送付)   ―――――――――――――
  2. 松永義雄

    ○委員長(松永義雄君) これより特別委員会を開会いたします。  先ず先般現地調査を願いました議員派遣報告の件を議題に供します。第一班の長野調査班から御報告を願います。
  3. 戸叶武

    ○戸叶武君 それでは長野班の調査報告をいたします。  一、参加者、特別委員秋山俊一郎、同じく寺本広作、同じく戸叶武、参議院主事指宿清秀。  二、日程、昭和二十九年四月十六日、東京発長野着、長野県庁にて調査、十七日上田市小牧にて現地調査、普及事業のうち主として生活改善関係、南安曇郡明盛村にて現地調査、復旧事業のうち主として農業改良関係、十八日帰京。  三、調査の概要。一、県庁における調査。県庁においては林知事は不在でありましたので、中村副知事、西沢総務部長、窪田財政課長、清水農業改良課長のほか依田県会経済委員長、松本県農業委員会長代理、清水農業委員協議会長、(県及び市町村の農業委員協議会の会長等)と面接し、今回の補助金等の臨時特例等に関する法律案成立の際に生ずべき影響、なかんずく農業改良普及事業に対する県段階の影響につき聴取検討いたしました。県当局によれば、長野県は農業改良助長法実施以来、普及制度による農業改良に異常の努力を傾け、国よりの配付定員の不足を県費負担の普及員によつて補つて来たが、県費負担による普及員の数は最高時昭和二十五年において百五名でありました。その後国よりの配付定員の増加と共に県費負担による普及員は漸次その数を減じましたが、現在者数は二十九名があり、国よりの配付定員四百八名を加えて計四百三十七名の普及員を設置しております。而して農業改良普及員は各町村及び地方事務所に配置しているが、生活改良普及員は総数僅かに二十四名で、一郡一名の程度であり、町村、農民側から増援の要望が極めて強いのであります。県としては本事業の成果を十分認めており、且つ農民の本事業に対する支持もありますので、今後ともこの事業を拡充したい意向であります。これに要する経費については従来とも頭を悩まして来ており、各町村の同意の下に一町村年額一万円の寄附を受けております。特に今回の補助率切下による県費負担の増加は三分の二の場合と二分の一の場合の差額一千二百万円と推定されておりますので、このことも大変苦慮しております。財務当局者としては、すでに本年度予定されていた生活改良関係のかまど改良に対する利子補給約一千五百万円、これは一戸五千円に対する利子の五〇%は県費補給、あと二五%は町村、二五%は施設者となつておりますが、この普及員の活動強化手段であるオートバイの購入費、これ又約二百十三万円、三年計画で八十台初年度分を考えておりましたが、これを中止しました。なお少くとも県費負担分二十九名の現員と現課に対して折衝中の動きであります。中村副知事初め県首脳部によりますれば、ひとりこの普及事業のみにかかわらず、国庫補助は算定の基準が低く職員の昇給、諸手当等を見込まないことが県財政の重圧の原因となつているとのことです。額面通りに来るものは僅かに文部省の義務教育費くらいなものだと言つております。国の補助の基準と実情とが如何に違うか、普及事業について国の負担が年々減じ、県の負担が増加しておることについて次のような資料を提出し、かかる事情の下において補助率を切下げるということは、一層地方財政を圧迫するものであるということを強調されておりました。その単価が如何に違うかという資料、これはあとで表を速記のほうにお渡しすることにいたしますが、その区分を改良普及員、それから専門技術員等の月額を比較して見ますと、国庫補助の基準、本俸、勤務地手当、家族手当、これが改良普及員の月額が一万一千二百四十七円、専門技術員の月額が一万二千百五円、これに対して県における実際の給与は本俸、勤務地手当、家族手当、これが改良普及員においては一万三千十五円、専門技術員において二万四千百五十円、それから国庫の補助のない期末、勤勉、寒冷地手当及び超過勤務手当、これが改良普及員において二千八百八十円、専門技術員において六千四百四十円、この計が改良普及員において一万五千八百九十五円、専門技術員において三万五百九十円、これを国の査定との差において見ると、改良普及員が四千六百四十八円、専門技術員が一万八千四百八十五円、こういうことになつております。又県の負担が年々増加することを示す資料として、普及事業の全予算を見ますと、その区分を二十七年度の補助率三分の二、それから二十八年度の分三分の二、二十九年分の三分の二の場合と二分の一の場合とこれを比較いたしますと、国庫補助において二十七年度は四千百八十五万六千六百円、これが四九%、それから二十八年度が四千二百四十万二百五十円、これが四〇%、それから二十九年度の三分の二、これが四千九百十五万八千六百六十六万円、これが四一%、それから二十九年度の二分の一が三千六百八十六万九千円、これが三一%、それから町村より県費への寄附金、これが二十七年度が三百七十六万円で四%、それから二十八年度の分が三百七十六万円で三%、二十九年度の三分の二が三百七十六万円で三%、それから二十九年度の二分の一が三百七十六万円で三%、県の負担が二十七年度の分が三千九百三十八万六千二百四十一円、これが四七%、それから二十八年度分六千七十五万二千七百五十円、これが五七%、二十九年度の三分の二が六千五百九十一万八千三百三十四円で、これは五六%、それから二十九年度の二分の一は、これが七千八百二十万八千円、これが六六%、計が、二十七年度が八千五百万二千八百四十一円、これが一〇〇%、それから二十八年度のものが一億六百九十三万三千円、これは一〇〇%、それから二十九年度の三分の二が一億一千八百八十五万七千円、これも一〇〇%、それから二十九年度の二分の一が一億一千八百八十五万七千円、これが一〇〇%、こういうふうになつております。なお、財務当局としては、今回の補助率の切下に伴う交付税交付金の増加については未だ詳細な情報を得ていないが、過去の経験から平衡交付金(交付税交付金)なるものは枠が増さない以上、県の歳入や節約可能額を過大に見積り、定められた枠の中に無理に押込むための逆算以外の何ものでもないこと、昭和二十七年度三億七千四百万円来るはずのところ、来ないために県費で一億三千四百万円持ち出したと強調しております。更に、県としては今回の普及事業の補助率の突然の引下について、過去の例として、この事業の前身である指導農場制度が開始以来三カ年足らずして普及事業に切替えられ、又普及事業開始三カ年にして、農林省改良局の普及部廃止案の出たこと、これは参議院で復活しましたが、今又補助率を切下げようとしていること、三年目々々々ぐらいに出て来る朝令暮改式政策の転換は国に対して不信を招くものであり、普及員の一部には浮腰が立つている気配も見受けられるのは遺憾である。本事業のような農業改良上の根本的施策については、恒久的な、不安のない政策が絶対必要であると強調しておりました。  (2)現地における調査、現地調査に際しては、普及員の農業改良並びに生活改善上の実際活動を視察すると共に、普及事業に対する農民の評価並びに町村当局のこの事業に対する協力調査に重点を置きました。  (イ)上田市小牧における調査、ここにおきましては、主として生活改善面の視察を行いました。この部落は上田市の南端千曲川の沿岸にありまして、戸数は百五十戸、このうち農家戸数が百三戸、一戸平均耕地面積五反七畝の純農村地帯であります。ここでは古く大正十年頃簡易上水道を施設するなど、生活改善に古くから踏み出しまして、現在の小牧区むつみ会を中心とする衣食住に亘る生活改善運動が展開せられ、これは普及員が配置せられて以来特に発達したものであります。目下渡辺生活改良普及員指導の下に、台所の設備、配置の改善、作業衣並びに衣類の更生、洗濯等の工夫のほか、農繁期用保存食、一般調理法の工夫等に加えて、保健衛生の向上に努めております。数戸の農家におけるかまどの改良、台所の改造、浴室、便所の工夫など実地視察をいたしましたが、その工夫と熱心には感心させられました。説明によりますれば改良かまどは築造に一万五千円程度かかるけれども、燃料は三分の一で済む由であります。このことは餅つきのときに一番よくわかると言つておりました。県の係官の話では、県下の二十三万農家のうち、現在十六万農家のかまどが何らかの改良が施されており、そのうち十万戸が従来の三分の一の燃料で済むとした場合、燃料の節約だけで五億円と推定されると言つておりました。視察後公民館の二階で関係者と私たちが面談いたしましたが、地方事務所当局よりは、普及員の勤務の過重なこと、平均して一月三十時間程度の超過勤務のあること、このうち県よりは八時間分しか手当の支給がないこと、特に生活改良普及員は人員の不足が甚だしく、現在一市四町二十九カ村を持つこの郡において僅かに二人でやつております。三、四町村に一人は是非必要であるということを主張しておりました。又上田市農務課長、長久保新町町長よりは、町村としては各町村年額一万円を県に普及事業の寄附金として寄附するほか、村自体としては生活改良、青少年のクラブの育成、農業改良用展示資材等を含めて、年額十五万円程度を普及員の活動を応援する意味で支出している旨の開陳があり、更に他部落及び近隣町村より集まつた有志主婦たちからは、生活改良普及員の増員について熱心な陳情が行われ、今後の問題としては、中産階級以下の人たちに、生活改良事業普及の滲透が困難であることを重ねて強調しておりました。  (ロ) 南安曇郡明盛村における調査、ここでは村長、農業委員会長、普及員及び地方事務所長、同経済課長などから、主として農業の改良普及についての事情を聴取し、現地の状況を視察しました。この村は松本市の西北、日本アルプの山麓、標高五百七十から六百十メートル平坦地にありまして、南北五里東西二里に跨がる村で、総戸数は八百四十六戸、うち農家が五百五戸いう農村であります。一戸当りの耕地は水田六反七畝、畑二反で従来緑肥として「れんげ」の栽培は多かつたが、水田は単作であり、あとは畑の麦、養蚕でやつて参りました。最近裏作に麦を入れること及び酪農化、機械化等も進められようとしているところもありました。県では農林省の補助の下に営農試験地を置いております。この営農試験地というのは、数戸の農家の協力を得て、おのおの一、二反の田畑を営農試験地として提供させ、ここで現在までの試験研究の結果判明している技術を現地の営農の実態に応じて、受入れやすい形で総合的に組合わせて応用し、農家と共に研究にも役立たせ、又普及にも役立たせ、それによつてその地帯の農業の改良を図ろうという狙いのもので、設計するときには試験場等の専門技術も大いに参加するが、そのあと現地では普及員と田畑を提供した熱心な農家が共同で進めておりますが、普及員はこの営農試験地を通じて食糧増産に非常な成績を挙げており、村長も農業委員会長も地方事務所長も、この成績を非常に讃えておりました。昨年はこの村も六十年来の凶作で、その前年までは水稲は反収二石七斗くらいだつたものが一石五斗くらいしかとれなかつたそうであります。それなのに普及員の指導で、この営農試験地を担当している農家では、平均して二石三斗五升もとれたということであります。そこでこの成果が大変な評判となつて、村内、近隣の町村はもとより、山梨、新潟、遠いところでは栃木、茨城等からも視察が来て、昨年の九月などは七千人、多い日は一日七百人も視察が殺到したということであります。その上面白いのは、どうしてそうよくとれたのかを聞いてみると、肥料などは余り多く使つておるわけではなく、むしろ合理的な設計に基いて窒素など三割くらい減らしているというし、又安全性のために品種など一品種に片寄らず、三品種、四品種を組合せてやつたということであります、この地方でとかくやり過ぎて稲を倒したり、病気が出る原因となる「れんげ」については、刈出してサイロに詰めて家畜の餌にし、そうすることによつて水稲も増収になるし、家畜のほうの餌代も助かるということになつております。とにかく営農試験地になつている田畑は一見して他の田畑と違つておるのでありまして、私たちも現地まで行つて移植した麦というのを見せてもらつて、他と比較して成るほど立派な成績を挙げていると感心させられました。この普及員は長崎君というまだ若い、二十六才で独身だということでしたが、その青年によつて指導せられ、農協や共済の職員もこの人を中心に協力しておるのであります。こういうふうに成積が上つているので、村でも普及事業には随分と応援しております。明盛村として昭和二十八年度に十三万六千三百五十円、今年も十五万六千九百円を出す予定だそうであります。この内容は県の普及事業費中に寄附する一万円のほか、普及員の農家に配る印刷物の費用とか、よい品種だとか、肥料のやり方などを実際に示すための展示圃の費用とか、或いは講習会や畜力利用の実演会の費用、農事研究会、4Hクフブ、生活改善グループ育成のための費用、普及員の自転車の補修費、それから普及員の県内の他地方及び県外視察旅行おのおの一回の費用等で、県や国の費用を補うための必要で、いずれも必要な費用だと考えられます。  四、調査の詰論  今回私たちは現地を視察し、先ず第一に、普及員がよく努力していること、そうして普及事業が食糧増産についても、生活改善についてもよい成績を挙げていることを知りました。それから二に、県及び市町村の当事者及び農家もこれを積極的に支持していることを認めました。三に、成績の上つているのは農村にあるいろいろの問題の中でまだ極く一部分でありますが、この一部の成功を更に全体に椎し進めなければならんというふうな普及事業のまだ初期的段階にあることを知りました。四に、普及事業には国の補助金及びこれに応ずる県の義務負担分のほか純県費の持出しも多く、各町村も相当多額の負担をしている。これらはいずれも普及事業上必要な経費であるということを知りました。そうして今回の補助率の引下については、(イ)、県としては大蔵省のいう交付税交付金組入れについては実質的には国が責任を負うことにはならないとして問題にせず、(ロ)、補助率の引下に基く補助金額の減少に対処しては、関係計画の一部を中止すること及び若干の職員を整理することによつて対処せんとしております。(ハ)、改良普及員及び町村当局並びに農民有志としては、自分たちもでき得る限り協力をして普及事業もやつと軌道に乗りかけたばかりであるのに、国の真意を理解できんとして、普及員の一部には浮腰の空気も出ております。(ニ)、食糧の増産、農業改良の基幹施策である普及事業のごとき長期継続的なものについては転々と政策を転換することなく、関係者をして安んじてその事業を実施させるものでなければ、到底その効果は期し得られないと嘆じていることを知りました。私たちとしても補助金の全部に対してこれを無条件に支持しようとするものではなく、或る程度の整理は必要だとしても、その整理についてはもつと根本的に年月をかけて慎重に事業の実態、地方財政についても検討を加え、地方を納得させた上十分な見通しに立つて整理すべきものであると考えます。普及事業のごとき長期に亘る継続的事業に対しては、特にこのことが重要であつて、徒らに困難を引起したり、国そのものの施策に対して不信を招くようなことは避けなければならない、こういう結論に達した次第であります。  なお、長野県庁の提供資料による今回の法律の成立の場合国庫補助金の減少するものについて、次のようなことを列挙しております。長野県分としては農業改良関係の千二百二十九万円のほか、図書館運営関係が二十万円、母子手帳関係が十四万円、母子相談関係が十六万五千円、性病関係、三十三万二千円、精神衛生関係が二百七十六万六千円、以上であります。  以上を以て報告を終ります。
  4. 松永義雄

    ○委員長(松永義雄君) 次に第二班の千葉県調査班の御報告を願います。
  5. 千田正

    ○千田正君 私ども上林、三橋、干田の三名からなる第二班は、伊能、島村両委員の御参加も得まして、去る十七日、十八日の両日千葉県下を視察調査に参りました。その行程は、十七日県庁におきまして千葉県総務部長、農林部長その他各部課長が参席いたしまして打合会を行い、それより山武郡白里村に参りまして同地方の秋落地帯の改良対策を視察し、同日は鴨川に一泊、翌十八日安房郡朝夷地区普及事務所を訪れ、同地区の普及事業を視察ののち、本県有数の漁港でありまする鴨川、千倉両漁港を視察しまして、房総南端の安房郡神戸村に参つて、その生活改善普及事業を視察ののち、夕刻帰京した次第であります。  以下調査の詳細な点は、県及び町村並びに普及事務所等より提出されました資料によつて御覧願いたいと存じますが、ここに概略を述べまして報告に代えたいと存じます。  先ず、調査の主要目的でありました農業改良普及事業の本県における実情でございまするが、本県の普及員の人員は、農業改良普及員二百九十五名、専門技術員十五名、生活改善普及員二十七名でございます。而して二十八年度国庫補助率三分の二による経費の負担割合は、総額において六千八百十一万七百六十五円であり、国庫補助はその四九%の三千三百二十八万九千二十四円であります。そのうち県の義務負担額が二四%、一千六百六十四万四千五百十二円で、純県費は二七%、一千八百十七万七千二百二十九円であります。そうしてこのほかに市町村その他が約七百万円の負担を負つておる状態でございます。この経費のうち、給与は総額五千六百五十万円で、そのうち国庫補助のない期末、勤勉及び超過勤務手当は九百七十三万円であります。本県も国庫補助の単価が実情に副わず、一人年額俸給十四万五千円の基準額に対して、実際は二十五万五千二百六十四円で、約十万円の差があるそうであります。県としても国から本年度緊縮予算の建前上、地方公務員を五・五%整理するように言われておるので、特定の部課からはその整理はなかなか困難なので、普及員の減員も止むを得ないと考えておるが、併しこれは林業改良普及員、生活改良普及員等、全体を見て支障を来たさないようにしたいとは申しておりました。この減員の点については、仮に補助率が現行の三分の二のままとなつたとしても行うのかと聞いて見ましたところ、同様であるとの返事でありました。又今回の減率に伴う差額は、自治庁、大蔵省においては、地方交付税交付金で見ているから、現状通り維持できるのだといつているが、その点はどう考えるかと問いましたところ、県庁当局の答えは、やはり交付金の総額が実際の財政需要額とマツチしていないので、一概にそう言われても現在通りには参らないとの答えでありました。本県においても普及員の人員が不足であることは間違いないことでありまして、一応県側では現在は増員の必要はない、ただ素質の向上を図つて、現在員数を確保したい、然し生活改良普及員は増員したいとは申しておりましたが、私どもが地区を廻りまして、各町村長、普及員のかたがたから何とか増員を図つてもらいたいとの切実な要望を受けたのであります。本県における普及員の担当区域は、一人平均七百町歩、六百五十戸であり、大体一・五カ町村乃至二カ町村を受持つている状況であります。又最近農家も多角的経営を行い、技術も相当進歩しており、朝夷地区農業改良普及事務所において現地の村長より聴取したのでありますが、同地方が湿田地帯である半面、気候的に温暖な無霜地帯である関係から、水田はもとより花卉、果樹、煙草、七島藺、酪農等に及ぶ複雑な経営がなされているので、技術に卓越した専門員を地区に設置してもらいたいと要望がありました。実際現在同地方は花、酪農、夏みかん等を盛んにやつており、これらに対して普及員は引つぱりだこの状況なのであります。普及員の重要性のため、まさに国費で見なければ間違いであるとまで痛感した次第であります。今全額国庫負担等とは申しませんが、やはり朝夷地区での事例でございますが、この地区の普及員の人員は七名で、二十八年度町村費で二十五万五千七百八十円の予算を出しているのですが、事務所の電話の維持費だけでも、三カ月分しかなく、「緑のたより」と称する普及事業の刊行印刷物を月に二千二百部発行しているが、これでさえ二カ月分で終つてしまう状態で、又普及員自身巡回用の燃料費を自費で出しているとのことでございましたが、何とか末端の活動においてかかることのない十分な手当を必要とすると痛感した次第です。  以上農業改良普及員の本県における概況でございましたが、次に、生活改善普及員の概況を御報告したいと存じます。  本県の生活改善普及員の数は、現在二十七名で、県としても以前よりその不足であることは十分これを認め、何とか増員したいとのことでありました。私どもは県庁の案内により安房郡神戸村に参つて、同村の村長や普及員その他生活改善クラブのリーダーの人人と共に座談会を開き、親しく意見を聞き、質問もしたのでありますが、ここでも普及員は一市八カ町村の広汎な担当を持つており、巡回指導等は容易でないため、館山市を中心に濃密指導を行なつておるが、なかなか農民のかたくなな封建的思想にぶつがつて指導も容易でないとのことで、この点男性側の深い理解が欲しいとのことでございました。同村民はなかなか協同精神に強く、農繁期中の共同炊事、冠婚葬祭の簡素化、田地の耕耘等を共同作業で行い、見るべき成積を挙げておるそうであります。併しこの地区も二十八年度普及事業費二十七万円を町村負担でもらつているが、そのうち生活改善費としては僅か年間七千円だそうでございます。これは作業衣一、二着分にも足らぬ金額であり、折角国が生活改善普及と銘打つて行なつている施策も、肝腎な末端では予算上麻痺状態に等しいと言つても差支えないと考えられました。併しそれにもかかわらず、ここの塚田普及員のごときは献身的な活動をしており、村民も又一致協力、農家の食生活改善、住生活の改善、保健衛生の改善等、模範村と称されるところと察することができたのであります。我々としましても、この女性の普及員活動が予算上、経済上支障なく行い得て、農民と離反することのないよう、徹底した普及活動可能な施策を必要とすると痛感いたした次第であります。  次に、本県における秋落対策の状況を視察した結果を簡単に申上げたいと存じます。本県の水田十万町歩中、秋落のひどい所が約一万二千町歩もあり、一村中秋落の所では反収一石四斗乃至一石五斗というひどい所があるそうでございます。大体この秋落地帯の平均反収は二石一斗四升だそうであります。対策としては、山土を持つて来て客土するのが絶対だそうでありますが、品種、耕種改善、肥料の面から克服を考え、営農試験地として四百町歩の強い秋落の所を定めて品種や肥料を使つて改良に努力している。一叺十二貫、二百五十円のボーキサイトを反当り千円くらい使つて、これらのために村費の六割までを食つているほど実行に当つているそうでありますが、普及員の活動と相待つて予算面の十分な手当を必要とすると認めた次第でございます。  最後に、水産関係について視察した概要を申述べたいと思います。  先ず、十三条の関係につきましては、本県の漁業調整委員会は、東京湾海区漁業調整委員会ほか三つの調整委員会と連合海区漁業調整委員会があり、それに千葉県内水面漁場管理委員会とがありますが、その委員の数は、各海区十名、計四海区四十名、連合海区調整委員三名、内水面漁場管理委員十名、委員の手当は調整委員が月額六千円、連合海区調整委員二千五百円、内水面漁場管理委員三千五百円で、県の説明では、これらの経費は現状のままでも持出しとなつておるから、これを今回の改正案のごとく減額となれば或る程度仕事を放擲しなければならんと申しておりました。海区間の紛争の絶えない本県においては重大な社会問題として前途の不安を痛感すると申しておりました。次に、十五条の水産資源保護法に基く負担の分は、本県は保護水面の指定がないので影響がないとのことでございました。最後に、十六条の漁船損害補償法関係の分でございますが、本県は漁場が他府県に比べて弱く、湾内では大きな漁船を必要としないため、百トン以上は僅か六隻、それ以外は百トン未満で、隻数においては全国的にも一番ですが、加入金額においては雰細なため少い状況であります。義務加入制度施行後は施行以前に比較して約二倍に近い状況であります。隻数及び金額で申しますと、施行前二十六年度の加入隻数四千二百六十二隻、保険料五百十八万八千三百二十六円であつたのが、施行後の二十八年度義務加入隻数八千五百六十八隻、保険料では四百五十一万三千五百三円、国庫負担額百八十三万九千九十二円という状況になつております。かかる状況から、今回の特例法案は相当影響するところあり、鴨川町にては鴨川、千倉、太海の各漁業組合長より、法案についてすでに百トン以下全員加入を終了の後かかる法案の通過は絶対反対する旨の陳情あり、更に漁業の実態を聴取いたしましたが、この案件に関して慎重を期して審議すべき必要を痛感した次第であります。  以上簡単でございますが、御報告を終ります。
  6. 松永義雄

    ○委員長(松永義雄君) 只今の報告に関し、なお資料等について御報告すべき点がありましたら、これを報告の末尾に添付することにいたしまして御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 松永義雄

    ○委員長(松永義雄君) 御異議ないと認めます。さよう取計らいいたします。  農林大臣がまだ出席して見えませんので、暫時休憩いたします。    午後二時四十七分休憩    ―――――・―――――    午後三時十三分開会
  8. 松永義雄

    ○委員長(松永義雄君) これより休憩前に引続き会議を開きます。  補助金等の臨時特例等に関する法律案を議題に供します。  農林関係について審議を行いますが、政府から農林大臣、水産庁長官が出席せられておりますから、御質疑のあるかたは御発言願います。
  9. 千田正

    ○千田正君 大体前一回は聞いておりますけれども、非常にこの問題は重要であつて、腑に落ちない点がありますので、特に農林大臣が御出席になつておりますから、大臣として御答弁を是非頂きたいと考えます。それは今度の臨時特例法によるところの十六条にありますところの漁船損害補償法の関係でありますが、日本の漁業に従事しているところの漁船は現在百十万トン、船価にしまして七百三十億、これが十二億貫の漁獲をなして参りますので、国民の蛋白給源となつておりますが、更に二百数十億円の輸出をして外貨を獲得しておる状況であります。我々は非常にこれは重要な産業であり、又日本の資源の基幹をなすものであるというふうに信じておりますが、そしてこの漁船のうち百トン未満の漁船は六十九万トン、船価にしまして五百二十五億円で、漁船の七六%を占めております。又この漁船によるところの漁獲は実に全生産の九〇%以上を占めておるのでありまして、この百トン未満の漁船中二十トン未満のものが大体において半数の三八%であり、この二十トン未満の漁船に対しましては、昭和二十八年度から漸く国庫補助の途が開かれましたが、二十トン以上百トン未満の漁船の災害補償に対しましては、従来何らの国庫補助の途がなかつたわけであります。今この二十トン以上百トン未満の漁船の従事している漁業、即ち「いわし」揚繰網、「いわし」刺網、「さば」釣、「さば」巾着網、以東底曳、以西底曳或いは「さんま」の棒受、「いか」一本釣、「かつお」の一本釣、「かつお」旋網、いずれも中小漁業の漁業経営体中五十六を例にとつて経営調査をした数字によりまして、この結論を見ますというと、黒字の経営体が十六件で二八%五、赤字の経営体が四十件で七〇%五ということになつております。更にこれらの漁業は沿岸漁業の資源枯渇、米軍の演習によるところの漁場の制限、更に李ライン問題或いはソ連、中共、台湾国民政府等の漁船の捕獲問題、更に最近の水爆事件等、国内問題、国際問題が原因となつて、これら二十トン以上百トン未満の漁船による漁業経営はますます困難になつて参つて来たのは当然でありまするが、若しこのままにするにおいては、日本の漁業の中堅層は壊滅すると言つても過言ではないと思います。殊に、農業においては各種の農業災害に対する国家の財政的援助があるに比しまして、漁業に対してはその災害等に対して国家の援助はただ漁船保険を除いてはないのでありまして、実に漁船保険の補償法というものは漁業にとつては重大なる、いわゆる根幹をなすものと我々は考えるのでありますが、この意味からいたしまして、第十六国会、即ち昭和二十八年七月に漁船損害補償法が政府提案で審議された際、衆参両院で全会一致で二十トン以上百トン未満の中小漁船の保険に対して国庫補助の途を開いて、日本の漁業の中堅層の壊滅を防ごうとしたのであります。而も国庫の補助は二十九年度から実施することになつて、その金額も僅かに一億円程度のものでありますが、これを一度も実施しないのに、法律を無視して、二十九年度予算編成に当つては政府の独自の考えで削減して、その辻褄を合せるためにこの特例法を提案することになつたのでありますが、政府の認識も甚だ私は不足であると言う以外にないのであります。殊に保利農林大臣は、農林大臣就任の当時から、水産委員会におきまして、相当広汎に亘つて日本の漁業の進展に関する抱負経綸を述べておつたのでありますが、その施政方針と大いに矛盾しているのじやないかと私は思うのであります。それに対し大蔵大臣は、本委員会におきまして同僚議員の質問に対しまして、こんなに重要な問題であつたならば、農林当局がもう少し強く要望してくれればよかつた。このように言われたに至つては、実際農林大臣が果してこの問題に対して真剣に考えておられたかどうか。これは農林大臣の責任を我々は追及したいと思うのである。よつて私は農林大臣に特にお願いしたい二つの項目がありますが、第一点は、日本漁船の中堅層であり、又日本の漁業生産の中堅であるところのこの二十トン以上百トン未満のものに対し、財政的援助によつて壊滅から救おうとすることが現在の日本の漁業の政策上最も必要であると思うが、この点はどうお考えになられるか、それとも僅か一億か二億円でも財政上困難であるから、日本漁業の中堅層が壊滅しても止むを得ない、こういうふうにお考えになるのかどうか、先ずこれが第一点であります。第二点は、衆議院は、この法律案は一年の時限法として修正可決し、更に附帯決議をして、第十五条即ち漁船保険の規定については、本法即ち一年の時限法たるこの法律の有効期限にかかわらず、可及的速やかに予算措置を講じて、二十トン以上百トンまでの漁船に対しても、二十トン未満一トン以上の動力漁船と同一の取扱いをなすよう政令を改正実施すべきであるという決議はしてありまするが、この附帯決議の趣旨を尊重して政令を改正し、或いは補正予算或いは予備費の支出その他で速かに実施する意向を持つておられるかどうか、あるならば一体いつ頃かということと、それとも政府はこの法律をも無視して予算を削減するのであるから、国会の附帯決議も問題にはならないというので全然突つ放すつもりであるのかどうか。第三点は、この特別法の成立するか否かは別として、第十六国会において修正可決しましたところの法律は、すでに政府は昭和二十八年の八月一日に実施しているのであります。二十九年四月一日から各地の保険組合は二十トン以上百トン未満の漁船に対して掛金或いは加入を慫慂して、国家補助があるものとしてすでにもう契約を開始しておるのでありまして、こういうような面に対する責任は一体どういうふうにとられるつもりか、まあこの三点であります。この点につきまして農林大臣から懇切な御説明を願いたいと思います。
  10. 保利茂

    ○国務大臣(保利茂君) お答えいたします。第一問については、何か大蔵大臣が、農林当局が熱心にこれを主張したならばこういう措置はとらなかつたのであろう、若しそういう食言があつておりますならば、これは私は聞き捨てならんことだと思います。最後まで私は同様の考えにおいて、少くともそれを真に受けて、まともに受けてこれをお答えしちや甚だ恐縮ですけれども、私としましては、只今千田議員からお話のような趣意において、ともあれこの水産業の立場からいたしまして、又手続関係からいたしましても、予算は予算として計上し、そして法律改正をするならば、法律改正案を別途出して、そしてその結果不要になつて来たならば、それだけやはり国費の節約はできるわけだから、同時に出すべきではないかということは私は最後までこれは極論いたしておるわけであります。いわんや水産関係のみならず、農林関係の補助金全般についてかなり猛烈な風が吹いたわけであります。私は農業及び漁業の本質からして、こういう補助金や助成金によつて手を引つぱり足を引つぱるようにしなければ、日本の農業なり漁業なりというものは発展するものではないという趣意から、これはまあ結果は私が負けておりますから、決してそれをどうこうという理由、言いわけに使うわけではございませんけれども、そういう趣意で努力して参つたということだけは、私は良心を以てこれはお答えをいたします。それから衆議院のほうで附帯決議になつておりまする事項につきましては、無論国会の意思を尊重しなければならないことはもう当然のことでございますから、これにつきましては、この法案の成立がございますれば、私どもとしては国会の趣意に従つて最善の努力をいたす考えでおります。そういう考えで私はおります。
  11. 千田正

    ○千田正君 さつき第一点につきましてお答えがありましたが、大蔵大臣がこの委員会において皆さんから大いに追及された結果ですね、私が今申しました通り、それほど重要な問題であつたら、もつと強く農林当局からの要請があれば自分らも考えたはずだというようなことを言つておられる。これは速記録を御覧になればよくわかることであります。誠にその点私どもは腑に落ちない、今あなたがおつしやるようにもう極論してまでも、原始産業の一番弱い面のしわ寄せになつている人たちのために頑張つておられる農林大臣の意思が大蔵大臣に私は反映しなかつたという結論だと思うのであります。ですから、そういうことに対しては通つたことはしようがない、こういうことではしようがないのでありまして、第二点におけるところの、やはりこの衆議院において附帯決議をしたところの件における政令その他について何らかこれを救う途はないか、まあこれは今あなたは極力善処するよう考える、こういうお答えでありますが、それに第三点の問題につきまして、我々日曜にもかかわらず、漁村その他を調査して来ておるのでありますけれども、漁民の大部分はもう四月一日から漁船保険の加入ができて実施の時期に入つているのだという考えを持つているし、一カ年据置かれた間にこの弱い漁民の人たちを何とかして救おうというので、県の担当している係官並びに各漁業組合長、そういう人たちが懸命になつて加入を慫慂して、漸く納得させて、そうしてまあ加入させておる間において、全員加入しておられるところもあるわけでありますが、ところが先般これは水産庁長官の内達、通達によりまして、ちよつと待つてくれ、四月一日からということになつておるのだが、ちよつとその手続は待つてくれ、これは水産庁長官としては、現在こういうような法律が審議中であるから、手続上間違つてはいけないからという老婆心から、そういう通達を出したのだろうと思います。漁民のほうは一カ年据置きの間に、懸命になつてとにかくこういうことに加入するということで、お前たちの財産であるところの船、陸上で言えば自分らの家屋と同じであります。これを何とかして損害から救う一つの手立てとして国は考えてあげるのだからというので、殆んど強制加入に等しいほどに説いて、頑固な漁民の人たちを入れて漸く発足というようなときに、この法案が出て来るということになると、これはすでに加入した人たちの漁民に対する意欲を失うし、又その間に懸命になつて努力したところの人たちは絶望のどん底に追いやられる、一体こういうことに対してはどういうふうにまあ考えておられるのか、法律はもうすでにあれですよ、二十八年の八月からもう発表になつておつて、実施は二十九年四月一日ということになつているのですから、もう四月の一日は通過しておる、もう過ぎております。だから漁民の大部分というものはすでにもう加入している、こういう現況に対してどういうふうに考えられますか。
  12. 保利茂

    ○国務大臣(保利茂君) その点はお答えを落しまして甚だ恐縮に存じますが、第一は、この手続上において、私どもとしては見解を異にしましても、併しながら、一面要請せられておるところの補助金整理乃至は財政の緊縮という大きな線に則つて、ともあれ私どもの責任において提出をいたして、予算もそういう予算になつて一応今日の予算はそういうことで出発をいたしているわけであります。で、お話のように、法律のほうはこれに伴わずして、只今まあ審議中で、この成立を私どもとしましては是非予算の調子に合せてとにかくここは御賛成を願いたい、願わなければならんと考えておりますが、併し法律は明らかに四月一日からそういう措置を講ずるということをきめておるわけでございますから、御質問の趣意は、これは当然起り得ることなのでございまして、従いまして水産庁といたしましては、先ずこういう保険措置をとらなければならないけれども、一応この措置は当分の間延ばして行く、でその上に立つて予算措置を講じておりますので、無論国会における法案に対する最終的御意見がきまらないうちは、現行法が厳然として存立しておることは申すまでもございませんけれども、一面予算を編成し、そうしてその予算編成に伴う必要の、この法案もその一環でございますが、この法案を出しておりますから、この法案の成否の見通しが立ちますまでは、現行法によつての契約と申しますか、加入措置を待つてもらいたい。ということは、折角加入手続をとつた、それが駄目になつたというようなことになつて、いやが上にも混乱を引起すというようなことになりましては誠に申訳のないことになりますから、一応只今の水産庁長官の令達を以て当座の間の事務を運ばないようにという措置をとつておるわけでございます。
  13. 千田正

    ○千田正君 非常にそこで重大なのでありますが、これは水産庁長官の令達が先か、大臣も御承知の通り、漁業というものは一日も休めない、天候の如何によつては直ちに出漁して、そうして操業するわけでありますから、殊に今のような状況においては、何とかして稼がなければならないから出漁すると、不幸にしてこの法案が参議院を通過しない前に遭難をしたり、或いは災害に遭つたりして、どうしても今の保険の問題にかかつて来るような問題が起きた場合においては、一体法律上から言えば、四月一日からすでに発足しているはずなんですから、これはやはり責任を負わなくてはならないと思うのですが、やはりそれは手続上から水産庁長官の令達のほうを重く見て、そういう手続をしたのだからということでおやりになるか、或いは飽くまで法的な根拠に基いて、本院を通過しない限りは、この法案は成立しないものとみて、国が責任を以てこの保険に対して契約を履行するつもりなのか、その点はどういうふうに考えておりますか。
  14. 清井正

    ○政府委員(清井正君) 私からお答え申上げます。先ほど千田委員からお話があつた点でありますが、千田委員の御質問の点は、私が先般出しました通牒の問題と絡みまして、業界において百トンまでの義務加入の法律はすでに先頃公布せられました。そこで当然この四月一日から施行になるわけでありますが、その施行を見越しまして任意加入を勧奨する。で、四月一日からは強制加入になるのだから、半額国庫負担になるから今のうちにどんどん加入しておけというので非常に苦労をして、そのつもりで任意加入をされたかたが相当ある。従つて保険の加入組合にいたしましても、そういう意味合において指導しているのにかかる法律が出るということは非常に困る、関係者のみならず漁業組合の人としましても非常に困る、こういう点があるのではないかと思うのであります。その点はまさに私どもも同様に感じておるのであります。私は各方面から実はそういう趣旨のお話を聞いておるのであります。この点は私どもといたしましても誠に残念に考えておるのでありますが、昨年法律が改正になりまして、当然そのときには四月一日から強制加入になる、従つて半額国庫負担になるということであつたわけであります。私どももそのつもりでおつたのでありますが、従つて業界におきましても、そういう意味合において四月一日を目標として頻りに任意加入を勧誘して相当の成績を見ておつたということも確かにあると思います。それが今般かかる法律を御審議願うということになりました点は、事志と違いまして誠に残念であります。又そのこと自体が大変業界の期待に反しまして御迷惑をかけて、いる点も確かにあると思うのでありますが、この点につきましては私どもといたしましても、今後必ず加入につきましては、この法律の結果如何によりまして又適当に善処いたさなければならんことになると、こういうふうに実は考えておるのであります。  なおこの法律に伴いまして、私どもにおいて三月末に通牒を実は出しまして、この法律が御承知の通り四月一日から一応施行になるということで、只今参議院のほうに御審議をお願いしておるのであります。無論参議院としてもまだ御決定になつておりませんので、どういうことになるか先のことは予測できませんけれども、一応四月一日ということもありますので、又一方予算が執行されておるというような関係もありますので、いづれにしろこの法律の最後的な御決定の結果を見なければ、これは俄かに指導いたしますと、非常な混乱を生ずるというようなことを事務的に考えましたので、一時事務的な取扱いは待つようにということを先月の末に関係の方面に通知を出しまして、事務的な混乱をあらかじめ防ごう、こういうように実は考えておる次第でありますので、私どもの出しました通牒の趣旨につきましては御了承願いたいと考えております。
  15. 千田正

    ○千田正君 水産庁長官の令達は、それは勿論こういうような法律が出るから慌てて加入しても困るということなんでしようが、そのあなたのお答えは了承しますけれども、私が聞いているのは、法律は現存している、四月一日以降実施することになつておるのだ、それに対して予算の裏付がない。併しながら予算の裏付の辻褄を合せるために、こういう臨時立法が今当委員会にかかつておるのですが、これがいつ通過するかはわかりませんけれども、仮に五月になるか、或いは今国会が五月七日まであるとして、五月七日に仮に通過するとしましても、その間においていわゆる保険の対象となるような事故が起きた場合におきましては、一体どういう措置をするのか、法律においては四月一日から実施することにちやんときまつておるのです。そのほうは改正もされていない、撤廃もされていない、にもかかわらず、現実の問題としては、遭難が起つたら百トン未満の八十トンなら八十トンというものは、遭難のために漁船保険としての国家の補償をしてやらなくちやならない、こういうような問題が現実に出た場合においては一体どうするのか、予算の裏付がないから出せないということで済まされないと思うのですが、この法律がある以上はこの法的な考え方について、どういうふうに政府は仮に請求された場合においてはやるか、この点を私は聞いているのです。
  16. 清井正

    ○政府委員(清井正君) 私どもの解釈といたしては、現在におきましては確かに百トンまでの船が義務加入になつておるのであります。ただ実際問題といたしまして、仮に四月一日になる前に、いわゆる二十トン以上百トンまでの今度法律において拡張される部分のかたが任意加入しておられる、このままの状態で四月一日を迎えたという現状におきましては、どういうふうに法律を解釈しなければならんかという問題になると思うのであります。私ども部内におきまして打合せをいたしました解釈といたしましては、成るほど只今は任意加入のままになつておるのでありますが、それが四月一日になりましても、そのままの形でこれは強制加入、従つて半額国庫負担という形にはならない、従つて四月一日になりまして、この法律が施行になると同時にやはり二十トン以上百トンまでのかたは、従来の二十トン以下のかたがなさると同様に、やはり加入の手続をいたしまして、そうして今までの二十トン未満のかたが義務加入したと同じ手続によりまして、改めて加入の意思表示をしなければならん、加入の意思表示をしまして、それによつて任意加入のかたが加入の申込をするという、一般の今までの二十トン未満のかたが加入をすると同時に同様な手続を経なければ義務加入にならない、こういうような考え方をとつておるのであります。これは私どもさように考えて監督方面とも相談した結果、そういうことになると実は考えておるのであります。従いまして、四月一日になりましても当然にそうなるのではなくして、なりましてから該当のかたが二十トン以下のかたと同じような手続によつて義務加入の手続をする。その結果によつていわゆる各個々の該当のかたが加入手続をいたしまして、そうして初めて義務加入半額国庫負担ということになるわけであります。手続が済まないうちに仮に事故がありましても、任意加入の今まで通りのようなことでやるしか方法がない、こう考えております。
  17. 秋山俊一郎

    ○秋山俊一郎君 只今の御説明で義務加入のものを通達によつて抑えておる、こういうお話でありますが、この通達は何に基いてこれは出るのでございますか、漁船損害補償法の第九十一条に、「組合は、組合員又は組合員たる資格を有する者から保険の申込があつたときは、正当な理由がなければ、これに対して保険の引受を拒むことができない。」、こういう条文があります。この法律を通達で抑えることができるものでしようか、義務加入というものは先ほども千田委員からお話がありました通り、昨年八月一日からこの法律は公布されまして、二十九年四月一日から実施されるということがはつきりしておりますために、御承知のように義務加入は簡単にすぐにはできない、その間において四月に間に合うように相当地方では準備をして、四月になつたらとたんに加入しようという準備ができているところも相当あつたろうと思うのです。ところがそれを通牒で抑えてしまうということは、これは正当の理由と言えるでしようか、その御見解はどうですか。
  18. 清井正

    ○政府委員(清井正君) 私どもといたしましては、法律上の問題もございますけれども、先ほど御説明申上げました通り、この法律がこういう状態において参議院でも目下御審議願つておるということでございますし、而も一方衆議院の御決定では四月一日から施行するということになつておるのであります。予算も通つております関係上、如何なる御決定を本院で見るかということについては私ども予測はできませんので、その間の事務の混乱を防ぐために事務的の指導といたしまして、これは通牒を出したのであります。これは飽くまでも私どものいたす行政上の事務指導であります。法律的な効果と言いますよりも、こういう措置をしたらどうかという趣旨でございます。
  19. 秋山俊一郎

    ○秋山俊一郎君 それではこの間に若し義務加入によつて加入の受付をしておつたといたしますれば、もうすでに今日、四月は二十日を過ぎておりますが、この間にこれが今実施されましても二十日というものはどうしても法律によつて措置しなければならないということになると思う。御承知のように保険は加入したときに保険料を払うのであつて、あとから払うのではありません。加入したときに払うのだから二分の一国庫補助があるという見込で加入したが、それがなくなつたから、保険を取消して掛金を皆損にするということはできないから、その二分の一をあとから自分たちが追加して行かなければならない、こういう恰好になると思います。それに対しまして国はどういう責任をとられるつもりでありますか。
  20. 清井正

    ○政府委員(清井正君) そういう問題と申しますよりも、仮にそういうことが法律上ありましたならば、これは法律上有効だと思います。従つてこれは私どものほうは単なる指導でございます。併しながら法律は現に施行されておるのでありますから、この法律に基いて民間でかかる措置をとつておりますならば、それは法律上有効だと思います。仮にそういうことが行われた場合に、その保険料の負担問題或いはその義務負担の問題につきましては、法律上のいろいろの見解を十分はつきりしなければならない点であろうと思います。その点につきましては、私ども政府部内におきましても、かかる事態において法律上の解釈並びに加入者の取扱いについて今打合せをいたしておる最中でございます。
  21. 秋山俊一郎

    ○秋山俊一郎君 解釈は解釈といたしまして、私は今お話のように、これはどうしても法律は有効であるということならば、そういう場合には予算措置がなければならん、現在予算はない。そうすると予備費からでも出されるおつもりでありますか。
  22. 清井正

    ○政府委員(清井正君) そういう事態については、仮にありましたならば、そういうことになるわけでありますが、法律上当然国庫支出義務があることになれば、何らかの予算措置をとらなければならんことになるのじやないか、かように考えておりますが、この点は具体的事態に即しまして、大蔵省とも相談をいたさなければならん、かように考えております。
  23. 秋山俊一郎

    ○秋山俊一郎君 もう一遍、少しあとに戻りますが、今の通達で以て法律の規定を抑えて行くということに対して生ずるところの損害でございますね、それはこの通達を出すときは何らお考えになりませんでしたか。
  24. 清井正

    ○政府委員(清井正君) 損害ということにつきまして、別段このときは考えていなかつたのでありますが、私が心配いたしました点は、これが四月一日に遡つて適用になるのじやないかということが私の考えの中にあつたのでありますが、四月一日に遡つて適用にると、元も子もなくなるのでありまして、仮に施行期日があとになりますれば又問題が違つて来ますが、仮に、予算も御決定になつていることでもありますので、そういつた意味合でこれが四月一日に遡つて適用になるというようなことになりますと、折角これが強制加入で二十トン以上八十トンまでのものが入りましても、無効になつてしまうというような虞れがある、そういうことを心配いたしましたので、私どもとしましては待つてもらいたいという指導を実はいたしたというようなことであります。
  25. 秋山俊一郎

    ○秋山俊一郎君 私はこの第十六条に限つては、一応延びるのは別問題といたしまして、今日すでに二十日も過ぎておるのに、遡つてこれを実施するということはできない性格のものじやないかと思います。先ほども申上げましたように、保険に加入する場合に、保険金を払わなければ加入したということになりません。加入した場合には保険金を払うのですから、払つたときには、二分の一というものはもう予定して払つているわけです。それを遡つて施行するということは、私は性格上できない問題だろうと思いますが、御見解はどうですか。
  26. 清井正

    ○政府委員(清井正君) その点はいろいろ法律的には問題が実はあろうかと思うのでありますが、建前が確かに二分の一国庫負担、こういうことになりますが、同時に又一方強制加入という性格を持つているのであります。強制加入をする代りに二分の一を国庫負担するということでありまして、法律的に申しますと、強制加入というものが先になつて、強制的に加入させた代りに、二分の一国庫負担ということになると思うのであります。これは単に法律的な理窟になるわけでありますけれども、そういうようなこともありまして、私どものほうも事務的にいろいろ考えてみたのでありますが、遡つて適用されるということもないということを私ども心配したのでありまして、いずれにしろ、国会の御意思の決定するまで暫らく措置を見合せておいたほうがいいのじやないか、こういうことを考えて、実は指導したようなわけであります。
  27. 秋山俊一郎

    ○秋山俊一郎君 若し義務加入の用意ができておつて、申込んで行つた場合に、こういう通牒が来ているから暫らく義務加入は見合せろ、これは事実でありませんよ。私はそういうことはあり得ると考える。そういう通牒があつたから受付けない、組合がその義務加入を受付けない、そのためにその船は加入をせずにおつたところが、損害を受けたというようなこともあり得る。保険に入つていれば保険金はとれるのだが、入つていなかつたばかりに丸損をしたということもあり得るわけです。これはいつこの法律が実施されることになるか今後わかりませんが、そういつたようなこともあり得るわけです。遡つて実施するということは私は法律の性格上できない。そうすれば、仮にこれを遡及してやるということを議決するにしましても、その間に現在の法律が生きている間に生ずる損害に対しては責任を負うという一項がなければならん。裸でこれが遡及はできないものと私解釈しています。ただこういう通牒があつているから、そういう必要はないという御見解に私は少し疑問がある。若しこの法律を厳格に言うならば、受付けるときに正当な事由と見るかどうかということを先ほどお尋ねしたのですが、正当な事由でない、これは単なる指導であるということならば、必ずしも正当な理由としてこれを撥ねつけるわけに行かんものだ、その撥ねつけるわけに行かないものを撥ねつけておつた、それがために加入ができなかつた、加入ができなかつた間に損害を受けたということが若しあつたとするならば、これは何とか政府は見なければならんものじやないか、法律的に考えまして……。従つてそれを遡及してやるということはこれは非常におかしい。仮にその間に法律があるのだから、そんなものは正当な理由にならないという見解において受付けることもできるじやないか。まあ善意にこれは水産庁長官の通達もあるから、今受付けんと言つて、そうですかと言つて引込んでおればいい。理窟を言えばそういうことになる。従つてただこれはまあ先になれば果して受付けておつたか、受付けておらなかつたかということはわかるでしよう。けれども全国的にみると果して現在わかつているかどうか。受付けたところがないとも限らない。これはなぜかと言いますと、昨年の八月以来準備をしておつたはずです。そこで法律を決定する場合に、裸でこのまんま遡及するということには非常な不都合が生じて来やせんか。法律的に考えてそういうことはできないのじやないかと思いますが、それはどうですか。
  28. 小笠原二三男

    ○小笠原二三男君 関連して……。私もついでに答弁をお願いします。水産庁長官は少くとも外局の長官として責任のあるお方ですが、法律解釈について今のようなお話をすることは誠に奇怪至極だ。あなたは公務員として法律適用をそういうふうにお考えになるということなら、これは重大だと思う。少くともこの現行法によつて利益を受ける国民がある。この利益を受けておるものを又法律によつて利益を受け得られるものを法律を遡及してその利益を剥奪するというような、そんな法律遡及が今日でき得ると、国会においてもやればやれるんだ、そんなお考えが一部にでもあつたということなら、これは由々しき問題です。そんなことがあんたたち法律専門家として公務員として考えられたということであれば、私はこの面からこの問題を問題としなければなりません。法律を遡及して適用するなんということは今日の憲法下において特殊なる本当に限られた条件のものなんであつて、何事にでもそういうことがなし得られる、それは解釈のしようなんだというようなあいまいなことでは私は許せない問題だと思う。あなたはそうしてこの法律について遡及するということをやられればやられる余地があるなどと考えてこの法律の運用をやつておつたんですか、はつきりこれは御答弁を併せて願つておきたい。
  29. 清井正

    ○政府委員(清井正君) これは私が遡及できるということをはつきり申上げ  たのではないのでありまして、そういうことも考えの中に入れたということを申上げたのであります。無論これは国会の御意思によつてきまることでありまするから、私どもとしてはどうなるかということの予想は付かないのでありまするけれども、一方に予算が御決定になつておる次第もありますし、衆議院では四月一日で御決定になつたということもありますし、そういうような事情と見合つて、そういうふうになることも予想し得るという考慮の一端に入れたのであります。そこで若しそういうことになりますというと遡及するということになりますし、事は非常に事務的に面倒になつて関係者に御迷惑をかけることになりますので、我我といたしましては暫らくこれは取扱いを待つようにという指導をいたしたということであるのであります。
  30. 秋山俊一郎

    ○秋山俊一郎君 その遡及することになると考えられることがおかしいのじやありませんか、少し……。(「行政措置としては権限外だ」と呼ぶ者あり)保険というものの性格上、先ほど私が申上げるように、そのとき払つて行くんですからね。それを法律的に考えて抑えてはならんものを抑えて行つたということによつて遡及したときに困るからという考えも少し矛盾しやしませんか。
  31. 清井正

    ○政府委員(清井正君) 仮に遡及になりますと、二十トン以上八十トンまでのかたが強制加入になりましたことが。なくなつて来ることになるのじやないかというふうに想像されるのであります。そうなりますというと、一旦きめましても、これは却つて又決議が無効ということになるのじやないかというようなことも当然考えなきやならんというふうに実は考えておるのであります。その他一般的に申しますというと、やはりこれは当然に加入になるのでなくして、四月一日になりましたならば二十トン以上八十トンの方々が、今までと同じような形で加入の手続をするということも必要であるのであります。そういたしますというと、手続にも相当な時間がかかるというようなことがありますし、その間いろいろ問題が起つて参りますので、これは事務の混乱を防ぐためにいま暫らく強制加入の手続は待つたほうがよろしいという実は指導をいたしたのであります。
  32. 小笠原二三男

    ○小笠原二三男君 関連して……。あなたは法律の解釈として遡及施行になる法律規定もあり得るということではなくて、国会の意思によつてはそういうふうになる場合もあると予想せられて通達を出した、これは自分の解釈ではない、国会のそういうふうにもなる場合を予想して手を打つたのだというふうな御答弁に今聞きましたが、そういうことであれば、この法律運用の上からいつてあんたは行政措置として適法な措置をとつたのではない、余計なことをやつた、端的に言えばそう言わざるを得ない、行政措置として適法な範囲を超えています。あんた自身が法律解釈或いは運用の上でとつた措置ではないのですから、国会の意思がそうなつた場合のことを考慮して云々ということだ。併し国会の意思というものは、与党を問わず野党を問わず遡及してこの法律を適用するということはこれはできない。時の予算があるとかないとか、予算案に賛成した者はこの法律は遡及して適用するようにしなければ辻褄が合わん、こういうような論理はどこにもない。この法律の性格上からいつて遡及施行はできない法律なんだ。あんたのとつた、あんたの部下ですか、あんたがとつた行政措置は適法だとお考えですか、その限りにおいて……。
  33. 清井正

    ○政府委員(清井正君) これは私がとりました措置であります。でありますから誰の責任でもありません。私が自分でとつた措置であるのでございます。ただ。只今国会の御意思云々ということを申上げましたが、国会の御意思に転嫁したようなふうにお聞きになつたのかも知れませんが、私はそういうつもりで申上げたのではないのであります。私の申上げた気持は、成るほど御議論があるかも知れませんけれども、法律的に申しますというと、これが遡及して適用されるということもあり得ると私自身実は考えたのであります。(小笠原二三男君「そんならさつき質問している通りに答えりやいい」と述ぶ)従いまして、又国会で予算が御通過になつておるというようなこともあります。衆議院の御意思が四月一日から適用するというようになつておるというようなことも考え、同時に又私が先ほど申上げたように考えておりましたので、今回法律の最後的な決定の御意思があるまで暫らく加入の手続を見合わしたほうがいい、こういう指導の通牒を私の責任において出したのであります。
  34. 小笠原二三男

    ○小笠原二三男君 漁船損害補償法によつて利益を受ける者がある、漁船の損害があることを予想せらるるものが強制加入されて、そのものの損害が補償せられることを目的とした法律の運用にこれが遡及適用になつてその利益を受けることを制限せられる、或いは取上げられる、こういう性格になるような法律を施行し得るとあなたは法律を締めくくつている立場の人としてお考えになつたのだとあれば、さつき私申上げた通り重大だと思うのです。あなたはその所管の責任者として、そういうようなことが立法技術の上でこの法律においてでき得るとお考えになつた根拠を示して頂きたい、それなら……。
  35. 清井正

    ○政府委員(清井正君) 法律上の根拠と申上げましても、ちよつと申上げにくいのでありますが、とにかく今回の事態に即応いたしまして、そういうふうに遡及して適用されるということがあり得ると私は実は考えたのであります。
  36. 小笠原二三男

    ○小笠原二三男君 だからあなたが考えたということはいいんですが、あなただつて行政府におつて、法律をいじくつているかたなんでしよう。そのかたがこの法律は遡及されて適用される場合もあり得るとお考えになれる余地があるなら、そのお考えになれる根拠をお示し願いたい。そういうものができるんですか。仮に例を挙げればはつきりすることですよ。強制加入がきまつておるそれらの人々がどんどん加入するものを、この法律をあとからきめて遡及させて加入したものの利益を守らない。こんな法律が今日の憲法下においてでき得るとあなたがお考えになつておられるとすれば、その根拠をお示しを願いたいというのです。
  37. 清井正

    ○政府委員(清井正君) その点は確かに先ほどもちよつと秋山委員の御質問に対して触れたのでありますが、これは御議論のあるところであると思いますが、私どもの考えましたのは、確かにこれは強制加入になりますというと、半額が保険料負担になるのでありまして、当該加入者にとりましては、いわゆる保険料の半額分だけ非常に経済的な利益があるわけであります。併しながら一方に法律的に申しますと強制加入になるのであります。三分の二以上のかたが発起人となりまして同意いたしまして、それ以外のかたが加入の手続をするということによつて義務加入になるという、やはり法律上は強制加入の建前になつております。強制加入をする代りに二分の一の保険料の負担をするという建前になつておりますということも、この解釈をいたすについての一つの私どものよりどころであつたのでありますが、ともかくにも私どもといたしましては、かかる特殊な事態でありますから、暫らくこの事態のはつきりいたしますまで強制加入の手続をとることを見合わすようにという通牒をいたしたのでありまして、その背後といたしましては、只今のようなことを申上げたのでありますが、それも一つの理由でありまするけれども、とにもかくにもこの特殊事態でありますから、この法律の規定が遡及して適用されることもあり得るのじやないかということを私は考えたのであります。
  38. 小笠原二三男

    ○小笠原二三男君 あなたのおつしやることが、実は私のそういうことができないのだという理由そのものなんです。あなたの理由とした点が私のほうでもそれを理由としてあなたに申上げておるのです。少くとも強制加入によつて加入すべきものを、あなたの通達によつてそれを阻止する何らの強制力もないのです。あなたのは指導的な建前をとつた通牒なんですから、そういうものなんです。そんなものを聞かないといつて入れば入れるのです。加入はできるのです。そういう加入したものに対してその利益が守られないという立法措置を法案改正の場合にとり得るとあなたがお考えになつたということは、どういうわけかということをさつきから尋ねておるのです。その利益を保証する、守つてやるという法律が遡及して保証しないという法律に変り得る、こういうふうにあなたがお考えになつたという根拠をお示し願いたい。
  39. 清井正

    ○政府委員(清井正君) 私が考えましたのは、これは法律的に申しますと、いろいろ実は問題があるところだと思うのでありますけれども、ころいうような特殊な事態における立法でございまして、現にこれは百トンのものまでが強制加入になつておるようであります。私の通牒いたしましたのは指導通牒でありますから、これはこういう通牒にもかかわらず、こういうような措置をとることもこれは形式的にあり得るのであります。併しながら一方私どもといたしましては、これが遡及して適用するということも法律上考えられる、こういうことも私考えましたので、若しもそういうことになりますというと、折角加入をいたしましたものが無効になるということを心配いたしまして、事務的な混乱を防ぐために右申上げたような通牒を出した次第であります。
  40. 小笠原二三男

    ○小笠原二三男君 遡及して適用することもあり得ると考えられたというその考え方そのものが私はもう違法だと、そんなことはあり得ないのだという前提に立つておるのです。ところがあなたはいろいろの議論のあるところだと、こうおつしやつておるから、私はこれ以上申上げませんが、そういうこともあり得るなどというかたが責任者になつて、漁民なりその他を守つてやるのだというようなことでは誠に遺憾だと思う。法律上もそういうことは万が一にもあり得ない性格を持つ法律だとして、あなたたちとしては措置せられなければならない立場のこれは法律ではないかということを私たちとしては主張するところなんです。けれどもこれはあとで政府のこの方面の責任者にお尋ねしますが、ここでは関係がありませんけれども、新入学児童に対する教科書の無償配給の法律ですか、この法案にやはり出て来ておりますが、これにつきましても同じようなケースがある、そのときになつて私は政府側にお尋ねしたいのですが、関連しておりますから一つの例として挙げますが、二月八日付を以て文部省初等中等教育局長から、二十九年度は予算の都合によつて実施せられないことに決定に相成りました、決定いたしましたと断定しておるのです。よつて教育委員会その他は然るべくこれを扱うようにして頂きたいと、こういう通達が出ておる。現行法が厳然として生きておるのに、行政措置として文部省の一公務員が予算の都合上これは実施せられないことに決定いたしたなどという断定的な通達ができるか、あなたの場合にはそうなる見込みというような気持の通達のようですから、まだそれは悪いとしても罪が軽いけれども、文部省あたりのほうはもう決定せられました、予算も何も通りもせん、その二月八日付を以て通達を出しておる、そういう一連のものの考え方は立法府というものを何と考えておるか、又政府はそういう遡及しても法律改正ができるのだという解釈を持つておるというようなことなどは、一連したこれは立法府の軽視と申しますか、立法府に対する挑戦ですよ。そんなことは法律の運用なり或いは法律上の適法な行政措置などとは断じて私は考えられない。あなたの出した通達というのはどういう権限に基いてやつたものなんですか、法律的に解釈してお示し願いたい。本省からそれぞれに通達として出されるものは何によつて何の根拠を以て出すのか、そういう点もお示し願いたい。単なる行政措置でしようか、そうしたら法に基いてやることなんでしようか、あなたにそういう措置をとれということを法が命じていますか。
  41. 清井正

    ○政府委員(清井正君) 只今御質問がありました点でありますが、これは無論法律に基いた措置ではないのでありまして、こういう事態に即応いたしまして、私どもが事務的な混乱を避ける意味において、私の責任においてやりました行政上の指導に過ぎないのであります。
  42. 小笠原二三男

    ○小笠原二三男君 行政上の指導助言ならば、そういうことは立法府との関係においては行過ぎであるとお認めになりませんか。
  43. 清井正

    ○政府委員(清井正君) 行過ぎではないかという御意見でございますが、私は先ほど申上げた通りの趣旨によつて、遡及されることも予想されるというふうに考えましたので、私はこの措置はこの場合においては止むを得ない措置であると考えております。
  44. 小笠原二三男

    ○小笠原二三男君 そういう行政措置を水産庁長官がとるに当つて、農林大臣との関係はどういう関係になつてそういう措置がとられるのですか。
  45. 清井正

    ○政府委員(清井正君) これは私は大臣には御相談申上げなかつたのであります。私の個人の判断で私の責任において通牒いたしたのであります。
  46. 小笠原二三男

    ○小笠原二三男君 それは私個人の判断で私の責任でということは、水産庁長官としての責任において、水産庁長官としての判断においてそういう措置をとつたものですか。
  47. 清井正

    ○政府委員(清井正君) 個人と申上げたのは語弊がありますが、水産庁長官としての判断であります。
  48. 小笠原二三男

    ○小笠原二三男君 混乱が生ずるとか、生じないとかいうことについて、あなたの責任で、あなたの権限でそういう措置をとるということは行過ぎでないとおつしやるのですか。その場合においては、あなたは水産庁長官でなくて、何と申しますか、農林大臣くらいの権限を持つたような形で判断しているのじやないのですか。
  49. 清井正

    ○政府委員(清井正君) これは私の判断だけでやり得ることだと私自身が判断いたしましたので、私の責任においていたしたのであります。
  50. 小笠原二三男

    ○小笠原二三男君 私もうこの人とはこれ以上お話しません。併しこれは私は何と申しますか、言葉の表現が悪いけれども、平たい言葉で申しますと、適切なる措置としては何らか欠陥がある、欠けておるとだけは何としても思います。立法府との関係において、行政府の而もそれが外局の一長官がそういう自己の判断によつて一つの行政措置をせられたということは適法でないと私さつき申しましたが、適法でないということは言い過ぎかも知れません、妥当でないと言つておいたらいいのでございましようが、いずれこれはたびたびあることではないけれども、やり方としては私は何と申しますか、適正でない、そういうふうに主張を飽くまでも申します。この点については私もいろいろ院における法制関係のほうと研究して、私も素人ですから、もう一度一連のものとして、こういう我我から言えば勝手な通達が一個の出先の判断でそれぞれの方面に出されたという問題については、政府の責任のある御答弁を求める措置をとりたいと思う。本日は私はこの問題ではあなたに対しては水かけ論みたいになりますからやめておきます。
  51. 上林忠次

    ○上林忠次君 強制加入の手続をとつて地方では入つておる人があるんではないか。そういうような通達があつても、現行法がこうなつておるから強制加入でやつている船があると思いますが、これに対しては勿論この法律が改訂されることがありましても、遡及は勿論できない、現行法で行くべきだと思いますが、折角長い間準備してこの現行法によつて享受し得る漁船の保有者が、あなたの通達によつてこういうような今年の加入をやめた、やめたために享受し得ない折角法律が守つてくれているこの恩典に浴し得ない、こういうようなことがあなたの行政措置でやられた結果、そういうような損害を受けている、この損害に対してはどういう工合にお考えになりますか、相当な責任があるのではないんですか。現行の法律によつて享受し得べき権利を侵害しているんじやないかと私は考えるのですが、この点に対してどうお考えになりますか。
  52. 清井正

    ○政府委員(清井正君) 権利を侵害しておることになるかどうかにつきましては、ちよつとはつきりもうちよつと検討さして頂かないとわかりませんが、とにかくこれは通達でございまして、若しも法律上所要の手続を経ておるものがありますれば、これはその間につきましては当然もう一遍保険料につきましてもお話を承わらなければならんことは法律ではつきりいたしております。ただ行政上の指導、民間の指導において強制加入になることを予想して実は通達しておつた。それが四月一日以降切り替つて当然加入になるように手続きしようとしたところが、こういう通牒が来たので、ちよつと暫らく待つてくれということになるわけでありますが、果してそれが具体的なこれは法律上の損害に該当するかどうか、この問題につきましては、私ども具体的な問題に当つて見ませんと、ちよつとはつきりお答え申上げかねるのでありまして、どうしても若し国が負担しなければならんというような、これは賠償義務がありますれば、そのときに又大蔵省と相談してみたいと思います。
  53. 上林忠次

    ○上林忠次君 重大問題と思いますが、すでに加入しておる問題を超えて、加入せんとしておるものを通牒によつてインターフエヤーしておる。加入できなかつた。折角今認められておる享受し得べき法律があるのですから、それを通牒で放棄しておるのじやないか、個人の自由意思を妨害しておるのじやないか、これに対してどういうふうな責任を感ずるか。普通ならば皆加入したのだというのを一片の通牒によつてやめた、これは大きな水産庁の責任があるのじやないかと考えますが。
  54. 清井正

    ○政府委員(清井正君) 確かにそういうことは現実問題としてはあると思いますが、率直に言つて、私どもも四月一日から百トン以上は強制加入になるものだということで規定いたしたのでありますが、ところがこういう事態になりまして、それが予期に反しまして、前々から四月一日から強制加入になる、従つて半額国庫負担になり得るであろうという予想の下に任意加入しておつたところの二十トン以上百トン未満の漁船につきましては、それが相当各地にはあるということも私ども聞いております。事実そういうことがあるだろうと思うのであります。そういう方々がその通牒が出なければ、義務加入の手続きとして当然二分の一国庫負担が得られるだろうが、国の通牒が出たために暫らくストツプされておるということによつて損害を受けたものでありますということになるわけでありますが、その点は私どもといたしましても、そういうようなことは予想はいたしておつたのでありますが、先ほど来しばしばお答え申上げました通り、これはこういうような法律が出ます特殊事態に即応いたしまして、一方に予算もああいうように確定をいたしておるというようなことがありましたので、一般的にこういう義務を負わせることによつて、却つてあとから関係者のかたがたに迷惑をかけるようなことがあつては相成らんという一念から、事務的な取扱いといたしましては変つた措置をいたしたのであります。従いまして、このことによりまして、関係者のかたがたが或いは損害を受けたのじやないかというように相成るのかもわかりませんが、果してそれが法律上の損害になり得るかどうかということにつきましても、私ども今ここではつきり御返事ができないのでありますが、この点につきましては、もう少し私どもといたしましても考えさして頂きたいと、こう思います。
  55. 小笠原二三男

    ○小笠原二三男君 議事進行として………。私はあなたは自分のとつた措置は妥当である、行き過ぎではないと突つ張られるから、それなら水かけ論になるからこの次に一つ仕上げをしてやろうと思つたのですが、今の答弁は確かにそう言われれば責任があると考えます。ただ私の一念からこうこうこういう理由から出たところである、こういう話なんです。責任があるということはあなたのとつた措置が全く正しいものだと言い切れないということなんです。私に対する答弁と食い違いがある。私の行き過ぎだとか、行き過ぎでないとかいうことは、要するに義務加入として義務付けられた、反対給付としては与えられた権利なんです。それが損害を補償せいとか、何とかいうことは、加入をしていないのにそういうことが行政訴訟の上でできるかどうかということは、我々も疑問があるし、損害補償なんということが適法に行われるかどうかそんなことは考えません。私自身は併し加入しておつたならば利益を受けられるものが、一片の行政措置によつてその利益を受けられない事態も起り得る、そういう可能性についてはあなたも否定できない。そういう意味合において私はあなたのとつた行政措置というものは適切でない、妥当でなかつたのではないかということを申上げておるのに、あなたは、いやそういう考えも、私の考えも成り立つし、妥当である、適切である、こういうことなんです。そんなことを廻り廻つて何度言われてもさつぱりあなたの真意がわからん。で、これ以上私申上げると言葉が何と申しますか、適切でない表現になると思われますのであれですが、こういうような答弁をされてこんな委員会の審議はできませんよ。委員長、もう少し水産庁長官としても御研究になつて、今の御答弁の中にあつたように、答弁を暫時待たせて頂きたいというような部分もございましたが、研究して頂いてから答弁して頂くようにお願いしたい。これは単に漁船損害補償法というようなものにかかわらず、一般的な例として重要な問題なんです。時間も時間ですから、委員長において適宜な措置をとられるようにお願いします。
  56. 清井正

    ○政府委員(清井正君) 私が申上げましたのは、これは今まで水産庁で指導をしておつたことが、この際違つたようなふうに指導されておるということで、関係のかたがたに非常に迷惑をかけておるということに対して、誠にその点は同感に感ずる部分があるということを申上げたのでありまして、私が先ほど小笠原委員に対してお答え申上げた気持は変らないのであります。ただ現実に今まで当然四月になりますと、強制加入になるだろうというような予想をいたしまして、業界のかたも指導し、又漁船の業者もそういう予想の下に今まで進んで参つた。それが四月一日になつてから思うように行かなくなつたということに対しましては、又関係者の方々に対しては甚だお気の毒であるということを、私はそういう意味で表現をいたしたのでありまして、私が考えておることがあやふやである。こういう意味で私が申上げたのでありませんから、その点は一つ御了承願いたいと思います。
  57. 小笠原二三男

    ○小笠原二三男君 右と言えば左と言い、あなたは牛若丸の生れ変りかもわからんですけれども、ちつとも何を言つておるのかわからん。事の根源は、農林大臣はどう御答弁になつたか知らんけれども、現行法は現行法としてそれに基いて予算措置をし、法律は法律として改正案を出して、法律修正に伴つて予算に計上せられているものの不用分が出たら不用分は保留する。そういうような措置をとれば何らこれは問題にならないし、あなたもそういう行政措置をとる必要はなかつた、多分私は農林当局としてはそういう意向が強かつたのではないかと思う。それが裏腹に、予算はこうする。従つて辻棲を合せて法律案はこう絶対しなければならん。一つの法律案の改正をすることを前提として予算ができて来ておる。その予算が通過はしたが、法律案のほうでどうなるかという問題になつて、その行政措置が結果として適切であるとか、ないとかいう論議になつて来たわけなんです。だから根源に立至るならば、予算と結んだこの法案の仕方、一連のこのやり方に政府として問題があり、責任があるはずなんです。それを単に一長官の責任として行政措置をせざるを得なかつた。結果としては何とかの、私適切な表現を知りませんが、前後の食い違いから、あなたのとつた措置が適切であつたと思われるものが適切でないという状態を生み出すに至つた。そういう点についてあなたがはつきりと明快な御答弁があれば我々としても了承するのにやぶさかでない。然るに前提になつておるような点は全部自分たちの適正なものだと認め、そうしてでき上つて来たこの食い違つておる部分もこれは妥当である、適切であるとし、又被害を受けるものがあることの考慮如何と言えば、それについては責任を感ずると言い、責任を感ずるというならば、そういう措置をとつたことについて適切妥当と言えないのじやないかと言えば、その点については、先ほどから小笠原委員に御答弁した通りだと言うのですから、それは適切だと言う。あなた何を言つておるのかわからん。根本のこういう論議になつた原因というものはどこにあるとお考えですか、あなたが適切だとお考えになつておるならば、それは時間的な経過から食い違つただけなんであつて、根本はその食い違いが出て来たということは、法案と予算案の提出の仕方そのものにあるとあなたはお考えになりませんか。そういうことをあなたに聞くことはこれは適切でないと思うから私は黙つておつたのですけれども、これは政府の責任者に質すことだと思つて聞いておつたのですけれども、あなたはどうお考えになるのですか。この質問をすれば又長くなるので、先は議事進行を言うたのですから、一つ意見としてだけ聞いて頂いて、委員長が適切な措置をとつて頂きたい。
  58. 秋山俊一郎

    ○秋山俊一郎君 長官は今日でもこの法案が遡及されると考えておられますか。
  59. 清井正

    ○政府委員(清井正君) されるということははつきり私が確信しているわけではないのでありまして、そういうこともあり得ると私は思います。
  60. 秋山俊一郎

    ○秋山俊一郎君 そうすると、この通牒は今でもお取消しになる、或いは停止するお考えはございませんか。
  61. 清井正

    ○政府委員(清井正君) 私はこれを取消又は停止する考えは持つておりません。
  62. 三橋八次郎

    ○三橋八次郎君 今通牒の問題が大変問題になつておりますが、その通牒を一つ資料として委員会に御提出願いたいと思います。
  63. 千田正

    ○千田正君 さつき農林大臣に質問したのですが、途中から水産庁長官が代つて答弁して、関連質問が今まで長くなつたのですが、農林大臣は今お聞き及びの通り、この問題は非常に重大な問題なんです。というのは、いわゆる当初考えた頃は、恐らくこの前の政府の提案理由の説明のうちに、十六条はまだ実施されないのだから影響するところが少いだろうというので、この臨時特例法案に政府は盛つたはずだ。ところか現実においてはそのような煩雑ないわゆる利益を享受すべき漁民が、この法律がこのようになつている関係上非常な不都合と迷惑を受けているわけです。農林大臣としましては、今まで皆さんの質問の内容をお聞きになつておるでしようが、一体この法案が適当な法案だと思つておられるかどうか。この法案の内容の中に盛られておるところのいろいろな問題はそう簡単な問題じやないと我々は思いますが、一体現在に至つては、この問題については農林大臣はどう考えておられますか、最初からちつとも変りないと……。
  64. 保利茂

    ○国務大臣(保利茂君) 私は冒頭に申上げました通りの考えでございますから、今になつてこれが適当でないとかいうことを繰返すようなことは改めて申上げるということは、法案を提出いたした責任ある政府の一員として申上げることは私としては御遠慮いたしたい。併しながら提案に至る経過につきましては、冒頭申上げましたところで御了承頂きたいと思います。先刻来の御質疑につきましては、これは私も水産庁長官から処置をいたしたあとで、こういう取りあえず処置をいたしたという報告を受けまして、それは結構でしたということを言つて、その通達を承認をいたしております。と申しますのは、これはもう初めからこの法案は相当に衆参両院で問題になり、特にこれはそこらは少しえらい失言になるかと存じますけれども、私といたしましては、この法案に盛り込まれている農林漁業関係の助成金、補助金を引下げるということに対しては、今日の農林漁業の実態からいたしまして、進んでみずからが責任を以て、みずからの提案として出すという勇気はもとよりないのみならず、いずれも必要な助成措置であるという考え、従つてこの法案が通過する、成立するというためにはよほど財政当局者が熱心でない限りはなかなか通るものじやないということは、そういうことを私はこの席で申上げるということは非常に失言であろうかと存じまけれども、そういうふうに考えております。然るに先ほどお話のような、まるで我々が熱心でないから、こういう法案が出たのだというようなことを言われるに至つては、これは私としては実に奇怪千万と申上げざるを得ない。従つてこういう法案の提案の形式からいたしましても、一連のまとまつたこういう異常の取扱いとして出ておりますゆえんも、そういう沿革から私は出ておると了解をいたしておるわけであります。併しながら、すでに私どもとして今日の予算のあり方からして、又国の財政力からいたしまして、できるだけ各面に亘つて公平な財政緊縮を図つて行くということの必要は、これはもう当然考えなければならないわけでありますから、私どもとしましても、協力のできる最大限という意味においてこの承認をいたしたわけであります。それで果して衆議院においても非常に難航し、論議が集中しましたけれども、結局こういうふうな修正を受けて通過をいたして、当院に回付された予算も、この法案の立て方は大いに問題がありますけれども、この法案に副つて現に執行をせられておる予算も編成せられており、そこで水産庁長官としても、私といたしましても、国民の受くる法律上の保障というもの、これは何人も侵すことはできないわけでございますが、併しすでにこの法案が衆議院で通つて来て、相当問題が当院においてもこれはあるべきが当然であるが、何とか成立はするように我々も努力しなければならん、そう長い日たちを要しないでも行くのではなかろうかというような見込を立てますのも、これもまあ御了解を頂きたいと思うわけであります。この間に処して、四月一日から施行すべき現行法が施行しないという建前の言わば改正法律案とそれに伴う予算を出しておつて、併しこの法案の見通しが我々にとつて望まざる方向に行くということになれば、これは別個の問題でございますけれども、これは相当大事な問題ですから議論は相当ありましようけれども、いずれその結論は参議院におかれてもお付けになる、その間において現行法に基いて強制加入はさした、直ぐこれがやめになつたというようなことで、関係者に又非常な迷惑をかけるというようなことは、行政当局者として、これは事前に図り得る限りにおいては、できるだけ関係者に迷惑の少くなるようにということで処置をいたしたわけでございまして、そのほかには何らの他意はございません。併しながら私も素人でございますから、法律上の効力の問題等につきましては、これは差控えますけれども、法律により保障せられているところの国民の権益というものは、これは侵してならん、侵さるべきものでないということは当然のことだと思います。従いまして今日はすでに四月二十日に及んでおりますれば、相当善後措置について慎重に考慮をしなければならん、こういうふうに考えております。
  65. 千田正

    ○千田正君 そこで当然あなた方としては通るであろうという仮定の下に、手続上、老婆心を以てこういうものを出しておるということなんでしようが、実際においていろいろな問題が起きて来て、当然受くべき国民の享受が受け得なかつたという問題が起きて来る虞れも又一方にある、それに対しては十分考えなければならない、そういうことに対する農林省の水産当局としては十分何らかの用意があるのですか。例えばそういう問題が現実に発生して来た場合において、予備金から支出するとか、或いは何らかの方法によつて二十トン以上の問題を解決するような案があるのですか。衆議院としては附帯決議で何とかしろと言つていますけれども、現実において何か立案してあるものがあるのですか、その点はどうですか。
  66. 清井正

    ○政府委員(清井正君) 只今の点につきましては、まだ大蔵事務当局と別段具体的な打合せをしていないのでございます。ただ問題といたしまして、この法律が片方は施行になつており、片方においてこういつた事態が起つておるということにおいて、その間において何らか予算措置をしなければならんという問題が起りますれば、当然これは我々は事務局において出すべきものは出さなければならんと思いますが、要するにこの経過においてのいろいろな具体的な事態に即しまして、適当に考慮をしなければならんというふうに考えております。
  67. 松永義雄

    ○委員長(松永義雄君) 先ほどの三橋委員の要求の資料、通達ですが、あれを一つ提出されることをお願いします。
  68. 小笠原二三男

    ○小笠原二三男君 農林大臣は、国民の享有すべき保障というのは如何なる形でも侵害することができないとおつしやいましたが、私たちその点御尤もだと思います。そうしますと、その表現はこの法の建前から言つて遡及して適用はできるという御認定になつておると思うので、水産庁長官のお考えとは食違つておる、この点は如何でしよう。
  69. 保利茂

    ○国務大臣(保利茂君) 小笠原委員の先ほど来の水産庁長官に対する御質問はよく伺つておりましたが、これは権利の場合も義務の場合もあると思います。いずれといえども同じだと思いますが、この法案が遡及するか、遡及しないかという……、遡及せられる措置をとられるのか、とられないのか、これは私どもの判断の外であろうと思います。これは国会においてどういうふうな措置をおとり頂けるか、これは国会の御措置を待つほかはないわけでございますが、水産庁長官が申しておりますのは、どの場合ということを私も一一具体的に申上げませんけれども、四月一日から実施ということで出した法案が四月一日過ぎて議決せられる場合に、この法律は四月一日から施行するという事例は今日までたくさん作られていると、たくさんということは誤弊でございますが、私はしばしばあつたように記憶をいたします。従つて予算も四月一日から措置をとつておりまするし、政府としては四月一日からこういう措置をとつて行きたい、衆議院においてもそういう措置を……、いろいろ附帯決議その他ございますけれども、修正の結果修正せられる際には四月一日の施行を予想しておきめ頂いている、そういうわけでございますからして、参議院におかれて万に一つ遡及措置をおとりにならないということはまだ断定しがたい、こういう意味におとり頂ければよろしかろうと存じておるわけでございます。
  70. 戸叶武

    ○戸叶武君 この問題は簡単な問題でなくて、あとでやはり前例を作る問題だから、各委員からやはり慎重な態度で検討いたされているのだと思いますが、法律案がともかく通過して、而も予算の裏付けが完成されないうちに、それを闇に流すというような形、これは丁度子供が生れて来て、それにお乳も餌もやらずに、それをともかく餓死させると同じような形で、これは人間関係においては人道上における殺人行為になるので、この例が一番適切にわかると思うのですが、いやしくも法律案と予算案の関連性においてこういう前例を作られると、問題がやはり複雑にして深刻になると思うのです。私は昨年の国会の救農国会と言われる時分から、大蔵大臣に対して特に追及していた点はこの問題なんですが、予算案の発案権なり、提出権の問題、それから法律案の発案権なり、提出権の問題というようなものを政府側じや非常にごつちやにしているので、この新憲法における解釈というものは、事実上非常にむずかしい問題になつているのでありますが、イギリス憲法とアメリカ憲法とがごつちやに入つて来た、この混血児的性格が若干あるところの日本人の憲法解釈というところに非常に昏迷が出て来ているのですけれども、この問題に対して政府が統一的に研究して行かなければいけないと思うのです。少くとも政府は予算案の発案権と提出権に対してはアブソリユートな一つの責任感というものを持たなければならないのでありまして、而も国会において我々が審議し修正する権限を持つておりまするけれども、その我々の国会におけるところの修正に政府が応じたときにおいては、それに同意したものと認めなければならないので、それがイギリス憲法の中においてでも、イギリス憲法においては増額修正ができないのでありますが、国会において予算案を削減した場合においても、その政府の同意というものが責任内閣制におけるところの重点なのです。閣議を開いて三党から出した修正予算案でも何でもそれを呑んだというときに、もう政府は万端の態勢を整えて慎重な態勢でそれを呑まなければならないのであり、そういうようなときにおいてでも、政府がその修正は国会の意思によつてなされたものだから、自分たちの責任ではないというようなことを言つて去年の、とにかく参議院においても修正者の代表としての三浦一雄君に説明させようとしたようなでたらめな面というものが出て来るのは、そういうところにあるのです。国会はとにかく審議権を持つて、修正権を持つておりまするけれども、修正に応じたときには政府に、同意を与えた政府においてそれは責任というものが移つておるべきであつて、国会が予算審議に対して絶対権を持つているからと言つて、修正に応じた場合においては政府にすでに責任というものは一貫して流れておるのですが、そういう点がいつでもあいまいになつておる、今度の場合においても、一兆円の予算に緊縮しなければならないというこの絶対要請というようなものを、とにかく池田、ロバートソン会談以来政府は背負い込んで来ておると思う。それがために大蔵省のほうからぶつた切つてしまつて、そうしてこうこうこういう形でやれと言つても、そういう或る絶対要請を受けましてこれをやつて来たので気の毒な面があり、特に私ら今まで保利さんのことばかり随分非難しておりましたが、成るほどいろいろだんだん聞いてみると、保利さんは相当努力してみたんだが、これはどうしようもないところにまで農林省が押込められて来て、だけれども、それを受けたときにはすでに農林省が責任があるので、政府自身がもつと予算案の問題、法律案の問題、それから新憲法に対するところの解釈、それから立法府と行政府との関係、こういう関係を統一的にまとめて来て、ここで以ていろいろ説明しないと、今の水産庁の長官のような非常な使わなくてもいいような二枚舌、三枚舌を使わなければならないことになると思うのです。水産庁長官が悪いのでなくて、根本がはつきりしていないのであつて、この問題はやはり我々が個々の問題として具体的に政府が出したものだから、これは検討を加えていますけれども、最後にやはりぶち当る問題はこの問題だと思うのです。それが今のようなやたらに時間をつぶして答弁さえしていればいいといつても、これは時間を無駄につぶすだけであつて、而も悪慣例を今回これで以て残して行くと、将来こういうことがやたらになされて、而も行政府というものが立法府を無視して、一片のこの水産庁長官の通達なるものによつて法律は破壊されておるというような形においては、立法府の権威というものは保てなくなるのです。そこで行政府と立法府とのここに対立が来たので、ここらで少し水を入れて、しつかりこの行政府のほうでも頭を冷やしてから、理念統一をやつてここに出て来なければ、このままで行けば正面衝突になる危険性があるから、その辺をどうぞ衆智を集めてまとめた見解を出し、そうしてここに臨んで説明をしてくれないと、だんだんこんがらかつて来るばかりで、枝葉の道へ入つて私はとめどがなくなると思うのでありますが、それに対して政府側の御見解を承わりたい。
  71. 保利茂

    ○国務大臣(保利茂君) 頭を冷やすまでもなく、(笑声)先ほどからの御論議の課題になりましたのは、水産庁長官から出しました通達の問題、これはすんなり考えて頂きますれば、相当問題のある法律案ではあるが、併し一面予算措置はこの法律案に即応して予算措置をとつてある。その予算は成立しておる。それから衆議院においても相当論議はありましたけれども、ともかく修正可決になつて当院に回付されておる。当院で相当の審議に時日を要するであろうことは何人も考えますけれども、併しながら、先ずそういうふうな経過からいたしまして、何とかの結着は当院において付けて頂けるだろう、その間において行政当局者として関係者に迷惑をかけて加入させた、それはすぐ取消さなければならん。或いは失効するというようなことになることは、これは関係者に対していやが上にも迷惑をかけて行くことになるから、どうかできるだけ迷惑をかけることが少いようにという配慮から、こういう措置をとつたのでありまして、この措置は私は行政当局者としては或る場合には当然やらなければならん措置ではないか、それが当否はこれはもういろいろ御意見があろうかと存じますけれども、私といたしましては、この措置をとつたことが先走つておるというようには私は考えていないわけであります。
  72. 小笠原二三男

    ○小笠原二三男君 いずれ、さつきから扱いをお願いしておるのですから、委員長のほうで……。
  73. 松永義雄

    ○委員長(松永義雄君) ちよつと速記を止めて下さい。    〔速記中止〕
  74. 松永義雄

    ○委員長(松永義雄君) 速記を始めて下さい。  本日はこれを以て散会いたします。    午後四時五十九分散会