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1954-04-27 第19回国会 参議院 文部委員会 30号 公式Web版

  1. 昭和二十九年四月二十七日(火曜日)    午前十時三十九分開会   ―――――――――――――  出席者は左の通り。    委員長     川村 松助君    理事            剱木 亨弘君            加賀山之雄君            荒木正三郎君            相馬 助治君    委員            雨森 常夫君            木村 守江君            田中 啓一君            高橋  衛君            中川 幸平君            吉田 萬次君            中山 福藏君            岡  三郎君            高田なほ子君            永井純一郎君            松原 一彦君            長谷部ひろ君            須藤 五郎君            野本 品吉君   国務大臣    文 部 大 臣 大達 茂雄君   政府委員    文部政務次官  福井  勇君    文部省初等中等    教育局長    緒方 信一君   事務局側    常任委員会専門    員       竹内 敏夫君    常任委員会専門    員       工樂 英司君   ―――――――――――――   本日の会議に付した事件 ○義務教育学校における教育の政治  的中立の確保に関する法律案(内閣  提出、衆議院送付) ○教育公務員特例法の一部を改正する  法律案(内閣提出、衆議院送付)   ―――――――――――――
  2. 川村松助

    ○委員長(川村松助君) 只今から文部委員会を開会いたします。  教育公務員特例法の一部を改正する法律案、義務教育学校における教育の政治的中立の確保に関する法律案を議題といたします。
  3. 岡三郎

    ○岡三郎君 私お願いがあるんですが、よろしうございますか。この前偏向事例三例の報告を至急調査して、そうして白か黒か明確にしてもらいたいということをお願いしておいたわけであります。その後大分日にちが経つておりまするので、御存じのことと思いまするが、高知の事例、岐阜の恵那の事例、或いはもう一例があると思うのですが、これは一関の事例ですか、この点についてその後どうなつているか、いろいろ審議も進んで来ておるので、これについて一つ中間報告なりしてもらつて、審議に間に合うようにして頂くという約束であつたので、その経過を御報告願いたいと思います。
  4. 川村松助

    ○委員長(川村松助君) それじや報告して下さい。
  5. 緒方信一

    ○政府委員(緒方信一君) 只今調査中でございます。周密に調査する必要がございますので、十分計画を慎重に立てまして只今調査をいたしておる次第であります。
  6. 岡三郎

    ○岡三郎君 私がこの前に言つたように、三つの事例ですからね、精力的にやつて頂ければ或る程度まで審議中に間に合うのじやないかということで、一応あの問題は伏せて来た。今緊急に調査中であるということについて、その点は多とするわけですがね、もう少し具体的に見通しなり、そういつた点について、一応本員が願つておるところは、急速にこの結果をやつぱり委員会に出してもらいたいという点にあるわけなんです。もう少し一つどういうふうにやつて行くのかということを一つ御報告願いたいと思います。
  7. 大達茂雄

    国務大臣(大達茂雄君) 只今初中局長から申上げましたように、その事例につきましては今調査をいたしております。それがために文部省の職員が出張もしております。その報告等まだまとまつてはおりませんが、併しこの前申上げましたように、そういうような御希望であつたと思いますが、当時私から申上げました意味は、仮に事実無根であるとした場合に、それが現地の方面にいろいろ御迷惑をかけるということがあつては甚だ不本意でありますから、その点慎重な調査をして、若しそれによつて仮に事実無根であるということが、私どもがさような認識に到達すれば訂正をするなり、その他適当な方法を講じたい。それがためには誠意をもつて調査をいたしたい。ただ果して的確な調査をして満足するような仮に事実があると考えられる場合であつても、或いは事実がなかつたというふうな結論に達する場合でありましても、十分適当な有効な調査が果してなし得るかどうかという点についても、当時申上げたように自信がない、併し現地に迷惑をかけるということがあつては甚だ不本意であるから、その点誠意をもつて調査をしたいという意味に申上げてありますと、私は思つております。従つてこの法案の御審議にその結果を報告をして、御審議に間に合うようにという考え方では私としてはなく、その点は速記録、当時私が申上げたのは明瞭にその意味で申上げたのでありますから、日を切つて、いつまでには結論を持つて報告をするという意味で調査をするというふうに申上げたのではないつもりでありますから、併し御審議の間において三カ所全部でなくても、一カ所についてでも事実があるとかないとか。私どもの大体真相に触れたと考えられる結果が出ますればこれは無論御報告を申上げます。併しこの審議と関連をしてというつもりでなかつたことは当時はつきり申上げてあります。というのは、これが誰か出張すれば一日でわかるという性質のものならばこれは簡単なものであります。併し現に証人として宣誓の上でこの委員会において証言をされる場合にも、同じ問題についてそういう事実がなかつたという人もあるし、あつたという人もある。そういうわけでありますから、そう有効なはつきりした私ども確信を打つての結果を御報告するということは簡単には私どもとしては約束ができない。その点はその意味で申上げてあつたと思いますから、これは私どもは誠意をもつて調査するつもりであります。それは現地にいわれのない御迷惑をかけたという点が若しあるとすれば、これは申訳ないことでありますから、さような意味で決していい加減な調査はしないつもりであります。そういう意味に御了承願つて頂きたいと思います。
  8. 岡三郎

    ○岡三郎君 この問題で私は時間を取ろうとは思わないのでありますが、文部大臣の言つている点も或る程度了承できるわけですが、併しあの当時の速記録も私よく読んでおります。大臣の御答弁も今言つたような御答弁であつたかとも思うのであります。ただ問題は余りあの問題で時間を取るのはどうかという点で、杉山委員の一応妥協点と申しますか、事例の調査をする、そこでまあ劔木さんもこの点についてはお述べになつて火急的に調査をする、そうしてでき得る限度にという言葉がありますが、できる限りこの審議に間に合うようにしてもらいたいということで一応問題は伏せたわけでございます。それですから今言つたように、私どものほうとしては飽くまでもやはり本法案審議にこの事例というもの、偏向教育の実態というものが相当いろいろ関連性があるという立場で調査を願いたいという点が一点と、もう一点はそのような事例によつて現場の教育というものが相当困難を来し、或いは非常にみんな暗い気持になつている、こういうふうな教育の問題としてこの調査というものも重要であるという二つの点からよつて来たと思うのであります。それで今言うように係り官を発して簡単に調査できないかもわかりませんけれども、今大臣が言つたような証人が対立した意見を述べた事例ではなくて、出席した証人が全部宣誓をして、全部の証人がその事実はないというふうな事例のみに私は限定してお願いしたと思うんです。そういうわけですから一応証人喚問の段階においてはこれは白である、で、当事者の文部省当局は、いや、これは事実無根のことではないのだと飽くまでも言い張つておられるので、それでは出所を調査方法を御明示願いたいと言つても御明示にならない、私のほうとしては当事者である文部省当局はやはりこれらに対して責任を持つてやられる必要がある、それはこの法案についてはどの証人どの公聴会の公述人でも実体として余りいい法案ではないのだ、実際この法案は余りいい法案じやないのだ、併しこういうふうな偏向事態があつたから云々というような点が殆んどたと思うのであります。そこで文部省のほうとしても、その具体例としてお出しになつた偏向教育の事例、これについて明確に全部の証人がそうでないという事実については、我々のほうとしては根掘り葉堀りして何かかんかやらなければこれの白黒ができないというのじやなくして、私は現状の程度においてもこの事例についてはお取下げ願つたほうがいいのじやないか、余り混乱したり無理押ししたりということじやなくて、一応現状の程度では取下げたほうがいいんじやないかということを言つて来たわけなんです。それでもなお大臣はそうじやないんだ、これは確かな根拠があるんだ、こう言つていつまでも解決がつかないで来ているわけなんです。そういう点で今言つたようなお答えだというと、本法案審議中に事例についての調査の報告がなされない公算が随分多いようですが、この点については是非とも間に合うように一つ御調査報告を願いたい。それから今言つたように、一例でも二例でもと言いますか、わかつたところから順次やられても私は結構だと思います。余り私のほうとしても無理押しをしない、無理押しをしないけれども、これは対立している点で、やはり当事者としての文部省としてはそれに対する一応の報告をされる義務が私はあるんじやないか、こういうふうに思つておりまするので、一つ審議中にお願いしたい、こう思います。
  9. 大達茂雄

    国務大臣(大達茂雄君) 私どもとしましては決して調査を回避するという気持はありません。私は誠意をもつて調査するということを申上げたのでありますからして、その点はどうぞ御信用を頂きたい。私は決していい加減なことを皆様がたに申上げるようなことはしないつもりであります。ただ何と言いますか、その合場に私どもが見て成るほどこれは間違つておつたとか、或いは逆に証人はそういうことを言われるが、どうしてもこれはあつたと考える、こういう結論が果して得られるかどうかということは、これはまあ調査の方法としては非常に限定をされておりますししますから、そこに自信を以て必ず何らかの私どもの結論に達するような満足する調査をして御報告を申上げる、こういうことは実はお請合いができないのであります。成るほど証人がそういうことを証言されたのでありますから、一応これはその限りにおいては信用するのが当り前でありますが、併し証人の証言でも自分はそういうことを聞いたことがないとか、自分は承知しておらんということであれば、これはつまりないという証言ではない、又宣誓をすれば必ずまあ決して嘘を言われるということは私は申上げませんけれども、併し同じ問題についてもやはりあつたという人とないという人がある、だとすれば証人の宣を害して言われることは絶対に間違いがないんだというふうに簡単に考えることも私はできないんじやないかと思う。たまたま三つの議については少くとも呼ばれた証人のかたは、ない、若しくは知らない、ということを言われた、併しだからしてあの三つだけはもう白ときまつたというふうには、私どもはそういう論理にはならんと思う。つまりほかの場合にはいずれかの証人が嘘を言つておるということになりかねない。他の対立した場合はそういうふうには私は嘘を言うとか、必ず本当であるとかいうふうには簡単には言えないのであつて、要するにお互いの判断で、これはどうもあつたと思われるとか、やはりこれはなかつたと思われる、こういう結果に基くので、嘘を言つておるとか、本当を言つておるとかいう問題ではないと私は思うのであります。それがまじめな調査である、こういうふうに思います。現にあの三つの場合につきましても、その人が証言をして、そうして帰られた。地元に帰つてその証言の内容が地元の新聞に出た、この場合に直ちにそれに対する地元の新聞に投書があつて嘘を言つておる。はつきりあるべき、あつた事実を宣誓をしておきながら虚偽のことを言つておる、甚だけしからんというようなことが、ちやんと署名をして地元の新聞に投書して来ているような事実があります。ただ私は決して嘘を言つておるとかいう人を傷つけるようなことを申しませんが、やはりそれぞれの立場もあるし、又その人が記憶しないという問題もありますし、それから事実その人は誰もそんなことは聞いたことはない、聞いたことはないということは、これは証言を回避したことがあると私は思う。ないと断定したのではないのであります。自分に知らない、こういう証言はないのだという断定をした証言とは思わない。でありますからして、これは人の名誉にも関することであり、従つてそう軽々に私は文部省が調べた結果、こうだ、ああだということをそう簡単に言う筋合いのものではないと私は思います。でありますからして、私は決してここではつきり申上げたのでありまするからして調査は慎重にいたしたい。又その結果私どもがこう思う、ああ思うという判断に達すればそれは御報告を申上げます。で、御報告を申上げた場合には、これは絶対に真実であるというふうに委員会で言い張るという気持はない。私どもの調査の限りにおいての結果を申上げて、これはその審議についてはやはりそれぞれの御判断に待つほかはない。こういうふうに思いますので、どうぞそういうふうに御了承頂きたい。できるだけ、できることならばこの委員会にも御報告を申上げますが、さればといつて今のようにそういう性質のものでありますから必ず報告いたしますということは、ここでお約束を申上げるということは、事の性質上私はできない。ただ誠意を持つて調査をしますということだけは、はつきり申上げます。
  10. 相馬助治

    ○相馬助治君 文部大臣の、只今の問題は軽々に調査の結果を本委員会に報告すべきでない。これは一応話の筋が通つていますが、それならばなぜ偏向教育の事例なるものを軽々しく出したかという混ぜつ返しの議論になると思うのです。なぜかというと現在議題になつている二つの法律案の提出した一つの根拠をなしたものは偏向教育の事例がある乃至はその虞れがある、かようなことですから、これは岡委員の今の御要求の通り、是非ともこの会期中にこの法案が議了する以前にお出しになる政治的責任があると思うので、そのことを私も岡委員に同調して要求しておきます。  次に私はこの二法案に連関して文部大臣に是非とも質しておきたいことがございます。現在文部省から出しておりまする法案において、文部大臣がいわゆる重要法案と心得るものはどれとどれか。又今期国会中に本院に提出を予定している法律案があと何件あるか。先ずこの点を質します。
  11. 大達茂雄

    国務大臣(大達茂雄君) どれとどれが重要であるかというお尋ねでありますが、これは文部省関係でありますか。
  12. 相馬助治

    ○相馬助治君 文部省関係です。
  13. 大達茂雄

    国務大臣(大達茂雄君) 文部省の関係におきましては国会に提出します法律案は皆重要であると思つております。ただ事柄の性質上つまり教育の基本に関する問題でもあり、又世間の重要な議論にもなつております。従つてこの只今の二法案、これは文部省関係においては最も重大な法律案と考えております。
  14. 相馬助治

    ○相馬助治君 そのあとどんな法律案が出るか。
  15. 大達茂雄

    国務大臣(大達茂雄君) あと今衆議院で御審議願つておりますものはへき地教育振興法案、それから盲ろう学校の就学奨励に関係する法律案、それから学校給食法案、それから文化財保護に関係する法律案、それから免許法の改正法律案、これだけが出ております。その他これはまああまり……。これらのものはみんな重要なものと私は考えております。これは今衆議院の文部委員会で御審議を願つております。このほかにはまあ、もう大体これで今度の国会に出すものはないと思いますが、ただ一つこれはあんまり重要でないものですが、これは事務の法文の整理に関係するものが一つまだあります。
  16. 相馬助治

    ○相馬助治君 只今の文部大臣のお話では、国会に出す法律案はいずれも重要である、それは御尤もで、私もさようなことは十分承知しておりますが、御案内のように先般法務大臣が検察庁法十四条を適用して佐藤幹事長逮捕の手続を承諾しなかつた、あの理由の中の一つに国会における重要法案の審議に鑑みて佐藤幹事長逮捕することを承諾できない、こういうことが書いてあるわけです。そこでこれはたびたび議論されましたように、重要法案の審議に鑑み云々ということは、政府が決定する問題でなくて、立法府にある我々が、即ち国会がその意思を決定すべき筋のものであるという建前から、本院においては多数を以て先に決定された警告案が出たわけです。それに対して最近は政府自身が検察庁法十四条の取消しをするというようなことをせずに、依然として重要法案を通すためにこの指揮権の発動は異例ではあるが違法ではないとして強弁して今日に至り、参議院の意思を無視しておりますが、この理由となつておりまする重要法案の審議云々の中に只今議題となつておりまする二法案は入るものと了承すべきでありまするか、或いは然らずか、この点を明解に一つお示しを願いたいと思う。
  17. 大達茂雄

    国務大臣(大達茂雄君) 法務大臣がその所管の事務としてその法務大臣の管轄しておられるところの検察庁に対しての指揮、これはまあ法務大臣の法務省としての行政事務、法律的には行政事務だと思います。従つてこれは私ども同僚の閣僚といたしましてもその点はどういう理由で、又どういう事実に対して指揮をされたか、その点は私どもとしてはこれは新聞等によつて承知している程度でありまして、それ以上のことは存じません。その場合に検事総長ですか、検察庁に対して指揮をされた場合の、どういう理由によつて指揮をされたか、これも私どもの与り知るところではありません。重要法案として、伝えられるところによると、重要法案の審議に差支えを生じては困るということのようでありますが、その場合に何を以て法務大臣が重要法案と考えられたか、これも私どもにはわかりません。併しまあ常識で考えると政府が重要法案として考えるということであれば、文部省の今期国会に提出をしてありますいろいろな法律案のうちで、この二法案のごときは政府としても恐らく重要法案と考えられたのであろう、或いは政府としてというか、法務大臣としてですね、というふうには思いますけれども、一体重要法案はどれとどれかということは私ども相談も受けたんでもありませんし、いわんや検察事務についての指揮について又我我が法務大臣の相談を受けるはずもありませんから、その点は私から何とも申上げられません。常識で言えば、恐らくこういうものもそのうちに含まれておつたのだろうということを申上げる以外にないのであります。
  18. 相馬助治

    ○相馬助治君 私は文部大臣とお茶飲話をしているのではなくて、さような答弁があることを予測して、あなたは、今文部省提出の法律案の重要法案はどれとどれと心得ておるかということを劈頭にお尋ねしてあるのです。政府の例の指揮権発動に関する並びにその善後措置に対する問題については、いずれ内閣総理大臣を本院の本委員会においでを願つてお尋ねすることになりますが、政府の閣僚の一人とするあなたに私がお尋ねする理由は明らかにこの検察庁に申入れた公文書の中にもその理由を付しておるのであります。いわゆる重要法案の国会審議の都合上ということを謳つてあるのです。  そこで第一点、お尋ねするに至つた理由の一つは、新聞の伝えられるところによると、あなたは犬養さんがやめたあとに直ちに吉田さんに呼ばれて法務大臣の交渉を受けたと聞いている、某新聞のごときは号外を出して甚だ引つ込みのつかないことになつておるということもあなたも御存じであろうと思う。そういうことになりますれば、政府の中においても本問題においては重要な位置をあなたは占めておる、いわゆる伴食大臣ではない、吉田内閣の中においても背骨のある有力なあなたは閣僚である。そういう点と、もう一つはこの重要法案というものの内容が例のMSA協定に関係するような外国との関連において是非とも政党政派、主義主張を別にしても最終的な決意を立法府にきめてもらわなければならないとするものと、それから警察法案であるとか、教育法案というような国有法に属するものと、この区別が内閣においてお話になつたのではないかと、かように考えて私はお尋ねしたのです。即ちあの重要法案というのは外国と関連を持つMSA協定或いは機密保持に関する法律案というようなものであつて、通俗的に言うところの教育法案とか或いは警察法案とは別だと言うのかどうか、それから通俗的に新聞に伝えておるように、その重要法案の中にはここで議題となつておる二法案も含まれているのか、このことを具体的にお尋ねしたのです。あなたの今の答えでは私は納得しかねるのですが、それについて、もう少し閣議において問題になつたとするならば、その経緯を御説明願いたい。そして又それに対する御見解をも一つお聞かせ願いたい。で、私どもは本来ならば参議院があのような警告案をきめた、そして政府がこれに対して措置をしない、こういうようなことになるならば、この委員会等も直ちに停止してこの法案の審議等は我々はすべきものでないと一応心得るのです。併しながら第二院としての本院の性格その他から考えて、教育法案に対する天下の主張等から考えて、我々はあえて政府の善処を将来に期待しながらこうして委員会に臨んでおるわけなので、あなたの答弁次第によつては我々は重大な決意をしなくちやならない、それらのことも一つ勘案して、それらの経過について一つ知り得る限りお漏らし願いたいし、御所見も承わつておきたいのです。
  19. 大達茂雄

    国務大臣(大達茂雄君) 知り得る限り話をせよということでありますが、それは本当に私は知りません。その問題が閣議で相談をされたということも私はなかつたと思います。
  20. 相馬助治

    ○相馬助治君 閣議の議題にならないのですか。
  21. 大達茂雄

    国務大臣(大達茂雄君) なかつたと思います。でありますから、ただ特に私は法務大臣を兼ねるというようなことの話があつたと、それがなんかこの教育法案の審議ということと関係があるやにとれるようなお話でありましたが、(「そうじやない」と呼ぶ者あり)そういう意味じやないので、私はむしろそういう教育法案について余りいろんなことをやらないで、この大事な私としてはこの法律案は政府全体としてはどうか知りませんが、非常に重大な案とも思い、又これは私が責任を負うべきものである、こう思うております。この法案の成立に全力を挙げたい。そのほかのことをする余裕も何にもないという意味で実は私はお断りしたのでありますが、私としてはこれは非常に大事な、殊にこれは大事とか何とかよそごとのように軽重を論ずるのではない。これはよかれ悪しかれ私の責任でありますから、その責任を全うしなければならんと、こういうふうに私は考えております。政府としてこれが一番重要で、その次にどれが重要でというようなことを別にきめたという事実は私は聞きません。閣議でそういう話もありません。
  22. 相馬助治

    ○相馬助治君 ともかく本院で多数を以てあの警告案がきまつたのでありまして、あの警告案は最低この検察庁法十四条の適用を中止しろということを本院の意思として含んでいると思うのです。従つてあなたは直接の担当大臣ではないけれども、一つ有力な閣僚の一人として本院の意思というものを現在の吉田内閣において十分酌み取つて、これに対して善処される用意があるべきものと思いますので、その点は一つよろしくお願いと言つちや言葉がおかしいのですが、あなた自身も閣僚の一人として善処されんことを希望します。  そこで最後に一点伺つておきたいのですが、このような経緯があるだけでなくて、只今議題となつている教育二法案ほど世間から評判の悪い、又は議論の多い法律案はないと思うので、文部大臣自身も衆議院から参議院に回付された当時の心境と、今日の心境とは幾らか変つているんじやないか。昨日の同僚委員の質問等にもそのことは触れておりますが、政府自身が本案に対してみずから発議して、修正意思乃至はこれを取消す、提案を引込めるというようなことは当然あるものと予想する面もあるのでありますが、文部大臣自身としてはさようなことを考えていらつしやらないのですか。その点について承りたい。
  23. 大達茂雄

    国務大臣(大達茂雄君) 私はこの二法案に対しての考え方というものにはこれを国会に提出しまして以来何も私の考え方に少しも変つた点はありません。昨日のお話というと、今どういうことをお指しになるか知りませんが、若し私がこの二法案について成るほど私の考えが至らなかつた。苦しくは私の考え方が間違つておつた、こういう気持になれば、その点がそういうふうなことになれば、決して私は意地になつて固執するというようなことはいたさんということは申上げましたけれども、これは衆議院においてもさような質問に対してやはり同様な意味のことを申上げたと私は記憶いたしますが、決してそれが私のこの法案に対する何と言いますか、考え方に動揺を来しているということではありませんから、それは誤解のないようにお願いをしたい。なおこの法律案くらい世間の評判の悪いものはないというお話でありますが、これもまあ水掛論でありますが、成るほど随分この法案に反対の声が強いのであります。併し私はこれは私の判断でありますから、それを間違つておるとか、間違つておらんとかいう御議論になつてもこれは困るのでありますが、私は世間が必ずしもその表面に現われたようなものではないと、こういうふうに私は考えております。併しこれは私の判断でありますから、決してそれが正しいとか、その通りだとか言い張る気持はありません。私は世間の表に声を出さない多数の人々がこれを賛成しておられると、或いはこの法律案成立を希望しておられる党派とか何とかいう関係は全く離れて。というかたがたは相当多いというふうに私は思つております。その数のどつちが多いとか少いとかいうことは申上げませんけれども、これは私どもに対していろいろな激励をするとか、まあ見も知らん人からいろいろな手紙が来たり或いは団体を代表する人からいろいろ言つて来ます。それは表面反対はしておるけれども、実際は決して反対ではないから、どうぞ御健闘を祈りますというようなものもたくさん来ておるわけです。私はいちいちそれをここのところで申上げる必要はないから、さようなものをいちいち何か抜きとつて持ち出すという気持は一つもありませんけれども、世の中というものはやはり表に出ておるところと実際のところというものはそんなに割切つて言つておるものではない。私は実はさように思つております。そこでこれは評判が悪いということはあるかも知れません。又世間で評判が悪ければ悪いほど私はこの法律案については、私は責任を回避すべきものではない、こう思つております。若しこの法律案ができた結果日本の教育に非常な悪い影響が生ずるとなれば、これは末代まで大達の責任であります。私は甘んじて世間の批判、この法律案を通す現在だけでなしに、今後ともその批判は甘んじて受けるつもりであります。併し私自身としてはこれは御意見はありましようけれども、この法律案というものが必要であるというものの信念には何らの微動もいたしておりません。又これについて引込めるとか、訂正するとか、政府のほうから考えを直して頂きたいということを少くともその本質的な面において申上げる気持はありません。従つて修正をして頂くとか何とかいうことはありません。この通りに一つ成立さして頂きたい。こう思つております。
  24. 加賀山之雄

    加賀山之雄君 文部大臣に一つお尋ね申したいのですが、文部大臣は今回のこの二法案について、いずれも教育基本法の第八条二項が今度の二法案の根拠であるといわれましたが、この教育公務員特例法の一部改正の法律案について、第八条で申しますと、この第二項に「法律に定める学校は、特定の政党を支持し、又はこれに反対するための政治教育その他政治的活動をしてはならない。」こうあるわけですが、それを今回の法律におきましては地方公務員であつた公立学校教員国家公務員にしている。そうしますと国家公務員法から人事院規則というものがその例によるとして適用されることになるわけであります。この人事院規則の中の条項で、政治教育をしてはならないということに関する条項は余りないように私は見受けられるので、その他政治的活動をしてはならないと、いうことの問題が多いように思います。むしろ教育そのものについてはこの人事院規則の第七項ですか、で「この規定のいかなる規定も、職員が本来の職務を遂行するため当然行うべき行為禁止又は制限するものでない。」ということで教壇におけるいわゆる教育自体についてはむしろこれを擁護するようなところが見えます。そこでこの政治的活動が主になつているようでありますが、政治的活動をしてはならないということには「特定の政党を支持し、又はこれに反対するための」ということが附けてあるわけであります。併し一方この人事院規則によりますと、政治目的と言うことが規定されて政治目的のためにこれこれの行動をする場合、行為をする場合、これが禁止されておるということでありまするので、多少そこでその範囲というか、内容が違うように私どもにはとれるわけであります。政治的目的というものをきめて、その目的を以て政治的行為をしたものは、これに反対するため、或いは支持し又はこれに反対するための政治的活動、こういうふうになるのかどうか、その点をお伺いいたしたい。
  25. 大達茂雄

    国務大臣(大達茂雄君) 初めのほうの問題、或いは私御質問を聞き違えてゆるかも知れませんが申上げて、若しそういうことがありましたら改めてお尋ねを頂きます。この八条の二項にあります規定は、これは「学校は」という書き方をしております。これは学校というものが、何と言いますか、そういう行為をするというものでありませんから、「学校は」という書き方は、私は、学校においては、或いはまあ極く通俗的な意味で学校はそういうことをしてはならない、こういうふうに読んでいいものではない。つまり、法律に定める学校においてはこういう特定政党を支持したり反対するような政治教育というものを行つたり、或いはその他の政治活動をしてはならない、こういうことは、その学校というもののあり方というものをきめたものであると思います。言葉を換えて言えば、学校における教育において非常に偏つた政治教育が行われたり、或いは学校が政治活動の場に供されるというようなことがあつてはならんという意味であると思います。そこで、この特例法と申しますか、公務員に関する政治行為制限という問題になりますと、これは八条の二項とは直接には関係がない。第八条の二項に政治活動云々という言葉が使つてありますが、これは「学校は」という書き方でありますから、この公務員の政治行為というものを直接指しておるものではない、こういうふうに私は考えております。ただ、公務員の政治行為制限をするということは、これは学校教育活動ということよりも、むしろ教育に従事しておる先生がたの個人的な政治行為制限学校とか教育とかいうことを離れてそういう点に規制を加える、こういうふうに思つております。それじや八条の二項に全然関係はないのかというとそうでもない。そういう先生方が非常に深入りをした政治行動をとられるということは、自然にその人が政党的に非常に偏つた立場に立つようなことになるから、つまり深入りをした熱心な立場をとられるようになるから、それがおのずから公務である教育である教育に反映をして、その担当する任務たる教育においても偏向的な面が出て来る虞れがある。それが若し出て来れば、この八条の二項の、つまり学校において偏向的な教育をするという、そこで問題が起つて参ります。でありますからして、そういうことの起らんように、その点を保障する意味において政治行為制限というものを先生の個人的な面に、つまり社会人としての先生に政治的行為制限をする、こういう考え方である。八条の二項というものの政治的活動という字は、公務員の政治行為、政治活動云々ということを直接指しておるものとは思つてありません。
  26. 加賀山之雄

    加賀山之雄君 そういたしますと、学校教育法におきまして、学校の閉鎖命令なり、それから設備はともかくとして、授業の変更命令ということが十三条、十四条に規定されておるのでありまして、これによりますと、「法令の規定に故意に違反したとき」、それから十四条には、「法令の規定又は監督庁の定める規程に反したときは、」ということで、一方においては閉鎖を命令することができる。一方においてはその変更を命ずることができるというふうになつておるわけでありますが、この法令の規定並びに監督庁の定める規定の内容はどういうものでありますか。これは当然私は教育基本法がこの「法令の規定」の法令に当ると思いますが、学校としてそういうふうなことが行われる……、先ほど大臣はこれは社会人である教員自体を取締ることによつてそういつた偏向の教育が行われないようにするのだと言われましたが、学校として或いは職員会議でこれは偏向じやないと飽くまで言い張つて、そうしてそういうふうに行われる場合は、この規定によつて、これを閉鎖、或いは変更を命ずるということができるように私は考えるのでありますが、その点について如何お考えでございましようか。
  27. 大達茂雄

    国務大臣(大達茂雄君) この十三条の規定、これは学校として故意に法令の規定に……、つまり殊更承知をして法令の規定に違反するために違反したというような、非常に重大な場合であると思います。これは学校の閉鎖ということは非常に重大でありますから、非常に重い場合であり、その判断は、裁量というものは、これは監督庁がすることは当然であります。監督庁にこういう非常な権限を、極めて狭義ではありましようが、例外的にこれを予想して、こういう強い伝家の宝刀的な権限教育監督庁に与えてあるものと思つております。只今問題になつておりますことは、学校自身が一体となつて、つまり学校の方針として偏向教育を行い或いはその他法律も規定に故意にそむく、学校全体として。こういう場合はこれはまあ殆んどない。偏向教育について言えば、私はそういうことがあつてはならず、又事実においてもそういうことがあろうとは思いません。併しこれはまあ偏向教育の場合だけでありません。学校全体として、法令の、法律の埒を離れて経営される、そういうものがある場合には……、これはただ偏向教育の場合について言えば、この間問題になりました王子の朝鮮人学校、これなんかが偏向教育の、これはまあ学校の個々の先生が偏向教育をしておるというよりも、学校全体の考え方として非常な特殊な教育をしておるということは、これは言えるだろうと思います。現に東京都において最近問題になつたのでありますが、こういう場合には閉鎖を命ずるというようなことが起ると思いますけれども、今通常の場合においては、これは個々の教員が、つまり学校全体としての個個の教員が偏向的な教育をするような場合、それのないようにしたい、その方法としては教育公務員の政治行為制限するということも、その個々の先生方が自虐をして、個々の先生方が政治的な中立という立場をとつて、それに対して個々の先生方の偏向教育ということのないようにしたい、こういうことでありまして、学校全体としてということは今これはそういう事例は私はまあ殆んどないと思います。又これはまあ朝鮮人学校とか何とかで特別のものが最近はつきり出て来たのは事実であります。この法案の目的とするところは、そこまで言つておるのではありませんので、個々の先生によつてそういうことが行われる、或いは先主に呼びかけて先生をしてさような教育をさせようとする。おのおのそういうものを対象として考えておるわけであります。
  28. 加賀山之雄

    加賀山之雄君 学校としてはそういつたことになる場合は殆んど予想できない。そこで個々の社会人である教員を政治的な偏向に向かわせないことが今回の法律の目的であるというように伺いましたが、そういたしますと私はこの教育基本法から出発したそういつた個々の先生たちのいわゆる政治偏向をとめれば、私はこれは明らかに教育基本法の精神に基き又教育という特殊性から出発して特別の規定があるべきである、私はそのために教育公務員特例法が規定されていると思いますが、教育公務員特例法の中には、特に教員というものの身分に相当するそういつた制限は何も設けられないので、別の属性であるところの地方公務員である或いは国家公務員であるという属性に基いた制限に服しているに過ぎないということになつておりますが、私は本来の意味から言えばいわゆる教育、特に義務教育という立場から見た場合に、根本的に言うならば、これは教育者としての立場から来る一つの制限なのでありますから、教育公務員特例法の中に特別のそういつた制限を付すのが至当ではないかというように考える、この国家公務員の中に規定されていることは一方よく議論されておりますところの国家公務員或いは政府の機関或いは意思を代行するとか或いは執行機関であるというような性質から来る制限も多分にある。ところが教育と一般の行政機関公務員とはそういう点においては非常に性質が違うのではないかというような議論が行かれておりますように、教育公務員にそういつた特別の制限をするなら、教育ということ自体に即した制限をすべきである。そうするならば教育公務員の特例法中に規定されるのが至当であるように、本来であるならばさようあるべきであると考えますが、大臣の御見解は如何ですか。
  29. 大達茂雄

    国務大臣(大達茂雄君) 立法技術の問題として国の教育公務員それから地方公務員たる教育公務員、これは教育公務員であるという見地でこれを一緒にして、そうして教育公務員特例法というものがありますから、教育公務員という見地から両者合せてそれに対する政治行為制限の規定を特例法の中に設ける、これも立法技術としては考えられることであろうと思います。ただこの法律案におきましては国家公務員についてすでに制限の規定があり、そうして国家公務員たる教育職員というものが他の一般公務員たる国家公務員との間に同じように国の仕事をしているのだという点から、これはその仕事の内容というものを一々区別をしないで、国家公務員としての一般的な制限に服している、特に一般公務員教育公務員との間にはそこにその仕事の性質上制限の内容を変えなければならないということがあれば、それは教育公務員だけを切り離して別な制限に服せしめるという問題が起ります。併し現在の立て方は教育公務員であろうとも或いはその他一般の公務員でありましても、これを区別をしないで国家公務員として一般に制限を付けられている、これは現実の問題としてそれが適当であるかどうかという問題はありましよう。併しそれを一般の、そういうふうに、国家公務員であればその仕事の種類の如何にかかわらず、言葉を換れえば、公務の内容にかかわらずすべて一律に人事院規則の制限を受けている、こういうことになつておりますので、今回の法律につきましては、つまり地方公務員であつてもその仕事の性質上同様な制限を受けなければならない、と申しますことは国家公務員に対して政治行為制限をする、一体何も公務員だからして特にそれをいじめるために、窮屈にするために制限をする、こういうことは立法論としては成り立つ余地はありません。そういう制限をするということは単に法律上の目的がそれに伴わなければならない、それは公務が適正に行われるということを保障する、こういう見地から来ているのであります。    〔委員長退席、理事剱木亨弘君着席〕 国の公務が適正に行われるということを保障する、この場合にはその公務が教育であろうとその他の行政事務であろうと、その他の各般の国の行為であろうと、その点は区別なしに国の事務が適正に行われるためにはこういう制限が必要だ、こういう見地で制限がされてある、そこで地方教育公務員の公務というものをとり上げて見るというと、国の公務員に対して政治制限をして、そうしてその適正な執行を保障しようとするところの国が管理しているところの教員、つまり国立学校教員そのものと、地方公立学校教員、その間には実質的には何ら差違がない、つまり制限をしようとする目的は、その公務を守ろうとするのが目的であります。その守られようとする公務というものに何らの差違がないとするならば、それを守るという手段も又同一でなければならない、守る手段も又同一だ、こういう考え方でこれを国の公務員たる教育公務員に同時にしよう、こういう考えに立つているわけであります。他の事務について言えば、県庁に勤務されている地方公務員と、そうして或いは中央の各省、つまり国の事務を担当している場合、これはその公務の性格が違う。一地域に属する公務員である、それから国全体に亘る公務員である、その点にはつきりした性格上の区別がある。然るに教育の場合におきましては、それが地方公務員の手によつて扱われることによりましても、保証を必要とするところの公務の内容は、国の場合と地方の場合とによつて何も区別がない、公務そのものの性質が何ら変りがないとするならば、それを保証するための方法も又同でなければならない、でありますから、これを地方公務員というものに対する政治行為制限という枠から外して、そうして国家公務員並みの制限にするということは、地方公務員について比較して見るというと、他の一般の地方公務員の担当するところの地方公務というものと、それから地方公務員であるところの教育職員が担当するところの教育という公務と、これを比べて見るというと、片方は国家的性格を持つものであり、片方は地域的性格を持つものである、その公務の内容の本質が違うのであるからして、若しその公務の適正な執行を保証しようとするならば、その公務の本質に誓つて同一の方法をとられるのが当然である、こういう考え方であります。
  30. 加賀山之雄

    加賀山之雄君 大臣の言われること、よくわかりますが、私はそれだからこの教育者という特質が先ず考えられるべきなんで、地方公務員であるから、或いは国家公務員であるから、或いは更に言えば私立学校というようなものは第二義的な属性に過ぎない、だから教育者、特に義務学校教育者という資格が非常に大事なんだ、第一義的に考えられなければならん、だから本来から言えば教育公務員特例法では足りないので、小学校における教員に対して教育基本法の精神は、この教育を守るという立場からならば、全般に適用すべき観念ではなかろうか。従つて根本的に言うならば今申したような教育職員特例法というその中で、義務諸学校だけでよければ義務諸学校におけるところの教員についての制限を付するというのが私は本筋ではなかろうかと、かように考えるわけであります。ともかくとして大臣としては特にいわゆる国民全般に奉仕するという全般に直接関係するということに本質を置いて、国家公務員と同じ法の規定を今度その例によるとして適用すべきであるということにこの法律はなつておるわけでありますが、そのために非常に荒い網がばつさりとかかつて、これも今日までの審議中に明らかにされておりますように、そのために地方公務員国家公務員との差違から来るいろいろの矛盾もある。例えばこれは庁舎を利用するとか、或いは公務員に金を渡すとかいうようなことが問題になつておりますが、私非常に大きな矛盾は、例えば地方公務員で言うと町村長リコールなんかはできないことになる。地方自治体執行機関に対してこれを支持し、或いは反対するために特に活動することができないようになつておりますが、今度の国家公務員にはそういうことはない。ただ内閣に反対する、或いは支持する、或いはこれに反対するということは禁止されているが、地方執行機関に対してはそういうことをしてもいいというようなことになつたり、非常にそこら辺に矛盾がある。つまり非常に網が粗くて、而もその中には明らかにどうも行政権を持つた執行機関特有の性質のために禁ぜられておるような政治活動も含まれておる、かように私は考えるわけでありますが、さような意味からして私は教育者としての制限は別な見地から、例えば公職選挙法にありますように子供を使つてそういつた政治活動をしてはいかんというようなことは、これは非常にいわゆる教員の特性に相応する規定だとそのような見地から私は申上げた次第であります。その点について、もう一度大臣にお伺いしたいことと、そうしてこういうように非常に粗い網を被せたことによりまして私が一番心配することは善良な教師たちが、これはまあ非常に多い、大半がそうだと思いますが、偏向教育なんというようなことを意識したこともないような先生が非常に多い。そういう人たちがこの粗い網を被せられることによつて非常に私は心配しておる。こういう法律が出てもそういう人が全然心配ない。これは十分それを守る善良な教師たちを守るという保障、これを大臣はどういうふうに確言されるか、その点を私は一点お伺いしておきたいと思います。
  31. 大達茂雄

    国務大臣(大達茂雄君) 前の問題でありますが、これは教育というものが少くとも義務教育等に関係する場合におきましては、これはその教育の内容というものについては国家が責任を持たなきやならん立場である。従つてその教育が国立学校において行われても公立学校において行われても、或いは私立学校においてこれが行われても、その点は、その内容は同一であると思います。でありますから、その点だけに考えてみれば、その保障として教職員の政治活動を制限する場合には、国も公立学校も或いは私立の学校も同じでなければならんのである。これはその限りにおいて成立つ考え方である、こう私も思います。ただ御承知の通り憲法におきましてはとにかく国民の自由というものについては、よくよくのことがなければこれを規制をしないという、これはそういう建前であることは言うまでもない。そこで同じものでありましても、その教育が公務として扱われておる場合と、公務の形式をとらない場合とにはどうしてもそこに区別を置かなければ、別の見地から職業によつて、一般の民間の人であつてもその従事する職業の如何によつて自由が制限されるということは、これはなかなか別の意味で重大な問題であろうと思います。でありますからして、この政治制限というものは、飽くまでも公務員というその公務という形式をやはり採上げて来なければならん、公務という形でなしに行われる場合には、これまでも網を被せて政治行為制限するということは、他の人の自由を守るという見地からこれは慎重に検討せられなければならん、こういう関係が起つて来ると思います。これはなかなかむずかしい問題であります。ほかの例について言えばいわゆる三公社五現業ですか、事実上国の事務に属することを、民間団体のような形式にこれを移してその仕事をさしている、国有鉄道の仕事であるとか、こういうことは国家公務員と、公務という形式はとりませんけれども国家公務員のすることと同じ内容の仕事をしておるのである、こういうことが言えると思う。併しそういう公社というような形になれば、すでにこれは公務員という身分を離れてしまいます。従つて内容は同じものであつてもこれに対して政治行為制限をするということは、公務員にあらざるものに対して政治行為制限をするということになりますから、やはり同じような問題がここにも起つている。仕事の内容だけから言えば同じでなければならんじやないかという議論が成立ちますけれども、同時に公務員であるということから来るつまり全体に対する奉仕者である。国全体に対する奉仕者であり、或いは又地域全部の人々に対する奉仕者である、こういう法律観念に根拠して、そこにその奉仕者たるの責を全うさせるために政治行為制限をする、つまり偏つた立場はとつてもらいたくない、こういうことでありますので、御意見には私は教育という一点だけを採上げて言えばこれは御尤もな御意見であると思いますけれども、併しその点だけから人権の制限ということを簡単にするということはできない。でありますからして今回の提案というものは、その公務員であるというその身分というものを基本にして、それに対して制限をするのだ、こういうふうに御了承を頂きたいのであります。それでよかつたのですか。    〔理事剱木亨弘君退席、委員長着席〕
  32. 加賀山之雄

    加賀山之雄君 今言われたような気持でこの国立学校教育公務員の例によるというようにされたということは一応わかりましたが、そうなつた場合に今度大巾に地方公務員たる資格から国家公務員と同じ取扱いを今度受ける教育者諸君の中で、私は非常に教育に熱心で而も良心的で、善意をもつて子供を愛育している先生がたが非常に多い数だろうと思うのでありますが、これは冒頭にも御質問申上げましたが、そういうような先生が今度のこの法案に怯えておると言つては非常に私は言い過ぎかも知れませんが、非常に広汎である。この人事院規則の定める十七の項目にしてみても、非常に多くの事柄が入つて来ております。従いましてやはり一般の公務員と違いまして、書類の持廻りをやるとか会議をやるとかいうことが仕事じやなくて、日常生徒の前に立ち又父兄に接し、或いはこれはロード・スピーカーで話をしなければならん場合、集会に出なければならん場合、或いは図書や図面、音盤、形象等を発行したり回覧したり、そういうような機会が非常に多い、従いましてそういうようなことが、場合によつては生徒の演劇の指導もするというようなことからして、この中へ入つて来る関連した事柄が非常に多いように思います。ことごとに教育のいろいろ日常のことで心配になつて来る。私はこの心配も極めて私どもによくわかるような気がするのです。この法案が万一通過した場合に、私はそれらの先生がたはそういうことについて全然心配ないのだ、大臣は何らの偏向の意思なく良心的にやつていてもらえば全然そういう心配はないのだと言われますが、これは中立法の場合と違いまして、個個の先生が対象になるわけであります。で、第七項によつて職員の本来の職務を遂行するため当然行うべき行為は、これはこの中に含まれないというようには言われておりますが、併し心配である、又いろいろそこに問題なり悶着なりも起ることと私は思うのでありますが、その場合に、これはそういうことは絶対にこういうことによつて守るのだというような確たる方策がおありかどうか、それを大臣から確言を私はして頂きたいように思うのです。
  33. 大達茂雄

    国務大臣(大達茂雄君) 先ほど私は第二番目の御質問と関連して只今の御質問であつたのでありますが、つまり多数の先生はそう自分の職務を曲げて、ほしいままな教育をするという気持は持つていない、であるからして、それらの先生がたに対してこういう強い政治行為制限をするということは誠に……、まあそれらの先生がたに非常に窮屈な思いをさせる、偏向教育をしようとするような先生、或いは一党一派に偏つた教育をしようとする先生、そういうものに対してはともかくも、一般のそうでない先生がたに対してこういう制限をするということは行き過ぎの場合が起る、又それらの先生がたが良心的に仕事をする場合に、それを一体どうして安全保護するかと、こういう意味の御質問だと思います。成るほどそういう点はあります。これはただ法律の建前といたしましては、公務員である者は現実の政争の渦中に、本人がどの政党を支持し、又選挙のときにどういう人に投票をする、これは無論当然なことであります。併しその公務員たる身分を持つておる人は、現実の政争の渦中に巻き込まれ、そうしてまあ強い言葉で言えば、政治運動に狂奔をするというようなことのないようにあるべきである。これは窮屈な場合を生ずるかも知らんが、これは公務員についてはそういうことが要求せられて然るべきものである、こういう見地は現行の法制の上にとられておる態度であろうと思います。従つて国家公務員についても地方公務員についてもやはり同じ考え方で、公務員というものは余り政治に深入りをしない立場をとつてもらう、こういう考え方であります。そこで、これはまあ偏向教育の場合に現われることが多いのでありますが、併しこれは一般的なことでありますから、必ずしもいわゆる偏向教育ばかりではありません。自由党の非常な熱心な支持をし、選挙のために自由党なら自由党のために夢中になつて、まあ自由党員として活発な運動をしておるというような先生が、どうも自由党……、自分の党派に属しておる人の子供に対してはいい点をつけるとか、或いは上の学校に進学するような場合に贔屓するような、依枯贔屓なことをするとか、こういうことも起る場合を考えて、これは必ずしも偏向教育だけではありません。その公務というものが全体に対する奉仕という立場を離れて部分的な利益或いは一部分のために動く、こういうことのないようにしなければ、全体に対する奉仕にならない、まあ政治問題でありますから、それがいわゆる一党一派に偏した教育として現われる場合が通常でありましようけれども、必ずしもそういう場合だけではないんで、つまり非常に政治運動に夢中になると、おのずから教育の面に置いて不公平なことが生じる、教育だけではありません。公務の上に不公平を生じ得るから、公務員である間は、そう立入つた選挙運動とか立入つた政治活動は控えてもらうということが、公務員という身分から来る国家的な要請である。少くとも現行法上はそういう要求を公務員に対して持つておるんだ、こういうふうに私は考えます。でありますからして、その限りにおいて公務員が一般の民間人と違つて、政治活動の面においては束縛を受けるということは、これはやむを得ない。これはひとり先生がただけではありません。多数の国家公務員の場合におきましても、これがみんな変な悪い人ばかりと、こういうことではないんであつて、やはりそういう人が公務をとりながら、傍ら個人としてではありますけれども非常に熱心な政党フアンで、選挙のたびに飛び出して運動をするというようなことであれば、自然にその公務に影響が、同じ人間のすることであるから、どうしても影響が来る虞れが強い。そういうことの虞れをなくするために公務員である限り政治制限に服してもらわなければならん。法律上そういうことを要請する建前でありますから、それに関する限りは良心的な先生がたで不自由を感ぜられることがあつても、これはやむを得ないものである、そういうふうに考えておるわけであります。ただ人事院規則の内容を見ると、随分いろいろなことがたくさん書いてある。この内容については、当否の論は別でありますが、これについて、非常に広汎に亘り過ぎて、殆んど何も、政治的な発言も何もできなくなるこういうふうに一般に見られておりますけれども、併しこれは私ども人事院程則をよく読んでみるというと、そう非常に窮屈千万なものであるとは思われません。第一目的というものを制限しておる。ここに掲げられた一定の行為であつても、この人事院程則に掲げてある目的によつてやらん場合には、これは禁止された行為ではありません。その目的ということも、例えば選挙の場合に特定の候補者を支持又は反対をする、或いは特定の政党を支持又は反対をする、或いは特定の内閣を支持又は反対をする、或いは又政治の方向に影響を与える目的をもつてするとか、政治の方向という言葉は非常にむずかしく解釈されるかも知れませんが、今日は民主主義という方向で政治が流れておる、それを逆流させて他のフアッシヨであるとかその他の政治主義に方向を変えようとする、そういう根本的な問題を指しておるのであるということが、人事院解釈としては、はつきり示されております。又地方の問題につきましてもリコールをするんだとか、或いは地方議会の解散の要求をするんだとかいうような、極めて強い政治目的をもつてする場合にのみこれが限局されておるのでありますから、いつも話の出ますように、もう少し予算を上げてもらいたいとか、或いは又給食をどうしてもらいたいとか、そういう類のことはこの目的のうちにはちつとも入りませんから、これはそういう点まで窮屈であるということになればこれは由々しいことであります。けれどもこれは人事院規則を見れば極めて明瞭だ、極く根本的な政治の基本に関係するような目的を持たない限りは禁止はされておらんのであります。でありますからして、これは人事院規則は成るべく正確に個々の行為を捕捉しようとしたからして、これはまあ十七もあるという非常に広汎な窮屈な規定だという考えのように見えますけれども、個々の場合を一々書き並べようとすると、かなりこういういろいろなものが出て来る、これを包括的なことに書き表わそうと思えば書き表わせると思いますが、そうすると実際の運用においては列挙したよりももつと窮屈な、つまり縛られる範囲が広くなる、できるだけ具体的に、はつきりした行為をこれに限定して、そうして個々に書き表わしたということは、これは数が多いということは、私はむしろ包括的な書き方をすれば非常に広く解釈される虞れがあるということの配慮から来たものであろうと思います。殊にこの目的において極めて強い目的をもつてする場合だけに限定をしてありますから非常に窮屈になる、殆んど日常の生活の上において誰もが言うような政治的な希望であるとか、或いは苦情であるとか、そういうようなことまでも言えなくなるというようなことは、これは人事院規則からは出て参りません。従つてそういう非常に強い政治活動はすると、併し学校教育においては極めて熱心なまじめな教育をするという先生もありましよう。これは国家公務員の場合においても或いはその他の地方公務員の場合においてもそういう人はあるかもしれない。公私の区別を厳重に立てて、自分の政治的立場と別に公務については厳重に執行する、こういう人も決してそういう立派な人もないではないけれども、先ず一般の人間の習性から見て余り政治運動に熱中し、一方的な政治的立場に夢中になるというと自然公務の上にそれが影響して来る。だから公務員となれば窮屈であるけれども、まあ大変長くなつて済みません。併し私はこの法律案の趣旨を本当に御了解を得たいと思うので申上げますから、くどいようでありますが、そういう趣旨でなつておりますから、その点これは公務員であればやむを得ないものであるというふうに御了承を頂きたいと、こう思います。
  34. 加賀山之雄

    加賀山之雄君 ここは非常に大事なところでありますので私はもう一度伺いたいのですが、これは大臣のお話によると、教員である立場上政治に余り熱中することはいけない、これは私もよくわかります。それからただこの人事院規則の第六号にきめたことは大した問題じやないと言われる、この点は私は承服できないので、これを厳密に適用しようとすれば私は決してこれは大した問題でないどころじやなくて、非常に多くの問題を含んでおると私は考えます。で、ただこういうものを出す場合、こけ威しでこういうものをそう採上げる気がないと言えばそれまでの話でありますが、この行き過ぎをたしなめるためにこれは厳密にやはり先生としては制限を加えて行かなければならないのだという見地に立てば、私は決して大した問題ではないどころじやなくして、かなりこれは多岐に亘つて非常な制約を受けるのが当然だと私は思います。そこで私は伺つたのはそういうことじやなくて、若しこれが、この法律が通過をしてこれが実際の問題になつて来た場合にいろいろの問題が出て来ようと思うのです。まあこれはいろいろ公聴会等でも或いは話が出ておりますように、まあ警察権がやはり先生がたを追い廻わすことも出て参りましよう、それだけじやなくして、やはりPTAの間とか、或いは先生同士の間にすらいろいろ問題が起る、或いは市町村執行機関と先生の間、或いは校長と先生の間、或いは教育委員会、地教委等と先生の間というふうにいろいろの問題が考えられるわけでありますが、結局その場合に善良な先生を守ることができるのかどうか、そういつたいろいろの面に曝されて日々教壇に立たなければならない、本当に真情を持つた先生は飽くまでも私はこれを守つて、良心的な教育をしてもらうことが日本再建のために大事である。教育基本法の精神を貫く上にも大事であると思いまするが故に、私といたしましてはそういう先生の立場は飽くまでも守らなければならないと思う。  一体それを守るのは誰か。文部省か或いは県教委であるか地教委であるか、或いはその他の先生たちのグループであるか。これらについての保障がはつきり立ちませんと、これは全く個個の弱い先生方の力を鈍らせるということも、私はあながちこれは単なる揣摩臆測ではない。単なる杞憂ではないと私は思う。勿論一方におきましては実際以上にこういうことにこれが出たら大変だというようなことが言われておりますけれども、私はそういつた極端な説は別として、私はやはりそういうことが地方に起きる可能性は考えなければならん。その場合に教育を守り、特に教育基本法の第十条において教育が立派に行われる保証を、諸条件を整備することは、文部省のこれは非常に大きな責任だと私は思いますので、そういう見地からこの件についてこういうことがあるから、そう心配は要らないのだということがはつきり文部大臣に言つてもらわないと、これは私が心配するだけならばよろしろのですが、地方におけるこの数十万の先生がたが、やはり不安になつて教育の力が鈍るというようなことになつては大変だと、そういう見地からお伺いをいたした次第であります。
  35. 大達茂雄

    国務大臣(大達茂雄君) この法律案が出るというと罰則を以てそれらの人々の政治行為制限ということはなされるのであるから、従つてそこには教員同士の間においていろいろこれが因になつてお互いに探り合うとか不和を生ずるとか、或いは教育委員会のほうからいろいろ白い目で見られるとか、そういうことで善良な先生がたに迷惑を及ぼすじやないかということであります。これはそういう場合もあり得ると思います。普段仲の悪い先生が何かこの法律に触れているようなことをした場合に、その仲の悪い先生のほうでそれを警察に言いつけるとか、或いはあいつはこういうことをしているというようなことを言いふらすというような場合も、これは完全な立派な人ばかりはいないのでありますから、そういうことは勿論あり得ると思います。併し法律の建前から申しますると、まあこれは国家のすべての公務員の場合についても同様であります。教員だけの場合ではありませんが、かような政治行為制限をするということは、これによつて公務の適正なる遂行ということを保証するという面と、それからもう一つは公務員自身が安定した立場で仕事に専念することができるように、公務員自身の地位保護するという面と両方を持つておるのであります。で、つまり法律の規定を離れまして、例えば学校の先生が非常に政党に熱心で、運動や何かをしよつちゆうしておる。教育委員の人の中には、その先生と反対の立場をとつておる人がある。そうするとあいつはどうも自分の反対党の運動ばかりしておつてけしからんということで、その先生がいじめられるとか、或いは又地方の一般公務員の場合におきましても、知事が迭ると今度は反対党の知事が来ると、今までまじめにやつておつたけれども、あの男はどうも前知事時代にその党のために一生懸命にやり過ぎた。どうも不都合だ。こういうことで地位が脅かされる。そういうことが世の中の実情としてはあり得る。でありますから、公務員としてはそういう深入りした立場をとらないということがその公務員としての地位、これは上の人は迭るのでありますから、そういう上の人が、どういう人に迭つて来ても、その中立的な立場をとつていることによつて、その公務員地位保護される。こういう面をやはり教育……、そうして安んじてその仕事に専念することができるようにと、こういう配慮からして、この政治行為制限をなされておる面があるのであります。これは法律の上におきましても、その他の場合におきましても、これはそういう点ははつきりしておるのであります。人事院規則の、この運用方針について、人事院から出しております。「この規則の目的」という事柄の文章のうちにも、この点を強く言つておるのであります。こういうことを言つております。長くなりますけれども、大事な点であります。「国の行政は、法規の下において民主的且つ能率的に、運営されることが要請される。従つて、その運営に携わる一般職に属する国家公務員は国民全体の奉仕者として政治的に中立な立場を維持することが必要であると共に、それらの職員地位は、たとえば、政府が更迭するごとに職員の異動が行われたりすることがないように政治勢力の影響又は干渉から保護されて、政治の動向の如何にかかわらず常に安定したものでなければならない。」云々と、これが、こういうことに持つて行きたいということが、この政治行為制限の一つの目的といいますか狙いとなる。そうして公務員が安んじて、安定した気持で、その職に専念するようにさせたい、こういうことが一面、これは保護する意味での規定であります。又地方公務員法の三十六条、地方公務員の政治行為制限をしてあるところの三十六条の五項、におきましても、この点は法律の上ではつきり言つております。「本条の規定は、職員の政治的中立性を保障することにより、地方公共団体行政の公正な運営を確保するとともに職員の利益を保護することを目的とするものであるという趣旨において解釈され、及び運用されなければならない。」職員の利益を保護するということは、職員がふだん非常に偏つた政治的立場をとるというと、上の人が迭るというと、すぐ地位が脅かされる、そういうことのないように、安定した地位に立つて、公正なる公務の運営に当るように、そういう状態に公務員というものを置きたいと、これが地方公務員の場合でありましても、国家公務員の場合でありましても、政治行為制限をする一面において、公務の適正を保証すると共に、他面その公務員というものの身分というものを、これによつて保護し安定した状態に置くと、こういうのが目的でありまして、決して公務員というものにただ窮屈な思いをさせるという、こういう趣旨のものでないことを御了承頂きたいと思います。
  36. 高田なほ子

    ○高田なほ子君 ちよつと関連して伺つておきたいと思います。先ほど文部大臣加賀山委員の質問に対しまして、この政治的目的、或いは政治行為というものは、はつきりきまつておるのだから何も心配がない。こういうようなお言葉の中で、この政治的目的でも、政治の基本に触れるものでなければ別にこれは差支えない、こういうような御答弁がございました。併し、この人事院規則一四―七の「政治的行為」というのを成るほど全部読んで見ても、大臣が言われるような御答弁の具体的な表現が何もない。例えば「特定の政党その他の政治的団体を支持し又はこれに反対すること。」四に、「特定の内閣を支持し又はこれに反対すること。」五、「政治の方向に影響を与える意図で特定の政策を主張し又はこれに反対すること。」六に「国の機関又は公の機関において決定した政策の実施を妨害するということ。」云々。これらはすべてです。いろいろのあらゆる場合におけるこの政治的目的定義にされておるわけでありますが、どれを見ても、どれが政治の根幹に抵触するものかという言葉上の表現は何もないと私は思うのです。で、大臣は、これはどの項目を指して、政治の機関に影響を及ぼすものであるかないかということを、どこで一体判別するとお考えになつているか。結局濫用というようなことが非常な不安を及ぼしているというところから出発した加賀山先生の御質問でありますから、私もそういう意図でお尋ねしておりますから、どうぞ明確にどの条項かをお示し願いたいと思います。
  37. 大達茂雄

    国務大臣(大達茂雄君) この目的に書いてあります初めのほうの、特定の内閣を支持し又はこれに反対するとあります。或いは政党を支持し又は反対する、こういうような、いわば何といいますか、典型的な政治運動であります。  それから一番問題になる点が、この五項の五号の「政治の方向に影響を与える意図で特定の政策を主張し又はこれに反対すること。」、こういうことであつて、政党とか何とかいうのじやなしに、具体的な政策について主張し、反対する、こういうことでありますから、これは読みようによつては非常に広く解釈される虞れがある。従つて問題はこの「政治の方向に影響を与える意図」、この解釈の問題であります。このことについては、この人事院のほうで作つた、この運用についてという詳細な解釈といいますか、運用についての案が出ております。これによりますというと、こういうふうに書いてあります。第五号の関係で「本号にいう「政治の方向に影響を与える意図」とは、日本国憲法に定められた民主主義政治の根本原則を変更しようとする意思をいう。」こういうふうに人事院ではこれを発表しているのであります。でありますから、それで「「特定の政策」とは、政治の方向に影響を与える程度のものであることを要する。」、つまり今日の我が国は、民主主義ということで、その理念を基礎として政治の方向が定まつている。その方向そのものを変更しようとする、そうしてそれがためにこういう政策をとらなければいかん、こいううことを言う。こういうその政策で……民主主義というその政治の方向というものを変更するような政策でなければならん、こういうふうにこの人事院のほうで、解釈を発表しております。でありますから、これは極めて根本的な問題だけに限局をされている。これが読む人によつて、これは広く読めないことはない文句であります。これは非常に立法的に、文句はむずかしいと思いますけれども、そういうふうに取扱われており、又この人事院規則の政治行為制限というものも、先ほど申上げた地方公務員法にも書いてあるように、やはり一面職員保護するというそういう趣旨で以て運用されなければならんということも、やはり人事院では、はつきりその解釈を発表しているのであります。
  38. 高田なほ子

    ○高田なほ子君 成るほど第五号の解釈はそういうことになると思います。私も全くそうだと思います。そうすると、先ほど大臣は、政治の根幹に影響を及ぼすような重大なことでない以上は、何もそんなにひどくぎゆうぎゆう縛るのじやないと、こうおつしやつた。そういたしますと、第五号だけは、この人事院規則の中で大臣のおつしやるように、お考えのように、該当するかも知れないけれども、ほかのものはそんなに心配しなくてもいいのだと、こうおつしやいますけれども、そうすると第五号を除くそれ以外のものは別に関係がない、こういう条項でもあればこれは別問題ですけれども、何もないわけであります。このまま、なまで適用されて参るわけでありますから、たとえ大臣は善意を持つて、政治の根幹に影響を及ぼすものでなければとおつしやつても、現実にこういうふうに書いてあるわけですから、これは幾らお口でそうおつしやつたとしても、これは何もならないということになると思う。これはまあ意見の相違といえばそれまでですけれども、非常にこういうところに矛盾がある。  それからもう一つお伺いいたしますが、これも又非常に重要な問題であります。加賀山委員は、この基本法の第八条の第二項に「法律に定める学校は、特定の政党を支持し、又はこれに反対するための政治教育その他政治的活動をしてはならない」即ち教員学校におけるこの政治教育というものの限界、政治活動の限界、こういうようなことがきまつてある以上、更に又この人事院規則の政治行為、これを以て又縛られるというようなことは、これは大変混雑して来やしないかというような意味の御質問に対して、大臣は、学校では成るほどこの第二項が適用される、併しこの人事院規則の政治的行為というものは、学校の中ではなくて、これは教員個人の行動を規制するものである、こういうふうにおつしやつたと思いますが、その通り受取つてよろしうございますか。
  39. 大達茂雄

    国務大臣(大達茂雄君) その点はその通りであります。  それから前段のお話の分は、この選挙の場合に、特定の候補者の応援の運動をする、いわゆる選挙運動をする、或いは又政党の運動をする、こういういわゆる典型的なものが、目的のうちの一から四までで、五は只今申上げたような基本的な、これは特定の政策でありますけれども、併しそれは政治の基本に触れるような、重大なものであります。  それから六の場合は、この公の機関が「決定をした政策の実施を妨害する」この「実施を妨害」という字を使つておるのでありまして、これは非合法的な行動、運動ということを含めておると私は解釈しております。実施にただ反対するとか何とかいう意味じやなしに、一旦きめられた、国の国民の意思として、或いは地域、民衆の意思として、決定をされた程則であるとか、或いは政策、その実施を……、それに反対するというのではなしに、その実施を妨害しよう、こういうのでありますから、これは非合法的な行動というものを含めたような規定でありまして、これも極めて重大なものであります。  それから七、八は、これはそれまでは大体国のことでありますが、まあ六は国と地方と両方、それから七、八は、今度は地方における、地方の政治についての行き過ぎと言いますが、強い政治的な行動、それを目的とする場合、そういうふうに目的は相当に私は絞つてあると思うのです。それがその目的を以てする行為については、それぞれ、又その次の条項において列挙してあります。だからそういう強い政治目的が、それから列挙せられたような限定せられた行為が、両者が結びついた場合に、初めてこの公務員法の政治行為制限が具体的内容になるわけであります。でありますから、しばしば申上げますように、政治的な発言は殆んどできないのだ。つまり大学の先生あたりがこの法律案について発言をしておられる。これはこの人事院程則のどこにも触れるものではないと私は思つております、これを。いや、それは大学の先生は強いから、そのことは構いません、中学校あたりの先生は弱いから恐れてしまう、こういうようなことを言う人がおります。これは私は奇怪な発言であります。大学の先生は強いから構わずやる。構わずやるということは、大学の先生が気が強いから人事院程則に違反しても、委細構わずやつておるのだというふうな言い方をされる、これは大学の先生を私は侮辱する言辞であると思う。大学の先生は、知つておりながらも、罰則に触れるような行為をあえてしておるというふうな言い方であつて、それは強いから構わずやるのだ、小学校の先生になると弱いからそうば行かん、その法に触れるようなことを勝手にはやらん。これは弱い強いの問題じやない、法律に触れるような行為が……一旦成立したら、そういう違法な行為があつてはならない。ところがそういうようなことを言つて、そして大学の先生の場合はこれは強いから別だ、こういうふうな議論が行われております。私は奇怪至極な議論であると思う。これは大学の先生がそういう発言をされても、この人事院規則のどこからも、それがいけないという結論は出ておらんのであります。というふうに私は考える。でありますから、しばしば申上げますように大学の先生が持つておられる政治的の自由というもの以下にもつと強く縛られるということはないのだというふうなことをしばしば申上げておる次第であります。
  40. 高田なほ子

    ○高田なほ子君 いや、大臣は私の質問したことに対してはお答えにならないのです。違うことをお答えになつていらつしやる。大臣がそういうふうにお答えになるなら、私は非常に又ここにそれに対して議論がある。で、あなたがその質問の時間を長引かしたり何かするのは、極めて私は大臣の責任だと思う。今私はそんなことをお聞きしているのじやないのです。
  41. 大達茂雄

    国務大臣(大達茂雄君) 何です。
  42. 高田なほ子

    ○高田なほ子君 そんなことを聞いているのじやないのです。政治的な目的の条項については私も異議はありますけれども、それは時間もああいうふうですから、私は一点だけ質して非常に疑義のある点を今質問したわけです。ところがそうじやなくて、今度は政治的目的の三、四、五、六、七、八、に亘つて説明をされる。これは三、四、五、六、七、八については、若干大臣とは違つた見解を持つているのです。おまけに、あなたはね、国立学校大学の先生のことまで持ち出していられますが、そんなことは、私は南原声明を持ち出してあなたとここで激しく口論してみたいと思うのですよ。併し時間が許しません。そこで私は別なことを質問しているのです。あなたはそれにちつともお答えにならないので、違うことが答えられてはこれはまずいと思う。  そこで私は議事進行を、私立つたついでに申上げますけれども、十二時半で、これは連合委員会もこの午後に予定しております。昨日は、連合委員会において実に各委員がもう涙の出るような熱心な討論を重ねまして、十二時まで委員はおりましたが、まだ人事委員のかたは若干残つているわけでありますが、こうなりますと、一時から多分持つように公報に書いてありますから、我々も昼食をして一時に間に合わせなければならない。又晩も十二時ということになつても、これも実に基本的人権の侵害になるわけでありますから、(笑声)ここらで休憩をして、正規の事態に戻したいということを私はお願いしたい。非常にたくさんございますが、私は次期の質問にこれは一つ優先的にやらして頂きたいと思います。以上。
  43. 岡三郎

    ○岡三郎君 いいですか。
  44. 川村松助

    ○委員長(川村松助君) 簡単ならば、まだ一分か、二分あるから。
  45. 岡三郎

    ○岡三郎君 この三公社五現業の話が出て、大臣の答弁はいろいろとお変りになつていると思うのですが。結局この公務の本質ということを言われるが、大臣の言われていることは、これは教育の本質であつて、その立場から先ほど言われたように、教育の本質の立場から言えば、国立も、公立も、私立も、義務教育に関する限りには、日本の国民、子供を教えるわけですから、教育の本来のあり方から言えば変りはない。その所論についてはいいわけです。ところがそれから一転して、身分について制限するのだと、そういう言葉があり、いいですか、そうなるというと、身分というものは、地方公務員国家公務員と、いわゆる形式的な立場においてこれは規定されて来ているわけです。だから、三公社五現業の場合は、国鉄と私鉄の関係においても、運輸機関という本来の使命から言えばこれは公益事業でして、本質的には変らんわけです。但し私鉄と国鉄とはそのよつて立つところの身分によつて労働法規というものも違つて来ておるわけなんです。大臣の所論から言えば。だから地方公務員国家公務員を身分によつて差別するとなれば、これは例によるという論は私は成立たんと思うのだが、その点どうです。大臣の答弁を素直に私は聞いてそういうふうに解釈した。
  46. 大達茂雄

    国務大臣(大達茂雄君) 私は身分と申しましたが、つまり公務員という身分を前提として政治的行為を規制しておりまする意味でありまして、公務員という身分のない者には政治行為制限はされておらんのが現状であります。地方公務員でありましてもやはり公務員であるという身分を持つておるという前提に立つて政治的行為というものが制限がされておるのであります。それで先ほどの問題は、政治行為をするか或いは全然しないかと、こういう問題であります。私は公務員という身分がなければ政治行為制限というものが軽々しくなされるべきものではない、その身分があつて政治行為制限をするというのは現在の法律の建前でありますから、その建前に立てば今度はその公務の実質から見て、地方公務員でありましても国の公務員と同じ制限に付することが至当であろう、こういうような意味で申上げた次第であります。(「休憩」と呼ぶ者あり)
  47. 岡三郎

    ○岡三郎君 今の点についても、そういうふうになれば、大臣の答弁なら、それならばもう地方公務員国家公務員は教職員であるとないとを問わずその論法から言えばこれは一緒でいいということになるのです。大臣の答弁から言えばそういうふうになると思う。大臣が言つておることは、教育の本質から言つてこれは一体に見るべきであるということを言つておるわけです。併し本質的に地方公務員国家公務員は議論が違つて来る、だから国家公務員地方公務員とを問わず、公務員であるからこういうふうにするのだ、この所論はちよつとおかしい。そういう所論ならば一般の地方公務員国家公務員も同じにしなければならんという論が出て来るのですよ。その点どうです。私は今ここで議事進行がありますから言いませんが、その点は根本問題ですよ。今の点は私はゆつくりあとで述べますけれども、もうちよつと文部省のほうも整理して行つて頂きたいと思う。
  48. 川村松助

    ○委員長(川村松助君) 永井君、須藤君から御発言を求められておりますけれども、これは次回にいたします。それではこれで一応休憩いたします。    午後零時三十四分休憩    〔休憩後開会に至らなかつた。〕