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1954-02-26 第19回国会 参議院 通商産業委員会 14号 公式Web版

  1. 昭和二十九年二月二十六日(金曜日)    午後一時四十六分開会   ―――――――――――――  出席者は左の通り。    委員長     中川 以良君    理事            加藤 正人君            藤田  進君    委員            石原幹市郎君            大谷 贇雄君            黒川 武雄君            高橋  衛君            岸  良一君            豊田 雅孝君            西田 隆男君            海野 三朗君            三輪 貞治君            武藤 常介君   政府委員    外務政務次官  小滝  彬君    外務省参事官  寺岡 洪平君    大蔵省為替局長 東条 猛猪君    通商産業政務次    官       古池 信三君   事務局側    常任委員会専門    員       林  誠一君    常任委員会専門    員       山本友太郎君    常任委員会専門    員       小田橋貞寿君   説明員    通商産業省通商    局長      牛場 信彦君   ―――――――――――――   本日の会議に付した事件 ○輸出保険法の一部を改正する法律案  (内閣提出) ○通商及び産業一般に関する調査の件  (貿易政策に関する件)   ―――――――――――――
  2. 中川以良

    ○委員長(中川以良君) それでは只今より通商産業委員会を開きます。  最初に御報告を申上げまするが、先刻打合会を開きまして、来週の日程につきまして次のように決定をいたしました。三月二日午後一時より輸出保険法の一部改正案、これの審議をいたします。なお時間が余りましたならば貿易政策一般に関する調査をいたします。三月四日と五日の両日は両日とも午後一時から電気料金問題に関する需用者側の意見を聴取いたします。参考人といたしまして呼んでおりまするのは、お手許に差上げたプリントにございまするから御了承頂きます。  本日は輸出保険法の一部を改正する法律案につきまして、先ず政府側の提案理由の説明を聴取いたします。
  3. 古池信三

    政府委員(古池信三君) 只今提案になりました輸出保険法の一部を改正する法律案につきましてその提案の理由を申上げます。  輸出保険制度は、昭和二十五年に始めて設けられまして以来、数次の改正を経て現在五種類の保険を包含する制度に発展いたしまして、その利用状況も漸次活溌になつて来ておるのでありますが、最近における我が国国際収支の推移に鑑みまして、今後なお一段と輸出を振興することが必要となつて参りましたので、今回輸出保険法の一部を改正して新らしい種類の保険を創設することにいたしたのであります。  本法律案は右の趣旨によりまして新たに輸出者が委託販売輸出を行うことによつて受ける損失を填補する保険を創設することによりまして本邦商品の海外市場への進出を促進し、海外市場の開拓と輸出の増進を図らんとするものであります。  最近の国際貿易の実情は、戦争直後の特殊的な形態から漸次いわゆる貿易正常化へ移行し、各国間の競争は激化し、その結果輸出取引の決済条件の緩和も或る程度止むを得ない状態となり、信用状に基かない輸出や代金後払方式による輸出によらなければ、輸出が困難となるような場合も増加する傾向にありますので、政府は、先に輸出代金保険を設けてプラント類の代金後払方式による輸出において輸出者の受ける損失を担保する途を開き、次いで、昨年八月に輸出手形保険を創設してD/P、D/A方式輸出について輸出手形を買取つた銀行手形の不渡りによつて受ける損失を填補する制度を新設したのでありますが、今回は、本邦商品を海外市場に積出して海外の受託者にその販売を委託するいわゆる委託販売輸出契約に基いて貨物を輸出した場合に予期の通りに貨物が販売せられないために輸出者が受ける損失を埴補する保険制度を新たに設けることとしたのであります。これは海外の需要軒が直接本邦商品を見て、直ちに現物を入手し得るような販売体制を本邦輸出業者及び生産業者が安心してとれるようにすることによつて輸出を促進することを目的とするものでありまして、在外公館及び貿易業界等からも従来から強く要望されていたところであります。  なお、今回の改正におきましては、右のほか、この法律の従来からの規定のあるものについて若干の技術的改正を加えております。  何とぞ御審議の上速かに可決されんことをお願いいたします。
  4. 中川以良

    ○委員長(中川以良君) 本法律案につきましては、本日は提案理由を聴取いたしまするにとどめまして審議は次回にいたしたいと思います。御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 海野三朗

    ○海野三朗君 今の字句のD・P、D・Aというのを御説明願いたいと思います。
  6. 古池信三

    政府委員(古池信三君) これはD・P、D・Aであります。D・Pというのはデリバリイ・アゲンスト・ペイメント、それからD・Aというのはデリバリー・アゲンスト・アクセプタンス、こういうのでありまして、それぞれ手形によつて決済をする際の保険をこの前に御審議願つて決定を見た、そのことでございます。
  7. 中川以良

    ○委員長(中川以良君) よろしうございますか。
  8. 海野三朗

    ○海野三朗君 訳は何とつけたらいいでしようか。
  9. 東条猛猪

    政府委員(東条猛猪君) ちよつと専門外でございますが……、荷物を引渡す条件は、普通でございますと代金の決済が例えば行われました場合でありますとか、或いは銀行が引受けた場合でありますとか、その引渡しの時期がいろいろあるわけでございます。取引の条件といたしましてデリバリー・アゲンスト・ペイメントの場合は、日本からの輸出でございますと、その輸出手形が海外で決済いたされまして支払われましたときに荷物を引渡す。それからデリバリイ・アゲンスト・アクセプタンスでございますると、現実の代金の支払が行われませんでも、先方の輸入業者がこれは確かに引受けるという引受けが行われました場合に荷物のデリバリーをいたす。そういう意味におきまして、若し支払人の、向うの輸入者の信用上に若し不安がございますれば、いや引受けたから荷物をデリバリーするということでは多少商取引に危険が伴うということでありまして、輸出を振興いたします場合におきましては、場合によりましては、さような多少輸出国の不利になるような条件でも、そういう商売でもやつたらどうだろうということで、国といたしましてそういう場合の危険を保証する、保険するという制度になつておるかと心得えております。
  10. 海野三朗

    ○海野三朗君 日本語で申しますと、その訳は何と申しますか。何と日本語では訳しますか。
  11. 東条猛猪

    政府委員(東条猛猪君) 私も専門的な訳は自信ございませんが、実態に即して申上げますれば、手形の支払後貨物を引渡すというのがデリバリー・アゲンスト・ペイメントでございます。その手形の引受後貨物を引渡すというのがデリバリー・アゲンスト・アクセプタンスでよかろうと心得えておりますが、余り自信がございませんのでお許し願いたいと思います。
  12. 中川以良

    ○委員長(中川以良君) よろしうございますか。それでは本法律案に対する審議は次回といたします。   ―――――――――――――
  13. 中川以良

    ○委員長(中川以良君) 次に本日は昨日の質疑に引続きまして、順次審議をいたしたいと存じますが、先ず最初に皆様から御質疑を願う前に、只今東条為替局長が見えておられますので、最近における外貨の割当制度問題、これの只今の実施状況又将来に対する政府の方針等につきまして一応説明を聴取したいと思います。
  14. 東条猛猪

    政府委員(東条猛猪君) 委員長のお言葉に従いまして、只今から最近の日本の外貨の保有の状況或いは最近の足取り、そういうようなことにつきまして申上げたいと存じます。具体的な外貨予算の執行の状況或いは具体的な割当の問題は、もとより通産省のほうの御専門でありますので、それぞれのほうから御説明があると存じますので、私からは主といたしまして外貨の状況につきまして申上げたいと思います。  昭和二十八年、昨年の十二月末の外貨の手持高でございますが、これは御承知のように、外貨の大部分は政府の外国為替資金特別会計で手持をいたしておりますが、一部は日本銀行、或いは一部は民間の為替銀行が手持をいたしております。それから又外貨の形といたしましては、米ドル或いは英ポンド、そういういわばキヤツシユの外貨資金のほかに、御承知のオープン・アカウント地域につきましては、いわゆるオープン・アカウントの債権、そういうようなものがあるわけでありますが、この所有者が政府でありまするものと、日本銀行でありまするものと、或いは民間の為替銀行の手持でありまするとを問わず、又キヤツシユでありまするとオープン・アカウントでありますとを問わず、全体を通計いたしまして、十二月末の金額が九億七千六百万ドルに相成つております。この九億七千六百万ドルのうち、米ドルは七億八千八百万ドルでございます。ポンドはドル換算で一億一千九百万ドルに相成つております。オープン・アカウントはこれは御承知のように十数カ国の勘定があるわけでありまするから、或るものは黒字になり、或るものは赤字になつておるわけでありますが、黒字、赤字を合計いたしまして、ネツトの数字は六千九百万ドルでございます。百万ドル以下端数を切捨ててございまして、合計と内訳が或いは符合いたさないかも存じませんが、合計九億七千六百万ドルの内訳は只今申上げましたように米ドル七億八千八百万ドル、ポンドがドル換算一億一千九百万ドル、オープン・アカウント六千九百万ドル、かようなことに相成つております。この十二月末の九億七千六百万ドルと申しまするのは、最近の外貨の足取りは逐次減少傾向を辿つておるということを申上げなければなりませんのでございまして、昭和二十七年の十二月末、一昨年の十二月末には十一億二千二百万ドル、それが二十八年の三月末は十億六千三百万ドル、六月末には九億八千三百万ドル、それが九月末にはやや殖えまして十億二千万ドル、それが又減りまして九億七千六百万ドルということに相成つておるわけであります。なお一月末の見通しでございまするが、これは正確な数字がまだ出ておりませんが、相当一月中の貿易或いは貿易外を通ずる逆超は甚だしい状況でございまして、特に御承知のように昨年のいわゆる凶作の関係で食糧の緊急輸入を手配いたしておりますような事情もございまして、一月の逆超は資金面から計算をいたしますると一億ドルを超えるのではなかろうか、そういたしまするとまだ暫定的な計数でございまするが、一月末の数字は今申上げました十二月末の九億七千六百万ドルを相当下廻りまして、仮に一億を超える収支の払いがあるといたしますると、八億七千万上下の数字になるのではなかろうかという推計をいたしておるわけでございます。なお二、三月、今後の見通しの問題でございまするが、これも今申上げましたような輸入の傾向、それから日本輸出につきましては、これ又御高承のように必ずしも輸出の伸びがはかばかしくないということで、三月末くらいまではやはりこの外貨の保有の状況は減少を辿つて参るであろう、かような見方をいたしております次第であります。  今当面二十九年度の上期の外貨予算の編成方法につきまして政府の部内で関係方面寄りまして、只今いろいろと計数を検討し、或いは相談をいたしておる段階でございまするが、さような際に当りまして、今申上げました外貨の状況に相成つておりまするということを十分強く考えまして、外貨予算編成に当る必要があろうというような点を中心といたしまして、只今いろいろと政府部内でも検討いたしておりますような状況でございます。一応この最近におきまする外貨の状況につきまして簡単に御説明を申し上げました。
  15. 中川以良

    ○委員長(中川以良君) 御質疑がございましたらどうぞ。
  16. 加藤正人

    ○加藤正人君 外貨予算の編成方針までお話が触れていないのですが……。
  17. 中川以良

    ○委員長(中川以良君) それにつきましては、これは通産省の通産局の問題でございまして、通商局がまだ見えておりませんので、あとで参りましてから、只今お手許に差上げましたプリントにつきましては通産省から御説明をさせます。  それではお諮りいたしますが、通商局長が参りますまで丁度外務省側から小瀧政務次官並びに寺岡外務省参事官が見えておられるので、どうぞ一つ昨日の問題に引続き御質疑をお願いいたします。
  18. 加藤正人

    ○加藤正人君 政務次官に御質問しますが、こういうことは外交問題に関係しますから言つていいか悪いかわからんのですが、インドネシア向けの出超による焦付きが約一億ドル以上に達しておる。そのために同国向けの輸出を抑制しようとする考えが政府部内にあるということですが、この焦付きの債権とインドネシアに対する今後交渉に入るべき賠償問題との関係について政府はどう考えますか。この焦付きは民間の貿易取引によつて起つた金額でありますから、直ちにこれを政府政府との賠償というような問題とは混同できないように思いますが、一体向うは恐らく外貨は日本に払うべき一億ドル以上を持つておらんというようなふところ工合であるということを聞いておりますから、ない袖は振れんといつたそこに問題が自然来るのじやないかというような懸念を一般に業者は持つておるようであります。そういう必然性が今後あり得るかどうかという点について見通しをお伺いしたい。
  19. 小滝彬

    政府委員(小滝彬君) このスウイングのリミツトをオーバーした金の処分については、御承知のように貿易協定がありますので、この点は通商局長が参りましたら御説明申上げると思いますが、主として外務省の関係では賠償との点をどういうように取計らおうとしているかというのが御質問の重点だろうと存じます。殊に六千万ドルばかりを賠償のほうに利用したらというようなことが一部で論ぜられておつたことは事実でありまするが、先方のほうからそういう正式な申入はございません。又日本といたしましても役務、又役務を広く解釈して役務に関連する資材というようなものは出さなければならないだろう、そうしてできるだけ円満に、速かに賠償問題を解決いたしたいというので、現に現地では倭島公使が非常な努力をいたしておりますが、併しこの商業上の債権をその方面へ利用するということは考えておりません。これは一部の論者のかたがそういう思い付きをお持ちになつているということは承知しておりまするが、そういう話にはなつておりません。ただ現在は新聞でも御承知のように、賠償総額をどうするかというような点で、双方の間に意見がまだ合致いたしませんので難航を続けておりまするが、御承知のように沈船引揚げの協定が今度の国会で御承認を仰ぐような順序になつておりまするし、又この商業上の債権を離れまして開発事業、アサハン計画というようなものにつきましては、先方で相当熱心な希望がございますので、具体的な点も政府として検討いたしておるというのが現状でございます。
  20. 加藤正人

    ○加藤正人君 日本政府にはそういう意図がないと思われるのですが、向うの保有している外貨がやはり日本どころでなく、もつと窮乏しているから、ない袖は振れんという結果、自然そこにそういうような憂いがあると思いますが、今の沈船引揚げか何かで、早く向うに金を稼がせて、そういう心配のないようにして頂くように願いたいと思います。  なお続いてお伺いしたいのですが、その後大分長く我々がガツト加入問題の推移を聞く機会がありません。その点も伺いたい。  なお日本輸入超過となつておる濠州、ニユージーランド、濠州には一九五三年一月―十二月で累計が五千九百二十九万一千ポンド、ニユージーランドには二百五十七万八千ポンドの輸入超過を見込んでありますが、こういう両国とは一日も早く通商協定を結ぶ必要が迫つておるように思うのでありますが、両国とのこの件に関する交渉状況、推移について伺いたい。
  21. 小滝彬

    政府委員(小滝彬君) ガツトに仮加入いたしまして以来今日まで、この宣言に参加いたしましたものが二十四カ国と記憶しております。それによりまして、例えばブラジルのごときは低率関税をとつており、オーストリーのごときは二重関税をとつておるというようなことで、非常に有利になつております。なお又カナダとの交渉も大体もう終結に近付いておりますので、あの日本カナダとの間の通商協定ができますれば、カナダ日本にガツト税率をかけることになる。而もカナダのほうは為替管理を行なつておりませんから、今後における日本カナダ間の貿易というものは相当期待していいのではないかと思います。これに対しては勿論、日本輸出品の価格がどうなるか、又ダンピングというような虞れもある、或いは二重価格というようなものが問題になるとすれば、或いは楽観を許さない点があるかも知れませんが、とにかくこの協定ができると、自由市場を獲得することになりますので、非常に意義があることと考えております。  濠州とニユージーランドの例をお引きになりましたが、御承知の通り、非常に輸入超過になつておりまするので、これらの国、濠州、ニユージーランドのみならず、その他の自治領につきましては、過般のロンドンにおける交渉では、大体の見積りをしただけでありまするから、今後個別的に交渉しなければならんという関係にあります。幸いにしてニユージーランドのほうでもすでに話合いを大分進めておりまするし、濠州も日本貿易に関する話合いをするということには異議がないようでありまするから、勿論濠州との間にはアラフサ海の問題もあるし、ときどきいろいろな新聞紙上などで神経をいらだてておるような関係もありまするが、是非早い機会に話合いをいたしまして、もう少しバランスのとれた貿易状態に持つて行こうというように折角努力しておるのであります。その他インドとかパキスタンの関係もございまするが、いずれもこの日英交渉に引続いて私どもが経済外交の一部として是非やつて行かなければならない課題であると考えまして、そのような準備を進めております。ただ、今加藤さんのお話には、通商協定というお話でありましたが、この正式の通商協定の話になりますと、この一月におけるロンドンでの会談の際にも、イギリスは相当の点をまだ躊躇しておりますので、先ほど申しました濠州及びニユージーランドの交渉も、今までございますような貿易取極めというようなものに立つて、それからだんだんに一般的な通商航海を律する正式な条約を作るというように逐次進めて行きたいというように考えております。
  22. 加藤正人

    ○加藤正人君 そういう程度ですと、両国民の自由に入国するというようなことがまだできんわけですな。
  23. 小滝彬

    政府委員(小滝彬君) 御承知のように、限定された限度においては行けますけれども、長く滞在するとか支店を出すというようなことについての保証は、ございません。
  24. 加藤正人

    ○加藤正人君 投資もできませんね。
  25. 小滝彬

    政府委員(小滝彬君) その後両国間のいろいろの問題を解決するようになりましたら、是非話合いをして、そういう保証を取付けるように努力いたしたいと考えております。
  26. 加藤正人

    ○加藤正人君 今濠州はそういうふうに入超になるくらい羊毛の取引がありまして、相当日本は向うに行つて物を買つてやるにもかかわらず、業者は長く滞在できない。それからいろいろな向うの商社との投資関係に亙るような商取引ができんというので、非常に不便をしておる業者が多いようですから、一日も早く本格的ないわゆる私の言う通商協定が望ましいと思います。今後ともその点を御努力願いたいと思います。
  27. 海野三朗

    ○海野三朗君 先ほどの御質問に関連しておることでありますが、インドネシアの沈船引揚げの問題は、中間賠償、あれは大体どういうお約束で引揚げることにされるのでありましようか、ちよつと大体のアウト・ラインを承わりたい。
  28. 小滝彬

    政府委員(小滝彬君) 本日は書類を持つて来ておりませんので、多少数字などに違いが出るかと思いますが、概略を申上げます。  御承知のようにフイリピンとの間に沈船引揚げの協定ができております。あのほうには、沈船引揚げにどれだけの金額を日本が払うかということはきまつていないのでありまするが、今度の協定におきましては、日本の円にして二十三億五千万円であつたと記憶いたします。それに附帯する細目取極めで、大体六カ月以内のうちに開始して、そうして三年以内にこれを完了する。引揚げる船舶は、大体の見通しとして四十艘と記憶いたしますが、その程度は引揚げたいと考えております。が併し、これはフイリピンにおけるがごとく調査団を出しまして作つた統計ではございませんので、果してどれだけが引揚げられるかわかりませんが、金額においては大体頭を押えて行くということで話がついております。スダルソノ団長が日本に参りまして交渉いたしまして、結局フイリピンとの取極めに非常に似通つたものを作るということで、そういう取極めをいたしましたので、その条項は殆んどフイリピンとの取極めと変つておりません。先ほど申しましたような数字の点が出て来ることと、もう一つは、インドネシアのほうでは、これから先二国間に作るところの平和条約、これの中に賠償規定が設けられるのだが、その賠償の一部としてこれを実行するというふうに書いてあるわけであります。向うのほうが日本に必要な施設を提供するという点もありまするけれども、フイリピンとの取極めのように、日本人生命財産保護すると申しまするか、非常に動乱でもあつて危なつかしいから特に生命保護するというような規定を作らなければならんというような誤解をかもしてもいけないからというので、そういう条項はございませんけれども、今申しましたような線でフイリピンとの協定とほぼ同じものを作つたというのが、今度のインドネシアとの沈船引揚協定であります。
  29. 海野三朗

    ○海野三朗君 その引揚げた船のスクラツプは、やはり日本に持つて来ることになつているのですか。
  30. 小滝彬

    政府委員(小滝彬君) スクラツプにつきましては、何ら協定の中には書いてございません。話合いの途中で私どもの了解いたしておりますところは引揚げたところのスクラツプは商業的な話合いによつてコンマーシヤル・ベースによつて日本にも提供されるであろうというふうな極めて漠とした話合いでありまして、現実に引揚げたあとで話合いをするというふうな考え方でございます。
  31. 海野三朗

    ○海野三朗君 それからもう一つお伺いいたしたいのですが、曽つてインド日本とが民間の人でありましたが、印度に製鉄所を作るというふうなことを、半分まで話ができ上つたものがいつの間にかほごになつた、そういうふうなことに対しては、又外務省としては、何らかそれに無関心でいらつしやるのか、何かお考えがあられるのか、そういう点も承わりたい。  又もう一つは、旅券の件でありますが、この間ソヴイエトから学界のほうで、日本の学者に向つて招待状が来たはずであります。その際にこれを外務省のほうに旅券の交付を申出たところがこれは学者としても赤だからといつて大分難色があつたという話を聞いておりますが、あれはその後どうなりましたか、それを承わりたいと思います。
  32. 小滝彬

    政府委員(小滝彬君) インドの製鉄会社設立問題というのは恐らく高碕さんが御関係になつたあの事業のことであろうと存じまするが、一時非常に話合いがスムースに進んでおるように見えましたところ、インド政府のほうで余り賛意を表しないという関係から話が中止になりました。従いまして当時外務省としては勿論無関心ではなく西山大使に訓令を出しまして様子を聞いてもらいましたけれども、まだその時期ではないというような極めて漠たる返事しかもらえないし、又その他の方法でもいろいろ情報を覆るように努力いたしましたけれども、あの問題というのはそのままになつたわけでありまして、最近になつて見ると、ドイツのほうが話合いが進んでおるようでありますから、これは私限りの推測でありますけれども結局商業的に見てドイツとの提携を有利と認めたためではなかろうかと思います。日本に対しての感情では決して悪いわけでもない、そうした政治的考慮によつてこれが駄目になつたものではないというふうに確信いたしております。  それから第二のソ連への渡航の問題でございますが、学者の諸君が行かれることに対しては旅券を出しておりません。これについてはいろいろ御議論もあるようでございましようが、現在のところ共産圏の諸国との往復というような人的往来というものはこれを制限いたしておりまして、御指摘のようなあの会議に出席するため旅券を与えるという点につきましても消極的な態度をとつて来た次第であります。
  33. 中川以良

    ○委員長(中川以良君) 外務省側に対しての御質疑を一応終つて頂いて、それから牛場通商局長から説明を聴取いたしたいと思いますので、外務省に対する御質問をお願いいたします。
  34. 三輪貞治

    ○三輪貞治君 部分的な賠償交渉について関係国との問についての御説明は聞きましたが、全般的に関係各国との間の具体的なる賠償交渉の進捗の状況、それから今年の予算に計上されておりますところの賠償予算の各国別に想定されておる金額、こういつたものについてお伺いいたします。
  35. 小滝彬

    政府委員(小滝彬君) 賠償の交渉を行なつておりますのは、御承知のようにフイリピンとインドネシアビルマであります。ヴエトナムに関しましては極めて近いうちに、沈船引揚協定が締結できるだろうと考えております。但しこの引揚げの規模というものはフイリピン及びインドネシアに対するよりもよほど小さいものであります。ヴエトナムのほうはすでに日本との平和条約に批准をいたしておりますが、この沈船引揚げの協定で以て大体賠償問題は解決するのではなかろうかというふうに考えております。何となれば、先方における被害も非常に少いし……そうした話合いが実は起つているということを聞いております。  フイリピンの関係におきましては、過般岡崎外務大臣が東南アジア諸国を廻りましたときにも、大体大ざつぱな話をいたしまして、それを基礎といたしまして、その後大野公使が現地に参りまして、折衝いたしております。日本のほうでは二億五千万ドル程度の賠償を支払う、そうして年数も十年なり十五年なりの期間をかけて支払う、詳細のどういう品物を、どういう役務を提供するか、どういう方法でやるかということについて今話をきめようといたしておるのでありまするが、この二億五千万ドルという数字に対しては、先方はいろいろ不満がございますので、こうした根本的な問題がよく進捗いたしませんために、具体的な話にはまだ入れないという状態でございますが、併し両国の関係を平常なものにいたしますためには、又フイリピンが平和条約に批准いたしまして、正式な外交関係を結び、友好関係を増進して参りますためには、何としてもその前提になる賠償問題を早く片付ける必要がございまするので、政府といたしましては、妥協の精神で、成るべく早くこうした総括的な話をし、又具体的な問題に入るように努力いたしたいと考えまして、現に現地でそうした話合いを進めておる次第であります。  インドネシアにつきましても、大体フイリピンにおけると同様に総額という点について相当まだ両方の見解に開きがございますので、十分の進捗を見ておらないのは遺憾でございまするが、このほうもできるだけ早く片付けて行きたいというので、倭島公使は目下努力いたしております。このインドネシアとの関係につきましては、過般岡崎大臣が関西のほうに参りました際に、賠償問題を説明いたしまして、賠償問題を早く解決するということは、是非日本として必要なことであり、日本としてやらなけばならない義務でありますが、同時にこの賠償問題が解決できたならば、経済的にもいい結果をもたらすであろうという趣旨のことを申上げましたところ、その結果経済的な便益も期待できるという点が非常に大きく現地に報道せられまして、日本は賠償の義務を感じない、日本の利己的な経済的な利益のために賠償問題を取扱うのかというので、ただ先方の新聞が書きましたのみならず、先方の首相が声明を出したというような、悲しむべき事実があつたのでございます。併しその後外務省からも再三岡崎大臣の趣旨のあるところを説明し、又これに対する説明書を向うに押出し、且つ議会におきましても、過般大臣がその点をはつきりとした言葉遣いで釈明されまして、日本政府の考えていることは本国会の冒頭において外務大臣が声明した通りである、ということを繰返し述べましたため、最近におきましては、大体先方の誤解も解けたように倭島公使のほうから言つて参つております。加藤さんの御質問に答えました際、発電所の計画、アサハン計画のことをちよつと申しましたが、先方はこうした計画にも非常に興味があるようでございますので、そうした面についていろいろ技術的な研究も必要でありますから、こうした実際の賠償方式をどうするかということを、総額の問題を討議すると同時に並行的に研究するという態度で進みまして、成るべく早くこれを片付けるように努力しておるのであります。  ビルマにつきましては、これはフイリピンやインドネシアほど話合いが進んでおらないというのは事実でございます。つまり先方のほうにもはつきりとした案もないようでございまして、近く先方の有力者が、政府の関係閣僚あたりが日本へ使節として出向きたいというような意向も持つておるようでありまするから、それが具体化するようになりますれば、勿論日本政府といたしましてはこれに協力いたしまして、ビルマとの交渉も成るべく早く解決できるようにいたしたいと考えております。  なお予算の点でございますが、予算はこれは大蔵省の所管で、平和回復善後処理費のほうに盛られておるのが、その相当部分が賠償のほうに充てられることになつております。先ほどから申上げますように、はつきりきまつたものは、今のところインドネシアと、そしてフイリピンの沈船引揚げの問題だけでございまするので、予算のほうではそう大きな額を計上していないはずであります。殊に沈船引揚げはフイリピンにいたしましても、インドネシアにいたしましても、少くとも二年はかかるであろうというような関係もございますので、予算の面にははつきり日本の賠償額を政府としてどれだけに見積つておるという点は出ていないものと御承知を願いたいと存じます。
  36. 三輪貞治

    ○三輪貞治君 日本政府の賠償処理の機構ですね。どういう機構でやつておられるか、これをお伺いしたいと思うのです。
  37. 小滝彬

    政府委員(小滝彬君) 只今のところは原則的な交渉の過程でございまするので、外務省が中心になりまして関係省と話合いをして交渉を進めて行くという実情でございます。ただ先ほどから申上げました沈船引揚げの問題になりますると、いよいよこれを実行する段になりますならば、これは運輸省の関係になりまするので、フイリピンに対しましては、近く運輸省の係官が両三各派遣せられるようになるであろうと存じます。その際入札の問題とか、いろいろあるでございましようが、そういう現実的な実施の面は、その賠償の種類によりまして関係官庁が違つて来るわけでありますが、これが近く将来話合いがついていよいよ実行に移るということになれば、或いは特殊の機関が必要になるかも知れませんが、現在のところはそうした具体的な組織機構というものは考えておりません。
  38. 三輪貞治

    ○三輪貞治君 先ほどインドネシアの賠償について岡崎大臣が関西で演説したのが非常に悪い影響をインドネシア当局にもたらしたというようなお話がございましたが、併しこれはいずれにいたしましても、日本は賠償を支払わなければならんという最も悲しむべき義務を果さなければならんわけであります。併しこれをこの機会に禍を転じて福とする計画の下に、この逼迫している日本貿易経済の打開のために、又これをば考慮して行くということは、言うと言わざるとにかかわらず、最も大切なことであると思うのであります。そうでありますと、具体的に役務賠償が将来の日本貿易をどういうふうに好転せしめるかというような非常に重大な問題と関係をして参りますると、これはやはり政府に私は専門の賠償機構を持つ必要があるのではないか、それは賠償委員会というのでもよければ、賠償処理何とかという名前でも結構でありますが、いろいろな専門的な部分それから民間人、実際に産業に携わつておる人々等を網羅いたしました機関がもう必要な段階ではないか、こういうふうに考えるわけであります。特に賠償を受けようとする側にはすでにそういうものが、どういう形であるかは存じませんが、できておるように思います。例えばビルマにおきましては賠償五人委員会等がありまして、その委員には国務大臣なり産業大臣なりその他の大臣級の人物が委員会の委員になつております。その下にその事務局がある。こういうふうにもう具体的にかなり受入れるところの機構を作つておるようであります。ですから日本政府としても、外務省が中心になつておやりになることは結構ですが、先ほどお話になりましたように、運輸省通産省等に非常に重大な関係を持つのでありますから、これを一丸とした賠償処理の機構を作るべき段階ではないか、こういうふうに私は考えておるわけであります。この点について政務次官の御見解を一つ伺いたい。
  39. 小滝彬

    政府委員(小滝彬君) お説御尤もでありまして、これがだんだん具体的な面に入るということになれば、そうした機構も必要かと存じます。が、併し現在の段階におきましては、各関係省と緊密な連絡をとりまして全般的な話合いをして行くという次第であります。殊に総額問題なども引つかかつておりますために、具体的なところに入つていない、これが現状であります。併しこれは賠償とは別でございますけれども、民間のかたが出て行かれまして、先方で経済協力というような面でお話になつておるような点がこの問題にも影響を与えておるということは事実でありますので、今お話のような機構というものも、これは遠からず考えなければならん段階に来るかとも思いますが、現在は先ほど申上げましたようにその序論のほうで引つかかつておりますので、いろいろ経費の関係などもありまするし、そうした組織を持つていないという状況でございますが、今御指摘のような点は十分考慮に入れてこの問題を処理して行きたいと考えております。
  40. 三輪貞治

    ○三輪貞治君 そういうことを申上げるのは、例えば非常に小さい例ですけれども、先般ビルマからビルマ政府の政務次官でタキン・サンミンというのが一月から二月にかけて参つておりました。彼が参りまするのが非常に急にきまつたために、日本に来るについての詳細な打合せをして来なかつたようであります。一月の十七日に到着しましたが、その後政府のほうから訓令が参りまして、賠償について大いに検討して来いということが一月の末に参りまして、総領事館との間で相当研究をしておつたようであります。例えば一つの例でセメントならセメントというものについて賠償の問題を考えた場合に、一方でセメント・プラントをば持つて行つて役務賠償とすべきである、こういう考え方がある一方、今度は日本のセメントも売らなければならんという立場からは、むしろタンクを向うに作つて行つて、それによつて日本のセメント輸出を継続するという二つの違つた考え方が現実に業界なら業界にあるわけです。それが調整されるというような場合も、これは最も現実的な段階になつてからでいいのでありますが、併し今においてそういうことをやらなければ私はならない段階ではないか。こういうふうに考えますので、政府のお考えはわかりましたが、一つ早急にそういつたような賠償処理の全般的な一つの機構を拡充されるように希望いたします。  それからもう一つお伺いしたいのは、中国の問題が抜けておりますが、中国の賠償についてはどういうふうに政府は今お考えになつておるかということ。  それからヴエトナムについては沈船引揚げで大体賠償は解決するだろう、こういう御説明でありましたが、これはヴエトナム政府が依然としてインドネシア代表的な政府であるという場合に限りあるわけであります。併しながら現在の戦局その他から考えてこれは又変つた状況になると考えられますので、そういつた場合には一体これはどういうことになるのでありますか。その二点についてお伺いいたします。
  41. 小滝彬

    政府委員(小滝彬君) 中国につきましては中華民国政府のほうで賠償を要求しないというのでその趣旨による条約ができております。ただ請求権の問題は相互の特別取極めの次第とするというような条項もございますが、賠償は取らないということでありますので、この問題は現在ございません。ヴエトナムの今後というものはどうなるか知りませんが、これはフランスとの関係もございまするし、現在の戦局と申しまするか、動乱との関係もあつて、これは政府が変るということがあるかも知れない、そういう仮定の下にどうするかとおつしやいますならば、これは国際法上でこれまでの政府の約束して来たことはその次の政府はこれを守らなければならないということになつておりますので、今のヴエトナム政府と話合いが確定いたしまするならば、先方は政府が変りましてもそれを実行する義務があるであろうというように考えております。
  42. 海野三朗

    ○海野三朗君 一昨日通商局長からいろいろ話を聞いたのでありますが、このイラン石油に対しましては外貨の割当がなかつた、何故外貨の割当がなかつたかというと、それはイギリスに対する貿易のことを考えたためであると、こういうふうな答弁であつたと考えるのでありますが、今日ソヴイエトに対してイギリスが働きかけておるあの態度から見ましても、あのアングロサクソン人種というものは損することは舌をも出すということが嫌いだという国民性なんである。私はそういうところをよくお考えになつて、イラン石油の外貨の割当などについても政府当局としては考えておかなければならないのじやないか、ところが全体としてイギリスとの交渉が、イギリスとの貿易関係が借高が余計だからそのほうが大事だとお考えになるのは、もう少し深く掘り下げてお考えにならなければならないじやないかというふうに私は思うのでありますが、如何にお考えになつておりますか。
  43. 小滝彬

    政府委員(小滝彬君) イランとの国交関係をよくし、又イランとの貿易をよくして行く、又でき得れば安い油を入れて来たいという点においては全く同感でございます。ただ同時に日本はイギリスのほうが鐚一文全然損をせん態度をとつておるからイギリスに押されてやつておるというのではなしに、日本の大きな利益という点からこれまでのところ出光興産の入れましたあとは紛争解決するまでは入れないように自発的にこれを抑制しようという態度をとつて来たわけであります。が併しだんだん情勢も変つて来ておりますし、殊にこの石油の問題につきましては英米とイランとの話合いも相当進んでおるようであります。でありまするからして、イラン石油を入れるという問題はそう時間をかけないで解決して行くんじやないかというような曙光が見えていると私は考えます。が折角の御質問でありますので只今の状況を申しますならば、イランのほうは現在英米との話も大分進んできておるので、石油のほうよりはむしろお米のほうを買つてもらいたい、手持の三万トンの米を買つてくれなければ、場合によつては両国間の通商関係がどうなるかもわからんという非常に強硬な態度日本に臨んでおるのであります。これは私どもの邪推かも知れませんが、イランの考え方によれば、あの石油は本当に英米と話がつけば、米国のほうがローヤリテイでも払うということになる際には、ドルはキヤツシユで、現金がもらえる、ドルは世界中どこでも使える、而も安定して一定額がもらえるのでバーターの取引なんかに利用するよりもそのほうが確定収入になるというような考えかどうかその辺私わかりませんが、とにかく現在においては石油については、それほど、今までほどの熱意を示していないというのが実情であります。が併し石油は何といたしましてもイランの重要物産でありますので、而も又若しイランが相当自由なる価格においてこれを処分し得るような話合いでもつきましたならば、それはカルテルの石油を買うよりもそのほうが安いということも全然期待できないわけでもございませんし、又イランという一つの市場、而もあの中東における重要なイランでありまするからして、この関係をよくするように今後とも努力し、又石油のほうも決して等閑視しておるわけではございませんが、現在のところはお米の問題が非常に重要な問題になつております。ただ昨年買入れましたときには黄変米が多くてこれの処分に非常に食管のほうでは困難を感じておつたというふうな状態もございますので、現在日本から検査官を派遣いたしまして米をよく調査いたしまして、でき得る限りイランの申出にも応じまして貿易取極めのようなものでもできるなら作つて行きたいというように考えて、折角西山大使もインドからイランのほうへ行かれまして努力せられておるところであります。
  44. 海野三朗

    ○海野三朗君 もう一つお伺いいたしたいのであります。一昨年東京におきまして第二回の世界仏教徒大会がございました。参加国およそ二十数カ国、各国の元首、首相からメツセージがたくさん参りました。その席には私も連なつたのであります。ところが悲しいかな、当時の閣僚誰一人からもメツセージが出ておりません。私はその当時に極東裁判の名判事であるパール博士が帝国ホテルを去るに当つて残して行つた一言が甚だ私は気にかかつておるのである。何と言うて行つたかというと、「日本の政治家は宗教ということには無関心なようですね。」という言葉を残して行つた。私は今日このインドとの通商の関係がおじやんになつたり、いろいろなそういうふうな現象はどこから出て来るのであるかと申しますと、要するに、日本の政治家がいわゆるインド人の本性というか、いわゆる宗教に立脚した考えが欠けておるというような印象を彼らに与えておるのが根本じやないかというように私は思うのであります。でその当時第二回の世界仏教徒大会に参列した各国の偉い人たちと親しく私が山形まで二十数人を案内いたしまして話合つて見ましたところが、実に日本人東洋人と申しますか、ぴつたり来るものがあるのです。で、今年の十一月には第三回の世界仏教徒大会がビルマで開かれる。この間築地本願寺にいろいろな各界の人たちが皆寄りまして、その席で相当の人たちが行くようでありますが、そういうふうな方面、つまり民間外交とでも申しましようか、そういう催しがあることに対しましては、やはり外務省としてはそういうことに対してはどういうふうなお考えでいらつしやるのか、その御信念のほどを承わりたい、こう考えるのであります。
  45. 小滝彬

    政府委員(小滝彬君) 先年仏教徒大会がありましたときに政府がどういう態度をとつたか存じませんが、日本外交といたしましても宗教の点は決して無視しておるつもりではございません。法皇庁のほうへは日本の公使も派遣いたしておりまするし、戦犯問題などにつきましても法皇庁の非常な配慮を得ておることは少くないのでありますが、ただ単にキリスト教、旧教のみならず、イスラム系の各国との関係をどうするか。又インドは仏教じやございませんが、ヒンヅー教とかいろいろそうした宗教の関係についても全然これを没却しておるものではなしに、イスラム教の国はこういう人を置かなければならない、そうしてその中心になる国はどの国であるから、そこには是非先ず大使を派遣しなければならないというような、そうした現実の宗教による国家群というようなものについても注意をいたしておるつもりでございます。  十一月ビルマで開かれる仏教徒大会についてどうかとおつしやいまするが、これは勿論ビルマという地域へ出て行くのでありましたら、それに対して旅券を云々するというようなことはございませんが、一つ問題がございまするのは、御承知の通り為替管理の面からでございまして、最近は学者の大会であるとか、或いはスポーツの関係であるとか、海外渡航の費用というものが相当嵩んで来ておりまするので、外貨予算の関係上或いは御希望通りに人を派遣することができないというような問題も起るかとも存じまするが、外交の面において宗教関係を全然無視するというような考えではなしに、むしろそうした面については十分考慮を払つて、できるだけそうした宗教関係においても日本をよく理解して頂くというような施策をいたしたいと考えております。
  46. 三輪貞治

    ○三輪貞治君 先ほど海野委員の質問の、イラン石油問題の質問に対して、政務次官はこれは日ならずしていい解決をされるのではないかと、こういう御発言をされたのですが、それはどういうことですか。外貨予算を政府が割当てることになろうとか、或いはバーター貿易を許すことになろうという意味ですか。
  47. 小滝彬

    政府委員(小滝彬君) これまでの問題は、イランとイギリスとの間にあの石油の問題について紛争があつた、そのためでありまして、外貨予算を削るという面からではなしに、むしろその面から言えば安いのが入つて有利だつたかも知れません。併しイランにおけるあの石油の問題が解決していないから、日本としてはイランからの石油輸入を抑制したわけであります。が併し、今行われておる交渉が成功いたしまして、イギリス、アメリカとイラン政府との間に話合いがつくというようになれば、当然これまでの困難というものが解消するわけであります。そうなればイランの持つであろう分け前というものが別個にあるとすれば、それに対しては是非日本が出遅れをしないように話合いをつけてイランからの石油も買入れたいと、できるだけ多くイランのほうからも買入れたいというように考えておるわけでありまして、今の英米との話合いがつけばそうした困難がなくなるという意味で申した次第でございます。
  48. 三輪貞治

    ○三輪貞治君 あなたのおつしやる英米の話合いがついたから買つたのでは、イランから買わなければならんという理由が非常に薄らいで来るわけだと思うのです。一体日本の裁判所は去年の五月、六月でしたか、あれはイランの国のものだと、イギリスの言つておる盗品ではないということをはつきり裁判で結論を出しておるわけです。又このイラン石油国有が一九五一年に通過しました。あの法律の中には、明らかにこの賠償の規定がありまして、その損害賠償をするということがはつきりされておるのであります。而も日本に売つた金額、或いはイタリアに売つた金額のうちの二五%はすでにイランの国立銀行にその引当てとして預託をされておる、こういうことがあります。なおイギリス自体も一九五一年の八月三日にあの法律がイランの国会を通過した直後においてイランの国有、石油の国有化を承認をしておる、こういう駐イラン代理大使の公文書があるわけです。その後アチソン前国務長官が米人業者のイラン石油買付に反対をしないということを一九五〇年の十二月に声明しております。一体この油はイランのものか、イギリスのものかということは、そういう状態からも解決をされておるわけです。而も日本の裁判所は昨年の六月それに対して最終的な決定をしておるわけなんです。何もそれは実際に妨げたわけではないのです。やはり具体的に日本政府が外貨を割当てなかつた、或いはバーター貿易を許さなかつたというのがその障害になつたのであります。ですからあなたのおつしやる今そういう問題が解決して、若しどういう形でありますか、イギリスが四五%、アメリカが五〇%、オランダフランス等が五%という割合でイラン石油の販売権を持つという形でその問題が解決して、それとこの買付けをするということになれば、これは又国際カルテルに入つたものを買うのであつて、何らイランから買わなければならんという理由は解消してしまうわけです。だからそれは手遅れであつて、私は今あなたのおつしやつておる日ならずして好転をするであろうということは、政府において外貨の割当をし、バーター貿易を許すという意味ならば、これは今においてもなお且つ多少時間的に少し遅れた感はありまするけれども、それを取返し得るけれども、若しあなたが今おつしやつたような意味におけるイラン石油問題の解決後における買付けであつたならば、これは大して我々がそうとやかく言わなくても当り前のことであつて、何ら非常に安いイランの油を買入れることによつて工業国としての競争国家から燃料を抑えられておる、国際カルテルに頭を抑えられておるという状況を打開することにならないと、こういうふうに考えるわけですが、御所見を承わりたいと思います。
  49. 小滝彬

    政府委員(小滝彬君) 成るほど外貨の割当をしなかつたから、イランから石油が入つて来ておらないわけでありまするが、その外貨の割当をしなかつた元をただせば、法律論から外貨の割当をしなかつたのではなしに、日英交渉というようなものもございまするし、いろいろ調整しなければならん問題もあつて、日本として自制したわけであります。今現実の問題としては先ほど申上げましたように、イランのほうは今石油の問題でなしに、米の問題で大変な要求を日本に出しておりますからして、現実問題としてこれを取上げます場合、この米の問題を解決しなければ、石油の問題に入れないという実情でありますので、目下政府といたしましても、そのイラン政府が非常に重要視しておる米の問題を如何に解決するかということで以てこの両国の貿易関係調整、貿易取極めを締結するという方向へ進みたいと、でそのためにいろいろ苦慮いたしておる次第でございます。
  50. 三輪貞治

    ○三輪貞治君 今のお話のもうイランは油の問題よりも米の問題を重要視しておるのだ、こういうことですが、これは少し御観測が違つておるというふうに考える。それはイラン政府日本政府に対してバーター貿易の懇請をいたしたのに対して何らの回答を政府はしてない。それに対する現われが昨秋の米の問題になつて現われておる。経済断交止むを得ないという強硬な申入をして来ておる。こういうふうになつておるのであつて、やはり根本には私油の問題があるのではないか。又実際にイランの産業上の構造を見てみますと、油と米は比較にならないほど油が重要であつて、石油は国有化でない前においては財政の約二割ぐらいをアングロイラニアン会社からの収入によつて賄つておつたように資料では見えるのであります。それを失なつて而もそれが足りない、又イギリスの妨害と申しますか、買つてはならないというようなことでとめられておるわけでありますから、この油を売りたいということは、これは米どころじやなくて、もつと大きな根本的なイランの要請であろうと思う。それに対して油のバーターその他で日本政府に対して懇請したのに対して何らの回答をしないので、そういつたような米の問題について経済断交の用意あるような公表をされたのであつて、やはり根本は恐らく油の問題である。こういうふうに考えておるわけでありますが、如何ですか。
  51. 小滝彬

    政府委員(小滝彬君) そういうふうにお考えになるのは誠に御尤もでございまするが、現実の状態は実はそうではないようでございます。これは油について日本から思い切つた申出をしなかつたからというのでなしに、向うの内政上の関係もございまして、現在においては米のことが最も重要で、これは決して今御想像になるような関係ではないということを西山大使からの電報で私どもは承知しておるのであります。  油のほうは、これは私のほうは進んだ推測かも知れませんけれども、先ほどから何遍か申しまするように、相当向うとも話が進んでおるので、イランで独断的にいろいろなコメントをしたくないというような問題もあるようであります。とにかく現在のところは決して、油を買わないから、それじや米を買えと言つて来るのじやなしに、米そのものに対して政府が手持しておるようでありまして、この点に非常に今のイラン政府は重要点を置いておるようでございます。
  52. 三輪貞治

    ○三輪貞治君 それでは外務省のキヤツチされておるイランの売りたいという米の量は幾らくらいですか。
  53. 小滝彬

    政府委員(小滝彬君) 三万トンであります。
  54. 海野三朗

    ○海野三朗君 ちよつともう一つお伺いしておきたいのですが、私はよくわからないから伺うのですが、今年の十一月の第三回仏教徒大会には、数百名も日本から各方面の人が行くようなんです。そういう際に、金を持つておつたつて外貨がなければ駄目だと、そういう場合が出て来るかも知れないので、そういうときには何か日本の船でも行けばいいんじやないですか。こちらからたくさんの人がビルマに行きたい。行けば、向うで宿泊料というようなものは全部負担してくれるのです。往復の旅費さえ個人が持てばいいんです。そういう際には、つまり外貨に無関係で行かれませんか。
  55. 小滝彬

    政府委員(小滝彬君) これは勿論外務省の問題ではございませんけれども、普通の船であれば、日本の船でありましても、日本の飛行機でございましても、現実には円で払いますけれども、外貨申請をいたしまして、この外貨の許可を得なければ日本の飛行機にも乗れないようになつております。これはさもなかりせば外国人でも乗せたであろうと思われるものでありますから、外に出るものについては外貨の許可を得なければならないということになつております。併し、特別仕立のものなんかで特別の取計らいができるかどうか、その点は大蔵省の係官でも参りましたときに御相談になれば、そういう方法もあるかも知れませんが、一応そういうことでございます。
  56. 三輪貞治

    ○三輪貞治君 それからさつきちよつと話しましたが、ビルマのタキン・サンミン氏が来たときに、一月三十日だつたか、三十一日だつたか、外務省に訪問しておるはずですが、御存じですか。
  57. 小滝彬

    政府委員(小滝彬君) ちよつと今係りが来ておりませんので、私詳しいことは存じません。
  58. 三輪貞治

    ○三輪貞治君 なぜ聞くかというと、結論として、彼は非常に怒つて外務省から出て来たのです。総領事館の誰かと行つたと思うのですが、非常に怒つて出て来ました。実は私はその案内をしておつたものですから……。私は行かなかつたのですが、それで次の約束をしておりましたところが、彼は次の会合の時間を断わつて来ました。なぜかと聞きましたところが、とにかく日本政府は自分らが小国であるために非常に態度が横柄であると言うのです。それで自分らも総領事館を存続するかどうかについて重大な決意をしなければならん、今夜それで緊急の会議をすると、これは向うが言つたのですが、そういうことでとうとう私の会合を断わられてしまいました。この前にILOの代表が来たときにもそういう不満があつた。政府のほうから誰か向うに行つておりまして、その飛行機から降りて来たときに、挨拶だけして自動車でさつと行つてしまつた。あと途方に暮れているのを誰かが連れて帰つたそうです。そういう冷淡な取扱をしておるのではないか。それは非常に上級の人ではないと思うのですが、下のほうでそういう印象を与えておるとするならば、これは大変なことだと思う。幾ら経済力からいつても小さい問題にならない国でありましても、やはり一国の政府代表し、或いは外交当局の責任者として来る場合に、これは色も黒く、人相も余りよくないし、まあかつぷくも余りよくない、確かに日本人から見ると、うす汚いと言つては語弊がありますが、とにかく貧弱なあれであつても、それはやはり大切に国のお客さんとして取扱わなければならないと思うのです。私は若しそういうことがなければいいと思うのですが、実は私は彼が非常に怒つておるのに実際直面しまして、その人を調べてもつと糾弾したいと思つたくらいなんです。そういうことがないように一つ気をつけてもらいたいと思います。
  59. 小滝彬

    政府委員(小滝彬君) 若しそういうことがありましたら、非常に遺憾でございますが、外務省といたしましては、小国とか大国とかいうことを考えて対応する意思は毛頭ございません。殊にビルマのごときは、日本貿易取極めもできましたし、ビルマにおきましては、特恵関税というものをかけまして、日本の地位というものが非常によくなつておりますので、そうした面は十分過ちのないように注意いたしたいと考えます。若しそういうことがあつたとすれば、今後十分そうしたことのないように注意を喚起するつもりでございます。  ちよつと速記をやめて下さい。
  60. 中川以良

    ○委員長(中川以良君) 速記をとめて。    〔速記中止〕
  61. 中川以良

    ○委員長(中川以良君) 速記を始めて。  私最後に一点伺いたいのですが、さつきからイランの問題が出たのですが、昨日も牛場局長からもこの問題のお話を伺つたのですが、現在じきに英米とイランとの間の交渉がまとまるから、暫らくすれば日本が自由に買えるようになるというお話でありまするが、それがまとまるまでは、先般の日英会談において、これは文書としては残してないけれども、そういう約束をしているのだという牛場局長のお話もあつたのですが、日本としてはこれが早くまとまればいいけれども、長引きますれば、これはだんだん縁が遠くなるので、折角今うまく軌道にともかくも乗りかけて、何ぼか入つて来たのですから、この縁を繋いでおく必要があるのではないかと思うのです。今黄変米、米のことについて非常に御心配があるのですが、米の問題を解決されることは、これは当然努力をしておられるので、結構だと思いまするが、米の問題と共に油の問題も少しでも解決することに努力するということが、より以上私はプラスになるし、将来のためにも非常に必要なことではないかと思う。殊に日本の燃料政策の上から見ても、このチヤンスをどうもイギリスに対する気がねの余りに逸するということは、どうかと思うのです。そう大量に入るわけではないので、繋ぎだけはしておく必要があるのではないかと思うのです。そういう御努力を私はお願いしておきたいと思うのです、この点はどうでしようか。
  62. 小滝彬

    政府委員(小滝彬君) ちよつと速記をとめて頂きたいと思います。
  63. 中川以良

    ○委員長(中川以良君) 速記をとめて。    〔速記中止〕
  64. 中川以良

    ○委員長(中川以良君) 速記を始めて。  今の政務次官のお話で我々了承できるのですが、どうぞ一つ米のことに夢中になる余り油を忘れるということは非常に損ですから、今後一つこの点十分御留意頂きたいと思います。
  65. 海野三朗

    ○海野三朗君 私は今までイギリス人とも、ソヴイエト人とも、アメリカ人とも、つまり学問上で随分長くいろいろ交通をやつて来ましたが、損することというと、アングロサクソン人種というのは決してしないのです。感情上しないということじやなしに、損得の問題ですね。実にクリーヤーなものです。それでありますから、日本外交におきましても、イギリスに影響するといけないからというような気苦労は、さらさらお持ちになる必要はないと私は思うのです。損をする場合であれば弊履のごとく捨てるのですから、実にあの人たちは頭が数学的にできております。もう義理で日本からとるのだと、そういう考えは毛頭ないのです。儲かるとなるとどこまでもつけあがつて来るのが、あのアングロサクソン人の性格でありますから、私はそういうふうな国民性をよく考慮に入れてやつて頂かんと困るのではないかというふうに切実に思います。頭が実にクリーヤーなものです。でありますから、イギリスに対して遠慮であるとかいうようなことは、私は杞憂に過ぎないと思う。あの人たちはそういうことをどこでもやつております。どうかそういうふうにお願いしたいと思つておるわけであります。
  66. 中川以良

    ○委員長(中川以良君) それでは次に牛場通商局長より、最近の外貨の割当制度の問題につきまして、特に只今外貨節約の折柄この割当制度がいろいろと変つて来ておりますので、なお今後新らしい構想等もいろいろ伝えられておりますので、こういう面につきまして、現状並びに今後の政府の意図を承わりたいと思います。なおこれに関連をいたしまして貿易金融の問題、特には輸入決済手形並びにスタンプ手形などの問題につきまして、最近いろいろと論議をされておりまして、我が国の産業界においては非常なる関心を持つておりまする問題でございますので、これらの点につきましても御説明を願いたいと存じます。
  67. 牛場信彦

    ○説明員(牛場信彦君) 外貨の事情は、先ほど東条大蔵省為替局長のほうから御説明があつたと思いますが、まあ大体におきましてこの三月末で終ります年度において二億ドル前後の赤字が出るという状況でありまして、更に食糧の緊急輸入もまだ全部済んでおりませんから、来年度におきましても、それを含めて見ますと、赤字の出る虞れが相当あるというような状況であります。他方又保有のドルも、大体今月末には相当低いところまで行くのではないか。勿論まだ最低保有量からは余裕があるのでありますが、よほど注意をして行かないといけないという状況になつておることは、御承知の通りであります。  そこで、只今のお話の割当方法などについてどういうふうに考えるかということでありますが、これは現実に今度の四期の外貨予算を編成するに当りまして、まだ私ども検討しておるところであります。結論が出ておるわけではないのでありますが、まあ原則といたしまして、できるだけ必要な原材料の輸入を確保すると、そうして実際にその原材料が必要な産業のほうに向いて行くようにしたいということ、これは申すまでもない第一の方針であります。  それからその次に割当の外貨について基準が立てにくいものにつきましては依然として自動承認制を存続いたしたい。併しながらこれが相当程度思惑の対象になつたというような懸念もありますので、自動承認制による輸入については或る程度輸入の条件を厳重にいたしたいというふうに考えております。更に贅沢品の輸入を削れという声が非常に強いのでありまして、又事実若し贅沢品が入つておるとすればこれは成るべく削りたいというふうに考えておりますが、通商協定などの関係で買わなければならないものが若干ありまして、これは只今の日本からの輸出が相当部分までいわゆる不要不急品と申してはちよつと言葉が過ぎますが、消費資材が多いという現状におきまして或る程度日本品を買わせるためにはこちらでも日本から見て不要不急に近いようなものを買わなければならない事情があることはこれは御了承願わなければならんと、こう思うのであります。  現在の外貨予算の立て方は、これは申すまでもなく縦割といたしましてはドル、ポンド、それからオープン勘定、三つに分けまして、そのオープン勘定を更に勘定別に分けておるわけであります。この区別は依然として存続することになると思います。ただ近頃ポンドが非常に少くなりまして、むしろドル輸入よりもポンド輸入を抑えなければならんというような状況が起る場合がしばしばあつたわけであります。それでは外貨予算上このドルとポンドとの区別というものは余り意味がないので、これを撤廃して、或いは相当程度まで撤廃してどちらからでも買えるようにしたらどうかというような議論もあるのでありますが、これはやはり現状におきましてはまだ行過ぎであろうと思います。ポンドがコンバーテイブルになつておらないのでありますから、やはりこれは区別はして行かなければならないであろう。併し若干の品目につきましては或いはそういうようなこともやることも考えてもいいのじやないか。これは非常に小さいものでありますが、いわゆる贅沢品に属するものでありますが、ウイスキーの輸入などはこればドルとポンドと同枠でやるということに四―九の予算からそういうことにいたしたいと思つております。オープン勘定は従来の例によつて参ることになると思います。  それから横割のほうはこれは大体におきまして外貨割当制によるものと、それから自動承認制によるもの、この二つが大きな区別であります。そのほかに更に雑輸入でありますとか、それから仲介貿易或いは求償物資というような区別があるわけであります。大部分のところ現在原材料の輸入は割当制によつて行われているわけであります。そしてこの割当をどういう基準でどこに当てるかということにつきまして非常に最近各方面に関心が持たれまして、私どもも現在の制度が決して一番いいものであるとは思つておらないのでありますが、遺憾ながら外貨の量も十分とは言いがたく、且つ業界の終戦後非常に細分化されたという状況がまだ直つておらない、殊にそれが輸入業者の面において甚だしいという現状におきましては、これはやはり主要部分をメーカーに割当てる、直接その原料を使うメーカーに割当てるということがまあ止むを得ない措置ではないかと思つて、現にそのように行われているわけであります。原綿にいたしましても原毛にいたしましても八割くらいはやはりメーカーへの直接割当ということになつております。その割当の際の基準は大体において生産設備を基礎にする考え方で来たのでありますが、これが設備拡張を招くという非難がございまして、現在においては割当の面では綿花におきましても羊毛におきましても設備を新たに殖やしたものについては割当をしないということになつておるのであります。いつからそういうことになりましたか、私ちよつとはつきり只今いたしませんが、現在ではそういうことになつております。  それからもう一つ、輸出用の原材料につきまして特にこれを確保するという趣旨から輸出したものについてはそれに必要な原材料はリンクした恰好において割当てるというやり方をやつておりまして、これは一面におきまして二重価格を生む原因とはなつておりますが、併し国内の只今の物価高の現状で輸出を伸ばして行くためにはどうしてもこれは必要止むを得ない措置でありまして、今回の四―九予算におきましても国内の物価の騰勢がやみ、延いては物価が下るという状況になりまして輸出が楽になるまでの間はむしろこのリンク制というものは或る面においては拡大する必要があるのではないかというふうに考えております。決していいとは思つておりませんが、現状においては止むを得ないという状況であります。現在リンク制をやつておりますのは綿花と羊毛とそれからパルプであります。  それから次に自動承認制につきましては、これは主として割当するにも基準も立ちにくいような物資で、而も重要な原材料にというものを含んでおりまして、大きなものを申しますと、ゴムでありますとか、錫、スクラツプなどであります。これは外貨の手持が潤沢である限りにおいては一番普通の輸入方法でありまして、政府としては何らの制肘を加えない、一定の限度までは業界のメーカーであろうと輸入会社であろうと自由にその銀行に行つて円を払えば買えるということになつておりまして、一番ノルマルな輸入方法でございまして、従いまして外貨の手持が十分である限り成るべくこれを育て上げて行くことが当然でありますが、現状は先ほどもちよつと申しましたように却つてこれが思惑を誘発する、そのためにいわゆる我々の考えております外貨予算上の限度が早く来てしまいまして途中でストツプしなきやならなくなる、それを見越して更に思惑が殺到する、そうしてストツプされたために商売が一時中断してその後の買付けに不便を感ずるというような状況も起つて参りますので、四―九の予算におきましては勿論この制度は存続いたします。殊にポンド地域からの輸入につきましては一昨日も御説明申上げました通りこちらが約束しておる点もございますので、その通りにいたすつもりでありますが、輸入の条件につきましては或る程度の規制を加えまして、例えば輸入する際にはこの輸入を必ず実行するという保証のために担保金を積ましておるのであります。この比率を二割程度まで上げて而も銀行の保証状ではなくて現金で積ませるようにしよう。これは現に実行しておりますが、四―九におきましては少くともその程度の条件はつける必要があるのじやないかというふうに考えております。  それから雑輸入と申しますのは、これは自動承認制にも入らない、それから割当制にも入らないという、これは非常にまあ細かい物資が多いのでありますが、ものに対して一定の枠を与えておきまして、一々これは通産省におきまして申請を審査して許可いたしておるのであります。このうちには昨年の上半期頃までは相当いわゆる贅沢品と目されるものもあつたのでありますが、昨年の十月から今年の三月に至ります予算におきましてこれらのものは全部排除いたしまして、現在では贅沢品と申すものは私どもの感じから申しましても残つておらないように見ております。  それからその雑輸入とちよつと形を変えたものが例の特別外貨割当制度による輸入でありまして、これは輸出に対して只今一〇%の特別外貨割当をする権利を与えております。その権利によつてこれは特に許された品物を輸入ができる。この品物につきましては品目表がございまして、その表以外は買えないことになつておりますが、その品目につきましては一々通産省の許可は必要としますけれども、この特別外貨割当資金を持つて買うことができるという制度でございます。これはいわゆる優先外貨と言われておつたものの名前を変えたものであります。これにつきましてはまあ国際通貨基金等におきまして相当非難がありまして、世界各国に対して大体においてこういう制度は早くやめろということを勧告しておる状況で、ヨーロツパの国におきましてもドイツなどは昨年限りやめたという状況でありますので、私どもこれを拡大することは現在の状況では甚だむずかしいのであります。併し日本輸出の現状ではなお必要な制度と思いますので、これは維持して行きたい。それから又その輸入品は主として輸出用の原材料に限る、そしてこの制度の趣旨は飽くまで外貨割当の一つの方法であつて、外貨割当の簡便化を行うのであるという趣旨で行きたいというふうに考えております。  それからそれ以外に予算の、予算と申しましてもこれは勿論国の予算と違いまして、非常に制度その他はそのときどきの都合によつて或る程度の変更はいたしておるわけでありますが、最近相当力を入れて行かなきやいけないんじやないかと思つておりますのは加工貿易用の原材料の輸入であります。これは保税制度を活用いたしまして保税地域において原料を確保して再輸出する。例えば小麦を入れまして小麦粉にして朝鮮とか台湾とかへ輸出するというような貿易、これは現在日本の物価がこういうふうになつております際には大いに活用して然るべき制度であります。これによつて国内の物価を下げる一つの誘因にもなるんじやないかというふうに考えております。  それから更に仲介貿易、つまりいわゆる第三国貿易でありまして、日本の港に荷物が来ないで、併し決済は日本を通じて行われる、そうして支払と受取とを比べて見れば受取のほうが多いという形の貿易、これは戦前御承知の通り三井物産などは大いにやつておりまして、むしろこの第三国貿易によつていい利益を得ていたという状況であります。現に日本の外貨が非常に窮屈になつて参りましたために思うように行かないのでありますが、これにつきましても十分信用のある銀行商社によつては或る程度自由に働き得るように予算も計上して参りたいというふうに考えております。  それからそのほかにバーターの予算なども、これは主として中近東、只今しばしば問題になつているイランでありますとか、トルコというような国、これは通商協定でもできればバーターをする必要もなくなると思いますが、現状ではバーターで行かないとお互いに支払が困難であるということもありますし、そういうようなものも必要な程度に認めて参りたいというふうに考えております。  大体私ちよつと割当制度というお話で頭に浮びましたのは以上のような点でございますが、なお御質問に応じて答弁いたしたいと思います。
  68. 加藤正人

    ○加藤正人君 今承わりますと割当制度というものは現行の制度のやり方を大体においてそのまま継続されるというようなお話でありますが、そう承知していいわけですか。
  69. 牛場信彦

    ○説明員(牛場信彦君) 大体においてそういうことになると思います。
  70. 加藤正人

    ○加藤正人君 そうすると過日来問題になつておりました、これは特に通産省の通商局のお考えのようであつたが、貿易商社の強化策、これはもう我々紡績業者などには、我々と言つちや悪いかも知れませんが、紡績業者などには唇歯輔車の関係であるから、自分のところで作る製品を海外に輸出する機関、これが弱体化することを希うものは誰もないので、これを強化することは非常に歓迎するのでありますが、現在の段階においては彼らの強化は金融その他の面で便宜を図るということが適切なんであつて、外貨の割当などをするとそこにいろいろな弊害が伴うということで紡績業者などは反対の意思を表明しておつたわけであります。こういうふうに外貨事情が窮屈になればなるほど外貨の経済的な利用というものが特に要請される。思惑輸入阻止の手段というものが必要になつて来るのでありますが、外貨を商社強化の手段方法として商社に割当制度を拡張するということはまさにこの趣旨に反すると思うのでありますが、この点は今後もやはりそういう御方針で進まれるのでありますか、今までの制度でやはりこの際は置いておこうというお考えでありますか、それを伺います。
  71. 牛場信彦

    ○説明員(牛場信彦君) この問題はまだ私どもの局内におきましても、或いは勿論省内におきましてもはつきりした結論を出しておらない問題でございまして、これは個人的に申上げますれば、先ほどちよつと申しました通り現在のように殆んど全部メーカーの設備なんかそういうものに割当てるという制度は必ずしも理想的なものとは思つておらないのでありまして、貿易商社がもつと強力になつて一部はそちらのほうへ金を割当てたほうが有利な買付けができるというような状況になることを非常に希望しておるわけでありますが、勿論現在の貿易商社の状況はなかなかすべての貿易商社がそういう状況でないことはもう申すまでもないことであります。更にこれを強化する方策がお示しの通りほかにもいろいろあるわけでありまして、いろいろな点を考え併せまして更によく研究いたして見たいというふうに考えておる次第であります。
  72. 加藤正人

    ○加藤正人君 この外貨割当というような問題は、要するにこの際輸出入、国際収支の関係を調整するために外貨支払を成るべくチエツクするという考えに出て来たものでありますが、この政策を実現するためには一連のこれに伴つて行くいろいろな政策が併用される必要があるということから、割当制度並びに輸入金融の引締というようになり、又国内金融も現に引締がだんだんその度を増しておるようなわけでありますが、その上に最近は又スタンプ手形の全廃、もうすでにスタンプ手形などは紡績業者などは三カ月のものが二カ月にされて現に非常に窮屈になつておるのでありますが、それが更に全廃されるというふうなことになりつつあるようでありますが、この点はよほど御考慮して頂かんと重大な問題じやなかろうかと思います。もとより現在の日本経済の大きな要請から申しますれば現状以上の金融引締が行われることも又止むを得んと思うのでありますが、併しながら余りに実情に遊離したむしろこれを無視した方法でこれが行われるようなことは飽くまでも避けらるべきであつて、特にスタンプ手形制度の廃止というものが単に例えば紡績のごとき立場からでなく、綿業全体、延いてはこれに連なる繊維業者全体、むしろそういう意味からして国家全体として本来の趣旨、即ち外貨の減少を防止して輸出を振興するという趣旨に逆行するような結果を招くようになると思われるのであります。即も輸入金融が引締められるとすれば、それだけ、例えば一例を紡績にとれば紡績のこれに関する負担が増加して来る、今までの金融が更に窮屈になる、その負担が増加するというわけでありますが、この場合スタンプ手形という調達の手段として行なつておつたものを奪われると、結局何らかの形でそのしわが今局長の言われたような輸出商社を強化しようとしておる輸出商社への取立を厳しく紡績が背に腹は代えられないという意味ですることに自然なるのであります。例えば紡績十社の商社への売掛金の受取手形の残は現在百七十億もある。この紡績が非常に今度スタンプ手形の全廃などで負担が増加するということはすぐそれが商社の取立を急にするということになると、商社はますます弱体化されるばかりでなく、到底その事業を継続して行けないというような結果になりますと、影響は単に商社にとどまらない。商社によつて業を立てておる幾多の諸々の中小企業にその害が波及するというようなことになりますと、これは全く大変な日本経済全体に及ぼす影響になるのです。このような実情を無視してスタンプ手形の廃止を行うことは全くこれは私は考えもんであると思います。輸入金融が引締められて、従つてメーカーにその負担がかかるようなときに、同時にスタンプ手形というメーカーの調達手段を廃止するということは、趣旨として全くその逆に輸出金融の圧迫となるようなことが明らかです。とにかく日本全体の予算が一兆円という緊縮予算でありますから、この基本線に沿うて外貨割当、或いは金融引締、輸入の阻止というようなことはこの際何らかの程度においてはやらなくちやならんと思うのでありますが、それは漸進的に持つて行くことが必要であると思う。新聞の論評などを見ましても国内金融の措置にとどめて輸入はむしろ自由にしておくくらいなほうがいいのじやないか。要するに余り計数の上の研究にのみとどまつて、それから起つて来るいろいろな経験から見てどうかと思われるようなことを急進的にこの際行うということは、全く角を矯めて牛を殺すような結果になるのじやなかろうかと思うのでありまして、スタンプ手形廃止ということは昨日も局長に伺つたのでありますが、どうも震源が通商局であつたがそうでないという話でしたから、それであれば結構ですが、どうぞこの点を十分に御配慮を願いたいと思います。
  73. 牛場信彦

    ○説明員(牛場信彦君) 只今おつしやいました通り私ども一番心配しておりますのは輸入金融を締めたしわが商社のほうに行つて折角立直りかけたところが又がたがたになるということであります。まあ紡績各社のごときは非常に強力なものでありますから、如何に締めてもちつともお困りにならんだろうと思いますが、しわが商社のほうに寄るのが非常に困るものでありますから、そういう点は一つ日銀、大蔵省ともよく話合いまして決して行過ぎにならないように資金量の測定なども正確に行なつて漸次引締を行なつて行くというような方向に行きたいと考えておる次第であります。ただ現在の日本の状況では輸入金融引締をやらない限りは輸入の絶対量を削らなければならん、どつちかとらなければならんという状況になつている面が相当ありまして、私どもは国内の措置を二義的に考えて外貨の面だけを絞るということは全く本末転倒であつて、どうしても国内の態勢を立てるということが先であるということを考えているのでありますが、その一環としてどうしても輸入金融の引締ということが起つて来ざるを得ないのであります。失礼でありますが現在日本で行なつておりますような、いわゆる輸入貿手という制度はこれは非常に世界的に異例なことでありまして、輸入だけに特に安い金利で出しているということは、全く現在国内金融でありますので、そういう面から申してもこの際或る程度の引締は止むを得ないのじやないか。その半面輸出に対しては現在以上になるというふうな措置を考えたいと思つております。これは日銀当局とも話合いましてこの案を今折角研究中であります。例えば只今御審議願つております輸出信用保険、あれにかかつたようなものは更に現在以上に輸出金融の面において優遇してもらうというようなこともやりまして、輸出のほうに輸入金融引締の災いが及ばないように、災いと申すことは言葉は少し行過ぎになるかも知れないが、何らの影響も及ばないようにいたして行きたいというふうに考えている次第であります。
  74. 海野三朗

    ○海野三朗君 外貨割当で、スクラツプのほうに対してはどのくらい外貨は割当てておられるのですか。
  75. 牛場信彦

    ○説明員(牛場信彦君) 鉄のスクラツプのことと存じますが、これは只今のところ自動承認制ということになつておりまして、特別の枠を設けるわけでもないのでございます。ただ実際におきましては非常に買い進みまして必要以上に買つたようだ、相当思惑もあるという観測が行われるに至りましたので今のところはストツプいたしたのでありますが、四月からはスターリング地域については少くとも再開して、但し先ほど申しましたように輸入の条件は或る程度締めて行くというようにいたしたいと考えております。
  76. 海野三朗

    ○海野三朗君 今日本の鉄は世界の市場に比べて高い、従つて売行きが悪い。金は開銀から融資してもらつている。ところがそれにもおのずから限度があつて、結局この製鉄方面の融資というものは市中銀行にしわ寄せになつて来る。その結果が中小企業のほうへも当然響いて来ているわけでありますが、重要産業としてはこの製鉄方面に対する融資とかそういう方面の見地からして通産当局はどういうふうに考えているのでございましようか。その辺の御見解を一つ伺いたいと思います。
  77. 牛場信彦

    ○説明員(牛場信彦君) これは実は重工業局及び企業局のほうで所管いたしておりまして私ちよつと答えかねますので、又この次の機会に重工業局長からでもお答え申上げたらいいと思いますが……。
  78. 海野三朗

    ○海野三朗君 この鉄のほう、即ち輸出面は今殆んどとまつているのでありますか、どうなんでしようか。
  79. 牛場信彦

    ○説明員(牛場信彦君) 鋼材の輸出は現在非常に困難になつていることは事実であります。これは何と申しましても世界的に生産がやや過剰気味になつておるというような状況で困難になつておることは事実でありますが、最近できましたアルゼンチンとの通商協定におきましても、例えば羊毛とコンビネーシヨン取引において鋼材も売込むことも考えておりますし、それから更に東南アジア地域におきましては運賃の関係もありまして競争できる余地もございますので、決して全部とまつておるという状況ではありません。本年もできれば七、八十万トン乃至百万トンくらいの鋼材は輸出いたしたいというふうに考えております。
  80. 海野三朗

    ○海野三朗君 やはり中共に対しては、今の政府ではとても中共に鋼材を輸出するということにはできないわけですか。
  81. 牛場信彦

    ○説明員(牛場信彦君) 鋼材の中共輸出は国際的な話合いによりまして只今各国ともとめておるわけであります。併し亜鉛、鉄板などにつきましては特別に輸出できるようなふうにできないかということをしよつちゆう私ども列国に対して持出しておりまして、何かの機会には是非実現いたしたい。見返りに非常に重要な原材料を中共から取れるというような場合には、特別に一つ輸出を認めるようにしたいということを積極的に働きかけておる状況でございます。従いまして今後ともその努力は十分続けて参りたいと思います。
  82. 海野三朗

    ○海野三朗君 この場合の関税は今年の三月三十一日までかけないということになつておるのでしよう。それはつまり通商当局からの要望によつて大蔵省ではそういうふうにきめたわけですか。
  83. 牛場信彦

    ○説明員(牛場信彦君) まあ大蔵省と協議した結果そういうふうにしたらよかろうということで国会の御承認を願うということになつておると思います。
  84. 海野三朗

    ○海野三朗君 砂糖なんかは一割二分の関税をかけており、又消費税というものは一〇〇%以上にかけておる。ところが石油類については関税をかけていないというのはどうも常識から考えても甚だ納得が行かないように思うのでありますが、通商局長としてはどういうふうにお考えになつていらつしやいますか。
  85. 牛場信彦

    ○説明員(牛場信彦君) 石油は何と申しても非常に重要な動力源でございまして、現在まだ日本石炭、電力その他十分立直つておらなくて動力資材も足りないし、又割合に高くつくというような場合には必要な面のみにおいて石油を使う限りにおいてできるだけ安く使えるようにするのがいいんじやないかというふうに考えております。
  86. 海野三朗

    ○海野三朗君 そういたしますと、この国内資源の石油を開発するとか、そういう方面から考えると安い石油をどんどん入れておられたのではどうも天然資源の開発という見地から見るというと、矛盾をしておるように思うし、関税をどれだけあるかと思つて調べたら二、三年前、つまりガリオアのあの期限が切れた二十六年から二十七年、二十八年とこの間の関税を勘定して見ると、約百六十億ばかりの税金になつておる。それでその百六十億の税金をかけないでやつておるわけですが、どうもそういう点を考えると、砂糖なんかは一・二割もかけておるにもかかわらず石油のほうはかけない。これは原料であるからという見地からでしようか。一体どういうものなんでしようか。あなたの知つておられる範囲で一つお話を願いたいと思います。
  87. 牛場信彦

    ○説明員(牛場信彦君) 国産の石油との関係はこれも又鉱山局長のほうの所管でございますので私から申上げないほうがいいと存じますが、成るべく安く輸入したいという意味は先ほど申しましたように、産業殊に輸出産業などについて重要な動力源であるからということであると存じます。
  88. 海野三朗

    ○海野三朗君 その関税のあり方が正しいとお思いなさるか、これは当り前だとお考えなさつておりますか。その御所信を私は承わりたいと思つております。
  89. 牛場信彦

    ○説明員(牛場信彦君) 私個人は現状においては無税のほうがいいんじやないかと考えております。
  90. 海野三朗

    ○海野三朗君 砂糖に一割二分もかけておるのです。石油のほうは一つもかけないということは不公平じやないかと私は考えるのです。砂糖は皆各個人が必要欠くべからざるものである。石油も必要欠くべからざるものでありますが、それをもつと必要であるところの砂糖のほうに一割二分もかけて、石油のほうは無税にやつておるということはどうも私は常識から考えても納得の行かないのですが、通商局長としてどういうふうにお考えになつておるか、そこを率直に私はあなたのお考えを承わりたいと思つたのです。
  91. 牛場信彦

    ○説明員(牛場信彦君) 理窟を申しますと、砂糖は完全なる消費物でありまして、これを原料に使つて、それからほかの物を製造するという性質のものではございません。一割二分の課税は勿論できれば取らないほうがいいでしようけれども、幾分財政収入的の意味もあつて恐らく課することになつておるのだと存じます。石油とはその意味において大分性質が違うのではないかと思います。
  92. 海野三朗

    ○海野三朗君 重ねて伺いますが、石油のほうは原料であるからというふうにお考えでありますが、こういう税のあり方は正しいとお考えですか、どうですか、その点を私は伺いたい。
  93. 牛場信彦

    ○説明員(牛場信彦君) 現在の日本の関税の立て方は、大体所管は大蔵省のほうでございますが、大体におきまして原材料的なものは成るべく低くして、消費的のものについては或る程度税を取るということにいたしておりまして、これは私はやはり根本的には正しい方針じやないかと思います。
  94. 海野三朗

    ○海野三朗君 正しいならば今年までと切つてやる必要はない。正しいものならば絶対にかけたらいい。これを年々引延ばして来ておる。こういうようなところに何か釈然たらざるものがあると考えられるのでありますが、あなたはどういうふうにお考えになるか承わりたい。
  95. 牛場信彦

    ○説明員(牛場信彦君) これは暫定的に免税しておることはお示しの通りでありますが、例えば石炭業の合理化が進みまして石炭が非常に安くなり、或いは電力の開発が済みまして電力も豊富になり、更に国内の石油も増産ができるというような状況になつて参りますれば石油の需要もそうなくなるかも知れません。そのときには、税率表では一割五分程度になつておりますので、その程度かけても産業的には影響は少いということになる場合が考えられるわけであります。やはり暫定的に免税して行くというやり方はすべての点から見て正しいのじやないかと思います。
  96. 海野三朗

    ○海野三朗君 今日本の国内の石油を開発しなければならないという段階に当つて、或る程度の税金をかけておくということは大局的見地から見て誤りではないと、私は考えるのです。それは税金をかけないで安いものを使わせることはいいことはいいのですが、それでは国内の石油開発に対しては反対の方向に動いておるのじやないかということが一つと、それから一年々々関税を免除して今年まで来た。ところが、その今年まで来たガリオアの資金関係が脱却されてからここに三年、三年の間における関税を勘定して見ると、約百六十億という金が取れる。それを取らないでここまでやつて来ておるのは、非常におかしいことだと私は考えざるを得ない。常識のある人ならば納得が行かないと考えるわけでありますが、それを私が局長に率直に御意見を伺つたわけなんです。
  97. 中川以良

    ○委員長(中川以良君) 今の問題は、ちよつと局長御答弁にお困りのようですから、いずれ大臣の御出席の際にでも御質疑願います。
  98. 海野三朗

    ○海野三朗君 それ以上局長としてはおつしやれない立場でしようから、この質問は保留をいたしまして、質問は本日は私はこれでやめておきます。
  99. 豊田雅孝

    ○豊田雅孝君 今度の予算の説明その他から見ますと、輸出振興第一主義ということを頻りに言つておられるのですが、これはさだめし通商局じや新らしい輸出振興方策というものを相当考えてもおられるであろうと思うのですが、その点について、従来の方策じやなく、一つこれで行くのだという、御研究の段階でもいいのでありますけれども、承わりたいと思います。
  100. 牛場信彦

    ○説明員(牛場信彦君) 私からこういうことを申上げるまでもないことでございますが、輸出振興策につきましても、これだけやれば必ず効果が挙つて、又これだけで十分なんだというようないい方法がなかなかないわけであります。結局いろいろな手段を併用して行かなければならないと考えるのであります。今回は、只今御審議願つております予算に、貿易斡旋所、それから重機械相談室、海外見本市、そういうようなものにつきましては、緊縮予算にもかかわりませず、或る程度の増額が見込まれておる次第でありまして、これらは私ども一つ大いに活用いたしまして成果を挙げたいというふうに考えておるのであります。殊に貿易斡旋所は、これはニユーヨークでもうすぐ開所される運びになつております。来年度は更にサンフランシスコか、或いは他にもう一カ所アメリカ内において開きまして、十分にこれが運営に力を用いれば、必ず効果が挙るものと考えます。と申しますのは、現在ニユーヨークあたりには相当たくさんの日本の商社が出ておられますが、大体において輸入のほうに専念しておられる。これは利益、人手などの関係上止むを得ないものと思いますが、輸出を一生懸命やつておられるかたは非常に少い。どうしてもこれは政府の或る程度テコを入れまして宣伝する必要がある。そうして、現在いわゆる東洋趣味、日本趣味というようなものが起つて来ておる際でありますから、貿易斡旋所の開設は、手前味噌でございますが、非常に機宜を得たものであつて、必ずこれは相当の成果を挙げられるものと期待しておる次第でございます。  それから見本市なども、この効果は、私も昨年から今年にかけまして海外へ参つて、ほうぼうで出会つたわけでありますが、想像以上に大きいように考えます。一つは海外に日本の品物を出品するということ、それからもう一つは、国内で以て見本市を開いて、外国のバイヤーを呼び、且つ出品を招くということでございます。これは今度四月に大阪で見本市が開かれます。海外に対しましても、昨年以上に十分出品の内容その他方法等を考慮いたしまして効果ある出品をいたしたいというふうに考えております。大阪の見本市は、非常に盛況というか、まあ景気はいいのでありまして、むしろホテルが足りなくて困りはしないかという嬉しいほうの悲鳴が上つておるというふうな状況であります。これは是非成功させたいと思つておるような次第でございます。  それから、いつでも問題になりますが、輸出金融でありますが、これは先ほどもちよつと申しましたが、更に大蔵省あたりともよく打合せまして、現在以上に優遇されるようにいたしたいと考えております。  それから又、ややこれは権道でありますけれども、輸出入のリンク制度、つまり輸出製品に対して原料をリンク輸入するというやり方でございますが、これは日本の国内の事情が好転いたしますまでは、やはり或る程度現状以上に強化して行く必要があるのではないか。これはもう輸出奨励策というような名には値いしないかとも思いますが、止むを得ないところではないかと考えております。  又最近は、輸入品の利益で以て輸出の損をカバーするような考え方が相当ありまして、現に或る程度行なつておることは御承知の通りであります。併しこれは、貿易の正道から申しますれば、非常に危い措置でありまして、一日も早くそういうことをしないで済むような状況に持つて行かなければならないと考えております。大体まあ世界の大勢は、だんだん管理貿易を離れて自由貿易に移ろうという際でありまして、そのためにいろいろ作戦を各国が競争してとつておりましたものを、只今最後に申しましたような人為的な輸出奨励策というものは、大体まあ各国とも廃止して来ておる。一方国際通貨基金にいたしましても、こういう制度におきましても、そういう制度に対しては一々批評を加え、且つ調査をして、廃止を勧告するというようなことになつておりまして、我が国もその点は十分注意しながら行かなければならないと思うのであります。今年の秋には又ガツトの総会が開かれるということもございまして、いわゆる二重価格のようなことも、これは一時的な現象としてならば十分説明がつくのでありますが、恒久的なことになりますと、いろいろな非難をこうむる虞れもあります。やはり根本的な輸出促進策は、結局国内の物価を安定して、或る程度消費を抑えても輸出のほうに生産力を向けて行くということ以外にはないというように考えております。
  101. 豊田雅孝

    ○豊田雅孝君 輸出振興を本格的にやるということになると、よほどこの際御勉強にならんといかんのだろうと思うのですが、特にそれについて私考えますのは、中小企業関係の輸出品というのは総額の五〇%以上を占めておるのですね。そうして、これは大体加工度の高い完成品です。それで大企業関係の輸出品である重工業製品、原材料だとか、或いは肥料だとかいうようなものとは、非常に輸出品の本質が違うのですね。従つて、この輸出振興方策というものも、重化学工業品とか、プラントを輸出するとか、今の硫安を輸出するというような意味での輸出振興方策とは違つた、中小企業本位に、中小企業の実態に即応したような輸出振興方策というものを本格的に考えて行く必要があるのだと思うのですが、この点について御意見を承わりたいと思います。
  102. 牛場信彦

    ○説明員(牛場信彦君) お示しの通り、日本中小企業が非常に輸出に寄与せられまして、昨年の輸出の実績を見ましても、日本中小企業に基礎を置いております農水産物とか雑貨類というものは、極めて順調な伸びを示しております。大部分がドル地域へ参りましてドルを稼いでおられるということにおいて、これは立派に国際競争に打ち勝つて売つておられるわけであります。非常に私ども敬意を表しておる次第であります。ただその内情を伺いますと、非常に苦しい経営をしておられる向が多いようで、これは私ども中小企業庁ともよく話しまして肚を割つて是非一ついろいろな点で便宜を図つて行きたいというふうに考えておる次第であります。又もう一つ中小企業者につきまして、恐らく皆さんのお困りになつておるのは販売網の十分でないということじやないかと思います。そのために外国から来るいわゆるバイヤーに相当ひどく買叩かれるのは特に金融力の弱いかたがたでありますから、そういう際に非常に安売りを強いられるということが多いのじやないかと思いますので、又日本商社は割合力が弱くてそういう輸出のほうに力を注ぎ得ないというような状況もある。そこで先ほど申しました貿易斡旋所という考えが出て来たわけでありまして、これは勿論主として中小企業関係、出荷関係の輸出振興に目標を置いて参るということになると思うのであります。そうして海外等におきましても向う側のいい販売網に乗れば無理に安売りしなくとも、むしろ高く売つて売行きが続いて行く、こういう状況が確かに見られるようであります、又新らしいアイデアを出せば、それがうまくヒツトすれば非常な勢いで売れる。これは現にニユーヨークでも聞いたのでありますが、オーストラリアでありましたか、どこかの会社が一種の玩具を売出したところが非常な勢いで売れて数百万ドルということになつたのです。そういうような非常に購売力のある国でありまするし、新らしいものを好むというところがありますので、そういうような点で貿易斡旋所と大いに活用いたしまして、中小企業に助成をし、且つ販売のほうで販売網の充実ということに協力したいというふうに考えておる次第であります。又原料の確保につきまして、これはいろいろ業界と直接一つ話合いまして遺憾のないようにしたい。昨年の暮も鉛が非常に足りなくなりまして玩具の製造をしておられるかたからいろいろ実情を伺いまして鉛の割当の再開をしたようなこともありますから今後ともできるだけ御相談をいたしてそういうような面で遺憾のないようにいたしたいと思います。
  103. 豊田雅孝

    ○豊田雅孝君 もう一つ、この輸出振興を徹底的にやろうということについては中共貿易なり朝鮮貿易、これも許されたる範囲内において極度にやるということが必要だと思うのですが、それについて業界では何となく中共貿易なり南鮮貿易なり取付きが悪くて、必ずしもとめられておるのではないが、実際問題としてやりにくいという感が非常に強く、この際業界に対してこういう点は許されておるのだし、こういう点は注意すればもつと輸出が出て行くのだという点を明らかにする意味でお考えを伺いたいと思います。
  104. 牛場信彦

    ○説明員(牛場信彦君) 中共向けの品種が非常に大幅に緩和されて参つたことは御承知の通りでありまして、先ず国際並みになつたといつて差支えないと思うのでありますが、実情が或いは十分に各方面に徹底しておらない向きもあると存じます。今後ともその徹底には大いに努めて参りたいと存じております。  更に南鮮との貿易、これは現在御承知の通り輸出超加になつておりまして、債権の取立が円滑に行くかどうかという点で幾らか不安があるわけでございます。それを解消する意味におきましても、先方の産品もできるだけ買つてバランスも改善し、且つ関係等をよくして行きたい。政治的にはいろいろ問題がありますが、経済的には成るべく円滑にやつて行きたいというふうに考えております。  更にソ連との貿易でありますが、これらも国交のない現状におきまして、いろいろな障害があるのでありますが、幸いにして今回はソ連材木が相当買えそうだという話がございます。それ以外に若し品種の点さえ問題がなければ、石炭というようなものも成る程度買えるかも知れませんし、ソ連は非常に貿易の拡大を現在のところは少くも目指して努力しているようでありますから、私どものほうでもできるだけの便宜を一つ業界のほうにも御協力したいと思つております。
  105. 豊田雅孝

    ○豊田雅孝君 特に今中共貿易、或いは朝鮮貿易、それから対ソ貿易で引合の最も見込のありそうなもの、そういうものはどういうものですか。
  106. 牛場信彦

    ○説明員(牛場信彦君) 現在やはりソ連関係が主でありますが、造船と船舶の修理などが多いようであります。  それから中共関係は最近苛性ソーダと塩とのバーターが成立したようであります。それ以外にやはり紡績機械とか、そういうようなものじやないかと存じます。
  107. 豊田雅孝

    ○豊田雅孝君 大体今挙げたような貿易はバーターなのですか。
  108. 牛場信彦

    ○説明員(牛場信彦君) 韓国との貿易は、これはオープン・アカウントでやつておりますが、ソ連と中共は全部バーターであります。そうでないと支払のほうがめどがつきませんものですから……。
  109. 海野三朗

    ○海野三朗君 今のに関連して……、漸く中共との貿易が世間並みになつたという。終戦以来相当年数も経ておるし、ガリオアの関係も二十五年に終了した。それなのに六、七、八と三年経過して、漸く世間並みになつたという。なぜもつと早く世間並みになれなかつたのでしようか。その原因はどこにあつたのでありましようか、それをちよつとお伺いしたい。
  110. 牛場信彦

    ○説明員(牛場信彦君) これは私どものほうでは余り知らないのでありますが、相当長い間事実上アメリカの占領下にあつたわけでありまして、それがやはりスタートの遅れた原因であろうと思います。併し平和条約ができましてからあとは、極力そちらのほうに交渉いたしまして、だんだん成果を挙げて来ておるという実情でございます。
  111. 中川以良

    ○委員長(中川以良君) よろしうございますか。  それでは本日はこの程度で打切りたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  112. 中川以良

    ○委員長(中川以良君) それでは本日はこれにて散会いたします。    午後四時十八分散会