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1954-04-12 第19回国会 参議院 水産委員会 19号 公式Web版

  1. 昭和二十九年四月十二日(月曜日)    午後一時五十一分開会   ―――――――――――――   委員の異動 四月八日委員青山正一君辞任につき、 その補欠として、徳川頼貞君を議長に おいて指名した。 四月九日委員徳川頼貞君辞任につき、 その補欠として、青山正一君を議長に おいて指名した。   ―――――――――――――  出席者は左の通り。    委員長     森崎  隆君    理事            秋山俊一郎君            千田  正君    委員            野田 俊作君            森 八三一君   政府委員    外務政務次官  小滝  彬君    厚生省公衆衛生   局環境衛生部長  楠本 正康君   事務局側    常任委員会専門    員       岡  尊信君    常任委員会専門    員       林  達磨君   説明員    水産庁生産部長 永野 正二君    通商産業省通商    局農水産課長  森 日出哉君   ―――――――――――――   本日の会議に付した事件 ○水産政策に関する調査の件  (ビキニ被爆事件に関する件)  (補助金等の臨時特例等に関する  件)   ―――――――――――――
  2. 森崎隆

    ○委員長(森崎隆君) それでは只今から委員会を開会いたします。  議題の順序を変更しまして第一にビキニ被爆事件に関する件を議題に供します。  本日外務省の小瀧政務次官が参つておられますので、只今から質疑に入ります。
  3. 千田正

    ○千田正君 先般当委員会において一応外務当局並びに水産当局からビキニ環礁における我が漁船、漁夫被爆事件に関する折衝の過程の御報告をいたしたのでありますが、その後更に昨日まで引続きまして日本の漁船及び漁獲物等の放射能その他が見出されるというような問題が起きておりますし、又米国側との対折衝におけるところの過程は相当進んでおるものと我々国民としては考えられますので、その後におけるところの折衝の過程を事務当局から、幸い本日は小瀧政務次官が見えておられますので、この問題についての経過の御報告を得たいと思います。  もう一点は、先般衆参両院におきまして決議いたしましたところの原子兵器の実験に対するところの禁止のいわゆる決議案に対しまして、政府として今後とるべき措置並びに特に損害をこうむるところの我が日本の漁船、漁民に対するところの今後の方針について承わりたいと思いますので、取りあえずこの二点に対しまして外務当局の御意思を一つ表明して頂きたいと思います。
  4. 小滝彬

    ○政府委員(小滝彬君) 過般の本委員会におきまして三月三十一日に書面を以て米国側へ今後の実験に関する、又危険区域に関する申込をしたことを御報告申上げたと記憶いたしております。その後この申入につきましては在米井口大使にも再三電報で回答方を督促するように申入れることを訓令し、又日本側でこの問題に非常に重大なる関心があるからして米国側のはつきりした態度を回答するように要求いたしたのであります。この要求に対しましては、先ず日本側へ回答をよこしまする前にもうすでに新聞でも御承知の通り先週の金曜日に米国としては声明書を発表いたしました。この内容は御存じのことでもありまするから省略はいたしまするが、先ず冒頭に第五福龍丸がこのような被害を受けたことについての深甚な遺憾の意を表し、且つこれまで米国側としては如何なる協力方法をとつて来たかということにつきまして、これまでの経過を説明いたしておるのであります。更に越えまして土曜日には日本側から申入れました危険区域に関する問題、又実験の時期に関する問題等について一応の回答をいたして来たのであります。この回答におきましても先ず目頭に遺憾の意を表し、又日本側の申入については十分考慮をする用意がある点を明らかにいたしておるのであります。ただその内容そのものにつきましては、勿論先方と日本側との見解が完全に一致しておるというわけではございませんので、いろいろ実験に関する問題、即ち実験の日にちをきめるのには天候の関係等も考慮しなければならないとか、或いは危険区域を余りに縮小するというと、却つて生命財産、漁民の生命、財産、漁業上に被害が大きくなると、いろいろ向うの困難の立場を述べて来ているのであります。日本側の申出の趣旨というものについては十分検討を加えているようであります。これはまだ交渉中でありまするので今この内容を一々御被露する段階に至つておりませんけれども、本日参議院の本会議において外務大臣も説明いたしました通り、今後更にこれらの点については交渉を続けて行く考えであります。そうしてできるだけ被害を少くするという点に最善を尽したいと考えております。  次に本院における決議は早速ニユーヨークにおります沢田大使にこれを電報をいたしまして国連の事務総長へ決議を提出し、そしてこれが適正なる取計らい方を申出でさせたのであります。日本は国連の加盟国でもありませんので、その取計らいの方法については一々指示する立場にございませんけれども、これが如何に重大であるかと、重大な問題であるかという点は沢田大使からもその決議を提出いたしますときに事務総長に説明いたしたはずでございまするし、又関係諸国の代表に対しても沢田大使からとの趣旨の存するところを十分説明して協力を願うように措置いたさせておりまするから、必ず国連側においてもこれを取上げるであろうと、何らかの方法で日本の熱望するところを実現するように協力してくれるであろうというふうに期待いたしております。なお結局この問題、国際慣例の問題であるとか、或いは原子兵器の使用禁止区域というような問題は国際的に十分世論を喚起する必要がありまするので、その意味を以ちまして在外各公館にもこうした問題を十分に通報いたしまして世論の喚起によつて今申しました決議の趣旨が早く実現できるように今後とも努力いたしたいと考えております。  なお今後このような事件が仮に起つた場合は如何なる措置をするか、この方針はどうかという点、只今御質問の最後にあつたと思いますが、国内的には各関係官庁間で話合いをいたしまして、十分そうした場合における、その他又特にそうした被害をないようにして行くということには政府として十分の措置をとらなければならないことは勿論でありまするが、外務省といたしましては仮にそういう事態が起るということがあれば、勿論それに対しては日本政府として要求すべき点は十分要求し、又そうした事件の再発というものを防止するような措置を相手国がとるように要求する考えでございまするけれども、併し最も根本的な問題はそうした被害が全然ないようにすることが最も必要でありまするので、その意味で先ほど指摘いたしました三月三十一日の申入れについては更に交渉を継続いたしましてこれまで日本側が体験したような損害が起らないように、十分先方とも連絡して、アメリカ側が必要な措置をとるように十分強力に申入れをし、そうした話合いを遂げたいと考えている次第でございます。以上今の御質問に対しまして足りないところもありましようが、一応の私の答弁といたします。
  5. 千田正

    ○千田正君 大体のお答えは了解いたしますが、本日参議院におけるところの緊急質問に対するところの外務大臣の御答弁も伺つておりますが、これは外務大臣としては原子爆弾のこの実験に対しては協力するということを言つておられます。併し我々日本人の考えている今の国民感情の殆んど大部分の考え方ということは、その補償とか、そういうことよりも、何よりもとにかく原子爆弾の実験の被害を我々は受けたくない、早く言えば広島、長崎においてこれは戦争の際であるから、まあ不幸にして我々は破れた、そのときの被害のあの甚大さ、その後平和になつて而も日本は独立した今日において、独立した日本人が実験の犠牲になるということは到底これは堪え得られない。希くはアメリカはアメリカの国土のうちでどこかを見付けて、そこで実験してもらいたい。日本は、平和な産業に従事しているところのこの漁民の人たちが、モルモツトのような一つの実験の対象に使われたくない。これが今日の日本人の殆んどすべてが持つところの感情であろうと思うし、その反映が衆議院及び参議院におけるところのいわゆる決議となつて現われたものと私は考えるのであります。そこでいろいろ今小瀧次官のおつしやつた点について、まあ補償の問題、これはまあ当然起きてしまつた問題に対しては当然これは補償を要求しなければならない、更に今後にそういうことのないように取計らうけれども、若し不幸にしてそういう事態が起きた場合には、これは勿論補償請求をすることは当然のことでありまするが、我々の心配するのは、あの第一回の、今度のいわゆる最近問題になりました第五福龍丸の起きた被害から、更に引続いて二回くらい、いわゆる又試験をやつておられるようであります。その結果直接の被害が起きなかつたとしましても、最近帰つて来るところの漁船には相当の放射能が附着している、浸透している、これがまあ現在の姿である。そうして殊にこの原子爆弾に対するところの犠牲に対する、或いはこの兵器の使用という問題に対して重大なるいわゆる考え方を持つておるのが、むしろ日本の政府当局よりも現在においては印度なり、或いはイギリスなりその他の国々が更に強いこの問題に対して考えを持つて世界の人道に訴えつつあるということを我々は考えた場合に、私はむしろ現在の政府の行き方が少し手ぬるいじやないかという要求を持つのでありまして、そこで只今の経過の御報告の中に、勿論外務省としては手落ちなく先方に向つて要求していると思いますが、我々漁民の代表から考えた場合において、特に私どもはお尋ねしたいのは、先ほど申上げた通り第五福龍丸以降今まで二度ぐらいあるようでありますが、そういう場合今後も何回かと或る期間のうちにやられるでありましようが、これは前以て承知する方法がないのか、そうしてできるだけこの被害を回避したい、回避しなければならない。そういうのが日本の国民の今の考えでありますので、若しそれがわかることができ得ればその方法をとりたい。ところが先方は恐らく秘密保持という立場からその期日或いは時間等に対しては或いは明示しないかも知れません。併しおよその、例えば三日間なり五日間の間はこの地方に操業することは遠慮してもらいたいとか、或いは迂回してもらいたいとか、何らかの前以てのいわゆる報告なり予知なりを受けなければ今後もああいうような被害を或る程度受けなきやならないだろう。そこで先般もアメリカの原子力管理委員長が言つた通り、原子爆弾の実験は単なるその実験のみが主体じやなくて、実験をする際におけるところの被害を防禦しつつやることも重大なる任務の一つであるということを発表しております。でありまするから我々としましては飽くまでこの点、いわゆる前以て予知できるかどうか、秘密保持の意味から厳格にそういうことをとつてもらつてもいいが、とにかく現実の問題としてはその近くにおいて操業し、或いはその近くを航行するところの船舶或いは漁船が被害なくして、とにかく航行なり操業なりできる方法があるかどうか、そういう問題に対して突つこんでアメリカ政府に対して要求しておるかどうか、この点を先ずお伺いしたいと思います。
  6. 小滝彬

    ○政府委員(小滝彬君) お説誠に日本側としては御尤もでありまして、そうした点も話合いをいたしておるのであります。日本としては事前に知らせてもらう、又実験が当分行われない際には六月末以前といえども日本船の航行或いは漁業を実施させたいのでありまするから、そうした点をはつきりできるようにという点も先方に申入れておるのでありまするけれども、先刻もちよつと申しましたように秘密保持という点ばかりでなしに、何月何日に必ず行うというように前触れに予定を立ててやるということは実際問題として至難のようでありまして、風とか或いは天候とかというような点、実験に適する気象というような問題もあるようでありまして、この点から考えると危険区域について相当広く認めるということは漁業には影響ありまするけれども、広く認めて、そうして危険を少くするという方法はともかくとして日にちを大体のところでも通報してやるということにするということは今申しましたような理由で実際問題として非常な困難があるようであります。そうしてそういう措置をとりました場合も、それでは数日前には船をその危険と思われる区域から立退かすというような場合において、果して迅速に通報し、又仮に前以てその期間が知れておつても、それに対して警戒措置をとることができるかどうか、必ず実験の行われる前に一隻も船がいないように、或いは飛行機を飛ばし、或いは無電を使つて、本当に落ちのないところの警戒措置がとれるかどうかということについても、十分なる自信を持ち得ないというような点がありまするために、この実験の都度において前以て通報するということは、どうしても実際問題として非常に困難であるというのが先方の申分であります。更に何かいい方法はないかと、今後とも交渉を続けて行くつもりでありまするけれども、これまで私どものほうに判明いたしましたものは、このような関係からして、今千田さんの御指摘の点は私どもも是非貫徹して、向うに承服、承認させたい点でありまするけれども、事実今までの経過においては説得することは困難であり、又そうすることは却つて危険を日本の漁船にもたらす虞れがあるようにも考えられますので、今のお説のような点を実現実行するということは、相当困難があるというのが現状の只今の段階であります。
  7. 千田正

    ○千田正君 そうすると、今のお答えから言うというと、前以て予知ができない。当然やはり危険が継続する。こうなるというと、補償の問題が、単なる損害を直接受けたものにだけ及ぼす問題じやないと思いますが、今度の場合におけるところの損害の補償の要求は、単に第五福龍丸、或いはその他の、いわゆる検査機関によつて調査した分の直接被害だけを要求しているのか、それともこういうような問題によつて起つたところの小企業、例えば仲買であるとか、或いは小売魚商であるとかの、この約二週間ぐらいに亘つての商売ができなかつた、ああしたような被害等も含んでいるのか。それからまあいわゆる漁民の家族たちの、あの不安な念に駆られて、そうして親交さんが病院に入つている、その間どうしてくれるかというような問題も出て来ているのですが、そういうものを全部引つくるめて、いわゆる損害の補償を要求しているのかどうか、この一点と、それからこれは外交上の問題でできると思うので、大きな将来の私は示唆になると思うので、特に外務次官に聞きたいのですが、この南太平洋のビキニ環礁、曾つての日本の或いはマーシヤル群島等の非常に日本の漁民にとつては、殊に大資本じやない中小資本の、或いは漁民の組合等によつて、沿岸から沖合にと漸く不況を克服して展開したこの漁場が、かようなことによつて操業ができないとするならば、これは日本漁業の大きな打撃でありますので、これを外交的に折衝する面において、然らば北洋漁業等によつて制約されているところの日本の漁場を拡張するような外交政策を、あなたがたが要求べきであると思うが、いわゆる日本漁場の狭隘を告げた場合において曾つての米国等との間におけるところの国際干渉によつて狭められているところの漁場への進出を、外交折衝によつて獲得でき得るかどうか。こういう方向に進む考えを外務省は持つておるかどうか。この点も附加えてお答え願いたいと思うのであります。
  8. 小滝彬

    ○政府委員(小滝彬君) 補償につきましては、実はまだこれだけの額を、これだけの期間に対して出してくれというようなことを、具体的には申入れておりません。補償を要求するという原則は、勿論先方に十分徹底させておりますし、先方も補償すると申しておりまするが、この具体的な補償額というものにつきましては、関係省の協議会で一応中間的な見積りもできたようでありまするけれども、先方へ出すという段階には至つておりません。そこで一体間接的な損害についても補償要求をするつもりかどうかという点でありまするが、この間接的な被害を測定することは、実際問題として相当困難なようであります。御指摘の漁夫の家族の生活費というようなものは、むしろ直接的な面であつて、米国側から申出ておりまする補償の項目の中にも入ると思いまするけれども、市場における値下りとか、その他の間接的なものについては、先ず第一には見積りが相当困難のようであります。それにもかかわらず、併し関係省の協議会におきましてはこれも一応算定するということになつておりまするが、その見積りの困難な点と、もう一つはこれまでの国際間の慣例などを調べて見ましても、間接的な損害というようなものについては、補償が行われたというような例も殆んどないようでありまするので、そうした点もありまするから、更によく研究し、慎重に考慮した上で適当な申入をしなければならないと考えます。これまでの慣例を申上げましたのは、私たち決して間接的な被害については、補償を申入れないという趣旨で言つたわけではございません。そういうような点もありまするので、どういう程度に、どういう方法で申入れるべきかということについては、今後更に研究いたす考えであります。この補償は或いは二、三カ月後にまとめてこれを要求すべきか、或いは更に精細なものを出すべきかについては、まだはつきりといたしておりませんので、具体的に申入はしておりませんが、併し政府としてもいろいろ支出を要する点があり一応の手当はしてありまするけれども、米国側も支払うと申しておりまするから、できるだけ早い機会に、少くとも直接損害の補償というものは申入れる。そして間接的な被害の補償というものについても併せて考えておくという方針で行つたら、然るべきではなかろうかと考えております。  それから、こういう重要なる漁場を失つたから、代替の漁場を要求する気持はないかという点でありますが、これは皆交渉の際において十分日本側から説明して、この遺憾な出来事を活用する、と言うと言葉が悪いかも知れませんけれども、単に水産関係の問題のみならず、その他の経済関係における交渉においても、この問題は随時米国側に徹底させて、そして日本全体としての被害を少くするという方針で進まなければならないということは、千田さん御指摘の通りであります。現にアメリカも中共との貿易において、日本が相当不利な立場にあるということを認めまして、東南アジア関係等においても、できるだけ米国は日本を支援しようというような態度にも出ておりまするので、この御指摘のような申入については、米国側も当然考える気持であろうと考えます。ただ水産業につきましては、私から申上げるまでもなく、その水域におけるところの水産資源の保護という立場もありまするから、右から左へ、片一方で損害があるから、片一方の漁場を開放しようというように、一足飛びに話はまとまらないかも知れませんが、私どもといたしましては、そうした努力を十分いたしたいと考えております。
  9. 千田正

    ○千田正君 そうしますと、今までの問題としましては、当時被害がビキニの周辺において、我が日本の第五福龍丸は禁止区域外にあつて被害をごうむつたという確認と、それに対する何らかの補償を考えるという程度にしか、現在のところ運んでおらないと、かように了解してよろしいのでありますか。折衝の過程を今まで承わりましたが、現実において外務当局としましては、いわゆる当時の被害の状況を調査した結果を中心としまして、核心としまして、これに対する確認と補償、そして今後に対する補償、そして今後に対するところのかような不幸な事態が生じないような善処方の要望、それにもかかわらず、不幸な損害を受けた場合に対して、それに対する補償をどうするか、こういうようなことを主題として申込んでおられたようなお答えをして頂いておりますが、それに対して補償の額、或いは直接被害に対しては補償するけれども、間接の件はどうなるかという問題も出ておらない。現在の、いわゆる現実の今の問題としましては、当時危険禁止区域外にあつた第五福龍丸に対する、いわゆる位置に対する確認であるとか、損害に対する確認とか、漁具に対するところの補償とか、船舶に対するところの補償とか、そういう点に対しては、一応了承したけれども、あとのところはまだはつきりしておらない、かように了承していいのでありますか。
  10. 小滝彬

    ○政府委員(小滝彬君) その通りであります。ただ併し第五福龍丸のあとに二船被害を受けたものもありまするので、こうした損害に対しても、当然日本側としては、補償を要求するということは当然であります。
  11. 千田正

    ○千田正君 ほかの同僚諸君から、なおこの問題についてはいろいろお尋ねがあろうと思いますが、これは只今、いわゆる太平洋地域において、而もビキニ周辺においての漁場が、かくのごとく制約されたとするならば、どこかにおいて、北洋漁業その他に対して例を言つたのでありますが、アメリカ側の制約によつてできない所に拡張する方法がないかということに対しては、なお研究の課題として外務省としては考えておられるようでありますが、これに関連いたしまして、先般ベルリンにおけるところのいわゆる四国外相会議の結果、この二十六日からジユネーヴにおきまして極東平和会議の開催をされるということが、すでに報告されておりまするのは御承知の通りと思いますが、この会議の主題は朝鮮事変問題の平和的処理、インドシナの平和回復の問題が中心課題であるということを外電が報じております。それで恐らく四国外相会議に対しては、日本としてはオブザーバーとして行けるか行けないか、それが問題でありますし、恐らく行けないかも知れないでありましようが、ともかく問題は極東の問題であり、朝鮮問題の平和的解決、或いはインドシナの平和回復の問題等ということになりますと、それに関連していわゆる李承晩ラインの問題、いわゆる李承晩ラインと称するところの問題、或いは中共の拿捕をめぐるところの支那海の問題、こういう問題が当然我々日本としては深刻に悩んでおるだけに、この問題は相当関連すると思いますが、政府としてはこの朝鮮問題、インドシナ問題に関連して、日本の立場をはつきりこの四国外相会議に反映する方法を何かとるお考えでおりますか、それとも全然これはよその国の話だから我々はタッチができないのだという立場で傍観的立場をとられる御意思なのですか。その点を承わつておきたいと思うのであります。というのは、今申上げた通り、北洋においては制約があり、今度は太平洋においては今のような原爆の危険にさらされ、李承晩ラインなぞという一方的な制限によつて、日本の漁場は減らされる、或いは支那海に行けば中共から拿捕される、或いはアラフラ海の漁業の問題、四面海をめぐらしておるところの領土の狭い日本は、海こそは日本民族の活躍の舞台であるにもかかわらず、こういう面が狭められて行く、こういうふうなことでは独立した日本の将来の原始産業の一つであるところの日本の水産業というものは、疲弊の一途を迫る以外にはないのでありまして、これを外交的に打開し、そして日本の産業を育成するという意味から行けば、この平和会議等にしましても、仮に正面切つて参加できないとしましても、外務省としてはあらゆる手を通じ、この問題の打開の方法を考えられるのが至当であると思うのでありますが、この点はどういうふうにお考えになつておりますか。その点お答えを頂きたいと思います。
  12. 小滝彬

    ○政府委員(小滝彬君) 御尤もであります。今度のジユネーヴ会議は戦闘に参加した国に対して四国が招請求を発するということになつておりまするので、日本はその戦闘に参加したというカテゴリーに入らないために、招請されておりませんけれども、韓国が今後どういうようになるか、朝鮮問題が如何に解決せられるかということは、朝鮮に近接するところの日本としては、重大なる関係がありまするので、日本と関係の深い友好国に対して、日本の立場を十分に説明し、又日本の立場を理解してもらうのみならず、この会議において日本に関係のあるようなものが論ぜられる段階に仮に達したとしますれば、日本の立場を十分考えて、そうした問題の解決に当つてもらいたいという意思はすでに表明いたしておるのであります。殊に日本は戦闘には参加いたしませんでしたが、国連の朝鮮における軍事活動については便宜を供与して来た関係もありますから、当然そうした主張をする資格を十分持つておると考えるのであります。御指摘のように李承晩ラインの問題であるとか、或いは中共による日本漁船の拿捕というような点は日本の水産界のみならず、日本の経済にとつて重大な関係がありますからして、そうした問題に何らかいい解決が見出されるということは我々の希望して止まないところであり、政府としてはあらゆる機会に直接会議に参加しなくても、日本に関係のある問題が有利に解決されるように十分配慮をいたしたい。各国と連絡をとり、又会議の進行状況等も十分に監視して、日本の欲するような解決とまでは行かないにいたしましても、日本の利益が十分勘案せられて、そうした解決策が見出されることのために協力いたしたいと考えておる次第でございます。
  13. 千田正

    ○千田正君 よく御趣旨はわかりましたが、そこで現在の水産業界の人たちの団体の代表のかたがたが政府と共に表裏一体となつて、仮に公的な立場において交渉できなくても、せめて日本の水産界の現状を訴えて、各国の了解の下に、この今までの不幸な出来事を緩和し、そうして隣国との親睦を図りつつ、日本の産業を維持して行きたい。これはどうしてもやはり各国の了解を得なければならない。この十分な了解運動を促進する意味から言つても、今度のジユネーヴの会議に日本の政府が公式な立場で参列しなくても、今の外務次官がおつしやつたように、あらゆる機会を捉えてこうした問題の解決に当りたいという御趣旨であるならば、業界の代表も参加してこの問題の解決の衝に当りたいという希望を持つておるようでありますが、そういう点において、若しも業界のメンバーがジユネーヴにおけるところの、或いは裏面工作と言いますか、或いは私的折衝と言いますか、そういう意味において参加したいという場合においては、外務省としましては許可するお気持がございますかどうですか。
  14. 小滝彬

    ○政府委員(小滝彬君) 先ほども申しましたように、日本の水産界にとつて有利なことであれば、他の重大な問題に支障のない限り、できるだけあらゆる手段を動員して、政府としては有利な解決をしなければならない立場でありますから、若し御指摘のようなやり方が役に立つということになれば、政府は当然これを援助して差支えないものと考えます。ただジユネーヴの会議というものは、今統一行動云々というようなこともいろいろ論ぜられおりますし、どういう形態をとつて、どういう進行ぶりを見せるのか、にわかに即断を許さないものがありますけれども、業者のかたが会議のある際にジユネーヴに行かれるということについては、仮に政府は積極的に後援できないまでも、これをとめる理由はないと考えます。旅券法においても正当な業界の利益のために海外に行かれる、而も場所がスイスであるというような場合に、これをとめるというようなことは法律的にもないことでありますので、これをとめるというようなことは勿論なし得ないのであります。スイスには公使館もありまするし、ジユネーヴには総領事館もありまして、いろいろ国際会議に関連した仕事を領事館でいたしておりますが、今度の会議には直接参加しておりませんので、この領事館の者が参加はしないまでも、十分会議の進行ぶりなどについて必要な報告を本省に通達するというようなことは、これは当然の任務としてやるべきことでありますが、今御指摘のような人が向うに行かれる際、いろいろ政治的な機微の深い会議でもありまするので、どこまでもお手伝ができるかは今直ちにはつきりした想定をすることはできませんけれども、今お話のような措置が役に立つという見通しが立てば、外務省の出先としても十分便宜を供与すべきは当然であると考えます。
  15. 森崎隆

    ○委員長(森崎隆君) ビキニ被爆事件につきまして、ほかに外務省関係その他に御質疑ございませんか。……私から一、二だけお聞きしたいと思います。先般も本会議で御質問申上げたと思いますが、この補償、今千田委員からもお聞きのように、補償の問題で具体的な折衝をする数字が出る段階に至つているか、その点はどうなんですか。
  16. 永野正二

    ○説明員(永野正二君) 補償のアメリカ側に対する折衝につきましては、先ほど政務次官から御説明がございましたように、全般の問題として原則的なお話合いは出ておるのでございますが、その内容の具体的な数字を入れての交渉ということになりますると、相当まだ事実の調査に要する点が残つているわけでございます。従いまして先ほど御説明の通り、まだ具体的な金額を入れての御折衝にお入りになつておらないようでありますが、国内的に我々水産庁その他の関係といたしましては、御承知のようにこの問題の被害と申しますか、影響と申しますか、いろいろ多岐に亘つておるわけでございます。そのうち事実の調査が済み、或る程度損害額の確定いたしましたものから逐次切離して交渉をする、そうして残りの問題につきましてはむしろ今後又要求あるべしという保留を附加えまして、逐次問題を解決して行かなければならないのではないかという態度で今やつておるわけでございます。
  17. 森崎隆

    ○委員長(森崎隆君) それで、外務省に聞きます。その間取りあえず概算払の形を行うような意思があるかないか、それはないとすれば政府自体に、これは水産庁ですが、取りあえず被災者に対して今の生活費、治療費、その他をどういうふうに具体的に補償して行くつもりであるか、この前お聞きした中心をなした質問だと思うのですが、それを政府はアメリカとの補償の問題が解決するまでは、被災者のほうをそのまま棄てておくということはないと思う。勿論治療その他のことはやつておりますけれども、家族の問題、又船の代船建造問題、再出漁の準備態勢というような問題、いろいろな問題があるわけでありますが、それは一日もおろそかにできない問題だと思います。ですからこの際私たちが期待しておりますのは、取りあえず日本国政府において被災者に対して或る程度概算払い、それが計算の上は過払になるか、或いは不足のままで払われるかわかりませんけれども、一応やはりそういう形をとつてもらいたい。大体アメリカに対しても、この際概算で補償額というものをお互いに取極めて取りあえず出す、あとから計算の結果、過払であれば払戻すといつたような早急の具体的な措置をとつてもらいたいということの質問の趣旨だつたと思いますが、その点について外務省及び水産庁から御答弁を頂きたいと思います。
  18. 小滝彬

    ○政府委員(小滝彬君) 誠に仰せの通りでありまして、今生産部長の説明にもありましたように、全部をはつきりさすというには相当時間がかかります。でありますから、取りあえずは政府のほうで措置をとつて、そうしてアメリカに対しては最終的なものでなしに、中間的にはつきりしたものから要求して行くというようなやり方しかないだろうと存じます。尤もこの問題は外務省だけでも決定できませんので、現に協議会でいろいろ相談をしておりますから、その各省で話合つたところに基いて外務省も行動しなければならないと考えますけれども、大体のラインは委員長が御指摘になつた通りでありまして、打合会における審議においてもそうした考え方で進んでおるはずであります。なお打合会の話合いの進行ぶりについては生産部長から説明願つたほうがよいかと思います。
  19. 永野正二

    ○説明員(永野正二君) 只今御指摘のございましたように、第五福龍丸の船主並びに乗組員の当面いたしております医療の問題及び生活その他の経済上の問題につきましては、非常に事柄が緊急を要すると思いますので、この問題がアメリカ側との折衝がはつきりいたします前の段階といたしまして、日本政府において適当な措置をとるということが必要であると私どもは考えておるわけでございます。その線に沿いまして各省の連絡会議に私どもはすでに大体の必要な金額というものは計算をして今協議をいたしておる段階でございまするが、そのうち福龍丸の船が、放射能のために使用不能となりましたのでこれが代船を求めなければなりませんので、これに必要な経費は大体遠からず政府の責任において予備金支出という形を以て支出されることに相成ろうと存じております。  それから問題は、乗組員の医療に必要な経費及び乗組員の家族の生活費の問題でございますが、医療につきましては一応あらゆる経費、必要な医薬品及びその他いろいろな医療に必要な経費は一応病院側で立替になつておるわけでございまして、乗組員の負担は一応かけておらないわけでございます。これにつきましては政府のほうで何らかの措置を急いでいたしたいと、実は考えておるのでございます。ただ現在までまだこの医療費の明細な内訳というものが事実調査が済んでおらないように私は聞いております。それから家族の生活費につきましては、これも当然事前に日本政府のほうで措置ができたらいい問題なのでございますが、一応政府といたしましては予備金その他の予算上の手続が済みます前の措置といたしましては、地元の漁業組合におきまして家族の生活に必要な程度の支出金を出しておられるわけでございます。これは大体政府のほうでは補償をしなければならんと考えておりますので、差当りの措置として予算その他の手続の面倒のございませんそういう方法を臨時にとつておるのでございますが、この問題もできるだけ早く政府として措置をするようにいたしたいと考えて今折衝をいたしております。
  20. 森崎隆

    ○委員長(森崎隆君) もう一つだけお聞きしますが、例えば第五福龍丸だけについて考えました場合に、直接の被害というのはどの範囲までお考えでございましようか。外務省、又水産庁からもお聞きしたいと思います。
  21. 永野正二

    ○説明員(永野正二君) この原子実験の影響は先ほど申上げましたように非常にいろいろな方面に少くともその影響が及んでおるわけでございまするが、そのうち問題を損害の補償という観点からこのうちどの部分を直接被害と見るべきかという問題は、これは相当実は複雑な問題を含んでおるのでございまして、今後関係各省におきまして十分協議をしなければならない問題であるのでございます。私ども水産庁として考えます場合に、勿論放射能によつて非常に船が使用不能になる、乗組員が身体に障害を生じ、或いは漁獲物が販売不能になつたり、第五福龍丸は勿論のことといたしまして、それ以外に明瞭にこの原子実験によります放射能によつて襲われて漁獲物が販売を停止せられた、これを廃棄せざるを得なかつたというような場合には、その廃棄せられた漁獲物の価格なり、或いは廃棄するために特別に経費及び労力を要しておりまするので、そういうものも含めて当然補償の対象にすべきだと考えております。又そのほかにこの原子実験が行われましてその放射能の問題が生じましたために政府、地方団体、或いは漁港、その他の魚を扱います機関において、この対策として真に必要止むを得ずしていろいろな措置をいたしました、例えば食品の検査をいたしますとか、或いは襲わられた食品を廃棄する、安全にするような措置をいたしましたり、そういうふうな措置等はこれは当然の損害の範囲に属すべきものだと考えているのでございます。これ以外にもこの問題の影響の波紋は非常に広くいろいろな方面に及んでおるのでございます。それらにつきましてどの程度どういう考え方で取上げるかということにつきましては、いろいろ基礎的な事情の調査を必要とする問題が多いのでございます。それらにつきましても水産庁といたしましては、問題の取上げ方がどういうふうになりますような場合でも或る程度の資料なり推算なりというものはできるようにいたさなければならんと思いまして、いろいろその方面につきましてはできる限りのことはいたしておるのでございまするが、現在の我々の機構の能力といたしましても或る程度限定されおるのはなかなか急速に全般の調査が完了いたさないのでございまするが、今後とも十分この点につきましては努力をいたしたい、こう考えております。
  22. 森崎隆

    ○委員長(森崎隆君) この直接被害、間接被害の問題は非常にむずかしい問題であるとは思いますが、少くとも当初この問題がはつきりいたしまして厚生省との他から適当の措置が完全に講ぜられるに至らなかつた間に起りましたまぐろを中心にする魚価の値下り、又売行き不振、こういつたような問題はやはり私は直接関係すると見てもいいと思うのですが、そういう点も推算しますので、これは慎重に一つ考慮をしてもらいたいと思いますが、早急に一つこの交渉のプロセスを縮めて頂きまして具体的な措置を早く被災者にとるように特に要望いたしたいと思います。  ほかに御質疑はございませんか。
  23. 森八三一

    ○森八三一君 今の問題は大体わかつたように思いますが、この前にも私の意見を申上げて質問を申上げたのですが、今度の被災者の損害というものを補償して行く政府の基本的態度といいますか、これは日本政府が被災をしたことではないので、被災者が直接アメリカに請求をする、それを日本政府は援助をするといいますか、忠告をするといいますか、そういう態度でおられるのか、日本の被災者に対しては、日本政府の先ず責任をとつて処分をして政府と政府との交渉に移して行くというのか、一体その補償をして行く基本的な態度というものはどこにありますか。
  24. 小滝彬

    ○政府委員(小滝彬君) 只今の補償の問題といたしまして、政府のほうで取上げてこの賠償を要求するというのが政府の考え方であります。但し法律的に申しますれば被災者が不満足を感じてアメリカの裁判所に訴えるということは必ずしも排撃されるものではないと考えまするけれども、現在日本としては十分こちらの調査を理解せしめて、そうして外交交渉によつて政府として取上げてこの賠償の支払を受けるというやり方をいたしたいと、この方針に進むように一つ……。
  25. 森八三一

    ○森八三一君 そうしますると、こういうように理解していいのですか、被災者に対しては政府が、日本政府が日本政府の責任で善後措置をしてその結論を外交交渉によつてアメリカに求めて行くというように理解していいのかどうか。
  26. 小滝彬

    ○政府委員(小滝彬君) 先ほど来申上げておりまするように、外交交渉としてはつきりした数字を出して、そうして正式な要求をするということについては多少時間も要するので、必要な措置を政府としてとり、そうしてアメリカに対してはこちらの正当とする要求をするということにいたしまして、政府のほうが一応この救済の責任をとつて必要な措置をして、アメリカ側に対しては又国家として賠償要求をすべきものを要求するというやり方をいたす考えでございます。
  27. 森八三一

    ○森八三一君 そうすると、今私の申上げたような態度であるというように理解をされると思うのですが、そうなりますると勿論調査に困難のあることはよく理解できます。他に間接の被害というように目されるもの、これはまあその人の考え方によつて直接という部類に入る部分もできましようが、まあそういう非常に広汎なことでありますので、調査に日時を要することはよくわかります。わかりますが、その調査によつて出て来たものは日本政府の責任ですぐ始末ができて、そのあとにアメリカのほうとの折衝が開始されるという経路がとられているのじやないか、そうすればもう少し早く行けそうな気がするのであります。ただお話を聞いておりますると、外交交渉、アメリカとの折衝という言葉が随所に出て来るので、私が今御質問をして理解したような態度ではなくて、やはり日本政府の責任で始末をするにしても、始末をする前に米国との折衝が持たれておるのではないかという感じを非常に強く持つのですが、そうなると基本的な態度というものは、どうもぼやけて来る、何だかこう日本政府のほうではこの程度までどうしてもやつてやりたいという結論が出ましても、それを向うと折衝するというと、そこまで行くのは行過ぎだ、向うで削られて来るというと、その削られた線まで退却して来るということもあるのではないかという感じを非常に強く持つのですが、そういうことはございませんか。
  28. 小滝彬

    ○政府委員(小滝彬君) 或いは説明が徹底しなかつたかも知れませんが、永野生産部長が申しておりまするように、今関係各省の打合会でも日本政府としての責任を果さなければならない。日本政府として勿論予備金で出すとか、いろいろ取りあえずの措置をするとか、具体的な点は困難がありまするけれども、できるだけ早く措置をするということであつて、一応、アメリカに対する補償、賠償要求のほうとは切離して、そうした措置を講じておるわけであります。中間的に向うへ補償を要求するというように申しましたのは、はつきりいたしますというと結構ですが、それに時間がかかりまするので、概算払と申しまするか、直接的に非常に明瞭なものだけを取りあえず向うから払つてもらつて、これから先のほうは更に要求を出すのだということ、この点を明瞭にして米国からも並行的に支払をしてもらう、が併しそれを条件として政府の措置をとるのではなしに、政府は政府の責任としてこの不幸に会つた人に対する措置をするという考え方で進んでおるわけであります。
  29. 森八三一

    ○森八三一君 そうしますと、日本政府の責任で措置せられて行く、その結論をアメリカとの折衝に付せられた場合に、日本政府の指定した点までアメリカが補償してくれないという点も理論的にはあり得る。仮に百万円補償したところが折衝した結果は八十万円でどうしても弁償がまとまらなかつたとしますと、二十万円というものは日本政府の負担になるということに理解していいのか、その場合にはその二十万円分は仮計算であつたのだから被災者から追徴するのだということになるのか、それから若しその二十万円というものを日本政府の負担に帰するということになると、一体予算の措置というものはどういう措置をなさるのか。二十九年度予算にはそういう余裕はございませんから、補正予算をお出しになるのかならんのか、財政法等に照らしてどういう措置ができるのか、まるまるもらえればこれはまあ一時の立替ですから、これは僕は疑念を持ちません。持ちませんが、結果的にマイナスを生じたという場合には、追徴するのかせんのか、追徴しなければ日本政府の負担になる、その場合には一体予算措置はどうなるのか、財政法上どういうお考えをお持ちなのかという点をお伺いしたい。
  30. 小滝彬

    ○政府委員(小滝彬君) 理論的には今御指摘のように向うからの支払が二十万円減るということがあり得ると思います。又場合によりましては見舞金が来て却つて多いことになることもあり得ると思います。併し予算の点についてはこの打合会のほうでいろいろ話しておると存じますが、私個人の見解を申しますれば、或いは非常に日本政府として出さなければならないものが厖大なるものになるならば、補正予算というものも考え得るでありましようけれども取りあえずは予備費というものがございますから、それで処理できるのではなかろうかと考えます。
  31. 森崎隆

    ○委員長(森崎隆君) 他になければ、次に厚生省にお聞きしたいのですが、その後の被災者の治療状況だけ一応御説明願いたい、楠本環境衛生部長。
  32. 楠本正康

    ○政府委員(楠本正康君) お答え申上げます。その後の被災者の状況でございますが、すでに一般に先般申上げましたように、福龍丸乗員二十三名はすべて東京に参りまして、うち七名は東大病院、他は国立第一病院に収容されて手当を受けておるわけでございます。東大病院に入院いたしておりますうち三名につきましては、先般御報告申上げましたように、極めて憂慮すべき状態が今日なお続いておりまして、病状は一進一退の状況でございます。これの予後につきましては今ここではつきりしたことは申上げる段階でございません。併しながら他の患者、東大に入院しておる者或いは国立第一病院に入院いたしておりまする者も、さしたる悪化する傾向もございません。これらの予後はおおむね心配はないものと考えてよいのではないかと考えておりますが、併しこれらとても放射能物質がかなり体内に吸着されておりますので、今後の推移というものは特に注意をしなければならんものと考えておりますが、何分にも甚だ不徹底なお答えになりますが、的確なる治療方法というものは、今日まだございませんのみならず、日本としても、或いは世界各国におきましても、初めて取扱う疾病である関係上、甚だ確定的なことを申上げられないのは遺憾でございますが、以上が症状の経過でございます。なおこれらのこの患者の負担その他につきましては、目下取扱は船員保険の給付の限界を大幅に幅を持たして考えまして、目下それらの治療上等につきましては何ら支障のない現状でございます。一方これらの治療その他に関しまする経費に関しましては、外務省を通じまして目下その補償を要求すべく資料を提出済みでございます。なお生活費等についてはたまたま船員保険におきまして、当初四カ月間だけは全額が生活費として支給されますので、これ又取りあえずの経費には困らぬ現状でございます。又一方患者を持つておる家族といたしましては、見舞その他に余分な経費のかかることは当然でございますが、これらにつきましては漁業組合その他にお願いをいたしまして、これ又取りあえずの措置として御迷惑のかからんような方法を講じておるものでございます。なおこれらの後段の経費につきましても、当然見舞金その他の形で何らかの補償を受くべくこれ又外務省に資料を提出してございます。
  33. 森崎隆

    ○委員長(森崎隆君) もう一つ楠本さんにお聞きしますが、このまぐろ等に対する検査の精密度ですね。これは何か内地向けに対する検査の度合と、外国輸出向けのまぐろに対する検査のやり方とに多少違いがあるような話があつたのですが、そういうことがあるかどうかお聞きします。
  34. 楠本正康

    ○政府委員(楠本正康君) 目下国内に水揚げされるものにつきましては、かねて御報告申上げております五港において検査をいたしております。  なおこれとは別個に、輸出冷凍まぐろ、並びに罐詰についてもそれぞれ検査を実施いたしております。只今御指摘のように、この間若干検査方法が違うのではないかという点でございますが、これらの点につきましては、アメリカ側の要求もございまして、輸出まぐろにつきましては、鰓、或いは内臓、等もつぶさに検査をいたしております。これが従来若干違つておつたところでありますが、ところが最近国内に入ります、水揚げされるものにつきましても、外部は、表面は何ら変化がなくても、最近は鯉等に反応の強く現われるものもありますので、最近はこれらの点も、国内水揚分につきましても、鯛等を厳格に検査をいたしております。従つてこれら両者の間に現在におきましては殆んど大差がない現状であります。  なおここで附加えさせて頂きたい点は、私ども当局で国内五港において厳格な検査をしているのだから、これを以て一つ輸出のほうも安全なものと考えてもらいたいことを申入をいたしましたが、併しながらこれは検査の精密度というような点よりも、むしろ輸出産業のいわゆる商業上の見地から是非ともにというような点もありましたので、かような貿易振興上の考慮をもいたしまして検査をいたしているわけでございまして、その点は一つこの辺の事情を酌み取つて頂きたいと存じます。
  35. 森崎隆

    ○委員長(森崎隆君) 今の点ですが、外国向けは勿論信用が中心でございますから、勿論十分この精密な検査は必要だと思いますが、同時にやはり国内向けに対しても、それとちつとも変らない検査が必要だと思うのです。ですから輸出向けの商業関係の上から言えば、僕はそういう検査の精密度の度合じやなくて、レツテルを一枚うんと大きなものを貼れば、大きければ大きいほどいいのです、そうして絶対安心という言葉をたくさん書いて、それでやればいいと思うのです。検査の精密度の度合ということですと、内地向けに対してはどうもいい加減な検査をして、これで食つて多少犠牲があつても、これはうちうちだなどと言うことはとんでもない話だと思うのです。だから検査に対しては厳格に、これは外国向けに対しても、又国内向けに対しても厳格にやつて頂く。ただ商業上いろいろ宣伝が必要だとすれば、これは宣伝ですから、スタンプの大きなものを作つて、その上に懇切丁寧に絶対安全だということを、これは書いて出せばそれでいいわけなのですね。そういう点ははつきりと区別して頂かないと、検査の精密度の度合を変えるとか、どうとかということになると、これは非常におかしい問題になると思うのですね。これは国民から誤解を受ける点があると思いますから、その点は特に厚生省は一つがつちりした、筋の通つたやり方を一つして頂きたいと存じます。  それから通商産業省から来ておられますから、一言お聞きいたしますが、現在冷凍物、罐詰物等の外国向けの物は、例年通り出ておりましようか。その点一つ一応お聞きしたいと思います。  それから価格は昨年等に比べて只今下落しているかどうか、まあこういつたような点を特にお聞きしたいと思います。
  36. 森日出哉

    ○説明員(森日出哉君) 今回の問題について簡単にお答えいたします。事件の起りました当時に、アメリカのバン・キヤンプから契約をキヤンセルするという話が伝わつて、大分懸念したのでございますが、その後の状態を見ますと、今のところキャンセルになつたものもないようでございます。それからアメリカに着きましてから、検査しまして、陸揚を禁止されたというものもございません。冷凍罐詰の輸出も例年通り順調に行つておりますし、それから価格も相当な高い価格で売られております。
  37. 森崎隆

    ○委員長(森崎隆君) 有難うございました。
  38. 秋山俊一郎

    ○秋山俊一郎君 永野さんにお尋ねしますが、今の問題で最近私聞いたことですが、アメリカに輸出しておる一等まぐろ、そのうちで相当クレームがあるということを聞いているのですが、これは水爆に直接関係はないのじやないかと思うのですけれども、そういう情報をおつかみになつておりますか。
  39. 永野正二

    ○説明員(永野正二君) 只今森課長が申しました通り、事件勃発当初、ほんの少い数量でございますが、キヤンセルになるかも知らんというのが情報で入つたことがございます。併しそれ以外にこの問題で輸出のものにつきましてクレームがあつたということを、私どもは実は聞いておらないのでございます。事実をなお調べましてお答えをしたいと思いますが……。
  40. 秋山俊一郎

    ○秋山俊一郎君 これは恐らく水爆と直接の関係はないのじやないかと思いますが、私どもその辺はよくわかりませんけれども、従来よりもこのクレームのつく量が非常に外い。従来五%程度のものは誰でも見ておつたらしいのですが、二〇%程度にもクレームがある。それは肉質が、何といいますか、赤いといいますか、黒いといいますか、ダーク・カラーといいますかね、そういつたような性質のものが非常に殖えているといつたようなことを言つているのですが、御承知のように罐詰にするものは、日本では黒くなつたつて、味のいいやつは構わないので、つまりきはだまぐろなんかで肉の非常に赤くなつていそ。それかボイルすれば黒くなるそういうものが多いということで、かなり向うのほうからクレームがついて来て弱つている連中が、輸出業者にあるようですが、そういうことはまだ水産庁のほうには入つておりませんか。
  41. 永野正二

    ○説明員(永野正二君) 実は只今のお話の、五%くらいであつたものが二〇%になつておるということは、本日まで私どものほうでは入つておらないのでございまするが、この点は恐らく原料の魚の鮮度の問題が非常にあると思います。最近アメリカ側におきまして相当需要も旺盛でございますし、又日本側といたしましても、きはだ等の漁場が大分遠くまでなつておりまして、航海日数も、一部の船においては、相当長いものもあるかと思います。そういう関係で、鮮度の関係が恐らくあるのではないかと思いまするが、なお詳細に当業者の事情を調査いたしたい、こう思います。
  42. 秋山俊一郎

    ○秋山俊一郎君 私もその点を実は懸念しているのですが、だんだんと危険水域が拡張されるというと、非常な迂回をして帰つて来なきやならんというようなこと、従つて鮮度に影響があつておりはせんか、併しこれはその前からのものだつたかも知らんですが、まあはつきりしたことを聞いておりませんが、その点一つ若しもこれが原爆実験に関係があるとすれば、これ又大きな問題になりますので、輸出業者について、或いは水産漁業者について、その点を一つ水産庁で十分御調査を願いまして、その事実の御報告を後日頂きたいと思います。
  43. 森崎隆

    ○委員長(森崎隆君) ほかに御質疑ございませんですか。  それではビキニ被災の件は一応今日はこの程度に置いておきまして、次に第一の議題に帰りまして、補助金等の臨時特例に関する件を議題に供します。  この件は先般一応お話合いをいたして、いろいろ御意見もあつたのでございまして、今日補助金等の臨時特例等に関する法律案の修正申入に関する件というのを一応案を作つて見たのでございまするが、これを一つお諮りいたしまして、第一と第二、第三の三項目、第十三条、第十五条、第十六条、全体をやはり通じまして、その間に程度の差を設けて要求するが、即ち順位をつけてやるか、或いは又このうちの重要なものだけを一つ乃至二つだけをとつて、それを強く要望するかという問題があると思いますが、それを読み上げることを省略いたしまして、直ちに御意見のあるかたは御意見を頂きたいと思います。
  44. 秋山俊一郎

    ○秋山俊一郎君 私は党のこの特別委員会の委員でもありますので、従いまして、私もこの委員会において発言もしておるわけでありますが、勿論私どもといたしましては、この三つの補助金の問題は、いずれも重要な問題であり、これを削減される、或いは停止されるということは、決して同意をしておるわけじやございませんが、併し二十三に亘る各法律に対しまして、いずれも議員としては満足はしていないと思いますけれども、今日の国家財政等のことを考えますと、ことごとくを期待するわけにもなかなか行かんのじやないか。で私自身といたしましては、この水産関係の三つの法案について、どれが最も重要であるかということを考えまして、その重要なものを取上げて、強力に推すということが、目的貫徹の一番効果的のものじやないか。これを三つ出しておるものを、三つそのまま存置しろということになりますと、どうもややもすれば各委員会が所属省の出先の観があるということをしよつちゆう言われるのでありますが、さようなそしりも或いは受けないとも限りませんし、いずれも我々としては残しておきたいけれども、その最も重要なものを一つ残しておる、こういうことに私は考えて来ておるわけであります。で一つと申しますのは、十六条の漁船損害補償の問題でございます。御承知の通り、衆議院におきましても、参議院におきましても、現在の漁業経済その他から考えまして、どうしても従来漁業者の長い間の熱願でありましたところの、国庫負担の対象を百トン未満まで引上げてもらいたいということに対しまして、全会一致を以て立法された。而もそれが二十八年度の予算においては、補正等においてこれをつけることは困難があるというようなことから、二十九年四月一日を以て発効するということにわざわざ制定した法律であります。従つて漁業者も二十九年度になれば義務加入として二分の一……、実質的には四分の一になりますが、二分の一国庫負担によつて保険料が非常に軽減される、こういうことを大きな期待を持つて待つておつたわけです。御承知のごとく、最近は、もう至る所の海面において、支那東海、黄海方面、朝鮮水域の問題は勿論のこと、最近となつては、太平洋におきましても、漁船の損害はだんだんと大きくなつて参りまして、漁船はそれぞれ一般普通保険のほかに、拿捕、いわゆる特殊保険、或いは乗組員の給与保険、又は船員に対しましては、小さい船は労災保険であるとか、船員保険であるとかいつたようなものを何重にも負担しておる。これでは到底漁業経済が持たない。この漁業というものは、申すまでもなく、国民保健の上の食糧供給の重大なる使命を持つておる上に、外貨獲得の面にも非常に大きな使命を果しておる産業でありますので、これを救済する意味において制定されたものであり、これが全然一回も実施せられずにそのまま消されてしまうということは、これはどうしても我我としては納得の行かない問題であります。私はこの点は是非とも存続して行きたい、かような感じを持つております。従いまして、これにつきましては、私自身といたしましては、三つのうちでこの一部を取上げて強力に推すほうが、これは通ればいいけれども、いずれいけないという、いわゆる二兎を追つて一兎も得ない……、というのじやなくて、二兎を追つて一兎も得ないのじやいけないので、そういう感じを持つております。
  45. 森崎隆

    ○委員長(森崎隆君) ちよつと速記をとめて下さい。    午後三時十七分速記中止    ―――――・―――――    午後三時三十五分速記開始
  46. 森崎隆

    ○委員長(森崎隆君) 速記を始めて下さい。  本件につきましては、それでは明日の補助金等の臨時特例等に関する特別委員会におきまして、十分の質疑をした後に、第一、第二、第三の三項目を要求するか、或いは若干の譲歩をするかということは、その後に一つ委員長にお任せを頂きたいと思いますが、それで御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  47. 森崎隆

    ○委員長(森崎隆君) そのように取計らいたいと思います。  本日の委員会はこれを以て散会いたします。    午後三時三十六分散会