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1954-05-30 第19回国会 参議院 本会議 54号 公式Web版

  1. 昭和二十九年五月三十日(日曜日)    午後八時十三分開議     ―――――――――――――  議事日程 第五十四号   昭和二十九年五月三十日    午前十時開議  第一 臨時硫安需給安定法案(第十六回国会内閣提出、第十九回国会衆議院送付)(委員長報告)  第二 硫安工業合理化及び硫安輸出調整臨時措置法案(第十六回国会内閣提出、第十九回国会衆議院送付)(委員長報告)  第三 教育公務員特例法の一部を改正する法律案(荒木正三郎君外十九名発議)(委員長報告)  第四 学校給食法案(内閣提出、衆議院送付)(委員長報告)  第五 日本国における国際連合の軍隊の地位に関する協定の実施に伴う土地等の使用及び漁船の操業制限等に関する法律案内閣提出、衆議院送付)(委員長報告)  第六 企業資本充実のための資産再評価等の特別措置法案(内閣提出、衆議院送付)(委員長報告)  第七 日雇労働者の福利厚生施設国庫補助に関する請願(委員長報告)  第八 信州大学医学部附属病院復興に関する請願(委員長報告)  第九 私立学校教職員共済組合年金に関する請願(十七件)(委員長報告)  第一〇 茨城大学工業短期大学設置の請願(委員長報告)  第一一 高等学校定時制教育等の経費予算化に関する請願(十件)(委員長報告)  第一二 学校給食予算増額等に関する請願(委員長報告)  第一三 学校給食法制定等に関す請願(五件)(委員長報告)  第一四 風水害地域学校給食に関する請願(委員長報告)  第一五 老朽校舎改築費国庫補助増額に関する請願(委員長報告)  第一六 老朽校舎復旧等に関する請願(委員長報告)  第一七 義務教育費全額国庫負担に関する請願(委員長報告)  第一八 義務教育費国庫負担増額等に関する請願(委員長報告)  第一九 教職員の定員確保に関する請願(委員長報告)  第二〇 学校給食完全実施等に関する請願(委員長報告)  第二一 へき地教育振興法制定促進に関する請願(三件)(委員長報告)  第二二 義務教育費国庫負担法の臨時特例に関する法律制定反対の請願(委員長報告)  第二三 熊本大学に臨海実験所本館建設の請願(委員長報告)  第二四 学校給食法制定に関する請願(十五件)(委員長報告)  第二五 学校給食法制定促進等に関する請願(十五件)(委員長報告)  第二六 学校給食国庫補助等に関する請願(委員長報告)  第二七 大分県上北津留村小学校校舎改築に関する請願(委員長報告)  第二八 危険校舎改築促進等に関する請願(委員長報告)  第二九 国立民族博物館設置に関する請願(委員長報告)  第三〇 教育環境浄化に関する請願(二件)(委員長報告)  第三一 高等学校老朽校舎改築費国庫補助等に関する請願(委員長報告)  第三二 中学校建築基準引上げ等に関する請願(六件)(委員長報告)  第三三 被災地の学校給食国庫補助増額等に関する請願(委員長報告)  第三四 青年教育振興助成金増額に関する請願(委員長報告)  第三五 危険校舎改築費国庫補助増額に関する請願(委員長報告)  第三六 公立学校事務職員の身分に関する請願(二十三件)(委員長報告)  第三七 学校安全教育拡充強化に関する請願(委員長報告)  第三八 書道教育実施に関する請願(委員長報告)  第三九 幼稚園教育振興に関する請願(委員長報告)  第四〇 工場学校教育に関する請願(委員長報告)  第四一 福岡県桂川町史跡王塚古墳壁画模写費国庫補助に関する請願(委員長報告)  第四二 新潟大学畜産学科設置等に関する請願(委員長報告)  第四三 小学校教員の定数増員に関する請願(二件)(委員長報告)  第四四 教員の定数増員等に関する請願(二件)(委員長報告)  第四五 義務教育費国庫負担増額に関する請願(委員長報告)  第四六 義務教育費全額国庫負担等に関する請願(三件)(委員長報告)  第四七 学校給食費全額国庫負担に関する請願(委員長報告)  第四八 学校建築費等全額国庫負担に関する請願(委員長報告)  第四九 小学校教員の定数増員等に関する請願(二件)(委員長報告)  第五〇 学校給食費全額国庫負担等に関する請願(委員長報告)  第五一 暦法審議会設置に関する請願(委員長報告)  第五二 婦人教育振興費国庫補助増額に関する請願(委員長報告)  第五三 東京水産大学東京移転に関する請願(委員長報告)  第五四 へき地教育振興促進に関する請願(委員長報告)  第五五 高等学校の図画、工作両科必修制に関する請願(委員長報告)  第五六 文化財保護法中一部改正等に関する請願(委員長報告)  第五七 公立学校事務職員の身分等に関する請願(七件)(委員長報告)  第五八 教員の定数増員に関する請願(三件)(委員長報告)  第五九 奈良県医科大学の国立移管に関する請願(委員長報告)  第六〇 危験校舎改築費国庫補助等に関する請願(委員長報告)  第六一 国宝の保存修理費全額国庫負担等に関する請願(委員長報告)  第六二 教育公務員特例法中一部改正に関する請願(委員長報告)  第六三 学校薬剤師の法制化に関する請願(委員長報告)  第六四 危険校舎改築に関する請願(委員長報告)  第六五 冷害地の児童生徒救済に関する請願(四件)(委員長報告)  第六六 理科教育振興法に関する請願(委員長報告)  第六七 教員定員確保に関する請願(委員長報告)  第六八 義務教育学校教員定員確保に関する請願(委員長報告)  第六九 高等学校定時制教育等の経費国庫補助増額に関する請願(委員長報告)  第七〇 高山祭及び屋台保存に関する請願(委員長報告)  第七一 奄美学生留学費存続に関する請願(委員長報告)  第七二 五大市定時制高等学校教員の給与に関する請願(委員長報告)  第七三 国立岩手大学に附属高等学校設置の請願(委員長報告)  第七四 元海軍工しよう養成所卒業生の文部省資格認定に関する請願(二件)(委員長報告)  第七五 老朽校舎改築に関する請願(委員長報告)  第七六 大都市小中学校児童生徒の収容対策に関する請願(委員長報告)  第七七 岡山県備前町伊部南大窯跡を重要文化財に指定するの請願(委員長報告)  第七八 学校給食法制定に関する陳情(委員長報告)  第七九 へき地教育振興法制定に関する陳情(二件)(委員長報告)  第八〇 埼玉県山口中学校独立校舎建設等に関する陳情(委員長報告)  第八一 婦人教育振興費国庫補助増額に関する陳情(委員長報告)  第八二 学校給食法制定等に関する陳情(二件)(委員長報告)  第八三 高等学校定時制教育等の振興に関する陳情(委員長報告)  第八四 中学校建築基準引上げ等に関する陳情(二件)(委員長報告)  第八五 学校給食法制定促進等に関する陳情(委員長報告)  第八六 史跡王塚古墳壁画模写費国庫補助に関する陳情(委員長報告)  第八七 静岡県敷地小学校改築に関する陳情(委員長報告)  第八八 教育公務員特例法改正に関する陳情(委員長報告)  第八九 公立学校事務職員の身分に関する陳情(四件)(委員長報告)  第九〇 公立学校事務職員の身分等に関する陳情(委員長報告)  第九一 学校保健法制定促進等に関する陳情(委員長報告)  第九二 危険校舎改築費国庫補助に関する陳情(委員長報告)  第九三 小中学校教員の定数に関する陳情(委員長報告)  第九四 中学校雨天体操場建設に関する陳情(委員長報告)  第九五 第十七回オリンピツク大会競技場建設国庫負担に関する陳情(委員長報告)  第九六 静岡県袋井町法多山仁王門等国宝指定に関する陳情(委員長報告)  第九七 理科教育振興法改正に関する陳情(三件)(委員長報告)     ―――――――――――――
  2. 重宗雄三

    ○副議長(重宗雄三君) 諸般の報告は、朗読を省略いたします。      ―――――・―――――
  3. 重宗雄三

    ○副議長(重宗雄三君) これより本日の会議を開きます。  この際、日程に追加して、皇室会議予備議員の選挙を行いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 重宗雄三

    ○副議長(重宗雄三君) 御異議ないと認めます。柏木庫治君の辞任に伴いまして、予備議員に欠員を生じましたので、その補欠選挙を行います。なお、選挙にあたりましては、予備議員の職務を行う順序を定めることになつております。
  5. 杉山昌作

    ○杉山昌作君 私は、皇室会議予備議員の選挙は、成規の手続を省略いたしまして、議長において指名することとし、なお、その職務を行う順序も、議長に一任するの動議を提出いたします。
  6. 寺本廣作

    ○寺本広作君 私は、只今の杉山君の動議に養成いたします。
  7. 重宗雄三

    ○副議長(重宗雄三君) 杉山君の動議に御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  8. 重宗雄三

    ○副議長(重宗雄三君) 御異議ないと認めます。よつて議長は、皇室会議予備議員に常岡一郎君を指名いたします。なお、その職務を行う順序は、第二順位といたします。      ―――――・―――――
  9. 重宗雄三

    ○副議長(重宗雄三君) この際、日程に追加して、検察官適格審査会委員の選挙を行いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  10. 重宗雄三

    ○副議長(重宗雄三君) 御異議ないと認めます。宮城タマヨ君の辞任に伴いまして欠員を生じましたので、その補欠選挙を行います。
  11. 杉山昌作

    ○杉山昌作君 私は、検察官適格審査会委員の選挙は、成規の手続を省略いたしまして、議長において指名せられんことの動議を提出いたします。
  12. 寺本廣作

    ○寺本広作君 私は、只今の杉山君の動議に賛成いたします。
  13. 重宗雄三

    ○副議長(重宗雄三君) 杉山君の動議に御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  14. 重宗雄三

    ○副議長(重宗雄三君) 御異議ないと認めます。よつて議長は、検察官適格審査会委員に片柳眞吉君を指名いたします。(拍手)      ―――――・―――――
  15. 重宗雄三

    ○副議長(重宗雄三君) 昨日、内閣総理大臣から、国土総合開発審議会委員赤木正雄君の辞任による後任者を指名されたいとの申出がございました。  つきましては、この際、日程に追加して国土総合開発審議会委員の選挙を行いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  16. 重宗雄三

    ○副議長(重宗雄三君) 御異議ないと認めます。
  17. 杉山昌作

    ○杉山昌作君 私は、国土総合開発審議会委員の選挙は、成規の手続を省略いたしまして、議長において指名せられんことの動議を提出いたします。
  18. 寺本廣作

    ○寺本広作君 私は、只今の杉山君の動議に賛成いたします。
  19. 重宗雄三

    ○副議長(重宗雄三君) 杉山君の動議に御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  20. 重宗雄三

    ○副議長(重宗雄三君) 御異議ないと認めます。よつて議長は、国土総合開発審議会委員に溝口三郎君を指名いたします。      ―――――・―――――
  21. 重宗雄三

    ○副議長(重宗雄三君) 昨日、内閣総理大臣から、中央青少年問題協議会委員加賀山之雄君辞任による後任者を指名されたいとの申出がございました。  つきましては、この際、日程に追加して、中央青少年問題協議会委員の選挙を行いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  22. 重宗雄三

    副議長重宗雄三君) 御異議ないと認めます。
  23. 杉山昌作

    ○杉山昌作君 私は、中央青少年問題協議会委員の選挙は、成規の手続を省略いたしまして、議長において指名せられんことの動議を提出いたします。
  24. 寺本廣作

    ○寺本広作君 私は、只今の杉山君の動議に賛成いたします。
  25. 重宗雄三

    副議長重宗雄三君) 杉山君の動議に御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  26. 重宗雄三

    副議長重宗雄三君) 御異議ないと認めます。よつて議長は、中央青少年問題協議会委員に宮城タマヨ君を指名いたします。      ―――――・―――――
  27. 重宗雄三

    副議長重宗雄三君) 昨日、内閣総理大臣から、日本ユネスコ国内委員会委員加藤正人君の辞任による後任者を指名されたいとの申出がございました。  つきましては、この際、日程に追加して、日本ユネスコ国内委員会委員の選挙を行いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  28. 重宗雄三

    副議長重宗雄三君) 御異議ないと認めます。
  29. 杉山昌作

    ○杉山昌作君 私は、日本ユネスコ国内委員会委員の選挙は、成規の手続を省略して、議長において指名せられんことの動議を提出いたします。
  30. 寺本廣作

    ○寺本広作君 私は、只今の杉山君の動議に賛成いたします。
  31. 重宗雄三

    ○副議長(重宗雄三君) 杉山君の動議に御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  32. 重宗雄三

    ○副議長(重宗雄三君) 御異議ないと認めます。よつて議長は、日本ユネスコ国内委員会委員に高橋道男君を指名いたします。      ―――――・―――――
  33. 重宗雄三

    ○副議長(重宗雄三君) 日程第一、臨時硫安需給安定法案(第十六回国会内閣提出、第十九回国会衆議院送付)を議題といたします。  先ず委員長の報告を求めます。農林委員長片柳眞吉君。    〔片柳眞吉君登壇、拍手〕
  34. 片柳眞吉

    ○片柳眞吉君 只今議題となりました臨時硫安需給安定法案について、農林委員会における審査の経過及び結果を報告いたします。  本法律案は、第十六回国会に政府から、本院に対しては予備審査のため提出せられ、衆議院における審査状況とも見合つて、今国会まで継続審査に付せられていたものであります。  本法律案は、硫安の需給の調整及び価格の安定を図ることを目的とし、これが提案の理由は、硫安は化学肥料の大宗として農業上最も主要な生産資材でありまして、その需給の調整と価格の安定を図ることは、農業生産のため、はた又農業経営上極めて重要な事項でありますので、政府は先に肥料対策委員会を設けて、これに諮問してその対策を審議し、その結果来年度の需給調整策及び肥料工業の合理化方策に関する答申を得ましたので、その答申に基いて別途提案にかかる硫安工業合理化及び硫安輸出調整臨時措置法案に基く合理化促進による生産費の引下げ及び輸出調整の措置に対応して、国内における需要量の確保と国内価格の適正な水準による安定を図るための措置であるとされておるのであります。而して本法律案の内容は、政府原案によりますれば、大要次のようであります。  即ち第一は、硫安の需給計画の策定でありまして、農林大臣及び通商産業大臣は、のちに述べます硫安審議会の意見を聞いて、毎肥料年度硫安の前年度からの繰越数量、生産見込数量、国内消費見込数量、需給調整用としての保留数量、輸出見込数量及び生産業者の翌年度への繰越在庫の見込数量等の需給計画を策定して、これを公表することとし、以て内需を優先的に確保すると共に輸出を調整することとなし、而して国内における硫安の需給の調整を図るため農林大臣は指定する団体、即ち保管団体をして生産者から硫安を買取り保管せしめ、或いは農林大臣及び通商産業大臣は需給調整のため必要があると認めるときは、審議会の意見を聞いて生産者に対して硫安を譲渡するよう指示することができる等の措置を講ぜんとするのであります。  次は、生産業者販売価格の公定でありまして、農林大臣及び通商産業大臣は硫安の価格の安定を図るため必要があると認めるときは、審議会の意見を聞き、生産費を基準とし、農産物価格その他の経済事情を参酌して硫安の生産業者の最高販売価格を定めることができることとし、而して農林大臣及び通商産業大臣は硫安の生産費その他硫安の需給の調整及び価格の安定に関して調査する必要があるときは、硫安の生産者又は販売業者に対して権限を以て必要な報告を求め、又立入検査を行うことができることとなし、更に硫安の需給の調整及び価格の安定に関する重要な事項を調査審議するため、硫安生産業者代表二人以内、販売業者代表三人以内、消費者代表二人以内及び学識経験者二人以内を以て組織する硫安審議会を経済審議庁に設置せんとするものであります。  かような政府の原案に対し、衆議院において修正がされたのでありまして、その要点は第一に、この法律の適用を肥料の種類について硫酸アンモニア及びアンモニア系窒素質肥料にとどめず、燐酸質肥料及び加里質肥料等に及ぼすことができる含みを以て政令で定める重要肥料ということに拡大し、これに伴つて生産及び生産業者についてのみならず、輸入及び輸入業者にまで本法の適用を及ぼすこととすること。第二、通商産業大臣が肥料の需給の適正化を図るため必要があると認めたときは、肥料の生産について生産業者に必要な指示をすることができることとすること。第三、需給調整用肥料を保管する保管団体を農業者の団体に限定する。第四、保管団体が保管する肥料の買取り及び譲渡に対する農林大臣の指示の内容に弾力性を持たせること。第五、保管団体が農林大臣の指示によつて行う保管肥料の買取り及び保管のため必要な資金を政府において斡旋することとすること。第六、生産業者及び輸入業者の最高販売価格を定める場合に肥料の国際価格をも参酌することとすること。第七、審議会の審議事項中に日本硫安輸出株式会社に対する通商産業大臣が行う処分等の行為に関する事項をも加え、且つその委員の数を九人とあるのを十五人に増加し、これが構成について生産者代表二人以内を三人以内に、販売業者代表三人以内を二人以内に、消費者代表二人以内を三人以内に、学識経験者二人以内を七人以内――この中には国会議員をも加えることになつております――に改めること。第八、本法の有効期限を法律の成立が遅れたことによつて昭和三十四年七月三十一日まで延期する等でありまして、これら修正に伴つて本法の題名が、臨時硫安需給安定法とあるのを臨時肥料需給安定法に、又硫安審議会とあるのを肥料審議会というように修正議決して当院に送付して参つたのであります。  本法律案は昨年七月二十五日第十六回特別国会に提出せられましてから、今日まですでに十カ月を経過しているのでありまして、その間情勢に相当の変化があつたわけであります。例えば硫安の国内市価は本法案提案当時に比べて軟調を示し、又外貨事情の逼迫によつて燐酸質肥料及び加里質肥料のように肥料そのものが、或いはその原料が国外からの供給に依存しているものは、硫安とは違つた観点においてこれが需給を調整する必要が提唱せられるに至つた等がこれであります。かような事情のため、比較的長い期間に亘る継続審査にもかかわらず、審査の意義は衆議院を通過して当院に送付せられてから以後にあるのでありまして、従つて当委員会の審査報告の要点も、おのずからそこに置くことにいたしたいと存じます。  これより先、当委員会におきましては、本法律案が提出せられるに至りました経緯に鑑み、且つは本法成立後におけるこれが運用に適正を期するためには、本法の審査の前提として国内における硫安の生産費の現況を明確にしておく必要があるというので、政府に対して各生産会社、各工場別生産費に関する資料の提出が要求せられ、又日本開発銀行における硫安工業合理化資金融資に際し、或いは又農林中央金庫の短期資金の融通に当つても生産費の調査が行われておるべきであるとして、参考人としてこれら両機関の意見をも徴する等、相当の日数と努力がここに注がれたのでありまして、この間の事情につきましては、その一端はすでに過般の本会議における江田議員の緊急質問及び議院運営委員会の審議によつて御了承を願つておる次第であります。  その後秘密会等において資料の提出並びにこれが説明が行われたのでありますが、それらの経過について特に秘密を要する事項に関しては、ここで御報告を申上げることを差控えたいのをお許し願いたいのでありまして、その他の事項の詳細に関しては会議録に譲ることを御了承願いたいのであります。併しながら結論的に申上げますると、生産費については政府は、現状においてはこれを調査する権限を持たないというような理由によつて確信ある調査を欠き、その他の関係者においても同様な状態でありまして、秘密会における資料の提出及び説明にもかかわらず、納得するに足る生産費を承知するに至らなかつたのでありまして、この点はあとで述べます本法律案に関するその後の審査に問題を残した次第であります。又本院通商産業委員長から、衆議院における修正を不当として、次のような申入を受けたのであります。即ち「臨時硫安需給安定法案に関する衆議院の修正中保管団体の資格を農業者団体に限定する点及び肥料審議会委員中肥料販売業者の代表者を減員する点は、商業者に対し不当な差別と、好ましからざる影響を与える結果となり、立法政策上の見地からするも穏当でないから、政府原案に戻すよう再修正せらるるよう委員会の決議を以て要望する。」というのでありまして、この点ここで特に申述べておきたいと存じます。  以上述べましたような事情の下におきまして、委員会におきましては、本法律案の前提諸条件、法律案の内容及び衆議院における修正等について、政府当局並びに衆議院の代表者に対して質疑が行われたのでありまして、本法は肥料の消費者たる農民保護を建前とするものであるか、それとも肥料工業の育成を狙いとしたものであるか、その真意如何。政令で定めるその他の重要肥料というものは如何なるものを予定しておるか。過燐酸石灰及び加里塩にも適用する場合規定の需給計画を策定するに当つて需給調整用保管数量等を如何に措置するか。肥料の生産業者に対してのみならず、輸入業者に対しても政府において譲渡の指示ができることとする必要はないか。加里肥料の需給及び市価の現況をどう見るか。供給不足の肥料の需給の安定は、加里肥料の現況によつても窺われるように末端機関である販売業者に対する措置を請ずる必要はありはしないか。過燐酸石灰が長期貯蔵に不適当であるに鑑み、過燐酸に代えて燐鉱石を以て調整保管することができるようにすべきではないか。衆議院における修正とも関連して保管団体の性格並びに審議会委員の構成、販売業者代表を減員した理由及び学識経験者委員の内容、最高販売価格決定の要件及びこれが決定の具体的方法、なお、この問題に関連して政府その他から提示せられた硫安のコストに利潤を加えたものは実勢市価より相当上廻り、本法施行の上は肥料は値上りすることになるが、肥料市価が現在より安くなるという保証があるか。本法案と表裏の関係にあつて別途提案せられておる硫安工業合理化及び硫安輸出調整臨時措置法案と本法律案との関連性及びその影響、肥料行政機構の現況及びその当否その他諸般の問題について極めて熱心な審議が遂げられたのでありまして、これが詳細は会議録によつて御了承を願いたいのでありますが、そのうち一、二を拾つて御紹介いたしますならば、「硫安以外の政令で定める重要肥料とは何を意図するか」との質問に対して衆議院代表から、「主として石灰窒素、過燐酸石灰、加里塩及び化成肥料を考えておる。なおその際、輸入肥料については輸入業者にも本法を適用することとした。第十一条の譲渡指示について輸入業者を含んでいないが、これは為替管理の実際的措置によつて措置することのできる」旨の答弁があり、「販売業者に本法を適用する必要はないか」との問に対して、「販売業者に関しては末端価格だけを押えれば遠隔不便な地方においては肥料の供給が却つて不円滑になる等の支障を生じ、配給統制を伴わなければ問題があるので、今後の問題として考えることにしたい」旨答えられ、需給調整用肥料として保管団体をして過燐酸石灰の代りに燐鉱石を保管せしめることについては、愛知通商産業大臣から、「燐鉱石はメーカーに割当を行い、製品として消費者に売るのを原則と考えている。本法を過燐酸石灰に適用する場合、燐鉱石を保管することが必要となつた場合は適当に考慮する」、「本法が過燐酸石灰及び加里塩に適用せられる場合、需給調整用としての保留数量に対応する外貨は如何にするか」という問いに対し、同じく通産大臣から、「保留数量分をも含めて外貨を割当てることにする」旨答えられ、保管団体の性格について、衆議院代表から、「保管は需給調整用のためであるから、時期的に又場所的に臨機即応の措置が必要であつて、このためには末端の農業協同組合の倉庫に入れておくべきであり、又商行為団体の保管では保管や譲渡に適正且つ円滑を欠く虞れがあるので、物と懐ろとが同一である農民団体とする必要がある」旨述べられました。又、「審議会委員の販売業者三人とあるのを二人に減した理由については、具体的に、全購連が販売業者代表に予定せられていたのを消費者代表に移したもので、実質的には変りがない」意味の説明が行われ、「硫安の価格が安くなる保証があるか」との質問に対して愛知通商産業大臣及び保利農林大臣から、「価格を合理的に下げることを考えている。法律実施後肥料の価格が高くなるようなことがあれば、それは問題であつて、価格の下ることを期待している。農産物価格と均衡をとり、成るべく国際価格に近付けることを考えている」等答えられております。なお価格引下げの前提として、肥料工業合理化計画及びこれが実現性並びにその効果が尋ねられ、今までの実績その他の事情から、その実現性の稀薄なことが究明されましたところ、愛知通産大臣及び保利農林大臣から、「未確定の要素はたくさんあるが、この間を縫つて極力努力したい。現状において困難であつても、今後打開されるものもあり、各種の困難は予想されるが、これを克服して目標の達成に努力したい」旨答えられたのであります。  かくして質疑を終り討論に入りましたところ、河野委員から、「衆議院における修正によつて硫安のような国内において供給過多の肥料と過燐酸石灰及び加里塩のように不足な肥料とを同一の法律によつて律せんとするところに無理があり、運用上の困難があるが、別個の立法をすることは時間的に余裕がないので、次善の策として衆議院の修正に即応して必要な規定を整備する趣旨によつて、農林大臣及び通産大臣が行う肥料の譲渡に関する指示の対象として輸入業者を加え、又肥料の需給の調整を図るため止むを得ない必要がある場合は、農林大臣は肥料に代えて燐鉱石等の肥料原料の買取指示をすることができることとするように修正したい」旨の動議が提出せられ、森田委員から、「河野委員の趣意は諒とされるところであるが、行政措置によつて必要な方途が可能であるから修正には反対である」旨発言があり、江田委員からは、「本法はその運用上及びこれが効果に危惧があるが、関係大臣の言明を一応受け入れ、且つ、法律の体裁を整えるためとの趣旨によつて、衆議院送付原案に河野委員の修正を加えて養成」すると述べられ、併せて肥料工業の合理化の推進、肥料のコストの調査の正確、肥料価格の低下安定、会社経理の適正、肥料行政の一元化、肥料輸出による影響が内地農民に及ぼす打撃の防止等について当局の善処を求められ、北委員からは次のような附帯決議、即ち   一、従来想定されている硫安のコストは、政府の説明によつてみても明らかであるとおり、信憑性を欠き、実際に比べて相当割高のようである。ここに本法の成立を契機として従来の行懸りを一擲し、肥料のコストの調査に最善を尽してその正確を期すること。   一、肥料工業の合理化を強力に推進し、会社経理の適正に留意し、肥料価格の低下安定に遺憾なからしめること。   一、需給調整用肥料の保管団体について、農業者の団体以外の団体についても機会を与えるよう措置すること。   一、本法の運用を適正円滑ならしめるため現在農林・通商産業両省に分掌二元化せられている肥料の行政事務を出来るだけ早い機会に一元化すること。  という附帯決議の動議が提出せられ、かくして討論を終り採決に入り、先ず河野委員の動議による修正案は多数を以て可決、修正部分を除く衆議院送付案は、全会一致を以て可決、北委員提案の附帯決議は、全会一致を以て可決せられ、結局多数を以て本法案は、衆議院送付案に河野委員提案による修正を加えて可決せられた次第であります。  右、御報告いたします。(拍手)
  35. 重宗雄三

    ○副議長(重宗雄三君) 本案に対し、討論の通告がございます。順次発言を許します。宮本邦彦君。    〔宮本邦彦君登壇、拍手〕
  36. 宮本邦彦

    ○宮本邦彦君 私は自由党を代表いたしまして、只今上程されました臨時硫安需給安定法、衆議院送付案に賛成し、修正案に反対するものであります。(拍手)  次に少しくその理由を申上げてみたいと思います。(拍手)理由の第一は、私は、長い問農林委員をやつて参りました。私も農村の問題に関する限り、私も真剣でございます。私もこの肥料の問題について真剣に審議をいたしたつもりでございます。で本修正案の提案者である河野君の農村に対する熱意ある修正の意気にも私は感銘しております。又、江田委員の衆議院送付案に対する良識ある参議院としての法案の修正の形式論にも、私は敬意を表しております。ただ、私が本案にどうしても賛成することのできなかつた我が党としての立場をここで間明いたしたいと思うのであります。(拍手)第一の理由は何であるか。これは今日の日本の経済を見て御覧なさい。日本の国の産業の大部分の重要産業の原料は皆海外から持つて来なければなりません。これは資源乏しき日本の置かれたる悲しを運命でございます。この悲しき我が團の現状において、我々は、自由党は、厳しい一兆円の予算の枠内において日本の経済の安定を策し、なお飛躍的な発展を、今日、厳しい覚悟を以てスタートしたのであります。このときに当りましてただ一つ、如何に農村の問題とはいいながら、消費者に原料を保管させるという原則を打立てることは、あらゆる、今日我々が苦労して立た日本産業を混乱に導くところの一つの大きな導火線となるのであります。(拍手)私どもは、これを迂闊に看過することはできません。衆議院から送付されました法律案の修正者の御意見も、その点には同感しております。本来この法案は、臨時硫安需給安定法という名前のごとく、硫安肥料及び硫安系窒素肥料の安定を策したところの立法であつたのであります。(「選挙演説みたいじやないか」と呼ぶ者あり)これを衆議院において肥料という名前で以て修正して参つたのであります。併し、その肥料は、名前だけであつて内容の乏しかつたことは、江田委員の指摘する通りであります。(「その通りだ」と呼ぶ者あり)けれども、今日の日本の経済段階において、こういつた一大改革が軽々になさるべきものではございません。(「その通り」「軽々じやないよ」と呼ぶ者あり)  理由の第二といたしますところは、今申上げましたように、誠に内容不徹底極まるところの法案の修正案であつて、而も河野君の熱意ある修正も、単なる一片の修正であり、こんな修正で以て重大なる日本の国の肥料行政を上ずかつておる行政府は、全く運営の能力をなくしてしまうのであります。(拍手)こういつた法案を我々は賛成することができません。なお且つ皆さんが御存じのように、日本の国の今日の外貨事情は非常に悪化しております。この厳しい僅かばかりの外貨を、農村のために、できるだけ有効に、適切に利用するためには……、(「だまつて聞け」「おとなしくしろ」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し)
  37. 重宗雄三

    ○副議長(重宗雄三君) 静粛に願います。
  38. 宮本邦彦

    ○宮本邦彦君(続)外貨による過燐酸肥料、或いは加里肥料というようなものが、輸入したその数量が、最も農村のために適正に配分され、そして量的に満足することが、我が国の肥料価格を安定し、農村のために最も喜ばれることではないかと思うのであります。(拍手)原料を一カ所に、或いは数カ所に製造能力のないところの団体にこれを保管せしめるときに、この乏しい肥料が円滑に行くとは考えられません。こういつたことを勘案いたしますというと、私どもは今日の段階においては、絶対にこの修正案に賛成することはできないのであります。(拍手)  私はこの意味におきまして、本案に反対するものであります。(拍手)
  39. 重宗雄三

    ○副議長(重宗雄三君) 江田三郎君。    〔江田三郎君登壇、拍手〕
  40. 江田三郎

    ○江田三郎君 私は日本社会党を代表いたしまして、只今上程されました臨時硫安需給安定法案についての委員長報告の修正議決に賛成いたすものでございます。(拍手)  本法案は、第十六国会以来、一年以上継続審議されたのでありますが、これが立案された動機は、当時硫安の出血輸出が行われまして、この犠牲が農民に転嫁されていることを是正するということから出発したのでありますが、その後硫安市場の実情が大きく変りましたため、今日では硫安に関する限り需給安定の問題は、さほど緊迫性を持つてはいないのであります。需給はやや安定いたしておりますけれども、併しこの価格は、国際価格に比べますというと、相当高値でございまして、これを国際価格並に下げるという措置をとることが必要なことは申すまでもございません。(拍手)そのため政府は別途硫安工業合理化及び硫安輸出調整臨時措置法案を提出しておるのでありますが、この法案の内容は至つて頼りないものでございます。五カ年間に二百三十億円の合理化資金を注ぎ込んで、トン当り十五ドル、コストを下げるというのでありますけれども、この二百三十億円の資金計画は何ら具体化されておりません。本年の二十九年度につきましても、六十億円の資金計画について、開発銀行から幾ら貸すのか未だきまつていないという状態でございまして、これでは至つて頼りないものでございます。一方輸出会社にいたしましても、これは専門家に言わせましても、果してこれが運営できるかどうか非常に疑問だと言われるようなものでありまして、この合理化或いは輸出会社によりまして五カ年間にコストを十五ドル引下げるということは、余り大きな期待が持てません。併し農林大臣、通産大臣は、本法案成立の暁には、硫安価格を必ず現在の実勢相場より引下げると言明されましたので、一応私たちはこの言明を信用いたしまして、価格が幾分でも下げられるならば、農家に利益を与えるものとして賛成いたすものであります。又政府が本当にやる気でありますならば、今日硫安会社の中には、一年に一億三千万円以上の交際費を使つておる会社もございまして、それがどこへ流れるかは別にいたしましてこれを是正いたしましても、硫安価格は下げ得るのであります。  硫安については以上のごとくでありますが、現在肥料界の実情は、硫安よりも加里或いは燐酸が問題なのであります。加里のごときは、農林省が一「かます」九百五十円の適正価格を示しておるにかかわらず、末端では一「かます」千四百円にもはね上つております。加里も燐酸も、これは申すまでもなく、原料を輸入に待つものでありまして、外貨事情が悪化しております今日、硫安よりもこれら加里、燐酸に対しての措置が必要なのでございまして、そこで私どもは、この法案を修正いたしまして、加里や燐酸についても硫安と同じように需要量の一割を保管し、或いは価格なり、現物の譲渡しの指示ができるようにしなければ、本当の今日の実情には適応しない、こう考えるのであります。(拍手)ところが衆議院は、今後事情によつて、いつでも加里や燐酸を政令で加えて行けるようにという修正をいたしましたが、私どもは実はこれでは不十分であり、もはや今日の加里、燐酸の実情は放任を許し得ないものがあると考えまして、衆議院修正のように、事情を見て云々というのではなくして、即時硫安、加里について、需給安定法の適用をするように修しなければならんと考えております。十(拍手)併しこの点につきましても、愛知通産大臣から、「今後外貨事情がどうあろうと、必要な加里や燐鉱石は責任を以て輸入する」と言明されましたので、これ又一応通産大臣の言明を信用いたしまして、衆議院修正のように、今後事情によつていつでも政令によつて加里や過燐酸を加えて行くということに賛成するのでございます。ところが、私どもがこのような衆議院の第二条の修正に賛成いたしますというと、これは自由党の皆さんも賛成でございますが、賛成いたしますと、これに関連して第六条と第十一条を法律の形式としても当然修正しなければならん問題が起きて来るのであります。即ち加里が政令によつて加えられますとい、と、第十一条によつて譲渡しの指示をすることになりますが、十一条の衆議院送付案で行きますと、譲渡しの指示は生産者にするのであります。ところが加里は、御承知のように日本の国内では一つもできません。これは全部輸入なのでございまして、譲渡しの指示をしようにも生産者というものがないのでありますからして、誠にナンセンスでございます。当然生産者とあるところに輸入業者を加えて行かなければ、法律として形が整わないのであります。これは宮本さんのような主義主張の問題ではなくして第二条の衆議院修正に伴う必然の修正なのでございます。(拍手)又過燐酸が政令で加えられました場合は、第六条によりまして保管をすることになつておりますが、これ又、皆様御承知の通り、過燐酸というものは保管がきかないのでございます。強いて長期に保管をいたしますというと、変質いたしまして大変な損失を引き起すのであります。現に戦争中に政府が過燐酸の保管によつて莫大な損失を受けたことは皆様の御承知の通りであります。こういうふうにわざわざ国に莫大な損失を来たさないためには、原料である燐鉱石で保管する以外に方法が付かないことは、肥料の専門技術者の人が認めるところでございます。従つて第二条の衆議院修正に伴つて、第六条を製品だけでなく原料でも保管できるように修正しておきませんと、みすみす国家が莫大な損害を受けることになるのでありまして、あなた方も、国家にわざわざ損害を来すことは御賛成ではないと思うのでございます。(拍手)従つてこれ又主義や主張の問題ではなくして、誰が考えても当然の修正なのでございます。(「その通り」「当然じやない」と呼ぶ者あり)  以上のように、この修正部分は、第二条について政府案の硫安及びアンモニア系窒素肥料となつておつたのを、衆議院が、他の過燐酸や加里も、政令で加えられると修正したことに伴う必然の修正であり、若し第二条の衆議院修正を認めないのなら別でございますけれども、これを認める限りは、主義主張で賛否が分れる問題ではないのであります。自由党の皆さんも、衆議院修正を賛成なさつておる。而もなお、この河野修正案に反対というのは、これではどうも筋が立たないのでございまして、この点、宮本さんも先ほどお認えになつておるようでございます。又、現に衆議院の修正者の代表も、農林委員会に参られまして、この私どもの主張をはつきりと是認されておるのでありまして、政令で加里や燐酸を加えるときには、そのときに法律を修正すればいいと言われますけれども、若し国会の休会中に政令でこれを改めましたならば、付け加えたならば、一体どうなるのでありますか。法律の修正は、国会休会中はできないのでありまして、これはもう私がかれこれ申さなくてもよくわかつたことだと思うのであります。この反対には、或いは業者筋からの運動というような声もありますけれども、私はさようなことはデマであろうと思いまして、恐らくこれに反対をなさる皆さんには何か誤解があるのではないかと思うのであります。修正をしなくても行政措置でできるという意見もございますが、法律が生産者ときめておるのに、輸入業者に指示を発することは、行政措置では不可能でございます。行政措置は、法律できまつた枠の中で行えるのでありまして、法律の枠のそとに出た措置をすれば、それは行政措置ではなしに違法措置ということになることは、これ又、私が申す必要のないことでございます。会期末の混乱の折柄でございますが、私どもは、参議院は参議院らしい良識によりまして、法律としての形を整えるために、衆議院の修正者さえも是認されておりますところのこの修正に、きちんと全会一致で御賛成下さることが、参議院の権威を高めるゆえんと感ずるのでございます(拍手)
  41. 重宗雄三

    ○副議長(重宗雄三君) これにて、討論の通告者の発言は全部終了いたしました。討論は終局したものと認めます。  これより本案の採決をいたします。委員長の報告は、修正議決報告でございます。  先ず委員会修正案全部を問題に供します。本俸正案の表決は、記名投票を以て行います。本修正案に賛成の諸君は白色票を、反対の諸君は青色票を、御登壇の上、御投票を願います。氏名点呼を行います。議場の閉鎖を命じます。    〔議場閉鎖〕    〔参事氏名を点呼〕    〔投票執行〕
  42. 重宗雄三

    ○副議長(重宗雄三君) 投票漏れはございませんか……投票漏れはないと認めます。  これより開票いたします。投票を参事に計算いたさせます。議場の開鎖を命じます。    〔議場開鎖〕    〔参事投票を計算〕
  43. 重宗雄三

    副議長重宗雄三君) 投票の結果を報告いたします。  投票総数 百九十四票  白色票 百三票  青色票 九十一票  よつて委員会修正案は可決せられました。      ―――――・―――――    〔参照〕  賛成者(白色票)氏名    河野 謙三君  佐藤 尚武君    岸  良一君  片柳 眞吉君    梶原 茂嘉君  楠見 義男君    柏木 庫治君  井野 碩哉君    石黒 忠篤君  飯島連次郎君    加賀山之雄君  赤木 正雄君    森 八三一君  村上 義一君    三浦 辰雄君  前田  穰君    廣瀬 久忠君  野田 俊作君    竹下 豐次君  高橋 道男君    島村 軍次君  永岡 光治君    三輪 貞治君  湯山  勇君    大和 与一君  木下 源吾君    内村 清次君  秋山 長造君    阿具根 登君  海野 三朗君    大倉 精一君  河合 義一君    岡  三郎君  亀田 得治君    近藤 信一君  竹中 勝男君    清澤 俊英君  成瀬 幡治君    小酒井義男君  佐多 忠隆君    重盛 壽治君  江田 三郎君    小林 孝平君  久保  等君    堂森 芳夫君  田畑 金光君    森崎  隆君  高田なほ子君    安部キミ子君  矢嶋 三義君  藤田  進君  岡田 宗司君  田中  一君  戸叶  武君  栗山 良夫君  吉田 法晴君  藤原 道子君 小笠原二三男君  菊川 孝夫君  若木 勝藏君  山田 節男君  天田 勝正君  松本治一郎君  中田 吉雄君  三橋八次郎君  千葉  信君  羽生 三七君  野溝  勝君  荒木正三郎君  三木 治朗君  山下 義信君  市川 房枝君  東   隆君  三浦 義男君  石川 清一君  有馬 英二君  鈴木 強平君  松浦 清一君  赤松 常子君  深川タマヱ君  寺本 広作君  松浦 定義君  須藤 五郎君  平林 太一君  加藤シヅエ君  鈴木  一君  加瀬  完君  千田  正君  松澤 兼人君  上條 愛一君  最上 英子君  堀木 鎌三君  笹森 順造君  菊田 七平君  長谷部ひろ君  木村禧八郎君  相馬 助治君  村尾 重雄君  棚橋 小虎君  鶴見 祐輔君  一松 定吉君  松原 一彦君  大山 郁夫君     ――――――――――――― 反対者(青色票)氏名  九十一名  小林 政夫君  後藤 文夫君  早川 愼一君  豊田 雅孝君  高木 正夫君  白井  勇君  横川 信夫君  深水 六郎君  木村 守江君  安井  謙君  伊能 芳雄君  青柳 秀夫君  高野 一夫君  西川彌平治君  石井  桂君  井上 清一君  関根 久藏君  川口爲之助君  吉田 萬次君  酒井 利雄君  佐藤清一郎君  剱木 亨弘君  谷口弥三郎君  宮本 邦彦君  長島 銀藏君  長谷山行毅君  宮田 重文君  瀧井治三郎君  田中 啓一君  大矢半次郎君  石川 榮一君  岡崎 真一君  石原幹市郎君  植竹 春彦君  岡田 信次君  松岡 平市君  大谷 瑩潤君  一松 政二君  西郷吉之助君  中川 幸平君  北村 一男君  左藤 義詮君  寺尾  豊君  中川 以良君  山縣 勝見君  津島 壽一君  青木 一男君 大野木秀次郎君  小滝  彬君  古池 信三君  伊能繁次郎君  杉原 荒太君  榊原  亨君  大谷 贇雄君  宮澤 喜一君  高橋  衞君  横山 フク君  西岡 ハル君  重政 庸徳君  小沢久太郎君  鹿島守之助君  木内 四郎君  藤野 繁雄君  雨森 常夫君  石村 幸作君  青山 正一君  秋山俊一郎君  入交 太藏君  仁田 竹一君  松平 勇雄君  加藤 武徳君  上原 正吉君  郡  祐一君  山本 米治君  小野 義夫君  愛知 揆一君  平井 太郎君  川村 松助君  堀  末治君  白波瀬米吉君 池田宇右衞門君  島津 忠彦君  松野 鶴平君  小林 英三君  草葉 隆圓君  黒川 武雄君  石坂 豊一君  井上 知治君  岩沢 忠恭君  木村篤太郎君  苫米地義三君      ―――――・―――――
  44. 重宗雄三

    副議長重宗雄三君) 次に只今可決せられました修正部分を除いた原案全部を問題に供します。  修正部分を除いた原案に賛成の諸君の起立を求めます。    〔養成者起立〕
  45. 重宗雄三

    副議長重宗雄三君) 過半数と認めます。よつて修正部分を除いた原案は、可決せられました。  よつて本案は、委員会修正通り議決せられました。      ─────・─────
  46. 重宗雄三

    副議長重宗雄三君) 日程第二、硫安工業合理化及び硫安輸出調整臨時措置法案(第十六回国会内閣提出、第十九回国会衆議院送付)を議題といたします。  先ず委員長の報告を求めます。通商産業委員長中川以良君。    〔中川以良君登壇、拍手〕
  47. 中川以良

    中川以良君 只今議題となりました硫安工業合理化及び硫安輸出調整臨時措置法案につきまして、当委員会における審議の経過並びに結果について御報告を申上げます。  先ず本法案の骨子について申上げます。その第一は、硫安工業の合理化計画を策定し、これを強力に推進して可及的速かに国際的に割高な我が国現在の硫安製造コストを国際的水準に引下げることであります。第二は、右の合理化計画が達成せられるまでの間、日本硫安輸出株式会社という特別の輸出機構を設け、これによつて輸出の条件をでき得る限り有利ならしめると共に、輸出によつて生じた損失を国内に転嫁せざるよう措置することであります。  本法案は去る第十六国会に提出をされ、爾来審査を継続して今日に至つたものでありますが、本法案と同時に提出された臨時硫安需要安定法案が、過般衆議院において臨時肥料需給安定法案と修正をされました結果、同法案と密接な関連を持つ本法案におきましても、多少の字句の修正が施されたのであります。  委員会における質疑応答の詳細は、すべて速記録に譲りたいと存じます。  去る二十八日質疑を終了、直ちに討論に入りましたところ、三輪、小松両委員は反対、武藤、加藤、高橋、豊田の各委員は養成の意を表せられましたか、特に加藤委員は、政府は硫安輸出会社の解散時において赤字が残存せぬよう本法の運営に万全を期すると共に、万が一赤字が残存する場合においても、これを国の資金を以て処理すべからざる旨を強調されたのであります。以上で討論を終り、採決に入りましたところ、多数を以て衆議院送付案通り可決すべきものと決定いたした次第であります。  以上、御報告を申上げます。(拍手)
  48. 重宗雄三

    ○副議長(重宗雄三君) 本案に対し、討論の通告がございます。発言を許します。三輪貞治君。    〔三輪貞治君登壇、拍手〕
  49. 三輪貞治

    ○三輪貞治君 討論に入る前に、只今の委員長報告に非常に重大な誤りがありまするので、私から訂正をしておきます。  加藤委員が条件を付けて賛成されたというのは誤りであつて、加藤委員は、委員会で明らかに反対の討論をされておりまするから、訂正をいたしておきます。(「違う々々」と呼ぶ者あり)  私は日本社会党を代表いたしまして、只今議題となりました(「取消せ」と呼ぶ者あり)硫安工業合理化及び硫安輸出調整臨時措置法案に対しまして、反対の意思を表明し、以下その理由を申述べたいと思います。(「行過ぎだ取消せ」と呼ぶ者あり)  本法案は二つの目的を以て構成されておるのであります。一つは、硫安工業の合理化の問題であり、他は硫安の輸出会社を設立する問題であります。硫安工業を合理化し、生産コストを引下げまして、一面において安い硫安を農民大衆に提供すると共に、他面において輸出の伸張を図り、外貨の獲得に努めることは何人も異存のないところであります。併しながら硫安工業の合理化は、他の基礎産業と共に、当然今までに行われていなければならない問題でありまして、吉田内閣は五カ年間も政局を担当し、日本経済を指導しながら、あらゆる企業をいわゆるコスト高のために、二重価格で輸出せねばならぬ状態にして来たのでありまして、その責任は重大なるものがあるのであります。而も今日あわててこの問題を取上げて来たゆえんのものは、一昨年秋以来、二重価格、出血輸出の負担を消費者農民にしわ寄せして来たことに対する強い農民の反対が起つて参つたことにあるのでありまして(「委員長の報告は正確だ」「取消せ」と呼ぶ者あり)当然今までやらなければならんことを怠つて来た政府の失政を責めねばならんと思うのであります。(拍手)  併しそれだからといつて、(「冒頭の発言を取消せ」と呼ぶ者あり)遅蒔きながら今日硫安工業の合理化をしようということに対しましては、反対はいたしませんが、合理化の前提となるべき硫安メーカーのコストそのものが我々には明確に示されていないのであります。硫安が今日二重価格で輸出されている根拠も明確でないのであります。我が党の江田君が、先般本議場を通じまして、国会法に基いて資料の提出方を求めたのに対しましても、(「議場を何と思つているか」「無責任なことを言うな」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し)政府は私企業に立入つて調査する権限のないことを理由に、その発表をいたしていないのであります。委員会の秘密会で御発表になつたものも推定の域を出でないものであるのでありまして、自己の経理内容も発表せず、経営が苦しい、赤字輸出だ、出血だ、何とかしてくれと言うことは、我我の納得し得ないところであります。而もそれでいて、硫安会社の二十七年の配当を見ますると、おおむね二割以上の配当となつておるのであります。(拍手)一方に苦しい経済に喘いでいる農民に対する対策は、MSAで余剰小麦が来るというので、食糧増産の熱意が失われたのでありましようが、疎そかに放置されております。一方、コストも発表せず、高率配当をしているものに政府が多額の援助的融資をなし、保護的立法をすることは、我々の納得できないところであります。  次に本法の最も大きな狙いは、独禁法を排除する輸出会社の設立にあることは論を待たぬところであります。ところでこの問題の輸出会社のことでございまするが、これを一見したところ、出血輸出で生じた赤字を棚上げすることによりまして、国内価格に対するしわ寄せを避け、消費者農民層に対する調整が考慮されているように考えられます。併しながら仔細に検討するに及んで、その欺瞞性とお得意の資本家擁護の政策であるということが明らかになつて参りました。(「議長々々」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し)
  50. 重宗雄三

    ○副議長(重宗雄三君) 静粛に願います。
  51. 三輪貞治

    ○三輪貞治君(続) 輸出会社に棚上げされた赤字が、結局どう処理されるかということにつきましては、希望的観測以外に明確な見通しを聞くことができなかつたのであります。政府当局の説明によれば、輸出会社出発と共に積上げられて行くでありましようところの赤字は、その後の合理化による黒字で相殺されるということになつておるのでありまするが、前に指摘いたしましたように、本法に規定してある合理化対策を以て、我が硫安価格を現在の六十ドル以上から一挙に五十ドル以下の国際価格並に引下げるということは不可能であります。時限立法の切れる五年後において、この会社設立当初の棚上げされた赤字がその後の黒字輸出で相殺されて零になるなどというのは、作文ならいざ知らず、現実には余りにも甘い見通しであると言わねばなりません。外国といえども刻一刻と合理化を進めているのであつて……、(議場喧騒)
  52. 重宗雄三

    ○副議長(重宗雄三君) 静粛に願います。
  53. 三輪貞治

    ○三輪貞治君(続)むしろ我々はその差の拡大することを恐れておるのであります。(「やめろ」「黙れ」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し)若し五年目に赤字が残つたならば、その際には一体どうなるのか。政府でこの赤字を尻拭いするのか。メーカーが自己の責任でこれを引受けるのか。二つに一つでありましよう。輸出会社の尻拭いを政府資金で行うといたしますならば、それは国民一般の犠牲において処理されることとなり、又関係メーカーによつて行うといたしますならば、それはやがて消費者農民へのはね返りとなることは当然であるのであります。(拍手)然りといたしまするならば、輸出会社の赤字棚上げは、農民への影響を時間的に引延ばすだけのことに過ぎないのであります。これを要しまするに、本法案は、極言いたしまするならば、羊頭を掲げて狗肉を売るごまかし法案である。(拍手)最終の利益者は農民大衆にあらずして、実に旧財閥会社を主軸とする硫安メーカーであるところに問題があると思うのであります。(拍手)農民と肥料の関係は、全く宿命的なものでありまして、現在投下した肥料資金が必ずしも回収される見通しのないことが、しばしばあるのであります。一年の丹精も、秋の収穫時に一朝不測の台風、水害等の災害が襲来いたしまするならば、血の出るような努力も水泡に帰するのであります。にもかかわらず、借金をしてまで肥料を購入しなければならないところに農民の宿命的なものが存するのであります。(拍手)  過去における農家の破産、倒産の大部分は、諸君はおわかりにならんだろうけれども、実にこの肥料代の負債の累積の結果であつたのであります。肥料商から借りた肥料代が、不慮の不作で支払えない。悪因縁ができて、高利貸的条件で次の肥料を借りる。だんだんにこれが累積をして、遂には田畑、家屋敷を取られ、娘を身売りしなければならない。こういうケースが実に多かつたのであります。然るに政府のやつておる肥料政策は、全く肥料資本家のみに奉仕せんとしておるのであつて、吉田内閣の本性を最も露骨に現わしておると言うべきであります。(拍手)  私はかような見地から本法案に反対をいたす次第であります。(拍手)    〔議場喧騒、「騒ぐな騒ぐな」「速記録を調べてみろ」と呼ぶ者あり〕
  54. 重宗雄三

    ○副議長(重宗雄三君) これにて討論の通告者の発言は終了いたしました。討論は終局したものと認めます。  これより本案の採決をいたします。本案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立〕
  55. 重宗雄三

    ○副議長(重宗雄三君) 過半数と認めます。よつて本案は、可決せられました。      ―――――・―――――
  56. 重宗雄三

    ○副議長(重宗雄三君) 日程第三、教育公務員特例法の一部を改正する法律案(荒木正三郎君外十九名発議)  日程第四、学校給食法案(内閣提出、衆議院送付)  以上、両案を一括して議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  57. 重宗雄三

    ○副議長(重宗雄三君) 御異議ないと認めます。先ず委員長の報告を求めます。文部委員会理事剱木亨弘君。    〔「進行々々」「やらんならやめてくれ」「議事進行」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し〕
  58. 重宗雄三

    ○副議長(重宗雄三君) 剱木さん御登壇願います。議案が出ております。    〔「何をしているのだ」「議長の指名があるじやないか」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し〕    〔剱木亨弘君登壇、拍手〕
  59. 剱木亨弘

    ○剱木亨弘君 只今議題となりました教育公務員特例法の一部を改正する法律案につきまして文部委員会における審議の経過と結果について御報告申上げます。  本法案は文部委員全員の発議によるものでありまして、教育公務員の職務の特殊性に基きまして、公立学校の体長又は教員として正式任用となつております者が、引続き同一都道府県内の公立学校の校長又は教員に任用された場合には条件付任用としない旨の規定をいたしておるのであります。なお、附則におきまして、この法律は公布の日から施行することとし、更に現在条件付任用中の一定の者に対する措置を定めております。  委員会におきましては、質疑を省略し、討論の後、全会一致を以て、これを可決すべきものと決定しました。  以上、御報告申上げます。(拍手)  次に、只今議題となりました学校給食法案につきまして、文部委員会におきましての審議の経過及び結果を御報告申上げます。  我が国の学校給食の沿革は、約五十年以前に遡るものと言われておりますが、昭和時代に入りましてからは、児童の保健、学校衛生等の見地から、漸次その重要性が認められ、実施学校数も著しく増加の傾向を示すに至りました。そのため、政府は、昭和七年度から給食問題を正式に取上げ、これに対して初めて国庫から経費支出の途を講ずるに至つたのであります。その後戦争が激化して参りますに伴いまして、学校給食も又次第に実施は困難を加え、遂に昭和二十年には殆んど休止、空白の形で終戦を迎えたわけであります。  戦後、昭和二十一年十二月から学校給食は再発足をいたすこととなり、主として援助物資を基礎といたしまして、急速に再び普及発達を見ることとなりましたが、このような援助物資或いは援助資金の上に築かれました学校給食制度は、極めて不安定なものでありましたことは当然であります。昭和二十六年六月、従来給食に関する政府配給物資の財源でありましたガリオア資金の打切りに直面するや、忽ち動揺し、学校給食に対する国庫補助は中止の危機に瀕したのであります。併しこれに対しては、世論は猛烈に反対いたしましたため、結局二十七年四月以降は給食用の原麦代につきましては、従来の全額国庫負担は半額国庫負担に減じられ、ミルクはすべて父兄の負担に切換えられまして、現在に及んでいる次第であります。  今日、その普及度は、全国小学校児童数、約一千一百万人のうち、完全給食を受ける者、四百五十五万人、ミルク給食を受ける者、百八十八万人でありまして、決して十分に普及いたしているとは申されないのみならず、これ以上の普及充実は極めて困難な実情にあります。その原因は種々推察されるわけでありますが、学校給食関係に、未だはつきりした法的根拠のないのが一つの重要な原因でありますので、学校給食の法制化によりまして普及充実を図りたいというのが政府の本法案提案の理由でございます。  次に本案の内容を申上げますと、本案の学校給食の対象は、小学校、盲学校、ろう学校又は養護学校の児童でありまして、これらの小学校等の設置者は、当該小学校等におきまして学校給食が実施されるよう努めねばならない旨を明らかにいたしておると共に、学校給食に要する経費の負担区分といたしましては、施設、設備に要する経費と人件費とは、小学校等の設置者の負担とされ、これ以外の学校給食に要する経費は給食費として父兄の負担とされております。  次に、国は、公立又は私立の小学校等の設置者に対し、予算の範囲内において、学校給食の開設に必要な施設又は設備に要する経費の一部を補助することができるものとし、又、国はその負担において学校給食用小麦等の代金について特別低廉な価格を定めることができるものとしまして、給食を受ける児童の保護者の負担であります給食費の軽減を図つております。  本案に対しまして、委員会の質疑は、主として法案内容が、従来、学校給食について講ぜられて来た予算措置を出でないものであり、折角法制化しながら、余りに実質的規定内容が貧弱である点に集中されましたが、これにつきましては、政府からは、学校給食に対する財政的措置の裏付けが貧弱なことは、現在の国家財政の実情からしてやむを得ないところであつて、その不十分な点は認めるが、法的基礎を欠く学校給食を取りあえず法制化し、これに制度的安定性を保障すること自体でも極めて有意義であること、及び、今後更に、学校給食の総合計画の確立、財政措置の強化に努めたい旨の答弁がありました。  かくして質疑を終了いたし、討論に入りましたところ、高橋委員から附帯決議を附して本案に賛成する旨の討論があり、次いで相馬委員からは、学校給食について、政府案とは別個に、議員提案としてより完全な法案を我々は発議しているが、国の財政状態を考慮して、差当り不本意ながらこの政府案に賛成する。議員提案の趣旨は、高橋委員の附帯決議の中に盛られているから、政府においても、附帯決議案の内容実現のため格段の努力を払われることを要望するという希望条件を附して、本案及び附帯決議案に賛意を表され、高田委員より、同様の趣旨で本案に附帯決議を附することに賛成する旨、及び僻地の学校給食に留意し、又夜間の定時制高等学校についても学校給食を特に配慮すべきことを政府に要望する旨の意見の開陳があり、中川委員も、本案並びに附帯決議案に賛成され、松原委員からは、国策の一環として、国家財政を考慮しながら、漸進的、計画的に、学校給食の制度を確立すべき旨を政府に要望して、本案並びに附帯決議案に賛成せられました。  高橋委員提案の附帯決議案を朗読いたします。    附帯決議   本法律案は、学校給食に関する最低基準について規定したものに過ぎない。本委員会は、学校給食が、教育上並びに国民の食生活の改善上、重要な意義を有することにかんがみ、その対象、内容、施設及び設備等の充実拡張のため、将来、政府が根本的綜合的計画を樹立し、特に次の諸点について速やかにその実施に努力することを強く要望する。   一、学校給食及び義務教育諸学校及び夜間の定時制高等学校の児童生徒の全体に対して行うこと。   二、学校給食費の負担に困難を感ずる保護者(準要保護者)に対して適当な援助の措置を講ずること。   三、小麦粉について全額国庫補助の措置を講ずること。   四、脱脂粉乳等についても国庫補助の措置をすること。   五、学校給食の施設及び設備の必要経費について、国庫補助の増額を図ること。   六、学校給食を担当する栄養管理職員及び必要な員数の調理に従事する職員の給与費についても国庫補助の途を開くこと。  かくて討論を終り、採決いたしましたところ、本案は全会一致を以て、附帯決議を附して、可決すべきものと決定いたしました。  なお、委員会におきましては、委員外議員として竹中厚生委員から、本案と保育所給食との関係につきまして、政府に対し質疑が行われましたが、これにつきまして又、その他委員会の質疑応答及び討論内容の詳細につきましては、会議録に譲りたいと存じます。  以上を以て御報告といたします。(拍手)
  60. 重宗雄三

    ○副議長(重宗雄三君) 別に御発言もなければ、これより両案の採決をいたします。両案全部を問題に供します。両案に賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立〕    〔「別に採決して下さい、違いますから」と呼ぶ者あり〕
  61. 重宗雄三

    ○副議長(重宗雄三君) 過半数と認めます。よつて両案は、可決せられました。    〔「議運できまつたら仕様がないじやないか」「進行」と呼ぶ者あり〕      ―――――・―――――
  62. 重宗雄三

    ○副議長(重宗雄三君) 日程第五、日本国における国際連合の軍隊の地位に関する協定の実施に伴う土地等の使用及び漁船の操業制限等に関する法律案(内閣提出、衆議院送付)を議題といたします。  先ず委員長の報告を求めます。建設委員長深川タマヱ君    〔深川タマヱ君登壇、拍手〕
  63. 深川タマヱ

    ○深川タマヱ君 只今議題となりました日本国における国際連合の軍隊の地位に関する協定の実施に伴う土地等の使用及び漁船の操業制限等に関する法律案につきまして、建設委員会の審議の経過並びに結果を御報告申上げます。  本法案は、日本国における国際連合の軍隊の地位に関する協定の締結に伴い、国連軍による施設の使用を円滑にする措置を講ずると共に、その施設の使用により損失をこうむつた者に対し、損失を補償する等の必要があるために提案されたものでございます。  法案の主なる内容の第一は、国連軍協定の効力発生の際、国連軍が現に使用しておる土地等を、なお引続き国連軍の用に供する必要がある場合には、特別措置法の規定によるアメリカ合衆国駐留軍の場合の例により、使用又は収用することができることでございます。  第二には、国連軍に引続き水面を使用させるため、必要がある場合には、漁船の操業を制限、又は禁止し、これに伴う損失を補償するについて駐留軍の場合の例によることといたしたことでございます。  第三は、日本国に駐留するアメリカ合衆国の軍隊の行為による特別損失の補償に関する法律を改正して国連軍の行為についても同様に措置することといたしたことでございます。  なお、かかる損失の補償については、アメリカ合衆国との間の安全保障条約の効力発生の日以後生じた損失について適用することでございます。  本案につきましては、委員会は、政府関係当局との間に、多くの質疑応答を重ね、又水産委員会と二回連合審査を開く等、慎重審議をいたしたのでございますが、詳細は速記録によつて御承知を願います。  委員会におきましては、先ず、駐留軍及び国連軍が平和条約発効当時から現在に至るまで、土地、建物及び水面を使用している状況、種類別各種事故とその補償、昭和二十九年度の関係予算の内訳等、各種の資料の提出を求めて多くの質疑があり、国連軍については平和条約発効後、引続き土地、水面等が使用された根拠とその形式、公私有のものについては、当事者間の合意の実情等のほか、呉市をはじめ関係地元に対する財政的援助につきまして、多くの質疑がございました。又水産委員会との連合審査におきましては、外務省当局から、国連軍関係につきまして今回の協定とこれに伴う財政負担関係等につきまして説明を聞きましたほか、質疑は主として今回法的措置が講ぜられるまでの漁業制限による損出に対しなされる補償が、国連軍の行動による特別損失の補償が遡及処理されるにかかわらず、遡及せず、見舞金として処理される理由、附則第二項改正規定中の、日本国の「附近」の意義とこれを削除する理由、日本国の附近に配備された軍隊とは何か、又公海における漁業の損失等につきまして多くの質疑応答がございました。なお、本案につきましては、水産委員長から申入れがございましたが、その趣意は、衆議院における修正と、あとに述べます本委員会における修正によつて、これに副ひ得ることとなつたことを申し添えます。  かくて質疑を終了し、討論に入りましたところ、石川委員から、「原案に対して修正案を提出する、修正案は、本案附則第二項の改正規定中、駐留軍の行為による特別損失補償法に関し、「日本国内及びその附近に配備されたを「日本国に駐留する」と改める部分は、積極的な改正の理由に乏しく、且つ疑義を生ずるので、これを修正するものである」旨の説明があり、「修正部分を除く原案に賛成する」との発言があり、田中委員からは、「修正案及び修正部分を除く原案に賛成する。国連軍は我が国の国連協力の関係から、引続き残留する好ましからざる存在であるが、今回関係地元が一応安心する協定が成立して、本案はこれに基くものである。従来駐留軍、国連軍関係の補償がとかく円滑に行われておらん実情であるが、本案には遡及補償も規定しているので、十分な調査を行い、関係者の利益を保護すると共に、呉市をはじめ関係地元に対して適正な財政援助を与えることを条件として賛成する」旨の発言があり、近藤、三浦両委員からは、それゞ、「関係者及び地元に対する適正な補償を速かに、且つ誠意を以て処理することの希望を附して賛成する」旨の発言がございました。  次いで採決に入り、先ず石川委員提出の修正案について採決いたしましたところ、全会一致これを可決し、次に修正部分を除く原案、即ち衆議院送付案全部について採決いたしましたところ、全会一致これを可決すべきものと決定いたした次第でございます。  右、御報告申上げます。(拍手)
  64. 重宗雄三

    副議長重宗雄三君) 別に御発言もなければ、これより本案の採決をいたします。本案全部を問題に供します。委員長の報告は、修正議決報告でございます。委員長報告の通り、修正議決することに賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立〕
  65. 重宗雄三

    副議長重宗雄三君) 過半数と認めます。よつて本案は、委員会修正通り議決せられました。      ―――――・―――――
  66. 重宗雄三

    副議長重宗雄三君) 日程第六、企業資本充実のための資産再評価等の特別措置法案(内閣提出、衆議院送付)を議題といたします。  先ず委員長の報告を求めます。大蔵委員長大矢半次郎君。    〔大矢半次郎君登壇、拍手〕
  67. 大矢半次郎

    ○大矢半次郎君 只今上程せられました企業資本充実のための資産司評価等の特別措置法案の大蔵委員会における審議の経過並びに結果について御報告申上げます。  本案は、資産再評価の実施の状況並びに企業資本構成、経理等の実情に鑑み、一定規模以上の会社について資産の再評価を強制すると共に、一定限度以上の再評価を行なつた者に対して、再評価税及び固定資産税を軽減する等の措置を講ずることにより、企業資本の充実を促進し、その経営の安定と経理の健全化を図ろうとするものであります。  以下その大要を申上げますと、  第一に、一定規模以上の株式会社は、原則としてこの法律施行日後、昭和一十九年中に開始する事業年度開始の日のいずれか一の日現在で、減価償却資産につき、再評価実施後の帳簿価額の総額が第三次再評価の限度額の総額の百分の八十以上となるように再評価を行わなければならないことといたしております。  第二に、陳腐化した資産等の多い全社につきましては、一旦最低限度まで再評価を行なつた後、大蔵大臣承認を経て陳腐化資産等の帳簿価額の減額をさせることといたしております。  第三に、資産再評価実施会社は、昭和三十二年三月十一日を含む事業年度から三年間の各事業年度においては、その直前の事業年度までに再評価積立金の百分の三十以上を資本に組入れ、且つその事業年度において普通償却範囲額の百分の九十以上の減価償却を行なつた場合でなければ年二割を超える配当を行なつてはならないことといたしております。なお、最低限度以上の再評価を行わなかつた会社は、昭和二十九年十二月三十一日を含む事業年度から、年二割を超える配当を行なつてはならないことといたしております。  第四に、最低限度以上の再評価を行なつたものに対しては、減価償却資産についての第三次再評価の再評価差額のうち、再評価限度額の百分の六十五を超える部分に対する再評価税を免除すると共に、再評価限度額の百分の六十五に達するまでの部分については、再評価税の二分の一を免除することにいたしております。なお、免除額の計算については、納税者の選択により、個々の資産について第一次再評価の限度額に相当する額を算出して免除額の計算を行うことといたしております。  第五に、最低限度以上の再評価を行なつた者に対する昭和三十年度から三年度間の家屋以外の償却資産に対すと固定資産税については、その資産の評価額が昭和二十九年度分の課税標準の基礎となつた価格を超える場合には、原則として昭和二十九年度分の課税の基礎となつたものによつて賦課することとし、すでに昭和二十八年中に再評価を行なつた資産の再評価額が昭和二十九年度分の課税の基礎となつている場合には、昭和二十八年度分の課税の基礎となつた価格によることといたしております。  第六に、資本金五百万円以上の株式会社等が総会に提出し、又は新聞公告する貸借対照表には、再評価の実施状況を附記させることといたしております。  本案につきましては、衆議院において一部修正が行われました。修正せられました点は、第一に、政府原案では再評価積立金の百分の四十以上を資本に組入れ、且つ普通償却範囲額の百分の九十以上の減価償却を行つた場合でなければ、年一割五分以上の配当を行なつてはならないことになつておりましたのを、積立金の百分の三十以上を資本に組入れ、且つ償却範囲額の百分の九十以上の償却を行なつた場合でなければ、年二割を超える配当を行なつてはならないことに改めたこと。    〔副議長退席、議長着席〕  第二に、政府原案では、最低限度以上の再評価を行わなかつた会社に対して、昭和二十九年十二月三十一日を含む事業年度から年一割五分を超える配当を行なつてはならないこととなつておりましたのを、年二割を超える配当を行なつてはならないことに改めたことの二点であります。  本案につきましては、特に参考人の意見をも聴取いたしまして、慎重に審議いたしました。審議の過程において行われました質疑応答のうち、主なるものについて申上げますと、「資産再評価の強制実施は、もつと早く行うべきではなかつたか、今の時期を選んだのはどういう判断からか」との質疑に対し、「今、振返つて見ると少し遅れておる憾みがないでもないが、経済界にその機運が熟して来たこと、会社経理の健全化のためには、いつまでも現状のままに放つておけないものがあることなどの理由から今回実施することにした」との答弁があり、「今回の特別措置は昭和二十九年度の法人収入にどのような影響があるか」との質疑に対し、「減価償却額の増その他により、四十九億円の収入減が見込まれる」との答弁があり、「衆議院修正された案によると、再評価積立金の資本組入額はどのくらいになる見込であるか」との質疑に対し、「政府原案では、猶予期間の三年間に大体千二百六十億円程度の資本組入れがある見込であつたが、衆議院修正された案によると、その額は大体六百億円乃至六百五十億円程度となるであろう」との答弁がありました。  その他陳腐化資産等の評価の問題、最低再評価限度額まで再評価を行わなかつた場合の配当制限の問題、額面株式の券面額の引上げの問題、税務職員の調査権限の問題、罰則の適用範囲及び刑の量定の問題、金融機関再建整備法の規定による調整勘定を設けている金融機関の再評価積立金の取くずしの問題等について熱心な質疑が行われましたが、その詳細は速記録によつて御承知願いたいと存じます。  質疑を終り、討論に入りましたところ、小林委員より、「再評価積立金の百分の三十以上を資本に組入れ、且つ普通償却範囲額の百分の九十以上の減価償却を行わなかつた場合の配当制限及び最低限度以上の再評価を行わなかつた会社に対する配当制限が、それぞれ年二割となつておりますのを、年一割五分に改める修正案を提出するとともに、修正部分を除く衆議院送付案に賛成する」との意見が述べられ、東委員より、「政府原案程度ならば賛成の意向であつたが、修正案は妥協的なものであつて賛成しがたい。衆議院送付案にも反対する」との意見が述べられ、菊川委員より、「衆議院送付案は政府原案を骨抜きにしたものであり、而もその審議の経過からいつても承服しがたいものがあり、又、修正案は、政府原案でも微温的なものと考えられるのに、それ以上微温的なものであるので反対する」との意見が述べられ、次いで堀木委員より、「政府原案は実施上決して無理なものではない。これを緩和した衆議院送付案及び修正案に反対する」との意見が述べられ、最後に平林委員より、「本案は吉田内閣提出になるものであり、且つ本案の内容についても更に再検討を加えて次期国会に提出せられるのが適当と考えられるものがあるので、衆議院送付案及び修正案に反対する」との意見が述べられ、採決の結果、修正案及び修正部分を除く衆議院送付案はそれゞ多数を以て可決せられ、本案修正議決すべきものと決定いたした次第であります。  右、御報告申上げます。(拍手)
  68. 河井彌八

    ○議長(河井彌八君) 本案に対し、討論の通告がございます。順次発言を許します。菊川孝夫君。    〔菊川孝夫君登壇、拍手〕
  69. 菊川孝夫

    ○菊川孝夫君 私は社会党第四控室を代表いたしまして、企業資本充実のための資産再評価等の特別措置法案の衆議院送付案及び委員会修正案に反対するものであります。  資産再評価については、一次、二次、三次と法的な処置が行われまして、インフレの最終的の跡始末としての資産再評価というものが一応決定いたしております。併しながら法律の意図しております通りには行われないために、いよいよこれが資産再評価の最終的なものであるといつた特別な措置をとる必要があるというのが本案の趣旨であります。企業の自己資本を充実するために、資産の再評価を強制し、その再評価した帳簿価額に応ずる償却を推進し、更に再評価の結果できた積立金を資本に組入れることを推進しようとするものでありますが、吉田内閣の性格上、資本家の要求を無暗に取入れており、現在の日本経済が直面している困難な立場から考えて、極めて微温的な原案が提出されたのであります。  即ち、政府原案におきましては、先ず再評価税と固定資産税について第三次再評価税に相当する分を免除し、二十九年度の固定資産税の課税の標準になつた額にとどめるという税法上の優遇を行い、資産の再評価を強制し、再評価積立金の四〇%以上を資本に組入れなかつた場合、又は法定減価償却積立金の九〇%までの積立を行わなかつた場合において、一割五分以上の株主配当を行なつてはならないとしているのでありまして、而も再評価が完全に行われない場合、又はこれに伴うところの資本組入れが十分に行われないときは、表面上の高い利益率が企業経理に現われる結果、経営者をして如何にも厖大な収益を上げておるという錯覚を起させ、そこに社用族を跋扈させることになります。一方、必要欠くべからざるところの減価償却積立金の積立てに充当すべきものが、株価維持のために高率配当となつて社外に流出して、資本の食いつぶしが行われることになります。ここ数年来の高級料亭、或いはゴルフ場における社用族の横行、社長、重役用の高級自動車の氾濫はその証左であります。造船疑獄であるとか、陸運汚職等底の知れない政財界の腐敗も、畢竟するにここに根源があり、資本家階級と保守政党の諸君が結んで、日本の資本を食い潰して参つたと言つても過言ではないと思います。(拍手)従いまして現在の段階におきましては、保守党及び資本家の諸君が総反省して、このような頽廃的風潮を根本的に改めなければならないところに参つていると存じます。それがための一つの手段として、本措置法にもつと積極的な意欲、例えば強制償却の条項まで盛り込むべきであつたと思いますけれども、財界の圧力によつて、このように微温的なものになつてしまつているのが反対の第一の理由であります。  強制する面が微温的であるにかかわらず、減税の面が極めて積極的であり、この措置全般を通じて、国税、地方税合せまして百数十億の減税になり、このことは言い換えれば、自由党と財界が結託して租税の食い逃げをやつたということになります。反対理由の第二に挙げなければならないと存じます。  原案でさえも容易に納得し得ないのにもかかわらず、衆議院におきまして、自由党の諸君が証券業者の猛運動に応え、更に改悪を行なりたのが衆議院修正案なのであります。(拍手)即ち四〇%以上の資本組入れを行わながつた場合、及び減価償却範囲の合計額の百分の九十に相当する減価償却を行わなかつた場合には、一割五分以上の株主配当を行なつてはならないという制限は、株価に影響するという理由で、証券業者から猛運動が行われました結果、四〇%の組入れを三〇%とし、配当制限を二割にして本院に送付されて参つたのであります。この修正案を以て証券業界は、本法案の実質的な骨抜きができたとしてほくそ笑んでいるのであります。即ち二割の配当制限などということは、現在東京証券取引所の上場有配株平均配当率を見ましても、一割八分というのが実情でありまするからして、実際には有名無実に過ぎないし、資本組入れの制限率を三〇%としたことで、株式界に及ぼす影響は殆んどないことになります、即ち政府原案によりますると、三年間に約一千二百億ぐらいの資本組入れが行われる見込でありまするけれども、衆議院の修正案によりますると、約六百億ぐらいになり、本法案による処置がとられなくても五百六十億ぐらいの組入れが行われる見込でありまするからして、結果的には修正案ではなくて、完全な租税食い逃げ法案となつてしまつたのであります。(拍手)従いまして私の最も恐れますることは、再評価疑獄の生ずる危険を含んでいるのではなかろうかということなのであります。さすがに衆議院本会議でこの修正案が採決される際に、立法の責任者であるところの小笠原大蔵大臣は、この修正案に青票を握つたものか、或いは白票を握つたものかというので、逡巡して中腰になつておつたのを、例の益谷秀次氏に叱咤激励されまして、顔面蒼白となりながら白票を投じた一こまがこの辺の事情を雄弁に物語つていると思うのであります。これが反対理由の第三であります。  次に、政党政治のルールという点から黙視できない不信行為を行なつたと、いうことであります。常に政党内閣制を強調する自由党が、与党でありながら、証券業者の要請を入れて政府原案に骨抜き的な修正を加え、担当大臣までがこれに同調するがごときは、政党政治の常道をみだる、これより甚だしいものがありません。(拍手)而も、現に疑獄事件の続発によつて国民から総反撃をこうむつている自由党が、まだ性懲りもなく、かかる行為を行なつたことは許すべからざる政治的罪悪だと言わなければなりません。(拍手)これが反対の理由の第四であります。次に、委員会修正案についてでありますが、これは緑風会の小林政夫氏から提案されたもので、三〇%の組入れはそのままとして、配当制限を政府原案の通り一割五分に戻そうというのであります。企業の資本構成を正しい姿にして、日本経済の発展に寄与することが本法案の意図するところであり、若しも再評価積立金のままで放置するといたしましたならば、最近、日本でも超一流と言われまする石炭会計が四十三億に及ぶところの赤字を処理するために、資産画評価積立金三十債を切落しておるのでありますが、これは明らかに実質的な減資でありますが、法律上の減資でないというところからいとも簡単に切落されているのであります。今後これに倣つた傾向が各企業に現われ、税法上の特例を以て保護を受けた積立金が経営者の拙劣放漫によつて生じた赤字埋合せのために食いつぶされることは、経済道義上厳しく批判されなければならないと存じます。小林修正案は、これに一応の道を開いている。これに対しても、もつと四〇%、原案通りに少くとも戻すべきである。こういう理由から反対せざるを得ないのであります。  以上申述べまして通り、日本経済は極めて重大な段階に参つている現在、未だ目前の利益を追求するために急にして、国家百年の大計を考えないところの資本家と自由党吉田内閣の経済政策は、我々の納得し得ざるところでありまして、その一端が本法案に露呈されていることを指摘いたしまして、我我は強く本法案並びに修正案に反対する次第であります。(拍手)     ―――――――――――――
  70. 河井彌八

    ○議長(河井彌八君) 小林政夫君。    〔小林政夫君登壇、拍手〕
  71. 小林政夫

    ○小林政夫君 私は修正案を提案したわけでありまするから、もとより修正案に賛成をし、衆議院送付のその他の部分についても賛成をいたします。  現段階、文は現時限における資本の所有者が何人でございましようとも、その資本は国の富であり、又多くは人類の富でありますから、これが尊重されなければならんことは当然でありまして、徒らな食いつぶしは許されないのであります。その所有の形態に異存があろうとも、その破壊を図るべきことは許さるべきことではない。只今菊川委員の討論を承わりまして、私は非常に心強いものを感じたのであります。なお、大蔵委員会における両社会党委員は真に、真摯にこの法案と取つ組まれまして、実に十分なる認識の下に、この案を不徹底として反対をされているのであります。私は、従来の資本に対する両社の態度の非常なる前進であると考えまして、深甚なる敬意を表する次第であります。  本法案は、利益配当を制限し、或いは従業労働者のべース・アップを抑制するというようなことが本旨ではないのでありまして、架空の利益の計上か阻止し、労使双方よりの資本食いつぶしを阻止することが目的であると私は思います。で、本法案の内容は、委員長報告その他によつて、十分御了承願つたことと思いますが、私の分け方を以てするならば、三つの内容を持つておると思います。再評価促進の措置。架空利益計上阻止のための措置。過小の公称資本是正。それは裏返せば、配当率の適正化を促進する、この三つの内容に分けられると思うのであります。  で、再評価促進の措置といたしましては、再評価税の減免、この再評価税の減免ということについては、第三次再評価分に対する再評価税は全免をし、一次、二次分は半減して一二分とする。こういうことであります。今、菊川委員は、相当多額の減税をやつてけしからんかのごとき発言がございましたが、由来再評価というものは、何も利益があつたものではないのでありまして、資産の評価替である。時価に合すに過ぎない。それによつて特別な利益が生れたものではないのでありまして、これから税金を取るということが間違いなんであります。(拍手)税金を取るということは間違いである。我々はこの再評価関係の法案を審議する際に、常に再評価税は取るべからずということを強く主張して参つたのであります。その一端が容れられて、今回強制再評価をやるに当つて、第三次再評価に対する再評価税は全免する。併し今までの均衡もあるからということで、第一次、第二次分は半分取る。こういうことになつたのでありまして、この一次、二次分に対する半分も、私は取つてもらいたくない。取るべからずと私は信ずる。ただ、ここでその税を取るなという立場から考えてみますと「同じくこの国会において通過をいたしました租税特別措置法の改正によつて、再評価積立金は、資本へ組入れたいわゆる無償増資に対する年五%の配当金は経費に算入するという措置をとりました。それによる法人関係の税負担の軽減、これと今の一次、二次分の税負担とが必ずしも見合いませんけれども、先ず先ずそういうことで諦めがつくと私は考えて、不満足ながらこの点を許すことにいたしたのであります。  固定資産税の軽減でありますが、これはやはり再評価を促進する、今まで再評価をやらなければならんということを企業者はわかつておつても、この固定資産税の負担というものは、この再評価をやる上において、非常に障害であつたのであります。そこで、少くともこの第三次の再評価をやつたことによつて固定資産税が殖えないように措置をしたわけであります。即ち、第三次再評価より以前の課税標準を以て三年間固定資産税をかける。即ち三年間は第三次再評価前の課税価格に据置く、こういう措置でありまして、そう不当な軽減措置ではないのであります。ただこの中で少し技術的な細かい問題に入つて恐縮でありますが、この二十八年中に第三次再評価を行なつて、この法案の所期の目的に積極的に協力をしたというか、その趣旨を体してやつたものは、この二十九年の固定資産税は、その再評価した、第三次再評価した高くなつた評価基準を以て課税をされ、そうして三十年、三十一年、三十二年の三年間が二十七年度の課税価格で以て課税を受ける。こういうことで、二十九年だけがぽこつと高くなつて、あとひつこんでいる、こういうことが行われている。二十九年に再評価したものは二十八年度の課税価格で課税されますから、三十年、三十一年、三十二年と続いて一二年間同じ再評価前の課税価格で以て固定資産税を負担するということになるわけでありまして、そこにちよつとおかしい点があるのであります。私はこの点を改めたいと思いましたけれども、この法案の審議が大分遅れて今日こうやつて上程されるような状態でありますので、すでに二十九年度の固定資産税については四月第一期分についての課税徴税決定をいたしております。そこで技術的にもこれを元へ返す、改めるのが少し困難となりましたので、止む得ず了承することにいたしたのであります。  次は架空利益計上阻止のための措置でありますが、この点は最低再評価限度まで再評価を行わなかつた場合の配当制限及び資本金五百万円以上の株式会社が総会に提出し、或いは新聞に公告をするところの貸借対照表に再評価実施状況を附記させることにしております。又減価償却が法定償却の九〇%以下の場合には配当を制限する、同時に損益計算書に減価償却の実施状況を附記させることにしております。この措置によつて架空利益計上を阻止しておるわけでありますが、この配当制限の率、一体二〇%という衆議院の修正というものが果して制限になるかならないか。これは只今も菊川議員からお話がありましたが、この最近における株式会社の平均配当率を調べて見ますと、昭和二十八年上期においては日銀調べによると一七・七%になつており、三菱経済研究所の調べによると一六・七五%、二十九年三月期決算においては東京証券取引所の調べによりすすと、有配無配両会社の平均で以て一四・六一%であります。又有配会社だけの平均でありますと一八・八五%、このような状態で、而もその配当率というものは漸減している、だんだん下つている、下つた結果がそうなつている。こういう状態でありまして、二〇以ということは殆んど……、殆んどじやない、全然制限をしないということと同じことであります。果せるかな日本証券業連合会会長の小池厚之助氏が我々の委員会に来ての発言の中に、笑いながら、私たちは配当制限には絶叫反対です、二〇%ならその趣旨と同じです。こういう発言をされているわけでありまして、二〇%では配当制限とは言えないのだ。そこで少くとも今の二点については、即ち最低再評価限度までの再評価をやらない。或いはその再評価した結果による資産の法定償却の九〇%以上やらない。こういうものについては、本来の趣旨から言えば配当をやらすべきものではない。無配で我慢させるべきものであります。併しながら、いろゝの経済の現在の段階から考えて、まあステツプ・バイ・ステツプで行くという意味において、政府原案一五%になつている。そこで我々は不満足、甚だ不十分であるとは思いますけれども、その線まで下りて一五%、一五%ならば、多少配当制限の効果を発揮できると思うのであります。  第三の過小の公称資本是正、即ち配当率の適正化の措置、こういう点はどういうことかというと、今、菊川委員が問題にされたこの点があるために、私の修正に皆さんがたの左右社会党、改進党の同調が得られなかつたのでありますが、再評価積立金の資本組入、これは三〇%がいいか四〇%がいいか、こういう問題であります。私は、この点は資本充実という観点から言うならば大して問題ではない。それは資本に組入れるか、或いは積立金として内部留保して持つておるかということの違いでありまして、資本を充実する点から言えば、大して違いではないのであります。勿論それを三〇%にいたしましても、資本に組入れない場合には、配当を一割五分に制限する。この配当を一割五分に制限するというところに眼目があるのでありまして、この一割五分でおおむねその配当の基準を揃える。そういうことであつて、この資本の、菊川委員の指摘された再評価積立金を食いつぶす。こういうことは資本へ組入れるのであれば減資手続を経なければならんから少し面倒である、こういうことでありますけれども、再評価積立金は、再評価法の百七条第一項三号の定めるところによつて、すべての積立金を食いつぶして、なお且つ損が出るという場合には、その損金を消すことができる。これをその損金の穴埋めには使えない。そうすることは理論上できないことである。従つて損金を埋めるために再評価積立金を食うことも、株式の減資をすることも、企業者としての受取り方、或いは一般の投資家の受取り方としては同じシヴイアな気持を以て接しなければならんということなのである。同じことである。ただ積立金を食うのだから大したことはない。減資手続ならば、相当経営者としては恥じなければならん。こういうことではなくて、再評価積立金を食おうと、減資手続をしようと、企業家としての努力が足りなかつたという点においては同じであつて、一般の投資家もやはりそのようにとるべきであります。(「投資家を騙したよ」と呼ぶ者あり)騙される投資家は知識が足りないのであつて、騙されないような知識を持つべきであります。(「暴言だよ」と呼ぶ者あり)従つて資本組入れ割合というものは、この問題の中心ではない。その配当を一五%に制限するというところが問題である。それが証拠に、今の証券界の代表あたりは、資本組入れは四〇形で結構です、配当だけを二〇%の制限にしてもらいたい、こういうことを言つている。そこで、そういう点から見ましても、私はこの資本組入れを三〇%にするか、四〇%にするかということは、本案の狙いとするところの企業資本の充実という点から考えれば、そう根本的な問題ではないと思うのであります。  なお、これは細かいことになりますが、同族会社というものがこの資本組入れを強要されず、従つて先般通つた租税特別措置法によつて資本に組入れられたいわゆる無償増資に当てられたものに対する五分の配当というものを同族会社だけは損金に算入しない。こういう措置がとられた。同族会社でも大きな会社がございますが、おおむね中小企業者は同族会社が多い。この中小企業者が多いところの同族会社が、その減免措置にあずからないということは、甚だ不当であるということを、その租税特別措置法の審議の際にも私は強く申して、次の機会には是非是正されることを要望したのでありますが、今度のこの法案においては、同族会社といえども、再評価及び減価償却の実施状況を公示する義務を負わされている。この点から考えると、どうもそこに政府当局においても、少し観念の、思想の分裂と言えば極端でありますけれども、多少そこに取扱において当を得てない点であるので、速かな機会において、その点は是非改めてもらいたい。こう思うのであります。  以上、私はこの法案は、菊川委員の御指摘のように、そう十分なものとは言えませんけれども、私は経営者及び従業労働者の真撃なる努力によつて、この企業資本が、その自発的な努力によつて充実させるように、一層の精進を望みまして私の賛成討論を終ります。(拍手)     ―――――――――――――
  72. 河井彌八

    ○議長(河井彌八君) 東隆君。    〔東隆君登壇、拍手〕
  73. 東隆

    ○東隆君 社会党第二控室を代表して、只今上程されておる企業資本充実のための資産再評価の特別措置法案に対し、反対の意思を表明いたします。なお、委員長報告は、大蔵委員会において修正議決されたものでありますが、これに対しても勿論反対であります。  以下、反対の理由を明らかにいたします。インフレの影響によつて企業資産が不当に低く評価されておるため、水膨れ配当を行なつています。これは自己資産を資本が食い潰しをしておるのであります。そこで政府は、本法によつて強制的に再評価を行い、終末をつけようとしておるのでありますが、この措置はいささか時期を失しておることは、小笠原大蔵大臣も認めておるところであります。西ドイツのごとく、時期を失せず資本の実質的蓄積に役立つ再評価と、それによる企業の充実に努めたならば、日本の産業界は今日のごとき危機には遭遇しなかつたでありましよう。これ政府の資本家に迎合した政策の累積の結果であると言わざるを得ないのであります。  元来資産の再評価が行われる場合、その評価増分の帰属については問題があります。増加したのは、株主の努力によつたものでもありません。取締役の力によつたものでもありません。この二つのものよりも、労働者の労働の生産性に依存することが多いとしたほうが正しいとも考えられます。私は労働全収権論者ではありませんが、この株主、取締役、労働者の順序よりも、労働者、経営に従事する取締役、それから株主というほうが関係が深いようでございます。いずれにしても、株主にも、取締役にも、労働者にも、大きな顔をして再評価による増価分の分け前を主張する資格はないのであります。即ちこの再評価による資産の増価分は、社会の経済界の変動によつて生れたものでありますから、社会に返すべきものでありますが、それはできません。そこで税として国家に吸上げるということになりますが、これは恐らく次善の策でありましよう。併しこれも政府にはなかなかできぬ相談であります。時期が早ければ、占領中に戦災にかからぬ者に税をかけたためしもあるのでありますから、できぬわけではなく、政府がやり得なかつたまでだと思うのであります。そうしてそのようなことは資本の蓄積にはならぬと称して株主に対する配分を本法案はとるのであります。  一方資産の再評価をせぬものに対しては、政府の原案では一割五分、衆議院の修正では二割以上の配当をしてはならぬとして、再評価を強制するというのでありますが、今日の株式の市場の情勢から見ましても、一割五分でも無意味なのに、二割では再評価を強制する何らの意義を持ちません。ただ、証券業者の思う壷に陥るだけであります。而も政府原案は、四〇%、衆議院修正は三〇%の資本組入れをするときは減免の措置を講ずることとし、再評価を強行しようとするのでありますが、これらは誠に資本に対しては、好意これに過ぎる措置はないと思います。併しこれでは、インフレ下において名目上の増資をしたにとどまるのであつて、一方的な措置だと言わざるを得ません。労働の企業における働きに対する分配は何ら考慮されていないのであります。固定資産等が十分に償却され、それが内部に留保され、労働者の待遇の面において改善が見られるとするならば、再評価も意義を持つて来るが、本再評価の措置は何ら努力をしなかつた株主のみの擁護にとどまります。陳腐資産の評価等、多少実質的に企業内容の充実に役立つものもありますが、消極的な面のみであります。  即ちこの際企業内容の充実を期するためには、再評価による増価分は、株主とこの際は労働者の団体に配分するの方途を講じ、これによつて労働者の企業参加の途を開くのが当を得た方法であります。現行の株式会社制度の下においては、労働者の企業参加の途を開くことが、資産再評価という社会的影響による富の増大の配分に際してとるべき最も賢明な方途であると確信をいたします。(拍手)これが株式の実質的な民主化であり、産業の民主化であり、これが独占資本を避け得る唯一の方途なのであります。かくのごとき方途を講じない限り、労使の協調等はいわゆる武装平和のごときものであつて、労使の反目はあらゆる機会に爆発するでありましよう。本再評価による資本組入れの措置は、このような方途は何ら講ぜられていないのであります。  而も政府の原案は、衆議院において証券業者等の思惑を反映して、株価の維持という一点に集中されて修正をされ、本院に回付されたのであります。我々は企業の充実の度合いが、証券市場の株価の一上一下によつて推測されることは、現在は否定をいたしませんが、市場における株価の、釘付けによつて企業の充実と安定とを測定するわけには参らないのであります。本法案は企業の充実というよりも、経済界における変動に対して評価替えを行い、その増価分を旧株主に無意義に帰属せしめて企業内容の充実に何らの進展を見せないのみならず、労働者に当然帰属すべきものを資本に重点に帰属せしめるのであります。従つて労働者は、この措置によつて将来いよいよその受くべき報酬が相対的に減ぜられるということになるのであります。  なお、政府は資本組入れに際して、減免の措置を講じていますが、将来長く税源を確保するということは忘れていないのであつて、この点なかなか抜け目はないのであります。社会党第二控室に所属をするものは、労働者の経営参加ということに極めて熱心なのであつて、この経営参加の方途を、資産再評価を行うがごとき際に、企業内容である資本と労働の両者に帰属せしめることは、現行制度下におい一実質的に企業参加の大道を開くものであると確信をするものであります。  我々は衆議院修正の原案に対しては、骨抜きの政府原案に拍車をかけたものと考え、せめて政府原案への復帰の修正を用意するところがあつたのであります。然るに大蔵委員会における自由党の諸君は、政府原案と衆議院修正のいずれにも顔を立てるがごとき、いわば意無味の木に無意味の花を咲かせるがごとき妥協に終つたのであります。(拍手)我々は、政府原案を支持することによつて、政府与党である自由党の分裂症状を少しでも回復せしめることが、政府職員の頑冥なる上司に仕えて困難な作業を続けたことに対するせめてもの贈物と考えたのであります。与党の蔵相をして、その投票に際し躊躇逡巡せしめた曰くつきの本法案は、蔵相すら意に満たざる修正であります。余りにも資本に偏向し、労働に考慮を払わない一方的な本法案は、企業の充実には何らの益なきものであると断ぜざるを得ません。ここに私は、諸君が、特に是々非々の緑風会の諸君が、小林政夫君を除いて以外のかたが、本法案に断固として反対せられんことを期待いたしまして、反対討論を終るものであります。(拍手)     ―――――――――――――
  74. 河井彌八

    ○議長(河井彌八君) 平林太一君。    〔平林太一君登壇、拍手〕
  75. 平林太一

    ○平林太一君 企業資本充実のための資産再評価等の特別措置法案、内閣提出案原案及び衆議院修正案、更に小林政夫君修正案、右三案を一括いたしまして、総括いたしまして(「議長みたいなことを言うな」と呼ぶ者あり)ここに無所属クラブを代表し、且つ参議院日本自由党を標榜して(拍手)反対の意を表明し、これが理由を明示せんとするものであります。  すでに菊川、東両君より反対の意見がありたるにもかかわらず、如何に本法案が杜撰なものであり、むしろ悪法であるということを如実に物語る事実としては、この立案の基本的用意に当つた自由党席が寂として声なく(拍手)堂堂としてその賛成演説をいたし得ざるということは、うしろ暗き事実があるということを立証いたしておるのであります。(拍手)更に、より遥かに重大なることは、本法案をして否決せしめなければならないことは、本法案の提出者が、すでに世上曰くつきである内閣総理大臣吉田茂ということである。(笑声、拍手)吉田首相に対する今や全国民の信任は、ことごとく地を払い、速かなる退陣を求めてやまざる惻々たる至情が全国の野に山に、津々浦々に、渡り渡つておるのである。(拍手)現にこの事実を代表して、昨月二十三日、本院は吉田内閣に対する問責不信の決議案を議決いたしておるのである。然るにもかかわらず今日まで、(「法案を知つているのか」と呼ぶ者あり)それが何らの事実として現われておらない。法案の内容を論ずるがごときことは、群小なる政治家のやることである。(笑声、拍手)法案そのものを第一義とするか、その法案を提出せる政府が、我が国家の運命を阻害するがごときこの傾向あるときにおいては、法案に先議してその政府を打倒しなければならないのである。(拍手)これが本議場において我々がだ、強くその責任を感じて、いやしくもその使命に誤りなきを期するということが我々の最大使命であるのであり、(「その通り」と呼ぶ者あり)現に昨日名古屋において法務大臣加藤なにがしはだ、(笑声)指揮権発動に対する処置に対しては法務大臣とし、当面、犬養法務大臣の行為を忠実に守るのであると言つておる。車に反省をしていない。加藤法務大臣はこの問題に対して、いずれ取りまとめた上で、この船舶疑獄事件に対してはその処置をするであろうと言つておる。  今や会期は迫らんとしている今日であります。我々はこの際、この会期中にこの本院の決議を無視せる吉田内閣をして退陣せしめ、総辞職をせしむるにあらざれば、行政政府に対して、この議会がいわゆる敗北をしたということに相成るのである。(「その通りだ」と呼ぶ者あり、拍手)かくのごとき事実になることは、我が憲法政治の基本を破壊することに相成るのである。(「その通り」と呼ぶ者あり、拍手)現にこの内閣は今期国会中において次々に憲法を無視する、憲法を尊重せざる、憲法を蹂躪せる幾多の法律案というものを(「何の法律だ」と呼ぶ者あり)この議場の議決に求めておるのである。而もそれゞ、それが如何なる修正を与えられてもだ、これを平然として何ら反省するところなく、ただ自己政権の延長だに図られるならば、如何なる法に対して、如何なる修正を与えられても、これを承認するというがごとき厚顔無恥の、(「何が厚顔無恥だ」「全くだ」と呼ぶ者あり)この内閣現下の実情において、かくのごとき内閣をして一日の命を保たしめるならば、我が国家の運命は一日ずつ縮まつて行くのであるということを考えなければならない。(拍手)自由党の諸君は、数において吉田に隷属し、吉田に妄信し、吉田に盲目にして、―――――――――――故に今日の処置としては、この内閣の提出する法律案というものを次々に否決し、若しくは流すということが、我々が国家に対する、いわゆる全国民の要望に対する態度である。(「そうだ」「その通り」と呼ぶ者あり)  すでに、会期は明日に迫つております。この会期は、断じてこれを延ばしてはいけない。明日を以て打切らして、今日残余の法案というものは、これはことごとく流さなければならない。本日は、政府の代表として緒方竹虎、佐藤榮作の両君が、我が神聖なる議長に対して、会期延長を申入れたということを伝えられるのでありまするが、(「会期はまだ議題でない」と呼ぶ者あり)私はこの際、噂の中に、ややもすれば、議長は、職権を以て議案を通すであろうというがごときことを聞き伝えるのでありますが、議長においては、何とぞこの内閣の運命の鍵を握るこの法案を通さないがために、いわゆる議長職権を御行使相ならないよう、切に御自重、御自愛を希うものであります。(拍手)  かくて吉田茂君、今や外遊せんとしておる。由来外遊とは外に遊ぶと書くのではないか。今日までの政府の、いずれの国の元首、いずれの国の代表者といえども、外に遊んだというがごとき――者は一人もない。(拍手)それぞれの使命を受け、或るときは孤島に、或るときは船舶、艦上において、当該各国の元首、大統領と相会し、瞬時にして帰国しておるのである。使命を帯びれば、それである。このたびは、一カ月或いは二カ月という、使命を帯びざる、いわゆる吉田茂君老後の、花鳥風月を楽しむ旅行であるからだ。一カ月、二カ月というのである。だらだら、これは何らの使命を持たざる外国に対する、吉田君のこの国内に身を置くこと能わずして逃走し、逃亡するの行為である。これを阻止することは、内閣総理大臣の職より我々は引ずり落すことである。引ずり降ろすということは、明日以後の法案を否決するか、或いは流すかということである。その事実を厳乎としてこれを守ることが我々の今日この議場における使命である。この場所は、行政の措置、行政の事務、政府の言うなりになる場所ではない。(拍手)この場所は、全国民の輿論に応えんがための政治の場所である。(拍手)故に政治の場所であるから、いわゆる行政的な事務にのみ盲目し、色盲してはならない。いわゆるそのときの政府の活殺を……よければ通過せしむる、悪しき政府であるならば、この議場において処置するという必要のために、議会制度というものはできている。自由党の諸君、心静かに聞き給え。(拍手)長く吉田に隷属することは、もはやお見限りをつけることが、諸君が次の選挙にめでたく御当選に相成ることになるのである。(拍手)これ以上続けておらるるならば、諸君の政治的生命というものは、全国民からことごとく排撃せられるだろうということを。(拍手)私自身も、自由党の諸君とは相見知りであるから、心からこの忠告を申上げるのである。(拍手)これにつけても、この法案に対する反対をするということは、あえてこの法案に反対するというその行為は、全部の法案に反対をせなければならないその理由を、ここに明らかに明示して、本法案に対する重大なる反対の理由とするものである。(拍手)
  76. 河井彌八

    ○議長(河井彌八君) 平林君の演説のうちには、不穏当な言葉があつたと認めます。速記録を取調べた上において適当な処置をとります。(拍手)  これにて討論の通告者の発言は、全部終了いたしました。討論は終局したものと認めます。  これより本案の採決をいたします。本案全部を問題に供します。委員長の報告は、修正議決報告でございます。委員長報告の通り修正議決することに賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立〕
  77. 河井彌八

    ○議長(河井彌八君) 過半数と認めます。よつて本案は、委員会修正通り議決せられました。(拍手)    〔三輪貞治君発言の許可を求む〕
  78. 河井彌八

    ○議長(河井彌八君) 登壇を求めます。    〔三輪貞治君登壇、拍手〕
  79. 三輪貞治

    ○三輪貞治君 私の先ほどの討論中、委員長の報告内容につき申述べました加藤君の表決態度に関する件は、私の勘違いでありましたので、ここにこれを取消します。      ―――――・―――――
  80. 河井彌八

    ○議長(河井彌八君) この際、会期延長の件についてお諮りいたします。  議長は、衆議院議長と協議の結果、国会の会期を六月三日まで三日間、延長することに協定いたしました。  これより会期を六月三日まで三日間延長することにつき採決をいたします。この表決は、記名投票を以て行います。会期を六月三日まで三日間、延長することに賛成の諸君は白色票を、反対の諸君は青色票を、御登壇の上、御投票願います。氏名点呼を行います。議場の閉鎖を命じます。    〔議場閉鎖〕    〔参事氏名を点呼〕    〔投票執行〕
  81. 河井彌八

    ○議長(河井彌八君) 投票漏れはございませんか……。投票漏れはないと認めます。  これより開票いたします。投票を参事に計算させます。議場の開鎖を命じます。    〔議場開鎖〕    〔参事投票を計算〕
  82. 河井彌八

    ○議長(河井彌八君) 投票の結果を報告いたします。  投票総数 百九十六票  白色票 百十六票  青色票 八十票  よつて会期は、六月三日まで三日間、延長することに決しました。      ―――――・―――――    〔参照〕  賛成者(白色票)氏名  百十六名    佐藤 尚武君  小林 武治君    小林 政夫君  岸  良一君    梶原 茂嘉君  楠見 義男君    柏木 庫治君  井野 碩哉君    石黒 忠篤君  飯島連次郎君    加賀山之雄君  赤木 正雄君    森 八三一君  森田 義衞君    村上 義一君  三浦 辰雄君    前田  穰君  廣瀬 久忠君    後藤 文夫君  早川 愼一君    野田 俊作君  豊田 雅孝君    田村 文吉君  館  哲二君    竹下 豐次君  高橋 道男君    杉山 昌作君  高瀬荘太郎君    高木 正夫君  島村 軍次君    白井  勇君  横川 信夫君    深水 六郎君  木村 守江君    安井  謙君  伊能 芳雄君    青柳 秀夫君  高野 一夫君    西川彌平治君  石井  桂君    井上 清一君  関根 久藏君    川口爲之助君  吉田 萬次君    酒井 利雄君  佐藤清一郎君    剱木 亨弘君  谷口弥三郎君    宮本 邦彦君  長島 銀藏君    長谷山行毅君  宮田 重文君    瀧井治三郎君  田中 啓一君    大矢半次郎君  石川 榮一君    岡崎 真一君  石原幹市郎君    植竹 春彦君  岡田 信次君    松岡 平市君  大谷 瑩潤君    西郷吉之助君  中川 幸平君    左藤 義詮君  寺尾  豊君    中川 以良君  山縣 勝見君    重宗 雄三君  津島 壽一君    青木 一男君 大野木秀次郎君    小滝  彬君  古池 信三君    伊能繁次郎君  杉原 荒太君    榊原  亨君  大谷 贇雄君    宮澤 喜一君  高橋  衛君    横山 フク君  西岡 ハル君    重政 庸徳君  小沢久太郎君    鹿島守之助君  木内 四郎君    藤野 繁雄君  雨森 常夫君    石村 幸作君  青山 正一君    秋山俊一郎君  入交 太藏君    仁田 竹一君  松平 勇雄君    加藤 武徳君  上原 正吉君    郡  祐一君  山本 米治君    小野 義夫君  愛知 揆一君    平井 太郎君  川村 松助君    堀  末治君  白波瀬米吉君   池田宇右衞門君  島津 忠彦君    松野 鶴平君  小林 英三君    草葉 隆圓君  泉山 三六君    黒川 武雄君  石坂 豊一君    井上 知治君  岩沢 忠恭君    木村篤太郎君  三浦 義男君     ――――――――――――― 反対者(青色票)氏名   八十名   永岡 光治君  三輪 貞治君   湯山  勇君  大和 与一君   内村 清次君  秋山 長造君   阿具根 登君  海野 三朗君   大倉 精一君  河合 義一君   岡  三郎君  亀田 得治君   小松 正雄君  近藤 信一君   竹中 勝男君  清澤 俊英君   成瀬 幡治君  小林 亦治君   小酒井義男君  佐多 忠隆君   重盛 壽治君  江田 三郎君   小林 孝平君  久保  等君   堂森 芳夫君  田畑 金光君   高田なほ子君  安部キミ子君   矢嶋 三義君  藤田  進君   岡田 宗司君  田中  一君   戸叶  武君  栗山 良夫君   吉田 法晴君  藤原 道子君  小笠原二三男君  菊川 孝夫君   若木 勝藏君  山田 節男君   天田 勝正君  松本治一郎君   中田 吉雄君  三橋八次郎君   千葉  信君  羽生 三七君   野溝  勝君  荒木正三郎君   三木 治朗君  山下 義信君   市川 房枝君  東   隆君   石川 清一君  有馬 英二君   松浦 清一君  赤松 常子君   深川タマヱ君  武藤 常介君   寺本 広作君  松浦 定義君   須藤 五郎君  平林 太一君   加藤シヅエ君  鈴木  一君   加瀬  完君  千田  正君   松澤 兼人君  上條 愛一君   最上 英子君  堀木 鎌三君   笹森 順造君  菊田 七平君   長谷部ひろ君  木村禧八郎君   相馬 助治君  村尾 重雄君   鶴見 祐輔君  一松 定吉君   松原 一彦君  羽仁 五郎君      ―――――・―――――
  83. 河井彌八

    ○議長(河井彌八君) 議事の都合により、本日はこれにて延会いたします。次会の議事日程は、決定次第公報を以て御通知いたします。本日は、これにて散会いたします。    午後十一時九分散会      ―――――・――――― ○本日の会議に付した事件  一、皇室会議予備議員の選挙  一、検察官適格審査会委員の選挙  一、国土総合開発審議会委員の選挙  一、中央青少年問題協議会委員の選挙  一、日本ユネスコ国内委員会委員の選挙  一、日程第一 臨時硫安需給安定法案  一、日程第二 硫安工業合理化及び硫安輸出調整臨時措置法案  一、日程第三 教育公務員特例法の一部を改正する法律案  一、日程第四 学校給食法案  一、日程第五 日本国における国際連合の軍隊の地位に関する協定の実施に伴う土地等の使用及び漁船の操業制限等に関する法律案  一、日程第六 企業資本充実のための資産再評価等の特別措置法案  一、会期延長の件