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1954-05-01 第19回国会 参議院 法務委員会 28号 公式Web版

  1. 昭和二十九年五月一日(土曜日)    午前十時四十七分開会   ―――――――――――――  出席者は左の通り。    委員長     郡  祐一君    理事            上原 正吉君            宮城タマヨ君    委員            青木 一男君            宮本 邦彦君            楠見 義男君            中山 福藏君            三橋八次郎君            小林 亦治君            一松 定吉君            羽仁 五郎君            木村篤太郎君   国務大臣    国 務 大 臣 木村篤太郎君   政府委員    法制局長官   佐藤 達夫君    法制局第二部長 野木 新一君    保安政次官  前田 正男君    保安庁次長   増原 恵吉君    保安庁長官官房    長       上村健太郎君    保安庁装備局長 久保 亀夫君    法務政務次官  三浦寅之助君    法務省民事局長 村上 朝一君   事務局側    常任委員会専門    員       西村 高兄君    常任委員会専門    員       堀  真道君   ―――――――――――――   本日の会議に付した事件 ○利息制限法案(内閣提出、衆議院送  付) ○日本国における国際連合の軍隊の地  位に関する協定の実施に伴う刑事特  別法案(内閣提出、衆議院送付) ○日米相互防衛援助協定等に伴う秘密  保護法案(内閣送付)   ―――――――――――――
  2. 郡祐一

    ○委員長(郡祐一君) 只今から本日の会議を開きます。  先ず利息制限法案、日本国における国際連合の軍隊の地位に関する協定の実施に伴う刑事特別法案、両案につきましてはすでに御質疑を願つたことでございますが、なお御質疑がございますでしようか……。別に御発言がないようでありまするから質疑は終局したものと認めて、これより討論に入りたいと存じますが、御異議ありませんか。    「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 郡祐一

    ○委員長(郡祐一君) 御異議ないと認めます。  先ず利息制限法案を問題に供します。これより本案の討論に入ります。御意見のおありの方は賛否を明らかにしてお述べを願います。
  4. 羽仁五郎

    ○羽仁五郎君 本案の立法の原因となつておりますものは、最近の日本の経済界の非常な混乱、それに伴ういろいろな悲劇的な事件まで発生しているようなそういう事実に対して、本案が立法されたものと思うのであります。実際最近の新聞の報道するようなところを見ましても、平均十万円程度の小切手の不渡り又そういうことに関係して悲惨な自殺、なかんずく一家、家族が自殺されているというような事実が非常な問題であると思うわけです。それから又一般の庶民金融といいますか、民衆の金融機関の要求があるにもかかわらず、そういうものに対する政府の施策がよろしきを得ないために、保全経済会とか或いはそれに類似したような金融機関が、庶民に対して非常な嘆きを与えている。更には、大きくは汚職の続発というような事件が続々と発生している。これらに対して政府或いは我々立法者が何らか妥当な措置を講じなければならないことは全く焦眉の急であるのであります。  然るにこれらに対する根本的な解決というものは、私はすでにこういう事実が指示しておるところは、日本においても金融公共福祉に奉仕するために、国営にならね、はならないという事実よりほかのものではないと思うのであります。実際この金融というものが単に営利というものを目的とされているために、只今申上げたような平均十万円程度の小切手の不渡のために、家族一家が自殺をしなければならないという悲惨な事態が発生したり、或いは国民的な金融機関の必要があるのに、そういうものがないために、保全経済会その他の悲惨事が発生したり、更には汚職の続発ということにもなつて、いるのであります。これらは全く根本的な解決によらなければ解決のできない問題でございます。  その根本的の解決といえば私は何と申しましても、すでに日本のこれらの現実は銀行及び金融民主主義的な国営ということよりほかに、これらの問題を解決する途はないということを現わしているものと考えるのです。ところがこの法律案はそうした根本的な解決の必要という点について全く無反省でありまして、極めて姑息な方法で以て何らか只今申上げたような問題を部分的にも解決しようとしているものであります。そういう根本的な問題を姑息な方法で解決しようとしているために、この法律案はいろいろな矛盾を含んでおります。この法案は貸主の立場を保護すると共に借主の立場をも保護しようというような一つの考え方を一つの点からまとめようとしている。併しながらこれを姑息な方法でそういう方法をとるということはできないことだと思います。もつと高いレベルに立つて立法的措置をとるならば、貸主の立場を保護すると供に借主の立場を保証することもできる、庶民金融の円滑を図るということもできるのでありますが、こういう低いレベルにおいて、それらの問題を解決することは不可能なんであります。従つてこの法律案の最も端的な矛盾としましては、借主の立場からすれば、第一条第二項を、設けた趣旨がどこにあるのかわからない。利息を制限した超過部分は本条第一項により無効だから当然返還請求ができるはずでありますが、この法理を崩しして、特に返還請求ができないとしたことは、貸主保護に片寄り過ぎてないだろうかとの疑念が起るのは当然であろうと思うのですが、こういうように非常に根本的な原因から生じておるところの現在の悲惨というものを解決するために姑息な方法をとる結果、この法案自体の中にも只今申したような矛盾があるのみならず、この法律案が実際にどういう結果を惹起すであろうかということになりますと、現在国民の間に発生しておりますような生活困難、或いは一家心中というような悲惨まで惹き起すような事実が解決されるのではなくして、ますます一層悪質な困難が発生して来ると思うのであります。一つは、言うまでもなくこの法律案で制限しようとしておりますような謝礼金その他の名目による利息というようなものが、もつと悪質なものになつて行くだろうということは火を見るよりも明らかであります。その結果一般庶民の金融困難というものに対して、却つてますます残酷な事実が発生して行くということになることも火を見るよりも明らかであります。  以上の理由によりまして本案が解釈しようとしておる問題の真の原因というものを捕捉していない。従つてそれに対する根本的な対策というものに何ら触れていない。そのために姑息の手段を、講じ、法律自身としても矛盾を含む。従つてその結果本立法案によつて」解決しようとしておるところの悲惨な事実をますます悪質なものにし、且つ残酷なものにするということは明らかであります。以上の理由から私は本法律案に反対するものでございます。
  5. 郡祐一

    ○委員長(郡祐一君) 他に御発言はございませんか……。御発言がないようでありまするから、討論は終局したものと認めて、利息制限法の採決に入ります。  本案を原案通り可決することに賛成の諸君の御挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  6. 郡祐一

    ○委員長(郡祐一君) 多数と認めます。よつて本案は多数を以て原案通り可決すべきものと決定いたしました。   ―――――――――――――
  7. 郡祐一

    ○委員長(郡祐一君) 次に、日本国における国際連合の軍隊の地位に関する協定の実施に伴う刑事特別法案を問題に供します。  これより討論に入ります。御意見のおありの方は賛否を明らかにしてお述べを願います。
  8. 羽仁五郎

    ○羽仁五郎君 私は本法案に反対するものでございます。  反対の第一の理由は、この法案の基礎となつております日米安全保障条約というものが現在存続せらるべきものではないからでございます。日米安全保障条約締結当時、我々はこの日米安全保障条約というものが、日本の国際地位を全面的に解決することに重大なる妨げになるであろうことを警告したのでありますが、それにもかかわらずこれが締結せられました結果、事実におきましてその後日本が国際的に全画的に国交関係を回復することが非常に困難とされております。而もこの日米安全保障条約に伴いまして最近はMSA受諾というような方向にまで、進んで行かれて、日本が国際的に全面的に平和を回復し、完全な独立主権、回復することがいよいよ困難とされておりますことは、本会議において我々が先日指摘した通りでございます。  ところが日米安全保障条約というものと並んで、一層当時にも問題になりましたいわゆる一九五一年九月八日に、日本国内閣総理大臣吉田茂と、アメリカ合衆国国務長官デイーン・アチソンとの間に交換された公文というものによりまして、日本に日米安全保障条約により米軍の駐留と似たような形で、併し実質的には全く違う意味において国際連合の軍隊が日本に駐留するということができるような関係ができたのであります。ところがここには根本的に矛盾があるのでありまして、日本が国際連合に加盟を許されて、そうして日本で国際連合の軍隊が活動されるということであるならば、そこに矛盾がないのでありますけれども、日米安全保障条約によつて日本が一面的に世界の一方の国々とのみ平和を回復して、他方の国々とは対立関係に陥入れられたために、現在に至るまで日本は国際連合に加盟することができないのであります。日本は国際連合に加盟していないのに、国際連合の軍隊が日本において活動することが、如何に深刻な矛盾を含んでおる問題であるかということは多言を用いずして明らかでございます。右が反対の第一の理由であります。  反対の第二の理由は、然らば以上のような矛盾を侵して日本に国際連合の軍隊が活動するようになつたのは何故であるかということ、申すまでもなくこれは一九五〇年六月に不幸にして朝鮮に発生いたしましたところの戦争或いは内乱、これによつて国際連合の軍隊が朝鮮に活動するということになつたのであります。この朝鮮における内乱というものに対して外国の軍隊がこれに活動するに至つたということについては、国際法上やはり重大な問題が残つておるものと考えます。それと関連して第二には、朝鮮における内乱に外国の軍隊が介入するようになつたその直接の動機、即ちアメリカの政策というものに国際連合が協力するようになつたという手続についても、国際法上重大な問題がご場ざいます。このために第三には、朝鮮における国際連合軍の活動というものは、或る意味において国際連合というものをアメリカの政策に盲従を強制するような事件が、事件としても考えられざるを得ないことになつた。この三つの点は特に重大でありまして、第二次世界大戦のあの悲惨というものを世界各国の国民が体験し、又日本国民も再びああいう悲惨を繰返したくないという決意を深くして、それがために国際連合というものが恒久の平和を保障するためにできたものであつて、それを第一次世界大戦後国際連盟の場合、あれは日本が直接破壊したのでありますが、第二次世界大戦の後に恒久の平和を保障するために組織された国際連合というものは、如何なる理由によつても破壊するということは許さるべきではない。国際連合アメリカの強制に屈服するような状態というものが発生するということは、アメリカ自身の問題はさておきまして、我々日本国としても、国際連合がそういう一方的に動かされるということについては、日本国自身の安全幸福ということから考えて、遺憾の意を表せざるを行ないのであります。このように現在日本国国際連合の軍隊が存在しておるということは、その基礎となりました古田、アチソン交換公文或いはそれと並んで結ばれました日米安全保障条約というものについても、決してこれを是認することのできない理由があります。且つ又、現在日本国連合国の軍隊が存在する直接の理由となつておりますところの、一九五〇年六月以後の朝鮮における問題というものについて国際連合の軍隊が動かされたということにつきましても問題がある。  これら以上二つの点について日本の国家及び国民の真実の安全幸福ということと、これら二つの問題がそれぞれ相反し、又且つ今後の日本の真実の安全幸福というものを保障する方法ではないのであります。而もこの法案の直接の目的となつております一九五〇年六月以降朝鮮に国際連合の軍隊が活動しておるという事実は、皆さんもよく御承知の通りに、現在ジュネーブにおいて開かれております極東平和会議というものによつて完全に解決せられるであろう、或いはその方向に向うであろうということは明らかでありまして、従つて朝鮮において国際連合の軍隊が活動するということは、もはや終結に近付きつつある事実であります。本日まで本法案のようなものがなくても処置せられていたものが、この法案の立案の直接の理由となるところの事実が、まさに終結に近付こうとしているときにこういう法律案を出すことの理由は、これを了解するに苦しむ。政府は今までこうした法律案を早く出さないで、今日に及んでこういう法律案を出そうということに妥当な理由がないということになりますと、これについてはさまざまの憶測さえも発生せざるを得えないのであります。  この法律案の実際の体裁を見ましても、この法律案は日本国における国際連合の軍隊の地位に関する協定に構いてできておりますのではありますが、この法律案の重要な点、即ちこの法律案が如何なる法律的基礎において立法されようとしておるものであるかをこの法律案に明記しておりません。即ち、吉田、アチソン公文書というものによるものだということは、この日本国における国際連合の軍隊の地位に関する協定のほうには書いてございますが、この刑事特別法のほうには書いていない。それから本法律案が、朝鮮における現在まで続いておる不幸な状態が終結するならば、当然この刑事特別法というものは終結するものだということもこの法律案の中には書いてございません。而もこれが刑事特別法という法律の性質を持つておりますから、これがどういう理由からこういう法律が動くものであるか。又只今申上げたように、こういう法律が一定の期間の間のみ用いられるものであるか、適用されるものであるかということも、この法律案に明記せられることが、妥当であるということが考えられるのでありますが、それらも明記してございません。  要するに、以上申上げましたように、この法律案はその立法の基礎において是認することのできない理由があり、且つ又この法律案が解決しようとしておる現在の問題というものが、国際的にいろいろ妥当とは考えられない理由があり、且つ又最後にこの問題なるものは、すでに終結に近付きつつあるのに、今日に及んでこういう法律案立法しようということに妥当な理由がない。  以上のような理由から私はこの立法に反対するものでございます。
  9. 郡祐一

    ○委員長(郡祐一君) 他に御発言はございませんか。……御発言もないようでありまするから、討論は終局したものと認めて、直ちに日本国における国際連合の軍隊の地位に関する協定の実施に伴う刑事特別法案の採決に入ります。本案を原案通り可決するに賛成の諸君の御挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  10. 郡祐一

    ○委員長(郡祐一君) 多数と認めます。よつて本案は多数を以て原案通り可決すべきものと決定いたしました。  只今可決せられました両案につきましては、例によりまして委員長の本会議における口頭報告の内容等は、便宜御一任を願います。  両案に賛成の諸君の御署名を願います。   多数意見者署名    [利息制限法案〕    小林 亦治  楠見 義男    宮城 タマヨ 宮本 邦彦    青木 一男  一松 定吉    三橋 八次郎 上原 正吉    中山 福藏    〔日本国における国際連合の軍隊の地位に関する協定の実施に伴う刑事特例法案〕    小林 亦治  楠見 義男    宮城 タマヨ 中山 福藏    木村 篤太郎 上原 正吉    宮本 邦彦  青木 一男    一松 定吉
  11. 郡祐一

    ○委員長(郡祐一君) ちよつと速記をとめて。   [速記中止]
  12. 郡祐一

    ○委員長(郡祐一君) それでは速記を始めて。  次に、日米相互防衛援助協定等に伴う秘密保護法案を問題に供します。前回よりの質疑の続行をいたします。
  13. 羽仁五郎

    ○羽仁五郎君 この法律案について第一に伺わなければならないと思いますのは、憲法との関係でありますが、具体的に伺いたいと思いますのは、刑法の第八十五条から八十八条までの条文が今日削除されております理由、それを法制局長官から伺つておきえいと思います。
  14. 佐藤達夫

    政府委員(佐藤達夫君) 御承知の通りに、終戦によつて元の軍が解体されましたからしてれその関係から不必要になつたということで削られたものと思うのであります。
  15. 羽仁五郎

    ○羽仁五郎君 そうしますと、この本法案は旧刑法第八十五条から八十八条までとに規定されておりました内容と内容上関係がございますか、ございませんでしようか。
  16. 佐藤達夫

    政府委員(佐藤達夫君) 旧刑法では、この元の刑法八十五条乃至八十八条の条文の趣旨は、恐らく日本の国を守るという根本趣旨から、守るための必要という根本趣旨からできておつたものと思います。その意味では今度の法案も日本の国を守る必要という根本趣旨に基いておるのでありますから、その意味においては共通点があると申上げてよろしいと思います。
  17. 羽仁五郎

    ○羽仁五郎君 そうしますと、刑法八十五条から八十八条までを削除した理由が、今日なくなつたというように政府のほうではお考えになつておるかと、即ち軍隊がなくなつたのが軍隊が又発生したということになりますが、それでよろしいですか。
  18. 佐藤達夫

    政府委員(佐藤達夫君) そこまでは突込んで実は考えておりませんので、とにかく現実的に見て、今の刑法をひもといてみれば八十五条乃至八十八条の元の条文はなくなつて来るわけです。そういうもののなくなつておる現在の法制の下においてれそうして一方においては自衛隊を作り、又MSAの兵器をもらうという新らしい事態が発生しておりますからして、すなおにこの新らしい事態を母体にして考えてこういうことが必要だろう、極めて純真な気持でできておるわけであります。
  19. 羽仁五郎

    ○羽仁五郎君 この旧刑法八十五条から八十八条までが削除されたということは、軍隊或いは武力行使或いはそれに伴う秘密或いはそれの漏洩ということはなくなつたから、これを削つたというお答えでありましたが、そこには原理的にもつと深い問題があるのではないか。即ち単になくなつたのではなく、それらをなくすべきだという主張が削除の根拠となつていたのじやないか。即ち憲法において戦争の放棄、で憲法における戦争の放棄、それから刑法八十五条から八十八条までの削除というものの基礎には私は重大な問題があると思う、それは国民の基本的人権というものが第一であるか、それとも軍事的秘密というものが第一であるかという点だろうと思います。で、現在の憲法及び現在の刑法というものは、国民の基本的人権というものが第一の問題である。パラマウントのものである。軍事的秘密というものは区々たるものである。我々が国を守るのに基本的人権を守つて初めて国が守れるのだ。又守るものがそこにできるのだ。これを第二のものと考え手て、軍事的秘密というものが第一のものだというような考え方をすれば、基本的人権は確立しないし、従つて守るに値いするものがそこに確立しないし、又それを守る方法の上においても、国民の基本的人権というものを尊重しないで、どうして国を守ることができるであろうか。即ちもつと端的に申上げれば、国民を大事にしてこそ守るものもできれば、その国を守ることもできるのである。軍隊とか、戦力というもので、国を守ろうという考えでは、守るに値いする国もできなければ、その国を守ることもできないのである。もつと端的に言えば、文化というものが大事なのか、それとも戦争というものが大事なのか。敗戦によつて我々が経験したことは、武力などによつて国が守れるものでないということを学んだ以外には、あらゆる犠牲というものは無益になるのだろう。今日まだ愛する家族の許に帰れない人がいる。そのときに又この日本から外国に国民を出そうということを、政府が軽々しく先日来衆参両院において答弁しておられるようであるが、あなた方御自身にしてみたところが、自分の家族の許に帰れないで外国に今日までいる、或いはそのために今日まで巣鴨なり、何なりに入つておる人がいる。その人の問題を解決しないで、新たに日本国民が海外に行くことができるのだという答弁がどういう意味でおできになるのか。この点で私は木村長官、並びに佐藤長官に向つて伺いたい。ですが、今政府は団民の基本的人権が第一のものであるというふうにお考えなのか、それとも軍の秘密というふうなものが第一のものであるというふうにお考えになつておるのか、どつちですか。
  20. 木村篤太郎

    ○国務大臣木村篤太郎君) 国民の基本的人権の大事なることは、羽仁君と同様に私どもは考えております。かるが故に我々は国の安全を期したいと考えております。国の安全が期せられなければ、根本的に国民の基本的人権が確立されぬのであります。我々といたしましては、今羽仁君が自衛隊が海外派兵するというふうな懸念をお持ちになつておるようでありますが、さようなことは断じてないということはしばしば繰返して申上げたところであります。ただ外部からの不当攻撃に対して、国を守つて行かなければ、国民の自由も、基本的人権もすべて御破算になつてしまうのだ。それを守つて国の安全を期しようというのがこの法案の趣旨であります。我々といたしましては、どこまでも国民の基本的人権を尊重しなければならんという精神には変りないのであります。
  21. 佐藤達夫

    政府委員(佐藤達夫君) 今木村長官の答えましたところに全く同感でございまして、何ら附加すべきものを持ちません。
  22. 羽仁五郎

    ○羽仁五郎君 今の政府の御答弁を我我は信ずることができるかできないかということは、即ち国民の基本的人権というものを制限するには、よくよくの場合でなければ制限できないという態度をとられる場合にのみ、そういうことが、言われると思います。従つて先日来亀田委員からの御質疑に対して、国民の人権というものを制限するのに、制限せざるを得ないような現実の様々の問題があるのかという質問に対して、そういうものがあろうとなかろうと、そういう必要がある。又そういうことが起つては大変だから制限するのだというお考えは、これは只今の御答弁と矛盾するものだと考えます。国民の基本的人権というものは尊重する。尊重するということは制限しないということです。これを制限するには、よくよくのことがなければ制限することができない。そのよくよくのことがあるかと言えば、そのよくよくのことはない。そのよくよくのことがないのだが、よくよくのこと起るようでは困るから制限するという御答弁だつた。この点は是非本案審議の過程において政府の態度を明らかにせられたい。即ち政府は敗戦前旧帝国憲法時代と同様に、法律によつて基本的人権は制限し得るものという、お考えであるのか。それならばそうだということをはつきりさして頂きたい。それとも新憲法によつて基本的人権というものは制限することはできないものだというお考えの上に立つておるのであるか、いずれであるかお答え願いたい。
  23. 木村篤太郎

    ○国務大臣木村篤太郎君) よくよくのことが発生してしまえば、これはすべてことは破壊に導いてしまうのであります。ことのならざる前に我々は大所高所からしてその手当をすることが第一必要であろうと考えます。世界独立国家大多数の国においてはことごとく軍備は持つております。而もそれに呼応してこの規律を守る法案ができておることは御承知の通りであります。日本においては、アメリカの駐留軍と日本の只今の保安隊、将来におきます自衛隊と手をとつて、日本の国の安全を守つて行こうというのであります。従いまして国の安全を守るためには、それだけの手当は是非とも必要である。本法案も百の安全を守るという根本趣旨から来ておるのでありまして、国の安全を守るということは、もとよりこれは公共福祉と一致するのであります。公共福祉のためには国民の基本的人権も或る程度制限するのは、これは止むを得ざる事理であろうと我々は考えております。その大所高所の見地から我々はこの法案を提出しておるわけであります。
  24. 羽仁五郎

    ○羽仁五郎君 刑法第八十五条から八十八条までが削除されましたその理由について、当時、つまり第一会国会でありますが、昭和二十二年、そのとき」の政府委員の説明というものを今日政府委員は認められるのですか、認められないのですか。
  25. 佐藤達夫

    政府委員(佐藤達夫君) 昨日実はそれを役所で見ようと思つておりましたが、実は見ておりませんですが、ちよつと内容を……。
  26. 羽仁五郎

    ○羽仁五郎君 理論上はどうですか。法制局長官、第一回国会において政府委員が答えた答弁の趣旨というものは、現在の政府もそれに責任を負うものであるのは当然であると思うのですが、この間からときどき別の内閣が答えたことだから責任は負わないとか、或いけ自分が大臣でなかつたときのことだから知らないとかいうことを政府は言われるようですが、これはいずれかの党派の別に幹事長が答えたことでも何でもないので、日本国政府国会において明かにされたことだから現在の政府もそれを、忠実に守られ、それに責任を負われるのが理論上当然じやないですか。今取寄せてお眼にかけますけれども、その前に理論上どうですか。
  27. 佐藤達夫

    政府委員(佐藤達夫君) 責任という問題になりますとこの間からずつとお答えしておる通りであつて、責任がずつとあるということになりますると、たまたま同じ内閣、仮に吉田さんの第一次内閣のやつたことでその間違いが今発見されたという場合には、第一次吉田内閣の不信任決議が今の衆議院でできるということで、そうして和田博雄さんだのここにおられる一松さん、当時の閣僚がみんな責任を負わなければならんということになつてしまつて、これは理論上から言うと、そういうことはあり得ないので、そういう意味の責任関係というものは、これはみんな責任というものが一つの内閣ごとに区切りがついて基礎が変つて来ておりますから、そういうことの意味の責任というものは、これは論理上成立たないことだと思います。ただ併し今のお言葉の中で傾聴に値することは、とにかく政府として説明したことじやないか、それを知らぬ存ぜぬとして政府として言い張ることができるかどうかということは、これは責任の問題とは別としてとにかくそういう趣旨で仰せられたというなら、それは責任の問題としてそれを一応尊重してこれは見て行かなければならん。併し今度、は法律屋としての立場から御説明いたしますと、とにかくこの法律の解釈というものは飽くまでも法律の成文に現われたところ、その文理解釈、条理解釈等によつて普通の解釈によつてこれを解釈して行かなければならないのであつて、そのときの理由というものはこれは翌々の第三次、第四次の場合の参考になりますけれども、理由を以て直ちにこれを正面の解釈を振りかざして行くということは、これは全然できないと思います。例えば裁判官のような全然手続の過程を御承知ない方が、冷やかな第三者の客観的な立場において判断してれそうして正しい判断が下されるということであります。その制定のときの理由とかいうものは、法律解釈の筋から言うと、末のほうのものであるということを先ず申上げなければならんと思います。併しながら今速記録をお取寄せになつておると思いますけれども、私のほうでは恐らく工合が悪いということで御指摘なさろうと思つておるようなことがあるかも知れません。併しそれは新憲法戦争放棄という条文が入つたから、新憲法の精神から八十五条乃至八十八条は要らなくなつたのだということが或いはあるかも知れない。それがきつと私たちをいじめようとしてお考えになつているところじやないかと思いますが、それはやはりこの軍事上の問題を取上げて、もとの刑法はあるわけですから、いわゆる正確な意味での軍事上云々という問題になりますと、これは私は新憲法の下では厳密な意味の軍事ということはあり得ないと思いますから、その意味ではちつとも矛盾していないのだということの意味で考えております。
  28. 羽仁五郎

    ○羽仁五郎君 佐藤さんの論理学を多年に亘つて拝聴しているので参考になる点が多いのですが、あなたはいつもソフィスト的な論理を弄せられる。私は、いつも政府の責任と言つているのは、明確に国会における速記録に残つているところのものについて責任を負うかということを言品つているのです。ですから先ほどおつしやるような或いは和田博雄君というようなそういうような人の場合とは全く違うと思う。且つ又その国会速記録が、どういう場合に政府が責任をとるべきだという場とかと申せば、例えば今の裁判所においてそのいずれの解釈をとるべきかといううように五分々々の疑問がある場合、そういう場合にはその立法の際の国会における政府委員の答弁というものが唯一の私は判断の根拠だろうと思う。で、若しそうでないとするならば、国会というものは無益です。我々がここであなた方の御答弁を伺うということは、そんようことはやて、本日はメーデーに参加するほうが遥かに有意義であるという理論が成り立つて行く。だから国会というものは国憲の最高機関であるということを誠実にその趣旨に副おうとするならば、法律についてその解釈について五分五分の疑惑がある、或いは有力な疑惑がある、或いはたとえそれが少数であつても併し深刻な疑惑がある、こういうような場合に、政府委員が国会においで説明されたその説明というものに対して、たとえ後の政府といえ、ども責任を負わなければ、国会の機能というものは無に帰するのじやないか。この点どうですか。
  29. 佐藤達夫

    政府委員(佐藤達夫君) おつしやるような二面の考え方というものは確かに成り立つと思いますけりども、まあ国会が一体政府をそれほど重く見て下さつているかどうか、又重く見て下さるべきものかどうかということも又一つ私どもとしては反省になるわけです。政府の説明といえば、理論的に言えばほんの参考資料であつて、参考に国会が取り上げて、その説明をそのまま国会が採用して、国会意思を決定されるということになれば、私どもの戦力論にしたところで、国会が皆御承認になつたといつて世間に向つて威張れるのでありますが、そういうことになるかどうか。おつしやることはよくわかりますけれども、それに対して成るほどという気持もしますけれども、深く考えると、それほど政府の説明というものは重く見て頂けるのか、どうかという本当に謙虚な気持も湧き起つて来るというのが本当の私の心情でございます。
  30. 羽仁五郎

    ○羽仁五郎君 それじやあ何を聞くのも無駄で、我々自身で判断するよりほか仕様がないと思つておりますけれども、いわゆる討論の過程で信疑を表わす、或いは国民に了解を求めるという重大な、私は今おつしやるようなことじやない、もつと重大な意味が国会というものにはあるであろうと思う。先日来政府は或いはその一方においてはいわゆる検察庁法第十四条の適用というようなことをやり、他方には陋劣な手段を通して不信任案の否決というようなことをやつて、これは先日ラジオで、NHKで岩淵辰雄という権威ある政治評論氏が、現在の政府はクーデターをやつているということを言つている。これを全国民が聞いておる。現在の政府がクーデターをやつているということはこれは重大な発言です。現在の政府がクーデターをやつているなら、現在の政府は破防法の適用を受けなきやならん。クーデターをやつているというのは、憲法を覆している。それをいろいろに三百代言的に言い逃れようとも、国民の間にそういう批判があるということについては、十分に反省されなきやならないことだと思う。そして又この間からしばしば参議院においても、この委員会ではまあそういう発言はないようですが、教育二法案なんかについては、文部大臣は、反対論があるなら反対したらいいじやないか、何もそういう反対論について一々政府が詳しく答弁する必要はないということを言つておられる。反対したいなら反対すればいいというのなら、何も国会を開く必要はない。実力によつて反対すればいい。そういうことなら、それじやあ私は、木村長官は曾つて法務総裁なり法務大臣として、そういつた実力行使というものは飽くまで避けたい、国会という合法的な機関を通じてそうした問題を解決したいということをこの委員会でもおつしやつたと思う。又今日でもそういうお考えには変りはないと思う。ですから今法制局長官がおつしやつているようなお答えでは、私はこの委員会にしたところがやめちやつて、我々の解釈に従つてこの法律案に賛成するより仕方がないということになつて行くのじやないかと思う。私は、この速記録における政府委員の答弁というものに対しては、政府は責任を負われることが当然だと思う。  そこで今速記録が手許に入りましたから伺いますが、第一回国会昭和二十二年七月二十五日参議院司法委員会会議録第三号五頁そこに国務大臣が次のようなことを言つておられます。「改正の第二の点は、戦争の放棄及び国際主義の原則に関するものでありまして、その一は戦争状態の発生並びに軍備の存在を前提とする現行の外患罪の規定を改め、外国よりの武力侵略に関する規定といたしたことであります。こういう御説明があります。この御説明の中に、現在の憲法というものは日本に戦争状態というものの発生というものを、認めていないという解釈を政府は当時とられておりますが、現在の政府はどういうお考えなんですか。
  31. 木村篤太郎

    ○国務大臣木村篤太郎君) 御承知の通り、現憲法では国際紛争のためには戦争をしない。国際紛争解決の手段としては戦争しない。これは根本原則であります。併し国際紛争解決の手段とは別箇の、不当に外部からの武力攻撃に対しては国家がみずからを守るために、これに対して何らかの処置をすることは、これは当然の事実であります。一国の存在も又個人の存在と同様であろうと我々は考えております。従つてこの見地から我々は日本の国の外部から、の不当侵略に対して、これを防御して国家安全を期するということは、これは当然の我々の義務であると考えておるのであります。なお、先ほど羽仁委員の御発言中、政府は不当な陋劣な手段を以て不信任案を否決した。これは少し私言い過ぎではなかろうかと思います。政府は決して陋劣な手段を用いて否決したわけではありません。又岩淵君がクーデター云々、岩淵君がどういう言辞を弄したか詳しく知りませんが、これは又私言い過ぎと思う。政府は決してクーデターをやつたわけでも何でもありません。さようなことはよほどお慎み入下さらんといかんと思う。私は国民を誤まらせる。クーデターということは容易なことでありません。さようなことは政府は断じてやらないのであります。
  32. 羽仁五郎

    ○羽仁五郎君 現在政府が陋劣な手段を評し、クーデターをやつているという批判があるということに対して政府が反省の意思を示されないで、相手にあべこべにそういうことを言う人に慎めというようなお、言葉をお使いになるという点が、批判の対象となつているので、これは言論です。言論に対しては喜んでこれを迎えて、そしてこれをみずから自己批判をせられるという態度をとるのが私は民主主義だと思います。クーデターというふうなことを言うのはけしからん、陋劣な手段を弄したなどということを言うのはけしからんというお考えの底には、やがてそういう品に物を突つこもうというお気持があるのじやないか。この間から問題になつている東京都内の小学校で起つた幼児に関する悲惨な事件、あれらについても実際世間では政府は我々の口の中に何か入れようとしている、これもやはり私の言葉ではない。ラジオを通じて評論家が言つておられることであります。正木昊君が言つておる。政府が国民の口の中に何かを入れて我々を黙らせようとすることは、次に政府が国民に向つて暴行を加えようとしてる。こういう言葉よりもつと激しい言葉を使つている。我々国民の口の中に手拭いを突つこむとか、泥ぼうとかいうことを言つておられます。これらは今おつしやるように或いは行過ぎの言葉であるかも知れない。併しながら国民をしてそういう行過ぎの言葉をも吐かしめる。そういう言論に対しては私は政府は十分に自己反省せられるべきだと思う。又その自己反省の態度をお示しになるのが民主主義だと思います。これをそういう言葉を慎めというふうにおつしやれば、我々は慎んで何も言わないということになつてしまう。それが民主主義に立脚せられる政府として歓迎せらるべきことでありましようか。我々は政府のなさることについては陋劣な手段を、弄したらしいと思つても黙つている。或いはクーデターをやつたと考えられるけれども黙つている。政府は我々の口の中に何かものを突つこもうとしていると言うのは、まさにそれです。我々の口の中に手拭いを突つこもうとしている。それに対して不安の感に堪えないで発言するということもよしてしまう。そういうことをよされることをあなたは御希望になるのですか。
  33. 木村篤太郎

    ○国務大臣木村篤太郎君) 私はそうは申さない。批判は御自由です。併し批判をするなら、そういう穏やかならん言葉を使うことは民主主義に反する。クーデターとした、陋劣なる手段を弄した、こういうことは明白に一々事実を列挙してこれを言うべきである。ただ陋劣な手段、陋劣な手段、そういうことではむしろ国民を誤まらしめると思う。陋劣なる手段を使つたと言うならこういう陋劣な手段がある、これは政府は反省しろ、それは当然です。併し単に陋劣なる手段、陋劣なる手段では、これは国民を誤まらしめること甚しいと思う。決して民主主義ではない。批判は自由にしてよろしい。併しその言葉使いにおいても、成るたけ国民を誤まらしめないようなことに持つて行かなければ、本当の民主主義というものは私は発達しない。そこを私は言うのです。  クーデターというのは容易ならん言葉です。いわんや政府が陋劣なる手段を以て不信任案を否決した。陋劣なる手段というのは何を以て言われるか。こういう陋劣な手段があるから政府は慎めと御批判なさるのは、これは御自由です。
  34. 羽仁五郎

    ○羽仁五郎君 その点が殊に法務委員会では私は十分に政府がお考えを願わなければならないと思います。言論は自由であるというふうにおつしやりながら、併しその言論の表現の仕方には慎しんでもらわなければならん点がある、或いは国民を誤まるようなことは慎んでもらわなければならん、これはこの言論というものを本当に尊重せられるか、それともやはり言論というものに対して、独断的な統制を加えようとれておられるか、これはあなたもよく御承知のことと思いますが、戦争中軍部などの言論に対する態度はつまりそれだつた。建設的な言論は歓迎する、併しながら破壊的な言論は絶対禁止する、併し言論は尊重する。併しながら表現の仕方については慎んでもらわなければならん。これは私はよくこの秘密保護法案をここで御説明なさるときに御反省を願いたいと思うのですが、言論は飽くまで言論です。どんなひどい言葉を使つても、そこに実害は発生しない。私は繰返して申上げますが、ギリシヤ以後言葉が害をなすということはないのです。勿論私はできるだけ失礼に亘つたり、或いは国民を誤まらせたり、或いは無用な激しい言葉を使おうとしておるものではない。併上陋劣な手段を用いるということは、これは私の言葉じやないのです。世間の言葉である。その世間の言葉というのは、何を指すかと言えば、反対党でその党議を、以て不信任案可決ということが決定されておりましたときのことを指すのです。そうしてクーデターということは、これはあなたは……これは岩淵君の、いずれも私の言葉じやありませんけれども、併し私がそれらの言葉を引用するのは、それは決して根拠のないことじやないのです。いずれにせよ、根拠があるかないかということについて、少くとも議論の余地があることなんです。それはあなたもお認めになるだろうと思う。全く根拠なしというあなたのお考えもございましようが、併し社会にはそれに根拠があるという考え方もある。それで私が申上げたのは、まあ政府がクーデターをやつておるというふうなことがNHKを通じて言われるということが、私はあなた以上の問題を感ずればこそ、ここでそれを、申上げるのです。私自身はまあこともあろうに、NHKを通じてそうして、日本の政治評論家として多くの信頼を受けておられる方が、そうしてこの方は恐らく吉田内閣に対してそう基本的な反対の立場を従前からとられていたわけじやないので、相当同情的に御覧になつていた評論家じやないかと思う。そういう方がそういう言葉をお使いになる。これは勿論あなたが今おつしやるように、それによつて国民の判断を誤まらせるという点も考えなければなりませんが、併しそれを最後に救うものは政府の態度です。これは国民を誤まらしめたからといつて、その人の口を黙らせるということによつて問題は解決しないのです。事実において政府がクーデターなどを行なつたのではない、実に民主主義的な政府であるということを国民が服すれば、それによつて初めて問題は解決するのです。私はこの秘密保護法提案に当つて第一に政府が明らかにせらるべき、態度は、この国民の基本的人権、なかんずぐ言論の自由というものを最高のものとして尊重するという態度をおとりになるかならないかというところにかかつて来ると思う、その点についてどうですか。
  35. 木村篤太郎

    ○国務大臣木村篤太郎君) 我々は言論の自由を認めるのであります。認めるから、この法案についても十分の御審議を願つておるんです。そこで具体的な問題は、この法案についてどこが言論の自由を束縛するかということを、具体的にあなた方は御指摘になつて、これをおつしやればいい。ただ抽象的に政府がクーデタ云々というような言葉を使われるから、私はこの法案の具体的にどこが言論の自由を束縛する、それだから政府も反省しろ、政府も考え直せということであれば、我々も率直にそれについて検討をする、又弁明する。ただ抽象的に政府がクーデター云々、或いは陋劣な手段を以つて不信任案を否決したというような言葉をあなたがここでお使いになるから言うのです。  そういうことがあつてはいかん、如何に言論が自由であるといえども、言論の自由においてもおよそ限度があるのであります。我々は他人を罵倒してそれを快しとしないのであります。率直に我々がこの法案を審議するときには、この法案のどこが言論の自由を束縛する、政府はもう一遍考え直すということであつて然るべきだろうと思います。
  36. 羽仁五郎

    ○羽仁五郎君 その点については本当に私は今長官がおつしやつているようなことじやないと思うのです、問題は……。政府が本当に言論を尊重なさるお気持であるかどうかということをこれは十分明らかにされて、まあいわばこの法律案の第一条に、亀田委員の御質疑にもありましたが、本法案の最初に書かるべきことがあるのじやないか。それはわかり切つたことだから書かないというようなお答えもできるでしよう。併し、この法案が言論界或いはその他長官御自身の御出身である弁護士会、それら有識者の間に与えておる不安も、要するに政府は言論の制限ということを容易になし得るという立場に立つているのじやないか、それを危惧されているからなのです。私は言論は、自由だ、けれどもその言葉の表現の仕方には文句があるというお立場をおとりになるかどうか。法制局長官の御意見を伺つておきましよう。
  37. 佐藤達夫

    政府委員(佐藤達夫君) もとより言論は自由でございますけれども、これが他人を害するような形になつて参りますると、人権の限界を越えておる。例えば名誉を毀損するとか、侮辱に亘るということが基本的人権の、保障されている基本的人権の限界の外であろうということを申上げたいと思います。
  38. 羽仁五郎

    ○羽仁五郎君 憲法が私は第一に保障しているのは言論の自由だと思う。それで今おつしやるようなことは第二義的な問題である。これは誤つてしまうと、旧憲法時代と少しも変らないのじやないかと思いますがどうですか。
  39. 佐藤達夫

    政府委員(佐藤達夫君) それは誤つししまえば、旧憲法と同じになることはおつしやる通りと思います。
  40. 羽仁五郎

    ○羽仁五郎君 今の刑法から第八十五条から八十八条が削除されましたときの政府の答弁で、前の旧刑法の八十五条から八十八条までは、日本に戦争状態の発生ということが前提となつて設けられておるところの基本的人権の制限である。然るに今日は日本には戦争状態の発生ということは予想されない、従つてこれらが削られたのだ、この点についは御答弁は如何ですか。
  41. 佐藤達夫

    政府委員(佐藤達夫君) これは先ほど私が先廻りしてお答えしたところで尽きるように思います。更に言葉を添えて申しますならば、当時残された条文を御覧頂くと、八十一条、八十一条等があるわけでありますが、これらにもやはり「外国二通諜シテ日本国ニ対シ武力ヲ行使スル」というようなことがあるのでありますが、これは本質的な部分と、そうでない部分と両方あると思います。例えば軍事上の秘密なんというものは、当時として大体立法政策の問題としてもこれは軍隊というものは……、これは立法政策というよりも、司令部の指令といつたほうが率直かも知れませんが、そういうことで軍隊はなくなつた。と同時に軍法会議もなくなつた。陸軍刑法もなくなつた、海軍刑法もなくなつた、そういう時代とありますから、それもこの要素の中に入つております。それよりも恐らく憲法との関係をお聞きになりたいのだと思うのですが、要するに先ほど申しましたように、軍事上というような言葉は、厳格な意味での新憲法の趣旨に合わない、そういうことは確かにあつ
  42. 羽仁五郎

    ○羽仁五郎君 この言葉の本来の意味において、軍事上の秘密というものは、今日の日本に存在し得ない、でこれは決して枝葉末節のことを申上げているのではないのです。ところで現在この立法によつて政府が守られようとするような、そういう軍事上の秘密というものと、憲法が禁じておるところの軍事上の秘密というものの間には何か違いがなければならんと思うのです。この違いは一体どういうところに政府はお認めになつておるのであろうか。
  43. 佐藤達夫

    政府委員(佐藤達夫君) 形式論理といつて御批評を受けるかも知れませんけれども、根本の筋を辿つて行きますというと、憲法でとにかく戦力を禁止しておる。いわゆる我々の正確な意味で言つておる軍備というものは憲法では禁止しておる。或いは交戦権というものは禁止しておるという場合から言いまして、本格的に言いますならば、厳密な意味でのいわゆる軍備というものはいずれの面からも持てないということは、これは明らかだろうと思います。そういう関係から今の結論がずつと導き出されて来るように思います。今度御提案申上げておるのは、とにかくこの憲法の第九条に抵触しない限界内において自衛力を持とうということが前提になつて、そうしてそのための手段として自衛隊を持とう、そうして武器アメリカから借りよう、その武器は秘密がついておる。その秘密を守らなければ、結局その目的を達し得ないという論法で結論が出て来る事柄のように考えております。
  44. 羽仁五郎

    ○羽仁五郎君 先日、本委員会で公聴会を開催せられましたときに、大竹公述人もそういうことをおつしやつていたと思うのでありますが、旧軍機保護法或いは国防法保安法、そういう時代には日本が本来的な軍事上の秘密があるという考え方の上に立つておる。けれども今日の日本としては日本に本来的な事事上の秘密プロパーというものはないという考え方の上に立つべきものだというふうに了解できる御意見を述べておられたのです。私は傾聴すべき御意見だと思います。我々として考えなければならないことは、そこに如何なる差があるのか、その違いが何であるか、その差は立法上どういうふうに尊重さるべき一ものかということが、私は第一の問題だと思うのです。憲法との関係において私は実際政府御自身ばかりでなく、我々もこういう立法がなされる上に、飽くまでやはり違憲の疑いがないという立法に行くべきものだと思う。その点から丁度言葉は語弊があるかも知れませんが、政府が使つておる戦力なき軍隊と言つておる。そうするとそれと並んでこれに適用さるべきことは、秘密なき軍隊ということであるならば、それは完全に一致するのです。戦力なき軍隊ということは同時に秘密なき軍隊ということであるのじやないか。然るにここに秘密というものが保護しなければならんというお考えになつて来るとすれば、その秘密が違いがあるのだ。つまり軍事上の秘密プロパーというものと、それからここで規定されようとする秘密というものは本質的に違いがある。その本質的な違いというものは、そうしてその軍事上の秘密プロパーではない軍事上の秘密というものを立法上保護しようとするならば、どういうふうにしなければならないか、この点について考えなければならないと思つて伺つておるのです。私はこの近代的な国家における軍事上の秘密の取扱い方はいろいろ取扱い方があると思うのです。今までの衆参両院におけるいろいろな質疑を拝見したり、読んだりしても、大体私は三つのものがあるのじやないかと思う。それは今申上げる敗戦前の旧帝国憲法が主張していたような軍事上の秘密プロパーというものがある。それは基本的人権よりも遥かに高くなつておりましたよ、事実上……。さつき濫用されれば同じだというふうにおつしやつていましたけれども、濫用以前に、旧帝国憲法時代には基本的人権というものは認めていないのです。ただ言葉の上に認めているように言つても、軍事上の秘密というものをそれよりも重く考えた。国の安全というようなものを害すれば、殺しても何してもいいというような考えがあつたから、そういうような意味における軍事上の秘密プロパーというものと、それからそれとは全く逆の、反対の側と言いますと、現在のいろいろな法律で問題なく認められておるような、いわゆる行政上の秘密というようなものは、いろいろな法律が出ておりますね。公務員に関する秘密とか、この二つのものは明らかです。で、その中に今度はいわばその中間のようなものとしてここに立法を御希望になつているような種類の秘密というものが出て来るのじやないか。で、私はその点について法制局長官が詳細に、そうして我々の啓発されるような説明をして頂ければ有難いと思います。
  45. 佐藤達夫

    政府委員(佐藤達夫君) さすがによくおわかりになつていると思つて感心して伺つたのでありますが、戦力なき軍隊というものと秘密なき軍隊というのと、これは同列にならないのです。戦力なき軍隊という言葉そのものが如何にも政府が言い出したことのようなお言葉ですけれども、これもちよつと濡衣でございまして、これは新聞記事に出た非常にスマートな表現であります。政府がそんなスマートな表現をした覚えはございません。そこで、戦力なき軍隊という場合には、これは勿論憲法に照してこれを考えれば戦力に達しない規模のもので、そうして交戦権の行使に当らないそういう実力部隊だと、それを翻訳して面白く書けば、戦力なき軍隊ということになるわけであります。これは悪法と直接結び付いておる言葉でありますから、その意味では大いに敬意を表するわけであります。ところが、秘密なき軍隊、これは先ほどのお言葉で非常に感心したのは、秘密なき行政というのは、これは観念上あり得ない。例えば警察について申しますと、秘密なき警察ということがあり得るかどうか。明日踏み込んで調べるのに、あらかじめその秘密をばらしておいて、堂々と踏み込むということでは警察目的を達しませんから、これは先ほどの戦力なき軍隊という言葉とは違つた分野の部面を押えた言葉であると思います。でありますからして、秘密なき軍隊ということではなしに、とにかく一つの国を守るという実力組織について秘密があるのかないのかという問題でありまして、それを翻訳すれば秘密のない検察権の活動、或いは秘密のない警察権の活動、そういうものがあるかどうか、それと共通の問題であろうと思います。その点は確かに御指摘の通りであると、そう思つております。
  46. 羽仁五郎

    ○羽仁五郎君 それで御答弁よろしいですか。
  47. 佐藤達夫

    政府委員(佐藤達夫君) 私のしやべりました限りにおきましては正しいと思います。従つて、あなたのお言葉の中の一部分と、私のしやべつたところと全く一致しております。一部分と一致しております。
  48. 羽仁五郎

    ○羽仁五郎君 それでは今本案によりまして政府が保護されようとしております秘密は一般公務員の守る対象となつておる秘密と同じ種類のものであるという御答弁と伺いましたが、それでよろしうございますね。
  49. 佐藤達夫

    政府委員(佐藤達夫君) 役所関係の秘密でありまする以上は、すべてその役所のその秘密に関係のある公務員が、厳密にこれを守るべきものでありますからして、その意味においては共通の部面を持つておるわけであります。
  50. 羽仁五郎

    ○羽仁五郎君 その内包において一致するのみならず、外延においても一致しますか。
  51. 佐藤達夫

    政府委員(佐藤達夫君) むずかしいお言葉でちよつとわかりませんが、国民に対して秘密に対する強制を及ぼしながら、その役所の関係の役人は秘密を守らなくてもいいと、そんなものはあるはずはありません。必ず役所の秘密である以上は、役所職員が先ず第一次的に守らなければならない。そういう秘密があつて、その中で役所の内部規律だけで保とうとする場合と、更に役所で守る以外に、一般の外部関係の人にもそれを守つてもらおうとする場合と、秘密の段階においていろいろあるわけであります。
  52. 羽仁五郎

    ○羽仁五郎君 それじや言葉を簡単に申上げて、主としてまあ厳密に同一であるというふうにお考えになるのか、それとも私のほうで多少譲歩して主として同一だというお考えでしようか。
  53. 佐藤達夫

    政府委員(佐藤達夫君) 同一というのはどういう意味ですか。
  54. 羽仁五郎

    ○羽仁五郎君 つまり一般行政上のいわゆる秘密ですね、明日警察が蹈み込むという場合です。検察庁与党幹事長を逮捕するというふうにきめた場合の秘密ですね。それと同じものであるかどうか。
  55. 佐藤達夫

    政府委員(佐藤達夫君) どうもよくわかりませんが、とにかく秘密ということは人に知られちや困るということでありますから、その意味においてはまさに同じことであります。それから先のことはもう少しお言葉を伺わないとどうも答えができません。
  56. 羽仁五郎

    ○羽仁五郎君 それじや一言だけ、次回に詳しく御答弁願いたい。勿論只今願えればいいのですが、国際的にあります言葉のうちにクラシフアイド・マテリアルというのがありますが、クラシフアイド・マテリアルという場合の秘密性、それは今私が伺つているような問題になる、旧帝国憲法時代の軍事上の秘密プロパー、本来の軍事上の秘密というものと、今の行政上の秘密、明日警察が蹈み込むということについて守らなければならない程度の秘密というものとどちらの関係にあるものでございますか。そのクラシフアイド・マテリアルのそのクラシフアイドの言葉の使い方、それはどんなふうに御了解になつているか伺つておきたいのであります。
  57. 佐藤達夫

    政府委員(佐藤達夫君) そういう高尚な立場から深く考えたこともございませんし、又私どもとしてはそこまで考える必要はないので、現実的の必要性という角度から、その必要性を達するために、どういう立法をしたらいいかという一言に尽きるわけであります。いろいろ又その点についてはお教えを願いたいと思いますが、そういう角度から考えますと、人に知られちや困るというのが秘密であつて、それが役所関係であれば役所の中にあつてそれを守る手段として、いろいろその秘密に応じての、或いは又その秘密が漏れることの恐ろしさということに応じての手段が法律上、これは立法政策の問題だと私は思つております。立法政策の問題としていろいろな手段が法律的に考えられて行くということに尽きるのじやないかと思います。
  58. 羽仁五郎

    ○羽仁五郎君 この問題はつまり第二の問題、即ち第一の問題についてもまだ私は伺わなければならんと思うのですが、第二の問題としてやはり十分に御説明を願つておかなければならないと思いまするのは、この日米相互防衛援助協定の中で、アメリカにおいて秘密とされているものと同等の取扱を日本でもするということなんですね。このアメリカで秘密とされているものはアメリカに国内法があつて、マクマホン法そのほかの法律がありまして、外国にこれを、日本もそれによつて、アメリカから見れば外国ですが、外国にアメリカから渡す秘密には等級があり、制限がある。従つてアメリカにおいて外国にこれを譲ることのできろ法律というものは、アメリカにおいてはどういう措置によつて守られているものであるか。立法によつて守られているものであるか、或いは行政措置によつて守られているものであるか、且つ又その立法の場合にもアメリカ国民全体に及ぼすところの立法によつて守られているものであるか。それとも直接その秘密を扱う人だけによつて守られているものであるか。その点で私は三段になつているというふうに考えられるのです。で、先日来各委員の御指摘の中にもアメリカが、というか、日米相互防衛援助協定によつて要求せられておる措置というものには、いろいろな措置が考えられる。その措置の中で必要にして十分な措置をなせば、我我は、我々はというか、政府はその目的を達せられるのであつて、その必要にして十分な措置以上の措置を本立法において企てられておられるのじやないかという点が非常に大きな疑惑の、重大な疑惑の点なので、その点についての御説明が十分詳細ではございません。そこでこの日米相互防衛援助協定によつてアメリカと同じような措置というときに、アメリカではどういう措置をしているのであるか。今問題になるアメリカから日本に供与するだろうと考えられるような秘密ですね。それをアメリカではどういう措置によつて護つているのかその説明をして頂きたい。
  59. 佐藤達夫

    政府委員(佐藤達夫君) たしかこの間のお話でマクマホン法は我々の宿題になつておるはずでありますから、それをよく研究してお答えしますが、大体の根本から申しますというと、アメリカでも勿論軍隊保護の法律を持つておりますからして、この法律の書き方は幅の広い書き方になつております。ただ、クラシフイケーシヨンのほうのやり方が、これは部内だけの取締り、注意によつてあれすればいいので、それを外に盗まれた場合に、その人を罰するかどうかの記しを付けるまでもないというようなクラシフイケーシヨンは、抽象的にはあり得るかと思います。けれども、これは残念ながら私はそのほうの立場ではないので、そのほうのお答えはいたしかねます。
  60. 羽仁五郎

    ○羽仁五郎君 その点について政府が十分の御研究をなさらないでこの立案をなさつたと私は信じませんが、いま少しく次回に詳しく御説明を願いたいと思います。で、日米相互防衛援助協定の中で、アメリカと同じ取扱いを日本でする。そのアメリカではどういう、取扱いをこの種の秘密についてやつているのか、そうすれば日本でもそれと同じ取扱いをすればよい。で今お話のように例えば部内だけで秘密にしておけばいいというふうにアメリカではなつておるものか。それを日本で国民にまで及ぼすような立法措置をするということになれば、この日米相互防衛援助協定の解釈によつて非常なアンバランスがある。アメリカにおいてとるこの措置と、日本においてとる措置というものと著しく均衡を失するということになる。こういうことが若し生ずると、我々は国民に対して申訳がない。アメリカが要求した以上、アメリカというよりもこの協定が要求する以上のことをこの立法でなすということは、必要にして十分な措置を超えれ日本国民の基本的人権を制限することになる。それは許されないことだと思いますから、今の点ですね、この協定において日本が護ることが要求せられておるところの秘密、それについてアメリカ側ではどういう程度のその秘密の保護の措置をとつておられるのであるかということを詳しく、そしてはつきりと御説明を願つておきたいと思います。
  61. 佐藤達夫

    政府委員(佐藤達夫君) この法律そのもののことについて先ほど触れましたように、法律そのものはアメリカのみならず、どこの国でも軍機保護法という形のものは非常に広い形になつておりますことは御承知の通りでございまして、私は法律そのものとしてのアンバランスはどこの国と比べても、或いはアメリカと比べても勿論のことでありますけれども、この法案はアンバランスは絶対にないと思います。ただ先ほど触れました、どういうものに記しを付けるという扱いの問題になりますと、おつしやるようなことが出て来るかと思います。
  62. 羽仁五郎

    ○羽仁五郎君 どうも私の申上げることが十分おわかりなさらないと思いますから、これは次回にでも一つお等えを願いたいと思うのですが、アメリカが日本に供与する秘密ですね、それはアメリカの国内法によつて或る程度以上の秘密は日本に供与できない、又或る程度以上の秘密を、日本でアメリカが用いるという場合には、その情報を日本に与えることはできませんけれども、MSAに対する反対討論の中でも申上げておきましたが、イギリスのチヤーチルがイギリスの議会で答えられたものの中に、水爆乃至原爆アメリカがイギリスにおけるアメリカの基地において使用するかどうかということについて、事前にイギリスとアメリカとの政府が相談するということは、マクマホン法によつてできない。即ちチャーチルといえどもそれについては確信がない、アメリカが使うのか使わないのかという……。ここに二つの問題があるのだ。でその一つはつまり日本の政府に供与し、九つそれを供与するのですから、当然護つてもらうという相談によつて、日本に供与する秘密というものが、本法の対象になつておるの場だろうと思う。それからもう一つの問題は、先日来木村長官は日本で原爆使用ということは絶対にあり得ないことだというふうに答弁になつておりますが、これはイギリスのイギリス議会におけるチヤーチル首相の御答弁とは大分違つております。で木村長官は日本で原爆、水爆を使用されるということは、飽くまで防ぐというお気持でしようけれども、併しそれをやるかやらないかということは、イギリスの場合では、これはアメリカの決定することであつて、そしてその決定についてイギリスの場合にはイギリスの政府に相談をしない。ですからこの点についてもあとで木村長官から十分に伺つておかなければならないと思うのですが、今差当りその憲法との関係で問題になるのは、日米相互防衛援助協定によつて、アメリカは日本に供与しようとするいわゆる軍事上の秘密ですね。この軍事上の秘密というものは、私の考えるところでは、いわゆるアメリカにおいては部内においてその秘密が護られればそれでいいという程度のものでしかないだろうと思う。それじや日本でその国民の権利をも制限するようなことに、言論の自由というふうな重大な権利をも制限するような立法をなすということですね、そこにアンバランがあるのじやないかということです。で今法制局長官の意見では、どこの国にも軍機保農法というものがある。従つて日本がその法律を作つても別にアンバランスはないということなんでありますが、問題は、この法律案の問題はそういうことにあるのじやない。それはさつきの憲法に関する第一の問題とも関連して来る問題なので、ここで問題になるのは、アメリカが日本に供与するであろうと考えられる秘密なんです。その秘密の取扱いについて、アメリカでは軍機保護法の取扱いで一般的にやつておるのではなくて、その日本に供与することが許されておる程度の秘密というもののアメリカの取扱いですね、それは軍機保護法というような重大な取扱いじやない取扱いでやつておるのであります。で日本でもそれと相対する取扱いをすることは、必要にして十分じやないかという点なんです。
  63. 佐藤達夫

    政府委員(佐藤達夫君) 補足してお答え申上げます。よその国の立法は先ほど触れましたように非常に広いのでありますが、今度の御提案申上げております内容の体裁は、一条の三項に明らかなように、更にそれよりも限定しておることを一つ申添えておきたいのと、それからもう一つはその秘密、アメリカで罰則を以て臨んでおらないようなものを日本で罰則を以て臨むというようなことになるかどうかという点は、先ほど御引用になりましたように、この協定の附属書のBにありますように、向うでやつておりますもので、法律も向うと同等に守つて行くということは当然なことであります。その点は御心配はないと思います。
  64. 羽仁五郎

    ○羽仁五郎君 その同等のものというときに、向うではどういう取扱いをしておるかということを次回にでも詳しく御説明を願いたい。
  65. 郡祐一

    ○委員長(郡祐一君) ちよつと速記をやめて。    〔速記中止〕
  66. 郡祐一

    ○委員長(郡祐一君) 速記を始めて。  次回は六日午前十時から開会することといたし、本日はこれを以て散会いたします。    午後零時十九分散会