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1954-04-09 第19回国会 参議院 法務委員会 17号 公式Web版

  1. 昭和二十九年四月九日(金曜日)    午後一時十九分開会   ―――――――――――――  出席者は左の通り。    委員長     郡  祐一君    理事            上原 正吉君            宮城タマヨ君            亀田 得治君    委員            青木 一男君            小野 義夫君            楠見 義男君            棚橋 小虎君   政府委員    法務省民事局長 村上 朝一君   事務局側    常任委員会専門    員       西村 高兄君    常任委員会専門    員       堀  眞道君   説明員    最高裁判所長官    代理者    (事務総局総務    局総務課長)  磯崎 良譽君    最高裁判所長官    代理者    (事務総局民事    局長)     關根 小郷君    最高裁判所長官    代理者    (事務総局家庭    局長)    宇田川潤四郎君   ―――――――――――――   本日の会議に付した事件 ○裁判所法の一部を改正する法律案  (内閣送付) ○民事訴訟法等の一部を改正する法律  案(内閣送付)   ―――――――――――――
  2. 郡祐一

    ○委員長(郡祐一君) 只今から委員会を開きます。  裁判所法の一部を改正する法律案及び民事訴訟法等の一部た改正する法律案を議題に供します。御質疑のおありの方から御質疑を願います。
  3. 楠見義男

    ○楠見義男君 一点だけお伺いします。それは民事局長一昨日の参考人の陳述の際にもお聞きになつておられておわかりかと思うのでありますが、私はその節に、午前のお二人の参考人の方に現在の特例法を延ばしておくことについて、提案理由においても、これを恒久化すべしだということについての有力な意見もあるが、それに関係せずに今回の改正法案が提案されたと、こういうふうに書いてあり、その点について参考人の御意見を伺いましたが、松本さんの意見は、これは改正法案反対であり、それから特例法案についても反対であり、むしろ現行法を尊重したいという建前でありますからはつきりしておるのですが、菊井さんの御意見私実ははつきりしなかつたのであります。そこで民事局長にお伺いたしたいのは、提案理由でああいうふうにお書きになつておりますけれども、併しそれはいけないので今度のほうがいいのだと、こういうような積極的な理由が実は私にはまだ窺い得ないのでありますが、先ず最初に今度のほうがいいのだという根拠がありますれば、その点をお伺いしたい、それが第一点。それから第二点は、これは質問と申しまするよりもむしろ御説明を煩わしたいのでありますが、特例法においては、判決に軍要な影響を及ぼす主張という言葉があり、それから今回は法令の違背という言葉があるのでありますが、それの具体的な説明を一つお伺いしたいと思います。
  4. 村上朝一

    ○政府委員(村上朝一君) 民事上告特例法を恒久法化することの可否でございますが、民事上告特例法を恒久法化し又は施行期間を延長することにつきまして、在野法曹側の挙つて強い反対がございますことは御承知の通りでありますが、そのほかに特例法を、現行民事訴訟法の上告というものに対する考え方に非常な大幅な改革を試みたものでございます。つまり民事訴訟法第三百九十四条は、上告というものの本質を具体的事件の正しい解決を通じて法令解釈の統一を図る。でありますから、仮にわかり切つた法律の解釈を原審が誤つたり、或いは或る法律のあることを原審の裁判官が見落して間違つた判決をしたというような場合にも、それを取上げて上告審で裁判すべきであるという建前、つまりどこまでも具体的事件の正しい解決を通じての法令解釈ということが上告制度の使命と考えてできておるのであります。  これに反しまして、特例法は法令解釈の統一ということが上告制度の使命であつて、具体的事件の救済、具体的事件による当事者の救済ということはむしろ附随的のものであるという考え方でありまして、何が重要であるかということは、要するに法令解釈の統一を図るために重要であるという意味に解釈されておるわけであります。従いましてたまたま原審の裁判所が或る法律のあることを見落しておつた、或いはわかり切つた法令の解釈を間違えたという場合におきまして、それを取上げて上告審が裁判することが法令解釈の統一上必要のないことである、たまたま或る判事に限つて間違つたので、一般には法令の解釈については少しも疑義がないというような場合に、これは重要なる主張を含むものとして坂上げない建前になつておるわけであります。  そういうふうに上告制度というものに対する根本の考え方が飛躍的に違うわけであります。これを恒久法化するかどうかという点については、最高裁判所の機構と関連いたしましての上告制度、それから民事のみならず刑事の上告制度も最高裁判所の機構に関連して参ります。それから刑事の上告制度は、当然刑事の控訴制度にも、控訴審の構造にも関係して参ります。そういうものと合せて解決する際に、結論を出すべきじやないかと考えたわけであります。今度の改正案は、従来の民事訴訟法の建前におきまして、上告裁判所の負担の調整のために、その他の事項と合せて枝葉末節に亘る法令違背を理由とする上告を制限しよう、つまり基本的な方向は特例法の方向でなく、従来の民事訴訟法の方向で制限しようということにあるわけであります。特例法の施行期間をもう一年なり二年お延ばし頂いて、その間に総合的な対策を立つべきじやないかという意見もあつたのでありますけれども、只今申上げましたように単に民事訴訟法の改正だけの問題でなくて、最高裁判所の機構の問題、刑事の審級の制度の問題等とも合せて解決を、最終的な結論を出すべき問題であろうと思います。一年とか二年とかという期限を切つての特例法の延長ということは、徒らに問題をあとに繰越すだけで、殊に在野法曹も非常に強く反対しておられる問題でもありますので、特例法の再延長という案はとらなかつたわけであります。
  5. 亀田得治

    ○亀田得治君 この民事訴訟法の一部を改正する問題で、総括的に大きな点だけをお聞きいたしたいと思います。それで先ずお聞きしたいことは、法制審議会の司法制度部会、ここで裁判所の構造なりいろいろな問題を全般的に扱つておられる。ただ、その結論を待たないで、今回の改正は取りあえず特例法の廃止に関連して必要な問題を中心にして出して来た、こうなつておるのですが、その事情は一応了解できますが、司法制度部会で全般的な構造について横討をされておるその状況、これはやはり取りあえずこの点をこうするのだというふうな部分的な改正案を考える際にも、やはり呑み込んでおく必要があるのではないか、こう私どもは考えるのです。部分的な改正であつても、やはり全体の方向がどうなつておるか、その線に沿うたやはり結論でなければならんと思うのです。そういう意味でそれらの点が、只今頂いた資料の中にも相当あるかも知れませんが、一応全貌をお聞かせ願いたいと思います。
  6. 村上朝一

    ○政府委員(村上朝一君) 提案理由の説明の際にも簡単に申上げたのでございますが、この法制審議会司法制度部会でこの問題を取上げました経過と、兼ねて民事訴訟法全般の改正を法制審議会の民事司法部会で検討しておりました。一番問題はやはり上告制度ということであります。上告制度の問題を考えるに当つては、最高裁判所の機構問題及び刑事の上告制度と合せて考える必要があるのじやないかということがありましたので、それから昭和二十六年以降最高裁判所の未済事件が急激に殖えまして、二十六年、二十七年を通して七千件を突破しておつたのであります。そこでこういう状態では最高裁判所の裁判官の負担が過重であるというばかりでなく、訴訟事件の解決が遅延いたしまして、結局我が国裁判制度の運用上重大な支障を来たしておるということで、昨年の二月に法制審議会に裁判所の制度の改善に関する諮問についての答申案を作るべく司法制度部会か設けられたのであります。  その司法制度都会に現われました意見を大別いたしますと、三つに分けることができると思うのであります。その一つは、裁判官増員案ともいうべきものでありまして、事件が殖えれば、それを処理するに必要なだけの裁判官を増員すべきだ、そうして今の民事上告特例法や刑事訴訟法で規定しておりますような上告の制限は撤廃すべきであるという案、これが主として在野法曹側の委員から強力に主張されたわけであります。第二の案は、現状維持を主張するもの、最高裁判所の裁判官の員数は現状のままとし、又民事、刑事の上告の範囲も民事上告特例法及び刑事訴訟法の現状のままを維持すべきであるという意見、それから第三の意見が、その中間とも言うべき上告折衷案でありまして、東京高等裁判所に特別の上告部をおいて、民事上告特例法や刑事訴訟法のような上告制限をやめて、一般の法令違背についてすべて上告を許し、それを高等裁判所の上告部で取扱う、そのうち憲法問題だけを切り離しまして、これを最高裁判所へ持つて行くということにしたらどうか、そうすれば最高裁判所の裁判官の人数は現状よりも減らすことができる。又減らすほうが適当ではないかというような意見でありました。この三つの意見が鋭く対立いたしまして、法制審議会の司法制度部会は前後八回に亘つて部会を開き、その間小委員会、幹事会等も随時開いて検討いたしたのであります。それぞれ自説を固執されるだけでありまして、一歩も歩み寄りの色が見えないという状態であつたわけであります。  この法律案そのものは実は事務当局におきまして、万一法制審誠会における最高裁判所の機構問題を中心とする結論が出ないうちに、民事上告特例法が失効するということになつては、最高裁判所の事務の渋滞がますます甚だしくなる。その場合に対処するために民事訴訟法のそれに関連のある機構を中心とした改正案というものは、実は昨年の七月頃から一応の立案をしておつたのでありますけれども、できれば法制審議会司法制度部会における結論が、この民事上告特例法の失効期間前に適当な代案を立てるだけの余裕を以て結論が出ますことを期待しておつたのでありますが、先ほど申上げたような状況で容易に結論が出ないのであります。そこで一つの方法としては、これ以上もう議論しても変つた意見も出そうにない。又歩み寄りの見込みもないということならば、一つ一つ採決して行つたらどうかということも考えたのであります。これは採決のやり方によりましてどうにでも結論が出て来るのであります。例えば増員するかしないかという問題をとり上げますと、増員説は少数であります。上告の範囲をどうするかという問題だけをとり上げて議論いたしますと、現状維持ということには多数になるという状況でありまして、採決のとり方によつてどうにでも結論が出て来るというようなことでは、この重要な問題についての法制審議会の答申としては不適当ではなかろうか。それから又民事の上告、刑事の上告及び控訴等の問題と併せて最高裁判所の機構を更に検討して結論の出る見込が全然ないかと申しますと、私どもとしましてはこのまま三つの意見に分れたまま結論を出す見込みがないとは見ていないのでありまして、実は在野法曹がどういう意見を持つており、最高裁判所がどういう意見を持つておるというようなことは、法制審議会に諮問することもなくてわかつていることでございますけれども、在朝在野及び学界の衆智を集めて、それぞれこれで一〇〇%満足だという問題でないにしても、衆智を集めて一つの理想に近い案を作つて頂くということを実は期待したのでありますが、いろいろな事情でそういう方向に進まなかつたのでありますが、将来の法制審議会の運用の仕方等によりまして結論が出る可能性もあると考えておるわけであります。で、法制審議会に実はその点も諮つたのでありますが、もうこの程度で打切つて採決してしまうか、或いはなお審議を続けるかという点も御相談したのでありますが、この問題についてはなお審議を継続しようということが圧倒的に多数の意見でございました。そこでそれで民事上告特例法が五月に失効してしまう、その対策をどうするかということも、法制審議会の司法制度部会に先ずお諮りした結果、司法制度部会といたしましては、その問題は別に民事訴訟法部会もあることで、民事訴訟法部会のほうで検討してもらおう、併し司法制度部会としてはこの問題については上告の範囲は、民事上告特例法の定めております範囲にかかわらず判決に影響を及ぼすことの明らかな法令違背は上告理由に加えるのが適当である、又不適法な上告は原審において却下することが適当である、その他簡易裁判所の事物管轄も相当程度引上げるべきであろうというような参考意見と申しますか、そういう意見を附けまして法制審議会に報告があつたわけであります。その司法制度部分の決議の内容は先般お配りいたしました上告制度関係資料の中に、第一ページに出ております。  司法制度部会の一応の結論がそういうことになりましたので、更に民事訴訟法部会に諮ることになつたわけでありますが、従来の経過から申しましても、或る具体的な案を土台として検討して頂くほうが能率的であるということから、かねて法務省及び最高裁判所事務当局の手によりまして用意しておりました民事訴訟法改正案及び裁判所法の改正案、この中から要点を抜出しましてこれを土台として民事訴訟法部会に御審議を願つた。その結果民事訴訟法部会において議決されました改正要綱は、その上告制度関係資料の五頁に載つておりますものであります。即ち上告手続の改正、仮差押、仮処分事件の上告の制限、仮執行宣言附判決に対する上告提起等の場合における執行停止の要件の加重、調書及び判決の方式等の合理化、簡易裁判所の事物管轄の範囲の拡張、五点に亘る改正要綱が議決されたわけであります。結局事務当局におきましてこの改正要綱の趣旨及びこの部会において審議の際各委員から出ました御意見等を参酌いたしまして立案いたしましたのが只今御審議を願つておりますこの二つの法案であります。
  7. 郡祐一

    ○委員長(郡祐一君) 亀田さんにちよつと……。宮城さんから家庭局長に質疑をしたいとさつき言われました。今家庭局長が出席されましたのでちよつと宮城さんが質疑をなさいますから……
  8. 宮城タマヨ

    ○宮城タマヨ君 裁判所法の一部を改正する法律案の家事調査官と少年調査官との統合についての問題について家庭局長に数点伺いたいと思つております。この家庭裁判所の家事調査官と少年調査官が統合されまして一体となりますということは、これは理論上から申しましたら適当なことでございまして、むしろそうなるのが本当だと思つておりますのでございますが、これは実際の間順になりましたらどうかという点について私は心配をしておりますのでございます。それは非行少年の調査をいたします上に家庭問題は勿論重大でございますし、又家事裁判の上でその調査をいたしますと、やはりそういう問題が起るような家庭についての少年問題というものも自然に現われて来る場合が多いというように思つておりますので、これは同じ人がやれば一番いいにはいいのでございますけれども、併し今まで歴史も違つておりますし、今までの両方の調査官の非常に力を入れておりました点も違つておりますし、それから従つて現段階では仕事の内容は大分違つております。そういう歴史を打つておる二つのものを今一緒にいたしまして、殊に首席調査官ができまして、両方の調査事務やそれから連絡訓整を図ろうというようなことになりますと、そこに私は幾多の問題が起るのじやないかというように考えております。それで一つ一つを伺つてみるのでございますが、どうしてもこういうことを必要とするという一番重要な点はどこにございますか。
  9. 宇田川潤四郎

    ○説明員(宇田川潤四郎君) お答え申上げます。家事調査官と少年調査官とを統合するというような目的は、両者の事務の有機的な総合的運営を図る、そうして家庭裁判所における家事事件、少年事件の適切、迅速な処理を図る、こう考えるわけでありますが、かような自的のため統合するのでありますが、それに基きまして従来の家事調査官の歴史、少年調査官の歴史から来る特異性をおのおの持つておりますので、これを統合すると却つてその特異性がなくなつて、そうしていろいろな困難な問題が起るのじやないかという質問のようでございますが、多少そういうような懸念はなきにしもあらずでございますが、その目的とするところが先ほど申しましたように調査事務の有機的な、総合的な運営ということは、アメリカの少年裁判所、家庭裁判所の歴史又その後の動き、現在問題になつておりますいろいろな立法などに徴しましても必然的な傾向でございまして、この傾向は又非常に合理的だと考えますので、かようなことを考えたのでありまして、多少の困難はあつても、それを克服してその理想を遂げたい、こういうふうに考えております。要するに両者の有機的、総合的な運用を図りたいというのがその主なる目的でございます。
  10. 宮城タマヨ

    ○宮城タマヨ君 理想は理想として私もその通りに理解できるのでございますけれども、これはさつきも申しましたように、実際問題として問題があると思うので、この統合するということについて全国の殊に地方の調査官あたりの意見をお聞きになつておりますか、一般的に両方の調査官の意見がおわかりでございましたら伺いたいと思います。
  11. 宇田川潤四郎

    ○説明員(宇田川潤四郎君) これはむしろ裁判官の意向が主であります。併しながら家事調査官、少年調査官のうちにも賛否両論がございまして、私どもの考えでは地方の家事調査官、少年調査官の大多数はこれに賛成しておるものと考えております。裁判官に至りますと殆んど全部がこれに賛成しておると申しても過言でないと、こう考えております。
  12. 宮城タマヨ

    ○宮城タマヨ君 地方の小さい家庭裁判所におきましてはこれは統合されましたほうが非常に事実上便利だと思つておりますが、家事調査官のほうは何と申しますか、肩書がえらいと申しますか、地位が高いと申しますか、おしなべてえらい方が集つていらつしやつて、今まで取扱つていらした家事事件というのは非常に民事に関係したことが多いように思つております。それに比べまして少年調査官のほうは歴史も古うございますし、又少年事件に対しては、随分ケース研究なんかたくさん熱心に長年の間やり続けているというような、実質的に仕事に堪能なカが多いときに、その二つを集めまして一体首席調査官というものはどういうふうに取扱おうとなさつておりますでしようか。
  13. 宇田川潤四郎

    ○説明員(宇田川潤四郎君) 家事調査官が少年調査官よりもえらい方が多いというようなことでございますが、これは少年調査官は御承知の通り少年審判所当時から少年保護司というような職種がございましてこれを引継いだ関係上、多少採用の条件その他について家事調査官よりも寛大であつたというところから、現に家事調査官と少年調査官との間の学歴などを比率します。と、まさしく家事調査官のほうが上のものが多いということが言えるのでございます。又半面少年調査官のほうも長年の歴史がございますので、その間に実務を通しての訓練ということが行われまして、これ又特色ある発達を遂げていることは宮城委員の仰せの通りであります。然らばこの二種を統合した際に、その首席をどういうような人を以て任命するかというようなことにつきましては、まだ統合しておりませんので具体的にこれを考えておりませんが、併し抽象的には家事調査官、少年調査官を統合するにふさわしい人格ある識見のある方を以てするならば、事が家事事件も少年事件も同じ家庭の問題でありまするし、問題はものの両面と申しても過言でない一つの問題でありますので、識見のある立派な方を以て首囎に充てるならば、決して運用上支障はないと考えておるわけであります。
  14. 宮城タマヨ

    ○宮城タマヨ君 仕事の面からもそういう点々心配しておりますが、殊に東京なんかのように家事審制部とそれから少年部との建物も別になつておりますような大きい、東京のみならずその他の大きい家庭裁判所におきましての本当に統一された事務の監督や連絡や調整をとるということが、実際はなかなかむずかしいのじやないかと心配しているのでございます。そこでそれ々統合するような立派なカというものが仕事の上からも、人格の上からも、それから肩書の上からも揃つておるところはいいでございましようが、なかなかそういう人はむずかしいと思つておりますので、やはりとちらに力を入れるかということが私は伺いたかつたわけなのでございます。  それともう一つは、今私ども長年念願いたしておりました少年審判につきましてのレフエリー制度というものを、これをできますなら一日も早くその制度を置くべきだというように考えております矢先に、この統合される調査官がその制度を進める上においてプラスになるかマイナスになるかということは、これは大きい問題だと思つております。その二点についてお伺いしたいと思います。
  15. 宇田川潤四郎

    ○説明員(宇田川潤四郎君) 首席家庭裁判所調査官を東京のようなところに一人置くということは、宮城委員の仰せられるような余りにも人数が多いので多少無理とも考えられるのでありますが、こういうような場合には、少年の問題を取扱う調査官と家事の問題を取扱う調査官との上席者を上席調査官というような名前でも作りまして双方に責任者を置くというふうに考えております。  なお家事のほうを取扱う調査官に重きを置くか、或いは少年を取扱う調査官に重きを置いて主席を任命するかというような御質問のようでございますが、これについては今ここでどうとも申上げられませんが、そこは先ほど申しましたような公平に、最も人格、識見共に総合正して足るというような人を置きたいというふうに私どもは考えておるのであります。  なお主席家庭裁判所調査官の制度にレフエリー制度、このレフエリー制度につきましてはかねてより宮城委員よりその設置方を要望されておりますが、これにプラスになるかマイナスになるかというような御質問につきましては、今のところレフエリー制度というものを置いておりませんし、又その具体的な構想も今のところ定まつておりません。目下鋭意研究中でありますので、ちよつとここではお答え申上げかねると思うのでありますが、よく研究の上又機会を見てお答えしたいとこう考えております。
  16. 宮城タマヨ

    ○宮城タマヨ君 この問題に関連してでございますが、地方の家庭裁判所では裁判をなさる裁判官、審判官が専門的な方が少いので、その裁判官の頭と申しますか、殊に少年審判につきまして少年法なんかについての研究、そうして少年保護ということについての熱意が足りないと申しますと甚ず失礼な言い方でございますけれども、そういうことをしみじみ感じるようなときがございます。つまりそれは今日の制度といいますか、予算がないために家庭裁判所がまだ庁舎も独立していない、裁判官も独立していないというようなことで、全く普通の裁判官の頭を持つて、今以てまだやはり応報刑の頭で子供の事件に臨まれる、教育善導というような面について甚だ縁遠いような取扱いがされているというようなたくさんの事例を私は見ております。これは大変大きい問題でございまして、殊にそういう頭を持つている方々から言いますというと、とにかく便利がよろしいものですから、今度の家事と少年との調査官を一緒にするということは、これは地方の方が賛成なさるという点も私はその辺から出ている一つの理由でもあろうかと思つておるのでございます。ところが今年の予算面を見ますと、甚だ貧弱で、これ又期待を裏切られているわけなんでございますが、どうかして家庭裁判所と地方裁判所を早く独立し、建物も独立したものにして、そして専門の審判官をつけて頂く、その下において統合した調査官で以てやられるということを私は熱望するのでございます。そこでそういう頭がございますためでしようか、今以て子供が警察から参りますとき、或いは鑑別所に送られておりますようなときは手錠をはめておりますのが常態のように思つておりますが、この点について最高裁判所の家庭局といたしましては、これもたびたび申上げたことでございますが、何か手を打とうとしていらつしやるような新らしいことでもありますならば、この際聞かして頂きたいと思つております。
  17. 宇田川潤四郎

    ○説明員(宇田川潤四郎君) 専任の裁判官がおらないために、事件の処理上不都合があるというようなお話、又家庭裁判所の建物が独立してこないために、又これ不都合があるというようなお話御尤もでございますが、最近の調査によりますと、一昨年より昨年、昨年より今年のほうが専任の裁判官が非常に殖えて参りましたし、建物につきましても予算が非常に窮屈なために、殆んど新らしい庁舎ができておりませんが、本年度は大阪と仙台が新築落成されますので、今後も一時も早く新らしい建物を作ることに努力して行きたい、こう考えております。  なお、少年に手錠をはめておるが、これに対する対策は如何というようなことにつきましては、私どもも手錠をはめることについては不賛成でございますので、最高裁判所といたしましては護送用の自動車を各家庭裁判所に配りまして、これよつて逃亡の危険を防ぎ、手錠をはめないようにいたすべく努力いたしております。現在数はちよつとここで申上げられませんが、三分の二くらいの家庭裁判所に護送用自動車が配置されておりますので、これが全部の家庭裁判所に廻るような時代が来るならば、東京のようなところは格別、地方におきましては手錠をはめないで同行することができる時代が来るのではないかと、こういうふうに考えております。
  18. 宮城タマヨ

    ○宮城タマヨ君 今日の世界の傾向は、殊に少年の矯正保護に関しましては、だんだん応報刑から教育刑に強い勢いで変つておりますときに、先進の機構改革の問題が起りましたときも、保護局が、これは法務省の関係でございますけれども、保護局が矯正局に吸収されるかも知れないとか、或いはもう鑑別所をやめてしまつて拘置所に子供を留置すればいいじやないかというようなことが一時言われましたというようなことから見ますというと、もう教育で行こうということてなくて、やつぱり罰則を以てしよう、そして逃げさえしなければいい、拘束して逃がしさえしなかつたらいいというような逆転しているような感じが私はしますので、十分少年保羨の傾向につきまして最も私は憂えなくてはならないように考えておるのでございます。そこで私は宇田川局長の家庭裁判所関係の少年に対する取扱いについてこの際伺つておきたいことは、子供を扱います上に、或いは手錠をはめますとか、或いは少年院その他試験観察をいたしますようなところにさえも拘束した処置をするというようなことがまだ大なり小なり行われておりますということについて、やつぱり子供は逃がさない、逃げないほうがいいのでございますが、併し逃がさないために手錠をはめたり、部屋に錠をかけたりというようなことをいたしますことが、私は子供を善導して行く上に非常に差支えがあるというふうに考えております。そこで逃げるということはもう止むを得ない、逃げたら施設の損でもない、それからそれを取扱つておる職員の減俸や罰俸になるというようなことでもない、ただ逃げるということは子供自体に損であるよというように子供に教えたいし、又そういう取扱いをして行きたいというふうに考えております。けれども実際はそうではなくて、やはり子供には手錠をはめたり、子供の部屋に錠をかけておくほうが取扱いの上に非常にいいので、もう教育上どうとかこうとかいうようなことが問題になつて来ないような傾向になつておると私は感知しておりますが、宇田川局長の御主義といいますか、御意見を伺いたいと思つております。
  19. 宇田川潤四郎

    ○説明員(宇田川潤四郎君) 少年院の施設或いは少年鑑別所の施設における物理的な強制力を用いることにつきまして、これを成るべく開放的に行なつて、そうして教育の効果を挙げるべきじやなかろうかという御趣旨のように承わるのでございますが、少年鑑別所の問題につきましては家庭局として余り申上げるのも何かと思いますが、私個人といたしましては、逃走するということは大いに防止しなくちやいけない、それは保護の機会を失わしめるし、又場合によれば治安にも若干関係があるので、大いに防止しなければならないと思いますが、それがために全く教育の効果を没却するような結果になることについては非常に遺憾に思つております。さような次第で常に矯正局或いは少年院、鑑別所の関係の方にも教育効果の挙るように、成るべく物理的な強制力は用いないことが望ましいということをいつでも申上げておるような次第であります。家庭裁判所関係の試験観察の施設につきましては、これは全く強制力を用いるというようなことは最高裁判所の方針といたしましても、又現状の家庭裁判所の方針といたしましても禁じております。私の聞く限りでは、最近は試験観察の施設に連れて行くときに手錠をかけて行くというようなことはなくなつたと、こういうふうに聞いておりますので、さような傾向は非常に喜ばしいと存じております。又そのようなことがございましたならば、私ども極力さようなことがないように司法行政上取計らいたい、こう考えております。
  20. 宮城タマヨ

    ○宮城タマヨ君 裁判所法の一部改正の点につきまして、第三十三条第一項の一号中の、三万円を二十万円にという問題についてちよつと伺いたいと思つております。それは昨日も松本さんの御意見のときにもございましたのですが、弁護士会でもこの高については大変反対なような御意見に伺つたのでございますが、これを政府の説明によりまして大体お納得したように思つておりますけれども、この訴訟物の価額が三万円から二十万円を超えない範囲に拡張されましたと申しますと、民事事件の大半が第一審の裁判所でするというふうな結果になりますというと、簡易裁判所で取扱う事件が非常に拡大いたしまして、簡易裁判所を設けました趣旨が失われるのじやないかというようなことを私は懸念いたすのでございます。それは簡易裁判所の判事の任用資格はほかの裁判官と異なつていわゆる特任制度を設けました趣旨から申しましても、如何でございましようかという一点でございます。まあ言つてみますと、簡易裁判所が旧制度の区裁判所に返るというような虞れがあるのではないいと思いますので、この点を伺つてみたいと思つております。
  21. 村上朝一

    ○政府委員(村上朝一君) 改正案におきまして、簡易裁判所の事物管轄の範囲を三万円から二十万円にいたしますと、民事の第一審の訴訟事件の大半が簡易裁判所に移るであろうからという点でございますが、これは昭和二十八年度の件数を基礎といたしまして、これを二十万円とすれば、地方裁判所、簡易裁判所の第一審を扱う割合がどういう割合になりますか、十万円とすればどういう割合になるかということについて一応申上げたいと思います。昭和二十八月中の民事の第一審の訴訟事件は、全国を通じまして十万五百五十六件でありました。このうち現在三万円以下とされておりまする現行法の下におきまして、地方裁判所が第一審としてやつております事件が七万三千三百九十二件、約七三%、簡易裁判所が第一番としてやつております事件が二万七千百六十四件、約二七%になつております。戦前の地方裁判所と区裁判所との割合はどうかと申しますと、昭和七年から十六年まで、十ヵ年の平均で申上げますと、地方裁判所が第一審として取扱いました事件が全体の一五%、区裁判所が第一審として取扱いました事件は八五%、戦前におきましては大半が区裁判所を第一審とする事件であつたし、現在の地方裁判所、簡易裁判所の比率はまさに逆になつておつたのであります、そこで訴訟物の価額十万円までに引上げました場合の見通しでございますが、その場合におきましては、地方裁判所が第一審として取扱う事件が全体の約四三%、簡易裁判所が第一審として取扱います事件が約五七%というふうに見通しております。つまり地方裁判所で現在やつております事件のうち簡易裁判所へ移行する件数の割合が約四一%、四一%が簡易裁判所に移行します結果、全体のパーセンテージから申しますと簡易裁判所が五七%、地方裁判所が四三%という計算になると思います。それから訴訟物の価額を二十万円までに引上げたと仮定いたしました場合どうなりますかと申しますと、地方裁判所を第一審とする事件が約三〇%、簡易裁判所を第一審とする事件が約七〇%、こういうふうに見ておる。つまりこの場合におきましては、現在地方裁判所の管轄となつております民事事件の約五九%が簡易裁判所に移行する。五九%が移行した結果、全体申の割合からしますと簡易裁判所が七〇%、地方裁判所が三〇%になる。二十万円といたしました場合にも先ほど申上げました戦前の地方裁判所と刑事裁判所との比率一五%対八五という比率に比べますと三〇対七〇でありまして、戦前の区裁判所には及ばないわけであります。  第一審事件の地方裁判所と簡易裁判所における配分々かように見ておるわけでありますが、それが上告審でどういうふうに影響して来るかと申しますと、この簡易裁判所の事物管轄の引上げが上告審へ影響して参りますのは、二、三年あとになる。第一審の判決があり、第二審の判決を経て上告されるから二、三年先になるわけでありまして、昭和二十八年中に最高裁判所で受付けました上告事件のうち、上告事件が総数十四百六十七件ありましたが、このうち十万円までが五七%、二十万円までといたしますと七二%がこれに該当するわけであります。これは昭和二十八年中に最高裁判所が受理いたしました事件の割合でありまして、これは二、三年前の第一審事件が昭和二十八年中に最高裁判所に現われておるわけであります。もとより訴訟物の価額の大きいものほど上訴率が大きいということは考えております。で、これらの点を総合して今後二、三年先に上告裁判所に事件が現われます場合に、どの程度に最高裁判所の事件が減つて高等裁判所へ移るかという見通しをいたしますと、大体十万円まででございますと、三〇%前後ではないか、二十万円までとしまして、五〇%前後ではないか。もとより正確な数字ではございませんけれども、いろいろな要素を総合いたしまして、こういうふうに見通しをいたしております。  そこで今度の簡易裁判所の事物管轄の引上げが、簡易裁判所を全国に多数設けまして比較的軽微な事件を簡易迅速に処理させるという趣旨の下に設立されました趣旨を没却することになるのではないかという点でございます。簡易裁判所という制度が考えられました当初の構想は、できるだけ多く全国にたくさん作りまして、軽微な事件を早く解決するということが狙いであつたのであります。そういう秘湯迅速に民事の争いを解決するという簡易裁判所の機能が、主として調停によつて発揮されている現在であります。訴訟手続につきましてはそういう特別な簡易な手続というものが設けられていないのであります。この意味におきまして、訴訟になりました事件の取扱い方は旧法時代の区裁判所と殆んど変りがないのであります。これは訴訟についての簡易手続というものを考える場合に、おのずから限度があるわけでありまして、たとえ如何に軽微であろうといえ、第一審の訴訟であります以上は、余りに簡略にしてしまうわけにも行かない。相手方の言い分も十分聞き、証拠も調べて裁判しなけりやならんということになりますと、簡易化の限度というものがそうむやみに簡易化し得るものではない。そこで現状は旧区裁判所と幾らか程度の差があるという程度でありまして、訴訟につきまして特別な差異は生じていないということが一点あるわけであります。それから全国各地にたくさん設けるという点でありますが、これは簡易裁判所の数がたくさんあればあるほど訴訟を起す人にとつては便利なことは申すまでもないのであります。併し一面におきまして相手方のあることであり、又弁護士に依頼して訴訟しなけりやならんという人が多数あるわけであります。現状におきましてすら余りにも簡易裁判所が分散し過ぎておる。殊に弁護士さんをお願いしようと思つても、なかなかそういう或る地方の簡易裁判所には行つて頂けないというようなこともございます。又一面におきまして現在のように多数分散されておりますと、簡易裁判所の裁判官として経歴その他から見て必ずしも理想に近い人ばかりが得られるわけではない。殊に非常に技術的な訴訟でございまして、専門的な訓練を経た裁判官として必ずしも適任と言えない人が配置される虞れもあるというようなこともございます。簡易裁判所というものを将来どういうものにすべきか、もつと集中的に配置すべきか、又簡易裁判所で取扱う事件の範囲をどうするかということは、これは裁判所の機構全体の問題の一環といたしまして今後も検討して行かなければならないことでありまして、この法案におきましては二十万円まで引上げることといたす半面、民事の訴訟事件を取扱う簡易裁判所を或る程度限定するということを考えたわけでございます。
  22. 亀田得治

    ○亀田得治君 先はど、司法制度部会で基本的な問題について、この考え方について三つ出ておる。私もまあこの三つの案がおのおの理由があると思つております。殊にこの第三案ですね、これなんか随分検討をすべき価値がある案だろうと思うのです。従つて特にこれは今後とも問題になると思いますが、確かめておきたいのは、今度出ておるこの民事訴訟都会の結論ですね、この結論は司法制度部会の三案のどれがいいと、こういうことは全然触れておらない、こういうふうに解釈しておいていいかどうかということです。
  23. 村上朝一

    ○政府委員(村上朝一君) 今度の裁判所法及び民事訴訟法の改正案は、最高裁判所の機構には触れておりませんので、結果におきましては現状維持案、先ほど二番目に申上げました現状維持案をとつたかのように見えるのでございますが、先ほど経過を申上げましたように、司法制度部会におきまして大別してこの三つの案が対立したままの状態でおりますので、更に司法制度部会における検討の結果を待つ、それまでは取りあえず……取りあえずと申しますか、その後の結論が出るまでは、最高裁判所の機構は現在のままという前提でものを考えなきやならんわけでありまして、その意味におきまして現状維持案に近いかのような結果になつたわけでありますが、この政府案を提案いたしますにつきましては、最高裁判所の機構についてこの三つの案のうちどの方向を選ぶということは政府としてはまだ考えておらんわけでありまして、法制審議会における慎重な検討の結果を待つて、その方向を定めたいとかように考えております。
  24. 亀田得治

    ○亀田得治君 先はどのお話しになつた第三案ですね、その際申されたように、憲法問題のみを最高裁で取扱う。その際の最高裁の取扱方は、現在でありますと一審、二審、三審とこうやつて来て取扱う、こういうことになつておるのですが、この三案で考えておるのは、違憲法令なんかについては第一審としてとも取扱えるような、何か裁判所法第七条等の改正でも考えておるような少し進んだ意味での憲法問題の取扱に重点を置いて行こうと、こういうふうな内容のものでしようか。
  25. 村上朝一

    ○政府委員(村上朝一君) 先ほど上告部設置案として三番目に申上げました案は、上告理由が原判決の憲法に関する問題であるというものを最高裁判所に持つて行くという構想でありまして、具体的な争訟事件を離れて、抽象的に或る法令が憲法に適合しているか違反しているかという裁判を最高裁判所に求めるといういわゆる憲法裁判所的な性格は考えられていないわけであります。
  26. 亀田得治

    ○亀田得治君 これは私基本的な問題として非常に重要なことだと思うのですが、最高裁のやはり任務として憲法を護つて行く、こういうことが憲法の八十一条に出ておるわけです。これはたまたま終審の裁判所というふうになつておりますが、この意味はやはり最高裁判所に取後の憲法上の保障を求める、こういう考え方が新憲法の中に強く出ておると思うのです。それで私案はこれは要求もいたしたい点でありますが、同じくそういう大がかりな機構の改革を考えるのであれば、やはり一歩を進めてそこまで考えることが必要なんじやないか、そういうことが又要請されておるんじやないかと思うのです。それでこれは決して党派的な立場から申上げるのじやないのでして、現在でありますと、例えばああいう再軍備関係の法令、これが憲法九条との関係でどうなるか、こういうことがやはり違反であるという確信を持つておる国民にとつてはこれは非常に重要な問題なんです。併し決してこれは長い目で見ますと、そういうことだけが問題ではない、たくさんの憲法上の基本的人権が与えられておる。そういつた問題と、今後どういう政府ができる場合でも衝突するようなやはり法令が出て来るかも知れない、これは具体的な事案、具体的な紛争なりそういうケースが起つても、最高裁の審判を求められないしこれであつては泣寝入りする人もたくさんあるでございましようが、本当に憲法を護ることに忠実なものではなかろうと思います。だからそういう立場から考えましても、できることならやはり最高裁が直接この憲法に違反するような法令、これを対象に取り上げる、こういう機構を持つておる国もあるわけでありますし、それは非常に意味があると思う。意味があるということは、私から特に言わなくても違反が起らないうちに、それは憲法上いかんことなんだということをはつきりすれば、そういう間違つた法令によつて苦しめられる人自身が未然に防がれるわけです。これが一番いいにきまつておる。ただそういう制度を許した場合に、それじや誰も彼も憲法違反だというので、国会で通つた法令に対してどんどんやられたのでは、これも大変だという問題もあるでしよう。併しそれは憲法違反の提訴をする場合、提訴権者に一定の制限を加えるとか、これは又いろいろドイツあたりの憲法裁判所でも制限を加えておるわけです。それはやり方はいろいろ又そこにあろうと思います。根本的な問題としては、やはり例えば普通の一審、二審、三審、こうやつて行く具体的のクースの場合でも、憲法違反のやつだけを特別に最高裁判所に扱わしめたいという第三案の考え方、これはやはり憲法違反ということを非常に重大に考えておる、そういう考え方から出て来るのです。これは第三案の人でない人でも、その立場自身はこれは了解されることと思う。だからもう一歩を進めてその点の御検討を実はお願いしたいと思つております。衆議院の法務委員会のほうでもそういう立場も考慮して、どうしたら現行憲法の下において、そういうふうな違憲法令の審査というものを最高裁で直接取扱い得るか、そういう点についての検討をしてみようということで、何か小委員会を作つておるように私聞いておる。審議は余り進んでおらないようですが、これは単に国会議員だけが関心を持つとかいろいろ動くべきじやなくして、重要なそういう機関があるわけですから、これは十分一つ検討してもらいたいと思います。  それに関連してやはり一番重要なことは、憲法の八十一条の終審の裁判所であるという規定です。この言葉の解釈の問題です。ここに終審という言葉がついておるから、これは憲法改正をしない以上は、かような違憲法令の審査を第一審としてやるということはできないというふうに最高裁の人たちはお考えになつておるのか。若しそういうふうになつておるとしたら、これはなかなか現在の憲法をそのままにしておいて、いろいろの関係法令の改正だけではむずかしくなる。その点の解釈はどういうふうにお考えになつておるでしようか。私どもは終審というのは普通の場合には、今の日本の裁判所の慣例から言つて一審、二審と行くから終審というので、必ずしも審級という意味でなくして、いろいろな意味を含んでおると思います。最後の判断を下すところだとか、最高というような意味も含くまれるだろうし、私どもはそういうに解釈をすれば、これは直接法令審査をやつたつて、八十一条の終審裁判所ということと矛盾するものではない、むしろ照法の精神から言つて可能だ、こういうふうに思つておる。その点の解釈はどういうふうになつておるのですか。
  27. 村上朝一

    ○政府委員(村上朝一君) 憲法によつて与えられております最高裁判所の使命或いは性格をどう見るかという問題でございます。御承知のように、最高裁判所は昭和二十七年の十月八日の大法廷の判決におきまして、「要するに我が現行の制度の下においては特定の者の具体的な法律関係につき紛争の存する場合においてのみ裁判所にその判断を求めることができる」、或いは「裁判所がかような具体的事件を離れて抽象的に法律命令等の合憲性を判断する権限を有することの見解には、憲法上及び法令上何等の根拠も存しない。」ということを言つておるわけであります。なお、その判決におきましては、諸外国の制度と違つて、我が憲法の下における裁判所は、司法権を行う権限を持つておるのであつて、「そして司法権が発動するためには具体的な争訟事件が提起されることを必要とする。我が裁判所は具体的な争訟事件が提起されないのに将来を予想して憲法及びその他の法律命令等の解釈に対し、存在する疑義論争に関し抽象的な判断な下すごとき権限を行い得るものではない。」ということも言つております。又なお最高裁判所は、「法律命令等の抽象的な無効宣言をなす権限を有するものとするならば、何人も違憲訴訟を最高裁判所に提起することにより法律命令等の効力を争うことが頻発し、かくして最高裁判所はすべての国権の上に位する機関たる観を呈し三権独立し、その間に均衡を保ち、相互に侵さざる民主政治の根本原理に背馳するに至る恐れなしとしたいのである」。ということを言つておるのであります。この判決は大法廷の裁判官全員の意思による判決でありまして、その後同趣旨の判決が二、三繰返されておる次第であります。憲法の解釈としての最高裁判所の性格というものはそういうものである。これは最高裁判所の判例でございますから、政府としてもこれは有権的な解釈と考えております。憲法の解釈がそうであるといたしますならば、現行憲法の下においては、外国の憲法裁判所のごとき機能を持たせるということは不可能ではないか、かように考えておるわけであります。一応の研究の結果でございますが、かように考えておるのであります。ただ手続の面におきまして、第一審、第二審を経た上でなければ、最高裁判所へ争訟事件を持つて行き、憲法の定義の判断を受けることができないであろうという点につきましては、これは訴訟法の問題でございます。憲法問題が主たる論点になつておりまするような事件を、申立てにより、或いは最高裁判所の職権で以て、第一審なり第二審に継続している問に、最高裁判所に取り上げて、最高裁判所みずから裁判をするということは、手続法の制定によりまして可能かと考えております。この点につきましても、実は民事訴訟法の改正を考えますときに、私ども事務当局のほうでは、民事の面については一応研究いたしたのであります。これは刑事とも関連いたすことであります。この法案を立案いたしますまでには、総合的な研究は間に合わなかつたのでありますが、将来そういう手続というものにつきましては、なお研究を重ねたいと、かように考えております。
  28. 亀田得治

    ○亀田得治君 これは御参考までに聞くのですが、具体的な事件であれば、一審、二審を抜かして、手続法の改正によつて最高裁が受けることもできる、そういう場合に問題になるのは、例えば裁判所法の第七条とか、すべてたくさんの条文をいじらなくとも可能だと思うのです。その点御研究されたようですが、御参考までにお聞きしたいと思います。
  29. 村上朝一

    ○政府委員(村上朝一君) 私ども研究しました一つの試案といたしましては、第一審或いは第二審に係属しております民事、刑事事件を、裁判所に移送させて、最高裁判所がみずから裁判をするということは、これは手続規定を、詳細法律で定めるということになりますと、相当複雑な規定であります。細かい規定は最高裁判所みずから規則を以て定めるということにでもいたしますならば、裁判所法に一、二の条文を加える程度のことで可能かと考えております。
  30. 亀田得治

    ○亀田得治君 その点は大体わかりましたが、違憲法令の審査権はないと、こういうふうに結論を出されておる。その根拠として、例えば三権分立、裁判所のほうが国会よりも強くなり過ぎる憂いがある。これはそういうことが一つの強い根拠になつておるようですが、そういう点は基本的な問題じや私なかろうと思うのです。これは最初にも申上げたように、濫訴を防ぐといつたようなことは、当然これは適当に措置できることですし、何かそういうことからできないという結論を出しておられるのか、或いは、もう一つは日本における司法制度全般の性格から無理だというふうな、二つのことを言われておるのですが、それは憲法の何か条文上の根拠を、明確にその点で持つておられるのかどうか。そういう二つのことを出されるについての、持つておられるとすれば、どの点を根拠にされるのか、それをお聞きしたいと思います。私ども参考のために……。
  31. 村上朝一

    ○政府委員(村上朝一君) 先ほど御紹介申上げましたのは、最高裁判所の昭和二十七年十月八日の大法廷の判決の理由でございます。この判決の中で、先ほど申上げましたようなことを言つておるわけであります。要するに判決の結論は、裁判所がかような具体的事件を離れて、抽象的に法令の合憲性を判断する権限はない、そういう権限があると解釈すべき憲法上の根拠はないということが結論になつておるのです。私どもとしましては、この最高裁判所の判例、これも一回だけでなく、その後も繰返されております。これが最高裁判所による、今の憲法上の最高裁判所というものの性格についての有権的な解釈である、かように考えておるわけであります。
  32. 亀田得治

    ○亀田得治君 まあその最高裁の判例は私も承知しておるわけですが、結局最高裁の態度さえ改まつて、違憲法令の審査権はやれるのだ、こういう考えを持ちさえすれば、現在の憲法に私抵触しないと思うのです。そういう考えを持つちやならない、その考えはもう憲法のこの条文に抵触するのだ、そういうようなことは、私どこにもこの憲法上なかろうと思うのです。その辺はどうですか、最高裁さえその気持になれば、決して憲法に私は抵触しないと思うのです。現在の最高裁は、それはできないのだと言つておるが、一体明確な憲法上の根拠はどこかというと、それがどうもはつきりしないのです。だからどちらの主張も、どうも憲法の条項の上においてははつきりしないのです。だからこれは考え方一つの問題だと思つておるのですが、ぶち割つたところをそういう点はどうでしようか。
  33. 村上朝一

    ○政府委員(村上朝一君) この判例にも憲法第何条のどの条項によつてこういう結論が出るということは言つていないと思うのであります。ただ、懸法の精神といいますか、憲法全体の趣旨か三権分立の原理に立つて最高裁判所に司法権を行わせるという建前になつておる。司法権を行う権限である以上は、具体的な争訟が提起されなければ合憲性の判断ということは出て来ないという、何と言いますか、憲法の全体の精神からそうういふうに解釈しておるのじやないかと、先ほどお挙げになりました憲法八十一条につきましても、これが最高裁判所の先ほど申上げましたような結論を排斥する根拠にはならないということをこの判決中で一時謳つておるわけでありまして、どの条文に違反するかということは具体的には言つておりません。そういう趣旨に解釈しております。
  34. 亀田得治

    ○亀田得治君 大体まあ言わんとするところはわかりましたからこれはまあ私どももいろいろこの問題については研究して行きたいと思いますので、法務当局でも十も分これは一つ取上げてもらいたいと思います。  そこで今度の民訴法の改正によりますと、相当重要な事柄で最高裁判所の規則に委すと、こういうことがたくさん出ております。これは個々の条文について私いずれ更に逐条的にこれは問題点は指摘してお答え願いたいと思つているのですが、これは私今度のようにこうたくさん一時にいろんな規則に譲つて行くような立法は初めてなんじやないかと思つているのです。で、そういう意味でこれはやはり前例にもなりますし、この点を十分一つ確めておきたいと思う。先ずこれは私どもも大体常識的に考えていることなんですが、法律と規則との関係、これを一体どのように考えておられるのか。これは大体いろんな学者の意見なんかも一定しておるわけですが、中には幾らか、少し違つた異論もあるようですが、法務当局のほうではこの関係をどういうふうに考えておられるか。一つ正式に御見解を表明して頂きたいと思います。
  35. 村上朝一

    ○政府委員(村上朝一君) 法律と最高裁判所規則との関係につきまして、いろいろ意見がありますことは御承知の通りであります。政府の意見といたしましては、法律は規則に優先する、法律を以て規定した事項についてそれと抵触する規則を、定めることはできない、かように解釈しております。  なお、かように大幅に規則に譲つたのはこれが初めてではないかというお話でございましたが、刑事訴訟法におきましては非常に大幅にこれを規則に譲りまして……。
  36. 亀田得治

    ○亀田得治君 刑事訴訟法だけは例外ですがね。
  37. 村上朝一

    ○政府委員(村上朝一君) 今度の民事訴訟法におきまして、規則に譲つた分も、刑事訴訟法において譲つておる限度内にとどまつておるとかように考えております。大体刑事訴訟法でも規則に譲つておるし、又このほうが適当じやないかということで刑事訴訟法との調和を絶えず考えながら立案したつもりであります。
  38. 亀田得治

    ○亀田得治君 先立つて、昨日でしたか、参考人の方が見えたときにも出た話ですが、規則を制定する場合に、諮問委員会に諮問してやつて行く、こういうふうになつておるようですが、この諮問委員会の構成とか、委員の任命の方式とか、或いはその運用に関する規則ですね、そういつたようなものはどういうふうになつておりますか。
  39. 關根小郷

    ○説明員(關根小郷君) 只今亀田委員からのお話の点でございますが、ルールを作ります際におきましては、規則制定諮問委員会という委員会の諮問を経なくちやならんということになつております。これは最高裁判所の規則自体できめております。この委員会は民事と刑事と一般と三つに分けてございまして、今度のような法律が若し通過いたしますれば、民事規則の制定諮問委員会、そういうことになつております。それから裁判所法関係自体のルールになりますると、一般の規則制定諮問委員会、それから刑事の関係は刑事、こういうふうになつておりまして、その他特別の規則が必要とする場合には特別の委員会を特に作るということも規定にございますが、大体民事と刑事が主流になつておるわけであります。  それから今お話がございました委員の顔振れでございますが、これは学界、在野法曹それから在朝の法曹この三者、それからその他学識経験者も入つておりますか、大体十五名から二十五名くらいの範囲内におきまして各般の権威君を集めておるわけでございます。それからなお御参考までに申上げたいと思いますが、実は国会議員の特にこういつた方面に御経験のある方に入つて頂きたいということで、最高裁判所が出発いたしました当時そのお願いをしたことがございます。それで候補者までもおきめ頂いたかとも思いますが、実は国会法の関係でやはり司法部関係の委員へ会に顔を並べることはまずいということで結局実現いたしませんでした。そういつた経過もございますが、国会議員以外の各般の権威者を集めておるわけでございます。
  40. 亀田得治

    ○亀田得治君 それからもう一つはこれも昨日出た話ですが、今度規則に相当程度のものを譲る、その規則の要綱ですね、これは殆んどすでにできておるわけですか。
  41. 關根小郷

    ○説明員(關根小郷君) 実はこの法律案が通過いたしますかどうかということは、まだ私どものほうで予想できませんが、通過いたしますとすれば最近のことでございますので、大体の草案と申しますか、私案と申しますか、その第一次的なものは事務当局で考えております。
  42. 亀田得治

    ○亀田得治君 それは諮問委員会等には、まだ内々諮問したというようなものではないわけですか。
  43. 關根小郷

    ○説明員(關根小郷君) 実は若し通過が相当見込みがございますれば、成るべく早い機会に委員会を開催いたしまして、御意見を伺いたいと思つておりますが、まだその運びに至つておりません。
  44. 亀田得治

    ○亀田得治君 現在民事訴訟法のいろいろな規定があるわけですね。あるのを今度は省いて規則に廻す、こういうことですから、これは一種のやはり法の改正なんですね、はつきり言つて……。今から例えば民事訴訟法を作ろうと、そういう場合と非常に事柄が違うと思うのです。今から民事訴訟法を作る場合にいろいろ原則的なことをずつときめた、併し細かいことがいろいろ残つて来たのだが、これはじや規則に一任しよう、こういう場合じやなしに、すでに現在法律として実行されておるものを横へずらすわけですから、法の改正だとすれば結論がわかつておりませんと、そういうものを譲ることがいいかどうかということはこれは非常に重要な問題なんです。だからそういう意味で、やはりこれを譲つた場合にはこうなるのだと、こういうことが、法の改正の場合には当然そうですね、改正案がここへ出て来るのですから……。だからやはりそういうことと同じ取扱をこの際してもらいたいと思うのです。そういう意味で事務同案でもよろしいと思うのですが、そういうものができておるのであれば、やはり至急案を委員会のほうに御提示願いたいと思うのです。それはできますか。
  45. 關根小郷

    ○説明員(關根小郷君) 只今亀田委員からお話の点御尤もだと思います。実は現在の民事訴訟法の法律のままでうまく運営ができれば、このままで実行ということになろうかと思いますが、それではどうしてもまずい点がかなりございますので直して頂きたい。併し直して頂くといたしますと、非常に細かい技術的な実際面的な事項が多い。なぜかと申しますと、いずれまあ細かく又御質問があろうかと思いますが、例えば訴訟記録にいたしましても、民事訴訟法ができました六十年前の明治二十何年からそのままの状態において訴訟記録ができ上つて、それ以上一体改革がなされ、進歩がなされておるかと申しますと、全然ございません。御承知のように大福帳式の厚い記録を裁判官はもとより、書記、それから弁護士のお方は御承知だと思いますが、その写しをお作りになる。非常に厚いものを持つてそれを抱えながら仕事を続けなくちやならん。これを何とか変えて行かなくちやならんということを考えますと、非常に技術的な調書の作成方式の問題に触れざるを得ない。実は私ども事務当局といたしまして、東京におられまする弁護士の方、それから裁判官の方々にお集まり願いまして、何とか現行法の下に改善方策はないかということを研究いたしました。併しいよいよになりますると、どうしても民事訴訟法の条文に触れて参ります。これはいずれ若しお求めがございますれば、そういつたどこがまずいのだということをお示しいたす記録の型、これを御覧頂きたいと思いますが、そういつた経過がございまして、現在の法律をどうしても変えて頂かなくちや困る、変えて頂くといたしますと、国会で非常にお忙しい中でそうずつと技術的な詳細なことまで御協議頂くのはおかしい。結局最高裁判所、弁護士の方々がお集まり頂く委員会を中心にいたしまして、ルールでやつたほうがいいということで、こういつた改正案を政府当局に私どものほうといたしましては要望いたしたわけでございます。なお要綱があれば出せというようなお話でございましたので、それは至急、実はこれは草案に過ぎませんがお出しいたしたいと思います。
  46. 亀田得治

    ○亀田得治君 その草案で結構ですが、更にその諮問委員会の構成、臨時に任命されるようなのは別として、常時置かれておるそういうメンバーなり、諮問委員任命の何か内規のようなものがあれば、それを一つ御一緒に出して頂きたいと思います。  それからこれは、要望を申上げますが、例えば刑事訴訟法の三十九条と規則の三十条ですね。これは私は又別個の問題としてこの問題を解決しなければいかんと思つているのです。こういうことにならないように一つしてもらいたいと思うのです。ちよつと御薦願いたいのですが、三十九条では例の弁護人と被告人の面接などの制限の規宗を設けておる。こうすると刑事訴訟規則の三十条に行きますと、接見などのことに関して規定しておる。この二つをよく見ておると、規則のほうが非常に三十九条よりも弁護人の行動を強く制限して来るのですね。これは私規則の越権だと思つているのです。で、規則は結局基本法の足らないところを補えばいいのでしよう。それを例えば三十条の規則の初めのほうですね、初めのほうをずつと読んで行くと、これは刑事訴訟法に書いてある通りのことを書いてあるのですね。だから本当はこういうことは無駄なことなんです。而も刑事訴訟法に書いてある通りのことを言うならまだいい。刑事訴訟法では一番終りに但書が付いて、「被疑者が防禦の準備をする権利を不当に制限するようなものであつてはならない。」こういう但書を特に付けてあるのですね。そういうものがいつの間にか三十条では抜けているのです。いやこれは法律のほうで付いているのだから、当然三十条にも但書が被つている意味で解釈したらいいのだこうおつしやるかも知れんが、三十条というもががやはり別個の規則として一つの独立の法文になつておる以上は、何かしらここで法律よりも余計窮屈になるような印象を与えるのは当然なんです。で、実際に事務を取扱う人は規則ができますと、やはり規則のほうを先に細かく勉強します、出先の人は……。だから若し規則で同じようなことを繰返してやるというのてあれば、本法で書いてあるような条件なり但書というものを同時にそこへ書いて行かなければならない。大変なやはりそこに運用上の欠陥が出て来ると思う。而も例えば物とか書類の授受の禁止ですね。これを三十条で書いておる。ところが三十九条の母法には禁止という言葉が書いておらん。制限だけなんです。だから制限の極端なものは禁止というまあそういうふうな解釈もできるかも知れんが、それならそれは三十九条で禁止まで行くものなら制限又は禁止とこれは書くはずだ。それをいつの間にか知らないうちに禁止というものがここのところにぽつと入つちやう。でこういうことはもう私非常に行き過ぎだと思う。それからこんなことは刑事訴訴法と規則を一つ一つ比較して行きますとたくさんあるのですよ。例えば規則の二十六条の弁護人を三人に制限する。この三人なんかでも、これは単なる刑事訴訟規則でこういうことを取扱つていいかどうか。特別な場合には弁護人の数を制限することができるという規定は、母法には勿論刑事訴訟法にはあります。ありますがですね、刑事訴訟の規則で具体的に細かく書くべきことは、特別な場合とは如何なることなのかというようなことを、規則でもう少しそれが行き過ぎたり、或いは緩る過ぎたりならんように書くのは、私はわかると思う。ところが、弁護人は三人というようなことを、人数までぴしやつと出してしまうのは、私、これは人権の保障という立場から言つて、これは少し規則としてはやれないことじやないか。やはり、その三人でとめることがいいか悪いかはこれは別ですよ。若しどうしてもとめるべきだということなら、これはやはり刑事訴訴法上の問題じやないか、こう思うのですね。だから、こういうことがときどき私どもがやはりぶつかるものですから、それでこの際一つ民事訴訟の関係においても規則を一つ正しくやつぱり作つてもらいたい、こういうふうな気持を持つておるのです。そういう立場で、一つ要綱も見せて頂きまして、できるならばこの法律改正案が通過する際に、要綱自身に対する我々の希望もはつきりして行きたい、こういうふうにまあ思つておるわけです。これはまあ一つ希望も添えて一応申上げておきます。
  47. 關根小郷

    ○説明員(關根小郷君) 只今亀田委員から御指摘がございました刑事訴訟規則と刑事訴訟法との関係、私実はそのほうの専門でございませんので、いずれ帰りまして、又刑事局長とも相談いたしまして、実は私お聞きいたしました範囲内だけでも、この規則は法律に違反していないように思いますけれども、これは議論を申上げましても専門でございませんから……。例えば今も申された規則の二十六条関係などにおきましても、法律で明らかに「裁判所の規則の定めるところはより」、「弁護人の数を制限することができる。」と書いてあります。でありまするから、その規則に任せている法律自体を改正されればともかく、そうでなければ当然規則で定めなくちやならんのじやないかという気がいたしますが、なおもう一つの規則の三十条も、門外漢でありますが、今法律、規則の関係を見ましてもどうも違反でないように思います。併し私等門外で、ここで専門の亀田委員と論争するつもりはありませんが、ややおつしやるところに疑義があるのじやないかと思うのでありますが、併しこれは帰りまして又研究いたしました上で申上げたいと思います。
  48. 郡祐一

    ○委員長(郡祐一君) 速記をとめて。    〔速記中止〕
  49. 郡祐一

    ○委員長(郡祐一君) 速記を始めて。  次回は四月十三日午前十時から開会いたします。本日はこれを以て散会いたします。    午後三時十七分散会