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1954-05-29 第19回国会 参議院 外務委員会 40号 公式Web版

  1. 昭和二十九年五月二十九日(土曜日)    午後二時十一分開会   ―――――――――――――  出席者は左の通り。    委員長     佐藤 尚武君    理事            團  伊能君            佐多 忠隆君    委員            杉原 荒太君            梶原 茂嘉君            中田 吉雄君            羽生 三七君            加藤シヅエ君   国務大臣    外 務 大 臣 岡崎 勝男君   事務局側    常任委員会専門    員       神田襄太郎君   ―――――――――――――   本日の会議に付した事件 ○国際情勢等に関する調査の件  (外交問題に関する件)  (報告書に関する件)   ―――――――――――――
  2. 佐藤尚武

    ○委員長(佐藤尚武君) 只今より外務委員会を開きます。  議題は国際情勢等に関する調査であります。外務大臣に対しての質疑ありましたらば御発言を願います。
  3. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 岡崎大臣には外務委員会にかかりました重要法案を通されて心豊かな状態といいますか、一つ今日はくつろいで、いろいろもう少しニユアンスを持つてざつくばらんにいろいろお教え頂けるとありがたいと思うのですが、先般第一回の対日援助費の処理の問題について御会談されたようですが、第一回の印象からして、どういうふうにお考えになつているでしようか。そういう問題に関連して一つお伺いいたします。
  4. 岡崎勝男

    ○国務大臣(岡崎勝男君) 対日援助費の会議は、すでに二回開いておりまして、ただいずれも私は出席しておりません。従つて報告を受けただけですから、間接でありますが、大体アメリカ側の考え方は、ドイツの方式に、これはこまかいところは違いましようが、ドイツの方式にならつた案を考えておるような印象を今のところは受けておりますが、まだそういうところにまで話が到達しておりませんで、実は債務の内容と言いますか、援助の内容について日本側の資料と向うの資料と突合わしておるというところが実情であります。
  5. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 これは吉田総理が外遊される昨今に、この問題が取上げられたのはいろいろアメリカとしても含みがあると思うのですが、この会議を持つに至りましたのは、アメリカの発意で昨今持つようになつたのでしようか、如何でしようか。
  6. 岡崎勝男

    ○国務大臣(岡崎勝男君) 会議を持つということは、双方の合意がありまして、東京で開こうということに結局なつたのであります。これは池田君の話もありまして、いつ頃に開くかということについては、日本側の申出できまりました。その申出の基礎は、大体日本側の資料が整備したらということになつております。
  7. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 新聞には大体ドイツの方式と言いますかによつて処理して、二十億の四分の一、五億ドルくらいと新聞に伝えられておるようですが、そういうようなことが感ぜられるのですが……。
  8. 岡崎勝男

    ○国務大臣(岡崎勝男君) 額についてはまだ全然触れておりません。あの新聞の報道は全く根拠のないものであります。これは私どもも気になりましたから、あれはたしかワシントンからの報道のように言われておりましたので、早速アメリカ大使館にも話し、日本側でも調べてみましたら、ちよつと私は気がつかないので、まだ的確なものを持つておりませんが、あれは国会においての何かの審議のときに、これは衆議院じやないかと思うのですが、そのときにどなたかから五億ドルくらいじやないかというような説が出て、あれが新聞にちよつと伝わつて、それをアメリカに電報したものがあつて、それが又こつちへ電報で折返して来たという事情でありました。
  9. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 今後この問題を御折衝になるのですが、相当長期に交渉に当る思うのですが、私、ときたまたま吉田総理の外遊の時期ですし、いろいろこれが外交的に、取引といいますか、問題になつて、これを外交交渉の手段としてアメリカが使つて、日本側に不利になるようなことがないかと思つて心配するのですが、そういうことはどうですか。
  10. 岡崎勝男

    ○国務大臣(岡崎勝男君) これはアメリカの政府筋は、別に何もそういうことを言つておりませんが、新聞方面ではむしろ逆に日本側がこれを持出して、ばらばらに行つて何かアメリカから特殊の借款等の場合の材料にするのじやないかというような質問をしたことがありますが、我々のほうは別にそれと関係なく、全く事務的に考えて、つまり話をするとかしないとかいうことには別問題で、いよいよ話をするとなつて、いつするかということには、全く事務的資料の整備等ができたので、やるというような日取りの決定は、そういうことになつております。
  11. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 この対日援助費の対米折衝については、いろいろ資料を整えておられることと思うのですが、我が党の羽生議員から質問された際に、対日援助費と終戦処理費との関連において質問されたのですが、終戦処理費は無条件降伏をした日本としていろいろ解釈にもあると思うのですが、私今持つていますのは、一九五一年のアメリカの下院歳出委員会におけるガリオア予算公聴会の速記録を実は持つているのですが、これにははつきりこのボルヒーズが対日援助することについて、いろいろ質問があつた際に、この費用は、まあいろいろ費用に嵩むが、日本の支払う占領費というものがあつて、若しこれがなかつたらアメリカ国内でこれだけの費用を陸軍の予算から出さねばならんのだ、だからその両者を勘案すると、この占領費によつてむしろ日本に対日援助費を与えても、米軍の経費は全体として縮小するのだというような一九五一年のガリオアの予算公聴会においてはつきり記録が出たりしておりますので、終戦処理費の解釈如何にがかわらず、先般岡崎大臣が言われたように、かなりその問題をこの交渉に、終戦処理費の問題を持ち出してもいいじやないかと思うのですが、如何でしようか。
  12. 岡崎勝男

    ○国務大臣(岡崎勝男君) アメリカの国会もやはり国会でありますから、説明はいろいろあるようでありますが、或るときは目的とする経費の支出を容認するために、いろいろの説明をされることはあるようであります。実際終戦処理費の法律前根拠は別として、とにかく日本でも相当の費用は出しておるのでありますから、この点は考慮に価する実際上の問題であると思います。
  13. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 この点は一つ是非我々が申すまでもなく、対日援助の全貌に関するいろいろな資料を御検討だと思うのですが、私が集めた資料の中にも、はつきり責任ある当局はそういうことを言つていますので、その点是非お考え頂きたい点と、もう一つは援助物資のこの見当ですが、私も終戦後数カ年間、県の農業団体の連合会長をやつておりまして、供出しました報償物資として、それを代金を払つてまあ買つたわけですが、靴や、シユミーズを洗濯したのもいろいろたくさんもらつて、それが今に至るまで使用ができませんので、又そういうものをもらわんと、ほかのいいものももらえないというような抱き合せで、全国の農業協同組合は、これによつて可なり赤字を出しまして、而もそれが昨年でしたか、一昨年でしたか、成立しましたところの農業協同組合再建整備法の対象で、国から金を出して、それによつて赤字の起きたものを救済して行くというような事情もありますので、一つ援助物資のこの見当については、慎重な御配慮を以て臨んで頂きたい、こういうことは申すまでもないわけですが、その点と、先の点とを二点希望いたしておきます。  なお、この協定は、援助物資に対しての話合はいつ頃妥結するようなお見込みでしようか、それがわかりましたら……。
  14. 岡崎勝男

    ○国務大臣(岡崎勝男君) まだちよつと見当がついておりません。できるだけ早くやるようにしたいと思いますけれども、やはりこれは債務の内容を確定するという以上は、一つ一つこれがどれだけの値打ちがあつたり、或いはその中に使えないようなものがどれだけあるか、まあはつきりした材料もありますまいけれども、一応我々としても納得するだけの資料を確定しないと考えられませんからして……。
  15. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 そうすると、三十年度の予算、国会にというようなまだ見通しもわからないわけですか。
  16. 岡崎勝男

    ○国務大臣(岡崎勝男君) いやそれまでには何とか是非片付けたいと考えております。
  17. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 ああそうですか。
  18. 羽生三七

    ○羽生三七君 先ほどの大臣のお話に、日本側の資料がおよそ整つたからということがあつたのですが、アメリカ側の資料と、日本側の資料とで、今まで伝えられている面から見ての違いというようなことは、わかる程度になつたのでしようか。
  19. 岡崎勝男

    ○国務大臣(岡崎勝男君) まだ資料というのは非常に厖大で、一々受取りもあれば、なにもあつて、大変大きなものですから、一々付合してやるだけでも相当時間がかかるわけです。従つて私自身で資料を一々調べたわけではありませんから、はつきりしたことは言えませんが、報告によりますと、今まで日本側で考えておつたのは、あの資料なるものは、実はアメリカからもらつた写しのようなものだから、アメリカの資料のほうがもつと的確であるが、それをぶち壊すような材料はないというふうに言われておつたのですが、まあ報告によりますと、そうじやなくて、日本自体の資料が随分あつてアメリカの資料よりももつと正確なものもかなりあるということがわかつたようであります。従つてこれで一々今付き合わせているわけであります。
  20. 羽生三七

    ○羽生三七君 そうすると、そのいろいろ新聞に伝えられているアメリカ側の言う二十億五千万ドルとか、二十一億というのは、それは公式なものではなしに、単なる情報と考えていいわけですか、今の段階では……。
  21. 岡崎勝男

    ○国務大臣(岡崎勝男君) 大体アメリカ側の資料によりますと、正確な数字は知りません、覚えておりませんが、二十億ちよつと超した二十一億にならない程度の資料でありまして、その中から、大体の方式からいうと、例えば八千万ドルとか、一億ドルとか、額はまだきまりませんが、つまり沖繩へ持つて行つたとか、或いは朝鮮へ持つて行つたとか、或いは国内でも実は買つたは買つたけれども、役に立たなかつたとかいう種類のものを差引くわけであります。そうすると、残りが出て来るわけであります。その残りに対して、それじや、それのどれどけが日本の支払能力に応じたものであるか、そうして利率は幾らだ、こういうことをきめて来るわけであります。そこで又今のところは、全体の、ガリオアとして、或いはイロアとしてとにかく日本に来たものはどれだけあるかということを先ず調べているわけであります。それから今度は、それが両方の意見がきまると、その中でリベートしてよそへ行つたものがどれだけあるかということを調べて、そうして残りの本当に日本に入つたものがこれだけだということがわかると、これに対して利子がきまるわけです。順序はそうなるわけであります。
  22. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 この折衝するスタッフはどうなんですか。欧米局長のところでやつているんですか。
  23. 岡崎勝男

    ○国務大臣(岡崎勝男君) 欧米局長が主任でございまして、大蔵省、通産省、皆出て来ております。その当時の貿易庁、そういうところでやる……。
  24. 羽生三七

    ○羽生三七君 そうすると、そういう資料の調べが一応ついて、それで最終的な段階になれば、当然大臣自身がこの本格的な折衝に移られると思うのですが、そういう順序でございますか。
  25. 岡崎勝男

    ○国務大臣(岡崎勝男君) まあ大体そうなるだろうと思いますが、なんかお話がすらすら行つて、私が出て交渉するまでもなく、両刀の係官で意見が一致する。それは我々が考えてもいいものだというような場合があるかも知れません。これは先のことですからわかりません。
  26. 羽生三七

    ○羽生三七君 その資料の調整が済んだあとの段階になりますと、この前申上げましたし、今中田委員からもお話があつたように、西独側の援助の内容と日本国とでは大分連つておつて、西独側では圧倒的に三十六億万ドルですか、殆んどもう経済援助が主たるもので、日本は御承知のように食料とか、衣料、飲料、こういうものが大部分であつたという問題、それから日本の占領が非常に長期に亘つておつたという問題等から、かれこれ政治的折衝の余地というものが私は相当にあると思うので、これは大臣の善処方を期待する面が非常に多いと思うんです。だから資料が適当に整つて、まあ合理的な話で行けば、大臣の出る場合ではないというような今もお話があつたけれども、併し積極的に大臣が出られて、今のような問題については、我が方の立場からむしろ積極的意見を開陳されることのほうが望ましいし、又正しいと思うのでありますが、如何でありますか。
  27. 岡崎勝男

    ○国務大臣(岡崎勝男君) これは水掛論でありますから、そういうことでありますればさよう考えるごとにいたします。
  28. 羽生三七

    ○羽生三七君 水掛論とかなんとかいう問題ではなしに、日本全体の大きな問題になると思うので当然そうあるべきだと私は思うのです。  それからその問題は今の段階でそれ以上お答えがなければそれまでなんですが、フィリピンの賠償問題の行詰りになつている段階から見て、その後大分日も経つているのですが、どんな状態になつているか、あらまし一つお話願えれば結構かと思います。
  29. 岡崎勝男

    ○国務大臣(岡崎勝男君) 今のところ政府としては特にまあ冷却期間と言いますかも考えているし、フィリピンの議会も終つておりますので、調査団に対して十分な資料を提供して、その目的を達成するようにいたしております。この報告がどうなりますかわかりませんが、日本としては公正な報告が出て来ることを期待しているわけであります。今のところは従つて事態を静観しているわけであります。
  30. 羽生三七

    ○羽生三七君 フィリピンのこの賠償問題に関する調査団でありますか、日本に来ている。あれの調査対象というものは今のところどんなところが主になつているのでしようか。
  31. 岡崎勝男

    ○国務大臣(岡崎勝男君) これはもういろいろなあらゆる角度から研究しておるようです。例えば工業能力だとか、或いは予算、税金、国民所得、まああらゆる問題から、要するに支払額力がどれだけあるかということを調べております。
  32. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 何かインドネシアの賠償について、総理が外遊されるまでに一応の話をつけるというような話も伝わつておりますが、そのほうの関係はどうですか。
  33. 岡崎勝男

    ○国務大臣(岡崎勝男君) ちよつと聞いておりません、そういうことは。外遊までにどうとかいうようなことは……。
  34. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 昨日、今日の新聞にはしきりとそういう記事が出ているのです。何か党を中心に大蔵大臣その他も混ざつて協議がなされたというようなことも言つているのですが、何も外務大臣はまだ参加しておられないのですか。
  35. 岡崎勝男

    ○国務大臣(岡崎勝男君) あの新聞には私も入つていることになつております。(笑声)
  36. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 そうすると、まあ賠償の問題は問題になつていないとすれば、例のあの焦げ付きになつている債権の状況はどうなつているのですか。
  37. 岡崎勝男

    ○国務大臣(岡崎勝男君) あれはちよつと数字は記憶しておりませんが、昨年末が四百万ドルでしたか、払うことになり、今年の六月の終りに千六百万ドルですか、それから十二月の終りに又千六百万ドル、それからその次、来年の六月の終りが三千万ドルでしたか、何かそんなようなふうに割当てられておるわけですが、昨年末の四百万ドルはきちんと払われました。今度のは六月才において払うのですが、これは向うでも払うつもりで準備しておるようでありますが、まだ六月末になりませんからわかりません。まあ恐らく払われるものだろうと思つております。
  38. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 その六月末の払いと関連して、さつき言われたような会が持たれたとか持たれるのだとかいうようなことですか。何かそういう御意見があるのですか。
  39. 岡崎勝男

    ○国務大臣(岡崎勝男君) いや、これは我々としては、インドネシア側では非常にああいう点はきちんと今までしておりますから、余り懸念を持つておりません。で、その点については別に話合いをしたという記憶はありません。
  40. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 インドネシアに関連した、インドネシアの経済開発、その他に援助をするというようなことで、これはまあインドネシア自体の開発計画ですか、或いは日本から考えた開発計画か、そういうものを問題にされたこはあるのですか。或いは検討しておられることはないのですか。
  41. 岡崎勝男

    ○国務大臣(岡崎勝男君) インドネシアの開発計画というのは例のアサハンというか、あそこのスマトラの水力開発、それからこれは開発計画と言うかどうかわかりませんが、造船計画、それから砂糖とかゴムとかの増産計画というようなものがあるようでありまして、これについては、日本側でも民間側でも協力してやりたいという人もあるようでありますが、インドネシア側はまあ賠償が先だというような、早く言えば今のところはそういう態度のようであります。で、そういう話が進むかどうか、ちよつとわからないのですが、アサハン計画については日本の久保田豊という人を招聘して、更に計画を練り直したものはあります。
  42. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 それからインドネシアで何か機関車、或いは鉄道車輛の修理の問題で、非常に日本に期待するものが多くて、これはまあサービスだけで行けるのか、或いはもつと現物まで提供しなければならないのかも知れませんが、そういう問題は検討されたことはないのですが。問題にはなつていないのですか。
  43. 岡崎勝男

    ○国務大臣(岡崎勝男君) それはちよつと、私は記憶はないのですが、或いはあるかも知れませんが、船とかそのアサハン計画ほどには大写しになつていないようです。ちよつと記憶がありません。
  44. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 新聞によるとフイリピン、インドネシア、ビルマ等々を引つくるめた東南アジアの開発の計画を、捻合的な開発の計画というようなものに関連をして、政府に何か特別の機関をつくつて、少し検討しようとしておられるというような記事も出ておるのですが、そういう計画なり意図はおありなんですか。
  45. 岡崎勝男

    ○国務大臣(岡崎勝男君) そういうことは全然ありません。これはお互いに事情が非常に違うのだと、そういうふうな引つくるめた形は各国とも余り好まないようであります。政府としてはそういう点は全然考えておりません。殊におのおのの国のおのおのの計画によつてできればやりたいという程度のものです。
  46. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 何か新聞によると、それに参加するメンバーその他も具体的に出されて、担当具体的に進んでいるようなことが出ておるのですけれども、これも一応新聞のまだ推測の記事という程度のものと考えたらいいのですか。
  47. 岡崎勝男

    ○国務大臣(岡崎勝男君) ちよつと私はその新聞を見ないのでわかりませんが、或いはそのメンバーでも一、二おつしやると何か思い出すことがあるかも知れません。
  48. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 メンバーは経済審議庁の奥田君、それ以外は石原廣一郎(石原産業)、それから東芝、誰でしたか、何かそういう人たち……。
  49. 岡崎勝男

    ○国務大臣(岡崎勝男君) 恐らくそれでは根拠のない話です。
  50. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 ああそうですか。
  51. 羽生三七

    ○羽生三七君 一つフイリピンで賠償問題のほかに、対日平和条約の討議を議会で始めるとか、始めないとかいう記事が盛んにひと頃出たのですが、フイリピン議会はもう昨日、今日終る頃だと思うのですが、何かそれについて御承知になつたことがあるのですか。
  52. 岡崎勝男

    ○国務大臣(岡崎勝男君) あれは私にもよくわかりませんが、伝えられるところではその賠償問題に反対している人たちが、国会に平和条約を、あれは提案はしてあるのですが、そのまま棚上げになつておるわけですが、これを提案、議題にのせて否決してしまおうということだつたたらしいのです、それはやめになつたようです。
  53. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 総理の外遊について幸い記者団各位もいないのですから、一つもう少し打明けていろいろ聞きたいのですが。
  54. 羽生三七

    ○羽生三七君 その内容に入る前にお尋ねしておきたいことは、政府のほうで積極的にこの会期内に、その外遊の目的等を議会に発表されるという、そういう段取にはなつておるのですか。
  55. 岡崎勝男

    ○国務大臣(岡崎勝男君) まだ政府としての段取ということは、例えば閣議等で話があつたわけじやありませんから、これは必ずしも閣議で相談してやるということでないでしよう。主として官房長官が中心になつて、そういうことをやるべきか、やるとすればいつやるかというような話を、総理なり、副総理なり、或いは党の幹部なりに密談しているようでありますが、まだ結論は出て来ていないのです。
  56. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 まあ結論は出ていないということですが、重要法案だけ通して、食逃げなんていうことはないでしようね。その点一つ所管大臣としてもやはり国会でやるべきだということを一つ御進言願いたいと思うのですが、如何ですか。
  57. 岡崎勝男

    ○国務大臣(岡崎勝男君) かしこまりました。
  58. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 終戦以来、無条件降伏の過程から、まあ困難な外交をやつて来られたのですが、私、中ソ両国等との国交調整を開いておかんと、如何に有能な外交官でもなかなかれそこには限界があるんではないかと思うのですが、そういうことについて、このたびは御準備はないものでしようか。
  59. 岡崎勝男

    ○国務大臣(岡崎勝男君) それは特にそういう話をするんだということはないようであります。ただ中共の問題については、一番主要な国であるアメリカと、イギリスとの意見が必ずしも一致してないという点には、まあいずれにしても、事態がはつきりしない点もあろうかと思つています。これを何とか調整するために行くわけでもないし、まあそんな話が出るかどうかも全然わかりません。
  60. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 何か吉田総理がその中に入つていろいろ調整されるような、雄大な構想を以ておられるという何も出ておつたのですが、一部のニユースに……。そういうことはないのですか。
  61. 岡崎勝男

    ○国務大臣(岡崎勝男君) 大体総理は御承知のようなふうであつて、新聞社等は、まあ総理が言わないからでもありましようが、推測記事が出ているわけであります。これはどうもいろんなのが出ておりまして、今おつしやつたのも、やはり一つの推測記事だろうと思います。
  62. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 私はやはりそういう資料を持つて行くことによつて、有利な交渉ができるんではないかと思うのですが、これは外交折衝としてどんなものでしようか。私が一部聞いたんでは、日本の置かれたアジアの環境、或いは日本の貿易等で、中ソ両国の持つ重要性に関しての資料をかなり整えられて持つて行かれると、それをまあ宝刀とされるわけでもないでしようが、そういう準備もできているというような噂も聞いているのですが、それは如何でしよう。
  63. 岡崎勝男

    ○国務大臣(岡崎勝男君) それは私にとつては初耳であります。
  64. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 私はそういう情報の流れているもとからもらつてタイプに打つて、そういう準備もしてまあアメリカが要請を聞かねば、こういう準備があるというようなものをちらちらされながら、そういうあとおしも、あなた、準備をされておるというような記事も出ておつて、いろいろな観察をしているのですが、それは別にしまして、昨年頃から総理の再軍備なりの問題について非常に考えが少し変つたように思うのですが、私は西ドイツのキリスト教民主同盟の昨年の九月ですか、圧倒的な勝利というようなものが、総理の世界観と言いますか、そういうものに影響しているのじやないかと思うのですが、如何なものでしようか。
  65. 岡崎勝男

    ○国務大臣(岡崎勝男君) どうもこれは私からあまりお答えできませんが、どうもおつしやるようなふうにし総理と話をしていても感じられません。総理という人は自分の考えをかなり強くいろいろの問題で持つて、おりますので、よその状況はよく見ておるようですが、あまりそうすぐ何かに影響されることの少い人のように私は思つております。
  66. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 ジユネーブ会議の動向、或いはその後の世界情勢の動向を見ても、対米外交というものは、もう少し是正すべきものじやないでしようか、その点の呼吸はどんなものですか。
  67. 岡崎勝男

    ○国務大臣(岡崎勝男君) まあそういう点こそ、この外務委員会でいろいろ御意見を伺つて参考にしたいと思つておるわけです。
  68. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 それから中国やソ連に対する旅券の問題ですが、イギリスの労働党でも、まあ左派のぺヴアンならば別ですが、右のはうアトリー等も今度来たりするようですし、もう少しこれまでの考えから一歩前進されてもいいのじやないかと思うのです。如何なものでしようか。
  69. 岡崎勝男

    ○国務大臣(岡崎勝男君) これは法律的にイギリスと日本とは立場が違うのでして、例えば日本の立場というのはアメリカなり、カナダなり、スペインなり、そういう国、つまり中共を承認していない国の立場にあるのです。イギリスは承認しておるのですからして、大分これは関係が違うので……。
  70. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 そうすると、まあ既定の方針に弾力性を持たせるというようなことは近いうちにはないわけですか、その点伺います。
  71. 岡崎勝男

    ○国務大臣(岡崎勝男君) 今のところ特にどうということは考えておりませんが、これは日本の利益になるように努めるべきは当然でありまして、併し普通国際間の常識から言えば、承認をしていない国の政府に対して旅券を出すということは、普通ではないわけです。
  72. 梶原茂嘉

    ○梶原茂嘉君 それに関連するのですけれども、今日も参議院で決議がありましたけれども、中国紅十字の問題ですね、ああいう問題は政治的には、外務大臣の御所見もあるでしようけれども、もう少しく淡薄にあつさりと処理ができないものであろうか、何となしに割切れないものを普通のものが感ずるのですね。別段あれに対して、英国も認めておるし、日本のために何とかということはあろうとは思えない。そういう感じを相当持つのですけれども、ああいうのはもう少し円滑に処理のできないものなんでしようか。
  73. 岡崎勝男

    ○国務大臣(岡崎勝男君) こういうことは余り決議のあつた日に議論するのはおかしいのでありますが、従来の経過だけを申しますと、第一にこれは国会の議員が中共へ行つたときも同じですけれども、中共に行つたそのお返しに今度は中共から人を呼ぶということは、日本政府としては考えておりませんよということを、念を押していずれも出て行つてもらつたのです。ところがいろんな向うにおける話のはずみでしようが、中共の紅十字の人を招待するということを言つて来てしまつた。言つて来てしまつたから、赤十字としては立場が困るから是非承認して欲しいというのが話の発端なんです。それに対して我々は言つて来てしまつたからといつても、それはそんなことを言われてあとから承認しろと言われたつて困る、そんなことを政府はちつとも頼んだことはないのだという話をいたしたのです。併しそれとは別にぐずぐずしておりましたら、今度はその例の三団体が、一つは赤十字ですが、あとの二団体が非常に強く私のところへ折衝に来まして招待の問題を強要したわけなんであります。そこで、そんなに何かそういう人たちが非常に強く要求する、これは引揚のためということではありますけれども、どうもちよつとそれだけとはとれないような節が非常にあつたので、とにかく話をするならば、二団体から離れて赤十字だけで来いということで以て一時話が跡切れてしまつた。そうしたら今度はその二団体ほかいろいろの団体が相談をされたらしくつて、これは私は確かだとは言いませんが、併しその相談をした中の有力なる人の話でもあるから確かかも知れませんけれども、要するに狙いは今度ではない。これを一遍やつておいて、その次に今度更に中共の貿易関係の人を呼ぶのが本当の狙いなんだ。従つて今度は政府をまあ騙すためにおとなしくして、二団体ほか左翼の団体というものは関係しないで赤十字にやらせよう。その代りそれが先例になつて、この次は第二段の処置がとられるのだということで、今度のは赤十字だけという話になり赤十字が又やつて来たわけです。そこでどうも私はその間の事情が余り気に入らないのです。気に入らないといつて自分の感じのようですが、日本の利益のためにもなるまい、こう思つて躊躇しておりましたところが、その間にスケートの選手権大会でソ連の人を呼ぶということがあつた。これも承認していない国の人が来るというのは困ると言つたのですが、これはいろんな唯一があつてこれを呼ぶということになつた。そこで政治活動等はしないとかいろんな条件をつけたわけです。ところがこれも真義か嘘か知りませんが、そのうちの一番上の監督が旧ソ連代表部に行つて、そしてソ連代表部の人を無理矢理にソ連に連れて帰る。で、実はあれが非常に有力なソ連の秘密警察の部員であつたのだ。そのためにその人が逃げ出してアメリカ軍の保護を受けたとか何とかいう話になつて、これはまあ真相はわかりませんけれども、そういう噂が立てられているので、調べてみると監督はそういうところへは出入しないという了解の下ではあつたけれども、ソ連の元の、今の旧大使館に出入したりなんかしておつた事実は確かなんです。そこでどうも信用がならないという気がしまして、どうもこれはわけがわからないということで躊躇をしているわけです。  ただ政府として非常に辛いことは家族たちは非常に心配しておる。で、中共の紅十字を呼ばないのはいいが、それじや政府はどういう手を打つてくれるかというと、実は手がない。あるにしてもこれは中立国を通じたりなんかする話であつてれ遺家族を満足させるようなふうにはなかなかいかない。ただ私どもの考えは紅十字の代表は、自分が日本へ来ていろいろ見物したいからといつて来るのではなくて、これは何らかの考えで、政府の意図によつて動いているものであり、又この前に引揚が行われたのも、それは赤十字が打合せには行きましたけれども、その前は跡切れてしまつて、何ら意図がない。それなのに急に引揚をやろうということになつたのは、中共側の考え方によつたので、要するに向うの考え方によつて引揚ができたりできなかつたりするので、紅十字を呼ぶこと自体でできるのではない。ただ紅十字を呼ぶことが何らか向うの意にかなうことになつてくれば、やつてくれるかも知れないというようなふうに考えておりまして、未だにはつきりした結論を付けかねておるのですが、その間にああいう決議ができたというのが実際のいきさつであり、政府としても遺家族に対して実際気の毒であるし、家族のこと宿攻め道具に使われると実は困るのです。こういう点は私としても今後国会の決議もありましたのですから、十分ネ憾はいたしますが、事情は今のところはそういうふうなことで来ております。
  74. 羽生三七

    ○羽生三七君 政府と中ソとの立場は根本的に違うということを前提としてものを考えてみた場合に、そういう立場の違いはあつても、何か両国の国交調整を行き悩ましておる基本的な原因というものは、何でありましようか、そういう立場の違いということだけでしようか。
  75. 岡崎勝男

    ○国務大臣(岡崎勝男君) これはつまりあれです。ソ連の場合のように、これも随分長くかかつたのですが、つまりイギリスでもあれはたしか一九二四年に承認したと思います。ですから約五年かかつております。それからアメリカはルーズベルトの時ですから、一九三三年ではないかと記憶しております。そうするとこれは十四年ほどかかつております。かなり長くかかつても承認してしまつたものは、いやでもなかなかこれは取消すということはできないから、そのまま承認を続けてやつておる。併し成る政治形態が変化して新らしい形態になりますと、承認という問題には随分時間がかかるのは、中共についても承認しておる国もあるけれども、承前していない国もあるので、従つて日本の場合でも、普通に考えても、そう必ずしもすぐ承認するかどうか、これは普通の同じような考え方の国なら問題ありませんけれども、違つた考えを持つている国に対しては、すぐ承認できるかどうかというと、これはかなり躊躇されるという問題ではあろうと思います。そうすると、平和条約ができてからまあ二年ちよつとでありますから、これは普通の状態で、これから永久にしないということになればこれは問題ですが、今のところはそう飛び抜けて長くかかつておるわけではないと思います。一方、その北京放送などこれは朝鮮で侵略者と言われているという事態は別としまして、北京放送などの、お聞きになつたかも知れませんが、やりかたは随分これはひどいものであります。で、この中共の放送が政府の放送であることは、これは間違いないと思う。形は変えていますけれども、ああいうことは要するに仮りに日本に国交回復論者があつても、それに水をかけるようなものじやないかと私は思つておる。随分これはひどいことを言う。
  76. 羽生三七

    ○羽生三七君 中共のことは別にして、仮りにソ連を考えて見た場合に、戦前日本とソ連とが通常の国交を持つており、戦後にその再開ができないという点で考えるというと、単にイデオロギーの相違だけども思えないのです。戦前もソ連が共産主義であつたことに間違いないし、我々も又必ずしもああいう立場の上に立つてものを言つておることは絶対にないのですが、そういう戦前と戦後の場合を考えて見ての国交再開不能の主なる原因というものはどういうものですか。
  77. 岡崎勝男

    ○国務大臣(岡崎勝男君) これは批評はおありになろうと思いますが、日本はサンフランシスコの平和条約を受諾したわけであります。従つてこの平和条約に参加されればソ連との国交回復ということは、これは明白にもできるわけであります。尤も平和条約には、あのときにこの平和条約に参加しなければ、実質的に同じような条約であれば、三年間差支えないわけですから、必ずしも全然同じでなくても、実質的に同じ条約であれば、これ又差支えないわけであります。併し日本のほうのサンフランシスコ条約に入つたという、あのサンフランシスコ条約の中に流れておる思想と言いますか、それから安保条約、これなどを取消さなければ国交回復せんということであれば、これはできないと思います。併しサンフランシスコ条約に調印して大多数の国がこれに参加して来た現状におきましては、ソ連側の考えがこれを認めるか認めないかという点に、今のところは出ておる、どうもこれは止むを得ないのじやないかと思います。
  78. 羽生三七

    ○羽生三七君 そこで、それをソ連側で認めるか認めないかということになつて、これを認めない場合には、まあ非常な長期に亘つて平行線ということになつて、問題の解決ということは非常に困難になると思うのですが、而も同時に日本とソ連とはまあ或る意味では一種の戦争継続状態、だからこれは合お話のソ連側がサンフランシスコ講和条約そのものを認めるというまでは、もう全然これを打開する途というものはほかに手はないと、こういうことになるのですか。
  79. 岡崎勝男

    ○国務大臣(岡崎勝男君) 国際関係というものは実際上随分変るものであつて、戦争中ではあつたが、非常に手を組んで仲良くやつていたアメリカとソ連が戦後になると非常なまあ仲違いみたいなことになる、まるで一瞬の差で以つて非常に違つて来るような事態もありますから、将来のことは今こうだから永久というか、長く同じような状態が続くとも言えますまいが、日本としては実はサンフランシスコ平和条約を受諾して、独立国たる権利その他権利を享有しておりますが、同時にサンフランシスコ条約における義務をまだ果していない部分が幾つもあるわけであります。例えば賠償もその一つでありますが、在外財産の処理、これに対する国内の補償、こういうものもあります。それから台湾の政府或いは朝鮮等、日本の領土から離れた国との間のいろいろの調整事項、これもまだ済ましておりません。従つてサンフランシスコ条約は調印したけれども、それを完全に履行しておるという段階にはまだ来ておりません。こういうものをずつと履行できる段階というのは、取りも直さず日本の国力も非常に回復した時代になろうかと思います。その後においては、又サンフンシスコ平和条約、それがつまり大体三年間というふうにまあ予想しておつたわけです。従つて三年間はこの条約と実質的に同じものでなければ作れない。或いはこの条約に参加するか或いは実質的に同じ条約ということにいたしておるのは条約履行ということを考えたわけです。併し今となつては三年間でできるようにはならんだろうと思います。又沖繩とか、歯舞、色丹とか、いろいろな問題がありますが、従つて日本が完全にそういう条約の義務を履行し、連合国のほうも条約に基く各種の約束を実行したという事態は、又一つのこれは転機であろうと思いますが、今のところは少くともサンフランシスコ条約に調印した日本としては、サンフランシスコ条約を忠実に守つて行くという立場に立つておるわけであります。
  80. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 そういう立場をおとりになつても、併し日本としては隣国を成るべく刺激しないような外交政策をとることは必要じやないかと思うのですが、その点について……。
  81. 岡崎勝男

    ○国務大臣(岡崎勝男君) これはもうその通りです。
  82. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 先に羽生委員の質問に対して只今大臣が答弁されたのですが、併しアメリカのいろいろな関係もあると思うのですが、私はアメリカはまあこの秋ですか、中間選挙等もあつたりして、ダレス長官も中国に対する問題を今のような態度をとつていますが、ひよつとすればアメリカ自身中国市場を必要とするというようなこともあつたりして、むしろ日本が背負投げを食つてしまうというようなことがありはしないかと思つたりするのですが、そういう際にもやはり万端の準備を整えておくことが必要だと思うのですが、その辺について……。
  83. 岡崎勝男

    ○国務大臣(岡崎勝男君) 我々は中田君は信用されないかも知れませんが、アメリカがこうするから、こうしようとか、ああするから、こうしようとかいうことだけを考えておるのではなくて、やはり日本としての一番利益になる方法を勿論考えておるわけであります。アメリカの動向もこれは全然無視するということは勿論やれませんが、アメリカに何でもくつついて行くから、アメリカが変つたときは背負投を食う、そういうような心配は我々いたしておりません。
  84. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 ソ連に対する態度、西独の事情、我々外電からだけですが、よく似通つておるように思うのですが、最近我々の少い情報ですが、非常に西ドイツでもソ連に対する態度がいろいろ変つて来ておる。そうして欧州防衛共同体がこの二十七日に二週年を迎えるが、殆んど西ドイツでもその問題が取上げられないほど変つて来ておる。そうして又最近原爆、水爆を米ソ両勢力が持つたような際に、西独が十二個師団の地上兵力を持つたりなんかすることが、果して意味があるかどうかというような問題が、非常に欧州軍条約に対する熱意を失わせておる。そうして又昨年の地すべり的な圧倒的な勝利と言われたアデナウアーもその余勢をかつて、対ソ巻返しというようなことからだんだん考えが変つて来ておる。そうして又それと連立内閣も作つております自由民主党はむしろ積極的に対ソ外交を打開すべきである。こういうような立場を表明したりしていますので、これは他国のことですが参考になるのではないかと思うのですが、三年ぐらいでいろいろな条約の義務をし積極的な外交政策をとられても、そのことは自由諸国との離反を意味しないというふうに思うのですが、如何でしようか。
  85. 岡崎勝男

    ○国務大臣(岡崎勝男君) これはどうも御意見として伺つておくより仕方がない。
  86. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 もう少し何とかないですかね。
  87. 梶原茂嘉

    ○梶原茂嘉君 外務大臣のお見通しでは、中国の国連加盟問題は、アメリカの現在の態度とすれば、これは到底実現することはあり得ないように考えられるのでしようか、或いは近い機会にそういうことがあり得ないわけではないというふうに見られておるのでしようか、その点を一つ。
  88. 岡崎勝男

    ○国務大臣(岡崎勝男君) 私もこういう点はわからないのです。アメリカの国民の気持というものもしばしば変ることがありますがら。ただ今アメリカの国会では、非常に強い反対意思を表示しておりまして、この国会の考え方を無視してと言つてはおかしいですが、併し反対してということは政府としてはやらない模様に思います。従つて、恐らく非常に強い反対であろうと思います。つまりそういうことが議会の多数によつて仮に決せられれば、国際連合から脱退してもしようがないというような非常に強い意思表示があるようです。これはちよつと考えられる将来においては困難じやないかと見ております。
  89. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 どうも岡崎大臣とはどこまでやつても並行線のようですが、(笑声)併し吉田総理によくお伝え願いたい。それは終戦後九年目ですが、アメリカの世界政策を受入れてる国は、どこでも政府があうゆる努力にもかかわらず、困難な状態。七回ですか組閣いたしましたデ・ガスペリ政権もそうでしようし、或いはシユーマン・プランを作つたシユーマン外相、そうして欧州軍条約を推進した、そういう人は、フランスの大統領選挙でも十三回ですか投票をやり直しましたが、三回目から脱落して、むしろそれから中立的な人が出た。或いはアフリカの北部、或いは中東、近東、或いはパキスタンにしましても、先般アメリカとパキスタンの軍事協定を結びました。その後にやつた総選挙では政府与党が圧倒的に困難な地位に立つているというような点。そして吉田内閣におかれても、まあそれと軌を一にしているという点は、やはり何かアメリカの世界政策というものが反省期に入つているのじやないか、むしろそういうことに対して、適当な調整を加えることが、私はアメリカのためでもあり、長い間の、将来の日米親善友好の何になるのじやないかと思うのですが、そういう世界の最近の世情なんかを見ても、いささかの憂慮も、特に岡崎大臣はされてもいないのですか。
  90. 岡崎勝男

    ○国務大臣(岡崎勝男君) 吉田総理でもそうでありましようが、別にいつまでも政府を作つていなければならんとも思つていますまいし、従つて今の政策をやつていれば政権を維持することはできないぞという御忠告なら、それはもうどうでもいいのだということになるだろうと思います。ただ意味が、つまり国民の希望する政治をしていないのじやないかということになりますれば、これは又別問題であつて、仮に何カ月これから政府を維持して行くにしても、或いは何年維持して行くにしても、国民の考え方に反したような政治をやつていはしないか、その点は我々も十分気をつけますが、もうかなり長いのですから、この上いつまでも政権を維持しなければならんということもないわけです。
  91. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 それからアメリカへ行つて、いろいろ新聞に伝えられているので、借款の問題、経済援助、いろいろありますが、岡崎大臣はいつですか、まあ必ずしもそういうことを目的にしているのではないと申されたのですが、私はこの先般日本の国民所得の中から資本蓄積のロスをいろいろ大蔵省に調べてもらつたのです。そうしますと、五百万以上の法人で宴会費を一千億、これはまあ租税特別措置法で交際費に課税するために大蔵省が非常な労力を費されて……。とにかく一千億法人が交際費を使つておる。それから自治庁で遊興飲食税の関係から逆算しましても、飲食の分を除いて遊興だけでも二千億近い遊興がなされておる。それから昭和二十五年から昨年までのビルディングの建設が四百億、それから遊興娯楽関係の何がやはり数百億というように、かなり日本の国民は勤勉に富を生産しておるのですが、どんなに手堅く見ても、大蔵省の主税局の査定では一千億くらいなものがロスになつておる。そういうもうを何らかの形で、この資本蓄積に流して行けば、いろいろ紐の付いたような困難な外資を入れんでもやれるじやないか、勿論私たちでもただその投下資本に対して、元利を償還するというような紐の付かない外資まで、一概に反対するものではありませんが、やはり大きなそういうロスとして流れるものを、何とか一定の方向に蓄積できるような国内政策をとることが先決条件じやないか。又ニユーズ・ウイクリーその他を見ましても、その点を厳しく指摘しておるのであります。私は非常に困難な問題をあとに残すような過酷な条件のものよりか、むしろ国民所得の中からそういうふうな必要な資本を動員する政策をとるほうがいいのじやないかと思うのですが、そういう点について御見解を承わりたい。
  92. 岡崎勝男

    ○国務大臣(岡崎勝男君) それは全く私も同感です。同感ですが、おつしやるのがやり方になるのですが、この頃警察国家だとか秘密保護法だとか、いろいろ議論があるようですが、国民のそういうロスをやめさせるために、厳重な統制を布くというようなことは、私どもはやりたくないと思うけれども、国民の良識に待つて早く平常の状態に戻るということは、これは是非早くやるべきことであつて、又外資を導入するにしても、そういうことをやらなければ外資も入つて来ない、こういうふうに思います。
  93. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 もう余り時間もないようですが、大体の旅行の主要な目的なんかはお洩らしになるわけには行きませんか。
  94. 岡崎勝男

    ○国務大臣(岡崎勝男君) これは先ほど申した通り官房長官はいろいろ考えてはおりますが、暫くお待ちを願います。
  95. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 再軍備関係の大変な荷物を負つて帰られないように一つ希望して、本会議で吉田総理と一戦を交えることにしましよう。
  96. 團伊能

    ○團伊能君 新聞を通しましていろいろ聞いてみて、又日本政府の意向としては、どうしても非常に友好関係を再建したいということでございますが、日本韓国との関係ですが、これは今やつぱり非常に我々見ていると、韓国の言うことも末梢的なことを言つている。それが原因で決裂したような恰好になつておりますが、日本政府の意思としては、友好関係を再建したいという御意思があるようには私も見ておりますが、相手国としてはどういうところにひつかかつておるのか。問題がひつかかつておると私は思いますが…。
  97. 岡崎勝男

    ○国務大臣(岡崎勝男君) これは第一には、例の久保田発言と称するものを取消してあやまれということです。これは取消すことは私は異議ない。というのは久保田君はこれは個人の発言ですよと言つて断つてやつたのだから、政府の意向でないことは明らかです。これは取消すことは取消す。ただ久保田君の代りにあやまれと言われたところで、個人の発言と断つておるものをあやまれというのはおかしいけれども、まあこれも言葉の問題ですから、そう何もかたくななことを言わなくてもよかろうと思います。それが片付きますと、第二には財産権の問題、請求権の問題、これは韓国側は日本は請求権を放棄しろ、韓国は放棄しない、こういうわけなんです。そこで私はその問題に触れないで、日本は払うべきものは払うと言つておる。例えば賃金の未払の分或いは預金の未払の分、但し例えば郵便貯金などは日本に未払の分はありますが、それの何十倍という資産を韓国政府で接収してしまつておるのです。従つてそつちから返してもらわなければ返せないわけだから、こういうものは別問題ですが、払うべきものは払う。それから例えば韓国の美術品等で日本の政府の持つているもの、これはまあ返しましよう。それで根本的な請求権というような問題は、両方で良識を以て、お互いのことなんだから、やめたらよかろうと思つておりますが、この点がまだひつかかつておるのでございます。  それから主として二点あろうと思います。あと会談を、今度開いてみると、例の李承晩ラインという問題がひつかかつて来る、こう予想しておりますが、これについても日本と韓国で今までやつて来た議論では、どうもどつちがいいかわがわからんようなことがしばしばあるので、できれば公平な第三国の代表者を入れて、まあ行司になつてもらうというようなこともどうだろうか。それからもう一つは、会談を開くということになれば、今までのようにテーブルを囲んで両方側が並んでお互いの議論のやりとりをするというのじや、いつまでたつてもつきないから、非公式の会談で、お互いに腹蔵のない話をして解決に導くように努力したらどうだろうと考えて、折から韓国の選挙も終りましたので、一応韓国側の政局も安定したと見られるのですが、できればこの際又話を始めたいと思つてやつております。
  98. 團伊能

    ○團伊能君 そうでございましようが、私どものこれを見るところでは、今の久保田発言というのも、久保田発言自身ではないその裏にあるいいがかりと言いますか、裏にある意図が日本に対して好意がないということであると考えますが、実際のジエネラル・フイーリングとして、李承晩政権というのは日本とそういう関係をもう一つ作ろうという意思があるかないか。むしろそれは非常に稀薄なように考えますが、そこにいろいろ請求権その他の実際上の問題は、やはり李承晩ラインの非常にデリケートなものがありましようが、話をして、友好関係の再建に反対をしているというところに、熱意を持つていないというところが、一番原因じやないかと思います。
  99. 岡崎勝男

    ○国務大臣(岡崎勝男君) これはそういう気風も見えないこともありませんが、李承晩大統領と話を昨年のお正月にしたときには、李承晩大統領は非常にまじめに考えておるようですが、年寄りですから非常にむずかしいことはありましようが、必ずしも御懸念のようなふうにも思わない。又今は韓国はアメリカの援助があつて経済を立てておりますが、永久にアメリカの援助がこういうふうに来れば別ですが、そうでなければやはり日本と提携して行かなければやつて行かれない経済状態にあることは、これは否むべくもない事実ですから、私は良識ある人たちは、将来のことも考えれば、そうむずかしいことも言わんでいいのじやないかと思いますけれども、ただ韓国側としては反感みたいなものが非常にある。これは占領中の反感もあるし、それから韓国側が北鮮との生きるか死ぬかの戦争をしている間に、日本は特需で大いに儲けて賛沢やつていたじやないかというような気持もあるようです。こういう点はやはりこちらも素直に認めるものは認めて、まじめに将来のことを考えるようにお互いに努力する。いずれかと言えば、日本のほうが立場もいいのだし、人口も多く、国富も比較的多いのですからして、お互いに援け合うという点では、日本のほうがむしろ下手に出るというのはおかしいですけれども、一緒になつてやつて行くということで、忍耐を以て友好関係を樹立して行くという方向に行くべきじやないかと思つて努力はいたしております。
  100. 團伊能

    ○團伊能君 それについて友好関係を、向うのほうは何となく圧迫感も感じるでしようし、従来の歴史から一つ考えて、非常な疑惑もあるでありましようが、日本の政府の態度が韓国に対して、向う側に言わせると、まだ過去の態度であつて、非常に独立国としての対等と言いますか、或いは日本が非常に謙虚な態度でないということを向うで言つていることも聞いたことがあります。それは別として、韓国も今日は再建途中で非常に多くのものを必至といたしておりまして、米国も援助しておりますが、殆んど日本の物資に対してボイコットのような状態であつて、日本品ならば買わないというような状態にある。それでもまあ除けないで多少のものを買い、日本に多少のものは売つておりますが、それらの方面から何か有無相通ずるという点だけでも、韓国との間にもう少しいい状態を復活することも、ちよつとなかなかむずかしい問題でしようか。
  101. 岡崎勝男

    ○国務大臣(岡崎勝男君) 私もそういう点も是非改善したいと思つておりますが、実際やつてみると、なかなかむずかしくて、御希望、御期待に副えないで現状まで来ておりますが、努力は今後ともやるつもりでおります。
  102. 羽生三七

    ○羽生三七君 先日政府与党の首脳部が、首相が外遊から帰つたあとに、臨時国会を開くかも知れんというような報道があつたのですが、何か外務大臣が考えられて、首相外遊帰朝後、臨時国会を開くようなことが予想されますか。外遊問題と関連と関連して……。
  103. 岡崎勝男

    ○国務大臣(岡崎勝男君) 私は全然そういうことは考えられないと思いますが、この間新聞に出たので聞いてみましたところが、そんな話はなかつたということのようです。
  104. 佐藤尚武

    ○委員長(佐藤尚武君) それでは外務大臣に対する質疑はこれで終了いたします。委員諸君はちよつとお残りをお願いいたします。   ―――――――――――――
  105. 佐藤尚武

    ○委員長(佐藤尚武君) 次は国際情勢等に関する調査については、昨日継続調査要求をすることに決定したのでありますが、会期もあと僅かになりましたので、調査未了の報告書を提出したければなりません。これを提出するこに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  106. 佐藤尚武

    ○委員長(佐藤尚武君) 御異議ないようでありまするので、さよう決定いたします。  なお、報告書の内容については委員長に御一任を願います。又報告書の提出は多数意見者の署名を附することになつておりますので、順次御署名を願います。   多数意見者署名     佐多 忠隆  團  伊能     羽生 三七  中田 吉雄     梶原 茂嘉  加藤シヅエ     杉原 荒太
  107. 佐藤尚武

    ○委員長(佐藤尚武君) それでは外務委員会はこれで散会いたします。    午後三時三十二分散会