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1954-04-27 第19回国会 参議院 外務委員会 26号 公式Web版

  1. 昭和二十九年四月二十七日(火曜日)    午前十時三十三分開会   ―――――――――――――  出席者は左の通り。    委員長     佐藤 尚武君    理事            團  伊能君            佐多 忠隆君            曾祢  益君    委員            鹿島守之助君            古池 信三君            西郷吉之助君            杉原 荒太君            宮澤 喜一君            梶原 茂嘉君            高良 とみ君            中田 吉雄君            羽生 三七君            加藤シヅエ君            鶴見 祐輔君   国務大臣    外 務 大 臣 岡崎 勝男君    国 務 大 臣 緒方 竹虎君   政府委員    保安庁長官官房    長       上村健太郎君    外務省経済局長    心得      永井三樹三君    外務省条約局長 下田 武三君   事務局側    常任委員会専門    員       神田襄太郎君   説明員            土屋  隼君   ―――――――――――――   本日の会議に付した事件 ○日本国とアメリカ合衆国との間の相  互防衛援助協定の批准について承認  を求めるの件(内閣提出、衆議院送  付) ○農産物の購入に関する日本国とアメ  リカ合衆国との間の協定の締結につ  いて承認を求めるの件(内閣提出、  衆議院送付) ○経済的措置に関する日本国とアメリ  カ合衆国との間の協定の締結につい  て承認を求めるの件(内閣提出、  衆議院送付) ○投資の保証に関する日本国とアメリ  カ合衆国との間の協定の締結につい  て承認を求めるの件(内閣提出、衆  議院送付)   ―――――――――――――
  2. 佐藤尚武

    ○委員長(佐藤尚武君) 只今より外務委員会を開会いたします。  先ず日本国とアメリカ合衆国との間の相互防衛援助協定の批准について承認を求めるの件を議題といたします。本日は第七条から始めることにいたします。質疑のあるかたはどうぞ御発言をお願いいたします。
  3. 羽生三七

    ○羽生三七君 この軍事顧問団の場合に、先日来の質疑ですでに大体明らかになつたのですが、この顧問団が、単なるMSAの装備資材等の援助の問題だけでなしに、日本の自衛力の増強等の防衛問題一般、つまり政治的性質を含むであろう防衛問題一般に介入することはないというお答えでありましたが、それはこの大使館の指揮監督の下に大体置かれることになつてできるであろうものが、この自衛隊ですか、そういう方面に実際の任務は持ちながらも、身分上は、大使館の指揮下に置かれるということはよくわかるのですが、実際問題として、まだそういう資格の下で、この今申上げた防衛問題一般或いは政治的な性格にまで及ぼすような発言の機会を持つようなことはこの顧問団の編成上機構上やるかやらないかということは別として、そういう機構上から、そういうことが起つて来るということは全然ないのですか。
  4. 土屋隼

    ○説明員(土屋隼君) ここの規定にございますように、顧問団の職務は、私ども協定として認めましたのは、この協定に基いて供与される装備、資材及び役務に関するアメリカの責務というのは、つまりMSAの援助による責務でございます。それから、その援助が如何に日本で進捗されているかという進捗状態を観察する、この二つに限られておるわけでありまして、従つてこの規定から、今御心配のございました点は、あり得るはずがないのでございます。ただ実際の問題といたしまして、大使館員となり、保安隊と直接関連を持つことになりますので、その間、日本の防衛問題に口を差挾むということは、実際の問題としてはないという保障はどこにもないわけであります。ただ私どもといたしましては大使館員であります関係上、大使館員は日本の防衛問題という内攻問題に干渉すべからずということは、国際法上確として動かないことでありますから、仮にそういう口吻なり言動があるということになりますれば、大使館に対しまして厳重なる抗議を申し込むことになりますので、私どもといたしましては先ずその心配はなかろうかと思います。
  5. 羽生三七

    ○羽生三七君 外国の例として顧問団が何らかそういう影響を与えたというようなことは皆さん方聞き及んではおりませんか。
  6. 土屋隼

    ○説明員(土屋隼君) よくこれは挙げられる例でございますが、フランスで一度顧問団の団長からたしか行政費の使い方のことで、フランス政府に抗議を申し込んだことがございます。これが内政干渉だというので、時のフランスの外務省のほうから、逆に抗議に対する抗議を申込みまして、アメリカ側はこれを撤回いたしました。それでもおわかりのように、干渉なり或いはそういう差し出がましいことをするということは、顧問団の任務でないと思います。ほかには別段、今まで私どもの承知しております限りでは、干渉がましいことをしたということは現実には知つておりません。
  7. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 この決定されました数の問題ですが、私の調べたのでは、日本ほどたくさん顧問団が来たのは、殆んど直轄管理になつている蒋介石の台湾政権以外にはないわけですが、世界各国の数について一つ知らしてもらいたいと思うわけですが、私の調査では各国とも非常に少い。ユーゴースラビアなんか三十人くらいというふうで、各国の軍事顧問団との数においてなぜ日本がこういうふうに多くなつたか。大分これについては御努力されたようですが、蒋介石政権と殆んど数においては軌を一にしたその理由についてお伺いしたい。
  8. 土屋隼

    ○説明員(土屋隼君) 実は顧問団の数というのは、公式な発表がございませんものですから、台湾政権に対する七百五十名近くのものということは、あらゆる角度から大体推知し得るところでありますが、ほかの国がどのくらい持つておるかということは厳格にはわかりません。併し中田さんのおつしやいますように、各国の例が日本が今度手がけようとします顧問団七百五十名に比較して、比較的数が少いということは否めない事実だと思います。私どもは交渉に当りまして、この顧問団の数の多いということは、いろいろの反応がございますので、少いことを希望いたしまして、二百五十名という数を出しまして、これで交渉をいたしました。その後、交渉を重ねました結果わかりましたことは、ほかの国は御承知の通り軍隊というものを持つておりますので、訓練その他につきましても、アメリカから全面的に訓練なり何なりを受けるということをしなくてもいい場面が可成りあるわけでありますが、日本にはその場面が多少ほかの国と違つた場面になります。それが一つはあるのです。第二に、今回は初年度のことでございますので、諸事万端向うとの打合せ、或いはMSAの援助に対する実施につきまして交渉もございますので、そんな関係上アメリカ側も可成り初めのアメリカの考えた数よりは少くはしたのでありますが、初年度七百五十名という数に落ち付くことになりまして、いつも申上げますように一年経てば漸減いたします。大体半減、それからもだんだん減まして、一、二年経てば結局ほかの国に派遣されておる顧問団と数においてそんなにかけ隔たりのないくらいにできるのではないか、こう考えておる次第であります。
  9. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 この顧問団は、今私の聞き及んだところでは、保安隊の兵器の保管、貸与兵器の保管というようなものは、駐留軍で保安隊に配属された者が保管しておるように聞いておるのですが、そういうことまで干渉しますか。その点は如何でしようか。例えば現在保安隊にある兵器、弾薬庫その他の錠前まで保安隊が持たずにアメリカ駐留軍の派遣された者が保管しておるのか。非常にそういうことが精神的な影響も与えておるように聞き及んでおるのですが、その顧問団の任務の限界には、そういうものの配分とか、その点如何でしようか。
  10. 土屋隼

    ○説明員(土屋隼君) 只今保安隊に貸与されております武器の保管は、正式なものというよりは、アメリカ側が持つておるのです。日本が事実上使わしてもらつているという恰好のものですから、その管理者がどうしても必要でございまして、従つて在日米軍の将校が各部隊において管理しておるということになつておることは、これはお説の通りであります。顧問団との関係では、顧問団は米軍に関連を持ちません。従つて顧問団の団員が各隊にあつて、日本が使用している武器の管理をするというようなことはないわけであります。今後実は今使用しております武器につきましては、アメリカで執行法ができるか、何らかの形で、日本側に譲渡されることが考えられます。昨年度は審議未了に終りましたので執行されなかつたのでありますが、本年はそれの御措置がとられると思いますので、これは過度的なものといたしまして、顧問団と別に管理する在日米軍の将校がおるわけでありますが、まもなく何らかの措値によつて解消するものだと了解いたしております。
  11. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 二百五十名くらいの顧問団の数で折衝したが本協定のようなことになつた、併し来年度においては半減し、更に漸減する方針だと言われたのですが、そういう際に、成るべくあとあと問題を残さないような規定にしておくことが必要だと思いますが、この規定、附属協定等で十分そういうことが保障されてありますか。その点、如何でしようか。
  12. 土屋隼

    ○説明員(土屋隼君) これは実は会議の中では十分当方の意向は説明いたしましたし、又御承知の通り交渉の最後の段階におきまして、顧問団の数と、その費用が、可成り時間をくつた交渉の題目であつたことは御承知の通りであります。従つて日本としては言うことは十分言つたのでありますが、正式の議事録はありません結果、文書としてお示しすることはできませんが、活合いの中では、当然アメリカ側も日本側の意図を了といたしまして、そうするということに話はついております。附属書のFの第一項最後に、日本政府が与えるべき便宜に関しまして、その便宜が合理的であるということと同時に、日本政府に不当な負担となつてはいけないということを特にそこに挙げましたのは、そういう意図を多少含めまして、今後そういう点につきまして日本側の意向をそこまで伝え得るきつかけを作りたいと考えた次第であります。
  13. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 折衝された大体の御趣旨はわかるのですが、やはり講和、安保並びに行政協定によつて、日本に駐留しておる軍隊の撤退等に関する具体的な取極がないことが、やはりあとあと大きなこの折衝の一つの手段に使われたりして、私は将来必ず困難な問題を起すのではないか。そういう点において、この第七条の規定だけでは、そういう推移に鑑みても、他日問題を起さないように、がんじがらめに縛つたような規定になつていないということが、協定としては十分なものでないのじやないか、というふうに考えるわけであります。併しこの点についてはお求めはしませんが、更にこの経費の問題について……、これは附属のほうでやりますから……。
  14. 佐藤尚武

    ○委員長(佐藤尚武君) 今質疑をされるほうが御便利ならば、附属も併せて御発言なさつたら如何ですか。
  15. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 いずれあとで申上げますから……。
  16. 高良とみ

    ○高良とみ君 あとで出て来ると思いますが、三等級に区分されるというその内容を少し御説明を頂きたいのです。
  17. 土屋隼

    ○説明員(土屋隼君) 実はこの協定にございますような顧問団の身分につきましては、私どもどういう取扱いにしたらいいか。大使館員になるのでありますから、外交官の特権を持つ者が大部分なのでありますが、数の多いことでありますし、又必ずしもそう重大な役目をする人、はかりでもございませんので、何とかそこに区別をつけたいというので、附属書はそういう気持を謳いました。フランスでは大体これに似たような例があるわけであります。三等級にわけましたのは附属書のFの第三項aにございますのが、大使館の一等書記官、参事官に匹敵する外交特権を持つものであります。この顧問団の団長であります。その下に陸海空のおのおの主管しておりますところの先任将校、その数は七名と抑えまして、これが完全な外交官としての特権を持つわけであります。第二段はそのアシスタントと申しましようか、大使館で申しますと、二等書記官、いわゆる官補というところになると思いますが、特権つきましても、アメリカ側で、自分が申出れば、その特権、いわゆる外交官の特権というものを放棄できるようにしております。それはbの終いのほうを御覧になりますと、自動車の登録番号だとか、外交団名簿への記載だとか、社交的な儀礼によばれるとか、外交団の特権を担う儀礼というものを省くようなことになつております。日本で実際の慣例を申しますと、大体日本に駐在いたします領事と同じくらいのものと御了解頂いてよいと思います。最後のC項の第一三の等級は、これはいわば大使館の書記に匹敵すべきものであります。従いまして、いわゆる外交官の特権というものを持つておりません。外国の公務員が日本に駐在したと同じような取扱をするわけで、いわゆる外交特権と称するものは持つておらない。この三つの段階に分けたゆえんは、先ほども申上げましたように数が多い。従つてそのすべてが全部外交官の特権を持つということになると、いろいろ議題で問題が起り得ると思いましたので、数をしぼつたというのがこの附属書Fの目的でございます。
  18. 高良とみ

    ○高良とみ君 そうしますと、Fのほうの二階級のところについては了解いたしますが、一番上の七名についてでありますが、最上位の将校即ち団長というようなものは、どういう階級の将校ですか。大将級か中将級か少将級か、ぞの辺はわかりませんか。
  19. 土屋隼

    ○説明員(土屋隼君) 只今日本に予定されておりますのは、現在日本に来ておりますゼネラル・ビギンス少将であります。その下に大体、大佐級、場合によつてブルガデイア・ゼネラルも入るかも知れませんが、大佐級の人が、おのおの陸軍、海軍、空軍の士官が先任将校として着任されるように聞いております。
  20. 高良とみ

    ○高良とみ君 その第一級の人たちは、この外交官の中でも領事以上の、つまり大使、まあ公使並みぐらいのところまでの待遇を受けるのでありますか。
  21. 土屋隼

    ○説明員(土屋隼君) 大体私どもの考えております関係から申しますと、公使というのは、現在におきましては、大使館におきましていわゆるデイプデイー・チーフ、いつでも大使に代り得るような地位にある人でありますが、ここ予定されます最上級の将校と申しますのは、それより幾らか低いところになりますので、強いて申しますと参事官などに匹敵するのではないかと思いますが、併し大体の取扱いは各大公使館におります陸軍武官に匹敵するものだと思います。
  22. 高良とみ

    ○高良とみ君 これらの顧問団の待遇として日本側で負う責任はどういう程度のものですか。財政的に、又は自動車とかそういう運営費についての御説明を願いたいと思います。
  23. 土屋隼

    ○説明員(土屋隼君) 顧問団全般の行政費につきましては附属書Gが規定しておりますので、只今の御質問は恐らく各、顧問団の人で大使館員になつておる人たちの実際上の取扱いをどうするかという御質問かと存じます。これは一般にA級、B級、C級によつて違いますが、A級のものを取上げて申しますと、大使館の館員と完全にその待遇を同じくするわけでございます。従つてその自己の使用のために輸入しますものは無税でございますし、日本の国内におきましても、ほかの外交官が受けるような、税金の免除を当然受けることになりますし、自動車の番号は外交団の番号を付けることになります。B級のいわゆる領事に匹敵するものにつきましては、先ほど申しました自動車番号とか、或いは名前を外交団名簿に載せるとか、社交的にほかの外交官と同じ取扱いをするということは、必ずしも私は期待いたしておりません。アメリカ側も恐らくこれは辞退するだろうと存じております。
  24. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 重ねてですが、数の問題ですが、先に申しましたように、私あつちこつちの数を持つていますが、大体蒋介石並みなんです。これは蒋介石の軍隊は高度なアメリカとの関連におかれた、アメリカの太平洋戦略に深く組入れられたもので、私もアメリカがやはり日本に要請するものが、そういう傾向を、台湾と同じような傾向を持つ、特にそういうふうな初年度だからというようなことで、そういう単純なことだけでそれほど数が多いかどうかということは、非常に問題だと思うわけであります。本当に精神的ないろいろな悪い影響を与えずに、貸与される装備に対するいろいろな指導をやるのでしたら、間接的な、例えば数十名の人が、日本人の幹部将校と言いますか、そういうものに兵器の使い方を指導し、それが日本人に当るという形式をとらんと、精神的にも、私の聞き及んだところでも決していい影響を与えていない。むしろそれほど数が多いというのは、やはり直接間接の侵略に対抗する際に、アメリカとの共同作戦というような特別な要請に基くものではないかというふうに、大変推察がましいのですが、そういうことも思うのですが、この数の問題に対しては、いろいろ御折衝の過程では、ただ単純に初年度で、数カ年間軍隊というものがなかつたのだから、そういう貸与兵器の、供与兵器の指導訓練というふうに善意に理解して誤りはないでしようか。その点、重ねて一つ伺つておきます。
  25. 土屋隼

    ○説明員(土屋隼君) 数の問題につきましては、当方と先方とで、どういう人がどういう任務のために何人必要であろうかということを、実は表を突き合せて、保安隊の人たちもかなりまで突き詰めた話をされたいきさつがございます。私ども見ますのに、まあ日本側の三百五十名が初めの見積りより少かつた、実際上より少かつたということを認めざるを得ないというぐらいな、アメリカ側でもかなり厳格な表を持つて参りまして、この表で話合いをしましたので、この点につきましては、私どもは、初年度は少くとも大体これくらいあつても、そう必要量を超えたものではないという印象を持つたことは事実でございます。  それから明年度以後における減少の問題でございますが、文書には勿論ございませんが、その任務等から見まして、例えば予算の面につきまして、或いは武器の日本に対する授受の問題につきまして、最初はそのような意味において数が多かつたものが、だんだん慣れて来る、或いは日本人がやるようになつて来るから少くなるということも予想できます。  もう一つ最後に、どうも数が多いと、従来の保安隊その他にいろいろ口ばしを入れるという噂もありますが、そういう点についての心配があるということでございますが、画然と在日米軍とこの顧問団とは区別がございまして、在日米軍の命令下に立ちません。大使館の大使の指揮の下に立つわけでありますから、若しさようなことがございましたということになれば、我々といたしましては外交交渉で十分にこれを抗議し得る問題かと思いますので、そういう点についての御心配はございましようが、まずまず数の点につきましても、職務の点につきましても、初年度からだんだん漸減して行くという方向で、まあこれくらいの数は一応いたし方がなかろうかという考えでございました。
  26. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 そうしますと、この協定が成立しますと、今の保安隊に配属されておるアメリカの軍隊は、完全にそれから手を引いて、第七条に基くものだけが保安隊に接触する、こういうことになるんですか。
  27. 土屋隼

    ○説明員(土屋隼君) その通りでございます。
  28. 高良とみ

    ○高良とみ君 この附属書のa項のおしまいのところにあるように「アメリカ合衆国政府の適当な通告があつたときは、」というのはどういうことであるか。それはないこともあるのか。それから完全な外交官たる地位というのは、それがなければ完全な外交官たる地位は与える必要がないのかどうか。それから第三には、完全な外交官たるという作用ですが、それはあらゆる情報を得る権利、又はいろいろな情報について本国と連絡し、或いは大使館当局との連絡等もあるだろうと思いますが、そうすると、そういうふうにそのほかの外交官の権力を全部持つものと認めていいんでございますか。その三つについてお伺いしたい。
  29. 下田武三

    ○政府委員(下田武三君) 「適当な通告があつたときは」というのは、普通の外交官でも同様でございますが、大使館員が着任いたしますと、外交官特権を供与すべく、大使なり公使なりから何の某が何日着任して当大使館の一員となつたということを、外務省宛に正式の公文書で通告いたして参ります。その通告があつて初めて日本側はその者に対して外交官特権を認め、外交団名簿に記載する等の手続をとるわけであります。その正式の公文書を以て外務省に通告しなければこの外交官特権を認めない、そういう意味でございます。  従いまして第二、第三の点につきましては、そういう外交官なみの手続を何ら規定してないのでありまして、その点からも、A級の者とそれ以外の者とは、先ず入るときの手続からして違うというように御了承願いたいと思います。
  30. 高良とみ

    ○高良とみ君 その完全な外交官の特権というのは、どういうふうな内容と了承してよろしいんでございますか。どこでも行きたいところへ行つて情報を得ることもできるんですか。
  31. 下田武三

    ○政府委員(下田武三君) 外交官といえども、国際法、国際慣例から見まして、任国で勝手な振舞はできません。おのずから節度を持たなければいけないのでありまするが、ここで完全な外交官特権と申しますのは、いわゆる法権免除、任国においてその国の行政管轄権及び司法管轄権に含まないといへような面もございますし、又、儀礼上いろいろ儀式に招かれ、或いはお正月には宮中に招かれるというような様礼上の特権をも含んででおるわけです。
  32. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 六百五十人とかいう軍事顧問団は陸海空にどういうふうに配属になるのか。
  33. 土屋隼

    ○説明員(土屋隼君) 実はこの数を問題ういうふうに振り分けるかという問題につきましては、保安隊のほうで、日本の防衛計画、本年度の防衛計画と見合いまして話をするように私ども承知しておりますが、只今紬かい数字を持つておりません。ただ申上げられますことは、その完全な特権を受けますし名のうち二名、二名ずつ、つまり先任と、その欠席者との二人ずつが、陸海空と三つに分れてMSAの援助の分も受持つというふうに承知しておりますが、あとの細かいもので何人がどういうふうに所属するということは、今のところ恐らく保安隊とアメリカ側と話合いがきまつていないと存じます。
  34. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 それから今の職員が中央と地方にどういうふうに配属することになるか。
  35. 土屋隼

    ○説明員(土屋隼君) この点につきましても、実はどういう向きがどこに行き、どこでどういう訓練をするかという点について、まだ細目的な点につきましては保安隊との話がアメリカ側ともつかないようでございまして、現在中央と地方との振分けの按配というような点についても詳細はきまつておりません。
  36. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 そういう配属なり地位なりがはつきりしないでいて、六百五十人というような数字は、どういう基準から算定されたことになりますか。何ら基準もなしに六百五十人掴んで、それぐらいはまあいいでしようというようなことなんですか。
  37. 土屋隼

    ○説明員(土屋隼君) これは保安隊のほうとアメリカ側とのほうで、かなり細かい職分規定を設けまして、援助がどういう形で行き、どこにどういうような人が配属が必要であるかというような表を作りまして、この表で話合いた進めていると作します。まだ確定的なものがきまりませんが、その表でその職分というものがこの数を決定する一つの基準になつておるものであります。
  38. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 その折衝の土台になつたそういう配分表、そういうものを出して一つ御説明願いたい。
  39. 土屋隼

    ○説明員(土屋隼君) これは保安庁のかたが今おられませんので、後刻連絡をいたしまして御希望の点を伝えたいと思います。
  40. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 保安庁のほうの出席を求め、その説明をさして頂きたいと思います。あとでもいいですから。それから附属書Gの三億五千七百万円の金ですが、これ以外に現物で提供するというようなものがあるように書かれておりますが、これはどういうものをどこで提供するのか。
  41. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 私もそれに関連して質問しますが、この数を非常に少くしたのは、日本人に悪い印象を与えるからです。まあ計画的にと言つては大変恐縮ですが、又いろんな先に佐多委員が言われたようなことで、これはずつと大きな分だが、金額だけのものを計上して、それに賃貸料その他をそれに加算すると非常に多くなる。それを少く見せる。そういう印象を与える手段としてこういう形式をとつたという批評もあるんですが、そういう関連質問……。
  42. 土屋隼

    ○説明員(土屋隼君) 附属書のGの二項にございます「必要な且つ適当な不動産備品、需品及び役務」と謹いてございますが、これが金銭以外に日本側が顧問団に提供するものになるわけであります。この価格につきましては、細かいものがまだ顧問団の実際が動きませんので分らなかつたのでありますが、大蔵省あたりの話合いでは不動産その他は、国有財産のうち先方が使用し得るものにつきまして、例えばこの顧問団の事務所が要りましようから、この事務所なんかの面倒を見たり事務所の机その他の備品こういう問題につきまして、日本政府の手持によつて、金を出す代りにこれを出そう、こういうことになつておりますから、金の点については大蔵省もまだ正確の数を踏んでいないのであります。ただお話のように、金を出して、物を出すやつをちつとも価格に出さないで、金だけ出して、非常に少くなるような印象をという点でございますが、勿論私どもも成るたけ金を少く出すということを本旨としたことは事実でございます。今後に出します不動産備品等についても、厳格に先方の必要なものだけに限りたいと考えておりますので、非常な額に上るという心配は話合いをした結果なかつたように思います。
  43. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 そうすると、今の御説明によると、三億五千七百万円のうちとしてそういう現物提供をされるように聞いたんですが、そうなのか。そうでなくて、三億五千七百万円、資金としては三億五千七百万円で、それ以外に更に若干の現物を提供されるということになるのか。そこのところをはつきりして頂きたいと思います。どうも今の御説明では、内ということのようでございますけれども、我々が今までいろいろ新聞その他で聞いた事情によれば、それ以外に、外として若干の現物を提供するということになつておるようですが。
  44. 土屋隼

    ○説明員(土屋隼君) 或いは私の説明申上げますときに金の点をはつきり申上げなかつたので、そういう誤解を生じたかと心配いたしますが、この現物を支出いたしまして、この現物を支出するということがあるから考慮に入れて金は三億五千だと初年度は踏んだわけでありまして、現物の提供しますのは、この金の枠の別でございますというより、現物を出しましてその上に金を出すということを説明したのでございまして金の中に現物が入つておるわけではありません。第五項にございます金銭以外のものによる負担を考慮に入れて額を決めた、こういうふうにいたして額は決まりまして、金銭以外の負担があるからこれだけの額で我慢しろ、こういう趣旨でございます。
  45. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 そうすると、そういう提供される現物を入れて金額を最小限に制限されたわけでしようが、それら現物を入れての負担額はいくらになるのですか。
  46. 下田武三

    ○政府委員(下田武三君) この現物の評価は只今大蔵省と保安隊と相談しておりますので、はつきりした数字は出ておりません。ただ予想いたしますところは極めて僅かでございます。大体六千万円くらいに評価されるのではないかと思います。
  47. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 大体では了承ができないので、ここではつきり金額を必要な最小限に制限をする、而も現物提供はそのうちだとおつしやるのならば、少くとも国内に対してはそれらを明瞭に、どれどれの物件を提供し、それをどう評価したらいくらになり従つて現金供与合せてこれこれになつて、これが今両国の了解した必要の最小限度だということを明瞭にお示し願わなければならないと思うのですが、それを至急に明瞭にお示しを願いたい。
  48. 下田武三

    ○政府委員(下田武三君) 日本側だけの、つまり大蔵省側だけでの評価は一応あります。併しこれはアメリカに対しては、実は日本側としてはたくさん出したような顔をしたいところでありますので、日本側だけの評価は実は余り発表したくないのでありまするが、大体、中央本部、元憲兵司令部でありましたノートン・ホールと称している建物、中央はそれでありますが、地方たどは含めまして不動産二千六百二十四坪というものでございます。それから評価として大きいのは電話交換設備がそのほかにございます。この電話交換設備は大体千二百万円に見積つておりまするが、その電話交換設備の千二百万円を見積りまして、六千二百万円という日本側の評価になつております。
  49. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 それは日本側の評価で、向うに対してはもつとたくさん評価して、従つて必要最少限度はそれを両方合せますと四億幾らになりますか、五億幾らになるか、そういうものを出したというふうに了承をされるのですかどうですか。
  50. 下田武三

    ○政府委員(下田武三君) 資金並びに不動産というものを合算されれば仰せの通りに評価できると思います。
  51. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 ちよつと第七条の二項の「行政事務費及びこれに関連があろ経費として」三億、これだけ出されろのですが、それは一体どういうものてすか。「行政事務費及びこれに関連がある経費、」どれとどれとどれですか、これは……。
  52. 土屋隼

    ○説明員(土屋隼君) 行政事務費は、顧問団がこの世帯を抱えまして、それに事務を取扱うにつきまして使う経費でございますから、その点は別といたしまして、関連がある諸経費ということになりますと、例えば通信費、使用人の料金、光熱費、旅費、文房具、運送費、こういうものが含まれるだろうと思います。
  53. 杉原荒太

    ○杉原荒太君 ちよつとこれに関連しますが、今のこの協定にはこう書いてあるでしよう。この協定の実施に関連するアメリカの行政事務費及び関連経費とかあるのだが、これは、顧問関係以外にもあるのか。この書き方が、この協定、例えばもつと限定して第七条の第一項に関連すると書いてあれば、その範囲が非常にはつきりするけれども、この協定の実施に関連をするとあるのだから、非常に範囲が漠として、どこまで行くのかはつきりわからない。なぜこういう規定の仕方をしたのか。顧問関係以外のことまで含まれるのか。どういうわけなのか。
  54. 下田武三

    ○政府委員(下田武三君) 実際はこの第七条一項と範囲はぴつたり合致するのでございまするが、つまり顧問団の責務というのが、日本に参りましてこの協定に基いて供与される援助に関連する合衆国政府の責務を遂行するというように一項で規定しております。従いまして二項のほうも、この協定の実施に関するというのはその第一項のほうのことをそのまま指すわけでございます。
  55. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 そうすると、例えば顧問団の住宅費事務費は全部こつちから現物提供をするというふうに考えていいのですか。それから顧問団の俸給はどういうふうになつているのか。それから国内の旅行費、それから国外への旅行費、そういうものはどういう負担になつているのか。そこらのことを伺いたい。
  56. 下田武三

    ○政府委員(下田武三君) つまり俸給でございますとか、手当でございますとか、或いは衣服等の基礎的な、人間に対する給与経費というものは、これはすべて米国側の負担でありまして、日本に来てこの仕事をやるからこそ初めて必要になる経費だけを日本側が見るという、考えであります。  御指摘の住宅維持手当と申しますか、日本に滞在するための必要な宿舎に関する経費、これは日本側が持つことになります。それから国内の旅費、これも協定実施のために必要なものでございまして、日本側の負担でございます。  それから住宅の点につきましては、申し落しましたが、実際は六百五十人分の住宅を日本側が全部揃えるのではなくて、ワシントン、ハイツその他に非常多くの、つまり米軍の施設に入つておる者がございます。これは大使館に身分が変りましても、引続き現在それに入つておるものは、そのまま米軍のほうから顧問団に貸してくれるということで、日本側が新たに提供するのは非常に少いわけでございます。  それから外国旅費につきましては、これはこの協定の実施に関連して帰る、つまり連絡に帰るものだけを日本側が負担するのでありまするが、この一年間に半減するために米国に用がなくて帰る者は、これは何もこの協定に関連して帰るのではなくて、軍人も任期が終れば帰るのでありますから、これはアメリカ側の負担だということにいたしまして、全然日本側が負担いたしません。併しこの協定の用でワシントンに連絡に帰るものだけを日本側が負担する、そういうことになつております。
  57. 佐藤尚武

    ○委員長(佐藤尚武君) 今、保安庁の上村官房長が来られましたが、先ほど佐多委員何かありましたね、どうぞ。
  58. 曾禰益

    ○曾祢益君 今の件について……。大体わかつたようなわけですが、この行政費及び関連する経費というものを三億五千万円と非常にはつきりした数字を出しておられるので、従つてその予算というものがあるわけだと思うのです。これは当然に給与、手当等は含んでいないでしようが、どういう三億五千万円の内者であるかというようなことは、これは、はつきりした予算化されたものに違いない。それを集計したものがここに出ておるんだろうと思うのです。その内合は御説明願えないのですか。そうすれば各項目に亘つてはつきりわかると思う。
  59. 上村健太郎

    ○政府委員(上村健太郎君) お答え申上げます。日本政府が負担いたしまする顧問団経費の総額は、外務省から御説明がありましたかと思いますが、三億五千七百三十万円でございまして、内訳は、日本人労務者の雇用に要する経費がラウンド・ナンバーで大体申上げますと、五千六百万円、それから顧問団員の滞在手当、これが一億六千百万円、同じく旅費が二千五百万円、それから庁費等が六十万円、そのほかに、航空訓練のために一時派遣要員に要する経費が五千四百万円、合計いたしまして三億五千七百三十万円。
  60. 曾禰益

    ○曾祢益君 ちよつともう一つその点について、私は人件費、人件費といつちや悪いけれども、俸給は勿論本国持ちだと思つていたけれども、滞在手当というのはどういう内容であつて、又どうしてそういうものまで持たなければならないのか。これがちよつとわからないのです。
  61. 上村健太郎

    ○政府委員(上村健太郎君) これは米国の軍人がこちらに参つておりますると、住宅手当を支給されるのでございまして、その手当の額でございます。
  62. 曾禰益

    ○曾祢益君 そうしますると、住宅手当だけですか、この点は。
  63. 下田武三

    ○政府委員(下田武三君) 米国側から、政府から、貰います。外国にいるときに住宅手当というのを貰うのでございますが、これが日本へ来まして実際、電気、ガス、水導等の料金を払つていますのには足らないのでございます。そこで彼らが米国政府から貰う住宅手当というものを日本側が一応貰つてしまいまして、そして現実に要する電気、ガス、水道料その他の滞在の費用はマージンだけを日本側が負担しようと、そういう考えになつております。
  64. 曾禰益

    ○曾祢益君 そうすると、六千万円というのは、アメリカがこれらの職員に個々に出す住宅手当は日本に貰うのですか。そしてその差額が六千万円だと、こういうことになるわけですか。
  65. 下田武三

    ○政府委員(下田武三君) なぜそういうことをいたしましたかというと、つまり彼らは今まで米軍要員として進駐軍のほうに入つておりまして、民有家屋に入つておる者は別でございますけれども、日本側から提供している施設に入つておる者は大体全額日本側が持つておるもので、それが顧問団員になると、とたんに全額でも足らない者は皆自分のポケットから出せと言いますと、もう皆嫌がるわけであります。そこで、その不公平を是正するために、そのマージンだけを、差額だけを日本側が持つてやろうと、そういう妥結に達したわけであります。
  66. 曾禰益

    ○曾祢益君 そうすると、丁度今と同じように結局まあ公有住宅に住むと同様な待遇を与えてやろうと、こういうわけですか。
  67. 下田武三

    ○政府委員(下田武三君) 仰せの通り、日本で仕事をしておりまして、そして顧問団員となるがために自分のポケットを痛めるということをなくしてやろうという考えであります。
  68. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 さつきの経費の内訓をもう一遍恐れ入りますが……。
  69. 上村健太郎

    ○政府委員(上村健太郎君) 総額が三億五千七百三十万円でございまして、詳しく数字を申上げますと、日本人労務者の雇用に要する経費は、人数は百七十五人でございますが、五千六百四十二万円、それから今申上げました手当でございますが、住宅手当一億六千百五十二万円、旅費一千五百五万七千円、庁費等、これが事務所等の終費でございますが、六千十一万八千円、そのほかに航空訓練のために一時派遣してもらう要員に要する経費、これが五千四百十八万五千円でございます。
  70. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 そうすると、その庁費の六千万円以外に、さつき外務省からお話になつた現物提供する六千二百万円があるわけですか。これとは別ですね。
  71. 上村健太郎

    ○政府委員(上村健太郎君) お話の通りでございまして、この庁費等と申しまするのは、事務をとります上においての事務所の修理費でございますとか或いは印刷費或いは消耗品費等の事務所に要する経費でございまして、前のほうの手当は軍人個人に出す手当でございます。
  72. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 それで日本側の負担は大体わかつたようですが、一体この六百五十人或いは年度末になると三百四十人になるでしよう、これだけの顧問団が日本に滞在する、そのために要る経費全額、従つてこの日本の負担分とアメリカの負担分とはどういうふうな区分になるか、その辺をもう少し御説明願いたいと思います。
  73. 上村健太郎

    ○政府委員(上村健太郎君) お尋ねの御趣旨、どういう御趣旨か、ちよつとわからないのでございますが、米国側の負担する経費は、人件費、俸給、給料だけであると存じます。
  74. 下田武三

    ○政府委員(下田武三君) この年間平均四百二十五人ということになりますので、仮りにこの人々に対して米国が五千ドル年間負担すると仮定して見ますと、これは給料、手当や被服費や一切やりまして、五千ドルと仮定しますと、年額二百十万ドルほどになりますが、これを円価に換算いたしますと七億三千万円くらいになりまして、すでにその基礎的経費だけでも日本側の負担するものよりも二倍くらいになるということになります。
  75. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 これはやはり諸外国なみですか。金持けちん坊と言いますが、これくらいアメリカは何とかできないものですか。
  76. 下田武三

    ○政府委員(下田武三君) この経費の点につきましては、日本の場合はむしろ成功したのではないかと思いますのは、イタリアのごときは九十人に対しまして六億一千万円という経費をイタリア政府が負担いたしております。フランスは二百人に対しまして三億八千万円、日本の六百五十人から始めまして三億幾らできまりましたのはむしろ成功ではないかと思つております。
  77. 佐藤尚武

    ○委員長(佐藤尚武君) 第七条関係はそれで終了したことにしましてよろしうございますか。
  78. 佐藤尚武

    ○委員長(佐藤尚武君) それでは第八条に、移ります。
  79. 羽生三七

    ○羽生三七君 この内容の前に、この第八条はこのMSAの母法の五百十一条の(a)項の六条件に該当するものですが、大体世界各国の例として、この各国間の協定に含まれるものは第八条が中心であるか。この(a)項以外に、母法の(b)項、(c)項、というものは、各国間では全然問題になつておらんのですか。その辺ちよつと伺いたい。
  80. 土屋隼

    ○説明員(土屋隼君) これはアメリカから受けます援助の種類によりまして、(b)項(c)項というものを使つた協定は勿論あるわけであります。ただ我が国におきますのは(a)項に限る援助でございますので、ここでは五百十一条による項を掻いつまんで書き流したというのが第八条の記載でございます。
  81. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 第八条をのべたらにぶち込まれた意図なんですがね。文章のスタイルとして、例えば母法の五百十一条には(1)、(2)、(3)、(4)、(5)、(6)というふうに、よくわかるようにしてあるのに、こういう形式をとられたのは非常に意味がある。これは吉田、岡崎外交の敗北をこういうふうな「べた」に組んで、内容といいますか、重大な意図が含まれているのを糊塗する手段だというふうに有力紙も批評しているのですが、特に軍事条項等が入つて来るというようなことは、少くとも最悪の場合は附属書のほうにしたかつたが、アメリカが頑として聞かない。そこでまあ殆んど五百十一条の(1)、(2)、(3)、(4)、(5)、(6)という全部それをこのままの母法のスタイルで入れてはそれを察知されるので「べた」に組んだという、悪意に充ちたとは言いませんが、そういう批評がある。岡崎外交の敗北をこういう形式でカモフラージユしてある。どうしてもつとわかりやすいように母法になぞらえて言かれなかつたか。そういう点を一つお伺いします。
  82. 土屋隼

    ○説明員(土屋隼君) この点は私どもお叱りを受ける責任を一半持たなければならないと思いますのですが、私どもは最初この第一条に、一九五一年の相互安全保障法並びに今後その法律を修正補足したものに従うという条件が計いてありますので、もう五百十一条ということは謳わなくてもその中に当然あるから、五百十一条を述べる必要がないということを主上張したのでありますが、了メリカは、各国との例に全部五百十二条と内容を一にするものを書いてありますことは、今、中田さんのおつしやつた通りであります。そこでアメリカは、日本だけこれを抜くということになりますと、第一条に相互安全保障法に従うというもののどうもその点がぼやけて来るのであつて、アメリカとすれば、これはまあ一応アメリカの立看板でもございますので、どうしても協定文に載せたいという希望でございました。そこで、載せるということになりますと、おつしやるように五百十一条をそのまま箇条書に並べるか、それともほかの書き方があるかという問題で、私どもは、どうも趣味といたしましては、きまりました五百十一条ではありますものの(1)、(2)、(3)、(4)、(5)、(6)と並べるよりは、書き流したほうが多少何と申しますか文学的な表現もあろうかと考えましたのが、我々の実際上の考えでございます。それからもう一つは、五百十一条の(a)項をそのまま載せるのに一つの難点がございますのは、日本の軍事的義務という第三の項目でございますが、これが日本に関する限り、やはり安全保障条約に言うところの消極的な軍事的な義務だということを、我々としてはどうしてもここに厳格に言いたかつたわけであります。そうしますと五百百一条の(a)項をそのまま載せる場合におきましては、ここだけがほかと文句が変つて来ざるを得ない。こういう点もございましたので、六カ条を受けることについては原則的にいたし方がなかつたのでありますが、一応こういうふうに書きましたのが、皆様もお読みになつたときに、そう、えげつなくないからいいのじやないかということでございまして、若し大臣の外交政策に御批評があるということでございましたらば、私どもが至らないからということで御勘弁を願いたいと思います。
  83. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 我々は条約作成の素人ですけれども、やはり何人が読んでもよくわかる簡明な表現形式が……文学的な表現も大事でしようが、それにも増して必要なことは、やはりそういうことで、これを読んで母法と比較して見れば全くと言つてもいいほど同じのやはりこういうスタイルをとらざるを得なかつた苦衷は察しますが、この辺にも岡崎外交の失敗の跡は歴然たるものがあるということだけは記録にとどめておく。而もこういうカモフラジュする表現形式をとつたということは、憲法に対する解釈その他随所にあるわけで、なかなかこれは等閑に附せられない大きな問題の片鱗がここに私は現われておるというふうに見るわけであります、いろいろ質問したいことはありまするが、先ずこの点だけ申上げておきます。
  84. 曾禰益

    ○曾祢益君 この第八条の初めのほうは、安保条約に基いて負つておる軍事的義務の履行の決意を確認する、そうことのほかに、これは日本政府側だけの条約上の決意の確認をここに書いてあるわけなんですが、それは初めのほうにある国際の理解及び善意の増進、これに協同すること、それから世界平和の維持に協同すること、それから国際緊張の原因を除去するために相互に合意することがある措置をとること、これも全部再確認のほうに関連しておると思うのですが、こういう決着の内容がいいか悪いかは別として、こういう決意を再確認するという、何か別にほかの条約等にこのままの内容のものはなかつたと思うのです。その点は安保条約による軍事的義務の再確認とはちよつと意味が違うと思うのですが、この点はどういう……。
  85. 下田武三

    ○政府委員(下田武三君) 五百十一条の第一項、第二項につきまして、一体これは漠然とした抽象的規定だけで、何を意図するのかと向うの真意を聞きましたら、これは実は国連憲章の日本が平和条約で受諾しておる第二条の義務だ、国連憲章の一番狙いとする根本原則を謳うのに五百十一条の中に長つたらしく書くのもみつともないので、簡潔にして、ここに一項、二項に記載したのだというアメリカ側の意図がわかつたのであります。そこで、日本はも一うり平和条約、国連憲章の基本的原則を受諾しておりますので、これもやはり日本にとつては新たなことではなくて、すでに受諾した義務の再確認になるということで、安保条約と同様にここに新たに負つたのではなくて再確認だということに意見が一致したわけであります。
  86. 曾禰益

    ○曾祢益君 それはアメリカの説明としてはそうかも知らんけれども、いやしくも条約文、或いは国連憲章そのものに即して見るならば、アメリカの国内法である五百十一条にどういう表現を使つておろうが、やはり条約文としては、今私が申上げた点と国連憲章第二条に書いてあることとは、これは表現も違うし、思想的にも必ずしも同一であるかどうか、非常に疑わしいと思うのです。であるから、そういう再確認ということは平和条約で認めた国連憲章第二条のものと同じだということは、これは条約条文の説明としては少し乱暴じやないかと思うのです。そこで、然らばその意味ですが、国際の理解及び善意の増進について協同するというのは、これは誰も文句のないことだと思うのですが、そこで世界平和の維持に協同する、これは一体、非常にこれも趣旨としては艇も異存ないと思うけれども、これはまあ憲章の観点から言つても、いろいろ平和の維持に協力する場合に、制裁の問題、軍事行動の問題、いろいろのものを含み見得るわけなんですから、この点はいやしくも、五百十一条に何が書いてあろうが、日本の結んだ条約上の一義務の解釈としては一体どういうふうに……ここの世界の平和の維持に協同するというのをどういうふうに解釈するか、明確な説明がなされなければならない。その点を先ず伺つておきます。
  87. 下田武三

    ○政府委員(下田武三君) これは国連憲章第二条にこれと同じ意味のことがもつと具体的に書いてございますが、例えば三条三号以下の、「国際の平和及び安全と正義とを危うくしない方法で平和的手段によつて紛争を解決するということ」、「凡そ如何なる国も領土保全若しくは政治的独立に反するか又は国連の目的と両立しない他の何らかの方法による武力の脅威又は行使を慎まなければならない。」「国際連合がこの憲章に従つて執る行動について国際連合にあらゆる援助を与えなければならない。また国連の行動の対象になつている国に如何なる援助も与えることを慎まなければならない」。そういうようなことがすべてこの世界平和の維持に協力するということの具体的内容になつていると存じます。
  88. 曾禰益

    ○曾祢益君 まあ大体平和条約にも挙げておりまする第二条の三号、四号、これは日本の憲法の精神にも合致しているわけだし、第五号もこれも平和条約に載つておる程度ですから、その程度に解釈するのならそれもいいと思います。次に「国際緊張の原因を除去するため相互間で合意することがある措置を執ること」、これは一体どういうことを具体的に言つているか。これも趣旨としては、平和を脅威する場合の措置とか何とかいうことではなくて、更に緊張の原因を除去するためにいろいろな措置をとるということは非常に結構なことには違いないが、具体的に一体どういう措置が考えられるか。その点はどうですか。
  89. 下田武三

    ○政府委員(下田武三君) これも只今申上げました国際平和の維持に協同するということの裏腹をなすことでありまして、先ほど申上げました第二条の各号の規定がこれに該当するのであろうという説明でございます。
  90. 曾禰益

    ○曾祢益君 五百十一条というアメリカの国内法の、アメリカの説明を聞いているのではなく、日本政府の決意の再確認なんであるから、もう少し的確に、平和の維持に対する協力、或いは協同ということと対比して、国際緊張の原因を除去するより根源的な平和の取上げ方で、非常にいいと思うのです。いいと思うのだけれども、具体的にどういう措置が考えられるかという点と、それから今一つ、ここに、相互間に合意するとあるのですが、ほかのところの相互間ということも出て来るので、これは日米相互間なのか。これは日米両国がこういうことで一緒にやろうというのではなくて、日本だけにかかつている。そのミユーチユアル・アグリーメント、相互間というそのミューチュアルの相手方はどこの国ですか。条約文として非常にわけのわからん文章だと思うのですが、どうですか。
  91. 下田武三

    ○政府委員(下田武三君) その点は、ミユーチュアルというのは必ずしも、日米間の場合だけのミューチュアルも含むでございましようが、もつとマテイリアルのアグリーメントも包括されると思います。
  92. 曾禰益

    ○曾祢益君 そうだろうと私も思うのですが、そうなると、一体どういう国際緊張の原因を除去するために……ほかの国と相互にという意味なんでしようが、合意することある措置をとる。……日本政府の決意は日本政府みずから説明しなければいけないのですね。例えばこういうことだというふうなことが、何か少くとも例示的な説明がなくて、五百十一条というアメリカの法律では、アメリカはこう説明しているのですから、そのまま入れましたというのでは、日本国民に対する説明にならない。少くとも例示的にこういうことを言うのだというような御説明があつて然るべきだと思います。
  93. 下田武三

    ○政府委員(下田武三君) 御尤もでございますが、第八条の規定は、実は日本では日本に向いての規定だという解釈をしておられますが、実はこれはアメリカの国内に向いてのホーム・コンサンプシヨンの規定で、五百十一条で、受領国が次のことに同点する場合のほか援助を供与してはならないと、大統領がしばられておるのであります。「次のことに同意する場合の外と書いてありますので、実はここに掲げました文句をそのままとつてやることがアメリカにとつて必要なのであります。つまり高い税金をとつて外国に援助をやりますのでありますから、アメリカ国民に、この援助をやれば国際平和の維持に協力するのだ、国際緊張の原因の除去の行動をとつてくれるのだ、或いは今まで結んだ条約の義務は履行してくれるのだ。だから税金を納めて、そして援助をやつて下さいといつて、アメリカのホーム・コンサンプシヨンの基定なのであります。でございますから、各国は実はアメリカのためのお経だと思つて、余り争わずに入れてやつておるのであります。そこで、この日本側としての義務が抽象的であるだけに、それが困ることがあると、これは受諾できないのでありますが、幸いなことに、如何なるところにも逃げ道が沢山ございます。例の経済の安定と矛盾しない限りとか、或いは合理的な措置をとるとか、無茶なことをやらなくていいのだとか、或いは適当な手段をとるとかいうような、受けるほうとしては至るところに逃げ道があつて、そうして実際の場合にはその逃げ道を行使すれは重い義務は背負わないで済むのでありますから、アメリカの国内向けのお経の文句は余り争うことなく、できるだけとつてやろうということが各国の態度だつたので、あります。日本も実はその点は同情的に見ておつたのであります。そこで御指摘の第二項についての具体的の例を言えということでございますが、これは例えば国連行動の対象になつておるような国に援助を与えるということは、緊張の原因をますます大きくすることでございまするから、憲章第二条に規定しておりますように、国連行動の対象になつている国に対しては、あらゆる援助を与えないというようなことも又緊急の原因を緩和する一つの手段である。そういうように思つております。
  94. 曾禰益

    ○曾祢益君 アメリカのホーム・コーサンプシヨンのためにも、それは援助をもらうという立場から言うならば相当の考慮をしなければならんということはわかるのですが、同時に、そのお経のあげ方がはね返りがあるわけですから、そこで私がああいうふうに伺つたことも、最後的には逃げ道がある。又、協定の第九条にエスケープ・クローズがあるという見方をすればいいようなものの、併しそのお経のあげ方如何によつては、日本は飛んでもない義務を負担をしたというようなことになる。或いはそういう誤解までお経のあげ方如何によつてはアメリカに与えてしまつて、のつぴきならないようなことになる。こつちはエスケープ・クローズで逃げようというようなことは、実際条約をつくるようなときには余りいい方法ではない。正確な合意の上に立つてないと、とかくそういうトラブルを残すことはいけないと思うから申上げるのですが、次に、十分にこの点はいろいろ論じ尽された点なので、余り私は政治論は申上げませんが、防衛力と防衛能力とを使い分けているのですが、それはどういうように説明されるのですか。つまりここに「自国の防衛力及び自由世界の防衛力」、こういう言葉がありますね。その次に「自国の防衛能力の増強」、これの相違を説明して頂きたいと思います。
  95. 土屋隼

    ○説明員(土屋隼君) この点は私どももこれを書きます際に、防御力と防衛能力の使い分けについて、いろいろ考えたのでありますが、もとの五百十一条の(a)項にこの言葉を使い分けております。これを書き流します際には、私どもの考え方は、防衛力というのは、防御のために必要とする具体的な一国の自衛力、防衛能力というのはその防衛力の基礎となる一般的な国力を指すと考えまして、その国力というのは、即ち言い換えますと、産業とか、金融とか、資源だとかその他経済的な諸力、又はこの防衛力を効果的に発揮するために必要な組織だとか、或いは法制も必要になつて来ましようが、こういうものも一つ一つ防衛力という言葉で現わし、その総合的な基礎の上に立つた自国の防衛力を、自国の防衛の全体的な力を防衛力という言葉で表わすというふうに書き分けた次第であります。
  96. 高良とみ

    ○高良とみ君 関連して……、それはやはり両方ともデイフエンシヴ・ストレングスと書いてあるのですが、この前、岡崎外務大臣からも、このデイフエンシヴ・ストレングスという言葉はあるけれども、ストレングスという場合はやつぱり軍隊であるということが、ここでお話が大分出たのですが、両方ともストレングスという言葉がある。その下にありますストレングスのほうは明らかに軍隊の力というふうに読んで構いませんですね。そういうふうに了解してよろしうございますか。
  97. 土屋隼

    ○説明員(土屋隼君) いえ、高良さんのおつしやるように軍隊と解釈して頂きますと、私どもは八条はお叱りを受けるごとになりますので、軍隊ではございませんで、自国の防御に当るものであれば何でもデイフエンス・ストレングスであり、決してデイフエンス・アーム・ストレングスではありません。
  98. 高良とみ

    ○高良とみ君 ストレングスというのはアーム・ストレングスではないのですか。
  99. 土屋隼

    ○説明員(土屋隼君) アーム・ストレングスという表現をするのに不適当な程度のアームしかもつておりません。
  100. 高良とみ

    ○高良とみ君 それは議論をいたしません。
  101. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 さつきの曾祢委員の議論にもう一遍帰るのですが、第八条のいろんな四つの義務の中の前の三つ。特に二つ。これは国連の原則を出して来たのだというお話ですが、第一のほうはまあそれでも説明がつくかも知れませんが、国際緊張の原因を除去するため相互間で合意することがある措置をとるということは、やつぱり五百十一条の考え方、而も防衛力を増強をして、力によつて、武力によつて平和を維持するという考え方であると思うのです。ところが今の御説明によりますと、第二条のむしろ平和的な手段によつてやらなければならないとか、或いは武力の脅威又は行使を恨まなければならないというのが第二条の精神なんで、ここからはすぐに第二の項目、第二の義務は直接には出て来ないように思うのですがね。だからこれはやつぱり五百十一条の二項、従つて新たなる義務として日本が負つたものというふうに考えなければならない筋のものじやないかと思うのですが、その点はどういうお考えですか。
  102. 下田武三

    ○政府委員(下田武三君) その五百十一条の第二項の文面を見ましたときに、私はむしろ日本のために幸いだと思いましたのは、この国際緊張を鎮圧するとか、これをコントロールするために防衛する措置と古いますと、これは何か本当に武力で以て抑え付けるというような意味になつて参りますが、幸いにして、原因を除去する、エリミネイト・ザ・コーズということになつておりますのでございますから、これは紛争は平和的手段によつて解決するという、平和的解決の条約を結びますこともまさにこれに適合することでありますし、先ほど申上げましたように、国連行動の対象となつております侵略国側に援助を与えることを慎しむということも、又、原因を除去するとまでは行きませんにしろ、緩和するということになるのでございまして、つまり第二項が、アクテイヴに押え付けるということではなく、むしろコーズをエリミネイトするという表現が日本の建前からもいい表現ではないかと思つております。
  103. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 併し国際緊張の原因を除去するために日本に軍事基地を構築するのだ、或いは日本の防衛力を増強するのだということが、アメリカの考え方なんでしよう。
  104. 下田武三

    ○政府委員(下田武三君) 実はそうでございませんで、抑えつけるほうは日本の場合にはございませんがNATOでありますとか全米相互援助条約でございますとか、そういう武力紛争を生じた場合にお互いが兵力で援助し合うという抑えつけ方はむしろ第三項でやるんでありまして、日本がたまたま安全保障しかないのでそういう意味はございませんか、二のほうはむしろ緊張の原因をなくするというほうの趣旨だと了解いたしております。
  105. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 そうではなくて、それは、アメリカの考え方は、はつきりしているので、ソ連でしばしば、国際緊張の原因を除去するためには、世界各国に構築されているところの軍事基地その他を撤去することが先ず先決なんだということをしばしば提案をするときに、それに対応する考え方なり反駁として、いやそうじやなくて軍事基地を構築することこそ国際緊張の原因を除去するのだから、これは積極的にそういう意味でやつているのだという回答であり、答弁なんだと思うのです。それならば、それは国連でいう第二条の考え方でなくて、その後更に明確に発展をして来たアメリカの考え方、特に五百十一条の三以下の考え方を含んだものというふうに考えなければ説明がつかないのじやないですか。
  106. 下田武三

    ○政府委員(下田武三君) ソ連式の考え方で、ソ連周辺に軍事基地を構築することこそが緊張の原因であるということでございますならば、仮りに万一ソ連とアメリカとこういう条約を結ぶ場合には、正にそのアイデアは第二項に入つて来るアイデアでございます。実際問題として、そういうことに合意がありませんからできませんが、むしろそちらのほうの考え方が第二項でございます。
  107. 杉原荒太

    ○杉原荒太君 さつきの条約局長の説明ぶりについて、私ちよつと一言申上げておきたいのですが、条約局長は非常にフラノクにまじめな態度で言つておられるのですけれども、ややもすると表現を誤解されはせんかと思うのです。アメリカ側としても、このMSAの援助を与えるにしても、それに対する厳格な条件、相手国側に対する期待というものを真剣に考て来ているに違いない。日本側としてこれを受入れるに当つて、果してその条件を受入れることがいいかどうかについてまじめに吟味して、然る後にこの肚をきめるべきだと思うのです。条約を作るとざから、ややもすると信義誠実の原則から何か離れたようなふうに、どうかすると誤解を与えたら、この国会の審議の上から言つて非常に困ると思う。これは私一人のちよつと思い過ぎかも知れませんが、その点だけ申上げて、それに対して何かおつしやることがあれば一言言つてもらいたい。
  108. 下田武三

    ○政府委員(下田武三君) 誠に御尤もな仰せでございますが、第八条の、交渉いたしますときのアメリカ側の代表の態度から見まして、これは第八条は重大な義務を日本に押しつけるのだというふうなことでは決してなかつたのでございます。先ほどお経というようなことを申しましたが、非常にこれはアメリカのホーム・コンサンプシヨンだということは、はつきりいたしましたので、それだから先ほど土屋局長も申されましたように、それならばこんなものを書かなくて、どうせ第一条に、相互安全保障法の第一条に従いということが入つてしまうのだから、あれでいいじやないかということを日本側でも言つたくらいなのであります。それに対しまして、いやMSA法の条項に、次の条件を同意する場合のほか大統領は援助することができないということになつているから、どうしてもこれは各国も入れているから入れてくれということで、どうしても入れるということを主張いたします。そこでアメリカの国内向けのために入れるとしましても、これが一度条約の規定となります以上は、法律上の拘束を日本に与えますから、そこで各項目を厳密に検討いたしまして、第一、第二、第三は、これは日本にとつて何も新たなことでないから、これは前半は付確認ということで、それでは入れるということに同意する。第四以下のことは、これは法律的には新たなことでありますから、これはそのままで何するということになつたわけでございまして、その際に、勿論日本としてこれを引受ける以上は、現実に協定の実施に当つてこれの履行を求められた場合に、日本としてはどういうことになるかという点を検討いたしますと、幸いなことに、第四の政治、経済の安定と矛盾しない範囲内でとか、或いは人力、資源、施設及び一般的経済条件の許す限りとか、非常に日本にとりまして好都合なエスケー・クローズがたくさん付いてございます。そこで非常に重要な義務のようでございますが、これは日本にとつて決して無理な法律的義務を課すものではないということの確信を得ましたので、この第八条に規定することに同意いたしたような次第でございます。アメリカの国内向けのものであるといたしましても、それを載せることによつて日本に与える法律的の義務ということにつきましては慎重に検討いたした次第でございます。
  109. 羽生三七

    ○羽生三七君 この五百十一条の(a)項の(3)の軍事的義務の履行は、日本の場合では、これは周知のように日米安保条約で負つたところの軍事的義務以上に出るものではないこと、これは明確になつておるわけですが、そこで先ほど来問題になつている国際緊張の原因を除去するという問題は、それはむしろアメリカの国内法に制約するということでありますが、仮りにまあ客観的な条件の変化によつてこの第八条というものがいろいろに運用されるような場合そういう場合を想定してお尋ねしたいことは、今の第五百十一条(a)項(3)のことは別として、この緊張の原因を除去するために何らかの合意を求められたような場合には、この軍事的義務というものも含まれる場合があるかどうか。その場合には第九条の2でこれを制約しておる、そういうふうに解釈しないと、単に原因を除去するだけだから、これは直接の交戦とか或いは海外派兵というようなことは絶対起らないということだけでは済まないと思うのですが、仮にそういうことが起つた場合には、日本の軍事的義務というものは、安保条約の規定の範囲内、それから若しそれ以上に出る場合はこの第九条2で抑えられる、こういうふうに考えていいのですか。
  110. 下田武三

    ○政府委員(下田武三君) 実はそうではございませんで、この五百十一条の中で軍事的義務ということは、第三項の中の一カ所しかございませんで、これがつまり、日本の場合は例外でございますが、ほかの国はみなNATO条約でありますとか、或いは相互安全保障条約でありますとか、国際緊張或いは紛争が起つた場合にこれを抑えつける、軍事的の力で抑えつけるという条約を結んでおります。でございまするから、第三項でそつちのほうの目的は達しようというわけです。日本の場合には、日本はそういう義務を負つておりませんので、よその国並みのことは日本の場合は起りません。そこで第三項のほうは、飽くまで力で抑えつけるという問題ではございませんで、国際緊張の原因をエリミネイトするというのでございますから、これは紛争の平和的解決に関する処理条約を結ぶことも正にこの第二項の問題でございますし、先ほど佐多先生の申されました、仮に自由国家の陶で余り外囲の近所に軍事基地を構築することは国際緊張を高めるから、それはやめようではないかという合意がありましたならば、それもやはり二項の問題になつて来るのでございますから、御指摘の力で抑えつけようという問題は、第二項の問題ではなくて第三項の問題でございます。
  111. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 それに関連して、そうすると例えば現在インドシナならインドシナでああいうふうに国際緊張が非常に高まつて来ている、その原因はアメリカ側に言わせれば、中共が武器を援助しその他の援助をやつているからなんだと、だから場合によつてはその原因を除去するためには中共を叩くということもやらなければならないのだというような考え方も、今のアメリカの考え方からすれば出て来るのではないか。
  112. 下田武三

    ○政府委員(下田武三君) その場合も実は第三項の場合でございまして、ただ第三項の場合として取り上げるべきNATO条約に匹敵すべきものが東南アジアではできていないので、現実問題として第三項の適用が生じないということになりますが、第二項の関連におきましては、精々、中共のほうに武器をどんどん送れば、これはますます中共の侵略がひどくなつて国際緊張が増大するのであるから、中共に援助を与えることを差控えようではないかという合意ができましたら、これはむしる二項のはうに該当する問題であろうと思います。
  113. 羽生三七

    ○羽生三七君 それは今のところはその通りだと思う。それはお説の通りだと思いますが、今、佐多委員からお話がございましたように、又、私が先日外務大臣にもお尋ねをしましたように、仮に現にに侵略があつて、その事実に対して何か対応する措置をとる場合はこれは非常に今明確ですが、今度のインドシナ問題のように、もうすでにそれは現実の問題ではなしにイデオローギの相違として問題がどんどん発展しておるのです。もうすでに先のことを予見して……それで例えばインドシナが、今日のアイゼンハワー大統領なんか演説も新聞記事に出ておりましたが、例えばインドシナを失えばこれは日本が飛んでもないことになる、日本の存続に関する重大な問題だということで、こう言つて日本に圧力をかけているかどうか知らないが、まあそういう発言をしている。ですから、現在の瞬間は条約局長の言われたように問題はないと思うが、併しこれから将来そういう国際間の緊張の原因を除去することは非常に幅の広いものとして種々なる合意を求められることはないか。こういうことを私は言つているのです。
  114. 下田武三

    ○政府委員(下田武三君) その場合は第二項の問題ではございません。つまり現在インドシナ紛争に関して、このアメリカとMSA協定を結んでいるイギリスもフランスも処置なしと言う点は、つまり第三項の適用が起るような相互防衛条約が、インドシナを適用とするようなものができていないということにあるのにほかならないのでありまして、従いまして仰せのような問題は、第三項の問題としてあり得ることでございますが、それを適用するような条約がない。従つてその条約上に基く軍事的義務を履行することができないというのが現状でございます。
  115. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 それならば、やはりその第二項というのは第三項への橋渡しになることがあるのですか。二項を繰返しておるのではなくて、むしろ三項への橋渡しになり、第三項と原理的には同じようなことをただ原理的に言ついおるに過ぎないということになるのではないか。そうだとすると、やはりこれは国連の第二条の原則ではなくして、この五百十一条の三、四等々に揚げる、そうして又日本が新たに負つた義務的の項目なんだというふうに考えることのほうが妥当じやないかと思いますが、局長はどういうふうに……。
  116. 下田武三

    ○政府委員(下田武三君) 第二項もそうでございますが、第一項も実は橋渡しとすれば橋渡しでございまして、つまり第一項、で世界平和の維持、第二項はそれと関連がありますが、国際緊張の原因をなくするということと、従つてそこまでは国連憲章第二条の問題でございますが、第三の段階にいたしまして、これはむしろ第七章五十一条の集団安全保障取極の考えになつて来ると思います。
  117. 鶴見祐輔

    ○鶴見祐輔君 ちよつとお伺いしますが、国際緊張ということがどういう範囲まで含むのでございますか。テンシヨンという字を使つてあるのでしようね、原文には。テンシヨンということはアームド・コンフリクトまで入るのですか。それともアームド・コンフリクトのメナースまでの程度でおやめになるのですか、どつちです。
  118. 下田武三

    ○政府委員(下田武三君) これは第二項は特に緊張の原因と言つておりまするが、アームド・コノフリクトやアグレツシヨンに、至る前の第二の段階でございまして、アームド・コンフリクトや、アグレツシヨンやに対する制圧ということは第三項の問題になつて来ると思います。
  119. 羽生三七

    ○羽生三七君 どうせ九条のところで問題になるのですが、こことの関連、でお伺いしますが、この前も私はちよつと条約局長にお伺いしたと思うけれども、外務省側が見た場合のこの憲法抵触との関連です。私たちはいろいろと議論がありますが、外務省はこの条約を作るについて憲法に抵触しないようにあらゆる努力を払つたという場合に、例えば第八条について芳し現行憲法に抵触する場合があるとすれば、どこを指しているのか。もう一度この点を明確にしたい。
  120. 下田武三

    ○政府委員(下田武三君) それは第四項の自国の防衛力の発展維持をするということでございますが、これがつまり戦力の段階に至るような発展維持をいたしますことは憲法第九条に反するということでございます。  それから潜在的にありますことは、第三項の軍事的義務でございますが、これは憲法第九条の段階に至る前に、安保条約そのもので、無法との抵触問題をなくするように安保条約で規定しておりますので、そちらの心配はないと存じております。
  121. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 その軍事的義務という言葉の問題ですが、軍事的義務という言葉は、日本の安保条約自体にはなかつたんだと思いますが、それは憲法の関係その他をお考えになつて、この字を避けられたんだと思いますが、それならば安全保障条約に基いて負つている軍事的義務ということをやはり出さないで、防衛的義務というような言葉をお出しになつたほうが、少くとも安保条約には忠実なゆえんじやないかと思うのですが、その点はどうなんですか。
  122. 下田武三

    ○政府委員(下田武三君) つまりただ何らの枕詞なしに軍事的義務ということを履行するということを書いたから、これは憲法との関係で大変なことになると思いますが、幸いに安保条約に基いて負つているという枕詞がございますので、そうであるとすれば、これはもう安保条約できまつていることでございまするから、五百十一条の次の条件を同意することでなければ困るというアメリカ側の要請をも考慮しまして、この軍事的義務という字だけは安保条約に基いて負つているというスペシフイケイシヨンの下に入れても差支えないということから入れてやつたわけ、でございます。
  123. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 そうすると、この安保条約に基いて負つている軍事的義務という考え方はもう安保条約を締結されたあのときにはつきりしていたのか、その後だんだん説明をされて行くに従つて、いや、あすこにはこういう意味での軍事的な義務があつたのだというふうに考えて来られたのか、そこの変遷はどうなんですか。
  124. 下田武三

    ○政府委員(下田武三君) これは実は第八条は援助を受ける資格に関する規定でございまするから、アメリカ側の考え方によつては、いや、安保条約なんかあれは軍事的義務じやないのだ。だから日本は援助を受ける資格がないのだからやれないよと、場合によつたら言われるかも知れない問題であります。併し軍事的義務ということは、狭義の意味におきましては、これは兵力の駐留でありまするとか、兵力の使用、兵力の移動、提供等に関する、要するに兵力に伴う規定が、これが軍事的義務に関する条約の規定の場合になるわけでありまするが、安保条約の場合には、日本は受身の形でアメリカ側の兵力の駐留を認める。それから一定の場合に米軍の兵力の使用を定めておりますので、消極的、受動的ではございまするが、やはり軍事的義務として言えないことは私はないと存ずるのでございますが……。
  125. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 それで私が聞きたいのは、あの安保条約を調印し、或いはこの国会で承認をするあの瞬間までの御説明なり御意向は、やつぱり日本に駐留をさせるとか、軍事基地を提供するとかいうものが軍事的義務なんだということを明瞭にしておられたのかどうか。その後変つて来た考え方じやないのかどうかという点なんです。そこはどうなんですか。
  126. 下田武三

    ○政府委員(下田武三君) 安保条約ができました当初は、日本としましては、これを軍事的義務と表現することはむしろ好まなかつたと思います。正直に申しまして。ただこの援助を受ける資格として、けちな条約ではありまするが軍事的義務と言えないことのない義務はあるのでございまするから、これを書きまして援助を受けることにしたと思います。そのためにこの用語を使つたということが、本当の正直なところでございます。
  127. 高良とみ

    ○高良とみ君 そうしますと、この安保条約にいう軍事的義務というのは、主としてただ駐兵の目的でない安保条約の一条の一番おしまいにありまする使用することの面を、特に言つているのでしようか。そういうふうに新らしく駐失していることを軍事的義務である。それを今度は日本の内戦に寄与するために使用するという三つに分けることができるのですが、そちらのほうに重きをおいて、新らしく軍事的義務とこういうふうにお書きになつたと了解して間違いないでしようか。両方でしようか。
  128. 下田武三

    ○政府委員(下田武三君) 米軍の駐留を許容しまして、そうしてその許容した米軍をどういう場合に使用することができるかということを定めました、その両者、更に第二条のこの基地は米軍の事前の同意なくしては第三国に許容しないということも軍事的の中に含めようとすれは含まれ得ることだと思います。
  129. 高良とみ

    ○高良とみ君 そうすれば、みんな安全保障全部を含めているというふうに了解しました。そうしてこの五百十一条の中にあるもとの言葉をちよつとお示し願いたいのです。何というふうになつているか、アメリカ側の言葉は、ほかの国にやるときにこれはどういうふうに言つております。何も枕詞はなく軍事的義務ですか。それじや、NATOにおける、軍事的義務というふうに書いてありますか。
  130. 下田武三

    ○政府委員(下田武三君) これは米国とそれぞれの受領国との双方を、当事国となつております軍事的義務を規定する条約を掲げております。
  131. 高良とみ

    ○高良とみ君 その場合には明らかに枕詞のついた軍事的義務となつておりますか。
  132. 下田武三

    ○政府委員(下田武三君) さようでございます。
  133. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 それから「防衛能力の増強に必要となることがあるすべての合理的な措置」、これは防衛能力というものはさつきの説明によると、非常に広い概念なんですが、そういうものに必要な合理的な措置というのは具体的にはどういうことを考えておられますか。
  134. 土屋隼

    ○説明員(土屋隼君) 具体的に申上げますと、日本の国の例などを申上げますと例えば日本が今度防衛力を増強いたしますにつきまして、保安庁の今回拠出しましたような法案だとか、或いはああいう規定自身も、この防衛能力を増強するに必要とする合理的な措置の一つだとこう考えております。
  135. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 その保安庁が出しておるとい、のは何のことか、防衛庁法案、その他だつたらむしろ防衛力の発展のための法律なんでしよう。それ以外に何か別に考えておられるか。特に防衛能力の増強に必要な合理的な措置というのは、具体的にはどういうことですか。
  136. 下田武三

    ○政府委員(下田武三君) 防衛能力は非常に広い言葉だと存じますので、工業力、産業施設、設備等の万端をやはり含む事柄だと存じます。
  137. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 いや、その防衛能力はそういうものを含むということはさつきの御説明でわかつたんです。そこで能力を増強するに必要な合理的な措置というのは、具体的にはどういうことかというのです。
  138. 下田武三

    ○政府委員(下田武三君) 合理的な措置ということは、平易に申上げますと、無理でない措置でございます。日本の産業政策の中で、軍需産業に不均衡な重点をおくということは、これは再建途上にある日本にとつては無理になりますので、そういうようなことは合理的な措置の中に入らないと思うんです。
  139. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 いや、合理的なという言葉を聞いているんじやなくて、字句の解釈というよりか、合理的な措置というのは、内容的に具体的にいつてどういうことを考えておられるのか。というのは例えば防衛産業を発展させるというようなことを考えておられるのか。もつと広く貿易なり産業なり、そういう全般的なものを考え、更には思想の問題等々まで考えておられるのかどうか。そういうことになると、非常に広汎な面に亘つての義務を国際的にアメリカに対して負うことになつて来るし、そこいらのことを、どういうふうにお考えになつているか。
  140. 土屋隼

    ○説明員(土屋隼君) これは防衛力の基礎になります防衛能力をできるだけ健全なものにしようというのが、この約束の趣旨のように考えておりまして、勿論日本が自国の防衛能力を発展させるために、自分で決定すべき問題で、それが合理的であるというか、妥当性を持てばよろしい、こういうように考えていたわけです。そこで実際上の例といたしますと、例えば今回の小友協定五百五十条に従つて日本が一千万ドルの贈与を受けた、その一千万ドルなんぼの金額をどう使うかというときに、日本の一般的な防衛産業と見合せて、金融関係を考えて行く、これなどもそれの一つの措置で、ございまして、それから更にお話がございました日本の全般的経済、全般的な思想問題、そういうようなものまで入るということは考えておりません。で、防衛力の直擾の基礎になる防衛能力を合理的に進めて行くことが、この趣旨だと考えております。
  141. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 そうすると、非常に限定されて来て、防衛産業をどう増強するか、具体的には大体それに限られるんだろうというふうに考えていいんですか。
  142. 土屋隼

    ○説明員(土屋隼君) 只今産業のことだけを申上げましたが、金融の面についても、或いは一般資源ということについても、防衛力の基礎になるということについてはやはり合理的に考える必要があろうと思います。
  143. 高良とみ

    ○高良とみ君 その関連で………。私これを前の条件の許す限りというのはフル・コントリビユーシヨンを訳されたのだろうと思うのですが、それと二つ併せて見ると、このデフエンシヴ・キヤパシテイという防衛能力を十分にその限りにやつて行くということになると、やはりただ防衛産業ばかりでありませんで、よく保安庁長官が言われる増員の面においても、限度があるから、徴兵制度なども合理的な措置の一部となると考えられるんですが、そのために前の人力ということにかかつて来るのだろうと思う。これは憲法がどうだということもありましようけれども、それを考えるときに、将来これがそういうふうな明らかに「必要となることがあるすべての合理的な措置」というのは、随分広い範囲になる。そういう国際条約を結ぶことは、そこまで考えておかなければならないと思いますが、如何ですか。
  144. 土屋隼

    ○説明員(土屋隼君) お話のように、「一般的経済条件の許す」云々の問題は勿論全面的な寄与というその「寄与」というところにかかります関係上、「防衛能力の増強に必要」なというところにはかかりません。従つて一切の合理的な措置というのは、今、おつしやるように、この字だけを取上げて考えますと、成るほどあらゆる部面を含めるんじやないかという御疑念も御尤もだと思います。ただ私どもは、ここに自国の防衛能力を発展するために一切の合理的な措置というのは誰がとるか、自国がとるのであります。その合理的なということは誰が最後に決定するのか、それは勿論自国でありまして、そういう点で制限はございませんものの、広範囲に亘つてアメリカ側に義務を負うというふうに考えておりませんで、やはり一応常識的に考えて、このくらいが限度だという限度は自国で当然決定できるものだと考えて、枠はおのずからあるものだと存じております。
  145. 高良とみ

    ○高良とみ君 併しその寄与は、前の句にかかつておるのでありまして、自国の防衛力、これは実際の先ほどおつしやつた増員の結果出て来るストレングス、それから自由世界の防衛力の発展維持ということになりますと、やはり自国の防御能力が自由世界の防衛能力の発展及び維持に寄与するような合理的な措置をとらなければならないのでありまして、その合理的な措置というものは、自国にだけ引掛けることはできないと思いますが、如何ですか。ですからこの考えの文脈の意味は、そういう合理的な措置をとつて、自国の防衛能力を増すことは勿論であるけれども、自由世界の防衛能力の発展及び維持に寄与することが目的ですから、自国だけで、それは自分の国だけでは、どういうふうに合理的にきめましても、それが自由世界の防衛能力の発展及び維持に寄与するようにしなければならない。そこはやはり切離すことはできない繋がりがあると考えて間違いないと思うのですが如何でしよう。
  146. 土屋隼

    ○説明員(土屋隼君) 私どもはこう考えます。第四項に、五百十一条の問題のその他のほうの句は、要するに自国の防衛力を増強するということ自体が自国とそれから自由諸国に対する一般的な寄与である。それは高良さんのおつしやつた通りであります。そこで防衛力の基礎になるものは、その国の防衛能力なのであります。その国の防衛能力が健全に発達されていなければ、前のほうの約束したところの自国の防衛力の増強というものは期することができないわけでありますから、自由諸国にも又は自国にも全面的に寄与すべしと約束した防衛力を健全に発達させるためには、義務を履行するためには、自国の防衛力を健全に発達させるために、自国で一切合理的な措置をとるということになりますから、これはそこにやはりおのずから関連は勿論おつしやつた通りにありまするが、枠はやはり依然としてあるのじやないかと思います。
  147. 高良とみ

    ○高良とみ君 この点五百十一条の各項目を、以前の、昨年の六月頃出しておられたような条項別にお出しになると、そういうひつかかりがなくなつて来ると思うのですが、それはまあ目立たないためかも知れませんが、どうしてこういうふうに一文にしておしまいになつたのでしようか。それは八条としては非常にひつかかり過ぎると思うのですが、どうですか。
  148. 佐藤尚武

    ○委員長(佐藤尚武君) 先ほど御説明があつたようですが、もう一度お願いいたします。
  149. 土屋隼

    ○説明員(土屋隼君) これは、私ども五百十一条を、えげつなくという言葉を当時使つたわけでありますが、並べること「自体が少しどぎつくなりますし、一条にも条件によりということが謳つてありますので、何か簡単な方法はないかというので、こういう表現をいたしました。おつしやる通り、今となつてみますと、これが簡単過ぎるのではないかという或いは御懸念もあるかと思いますが、併し根本的に見ま」て、この六つ並べることと、余り言葉においても内容においても差異があるはずはないわけでありまして、一応抽象的に書き並べたのが現実の結果でございます。
  150. 梶原茂嘉

    ○梶原茂嘉君 重複した点があつたら御指摘を願います。「国際緊張の原由を除去するため相互間で合意することがある措置を執る」、この条項は、アメリカと日本以外の自由国との間の協定にもあると思うのでありますが、この条項に基いて、これまでそれらの国においてとられた措置が、事例がありますれば、お示しを願いたいと思うのであります。
  151. 下田武三

    ○政府委員(下田武三君) 事例といたしましては、朝鮮動乱に関連しまして、国連が決議をいたしまして、朝鮮における国連行動の対象にになつておる国に対する援助を慎しむという決議をいたしたことがございますが、それなんかまさに第二項の例だと思います。
  152. 梶原茂嘉

    ○梶原茂嘉君 この各種の義務でありますが、軍事義務についての点は別としまして、他の自由諸国の防衛力或いは防衛能力の発展維持に日本が寄与する場合、この場合、この協定書は非常に抽象的でありますが、これが履行されるときは何らか具体的の行為に亘つて現われるのですが、そういう場合は別途何か協約でもできるのか、或いは特別の、取極でもするのか、アメリカとの話合で行われるのか、そういう点は現実の問題としてはどういうふうになつて、この八条の義務として現われるのか、その点を一つ御説明願いたいと思います。
  153. 土屋隼

    ○説明員(土屋隼君) この点につきましては、実はこのMSAの協定につきまして交渉を開始いたしました昨年の七月前、六月二十四日、二十六日の日本の外務大臣とアメリカの大使との間の交換の書簡がございます。その中に、実はこの問題はいささか触れまして、若し日本が将来防衛力を増強する、その結果自由世界に貢献するということが、この規定で定められておるが、日本としては、差当り国内の情勢その他から見て、自由の防衛能力を増強すれば、それでこの目的を達すると思うが、それで差支えないかということを間合せまして、先方もそれに間違いないという回答を与えております。これも御参考までに申上げたわけでありますが、そういう点から見まして、差当りこの条項は日本だけでなくてほかの国もそうでございますが、自国の防衛力を増強する、合理的にそれを進めて行くということが、即ち自由世界の防衛力に貢献しておることになるわけで、必ずしも自国の防衛力プラス自由諸国家に対する防衛貢献をしなければならんというほど厳格に書いておりませんし、又実際もそういう例としてこの規定から各国で自由世界に対する貢献というものを強いられている例もないと思います。
  154. 梶原茂嘉

    ○梶原茂嘉君 その点はよくわかるのでありますが、併し規定上は、日本自体の防衛力の増強以外に自由諸国に対する寄与をする責任があるわけですので、従つて将来何らかの形において八条の義務として履行しなければならない場合があり得るわけだと思うのであります。そういう場合には、私の質問は、この八条のそれに基いて別途又取極とかそういうものが行われるのかどうか、こういう趣旨であります。
  155. 下田武三

    ○政府委員(下田武三君) 自由世界の防衛力のほうは、これもまあ域外買付を受けて、第三国向けの武器等を生産して送つてやることも、まさにこれに該当するわけであります。そういうことでございましたら、特別の取極めがやはり個々の場合に必要でございましよう。大体この八条の自由世界の問題につきましては、やはりこの協定だけで直ちに義務が発生するというよりも、その義務を具体的に履行してマテイアライズするためには、何らかの取極めがつけられることが前提になると存じます。
  156. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 第八条について、下田局長は、外国に援助を与えることについて、アメリカ議会を納得させるようなものであり、むしろこれに対しては「自国の政治及び経済の安定と矛盾しない範囲で」とか、或いは「合理的な」とか、「適当な」というような措置があつて、十分アメリカとの折衝も有利にでき得る条項があるので、杞憂はないというふうに申されたように思いますが、併しこれは結局日本の外務省、或いは、日本の全般の力関係によつて、殆どこの点が生きて来ないではないか、特に我々がずつと見ておる古山総理の下における対米折衝においては、特にその感があるのではないかと思うのですが、その点如何でしよう。
  157. 土屋隼

    ○説明員(土屋隼君) 私どもは協定を結んでおります際に、先ほど下川局長から御説明がございましたように、これは言わば一つの御題目で、こういう意図があるということがMSAの援助を受ける資格があるというアメリカ側の判定の材料になるわけです。日本側がこれを一つ々見まして、大体そういう意図はあるわけでありますから、その意図を表明すれば、それで援助の資格はあり得るものだと、それで今後これについて全面的に違つたような行動をすれば別でありますが、そうでない限りにおいては、積極的に狩にこの点を強調するというよりは、そういう精神を持つておるということ自体がMSA援助を受けることになると考えます。ただ、政治的云々の問題として、これはいろいろ議論はございましよう。ございましようが、これはこの六つの条件からこういうことを約束したから、お前は自由世界に貢献しなければだめじやないか、こういうことを約束したから、自国の防衛力を発展する、こういう措置をとらなければいけないじやないかということを一々強いられるということは、先ず私はあり得ないことだと存じますし、ほかの例を考えましても、この条項を楯にとられて、そういうことを強いられるということは先ずなかろうかと思つております。
  158. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 この交渉が一年近くも続いたこのことは、一体どういう理由で続いたかということは非常に重要な問題ですが、吉田内閣が、強く日本の立場をこのMSA援助に対して訴えることによつて交渉がまとまらずに今日に至つたのではない。むしろアメリカがソヴイエトの原爆、水爆、朝鮮事変の体験等に鑑みて、そうしてアメリカの世界侵略、再編成、いわゆるニユー・ルツク作戦というようなものを生み出すために、そういう結論が出ないので非常に長びいたので、日本の外務省が強く折衝して両者の意見が合わないために今日まで長くなつたのではないというような点、更に大変恐縮ですが、終戦連絡事務局ですか、そこにおりました入江啓四郎氏がいろいろアメリカと折衝した感じを書いたのが、「文芸春秋」にはつきり出ておりますが、これによると、アメリカと折衝する際に、一番自分としてそこに勤めておつたので言いにくいが、旧内務省の言僚諸君が最も強く日本の自主的な立場を訴えて、アメリカの対日政策に、非常に抵抗と言いますか、まあやつた。併し一番びくびくして、むしろアメリカの意を尊重して、これに恭順の意を表し続けたのは外務省だというようなともありまして、そういう関係から思うと、これが逆手に取られて非常に使われておるのではないか。例えば最近における防衛支出金の五百十億の折衝の場合についても、アメリカ顧問団の数の問題、負担金の問題、その他新聞紙上を通じて我々が散見するところでは、日本の外務省がアメリカとの折衝で自国の立場を強く主張をされて、日本の外交が有利に展開するということがないと言つては恐縮ですが、そういうことを我々が寡聞にして知らないので、合理的に適当に、矛盾しない範囲にというようなことでは、むしろ十分協力な力を以て強い極東政策を展開しようとし、そうして日本に対して大くの期行をよせておる、特に軍事力について多くの期待を寄せているアメリカの力を十分コントロールできんのではないか、如何ですか。
  159. 土屋隼

    ○説明員(土屋隼君) 交渉につきまして、先ず実情を申上げますと、アメリカ側の主張が非常に強くて、日本側の意向が出されなかつたので、長びいたというような御批判がありましたといたしましても、これは事実と違います。日本側があえて強かつたとは申しません。併し日本側の特殊事情、特に兵力なき日本、軍備なき日本が援助を受ける点につきまして、いろいろな点について考慮をめぐらさなければならない点があるわけであります。  もう一つは、第二に私どもは、アメリカ側が従来の政策を変えたのは、何か経済的なうまみを持たせたいという考えもあつたわけであります。それらの点か、こういう矢先きに、たまたま予算編成期にもなりましたので、日本の防衛問題との関連性も援助の内容については出て来る、こういう関係もありまして、たまたま池田さんもワシントンに行かれて話をした。そういう点から交渉が思つたよりも長びいたということが事実でありまして、どちらが強かつたとか、どちらの、主張がどちらに抑されたとかということは、当事者が公平に見たと言つてはおかしいのですが、その点は良心的に申しまして、そういう点はなかつたと思います。それから占領中云々の問題に関連いたしまして、外務省のアメリカとの交渉について、どうも弱腰だという御批判、それは基だそういう御批判を受けますことは残念でございまして、と申しますのは、私は、四年二カ月占領下におきまして、日本の外務省から司令部に派遣されまして連絡員をつとめました。通訳その他あらゆる問題に小使走りをいたしました私の印象では、当時占領下ですが、最も日本が強く、主張しましたのは、自慢ではございませんが、外務省であつたということを断言して憚りません。その点は勿論そのときだけかあれで、今後どうかという問題は別でございます。今後お叱りを受けないように努力するということは当然であります。併しながら今おつしやるように、アメリカにすべて押されてしまうという考えでこの協定を考えて頂かなくても、決してそういうふうにならないように、今後外務省は皆さんの御期待に副うように努力いたしたいと思います。
  160. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 協定の前文にあります経済の安定或いはここにあります、自国の政治及び経済の安定と矛盾しない範囲で、というようなことに、そういう限度で防衛力の増強ということになりますとこの判断が非常に客観性と言いますか、抽象的で、具体性を持たないことからして、いろいろなことからして、アメリカが強く日本の内政に干与するというようなきつかけを作るような慮れはないでしようか。その点は如何でしようか。
  161. 土屋隼

    ○説明員(土屋隼君) 私はこれはやはりこちら側の態度と申しましようか、日本が態度をしつかりしていれば、アメリカ側としてこれを根拠に日本側にいろいろなことを強いたり或いは強制するということはあり得ないだろうと思います。おつしやるように、政府といたしましても、そういう点は十分肚に含んで、援助を受けているのでありますから、向うしてはいろいろなことに嘴を出しやすいということは考えられるので、これに対して、当方がやはり規定に従い毅然たる態度を以て、自主的に日本の方針をきめて行くということが肝要であろうと思います。
  162. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 この経済安定については、改めて、外務大臣が来てから伺います。
  163. 佐藤尚武

    ○委員長(佐藤尚武君) 第八条はそれで上げまして、第九条に移ります。
  164. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 第九条の一項ですが、「この協定のいかなる規定も」安条約の、取極を何ら改変するものでないと書いてあるのですが、そうすると、この協定に従つて日本の防衛力増強をされても、アメリカの駐留軍が日本に駐留する、それからそれに関連して、アメリカに軍事基地を提供する、この原則はちつとも変らないというふうに考えられるのですが……。
  165. 下田武三

    ○政府委員(下田武三君) 第九条第一項は、安保条約に何ものも附加せず、又安保条約の何ものも削除せず、要するに、この協定の締結によつて、安保条約に何らの影響を及ぼさないということを規定いたしたわけでございますので、御指摘のように、この協定ができて、実施されたからといつて、米駐留軍はいなくなるというような、ということは全然及ぼしません。
  166. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 そうすると、この協定を結ぶのは、自分の国土を自分で譲るために、従つて独立国にふさわしい態様を終えるために、この協定を結ぶのだというふれ出しにならんことになりますか。
  167. 下田武三

    ○政府委員(下田武三君) この協定を実施しましたら、日本「自体の自衛力が増強されますと、米軍が漸減するということは起り得ると思います。併しそれはこの協定からの影響ではなくて、安保条約自体の適用の問題として宏保条約のほうからきまる問題でございます。
  168. 羽生三七

    ○羽生三七君 この1と2との関連ですね。これを見る場合に1で言つておる安保条約の取極めを何ら改変しないということは、この五百十一条(a)の(3)なんかの関係からこれを出して、それから2へ憲法上の関係を持つて来たのか、何ものも附加しない、又何ものも変更、するものでないという全般的なことを規定しておることは、1において規定しておることはわかるが、その2へ憲法上の規定を持つて来た関係はどうなりますか、この1と2の続き柄は。
  169. 下田武三

    ○政府委員(下田武三君) 二項の憲法との関係は二項とは独立した規定でございます。ただ関連がありますのは、この憲法第九条の交戦権の問題は、実は安保条約のような受動的な事事的義務に限定しておる条約からは、交戦権の問題は出て参りません。そこであたかも安保条約を変えないという制約と憲法の規定に従つて実施するという制約とは、同じ問題に競合して出て来る、頭を並べて来ることがその分野でございまするが、併し規定自体としては一項、二項完全に独立した規定でございます。
  170. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 先のアメリカ軍の撤退の問題は安保条約から出て来るのだというお話ですが、これは安保条約は今その前文の末尾を問題にしておられるのでしようけど、その末尾は但書なんで、本当の前文の内容は駐留をするということ、或いは基地を提供をするということであるので、そうだとすれば、それを何ら変えないとするならば、やつばり自国の防衛力の増強に関連して、そのこと自体は原理的にも変らないということを、安保条約を主に考えても、そういうことになるのじやないですか。
  171. 下田武三

    ○政府委員(下田武三君) 前文で安保条約を謳いましたのは、この協定を生み出す歴史的な又は思想的背景といたしまして国連懸賞、平和条約と並べて規定しまして、これによつて両締約国のこの協定を結ばんとするに至つた政治的な背景が明らかになるということはございまするが、ここに言及いたしました結果、安保条約なり平和条約なりがこの協定と法律的に関連性を持つて来るという効果は全然ないのでございます。でございまするからして、先ほども申上げましたように、安保条約の前文の趣旨に従つて、日本の自衛力が漸増すれば、アメリカ兵が帰つて行く、又安保条約の規定に従つて、この条約に代るような何らかの集団的な取極めができれば、安保条約は、これはなくなつてしまいますが、そういうようなことはすべて安保条約自体できまるものでありまして、この協定で安保条約の運命を決したり、その実施の態様を請求するというようなことは、これは全然できない、無関係なことでございます。
  172. 杉原荒太

    ○杉原荒太君 この第一項を設けた立法理由は、一体どうして特にこれをおいたのか、これはおかない場合とどう違うのですか、一つの違いはあるのでしよう。これはどうして特にこの規定をおいたのか、そうして又これはどつち側から言い出したのか、その辺のところを………。
  173. 下田武三

    ○政府委員(下田武三君) 第八条かアメリカ向けの規定であるといたしますと、第九条は実は日本向けの規定でありまして、国会の論議、新聞等におきまして、安保条約との関係が非常に海外派兵などの積極的な義務を負うのではないかというような問題が非常に大きくとり上げられましたので、法律的には必ずしも必要のない規定でございまするが、主として政治的の理由から入れた次第でございます。
  174. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 関連して。そういうことなんですか。やはり講和条約、安保条約だけを見ても、日本に軍隊がないから暫定的にアメリカ軍が駅留するということを規定して、併しMSAを受けて日本が漸増するというようなこととスライドで、アメリカ軍隊の撤退とか、いろいろなことで安保条約にひびが入ると言いますか、そういうものに行くから、アメリカが持つている駐留とか、そういう既得権に庇をつけないのだと言いますか、そういう意味とは違うのですか。或いは先に言われたように、何ものも附加しないというようないろいろな国民の杞憂を除去するためのものか、その点はどうなんですか。
  175. 下田武三

    ○政府委員(下田武三君) 後者のほうのお考え通りでございます。
  176. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 あなたはそういうふうなつもりで、これをおかれたかも知れないけれども、そういう意図を、特に国内向けのそういう意図があつて、これをおかれたのかも知れないけれども、この文言そのものをすらつと読めば、それだけではなくて、それもあり得るかも知らんけれども、それだけではなくて、もつと基本的な問題は、安保条約で承認された原理そのものは半永久的に続くのだ。従つて駐留も軍事基地の提供も半永久的に続くのだ。それは自国の防衛力の増強その他とは何ら関係ないのだということを、むしろアメリカ側に承認をし、アメリカ方はその確約をここで更に打確認さしたというふうな意味を持つとも、この文言自体からは解釈される。むしろそのほうが非常に強い、合理的にすらつと読めばですよ。むしろ裏のそういう意図より表面の文字通りの気持なり考え方のほうが正当に出て来るのじやないか、こういうふうに思うのですが、その点はどうですか。
  177. 下田武三

    ○政府委員(下田武三君) 安保条約を半永久的なものにして、あれの前文の米軍の兵力の漸減の趣旨又安保条約自体の終了に関する条項等を無効ならしめるというようなことは全然ございません。それはそれらの問題は安保条約自体できまる問題なんであります。
  178. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 それはその通りですが、安保条約自体が、先から言つているように、漸減の方針とか何とかは但書にあるだけで、その表面のことはむしろ駐留をするということが主なる規定なんです。それを何ら改変しないのだから、あとの但書も改変しないが、その前に但し以前のことを改変しないし、或いは第一条第二条等々を改変しないことが一番重要な問題、先ず先に考えなければならない問題である。そうだとすれば、こういう、僕らに言わせれば、アメリカの特権、こういうものを半永久的に保障をして、少くともこれでは自衛力の増強をしたつて、それでは何ら駐留なり軍事基地選定の問題は原理的に改変されないのだということのほうが強く出て来るのじやなかろうか。
  179. 下田武三

    ○政府委員(下田武三君) 前文に安保条約の、特にこの部分を引用しましたことの政治的な含みは、つまり日本が自分の防衛のための責任をみずから負うということを条件として、暫定的に日本に米軍を維持するとある趣旨を想起しと書いてございますが、でございまするから、この協定に基く援助を受けました結果、日本自身の自衛力が増強されますると、だから米軍はもう必要なくなつたのだから、帰つて行くという問題に導く政治的な含みはあると思います。併しその米軍が帰つて行くということ自体は、この協定の効果ではございませんで、安保条約の前文の趣旨の実現、安保条約自体の問題になつて来るわけです。
  180. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 それはわかるのですが、将来やはり日本に自衛力がないんだから、アメリカが駐留するんだ、だからそういう意味で、例えば改進党なんかは一つの理由として、独立国は軍隊をおかなければならん、更に外国にいつも守つてもらうことはいけないから漸増するということで以て、折衝する際に、アメリカがこの協定を楯にとつて、それを拒むことはできないかどうかという問題は、どうなんですか、その点はどうなんですか。
  181. 下田武三

    ○政府委員(下田武三君) 前文で、この安保条約の部分を言及いたしましたアメリカ側にとつての意味は、これは援助をしてやるから、早く自衛力を漸増して、おれのほうの青年を祖国に帰させるようにしてもらいたいという気持がたしかに現われていると思います。日本側にとつては、そういうことも安保条約の前文で育つたんだから、自分みずからの責任は成るべく果たすという含みがあると思いまして、この前文を言及いたします利益は、丁度反対側からの面ではありまするが、日米両国とも一致するところを狙つておるわけでございます。その狙いの実現自体ということは、これは安保条約自体の問題になつて参ります。
  182. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 安保条約自体の問題ですが、これを楯にとつて、アメリカが駐留を協定上理論付けることはできないかということなんです。
  183. 下田武三

    ○政府委員(下田武三君) 米軍の駐留をジヤステイフアイするためには、第九条の規定なんかを引用いたしませんと、それは国際緊張の除去ではなくで、安保条約自体の規定を引用すると思います。
  184. 高良とみ

    ○高良とみ君 そうすると、このMSAそのものと、それから安保条約との重さは、やはり安保条約のほうが、又その前の平和条約、国連憲章等が、大きなものからだんだん生んで来たというふうに考えると、MSA自体は安保条約の内容協定であるというふうに考えて間違いありませんか。そうすると、重さから言うと、安保条約のほうが、MSAよりもつと有力なものであつて、性質から言うと、一歩前進したものであるけれども、そういう関係であると考えて間違いないでしようか。
  185. 下田武三

    ○政府委員(下田武三君) 安保条約は米軍の駐留並びに駐留する米軍の使用等を規定しておりますので、この援助の授受ということに関するこの協定と全くカテゴリーの違う問題でございます。何らかの思想的な関連を求めますと、まさに前文に引用されてある部分、つまり日本の自衛力の増強というところに、ちよつと思想的の連携がございますが、全然カテゴリーが違う条約でございまして、どちらが本で、どちらが附属であるというような関係には立たない一つの条約であると存じます。
  186. 高良とみ

    ○高良とみ君 少し後へ戻つて恐縮でありますが、先ほど朝鮮の侵略に対して、国連がこれを侵略なりという決議をしたということは、一つの国際緊張の原因を除去するための活動であつたという御説明があつたのですが、その第二段の、今度は幾つかの、十六カ国が、冷たい戦争を変えて、熱い戦争に警察行為をしたという段になりますて、もつとほかの第八条のどれかに当るということが考えられるかどうか、その点ちよつと御説明願います。つまりこの八条には熱い戦争のことは一つもないと言つていいと思います。
  187. 下田武三

    ○政府委員(下田武三君) あとのほうの、朝鮮における侵略を制圧するために、兵力の提供を求めて、それに応じた国は出兵するという国連の決議の効果は、この第三項の問題と同じカテゴリーの問題でございます。ところが第三項では、それぞれアメリカより援助を、受けるものとして、双方とも当事国になつておる条約上の義務を履行するということで、朝鮮動乱の場合には、そういう条約の適用がなかつたので、思想的に、第三項と同じ問題で、ありますが、第三項の適用を受けなかつたということになつております。
  188. 高良とみ

    ○高良とみ君 その点で第八条に少し帰つで恐縮ですが、先ほど私どもちよつと会議がありまして、保留しておいたのでありますが……。
  189. 佐藤尚武

    ○委員長(佐藤尚武君) 成るべく簡単に一つお願いいたします。
  190. 高良とみ

    ○高良とみ君 例えば何ら協定のない韓国と日本との関係に対しましては、アメリカとは相互防衛協定が朝鮮は持つておるわけでありますが、そういう日本との間接的な関係のものも、昨日御説明のような、アメリカを通してたらばやはり同じ形に、同じカテゴリーに使われる、台湾と日本との関係、吉本と朝鮮との関係というような場合、それは少しも差支えなく、同じくアメリカを、頂上とする自由世界の防御力の中に考えて間違いはございませんか。
  191. 下田武三

    ○政府委員(下田武三君) 先日アメリカを頂点として、房のようにバイラテラルな条約がぶら下つておると申しましたのは、このMSA協定だけのことをいつておるわけであります。この兵力の援助義務を伴うような軍事援助条約は、全然昨日申しましたことと関係のないことでございます。
  192. 高良とみ

    ○高良とみ君 先ほどのお話にあつた軍事顧問団は、朝鮮に行こうが、インドシナに行こうが、台湾に行こうが、行動は自由だと思います。この附属書の中に日本を出たり入つたりすることの自由ということがありますが、そういう場合に、ただ日本の軍事顧問団となるばかりでなく、完全な外交官たる資格の下において、そういうMSAの武器援助に対して複数の働きをすると考えて間違いございませんか。
  193. 土屋隼

    ○説明員(土屋隼君) 行動の自由その他を認めましたのは、日本の国内で外交官の収吸をするという趣旨でございまして、而もそれはMSAの援助に関連しての職務を遂行するに当つてでございます。従いまして顧問団が各国に行くという場合に、日本に対するMSAの援助とは別個の問題になりますので、これはおのずからアメリカ自身のほうで何らかの職務を持たせるということは勿論可能でございますが、日本側の関する限り、MSAの援助とは関係のないものであると思います。
  194. 佐藤尚武

    ○委員長(佐藤尚武君) 第九条の問題に帰ります。
  195. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 先の問題ですが、そうすると、この第九条、従つて又安保条約なるものは自国の防衛力の増強或いは漸増を規定しておるだけで、それに関連するアメリカ駐留用撤退の問題は、両方には何ら問題が提起もされていないし、従つて又解決もされていない、これはもう全然この協定或いは前の安保条約とは別の問題であるというふうに考えておいていいですか。
  196. 下田武三

    ○政府委員(下田武三君) 仰せの通りでございます。
  197. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 従つてこの第九条その他を審議されるときには、そういうアメリカ軍の撤退の問題は何ら話合は出ていないわけですね。
  198. 下田武三

    ○政府委員(下田武三君) 仰せの通りでございます。
  199. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 その問題は非常に重要だと思うんですが、この協定の折衡が最高潮に達した頃には、アメリカの、私たくさんの記録を切抜いておりますが、官辺筋としてはやはりそれに対応して撤退するのだ、今後五十ぐらいですか、そういいうなことをどんどん日本向けに放送して、如何にもそういうことと関連があるようになつたのですが、その協定ができたら、アメリカ軍は撤退しないのだというような放送が今度出て来たりして、非常に奇異な感じを持つているのですが、それはいろいろ機微に触れる問題という意味で、そう言われるのですか、実際なかつたのですか。
  200. 土屋隼

    ○説明員(土屋隼君) この協定の交渉の前後、アメリカからそういう報道らしいものがございましたのは、恐らくアメリカで、私どもも考えましたのは、この協定ができて日本が防衛力を増強するに従つて、駐留軍の一部は撤退が可能になつたのではないかと早呑込みをしたのじやないかと思うのです。ところが実際上援助を受けるという今の段階になりまして、日本の防衛力の増強の態様と速度とは、アメリカが考えたほどにまだ必ずしも限度まで行つていないわけでありまして、そんな関係上、アメリカの在日米軍の一部が引揚げるという段階にはまだ達しておらないわけであります。従いまして現在におきましては、事態を見究めて黙つているのだろうと思います。
  201. 佐藤尚武

    ○委員長(佐藤尚武君) 第九条はその辺でよろしうございますか。  それではもうあと僅かでありますから附属書の前までやつてしまいましよう。第十条。
  202. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 この協定の適用に関連して、更にいろいろな必要な場合、要請があつた場合には協議をするというのですが、その要請を待たないで、協議なり、取極なりをするようなものはどういうことなんですか。当然に取極承り協定しなければならないようなものが附帯して出て来るのか、或いはもうこの協定と、それから関連する三協定以外には、そういうものは出て来ないで、ただ政府の要請があつたときに協議をすることになるのか、その辺はどうなりましようか。
  203. 下田武三

    ○政府委員(下田武三君) 第十条第一項は、いわゆる協議条項でございまして、協定の他の条項で両国が合意する措置をとるとか、或いは合意しなければいけないという、合意をするための協議ということは、それぞれの規定の適用としての協議でございます。第十条第一項で申します協議というのは、そういう問題、今まで他の条で予見しないような新たな問題、或いは新たな角度から考え直そうというような場合に、両国の一方から要請があつたら相談をしなければならないということをきめたのでありまして、第二項の再検討なり、改正なりの問題の橋渡しになる問題点を取上げておるわけでございます。
  204. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 そうすると、この協議事項以外で、当然に各条項に付帯してやる取極なり、話合のうちで、今差迫つて問題になるもの、或いは現に話合が進んでいるものというのは、どういうものなんですか。
  205. 下田武三

    ○政府委員(下田武三君) これはたくさんございます。第七条の両国政府の合意の便宜、どういう便宜を向うが与えようかというような点、それから免税問題につきましても合意するとかいうことが書いてありましたが、一番大きな点は第一条の各場合に合意する装備、資材、役務その他を提供する、各条に亘つて合意が事前に行われている……。
  206. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 それは今現になされているわけですね。
  207. 下田武三

    ○政府委員(下田武三君) 本来でございましたら協定が御承認を得まして発効になりましてから、協定を適用すべきでありますが、今のは事前の非公式の協議でございます。
  208. 高良とみ

    ○高良とみ君 この関係で伺つておきたいのは、一条にあります細目取極の中には、過剰農産物に対するものは入ると考えていいのですか。これは又別途のものと考えていいのですか。
  209. 下田武三

    ○政府委員(下田武三君) 一条の四行目の「細目取極」は、これは装備、資材、役務等の供与に関する現在の細目取極でありまして、農産物協定関係の取極は、これに該当いたしません。
  210. 高良とみ

    ○高良とみ君 そうだと思うのですが、農産物の取極に関するアメリカ側の国内立法はもう完備しているんでありましようか、それが一つ。それからそれの輸送についての少なくとも半分はアメリカの船で持つという、その法律は今度どうなりますか。
  211. 佐藤尚武

    ○委員長(佐藤尚武君) 農産物のほうは又別にやりますが……。  十条、ほかに御質疑がなければ、十一条。
  212. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 「この協定の附属書は、この協定の不可分の一部とする」というので、同一のまあ価値のようにも、不可分、一体をなしているように書いてあるのに何故附属書にこういうふうにされたか、これも第八条と同じような、重ねて指摘して恐縮ですが、なんとかして除きたいと思うが、除けないので、辛うじて附属書に、あたかも価値が少ないような形でそこに追いやつたのだというような、特に附属書のD項のごときは、「世界平和の維持を脅かす国」の問題というようなのは、なんとか国会の決議もあるし、除きたいが、アメリカの要請があつてどうにもならないから附属書に書くというようなことを伝え聞いているんですが、条約の体裁として、こういう形がいいものですか、その点お伺いしたいと思います。
  213. 下田武三

    ○政府委員(下田武三君) 附属書は協定の各条項につきましての、もう少し詳しく細目を明らかにする点、或いは協定の字句だけでははつきりわからない点を、解釈の便宜上はつきり記述するのであり、まして、又必らずしも協定の取上げている問題と密接な関連のない問題、御指摘の附属書Dのような問題、これも強いて言えば、第八条の第二項と関係がございますが、ちよつとカテゴリーが変つておりますので、他の規定と並べて本協定に入れることは、多少おかしいので附属書に入れた、そういうような関係でございます。
  214. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 その点はいろいろ具体的に附属書審議のときに言いますが、この4の「この協定は国際連合事務局に登録する」ということについて御説明頂きたいと思います。
  215. 下田武三

    ○政府委員(下田武三君) 日本はまだ国際連合の加盟国ではございませんので、日本の締結した条約を国連事務局に登録しなければならないという義務はございません。併しながらアメリカのほうはこの登録する義務がありますので国連事務局に登録することの効果は、国連加盟国に対してこの協定を援用するためには登録しておくことが必要でありますので、この登録の趣旨に鑑みまして、やはりこの協定も登録したはうがいいということから、この規定をおいた次第でございます。
  216. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 私その関係は余り不案内なんですが、加盟した場合は条約なんかも登録するのですか。
  217. 下田武三

    ○政府委員(下田武三君) 加盟国が締結した条約は登録しなければならないという規定がございます。
  218. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 この第一項の「日本国がこの協定を批准した旨の書面による通告を受領した日に効力を生ずる」というふうになつていますが、仮りに二十九日にこの協定がきまつたとすると、通告を受領する日というのはいつぐらいになるという目算ですか。いろいろな手続その他から考えまして……。
  219. 下田武三

    ○政府委員(下田武三君) これは実は五月一日に通告をいたそうと思つております。そのわけは今の保安庁の顧問団の、今度の軍事援助顧問団の振替えでございますとか、或いは日本から渡す行政費の三億九千五百万円というのは、これは日割計算で、協定の発効が遅れれば減らすわけでありまするから、そういう関係からいたしますと、五月という新しい月の初めから発効されるのが便利なので、多少詰まつてはおりまするけれども、五月一日に通告して発効させることにいたしたいと思つております。
  220. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 これはこの協定を半年先或いは一年先或いは両年先に終了通告をしたということになると、どういうことが予想されましようか。
  221. 下田武三

    ○政府委員(下田武三君) 終了の意思を通告しましたすぐは、終了することはできませんので、その相手方が通告を受取つた日ののち一年間は依然として協定が効力を発する、存続しているわけでございます。
  222. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 そういうそのことはここの文面ではつきりわかるのですが、アメリカがそれに対して、どういう対応の仕方をするか、そのへんをどう予想がされるか、そのへんの事情を一つ……。
  223. 土屋隼

    ○説明員(土屋隼君) これは日本側からもはや援助を受けたくないということを通告いたします場合と、アメリカ側がもはや援助をしないからと言つて通告する場合と、或いは画才が合点をいたしまして来年からやめようじやないか、こういう場合と三つの場合が考えられるだろうと思います。従いまして、日本が何かの事情から援助を受けることが無駄だと思いまして断わると言う場合に、日本側の一方的な問題でございますが、アメリカがどうも従来日本に援助を与えたけれども思うように使つてくれないとか、いろいろの不満がありまして、そうしてもうお宅には援助をしたくないということも考えられるわけでございます。私どもはそういう事態よりも、恐らく今後この問題は日本の防衛能力、防衛力というものが或る程度進んだ際にもはやアメリカから兵器その他の資材を受けなくてもやつて行けるという時期に合意的にこれは当然廃止すべき問題で、両国の関係からそうなる公算が安いのではないかと考えております。
  224. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 いや私が育つたのは、半年先か或いは一年先か或いは一両年先、日本側から一方的に通告をしたというような場合には、アメリカ側から、どういう反応が予想されるかという問題……。
  225. 土屋隼

    ○説明員(土屋隼君) 協定だけから申しますと、通告を受けた限りにおいては、アメリカもそれを承認しなければならないわけであります。そのときの車忠で日本がどういう事情で断りますか、今後は自衛力は自分でやるんで、アメリカその他の国の援助を受けませんという場合と、それから一切防衛力を増強することをやめまして、従つて援助は勿論要りません、こういう場合とは違うだろうと思います。前の場合はアメリカが喝采して存ぶだろうと思いますし、あとの場合ですと、今の国際情勢から見て、アメリカが喜ぶと思つている日本が、もはや防衛力をしてくれないということに対しては、アメリカ側は不満だろうと思います。
  226. 曾禰益

    ○曾祢益君 第十条にもちよつと関連があるのですが、このアメリカが結んだMDA協定というものは、国によつては改訂をしたり或いは終了した場合もあるかと思うのですが、大体このMDA協定のひな型というものは、安保条約と違つて非常にアメリカの都合もあつて、主としてアメリカの都合だろうと思うのですが、比較的簡単に改正ができる、協議が整えば。更に一年間の予告さえつければ終了できるということになつております。これが大体ひな型、だと思うのです。その点と現実に改正文は終了通告をやつたような事例等について御説明願いたい。
  227. 下田武三

    ○政府委員(下田武三君) 改正と申しますか、新らしい協定を結び直した国はユーゴーのようにございますが、これはやはり援助のカテゴリーが違つた種類の援助を受けることになりましたとか、そういう事情に基くものでございまして、それ以外は大体改正した国はないと存じます。
  228. 曾禰益

    ○曾祢益君 終了の例はありませんか。
  229. 下田武三

    ○政府委員(下田武三君) 終了の例はありません。インドネシアは内政関係から協定を結んだのでございますが、承認ができなかつたというように思います。
  230. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 ビルマは。
  231. 下田武三

    ○政府委員(下田武三君) ビルマは確か船舶の……。
  232. 曾禰益

    ○曾祢益君 軍艦のあれでしよう、有償貸与。
  233. 下田武三

    ○政府委員(下田武三君) 有償貸与…一回限りの協定でございまして、協定の履行が済んでしまいましたために自然消滅になつたのです。
  234. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 この文化局の解説によると、八ページのところにMSAの援助に関する協定を締結した国でビルマを挙げておつて、軍事援助をもらつておるというふうになつておるのですが、これは違うのですか。
  235. 下田武三

    ○政府委員(下田武三君) それもやはり只今申上げましたビルマとの協定を指しておるのだろうと思います。
  236. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 インドネシアは一度調印して批准せなんだと思うのですが、非常に内閣は、外務大臣が辞めたり、いろいろトラブルがあつたのですか、対米関係は今はどうなんですか。そのことの及ぼした影響ですね。
  237. 土屋隼

    ○説明員(土屋隼君) このMDA関係の協定の分から直接対米、感情に大きな、何と申しますか、差異があつたように見えておりません。ただあのときの関係から、必ずしもアメリカに対しての何と申しましようか、協力を支持していたからだけではございませんで、そういう点からは国内的には戦後から批判はあつたと思います。
  238. 佐藤尚武

    ○委員長(佐藤尚武君) それでは午後は付属書を一括して議題にのぼせまして、簡単に上げて頂きたいと思います。そして農産物問題に移りたいと思います。二時十五分すぎに再開をいたします。    午後一時三十一分休憩    ―――――・―――――    午後二時三十七分開会
  239. 佐藤尚武

    ○委員長(佐藤尚武君) それでは、午前の会議に引続いて、外務委員会を再開いたします。相互防衛援助については、今朝本文だけ上げることができるのでありまするが、附属書は一括して審議に付したいと思います。その附属書の中で御質疑がある方は発言をお願いいたしたいと思います。
  240. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 この附属書のD項の問題に、このMSAを受諾しますと、日本国政府は共通の安全のために、世界の平和を脅かす国との貿易について統制の措置をとる。この問題についてアメリカ合衆国と協力するような規定があるのですが、平和の脅威国とは一体どこなのですか。
  241. 下田武三

    ○政府委員(下田武三君) 平和の維持を脅かす国というのは協定では何も特定いたしておりません。そういう国に該当する国が現れましたならば、その国との関係についてこれが発生するわけでありますが、現実の問題といたしましては、現在そういう措置がとられております国は中共であることは言うまでもないと思います。
  242. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 そうしますと、このMSAを受諾しますと、中共との関係はやはり現在と同じように継承されるわけですか。
  243. 下田武三

    ○政府委員(下田武三君) この協定の規定によりますと、アメリカ合衆国その他の平和愛好国政府と協力するものとするというのでありますから、日本といたしましては、むしろ従来やつておりました非常に厳格な統制から見ますと、緩和し得る余地が発生しておるというふうに言うこともできると思います。
  244. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 それはどういう意味ですか。
  245. 下田武三

    ○政府委員(下田武三君) 日本は占領時代、講和発効の際からこういう措置をとつておつたわけですが、日本はむしろアメリカ、カナダ等と共に、非常に厳格な統制を行つた方の国であります。ところが、イギリスとかフランスという国は、パリーにおきます関係国の協議によつて、アメリカや日本に比べましては少しゆるい統制をしておりました。日本はその西欧諸国並の統制にまで緩和することができるという含みを持つた規定でございます。
  246. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 この中国をどう見るかということは、非常に私大事な問題だと思うわけであります。中国は成るほど最近におきましては、いろんな過ちを犯しておると思います。又アメリカの心配するような多くの近隣政策もとつておると思うのであります。併し何と言つても、中国は一八四二年の阿片戦争以来百年間外国の植民地であつて、その解放過程にある国だという、やはりそういう新らしく形成されつつある国であるという理解を以て対処することが私は非常に必要だと思うのですが、そういう点で、アメリカとされては私は十分な理解がない。むしろアメリカがイギリスの植民地であつたときに、独立戦争によつて解放された過程に鑑みて、私としてはむしろこういうことは削除して、むしろ日本を通じて、アメリカを、誤りなくアジアに適応させる。それは丁度イギリスをインドを通じて中国なりアジアに適応させるような最近の施策、私はそういう政策をとることがやはり必要で、何と言つても中国のいろんな政策に対しては、これは百年間植民地であつた。そういう解放過程の国だ。いろいろ最近とつている政策については、批判があつてもそういう基本的な観点に立つて見るべきで、アメリカのような中国の革命を押えるというような立場は非常にアジア問題の解決にはならんと思うのですが、その貿易についてはそうですが、この協定を結ぶこと、或いはこれと関連しまして、未調印国との講和の問題で、中国や或いはソ連との国交調整のような問題については、何かこの協定、にからんであつたのでしようか。このD項に関連してお伺いいたします。と言うのは日本がフィリピンなりインドネシアなりビルマなりに対しては、講和条約の調印に対して、非常に積極的な努力をされているが、中国なりソビエトとの国交調整については甚だ熱意がないように思うのですが、それは吉田内閣とされて自発的にやられているのか、やはりアメリカのいろんな政策に関連して何かあるのか、或いはその意を忖度して自発的にそれに適合されているのか、そういう点は如何です。
  247. 下田武三

    ○政府委員(下田武三君) 中国との全般的の政策は吉田ダレス山交換書簡で、はつきりいたしております。つまり隣邦であり、大国である中国とは善隣関係を結ぶということが非常に日本にとつては重大なことである。併し現実の問題としては国連から侵略者というらく印を押されておるような中共政府とは国交関係に直ちに入り得ない。一方国連からは正当政府と認められておる国民政府とは国交関係を結ぶことができるというような表現になつておりまするが、要するに隣邦中国との重要性ということははつきり認める。且つ隣邦中国との関係というものは、現実の事態に即してどちらともコミツトしないで未解決の問題として、差当り現実の問題としては国連から侵略視される政権と国連も正当政府と認めておる国民政府との関係と、二つの政権に対する使い分けをしておるわけで、中国に対する根本政策につきましてはコミットしていないのが吉田ダレス書簡の根本的な考え方だと思います。そこで附属書Dの置場統制との関係は、中国との国交調整の問題とは直接関係のない問題でございまして、これが挿入いたしました直接の原因は一九五一年にできましたアメリカのバトル法と申す法律によりまして、侵略国側の援助になるような行為をする国にはアメリカ側で援助を与えようと思つてもできないように法律の規定がありますので、バトル法の関門をくぐりますためにも、どうしても何らかの形において附属書Dのような規定を設ける必要がございますし、また各国ともバトル法成立以後、これと同じような約束を米国に対していたしておるわけであります。
  248. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 そういう関係は政府の置かれた立場から私了解するのですが、併しいつまでもアメリカのとつているそういう政策を令面的に受けられて、いわばくそ正直にやつているということは、問題を将来起すのではないかという中国に対する心構えの問題で、私希望を申上げておきたいのですが、やはり日本が今そういう立場をとつているのは、丁度近衛さんのときに蒋介石を相手にしないといつた日本が大きな過失をおかしたようなことも起らないとも限りませんし、特にアメリカにおいて今かなり反中国的な政策を打出していますが、併しやがてときの経過につれ蒋介石をもう一遍中国本土に返すということが不可能であり、そして又この秋行われます中間選挙等が済めば、むしろ逆に事実上もつと日本なんかを乗りこえて、アメリカ資本主義との要請等からしても、中国市場に積極的な手を打つて日本が正直にやつているときに、もう西欧諸国が十分新しく建設されつつある中国市場に顧客として臨み、そして生産力の非常に高いアメリカなどが出て日本が非常に立起れを食つたりすることが私は必ずしもないとは言えない。ダレス長官が数カ月前までは事実上中国を承認するかも知れんというようなことを言つていましたのを、共和党内のマッカーシー一派の反撃を受けて最近ああいう立場をとつていますが、私はこれはやはり中間選挙でも済み、もつとアイゼンハワーの政権でも安定したりするような選挙の顧慮なしにやれるようになると、アメリカ自体の経済的その他の要求からしてそういうこと起り得るということがありますので、私はそういう点は十分考慮して、私も近衛さんの下におりましたが蒋介石を相手にせんというようなことで大きな失敗もしていますので、その点は十分後足をふんで考えて頂きたいという点と、それからもう一つこういう点に関して旅券の問題なんですが、先般日ソとの北洋漁業の問題について平塚さんですか旅券の下附を申出ら熱際に、岡崎外務大臣が、新聞の伝えるところのよりますと、ソビエト行の旅券は下附しましよう、併しもうアメリカに行くことはできませんよと、それは了解の上で、というようなことがありましたがやはりそういうようなことになりますか。そういう関係をもう少し一つお話願いたいと思います。
  249. 土屋隼

    ○説明員(土屋隼君) 共産圏に対する旅行のことにつきましては、実は前々から長い間の御存じの通り紆余曲折を経まして、一般旅券につきましては今政府といたしましては発行できないという立場にございますが、平塚さんのように或いはその他の方でも同趣旨の使命を持たれまして、いわば国で交渉すべきことを国交がないのでそういう方々が交渉に行かれる、ということからまあいわば国の用務を遂行するという意味にもとれますので公用旅券を発行するということにいたしまして、おいでになることを妨げのないように手はずをするというのが今の政策なんでございますが、大臣が平塚さんに言われましたというのは私はその真偽のほどを存じませんが、旅券のほうを取扱つておりました私から申しますと、ソ連にそういう関係で行つたからアメリカに行けないということには直ぐにはならないだろうと思います。ただアメリカとしますと例のマッカラン法その他がございますので、行かれたこと自体に、ソ連圏と特に親しいか或いは共産主義に対する同調なりがあると認めた場合において、初めてアメリカに対する査証は出さないと、こういうことになりましようが、平塚さんその他の点についてそういうことはありますまいと思いますので、恐らくこれは何らかの話が大分曲げられまして報道されたものではないかと存じます。大臣がそう言われたということは承知しておりません。
  250. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 正式な国交調整は中ソ両国に対してなかなか困難と思いますが、経済的な面を通じて可能な限りやはり新らしく形成されつつある中国に対しても、市場を開拓しておくということは非常に重要だと思うんですが、この旅券の下附について、地域でああいうふうに余り制限せずに、人によつて何とかするようにして、もう少し経済的な交流が容易にできるような措置はなかなかできないものですか。
  251. 土屋隼

    ○説明員(土屋隼君) 人によつてそういう区別が、ふるいにかけるようにしまして、目を漏つた人には差上げますが、漏らない人には上げないというふうな非常にはつきりしためどがつきますと非常に我々も取扱う事務当局といたしまして簡単なのでございます。ただ今とつております旅券を出すとか出さないとかと言う問題は結局やはり大きな意味で日本の政策との関連を持ちまずので、一般的に見ましてこの人がどうであるとかないとかいうことよりは、ソ連なり或いは中共なりのああいう圏内に一般旅券を持つた人が、一般的に旅行するということ自体につきま即して圏の利益を害すると、こういう総括的な判断を下しまして、一般旅券を出さない限りにおいては一人一人が出しましてもその人のメリットにおいて出す出さないはきめないで、総括的に出すことができないというのが今の政策でございます。
  252. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 まあこういう制限は明治の初めに帰つてみると、徳川の政権がゆるぎつつあるときに、古田松陰等が海外渡航する際にいろんな妨害を加えたと同じようなもうちよつとすれば、歴史的なきびしい批判を受けて行くと思うわけであります。又実際鉄のカーテンの中がそんなに悪いものならば悪いなりを知らせる意味で、もつと私はやるべきだと思うのです。この点は国策とも関連するのですが、何とか旅券についてはそういう地域別に検討することをせずに、もろと条件を緩和して人によつて、煩瑣でしようが、徐徐にそういう門戸を開いて行くことが必要ではないかと思うのですが、希望だけを申述べておきます。
  253. 曾禰益

    ○曾祢益君 このD項の明確な義務ははつきりしておかなければいけないと思いますので、例えば世界の平和の維持を脅かす国、これは成るほど非常なデリケートな問題がそこに伏在しておりますが、現在の状況においては勿論中共がこれに該当するだろうということはよくわかることですが、併し必ずしもバトル法等のいきさつ、それからココムの取扱等からみますれば、いわゆる世界の平和の維持を脅かす国というのは直接に国連が侵略国と認定しているような国ばかりでなくて、その侵略者に間接に援助する国、例えばソ連なんかも現実にその範疇に入れておることは客観的には明瞭なことです。従つてそういう背景の下に考えると先ほどの御説明のように、中共だけでなく範囲はやはりソ連、中共というような国を現実に考えておることではなかろうかと思うわけです。  それから然らば具体的にどういう義務かと言うと、アメリカ合衆国その他の平和愛好国の政府と協力する、これらの諸国との貿易を統制するについて、アメリカその他の平和愛好国政と協力することなんですが、統制の内容即ち協力の内容について極めて書き方としては不明確である。で今までみたいな、占領中からの行きがかりみたいな、アメリカの言うなり放題という意味でなくて、もう少し緩和されるのだ、いわゆる西欧並みになるのだという説明も或いはつくかも知れないけれども、それにしても大体においてはバトル法があるし、ココムの取扱がある関係からそう楽観的には考えるわけには行かないと思う。そこでこの規定そのものからしてつまりバトル法の適用をフルに受けることを義務付けられるのか。それから統制の内容については、やはりバトル法や現在までココムがやつて来たような戦略物資は送らないというような具体的な義務がこれによつてはつきりと条約上発生するかしないか、それから平和愛好国、アメリカその他ということを入れたので、それがアメリカだけでなくてもつと緩和する国とも協力するという意味において、バトル法の解釈、或いはココムの解釈というものを緩和の方向へ持つて行けるという積極的の根拠がここから果して生れて来るかどうか。こういう点について法律的にはつきりした解釈を伺つておきたい。
  254. 下田武三

    ○政府委員(下田武三君) この規定は日本としては必ずしも歓迎する規定ではないのでありまして、余りにヴイヴイドに規定することは却つて束縛を受ける、結局貿易統制ということは、如何なる園の政府も政府の権限でできることでございまするから、時々刻々にそのときの情勢に応じて話合で具体的なことをきめて行くのが却つていい、つまり流動性を持たして日本としては、日本のみならず西欧諸国もそうでございまするが、成るべく戦略物資の範囲を狭く減らして行こうという傾向にございます。そういうようなそのときの情勢に応じて流動性を持たして統制をやろうというふうに、却つて漠然と規定しておいたほうが、日本のためにも都合がいいのではないかという見地から、正に御指摘のように法律的には極めてつかみどころのない漠然たる規定でございますが、そのような見地からそういう規定を採用することにいたしたのであります。
  255. 曾禰益

    ○曾祢益君 そうすると、バトル法そのままを認めるというような義務は発生しないわけですね、この規定からは。
  256. 下田武三

    ○政府委員(下田武三君) バトル法に直接縛られますのはアメリカ合衆国政府だけでございまして、この協定だから直接に日本が縛られるということにはなりません。
  257. 曾禰益

    ○曾祢益君 それはおつしやる通りですが、バトル法によつて直接縛られるのはアメリカだけれども、バトル法の規定に縛られるアメリカ政府としては、そういう違反を侵すような国には援助してはならないという方面において縛られることをこれで承認したことにならんかということを聞いておるのです。
  258. 下田武三

    ○政府委員(下田武三君) 結局は協力するものとするということが義務でございますから、その協力の方法は、相談ずくでやるというのでございますから、この相談の相手たるアメリカ側が、バトル法で縛られておりますために、相手方が手足を束縛されておるという不自由はあるわけでございますが、日本としては飽くまでも相談して、納得した上でなければ統制措置をとらないという立場は協定の上ではきめてございます。
  259. 佐藤尚武

    ○委員長(佐藤尚武君) 附属書のほかの部分に移ります前に、御報道を申上げたいと存じます。と申します。ことは、午後の会合が始まりまする直前に、理事諸君との打合会を開きましてそこでお互いにそれでよかろうとなつたことは、午後の会合ではできるだけ質問を集約して五時半までに上げてしまおうではないかということであります。そして大臣にその前に来てもらつて、大臣に対して重要な最後の質問をしようじやないか。それから一時間休憩いたしまして六時半から討論に入つて今夜中に採決をする、討論の時間は制限をしない建前ではありまするけれども、大体の目安として一人三十分ぐらいということにしてはどうか、こういうことでありました。外務大臣には三時半から出席を要求しております。多分その瞬間に来られることと思うのであります。そういつた打合がありましたことをお伝え申上げます。どうぞ続けて。
  260. 羽生三七

    ○羽生三七君 D項の点で一点だけお伺いいたします。そこで世界平和の維持を育かすという判定を今後いずれかの国に対して下す場合には、国連の非難決議というようなものが丁度中共に行われたのと応じようなケースから判断が下されるのか、アメリカ一国だけが判断を下すのか、その判定者が誰になるのか、それからどういう効力が生まれるのか、それだけお伺いいたします。
  261. 下田武三

    ○政府委員(下田武三君) これはアメリカ一国が某国は世界平和を脅かす国だという一方的な判定をいたしましても、西欧諸国などたくさんな利害関係のある国がおりますので、なかなか判定が通るということはないと思います。そこで客観的にみまして一番公正な判断をいたすのは国際連合でありまして、国際連合が朝鮮の場合にいたしましたように、決議で侵略者のらく印を押すということが国際間に通用する具体的な判定と相成るのではないかと思います。
  262. 佐藤尚武

    ○委員長(佐藤尚武君) 附属書のほかの部分についての御質疑はございませんか。
  263. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 今戦略物資その他のものについて中国に貿易制限がなされておると思うのですが、これはつい一週間ぐらい前でしたか、若干制限を緩和されたようですが、それにもかかわらず、なおヨーロツパなどに比べると非常に窮屈な禁止になつているのじやないかと思いますが、今後更に早急に緩和されるお見込なり話は継続しておるのかどうか。それから現在日本で禁止している品目とヨーロッパの品目とを突き合わして、どういう異同があるのか、それを表になりなんなりにしてはつきり分るような資料を提示しながら少し御説明願いたいと思いますが。
  264. 永井三樹三

    ○政府委員(永井三樹三君) 只今対共産圏域の輸出統制につきましては、戦略物資の内容について慎重に検討をしておりまして、その検討の結果先般二三十品目につきまして、日本として差支えないという結論から解除された次第でございまして、私どもといたしましては、今後も検討の結果必要のない、戦略性の極めて薄いと思われるものについてはそういう措置を取ることを考えておりまして、逐次実行ができて行くと思います。  御質問の第二点のリストの点につきましては国際的なパリの委員会のきめておりまするところの品目長は、約束によりまして公表しないということになつておりますので、そのリストを公表することは日本政府としてもできないことになつております。日本政府が現に行なつている統制と国際的に採用されている統制の差如何という点でございますが、これにつきましては国会の決議にも準拠いたしまして、漸次合わせるような方向に進めております。ただ実際問題といたしまして、この日本の統制品目の具体的に定められたアイテムとはそれぞれ取り方が違いますので、正確に合わして見てもそれぞれ一部分がお互いに関連し合う面、或いは含まれる面等がありまして、実際問題として甚だむずかしいのでありますが、現在までのところ重要な点につきましては事実上はほぼ国際的なリストの内容と、日本のやつておりまする統制とは大差ない状況になつております。勿論非常に技術的な細かい品目につきましては差がございますが、その点を目下検討しておるわけでございます。
  265. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 具体的に聞きますが、ちよつと亜鉛鉄板はどういうことになつているのですか。
  266. 永井三樹三

    ○政府委員(永井三樹三君) 亜鉛鉄板は西欧各国も輸出をしない品目になつております。
  267. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 日本もですか。
  268. 永井三樹三

    ○政府委員(永井三樹三君) そうでございます。
  269. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 それは、亜鉛鉄板を輸出しないのは以前からずつとそうなんですか。或いはいつからか解除されるのですか。
  270. 永井三樹三

    ○政府委員(永井三樹三君) 亜鉛鉄板は禁止しておる品目でございます。
  271. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 禁止しているのですね、それはヨーロツパでも禁止している。
  272. 永井三樹三

    ○政府委員(永井三樹三君) そうでございます。
  273. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 更に解除を検討中だといつておられるのですが、それは国内として株討中なんですか。国内としての検討はすでに済んで、この間の折衡に引続いてアメリカと折衝の段階という意味での検討中なのか、その点はどうですか。
  274. 永井三樹三

    ○政府委員(永井三樹三君) 国内として検討しておる次第でございます。
  275. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 そうすると、アメリカとの検討はこの間のあれで一段落というふうに考えておられるのですか。
  276. 永井三樹三

    ○政府委員(永井三樹三君) これは必要があればするわけでございまして、必ずしも必要としないものについては、日本政府で実施する考えでございます。
  277. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 四月二十日から開かれるはずになつていたジュネーブでの東西貿易拡大会議、これはどうなつているのかその辺の事情を御説明願いたい。
  278. 永井三樹三

    ○政府委員(永井三樹三君) ジユネーブで行われました会議は、国連の欧州経済委員会の会合でございまして、この会合におきましては、成るほど東四貿易を促進するためのいろいろな方法という点はデスカツスされたようでございますが、別段はつきりした具体的な結論に達するものではなく、又当初からそういう目的をもつて開かれたものではなかつたと私どもは了解しております。従つて、具体的にこの統制の問題にはこの会議においては入らなかつたわけでございます。
  279. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 私の附いているのは、今おつしやつた国連のヨーロツパ経済委員会の三月十七日の総会で、東西貿易拡大に対するイギリスとソ連との共同決議案が出てその結論は出ていると思うのです。ただ、のみならず四月二十日からジュネーブで特に東西貿易の拡大に関する会議を開くということが決定しているのです。それがその後どういうふうな状況になつているかということを聞きたい。
  280. 永井三樹三

    ○政府委員(永井三樹三君) 私ども知つております限りにおきましては、ヨーロツパ経済委員会の東西貿易に関する会合がありましただけで、今月の最近におきましては、そういう会議は閉かれておりません。
  281. 佐藤尚武

    ○委員長(佐藤尚武君) 附属書Dはそれくらいにしまして、ほかの附属書についての質疑はございませんか。協定の本文についての質問の間に附属書はしばく引用されたのでありまするからして、大体質疑はつきたのではないかと思いまするけれども念のためお尋ねいたします。
  282. 羽生三七

    ○羽生三七君 簡単なことで、C項の実行可能な共同措置をとるという場合には、これは抽象的な規定なんですか、それとも何か具体的な措置が考えられておるのですか。その点だけお伺いいたします。
  283. 土屋隼

    ○説明員(土屋隼君) まだ具体的に共同措置をとるということまで進んでおりません。将来域外注その他に備えまして、共同的な措置をとるようなことが両方とも希望でありますが、この際ただ日本といたしましては、従来に受けました兵器などに日本人の体質などに合わないものもあつたということを考慮に入れまして、実行可能という制限を附しただけでございます。
  284. 佐藤尚武

    ○委員長(佐藤尚武君) では附属書については、質疑はこれで了したものと認めて差支えありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  285. 佐藤尚武

    ○委員長(佐藤尚武君) 御異議ないものと認めます。それでは、附属書はこれで完結したものと認めます。
  286. 佐藤尚武

    ○委員長(佐藤尚武君) ではその次は農産物の購入に関する日本国とアメリカ合衆国との間の協定の締結について承認を求めるの件、これを議題といたします。
  287. 梶原茂嘉

    ○梶原茂嘉君 第一に個々の取引の条件でありますがこれはその都度きめて行くようなことになつたのですが、その間にアメリカの対外活動庁が定める手続というものが入つておるのです。この手続というものがどういう内容まで包含しておるのかその点を御説明願いたいと思うんであります。というのは、この手続にきまつておることの範囲が相当広範に亘るといたしますと、個々の取引条件として話合をする余地が少いように思われるのでありますが、その間どういうふうになつておるものか、お答えを願いたいと思います。
  288. 永井三樹三

    ○政府委員(永井三樹三君) ここに第二条に申しまする個々の取引の条件というのは幾らをどういう経路で幾ばくの数量を引取るか、という普通の商取引における条件に準じたものでありまして、これにつきましては対外活動庁即ちFOAのレギユレーシヨンにアメリカの対外援助全般に適用する手続がきめてありまして、それはその手続に従つてするということを明らかにしたわけでございまして、これは純粋に手続事項として両国間に取引の内容に実体的に関係のあることほ含んでおりません。従つてお互いに商議の対象となる事項は入つておりません。
  289. 梶原茂嘉

    ○梶原茂嘉君 そうしますと対外活動庁の定める手続というものは純粋にほんの手続的の事柄であつて、取引の内容をなす各種の条件等は両国政府できめると、こう了解していいわけですね。
  290. 永井三樹三

    ○政府委員(永井三樹三君) その通りでございます。
  291. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 これによると、あとのものに関係しますが、この二割、一千万ドルが贈与の形になつて、それだけ取引の条件と言いますか、値段との関係でこれを考えられたんじやないかと思うのですが。というのは一千万ドルだけはこの贈与にするとして非常にプラスを与えたような恰好になつておりますけれども、値段から言うと市場価格より大体二割ぐらい高い物を買わされているんであつて、そうすると一千万ドル贈与になつても、それは本来の意味での贈与じやなくてそれだけ値引してやらなければならない。市場価格に合わせようとすれば値引しなければならないのでそれだけを考慮したに過ぎないんだというようなことにしかならないように思いますが、その点の実情はどうなんですか。
  292. 永井三樹三

    ○政府委員(永井三樹三君) この農産物の購入に関する協定によつて我が国が買います農産物は全部これにカバーされております。従つてその二割の贈与の分と、そうでない部分との別はございません。而うして御質問の二割の贈与を考えて市場価格と違つた価格で取引が行われるかという御質問でございますが、その点は全部IWA(小麦協定)の価格によつて引取つております。従つて普通の輸出される小麦と全然同一の価格条件で引取るわけでございます。
  293. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 だからその小麦協定で買う値段通りであることは当然なのですが、併しこれを若し自由市場で買えば二割安く買えるわけなんですね。
  294. 永井三樹三

    ○政府委員(永井三樹三君) そういうことはございません。アメリカの現在の小麦の市場は、政府の支持価格がありまして、自由市場においては全然同じ価格が行われておるわけであります。
  295. 杉原荒太

    ○杉原荒太君 この農産物の購入に関する協定を国会に提出した理由を、事実上の理由と法伊上の理由の二つに分けてちよつと説明してもらいたい。
  296. 下田武三

    ○政府委員(下田武三君) 法律上の理由を申上げますと、購入に関する協定のほうは、言つてみれば本当に国家間の取引契約みたいなものでございます。国家でも私人と同じように取引をするのでございますから、私契約的な意味の協定を結ぶということはあり得るわけなのでございますが、併し全然私契約的な行為だけしか含まないかどうかという点になりますると、やはりそうでない部面もあるということでございまして、大蔵省はやはりこの協定自体も国会の承認を仰いでおいて、即ち国内法的にも法律と同様の効力をえるような手続を取つてもらいたいという主管省の希望もございました。外務省といたしましては、実は購入協定と経済処置協定というのは密接不可分と申しますか、実は一つの協定を二つに割つたような協定でございまして、而も経済処置協定というものを切離して御審議願いましても、何のことかわけわからない、購入協定が前提となつて初めてその見返資金の扱いに関する経済処置協定が生まれるのでございまするから、やはり一体として御審議願うためにも、この購入に関する協定を同時に提出いたしまして国会の御承認を仰いだほうが適当な措置であろうと存じましたので、提出いたしまして御審議を仰いでいるような次第でございます。
  297. 杉原荒太

    ○杉原荒太君 これはなせ私がそういうことをお尋ねするかというと、これを国会に出されること自体は、私、別に奇異には思わないのです。併し国会に同じく提出するという場合でも、正式な承認の対象として出す場合と参考として出す場合ではその性質が違う、これは承認の対象として出しておられる。するとつまり憲法にいうところの条約の性質を持つているものということから出発しているものだと思うのであります。これを見てこれは、法にいう条約であるかどうかという点。私の見たところでは非常に疑問だと思います。若しこれを憲法にいう条約の性質を打つたものだというならば、今まで取つておられるところと私首尾一貫しないところがあるような感じがしたからお尋ねしたのです。今まで例えばいろいろな貿易協定、支払協定などというものは、憲法にいう条約でないのだということから出しておられないのですね。それなどと比較してみてこれが特に憲法にいう条約でと認定された、そこのところ私よくわからない。係があると思う。もう一つのいわゆる経済措置に関する協定のほうは、私は当然国会の承認を経べき条約の性質を持つているものと思う。これは実質的な関係があるから国会にも出したのだと考える。併しその場合にあくまでも参考であつて承認の客体としてのものじやないというなら私はわかる。併し私の言うところばかり正しいのじやないからそこの点どう説明されるか、お聞きしたいと思います。
  298. 羽生三七

    ○羽生三七君 ちよつとそこの問題に関連してお答えになられる前に伺いたい。これは実は私も違つた意味で同様のことをお尋ねしたいのは、この間私この委員会で申しあげましたように、この協定が認められない先に外資割当をやつている。更に引続いてもう入札をやつている。この協定が認められなければ通常の農産物の購入に充てられるからいいのだと外務大臣は答えられていますが、そういう簡単なものかどうか。杉原委員の御質問に併せてその関連でお答え願います。
  299. 下田武三

    ○政府委員(下田武三君) 杉原委員の御質問にお答えいたしますと、この協定に規定することは全然国会のご承認を求めなくても政府の権限だけでできるかどうかという点になりますと、先ほど申上げました通り、大蔵省の問題なのでありますが、この協定の第六条によるこの協定の実施のため必要な細目取極で又いろいろな合意をしなくちやなりませんが、例えて申しますと、第五条の為替相場、通常取引は売の場合と買の場合と必ずしも三百六十円ではございませんで、三百六十円プラス・アルフアのマージンが少しつくわけでございますが、今度の場合はきつかり一ドル三百六十円という上にも下にもつけないものを公定相場として計算するわけなのです。それも為替法令とは実は違う取扱でございますし、又第四条の等価額の円の積立、これも通常の取引でございますと現場の到着又は船荷証券の受取後支払うということなのでありますが、アメリカから米ドルを支出したぞという通告がありますと、直らに日本側が円を積立てなくちやならないというような点で、普通の取引と違う扱いがこの協定並びにこの協定に基く細目取極から出て参りますので、そういうような点を政府として行い得るようにいたしますためには、やはりこの協定自体につきましての国会の御承認を得まして、法律と同様の効果を国内的に与えていただくはうがいいという大蔵省側の意見、でありまして、内閣の法制局もそれがよかろうということでこれを提出したわけでございます。然らば今まで外国と貿易取極まろく結んでおるのになぜ国会に出さなかつたか。これは外国とのほかの今までのやつはこれこそ全く国家と国家との間の取引でございまして、貿易取極に附属いたしましてトレード・プランなどというものを作りまして、この貿易計画も権利義務といいますよりも目標を設定しても、必ずその通り実行しなくちやならんという義務も起らないのでありますし、それから支払の関係、につきましても、又為替相場等の関係につきましても、もう現行法通りのことが普通の、取引として行われるということでございまして、取極自体につきまして国会の御承認を得て、国内的に法律的効力を与えて頂くという必要はないという見地から今までの通りに出しませんでしたか、今回には御提出したような次第であります。  第二に羽生委員の御質問につきましては協定署名と同時に米国側と交換公文をいたしまして、政府の権限の範囲内でてきるかぎりのところを実施しようということでございます。それですから円の積立という事項はまだ政府の現行法令で与えられておる範囲でできないことでありますから、それは交換公文でもいたさないことになつております。  ただ物資買付の注文をいたして、おるということは、カナダやアルゼンチンから買う小麦の注文とちつとも変らないということで、政府の権限内でできることでありますから、オーダーは出しますが、この取引の結果の支払という、円の積立というところから先はやらないということで、政府の権限のあることを実行しよう、そういう趣旨の交換公文をいたしたのでありまして、これは政府の権限内でやれることを政府が自分でやろうということでございますから、改めて国会の御承認は経ないでも差支えないという見地からこれは国会に提出いたさなかつた次第であります。
  300. 羽生三七

    ○羽生三七君 よくわかりました。ただこの間外務大臣は、交換公文にある同協定が効力を生ずるまでの間というこの期間は、これは実質上批准を了して相手国に通告された場合それが具体的実行に移るまでの期間を言うのだと言われたから、私がこの交換公文にある、同協定に予見されている手続ということといささか矛盾すると思つてお尋ねしたのですが、今のお話で或る程度わかりましたから、もう一点お尋ねしたいことは、この五千万ドルのうち一千万ドルは贈与で四千万ドルは月払いになるわけです。これは今後いずれかの時期に、ドルで何か決済を求められるということは絶対に起らない。飽くまで今度の円払いで万事用は足りたんだ、何も今後問題は起らないと了解してよろしうございますか。
  301. 永井三樹三

    ○政府委員(永井三樹三君) お答えいたします。これは円払いで完全に終るわけでございまして、円を問題とおつしやつたのは、例えばあとで又ドルで支払うというような意味と存じますが、そういうことは全然ございません。
  302. 梶原茂嘉

    ○梶原茂嘉君 現在食糧庁の特別会会計で小麦を買つておるのですけれども、現実の輸入するものは或いは買入れるものは、業者が業者の資格において、取引をしておると思うのであります。このケースとしては政府自体が購入者と言いますか買入者となると考えていいのですかどうですか。
  303. 永井三樹三

    ○政府委員(永井三樹三君) 個々の取引としては、飽くまで民間取引の形を取つて、民間取引の方法によつて行うわけでありまして、この五千万ドルになるまで政府といたしましては民間取引を通じて購入するという約束をしておるわけでございます。
  304. 梶原茂嘉

    ○梶原茂嘉君 そうしますと、現在行われておる小麦類の輸入の場合と同様と考えていいわけですね。
  305. 永井三樹三

    ○政府委員(永井三樹三君) その通りでございます。
  306. 梶原茂嘉

    ○梶原茂嘉君 それから大々にで、この取引についての細目取極ができるようになつておるのですけれども、これは大体でき上つているのでしようか、どうでしようかということと、この細目取極の内容はどういう事柄になるのか、その点をお伺いいたします。
  307. 永井三樹三

    ○政府委員(永井三樹三君) この細目取極は主としてこの、取極を実行するために必要な、テクこカルな手続その他をきめたのでございまして、例えばFOAの規定に従つて買付申請書を提出する方法、それから買付の約束が、このアメリカの今会計年度末までに行われ、更に現実の引渡は延びてもよろしいとか、或いは日本がこの取引のために支出をいたしましたドル金額を、どういう書類を出すことによつてアメリカのFOAから返還を受けるかというような、そういう技術的事項を定めたものでございまして、これはすでに了解は成立しております。
  308. 梶原茂嘉

    ○梶原茂嘉君 三条の通常の主要取引を排除し、又はこれに代替してはならないとあるのですが、この通常の主要取引を排除することと、それから代外することですね。これはその実体が違うんでしようか。同じなんでしようか。ちよつと御説明を順いたい。
  309. 永井三樹三

    ○政府委員(永井三樹三君) これはMSAの規定にもございます通り、普通の余剰農産物を買うために普通の取引を以て輸入が行われておるものを妨げない。それに食い込まないということがこの法律の上も規定されてございますので、この趣旨からできたのでありまして、この取引を排除しということとこれに代替してということとの間には若干意味のニュアンスにおいて相違がございます。即ち例えば小麦の輸入をふやす、これによつて余剰小麦を購入した結果他の主食例えば米を大幅に減らす、米の買付が大幅に減るというようなことかないようにという意味で代替という字が使つてあるわけでございます。
  310. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 今の問題に関連しますが、そうすると二十九年度の予算でお示しになつた大麦百三万三千トンですか、小麦百九十六万三千トン、この輸入計画自体は変らないのかどうか。それから市場としては更に変らないのかどうか。それからこれに関連をして、この一部が円払いになるのでしようから為替の支出計画はどういうふうに変つて来るのか、その点を御説明願いたいと思います。
  311. 永井三樹三

    ○政府委員(永井三樹三君) 最初の御質問でございますが、輸入計画小麦百九十六万トンですか、大麦百三万トン、これはこの協定によつて変らないと御了解願いたいと思います。それから為替の点につきましても、これは五千万ドルの相当する買付が円で行われますので、為替の計画上は一応この小麦も外貨をつけて為替予算に購入計上されますけれども、同時に別途外貨収入として同額が落されるということになつておりますので、その点においても変りございません。
  312. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 それから市場は。
  313. 永井三樹三

    ○政府委員(永井三樹三君) 市場においても当初計画から変らないはずでございます。
  314. 鶴見祐輔

    ○鶴見祐輔君 前にちよつとこの話が出ましたんですが、いま少しMSAの発効が遅れましたけれども、五千万ドルのはみんなアメリカ会会計年度内に取引できますんですか。
  315. 永井三樹三

    ○政府委員(永井三樹三君) これは向うのFOAとの了解で最終的な契約が今年度六月一杯にできれば、現実の引渡が八月或いは九月の初めになつても差支えないということになつておりまして、恐らく現実問題として九月初め頃までデリバリーは続くものだと思います。
  316. 梶原茂嘉

    ○梶原茂嘉君 アメリカの余剰農産物の処分について近くアメリカで特別の立法がされるやの話があるんですけれども、そういうことが進行しておるんですかどうですか、お伺いしたいと思います。
  317. 永井三樹三

    ○政府委員(永井三樹三君) 過般の大統領のアメリカ農業に関する教書におきまして、一部分に余剰農産物処理のための立法を要請しております。従つて現在アメリカのコングレスに大同小異の五つの法案が提出されておりまして、私どもの好ました情報によりますと恐らくこの八月までに立法を見るということでございます。
  318. 梶原茂嘉

    ○梶原茂嘉君 その立法の結果今回の協定に基く取引に何らかの影響があるのか、或いは将来の取引はこの協定と相当違つた形になるようになるのか、その点は如何でしようか。
  319. 永井三樹三

    ○政府委員(永井三樹三君) 新らしい立法ができましてもこの協定に基きまする買付本年度のMSA法に基くものでございまして、これは何らの変化なくその通り実行されるはずでござい止す。新らしい立法はその七月以降のアメリカの新会計年度からのことでございまして、恐らく三年間ぐらいの期間を予定した立法になると私どもは想像しておりますが、その場合は、その法律によつて、改めて又今後余剰農産物を購入するといたしますれば、その新立法に基いて購入するわけでございまして、この協定に基く購入とは全然別個のものでございます。
  320. 梶原茂嘉

    ○梶原茂嘉君 輸送する船舶についての規定がMSAにあるわけですね。併し、あれは従来の軍事援助にかかる兵器等の場合であつて今回のごの余剣農産物の取引には及ばないのじやないかというふうに思われるですけれども、先般の説明では当然その適用を受けるように説明があつたのでありますが、やはり当然その適用を受けるのでしようか。
  321. 永井三樹三

    ○政府委員(永井三樹三君) この輸送船舶の規定はこれはずつと前からヨーロッパにマーシーヤル・プランを行いまして、経済援助立法をいたしましたときからずつと一貫して行われていたものでございまして、現在もMSAの予算法におきましてやはり同様の規定を設けて、農産物買付にも適用があるということが明かにされております。これにつきましてはヨーロツパ諸国もこの制度を廃止してくれという意見がかねがね出ておりましたが、恐らく今後も廃止はなかなかむずかしいのじやないかと思つております。
  322. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 この第二条の取引の条件なんですが、私農業団体に関係していまして、アメリカの農産物を輸入したのを引受けて随分ひどい目に会つた体験を持つているのです。それは大豆なんですが、少くとも三割から二割五分ぐらいが來雑物、石ころや泥があつて実際ひどい目に会つて、大きな協同組合が赤字を生じた苦い体験を持つているのですが、この余剰農産物の貯蔵保管中における品質低下の問題ですね。小麦が五十万トンと大麦が十万トン入るわけですが、実際は貯蔵に耐えるかが問題です。併し小麦はこれは貯蔵によつて二年目になりますと非常に品質低下を来たすことは明かなんです。そこでそういうことに対して如何なるものでしようか、まあアメリカは保管施設は完備していると思いますが、若し一九五三年の農産物が入ればまだそうでもないと思いますが、小麦について五三年なんかのものが入ると、かなり品質の低下を来すのではないかというふうに私は考える。国際小麦協定に入つてもそういう品質の低下を考慮すると安くならんじやないかと思つたりするのですが、この関係は如何ですか。
  323. 永井三樹三

    ○政府委員(永井三樹三君) 曾て戦後農産物が非常に足りないときに、或いは又日本の商社も不慣れなときには御指摘のようなケースもあつたと存じますが、最近は日本の商社も慣れて参りましたし、このMASの小麦につきましても農林省の国営検査を行います。それから輸出の際の国際的検査人を使つて、品質については普通の一般に買つております。取引と同様にすることになつておりますので、御折摘のような御懸念はなかろうと思つております。
  324. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 私は最近のアメリカの保管施設は非常に完備していると思いますから、虫の食うた損耗は比較的少いと思う。併し貯蔵によつてグルテンなんかが変化する。これは蛋白質その他が、その点でやはり製紛におけるレベルとか、歩止りその他かなり影響するので、入つて来るものが一九五三年の、即ち昨年のものであるか、一昨年のものであるかということは、やはり貯蔵中における穀象虫なんかの影響を別にして、品質の低下はあると思うのですが、そういう見当は大体で三年度は入るのでしようか、その関係は如何でしよう。
  325. 永井三樹三

    ○政府委員(永井三樹三君) 食糧庁におきましては、五三年或いは五三年の小麦を指定して商社をして買付けしめることになつておるそうでございまして、先ほど申しましたように検査その他は十分やられるので、先ず御指摘のような心配はないということでございます。
  326. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 まあもう言いませんが、希望として言つておきますが、五二年なら私はやはり虫による何はないと思うが、御存じのように農作物は発芽年限というものがあつて、そのことがやはり品質低下に非常に影響しておりまして私はかなりあると思うので、できたら五三年のものが好ましいということを申上げておきます。  なお最近、武内公使ですか、お帰りになつたのでそういうニュースが出たのではないかと思いますか、吉田総理がアメリカに行かれるので、これが一億五千万ドルの余剰農産物の何ができそうな瀬ぶみができておる。それが大体できておつて、吉田総理がアメリカに行かれて揺ぎつつある吉田政権のテコ入れにそういうことをするというニュースが、私に入つているのですが、そこまでこの次の協定についてなされつつありますか。アメリカの一月ですか、アイゼンハワー大統領の一九五四年の予算教書におきましては、十億ドルですか、過剰農産物をそういう形で出すということはありますし、必ずしも誤つたニュースではないかと思うのですが、如何ですか。
  327. 永井三樹三

    ○政府委員(永井三樹三君) 関係各省との間に、事務的に私ども今日まで明年度のアメリカ大統領の教書に基ぐ新立法ができた際に、日本としてこの余剰農産物を買付け得る余地があるかどうかという点は、事務当局の限りにおきまして今日まで検討して参りました。その内容が新聞等に漏れて、或いは一億ドルの購入計画というふうに報道されたと存じますが、目下今までのところ純然たる事務当局間川の事務的た案を討議している段階でございまして、勿論まだ新立法もできませんし、アメリカ側に話をするという段階にはなつておりません。
  328. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 もう一点だけ。このアメリカだけから小麦を輸入することについて、小麦の輸出国でいろいろ問題があると思うのですが、カナダの総理大臣が日本にお出でになつた際の要務として、やはりこれによつてMSAに乗つかつて来る小麦が沢山入つて、日本が予定しているカナダからの輸入に悪影響を及ぼさんような措置を考慮してもらいたいということが、一つの総理がお出でになつた理由だということを附いたのですが、そういう何か申入れでもあつたでしようか。
  329. 永井三樹三

    ○政府委員(永井三樹三君) カナダの総理大臣の御来朝は、一般的に日本と親善関係特に貿易、経済関係の増進を望まれたことと私は伺つておりますが、現実にMSAの小麦に関連する何らかの申入れがあつたとは開いておりません。ただMSAの小麦の購入がきまりました際にカナダのほうでカナダから日本が買う小麦の購入計画に変化を生じはしないかという心配があつたということは事実でございますが、現実の問題といたしましてもこの協定に謳つてあります通り、通常の輸入市場取引を排除しない、その通りでございまして、カナダから当初我が国が考えて心りました輸入計画も全然変更なく、今後も購入することはきまつておりますので、その点をカナダ側に説明してカナダ側は了承したという経緯がござ」ましたが、格別総理大臣の中入れというものはなかつたかに承つております。
  330. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 先ほどの御説明によりますと、二十九年度の輸入計画大麦百三万トン、小麦百九十六万トンは、予算できめたこの計画で、予算がきまつたのは去年の十二月ぐらいまでにすでにきまつていた。その場合にこの協定による農産物の購入は予定をしないできめた性格だつたと思うのです。ところがこの協定ができたために、その協定で買う小麦或いは大麦もこの計画の中に入れるとなると、通常の市場から通常の取引として買入れるものがそれだけ減少をすることになるので、その意味では通常市場取引を排除した結果になつているのじやないかと思うのですが、そこはどういうふうになつているのですか。
  331. 永井三樹三

    ○政府委員(永井三樹三君) この点は通常の市場取引という概念を御説明申上げればおわかり頂けるかと存じます。通常の輸入量というものはMSAの買入の標準となつておるわけでありますが、通常の輸入量というものは何かと申しますと、その国が毎年輸入する全量を通常の輸入量というのではなくて、その国が需要があり、且つ外貨状況から外貨を払つて買える数量、これを通常輸入量というので、ややエラスチックの解釈の行われているものでございます。そこで昨年の日本の輸入小麦の計画をとつてみますと、成るほど日本の国では昨年の不作もありまして、百九十六万トンの小麦というものはどうしても必要であるという意味で一応輸入計画ができたわけでありますが、百九十六万トン全部がノーマルな時代に常に輸入が行われるという性質のものでなくて、その中には昨年度の特殊な事情から通常よりも増加した輸入量があるという関係になつておりまして、国内的にはいずれにしても全部輸入するわけでありますが、アメリカの法律に照して解釈いたしました場合には、約百五十万トンの小麦というものが通常の日本の外貨を支払つて買い得る通常の輸入量というものであつて、それからオーバーした分がいわゆる通常以上にふえたものだ。こういう解釈でございまして、この点で協定との関係は矛盾が生じないわけでありまして、現実にアメリカのほうにもその点を説明いたしまして、資料を出しましてアメリカもそれを了承してMSAの購入計画ができたわけです。
  332. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 通常の取引という通常の意味ですが、今の御説明によると、日本のノルマルな、平均収穫を基礎にした際のノルマルな収入状況というようなお話で、今の第三条に抵触しないという解釈を作つて来ようとしておられるのですが、外貨の見合いその他から言えば先きのあなたの御説明にもあるようにすでに外貨を予定をして、これだけのものを買うつもりになつていたのですね。而も農産物購入協定なしに、百三万トンなり、百九十六万トンは買う予定にしていたはずでしよう。だからそれならばそれはやつぱり通常の普通買付を予定していたものなんです。この場合の普通というのはそういうノルマルな平均のというような意味でなくて、こういう日円払いでもいいと、国の資金で払つてもいいというような特別な取引じやなくて、通常のドルならドルで、通常の市場で買うという意味なんじやないのですか。
  333. 永井三樹三

    ○政府委員(永井三樹三君) この通常の輸入量というのは、MSAの法律に基きましてここに出て来たわけでございまして、その解釈につきましては、アメリカにも念を押して、私から先ほど説明申上げました通り、日本が予算に組んで買うものという意味ではなくて、長い期間を挑めて、その国が外貨を支払つて買い得るというものが通常輸入量である。従つてその各年々に、その国の豊凶或いは外貨状態の増減によつて、この通常の輸入の量というものが変つて解釈されるということは、アメリカ側からも解釈上確めてございますので、その解釈に基いてできておるわけでございます。若し御指摘のように、或る国が需要、或いは国が計画して買う全量が通常輸入量であるということになりますと、アメリカの余剰農産物というものはどこへも出す方法がないということになりまして、要するに常識から考えまして、その国が普通の外貨を払つて賢い得たであろう数量というのがアメリカの育つておる趣旨でございます。それに基いてこの第三条はできておるわけでございますので抵触するということはございません。
  334. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 それは非常におかしいので、非常に無理な解釈で、その協定の中にもありますように、「アメリカ合衆国又は他の友好国の通常の市場取引」と、通常普通の場合に、「通常の市場取引」と、言つたら普通の市場の取引の条件、アメリカの市場ならドルで買うというような場合の通常市場取引を形容しているので、日本が貰う通常量というような解釈は、少くともここからさらつと読めば出て来ないのじやないですか。
  335. 永井三樹三

    ○政府委員(永井三樹三君) これはアメリカの立法の解釈でありまして、これはアメリカの政府にも確めた解釈でございますので。
  336. 佐藤尚武

    ○委員長(佐藤尚武君) 農産物に関係しましてまだ御質疑がございますか。……なければ次の協定に移りたいと思います。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕   ―――――――――――――
  337. 佐藤尚武

    ○委員長(佐藤尚武君) 次の協定は、経済的措置に関する日本国とアメリカ合衆国との間の協定の締結について承認を求めるの件、これであります。
  338. 羽生三七

    ○羽生三七君 非常に細かいことなんですが、第一条の(2)の「当該円資金の残額を自由に使用することができる」この場合の「残額」というと、具体的にどういうことになるのですか、ちよつとお聞きしたい。
  339. 永井三樹三

    ○政府委員(永井三樹三君) これは第一項に贈与の一千万ドルが規定してございまして、五千万ドルの中の一千万ドルを規定してございまして、五千万ドルの中のこの一千万ドルを除いた即ち四千万ドルに相当する円資金ということでございます。
  340. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 この第一条の第一項のこの二〇%の贈与額がきまつたいきさつなんですが、政府とされてはもつと多く折衝されたやに開いているのですが、二割に限定された理由について、特に防衛力の増強とからんでいる問題か、或いは日本経済はそういう贈与を、或いは援助しなくてもいいというような関係から来ているものかそれらとの関係も含んでお願いします。
  341. 下田武三

    ○政府委員(下田武三君) この点は実は池田特使が昨年おいでになりましたときに、大体この二割だけは贈与にするという、無論池田特使もできるだけ多くのグラントを獲得すべく努力をなすつたのでございますが、日本の外貨保有高等を見ますと現在の傾向は極めて憂慮すべきでございますけれども、とにかく現在持つている保有高からみますと、むしろアヴアリジの諸外国よりもまだ多いところを持つているというような点もございまして、そうたくさんグラントをする口実が立たない。日本があれだけの外貨を持つておりながら二割のグラントをするとなると、もつとそれより悪い国に対しては、もつとたくさんくれという註文をつけることになるので、そうたくさんとれないということで、結局池田特使が帰られます前にも、大体二割というところで話がきまつておりまして、その後の交渉におきましても、勿論執拗にできるだけ多くということを申したのでありまするが、結局当初の通り二割ということに落ち着いた次第でございます。
  342. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 それは、主として日本の経済情勢の安定、特に外貨保有その他との関係ですか。或いは吉田総理が国会に言明しておられるような、自衛力の漸増について、或いは防衛計画の提示その他に関して自主性を主張されたといいますかアメリカの要請と距りがあつたということですか、どつちですか。
  343. 下田武三

    ○政府委員(下田武三君) 仰せの前者のはうでありまして、全く経済的の見地からきまつたような次第でございます。
  344. 梶原茂嘉

    ○梶原茂嘉君 今のそのMSAのグラントの基礎ですね、それはどこにあるのですか。
  345. 永井三樹三

    ○政府委員(永井三樹三君) このMSAの五百五十条の(c)項に、余剰農産物の代金の使う方法が計いてございます。その中の第五号に「友好国における国内需要のための生産を増加するための無償援助のため」というふうにグラントをして、或る部分をグラントしてよろしいという項目があるわけでございます。五百五十条の(c)項の第五号でございます。
  346. 梶原茂嘉

    ○梶原茂嘉君 この(c)項第五号によりますと、「友好国における国内需要のための生産を増加するための無償援助」とこうあるのですが、ここに言う「国内需要のため」の生産を増加するためということは、当該農産物の生産増加、こういうことを意味しているように私は思うのでありますけれどもそうじやないのでしようか。
  347. 永井三樹三

    ○政府委員(永井三樹三君) 農産物ということではございません。これは一般に「国内需要のための生産」というその通りの意味でございます。
  348. 梶原茂嘉

    ○梶原茂嘉君 先般外務大臣は一千万ドルの贈与分の国内における使途について、MSAの規定では防御関係に支出することを必要とする条項があるのだという趣旨の御説明があつたのですが、そういう根拠は私はどうもないように思うので、これを見ましても「国内需要のための生産の増加」で、防衛産業といいますか、いわゆる軍需工業というふうに極根されないで、むしろここでは当該農産物の生産の施設という趣旨にも十分読み得るのであります。
  349. 永井三樹三

    ○政府委員(永井三樹三君) これにつきましてはこのMSAの法律の前文その他におきまして、この法律がアメリカの友好国の防衛力を増大することにより且つアメリカのセキュリティを増進するという意味に使うという全般的な法律精神がかぶつているのと、具体的に今年の日本の受けます五千万ドルの予算は軍事援助予算からさいて行われます関係上、贈与の一千万ドルを結局他国に対する軍事援助に振り向けるということになると思いますので、その点から主として防衛産業に使うということになつて参つたのでございます。
  350. 梶原茂嘉

    ○梶原茂嘉君 何と申しますかMSA全体の趣旨が軍事的援助に重点があるということはわかるのでありますが、併し余剰農産物の処理について一千万ドルのグラントの向うの法令の基礎が五百五十条の(c)の第五としますと、ここは必ずしも結果において成るほど防衛能力の増強にはなりますけれども、そのグラント自身を防衛産業に使うのだという限定とはちよつと読み得ないのであります。例えばその他の四号を見ますと、「相互利益の原則に基いて新市場を発展させるため」ここの耕しいマーケットというのは直接防衛に関係はないと思われるのであります。従つてあの一千万ドル分が防衛産業、いわゆる狭い意味の軍需工業に使うのだという制約は法令上はないのじやないですか。
  351. 永井三樹三

    ○政府委員(永井三樹三君) この五百五十条(c)項使用目的は、この法律の目的のために使用するということになつており、主としてこの立法の精神が防衛目的のためということは、その点でも出ているわけでございます。成るほど各項目を見ますとかなり広く書いてありますが、その全体の精神としてはこの法律の考えるところのセキユリテイ或いは防衛の増進ということから、大きくその基盤の上に立つたものと解釈されるのであります。従つてこの協定におきましても、それから現実に先ほど申しましたようにこの五千万ドルの予算が、これは軍事援助予算から支出されることになつておりまして、その資金の性質上この費目は広い意味の防衛産業でございます。それをサポートするような関連産業ということになつてくる次第であります。
  352. 梶原茂嘉

    ○梶原茂嘉君 一応そういう趣旨としてはわかるのであります。趣旨としては恐らくそうでありましようけれども、法令的に考えた場合には防衛産業以外は一千万ドルのグラント分は使えないという制約があるのかどうかということであります。
  353. 下田武三

    ○政府委員(下田武三君) 経済局長の申した通りでありまして、防衛産業のみという明確に限定した規定はございません。
  354. 梶原茂嘉

    ○梶原茂嘉君 将来非常に広く防衛産業というものを考えれば、食糧増産のごときは私はやはり入ると思うのであります。将来一億とか或いは今言われたような一億五千万ドル、相当多量の農産物が入つてくる場合に、グラントは勢いふえる。そういう場合に狭い忍味の軍需工業だけに限るのだ、それがアメリカのMSAの規定からそうなるのだということと、そういう弾力性をもつて使えるのだということでは私相当違つて来ると思うのであります。従つて外務省の見方を空しているわけであります。どうもこれだけ見ますと非常に限定したようには、そういう意図を持つておれば別でありますけれども、普通に読めばそうはならんだろうと、こういうわけであります。
  355. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 この協定の表題ですが、日本側では経済的措置というのを、経済的援助というふうに折衝されたやに承わつておりますが、アメリカが断じていれなかつた、まあ岡崎大臣はこの協定をパイプにしてアメリカの援助を大巾に導入して行こうというようにも育つておられたようでありますが、アメリカが措置というこの文字を強く譲らなかつた点まどここあるのですか、又そういう折衝がなされましたか
  356. 下田武三

    ○政府委員(下田武三君) この内容を見ますと確かに日本に対する援助、而も経済的援助の効果を果す内容でございますから、経済援助協定といつたらどうかということをずい分しつこく言つたのでありますが、アメリカのほうはMSA法上の経済援助、つまり技術援助、軍事援助に対応する経済援助という定型的なそういうテクニカル・タームになつておるので、それと同じ、言葉を使われたら混同してしまう。つまりアメリカの法律的、予算的見地からすればいわゆる経済援助じやないものに経済援助という同じ名前を使うと、人に誤解を与えるからというので、それはエコノミック・アシスタンスでなくエコノミツク・エイドという字を使つたらどうかということを育つてみたのですけれども、結局中身は援助には変りないけれども、いわゆる経済援助と区別するために経済的措置ということで落ち着いた次第であります。
  357. 羽生三七

    ○羽生三七君 農産物に関しては又この会計の取扱等とも関連してですが、たまたま今年度アメリカの余剰農産物という条件と日本のそれを必要とする条件とマッチしてこれができたと思うのですが、私たちは若干意見が違うが、政府の立場から言えば両者の利益というものが偶然一致したわけです。それでいずれの年かにアメリカては非常な過剰農産物で困つてしまう、日本ではどうもそれを大して必要としないし、又必要とする場合には通常の取引のほうが非常に有利だというような場合に、この今の協定は別としてMSA法そのものを結んでおる関係から、若干やはり不利でも農産物関係の協定を更に継続してやらんならんというようなそういう制約は全然ございませんか。全く自由ですか。
  358. 永井三樹三

    ○政府委員(永井三樹三君) 全く自由であります。
  359. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 これは大体今の質問に関連するのですが、一年切り一度切りのものと一応見ていいのですか。
  360. 永井三樹三

    ○政府委員(永井三樹三君) その通りでございます。
  361. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 それからこの第一条第項の二行目の「相互間で合意する条件に従つて」と言つていますが、これはここで言う条件とはどういうことを考えておられますか。
  362. 永井三樹三

    ○政府委員(永井三樹三君) これはこの贈与の金を使う方法について言つているわけでございまして、何に使うかということについて合点をするということになつております。
  363. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 そうすると用途ですか、それを合意する条件というふうに考えておられますか。
  364. 下田武三

    ○政府委員(下田武三君) 五千万ドルを、取引するわけで、ございまして、最初の一千万ドルの取引ができたらその一千万ドルはとりあえず贈与にするか、或いは押しなべてずつと取引のできた額の二〇%ずつをならしてやるか、そういう贈与の時期と全額等の条件をいうの、でございまして、使用目的のほうは贈与された日本側が自主的に決定して、勿論アメリカには通帳はいたしますですが、そのほうは実はこの条件というはうでは意図してないのであります。
  365. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 そうするとその条件が後ろのほうのその贈与の合計額になるのですか。
  366. 下田武三

    ○政府委員(下田武三君) 恐らく先はど申しました後者の、つまり初め一遍、に贈与のほうを一千万ドルぱつとやつて、それからは二項の域外買付のほうに使うということでなしに、押しなべてならしてやることになると思います。そしてならしてやつた贈与の分をいつの、瞬間をとらえて合計してみましても、今まで、の総額の二〇%に当るという工合になると思います。
  367. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 そうするとそのことが条件なんですか。相互間に合意する条件なんですか。
  368. 下田武三

    ○政府委員(下田武三君) 仰せの通りでございます。
  369. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 それからもう一つこの過剰農産物を円資金で買う、それが五千万ドルで、一千万ドルは贈与になつて、あとは四千万ドルがアメリカ側の積立資金になつてこれが域外調達に廻される、そうして従来から域外害調達が大体五、六千万ドルですかあつたから、それと四千万ドルとを合計して一億ドル、これが差当りの城外調達の限度だというようなこれまでの御説明であつたようですが、そうだとするとこの援助協定のはうの附属書のAの域外調達を特別に考慮するということは、この四千万ドル分を考慮する、こういつたこと、それだけが先ず実績として現われてしたのかと見るんですか。それともそれ以外にまだなんか配属してくれるというふうに考えていいのですか、その辺はどうなんですか。
  370. 下田武三

    ○政府委員(下田武三君) 仰せのこととは反対でございまして、MSA協定の附属書AのほうはつきりMSAに基く軍事援助一億五千万ドルとか言われておりますが、そのもらうべき兵器、装備等はアメリカから作つたものを全部持つて来ないで、日本へも注文して日本で作つたものをアメリカが買つて、そうして日本の保安隊にくれるという部分を成るべく多くしてくれというのが主たる狙いでございます。でございますからそれは一億五千万なら一億五千万の問題でございます。これらの関係で域外買付というのはこの一億五千万ドルの以外のものでありまして、新たな四千万ドルという資金が域外調達資金としてプラスされたという関係になつているわけでざいます。
  371. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 そうするとこのMSAの援助によつて差当り一億五千万ドル程度のものが来て、それを域外調達のために特別に配慮するというふうに考えるのですか。そうするとこの間からの御説明によると一億五千万ドルは殆んど完成兵器で来ちやうんでしよう。域外調達というのは殆どない、あの御説明によるとなんだつたか、なんか通信機の部品と、なんかほんの若干これは無視していいぐらいの金額しかないのですね。そうすると附属書Aでいう特別な配慮は少くとも初年度においてはなんらなされていないという結果になりますか。
  372. 下田武三

    ○政府委員(下田武三君) MDAのほうの域外調達は一億五千万ドルでございますかどうかまだ額は決定しておりませんが、そのほうの何か例えば大砲の弾、その他主としてこれは装備でなくて需品のほうになりますでしようが、それはつまり今まで予定しておりました六十万ドルの域外買付の一部にもらすでに人づているわけでございます。そこで今度はその六千万ドル以外の全然新たな四千万ドルであります。こういうことになつて来ます。この点は協定の交渉中明確にいたそうと思いましたが、なかなかそれができませんでしたが、調印の翌日米国大使館から経済局長あての書翰ではつきり文書で申して参りまして、今までの既定の域外買付は六千万ドル、それにプラスして別個に四千万ドルの城外買付をなす予定であるということを調印後になつて明確に通報して参りました。その点はもう確かでございます。
  373. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 そうしますと、この域外調達の六千万ドルというのは完成兵器による援助の一億五千万ドル、大体五百五十億を換算すると、一億五千万ドルですね。これ以外に更に六千万ドルの城外調達がある。そしてそれ以外に又個々の四千万ドルがあるというふうに観念していいのですか。そうすると日本の会計で言う初年度の援助額は五百五十億を換算した一億五千万ドルと、それから今の域外調達に使う六千万ドル、従って両方で二億一千万ドルの援助だということになりますが、そういうふうに観念していいですか。
  374. 下田武三

    ○政府委員(下田武三君) MDA協定から参りますのが一億五千万ドルありまして、今度は五百五十条の農産物購入に伴う見返り資金に伴うものが四千万ドルで、差引一億九千万ドルというものがあらゆる意味での援助の総額になる。
  375. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 いやいやそれはね、さつきもあなたが説明されたように四千万ドルを援助と考えるのはおかしいでしよう。これは経済援助じやない。ただ域外調達の問題のときにその一億五千万ドルの完成兵器以外に六千万ドルがあるとおつしやる。この六千万ドルとこの4千万ドルと二つ合さつて域外調達になるというお話でしよう。
  376. 下田武三

    ○政府委員(下田武三君) 六千万ドルの内訳は一部は一億五千万ドルの中からこれは僅かでありましようが、(「ほんの僅かですよ」。と呼ぶ者あり)六千万ドルのうちに加えられておりまして、その残りの五千万ドルですか、四千五百万ドルになるか知れませんが、これは今まで、行われた種類の域外買付が行われる。それはいずれもつまり既定計画の域外買付であつて、小麦に関連して四千万ドルやるのは新たに追加してやるのだ。そういうことでございます。
  377. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 そこでその一億五千万ドル以外の六千万ドル、従来から行われていた六千万ドルという域外買付は従来と同じ範疇なんで、この大部分はMDAの援助じやなくて外国その他への援助であるとか、或いは従来日本に弾その他として調達していた資金ですね、この資金は従来そういうものとして出していた資金は一億五千万ドル以外にプラスになるのかどうか。それはその弾だけでなくて第三国のインドシナ等々に行く城外買付も入つていると思うのです。そこのところはつきりしない。
  378. 下田武三

    ○政府委員(下田武三君) 従来はアメリカの定めた予算で日本で城外買付をやつておりました。その中には保安隊に行くものもございますし、第三国に行くものもございました。そこで今まで保安隊に来ておつた種類のものは今度はMDAの協定の衣を着せられて行われるわけであります。併しそれ以外のものは、今度は米国と韓国或いはフィリピンとの外国のMDA協定のもとにおける援助物件の日本における域外発注と、そういう関係になるのだろうと思います。
  379. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 そこでそれならば附属書Aで特別に配慮してやる、配慮してやるというのは一億五千万ドルの日本に来る援助ですね。それの中から日本での域外調達を配慮してやるという意味になるのか。そうでなくてそれ以外のインドシナなりフイリピンに行く域外調達、或いは韓国へ行く調達等々のこともこの協定の実施に関連して特別に配慮してやると言つているのか。
  380. 下田武三

    ○政府委員(下田武三君) 附属書Aのほうに「日本国及び他の国の使用に供すべき需品及び装備」と書いてございますので、日本国の場合は日米MDA協定のもとにおける他の国のものは日本国以外の第三国とのMDA協定のこと、そういう関係になつております。
  381. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 そうすると一億五千万ドル以外の六千万ドルの金額を特別に配慮してやる。それは従来六千万ドルだつたでしようが、従つて来年度も六千万ドル程度しかないとすれば、従来と同じことで何ら特別の配慮をしたことにならんじやないか。その辺の関係はどうなるんだという、だから特別な配慮というのはここで言う五千万ドルとか或いは一千万ドルが特別に配慮されている、或いは正確に言えば五千万ドルのうちの四千万ドルだけが域外調達として特別に配慮されているだけで、これは何ら経済援助じやない。そうすると域外調達を特別に配慮するということは何ら実績としてはなされていないじやないか。これはどういうふうにお考えになるか。
  382. 下田武三

    ○政府委員(下田武三君) 初年度におきましては確かに完成品としてアメリカで作つたものをもらう量が多いと思います。併し一方同時に行われます日本の軍需産業の育成強化が進展いたしますと、アメリカから完成品として来ますものが減り日本で注文して作るものがふえるという傾向に第二年度以降からはなつて参ると存じます。
  383. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 この五千万ドルの中でまあ一千万ドル贈与になり、それから四千万ドルは域外調達に使われるのですか、それが実際日本の経済にネットにプラスになる分は幾らというと計算をやつてみられませんか。できませんか。それはまあ四千万ドル日本から砲弾その他買うとしますね。そうするとそれには砲弾を製造するに原材料というものはまあ大部分外国から輸入してドルなりボンドを支払うわけです。それに加工して四千万ドルまあ売渡すのですかね。その輸人することによつて事実外貨を差引いて、そして実際加工しとして残るものとそれから三十六億と加えればそれがほんとの経済援助によるネットだというふうに見るのですが、そういう計算はできませんか。砲弾例えば十の値段だとすればそうするとその原料は幾らで加工費幾らという比率が出ればわかると思うのです。
  384. 永井三樹三

    ○政府委員(永井三樹三君) 論理的には成るほどそういう計算が可能だと存じます。併しながら現在の段階におきましてこの四千万ドルの発注の内容は今後の問題ではつきりまだわかつておりません。従つて非常に或る仮定の比率を適用して計算するということは実際問題として困難な状況にあると存ずる次第であります。ただ一般的に言えることは域外買付の対象となりまするものはかなり高度の製造品になります。その製造品を作る原料として鉄鉱石或いは石炭というものの外貨の比率というものは極めてその製品の割合にして小さいのではないかと考えます。いすれにしろ発注の内容が確定的なところがわかりませんので、そういう計算は実際上不可能だと存じます。
  385. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 これはまあ大量観察なんですがね。この労働省で全生産物の比率の中で労務賃が幾ら占める。材料費が幾らというのを業種別に計算したものがあるのです。それで全部で計算してみましたのに、大体一〇〇とするとその中で七割二分というものが材料費なんです。一割六分というものが労務賃金、あとが金利、倉敷その他まあいろんなものがあるのです。そこでそういう計算で行くと、四千万ドル日本から域外賞付で賞つてもらう。それが三割、まあ原材料その他を引いてあるとすれば、千二百万ドルで両者合わしても、三十六億と極めて僅かな、百億にまあならない、そういうものだと私はそういうふうに思うのですがね。そういう計算は一遍一つ是非やつて見られることが実際アメリカのこの域外買付による日本の国民経済へのネットのプラスが幾ら、これはもう兵器生産の会社で調べれば直ぐわかるわけなんで、そこでそういうものが全体にネットになつて受益する。併しその代りいろんな負担を負うものと比較考量して、自衛力の漸増を認める立場からしても私としてはまあ僅かそれだけの五千万ドルしてもらつても、両者合わして百億にもならないだけの援助を受けて、そうしてつべこべいろいろ内政干渉その他をやられることが実際いいかどうかということです。そういう科学的な計算をもつとしてみんと、実際域外調達のプラスというものはわからんと思うので、一つ試みてみられんことを。
  386. 佐藤尚武

    ○委員長(佐藤尚武君) それでは大分時間も移つて参りましたので、経済措置に関する協定に関しましての質疑は。
  387. 羽生三七

    ○羽生三七君 ちよつと一点だけ。非常に細かいことになつて恐縮ですが、この五千万ドルを一時政府機関たるアメリカ銀行にドルで払い込んで、そうしてこの協定が発効したあとにアメリカがその五千万ドルの相当分を日本に対して具体的に処理するわけですが、その間の金利は僅かなものですが、会計はどこから出すのですか。
  388. 永井三樹三

    ○政府委員(永井三樹三君) これは現在日本の保有しておりまする外貨の中には単純に預けてあるだけで金利を生じない部分がございます。その金を一時融通いたしますので金利の問題は起らないことになつております。
  389. 佐藤尚武

    ○委員長(佐藤尚武君) それでは経済的措置に関する協定の関係の質疑はこれで終つたことにいたします。   ―――――――――――――
  390. 佐藤尚武

    ○委員長(佐藤尚武君) 最後に投資の保証に関する協定について質疑を行います。
  391. 杉原荒太

    ○杉原荒太君 この協定ができた場合、この協定の対象になる投資というのは何でもかんでもなるのではなくして、非常に制限限定されているわけなんだが、実際に近く予想されている具体的な計画というものがあるのですか。
  392. 永井三樹三

    ○政府委員(永井三樹三君) これにつきましては、協定で考えておりまするような具体的なものはまだございません。
  393. 杉原荒太

    ○杉原荒太君 この協定の内容を見ますと第二条がこの協定の具体的な規定であろうと思うのだが、非常にこの全体が法律的な規定なんですね。これはいわば民法とか商法の規定と同じ性質のものだ。これは別に何と耳うか別個に国内法でこの権利関係を規定する措置をとられるつもりかどうか。
  394. 下田武三

    ○政府委員(下田武三君) 第二条にいろいろ法律的な規定がございますが、この第一条の協議を経て具体的に保証の対象としての企業が発生いたしませんことには、第二条の三項目の規定も現実には適用がないわけなんでありまするが、然らばこの現実に適用を生じた場合に日本の国内法の措置を必要とするかどうかという点につきましてはいろいろ検討いたしましたが、結局このアメリカ政府による代位を認めるということさえ可能であれば、あとのことは日本の国内法令と同じに、つまり第二項、に書いてありますように、合衆国政府も合衆国国民の投資行為から生ずる私人の私企業に与えられる待遇よりも不利でない待遇さえ与えればいいわけなんでありまして、これは現行国内法で賄えることでございます。その本元の代位を承認するかどうかということは、これは日本政府が代位することをいいと言つてやればよろしいので、それにつきましても別に法律を要しませんので、結局第二条が実際に適用になります際にも立法措置は必要でないという結論に到達した次第であります。
  395. 杉原荒太

    ○杉原荒太君 あとのほうのは私まだはつきりわからんがね。これは日本側から承認すると言つてやればいい、そういうこれは何じやないでしよう、この規定の趣旨は。若しほかにこの協定は別に国内法をこれに則つて作らないとすれば、この協定自体に国内法的な効力を打たせる、従つてこの承認ということか、この規定それ自体で承認するということでない別個に承認行為というのは別にあつて初めて認められる、そういう法律関係を規定するのじやないのじやないのかね。
  396. 下田武三

    ○政府委員(下田武三君) 仰せの通りここで承認するということが直ちに効果を生じて承認することになるわけでございます。
  397. 杉原荒太

    ○杉原荒太君 大体それでいいように思うけれども、何か私まだ少しこれは何か政府間の行政上の措置などをきめるのじやなくて、純然たる私権の権利関係をきめるのですからこれだけで十分かどうか非常に私は疑問のような感じがするのだが、丁度何でしよう、これは保証であるけれども、まあ法律上の性質からすれば、一種の危険に対する何だから、保険代位みたいのようなものですね。商法なんかの保険代位みたいな性質のものでしよう。それに対してはこれがすぐこのままの規定の書き方で国内法としての効力を持ち得るかね。何か私少くとも疑問があるのだが、十分そういうところを検討されたのだろうけれども、これは法制局あたりとよく相談されたのだろうが、これは何でしよう、つまり、例えば代位の関係にしても、これを承認するといえばこれはもう法律上当然の権利移転で、別に譲渡行為を必要とするのじやない、従つて対抗要件なども別に備える必要もないということになつてしまうのかね。
  398. 下田武三

    ○政府委員(下田武三君) 法制局は勿論、法務省その他関係向きと協議しまして、十分検討いたしたのでありまするが、先ほど保険会社の例を出されましたが結局アメリカのAという会社の権利をBという保険会社が代位して継承したというのと同じことでありまして、おとなしい民間の投資家の権利を今度は鬼がとつて代つて、権力を背景として日本に向うというような関係は全然生じないのであります。政府の権力を背景として立ちふるまわれるのだつたらこれは困るのでありますけれども、結局私人と同じような待遇を政府が承継した権利について認めてやればいいということになりますれば、一般国内法をそのまま適用して、又登記その他の手続につきましても、一般国内法上の手続を履行させればいいということになりますので、この協定だけで十分だという結論に達したわけであります。
  399. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 この協定とそれから前の協定の第三条ですか、経済措置の第三条、これとの関連はどう考えられるのですか。
  400. 下田武三

    ○政府委員(下田武三君) 経済措置の協定のほうでは、実はその効果において日本に有益であると認められるような事項を拾つて掲げましたために、投資保証のことにも第三条で言及しておるのでございますが、どういう言及のし方かと申しますと、経済措置に関する協定の目的の達成に害与するものであるということが合意される、実はそれだけのことでございます。第一条等で合衆国の軍事援助計画を支持するために日本で調達する、この調達ということは、これもMSA法で成るべく民間のチャネルを通じてやるということになつて参ります。そうすると、民間のチャネルを通じてやると、民間人はやはり危険の負担を政府に転嫁するということも必要になつて参ります。そこで第三条で投貸保証ということがこの協定の目的達成に寄与するものであるということを明らかにしたのでありまして、実体的の規定はこれはすべて独立の投資保証協定に盛るということにいたしたのでございます。
  401. 杉原荒太

    ○杉原荒太君 第三項で、アメリカが代位することがある日本政府に対する請求権は、両政府間の厄後交渉の主題とするというふうに規定してある。これを説明されたとき、これは裁判所の問題にすることを排斥する規定だという趣旨の説明があつたように思うのだが、そこでこれだけで含めるつもりなの。それだけでつまり禁止しておることになるの。
  402. 下田武三

    ○政府委員(下田武三君) 裁判所に訴えることを排除する趣旨ではございません。
  403. 杉原荒太

    ○杉原荒太君 両方並行しておるの。
  404. 下田武三

    ○政府委員(下田武三君) 裁判所のほうの関係は国内法に委しておるわけでございます。
  405. 杉原荒太

    ○杉原荒太君 これはなんでしよう、私もちよつとさつきの第一問と関連するのだけれども、つまりこの協定自体をですよ、できたらこれを国内法としても取扱つて行こうという趣旨でしよう。さつきの第一の質問においては。これはアメリカと日本政府との関係だけの問題じやないでしようね、法律の上は。もつと日本の法人とか会社とか、つまり政府でないものとの関係においても法律関係が生じ得る。そのときもこういうこの協定自体によつて権利が移転してしまうという関係も認めなければならん、そういうことになるのだというわけでしよう。そうすると、これがつまりこれ自体国内法としての効力を持つものだ、こういう言われるのか。
  406. 下田武三

    ○政府委員(下田武三君) 日米行政協定や国連軍協定にも、公務によらずして第三者に与えた損害に対する請求権を慰謝料で解決しようという規定がございます。併しそれは慰謝料であつた額について満足して解決すればそれまででありまするが、不満ならば裁判に訴えることは一向妨げないわけでありまするが、それと同じようにこの請求権につきましても直接交渉の主題とはいたしますが、何も直接交渉の主題にするということは日本の歳側所の裁判権を排除するという意味までは持たしてはいないつもりなんでございます。
  407. 佐藤尚武

    ○委員長(佐藤尚武君) それでは投資保証に関しまする協定は、質疑はこれで了したものと認めましてよろしうございますか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  408. 佐藤尚武

    ○委員長(佐藤尚武君) それでは質疑はこれで一応完了したことにいたしまして、外務大臣がいつでも来られるという話であるのを又催促に行きましたが、外務大臣が来られましたならば、最後の質問を、約三十分予定より遅れましたけれども約一時間質問して頂くことにいたします。暫くお待ちを願います。  速記をやめて下さい。    午後五時一分速記中止    ―――――・―――――    午後六時五分速記開始
  409. 佐藤尚武

    ○委員長(佐藤尚武君) それでは速記をつけて。  外務大臣が今来られました。丁度丸一時間皆様がたをお待たせしたのでありますが、これから予定通りに外務大臣に対する総括質問、そうして最終の質問を約一時間お願いしまして、そうしてその後約一時間休憩をして討論採決というところまで行きたいと思います。どうぞ外務大臣に対する質疑のかた御発言を瀬います。
  410. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 このMSAの援助協定を結びまして自衛力を漸増するという立場をとられます際には、日本を取巻く国際環境について十分な配慮をとられていると思うわけですが、その際ソビエトの極東万両における軍備の配置状態、こういうようなものを外務省としてはどういうふうに情報を入手されているのでしようか、その点承わりたい。
  411. 岡崎勝男

    ○国務大臣(岡崎勝男君) 外務省としては的確なる情報を持つておりません。一般に伝えられておるところなどは聞いておりますけれども、これは確認され得べきものでありませんので、想像に過ぎないことでありますが、自衛力の増強につきまては、たびたびこれは申すことでありますが、かなり飽和点にでも達するというような仮に場合には、まわりの国の状況がどうであるからこれ以上は必要ないとか或いは減らすとか、まだふやさなければならんというような議論も成り立ちましようけれども、まだ飽和点にはほど遠いところであつて、今は周りの国の状況その他を考慮することなくただ一意自衛力の増強に、一意と言つてもそうけなばなしく言うわけではありませんが、とにかくそういう周りの状況を考慮することなく今はやつておるわけです。
  412. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 今は極限にと言いますか飽和点に達せず、而も現行憲法の範囲内でそういうことは余り顧慮せずにやつておるというお話ですが、併し少くとも国防と言いますか、自衛対策を立てる際には相当長期の計画も必要とすることですし、それらも勘案されてやはりやられないと、自衛力の漸増をお認めになつておる立場からしても十分なものではないかと思うのですが、如何ですか。
  413. 岡崎勝男

    ○国務大臣(岡崎勝男君) これはたびたび繰返して申しておりますように、保安庁では勿論研究はいたしておるうでありまして、長期のものができれば結構であるが、まだそれができるという段階に達しておらないようであります。併しいずれはできることと考えます。
  414. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 外務省のほう並びに保安庁の首脳部のかたはこういうことについて十分研究されている。アメリカの極東軍司令部といいますか、そういう方面からいろいろなレクチユアを受けたるやに聞いておりますが、その程度の関係でもいいのですが、如何ですか。
  415. 岡崎勝男

    ○国務大臣(岡崎勝男君) それはどうですか、私自身はそういう話を聞いたことはありませんし、誰かそういうことを聞いた人はあるかも知れませんが、そういう御質問のようでしたら、或いは誰か知つておるかも知れませんが、私は知りません。
  416. 羽生三七

    ○羽生三七君 今の中川委員の質問に関連して、あとでちよつと質問したいのですが、その前に昨日の高良委員の質問と関連したことでちよつとお尋ねしたいのですが、この協定の第一条で、この日米の双方の間と別にこの協定の双方以外の第三国に対する何らか取極めが行われる場合、単にトンネル的に日本を通つて行くというような、非常なさ細なものならとにかく、何らか若干の意味を含めるような場合には、第三国に対する日本を通じての援助又は供与、そういうものは特別の協定が別に要るであろうと、必要じやないかという質問があり、それに関連して政府から答弁があつたわけですが、この点外務大臣どうお考えですか。
  417. 岡崎勝男

    ○国務大臣(岡崎勝男君) そういうものでしたらやはり何かの協定が要るんじやないかと思いますが、未だ何にも具体的になつておりません。わかりません。主としてこの装備、資材、役務というようになつておりますが、これも今のところ何にも予想はしていないのでありますから、ちよつと正確なお答えはできませんが、やはり、何か要るんじやないかと思うのです。
  418. 羽生三七

    ○羽生三七君 この前お尋ねした問題に関連するのですが、今の中田委員の質問と関連して一点お尋ねしたいと思うのです。それはこの米軍の駐留の期限の問題ですが、実は本協定を審議しておる際に先ほど随分論議されたのであります。それはこの協定の第九条の一項で、この安保条約の規定を何ら改変するものと解してはならないということでこの米軍の駐留との関連が論議されたわけでありますが、そこで条約局長からそれは安保条約自体の問題だと、こういうお話があつて、我々又その通りと思うのであります。そこでこの安保条約を見ますると、これは言うまでもなく第四条において、「この条約は、国際連合またはその他による日本区域における国際の平和と安全の維持のため十分な定めをする国際連合の措置、またはこれに代る個別的もしくは集団的の安全保障措置が効力を生じたと日本国及びアメリカ合衆国の政府が認めたときはいつでも効力を失うものとする。」だから日本なりアメリカが今の三つの条件のどれかによつて、具体的にその安全保障の措置が効力を生じたと思われるときまでは米軍が駐留するわけであります。だから保安隊が幾ら自衛隊が幾ら人数がふえるとかふえないとかというような細かい、細かいと言うのは語弊がありますが、そういう詳細な論議は別として、そういう効力が発生するまでは、現に米軍が駐留するということはこの第四条の規定によつて明らかだと思うのです。そこでこの第四条の第二項の「国際連合またはその他による日本区域における国際の平和と安全の維持のため十分な定めをする」ということは、今すぐこれは当面の問題にならん。そうするとその次に来る「個別的もしくは集団的の安全保障」、この二つが問題になるわけであります。この三つが効力を持つまではアメリカはいるということになるのですが、そう判定するまではアメリカ軍の駐留が存在するということになるのですから、そこで私のお尋ねしたいのは、外務大臣が御覧になつた場合は、この個別的という日米の場合、それから集団的という場合と言われる太平洋条約機構的なもの、外務大臣の見通しとしてそのどちらに発展して来るという公算が多いとお考えになりますか。これは私はわからないのだから、外務大臣の一つ説を聞かして頂きたいものですよ。
  419. 岡崎勝男

    ○国務大臣(岡崎勝男君) これは私もどうも未来のことですからわかりませんが、例えばその日本の自衛隊がだんだん増強して行かれてアメリカの駐留軍が撤退する、まあこれは最終的にどこまで行くかわかりませんが、例えば地上の部隊が先へに撤退したということになり、そうかといつてまだ海空は一部残つているという場合が想定されると思います。そういう場合には個別的の安全保障措置が或る程度効力を発する、同時にアメリカと日本の間の形はちよつとおかしいのですが、一種の集団安全保障措置が或程度は残つている。こういう場合もあり得るのですが、その場合はまだ安全保障条約は残るわけです。結局アメリカの駐留軍が全部撤退するという時期が一つの考え方じやないか。そのときは個別的のものが効力を発生するということになり得る。それと同時にこの集団的というのが二つの意味があつて、アメリカと日本の間のやつも一種の集団的と私は考えている。それからおつしやるような太平洋地域の何かいうものもありますが、これがどつちかということはなかなかむずかしい思うのでありましてね。ただ私ども前にも申した通り例えば駐留軍は全部撤退する、併し一種の安全保障条約はまだ残る、形は変るかも知れないが残る、精神は残る。まあ要するにアメリカ本国の武力というものが一種のデタラント・パワーになつて日本を守つているという関係になつて、或る種の安全保障条約の変形したものが残るという場合も想定できる。そのときは個別的、集団的として両方とも効力を発生するというふうに考えられる場合もあり得るかと思います。
  420. 羽生三七

    ○羽生三七君 そこで日本の地上部隊が或る程度成長した、アメリカの駐留軍は或る程度撤退する。併し日本の空海はまだ問題にならんからアメリカの空海に暫く依存する、こういうケースもあると思う。併しその地上軍だけに限定しても、日本が個別的に、日米両国がみてすでにその安全保障措置が効力を発生したとみたされる段階が近いうちに来るとはちよつと考えれないのです、私どもの想像では。特に日本の国力、経済力の限界からみて個別的に日本がその安全保障措置の限界に来たということは考えられない。そうしてそれが認められるまでは駐留軍は撤退しないのです。絶対にこの条約の第四条から言いましてそうなつて来ると、例えば日本の兵力が、兵力というのは語弊がありますが、自衛隊が大体十一、二万として仮に二十万くらいになる。併しまあこれは個別的には問題にならない、空海はアメリカが残る。そこで地上部隊だけで限定するならばやはり太平洋条約機構的なものを作つて、その一環として日本のこの集団安全保障方式としたらどうかという考え方が出て来ると思うのです。それは先日申上げたようなトルーマン大統領のサン・フランシスコ・オペラハウスにおける演説、更にフイリピンのロムロ代表がやはりその清和条約の会議のときのオペラハウスの演説でこういうことを言つているのですよ。本条約がフイリピンもその一員となり、集団安全保障取極めに日本が参加することを考えております。又フイリピン大統領は、日本は結局そのような機構に統合されるべきであるという見解をはつきり述べているので云いということで、そのトルーマン大統領だけでなしにアジアの近隣の一国も日本の将来の集団安全保障方式というものが太平洋機構的なものに必ず参加するのだ、ほかの条件もありますが、この問題についてはなかんずくその期待の下に平和条約に賛成している、こうなつて来ている。だから私は自分の意見でなしに外務大臣のお見通しとして、明らかに安全保障方式か確立されたと見られるまでは、もう絶対第四条規定で米軍の撤退というものはあり得ざることなんですから、だから若し米軍の撤退というものを可能ならしめる条件としては、日本個別のものはなかなか困難ですから、日米間の安全保障条約を改訂して、これにもつと強い形式を持たせるすが、要するに平和を確保する真の目的にかなうような集団的な保障措置であつて、而も日本の憲法に抵触しないならは非常に結構であります。そうでなければこれは慎重に考慮すべきである、こういうことになるわけであります。
  421. 羽生三七

    ○羽生三七君 そこで私はいつも言うことで非常にくどくて恐縮ですが、もう近隣の諸国で問題になつているのはみんな二重政権なんですよ。同一国内に二つの政府がある。而もこのジユネーブ会議あたりまで事が発展して行つて幸いに合理的な解決がみられて中供の国連加入というようなことが実現して来ると、アジア問題のウエイトがぐつと変つて来て、従つて今日本でいう自由国家というのは恐らく同じ中国でも中供ではない、中国については台湾のほうなんです。ところが中共の国連加入が認められればアジア問題のウエイトは全く変つて来ちやうのです。そういう場合に単に自由国家群の一国としてというようなことで、そういうことを簡単にやるとは思いませんが、早計な判断を下されることは日本の将来にとつて非常な禍根を残すということを考えて、私はこういうことを申上げたのですが、併しこれは質問というよりも私の意見が非常に多いので、あえて御答弁を求めるわけではないのですけれども、併しアジア問題の将来は必ず今言われたような形で伸びて行くわけじやない、もつと非常な偏倚椅的な場面もあり得ると思つて一言するわけであります。
  422. 岡崎勝男

    ○国務大臣(岡崎勝男君) これは御意見として承わるより仕方がありません。
  423. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 私も質問でなしに意見を言つてもう私の質問はやめよう。大分準備をして特に外交、日本の安全保障等に及ぼす絶対兵器といいますか、革命的な兵器といいますか、そういう水爆なり原爆なりについて十分な考慮を払つて、日本をとりまく国際環境について、MSA受諾にからんでいろいろ質問しようと思つて来たのですが、用心深くなかなか答弁を控え目にされておるわけであります。岡崎大臣はなかなかち密な頭脳でそつのない答弁をされています。併し私としては一つのステーツマンとしての答弁としては若干問題があると思うわけです。それは我々がアメリカのダレス長官の発言をみましても、今の外務大臣の言を見ても、更に私が一番驚きましたのは、最近のアメリカのハンフリーという財務長官が戦略問題について極めて造詣が深いということです。軍備というものは戦略によつて規定される、戦略は新兵器によつて規定される。そうして外交もそれに従属するものであるという見地から予算折衝において、このペンタゴンととり組んで、そうして今度の一九五四年から五年の軍事予算を編成しておることを思いますと、やはりそういうことについて、我々と四つに組んでそうして日本の運命に対して誤りのない論戦を交すことが必要だと思うのですが、時間もありませんし、私がこれからいろいろ言つても用心深く、答弁されず、結局私の博学をそれに誇るというようなことに終つてしまいますので(笑声)、私は今日はしませんが、まだこの討論が済んだあとでも、国会の残余の期間において私は是非この問題で一つやりたいと思いますので、多忙だとは思いますが、他国の大臣のようにもう少しステーツマンシツプを発揮されて、四つに組んで一つやられることを、そういう意見を開陳しまして、もう徒労に終りますので私の質問はやめます。(笑声)あとは討論に譲ります。
  424. 梶原茂嘉

    ○梶原茂嘉君 時間がありませんから極く簡単に。今聞かれておりますジユネーブの会議ですね、あの成果如何は、やはりMSA協定の将来にも非常な影響があろうと思うのであります。どういうふうな経過をたどつてどういう結論になるか、これは将来のことでわかりませんけれども、日本としてあの会議に無関心であるわけにはいかないであろうと思う。日本の現在の立場が独立国でありながらあの種の重要な会議に参加し得ない。而もあの会議の議題というものがアジアの問題であり、特に東洋の問題なんです。そういう重大な会議において何ら発言さえし得ないということは、実にみじめな立場に私はあると思うのです。そういう立場にありながら何と言いますかMSA協定を協議して行く、こういうわけでありまして、何か外務大臣としてジユネーブ会議等に対してオブザーバーを派遣するなり、他の方法であの会議の推移に対しての日本側との関連性と言いますかを持つて行くということについて何らかのお考えがあるのかどうか、その点をお伺いしたいと思うのです。ああいう会議であれば本当の議題は朝鮮の問題とか仏印の問題とかアジアの今後の平和の大きな問題であります。今の中田さんのお説ではありませんけれども、日一本の外務大臣がオブザーバーとしてでも列席されるくらいのことがあつていいんじやないかと、かように感じるくらいのことであります。外務大臣の一つお考えを伺いたいと思います。
  425. 岡崎勝男

    ○国務大臣(岡崎勝男君) これは非常に残念なことでありまするが、朝鮮の問題といい、仏印の問題といい、結局根本的には力で解決をするような情勢になつておりますから、何といつても背後に武力を持つているということがこういう国際会議における発言権等の基礎になつてしまうわけであります。そこで例えばこの会議の参加者としても朝鮮に兵力を持つて応援した国に限定しておる。仮におつしやるように、日本にも非常に重大な影響があり、日本としても当然大きな関心を持つていることでありますので、すでに関係各国の政府に対しましては、そのいずれの政府としても見方が違いましようから、いずれの政府についても十分なる情報の提供を求め、且つ必要な場合は意見を開陳して日本の考え方も反映させるような措置をとりつつあります。又ジユネーブには萩原公使を取りあえず派遣いたしまして、只今もすでに二十五日からジュネーブに行つております。今回はオブザーバーという種類のものを認めておりません。例えばオブザーバーという形で人を出しましても会議における議席、いす等はないことになつております。従いまして会議参加者は本当の会議の参加者に限られるようでありますが、併し会議外のいろいろな交渉もたくさんあるわけでありまして、あすこにも総領事館もありますけれども、更に萩原公使を派遣して常時折衝に努めるようにしておりますが、同時に各本国政府におきましても各駐在の大公使と十分な連絡をとるような措置をいたしております。
  426. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 その点に関してドイツは外電ではオブザーバーを派遣したというふうになつているのですが、そういうことはどうなんでしようか。
  427. 岡崎勝男

    ○国務大臣(岡崎勝男君) オブザーバーという名前で派遣するということは自由ですけれども、議席というか会場における席は与えられないことになつております。これはいずれの国も同様だと思います。
  428. 鶴見祐輔

    ○鶴見祐輔君 最終の質問の段階に入りましたから、少し大きい問題について三つ伺つておきたいと思います。一つは概して大きくないのですが、第一はMSA協定は一年、そうして年々続けて行くということを大体御希望なんでございましようね。そうしますと、いつ頃からその準備が始まりますか。
  429. 岡崎勝男

    ○国務大臣(岡崎勝男君) この協定が承認されますと、この協定によるいろいろの措置が必要になります。例えば兵器、装備等の援助を具体的にきめる問題或いは小麦の買付の問題、これは一応の処理をいたさなければなりません。それが済みましたならば、引続き来年について、アメリカで言えば来年ですが、来年のものについて話を始めたいと考えております。
  430. 鶴見祐輔

    ○鶴見祐輔君 それはいつ頃からお始めになるお見通しですか。
  431. 岡崎勝男

    ○国務大臣(岡崎勝男君) まだいつ頃からというところまで日取りはきめておりませんが、要するに諸般のこの協定の措置が済みましたならば引続いてやる、こう考えております。
  432. 鶴見祐輔

    ○鶴見祐輔君 その次にお伺いしておきたいのは、このMSA協定は賛成反対にかかわらず、二十九日を期限として発効いたしますからできるものとしまして、これで日本の外交が大きい足を踏み出すことになると思うのですが、日本の外交の基礎が結局は国連ということに結びついて、そこで国連に日本が加入するということを希望しているということはたびたび発表されておるのですが、只今沢田大使もあつちに行つておられるのですが、大体日本の国連加入の見通しはどういうふうにお考えになつておりましようか。
  433. 岡崎勝男

    ○国務大臣(岡崎勝男君) これは今のところ非常にむずかしいと思います。例の一括加入というものが取上げられる場合には当然のことだと思います。それでない場合には、何か国連内部にも兵力附与とか、紛争を強制的に解決するような措置について安保理事会でヴイートーを打つことはこれは当然であるとしても、その国が加入するかどうかということによつてヴイートーを打つということは不当なヴイートーの行使になりはせんかという議論がたびたびあると思います。従つて総会等で何らかの改正を考慮しておるわけでありまして、その委員会もできておるわけです。それにも大分期待を持つております。併しこれはサンフランシスコにおける第一回のつまり一九四五年の国連の、初めの会合当時からのいきさつを見ますと、安保理事会のヴイートーを一声でも、取上げるということは、ソ連の脱退を覚悟しなければできないかも知れん非常にむずかしい問題であります。でありますから、遺憾ながら今のところは一括加入以外には、よほどジユネーブ等の会議が円滑に行つて、だんだん空気がよくならなければ、今度は個々の加入ということはむずかしいんじやないかと思われますので、更にいわゆるアソウシイト・メンバーと申しますか、そういう点も万止むを得ざる場合は考慮しなければなるまい、こう思つております。
  434. 鶴見祐輔

    ○鶴見祐輔君 多分アソウシイト・メンバーは同じことになると思いますが、二年前アメリカの国務省のこれを担当しておるアシスタント・セクレタリーの会議で、どうか一つ日本に入つてもらいたい、今のお話のヴイートーの問題があるから正式な加盟国にはなれないかも知れないが、日本として投票権のない加入国として満足してくれるなら、というお話が三年前にあつたのですが、今のアソウシイト・メンバーというお話はその意味でございますか。
  435. 岡崎勝男

    ○国務大臣(岡崎勝男君) これも正確には言えませんが、大体の意味でありまして、例のカボツト・ロッジなんかも非常に熱心に考えております。
  436. 鶴見祐輔

    ○鶴見祐輔君 それについての外務大臣の御意見は如何でございますか。つまりそれが日本人の国民の誇を傷つけることなしに入れるかどうかということを、アメリカは非常に懸念しておるわけです。それからいま一つは、それへ入ることによつて一歩前進するということになるから、それに努力すべきだというふうにお考えになつておりますか、如何でございますか。
  437. 岡崎勝男

    ○国務大臣(岡崎勝男君) やはり非常に領土も狭い、人口も少い、いわば非常に小国である国がたくさん国連に入つて、正式なメンバーとしての権利と義務とを持つておるわけ、です。日本のごとき場は当然そういう意味では正式な会員、になるべき立場にあるべきものでありますから、普通ならばそういう中途半ぱなものに入らずに、堂々と真正面から行くべきものだと思いますけれども、併し同時にこの国連における発意権、これは発言はできるということでありますから、発言をして日本の立場を明らかにするということは実際上は非常に重要なことである。どうしてもこのメンバーには困難であるということになれば、諦めて発言を十分にできるような立場をとることも考慮すべきじやないかとは思つておりますが、同様の立場にありまするイタリーであるとかその他の国もありまして、これらとも十分話合をいたしてお互いに成定はできませんが、まあ止むを得ざればそれも考慮しなければなるまいかと思つております。
  438. 鶴見祐輔

    ○鶴見祐輔君 このアシスタント・セクレタリーのヒツクソンの考えは、日本が平和条約のできるまでは、我々はパツケツト・プリンシプルを出すことさえ遠慮していた、待つていた、それほど我々は日本の加入を希望するのだということを言つておりましたが、向うの人が日本の国民の自負心或いは自尊心を非常に気にしておると同じように、日本の政府としても、若し今お話のように、投票権を持たない、発言権だけを、持つた加入国になるということなければならん非常に根本的な、基本的な問題だと思いますから、これについて適当な機会に、私は外務大臣が閣議で意見をおきめになつたら、発表される必要があるのじやないかと思うのでございますが、如何でございますか。
  439. 岡崎勝男

    ○国務大臣(岡崎勝男君) 勿論私もそう思います。ただ小さいことだと言えば小さいことですけれども、例えばそういうことをやつた場合に、日本はどの程度の義務を負うべきであるか、例えばその分担金はどするか、或いは国連の規定についてはどれだけのオブリゲーシヨンを負わなければならないか。片方にヴオートの権利はないか。要するに権利がなくて義務がどれだけあるかといういろいろな問題もありますので、こういう点をいろいろ確めようとして過去においてやつてみたのですが、結局これは総会の意見でなければきまらないから、日本側がそういう希望がありとすればこの問題を総会にかけて、総会で今度はこれは具体的にどういう権利とどういう義務があるということになるので、どこの国といえども一国で意見を述べることはできないというものですから、ついまだ具体的によし悪しかきまらない状況なんです。併しおつしやるようにどちらかにきまりますれば、これはもう十分その理由を示して、国民の批評を仰ぐといを方針におぎめになるのなら、それにうことはいたさなければならんと思い日本国民が熟れるような方針をとつて、国論をそういうふうに導かれることが非常に必要だ。それで私は国連の問題をどういう方法で解決するかということについての方針は、MSA協定成立後にはどうしてもお取上げにならなければならん非常に根本的な、基本的な問題だと思いますから、これについて適当な機会に、私は外務大臣が閣議で意見をおきめになつたら、発表される必要があるのじやないかと思うのでございますが、如何でございますか。
  440. 岡崎勝男

    ○国務大臣(岡崎勝男君) 勿論私もそう思います。ただ小さいことだと言えば小さいことですけれども、例えばそういうことをやつた場合に、日本はどの程度の義務を負うべきであるか、例えばその分担金はどするか、或いは国連の規定についてはどれだけのオブリゲーシヨンを負わなければならないか。片方にヴオートの権利はないか。要するに権理がなくて義務がどれだけあるかといういろいろな問題もありますので、こういう点をいろいろ確めようとして過去においてやつてみたのですが、結局これは総会の意見でなければきまらないから、日本側がそういう希望がうありとすればこの問題を総会にかけて、総会で今度はこれは具体的にどういう権利とどういう義務があるということになるので、どこの国といえども一国で意見を述べることはできないというものですから、ついまだ具体的によし悪しがきまらない状況なんです。併しおつしやるようにどちらかにきまりますれば、これはもう十分その理由を示して、国民の批評を仰ぐということはいたさなければならんと思います。
  441. 鶴見祐輔

    ○鶴見祐輔君 その第一歩として、せつかく国連に沢田大使が行つておられるのですから、沢田大使がこの点に関していずれ交渉をされておるに違いないと私は思う。その点をあらかじめ国民に発表されて、日本の国連における地位が只今どういうものにならんとしておるかということについて国論を準備されることが私は必要だ思うのですが、我々はまだ沢田大使の国連側との交渉についての説明も、或いは声明も、外務省から伺つていないような気がするのですが、それはどういうわけでございましようか。
  442. 岡崎勝男

    ○国務大臣(岡崎勝男君) 沢田大使はこれについてもいろいろ話をしておりますが、具体的にこうだという報告をよこし得るような状況になつておらないのは、今私が言うような事情でただそのアソウシイト・メンバーというものは考え得る。併し具体的にそれが何であるかということはまだ言えないという状況なんであります。
  443. 鶴見祐輔

    ○鶴見祐輔君 私がその話をヒックソンとしたのはもう二年前なんですから、まだ二年前から一歩も前進していないということは、私は非常に不思議に思います。而もあれだけ練達堪能な大使が行つておられてこの問題に対して、何事も具体的に報告すべきものが特にできていないということは非常に遺憾だと思う。
  444. 岡崎勝男

    ○国務大臣(岡崎勝男君) これは二年前とおつしやるが、イタリーにはもつと前からこれを申入れてある。イタリーはこれを拒絶したわけです。で要するに一体的内容をどの国も言えないわけであります。従つていくら練達堪能でも、日本が仮にそれじやアソウシイト・メンバ一に入つてみるかという申入れをすれば、これはそうした総合にかけて具体的にどうするのだということになるのだけれども、そうでなければきめようがないので練達堪能もうまく行かんだろうと思います。
  445. 鶴見祐輔

    ○鶴見祐輔君 いやそれはそういう文字のやりとりではありませんで、これは非常に重大な立場に日本がさしかかつておりますから、成るべく早くこの問題について私は交渉があるならばあるように、交渉されてないならばそれをされるように促進されるということを希望するのであります。  第三に私は伺いたいのは、今仏印の戦争の形勢が非常に危い。それで大統領アイゼンハワーもああいう声明をして、これを失えば日本の民主主義政体の存続にも危険を及ぼすというようなかなり思い切つたことを育つているような際でありますから、日本人としても、デイエンビエンフーの戦争については無関心ではいられない。そこでこの問題を、今而も梶原委員の御質問にありましたようなジエネバの会議が結びついて来るわけでありますが、恐らくはこの問題でどうしても一番問題になるのは中共に対するアメリカの政策だと思うのであります。そこで今アメリカは勿論ああいうふうに極力共産主義に対する問題をまあ排撃している議論が政治家の中に勢力を得ているから、ああいうふうでありますから、それのとばつちりを日本でも受けまして、日本においてちよつとでもアメリカの言う通りにならなければ、ことごとくそれは共産主義的な考え方だという誤解が私はアメリカにあると思うのであります。それは私、非常なアメリカ側の間違いだと思つております。その点は先ほどあなたがおいでにならないとはに中田委員も指摘されたのでありまして、この十一月初めのまあ中間選挙と言つてもいいのですが、下院の総選挙の結果アメリカの政策が変るかも知れない、緩和されるかも知れないというようなこともござりまするから、どうせこれは日本がいつかは非常な英断をしなければならんときが来る。例えばイギリスのように、あれはアメリカと親善な国が思い切つて中供を承認し、又フランスも今日、中共を承認したいという希望を持つているのでありますから、そこで日本が中共の問題と四つに取組まなければ、問題は非常に迫つているようにも思うのであります。そうでなければ、この日本は別の決心をしなければならんと思うほど、私は仏印の問題が日本にとつて、重大な問題になつていると思うのですが、今中田さんをたびたび引いて申訳ないですが、中田さんのお聞きになつた外務大臣のステーツメントがある。そのお立場からどういうふうにお挑めになつているか伺つておきたいと思います。
  446. 岡崎勝男

    ○国務大臣(岡崎勝男君) 私はこの問題につきましては、従来の方針によつて進むつもりでおります。
  447. 鶴見祐輔

    ○鶴見祐輔君 もう少し詳しくお話を伺いたいのです。
  448. 岡崎勝男

    ○国務大臣(岡崎勝男君) 只今台湾の国民政府を承認いたしております。この方針で、進むつもりでおります。
  449. 鶴見祐輔

    ○鶴見祐輔君 それではお伺いいたします。そうしますと、仏印で非常な不慮の事件が起つた場合にも、日本が今の通りの外交方針で、私は中共の問題を承認するというわけじやありませんよ、只今のおとりになつた方針のままで行けるというお見通しなんですね。
  450. 岡崎勝男

    ○国務大臣(岡崎勝男君) 私はそう考えておりよす。
  451. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 中共の問題に関連してですが、すでに外務大臣御存じかと思いますが、中共の総工会から日本の総評その他各労働組合に対して二十四人ですか、メーデーに参加をしてくれという招請が来ている。その招請に従つて労働組合の諸君は全部向うに行くことを非常に希望をしている。特にこれは総評だけでなくて、総評外の例えば反共を最もがんきように主張をしている海員組合等々も是非行つて一応みたいというような希望を強く持つておるようですが、この一日には恐らく例年の通りにアジア各地からは労働組合の諸君がたくさん招請されて、殆んど各国から行くと思うんですが、日本としてもそういう機会には労働組合の諸君その他に向うに行くことを許すパス・ポートを出してやるということがむしろ適当なんじやないか。国連の原則でも国際の理解と善意の増進をやることが原則なんであつて、そうして今度の援助協定の第八条のしよつぱなにもそれを引いておるわけです。そういう見地からもむしろやつたほうがいいんじやないかと思いますが、その点につい外務大臣どういうふうにお考えになりますか。
  452. 岡崎勝男

    ○国務大臣(岡崎勝男君) 私は旅券を出す考えはありません。
  453. 佐藤尚武

    ○委員長(佐藤尚武君) 鶴見さんの何の質問は終りになつたんですか、それじやどうぞ。
  454. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 どういう根拠で、どういう方針なり、どういう気持ちからですか。
  455. 岡崎勝男

    ○国務大臣(岡崎勝男君) 私は国交のない国に人が出て行くことについては原則的にこれは望ましくないと考える。
  456. 羽生三七

    ○羽生三七君 先ほど鶴見委員の質問に大臣がお答えになつた、従来の方針で台湾政権を認められるというのは一応わかるんです。そこでその方針を今後お続けになる場合に中国の主権者としての台湾政府ということで、あくまで行かれるつもりなのか、台湾という一島嶼の独立政権とし、てお認めになつて行くのか。その点は非常に微妙な問題だと思いますが、従来の方針を、将来に亘つてお考えになる場合にどういうふうに
  457. 岡崎勝男

    ○国務大臣(岡崎勝男君) これは日本と中華民国との間の条約承認のときに長くこの議論をされた問題でありまして、そのときも言葉の使い方にもよりましたでしようが、随分各方面で例えば中華民国、台湾の政府に対しても不必要な疑惑や憤激を与えたこともあるのでありまして、私はそれはこの際繰返さないほうがいいと思います。あの当時速記録に詳しくのつておりますから、日本の政府の方針はそれと変つておりません。どうぞそれを一つ御覧を願つたほうがよろしいかと思います。
  458. 羽生三七

    ○羽生三七君 それに私はよく承知しておるんですが、そのまま将来も行かれるということてすか。
  459. 岡崎勝男

    ○国務大臣(岡崎勝男君) 只今のところその方針を変える意向は政府としては打つておりません。
  460. 杉原荒太

    ○杉原荒太君 私は直接協定に関して一点だけ外務大臣にお尋ねしておきたいんです。このMDA協定、殊にその中の防衛力増強に関する規定と憲法の関係については政府は今日まで終始一貫して憲法に違反するものではないという見解をとつて来ておるものであります。政府がそういう見解をとつて来ておられるということについては何ら疑問の余地なきまで明確にしておられる。ただその法理上の根拠について今日まで政府のいろいろ御説明を承わつておりますると、必ずしも過程においてすつきりしないものであつたように私は感じておるんです。ところがこの点はその法理上の根拠、殊にこの協定の条文上の根拠を一体どこにおくかということはただ単にこれは抽象的な法理上の論議だけでなくして、今後のこの協定の実施の実際上の問題にも非常に私は関連を持つて来るものであろうと思う。又この点を非常にはつきりしておくことがこの協定に対して賛否いずれの立場をとる場合でも非常に大事なことだと思うから、政府のこの点についての、つまりこの協定が憲法違反でないとされるその論処について、殊にこの協定上の条文の根拠をどこに求めておられるかという点を明確にしておいて頂きたい。
  461. 岡崎勝男

    ○国務大臣(岡崎勝男君) 第一にこれに協定とは離れておりますが、憲法においては政府としては戦力の保持を禁止している。そうして戦力というものはしばしば保安長官等が御説明しているような内容を持つたものである。こういう前提に立つております。そこで防衛力の増強につきましてはこの前に政治及び経済上の安定と矛盾しないということが書いてあります。そこで政府としてはこれは憲法の問題も含めてのことであつて、日本の政治上の安定を害さないということは要するに憲法で認められた範囲内の防衛力の増強であるというふうに考えておりまして、それを更に念のため第九条の二項において憲法の規定云々ということでこれをコンフアームしておるわけであります。それが協定上の根拠というべきものだと考えております。
  462. 佐藤尚武

    ○委員長(佐藤尚武君) 遅くも討論は八時に始めなければなりませんので、外務大臣に対する総活質問の最終はこの辺で打切りたいと思いますが。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  463. 佐藤尚武

    ○委員長(佐藤尚武君) それでは八時まで休憩をいたします。    午後七時九分休憩    ―――――・―――――    午後八時六分開会
  464. 佐藤尚武

    ○委員長(佐藤尚武君) それでは休憩前に引続いて委員会を再開いたします。  日本国とアメリカ合衆国との間の相互防衛援助協定の批准について承認を求めるの件、農産物の購入に関する日本国とアメリカ合衆国との間の協定の締結について承認を求めるの件、経済的措置に関する日本国とアメリカ合衆国との間の協定の締結について承認を求めるの件、投資の保証に関する日本国とアメリカ合衆国との間の協定の締結について承認を求めるの件、以上四件を一括して議題といたします。これより討論に入ります。御意見は賛否を明らかにしてお述べ願います。
  465. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 私は日本社会党を代表して、只今上程されています日本国とアメリカ合衆国との間の相互防衛援助協定の批准について承認を求めるの件ほか三件に対して反対の討論をいたすものであります。  先ず反対します第一の理由は、吉田内閣がとられ、且つMSA協定に際して一層よく浮きぼりされましたところの現内閣の外交政策は、戦前の大きい過ちを犯しました外交政策の轍を又再びふむ慮れが多分にあるのではないかという点でございます。太平洋戦争前において相対立します二大陣営の中に処しまして、我が日本のとつた外交方寸は、独伊の枢軸に一辺倒したわけであります。即ち我が国は一九三六年日独伊の防共協定から出発し、それはやがて一九四〇年日独伊の三国同盟に発展し、遂に一九四一年日米開戦となり、我が国外交は日本を破局的な運命に陥れたことは明らかであります。然るに戦後の吉田内閣の外交政策を見ますと、相対立する米ソ両陣営の中において、一九五二年の講和、安保両条約から出で、今文MSAを受入れ、アメリカに追随し、はつきりとこのたび西欧陣営にふみ切つたわけであります。そしてこの反共政策並びに一辺倒外交であるという点におきましては、過ちを犯しました戦前の外交と全く軌を一にするものと言わなくてはなりません。ダレス外交に引ずり廻されている吉田、岡崎外交は、往年のヒットラー、リツベントロップ外交に盲従して取返えしのつかない失敗をいたしました近衛、松岡外交の危険をふむものといたしまして、我々の断じて容認し得ないところであります。これを世界の外交史について見ましても、遠く離れた大国に追随いたしまして、隣国の大国を敵に廻したような外交は、すべて失敗をいたしておるのであります。例えば、フインランドは第一次、第二次大戦共に反ソの立場をとり、ドイツに自国の運命を委ねて失敗し、又近くは蒋政権が親米反日のいわゆる遠交近攻政策、即ち隣国に仮想敵国を持つところの国策をとつたため、一九二七年南京政府を樹立しまして以来、僅か二十二年にして遂に崩壊せざるを得なかつたわけであります。未だ一度も過ちを冒したことのない民族というものはございません。聡明な民族、偉大な民族というものは、同じ過ちを又再び繰返さないということが大切であります。この点においてMSA協定を受け対米追随の深みに入ります吉田外交は、全く危くて見ておれないという状態であるわけであります。我我の強く反対せざるを得ないゆえんのものであります。  第二に反対すべき理由は、MSAを受けてアメリカのMSA機構にはまり込みますことは、誤つたアメリカの世界政策、外交政策に我が国の運命を従属せしめることであります。MSA協定の根拠法とも言うべき一九四九年の相互防衛援助法及び一九五一年の相互安全保障法には、MSA援助を与えるのは、アメリカの安全保障を維持し、アメリカの外交政策を促進し、且つアメリカ国民の福祉を培うことを目的とずるものであることは、はつきりいたしておるわけであります。法文の随所にそれが謳われているわけであります。即ち、MSA援助を与えますことは何も慈全事業ではないのであつて、それはアメリカの世界政策或いは外交政策の展開の手段或いはてことして与えられるものでございます。従つて、MSA援助を受けて協定第八条に規定するような各種の義務を負うことは、アメリカの利益でもあるが我が国の利益でもあり、いわゆる利害の完全なる一致がなくてはならないのでありますが、特にこの際アメリカの世界政策や外交政策が世界の当面せる諸課題を果してよく解き得るや、その適格性について多くの疑問なきを得ないわけであります。  私はこの際日本と最も深い友好関係あるアメリカの極東政策と世界政策の妥当性如何に触れておきたいと思うわけであります。アメリカは一九〇〇年門戸開放の宣言以来、モンロー主義から脱却し、極東政策に乗出したわけであります。極東政策に関し日本との関係を見ますると、一八五三年ペルリ来航以来一九四一年日本の直珠湾攻撃に至るまでおよそ百年間におきまして、その前半五十年間は極めて日米の関係は友好的でございました。即ち、東漸するロシアを牽制するため、日露戦争におきましては日本に対して多大の援助をアメリカは与えました。併し、この戦争をきつかけにいたしまして日本が強国として、擡頭いたしますや、一九〇九年の加州排日法案通過をきつかけとし、ワシントン軍縮会議、ロンドン軍縮会議、満州国不承認及び日米通商条約の廃棄等、一貫して日本を抑制し、遂に一九四一年の日米の開戦に至つたのであります。即ち、ここで我々の学びとらなくてはならないことはアメリカとの親善関係は変つておるものであり、歴史的なものであるという点であります。即ちMSAを我が国に与え、今アメリカが日本に求めておるものはアメリカの極東政策に従つて中ソ両日を牽制することである。この対米関係は丁度日露戦争当時をほうふつせしめるものであり、又日本を牽制するために曾つて蒋政権に求めたものを、中ソ両国を牽制する手段として日本にそれを果させようとしておるのがMSAの本質でございます。対米関係の歴史的な反省の上に立たず、自主性もなく限度を超えましてアメリカの極東政策に追随しますことは、第二の蒋介石政権の轍を踏むものと言わなくてはならないかと思うわけであります。  次に極東政策を含むアメリカの世界政策であるが、アメリカは中ソ両国を東西南北から大きく包囲するところの軍事的鉄環をはめて行く政策をとつていますが、この政策は平和ではなく戦争への道であることは、曾つて日本にはめられたABCDの包囲政策が遂に太平洋戦争になつたことを見れば自明の理であります。アメリカの政策が極東で目指すものは決して単に共産主義の発展を抑えるだけではございません。中国における現在の政治体制をひつくり返し、若し可能ならば蒋介石 をもう一遍中国本土に帰そうとしていることを目指していることは、ダレス長官のアメリカの議会における証言で明らかなわけである。MSAを受けてアメリカの誤つたこのアジアの反共十字軍のお先棒を担ぐことは、我が国のみならずアメリカをして誤らしめるものといわなくてはなりません。むしろこのアメリカの誤つた極東政策を我が国がマントロールし、我が国を、媒体といたしましてアメリカをしてアジアに過ちなく適応させることは、日本に課せられた重大な任務といわなくてはなりません。従つてMSAに包蔵するところのアメリカの極東政策に強く反対し、これを牽制しその誤つた部面を是正いたします我が党の政策は、反米ではなくて即つて真実の意味における親米政策であると私たちはみるものであります。特に歴史家のトインビーが言つていますように、アメリカのピユーリタン的な性格から外交政策のイデオロギーに対する狂信性、非妥協性等から来るところの過誤について我々は十分検討しまして、アメリカの持つ政策について戦争的な要因を含むものについてはこれを是正し、平和的な傾向のものについてはこれに協力するという峻別した態度を私としてはとるべきであろうと思うわけであります。  第三に、この協定は平和と安全保障に対し個別的及び集団安全保障を無条件に信奉し、外交政策並びに集団安全保障に決定的影響を及ぼしつつある新たなる要素、即ち原爆、水爆に対する顧慮が全くない点であります。恐らく一九五四年の国際外交における最大の課題であるこの問題について、いささかの考慮を払われていないことは極めて遺憾とするところであります。元来国際連合憲章が一九四五年六月二十六日サンフランシスコで調印されましたときは原子爆弾はなかつたのであります。いわんや水素爆弾においてはなお更であります。なお世界各国が相対立する米ソ両陣営に分れ、多くの自由諸国がアメリカを中心に団結し、これに自国の安全を求めましたのは、実に米国だけが原子爆弾を独占的に保有していたことに由来することが極めて多いのであります。そういう見地から一九四九年四月四日の北大西洋条約機構ができたのであつて、これは原爆のアメリカの独占を前提とし、加盟十四カ国をこれに結集し得たわけであります。然るに同じ一九四九年の九月二十三日にソ連が原爆を持ち、アメリ九のその独占が破れ、一九五三年の八月八日に水爆すら持つに至つたのであります。而も両者の差違は漸次縮小しつつあり、従つて原爆貯蔵に対し効用逓減の法則が作用し、今やアメリカ外交の最大の武器であつた対ソ原爆の優位性が全く失われつつあるわけであります。特に原爆、水爆における特殊性は、原爆運搬の戦略手段たる超長距離爆撃機の発展のテンポは原爆増加のテンポよりも遅く、更にこれが防空態勢は一層そのテンポがのろいというところに重大な世界戦略における特質があるわけであります。従つて戦略爆撃機の発展の現段階においてはどうしても前進基地の確保を絶対的な要請とするわけであります。これが本MSA協定に対しても講和、安保両条約並びに行政協定に得た米軍の日本駐留基地貸与の問題について、いささかの譲与も返還の意思をも表明しないのは全くこの理由に基くものであります。併しソ連が原爆を持つた現在アメリカに基地を貸していることは極めて危険であり、その置かれた地位は不安定となつたのであります。原爆による対ソ戦略爆撃の基地がソ連の原爆から安全であり得る保障は何らないのであります。これがNATO機構或いはEDC機構、中東防衛機構、アメリカ、パキスタンの協定等の集団安全保障機構が動揺しつつある最大の理由はここにあるわけであります。かような事態からいたしまして、アメリカ軍部では今におきましてはもはやヨーロツパの空軍基地は万一の際には使用に堪えないという自覚に至つておるわけであります。これがスペイン、アフリカ等のソビエトからはるか遠方に基地を移動しつつあるところの斥大の理由であります。このMSA協定というものは、神通力を失つたアメリカの原爆外交を無条件に信奉し、兵器の発展が集団安全保障機構に重大な変質を与えつつあることに無関心であり、これでは我が国の安全保障には断じてなり得ないわけである。かかることで我が国の安全が可能だと信じますことは、曾つて広島において十万の陸軍の精鋭、長崎において三万の精鋭がたつた二発の原子爆弾で一瞬にしてふきとび、そうして無条件降伏に至つた愚を再び繰返すものと言わなければなりません。MSA受諾の前になすべきことは、自衛軍の創設を認める立場からいたしましても、かかる兵器の異常なる発展から集団安全保障機構、或いは自衛方式に対する影響を検討し、然る後におもむろに出発するような慎重なる配慮がなさるべきであると私は思うわけである。  第四に反対すべき理由は、この協定は憲法に違反し、且つ重大なる新たなる軍事義務を負担させられておる点であります。アメリカはMSA援助を与える場合の被援助国の資格と条件を厳密に規定し、被援助国がそれに同意をする場合のほかは断じて援助を与えてはならないとしておるのであります。相互安全保障法第五百十一条を受けましたのが協定第八条の規定でありますが、日本は自国の防衛力のみならず、自由世界の防衛力の発展と維持のために人力、資源、施設及び一般的経済的条件の許します限り全面的に寄与しなくてはならなかつたのであります。明らかに兵力増強の義務を負つています。これ政府が従来しばしば表明されましたMSAは受けても保安隊は増強しないという公約に明らかに反するものであります。特にMSA受諾と照応しまして防衛関係二法案を提出され、特に自衛隊法の第三条には「直接侵略及び間接侵略に対しわが国を防衛することを主たる任務」と規定されておるのでありますが、これは交戦権を否定しました現行憲法に違反することは明らかであります。協定第九条第三項の憲法上の規定に従つてこれを実施するとの規定を以ていたしましても、何らその違法性を阻却するものではないと思うわけである。  特に私はこの際指摘しておきたい点は、アメリカの日本憲法に対する態度であります。アメリカは一九五一年講和、安保両条約を結びましたときには、日本は平和憲法をたてに取つて独立の食い逃げをやるではないかという論争がアメリカの議会でなされていました。併しアメリカは講和条約の中に個別的、集団的自衛権のあることによつて再軍備の合憲件を打出そうとし、更に又昨年ダレス長官はアメリカ議会におきまして、戦争の種類を自衛戦争と侵略戦争の二つに分け、自衛戦争に対して再軍備することは現行憲法の違反でない、又それに対する交戦権の発動も現行憲法の範囲でできるというふうに変えて答弁をいたしているわけであります。更に又制裁戦争という概念を導き込みまして、侵略者に対する制裁権を発動するためには現行憲法の枠内においても海外に派兵し得るというような拡張解釈をいたしておられるわけであります。このようなことが日本の改進党並びに自由党の憲法解釈に強く影響をいたしていることを私は思わずにはいられないわけであります。  それはともかくといたしまして、そういうようなアメリカの日本国憲法に対する態度は、終戦の直後においては、東洋のスイスになれといつて平和憲法を慫慂し、そうして国際情勢が変つたからといつて又再びそれに反するような態度を公然ととられるに至つては、極めて遺憾の意を表さざるを得ないわけである。憲法の解釈が時世の変遷につれて変ることは明らかでありますが、私たちの最も心配いたしますのは、日本政府の、或いは日本の主要なる保守党の解釈というものが、アメリカの打出した解釈を少し遅れてそれに追随をしているという自主性のない態度について多くの憂慮を持つものであります。特にこのたびの協定によつて、一九五一年の九月四日のサンフランシスコにおけるトルーマン大統領は、日本をできるだけ早く太平洋の平和を維持するため適当な安全保障に参加させることが肝要である。太平洋の防衛の地域的取極めが発展すれば創設されるかも知れない日本の防衛軍は、同地域の他の防衛軍と提携を持つに至るであろうというような構想が極めて着実なプログラムの下に進展しつつある態度であります。私はMSA協定は講和安保両条約によつて打出されたその線が更に一歩前進し、そしてそれがやがてアメリカの意図する太平洋軍事同盟への大きな道を歩み、そしてそれが海外派兵に結び付くではないかということを憂慮するわけであります。特に私はアメリカが意図する日本における地上軍の創設というものは、いろいろな戦略態勢からいたしましても、日本の国内には不当に大きなものでありまして、将来の海外派兵を予想せずにはああいう態勢は作り得ないものであるわけであります。  更に反対すべき第五の理由は、負担のみ多くいたしまして経済的な寄与が極めて少いのみか、我が国経済の自立の根底を危くする点でございます。この農産物の購入に関しまする協定によつてアメリカから与えられる総額は、五千万ドルのうちたつた一千万ドル、三十六億に過ぎないわけであります。域外買付に廻されます四千万ドルも、これがために輸入を必要としますところの原材料を差引いたしますならば、ネットに日本経済に加わるものは両者合せまして七十億乃至八十億に過ぎないわけであります。このような僅少な額を受けますことによつて我が国は米国から内政について強力なる発言権を持たれ、特にこれはアメリカの過剰農産物十億ドルの輸出計画とまちまして日本農業に対する影響は極めて甚大であると思わざるを得ないわけであります。特に昭和二十九年度の農業予算を見ましても、食糧増産対策費はたつた三百六十三億しか組まれていないわけであります。昭和二十八年度におきましては四億七千万ドルのぼう大な食糧輸入をし、本年度におきましても、三億八千万ドルのぼう大な輸入片面がなされ、我が国際収支の均衡のためには食糧増産対策は絶対不可欠な要請でありますが、私はこのたびMSA援助をきつかけにし我が国農業が丁度十九世紀の初頭にイギリスの穀物条例の廃止、農業保護政策をめぐつて遂にイギリスの農業が衰退の一途をたどるに至るような重大な結果に至るではないかということを強く憂慮するものであります。更に又この三十六億の防衛産業への投資というものが我が国の産業構造に対して重大なゆがみを与えて来るではないかと思うわけであります。ひとたびそれに投下いたしました資本はそれ自身の要請を以て自己回転をいたしましてだんだんとそれが採算のできぬ限度内に拡充し、そして又その生産する兵器自体が、産業構造の必然的な要請から、我が国を集団安全保障機構に加入せしめるような事態に至るではないかということを憂慮するものであります。この援助を受けることによつて我が国が自衛力を漸増する際には、経済の安定であるというようないろいろな諸条件が加味されておりますが、本年度の輸出入貿易の逆調、外貨の危機、或いは輸入物価指数と輸出物価指数との非常な懸隔等を考えますると、到底自衛力を漸増するような経済構造ではないわけでありますが、あのような抽象的な規定をもつては到底弱い我が国の立場を主張し得ずして、このことがだんだんと自衛力の急増に発展し、丁度それは明治四年に戸籍制度を作つて明治五年に徴兵令を布いて富国強兵の国是を立てることによつて、遂にこれが我が国の平和ではなくして我が国の大きな禍根になつたような結果に至るのではないかと思うわけであります。私は国際情勢を勘案し、明らかに冷戦から平和への大きな動きをなしつつある際には、先ずこのようなMSAを受けて西欧陣営にはつきりとびこんでの再軍備は慎むべきではないかと思うわけであります。特に私は、このような政策をとることによつて起きる危機というものは、丁度トルーマン・ドクトリンが最後に適用されたトルコの状態に似ているではないかと思うわけであります。トルコが一九四七年以来十五億ドルに及びますところのぼう大なるアメリカの援助を受けましたが、今やトルコの国際収支は破局的な段階に達しまして、むしろ共産主義の脅威よりかアメリカの援助を受けて西欧陣営に突入することによつて起る危機のほうが大きいという重大な段階であるわけであります。  最後に、このような観点からいたしますならば、相対立する米ソ両陣営の中にある我が国といたしましては、一方の陣営につきましてMSAを受けますことは、以上のような結果になることは当然の論理です。従つて軍備によつて我々としては安全を保障されたためしはないわけであります。又武装平和がすべて戦争への道であつたことも知らなくてはなりません。又地代的な集団保障の名の下に呼ばれる軍事同盟の行き着くところもすべて戦争であつたわけであります。特にソ連が先にも申しましたように原爆や水爆を持ち、アメリカの独占が破れました現在において、アメリカだけに頼つて我が国の安全が保たれるというがごときは全くナンセンスと言わなくてはなりません。原爆時代には再軍備による安全保障はありません。又原爆時代には、よし再軍備を認める立場からいたしましても、自衛の概念は根本的な反省を要するものと思います。隣国に敵を作らないところの自主中立の政策こそ私は最大の安全であり、そのような点から外交こそ再軍備以上の安全保障であると思うわけであります。これを要しまするに、世界情勢を見渡し、我が国の過去を反省し、将来の展望をいたしますならば、我が国がなさねばならんことは、未調印国との国交を調整することが第一である。再軍備ではありません。経済の自立態勢を確立し、護るに値するところの祖国を私は作ることではないかと思うわけであります。併し私たちが長きに且つて反対いたしましたが、この諸協定は調印されることでございましよう。併し私はこの機に際して、今は亡きドイツ社会民主党のシユーマッハーが唱えた言葉を言い出さずにはいられないわけであります。シユーマッハーは、アメリカが意図します、彼はこの講和条約と称しておりますが、この講和条約を受諾するドイツ人はもはや真のドイツ人ではないという、又我々はヨーロッパ防衛同盟条約に反対する、若しもこれが調印されますならその批准に反対する、若し批准がなされまするならその実施に反対するといつた不屈な、この祖国を思うこの言を思わずにはいられないわけであります。我々といたしましては、日本が過ちを侵さないために、今日我我のあらゆる反対にもかかわりませず通りましたならば、更にシユーマッハーにならつてこれが実施に反対し、そして我が国の祖国を再び過ちなからしめたいと思うわけでございます。なおいろいろ条約上の解釈その他ついては、明日の本会議で我が党の佐多氏が申されますので、一般的なことを申上げまして、日本社会党の反対の理由にいたすところであります。(拍手)
  466. 鹿島守之助

    ○鹿島守之助君 私は自由党を代表して、日本国とアメリカ合衆国との間の相互防衛援助協定について承認を求める件ほか三件に対し賛成の意を表します。  本協定は政府において我が国の国情に合致するかどうかあらかじめ十分研究したのち八カ月間に亘る互譲の精神で交渉を進め、両国間の完全な理解に基き我が国の事情を参酌した特別の規定をも盛り込んでおります。即ち安保条約の義務以上の新らしい義務のないこと、憲法の条章に従つて行われることが明確にされております。私は政府のとつた慎重な態度と周到な用意に敬意を表します。  私は本件に対する反対論の主要なものを取上げ、これを反駁し、又本協定が万一不成立の場合の事態を説明することによつて原案に賛成の趣旨を明らかにしたいと存じます。  反対論の一つは、国際情勢に対し我我と異なつた見解に基き防衛力増強の必要なしとし、従つてMSAの軍事援助の要なしとする議論であります。併し現在の国際情勢は全世界が共産主義対自由主義の鋭い対立となつており、アメリカ下院外交委員会ジヤツド特別調査団も東南アジア並びに太平洋各国の切迫した実情を報告しており、又ジユネーブ会議にもかかわらず仏印の戦争、これを廻る各国の態度等を考慮するとき、大戦勃発の危険は解消しおらず、殊に東亜の情勢は楽観を許さないのであります。私は本協定の軍事的援助こそ日本の生存のため必要なりと確信いたします。  反対論の第二は、本協定はアメリカヘの日本の従属化であるとする主張であります。その理由の一つは、日本の自由意思でなくアメリカの強制によるものだというのであるが、これはいわれのないことであります。何となれば日米両国政府代表者が、前に述べた通り八カ月の長きに亘り慎重審議し、完全な自由意思により調印したものであり、更にこの国会で自由に討論した上でこれを承認しようとしておるからであります。  もう一つの理由は本件協定締結に伴つて、アメリカの相互安全保障法第五百十一条沖項所定の六条件に拘束され、日本はその支配下に立つことになるというのであります。併しMSA協定は、イギリス、フランス、イタリー等六十余カ国が締結しておりますが、いずれの国もアメリカの属国になつたとその隷属下に陥つたとか申すものはありません。殊に我が国は安保条約以上の義務を負わず、日本国憲法の条章に基いて実施するという自主的立場を明確にしておるのであります。  反対論の第三は、本件協定は、日本の国民生活を圧迫し、日本経済を混乱におとしいれるというのであります。自由党としては国民生活を犠牲にしてまで防衛力を増強する意思はなく、国力の充実に応じて自衛力の漸増を図るということが一貫した政策であります。併がら敗戦後の日本経済力を以てしては独力で自衛力の充実を図ることは殆んど不可能であるから、この不足を補うのがMSA援助であります。協定の又前文にも経済の安定が我が国の防衛能力の発展のため欠くことのできない要素であることが明記されております。  更に余剰農産物の円貨による購入に関する協定、経済的措置に関する協定並びに投資保証協定は、我が国経済に好影響を与えるものと確信いたします。  次にMSA協定が万一成立しなかつた場合如何なる事態が起るでありましようか。先第一に日本はMSA援助によつて自衛力を強化しないならばアメリカは永久に撤兵することがでぎず、従つて日本は永久に独立国の実を挙げ得ないことになります。又若しMSA援助を受けず、自衛の準備ができないうちにアメリカが撤兵したならば、日本はソ連の衛星国になつてしまうでありましよう。  第二にMSA協定を承認しなかつたならば、当然日米関係の悪化が予想されます。即ち沖縄、小笠原島再帰問題、戦犯釈放問題、ビキニ被爆問題、域外買付問題、外資導入問題等はすべて解決不可能となりましよう。要するにMSA協定不成立の場合は、我が国の政府並びに経済上の損失は甚大であります。  以上の通り反対論はいずれもいわれないものであり、又万一本協定が不成立の場合の事態は、重大であります。私はMSA協定ほか三件が承認され、日米両国の親善関係が一層深められ、ひいては世界平和に併与せんことを希望し、これが成立に賛成するものであります。以上をもつて私の賛成討論を終ります。
  467. 曾禰益

    ○曾祢益君 私は日本社会党を代表いたしまして、只今議題となりました日米相互、防衛援助協定ほか三件に対しまして反対の意向を表明するものであります。  日本社会党は日本が「自由世界民主陣営に帰属することを肯定し、これとの団結と協力を是認するものでありますが、同時に自主独立の外交によつて全世界との友好を求めることを我が国外交の本義とするものであります。我が国のを安全保障については国連の国際平和と安全の確保に期待すると共に、現状にわいては国連の安全保障の補助として地域集団保障制度の必要を認めるものであります。更に独立国たる以上我が国は「自衛権を有するのは自然であり、自衛権の裏付けである自衛力は、その基盤であるところの国民の自衛意欲の盛り上るような健康にして公正な経済社会秩序の確立が根本であると確信するものであります。併しながら形式内容共に不平等な日米安保条約は折本的に改訂すべきものであり、又自衛力については現行憲法を遵守し、差当り国内治安を維持するための警察予備隊程度のものにとどめるべきことを主張し、吉田内閣の憲法空文化と国民生活圧迫による再軍備に断固反対するものであります。  以上の観点に立つてMSA協定並びに関係諸協定を慎重に検討して参つた結果、遺憾ながら次の理由に基いてこれら協定に対して承認を与えることに反対すべきものとの結論に到達したのであります。  第一には、一国の防衛の基本方針はあくまで自主独立の立場において国民の理解と納得の下に作定すべきは、いやしくも独立国たる以上当然の事態であります。然るに政府の態度と措置とは全く自主性を欠き、先には我が国の対外的安全は勿論対内的安全の根本もことごとくアメリカ軍に依存するとして安保条約を説明しておきながら、最近の国際情勢の変転に応じ、アメリカの戦略配置が転換して駐留軍の漸減に見合う我が国防衛力の増強を強要して参りますると、今度はこの間の情勢の変化に対処する政府の所信を国民に訴えることもなく、我が国の経済力と国民の心理状態を無視し、何らの自主的な防衛方計と計画も持たずして、先ず以てアメリカの要請を受入れる態度をとつて交渉に当つた次第であります。その結果ここに二十九年度予算に見られるような防衛力の飛躍的増強と、保安庁法改正案に見られるような本格的再軍備が、而も憲法空文化の方法によつて実行されんとしているのであります。MSA協定はこのような政府の防衛問題の本末顧倒の取上げ方と自主性喪失外交の結果にほかならないのであります。我々はかかる外交に反対すると共に、政府の憲法空文化と国民生活圧迫による再軍備に反対することの当然の帰結として、これと裏腹の関係にあるMSA協定に反対するものであります。  第二の理由。吉田総理は去る十七国会の本院予算委員会におきまして、本委員の質問に対し、二十九年度の予算提出に当つては単に二十九年度の防衛増強計画を示すにとどまらず、アメリカ軍の撤退に即応する我が国の長期防衛計画の全貌とその年次計画を明らかにする旨を明確に答弁されたのであります。  それにもかかわらずこの公約を無視して今回こまぎれ的な三十九年度防衛計画のみを提案したのであります。我我はかかる政府の公約のじうりんの結果たるMSA協定を承認すべき」立場にないのみならず、国の財政の長期見通しを何ら的確に把握することなくして、外力に屈服して再軍備に乗出す契機を作るところのMSA協定に賛成しあたわざることは当然であります。  第三に、元来MSA援助の授受に関する協定は、当該国とアメリカとの間にこれに先んじて地域集団保障協定の存在してない場合はしばらくおき、基本的な防衛協定の存在する場合にはこれを前提とし、アメリカの援助の授受に関する権利を定める一種の責務実施協定的の性質のものであることは、北大西洋同盟条約諸国とアメリカとのMSA協定等の例を見ても疑いのないところであります。又このことはMSA法第五百十一条(a)の(3)に「合衆国が一方の当事国である多数国間若しくは二国間の協定又は条約に基いて自国が受諾した」ハズ・アシユウムド、即ち過去の形になつておりまする軍事的義務を履行すること云々の字句に照して明瞭であります。然るに今般の協定はその表題が日米相互防衛援助協定と示しておるのにふさわしく、日米安全保障条約とは別個に、基本的な日米の共同防衛の権利義務を定める条約であるのであります。即ち宏保条約は、日本がアメリカに守つてもらうことを趣旨とする二カ国間の片務的な一種の安全保障協定でありますが、今度のMSA協定は二カ国間の共同即ち双務的な防衛協定に進まんとする一つの形であります。更に安保条約の下では少くとも厳格な法律解釈からすれば、日本の防衛に対する責任を漸増的に負うことは前文に掲げられたアメリカの期待に過きず、日本の義務ではないと言えるかよ知れませんが、このたびの協定におきましては、第八条において自国の防衛能力の増強に必要となるべきすべての合理的な措置をとることを明白に約諾しております。又同条において自由世界の防衛力の発展及び維持に寄与することを約諾しておるのであります。従つて本協定は安保条約の基本的な軍事義務以外の軍事的な義務は含まないという政府の欺瞞はこれを認めるわけに参らないのであります。我々はかかる欺瞞の下に重大な一国の安全保障の問題を片付けることに承服し得ないのであります。  第四に前述のように、安保条約から日米相互防衛援助協定の推移は、片務防衛協定から双務防衛協定、同時に二国間条約から多数国集団保障制度への転移という極めて重大な外交と安全保障の基本の変化であります。この点は前に申述べました第八条の自由世界の防衛力に対する日本の寄与の義務から見ましても、又協定前文第一項に個別的及び集団的自衛のための効果ある方策を推進する能力を高める自発的措置云々という点から見ましても、更に又第一条に援助の供与を日米両国に限らず第三国にも拡げておる点から見ましても疑いのないところであります。政府はこのような基本国策の発展或いはは変化に当りまして、国民に対し堂々且つ条理を尽して所信を明らかにし、その理解と納得を求めるのが当然であると信じます。又この協定の締結からPATO、即ち太平洋同盟条約、或いは、SEATO、即ち東南アジア同盟条約に発展するのではないかとの疑点に対しても明確なる説明がなされなければなりません。これらの点についての政府の御説明は、法理的に的確を欠くのみならず施策上においても確固たる信念なきを遺憾とするものであります。  第五にアメリカとの共同防衛、自由世界の防衛能力に対する寄与、並びに日本の防衛力増強等の条約上の義務を規定する本協定は、果して軍隊その他の戦力の保持を禁止し、交戦権を否認しておる我が憲法の条項に違反するのではないかという疑惑は濃厚であります。殊に第八条の我が国の防衛力増強の義務につきましては、政府の答弁もこの防衛力とは軍隊その他の戦力を含むものであるけれども、その前に政治上の安定と矛盾しない範囲でこれを維持、発展させるという字句があるから憲法に逸脱しないというような極めてあいまいな答弁をされておるのであります。更に又最後のエスケープ・クローズとしては成るほど協定第九条に各国政府が自国の憲法上の規定に従つて実施すると言つておりますが、これは協定の実施のいわば手続的な方面を述べたに過ぎないのであつて、協定そのものの内容が日本現行憲法を逸脱している場合には、これは免責規定とはならないことは明瞭であります。この規定はそのとき有効な憲法の規定によつて実施されるということを意味するに止まる。現行憲法に従つてのみ実施されるという何らの保障にはならないのであります。殊に憲法第九十八条第二項の解釈によると、或る種の条約及び確立された国際法規は憲法に優先することがあることを認めざるを得ないことと思い合せますときに、前述のように本協定それ自体が憲法に逸脱する虞れのある条項を含んでおる事実に顧みまして憲法第九条を空文化するにひとしいこととなると申しても断じて過言ではないと信ずるのであります。従つて我々はかかる見解からも本協定を承認し得ないのであります。  第六に、本協定に関連し我が国の保持且つ行使し得る自衛権の範囲及び発動の条件等について真剣な論議が交されました結果、政府の解釈はおおむね国連憲章第五十一条の制限の下における自衛権ありと信ぜられるに至りました。自衛権の行使につきましてはこのような制限を加えるといたしましても、なお且つ我が国の領土外に自衛権が行使される場合も理論上あり得ることは明らかであります。更に海外派兵に関しこの協定から直接の義務は生じないといたしましても、本協定それ自体が前述のように双務的安全保障条約であることからして、理論上海外派兵の道が開かれていることも又否定できないにかかわらず、本協定又は附属文書においてこれを明確に禁止する措置を講じておりません。更に又政府は国際的取極の形においてかかる措置をとる意思がないことが明らかとなつたのであります。これ又我々として本協定を容認し得ないところであります。  第七に、協定第七条の顧問団の任務、及び日米行政協定第二十四条に基く日米共同行動の際の合同指揮権は、日本の自主独立を侵害する虞れがあると認められるが、これらの重要点についての政府の答弁は我々を納得せしめるものがないのを遺憾とする次第であります。  第八に、元来が軍事援助を本旨とするMSAの受入が、あたかも経済援助を伴うものであるかの宣伝に努められて参つたのが政府の姿でありましたが、さてその実態が何であるかは今般の相互防衛援助協定附属書A並びに経済的措置に関する協定等によつて明らかになつたように、実は経済援助の名に値いしない程度のものであるのであります。我々は当初から真の経済自立は社会主義計画経済を実現し、援助より貿易を、ひもつきよりも自立を趣旨とすることを主張し、政府の安易な受入と欺瞞的な宣伝に反対すべきことを主張して参つたのであります。仮に今後経済援助が若干与えられる場合があつたといたしましても、又武器援助が軍事費の切詰めに若干の貢献があるといたしましても、他面ぼう大な再軍備の創設費及び維持費を必要とするために、財政経済上の我が頃の負担は差引き極めて重くなるもりで存ずるのであります。又防衛分担金の減額は極めて少額にとどまりましたが、如何なる算定基準によるものか、又今後の見通し如何等についても政府の答弁は我々の納得し得ないところであります。  最後にMSAの受入の結果として附属書Dによつて対共産圏貿易の制限をあらかじめ条約上の義務として規定しておるのであります。我々は対共産圏貿易については国連憲章の精神に則り、純然たる戦略物資の輸出に制限を加えることを容認するものであると共に、対中共貿易の過大評価を戒めるものであるが、共産圏貿易を漸次緩和の方向に持つて行くための努力は今や自由世界内の世論であるのみならず、我が国経済自立のための根本の原則であると信ずるのであります。  以上の理由に基きまして、日本社会党は、日米相互防衛援助協定並びに関係諸協定に対して承認を与えることに反対の意向をここに表面するものであります。
  468. 梶原茂嘉

    ○梶原茂嘉君 私は緑風会の多数の意見を代表いたしまして、日米相互防衛援助協定その他の三協定に対しまして賛意を表するものであります。今その理由を簡単に申述べたいと思います。  我が国の独立と主権はサン・フランシスコにおきます平和条約によつて確認せられ、同時に国家の防衛上固有の自衛権も確認せられたのであります。冷戦下の世界情勢、特に朝鮮における動乱によりまする緊迫せる状況の下に、何らの武装、武力なくして独立いたしました我が国が、直接間接の侵略に対してこの国土を防衛するために、国連憲章の線に沿つて日米安全保障条約を締結して、アメリカ合衆国の戦力によつて我が国の独立及び平和を維持することとなつておりますることは、これは国内だけの問題ではなくて国際的の厳然たる事実であります。今これに目をおおうてこれを無視抹殺するということは到底でき得ないところであります。そして安保条約に基きまするアメリカの我が国及びその周辺におきまする防衛措置というものは、これは我が国の固有の自衛権の行使として行われておるものと私は思うのであります。憲法九条の戦争放棄の建前を前提としてこれを保障する意味合でないということは、これは明らかなところであります。従つて我が国自体の自衛力の漸増が期待せられて、暫定的の措置として行われておることも今更言うを待たないところであります。憲法の条章のみを以てし一国の防衛を期待することは残念ながらできないのであります。それが可能でありまするためには、少くとも国際的条約の裏付けがあるか、或いは世界の客観情勢自体がその裏付けとならなければならないと思うのであります。然るに遺憾ながら平和条約におきましても、又国連憲章におきましても又これを肯定してはいないのであります。私は我が国の自衛力の漸増を容認するものであります。憲法の許容いたしまする範囲においての防衛力の増強の施策、これは私は是認するものであります。勿論一国の防衛体制はできるならばその国自体の力によつてこれを作り上げるということの好ましいことは当然であります。現在の日本の実情よりいたしまして安保条約によつてその防衛が確保せられ、そのアメリカ駐留軍の撤収に関連して我が自衛権を我が国自体において行使をするという、むしろ本然の姿に立ち帰つて行く過程において武器等の援助を受けるということであるのでありまして、安保条約のいきさつから見まして、これを拒否すべき理由はないと思うのであります。MSAの協定によりまして、我が国が新たに各種の義務を負うことになるのであります。その一つは安保条約によりまする軍事的義務の再確認のほか、我が方も防衛力増強の義務を負うのであります。これは協定上の義務でありまするけれども、この義務によつて我がほうの防衛力が増強するというのではなくて、我が国自体の防衛力増進の方針としてその増強を実行する、それに即応するところの一つの援助と考えるべき性質のものと思うのであつて、決して我が国の自主性をそれによつて阻害するものとは言い得ないのであります。いま一つの重要なる義務は他の自由諸国の防衛力及び防衛能力の強化に寄与することであります。今日一国単独についてその国の防衛の全きを期するということは、これは言うべくしてでき得ない現実であります。何らかの形においての集団的体制の必要を否認することはできないのであります。我が国が自由世界における一員として、国の防衛について多額の援助を現に受け、又受けんとするものであります以上、他に対して可能なる協力を行いますることは、これはむしろ当然の責務であろうと思うのであります。而もこれらの義務の具体でこれをなし得るのであつて、必ずしも他の強制によつて行うという筋合のものとは思われないのであります。今後過ちがあるとすればそれはこの協定自体から来るのではなくて、この協定の裏をなしますところの我が国自体の防衛力の作り方、その態勢、内容如何にかかわるのであります。そこに私は不安はあると思いますけれども、この協定自体の義務に別段の不安はあり得ないと思うのであります。国の行動の規範は国内的には憲法であり、国際的には条約であります。条約と憲法との優劣の問題につきましてはいろいろ議論の存するところでありますが、本協定の諸般の義務の実施は第九条第二項の規定を待つまでもなく、我が憲法の条章に従つて行うことが私は可能であると思うのであります。憲法に背反するか否かは、先ほど申しましたようにこの協定如何によるのではなくて、自衛能力の態様如何に存するものと思うのであります。従いましてこの協定自体が憲法と相背反するということはあり得ないと思うのであります。  大体以上の諸論によつて、私は本協定の承認に賛意を表するものでありますが、この際に私は数点について私の見解を明確にしておくことを必要と考えるのであります。第一点は憲法問題であります。憲法九条の解釈には種々の論議論難があります。政府の見解を妥当とする観点に立ちしても、国連機構、その線に副うところの安保条約、それから現在のこのMSA協定、これら一連の我が国の防衛体磁土、国際的な面に現われております体制、これが私は先ず現在の憲法解釈の許容し得る限界限度てあろうと思うでありまります。従いまして、この体制より更に一歩をふみ出すという場合は、恐らくは憲法に背反することなくしてこれを行うことは困難であろうと、本協定の程度がその限度、限界であると信ずるものであります。  第二に、MSA協定は単純に見ますれば我が防衛力増強への援助に過ぎませんけれども、自由諸国との連帯性を強化して行く、進んで地域的集団防衛体制に通ずる方向に進むであろうということを明らかに示しておることは、これは疑を容れないところであります。我が国は自衛力漸増のまだ途中であります。経済自立の面におきましても、これからがやつと一歩をふみ耕した段階であります。又第二次世界大戦に対する罪をあがなう責任を負つておる立場にあるのであります。こういう観点から見まして、憲法の趣旨から見ても勿論のこと、又憲法の条章の如何を問わず、軍事的同盟の性格を有しまする地域的集団防衛体制には、私は参加すべきものではないと確信するものであります。  第三に、MSA協定が我が国といたしまして自由世界との連帯性を強化するものであり、私はこれを是認するものではありますけれども、このことが同時に我が国と共産諸国、特に隣邦中国との関係を引き離すことを意味するものであつてはならないと信ずるのであります。憲法の前文の趣旨からいたしましても、我が国の平和を確保しなければならない観点よりいたしましても、世界の緊張の緩和について最善の努力をいたすということは我が国の当然の私は責務と思うのてあります。又さしくこの日本であつて、この点に関しては他の自由諸国と当然異なるものがあつて私は然るべしと思うのでありまして、MSA協定に参加するにいたしましても、この日本の立場というものを外交上私は明白ならしめることが肝要と信ずるのであります。  最後に農産物購入に関する協定に関することでありますが、本案においては五千万ドルが協定せられておるのであります。私はこの種の援助の価値が往々にして過大評価されておることを残念に思うものであります。この種の援助は、正しく冷静にその価値を判断しなければならんと思うのであります。殊に今後この増額が予想されておるのでありますが、これらの程度如何によりましては、私は日本の農業に影響を与えることが必ず起つて来ると思わなければならないのであります。而も今回の協定におきまする四千万ドル分は勿論のこと、贈与の千万ドル分につきましても、その使途は防衛産業いわゆる軍需工業に振り向けられることに予定せられておるのであります。食糧増産その他農業生産というものは、私は国の防衛能力の根幹をなすものであつてこれをなおざりにしては決して国の防衛というものはあり得ないと信ずるものであります。従いまして少くとも贈与分のごときは、食糧増産等農業生産の増強に寄与するがごとく配慮せられることが当然ではなかろうかと信ずるものであります。  以上数点に亘りましての見解を明らかにいたしまして、前段所論のごとく本協定案の承認に賛意を表するものであります。
  469. 高良とみ

    ○高良とみ君 私は緑風会の数名の議員の意向を元といたし、旦つ婦人層と青少年等の願望を代弁いたしまして、本協定及びその連関諸条約の承認を求める件に対しまして反対する義務を有するものと信ずるのであります。これは人道的立場に立つておるのでありまして、一つにはアジアの貧困と、アジアが今ヨーロツパ以上に多くの危機を含んでおりまする際に、又アメリカはその納税者の苦難にもかかわらず軍拡と共に不況到来に対する経済的破局の不安を深くいたしておりまするが故に、日本はアメリカの納税者の金を使つて、一層アジアの危機感と為政者の脅喝政策に対する不安の念を大きくさせることに反対して、アメリカ市民の努力に対する信頼を与える方途が幾多あることを示し得ると信ずるものであります。第一に武装平和を信じない私共は国連憲章第二条に謳つておりますところの全世界が第三次世界大戦の経験から希求する、力によらず、権力によらずして、平和と安全と正義は平和的手段によつて解決すべきものであり、国際的緊張は除去さるべきものであるということ、従つて武力の脅威、特にその行使は厳に慎むべきものであることを、いま一度世界がその意識に呼びもとして行くべきものと思うのであります。然るに今回の相互防衛協定の内容に盛られる実体は長らく検討して参り、ましたが、国際的に申しますと、これは何という解釈があろうとも軍備であり、又軍隊としての取扱を受けるものであります。日本は自衛の名の下に再武装をし、米国及び多数国家に対し軍事義務としての新しい双務的な義務を受けるものであります。国内的には憲法前文の精神を顧みるまでもなく、第九条二項にあります言葉を正しく素朴に解釈いたしておりまする国民は、「政府の行為によつて再び戦争の惨禍が起らない決心をし、戦力を放棄した日本国民」が陸海空軍を持つことはまさに憲法違反であるということを国民は常識として考えております。戦力の正しい解釈はかかるものを持つことを禁じておるのであります。これについての政府の説明は幾たび伺いましてもこの日本の自衛隊なるものが拡大の限度を示し得ぬ性質のものであるということを学ぶに至りまして、私どもは陸海空軍は交戦権を持つておるか否かかにかかわらず、そのものが即ち戦力であり、憲法において禁ぜられておるものというのが正しい憲法の解釈である、という結論に到達したのであります。真に守るに足る愛する祖国でありますならば、その自衛のためならば、防衛力は自主的に国力に応じた、又国の生産力に応じた警察予備隊を以て充てることを以て十分なりと考えるものであります。今回の相互防御援助協定をつぶさに見ますと、第三国にも及ぶ多数国家間の戦略兵器の国際基地化を要望されておるのでありまして、その名が域外買付の名であり、これが本協定の第一条に謳われてあります。これが協定の前提であること、又安保条約以上の軍事的義務も負うべきものではないと申しながら、今までは軍事的義務的などと言われるような内容でなかつた安保条約でありましたのに、一歩顕現前進しておりますこと、自国の防備力のみでなく自由諸国の防衛力の維持と発展とに寄与すべき新義務を負うております。たとえこれが武器生産に限られたという説明を伺いましても、やはりその中には内容として第三条以下にありますような戦略物資の供出、秘密保持、援護物資の無税化他国に例のないほど多数の顧問団等を加えられます。而して又安保条約において日本が負うておるところの日本駐留軍の減少、こういうことも曾つて約束されましたように期待し得ないことを知るに至りまして、私どもは新義務の余りに多きことを感ずるものであります。言うところの集団安全保障に正式参加をする可能性がありといたしますならば、海外派兵従つて戦争参加の危険と不安とは国民のひとしく心配するところであります。軍需生産経済が国民経済に対して与えます軍需偏重的な、財政アンバランスに考え及びまして、今回の協定はまさに余りに日本の国力に重い責任であると感ずるものであります。顧みまするに、今日原水爆戦の脅威を前にいたし、人類を破滅から救いたいというのが我々母、婦人の願望であります。国連憲章創設当時のあの精神にもう一遍人類が立ち返り、又日本憲法が制定されそれを日本国民が敗戦の中から喜んで受諾いたしました新精神に立ち返りますならば、武装の国際化することを全力をあげて防ぎ平和の道義的な重い責任を真正面から受けるべき勇気を必要と信じます。今回の相互防衛援助協定のごとき防衛のための協定を勇敢にしりぞけ、むしろ平和に徹する決意の強い、友好国となることこそ対米の真の友情であり、対アジア、対共産陣営への日本国民の貢献し行る大きな人道であると信ずるものであります。  最後に、日本の自衛隊が建設されました暁に、米国にとつて集団安全保障の大きな力となるであろうというような過大期待をさせますことは、吉田首相の言葉にありました通り、日本が近隣に持つておりまする、曾つて侵略をいたしました多くの未賠償国、未講和の国々においても、アジア諸国の民族の切なる反対こそあれ、賛成する者のない今日、ひいては日米の真実な友情をそこなうことになる危険が多いことを警告するものであります。  右に述べました理由をもちまして反対します。条文及び外交的な手続の点に関しまする細かい箇条につきましては、同僚の御説明になりましたことに附け加えましてこの条約に反対することが私どもの義務であると信ずるものであります。
  470. 鶴見祐輔

    ○鶴見祐輔君 私は改進党を代表いたしまして、只今議題となつておりまする四つの協定に賛成の意を表するものであります。  本協定はこれを仔細に検討をいたしますと、私は多くの不安と不満足を感ずるものであります。併しながら私がこれに賛成をいたします理由が四つあるのであります。  その第一は、我々は長く日英同盟を結んで日本の興隆をいたしましたのでありますが、後に我々が全体主義国であるドイツ、イタリーと結んだ結果、国内における個人の自由を圧迫し、遂にこの惨擔たる敗戦に陥つて、只今のような窮乏の中に入つておるのであります。併しながらこの敗戦の結果我々が取戻しましたことは、我々が個人の「自由を尊重しない全体主義の考え方では、真実の人間の幸福が求められないということを悟りまして、我々は自由を中心とする国家への協力に再び還つたことであります。そうして我々はここに明治の初年に我々の先輩が成し遂げんとして失敗したところの自由を中心とする民主主義の社会を作ろうという努力を、けわしい道を歩きながら進んでいるわけであります。本協定は我我と思想を同じうする自由国家群と協力しようという根本理念を持つておりまするものでありますから、その点において私は本協定に賛成をいたすものであります。  第二に、併しながら今日のように世界の国々の間におきまして、依然として権力国家の思想があつて、個人の獲得慾を中心とする社会現象が存在いたしておりまする間は、真実の平和の社会ができないのでありますから、我々は次第に国家の主権の至上であるという観念から脱却して、国際連合から進んでは世界国家への道へ歩むほかはないと思うのであります。本協定はしばしばこの協定の中に書いてありまするように、結局は国連に向つて進もうとする一つの段階でありますが故に、私は種々の不満足を感じつつもこれに賛意を表するものであります。  第三に私はこの戦争の結果、世界の三大海三国の一つであつた日本が、今日のような護りもなく、貧乏な状況に陥つた結果、アジアにおける勢力の均衡が失われ、その結果誠に危険な国際情勢が現われたときでありますから、この危険な国際情勢を改めるために、日本国民は力を尽してこれを達成いたさなければならないのでありますけれども、日本自身の力を以てしては急速にこれをいたすことはできない事情であります。私は占領直後におけるアメリカの政策が日本を弱くする目的であつたということは、私「自身の口を通さずすでにアメリカの学者たちが申しておることであります。それを私は深く遺憾としておつた。然るに最近に至つてその政策が百八十度の転換をして、やはり日本をもう一遍正しい国として回復させることが結局アジアを安定せしめ、世界の平和に貢献するのだという政策に立返つた意味において、私はアメリカの方向転換を喜ぶものであります。故にその意味において、日本が国内における治安を維持するために、又最小限度において日本の国土を防衛するために自衛をいたさなければならんという政策をとるように至つたことは、私自身としては日本の行くべき道を歩んでおると考えるのでありまして、本協定がこの点に関して一歩前進しておるという意味において、私は第三に賛成の意を表するものであります。  更に私はこの協定の中には不満足な点も多々ありますけれども、併しながら現実の社会においては不満足と欠点とを忍びながら我々は建設的な道を歩むよりほかはない。その建設的な具体的な道を歩むものとして、その一つの現われとして本協定が現われたものといたしまして、私は賛意を表するものであります。併しながら同時に本協定は、恐らくは明日の議会において可決されるでありましよう。されなくても自然に発効するのでありまするから、これは成立するものと考えられる。その場合において私は政府に向つて、本協定の実施について警告をいたし、十分なる注意をして頂きたいと思うのであります。  その第一は、私は日本民族は今まで他人の助けを受けずに自立して来た民族であります。然るに本協定の結果日本民族が他人の助けによつて自分の国を守り、自分の貧乏から回復しなければならんという途を歩んだことは、国家現前の途として利益はあると申しましても精神的に日本民族の自主独立の精神に陰影を与えるものでありますから、政府とされてはこれが一年の協定でありますから、成るべく早い時期において、日本民族がたとえ苦しくとも、たとえ困難であつても自分の力で自分の国を復興し、自分の国を守るという遂に進むような方法を以て本協定を実施して頂きたいと思うのであります。  第二に本協定の名前は成るほど相互防衛の援助協定であります。併しながら戦争前の日本と違つて、今日のこの孤立無縁の而も貧乏な日本でありますから、世界最大の国家と条約を結ぶ場合には、法律上それが対等でありましても実力において雲泥の開きがある。従つてこの二国の間に結ばれるところの条約は力の問題として日本の思うように行かないという危険があるのであります。従つてこの場合に日本がこの約条の或いは協定の実施に関しては種種の危険がある。この危険の一つは、例えば先ほど前の委員のかたぞれによつても申されたことでありますけれどもアメリカの一部分においては日本の今日の力を依然として過大評価しておる人々がたくさんあります。それらの人々が日本のこの八千七百万のたくさんの人間と曾てあれほど勇敢に戦つた日本人の勇気と、この大きな工業力を持つておる日本の能力とを非常に過大評価をいたして、将来の極東の安危に対して日本を利用しようという考えを起した場合に、防衛の文字はこれを如何ようにも解釈し、如何ようにも悪く申せば曲解することができるのであるから、その場合に、実力のない日本といたしましては、この条約或いは協定を守るために政府は万全の力をつくして日本民族の名誉と幸福を守つて行かなければならんと思うのであります。  第三に、これはすでに前委員方がたびたび言われましたように、本協定の持つておる非常な大きな危険は日本の新憲法の第九条と背反するようなことはないかということであります。なるほど本協定の文字の上からは背反することはないと説明することができるでありましよう。併しながらその危険はすでにこの文字の中においても現れておるのであります。例えば本協定の第八条の中において日本語の翻訳においては「自国の政治及び経済の安定と矛盾しない範囲でその人力、資源、施設及び一般的経済条件の許す限り自国の防衛力及び自由世界の防衛力の発展及び維持に寄与し、」とある。然るにこの原文を見ますと、ここには「寄与し、」という字の前にフル・コントリビユーシヨン(full contribution)と書いてある。全面的に寄与する。日本の人的資源或いは天然資源をもつて全面的に寄与する。それは日本の経済条件その他の許す範囲ではありますけれども、そういう非常に広範なるところの約束をいたしておるのでありますから、これは曲解される場合においては日本の将来において非常な危険がないと言えない。例えば将来アジアに差迫つておるところの種々なる局地的な戦争が起つて全世界が非常な危険に遭遇して我我が全面的に人的資源をこれに供給するということを要望される場合に、私は海外派兵という問題が起らないと決して断言はできないと思うのであります。故にこれは岡崎外務大臣とアリソン大使との間の演説だけでは保障にならないから、この点において政府は非常なる決意をもつて日本民族の利益を守るという措置を講じて頂きたいと思うのであります。殊にいわんや将来太平洋同盟に我々が加入を勧誘されるような場合においては、それは今日の日本の国民感情に背反するものであると私は思いまするから、政府はこの点においてはしばしば言明はされておりまするけけれども、実施に際して十分の用意を持つて頂きたいと思うのであります。  併し私は次に附け加えて申しておきたいことは、かように私がこの協定に対して警告を発し不満足の意を表するということは、決して反米の感情ではないということであります。すでにこれは中田委員もしばしば申されたように、今日アメリカにおいて日本の事情を知らない人々は、正しきアメリカに対して持つておる日本人の尊敬と同情、間違つたアメリカに対して持つておる日本の悲しみの情とを混同をいたしまして、正しい意味におけるところの日本人が正しきアメリカの政策の顕現に対して同情し、アメリカの誤つた場合には独立国としてこれに対して日本の立場を主張することを反米感情の現れだと考えるようなことは非常な間違いである。故に私は独立国の日本は自分の立場は正々堂々と世界に向つて言うべきでありまして、なるほど我々は力を失つた。併しながら今日日本民族が立ちかえるべきことは正義は力よりも強いという信念でありまして、その意味においてどうか我々の端的なる希望が本当にアメリカ及びその他の自由国家群に了解され、又今日陣営を異にする国々も了解せられて、今日の日本は戦争にこりごりした、であるから本当に平和を愛好して正しい道を歩もうとしておるのだ、従つて平和に危険を及ぼすような危惧のある問題に対しては日本国民は非常に心配をしておるのである、これは決して軽薄なるところの反米感情ではないのだ。従つて遠慮をして我々は言わずにおることが却つて日米の間を阻害するものでありまするから、日米間の恒久的の協調を達成するためにおきましても私どもは率直に端的に我々の不満とするところを表明することが必要であると存じまして、私は以上四つの警告を伴いましてこの協定に質点を表するものであります。
  471. 佐藤尚武

    ○委員長(佐藤尚武君) 以上をもつて討論は終了いたしました。これより採決に入ります。四件全部を問題に供します。四件を原案通り承認することに賛成のかたがたの挙手をお願いいたします。    〔賛成者挙手〕
  472. 佐藤尚武

    ○委員長(佐藤尚武君) 多数であります。よつて本件は原案通り承認すべきものと決定いたしました。  なお本会議における委員長の口頭報告の内容は、本院規則第百四条によつてあらかじめ多数意見者の承認を得なければならないことになつておりますが、これは前例通り委員長に御一任願います。  それから本院規則第七十二条によりまして、委員長が議院に提出する報告書につき多数意見者の署名を付することになつておりまするから、本案を可とするかたは順次御署名を願います。   多数意見者署名    西郷吉之助    團  伊能    古池 信三    鹿島守之助    杉原 荒太    宮澤 喜一    鶴見 祐輔    梶原 茂嘉
  473. 佐藤尚武

    ○委員長(佐藤尚武君) これでMSA関係四件の審議を結了いたしまするに当りまして一員委員長といたしましてごあいさつを申述べたいと存じます。この協定四件に関しましての審議は意外に長くかかりました。提案理由の説明がありましたのが三月の二十三日、公聴会を開きましたのが三月の二十五、二十六の両日でございました。実質的審議に入りましたのが四月の八日、そして本二十七日を以て討論採決を了したわけでありまするが、公聴会開始の日から勘定いたしまするならばまさに三十三日を費したということになりまして、申訳ないことでございましたけれども、私の不手際な司会振りが多分に手伝いましてそしてこれほど長い日数をかけることになりましたことを先ず以ておわび申上げなければなりません。併しながら委員会といたしましては、この重要問題に対して比較的十分な日数をかけ、而もこの委員会におきましては終始極めて友好的な雰囲気の中にありまして、そうして各員互いに立場は異にいたしまするけれども、その間十分な意見の交換をすることもでき、又政府当路者諸君に対しまして十分の、質疑をなすことができたということは、私といたしましてこの委員会に多大の敬意を表さなければならんところであります。その結果本日の採決を見るに至つたわけでありまするが、諸君の終始変らない国家的見地からしてこの重要問題と取組まれたことに対しまして、重ねて敬意を表します。  なお、政府当路におきましては総理大臣初め副総理大臣、外務大臣、農林大臣、保安庁長官等、極めて激職にあられるかたぞれが長い時間をこの委員会のために捧げられたことに対しまして、厚く御礼を申上げなければなりません。単にこれら諾大臣がたばかりでなく、政府の要路にあられるかたがた多数各省からこの委員会に臨まれまして、そうして我々の審議を助けて頂いたことに対しましても厚く御礼を申上げます。  これを以てこの本日の委員会は終了いたすことにいたします。散会いたします。    午後九時五十分散会