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1953-11-28 第17回国会 参議院 農林委員会 閉6号 公式Web版

  1. 昭和二十八年十一月二十八日(土曜 日)    午前十一時二分開会   ―――――――――――――  出席者は左の通り。    理事            白井  勇君            戸叶  武君    委員            川口爲之助君            重政 庸徳君            横川 信夫君            北 勝太郎君            河合 義一君            清澤 俊英君            小林 亦治君            松浦 定義君   事務局側    常任委員会専門    員       安楽城敏男君    常任委員会専門    員       中田 吉雄君   参考人    国民経済研究協    会理事長    稲葉 秀三君   ―――――――――――――   本日の会議に付した事件公共企業体等労働関係法第十六条第  二項の規定に基き、国会議決を求  めるの件(国有林野事業)(内閣送  付)   ―――――――――――――
  2. 戸叶武

    理事(戸叶武君) 只今から委員会を開きます。  本日は公共企業体等労働関係法第十六条第二項の規定に基き、国会議決を求めるの件(国有林野事業)を議題といたします。本日は学術経験者の意見を聞くため参考人として国民経済研究協会理事稲葉秀三君の御出席を煩わしました。先ず稻葉君の御意見を伺うことにいたします。
  3. 稲葉秀三

    参考人稲葉秀三君) 私只今御紹介にあずかりました稲葉であります。すでに昨日と一昨日、金林野労働組合のかたがたからいろいろ本仲裁裁定に対する御意見があつたと思いますので、私は時間の関係もございますので、できるだけ簡単に、本日参考人として呼ばれたことに対しまして意見の開陳をさして頂きたいと思います。  私の結論の一つは、今度の仲裁裁定は、一月にできるならばこれの完全実施を行うように参議院で取計らつて頂きたいということであります。その一つの理由は、結局公労法と関連をしての調停或いは仲裁制度というものが国会或いは国民の総意によつてできたものであるといたしますならば、やはり国会はこれに基いて裁定をせられました仲裁裁定をできるだけお呑みになるということが合理的ではないかと考えるからであります。尤もこれと関連をして私が申上げたい点は、実は仲裁裁定によるところの基準の問題であります。私は曾つて政府の中におりまして、政府賃金委員会代表委員を勤めたこともあります。又その前は労働組合から選ばれました給与に関する専門委員といたしまして給与ベース・アツプその他に関しまする資料の策定に参加をいたしたこともあります。そのほか私も現在そういつたような関係業務を民間人としてやつておりますが、私個人の立場に立ちますれば、できるだけインフレの防止をする、物価水準の抑制をするという立場に立てば給与ベース・アツプに対しまする政府の支出は少ないほうが望ましいと思うのであります。そこで私は全林野の御要求と、それから調停並びに仲裁におきまする賃金水準と或いは手当その他につきまして、それほど根本的に検討いたしたわけでございませんが、その一々を調べまして、まあできるなれば合理的な基準においてもう少しこれを縮めると、こういつたような余地がないかということをいろいろ検討もいたしましたが、まあ結論を申しますると、私は全林野の要求、それに対して調停委員会がとられた結論並びに更にそれを仲裁裁定に移されて裁定をせられましたいわゆる事由等を見ますると、殆んど私といたしまして、これに対しまして間然するところはない。やはりただ単に労働組合側の要求をお考えになつただけではなくて、仲裁裁定の立場を考慮しつつ、又政府の支払能力といつたものも相当御考慮になつてきめられたものであり、私自体としては仲裁委員会裁定案に非常に敬意を表せざるを得ないと、こういうふうに考えておりましたので、併せてこういつたような意味をも考えて、第一点といたしまして、これを支持するということを申上げさせて頂きたいと思います。  それから第二点として私が支持をいたしまする理由は、まあ全林野について言えば十分支払能力があるということでございまして、ほかの公共企業体と違いまして、できるなればこれを呑むということは、経済的にそれほど悪影響は与えずにできるのではないかということであります。  それから第三に私が支持する理由のものは、私は二年ほど前から日本森林資源総合開発に関する仕事に事務局長として参加をいたしております。それほど林野の事情をよく知つているというわけではございませんが、やはり私の印象では一般官庁職員と、或いは技術者というものに比べ、或いは他の官庁の現業職員に比べまして、その年齢及び技能、決して家族数ではございませんが、そういつたものを考慮いたしますると、あのむずかしい困難なところに働いておられまする労働者或いは技術者各位の給与水準がだんだんと最近は是正をされているようでございまするけれども、まだバランスがとれていないと、こういうふうに考えますると、併せてこういつたような意味をも兼ねて若干ベース・アツプをするということも必要ではないかと考えておるのであります。  第四の私の理由は、現在皆様方も御存じのように、日本森林資源がだんだん枯渇しつつあります。従つて奥地林の開発をしたり、造林をしたり、治山を進めて頂きまして、消費規正と相待つてできるだけ生産増強対策をやつて頂きたいし、そうしてほかの分野と比べまして、国有林が占める分野というものが我が日本では非常に大きいわけでございまするから、一応苦しき立場において国家が完全実施をやるということを裏付をして、労働組合或いはほかのかたがたがこの林野森林増強ということに挺身をして頂くという一つの素地ともなると考えまするので、この意味において私は仲裁裁定の完全実施を支持いたしたいと、こういうふうに考える次第であります。  以上が直接皆様方にお答えをいたしまする私の理由でございますが、併せて、今度はいわゆる一般国民代表の一人といたしましてやはり私は林野そのものに、或いは公共企業体そのものに対しまして、労働条件の改善ということを支持するものではございませんけれども、全国民経済的な状況、こういうことから考えますると、やはりここでベース・アツプが行われるということは、今の日本の経済の状況からいたしますると、余り好ましくないと、こういうふうに考えるということもやはり申上げねばならないと思うのであります。私は最近ジヤーナリストでございまするので、いろいろなかたがたと接触もいたしまするし、或いは新聞雑誌に原稿も書いたり、座談会にも出席をいたすわけでありまするが、最近やはりお米の消費者物価の値上りとか、或いは鉄道運賃が上るとか、或いは郵便料金が値上りをするとか、健全財政を支持して行かねばならない、物価の引下を強調するところの政府が逆のことをやつて行くということは、誠に怪しからんのではないか、それと共に一体我々の生活はこれからどういつたようなことになつて行くか、こういつたようなことを問われ、又私はそれに対しましてお答えをする機会が非常にたくさん出て来たということを申上げておきたいのであります。それで事実そういつたような輿論は、曾つて私が経済安定本部で、いわゆる物価と賃金の悪循環をできるだけ少くする、こういつたようなことで、給与の問題その他に参画をいたしましたときにも出ておつたわけであります。刻下の日本の情勢がそういつたようなときと違いまして、国際経済のデフレ的な現象に即して如何に輸出を振興し、経済の自立、こういつたものも実現しなければ将来我が日本がやつて行けない、こういつたような事態に我々が立つている。又今後我々が当面するであろうということを考えますると、それほど経済的に大した問題でなくても、心理的に非常に大きな影響を与える端緒になるだろう、これは全林野という問題よりも、補正予算と関連いたしましての今度のいわゆるベース・アツプの問題ということになるわけであります。  ここで私が是非参議院のかたがたに考えて頂きたいのは、結局今までの方式がそのまま今後も持続をして行くとなると、一体日本の経済がどうなる、又国民生活がどういうような方面に向つて行くのか、こういつたようなことを一つお考え願いたい。そうしてそういつたようなことから実は全体の民主主義の行き方というものについて建設的な面からやはり今後考え直して頂きたい。こういつたような点もできるならば併せてお考え願いたいと思うのであります。それは一体どういつたようなことであるかと申しますると、私個人の率直な意見を申上げますと、やはり今後当分日本国民経済について申上げますと、最近経済審議庁は次のような資料を発表いたしておるわけであります。即ちそれは国民消費水準ということでございまして、経済審議庁の最近の発表によりますると、昭和九年と十一年を一〇〇といたしまして、昨年の一月から六月の全国平均の国民消費内容は八九・二であつた。その場合において都市が七二・一、農村が一一四・九と、こういつたようなことになつております。これに対しまして全国平均同じく今年の一月―六月がどのような消費内容になつておるかと申しますると、全国平均で一〇〇・七、都市で八四・二、農村で一二五・四ということになつております。そういたしますると、いわゆる去年の上半期と今年の上半期と比べまして、全国で国民消費内容が一四%高揚した。特に都市では一七%高揚した。農村では九%高揚した。こういつたようなことになつておるわけであります。実は今年に入りまして国民消費水準は頭打ちになるだろうと、こういうふうに私どもは予想しておつたのでありますけれども、実は割合に国民消費水準というものが上つております。これは主としてやはり民間企業とか、その他についてでありまして、このことも裏から申しますると、やはり官庁職員或いは公共企業職員のいわゆる消費水準をできるなれば一般に均衡せしめる。近付けるということからいわゆる若干のべース・アツプをして行かなければならないという根拠となるわけでございますが、他方日本の経済力の現段階からいたしまして、こういつたようなことが今後も続いて参りますると、日本国際収支がだんだんマイナスになつて、先つかえになつてしまうのではないかということが最近になりましてだんだん私どもにはつきりいたして来たということであります。我々はやはりできるだけ国民消費水準を上げたいと思います。同時に日本の将来の再建のために公共事業費や民間投資をできるだけたくさん殖やして行きたいと思います。併し我が日本の経済特殊性として、私が強調したいという点は、日本食糧をまだ完全自給していない、二〇%乃至二〇%を上廻る食糧を毎年輸入をしておる、又いわゆる国民投資を高めて行くために工業生産を増強いたしますると、それに伴いましていわゆる輸入が増加をして来る、更にこの際は国際物価に対しまして日本の物価が割高になり、更にコストを安く支払わなければならないという関係もございまして、今まで国内資源でやつて行けたものも、できるならば輸入したほうがいいと、こういつたような機運で、割合去年から今年にかけまして、だんだんと輸入が増加をいたしております。そして去年が輸入輸出の差が八億ドル、今年は輸入輸出の差が十六億ドルになる、そうすると、去年は特需で何とか穴埋めが付いたけれども、今年は特需でも穴埋めができなくて、だんだんと保有外貨養い込んで行く、まだこういつたような状況は或いはやろうと思えば一年或いは二年くらいは日本としてやり得ると思うのでありますが、まあだんだんとその先がつかえて行くようになるのではないかということを、まあ私は国民経済的な立場から心配をいたしております。ところで実は消費水準を上げる、投資を上げて行く、国民経済をプラスにして行くという要求は我が日本としては案外熾烈なのであります。そして又その熾烈さの結果から、我々は毎年やや緩慢ながらインフレ的なやり方で、いわゆる国内でお金をばらまいて経済活動を上昇せしめるというような策をとらなければならないと思うのであります。  国際物価はここ二年間だんだん下りまして、イギリスアメリカでは大体物価が朝鮮動乱のときに近いようになつて来た。ところが我が国の物価はいわゆる朝鮮動乱時に対しまして、六割見当今割高になつているし、今後もやはり今までのようなやり方をとつて参りますると、いわゆるだんだんと物価が上つて行くだろう。まあ上らないでも横這い程度にしかならないだろうと、こういうふうに感じている次第であります。ところでまあそういつたようなことを達成せしめた一つの要因として、私は国会態度というものをやはり持ち出したいと思うのであります。即ちやはり選挙せられた、又国民の輿論を代表する国会の立場から言えば、或いは国会議員さんの個々の御要求から申上げまするならば、米価はできるだけ生産者価格は高いほうがいいと、こういうふうに御主張になるということは当然のことでありましよう。又今度は逆に公共事業費をたくさん出すために、又それぞれの特殊的な御要件もお考えになりまして今度は議院独立法をお作りになつて、それに基いて公共事業の支出を増大をせしめて行く、これも又やむを得ないことであると思います。ただ私が憂うるのは、そういつたようなことがだんだん増加をし、又他方においていわゆる国民消費内容を改善をするというために二重米価を推し進めて行くとか、或いは又補給金操作を行なつて行くとか、或いは今度はこのような意味のいわゆる官吏のベース・アツプを行なつて、民間と権衡を計つて行くとか、こういつたようなことが今後も続けられるといたしますると、なかなか財政のいわゆるバランスがとれなくて、結局増税をするか、或いは相当赤字公債を出して行つて糊塗するということにならねばならないし、今後もこういう状況が続きますと、来年ももう一遍ベース・アツプの改善或いはその他についていろいろ皆様方が御心配にならねばならん事態が続いて行くのではないかと思います。できるならば、やはり日本の経済の置かれた地位をお考え下さいまして、ここで私は建設的な面からできるだけ民主主義を育てて行くために、今までのいわゆる立法或いは労働関係法、そういつたようなものについて、できるだけここで再検討をして頂きたいということを申上げたいし、殊に参議院という立場は、やはり進んで衆議院以上に大所高所からこういつたようなことをお考え願う必要があるのではないかと、こういつたようなことを心配いたしております。  特に私が荷検討を要望したいものは、決して私は、経済上から言えば、こういつたようなベース・アツプがすぐに国民経済に悪循環を与えるというわけではありませんが、少くとも過去の慣例からいたしまして、やはり悪循環を与えて行くように社会的、心理的に取扱われる要素が非常に強い。こういつたような時期に我々が際会をしているということでございまして、この点願わくばもう一遍ここで御検討をお願いしたい。民主主義ルールから申しますると、やはり国民代表である皆様がおきめになつたものは、やはりこれを支持をするようにやつて頂きたいと同時に、今後につきましては、できるだけ私はこういつたようなことがないように、先ず物価を上げるということを抑制をする。私が端的に申上げたい点は、いわゆる生産者価格というものの要素が上昇しないということが明らかであるならば、私は先ず米価こそ、即ち生産者価格こそ、ここでいろいろこれを上げないようなために皆様方が努力をなさる必要がある。できるなれば一切のインフレの根源を断つというような立場からお考え願つて頂きたいと思うのであります。  私は過日五カ月ほどヨーロツパとアメリカに参りまして、そうして向うの経済事情と我が日本の経済事情、何うの経済政策と我が日本の経済政策とを比較する、こういつたような機会に恵まれたのであります。併し私がびつくりいたしましたのは、西ドイツでも、イギリスでも、アメリカでも、如何にこの物価の上昇を抑制して行くかということに対しまして、事業家はもとより、労働組合も、更に政府も相当熱心な立場からこれが御検討をなされておつたということであります。特にイギリスにおいては、そういつなような点が非常に熱心に、そうして大所高所から国会の討論が建設的な面でなされ、そうして国民経済的な調整がとられておつたということであります。我が日本はそこまでは参りませんけれども、できるなればここで参議院の皆様方の態度が、日本国民経済全体の今後当面する苦難の過程に際会をして、相当方向転換をして頂きたいと、こういうふうに思うのであります。  要するに私の申上げたい点は、今言つた仲裁裁定を完全に今度は呑んで順、くべきだ。併し今後については、できるだけ大所高所からこの労働関係法規経済関係法規との調整ということをもつと建設的な面からお考え願いたいということであります。
  4. 戸叶武

    理事(戸叶武君) それではこれから質疑に入りすす。
  5. 小林亦治

    ○小林亦治君 途中から参つたので全部は聞き漏らしましたが、いろいろな面のベース・アツプというのはインフレの根源だから理想にかなわない。だが今回の裁定はやむを得ないといつたようなお考えからお認めになるという御意見のように伺つてよろしうございますか。
  6. 稲葉秀三

    参考人稲葉秀三君) 実は若干ニユアンスが違うのですか、私はやはり今までの慣例からして、政府がこういつたような、国会が公労法やその他に基いた調停仲裁制度というものをおやりになる。そうして私は今日は全林野だけの問題についてお伺いしたのですが、そうして十分林野の場合においては、これについての支払能力があるということがきまつておる場合において、参議院としては私はこれをお呑みになるということが当然ではないかと思う。併し今度は国民経済的な立場に立もますると実は問題は若干違つて参るので、私は現在ジヤーナリストをしておりますが、特に新聞雑誌、婦人団体等から、これからの自分たちの生活はどういうふうになつて行くのだということを実は非常に真剣に言われまして、そういう会合に引張り出されたりいろいろするわけであります。私の見通しとしましては、卸売物価や小売物価は今後はそれほどは上つて行かないだろう、場合によつてはまつだ一割見当下るのではないかと思います。ところが消費者物価だけはどう考えましても私には下りそうに思われないのです。併し言われているほどこれで一〇%とか、二〇%消費内容が上るというふうには私は思いません。やはりまあ過去の騰貴の状況が若干低いような程度で上つて行くだろうと思います。併し我々国民にとつて、特に給料生活者にとつて問題になるのでは、卸売物価や小売物価ではなくして消費者物価なんですね、そうすると、まあ御存じのように今後労働関係がもつとむずかしい状況になるのではないか、現に私も労働問題懇談会の委員でありますが、やはり組合の方々或いは経営者団体の方々に接触をして見ましても、経済が今までのようにそう急に妥協ができるということができなくなるのですから、余計この消費者物価の値上りということが今後大きな社会紛争の種になるということはこれは事実です。そうすると、私をして言わしむれば、消費者物価で一番問題になるのはまあ米価の問題だろうと思います。私個人の意見では、もつとはつきり申上げますと、今年は冷害でありましようけれども、目下昔のようにパリティというようなものがなくて、どちらかと申しますと、まあ政治的な米価が今きめられておる。そして更に又もう一つの点は、これは私は官庁資料が正しいとは思いませんけれども、先ほども御紹介申上げましたように、今年の上半期で農民の消費水準が戦前よりも二五%増加をしている。そして大体都市農村に不均衡があると申しましても、私どもが曾つて経済復興計画を作りまするときにいろいろ調べましたところによりますると、戦前の都市農村に不均衡があつたので、或る程度農民生活水準を上げなければならない、こういつたようなことを考えておりました。併しよくわかりませんが、大体私どもの生計実施調査等によりますると、まあ大体戦前に比べまして部市と農村が昨年あたり均衡がとれたんではないかと、こういうふうに言われているわけであります。そういたしますると、私は今後の政治のあり方は、やはり生産者価格が上れば消費者価格も上げてもらう。そして余り財政のつつかい俸をしないで、もつと都市農村が直結をして問題を解決するといつたような形で進めて頂きたい。従つて私は特別に物価の事情がなければ、農家の所得がそれほど急激に減るという事情がなければ、いわゆる政治的な立場で生産者価格をどんどん上げて行くということは余り好ましくないのではないか、尤も麦やその他が下つているときに、米が同じでは農家の所得は減るわけですから、この点の考慮は行なつて頂きたいと思いますけれども、まあ今後やはり物価に対して、特に消費つ物価に対してシリアーでなければならないといたしますると、よほどそういつたような問題についてお考え直しを頂きたい。そうでないと、もつと私は深刻な場面が来年に起つて来る。できるなれば、私はやはり労働関係法規と、或いは物価政策と、或いは公共事業投資が日本の場合ばらばらに行われ過ぎていたのではないかと思うのです、それをやはり全体の高所から何とか考え直して、そうしてできるだけ建設的な面でやり得るように、国会は今までの法規の検討とか、或いはやり方の検討でお考え願えないか。
  7. 清澤俊英

    ○清澤俊英君 それでね、私は経済学の話はよくわかりませんが、こういう実例を申上げます。今年の凶作でなぜに米が高くなつたかというのでいろいろ調査いたしました結果、土地改良によつて年貢米を納めない、これがまあ少くとも五、六月までの安定をどうするか、それで実際困つて騒ぎ出すのが営農資金で、この期に大体一町七反くらいの線を中心にして急速な不平の声が上る。これで農産物価が三つておるということは、米だけがたまたま上つておる傾向を持つておりますが、その他のものは殆んど白菜のごときは一貫目三円、大根のごときはどう売るかというのが実情でございまして、蔬菜類については東京附近は別として非常な値下りを来たしておる、こういう情勢でありますから安定している、町の人はこう言つているのです。今年の塩「さけ」の仕入れを問屋がやつたが小売商が来ない、なぜ来ないかというと、恐らく農村では買えまい、これが一般都市農村を相手にするところの消費者の実情になつておる。それで「さけ」自身それほど高いかと言えば、北海道の人もつおられますが、最近に至つては非常に「さけ」は遡上して来ましたのでだんだん値下りしておる。結局しますと、その中間の経済機構が何らか間違つた形がありまして、そうして都市が非常に高い消費生産物を買わなければならない。こういうような形が強く出ておるので、ただそれを直接農村へ結び付けて考えることはどうもちよつとおかしなところがありわしないか、こう思いますが、その点はどうなりますか。
  8. 稲葉秀三

    参考人稲葉秀三君) その点私もわからないのですが、とにかく私どもが賃金とか、生活を問題にするときに、実ははつきりその実態がわからないでしよう、そうでしよう、そうすると、結局労働組合がいろいろこの賃金問題を要求するにしても、いつでも問題になるのは内閣統計局消費者物価だ。それから更に政府がおやりになる都市消費内容とか、それから農村の物価だとか、消費内容、農家経済調査がそれらのいつでも手がかりになるわけですね。ところが本当の日本の実態かどうかということはわからないのですが、とにかくそれが日本の状況でしよう。それを調べるところの一番有力な手がかりになつておるわけです。それがどういうふうになつておるかと申しますと、先ほど私が申しましたように、農村消費水準は、昨年の一月―六月が戦前に対して一一五%、今年が大体一二六%、それから一昨年は一年で二十何パーセント消費水準が農村は好転した。そうして農家の黒字は割合増加した。今年は凶作の関係もありまして手取りが減るわけですから、私どもは今度は消費水準も上らないだろうと思いますけれども、ともかく国際米価が高いのですから、やはりそれに準じて米価が上るし、或る程度ほかにしわ寄せがあつたとしても、それほど急激に農家の消費水準があなたがおつしやるように下つて行く、こういうふうな結論にはならないように思う。併し中間利潤が増大しておるということは僕も認めております。併しあなたのお話から行けば農村がますます困つて行くということになるわけですが、ところがどうもそういうふうになつていない。
  9. 清澤俊英

    ○清澤俊英君 ところが、これは議論でも何でもありませんが、実際問題としては、農村が先ほど言われる通り、今まで小作料というものをとられておつて非常に力がなかつた。非常に私は戦前の生活水準の下落をしておつたと思うのです。それが小作料が残つた分だけが落着いて行く。これはあなたのおつしやる通りだと思います。思いますが、現実の情勢としては農産物価と都市の物価、農産品の物価というものはこれは非常に差がある。仮に例えてみますれば、今東京ではバターが何にもない。そのバターの原料である牛乳がどうだと言えば、農村においては四円三十銭或いは四十銭、平均まあ私らのほうで四円を測るのじやないか。平均しますならば……、ということは、一等乳が四円三十銭なりという価格かきまりますと、二等乳もあれば三等乳も出る。平均すると四円を割りやしないかと、こう思う。それが東京では十二円だの十五円、汽車の中で飲めば二十円、こういうやり方をしておりますれば、百年たつてもその均衡というものは保ち得ないのじやないか。これが私の言おうとするところで、結局ただどこを直したらそういうものが直るのだということを基本的に考えてお教え頂きたいと思つて、こういうことでお伺いしているのです。
  10. 稲葉秀三

    参考人稲葉秀三君) 国民経済上心配しているのは、最近輸入がだんだん増加をしまして、今年の一月―三月の輸入額は昨年の一八%増です。そしてだんだんとやはり日本のお金がなくなつて行くのではないか。お金がなくなつて行くと、又今度は国内物価が又それから上つて行つて更に亜循環をする。下手をすると私どもが昭和二十二年から三年にかけて経験した悪循環よりももつと深刻な場面が日本に来やしないか。これは若干悲観的な考察なんですが、こういうときにだんだん日本の経済が壁にぶつかつて行きそうな気がするわけです。全体の経済の動きが……。
  11. 清澤俊英

    ○清澤俊英君 だからただ抽象的にでなく、そういう食違い、昨日の新聞を読むと、羊毛で通産省農林省で横やりを入れている。今年の毛糸が二千円で甚だ怪しからん。昨年と何ら原料において変るところはなく、原料の支給も昨年よりは多い。こういう新聞が出ておる。だから去年並みの千円そこそこに変えたらよかろうということを放つておいて、物価水準が東京が上ればもう問題にならない。それをどうやつて直して行くか。
  12. 稲葉秀三

    参考人稲葉秀三君) それはやはり金融を引締めろ、財政を引締めろということを言つているのです。
  13. 清澤俊英

    ○清澤俊英君 財政だけで直るでしようか、それと金融だけで……、
  14. 稲葉秀三

    参考人稲葉秀三君) それよりほかにしようがないでしようね。最近の情勢から申しますと……。更に進んで直接統制とかいうようなことにまで進めばともかく、一応見通しとしては、そういう形で中間的なものをなくして行くという形よりほかに当面のやり方はないのではないでしようか。物価を下げて行くのには……。
  15. 清澤俊英

    ○清澤俊英君 今一つ、インフレの要因はただ公共事業費であるとか、或いは米の値上りであるとか、補給金の問題だけではなくして、もつと要因は再軍備の問題並びに企業体の整備等による貸出等、開銀等による貸出の増大等が却つてインフレ増大の要因を持つていると思うのですが、どうでしようか。
  16. 稲葉秀三

    参考人稲葉秀三君) 再軍備の問題はこれからの問題であつて、今までの千八百億の防衛分担金とか、何かを合せてこれが問題であると言えばそれまでですが、僕は今までの事情はそういうものを織込んで、更にこれから又いろいろここで保安隊を増強するとか、いろいろな形でやるとかでインフレを進めて行く、こういうふうに解します。従つて私は両方じやないかと思います。
  17. 戸叶武

    理事(戸叶武君) 本日はこれにて散会いたします。    午前十一時四十五分散会