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1953-11-26 第17回国会 参議院 通商産業委員会 閉1号 公式Web版

  1. 昭和二十八年十一月二十六日(木曜 日)    午前十一時五分開会   ―――――――――――――  出席者は左の通り。    委員長     中川 以良君    理事            松平 勇雄君            海野 三朗君    委員            黒川 武雄君            西川彌平治君            松本  昇君            岸  良一君            西田 隆男君            藤田  進君            三輪 貞治君   事務局側    常任委員会専門    員       林  誠一君    常任委員会専門    員       山本友太郎君    常任委員会専門    員       小田橋貞寿君   説明員    通商産業省軽工    業局長     中村辰五郎君    通商産業省軽工    業局アルコール    第一課長    乙竹 虔三君    公共企業体等仲   裁委員会委員長  今井 一男君   参考人    アルコール専売    労働組合中央執    行委員長    蔵野  晴君    アルコール専売   労働組合書記長  青木金治郎君   ―――――――――――――   本日の会議に付した事件公共企業体等労働関係法第十六条第  二項の規定に基き、国会議決を求  めるの件(アルコール専売事業)  (内閣送付)   ―――――――――――――
  2. 中川以良

    ○委員長(中川以良君) それでは只今より通商産業委員会を開きます。  公報で御通知を申上げておりました通り、差当り本日より三日間に亘りまして、継続審査となつておりまする案件を審査することにいたします。特に公労法第十六条第二項の規定に基き、国会議決を求めるの件につきましては、これを過日お打合せ通りに審議をいたしまする予定でございます。で本件につきましては、前国会において提案理由の説明がありましたので、本日は当事者の三方面、即ちアルコール専売労働組合通産省当局並びに仲裁委員会から御説明を承わりまして、明二十七日はこの件について第三者から意見を伺い、明後二十八日政府当局の見解を質したいと存じております。  それで本日は当事者の御説明を承わりまするため、労働組合のかたに参考人として御出席を煩わしました。御多忙中のところおいでを頂きまして誠に有難う存じます。順序といたしましては、先ず労働組合側からの御主張を承わり、次いで通産省当局の意見を聞きまして、そして最後に仲裁委員会から裁定について承わるのが好都合と存じておるのでございまするが、本日はあいにく仲裁委員会の今井委員長が午後止むを得ない御用件がございまするようでありまするので、順序を変更をいたしまして、最初に先ず今井委員長から御説明を承わりまして、それに対する御質疑を皆様方にお願いをいたしたいと存じます。この順序で只今より審議をいたしまして御異議はございませんでしようか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 中川以良

    ○委員長(中川以良君) 御異議ないものと存じます。  なお前回の委員会通産省側に資料の要求をいたしておりましたが、それが只今お手許に配付をいたしてあるものでございます。要求いたしました資料の中に仲裁委員会裁定書は前に議案として配付されておりますのでこれは省略をされております。又労働組合側の生活状態に関する資料は生計費調査等を実施しておりませんので、又これを調査するといたしましても急に間に合わないそうでございまして、只今のところは提出をされておりませんが、若干の生活状態は労働条件に関する資料の中に含まれておるので御了承を頂きたいと存じます。なお別に組合側からも資料が提出をされましてこれもお手許に只今配付いたすことになつております。  それでは先ず今井委員長から裁定の経過、裁定の内容並びにその理由につきまして裁定書を中心といたしまして御説明をお願いいたしたいと存じます。
  4. 今井一男

    ○説明員(今井一男君) 只今お言葉にございました線に従いまして若干この裁定に関しましての我々の考え方を御説明申上げます。  経過並びに理由につきましてはお手許に参つております印刷物の中に我々比較的に詳細に現わしておいたつもりでございますのでこれをお見通し願えればおおむねの線は御了解頂けると思うのでありますが、そのうちの主な点につきまして若干触れておきたいと思います。  今回のアルコール専売職員の要求の根拠は、いわゆるマーケツト・バスケツト方式によりまして職員の平均家族数を持つておる世帯、平均世帯と申しますが、この平均世帯における生計費というものは一体どのくらいかかるであろうかといつたところから、それを中心にして賃金を出すという、まあ今あちらこちらの組合で相当利用されておる方法でございますが、その方法で算出されたものでございます。本来、私どもは仲裁委員会という性格からいたしまして、これは賃金委員会ではございませんという考え方、即ち我々としては労働紛争のないところに仲裁調停もあり得ない、両者が意見の食い違つた場合には、その食い違つた点についてだけ判断を下すのが我々の立場である。こういつたことからでき得れば両者の意見が極力歩み寄られまして、我々が独自の判断を下す範囲が成るべく少いことが、これが一番望ましい裁定の姿であると、かように常々考えておるのでありますけれども、遺憾ながら時間の制約もございましたし、又両者の意見の食い違いが余りにも広かつたために、私どもの独自の見解を加える部分が比較的に多くなつたということは、裁定者として実は遺憾に思つておる点でございます。そういつた角度で組合の要求を眺めて見ますというと、額の問題はともかく第二といたしまして、生計費即賃金という考え方には問題があるであろうと思われるのであります。即ち与えられた賃金がどれだけの生計費をカバーしておるか、具体的にどの程度の生活内容を約束しておるかという点は、これは労働者として極めて関心を持つべき問題であることは申すまでもありませんが、併し同時に、賃金というものは労働条件との関連において決定せらるべきものでありまするが故に、家族数に比例してそのままその形が賃金になるような恰好は、これは賃金論から申しまして問題であると我々は考えたのであります。一応組合の諸君の考えられました線に沿つて判断いたしましても、現在の日本の家計調査からいたしますと、遺憾ながら本人が勤め先からもらつて来る収入だけでは、大よそ標準世帯におきまして、標準生計費の九割程度しかカバーされないのが現状でございます。これは勿論人によりましていろいろのでこぼこはございますが、とにかく総平均にいたしますれば、そんな形に相成つて来ることは各種の家計調査に見えておるところでございます。従いまして、その九割の本人の世帯収入の中には、毎月きまつてもらいますお金のほかに、やはり超過勤務手当でありますとか、その他もろもろのものが入り得るわけでありまして、その点も考慮しなければ一応のこのバランスとしての形は問題になると思われます。更に又組合の組みましたマーケツト・バスケツトは主食と副食の関係におきまして、日本の国見が平均的にとつております主食よりも、やはり副食からより多くのカロリーをとろうという建前で組まれておるのであります。一つ一つの単価は決して高くはないのでありますけれども、そういつたことを一般国民水準に引直しますと、これは御参考のために余計なことを申上げますれば、私どもの調査によりますと、東京都におきまして、今年の四月におきまして、一カロリー当り四銭三厘七毛七糸というのが、これが実績と相成つております。人事院の勧告は、これは三銭九厘七毛となつておりますが、私どもはそれよりも一割程度高いものを実は基礎に押えまして、それが更にその後の物価騰貴というものとからみ合つて考えなければならんと存じておるのであります。そういつたことをいたしましても、相当この額が下らなければ標準生計費としてのバランスはとれないと、こういつた判断に相成つた次第であります。一方民間賃金との権衡を考えなければならん点もございますのですが、併し、御承知の通り酒精の専業をいたしております工場は極めて民間には稀でございまして、いずれも副業でやつておられるのであります。副業でやつておられますというと、どうしても賃金というものは本業に引きずられやすいのが常であります。又国営企業というものの特色からいたしまして、私どもとして常々考えておりますことはまあ今回のアルコール専売とは直接の関係はございませんが、仮にその企業が非常に儲けた場合におきましても、又民間の産業でありますれば、その場合にそれをことごとく賃金の増加に向けましても、世間は何とも申さないような場合がありましても、その事業主が国営企業であります場合には、これはやはり国営企業の本質として遠慮しなければならんという面があろうということは、常々頭に持つておるものでありますが、同時にそういつたこととは反対に、民間企業でありますれば非常な賃下げを受けるべき場合におきましても、この賃下げの限度というものが国営企業の場合にはおのずから小さくなる。即ちいわゆる景気、不景気というものの影響を比較的に受けない、賃金の幅というものが比較的狭い性質のものであるのが国営企業のあり方であろう、こういつた観念付けを我々日頃抱いておるのであります。そういつた物差等で計りましていろいろ検討を重ねたのでありますが、結局この理由書の三にありますような方法によりまして賃金の傾向を計りまして、そうして結局技術的によく言われます長短二本の傾向線から結論を持つて行きまして、今回の裁定の額にしたのでございますが、その額がたまたま結果的に調停案の額と同じとなつたのであります。我々といたしまして、調停案に対しましては一応の敬意を表する立場は持つておるのでありますが、今四の場合は金額がむしろ偶然的に一致したと、かようにおとり頂きたいと考えます。なお調停案はこの案を四月から実施されておるのでありますが、私どものほうはこれを八月まで遅らした点におきまして結果的にそれだけの差が出ておりますが、この考え方は賃金要求そのものの交渉がもともと持たれましたのが大体五月でございまして、そういつた場合にこれがバツク・ペイされるということは、現在の労働慣行ではむしろ異例に属するのが通常でありまして、のみならず、今年の夏には昨年と違いまして夏季手当の若干の増加も与えられておるということ、並びに公務員ベースというものの人事院勧告が七月に行われたということ等の勘案が、結局におきましてこの八月という結論になつた理由でございます。問題はアルコール事業の支払能力でございますが、この点は皆様方のほうがお詳しいかと思いますので、特に説明は加えませんが、とにかく全体の財政規模から考えまして、又企業努力の余地、職員の心がまえ等号から考えまして、これはアルコールの賠償価格に影響させないでも、努力如何によつては十分可能なように私どもお見受けした次第であります。私は問題を取扱います場合に人事院等と違いましてすべて一つの企業体における労使紛争という形で問題を取上げるような法律上の立場に置かれておるわけであります。従いまして先ほど申しましたように、労使間の意見の食い違いだけが私どもの裁定の対象になるわけでありまして、労使間の意見の一致している部分つつきましては何ら私どもの意見を附加えるべき立場にございません。勿論同じような国営企業の当局の主張を一方において根拠といたしますから、従いましてそんな著しい企業間のアンバランスはできない理窟でありますけれども、それにいたしましても、それぞれ両当事者の言い分を基礎に判定を下しまするが故に、或る程度のでこぼこはこれはでき得る可能性を持つた仕組になつております。その点は人事院或いは大蔵省等がおやりになる方式と違うということを、制度の上の問題として御了承願わなければならないのではなかろうかと思います。併しながら私どもは人事院等のように、国家財政というものを一応別にいたしまして問題を考えるという考え方をとつておりません。即ち一つの企業体におきましての労使紛争でありまするが故に、常に支払能力ということを頭に置いて問題を考える、又考えるべきである。そういう立場をとつて来たつもりでありまして、若し仮にこれが民間企業であります場合に、労使紛争が起りまして、その場合に民間の例えば中央労働委員会等が、この程度であれば支払能力ありと認めると、そういつた線を私どもも頭に置きまして、勿論支払能力があるからといつて、又貸金をそのまま一ぱいに出すという考え方でないということは、前々申上げた通りでありますが、とにかく支払能力というものを一応考えまして、その企業性とからみまして判断を下して行つたものであります。勿論我々の僅かな人数で、急いでやつたことでありますからその点完璧でないということは我々も決して認めるのにやぶさかではございませんが、飽くまで考え方としてはそういう個別企業的な考え方から出ておるということを是非御了承願つておきたいと思うのであります。ややもいたしますというと権衡論が先に立つようでございますが、公労法のこの建前は批判の余地は幾らもあると思いますが、法律の建前からいたしますと、とにかく仲裁によりまして問題が原則的には片付くという建前になつておりますことからも、この裁定というもののできの良い悪いは第二段といたしまして、とにかく労働問題の性質上、一定の期間内に早く片付けるという法律的な制度になつておるという点も特に申上げておきたい点でございます。甚だ雑駁に亘りましたが、あとは御質問によりましてお答え申上げます。御了承願いたいと思います。
  5. 中川以良

    ○委員長(中川以良君) それでは只今の御説明に対しまする御質疑を行います。
  6. 藤田進

    ○藤田進君 勧告と若干の御説明はすでに聞いていた上に、只今裁定者としての立場から御説明があつたわけですが、若干質したい点がありますのでお答え願いたいと思います。飽くまでも個別企業という立場から労使紛争を解決するという点に重点が置かれているように伺うわけですが、今日の民間産業の賃金水準、或いは同種アルコール産業の賃金ベースを見ましても、今度の勧告が必ずしも要求などの点に振返つて見て多額とは感ぜられないのでありますが、労使紛争の解決には確かに単に理論的な、殊に数字論ばかりでは行かないこともわかるのですけれども、何かここにスケールがあつたろうと思うのです。例えば毎月勤労統計を一つの考え方の基礎に置かれたか、何かあつたと思うのですが、この金額を出されるに至る一つのアイデアとして、どういう点に基礎を置かれていたか、お伺いしたいと思います。
  7. 今井一男

    ○説明員(今井一男君) 具体的にこのアルコールの数字は、この裁定の理由の三項にございますように、毎月勤労統計のうちの全国規模計の平均基準賃金、そのうちの全体の化学工業賃金と、それからもう一つは政府がおとりになつております三十人以上の工場の男子、こういう賃金の両方を要するに睨んできめたのでありますが、我々こういつた賃金を出します場合に一番問題になりましたのは、化学工業の全体の賃金の動向が最近多少変調を来たしておる、こういつたことをどう織込むかという点でございますが、これは結局においてそこにございますように定期給与の月額の一年分の実数と、それから六カ月の実数と両方使つたいわゆる長期、短期の二本の傾向線、即ち今年になつてから上り方が非常に低くなつている、非常にではございませんが、成る程度低くなつている、そういつたことの両方の傾向を織込もうという方法によりまして、一つにおいて一万三千三百円という数字を押え、一方において政府が賠償価格決定の場合におやりになりますときと同じ方式によりまして一万五千という数字を押え、その両方を織込んできめたのが結論の数字であります。
  8. 藤田進

    ○藤田進君 わかりました。従つて毎勤が中心になつて、若干のコレクトがされているように思うのですが、私のほうの了解するところでは毎勤そのものが過去の統計の結論でありますから、今後半年乃至恐らく一年間、過去の通例から見まして一年間という賃金を策定するについては、いわば過去において物価、延いては生計費の上つたものについては漸く追付いて行くというものであつて、将来についての保障というものはこの面からは全然ないというふうに考えられると同時に、今度の勧告もその将来の物価騰貴、生計費の騰貴というものを予想計算に入れてあるとも考えられませんので、この点は要求はさることながら、勧告自身がさして日本の今日の賃金水準において不当なるものとも考えられないのでありますが、これに対して一方労使紛争の立場から、当局側の意見いろいろ裁定を出される瞬間まであつたと思いますが、御存じのように資金上というよりも予算上の問題から実施できないという状態で、結局最近の事情を見ますると、勧告に対して時期的にずれて一月ではないだろうか、これも確定はしていないようです、国会においても又御承知の通りでありますから……。併し一月からということになりますと、自然調停の四月、或いは仲裁の八月というふうにだんだんずれて来るので、結局は勧告通り金額において呑んだとしても、今のアイデアから考えて見て一万三千三百円というものが出て来た仲裁者の考えから見て、一月からこれをということになりますと、そこに本質的には勧告を呑んでいない。これは時期だけじやなしに、成るほど八月が一月になつた、こういうことだけでなしに、すでに金額自身のその間の指数の移動も無論ありまするし、殊に人的な変動ですね。日に日に自然退職その他ございますし、かなり移動していると私は見ているわけですが、こういう諸般の面から見て一月実施ということになれば当然勧告の内容、殊に金額などについても変るべきではないだろうか、こういう疑いを持つわけでございますが、仲裁者におかれてはこれらの事情はどのようにお考えになつておいでになりますか。
  9. 今井一男

    ○説明員(今井一男君) 最初のお言葉の通り、日本の一般の民間賃金朝鮮動乱以来物価の騰貴にかなり乗り遅れておつたことはこれは数字的に政府発表の統計によりましてはつきりしていると思います。併し近年それがだんだん又追い越しつつあるということも又事実のようでございますが、ただ物価が御存じのように今年になりまして、特に消費物価が変動を起しまして、この夏以来かなり騰貴しているということも事実のようでございますが、私は一応その点はできるだけの考慮を入れまして本年度の半ばというものを基準に置いたのであります。本年度の半ばの推定を一体当時数字がありませんからどういう方法でやるか、これはいろいろございますが、成るべく合理的に両者のいわゆる長期、短期等の傾向線を利用いたしまして、成るべく実際に近いものを推定しよう、併しそれは勿論その本年度半ばにおける民間賃金上り方、勿論民間質金のこの一年間の動向は、一年間の物価の上り方よりは多少上廻つておるようでありますが、その絶対額というものを想定いたしまして、それに基いて我々としては、賃金は少くとも今回の分は、額を弾く方法をとつたのであります。おつしやる通り、これが若しもその後の騰貴が、今後なお単なる季節的な、端境期の闇米の相場という問題にとどまりませんで、今後も物価が引続いて上る、その結果一般民間賃金も異常に上る、そういつた形になりますれば、私どもの想定が狂つてくるという場合はそれは起り得ると思います。又そういうふうに著しく狂つた場合におきましては、これは労使関係における従来の慣行に伴いまして、又それは何%の場合にいじるかは議論の余地がございましようが、それは問題になり得ると思つております。ただ我々としては、その当時までに出ました数字を根拠としては、できるだけの動向は織込んだつもりである。併し来年の一月からと伝えられますような米がどれだけ上るとかという数字は、これは織込んでございません。併し我々としては、少くとも民間賃金上り方のほうが、物価の上り方より或る程度高いからして、少々のものはカバーできるのではないか、かような含みは持つておる次第でございます。ただ八月からの実施を一月から実施したらどうかというお話につきましては、我々のほうはこれは八月まで切つたのは、先ほど申上げましたように特殊の事情で切つたのでありまして、一年間の全体の真中をつかまえてこの数字を出してあります。全体の賃金並びに物価というものが現在の日本では尻上りに上つて行く傾向にあることも、これも顕著な事実でございます。従いまして我々としては一年間を睨んでやつたものを、極く特殊な理由によつて前の若干分を削つたにとどまるのでありますからして、若しこれがそういつたふうに延ばされますようなことが起りますというと、これは裁定の趣旨とは全然違つたものになる、こういつたことを申上げなければならんと思います。
  10. 藤田進

    ○藤田進君 先ほど今井先生言われましたこの年度の半ばと言われるのは、現実にはやはり会計年度の半ばのお考えでございますか、九月ですか……。
  11. 今井一男

    ○説明員(今井一男君) 我々としては九月と十月の間というような観点です。丁度四月、三月の真中ということを狙いまして、一年の中間ということをきめた、そういう建前でございます。
  12. 藤田進

    ○藤田進君 そういたしますと、今御説明の中との関連ですが、調停案四月に対して八月という勧告をしたこのお考え、胸のうちは労使紛争の解決に重点がある、たまたま偶然的に調停案と金額が同一になつて来た、こうおつしやつておる。その四月乃至八月のズレというものは、要するにバツク・ペイの事後精算の困難性という点に考慮を払われておるように今お聞きしたのですが、出されておる勧告は九月二十九日でございましたかで八月実施ということでありますし、それから民間産業においても必ずしもバツク・ペイがさほど困難な、不可能に近いものではないというので、しばしば民間産業を扱つております中労委においてはバツク・ペイ、或いはバツク・ペイない場合には、その間は臨時給与のそれに相当する差額分を臨時にペイする、こういう方法をとつているのが通例だと思うのです。公労法関係産業においては、別に慣行があるといたしましても、すでに勧告をなさるときには九月でありまするので、而もその末になつておる二十九日でありますから、若干のバツク・ペイ止むなし、これで以てこそ労使とも紛争を解決されなければならんという確信のある仲裁裁定であろうと、お聞きするまでもなく思うのであります。従つて問題になつて来るのは予算上の問題というのであれば、当然公労法の建前、この法制の経過から見ても、政府としてはこの仲裁裁定を尊重し、そのためには実施への努力をしなければならんように思うわけでありますが、今日この点を考えて見ますに、実際にはさして政府当局が努力されているようにも思われないのであります。従つて仲裁者の立場からはなかなかお立場上むずかしいこともあるでありましようが、今日の段階、つまり十一月、かれこれ十二月の段階になつて、国会では予算上の問題をきめることになると思うのでありますが、バツク・ペイ、これはもう何と申しましても日がたつているのでありますから、バツク・ペイするかしないかの問題が技術上相当な論争にもなるように思います。従いまして要約すれば勧告の立場は、すでに九月二十九日に出されているのでありますから、バツク・ぺイ止むなしという立場を貫かれているようにも思われるし、現実の解決としてもバツク・ペイということが当然なされなければ、仲裁裁定の実施というものではない。たとえ一月から金額を呑んだとしても、これが仲裁裁定による解決、乃至はそれを政府が呑んだとは言えない。こういうことから考え併せますると、当然バツク・ペイはなさるべきであるし、そのことは困難では……、無論若干の事務的な手続、作業は必要であるけれども、不可能ではない。このように考えられるわけですが、このバツク・ペイに関連してお伺いいたしたいと思います。
  13. 今井一男

    ○説明員(今井一男君) 私先ほど申しましたのは、そのバツク・ペイが困難であるからいけないというような意味に申上げたつもりでは実はないのであります。勿論バツク・ペイいたしますと御承知の通りに或る程度の手数はかかりますが、又この手数に対しましては便宜措置がとれるのであります。特にこれが公務員の場合でありますと、法律によります非常に面倒な問題も引起しますけれども、この公労法の適用の場合には、その点は民間と同じように、団体交渉によりまして特殊な便宜措置も考えられますから、決して、バツク・ペイそのものということは、技術的な問題は若干ございますが、これは殆んど無視していい問題であると思います。ただ私どもが八月に切りました原因と申しますその意味におけるバツク・ペイは、少くとも労働組合が正式な案を決定して話を持ち出しまして、或る程度の交渉期間をかけて、そうしてその話がまとまつた場合に、その際にいつからやるかというような問題が起つた場合には、少くとも……、例えばここで申しますと五月に両者の交渉が行われているわけであります。この交渉を若しも当局側のほうで故意に引延ばしたという形があります場合には、その故意に引延ばした期間というものはこれは私どもは勘定を別にしなければならんと思いますが、そうでない期間を、或る程度の常識的な期間を加えまして、それより前に戻るという労使慣行というものは、大体まあ一般の例から申しましても望ましくないのじやないか。だから一旦話が普通の話できまりましたのを、実施するのが遅れた場合の遡及ということは、我々別に反対するわけでもなんでもございません。ですからこれは調停、仲裁という手続が非常に長くかかりましたために、そのために組合のほうが不利益を受けるということはこれはあつてはならない。併し組合が言い出すより前の期間へ遡るということは、これは特殊な労働協約があります場合は別でございますけれども、全然新規に持出す場合におきましては、その前に遡るということはこれは穏当を欠くのじやないかという考え方です。それともう一つは、先ほど申上げましたところの夏季手当という、従来よりも殖えた、昨年より殖えました特殊の給与、そういつたことも加味いたしまして、更にこのアルコール専売職員のほうも、公労法以外の国家公務員も若干数いるのであります。そういつたものに対する人事院勧告ということも考え併せまして、結局切つても八月まで、要するに七月以前を切るというのが要するに精一ぱいであるというか、可能であるということで切つたのでありましてバツク・ペイというものは如何なる場合でもいけない、そういう考え方を我々は少しもとつているわけではございません。この際といたしましては、あれこれ考えますと、八月実施くらいが一番両者を睨んで先ず話をきめるべき線である、こういつただけの趣旨でありまして、それ以外に別にバツク・ペイそのものを原則的にかれこれということの頭はこれは全然持つておりません。
  14. 藤田進

    ○藤田進君 そういたしますと、四月の調停、勿論要求より遡ることが当を得たものならばおやりになつたと思うのですが、これはいずれの調停、或いは仲裁の場合でも、いい悪いは別として、慣行としてはやはり要求が、その以後というのが大体相場になつておりますので、その点はそれといたしましても、調停としては一応四月からという要求の月を一応認めて、金額的にはこれを相当削除しているということに対して、若干日も閲している関係もあり、労使の紛争を解決するためには、組合としては不満であろう、或いは当局としては困難であろうけれども、八月から実施させるべきだというのが結論のようですが、その過程におきまして、労使双方にそれぞれサウンドもされ、ここで解決さるべきだという御判断が踏み切れるまでには、かなりの先生自身の御検討がありましたでしようか。労使それぞれについても意見を聞かれ、殊に当局側の源資的な面におきましても、かなりの時間を費されているようにも思うのであります。その仲裁裁定に出されるまでに、先生の御判断としてはこれだと思われるについての当局の態度が、それならば呑めるとは言わないにしても、努力して見ましようとか何とか……、そこに組合としては、組合が呑めるだろうという判断ですね、同様に当局に対して呑めるだろうという判断、これがやはり普通の場合は、調停でも、仲裁でもあるのでありますが、今回アルコール専売につきまして、当局に折衝せられた間に、源資的には、今日伝えられているところでは呑める、要するに予算上の問題だけだ、こう言われておりますけれども、アルコール専売に関しては、当局としてもこれならば……、先ほど御説明があつたように、賠償価格の移動なしに十分賄えるということは、先生だけの御判断でなしに、当局としてもどういう考えの模様でございましたかどうか。若しお差支えなければお伺いしたいと思います。
  15. 今井一男

    ○説明員(今井一男君) この理由書の三に書いてございますように、当局は仲裁の最後になりますまで、現行賃金を譲らないという態度をとつておつたのでありますが、最終的にそこに書いてございますような文書を頂きました。即ち経営者として調停案の額程度を穏当と認めると、穏当という言葉を使つております。併しながら留保があとのほうについておりまして、最終的な意見は述べることができない、こういつた……。実を申しますと、私ども、藤田委員の仰せのように、仲裁と申しましても、一種の労使紛争の解決の一手段に過ぎませんのでありますからして、でき得れば両方の間に立ちまして、極力話を歩み寄らせるということで、それでまあできれば案を出す前に、もう案そのものが両者からよろしいという形になつて出すということが、これは一番理想でございますが、ところが悲しいかな、公労法では、実を申しますと原則的に当局は如何なるものがいいとも、全然意見を述べられないのが慣例でございます。これは非常に我々としてもやりにくいことでございますけれども、今年はそれでは困るということで、どんなことがあつても、当局に一つ見解を述べてもらおうということで、八つの案件に対しまして、すべてこういつた式の御意見を全部伺いまして、又組合のほうもいずれかと申しますというと、これは私率直に批判すれば、スト権がない関係じやなかろうかと思いますけれども、組合大会できめられたものではなかなかこれを引下げられるのに苦労されるので、又今回のように八つも一遍に参りますと、我々としても一つの案件に対しまして、我々三人だけでやる関係から、而も三人の委員が全部出席しなければ委員会が開けないということにあつた関係で、そうそうたくさんの時間を割くことができません。大体一つ当り十回乃至十二、三回という委員会を割いたのでありますけれども、それだけでは両当事者の意見の聴取、並びにその意見の中における不合理点の指摘ということで、遺憾ながら精一ぱいでありましたので……というよりは、むしろその両者を同じ土俵に乗せるというだけで精一ぱいでありまして、組ませるまでには殆んど至らない形で結論を出さなきやならなくなつたということがございます。併しこれは私間接に伺つたのでありますからして、余りこの席で申上げることは適当でないかと思うのでありますが、組合のほうは、若し当局が調停案を呑んだならば、自分たちとしても調停案を呑んでもいいのだというような御意向であつたという……、これは噂でございますから、噂を私ども……、併しその噂は別にこの裁定の場合の根拠にはなつておりません……、噂を承わりました。併し当局はそれを全面的に蹴られたので、止むなく組合のほうも争いは好まないので、一つ仲裁へ持つて来た。私どもの何か係員か何かが、そういうお話を伺つたとかいうことを耳にいたしたことはございます。  それから最後の支払能力につきまして、一体予算でこれで賄えるか、賄えないかということでございますが、これは当局のおつしやつているお言葉そのままではございませんが、お言葉をひねくり廻し、又組合側の諸君のお話を又ひねくり廻しますというと、少くともそれには若干の条件、若干の努力が要りますけれども、努力さえ加わりますならば、これは尤もそのときの私どもが裁定いたしましたときと今とで、まあ二月ばかりたつてしまいましたので、時間的ズレもかなり大きい影響力を及ぼしますから、若しここで労使が本当に褌を緊められれば、そういつたことは十分可能だと、こういつたいわゆる私ども心証を得た、こういうふうに申上げてよかろうと思います。
  16. 藤田進

    ○藤田進君 そういたしますと、仲裁裁定によつて解決をされるについては、両当事者間にはさして問題がないように承わるのでありまして、あとは形式的な問題が国会に付されているような印象を受ける次第であります。そこで今までの仲裁、或いは調停などに対する弊害の点も若干お述べになりまがしたが、例えば委員会が三人構成であるために、これが欠ければ持てない、或いは又両当事者いずれにいたしましても、土俵にのぼるまでの時間であるとか、これには無論資料を出せと言つてもなかなか整わないという諸般の事情の総合したものは、結局調停になり、或いは裁定の期間が、非常に何と言うか、徒らに遷延してしまう、まあこういうことであろうと思うのでありまして、これは単に公労法による仲裁委員会、調停委員会のみならず、今日民間における地労委、或いは中労委においても同様であつて、こういうふうに四カ月、或いは解決まででは半年以上かかると、而もその時間がかかることが有利である側と、不利である側というものが現実に出て来るわけで、そこに持つて来てバツク・ペイは相成らんというような材料を含めて、結局要求月と実施される月とでは、大変な開きが……半年、或いは一年に近い開きがついてしまう。要求するときには、もう来年あたりの賃金だと覚悟しなければならんというようなことで、自然要求もその手加減をして、今すぐくれるならばこれで何とかやらなければならんが、併し来年の賃金になるかも知れないというようなことになつて、徒らに非常な悪弊を累積することになつて来ていると思います。同時に当局なり、或いは組合側もそうかも知れませんが、要求なり、或いは受入側の態度を容易に変更するということ自体が不利になつて来るということが、逆になかなか歩み寄りということを示さない。これは一面仲裁なり、調停委員会の権威にも問題があるのじやないだろうか。むしろそれらの権威が歩み寄りをさせないし、本質的な紛争の解決をむしろ阻害しているのではないだろうか。例えば容易に歩み寄ろうとして解決しようという熱意を出すと、出したほうが損をするというのが、ままこの寄せて二で割ると零と、要求との間において、寄せて二で割るといつた式の調停や仲裁がなされがちなので、今回はどうか知りませんが、従つて譲らないに限るということと、又調停、仲裁の裁定がなされても、それを尊重するとは言いながら、実際面でこれが実施されないということで、いわばその権威がないというところに、むしろ紛争を解決しないものがある。折角御苦労されて、調停、仲裁へと積み重ねられながら、今日容易ならん事態が出ているというのも、まさにその調停案や、裁定が尊重されて、而も実施されていないという点に問題があることは、これはもう明白であります。こういうことから考えますと、成るほど法律論としては仲裁裁定をお出しになれば、あとは受けた側の問題である、社会的にも……。こう考えられますけれども、併しこれをより権威あらしめるためには、仲裁委員長におかれても、この実現について、若し組合側が呑まなければ、呑ませるように、或いは当局が呑めなければ呑むように、何らかの御努力がやはり紛争解決という実体的な問題からすれば必要ではなかろうかと実は期待し、又そのことをお伺いしたいと思うのでありますが、法律上はいろいろ術もないと思いますけれども、併し陰に陽にこの仲裁裁定によつて問題が解決されるように御努力なさる余地があるのか、又従来の慣例からも、そのようなことは、出してしまえばあとはこれは受けたほうの側ということで何ら関知されないものであろうか、ここらのお心がまえを実はお聞かせ願いたいのであります。    〔委員長退席、理事海野三朗君着席〕
  17. 今井一男

    ○説明員(今井一男君) 法律的に考えますと、我々のこの仲裁委員会の考え方といたしましては、問題ははつきりしておると思うのです。で、むしろこういつた問題が、個別企業的に労使紛争を片付けるという制度がとられておりますれば、これは若干の不権衡が起ることはむしろ当然であろうと思うのです。これを権衡論的に一本で割切ろうとするならば、むしろ公労法の制度をおやめになるほうが、民間の賃金が幾らになろうが、藤田委員は大分中労委で御経験済みでございましようが、それはやはりいろいろな場合で多少でこぼこが起ります。又こういつた公労法を作りました最大の原因というものも、その企業の努力というもの、労使の努力というものが或る程度……、まあその程度は民間の場合とは、私は小さいと思いますが、或る程度賃金にも反映するというようなことになつて参りまして、それが結局において能率化という意味になれば、特別な企業制度を付与した、一番問題になつておる国営企業の能率増進にも寄与しようという、そういう一つの考え方で公労法はできておるのじやないかと思います。従いまして又法律から申しまして、調停と同じようなものを二度重ねるということは私は意味がないと思う。調停は両当事者のイエス、ノーも必要といたします。仲裁に対してはイエス、ノーを言わせない。こういつたことはもう法律にもはつきり書いてある。従つて、今の法律解釈をそのまま素直に読みますならば、私ども実を申しますと、現在行われておりますように、仲裁が出てからそれから完全実施運動なんというようなものが出て来ることは実に奇怪というような感じさえ受けているわけであります。併しながら、現実問題としては御承知のような事態が起ておるのであります。併し、この仲裁委員会の立場、私どもは、まあ法律によりまして仲裁制度ができ、その仲裁制度によりましてこの仕事をお引受けいたしておりまする以上は、極力我々の考えておる仲裁制度というものに忠実なのが我々の職責であろうというような見地から、お言葉ではございますが、やつぱり簡単に申しますと、裁定を出せば、あとの実施は法律によつて然るべく行くはずになつておる、こういつた考え方に立たざるを得ないのであります。その理由といたしまして、特に私は仲裁制度が飽くまでそれが政治的に扱われる、我々が政治的に介入するような形は極力避けなければいかんという考え方も一つはございます。又同時に、仲裁制度そのものが、法律の規定にもございますように、絶対に能動的に動くことを禁止されております。調停委員会は、時と場合によりまして職権斡旋も職権調停もできる。今がタイミングだとかどうだとか、仲裁は絶対にそういうことはやることは相成らんで、受身で、問題が持込まれたときにだけ、持込まれた問題についての意見しか言つてはいけない。私は法律的拘束力のある仲裁制度としては、法律のそういう書き方はむしろ正しいんじやないか、こういう法律の拘束力あるものがむやみとでしやばりますこと自身はこれは望ましくない、そういつた考え方からもこの仲裁制度の建前にはむしろ賛成で、御尤もと思つておるのでありますが、ただこれが予算上に引つかかります場合、予算の修正を要します場合におきまして国会の御審議を願うことになつておりますが、これは憲法上の建前からいたしましても、これは止むを得ないと思います。私も国会の御審議を願うことはこれはもう当然だと思うのでありますが、ただその場合に、私どもの立場から申せば、今申上げた権衡論は是非やめて頂きたいというお願いをしたいのであります。同時に、それはいろいろの理由で国会へ出すという法律の規定がございます以上、国会が独自のお立場で独自の御見解を以て或る処置をなされることはこれは当然だと思います。その法律の規定があります以上は、私どもの不行届きな裁定が一部時と場合によりまして実施できないような状態の起ることは、これは法律上頭に入れて置かなければならんとは考えております。おりますが、併しその場合には、少くとも制度上仲裁制度が最終ということになつております以上は、如何なる理由で、こういうふうな原因で、こういう見解で、こういうことが実施できなくなつたと言つて、理由だけは是非はつきりと特に組合に示してやつて頂きたいと思います。で、組合を納得させた上でそういつた措置をおとり願うように御配慮願いたい。これは衆議院におきましても、私ども特にいつもお願いしておる。そうやられます限りにおきましては、これは法律にとにかく国会へお願いをするという一定のルールがございます。国会が国会の責任におきまして独自の御措置をおとりなさることはこれは建前として当然だと思います。だから、私はそういつた御配慮は重ねて是非お含み願いたいというのがまあ我々の立場でございます。
  18. 藤田進

    ○藤田進君 権衡論については私も同感であります。現在の社会経済秩序から見て止むを得ないものがあると思います。それもまあ程度問題でもありましようが、併し現実の取組んでおりまするこの問題については、むしろ物価、生計費に追つつかないものを追つつかせようとする仲裁裁定でありますし、当面これは仲裁の法律上の効果からも組合側としてもこれを呑まざるを得ない。併し政府側においては、今日の議会政治、政党政治の実体、仕組から見て、政府が呑むまいと思えば国会の与党に働きかけをして、連絡をして呑まないようにすればいいのでありますけれども、一方にはちやんと抜け道がある。かといつて、国会の議決はどうあろうとも仲裁委員会が強制力を持つということには、一方今話されたような議論もありまするし、この調和が運営のよろしきを得て、初めて解決されるのだと思いまするし、なお又若し仮に法律上仲裁裁定が呑めないというような結果に不幸にしてなるとしても、これこそ組合側に対して納得の行く説明をしたほうがよろしいという御注意でありますが、なかなか納得する説明もですね、金はあるという状態の中にあつてむずかしいんではないだろうか、このように考えられるのでありますが、要するに、今日の実際取組んでいる問題のネツクとしては、これは非常に広汎な問題がまつわつて来て、この仲裁裁定が実施せられないという嫌いがあるように見受けます。でありますから、今後の仲裁委員会の制度なり、延いては公労法全体について検討するというような問題が、これは議論は全く一八〇度違つた立場から従来も出ましたけれども、今後も出るような気がいたすのであります。これを廃止するという意見と、強制力を持たせようとする意見ですね。これはすでに出ておりましたけれども、今回も又こういうことが機会に出るのではないだろうか。漸次罷業権の剥奪から仲裁裁定という、仲裁委員会制度から、更にこれをなくしてしまうという段階的な復古の状態が出て来るようにも思われます。又運営の面から非常に足らざるところを補なつて、労使紛争を例えば完全実施に関連する紛争というような問題の起らないようにということになれば、或る程度の強制力を持たせるとか、何らかの法的措置が必要じやないかという一八〇度違つた議論が出るわけであります。従つて、本件につきましては、私どもの立場からいたしますと、仲裁裁定の賃金がむしろ低きに失する、まあだといたしましても、その内容については必ずしも賛成できない面があるのでありますけれども、併し法律上はそれは両者において実施せらるべきだという建前でおりますけれども、将来の立法的な問題としては、先ほども若干むしろやめたらどうかというような御意見もあつたように思うのでありますが、これが若し今日のような違つた議論のある中でありますから、今井先生のそういう御発言がどのように活用されるか測り知れない状態にありますので、一方に今ほども言われましたむしろやめたほうがいいというのは、尊重されないような状態であればやめたほうがいいということで、そのあとをどうするかという問題が当然これはやはり補充されるべき議論がなければならんと思うのです。余分になるようですが、言及されておりますので、運用が今日の事態に当面いたしておりまする状態から、直接運用に当つておられまする先生のお立場から、いろいろな議論のあることも御承知の通りでありますから、何か今のやめてしまつたらいいというのはどういう御意見の下に言われておるのか、承わつたところの前後の議論からは私は明白なんだ、尊重されるべきだ、むしろされないようならという、むしろ何と言いますか、そういうところにウエイトがあつたようにも思うのですけれども、そこらについて立法的な観点から若干の御意見を伺いたいと思います。
  19. 今井一男

    ○説明員(今井一男君) 私の言葉の中にやめてしまつたらという意味合の下におとり頂きましたら、その意味は、私どもとしては、実はこの問題は政治問題でもなく、労働問題でもなく、むしろ法律問題だと、かように実は認識しているわけですが、それがやはりもつと権衡ということを別の角度からとる必要があるということのほうがより以上重大な要素があるということならば、それは個別的に両者の言い分を聞けば、これは言い分によりまして多少当局側にも甘いところも辛いところもあります。そうすればおのずから凹凸のできるのはむしろ当然だと思います。それよりも両者の言い分を聞かないで、一方的にぴしやつときめてしまえば一番問題はないと思います。そういう見地から行けば、それは公労法をやめたほうがよろしかろう。これは公労法のむしろそういう考え方を否認することになります。この否認はなまやさしい否認ではありませんで、団体交渉も否認することになる、こういう考え方に近い。とにかく各企業ごとに、その労使間の喧嘩の程度なり、その言い分なり、主張なりの根拠は違うのであります。その主張にくつついて行きますれば、これはおのずから或る程度の差が出て来ることのほうがむしろ当然なんであります。我々はそれを少くしようという努力を払つておるとくらいであります。併し又、仮に人事院とか、大蔵省とかというものが一つの物差でおやりになりましても、それならば果して公平なものができるかといいますと、これは前回にもここで問題になりましたけれども、いわゆる不合理是正というようなことが問題になつて来るので、私どもはそれがいいかどうかということについても疑問を持つておるのであります。それと関連いたしまして、我々として一番今までの苦労を申しますと、両者がなかなか実際上土俵に上がらない、上つても取組まない。そのために限られた三十日の間に非常な苦労をしたのであります。そうしたことは、一つにはスト権がないということが影響していると思います。それが民間の中労委といたしましては、私は余り経験がございませんので僭越かも知れませんけれども、行司役の一番重要なことはタイミングだと思います。タイミングのいいときに案を出すということが大事なんであつて、案そのものよりもタイミングのほうに重点があると思います。ところがスト権のない組合におきましては、これは先ほど申上げましたようにタイミングがございません。従いまして、飽くまで両者としてはまあ率直に申すと言いたいだけの理窟を言うということになると思います。そういつた形になりますので、仲裁はその意味においてはより手数がかかるものでございます。又率直に申しますと、スト権がありませんというと、ストに突入するというような問題のないために、組合としてもどちらかと申せば上げたい風船は極力上げるがよろしいという考え方になる傾向もあります。そういつた意味から、権衡上さかさまのものを、今のやり方から言うとさかさまになりますが、スト権は与えてしまつて、その代り、一定の規模以上の紛争のある場合にはそれをチエツクするという別の考え方もあるのではないかと思います。併し単に私としては事業主が国であるからというゆえんを以て非常に妙なチエツクをすることは少しおかしいのじやないか。特に今の公務員という観念は、昔の公務員という観念とは全面的に違つております。御承知の通り、戦前におきましては天皇の官吏でございましたので、公務員対政府との関係は公の公法上の契約であるというような議論でございます。ところが今の公務員の政府に対する関係というものは全く私の雇傭契約と何ら選ぶところがないし、又この間私も研究し、人事院にもお伺いしてわかつたのでありますけれども、極端な例を申しますと、少し脱線ぎみになつて恐縮でございますが、例えば或るお役所で増築祝等にその近所の女給さんを借りてお給仕に使つた。半日間使つた。その女給に半日間のチツプを与える。その間その女給さんは国家公務員であります。今の法律ではどうしてもそうなるのであります。そういつたように、とにかく公務員という観念は全く私法上の雇傭契約と変らないような仕組になつておる。たまたま雇主が国であるからというゆえんを以て、それほど労働法上の差をつけていいかということにつきましては、私は相当基本的に労働法学的に議論の余地があると思う。もつと特殊な、いわゆる公の国の行政権的な立場に立つ人は別かも知れない。今の公務員というものは、国から何らかの給料さえもらえば一時間働こうと、一日働こうとこれは全部国家公務員である。そういう建前で国家公務員はできております。余計今の労働法とはその点問題になると思いますが、別に私といたしましては、国営企業、公社といつたようなものの能率性という角度から又公労法を考える必要があるのではないかということを考えております。又日本の将来がどうなるか存じませんが、とにかく国営企業というものはいずれかと言えば殖えて行く傾向にある。而もこれが現在のように皆さんから非能率だということが言われていることは何とか排除しなければならん。そういう立場に立ちますと、この企業にできるだけの自立性を与える。自主性を与える。経営者に責任を与える。その代り、その干渉度は或る程度少くする。少くともお前のところはあそこと比べて百円高い、或いは二百円安い、そういつたことまで賃金の干渉などは私は最も控えるべきではないか、かように考えるのであります。少くとも国会におきまして、アルコールならアルコールにつきまして、年に十億なら十億という予算の枠を与えるならば、十億で何キロ、こういうキロリッターという事業計画を承認される。これは少くとも日本におきましては国会という最高機関で一つのオーソライズされた枠であります。その枠内において、物件費に余計使う、人件費に余計使う、人件費の中で高給者を雇う、安い月給の者をうんと使う、そういうのが経営者の腕の振いどころ、企業の能率が増進されるゆえんであります。時と場合によりましては、或る程度今年はどうもあの予算が甘かつたのであそこの連中の賃金が少し割高になつたというようなことも起るかも知れない。併し毎年々々国会で厳重に審議を願うのでありますから、私は一年か二年の間にはそういうふうな不合理が起りましても、それは調整されると思うのであります。それを本当の企業努力で、労使が協力いたしまして、そのできたもののうち一部は労使間で賃金として還元されるという立場が確立されますと、そうすると今の官業の非能率ということもよほど根本的に変るのじやないか、働いても怠けておつても賃金は同じだ、これは極端に申しますというと、公務員の従来の賃金のやり方であります。そういつた式に権衡論はかりで押すことは、決してこういつた国営企業や公社の能率を増進させるゆえんにならないのじやないか、そういつた意味から、やはり個別に企業の内容とをからみ合せながら、事績とからみ合せながら多少の、私は多少と申します、決して野放図なことを申しませんが、多少の凹凸というものがむしろあるほうが望ましい、こういつたことは、国会の御審議というものを経て決定される、こういつたものにおきましては、多少半年一年の違いはあつても、最終的には必ず公平なものができ上るに違いない。そういつた見地からは、むしろ又現行制度というもののやり方を、権衡論を一応捨てまして、その予算の枠ということで、当事者に自由活動をお認めになるという行き方も、その角度を主として考えますというと、一つの大事なポイントじやないか、そういう気もするのであります。従いまして、いろいろ立法論的にも意見はございますが、今これが一番いい方法だという決定的な考えは私どもは持つておりません。
  20. 藤田進

    ○藤田進君 他の委員からも御質問があろうかと思いますので、私はこれで一応切上げいたしますが、いろいろ今後仲裁委員会等にかかる問題もありまするし、又法律改正その他の問題も出て来ると思いますので、折に触れて運用の衝に当られておる仲裁委員長とされまして、何分の時宜に適した御処置をお願いいたしまして私の質問を終りたいと思います。
  21. 海野三朗

    ○理事(海野三朗君) 海野委員が質問いたします。今井委員長にお伺いいたしますが、仲裁裁定の基準と申しますか、この公務員の生活の水準はどこに置いて御決定になつたのでありますか、その根拠をお伺いしたいと思います。
  22. 今井一男

    ○説明員(今井一男君) 公務員と仰せになりましたが、公務員と言つてもアルコール職員だろうと拝聴したのでありますが、結局におきまして我々は民間の同種産業の一応平均どころというものの絶対額、それにおいてバランスをとろうというのがこの三にございますように、このアルコールの結論でございます。ここにもございますように一部には確かに高いところもございます。ございますが、併しながらそれには又調整をしなければならんいろいろな要素がある、一部には極端に低いのがある。それらのどのほうも、これは両者からいろいろ資料を頂きました、どれも片寄つておりまして、私どもとしてこの一つで当否をつけるということは妥当でないと、かように考えまして、そこでアルコールに属します化学工業の賃金というものを一つ押える、又一方において政府が発注をなさる場合における、民間の酒精工場に根拠をとられた数字、その数字というものを根拠にして一つ考える、その両方睨み合して絶対額というものを一応出そう、絶対額と絶対額と対比させる、こういう考え方が中心になつて、今度の結論が出ております。
  23. 海野三朗

    ○理事(海野三朗君) この生活の水準はどこに置いたかを今お伺いしたのでありますが、賃金の問題がこれで妥当である、まあ各方面を参酌してこの辺ぐらいでいいとお考えになつたといたしますと、私どもの考えから申しますと根底というものが至つてぼんやりして、おるように考えられるのであります。その根底はただほかのほうを参酌して漠然ときめた、この辺でよかろうというふうにお考えになつたか、まあそれ以上御説明を承われないかも知れませんが、そのことと、枠内での御判断のように聞きましたが、そういうふうな裁定の仕方は、果して仲裁裁定としまして正しいあり方であるのかどうか、それともう一つは、つまり時間のズレというものがあります。労働組合からの要求したときから相当の時間経過して、これを判断された、それが偶然にも大体近寄つたというお考えでありますけれども、非常にずれておるのではないかというふうに考えるのであります。又政府のやり方は一月からというような、これでは約一年、九カ月もずれておるのである。これは例えば金の値段にいたしましても、金一匁五円であつたやつが、年々貨幣価値の下落によつて、只今では金一匁二千円を超えておる、これは一朝にしてできたのではなくて、時間に従つてだんだんここに貨幣価値の下落がした、そうして見れば一月から実施ということを政府案が考えておるようでありますが、そうすれば、そこの間に非常な考えのズレがある。つまり裁定されたほうにも、少くとも或るエツクスだけの時間のズレがあるように思うのでありますが、この点については今井委員長は如何ようにお考えになつておりますか。
  24. 今井一男

    ○説明員(今井一男君) 最初の問題でございますが、第三に書いてございますように、若し化学工業全体の賃金というものを一応推定いたしますと、一万三千三百円程度が、これは全化学工業でありますが妥当である。一方において三十人以上の工場、その工場の而も男だけを引抜いて考えますと、一万五千円くらいが妥当である。併しそのいずれを取ることも妥当ではない。そこでその中間を選んだというのが、これがこの結論になつておるわけであります。細かい理由は省略いたしますが、結果的にはそういうことであります。その際にさて一体どのくらいの生活水準になると考えたかどうかという仰せでありましたが、その点は私ども十分に考えました。即ち組合はマーケツト・バスケツトから生活賃金を弾いておるのでありますが、私どもも少くとも労働者がこの賃金で、一体どのくらいの生活ができるかということにつきまして、関心を持つのが当然でありますからして、一応民間賃金との比較ということを根拠にいたしますけれども、検算的に賃金が幾らで、どのくらいの標準生活費であるかということにつきましては、これは検討を加えたのであります。加えましたが、併しその標準が相当組合の言うことと違つております。即ち私どもの考えました標準生活と申しますのは、いわゆるC・P・S、即ち日本におきまして、政府で御発表の資料並びに厚生省調査の栄養調査、即ち主食からどのくらいのカロリーが取れるか、副食からどのくらいのカロリーが取れるか、都市では大体三対一が常識でございますけれども、そういつたことを根拠におきまして、相場はそういう国民が一般に買います相馬を基礎といたしまして、而もその物量は組合の考えておる物量を頭におきまして、それでいわゆるエンゲル係数は、これは一般国民の水準を用いまして、それで標準生計費というものを算出いたしました。標準生計費というものは、併し日本の家計調査が全部占めておりますように、それのうち世帯主がいわゆるレギユラーペイで、それを賄なつているという例は、極めて限られておるのでありまして、平和的に申しましと、世帯主のもらつている勤労収入は大体九〇%しかカバーしておらない、あとの一〇%は家族が働くとか或いは又内職をやるとかいつたようなものでカバーされているのが現在の日本の現状でございます。批判の余地はございますが、とにかく現状は現状でございます。而も世帯収入というものの九〇%のうち主なものは無論基準賃金でございますけれども、基準賃金以外にも若干の起動その他のものがあるわけでございます。そういつた全国的な睨み方で果してこの賃金を引直して見るとどうなるかと申しますと、先ず大体その線に落ちるという検算はいたしておりまして、勿論こういう計算でありますから、我々として一%、二%の相違も絶体にないということはこれは申上げかねますけれども、その点さえ若し御勘弁を願えますならば、とにかく日本国民生活水準の内容をそういつた意味合におきまして要するにカバーできるという検算は一応しておる次第であります。  それからこれを考える場合に支払能力のほうからばかり考えたのではないかというような第二の御質問でございましたが、私どもは一応はそういうふうな賃金の関係から調べて行きまして、そうしてその結果支払能力のほうとかみ合せまして若しそれに突当る場合には又こちらに戻つてやるという考え方をしております。今回のアルコールにつきましては、我々として考えておる賃金の考え方、それを出しまして、そうして持つて来たところが予算の〇・七%でありまして、その点から言つたら顧慮するに当らないということを枠内で斟酌したという考えはアルコールにつきましてはございません。支払能力は検算は一応しましたが、支払能力から逆算したものではございません。  それから時間のズレの問題でございますが、一万三千三百円とか、一万五千円とか、民間賃金の我々の推定は、本年度の半ば、九月と十月の間ということを基礎におき推定を加えております。推定でございますから、これも若干食い違いが起つていることはあり得ますけれども、当時の材料としてはできるだけの材料をまとめまして、推定を加えておるのでありまして、その意味におきましては、本年度全体をカバーするのは、普通のに状態であれば先ず差支えがないという仕組になつておるつもりでありますが、ただ先ほど藤田委員の仰せのように、若し一月からいろいろといろいろの物が上る、それが非常に家計にはね返る、そうすると大体一年間をこのくらいの角度で上つて行くという角度が、それじや足りなくなる、こういう事態が起りやしないか、こういう御心配を仰せになりましたけれども、これは上り方如何によりましては、そういつた事態は起り得る。併しまあいずれも確定しておりませんので、今のところそれがどうかということは申上げかねますが、これは影響はし得るのでありますけれども、或る程度の物価の値上り、それに伴う賃金の値上りということは、今申した線において織込んである。かように申上げられると思うのであります。
  25. 海野三朗

    ○理事(海野三朗君) 今年の八月が妥当である。こういうようにお考えになつたのでありますが、今現在十一月の末になつては、やはりこの裁定された値というものは正しくないじやないか。それよりもつと増加しているか、減つているか、これは正しくないのじやないかという疑問の一点がございます。そのこともお伺いいたしたい。八月から実施すべきものである。そういうふうにお考えになつたのでありますが、現在はもうそれでいいのかどうかということの一点、それからこの裁定されたお金というものは、かくあるべきものであるという御見解に立つておやりになつたのであつて、その予算とか、そういうことは全く抜きにしてお考えになつたものであろうと思うのでありますが、労働組合の生活、そういうことをお考えになつて、かくあるのが当然であるというふうにお考えになつたのでありますか、その予算とか、金が余つているとか、そういうことは更にお考えなくておやりになつたものでありますか、この点ちよつとお伺いいたしたい。
  26. 今井一男

    ○説明員(今井一男君) 八月というふうに私ども切りました理由は、先ほど申しました要求の額と、並びに夏季手当の内容からでありまして、それが、今と推定の数字が違つてやしないかというお話は、これは私ども恐らく推定でありますから、現実の姿と必ず違うと思います。我々のほうが多少甘くなつているか、辛くなつているか、とにかく我々としては、この裁定を出しますまでに得られました一番近い数字を基礎にして、九月、十月の半ばというものを推定したのであります。その点は違いは出て来ると思うのであります。併しこの点はもう労使間の賃金をきめます場合には如何なる場合でも起り得る問題であります。これは勿論非常に違つた場合におきましては、それを変えるという方法も勿論考えられるのでありますけれども、そういつたことをやりますと、これは切りがないものですからして、そこで極力従来の経験等も生かし、いろいろな線も引きまして、成るべく当る率の多い、違つても違う差の少ない、これを決して悪意的にどつちへどう曲げるという意味でなくて当りまして、そこの差は翌年で調整をするというような行き方をとるのが労使間のむしろ慣行でございまして、細かに申しますと、毎月々々変えなければならんという議論も出て参ります。そういつた立場をとつておりますので、先ず今のところでは、私どもそうこれによつてどちらが儲けたというほどの、それほど言うだけの差もないというふうに申上げられると思います。ただ一月以降若し何か問題が起りますとこれは別であります。そういつたふうに御了承を頂きたいと思います。  それから支払能力のほうの関係は、私どもの申上げました通り、民間賃金からいつたらどうか、即ち化学工業の全工業よりは或る程度高い、併し政府が発注される場合の大きな工場の男の賃金だけよりは若干低い、そういつたような線が妥当だということで答えを出し、それに生活費を加えて行つて、生活費を検算をして見て、その点から見ても先ず妥当だ、こういつた結論を出したのでありまして、結果的に支払能力と比べて見まして、これが若し民間給与でありますならば恐らく問題なく、どこの労働委員会でもこの結論をそのままお出しになつたろう、我々そういつた確信を得ましてそのまま採用したのでございまして、決して支払能力を別に逆算したものでは全然ございません。
  27. 三輪貞治

    ○三輪貞治君 今の支払能力の問題なんですがね。先ほど一瞬初めに御説明になつたときもお触れになりましたが、このアルコール専売の経理内容から見て、アルコールの売渡価格の値上げをもたらすことなく支払い得るという御見当の上にこの裁定をお出しになつたというふうに私は了解をしているわけであります。又そうでなければこの公労法から見ましても、ただ単にそういう御見当なしに、而も十六条によつて予算上、資金上不可能であるという結論でこれが実施されないということになれば非常に権威のない裁定になりますから、これは当然のことであると思うのであります。そこでアルコール専売の経理内容から見て、アルコール賠償価格に影響を来たさないで支払い得るという結論をお出しになつた根拠ですね、これを数学的にお示しを願いたい。どういう点で、政府のほうで言えば予算総則給与総額をはみ出るから困るとか、いろいろな問題もあろうと思います。併し仲裁委員会においてはそういつたような予算の追加もしなくて、なお且つアルコール売上げ価格の変動も来たさないで支払い得るという結論に到達されたわけでありますから、これには明らかに数字的な根拠があると思うんです。どこから出して支払い得るか、八月一日から実施し得るという結論をお下しになつたか、この根拠をお示し願いたい。これは重大でありますから、これがあれば政府はこれを聞かないという理由は毫も存在しないことになるわけであります。
  28. 今井一男

    ○説明員(今井一男君) 給与総額には勿論突当るのであります。給与総額は御承知の通り、年度当初大体何円べースで年数をかけて行くのでありますから、その意味では給与総額には無論ぶつかります。その意味では給与総額というのは大体総則できめられておりますから、この修正にはどうしても、否でも応でも国会で御承認を願わなければいけないことになつております。併しながら私どもとしてこれを民間の企業と同じ立場におきまして、支払能力というものを検討し、その結果労使のこれは若干の努力は必要なんでございまして、決してあるだけの物件費は幾らでも使つちまう、或いはそのほか物の買入値段その他におきましても、石炭その他の消費面におきましてもこれを予算通りに全部使つちまう、こういうことをいたしますれば余裕がないのは勿論申上げるまでもないことでございます。併しながらとにかく人件費は僅かに一〇%程度でございまして、そうして特に若しもアルコール価格を維持するということが、私ども専門家でございませんので、アルコール専売事業の本当の趣旨というものをよく存じませんけれども、若しアルコールの価格ということが非常に価格の安いことが使命でありますれば生甘藷問題等につきまして或る程度の御配慮がありますれば、これはむしろ簡単に行けるのじやないか。更に又当局も組合のほうも、どちらも認めておられるのでありますが、又我々も資料を拝見しましたところ、民間に発注されている民間の工場よりも官営工場のほうがコストが低い、こういう資料が出ております。従いまして民間の発注量と直営工場との発注量との操作によりましても一%以下程度のものは、これは簡単に可能である。又更には、今の労働組合の諸君の決心を私ども伺いまして、とにかく賃金を上げるためであるならば、我々としても歯を食いしばつてもやりたいというような意向も私ども伺つております。勿論これは数字として、今ここに数字を持つておりませんから具体的にそれが幾らということはちよつとお答えいたしかねまするけれども、後ほどこれは差上げてもよろしうございますが、とにかくそういうふうな角度から具体的に細かい数字に触れませんでも、私ども従来多少予算をいじつて来た人間の体験から申しまして〇・七%程度のものは少くとも半年の間に真剣な努力があればできないことはないということは……。又当局の御説明も伺いました。御承知の通り責任者になりますというと、いずれかと申しますれば、収入は極力内輪に見積り、支出は極力外輪に見積る、そういうことにいたしまして、それで安全率を見られる。これは当然の立場でありますが、その結果いつの場合におきましても、いろいろと若干の余裕は出て参るのでございます。で、過去二、三年のアルコール専売事業の決算を見ましても、そういつた実績が窺えます。そういつたこと等いたしまして、直接当局が最終的に上げる必要はない、こういつた確認を頂いておるわけではございませんが、それはまあ当局としても、そういうことは恐らく立場上おつしやらないでございましよう。併し当局のお出しになりましたいろいろの数字から、今申上げました角度を含めまして検討して参りますというと、〇・七%程度の予算の処理がつかないということはあり得ない。従つて特に重点でありまするところの原材料費に力を向けられるならば十分可能である。従いまして若しも国会のほうでアルコールは単価を上げることは相成らん、その範囲内でやるのならやつてよろしい、こういつたような御意見でございますれば、恐らくその線に従つて労使は必ず善処するに違いない。かように私ども考えております。
  29. 三輪貞治

    ○三輪貞治君 その際に、この裁定を完全に実施したといたしましても、三千万円足らずの予算の追加で人件費が済むわけであります。そこでアルコール専売の予算を見ますと、予備費が相当にあるわけでありまして、四千五百万以上のものがあるわけであります。この予備費についての御検討をなされたかどうかお伺いしたいと思います。
  30. 今井一男

    ○説明員(今井一男君) 予備費も私どもは一応頭の中に入れました。併し私どもの考え方は、予備費よりもむしろ従来のいろいろの実績……決算等を見ますというと、年によつてのいろいろの努力もございますけれども、原材料費のほうにむしろ重点を置くべきじやないか。予備費ということは、勿論使つて差支えないものと思いますけれども、できるならば最後まで予備費というものは保留して、万一の場合に備えたいという意味で、予備費をすぐ流用しようという考え方は実はアルコールにつきましては頭の中に持たなかつたのであります。
  31. 三輪貞治

    ○三輪貞治君 その原材料費によつて賄い得るという御判断は、一方的に諸般の事例等からお考えになつたのでありますか、それとも当局との御相談の上でそういうことが可能であるという結論に立たれたのでありますか。
  32. 今井一男

    ○説明員(今井一男君) 勿論原材料だけではございませんが、こういつた問題は、当局から少くとも従来の実績につきまして、いろいろ御説明は伺いました。又組合の諸君からも現状、従来の経営振りにつきまして詳細なお話を幾たびか伺つて、そういつたことを中心にいたしまして、私どもで最後の判定を加えますというと、この程度のことは、これはどうしても覚悟が要ります。これはまあ率直に申上げて、官営企業にはおおむね率直に言うと悪い癖があるのでございます。これはいずれかと申しますと、イージー・ゴーイングと申しまするか、何かそういつた新規の支出が起りますと、今までの支出を全部そのままにして、新規の支出を、よそに何か財源を求めようという傾向がございますが、これは非常に私は望ましいことではない。労使の意気込みから申しまして、これは私どもやつてやれるということは労使からのいろいろの詳しい御説明を伺つている間に得ましたいわば心証と申して一番よろしいと思います。
  33. 海野三朗

    ○理事(海野三朗君) ほかに御質問はありませんか。仲裁委員会に対する質問は一応終了したものとして差支えありませんですか。必要がありましたら他日再度御質疑を願つてもよいのですが……まだ労働組合のほうと通産当局に対する質疑が残つていますが、時間も大分たちましたので休憩いたしたいと思います。如何でございましよう。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  34. 海野三朗

    ○理事(海野三朗君) 御異議がなければ一時半から再開いたしたいと存じます。  暫時休憩をいたします。    午後零時四十六分休憩    ―――――・―――――    午後二時十四分開会
  35. 中川以良

    ○委員長(中川以良君) それでは午前中に引続き、只今より再開をいたします。  先ず最初に、アルコール専売労働組合側の御意見を承わりたいと思います。それでは蔵野中央執行委員長にお願いいたします。
  36. 蔵野晴

    参考人(蔵野晴君) 私は只今御指名になりましたアルコール専売労働組合中央執行委員長の蔵野でございます。当アルコール専売労働組合は本年一月公共企業体等労働組合法の改正に伴いまして、これの適用を受け、通商産業省のアルコール特別会計職員を以て組織されておりまする唯一の労働組合であります。以来労働条件につきましては、この法律の定めるところにより団体交渉を行なつて協約を結んで参つております。然るところ、本年四月以降の賃金改訂につきましては再三団体交渉をいたしましたのですが、政府当局の拒否と相成りまして、五月十一日団体交渉を打切り、五月二十日公共企業体等中央調停委員会に対し調停申請を行いました。七月十七日に至り、漸く同委員会の調停案が示されましたが、この調停案は当組合の要求に対しまして余りにもかけ離れておりますので、受諾しがたい旨を八月五日同委員会に対し回答いたしました。なおこの点につきまして先ほど今井仲裁委員長の申述べられましたように、当時の状況としましては、我々としまして紛争は極力避けるべきであるという考え方から、若し政府側がこの調停案を呑むならば組合側としてもこれに従うという考え方もあつたということは事実でございます。政府当局は同日やはり同じように受諾困難の回答を調停委員会に出しておりますので、八月六日の調停は打切られ、同日組合側は公共企業体等労働関係法の規定によりまして、仲裁委員会に対し仲裁裁定を申請いたしました次第でございます。同委員会で御審査の結果九月二十九日に、今回の仲裁裁定一万四千二百円がなされたのであります。この裁定によりますれば当組合の主張は一歩も前進しておりません。金額は調停案と同額ではありますが、調停案では二十八年度の賃金ベースは一万四千二百円とし、四月から実施ということになつておりますのに、仲裁裁定では八月以降一万四千二百円となり、誠に当組合といたしましては納得いたしかねるものでございます。併しながら、仲裁裁定に対しましては当事者双方とも最終的決定としてこれに服従しなければならないという法律の建前から、当組合としましては誠に不満ではありますが、当面これの完全実施につきまして当局側に迫つたのでございます。然るところ、政府当局は予算上資金上実施不可能なりとしてこれを直ちに実施しようとはせず、国会の御審議を求めておるのでございます。当組合といたしましては今回の仲裁裁定実施につきましては、その額が同種産業の賃金とは比較にならん低額であり、又一般公務員と比べても決して不当のものでなく、むしろ低位にあるのではないかと考えております。又裁定実施に必要な源資は別途御説明申上げますが、給与総額の点では給与総額の変更の点につきましては多少問題がありますが、現行の予算総額を増額することなく、この範囲内でできると考えておりますし、更にべース・アツプのために、これが原因してアルコール需要者に迷惑をかけるようなアルコールの価格の値上げを行わなければならないような要素はいささかもないと判断しております。こうような状態でございますから、この際事情を十分御審議頂きまして、仲裁裁定の完全実施の御決議のあられんことを希望いたします。なお源資の問題につきましては賃金対策部長の青木君から御説明申したいと思います。
  37. 中川以良

    ○委員長(中川以良君) それでは引続き青木組合書記長にお願いいたします。
  38. 青木金治郎

    ○参考人(青木金治郎君) 只今御紹介になりましたアルコール専売労働組合書記長並びに賃金対策部長を兼ねております青木でございます。主に源資の点につきまして御説明申上げるわけでございますが、その前にその前提となる二点についてあらかじめ御承知おき願いたいと思います。  先ず第一点は、官側が仲裁段階におきまして御答弁なさつた内容でございます。即ち先ほど今井委員長からも御説明がありました通り、調停案は妥当であるという御説明をなさつております。それから第二点につきましては、組合の裁定に対する態度でございます。これは只今委員長のほうから申上げましたように、組合としては金額並びに実施期日の点で非常に遺憾に思つている点もございますが、裁定が公労法の定めによる最終的決定でありますので、又これと同時に従来政府当局が裁定をどうしても尊重しようとしないということから、もう少し裁定を権威あらしめたいという組合側の気持からしまして、この際は組合がみずからこれを尊重する態度に出ましてこの完全実施のために闘おうというふうに決定いたしているわけでございます。  以上この二点の前提の下に当組合が裁定実施に要する源資、これが明らかに予算上資金上支出可能であるという点で御説明申上げたいと思います。先ほど専門員室のほうから資料をお配りしてございます。なおこの資料は、先ほど衆議院で御説明申上げましたのと、それから議員のかた個々にお配りしましたのと、初めに作つた資料と只今配りました資料は多少異なつておりますが、これは官側の計数と照合いたしました結果、双方に多少ミスプリントがございましたので、整理いたしましてほぼ完璧な数字でございます。  では第一点の裁定完全実施に要する金額はどれほどの金額であるかという点で御説明申上げます。組合で計算いたしましたものは大体二千九百三十五万円程度でございます。この内容は以下給与総額補正算定表に詳しく掲げられております。この際これがどの程度のベース・アツプ率になつているかということを御説明申上げますと、現在の成立予算では、一月一万二千九百八十九円というベースになつております。これは年間を通じた予算上のベースでございます。現在は定期昇給その他によりましてそれより若干上廻つております。この一万二千九百八十九円と一万四千二百円の裁定とを比べましたときには、ベース・アツプ率は一〇・九%になつております。即ち裁定で上げて頂くのは一割ちよつとであります。ところで現在の給与は、先ほども申しましたように、これよりも若干上廻つておりますから、実際のベース・アツプは現行の一〇・九%よりも下廻るわけでございます。この点は、只今問題になつております人事院勧告の点とほぼ同様な現象がここに現われておるわけでございます。この算定表によつて算出いたしました二千九百三十五万というこの内容でございますが、これは裁定を八月から実施さして頂く。それからいわゆる年末手当は大蔵大臣が当初公務員には一・二五カ月分を今年は考慮しようということを言明されておりましたので、これは当然我々も頂けるものだと思いまして一・二五で計算させて頂きました。ところがこれは現在に至りまして、先般の閣議決定により一般公務員は一・二五であるけれども、公労法適用者は一カ月分に削られているわけでございます。これは後ほど御説明申したいと思います。組合が計算しましたのは二千九百三十五万でございます。仲裁委員会では大体二千二百万程度と踏んでいるようでございます。それから当局側は完全実施した場合はどの程度かと申しますと二千百万程度、この数字と組合側との間に多少開きがございますが、これは年末手当を所定の一カ月分に組むか一・二五に組むかという数字で、その開きがこういうふうに現われて来たものが大部分でございます。以上要するにうちのアルコールの裁定を完全に実施いたしますためには二千九百三十五万円の源資があれば十分賄つて行けるということが言えるわけでございます。  次は源資の点でございます。この源資は現行支出予算の予備費から六五%を流用させて頂ければ十分賄い得るということになつております。予備費について説明申上げますと、当初の予備費は政府原案によりまして三千万になつておりました。ところが先々国会におきましていわゆる改進党修正がなされまして、予備費が四千五百三万七千円に増額されました。これはいわゆるアンバラ是正実施のため必要な源資も含んでおります。で、この予備費は、一部少額の支出予定分を除きますと、その殆んどが給与総額に流用し得る性質のものでございまして、事実上或る程度のベース・アツプを予定して計上されたものであると推測いたしているわけでございます。なおこの予備費以外にも、各項目について詳細説明いたしますと、相当の余裕金が指摘できるわけでありますが、余りにも低い裁定額でございますので、もはやこれ以上指摘するまでもなく、予備費の点で説明すれば十分ではないかと思つているわけでございます。なおこの裁定を実施したために売渡価格の値上げをもたらすことはないかという御懸念があるかも存じませんが、これは又後ほど説明申上げますが、値上げどころか新賃金を要求いたしまして三回に亘つて値下げを行なつております。これは一に企業努力によるものでございまして、特に先般十一月の十六日付で改訂されましたものは、非常に大幅な値下げでございます。この値下げになりました価格にも、十分この裁定程度を実施するための人件費は見込んであるというふうに組合では期待をいたしているわけでございます。以上、裁定及び年末手当の一・二五その他諸手当に及ぼすはね返り分を計上した金額が二千九百三十五万、この二千九百三十五万は予備費の六五%を給与総額に廻して頂ければ足りるという御説明を申上げましたが、この際組合がこの裁定並びに裁定以外の諸手当類につきまして要求をしているのがあるわけでございます。それは一つ宿日直手当が現行三百六十円の打切りになつておりますのを、やはり超過勤務手当のような算出の方法を加味いたしまして、これは八百円くらいに増額して頂きたいということと、それから石炭手当が現在非常に実情に副わない点がございますので、これを世帯主三・五トン、その他は一・二、これを購入できる額にして頂きたいということ、これは八月の二十日に札幌の地方調停委員会が国鉄、それから全電通に対しまして、この両程度は明らかに北海道において必要だというふうに勧告書を出されている数字そのままのものでございます。それから三番目といたしまして、特殊勤務手当、これは本年初めて我々が頂いたものでございますが、これが予算額が非常に実情に副わない点がございますので、取りあえず総額を五割増にして頂きたいということ、それから職員特別手当、これはいわゆる年末手当でございますが、今の閣議決定の一カ月分、これは現在の生活の窮乏を救済するには余りに低いので、やはり組合要求の二カ月分を成るべくなら頂きたいという、これらの四点でございます。これを加味いたしまして計算いたしました数字が四千六百八十五万円となつております。この金額を源資について考えて見ますと、予備費と国債整理基金特別会計繰入の三千五百四万円の操作によりまして十分賄つて頂けるということになつているわけでございます。  以上申上げましたのは、裁定とそのはね返りは勿論のこと、組合の要求の全部を満たし得る金額が明らかに予算上資金上、而も現在成立されている支出総額において賄つて頂けるということの説明をいたしたわけでございます。  なおこの際団体交渉の過程におきまして、当局側から正式に拒否の回答をいたされましたその理由は三項目ございますが、先ずこの三点について若干組合の態度を表明いたしたいと思います。  その一つは予算上資金上不可能だという点でございます。これは確かに給与総額は上廻りますので、この点は国会の御考慮に待つことになりますが、成立予算の中で見ますと、単に項目の変更をして頂くだけでこれは十分賄えるということは只今申した通りでございます。  それから一般職との関係がある。一般職の職員の給与と関係して考えなくちやいけないという点でございますが、これは非常に本質的な問題でございまして、一般職との給与のバランスのみについて考えて頂くならば、なぜ公労法が施行になつたかという点をその前にお考え願えればその点で解決するものとこちらでも思つておるわけでございます。  それから価格改訂に影響する、いわゆる売渡価格の点に影響があるというふうな御回答でございますが、これはこの回答がまだ本年当初でございましたので、引上げその他の現象と矛盾するようなことでございまして、これは先ほど申しましたように、三回に亘つて引下げが行われておりますので、これで十分御納得して頂けるものと思つておりす。  以上申上げましたように、組合は裁定を尊重するという建前をとつております。又官側も調停案程度は妥当だと申されております。予算も十分あるわけでございます。こういつた情勢にありながら、これが等閑に附せられるということは、先ほど今井委員長もおつしやつたように、これは公労法の精神に全くもとるものでございまして、この裁定ということは各事業のやはり内容について御考慮願えなければ公労法の精神が死んでしまうのではないかという気がいたすわけでございます。  なおこの際今も申上げました企業努力の点について若干触れておきたいと思うのであります。当組合の日常モツトーとしておりますのは、これら労働条件の改善と共に、事業自体の繁栄ということを最大の眼目にいたしているわけでございます。このために全職員は挙げて懸命な努力を尽しておるわけでございまして、その成果は着々と挙がりまして、新賃金を要求いたしまして以来、すでに三回のアルコール売渡価格の値下げを行いました。特に十一月十六日からは一挙一割以上の値下げを行いました。これらを通算いたしますと、当初の二二%の値下りを行なつておるわけでございます。これは明らかに私たちの熱烈なる企業努力の結集が如実にこういうふうな数字となつて現われておると申上げても差支えないのじやないかと思つております。こういつた我々の企業努力に報いるものは何か、これは明らかに裁定を完全に実施して頂き、年末の窮状を救つて頂くということにあるのではないかと思うのに、政府当局は裁定を延ばし、或いは年末手当は一般職よりも悪いものを支給するというようなことで、明らかにこういつた企業努力に水をぶつかけるようなことを閣議で決定をなさつております。こういつたことは我々合法的活動を建前にしております当組合といたしまして、挙げて遺憾に存じておる次第であります。  以上縷々述べましたが、主に源資の点について十分鮮明して頂いて、御考慮あらんことをお願いする次第であります。
  39. 中川以良

    ○委員長(中川以良君) 有難うございました。  それでは次に政府側の説明を伺う順序でございますが、仲裁委員会並びに労働組合側から説明がございました。これで殆んど尽きておると存じますが、それと重複しない程度で一つ簡単に政府側より経過の説明を承わりたいと存じます。なお御提出になつておる資料についての説明等がありましたら、それらも同時に併せてお願いをしたいと思います。
  40. 中村辰五郎

    ○説明員(中村辰五郎君) 只今委員長から御注意がございまして、大体仲裁委員長並びに労働組合の中央執行委員長並びに書記長の説明で経緯は尽されておるように感じます。私といたしましてこのアルコール専売事業の従業員が非常に熱心に企業能率の向上に努力して参つたということは、これは私どもも深く感謝申上げねばならん点でございます。ただこの際問題の裁定に至るまでの経過につきましては改めて申上げませんが、終始このベース・アツプの問題につきまして私の立場として考えて参りました重要な二、三の点についてこの際御説明を申上げたいと存じます。  第一点は、これはアルコール専売事業の、事業の性格についての実質論でございます。アルコール専売事業は御承知のように非常に古い歴史を持つておりまするが、アルコール事業が我々の行政乃至は産業界に対する関係を最も深めて参りましたのは、戦時――第二次世界大戦を契機といたしまして自動車用燃料としてのアルコール生産ということでございます。当時全国に相当多数の工場を作りまして相当厖大なるアルコールを、御承知の甘藷或いは馬鈴薯というものを原料といたしまして生産を開始、拡大いたしたのであります。御承知のように終戦になりましてこれらの燃料としての重要性というものを喪失いたしまして、アルコール事業を今後如何なる方向に持つて参るかという点に重要なる関心を持たざるを得ない状況に相成つたのであります。従いまして終戦後の専売アルコール事業に対します我々の産業政策上の見地からいたしますると、従来の自動車燃料としての見地から一般化学工業の原料として将来の生命を培養し得るや否やという根本問題に立至らざるを得ないのであります。このことは取りも直さず従来の自動率然料としての立場から化学原料という立場に移りまするので、当然そこに非常に価格上の問題が重要視されねばならん段階に立至つて参つておるのであります。このアルコールは、御承知のように、エチール・アルコールは一面酒税、酒との関係がございますが、専売事業としてのアルコールの将来を考えますと純粋工業原料としてのアルコール事業ということに持つて参るという考え方で進んで参らねばならんと思いまするので、これが競争関係に立ちますアルコールは、或いは石炭或いは石油というものを原料といたしまして同様のアルコールを製造し得るのでございます。そのいわゆる国際的規模におきますアルコール事業が今日最も注目を引いておりますのでは、石油から参りますアルコール工業でございます。これは第二次世界大戦後におきます国際的に見た非常に著しい化学工業の中心課題となりました石油化学工業が勃興しつつある、而もこれが国際的に相当大幅に各国にそれぞれ伸びつつある、こういうことでございます、この事業との関連を考えまして、私は従来のアルコール事業に対しましてできるだけの合理化と国際価格への鞘寄せと申しますか、その企業努力を最大の関心事とするその見地からいたしまして、先ほどから発言ございましたが、本年に至りまして三回に亘る価格引下げをいたしました。朝鮮動乱の当時は非常に国際的にアルコールの価格も高目に移動いたしましたが、朝鮮動乱後におきます現在の状況を前提といたしまして考えますると、大体アメリカにおきます石油化学工業のアルコールは四万五千円から五万円の程度でございます。昨年の秋と記憶いたしますが、当時相当国内の甘藷が高い関係もございまして十万円を遥かに越すような政府払下価格でございました。併し当時国際価格も、先ほど申しましたように、低下の傾向をとつて参りましたので、国際価格との比較は倍或いは倍以上というのが実勢でございました。私はこのような国際価格を前提といたしまして、而も今後の化学工業の勃興に対して重要なる役割をするアルコール事業というものは国際的に見てやはり日本の産業を培養するのにふさわしい価格にでき得るものでなければならない、こういう意味合においてこの倍以上になる国際価格の少くも五割高ぐらい、或いはそれ以下にするのがやはり必要ではなかろうかというような一つの見通し論を持つておるのであります。この見地からいたしまして十万円以上のアルコール価格を本年の五月と思いますが、そのときに九万六千円程度に、次に本年の第三回目でございますが、これには先ほども非常に大幅と言われましたが、工業用の原料としまして八万三千二百円という払下価格にいたしました。十一月の十六日、それ以前にアルコールの価格を、アルコールの需要を喚起する意味合で、輸出に対する特別価格制度をとりました。これは当時無煙火薬の特需があつたのでございまして、無煙火薬が当時国際的に見まして非常に日本は割高でございまして、特需を引受ける関係からいたしましても原料面にできるだけ安い措置をとりたいという気持から、やはり輸出用の原材料として使われるアルコールは特別価格を作る、こういうことを本年の五月に実施いたしました。これが当時八万三千円でございまして、その価格を今度の十一月の十六日には七万五千円に引下げたのであります。このような措置をとりまして国際価格に対する鞘寄せというものをいたして参つたのであります。併しその価格にいたしましても、なお先ほど申しましたように石油法によります四万五千円乃至は五万に対しましてはまだ一般的には非常に高い、こういう感じがするのであります。  それでこの価格を、私は率直に申上げますが、やはりもう一割ぐらい一つ引下げる措置が講ぜられないかという工合に考え、いろいろこれに対する方法を検討いたしているのでございます。このような国際価格に鞘寄せするという一般論に伴いましてなお最近特に私が心配いたします問題は、アメリカにおきます石油化学が……。今日日本で非常に御承知のように石油精製事業は戦前或いは戦前以上にも復活しつつございます。これらの石油精製事業が化学工業をやつておりますものと相提携し、或いは独立してこの石油化学自身が国内に誕生しつつある、こういうことでございます。これは昨今非常に具体的に取上げられまして各方面でそれぞれ企業化に対する検討を進めている段階でございます。勿論これが生産価格がどの程度に追い付くかということは企業それ自体の将来の問題になりますので簡単にこれを申上げることはできませんが、私はやはり規模においては確かにアメリカの規模に劣る石油化学工業ではございますが、価格的には相当国際価格に近い価格で生産される段階が近いのではないか、こういう工合に考えまするので、私はアルコール専売事業の長い目で見ます産業としての安定性から、私は価格引下げということについての第一信条として参つたのでございます。この点につきましては調停委員会或いは仲裁におきます審議の際におきましても私が強く主張して参つた一点であります。従いまして先ほどこのような価格引下げができる状態にあるのでありまするから、先ほどの裁定の実施等についての源資は当然考えられるのじやないか、こういう意見が一面成立つかと思うのであります。併し私は問題の中心といたしまして、この国際価格に対する合理的鞘寄せということが何をおいても重要なことである、こう考えまして私は裁定の審議の際におきましてもこの点を強調して参つたのであります。裁定の理由書の中には、原料のいもについての措置を考慮すれば適当な資金はいつでも得られるのじやないかというような工合に論ぜられておりますが、私はこれらの原料の値下りその他につきまして、現在こういつた国際価格或いは今日の化学工業の現状ということから見ましていささか見解を異にするものでございます。その点が従来又現在におきましても私は本問題の処理について実際の考え方として特に強調したい点でございます。  第二点は先ほども三つの反対理由として述べられたうちにございましたが、これは一般公務員との権衡という問題でございます。この点につきましては考えの基礎におきまして公労法の実施ということがありました以上は、これは企業の特性からそれぞれ生かして行つたらいいんじやないか。その特性を生かして行つたらいいんじやないかというお考えがこれは当然起る点でございます。併し、これは現在の専売行政の中におきまして、一面公労法の適用を受けますもの、又受けないものもございます。又一般通産行政というものの枠の中に、或いは形の中に、アルコール行政というものが取扱われております。まあ実際の面も考えますると、やはり一般公務員との均衡ということを考えなきやならんじやないかという工合に考えるのであります。なお、この点につきましては、勿論公労法の精神というものも一面ございます。又我我は、現に実施しておりまするアルコール専売事業特別会計法の第十五条の二に、通商産業大臣が職員に対して、これはアルコール専売事業に携わる職員でございますが、これに対しては給与準則をきめなければならない。そのきめなければならん場合には、一般職職員の給与等を考慮して定めるというような工合に謳われてもおりまする関係もございまして、私といたしましては、公労法の適用の上に、又一般職の職員との均衡ということについて考慮をいたさねばならん、こういう考えがございまして、調停及び仲裁委員会についてもこの点を特に強く主張したのでございます。  第三には、勿論これは法律的な問題でございますが、給与総額というものが予算総則にございまするので、先ほども本仲裁裁定を完全実施いたします場合に、八月以降といたしまして、大体我々の計算によりますと、二千三十一万何ぼということでございまするが、この程度の給与総額というものから見ますると、現在の予算総則の示しております給与総額を超えまするので、この見地からも、まあ裁定の実施ということは国会の御審議を待たねばならない、こういう工合に考える点もございまして、仲裁並びにそれについての前提になりました調停に対しまして、通産省といたしましての見解を述べて参つたわけでございます。
  41. 中川以良

    ○委員長(中川以良君) それでは只今までの御説明に対しまする質疑を伺います。
  42. 海野三朗

    ○海野三朗君 私は大蔵大臣と通商産業大臣の出席を要求いたします。このことにつきましては、私は大蔵大臣と通商産業大臣の御所見をはつきり伺わなければならないと思いますから、若し今日出席されないならば、明日、明後日の間において大蔵大臣と通商産業大臣の御出席を要求いたします。
  43. 中川以良

    ○委員長(中川以良君) 只今の海野君の御意見に対しましては委員長はできるだけ一つ御意見に副うように努力いたします。
  44. 藤田進

    ○藤田進君 労働組合の委員長さんと局長さん、両方に御質問いたしたいのですが、先に局長さんのほうからお願いしたい。  先ほどの御説明によりますと、国際価格への鞘寄せという二とがかなり重点になつている。いわゆる国際価格に比して日本の製品がコスト高にあるということの説明がありましたので、これは取りも直さず本勧告について今日ここに審査いたしておりまするので御承知のように、だから呑めない、勧告が呑めないという説明にもなつたように聞えたのであります。その点最後の締めくくりでは、予算上のいわゆる総則の枠があるので議決を求めるというふうにも言われておりますが、細かい問題はあとでお伺いするとして、一体どういう議決を求めるという考えなのか。だから総則を変更して、枠を拡げて、これが呑めるように議決してくれという意向なのか、国際価格への鞘寄せが重点であるから、上げる、この勧告を呑むことはできない、その趣旨を体して否決してくれということになるのか、その点からお伺いしたい。
  45. 中村辰五郎

    ○説明員(中村辰五郎君) 只今の御質問でございますが、国会にかけました真意はどこにあるのだ、こういう御質問でございまするが、仲裁裁定につきまして、予算上の問題、或いは実質上の問題、或いは一般財政との関連、或いは一般公務員との均衡というような非常に総合的に全面的に検討いたさなければ結論の出ない問題でございますので、この問題につきましては、十分国会自由なる御審議を願うという意味合において国会に提案したような次第でございます。私は今事務的ないろいろな重点につきましての事務的なる報告をいたしましたが、こういう点につきましても十分御留意を願いたいという意味でございます。
  46. 藤田進

    ○藤田進君 手放しで自由にしてくれというように聞えるのですが、それはまあ無論お考えに拘束はされませんけれども、少くとも大臣の答弁などからいたしましても、又木仲裁裁定に書かれておる文章からいたしましても、当然これは妥当なものであるという趣旨であるようでありまするし、調停乃至仲裁裁定はこれを尊重したいというので、熱心な意見が出されていたんで、当然公労法の建前からいたしましても、何とか実施できるように政府として尊重したいのであるから実施できるようにしてもらいたいという意向があるのではないかと思うのですが、それとも尊重しないつもりですか、この勧告については、簡単に言えば。
  47. 中村辰五郎

    ○説明員(中村辰五郎君) 問題が、先ほども申上げましたように、非常に総合的ないろいろの角度から議論をいたさねばならん問題でございますので、例えばアルコール専売事業の経営という見地からだけ考える場合と、一般産業政策との関連、或いは一般公務員というような点を考えますると、そこに仲裁裁定を尊重するという建前には変りはございませんが、やはり慎重に御考慮を願わねばならない問題が多いじやないか、こういう工合に考えておるのでございます。
  48. 藤田進

    ○藤田進君 細かく参りましよう。なかなか尊重するということと内容が違うように聞えるので。この裁定にも書かれておりますし、先ほど組合のほうの説明もありましたが、人件費の占める割合というのは一〇%程度ですね。普通の産業というのはかなり大きいです。これが六〇%、七〇%、少くとも二五・六%、こういう人件費の割合です。それからこの勧告によつては約一%の影響、こういうことが書かれております。その総額においても一万四千円何がしということになると、どの点から見てもこれは呑めないという議論が出て来ない。一応予備金の点は別といたしましても、これが要する源資、与える影響その他これはなかなか問題になる、こう考えられるわけです。従つて組合の先ほど説明をお聞きになつておるし、資料もお持ちかと思うのですが、このコストの中に占める割合が調停案に書かれているということについての御異論があるかどうか。一〇%ですね。これらの数字的な点について若し調停案の中で御異論があるならば、先ほどこれは甘藷生産の、いわゆる甘藷ですか、原料であるこれを減らすという点については見解を異にするという点はわかりました。これは調停案とはぶつかつていると思います。仲裁裁定とは食い違つている。それ以外に今のような数字について御異論があるということであれば、その点と、それからアメリカの例で、大体倍近く或いはそれ以上のコストだと言われていますが、日本の場合は、かような人件費の占める割合だし、わかつたのですが、アメリカの場合は設備が非常にいいから、人件費の割合が少いということは言えるかも知れません。私は実は余り知らないのですけれども、比較された単価についてアメリカの原価の割合ですね、人件費、経費とかいうようなことなどからしても、これは人件費はいけないという説明がつくかどうか、取りあえずそれだけ……。
  49. 中村辰五郎

    ○説明員(中村辰五郎君) 数字の見方の問題について先に申上げます。理由書の末項と記憶いたしますが、人件費はコストの一〇%ということが書いてございます。これは一つには、抽象的に申上げますと、原料価格の非常に高い、例えば一昨年のいもの価格はたしか一貫目三十九円ぐらい、昨今はこれが二十五、六円じやないかというような、非常に農産物につきましての価格の移動がございまして、併し最近は御承知の農産物価格安定法ができました関係もございまして、将来につきましてはこのような動揺があるとは考えられませんが、実績で一応申上げますと、二十七年度に人件費が二四・九%を占めております。一〇%と申しますのは、恐らくはこれはいもの価格が非常に割高であつた当時の数字ではなかろうかと思うのであります。二十七年度は二四・九%でございます。それからアメリカの醗酵アルコールと、石油から来ました産業的に極めて競合した産業の場合におきます醗酵法によります今専売法でやつている場合のような事業形態、それから石油価格から行きましたものとの一番デリケートな、参考に相成るかどうかわかりませんが、詳しい労務費その他がわかつておりませんので、御参考に一言申上げたいと思いますのは、合成ゴムの場合でございます。合成コムの製法にはいろいろございますが、アメリカにおいて企業化された主な企業といたしまして、石油系のものと、とうもろこし或いはその他の農産物から来るアルコールからいたしての醗酵法によるものとの値差が一ポンドにつきまして、醗酵法によるものが三五%と記憶いたします、石油によりますものが一七%のように記憶いたします。平均いたしまして、たしか、この数字は少し違う点がございましたら恐縮でございますが、醗酵法によりますものが漸次退却して参りまして、極く近い機会におきましては石油系が生産総量のたしか八五%、醗酵法が一五%程度になつたかと記憶いたします。平均天然ゴムとの価格差を考慮に入れまして、アメリカ政府は二十三セントで払下げをいたしている状況でございます。これはアメリカにおきまして企業化いたしました場合における醗酵工業と石油工業との相当大きな産業分野におきまして結果的に価格の上に著しい差異を生じました実例でございます。  私は我が国のアルコール専売事業の将来性ということを真剣に検討いたしました場合、一面に特に風水害地帯において特殊農産物として、非常に地方農民に重要な影響力を持つております甘藷というものを、最も合理的に生かすという方法をやはり考えて行くべき面があるのじやなかろうかという工合に考えるのでありまして、この面からいたしましていもが高かつたら糖蜜か何かにやつたらいいじやないかというような、私の解釈が間違つているならば訂正したいのでありますが、そのような印象を持ちます点がございましたので、それは、先ほど私は原料に関しましての見解は多少異なる。私はできるだけこういつた農産物安定法ということまでいたしますものに対しましては、やはり需要としての安定性を持たせる意味合で、アルコール事業というものの事業の安定を期するようなことをなすべきではなかろうか、こういう意味合におきまして私は国際価格という問題を、単にそれを作る輸出品の価格に対する影響というような見地だけで、この問題の影響を論断いたしたくないということを先ほど強調いたしたのであります。
  50. 藤田進

    ○藤田進君 何か利潤追求の、資本家が言われるような安定法ということが即人件費に結び付けられているので、ちよつと変な感じがするのですが、公営企業としましてはそれはそれとして、先ほどの一〇%の人件費というものが二四・九%になつている、こうなりますと人件費総額というものは恐らく大して殖えていないでしよう、若干昇給もあつたでしようけれどもね。これはここに書かれているように大して殖えていない。組合のほうの説明でも、若干平均ベースは上つているといつても、人件費総額というものは変つていないはずです。一方生産量のほうを見ると、これも低下していない。こうなつて来ると、わかりますか、人件費は二四・九%になつてしまつている、一〇%であつたものが。ということになると、これはちよつと原材料のほうで大変な合理化ができているとみなしていいと思うのです。いいですか、そうなりますと一〇%占めていたときのコストが幾らだつたか知りませんが、先ほどは何でも八万三千円ですか、或いは最近十一月十六日で七万五千円幾らですかね、こう言われているので、数字的に食い違いますよ、恐らく。計算してごらんなさい。数字的の説明はつきますか。二四・九%の人件費になつて、そうすると価格というものは相当コストが下つていなければならないのです。
  51. 乙竹虔三

    ○説明員(乙竹虔三君) 只今の数字の点、ちよつと補足説明をさして頂きます。只今局長の申しました数字は、二十七年度の官営工場の生産費中に占めます人件費の比率でございます。二十八年度はまだ決算ができておりませんが、これは大体二〇%程度と推測しております。  それから仲裁裁定書のほうに引かれております一割という数字は、私たちのほうは御承知の通り官営工場で約半分の生産をいたしまして、約残りの半分は民間工場に特許工場及び委託工場がございますので、民間工場に委託生産させまして、これを賠償価格で買上げているわけでございます。そういたしまして全部のものをプールして売渡価格をきめて売るわけでございますが、総売渡価格中に占めます人件費、つまり役人の人件費の比率が約一〇%程度になるということでございます。
  52. 藤田進

    ○藤田進君 そうしますと二十八年度は二〇%になつて来た、これは一般経費の節減になると思うのですね、大体そうして全体の賠償価格と官営、この合計が一〇%ということになれば、やはり調停案はその意味でしよう。全体のコストを書いておりますから……。それはわかりました。仲裁案の点は、さして、ただ説明如何によつて、若干数字が違うということだけで、先ほど言われたお答えがないのですが、アメリカのコストの割合についてのお話でしたが、そこにおける一体国際価格のそういつた高低は、一般論として人件費が非常に不当に高いというものでないと、私どもは科学的に証明できると思います。むしろ原材料、或いは設備、こういつたマテリアルの設備といつたようなことが、非常に国際価格に影響しているのです。何の場合でも従つてアメリカの例を引出し、国際価格を論じ、よつて仲裁案に慎重な態度とこうなりますと、何だか日本の人件費が高いようで、言い換えれば政府自身がソーシヤルダンピングを、まさに言うと言わんとの違いで考えていると、こういう印象を受けるわけですから、その場合、コストに占める割合が一〇%乃至二〇%と言われておりますけれども、二〇%にいたしましても、非常に少ないものですよ。これは従いまして、諸外国の例が、人件費の割合吉の例です、わかればちよつとお聞かせ願いたい。
  53. 中村辰五郎

    ○説明員(中村辰五郎君) 私がアメリカのアルコールにつきまして言うと、日本のアルコールにつきましての国際価格の比較でございますが、これは私の舌足らずと思いますが、日本のアルコールは御承知のように、馬鈴薯、甘藷とか、或いは糖蜜という、そういう農産物を原料といたしまして、醗酵法によつて作りますアルコールでございます。アメリカで今日アルコール原料として、先ほど申しました大きな原料となつておりますものは、醗酵法によらざる石油のレホルミングと申しております。そういう原料及びこれに加工するものは全然別個でございます。従いまして企業間の人件費の違いというような意味よりも、醗酵法によります製品のコスト、近代化学工業の最も先端を行つております石油化学工業から来ますアルコールの製品としての価格、この差というふうに御了承願いたいと思います。
  54. 藤田進

    ○藤田進君 これは単価の総括原価についてはわかるのですが、今人件費の割合について、答弁があつたので、アメリカの場合は言わないで、日本の場合に二四・九とか、或いは先ほど訂正されたと言うか、補足された二〇%ということになつております。そういう観点からすれば、当然アメリカの場合だつて、総括原価の中に人件費というのがあるわけですよ。それは醗酵法にせよ、合成法にせよ、その精製の手段はいろいろあろうけれども、私どもの感じでは、やはり日本の国内の労働賃金のバランス、或いは公営八社等に今度問題になつておる権衡論、一般民間産業との関連において論じられて見ても、これは皆さんがつとに調停裁定委員会で言われておるように、この調停案或いは延いては仲裁なるものが、そんな不当なものではないというふうに言われているにかかわらず、この席では国際価格だ何だと言われて、何だかこの仲裁不当であるかのごとき印象を受けますので、他国の人件費も一応参考までに聞いて見たいというふうに考えて見たのですが、御用意がないように見受けられるのでこの点は止むを得ません。そこで予備費の問題ですが、これについて組合の説明は先ほどの通り、流用を取りあえずして、これは予算上の問題を解決する。それから無論資金でもそうですが、これは新年度からの予算総則の枠を考慮すれば、資金上、予算上、いずれの面から見ても、仲裁案を尊重する。要するにその裏付けをするということが尊重することなんだから、従つてこれは当然国会議決を待つまでもなく実施もできる。併し予備金については恒久的なものでないから、無論新年度等については議決を要するだろう、こういう趣旨の説明があつたように思うのです。予備金について組合と見解が違うのではないかと思うのですが、その点について予算上、資金上、予算の面で絶対に予備金の項目流用ができないという何かありましたら根拠をお示し願いたい。
  55. 中村辰五郎

    ○説明員(中村辰五郎君) 予備金の額につきましては、先ほどの労働組合の書記長の御発言の通り、四千五百万ほどございます。これをどういう使途に当てるかという問題につきましては、現在御承知のように期の途中でもございますし、将来の問題に対することも考えねばなりませんし、これを直ちに他の費目流用の措置をとり得ないというのが今日の考え方でございます。なお事業の経営者という立場からいたしますと、やはり先ほど来、いろいろな原料費の値下り、或いはその他の問題から、逐次価格というものの引下げをいたし国際価格の鞘寄せを推進して来ておりますが、今後数ケ月におきますこれらの原料その他の価格推移というものの見通しにつきましても、未だ相当例えば糖蜜のごときは値上りするのではなかろうかというような印象を受けますものでございますし、かたがた期の途中でもあり、これが流用によつて簡単に使用するというような立場に今日置かれていないとこう申上げたい。
  56. 藤田進

    ○藤田進君 この予備金について四千万円余、それから所要資金は一億三千万円足らずとあつて説明されておりますが、組合資料は……。確かに予備金については必要があるということで直ちに流用できない。併しあと年度末まで僅かしか残されてもおりませんしいたしますが、今日明確に予定し得る金額として人件費に流用できない、他に使う明確な一つの固定的なものがありましたら当然これは予備費から出さなければならんというようなものを差引いて残りを今日予定し得ないというものがあるといたしましても、これを取りあえず固定しているものはどのくらい予備金から出すことになるかという点の数字の説明をお願いしたい。
  57. 中村辰五郎

    ○説明員(中村辰五郎君) 目下のところこの四千五百万円中から他の使途に予定いたしておる確実なものはございません。やはり残された期間における新らしい予期せざる費用に当てるということが主たる狙いのものでございます。
  58. 藤田進

    ○藤田進君 そういたしますと何かありそうな説明だつたものですから……。これは流用できない……。ところが何か出て来てもこれは予期しないものに必要だからといつて今のような理由で出さなかつたら全然使わないということなんです。やはり予備金の性格上若し会計法その他、私はよく知りませんが、お宅の場合にこういう規則なり何なりに縛られて予備金は使えない、人件費の流用罷りならぬという理由があつたら示してもらいたいということなんだが、それをお示しにならないし、何に必要になるかわからなのでという説明では、年度初めならともかく、過去の慣例から見ても予期せざるものが出るという説明がつくでしようが、恐らく地震でも来たり何かすれば別ですが、それは別の問題で、天災地変は……、もう少し親切な答弁を願いたい。
  59. 三輪貞治

    ○三輪貞治君 それに関連して、この本年度予算の審議のときに、実は予算総則給与総額というものは相当問題になつたわけです。これが事前にきめられて枠がはつきりしてしまうと、将来の給与引上げ等についての一つの束縛になるのではないかというようなことで、相当問題になつたときに、いやそれはそういう必要があつたときには、これは幾らでも改訂できるものであるというようなことで、決して一つの既定事実を作つて、それによつてもうこれは上げられないのだという御説明があつて、不承々々納得したようなことだつた。そういうことから考えると、その当時予備費の中にどういうふうなことが考えられたか知りませんが、これは給与の引上げ等も一応一つのフアクターとして考えられなければならない問題だと思うのです。その場合に、一体給与の引上げをしなければならんような場合には、一体出すお考えだつたのか、それから又現実、私はいつからか知りませんが、政府はこの裁定案を尊重して、いつからか出そうと言われるならば、やはりこれは総額を増さなければならない。その場合に、一体どこから出そうとされておるのか、それを一つお伺いしたい。
  60. 中村辰五郎

    ○説明員(中村辰五郎君) 問題の技術的な処置という観点から見ますと、勿論裁定通り実施するか、或いは裁定と違つたような実施が現われるかどうかというような、事の如何によりましては、どういうところから資金を捻出するかということが考えられると思うのであります。併しこれからの政府の方針もございまするが、国会自由なる御意見の表明によります結果に従いまして、この給与総額というものはいずれ殖やす場合にはこれを変更しなければなりません。その際に殖えます金額に対して、或いは予備金から出すか、或いはその他の恒常的支出というような性質のものでもあり、本年度実施いたしましても、来年度に対しましては、勿論これが基礎になつて来る。相当経営的な支出としての性質を持つていますので、その間の資金の流用と申しますか、或いは捻出ということにつきましては、これらの方針のきまるところに従いまして、更にこれが考慮を加えて参りたいと思います。
  61. 三輪貞治

    ○三輪貞治君 そうしますと、これは次の臨時国会に出されるのではないのですか。臨時国会で、給与総額の変更をされる場合にやられるのではないのですか。悠長にこれから国会の意向がきまつてから考えましようなんという問題ではなさそうです。もうきまつていると思うのです。政府が、八月からやるのは当然だが、併しいつからかわかりませんが、いずれにしても百円出すのも千円出すのも、同じ出すということについてはそれをどこから出そうとしておられるか。国会の意向というような悠長なことでなくて、きまつておると思うのですよ。その点明らかにしてもらいたいと思います。それでなければ意向も何も出ませんよ。
  62. 中村辰五郎

    ○説明員(中村辰五郎君) 給与ベースの一般的な措置につきましての予算措置ということにつきましては、勿論政府といたしましてもこれが決定を急ぎまして、臨時国会にできれば提出いたす、こういうような情勢であることは御承知と思います。これらの政府の大綱、方針のきまつた、いわゆる予算上の技術的な措置ということにつきましては、我々として事務的に検討いたしておるのであります。勿論考え方といたしましては、額にもよりまするが、比較的予備金からこの際出しておくというような方法が、予算技術の面から言えば比較的妥当かとも考えるということだけを申上げるのでございます。
  63. 三輪貞治

    ○三輪貞治君 そうしますと、この際は予備金からでも出しておかずばなるまい、それは妥当な方法であると思うというようなことになれば、大体わかります。そうなりますと、それは何月からやるかというようなことになりますと、これは実際出せる額があるわけなんですね。非常にそうすると予備費というものは、将来予想される不時の支出に備えて出せないなどというようなことは、どうも理由にならなくなつて来るわけですね。これは金額は幾らということは、何月から実施ということで違つて来ますから、総額には相当な差額はついて来ますけれども、併し出せるということになれば、これは将来の予想しない使途に用意するのだから出せないということは、今お述べになつたことは、全然引つくり返つて来るわけですね。出し得るということがはつきりして来る。はつきりして来れば何月の裁定されたものが果して妥当であるかどうかということの判断だけになつて来る。私は先ほどから藤田委員と局長との間のお話を聞いていましたが、国際価格に鞘寄せ云々というような問題、これは理由にならんと思うのです。大体国際価格に鞘寄せするには無理な状態に施設をおかれたりしておる。この場合アルコール専売事業の益金がどれだけ予算の歳入のほうに組まれていたか、ちよつと覚えておりませんが、これはあとで聞くとして、そういうものをやはり予定通りに利益だけは入れて行こう、そうして鞘寄せできないような設備の状態に置いておいて、労働賃金だけはそれを理由にして抑えて行こう、こういうことは、これは理窟をひねくり廻すには都合のいい口実かも知れませんが、これは誰が見ても妥当だという考え方にはならないと思うのですね。予備費からそういうものが出せるとなつたら、先ほど局長さんのおつしやつたように、そういう無理な機構の上において、なおかつ国際価格に鞘寄せできるような状態に今日なつておるという御答弁をされている。この新賃金設定後においても、三回の価格の引下げをして、而も最近においては八万三千二百円かに工業用のものを引下げて、アメリカとの価格との差がずつと縮まつて来て、将来においては、これは太刀打ちできるような状態になる見通しがついておるとおつしやつた。而もこれはアルコール専売事業労働者企業努力だ、感謝しなければならんと言われている。非常に無理な設備を与えておいて、国際価格との間で、これを正直にアメリカ労働者に払うような賃金を若し払つたとするならば、恐らく十万円でもなお且つ引合わないような状態にしておいて、そうしてその上に企業努力でだんだんと引下げておいて、而もその努力は認めて感謝されている当局がそういうことを理由にしてできないということは、これはちよつと腑に落ちないと思うんです。御意見を聞かして頂きたい。
  64. 中村辰五郎

    ○説明員(中村辰五郎君) 国際価格の問題でございますが、これは国際価格そのままになるかどうかというような問題から考えますと、これは恐らく不可能であろうと思います。併し国際価格に対して日本の醗酵工業における企業の将来をどうするかということ、むしろ今日の賃金を云々するという問題以上に深刻な問題があるとするならば、私はこれらに対しまする考え方と、これは一つの数字論の見地を離れまして、一つの考え方、或いはそういつた建前になるかと思いますが、私は先ほども申しましたように、現在のアルコール専売難業の将来性を考えます場合には、少くも国際価格に対しまして五割高程度にまでは何とか持つて行きたい、こういう信念に基いて措置いたして参りたいと思います。予備費につきましては、これは勿論国のすることでございますので、今後の確定支出は今日どれだけということは申せませんが、勿論予期せざる支出という見地からいたしまして、簡単にこれを流用して処理するというようなことは企業経営者の立場からしてでき得ない面があると御了承を願いたいと思います。
  65. 藤田進

    ○藤田進君 そういたしますと、細かく分けて行きましよう。どうも局長お尋ねしないことのほうに、こうお答えが出ないままお坐りになつているような状態なんですが、簡単に一つ確かめて見たいと思うのですが、この仲裁裁定について、これは無論実施期日、内容、これについては局長として妥当なりと考えるか。これは調停案と同じ内容を持つております。ただ実施期日が当局にとつて楽になつている。四月が八月になつている。この違いがあるということですね。このものについて調停委員会においては、調停委員会の主張をなさり、仲裁委員会においてもその主張をなされた。その際に調停案は穏当なものだということがこの文書に書かれているわけなんです。当局はそう言われているということになりますと、この仲裁裁定については法律の定めるところもさることながら、この程度のものは実施しなければならんとお考えになつているのかどうか。その上で予算上の問題その他は別にお伺いしたいと思います。
  66. 中村辰五郎

    ○説明員(中村辰五郎君) 私は仲裁並びに調停の際に、アルコール専売事業だけの企業経営者という立場からいたしますれば、これは関連産業等から見たおのずからの賃金というものはありましよう。そういつた見地からいたしますれば、企業経営者、要するにアルコール専売事業そのものの企業経営者の立場からだけ事を考えれば、それは仲裁或いは調停の考え方というものはほぼ穏当ということの意見も出ると思います。併しこれは飽くまでも通産行政の立場からそれだけで解決しない面がある。例えば先ほども実質論として申上げたことにつきまして繰返すようでありますが、やはり専売事業の将来ということについての建前、それから一般公務員との権衡、特にアルコール専売事業特別会会計法の十二条の精神というような見地からいたしまして、総合的に意見の留保を文書を以て、仲裁裁定のところに引用してございまするが、一般公務員との均衡等から行きまして意見の表明を留保いたしております。
  67. 中川以良

    ○委員長(中川以良君) ちよつと申上げますが、本日は軽工業局長が出席しておられるのでございまして、政策的の突込んだ御質問に対しましては答弁がなかなかしにくいと思います。そこで先ほど海野委員からもお話のございましたごとく、通産大臣なり、大蔵大臣なりを呼びますことになつておりますので、そういうような問題はその際に責任ある答弁をお求めを頂いたほうがいいじやないかと思いますので、できればできるだけ事務的な問題、例えば資料にありまするところの御答弁等を重点に置いて御質問なされたほうがよろしいのじやないかと思います。
  68. 藤田進

    ○藤田進君 何だか我々質問をしていることが当を得ない質問をしているかのごとき御発言があることは誠に遺憾と思います。局長は局長としての責任を無論持つて頂かなければなりませんし、速記も取つて正式にやつていると同時に、公労法の建前から当面通産省が所管省でもありますから、その下における軽工業の中村局長の担当の問題だと思うのです。であるが故に、今日ここに来ておられるわけで、若し答弁者において、この問題についてはなかなかな性格の問題であつて、自分では手に負えない、大臣の答弁を待つということがあるならばその旨をお答え願えれば結構です。私はそのつもりで……。
  69. 中川以良

    ○委員長(中川以良君) ちよつと発言中ですが、申し落しましたが、大体そういうような意味のお話が局長から私は承わつておりますので実は申上げたので、その点も局長もお含みを頂いて御答弁を願います。決して藤田委員の御質問に対して私は容喙をしている意味では毛頭ございません。若しそうであればそういうふうに局長に答えて頂きたいと思います。
  70. 海野三朗

    ○海野三朗君 縷々政府側を代表されて局長が答弁をされておりますが、これを率直に申しますならば、詭弁を弄しておられると私は申すに憚らないのであります。仲裁裁定によつて裁定されたものを政府が守るべきものであると私は思うのでありますが、それは単に政府を代弁しているというお考えからでなしに、局長個人良心訴えて、あなた御自身はどうお考えになるのでありますか。この仲裁裁定を実施すべきものであるということを本心お考えになつているか。又駄目であるとお考えになつているのか。それを一つお伺いしたいことと、この予算上、資金上不可能だということは、然らばどこに誤りがあるのでありましようか。労働組合からの要求が間違つているのであるか。仲裁裁定の方法が間違つているのであるか。どこにその誤りがあるとお考えになるのでありますか。それを私は率直にお伺いいたしたい。政府のお考えになつているところを今代弁しておられるのでありましようけれども、局長の良心訴えて、本当にこれは労働組合から要求した。それを仲裁裁定がこう判断した。これを政府が実行することができないというこの理由を述べておられるのは、一つも私は当を得たものであるとは考えられない。皆いずれも詭弁を弄して顧みて他を言つておられのであると、私は本当に良心的に考えてかく思うのでありますが、局長御自身の御良心をお伺いしたいと存ずるのであります。
  71. 中村辰五郎

    ○説明員(中村辰五郎君) 仲裁裁定の実施ということにつきましては、それは勿論我々といたしまして、できるだけこの仲裁裁定の実施ということを、尊重して参るということは、これは当然でございます。ただ先ほど来くどくどしく私も申上げて非常に恐縮なんでございまするが、国会におきまして御審議の際でもありますし、従来調停或いは仲裁におきまして、私がアルコール企業の経営というものに携わつている関係、又一般通商産業政策というものとの関連におきまして、或いは一般公務員の立場というようなものを彼此勘案いたしまして、先ほど来くどくどしく申上げておりますように、仲裁裁定の実施につきましては、これらの他の重要点につきましても、総合的に判断いたさなければ結論が出ないのではなかろうかということで意見を申述べているのであります。なお本件につきましても、取扱ということにつきましては、勿論これはアルコール専売事業だけの立場でなく、例えば一般公務員との関連というような、大きな他の問題との関連ということを考えますると、私が答弁することはやや不適格であるということは、私は先に委員長が申されたように自分でも考えているんであります。そういう意味合におきまして、この裁定の取扱についての基本方針という考えにつきましては、適当な機会に、大臣、或いは正規の権威のある答弁をなし得るかたの御答弁をお願いいたしたいと存じます。
  72. 海野三朗

    ○海野三朗君 あなた御自身で本当にどういうようにお考えになつていらつしやるのでありますか。どこにこの誤りがあるのであるか。ただ他のほうを考えるとそうは行かないとこう言われる。然らばどこにその誤りがあるのであるか。どこに間違いがあるのであるか。それについては局長は如何にお考えになりますか。
  73. 中村辰五郎

    ○説明員(中村辰五郎君) 仲裁裁定の実施という点からいたしますると、専売事業の現状からいたしますると、勿論公労法の適用を受けております職員並びにこれ以外の一般公務員と称せられております一般職職員がいるのであります。又これと同じように、一般通商産業政策に関連いたします公務員がいるのでありまして、これとの均衡という点につきまして慎重に検討いたさねばならんという点があると思います。これはアルコール専売事業特別会計法の十五条の二にも明記してありまするので、私はそういう点から自分の意見の、この裁定のどこにミステイクがあるという問題を離れて、そういつた問題をも併せ考慮して実施については検討すべきものであるという意味において、御答弁申上げたつもりであります。
  74. 藤田進

    ○藤田進君 そうしますと、他の公社などの権衡上の問題が大きな理由になつておるように思うのですが、その権衡上考えた結果の、この裁定についての所感は、政府当局の考え方としては自分では今言えない、やはり責任ある、と言えば大臣でしようが、その答弁に譲りたい、こういう意向でございますか。
  75. 中村辰五郎

    ○説明員(中村辰五郎君) 私は一般公務員との権衡と同時に、三公社、五現業に対します仲裁裁定の問題が同時に存在するのでありまして、この裁定に対します政府の最終方針ということは結局権威あるものでありまして、こういつた方針につきまして論じ得ない限り、本問題につきましての政府責任ある答弁と言いかねるのではなかろうかという、私が只今申しました意味合におきまして、私はこういつた問題につきましての答弁はでき得ない、資格がないという工合に率直に考えます。
  76. 藤田進

    ○藤田進君 それではやはり大臣の答弁を待つ以外にあなたとしてはできないと、こうおつしやつているわけですね。
  77. 中村辰五郎

    ○説明員(中村辰五郎君) その通りでございます。
  78. 三輪貞治

    ○三輪貞治君 関連して……。先ほどお述べになつた当局の裁定拒否の理由の一つに、今も何回も述べられておりますが、一般公務員との給与のバランスということを言われておりますね。それにはアルコール専売特別会計法の十五条の二ですか、それを引用されているのですが、これはちよつとおかしいと思うのです。アルコール専売特別会計法というのは昭和十二年にできた法律であつて、勿論その当時は公労法というようなものはなかつた。公労法というのは二十三年の十二月二十日に出ているわけですから……。そうすればこれは全然アルコール特別会計法の十五条の二なんというものはこの際考える必要はないものじやないのですか。
  79. 中村辰五郎

    ○説明員(中村辰五郎君) 只今の御質問にお答えいたしますが、アルコール専売事業特別会計法はお説の通り従来から実施されておるのであります。私が引用いたしました十五条の二は、昨年の十二月に特別改正して追加されたものでございます。
  80. 藤田進

    ○藤田進君 そういたしますと、アルコール専売の事業内容をいろいろ細かいことを聞けばこれはお答えになるのでしようが、これはおよそ今の場合仲裁裁定が出ておりますから、これについて予算上の問題が中心となつて、これが実施についての政府当局の或いは実施し得ざる事情、これらを聞くのが至当だと思うのですが、これが政策に関連することであるし、他の権衡上からも大臣の答弁を待ちたいというお答えのようでありますから、本日はこれ以上なかなか進まないと思いますが、ただ今日の公労法を今井仲裁委員長も言及されていたのでありますが、それぞれ三公社五現業についてそれぞれの調停或いは仲裁委員会が設けられているという、この建前というものはさような権衡論で以て処置できるものではない。そのようなものであるならば一括仲裁調停というものは当然なされたければなりませんし、むしろ現行法は経営者の立場からできていると思うのです。民間の場合でもそうですね。民間の場合だつて公益事業がありますが、公益事業の権衡といつたようなことになりますと、一つの企業調停申請しても他の企業がどういう要求をして来るかわからないので、これを待つ恰好になる、調停案がなかなか出て来ない、併しやはり独立採算制、個々の企業々々の労使問題の解決ということが建前でありまして、私どもとしては非常に見解を異にいたします。今の権衡論はそのまま貫かれれば又当局にとつて非常な大変な障害が出て来ることもありますのでこの点は申し加えておきたいと思います。他の委員の質問もあろうと思いますので私は大臣の御出席を是非委員長におかれてお取計らいを願つてその上で改めて審査したい思います。
  81. 三輪貞治

    ○三輪貞治君 私も大臣が出席された後でいいわけですが、又このことは予算書を見ればわかるのですけれども、この際局長が見えているのでお聞きしておきますが、本年度のアルコール専売益金の歳入予算は幾らでしたか。
  82. 中村辰五郎

    ○説明員(中村辰五郎君) 約二億五千万円であります。なお詳細な数字は別途御説明申したいと思います。
  83. 三輪貞治

    ○三輪貞治君 そうしますと先ほど局長の言われたこのアルコール専売事業労働者の労を多とする、感謝しなけばならないというような御発言がありましたが、これはこのような給与の状態において、なお且つ設備アメリカ等に及ばざるところ甚だしい状態において、新賃金実施後三回も値下げを行なつてなお且つ将来において国際価格に鞘寄せできる見通しの状態にまでこぎつけた、而もその状態において二億五千万円もの益金を歳入予算に見込まれている、こういうことについての総合的な感謝と申しますか、その労を多とするという意味と了解していいのですか。
  84. 中村辰五郎

    ○説明員(中村辰五郎君) 只今二億五千万円の国庫納付金と申上げましたが、これは御承知のようにアルコールは工業用にもなりますし、又一般に焼酎その他の他の業者が造つておりますそういつたいわゆる飲む酒に転用されないというような意味におきましての取締上の観点から酒税法上の問題がございまして、酒税相当額を加えたもので購買するという向がございますので、これに相当する額が国庫に納付されるわけであります。その額が二億五千万、こういう意味でございます。なお只今の職員組合の非常な企業努力によりまして、今日こういつた国際価格に対する鞘寄せが相当短い期間に大幅にできつつあるということはこれは非常にアルコール事業として喜ぶべきことでございます。この引下げによります効果と申しますか、これは今後に現われる問題でございます。二割以上の引下げが行われることによりまして輸出原材料としての需要或いは一般国内の需要関係ということについても相当効果が現われて参ると思います。こういつた効果が逐次現われまするならば、操業度の向上ということも更に考えられますので、こういう意味におきまして今後できるだけ職員のこの企業努力に対しまして、まあ経営の一端に責任を持つております私としては努力して参りたい、こういうことを申上げておきたいと思います。
  85. 海野三朗

    ○海野三朗君 私が局長の良心に問うて率直にお伺いしたいと申しましたが、それに対しての答弁はなかつたかと私は考えます。又御答弁できない立場にあると私は解釈いたしました。結局どこに誤りがあるかと申しますと、つまり政治貧困ということに帰するのである。仲裁裁定がこれが正しいのだと第三者の立場で判断をした。そのことは尊重すると言つても、尊重するならば、直ちに実行したらいいじやないか。ところが実行できない。ほかの方法があるからということは、それは十分耳を傾けていないという証拠であつて、どこかにこの行語つた行けないものがあるのである。その行けないのは何かということを私が追及いたしましたのは、結局するところ政治貧困に帰するのであります。このことにつきましては、大蔵大臣通商産業大臣列席の下において私は飽くまでもこれを追及しなければならない。こういうふうに考えまして、今日は私の質問は両大臣の出席を要求いたしまして、私の質問を打切ります。
  86. 中川以良

    ○委員長(中川以良君) ほかに御質問ございませんですか。  それではお諮りいたしまするが、本日の審議はこの程度で一応とどめておきまして、明日は午前中に参考人の意見を聞くことになつておりますので、午後でき得る限り、大臣の出席を只今委員長は要求をいたしております。  本日はこれを以ちまして終りたいと存じますが、御異議ございませんですか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  87. 中川以良

    ○委員長(中川以良君) なお本日いろいろ組合の委員長並びに書記長御多忙のところ御出席頂きまして、御意見を承わりまして誠に有難うございました。  それでは本日はこれを以て散会いたします。    午後三時五十二分散会