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1953-07-13 第16回国会 参議院 労働委員会 10号 公式Web版

  1. 昭和二十八年七月十三日(月曜日)    午後三時二十五分開会   ―――――――――――――  出席者は左の通り。    委員長     栗山 良夫君    理事            井上 清一君            田村 文吉君    委員            伊能 芳雄君            田中 啓一君            宮澤 喜一君            阿具根 登君            吉田 法晴君            上條 愛一君            寺本 広作君            堀  眞琴君            市川 房枝君   衆議院議員            多賀谷真稔君            井堀 繁雄君   国務大臣    労 働 大 臣 小坂善太郎君   政府委員    労働政務次官  安井  謙君    労働省労政局長 中西  実君   事務局側    常任委員会専門    員       磯部  巖君    常任委員会専門    員       高戸義太郎君   ―――――――――――――   本日の会議に付した事件 ○電気事業及び石炭鉱業における争議  行為の方法の規制に関する法律案  (内閣提出、衆議院送付) ○公共企業体等労働関係法の一部を改  正する法律案(衆議院送付) ○地方公営企業労働関係法の一部を改  正する法律案(衆議院送付)   ―――――――――――――
  2. 栗山良夫

    ○委員長(栗山良夫君) 只今から労働委員会を開会いたします。  電気事業及び石炭鉱業における争議行為の方法の規制に関する法律案を議題に供します。政府より提案理由の説明を求めます。
  3. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) 只今議題となりました電気事業及び石炭鉱業における争議行為の方法の規制に関する法律案につきまして、その提案理由及び大体の構成を御説明申上げます。  昨冬行われました電気事業及び石炭鉱業の両ストライキは非常に大規模のものでありまして、幸いにして最後の段階におきまして収拾されましたが、この両ストライキが国民経済と国民の日常生活に与えた脅威と損害とは実に甚大なものがあつたのであります。  労使関係につきましては、法を以てこれを抑制規律することは、できる限り最小限とし、労使の良識と健全な慣行の成熟に委ねることが望ましいことは言うまでもないことであります。併しながら政府としては、かかる基本原則のみを固執し、徒らに手を拱いて当面の緊急の問題に対して必要な施策を怠ることは許されないと考えるのであります。  よつて政府としましては、電気事業及び石炭鉱業の特殊性及び重要性並びに労使関係の現状に鑑みまして、争議権と公益の調和を図り、以て公共の福祉を擁護するために、両産業における争議行為の方法について必要な規制をなす必要があると考え、本法案を立案するに至つたのであります。  公共的性質を有する産業は、ひとり電気事業及び石炭鉱業に限るものでないことは申すまでもないところでありますが、種々検討の結果、この際いわゆる基礎産業中最も基幹的な重要産業であり、而も昨年現実に問題となつた電気事業及び石炭鉱業につきまして必要な限度の規定を設けることとした次第であります。  又労使関係の調整につきましては、昨年第十三国会において一応の改正を了しており、且つ本法案は労使関係の調整とは別個に、専ら公益擁護の見地から争議行為の正当性の範囲を必要な限度で明らかにするものでありますので、今回の措置は既存法律の改正を以てせず、単独法の形をとつたのであります  以上と同一の見地より前国会に電気事業及び石炭鉱業における争議行為の方法の規制に関する法律案を提出いたし、衆議院におきましてはこれを三年の臨時立法とする旨の一部修正がなされた上可決されたのでありますが、参議院におきまして審議中、衆議院解散によつて審議未了となりましたので、前回衆議院におきまして可決された法律案と同一内容の法律案をここに提案いたした次第であります。  以下本法律案の大要について御説明申上げます。  本法案は三箇条からなるものであります。先ず第一条におきましては、以上申上げたごとく電気事業及び石炭鉱業の自然的、経済的、社会的な特殊性及びその国民経済及び国民の日常生活に対する重要性に鑑みまして、争議行為と公益との調和を図り、以て公共の福祉を擁護するため、争議行為の方法について当面必要とせられる措置を定めるという本法律案の趣旨を明らかにしたものであります。従いまして本法案は、争議権そのものを否定する趣旨のものではなく、専ら争議権に基く争議行為の一部方法のみを規制の対象とするものであります。  次に第二条につきましては、電気事業についていわゆる停電スト、電源ストその他電気の正常な供給停止乃至直接の障害を生ぜしめる争議行為の方法は禁ぜられるものであることを明らかにいたしたのであります。  スイッチオフ等ほしいままに装置を操作する積極的行為は、従来から政府として正当ならざる行為と考えていたのでありますが、更にこれと同様に電気を停止したり、電圧、サイクルを狂わせたりする行為であつて、昨年のストライキの経験にも鑑み、社会通念上非とされるものについても、この際その正当ならざることを明らかにしたものであります。  蓋し停電スト、電源スト等は、これに携わる人員は全電気産業労働者中少数に過ぎず、他の多数の労働者の争議行為は、何ら制約せられるものでないと同時に、労働者の失う賃金及び使用者のこうむる損害は、これによつて無辜の需要者が不可避的にこうむる物質的、精神的損失に比較いたしますと極めて僅かなものであります。この点他の争議行為の方法と全くその類を異にし、電気事業の公共性に矛盾すること甚だしき争議行為といわなければならないのであります。而も電気産業労働者にはこの他にも労使対等の立場を維持するに十分な争議手段があるのでありまして本条の規制は当然止むを得ざるものと考えられるのであります。なお、使用者が変電所、発電所等の停廃を来すロツクアウトを行い得ざることは勿論であります。  次に、第三条につきましては、石炭鉱業について、鉱山保安法に規定する保安業務の正常な運営を停廃する争議行為のうち、温水、落盤、自然発火、有害ガス充満等を防止する業務を怠り、その結果、人命に危害を及ぼしたり、石炭資源を滅失し乃至炭鉱破壊を招いたり、第三者に鉱害を与えるごとき保安放棄の行為は、争議行為として正当性を逸脱するものであることを規定いたしたのであります。蓋しかかる争議行為は、法益の均衡を著しく失し、又労働者をして復帰すべき職場を失わしめるものでありまして争議行為目的を逸脱し、到底正当な行為と認め得ないのであります。このことは昨年の炭労ストに対する政府声明におきましても明らかにいたしたところであり、極めて明白の事柄でありますが、昨年の経験及び現状に鑑みましてこの際特にこの旨を法律の明文を以て定めたものであります。  最後に附則第二項につきましては、本法律案はその施行後三年の期間満了の際、その期間経過後二十日以内に、若し三年の期間経過後二十日を経過した日に国会が閉会中の場合は、国会召集後十日以内に、引続き存続させるか否かについて国会の議決を求めなければならないこととし、国会におきまして存続させない旨の議決があつたとき、又は会期中に存続させる旨の議決がなかつたときは、その日の経過した日から効力を失うこととしたのであります。先の国会における衆議院議決を尊重いたしまして政府の原案にこれを加え、冒頭に申上げました趣旨を明らかにしたものであります。  以上本法律案の提出理由と大体の構成を御説明申上げたのでありますが、これによつても明かなごとく、本法律案は決して不当に労働者の権利を抑圧いたすものではなく、電気事業及び石炭鉱業の特殊性並びに国民経済及び国民生活に対する重要性に基き、両産業における争議行為の方法について必要止むを得ざる制約を明かにし、公共の福祉を擁護せんといたすものであります。何とぞ御審議の上速かに可決せられんことをお願いいたします。
  4. 栗山良夫

    ○委員長(栗山良夫君) 本案につきましては本日はこの程度にとどめます。   ―――――――――――――
  5. 栗山良夫

    ○委員長(栗山良夫君) 次に公共企業体等労働関係法の一部を改正する法律案を議題に供します。発議者より提案理由の説明を求めます。
  6. 多賀谷真稔

    衆議院議員(多賀谷真稔君) 只今議題となりました公共企業体等労働関係法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び改正せんとする主要な点について説明申上げます。  終戦後我が国の公務員は労働三法の適用を受けて、いわゆる現業公務員はすべて争議権を持つていたのであります。ところが昭和二十三年七月二十二日、マッカーサー元帥の書簡を契機として作られた政令二〇一号、国家公務員法、公共企業体労働関係法により、公務員憲法の保障する労働者の基本的権利の大半を喪失したのであります。  これらは占領治下という特殊な事情の下においてなされたものであり、講和発効後の第十三回国会においてなされた公共企業体労働関係法の改正の際には、当然その基本的権利の全面的復活が行わるべきであつたにかかわらず、その改正は遂に現業公務員の一部を適用範囲に入れたに過ぎなかつたのであります。  国の権力行使に関係のない、いわゆる現業公務員に対し、公務員であるというだけの理由の下に、労働基本権の制限又は剥奪をなすがごときは全く当を得ない処置といわざるを得ないのであります。本法第二条に掲げる公共企業体及び国の経営する企業は、本来の行政活動とは区別されるべき産業経済活動であつて、労働関係の実態上、労働関係調整法に掲げる民間の公益事業と何ら差異を見出すことは困難であります。生存権を保障し、団結権、団体交渉権及び団体行動権の労働基本権を保障している日本国憲法の下において占領治下の特殊事情により制定された法律の改正こそは最も急務なりと考えるものであります。更に争議権の全面的禁止をなした代償として制定された仲裁裁定制度の運用処理の状況を見ますと、立法の精神は無視せられ、予算上、資金上不可能な資金の支出を内容とする裁定については一つとして完全に履行されたものはないのであります。故に我々は遵守されない制度に頼るよりは、むしろ争議権を与えることにより労使の公正な競争によつて速かに紛争を解決すべきであると考え、改正を提案いたしたのであります。  以下改正の要点について述べます。  改正の第一点は団結権の問題であります。現行法第四条が「職員が組合を結成し、若しくは結成せず、又はこれに加入し、若しくは加入しないことができる」としてオープンシヨップ制を強制し、而も「公共企業体等の職員でなければ、その公共企業体等の職員労働組合の組合員、又はその役員になることができない」として逆締めつけを規定しているのであります。これらは明らかに公共企業体における労働組合運動を歓迎しないどころか、弱体化を来すものであると考えられる点からして、一般民間労組同様、労働組合法を適用することとしたのであります。更に専従職員につきましては、企業体側の許可制になつておりますが、これら職員は企業体側からは給与を受けないものであり、組合の自主的決定に待つべきものでありますので、公共企業体側の一方的に干渉すべきものでないと考え、改正いたしたのであります。改正の第二点は団体交渉の問題であります。交渉単位制度は我が国労働法上本法だけに設定されたものであり、労働組合法は勿論、地方公営企業労働関係法にも規定されていないものであります。慣行のないところにアメリカのこの制度を直輸入し、而も本法だけに設定するということは日本の労働組合の実態を無視したものであります。よつて交渉単位制及び交渉委員制を廃止して労働組合法の適用を受けることといたしたのであります。団体交渉の対象につきましても極度に制限せず、労働条件その他待遇に関する事項は全部団体交渉の対象となるごとく改正したのであります。改正の第三点は、予算上不可能な資金の支出を内容とする協定又は裁定における政府の処置に関してであります。法施行以来非常に論議がありましたので、協定、又は仲裁の履行をより確実にするため、いやしくも協定又は裁定がなされた以上、政府は必要な予算処置を講じて国家に提出しなければならない義務を課したのであります。改正の第四点は争争議行為についてであります。前述したごとき理由により争議行為の禁止条項を廃止し、運輸、電気、水道、ガス等の労働関係調整法の公益事業と同様の取扱いにいたしたのであります。故に勿論予告義務はあり、緊急調整制度の適用を受けることになるわけであります。改正の第五点は、仲裁制度及び調停委員会、仲裁委員会の機関の問題であります。争議権を認めた結果、強制仲裁制度を設けることは不適当と考え、これを廃止して、任意仲裁制度に改めたのであります。調停委員会、仲裁委員会等別箇の機関を廃止して、公共企業体等労働委員会を作り、労働組合法の労働委員会と同様な機構にいたしたのであります。改正の第六点は、争議権を持つこれらの現業公務員国家公務員法の規定の適用を受けさすことは不適当でありますので、特別職としてこれを取扱い、身分取扱いにつきましては別に法律を制定することとし、制定までの間は経過措置として現行法第四十条の規定によることといたしたのであります。  以上が改正の要点でありますが、何とぞ議員各位におかれては御審議の上速かに可決されんことを望みます。
  7. 栗山良夫

    ○委員長(栗山良夫君) 本案につきましては本日はこの程度にとどめます。   ―――――――――――――
  8. 栗山良夫

    ○委員長(栗山良夫君) 次に地方公営企業労働関係法の一部を改正する法律案を議題に供します。本案について発議者より提案理由の説明を求めます。
  9. 井堀繁雄

    衆議院議員(井堀繁雄君) 甚だ恐縮でございましたが、印刷物が間に合いませんが、参議院の議事録十四号に記載してございまするので、御参照願いたいと思うのであります。  只今議題になりました地方公営企業労働関係法の一部を改正する法律案について提案の理由を御説明申上げたいと思います。この法案は、只今衆議院議員多賀谷君から御説明がありました、公共企業体等労働関係法の一部改正とその趣旨におきましてほぼ同じういたしますので、重複を避けまして、主たる点だけを若干説明を加えたいと思うのであります。  御承知の通り、地方公共企業労働関係法は、以前、すでに十三国会において成立いたしたものでありますが、折角成立いたしました本法律は、その目的である労働関係の安定と地方住民の公共福祉擁護という重大使命を果すためには幾多の欠陥がございます。この不足を補いまして、地方公営企業をして真の民主的な使命を達成することができまするように改めたいというのが、本案提出の主たる理由であります。 殊に一点触れておきたいと思いますることは、専従職員の問題についてであります。専従職員その他の規定を民間労働組合の場合と同様にいたしておる点でございます。これは労働組合の一貫した精神でありまして、民間であるとか或いは公共企業体に関係を持つからということで、労働者がばらばらにされるということは最もよくないことでありまして、これを統一して、日本の産業、企業の民主的発展に労働者組織的に総合的に協力できるようにいたしたいというのであります。  以上主たる点を説明をいたしました。具体的な点については冒頭申上げましたように公共企業体等労働関係法とほぼ趣旨を同じういたしますので、これを省略いたした次第であります。何とぞ慎重御審議の上速かに御決定頂きまするよう切に願いをいたしまして、趣旨の弁明を終りたいと存じます。
  10. 栗山良夫

    ○委員長(栗山良夫君) 本案につきましては本日はこの程度にとどめます。  本日の委員会はこれを以て散会をいたします。    午後三時四十五分散会